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1977-11-15 第82回国会 参議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十五日(火曜日)    午前十時八分開会     —————————————    委員異動  十一月十五日     辞任         補欠選任      長谷川 信君     福島 茂夫君      勝又 武一君     片岡 勝治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉田  実君     理 事                 後藤 正夫君                 世耕 政隆君                 宮之原貞光君                 小巻 敏雄君     委 員                 山東 昭子君                 長谷川 信君                 福島 茂夫君                 二木 謙吾君                 秋山 長造君                 粕谷 照美君                 片岡 勝治君                 松前 達郎君                 柏原 ヤス君                 白木義一郎君                 田渕 哲也君                 有田 一寿君    国務大臣        文 部 大 臣  海部 俊樹君    政府委員        文部大臣官房長  宮地 貫一君        文部省初等中等        教育局長     諸沢 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省管理局長  三角 哲生君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育文化及び学術に関する調査  (奈良県立医科大学寄附金問題等に関する  件)  (幼稚園及び保育所一元化問題に関する件)  (私立大学医・歯学部における入学及び寄附金  問題に関する件)  (東京教育大学の閉学に伴う教職員の移行に関  する件)     —————————————
  2. 吉田実

    委員長吉田実君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  教育文化及び学術に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 粕谷照美

    粕谷照美君 わが党はここ数年間にわたって私立医大歯科大学不正入試問題を追及してやってまいりました。そして、それに対する文部省の対策、さらには当該大学側反省を促してきたつもりで、ようやく少しではありますけれども展望が見られるようになったかなと、こう考えておりましたやさきに、公立医大であります奈良県立医大不正入試事件が持ち上がっております。これは、非常に国民に大きなショックを与えたというふうに考えますけれども文部省学長を呼んで事情聴取をしたということが報ぜられておりますけれども、その事情聴取によって明らかになった点をここで報告をしていただきたいと思います。
  4. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 去る十一月十二日に、堀学長の来省を求めまして、過去における寄付金収受に絡む入学者選抜の事実、あるいは学内状況等について報告を受けました。その結果、次のような点が明らかとなっております。  第一に、昭和三十三年に基礎校舎の建設に必要な資金を捻出するということを目的といたしまして寄付金収受条件とした別枠入学者選抜が行われることになった。そしてその寄付金の募集は、同大学後援会によって行われて、寄付の申し込みをした者のリスト大学に示している。大学は、入学定員半数について学科試験等成績順によって合格者を決め、残余の半数について、後援会から回されたリストに記載されている者のうちから、成績順合格者別枠で決めていたということ。さらに、この寄付金収受条件にした入学者の枠は、昭和四十二年と四十三年には財政状況が好転をし、後援会の中に反省の声も上がったために、十名に減少されている。一人当たりの寄付金額は、昭和三十三年と三十四年は五十万円、三十五年から四十一年までは百万円、四十二年、四十三年は百五十万円であったということ。そして昭和四十三年にこの寄付金収受条件とした別枠入学者選抜が公に問題とされ、これを契機としてこの別枠廃止され、四十四年以降はすべて学科試験等成績順によって厳正な選抜を行って入学をさせている。これが過去の状況でございます。  で、これらの不適正な入学者選抜大学が採用するようになった背景には、当時の財政状況がきわめて逼迫をしていたという状況があったにいたしましても、決して許されることでないことはもとよりでありますし、大学としても深く反省をして、四十四年以降はいま申し上げましたように、厳正な入学者選抜を行っているということでございます。
  5. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、そのいま局長報告になられた分についてのみ質問いたしますと、四十二年、四十三年については、財政事情も好転したと、しかし一番大きな事情は、やっぱり県会の中で問題になったということがあったのではないかと思いますが、別枠を十人に減らしたと、こういうふうに言っておりますけれども、四十四年以降は廃止をされた——本当に廃止されているんだろうか、別枠はないとしても、そういう不正入試は本当にないんだろうかということを、どのような点で確かめられたでしょうか。  もう一つは、半数別枠としてリストの中から採ったと、こういうふうに言っておりますけれどもリストの中から成績順に採ったという証拠は、学長報告だけで文部省としては了解をしたのかどうか。金額の多寡によらないで、成績順にちゃんと採ったということは、一覧表なり何なりを見て確かめたというふうに私の方で理解をしてよろしいのかどうか。  あわせて堀学長はその当時から奈良医大におられたのか、どのような役割りをずっと果たしてこられたのかということについてもお伺いしたい。
  6. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のように、四十三年に県議会でこのことが取り上げられ、問題となりまして、そのときは、このことによって特別に私腹を肥やした者がいるわけではないということもあり、今後は絶対にこのような取り扱いはしないということを大学側も確約をし、それに従って四十四年以降このような別枠入学者選抜というものは廃止をされたということでございます。したがって四十三年までは行われていたわけでございます。  四十四年以降、この大学に、別枠ではないにしても、何らかそういったいわゆる厳正な入試以外の方法による入学者選抜実態があるかどうかという点については、私ども学長にただしましたけれども、四十四年以降は教授会の議を経て学長が定めるという法令の規定に従って厳正に実施をしているということを大学側は言っておりますし、私どももそれはそのように認めることができると思います。  それから別枠入学者決定に際して、リストを示され、その中から成績順に採ったかどうかという点については、もちろん堀学長に対してその点をただしたわけでございますけれども堀学長は、その点については、成績順に採用していることを明確に答弁をいたしております。  なお、堀学長は当時からこの大学教授として在籍をしていたわけでございますので、堀学長説明を私どもは信用をいたします。     —————————————
  7. 吉田実

    委員長吉田実君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま勝又武一君が委員を辞任され、その補欠として片岡勝治君が選任されました。     —————————————
  8. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、その堀学長は事実を承知していたわけですね。それとあわせて教授会があったわけですから、教授会の席上、そのような不正入試のことについていろいろと問題がたしか提起されているというふうに思うのですが、そのときにそのことを容認されていた方がいま学長になっていらっしゃるというふうに理解してよろしいでしょうか。
  9. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) この当時の取り扱いについては、もちろん当時の教授会承知をして実施をしていたことでございますし、その当時の教授のメンバーの一人で堀学長はあったわけでございます。
  10. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、私は非常に不思議だというふうに思うんですけれども県立医大先生というのは、たとえば奈良県には高等学校先生だっておられるわけですね、県立の。そういう高校においてそのようなことが行われたというような場合には、県は一体どのような対処をするであろうかというふうに考えてみますと、非常に不思議な感じがしてならないわけですね。そうすると、このことが明らかになって七だれも処分もされず、しかも、その当該者がいま学長になっていられるということは、もう県ぐるみでそのことが行われたというふうに解釈できますでしょうか。
  11. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 当時の県財政の非常に逼迫をした状況のもとで、大学寄付金の収入ということをもって校舎建築等に当たらなければならない事情にあったということは、もちろん県当局承知をしていたと考えられますけれども、この大学における入学者選抜をどのように実施をするかということについては、やはり大学判断で行われていたものと考えるわけでございます。私どももこれは国公私を通じて、もちろん共通のことでございますけれども公立大学において教授会承知をして、教授会の議を経てこのような選抜が行われていたということについては非常な衝撃を受けたわけでございます。
  12. 粕谷照美

    粕谷照美君 大学学長というのはこれ県知事が任命するんですか。どのような形で県立大学学長というのは任命されるんでしょうか。
  13. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 県立大学、この大学の場合もちろんそうでございますが、やはり学内学長選任規定がございまして、いわゆる学内の選挙によって学長が選ばれて、選ばれた者を設置者が任命をするということになっています。
  14. 粕谷照美

    粕谷照美君 ところで、学長を任命した設置者県知事ですね。その県知事は一体このことを了承していたのか、していないのか。このような不正のお金を積んだ人の中から成績順によらないで枠外に認めるわけですから、非常に不正きわまりないというふうに思うんですけれども、そのような事実を知事がやらせていた、黙認どころじゃなくて、その知事自体も介在していた。知事も枠を持って具体的な人間を名前を挙げてこれをよろしくと、こう言って頼んだというような事実はあるのでしょうか、どうでしょうか。
  15. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) ただいま御報告を申し上げました寄付金条件とした入学者のほかに、特別の縁故であるとか、あるいは依頼によって入学者の選考の上で特別の取り扱いをした者があるかどうかについて、これまた堀学長に尋ねたわけでございますが、堀学長報告によりますと、学長教授時代の個人的な経験からして、そういったことが行われた可能性はないとは言えないけれども学長としてはそれを現在では確認できない、その事実は確認をしていないということでございます。この点については、大学の中においてもさらに事実の確認が行われると思いますので、それを待って私どももさらに大学側から事情を聞きたいと考えております。
  16. 粕谷照美

    粕谷照美君 いま知事のことを質問したわけですけれども、いかがですか。
  17. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) ただいま申し上げたのは、いわゆる知事依頼にということではなくて、紙上伝えられております大学の創設に功労のあった教官の子弟を入学させたというような点について私は尋ねたわけでございます。知事がこの件についてどのように関与をしていたかということについては、私ども堀学長からは事情を聞いておりません。
  18. 粕谷照美

    粕谷照美君 聞き忘れたんですか、聞かなかったんですか。私はそこのところを非常に不思議だと思うんですけれども学長を任命された方ですよ。その方が新聞紙上にはあったということが書いてあるわけですから、文部省としても重大な関心を持ってこれを調査をしなければならないことだというふうに思いますが、特にその新聞の中に、お金が足りなかったんだから県民は許してくれると思うと、一度に六ないし七人頼んだというようなことを言っておられますし、副知事はいまごろ何でそんなこと騒ぐんだと、こういうようなことを言っている。全くもう何というんですかね、常識外知事や副知事発言だ、新聞記事がそのとおりであるとしたならば、私たちはそう思うのです。本当にそういうことをおっしゃらなかったとすれば、文部省はそれは名誉回復してやる責任があるだろうというふうに思うんですけれども、なぜ聞かなかったんですか。
  19. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 先ほどお答えを申し上げましたように、寄付金条件とした入学者のほかの特別の有利な取り扱いの有無というものについて、学長はその点については事実の確認ができないと申しておりますので、その点の事情聴取を私ども大学側の事実確認進展を待ちながら、今回は先へ延ばしたということでございまして、そのことについて私ども大学側に対してその事実の確認をしないでおこうと思っておるわけでは決してございません。
  20. 粕谷照美

    粕谷照美君 じゃこの点についてもやっぱり明らかにしてもらいたいというふうに思います。  それから新聞紙上なんですけれども、現職の国会議員の介在が報ぜられているわけですね。特に大臣経験を持つA議員新聞社はきちんと名前を明らかにつかんでいるようでございますから、そのうちにまた明らかになるというふうに思いますけれども、そのA議員大学最高ポストの人の実兄で後援会の幹部であったと、その人が大変圧力をかけてきたというようなことも言っておりますけれども、このような人たち後援会名簿というんですか、この人たち後援会ではなくて、奈良県立医科大学後援会名簿というものを、昭和三十二年からなくなる四十三年までの間のものを資料として私どもに届けていただくようなことはできますかどうですか。
  21. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 私どもの手元に後援会名簿はございません。いまのところではこの後援会会長は、元奈良市長片岡安太郎氏であるということがわかっているだけでございます。大学側に対して後援会名簿の提出が可能かどうかについて至急照会をいたしてみます。
  22. 吉田実

    委員長吉田実君) ただいま粕谷委員からお述べになりました資料につきましては、理事会でその取り扱いを相談いたしたいと思います。
  23. 粕谷照美

    粕谷照美君 その片岡安太郎さんという方も、新聞ではいろいろとお話をしていらっしゃるわけですが、後援会はその年に決めた額以外は受け取っていない、後援会成績の悪い者は寄付を出しても受け付けない方針だった。しかし、知事が直接当時の学長に頼んだり、教授と直接取引する者が出てきたために、合格ラインを守る線が崩れたと、寄付金以外の金が動いていたことを示唆しているというふうにいわれておりますが、ある程度ブローカーのような人がいた、ブローカーというんですかね、あっせん料をもらっていた方々が、教授だとか、この記事で言えば知事もどうももらっていたのではないかと思われるような感じのする発言でありますけれども、その辺のところも文部省としては明らかにされたのでしょうか。
  24. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 先ほどお答え申し上げておりますように、十二日に来省を求めましたのは堀学長だけでございます。堀学長を通じての事実の確認という点については、入学時の寄付金条件とした入学者選抜についての実態は明らかになりましたけれども、それ以外の状況については、学長からは現時点では確認ができないわけでございます。大学側調査進展を待って、さらに事情を明らかにすることができるものについては私どもも事実の確認をいたしたいと考えております。
  25. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、その点についてはぜひ明確な事情調査をしていただきたいというふうに思います。  ところで、奈良知事さんというのは、全国知事会長さんをやっていらっしゃるわけですね。そしてもう何期も何期も、本当に長いこと県知事としてやっていらっしゃる、まあ県民の信望の厚い方だというふうに思うわけですけれども、しかし奈良県民みんながこんなことを許しておくという事情ではないと思いますので、私は、私個人で言えば、知事をここへ呼んできてぜひ説明を伺いたいと思うくらいの気持ちでいるわけです。  さて、そのような大学の認可に当たって、きのうの本会議ではわが党の浜本議員大臣質問されました。大臣は、文部省としては絶対にそのことは承知していないというふうにお答えになりましたけれども、しかし記事で見れば、大変不思議な感じがするわけです。「松本元事務局長さんが大学課長——大学課長というのは文部省大学課長寄付金を盛り込んだ予算を示し、「入学した生徒から特別にとったものです」、こう言っておりますと、「大学課長は「う−ん、困ったな」と言っただけで、やめろとはいわなかったので暗黙の了解が得られたと考え、」と、こう話をしているわけです。その「う−ん、困ったな」という記事を見まして、私は何か思い出したのがあるんです。「よっしゃ」という言葉がありますけれどもね、実に真実味があるわけですよ。本当に文部省は知らなかったのですか。
  26. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 私どもも、新聞記事を見て、現在の大学課に対して、どのような状況であったのかをできる限り明らかにするようにということを指示をしたわけでございます。何分、当時の大学課長はすでに死亡をいたしておりますし、その大学課長から事情を聞くわけにいかないわけでございますが、いずれにしても、寄付金収受条件として入学者選抜を行うというふうなことについて、文部省大学課がそれを了承する、あるいは黙認をするなどということはあり得ないことでございます。そのような事実は当時の大学課についてももちろんなかったというふうに私たちは確信をしております。     —————————————
  27. 吉田実

    委員長吉田実君) この際、委員異動について御報告いたします。  ただいま、長谷川信君が委員を辞任され、その補欠として福島茂夫君が選任されました。     —————————————
  28. 粕谷照美

    粕谷照美君 文部省がそういうことは全然なかったと言うことについては、私もそうであってもらいたいし、またそうでなければならないというふうに考えます。いまの局長の言うことを信じたいと思います。しかし、四十三年のときに県会でこの問題が大きく取り上げられて明らかになったわけですが、その当時のそれでは文部省は、一体、その事実をつかんでどのような指導をこの奈良大学にやられましたでしょうか。
  29. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 四十三年に事柄が明らかになって、四十四年以降こういった特別な取り扱いというものは廃止をされる運びになるわけでございますが、当時の段階で、四十三年までの間に行われた事柄について、今日の時点のような突っ込んだ事情聴取等は行っておりません。将来にわたって、そういった不適正な入学者選抜を行うことがないようにということを指導したにとどまっていると承知をしております。
  30. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、そこのところにやっぱり問題が出ているんじゃないのかと思うのです。公立の教員がそういうような不正な入試をやったということは、これ法律に違反しませんか。許されることなんですか。自分が金を取らなければいいというふうに考えているのでしょうか。父兄証言によれば、金を取った教授もいると、こういうことを言っているわけですから、そのような事実が明らかになれば、たとえば某付属学校先生が父母から一万円を取ったということは、まあ一万円だったら常識的だと、こういう判決が出ておりますけれども、そのような問題に発展するというふうにはお考えになりませんか。
  31. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) もちろん、教官の何ぴとたりといえども、個人的に金品収受があれば、これはその額のいかんにかかわらずきわめて不適切なことであり、また違法なことでございます。この大学における特別の取り扱いというのは、先ほども申し上げましたように、いずれにしても、別枠の者、あるいは半数の、試験成績によって入学をさせている者、いずれを通じても、教授会の議を経て入学者決定を行っているというところにむしろ非常に私ども衝撃を受けていることがあるわけでございます。入学者決定それ自体が、いわゆる学校教育法に定める教授会の議を経て学長が決めるというその規定に従って行われているわけでございますけれども、その内容についてきわめて不適正なものがあったということでございます。
  32. 粕谷照美

    粕谷照美君 いえ、私はそういうことの質問をしているわけではないんですよ。先ほど質問をしたときにもなかなか明確にならなかったんですけれども、本当にその半数以外の別枠というのは、同じ金額でもってその金額の中の順繰りにできたのか、あるいはどこかを飛ばして特別に有力な人の働きかけた名前の人が入学できたのかという点についての一覧表などを調べてみたかということについては、局長は答えられませんでした。だから、その点については非常に不明朗な部分が残るわけです。特に、十二日の読売新聞を見てみますと、お金を出した父兄証言をしているわけでしょう。「正規」のお金を払うだけでは非常に心配だったので、「有力教授に直接コネをつけるため寄付金プラス多額仲介料」を支払っていた、こういうことを言っているわけですね。したがって、寄付金以外の不浄のお金はないというふうに信じたいでしょうけれども、事実はあったんだということから考えてみますと、やっぱり賄賂をもらった教授がいるというふうに私たちは推測せざるを得ない。そうすれば、公立先生がそのようなことをやったということはこれはもう万死罪に値するような感じを受けるわけですが、文部省としてはいかがですか。
  33. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) この大学は、学生自治会の方から当時の入学者氏名を含めた関係資料学内公表を要求をされ、そのことについて教授会で論議をした結果、現在この学内にそのような不正な入学者選抜やり方が行われていないということを示すためには当時の資料を公開する方が適当ではないかという判断をし、そして三十三年から四十三年の入学者については氏名を除きまして入学順位成績順位学科試験の総得点を示した資料を公にいたしております。それに従って私ども確認をした結果、先ほど申し上げましたように、別枠という不適正な方法をとっていることの内容承知をしたわけでございます。  個々の教官がそういった入学者選抜方法における不適正なやり方のほかに個人的に金品収受をしていたかどうかについては確認をすることができませんけれども、私たちはそういった事実はまさかなかったんであろうというふうに現時点では考えております。
  34. 粕谷照美

    粕谷照美君 まさかなかったであろうはよろしいんですけれどもね。あったとしたらどうするかという質問をさっきからしでいるわけなんです。仮定のことに答えられないというふうに思いますので、では次に質問を続けていきたいと思います。  学生がずいぶん騒いでいるわけです。その学生はそういうことをやって入ったような先生に教えてもらいたくないというのは、私は当然の発言だろうというふうに思うわけですが、裏口入学者で現在その奈良医大先生をしていらっしゃる人というのは何人くらいるのか。
  35. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 新聞紙上で五十名程度が助手に採用されているということが伝えられたのを私ども承知をしているだけでございまして、具体の内容については大学側からまだ事情を聴取しておりません。
  36. 粕谷照美

    粕谷照美君 この問題は大学自身が結論をつける問題だと私も思いますけれども、しかし、ことしは教育基本法の制定三十周年記念でもあります。その教育基本法の第一条に教育目的というのがありまして、そこに、教育は何よりも人格の完成を目指して行われなければならない、その人格の完成は、平和的な国家と社会を形成する者として真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび云々とこうあるわけですが、そのようなことをやって教授になる、あるいは助手になった方々が子供たちを指導をする、生徒を指導するということができるのだろうかどうなのだろうか。私は、その点では真理と正義を愛するなんという教育はできないだろう。技術は教えることはできたとして、精神を教えることはできないんじゃないかというふうに考えるわけですが、国家試験が受かったから、それはいいんだ、こういうことを言っていらっしゃる人もおりますけれども、しかし私はそうではないというふうに思います。ただ、この問題点については、本人が知らないで親がお金を出したかもしれません。あるいは、成績もよくてさらにまたお金を出して入った方々がいらっしゃるかもしれません。ですから、個人名についてだれがどうだというような気持ちはありませんけれども、本当にこのような事実が今後この公立学校にないようにするためにも、文部省の指導性というものは非常に重要だろうというふうに思いますし、大学教官自身の姿勢というものも本当に大事だというふうに思いますが、このような学校に対して文部省はいまお金は助成をしているんでしょうか、どうでしょうか。
  37. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) これまでに公立医科大学につきましては、四十八年度から専任教員の給与費等の経常費の一部について国庫補助を行ってきております。この奈良医大につきましても、経常費の補助を実施をしてきているわけでございます。
  38. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうすると、事実があった時代はお金を出していなかった、補助金を出していなかった、いま事実がなくなっているから出しても構わないんだと、こういう考え方も成り立つだろうというふうに思いますが、しかし、このような一連の不祥事件に対して私は鉄槌を下してやっぱり教育の権威を高めるような方途というものを文部省が検討していかない限り、これだけ何というんですか、教育の荒廃、落ちた医大、歯科大の権威というものを回復することはできないのではないかというふうに思います。たとえば小中学校の先生方が、これほどではなくてもちょっとした問題がありましても、すぐ減俸だとか、停職だとか、懲戒免だとか、こうあるわけですよね。三十分ストライキやったからお金をどうのこうのと、文部省の指導は大変ですけれども、しかし、このような奈良医科大学については何もおしかりはないわけですね。事情聞いたにとどまっているわけでしょう。非常にアンバランスだというふうに思いますが、どうですか。
  39. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) もちろんこの大学で起こったことはきわめて遺憾なことでございますし、私どももこの大学に対しては過去の四十三年までに生じた問題というものを、単にそれはもう済んだ過去のことである、その事実を明らかにすればいいんだというようなことでなくて、そういった問題を起こしたような大学の運営のあり方というものが、入学者選抜については厳正に行われているということであるけれども大学のいろいろな運用をめぐっての教授会の機能というものにさらに尾を引いているとすれば、それは容易ならざることであるから、そういうことはないと思うけれども、現在の教授会を中心にした教学組織の責任体制というものについて、もう一度学内で十分に反省をし、検討をしてほしいということは強く求めているわけでございます。大学の自治の重要なことは私どもも十分に承知をしておりますし、また入学者選抜であるとか、あるいは大学教官人事というのは大学の自治の最も重要な部分をまたなすものでもございますけれども、御指摘のように、大学教育のあり方それ自体が世の中から問われるというようなことになっている状況がございますので、大学側に対してそういった大学自治の責任というものを果たすためにも、この際、現在の大学の体制というものについて遺憾な点がないかどうかをさらに改めて検討してほしいということを求めているわけでございます。
  40. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いまの質疑をお聞きしておって、非常に私は文部省やり方が一体そういうような調査事情聴取あるいは注意だけにとどまっておられるようですがね。これで果たしていいだろうかどうだろうかという疑問を持ちますね、これ。まさに私もこの新聞を見たときには私立医大、歯科大があれだけ問題になっている。まさか国公立関係にはそういうものはないだろうと思っていた。シーザーじゃないけれども、「ブルタースよ、おまえもか」と、こう言いたいような気持ちがしたわけなんですよね。それだけにいまのお話を、質疑をお聞きしながら、一体文部省はこの問題はこれで終わりだと思っておられるのかどうかという、ぼくはこういうときにこそ、なるほどそれは四十三年までのことかもしれぬけれども、本当に教育の権威というものを高めるとするならば、ぼくはやはり少なくとも責任あるところの地位の人が責任をとってもらうべきだと思うんですよ、これ。しかも、先ほどお話を聞きますと、学長の堀さんは当時からやっぱり教授会の有力なメンバーじゃございませんか、自分もそれに参加をしておる。参加をしておってあれは過去のものですと、こうしゃあしゃあと皆さんのところに説明に及んできている。教育者としてどうだろうかね、これ。教育というものは医学であろうと何であろうと、事少なくとも学校の場合にはその姿勢を正すということが一番大事なことじゃないでしょうか、けじめをつけるということが。一体文部大臣、この問題に対してあなたはこれで大体終わりだと思っておられるんですか。少なくとも私はいまの学長に責任をとってもらわなければ困ると思っているんですよ。それぐらい厳然たる姿勢を示してこそが、今後そういう物事に対しますところの文部省の行政府としての厳然たるところの姿勢が出るんですがね。端的に聞きますがね、少なくともそういう処置を私はすべきだと思う。またそういうような形で本人に私はやはりしむけるような処置をするべきだと思うんですがね、どうでしょう。
  41. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 再出発をするために、私はやはり明らかにすべきものは事情聴取をして明らかにしてほしいということを大学局にも指示がしてございますので、具体的事実がどうであったかということについていま調査をしておる最中でありますが、その調査を通じていろいろなことが確認されたとすれば、その確認された事実に基づいてやはり何がしかの判断をしなければならぬと思いますが、これは国立大学でございませんので、それらのことについてはどのような手続でどのような処置がどうされるかということを、私は法律の手続その他についてつまびらかにしておりませんので、事実がきちんと判明しました段階で判断をさしていただきたいと思います。
  42. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いまの皆さんの調査の中でも事実はっきりしておるじゃありませんか、大臣。だってね、別枠入試を定員が百名のうち五十名とか、百二十名ですか、あすこは。ですから別枠六十名ですか。(「定員六十名」と呼ぶ者あり)定員六十名ですか。それなら別枠三十名ですね。そういう者を寄付金で集めたこと自体がもう悪いんでしょう、これ。許されるべきじゃないでしょう、これ。教授会が幾らそれを理解をして承認をして教授会の議を経たといったって、これは教授会のあり方として全くおかしいじゃありませんか。大学自治である教授会がどのようなものを決めようとも文部省としては知らないということにはならぬでしょう、これは。しかも、これは公立ですよね、国立ではなくてもね。こういうことを厳然と学長も認めておるでしょうか、学長も。しかも学長はその当時は教授です、有力な教授ですよ。その学長自体も当時のその会合には参加をしてそういう処置されているんですよ。週刊誌を見てごらんなさい。おもしろおかしくマル特の入れ方は多数決で決めたなんて書いてあるんです。私はそこまでは言おうとは思いませんけれども、今日これほど医科大の問題が問題になり、大きな政治問題になっているときに、しかも公立大学の中でこういうものが白昼堂々と行われるというかっこうです、これは白昼堂々ですわね、これ知事も知っており、副知事も知っておったというんですから。こういうものをこのまま放置するという手はこれはございませんよ。本当に文部省が災いを転じて福とするというような角度から、教学の刷新というか、姿勢を正させるということにするとするならば、私は少なくとも文部大臣はそういう決意を持ってやらなきゃならぬと思う。確かにそれは手続上はいろいろありましょう。ありますけれども、そういう決意を持っていろんな手だてを講ずるということと、単に事情だけを聞いて今後はしなさぬなという注意をするのとは大変な違いですよ、これは。はかり知れないやはり影響がありますよ。これは日本の教育界の一番大きなやっぱり問題ですよ、これ、何と言っても。そこのところは一体どう考えられるのか。ここはやっぱりもっと明確にしてもらいたいと思うんですよ、どうでしょう。
  43. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 現在学長教授会が中心になりまして、これからの大学の体制をどのように整えて、そして奈良医科大学の信頼というものを確立するかという点について検討をいたしております。御指摘の点は私どもも十分にわかりますけれども公立大学がみずから自主的にこのことに対応をしようとして努力をしているところでございますので、学長の進退を含めてなお学長あるいは教授会の自主的な努力というものを見守ってまいりたいと考えます。
  44. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 少なくとも学長の進退については重大な関心を持っているということだけは明確でしょうね。どうでしょう、大臣。大変な問題ですよ、これ。
  45. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) これは学長教授会から選挙されて、選ばれて大学の責任者として運営をしておるわけでありますから、学長自身がやはりそのことについては御判断をまず第一義的にはされるだろうと、こう思いますが、私はこの大学の生まれ変わりについても、改革についても、これは非常に関心を持っておりますし、文部省もここに対して補助金を出しておるわけでございますから、そういったいろいろなことを兼ね合わせて重大な関心を持っております。
  46. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 続いてやはり学長としては少なくともこのことに重大な責任を持ってもらいたいと、こういうことは、これは大臣として言えますね、いかがでしょう。感じてもらいたいということ。
  47. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 現在の改革について学長自身にいろいろな事実確認をしておりますし、事情聴取もしておりますし、また世間の期待もそうだろうと思いますが、この大学が生まれ変わって信頼を取り戻して教育の場として歩みを続けていってほしいということを強く願うわけでありますから、その意味では学長に最も大きな責任を負ってこの事態の解決に臨んでほしい、これは当然のことだと思います。
  48. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ぼくはそういうことに対して文部大臣がもっと大きな影響力を及ぼすことを期待しながら、この問題についてきょうは質問を終わりますけれども、もし学長が居座るようなことがあるとするならば徹底的にやっぱり追及するということはこの席で言明をして、この点は終わります。
  49. 粕谷照美

    粕谷照美君 時間がちょっと足りなくなりましたので簡単にちょっと触れておきますけれども、私はこの前の土曜日に稻葉元文部大臣と、それからわが党の小林進議員と一緒になることがありました。ちょうどそのときお二人とも中央大学の卒業生だったものですから、八王子に東洋一の中央大学校舎ができ上がって非常にまあ誇らしそうにお話をされておりましたが、しかし私はひやかしたんですよね、すばらしい殿堂は建ったはいいけれども、ちょうどそのときに入試漏れの話が出たではないかという——あれではもうまいったなあというお話をされておりましたが、その前の六月には名門校であります慶応義塾大学にもまた入試漏れがありましたし、きのうのまた朝日の夕刊を見ていましたら、福岡の西南大学でもやっぱりそのような事実があった。非常に国民に大きな衝撃を与えているわけですね。これは偶然ではなくて、私たちはもう起こるべくして起きた事件だというふうに判断をしておりますが、文部省大学局長どのようにお考えですか。
  50. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 大学にどのような学生を受け入れるかという入学者選抜というのは大学教育の中で非常に重要な役割りを担うものであり、その入学者選抜が伝えられるような不祥な事例が続発することが当然であるような形でいま全国的に行われているとは私は考えておりません。やはり各大学それぞれできる限り厳正適正な入学試験実施すべく努力をしていると考えております。ただ、伝えられるような遺憾な事態が起こったものについては、それぞれの大学でそれを機にして入試のあり方をさらに改善するような努力が行われるべきであり、また少なくとも慶応の場合も中央の場合も、いずれも大学当局によってそういった学内的な努力が行われているということを承知をしております。
  51. 粕谷照美

    粕谷照美君 大学自身の手でそのようなことが明らかになった。明らかにした大学は私は非常に勇気があるというふうに思うわけですよね。しかし、このことは明らかにしない方が大学側にとってはイメージダウンにならないわけですから、やみからやみに葬り去られてしまうということがなかったとは言えないというふうに思うわけです。で、このような事件があっても、私立大学の場合には明らかになったとしても処分とかなんとかいうことはないわけですね。そのような事実を知った場合に、今度受験生の側から言えば非常に大学側にとっては不信感を持つわけですよ。先日の金沢医大を受験しました上田さんの例ではありませんけれども一、本当に人生の何というんですか、重大なときに大きな衝撃を与えられて非常に混乱をしたというような事実もあるわけですが、このようなことをなくしていくために文部省はどのようなことを考えておられますか。いまのままで大学の自主性に任せるだけでこれは克服をできるというふうに考えておりますか。何らかの方策を検討しなければならないというふうにお考えですか、どうでしょう。
  52. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 大学入試の適正な実施ということにつきましては、毎年大学入学者選抜実施要項を定めて各大学に通知をいたしますが、その中で各大学における公正かつ妥当な入学者選抜実施について留意を促してまいっているわけでございます。事の性質上、入学者選抜をどのように厳正、公正に実施をするとかというのは、やはり大学当局がそのことが大学の自主と深くかかわることであり、また、大学における教育の非常に重要な部分をなすものであるということを自覚をされて、自主的に努力をされるということにかかるわけでございますので、私どもは引き続いて大学側の自主的な改善の努力というものを促してまいりたいと存じます。
  53. 粕谷照美

    粕谷照美君 自主的な努力を促してと言いましても、私どもはもうこれほどいろいろなところに次から次へと具体的な例が出てきますと、なかなかそのことを信用するわけにはいかないという非常に不安な気持ちがあるわけです。たとえば受験生の中には、われわれが要求したならばみずからの成績を、ほかの人のはいいけれども、公表してもらえるような制度も考えてもらいたいという意見があるわけですから、それらのこともあわせまして、ひとつその方途というものを研究をしていただきたいということをお願いをいたしまして、この問題については終わりたいと思います。  次に、幼稚園と保育所の問題に移りますけれども文部省がこの幼稚園と保育所の普及状況についての調査結果を先日報告しておりますけれども、この調査目的は一体何でしょうか。
  54. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 昭和五十年の十一月に行政管理庁から、幼児の保育及び教育に関する監察結果の勧告が出まして、それの中で幼稚園教育、保育のあり方につきまして、現在の施設整備計画に両者の整合性が十分保たれていないというふうな点の御指摘もありましたので、それに基づいて両省から適当な学識経験者を選んで話し合いの場を持ちなさいと、こういう勧告があったわけでございますが、その勧告に従いまして話し合いの場を持つにつきましても、最新の幼稚園及び保育所の現状及び将来の計画といったようなものを把握しておく必要があるということで予算を計上いたしまして、五十一年度から調査をいたしました。その結果をつい最近文部省においては幼稚園の実態調査ということで発表したわけでございます。
  55. 粕谷照美

    粕谷照美君 両方の懇談会が先日初めて持たれたということがあるわけですが、この調査はそのためにひとつつくられたというふうに理解をしてよろしいわけですね。
  56. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) さようでございます。文部省もそうですし、それから厚生省も昨日、保育所の実態調査も発表されたようでございますが、両方相談してやりました。
  57. 粕谷照美

    粕谷照美君 相談をしてやられたと言われれば大変結構なことだというふうに思いますけれども調査方法なんかも相談をされたんでしょうか。統計が、パーセンテージがずいぶん違っているような感じがいたしますけれども
  58. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 調査の項目とか、そのやる時期とか、そういうことは相談をしてやりましたです。ただ、実際の集めて集計をして、これを整理するというのは、それぞれ別個にやってございますんで、同じところから資料が出ているわけではございませんから、そこでまあ違いが若干出てくるということはあるわけでございます。
  59. 粕谷照美

    粕谷照美君 若干ならいいんですけれども、パーセンテージで言えば、たとえば一%違った、二%違ったというと、何十万の子供たちの数ですからね、その子供が幼稚園へ行っているのか、幼稚園へ行ってないのかといって、一%違ったってずいぶん数字が違うと思うんですよ、保育所幾つ建てなきゃならないか、幼稚園を幾つ建てなきゃならないかということになりますとね。その意味で大変心配をしているわけです。厚生省の場合は一万世帯のサンプル調査ですけれども、同じ一万世帯のサンプル調査で対象が違ったからこういうふうに違ってきたというふうに理解をしてよろしいんですか。
  60. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 厚生省の方は抽出調査をしたわけでございます。私の方は悉皆調査をしたわけでございます。
  61. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうすると、文部省の方が精度が高いというふうに考えられますね、悉皆調査ということですから。
  62. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 他と比較して言うのは何でございますけれども、私どもはそういうふうに考えておる——精度の高い調査をしたつもりでございます。
  63. 粕谷照美

    粕谷照美君 じゃ、その調査の結果、数字はいろいろありますから見ておりますけれども、大きく分けてどのような問題点が明らかになったでしょうか。
  64. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) まず、文部省調査で幼稚園自体調査を見ますと、これは従来からの傾向として予想されておったところでありますけれども、各県市町村によってかなりその普及状況に違いが出てきておるという実態は変らないわけでございます。ただ、全幼児を通じて就園率の増加状況を見ますと、五歳児については大体従来文部省が考えておりました就園率に近いところへ来ておると、しかし、四歳児以下につきましては五十七年までの整備計画に比べてちょっと低いというような点がございますし、それから、幼稚園の同じ公立私立の普及状況というようなものを見ますと、比較的都市部においては私立幼稚園に依存する度合いが多く、過疎地帯等において公立幼稚園に依存する度合いが多いというような点はこれからひとつ検討すべき課題だろうと思います。  なお、保育所の関係で言いますと、これも従来あったことでございますけれども、幼稚園の依存度の高い、普及度の高いところは保育所が普及度が低く、逆のところは逆の関係にある、こういうようなことも明らかになったわけでございます。
  65. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、幼稚園振興十カ年計画を文部省が立てて、五十七年度当初までに四、五歳児の幼稚園に入りたいと希望する者を全員入れるという計画を立てられましたけれども、その立てた計画にこの数字は一体どのような、何というのですかね、位置を占めておりますか。つまり達成度はどのような状況にありますか。
  66. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 五十七年度までの整備計画という場合に、一つは、幼稚園自体の数の増設の問題があるわけでございますが、それと同時に、既存の幼稚園の学級増等による施設拡充という問題がございます。それともう一つは、それらの幼稚園に対して、全幼児に対して何%の幼児が在園し得るかという在園率の問題がございますが、その両者からこの計画は考えておるわけでございますが、五歳児について言いますと、五十六年度末、つまり五十七年度当初までの就園率を幼稚園について七〇%と見、残りの者を特殊教育、それから保育所というふうに考えておりますので、一応七〇・五%と見て、おるわけでありますが、それに対しまして現在の就園率が六五弱というところまで来ておりますので、大体その就園率からいうと目標達成できるのではなかろうかというふうに考えるわけでございますが、四歳児につきましては、この目標を六八%に置きましたのに対して現在四九%弱ということでございますので、もう少し幼稚園の整備を一層促進しなければいかぬということを考えましてこれからさらに努力をしてまいりたいと、かように思うわけでございます。
  67. 粕谷照美

    粕谷照美君 私の調査で言いますと、その四歳児についてはもっと落ち込んでいるんではないんだろうかという気持ちがするんですけれどもね。この辺は文部省調査との関係もありますから、後で詳しく煮詰めてみたいというふうに思います。  ところで、一体なぜその地域にアンバラがあるんだろうかということについてはどのようにお考えですか。
  68. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 幼稚園というものがわが国でできましたのは明治の初年になるわけですけれども、終戦までの普及率というのは、就園率で言いますと一〇%に満たないという状況で、戦後新しい学校教育法の中に取り入れられて学校として位置づけられてから急速にこれが整備されてきた。一方、保育所というものも児童福祉法が戦後まもなくつくられまして、そこに法律上児童福祉施設としての位置づけがあって普及されてきたということでありますが、特に幼稚園の場合は制度上、国立、公立だけでなしに、一般民間、私人も経営できるというような教育施設でありますので、端的に申しましてその普及というものはかなり民間の努力に依存しておったわけでございます。したがって、どうしても公の整合性ある計画というのが立てにくいということもありまして、一方、児童福祉施設であります保育所も、これはまあ統計で見ますと公の施設の方が多いようでありますが、一部個人、私立の施設も認められておる。そしてその設置についても市町村段階の判断によってやると、こういうようなことでございますので、どうしてもその施設の新設、増設というものが個人あるいは地方団体の判断によって左右されてきておったというようなことが積み重なりまして、結果としては御指摘のように、県によってかなりアンバランスがある状況が出現しておると、こういうことだろうと思います。
  69. 粕谷照美

    粕谷照美君 大臣、高校も大体九三%ぐらいですか、入学率、進学率。非常に世界的に見れば八五%以上の子供たちが入っているというのは義務教育みたいな普通教育になっているわけですね。そうすると、いま五歳児は九〇%就園しているということになりますと、保育所と合わせまして九〇%の子供たちが入っているということになりますと、これはもう普通教育になっていると、幼児教育が。そういうふうに理解を私はするんですけれども文部省としてはやっぱり保育園と幼稚園というものは別々にあってしかるべきだというふうに考えていらっしゃるのですか、どうでしょう。
  70. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) おっしゃるように、私は九〇%以上の人がそこに通っているということは大変な普及度でありますから、一般に普及しておると。さあ、そこで文部省としては厚生省との関係で保育園と幼稚園が分けて教育することがいいか悪いかという角度の御質問だろうと思うんですけれども、その点につきましては、教育内容については文部省の定める教育要領に従ってほしいと、これを基準にしてやってほしいということで、厚生省の方の理解も得て幼保教育内容の共通化と申しますか、そのことについてはすでに行われておるわけでございます。そういったことをやっておりますのは、幼稚園教育、幼児教育というものは非常に重要でございますので、そこにばらばらがなく、一元的なもので教育が進められるのが非常に望ましいという気持ちを持っておるからでございます。
  71. 粕谷照美

    粕谷照美君 大臣も一元的なと、こうおっしゃったんで、私もああ、いいことをおっしゃるなあというふうに思いますけれども、政府の方はよく諸外国と比較されるわけですよね。きのうの本会議なんかを見ておりましても、いや、西ドイツにおいてはどうだとか、イギリスにおいてはこうだとかと、こう諸外国と比較をされますけれども、私もこの夏ハバロフスクの幼稚園をちょっと見てきましたけれども、あそこは三歳、四歳、五歳、希望する子は全員入れるんですね。朝の七時半から夜の七時半まで、土曜日も幼稚園はやっているわけなんですね。そして七時半から七時半まで十二時間、一人の子供がいるかと言えばそうじゃなくて、朝の七時半に預けて午後二時に終わってもよろしいと、朝の八時に行って夜の五時に終わってもよろしいというふうな、非常に伸縮自在で、しかしその中で教育というのは一定部分ある、その他は保育をするというふうになっている。これが政府として一元化されているというふうに思うんですが、いまの大臣のお考えですとやっぱり二元なんですね。教育の部分だけが一元で、あと行政は二元だという考え方なんですけれどね。この辺についてやっぱり違うんですよ、行管庁の指摘の方向とはちょっと違うんですが、今後検討していかれるおつもりはありますでしょうか。
  72. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) これはきょうまでの長い経緯がございまして、事務同士の話し合いということになりますとどうしても平行線をたどりまして、どこまで行っても二元でございます。しかしちょっと次元を変えて私が考えますのに、これは幼児教育を受ける幼児のためにはどういう角度から行われるのがいいかというところだけに焦点を置いて考えてみますと、やっぱりそれは一元化した方がいいんじゃないかと私もこう思いますし、そう思うからこそ教育内容の、まあ一元化という言葉がどうか知りませんが、教育内容については全く同じものにしてほしいということを望み、またそれを行っておりますのもそういう願いがあるからでございます。したがって、ちょっと別の角度から議論をしていただくと、お互いに打開の道があるのではなかろうか、こういう期待を持ちましたのが、今度の行管庁の勧告に基づいて発足します学識経験者とか、また両省の実情も考え方も十分理解した委員の人々に集まっていただいて、両省の考え方にとらわれないで、幼児教育問題というものについての御議論をお願いしておるわけでありますから、そこから出てきます結論というものは尊重していきたいと思いますし、また幼児教育というものはそういうふうにあるべきであって、特に教育問題についての一元化をすでにお願いし、歩み始めておるわけでありますから、その小さな芽も私は育てていかなきゃならぬ、こう思っておるわけでございます。
  73. 粕谷照美

    粕谷照美君 大変明るい展望を聞きましたので、大ぜいのお母さんたちが喜んでいるのではないかと思います。ぜひこの幼保の懇談会というのは継続して、早期に幼児教育についての結論というものを出していただけるようにお願いをしたいというふうに思います。  ところで、最近の調査を見ますと、文部省調査もそうですし、私どもの行いました調査でもそうですけれども、五歳児のいない保育所というのが非常にふえてきているわけですね。全国社会福祉協議会の調査によりますと、昭和四十五年ですけれども、一府三十一県にわたって五市百十一町十二村、これが四歳まで保育所、五歳から幼稚園というふうに分けているわけですけれども、このようなことは私は非常に問題があるんだというふうに思います。これはなぜ問題があるかと言いますと、一つには、市町村が決めているわけですね、五歳になったら幼稚園へ行かなきゃいけない。だから、保育所へやりたくもやれないわけです。それから保護者の希望があるとか、幼稚園の保育料が安いとか、あるいは幼稚園の方が教育がいいとか、いろいろな理由で五歳児のいない保育所というものがたくさん出ているわけですけれども、しかしこれは非常に問題でありまして、保育に欠ける子を保育所から出して幼稚園に入れるわけですから、厚生省の方針そのものにも違反をしているというふうに言わざるを得ないというふうに思います。これらのことをなくしていくための方策というのはいろいろあるかというふうに思いますが、行管庁来ておられますか。——それじゃ行管庁が来ていないそうですから……。それではちょっと問題を別にします。  いまの五歳児のいない例をでは具体的に申し上げますと、姫路市がそういう方策をとっているわけです。そうしましたら一人のお母さんが行管庁を相手に訴えているわけですね。特に行政不服審査法に基づく審査要求というものを出しているわけです。その内容というのは、知事殿、私は夫がなくて、幼児三人を保育所に入れていますが、五歳になった長男の入所を断られた、これは児童福祉法の精神に違反するけれども、市に対して知事からそういうことをするなというふうに指示してもらいたい、こういう要求を出しておりまして、知事は、そのことを受け入れて指示をし、姫路市は、それでは五歳児も入れる保育所をつくろうではないかと、こうつくっているんですね。  それから、先日の新聞を見ますと、大阪府交野市の市立あまだのみや幼児園というのがありまして、これが昭和四十九年の十月に行管庁のやっぱり行政監察を受けているわけです。あまだのみや幼児園は市立ですから、市長さんが非常に心配した。それから、そこの園長さんも心配をされたわけですね。行管庁に何かしかられるのではないかと、こう思ったんです。で、なぜしかられるのではないかと思ったかというと、幼稚園児、これは五歳児を短時間児というふうに言っておりますし、ゼロ歳から五歳児までで、長時間児と言って長く預かる子供を一緒に預かっている、こういう施設でありますし、クラス編成なんかも、幼保の区分なしにやっております。それから、教諭も保母も固定しないで受け持って、カリキュラムも一本だというふうにやっているわけですが、いまの私は文部大臣の御答弁というのはこれに該当するような感じがするんですが、どうでしょうね、こういう方向というものを文部省はやっぱり考えていく必要があるんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょう。
  74. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 私といたしましては、そういったことが非常に望ましいと思っておりますし、また、そういうふうにするために、いろいろな障害や問題点があるとすれば何だろうかということもいろいろ考えてもおりますし、そういったことがまた幼児のために望ましいということであるなれば、むしろ懇談会なんかで積極的にお取り上げ願って、それに対する私どもの気がついていない議論があるなればお出しいただいて、御批判も受けなきゃならぬ、こう考えておりますが、望ましいことだと思います。
  75. 粕谷照美

    粕谷照美君 私はそれは文部省としても自信を持って言っていただきたいと思いますのは、四十五年に幼児教育に関する調査をやっておりますね、文部省自体が。それは、小学校一年生の親に対して、あなたの子供さんは小学校に入れる前に幼稚園に通わせたいと思いますか、こう聞いているし、保育所に通わせた方がよかったと思っているか、あるいはどちらでもよいというふうに思っていますかと、こう質問しているのに対して、幼稚園に通わせたいと思ったのが五二%、非常に多いんですね。ところが、保育所は一五%で少ないんですけれども、いずれでもいいと言っているのが三三%ですから、幼稚園でなければならないという親と、保育所、あるいは保育所でも幼稚園でもどっちでもいいという親の数というのは大体拮抗しているというふうな数字が出ているわけですね。だからこのことは、保育所でもちゃんと教育さえしてもらえば幼稚園へ行かなくてもいいというふうに思っている親が多いという結論になっているわけですから、自信を持ってやっぱり厚生省とその点について話し合いをしてもらいたいというふうに思いますし、また、私ども調査によりましても、やっぱり保育園に行っていた方がいいというふうに答えているのが三八%あります。それから幼稚園にやっぱりやっておくべきだというのが三九%で拮抗しているんですね。さらに、わからないというふうに答えているのが二三%ですが、わからないというのは、どちらでもいいというふうに思っているわけですから、国民は、幼稚園でなければならない、保育所でなければならないというのじゃなくて、四歳児も五歳児も同じ日本の国の子供なんだから、小学校へ行く前は同じようにやっぱり教育をしてもらいたい、それとあわせて、働いている、あるいは保育に欠けるお母さんたちは、ぜひ幼稚園以外の保育の時間、何というのですかね、子供を養育する時間も見てもらって、長時間にわたって保育もやってもらいたいという要求をしているわけですから、ぜひそのことをやっていただきたいという要望なんですが、その懇談会の結論というのは、一体どのくらいの期間を考えていらっしゃるんですか。で、その結論を出されるのは、一体いつごろになるのでしょうか。
  76. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 懇談会は形式的には来年いっぱいは存続して審議を続けていただくという前提で出発しておりますが、問題によっては早く結論が出るかもしれませんし、あるいはしばらく時間がかかるかもしれませんが、それらのことは懇談会の自主的な御運営に任してありますので、いついつまでに結論を出してほしいというようなことはいま決めてございません。
  77. 粕谷照美

    粕谷照美君 それは五十六年度でやっぱりもう希望者は全部入れますよということなんですから、早急にこのことをやっていただかないと、私は各地域におけるばらばら行政というものがなくならないのではないかというふうな気持ちがいたします。  ところで、そのばらばら行政の根本は、私はやっぱり文部省と厚生省という国に一つあるというふうに思います。ようやく懇談会ができましたから、ある程度の統一方針が認められましたけれども、行管庁は指示しているかというと、なぜそのように幼稚園と保育所がばらばらになっているのか、あるいは幼稚園の中でも私立公立が一緒になって、片っ方がつぶれたとかつぶれないとか、あるいはここのところにあり過ぎるとかないとかというこのばらばらは何が問題かというと、各県及び各地域にそのような話し合いの場所がない、調整機関がないからだということを報告しておりますが、文部省としてはその辺の数はどのようにつかんでおられますか。
  78. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) これは、公立幼稚園と私立幼稚園の両方を設置しておる市町村四百九十をとりましてその調査をしました結果を申し上げますと、公私立幼稚園の配置の調整を図るための協議機関を設置している市町村は五十一と、全体に対して一〇%強、調整機関を設置する予定でいる市町村が五十九、一二%ということでございまして、必ずしも十分ではないという現状でございます。
  79. 粕谷照美

    粕谷照美君 いま配置の調整機関があるところの数字を報告されたわけですね。今度はそれでは公私立の配置。いまののは幼保の配置……。
  80. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) いえ、公私立の配置でございます。
  81. 粕谷照美

    粕谷照美君 公私立の配置ですか。では幼保の配置はどうですか。
  82. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 幼保とも両方ある市町村千九百四十四について協議会を設置しております市町村数が百三十五でございます。
  83. 粕谷照美

    粕谷照美君 百三十五は調整機関があるというふうになっているのも私も見ました。これは六・九%になるわけですね。そうすると予定している市町村が二百四十一で一二・四%、これを合わせましても五分の一しかないわけですね。あとの五分の四は全くもう自由に任せている、ばらばらになっているという実態が出ています。公私立の問題についても四分の一しかないわけですね、数字で言えば。あとの四分の三がもうばらばらである。したがって、文部省と厚生省の話し合いのような機関を——それも大変弱いと思うんですよね、話し合いですからね、懇談会ですからね。そういう各地域における調整機関を早く持ちなさいという指導を本年じゅうにはやっぱりやっていただいて、来年には全部できましたという報告が上がるような施策をお願いしたいというふうに思いますが、どうでしょう。
  84. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) この点は、従来も調整機関を持ちなさいと、調整機関は持てなくても、少なくとも両関係者の間の話し合いの場を適時持つようにという指導はかなりやってきておるわけでございますが、御指摘のように、まだまだ十分でございませんで、大変遺憾なことでありますので、今後一層努力をしてまいりたいと、かように思うわけでございます。
  85. 粕谷照美

    粕谷照美君 では最後に文部大臣に、幼児教育の一元化を考えようという主張が、前々から私どもはしてまいりましたけれども、あの文部省調査報告を機会に、各新聞社の社説なども、本当に幼児の教育の一元化をやってもらいたいということを挙げているわけですが、その辺の御決意のほどを示していただきたいし、あわせまして、よその国へ行きまして、やっぱり障害児こそ、障害を持っている子供こそ小さいうちから教育をすべきだということをやっておりますので、その点に触れてもお考えをお聞かせ願いまして、質問を終わりたいと思います。
  86. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 幼児教育がきわめて重要であるということは、先生からもたびたび御指摘をいただいておるところでありますし、また、私どもも幼児教育の重要性については十分理解をしておるつもりでございます。したがいまして、それの一つの壁になっておるのがやっぱり幼稚園行政と保育園行政との全く分かれておることであり、また、それについて行管からの指摘も受けておるわけでありましたから、これらの問題についてはひとつ、幼児教育はだれのためにやるかといえばやっぱり幼児のためにやるんでありますから、どういうようなあり方で、どういうようなことをしたら幼児のためになるかということで、やっぱり文部省なり厚生省なりのきょうまでの路線とか考え方にこだわっておりますと、なかなか結論の出にくい、打開のしにくいいろんな問題もあろうかという判断で、今度行われておる懇談会でいろんな問題が提起されたり、指示されることを私どもは期待をし、願っておるわけでありますけれども、それよりもさらに一歩進んで、文部省の内部においては先ほど申し上げたように、幼保教育内容の一元化はこれはできるということになり、またそれを行っておるわけでありますから、そういうような具体的に可能性のある問題についてはすでに行っておりますし、またそれを拡大していくようにどういう方策をとったらできるかを考えながら、あわせてやっていかなければならぬと思っております。  なお、障害を有する子供さんの場合は、特に幼児の段階からの教育が必要だということはいろいろなところの御指摘があることでございまして、施策の上で幼稚部の充実というような問題は、たとえば養護学校の場合にはそれをきちっとする。私も養護学校を見せてもらいにいきまして、幼児教育を大変御苦労なさってやっておる現場も見てまいりまして感銘を受けましたけれども、さらにそういった施策は充実していかなければならぬということは当然の方針でございまして、今後全力を挙げてやっていく決意でございます。
  87. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私からもいま問題になっております奈良県立医大の問題についてお伺いしようと思っておったのですが、先の質問者の方から質問もあり、一定の答弁もございましたので、きょうはおきたいと思うわけです。  この問題はいまなお解明の過程にあるというふうに理解をしておりますし、まあ一奈良の問題にとどまらず全体的な問題をも問題の中には内包をしておる。マスコミ等では別枠入学あるいは寄付金入学というようなことは、他の公立でも必ずしもなかったわけではないというようなことも述べておるような向きもありますので、ここで一つだけお伺いしておくわけですが、大学寄付を受けて設備等の充実をするというようなことは、それはよい寄付であれば当然あっていいことかとも思うわけですね、東京大学の安田講堂というようなものもございましてね。ただ、これがだれが寄付をしてどういうふうに使ったかということのわからないような寄付を取っておるということになるとろくなことはないというふうに私は思うわけであります。少なくとも公立大学において、その大学の中で寄付金を取って勝手に使うことがこれはできるはずがない。これは寄付金は正規の手続をとって設置者の手を通じて、そして再び大学への予算となって、そしてここで設備に入っていくものだと思うわけであります。これらの点についてですね。  それからもう一つは、入学許可後の寄付であるにしても、これが多数から一定額ずつの、いわばいま社会で指弾を浴びておる私学の寄付に近いようなこういう形態の寄付というようなことが、いやしくも国公立等においてあり得ることか、これらのところに大きく疑問点を残しておるわけでありますが、ここでこの寄付金取り扱いのプロセスといいますか、これについてひとつ明確に御説明をいただきたいと思うんです。校舎建設等の必要から寄付金条件別枠入学を許したというような御説明局長の方からあったわけです。寄付というのはどういうふうに取り扱われるものか。当然寄付として扱われたものなら、寄付者とその使途、リスト等も残っておると、そうでなければ大学校舎等に使用できるはずがないわけです。こういう点について補充的に質問しておきます。
  88. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 国公立大学の場合に、寄付を受け入れて教育・研究に直接必要な施設を整えるというふうなことは本来あり得べからざることであろうと思います。それはすべて公費をもって支弁をするというのが原則でございます。もちろん御指摘のように、篤志家があって、そして国が基準として整えなければならないものを超えた施設等について、それを母校に寄付しようというようなことがあります場合には、そのこと自体までいけないと言う必要はなかろうと思いますけれども、その場合には、それが本来公費をもって設備しなければならない施設ではないものであると、そしてその寄付につきましても、これは現金を歳入に受け入れて建築をするという場合ももちろんありましょうけれども、現物を建設して、その現物を寄付し、それを採納するということが一般的には行われるんだと思いますが、そういった採納手続は厳正に行われるべきものと思います。
  89. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあ国立であれ、公立であれ、原則は一つだと思うわけですが、そういうことであるならば、当然奈良県立医大の場合にも、入学後に寄付金を五十万ないし百五十万円払ったという人たちリスト金額も、これは県の財産をやっておるわけですから残っておると思いますし、先ほど質問者から資料要求もございましたので、それにあわせて後ほど理事会の中でこれらに関する資料についても取り扱うように委員長にお願いしておきたいと思うんです。
  90. 吉田実

    委員長吉田実君) 承知いたしました。
  91. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 再び私、ここで私立医大、歯大関係の問題についてお伺いをしたいと思うわけです。  新設の医大関係の点については、ずいぶん社会的に取り上げられて、寄付金とそして入学選抜の公正に関する問題については世論も高められており、文部省も一定の措置をとられてきたわけですね。しかし、実際問題としては、経営のむずかしさということも前委員会で松前先生の方からいろいろあったように、そういうこともあるでしょうけれども、この問題は必ずしも新設の医大、歯大の問題じゃなくて、問題の中心点というのは、おおよそ校歴の古い明治に設置されたような、今日まで社会的声価も高いところに至るまで問題点は共有をしておるんじゃなかろうかと思うわけです。したがって、いまあれこれ問題にされておる部分が、内部告発やあるいはたまたまマスコミの報道によって具体的に表に出た分にだけかっこうをつけて、そしてやっていくというようなことでは、とうてい不十分であろうと思うわけです。  私は、特にここで入学選抜寄付金の関係、合格者の発表、通知等の公正について、通知も出しておられますから、その実態についてお伺いをしたいと思うわけです。私の承知しておるところでは、数年前までは私立大学でも特に医科・歯科系というのは、ほとんど合格発表日にキャンパスに名前もしくは番号が張り出されて、それを見に行って、合格したとかしないとか泣いたり笑ったりするという風景は私立の医科・歯科系に関してはなかったように思うわけですね。総合系の大学では特にあっても、単科系の大学なんかではほとんどなかったんじゃなかろうか。今日はかなりそれらの問題も、まあ昨年、一昨年等からは合格者の発表というようなことも行われるようになっておると思うんですけれどもね、これらの全般的な状況はどんなもんでしょう。
  92. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) ただいま手元に全私立大学の具体的な数字を持っておりませんが、御指摘のように、私立の医科・歯科大学につきまして募集要項をチェックをいたしますと、合格者の発表の方法を明記していない、つまり合格者については学内に掲示をし、かつ本人に通知をするというように明確に書いてないものが若干ございます。それは一般的にそういう状況があるということじゃなくて、幾つかの大学でそういった点が見られます。それについては今年度も募集要項の中で合格者の発表の方法を明示をするように私どもは指導しているところでございます。
  93. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 先般、私の方に書面をよこした人がありました。これは明治時代に創立をされた、文部省の方からの補助金でもかなりの順位の高い大学に関係する問題なんですね。まあ名前を言えば大阪歯科大学の関係の話であります。この大学でも従来から合格者の公表はやっていなかったわけですね。合格をした者に、合格したのかしないのか、試験が終わると電話がかかってきまして、あれはどうなってますか、うん百万円、というような話が出て、それから合格の通知が来るというのが大体普通のあり方になっておったと。これは何も新設の場合ばかりではない。しかし、内部でも——それと入学者決定については教授会の比重が低いですね。やっぱり理事者と——理事会というのは教学の方ではキャリアもある方ばかりじゃないんですから、大体その比重が低いというようなこともあって、大体合格、不合格というのは本人に電話で通知をされるというようなふうになっておったのが、内部で問題にもなって、ようやく昭和五十一年から天満橋のキャンパスのところに張り出すようになっておるんです。これは前進だと思いますし、当然そこに一たん番号が出てしまえば後で消えたりすることはまあないでしょうからね、なんですけれども、そこで張り出されるようになったわけですね。しかし、まあ同時にこの手紙をよこした人の話だと、合格の発表日に見に行って泣いたり笑ったりする人が非常に少ないというのが特徴だと、こういうことになるわけなんですけれども、こういう手紙が来ているんですね。  五十一年に実施された入学発表について、と。昭和五十一年度入学試験合格発表は三月六日・土曜日、午後一時、天満橋の学舎の正面玄関に合格者の受験番号を掲示いたしましたと。電話やその他の問い合わせは間違いを起こしやすいので応じない、こういうふうに記載をいたしましたと。今日までこの大学では合格発表は公表されておらず、入試制度の改善が問題となっておりました。これで理事会側も態度を改めて選抜の公正が前進をすると思っておりました。入学試験も何事もなく無事に終わって合格発表日が間近になったとき、去年のことですから、ちょうどロッキード事件で国会で鬼という人が証人に出た日のことでしたと、こういう丁寧な話もついていまして、大学付近の富士銀行の入り口へ行ったら——これが三月一日の話なんですね、六日に発表と。大阪歯科大の入学金お取り扱い中というのがぺたっと張ってあって、まだ発表ないのに合格したお金を払い込む取り扱いをやりますというのが書かれて張り出してある。実際問題としてそういう状況の中で、合格者は発表を待たずにちゃんと入学金を納入して、合格が決定していたのであると、だから発表日にやってきて泣いたり笑ったりする人は本当に数が少ないと、こういうようなことが書かれておるわけであります。  こういう状況、これはどうしても、通知も出されておるわけですけれども、全体としてこういう状態は直ちに改善をされる必要があるだろうと。手紙をよこした人はよほど頭にきたのか、いろいろ当日の富士銀行の張り出しの写真だとか、発表の写真だとか、同じ日に隣の喫茶店でテレビに三月一日である証拠にロッキード証言が行われておるのなどが写されて、こういう状況を改善してくださいという手紙が来ておるわけであります。私も、そういう状況もあり、大変校歴も古くて有名な大学ですから、どういう状況かと思ってながめてみますと、実際にはこの大学は、同窓生であり、そこの出身である白数という方が学長をやっておられるわけですが、ここの学長は同時にあの自殺問題で大変有名になりました岐阜の歯科大の理事を兼務されておる。そうして、この大学では理事長も兼務をされておる。ここには理事に宮田という方がおられますけれども、同時に岐阜と城西の理事長は宮田という方がやっているんですね。こういう状況で、問題が、しばしば言われる新設の医科大学と、それから大変校歴の古い大阪医科大のような場合にも、理事さんのメンバーというのはほとんど共通のようになっておって、そしてそこの中で資金もあれこれかかわりがあるんじゃないかと思われるような節があるわけであります。  ここまでやって、この古い大阪歯科大はそれでは寄付金問題はどうなっているのかということになりますと、もうすぐ募集要項が発表されるわけでしょうけれども、実に授業料が、前年まで百六十万円くらいであったものが二百万を突破して授業料が、学費が定められて、その上に寄付金が八百万円ぐらい募集要項に掲載されるという状況です。新設に伴って経費が特に出費をされるということばかりではないように思われるわけですね。一千万円近いものが募集要項の中に掲載される、こういう状況であります。これを軌道に乗せて、そして言われるような状況にするのには一体どうしたらいいのか、これらについて大臣に一言お伺いをしておきたいと思うんです。
  94. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のような多額の入学金を入学許可の条件にしてはいけないということを、すべての私立の医科・歯科大学に通達をもって指示したわけでありますし、それからこのことは厳しく受けとめてもらいたいということで、各医科・歯科大学に対しても、これはいま個別にもあるいは協会を通じても指導をしておるところでありまして、また学生入学に際して払い込むお金が、表に出るという言い方がいいかどうか知りませんが、それをまさに踏み切ってやりませんと今度の医科・歯科問題の解決にはならぬという点もあるわけでございます。じゃ、表へ出すなれば何でもかんでも黙って出せばいいかというと、そうはいかぬわけでありまして、私は大学当局もやっぱり厳しく自粛自戒、反省をして、できるだけの学内での努力もしてもらいたい。それからまた政策努力も加えなければならぬ。それは経常費の補助金の増額ということのみならず、入学金の分割払いの制度であるとかいろいろな政策努力をして、融資の問題等も増額していかなきゃならぬと思います。そういうことをいろいろしながら、やっぱり不明朗なことはこの際一掃する、絶対不明朗なことを繰り返さぬという意味で入学金あるいは学生納付金の額がどの程度になってくるかということには私どもも重大な関心を持って大学当局をいま指導しておるわけでありまして、なるほどこれなれば努力そして改革の意思か認められると思われるような具体なものになっていくように願っておる最中で、いまそういったことを指導しておるところでございます。
  95. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 通知等による全体的な指導のほかに、具体的な問題についても話し合いを進められるなり、指導を進められる必要があろうかと思うんですけれども、合否の発表の手続なんぞについてはどうでしょうね。この合格者の公的な発表というのは義務づけるとは言わないまでも、それをすべてを行うように持っていくというようなお考えを持っておられるかどうか。それとあわせて、発表にない者の入学についてはチェックをされるようなお考えがあるかどうか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  96. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 明年度の募集要項の中で入学者選抜実施の仕方をはっきり書くように、その場合に御指摘の合格発表の方法についても学内に掲示をし、かつ本人に通知をするということを明記をするように、各大学に対して私の方は指導をいたしております。
  97. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 明示をさせる、どの大学でも全部明示をさせるということで御指導があり、そう行われるようになればそれまでのやみくもの状況に比べれば前進になると思うんです。それと同時に、いま大阪歯科大のことを申しましたけれども、ここで発表をされた状況、これも大体勘定することができる。写真で読んでみたわけですけれども、発表された数は二百十九人発表されているんです。募集定数は百六十人なんです。そこで二百十九人発表されて、それが全部入学したかどうかはこれ見てもわからないわけですけれども、辞退者もあるかもしれませんから。しかし、実際には募集定数百六十人に対して二百十九人発表されて、入学した実数は二百十四人になっておるわけですね。そういう状況入学実数というのがかなり募集数を上回っておるわけでありますから、こういう状況の中では合格発表の中に出てこない者もかなりに入学をしておるわけですね。これらについては、その具体的な内容等は報告文部省は知ることができる立場にあるのかどうか、それもお伺いをしておきたいと思います。大体合格発表になった者の中で何人が入り、それ以外にどれだけの者が入学を許可されたか、具体的に入学した者の内訳はどうなっているのかというようなことはわかりますか、文部省で。
  98. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 学校基本調査におきまして、何人が志願をし、何人が受験をし、何人が入学をしたかということは総数としては私どもはつかむことができます。また、たとえば愛知医科大学のように具体の不祥事件が生じた場合に、その入学状況について実状を調べます。その際には、発表された人数のほかにいわゆる補欠という形で何人入ったかというふうなところまで私どもはチェックをいたしますけれども、一般的には個々の大学についていま御指摘のような点を私ども調査をしているわけではございません。
  99. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 従来であればそれらの内容が実際に入ってしまうまで教授会教授自身にもわからない、そういう状況にあったわけですね。これらの問題についてはここでそれだけ一つ問題を取り上げておくわけですけれども、せっかく募集要項に掲載したとおりにやるということになり、合格発表がなされてさえも、それが発表される前に寄付をする者には皆わかっておった、見に来る者もないというような状況になってしまえば、内容はこれはもう空洞化をしておるわけであります。それらの問題についてもひとつ各大学状況十分に把握をされて、そして御指導をいただきたいと思うわけであります。特に募集数と入学許可数、これについていわゆる水増し入学問題、これらの問題は一つのポケットになるわけですね。公正な入試選抜についてのポケットになる。こういう問題についてもよく見て御指導していただく必要がある。  特に私ここで申し上げておきたいのは、こういう状況もあるということになれば奈良の医科大学のように教授会自身で全体として問題に巻き込まれるというようなこともありますけれども、おおむね私立大学の場合には教授会の権威が確立をしていくことと、文字どおり確立してそして教学内容に対しては理事会に対して独立をした権限を持つことと、そして大学の重要運営についてはやっぱり教授会の権限機能が確立されることというのが名実ともに保証される必要がある。  もう一つあわせて経理公開の問題が今日のような手ぬるい状況からもっと強化をされなければならぬのじゃなかろうか。その点をこの問題については強く要望をしておきます。  この大阪歯科大の問題でもそれだけ校歴の古い大学でいまなおさまざまな入学上の寄付を必要とするという一方で、それだけお金が足りないのかと思うと、京阪沿線等にかなりの土地を購入したり、第二学部の建設計画だというようなものが一方で練られたりしておるわけであります。これらの点についても十分によくながめて見ていただきたいと思うわけであります。きょうはその問題についてはそこでおきます。  最後に一つお伺いしておきたいわけですけれども、筑波大学ができて四年目になるわけであります。いよいよ第一回の卒業生も来春には出てくるというような状況ですから、それの裏返しと申しますか、東京教育大の方は名実ともに消滅をする日が近づいているわけでありますが、私の聞くところでは、教官の中にも一定数まだ筑波大学の方に移ることができないでおられる方々が残っておるというふうに聞いております。教官で十二名ですか。文学部で八人、理学部で四人というような方々が筑波大学に行こうという意思表示をしておられるけれども、まだそのことが決まっていない。また職員の中に四十名近い職員が移転困難者として残されておる。これらの問題の身分保障をどのように行われるのか。これをお伺いしたいわけであります。どうなってますか。
  100. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 筑波大学は御案内のように、教育大学の筑波学園都市への移転を契機として創設をされたものでございます。したがって、その全体計画におきましては東京教育大学から筑波大学へ転任を希望される教官については所定の手続を経まして筑波大学へ転任することを前提として計画されているものでございます。現在、十一月一日現在でございますが、東京教育大学には二百六十一人の教職員がなお在職をいたしております。これは教育大学における教育の必要からそれだけの者が要るわけでございますが、今後の具体的な人事の取り扱いについては、東京教育大学と筑波大学の両大学の当局の間におきまして、教育・研究上の必要性等を考えながら現在鋭意協議、検討が重けられております。私どもは円滑な教官の移行が行われることを期待しているわけでございます。  事務職員については、これは希望する者はもちろん全員筑波大学の方で受け入れるわけでございますが、御指摘のように、家庭の事情等によりまして筑波に行くことがむずかしい職員がございます。この事務職員の問題については、文部省も中に入って、そういった移転困難な方の東京都内における他の大学への就職のあっせんというような点につきまして協議会を設けてこれまた鋭意努力をいたしております。  いずれにしても、明年三月末をもって教育大学は閉学となるわけでございますから、移行について万全を期するように両大学のこれからの努力を期待いたしたいと思っております。
  101. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 教官の方については、四月一日までには全員が円滑に移行される見通しを持っておる、心配ないと、こういうふうな答弁をされておると聞いていいわけですか。
  102. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 現在両大学の間で、先ほどお答え申し上げましたように、協議、検討が重ねられているわけでございます。それを通じて円滑な移行が実現されることを期待しているわけでございます。現在の進められている手続について、文部省が直接具体の意見を申し述べることは、大学に対しては差し控えるべき事柄であろうと考えますので、先ほどお答えしましたように、両大学のこれからの努力に期待するということでございます。
  103. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 両大学の努力が仮に整わない場合にも四月一日はやってくるわけでありますけれども、まあそういう場合には文部省は身分保障について、こういうことは万々あり得ないことかと思いますけれども、いわば教育大学の廃学後の身分保障については完全に責任を持たれるわけですか。
  104. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 現在の時点では、先ほどお答え申し上げておりますように、円滑な移行のための両大学による協議が重ねられておる段階でございます。その協議を経て円滑な移行が実現されることを私どもは期待をしているわけでございますので、四月一日以降にそういった問題の起こらないような形で解決が行われることを望んでおります。
  105. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあ私も、言われるとおりに、教官自身も残された方々は移行を希望しておられるようでありますので、整い次第それは目鼻がつくのでしょうけれども、筑波大学の方で、これ教授会でありませんから人事委員会で審査中というようなことで、聞くところによると、なかなか答えが出るのがおくれておるというようなことであります。万々一間に合わないようなことがあります場合には、身分が切れて、まあいわば分限免職みたいなかっこうに実際上落ち込んでしまうというようなことに理論的にはなるんじゃないでしょうか、どうなんでしょう、そこは。
  106. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 個々具体の人事の進め方は、御指摘のように、大学側大学の問題として鋭意取り進めているところでございます。三月三十一日を経過した段階で過員というような事態にならないように両大学の努力を期待したいと考えます。
  107. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 文部大臣にお伺いしますが、まあいま思い出しても、筑波大学のこの法成立のときにはかなり国論を二分するような大きな議論があったことは事実でありますし、当然学者として——当事者であった当時の東京教育大学の中にも両論があったわけであります。その中で移行の賛否について意見が分かれたとか、さまざまな問題で今日になって希望しておる者が——当時の大臣も、これは完全に移行するのでありますということを言うておられるわけですが、この不明朗な、この移行のできないというようなことがあってはならぬと思うわけですけれども大臣いかがですか。
  108. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) これは円滑な移行が行われることは私は大切なことだと考えますので、その大きな円滑な移行という目標に向かって両大学の協議が進められることを心から願います。
  109. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあ円滑な移行と言いますけれども、重要なことは移行するということでありますから、円滑でなければ移行しなくてもよいという意味ではなかろうと思うんです、円滑な移行を望むということは。少なくともその点については身分保障は文部大臣としては全面的に責任を持つと、こういうふうでなければならぬと思うんですけれども、その点について決意のほどを聞いておきたいと思います。
  110. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) そういうことについても私は両大学にさらに要請をして、そのようなことになるように努力をいたします。
  111. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 はい。蛇足になると思いますけれども、四月一日というのは四カ月余りですから、長いようでもありますけれども、すぐにやってくるわけです。一つの大学がなくなるわけですけれども、留年の学生等を含めて学生の始末についても若干の残務等も残るんじゃなかろうかと思いますし、まあいずれにしてもこの残務の問題あわせて、それは両者の円滑なる協議を期待するとともに文部省自身の努力も十分に重ねられるように重ねて御要望しておきます。いかがですか。
  112. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) より一層協議が進むように文部省としても両大学に要請をいたします。
  113. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 文部省独自の努力も当然重ねていただかなければならぬと思いますが、その点はどうですか。
  114. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 事務職員の問題については私どもも協議会をつくって鋭意私ども中に入って努力をいたしております。  教官の人事の問題につきましては、やはり事の性質上両大学の協議を極力進めていただくことを要請するということで文部省は対応をいたしたいと思います。
  115. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 当時の大臣等も国会で、法案審議の中で、これらの問題の質問については再度、三度と、すべて東京教育大の教官で移転を希望される方々については全員移行してもらいますということを答えておられるのですからね。まあ、その点が変化をされたということは万々なかろうと思いますから、当然円滑な移行を期待するとともに、文部省でも独自に努力を重ねて、ここのところで遺憾な事態が出てこないように、ひとつ十分な努力をしていただくものと確認をしておくわけであります。  あわせてこの移行困難者の事務職員については大学当局と文部省で対策協議会等も設けてこれの解決について当たられるということを聞いておりますけれども、第一回が開かれた後、余りこの協議会は開かれていないようにも聞いておるわけですが、これについてはまあ大体見通しを持っておられると、こういうことでよろしいですな。
  116. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 正規の協議会を開いては確かにいないようでございますが、事実上幾たびも協議を重ねております。極力転任困難な者については他の大学等へあっせんをして、これまた廃学の際に困ったことにならないように努力をいたします。
  117. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 終わります。
  118. 吉田実

    委員長吉田実君) 本調査に対します質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時九分散会      —————・—————