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1977-11-01 第82回国会 参議院 文教委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月一日(火曜日)    午後一時七分開会     —————————————    委員異動  十月二十七日     辞任         補欠選任      宮之原貞光君     吉田 正雄君  十月二十八日     辞任         補欠選任      吉田 正雄君     宮之原貞光君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉田  実君     理 事                 後藤 正夫君                 世耕 政隆君                 宮之原貞光君                 小巻 敏雄君     委 員                 山東 昭子君                 内藤誉三郎君                 長谷川 信君                 藤井 丙午君                 二木 謙吾君                 秋山 長造君                 粕谷 照美君                 勝又 武一君                 柏原 ヤス君                 白木義一郎君                 有田 一寿君        発  議  者  粕谷 照美君    委員以外の議員        発  議  者  久保  亘君    国務大臣        文 部 大 臣  海部 俊樹君    政府委員        文部大臣官房長  宮地 貫一君        文部省初等中等        教育局長     諸沢 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省社会教育        局長       望月哲太郎君        文部省体育局長  柳川 覺治君        文化庁次長    吉久 勝美君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君    説明員        文部省初等中等        教育局財務課長  古村 澄一君        厚生省児童家庭        局母子福祉課長  川崎 幸雄君        自治省行政局公        務員部公務員第        二課長      坂  弘二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○教育文化及び学術に関する調査  (共通一次テスト問題に関する件)  (職業高校教育問題等に関する件)  (学校給食問題に関する件)  (幼稚園、保育所一元化問題に関する件)  (学校災害保障問題に関する件)  (教職員の週休二日制問題に関する件)  (教科書無償問題に関する件)  (幼児教育に関する件)  (学習指導要領の改定問題に関する件)  (同和教育に関する件) ○女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の  確保に関する法律の一部を改正する法律案(久  保亘君外六名発議) ○青少年の麻薬・覚せい剤等乱用防止に関する決  議の件     —————————————
  2. 吉田実

    委員長吉田実君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、理事が一名欠員になっておりますので、ただいまからその補欠選任を行います。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉田実

    委員長吉田実君) 御異議がないと認めます。  それでは、理事宮之原貞光君を指名いたします。     —————————————
  4. 吉田実

    委員長吉田実君) 次に、教育文化及び学術に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 長谷川信

    長谷川信君 まず最初にお尋ねをいたしたいのは、昭和五十四年から実施をされんといたしております新しい試験制度についてであります。  御案内のとおり、リクルートセンターというんですか、大学試験相談所ですか、あそこに大変な数の父兄学生が電話あるいはじかに本人が行って、いろいろ照会をしたり聞いたり、心配をしているようでありますが、若干一部新聞に出ておりますが、その辺の要項、あるいは今後の見通し推移、まあ文部省要項が出ておりますが、まだなかなか周知徹底をしておらない向きもありますし、若干、一般の受験者父兄等々いろいろ心配をしている向きもありますので、それらの経過、推移見通し等についてまずお尋ねをいたしておきたいと思います。
  6. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のように、文部省では、去る六月の末日昭和五十四年度以降における大学入学者選抜実施要項を定めまして、これを各大学関係機関通知をいたしております。  それから、大学入試センターの方で、この通知を受けまして、共通第一次学力試験実施に関する大綱というものを定めまして、七月二日に、これまた大学初め関係機関通知をいたしております。これらの通知によりまして、昭和五十四年度以降の国公立大学共通第一次学力試験を取り入れた新しい入学者選抜方法につきましては、共通一次学力試験実施教科科目であるとか、あるいは実技検査面接小論文取り扱いであるとか、あるいは募集出願、受付、選抜等日程であるとか、あるいは推薦入学等の特別の選抜方法取り扱いであるとか、そういったいわば大綱はすでに定められたところでございます。これについては文部省とそれから大学入試センターと双方で全国説明会実施をいたしまして周知徹底をことしの夏から秋にかけて図ったところでございます。一方、各国公立大学文部省通知に基づきまして、ことしの七月末日までにそれぞれ五十四年度の入学者選抜に関する事項のうち基本的な事項、つまり各大学のいわゆる第二次の試験教科科目であるとか、あるいは実技面接小論文取り扱い推薦入学等取り扱い、あるいはいわゆる二段階選抜取り扱い、そういったものを定めましてこれを決定公表をしたわけでございます。  で、今後の日程といたしましては、来年の六月末日までに大学入試センターの方で五十四年度の共通第一次学力試験実施細目を定めます。これは、いわゆる第一次の学力試験を二日にわたって行いますが、その二日にわたる時間割りのような細かい点であるとか、あるいは実施方法試験場検定料、そういった細かい点につきまして実施要項決定公表をいたします。また各国立あるいは公立大学の方は、同じく五十四年度の入学者選抜に関しまして来年の七月末日までにそれぞれの大学学部学科内容であるとかあるいは特色であるとか入学定員、さらには第二次の学力検査実施教科科目あるいは選抜方法、そういった基本的な事項につきまして入学者選抜に関する要項決定をして公表いたします。これはいわゆる学校案内とも申すことができるようなもので、これによって受験生がどのような大学に志望をするのかということを十分に考えることができるような、そういった配慮をしたものを公表するわけでございます。  で、さらに十一月の三十日までに各大学は、今度は具体的な募集の人員であるとかあるいは出願期日、第二次の学力試験実施期日あるいは試験場検定料といった必要な事項を定めた入学者選抜に関する細目決定公表いたします。これがいわゆる募集要項に相当するものでございます。そういった過程を経まして五十四年度の入試というものが具体的に定められ、決定されていくわけでございます。
  7. 長谷川信

    長谷川信君 まあ新聞その他若干伝えられておるわけでありますが、伝えられておるところによりますと、第一次試験で大体五科目テストをやると、第二次に三科目をやる、まあやるとは書いてあるのかないのか、そういうようなことが書いてありますですね。で、そのほかに当然各大学施行テストがあるわけでありますから、文部省が意図されております学歴偏重打破大学間の格差是正、それから各大学における特色ある教育充実等の具体的な施策が一層推進されなければならないということが、大学試験はやる、五科目をやって第二次で三科目をやって、それから作文、面接その他ずっとやりますと、果たしてこれが文部省の意図されておる学力の、何といいますか、偏重打破格差是正試験簡素化、その種のものにつながるかどうか、いろいろ議論が出ておるようであります。新聞その他にも、これはどうも余り試験簡素化につながらないような方法だと思うというふうな論説も一、二の新聞に出ておるくらいでありますので、若干いろいろ国民の中にそういう疑問というか、投げかけておるようでありますが、その辺若干御説明をいただきたいと思います。
  8. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 共通第一次の学力試験におきましては御指摘のように、五教科六ないし七科目が出題をされるわけでございます。これは高等学校における一般的、基礎的な学習達成度チェックをしようという趣旨のものでございますから、この五教科というのは高等学校におけるいわゆる共通必修科目でございます。この科目の数をさらに減らした方がいいのではないかという御指摘もあるわけでございますが、逆に、この共通必修である五教科というものを減らすということは高等学校における学習というものに逆に悪影響を及ぼすおそれがあるのではないかという点があるわけでございます。そういったことから、共通必修科目については五教科六ないし七科目実施をする、ただし職業高校生徒のように、高等学校段階普通高校生徒と必ずしも同じでない勉強の仕方をする部分がございます。こういった点は、英語であるとかあるいは理科であるとか、そういった点については科目の上で十分に配慮をするということにいたしております。  そういった一般的、基礎的な学習達成度を第一次試験チェックをするということとあわせて、第二次試験では、それぞれの大学受験生が選んだ学部学科特性に応じまして、その学部学科に進学をする生徒の適性あるいは能力というものを調べようということで、各高等学校におけるいわば選択科目段階でのチェックが行われるわけでございます。これについては御指摘のように、生徒の負担が過重になってはいけないということと、共通一次と二次とを合わせて適切な選抜をしようということの趣旨から国立大学協会の方でもガイドラインを定めまして、できるだけ科目数はしぼるようにという指導をしたわけでございます。ことしの七月末に各大学発表をした状況を見ますと、もちろんまだ科目数の多いところはございますけれども、全体としては平均二・九科目ということになっております。現在が文科系で七ないし八、理科系で八ないし九科目を課しておりますので、その点からすれば各大学の二次試験内容というのはかなり改善をされておるというふうには考えております。  また、共通一次を利用することとあわせて、従来は余り行われておらなかった面接を導入したものが三十大学ございます。これは現行大学でございますから五倍にふえている、あるいは小論文を課するものも現行大学のものが四十八大学にふえるというような状況にございます。なお二次試験内容については改善をしなければならない点がございますが、そういった点は実施経験を重ねながらさらに改善していくように、国大協とともに私どもは各国立大学あるいは公立大学に対して検討を求めているところでございます。
  9. 長谷川信

    長谷川信君 余り簡素化されておらないじゃないかというふうな批判も出ておるわけでありますが、これはあれですか、諸外国の例、たとえばアメリカヨーロッパ——私ともいろいろお聞きするところによりますと、ヨーロッパは大体共通試験だけでやっていると、アメリカは第一次だけで二次がないというふうなことを聞いているわけでありますが、別に外国との比較とか、いいとか悪いとかという議論じゃございませんが、いまお話がございました文部省の案でありますと、諸外国と比べてもやはりかなり繁雑であり、複雑であり、むずかしい試験制度であるというふうな見方がやはり出ると思うんですが、ほかの国との何といいますかな、文部省で御調査なさった若干のほかの国の例、あるいはその他おわかりでしたらお聞かせいただきたいと思います。
  10. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のように、イギリスあるいはフランス、西ドイツにおきましては共通入学試験実施をされているわけでございます。そして、その国によっては実施をされた共通入試のうちの特定科目大学の指定する特定料目試験でとって、その成績大学提示をするというような形で行われているのがありますし、アメリカの場合も、やはり行われている共通入試のうちの大学の指定するものを受験をし、その成績大学提示をするというような形で選抜が行われているものがあるわけでございます。わが国の場合ももちろん共通一次を大学入学資格試験として、それに従って選抜を行った方がいいのではないかという御議論はあるわけでございますが、従来長い間検討を重ねた結果、やはり一般的基礎的な到達度チェックをする共通一次と、それから各大学特性に沿った選抜をする二次試験とを組み合わせて総合的な選抜をすると、さらにそれに調査書であるとか、あるいは面接等を加えて全体的な総合的な判断のもとに入学者選抜をする方がいいということでいままで取り進められてきているものでございます。  将来の方向として、共通一次というものをもっと充実をしていって、各大学が二次試験実施をしないで、共通一次の科目特定のものを指定して受験生受験をさせて、その成績判断をするようにしたらどうだという御意見があることは、従来の検討過程でも承知をしているわけでございますが、いずれにしましても、これからの入学試験制度改善というのは、現在の共通一次を前提とした改革の考え方というものを実際に実施をし、その経験を積み重ねていく中で、いわば国民的な合意を背景としてさらに改善が図られていくべきものではなかろうかと思います。  なお、今回の場合でも共通一次だけで大学の方では二次の学科試験実施しないとする大学も四十一大学に上っているわけでございます。そういった方向もすでに出てきていることでもございますので、さらに改善努力を重ねてまいりたいと存じます。
  11. 長谷川信

    長谷川信君 お話のように、いま発表されました要項がやっぱり私どももそれほど完璧なものだとは思っておりませんが、まあお話ございますように、これから改善を重ねていただいて、やはり学生それから父兄国民合意を得られるような試験制度というものをできるだけ早くひとつ確立をしていただきたいということを御要望申し上げておきます。  それからこれも新聞の伝えるところでございますが、十二月の二十二日か三日ころこの実施をいたしたいというようなことが取りざたされており、なお、それを繰り下げするということも事務的に検討されておるというふうなことを承っておりますが、この辺ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  12. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 共通第一次学力試験実施期日につきましては、先ほどお答えを申し上げました入学者選抜実施要項大学入試センターの定めました大綱によりまして、十二月二十日から二十八日までの間の土曜日と日曜日ということになっております。で、五十四年度の場合であれば、十二月の二十三、二十四の両日に第一次の学力試験を行うということになっているわけでございます。これは決定するまでにいろいろと議論があったわけでございますが、四十五万人以上の受験生がある、それを一括して処理をしなければならないというむずかしさがあるということ、あるいは四月からの大学授業開始を支障なく実施できるようにしなければならないというようなこと、あるいは私立大学入学者決定国立大学入試スケジュールが与える影響、そういったものを考えまして、第二次試験実施期日を三月三日、現在の一期校試験期日というふうに定めまして、それから逆算をして、大学入試センターにおける技術的な処理期間であるとか、あるいは追試験であるとか、各大学に対する成績通知期間であるとか、あるいは雪の非常に降る地帯における雪害の問題であるとか、そういった点を考慮をいたしまして、初年度実施の万全を期するという趣旨で十二月の末にとったものでございます。しかし、この点につきましては当時からもそうでございましたけれども現時点におきまして高等学校側から非常に強い繰り下げの要請がございます。  これをもし繰り下げるといたしますと、いま申しましたような経緯で十二月の末日は決まっておりますので、全体として第二次試験実施期日と、それから各大学における合格者発表期日を繰り下げませんと円滑には繰り下げができないということになります。これを繰り下げるということになりますと、国公立大学のみならず私立大学入学者決定にも少なからず影響をするところがあるわけでございますし、また雪の心配もあるわけでございます。そういった点があるわけではございますが、やはり共通入試大学側高等学校側あるいは受験生父兄、そういった方々のできるだけ御要望を入れて、全体の合意の中で事を取り進めていきたいということをかねてから考えておることもございまして、いま申しましたような入試期日の繰り下げを含めてスケジュール全体の繰り下げが果たして可能であるのかどうか、その可能性検討に入りたいということでございます。この点については先般の入試改善会議での御了解も得られましたので、国立大学協会の方でまず入試期日の全体的な繰り下げが可能かどうかの検討を進めていただくことにいたしておりますし、またそれとあわせて私学関係団体の方にもその御協力が得られるかどうかの折衝に入らなければならないと考えております。  いずれにいたしましても現時点で私どもが考えておりますのは、そういった意味での全体の実施スケジュールの繰り下げが可能であるかどうか、その可能性検討を進めたいということでございます。
  13. 長谷川信

    長谷川信君 そのいまの繰り下げ、繰り上げでございますが、いつころまでに大体その結論が出るということになりますか。
  14. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) いまの時点でいつまでにということは非常に申し上げにくいわけでございます。ただ、事柄としてはもちろん先ほど申しましたような経緯で来年度までかかって入試の全体のスケジュールは最終的に細目まで決まっていくわけではございますけれども、非常に重要なポイントの一つである共通入試実施時期でございますから、受験生のことも考えましてできるだけ早く決めたいというふうに考えております。
  15. 長谷川信

    長谷川信君 それから公立の場合の御説明公立というか、国立の場合の御説明いまのでわかりますが、私立文部省がどのようないわば試験に対しての行政指導をこれからおやりになる考え方でありますか。
  16. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 共通入試は事の性質上、国公私立を通じて実施されて初めて十分な成果を上げるものだというふうに考えておりますし、またそういう趣旨私立大学側にもかねて共通入試への参加ができないかどうかについて文部省の方からも私大側検討要請をしているところでございます。私立大学関係団体の中には積極的に加盟の各大学に対して、共通入試参加をする意思があるかどうか等についてアンケート調査実施するということを含めて積極的な検討に入っているところもございますし、あるいはたとえば私立医科大学協会のように、ある限られた分野ではございますけれども、全体として共通入試への参加というものに積極的に取り組むという姿勢を示されているところもございます。もちろん全体の私学の足並みがそろって一斉に参加をするというような形になるかどうかにつきましては、これはかなりむずかしい状況があるわけでございます。大学側にそれぞれの事情がございますが、全体として参加をするということでなくても、私立大学の方でもちろん大学関係団体の御意向を尊重しながらではございますけれども参加をしてくださる私学があるならば、それをわれわれは受け入れることができるように大学入試センターの方にも対応方検討を求めているところでございます。
  17. 長谷川信

    長谷川信君 まあ何といいますか、これからの話でございますが、どのくらい私立大学がこの共通テストに同調、協力をしてくれているものなんでしょうか、たとえば百校あったとしたら何%とか、どんなものでしょうかね。
  18. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) いまの時点では具体的にどのくらいの大学あるいはどのくらいのパーセントの大学ということは私の方で申し上げることができるだけの資料を持ち合わせておりません。先ほど申し上げましたように、私大の中での医科大学協会の方で積極的な御検討が行われているということと、それから、私学団体の中でも私立大学連盟関係大学の中で積極的な検討が行われているという程度以上には申し上げかねるわけでございます。
  19. 長谷川信

    長谷川信君 それから、若干心配をされておる事柄でございますが、いろんな大きな受験業者といいますかな、いろんなそれにまつわるところのいろんな本を出しているとか、テストのペーパーを出しているところがございますが、なかなかその情報源が活発というか、敏感でありますので、まあそれはそれとして、共通試験になりますと、いままでの五十倍も百倍も千倍も印刷をされ、配付をされ、いろいろ過程があるわけですから、いままでも試験漏洩したとかいろいろなことが問題になったことがあったわけでありますが、これほどマンモスの試験をやったらかなり危険度が高いと思うんですが、その辺御見解を承っておきたい。
  20. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のように、問題の印刷あるいは問題の保管輸送、そういった点を含めて入試の問題の漏洩というようなことが生じないように万全の配慮をする必要があるわけでございます。  印刷につきましては、従来からほとんどの国立大学入試問題を初め各種の試験問題の印刷を行っております大蔵省の印刷局試験問題の印刷は行うこととし、これについてはかねてから印刷局の方と打ち合わせをいたしまして、試験問題印刷上の諸問題について協議をし、万全な準備を進めているところでございます。で、印刷された試験問題は、一定の場所に警備員なり、あるいは機器というものを十分に整備をいたしまして、完全な警備体制のもとに保管をいたします。そして、試験実施の際の大学への輸送につきましては、これは実施後の答案の返還とともに、いわば日本銀行券輸送に準じた体制のもとで輸送をするように計画が行われ、準備が行われているわけでございます。また、試験問題は一種類ではなくて数種類を準備をしておきまして、そして、あらかじめこの問題を使うということを決めているのではなくて、秘密保持の万全を期しますために試験実施の直前に使う問題を決めるというような、そういう配慮もして、入試漏洩が生じないように大学入試センターの方と協力をして努力をしているところでございます。
  21. 長谷川信

    長谷川信君 ちょうど試験の時期が豪雪というか、融雪というか、災害時期でございますが、東北、北陸、私どものところも含めて、毎年あのころになると汽車がとまった、電車がとまったということで試験トラブルも若干出ておりますが、全国共通試験になりますと、その種のものがやっぱりかなり心配をされると思うんでありますが、その辺の配慮について若干……。
  22. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のように、雪の問題は非常に私ども心配をいたしております。実態を調べてみましても、やはり二十センチ以上の積雪が集中をいたしますのは一月、二月でございます。そういった意味で十二月の末日というものを試験実施期日に選んだ経緯もあるわけでございますが、先ほど申しましたような形で、もし繰り下げをするとすれば一月に入るということになります。その場合に雪の問題も十分に考慮をしてどこまで繰り下げることが可能であり、また合理的であるかということを検討しなければならないと思っておりますが、少なくとも積雪の状況を考えますと、繰り下げるにしても一月の中旬ごろまでではないかというのが従来から議論をされているわけでございます。
  23. 長谷川信

    長谷川信君 まあ、大体説明を承ったわけでありますが、なかなかこの試験制度というのは完ぺきというか、完全なものをつくるということは大変至難なことであるということを理解もできるわけでありますが、この間いろいろ若干、教育関係の皆さんと懇談会の際に、大体諸外国というか、これはまあ共産圏も含めてですね、ヨーロッパアメリカ、あるいは共産圏も含めて、大学試験制度というものは大体おおむねというか、ほとんど入るときに簡単で出るときがむずかしいというのが世界各国の通例であるというようなことをお聞きもし、私もたまに回ってみましても、回った範囲におきましては、大体ほとんどの国が、入るときはまあまあそれほどでなくて、出るときはもうえらい締めつけをやって、三年だか四年間の間もうそれこそ一生懸命勉強して、それが一つの教育過程であり、実績であり、成績であるというやり方をやっている国が非常に多いわけであります。日本もかつて物理学校というのがございまして、ぼくらのときもあったのでありますが、あの学校はやっぱり若い者にかなり魅力があったと思うんです。私どもあのころ中学ですかね、いろいろあったんですが、いまの日本の教育制度あるいは試験制度というものをいろんな角度で検討した場合、いま局長さんから御説明がいただけましたように、新しいものをつくった、新しい方法でつくったとしても、なかなかこれは一つのいまの枠の中で考えている範囲で新しい発想、新しい考え方、新しい教育方向ということになると、いろいろ議論もあり、また問題もあるところでありますが、これはあれですか、いますぐよその国の例をどんどん入れるということもいいか悪いかわかりませんが、若干幾つかその種の学校もつくってみて、そして、入るときはまあそれほどでなくとも入れるが、少なくとも四年間やっぱりまじめに一生懸命に真剣に勉強した子供がいい成績をとって出る。それかやっぱり社会に出て——それらの教育、その過程あるいはその実績、成績がまた社会に出てそれが反映をするというふうなことも、これもやはり諸外国の例を徴しても意義のあることだと思うのです。そうかといって、きょうあすすぐできる問題だとは思っておりませんが、まあしかし、長期の展望に立って文部省がこの試験制度を考えた場合、究極するところそういう問題にやっぱりぶつかると思う。その辺局長さんの所見も含めて承りたいと思いますし、その後で大臣のお考え方もまた承らせていただきたいというふうに考えております。
  24. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のように、諸外国の場合には特定大学に志願者が集中するというような傾向がわが国ほど激しくないということもありまして、入るのは比較的容易ではあるけれども、その後の学習指導は非常に厳格に行われているというのが一般的ではなかろうかと思います。わが国の場合も、基本的な考え方からすれば、入ってからの単位の認定、卒業の認定というものを安易に行っていいということではなくて、できるだけしっかりした学習指導を行い、厳重な単位認定を行ってしかるべきものでございます。そういうことで大学を従来から指導をしているわけでございますし、また、国立大学の中でも相当数のものはそういった角度での対応を心がけていると思います。  ただ、一般的にいわゆる入るはやすく出るはかたしという形で大学のあり方というものを決めてしまうということは、現在のわが国の高等教育機関の現状から申しましても、あるいは途中でいわばドロップアウトする者に対する社会的な評価なり、あるいはそのドロップアウトした者の他の高等教育機関への移行の問題等についてのわが国の現在の状況というものを考えますと、必ずしも容易でない問題点があるわけでございます。しかし、方向として大学における教育のあり方というものをより厳しいものにしていかなければならぬということは御指摘のとおりでございます。  ただ、現在の状況を申し上げますと、四十四年の四月に入学した者でストレートに卒業した者が七九・一%だったわけですが、四十七年の四月に入学した者について見ますとそれが七三・五%というように、最近ストレートで卒業する者が落ちてきております。これはいわゆる留年がふえてきたということでございます。その留年のふえる中には、もちろん教養の課程から専門の課程へ上がっていくときのチェックが厳しくて、そして留年をしているというような例もございますけれども、中にはそういったこととはかかわりなしに大学になおとどまっているという者もあるわけでございます。こういった現在の状況というようなものも考慮に入れながら大学教育のあり方についてさらに検討をさせていただきたいと存じます。
  25. 長谷川信

    長谷川信君 大臣にお伺いいたしますが、いまのこの試験制度をずっといろいろ研究というか、考えたり勉強したりしていきますと、どうしてもやっぱりそこへぶつかるような気がするんですよ。どうしてもある程度外国の例というか、その種のものをある程度取り入れないといつかぶつかって何といいますか、問題があると思うんですが、なかなか急激な変化というのはいまの日本の国の中で、文部行政の中でそんなことはできないということは私もよく承知をしておりますが、若干長期の展望に立って考え、あるいは幾つかの——三つか四つくらいのものについてその種の——昔やっぱり一つか二つそういう学校ありましたよ、物理学校とか何かいろいろありましたが、幾つかテスト的なものも考えていただいて、何かその試験制度についての突破口をつくっていくと、突破口というか、新しい方向づけを模索しながら考えていくというふうなことも、文部行政の中の私はやっぱりいま大事な問題ではないかと思っているわけでございますが、大臣のお考えを……。
  26. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) お話の要点は私もよくわかるわけでありまして、結論は大学生になった人が大学に学んだと言うにふさわしい実力なりあるいは能力なりをきちんと評価できるように身につけることが大切であるというふうに受け取るんでありますが、いまの日本の大学の進学率というのが同世代年齢の四〇%近いところまでいっておりますし、それからヨーロッパの国々はこれまだ一〇%台というところにあるわけでありまして、そういう意味からいくと、同じ年の人が比較的たくさん——大学に学びたいと願う人が大学教育を受け得る環境はいまの日本は相当量的には進んでおるのではないか。ところが、そこへ入って今度はおっしゃるように卒業する前に、どういう言葉を使ったらいいでしょうか——実力を身につけるといいますか、あるいはうんとしっかり勉強をするような質の点においてまだまだ顧みて是正をしなきゃならぬ点がたくさんあるのではなかろうかと、私はこんなふうに受けとめておるわけでございます。また、最近大学の中にも、極端なことを言いますと二年間続いて落第しますともう退学であると、落第は二年しか許さないというように厳しい内規をつくって、それを厳しく実行をして、学生が本当に身につく勉強をするように励んでおるところもあるわけでございますので、御指摘の点は今度の大学入学試験の制度と直接結びつかないかもしれませんけれども、御提案の趣旨はよく理解できますので、研究課題にさせていただきたいと、こう思います。
  27. 長谷川信

    長谷川信君 ちょっとまだ担当の局長、どなたかわかりませんが、お許しをいただきまして、職業教育の問題であります。  いまの高校教育の中で、まあ全国的なことは私も余りつまびらかではございませんが、見ておりますと、どちらかというと、普通高校が拡大というか、されまして、職業教育が若干抑え込まれるというわけじゃございませんが、伸びておらないというふうな統計あるいはそういう感じがしているわけであります。これは教育内容でなくて、たとえば数だとか学級数だとか受験の数だとか、その種のもので普通高校の方がどうも拡大をされて、これはいろいろ趨勢その他そういうことなんでしょうが、何といいますか、本当に私ども子供の中学の本を見ましても、私どもでも高校に入れないようなむずかしい本がほとんどそうですね。英語は私はもう全然だめですよ。中学の三年ぐらいになりますと、数学ももう怪しくなっちゃっている。できるのは国語と社会。法律なんてあるのかないのかわからぬけれども、こういう議会の関係なら少しはわかるのでしょうけれども、あとはほとんど中学の教科書でもなかなか難解で、本当に私も高校落第ですよ、試験受けましたら。そういう難解の試験を受けさせられているわけでありますが、私は人間の幸せとか、いろいろなことを、まあいやな仕事、いやな勉強をさせられるほどつらいことはありませんね。だから、中学まではまあやむを得ないとしても、高校はやっぱりある程度自分の頭が——英語ができなくとも手のきく人もあるだろうし、絵のうまい人もあるだろうし、歌のうまいのもあるだろうし、あるいはそろばんのうまいのもあるだろうし、タイプのうまいのもあるだろうし、高校くらいになったらある程度やっぱり自分の思うところ、自分の望むところにできるだけ近寄っていった方がむしろ子供にとって幸せじゃないかと思うんです。いやな勉強をどうしてもしろということになると首つりしなければならぬというふうなことにも相つながるわけでありまして、最近いろいろな不詳事が頻発しておりますが、そういう面で職業教育が若干抑え込まれているようないま形でございますが、その辺若干時代の変遷もあり、時代も若干変化もしており、社会的な背景も変わっておりますし、その辺文部省はあれでしょうか、職業教育あるいは職業教育校というものについての考え方、認識あるいは今後の見通し等について御説明を賜りたいと思います。
  28. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 御指摘のように、職業高校普通高校生徒の数とか、学科の数とか、こういう趨勢を見ますと、普通科に行っておる子供と職業科に行っております子供の割合が四十七年当時は普通科六〇に対して職業科は四〇だったんですけれども、最近はそれが六五対三五ぐらいに普通科がなおふえております。それから最近の高等学校学科の新増設状況を見ますと、地域的に大体大都市あるいはその周辺ということで、その中身も大半は普通科の増設であるということが言えるのでありまして、そういう意味では数の上で普通科がふえているということは御指摘のとおりでございます。  ただ、こういう実態はどういうふうなところからきておるかということでありますが、そもそもまあ当該県において普通科、職業科をどのくらいの割合で設置するかということは、いわば設置者において当該地域の実態なり住民の動向なりというものを考えて、各県多少差はございますが決定をしていただいておる、こういうことでございます。  そこで今度は、そういう普通科、職業科に対する志願の状況ですけれども、これもちょっと推定になる部面がありますが、先般文部省が五十二年度の中学から高等学校への進学状況調査しました際に、五十二年度以前に——過年度中学校卒業者がどのくらいあるか、つまり簡単に言うと中学浪人がどのくらいあるかということを初めて調べたわけですけれども、そうしますと、高校進学者の総数が大体百五十万人になるんですが、その一%に当たる一万五千人ぐらいが中学浪人だという数字が出ております。ところが、高等学校の方はそれじゃ定員いっぱいいっぱい入っているかというと、実は定員と実際に入った子供との差というのが三%ぐらいあるわけですね。これはやっぱり実態は——ここから推測になるわけですけれども、せっかく職業高校へ入っても、その一年待って次の年にまた普通高校へ入り直すというような実態があるのじゃないかというような気がするわけでございます。  そこで、それに対して文部省はどういうふうにしておったかということですが、一つは、中学校それ自体の学習内容を基礎、基本にしぼるということは先般の学習指導要領でやったわけでございますが、一方、高等学校の職業課程の内容について、これは教育課程——産業教育審議会の中に研究会を設けていただきまして、あり方について検討していただきまして、もっとその職業教育科の場合も余り特殊専門化するよりも、基礎、基本を十分やらせると、そして実験、実習というような実証的な面での力を強めるというようなことをやるべきだということで、その内容改善をお願いしております。  同時に、一番のやっぱり問題は、中学校から高等学校へ進学する際の進学指導として、よく言われますように、中学校の進学成績を上げるために、単に子供の成績順でもって、君は普通科だと、君は職業科だというようなことをせずに、もっと子供の能力、適性をしっかり見きわめて適切な進学指導をしてもらう。その一つの方法として、逆に受け入れる側の高等学校におきましても、職業高校の場合、形式的な学力テストというよりも、内申を非常に重視して、推薦入学というようなことをひとつ考えてみてはどうかというようなことで、職業高校についてはかなり大幅に推薦入学を取り入れている県が現在でも数県ございますけれども、そういうのも一つの考えであろうというふうに思うわけでありまして、要するに、受け入れる側の高等学校職業課程のあり方について改善を加えるという点と、それから、送り出す側の中学校及びその受け入れる高等学校のそれを受け入れる際の入学試験のあり方、こういうような点についても、それぞれ実態等を考えながら改善していただくように各県等に指導してきておる、こういう実態でございます。
  29. 長谷川信

    長谷川信君 まあ文部省の責任じゃないわけでありますけれども、さっき大臣がおっしゃったように、何しろ大学へ入らなければ一般の社会が受け入れをしてくれないというふうな風潮が、これは何としてもそういう前提があるわけですから、で、やっぱり大学に入るには普通科に入らなきゃならぬと。で、普通科に入るには盛んにしりをたたいて一生懸命いやな勉強もさせなきゃならないということにも相つながるので、文部省がいいとか悪いとかという議論じゃございませんが、この辺で職業教育を、いま局長おっしゃいましたように、ぼくら現場を回ってみても、やっぱり数字に出ておりますとおり抑え込まれていますよね。社会風潮を直すのは、これはなかなか簡単でないでしょうが、英語ができるのも、そろばんができるのも、能力としたらどっちがとうといとかとうとくないとかという議論になるといろいろ言い方もあるでしょうが、何か英語ができなきゃもうだめだ、英語と数学ができなければ大学もはいれないし、社会も受け付けてくれないというふうなそういう風潮を、やっぱり何か職業教育の面で若干崩しながら、是正しながら、直しながら文部省これお考えいただければ大変ありがたいと思っておるわけであります。  そういう面で、職業教育のいまの高校の、何というか、圧縮をされないように、まあできたら少し拡大をしていただくくらいのことをひとつお考えをいただきたい。再度ひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  30. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 職業教育の重要性につきましては、これは先生御指摘のとおりでございまして、たとえば今度の大学入試制度の改善につきましても、職業科からの大学の進学生には推薦入学の制度を取り入れまして、なるべく普通高校へ進んでいなくても大学進学の道が広く開かれるように私ども期待をし、願っておったわけでありますが、大学の数として四十四校が推薦入学の制度を取り入れる、これは従来よりもふえるわけでありますし、また新構想でできております技術科学大学等も定員の五〇%は推薦で入学者を決めようということも決まっておるわけでありまして、なるべくそういった職業高校を選んだ人の人生の選択の道というものが広くなっていきますように、今後も鋭意努力してまいりますし、職業高校の数の問題については、これは今後とも十分に検討をさしていただきたいと思います。
  31. 長谷川信

    長谷川信君 今度給食関係でございますが、学校給食についてお尋ねをいたしたいと思います。  昨今米飯給食が実施をされておりますが、その現況、それからいま米の問題もいろいろ議論されておるわけでありますが、これからの見通し推移方向等について御説明を願いたいと思います。
  32. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) 昭和五十二年五月現在におきます米飯給食の実施状況でございますが、小学校、中学校、夜間高校、特殊学校平均いたしまして、学校で五八・三%の実施率、児童生徒数で見ますと五三・四%の実施率でございまして、小学校では二万二千三百六十一校のうち一万二千四百八十五校、五五・八%の学校が実施いたしております。児童数で申しますと、一千万人のうち五百万ということで、五〇・三%の比率になってございます。それから中学校は六千六百三十二校のうち四千二百十五校、六三・六%、生徒数では二百六十五万のうち百七十万、六四・三%という比率でございます。それから夜間の高校につきましては、五百三十二校中四百九十一校、九二・三%、生徒数では九万四千のうち七万四千人、七九二%、特殊学校につきましては四百二十校中二百五十七校、六一・二%、生徒数の方で四万八千のうち三万人、六四・一%というような実施状態でございまして、米飯の学校給食への導入につきましては、五十一年度から進めてまいったわけでございます。そして実施しておる学校が五十一年度は三二%でございましたが、五十二年、一年後には五八・三%というように順調な実施状態になっておる次第でございまして、今後五十三年度に八〇%の学校にこれを普及していく、五十六年度の初めには全部の学校に及ぶというようなことで、施設・設備の整備その他の施策を推進してまいりたいというように考えておる次第でございます。
  33. 長谷川信

    長谷川信君 この米飯給食を実施をして、私も余り勉強していないのであれですが、この評判と、それから子供の体位、体格にいろんな影響とかあれはどのような形で出ておりますか、その辺ちょっと御説明いただきたいと思います。
  34. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) それぞれ米飯の実施の態様が各学校によっていろいろの態様がございますが、米飯給食は日本人の食事の形態としてきわめて素直な事柄でございますので、いま実施しておる学校におきましては、大変子供たちの評判はよいというように承っております。  それから栄養上の問題につきましては、正しい食習慣を身につける、特にその場合に、総合的な栄養の観点からのバランスのとれた給食ということでございますので、米につきましては、米それ自体が大変な栄養価のあるものでございますが、一方若干お米の方がおいしいので、塩分のとり過ぎその他の問題があるということが一般に言われておりますので、長くパンを基調にした学校給食でございましたが、十分その米を用いた場合の栄養のバランスについて配慮していくということで、この辺は栄養士の方々を中心にして、献立に工夫をするということを進めておりますので、特に栄養の上で米の導入について、どうしても栄養成分を確保することがむずかしいという問題はいまのところないようでございます。ただ、学校給食では牛乳を飲ませるということがやはり一つの大きな方針になっておりますので、その牛乳と米飯がうまくマッチしていくというようなことにつきましての工夫もそれなりに考えて進められておるというように承っております。
  35. 長谷川信

    長谷川信君 御案内のように、米だと何といいますかな、パンと違っていろんな施設がたくさん要りますね。最終的な——最終的というか、パンは机の上で食べられるけれども、米だとやっぱりある程度食堂みたいなものも要るかもわからない、あるいは施設がなかなかこれは入り組んでいると、大変金がかかるわけでありますが、まあしかし、いまのお話のように、評判もいいし、子供の体位も向上しておるということであれば米飯給食も当然に進めていただかなければならないと思うわけです。  そこで、ちょっと問題の時点が違うというか、方向が変わりますが、いま本当に米飯は、私も現場見たんですが、やっている人なかなか大変ですよ。飯を炊いて、ふかして、茶わんに分けて、食べさして、洗って、しまって、まあパンの恐らく十倍もいろんな、十倍以上かもわからない、あるいは十五倍も二十倍もいろんな手間がかかるかもわからない。だからこういうことを考えられないでしょうかね、私も田舎の新潟弁で言うと在郷へ住んでいるわけでありますが、田舎では日本の大半の純農村地帯がそうでしょうが、ほとんど朝、御飯を炊いているんです、おかあさんが。これは恐らく一〇〇%に近い形で、一〇〇%というのは大げさだかわかりませんが、少なくとも純農村地帯では八〇から九〇%は、百軒あったら八十軒から九十軒は朝毎日おかあさんが御飯を炊いていらっしゃるんですよ。それを梅干しの一つぐらいまで許されたとして、その副食物まで持ってくると何だかんだいろいろあるんでしょうが、せめて朝炊くんだからそれを弁当に詰めて、純農村地帯はそのぐらいのことができる。そういう希望が非常に強いですね、回ってみると。朝毎日うまい米をうちで炊いているのに、学校へ行ってそれほどうまくない、炊き方も家庭よりうまくないし、米が何といいますかな、そんなことで、それでPTAも後援会も金を取られる。毎朝炊いているんだもん、何でそれができないんですかと言って私も聞かれると、いやそれはちょっとわからぬよと言って答えるよりしようがないんですが、そのくらいのことはできませんか、それは。それは東京の真ん中はいろいろ問題はあります。東京、大阪とか都会は問題がありますが、純農村地帯はこれはそう言われればだめでありますということを私どもはどうも言えないような感じでありますが、その辺。
  36. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) 御指摘の、家庭から米飯を持参させるという問題でございますが、現に米どころの地域等ではそれぞれ家庭にみずから生産されたお米がございますので、それを炊いて持参させておるというところがいま私どもに報告がきておりますところでは千九百校ほどの学校が持参で行っておるということでございまして、そのような純農村地域等においてはこの面のことは今後もそれなりの進展はあろうかというように考えておりますが、いま御指摘のとおり、これを一般的な課題として進めるということはなかなか、従来学校給食が同一のものを子供たちが先生と一緒に食事をしていく、その場に大変な教育的な意義がある。また、それぞれものを配り合ったり、当番のこともございますし、そういうところになかなか通常の教育活動では得られない教育的な効果があるということも言われて、そのことが支持されて今日までわが国の学校給食が発展してきておりますので、それだけに、これを一般的な地域にまで及ぼすということはなかなか困難な問題があると考えておりますので、文部省としては自校炊飯の方式をとれるところはそのようにいたしますし、また委託炊飯で炊飯されたものが学校に届けられるという形のものがあればそれでもよろしい。また、アルファ化米等によって簡便な利用方法を進めていくというような形でいま米飯の普及を進めておるところでございます。
  37. 長谷川信

    長谷川信君 本当にさっき申し上げましたように、純農村地帯へ行くと本当にそういう声が出るんですよ。いま御説明で若干やっているという話でありますが、できたらその純農村地帯はそのようにしていただきたいと思うんです。  それから、いま同じものを配って、同じものを食べて、同じものを教育上分けたり、運んだりするというのも教育のという——それは私も理解できますし、わかります。わかりますがね、またそれと逆に、私どもは子供のころを考えますと、みんないろんなことを忘れましたけれども、母親がつくってくれたあの時の弁当うまかったなあなんてことを鮮明にいまでも頭に残っておりますね。いまの母親は、こんなことを言うと御婦人にしかられるかどうかわかりませんが、お許しいただきまして、うちの嫁さんなんかも、ほとんど乳を子供に飲ませませんね、いまの母親というのは。みんな何とか粉ミルクみたいなのを買ってきて、がぼがぼとやって子供に飲ましているんで、それで幼稚園に行ったら給食、小学校は給食、ずっと六年間給食だと。そうなりますと、それは給食のよさというのは私も十二分に理解しているんですよ。理解はしておりますが、その反面、また親がつくったものをほとんど昔ほど食べる機会がなくなった。もう弁当を持っていくということは、ほとんど幼稚園から小学校終わるまで完全にないと言っていいくらいですから、いま。そうなると、親子断絶とか何だかんだいろいろ世間で言ってますが、その辺にも若干理由があるのじゃないかというふうな、たまに——たまにというか、母親のつくった弁当というのは、これはやっぱり記憶にも残るし、心の何というかな、いろんな本当にしみじみこの年になっても忘れられず感じていますよ。その辺ね、いろいろ理解はできますが、若干ひとつお考えをいただいて、いろんなそういうことも併用というか、加味できるような——お母さん方に給食のとき手伝い来てくれなんて言ったっていま来ませんしね。昔のお母さんほど——私は昔の方がむしろいまより忙しかったんじゃないかと思うんですよ。それはまあ私どもの子供のころの母親というのはなかなか忙しかった、朝から晩までコマネズミみたいに働いていた。だから、いまの人の方がむしろ時間的には大変余裕があると思うんだ。それで子供の飯をたまにくらいつくってくれた方が、学校教育もさることながら家庭教育の面でかなりの効果があり、また子供もそれを本当に、口では言わないけれども望んでいると思うんです。そういう意味で、学校給食の面もこれから高度の時点でいろいろ考えていただいて、いろんなものをひとつこれから御研究をいただきたいと思うわけであります。時間がないようでありますので端折りまして、いまの御要望にとどめておきたいと思います。  それから今度——小・中学校よろしゅうございますか。いまの学校の先生というのは非常に昔と違っていろんな繁雑な仕事が加味されておりまして、校長先生、教頭さんあるいは一般の先生方も大変な仕事をさせられておることは私も理解できますが、これはある県の統計でありますが、どっちかというと会議の一番少ない九月の例なんです。九月は二十四日間出勤すべき日が日曜、祭日を除いてあったんだそうでありますね。その中で小学校十ヵ校、中学校十ヵ校、無差別で抽出をしていただいて見たんですが、二十四日のうち十一日しか学校に出ていらっしゃらない校長先生といいますか、四ヵ校。それから十四日、五日しか出ていらっしゃらない先生方がやっぱり五、六人くらい。ほとんど三分の一しか出ない、あるいは半分しか出ておらない。中学は十ヵ校のうち十一日が一人、十四日が一人、十六日が二人、十七日が一人、二十日以上出ていらっしゃる方は四人しかおらない。これはまあ別にこれが悪いというのじゃないですよ。何もサボって出ないんでなくて、何とかの会議だとかPTAの会議だとか学校の用だとか、みんなちゃんとそれぞれ公の仕事で出ていらっしゃる。それは十分理解できるんです。理解できますが、学校の校長先生というのは、本来なら、できたら学校にいていただいて、やっぱり子供とできるだけ時間を長く接触を、まあ接触というか、あれしていただくというのが父兄の願いであり、子供の願望であると思うんです。だから、会議をそうかといってやめてくれということにもできないんでしょうが、できるだけその研究の会議だとかあるいは県庁へ行くとかいろんな場合もあるんでしょうが、まあできるだけそれを何か別に何といいますかな、あれしていただいて、幾ら何でも一ヵ月二十四日のうち十一日というと、半分以上出ていらっしゃらないから。この間私ある学校へ行って小さい子供に、おまえのところの校長先生の名前は何だと言ったら、五人に聞いたら三人知らなかった。私の子供のころは小学校一年生の、私は記憶ありますが、校長先生の名前はぴしっとやっぱりわかっていましたね。最近の子供はこの間ある学校へ行って聞いたら五人のうち三人わからなかったですよ。わからないことがいいとか悪いとか議論もあるんでしょうが、本来やっぱり学校の校長先生というのは学校に残っていただいて子供とやっていただくということが、これが本来の使命であると私ども思っておるわけでありますが、これは一つの県の例で全国的にこうだかどうかわかりませんが、あるいは大同小異やや似たものだかもわからない。これは教育上やっぱりいろいろ問題というか、考えなければならない問題だと思うんです。文部省のお考えはどうですか。
  38. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 御指摘のようなことは私どもも耳にすることがあるわけでございます。学校の校長の仕事としましては、学校の管理、運営という面から学校内にとどまらず教育委員会との関係であるとか、その他関係機関との連絡折衝という仕事もございますから、外へ出ることもやむを得ないわけでありますが、御指摘のように、やはり校長としては学校の教育運営の面におきましても最高の責任者でございますから、できるだけ学校内にあって先生方を十分指導をし、適切な教育活動が行われるよう配慮する責任があるわけでございます。そういう意味で私どもは、この校長の職務あるいはそのあり方というような点について、まあ法令的に言えばその服務が適正であるようにという観点からも、まあ種々の会議等を通じ指導をしておるところでありますし、また文部省が主宰しますところの校長その他管理職の研究集会等の際にも同じような指導をしておるわけでございます。そしてまた、実際校長が不在の場合には制度的には教頭がかわりをするわけでありますので、校長が不在なことによって学校運営が適切に行われなくなるというようなことがないようにするためにも、教頭の配置につきまして十分配慮をし、年々その教頭定数の増員というようなこともやっておるわけでございまして、そういうことを通じて、繰り返しますけれども、できるだけ校長さんが学校におられるようにし、やむを得ない場合は教頭がかわって適切な運営ができるように指導をすると、こういう考え方で来ておるわけでございます。
  39. 長谷川信

    長谷川信君 ちょっと見当外れのお願いになるかわかりませんが、校長先生のいろんな会合、あれでしょうかね、夏休みとか冬休みにできるだけ集約をして、そういうことが許されるのかどうかわかりませんがですな、もし許されるものであれば、子供に余り影響のないようなときにできるだけそういういろんな会合をやっていただいて、そういうような、まあ何といいますかな、これだとやっぱりなかなかだと思うんですが、いま局長さんのお話のように、それはいろいろ検討いたしますという話でありますから結構でありますが、その辺いろいろ夏休み、冬休みも時間的には十分にあるわけですから、そういうときにも時間の御利用もいただいて、できるだけ子供の時間を割かないようにひとつ御要望申し上げておきたいと思います。  それからちょっとローカルな問題で恐縮でございますが、豪雪地域で小・中学校——小学校はどうですかね、ちょっと一、二見たことがございますが、中学は寄宿舎をかなりつくっておりますね。この間も視察の際に一ヵ所ですか見せていただいたんでありますが、非常にりっぱな寄宿舎ができております。入って見てこんなにきれいなのかなとむしろびっくりするくらい施設もいいし、建物もいいし、なかなか整理整とんもよくやっていらっしゃるようでありますが、ただ、あのきれい、大変いいってことは大変金がかかるということになるんで、まあこれも私のお尋ねがあるいは若干違うかもわかりませんが、いろいろ私どもが現場で聞いている範囲では、これはほとんど市町村立でやっているので、県も国もほとんど金を出してくれません。したがって、こんなりっぱなもの、こんな高いものをつくっておりますが、子供のためだからしようがありませんけれども、何かこれはやっぱり——何も好きこのんで寄宿さしているのではなくて、本当に豪雪で道が途絶をして通えないのでやむを得ずやっているのでありますから、この種のものについては文部省はかなりできるだけ援助をしていただけないのかというような陳情をいろいろ受けているわけでございますが、聞きましたら、いや、少しは出ていますよというふうないろいろ御説明も若干聞いておるのでありますが、出ておってもそう大したことは出ていないと思うんですよ。この辺、これはやっぱり豪雪地域、僻地、山村の本当にたっての要望であり、お願いでありますので、もうちょっとめんどうを見ていただけないかというような感じがいたしておるわけであります。
  40. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 確かに豪雪地域とか学校統合があって通学距離が非常に遠くなっておるというような場合に寄宿舎を設けておる県が何県かございます。それは制度上は小・中学校について寄宿舎というのはございませんから、予算上の措置として援助をしておるわけでございますが、具体的には、まずその舎監の先生の定数ですが、これは現在の五ヵ年計画ではそういう寄宿舎について一人ないし二人の舎監の定数を配置いたしておるわけでございます。それから、そういう寄宿舎につきましてテレビとかオルガンとかステレオとか、そういう設備を購入する際の購入費の補助を金額は少のうございますが用意しております。それから寄宿舎へ入っている子供につきまして食費とか日用品費の補助をするというようなことを市町村がやりました場合にそれに対して国が助成をするというようなことをいたしております。それから寄宿舎全体の運営費につきまして、これはいまお話がございましたように、市町村が責任を持つわけでございますが、交付税の積算基礎として児童・生徒一人当たり十二万八千円を計上するというようなことで、いまのところ金額的にはいろいろ制約はございますけれども、各面からできるだけの助成援助はしておる、こういうことでございます。
  41. 長谷川信

    長谷川信君 時間がないのでできるだけひとつまたお願いをいたしたいと思います。  次に、幼稚園の問題でございますが、いま保育所と幼稚園、やや全国で大体同数くらいあるという話でございますが、保育所ができるときはやっぱりそれだけの必然性というか、そういう背景の中でもちろんできたわけであります。幼稚園も同じことであります。ただ、いまいろんな町で幼稚園と保育所が両方建っておりますが、何といいますかな、最初スタートしたころのような目的、背景というものがだんだん近接しまして、両方とも子供を預かるというか、両方とも子供を教育しているというか、ことなんですが、主管が文部省、厚生省に分かれているわけでございますが、現場へ行ってみると、この辺でやっぱり洗い直して幼児教育というものをある程度一貫した考え方で、一貫したものの発想のもとにやった方がいいじゃないかというふうな意見も出ておりますが、しかし、場所によってはいろいろだと思うんですよ。なかなか一概に言えないと思いますが、もうあれから二十年、三十年たっているわけでありますので、そういう意見もかなり強くいろいろ出始めておるわけであります。これについて文部省のお考え方をちょっとお聞きしたいと思います。
  42. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 幼稚園、保育所につきましては、全国的に見ますとまだ希望する全員が入れるだけの施設はできていないわけでございまして、そういう意味で文部は昭和五十七年度を目途に希望する四、五歳児の全員収園に足りるだけの幼稚園を整備しようということで助成をしておるわけでございます。そこで経過的にはいま御指摘のように、地域によっては保育所が幼稚園の機能を代用したり、逆に幼稚園が保育所の機能を代用したりというような実態があるわけでございますが、いまの制度のたてまえから言いますればいま申しましたような普及の実態でございますから、ここしばらくはやはり幼稚園、保育所それぞれ本来の目的に応じてさらに増設をしていく、こういうような努力をひとつ重ねてまいりたいと思うわけでございます。ただ、その両方の関連についてその教育内容の問題であるとか、いろいろ問題はございますので、その点につきましては先般来行管の勧告もありましたので、それに基づきまして文部、厚生両省の間で適当な民間の方を委員にお願いいたしまして、昨日第一回の会議を開いたわけでございますが、引き続きそこでいろいろ御検討をいただくと、こういうことでやってまいりたいと思っております。
  43. 長谷川信

    長谷川信君 時間がないので最後に大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、この間、三全総の説明を国土庁でやっておりましたが、昭和六十年に東京都の人口が一千四百万くらいになると。いろんな議論でもうこの辺で東京は大きくならなくてもいいし、そういう必要——むしろすき間風を入れた方がいいじゃないかという議論もありますがね。これは計数的に見たらどうしても千四百万までなりますと。これいい悪いでなくてそうなるんでありますという説明を国土庁でやっておられましたが、そうなると、やっぱり東京の学校というものをここでいろいろ先の展望だとかへいろんな見方、考え方があると思うんですが、昔はやっぱり早稲田にしても慶応にしてもたんぼの真ん中につくった学校ですよね、東大にしても。だから、いま金がない。たとえば私どもの田舎の町でも、町の真ん中に高等学校が七つも八つも十もあります。それが昔はもう町から外れたところでありましたが、いま町のど真ん中になってしまった。東京みたいにひどいことはございませんが、私どもの田舎町でも坪六十万から百万くらいのところに一万坪、一万五千坪の高等学校ができている。だから、もしそれを、いま道路もよくなったし、汽車も電車も通れるんでありますから、それをむしろもっと静かなところに移転をさせれば、それを仮に土地をこううまく整理をしてやれば、一つのものを売れば三つ、四つ高等学校ができると思う。東京のたとえば東大、あれ幾坪あるか知りません。仮に十万坪あれば恐らく二千億でありますね。二千億あれは大学の三つくらいできる——かどうかわかりませんが、三つ近くできるかもわからない。予算がない。まあだんだんこれから予算が窮屈になるので東京の学級数が、いや六千学級足らぬとか七千学級足らぬとか、いろんな数字が出ておりますかが、この辺でやっぱり学校の疎開——疎開というか、子供も——私も東京へ来て、最近住んでいるんですけれども、こういうところであんまり勉強させたくないと本当に思いますよ。もっと広いところで、もっと広大なところで仲よく勉強させたいなあ。それで帰ればもう四畳半くらいのところで、西日の当たるような部屋で勉強しているから棒の一本も振りたくなるというふうなことにあるいはなるかもわからない。そういう面で学校はやっぱり、まあ筑波大学が一つの例でございますが、何か新しい考え方で、そういうことをひとつ、まあローカルの町はローカルの町で、私の町なんか、一つの高等学校をもしその周りの市価並みでもってあれにして、ほかにつくれば三つか四つできますね。あるいは七つできると言った人——この間ある市会議員が私のところへ来られて。東京だって同じことだと思うんですが、何もこれから一千四百万になってまたこの中に学校をつくるということになったら、これはもう大変なことだと思うんですが、この辺で少し考え方を変えて、やっぱり新しい発想考え方というものはできないものでしょうか。
  44. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) ただいま冒頭に御指摘の三全総の計画の中で、高等教育機関の適正配置ということも指摘されておりましたし、定住圏構想の中にはやはり教育とか文化とか医療施設というものを適正に配置するという、こう高い次元に立っての御指摘があったことはわれわれも十分承っておりますし、方向としては、たとえば東京の都内にありました大学が、大学の意向で新しい環境を求めてキャンパスを移動されるということも現に行われておるわけでありますけれども、まあそれぞれの地域とあるいはその児童・生徒の発展段階と申しますか、どうしても家庭、両親の近いところで通学可能圏でやっぱり教育受けなきゃならぬ世代、それから親元を少々離れてもいいという高等教育の問題、いろいろこれはそれぞれの段階に応じてあろうかと思いますし、また東京と地方とのいろいろな事情の変化等もあろうかと思いますので、先生の御意見は十分に拝聴さしていただきまして、今後も研究をさしていただきます。
  45. 勝又武一

    ○勝又武一君 まず最初に大臣にお伺いしますが、八月の甲子園球場にお出になった御感想を承りたい。開会式の祝辞や始球式等でどんなことをお感じになられたか、承りたいと思います。
  46. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 八月のときはたしか雨が降っておりましたけれども、さすがに全国で勝ち抜いてきた野球の代表選手だけあって、みんな元気いっぱいはつらつとしておって、いいなあということを率直に感じましたし、同時に、そこへ来た人は非常に栄光に満ちた自分の人生の一こまをいま味わっておるわけでありますけれども、そこへ来るまでの間、やっぱり高校野球は学校スポーツでありまして、そのために全力を挙げながら破れていった多くの仲間たちがおるはずでありますから、それらの人々のことも忘れないで、ひとつ全力を挙げていいプレーを見せてほしい。雨が降ってもこれは祝福の雨だと思って朗らかに受けとめて、お客さんもひとつ精いっぱい拍手してほしいというようなことを私は率直に思って、そんなあいさつをしたはずでございます。
  47. 勝又武一

    ○勝又武一君 甲子園球場の高校野球はきわめてテレビの視聴率も高いわけですし、球場の観衆はもちろん、テレビを通して高校生やあるいは小中学生あるいは父母、親に与えた影響というものは非常に大きいと思うんです。そういう意味で大臣の御出席や祝辞や始球式というのは、大変高校野球に対して推奨しているという印象を持つのは当然と思いますが、その点はいかがお考えになりますか。
  48. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) やはり純粋に若人が汗を流し、ぶつかり合うということは、私は大変すばらしいことだと思っておりますので、担当大臣としまして出ていって激励もし、また多くの人がこれを見、そしていろいろ声援をしてくださる。それを通じてまた全国にそういう高校スポーツがさらにすそ野が広がっていくということは、きわめて好ましいことだと私は感じております。
  49. 勝又武一

    ○勝又武一君 甲子園に出る出場校は、この一日の練習量というのは一体どのくらいやっているのか。初中局長で結構ですが、学校の終わった後何時間ぐらいまでやっているのか、こういうことを御存じですか。
  50. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 相当に練習量が多いということは聞いておりますけれども、具体的に何時間というのは承知いたしておりません。
  51. 勝又武一

    ○勝又武一君 すでに夜間の照明、ナイター設備等をしているところも具体的には相当あるわけでありまして、同時にまた大臣も触れられましたように、出場しない学校、これがきわめて多い。しかもこのところも同様な夜間による練習量を補っておるというように私は思います。同時にそれは野球以外のクラブ活動、全国大会を目指しての各部の部活動、これらは高校野球を問わず、その他のスポーツ部活動について中学等にわたっても同様なことが私は言えると思いますけれども、この点についてはいかがですか。
  52. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 現在、中学校、高等学校生徒の対外試合につきましては、その辺の過度の練習あるいは試合の参加が学校教育それ自体に余り影響を及ぼさないようにという見地から、体育局におきまして、全国大会は高等学校であれば一種目年一回とかいうふうに規制があるようにたしか記憶いたしておりますので、その趣旨に沿ってやっていただいておるわけでありますが、実際には一部の学校でかなり過熱しているという実態もあるやに聞くわけでございます。
  53. 勝又武一

    ○勝又武一君 これらの活動については、それぞれ中学——特に小学校は少ないんでしょうか、中学や高校において教員が部長とかあるいは監督とか顧問とか、名称のいかんを問わず、直接この指導に当たっているという点については文部省も御承知ですか。
  54. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 実際に先生が相当指導、監督の部分を引き受けておられるということも承知いたしております。
  55. 勝又武一

    ○勝又武一君 そこで、時間がありませんので二、三の問題に限定をいたしますが、教員の勤務の状況についてお聞きをしたいと思います。  教員の本務は何だとお考えになりますか。
  56. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 教員の本務は、やはりその学校において学習指導要領の基準に従って、日常の教科その他特別活動等の教育活動を展開していくと、これが中心であろうと思うわけでございます。
  57. 勝又武一

    ○勝又武一君 この学校教育法の二十八条から言いましても、当然私は授業がその本務のうちでの最も重要な職務だと考えます。  そこで、一週間の担当授業時間数、受け持ち時間とも言いますが、この特活や道徳等も含めまして次のことをお教えいただきたいわけです。小学校、中学校別に十八時間以上、二十時間以上、二十二時間以上、何%になっているのか、こういう点が一点。  さらに、二十時間以上、二十二時間以上、二十四時間以上、これを小・中・高校別に承りたいわけです。
  58. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) いま御注文のそのままの数字はございませんが、いま手元にある数字で申しますと、小学校の先生の場合、一週間の授業担当時数が二十時間以下の者が一五・五%。それから、二十一時間から三十時間の者が七九・八%、大部分と言っていい。それから、三十一時間以上の者が四・七%。それから、中学校の場合は、二十時間以下の者が六九・七%。二十一時間から三十時間の者が三〇・二九%。それから、三十一時間以上の者が〇・〇一%。高等学校の場合は、二十時間以下の者が九八・〇%。二十一時間から三十時間の者が一・九七%。三十一時間以上の者が〇・〇三%。こういうふうになります。  このほかに、特別教育活動としてのクラブ活動その他特別教育活動の指導時間というのが入っておりませんから、それが大ざっぱに申しまして、週一時間ないし二時間はプラスになるであろう。こういうふうに思うわけであります。
  59. 勝又武一

    ○勝又武一君 質問の通告では、先ほど申し上げましたような区分でお聞きをしたかったわけです。  と申しますのは、この一週間の受け持ち授業時間数というのが、当然一日に中学でも高校でも四時間とか五時間を担当するということは並み大抵な苦労ではない、大変なことだということを十分承知をしておりますので、その辺のことを明らかにしていただきたかったわけですが、きょうは本論ではありませんので、私は非常に過重な受け持ち時間数になっているという実態を指摘しておきたいと思います。  そこで、大臣にお聞きしたいんですが、教員の週休二日制についてです。人事院の報告は、当然、ここにもう民間のものについてもございますし、国家公務員の試行の実施状況についてというこの資料もございますが、この中に、「高等学校以下の諸学校等の教員については、カリキュラムとの関係から、年度途中での実施は困難であるとして、別途検討することとされており、実施は未定となっている。」という項がありますが、すでに民間でもこの人事院の報告のとおり圧倒的に実施がされ、国家公務員の試行もされ、教員でも、大学あるいは高専等については何らかの試行がされているのに、高校以下のについて未定であると。これについて一体いつごろからやれるというように、特に小・中の義務教育等についてできる見通しを持っていらっしゃるのか。この辺についての大臣の御見解を承りたいわけです。
  60. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 確かに去年の九月、一般の国家公務員については試行を始めたわけでございますが、先生につきましては、年間を通じて教育課程を組んでいるということもあって、ことしの四月まで延ばしたわけでございます。それで、四月から、各公立学校については、都道府県の教育委員会に対し、試行をやる場合には十分慎重に事前の準備をし、検討をして、学校の実際の授業活動に支障ないようにして始めてもらいたい、こういう指導をしたわけでございます。そこで、それを受けまして各県の教育委員会で、どういうふうにして試行をやるべきか、そうでないかというようなことを検討いたしましたが、現在のところ、公立学校について試行をいたしておるところはないわけでございます。そこで、今回の試行をするに当たって国の方針としましても、この試行をするために特に予算や人員の増はやらないという前提で考えておりまして、これは教員に限らないわけでございます。  そこで、そういうことで考えました場合に、やはり教員につきましては、試行であってもそれをやることによって実際に教育活動に支障を来してはならないということは、これはわれわれとしては当然考えなければならないことでありますし、また、いろいろ地方のお話を聞きますと、やはり先生については夏休み等の条件もあるから、その辺も考えて十分慎重にやってもらいたいという一般の希望もあるように聞きますので、いま申しましたように、各県に対しまして指導をしたわけでございます。  したがいまして、今後先生につきましてどういうふうな形で試行をやるのかやらないのかということを含めまして、その検討は一に、第一には、任命権者である都道府県の教育委員会、それから服務監督者である市町村の教育委員会の判断によるわけでありますが、その際もう一つの手がかりとして、当該地方公共団体における他の一般の公務員のそれじゃ週休二日制の試行はどうかという問題もございまして、この点につきましては若干の県において、教育委員会の事務局職員等については試行を始めたというところもあるようでございますので、そういう点を横目で見ながらさらに慎重に検討をしていただきたいということで、現在のところは指導をしておるような実態でございます。
  61. 勝又武一

    ○勝又武一君 これも本論でありませんので、きょうはこれ以上議論をすることは差し控えますが、たとえば夏休みがあるからというようなのについては、全く現状を知らないというようなことですね、現場の実態を。昔のような夏休みなんという状況じゃないですよ、いま、大臣。小・中学校、高校でも。夏休みがあるから週休二日制が要らないなんと言ったら、文部省はそれこそ本気になって現場の実態はどうだということを言ってくださいよ。調査すべきですよ。こんなことを初中局長おっしゃっている点についてははなはだ不満ですね、私は。だから、率直に言って、週休二日制が簡単にできないような教育現場の実態をどうするのかということを真剣にお考えいただきたい。これが一つです。  そこで、きょうの本論はそういうことでございませんので、一、二の特徴的なことだけお聞きをいたしましたが、実際に週休二日制どころか、実に多忙な教育現場だということが言えると思いますし、先ほど二、三のクラブ活動等でも指摘をしたとおりの現場の状況だと考えます。  それと同時に、教員の使命というのは、当然子供の無限の可能性を引き出すところにあります。想像性豊かで自主性に富んだ全人格的な発達を達するために、教員が勤務時間を超えて教育指導を行っている。いや、私は、教育の本質というのは、そういう勤務時間を超えてもある程度——無限にも近いぐらいのものを含んでいるということもあると思います。これについてはいろいろ議論はあるでありましょう。しかし、私は本質的にそういうものを教育活動というものは持っている。  そういうことで次の点を二、三聞きたいんですが、先ほど甲子園から始まってクラブのことをお聞きをいたしました。そういう点で技術なり、体育なり、理科の実験あるいは特別教育活動、クラブ活動、野外活動、臨海、林間、こういう学校行事の重要性というのを私は非常に重視をする立場でありますけれども、この点については御見解はいかがですか。
  62. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) これは心身ともに健全な人間を育成する上において私は重視すべき問題だと考えております。
  63. 勝又武一

    ○勝又武一君 そして同時に、この参加をしているのは児童・生徒でありますので、こういう学習活動にはどうしても危険が伴う場合がある。しかし、その危険が伴うからといって消極的にはなってはいけないというふうに思いますが、いかがですか。
  64. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) これは物の両面がございますので、十分慎重に配慮をしながら行ってもらわなければなりませんけれども、そのことばっかりに気をとらわれて、かえって消極的になってしまっては、これは御指摘のようにいけないと思いまして、やっぱり度を超してはいけないと申しますか、だからといって危険がどんどん起こることに目をつぶれというわけじゃありませんけれども、やはり積極的にいろいろ指導し、活動をしてもらいたいと、こう考えます。
  65. 勝又武一

    ○勝又武一君 学校教育というのは公教育の性質を持っておりまして、教育基本法の十条二項の教育条件の整備の趣旨から言いましても、以上申し上げてきたような点から生ずる学校災害について、これは当然国の責任によりまして学校災害の補償制度というのをつくるべきだというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
  66. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 学校で起こりますいろいろな事故の防止につきましては、安全指導とか安全管理を一層徹底させていかなきゃならぬことが基本であることは言うをまちませんが、いま先生御指摘のように、現実に事故が起こるわけでございまして、その起こる事故についていろいろな立場の御議論がございまして、ただいまのところはそういった事故が不幸にして起こった場合の救済措置を充実しなければならないと考えまして、文部省といたしましても、これは各層の御意見等も承りながら、鋭意救済措置の拡充に努力をしておるところでございます。
  67. 勝又武一

    ○勝又武一君 そこで、事故が発生した場合に直ちに管理者とか教師の監督責任あるいは指導の事情というものが糾弾される場合があります。この場合には当然教師側が安全のためにすべての教育活動に消極的にならざるを得ないという側面が生まれがちでありますけれども、そうなっては本当にいけないと思うんですけれども、どうでしょうか。
  68. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) 御指摘のとおり、常に学校におきましては健康な体を築いていくということが教育の最も基本の一つになっておりますので、あらゆる面にわたりまして積極的な指導ということが望まれるわけでございます。その面からも平素の安全教育を徹底すると同時に、不幸にして起こった事故に対しましての救済措置を十分とっていくということによりまして、学校の積極的な教育活動かつ円滑な実施を期してまいりたいということで、いま改善策につきまして取り組んでおるところでございます。
  69. 勝又武一

    ○勝又武一君 その救済措置というのがとられれば教師の側の責任が一切追及をされないということになるのかどうか、その救済措置の内容が不明確ですので、私どもちょっと理解しかねるところでありますが、別の面から教師の過失の責任を追及するということになりますと、教員と児童・生徒との間の信頼関係、これが喪失されていく、あるいは全人格的な結合という観点での教育の本質、教師と子供との間の心と心の触れ合い、こういうことが失われたり、忘れがちになる傾向が生まれると思うんです。この点についてはどうですか。
  70. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) 一般に公務員の過失等によります損失を与えた場合には、公務員を採用しております国あるいは地方公共団体が国家賠償法に基づきまして賠償責任を負うという現行法規のたてまえになっております。その場合に、国あるいは地方公共団体が教師の過失責任につきましての追及を国、地方公共団体の立場でするかどうかはそれぞれのケースによって起こるわけでございますが、現行法規の上ではやはり公務員はその職務遂行に当たって最大の注意義務を持って当たっていくべきであるというたてまえが一方にございますので、学校教育指導に当たりましては、平素十分な注意力を持って指導に当たるということが要請されるわけでございます。で、学校の事故につきましては、その間に事故の発生に伴いまして御指摘のようなあるいは損害賠償の訴訟問題等で大変円滑な教育実施の上に支障を来すというような面の御指摘がいま各地からあるわけでございまして、その面にこたえていくというのには、一つは無過失責任に伴う補償制度を確立すべきであるということの御意見もあるわけでございますが、この問題につきましては、大変現行法規の上に照らしまして、また、学校の事故が多種多様である、それぞれの児童・生徒に起因するというような場合もございますし、多種多様でございますので、これにつきまして直ちに無過失責任の主義に基づく補償制度の確立につきましては、なお種々検討すべき困難な課題がございますので、文部省といたしましては、現在の日本学校安全会法によるところの給付の改善を図りまして、その面からそれぞれの事故の発生に伴う案件の処理につきましては安全会によって迅速かつ適正に対応していく、そのことによって紛糾の起こらないようにしてまいりたいというような考え方でおる次第でございます。
  71. 勝又武一

    ○勝又武一君 当然公教育に携わる教職員でありますから、万全の注意をするのはこれは当然だと思うのですね。ところが、いま問題になっているのは、御指摘のような万全な注意をしても不可抗力的に起きている事故が非常に多い。だから、私はもう大半の時間を費して野球の話から始めたわけですけれども、しかし、そういうものがあってもなおかつやるところに教育的な意義がある。それを認めるから大臣も推奨されている、こう思うわけですね。だから、いまの万全の注意を払っても生じたものについていまの学校安全会だけという点については非常に私は問題があると思っております。  そこで、これは少し横におきまして、別の観点から、学校災害の発生している状況ですが、これは小学校では休憩時間中が最も多い。それから、中学、高校、高専等では課外の部活動を含む特別教育活動の中が最も多い、しかも、中学、高校、高専と進むほどその比率も高くなっている、そういう傾向があると思うのですが、文部省調査でもこの点は間違いございませんか。
  72. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) 御指摘のとおりでございまして、学年が高齢化していくに従いまして特別活動等における課外指導の時間での事故の発生が多くなってきておるという御指摘のとおりでございます。
  73. 勝又武一

    ○勝又武一君 そうなりますと一番問題なのは、そういう現状にある何といいますか、特別教育活動中事故の最も多いこの特別教育活動の問題について二、三承りたいのですが、やや、これも具体例で恐縮なんですが、静岡に焼津という、これは日本でも有数の漁港がありまして、ことしの八月、ボートレース大会に備えての中学のボート部の練習中の事故です。けいこのボート部の船が転覆をして生徒がおぼれたのを、別の学校の、同じボート練習中ですが、M校のボート部の船が救助に向かって、今度はこの船が転覆をして、その救助に向かった方の中学の一生徒が死亡したという事故です。たまたま県は警察の協力、援助者への災害給付ということで、実は県警本部から見舞い金が出ているわけでありますが、学校安全会の適用等にはなっていないのだというふうにお聞きをしております。こういう事故について学校安全会等の適用にならない点についてはどうお考えになりますか。
  74. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) 御指摘の案件につきましては、報告によりますといまお話しのとおり、ボート部の部員の生徒の不幸な事件でございますが、ボート部の活動といたしましては、当日は前日来の雨がございましたので、クラブ活動としての、部活動としての活動は中止ということになっておりまして、雨がやみましたので、港の方にたまたま部員を集めて生徒が参りました。その際に他の中学校の生徒の転覆事故、これを救援するというためにボートで救援に当たった、その上での事故でございまして、その限りにおきましては学校管理下におけるいわゆる部活動というものの行動には該当しておらなかったという経緯がございますが、また別に日本学校安全会法の上で、他の法令に基づきまして同一の災害に対しまして国または地方公共団体による給付がなされた場合は、その限度において安全会の方の給付は行わないというたてまえをとっておりますので、御指摘のとおりこの事故につきましては、県条例によって遺族給付及び葬祭給付がなされておりますので、その方との関係がございまして、安全会の方では特に給付の対象にしないということの決定を見ております。
  75. 勝又武一

    ○勝又武一君 問題が二つあると思うんですがね。一つは、学校管理下という安全会の規定の問題と、もう一つは、他のところから給付が出たからという局長の御説明ですけれども、他のところから給付が出たということならば、それじゃこの場合に他のところから給付が出なかったと仮定すれば給付がされますか。
  76. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) 生徒が港に参りましたのは、部員の立場で参ったわけでございますが、当日は練習は中止するということの学校の方針でございまして、その学校の教育計画に基づく活動という範囲には該当しないという問題がここにございます。たまたま雨がやみましたので、部員の者が集まって港の状況を見に行っておった、そのときに起こった事故でございますので、これは学校管理下における教育活動というのに、その限りでは該当しないという認定をいたしておるわけでございます。
  77. 勝又武一

    ○勝又武一君 この学校安全会で適用にならないという場合がたくさんあると思うんです。もちろんいまの学校管理下という問題もあるでしょうし、特別教育活動中のものについて相当多くのことが言われておるわけですね。これは学校安全会の中の運営上の問題もあるのじゃないか。一つは、運営が率直に言って民主的でないと言われているわけですね。たとえば教職員とか父母とか親の代表等を安全会の本部でない各県段階の各機関や運営に参加をさせる必要があるというようにも考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
  78. 柳川覺治

    政府委員(柳川覺治君) 教育の立場から言うならば、生徒があらゆる機会に活動の場を持つということは、それ自体成長の上で許容されることでございますので、学校の責任が持たれる、学校教育の適正な範囲においてそれらの活動への参加は従来奨励されておるわけでございます。おのずから過熱その他の問題がありますので、いままで特に体育面の対外競技につきましては、それなりの基準を設けて従来指導してまいっておりますが、それぞれの地域におきまして生徒が積極的な参加をして活躍の場を得るということ、それはそれなりに教育的な意味があるというように考えておる次第でございます。ただその場合に、必ずしも学校の、たとえば部活動をやっておる生徒でございますと、必ずしも学校の指導計画の中だけで行動しない。自分たちでさらに自主的、自発的に地域その他において活動するという場がございます。そういう場の事故に対してどのように対応していくかということはかねてからの懸案でございました。そこで文部省といたしましては、昭和四十五年に財団法人スポーツ安全協会の設立を認可してございます。昭和四十五年十二月十日にこれが許可になって成立しておりますが、このスポーツ安全協会によりまして、このような事故の場合に傷害保険が給付されるということを進めてまいっておりまして、現在、つい最近加入者の数が五百万人を超えたと、関係の加入している団体も十二万団体というように聞いておりますが、五百万の大台を突破することができまして、今後さらにそれぞれ各地であるいは子供たちがあるいは親が一緒になってスポーツに親しみ、また鍛えていくというための、その場で起こる事故救済につきましては、このようなスポーツ安全協会の傷害保険の制度が活用されていくように進めてまいりたいというように考えておる次第でございます。
  79. 勝又武一

    ○勝又武一君 いまのスポーツ安全協会の場合でも非常に不十分さが指摘されているわけですね。そこで先ほどから私主張いたしましたように、一つは、教育という無限の可能性の追求といいますか、非常に時間だけでは割り切れない、あるいは教師と子供との触れ合い、その中には野球で言えば百本ノックみたいなこともあるでしょうし、そういうことを一つ一つ考えれば考えるほど、この問題は教師のやはり責任追及という形でない、無過失責任制度というものを、どうしても補償制度というものを私は確立していかないといけないじゃないか。特にこれは裁判になったりした場合のことを考えますと、巷間事例がたくさんあるわけですね。これはもう私が申し上げるまでもないと思うんです。柔道の場合の死亡した生徒に対する教師の問題やあるいは失明した子供の問題や、そういうことについてスポーツ安全協会だけでない、もっと抜本的な国による補償制度ですね、このことをやっぱりどうしても考えていかないと、学校災害あるいは教育の本質から言って非常に不十分だというように私は考えますので、今後十分なひとつ文部省としても御検討を願いたい。特にこの点について最後に大臣にも御要望をしておきたいと思います。  それから最後に、時間もありませんので、教科書の問題についてお聞きをしたいと思います。大蔵省が十月二十八日ですか、義務教育教科書の無償配付制度を本年度から一部手直しをして父母負担を導入し、財政負担の軽減を図る方針を決定したと、こういうように新聞が報道しております。そこで、大臣にお聞きしたいんですが、文部省はこの方針を発表前に知っていらっしゃったのか。あるいは了承されておられたのか。発表文部省としての反論等何の表明もないというように私には思われるのでありますが、この大蔵省の新聞報道が事実なのかどうなのか。そして、もし何らの反論もないということになりますと、文部省原案を出している文部省が大蔵省に屈服したのかという印象も与えるでしょうし、それともあくまでこの文部省原案を貫徹をしようというように、要求原案を貫徹をしようというようにお考えになっていらっしゃるのか、御見解を承りたい。
  80. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 最初に基本的なことを申し上げますけれども教科書の無償の制度というのは長い間の経緯がございまして、私の理解では、義務教育は無償とするという憲法の精神に即して、たしか昭和三十八年から年々充実をいたしまして、完全に定着してもうすでに十数年を経ておるものでありまして、この制度というものは私は大切にしなきゃならぬと思っておりますし、文部省としましては五十三年度の概算要求をするに当たってもこの制度は維持するということで処置をいたしております。  なお、一部報道されました問題につきましては、あれは大蔵省の決定ではないようでありますし、それからまた私どもとしてはそういった考え方を変更する気持ちは毛頭ございませんし、大蔵省の決定でありませんからそういう通知を事前に受けたこともございませんし、実は新聞を読みまして、まあびっくりしたという表現は適当かどうか知りませんけれども、私もこれはこういうことは困るではないかということは思って、早速に局長にも言ったんでありますけれども、事務局にも大蔵省側からはもちろん連絡がありませんし、大蔵省がそういうことを省として正式に決めたということはまだ聞いておりません。
  81. 勝又武一

    ○勝又武一君 私のやや早とちりで失念した点は恐縮に存じております。しかし、そうはいってもあれだけの新聞記事ですから影響は大きいと思うんですね、非常にやはり読んでいる人が多いんですから。そこで、新聞記事の中にある点で一、二承りたいんですが、新聞記事によりますと、大蔵省は父母負担という観点から考えても大幅な負担増加にはならない、だから大したことはないんだと、こういうように受け取れるニュアンスの記事でありました。そこで、本当に大蔵省は教育費の父母負担の実態を知っているのかどうなのか。非常に憤慨にたえないわけですね。そこで、ここに五十二年九月十四日の官報資料版「父母が支出した教育費」という文部省調査結果があります。これはもう文部省の結果ですから私が申し上げるまでもありません、一々読み上げるのは省略いたしますが、五十年度で小学校が五万八千三百二十九円、中学で七万九千九百六十五円、義務教育でさえこういう金額なんです。しかも、この文部省調査の文章を読みましても、毎年の増加率が著しく大きいということも指摘をされているわけですね。同時に、私の手元にあります教職員組合等の調査あるいは教育現場からの報告によりますと、この文部省調査よりもさらに父母負担の額というのは多岐にわたって大きくなっている。ですから、現在の父母負担をふやすどころか、むしろもっともっと軽減をすべきだと、こういう状況にあるというふうに私は考えますし、大したことはないんだということは大蔵省としては余りにも実態を知らな過ぎるというように思いますけれども文部省としてはどうなのか。あるいは、その辺のことはあの記事を見たらすぐ父母負担というのはこんなにひどく多いんだと、こういうことを大蔵省に突きつけてもらうというような行動をすぐにとってもらうというぐらいのことは適切だというふうに考えますけれども、いかがですか。
  82. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) まず、この話の経緯でございますが、大蔵省にございます審議機関としての財政審議会で、大蔵省が明年度の予算編成かするに当たって、財政の規模をできるだけ抑えるというような見地でいまの教科書無償の問題を取り上げて御相談をしたという経緯でございますので、私ども文部省の立場においては直接財政審議会に物を言う立場ではないということをまず御理解いただきたいわけであります。  そこで、大蔵省を通していろいろわれわれの見解は言っておるところでございまして、いま御指摘のように、父母の負担、父兄負担の問題として考えました場合に、新聞報道によれば大したことないというのは、現在の小・中学校の全教育費に対する父母の、父兄負担の実態を見れば、そういうことは言えないじゃないかという御指摘の点はおっしゃるとおりでございまして、そういう点もわれわれは申し上げております。  それともう一つは、やはり義務教育教科書の無償というのは、そういう父兄負担の軽減という見地ももちろん一面ございますけれども、憲法に言うところの義務教育無償というこの精神は貧しい者に対してだけその負担を軽減するというのではなくして、富める者も貧しき者もひとしく義務教育無償という精神でやるというところにこれがあるわけでございますから、その金額が多い少ないということももちろん一つございますが、それにかかわらず義務教育無償の精神でいったんだと、こういう点も大蔵省に対しては強く申し入れをしておるところでございます。
  83. 勝又武一

    ○勝又武一君 新聞報道ですが、もう一つ無償配付をやめる理由として大蔵省が言ってる中に、財源だということを言っておるようですね。そこで、これも五十一年度三百六億、五十二年度が三百三十六億、来年度が三百七十億、こういう金額だというように承知をしますが、もし大蔵省が言う教科書無償を有償にするという理由がこの財源にあるというように仮定するならば、この程度の額ならもう他の面での削減なり、他の運用なりで十分やっていける程度の金額じゃないか。せめて教科書の無償を最低とする、そして少しでも父母負担の軽減に努める、このことは当然平和憲法を守るということにもなりますし、ましてこのことをやめるようだったら、まさに文化国家の名が泣くというぐらいにさえ私は思うのですが、この財源という理由についての大蔵省の考え方に対して、文部省としては全くその程度のことだったら問題にならぬよと、当然やるべきだよと、こういうようにお考えになりますか。見解を承りたいわけです。
  84. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) この制度につきましては、先ほど申し上げましたように、文部省としては大切に維持していきたい、こう考えておりますので、基本的にこの制度を貫いていくという立場で今後とも折衝を続けていきます。大蔵省に対しては当然そういう気持ちを伝えるつもりでございます。
  85. 勝又武一

    ○勝又武一君 この問題につきましては、重ね重ね大臣と局長からも、憲法二十六条二項の義務教育は無償である、教科書の無償は最低守るという非常にかたい決意の表明があったというように私は理解をいたしますし、このことをもしやめるようだったら、文部省としては、それはきわめて時代逆行もはなはだしいと、こういうように受け取りますが、このことを最後にお伺いをして質問を終わりたいと思います。
  86. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 私どもは、何度も申し上げておりますように、この義務教育教科書の無償というものを大切にしていきたい、こう考えております。
  87. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ただいま教科書無償配付制度について、大蔵省が有料化するような傾向であるということについて、大臣が非常に大事な問題であるから、この制度は断固維持していくという力強い御答弁をいただきました。私もこれについて御質問申し上げようと思っておりましたが、略して、ただ一言、きのう公明党として大蔵省の官房長に申し入れをいたしました。そのときに感触を自分なりに感じまして、相当この問題は文部省として推し進めていただきませんと、大蔵省は有料化するのではないかという懸念を持ったわけでございます。そのときの言葉のやりとりは略させていただきますけれども、私はそういう感じを強く持ちました。ぜひ大臣を中心として文部省でがんばっていただきたい、このように重ねてお願い申し上げます。ひとつよろしくお願いいたします。  私は就学前教育のあり方についていろいろとお尋ねしたいと思っております。これは現在わが国の子供たちを見ますと、就学前教育いう観点から何種類かのばらばらの環境に置かれていると思います。具体的に申し上げますと、公立幼稚園に通う者、私立の幼稚園に通う者、また公立の保育所に入っている者、私立の保育所、あるいは企業内託児所、あるいは無認可保育所、こういうところに入っている子供もたくさんおります。またどこにも行かないで家庭で保育されている者、また保育に欠けているという状態にあるにもかかわらず、かぎっ子として放任されている者、非常に種々雑多な環境に置かれているわけです。しかし憲法並びに教育基本法の示すところでは教育の機会均等の原則というものがございます。そういう点からすべての幼児に等しく教育の機会を保障する、保障すべきであると考えておりますが、大臣はこの点についてどういうお考えを持っていらっしゃいますでしょうか。
  88. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘の就学前の幼児教育というのは私は大切であると思っておりますし、また人間形成の基礎がこの時期にできる。したがって、幼児期に適切な教育を行わなければならない。御指摘のとおりだと思います。文部省といたしましては、当面四、五歳児が、しかも入園を希望する人がすべて幼稚園に入ることができるようにその具体的な努力目標の計画をつくりまして、昭和五十七年にはそれが達成できるように計画をつくって鋭意努力をいたしておるところでございます。
  89. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、これは厚生省の方においでいただきまして、文部省と同じ幼児教育に携わっていらっしゃる問題点についてお聞きしたいと思うわけでございます。そこで厚生省にお聞きいたしますが、保育所における保育内容は養護と教育とされておりますが、とりわけ保育所で行われる幼児教育は、幼稚園に比べて同等と考えていいかどうか。この点お願いいたします。
  90. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) ただいま御指摘ございましたように、幼稚園が学校教育を施すことを目的といたします施設であるのに対しまして、保育所は母親の就労あるいは病気などによりまして保育に欠ける乳幼児に対しまして、養護とそれから教育の両面からその保育を行うことを目的といたしております。したがいまして、幼児教育という側面も同様に持っているわけでございますが、その教育的側面につきましては、保育所で行います保育のもとになっております保育所保育指針は幼稚園の教育要領に準じて作成されているところでございます。また保母の養成を行います保母養成所の指定基準は期短大学の設置基準に準じておりまして、資格の取得方法も似通っているところでございます。このように教育面におきましても幼稚園に準じた内容にあるものと考えております。
  91. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そうしますと、幼稚園に比べて同等だと、こういうふうに考えていらっしゃると、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますね。
  92. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) その保育の内容といたしましては、幼稚園と保育所とは本来的に機能を異にする面もございます。ただ、教育的側面につきましては、幼稚園に準じた内容を目標に現在行っているというふうに考えております。
  93. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、幼児教育が幼稚園と保育所とに分かれて行われているために、非常に地域によって弊害や混乱が生じております。その例を申し上げますと、町村によっては五歳または四、五歳が幼稚園に入れられてしまっている。五歳児のいない保育所が地方にあります。こういう問題を考えますと、幼保の一元化という問題がやはり問題になると思います。これは相当前から言われている問題でございますが、その幼保一元化などと言われるように、地域によってのこうした弊害や混乱、これに対しては昭和三十六年、十六年も前に、この参議院の文教委員会においても、「幼児教育に関し保育所との関連において根本施策を樹立する」ようにというふうに決議がされております。そして十六年を経ているわけですけれども、当面この現在の保育所と幼稚園のそれぞれの施設における幼児教育内容、これを充実することはもちろんですけれども、不必要な格差をなくすとか、あるいは同じ土俵で考えるべき問題は考えるとか、実現できる点から段階的な改善措置を講じていくべきであると、こういうふうに思っております。これは大臣にお聞きしたいと思います。
  94. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 長年の経緯がございまして、幼稚園と保育所と、それぞれの立場に立って進んできたものについて、いろいろとできる限り一元化をする方向検討してはどうかということでございまして、私もそれの必要性を十分認めておりますので、最近、正確に言いますときのうでございますが、文部省、厚生省それぞれにこれらの関係について深い経験を有する人々に委員になっていただいて、そこで幼稚園と保育所のいろいろな問題について御議論を願うわけでありますけれども、さらに文部省といたしましても、どういう点に問題点があり、どういうところをどうしていったらいいかということについても、さらに十分研究、検討を重ねていかなければいけない、こう考えております。
  95. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、この問題を考えるというその考え方ですけれども、二つの制度がございます。文部省の方は幼稚園、厚生省の方は保育所と、そしてそれに対していろいろな内容がございますが、実際この二つの制度が地域によってはそれぞれの制度を拡大的に運用している。まあ保育に欠ける子供は保育所というふうになっているのに、保育に欠けていなくても保育所に入れている。この制度を拡大的に運用していると言っていいと思います。また、幼稚園の方は原則四時間という、この四時間が六時間なり七時間なりになって幼稚園でありながら保育所化している。そういう制度の拡大的な運用、これは親の要求にこたえてそういうふうになってしまったと思いますけれども、これをどうするかということが問題なわけでございますね。このような現状に対してそうした懇談会が持たれ、この問題を検討するに当たっても、それじゃ現在の幼稚園また保育所の運用をきしっとした基準を厳しくして保育に欠けるそうした幼児を幼稚園から締め出してしまう。また保育に欠けない幼児を保育所から反対に追い出してしまうというようなことをしては私はならないと思うんです。子供の立場に立って対処すべき、まあこれは私が申し上げるまでもありませんけれども、こうした親の要求にこたえて制度を拡大的に運用してしまったというこの問題を、ただ、基準で厳しく改めるというだけじゃなくって、将来の幼児教育のあり方のこれは参考にしていくべきじゃないか。ただ改めればいい、文部省文部省なりの考え方できしっとしてしまう、厚生省は厚生省の考えできしっとしてしまうというのではなくて、あくまでも子供の立場に立って同じ土俵で考えていく必要がある。この点を私は果たしてそういう取り組みを文部省と厚生省がするかどうかという点について心配をするわけです。十六年間この問題が検討されなければならないと言っていながら、そこにすっきりしたものが出てこない。そういう点で文部省はどういうふうに今後取り組んでいこうとなさっているのか、また厚生省としてはどういうふうに取り組んでいこうとなさるのか、それぞれのお考えを聞かしていただきたいと思います。
  96. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) ただいま先生御指摘ありましたように、地域によっては保育所が幼稚園的な機能をあわせやっておる。あるいは逆に幼稚園で保育所的な仕事もやっておるということの一つの理由は、やはり幼稚園につきまして文部省の立場から言えば、幼稚園の設置状況がまだ全国的に見た場合に十分でないということがあろうと思うわけでございます。したがって、せっかく、その地域について保育に欠けるというわけでないから、幼稚園にやりたいという親があっても、保育所しかないということになると保育所にやらざるを得ないという逆の場合もまたあろうかと思うのでございますが、そこで、全国的に見ました場合まだ幼稚園を設置していない市町村というものも相当数あるわけでございます。したがって、従来も、いま大臣がお話ししましたように、年次計画を立てて五十七年度までにはちょうど六千園の幼稚園をつくるという計画を文部省が立ててまいりまして、いまその途中にあるわけでございますが、その趣旨はまさにいま申しましたように、全国的に地域的に偏在することなく必要なだけの幼稚園を設けたい、こういう立場できておるわけでございます。ただ、従来のやり方は、それについてそれじゃ保育所の方は一体どういう計画でやるんだ、その点が必ずしも十分な厚生省との連絡調整がなかったわけでございますので、今回の懇談会を設けましたことを機会にいたしまして、その場におきましても両施設の適正な配置という点を十分御検討いただいて、両省で協議をしながら今後さらに幼稚園、保育所の適正な普及を図ってまいるということでやってまいりたいわけでありまして、いま十分な配置にない現在において、御指摘のようにこれは保育に欠ける子供じゃないから保育所に入れないとか、逆にこれは幼稚園にいくべき子供ではないとか、そういうことはやるべきではないというふうに考えておるわけでございます。
  97. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) ただいま文部省から御答弁ございましたように、私どもといたしましても、今般発足いたしました懇談会の話し合い等の意見も踏まえながら、今後両省間で十分話し合って新しい需要の動向というものを見定めながら検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  98. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 私が両方のお話を伺っていると、文部省文部省の目的に向かって幼稚園の計画を立ててあるんだからそれをどんどんやっていくと。厚生省は厚生省として保育に欠けるという条件のもとでやっていくんだから、それをやっていくんだと。そうなると、いままでの平行線でいってしまう。やはり幼児教育という立場で、幼児がいま置かれている現場というものを考えて話し合って、幼児教育というものはどうあるべきかということが私は本当に検討されていないと思うんですね。保育所のあり方というものは、最初は貧しい家庭の子供、託児所が保育所になっていった。それが労働問題の中に巻き込まれて、労働問題の中の保育所、そしてさらに婦人の意識というものが非常に高まって、いまは婦人問題の中に考えられる保育所というふうに性格が変わってきていると思うんですね。それを私はやはり幼児教育のあるべき姿に立って考えていかなきゃならないんじゃないか。また幼稚園にしてみても、非常に幼稚園教育というものには私は問題があると思います。本当に幼児教育というものに真剣に取り組んで幼稚園というものが経営されてきているかどうか。確かに保育所もどんどんどんどん建ち、幼稚園もやがて文部省の打ち出されている計画に沿って建っていくでしょうけれども公立幼稚園などがどんどん建っていくことを望んでいるんですけれども幼児教育という問題についての話し合いがなされなければ私はやはり将来大きな問題が起きると思います。いまの幼児のあり方はこれでいいかどうか、そういう点、同じ土俵でというのは、幼児教育というものはどうあるべきかということについてお話し合いの場所をつくっていただきたい、これを私は特にお願いするわけなんです。その点で特に文部省としてはいかがですか。
  99. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 幼児教育の具体的の内容、方針、方向というものは文部省で定めておりまする幼稚園教育要領によるところでありますし、そしてただいま厚生省の方からも御説明ありましたように、保育所におきましても、この幼稚園教育要領に準じて保育活動の一部として教育活動に準じた教育をしていただいておると、こういうことでありまして、それに関連しまして、幼稚園の先生なり、保育所の保母さんの資質はどうあるべきかということが密接な関連があろうと思うわけでございます。文部省としましては、幼稚園教諭の養成、資質の向上という点についていろいろと施策を講じておるところでありますが、厚生省も同じようにやっておられると思います。そして、今回のこの話し合いの場におきましても、そうした教育内容の問題あるいはそれに関連する教師の問題というような点も同じように御討議いただきまして、いろいろ意見を交換し、参考にさしていただくと、こういうことでまいりたいと思っておるわけでございます。
  100. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 先ほど大臣から、協議の場ができたという非常に明るい御報告をいただきました。それについて一言お願いを申し上げておきたいんですが、いままでも文部省の方とまた厚生省の方との話し合いはされているんですね。私がちょっと拝見したのでは、参議院のこの委員会で決議したこの決議に対して、それを受けたんでしょう、昭和三十八年の十月に文部省と厚生省の係の方から名前を連ねて通知を出していらっしゃいます。こういうものがむしろ私はブレーキになって厚生省と文部省との話し合いがますます平行線でいってしまうような結果になっているんじゃないかというようなことも心配するわけなんです。そういう点で今度の協議の場についてもそういうことになりかねやしないか、なってはならないと思いますので、特に大臣にこの協議の場が、懇談会ですか、この場が幼児教育の前進にとって大いに生かされるよう運営すべきであると、幼児教育の前進になるように運営していただきたいと、こういうふうに申し上げて、懇談会についての大臣の御意見をお聞きしておきたいと思います。
  101. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) これは文部省と厚生省のそれぞれ担当する事務同士で話をするということになりますと、やはりそれぞれの所管事項もございますし、設置法もございますし、きょうまでのいろいろな流れもあって、どうしても事務と事務だけの話では御指摘のように平行線をたどる場合がこれは往々にしてあろうかと。また、そうでありませんと、そういったところを余り簡単に乗り越えて方針がいつもいつも大きく変わるようでは、これはまた逆にいけないわけでございますが、今度の場合の懇談会はそういう意味で両方の省から十五人にわたるいろいろな学識経験者にも出てもらって、要するにちょっと次元の違う高いところでこの幼児教育の問題はどうしたらいいかということをそれぞれの立場で意見を出し合って御検討をいただくわけでありますから、それぞれの立場の物の考え方や、それぞれ幼稚園とか保育園の果たしてきた歴史的な役割りとか、現代の使命というものも十分御承知になっておる方が、なおそのことを踏まえてこういった懇談会をつくり、そこへお入り願いたいということで入ってもらって議論をしてもらうんでありますから、この懇談会におきましては、いま先生おっしゃるように、まさに共通の土俵の上に立って、将来の幼児教育というものをどうするかということでいろいろな角度からの御意見が出てくるものと私どもは信じておりますし、またその御意見の指さされる方向というものは大切に尊重していかなければならぬ、こう考えておりますので、そういう運営がなされるように私どもも期待をいたしております。
  102. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それでは、幼稚園の教育内容についてお尋ねしたいと思います。  幼稚園の中だけを見ても、その教育、まあ正確に言いますと保育というようですけれども、その教育内容には大きな格差があります。ある幼稚園は遊びを主体にしている、ある幼稚園は小学校顔負けの知識詰め込み教育というものをやっている、非常に幅広い教育内容が行われていると思います。そこで、就学前教育は何を目指して教育をするのか、その目標からもう一度研究をし直しし、子供の成長発達に最も適切なもの、そしてそれがどの施設でも受けられるように、幼児教育内容、水準、質、こうしたものを平準化していくべきだと、こういうふうに思っております。その点文部省お尋ねするわけでございます。
  103. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 先ほども申し上げましたように、現在、幼稚園の教育の基準となりますのは、昭和三十九年に文部省告示として出しました幼稚園教育要領でございますが、この幼稚園教育要領の第一章におきまして、総則として、幼稚園教育の基本的な考え方を示しておるわけでございます。そこで、この基本的な考え方という点につきましては、幼稚園の教育活動というものを、言語、社会、健康、自然、音楽リズム、絵画製作という六つの領域に分けまして、要するにそれらの活動を通じてこの年代の幼児についていろいろの能力の芽生えを養うということであり、その主眼とするところは、徳育、しつけであり、体育であり、情操教育であるということであって、知的な教育活動というものそれ自体を目的としてやるということは避けておるわけでございます。ただ、たとえば文字のようなものにつきましても、積極的に文字を教えるというのではなくて、幼稚園という教育活動の場においていろいろ掲示やなんかがあると、そうするとそれが自然に子供の目に入って、それは何というものだというようなことを子供に自然に興味を持たせて、持って覚えるという範囲でやるというような程度にとどめておるわけでございます。幼稚園の教育につきまして、この年代の子供にどういう教育をしたらいいかという点についてはいろいろの学説等もあるようでありますが、現在のいま申しました幼稚園の教育要領の考えは、少なくともそういうことで、もっぱら情操、徳育、体育といったようなものを育てていくという観点でやっておりますが、一部の幼稚園等でかなり片寄った、まあ英語をやるとか、あるいは漢字まで教えてしまうとか、いろいろあるようでございますが、それは現在の指導要領からいたしますれば行き過ぎでありまして、一般的にはそういうことについて十分自省をし、適切な指導をしてほしいということを教育委員会には指導しておるところでございます。
  104. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 ぜひその小学校顔負けの詰め込み教育はやっていただきたくない。もっと積極的に文部省指導していただきたいと思うんですね。  それで、先ほどから幼稚園教育要領、これが示されているというお話でございますが、これは私も見て実に何というんでしょうか、漠然としている、わかりにくいと思うんですね。それで幼稚園の先生方とも話し合ったんですね。たとえば例を引いてみますと、この「自然」ということについていろいろな項目が挙げられている。その中で「数量や図形などについて興味や関心をもつようになる。」、こういうことを言っているわけです。そして「具体的な事物によって、量の大小を比べる。」と、幼稚園の幼児にそういうふうにさせるというんでしょう。「量の大小を比べる。」と、この「比べる」ということについても、「比べる」ということは一体どういうことか、わからせるということだというふうに受けとめている先生もいらっしゃいます。気づかせるというふうにとっている先生もいる。その場合に非常にやることが変わってくる。わからせるというふうになると教えるというんですね。そうじゃなくて、ここの「比べる」というのは気づかせるという、そういう意味にとるべきなんだと、こういうお話なんですね。非常に私はむずかしいと思うんですね。そのほかにも、音楽のリズムを教えるというところでも、「のびのびと動きのリズムを楽しみ、表現の喜びを味わう。」といっても、親のためにうまくやらせる、親を喜ばせるための作業みたいになってどっちが喜んでいるんだろう。  こんなふうに、この要領というものはもっとわかるような解説を必要とするんじゃないかなというふうに思いました。そういう点で、ある幼稚園とある幼稚園とはやっている教え方が大変に違っているという点を思いますので、ぜひこういうところもこの要領などももう少し研究された方がいいんじゃないか、こういうふうに提案申し上げるわけでございます。  次に、その幼児教育内容と質の問題でやはり大きな影を持っているのはその担当者だと思います幼稚園でいえば教諭、保育所でいえば保母、またそれぞれの施設の長である施設長の問題であると私は思うんです。そこで、保育の担当者である幼稚園の教諭と保育所の保母の養成というのはどのように行われて、またどういうふうに違うのか、この点文部省、そして厚生省にお聞きしたいと思います。
  105. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 幼稚園教員の養成は現在四年制大学、短期大学及び指定教員養成機関の三者によって行われているわけでございます。四年制大学で幼稚園教員の養成に当たっておりますものの数が九十二、ここでは一級免許状が出るわけでございます。短期大学と指定教員養成機関の数が二百六十四、ここでは二級免許状を付与するわけでございますが、合わせて三百五十六の養成機関がございます。
  106. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) 保母の養成方法につきましては、保母資格を取得する方法といたしまして厚生大臣の指定いたします保母養成所を卒業する場合、それから都道府県知事が実施いたします保母試験に合格するという二つの方法がございます。現在保母養成所を卒業いたしますのが約七二%を占めている現状でございます。なお、保母養成所は先ほども申し上げましたとおり、おおむね短期大学内容に準ずるものでございます。
  107. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 幼稚園の教諭も保育所の保母も養成においては年限は二年、特に一級の免許状を取ろうとすれば四年制の大学に通うわけですが、そしてそこで履修する教科目に若干の違いはあるけれども、大体同じだ。しかも、保母養成の大部分を担っている短大の保育科あるいは保母養成指定校、こういうところの四分の三が保母と幼稚園教諭を養成できる、両方を養成できる共通の指定機関になっているわけです。そこで、教育内容、実習など十分検討した上で、幼稚園教諭の資格も保育所の保母の資格も同時に取得できるようにできないものか、資格、養成の一元化、これができないものかと思いますので、文部省、厚生省にお尋ねしておきます。
  108. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 先ほど来御議論のあるところでございますが、現在のところ、幼稚園は、幼児を保育して、適当な環境を与え、そしてその心身の発達を助長することを目的とした学校でございますし、保育所の場合には、保育に欠ける児童、乳児、幼児等を日々保護者の委託を受けて保育をすることを目的とした児童福祉施設でございます。そのようにそれぞれの目的、機能を異にいたしておる現状でございますので、やはりその教員あるいは保母の養成ということにつきましてもそれぞれに応じた養成が必要であって、その資格取得の一本化というのにはかなり慎重に検討を要する問題があるように思われるわけでございます。  ただ、実際問題としては、先生御指摘のように、現在の幼稚園教員の養成機関中保母資格も同時に取得し得る機関の数が短大のレベルで申しますと七九%を超えております。そういった形になっておる背景には、幼稚園教諭と保育所の保母の養成における教育課程がかなり似通ったものになってきている。もちろん保育所の場合には低年齢の乳幼児を取り扱いますので、幼稚園とは違った配慮教育課程にあるわけでございますが、それにしても幼稚園の側から見ればかなり似通ったものになっておりますので、そういったいわば短期大学で両方の免許状を取るというような措置がとりやすくなっている現状でございます。そういった方向をさらに進めるということでしばらくは対応さしていただきたいと思います。
  109. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) ただいまの文部省からの御答弁で尽きると思いますが、保母という職種は保育所だけでなく、広く児童福祉施設において従事する資格要件でもございますので、ただいまお話がございましたように、一般幼児教育をも担当する養成課程におきましては、福祉あるいは保健といったような専門科目につきましても必修とような配慮もなされておるわけでございます。こういった問題につきましては、直ちに一元化というようなことは困難ではあろうかと思いますけれども、ただいま文部省からの御説明がありましたとおり、そのことであろうかと思います。
  110. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次に、施設の長である幼稚園の園長の位置づけ、資格、職務内容、これは法令上どうなっておりますでしょうか。
  111. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 幼稚園の園長も学校教育法上は、幼稚園も学校でございますから、小・中学校の校長さんと同じような立場になるわけでございます。その資格につきましては、現在の省令では、原則として教諭の一級免許状を持って、かつ五年以上教育に関する職の経験があるということになっておるわけですけれども、経過的には一級免許状がない場合、二級免許状でもよろしいということになっております。それから私立の幼稚園の場合は、この免許状を持っておらない方でも幼児教育について高い識見をお持ちの方もおられるわけでございますので、そういう場合には、五年以上の教育に関する職の経験を持っておるところの高い識見を有する方ということでよろしいことになって、私立の特例とし、ておるわけであります。園長さんの仕事としては、校務を処理し、所属職員を監督するということで、小・中学校の校長さんと同じようなお仕事をしていただくと、こういうことになっておるわけでございます。
  112. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、いまちょっとおっしゃった私立の幼稚園の園長の場合ですが、設置者が最初つくったときの園長は、よそから有資格者を雇う、いわゆる雇われ園長と言われているそうですけれども、そして五年たつと、五年という資格があれば園長になれるというので、その雇われ園長をやめさせていわゆる園主が五年という資格を持って自分が園長になる、こういう例が非常に多いと聞いております。いまのお話ですと、高い識見を持った方がというふうなお話ですが、高い識見を持っている人は少ないんじゃないか。これは真剣に幼稚園教育に携わっているある園長さんの話なんですけれども、園主は土地を持っている、土地があるから農業をするか、もう疲れるからやめよう、駐車場でもやっか、ふろ屋でもやっか、ガソリンスタンドでもやっか、いや幼稚園をやるべえというんで、そういう人が幼稚園の園長になっている。こういう、これは少し悪口めいたことも入っているようですけれども、事実私は、私立の幼稚園にはそういう文部省でお考えになっているような高い見識の人ばかりじゃないじゃないか。そこで、非常に重要なポストであり、幼稚園の教育内容の水準向上のためにはどうしてもりっぱな園長という者が私はどうしても必要である。そこで、園長の資格を十分に検討して、文部省の考えていらっしゃるような高い見識の者が園長になるようにしていただきたい、もう少し検討する余地があるんじゃないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  113. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 今日の学校教育制度のたてまえは、この私立教育施設の設置について、そうした単に土地があるからとか、お金があるからというような人が一種の企業的な考え方で学校あるいは幼稚園を設けるというようなことは予想してないわけでございます。したがいまして、その基準もきわめて抽象的に、高い識見を有する人ということで、その設置者あるいは校長の自主的なそういう規制を期待しておるというたてまえでございますが、現実には期待に反して、おっしゃるようなケースがあることは認めざるを得ないわけでございます。したがいまして、それならばもっと規制をきつくすればよろしいではないかということになりますと、これまた一概にすぐ規制すればよろしいというものでも私はないだろうと思います。思いますけれども、先生の御指摘の点もきわめてごもっともな、私どもも考えなきゃならないというふうには思うわけでございますので、なおひとつ検討をさしていただきたいと思います。
  114. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 保育所の場合をお聞きいたしますが、保育所の方はどうなっておりますでしょうか、施設長は。
  115. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) 保育所の場合の施設長につきましては特段明確な規定はございませんが、児童福祉施設の最低基準におきまして、まず施設従事者というものは、児童福祉事業に熱意のある者、できる限り児童福祉事業の理論及び実際について訓練を受けている者と。さらに、これは公立の施設長でございますが、児童福祉事業に二年以上従事した者であって、児童福祉施設を適切に運営する能力を有する者と、こういうような形になっております。実際私どもも、私立も含めまして保育所の施設長は保母ないし児童指導員の資格を有することが望ましいという旨の指導を行っているわけでございます。
  116. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 保育所の場合は法令上非常に不明瞭になっていると思います。熱意のある者と言われて事足りたのは昔の話であって、やはり保育所がここまで充実され、幼児教育の担い手にもなっているこうした現状から、施設長の位置づけ、資格、職務内容、これを明確にすべきだと、こう思いますが、厚生省のお考えはいかがですか。
  117. 川崎幸雄

    説明員(川崎幸雄君) 保育所長の設置あるいは資格等につきましてもっと明確にすべきではないかという御意見でございますが、この問題につきましては、児童福祉施設全般の各種職員の資格、身分との関連の問題もございまして、直ちに現段階実施するということにつきましては困難であろうとは思いますが、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
  118. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この施設長の問題に対して文部省にお聞きしておきたいんですが、資格の点でも幼・保の一元化ということを図る方向検討されるべきじゃないかと、こう思いますが、文部省いかがですか。
  119. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) その点は、一元化という要請が一つありますと同時に、やはり幼稚園は小学校の前段階としての教育機関という役割りを持ちますし、保育所は福祉施設としての性格も持つわけでございますから、やはりそれらを総合的に考えて相談をしていくということにしてまいりたいと思います。
  120. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次に、幼稚園の保育料の父兄負担の実態についてお尋ねいたしますが、幼稚園の場合、公立私立父兄負担の実態はどうなっておりますでしょうか。——それから厚生省の方ありがとうございました。
  121. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 昭和五十二年度の保育料等の全国平均額という調査がございますが、それによりますと、まず入園料が、公立の場合は四百五十円、私立の場合が三万九百七十四円、それから保育料の年額が、公立の場合の平均二万三千八百五十五円、これに対しまして私立が十万五千四百三十五円でございます。したがいまして、合計いたしますと、公立が年額二万四千三百五円に対しまして私立が十三万六千四百九円と、こういうことになっております。
  122. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 父母負担の公私格差、これは何とか是正していかなければならぬ。まあ是正はいろいろな点で行われておりますけれども文部省調査に示されてもおりますけれども、その格差というのがますますひどくなってくる。こういう傾向を思いまして、より以上公私格差是正を考えていただきたい。どのようにお考えでしょうか。
  123. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) そこで、一つは、私立幼稚園の運営そのものに対して都道府県が助成をするということを奨励いたしまして、都道府県が運営費の補助を支出しました場合には、国がそれについて応分の負担をするということをやっておるわけでございます。もう一つは、就園奨励費という形で特に私立幼稚園に子供を通わしている親御さんに対して保育料の一部を肩がわりする、この二つの施策を並行して進めてできるだけ公私の格差をなくしてまいると、こういうことをやってまいっております。
  124. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、就園奨励費についてお尋ねいたしますが、就園奨励費は、五十一年度で見ますと幼稚園のある市町村の数が二千百四、このうち就園奨励費を実施している市町村の数が七五%に当たる千五百七十八です。残りの五百二十六の市町村に住んでいる人は、せっかくのこの奨励費を受けられないという、こういう不公平が生じております。この五百二十六の市町村に住む人たちのために、どうして実施しないのか、何か理由があるのか、実情をお聞きしたいと思います。
  125. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 確かにこの全国的に幼稚園の設置されておる市町村のうち、就園奨励費を実施しているのは御指摘のように七四%だということでございますが、今度はその一体就園奨励費支給の対象となっておる親なり子供の比率はどうかという方の計算をしてみますと、公立幼稚園に行っている子供につきましては、就園奨励費を受けておる者が七六・三%、それから私立幼稚園に行っております子供は九八・五%ということでありまして、これから逆に推定しますと、要するに小さな町村等で村立あるいは町立の公立幼稚園が一園くらいしかないというようなところは就園奨励費の手続をとってない、私立幼稚園とあわせあるところは当該地方団体で就園奨励費の措置をしておるというのが大体実態だろうと思います。それはまあ公立幼稚園であると比較的経費が私立に比較して少なくて済むというようなこともあって、その事務の簡素化といいますか、そういうようなこともあるんだろうと思いますが、実施率が下がっているということでございますが、しかし、私どもがこの施策を実施した趣旨からすれば、全部の市町村でやってもらいたいわけでございますから、今後も引き続きそういう点については県を通じまして就園奨励費の支給に踏み切ってもらうようにさらに指導を強化してまいりたい、かように思うわけであります。
  126. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 新潟県の例をとって調べてみましたんですが、実施していない十五の市町村のうちの半数は私立幼稚園なんですね。保護者は非常に高い負担をしているわけです。こういう市町村に対して文部省としてはどのように対処しているか。まあ実施するようにしたいというだけじゃなくて、もう少し具体的に、じゃこのような市町村のうち、新潟の場合に半数が私立幼稚園しかないわけなんですね、そういうところに就園奨励費が渡るように具体的にどういうふうになさろうとしているか。
  127. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) これはその制度の運営を、まあ第三者的に申し上げて恐縮ですけれども、やはり市町村が実施主体ですから、市町村がやろうと言わなきゃこれはどうにもならない。そこでわれわれとしては、せっかく国が予算を準備しているんですから、貴県の管内の市町村で幼稚園を置くところはみんなやるようにひとつ指導してくれということを県を通じて指導するということでいっておるわけでございまして、それは毎年次年度の予算が決まる段階でやっておるところでございますが、来年引き続きそのような指導を強化して新潟県下の全市町村が踏み切るように私ども努力をいたしたい、かように思うわけでございます。
  128. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、就園奨励費は国が三分の一を補助している。交付税のない東京二十三区などはこの残りの三分の二を負担しなければならない。交付税のある市町村でも公立幼稚園の少ない現在は三分の二というものを負担する。これは決して軽いものではないと思うんですね。こういう点で、就園奨励費が父兄に渡るようにするためには、やはり国の補助率を引き上げるということが私は必要だと思うんですね。そういう点で、この補助率三分の一を引き上げる考えがおありであるかどうか。
  129. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 確かに、この点だけを取りまして御指摘がありますと、もっと国の補助率を引き上げれば市町村もやりいいだろう、まさにそのとおりだと思います。しかしながら、国の幼稚園に対する施策というものは施設・設備の整備その他いろいろあるわけでございまして、それらに対して国がどのぐらいの負担でもってこれに臨むかということは、やっぱり総合的に考えなければいけないことだと思います。そういう意味で、いまこの就園奨励費の問題を見ました場合に、大体幼稚園に対する施策というのは、国は負担率三分の一というのが一般的なやり方でございます。そこで、まあいまのところは補助率を引き上げるというよりも、肩がわりする就園奨励費の限度額でございますね、これが現在六万円ということになっているわけですけれども、それをもっと引き上げて一番低所得階層のところに実質的にもう少しお金が入るようにしたいということで、それを実施するために市町村が協力していただくということはこれはやっぱり不可欠でありまして、国が負担率を増して市町村の方はいいからおれの方でやるというわけにはなかなかいかぬという点もございますので、御理解いただきたいと思います。
  130. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 幼稚園の特に公立幼稚園の建設についてですが、公立幼稚園施設整備費補助金、この実績を見てみますと、五十年度、五十一年度、両方とも予算を大きく下回っている。予算を使い切っていない。五十一年度の新設公立幼稚園数の実績は、計画のわずか三六・七%という低さ、計画どおりにいくどころか三六・七%。これを最初の四十七年度からどういうふうになっているかということを見ますと、最初の四十七年度は公立幼稚園は一〇〇%計画どおりに建っている。次の四十八年度は八五・八%、四十九年は七三・三%、五十年度は四十九・一%と、がたっと落ちている。さらに五十一年度は三六・七%、公立幼稚園は計画どおり建っていない。建っていないどころか、建てなければならない千六百四十二園に対して九百九十一園しかできていない。そして、五十二年度、五十三年度は、この調子だったらますます低下していくんじゃないかということを心配するわけですが、この理由として市町村財政の悪化ということが言われております。これはわかり切った理由でございますが、これを文部省としてはどのように振興計画を達成していくか。まあ最初大臣の御答弁にも振興計画を立ててやっているというお話でございますが、現状はこういうような心細い状態になっているわけです、いかがでしょうか。
  131. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 過去二、三年の実績は御指摘のとおりでございます。そして、それがかなり地方財政の実態を反映しているということも事実でございますが、五十二年度の現時点におきます見通しを申しますと、補助を申請しております面積も五十一年度よりはふえておりますし、したがって、補助の実施額も昨年より上向きになってきておると、こういうことでございますので、まあいままでの経緯はそういうことでございますが、これからさらに新設につきまして一層指導を強化して、より多くの要望にこたえるようにその数を増加するよう努力してまいりたいと、かように思うわけでございます。
  132. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 これは都内のある区の例ですけれども、定員百三十人くらいの幼稚園をつくるのには約五億円かかる。さらに維持していくのにはお金がかかる。それよりも、毎年一園新設するつもりでこの五億円を区内の私立幼稚園の児童を持つ保護者に一律補助として給与した方がいいと、多くの保護者のためであると考えていると、そしてそれを実行しているところがあるわけなんですね。まあ五億円かけて百三十人だと、それよりもそのお金を保護者に渡した方が喜ぶし、その方がいいという、こういう考えなんですね。文部省はこういう考えに対してどう思っていらっしゃるのか。またそういうことが事実行われているわけです。これにどう対処していくおつもりなのか。
  133. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 市町村におきましては、当該管内の幼児について幼稚園教育を普及させるために幼稚園を設置し、これを運営していくという立場にあるわけでございますから、もちろん文部省としては、市町村立の幼稚園の設置をこれまでも十分進めてきたところでございます。しかしながら、一方、この幼児教育というものは、私人の立場において私立の幼稚園がそれなりの独自の教育方針を持って設置し、運営していくということにも非常な意味があるわけであり、また現在そういう私立なるがゆえに独自の校風を持つ幼稚園もあるわけでございますから、これを一概に全部公立でなきゃいけないとか、あるいは私立が困るとかいうことではないのでございまして、それぞれの特色を考えながら当該市町村が関係者と相談をして適切な配置、設立をしていただきたいと、こういうことでやってきておるわけでございます。
  134. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それはよくわかりますけれども、実際ある区でこういう方針でやっているところがあるわけなんですね。その区に対してどう対処していきますのですか。
  135. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 五億のお金をかけて一つの公立幼稚園をつくるか、そのお金を就園奨励費に振り向けるかと、こういう御指摘のようでございますが、それはやはり区自身の判断であり、また将来そういうふうにすることによって公私の幼稚園を区としてはどういうふうに持っていこうかという判断があってなさることだと思いますので、私の方でそれはどうであるかというふうな判断は差し控えた方がよろしいかと思うわけでございます。
  136. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 文部省が計画を立てているんですから、もっと公立幼稚園を建てる計画に対して熱意を持ち、積極性を持って私は言うべきことはおっしゃっていかなければならないと思うんですね。  先日発表されました「幼児教育関係施設の整備計画等に関する調査」、これを拝見いたしました。これは現状を把握するとともに五十七年度当初までの必要施設数をも調査しているわけです。ところが、この現状把握のところだけが調査結果として発表されていて、五十七年度の当初までの必要施設数の調査のところが全然発表されておりません。これは人口の変動等非常にむずかしい要素を持った面でございますけれども、この五十七年度当初までの必要施設数を調査した調査結果というものは一体どうなっているんでしょうか。現在振興計画の延長線上にある数字がこう出たのか、それともかなり乖離があるのか、大ざっぱでもお聞きいたします。
  137. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) これは先般も御質問ございましたけれども、官房の方でやっておる調査でございまして、私ども直接はタッチしてないんですけれども、現在のところ将来の計画については集計中であるというふうに聞いておりまして、まだ発表されるような段階には来ていないというふうに聞いておるわけでございます。
  138. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そうしますと、いまのところはわからないというわけですね。——それじゃ、いつごろこの結果が出るんでしょうか。
  139. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) その点につきましてはその担当の官房の方へまた照会いたしまして御返事をさしていただきたいと思います。
  140. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 できるだけこの調査結果を見せていただきたいと思います。ひとつ、資料の提出をお願いして終わりにいたしたいと思います。ありがとうございました。
  141. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 大臣にお伺いをいたします。  十月二十日の予算委員会の際に、わが党の橋本議員の質問に対して三原防衛庁長官は、有事を考えると平素から教育の場で君が代問題について教えることが必要だ、学習指導要領に入れられないだろうか、ということを海部文部大臣に対して申し上げた、というふうに発言をしておられますし、また、この内容は防衛庁発行の「国防」の八月号にも記載をされておるわけでございます。その際に、学習指導要領に関する意見交換の場で申し上げた、というふうにも答弁をされておるわけですが、文部大臣、これは実際そのとおりだったわけですか。
  142. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 予算委員会でそういうやりとりがあったことは覚えておりますし、それから私自身に対する御質問もございましたので、そういう意味で取り入れておるものでは決してございません、という御答弁も申し上げました。なお、三原防衛庁長官との件に関しましては、閣議の始まる前に私たちはよく待合室でいろいろお話をいたします。そういうときに三原防衛庁長官とはお話をすることはございます。また、宿舎が同じところで、同じエレベーターにいつも乗りますのでよく乗り合わせることもございますが、特に事を構えてこの学習指導要領にこういうことをしてほしいというような会合を持ったこともございませんし、そういう公式的な話し合いを防衛庁長官と文部大臣でやったということは全くございません。
  143. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 これはいわば私的な形で話されたのであって、特段に公的な申し入れを受けたことはないと、こういうことですか。
  144. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 特に公式にそのことで会ったとか、会合を持ったとかいうことではございません。ただ、学習指導要領発表される前に三原防衛庁長官が、あるいは私は、閣議の前の話か、あるいは閣議へ行くときのエレベーターの中か、とにかくそういうときによく話をしますけれども、日の丸、君が代の扱いのことについて言われたことはございます。けれども、そのときはもうすでに私どもの方ではいろいろ研究、検討も進んでおる後でありましたから、どうぞ見ておってくださいというような軽いやりとりをやったと思います。
  145. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 海部文相の答弁はなかなか民主的な姿を持っておるわけですが、実際には三原長官の方ではいわば公式な態度表明として長官として意見交換の場で申し入れたということを公的の場所でも答えておられるわけですけれども、それでは事実と違うということになるわけであります。その政治効果はかなりのものですね。結果において、学習指導要領の中のこの音楽の教材の部分と、さらには学校行事の部分の中で、国歌という文言が挿入をされるという結果にもなっておるわけであります。いまの文部大臣の答弁であれば、これは雑談の程度に聞きおいたというようなことだけれども、後で記憶がございませんでしたが、実は、というようなことにはならぬでしょうね。
  146. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 覚えておることを率直にそのままお話をしておるわけでございまして、公式にその学習指導要領について意見の交換の場を持ったことはございませんし、それ以上事を構えてこうしてほしい、ああしてほしいという話をしたこともございませんし、私の記憶はそれだけでございます。
  147. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 別にこの問題について閣議で話し合われたとか、何がしかの合意の上に立って、この国歌ということを今度学習指導要領の中に挿入されたと、そういうことではなくて、これは文部大臣の責任において学習指導要領の中に国歌という用語が入ったと、こういうふうにお聞きしていいわけですか。
  148. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) そのとおりでございます。
  149. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 そうすると、君が代は国歌なわけですか。どうなんですか。
  150. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 私どもといたしましては、きょうまでいろいろな世の認識の中で君が代は国歌として国民の間に定着をしたと、こう判断をしております。
  151. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 法制局なんかの見解を聞いてみましても、国歌ということになれば法定するのがこれが当然のことだろうと思うし、国民の意識に定着し云々の大臣の答弁もありますし、そういう状況を見て決めるという場合でも、最低国会決議なり、あるいは関係省庁の協議が必要だというふうな見解も聞いておるわけですけれども文部省のいわば独断で国歌というふうに学習指導要領の中に記入されたということになれば、それは限定された範囲に効力をもたらすものであって、学校の先生にとっては国歌だけれども国民にとっては国歌でないと、こういうことになるのではないでしょうか。
  152. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 私どもはそういうふうに受け取らないで、むしろ国民の間に国歌としての認識が定着し、また国際的にもそういうふうにもう扱われておる。しかも国歌というものはいろいろな国でそれぞれの違いはありますけれども、必ずしもいま先生おっしゃるように、法制化して初めて国歌になるというものでもなく、慣習で扱われておる国、そういったものがあるわけでありますから、私ども国民の認識の間に国歌として定着をしておる。政府もいろいろの国会の御議論の中で、日の丸は国旗、君が代は国歌と考えておりますと、こうお答えを続けてきておるわけでありまして、国民の皆さんの間に認識として定着したというのが前提でございます。
  153. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 これは今度学習指導要領に入れたことによって発したのではなくて、その点は従来から国民の間に定着をしておったから国歌だと、こういうふうに言われておるようにも聞こえるのであって、今度学習指導要領に入れたことによって何ら別の事態が発生したのではないと、従来どおりと、こういうふうに聞いてよろしいわけですか。
  154. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) そのように理解をしております。
  155. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 きょうは、その問題はここまでにしておきたいと思うのですけれども、いずれにしても学習指導要領というものがその範囲とするものはこれは子供は学習をする方で、教育を受ける方ですから、教育する側に学習指導要領で基準を示すと、その基準の中に、もともとから君が代というのは音楽教材では「ものとする。」というような表現で記述されており、それから学校行事の方には「望ましい。」というような方向で記述をされておった。今度特にああいう措置をしたけれども、従来どおりのことを文言上そういう取り扱いをしたのであって、変わらないという見解を持たれておる。いずれにしても、これが及ぶのは教育委員会が規則を決めるときとか、それから学校の中で授業をするときとか、それから教育課程を定めるときに基準としてながめるのがこれが学習指導要領であって、具体的な取り扱いに変更はないと、そこまでの答弁をいただいておきます。  続いてお伺いをするわけであります。先ほど教科書の無償の継続の問題については大臣からかなり明快に答弁をされましたから、文部省の答弁としては満足をいたします。しかし、問題は、大蔵省の方がああいう態度を改めるかどうかというところに問題があるのであって、これは閣議の中ででも確認されない限りなかなか安心ができない問題だ、文部大臣も非常に楽観しておられるのか、それとも大変だと思っておられるのか、その辺も含めてお伺いをしたいのですけれども、三百七十億円、児童一人について千七百円と、こういうものを国民にも定着をし、ある時期以降は福祉元年などと言うて、こういうものを押し広げていこうとされる状況が後戻りするということは一体何を意味するのか、問題は、金額もありますけれども、進んだ行政が後戻りするというところに非常に悪い影響、大きな意味があると思うわけでありまして、この三百七十億円というのが財政問題としてこの負担に耐えられなくて大蔵省の方はこういう問題を出ておるのか、一体どういうことなんでしょうね。
  156. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) これは先ほどもお答えしましたように、大蔵省が正式に決めたわけでもございませんし、それから新聞報道を私どももいろいろ読みましたけれども、少なくとも文部省といたしましては、そういう財政上困るからどうとか、あるいは他のいろいろな理由があったにしましても、これは国会の御審議も経て憲法の精神に従って定着しております制度でありますから、文部省はこれを大切に守っていきたいと、こういう考え方で折衝に臨んでいます。
  157. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 財政審議会で大蔵省の意向が伝えられたというふうに新聞では記述をしておるわけでありますが、おおむね伝えられておるところでは、やっぱり財源カットと、そのために部分的に一部分からこれを減らしていくというようなことを書いておるのですが、若干飛躍いたしますけれども、すでに定着をした財源と違って、新規財源の要求をしている部分もあるわけですが、主任手当を導入すると幾らお金が要るわけですか。
  158. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 主任手当をどの範囲に支給するかということによって財源は違ってくるわけでございますが、従来文部省が人事院に対して学年主任、教務主任、生徒指導主任等を対象にしてくれということでお願いをし、それを受けて人事院が一日二百円という単価で考えるということがそのまま実現するとしますと、国庫負担額は大体四十億ぐらい、こういう見当になります。
  159. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ぼくは四百七十億というふうに聞いておるんですが、違いますか。
  160. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 第三次給与改善一年次分の国庫負担総額が二百二十億でございまして、その大部分がいわゆる義務教育等教員特別手当の支給率を四%から六%に引き上げるに要する財源ということになっておりますので、主任手当だけではとてもそういう金額にはなり得ないと思っております。
  161. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 これは義務教育費半額負担法による負担分と、これらの問題を全部除外して、国に関係する分だけここで言うからそういうことになるのであって、これは間違いなく数百億の財源を新規に必要とするものであります。政策上必要と考え、そうしてこれをやろうということになったら、まあ全党合意をしておる育児休職の手当やこういうものも振り飛ばしてでも数百億円の金を投じようとされて、一方ではこの財源縮小の名のもとに、教科書の無償というようなものがやり玉に上げられて、国民全体が非常に憂慮をしてながめておるというようなことは、今日の状況下で少なくとも文教に籍を置く者としてはとうてい許すことができないというふうにも思いますし、先ほどから決意は伺っておりますけれども、少なくとも新規予算のものは異論のあるようなものの場合には猶予をしながら慎重に見るとしても、定着をしたものを、いやしくもここへ手がついてきて切り落とすということになれば、当然福祉切り捨てのエスカレートの一翼も担うと、こういうふうに見ますので、何分早期にこの問題を明らかにして解決を願いたいと、そういうふうに思います。ひとつがんばってください、もう一遍聞いておきましょうか。
  162. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 何度申し上げてもこの制度を私どもが大切に守っていこうとしておる気持ちには変わりございませんから努力をいたします。
  163. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 先般、九月の何日かの朝日新聞に、大阪における大東市深野小学校というところで起こっておる問題について、かなりの紙面を用いて報道をしておるわけであります。同和教育でPTA分裂と、まあ地区のないところですけれども、ここにまあ推進校として設置をされる、こういう状況になりますと、いわゆる解放教育というものが持ち込まれて問題だと、こういうようなことで問題が起こっておるという報道が行われておるわけであります。  私はまあ、特にこの問題につきましては、同和対策事業の特別措置法も期限切れを二年後に控えて、内容についてもさまざま検討しなければならぬ時期だと、本日もかなりのデモの部隊が国会前を通っておりましたけれども、こういうときに今日の同特法下で生起しておる問題としても、ひとつ状況をお調べいだだいて、適切な指導、助言をされるべきではなかろうかと思うわけです。あらかじめお尋ねもしておいたわけですけれども、初中局長からひとつこれについての見解を聞きたいと思います。
  164. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) お尋ねの件につきまして、まだ細かいところは私も調査をしてもらっておるわけでございますが、大体の経緯というものは、その大東市におきまして深野小学校の校区に同和地区を有する学校ということで大阪府の方に協力依頼をして、そのための教員の定数を二名増員してもらったと、それによってまあ当該学校の同和教育を一層推進、充実しようと、こういうことを計画されたようでありますが、それに対しまして、この小学校のPTAの皆さん方が、同和教育推進校として指定をし、先生を二人ふやしてやるという学校の教育方針について十分相談にあずかってないし、内容的にも問題だということで、それを取り消しなさいということで学校当局と話し合いになり、しかし、学校の方ではそれに応じないと、こういうようなことから、ついにPTAが解散するというようなところにまで至ったようでございます。  そこで、私考えますのに、学校の校長さん以下の当局も、それからPTAの皆さんもひとしく同和教育を適正に実施して、同和教育としての内容充実を図りたいという、その熱意においてはどちらも同じだと思うのでございます。ただ、具体的あり方等について不幸にして意見が合わずしていろいろ問題を起こしておるということでありますので、やはりこの問題は、市、府等を通じまして十分その当事者の間で話し合いをして問題が解決できるように努力してほしいというふうに要請を続けていくというのが第一ではなかろうかというふうに私は考えるわけであります。
  165. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 何事にもルールがあるのであって、同和加配を行う同和推進校、これは大阪市でもこれについての一定のルールを持ってやっておりますが、これは同和地区を有することと、こうなっております。ここの場合には同和地区はないわけであります。ここに改良住宅がつくられて何戸かの者はそこへ居住するようになった。これも同対審答申などをながめますと、同和地区の環境対策は地区の実態を根本的に解消する目的に沿うものが必要で、改善された部落などというものをつくってはならないというようなこともきっちり述べているわけでありますけれども、ここで地元の部落解放同盟の一部の諸君から申し入れがあって、そこの子弟が少数であれ通学するようになるんだから、ひとつ指定校にしろという要求があり、それを受けていわば通常の枠にはかからないものをかけておるわけであります。ひとつ、文部省の方からケースを示してもらえばいいのでありますけれども、地区を有し、そして有しない場合には何名の子供が通学するときというようなケースには全くかかっていないわけであります。同時に、周辺の学校において指定をされた学校では、解放教育という名のもとにさまざまな偏向教育が行われておる。たとえば狭山学習というので、これは他の地域の学校ですけれども、同様なケースがたくさん出ておるのは、授業のときに狭山裁判の中で出てくる脅迫状が教材に使われて、漢字の書き取りにひらがなで書かれた脅迫状が出てきて、それを漢字に直すようになっておるんですね。すべての教室の中の授業というのをこれに結びつけて、基礎学力というものは解放学力でなければならないというようなことが行われていくという、こういう実態に対して地域の父母は、そういう状況になれば教育委員会側がいわば特定団体の言うことは何でも聞くというような状況で、それに対して異を唱えるような者は学校を追い出されたり、何かをいたしまして、偏向教育の場になるということを恐れて話し合いを求めておるのでありますから、その辺のところを見ていかなければならないと思います。  これも資料として差し上げておきましたけれども、そういった特定団体が力を占めた学校教育の場で、住民の要求には耳を傾けずにその言い分ばかり聞いて、ルールも無視するような行政ができ上がりますと、その下で一体どういう教育がやられるのかというのを二つばかり例示してごらんに入れたいと思うのです。一つは、吹田の中学校で配られたものでありますし、一つは、いま申し上げた大阪市の西成区の小学校で配られたもの、漢字の書き取りにこういうことをやられますと、父母の方では脅迫状の書き方の練習をするのかと、学校で。こういうことになりまして非常に憂慮をしておりますし、一事が万事であるというようなこともあるんです。吹田の中学校で行われておる、これは中学三年生の修学旅行の前のために配ったしおりなんです。普通だと、行く先とか、まあ旅行案内のようなことを書くものなんですけれども、多分担任の自画像かと思う長髪の青年が表紙にございまして、ゴキブリと遊んでおるわけでありますが、これの最後から二ページ目などは驚くべきポルノの文章が記載をされて、これは生徒にみんな渡しておるわけですね。これが解放教育であり、実力をつける教育であるのか。「女のもだえる時」以下略しますけれども、読むにたえないです、これは率直に言いまして。最後はギターはむずかしいものだということになって、その間ポルノの文章が出てくるわけですね。簡潔にごらんになったとして、こういうことが今日の状況下の中で正常な学力の基礎を担うべき公教育として許されていいのか。この点について、局長ごらんになったですか。ひとつ見解を聞きたいと思うんです。
  166. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 前段のその同和地区上しての指定の問題でございますが、確かに文部省では、全国各都道府県に二校ずつ同和教育推進のための研究指定校を指定いたしております。それでその場合には、その学校を取り巻く地区についてどれだけ同和地区があるかとか、そういうことを条件にいたしておりますから、それに外れた指定はいたしておりません。ただ、御指摘のこの小学校というのは、府独自の立場でこれは同和地区として指定をしておるわけでございますから、先生御指摘のように、それが基準としておかしいのかどうかということは、府の基準としてそれがどうかという、むしろ府の判断にまつことだろうと思います。  それから、いま御指摘がありましたような具体的教育、教材の内容の問題でありますが、端的に申しまして、私は何も同和地区に限らず、およそ学校教育の場におきましてポルノに近いような文章を使わせるとか、あるいは脅迫文を漢字に直させるとかいうような教材を使うことはあってならないということは一般的、普遍的な原則として当然そうあるべきだというふうに考えるわけでございます。
  167. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いまの局長の答弁でも、もちろん同和教育の場であれどこであれ、こういうものは非教育的なものであって、許されるべきものでないという御答弁をいただいているわけです。ほかの学校でこんなものは通用しませんよ。こういうものを批判すればPTAが解散されてしまうような状況になるから、こういうものが平気で流されていくのであります。そうして、ときにはヘルメットをかぶって有給休暇を使ってデモに参加したり、けがをして学校を休んだり、集まれば養護学校紛砕論を述べたりして、それに行政が一定の範囲で動かされておるというところに偶発性でない問題があるということを私は指摘をしておるわけであります。  こういうものがなぜ一つならず多数のところにグループのように出てくるかと言えば、それを是とする方針が学校で立てられるからなんですね。つまり、父母が憂慮しておるこの小学校の隣の地区内にある北条小学校という学校の学校教育計画の中にある「学校経営の重点とその対策」というところに一体どういうことが書かれておるのか。これは校長も含めて確認をしておる方針でありますけれども、これは五十二年度のものです。「解放への学力を身につけさせる」、——「解放への学力」というのがどういうことかはこれだけ見ればよくわからないわけですね。しかし実際の教材を見ると、漢字の書き取りでこういうことをやるということが「解放への学力」になっておる。それで「解放運動と連帯し、自らの解放をめざす。」と、これは具体的には狭山裁判の問題のときに東京にデモに来るとか、初めは学級編制をして、そして教員の指導で街頭行動を生徒とともにやるとか、そういうことを意味するわけであります。そして、解放教育充実に当たっては、行政闘争を学校、地域ぐるみで行うと、こういうふうになりますから、PTAが言うことを聞かなければ校長は、本意でないかもしれませんけれども解散を宣言したり、教職員を脱退せしめたりするわけであり、PTAが批判すればこれは憲法違反の差別発言であるなどと校長が公文書を出すというような状態になる。こういう状況を正しいものの方向へ導くためには、兵庫県のあの教育委員会が三年ほど前にどのぐらい暇と手間をかけ、どのぐらい大きな犠牲を出しながら一定の変換をしていったか。こういうことを見ますと、これらの問題についてはずいぶんと文部省でも指導内容についての影響力は持っておられるわけですから、やっぱり各府県における実態とか個別の事象を見て御指導をされなければならぬと思うんです。  あなた方の方でどうでしょう、解放への学力という学力があるのかどうか。行政闘争を学校、地域ぐるみで行うということを学校の教育方針にするというのは偏向でないのか。それから、運動と教育の分離ということがあるわけですけれども、学校の教育方針に、解放運動との連帯でみずからの解放を上げると、こういうことを書き込むというようなことがあるのか、この点についてひとつ御意見をお伺いしたいと思うんです。
  168. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 文部省ではことしの七月に「同和教育資料」というのを出しておりますが、その一に、「同和教育の推進について」の基本的な考え方というのを示しておるわけでございますが、その三に、「同和教育を進めるに当たっては、「教育の中立性」が守られるべきことはいうまでもない。同和教育と政治運動や社会運動の関係を明確に区別し、それらの運動そのものも教育であるといったような考え方は避けられなければならない。」、こう示しておるわけでございますから、この指針、方針に即して各それぞれの教育委員会なり、学校において適切な指導をしていただくということが大切だろうと思います。
  169. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 これらの問題は多くの場合新聞に記載されず、具体的にはその場の中におる人以外にはわからないところで問題が起こるというところに解決の困難性があるのですから、いわば日が当たったら解決の方向というのは半ば達成をするわけですね。この問題につきましても、新聞にも掲載をされるというような状況が出て初めて市議会あるいはその他で質問を出されておるんですが、遺憾ながらいまの局長の答弁とは違って、市議会での教育長の答弁というのは、解放思想というこの学校の基本方針というのは、公教育の課題足り得るというふうに教育長が答弁するというところまで行政絡みになっておるという実態を指摘しておりますから、もう少しこれらの状況について大阪府教育委員会並びにこの現地についても御調査をいただいて、そしてこれに対する是正についてひとつ御報告をいただきたいと思うわけですが、大臣いかがでしょうか。
  170. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) われわれといたしましても、なお府及び市から十分調査資料等をいただきまして、調査をした上で適切な措置が講ぜられるように努力をしたい、かように思っております。
  171. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 終わります。
  172. 吉田実

    委員長吉田実君) 本件に関する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  173. 吉田実

    委員長吉田実君) 次に、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する趣旨説明は二十七日の委員会にて聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  174. 世耕政隆

    世耕政隆君 提案者に自民党の立場から質問を申し上げます。  この法律案、何度も委員会に提出されていろんなかっこうで成立を見なかったんでございますが、一体この法案提案された主な大きな理由、小さい理由はわかっているんですよ、大きな理由はどんな理由でございますか。
  175. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 先般この提案理由の説明に当たりまして主な理由について申し上げておりますが、学校事務職員の場合には、小・中学校においては大体一名で勤務をしている実態が多いのであります。一名であるだけではなくて何校かかけ持ちという場合もあります。これらの事務職員が産休を取りますと、実際には非常に学校事務の遂行上困難な状況が生まれてくるわけでありまして、この問題については学校運営上も速やかにそのような措置をとるべきものであるというのが一つの理由であります。それからもう一つは、同じ学校に勤務をいたしております教育職員と事務職員の間に制度上の差別がございまして、そのために学校事務職員は同じ学校に勤めながら教育職員と違った法律の適用を受けておるために産休が思うように取れないだけではなく、育児休業などの制度にものせてもらえないというような実情もございます。そういうようなことから考えまして、学校の民主的な運営を図ることと同時に、もう一つは、学校事務職員の置かれている特殊な勤務の実態を理解をする場合に、これは学校事務の遂行上速やかに制度化して産休が安心して取れるような状況をつくる必要がある。こういうことからお願いを申し上げているものでございます。
  176. 世耕政隆

    世耕政隆君 文部省の方にちょっと伺いたいんですが、ただいま久保議員の御答弁の中で学校教職員と事務職員との間に差別があるというふうに伺ったんですが、いかなる差別があるのかお伺いします。
  177. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) まあ任用配置上、あるいはそういった点での差というものはございませんが、いろんな身分によります差というものは当然出てくるわけでございます。たとえば給与にしましてもそれぞれ俸給表の立て方が違いますし、給与制度におきましても教員と事務職員とは給与制度が違います。そういった点とか、あるいはいま御議論になっておりますそういった点での差というのは当然出てくるというふうに、現在そういった制度がしかれているわけでございます。
  178. 世耕政隆

    世耕政隆君 それでは、公立学校の事務職員でございますが、私どもよく実態を把握してないんで伺うんですが、全国で何人ぐらいおられるんですか。そのうち女子職員の数はどのぐらいおられるんですか。
  179. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) 公立学校——学校別に見まして小・中学校それから特殊教育諸学校、いわゆる県費負担教職員と言われます職員につきましては、事務職員の数が全体で二万六千百四十四人でございます。これは五十一年五月一日現在でございますが、そのうち女子職員は一万四千二十六人というふうに相なっております。
  180. 世耕政隆

    世耕政隆君 そういたしますと、なぜ女子の事務職員だけこういう形で、この法案にあるような形で取り残されてしまったのか、その実際の主な理由ですね、大きな根拠、それをおっしゃっていただきたいと思います。どちらがよろしいですかな、文部省と両方から御答弁願います。
  181. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) 教員とそれから事務職員の仕事の内容は、先生御承知のとおり、教員は子供の教育を直接つかさどるということでございます。したがいまして、お産で先生がお休みになれば子供に対する教育は中断いたしますので、その場合の補助教員というのは当然必要になるということでございます。一方、事務職員といいますのは一般事務でございますので、いわゆる諸官庁と変わりがない。そういった事務については相互ある程度いろんな人が変わってやれるというふうなことで、同じ女子でございますが、教員と事務職員とではそれだけの扱い上の差が出てきたというふうに認識いたしております。
  182. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) この取り扱いの差が出てきておりますのは、一つは、文部省が学校における事務職員の勤務の実情について正しく理解をされておらない点があるのではないかと私は考えております。一般の行政事務職員の場合と全く同じようなとらえ方をされている点に非常に問題があると考えております。提案理由の説明でも先般粕谷議員が申し上げましたように、学校事務職員は女子でも一人で勤務しているのであります。そういう場合が多いのであります。その産休を取りました場合には、事務職員ではない、その経験と知識を持ち合わせない教育職員が代行をしなければならないという実情が生ずるのであります。そういう点について学校事務職員の勤務の実情というものを正確に把握をすれば、速やかに法改正を行ってその差をなくさなければならない任務が政府の側に、文部省の側にあったものが放置されてきたために起こっている問題だと私は考えております。  そのことをしかし理解した一つの実例としては、結核休職の場合には教育職員に特例法がございます。その特例法を学校事務職員にはこれを適用するということを一般行政職上は区別して行った実例もあるわけでありまして、その点については学校事務職員の置かれている立場を理解をされた先例もあるわけであります。したがって、そういう理解に立つならば、この法改正については速やかに文部省の側が積極的におやりになる必要があったのではなかろうか、私はこう考えております。
  183. 世耕政隆

    世耕政隆君 ただいま久保議員おっしゃいましたけれども文部省側の御見解はどうでございますか、それに対して。
  184. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) 結核にかかりました場合の休職の特例の措置は、学校におります事務職員といえども子供と非常に密接に子供の中にいるという状況でございます。したがって、そうしますと子供が感染をするということも非常に多いということから、あくまで子供の健康を守るという観点からそういった取り扱いをしたということでございます。
  185. 世耕政隆

    世耕政隆君 そうすると、仮に事務職員の人がお産をする、休みますね。休んでいる間だれかかわりを出すのに、いま先生方がかわりをやるとか、そういうふうにおっしゃった。そうするとここで問題になるのは、かわりの職員だれか臨時で雇えと、こういうような意見も出てくるわけでございますね。実態として、お産で休むとなれば一ヵ月から二ヵ月ぐらい休みますかな、お産の後は。いまは食い物がいいし、大分女の人が強くなっているから、一週間じゃおさまらないでしょうけれども、まあ一月、二月ぐらい休むとすると、その臨時で二、三ヵ月働いていただく方というのは実態としてあるかどうかですね、問題は。その点いかがでございますか。どちらからでも結構です。
  186. 粕谷照美

    粕谷照美君 いま世耕委員がおっしゃいましたけれども、お産の休暇は三ヵ月でございますし、それぞれの県によって条例がありまして六週間八週間あるいは八週間八週間、違いますけれども、大体平均して三ヵ月というふうに理解をしていただきたいというふうに思います。  それから、各県ではどうかといいますと、文部省の方ではそのような理解でもって配置をしないという態度でおりますけれども、各県は自分の学校がよく見えるわけですから、もうすぐそこに学校があるわけですから実態がよくわかります。特に県よりは市町村がよくわかるものですから、市町村独自でもってお金を出したり、県独自でもってお金を出したりしまして、これはまさに超過負担の最たるものだというふうに思いますけれども、学校の教育をきちんとしていかなければならないという観点に立って配置をしているわけです。  で、具体的な例を申し上げますと、東京では行政区ごとに一名を増加をして全員正規の職員でもって出しているわけですから、いわゆる民間の工場、会社でいえば本工と臨時工などというような差がないわけです。けれども、一名ですから、品川区なら品川区に四名の事務職員の出産があれば、どうしても三名はアルバイトを頼まなければならない。これは賃金職員でもって出すという形になっておりますし、群馬、山梨あるいは静岡などというのは全部これアルバイトになっていますが、静岡の実態でいえば一日二千六百円、土曜日ですと千三百円、そして通勤手当ですと日額最高二百二十円というようなことで、みんな県で努力をしております。それから、群馬あたりになりますと——市町村で努力をしているわけですが、群馬あたりは特に県で二分の一持ち、市町村で二分の一を持ちますという措置をしております。それから長野などは、これは私はちょっと問題があるというふうに思いますけれども、全体の定数の中から何%か抜き出しておきまして、その人をお産代理専門であちらこちらに派遣をしていくというような形でとられております。
  187. 世耕政隆

    世耕政隆君 これはわかりましたんですが、どうして、この法案何回も出てくるんだけれども、私どもはこれに関して反対する大きな理由というのはまあ余り考えられないんですが、なぜ流れてしまうのか。お産してくれればいいんだけれども、どうして流産してしまうのか。(笑声)この点を文部省と、久保先生でもどちらでも結構です、お答えくださいませんか。
  188. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) 学校にはいろいろな職員がいるわけでございます。御指摘の事務職員のほかに、もちろん教員はおられますけれども、学校栄養士の方あるいは給食を調理される調理員の方あるいは用務員の方といった方がたくさんおられるわけでございまして、そこでのそういった点で事務職員に対してこういった制度を認めることがほかの職員との関係をどう考えるかということがやはり大きくなる。ということは、学校だけを見ましてもそれだけ職員がいます。教育委員会の職員とそれでは学校の事務職員との差はどこにあるのかというふうなこともございます。そういった点で、ほかの公務員とのつながりが非常に大きいという観点から、私たちは消極的に考えております。
  189. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) この法案については、世耕先生が文教委員長をされておった時代ではなかろうかと思うんでありますが、そのころには非常に全会一致の超党派の御理解をいただきまして、参議院では本会議でも全会一致可決されたことがございます。この法案がなぜ通らないかということになれば、参議院におけるような御理解を衆議院において各党派がいただけなかったことにあったのではなかろうかと考えております。今回はぜひひとつ、世耕先生のような御理解ある態度を各党派おとりいただきまして、全会一致でこれを御支持くださいますならば、この法案は流れることはなかろう、こう考えております。文部省の方は非常に消極的な意見と述べられておりますが、このことは私どもとしては非常に問題があると考えておりますが、本来は文部省自身がそうすべきであったのでありますが、文部省の方が積極的にお考えいただけませんので、私どもはこれを議員立法として皆様方の御賛成を得て成立させて、そして文部省もぜひこの法改正に基づいて執行をしていただきたい、このように考えておるわけでございます。文部省の方には他の行政官庁、一般行政職などに関するいろいろな御配慮から、大蔵省に対する御遠慮もあるようでありますが、そのようなことよりも文部省はやっぱり学校をどうするか、教育をどうするかという立場に立って毅然たる態度でこういう問題には対処していただきたいというのが私どもの願いでございます。
  190. 世耕政隆

    世耕政隆君 つまり、教育関係事務と一般のほかの事務とどこに違いがあるかというお考えが中心になっていろんな論議がされているようでございますが、教育者とか教員というのも元をただせばただの人で、基本的な人権からいくと何にも変わりはないわけで、めしも食うし、酒も飲むし、遊ぶだろうし、寝るだろうし、教員も普通の人もちっとも変わりがないわけで、だから、教育事業に参加している事務職員とほかの一般業務に参加している人との間にどれだけの違いがあるかという考えの上に立つと、この問題なかなかいろいろむずかしくなるし、いろんな考え方があると思うのでございますが、私はやっぱりこれ一つには、そういったいろんな考え方から、片方では対等、均等とか平等とか、そういうものの考えの上に立つだろうし、片方では教育という特殊性の問題からお考えになっておられるだろうし、ぼくはやはりどうしていままでこの法案がずっと流産ばかりしていて、さっぱりお産にならなかったかといいますと、大局的な大きな立場から見てなかなかそこまで到達できないというところに大きな問題があったかと思うんでございますがね、どうです、この法案が実際仮に成立したとしますと、ほかに関連してくるんでございますが、自治省あたりは地方公務員や何かの方のあれを扱っている立場でどのくらいの一体財源とか、それから予算とか、あるいはいろんな細かい人事の配慮とか、そういうものをしなければならないか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  191. 坂弘二

    説明員(坂弘二君) お答えいたします。  学校職員以外の職員で地方自治体で現在勤務しております女子職員でございますが、これはちょっと最近の資料がございませんで申しわけございませんが、四十八年四月一日現在で当省で調べましたところによりますと、二十三万三千七百六十二人おります。学校以外でございます。それで、出産率がどの程度になりますか、仮に〇・〇五二%ぐらいと考えますと、一万二千百五十四人ぐらいが産休者になるのではなかろうかと考えております。それに対してどの程度の財源が必要かという御質問でございますが、こういう問題いまお伺いしましたので、ちょっと計算手元に持っておりません。
  192. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 私ども提案いたします側で試算をいたしましたところでは、大体本法施行に要する経費は、該当者を国・公立合わせて年間一千人余りと見ておりまして、経費は約一億九千七百万円の国費の負担となろう、こう考えております。  それからなお、世耕先生がいま述べられましたように、私どもも学校教職員が特殊な地位を持つからこれを要求しているのではありません。ここは学校教育の必要性からそのことを要求をしているのであります。学校教育を円滑に遂行をしていくために、そして相手が生きた人間であります、で、この教育を遂行していく上に必要なものとしてこの制度を求めているのでありまして、この制度が将来他の職種にわたって拡大をされるということは、これは私は将来は必要になってくることであろうと、またそう思っております。しかし、いまはとにかく学校教育の現場がこのことを必要としているのでありまして、これを解決しなければ教育の現場に現実に大きな支障が起きてくるし、そしてまた、女子の事務職員が非常にそういう面では困難な立場に立たされているということを勤務の実情から御理解をいただきたいというのが、私どもの今日これを学校教職員の産休補助法案の改正をお願いをしている、差し迫った私どものお願いなのであります。
  193. 世耕政隆

    世耕政隆君 よくわかりました。私の質問はきょうはこの程度で、この件に関しては十二分に慎重にこれから質問申し上げていきたいと思いますが、本日はこの程度で終わらせていただきます。
  194. 勝又武一

    ○勝又武一君 まず最初に文部省にお伺いしますが、小・中学校の事務職員が一名しか配置されていない、県費負担で。人数でなくて、校数に対して何%なのか。それから一人も配置されていないというのは、同じような方法で何%なのか、お答えいただきたい。
  195. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 事務職員の定数充実につきましては、御承知のように、昭和四十九年度から始まりました現在の五ヵ年計画のつまり五十三年度までの最終計画において全小学校、全中学校の七五%、つまり四分の三の学校に各一名ずつ置くというのがいまの五ヵ年計画の目標でございます。したがいまして、現時点におきましては、大体、正確な数字ではございませんけれども、事務職員の配置率は六〇%ぐらいであろうというふうに考えておるわけであります。
  196. 勝又武一

    ○勝又武一君 私は正直に言いまして、この義務教育の場合における学校事務職員が一名もない小規模校、それから一名しかない学校、こういう状況において非常にいま大変だということを熟知しておりまして、この点については文部省も余り異論はないと思います。  そこで提案者にお伺いいたしますが、現法制上の問題といたしまして、教員と学校事務職員、この取り扱いの違いと同じもの、これらについてどの程度になっているのか承りたい。
  197. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) 質問の御趣旨がもし違いましたらまたお尋ねいただきたいと思うんでありますが、いま学校事務職員と教育職員との間には、先ほど文部省も答えられましたように、給与の体系が一つ違いがあります。それから特に今日問題といたしております女子の事務職員の立場に立って言いますならば、いま改正をお願いいたしております産休の代替要員を確保してもらえないという問題で、その違いがあります。それから育児休業制度にも事務職員の場合には乗せてもらってはおりません。そういう問題で、同じ学校の職場の中で非常に多くの問題があります。むしろお話しございましたように、一人で勤務している者、一人で何校かを受け持っているというような場合には、産休もとれないというような状態は教育職員の場合よりも私は事務職員の場合の方が非常に問題があるのだと考えておりますから、むしろこちらの方が先行してそういう問題が解決されるべき必要があったのではないか。今日までこの問題が未解決でありますことは大変学校の現場の立場から見ますならば矛盾したことだと考えております。
  198. 勝又武一

    ○勝又武一君 いまの点はお聞きをしたかったことでありまして、よくわかりました。  そこで先ほどの世耕委員の御質問に対する文献存のお答えの中で、学校事務職員が一般の事務職員、行政職の職員と大体同じようなことをやっているんだというようなお話文部省からありましたけれども、この点については私も教育現場の経験の中で、文部省というのはその程度の理解しもないのかというようにきょう本当にびっくりしました。  そこで提案者にこれは具体的にお聞きしたいんですが、というのは、提案理由の中に提案者は幾つか挙げられていらっしゃいます。いわゆる一般事務のほかに、「一般的な事務として文書・統計・給与・経理事務」、これら以外にこの大きな二つ目として「直接子供にかかわる事務として」云々というのがあります。「教材教具、施設設備及び就学奨励などの事務、さらには地域の父母にかかわるPTA諸活動への援助など、きわめて多方面にわたっております。」という提案理由が書かれておりますし、「さらに、これらの複雑多様な学校事務を適正に行うためには学校教育の理念、教育内容教育行政の仕組み及び子供の学習環境の把握など学校教育に関する深い知識・教養が要請されており、一般行政事務とは別の意味での専門性を持たなければならないのであります。」とあります。私はまさにこのことはこの提案理由のとおりだと思いますけれども、さらにそういう特殊性なり、具体的にもっとそういう点が、重点的にこういう点があるんだ、あるいはこういうことをこの提案理由の中に書いてあること以上に強調したいんだというような点がありましたら補足的に提案者から御説明を願いたい。
  199. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は新潟出身ですけれども、新潟地震のときのことを思い出してみたいと思います。  ぐらぐらっとこう来ましたときに先生たちはまず一番最初に何を考えたかと言えば、やっぱり子供たちを安全な場所に連れて行くこと、これが第一でした。しかし、その地域においては大変な状況になっているわけですから、家に帰すことができなかったために先生方は子供たちと一緒に野宿をしたわけです。そのときは学校事務職員は学校の事務だけやっていればいいなんという、そういう状況ではありませんでした。一緒になって露の中を子供たちと一緒に寝て、そしてお父さんやお母さんに翌日引き渡して、ああよかったねと言って、こう言って帰っていくわけですから、やっぱり学校の教職員であるということは、教員も事務職員も同じなんだという考え方を第一に持たなければなりません。  第二番目に、県庁や市役所に勤めていらっしゃるそういう女子職員と学校事務職員はどういう仕事の違いがあるかと言えば、私のところに来た高校卒業生、十八歳の事務職員が五月に泣き出しまして、何で先生方は月給をもらうのだろうと、こう言いました。それはなぜかと言ったら、月給の事務がもうまことに複雑で、非常に大変で、それこそ初級試験に受かったというだけではなかなか学校の事務というのは簡単にできないんだということをわかっていただきたいと思いますが、市役所や県庁に行きますとそういう事務になれた先輩の人たちが何人かいらっしゃって、どこかに必ずそういうことを教える方々がおられるわけですからある程度習熟していくわけなんですね。ところが、教員はそういう訓練を受けておりませんから、みんなその事務職員の肩にかかってくる。したがってその人がいなかったら何にも動かないという実情があると思います。  三番目に、私がおりました新潟の宮浦中学校に来られた某校長の最初のあいさつを私は思い出していまでも忘れることはできませんが、私のことを先生方はみんな帳簿校長と言う。なぜかといいますと、文部省法律や規則に書いてあるそういう帳簿をそろえるだけで百四十何冊必要だ、ここのところに全部分けて仕事をするということは容易なことじゃない。最初に百四十何冊かそろえるけれども、しかし半年たつともうその帳簿は全然ほこりをかぶって動きませんといわれますけれども、それらの帳簿を今度は事務職員が全部めんどうを見なければならないわけですから、非常に多様なものがあるというふうに思っております。特に事務職員については何でもかんでもやらなければならないといったのがいまのその百四十何冊かの帳簿になると思いますが、女の先生の産代法ができた時代には私も学校におりましたけれども、校長を退職した方だとか、あるいは役場の吏員を退職した方々が入っておられました。自治法でいえばそれでよかったわけですが、これが昭和三十八年に取っ払われてからいまのような制度になりましたけれども、ちょうどその時代というのは日本の高度経済成長時代でございました。ですから、大変な人口急増地帯があちらこちらに出てきたと思います。そのときには、一年間に二百五十人もの生徒が出たり入ったりするわけで、それらの事務にしたって非常に大変ですし、学校安全会もその当時できてまいりました。それから、学校給食なんかも出てまいりましたし、いわゆる教育振興法によって理振法、産振法、非常に複雑な事務というものが出てまいりました。文部省もなかなかいい統計を出してくださいますけれども、最近の文部省の指定統計の事務だって非常に膨大なものになっております。これらがほとんど事務職員のところにかかってまいりますし、義務教育教材整備十ヵ年計画なんといって、教材費などもいろいろ出さなきゃなりませんけれども、ほとんど学校予算がいつでもいつでも出るわけじゃありませんから、その間の苦労などというのも大変ですし、あるいは教科書無償、これらに関する仕事なんかにしてもう本当に大変なんです。ですから、幅広く何でもかんでも知っておかなければならないというのが事務職員の仕事。  そのほかに、電話の取り次ぎからもう来客——文部大臣が来られるというと大あわてしているわけですよね。そのほかに、PTAの接待などというのがありますから何でも屋の事務職員の仕事というものはいわゆる行政のところにいらっしゃる事務職員とはちょっと異質なものがあるのではないかということを思っている次第です。
  200. 吉田実

    委員長吉田実君) 関連質問を許します。宮之原君。
  201. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 先ほど来のいろんなやりとりを聞きながら、私は人確法が成立したときの衆参両院の附帯決議をいま思い出しておるんですがね。そのときには御承知のように、その附帯決議の中には学校事務職員の待遇改善の問題についても、言うならば一般教職員と同じようにひとつ考慮すべきだという意味の附帯決議が出ておるんです。大体附帯決議が出ると、一番最後に文部大臣が立って、御趣旨に沿って努力しますと、こうそれぞれ言っておるんです。こういうことは、これはいわゆる事務職員が身分上は法律上は一般行政職でも、一般行政職とは違っていわゆる学校事務職員としての特異性がある。非常に教育の面についてもこの人々の待遇を改善するということは非常に重要だという、この面を私は重視したから、この附帯決議が上がっていると思うんですけれども、先ほど来の課長の答弁聞いておりますと、そこら辺のいろんな行政職の人と全く変わらぬようなお話なんですけれども、だとするならば、一体文部省は大臣の答弁したところの附帯決議に対するところの趣旨に沿って努力をしますというこのことは、一般行政職と同じだという理解に立ってやりますとこう申し上げたんですか、ぼくはちょっとやっぱり初中局長にしっかりその点は聞きたい、そうなかったはずなんです。
  202. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 人確法の審議の過程で、いま御指摘のように事務職員の問題が処過改善として出たわけでございまして、その際、文部省の答弁としましては、事務職員の処遇改善について三つのことを考えておる。  一つは、事務職員の等級格づけの問題として四等級まで格づけできるようにこれを配慮しようという点で、これをずっと以前から通知を出しておったけれども、なかなか全都道府県で実施されていないのでそれを実施しましょう。  それから超過勤務手当を実績に応じて、実績どおりに支払うように指導します。  それからもう一つは、事務職員がやっぱり一校一名ということで任用配置上の適切なポストを用意するというのがむずかしいという点がありますので、そういう点についての配慮検討するという三点であったかと思うわけでありますが、それはその後引き続き指導してきたわけでございます。  そしてもう一つ、そのときの話として事務職員のそれでは実態についてよく調査をしてみましょう。そしてその調査の結果に基づいて一般事務職員と比較してどういうふうな処遇がなされておるのか、それをもう少し明らかにしましようということでこの調査実施いたしまして、現在これは集計分析中でございます。そしてその結果を待って実際にこの学校の事務職員と一般の事務職員との間に処遇上の不公平があるということであれば、それはその事実をもとにして各地方団体に是正改善をすべく指導します、こういうことで現在までやってきておる、こういうことでございます。
  203. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いまあたたは待遇改善という問題をいわゆる給与の格づけの問題とか、それだけに限っていま強調していますがね。そのときの状況はそうじゃないですよ。やはり身分上、法制上の違いはあるけれども、一般教職員が受け取るところのいろいろな待遇、処遇というものに準じて努力をしましょうと、こういうことが縮めて言えば当時の奥野さんの答弁なんです。したがって、そういう点から見ればいま局長の答弁されたところのそのこともさることながら、いまこの議題となっているところの問題の一つもやはり事務職員の待遇をどうするかという問題の一環であるということは間違いないんですよ。それはそれ、これは別なんだというふうにもし理解されておるとするならば、全くあのときの附帯決議をあなた方ははき違えて自分たちなりの有利の方にだけ解釈しておるものと言わなければなりません。少なくともその当時のそのことを尊重するとするならば、先ほどの答弁のようなけんもほろろな話は私はできないと思うんです。その点はやっぱり篤と考えていただきたい。関連質問ですから、そう多くは申しませんけれどもね。
  204. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) ただいま御質問がありましたことに関連をして、私はこの法改正についてぜひ御理解をいただいておきたいことがあります。それはすべての女子職員は法律に基づいて産休はとれるのです。学校事務職員だけが勤務の実態からとれない困難な状況にあるのだということを理解していただきたいのであります。だから学校事務職員に特別な待遇を求めているものではありません。学校事務職員に法律に基づく産休が安心してとれるようにしてほしいというのがこの法改正を求めている趣旨なのであります。そのことをぜひ御理解いただいて、そして安心してとれるようにするためには教育職員と同じ制度に乗せさえすればとれるようになるのだということを御理解をいただいてこの法改正に御同意をいただきたいと考えております。  制度をつくっても、しかし該当者がいるかというお話でありましたが、制度をつくって教員の産休代替教員と同じような給料の制度をきちっとしてもらえば、予算を組んでもらえば代替者は私は容易に得られると思っております。経験者はいっぱいおられるのであります。だから、私どもはこの法案で、繰り返し申し上げますが、決して学校事務職員を特別な待遇にしてもらいたいということを言っておるのではありません。一般の女子職員と同じように産休が安心してとれるように、そして学校の中で働いている教育職員と同じように処遇してもらえるようにしてください。そういう学校事務職員の要求をこの法改正で実現してあげたい。こういうことでお願いを申し上げているのであります。
  205. 勝又武一

    ○勝又武一君 少し観点をかえまして提案者にお聞きをいたします。  なぜこれが通らなかったかという点がありましたが、学校という同じ職場で、しかもいままでずいぶん議論されて明らかになりましたように、教育上重要な職務を遂行している学校事務職員について、例の教員の産休法のときになぜ一緒にやらなかったのか。そのときの大きな理由は何だったのか。これが一つです。  それから同様に実習助手の女子の場合ですね。女の実習助手の場合に同様拡大をされた時期がありましたが、この時期にも学校事務職員について適用がされなかった理由は何だったでしょうか。
  206. 粕谷照美

    粕谷照美君 教員のお産の代理を必ず入れなさいという法律ができたのは昭和三十年だったわけです。そしてそのときには教員だけではなくて寮母さんが入っておりました。寮母さんも該当していたわけです。このときには免許職員と非免許職員であるこの事務職員の差というものを歴然とあらわした法だということで大変な批判があったわけですが、この時代には、先ほどお話を申し上げましたように、この事務職員の数が非常に少なくて、それも特に退職をした校長先生だとかあるいは——校長先生は特に事務に明るいからそういう校長先生だとかあるいは役場の吏員の方々がなられておりましたので子供を産まないわけですね、おじいさんの方々が多いわけですから。ところが、三十八年にいわゆる自治法百七十二条が取り払われて若い方々がどんどんどんどん入るようになってきてから、これは大変だということになってきたというのが事実だろうというふうに思います。そのときに、では教員だけではなくて事務職員を入れろという声がなかったかと言えば、なかったのではなくて出ていたんですけれども、非常に小さかった、少なかったということが言えると思います。けれども、そういう声がだんだん出てきまして、昭和三十六年にはこの法律を一部改正いたしまして、幼稚園にも該当させるようにいたしましょう、幼稚園がどんどんふえてきまして若い先生がふえてきたものですから、そういう声が出てきて法律が変わってきております。さらに三年たちまして、三十九年の七月には、どうもそれだけでは足りないから実習助手にもこれを該当させてもらいたいという声が出てまいりまして、そして実習助手にも該当してきたということになっております。ここにあります文部省の統計要覧を見てみますと、教員というのは一体どういう人たちが教員かと言えば、それは校長、教頭、教諭、助教諭、養護教諭、そして講師ですね。これらの方々は全部その産代法に適用されております。では職員の方で適用されているのはだれか、どういう人たちかと言えば、事務職員、学校図書館事務職員、技術職員、実習助手、養護職員、用務員その他とあるこの職員の中で、実習職員のみ適用されているわけですね。ですから職員の中でも適用されている層とされていない層があるわけです。その中でいま一番人数も多いし、特に大きな影響を与えているこの学校事務職員について適用してほしいというのが今回の法律改正の要旨でございます。
  207. 勝又武一

    ○勝又武一君 法の適用がないために、各県段階で独自の代替措置を実施しているという世耕委員に対する提案者の答弁がありましたが、その中で何か静岡の例を引かれておりましたので、これは私は自分の県なのでよくわかるんですが、静岡の場合でいきますと非常にやっぱり不完全なんですね。通勤手当が出ていてもバス代にもならない。せいぜい三分の一ぐらいしかの、実費にはほど遠い、あるいは額もきわめて不十分である。こういうような点から各県のとっている代替措置というのが不完全だと、こういうことが一つあると思います。日給制なり通勤手当の問題なり、その他待遇の問題なり、そういう点がありますので、先ほどの御答弁がありましたが、さらにそういう点で補足をすることがございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  208. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) いまお話がございますように、自治体において私どもが提案理由の説明で申し上げましたような立場から、これはどうしてもやっぱり置かなければ学校教育が円滑に遂行できないということで、自治体が、国が制度をつくってくれないために、やむなく制度をつくっているとこうがあります。しかし、その場合でもいまの地方財政の実情から、制度にのっている教員の代替の場合のような給与を支給することができません。それで静岡県の場合でも期末、勤勉手当も支給されず、通勤手当は日額最高二百二十円というのが実情のようでございます。それから基準単価も非常に教員の代替制度の場合と比べますと安いのでありまして、そういうような制度の場合には、せっかく自治体が苦心してつくってくれましても、なかなか代替者を探すことが困難な場合も多いのであります。だから、これを教員の産休における代替制度と同じような制度にするならば、私はそれを代替者も経験の豊かなすぐれた人を探すことができるだろうし、学校事務職員のこの仕事も非常に順調に進んでいくだろうと、こう考えておりました。いま御指摘のとおり、自治体が必要を認めてやむなくやっております制度は、これは一日も早く法改正をやって国の制度にのせてもらいたいという強い要求を自治体があらわしているものだと、私どもはこう考えております。
  209. 勝又武一

    ○勝又武一君 それでは文部省に二、三お伺いいたします。  提案理由の中にも明らかですが、この男女比率は女子が圧倒的に多いとされています。そして、それに加えて私は若い女子が急増している、いわゆる若年化の方向が相当顕著だというふうに思いますが、この点については文部省はお認になりますか。
  210. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 先ほども粕谷議員からも御答弁がありましたように、女子の事務職員がふえ、それも年齢も若い方が相当ふえているというのは事実だろうと思います。
  211. 勝又武一

    ○勝又武一君 さらに先ほどから明らかになっておりますが、一人しかいないというこの仕事、それから仕事の特殊性、こういう点で代替者によらない教員での交代、こういうことはきわめて困難だというように考えますが、この点はいかがですか。
  212. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 一人しかいないし、その仕事が非常に多岐にわたっておってなかなかお骨折りが大変だということは、これも事実だと思います。
  213. 勝又武一

    ○勝又武一君 それではこういう、きょうも幾つか明らかになっておりますが、現場の実態ですね。一般事務とこの行政事務の方と大体同じじゃないかというようなお考えのうちで特に私が不思議だと思いますのは、お聞きしているのは文部省ですから教育の現場の実態よく御承知だとは思うんです。ところが、たとえば産休中でも問い合わせが殺到するというような事態があるわけですね、産休中の学校事務職員の方に。病床にまで、出産の前日まで産院へ仕事についての問い合わせが頻繁にあった。それからこの産休期間の間に年末調整の事務にたまたまぶつかったと、これはもう毎日出勤せざるを得なかった、産休の学校事務職員ですよ。特に給与の担当をしている場合にはなおさらこのことが他のかわりの者にはできないという、この代替をやっていない場合ですね。それから産休が終わって出勤したら一週間毎日超勤をせざるを得ないほど仕事が山積みしていた、こういうような実情が訴えられるわけでありますけれども文部省として先ほどからの一般行政事務と同じだというような観点に立つとするならば、こういう教育現場の実態についてはどうお考えになっているのか。あるいはこういうことは改善をする必要がないのか、なくていいと思っていらっしゃるのか。この点について承りたいわけです。
  214. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 学校の女子事務職員の立場なり、仕事の内容なりというその点は御指摘のとおりだと思います。したがって、そういう点も含めて検討をするということはもちろん必要なんでございますが、ただ、そういう一般の制度上は事務職員でございますが、事務職員というのは学校の事務職員のほかにあるかないかという点でございますが、たとえば教育委員会にしましても、町村の教育委員会ということになりますと、非常に規模の小さい教育委員会では事務職員の数もきわめて限定されております。したがって、そこにおります女子の事務職員という立場はどうであるのかと。あるいは同じ学校に勤める女子職員にしましても、事務職員ではないけれども栄養職員というのがございます。学校給食の栄養関係を担当するわけでありますが、これも一人でやっておるわけでございまして、代替性がない。この人たちもかなり若い婦人もおられるということでございますと、そういうことを考えました場合に、従来もこの問題について文部大臣が政府としての見解を聞かれました場合にどう答えておるかと言いますと、御承知と思いますけれども、政府としては一般類似の事務職員との関連においてにわかに賛成しがたいと、こう言っておるわけでございまして、この問題を学校の女子事務職員だけの問題としてとらえるのか、あるいは政府としてはどこまで波及するのかという点がございますので、その点の検討がいまだ結論が出ていないということからいたしまして、にわかに賛成できないということで今日まで来ておるわけでございまして、その点の御理解をいただきたいと思います。
  215. 勝又武一

    ○勝又武一君 自治体がとっている代替措置は誤りだと思っていらっしゃいますか。それとも、不十分でも適切だというように思っていらっしゃるんですか。
  216. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 産前産後の最低六週間の有給休暇というのは労働基準法で認められた強制力のある規定だというふうに私は承知いたしておりますから、それをやらせる場合に、自治体として必要がどうしてもあるという場合には代替措置を自治体でやっておるという場合もそれは当然あるんだろうというふうに考えておるわけです。
  217. 勝又武一

    ○勝又武一君 提案者も再三答えられていらっしゃいますが、私もそのように理解しますが、法律に基づく産休さえ学校事務職員の場合に十分とれない。こういう実情については、文部省としてはこの実態をどうお考えになっていらっしゃるんですか。
  218. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 重ねて同じような答弁になりますけれども、いま申しましたように、その問題を学校の女子事務職員だけに限定して考えるのが適切かどうかという課題がございますので、ずっと引き続き懸案の課題として検討をしておると、こういうことでございます。
  219. 勝又武一

    ○勝又武一君 それではいま二、三文部省からありましたが、この文部省の見解について、提案者としてはどういうような御見解をお持ちになりますか。
  220. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は、他との均衡ということを文部省の方で言われておりますが、たとえば週休二日制について、お役所の方でやりますと、それでは学校事務職員については、これは純然たる教職員じゃなくて学校事務だけやっている人ですから、同じように学校の中においても週休二日制やりますなんという言葉にはなっていないと思います。明らかにもう学校の教員と同じように勤務をしてほしい、してもらわなきゃ困るというお考え方に立っているのではないかというふうに考えておりますので、いまのところおかしいのではないかというふうに考えますし、たとえば学校教育法二十八条で言えば、小学校には、校長、教頭、教諭、事務職員を置かなければならないと、こうなっているわけですね。だから、原則は置かなきゃならないのに、ただし書きで、「特別の事情のあるときは、教頭又は事務職員を置かないことができる。」と、こうあります。そうすると、事務職員と教頭は平等の立場で置かないことができるはずであるにもかかわらず、今日この教頭の数というのはほとんどすべての学校に置かれておりますし、中には複数配置ということが行われている。事務職員については教頭ほどのあれを持っていない。そんなことを考えてみますと、明らかにやっぱり政策的なものが考えられるわけですから、政策として学校事務職員をこのようにしよう、全校配置にしていきたい、大きいところには複数にしていきたいという、それは教育をよくするためだという考え方がとられるのであれば、この法律は通っていくというふうに理解をしているところです。
  221. 勝又武一

    ○勝又武一君 それでは最後に提案者にお伺いをいたします。  すでに質疑で明らかになりましたように、当法案は長い年月にわたっての教育現場からの切実な要求であり、声だと思うんです。同時に参議院でもすでに全会一致で決定をした経緯もございますし、先ほどの自民党の世耕委員の御発言によりますと、自民党としても反対の理由は余りないんだと、こういう表明もございました。日常の教育活動から言いましても、きわめて私も緊急度の高いものだと考えます。超党派での一致した提案でもありますし、この法案を一日も早く成立できるようにすべきだというように考えますが、最後に御見解を承りたい。
  222. 久保亘

    委員以外の議員(久保亘君) いまの御質問にお答えいたします前に、先ほどこの問題については文部省としても学校の女子事務職員の問題として考えるならばということを言われておるわけでありまして、その場合にはこれはよく理解できるという言葉を本当は述べなければならないんですが、そこをどうしても文部省として言えないところだろうと私は思っております。それで他との関連ということを私は文部省がそれほど力説してお考えになる問題ではなかろう、文部省は学校の実態に対応する制度をおつくりになることが必要であろう、こう考えております。で、そういう意味では、文部省が積極的な姿勢をこの問題についてお示しになることがいま必要だと考えております。  私は、この問題は十年を経過する問題でありますが、このことについては、きょう御出席の中にも元文部省の事務次官をなさった方もおられますし、大学の学長さんであった方や、現に学長であられる方もいらっしゃいます。教育関係者の方がたくさんおられるのでありまして、学校事務職員の置かれている実態ということについては専門的に十分御承知になっていることでありまして、この問題は決していろいろな政治的な主張によって論ぜられる問題ではございません。この問題については、それこそ日本の学校教育現場の問題として、もう何人も異論のないところとして速やかにひとつ皆様方がこの法改正について御賛成をいただいて、そしてぜひ今国会において衆議院においてもこれを審議可決していただくように積極的な御努力をお願いしたいものだと切に希望をいたしております。
  223. 吉田実

    委員長吉田実君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
  224. 吉田実

    委員長吉田実君) 教育文化及び学術に関する調査を再び議題といたします。  この際、便宜私から、各派の共同提案にかかる青少年の麻薬・覚せい剤等乱用防止に関する決議(案)を提出いたします。  案文を朗読いたします。    青少年の麻薬・覚せい剤等乱用防止に関する決議(案)   近年、麻薬・覚せい剤等を乱用する青少年が増えつつあることは、健全な青少年の育成上由々しい問題であることを認識し、これを防止するため、文部省、総理府、警察庁、厚生省等関係行政機関は協力して次の措置を講ずべきである。  一、麻薬・覚せい剤等の不法手段による国内流入とその使用により、害毒がひろがりつつあることにかんがみ、医療用以外の使用の取締りと防止対策をいつそう強化すること。  二、学校教育において、麻薬・覚せい剤等の使用が精神・健康に及ぼす悪影響について、実例をもつて科学的に深く理解させるとともに、これを使用しないよう指導の徹底を図ること。  三、社会教育その他あらゆる機会を通じて、地域・家庭に対する麻薬・覚せい剤等のおそろしい実情の周知徹底にいつそう努め、家庭における教育指導の強化を図ること。   右決議する。  以上でございます。  本決議案を本委員会の決議とすることに御異議がございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 吉田実

    委員長吉田実君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  ただいまの決議に対し、文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。海部文部大臣。
  226. 海部俊樹

    ○国務大臣(海部俊樹君) 麻薬・覚せい剤等の社会的な蔓延に伴い、青少年への影響が憂慮されている折から、このたびの御決議はまことに時宜を得た意義深いものであると考える次第であります。  文部省におきましては、従前から各教科、道徳、特別活動等の学校教育全体を通じて児童・生徒の心身の健康に関する教育充実を図るよう指導しており、また社会、家庭及び関係諸機関等との協力により青少年の健全育成に努めてきているところであります。  本日の御決議を十分に踏まえ、今後一層関連施策の充実努力をしてまいりたいと存じます。
  227. 吉田実

    委員長吉田実君) 本調査につきましては、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十二分散会      —————・—————