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1977-11-21 第82回国会 参議院 法務委員会、運輸委員会、交通安全対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二十一日(月曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。    法務委員会     委員長         中尾 辰義君     理 事                 大石 武一君                 八木 一郎君                 寺田 熊雄君                 中野  明君     委 員                 大島 友治君                 斎藤 十朗君                 高橋 誉冨君                 山本 富雄君                 橋本  敦君                 円山 雅也君    運輸委員会     委員長         内田 善利君     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君     委 員                 伊江 朝雄君                 石破 二朗君                 井上 吉夫君                 江藤  智君                 衛藤征士郎君                 佐藤 信二君                 高平 公友君                 平井 卓志君                 青木 薪次君                 穐山  篤君                 田代富士男君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君    交通安全対策特別委員会     理 事                 中村 太郎君                 宮田  輝君                 安恒 良一君                 阿部 憲一君                 田渕 哲也君     委 員                 高橋 圭三君                 土屋 義彦君                 野呂田芳成君                 平井 卓志君                 福岡日出麿君                 二木 謙吾君                 穐山  篤君                 広田 幸一君                 上林繁次郎君                 山中 郁子君                 森田 重郎君    国務大臣        法 務 大 臣  瀬戸山三男君        外 務 大 臣  鳩山威一郎君        運 輸 大 臣  田村  元君        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    小川 平二君    政府委員        警察庁長官官房        長        山田 英雄君        警察庁刑事局長  鈴木 貞敏君        警察庁警備局長  三井  脩君        法務大臣官房長  前田  宏君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君        外務省国際連合        局長       大川 美雄君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君    事務局側        常任委員会専門        員        奥村 俊光君        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        内閣審議官    田中 和夫君        外務大臣官房領        事移住部長    賀陽 治憲君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○航空機強取等防止対策強化するための関係法  律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院  送付)     —————————————   〔法務委員長中尾辰義委員長席に着く〕
  2. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) これより法務委員会運輸委員会交通安全対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして私が連合審査会会議を主宰いたします。  航空機強取等防止対策強化するための関係法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案についての趣旨説明はお手元に配付してあります資料により御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。  この際、政府側に申し上げます。質疑者持ち時間答弁時間を含め限られた時間でありますので、答弁は簡潔適切にお願いをいたします。  それでは質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 安恒良一

    安恒良一君 私は、社会党を代表いたしまして、持ち時間四十分でありますから、ごく簡単に、しかも法律の中身だけでなくてやはり行政の問題を含めて質問をしたいと思います。  それはどういうことかといいますと、率直に申し上げまして、今度出されました航空機強取等防止対策強化するための関係法律の一部改正というのは、いわゆる罰則強化して、そのことによってハイジャック等暴力行為を防いでいこうと、こういう趣旨関係法律がなっていると思います。しかし、率直に申し上げまして、赤軍派の人々はこの罰則強化だけでは実効を上げることは不可能である。というのは、誤っていますが彼らは彼らなりに一定信念に基づいて行動しています。でありますから、たとえばこの法律の中で二年を三年に延長するとか、十年を無期にするとか等々、重罪を科すような予防措置法律的な態度でとられています。しかし、率直なことを言いまして、彼らの場合はそのような重罪があるから考えていることをやめるのかどうかということになると、残念ながら一定信念に基づいた行動をしていますから、やめるというふうに考えられません。そこで、一番必要なことは、重罪を科することよりも、いかに緻密に予防措置をとるのか、と同時に、これまた十分な対応策を持つのか、こういうことが非常に重要ではないかというふうに私は一つ考えます。  それから第二番目に考えなければならぬことは、このような罰則強化する際に一つわれわれが考えておかなければならぬことは、一般国民の人権に不当な制限を与えるようなことがあってはいけないというふうに思います。たとえば一つの例を挙げますならば、旅券法発給制限につきまして、ハイジャック等非人道的な暴力行為を行う者についてこういうことをすることは私は賛成であるのでありますが、いやしくも一般国民の渡航の自由を侵すようなことがあってはいけない、こういう二つのむずかしさが私はあると思います。  そこで私はお聞きをしたいのでありますが、私の手元に「ハイジャック等防止対策について」ということで政府部内に設けられました対策本部の、一番新しいやつは十一月八日にいろいろ衆議院における連合審査等を受けながら一つの方針がここに出されています。これと関連をさせなから私はお聞きをしたいのでありますが、私はまず何といっても予防ということに重点を置かなければならぬと思います。そういたしますと、法律改正も非常に重要なことでありますが、検査体制強化ということ、けさほど参考資料をいただきましたが、その中でたとえば一つの例を挙げますならば、チェックという問題におきまして、私は実はこの参考資料を見て驚いたのですが、かなり空港でいわゆる検査機エックス線によるもの等々、どちらも空港によりまして設置されていない。たとえばロンドンでありますとかその他私から考えますといわば国際的には一流の空港と思われるようなところにおきましても全然機械による検査がない、こういうことがきょういただいた参考資料の中でわかるわけであります。そういたしますと、せっかく法律強化しましても、日航寄港する外国空港安全検査体制が十分でなければ私は意味がないと思うのであります。でありますから、こういう点についてどのように今後安全検査体制強化されるのか。いわゆる検査のための機械、器具が相当の空港にないわけでありまして、それからいま一つ、私はこれはこの前日航の社長にも申し上げたのですが、どうも安全よりも経済性ということを考えられる。そうしますと、飛行機に乗る直前ダブルチェックということについて、いままで行われておれば今回の事件も場合によれば防げたのじゃないかということをこの前申し上げたのですが、国際運送約款がありますので、これを厳格に守っていくならば、日航自身かみずからダブルチェック飛行機に乗り込む直前にできると思うのでありますが、そういうようないわゆるダブルチェックの問題と、そしていま申し上げましたかなり空港安全検査機械が備わっていないと、これと今度の法律改正との関係について、関係の方々から御答弁を願いたいと思うのです。
  4. 田村元

    国務大臣田村元君) 御指摘のように、日本航空寄港地機械等か万全でないケースがあります。私どもとしましては、まず、国際条約にすべての国が入ってもらうこと、そうしてエックス線にしろ、金属探知器にしろ、機器を十分備えつけてもらうこと、これを強く要請していく。同時に、JALの寄港地におきましては、JAL独自のダブルチェックをやらしてもらうように頼む、まずJAL独自で頼むと、それでなかなかうん言っててもらえないならば外交交渉に持っていくと、それでもだめである場合にはそこへはもう寄港しないと、同時に、ダブルチェックすらやらしてくれないような国の航空機は日本にも寄港してもらわないと、そこまでの強い決意を持って改善に取り組むつもりでございます。
  5. 安恒良一

    安恒良一君 決意はいろいろお聞きをしているのです。私も、大臣が、言われたように、どうしても機械の設備をしてくれないようなところ、もしくはダブルチェックそのものを認めないということであるならば、そこにもう寄港を断ると、寄港しないと、こういうことでありますが、この運輸省提出参考資料の四ページから五ページを見ますと、かなりの国があるわけですよね。ですから、率直に言って、決意だけでなくて、もうこの事件か起きて国会の中においても関係委員会議事録を見ましても私が申し上げているようなことについてのお話をしておりますから、その後いま運輸大臣が言われましたような点をどう具体的に進めているのか。でなければ、率直なことを言いますと、あした起こらぬという保証はないのです、あした起こらないという。ですから、そういう意味から言いますと、ただ、そういう決意だけでなくて、具体的に、たとえばここに四ページから五ページに主要空港が全部備わってありますが、その中で有無と、こういうことを全部資料としていただいていますが、こういうものについて、ここはダブルチェックをやるのだと、ここは早急に機械がいまはないのだけれども近くエックス線検査器であるとか金属探知器が備わるのだと、こういうふうなことを少し具体的にお答え願わないと、精神、考え方はもうお聞きするまでもなくよくわかっていることなんです。
  6. 田村元

    国務大臣田村元君) 幾つか問題の場所はあるわけでございますが、一つ一つは時間かかりますから省略をさしていただいて、現在、ダブルチェックについて、すでにバンコク、マニラ、カラチ、それからクアラルンプール、この四空港については搭乗直前ダブルチェックを開始しております。さらに、コペンハーゲン、ローマ、アテネの三空港につきましても、日航か直接または在外公館を通じて現地空港担当当局等に対してダブルチェック実施の要請をしておるということでございます。いずれにしても、いま確かにおっしゃったとおりで、そうこう言っておるうちにまた起こるかもしれないという心配もございますから、きわめて作業を急いでおると、こういう状況でございます。
  7. 安恒良一

    安恒良一君 いまお聞きしましたら、ダブルチェックが始まったところには、まあ機械等があるとこでも始まった、このことも私は念には念を入れで結構だと思いますが、この表で見ますと全く両方がないというところにおいていま運輸大臣がお挙げになりました中にダブルチェックの話がまだ進んでいないようですから、これだけで時間をとるわけにまいりませんので、とりあえず私は探知器がないようなところについて速やかにダブルチェックをするようなことについてお進めをお願いをしたいと、これは意見として申し上げておきたいと思います。  そこで、その次の問題でありますが、この法律の中にいわゆる未遂罪というのがところどころに出てくるわけであります。私はこの未遂罪の場合に一つ心配をいたしておりますのは、飛行機の中にたとえば爆発物を持ち込む場合には三年以上の有期懲役、それから銃砲刀剣類に関しては二年以上の有期懲役をもって処罪すると、こうなっておりまして、それを受けて未遂罪ということが言われているのですか、私は未遂罪は必要だと思いますか、どうも衆議院における伊藤政府委員の御説明の場合に、未遂罪についての質問に対して、手に持ってまいります場合には、たとえばチェック場所金属探知器をくぐろうとする時点、こういった時点実行着手があるというふうに考えておりますと、こうなっているわけです、答弁がですね。これを私は心配しているのですが、未遂罪というのは必要だろうと思いますが、私ども空港で見ておりますと、金属探知器のところで本当は本人は十分その気がなくてもたとえば外国なんかへ行くときに果物ナイフの大きいものを持ってひっかかっている。国内でもあるわけです。ですから、そこのところのいわゆる危険物を持ち込む場合の未遂罪解釈について、衆議院におけるやりとりを見ますとちょっと一般国民の人権問題との関係心配がありますから、危険物持ち込み未遂罪についての考え方を聞かしてもらいたいと思います。
  8. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 今度御提案いたしております危険物航空機内に持ち込む罪、この危険物と申しますのは、そこに例示してありますように、爆発物とか刀剣類とか火炎びんとか、そういうきわめて航空の危険を生じさせやすいものであり、かつ、それがハイジャック等にも利用されやすいもの、こういうものの規制をねらっておるわけでございます。したがいまして、果物ナイフというようなものがもともと対象にならないわけでございますが、それはそれといたしまして、未遂罪と申しますのは、犯罪実行着手したけれどもまだ結果の発生をみなかった場合のことを言うわけでございまして、そういう意味で、たとえば携帯して飛行機に乗ろうとされる方につきましては、ゲートをくぐる時点実行着手があると思われますし、あるいは託送しようという方はカウンターで航空会社の職員に荷物を引き渡した時点実行着手がある。そういたしまして、それぞれそれが飛行機の中に入った時点既遂になる。飛行機の中に入るまでは未遂状態でございます。そういうふうに考えております。
  9. 安恒良一

    安恒良一君 いや、そのことは私は議事録を読んで知っているのですが、いま言われたように金属探知器をくぐろうとする時点実行着手があるというふうに考えられるという点がよくわからないわけです。ですから、これが故意の場合は私は未遂罪となると思いますが、金属探知器をくぐろうとしたときにたまたま発見をされたと。そのときの解釈によってこれは未遂だと言われたり、いやこれは故意だったと。そこのところの運用を厳格にしないと、未遂罪というのは使い方いかんによれば人権問題になるから、そこのところを聞いているわけです。
  10. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 御質問趣旨がよくわかりましたが、要するにこの犯罪既遂になりました場合も未遂の場合も故意犯でございますから、うっかり忘れて持っておった、そういうものか見つかった場合には未遂罪も成立しないわけでございます。
  11. 安恒良一

    安恒良一君 それからその次に、これもかなりやりとり衆議院でされておるのですが、いまのところの第二条の「業務中」の解釈について、これまたすでに業務中とはということで飛行機着陸をして二十四時間以内等々、この参考資料の中にもモントリオール条約の第二条の規定する概念をとって「ある特定の飛行のため地上業務員又は乗組員により当該航空機飛行前の準備が開始された時から、」と、こういうのがありますね。それで、着陸後二十四時間、これはもう明確にわかるわけです。ところが、問題になるのは、「当該航空機飛行前の準備が開始された時」という、これがどこでどういう物差しになるのかということですね。たとえば、今度の事件なんかも、まだわかりませんけれども、どうもチェックのところではひっかからなくて、地上勤務員もしくはそうでなければだれかが事前に持ち込んだのではないだろうかなどということを言われていますね。ですから、業務中の解釈のところで、特に着陸後のところはよくわかりますが、最初のところをどこからが「当該航空機飛行前の準備が開始された」というふうに受け取っていいのか、そこのところを説明していただきたい。
  12. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答え申し上げます。  業務中という状態か発生いたしますのは、その飛行機出発のために地上作業員あるいは航空機乗務員によりまして準備作業が開始されたときから業務中ということが始まるというふうに解釈しております。
  13. 安恒良一

    安恒良一君 いや、そう言われればそれまでですけれども、たとえば外国航路の場合と内国航路の場合ですね、それから準備時間等は私は非常に違うと思うのですね、いわゆる出発地の場合。途中寄港する場合は、これの適用で着陸して二十四時間というからすぐわかりますけれども、特に出発地の場合に、準備が始められたときというようなことでこのような規定でここに書いてあるようなことがうまくいくのかどうかという心配をぼくはしているわけです。いま言ったように飛行場内にはなかなか立ち入りができないようになっていますが、外国飛行機なんかを見ますと、必ずしも飛行場内の立ち入りがそう厳格にされない場合がありますね。そういうものを見ますと、準備が始まったときからという規定だけで十分な事前防止ができるのだろうかどうか、こういう心配をしていますからお聞きをしているわけです。
  14. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) この言葉はもともとモントリオール条約で使われている言葉でございまして、各国の航空界において常識になっていることをそのまま引いたわけでございます。したがいまして、通常点検整備というふうなものは入りません。それ以後におきましてある飛行が始まる、そのための準備が始まるという時期というのは、これは客観的に国際慣習からいっても確立をいたしておりますので、この法律の施行に当たりまして問題が起こることはないと考えております。
  15. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。問題が起こることはないと、こういうことでありますから、それはそれで、やはりそこのところをきちっとしてもらわないと問題があるのじゃないか。  それから同じその条項関係をしてくるのでありますが、今度法律をこのように強化されているわけですが、危険物輸送禁止規定というのは、航空法の八十六条にも禁止規定罰則があるわけですね。それと今回のこの法改正との関係について、これまた私はいろいろほかの委員質問議事録を読んだのですが、必ずしも今回の法改正について明確に——それはこういうことかというと、これは主として航空機内に持ち込む問題について、今回は三年以上とか二年というふうに新しく盛り込まれて、片方の方は航空機以外のいわゆる輸送機関にも危険物を持ち込む場合のことが関係法規の中にあるわけでありますが、これとの関係について、このところを三年とか二年にされました理由、それから他の法規との関係、それから他の交通機関との関係について御説明お願いしたい。
  16. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 御指摘のように、航空法八十六条によりまして持ち込み禁止となっておる品物がございます。一方、今度御提案いたしております持ち込み処罰規定におきましては、一見類似規定になっておりますが、そこで火炎びんというのを例示いたしておりますように、今度御提案申し上げておる規定で取り締まろうといたしますのは、火炎びんと同程度あるいはそれ以上の危険性のあるもの、これを対象にいたしております。したがいまして、航空法八十六条で持ち込みが規制されておりますものでございましても、たとえば、花火とかマッチ、爆竹、セルロイド、こういう燃えやすいものなどが規制されておりますが、これらのものが航空法八十六条の違反になることかございましても、そのもの自体では火炎びんと同程度危険性を持つような大量のものになるとか、あるいは非常に危ない形で持ち込まれるということにならない以上は、この航空危険処罰法対象にはならないと、こういうふうに現在考えております。  それから刑の点でございますが、現在、爆発物というのは、どこで所持しておりましても、一定の目的がございますと三年以上の懲役に処せられることになっておりますし、それから拳銃につきましては十年以下の懲役に処せられることになっております。その他それぞれ火炎びんあるいは刀剣類等につきましても所持禁止がございまして所定の罰則があるわけでございます。そういう本来危ないものを航空機というような非常に密室性の高いまた高々度を飛びます危険性のある交通機関に持ち込むと、こういう行為でございますので、単純な所持よりも一段と重く処罰をすると、こういう考え方で御指摘のような三年以上とか二年以上の有期懲役と、こういう刑を盛ることとしたわけでございます。
  17. 安恒良一

    安恒良一君 そこまではわかるのですが、私も航空機交通関係で一番危険性があるということは考えるのですが、たとえばこの前バスジャックというのが起こりまして幸い解決しましたけれども、今後、たとえばバスジャックとか、その他たとえば新幹線なんかもかなりのスピードで進んでおりまして事故なんか起こると大変だと思いますが、新幹線のような長いのをハイジャックするのはなかなかむずかしいだろうと思いますけれども、そんなことがいまの世相では起こりかねない場合があるわけです。そういう場合において、今回はたまたま航空機内にこういうものを持ち込んだときには三年以上とか、それから銃砲刀剣類及び火炎びんその他航空に危険を生ずるものは二年というふうになっているのですが、私がいまお聞きしようとしていることは、他の交通機関にこういうものを持ち込んだ場合の罰則強化というのは要らないのかどうか。これらも、もしも起きれば、飛行機ほどではないと言われても、私は人間の生命に重大な影響を与えると思いますから、そこらの点についてお聞きをしているわけです。
  18. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 特に航空機の場合につきましては御承知のように高々度飛行中に墜落の危険が生ずるというようなきわめて危険な状態か想定されますので、特にこの条項を設けたわけでございますが、お尋ねのように、列車とか船舶あるいはその他いろいろな場所においていわゆるハイジャック類似行為が行われる可能性なしとしないわけでございまして、それらの点につきましては、現在、変な言葉でございますが、ハイジャック以外のその他ジャック対策のための立法を鋭意検討いたしておりまして、次期通常国会にも提出すべく努力しておるところでございます。それによって防止を図りたいと、こういうふうに考えております。
  19. 安恒良一

    安恒良一君 わかりました。それじゃ、そういう他の交通機関におきましても、このような不法な行為が行われる場合、それを事前に防ぐためには、次の通常国会等においてこの法律との見合いの中で改正を考えていると、こういうことに承っておきます。  そこで、その次にお聞きをしたいのですが、いわゆる国際的協力ということで三つの国際条約批准促進外務大臣等国連等でいろいろな御努力を願った点をこれまた他の委員会のやりとりの中で拝見をしているわけですが、そういう点は多としますが、私はやはり一番問題になるのは、今度起こった国民感情の中で、なかなか条約を批准しない国がある。そして、その国に犯人が逃げて行って、犯人の逃亡はもちろんのこと、まあ飛行機は返ってきましたけれども、お金も全部取られてしまったと、何とか犯人の逃亡を防ぐ方法はないのかということになりますと、逃亡犯罪人の引き渡しという問題だと思うのですね。これは御承知のように日本とアメリカだけに話し合いが現在はできている。こういう点について、やはりこれからこのことの一連を防止をするためには、私は防止にどうしても重点を置くのでありますが、このような行為を行ったら、率直なことを言うと、世界の地の果てまで行ってもこれは捕らまえてしまうという体制を考えないと、どこかへ逃げれば後は安全だということになると、また起こるわけです。そこで、逃亡犯人の引き渡し、これは日本とアメリカだけになっていますが、こういう問題について各国との間にいまあります三条約以外にどう具体的に進めようとされているのか、また、どの程度話が今後進むのか、その点について関係大臣にお聞きをします。
  20. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 現在、条約が引き渡しについてございますのは日本はアメリカだけでございますが、わが国の逃亡犯罪人引渡法におきましては、条約のない国との間の引き渡しも相互主義の保証があればできることになっております。当面はそれを活用してまいりたいと思いますが、やはり条約がきちんと結ばれていることにこしたことはございませんので、日米のいま改定作業が進んでおりますので、これが終わり次第、なるべく多くの国と逃亡犯罪人引渡条約を結ぶように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。  なお、ハイジャック問題につきましては、へーグ条約においてすでにハイジャックを引き渡し犯罪とすることが決められておりまして、わが国もこれに加入しておりますので、その意味ではハイジャック犯人に関する限りすでに世界的な引き渡し体制は一応整っておる。しかしながら、この条約も加盟国が足りませんので、それは外務省を中心として鋭意加盟促進を努力されると思っております。
  21. 安恒良一

    安恒良一君 私もそのようなへーグ条約のことは承知をした上で聞いているのですが、いま言われましたようにいろいろ外交ルートを含めてあらゆる機会に積極的に努力するというふうに対策本部でも言われていますが、これまたさっきから申し上げたように、いつまた再発生するかわからないわけなんですから、その意味においてこの問題は急いでもらわないと、いや実は努力しておる最中にまた起こりましたじゃ話にならないわけですね。そういう意味から、一遍ここのところは外務大臣からも、いわゆる相互主義の立場からの犯人引き渡しの必要な法的整備の方法について検討するというふうに、十一月八日にこれは決められていますから、それらについて少し外務大臣の方から具体的に、これらはやはり最終的にはかなり外交的な問題になっていくと思いますから、意欲的積極的に進める意思について考え方を聞かしてください。
  22. 鳩山威一郎

    国務大臣鳩山威一郎君) 今回の犯人並びに日本に拘禁されておりました者の釈放された者、これらにつきましては私どもといたしまして何とかこれを再逮捕いたしたい、このように考え、また法務当局と連絡をとりまして犯罪人の引き渡しにつきましては努力をいたしたいと思っております。  また、へーグ条約の加盟につきましては、今回の国際民間航空の安全についての国連総会におきます決議におきましても、今度は全会一致方式によりましてこの決議が成立をいたした、こういうことで、従来から特定のある種の民族解放運動に加担する国々がこのへーグ条約に加盟しておらない、こういう事実があったわけでありますが、今回このような国連の決議がありましたので、一層これらの国々に対しまして加盟を働きかけたい、このように考えております。
  23. 安恒良一

    安恒良一君 それから「ハイジャック等防止対策について」の十一月八日の対策本部の御決定の中で、「安全検査等の徹底」の中に「緊急事態に対処するための機器の開発について検討する。」となっておりますね。その前には、「検査用機器及び地上作業監視用機器の開発・改善を含む有効な検査監視方法」等が書いてある。私はやはり事前防止という意味でこういうことは非常に重要だと思いますが、ここに書いてある「緊急事態に対処するための機器」というのは、これは発生後何かどうもそういうふうに読み取れるのですが、どういうことを開発について研究されるのか。それは、飛行機内で、私が心配しているのは、これは使用いかんによれば大変なことになりますから、いわゆる「緊急事態に対処するための機器の開発」というこの「機器」というのはどんなことをお考えになっているのか、少し具体的に聞かしてもらいたい。
  24. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答え申し上げます。  まだこれは思いつきの段階を出ていないものもたくさんございますけれども、新聞にも出ていますように、たとえば麻酔ガスを機内に送り込むというふうなこともありますけれども、これも眠ってしまうまでに非常に時間がかかるので余り効果がないというようなこともあるし、強いのをやりますと体の弱い人なんかにはやはり害があるということがありまして、そういったことにつきましても、やはり有効でかつ無害な方法を検討する、あるいは緊急事態が起きますと、機長は完全にハイジャッカーに取り囲まれてしまって外部と何ら連絡ができない状態に置かれますけれども、そういった状態の中でも何か外部つまり私たちと機長との間の何か交信のできる秘密通信方法はないかとか、SFもどきのことも含めましてまじめにひとついろいろ考えてみたい。向こうが知恵を出するならこちらもそれ以上の知恵を出したいということでございまして、具体的にはまだここでお答えできるような確定かつ確実なものはございませんが、その辺を一生懸命やりたいということでございます。
  25. 安恒良一

    安恒良一君 まあジェームズボンドじゃないのですから、何かかなり抽象的なことなので、私はこの点にお願いしておかなきゃならぬのは、いまも担当の政府委員が言われましたように、これは事前チェックということはもうあらゆることでぼくはやった方がいいと思いますけれども、起きた場合の処置の仕方というのは、特に緊急事態に対する機械の使い方というのは、高度の飛行機の中ですから、よほど注意をしないと元も子もなくなっちゃうという場合もありますから、いま言われましたように、機長が何らかの方法で秘密裏に交信のできる方法などとか、ガスなんかも言われましたけれども、私は、不幸にして起こった場合には、何といっても人命尊重、今度日本とドイツの処理の仕方について世論はいろいろなことがありますけれども、やっぱり人命尊重ということに重点を置かなければなりませんので、開発についてはそこのところを恐らく担当の方も十分お考えの上だと思いますけれども、重ねて私の考え方をここのところは申し上げておきたいと思います。  そこで、最終的に、もう時間がありませんから、これは政府側の担当大臣のどなたがお答えになっていただくのかわかりませんが、往々にして、われわれの場合には、のど元過ぎれば熱さ忘れるということで、こういう問題が出たときには非常に真剣に政府部内に対策本部等が設けられて議論をされる。特に今回の場合は恒常的なものだというふうに言われています、この対策本部は。しかし、この対策本部が出されたやつを見ましても、今後検討するとか、実情に応じとか、今後努力をするとか、こういう項目が、時間がありませんから一つ一つをいま申し上げられませんが、かなりたくさんあります。そこで、どうか、このハイジャック等非人道的暴力防止対策本部というものは常設として、随時これを開いて改善をするものは改善をする、次の通常国会関係法案として必要なものは出すということ、それと同時に、これも議論されていますが、役所というのはどうしてもやや縦割りになりますから、この対策本部を通じて横割りに、横につなげながら総合的な対策を立てていくということについて、私は国民としては強く望んでいると思いますので、政府全体を代表してこれらの問題点についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  26. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 安恒さん御意見のとおりに考えております。御承知のとおり、四十八年の場合に今度の対策に相当盛られておる内容を決めてあったわけでございますか、相当努力しておりましたけれども、遺憾ながら御承知のような事態になりました。今回、その反省の上に立って、対策等も、政府部内ばかりでなくて世間でもいろいろなアイデア等がありますから、そういうものも取り入れて可能な限りの予防対策をしよう、こういうことで進めておるわけでございまして、まだまだ結論か出ない、検討するといろいろありますが、そういうものを引き続いて可能なものは検討する、実効のありそうなものは実施に移す、こういう考え方でおりまして、時間がたつと忘れてしまうようなことのないように、この対策本部を恒常的なものにして常にチェックをし合う、かような考え方でおりますことを御了解願います。
  27. 安恒良一

    安恒良一君 以上で私の質問を終わります。
  28. 田代富士男

    田代富士男君 ハイジャック事件の再発防止のことについてお尋ねをいたします。  この防止対策六項目が打ち出されておりますが、その中の一つに「安全検査等の徹底」ということかございます。これを受けましてすでに日航では保安員の海外常駐等八項目の徹底をいま努力しております。しかし、私は、日航は当事者でありますけれども、このようなハイジャック防止というものは政府かやるべき仕事ではないかと思うわけなんです。そういう立場から考えていきますならば、政府の職員も常駐させるべきである。たとえば在外公館に保安要員を常駐さす。このようにいたしまして、飛行機の入り口のいまダブルチェックの問題等がありましたが、事故が起きてからあのような大金を使うのでなくして、未然にそういう配慮をすべきではないかと思うわけなんです。西ドイツにおいてはこのようなことを相手国と交渉中であるということを聞いておりますが、わが国の態度はいかがでございましょうか。
  29. 田村元

    国務大臣田村元君) 政府の職員が直接検査の責任に当たるということでありますと、相手国の主権の問題との絡みが出てまいりまして、ちょっとなかなかむずかしい問題になるということでございます。ただ、それに対して私どもが反対であるというものではございません。手続上若干厄介な問題があると。それからダブルチェック等いろいろな検査につきましては、日本航空自体が約款に基づいて行っていくということで外国空港においては大体ダブルチェックの目的を果たし得るのじゃないかというふうに考えております。
  30. 田代富士男

    田代富士男君 いま、主権の問題等で非常にむつかしいということでありますけれども、そういうむつかしいということでなくして、一歩前進さすような気概がなくしてこの問題は解決できないと思うのです。たとえば、現在国内線においてもチェックをしております。このチェック問題一つにつきましても、法的権限というものがチェックの問題について明確にされておりません。法的な権限を明確にしないまま実施されております。だから、羽田におきましても、ガードマンか調べる場合も、ある一定の範囲内でなければ調べられておりません。こういうところに問題を防ぐことのできない一つの検討する問題点が残されているのではないかと思うわけなんです。そういう立場から、この際、政府といたしまして、政府機関の権限と責任を明確にしていくべく、この法律の不備という問題を検討する必要があると思いますが、法務大臣、いかがでございましょうか。
  31. 田村元

    国務大臣田村元君) これは、先ほども申し上げましたように、外国空港所在国の主権との絡みがございますから、もちろんわが国の対策本部でこういう問題について十分検討しなければなりませんが、同時に、国際会議においてやはり解決をしていくべきものではなかろうか、このように考えます。  なお、日本航空が独自に行うダブルチェックというものは、約款上これが許容されておりますから特に問題はないと、このように考えております。
  32. 田代富士男

    田代富士男君 この問題は時間がありませんからまたいずれ次の機会にもっと質問をしたいと思いますが、去る十一月九日から、東京、名古屋、大阪、福岡の四空港で韓国便に対するダブルチェックが始まっておりますが、このダブルチェックの実態はどうなっているのか、現状ですね。  それと、ただいまも同僚議員から質問か出ておりましたが、日航ダブルチェックに海外の各国というものは積極的ではない。また、運輸大臣は、ただいま、それぞれ主権の問題等でむつかしいというようなことを言われたけれども、海外のダブルチェックが余り推進できないという理由はそれだけであるかどうか、あわせてお尋ねしたいと思うのです。
  33. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 第一の点でございますが、十一月九日から日本航空が東京、大阪、福岡の各空港におきまして韓国線につきましてのダブルチェックを行っております。このダブルチェックのために特に遅延便が出ているというふうな事情はまだございません。それから現在までのところこれによりまして新たに凶器の発見がされたというふうな報告もございません。日本航空といたしましては、いろいろダブルチェックをやりますと時間のおくれその他のところからお客さんの不満が大きく発生するのじゃないかということもございまして懸念いたしておりましたけれども、十分な準備説明をした上で行いまするならば特段の問題がないことかわかりましたので、この経験を生かしましてできるだけこういった体制を普及させていきたいと、こういうふうにただいま考えております。  それからなお外国の事情でございますが、それぞれの国柄もございまして必ずしも一律にダブルチェックを心から受け入れるという国ばかりではございません。しかしながら、国連の決議あるいは民間航空条約機構での議題の取り上げその他でこのダブルチェックを含む検査体制の充実ということが非常に大事な問題であるということが漸次関係各国に認識されてきておりますので、私ども精力的に交渉を進めておりますが、そういった認識の深まりとともにこれは必ずや可能になる、少なくとも私たちが十七空港のうちとりあえずやらなきゃいかぬと思っております七空港につきましてはおそくも来月半ばぐらいまでには体制をしくことが可能になるというふうに考えております。残りにつきましても、外交ルートを通じましての努力も最後は加えながらそういった体制を確実にすべくいま一生懸命やっているところでございます。
  34. 田代富士男

    田代富士男君 いま海外の実情をお聞きいたしましたが、国柄で一律に受け入れられない、そういう意味から、努力として国連の決議あるいは民間航空のそういう機関においての議題に上げていく、このように努力していきたいと。いま航空局長が言われたのが、日航として注目をされている調査の対象となっている空港が十七空港ある、そのうちの七空港には来月の半ばごろまでにそういう設備ができるように努力していると。まあ七空港というのはコペンハーゲン、ローマ、アテネ、バンコク、カラチ、マニラ、クアラルンプール等ではないかと私は思いますけれども、いまの話はいまの話ですが、私が聞いた話でございますが、これが進まない一つの原因にもなっているというのが、金属探知器を持っていないそういう空港ダブルチェックされることをいやがっていると、これも一つの原因ではないかと思うわけなんです。それであるならば、事故が起きてからあれだけの多大のお金を使うくらいであるならば、直接その空港を利用するところの日航なりそういうような一つの手段を講じまして金属探知器日航から寄贈するなりいたしまして、そのぐらいの思い切った対策を講じましてやらねばならないと思うのです。ただいま、運輸大臣は、ダブルチェックしないところに寄港しない、また日本にも寄港させない、そういうことを簡単におっしゃいますけれども、日本のそういうような発展のためにその一つ航空路線をつくるまでにはどれだけ苦労してきておりますか、並み大抵の苦労ではないわけなんです。また、日本の経済発展のためにも必要なんです。それを、簡単にそのように、運輸大臣のけさの答弁を聞いておりますけれども事務的答弁だと思うのです。それよりも、建設的にこういうような金属探知器を寄贈するということは大変なことかわからないけれども、そういう日本の大所高所から考えた上にこういう対策もあるということを私は提言したいのですが、どうですか。
  35. 田村元

    国務大臣田村元君) 金属探知器に関するいまの御提言は非常にいい御提言だと思います。これをプレゼントするなりあるいは貸与するなり、これは十分考えていかなきゃならぬし、また急がなければならぬと思います。ただ、私が先ほどダブルチェックの話をしましたのは、金属探知器というものは、これは第一次検査に大体使うものであって、ダブルチェックはいわゆるダブルチェックであるということから、もちろん金属探知器を寄付するなり差し上げるなりということは相手国のプライドのことも考えなきゃなりませんが、これは差し上げる、そうしてなおかつダブルチェックをする。その日航独自のダブルチェックに対してどうしてもうんと言ってくれないという飛行場にはちょっと寄港しがたい、させがたい。また、そういう寄港しない国の飛行機を日本に寄港させるわけにいかない。言うなれば、私は事務的に申し上げたのじゃなくて、むしろナショナリズムから申し上げた、こういうわけでございますので、誤解のないようにお願いをしたいと思います。
  36. 田代富士男

    田代富士男君 運輸大臣ダブルチェックダブルチェックだとおっしゃる、わかりますよ。そのように金属探知器でも寄贈してあげれば相手国との話というものはスムーズにいく一つの道をつくることになる、そういう意味も含んで申し上げているのです。やろうと思うならば、現在、たとえば、ハイジャッカーを乗せないということが最大の対策になりますけれども、イスラエルのELAL航空なんかでは、たとえばナイフを持っている人が見つかった場合には、その乗客を乗せないわけにいきませんから、ガードマンのそばにその乗客を乗せる、ここまで徹底した対策をやっているのですよ。だから、そこまでやっているのだから、いま日航としてそこまでやっていないのだから、一歩進んだ対策を私は要望しておきます、これに時間をとっていたらあとが時間がありませんから。  そこで、現在日航機が立ち寄る国は何カ国か、また、空港の数はどのくらいあるのか、まず簡単に御説明願いたいと思います。
  37. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 二十三カ国で三十五空港でございます。
  38. 田代富士男

    田代富士男君 いま二十三カ国、三十五空港ということをお聞きいたしましたが、日本航空が立ち寄る海外二十三カ国で、東京条約、へーグ条約、モントリオール条約の三条約に入っている国というものはそれぞれどのぐらいになっておりますか、これは具体的に御説明願いたいと思うのです。
  39. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答えします。  日本航空便が寄港しております外国の国でございまして東京条約に入っております国は、アメリカ、カナダ、メキシコ、デンマーク、ドイツ連邦共和国フランス、オランダ、イギリス、イタリア、ギリシャ、エジプト、イラン、パキスタン、インド、タイ、シンガポール、インドネシア、オーストラリア、フィリピン、大韓民国であります。  次に、へーグ条約に加盟しております国は、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、ソビエト連邦、デンマーク、ドイツ連邦共和国、フランス、オランダ、イギリス、イタリア、エジプト、イラン、パキスタン、インドネシア、オーストラリア、フィリピン、大韓民国であります。  それからモントリオール条約に加盟しております国は、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、ソビエト連邦、デンマーク、フランス、オランダ、イギリス、イタリア、ギリシャ、エジプト、イラン、パキスタン、インドネシア、オーストラリア、フィリピン、大韓民国、以上であります。
  40. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま報告をいただきましたけれども、まだ未加入の国というものが多うございます。こういう国に対しまして、日本だけでなくして世界各国に外務省として呼びかけてこういうハイジャック事件の再発を防止すべきだと思いますが、外務省としていかがでございましょうか。
  41. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) おっしゃいますとおり、いわゆるハイジャック三条約に入っていない国が遺憾ながらたくさんございます。実は、数えてみましたけれども、三つの条約のいずれにも加盟していない国が五十幾つもあるということでございます。東京条約に入っております国は八十八カ国、それからへーグ条約に入っておりますのが八十カ国、モントリオール条約が七十四カ国というのが現状でございまして、これを何とかまずすべての国が入りますように日本として従来から強く呼びかけておりますけれども、国によりましてはそれぞれの特殊事情からこれに対する態度を決めている国がございまして、先ほど外務大臣からも申し上げましたように、これに入ればいわゆる民族解放運動というものが抑圧されるというような立場をとっている国もあります。しかしながら、わが国といたしましては、国連総会の場におきましても、それから国際民間航空機関の場におきましても、強くこれらの国の条約加入あるいは批准を呼びかけてまいりましたし、今後ともその努力を続けてまいる所存でございます。
  42. 田代富士男

    田代富士男君 次に、このハイジャック事件の再発防止と同時に、今後対策を講じていかなくちゃならない問題は何か。これは私たちの思わないところに抜け穴があるのではないかと思うのです。それは、航空会社の各地の寄港する場所がございますが、そこにおいて整備なりいろいろな仕事をするわけなんですか、その航空会社の下請会社に日航等も任しているわけです。しかし、現実にはその下請会社がまた孫請会社に仕事を委任している。こういうところで、今回のハイジャックのどうしてあのような多大な荷物が積み込まれたのか、どの空港で積み込まれたのか、それすらもわからない。しかし、一般常識的に考えるならば、正規なルートから入ってきたならば持ち込めるわけがない。そうしたならば、空港の従業員等によって持ち込まれたという疑いを持たれてもこれは仕方がない面が多々あります。こういう意味で、航空会社の下請会社、その孫請会社——孫請に至ってはわかりません。いま乗客のダブルチェック等をやっておりますけれども、乗客よりも何よりもそのような下請会社、孫請会社の従業員のチェックの範囲を広げていくと同時に、作業の監視、こういうところに配慮すべきではないかと思いますが、どうですか。
  43. 田村元

    国務大臣田村元君) これはもうまさにおっしゃるとおりでありまして、特に地上勤務員を擁しております会社につきましては、いまおっしゃったことと同時に、驚くべき発見といえば発見なんですが、ずいぶんアルバイトを使っておるというようなこともございます。そこで、まずこの調査を徹底してやらしておると、それから従業員の身元確認を厳しくするように作業を急がせておると、こういう段階でございます。いずれにしても、これが非常に大切な問題で、先般のあれもどういうことかしっかりわかりませんが、あるいは食料を運ぶ、水を運ぶというような地上勤務員が共犯であった疑いもなきにしもあらずでありますから、この点は乗客のダブルチェックあるいはそれ以上に神経を使って今日対策を講じておるというところでございます。
  44. 田代富士男

    田代富士男君 それからもう一つは、飛行機の空中爆発の件でございます。これはもうすでに四十九年の九月八日、ギリシャにおいてトランスワールド航空において起きております。それから五十一年の十月六日、中米でキューバ航空において起きております。これはすべて貨物室に仕掛けられた爆発物によるということが伝えられておりますけれども、手に持つ荷物はダブルチェックされるかわかりませんが、あの貨物として胴体に入れられる荷物というもののチェックというものはほとんどされていない。しかし、すでにいま二件起きている。それが全部貨物の中から行われているということであります。そういう意味から、大きいそういう一般胴体に入れる荷物もチェックすべきである。そういう意味から、ソマリアやルフトハンザ航空では、乗客が飛行機に乗る前にその荷物を全部確認してもらう、そうして全部確認してもらった荷物は飛行機に乗せるけれども、だれも確認しなかった荷物というものは一切飛行機に積まないという、これを義務づけている。このように空中爆発に対する予防というものの対策を講じているわけなんですが、日航といたしましてこのようなことがまだされていない。起きてからは、ハイジャックではまだ救いようがありますが、空中爆発では一瞬のうちに、地球よりも重い命であると福田さんは言われたけれども、亡くなってしまいますから、これに対する今後の対策はどうですか。
  45. 田村元

    国務大臣田村元君) 日本から出発いたします航空便につきましては、いわゆる受託荷物については、厳しく開披検査等もやっております。ただ、国内線の場合、なかなかむずかしい問題がございます。それは場所でございます。でありますから、もちろん金属探知器等で一方において一生懸命にやりながら、こちらの方においてまどろっこしい面があるじゃないかということになるわけでございますが、たとえば、受託した人数と乗機する人数とに一人でも狂いがあったら簡単に飛行機を出さないというような、まあそういう意味におけるダブルチェックをやっておる。もちろん国内線もやっていないわけじゃございません。できるだけやっておりますけれども、なかなか場所がないというような悩みがございますが、国際線については相当完璧にやっておるつもりでございます。
  46. 田代富士男

    田代富士男君 時間が参ったようでございますが、実は「交通新聞」の「日曜評論」というところにこういう記事が載っておりますが、これは高橋航空局長が今回のハイジャック問題に対して随想としてお書きになったものでございますが、この中で、興味のある随想でございまして、外科的治療であるか内科的治療であるかという、こういう意味でございます。日本と西洋との近代的社会の法秩序を獲得した歴史の違いというものを挙げられておりますが、ヨーロッパにおいてはこういう近代社会の法秩序獲得のために血を流して戦ってきたと、日本はそういうものを血を流さずに舶来品として受け継いでいる、そういう違いというものが今回も血を流さないような対策を講じたと、ルフトハンザではあのような電撃的な作戦をとったと、こういうような随想でございます。ところが、法務大臣は、これは読んでくださいと前に渡しておりましたけれども、これをお読みになられまして、まあ世間一般で強硬派と言われる法務大臣としてこれをどう受けとめていらっしゃるのかお尋ねしたいと思いますし、私はこの高橋航空局長の随想の中に主張されているこれは同感いたします。そういうところから、法務大臣として今後のハイジャックに対する対策をあわせてお聞かせいただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  47. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 高橋航空局長の随想は私も同感であります。同感と言いますのは、わが国における法治国家の成り立ち、経過、国民のそれに対する認識の度合い、あるいは西ドイツ等欧米諸国におけるいわゆる法治国家の成り立ち、国民の認識の度合い等は、あの随想に書かれておるように私も同じような認識を持っておるつもりでございます。しかし、それだけではいけないと私は思います。なるほど歴史が浅いですから、いわゆる近代法治国家と言われるようになったのはまだ百年足らずでございます。しかも、これは要するにこういう憲法下における法治国家というものが仕組まれてうまくやっておる、これをまねたといいますか、借りたといいますか、それをならって法治国家というものにして仕上げているのは今日百年足らずでありますから、国民の皆さんの、こう言っちゃ失礼かもしれませんが、意識が比較的少ない。これで私は法治国家を守っていくという決意がなかなか鈍ってくるのじゃないかと思います。これはよけいなことになるかもしれませんが、今度日航ハイジャックが起こった、引き続いて少し間を置いてルフトハンザのハイジャックが起こる、事もあろうにまた長崎においてバスジャックと言われる事件が起こった。不幸なことでありますけれども、こういう三つの事件が、ああいう暴力的な犯罪が起こって、法律が一部害されるというようなことになりました。これで国民の皆さんが法治国家というものについて相当の認識を高められたのじゃないかと私は観察いたしております。でありますから、人命と法治国家というものをよく対比させたような意見がありますが、私はこれは両立すべきもので、むしろ、憲法を施行しその原則によって各般の法律制度をつくります、これはまさに国民といいますか、人間の生命財産あるいは平和と安全と自由を守るためにつくってある法律でありますから、最高のねらいは全国民の生命を十分尊重するという前提に立っておる。でありますから、それを前提に置いて各般の措置をとらなければならない。しかし、あらゆる努力をして、そのことによっていま申し上げました全国民関係のある法治国家の原則が崩れるというおそれのあるときには、これはそれを守る決意をしなければならない。これはやっぱり人命尊重にも通ずるわけであります。でありますから、どうしても法治国家を維持できないような判断をするときには、万やむを得ず血を流してでもそれを守るという決意をしなければならない。私は国民の皆さんにそれをお願いしておる。政府もまた国民考え方を背景にして措置をとらなければならない、かように考えておるわけでございます。
  48. 山中郁子

    ○山中郁子君 大変限られた時間ですので、すでに議論がありましたが、チェック体制の問題にしぼって数点伺うことにいたします。  いままで関係委員会でそれぞれ政府のこの問題に関する答弁もございました。私は、ごく具体的にすぐの問題として、やっぱりいかに武器を持ち込ませないかということがどこまで貫徹できるかということだと思うのです。それで四十八年の例の事件の後でかなり詳細な対策要綱もつくられて、そして取り組んできたことにはなっているのだけれども、結局新しい事件が起こって、いま考えてみると、そういうふうにして決められたことが十分に貫徹していなかったと、このことについては、まあ率直に反省するというふうな御趣旨の発言も何回か園田官房長官からもございました。私はやはりそこのところがどういうふうに貫徹されるのかということが最も重要な問題の一つであるというふうに考えているものですけれども、再びそういうことがないようにということで先ほど来議論もありましたが、そういうふうな問題が解決しないような場合には、この政府の出した対策要綱の二の五項ですけれども、「現に寄港している空港安全検査体制ハイジャック防止対策について十分な措置がとられない場合には、寄港中止、相手国企業の乗入れ再検討等の対応措置を考慮する」と、こうなっております。私はもちろん寄港中止や乗り入れをやめるというふうなことが望ましくないことは当然だけれども、いずれにしても防止のためにはそうならざるを得ないという事態が起これば必ずそうした措置をとるのだというふうな政府のかたい見解が、決意というか対策がおありになるのかどうか、まずその辺について初めにお伺いいたします。
  49. 田村元

    国務大臣田村元君) とにもかくにもJAL自体が相手国に対して話し合いをいたします。それでらちが明かなければ外交交渉にゆだねる。とにかくその点では時間を急ぎながらも辛抱強くやらなきゃならぬ。しかし、どうしても相手国の態度がかたいという場合には、いまおっしゃったような立ち寄らない、立ち寄らせないという強硬な手段を最終的には講じなきゃならぬというふうにこれは非常に強く考えております。
  50. 山中郁子

    ○山中郁子君 日航の調査で検査体制不十分とした十七空港があります。運輸省の御見解はこれと一緒だというふうに伺っておりますけれども、それの確認をお願いします。
  51. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 一応一緒でございますが、ただ政府としては日航が調べまして意見を出しましたものをもう一遍ダブルチェックをしなければいけないので、政府自体の調査団をいま計画いたしまして派遣中でございます。
  52. 山中郁子

    ○山中郁子君 それはいつごろ調査ができるのですか、確認ができるのですか。
  53. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 一月の下旬までには全部終わります。十二月の下旬までで七割ぐらい終わりますが、残り三割が一月下旬になれば終わります。
  54. 山中郁子

    ○山中郁子君 いままでの経過の中で、現在四空港が実施されていると、逆に言えば四空港しか実施されていないというのが、カラチ、バンコク、マニラ、クアラルンプールというふうに言われておりますけれども、その実際いままだ行われていないところですね、仮に日航の十七空港という調査でコンクリートされるとするならば、残りの十三空港のその実施の見通しは、運輸省はこれからまだ調査するという話で、来年の一月までかかるみたいな大変のんびりしたお話なんだけれども、問題はあしたにでもまた事故が起こるかもしれない、ハイジャック事件が起こるかもしれないと、こういう事態ですから、その辺の見通しはどのように把握されているのか。
  55. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 日航寄港しております空港は三十五あるわけでありまして、そのうち一応問題になりそうなところが十七というところでございまして、私ども十七についてただいま日航の調査に重ねまして政府の調査団を出して調査をしたい、そして必要な整備を図りたいとしているわけでございますか、残り十八につきましては当面問題なさそうであるというふうに考えておりますが、これにつきましても十七空港の体制整備が終わり次第順次点検をしていきたい、そして万全を期したいと思っております。
  56. 山中郁子

    ○山中郁子君 いや、それではなくて、十七空港の大体のその実現の見通しですね、それを伺っている。  それとあわせて、大臣、いまお話があったのだけれども、ずいぶんのんびりした話だと思いませんか、一月末までかかるって政府の調査が。そうしてそこでもってダブルチェック体制に問題があるところがやっとクローズアップされてきて、そうしてそれについて交渉するなんて。もう今度の新しい事件が起こってから二カ月たっているのですね。いかに何でも私は少しのんびりし過ぎていると、こういう感じを受けますけれども、いかがですか。
  57. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 御説明申し上げます。  十七の空港のうち、十の空港につきましては、日本航空の調査によりますれば、いわゆる第一次チェックが終わりましてから飛行機に乗るまでの間にほとんど距離がない、したがいましてその間に新しい武器等が手渡されるおそれは余りないということで、十の空港をとりあえず除外いたしまして、七つにつきましてただいまやっているわけでございます。七つにつきましては、すでに四つについてダブルチェックが始まりまして、残る三つにつきましても遅くも来月の半ばまでには体制が整備されると考えております。したがいまして……
  58. 山中郁子

    ○山中郁子君 いつまでに。
  59. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 来月半ばまでには七つにつきましてはダブルチェックが完備できると思います。残りの十でございますが、これにつきましては、ただいま申し上げましたように、日航の調査では第一次チェックから飛行機の搭乗までの間に距離が短いので必要がないだろうという調査でございますか、政府調査団といたしましては、なおその点を念を入れて点検をいたしまして、距離が短くてもやはり必要ありというふうに結論が出ればこれをすぐに整備したいということでございますが、したがいまして、現実の危険性というものは七つにつきまして完備をすればまずまず避けられるというふうに考えております。
  60. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、関連して、その三空港ですね、残りの三空港がどこか、ちょっと確認させてください。
  61. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) ついでに全部申し上げますと、七つのうち、すでに済んだもの、つまりダブルチェック体制ができ上がったものがバンコク、クアラルンプール、マニラ、カラチであります。残り三つはアテネ、コペンハーゲン、ローマでございます。
  62. 田村元

    国務大臣田村元君) 先ほどの、まあ少しのんびりし過ぎておりゃせぬかということですが、私も実はそういう感じがいたします。いま四班を出しておる。一班どうしても二週間はかかるということでの計算でございますが、私もあえて答弁に立ちましたのは、これは各省庁で混成部隊で行くわけでありまして、まあこういうことも、役所というのは、役所といいますか役人というのは、いろいろなことをああでもないこうでもないと言って相談するのでございましょうが、担当の大臣が発言をして速記録に残りますと大急ぎで作業をまたやり直すというところがあります。でありますからあえて立ったわけでありますが、班をふやしてでも急ぎます。
  63. 山中郁子

    ○山中郁子君 それはぜひお願いをしておきます。  それから日航ルートでもって話がつかない場合に外交ルートに持ち上がってきてそれで解決を図ると、こういうふうになっておりますけれども、いままでそうしたケースがありましたか。あれば、どこの国との関係かということを聞かせてください。
  64. 賀陽治憲

    説明員(賀陽治憲君) お答えいたします。  ただいまのところ、外交ルートで申し入れたケースはございませんが、運輸省の調査の結果、必要が起きました場合にはいつでも外交ルートに乗せて交渉をするという体制でございます。
  65. 山中郁子

    ○山中郁子君 次の問題ですけれども、国内の空港でこの問題がどうなっているのかということも実は私かねがね気になっていたところなんですけれども、こうした問題は幾ら羽田で伊丹で一生懸命厳密に調査して検査しても、反対側の方で何もないというのだったら意味がないわけなんですけれども、運輸省からいただいた資料によりますと、第二種空港ないし第三種空港、まあ第三種空港がほとんどなんですけれどもエックス線透視手荷物検査装置ですね、要するに荷物の検査装置です、これは第三種空港は全然どこもないのです。それから第二種空港でもないところがあるようです。それからゲート式金属探知器も幾つかやはりないところがありますね。こういう問題についてはどうお考えですか。
  66. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答えします。  実は、金属探知器とかエックス線探知器は数をこなすためにやるわけでございまして、開披検査あるいは完全なボデーチェックというものはそれなりに有効なチェック方法でございます。そこで、第三種空港などで利用者か非常に少ないようなところにつきましては、従来必要に応じまして開披検査あるいはボディチェック等をやることにいたしておりましたために、機器の整備が必ずしも東京、大阪のようなことになっておりません。しかしながら、これにつきましても、今後異常な事態が続くことを考えまして、三種空港を含めましてやはりそういった体制を考える必要があるということで、ただいま検討を重ねているところでございます。
  67. 山中郁子

    ○山中郁子君 少ないといいますけれども、必ずしもそうでなくて、いまやっぱり乗客はふえていますからね。これは五十年の数字ですけれどもエックス線装置のない空港の乗降客が五十年度の計で四百六十五万人にも達していますね。私は、いまの観点から検討していますと、こういうふうにおっしゃっているのだけれども、どういうふうに検討なさっているのか、それもぜひ伺わせてください。
  68. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) これは各空港ごとに保安委員会というのがございまして、そこに警備の方の専門家等も入ってもらいましていろいろ検討いたしております。そして、お客の流れ、あるいは従来の経験等から、どういうふうな体制を講じたらいいかという点を中心に検討いたしております。そういった現地での検討委員会の報告も踏まえまして、やはりこの空港では最近だんだん人間もふえてきているので機器を整備する必要があるということが判明いたしますれば、機器を整備していきたいと考えております。機器の中でも、エックス線検査器といいますのは本当に大量の被検査者をさばく機械でございますが、金属探知器の方はエックス線に比べますならばまあ比較的安易な機械でございますので、これなどの整備は比較的簡単であろうかと思います。エックス線は、人間を調べるのじゃなくて、これは手荷物を調べる機械でございますから、むしろ優先的に配置すべきものは、人間がこの中を通りますとチンと鳴りますあのゲート式の金属探知器、この方が先であります。なお、ゲート式の探知器をすぐに備えなくても人数等からいって可能であるというところにつきましては、携帯式の探知器がございますので、そういうふうなものを必要に応じまして、その空港の必要性と考え合わせた上で、十分必要な機器は整備するということでただいま検討を重ねているところであります。
  69. 山中郁子

    ○山中郁子君 これは大臣にお約束をいただければと思うのですけれども、第三種の場合には地方自治体が設置者になっていますね。やはりいろいろ財政上の問題その他も何らかの形で関係するかもしれません、要員の問題も含めてですね。この点に運輸省の責任で設置するという基本的な姿勢か確認されるならば、設置というのはその中身はいまお答えがあったようにケース・バイ・ケースという面があるかもしれませんけれども、要するにチェックできる体制ですね、そうしたことについての基本的な姿勢と、それからそのための必要があれば地方自治体への助成措置ですね、そうしたものも積極的な立場で検討すると、取り組むと、この辺のお約束をぜひいただきたいところだと思います。
  70. 田村元

    国務大臣田村元君) ハイジャック防止の問題については、第一義的にはこれは航空会社の責任であります。しかしながら、空港管理者というもののけじめがございますから、一種、二種につきましては国が助成もいたしておる。三種につきましては、当然都道府県ということになるのでございましょう。この点、都道府県に対して厳しい対策をとるようによく指導監督をいたしてまいりたい、このように考えます。
  71. 山中郁子

    ○山中郁子君 一種、二種に対しては、いまお話があったように国か助成をしているわけですから、だから、三種空港につきましても、地方自治体が設置者ではあるけれども、厳しい指導と同時に国としてのやはり助成も考えていただきたい、このことをいま私は申し上げておりますが。
  72. 田村元

    国務大臣田村元君) いますぐに私からお答えできる問題ではちょっと内容がないわけでございますが、まあ助成に関して私はわりあいにサービスのいい方でございますので、十分今後の課題として検討をいたしたいと思います。
  73. 山中郁子

    ○山中郁子君 最後に一つ質問をいたしますが、私も実際に空港を使いまして、こうした第二種段階で運輸省の調査によるとそうした装置があるというふうになっているところでも、実際にそうしたことが行われていないという経験も実はあるのです。その辺はどうなんですか。まああってもやられていなければ何にもならないので、その辺の状況は現在運輸省がはっきりちゃんと調査もなすって大丈夫だというふうに把握されていらっしゃるかどうか、それのお答えをお願いします。
  74. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 大変恥さらしになりますけれども、先日の事件か起こる前には若干サボっていた空港もあったようでございまして、機械がありますのに機械がほこりをかぶっているというところも皆無ではございませんでした。早速厳重に通達いたしまして、ただいまでは全力を挙げてチェックをいたしております。今後もそのようにさしたいと思います。
  75. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、このハイジャック防止のための法改正ですけれども、確かにこれは必要だと思います。しかし、法律改正をしたからハイジャックが全く起こらないということは考えられないわけです。もちろん、ダブルチェック強化その他あらゆる手は打ってもらわなくてはなりません。しかし、私はやはり万が一起こった場合の政府の姿勢というものをはっきりしておく必要があると思います。人命は地球より重いということで人命尊重の基本でやってこられました。ところが、その後西独で起こった対処の仕方は、これとは逆のようなかっこうできわめて強硬措置をとった。しかし、私は、これは人命尊重かあるいは法秩序の維持か、こういう二者択一的な考え方でものを処理するというのは誤りのような気がするわけです。また、その結果として、西独のとった措置は世界から称賛を受け、わが国のとった措置は批判を受けておる。しかし、考えてみますと、わが国が人命尊重だから批判を受け、西ドイツが強硬措置だから称賛を浴びておるとは私は考えられないと思うのです。これはなぜかということを考えてみますと、もう一つ国際的な責任というものがあるのではないか。人命尊重を優先するか、法秩序の維持を優先するか、それはそれぞれの国の意思決定によって行われるわけで、言うならそれ自体が国内的な問題であって、外国から干渉すべき問題ではない。しかし、その結果として生ずる国際的な責任を果たし得なければ、批判を受けるのは当然である。国際的な責任とは何か。一つは、ハイジャック犯初め過激犯を野放しにするということは、これは国際的な責任を果たしていないことになる。しかし、それなら強硬措置の場合はそれができるのかというと、私はこれも問題があると思うのですね。強硬措置をとって外国航空機に乗っている乗客の人命を殺してしまった場合どうなるか。やはり国際的な責任が出てくると思うのです。西ドイツの場合は、幸い両方ともうまくいった。犯人の要求に応じて、国内でつかまえておる凶悪犯を世界に野放しをすることをやらなかった。同時に、航空機に乗っておる外国のお客さんの人命も守った。国際的な責任が果たせたから称賛を浴びておるわけで、わが国が非難を受けるのは人命尊重の方針について非難を受けておるわけではありません。わが国が拘留しておった凶悪犯を海外に野放ししたから非難を受けておる。特にハイジャック犯というのは私は国際的な共同戦線というものがあると思うのですね。国際的な協力と共同戦線によって対処しなければならない。だから、私は日本の国が人命尊重優先という方針をとるのは大いに結構だと思いますけれども、だからといってハイジャック犯初め凶悪犯を野放しにした国際的な責任が回避されるものではないと思うのです。  それならどうすればいいかといいますと、私はやはり両立する道を最大限の努力をして求めるしかない。人命を守りながらぎりぎりの限度で犯人をつかまえる、あるいは犯人の要求に応じない。それに対する最善の努力をして、そしてぎりぎりのところでどっちを選ぶかというときに、人命尊重か法秩序の維持か、この価値判断が求められるのだと思うのです。私は、いままで今回のハイジャックの問題で政府のとった措置というのは最善のぎりぎりの努力がされたということが認められていない、これが批判を受ける最大のポイントだと思うわけであります。  それからもう一つ、私は、政府がいままで言ってきた人命尊重というのは多分に偽善的なものではないかという気がしておるわけです。なぜかといえば、もしハイジャック犯人が要求したものか過大なものでそれに応じたら大変なことになる場合は、政府は人命尊重優先の態度をとらないだろう。だから、人命尊重が何よりも大事だ、優先だという政府の姿勢というものは単なる責任逃れのために言っておるにすぎないのであって、本当はぎりぎりのところに来た場合には私はどっちを選べば日本の国のためによりいいのかという判断が政府に求められると思うのですね。だから、何でも人命は地球よりも重いのだということで責任回避をされるために言っておるけれども、本当に政府に与えられておる責任というものはそんなものじゃないはずだ。ハイジャック犯が要求するものに屈した場合に日本の国家が受ける損害がもっと大きい場合は、政府は人命尊重という方針をとり得ないだろうと、私はこのように思うわけであります。だから、軽々しく責任逃れのために人命尊重なんと言うのは偽善的な態度にすぎない、私はこのように思うわけであります。本当は、こういう質問は、ハイジャックに対する基本的な政府の姿勢でありますから、総理大臣もしくは官房長官にしたかったわけでありますけれども、御出席をいただいておりませんから、政府を代表して法務大臣に御答弁をいただきたいと思います。
  76. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 人命尊重と法秩序維持、法治国家の権威を保つ、これは私は相反するものであるというふうには考えていないわけでございます。政府も同じでございます。私は西ドイツでも同じだと思っております。ただ、先ほどお尋ねがありましたが、その仕方については法治国家に対する国民の意識の程度、あるいはお国の置かれておる客観情勢、こういうものが作用することはこれはやむを得ない。やはり、政府が何かの決断をしますときには、国民の大方の感情といいますか、考え方といいますか、それを背景にして決断をするわけでございますから、そういう諸般の違いがああいう違いになっておると思います。人命尊重だから法治国家はもうやむを得ないのだ、これは崩れても仕方かないのだという考えも間違いですし、法治国家だから人命はもうどうなってもしようがないのだ、こういう考え方はいずれの政府もとっておらないと思っております。先ほどもお答えしたわけでございますが、そもそも近代憲法下における法治国家を維持しておること自体が人命を中心に尊重するためにやっておると私ども見ておりますから、問題は、いまおっしゃったように、それが日本の国家として崩れるおそれがあるかどうか、その決断をどこら辺でするかということだと思います。あらゆる努力をして、憲法あるいは法律の求める人命を尊重する大前提のもとにおいてそれが可能なぎりぎりまで努力をして、どうしてもやむを得ないと、法治国家の根幹が崩れると、こういう状態のときには、人命をないがしろにするというわけじゃありませんが、それを阻止するための措置で一部人命に損傷を起こす場合もあり得る、これだけの政府は決意をしなければならない、こういうことに考えておるわけでございます。
  77. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ハイジャック犯というものは、人命を盾にとって、いわゆる人質をとっての行動でありますから一人命を守りながらしかも犯人の要求に応じないということは非常に困難なことです。しかし、その困難を追求していくというのは私はまず政府の基本的な姿勢でなくてはならない、このように考えるわけです。そういうことを前提にして、もちろん防止に万全を期するというのが最高でありますけれども、ただ、万に一つそういうことが起こった場合には政府はどういう対処をするか、その腰がすわっていなければ私はだめだと思うのですね。また、腰がすわっておることがハイジャックに対する抑止力にもなる、このように考えるわけです。  そういう点からこの間の事件を考えてみますと、後から起こったことをあれこれ言うのはたやすいことで、私は、政府も思いがけないことが起こっていろいろ混乱が起こった、そういうことについてはやむを得ない面もあると思います。しかしながら、今後の参考にするために一つ質問をしたいと思うのでありますけれども、政府の対処の仕方、対策本部の乱れというものか私は見られると思うのです。たとえば、犯人に旅券を渡したとか、あるいは刑務所で服役中の賃金を渡したとか、いろいろ問題があります。私はその一つ一つを取り上げてどうこう言うつもりはありませんけれども、あるいはアルジェリアとの交渉で、犯人の身柄やあるいは身のしろ金について条件をつけない、そういうことを条件に受け入れを要請した、これについても私はとやかく言うつもりはありません。やむを得なかったという面もあろうかと思うのです。ただ、これに対してその後政府の部内でどういう論議が起こっておるかというと、そんなことをしたのはけしからぬとか、おれはそんなことは知らなかったという論議がいっぱい出ておるわけですね。私はこれはまことにおかしなことではないかと思うのです。やはり、こういう緊急の場合で戦時状態のような非常事態において敵と対決して勝利を占めるためには、こういうばらばらのあるいは統制のとれない状態では勝てるわけがない。したがって、この場合には、対策本部の最高責任者はだれか、そしてそれぞれの権限はどのように分担するか——非常な場合ですから、現地に行っておる者が自分の判断で独断専行しなければならない場合もあるわけです。そういう場合は独断専行を認めざるを得ない。しかし、すべての場合、責任は最高責任者になければならない。それが、アルジェリアに着地を求めた、それに対して犯人の身柄に条件をつけなかったのはけしからぬとか何とかいう論議が起こっておるわけですね。私はこういうあり方では困ると思うのですけれども、したがって、今後ハイジャックはいつ起こるかわかりませんけれども、万が一起こった場合には緊急にそういう体制がすぐつくれる。だれがどういう分担をして、だれがどういう責任を持って、あるいはだれがどういう判断で行動する権限を持っておるとか、そういう体制をあらかじめつくっておく必要があると思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  78. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いま田渕さんおっしゃるように、まさに非常事態、しかも数干キロ離れておる外地において措置をしなければならない、こういう状態でありますから、後で冷静になったときにいろいろ議論がありますけれども、なかなかそうはいかないことをわれわれも考えるわけでございます。私はあの当時は局外におりましたけれども、やはり政府の決めた最高方針に従って、その最高方針といいますか最高のねらいをそれぞれの部署で頭に置いて臨機応変の措置をとる、これもその責任においてやるのもこれもやむを得ない。そういうことが全部に知れわたっておらなかった。そういうことで、後になってそれは知っておったとか知らなかったとかいう議論が出たことは事実でございますが、各部署における人たちはその最高方針を実現するために最大の努力を払っておったと、こういうことだと思います。おっしゃるように、政府としてはその責任の所在は最高責任者が負うべきものであることは当然でございますが、過去のそういう事件もありますし、対策本部ではそういうことも反省を加えながら今後に万遺憾なきを期そうという腹構えであることを申し上げておきます。
  79. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私が政府の後の混乱を見ておりまして感じたことは、それぞれが責任逃れをやっておるという感じを受けたわけです。ああいう場合ですから非常の措置をとらなくてはならない。また、その措置が結果として国民から批判を受けるような措置もあり得ると思うのです。そういう場合に、おれは知らなかった、けしからぬということを言うことによって責任逃れをしておるにすぎないと思うのであります。たとえばアルジェとの交渉の問題も、外務省が他の省庁と相談せずにやった、相談したら反対されるから相談せずにやったというような言もあるわけです。それから、やってきたことについて外務大臣すらそれは聞いていないという発言を閣議でやっております。これも大問題であります。それどころか、外務省からは政府首脳にこのことは話をしてあると。ところが、政府首脳はどう言っておるかというと、聞いたけれども決裁は求められなかった。こんなでたらめなことはないわけであります。緊急のときにそういうことを聞いたら、黙っておったら黙認の了承を与えたということになる。常にみんなが責任逃れの発言をしておるからこういうことになるのだと思うわけです。私は、そういうことがないようなしっかりした対策本部をどうつくるべきかということをあらかじめ想定しておくべきだ、このように申し上げておるわけですけれども、この点についてはいかがですか。
  80. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 先ほどお答えしたわけでありますが、おっしゃるとおり考えておるわけでございます。
  81. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、私はハイジャックが起こった場合には、ハイジャック犯人との戦争でありますから、戦争に勝つにはこちらの手ごまが多い方がいい。こちらの打つべき手というものの幅が広い方がいいわけです。そういう観点から質問をしたいと思いますけれども、警察官を飛行機に乗せるとか、あるいは航空公安官制度というものも当初いろいろうわさをされておりました。結局、これはいろいろ危険性があるということで見送られたということでありますけれども危険性があるなら危険性のないような方法を考えればいいのであって、また必ずしも常に乗せるとは限らないわけで、ただその可能性というものは一つの手ごまとして持っておくべきではないか。それがハイジャック犯の対応を一層困難にさせるということになるわけですね。乗っているか乗っていないかわからない、常にそういう一つの負担を相手に与えるというのはこれは戦争の常識であります。そういう点について私は簡単にこういうものは捨て去るべきじゃないと思うのですけれども、まずこの点について警備局長から御答弁をいただきたいと思います。
  82. 三井脩

    政府委員(三井脩君) ハイジャック犯人に対する場合に、こちらの手の内が全部相手方にわかっておるという状態は、お説のとおり大変まずいわけでございます。また、手ごまがたくさんなければならぬと。おっしゃるとおりでございますので、公安官制度にはやり方によってはいろいろの問題点もありますか、引き続き真剣に研究をするということで、政府の対策本部でもそういうふうに決定されておりますので、私たちも検討を続けてまいりたいと考えております。
  83. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 運輸大臣はいかがですか。
  84. 田村元

    国務大臣田村元君) そういう判断は警察等でしていただくことになると思います。ただ、飛行中の飛行機の中で撃ち合いでも始まったらこれは大変なことで、空中爆発か墜落か、大変なことになる。ガラス一枚穴があいても大変でございます。それから飛行機の機内の通路か非常に狭いということで行動がやりにくくなる。でありますから、飛行中に武装解除をされればかえって相手に武器を渡してしまうことにもなりかねないというような心配事はございます。けれども、そういう心配事を踏まえてどのようにするか、これは警察当局が高度な判断をしていくべきものと、このように考えます。
  85. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 時間がなくなりましたので、最後にもう一つだけ質問させていただきたいと思います。  警察官の海外派遣、あるいは機動隊の海外派遣、こういうこともいろいろ論議されておりました。今回はそのための警察法の改正は見送られたわけでありますけれども、これは警察法の改正をしなくても可能であるという判断に基づくものかどうか。これも私はそう簡単にできるものではない、相手国の受け入れ了承がなければできないわけでありますけれども、先ほど言いましたように、やはり少しでも可能性を広げておくという意味から必要ではないか、海外派遣の可能性というものをつくっておくことは必要ではないか、こういうふうな観点に立つわけでありますけれども、この点についての御答弁お願いしたいと思います。
  86. 山田英雄

    政府委員山田英雄君) 警察官の海外派遣につきましてのお尋ねでございますか、元来、外国の主権のもとに起きました事件につきましては、当該国が全責任を持って処理する、これが原則であろうかと思います。わが国の国内において仮にハイジャック事件か起きました場合、まことに同様であると思います。したがいまして、今回西独政府及びソマリア政府がとった措置はきわめて異例なケースであろうと思います。したがいまして、海外派遣のケースの議論は、国際政治外交上異例な場合に属する問題についての議論であろうと私ども思っております。しかし、いずれにしましても、海外に警察官を派遣して活動させるためには、御指摘のとおり当該国の承認が前提になるわけでございまして、警察庁といたしましては、そういった国際政治外交上大変に重要な問題が前提となっておる、そういう前提の認識のもとに国際法上の解釈運用、国内法上の解釈運用の問題についてただいま慎重に研究いたしておるところであります。
  87. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 終わります。
  88. 山田勇

    山田勇君 まず、法務大臣にお尋ねをいたします。  このハイジャック防止対策について国会また世間でもいろいろと論議をされておりましたが、問題は、いかにハイジャックを未然に防ぐかということ、それに事件の発生後の処置をどうするかということだと思うのですが、今回の法改正は、主として航空機ハイジャックした者がその機内にある者を人質にして第三者に対して不法な要求をする行為に対して特別の処置、すなわち無期または十年以上の懲役を科するというものですが、瀬戸山法務大臣はかねがねハイジャックという卑劣な犯行に対して強い憎しみを持っておられる、強硬論を吐かれておられますが、この法改正によって大臣は目的が達せられたとお考えになっておるのでしょうか、まだまだ手ぬるいとお考えでしょうか、まず法務大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。
  89. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私が何か強い強硬論を持っておるように認識しておられるそうでありますが、さような立場ではありません。ありませんが、法治国の根本を預からしていただいておる者として、あんなものはいいかげんでいいのだという立場ではないわけでございます。  今度大体四項目なり三項目にわたる法改正お願いしておるわけでございますが、一つは、いまお話しのように不当な要求をした場合に新たに一つ犯罪として法を立てる、第二は、予防に関するわけでございますが、いわゆる危険物等を持ち込むことを抑える、第三は、ハイジャックにつながるような旅行をできるだけチェックする、こういうことをいたしておるわけでございます。この法律で万全だとは考えておりません。これはもういまどなたもお考えのように、この予防措置、そういうことか起こらないことに全力を挙げるのが当然でございますが、しかし、起こった場合についても、やはりその責任を問うだけの措置はとっておかなければならない、この程度は今回お願いしておるわけでございます。  このほかに、先ほどもお話が出ましたが、他のハイジャック等についても検討を進めなけりゃならないし、また今度お願いしておりますような不当な要求の段階でなおかつ十年以上無期以下の刑だけで済むかどうかという問題が残っております。大体、人命を損傷した場合は、多くは死刑の刑に当たることになっておりますが、しかし、人命を損傷すると同程度あるいはそれ以上に、損傷はしないけれども苦しみを与える、危険を与える場合もあり得るわけでございますから、そういうことを含めていま検討をいたしておりまして、これは慎重の上にも慎重を期さなければなりませんから、法制審議会等、学者、専門家等の意見を慎重に聞いて、それが可能であるということになれば次の通常国会にも御審議をいただきたい、かような準備を進めておるわけでございます。
  90. 山田勇

    山田勇君 その辺も聞きたかったわけですが、無期から死刑に改める方針を指示したというふうにも聞いておりますが、いま御答弁をいただきましたので、この問題はこの辺にします。  また、ハイジャック犯は知能犯が多うございます。だから、法廷闘争などで引き延ばしたりしましていまだに裁判か迅速化されていないということを私たちもよく聞きますが、山荘事件などの犯人等におきましてもいろいろな形で引き延ばし戦術を行っているということですか、これに対して法務省としては今後どのような形で裁判の迅速化を図っていかれようとなさっておられますかどうか。
  91. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) おっしゃるように、この種過激的な非人道的な犯罪を犯した場合の裁判が非常におくれております。これについては、私の見ますところでは、国民の多くの皆さんが釈然としていないと、こういうふうに見受けておるわけでございます。申し上げるまでもなく、法律を制定して国民の平和と安全を図るということ、その実績を上げることが法律の目的でありますから、その規定があるだけでは国民の期待にこたえることはできない。最終は裁判でありますけれども、やはりその裁判によって実効を上げる、こういうことが法治国家の本当のねらいであろう。それが現在行われておらない面かありますから、その点を改めようと、こういう準備を進めております。  詳細については、伊藤刑事局長からお答えさせることにいたします。
  92. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 大臣のお答えに簡単に補足をいたします。  お尋ねのような過激派の事件かおくれております一つの大きな原因として、弁護人が被告人と意思を同じくしまして法廷へ出ない戦術、あるいは辞任、退廷の戦術をとるということが顕著でございます。これに対処いたしますために、憲法上認められました被告人の権利を害さない範囲で、特定の場合には弁護人のないままで一定の期間公判が開けるというような方法を講ずることによりまして訴訟の適正迅速化を図りたい、こういう観点から現在刑事訴訟法の一部改正を用意いたしておりまして、近く法制審議会に諮問をし、結論を得次第、次期通常国会を目途に御審議をいただきたいと、かように考えておる次第でございます。
  93. 山田勇

    山田勇君 次は、外務省関係の方にお尋ねをいたしますが、EC緒国などでは、テロに付して国境を越えての捜査権か与えられて、——与えられてというか、これは暗黙のうちの了解といいますか、捜査官が動けるというふうに聞いておりまして、地理的な問題もありますか、平素からの各国の緊密なそういう接触が必要だと私は考えるのですが、具体的に何かそのような手を打っておられるかどうか、お尋ねしたいと思います。  また、もう一つついでに、日本赤軍の海外におけるいわゆる情報、行動などについてどのようにキャッチしておられるかどうか。かなりマスコミ関係者などは赤軍の幹部等と接触したりして、すっぱ抜いたような記事がときどき週刊誌なんかに載りますが、民間レベルの情報活動の中でそのぐらいかできるのですが、そういう形で外務省あたりの出先としてどのような行動、情報というようなものをキャッチしておられるかをお聞かせいただきたいと思います。
  94. 賀陽治憲

    説明員(賀陽治憲君) お答えいたします。  御指摘の第二点から入らしていただきますと、赤軍関係の情報でございますか、これはまず、わが方といたしましては、国内の情報、これも非常に大事なんでございますので、これを関係官庁からも連絡を受けて、外務省といたしましては在外公館に周知徹底を図るという面が一つございます。それから御指摘がございました在外公館の活動を強化いたしまして、外国当局等にただいま申し上げました国内情報を通達するとともに、先方からもしかるべき情報を受けるという意味の相互扶助的な情報収集活動を行っておるわけでございます。しかし、何と申しましても、やはり日本赤軍の問題について相手国の官憲当局の、何と申しますか、切実な理解を求めるということか一番大事でございまして、親身になってこのことを考えてもらわなければ、有効な情報活動の交換、情報活動かできないということでございます。したがいまして、警察庁ともいろいろ寄り寄り御協議いたしまして、関係国の要人をわが方に招待するというようなことも非常に大事なことであろう。恐らくそういうことを通じまして情報交換の密度は高まるのではないかと、かように考えておるわけでございます。  ただいま御答弁申し上げました点で、第一の点もカバーされておるものと推察するのでございますが、具体的には、事件後、特に在外公館に対しまして、新しい事態であるからさらに従来の活動を強化するということを申しておりますし、この点今後在外公館そのものかあるいは種々の攻撃の対象になることも考えまして、在外公館に対する情報の供給その他についても今後緊急にそういうことを在外公館に通知したり、あるいは海外の在外大商社支店、主要商社支店等に対しましてもそういった情報を流すということを励行してまいりたいと、かように考えております。
  95. 山田勇

    山田勇君 時間が来たようでございますので、最後に一点だけ、これは運輸大臣にお尋ねをしておきます。  こういう事件が起きますと、先ほど田渕委員の方から緊急対策本部に対するいわゆる権限の分担だとかいろいろな問題が出てまいりましたが、いつも運輸政務次官かこういう問題に対して外地に派遣されておりますが、これは山村さんの前例からそういうふうになったのか、たまたまそこに優秀な人材か政務次官に配置されていたので外国へ派遣するのか。私たち一般から考えれば、外国で起こるそういう問題に対処するのは外務省の主管であるように思われるのですが、運輸大臣としての御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
  96. 田村元

    国務大臣田村元君) 大変ありがたい御質問で恐縮しております。山村君の身がわりか一つの先例になった。いま一つは、御指摘のように、とりわけ運輸政務次官は優秀な人材が集まるということもございましょう。ございましょうが、とにかくハイジャックと言うと運輸政務次官というのは、特に権限的に運輸政務次官が行かなきゃならぬというのなら話は別ですけれども、いま御指摘のように権限的に見てもいかがなものであろうか。ただ何とはなしにそういう先例になったということでございますので、先般の対策本部で私は明言いたしました、もう石井君で終わりと、あとはもうそのときそのときに判断すべきものということで、慣例としては石井君で終わりということに明確に発言をし、皆の了解を得たというわけでございます。再びかかるハイジャックのごとき忌まわしい事件か起こらないことを祈りますが、同時に、そういう事態に立ち至ったときには総合的な判断ということでこういう問題もお決めをいただきたいと考えるものであります。
  97. 山田勇

    山田勇君 どうもありがとうございました。
  98. 森田重郎

    ○森田重郎君 私の持ち時間は往復で十分間、大変限られた時間でございますので、実は去る十六日の交通安全対策委員会におきまして一、二の点につきまして御質疑を申し上げた、以下同様の観点から、本法案と関連する意味におきまして、国際外交のあり方と同時に、また、現在のハイジャック対策本部のあり方、運営、その姿勢というような問題についてちょっと御質問をいたしたいと、かように思っております。  実は、このハイジャック対策本部が設置されましたのはたしかドバイ空港事件の直後、昭和四十八年の八月というふうに伺っておりますが、恐らくこれが第一回の対策本部ではなかろうかと、かように思います。してみますと、ちょうど四年間をすでに経過しておる。それで、私は、このハイジャック問題というのは、やはりあらゆる意味におきまして犯罪の国際性を強調する意味におきまして国際世論というものを考えていかなくちゃならぬ、この絡みから国際協力を得るということが基本的な問題として一番肝要な問題ではなかろうかと、こういうふうに考えているわけでございますか、実は、政府の対策本部の要綱でございましょうか、これを拝見いたしますと国際協力の強化推進、これが非常に大きくうたわれておるわけでございます。現在、赤軍は、国際過激派グループとの連動、連携におきまして、今後またどういう考え方で新しい意味でのハイジャックを考えておるかわからない。けさの新聞あたりを拝見いたしましても、ハイジャックはもうやらない、やる場合には機体を爆発するというふうなことが新聞紙上でも報道されておる。かような折りに、外務御当局といたしましてハイジャックとの関連におきまする外交交渉の基本的な姿勢、この辺を改めてお伺い申し上げたい、かように思っております。外務当局に御答弁を賜りたいと思っております。
  99. 賀陽治憲

    説明員(賀陽治憲君) ただいま御指摘のございましたように、やはり国際世論の醸成ということが一番有効なる対策であろうかというふうに考えられますので、やや中期、長期展望に立ちまして外務省といたしましてもこの国際協力の推進ということをどういうふうに具体性を持たせるかということを検討かつ実施いたしておるわけでございます。先生の御質問は恐らく今後の問題、過去の問題ではなくして今後の問題ということでございますけれども、過去におきましても外務省といたしましてはいろいろな施策の推進を心がけておるわけでございますけれども、たとえば東京条約の作成、あるいはへーグ条約の作成等につきましても、特にわが国は直接的に関与しておる。それから今回の国連総会におきまするいろいろな対応策、これも一つの例でございます。これは詳しいことはすでに御高承のとおりでございますので省略をさせていただきます。で、今後の問題、これはただいま先生の御指摘がありましたような新しい事態にもちろん即応していろいろなことを考えてもらわなければならぬと存じますけれども、基本的な対策といたしましては、現在実施中のものといたしましては国際民間航空機関のICAOにおきまするわが国の諸提案ということがございまして、これは各省庁とも御連絡の上何らかの有効な提案をICAOの場において日本が行うということが先生御指摘の今後の中長期的な対策につながるという観点で努力をしておるわけでございまして、これは検査問題のみならず、三条約の加入問題その他につきましてかなり特定化した条項につきまして提案をしておるわけでございます。こういったいろいろな各般の施策を総合いたしまして中長期的に本問題に対処するということで努力しておる状況でございます。
  100. 森田重郎

    ○森田重郎君 ただいまのお話で今後の問題というふうなお話がございましたが、私はあえて過去の問題について云々するつもりは実はなかったのでございますが、先ほど外務大臣の御答弁の中でも、国連の場において国際民間航空の安全というふうなものに対してある種の提案をなさったというふうなお話がございましたが、私はただいまのお話の中であえて過去の問題にちょっと触れさしていただきたいと思うのでございますが、十月の十八日でございましたか、国連の事務総長のワルトハイムさんが、今回のハイジャック事件一つの契機として、あるいはまた当時国際パイロット連盟のスト見越しというような問題もあったかと思いますが、そういう一連のハイジャック問題の中から国連の場において事務総長が提案をされた。それに対して、日本の外務当局が、日本側の幾つかの、たしか五、六項目くらいでございましょうか、こういった要綱を出された。つまり、九月の二十八日にハイジャックが起きておる。その辺を踏まえまして国連の方から提案があったものに対して日本がそれに協力をする。その辺の外交姿勢のあり方というものがどうも私は若干甘いと申しましょうか、少し意識欠如といったような点があるのではなかろうかと思いますので、どうぞひとつ、今後の外交姿勢といたしましては、みずから率先垂範してそういった意味で国際協力をいただくというふうな外交姿勢であってよろしいかと、かように思うわけでございます。  時間の関係もございますので、その次に対策本部そのものについてちょっと御質疑を申し上げたい、かように思います。この対策本部ができましたのは、これもたしか昭和四十八年というふうに記憶しております。現在の本部が、先ほど委員の方からお話がございましたように、恒常的なものというふうにも伺っておりますが、どうも私は現在の対策本部の組織、機構と申しましょうか、これを拝見いたしますと、何かスタッフとラインの関係がはっきりされておらない。先ほど田渕さんからも同様な御趣旨の御質問がございましたけれども、今後新しい意味におきましてあるいはまたハイジャックが起きるかもしらぬ、そういう場合に際しての現在の対策本部のあり方、そうしてまたそれを改組していくか、その辺の具体的なお考えがございましたらちょっとお伺いを申し上げたいと思います。
  101. 田中和夫

    説明員(田中和夫君) お答え申し上げます。  四十八年の例のハイジャック事件のときにやはり同じような対策本部ができ、また五十年のクアラルンプール事件のときにも同じような事件対策本部ができたわけでございますけれども、私の口から言うのもなんですけれども、こういうものが日時がたちましてだんだん忘れ去られてしまった、こういうわけでございます。そこで、今回の対策本部のこれからのあり方としましては、そういう反省を踏まえまして恒常的な対策本部にするとともに、ただいま先生おっしゃいましたように、やはりラインとスタッフというような問題がまた持ち上がってくるのじゃなかろうかというような感じもいたしますので、私どもといたしましては、こういうような従来の対策本部の職員のあり方というものを反省いたしまして、人的構成につきまして、それからまた資機材も含めまして物的な構成につきましても、事件の処理のための対策本部でございます、これをどのようにしたらいいかと鋭意検討しておりまして、年内には一応の骨子がまとまるだろうと、かように考えておる次第でございます。
  102. 森田重郎

    ○森田重郎君 やはり、こういう問題は、行政の粋を尽くしたそういう意味での一つの組織機構、そしてまた、事態か起きた場合にはそれに迅速果敢に対処対応していくというふうなことが一番肝要ではなかろうかと、かように思っておりますので、その意味におきましても十分御検討を賜りたいと思います。  終わります。
  103. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) ほかに御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 中尾辰義

    委員長中尾辰義君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後零時四十二分散会