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1977-10-20 第82回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十日(木曜日)    午前十時四分開会     —————————————    委員の異動  十月十九日     辞任         補欠選任      佐藤 昭夫君     橋本  敦君  十月二十日     辞任         補欠選任      山本 富雄君     園田 清充君     目黒今朝次郎君     野口 忠夫君      竹田 四郎君     粕谷 照美君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鍋島 直紹君     理 事                 戸塚 進也君                 内藤誉三郎君                 中村 太郎君                 宮田  輝君                 小柳  勇君                 山崎  昇君                 多田 省吾君                 内藤  功君                 栗林 卓司君     委 員                 浅野  拡君                 石破 二朗君                 糸山英太郎君                 小澤 太郎君                 加藤 武徳君                 亀井 久興君                 亀長 友義君                 熊谷  弘君                 下条進一郎君                 玉置 和郎君                 成相 善十君                 林  ゆう君                 真鍋 賢二君                 三善 信二君                 望月 邦夫君                 八木 一郎君                 秋山 長造君                 粕谷 照美君                 片山 甚市君                 竹田 四郎君                 対馬 孝且君                 寺田 熊雄君                 野口 忠夫君                 福間 知之君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 峯山 昭範君                 矢追 秀彦君                 矢原 秀男君                 橋本  敦君                 渡辺  武君                 井上  計君                 山田  勇君                 柿沢 弘治君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 赳夫君        法 務 大 臣  瀬戸山三男君        外 務 大 臣  鳩山威一郎君        大 蔵 大 臣  坊  秀男君        文 部 大 臣  海部 俊樹君        厚 生 大 臣  渡辺美智雄君        農 林 大 臣  鈴木 善幸君        通商産業大臣   田中 龍夫君        運 輸 大 臣  田村  元君        郵 政 大 臣 小宮山重四郎君        労 働 大 臣  石田 博英君        建 設 大 臣  長谷川四郎君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)        (北海道開発庁        長官)      小川 平二君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       園田  直君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       藤田 正明君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       西村 英一君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  三原 朝雄君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       倉成  正君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       宇野 宗佑君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石原慎太郎君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  田澤 吉郎君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        内閣法制局第一        部長       茂串  俊君        内閣総理大臣官        房総務審議官   大濱 忠志君        公正取引委員会        委員長      橋口  收君        公正取引委員会        事務局経済部長  妹尾  明君        公正取引委員会        事務局審査部長  野上 正人君        警察庁警備局長  三井  脩君        行政管理庁行政        管理局長     辻  敬一君        北海道開発庁総        務監理官     吉岡 孝行君        防衛庁参事官   夏目 晴雄君        防衛庁長官官房        長        竹岡 勝美君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁人事教育        局長       渡邊 伊助君        防衛庁衛生局長  野津  聖君        防衛庁装備局長  間淵 直三君        防衛施設庁長官  亘理  彰君        経済企画庁調整        局審議官     澤野  潤君        経済企画庁物価        局長       藤井 直樹君        科学技術庁研究        調整局長     園山 重道君        科学技術庁振興        局長       杉浦  博君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        環境庁長官官房        長        金子 太郎君        環境庁企画調整        局長       信澤  清君        環境庁自然保護        局長       出原 孝夫君        沖繩開発庁総務        局長       亀谷 禮次君        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        国土庁計画・調        整局長      下河辺 淳君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君        法務省入国管理        局長       吉田 長雄君        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省経済協力        局長       菊地 清明君        外務省条約局長  大森 誠一君        大蔵省主計局長  長岡  實君        大蔵省関税局長  戸塚 岩夫君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省国際金融        局長       旦  弘昌君        文部大臣官房長  宮地 貫一君        文部省初等中等        教育局長     諸沢 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省社会教育        局長       望月哲太郎君        文部省管理局長  三角 哲生君        厚生大臣官房長  山下 眞臣君        厚生省公衆衛生        局長       松浦十四郎君        厚生省医務局長  佐分利輝彦君        厚生省薬務局長  中野 徹雄君        厚生省社会局長  上村  一君        厚生省児童家庭        局長       石野 清治君        厚生省保険局長  八木 哲夫君        農林大臣官房長  澤邊  守君        農林大臣官房審        議官       犬伏 孝治君        農林省構造改善        局長       森  整治君        農林省畜産局長  大場 敏彦君        農林省食品流通        局長       杉山 克己君        食糧庁長官   大河原太一郎君        林野庁長官    藍原 義邦君        水産庁長官    岡安  誠君        水産庁次長    恩田 幸雄君        通商産業大臣官        房長       宮本 四郎君        通商産業省通商        政策局長     矢野俊比古君        通商産業省通商        政策局次長    花岡 宗助君        通商産業省貿易        局長       西山敬次郎君        通商産業省産業        政策局長     濃野  滋君        通商産業省立地        公害局長     左近友三郎君        通商産業省基礎        産業局長     天谷 直弘君        通商産業省機械        情報産業局長   森山 信吾君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        中小企業庁長官  岸田 文武君        運輸大臣官房長  山上 孝史君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君        郵政大臣官房電        気通信監理官   江上 貞利君        郵政大臣官房電        気通信監理官   神保 健二君        労働省職業安定        局長       細野  正君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省河川局長  栂野 康行君        建設省住宅局長  山岡 一男君        自治大臣官房長  石見 隆三君        自治省行政局長  近藤 隆之君        自治省行政局公        務員部長     塩田  章君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    参考人        日本銀行総裁   森永貞一郎君        日本住宅公団総        裁        澤田  悌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和五十二年度一般会計補正予算(第1号)  (内閣提出衆議院送付) ○昭和五十二年度特別会計補正予算(特第1号)  (内閣提出衆議院送付) ○昭和五十二年度政府関係機関補正予算(機第1  号)(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十二年度一般会計補正予算  昭和五十二年度特別会計補正予算  昭和五十二年度政府関係機関補正予算  以上三案を一括して議題といたします。     —————————————
  3. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  昭和五十二年度補正予算案審査のため、本日の委員会日本銀行総裁森永貞一郎君及び日本住宅公団総裁澤田悌君参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、出席時刻等については、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 質疑に入るに先立ち、昨日の中村太郎君の質疑に対する法務省伊藤刑事局長答弁について理事会において協議いたしました結果、委員長は不適当なる言辞があると認めましたので、その部分を取り消すことにいたします。     —————————————
  7. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは、これより質疑を行います。片山甚市君
  8. 片山甚市

    片山甚市君 社会保険関係で、政府管掌保険は御承知のように千六百億円程度の赤字になり、そのためにボーナス臨時徴収をしようとするような事態になりました。ところが、近時明らかになりましたように、愛知医大金沢医大などで明らかになったように不祥事件が相次いでおるのであります。御承知のように、金で塗り固めたと言われる私立医大経営の問題は、厚顔無恥と言うか、何とも言いようがないものであります。こういうところから医師を誕生させていくということになれば、大変身の毛のよだつ思いがするのであります。こういうようなことを考えてみますと、医療行政上と、いわゆる私学育成という教育の基本から考えても、総理の御意見関係閣僚の御意見を、まず愛知医大金沢医大に対する所感をいただきたい。
  9. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 医師は、これは人の命を預かる者でありますから、その医師を育成する仕組みというものは、非常に慎重に、しかも厳正でなければならぬと、こういうふうに特に思うわけであります。ところが、いま御指摘のように、現実にはいろいろな不祥事件というようなものもあり、また不祥事件とまでいかないけれどもいろいろ世間批判を浴びていると、こういうケースもありますので、この際何とかこの状態を是正いたしたいと、こういうことで、文部省が中心になりましてせっかく腐心もいたしておるという最中であります。
  10. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘のように、私立医科大学歯科大学、特に愛知医大金沢医大等入学に関する不祥事があったことが報道されましたので、文部省といたしましても、当事者を呼んで事実調査をいたしました。その結果、入試の選抜のときに多額寄付金入試決定を左右したというまことに遺憾な実情も判明いたしましたので、鋭意改革案をつくりまして今後不祥事件が起こらないようにすると同時に、教学面においても経営面においても健全化を図ってもらいたいということを強く指導をいたしております。幸い、私立医科大学協会側も、歯科大学協会側も、この事態を厳しく受けとめて、独自の自主改革案等も示された段階でありますが、今後全力を挙げて改革のために努力をしていきたいと取り組んでおる最中でございます。
  11. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 昭和三十六年に国民皆保険制度が発足をして急激な医療需要が起きてきたということは事実であります。そういうような背景から、全国知事会あるいは議長会等一般からも、私立医科大学をもっとふやせというようなことになって、世論となりまして、たくさん医科大学ができたということだと存じます。そういうような過程でいろいろな問題が起きたものと存じますが、厚生省といたしましては、人の人命を預かる医者を許可するわけでございますから、これは学校を出たから全部医者になれるわけじゃなくて、厳正なるところの国家試験を実施いたしておりますから、そういうところできちっと歯どめはかけておるつもりでございます。
  12. 片山甚市

    片山甚市君 また、私学は、国公立と同様に、あるいはそれ以上に、優秀な人材を養成することを期待をして国がその助成を行っておるものと思います。こういうようなところでの私学学校株式会社のごとき状態が成り立っておるとすれば、総理もおっしゃいましたけれども、大変残念なことでありますが、これについてどのようないわゆる抜本的な解決策を持っておるか、総理にお伺いいたしたいと思います。
  13. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはまあ学校当局のモラルの問題であると、こういうふうに基本的には思うわけであります。いま担当大臣からお答え申し上げましたように、この数年間というか、十年間ぐらいの間に、私立医科系統大学が続出をすると、そういう状態であります。そういう中に、どうも学校一つ営利企業のような気持ちのものもまたあったかもしれない。そういうような状態学校経営というものが行われるということになりますと、またいろいろの世間から批判を受ける、こういうような状態も出てくるのじゃないか、そういうふうに思います。しかし、できた学校、これをつぶすわけにもまいりませんから、まあ特殊の事情のない限り、これはもうすでにできたその学校を健全に、学校のあるべき姿に再建をする、そういうことが問題であろうと、こういうふうに思います。文部当局も非常にいま努力をいたしておるところでございます。
  14. 片山甚市

    片山甚市君 私立医大は、他の私大と異なって、今日の問題になっておる医療と福祉に直接かかわりがあります。さらに、全面的に言えば、私たちは命を預けておる医者を養成する、こういうことで医大というものについては大変関心を持っておる。特に、巨額な寄付金がなければやっていけない面がある。こういうような状態についてひとつ解明をしていきたいと思うのです。  それは、私立大学医学部入学時の寄付金は、この三年間で統計を見ると次のようになっておると思います。五十年度は三百六十億円、五十一年度は四百三億円、五十二年度は五百四十億円、これについて文部省の方からその内容について御説明を願いたい。
  15. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) お答えをいたします。  私立医科大学でありますが、御承知のように、二十八学部ございまして、うち寄付金を全く徴収していない学部は二学部ございます。昭和五十年は、寄付金総額は御指摘のように三百六十億円、これは入学者一人当たり平均額といたしますと千八十三万円ということになります。昭和五十一年度は、入学者総数三千二百六十二名、これは入学者一人当たり平均額に割りますと千二百三十七万円。昭和五十二年度は、入学者三千二百七十七人、入学寄付金総額が五百四十四億円、入学者一人当たり平均額は千六百六十二万円となります。なお、これを寄付者一人当たり平均に直しますと、昭和五十年度は千五百万円、五十一年度は千六百六十七万円、昭和五十二年度は二千二十九万円、こういうことに相なります。
  16. 片山甚市

    片山甚市君 この寄付者のうちで、医師職業を持っておる人たちはどのくらいの割合でしょうか。
  17. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 寄付者の中で、医師のという角度からの数字はわかっておりませんけれども、昭和五十二年の四月現在在学する医者子弟ということで調査しました数字は、六四・二%ということになっております。
  18. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、五年間の寄付のトータルはどのぐらいありますか。
  19. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) ただいますぐ計算してお答えいたしたいと存じます。
  20. 片山甚市

    片山甚市君 私は、政府管掌健康保険が千六百億円赤字があり、先ほど申し上げましたようにボーナス臨時保険料を徴収しなければならぬということになっておるときに、このような形で大変たくさんないわゆる寄付金をもって医師がつくられる、これについてはどうしても納得ができないという立場で聞くのでありますけれども、この医師の方々について、収入は大体何から得られると厚生大臣は思われますか。
  21. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 医者と申しましても、二つ大きく分けるとございまして、一つ勤務医一つ開業医、こういうような二つになっております。したがって、いまの例でいって医師と言われても、それが勤務医医師なのか、開業医医師なのか、私の方によくわかりません。勤務医の方は御承知のとおりサラリーでやっているわけですから、開業医の方はいまはほとんど大多数の収入というものは社会保険診療報酬に依存をしておる、こう言って差し支えないと思います。
  22. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、医師収入診療報酬によって行われるとすれば、健康保険法の四十三条の規定による療養に要する費用という内訳はどういうことになっていますか。
  23. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 診療報酬につきましては、個々医療行為によりまして個別に点数を設定しているということで、個々診療行為の具体的な点数という形でございますので、先生御指摘のような点について直ちにはお答えできないと思います。
  24. 片山甚市

    片山甚市君 診療に要する費用、すなわち、一は「診察」、二は「薬剤又ハ治療材料ノ支給」、三は「処置、手術ソノ他治療」、四は「病院又ハ診療所ヘノ収容」、五が「看護」、六が「移送」、この六項目費用からなっておると思いますが、間違いありませんか。
  25. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) そのとおりでございます。
  26. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、医師子弟が非常にたくさんの入学金として出す金は、この診療項目から、報酬のいわゆる費用から、どういうように書かれておりますか。
  27. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) それは医者によりましてみんな違います。内科の場合、外科の場合、婦人科の場合、入院をさせる場合等、いろいろまた違いがあると思います。まあ医師収入診療報酬によるものが大半であるということは申し上げましたが、貯蓄をすることもあるでしょうし、そのほかに何か利殖をする場合もございますから、直ちに診療報酬で受け取った金がストレートで多額寄付金になっておるというようには考えられない。また、何と申しましても、そう多額のものを普通の開業医がみんな持っているとは限らないので、銀行から借金をして長い期間をかけて返済をするという人も中にはあるかもしれません。したがって、一概にどの診療報酬の金がどこに行ったのだということはなかなか断定はしにくいと思います。
  28. 片山甚市

    片山甚市君 入学寄付金がどこにあるかわからぬけれども、社会保険診療報酬収入と、いわゆる医師優遇税制によるあぶく銭がここへ集まったと思う。私たちは、そういう立場で見てみると、非常にけしからぬ、何としてもこの医師優遇税制などは速やかに変えるべきだと思いますが、総理大臣、御所見を願います。
  29. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 社会保険診療報酬に対する課税につきましては、今度の税制調査会でも、これを改正是正すべしということが強く提言されております。財・政当局といたしましては、この問題につきまして、適切なる解決と申しますか、慎重にそこへ至るべくいま検討をいたしておるところでございます。
  30. 片山甚市

    片山甚市君 検討はもう通り越して、実施をしてもらわなきゃならぬ、そういうことで答申が何回も出ておるのですから。  医者であるという者には資格要件がございます。医師法第七条で明確でありますが、「医事に関し犯罪又は不正の行為のあった者」や「医師としての品位を損するような行為のあったときは、厚生大臣は、その免許を取り消し、又は期間を定めて医業の停止を命ずることができる。」としております。たとえば、愛知医科大学太田理事長名古屋掖済会病院長でございます。学力試験で不合格になった学生に多額寄付金を納入させ、教授会の意向を無視して入学させていたことが判明しております。これは「医師としての品位を損するような行為」だと思いますが、大臣の御答弁を願います。
  31. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 厚生省といたしましては、内容について的確にまだ材料を持っておりませんので、一概に医師法違反であるというように断定できるかどうか、いまのところよくわかりません。
  32. 片山甚市

    片山甚市君 それじゃ、文部省企画調整課が作成しました資料で「昭和五十二年度私立大学医歯学部入学寄附金の状況」というものがありますが、これはどういうことになっておりますか。
  33. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 昭和五十二年度の入学時の寄付金状況というお尋ねでございますが、まず医学部について申し上げますと、二十八医学部がありますうち、二十六医学部寄付金を徴収しておりまして、入学者の総数は三千二百七十七人、寄付者の総数が二千六百八十四人、寄付金総額が五百四十四億円、入学者一人当たり平均額が千六百六十二万円、寄付者一人当たり平均額が二千二十九万円、これが医学部であります。  それから歯学部の方は十六学部ございまして、寄付金を徴収しない学部一つ入学者の総数が二千六百八十人、寄付者の総数が二千四百九十四人、寄付金総額が三百六十三億円、一人当たり平均額が千三百五十五万円、寄付者一人当たり平均は千四百五十六万円ということになっております。
  34. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、二十八の医学部別また十六の歯学部別にその状況について公表されない理由は何でしょうか。入学金、授業料などについては学校別に公表されておるのですが、寄付金だけがなぜトータルになるのですか。
  35. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 実は、この調査をいたしますときに、学校経営健全化入学寄付金の状況というものの実態を文部省は正確に把握したいと思いまして、各学校ごとにその内容を公表しないということを条件にして提出していただいた資料でございますから、トータルについてはいま申し上げたようにできる限りわかる限りのことは報告をいたしましたけれども、これをさらに各大学別にどうであったこうであったということは、当初申し上げましたように、各大学の名前を出さないということで協力を求めたわけでありますから、これはここですべてつまびらかにすることは慎むべきだと、こう考えておりますが、ただ、虚偽の報告が判明しました大学につきましては、その大学ごとの報告もすでに世に出ておりますので申し上げますと、愛知医科大学の場合は寄付金総額は三十二億五千八百六十九万円、寄付者数は百二十九人であります。金沢医科大学が三十億六千九百万円、寄付者総数は百四十四人、松本歯科大学は二十六億六千二百六十万円、寄付者総数は二百六人、以上で御理解をいただきたいと思います。
  36. 片山甚市

    片山甚市君 公表しないと約束した、公表しないと言わなければ本当のことを伝えないと、こう言われておるのでありますが、公表しないといっても、いまのようなことで虚偽の事実があったことになります。そうすると、公表するしないにかかわらずこの数字については真実でないと思いますが、いかがでしょうか。
  37. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 具体的な事実を明らかにしていただきながら改革に取り組んでいきたいということで、私どもは各大学にその協力を強く要請しておるところでありまして、現在のところ、学校から報告されたものは私たちはこれは真実な報告であると、こういうふうに受けとめたいと思います。
  38. 片山甚市

    片山甚市君 真実であれば、公表した方がいまのような疑惑にこたえるのではないか。総理も、明確に経理の問題を国としてきちんと受けざらをつくっていきたい、こういうようなお話があったと思います。それで、この問題は、寄付内容について明らかにすることによって、どれだけ医科大学歯科大学にお金が要るものか、こういうことがわかるのでありますから、ぜひとも各学部ごとに発表してもらいたいと思うのですが、もう一度考えてください。
  39. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 報告された中に虚偽の報告があったということが明らかになったものはすべていま学校名を明らかにして御報告いたしましたが、それ以外のところは、全部、出してもらったものをまとめてトータルの数字として、どのようにして健全にしていくかの実態に即した調査にしたいと、こう考えておりますが、各学校ごとのは、虚偽の報告をしなかったということになっておりますので、どうぞそれはいまここで直ちに発表することは差し控えさせていただきたいと思います。
  40. 片山甚市

    片山甚市君 それじゃ、入学試験は何のためにやるのか。入学に際して、学力は合格の必須条件として大きなウエートを占めていると理解してよいのか、まず大臣からお答え願います。
  41. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 入学試験は合否を判定するために行うものだと、こう私は受けとめております。
  42. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、愛知医大の場合はどうであったのでしょうか。
  43. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 愛知医科大学の場合は、多額入学金が合格の判定に当たって条件とされておったのではないかということで事実調査をいたしました結果、そのような事実が判明をいたしております。したがいまして、愛知医大の場合には補欠合格点というもののラインが一応決まっておったのでありますけれども、その補欠合格ライン以下で入学をした者があるという遺憾な事実も文部省の実情調査によって明らかになったわけでございます。
  44. 片山甚市

    片山甚市君 その数字内容はどういうものでしょうか。
  45. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 愛知医科大学の場合には、教授会におきまして合格ラインを五百点満点中二百点、補欠合格ラインを同じく百五十点と定めております。百五十点以上の得点を得た者が、これは学科試験だけの結果でございますけれども、入学定員百名に対しまして約三・三倍ございます。最終的には、それについてさらに二次的な選考が行われまして、合格者として発表された者は百一名であり、辞退者が五名あり、補欠合格者三十名がありまして、入学者は百二十六名であったわけでございます。この三十名が合格ラインを下回った得点で入学をした者でございます。
  46. 片山甚市

    片山甚市君 総理、三十点でお金を出せばはいれるというようなことはいかがなものでしょうか、御所見を賜りたい。
  47. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 巷間よく点数の足らないところは一点幾らの寄付でこれを置きかえると、こういうような話がありまして、私どもも実にびっくりしているわけでありますが、とにかく、医師の養成は、人の命、国民の生命に関する問題でありまするから、医師の養成には非常に慎重厳格でなきゃならぬと思うのです。その選考が金で左右されるというようなことがあっては相ならぬと、こういうふうに思いますが、いまそういうことの是正につきまして文部当局を中心にして努力をしておるその最中でございますから、最善を尽くしたいと思います。
  48. 片山甚市

    片山甚市君 文部省は、去る九月七日に、管理局長大学局長の通知を出し、私大の医学部、歯学部における入学に関する寄付金の収受等の禁止を指導しました。その通知の内容に次のくだりがあるんですが、「私立大学の医学部又は歯学部の一部について、学生の入学時に入学許可の条件となっていると認められる高額の寄附金」といっておりますが、高額とは幾らで、ここでいう入学許可の条件となっていると認められる判断根拠を示してもらいたい。私学の自主性とか大学の自治を尊重しなきゃならない文部省が禁止までせなきゃならぬ重大な決意をしたのでありますから、明確に示してもらいたい。
  49. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) いま御指摘の前文の表現は、きょうまでの実態を顧みまして、高額のものが徴収され、しかもそれが入学許可の条件になっておったという事実も判明いたしましたので、これらのことを顧みて、これらのことは社会的に批判を受けるよくないことでありますから、そういったことは額のいかんにかかわらずやめてもらいたいという禁止の内容の通達を出したわけでございます。
  50. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、教授会の決めた合格ラインよりも低い学生が入学しているという事実だけでは入学許可の条件となっていると認められる高額の寄付金があるということは確認できないと思う。それをするのには、まず、合格ラインより低かった者が、私は大学からお金を寄付を幾ら要請されて出しましたというのが一つと、もう一つは、合格ライン以上の得点を上げたにもかかわらず、私は寄付を出さなかったということで不合格になった者という二つがあろうと思うのですが、この高額の寄付金というものを提示するときにどちらに大体目安をつけるのでありますか。
  51. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 愛知医科大学の場合でございますが、この大学の場合には入学者全員から寄付金を徴収をいたしております。したがいまして、入学時に寄付金を納付するということが入学許可の事実上の条件となっていたということが認められるわけでございます。最高額は五千七百万円を徴収いたしております。ただ、入学できなかった者の数というものが、先ほど申しましたように、学科の点数からだけ申し上げますれば、三・三倍のうちから百人余りをしぼったわけでございますから、その部分について入学時の寄付金を納入できなかったから不合格になったのではないかと思われる者があるわけでございますけれども、その部分の詳細あるいは実態については、私どもでは事実調査の結果におきましても承知がいたしかねておるわけでございます。
  52. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、合格点をとっているのに落とされた者が愛知医大金沢医大二つのケースでどの程度ありますか。
  53. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 愛知医科大学の場合には、先ほど申し上げましたように、学科試験で一応合格ライン以上の者が三・三倍、約三百三十名あるわけでございます。それが最終的には百一名の合格発表ということであったわけでございますから、二百名余りの者が学科試験の成績からだけすれば、合格点以上をとりながら入学には至らなかったということになるわけでございます。  金沢医科大学の場合には、まことに遺憾なことでございますが、入学試験に関します票簿のたぐいをこの大学は一切焼却をいたしておりますので、その点の確認がわが方としてはできないわけでございます。
  54. 片山甚市

    片山甚市君 毎日新聞大阪本社は、金沢医大が廃棄処分をしたと言われる資料四年分を入手しておるようであります。せんだってサンデー毎日十月二日号に五十二年度分のみ発表しました。これを取り寄せて真偽を調べる必要があると思いますが、いかがでしょう。
  55. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 報道されました御指摘の資料につきましては、金沢医科大学の関係者に示しましてその事実の確認をいたしたわけでございますが、大学の関係者の申し立てによりますと、大学側はその資料については関知をしていないと申しております。さらに、私どもも突っ込んで聞いたわけでございますけれども、残念ながら先ほど申しましたように票簿が焼却をされているという状況がございますので、確認ができないでいるわけでございます。
  56. 片山甚市

    片山甚市君 いま申しましたように、毎日新聞は持っておるようでありますから、一度調べてもらいたい。サンデー毎日によると、三百点以上とった人が十六人、合格したのはそのうち六人です。最後の九十九点から三十六点までの人が四十人おるんですが、そのうち二十二人合格しておる。すなわち、試験でいえば、合否の判定で言いますと、三百点以上とっておる者が、三百四十九点ですが、この方が一位で通っていない。こういうような状態は、明確にまじめにやった者が損をするというような状態だと思いますが、いかがな考えを持ちますか。
  57. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 入学者の決定は、大学において教授会の議を経て学長が行うということに定められております。この大学の場合には、教授会の定めた合格ラインはございますけれども、最終的な合否の決定ということについて教授会が主体的に責任を持って関与をしていない。理事長兼学長が決定をしておるという点においてきわめて遺憾な状況があるわけでございます。もちろん入学者の決定は学科試験の成績だけで行われるものではなくて、それ以外に調査書の結果であるとか、あるいは面接の結果であるとか、そういったことを勘案して大学が決定することではございますけれども、いい成績をとった者がもし入学寄付金が納入できないということのゆえをもって不合格になっているとすれば、それはきわめて遺憾なことであると思います。
  58. 片山甚市

    片山甚市君 いま見たように、高点で試験を通った者が排除される。そういうことで、私は、昨日、上田藤男さんという兵庫の人にお電話をしたのですが、その人は非常に不満を述べ、このことについて何としても解決してほしいということです。というのは、   三百二十八人の受験生中みごと一位、349点(小論文を除く)を取った兵庫県城崎郡香住町香住一四〇七の三、文房具商、上田藤男さんの長男の場合は、受験後、「絶対大丈夫」と思っていただけに、何の知らせもないのが不合格のシルシである毎日を過ごして相当のショックを受け、以後、他の大学への受験に「影響がなかったといえばウソになるだろう」という。   父親の藤男さんは、金沢医大事件が明るみに出たあと電話で、「大学をもっともらしく見せかけるための道具に私らが使われたとすれば、こんなヒドい話はないわけで、詐欺にひっかかったようなもんです。大学側には、こうした〃被害者〃に対するおわびとか責任を取るとかいう考えはないようだが、私は二度とこんなことを繰り返させないためにも、神経をすり減らして勉強している若人たちの心を蝕ませないためにも、不合格になった親で〃被害者の会〃を作って運動を起こしたい、という気さえあるんです」   詐欺といえば、ことし発行された受験雑誌『螢雪時代』の金沢医大の項には「51年度合格者最低点−500満点で248」とある。事実は単に42点。実に壮大なウソである。   300点以上の不合格者に次々と電話で感想を聞いてみると、「受験料サギではないか。腹が立つ」「こんなことなら、なぜ試験をしたのか。旅費や宿泊費、それに精神的負担を考えると許せない」「こんなんなら学生募集もする欠きでない。カネ払う人だけ入学させるよう明示すればいいじゃないか」いずれも、呆れたり、怒ったりの声が口をついて出るのである。  こう書かれておるのですが、これについて文部大臣はどうお答えを願えましょうか。
  59. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘いただいたことが事実であるとすれば、私は、大変遺憾なことであり、そういったことをまさに根絶するために、現在、入学の条件とする寄付金の禁止ということ、その他いろいろな政策努力を重ねて私立医科大学改革に取り組んでいかなければならぬ、こう決意を固めておるわけでありまして、まことに遺憾なことであると思います。
  60. 片山甚市

    片山甚市君 金沢医科大学に、本当に合格者だった学生の名前を公表させるように、そして開学以来どうであったのか明らかにしてもらいたいと思います。その上で、入学の希望者があれば、それを認めるような御指導を願えないだろうか。もう多くの人が、優秀な方ですから、他の大学に行っていると思いますが、名誉を回復してやってほしいんです。大臣、それが人道的です。ひとつそれはやってください。
  61. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 金沢医科大学を呼んで鋭意調査をしておりますけれども、わが方からもさらにいろいろとそういった事実があったならば正直にその事実を出していただきたいということを強く指導するつもりでおります。
  62. 片山甚市

    片山甚市君 私は、この親たちが被害者の会をつくってでもやらなきゃならぬという義憤に燃えるのは、やはり試験は合格を決める大きなウエートでありますから、口頭試問で落ちたとかそういうことでありませんでしょうから、お金で落ちたということは明らかでありますから、これは明確にしてもらいたいと思うのです。  次に、医師の養成について、厚生省は、先ほど大臣も言っておりましたが、文部省医師の確保の立場をとって要請したことがあろうと思います。そのことについて明確にひとつ根拠を示してもらいたいと思う。
  63. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 先ほどもお答えいたしましたように、国民の皆保険、一方では人口の老齢化、疾病構造の変化、こういうようなものに対処するためにどうしても医師をふやしてほしいという世論が出てまいりました。厚生行政の上から見ても医師の増加は必要なものでございますから、昭和四十二年と四十五年の二回にわたりまして、文部省に医学部入学定員の増加、医科大学の新設等の措置について依頼をしたところでございます。
  64. 片山甚市

    片山甚市君 先ほどお答えがありましたけれども、私立医大のうち入学寄付金を取っていない二校があると、こういうことですが、どこの学校でありますか。なぜ取らないのでしょうか。
  65. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 入学寄付金を取っておらない学校は二校でございまして、慶応義塾大学と自治医科大学でございます。  寄付金を取っておらない理由でございますが、これは自治医科大学につきましては、各自治体からの協力がございます。慶応大学につきましては、慶応大学全体としての一つ経営の上で医学部で特に寄付金を取るということをせずに済ましておるというふうに理解しております。
  66. 片山甚市

    片山甚市君 慶応大学と自治医大がいわゆる寄付金を取らない理由をもう一度説明してください。
  67. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 両大学とも経営寄付金を取らないで運営をする条件を有しているということと、それから入学の条件となるような寄付金を取ることによって入試の施行が不公正になるということを避けるという姿勢を持っているということであろうと思います。
  68. 粕谷照美

    粕谷照美君 関連。
  69. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 関連質問を許します。粕谷照美君。
  70. 粕谷照美

    粕谷照美君 文部大臣にお伺いしますけれども、あなたは、愛知医大認可申請をするに当たって、たとえば理事予定者だとかいろいろな役職があるわけですが、そのときに評議員としてお名前が挙がっていたように思いますけれども、御本人は御存じでその評議員の中に入っておられたのかどうかということをお伺いします。
  71. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 愛知医科大学が設立の計画が起こりましたときに、私は地元議員として協力を求められまして、協力者になったことは事実でございます。たしか私の記憶では評議員予定者ということであったと思いますが、その経過は省きますけれども、いろいろな経過があって、私自身が愛知医科大学の設立時までその協力者ではなかったわけでございます。したがって、評議員にはなっておりませんが、設立の前の計画で評議員予定者であったことは事実でございます。
  72. 粕谷照美

    粕谷照美君 予定者であったと言うからには、愛知医大がこんな大変な状況にあるというふうにはお考えにならないで、純粋にりっぱな大学をつくろうとしてやられたものだというふうに思いますけれども、さて文部大臣になられまして、いま片山委員がいろいろと御質問をなさっているようなこの条件は、愛知医大だとか金沢医大だけではなくて、まだまだたくさんあるわけですよね。そういう問題点をいま文部大臣としてはなくしていく条件というものができるのかどうなのか。いま慶応だとかあるいは自治医大の問題が出されましたけれども、そのような条件をすべての医大あるいは歯大につくり上げるというふうな御指導ができるというふうにお考えですか、いかがでしょうか。
  73. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) これは私立の医科歯科大学全般が医師の養成という大変大きい重い社会的な責任も負って学生の養成をやってもらっておるのでありますから、私はこれは改革されなければならぬし、また改善されていかなければならないと考えますし、また医科大学協会側もみずから現状を厳しく戒めていろいろな改革案を自主的にも出されておる。文部省はただいま鋭意それの改革に向かっての指導を続けておる最中でございまして、改革はしなければならぬし、できると考えて行っております。
  74. 片山甚市

    片山甚市君 先ほど寄付のことを聞きましたが、今度慶応大学を初めとする私立医大の付属病院の差額ベッドの状況について御説明願いたいのです。
  75. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 国民皆保険でございますので、できるだけ保険外の負担があってはならないということで差額ベッドにつきましては指導を行っているわけでございます。ただ、患者さんの場合に、個室に入りたい、あるいは電話のある部屋に入りたいというニードもあるわけでございますので、差額ベッド自身を廃止するということは、やはりニードがある以上必要でございますけれども、皆保険というようなたてまえから、現在、差額ベッドにつきましては、一般病院については二〇%、国立病院につきましては一〇%と、それから一定の基準があるものでなければ差額ベッドはだめであるというような指導基準で指導しているところでございます。現在、全体に一八%になっておりますけれども、その中で一番やはり問題の多いのは私立大学の付属病院でございまして、その他の法人という関係の中で二七・八%ということで、私立大学の付属病院が最もこの点については問題が多い、教育なり研究という面があるにいたしましても問題があるというふうに考えております。
  76. 片山甚市

    片山甚市君 慶応大学について答えてください。
  77. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 慶応大学につきましては、八〇%以上の差額というふうに承知しております。
  78. 片山甚市

    片山甚市君 不正確ですね。五十一年七月一日、これは文部省からいただいたんですが、慶応大学は八百八十八病床に対して差額ベッドは七百九十三、八九・三%です。ですから、いま平均二〇%と言われますけれども、寄付金を取らないかわりに差額ベッドでピンはねをしておる。金沢医科大学は御承知のように八百五あって二百十一ですから二六・二、愛知医科大学は八百十九病床に対して百六十二、一九・八です。ここは御指導のように大体その線に沿っておる。いわゆる寄付金を取るか差額ベッドでピンはねするかということになっておらないか、これを答えてください。
  79. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 寄付金を取らなければ差額ベッド、差額ベッドでなければ寄付金と、私は必ずしもそういうふうに結びついておるとは思わないんです。たとえば、金沢医大等は、人口のたくさんある人口稠密な地帯じゃございませんし、そういうような点から考えまして、差額ベッドの希望というものは非常に少ないのじゃないか。たとえば、私は栃木県ですが、この間栃木県の国立病院へ行ってみました。差額ベッドはほとんど取りません。それは病床が一割も実はあいておる。こういうような病床があいておるぐらいですから差額ベッドなんか取りようがない。したがって、これは必ずしも寄付金の問題と差額ベッドの問題は直接的には関連はないのじゃないか。ただ、慶応大学等が差額ベッドを御指摘のように取っておることも事実のようであります。これはそれだけ入院の希望者が殺到しているというか、そういうようなところにも原因があるだろうと、こう思っておるわけでございます。
  80. 片山甚市

    片山甚市君 とにもかくにも、私立医科大学をつくるということは金が大変かかる仕組みになっておる。これをどのようにするかということをせない限りは、寄付があろうとなかろうとこういうことは絶えない、こういうふうに考えます。自治医大は、自治体がお金を出し合って、それはお金を取らなくても済むようにしておるから私立といっても終わっておるんだと思いますが、それは間違いありませんか。
  81. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 私が答弁するのは適当かどうかわかりませんが、御指摘のようなことだろうと、そう思います。
  82. 片山甚市

    片山甚市君 金沢医大に入った、あるいは愛知医大に入った学生についてとやかく言おうという意味でなくて、今後このようなことが行われないような施策をとる必要があろうという立場から質問しておるのでありますから、誤解のないようにしてもらいたい。  ところが、これほど無理をして医師養成制度を拡大する、先ほど厚生大臣から言われましたように、医発の一〇七九号で昭和四十五年九月十四日に「医科大学(医学部)の学生定員増等の措置について」を出されました。これは昭和六十年に人口十万当たり百五十人台にしたいという根拠でありますが、その根拠はどういうものか、大臣から御説明願いたいと思います。
  83. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 必ずしも科学的、合理的な厳格な基準というものは私はないと思いますが、西欧諸国の例を見まして、大体先進国と言われるところが人口十万対百五十人程度、現在日本では推計によりますと百三十人ぐらいをちょっと超えたぐらいであろうと。したがって、一応ヨーロッパ並みというようなところで百五十人というものを出したものであって、必ずしも厳格な基準がきちんと数字的にあるというものではなかろうと存じます。
  84. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、医師はふえ続けて、人口十万当たり昭和四十年で百十人レベルから、五十年で百二十名から百三十名になろうとしております。こういうような傾向の中で、いわゆる大都市とその他の都市と市町村ではそれぞれどのようないわゆる配置状態になっておるか、大都市を一〇〇にして、おわかりだったらお答え願いたいのですが、どのような状態でしょうか。
  85. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 人口十万対の医師数でございますけれども、かつては七大都市でまとめておりました。四十年においては七大都市は人口十万対百五十一・四人、その他の市が百二十五・二人、町村は六十五・四人でございましたけれども、昭和五十年におきましては、これは十大都市でございますが、百六十六・四人、その他の市は百二十二・六人、町村は六十七・二人となっております。町村は実数では約一一%減少しておりますが、住民も流出いたしましたので、人口十万対の指数では一%強ふえております。また、ただいま申し上げました数字でその他の市が減っておりますのは、七大都市が十大都市になったためでございます。
  86. 片山甚市

    片山甚市君 農村の大切な医療拠点になっておる国保立の医療施設千八百二十三のうち、休止中が百七十九、廃止予定が百二十八、稼働しているものが八三・二%と報告されていますが、休廃止の理由のほとんどが勤務医の確保が困難だということであり、また、僻地診療所七百五のうち、常勤医がいるのは半数以下四五・八に当たる三百二十三しかおりません。人口十万当たり百五十人のレベルになればこうした事情は解決するのか。苦労されているところの自治体関係者と不安にさらされている住民にどう説明するのかについて聞きたいのであります。お答え願いたいと思います。
  87. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 農村関係で、町村単位で言うと医者の数が少し減っておる、しかし農村の人口も減っておるから実質的には一%程度医者の数がふえておるという説明がいまあったわけでございます。この原因は、先生御指摘のように、一つ勤務医不足という問題で診療所が廃止されたというものもありますが、もう一つは、日本国じゅう非常に交通の便がよくなりました。農村のすみずみまで舗装される、市町村道まで舗装される、みんなが自動車を持つというようなところから、どうしてもちょっとした病気でも村の医者にかかればいいんですけれども病院に行きたがるという傾向のあることも事実なんです、これは。したがって、農村の産婦人科というようなものは最近非常にお客が減っておる。それで、われわれの選挙区で見ても、日赤病院とか総合病院のお産がふえておる、こういうようなことは、やはり交通事情、こういうようなものが大きく生活に影響してきておる、こう見なければならないと存じます。  われわれは、僻地でどうしても医者がなければならない地域については、今後ともいろいろと工夫をいたしまして僻地の医療の充実というものを図っていきたいと、こう考えております。
  88. 片山甚市

    片山甚市君 先ほどから話があるように、最高で五千七百万円もの寄付金をぽんと出せるような開業医の制度がある限り、勤務医というような形で勤めるのには非常に困難がある。先ほど申しましたように、医師優遇税制を当てにしてお金がうんともうかるようになる。そしてそれでいわゆる医師をつくるということについては限界がある。そういうようなどら息子というか、そういうような金でふくれた人間をつくることのないように、先ほどの四十五年に出したものをもう一度見直してやるつもりはないか。余り医者にこびる必要はない。もうきちんと金もうけばかりすることがないように指導できないか、大臣の所見を聞きたい。
  89. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 私は国民本位に医療をやるつもりでございますから、別に医者にこびることは毛頭ございません。  先生が御指摘になった点も、貴重な御意見は十分参考にいたします。ただ、開業医の息子が私立大学に多いということでございますが、これは日本の特殊な——特殊なと言っちゃ失礼かもしれませんが、一つの社会事情にもよるのじゃないか。やはり家業を継がせたいという、日本人にはそういう何といいますか国民感情がある。農業をやっている者は自分の農業を継がしたい。医者医者で自分の家業を継がしたい。それから日本人というのは非常に子供思いでございまして、親を思う心よりも子を思う親心の方が非常に強い。こういうような点で、必ずしも合理的に物事が考えられないで、子供のためにということでかなり無理をして、開業医で確かにもうかっている人もいるでしょうが、私の知っている人などは非常にまじめで、保険だけで本当に質素な暮らしをしておって、やっぱり子供の学費を送っておる方もあります、お医者さんで。そういうような人はやはり一概に悪く言うわけにはいかない。ただ、いろいろな医療の問題で批判を受ける点につきましては、今後とも厚生省としても厳正な立場でそういうような批判を受けないように指導してまいりたいと思っております。
  90. 片山甚市

    片山甚市君 もう一度文部大臣にお伺いいたすのですが、先ほどの金沢医大で受験をして、三百点ぐらいのところで十六人ほど試験を受かっておることになる。ところが、お金がなかったというか、どういうことか、十人ほど落ちています。そういうような形についての名誉を挽回するようなことについて、先ほどお答えがありましたけれども、特段に措置をとっていただけませんでしょうか。
  91. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 金沢医大に対しては、担当局からすでにそのニュースを聞きましたときに、このような事実があったかどうかを調査し、正確な返答は票簿を焼却したからないというような返答が来ておるそうでありますけれども、私は、さらに念を入れて事実調査をしたいと、こう考えております。
  92. 片山甚市

    片山甚市君 医師確保のために厚生省努力するのは当然でありますが、乱診乱療を当然化し、悪徳医師を野放しにして、医療の荒廃と言われる今日の状態を放置することはできない。先ほどから言うように、金さえ出せば私立医大には入学でき、医師を再生産できるというようなことでは本旨にもとると思います。そういう意味で、先ほどからの意見について総理の御所見を伺います。  さらに、厚生大臣には、無原則的に医学生を乱造しないために、もう一度医発第一〇七九号を再検討してみる必要はないか、この二つにお答え願いたい。
  93. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 医者の問題につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、学校を出たから全部医者にするわけじゃないんです。これは厚生省が厳格な国家試験を実施いたしておるわけです。ことしの春試験をいたしましたら、あるところでは三分の一しか実は合格しなかった。新聞にもこれは出ているから別に私は隠す必要は何もないのでございまして、それはともかく、そういうところについては少しぴしっとおきゅうも据えておるわけです。六割以上の人が落第しているわけですから、これぐらい落第させればかなりこれは厳しいものなんです。そういうようなことは厳格に私どもは守って、ただ安易に医者学校を出たからそれはもう医者に採用しますよということはいたしません。そこでけじめをつけます。  それから全体的に医者が不足をしておるということも事実でございますから、現在の学校をつくられたものについては、当然、学問はかりでなくて、医者の倫理もちゃんとわきまえた医者をつくってもらわなければ困るわけでありますから、そういう点につきましても、文部省にも、勉強の方ばかりでなくて、徳義の面においても医者として適当な人をつくってもらうようにお願いをしたいと、かように思っておる次第でございます。
  94. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 累次申し上げておるように、医師はこれは人の命を預かる者ですから、その養成また国家資格認定、こういう過程につきましては本当に慎重にかつ厳格でなければならぬと、こういうふうに考えておるわけです。まあ最近いろいろの批判が出ておるような状態でございますが、それらの批判なんかも踏まえまして、人の命を預かる医師、それにふさわしいような教育、また検定をする、これに格段の努力をいたします。
  95. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、建設国民健康保険に関する問題について、いまその健康保険の状態がどのようになっておるか。特に第七十七国会で参議院の社労委員会の附帯決議として、財政基盤の脆弱な組合に配意して早期に改善を図るということで附帯決議をされておるのですが、臨時調整補助金がございますが、これは制度でございませんで、どのようになっておるか、まず御報告願いたい。
  96. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 国保組合全体の問題といたしましても、これは五十年度の決算を見まするというと、財政状況は、百八十八組合のうち赤字の組合が七組合、前年に比べて一組合減少いたしております。赤字額も一億九千万円と前年度より約一億円減少をしておるところでございます。五十年度における赤字組合は、建設関係が四組合、その他が三組合でございまして、一千万円を超える赤字を出している組合は建設関係の二組合であります。  したがいまして、先般来も、ことしの予算において、社労委員会等の決議等もございますものですから、これに対しましてはいままでの二五%の補助のほかに百九十八億円の補助を行っておるわけであります。したがいまして、建設国保について見ますというと、制度的にはなっていないとは言われますが、国保組合全体で補助率は三八%程度でございますが、建設国保については四三・六%というようなかなり高額な実は補助率になっておるわけでございます。それによって内容の改善もかなり図られてくるものと考えております。
  97. 片山甚市

    片山甚市君 すると、臨時調整補助金は五十三年も引き続き御努力を願えますか。
  98. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 引き続き努力をいたします。  ただいま補助額で百七十億を百九十八と言い違えたそうでございますが、それは訂正いたします。
  99. 片山甚市

    片山甚市君 いま申しましたように、建設国民健康保険は日雇健保の擬制を解いたような状態でつくられ、加入者が大変困難な状態であります。ですから、医者にかかるなとかいうこと、労災など各種保険の完全適用、病気持ちの者は入れない、保険料を上げる、こういうことで、ことしでも平均で一八・九%、香川では四一・二%、京都では二六・八%、広島では二六・一%など引き上げて努力をしていることを認めてもらい、十分にこういう零細な国民健康保険については手を加えていただきたいと思いますが、その具体的な方法についてさらに御答弁願いたいと思う。
  100. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 努力をいたします。
  101. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、厚生省として、いま問題になっていますところのヒト成長ホルモンの公費負担について五十三年度の要求としてとられておるようでありますが、この現状について御説明願いたいと思います。
  102. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 小人症の問題でございますが、これはもう言うまでもなく下垂体性の小人症患者が入院、治療を行う場合には小児慢性特定疾患対策費の中で治療について公費負担を行っております。下垂体小人病の治療に必要な医薬品の適切な供給を図るためにヒト成長ホルモン剤の輸入の増大を図ることにいたしております。なお、五十二年の七月に認可をされた財団法人成長科学協会を中心とする同剤の原料脳下垂体、これの国内収集体制が整備された段階でございまして、その薬の国産化を図りたい、かように思っております。
  103. 片山甚市

    片山甚市君 第八十回国会の予算分科会で大臣がそういうことについての決意を述べていただきました。日本の国では、御承知のように、角膜、腎臓、こういうものについてはすでに体の一部を供給できる、血液は御承知のとおり大体です。ところが、いま申しました脳下垂体は遺体という形になりますから、大きくキャンペーンを張って国民の連帯ということになれば、そういうことにしてやはり小人症というのが公然と表に出られるように——いまそう言うと差別か起こりますから、大変な病気なんです。この小人症の現状について政府委員の中でわかる人があれば説明を願いたい。
  104. 松浦十四郎

    政府委員(松浦十四郎君) 小人症と申しますのは、非常にその定義がむずかしい問題でございまして、たとえばある年齢でその平均から三シグマ小さいのを小人と言うとか、あるいは平均の身長から六〇%以下の人を小人と言うとか、いろいろ言い方がございまして、実際小人症というのはなかなか定義のむずかしい問題がございます。  そこで、この小人症が起こる原因でございますが、一つは、先天的な体質ということもございます。あるいは遺伝的な何かがあるということも言われています。これが第一のグループとして考えられます。それから第二の問題といたしまして、栄養障害あるいは代謝の異常ということがあろうかと思います。栄養障害と申しますのは、もう先生もよく御存じのように、一番端的な例はビタミンDが足りなくなりますと佝僂病というようなことで、これも小人症になる原因でございます。それから第三の原因といたしまして、いわゆるホルモン異常でございまして、ただいま先生が御指摘になりました下垂体異常の小人症はこの分類に入ろうかと思います。そういう意味合いから申しまして、小人症というのは非常に定義がはっきりしない。ただ小さいという問題。それからもう一つは、原因が非常に多岐にわたっている。単なる栄養障害でも起きます。それから慢性の肝炎とか慢性の腎炎というようなことがありますと、それがまた体の代謝異常を起こしまして小人症になる、こういうこともございます。  そこで、現在、全国にどのくらいいるかということでございますが、これもそういう意味合いからしてはっきりわからないのでございますが、十万いる、あるいは十五万いる、こういうふうに言われております。しかし、これはいま申し上げましたいろいろなものを含んでおるというわけでございます。なお、先生御指摘の下垂体異常によります小人症というのはほぼ二千四百ぐらいではなかろうか、これは計算上そんなふうな推計をいたしております。
  105. 片山甚市

    片山甚市君 ヒト成長ホルモンは大変高価なものであり、薬品が配分されても患者の年齢からして全部が家族で、医療給付は七〇%か五〇%しか受けられないわけであります、本人は被保険者ではありませんから。治療効果が上がるのに三、四年投薬をしなければなりませんが、高額療養費の自己負担分は月三万九千円掛ける三十六カ月といたしましても百四十万円かかります。自己負担分が支払えないために途中で投薬を打ち切る例も多いのです。中には、そのまま学校へ行かないままで終わった小人もおります。  これとは別に、地方自治体が通院治療でもこの負担分を肩がわりしているところもあり、たとえば、この制度を利用したいために、仕事をやめて愛知県から東京、神奈川へ転居した話もあります。逆に、転勤で東京から地方へ転出をしたけれども、転出先の自治体にこの制度がないため治療を打ち切ったケースもあります。そうなると、財政上の理由でもともと肩がわりしてやれない自治体があるとすれば、医療の不公平な給付を受けることになり、実施している自治体にはより過大な負担をかけることになるし、その結果、本来の医療行政、国立病院ですとほかの方に迷惑がかかる。関係者の皆さんからこれはひとつ十分に国で当面見てもらえないか、こういうことになりますから、厚生大臣の方で善処していただきますように、ひとつお答えを願いたい。
  106. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 御指摘のように、入院については公費負担をやっておる。しかし、必ずしも全部入院を必要としない場合もあるわけでございまして、いわゆる外来のことをおっしゃっているのだろうと思います。この外来の問題については来年度予算要求をしたいと、こう思っております。
  107. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 片山君、時間が来ておりますから簡単に願います。
  108. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、総理、いまの私のこれについては、人道上の問題でありますから、特に配慮して温かい血の通う政治ということでお願いをしたいのですが、いかがでしょうか。
  109. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま御指摘のような世の中の非常にお気の毒な立場にある方々、これは小人だけに限りませんけれども、温かい気持ちで対処していきたい、かように存じます。
  110. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上をもちまして片山君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  111. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、峯山昭範君の質疑を続けます。峯山君。
  112. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、日韓問題について質問したいと思います。  総理の日韓問題に対する基本的な姿勢を初めにお伺いしたいんですが、私は、総理、真の友好関係を築いていくためには、国民の間にある疑惑、これをどうしても解消するといいますか、明らかにする、そのことがやはり私は真の友好関係を築いていくことに連なっていく、そういうふうに思うわけです。そういうふうな意図から私はきょう質問したいと考えております。  そこで、日韓関係について、特に援助問題についての総理の基本的な姿勢を初めにお伺いしておきたい。
  113. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日韓両国は、本当にこれは一衣帯水の隣国であります。日本といたしますとこれは一番近い国でありまして、この国との間は緊密かつ友好でなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。ただ、最近、日韓の間にいろいろ問題というか疑惑といいますか、世間で取りざたをする、こういう向きがありますが、こういう関係はちゃんとクリアしまして、そしてそういう疑いがあるというような状態でない形にしなければならぬ、こういうふうに考えています。  よく癒着癒着と言いますけれども、私は癒着でいいと思うんです。それが悪い癒着では困るので、日韓両国は非常にいろんな意味において特別の立場にある国でありまするから、いい癒着は好ましい、しかし悪い癒着であってはならぬ、こういうふうに考えております。
  114. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 外務大臣、どうお考えですか。
  115. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 日本と韓国との関係につきまして、これは日本の最も近い国であるということから、本当の意味の友好関係を築いていくべきものと考えます。  過去にいろいろな御批判をいただいておるわけでありますけれども、これからの経済協力関係におきましては、いささかもそのような御批判のないような正しい関係を樹立すべきものと思います。もとよりこれは過去においていろんな御批判をいただく事実があったということをいま私は申し上げることではありません。ただ、いろんな御議論が出ておりますので、いやしくもそのような御議論が全くないような経済関係にいたしたい、このように考えております。
  116. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その本当の意味の友好関係を築くために、どうしても私はいま国民が疑惑に思っておることを解明しなければならない。解明しなければならないというわれわれに課せられた義務があると私は思うんですね。そういうような意味で質問を続けてまいりたいと思います。  そこで、まず初めに、韓国への経済協力の問題についてお伺いをいたします。  特に、政府予算の中で海外経済協力費というのがございますが、これは総額でどのくらいになっているのか、昭和五十年度、五十一年度で結構ですから御答弁願いたい。
  117. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 経済協力費につきましては各省にまたがっておりますので、いま総額につきましてはちょっとお時間をいただきたいと思います。すぐ参ります。
  118. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) お答えいたします。  一九七五年と七六年のお尋ねと思いますが、政府間開発援助とそれから民間ベースを合計いたしまして、一九七五年が二十八億九千万ドル、それから七六年が四十億ドルでございます。
  119. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 円で幾らですか。——ちゃんと外務省から資料が出ているんだよ、ちゃんと。
  120. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ああそうですか。ちょっと円でこれ計算しておりませんので、それじゃ……
  121. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ちゃんと外務省から資料が出ているじゃないか、ちゃんと。何を言っているんだ。
  122. 澤野潤

    政府委員(澤野潤君) お答え申し上げます。  いま手元にございますのは一九七六年度——五十一年度と五十二年度の予算でございますが、円ベースで政府間援助計、円で申しますと四千五百七億七千二百万円、それから七七年度予算で申しますと、五千四百十七億一千三百万円でございます。
  123. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 おかしいな。私の手元に出された数字と全く違うようなことを言っておりますけれども、私はただいまの趣旨をちゃんと外務省に申し上げて、資料要求をして私の手元に来ているわけです。全く違います。どういうわけですか。もういま三人とも違いますよ、委員長経済企画庁長官の言った数字も外務省が言った数字も全部違うじゃないか。何だ。
  124. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 私が申し上げた数字は、支出の総額を申し上げたわけでございます。
  125. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 外務省、正確な数字がございますか。
  126. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 経済協力費の総計で申し上げますと、ことしの五十二年度は二千百九億円、五十一年度は千九百六十九億円でありまして、そのうち外務省所管は、ことしは九百四十八億円、昨年は八百六十五億円でございます。
  127. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 結構ですけれども、これは私の質問にちゃんと答弁してもらいたいんですね。私は五十年、五十一年と指摘したわけですから、そのとおりきちっと言ってもらいたい。
  128. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 質問者への答弁は正確にお願いいたします。
  129. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 経済協力費、各省の予算の合計でありますが、昭和五十年度千七百六十七億円、外務省所管六百九十七億円、五十一年度千九百六十九億円、外務省所管八百六十五億円でございます。
  130. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それで結構です。  そのうち韓国への経済協力費はどのくらいになっているのか、五十年、五十一年と分けて御答弁願いたい。これも初めからちゃんと要求してやっております。
  131. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 年度別に申し上げますと、実は、繰り越し関係が生じておりまして、予算に計上したものと、それから交換公文を結びまして約束したものとの間の年度関係がいささか入り組んでおるのでございます。しかし、交換公文ベースでその年度に契約いたしましたものといたしまして、政府直接借款で五十年度は二百三十四億円、五十一年度二百三十五億円でございます。
  132. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いろんなケースがあるにしても、こういうようなものが非常に明確にならない。それでそれぞれのベースが、質問の前に、二日、三日前から正確に要求しているにもかかわらず、こういう数字がちゃんと出てこないというのは、大臣、どういうことなんですか。
  133. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) この経済協力関係は、実は総まとめが大変手数がかかりまして、各省にまたがっておりますので若干の日にちを要したものと思います。  なお、御提出した資料が大変おわかりにくいという御指摘があったわけでございますが、有償協力、また韓国関係は、昔からの無償の経済協力、昔の賠償に類する経済協力の時代がありまして、いろいろな方式で行われておるもので、若干、時日がかかったことは申しわけなく思います。
  134. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは海外経済協力費という項目で国会の承認を受けておりまして、個々のベースで受けてないということでございますから、この一つ一つのいわゆる国会の審議が行われないわけですから、それだけに私は重要な問題である。少なくとも、こういう問題については、詳細に国会に資料を提出して、この経済協力費という項目で議論をすべきである、そういうふうに思います。  そこで、この議論を余りやっておりますと時間がありませんので、韓国に第一次経済開発五カ年計画から第三次経済開発五カ年計画というのがあるわけですけれども、この第一次から第三次にわたる韓国側の外資導入額はどの程度になっているのかお伺いしたい。
  135. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 第一次の韓国の外資導入額は、一九六二年から六六年に対するものでありますが、三億四千九百万ドルであります。第二次、一九六七年から七一年にかかわります分が二十三億九千五百万ドル、第三次計画、一九七二年から七六年に対するものが五十六億四千九百万ドルとなっております。
  136. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そのうちのそれぞれの実績はどうなっていますか、日本側の実績です。
  137. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) この三回にわたります年次計画の期間におきまするわが国からの協力の実績を申し上げます。  第一次計画中は八千二百万ドルでございます。そのうち、いわゆる公共借款と言われるものが千四百万ドル。それから、第二次におきましては全体で六億二百万ドル、そのうちの公共借款と言われるものが一億七千八百万ドル。
  138. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 合計で結構です。
  139. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) それから、第三次は十八億三千二百万ドルとなっております。
  140. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、いわゆる第一次、第二次、第三次とございますが、それぞれの期間の日本に対する要請額はどの程度ですか、当初の要請額です。
  141. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 御案内のとおり、日本の経済協力といいますのは年次計画別にやっておりますので、その点を韓国側も承知しておりますので、年次の初めに当たりまして日本側にどのくらい要請すると、つまり計画期間全体にわたってどのくらいということは公式にはございません。
  142. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 非公式にもないのか。
  143. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 非公式には、大体パーセンテージで言ってきておりますが、たとえば第三次、それから第四次あたりは、大体、日本に期待するものは、必要な外資計画の二割程度を期待したいということは非公式に申しております。
  144. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その非公式の数字、幾らですか、ドルで結構です。
  145. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) たとえば第三次ですと、全体で四十億ドルぐらい、概数で四十億ドルぐらいの所要額が必要だったわけでございますので、その二〇%、八億ドルぐらいと。それから今度の第四次、これから始まります第四次につきましても、これは百億ドルというふうに予定されておりますけれども、大体のところで二〇%、恐らく二十億ドルを欠けるぐらいのものを期待しておると。もちろん、これは公共借款だけでございませんで、民間の商業借款、それから民間投資全部を含めての話でございます。しかし、これはあくまでも非公式でございまして、わが方としてそういうことは、ただ聞きおくといいますか、参考にするという程度でございます。
  146. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 非公式とは言いながら、公式の文書にその問題が掲載されているというのはどういうことなんですか。
  147. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 公式の文書といいますと、その場合、韓国政府からの正式の要請というのが公式文書になると思いますが、そういった意味の公式文書にそういった数字が記載されているということはございません。
  148. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まずそれでは、第三次経済開発五カ年計画調査団報告書というのは公式の文書ではないのか。
  149. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 第三次の五カ年計画に派遣しました使節団でございますが、一九七二年の一月派遣したものでございますが、これはあくまでも政府の方が調査を委嘱したものでございまして、それの報告書は、第一義的には韓国政府それから日本政府というものに出される勧告というものでございまして、それに含まれるいろんな数字とか意見とかいうものが政府の意見を代表しているというふうにはなっておらないわけでございます。
  150. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、委員長、これね、外務省の経済協力局から正式に出されたこの報告書が正式の文書じゃないというんじゃ困る。非公式であっても、正式の政府の決定じゃないにしても、公式の文書に掲載してないという話だったわけですが、これは公式の文書に掲載されているわけですね。私やはりいまの答弁はおかしいし、外務大臣、どう考えますか、冗談じゃない、掲載されていないという話じゃなかったんですか。
  151. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 調査団には、外務省といたしまして調査を委嘱をしてございます。それに対します報告書は提出されておるわけでございます。
  152. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 だから、その報告書は正式の文書でしょう。
  153. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 報告書は報告書で正式の報告書でございます。それには間違いないと思います。
  154. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 載っとるじゃないか。
  155. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ただ、政府ベースにおきまして……
  156. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そんなことは聞いてないんです。公式の文書に載ったことはないという……。
  157. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) それは少し言い過ぎであろうかと思います。
  158. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そんなことで、言い過ぎなんということじゃ許せませんよ。私は資料要求をちゃんとしたんですから。とんでもない。
  159. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 韓国側の五カ年計画につきまして、韓国側といたしましては外資導入の期待額というものを掲げてございます。で、その中で相当な割合を日本に期待をしておるということも事実でございます。したがいまして、そういった心づもりをしておるということはあろうと思うので、それが文書にあらわれるということもあろうかと思います。ただ、政府といたしまして、これは五カ年間のことを決めるわけにはまいらないわけでありますから、その点につきまして政府としては公式には取り合わないという態度で終始をいたしております。
  160. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、いまの答弁は納得できませんよ。要するに、この五カ年計画のこういうふうな要請なり要望なり、あるいは期待額ですね、そういうことをあなた方の文書では、外務省としては一回も受けたことはないというあなた方の答弁ですよ、文書で。しかも、それがあなた方のこの報告書の中に正式に記載されているということは一体どういうことなんですか。私が聞いたあなた方の答弁とこれと全然違うじゃないですか、かねがねからちゃんと要望されているじゃないですか。
  161. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 局長答弁がいささか不正確であったと思うのでありますが、政府間の文書といたしまして、五カ年計画につきまして日本に対してどれだけの額を要請する、日本政府としてはどの程度のことを約束するということは一切ないということを申し上げたのでございまして、調査の段階におきます資料におきましてそれらの数字が出てくることはあろうかと思います。
  162. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いやいや、それは納得できませんよ。  これはもう、委員長、時間を食うだけで、本当に私の書類——外務省から出てきた書類とここの書類と見比べてほしいですよ。
  163. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 外務省、もう少し正確に答弁をしてください。
  164. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、外務省からはこの資料を要求したんです。
  165. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  166. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 速記を起こして。
  167. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) たとえば第三次五カ年計画に例をとりますと、この第三次五カ年計画に関します調査団の報告書の二百三十九ページには、韓国側が「国別外資導入計画とその内訳」ということで調査団に提示した数字、これはございます。これは韓国側の政府から出されたものとしては正式なものでございますが、これが……
  168. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 正式に要請されているんじゃないの。韓国側から要請されたんじゃないか。
  169. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) これが各国別に、たとえば米国、日本……
  170. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その前のページに書いてある。日本側でちゃんと前のページに書いてある。冗談じゃない。
  171. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 正式に要請ということは、外務省といたしましては、文書によりまする要請、つまり口上書によりまする要請を正式の要請ととっておりますので、そういうものはございません。これは経済協力一般について申し上げられることでございますけれども、そういった年次計画というものがある場合に、私たちはそれの計画全体を通ずる所要外貨というものは常に念頭に置いておりますけれども、あくまでも要請を受けたり、要請に応じたりするのは年度別に考えております。したがって計画全体にわたる要請というものは、韓国に限らず、そのほかの国につきましても……
  172. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そんなことはわかっている、そんなことは。
  173. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 正式にはございません。
  174. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) ちょっと速記をとめておいて。   〔速記中止〕
  175. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 速記を起こして。  本件、ただいまの取り扱いは、別途、理事会において協議をいたして処理をいたします。  それでは、峯山君、質疑を続けてください。
  176. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、第三次の分につきましてはそれでおきまして、次に、第四次の問題に入りたいと思います。  まず、第四次五カ年計画がことしから始まっているわけですけれども、その概要について説明願いたい。
  177. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 第四次五カ年計画の概要について申し上げます。  この五カ年計画のねらいその他に関しましては、この計画書に書いてありますことは三つございまして、一つは自立経済の達成ということ、それから衡平の増進ということ、第三番目に技術革新という三つをねらいとしております。  それで第四次五カ年計画で予定されている所要投資額の規模について申し上げますと、総投資額十八兆ウォン、それから外資導入総額、これも期待額でございますが、百億ドル。百億ドルの内訳は、商業借款が大体その半分ぐらいということになっております。
  178. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 どうも説明の概要が非常に簡単過ぎる。もう少し第四次開発計画のいわゆる主なプロジェクトを一遍発表してください。
  179. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 韓国の第四次経済開発五カ年計画というものが、ここに資料として先生にも御提示申し上げたと思いますけれども、計画全体の基調といたしましては、先ほど申し上げました三つの基本計画、それから計画の特徴といたしましては、投資率を計画の最終年度におきまして国民総生産の二六%まで持っていく、それから国内貯蓄をやはり二六%まで持っていくというようなことでございます。  その具体的なプロジェクトにつきましては、大まかな各セクター別といいますか、産業別の成長率ということを書いておるわけでございまして、韓国も御案内のとおり自由経済でございますので、各プロジェクトを全部計画の中に記載しておくということはございません。各セクター別の経過について必要とあれば御説明申し上げます。
  180. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、第四次のいわゆる韓国側の外資導入総額については先ほど百億ドルと答弁ございました。それに対して日本に対するいわゆる正式の要請はないにしても、非公式ではあるけれども、約二十億ドルという話がございました。そこで、これは二十億ドルの範囲におさまるのかどうか、これはどうです。
  181. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 大体二十億ドルと申し上げましたけれども、ある段階で、中安第四次五カ年計画の調査団が参りまして、韓国側といろんな話し合いをいたしました場合に、一つ数字として十八億五千万ドルという数字が一度出されたことがございます。その場合に、先方の考え方としては、大体五億ドルぐらいがいわゆる公共借款、あとの十三億五千万ドルぐらいが商業借款ないしは民間投資、そういう数字がわが方から参りました調査団に言われたということはございます。  これは五カ年間でございますので、たとえば公共借款ですと、五億ドルというと一年間に一億ドルぐらいずつということになるわけでございますが、これにつきましては、今後、先方からの正式の要請を待ちまして検討いたしていきたいと思っております。
  182. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先ほど、あなたから三次の説明がございましたが、三次の実績にかんがみて四次を見ると、どういうことになりますか。
  183. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 先ほども申し上げましたように、三次で日本から導入されました外資が大体二〇%台でございましたので、第四次も大体その横並びというふうな数字になるのではないかと思います。しかし、これはあくまでも先方の期待額ということでございますので、わが方の態度といたしましては、今後検討する、いわゆる実務者会議というものを今後毎年開きまして、ここで実務的に検討いたしまして実施していきたいというふうに考えております。
  184. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 三次の実績と、それから見てどうなるかというのです。三次はどうだったのですか。
  185. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 第三次の実績が十八億三千二百万ドル。この内訳は、公共借款が先ほど申し上げましたように三億六千三百万ドル、商業借款が八億四千万ドル、それから投資が六億二千九百万ドルということでございます。ですから、第三次の実績が十八億ドルということでございまして、第四次の韓国の期待額というのは、恐らくこういった数字をにらみながら考えておるのではないかというふうに考えられます。
  186. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 質問の趣旨をちゃんと聞いてもらいたい。  要するに、第三次の場合は、あなたの先ほどの答弁によると、日本に対する期待額は八億ドル。にもかかわらずその実績は十八億ドルになっておる。そうでしょう。二十億ドルが期待額なら、一体第四次は幾らになるのだ。
  187. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 最初の第三次の五カ年計画の全体の計画が四十億ドル、その二〇%ということでございましたけれども、その後韓国側の経済の発展が予想を上回る成長率を示しましたので、そういった数字で外資導入もふえているということになっているわけでございます。
  188. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 実態はそうじゃないですね。もう一々説明できないよ、本当に。最終的に三次はどうなったのだよ。二〇%でも十八億にならないじゃないか。あなたのパーセントがおかしいのだよ。経済がふくれたからという説明だけでは説明にならないというのだ。あなたの答弁だけでそうですよ、私は何にも言っていない。
  189. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 第三次の五カ年計画で、先ほどの八億ドルというのはちょっと概数で申し上げましたので、訂正させていただきます。この報告書の数字によりますと、日本に期待したところは九億九千五百万ドル、全体の二五%というふうになっております。訂正させていただきます。
  190. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは納得できないけれども……。
  191. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは、午前の質疑はこの程度にとどめます。  なお、答弁がもたもたしておりますので、午後はしっかりやっていただきます。午後は一時から委員会を再開し、峯山君の質疑を続行いたします。  これにて休憩いたします。    正午休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  192. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 予算委員会を再開いたし、ます。  昭和五十二年度補正予算三案を一括して議題といたします。  質疑に入るに先立ち、外務省菊地経済協力局長から発言を求められておりますので、これを許します。経済協力局長
  193. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 午前中の説明につきまして、補足説明をいたします。  まず第一点は、韓国第三次経済開発五カ年計画調査団報告書というものにつきまして、これは日本政府が正式に派遣いたしました調査団でございます。  第二点といたしまして、この二百三十八ページに述べられております先方側の、韓国側のわが国への援助期待額は五カ年間で総計九億九千五百万ドルということは、先方の責任者よりこの調査団に対して正式に申し出のあった数字でございます。  第三点といたしましては、ただし、日本政府ないし外務省に対しまして、この五カ年間全体に対しまして何億ドルという正式の要請の文書というものは存在しておらないことは午前中の答弁のとおりでございます。  次に、数字について申し上げます。数字につきまして、先方側の要請が合計で九億九千五百万ドル。これの内訳について見ますと、政府借款が四億七千八百万ドル、それから民間信用、と申しますのは輸銀の延べ払い信用のことでございますが、これが五億一千七百万ドル、合計九億九千五百万ドルでございます。  実績はどうかと申しますと、十八億三千二百万ドル。その内訳を午前中も申し上げましたが、公共借款が三億六千三百万ドルと期待額より少ないわけでございます。その次の商業借款ないし民間信用といいますか、これは期待額の五億一千七百万ドルに対して八億四千万ドルと大幅に増加いたしております。それからその次に、先方側の要請に含まれておらず実績に含まれておる数字としまして、民間の投資、これは合弁事業その他に対する投資でございますが、六億二千九百万ドル、それで合計で十八億三千二百万ドルでございます。これに見合います先方の期待額は、先ほど申しましたように三十八億ドル、約四十億ドルでございますが、このグローバルの実績は、現実に導入された金額は第三次五カ年計画を通じまして五十六億ドルというふうに全般的に大きくふえております。  その理由は、先ほども申し上げましたように、韓国経済の民間経済活動が非常に活発でございまして、当初の予定が、この第三次五カ年計画に設定されました経済成長率が八・六%と設定されましたが、現実には五年間を通じまして一〇・九%という大変な経済成長を遂げましたので、それに従いましてわが国からの商業借款及び民間投資というものが先方の期待以上にふえたというのが実情でございます。
  194. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) それでは、午前に引き続き峯山君の質疑を行います。峯山君。
  195. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、午前中の質問で大体、ただいま説明ございましたように、対韓援助の問題で、とにかく韓国政府が要望しておりました金額九億九千五百万ドルが実際の実績の上ではいわゆる十八億近くなっていると。これはもう現実の面でこういうふうに出ているわけでございます。これは私はやはり大変な問題だろうと思うんです。  というのは、第四次で百億ドルのいわゆる外資導入額について、大体そういう額は、先ほども発表ありましたように決まっておりますので、そうしますと、その日本に対する期待額というのは、先ほどから第四次の場合は約二十億ドルという話でございましたけれども、これは実際問題としてはもう少しふえるんじゃないかと、そういうことが考えられるんじゃないかというのが一つ。それからもう一つの問題点としては、この二十億ドルという金額ですね、これは、総理、非常に大きな問題だと私は思うんです。  そこで、まず政府の方から答弁をいただきたいんですが、韓国に対するわが国の経済協力で一九六二年から一九七五年まで——私の手元にある資料がそうなっておりますんで、これは外務省の資料ですが、一九七五年までの十四年間のいわゆる韓国に対する支出純額、これはどの程度になっておりますか。
  196. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 総額について申し上げます。  まず、請求権協定に基づきます有償協力が二億ドル、それから無償協力が三億ドル、それからいわゆる請求権と関係ない円借款の合計が、コミット額で、約束額で千九百六億円でございます。
  197. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 総合計で幾らですか。——それでは私申し上げますが、この政府の五カ年計画の報告書の百四十ページに二十億ドルと、こう出ておりますが、これは正確ですか。
  198. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 有償、無償合計で、円で申しますと、三千二百七十三億八千四百万円でございます。
  199. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 どうも助け舟を出してもだめだね。私はあなたの方の資料で、答弁が不正確だから申し上げますが、あなたの方の資料の百四十三ページ、これをちょっと一遍よく見て答弁してもらいたい。
  200. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) お答え申し上げます。  有償、無償、それから技術協力全体を入れまして、ここではドルで出ておりますけれども、六二年から七五年まで政府開発援助が十億千九百万ドル、それから直接投資が五億四千百万ドル、それから輸出信用が四億六千二百万ドル。それで、これを全部合計いたしますと二十億二千三百万ドルでございます。
  201. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、総理、いま答弁ございましたように、対韓援助、この一九六二年から七五年までの十四年間で約二十億ドルなんですね。ところが、今回の第四次五カ年計画によりますと、先ほど答弁ございましたように五年間で二十億ドルの経済援助をしようとしているわけですね。これはやはり私は余りにも膨大な対韓援助ということにならないか。ここら辺の点については政府としてはどういうふうにお考えなのか。  先ほどから、私、答弁を聞いておりましても、対韓援助というのがそれぞれの省庁に分かれておりまして、それを完璧に掌握しているところはないように私思うんです。資料を要求してもちゃんと出てこない。やはり私そういう点にも問題があると思うんですが、どうですか。
  202. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 韓国が期待をいたしておるというその二十億ドルは、これは主たる部分は民間の投資だとか民間の借款でありますとか、そういうものでありまして、政府開発援助等政府にかかわるものは、これはその一部分にすぎない、こういうことでございます。
  203. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうおっしゃるからには、政府援助が幾らで、民間援助がどの程度と考えていらっしゃいますか。
  204. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 午前中にもお答えしましたとおり、第四次五カ年計画を通じて先方の期待額は政府援助が五億ドル程度、それから民間の協力が十三億五千万ドル程度と、これは先方の期待額でございます。
  205. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても、この対韓援助の政府ベースというこの問題については、私は、総理、相当後退していると思うんです。といいますのは、第三次が終わりましたら政府ベースは大体もう終わりにしよう、ほぼ民間ベースにしようという話になっていたわけですね。それが福田さんになってからこの第四次の中で復活してきた。この点どうなんですか、ちょっとやっぱりおかしいんじゃないですか。
  206. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ急に政府開発援助を打ち切るわけにもいかない。そこで、だんだんとそれは少なくする、こういう方向ではありまするけれども、いま直ちに全部なくするというわけにはいかぬという状態で今日動いておる、こういうことでございます。
  207. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、総理、この十四年間で二十億ドルという金額と五年間で二十億ドルというのは、ちょっとやっぱり金額的にも短期間に多過ぎるという感じはしませんか。
  208. 菊地清明

    政府委員菊地清明君) 日本からの援助が多いか少ないかということは、やはり韓国側の外資所要量全体について判断しないといけませんと思いますが、韓国の外資の所要量につきましては、毎年、世界銀行が主催いたしましてパリで対韓援助国会議というものを開きます。そこにおきまして、その年の韓国が経済開発のためにどのぐらい外資が必要かということを決定——決定といいますか、世銀の勧告を出すわけでございます。それに基づいて世銀ないしアジア開発銀行というのが公共借款部分の半分ぐらい、それから二国間がその半分ぐらいということを、大体、その程度を韓国側が期待しているわけでございます。  具体的に申し上げますと、第四次五カ年計画の外資期待額の百億ドルというものの半分が民間、それからその半分が政府、それからさらにその半分が国際機関からということでございまして、いわゆる二国間援助に期待するところは二十五億ドル——二国間の政府に期待するところが二十五億ドルということでございまして、それで日本側の分担——分担といいますか、日本側に期待されるところが大体二十億ドルを切るということでございますので、全体のプロポーションから考えて、非常に日本が多いというふうには考えておりません。
  209. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、私はそういうふうなあれではとても納得はできませんが、いずれにしましても、この対韓援助というのは相当膨大な金額になっているということは確かです。そういうような意味からも、私は経済協力費という外務省の項目予算委員会を通ったとしましても、詳細については全くわからないわけですね。そういうような意味でも私はこの詳細をやはり、対韓援助だけではございませんけれども、国会に報告をすべきじゃないか。この点についてはどうですか。
  210. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 経済協力費につきましては、予算の段階でまだ内訳が決まっておらない、そういうこともありまして、実際の約束は閣議の決定を経ておるわけでございます。これらにつきましては国会に御報告をいたすべきことは当然だと思って、適切な資料を調製いたしまして御報告をさせていただきます。
  211. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは具体的な問題について、対韓援助の問題の中で、特に第四次の開発計画の中で問題になっていることを取り上げたいと思います。  そこで、特に昌原工業団地、これが第四次開発計画の中で出てくるわけでございますが、昌原工業団地の実態と、それからその団地への日本の企業の進出状況等を含めて御答弁を願いたいと思うんですが、まず、昌原工業団地の概要について政府は掌握をしていらっしゃるかどうか、この点どうです。
  212. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 御指摘の昌原工業団地について私どもが把握しているところの概要を申し上げますと、これは慶尚南道という、朝鮮半島の南の方でございますが、慶尚南道に位置いたします昌原地域に、一九八一年までの投資規模約九・七億ドルということを目標にいたしまして、千二百五十六万平方メートルの用地を造成いたしまして、各種の機械、部品その他を製造して、これに百四の専門工場を建設しようという広大な計画だと、こういうふうに聞いております。この当初の投資規模九・七億ドルというのは最近は十七億ドル、また、工場の数は百四と言っておりましたのが百十というふうに目標が大きくなっておるというふうでございます。  そういう計画のもとで、現在、この地域に入っております企業の数は六十二社。その中で稼働しておりますものが二十五社。この二十五社のうちで日韓合弁企業は三社。建設中の企業が二十一社。このうちで日韓合弁企業は四社。そのほかに着工計画中の企業といたしまして十六社。合計六十二社というのが現況だと、こういうふうに聞いて実態を把握しております。  日本から進出しております企業の資本比率、日韓間の資本比率につきましては、鎮海電池、これが五一対四九——五一というのは韓国でございます。昌原工業五九対四一、南栄金属五一対四九、大韓化学七一対二九、豊星精機五〇対五〇、三星重工業七五対二五、昌原気化器、これが五〇対五〇。大体、内外資の割合を先方の計画といたしましては五一対四八ないし四九というふうに思っておるようですが、原則としてフィフティー・フィフティーということで貫こう、こういうふうに承知しております。  以上が私どもの掌握しているところの概要でございます。
  213. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、いまの韓国の合弁会社の問題についてまずお伺いしたいと思うんですが、韓国の外資法の六条では、基本的にどういうふうになっていますか。
  214. 中江要介

    政府委員(中江要介君) はなはだ恐縮でございますが、どういうふうにというのは、どの点のことを御質問になっておられるんでしょうか。
  215. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 比率。
  216. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 比率ですか。外資法に基づいているかどうか、私はっきりいたしませんが、ただいま申し上げましたように、合弁投資の場合は、内外資の投資比率は原則として五〇・五〇というふうにしていくというのが一九七三年十月現在における韓国商工部の説明でございます。
  217. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 韓国では、外国企業がいわゆる五〇%以上の投資をするということが認められているかどうか、これはどうですか。
  218. 中江要介

    政府委員(中江要介君) ただいま申し上げました五〇・五〇の原則にもかかわらず、外国投資の方の比率が韓国の投資よりも上回っているという例は、日韓合弁企業に関する限り承知しておりません。
  219. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、認められているかどうか。
  220. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 詳細は調べて御返事いたします。
  221. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あなた方は、昌原機械工業基地の問題については、先ほど話がございましたけれども、この日本向けに出されております昌原機械工業基地のパンフレットによりますと、合弁投資比率は原則的には五〇対五〇であるが、事業の内容によってそれ以上の投資も認められる、こういうふうに現実にうたわれております。これは事業の内容によってということですが、これはどういうことなんですか。
  222. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 私どもとしては承知しておりません。
  223. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 通産省はどうですか。
  224. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 対外投資でございますので、これは大蔵の方の所管で、通産ではございません。
  225. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 じゃ、大蔵大臣
  226. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 国金局長をしてお答えさせます。
  227. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) 私ども、その点につきまして承知いたしておりません。
  228. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ここにパンフレットがちゃんとあるわけですけれども、これ少なくとも日本に一枚まいているわけじゃなくて、いわゆる日本の進出すべき企業に皆まいている資料なんです。これが現実に事業内容によってはそれ以上の投資を認められるとちゃんとうたわれているわけです。言うからには、やはり事業内容によってはという中身は一体どういうことなんだということは、ちゃんとやっぱり調査しておく必要がある。これは日本の企業を守るためにも当然必要だと私は思うのですけれども、この点どうですか。
  229. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 日韓合弁企業でそういう例外的なケースが出てくるようになる可能性があるのであれば、即刻、その場で調べる必要がございますが、いまのところは、先ほど来申し上げましたように、最も多いものでフィフティー・フィフティーということですので調べておりませんが、御指摘もございましたので早速調査いたします。
  230. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 外務省、もう一回お伺いしますが、実は外務省から私の手元に出してまいりました資料と先ほど局長答弁した資料とは食い違っておりますので、再度確認をいたします。  鎮海電池、昌原工業、南栄金属、この三社についての投資比率をもう一遍お願いします。
  231. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 鎮海電池は五一対四九、昌原工業が五九対四一、南栄金属が五一対四九、こう申し上げたつもりでございます。
  232. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あなたの方の私の手元へ出てまいりましたこの資料によりますと、鎮海電池は五一対四九で、これは合っております。ところが、昌原工業と南栄金属については全く内容が違う。昌原工業というところは、どことどことの合弁会社ですか。それで南栄金属というのは、どことどこの合弁会社ですか。
  233. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 昌原工業は太田鉄工所と伊藤忠商事、南栄金属は川口金属と伊藤忠商事、こういうふうに了解しております。
  234. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あなたの方から私の手元にまいりました資料によりますと、太田鉄工所が三七%、伊藤忠商事が五五%、昌原工業八%、それで南栄金属の方は、川口金属が五一%、伊藤忠商事三九%、それで南栄金属一〇%と、こういうふうに食い違った資料が出ているのは一体どういうわけですか。
  235. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 本件資料につきましては、最初に資料要求がございましたときに、とりあえず東洋経済新報社の発行しておりました海外進出企業総覧というものに載っております数字を資料として出しまして、そのときの数字がいま先生の御指摘数字であったわけです。そのときに私どもはっきり申し上げておいたつもりでございますが、この比率については、韓国側に照会して、正確なところを追って御提出いたしますと申し上げて、追って御提出いたしましたのが十月八日でございますが、そのときの資料では、先ほど私が御説明したような数字になっていると、こういういきさつでございます。
  236. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それは結構なんです。  そこで、まず公正取引委員会にお伺いをいたします。この昌原工業と南栄金属の二つについてお伺いいたします。この二つについては、少なくとも国際契約でございますから、二つとも、当然、私は公正取引委員会に届け出があるものと思いますが、その届け出月日、契約月日、双方あわせて御答弁願いたい。
  237. 橋口收

    政府委員(橋口收君) お尋ねがございました伊藤忠商事、太田鉄工所と韓国側当事者であります東海鉱業との合弁契約によって設立をされました昌原工業につきましては、昭和四十九年六月十八日に契約が締結をされまして、同年七月一日に公正取引委員会に届け出がなされております。  もう一つ伊藤忠商事と川口金属工業の合弁会社であります南栄金属につきましては、十月十九日現在、つまり昨日現在で届け出が出されておりません。この点は大変申しわけないことであると存じますが、早速に督促をいたしまして届け出を審査いたしたいと思っております。
  238. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは届け出をしてないということは非常に大変な問題なんですが、まず、この南栄金属の方が届け出がないということですが、この会社はいつから操業しているのですか。
  239. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 外務省では詳細把握しておりませんので、恐らく通産省の方ではあるいは情報を持っておられるかもしれません。
  240. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 通産省、どうですか。
  241. 森山信吾

    政府委員(森山信吾君) 南栄金属工業株式会社につきましては、一九七三年の十一月に設立をされまして、操業を開始いたしましたのは一九七六年十月ということでございます。
  242. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もうすでに一年前から操業を開始しているにもかかわらず、いまだに届け出がない。これは、総理、どこの責任なんですか。
  243. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 独占禁止法第六条第二項の規定によりますと、事業者が国際的な協定あるいは国際的な契約をいたしました場合には、当該契約成立の日から三十日以内に公正取引委員会に届け出をすることに規定をされておるわけでございます。  ただ、この規定は、大変残念なことに、民間の事業者に完全に徹底しているとは申しにくいのでございまして、同時に、御承知かと思いますが、年間約六千件の届け出件数がございます。したがいまして中にはこういうような届け出漏れがあるということで、大変これは残念なことだというふうに思っております。
  244. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは六条二項はどういうふうになっているのかということを再度。それから、その罰則規定はどうなっているのか。
  245. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 第六条第二項の本文は先ほどちょっと御説明を申し上げたとおりでございまして、国際的な協定あるいは契約が締結をされますと、その内容に不当な取引制限とかあるいは不公正な取引方法を包合している疑いがございますから、そういうものにつきましては一件ごとに審査をするというたてまえになっております。ただ、先ほども申し上げましたように、一回限りの取引を除きまして、全部が届け出をするということになっておりますので、年間で六千件近い件数がございます。  それから罰則の点でございますが、この規定に違反して届け出をしなかったり、あるいは虚偽の記載をした届け出書を提出した者には、法律の規定によりまして二十万円以下の罰金に処し得るということになっております。
  246. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 こういう合弁会社をつくったときに、政府としてチェックする機関は現実にあるんですか、どこか。
  247. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 政府側、どなたか御答弁願います。
  248. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 先ほど申しましたように、つまり海外に対しまする投資でございますから、国際金融局なりあるいはまた外務省のアジア局の方では資料がございますと思います。
  249. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、総理、現実の問題として、要するにこの日本からの企業が向こうで武器をつくったりいろいろな問題が出てきた場合に、総理は注意するとかなんとかという衆議院でも答弁がございましたけれども、こういうふうに管轄がはっきりしないでしょう。要するに、ちゃんとするところがないんですよ。これはやっぱり政府として何とかすべきじゃないですか。総理
  250. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) このような企業の直接海外投資につきましては、外為管理法上の許可が必要でございまして、現実の扱いといたしましては、日銀に対しまして自動許可の申請をされることになっておりまして、そこで許可をすることになっております。
  251. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、きょう、日銀は来ておりませんけれども、現実の問題としてやっぱり政府の部署できちっとしてもらわないと困りますよ、これはね。
  252. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) 大蔵大臣の許可でございますが、実際上の扱いといたしまして、日銀にその許可事務を委任しておるわけでございます。
  253. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それなら、とにかく総理
  254. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御指摘もありますので、なおよく協議してみます。
  255. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはいずれにしましても現実に法律違反の問題があるわけですから、これはちゃんとはっきりしてくださいね、総理
  256. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 問題があるものにつきましては、はっきりさせます。  なお、いま私も質疑を聞いておりまして、どうもこう中心がどこにあるのか、政府部内の仕組みがはっきりしていないようなことを感じますので、その辺をどうするか、よく協議します。
  257. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 多少補足して申し上げたいと思いますが、届け出義務に違反いたしました場合には、法律の規定によりまして罰金に処し得ることになっておりますが、ただ、届け出未済の事由等が当事者の不用意とかあるいはミステークというようなこともあるわけでございますから、直ちに罰則を適用するというのが適当かどうかはよく考えてみたいと思います。
  258. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これから具体的な問題について質問したいわけですが、これはどの大臣に質問したらいいですか、これから私やりたいんですがね。実際問題としてこれから私は具体的にこの合弁企業の問題について質問をしたいわけです。これはどの大臣かはっきりしていただかないと、その大臣がわからないようでは質問しにくいわけですね。
  259. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 峯山君、それは質問の内容によるんです。
  260. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それじゃ先へ行きましょう。  先ほど説明がございましたように、昌原工業という会社がございましたが、昌原工業と日本側の当事者である伊藤忠商事、太田鉄工所とございますが、まず、太田鉄工所というのはどこにあるのかお伺いしたい。当然、許認可でちゃんと扱っているわけですからね、わからないわけはないですよ。
  261. 森山信吾

    政府委員(森山信吾君) 太田鉄工所は、その業種柄、通産省の所管でございますので私からお答え申し上げます。  東京都大田区にございます。
  262. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その大田区にある本社は、ここに写真がありますが、これですか。ちょっと見てください。これ間違いないですか。
  263. 森山信吾

    政府委員(森山信吾君) ただいま写真を拝見いたしましたが、私は現物を知っておりませんので、正確にはお答えできません。
  264. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 本社は大田区にあると、それで大田区のちゃんとその写真もあるわけですが、それじゃこの太田鉄工所の主取引銀行はどこですか。
  265. 森山信吾

    政府委員(森山信吾君) 太田鉄工所の国内の取引銀行につきましては掌握いたしておりません。本件に関しましては、長期信用銀行との取引があるというふうに了解いたしております。
  266. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても、これは昌原工業団地の中核に、伊藤忠と組んで、そして昌原工業という、いわゆる兵器がつくられているんじゃないかという疑いが持たれて、現実に衆議院でも多少これに関連する昌原工業団地の問題が出ているわけです。そこと組んだ太田鉄工所という会社は一体どういう会社であるのか、これはやっぱりこれがはっきりしない限り、ここで兵器をつくっているか、つくっていないかという問題ははっきりしないわけです。そういうような意味では、これはいずれにしましてもこの問題を明らかにせざるを得ない、そう思います。  そこで、もう一回お伺いしますが、それでは昌原工業という、こちらの韓国にできました会社の方の詳細についてはつかんでいるのかどうか、どうですか。
  267. 森山信吾

    政府委員(森山信吾君) 先ほどお答えいたしましたように、昌原工業株式会社につきましては、設立が一九七四年の十一月でございます。操業開始が七五年の六月でございまして、設立当時の資本金が四億ウォンということでございます。それから、その後増資をいたしまして本年の一月に資本金が六億六千ウォンになったというふうに了解いたしております。  なお、生産品目は鋳鍛造品が主でございまして、月産二百四十トンというふうに了解いたしております。
  268. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 韓国側の合弁会社の方は、本社はどこにあるんですか。
  269. 森山信吾

    政府委員(森山信吾君) 韓国側の合弁の相手は東海鉱業というふうに了解いたしておりますが、その所在地につきましては私は掌握いたしておりません。
  270. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まず、この日本側の太田鉄工所という鉄工所が何をしているかということについて詳細にわからない。しかも、実際私の調べた資料によりますと、この鉄工所のいろんなメーン銀行並びにここで製作しているいろんな製品等から考えてみて、日本では確かに武器は製作してないであろうと私は思います。しかしながら、韓国側に行きましたこの昌原工業については、いま営業品目については鍛造品と言いましたが、私の得た情報によると武器生産の準備は着々と進められていると、こういうぐあいに聞いております。これらは、実際問題そのための準備が進んでいるんじゃないかと、私はそう思うんです。そういう点から考えてみますと、これは特に重大な問題を含んでいると、そういうふうに思うんですが、ここら辺のところはどうです。
  271. 森山信吾

    政府委員(森山信吾君) 私どもが掌握している範囲では先ほどお答えしたとおりでございまして、メーンのプロダクト、生産品目は鋳鍛造品ということでございます。そのほかに産業用機械、エンジンあるいは自動車用の電装部品等をつくっておるわけでございまして、これが軍需につながるというふうには了解いたしておりません。
  272. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 現実の問題として、韓国の朴大統領が昌原団地を視察したときに、戦闘機以外すべての武器を国内生産し、わが国はすでに北を圧倒していると、そういうふうな報道やら、あるいは五十二年の四月の十四日、同じくその工業団地を視察した朴大統領は、M16小銃や各種の砲、特殊車両などが製作されておると、そういうような報道から、いっぱいあるわけですね。そういうふうないろんな報道とあわせて考えてみますと、これは韓国でこういうふうな準備が着々と進められていないとは言えない。そういうふうな意味で私はこれは非常に重要な意味を持っている。鍛造品といいましても、銃にしましても、小銃にしましても、何にしましても鍛造からつくるわけですから、それが兵器でないとは言えない。先ほどないと言った局長は、現場を見たんですか、何の鍛造品だったんですか。
  273. 森山信吾

    政府委員(森山信吾君) 先ほど鋳鍛造品と申し上げましたが、用途といたしましては自動車用部品、農業機械用部品、そういったものに使うための鋳鍛造品……
  274. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 見たのか。
  275. 森山信吾

    政府委員(森山信吾君) 私は見ておりません。見ておりませんが、書類で検討いたしました結果はそういうことになっております。
  276. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、総理、これはもう非常に、私は日本の太田鉄工所という鉄工所の問題についても詳細わからない。非常にちっぽけな、資本金も私はどのくらいか全部調べておりますけれども、私は伊藤忠がそういうところと組んでこういうふうな企業進出をしている。向こうで兵器がつくられているかどうかはわからない。しかしながら兵器産業に転向することはすぐできる。しかも、そういうふうな韓国ではいろんな報道がある。こういう点からいきますと、私は現在の武器輸出三原則というのがございますけれども、この三原則だけではやはりもう足りないんじゃないかと、実際問題として対韓経済協力というのは日本側が主役をなしているわけですね、世界的に見ましても。そういう点から見ましても、私は韓国の軍需産業の育成強化に日本が手をかしている、そういうことになりかねない。  そこで、私は、現実の問題として、これを政府がチェックできるかどうかというのが一つです。それからもう一点は、もしチェックができないとすれば、こういうふうな場合の、いわゆる企業の合弁会社にしましても資本進出にしましても、あくまでもやっぱり平和産業に限る、そういうふうな一つの歯どめを三原則に加えてやるべきじゃないかというのが私の考えなんですけれどもね、総理、どうでしょう。
  277. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 投資でありますから、これは当然外為法による許可を必要とする、こういう案件です。ですから、その際チェックすることはできるわけですが、チェックの指針といたしましては、いま峯山さんからお話がありましたが、武器三原則というものがある。その三原則の趣旨に準じて、武器製造に用いられるというような投資、これはチェックをする、こういうことかと思います。
  278. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはね、総理、武器三原則だけでは足りないんじゃないかと思うんですが、その点はどうなんです。
  279. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ですから申し上げておるわけですが、投資についても武器三原則に準じて抑制する、こういうことかと思います。
  280. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 要するに、現地でそういうふうな武器をつくるということは、いわゆるそこのところも歯どめができるということですね、どうなんです。
  281. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 投資ですね、投資をするに当たりまして許可申請する、その申請を許可するという際には、これは武器三原則に従ってこれを抑制する、こういうことで事前のチェックはできます。それから投資が行われちゃった、これは平和的投資である、こういう名目であったが、名目を変えまして、また別のものをつくるというようなことがあるかもしれない。そのときには、その投資をしたそこからどうせ重役なんか出ているでしょう、日本側の。それを通じましてそういうことはさせないという努力をしてもらうとか、あるいはとにかくそういうことになれば定款の変更、そういうことがあるかもしれない、そういう際には投資を管轄する官庁がこれを許可しない、そういうようなこととか、いろいろ方法はあると思います。
  282. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまの総理の後段のいわゆるそういう場合は投資をさせないとか、親会社がどうこうするというのを、そういう事件が起きてからでは遅いですから、投資する前に、一つの歯どめとして、いわゆる平和産業以外にはもう投資しない、そういうような武器製造には転換しないということを明確にする何物かを前もってつくった方がいいことはないか。
  283. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 投資の目的につきまして、武器製造という際には投資を許可しない。その際、許可した場合に条件をつけまして、これは平和的目的にしか使わないこと、武器には使わない、こういう一札を取っておいて、そしてそれに違反するという際にはどうするというようなことはできるかもしれません。
  284. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 その一札を原則としてつけ加えたらどうかと、こういうわけです。
  285. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そういうことを含めまして私は申し上げておるわけです。つまり投資についても武器三原則に準ずる、準じてこれを抑制する、こういうことでございます。
  286. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても、この日韓問題はそういうふうな意味でいろんな問題を含んでおりますので、慎重にやってもらいたいと思うし、また、先ほど外務大臣からも報告がございましたように、ぜひ慎重に取り組んでもらいたいと思うし、報告をちゃんとしていただきたいと思います。  そこで、日韓問題はこのくらいにいたしまして、次に移りたいと思います。  外務大臣にお伺いしますが、けさの報道によりますと、特に日中問題につきまして、日ソ友好に努力はするが、日中関係は対ソ問題と切り離して独自に処理をする、そういうふうな方針を決めたというような報道がなされておりますが、この点はどうですか。
  287. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 新聞報道によりますと、北京で大使館あるいは総領事館の人が集まった会合があって、その結果についての記事のようでございます。私ども、日中平和友好条約の問題、これは日中は日中の問題として、また日ソの親善関係は日ソ間の問題といたしまして、それぞれ努力をしてまいりたい、このような考え方でおるわけでございまして、従来からの方針が変わったというようなことではないと御了解をいただきたいと思います。
  288. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、総理、実際問題、そう政府の方針ではないにしても、それはそれで日ソ関係はそっちでやる、それとは別に日中条約というものは考える、この方針は私は日中条約を早期締結するという意味からは非常に大事な問題だと思うんですけれども、総理、どうですか。
  289. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日中は日中、日ソは日ソ、これは私の内閣になりましてから、もう当初からそういう考え方です。よく、どうも日ソ関係に遠慮して日中関係が進まないんじゃないかなんというような質問をする人がありますが、これは日中関係と日ソ関係は別々なんだと、こういうことを申し上げております。
  290. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 関連。
  291. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 関連質疑を許します。矢追秀彦君。
  292. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 私も、この間、総理に日中問題で質問いたしましたが、まあ総理は、非常に決意はかたい、早くやりたい、それから条文のすり合わせばまだやっていないと、これが私ははっきりしたと思います。共同声明の線ということになりますと、当然、反覇権問題が出てまいりますが、私はこの間からずっと衆議院の予算委員会質疑、また参議院における総理答弁等を見ておりまして、やはり原則としてこの反覇権は本文に織り込む、こう私は理解をしたいわけですが、それでよろしゅうございますか。
  293. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その辺が余り御質問願われると、大変当惑する問題なんです。まだこれからすり合わせをしようと、そのすり合わせの内容につきまして、どうもこの場で私が内閣総理大臣という立場でお答えをすると、これはいろいろの反響がありましてね、日中平和友好条約締結、それに対して決して私はいい影響じゃないと思うんです。まあひとつ御勘弁願いたい、かように考えます。
  294. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 そこが一番問題で、結局、そう言われると総理の決意というのは疑わしくなってくるわけです。条文のすり合わせばまだやっていない、条文の前にある問題というのはもうまさしく覇権問題であるわけでして、その話になると、いま総理は勘弁してくれと、静かにやっているんだと。静かにやる、総理はかつてからアヒルの水かき論をされておりましたから静かなことはお好きなようでございますけれども、では、この反覇権問題についての中国側との折衝というのは、本文に入れる入れないという折衝なのか、あるいはこの文言の解釈をめぐる問題での合意が得られないのか、あるいはまた、これをもっと違うものにしたいのか、そういう点も言えないということですか、いかがですか。
  295. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その辺のことを私の口から申し上げるということになりますと、私はこれは余り日中平和友好条約の締結についていい影響にならぬじゃないかと思うんです。これはもう少しひとつ私どもの動きを見てもらいたい、こういうふうに思いますが、まあまことに恐縮でございますが、答弁は御勘弁願います。
  296. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、ここで金大中事件でちょっと聞いておきたいと思います。  金大中事件で、特にこれは明らかにしなくちゃいけない問題が幾つかあるわけですけれども、金炯旭、金在権両氏の証人喚問の問題ですね、これは五野党ではもうすでに一致しているわけですけれども、やっぱりこの事件を明確にするためにはどうしても証人喚問が必要だと私は思うんですけれどもね、総理、どうですか。
  297. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私はしばしば申し上げておるわけでありますが、金炯旭氏というのは八年前にもう現職を退いた人なんで、それで直接、あの事件の当時、その関係する職にあった人じゃないんです。でありますので、その人のおっしゃることにそう何といいますか、事件解決上参考になるというところがないんじゃないか、そんなような気がするんですよ。しかし、いま峯山さんがおっしゃるとおり、国会で証人喚問すべしというような御意見もある。ですから、これは各党間でよくお話し合いを願いたい、こういうふうに考えております。
  298. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、総理ですね、現実の問題として衆議院の予算委員会では、この両氏の国会喚問の問題で国会職員の派遣を決めておったわけですね。ところが、現実にひっくり返されてだめになっていますね。これは、総理、やっぱり自民党がこの点をはっきりしていただかないと困るわけでございましてね、これはやっぱり総理の決断一つにかかっておる問題じゃないかと思うんですけれども、これはどうなんですか。
  299. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まだ私の意見を求めるというところまできておらないんです。私は各党とよく相談してもらいたいと、こう申し上げておるわけであります。
  300. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 総理は賛成なんですか。
  301. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は賛成、反対と、こう申し上げるわけにいかぬじゃないですか。各党で相談をしようと、その前に私がそういうことを言うわけにいきません。これは各党で相談をして、そして私のところへ、こういう相談になっておるという意見を求められれば、私はそのとき申し上げると、こういうことでございます。
  302. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ロッキード事件以来、総理はいつもそういうふうにして逃げてきたわけですけれども、先ほど金炯旭さんに対してのいわゆる考えはお述べになりましたけれども、在権さんについては答弁ございませんか。
  303. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 金在権氏から話を聞くということは、私はこれは非常に参考になると思うんです。つまり、金在権氏は事件当時の駐日公使でありますからね。ですから、これはその話を聞くことは有益であると、こういうふうに考えまして、いま外務省を通じて金在権氏との接触をとらしておるというところでございます。
  304. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 金在権氏に対しては外務省の方で当たっておるそうですが、米国では困るけれども、米国以外のところでは事情聴取に応ずるというふうな答弁が先回ありまして、その後どうなったか答弁ございませんが、どうなっていますか。
  305. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 前回、国務省を通じまして、金在権氏の意向が伝わってまいったのでございます。そこで、一体いつ米国外に出る予定があるのかどうか、その他の点につきまして、国務省を通じて照会をいたしております。またそれに対しまして返答がないものですから、最近になりまして、また再度催促をしているところでございます。
  306. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 前のときにも、十月七、八日ごろ問い合わせ中というお話だったのですが、それ以後前進はないのですか。
  307. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) その後、進展がないのでございます。
  308. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は、それはそれとしまして、総理はこの金大中事件につきまして、特に政治的には解決しているけれども、捜査はまだ続行中であるというふうな答弁を何回かしておりますけれども、この捜査は、現在どういうふうな捜査をしていらっしゃるのか、お伺いをしたい。
  309. 小川平二

    国務大臣(小川平二君) 本件の捜査につきましては、問題がすでに外交的に決着済みの問題でありまするし、被害者あるいは重要な目撃者が国内にいないという状況でございますから、非常に捜査が困難でございまするけれども、警察といたしましては、きわめて厳正な態度で証拠に基づいて事件を解明しようと努力をしておるわけでございます。やっておりますることは、既存の情報の裏づけあるいは新しい情報の掘り起こし、あるいは拉致されましたルートの解明ということについて、鋭意努力を継続している状況でございます。
  310. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 日本側の捜査で現在まで明らかになったことは、どういうこととどういうことですか。
  311. 三井脩

    政府委員(三井脩君) いままで明らかになっております中心的な点は、本件事件の犯行グループの一人として金東雲を割り出した、それからまた犯行に使われた車両が劉永福の車両である疑いがきわめて濃い、こういう点が中心でございます。
  312. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 金東雲を割り出した中身は何ですか。
  313. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 金大中氏が泊っておりましたホテルにおいて、金大中氏を逮捕、監禁をし、車に乗せたというところまでわかっております。
  314. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これ以上の証拠があり得るとすれば、どういうことがあるのですか。
  315. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 金東雲につきましては、これ以上の証拠は必要ございません。ただ本人を逮捕の上、本人の弁解といいますか、供述を聞けば足りるではないかと考えております。
  316. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 金東雲はいまどこにいるのですか。
  317. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 金東雲の所在についてはわかりませんけれども、情報によれば韓国におるというように伝えられております。
  318. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 何をしておるのですか。
  319. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 何をしておるかわかりかねます。
  320. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは総理、もう時間ありませんから私は端的に申し上げますが、少なくとも金東雲は当時一等書記官でいたわけですね。少なくとも、外務省のあの韓国の大使官の一等書記官として勤務していたわけです。その人はもう逮捕できるという一証拠までかっちりつかんでいるわけです。ということは、私は外交官には個人的な立場というのはないのじゃないか。少なくとも現職のいわゆる書記官の場合には、その人が犯した犯行というのは政府が責任を持つべきである。私はいろんな証言とかいろんな問題もありますけれども、それ以上に日本の警察がかっちりつかんだいわゆるこの金東雲が犯人の一人であるということは明らかなんだ。そういう点からいけば、いわゆる韓国の公権力が関与したということは明らかなんだ。だからほかの証言とかそんなことは問題なしに、明らかに主権侵害があったということになります。そういうふうな意味からは、私はこの二回にわたる政治解決がやはりおかしいんじゃないか、そういう結論に私はなると思います。そういうところから、やはりこの問題をはっきりさしていかなければいけないんじゃないか、この点総理どうお考えですか。
  321. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 金東雲一等書記官の指紋が検出されたというときから、私どもは捜査当局と協力いたしまして、日本の捜査当局の捜査の結果としてはこういうことであって、容疑がきわめて濃厚であるということで韓国側に、その金東雲の身柄がすでに韓国に行っておりましたので、韓国側の捜査を強く要請し、その結果を要求したわけでございます。それに対しまして、一九七四年の八月十四日に、韓国側から、金東雲を調べたけれども、その犯人であるという確証は得られなかったということを言ってきたわけです。そこで、それではわが方の捜査当局の結果と余りにも違うというので、それでは承服できないというので、もう一度十月に韓国側にさらに調べるように要求したわけでございます。これに対しまして韓国側では、日本側から提供いたしました指紋その他の資料を材料にいたしまして、もう一度詳しく調べてみたけれども、これを起訴するにたえ得るような証拠がついに見出せなかった。したがって、不起訴処分にしたけれども、本人は、先ほど先生おっしゃいましたように外交官の身でありながら、日本でそういう強い嫌疑を受けたということは、これは公務員として許すまじきことであるということで懲戒免職にし、この身分をすべて剥奪したという通報があったわけでございまして、この一九七五年の七月二十二日の再度にわたる私どもの要求に対する韓国側の回答口上書をもって、これは日本としては完全に承服はできないけれども、やむを得ざるものであるという判断を下したというのが経緯でございます。
  322. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いやいや、経緯だけじゃだめだよ。経緯というのは聞いてないのだから、冗談じゃない。
  323. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 金東雲の指紋だけで本件を確定するのは非常に困難だということで、警察当局でこれからなおもっと裏づけをできるような新たな証拠資料を警察庁の方でいま捜査を鋭意行っているということでございます。
  324. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いやいや、そんな納得できませんよ、私は。とんでもない、冗談じゃない、逮捕できるって警察庁はちゃんと言っているじゃないか。
  325. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 私どもも金東雲一等書記官が日本におりますれば、逮捕できるケースであるということは聞いております。問題は、恐らく先生の先ほどの御質問の中にございましたいままでの経緯から見て、これは公権力の介入とみなし得るかどうかと、つまり公権力の介入でありますれば、主権の侵害ではないかと、この点でございまして、その点につきましては、政府の一致した見解といたしまして、現在までのところ証拠といいますか、調べから見まして、これが公権力の介入であると断定することはできないという見解でございますので、したがいまして、主権の侵害があったということは断定しておらないわけでございます。
  326. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 峯山君いいですか。
  327. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 とにかく、総理にやってもらわなきゃだめだ。ほかの人の経過なんか聞いてない、全然。冗談じゃないよ。  要するに、警察庁は逮捕できると言っているんだから、それ以上の証拠はないと言っているんだから。それ以上の証拠かないものを——とんでもないじゃないか。
  328. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 外務大臣いかがですか、外務大臣総理大臣からどうぞ。
  329. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 金東雲が日本内地におれば、私は当然逮捕をいたしまして、もっと確実なる証拠を詰め得たと思うのでございます。それが……
  330. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 証拠は要らないって言っているんだよ、いまある分だけで十分。
  331. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 指紋によりまして逮捕する理由があると……
  332. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 指紋と目撃者。
  333. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) そういうことを警察庁は申したのでございます。そして、日本におれば必ず私は警察庁は逮捕して、そしてはっきりした裏づけをつくれたと思うのでございます。ところが、御承知のような事情で金東雲氏は韓国におると、こういうことでありますので、韓国側になおもっとさらに調査、捜査を依頼をしてきたわけであります。それが、先ほどアジア局長から御答弁をしたところでございます。そこで、現在警察庁が努力をいたしましているのは、もっとほかの証拠を、動かし得ない証拠を……
  334. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ほかの証拠なんかないと言っているんじゃないか。
  335. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) いま鋭意努力をしておるということでございます。
  336. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) じゃ、峯山君いいですか。
  337. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 しようがない。どうもありがとうございました。
  338. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上をもちまして峯山君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  339. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、橋本敦君の質疑を行います。
  340. 橋本敦

    橋本敦君 私は、まず金大中事件から質問をしたいと思うのであります。その理由は、何といっても、今国会は金大中事件など日韓問題のさらに進んだ解明と、あわせて国民生活を守る課題が重大な課題であるからであります。  言うまでもありませんが、総理並びに閣僚も御存じのように、金大中事件は四年前の昭和四十八年の八月、白昼、東京のど真ん中のグランドパレスホテルから韓国野党の指導者である金大中氏が不法に暴行によって拉致され、連行され、あわや命まで奪われかねなかったという重大な事件であります。そして、この事件は何といっても自由と民主主義に関する重大な問題であるし、さらにわが国の主権にかかわる重大な問題であるからであります。ところが、今日まで四年たった捜査で、一体何を明らかにし得たか、国民はなぜこの捜査がこれほどに進まないのか重大な疑問を持っております。  したがって、まず捜査当局に伺いますけれども、いまもお話がありましたが、この四年間の捜査で何が具体的に明らかになり、大事なこの事件の経緯、事実についてどういう点が明らかになっていないのか、この点をまず明確にしていただきたいと思います。
  341. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ただいまも申し上げたところでございますけれども、犯行が行われた現場でありますホテルの中での犯人の数、並びに犯人の中の一人が金東雲であること、これが地下駐車場におりまして、そこの車によってホテルを出発さした。で、この車が劉永福の車である可能性がはなはだ高いというところまでわかっておるわけでございますが、その他については、捜査の途中でいろいろなことはありますけれども、捜査上認定した事実としては以上のとおりでございます。
  342. 橋本敦

    橋本敦君 それでは、犯行グループは何名と考えられているのか。そしてさらに、その犯行グループが金大中氏をどの方面に連れていったか。いわゆるアンの家に連れていったということがしきりに言われているが、これはつかんでないのか。さらに、金大中氏を日本から韓国まで運んだ船は、一体どこに停泊していたどういう船であると考えられるのか。どの点に捜査をしぼっているのか、明確にしていただきたい。
  343. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 捜査上現在まで確定した事実は、ただいま申し上げたところに尽きるわけでございます。そういたしますと、後の捜査は、ホテルから先どこへ連行されていったか、船で行ったのか、飛行機で韓国へ行ったのか等も含めまして、運搬手段等が捜査の重点でございますけれども、この手がかりになりますのは、金大中氏が韓国において、韓国の捜査当局に供述をしたその陳述書をわれわれいただいておりますが、これに基づくもの並びに当時報道機関に対して、インタビューしておりますから、こういったものを中心に考えておるわけでありますが、いまのところ一応関西であろう、東ではあるまい、船であろうということでございまして、こういう点を手がかりとして捜査をいたしておりますが、いまおっしゃいました具体的な話としてのアンの家という点については、いろいろの情報はありますけれども、いまアンの家はこれであろうというところまでしぼるものはございません。  それから船につきましては、当時大阪港等に停泊をしておりました船を中心に捜査いたしましたけれども、大体皆容疑が薄くなりまして、竜金号——よく言われております竜金号が、これもまたクロと言うわけにまいりませんけれども、さらに継続捜査すべきものというように考えております。
  344. 橋本敦

    橋本敦君 竜金号は、大阪港をいつ、何時に大阪港のどこから出港していますか。
  345. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 大阪港を出港いたしました竜金号の時間は、八月九日午前八時四十五分ごろであろうというように考えております。
  346. 橋本敦

    橋本敦君 出港地点は。
  347. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 出港地点は大阪港でございます。
  348. 橋本敦

    橋本敦君 いま警備局長は、韓国政府から送られてきた金大中氏の供述書、その問題が非常に重大な捜査の手がかりになっているというお話がありましたが、金大中氏はその供述書の中で、この事件の経過についてどのように述べているのか、この際明らかにしていただきたい。
  349. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 事件の詳細はしばしば報道等でもされておるところでございますが、八月八日の日にあのホテルで会談をして、辞去しようとしたところ六人組に拉致をされたと、後、多分関西だと思うけれども、高速道路を自動車で走り、それから神戸か大阪かわからないけれども、アンの家というところに連れ込まれ、その後モーターボートで船に乗せられたと。後相当長期間かかってあるいは蔚山ではないかと思われるところに揚げられ、しばらく民家等にとめ置かれた後、自宅付近で解放されたというのが大筋でございます。
  350. 橋本敦

    橋本敦君 わかりました。  いまのお話の中で、もう一点正確にしていただきたい点がある。船に乗ってからしばらくして飛行機もしくはヘリコプターの何らかの連絡によって殺害計画が中止された模様であるという状況があるはずですが、その点について金大中氏はどう供述しているのですか。
  351. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 拉致され連れ込まれた船でありますが、船は地下の船倉らしいところに連れ込まれた。それから戸板らしいものにしばられた、おもりをつけられたと。これはいよいよ海に投げ込まれるかと思っておったら、そのうちに静かになって、これは助かったと思ったと。そのときに飛行機というようなことを船員が口走っておるのを聞いたような気がすると。その飛行機という言葉を聞いたせいか、空にちかちか赤く光るものを見たような気がすると、こう言っておりますが、船倉で空が見えるわけはありませんので、これはそういう感触がすると、こういうような言い方でございます。
  352. 橋本敦

    橋本敦君 その点は一つの非常に重大な問題であります。つまりその点を具体的に把握するならば、この事件が単なる不法監禁、拉致事件ではなくて、殺人未遂という重大な刑事事件であるということが一層明確になるからであります。私はこの点を非常に重視をするんでありますが、私がアメリカで調査をした際に、多くの関係者から得た話では、KCIAはかつての、十年前の西ドイツからの、反朴運動をしていた韓国留学生たちを拉致したあの事件の教訓をくみ取って金大中作戦を立てたと、こう言われているのであります。つまり、それは何か。西ドイツから強制連行して帰ったけれども、西ドイツ政府の厳重な抗議に会って、結局西ドイツへ連れ戻さねばならなかった。そういう経験から、この金大中事件については完全蒸発をねらう犯罪をKCIAは作戦として立てた、こういう話まで私は聞いているわけであります。  そこで、いま警備局長がおっしゃった、いずれにしても飛行機らしいものが飛んできたという点について、どういった捜査をこれまでおやりになったのか、明らかにしていただきたい。
  353. 三井脩

    政府委員(三井脩君) いわゆる飛行機がどういうものであるか、ヘリコプター等も含め、そういう飛行機が飛んだかどうか等につきまして捜査をいたしましたけれども、結論を申しますと、この事件に結びつくものは発見するに至っておらないわけでございます。
  354. 橋本敦

    橋本敦君 警備局長はいま、金大中氏が飛行機が飛んできたらしいという部分が不明確な点があるというように指摘されましたが、私はフレーザー委員会のベーカー氏から、ベーカー氏が韓国で金大中氏から直接話を聞いた話として、船倉から表に出され、おもりをつけられ、そしてそのときにヘリコプターが飛んできて、ラウドスピーカーで殺人計画の中止を指示した模様だと、それで命を助けられて再び船倉の中に入れられたと、こういう供述を聞いているのであります。  そこで伺いますが、ラウドスピーカーつきヘリコプターなるものが、この竜金号が出港したそのころに、どこからか飛んだ形跡があるのかないのか。この点については、私どもの調査では、大阪の八尾基地にベル206B型という海上保安庁所有のラウドスピーカーつきヘリコプターがあるのですが、これが出港後間もない九時二十分に訓練目的で出発をして、十一時過ぎに八尾に帰っております。こういうことも含めて、具体的にこの問題についてどことどこを当たって——海上保安庁、自衛隊、その他あるでしょう、どことどこを当たったけれどもわからなかったのか、具体的にお話をいただきたい。
  355. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 自衛隊、海上保安庁等それぞれ当たりました。したがいましていまお話しの、そういう海上保安庁のヘリコプター等が飛んだということも捜査はいたしてございます。しかし、結論として本件犯行に結びつくものが発見に至らなかったということでございます。
  356. 橋本敦

    橋本敦君 この問題はきわめて重大であります。たとえば、フレーザー委員会の顧問のある人は私に、この飛行機が飛んだという問題は、韓国政府からの緊急要請を受けて飛んだというようにその人は言っている。何としてもこの問題を明らかにしなければなりませんが、いまお話しのように、金大中氏自身、被害者である彼からそのときの状況をさらに詳しく警察自身として聴取をするということを通じてもっと具体的な捜査が遂げられるはずですが、この点について金大中氏からさらに詳細な事情を聴取する必要があると、これは警察お認めですか。そして、あるとすればどうなさる御意思ですか。
  357. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 金大中氏の調べとして、韓国捜査当局からわれわれが入手しておる資料並びに先ほど申しましたインタビューの資料では、ラウドスピーカーのついた云々ということは全然出てきておりません。  なお、先ほど大臣からもお答えいたしましたけれども、捜査の常道というのは、被害者から話を聞くというところに始まるわけでありますけれども、本件の場合には当該被害者がわが国におらない、われわれが手が出せない、こういうところに大変むずかしさがあるということを申し上げたわけでありまして、金大中氏が日本におればもっと詳細、いろんなことを聞きたいと思っておりますが、何せ韓国ということでありますので、われわれとしては聞くわけにはまいらないということでございます。
  358. 橋本敦

    橋本敦君 おればとおっしゃったが、日本に来るように警察が要求すればいいんじゃないですか。
  359. 三井脩

    政府委員(三井脩君) その点につきましては私たちも、被害者並びに関係者はわが国において事情聴取するということがベストだと思っておりますけれども、先ほど来話がありましたように、本件についてはいわゆる外交的決着ということになっておりますので、そういうわけにまいらないという制約はございます。
  360. 橋本敦

    橋本敦君 次に問題を移してまいりますが、いまおっしゃった六人の犯行グループ、この犯行グループについて、御存じのように金炯旭氏はアメリカにおいて、その氏名を含めて金在権以下六名の犯行グループを、証人として宣誓の上証言したわけであります。  私は、八月の訪米調査でフレーザー委員会に参りまして、そのフレーザー委員会から提供を受けた資料が一通ここにありますが、委員長のお許しを得て、警備局長、外務大臣、ごらんいただきたいと思います。  これは、金炯旭氏が証言の際に、この犯行グループを自分で書いて提出をしたものであります。で、この書類が資料として正式にフレーザー委員会から私に公表され、提供されたものでありますが、フレーザー委員会がこの資料を私に提供したということの意味はきわめて大きい。つまり言うならば、金炯旭氏の証言で言われたこの犯行グループが、フレーザー委員会の判断、認定として、この六人に間違いない、こういうことをフレーザー委員会が断定していることを物語るものであります。チャーチ委員会で公表された資料が、それ自体重大な証拠価値があってあのロッキード事件捜査に発展したように、この六人の犯行グループを委員会が公表したという事実について、警察当局はどういう認識を持っておりますか。
  361. 三井脩

    政府委員(三井脩君) フレーザー委員会で発表されたという内容は、もうそれをまつまでもなく、もう何カ月も前から出ておりますし、もっと言えば去年から出ておりますので、そういう資料いただいておりますので、別に新しいことではないと受けとめております。
  362. 橋本敦

    橋本敦君 問題の性質について答弁が正確でないんです。新しい事実でないということが大事なんじゃなくて、フレーザー委員会がこれを、この六人の犯行に間違いないと断言をして公表し、提供しているということの意味を警察はどう考えているかと、こういう意味であります。
  363. 三井脩

    政府委員(三井脩君) フレーザー委員会がどういう調査をするのか。私たちの認識では、少なくともフレーザー委員会は捜査機関ではないと、こういうふうに考えますので、調査の方法等、事実認定の方法等、われわれがやっておるような厳密な証拠法の原則に乗っておるものとは思えないと一般的に考えられます。したがいまして、その点に一つの制約がある。同時に、第二点は、結論として、あの事件を敢行したのがこういう人であるということを言っておる。このことはほかの人も言っておることで、新しいことではないわけですけれども、なぜ、どういう根拠に基づいてこの人たちを犯人と認めたのか、実はそこが知りたいわけでありますけれども、それについては何ら触れておらないので、われわれの捜査の上からは参考にならないと、こういうことでございます。
  364. 橋本敦

    橋本敦君 参考にならないということは、非常に重大な私は発言だと思うんです。フレーザー委員会のベーカー調査官初め多くの人たちは、われわれはこの六人がKCIAであり、犯行グループであることはストロングビリーフ——強い確信を持っていると、こう言っておるんです。だから参考にならないということではなくして、本当に真相を解明するという立場に立ち、あらゆる手がかりをつかんででも捜査を遂げるという立場に立つなら、当然、重要な関心を払ってよい対象になるはずですが、重大な関心を払うという意味さえあなたは持たないという意味ですか。
  365. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 先ほども申し上げましたように、犯行グループの人の名前は、もう去年からもいろいろな人から言われております。フレーザー委員会が言ったことも大同小異でございまして、内容的に新しいものはない。そうすると、われわれの関心は、捜査上の手がかりになるかどうか、手がかりとする価値があるかどうかというところが問題でございますけれども、ただ、あの六人がやったと、こう言うだけでありまして、役割りはもちろん言っておりますけれども、なぜそういうふうに認定したのかという、そのプロセスがわかりませんので、参考にしようがないということでございます。
  366. 橋本敦

    橋本敦君 この六人に対して、捜査当局は名前が出たときから関心を払っていなければ私はおかしいと思うが、そういう捜査の姿勢自体私は重大問題だと思う。  外務省に伺いますが、この六人のうち金在権、洪性採、尹英老、金東雲、劉永福、これらは外交官リストに当時登載されていた人物であることは間違いありませんね。
  367. 中江要介

    政府委員(中江要介君) いまの六人の名前が金在権、尹英老、金東雲、柳春国、洪性採、白哲鉉、この六人であるといたしますと、それぞれ外交官リストに載って、東京に勤務したという経歴はございます。
  368. 橋本敦

    橋本敦君 柳春国もそのうちの一人であると思うんですが、外務省に伺いますが、外交官リストに登載をし身分証明書を発行する際、本人から四通の写真を提出させると私は調査で伺っておりますが、間違いありませんか。
  369. 中江要介

    政府委員(中江要介君) ちょっと主管が違いますので、何枚の写真を取っているか知りませんが、写真を取っていることは間違いございません。
  370. 橋本敦

    橋本敦君 その写真は、外務省に保管されていることは明らかであります。だから、したがってこの重大な問題になっている金在権以下犯行グループ、そして、これに対する調査を遂げるという意味では、警察はこの写真を持って現場で目撃者にこの写真を示して、そして犯行グループを割り出すという一助にすることは可能である、こういうことをおやりになったかどうか、いかがですか。
  371. 三井脩

    政府委員(三井脩君) その前に、先ほどアジア局長答弁の中、関連でございますが、手振元は外交官としての経験、勤務ありませんから、念のため。  そういう点も含めまして、私たちは十分捜査したつもりでございます。
  372. 橋本敦

    橋本敦君 金大中氏は六人の犯行グループということを言っていますから、これもこの写真を金大中氏に示せば、いわゆる面割りというのは容易に進むことが、これは常識上想定されるわけであります。これもしかし、いまの政治決着でできないという問題であります。だがしかし、われわれは、われわれ国会独自の調査を進めるという、そういう観点に基づいて、私は外務省に、いま言った外交官リストに登載されているこれらの人物の写真と身分証明書を提出してもらいたい。  委員長理事会で協議を願いたいと思います。
  373. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 何ですか、それは。いまの外交官リスト……
  374. 橋本敦

    橋本敦君 写真と身分証明書。
  375. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) いまの意見理事会にお諮りいたします。
  376. 橋本敦

    橋本敦君 この六人のグループについて、私どもアメリカでも多くの情報を得てきました。たとえばKCIAという問題について言うならば、金東雲は一九六三年、元KCIA次長であった石正善が発行する日曜新聞の記者として来日をして、そして日本ではいわゆるブラックチームのメンバーとして情報活動していた。さらに尹振元、彼はKCIAの現地特殊工作団の団長として活動していた人物であるし、さらに尹英老は元KCIA、金浦空港の責任者をしていた。こういった一連の事実を、私どもは彼らの経歴として、KCIA問題としてつかんでいるわけであります。金炯旭氏が名前を挙げたこれらの人物がKCIAかどうか、この点について警察の調査はいかがですか。
  377. 三井脩

    政府委員(三井脩君) 尹振元以外は、大体において日本大使館に勤務しておった外交官であることはわかっておりますけれども、KCIAのメンバーであるかどうかは私たちわかっておりません。
  378. 橋本敦

    橋本敦君 厳重な調査をしなければならぬと思うんです。  これに関連して、外務大臣に伺いますが、駐日韓国大使館には、これまでKCIA要員が大使館員として来ていた事実があるのかないのか、御存じでしょうか。
  379. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 外務省といたしまして、韓国大使館勤務の外交官が、KCIAのメンバーであるかどうかということは把握いたしておりません。
  380. 橋本敦

    橋本敦君 そういう事実は、これまで全くないと外務大臣は断言できますか。
  381. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 確信を持って、この外交官はKCIAのメンバーであるということを断定し得たケースは一件もございません。
  382. 橋本敦

    橋本敦君 外務大臣に伺いますが、韓国中央情報部には、中央情報部駐日公使顧問という正式の職名があるのを知っていますか。
  383. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 私は存じませんので、アジア局長からお答えさせます。
  384. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 私も存じておりません。
  385. 橋本敦

    橋本敦君 何のために答弁いただいたかわからぬような始末ですが、ここで委員長のお許しを得て、私が調査しました「韓国歴代公使中のKCIA関係者」の表を見て、後で返していただいて質問したいと思うんですが、よろしゅうございますか。——外務大臣、このリストの金在鉉氏、これは昭和三十八年から四十一年まで、公使在任期間でありますが、この人の六一年の経歴を見ていただきたい。「中央情報部駐日公使顧問」と明らかに記載されている。で、ここに書いてある経歴は、これは私が勝手に記載したものでは決してありません。これは韓国年鑑及び韓国・北朝鮮人名辞典、ここに記載されている、そのとおりをファックスしたものであります。だから、公の韓国年鑑、これに堂々と「中央情報部駐日公使顧問」という肩書きがある。さて、それ以下、李相翊氏から五名、現在の趙一済氏に至るまで、韓国大使館には一年も間隔を置かず、歴年この人たちが公使としていたことになりますが、この人たちのアンダーラインをしている経歴を見ていただきますと、たとえば李相翊氏は日本で駐日公使、その任を解かれた後は中央情報部の企画管理室長に就任をする。そして、さらに部長の特別補佐官に就任をするという要職につきます。さらに金景沃氏に至りますと、この方は中央情報学校学校長までしていて、そして駐日公使になるのであります。そして金在権氏、御存じのとおり、これは駐日公使としてでありますけれども、第七局長、KCIAの局長をやって、いまもKCIAと言われている人物であります。次の全在徳氏、四十九年以降の駐日公使在勤でありますが、この方はKCIAの清州市支部長、さらには中央情報部支部長局長、これを歴任し、在日公使の後にはKCIAの次長補に補せられております。そして現在の趙一済氏、これは韓国の新聞、統一日報が報じておりますように、元KCIA次長補であります。  こういう一連の経過を見ますと、この韓国年鑑やあるいは人名辞典から明らかなように、日本に、昭和三十八年以降一九六五年の日韓正常化関係を含めて、今日までずっと韓国KCIA、これが公使という要職にあって常駐をしていたということが明らかになるのであります。この事実について、KCIA問題がこれだけ大きな問題になっているときに、私は外務省に、知らないということでは済まされない、徹底的な調査を要求したいと思いますが、外務大臣いかがですか。
  386. 中江要介

    政府委員(中江要介君) ただいまいただきました資料の経歴のもと、御利用いただいております韓国年鑑あるいは韓国・北朝鮮人名辞典、これは公の経歴書ではなくて、一種のそういった民間の発行しているものだというふうに承知しておりますが、この金大中事件が起きましたときに、在日韓国大使館なり領事館の中に、KCIA要員があるのではないかという疑問は数知れず提出されまして、私どもも当時鋭意調べたことがございます。そのときに、私どもが韓国側から正式に回答として提供されました説明によりますと、ちょうど日本の外交官にも、外交官、外務省出身者ばかりでなくて関係各省あるいは警察関係の人、そういう人が一時在外公館に勤務するのと同じように、韓国でもかつてKCIA、つまり韓国中央情報部というりっぱな一つの韓国では機関であるわけですから、その韓国の機関から出向いたしまして外交官の身分で日本に在勤するという例はあると、またそれを終わってもとの機関である韓国中央情報部に勤務すると、これはあるけれども、少なくとも在外公館で勤務する間は、これは一般外交官と全く同じ扱いであるし、大使の指揮下、さかのぼれば外務部長官の指揮下に働く外交官の一人であって、KCIAの、韓国中央情報部の在外機関という性格はない、こういう説明を受けておりますので、きょういただきましたそれぞれの人物につきまして、東京に在勤している間もなお韓国中央情報部の機関として活動したことがあるかどうかにつきましては、なお調べてみることといたしますが、金大中事件が起きました当時の私どもの懸命の調査の結果は、いま申し上げたようなことであったと、こういうことでございます。
  387. 橋本敦

    橋本敦君 調査をするということですから、調査を求めますが、いまの局長答弁でも、KCIA関係者が大使館に参事官あるいは公使ということで来ていたという事実は、これは全面的に否定できないことが明らかであります。この韓国大使館が在日KCIA活動のセンターあるいは責任部になっている、こういう疑惑を持っているのでありますが、きょう午後ワシントン発の電報で、本日フリント委員会では金相根駐米韓国大使館前参事官、在米KCIAのナンバーツーと言われる人でありますが、彼が証言台に立って重要な証言をした事実が、ワシントン電で伝えられております。彼はこう言っております。彼は、あの朴東宣の米議会議員買収工作、これは韓国政府の指示によって、在米韓国大使館内の韓国中央情報部支部、つまりアメリカでは大使館の中にKCIA支部があるというのであります。これを中心に大使館ぐるみで行われていたと証言をした。さらに彼は、ソウルから外交行のうによって送られてきた二十五万ドルを超える金を朴東宣のグループの一人に手渡したと、みずから証言しているのであります。実に重大な問題であります。アメリカにおける駐米韓国大使館がこういう状態であったという事実を考えますと、日本における韓国大使館において、これと同じような活動がなされなかったと断言できるわけはない。私はこういう点で、本件、金大中事件が起こった当時、まさに文字どおりKCIAは大使館を中心として活動していたのではないか。そして金在権以下の大使館グループが、組織的、政治的犯行としてこれをやったのではないかという重大な疑いがますます今日濃厚になってきていると思うのです。  私は、アメリカに調査に参りまして一通の重要な書面を手に入れました。委員長のお許しを得て、これも外務大臣、警備局長に見ていただきたいと思うのであります。  これは表題で明白でありますように、これはワシントンにあります防衛情報センター、いわゆるラロック氏が主宰するラロック軍事研究所でありますが、このセンターが、これがアメリカの国防総省の情報局に対して情報公開法に基づいて請求をし入手した文書であります。これは「南朝鮮に対する脅威」という表題のもとで、韓国における軍事情勢バランスの問題、そして韓国における政治的情勢分析の問題、これが情報として書かれていることは、その文書をごらんになって明らかなとおりであります。  問題は、この第四ページに重要な事実が書いてあります。この重要な事実の要約点を申しますと、南朝鮮において、朴大統領は数度の緊急措置立法その他を通じてますます権力を集中していったというような情勢分析があり、そして、かえって野党の方は、前大統領であるユン・ポソン氏、そしてその次に金大中氏、一九七一年の選挙で朴大統領と争ったのであるが、この彼は後に東京からKCIAによって拉致されたと、明白に断言しているのであります。まさにこの文書は、アメリカの重要な政府機関の公的な文書であることは間違いないと思いますが、アメリカの政府機関が公的な文書で、金大中事件はKCIAの犯行だと断定をしている、この事実について外務大臣どうお考えですか。
  388. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) ただいまの国防総省の文書でございますが、これにつきまして国務省の方に確かめたのでございますが、それに対しまして、その記述のもとは公開されておる資料からとった、そのもとはレイナード氏の証言からとったと、こういうことが国務省の方から言ってきたわけで、なお詳細はアジア局長の方から御答弁申し上げます。
  389. 中江要介

    政府委員(中江要介君) ただいま外務大臣が御説明になりましたように、この文書につきましては過般衆議院においても御指摘がありまして、その指摘を受けましたときに、早速アメリカ側に照会いたしました結果がいま言われたとおりで、アメリカ側の説明によりますと、この文書はアメリカの行政府以外の機関によってつくられたものである。それからこの文書は公開の資料——オープンソーシズという字を使っておりますが、公になっている資料に基づいて作成されたもので、いま大臣の申されましたように、金大中氏がKCIAによって拉致されたと、むしろ正確に言いますと、KCIAによって日本から拉致されたところの金大中氏と、この表現の部分は昨年の三月に行われましたアメリカの下院国際機関小委員会、通称フレーザー委員会の公聴会の際の、元朝鮮部長レイナード氏のステートメントに基づくものであると、こういう説明でございます。で、金大中事件に関する部分を含みまして、この文書は、つまりいま橋本委員からお示しいただきました文書はアメリカ政府の見解を示すものではない。こういう回答をアメリカ国務省から正式にいただいておると、こういうことでございます。
  390. 橋本敦

    橋本敦君 いま正式に回答があったその文書は、資料として当委員会に提出を求めたいと思いますが、提出していただけますか。
  391. 中江要介

    政府委員(中江要介君) いま私が申し上げましたのは、アメリカから文書によって回答を得たのではなくて、アメリカ大使館がアメリカ国務省に接触して得た説明の内容でございます。
  392. 橋本敦

    橋本敦君 こういう重要な問題について、私は文書で回答を得たということならば、その問題について検討のしようがありますが、口頭だということならばきわめて不正確であります。いま局長は、この文書の経緯は説明されましたが、それはまさにこの国防総省情報局という重要な情報の収集検討機関、まさに権威のある軍の情報機関でありますが、ここが一つはKCIAの犯行だと言ったレイナード氏の証言を重視をし、これが間違いないと判断したという可能性がある。そしてさらに、アメリカで私は多くの関係者に会いましたが、こういう文書を情報公開法という法手続に基づいて、国民に公開するということを重要なアメリカ政府機関が行っているということは、アメリカ政府のこの事件に対する認識が、KCIAの犯行であるということを共通の政府的認識にしている証拠だと、こうはっきりと言っているのであります。いま局長は、これはアメリカ政府の認識ではないという口頭の報告を受けたと言いますが、とうてい私はそういうことはあり得ないし、信用することができないのであります。  総理いかが思われますか。アメリカの軍機関、重要な政府機関がこのようにKCIAの犯行だとこう言っている。この問題についてあなたは信用できないと言うことができますか。
  393. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま政府委員がアメリカから話を聞いたその要旨を申し上げたわけでございますが、何かそれではどうも信用できない、こういうようなお話でございますから、これは文書でもらうかどうかアメリカと相談します。
  394. 橋本敦

    橋本敦君 そして、その文書が来れば検討ということで資料として提出することを求めますが、それは文書が来たという時点でまた検討させていただきたいと思うのです。  いずれにしても総理、いま申し上げましたように、このような重要な文書がある中で、これがアメリカの政府機関の公的な判断だというとらえ方は当然ですし、フレーザー委員会がKCIAの犯行だと断定していることは先刻御承知であります。問題は、わが国がこの事件に対してどういう認識を持って対処するかと、これであります。  そこで、私は総理に伺うのですが、この四十八年に金大中事件が起こった直後の九月五日、当時の二階堂官房長官は、明白にこれは韓国国家機関が介入をした事件だと確認せざるを得ないという談話を発表されている新聞がある。総理御存じですか。
  395. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 承知いたしておりません。
  396. 橋本敦

    橋本敦君 それは、この問題に対して総理検討を深める上できわめて遺憾であります。この官房長官談話は正式の官房長官談話であります。  園田官房長官、あなたはこの事実を御存じのはずと思いますが、いかがですか。
  397. 園田直

    国務大臣園田直君) 存じておりませんでした。
  398. 橋本敦

    橋本敦君 重要なこういった事実について私がなぜ指摘をするか。当時、この事件が起こった直後に、政府の重要閣僚であり、政府を代表する立場でもある官房長官が、新聞談話で韓国国家機関の介入と確信せざるを得ないと、こうおっしゃっておる。それは言ってみれば、日本政府の当時の認識であったはずです。福田内閣はその後後退したのか、同じような認識をいまも持って解明に努めるという立場であるのか、それを私は福田内閣の政治姿勢として当然たださねばならぬと思うのです。いまの二階堂官房長官が、これが事実であったことは全部の各紙が報道しております。官房長官調査の上その事実に間違いないかどうか、当委員会が終わるまでに一応報告していただけますか。
  399. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 八月八日にこの事件が起きまして、いま御指摘の九月五日の段階で、官房長官がそういう談話を発表されたという事実は私はないと確信いたします。
  400. 橋本敦

    橋本敦君 新聞に書いてある。
  401. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 新聞はどういう報道をしたか、私は正確に記憶いたしませんが、ただ国会の各種の委員会で繰り返して言われましたことは、これには公権力の介入があったのではないかという疑惑が各所で出されたという事実はあったわけでございまして、その疑惑にこたえるべく、捜査当局もあるいは私どもも外交努力といたしまして、韓国側といろいろ話し合った、その一つの結果が外交的決着であり、他方捜査が継続しているというのが現状でございます。  それからもう一つ、フレーザー委員会の中における金大中事件に関する部分につきましては、これはフレーザー委員長の名におきまして、フレーザー委員会のスタッフがはっきり日本側に言っておりますことは、フレーザー委員会は日韓間の問題を調査するつもりもないし、そういうこともしていない。で、先ほどの金大中事件に関する部分につきましても、これはレイナード元朝鮮部長のフレーザー委員会における証言を引用して——引用してというか、それのみに基づいて書かれておるものだと、こう言っておりまして、他方レイナー下元朝鮮部長のフレーザー委員会における証言につきましては、あの証言があらわれましたときに、私どもがアメリカに何度も照会して国会でも御報告いたしましたとおり、あれはあれ以上のものはないと。つまり金大中はKCIAが拉致したんだということがあるだけで、先ほど捜査当局も申しましたように、どういうふうにして拉致したのか、またどういう証拠に基づいてその発言があったのかという点については何ら得られなかったし、その照会をしたした過程でアメリカ国務省が言いましたことは、これは金大中事件というのはアメリカの関与関知しないところである。これは日韓間の問題で、アメリカとしてはこの日韓間の問題に介入する気持ちは全くない、答えられない、こういうことでありましたし、レイナード元朝鮮部長個人に直接大使館員が確かめましたときも、あの証言以上のものはないと、つまりKCIAが拉致したのだというその言葉以外の証拠も資料もなかったというのが過去の経緯でございますので、フレーザー委員会で金大中事件はKCIAが拉致したんだという結論を出して、それがアメリカにおいても公に認められているというもし推定がありますといたしますと、私どもはそういう推定は下し得ないと、こういうふうに思っておるわけでございます。
  402. 橋本敦

    橋本敦君 長々と局長の弁解を聞きましたが、そういう弁解を聞くのが私の質問の趣旨ではなかったんです。  まず第一に、二階堂官房長官の談話は総理も官房長官局長さえ知らないというんですが、新聞に出ていますよ。私新聞の切り抜きをここに持ってきておる。各紙全部出ています。それがないというのはおかしいです。調べなくちゃならぬです。さらにフレーザー委員会の問題に触れられましたが、金大中事件そのものをフレーザー委員会がアメリカにおけるKCIAの違法活動の一環として調査をしているそのこと自体明白じゃありませんか。そして現にフレーザー委員長はどう言っていますか、新聞報道に出されて、総理も抗議だとかなんとかいう御指示があったけれども、あの金大中事件はKCIA、これがやったということですから、日本の主権に対する侮辱だと彼は発言していますよ。社会党の皆さんも行かれました。私も行きました。フレーザー委員会は一致してKCIAがやったということは断言してはばかっておりません。いまの局長のようなそういうあいまいなことを答弁なさるなら、私は超党派で、局長も含めて、フレーザー委員会へ行って一緒に聞けばいいと思いますよ。あなた自身フレーザー委員会へ行かれたことはないでしょう。私は、そのような外交的な手続の中で、経路を経た、それこそ総理のよくおっしゃっる伝聞伝聞では信用できないと思うし、私自身直接行って確かめてきたんです。  そこで私は総理に伺いますけれども、あの事件が発生して以来今日まで、これは明白な日本の主権侵害であり、そしてKCIAの犯行ではないかという問題が提起され続けて、今日ますますそういった状況が、金炯旭氏の証言や、あるいは私がお示しした文書を初め、たくさんの資料が出て、ますますKCIAの犯行だというこの疑い、これが濃厚になっている状況ではありませんか。  警備局長に伺いますが、あなたは、本件がKCIAの犯行ではないと断言できますか。
  403. 三井脩

    政府委員(三井脩君) アメリカでいろんなことを言われておる、その根拠について先ほど申し上げたわけでありますが、われわれは証拠によって事案の真相を解明するという立場ですから、証拠によっては、ただいままでの捜査によってKCIAの犯行というわけにはまいらないというのが現状でございます。
  404. 橋本敦

    橋本敦君 違うと断定できますかと聞いている。答弁になっていない。
  405. 三井脩

    政府委員(三井脩君) われわれは捜査の立場でございますから、将来のことをあれこれ申し上げるわけにまいりませんけれども、いままで捜査いたしました結果は、KCIAの犯行だと申すわけにはまいらないという現状でございます。
  406. 橋本敦

    橋本敦君 総理に伺いますが、私の質問は、KCIAの犯行でないと、いま私が示したすべての資料から断言できますかという質問ですよ。総理いかがですか。
  407. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私の頭ではさようには判断できません。
  408. 橋本敦

    橋本敦君 KCIAの犯行でないと断言できない、だからこれはやっぱり調べて、これが日本の主権を守る道じゃありませんか。徹底的に解明をする。だから総理は黒白をつけると、こうおっしゃっているんじゃありませんか。その捜査を詰めていくのに、たとえば金東雲いかがですか、指紋まで発見される、逮捕状は取れるんだ、あとは本人を逮捕して事情を聞くんだ、そこまでいっているんだ。警備局長は何度も国会で答弁されています。なぜこれを詰めて調査を遂げるのに、金東雲を、これが逮捕できないのか。あるいは日本に引き渡し要求ができないのか。これがいま大事な大きな壁の一つになっていますよ。  そこで、外務省に伺いますが、これをはばむ政治決着とは一体いかなるものですか。
  409. 中江要介

    政府委員(中江要介君) これは金大中事件が起きました一九七三年の八月八日、事件発生以来その真相究明を鋭意進めましたけれども、決め手が出ないままに日韓関係が相当冷却化いたしまして、このままで果たして一九六五年に国交正常化いたしました隣国韓国との間を、そのまま継続していいのかどうかということについて政治的な判断が必要な事態に立ち至ったのがその年の十一月一日及び二日のことであったわけで、この十一月二日に、事件は事件として、真相究明を怠らずに行うけれども、しかし日韓関係はここでやはり軌道に戻して、お互いに隣国同士として友好関係を続けるようにいたそうというのが第一回目の政治、外交的決着の大筋であったわけです。  そのときに責任者の処分、犯人の処罰、再発防止、冒頭にこういう事件を起こしたことに対する陳謝、それから金大中氏の身柄の自由の問題、そういったものを了解したわけでございまして、その中に、金東雲一等書記官については指紋という有力な証拠を日本側は持っているのであるから、この点については韓国側も鋭意捜査してもらいたいということで、その捜査結果を持って、その結果が出ましたのが翌一九七四年の八月十四日であったわけです。その内容が日本の捜査当局を満足させるものでなかった。直ちにこれに対して反論しようというその翌日に例の文世光事件が起きまして、日韓関係はさらに険悪な事態になったわけですが、その一応の落着を見ました十月に、改めて八月十四日にいただいた捜査結果報告では満足できない、もっとよく調べてもらいたいということで韓国側に再度調査を要求して、金東雲一等書記官の容疑について韓国側の二度目の報告をいただいたのがその翌年一九七五年の七月二十二日で、この口上書によりまして、日本としてはこれが十分なものとは認めがたいけれども、韓国側としても本人の身分を剥奪するということ、それから起訴にたえ得るような証拠はついに出なかったということで、一応のけじめをつけたものとして、日本側もこれを評価して、そしてこれで決着をつけることもやむを得ないということに踏み切った。その結果としてまだ残っておりますのは、日本側の捜査の結果、主権の侵害があった、つまり公権力の行使があったということが、新たな事実をもって証明されますれば、これはもとに戻りまして、一九七三年の十一月二日の政治的決着を再検討する、見直すという了解は当時からつけておりましたわけですので、私どもといたしましては、そういう公権力の行使があったということについて新たな証拠をもって証明し得る状態になったときには、韓国との間で見直すということはあり得べきことですし、その権利を留保しておりますが、いまのところ、捜査の結果からそういったものは出てこない、そのために最終的な黒白をつける時点が延びているというのが現状と、こういうふうに認識しております。
  410. 橋本敦

    橋本敦君 長々と説明を伺いましたが、私は基本的なことを聞きます。  金東雲の捜査に関しては、日本で指紋まで発見されて犯行容疑者の一人であると警察当局は断定し、これはもう逮捕状を取って進む段階までいっておる。ところが韓国の方は起訴するに足る容疑がなかった。警察はこれで満足できますか。日本の捜査で指紋まで発見されたこの問題で、それで容易に矛をおさめられるような問題じゃないですよ。それをあいまいに政治的決着をつけた。これは重大だ。これが第一点ですよ。  もう一つの問題は、第一次、田中角榮元総理が行ったあの政治決着と言われる合意。中身は何かをはっきり言います。金東雲の捜査に対して日本側は手を引く、金東雲の捜査に関する限り日本ではもう捜査が終結したということにする、こういったことが合意されたのではありませんか。外務大臣いかがです。
  411. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 先ほど申し上げましたように、日本側が手を引くというような意図も、そういう表現も、あるいはそういう態度表明も、そういうものは一切ございません。日本側としては、真相究明はあくまでも求めるという筋を通して決着したと、こういうふうに私どもは了解しております。
  412. 橋本敦

    橋本敦君 重大な私は事実に反する答弁だと指摘せざるを得ないんです。  ここに、国会図書館から韓国国会の四十八年十一月六日の議事録を私は持っております。この中に重大なことを当時金韓国総理は国会の論議の中で言って、金大中事件の政治決着で報告しています。こう言ってます。これは、うちの者が隣の家に行って事を起こしたが、それは引き続き真相を明らかにし、調査結果によってわが国の法に応じて処罰をするから、そのように日本側はわかってもらいたい。もうあなたたちは手を引いてくれなければいけないと、こういった話をしたと国会議事録にあるんですよ、手を引いてくれと。それだけではありません。十一月五日、その前日の韓国国会の議事録、これも私は手元に持っております。この中で金総理は、金大中事件に関して報告してどう言っておりますか。大統領親書を携行して田中総理に話した。その中で田中総理は、韓国側が金大中事件が起こったということについて遺憾にたえないとこう言い、韓国大統領が、このようなことでこのような国際間にあり得る刑事事件によって両国間にいささかたりとも友好関係に亀裂を生じてはならないと述べた高見に対して全面的に考えを一にした。これがわが党上田議員が指摘したように、発表された田中親書の要約にない隠された部分じゃありませんか。もうあの刑事事件では、これはそのまま置いといて、政治関係を続けでいくんだという意思でありました。  さらに、もう一つ大事なことを金総理は報告して言っています。日本側の捜査は終結したと、はっきり議事録で言っております。この点について、韓国国会の議事録を直ちに調べて、私がいま指摘したそのような記載がある事実は間違いありませんから、それに基づいて、改めて局長がそういう事実はないと言った答弁——責任を持った回答文書で、私はいますぐ求められませんから、求めたいと思う。文書で回答してくれますか、議事録を調べた上で。
  413. 中江要介

    政府委員(中江要介君) いま御指摘の三つの文書のうち、十一月五日の国会議事録と、それから外交的決着をつけましたときの田中総理から朴大統領あての親書の内容、この部分につきましては、私が先ほど答弁いたしましたことと違いがないということを御説明する用意はございますが、その一日前の十一月四日の方は、ちょっと私調べておりませんので……
  414. 橋本敦

    橋本敦君 六日。
  415. 中江要介

    政府委員(中江要介君) 六日ですか、六日の方は調べておりませんので、その三つの部分をまとめまして、後刻先生の御要望に応ずるように私の説明ぶりを御連絡いたしたいと、こう思います。
  416. 橋本敦

    橋本敦君 必ず報告していただきたい。重大な食い違いであります。国民に隠されてこういうことが進行したということは、文字どおり田中元総理がやったあの政治決着は日本の捜査権放棄の密約ではないか。重大な問題があると私は思うんですよ。この問題を放置してこの事件の解明はあり得ません。  私は総理に申し上げますが、新しい事実が捜査上出てくれば政治決着を見直すとおっしゃったが、金東雲の捜査にしても、金大中氏から事情を聞くことも、これを妨げているのは政治決着であります。この政治決着の壁をなくさなければ、新しい捜査の進展も期待できないから、四年間捜査が進行してこなかったのであります。しかもその政治決着に、いま私が指摘した、隠された重大な捜査権放棄に見られるような密約があるとすれば、この政治決着それ自体をいま検討することが、これが事件解明の第一の筋道だと私は思う。総理のお考えはいかがでしょうか。
  417. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 韓国はわが国として非常に大事な国であります。そういう国との間がぎしぎししておるという状態はこれは好ましくない。そういう立場から言いますと、あの当時、あのような政治決着をしたということは、私は機宜の措置であったと、こういうふうに考えております。ただ、さらばといって事件の解明、こっちの方を怠ろうと、そういうことはいささかも考えておりません。捜査当局が鋭意いま努力しておると、かように御理解願います。
  418. 橋本敦

    橋本敦君 その捜査当局の努力を、本当にあなたがおっしゃるように解明し、黒白をつけるというために壁になっておる政治決着、これを検討せよと私は総理に言っているんですよ。いまあの朴東宣の事件でいかがでしょう。アメリカ司法省は刑事局長のシビレッチ氏をソウルに派遣をして、乗り込んで行って捜査をする、その話し合いをやっているじゃありませんか。日本はなぜできないんです。政治決着ですよ。これを見直すことなくして総理、あなたがいかに主権を守る、真相を解明する、こうおっしゃっても、私はそれは形式論、ぐるぐる回りだけだと、こう考えるから、政治決着そのものを慎重に検討し直す、こういう姿勢に総理が立たれることを私は強く要求するんであります。私のそう意味での質問に対して、総理の端的な見解を伺いたい。
  419. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政治的決着はもう決着でありまして、もう済んでいるんです。いまこれをひっくり返すということになりますと、これはまた大変な問題になります。でありまするから、政治決着は政治決着といたしまして、捜査の方は全力を挙げると、こういう考えでございます。
  420. 橋本敦

    橋本敦君 答弁総理は後退したんでしょうか。捜査上新たな事実が出てくれば政治決着そのものの見直しもあり得ると、あなたはわが党上田耕一郎議員や私の質問に対してお答えになったでしょう、予算委員会で。見直しもあり得ると。いまの答弁では全然また後退じゃありませんか、違いますか。
  421. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 新たなる証拠が出てきて、そして刑事事件の方で主権侵犯というようなことが明らかになれば、その時点で政治決着について再検討すると、こう申し上げているんです。いまこの時点においてその政治決着を直ちに変えるという考えはないと、こういうことを申し上げている。
  422. 橋本敦

    橋本敦君 私は、総理のそういう姿勢が解明を阻んでいるそのことにまさになっているということを指摘せざるを得ません。あなたのおっしゃる新たな事件の進展、そのことのために、総理も金在権氏から事情を聞くことは参考になると言われた。その金在権氏、そしていまフレーザー委員会でも重要な証言をなさって、問題になって、日本に行ってあらゆる資料を提起してもいいとこう言っている金炯旭氏、私はこの二人の証人喚問を当委員会として要求いたします。委員長の処置をお願いします。
  423. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 本件は理事会にお諮りをいたします。
  424. 橋本敦

    橋本敦君 私は、次に話題を変えて政府の姿勢を尋ねたいのでありますが、その前に法制局長官にお伺いをしたいのです。君が代を国歌と定める、こういったことは、いつだれが、どのような権限で法制上決めたことがあるのかないのか、この点はいかがですか。
  425. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) ちょっと最初の部分が……。
  426. 橋本敦

    橋本敦君 君が代を国歌とするということを、いつどこで、だれが、どういう権限に基づいて決めたことがあるのかないのか。
  427. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 法制上君が代をわが国の国歌であると決めた法令は私は存じません。
  428. 橋本敦

    橋本敦君 ですから、法律上君が代が国歌であるということは一切ない。  そういたしますと、次に法制局長官に伺いますが、文部大臣は、君が代を国歌と定める文部省設置法その他に基づく法律上の権限はありますか。
  429. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 文部省が、あるいは文部大臣が特定の歌をわが国の国歌であると決める権限を持っていらっしゃるはずはございません。むしろ君が代がわが国の国歌であるという国民の意識があって、それが前提になって、それを学習指導要領の中でお取り上げになったものだろうと私は理解しております。
  430. 橋本敦

    橋本敦君 私の質問を先取りして法制局長官はおっしゃったわけです。  文部大臣に私は伺いたいんですが、指導要領に、文部省が本年度急に君が代という歌の上に、国歌とはっきりと明記をするに至った経過、どういうことなんです。
  431. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 君が代が国歌であるという認識は、明治以来国民の皆さんの間に定着をしておると私は判断をいたしておりましたし、また学習指導要領は十年前の改定から今日まで改定がなかったわけでございまして、日の丸の方は国旗となっておりましたので、君が代は国歌であると、このように規定をして、指導の徹底を図りたいと、こう思ったわけでございます。
  432. 橋本敦

    橋本敦君 あなたが定着をしておると判断をして、そのように指導要領にお書きになった、そのこと自体、国民を拘束する法的拘束力はありますか。あるいは教育そのものを規制する拘束力は法的にありますか。
  433. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 一般的に申し上げまして、学習指導要領というものは、御承知のように、教育課程の基準として文部大臣が公示するものでございます。  それから、ただいま私が申し上げましたことも、今年度の指導要領において初めてこれが国歌だと、こう書いたのではなくって、申しましたように、明治以来、国民の皆さんの間に認識が定着しておったということ、また四十九年十一月の総理府の世論調査におきましても七七%の国民の皆さんが、君が代は国歌としてふさわしいと意思表示をされたこと、また歴代文部大臣あるいは政府も国会の委員会等の答弁の中で、政府は日の丸は国旗、君が代は国歌と、こう考えておりますとお答えをしておりますから、それを事実を踏まえて学習指導要領の中に国歌君が代と、こうしたわけでございます。
  434. 橋本敦

    橋本敦君 わかりました。私の質問に答えていない。その事情はわかりました。そう書いたことが法的拘束力を国民に対して持つかと私は質問したでしょう。
  435. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) これは最初にお答えいたしましたが、教育課程の基準として文部大臣が公示をするものでございまして、これは学校教育法施行規則第二十五条においてそのように明らかに書かれてございます。
  436. 橋本敦

    橋本敦君 いま私の質問を指導要領そのものの基準ということの法的意味にあなたは誤解をしてお答えになったんです。だからまともに質問に答えているわけじゃないんです。  もう一つ私が指摘したいのは、この問題は国会でもたびたび論議をされました。そしてあなたも御存じのように、これは総理府の中にある公式制度調査会でも議論をされて結論を得ていないという問題が、君が代の国歌ということの法制化その他の問題について残っています。なおさら、定着したとおっしゃるけれども、国民の認識は、この問題について非常な大きな反対論だってあるんです。あなたも新聞で御存じと思いますが、指導要領が出されたころの六月九日のどの新聞の記事を見ても、賛否両論いろいろ載っていますけれども、このときに寄せられた声の特徴として、毎日新聞に寄せられたこういう声の中で「幼少女時代を戦争の下で過ごした三十代から五十代の主婦を中心に、反対の声が多かったのが特徴。」だと書いていますよ。必ずしも定着したとは——定着したと文部大臣あなた自身がそうお考えになって、これを国歌という文字で記載していいという状況にはないと思う。戦争で夫を失ったある主婦は、この悲しい歌を私は口が裂けても歌いとうないのだとこの投書の中で言っていますよ。天皇制国家への逆戻りが心配だという声もありますよ。私はこれは大変大事な問題だと思うから指摘をするんです。  そこで、文部大臣に聞きますが、君が代を国歌というように指導要領に書くようにするということは、平素から子供たちに君が代が国歌であると教えるその目的は、一朝有事、戦争の際に備えて教育上必要だというお考えにあなたは賛成ですか。
  437. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 国に国旗があり国歌があるということは、私は直ちに一朝有事、戦争ということとは絶対に結びつけて考えておりません。むしろ逆に、日本人としての自覚を持ち、国を愛し、社会に貢献をする、国際社会においてはやっぱり国際協調の精神を高めていかなきゃならぬということは、皆さんお認めになることで、自分の国の国旗や国歌を大切にし尊重するということは、相手の国の国旗や国歌も尊重することであって、それは世界の平和につながる考え方である、私はこう解釈をしたいと思います。
  438. 橋本敦

    橋本敦君 私は、文部大臣とこの問題でいまの解釈論争をしようと思うつもりで聞いたのではない。実はいま私が指摘したような考え方を持っている閣僚がいらっしゃるということですよ。ここに国会図書館から借り出した「国防」という雑誌がありますが、この「国防」という雑誌、これは八月号ですが、この中で三原防衛庁長官は重大なことをおっしゃっている。長官はこう言っておられるんですよ。「どの法律、どの教育指針をみても、国旗や国歌のことが取り上げられていないし、それが取り上げられなくても平和が続いていて非常に結構なことだとは思いますが、やはり有事を考えると、平素から教育の場でそれらを教えることは必要なので、ひとつ教育指導要領に入れられないだろうか、ということを申し上げたわけです。」——いいですか、三原長官は、はっきりと有事のことを考えたら平素教育の場で君が代は国歌だと教えることが、指導要領の中に入れて教えることが必要だと、こういう考えで指導要領に取り上げられるようにと、こう言ったんだと、こうはっきりおっしゃっているんですよ。長官、そういう事実、だれにそのような話を申し上げられたんですか。
  439. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) お答え申し上げます。  私は、指導要領に関する意見の交換をいたしました際に、いまそこに書いてあるようなことを申し上げました。それが書いてあると思います。私自身も、明確に平和憲法下における平和日本の建設、そういう立場で日本の国を守り、独立を守っていく、そして日本の国家の安全のために防衛を担当するものとして私は考えたのでございます。戦争を連想したり、あるいは旧憲法時代を連想してそういうことを申し上げたわけではございません。明確にそのことは前後をお読みいただきますれば明確になっておると思うのでございます。申し上げたのは、その意見を交換した際に申し上げたのでございます。
  440. 橋本敦

    橋本敦君 私は、いまの長官のお話にもかかわらず、明白に有事のことを考えて云々とおっしゃている問題は重大だということを指摘せざるを得ません。もし、文部省が指導要領に国歌を君が代と、こういって書かれたことの裏に、長官のこの考え方とこの言動が大きな動機になっているなら、私は昔で言うなら、軍部の教育介入という危険を感じるからあえて申し上げるんです。あなたが教育指導要領についてこう言っていると、はっきり言っているわけですからね。  さらに、私は長官に聞きますが、米軍の韓国からの撤退、そういうことの中で、日米防衛協力体制、この問題が論議をされている。それと時を同じくして、あなたは防衛庁内部で有事に備えた立法研究をするようにという指示をされたということですが、具体的にどういう指示をされたのか、その作業、進行状態はどうなっているか、明らかにしていただきたいのです。
  441. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。  私は、八月の十日ごろだと思うのでございますが、参議院においての御質問があって、私どもの内局幹部との勉強会をいたした席上で申し上げたのでございます。先ほど私も申し上げましたように、自衛隊の任務というのは国の平和と独立を守り、国の安全を守る任務を持っているわけでございまして、したがって有事の際にはそうした立場から任務の遂行をいたさねばならぬのでございます。したがって、その有事のことをいろいろ考えてまいりますれば、種々な事態が想定できるわけでございます。そういう際にどうしたことをわれわれは準備をしておかねばならぬか、法制的に見てそういうものの必要性があるのかというようなことを私は申し上げたのでございます。したがって、その際に、いまお尋ねの問題として、どういうことを具体的に考えておるかというようなことがあったと思いますが、私といたしましてはその内容については指示をいたしておりません。というのは、その際にも私は幹部諸君に申し上げたのでございまするが、三矢問題というのが国会でございました。もう十二、三年になると思いまするけれども、その際に問題になりましたのは、シビリアンコントロールをやらねばなりません防衛庁長官自体が、そういうことを指示をしたというようなことではなかったのではないかということが問題になったのでございまするので、私は、この問題は有事の際のそうした立法的な勉強をするということは大きな国の政治の問題であり、政策の問題である。したがって、私自身が長官として君たちに勉強をしておいてくれということをここで要請をするけれども、しかし具体的な指示については、総理初め、国防会議なり政府の政策として決定をした時点で私は指示をする。その具体的な内容等についても指示をする場合があるが、とりあえずはそういうことで尋ねられた場合に、具体的に整理もしてない、準備もしてないということではいかぬから、担当者において勉強をするようにということを指示したところでございます。
  442. 内藤功

    内藤功君 関連。
  443. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 関連質問を許します。内藤功君。
  444. 内藤功

    内藤功君 いまの有事立法の点ですが、防衛庁長官にお伺いいたします。  私は、いまの御答弁では単に勉強を指示したと言うんですけれども、長官の御指示というのはやはり立法を目指しての勉強の指示だと、こう解釈をせざるを得ないんです。私は、有事立法というのは、防衛庁なり自衛隊の部隊の指揮官が国民のいろんな自由ですね、財産、営業、これに侵害を加える内容のものでありますから、これはもうきわめて重大な国の将来にかかわる問題だと思うのです。私はいま二つの事実を指摘したいんです、時間がありませんから。  一つは、アメリカ側がいま非常に日本の非常事態立法というものを要求しているという、こういう点なんです。ここに私が持ってきましたのは、六月にスタンフォード研究所のシンポジウムで、元在韓米軍司令官のR・E・スティルウエル将軍が報告しておる「東北アジアにおける挑戦と対応」という——挑戦というのはチャレンジですね。「挑戦と対応」という報告書ですが、この中にこう書いてある。「八年後の日本軍隊における主要な変化は質的なもので、国防の責任と権限を明確化し動員の体制を予定した法制が確立」すると、こう書いてある。「動員の体制を予定した法制」、まさに有事立法ですね。これはもうアメリカが八年間の年限内に日本の自衛隊にこれをつくることを要求している。これがアメリカのやはり大きな期待であり要請じゃないか。こういう背景を抜きにして、一般論でおっしゃるのは納得できない。  もう一点は、部内の制服組の中には、いまあなたもおっしゃったように、三矢研究、いまから十四年前の朝鮮戦争を想定した制服組の研究がありますが、この研究では、百ぐらいの法律を予定して、全部太平洋戦争中の総動員法制をまねしたものをつくっているんですね。それは十四年前のことだけじゃない。ここに私持ってきた「日本の防衛戦略」という本がありますが、ここで自衛隊の元幕僚長のおえら方がみんな三矢作戦研究のような、ああいう非常事態立法をつくらなくちゃいけないということを公言しております。私は、この二点、アメリカ側からの要請、そして部内の旧軍人を含めた制服からの要請というもので、いままで十何年間つくっていなかったそういう非常事態立法をいまつくろうとしている、こういう背景があると思うんですよ。私は率直にそういうものだということを国民の前にやはり明らかにして、そして、こういう事態は単純に法律を一つ研究すればいいという事態じゃないということを私はあなたに申し上げたい。私たちのこういう疑惑に対してどうお答えになりますか。時間がありませんので、私の関連質問はこれで終わりますが、防衛庁長官と、続いて総理にお伺いしたいと思うのです、大事な問題ですから。
  445. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 私の勉強を指示をいたしましたことがアメリカの要請ではないかということでございます。そういうことではございません。アメリカは、日本の防衛については——それはスタンフォードの民間の研究機関の発表でございまして、それらをとらえて云々されましても、私は現実防衛庁長官として事実を申し上げておるのでございまして、私は渡米をいたしました際にも明確に申し上げましたが、日本は、国防の基本方針なり、あるいは防衛計画大綱というのを皆さん方にもお配りいたしておりますが、立てておるわけでございます。それの整備をするということを着実に計画的に、自主的に実施をいたしておるのでございます。アメリカの要請に基づいてそういうことをやっておるわけではございません。この問題にいたしましても、私は先ほどお答えを申し上げましたように、大きな政治問題であり、政策の問題である。したがって、防衛庁長官だけが有事立法を云々すべきではない。それから、かつての三矢問題のときに、長官が十分に知られなくして一部で研究したというところに問題がある。あくまでもやはり徹底して長官自身が指示をする時期は指示をいたしたい。しかし、この問題は一省にかかわる問題ではない、他省庁にかかわる問題でもあるので、そういう点を政府としての御方針を決めていただいた時点において私は明確な指示をするけれども、勉強だけはしておいてほしいということを申し上げたのでございます。そういうことでございまするので、いまお尋ねの米側の要請ではないか、そうではありませんということを私は申し上げておるのでございます。  それからユニホーム自体に云々ということでございまするが、いままで五十年、私もずっと以前からしておりますが、四十五年ごろからしばらく中絶をいたしております。そして五十年にまた坂田長官のときに、この点について、どうだ、勉強はやはりしておかねばならぬぞというようなお話もあってやっておりまするから、経過的に見ましても、おのおのがその担当分野において勉強をやってきておるであろうと思うのでございまするけれども、しかし、これが外部に出たり、個人で研究したことが出ると、いま申されましたように、大きな政治問題になるので、私が明確に指示をする時点においてそれからスタートをせよということをその際に明確に私は申し上げておるのでございます。そういう点については誤解のないように御了承を、御理解を願いたいと思うのでございます。
  446. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 自衛隊はこの有事の際に備えて営々と努力をしておる、そういう性格のものであります。その有事の際にどういう任務を遂行するか、それを常日ごろ研究しておかなきゃならぬことは、これは当然であります。防衛庁長官の指揮のもとにさような勉強をする、これは好ましいことである、かように考えております。
  447. 内藤功

    内藤功君 アメリカの要請の点はどうですか。
  448. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが日本は独立国でありますから、アメリカの指図で防衛に限らず何事であろうと動くと、さようなことは考えておりませんです。
  449. 橋本敦

    橋本敦君 いまの総理答弁でも、とうてい私は納得のできない現実の事実があるのです。ファントム、いかがですか。ファントムの捜査、いかがですか。日本の知らない間にアメリカにニンジンを持っていかれる。日本の子供たちが死んだ、その事故の調査でも、あなたは独立の日本だ、対等のアメリカとの関係だといつもおっしゃるが、あの事実を見ても、日米安保体制下においていかにあなたのおっしゃるその日本の自主性、そういった問題が疑わしいか、あの事実で明らかでありませんか。そういう観点で私たちはいまの問題を提起しておるのです。時間がありませんから、私は、次に国民生活の問題に質問を移さしていただきます。  私は、最近大きな問題になってきておりますプール制家賃問題に関連をして、公団総裁その他にお伺いをいたしますが、これを私が質問する立場は、全国にたくさんある公団の一斉賃料値上げという問題は、公団に住んでいらっしゃる皆さんに大きな負担になるだけではなくて、一般の家賃にもはね返るでしょうし、いま物価高で困っている国民の全体の利益にも重大な影響を及ぼしかねない、そういう問題だからお伺いをするわけであります。  まず公団総裁に伺いますが、ことしの八月二十四日に公団の住宅問題対策委員会において今後の課題を検討された中で、今後はプール制家賃方式を取り入れ、そして古い家賃の定期的見直しも行う、こういったことをはっきり示しているわけですが、このプール制家賃方式というのは具体的にどのようにやろうというお考えなのか。実際、具体的には、いま約四十万戸に上る四十七年以前の住宅について、平均五千円の値上げが来年七月を期してやられようとしていると新聞などは報じておりますが、事実はどうなのか、総裁の方から御説明をお願いしたいと思います。
  450. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 公団賃貸住宅の家賃の値上げにつきまして問題になっておるわけでありますけれども、これをプールと申すのがいいのかどうか、私いま勉強中でございまするが、家賃を見直すに至りました経緯をこの際若干申し上げて、それからその内容を申し上げたいと存じますが、公団住宅の家賃は、御承知のように、空き家家賃として新たにまた入りかえた方々の場合は是正されておりますが、それを除きまして、入居時の家賃を一切改定することなく今日に及んでおるわけでございます。何回か改定の機運があったようでありますが、実現しなかったのであります。その結果、新旧住宅相互間におきまする家賃に著しい不均衡が生じておるのでございます。たとえば昭和五十一年度管理開始いたしました住宅については、国から毎月一戸当たり二万四千円の援助を受けておるのであります。入居者の方々の家賃負担の軽減をこれで図っておるわけでありますけれども、それでも昭和三十一年度に供給されました住宅の平均家賃に対しまして昭和五十一年度の平均家賃は八・八倍、同じく平均原価家賃では十四倍を超えておるという状況でございます。このようにして、建設年度の古い住宅に必要な維持管理費すら問題になってきておる状況でございます。また、建設年度の古い住宅の入居者の方々の家賃負担率、これは私ども住宅供給いたします場合に、収入に対してどの程度の負担率がいいかということをいろいろ検討するのでありますが、大体一六%前後というのが標準でございます。一般的にこれが所得上昇に伴いまして著しく低下いたしまして、二%にも満たないというようなものも出てきておる状況でございます。一方、御承知の公営住宅につきましては、近年、逐次家賃が改定されておりまして、その結果、本来は所得の少ない方々を対象とする公営住宅の家賃が公団住宅の家賃よりも高くなっておると、公団住宅の家賃が安いというような不合理も生じておるのであります。こういうような実態を見まして、建設大臣の諮問機関であります住宅宅地審議会からも、新旧住宅相互間の家賃の不均衡を改め、社会的不公正の是正に努めるべきであると指摘されておるのでございます。こういうことを考えまして、公団といたしましては、私どもの政策的に供給する住宅が国家資金によりまして多大の公的援助を受けておるということも十分考えまして、新旧住宅相互間の家賃の不均衡あるいは差別、これを是正する必要があると、そしてその増収額を必要な維持管理費あるいは家賃の抑制、こういう必要な経費に緊要度に応じて充当していく必要があると考えた次第でございまして、なお、念のためでございますが、賃貸住宅相互間の家賃の不均衡が生じたというときには、入居者の方々との間に取り交わされている契約書によりまして家賃改定ができるということになっておる次第でございます。  それでは、どういうような内容の改定を実施する方針かということでございますが、これは予算との関連におきましていろいろまだ検討中のものでもありますけれども、入居開始後五年を経過した昭和四十七年度以前の供給住宅、これは先ほど先生御指摘のように約四十三万戸ございます。ただ、そのうち三万戸は途中で入れかわりまして家賃が改定されております。大体四十万戸が対象ではないか。それに対しまして現在公営住宅の家賃改定に際して用いられておりますところのいわゆる公営限度額方式に準じまして昭和五十三年七月をめどに家賃の見直しを行いたい、こういう考えでございまして、ただ、その場合でも、これは家賃の改定というのは居住者の方々にきわめて重大な関係がございますので、急激に変化をするというようなことは当然避けなければならない。その緩和を十分考えましてこの公営限度額方式ではじきましたものの半分を引き上げる、そこにとどめたいと考えておるわけでございます。また、これも予算の問題でありますが、家賃改定に際しましては環境整備を行うために国からの援助を新たにお願いをいたしておるのでございます。  以上が私どもの考えております必要性とその内容でございますので、何とぞよろしく御理解を願いたいと存じます。
  451. 橋本敦

    橋本敦君 いま御説明がありましたが、結局、プール制という形でお考えになっているということは、不均衡是正という言い方をはさろうが、ともかくこれは大体そういうことは間違いないようですね。  そこで、伺いますが、いまの御説明の中にあった家賃増収分は補修とそれから家賃高騰の抑制に使うと、こういうお話ですが、具体的にこの四十万戸の値上げによってどれぐらい分の増収を見込んでおられて、どれほどを補修に回し、幾らぐらいを抑制——抑制と言えば、上がることを抑えるということで、下げるということとは私は理解しませんが、そちらに回すという計画なのか、その点はどうなっておりますか。
  452. 澤田悌

    参考人澤田悌君) ただいま申し上げましたような内容の計画でございますが、具体的な金額については予算との関連もございます。細かく詰めておりませんけれども、増収は大体平年度で二百億円見当かなという感じを私は持っておる次第でございます。
  453. 橋本敦

    橋本敦君 どういう振り分けですか。
  454. 澤田悌

    参考人澤田悌君) その充当先もまだ詰めをいろいろ検討する段階でございますが、最初はやはりどうしても管理、補修費等に充当される部面が多いのではないか、要するに、一つの企業体でございますから、総収入を支出いたします場合に、その緊要度に応じて配分するのは当然のことでございます。そういう意味におきまして、入居者の方々に負担をかける場合に、まず緊要な補修費に充当する、これにつきましてはさらに政府の方の援助をお願いしておるわけでありまして、これも予算に関しますものでまだはっきりいたしません。そういう政府からの特別援助が実現いたしますと、それを含めて緊要な順序に従って充当してまいりたいと考えておる次第でございます。
  455. 橋本敦

    橋本敦君 まだ全く具体的でないようですが、しかし、重点としては、抑制と補修ということを言えば、補修の方に多く回したいという御意見はわかりました。そうなりますと、抑制にほとんど回らないとなると、高い方の家賃を下げるということには回らないということもはっきりしてきたわけですが、いま、公団として、いわゆる空き家住宅ですね、全国でどのくらい抱えていらっしゃいますか。
  456. 澤田悌

    参考人澤田悌君) いわゆる未入居住宅というものは、この八月現在におきまして約一万七千戸一万六千九百何がしでございます。そのほかに、関連の施設ができないとかいろいろな理由によりまして現実に募集ができないものがございます。大体住居そのものは完成に近いあるいは完成したというもので、これが約一万八千戸になっておるわけでございます。
  457. 橋本敦

    橋本敦君 いまの御答弁でも全国で三万数千のいわゆる空き家がある。これは私はやっぱりいま家賃がきわめて高過ぎるということから入居者が入らないという事情が非常に大きいと思うのですね。そうしますと、不均衡是正と言うけれども、下げるわけじゃありませんから、依然としてこの空き家分ということが公団全体の経理としては減収分としてずうっと続いていって解決されないという一つの問題が解決できないと思うのですね。  それからもう一つ、しきりに強調されましたのがいわゆる不均衡の問題ですが、この不均衡の問題で総裁にちょっと細かいことになりますがお伺いしたいのは、総裁がおっしゃいました収入の中で家賃の負担割合、これが昭和五十一年度で一六・四%というところにまで達しておると、こういうお話ですが、初めの方はきわめて低い。この一六・四%に達しているというのは、これは具体的な実態調査に基づいて言っておられる数字なのかどうかということになりますと、その点はいかがですか。
  458. 澤田悌

    参考人澤田悌君) いまのことで先生にちょっと伺いますが、一六・四%というのは、先ほどの収入に対する負担率の問題でございますか。
  459. 橋本敦

    橋本敦君 そうです。
  460. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 大体二八%前後を私ども標準といたしております。これは実際計算いたしてみましてもそのような見当になっております。これがふえないように、最近の新しい供給の住宅についてはそれがふえないように非常に努力をしております。ところが、古いものはだんだんと所得が増加しますので、負担率が極端に下がる、こういう意味を申し上げたわけでございます。
  461. 橋本敦

    橋本敦君 そこで、総裁に私がお聞きしたいことが二点ございますが、まず第一点は、たとえば古い昭和三十一年の入居の分について平均家賃は四千六百円ですが、その当時の総理府統計局その他の資料による収入基準からいきますと、その当時としてはどれくらいの負担率になっておったですか。
  462. 澤田悌

    参考人澤田悌君) この負担率につきましては当初からやはり気をつけておった点でございまして、大体似たり寄ったりのところ、一七%見当であったと存じております。
  463. 橋本敦

    橋本敦君 私の計算でもそうなんですが、ですから、一七%、つまりいまより高い負担を古く入った人はその当時これをがまんをして入った。つまり、当時としてはほんとに収入から見てぎりぎりの高いと思う家賃を一生懸命払ってきたと、こういうことなんですよ。そして今日までいわゆる償還計画に基づいて算出された賃料というのをきちんと払ってきておられる。それがいまの経済変動で格差が生じたということですが、こういう実態をのけて、単に負担率だけを形式的に比較をするというのは、これは問題がありませんか。  それからさらに今度は現在の公団と古い建物とをひとつ一平米当たりの家賃ということで割って比較すると、その格差はどのくらいになっておりますか。
  464. 澤田悌

    参考人澤田悌君) どうも数字にわたりますのでちょっとおくれて恐縮でございますが、三十一年に比較いたしまして五十二、三年のところを見ますと、六倍見当……
  465. 橋本敦

    橋本敦君 六倍弱。
  466. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 六倍弱でございますね、になっておると思います。
  467. 橋本敦

    橋本敦君 だから、したがって、十数倍の格差が生じているということじゃなくて、一平米当たりの賃料ということで見ると、私のこの資料では五・七六倍という格差にしかすぎないわけですね。私も団地調査も行いましたけれども、古いところへ行ってみますと、その当時高い賃料をしんぼうして払ってこられた皆さんですが、だんだん古くなりまして、総裁も御存じのように、老朽化しております。老朽化だけじゃなくて、家族構成もふえて、狭い中で本当に苦労して暮らしていらっしゃる。そして、それだけじゃなくて、周囲の環境、団地内環境が変化をいたしまして、初めに入ったときのような緑の多い、快適な住居環境というのが失われてきている。だから、そういう老朽化の問題、当時の賃料負担が一七%にも達していたのをしんぼうして払ってこられたという問題や、一平米当たりが六倍弱の格差にしかすぎないということを考えますと、格差問題というのは慎重に考慮しなければ、単に数字的、形式的比較だけでは住民の感情にも合いませんし、実態にも反する。こういう意味で、格差というのは、公団が数字だけでおっしゃるような大きな格差とだけ見てはならぬと私は思うのですが、慎重な判断を要するという点について、総裁、どうお考えでしょう。
  468. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 入居者の方々に二十年間全然変えてこなかった家賃を上げるという問題でございますが、先生のおっしゃる気持ちは全く同感でございます。それなりに私どもは慎重に検討をいたしておるのでありまして、古さ、古くなっておるということも十分考え、それからいま申し上げたような気持ちも十分取り入れまして、その引き上げ方、引き上げる額をできるだけ妥当なものにしたいといま鋭意努力をいたしておるところでございまして、何せ先ほど申しましたように非常な公的援助のもとに行います特殊な供給住宅でございます。これが一般国民の住宅等々、これは二、三年ごとに改定されているのが普通のようでありますが、それに比較しましても格差が開き過ぎるおそれもありますし、公団住宅の相互の間においても先ほど申し上げたような不均衡が起こってくる。これを幾分でも是正してまいりたいというのが真意でございます。
  469. 橋本敦

    橋本敦君 まあ慎重に検討するということはいいんですが、いまおっしゃった一般住宅ということとの関係で社会的問題があるというようなお話ですが、これはやっぱり公団住宅が低所得勤労市民の皆さんを初め本当に働いている勤労市民の皆さんに、よい、安い、住みよい住宅をどんどんこれからも供給していくということが任務なんで、そういう意味ではそういうことをどんどんこれからやっていくことを通じて切実な住宅要求を解決していくという、そのことが私は大事だと思いますよ。  そこで、こういう値上げは慎重に考える、幅を考えるとおっしゃいますが、私は値上げ自体合理的な理由がないということをひとつ申し上げたいのですがね。二つの点から私は申し上げたいんです。たとえば、総裁が家主さんだとして、古いアパートを持っていらっしゃるとしますね。古いアパートですから、古くなって安い賃料でずうっと入っていらっしゃる。今度新しくアパートをお建てになった。ところが、列島改造だ、土地騰貴だ、インフレだということで、土地も高いし、建設資材、建築費も高いものですから、家賃がどうしても高くなる。そうすると、そこへ人が入ってくれないから家賃収入が入らない。金利を払わなくちゃならぬ。そこで、古く住んでいる人たちのところへ行って、済まぬけれども協力してくれぬかと。今度建てた家になかなか入ってくれぬ、家賃が高いんだ、抑制しなくちゃならぬ、済まぬけれどもあなたたち賃料を上げて協力してくれぬかと、こう言えるだろうか。私はプール制というのはそういうものだと思うんです。そういう理由で賃料の値上げをやれば、これは私は正当理由とはとうてい裁判所も判断しないだろうと思うんですよ。こういうことをプール制がやろうとしているのじゃないか。それは私は道理が通らぬと思うのですが、この考えはいかがでしょうか。
  470. 澤田悌

    参考人澤田悌君) プール制というのが、先ほど申しましたように私もまだ勉強中でございますが、どうもとかく誤解を生んでいる面もあるのではないかという感じがいたします。何かこちらの人の家賃を取ってこちらの人の家賃を減らすのに直接結びつけて使うといったような感じに受けとられておる。これは一般人のお考えとしてはあるいは御無理もない点があるのですが、どうもそういうふうな誤解を受けるような感じでございます。これは先ほどもちょっと申しましたように、一つの企業体としては総収入をどれに使うということじゃなしに、緊要度に応じて考える問題でございますので、プール制という場合に、そこのところの誤解のないように、調和を考えた施策が必要なんじゃないかと思っておるわけでございますが、先ほども申しましたように、一般論としましては、公的な施策によって供給する住宅でございますから、その家賃が一般市民の家賃より安くて私は結構だと思うのです。ただ、それがいかにも開き過ぎるというのでは問題が起こる。したがいまして、空き家が起こりましたときにそこに入っていただく場合には、従来の家賃より高くして入っていただいているわけです。そういうことも一般との均衡の問題でございます。それと、従来からおります人の家賃ということの均衡もまた問題でございまして、そういったいろいろな意味におきまして無理のない家賃の値上げということは、これはぜひ一般の皆さんの御理解を得て実現いたしたい、こういうふうに考えているような次第でございます。
  471. 橋本敦

    橋本敦君 いまの御説明を聞いても、結局、総収入、総経費ということですから、あなたがプール制は誤解だとおっしゃるが、プール制になるというそういう可能性の歯どめはないですね、これはこれから検討するとおっしゃるのですけれども。  それで、もう一つの問題は、今日、こういう公団政策というものが膨大な空き家という問題に一つの破綻現象を示しておりますが、さらに遊休土地という大きな破綻現象もあると思いますね。一体、いま公団は全国でどれくらいの遊休土地を抱えていらっしゃいますか。
  472. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 宅地に関する土地とそれから住宅に関する土地と両方ございますが、五十年度の会計検査院の決算報告におきまして指摘されました長期間使用できないと見込まれる用地というのを住宅建設部門で見ますと、十四地区、約五百六十六ヘクタールございます。それから宅地開発部門では、八地区、約千二十三ヘクタール、合計で約千六百ヘクタールということになっておるわけでございます。
  473. 橋本敦

    橋本敦君 千六百ヘクタールといいますと、ちょっと計算してみましても、あの有名な後楽園野球場の約一千倍を超える広大な土地なんですね。こういう広大な土地が抱えられたまま長期に遊ばされていて、そして投下資金というのは利息支払いその他で公団経営を圧迫している。この二つの膨大な空き家、ゴーストタウンになりかねない状況だとか、こういう大変な長期保有地を抱えているというところに、これはやっぱり公団対策としての重大な破綻現象があるのですが、こういうことはもちろん古くから入っていらっしゃる入居者の皆さんに責任があるわけじゃないですね。責任がないどころか、この責任を負わなきゃならないのは、言ってみれば総裁以下九十数万と一カ月の給与があるようですが、入居者から見れば大変な夢のような額ですけれども、そういう皆さんがほんとは責任を負わなくちゃならぬ。だから、こういう問題は、この家賃値上げという問題以前に、まずそれを白紙に戻して、公団の今後の経営改善なり施策をどうやっていくかということを徹底的にやっぱり検討する必要があるのじゃないか。そういう検討をやって、それが住民の皆さんとの民主的な話し合いの中で、具体的に言えば、全国自治会協議会、それぞれの地区の協議会、そういったところで話し合い、これを民主的にお進めになる、私は公団はそういう姿勢で臨まれる必要があると思いますが、総裁のお考えはいかがでしょう。
  474. 澤田悌

    参考人澤田悌君) この家賃の問題は、先ほど申しましたように、二十年来改定されていないのでありまして、まあその改定の努力はしておったようでありますが実現しなかった。それがここへきてこの不況下にほかの未入居住宅あるいはいまの未利用土地問題が起こったときに一挙に出てきたというところに私はこの家賃問題を一層複雑にしておるという気がいたします。先生のおっしゃるお気持ちはよくわかるのでありますが、家賃問題とは切り離してこの未入居住宅の問題や土地問題は全力を挙げて解決しなければならぬなということで努力をいたしておるのでありまして、建設省の公団住宅対策特別委員会の案に対応して私どもも応急対策とそれから恒久対策、二本立ての姿勢をもっていま全力を挙げてそれに向かっておるわけでございます。その内容を申し上げてもよろしゅうございますが、そういう努力をいたしておるのでありまして、これと家賃問題をいきなり結びつけますと、こっちでこういうことをやっていて家賃値上げするのかという問題になりますと、はなはだ問題が気持ちの上で割り切れなくなる。そうじゃなくて、家賃は家賃で合理的な値上げをする必要な時期にどうしても来ておるというのが私の気持ちでございますので、これについてはあらゆる資料を提供し、一般の御理解をいただき、そうして実現いたしたいというのが真意でございます。
  475. 橋本敦

    橋本敦君 いま総裁がおっしゃったように、これを切り離してやるとおっしゃるのですが、それじゃなかなか住民の皆さんの気持ちに沿わないというそういう問題があることをあなたもいま答弁でお認めになったところなんですね。そこが大事なんですよね、総裁ね。これは法律で一方的に家賃を国家の権限で取るという問題じゃなくて、公団住宅だけれどもやっぱり住民の納得が要る、合理的な話し合いが要る、この基本原則が大事ですよ。  いまお触れになりませんでしたけれども、もう一つ、公団が抱えている大きな問題は、道路や公園、下水道、こういった関連公共施設、これの建設資金が公団の中で家賃ということで家賃に組み込まれていくという部門がかなり多く出ているのですね。あなたは、政府からの一戸当たりの補助金は五十一年度で二万四千百円に達していると、こうおっしゃいますが、政府がやるべきことをやらない、つまり、道路、公園、下水道、住宅環境整備、都市づくり、本来国がやっていいことをやらないために家賃の中に組み込まれている金額は一体どれくらいか、まずそこのところを伺わしてほしいんですよ、国の補助がこうだと言う前に。本来国がやってもいいところをやらないために家賃に入っているのはどれくらいあるのか、これはいかがでしょう。
  476. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 御質問の御趣旨は、いわゆる関連公共公益施設の整備に関する負担ということであろうと存じますので申し上げますが、昭和五十年度それから五十一年度に発注いたしました一般買収の団地系住宅の場合でございますけれども、一戸当たりおおむね百三十七万円、そういった関連の費用を負担しているということになります。これは大体原価家賃に換算しますと一戸当たり八千二百円ぐらいになろうかと存じます。
  477. 橋本敦

    橋本敦君 だから、したがって、いまの平均で八千二百円という、家賃の中にかなりのそういう問題が含まれていることはわかるのですが、ジュリストの七号を見ますと、公団の関係者の池田亮二さんが論文を書いていらっしゃいますが、これでは一戸当たり四百二十七万、家賃算入が二万六千円にもなっておるという、こういう大きな例もあるという指摘もありますね。だから、平均で八千円とおっしゃるが、家賃の中に二万六千円もいわゆる公共関連事業費の負担部分が入っているところもある。これをまず解決するということが、一つは国に対する公団との関係でも、住民と国に対する関係でも必要なんですね。で、そういう点について、公団総裁としては国に対してこの問題の改善を要求するというお考えはありませんか。
  478. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 非常に高い負担の例をいまお示しになりましたが、私どもの方でも大体中層賃貸住宅の原価家賃では約六万四千円ぐらいのものの一七%ぐらいに当たるような高いものもございます。ですから、こういうものについてはどうしてもやはり全体を考えまして関連公共公益施設の負担金、これを緩和していただく、こういうことを鋭意建設省とともにお願いをしておるわけでございます。今度のいわゆる関公負担のためにも、予算要求の中にこれを入れて、どのぐらい実現するかわかりませんが、要求をしているような次第でございます。
  479. 橋本敦

    橋本敦君 建設大臣、いかがお考えですか。いまあらわれたような平均七、八千円、それから大きなところでは二万数千円、これが全部というのはなかなか予算上大変ですが、ここのところの負担を国の立場で思い切ってやりますと、家賃が一カ月に八千円ないし一万数千円、大きなところで二万円下がるというそのことも計算上可能なんですね。建設省として、その点、建設大臣、お考えはいかがでしょう。
  480. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) ただいまの公団からの御答弁も御承知のとおりで、ただ、お住まいになっている方々が、あなたのお話しのように、もう二十有余年たってきて、非常に家も傷んできている、といってこれを修繕しなければならない。まただんだんと嗜好も変わってきている点がある。そういう点を踏まえて修理をしていこうじゃないかと。それには国の方も金を出そうじゃないかと。大体、いまお話があったように、五十一年度平均してみて国の方も二万四千百円を負担しているわけでございますから、それとあわせて、つまり合理的な考え方を持ってやろうじゃないか、これからは皆さんの方も御協力してくれないか、国も金を出そうじゃないか、そういうように考えて今度の措置を行っていこうと、こういうことなんでございまして、私はこれはプール制とは言えないのじゃないだろうか。あなた方にも無理にそれを上げてもらうということになるんだから、国の方も負担をしようじゃないか、あなた方も少し負担してくれないか、そしてもう古くなった家を修理しながらあなた方の住みよい家をつくっていこうじゃないかと、こういうことなんですから、私はそれに対しては別に——そのかわり、先にもお話があったように、住民の方々と相談をしないんじゃないかというようなことじゃなくて、十分相談もしなければなりませんし、またよく私たちどものところにたくさんの陳情団も来ておりますので、十分私はこれを納得してもらうことができ得ると、こういうふうに考えておるのでございます。  それからいま公共公益施設のというこういう面からいくと、管理者が負担することが原則にはなっておるわけでございますけれども、いままでの経路を見ましても、私が行ってからというものは公団だけに負担をかけるということはいかぬ、なるべく国の方で見べきものは見なけりゃいけない、したがって、下水道とか道路とかいう直接関連のある面についてはかなりの費用をかけてこれに償いをしていると、こういうふうに私はやっているつもりでございます。
  481. 橋本敦

    橋本敦君 建設大臣も総裁もどういうわけか、国の補助額というのが五十一年度二万四千百円、こればっかりおっしゃるのですが、一番高いところばっかりおっしゃっているんです。資料によりますと、それ以前の家屋については、昭和三十一年度から三十五年度、これは補助額は資料でわずか千八百円です。四十年——四十五年は三千三百円、五十年になって二万円、五十一年で一番高い二万四千百円になっている。前の古い軽い負担は全然おっしゃらない。だから、これを逆に言いますと、五千円値上げしますと、古いわずか千八百円しか負担していない家屋については計算上は国の負担はゼロになってまだおつりが公団のところに入っていくと、こういう関係になっちゃうんですよ。そして五十二年度本年度はどうかというと、二万四千百円から一万六千円に下がっておりますわね。時間がありませんから一々この資料を確認しませんが、これは建設省からの資料ですから間違いないですよね。ですから、いま私が言っているように一番高い負担だけを問題にしておっしゃるというのは、これは道理が通りませんよ。さらに五十二年度に下がったというのは、これはいわゆる金利引き下げという影響があるのじゃないかと私は思いますが、この下がった理由はそうでしょうね。
  482. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) まだ五十二年のトータルは出ておりませんので、ごく最近のを取るということが当然のことでありますから昨年の統計を取っておるわけでございまして、また本年度はおっしゃるように金利は下がっておりますから、五十二年度は幾分か下がっているだろうというふうに考えております。
  483. 橋本敦

    橋本敦君 金利が下がってそして国の負担金も減る。入居者国民の方は、何度も国会で問題になりますが、預金金利が下がって預金の目減りがふえて損害を受けざるを得ない。公団が預金金利で国の方の利子補給金の負担が減るというようなことを、何とか住居していらっしゃる住民や今後入られる方に還元できないか。これは私は積極的に検討を要する課題だと思いますが、総裁、いかがですか。
  484. 澤田悌

    参考人澤田悌君) 極力そういう方向で努力をいたすつもりでございまして、できるだけ住居者のためになることが私どもの使命でありますから、政府にもいろいろお願いをしたいと思っております。
  485. 橋本敦

    橋本敦君 結局のところ、いろいろ複雑な重要な問題があるわけで、私は本当にこの際公団総裁にプール制というような方式を白紙撤回をして、公団自体の体制の再検討と国の補助額の増大、これを思い切ってやっぱり住民の皆さんの利益のためにやるべきだ。たとえば家賃算入の改修コストを一%下げますと、九千三百円家賃が下げられる。これはもう何度も答弁なさっているとおりですよね。だから、これはやっぱり国が思い切ってやるならばできる問題なんですね。だから、いまの不均衡ということだけを理由にして一斉に家賃が値上がりになっていき、何年ごとかにまた家賃が値上がるということに道を開くという問題は、私は国の住宅政策としていまの物価高なりインフレなり、そして一方では金利を下げていくという情勢にあるときには、これはやっぱり再検討するという姿勢に立ってもらいたい。  まあ時間がありませんからこの問題はこの程度にしておきますが、公団総裁に、いまあなたがおっしゃった補修というような問題についても、どこをどのように、補修をしてほしいか、住民の要求は渦巻いておりますから、公団自治協の皆さんとよく話し合いをして補修問題も解決していってもらいたい、こういうことを要望して、この問題についての私の質問を終わりたいと思います。
  486. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 澤田参考人は退席していいですか。
  487. 橋本敦

    橋本敦君 ええ、時間がございませんので。
  488. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 澤田参考人には、大変御多忙のところ委員会に御出席いただき、ありがとうございました。御退席願って結構でございます。  なお、時間が来ておりますから、日銀総裁に……。
  489. 橋本敦

    橋本敦君 日銀総裁も結構です。
  490. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 日銀総裁にもせっかくおいでいただきましたけれども、質問がないそうでございますから、御退席いただいて結構です。まことにありがとうございました。
  491. 橋本敦

    橋本敦君 最後に、総理に小中企業問題について一言お伺いをして、その他経済問題を聞きたいのですが、時間がありませんので終わりますが、もうあと二カ月で年末を迎える。ところが、商工リサーチ統計その他によりましても、依然として中小企業倒産は続いている。円高の中で輸出関連産業の中小企業の危機も非常に深刻になっている。これは何とか年末を控えて政府がやらなくちゃならぬ対策の一つだと思いますが、総理は所信表明演説で中小企業の苦労は私はよくわかるとおっしゃっる。本当にわかるんなら、私はいま政府が考えている先の先の話の共済保険制度というようなものじゃなしに、現実に間に合ういわば馳け込み緊急融資を、革新自治体が苦労してつくっておりますが、国の制度でつくるべきじゃないか。仕事を回すためには、現在ある法律を運用して、大企業の中小企業分野への進出その他をやっぱり政府が責任を持って規制して、仕事を回すとか、厳格な運用で指導していかなくちゃならぬじゃないか、こう考えておるのですが、この問題について、総理の、もう十二月を前にしたそういう苦しみを踏まえた対策としての答弁を伺って、質問を終わりたいと思います。
  492. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) とにかく四年近く続く低成長でありますから、大企業も相当疲弊しています。まして、お話しの中小企業者の立場、これは非常な深刻な状態だという認識でございます。その認識に立ちましてこれはもうきめ細かな施策をしておるわけです。今度の補正予算でももうこの年末の資金も御審議を煩わすということまでいたし、またかなり充実した施策ももう準備してありますので、できる限りやったといって評価されるようなそういう施策にいたしたいと思います。
  493. 橋本敦

    橋本敦君 ありがとうございました。時間が来ました。(拍手)
  494. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上をもちまして橋本君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  495. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 次に、対馬孝且君質疑を行います。対馬君。
  496. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 まず最初に総理大臣にお伺いいたします。   〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕  総合経済基本政策につきましての考え方につきましてお尋ねします。再三総理から姿勢をお伺いしておりますが、景気対策のおくれの原因は、結果的には、総理の経済見通しの失敗、そして景気診断の誤りによるものではないかと判断するが、いかがでしょうか。
  497. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 景気の見通しは、これはなかなかそう簡単に見通したとおり動くものじゃないんです。ロンドンで主要国首脳会談がありました。その中でも、日米独と注目されますが、ドイツは、五%成長と言ったんですが、それがいま三・五%とか何とか云々されるような状態です。アメリカはどうかと言いますれば、成長の方はいいですが、国際収支上の赤字が百五十億ドルないし二百億ドルだと、こう言っておったのが、二百五十から三百億ドルにもいこうというようなことが予見されるような状態になってくる。わが国の場合にも、国際収支上の黒字幅がこれが多少は縮少するだろうと、こういうふうに予見しておったところ、それがなかなかそうはいかないという問題と、それから成長の方が六・七%というふうに言っておったのですが、これがほうっておけば五・九%ぐらいしかいかぬと、こういう問題もあるんです。そういうことで、そう見通したとおりにはいきませんけれども、問題は、私は、経済の日本全体としての底上げというか発展、これはずうっと続いていると、こういうふうに見ておるんですが、何せ世の中が非常に変わってきた、その影響を受ける業界というものが多発しているわけです。そして、日本企業を分類すると、好況企業とまた不況企業というように分かれるような状態になっておる。その不況産業が構造的要因で非常にむずかしい状態にある。これが私は実態だろうと、こういうふうに思うのです。今度予算案をお願いいたしましたり、それもあるし、金利の引き下げもあるし、また予算外のいろいろな政府の財政金融上の諸施策もありまするし、それで六・七%というか、当初の見通しの成長を実現し、それを背景としてそういう成長の中で構造不況問題を処置していきたいと、こういうふうに考えております。
  498. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いま、結果的には、外国の要因だとか、六・七は何とかなるだろうと言っていますが、ずばりお伺いしますけれども、総合景気対策がこの時点で行われなければならなかったということについての時期判断が適切でなかったのではないか、おくれをとったのではないか、この判断はどうですか。
  499. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 予算を編成いたしましてから、多少景気対策が必要かなという感じがいたしたわけです。それに対処いたしまして公共事業等の繰り上げ執行と、こういうことをやったわけでございます。しかし、どういう状態に一体先々がなっていくかという読みがそう簡単にはいかぬ。それで、八月末の時点でこれからの経済の動きというものを展望いたしまして、そこで総合的な対策をとるとすると、つなぎは公共事業等の前倒しだと、こういう姿勢できたわけでありまして、私は、このやり方というものがそう間違った結果へなっておると、こういうふうには思っておりませんです。
  500. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 福田総理ね、いま国民は、経済はおれに任してくれと再三言っているのだけれども、私らが国民に会うと、さっぱり経済の福田はだめじゃないかと、率直にそういう感じですよ。それはどういうわけかと言うと、いま国民はこう言っていますよ。はっきり申し上げますけれども、いま経営者と会っても産業投資意欲は全くないと。これは経営者に会ってもそう言うですよ、民間企業は、全くないと。それから国民の方も消費意欲が全くないと、お先真っ暗だと。この判断がつかないというのがいまの実態なんですよ。総理は盛んに経済はマクロ的にはいいと、こう言うのだけれども、国民や経営者はそう思っていませんよ。民間企業は、特に中小企業はそう思っていませんよ。この判断について私は率直に国民大衆と総理のやっぱりずれがあるということを総理はお考えになりませんか。
  501. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) もし国民大衆と私どもとの間にずれがあるとすれば、私はいま非常に世の中が深刻な環境に包まれておると、この時代認識、これだろうと、こういうふうに思うんです。私は国民にはぜひ知っていただかなきゃならぬと思う。つまり、もう本当にこれは人類始まって以来の変化の時代なんですから、その中でわれわれは生き延びなければならぬ、そういう立場にあるわれわれであるということをこれはよほど国民の方にも認識していただかなきゃならぬだろう。もう高度成長再びなんと言ったって、これは絶対に来ませんよ。また来させちゃならないんです。そういうようなもともとのわれわれが戦後歩いてきた道なんかを顧みて、またひとつあのような状態をというようなことを考えるという人があって、そして今日の状態をいろいろながめるということになると、これはいろいろな不満も批判も出てくるだろうと思う。基本的な認識が徹底すれば、私はそうわれわれと国民の間の乖離というものはないのではないかと思います。
  502. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 これは、総理、はっきりずれがあるんです、いま総理は答えていますけれどもね。国民は全く経済に対する不信の念が非常に多いです、ずばり言って。これは総理府が出した統計ですが、これを見ますと、はっきり国民の声が出ているんですよ。おたくの暮らし向きは去年とことしと比べてどれだけ楽になっていますか、苦しくなっていますか、同じようなものですかという問いに対して、楽になったというのは三%よりありませんね。苦しくなったというのは四六%あるんですよ。これは国民の声としては明確にもうやっぱり苦しくなったという答えですよ。これは総理府だからね、われわれがつくったのじゃないから、これはひとつはっきりしてもらいたい。  それからもう一つ、はっきり申し上げますけれども、この中にあるのは、いまの生活の中でよくなった面があるかないかという問いに対して、よくなった面はないということについては四十九年以来だんだんふえていって、五十年五月では七七%ですよ、国民は。全くよくなっていないと。だから全治三カ年とおっしゃった福田総理の言葉が国民では全く逆になっている。この点はどうお考えになっていますか。
  503. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) さあ、よくなった、これがけばけばしくよくなったというふうに感ずる人は私は少ないと思いますが、しかし、外国人なんかは、来まして東京の空気は大変もう変わったと。空気というのは環境ですよ、公害、こういうようなものが大変よくなったとか、あるいは物価の問題にいたしましても、世界じゅうひどい状態の中で、まあ牛肉だとかなんとかという問題はあります、ありまするけれども、全体とするとそうひどい状態じゃないとか、世界が非常に混乱している中でわが国がどういう立場にあるかと、こういうことを見ると、私はそう暗い結果になっておるという見方はいたしておりません。どこの国でも非常に悪い。その中で相対的にはわが国はそう悪い方の部類に属するという状態ではないと、こういうふうに思っています。
  504. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 悪い方ではないと言ったけれども、答えが国民の総意で出ているわけですから。  そこで、総理に最後に、このことだけやっていられませんが、新語づくりの名人のようですから、全治三カ年と盛んに言いますけれども、この景気を回復するには何カ年かかりますか、ひとつ国民の前にはっきり明確にお答え願います。
  505. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが国の経済はもう大体軌道には乗っているんですよ、つまり成長軌道には。ことしはとにかく六・七%成長だと。来年以降も六%、そういう状態は続いていくだろうと。これは粗見当ですがね。そういうことで、全体としてはいいんですが、これはもうくどく申し上げているんですが、時代の変化によって構造不況業種というものが出てきておる、これがいま日本の景気に重くのしかかっておる、こういう判断をいたしておるわけですが、この構造不況業種対策、これをいま精力的に進めておるんです。  ただ、これが一つ一つの業種をとってみますと、業界が足並みがそろわなけりゃこの対策は本当に実行はできないんです。その足並みというものがよほどこうせっぱ詰まったような状態になってこないとそろわぬというような状態もありまして大変遅々として進まなかったわけでございますが、昨今業界の方でもかなり足並みがそろってきた、かなり構造改革を行う環境が整ってきたと、こういうふうに判断いたしておるわけですが、企画庁あたりでいろいろ勉強しておりますが、企業の稼働率、これなんか何とかしてことしは九〇%の台に乗せたいと、こういうふうに言っておりますが、これが構造不況業種なんかの対策というか処置を終えながら、九三、四%、そういうところまで行きますれば、まあまあ私は落ちついた気分になると思う。ことしはそれがとてもできません。九〇%台に乗るか乗らないかという攻防の時期でありますが、構造不況業種対策を大方来年というか五十三年度中ぐらいにはまあ何とか終えてみたいなと、こういうふうに考えておりますが、しかし構造不況対策も時間のもっとかかるものがあります。全部それができるというわけじゃありません。しかし、大方のものは何とか五十三年度にはこれをやってのけたいなというふうに考えております。
  506. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 まあ五十三年度中には何とかしたいというあれですが、私はいまのままでは五十三年度には回復しないと。なぜかならば、相変わらず公共事業優先型の経済対策ではだめだ。やっぱり消費者のふところぐあいが伸びていかなければ結果的には消費構造は伸びていかない、景気は回復しないと、そのことだけはひとつ総理にはっきり申し上げておきます。  そこで、構造不況問題でちょっと一つお伺いしますが、構造不況対策の中で、きのうもちょっとお伺いしたのでありますが、根本的にいま構造不況対策で何をなすことが一番先決なのかと、これをちょっとお伺いします。
  507. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 結局、価格調整、これの問題があると思います。それから生産調整。やっぱりこの局面になりますとカルテルなんか相当大きな役割りを演ずるだろうと、こういうふうに思いますが、とにかくカルテルまでも使いまして、そして生産と価格の調整をするということが第一の問題だろう。それからもう一つは、それを進めながらやっぱり設備廃棄という問題をどうしても手がけなけりゃならぬ企業も出てくると思うんです。それを政府が助成し、誘導しながら設備廃棄をする。また同時に、それらに対しまして政府が助成、誘導するための金融対策、これも大事になってくるだろうと思うんです。また、そういう構造対策を進めますと、雇用の問題、これが重要になってくるわけでありまして、この対策もまた必要になってくる。これはもう雇用調整資金を中心にこれもかなりきめ細かな対策を講じておりますが、その四つの点をずうっと進めていくということでしょうね。その背景としては、やっぱり構造不況、どういう業種はどうやっていこうかという基本的な方針、これを持つことが必要であると、このように考えています。
  508. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) ただいま総理が基本的な問題についてはお話しになりましたが、当面の問題に対しまして、基本的には体質を改善する意味から申しまして構造不況の問題にまずもって取り組んでいく。同時に、御案内のとおりに数年来の冷え切っておりまする景気対策というものが、これがやはりいろいろな施策を講じておりまするが、それを同時にきめ細かく活用していかなきゃならぬ。その中におきましても、一番しわが寄りますのは中小企業、この中小企業の問題につきましては従来にも増して真剣な取り組みをいたしたい。  さて、そういうところに今度は円高の問題が突発いたしております。この円高の問題に対しましては、先般来、産地の二十二地点に対しまして調査をずっと続けておりまするが、さらにその精細な、約七十地区ぐらいの個所を指定しまして、その中で産地別、業態別の調査をただいま緊急にいたしておりますが、このいまの構造改善やあるいは不況対策やあるいは中小企業問題とあわせまして円高の緊急施策をいたしておると、こういうようなことでございます。
  509. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 まあいまの政府の考え方はここに出ておりますから私なりに検討いたしました。そこで、問題は、これはまあ業界はいま自主的努力を盛んにしていますが、繊維、平電炉、いろいろ私も検討しましたが、なかなか業界自体での規制ということは非常に困難な段階になってきておる。たとえばカルテルの問題、それから在庫廃棄の問題、投棄廃棄の問題、いろいろな問題がございますが、結果的に、これは総理大臣にお伺いしたいのですが、私が考えているのは、民間の手での過剰設備の廃棄、事業転換というのはなかなか困難ではないか。したがって、この段階でどうしても手を打つとすれば、私はある意味では産業調整法、もしくは特定産業の構造改善臨時措置法というような法的措置による産業の再編成、あるいは産業の調整というものに手を打たなければ、構造不況対策の回復を求めることは困難だろうと、こういう判断を持っているのですが、この点のひとつ所見についてお伺いしたいと、こう思います。
  510. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 対馬さんのその立法の中身、これをお聞きせぬと所感を述べるということは非常にむずかしいですが、一般的に申し上げますと、先ほど申し上げましたような、四つの点を申し上げたわけですが、この点を踏まえて政府も助成、援助すると言っているんです。大体もうやっていけるのじゃないか、こういうふうに思いますが、あるいは非常にむずかしい問題が出てきて特別の立法を必要とするというような場合がなきにしもあらずですが、ただいまのところは特別立法を要せずしてそういうことでやっていけるのじゃないかという展望を持っております。
  511. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 総理ね、中身について時間もありませんが、繊維業界にしても合板にしても内部段階の調整というのは非常にやっぱり困難だ。それはなぜかというと、縦行政だけではやっぱりむずかしい。政府の介入によってある程度の横の体制をとらなければ、たとえば在庫の関係、それから市場の問題、こういう問題にいくとやっぱり政府の指導が必要ではないのか。結果的には産業再編成、こういう問題にいくと、ある程度やっぱり行政指導の段階では無理がある、これをひとつ検討してもらいたいというのが一つ。  もう一つは、構造不況対策で私が特に考えますのは、在庫対策を抱えているわけですから、商品援助を積極的にひとつ。これはまあ政府が担保物件として融資をして、その商品がある場合は商品そのものをひとつ海外援助に充てたらどうだと、こういうことで在庫減らしをする、それが不況対策にもなると、ある意味ではドル減らしにも通ずるという意味では一石二鳥の策でもないかと、こう考えるのですけれども、この点総理はいかがですか。
  512. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 大体、各業界なんかで組合をつくるというようなことで、組合で自主的にこの問題を処置するという行き方が望ましいのじゃないかというふうに思います。そういう中で、いま公取委員長がお見えになっていますけれども、公取においても、カルテルの結成、それからそのカルテルの内容等につきまして普通のときと違った考え方でやってもらいたいなと、こういう気はします。ちょうどきょうはいい機会で後ろにおりますからお願いをいたしておきたいのでありますが、また同時に、いま在庫があると。一番大きな在庫は何だというと土地だと思うのですがね。さあこの土地についてどういう対策があり得るか。いま土地在庫、これを抱えておる企業、これはもう非常に苦しい立場にある。まあ、私は、いま土地立法の枠組み、こういうものは崩したくない。これはまあいろいろな立法があるわけですよ。国土利用計画法とか、もろもろの税法でありますとか、それから調整区域の問題とかいろいろありますが、そういう土地政策の枠組みは崩さない。つまり、やっと安定しかけたこの地価、これを緩めるわけにいかぬと、こういうふうに思いますが、まあ住宅問題なんというのは非常にいま重要な段階にきておるわけです。それで宅地供給、これは大変緊要ないま問題になってきておるわけですが、まあ微調整というか、この土地政策の枠組みを外さない範囲において土地の流動化を促進すると、こういうようなことは検討できないものかなというような気もしておるわけですが、その他いろいろな商品、そういうものにつきましては、たとえば一部のものにつきましては、これを備蓄、こういうこともしております。ただ、これを対外経済協力に使えるかというと、なかなかそう適格なものがないんです。さあ、お金を一千万ドルと、こう言えば、向こうの方では、そういう備蓄したものじゃありません、私どもはこういうことを希望しますなどというようなケースが非常に多いんです。まあしかし経済協力のために商品を使うという考え方、これは私は非常にいい考え方だと、こういうふうに思うので、現にセメントというようなものにつきましてそういう話が進んでおりますが、そういう考え方はこれはひとつ大いに工夫してみたいと、こういうふうに考えます。
  513. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いま言っているのは、私はそういうことを言っているんです。そういうものを対外的に積極的に援助していくという、それは発展途上国にもいいし、こっちもその在庫が減ると、こういう意味では一石二鳥ではないかと、こういう意味のことを言っているんで、たまたま通産省の方でそのようなことを検討されているやに聞いておりますので、もしあればひとつ通産大臣にお伺いしたい。
  514. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 先般来総理のお供をしましてASEANに参りまして、ASEANでいろいろと現地の希望などもございましたが、従来の経済協力の中ではプロジェクト主義が貫かれておりまするが、やはり商品、資器材援助というものが相当熾烈な声となっております。それで、先般来、あるいはタイでありますとか、あるいはスリランカでありますとか、現実にいろいろな物の要望がございまして、それを調べてみますと相当いわゆるストックのあるようなものもあるようでございます。いま外務省と一緒に鋭意作業を進めておりまして、同時にこれだったらば一番スピーディーなディスバースができるわけでありまするし、対外的な援助協力というものも非常に拡大されやしないか、こういうことで勉強いたしております。
  515. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 ひとつ、むしろ積極的な意味でそれを進めてもらいたいと、特に強く要望しておきます。  次に、中小企業対策で一つ率直にお伺いしたいのでありますが、この四年連続の不況下の中で、特に先ほども出ましたが、年末対策を含めてどういう対策をおとりになるのか、基本的な考え方を通産大臣にお伺いいたします。
  516. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。  ただいまこの冷え切った経済下におきまする年末対策の問題につきましては、大蔵当局の方でも総理と御相談をいたしておると存じまするが、資金量の問題から申しますと、政府系三機関の枠が御承知のとおりに三兆六千億という枠は持っておりまするし、またマル経の枠も四千七百億という冒頭から枠がございますが、これらのいわゆる第三・四半期分といたしましても相当の計数に相なります。で、資金の問題よりも特に私どもが考えたいと存じますのはやはり仕事の問題でありまして、金はあるけれども仕事がないのでこなせないというような声さえ出ておりますので、私どもは、年末対策としましては、別途必要なものは大蔵省と交渉いたしまして確保いたしたいと、かように考えております。
  517. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 通産大臣、かつてないこの中小企業の倒産に対して、倒産の実態の特徴をどのように認識されていますか。
  518. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 倒産の問題も、依然として相当高い状態でございます。その中におきましても特に繊維関係あるいはまた季節的な意味におきましての、特にいまの為替の問題に伴いまする繊維類その他の産地産業の非常な倒産も目に見えておるような次第でありまして、これらの問題につきましては特段の為替対策の緊急融資の問題も加えていたしておりまするし、同時に、つなぎ資金の問題におきましても、御承知のとおりに、中小公庫の方は二千万円、国民公庫の方は五百万円の追加の七分六厘の融資も出しております。そのほかに、御承知の中小企業の従来の倒産対策の資金でありますが、もはや二百四十四億というものが使われておりますることにかんがみましても、今回の為替の問題につきまする特別な金融処置も相当大きな需要があると存じます。  なお、詳細なことにつきましては、政府委員が参っておりますから、御説明をいたさせます。
  519. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いまの通産大臣のあれじゃ中身は一つもないんでね。これはまあ後でひとつ政府委員からお聞きしますよ。  私は、大事なことは、北海道の企業倒産の推移というやつで、これは帝国興信所の調べです。これはマル秘ですから、中身は申し上げませんが、簡潔に申します。五〇%建設業者が倒産です。そのうちの三二%は官公庁の官公需の発注作業の建設業者です。これはうそじゃありません、これは後で通産大臣にお見せしますから。  そこで、端的にお伺いするのでありますが、今日の官公需の発注の状態、比率ですね。作業、発注の実態等、それから具体的にどういう実態を把握されているか、これをちょっと教えてください。
  520. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 昨年度来、特に不況対策の中で官公需の問題は御承知のとおり閣議決定になりまして三四%というものをいたしましたが、その後をフォローいたしてみましても、これは予定どおりの三四%になっております。それから今度はその次に来年度の分が三五・二というふうにレベルを上げております。そのほか、地方公共団体その他の分を合わせますと、優に五〇%は官公需で発注ができるということのために、全力を挙げてこの対策をいたしておるような次第でございます。   〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕
  521. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 大臣、どうもぱっとしないなあ。——中小企業庁長官、先ほどの年末対策を含めて、具体的に年末対策としてどれだけの特別対策をすると。そんな政府系三機関のことはわかっておることですよ。政府系三機関では満度にもう借りちゃっているんですよ、中小企業は。そんなものを借りようといったって、借りられる仕組みになっていないんですよ。だから、年末として、言うならば無条件の体制でどういうふうに金の枠があるかと、どういう措置をするんだと、これをひとつ明確に答えていただきたい。
  522. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 政府系三機関におきましては、第三・四半期が一番資金需要期でございますので、たしか合計いたしまして一兆一千三百億円の資金量を確保いたしております。いまの段階であれば、まあこの程度あれば相当需要に応ぜられると思っておりまするが、もし不足をするというような事態には、やっぱり必要な資金は別途確保するという方針で私ども臨みたいと思っております。  また、年末におきましては、私どもは、例年のことでございますが、下請関係業者に対して通達をいたしまして下請の仕事を確保するようにということをやっております。ことしもそのような措置を講じたいと思っておるところでございます。  いずれにいたしましても、年の瀬というのは中小企業にとって一番大事なときでございますので、私どもの持っております各種の施策を動員いたしまして何とか年の瀬が円満に越せるようにということに一生懸命お手伝いいたしたいと思っておるところでございます。
  523. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 その支出をある程度目安額を出してもらわぬと、ただ満度に貸せるといったって、それでは抽象的で困る。これは後でひとつめどを出してください。  それから具体的に今度はちょっとお伺いしますが、官公需の発注についての具体的な中身の問題ですが、これは建設省にお伺いするのですが、次官通達はどういう内容でお出しになっているのか、ちょっとお伺いします。
  524. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) お答え申し上げます。  五十二年度の当初予算が成立いたしまして直ちにその執行につきまして地方建設局長、北海道開発局長、都道府県知事に通達を出しております。  その中で重点を置いておりますのは、上半期の契約目標を、建設省で申しますと七一・六%でございますが、これを確実に達成すること。さらに、発注に当たりましては中小企業者の受注の確保を図るということを二つの大きな柱といたしております。  特に、中小企業者の受注の確保につきましては、極力分割発注をすること。さらに、発注区分というものを五段階設けておりますが、その発注区分を遵守する。下の者が上にいく場合はよろしゅうございますが、上から下におりることは極力避けること。第三番目に、中小企業者の技術能力の向上のためにジョイントベンチャー制度を活用すること、ということを示達しております。  さらに、元請と下請との関係におきましては、不公正な元請、下請関係がないように、そういうことが絶対あってはならないということを特に通達をいたしておるところでございます。
  525. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 まだそのほかにあるでしょう。四月二十一日付次官通達の中身はまだありますよ。中身を全部言っていないじゃないですか。それだけじゃないでしょう。
  526. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) いま申し上げました点は主な点を申し上げたわけでございまして、そのほかにいろいろ注意事項として書いております。  いま申し上げましたほかには、工事発注については特に次の事項に留意することということで、設計単価については、施工地域の実態に即した実勢単価の把握に努め、適正な単価を定める。工期についても十分な、災害の発生が起こらないように、また、実際の作業が降雨等ではできませんので、そういう点を考慮して適正な工期を定めること。請負業者の選定に当たりましては、賃金の支払い状況、労働災害の発生状況等、労働福祉の状況を考慮する。さらに、設計業務の委託につきましては、その成果品につきまして、それに基づいて工事が発注されることにかんがみまして、成果品、業務上知り得た秘密等が他に漏れることのないようにすることというようなことを書いておりまして、元請、下請との関係につきましては、先ほど申し上げましたように、「工事の適正かつ円滑な施工を確保するため、不適正な条件による下請及び不必要な重層下請がなされないよう請負業者を指導すること。」というようなことを書いておる次第でございます。
  527. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 この通達は一本出したけれども、そのとおりなされていないんですよ。なされていないどころか、そのために倒産しているんですよ。  これは旭川の北海道開発局旭川開発建設部発注の比布大橋の修繕工事です。これは元請から第一下請第二下請までいっているんですよ。つまり、重層的な下請をやってはならないとなっているんです、通達では。第二下請までいっているんですよ。しかも、これは発注と同時に五〇%払われるわけである。それが長期手形なんだ、百三十日の手形。しかも、これはこの資料だけではありませんよ、一たん現金は出すけれども、それはまた戻してくれと。それでまた長期手形に百八十日に書きかえると。これが現在やっている仕組みなんですよ。これでばったばったと倒れて、さっき私は北海道の興信所の話を言ったが、五〇%建設業者が倒れている。これですよ、そのうちの三二%倒れたというのは。こういう問題を一体どういうふうに認識しているかということをお伺いしたい。
  528. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 四〇%先払いをいたします、契約と同時にやります。そういうことでありますので、私の方も下請支払いというのは先ほどのような条件をつけまして、そしてこれが徹底するような方途をとっておるわけでありますが、特に、私は、この問題につきましては、本年の当初四月二十六日だと思いますけれども、建設省に各団体の代表をお呼びいたしまして直接この問題について私から、手形ではなくって仕事のでき上がり次第に払ってもらいたい、それは私の方も前金をやっておいて、それででき上がりと同時に払うんだから、あなた方の方も払ってもらわなくては困る、そういうようなことを私の方からお願いを申し上げまして、そして業者団体は会員全体に下請業者に対する支払い方法というのを改善をいたしますと、そういうような公約の上に立っていろいろな仕事が発注されておるわけでありますが、そういうことにして、私ども最近に至ってそういうようなことがあればどうだろうというようなことでその指導のとおりやっているかどうかという追跡調査もしております。したがって、さらに保証事業会社の協力を得て公共の工事の前払い金が下請業者にどういうふうに取り扱われているかどうかというような点についてもいろいろ調査をしたところでございまして、まあいまお話しのように倒産があるということはよくわかっています。何と言いましても、御承知のように、昭和四十六年、七年、八年と雨後のタケノコと言ったら言葉は一応悪いかもしれませんけれども、四十三万という多くの小さい業者ができまして、そしてその業者の整理をどういうふうにしていったらいいだろう、もっと堅実性を持たせたらどうだというような話と相まって、そのほかに、小さいもの同士が一つものになって、そして大きいものと対抗できないときには一つものになって企業体をつくって、そしてその企業体に発注を分けてやるようにしてもらいたいというような通達もいたしましたし、また現にいまでもその指導を行っておるところでございます。お話しのように、いまの倒産があるというそれは事実私どもも認めておりますけれども、なかなかできても小さいといってはなんでございますけれども、本当にただ看板だけというのがたくさんあるものですから、そういうような点についての、どうやって今後の整理をしていったらいいだろうかというような点においても考えておるところでございます。いずれにしても、そういうことのないように十分今後も調査をしながら指導を徹底さしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  529. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 まあ大臣がこれから徹底して強力にやるということですから、それはそれなりに了としますが、私はこういうことが一体なされているのかどうかということちょっとお伺いしたいんですよ。建設業法四十一条の3、四十一条の2に、あなたの勧告をすることができるわけです。こういう勧告が実際なされているのかどうかというのですわ。ここまでいかないと、私はただ努力しているのはわかるけれども、そういうことが一体具体的になされたことがあるのかないのか、実際にどういう指導が行われたのか、これをちょっとお伺いします。
  530. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 四十一条の2にもございますように、この点についてはこれを徹底するために各局部長も呼びましてこの徹底を期さなけりゃいかぬというようなことで私の方から厳重にこの点については言い聞かせてあるところでありますし、したがって、御承知のような経済が不況のときでございますので、特にこの点には留意をして進めておるところでございます。
  531. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 大臣、勧告したことがあるのかどうかと聞いているんです。
  532. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 建設業法の、お述べになりました四十一条では、特定建設業者が発注者から直接請け負った工事を下請に出して、その下請が賃金不払い等を行った場合には、特定建設業者に立てかえ払いをするように特定建設業を許可した建設大臣あるいは都道府県知事が勧告をすることができることになっております。これはまだ勧告を発動したことはございませんけれども、そういう事例につきましては、建設大臣なりあるいは都道府県知事の所管部局に十分そういうことは言ってまいりますので、まず当事者同士で片づける、あるいは紛争審査会に持ってくるというようなことを指導してこれを処置いたしております。
  533. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そんなことを言ったって何も解決されていないんですよ。浜松というところでいまだに未解決になっているんですよ。勧告をただの一回もしたことがないでしょう、大臣、いまも言っているとおり。そういうことでよくなるとか努力しますと言ったってだめだよ、そんなことを言ったって。効果があらわれないというのはそういうことなんですよ。本来なら、こういう悪質な業者については、一切これからは仕事を与えないと、あるいは指名しないと、こういうことをきちっとやっぱり行政指導すべきですよ、ぼくに言わせれば。
  534. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) もしそういうような事実があるとするならば、どうかひとつ通告をしてください。私の方で厳重に処罰いたします。
  535. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 次に申し上げますが、これも札幌で、同じことを言うのですけれども、札幌市に花畔という町がありますが、ここの小学校の校舎の建設工事なんです。これを見ますと、これがまた元請があってそれに第三次下請までやっている。これもさっきの次官通達に反する、あなたの部下の次官通達に。  それだけでなくて、単価が問題なんです。単価が買いたたかれているんです。これは、あなた知っているとおり、建設省が出した積算の基準があるでしょう、単価基準というのが。これでいくと、大体坪二万八千円なんです。適正価格が四万になる、四万三千円になる。それが結果として二万八千円でこういう第三次下請でやられるんですよ。こんなことじゃ中小企業が倒れるのはあたりまえじゃないですか。こういう指導は一体どうなっているんですか。
  536. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私の方で直ちに調査をいたしまして御報告いたしましょう。
  537. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 私、いまこれを挙げればまだ埼玉県だとかたくさん持っているんです。これだけのものを持っているんです。だが、まあ言うだけではあれじゃないから、まとめは、建設大臣が強力な指導をするし、勧告も今後やるというから了としますよ、今回は。もしやっていなければこの次の予算委員会でやりますよ。私は、きょうのところは、そういうことで、そういう強力な指導をするということで一応お譲りしますけれども、実態はそういうことで倒れていっている、ばったばったと。さっき言ったように、五〇%北海道の建設事業者はそのために倒れているんだということを本当に踏まえていただいて、中小企業の立場になってひとつ関係官庁は強力な措置をとってもらいたい。これは特に要望しておきます。もう一回ひとつその点。
  538. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 中小企業が大事なことはよく私もわかっております。中小企業あって初めてわが国の経済が成り立っているということもよくわかります。でありますから、中小企業にそういうような影響があるとするならば、十分調査をいたしまして厳重な方法をとってまいりたいと、こう考えております。
  539. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それじゃ、北海道でいま最大な課題は、函館市の日魯造船というのが、いま大体家族を含めて千二百名が大変な社会的、政治的問題になっています。三月から首切りが出まして、いま裁判所に和議が出されて、再建策をどうするかという段階に来ています。これは当然運輸大臣にお伺いしますが、この点の対策をどういうふうにお考えになっていますか。
  540. 田村元

    国務大臣(田村元君) 一月ごろから北海海運局を通じましてその再建に関しまして函館ドック等親会社への指導も含めてできるだけの助言、指導をいたしてきました。しかし、事態の改善がなかなか図れない。いまおっしゃったように和議申し立てを行うことになったわけです。で、現在函館の地方裁判所で調査が行われております。運輸省としては現段階では裁判所の判断を待たなきゃしようがないと思うのですけれども、早期に大口債権者である銀行あるいは親会社等、関係者間の合意が得られて再建の方向に向かうことを期待しております。御承知のように、造船業全般が困難な状態にあります。親会社自身の経営の実態等も相当苦しい問題があるし、雇用問題も同じことが言えるわけです。なかなか困難な事情にもありますけれども、事態の推移を見ながら、労働省、通産省等とも緊密な連絡をとりながら、雇用面における対策、たとえば職業転換給付金制度の適用、あるいは関連中小企業に対する仕事のあっせん、融資、こういう対策を講じてまいりたいと、このように考えておりますが、いずれにしても事態をわれわれほうっておるわけじゃありません。一生懸命に努力をしていきたいと考えております。
  541. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 中小企業庁、通産省、どう考えていますか。
  542. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 私も経過をよく聞いております。下請の企業がたしか三十八社ございます。私どもは、北海道の下請企業あっせん協会に対しまして、これらの企業から依頼があったときには仕事のあっせんのお手伝いをするようにということを指示いたしました。また、金融の面につきましては、和議の申請の段階で倒産企業の指定をいたしましたので、これによりまして信用保証協会の保証等は受けられやすくなっておるのではないかと思っております。ただ、聞きましたところでは、現実には北海道の制度融資によりまして十一社が申し込みをし、それについては満額融資を受けたということで当座をしのいでおるようでございます。私どもも今後とも気をつけてまいりたいと思っております。
  543. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 時間もありませんので、運輸大臣ね、現実に和議はこれは棄却になりますよ。これは四分の三の同意がなければできないんですから。事実上、組合、債権者が全部いまの和議申請には反対していますから、これはできません。したがって、私は、その時点を迎えて親会社と、一番問題は函館ドックと日魯漁業なんです。ドックはまだ姿勢がいいんですけれども、日魯漁業はよくないんです。ここにやっぱり行政的な働きかけをしていただければ、要は、再建案をつくれば組合も協力するし債権者も協力すると言っているんですから、この時点で政府の運輸大臣の強力な行政指導をひとつやってもらいたい。この点、どうですか。
  544. 田村元

    国務大臣(田村元君) まあ和議がうまくいくかどうか、これはあなた簡単におっしゃるけれども、私、政府の立場ではなかなか裁判の問題をあらかじめどうこうということを言葉に言えるものじゃありません。これはもうお察し願いたい。そこで、いずれにしても、さっき申し上げたように裁判の経過を見なきゃなりませんが、われわれも可能な限りの対策を講じる準備を進めていきたいと、こう考えております。
  545. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それじゃ、ひとつ、ぜひそういう強力な行政指導をお願いしたいと思います。  それじゃ、物価問題につきまして、時間もありませんので、大事な点だけひとつお伺いしたいと思います。  それでは、円高による消費者に還元をということで、これは、総理、ことしの四月に私は本予算委員会で申し上げました。自来積極的に取り組んでいくということになっているんですが、これは企画庁長官にお伺いしたいのですが、どういう取り組み方をしたかということをまずお伺いしたい。
  546. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 円高による物価への影響でございますが、御案内のとおり、わが国の輸入は原燃料が大半を占めている関係上、円高の効果がすぐ影響が出てまいりますのは卸売物価でございます。しかし、この卸売物価がだんだん消費者物価に反映してくることは間違いございません。  当面われわれがとりました対策を御報告いたしますと、先般三十六品目について消費財の輸入、これがどういう経過になっているかという調査をいたしました。この結果はすでに新聞等で発表いたしておりますけれども、輸入価格が下落して、そしてしかも小売価格も下落したという品目が、代表的なものが、乗用車、カラーフィルム、配合飼料、腕時計、書籍、雑誌、木材等でございます。しかし、輸入価格が下落してもなかなか小売価格が下落しないというものもございますので、これらの問題についてはこれから追跡調査をさらにいたして値下げができるようにしてみたいと思っております。  なお、最近、物価担当官会議を今月の十四日開きまして、早速やれることは何かということで、外国たばこにつきましては小売価格を十一月一日から九・二%平均下げるということで十月十七日に発表いたしました。また、輸入牛肉についても、目安価格の引き下げ、七・四%の引き下げの浸透を図るため、モニターを活用していくということを考えております。また、国際航空運賃についても、運輸省にお願いして、これは国際航空運賃協定というのがございますので、これは諮らなければいけませんが、日本発の運賃の値下げを図りたいということを考えております。薬価基準の改正も考えておりますし、また、先ほど申しました調査についての、なかなか値下がりしないとか流通関係その他の問題がございますので、輸入団体の三十八団体、流通団体十六団体につきまして要請をいたしまして、これは通産省を通じて要請をいたしまして、この輸入物資が値下がりをするようにということを考えております。なお、残存輸入品目の問題につきましても輸入の促進を図っていく等、万般の対策をいたしているところでございます。
  547. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 まあ、いままで下がったものはないんですけれども、国会が始まってからようやく下げたようですが、率直にお伺いしますが、これは通産省にお伺いしますけれども、私は一番問題は石油製品だと思うんですよ。これは私がこの間も四月に質問しましたけれども、五十一年度三月末で千五十億円の差益が出ているわけです。これは三百二円のレートでです。その後二百六十五円のレートで引き直して今年九月期で中間報告でありますが、これらを含めて私のあれでいきますと大体一千億、これぐらい出るだろうと、こう見るわけです。したがって、新レートの段階で——二百五十二円なんというのは想定もしていなかったわけでしょう。それが二百五十二円段階で石油製品が下がらないというのは、特に北海道に重大問題であります灯油が相変わらずまた上がってきているんですよ。こういうことでは大変な問題なんで、この点どういう対策をおとりになるか、ちょっとお伺いしたい。
  548. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) お話しの件につきましても、エネルギーの一番重大な石油の関係、その差益がどう出てくるだろうかということで詳細に分析をいたしましたが、ただいまお話しのような相当の差益が出ておりまするけれども、あるいは電力会社の関係、あるいはガス会社の関係におきまして、需要家とのあれをずっと積算をいたしますると、何分にも一戸当たりを計算しますと非常にわずかなものになってしまいます。一キロワットアワーでもって十八銭、一カ月の家計で二十一円六十銭といったようなことになります。こういうふうな問題も、ただいまOPECの値上げの問題と今回の差益の問題と、一月、七月にやりましたが、この十二月にもまた値上げの問題も先行き不安でございます。当面、円為替の相場も非常に変動いたしますが、当方といたしましては一応これをこのままでむしろ抑えてそうしてこの値上げをしないという形にずっと持っていくということの方がかえって国民大衆には安定感があるのじゃないか。ガスにおきましても、家庭ガスの関係は同様でございます。しかし、いまの電気、ガスといったような問題以外に、差益の問題はこれはぜひとも国民に均てんしなきゃならぬということから、十八日付をもちまして、ただいま企画庁長官が申されました協会、団体等、流通部門と輸入部門の通達をいたしました。そうして、この十一月の十日までに傘下の組合に徹底をし、同時にまた、その報告を通産省の方にとるように通知をいたした次第でございます。
  549. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 答えは簡単なんです。輸入総量が一億五千万キロリットルなんですよ。これでいって当時の三百二円、仮に原油が一〇%上がったって、私の計算でいけば一キロリットル六百六十円下がらなきゃいけないんでしょう、通産大臣。そんなのは理由にならないんですよ、ぼくに言わせれば。それじゃ、いままで原油が上がったときに必ず灯油は上がっておるじゃないですか。ぼくは三年間ずいぶん必ず委員会でやっているんですから。そのとき上げておいて、今度は逆に差益が出たときに下がらないなんて、こんなばかげた話はどこにあるんです。
  550. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) さような次第で、いま先生のおっしゃったような問題を省内におきまして相当真剣に討議をいたしました。ちょうどエネルギー庁長官もおりますので、政府委員から詳細にお答えいたします。
  551. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) ただいま先生がおっしゃいましたように、石油についても差益のメリットと申しますか為替メリットが出てまいっておりますが、一方で原油価格とコストアップ要因というのがございます。試みに申し上げますと、ことしの一月と七月のOPECによる原油の引き上げによりまして、五十二年度中で大体五千億円程度のコスト上昇になるのじゃなかろうかと思っております。原油以外のものといたしまして、備蓄、保安、防災、それから本年関税の増徴をいたしております。さようなものも含めまして、かれこれ千五百億円程度のコスト上昇要因がございまして、合計いたしますと六千五百億円程度が本年度内におけるコスト上昇要因になろうかと思います。これに見合ってどの程度為替メリットが出てくるかという関係になろうかと思うわけでございまして、石油につきましては一円の円高につきましてキロリッター当たり八十五円程度の為替メリットがございます。ことしは、いまの見通しでは、年度間に二億八千六百万キロリッターの原油輸入ということになっておりますので、仮に二十円程度の円高で年度間を通じていったといたしますと、これが約五千億円程度、まず四千九百億くらいになろうかと思いますが、そのバランスをどう見るかということでもあるわけでございます。  今後の問題といたしまして、為替レートも、ただいま二百五十円とか二百六十円とおっしゃいましたが、それはまあ瞬間的な短期的なレートでございまして、やはり年度間で対比してみますと、今後為替レートがどのように推移するか、あるいは先ほど大臣が申し上げましたカラカスにおけるOPECの総会でどのような価格決定がなされるかといったようなものもあわせて石油製品に対する対策というものを考えなくちゃならないと、こういうふうに思うわけでございまして、当分の間、われわれといたしましては、そういった情勢を注視してまいりたいと、かように思っておるわけでございます。
  552. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 情勢はいいんだけれども、現実に二百五十円レートになっているんですから、二百五十円になっている時点でどう考えるかということを聞いているんですよ、ぼくは。どうなんです。上げるときはわっと上げておいて、下げるときはさっぱり下がらぬと、そんなことはだめですよ。
  553. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) 仮に二百五十円というものがかなりの期間続いてくる、それが定着してくるということになりますと、片方のコストアップ要因との関連でまたものの見方というのは変わってくると思います。それはその時点においていかに対応するか考えるべきであって、現在時点でまだ二百五十円台でさほど長い期間継続もいたしておりません。そういったことで先ほどのようなお答えをいたしたわけでございますが、将来ともにレートがどの程度のところへ定着するかということによってその時点での対応を考えるべきだと、かように申し上げたいと思います。
  554. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 大臣、少なくとも今日の二百五十円時点がいまあしたからすぐ変わるという状態じゃないんですから、この時点でやっぱり消費者に還元をするということなら、民生用灯油は値下げを含めて検討するということはどうですか。
  555. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 先ほど申し上げましたように、この差益の還元の問題につきましては、石油も含めまして一生懸命にいま検討をいたしておるところでございます。
  556. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 下げる方向で検討するということでどうですか。そこを言っている。
  557. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) もちろんでございます。
  558. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そうですか。それじゃ、下げる方向で検討するという大臣のお答えですから、それをひとつ積極的にやってもらいたいと思います。  それでは、次の問題で、総理大臣、ことし四月に私は総理にお伺いをして、北海道価格は段階的に解消すると、強力にやるからというので、総理大臣に期待しておったわけです。ところが、プロパンの十キロボンベが現在本州との格差が二百二円あるんですよ、通産省調べで。その上に、さらに旭川、美唄、稚内、名寄が九月以降二千円からまた二千三百円と、はなはだしいのは五百円、少ないので四百円、最低二百円ですよ。これは段階的に解消するんじゃなくて、広がっちゃったわけです。これは、総理、ひとつ決断と実行をしてもらわなければどうにもならぬ。そんなばかげた話はない。
  559. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 北海道価格は逐次これを狭くすると、この格差を狭くすると、こういうことで努力しておると思っておったのですが、いまお話を伺いますと、拡大していると、こういうことですが、何か事情があるのだろうと思います。努力はしておるんです。政府委員の方から御説明申し上げます。
  560. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) プロパンガスにつきましての北海道との格差問題でございますが、私の方のモニター調査によりますと、十キロベースで北海道では千八百五十一円、それから全国平均で千六百七十六円と、約百七十五円の格差がございます。これは八月時点の調査結果でございます。これに対しまして、御指摘のように格差が依然存在しておるわけでございますが、LPガスの元売り仕切り価格は、北海道とその他地域と全く同一の価格で供給いたしております。しかるに、ただいまのような価格格差があるということにつきましては、北海道内部における流通段階におけるコスト高に原因があるのじゃなかろうか。たとえば、一店舗当たりの取り扱い量が少ないとか、あるいは配達をするあるいは配送する距離が長い、こういった点に問題がある。前回もお答えをいたしたところでございますが、われわれといたしましても、今後とも元売り仕切り価格につきまして北海道向け価格が割り高にならないように指導いたすと同時に、昨年の十二月北海道庁で発足いたしております北海道プロパンガス問題協議会は現在まで七回の検討を続けてきておりまして、いよいよその検討結果を踏まえて小委員会で個別の事項についてさらに詰めていくと、こういうことでございますので、この検討結果を待ちまして私たちといたしましては一層流通機構の合理化に努め、格差の是正に努力してまいりたいと、かように考えております。
  561. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いや、格差の是正というんですけれども、広がっているというんです。これは、長官、北海道庁がやっている北海道消費者協会ですよ。私はあえてあなた方の資料を中心にしゃべっているんです。これは消費者協会の資料で私は言っているんです。だから、少なくとも同じ日本国に住んでおって、同じ十キロボンベを使って五百円も高くやらなきゃならぬと、こんなばかげた話は許されるべきじゃない。それこそ政治の矛盾  ですよ。総理、ひとつもう一回ここで確認しておきます。
  562. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 北海道価格、つまり本州と北海道の消費者価格の格差問題、これはこの上とも努力をいたします。
  563. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 総理が何回も努力すると言われているんだけれども、なかなか効果があらわれないんですよね、これは。その点、ひとつ強く申し上げておきます。  それじゃ、農林大臣にひとつ牛肉問題で、いま七・四%ばかり下がるという話をしましたけれども、ぼくは端的に言いたいのは、私も北海道だから酪農をよく知っていますよ。だから、畜産事業団の今回の調整金の値上がりと、それから小売との段階、流通との段階のパーセンテージを考慮すれば、多少調整すれば、コントロールすれば牛肉が下がる方式があるのじゃないかと、むちゃなことを言っているんじゃないんです。そういう点で下げてもらいたいと、こう言っているわけですよ。
  564. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 最近輸入価格が下がったということで、それをそのままにしておきますと中間業者に不当な利得を吸収される、それは利権化する、こういうようなことで、事業団の調整金を適正に引き上げて、業者に吸い取られるものを事業団で吸い上げて、これを生産対策なりあるいは消費者対策に使うべしと、こういう御意見が国会にもございました。その御趣旨を体しまして調整金を上げたということでございますが、いま対馬さんから、その調整金を生産対策だけに偏らないで消費者の側にも十分還元をする、そういうように心がけるべきだと、こういう御指摘でございます。これはもうごもっともなことでございます。私どもは、従来確かに生産対策の方に力を入れてきておりますが、これは生産を伸ばして供給をふやしていく、安定的に供給ができるということは、だんだん消費者にもサービスができる、消費者にも還元できると、こういうことを考えてまいりました。  また、もう一つは流通機構の問題、これは何といっても、畜産の価格の問題は流通機構の改善が急がれる。そういうことで、御承知のように、各都道府県等に食肉センターを設置して、生体で芝浦等に運んでやるようなことでなしに、できるだけ現地でこれを屠殺をし、部分肉等にやって流通の合理化を図る。これは生産対策でありますと同時に消費者対策でもあると、私はそう考えております。でありますから、厳密にこれは生産対策だ、これは消費者対策だと、ごう申し上げることは——これは相関連しておりますことでございますが、しかし、最近における輸入価格等を勘案をいたしまして、これを端的に消費者にもひとつ反映させるようにと、こういうことで、先ほど企画庁長官からも申し上げましたように、事業団の指定店舗八百店舗を二千二百店舗にふやしまして、それに小売目安価格というものを与えまして、それは一般よりも七・四%値下げをするという価格にいたして、それを展示的な一つのものとして他を誘導していくというような施策をとっておりますが、今後そういうルートを通じまして配給量をふやしていきたい。十一月、十二月にかけまして量をひとつ多く放出をしていきたい、こう考えております。また、国産肉につきましても、各道府県に需給協議会をつくって、生産者団体、消費者団体にも入っていただき、そして適正な価格、それから放出量等を決めていただく。これは全国一万五千店舗これも指定をいたしまして、一週間に二回ぐらい市価の二〇%ぐらい安売りをする。こういうようなことで、消費者が安いお肉が食べられるような方向で指導しておるところでございます。
  565. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 農林大臣、これは私は時間がないから詳しく言わないのですけれども、オーストラリアの輸入は百グラム三十円ですよ、牛肉は。それが三百円に化けるのだから、これは消費者が聞いたら頭に来るんですよ。これはぼくは流通機構を知っているから、畜産事業団と民間の貿易と二つのルートだけれども、そのことはいまここで言わぬけれども、端的にこういう状態に対して、いま七%という答えが出たから、それにこだわらずにさらにひとつやっぱり下げる。それだから酪農がどうでもいい、事業団がどうでもいいと私は言っているのではないのですよ。そういうかね合いでもできるではないかと、流通機構にメスを入れれば。そのことを言っているので、特に二百海里で魚がああいう状態なんだから、これは肉にやっぱりかえざるを得ないでしょう。農林大臣としては当然だと思う、これは。そういう対策をとってもらいたいと、こういうことを言っているわけですよ。
  566. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) 対馬さんはその方の専門家でございますから、御意見を伺いながらやってまいりたいと思います。
  567. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それじゃ、公取委員長にひとつお伺いします。  並行輸入の問題で公取委員長にちょっとお伺いしたいのですが、現実にいま円高でもって、本来ならば相当物価が下がっていなければならぬ。ところがなかなか下がっていないが、さっき長官が言ったようなことで、若干の下がりが出てきた。これは何かと言えば、独禁法第六条の不当な国際契約の制限、これがやっぱり災いしているのじゃないか。つまり、並行輸入が阻害されているからじゃないか。この点のお考えについてどうですか。
  568. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 輸入総代理店契約の内容の問題についての御質問だと思いますけれども、輸入総代理店契約の中には、間々並行輸入を阻害するような条項を含んだものがございます。これはいまお示しがございましたように、独禁法の規定によりまして、国際関係の契約につきましては公正取引委員会に届け出が出てまいります。その都度内容を審査いたしまして、並行輸入を阻害するような内容を持つものにつきましては排除措置をいたしております。御参考までに件数を申し上げてみますと、国際契約の届け出件数は昭和五十一年で五千九百九十件でございます。大変な数に上っておるわけでございますが、そのうち輸入総代理店の契約の届け出件数は七百七十二件でございます。その中で、現実に内容について変更等の指導をいたしました件数が百二十五件でございます。さらに、そのうちで並行輸入阻害要件の排除をいたしました件数は昭和五十一年は二十五件でございます。これは、御承知のように、昭和四十七年から並行輸入の制度がいわば追認をされたようなことでございますが、そういう意味で、並行輸入阻害の内容を排除いたしました件数は、昭和四十九年が一番多くて約七十件でございます。今後とも鋭意努力をいたしてまいりたいと思っております。
  569. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 時間もないので、これは総代理店がメーカーといま言った独占的なルートになっているものだから、現実に、ハンドバッグの場合でも、ネクタイでも、私ずっと調べてみたのだけれども、並行輸入すればかなり、三割ぐらい下がっちゃう、四割下がっちゃう、そういう問題があるのじゃないのか。これはやっぱり公取としてぼくは強力な調査に乗り出してもらって、いま言った体制をひとつ強化をしてもらいたいと、この点ひとつ再確認をしておきたいと思います。
  570. 橋口收

    政府委員(橋口收君) いまお示しのような気持ちで仕事をいたしておりますが、昭和四十八年には実際に調査をいたしまして、並行輸入が阻害されている案件が幾つかございましたので、たとえば、ゴルフ用品とか、それから高級時計等についてそういう事例が見られましたので、勧告をいたしまして是正をいたした事例がございます。こういう御時世でございますから、なお今後努力をいたしてまいりたいと思います。
  571. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 総理大臣一つお伺いをしたいのですが、私は、やはり輸入の問題が円高に重大な関係があるということで、消費者にできるだけ還元できないかということで盛んにいま努力をされていることはわかるのでありますが、これらの問題のうちで、結論は、何ぼ輸入してみたって流通機構にメスを、思い切った決断をしなければだめですよ、総理。これは総理もおわかりだと思うのですけれども、この点、これから流通機構に思い切った決断をしてもらいたいということについての総理の決意をお伺いしたいと、こう思うわけです。
  572. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話はまことにそのとおりでございます。ただ、流通機構というのは非常に複雑でございまして、いろいろ困難も隘路もあるわけでございまして、そう一挙にはできませんけれども、これは本当に日本の流通経路は複雑なことで世界でも類を見ないと、こういうような状態なんです。国民の皆さんの御理解とまた皆さんの御協力を得まして何とかこの流通経路の合理化を実現したいというのがかねての念願なんですが、この上とも努力をいたします。
  573. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それでは、公取委員長、お帰りになってもいいです。
  574. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 御退席願って結構です。
  575. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 ぜひひとつ、総理の決意がございましたから、期待をいたしております。  それでは、国土庁長官に北海道の有珠災害の問題につきまして。  この間災害特別委員会で申し上げましてまあおわかりのとおりですから、現行法を拡大してもできない問題がもうはっきり出てきているわけです。中小企業対策、それから農業の被害に対する一〇〇%補償、それとマイカー、マイホーム、これの損害に対する補償措置はできません。こういう問題を含めてどういうこれから対策をおとりになるか、考え方をお聞きします。
  576. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) お答えする前に、有珠山の火山の状況をちょっと御説明申し上げたいと思います。  有珠山は、御案内のように、八月七日から十三日の間、断続的に噴火活動が行われまして、現在噴火活動は停止しておりますけれども、地震は依然として活発に行われているわけでございます。  そこで、十月の十一日に火山噴火予知連が統一見解を出しているわけでございます。それによりますと、地下のマグマ活動は現在でも活発であり、主な火山活動のエネルギー源は外輪山内に限られると思われるが、活動は長期化する見通しであるということなのでございます。  そこで、北海道庁の九月二十四日現在の被害状況は、総計で三百十三億と言われてございます。これに対して、政府といたしましては、先生御案内のように、二回調査団を現地へ派遣してございます。その結果、非常災害対策本部を政府内につくりまして、その後、関係閣僚会議を開きまして、状況を把握して緊急必要な対策を進めてまいったわけでございます。  その内容については省略いたしますけれども、今後進めてまいらなければならないいろいろな仕事がございます。ただいま御指摘のように、中小企業に対する対策、あるいはまた活火山の指定の問題等、もろもろな措置を講じなければならぬと思いますが、私たちは、できるだけ現行法の弾力的な運用によって被害者、住民に御心配のかからないように、最善の努力をしてまいりたいと、かように考えておりますが、ただいま先生からお話のございました、どうしても現行法で救済することのできない場合には、やはり火山という特殊な事情も考えまして、特別な措置を考えてまいらなければならないだろうと、こう考えておりますが、ただいまの時点では、あくまでも現行法を弾力的に活用して積極的な対策を進めてまいりたいと、かように考えております。
  577. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 これはわかりました。現行法でどうしてもできない場合は特別措置を考えると、特別法を考えるということですから、考え方はそれでいいです。  ただ、はっきり申し上げますが、大蔵大臣に聞きたいのですが、現在すでに五カ町村で八十六億八千万円も被災者の中小の融資が出ています。これは松代地震の例があるので、これだって閣議決定をすればできるわけです。ところが、これは三%をわれわれ最低でも要求しているわけです。ところが、一向に、これは大蔵省が妨害してやらないとかいうことで、悪いのは大蔵省だということになっているのですが、少なくとも被災者の気持ちになって決断してもらいたいんですよ。どうですか、この点について、大蔵大臣
  578. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) この問題につきましては国土庁長官とよく話し合いをいたしまして、そうして何とかできるだけのことをしていきたいと、かように考えます。
  579. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 いま国土庁長官からお伺いしましたが、総理大臣の態度をひとつ……。
  580. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 有珠山につきましては、国土庁を中心にして非常に努力をしているんです。しかし、それでも足らぬという点が出てくれば、その際はその際として万全の対策をとります。
  581. 山崎昇

    ○山崎昇君 関連。
  582. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 関連質疑を許します。山崎昇君。
  583. 山崎昇

    ○山崎昇君 具体的なことで二、三お聞きをしておきます。  まず農林大臣二つほどお聞きしますが、一つは、国営森林保険がこれに該当しませんので、この被保険者に対する救済ができない。そこで、この点については、余りにも法律が古いから改正をしたいという考え方が示されておりますが、いつころどのような内容でこの法律の改正を行うのかが第一点。  それから第二点は、漁業関係の体制については地元の漁業協同組合と協議をして決めていきたい、目下協議中だというふうに私ども聞いておりますが、その後、一体漁業協同組合とどういうふうに相談されて、どういう対策を講ぜられるのか、これが農林大臣に対する二つの質問です。  それから自治大臣に、起債、特別交付税等は検討中だとぼくら聞いておりますが、一体地方財政の問題に関連をして、この有珠山の対策にどのようなその後措置をとるのか、どう検討されておるのか、聞いておきたい。  それから最後に、これは建設か国土庁かどっちかになると思いますが、二次災害の防止について、これも内容はたくさんあります。ありますが、大きいのは治山治水関係、さらには地震計などを初めといたしまして、言うならば調査体制というものがもっときちんとされなきゃならぬのじゃないのだろうか、こう考えますが、二次災害についてどのような防止策を講じようとするのか、まずこの四点お聞きをしたいと思います。
  584. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) ホタテの噴火湾における被害の問題でございますが、これはいま漁業組合と協議をいたしまして漁場を沖出ししたらどうかと、こういうことで検討いたしておりますが、漁場の問題が果たして状況に適するかどうか、そういう技術的な問題もございます。いろいろ水産試験場その他とも協議をしながらできるだけこれを進めていきたいと、こう考えております。  なお、森林の保険につきましては林野庁長官から御説明させます。
  585. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 森林保険につきましては先生御指摘のとおり、現在の保険法では適用されないことになっております。したがいまして、ただいまその法律を改正すべく検討しております。法律の改正ということになりますので、やはりこれは国会で御審議を願わなければいけない問題でございますし、できるだけ早期の機会に対応したいと考えております。
  586. 山崎昇

    ○山崎昇君 通常国会に出しますか。
  587. 藍原義邦

    政府委員(藍原義邦君) 現在そのつもりで検討はいたしております。
  588. 小川平二

    国務大臣(小川平二君) 被災町村に対しましては、先般、交付税の繰り上げ交付をすでに実行いたしております。特別交付税の配付は十一月以降のことになりまするが、十分実態に留意をするつもりでございます。  さらに、今後の問題といたしましては、起債の面でもあとう限り配慮をするつもりでございます。
  589. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 二次災害につきましては、これは国が現行法を活用いたしまして積極的に進めてまいらなければならない。特に冬を迎える北海道でございますから、それに対しては積極的に進めてまいらなければならないと、かように考えております。  そこで、緊急砂防事業及び砂防激甚災害対策特別緊急事業並びに災害関連事業等の現行制度で進めてまいりたいと思っております。詳細については建設省から改めて御報告させます。  なお、観測については、いま十八カ所でこの観測をいたしているわけでございますが、その十八カ所で何とか観測が進めていけるものと私たちは確信を持っております。
  590. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 二次災害が起こらないようなあらゆる角度から用意をしておりますけれども、いま現に枠組みをやっているやつは、二次災害が起こる——寒くなってくると、これに対して雪解けの水とかいろいろなものが出てきますから、これを避けてそうして本格的な工事にとりかかろうと、こういうことで、いまその枠組みをやっているゆえんもその辺にあるところであります。
  591. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこで、全大臣各位にお願いしておきたいことは、この有珠山の場合ですね、何かこう交通規制が解除されて観光客が入ってきているような印象を与えているのですが、ただ物見遊山にマイカーでもって通り過ぎているだけであって、泊り客は、観光客はほとんど一%もないんですよ。こういう実態だということをひとつ御認識していただきたいと、これはそういう意味で特に総理に要望しておきます。  それで、出かせぎ対策で労働大臣一つ。最善の努力を払っていただいているのでありますが、二百海里を迎えて北海道ではまた離職者が出る、また不況業種でまた離職者が出る。ことしの冬は大変だと思うのです、大臣も御承知のとおり。そういう意味で予算要求はもちろんなさっていると思いますが、私の計算では、これは道庁も計算をはじいていますが、大体一日当たり六千円、建設労務者として働いている出かせぎ労働者が。こり六〇%でいきますと、大体三千六百円ですね。それの四十日分ですから、法律はもちろん出していますが、その四十日分としては大体十五万円、これを何とかひとつ予算要求で努力をしていただけないか、そのことをひとつ大臣に積極的な立場でお願いしたい、こういうことなんです。
  592. 石田博英

    国務大臣(石田博英君) どうも答弁の枠を先に決められたのでへこたれるのでありますが、北海道の季節労働については、本年の四月の中旬に雇用保険法の改正案成立のときに皆様方と協議をいたしました方針を五十二年度は貫いているわけでございます。  それから五十三年度についても、さらに人数において、あるいは金額において、個々の金額において、概算要求で増額を要求しております。ただ、雇用保険の五十日、九十日は、前回も何回も申し上げましたけれども、やはり負担と給付の公平、北海道では大体二百六十億円くらいの負担に対して約千億円、九百九十九億円出ている。全体のバランスもございますし、五十日の一時給付という方がいいというところもございます。この点はひとつ御了解をお願いを申し上げたいと思います。
  593. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 大蔵大臣に、予算要求の増額をしているようでありますので、ひとつ大臣として努力をしてもらいたい。これはいかがですか。
  594. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) ただいま予算編成の真っ最中でございますので、この段階におきまして具体的にどうと申すことは差し控えさしていただきたいと思いますけれども、事情はよく頭に入れておきます。
  595. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 事情がわかったらこれは努力するのが当然なんであります。ひとつ、事情がわかってしないなんていうことでなくて、努力をしてもらいたい。  それから次に、金属の問題で通産大臣に。  あなたは、この間の衆議院の予算委員会で、銅、亜鉛、鉛の緊急輸入を一億ドル分やるということを発表したということを聞いておるのです。ところが、現実に、いまのメタル企業というのは、私も石炭ですからよくわかっているのですけれども、まあスクラップ・アンド・スクラップで長年来ているわけですよ。現実に、いま在庫が、銅が十六トン、亜鉛が二十トン、在庫としてあるというわけです。そこへ一億トンまた入れたのじゃ、これはもう北海道では下川鉱山なんというのはいま大変なピンチに来ているわけです。こういうところにまたこれを付加するということになると大変なことになるので、これはメタル産業をどういうふうにして守るかという観点からひとつ考えてもらいたいと、この点いかがですか。
  596. 田中龍夫

    国務大臣(田中龍夫君) 金属鉱山の問題は、いまお話が出ましたようなことも存じておるのでありますが、同時にまた、御承知のとおりに、昨年度が三百億の備蓄をいたし、今度はまた興銀の方との間の三百億の備蓄の交渉過程にありますが、日本国内の金属鉱山の問題はこれは別途取り組まなければならない重大な問題でございます。同時にまた、いまの海外にストックを持つとか、あるいはまた後発途上国に対しましての備蓄を持つとか、これは御承知のとおりにバッファーストックとかいろいろな国際問題もございますので、そういう意味から言うならば、輸入の対象として買い付けることも一案ではあると考えております。また当該ケースにつきましてはいろいろと御相談を申し上げます。
  597. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 これは対策をひとつきちっと当該企業とも打ち合わせて処置をしてもらいたい、こういう要望をしておきます。  終わります。(拍手)
  598. 鍋島直紹

    委員長鍋島直紹君) 以上をもちまして対馬君の質疑は終了いたしました。  明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十四分散会