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1977-10-25 第82回国会 参議院 文教委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十五日(火曜日)    午前十時九分開会     —————————————   委員氏名     委員長         吉田  実君     理 事         後藤 正夫君     理 事         世耕 政隆君     理 事         宮之原貞光君     理 事         小巻 敏雄君                 山東 昭子君                 塩見 俊二君                 内藤誉三郎君                 長谷川 信君                 藤井 丙午君                 二木 謙吾君                 増田  盛君                 秋山 長造君                 粕谷 照美君                 勝又 武一君                 松前 達郎君                 柏原 ヤス君                 白木義一郎君                 田渕 哲也君                 有田 一寿君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         吉田  実君     理 事                 後藤 正夫君                 世耕 政隆君                 宮之原貞光君                 小巻 敏雄君     委 員                 山東 昭子君                 塩見 俊二君                 内藤誉三郎君                 長谷川 信君                 藤井 丙午君                 二木 謙吾君                 増田  盛君                 秋山 長造君                 粕谷 照美君                 松前 達郎君                 柏原 ヤス君                 白木義一郎君                 有田 一寿君    国務大臣        文部大臣     海部 俊樹君    政府委員        文部政務次官   唐沢俊二郎君        文部大臣官房長  宮地 貫一君        文部省初等中等        教育局長     諸沢 正道君        文部省大学局長  佐野文一郎君        文部省学術国際        局長       井内慶次郎君        文部省管理局長  三角 哲生君    事務局側        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君    説明員        大蔵省理財局資        金第一課長    森  卓也君        大蔵省銀行局銀        行課長      吉田 正輝君        厚生省医務局医        事課長      内藤  洌君        厚生省児童家庭        局障害福祉課長  佐藤 良正君        郵政省貯金局第        一業務課長    森本 哲夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○調査承認要求に関する件 ○教育文化及び学術に関する調査  (私立大学医・歯学部における経営問題、入学  時の寄付金及び学生納付金等に関する件)  (私学助成に関する件)  (教育ローンに関する件)  (育英資金制度に関する件)  (大学等卒業予定者の就職問題に関する件)  (障害児教育に関する件)  (幼稚園、保育所問題に関する件)  (国連大学に関する件)     —————————————
  2. 吉田実

    委員長吉田実君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、教育文化及び学術に関する調査を行うこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉田実

    委員長吉田実君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉田実

    委員長吉田実君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 吉田実

    委員長吉田実君) それでは、これより教育文化及び学術に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 粕谷照美

    粕谷照美君 文教委員会にとりましては本質的ではない問題、そして、あってはいけないというふうに考えている問題でありますこの私立医科歯科大学の乱脈な実態に対する質問はもうこれで終わりにしたい、そう私は考えておりますし、文部省の方も、もうそんな問題について質問がない、答弁がないような状況をつくってほしいというふうにお考えだと思いますが、そういう願いを込めて質問をいたします。  例年であれば、いまごろ受験用要項がパンフあるいは受験用の雑誌に載る時期だというふうに思います。まだなかなか出ていないわけですけれども、それに対して受験生心配あるいは父母心配などというのが非常に高まっているときであるだけに、質問はしたくないけれども、やっぱりしなければならない、明らかにしなければならないという考え方を持ちまして、最初に愛知医大に対する交付済みの五十一年度補助金についての文部省の態度、これを、予算委員会答弁をされておりますけれども、改めてお伺いをしたいと思います。
  7. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 五十一年度につきましては、これは私学振興財団を通じてすでに交付いたしたわけでありますけれども、御指摘がありましたような大変遺憾な出来事もございましたので、この問題につきましては、その事務を所掌しております私学振興財団に対して五十二年度の分のいま検討を指示しておるところでございますから、そのときに、五十一年度についても、それは妥当であったのかどうか、それからどうするかということについては、さらに検討をしてほしいということを指示してございます。
  8. 粕谷照美

    粕谷照美君 検討してほしいということは、私学振興助成法五条五項の「管理運営が適正を欠く場合」に該当するということについての検討をしなさいというふうになるわけでしょうか。
  9. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 御指摘の条項に照らして検討をいたしたいと思っております。
  10. 粕谷照美

    粕谷照美君 じゃ、具体的にどういうことになりますでしょうか。どういう部分になりますか、具体的に言えば。
  11. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 経理の適正な処理その他学校法人全体の運営状況、その実態と、私どものいたしました補助の目的が有効に達成されるかどうかということを照らし合わせて考量する必要があろうかと思っております。
  12. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、たとえば五条五項に違反をするということが明らかになった場合には返還をするということになるわけですけれどもお金を返したということでこれは愛知医大の問題は一件落着ということには私はならないだろうというふうに思うわけです。いま愛知医大における再建委員会というのは一体どういうふうになっているのか。本当に再建ができるという見通しになっているんでしょうか。
  13. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 愛知医大状況について申し上げます。  文部省といたしましては、これまで再建委員に対しましてできるだけ速やかに新しいりっぱな理事を補充していただいて、そして、新しい学校法人執行体制を整えるということか非常に大事でございます。で、そういうことをして再建のための改善方策を立て、そして、再建に着手してほしいというふうに指導してまいったわけでございますか、去る十月七日に理事会が開催されまして、四名の理事か選任されまして、合計理事数十名となったわけでございます。そして、その理事で十九日に理事会を開催いたしまして、理事長に多湖実夫氏、それから副理事長山本馨氏、学長に田内久氏が決定いたしております。そして、近くさらに残り数名の理事補充を行う予定であるというふうに承知しておりまして、新理事会の手によりまして新しい刷新された学校運営が始められることを期待しておる次第でございます。
  14. 粕谷照美

    粕谷照美君 十月七日の新聞によりますと、六十四億円の負債責任者理事長でありました太田氏とは無関係だということを再建委員会が裏の覚書で交わしたということが載っているわけですね。非常に大変な問題だというふうに思うわけですけれども、そういう事実があって、なおかつ再建委員会というのは本当にスムーズに動いていくのかどうなのか、来年度生徒募集についてはきちんとした体制がとれるのかどうなのか、文部省見通しをお伺いしたい。
  15. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) いま御指摘負債の問題でございますが、私ども事情を聞いて理解しておりますところでは、太田氏の理事長辞任に伴いまして、それまで太田理事長名義学校法人愛心会というものが負担いたします債務がございます。これらは、たとえば日本私学振興財団あるいは医療金融公庫、それから市中金融機関等からの借入金でございますが、この太田理事長名義学校法人か負担する債務につきましてこれを新理事長名義を書きかえることとする、このことについて九月八日太田氏の代理人学校法人愛心会再建委員代表山本氏の代理人との間で覚書を交換したということのようでございます。
  16. 粕谷照美

    粕谷照美君 後の質問に答えてください。
  17. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) これは学校法人として鋭意新しい学生——年度学生募集計画を立て、実施するものというふうに私どもは期待しておる次第でございます。
  18. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、その愛知医問題に絡みまして昭英高校問題がやっぱり大きく取り上げられているわけです。八月四日は四十三億円だった。それから十月五日になりますと、五十一億円のうち十六億円の大穴があいた。まあ預かり金の運営を明確にして父母報告をさせるのかというような問題もありますし、あるいは最終的に父母お金を返させるのかというような問題もありますし、昭英高校文部省付属高校ではないと、こういうことを言っておられますけれども、いままで文部省愛知医大に対して出しました通知の中には、昭英高校姉妹校というふうに呼んで書いておりますね。付属校姉妹校というのは一体どのような関係にあるのか、姉妹校というのは法律の上ではどのような位置を持っておるのかという問題点もあるわけです。さらにまた、浪木理事については非常に好ましくない事件が次から次へと起きているようでありますけれども、この浪木理事という方か、昭英高校あるいは愛知医大だけではなくて、宇都宮に医学技術専門学校を建てた。その建てたという問題について、都市計画法違反だとか、事業内容不備だとか、あるいは病院と偽って開発行為規制適用除外許可を得るためににせの申請をしたとかというようなことがいろいろと挙がっているわけですけれども、この辺のところは愛知医大とは関係ないとはいっても、全くの無関係であるというふうには私ども考えられないわけですけれども、これは助成を受けているんでしょうか。いかがですか。
  19. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 最後の締めくくりにおっしゃいました点につきましては、昭英高校は県からの助成は受けていないというふうに聞いております。  それから、姉妹校のことについて御質問があったと理解いたしますが、姉妹校というような言葉は、先生おっしゃいましたように、これは法律上の観念ではないわけでございまして、一種の事実上のある種の状態を姉妹校という言葉で表現しているのだと思います。それで、まあ通例見られますものとしては、それぞれの学校教育方針、これにある種の共通性というか、そういうものを見出したりいたしまして、ある学校と他の学校との間で学校行事を共同で行うというようなことをいたしましたり、あるいは場合によりましては教員の交流を行うというようなことで、一種協力関係を結ぶという、そういう場合があろうかと存じます。したがいまして、これは法律上の観念ではないわけでございますが……。で、当然姉妹校といったような概念に関する法令の定めもないわけでございます。ただ、私ども昭和四十九年度私立大学審議会  の現地実地調査の結果を文部省指導通知として出しました際に、昭英高校についてこれをあえて姉妹校というふうに述べておりますが、これは、この昭英高校愛知医科大学通例ども考えます姉妹校関係の例に果たして合致しているかどうかは、これは見方でありますから別といたしまして、愛知医科大学設置者でございます学校法人愛心会昭和四十九年五月二十八日の理事会学校法人湖海学園の設置いたします昭英高校について教育指導上の問題に協力するということで姉妹校とすることを決定したというふうに当時の実地調査で承りましたものでございますから、その言葉を引用したということでございます。
  20. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、姉妹校という考え方そのものが、私は、文部省にとっては非常に甘い見方ではなかっただろうかというわけです。たとえば新潟市の桃山小学校、京都における桃山小学校、同じ桃山小学校が全国に三つしかないから、これは姉妹校というふうにやりましょうなんというのとは全然意味か違う関係にあるわけです、いまの御説明と違って。だからこそ、あなたのところては、昭和四十九年度調査留意事項——四十九年九月三十日通知の中に、「姉妹校である昭英高等学校について、将来問題を生じさせることのないよう十分留意し、対処すること。」と、もうその時点において問題点を感じていたわけですよ。そういうものを文部省自体がもう姉妹校として安易に説明を聞いて呼んだということに私は問題があるというふうに思いますが、いかがですか。
  21. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 当時のことを調べてみたわけでございますが、当時の実地調査の際にこの姉妹校云々については学校側から説明を求めまして、次のような事項確認した旨の報告を受けていたわけでございます。第一点は、愛心会湖海学園は、これは全く別法人である。これはまあ当然のことでございます。第二点は、両者の間で財政上の関係は一切ない。第三点は、愛知医科大学入学試験においては昭英高校と他の一般の高校からの生徒と全く同等の扱いをするものであるという説明を受けて、その事項確認したということだったわけでございますが、しかしやはり通例姉妹校と申しますと、いま粕谷委員おっしゃいましたように、大体横の関係が普通多うございますし、それから縦の関係になりますと、付属学校というような位置づけもあるわけでございますが、やはりそこのところ非常に慎重に用心をしてもらいたいということで指導通知を出したのではないかというふうに理解しております。
  22. 粕谷照美

    粕谷照美君 何かちょっと自信のない説明なんですけれども、これにばかりこだわっているわけにはまいりませんから、次に移りたいというふうに思います。  ところで、どういうものでしょう、文部省か五十一年度補助金について見直しをするというのは愛知医科大学だけでしょうか、もっとほかにそういうことを考えているという大学か、医科歯科大に限ってということでいま質問したいと思いますが、ありますか。
  23. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 現在のところ、補助金執行機関であります私学振興財団検討を求めておりますのは愛知医科大学についてでございまして、その他のところについては現在考えておりません。
  24. 粕谷照美

    粕谷照美君 では、なぜ愛知医科大学だけが挙がっているのですか。このような同じような問題点が挙がっている学校はほかにありませんでしょうか。
  25. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 愛知医科大学の問題といろいろ共通点ございますいま問題になっております学校に、金沢医科大学、松本歯科大学がございますが、この両大学は国からの補助金をまだ受けておりません関係上、いまのところは愛知医科大学について慎重に検討しておるという次第でございます。
  26. 粕谷照美

    粕谷照美君 まだ受けていないからということですね。そうすると、五十二年度補助金については全然考えられないと、こういうふうにお考えですか。
  27. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 五十二年度補助金を両大学申請してくるかどうか、その前提が必要でございますけれども、私どもとしては、二つの大学愛知医科大学の例に比べまして非常に類似した点が多うございますので、もし申請がありました場合も十分その点を比較考量して、慎重に検討していく必要があると思っております。
  28. 粕谷照美

    粕谷照美君 どのような類似点があるんでしょうか。たとえば私もこの間実地調査に行ってきましたけれども金沢医大七つの大罪というのがあると思いますけれども、どういう問題点を把握していらっしゃいますか。
  29. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) いま問題にしております学校にほぼ共通して見られました問題点は、概要を申し上げますと、第一は、入学許可条件となるような寄付金を徴収していた。それで、九月七日の私どもの通達におきまして、入学許可条件となるような寄付金の徴収をやめてほしいということを要求しておりまして、それと経常費補助金支出等を勘案して考えるということにいたしておりますわけであります。三校ともこういう入学に関する寄付金を徴収しております。  それから、一部については入学試験実施前に預かり金を収納していたという例もございます。  それから、第二点といたしまして、入学者の合否の決定につきまして教授会の機能が発揮されませずに、一部の理事者等によって決定されていたというようなことがございます。  第三点といたしまして、理事会あるいは教授会といったそれぞれの学内の機関責任体制でございますとか、それから機関同士の間の相互関係と申しますか、連携体制と申しますか、そういったものが確立されておりませず、法人運営学校運営に必要な適正な状況を欠いております。  それから、第四点といたしまして、入学者の数でございますとか、それから寄付金収納者の数でございますとか、寄付金収納金額等文部省の方へ報告をいただいておったわけでございますけれども、これらについて偽りの報告ないしは数を過少に報告していたというような点がほぼ共通してこれらの大学に見られる問題点でございます。
  30. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、具体的に金沢医大の問題をついてみたいというふうに思います。  金沢医大については、裏口入学金といいますか、いまおっしゃられた入学許可条件となるような寄付金が一年半も前に預かり金のような形で医科維持期成会に振り込まれているわけですね。五年間に三十一億円もの過少報告があったという事実がありました。その点については事実かどうかということをお伺いしたいと思います、文部省は聞いていると思いますから。  二番目には、学生数でございますけれども、うその報告をしていると言いますが、定数は何人であって、文部省報告は何人であって、それは何%になるか。ところが、文部省報告よりはさらに実数というのがありまして、もっと違う実数があるという、それは何人になるかということについてもお伺いしたい。
  31. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 申し上げます。  金沢医科大学におきましては、まず第一点は、理事入学試験実施前から随時と申しますか、別にいついつということでなくて入学希望者の父兄と面談をいたしまして、その際に預かり金を依頼してこれを金沢医科大学維持期成会というものへ入金をさせてくれと言ったという状況がございます。  第二点でございますが、金沢医科大学入学定員は百人でございます。入学者の数で見ますると、これは四十七年度から五十二年度まで六年間の数字になりますが、私立大学審議会のアフターケアの際の報告でございますと、六年間で入学者数か七百七十人、これに対しましてこの学校が問題になりましてからの事情聴取で私どもが聞き取りました実際の数が八百八十九名となっております。  それから次に、寄付金金額でございますが、この六年間で九十億円という数字が当初の報告では私どもの手元にありましたのでございますが、事情聴取でわかりました数字は百四十九億円でございます。
  32. 粕谷照美

    粕谷照美君 では、私ども新聞などで得たニュースよりはもっと大きい金額になっていたということが一つにはわかったわけですね。  二番目の学生数につきましては、いまの御説明で私も大体いいと思いますけれども、それは定数六百に対して実際に調べたところが八百八十人いた、つまりこれは四七%になりますか、五〇%もよけいに生徒を採っていたということになるわけですけれども、これは行って調べた実数であって、その前に文部省報告がありましたでしょ、その報告はどういうことになっていますか。文部省報告は七百七十人になっていた、三〇%弱増だというふうに理解しているんですか、どうでしょう。
  33. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 七百七十人でございます。  それから、先ほどちょっと百四十九億円と申し上げましたが、まことに申しわけございません、ちょっと数字を読み間違えまして、百二十九億円でございます。訂正さしていただきます。
  34. 粕谷照美

    粕谷照美君 裏口入学金の問題についてちょっとお伺いしますけれども父母希望者面談をしたということになってますが、面談をしない父母子供、つまり面談をしない家の子供入学ができなかったということに、逆を言うとなりますでしょうか。二、三日前に私のところに金沢医科大学を受けた子供お父さんという方が訪ねてこられまして、実はうちの息子金沢医大を受けてばっちり点数かいいということがわかった。つまり、試験問題がよくわかって書けたということをうちへ帰ってきて言っていたと言うんですよ。ところが、自信満々のその息子が落第をした、自分よりももっとよくできた人がいたのかな、不思議だな、不思議だなとこう言っていたけれども、その時点では成績か悪かったから落ちたんだというふうに思っていた。ところが、いろいろ、いろいろと報道されていく中で、特にサンデー毎日かどこから資料を入れたのか知りませんけれども、名前こそ挙げませんが、男、女という形で受験生をあらわし、その親の職業を出しているわけですから、自分のうちの職業を見ていけばわかるわけなんですね、自分がどこにあるか。そしてその子供たち点数が何点かという受験生得点表というものを見て、自分が一番であったということを知ったわけですね。そうしたときのその子供の、何ていうんですか、世の中に対する憤り、文部省が認可した大学、認可しているわけですから文部省にも責任があるというこの憤りというのは、本当に人生に対する不信感を持ちまして、子供の性格が変わっていったということをお父さんが私のところに報告に来られました。そういうことをいろいろ考えてみますと、そのお父さんが言うには、自分のところには大学側から何も寄付金についての話はなかったと言うんですから、事前からもう入れる子供、入れない子供というのは決まっていたんだというふうに私には考えられるわけですね。そうするとしたならば、入学試験要項というものは全くのでたらめといいますか、詐欺行為だというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  35. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) この大学の場合には、各年度入学者選抜に関する表簿が焼却されております。したがって、入学者がどのようにして選抜をされたかという過程についての事実の確認ができない状況にあるわけでございます。先生指摘の報道された資料につきましては、私ども大学理事者に対しましてその事実の確認を求めたわけでございますけれども大学側当該資料については関知をしないというふうに申し立てているわけでございます。この大学の場合には、もちろん先生指摘のように、入学試験実施する前からすでに合格する者が決まっていたというふうには私どもは思いたくございませんけれども、実際問題として、入学時の寄付金の納入が事実上入学条件になっていたというふうに認められる点は、私ども事情聴取を通じて感じております。そういった点からして、この大学が教学側で定めている合格の最低ラインを超えた点数をとっていながら、なおかつ最終的には不合格になっていたという者があるということは十分に認められるわけでございます。もちろん入学させるのは、学科試験の成績のほかに面接であるとかあるいは調査書であるとか、そういったものを総合的に判断をして大学側が決めることではございますけれども、事実上入学時の寄付金入学条件になっていたという点について、最も遺憾な問題がこの大学についてはあると考えるわけでございます。その是正方については、私どもはやはり大学に五十三年度以降の入学者選抜をきちっとやってもらうということを通じて正していく以外にないというふうに考えておりますが、さらに事実の確認を含めまして、大学側を指導してまいりたいと考えております。
  36. 粕谷照美

    粕谷照美君 大体いまの局長のお話で私もわかりますけれども入学試験の印刷というものをこの学校は民間会社に出しているんですね。大体よその学校入学試験の印刷というのは民間会社に出すものなんでしょうか。公正を期すというのですか、そういう意味ではどのようになっておりますでしょうか。私ども調査に行ってお伺いしましたら、大体民間会社に委託したというけれども、内閣印刷局が手いっぱいだったと、それから刑務所の中の印刷にすれば、前に問題が起きたようなことがあっても困る、そう思ってここに委託したんだが、社長が公職であるからいいだろうというふうな答弁なんですね。公職であるからいいだろうなんということ自体も私は非常に不思議なんですけれども、その辺の実態をひとつお伺いいたしますと同時に、いわゆる答案用紙というのは、焼却したと局長は簡単におっしゃいますけれども、焼却していいんですか、法的には。法律としては五年間保存しなければならないというものが厳然として残っているのではないかと思いますが、この法律違反というものは一体どのように追及をされていくべきでしょうか。私は、こういうような問題も今回お伺いして、来年度の入試に対しては、たとえば要項なんというものはこれは公文書に匹敵するものだというふうに考えて、公文書違反というものがあったならば本当に裁判で闘うぐらいのそういう人たちを運動の中で見つけ出して、本当に今度告訴をしていくぐらいのことをやっていきたいというふうに思うものですから、御答弁をいただきたいと思います。
  37. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のとおり、入学者選抜に関する表簿につきましては、学校教育法施行規則におきまして五年間の保存を義務づけておりますので、この大学の場合には明らかにその規定に違反しているわけでございます。その点については大学側にきつく私どもからは指導をいたしております。
  38. 粕谷照美

    粕谷照美君 指導しているというふうに私は聞いているわけじゃないんですね。義務づけているとしたならば、その義務に違反しているわけですから、義務違反についてはどのようなことが行われるのですか。単に指導、もうこの次から焼かないようにしなさいということだけでよろしいのですか。
  39. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) この大学の場合にはそういった点を含めて理事者がその大半責任をとって辞任をいたしているわけでございます。もちろん辞任をして済むことではございませんけれども、新しい執行部あるいは教学側の教授会の改革等を通じて大学の姿勢というものを正していくということがやはりこういった表簿の焼却というような遺憾な事態に対しても対応する道ではなかろうかと考えております。
  40. 粕谷照美

    粕谷照美君 そういう考え方もあるというふうに思いますよね。しかし、理事だけが責任をとっていい問題だろうか。理事がやめればいいのだろうか。何億円というお金が入ってきた、もうやめればいいんだからこの次もまたやりますということにもなりかねないというふうに思うわけです。一体、教授会は何をしていたんだろうかという点にも私はかかわってくる問題だというふうに思いますが、この調査に行ったときに、五年間保存していなければならないということを知らなかったと、こう言うのですね。知らなかったなんと言ったって、あそこには文部省からの退官者なんかも入っているわけですからね、知らないなんということでは終わらない問題点だというふうに思います、一つは。  それからもう一つ、言われたことで非常に重大だと思いましたのは、金沢大学でもそういうふうにして焼却をしているということを聞きましたのでというふうに言っています。金沢大学といえば国立なんですから、国立の金沢大学においてそのように五年間入試答案書を保存をしないで焼却をしたというような事実はあるのでしょうか、どうでしょうか。
  41. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 金沢医科大学教授会の構成員が表簿の保存義務について知らなかったということは、御指摘のように知らなかったでは済まされないことであろうと思います。教授会はそういった点を反省をいたしまして、八月末から九月中旬にかけて幾たびか教授会を開催をし、改革委員会を設けまして、そしてその改革委員会の中に学長の選挙あるいは入試の改善、進級の問題、そういった当面の教学上の問題について検討委員会を設置して現在鋭意改革の方途についての検討を進めております。  なお、金沢大学が入試に関する表簿を焼却しているということはございません。これは大学側確認をいたしましたが、大学の学生部において厳重に保管をいたしております。
  42. 粕谷照美

    粕谷照美君 金沢大学はそういうことがないというので安心をいたしましたが、それでは次に、合格判定権について教授会が関与できなかったということを局長文部省としても認めていらっしゃるわけですけれども、これは学校教育法で言いますと六十七条違反ということになるのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  43. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のように、学校教育法の施行規則におきまして、学生の入学に関することは、教授会の議を経て学長が定めるということになっているわけでございますから、もちろん大学によって入試をどのように実際に実施をしていき、合否の判定をどのようにするかというのはそれぞれ違うのはあたりまえでございますけれども、最終的に教学側の組織が責任を持てる体制になっていないというのは、当該規定に反した状態にあるということが言えると思います。
  44. 粕谷照美

    粕谷照美君 ですから、反したことであるということであれば理事がやめればそれで済むというふうになるのですか。それはそのままもう終わったことだからしようがないということになるのですか。いかがです。
  45. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) やはり先ほども申し上げましたように、五十三年度以降の入試のあり方というものをこれまでの経緯を反省の材料として厳正に実施をする、その体制をとるということが改善の方法ではなかろうかと考えます。
  46. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは文部省としては、その金の問題もさることなから、そのような単位不足で進級をするとか、あるいは低学力、特に数学零点、英語が一けた程度などというような生徒入学をするというような事実、あるいは理事会の圧力に対して教授会がきちんと自主性、大学の自治を守り通せるという、そういう体制というものをも一切含めて本当にこの大学の自治を含めた再建というものができるという判断をお持ちですか。私は、非常に心配でなりませんのは、行きましたときに、理事は全員やめることにいたしました、こういうふうに言われました。理事は全部やめるんですかと言いましたら、実は二人残っております。こういうことで、じゃその二人はどのような人ですかと、こうお伺いしましたところが、一人は外国に行っております、ですから、外国から帰り次第お話をしてやめていただく予定ですと。多分おやめになりましたでしょう。その点はわかったんですけれども、もう一人はどなたですかと言ったら理事長だと、こう言われるわけですね。そうすると、愛知医科大学にしてもどこにしても、一番理事会責任を持っているのは理事長だというふうに思うんですけれども、長かやめないというのは一体どういうことですかと、こう質問しましたら、石間さんが言われるには、理事長さんは余りこういうことにタッチをしていらっしゃらなかった、よくわからないでいらっしゃるから、手が汚れていないから残られるんだというような意味の説明をされました。しかし、いままでそのようなことを余りよく知らない、タッチもされていない、そういう方が理事長としてまたお残りになるということで、本当に再建ができるんだろうか。やっぱり理事長というのは、もう一心込めて、精魂を傾けてこの大学再建に当たっていくという決意を持っていなければならないというふうに思うのですが、その方にお会いすることもできませんでしたので非常に残念ではありますけれども文部省としてはその辺はどのようにごらんになりますか。
  47. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 先生がいまおっしゃいましたようなことを私ども事情聴取の際に聞いております。学校法人は申すまでもなく一つの独立の主体でございますし、私立学校は自主性を持って運営されるべきものでございます。そして、その学校法人の役員の選任ということは、そういう法人としての最も重要な事項でございます。したがいまして、私ども文部省といたしまして、私学の個々の人事につきまして関与したり意見を表明したり、そういうことが例になるということは好ましくないことであろうというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、ここで意見を申し上げるというようなことは差し控えたいのでございますが、本来やはり、問題が生じますれば、当該の法人ないしは当該の役員の方において自主的に御自分でその責任というものを考えていただきたいと思っております。  一般的に申しますと、理事長学校法人の代表者でございますし、その内部事務を総括することになっております。しかしながら、従来は、先ほど先生が現地でお聞き取りいただきましたようなことで、いわば学校法人全体の、特に理事者あるいはいろいろな部内の責任者たちの統合のための象徴的な立場にあったというようなことで、直接事務を取り仕切っていた理事責任をとって辞職するというふうに決定したと聞いておりますが、やはり望ましいことは、理事長でございますから、最終のかなめのところをしっかりと押さえて、再建体制をつくっていくということであろうと思っております。
  48. 粕谷照美

    粕谷照美君 私もその御答弁で納得をいたしました。あわせて、そのとき行きましたら、実は赤字の大きな理由に、歯学部を一緒につくるという予定であったと。歯学部をもうつくるつもりで超一流の器械を入れたんだ、こういうことを言っていますね。ところが、いろいろな問題が起きたためになかなか歯学部が開設できなくて、それがまた赤字の原因にもなったんだ、こういうことを言っていました。大体、認可される前から、もう歯学部は文部省に認可をされるもんだというふうに考えてそして大変なお金でもって器械を入れるということ自体が、私は文部省がなめられているんではないんだろうかという気持ちがいたしましたけれども、いかがですか、その辺は。
  49. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 設置認可の申請前にどのような準備をするかということは、ある程度学校を設置しようとする方々が御自身で考えておやりになることであろうかと思いますが、昨今は、学校特に医科大学歯科大学の審査は非常に厳重にしなければならないということで、二段審査の構えをとっております。これは当初からある種の見込みで資本的な投資をやることは好ましくないという考えがその前提にあるわけでございますので、そういう見込みで過大な準備をするということは、一般論としてはいかがかと存じます。ただ、それをもって、私どもか非常に甘く扱われたというふうには考えたくないのでございますが……。  それからなお、歯学部の計画につきましては、明年度申請をいたしておりましたけれども学校側といたしましては、理事が総退陣するというような重大な事態でございますので、この申請は取り下げられております。
  50. 粕谷照美

    粕谷照美君 金沢医大については、もっといろいろあるんですけれども、大体この辺でやめまして、同じような条件がたくさんあるわけですね。先ほどおっしゃった松本歯大についてもそうですけれども、松本歯大は先回の委員会で宮之原委員が質問されましたけれども、それに付随してちょっとお伺いするのは、たとえば二重帳簿の問題があります。この二重帳簿など、決算については評議員会の意見を聞くと、こういうふうに私学法第四十二条にはなっていると思うんですけれども、その点では法律違反ということが明らかになっているわけですよね。  それから、問題点は、私大審の視察というんですか、私大審の監督も、松本歯大については普通であればことしで終わるわけで、来年以降になりますと大学側は、決算書を見せてもらいたいと言っても拒否することかできるどいう態勢にあると思いますが、どうもこんなような状況では、ことしいっぱいで、それでよろしいなんということにはならないのではないかと思いますけれども、その辺の対策はどのようになっておりますか。
  51. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 松本歯科大学の二重帳簿の件でございますが、松本歯科大学に対しまして事情聴取をいたしました結果、同大学におきましては、収支予算書及び収支決算書におきまして、理事会に対してのみ正確な実態報告をいたしておりまして、評議員会に対する報告書を別途作成して、いわゆる二重経理を行っていたということがわかったわけでございます。私立学校法第四十二条第一項第一号におきましては、「予算」等に関する事項は「あらかじめ、評議員会の意見を聞かなければならない。」というふうに規定されておるわけでございますので、御指摘のこの場合については、評議員会の意見を聞くという形式的な手続は踏んでおりましても、虚偽の予算を審議にかけておるというわけでございますから、実質的にはこの条文の趣旨に反したきわめて遺憾な行為であるというふうに考えております。  それから、後段の、私立大学審議会の新設校に対するアフターケアの問題でございますが、これにつきましては、本年九月三十日の私立大学審議会におきまして、従来はアフターケアを行いますのは先生指摘のように、新しく設置されました学部または学科が学年進行によりまして完成年度に達するまでの間ということにいたしておりましたが、昨今の状況にかんがみまして医・歯学部を設置する学校法人に対しまして、特に昭和四十五年度以降に新設されたものに対しましては、当分の間、新設後十年間アフターケアを実施するということが決定された次第でございます。
  52. 粕谷照美

    粕谷照美君 十年間ということではわかりましたけれども、私は実に虚偽に満ちた報告書を作成し、形式的には評議員会の意見を聞いたというような、こういう重大な行為をやった松本歯科大のその責任者の方々に対する判決文を読んでみましてね、最終的には五万円、三万円の罰金で終わっているわけですね。判決についてどうのこうの言う気持ちはありませんけれども、この判決文をそのまま見ますと、非常に軽く、まあスピード違反したから、おまえのところの罰金は大体こうだというような感じがしてならない、こう父母の方々は言っていらっしゃるわけです。  で、その判決の理由の中に、一つには私欲でなかったということがありますし、その二人に限らず、もっともっと大勢の方々がそれにタッチしていた、つまり共同行為者が大勢いたんだ。だから、この二人にだけ過酷な刑を処するには忍びかたいというような意味を持った判決文だというふうに解釈をできますし、それから、問題点だなあと思いますのは、「本件のような擬装工作は他の歯科大学の設立に際しても行われており、」と、こうあるわけですね。擬装工作がどこにでもここにでもあるんだということを裁判所自体が認めていらっしゃる。つまり、もうこういうものは常識なんだという考え方が蔓延しているのではないかという気持ちがいたします。  さらにまた、先回も宮之原委員が指摘をされましたけれども、「文部省当局も、これら諸工作の事実を察知し」ていながら「黙認していたふしがないでもないこと、」という、非常にまあよくわからないことを言っているわけですが、これは、黙認していたというふうに裁判所が判断しているのではないかというふうに読み取れるわけですね。そういう意味では、私は、文部省責任というのは非常に大きいというふうに思うんですけれども、今後このようなことが起きない、あるいは起こさないということが保障できるでしょうか。
  53. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 先生いま御指摘になりました判決文におきます表現につきましては、これはまあ裁判所は裁判所なりの意見であろうかと思いますが、私ども設置認可を担当しています当局といたしましては、はなはだ迷惑な表現であり、かつ私どもとしては、こういった黙認をするというようなことは絶対あり得ないことであるというふうに考えております。  なお、将来の問題につきましてでございますが、私どもはまあ設置認可に関しましていろいろな手を尽くして、申請内容につきましても諸事項確認をいたしてきましたし、今後もいたすようにいろいろな工夫をして、この表現で言えば擬装工作というようなものがもしあるとすれば、そういうものを確認できるような手を尽くしたいと考えておるわけでございますけれども、やはり私どもに与えられました権限なり手法なりについては、これはどういたしましても限界がございます。その限界の中で最大限の努力をいたしたいということでございます。  しかし、一方におきまして、教育・研究を目的とする機関、特に医科・歯科といったような人の健康、生命にかかわりがあるような教育・研究機関を設立しようというような側の方におきまして、こういった擬装工作と申しますか、あるいは人を欺罔するというようなことはまあ絶対にあり得るべきことではございませんので、そういうことがないことを期待をしておるわけでございます。
  54. 粕谷照美

    粕谷照美君 まあ元田中総理もそれから福田総理も、非常に道徳は大事だ、道徳は大事だと、こういうふうにおっしゃるわけですけどね、教育の場でこの擬装工作が行われていたという事実だけでも大変なのに、それを文部省が知っていて黙っていたということを裁判所が言っているわけなんですから、文部省にとってみればこれほど致命的な判決というのはないわけですよ。それだとしたならば、迷惑だなんてそんなことを言ってないで、やっぱり告訴をするとか、どういうふうになるんですかね、控訴をするとか、何か名誉回復のために行動に立ち上がるという、そういうお考え方はありませんか。あなた方か黙っているということは、これを認めたというふうになるというふうに私は考えます。国民の大多数もそういうふうに考えると思うんですか、大臣、いかがですか。
  55. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) まあこの判決におきまして、先ほど先生がお読みになりましたように、「黙認していたふしがないでもない」というふうなことは、はなはだ迷惑だと思っています。私どもは、そういうことは絶対にないというふうに申し上げさしていただきたいと思います。
  56. 粕谷照美

    粕谷照美君 どうも答弁が食い違うんですよね。「ないでもない」っていうことはあったということなんですか。なかったということなんですか。どういうことなんですか。疑わしいということなんですか。
  57. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) まあこの松本歯科大学の事例につきましては、やはりいわゆる検察当局の強制捜査と申しますか、そういうことでいろいろな事情が明らかになったようでございまして、この場合につきましては、学校設置者とそれから寄付者、それからその間に回ります金融機関、これがいわば意思を通じ合って、一種の工作のようなことがなされたのでございますが、そこのところで一種の非常にいろいろ手を尽くしてもわかりにくい、いわば完全作業に近いような状態があったのではないかというふうに、私どもは認識したわけでございます。審査の当時は、あらゆる手を尽くして事実の確認を詰めたのでございますので、この「ふしがないでもない」というようなことは絶対になかったというふうに申し上げたいと存じます。
  58. 粕谷照美

    粕谷照美君 それは、文部省自分のことを、犯人が自分はとらないとらないと言うような、何かそういう言いわけに聞こえるというふうに私は思いますから、その辺は今度これからの事実をもってえりを正してきちんと対処をしていただきたい。どの私学においてもそういう擬装工作がもう行われているんだっていう、そのことを知っていたというふうに思われる文章なんですからね、もう一切ないという条件をつくり出す以外にあなた方はそれを証明する方法はないというふうに私は思いますから、ひとつがんばってください。  こんなことばっかりやっていますと、もう何か暴露質問ばっかりみたいで、私自身もさっきからいや気がさしているんですけども、それだけではないんですよね。この福島県の私立の東北歯科大学の問題、これもまた地検の捜査を受けているということを御存じだと思いますが、その実態はどうなっていますでしょうか。
  59. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 福島地検で調査をしているということは仄聞いたしておりますけれども、どういうようなたとえば告発があり、どういうふうに行われているかということの連絡は、まだ受けておりません。
  60. 粕谷照美

    粕谷照美君 後でぜひ調査をしてください。早くからこれは何か市議会でも問題になったというんですが、市の所有地一万九千平方メートルを自己資産として文部省報告をしているっていうんですから、報告があるわけです。ところが、実際は賃貸契約なんだっていうんですから、その辺の調査だとか、なぜそんなことがいままでわからなかったのかというような点についても後日お伺いをしたいというふうに思いますし、もうそのほかに杏林大学の問題でもやっぱり出ているんですね。「日本の科学者」という本の中で、特に「新設私立医科大学における教育・研究の現状」というものを、「杏林大学医学部の場合」ということで、新川六郎さん、大学問題研究家の方が報告をしておりますし、文部省の方でもお読みになったと思いますけれども、中央公論のことしの十月号で、松井英男さんという方が座談会の中でいろいろお話をしておられます。その中で、われわれのところには点数も出てこない、教授会ですね、そういうことも言っておられますし、教授会はもう全然つんぼさじきだというふうなお話もしておられるわけですし、さらに、きょうの毎日新聞、いま私もらったんですけれども、「乱脈経理昭和薬科大学も5億円未回収のまま」理事長が指示して、使途も疑惑で、どうも系列の薬問屋に不正融資をしたんじゃないかなんというようなこともずうっと出ているんですね。  そのようなことを考えてみますと、私は文部省の指導というよりは、大学自体の問題というんですか、私学をつくっていこうという方々の考え方が、昔の建学の精神を持った崇高な方々とずいぶん変わってきているんだということを考えないわけにはまいりませんが、こういう問題に対して、五十二年の、ことしの九月の七日に通知が出されております。この通知というのは一体力を発揮するというふうにお考えですか。その自信のほどはどうでしょうか。たとえば昭和四十七年の四月の二十六日の衆議院の文教委員会でわが党の木島委員が愛知医大質問をいたしました。それに答えて安嶋さんは、太田理事長から公証人役場に届け出た誓約書、これは公正証書に準ずると考えてよいが、これを出してもらって、二百五人からもらった寄付金入学金の先取りではない、今後一切取りませんと、こう誓約してもらっている、だからこれを信頼して愛知医大を認可したというふうに言っていらっしゃるわけですが、信用が全然だめなわけですね。だからその誓約書というのは一体どれだけの、何というんですか、信頼性を持っているんだろうかという気持ちが一つあるわけです。さらに文部省は、その後四十七年の十一月の十一日、四十八年の十月二十日、四十九年の九月三十日と、毎年同じ内容を持った通知というものを愛知医大に出しておりますね。そういうことを考えてみますと、通知を出すたんびに何か寄付金の額がエスカレートしていく、やみ入学条件というものがエスカレートしていくような気持ちがいたします。したがって、この九月七日に出された通知は本当に効力を発揮するというふうにお考えですか。
  61. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 先生指摘のように、私どもは問題があると認められるたびごとにその都度指導を重ねてまいっておりましたが、今日のような状況に至りましたことは、はなはだ本当に遺憾なことだと存じております。九月七日の通知も、そういう状況を踏まえて、改めて各医学部、歯学部を持つ大学に出したものでございます。それぞれの学校当局も、昨今のこのような非常に遺憾な状況につきましては、これを非常に深刻に受けとめてくれているというふうに私ども拝見しております。今回の通達は、それぞれの学校においてもこれを本当に真剣に受けとめていただきたいと思っております。  それで現在は、私どもは、医学関係、歯学関係それぞれか協会というものをつくりまして、その協会でも自主的な改善案の検討をなさってきておりますので、この協会をまず通じまして、個々の学校がきちんとした節度のある姿勢で運営されるよう、この通達の実効が上がるような取り組みをしていただけるよう期待をしておりますし、私どもは願っておるわけでございます。したがいまして、実効かこれまでとは変わって上げられるのではないかというふうに思っております。
  62. 粕谷照美

    粕谷照美君 願望ですね。願っている、期待しているなんて、そういうことで本当にできるんだろうかということを私はさっきから疑問に思っている。というのは、先ほどのように愛知医大が誓約書まで出していながら年々年々エスカレートをしているということから考えても、非常な不安を持っているわけなんです。  それで、じゃあたとえば具体的にお伺いいたしますと、入学定員なんかにつきましても、非常にやみ入学定員というんですか、やみの生徒がいるということについて、これもやっぱり四十七年の衆議院の文教委員会におきまして木田政府委員は、現行制度のもとではもう規制力がないと判断していると、こう答えているんですね。現行制度のもとで規制力がないと言って四十七年から五年間たっているわけですから、そしてそのことが大変なんだということがわかっているんですから、一体、どういうふうにしていったらいいんだろう。制度を変える以外にないわけでしょう。それだけの根性を文部省はお持ちですか。そのときにやっぱり木田さんは、もう届け出を待って指導するのみなんだというふうに言っているんですね。そうすると、その指導というものは一体どれだけの力を持つのかという疑問が私には出てまいります。それに対してわが党の木島委員が、学校教育法施行規則四条は学則に定員を規定すると、こういうふうになっている。したがって、定員増は学則変更を要するわけですから、学校教育法施行規則二条で大臣に届け出をすると、こういうふうになっている。そうすると、届け出だけでよいとは言っても、指導すると文部省がおっしゃるわけですから、従わないということであれば解散をさせるということになるのではないか、解散を命ぜられるということの力を持つのではないかというんですが、指導というのはそれだけの力を持っているのかということですね、お伺いしたい。
  63. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のように、入学定員を超えていわゆる水増し入学をさせている実態がございます。私立医科歯科大学の場合には、もちろん教育の性質からいたしまして他の学部よりははるかに水増しをさせている率というのは少ないわけでございますけれども、やはり一・二倍あるいは一・三倍というような数字が出てまいるわけでございます。御指摘のように、四十七年以降、大学設置審議会のアフターケアあるいは私大審のアフターケア等を通じまして、その水増し率の引き下げについて私どもは極力指導を続けてきております。もちろん事柄としては指導にとどまっているわけではございますが、水増しの状況はやはり逐年低下をしてきているということは言えようかと思います。これからもそういった指導を続けてまいりたいと思います。全体としてはいま申しましたように水増し率は低下の傾向にあり、大学側もそれは真剣に受けとめているわけでございます。ことに新設の医科大学の場合には在籍者の中に留年者の率が非常に高いものがございます。そういった大学では、学生の教育ということを考える場合に、在学者の数というものについて非常に真剣な対応を考えておりますし、そういう状況のもとでもございますので、さらに水増し率を低下させていくような指導は実効を上げていけるというふうに私たちは考えております。
  64. 粕谷照美

    粕谷照美君 答えてない。指導に対して違反したら、それは解散命令が出せるんではないですか。
  65. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 水増しの状況が一・二倍あるいは一・三倍であっても、あるということはもちろん望ましいことではございませんけれども、そういう状況の中で大学側としては校舎あるいは設備、教員組織等を通じてそういった学生に対する教育がずさんになることのないような配慮はいたしているわけでございます。水増しの状況があるということをとらえて医科歯科大学について解散を命ずる、閉鎖を命ずるということは、これはできないことではなかろうかと思います。
  66. 粕谷照美

    粕谷照美君 そうしますと、できないことではないかというふうに局長お答えになってますけれども、四十七年の衆議院における木島さんの質問、届け出事項でその中身と実態が違うというだけで法令違反の事実になるかということに対して、やっぱり答弁は、閉鎖命令は監督庁の命令に違反した場合というような規定がございますと、こう言ってらっしゃるわけですね。何かちょっと違うような感じがしますけれども、五年間に文部省の態度こう変わってきているんですね。後退をしているんではないですか。あるいは質問の取りようが違うのでしょうかね。その辺のところを後でまたお伺いをしたいと思いますが、要は、この文部省の九月七日の通知というものは命令であるというふうに解釈をしていいのか、単にお知らせをしますよ、十分注意をして守ってくださいよというようなものであるというふうに理解をしていいのか、お伺いします。
  67. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) これはもちろん先生のおっしゃいますような命令ではございません。しかしながら単なる通知というふうにも考えておりません。非常に私どもは強い姿勢で指導を充実していく、その指導の中身だというふうに考えております。なお、したがいまして、たとえばこの通知に基づきまして、やはり各大学の経営の健全性を確保していくという、そのために文部省でもできるだけの配慮もすると同時に、あえて補助金の交付についても各大学の姿勢というものを勘案して一層厳正な態度で対処するというふうに申し述べているわけでございます。
  68. 粕谷照美

    粕谷照美君 仏の顔も三度までと、こう言いますけれども愛知医大の場合には愛知医大そのものに対して三回毎年毎年通知が出されていて、それでなおかつ守られない。何回出しても守られないとしたならば、これはもう私はやっぱりそういう大学というのはあってはいけないんだというふうに考えるのが当然だというふうに思うんですけれども、今回の場合は特定の大学を決めてないで一般的な大学の問題というふうに理解をするのか、一つ一つの学校にこの通知が行くというふうに理解をしていいのか。そして逆に言ってまた、この通知違反したような事実が来年度出たという場合には、あってほしくないと思いますけれども、さらにまたこれと同じようなものが繰り返し繰り返し出していって教育をしていくというお考えに立つのか。いままでの通知とはこれはもうちょっと違うんですよというようなものが具体的にどこに入っているのかということをお教えください。
  69. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) この通知私立の医学部、歯学部を設置する学校法人理事長と、それから医学部、歯学部の大学の学長にそれぞれ個々に出しております。それから、私どもはこの通知の実効が上がることを願っておりまするので、そして  この通知はずっと将来も通じての私どもの指導の方針でございますので、来年、再来年のことはいま  この段階では予想はしておらないわけでございます。
  70. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は文部省のそういう姿勢が非常に重要であるということと同時に、やっぱり少なくとも大学先生方なんですからね、大学先生方自身が立ち上がって自分たちの姿勢を変えていくということが非常に重要だというふうに考えています。そういう意味では私大協の方々の大学問題に関する構想などというのは非常にすばらしいものがあるというふうに理解をしているわけですが、私大協の動きというものを文部省はどのようにいまつかんでいらっしゃるか。
  71. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 先生のおっしゃいました私大協というのは医科大学協会及び歯科大学協会のことと存じますが、両協会とも非常にこの通達これは通達を作成する段階から私どもは両協会といろいろ今日の状況にかんがみまして協議もいたしてまいっておりますが、この通知を非常に真剣に受けとめて、そして協会自身でも自主的な改善プランを検討し、その案も出されておりますので、やはり本来こういう教育の問題でございますので、その担当する方々がみずからがその気になってきちんと節度のある対策を樹立していただくのが最善であるというふうに考えている次第でございます。
  72. 粕谷照美

    粕谷照美君 それでは、そういう問題については一たんここで質問を終わりまして、医師養成計画について一言だけお伺いしたいと思うんですけれども、大体四十七年から五十一年までの間に千二百から三百人ぐらい、そしてそのうちの半数以上は国公立でもって養成をしたいということを文部省としては答弁をしておられますけれども、その数字というものは目的の達成ができているというふうにお考えになっておりますかというのが一つと、最近、私立の歯科・医科大学の問題が大きくなってきましたときに、大変やり玉に上がったのに自治医科大学問題点があると思いますね。われわれの方は父母から取るけれども、この自治医科大学については県から金を出しているじゃないかと、そしてその割り当てをもらっているじゃないかというような、内部からの告発も続いているわけですが、それはそれとして、この自治医科大学が設立された目標に向けて、本年度で大体最初の生徒が終わって卒業生を出すんだというふうに思いますけれども、その目標に沿ったような就職というのですか、お医者さんができるというふうにお考えですか。見通しはどんなふうになっておりますか。
  73. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 医師の養成につきましては、御案内のように、四十五年に厚生省から人口十万人当たり百五十人程度の医師数の確保という養成目標があったわけでございます。これを指標としながら医科歯科大学——医科大学の整備に努めてまいったわけでございますが、無医大県解消計画の中ですでに十二の国立の医科大学あるいは医学部を設置いたしておりますし、また残る四つの医科大学、医学部についても現在設置、創設の準備を進めているわけでございます。その結果、昭和五十三年度に学生を受け入れる高知、佐賀、大分の三医科大学を含めまして、わが国の医学部の入学定員は国公私を合わせて七千六百八十人となります。昭和五十九年には人口十万人当たり医師百五十人の目標を超える形に相なろうかと存じます。なお、四十七年当時でございますと国立の入学定員が二千六百二十、私立入学定員が二千四百だったわけでございますが、現在その状況は、五十二年度の定員で申しますと国立が三千七百八十、私立が二千九百四十という状況になり、国立のシェアがかなり高まって、現在五一・二%が国立ということになっておるわけでございます。  なお、自治医科大学は、来年の春卒業生を出し、国家試験を受験をしてまいるわけでございますが、現在までのところ私たちは、当初この大学が創設されたときの構想に従って、この大学の卒業生はそれぞれ公的な医療機関等に就職をしていってくれるものというふうに考えております。
  74. 粕谷照美

    粕谷照美君 大体、数の計画はそのようになっているということはよくわかりましたけれども、たとえば人口十万人に百五十人の医者がいればいいといいましても、その医者の数ではなくて、いろいろな分野が問題点だというふうに思うわけです。その辺のところの見直しというのはもういまの段階では必要になってきているんではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  75. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 一つには、もちろん百五十人で医師の養成というものが満足すべき状況にあるということは言えないわけでございますし、昭和六十年代には現在の規模をもってしましても、六十年代末には人口十万人当たり百八十人を超える医師数をわが国は持つことになろうと思います。量の問題におきましてはおおむね先進諸国と並ぶことになるわけでございますが、御指摘のように、その医師の、一つには地域的な配置の問題がございます。これは無医大県解消というふうなことを進めながら、新しくつくっていく国立の医科大学がそれぞれ地域の医療の中で中心的な役割りを果たすことができるようにということを考えて進めているわけでございますし、やはり地方に国立の医科大学ができることに伴って、地方における医師の定着率も上がってくるということは期待できょうかと思います。  なお、医師が養成されていく場合に、どのような医師というものを育てていくかということがあるわけでございます。もちろん医師である以上は当然医師として必要な知識あるいは技術というものを共通して履修をしなければならないわけでございますし、そういう意味では医学の教育というのは一つの一般的なスタンダードがあって行われるものではございますが、その中で、それぞれの大学が医学教育の中でいろいろとそれぞれの大学の工夫ができるように、現在医学部の設置基準等におきましても従来よりは大幅な講座編成等における、あるいは授業科目の編成等における弾力化ができる措置を講じておりますので、そういった弾力化の措置を各大学が活用をしてこれからの医師養成に対応していってくれるように各大学に対して要請をし、指導をしているところでございます。
  76. 粕谷照美

    粕谷照美君 医師の問題点で言えば、たとえば歯医者さんの数なんですね。これは国公立で養成をする方の数がよけいなんですか、私学で養成をする数の方がよけいなんですか。
  77. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 歯の場合は、戦後新制大学が発足のころは歯学部を置く国立大学はわずか三校だけでございました。その後四十年代に至るまでは国立の歯学部の増設は行われないでまいっております。その後四十年に三大学、四十二年に二大学にそれぞれ歯学部をつくり、さらに最近に至りましては、五十一年度に徳島大学、五十二年度に鹿児島大学というように国立の養成機関をふやしてはきておりますけれども、現在の入学定員で見ますと、国立の入学定員は五十二年度五百二十名、これに対して私立は二千二百二十名ということになります。八割が私学によって養成をされているというのが実態でございます。
  78. 粕谷照美

    粕谷照美君 実態はわかりましたから、その辺のところは厚生省と文部省でもってどのようなお話し合いを進めておられるのかということについてお伺いします。
  79. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 歯学部につきましては、厚生省の方から医学部の場合のように人口十万人当たり何名を目標とするというような数字をちょうだいしているわけではございませんけれども、一般には歯科医師の数は医師の三分の一程度、人口十万人当たりで申しますと五十名というのか一つの指標というように言われております。歯学部の場合には、四十八年に文部省調査会におきまして、歯科医師の地域的な配置の状況等を考えながら、やはり国公立によってこれから歯科医師の不足しているところに歯科大学あるいは歯学部をつくっていくことがよかろう。ただし、そのつくり方についてはきわめて慎重を要するという御指摘をいただいております。先ほど申しました鹿児島あるいは徳島についての設置というのは、その調査会の御見解に沿ったものでございますし、また現在岡山と長崎につきまして歯学部の創設準備を進めているわけでございます。
  80. 粕谷照美

    粕谷照美君 私は学校の歯の検査のときだとか、四月になりますと子供たちの定期検査がありますよね。そういうときの実態を見ましたり、自分自身が歯医者に行くようなことをこう考えてみますと、二時間も待たされて十五分診てもらって、そしてまた一日おいてまた行かなければならないというようなことから考えたり、子供たちの鶴歯の状況の統計を文部省も出しておられますけれども、そういうような状況考えてみると、この医者の三分の一程度でよろしいと言ったのは、一体いつの時代のこの標準なんですか。いまこれだけ甘い物が出てき、いろいろな状況の中で子供たちの齲歯がふえているというときに、本当にそういうことでいいのかどうなのかという問題点はどうお考えでしょうか。
  81. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 現在わが国の人口十万人当たりの歯科医師の数はおおむね四十二名程度であろうかと思います。なお、そういう意味では量的にも整備か図られてしかるべき状況にあるとは存じますけれども、歯科医師の場合にはかなり地域的な偏在の問題等もございますし、また先ほども申しましたように、医学の場合に比較して非常に国公立のシェアが少ないというふうなこともございますので、長崎、岡山に続いてどのような形で国立の歯学の大学を整備していくかということについてはさらに慎重に検討をいたしたいというふうに考えております。また新しく大学をつくるということだけではなくて、国立の歯学部は学生の定員か創設の当時は大半が四十名だったわけでございます。これを逐次八十名までに定員増を実施をいたしておりますが、そういった定員増の措置を含めまして、国立の養成機関における歯科医師の養成を充実をしてまいりたいと考えているわけでございます。
  82. 粕谷照美

    粕谷照美君 私、そういう答弁だけではちょっと足りないというふうに思うんですよね。この中央公論を見てみますと、やっぱり国立の学校へ入るのは、サラリーマンの子は国立へ行けというふうなことを言っておられるわけですね。金のあるのは私立へ行って、金のないのは国立へ行きゃいいじゃないかと、こういうふうに言っております。たとえば歯学部あたりでもいま千三百万、千五百万円の裏口入学金が要るというときに、サラリーマンで千五百万円の裏口入学金を出せる人たちが何人おりますか。そういうことを考えてみれば、教育の機会均等という意味では、それは私学に対する補助金も非常に重要だというふうに思いますから、ぜひ文部省はがんばってもらって、今回の概算要求は満額大蔵省から認めてもらうように努力をしていただきたいということを思うと同時に、サラリーマンの子供でも歯医者さんになりたいというような場合のこの保障の措置、それからお医者さんというのは国民の命と健康を守るためにいらっしゃるわけですから、国が責任を持ってつくりましょうという意味ではまだ歯学の数が足りないんではないんだろうか、そういう疑問を国民は持っているわけです。それに対してやっぱり文部省はきちんとこたえる必要があるというふうに思いますので、ぜひ努力をして国立の歯学をつくっていただきたいというふうに思います。  これは後で御審議をいただけば結構なことなんで、時間が参りましたから、最後に文部大臣にお伺いいたしますけれども、今回の私学に対する補助金、大蔵省から本当に満額取れるという自信はありますでしょうか。どのようなことをやって満額を取ろうとなさるのか、決意のほどをお伺いいたしまして質問を終わりたいと思います。
  83. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘の点につきましては、結論として、私としては全力を挙げて大蔵大臣に事情説明をして大蔵省の理解と協力のもとに満額出してほしいと、こう強く願っておりますし、また、そういう政策努力を示すことによって、現在社会的にいろいろ批判を受けておる私立医科大学歯科大学側にもこの事態を厳しく受けとめて一層改善への努力をしてほしい、こう心から願っておりますので、全力を挙げて努力をする決意でございます。
  84. 粕谷照美

    粕谷照美君 がんばってください。
  85. 長谷川信

    長谷川信君 大臣並びに関係各位に幾つか御質問申し上げたいと思いますのでよろしく説明をお願いいたしたいと思います。それで、まず最初に御質問申し上げたいのは、教育ローンの問題であります。  まあ私どもいろいろ現場を回ったり、いろんな会合に出たり、あるいはまたお母さん方の会議、会合にいろいろ出て回ってみまして、何が一番困りますかというふうな聞き方をすると、一番困っておるのは何といってもやっぱり入学金と学費の捻出でありますという答えか相当数返ってきます。道をつけてくれとか、橋をかけてくれとか、いろんな要望がございますが、それらと比較をして劣らないくらいその種の要望が非常に強いということを私も現場を回って本当に生で感じているわけであります。この間も、あるお母さんの会合に出ましたら、高等学校に来年一人入る。それから中学に一人入る。もう一人は大学に入る。まあさっきのお話じゃございませんが、三人のうち一人、医者の学校なんかに入ったら、三人子供合わしたら恐らく四、五千万の入学金を出さなければ、まさに私の家庭はどうにもならないくらい経済的にもそれこそもう全く、何といいますか、どうにもならない状況でありますというような訴えをされておったわけであります。  大体いま、一人子供を入れますと、これは大臣御案内のとおりでありますが、まあ大体一人五百万程度四年間でかかるというのが通例でございますが、まあ二人入れたら一千万でありますから、とても一般のサラリーマン、二人、三人大学入れたら退職金底ばたきにはたいても、これはもうどうにも追いつかない。あるいは零細の農家の人は、もうそれはたんぼを売らなければ子供教育ができない。現実に私は新潟県でございますか、子供教育のために自分の持っているところの田畑を処分して子供教育をしているというのがかなり散見されておるわけであります。まあ、いま不況でありますから、中小企業、零細企業の皆さんも恐らくこれは借金しなければ子供の二人、三人はとても大学に上げられない。  そういう中で、いま、教育ローンの問題が出ておるわけでございますが、まあこれは釈迦に何とかみたいな話になるかもわかりませんけれども、日本の国が今日あるのは決して資源があったわけじゃない、エネルギーがあったわけじゃない、あるいは土地があったわけじゃない。明治以来百年、一にかかって日本の教育の成果が今日の日本を支えている、これはもうだれしも否定できない事実であります。この間、衆参議院の施政方針演説の際に、福田総理からも、これはどうしてもやっぱり教育のローン制度はやりましょう、準備ができたら来年度を待たないで実施に踏み切らしていただきますということをこの前の前の本会議のときに衆参両院で総理がお話しなさった。私もまさに本当にいいことをおっしゃったなあと思っているわけであります。これはいまの時点でやっぱり何といいますか、新しい教育のいろいろ模索をやっていらっしゃるわけでありますが、明治以来百年の教育のあの先人の勇気と英断と、まあ何といいますか、それで義務教育に踏み切ったその原点に思いをはせて、ここでやっぱり新しい角度でその種の問題の解決をしていかなきゃならない、その中に一つとしてローンの制度があると思いますが、この教育ローン制度について大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか、また、どのようないろいろいま考えを持っていらっしゃいますか、まずお聞きいたしたいと思います。
  86. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 先生指摘のように、学校に入るときにかかります教育費の負担というものをできるだけ負担しやすいような環境整備をするということは大切なことだと考えておりまして、教育ローンとおっしゃいますが、現在、一連の金融機関が自主的に行っていらっしゃる教育ローンもございます。それはそれとして大変望ましいことであると私は思っておりますが、文部省独自といたしましても、当該学校法人が特別奨学事業をするとか、あるいは入学金を一時に払い込むときに、一時の負担は大変だからそれを分割して払えるようにしたいという制度をつくりますときは私学振興財団からの原資を融資する方法等を考えるとか、あるいは教育ローンという、広い意味に解釈していただければ育英会の資金等も学生直接に対する教育ローンの一環であると、こう理解をしておりまして、こういった政策努力をできるだけきめ細かくすることによって教育費の負担が苦痛にならない環境づくりのためには努力をしていかなきゃならぬ、こう考えております。
  87. 長谷川信

    長谷川信君 大蔵省、おいでになっていらっしゃると思いますが、大蔵省にちょっとお聞きをいたしますが、大蔵省は、この教育ローン制度というのはいわば何といいますか、大臣が本会議で構想というか、御発言があった、それから新聞にいろいろこう連日書かれておりますが、名前はともかくとして、ローンの制度について大蔵省はどのような考え方を持っていらっしゃいますか、まずお聞きをいたしておきます。
  88. 吉田正輝

    説明員吉田正輝君) お答え申し上げます。  御承知のとおり、金融環境といたしましても国民のニーズか大変多様化しておるのが現状でございます。かつ国民の希望も生活の質的向上という点がきわめて関心が高まっておるわけでありますが、教育の分野という点も、大変国民の関心の高いところでございます。金融機関というと民間ではございますけれども、公共的使命を担っておるものということでございますので、教育ローンについても民間金融機関が前向きに考えてくれることを期待しておりますし、かつ私どももその方向で指導してまいる、現実に民間金融機関でも教育ローンについて前向きに取り組む方向がきわめて強く出ておるのが現状でございます。
  89. 長谷川信

    長谷川信君 大蔵省に引き続いてお尋ねをいたしたいと思いますが、いまおっしゃいますように、地方銀行、都銀、それからちょっと主管が違いますが、一部自治体もやっておりますね、板橋の区役所なんかもやっておるようでありますが、地方銀行、都銀、あるいは相互銀行、これらを含めて一応ローン式なものをやっていらっしゃいますが、これが一応私ども拝見をいたしておりますと、各県によって全部違うのと、地方銀行、都銀、相互銀行、全くそのやり方、方法が違いまして、それから貸せる金の金額も違う、償還も違う、保証のやり方も違う、それからいろんなことがみんな違うんですよ。それでいまおっしゃいますように、非常に教育に関心を持って協力をいろいろやっていただいているということはわかりますが、まあ一つ申し上げますと、ここに例がございますが、相互銀行のローン、いま現に行われておるローンの利息、利率でございますが、高いのは一一・七%、一番安いので九・六%、まあ九・二%ぐらいのもありますかな。ちなみに申し上げますと、九・六、九・六、九・二四、これは場所はいろいろ差しさわりがあるかどうかわかりませんから申し上げませんが、とにかく一一%から九・二あるいは三%くらいの間で相互銀行が教育ローン的なものをやってらっしゃいますね。これはいま特に戦後大蔵省初め、いわば制度資金貸し出し制度か非常に発達をしておりまして、ホテルをつくるったって大体五、六%ぐらい。それから何とか保養センターだとか、何とか公民館をつくるにしても、ほとんど無利息長期のものがふんだんに金が出ておる。子供のためにいま一〇%でと、サラリーマン金融と幾らも違わないくらいの、いわば私ども高利と見ても差し支えないような金だと思うんですよ。そういうものを何といいますか、ある程度、これは一応例だけ申し上げますが、地方銀行はこれも全部償還、担保だとか保証人をよこせとか、それから生命保険に入って証書を担保にとるとか、いろんなことがあれされておりますか、これらの利息は相互銀行よりちょっと安うございますが、八%から九・一八%くらいの間に地方銀行もやっておるようであります。これはいま申し上げましたように、何でもふんだんに金が出ている際に、一番大事な子供教育のためにそういう形のものは何らか方法がないものか。それと沖繩から北海道まで子供を対象として窓口が違うごとに条件が違ったのでは、これは本当の教育のローンというふうな趣旨が果たして生かされているかどうか若干疑問でございますが、もっとできたらこれを低利にして、そして画一的な方法で大蔵省で行政指導していただいて、もしどうしても避けることができなかったら利子補給等々も考えて、できたら五%くらいの、それもしかも全国画一的に、取り扱いも画一的、手続も画一的等の方法でないと、この制度の本当の意味が生きないというふうな感じでございますが、御見解をひとつお聞きしたい。
  90. 吉田正輝

    説明員吉田正輝君) 御指摘のとおり、現在行われております教育ローン、これからまた積極的に大きく拡大していくと思われますけれども、現在行われている教育ローンについて見てみますると、御指摘のとおり貸出金額とか貸し付け利率あるいは据え置き期間、償還期限、それぞれ各行ごとにまちまちであるのが実情でございます。  先生の御指摘の点は、一つは、そういうのが借りやすいような、いわば利用者の利便のために規格的あるいは統一的にできないかという点と、もう一つは、金利がどうにかならないかという点かということでお答えさせていただきますと、第一点の方のことでございますけれども教育ローンというものの利用者の立場を考えてみますと、教育ローンの内容が規格化している方が利用しやすい、利用者にも便利である、できるだけまとまっていくのが望ましいということが考えられるわけでございますが、一方では、民間金融機関でございますので、その自主的な判断あるいはその実情に即しての経営判断というのに余り強く介入するのもいかがかという問題がありまして、この両者の兼ね合いの問題でございますけれども、なかなかちょっとむずかしい問題もあるかと思います。しかし御指摘のように、利用者にとってわかりやすい商品、借りやすい商品というものがつくられることが教育ローンの本旨にもなりますということでございますので、現在各業界におきまして教育ローンの商品が検討されている状況でございます。そこで、これについて規格的あるいは規格品と申しますか、試作品と申しますか、モデル商品と言ってよろしいかと思いますが、そういうものが発表できるように指導してまいりたいと、ただいま努力中でございます。  それから金利の点でございますか、いまのお答えでこれからの検討もございますし、金融機関ができるだけ許せる範囲内で、その趣旨から見ましても低利で出すことを期待しておるわけでございますが、いま御指摘の金利の中には九年とかいうようなかなり長期のものがございまして、そういうものでございますために、やや金利が高いとか、あるいは中小金融機関の場合には取り入れ資金のコストが高いというようなことで、金融機関として可能な範囲内でできるだけ——まあそういう事情がございますけれども、金融機関として可能な範囲内でできるだけ低利になるように期待して、かつ指導してまいりたい、かように存じております。
  91. 長谷川信

    長谷川信君 引き続いてお伺いいたしますが、郵政省で教育ローン的なものをいろいろ小宮山郵政大臣がときどき新聞で見解を発表されていらっしゃいますが、これはまだ必ずやるというふうな決まったことでもないと思いますが、もし郵政省でいま御説明かありましたように、余りばらつきが激しいとあすこの新潟の銀行へ行ったら八%だ、こっちの銀行へ行ったら一一%だ、沖繩へ行ったら一三%だ、こっちは七%だというふうにばらつきになると、やっぱり国民の皆さんは、同じ子供たちが同じ学校へ行くんだから、同じ金を同じ償還で同じ条件で貸してもらいたいというのが、これが一つの要望だと思うんです。そういう意味であるいは郵便局なら全国全部画一的にやってくれるんじゃないかという若干の期待もあるかもわからない。そういう面で新聞で散見しますと、大蔵省と郵政省の間てこの種の問題をめくって——めぐってというかいろいろとらえて、若干の御見解が違うようなニュアンスも受けておりますが、その辺は大蔵省はどんな御見解でございますか。
  92. 森卓也

    説明員(森卓也君) お答えをいたします。  私ども郵政省の方から、予算要求の中で郵便局を使いましたところの進学資金の貸し付け制度の実現を図りたいという御要望が出ているということは承っております。まだ、大蔵省といたしましてはこれは予算編成の際に検討するということで結論を出しているわけではございませんが、すでに郵便貯金を原資といたしますところの奨学金制度といたしましては、先ほど文部大臣からお話がございましたように、私学振興財団を通じましての制度が実施されておりますし、郵便貯金ではございませんけれども、育英会を通じての奨学金制度もすでにあるわけでございます。特に私ども資金運用部として郵便貯金をお預かりして運用している立場から申しますと、国の資金は一元的に管理運用されるということが一番望ましいわけでございますし、特に来年度につきましては、郵便貯金の伸びが非常に低いというふうに見込まれておりまして、来年度の財政投融資計画、ただいま案を作成中でございますが、非常な原資難に悩んでおるところでもございますので、全体のバランスを見ながら財政投融資計画、五十三年度の編成に当たりたいというふうに考えておりまして、そういう意味では特に郵便貯金の加入者だけに郵便局から融資をするということが果たして妥当かどうかということは、相当検討する必要があるのではないかというふうに考えております。
  93. 長谷川信

    長谷川信君 郵政省来ていらっしゃいますか。——ちょっと郵政省の御見解も承りたいと思いますが、いろいろ大臣が発言されておるのを私も新聞でよく拝見いたしておるわけでありますが、いま大蔵省からローンについての予算の要求があった。しかし、まだオーケー出していないんだというお話でございますが、あなたの方の予算を出された大体大まかな形、内容について簡便にひとつ御説明をいただきたいと思います。
  94. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) ただいま郵政省で検討しております郵便貯金による進学資金貸し付け制度と申しますのは、先ほどから議論になっておりますような最近の教育に対する国民の関心の高まり、あるいは教育資金の需要の高さ、そういった実態にかんがみまして、郵便貯金としては他にこういった入学時に対する貸し付け制度が公的な制度としてはないというようなこと、あるいは現実に貯蓄の具体的目的といたしましては、老後とか病気とかという備荒貯蓄を除きますれば教育費が第一位を占めていると、こういった実態にかんがみまして、郵便貯金の預金者に対しまして高等学校とか大学とかの進学時に心要な資金の一部を簡易に、またできるだけ預金者の有利な利率でもって貸し付ける制度をつくりたいと、こういうことで現在、内容は詳細検討中の段階でございます。  郵政省といたしましては、この郵便貯金が国民の非常に各層から利用されておりまして、その資金も非常に巨額になっており、何とか直接預金者に利益を還元する方策はないものか、かねがね検討してまいったところでありますが、先の国会の逓信委員会における決議あるいは郵政審議会における二度にわたる決議、こういったものもございますので、早急に案を具体化いたしまして来年度の予算編成に向けて実現を図りたいということで、目下準備を進めている段階でございます。
  95. 長谷川信

    長谷川信君 郵政省にもう一回お伺いいたしますか、大蔵省の方に予算を要求されておるということでありますから、私ども細かいことはなかなかまだ不勉強でわかりませんが、たとえば郵便貯金を三十万持っていったら、一年間かかって三十万積んだと、それを持っていったら教育費をたとえば百万貸してくれるとか、五十万持っていったら百万貸してくれるとか、そういう具体的な例で大蔵省の方と話し合いをされておるのでありますか。いまあなたおっしゃったように、とにかくやろうと思うからひとつ頼むよということなのですか。私はかなり具体的な話が出ているんじゃないかと思うんですが、どうなんですか。
  96. 森本哲夫

    説明員(森本哲夫君) 現在いろいろ検討しているわけでございまして、まだ最終的には成案を得るには至ってない段階でございますが、ただいまのところ検討しております方向というのはおおよそこんなものでございます。  つまり、郵便貯金の預金者ということでございますので、一年とか二年と期間を区切りまして、そこであらかじめ進学積み立て貯金というような積み立て貯金に加入していただく、そして月々最高おおむね五十万見当を積んでいただきまして、積み立てが終わった段階で入学の事実を確認いたしまして、それを担保として倍額を貸し付けよう、つまり貸し越しをいたそうと、そういう制度でございます。現在、郵便貯金には「ゆうゆうローン」という制度がございますが、これはまあ預担貸しと申しまして預金の範囲内で貸し付ける制度でございますんですが、ただいま申しましたような積み立て貯金を行っていただいた預金者に対して必要な入学資金の一部を貸し付けたい、そういうことで現在、検討をしておるという段階でございます。
  97. 長谷川信

    長谷川信君 五十万積んだら百万貸せる、これは郵政省としてはいままで百万積んでおっても八十万か九十万しか貸せないというのが「ゆうゆうローン」のたてまえでありますから、非常に思い切ったやり方を考えていらっしゃるかもわかりませんが、一般通念として、私ども銀行へ行って借金する場合、二十万か三十万持っていくと大体百万程度貸していただけるというのが一般の通念ですね。これは大体そういうことだと思うのですが、その辺できるだけひとつまた、将来を担う子供のためでありますので、もっと積極的な考えがひとつできないものかというふうに考えておりますが  まあ、わかりましたが、文部大臣にお尋ねをいたしますが、いま申し上げましたように、地方銀行も都銀も相互もみんなばらばらなんですよ、やり方は。板橋区役所のごときはわずか百人くらいを対象としておりますが、利子補給を板橋区役所でやって、四%で貸しておる。しかも、五十万だか、七十万だか、十年だか、十五年の長期の。板橋のすぐ隣の五分も電車で行ったところはもうそういう制度がないというふうなことで、これはやっぱりなかなかいろいろ問題があるところだと思うんですが、さっき大臣がおっしゃいましたように、文部省が何といいますか、いろいろその種の問題の中心になられて、それで大蔵省、郵政省あるいは地方自治体、いろいろの調整をやられて、この種の問題の、子供のために一番いい、一番適切な方法をひとつ文部省で何か調整やっていただかないと、各省ともみんなばらばらだ、地方自治体もばらばらだ、そういうことになると、私はなかなか本当の目玉が入らないと思うんですが、やっぱりこれは文部省ある程度やっていただかないと困ると思うんですが、大臣のお考えをひとつお聞きしておきたいと思います。
  98. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) これは、いまのは全く突然の御質問でありますから、私見でございますけれども、まあ望ましい姿ということになれば、いろいろなところの歩調が大体合うということが望ましいわけでございますが、果たして文部省にそれをいま強制することができるかどうかという問題もありますし、そういう立場なのかどうかということもちょっと私は詳細よく存じませんので、これから先のひとつ研究課題にさせていただきます。
  99. 長谷川信

    長谷川信君 いまいろいろ規則とかそういうことからすれば大臣のおっしゃるとおり、これはもう私も一言半句ございません。文部省も別に大蔵省、郵政省にこうこうああしろ、こうしろということは、これはもうできないことはわかっておりますが、何としてもやっぱり子供二人三人あげたら、さっき申し上げたように、もうどうにも何といいますか、本当にはね返ってくるんですよ。そうなるとこれは規則とか法規とかいうこと以外に、文部大臣がやはり政治的にこの種の問題を、一歩も二歩も前に出ていただいて、何らか国民が少し手をはたくような、拍手ができるようなものを打ち出していただくことを本当に首を長くしてみんな待っていると思うんです。そういう面で強く御要望も申し上げ、またお願いも申し上げておきます。  それから今度文部省の御担当にお伺いいたしたいと思いますが、育英資金の問題でお聞きをいたしたいと思いますが、いま各国のこの種の制度を比較しましても、まさに日本の育英資金制度はこれはもう実にりっぱにできていると思うんです。本当に制度もりっぱだし、また行われておる内容もよくできております。ただ、残念ながら金額が足りない。これはことし五百十億円、来年度二六%増で六百四十億御要求になっておりますが、さっきいろいろお話がございますとおり、大蔵省でまるのみにされましても、これはここに文部省でおつくりになりました資料がございますが、いま一カ月に大体、自分の家から通っている子供は別でありますが、文部省のちょっと古い統計で、五十一年度の統計でございますが、たとえばほかの県から東京へ来て学校へ行っていますと、最低入学金とか納付金とか、そういうものを除きまして月八万円かかるというのが、一応の資料が出ております。これはまあこれから物価はいろいろあれでありますから、これは文部省調査は手がたい調査でありますから、内輪の内輪のあれでありまして、ちょっと少したばこすったり、うまい物でも食べたら、あるいは十万も十一万もかかるかもわからない。そういう中で、いま来年度六百四十億を大蔵省から全額いただいたとしても、月二万七、八千円か、三万円の奨学金しかいただけない。そうするとやっぱり親元から送ってくることでございますが、その家庭状況によっては学生はなかなか勉強できないというふうな状況にも相なると思うんですが、これはもう要求されておりますので、これことしのやり直して、もっとよけいやってくれなんていうことはできませんが、いままでの伸び率はどんな形になっておりますか。それからこれから将来、五十三、四、五とどんな形でこの育英資金を伸ばされるような考え方を持っていらっしゃいますか、御担当からちょっとお聞きかせいただきたいと思います。
  100. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) これまでの育英会の事業費の伸び率について手元に数字がございませんので、後ほど調べましてお答えをさしていただきます。  これからの育英制度の整備の問題でございますけれども、もちろん基本的には、非常に普及をいたしました高等教育の進学の状況というものを前提といたしまして、育英資金の規模あるいは貸与額の水準をどの程度のところに置くのか、あるいは原資を現在と同じように一般会計に求めるのか、それ以外に求めるべきところはないのかというような基本的な問題がございまして、それらについての検討も続けているわけではございますけれども、やはり計画的に育英会の事業というものは拡充をしていかなければならないということは考えているわけでございます。ことにわが国の場合は、国立と私立とを比較いたしました場合に、私立の学生に対する貸与率がかなりまだ低いという状況がございます。そこで、当面は私立大学の学生に対する採用率、特に経済状況も困っているし、また学業成績もすぐれている者に対する特別奨学制というものがございますが、この特別奨学生の数をふやしていこうということを考えているわけでございます。五十二年度でも千八百五十名の増を行っているわけでございますが、引き続いてこの私大の特別奨学生の数をふやすということを考えてまいりたいと思っております。  それから、育英会の奨学金の額でございますが、御指摘のように、五十二年度におきましては、昼間部の学部学生の授業料等の学費と生活費に対する奨学金の比率は、一般貸与の場合に約二〇%から四〇%、特別貸与の場合で約三五%から五〇%程度というのが現状でございます。学生・生徒の生活の実態に応じまして貸与月額につきましても、生活費に対する奨学金の比率が落ちないように毎年改善を続けているわけでございますが、今後ともそういった点についての努力はいたしてまいりたい。  それからもう一つは、大学院の学生に対する奨学制度について。これは大学院の規模も逐次ふえてきておりますので、奨学生に対する比率というものをやはり現状と同じように維持をしなければならないという課題もございますし、また大学院生の場合には、一般の学部の学生よりもはるかに高い奨学金を必要といたしますので、そういった月額の改善についても引き続いて努力をいたしてまいりたいというように考えております。
  101. 長谷川信

    長谷川信君 いま御説明を了解いたしますが、育英制度の予算はひとつ大臣からもがんばっていただいて、もうそれこそ大幅に増額をしていただきますようにお願いしておきます。  それから、さっき粕谷さんからいろいろ歯科・医科大学の問題でお話がありましたので、私ははしょりたいと思うのでありますが、一言だけ申し上げさしていただきますが、五百二十億も政府で補助金を出しているわけでありますから、当然経理チェックは文部省でやらなきゃならないわけであります。ところが、このような不祥事が起きているわけでございますが、私どもこう田舎におりまして、たとえば幼稚園とか保育所とか、これやっぱり国、県からお金をもらっております。これは実に手厳しい会計チェックをやっておりますね。あめ玉幾つ買ったまで、幾つ残っているまでチェックしまして、全く保育所とか幼稚園の会計している人は本当にふるえ上がるような手厳しいチェックをやっておりますが、ただ私学になりますとつかみでやって、ばらばらとこういうような事件というか問題が出るということでありますから、やはりチェックがなかなか適切でなかったということは、残念ながらこれは言えると思うんです。で、これからやっぱりこの種の問題のチェックをやはりある程度手厳しくやって、これらの問題が起きないようにしなければならぬことはこれはもう当然でございますが、この間、二、三日前の新聞に出ておりました。この前、いろいろ問題が起きる前の歯科・医科の学納金といいますか、納付金といいますか、一人当たり二千七百万円が平均であるという文部省の御説明があったわけでありますが、それは今回の問題をとらえていろいろ文部省で手厳しくこう締められたら来年の春は一千万で大体いけそうだというようなことが新聞に出ておりました。それは文部省大変御努力をされたことだとは思いますが、二千七百万円のが一千万円でそれほど支障がなくいけるということであると、逆に裏から考えたら二千七百万円というのは何といいますか、どういう一体会計状況になっておったのか、本当にやっぱり心配せざるを得ないと思うんですが、その辺今度チェックをされたら二千七百万円のが一千万円に下がってしまったというふうな推移あるいは経過等々について御担当からお答えいただきたいと思います。
  102. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) ただいま御指摘でございました明年度私立医科大学歯科大学の学生納付金の問題でございますが、これはただいま医科・歯科の団体でございます協会側と私どもとの間で御相談というか協議中でございまして、協会を通じて各学校状況について指導をしてまいりたいと思っておりますが、その額かどのあたりに落ち着きますかにつきましてはまだこれから詰めるところでございまして、私どもとしてはできるだけ学校側か従来どちらかと申しますと安易に入学時の寄付金に頼っていたのでございますけれども、これをまあいろいろな意味での経費の切り詰めもしていただいて低い額に落ち着けていただきたいというふうに考えておりますが、一千万円云々につきましてはまだ結論を得ておらない段階でございます。  なお、先生指摘の私学の会計を厳重にするという問題でございますか、これはただいまの仕組みでは私立大学で経常費に対する補助金の交付を受けました場合には、私立学校振興助成法第十四条の規定によりまして、学校法人会計基準、これは文部省令になっております、会計基準の準則に従って財務計算書類を作成し、所轄庁、これは大学の場合文部省でございますが、これに届け出なければならないことになっておるわけでございます。この財務関係の書類には私立医科歯科大学といたしましては、公認会計士または監査法人の監査報告書を添付しなければならないということにされておりまして、いま学校法人の経理の適正化を、特に補助金の交付を受けた学校法人の経理の適正化を確保するための一つの制度上の措置がとられているわけでございます。ではございますが、昨今に見られますような一部におきます私立医科歯科大学のいろいろな入学寄付金その他の問題はきわめて重要なことでございますので、私ども文部省側といたしましても、補助金の交付の主体でございます日本私学振興財団と一緒になりまして各大学への実地調査を含めましてさらに一層の指導の強化を図っていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  103. 長谷川信

    長谷川信君 制度上、監査するいろいろな方法があるということ、これは当然でございますが、いろいろな報告されたりいろいろやっていらっしゃるんでしょうが、今回のいろいろな不祥事件というのは大体その種のものから発覚したのじゃなくて、みんなほかのところから出ていますね。その監査をした書類を見て文部省は、この学校はだめですよとおっしゃったことは私は余りそうは聞かなかった。ほかから、あるいは警察からとかあるいは周りからだとか、その辺の周囲からいろいろこうきて、わっと挙がっちゃったのがほとんどでありまして、その制度はあってもそれか生きておらないような感じもするわけでありますが、その辺のチェックをただ書いて出せば——そうばつかりもないんでしょうけれども、その辺何か新しい方法で、悪いものはやっぱりチェックしなければなりませんよ。私は私立大学も恐らく百あればまあ大半——大半というか、大方はまじめにやっていらっしゃると思うんです。これは、私も私立の出身でありますが、私立だって本当にいい学校はありますよ。ところが、中に悪いのが三つ、五つ、七つあると、いわば私立全体か悪いというふうな印象を国民に与えて、これはまあ非常に残念でもあり、文部省としても遺憾のことだと思いますが、悪いのはやっぱり手厳しくひとつチェックしましょう。  そこで、チェックをする、たとえば補助金を一億もらって悪いことをして、今度大臣が、何か一カ校だか二カ校だか来年から補助金をやめますよということをおっしゃっていらっしゃいますが、ただ、補助金をやめるくらいでは、これは一罰百戒というふうな若干意味も踏まえて、何か極端なものについては、若干補助金打ち切りだけでなく、何か罰則みたいなものをやって、そのかわり一生懸命やっている私学、まあさっき私がお聞きしたら、一千万まで下がるということはまだ確定はしておらないと、仮に確定をしましても、一千万でも私ども子供をなかなか上げられないかもわからない。総理のおっしゃっておる教育の機会均等というものとはほど遠いものだと思うんですよ、一千万まで下がっても。だから、みんなまじめにやっていらっしゃれば、これはもうこういう、それこそ与野党を含めて、さっきもおっしゃいましたが、私学の私ども後援会になって、私学補助金をばんばんふやしても構わないと思うんですよ。そういうたてまえで、悪いのはひとつチェックをする。しかし、幾らやってもまだ一千万もかかるんだから、これでは教育の機会均等かできないから補助金をもっと出せということになれば、これまたいろいろ御相談ができると思うんですね。そういう意味でただ補助金打ち切る——文部省はもっと厳然として不正事に対して対処していくと、そのくらいのことをしなかったらやっぱり国民から拍手は沸かないと思う。その辺御担当からひとつお願い申し上げたい。
  104. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) ただいまの先生の仰せのとおりだと思っております。幾つかの非常に重大な問題を起こしている学校に対しては厳正な態度で臨まなければならない。これはその他の大多数の非常に一生懸命にやっている私学にとって、はなはだためにならない状況でございますので、私どもは厳正な態度で臨みたいと思っておりますが、御指摘の点につきましては、私ども私立大学経常費補助金も、私立学校振興助成法とともに補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、これにも基づいて交付するというたてまえになっておりますが、それは補助金の交付要綱にも明示してございます。そして、この補助金は国民の血税から賄われているわけでございますので、特に補助金の執行に当たっては厳重な態度を持したいと思っておりまして、今後もし適正化法に言います偽りその他の手段により補助金の交付を受けるというような適正化法第二十九条以下の罰則に該当するような事実が判明しました場合には、この規定にのっとった厳重、厳正な措置を講ずること、これを考えることも必要であると思っております。
  105. 長谷川信

    長谷川信君 まあ局長さんの御答弁もわかりますが、大臣ひとつ、あれですが、いま局長おっしゃいましたように、規則にはいろいろ書いてないかもわからない。書いてないかもわからないが、まあ二、三、四、五の例、けさもきのうの夜もテレビに出ておりましたが、全く恥ずかしいような大学の中のいろんな問題が出ておりましたが、あの種のものについて、おまえは、まあそうか、それじゃこっちにやる金だけはとめようと、後おかまいなしだなんということは、これはやっぱり通りませんよ。これは私も法律家じゃないし、お役人した経験もないから、どういうことでそういうものができるのか事務的にはわかりませんが、国民の世論感情として、私どもの気持ちとして、まあとにかくあの種のひどいものについては、これは補助金打ち切りだけでは国民はやっぱり納得しないと思う。そういう面で大臣の御見解、お考えをひとつ承らせていただきたい。
  106. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) いま文部省が具体的にとり得る措置というものが、議論になっております補助金の打ち切り、それから法律のやっぱり規定にないことを、文部省法律の規定のないことを勝手に考え出して大学側に罰則的なことをするというのは、これは何か法律のたてまえからいきましてきわめてゆゆしい問題になるという側面もございますし、また本来大学というものは教育・研究のために置かれておるその自主性、その自治というものはきわめて尊重されなければならない存在であるわけです。ですから、そうであればあるほどやっぱり世論のこれだけの批判を受け、またいろいろ社会的な問題になっているわけでありますから、大学当局者が厳しくこの事態を受けとめてもらいたいということを私どもはいま願っておるし、またそういう気持ちを伝えておりますし、医科大学歯科大学協会側もこの事態は厳しく受けとめておってもらうと、こう考えておりますが、それを乗り切って、いま先生のおっしゃるように、こう、すっとするような罰則措置その他ないかとおっしゃっても、それは法律のいろいろな規定のないことを私どもが言うわけにはまいりませんので、そういうような事態にならぬように、もうそれこそ背水の陣できちんと説得をして、指導の中で改革をなし遂げていかなきゃならぬまさに大変な時だと、こう考えております。
  107. 長谷川信

    長谷川信君 大臣のお話よくわかりますが、まあしかし、私も役人の経験がないからわかりませんが、いろいろおつき合いしている範囲で私ども若干はだに感ずることは、本当に文部省がやる気でやれば、それはいろんな面で私は手厳しい引き締めができると思う、補助金の打ち切りだけでなくて。これはお役人さんというのはみんなそうですよ、規則に書いてないことであっても、やっぱりやろうと思ったらいろんなことで何とかまあ回り回って、こういろいろのことでやる場合がありますよね。そういう面で、まあ規則をあるいは逸脱するとかそういうことではございませんが、本当に大臣あるいは文部省局長かあの大学はけしからぬからひとつ引き締めろということで、そういう考えで対処された場合、その規則の中でも私はかなりいろいろのことで締めつけができると思う。やっぱり一罰百戒くらいのことを、それはそういう表現はよくありませんよ、さっきも私が申し上げた、法律に書いてない処断をしろとか、そういう表現はいささか何でございますが、その規則範囲の中においても、これはお役所というのはやればかなりできると思うんです。そういう面でこれは局長、何かそういう若干見解をひとつ。
  108. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) まあ私どもはできるだけ根気のよい指導を重ねてまいりたいというのが、まあいわば基本でございまして、学校法人でありますから、やはりみずから必要な責任をとっていただく、あるいはみずから姿勢を正していただくということをまず基本に置きたいと存じますが、非常にやはり経理が不適正で、その補助金の交付の目的が達成されがたいような場合には補助金の返還をしていただく。それから先ほど申し上げましたか、補助金等に係る予算の執行に関する法律違反のような事例がございましたら、これは厳正に当該法律の罰則の適用について関係官庁とも連絡をして措置をすべきであるというふうに考えておるわけでございます。
  109. 長谷川信

    長谷川信君 私のお願いするようなことがまだ、何といいますか、余り御理解いただけておらぬようでありますが、まあしかし、よろしゅうございます。  それから、次にお聞かせをいただきたいと思いますが、ことしの大学高校生の就職の状況、きのうの夜テレビを見ておりましたら、大企業の試験がきのうですか、一応終わったと。戦後というか、戦前も若干含めて、戦前戦後を含めてまさに最高の悪い状態でありますという解説を盛んに、こうやっておりましたが、二十一万人受けまして六人に一人しか入らなかった。これはまさに戦後では最高の状態だという解説をやっておりましたが、これは文部省どうこうということではございませんが、とにかく大変なことだと思うんです。それで、その二十一万人のうち四万だか五万だか就職をして、そのあふれた——あぶれたというか、外れた学生諸君が今度中小企業、零細企業に向かうわけですね、どっかへ入らなきゃならぬわけですから。そうすると、そこに今度入ろうとした者がまた大学卒が高校生を押さえ、どんどんどんどんこうやって、なかなか来年はこれはもう本当に大変な事態だと思うのでありますが、きのうテレビの放送でありますから、詳細のことはわかりませんが、来年度の雇用関係についてどんな形になっておりますか、それから、若干これからの推移についてどんな形になっておりますか、御担当から御説明いただきたいと思います。
  110. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 文部省の方で九月末日現在で大学、短大について求人の状況調査をいたしております。これは抽出調査でございますから、傾向を見るにとどまるかと思いますけれども大学の場合には、昨年の同期と比較いたしまして、求人件数は一二・八%増、それから短期大学の場合には、求人件数一四・五%の増でございます。求人数につきましては、大学が二八%の増、短大が七・一%の増という状況にございます。ただし、その内容については、日経連がことしの八月に発表いたしておりますように、採用計画の人数から見ますと、五十二年三月の採用結果に比較をいたしまして、大企業で三・七%の減、中小企業で八・七%の増というような状況にございます。九月の末に各大学の就職担当者を集めまして私の方で懇談会を行い、状況を聞いておりますが、やはり国公私を通じまして大企業の求人件数は若干減、それから中小企業を含めた全体の求人件数は昨年より増というような感触を大学側は持っておるようでございます。全体としては中学校、高等学校もおおむね前年と同じような求人の状況にございますし、大学の場合にも全体としては昨年とほぼ同じような求人件数、求人数にはなるとは思いますけれども、内容においてかなり大企業の方の採用状況が厳しい状況にあるということが見込まれるわけでございます。これから文部省はさらに十月末日現在の求人申し入みの状況、それから十一月、十二月、一月、二月の各月末時点で就職決定の状況調査をしてまいりますが、そういった調査の進捗状況、進展状況を見ながら、労働省等の関係団体とも協議をして遺憾のないように考えてまいりたいと思います。  また、大学生の場合にはどうしてもなお大企業に偏りがちないわば就職の志向の傾向がございますので、それぞれの学生の就職についての意識というものについてのきめの細かい各大学における就職指導というものが行われるように各大学に対して依頼をしておりますが、そういった点にも配意をしてまいりたいと思います。もちろん中小企業に大学生が進出をすることに伴って高校生の職場を圧迫するのではないかという問題があるわけでございますか、現在のところは、先ほど申しましたように、大学生を対象とした中小企業の求人状況というのはかなりふえております。それを前提とした上で、なお中学校、高等学校の卒業生の求人状況というものもほぼ前年同様というふうなことになっておりますので、中学校、高等学校を含めまして、これからの就職の決定状況に見合って私たちも各大学に対してきめの細かい就職指導を行っていただくように頼んでまいりたいと思います。
  111. 長谷川信

    長谷川信君 いまお話聞いて若干安堵した、したというか、この間石田労働大臣御答弁の中で、いまのやっぱり局長さんのお話のように、まあ大企業には入れないかわからぬけれど、働く気になればそう心配ないよというふうな御答弁をされておったわけでありますが、いまお話聞いて、なるほど石田大臣の話と合うような、合うというか、合致しておるような感じでお聞きしておったわけでありますが、いま、そうなると、それほどがたがた——がたがたというか、それほど心配しなくても来年はまあまあ子供はどっかで働けるよということで、私ども大体そんなことで考えていいんでしょうかな。ただ、きのうのNHKの解説なんというのはまず身の毛のよだつような解説をやっておりましたが、(「実態はそんなものじゃないよ」と呼ぶ者あり)そうでしょう。私もきのうNHKの解説を見て、これは大変だなと、私もいなかで若干細かな仕事をやっているんですが、とてもこれはもう採用なんかでさるような景気の状態じゃありませんね。いまのあなたのおっしゃったのと、石田大臣のおっしゃったのと、事実だとすれば、私ども、ああそれはまあまあ、じゃちょっとランク落とせばまあまあ子供はどこかで働けるんだからとい、うことで安心もできるかとは思いますが、いま藤井先生からお話のように、「そんなものじゃないよ」という話もございますが、その辺どうなんですかね、もうちょっと詳しくひとつ、いろいろこれは父兄が心配していることでありますから。
  112. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 先ほど申しましたように、数字の上であらわれてきております求人数あるいは求人件数というものと就職を希望する者の数との対比で申しますと、はるかに求人数が上回っているという状況にはあるわけでございます。しかし、学生が希望するところに就職ができないという状況は、昨年も指摘をされましたけれども、ことしの場合も非常にそこが厳しくなってきていると思います。もちろん一面では、学生の就職に対する意識というものを変革をして、もっと進んで自分の職場というものを積極的に選ぶという姿勢をとってもらいたいということを考え、そういった指導を大学に求めるわけでございますが、たとえば高等専門学校の場合は、これは就職状況は実は一〇〇%でございますけれども、実際に就職した後で、その就職先におけるその学生に対する処遇というものが必ずしもその学生の高専における教育を受けてきたものの内容とマッチをしないというふうなことがあって、そして、一たん就職をしたところを再び離職をするというふうなこともないわけではございません。したがって、学生の側の就職の意識あるいは大学における教育の内容というものについて、私どもも極力努力をしてまいりたいと思いますけれども、同時に、学生を受け入れる企業の側におきましても、学生というもののそれぞれの教育機関で受けてきた教育というものを正当に評価をして、そして、それぞれの学生が十分な仕事ができるような配意をお願いをしたいということを、これまた企業の方々にはお願いをしているわけでございます。数字の上で求人数が上回っているからといって、私たちは就職の状況全体について決して楽観をしているわけではございません。
  113. 長谷川信

    長谷川信君 まあいろいろとパーセント、いまの、そういうことになっているんでしょうが、私どもなまで感じた感じは、やっぱりいま藤井先生おっしゃるように、なかなかなまやさしいことではないというふうな感じがいたしております。したがって、これは文部省でもうちょっといろいろまた綿密にお調べをいただきまして、別の機会にまた私どもにお聞かせを賜りたいというふうに考えておる次第であります。  なお、まだお聞きしたいことが三つ四つございますが、時間でございますので、わが党の持ち時間の中において別の機会にまたお聞きをいたしますので、私の質問はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  114. 吉田実

    委員長吉田実君) 本調査に対する午前中の質疑はこの程度にとどめます。  ただいまから一時間休憩いたしまして、午後一時四十分から再開させていただきます。    午後零時三十九分休憩      —————・—————    午後一時五十一分開会
  115. 吉田実

    委員長吉田実君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、教育文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  116. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私立医大あるいは歯科大のここ一年来の不祥事件ほど、私は国民の胸を痛めておるところの問題はないと思うんです、単に教育界のみならず。それだけにこういう不祥事件を今後どう根絶をしていくかということは、非常に大きな私は課題だと思うのでありますが、その中で、去る九月七日なされたところの文部省の通達のあり方は、これが効果を発揮できるかどうか、今後の私は課題になると思うんです。そういう意味合いからこの問題についていろいろお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず、この通知問題ですが、通知問題のポイントは、資料を見る限りでは六点にわたっておるようでございますが、私はまずその中の「入学に関する寄附金の収受等の禁止」の問題についてお尋ねしてみたいと思うんです。  この一項に盛られておるところのこの通知の問題は、一部新聞にも報道されたことがあるわけでございますけれども、八月七日に文部省で決めたところの一つの案ですね。「私立医科歯科大学入学時寄附金問題等の改善について」というのが出ておる。これは八月の二十七日、八日前後の新聞にも大分大々的に報道されておったわけなんですよね。この最初の原案と九月七日に出されたものとには、私は相当な開きがあると見ておるんです。したがって、まず尋ねたいところの第一点は、この「入学に関する寄附金の収受等の禁止」ということについてどこが違っておるのか、そこのところをまずお聞かせ願いたい。
  117. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 基本的には異なっておるところはないというふうに考えております。
  118. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 全然違っていませんか。どこが違っておりますかとお尋ねしておるんだから。
  119. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 八月と申しますか、以前から「入学許可条件となる寄付金は、収納してはならない」というのが基本でございます。それで九月七日の通知におきましてもそれをより敷衍して、「入学に関し、直接又は間接を問わず、寄附金を収受し、又は寄附の募集若しくは約束を行わないこと。」というふうに述べているわけでございます。
  120. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 管理局長は最近なられた方ですからね、あるいは読み落とされておるのかもしれませんけれども、これ最初の原案はいまおっしゃったことと、さらに、「これに反した行為があったときは、経常費補助金の交付の対象としないこと。」と、こう明確に出ておったんですよね。入学許可条件となるような寄付金は納入してはならぬ、これに反した場合には経常費補助の交付を打ち切りますよと明確に言うておる。ところが、七日出されたところの最終的なものはこういう言い回しですね。「なお、入学に関する寄附金の収受等により入学者選抜の公正か害されたと認めたときは、当該学部について私立大学経常費補助金を交付しない措置を講ずるものであること。」と、砂をかむような表現であるんですがね。私はこの言い方と最初のおたくの原案にあったところの物の考え方とには相当の開きがあると思うんですが、これはどういうものでしょうか。
  121. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) いま宮之原先生お述べになりましたように、表現の上では、言葉遣いの上では相違が確かにございますが、言っておりますことの内容、精神は同一でございます。前段で入学に関する寄付金の収受を行わないことといたしてございます。それから後段では「この入学に関する寄附金の収受等により入学者選抜の公正が害されたと認められるとき」というふうに言っておりますが、以前からの私どもの案として考えておりました入学許可条件となる寄付金、これを収納するということは私はやはり入学者選抜の公正が害されるということでございますから、内容においては異なるところはないというふうに考えております。
  122. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それはおたくだけの物の考えでないですか。これに反したときには補助金は絶対やらぬということと最終的な「認められるときは、」と、だれか認めるのかわかりませんけれども、一体だれが認めたときはという意味になるんでしょうかという疑問も出てくるし、「交付しない措置を講ずるものであること。」と、これは法律語ではどういうことになりますか。「講ずるもの」とするということは、しない場合もあるということなんですよ、いままでの皆さん政府の物の法解釈は。ちょうどあの大学紛争のあったときのあの五ヵ年間の時限立法でもそうでしょう。「講ずるもの」と、これはしなくてもいいことだとおたくは解釈しているんだから。非常に換骨奪胎ですよ。非常に弱められていると、こう指摘されても言いわけつかないでしょう。なぜこういうような表現にしなきゃならなかったのか。それは医大協の皆さんからの強い要請によってこういうふうに変えたんですか。この「措置を講ずるものであること。」云々というのは、明確にそれは講ずるんだと、こう言い切れますか、これは。法律用語としては、いままで皆さんはほかの法律用語との関連の中ではしないこともありますよという法律用語の解釈してきたんですよ。どうですか、その点は。都合のいいときだけやられては困りますからね。
  123. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) この通達につきましては、これは私立大学の医学部、歯学部におきます入学に関する寄付金の収受等の禁止、それから入学者選抜の公正の確保ということについての一番大切な基本的な方針を述べておるものでございます。で、具体的なその補助金の問題になりますと、これは日本私学振興財団において補助金交付の業務を行っておるわけでございますが、この通知にございます「措置を講ずる」という文言に従いまして、私学振興財団におきまして私立大学経常費補助金の交付要綱につきまして、これに基づく交付の基準あるいは交付の条件等を定め、それによりまして、具体的にはこの通知に述べられておりますような事例がございましたときには交付をしないということになるわけで、この通知におきましては、そういう具体的な手順を踏むというような意味合いで「交付しない措置を講ずるものである」というふうに述べてあるわけでございます。
  124. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ますますやはりそういう感じがいたしますね、いま御答弁をお聞きすると。それはいろんな、単にこれだけじゃなくて、ほかの条件も加味して補助金を交付しないことだという判断をするんだと、こういうお話ですと、これは入学許可条件として寄付金を取ってはまかりならぬと、それに反した場合にはもうどんぴしゃり補助金を切りますよと、こういう物の言い方がいまの御説明だと、そればかりでなくて、いろんなところも勘案してというかっこうになっちゃって、ますますゆるくなりはしませんか。だから、非常にゆるめられてるということは事実じゃございませんか。これがたとえば海部文部大臣が名古屋に行かれて、どこか選挙の最中でしたけれども新聞記事がありますけれども、このことは厳然としているんだと、こう大上段に振りかぶった談話を発表されておるんです。それでまた原案にもそうあった。ところが、出されたところの実際の通知には大分ゆるめたところの印象を与えるところの条項があるんです。なっておるんですがね。そうじゃないと言い切れますか。——言い切れますか。
  125. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) これは先生のいまの御質問のとおりでございまして、ゆるめたものではございません。先ほども一度申し上げたことでございますが、この「措置を講ずる」ということに基づきまして、従来の補助金の交付要綱の内容に、入学条件とするような寄付金を収受した場合には交付しないというような、そういう基準を加えてそして実施をするということでございまして、交付をしないというそのものの規定は補助金の交付要綱ではっきり書くという、そういう段取りを予想してこういう表現にしたわけでございまして、先生の御質問のようにゆるめたとかいうことではございません。全く同じ考えに立ってのものでございます。  なお、それから先ほどの御質問、ちょっとお答え漏れかあったと存じますが、両協会側との話し合いで内容をゆるくしたということは、これはございません。
  126. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 こういうふうに理解してよろしゅうございますか。私は少なくとも、あの新聞にも一時報道されたおたくの八月初旬のこの原案というのは、これはもう明確なんです。この入学条件寄付金というのが非常に悪害を残しておる。だからこれがあったら、いろんなその条件はあろうともこれだけでも補助金を打ち切りますよという強い意思表示だったと見た。そうすると、こういうふうな表現になってもそういう物の考え方だと理解してもよろしゅうございますか。
  127. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 先生が原案とおっしゃっております段階のものは、いわば要項と申しますか、……
  128. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 だから、問題は物の考え方を聞いておるんですよ。
  129. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 要項的な段階でございますから、そうでございますから、そこに考え方を出しておったわけで、その考え方はこの通知でも変わっておりません。
  130. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いや、だからその考え方は、素人が読みますといろいろその補助金を交付しないと、これいろんな条項がありますわね。あるけれども、事この入学条件とするところの寄付金というのが今日の一番の問題を盛られたんだから、事その問題が起きたら、これは補助金はやりませんよと、こういうのが、文章表現は別にしても、当初の考え方であったと思うんです。したがってそういう考え方がこの文章の意味なんですか。そこだけノー、イエスをはっきりおっしゃってください。
  131. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 先ほども申し上げましたが、入学条件となる寄付金というものは、やはり入学者選抜の公正にかかわることでございますから、これはいたしてはならないというのが基本の考え方でございます。それは貫いておるわけでございます。
  132. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうあなたぼかされて逃げられたんじゃ困りますよ。私が質問をしておるのは、いいですか、これは大臣にお聞きしてもいいんですよ。——じゃあ大臣にお聞きしましょう。私は海部文部大臣の七月初めのあの談話を見、さらにまたこの八月の初めにおたくで一応案としてつくられたところの物の考え方、これは、そもそもの物の考え方は、愛知医大ばかりじゃなくていろんな一連の医科大、歯科大入学条件とするところの寄付金という問題が今日のやはり一番、一つの不祥事件の問題点になっている。これをやっぱり根絶をしない限り今後この問題については対処できないという強い意向だと見たんです。ですから、いろんな補助金を出さないところの条件かあるけれども、事少なくとも入学条件とするところの寄付金を取った場合には問答無用で切りますよ、補助金は、こういう意味だと私は理解しているんです。先ほどの管理局長の話では変わらないと言うんですけれども、そういうふうに受けとめてよろしゅうございましょうか、どうでしょうか、大臣から直接お伺いしたい。
  133. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘のように、一連の社会的批判を受けた原因をどこに焦点を置くかは宮之原先生おっしゃるとおりに、入学時の条件に多額の寄付金がされていたという点に焦点があるわけでありますから、私はこの問題を解決するためには、入学条件とする寄付金というものはこれは絶対に根絶をする、そこから出発をしなければならないと考えておりますし、また文部省がこの改善に取り組みまして、七月でございますか、あの要綱を決めたときの基本的な考え方もそこにあるわけでありまして、局長がいま答弁しておりますことも、その内容は変わっておらぬと申し上げておりますように、この通達において各大学の学長、理事長に要請をしました第一は、入学条件となる寄付金は禁止をする、やめてもらいたい。これを厳しく受け取ってもらうためにそういったことが行われた場合には、これは本旨ではありませんが、助成金は交付しない。これはやっぱりうらはらをなすものと私は理解をしておりますから、先生の御質問と私は同感でございます。
  134. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 大臣の答弁でわかりました。でなければ先ほどの局長答弁だったら、四十九年一月十七日の通達と何ら変わらぬですよ、通知と。持って回ったような言い方で……。その趣旨はこうだということが明確になりましたから、そのように私も理解をいたします。  それで問題は、引き続いての問題ですけれども入学時の寄付金はだめだと、しかし任意の寄付金はよろしいという、一つのまた逃げ道があるわけなんですがね。これは第六項でございますか。そうすると、これはあれですか、入学時の寄付金はだめだけれども入学後の、入学許可した後の寄付金はオーケーだと、こういう意味だと思うんですがね、この意味は。そういたしますと、時期が一応ずれた。条件ではなかったけれども入学後は納める。そうなりますと、任意云々というこの問題は、実質的に入った後もその学生の最も大きな負担になりはしないかということを私は恐れるんですがね。その心配はないのかどうか。というのは、これは八月三十一日でございましたか、皆さんの通達の前後に出ましたところの私大協の見解なるものがございますね。お持ちだと思いますが、申し合わせみたいなものがある。これを見ますと、こう書いてあるんですよ。この寄付金の問題について非常に開き直っておるんです。たとえばこう言っておる。ずうっと書いてから、「しかし我々は任意性の次心意的解釈に逃れることなく学生負担金の明示等と相俟って」云々と、このようにもらう方の関係者は、大学側関係者は申し合わせとるんです。そうすると、皆さんはあれは任意だ任意だとこう言いながら、大学当局の関係者はそうは解釈してないんです。任意といっても決して恣意的に云々というふうに解釈したらだめなんだと、これには実質的なやはり相当な拘束力があるんですよと、そういう配慮をしなきゃならないですよという申し合わせを実際にはやっておるんだ、これを見れば。そういたしますと、これは幾ら皆さんがここでああそうですよこう言っても、実際の場合には、実質この強制的な寄付金というかっこうに変わらなくなりはしませんか。そこはどう見ていますか。
  135. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 任意の寄付金という字をあえて使わざるを得ないという状況が現在あるわけでございますが、寄付金は本来自発的かつ任意に喜んで行うというのが寄付金でございます。でございまして、しかし私立学校ないしは学校法人でございますから、これはやはり善意の、いわゆる任意の寄付金ということは当然そういうものがあれば受けてしかるべきでありますし、むしろ望ましいわけでございます。先生の御指摘の、任意が本来本当に任意であるかどうかということでございますが、この通知ではやはりそれは入学前ではそういうことはなかなか判断がむしろ困難であり、かつむしろ実質的に強制になるというふうに疑われる場合が多かろうと存じます。したがいまして、こういうものはとにかく入学許可後ということでございますし、そしてやはり本来の寄付募集らしい形で、寄付金の使途、目的あるいは募集の目標額、そういったことを明示いたしまして、そしてその必要の範囲内で本来の寄付金らしい形で寄付をする、寄付を受けるということで徹底してもらいたいという考えなわけでございます。
  136. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私はおたくの通牒に出ておるところの任意という言葉が任意でないと言っているんじゃないです。しかし、これが運用された場合には任意が相当強制力を持ってきませんかと言っておるんです。それはなぜかならば、先ほど申し上げたように、私大協はこの八月三十一日の各理事長あての緊急通知の中に、おたくと十分相談をしたという前置きを書いておるんですよ、これ。「本協会では去る八月二十四日の特別委員会に於いて最終意見の交換を行ない、引続いて文部省側と協議をし、次の通り」云々、こういうような形で出しておるんです。そして、それと同じ時期に、申し合わせとして確認事項でこの任意という問題は、先ほども私読みましたように、この問題については「任意性の恣意的解釈に逃れることなく」と、こう書いてあるんです。これには相当な拘束力を持たせるんですよと、そういうとり方をしなさいと出ているんだ、これには。幾ら文部省が表明出してみたって、実際やるのは大学側でしょう。その皆さんの当局がこういう物の解釈で意思統一をやってやるということになれば、これはしり抜けの通牒になりやしませんか。もし、いや任意はあくまでも任意だと言うならば、この対策をやはり文部省で事後策を立ててもらいたいんです。文字どおり、五月七日のあの通知のとおり、任意なんだから、世の中に妙な誤解を招くような文章表現ややり方はやめろと、こういう指導をすべきじゃないでしょうか。そういう指導をする意思がありますか、ないですか。
  137. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 私ども私立医科・歯科の両協会と協議をこれまでも、また今後も重ねまして、個々の大学についての指導を徹底してまいりたいと思っておりますが、ただいまのいわゆる任意の寄付金の問題でございますが、先ほどお話のございました入学条件となる寄付金を抑制禁止するということと相まちまして、任意の寄付金とは言いながら、そこに何らかの疑いの生じるような寄付金はこれはあってはならない。せっかく各大学が節度を持って行動するときに、いまお話ありましたような疑いの出るようなことはしてはいけないということで両協会とも協議を詰めたいというふうに思っておりますし、両協会側もいわゆる各学校が、これは勝手に任意だ任意だと言っただけではよくございませんので、そういう悪意的解釈ということでやってはならないという考えをここで述べているのではないかというふうに解しております。
  138. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 非常にあなたは善意善意にだけ解釈していますけれどもね。問題は今度の事件の発生と幾多の事件の発生というのは文部省の善意というものがみんな悪く利用されているから起きたんじゃないですか。それともあれですか、皆さんと談合してやってああいうことが起きたんですか。そうじゃないでしょう、あなた方少なくとも。だとするならば、こういう誤解を与えるような文章を与えて自分たちの協会内をまとめようとするところの問題については、きちんとやっぱり皆さんが指導するというのは当然じゃないでしょうか。だから、そういう誤解を与えないように、また世の中に与えるようなこの任意云々の問題については取り扱いしない、そのための指導をするということをお約束してくれますか、どうですか、結論だけでいいですから。
  139. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 両協会側も本当に真剣に今回の改善方策の樹立に当たっておりますので、私どもは両協会と十分に協議をいたしまして、いろいろな誤解を招きましたり、あるいはせっかくの改善をしながらも何らかの不備があったということがないように、十分に協議を尽くしてまいりたいと存じます。
  140. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 実は私はこの寄付金問題はこの通牒で事足れりとするほど、そうウェートの軽いものではないと見ておるんですよ。皆さんがもしも通知を出したから大体そういくんだというふうに思っておられるとするならば、とんでもない間違いとぼくは思うんです。というのは、おたく自体が九月の七日に発表したところの五十二年度入学時の寄付金実態を見ても裏づけられますわな、これ。医学部で合計五百四十四億、歯学で三百六十三億というのがある。しかも私大協の試算の五十三年度の医学部の資金収支見込み表を見ますれば、収支の不足分は入学者一人当たりの負担額として、既設校、新設校、二千万から千五、六百万とずっと出ている。これほど非常に巨額の金が要るということは、これは現実なんだ。金を入れなきゃならぬ、どこからか。だとするならば、単にいま私は寄付金の問題について一、二お尋ねいたしましたけれども、よっぽど文部省当局かこの寄付金なら寄付金問題について厳然たる態度をとらない限りこれは実行がむずかしい。と同時に態度をとるばかりでなくて、これだけ現実に寄付金で賄っておるということを私は無視するわけにはいかないと思う。だとするならば、国庫補助金助成金、さらにはまた私学振興財団からの貸付金というものについてもっともっと大幅にこれをやはりふやしていくという積極的な態度というものがない限り、これまた一片の通知に終わってしまうというのははっきりしているのです。  そこで、お聞きしたいのは、この国庫補助金の問題なり、あるいは振興財団の特別貸し付けの枠というものについて、具体的にどうしようというふうにお考えになっているのですか、それを聞かしてください。
  141. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 今回の通知に基づきまして、各大学とも入学時の寄付金を抑制し、禁止していただく、それと同時に、各大学の経常的経費につきましてもできるだけ切り詰められる範囲では切り詰めていただいたり、それから臨時的な経費につきましては、これを短い期間の学生の負担にならないように、できるだけ長い期間に負担を引き延ばしていくというような工夫もしていただきまして、できるだけ学納金の額も低いところに抑えていただくということが必要であると思っております。そうして、そういういろいろな工夫によりまして各大学が節度のある運営を確保いたしますということが大事でございますが、それに関連いたしまして、私どもといたしましても、できれば明年度、私大経常費補助金の充実を期したいと思っておりますし、その中でも特に医学部ないし歯学部につきまして重点的に配慮をするということに努力をいたしたいと思っております。  それから、御指摘のありました私学振興財団の貸し付けにつきましても、やはりこれを充実ないしは拡充を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  142. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どうですか、何か予算要求では四一%増の五百二十一億か要求されておりますね。これで一体こういう大問題が解決できるところの一つのステップになるかどうかとさえぼくは思っておるんですがね。これがまた削られるということになると、なおこれは全く無意味なことになるというかっこうになるんですがね。そこらあたりは、これは大臣の今後の折衝にまたなければならぬわけですけどね。だから、私は端的に申し上げれば、五百二十一億という予算要求でも足りるかなという、これだけ大問題を起こした問題に対するところの解決の仕方として非常に一つの危惧を持っているということをこの際表明すると同時に、もう一つまた関連をしてお聞きしたいことかあるのであります。それは学納金の問題です。学納金の問題。これまた先ほど申し上げたところのこの私大協の申し合わせを見ますと、大学運営には大変な金がかかる、いまでも赤字だと。「国の助成と社会的な経済援助がこれを補いえなければ大学はこれを何らかの形で調達しなければならない。」と言っているんです。「何らかの形で調達をしなければならない。」と。そういうところから、今度は寄付金はだめだということから、学生の納付金を今度は拡大をするという形にこれが変わってきておるわけですね。そうでしょう。  そこで、聞きますが、この納付金の問題について九月の初めのときに医科歯科大は一千万ですか、一千万ではございませんね、納付金として入学時に千百五十万円を徴収するという一つの申し合わせをして、続いてまた九月の十日、八日前後に私立医科大が従来の平均の百七十九万七千円をこの際一千万円に引き上げるというガイドラインを示しておる。先ほども与党の方からも質問があった。学納金というものが従来百七十五万とか二百万というのが一千万円とか一千五百何万円というふうな形で自分たちは徴収するんだという申し合わせをしておる。先ほどの答弁を聞きますと、まだ文部省としては態度を決めてないんだと言いながら、世の中にはそれが一つのガイドラインとしてすでに流されているんです。流れているんです。しかも、新聞の報道することによると、文部省も一千万前後は仕方がないという物の考えだということが報道されている。このことが私大協が、あれだけ大問題を起こした後に、皆さんと相談されないはずはないんだ。大体いま私が申し上げたところの歯科の一千百五十万円なり私大の医科大の一千万円というものを一つのガイドラインだというふうにして皆さんはすでに了解しているんだと、こう見てよろしゅうございますかね、どうですか。それとしか見られませんかね。
  143. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) いまお話しのございました金額あるいはガイドラインは両協会が協会の中で検討いたしまして出しました数字でございますが、これにつきまして、私どもがこれを了解したとか、これをそのまま受けとめたということではございません。
  144. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 では、この二つのそれぞれの決定に対してどういう指導をされるんですか。まだ検討中ですか。検討中では無責任もはなはだしいと思いますよ、これはもう。どういうお考えですか。高いのか低いのか、それからはっきり聞きましよう。
  145. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) この学納金の問題につきましては、ガイドラインを決めました後も、両協会を中心にそれぞれの個々の大学がみずから検討を重ねてきているわけでございまして、私ども文部省といたしましては、各大学が明年度の募集要項を決定、公表いずれするわけでございますが、そして学納金の額はその中に明示するように求めているわけでございますが、この募集要項を決定、公表する前に、事前に両協会を通じて私どもと御協議いただくように要請をいたしておるわけでございます。で、これに基づきまして私どもはこれから協議を進めてまいるというふうにいたしたいと思っております。
  146. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 もう大学はぼつぼつ募集要項を出す時期ですよ、十一月には少なくとも、ねえ、来年の入学試験のことなんですから。それをしかもあなた、八月の末、九月の初めに一千百五十万円とか一千万と決めておるじゃありませんか。これから相談をしていくということですが、それなら具体的に聞きますが、いわれておるところのこの金額は非常にむちゃだと思いませんか、どうですか。このままだと、これは入学条件とするところの寄付金という名前の肩がわりですよ、これは。そう言われても一言半句はない。国民が納得しましょうかね。一千万か一千百五十万円を積まなければ、結局結果的には大学に入れないというかっこうになりますから、そうすると私立の医大なり歯科大というのは金持ちしか行けない。もっと端的に言うならば、開業医の子弟しか行けないということになりますよ、これは。まさに教育の機会均等をこれで破ったものだと言われても仕方ないでしょう。これ高いと思いませんか、どうですか。まずその感想から聞きましょう。
  147. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) やはり私立学校でございまして、そしてその中身が医学教育あるいは歯学教育でございますので、先ほど先生が御指摘になりましたように、非常にたくさんの経費を必要とするということは事実でございます。そして高い低いの問題でございますけれども、これにつきましては個々の大学によりまして教育・研究の条件、あるいは教育・研究の内容等に相違もございますし、あるいはその大学の成り立ち、これまでの歴史等の点からも相違かございます。でございますから、まあこれは一律には論じられないと思いますが、私ども先ほど申し上げましたように、まずは協会を通じ個々の大学ごとに御協議をさせていただくということにいたしておりまして、そうして、基本的には先ほどもちょっと申し上げましたが、できるだけいろいろな工夫をしていただいて、学生から取りますいわゆる学生納付金の金額をなるべく低いところへ持っていっていただくということが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。  それからなお、学生納付金に持っていくということがまあいわゆる入学条件とする寄付金を禁止してはっきりした形にすると、とにかく明朗な形にするということはまず第一義的な基本でございますから、それをやる。そして後はただ肩がわりとかいうことではございませんで、それをできるだけ低い線に持っていく努力をすると同時に、学校ごとのやはり育英奨学的な配慮をどうするか、あるいはローンの制度を導入していただくとか、あるいは私どもが先年から始めました私大奨学事業を各大学でも採用していただいて、いわば入学のときあるいは在学中にだけ非常に多額の負担がかかるという形を少しでも緩和するという状況をつくりあげてまいりたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  148. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私が端的に聞いておるのは、庶民感情からして一千万円とか一千百五十万円という金は夢みたいな話なんですよ、気の遠くなるような話なんですよ。これ高いと思いませんか。学納金というのはこれは払わぬでもいいんですか、そうじゃないんでしょう。だから私が言っておるのは、入学条件とするところの寄付金というものは、なるほどそれはなくなった。けれども、学納金で一千万とか一千二百万という金を取るとするならば同じじゃありませんか、これ。そういうことに対して今後相談をしますということで、高いとも何とも言い切れないという文部省のそういう指導姿勢でこれできますかね、指導が。どうですか局長
  149. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 高いあるいは高くないというのは、ひっきょうは相対的な問題でもあろうかと存じますが、やはりそれは普通の学部に比べれば医学部、歯学部というのは非常に学費と申しますか、経費がよけいにかかりますから、したがいまして私立大学の場合にありましては、いわゆる受益者負担の方にかかる額がどうしても多額にならざるを得ない状況があると思います。そして額そのものにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、なるべく各大学で財政の将来の計画をお考えいただいて、そして学校ごとのいろいろな個別の事情がございますから、それをも勘案しながらなるべく努力をしていただくということであると思っております。
  150. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は、それは普通の事態だったらそういうこまかし答弁ていいですよ——カムフラージュした答弁で。あれほど問題になった問題でしょうが……。ていよく言えば、この発表されておるところのガイドラインというのは寄付金の肩かわりですよ、これ。それをあなたは、私学だから金がかかるのはあたりまえだ、仕方かないという物の言い方だ。何も私はいわゆる普通の同じ私学でも文科系、いろんなものと同じであるべきだと言ってあるんじゃない。しかし、一千万も一千四、五百万もかかるというのは異常じゃございませんか。普通の家庭で入れますか、それなら。これはやっぱり結果的にここに入っておる者は開業医の子弟だけだということになりませんか。大臣、この点をどうお考えになりますか。これは政治的に私は判断しなけりゃならない大変な大きな問題だと思いますよ。しり抜けですよ、これは。
  151. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘の点は、いま、私立医科歯科大学の改革に取り組む中で最も心痛める問題でございまして、先生おっしゃるように、何を基準に学納金を決めて、高い安いを決めるかということになりますと、確かに協会の出しておる一千万を超える額をそのままそれで妥当であるといって受けるわけにはどうしてもまいりません。ただ、政治的に判断しますと、現在、非常に二つの面でよくない点がある。一つは、寄付金が非常に高額になっており、しかも不明朗であった。文部省が各大学調査をいたしまして、そして自主的に述べてもらい、間違っておったところ、あるいは虚偽の申告のあったところはそれを正して割り出しました平均は、先生御承知のように、二千万を超えるという結果がある。これを何とかしなきゃならぬ、同時に、これか入学条件であってはならぬというところで、これを明朗なものにして改革の第一歩にしようと判断いたしましたときに、それでは一体その寄付は、先ほど御議論のありました任意の寄付にもちろん限るわけであります。そうすると経常費の方はどうするのか、これはやっぱり学校当局にいろいろな努力を迫るわけでありますけれども、自主的な努力による収入であるとか、あるいは経常費の補助、それと学生納付金によって経常費は賄っていく、そしてそれを明朗な経理でいくということになってまいりますと、これはある程度の金額にならざるを得ないのではないか、そのある程度の金額もできるだけこれは抑制するように、各学校ごとに事情も違いましょうから、鋭意指導をし、抑制の努力をするわけでございますが、それとともに、やっぱりそれをそのまま仕方がないとして受け入れるのではなくて、いろんな事情でそういったものの負担がきわめてむずかしい、そういう方々の場合も十分考えられるわけでありますから、学校当局に対しては、この学納金を減免する、あるいはその他の措置を講ずるということも強く求めなければなりませんし、また、政府としてできる限りの政策努力は行わなければならぬのは言うを待たぬことでありますから、ただ単に、私学振興助成法に基づく経常費の増額のみならず、当該学校法人入学金の分割納入の制度あるいは特別奨学金の制度、そういったものを行わしめ、それには私学振興財団からの融資も考える。また、学校自体が経営を安定していくために特別な貸付金の枠も新たに要求する。できるだけのきめの細かい政策努力をしながら、その一定の学納金というものが下回っていくように、少なくとも現状よりは改革の実が必ず上がっていくようにしなければならぬという判断で、いろんな努力を重ねておる最中でございます。そのように御理解がいただけたら幸いだと思います。
  152. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これまたたびたび引用して済みませんが、歯科大協の八月三十一日の通達を見ますと、こう出ておるんですね。学納金の問題についてはこういう物の考え方ですよ。「学納金等の金額決定は長期経常収支計画(6ケ年計画)をたて、各年度の経常収支の不足額を算定し、これらの資料に基づいて学納金を決定する。但し、将来の学納金の額は国庫補助金の額に応じて増減する。」と、こう書いてある。それからその次の方に、「学納金は概ね次の通り分類する。A初年度のみ納入するものB毎年度納入するもの」と、こういうのがある。同時にこれは選抜の場合の条件にする。その選抜条件の中のA)、B)、C)、D)のD)に「学納金等入学条件の明記」と書いてあるんです。この一連のものを見ると、いま不規則発言として減免もあるんだという話がちょこっと出たんですけれども、みんながみんな減免しておったらとてもじゃないけれどそれはもたないわけですよ。しかも、私立学校のこの財政状態のいろんな本を見たって相当の借金を抱えておる、金がかかっておるんです。それを見通しをして、その穴埋めはこの学納金でやるんだという物の言い方ですよ、これ。それだからこそ先に言いましたように、一千百五十万というガイドラインが出てくるんです、私学においては、あるいはまた医大においては一千万という。これは国民感情から言えば、これは常識では考えられない。こんな気の遠くなる話はないんですよ。ある程度のものはそれは要りましょう、金がかかることは事実なんだから。しかし突拍子もなくかかるんじゃ、これは私立の医大とか医学部とか、あるいは歯科大に入る者はお医者さんの子供しか、開業医の子供しか入れないということになりはしませんか。一体、教育の機会均等ということから見てどうお考えになりますか。それならばこれを防ぐために文部省としては来るべきところの話し合いの中では、具体的にこういう措置、こういう措置をやって、少しでも低くするように私学側と協会側と話しますというのがあったらそれ言ってくださいよ。それを何にも出さないで、いままでのような、ただ時間を過ごしさえすればいいという答弁では私は納得できませんよ、これは。国民がこれを聞いたらどうしますか。やむを得ないんだというかっこうでは過ごされませんよ、これ。だから私は先ほど言っておるように、入学条件とするところの寄付金はなくさなくてもよろしい。しかし、何らこれは変わらないものが出てきたということになると、どういうことになりましょうか。だから、じゃその学納金の取り方というものについて直接過剰な、一時的にかからぬようにこうこうしますというのがあれば、その指導方法を示しなさいよ。
  153. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 私どもといたしましては、この九月七日付の通知の趣旨に沿いまして、個々の大学状況を勘案しながら指導をしてまいりたいと思っておりますが、その指導の要素といたしましては、まず第一に、やはり学校運営に要します経費をできるだけ節減を図っていただきまして、経営の健全化を図っていただく。  それから第二といたしまして、入学時の寄付金の抑制に伴いまして、学生納付金がこれはどうしても従来よりは増額になるわけでございますが、これにつきましてはやはり経常的経費が幾ら不足するか、これはまあ国の補助金その他の収入との絡みもございますが、その経常的経費の不足額を一応の限度と申しますか目安にしてほしい。  それから第三といたしましては、施設とか大型設備等のいわゆる投資的な部分に対する経費につきましては学生に、そのときに在学する学生というような一時的な関係者にのみ高額の負担とならないように、これは長期の融資その他を配慮いたしまして負担を分散するというような配慮をして、そうして必要経費をはじいてほしい。  それから第四としましては、結論的でございますが、やはり先ほどから大臣が申されましたように、学生納付金についてその額を極力抑えてもらう、抑えるように努めていただく。と同時に、これの分割納入でございますとか、奨学のローンの実施でございますとか、それから学校によりましてはよい学生を確保して後継者養成を図るということも必要でございましょうから、これの減免等の措置も積極的に考えてほしいというようなことでございまして、これらを前提として十分な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  154. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ちょっと非常に抽象的な答弁ですが、端的にひとつ答えてくださいよ。もうこれは私大協自体が、六年間計画の中で各年度の経常費の不足額を算定し、これに基づいて学納金をとりなさいというんですから、足りないところは寄付金が禁止をされておるから、みんなここでとろうという物の考え方なんですよ、これ。間違いないんです、これ。だから、たとえばあの私大協で試算したところを皆さんお持ちでしょう。歯学部の資金見てごらんなさい、五十三年度のものでも。収支不足額は、入学者一人当たりの負担額は古い学校で定員百人の場合一千五百八十二万三千円、定員百二十人のところで一千三百十八万円、いわゆる新設校といわれる昭和四十五年以降の学校で、実に定員百人のところは二千二百万なんです。百二十人のところは千六百六十八万円と、こう試算はじいているんだ、もうすでに。これから一千万とか千百五十万円というのを割り出しているんですよ、もう。それを高いとも言い切れないでおって、いろんなものをやりますったって、ぼくは本日の答弁が終わりさえすればいいということになりやしないかと言うんですよ。具体的にそれぞれの大学側もう出ておるんだから、数字がこれだけかかりますよと。それならば一千万とか一千百十五万というべらぼうなものにしないように減免を、何%の減免を講じさせていくとか、あるいはそれを分割払いにこうさせていくとかいう具体的な手だてというものがない限り、これから大学側と相談しますということでは、結果的には押し切られてしまうというかっこうになるんです。私は心配し、かつ予言をしたい。いや大学側ではもう文部省としては監督権の範囲からこれは離れておりますから、いわゆる補助金を不正な形にやったときだけしか物を言いませんから、大学側の言いなりになりましたというかっこうに終わりますよ、これなら。しかし、今日これだけ問題を起こしたところの問題ですから、私は次善の話し合いというものを、こういう問題について具体的に煮詰めて国民の前に、国会の中でこういうことで努力していって減らしたいと、こういうものがあってこそ納得できるんじゃないでしょうか。違いますかね、大臣。
  155. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) この両協会の八月末のものは一応のガイドラインというふうに言われておりますが、具体的な納付金につきましては、個々の学校学校自体で計算をし、……
  156. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 またそれで終わりでしょう。
  157. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 計画を立て、案をつくるわけでございまして、それについて私どもは協議をしてまいるということにいたしておりまして、目下鋭意努力をし、そして今後短期間の間に詰めてまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  158. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それならばいつまでにその答えは私どもに聞かしてくれますか。具体的にこうしまして、世の中で非常な批判を見ているところの問題はこうしましたという返事をもらえますか。大学の募集要項はこれ年内に出なきゃうそなんですからね。そう長くならない時期だと思うんですが、どうですか。この委員会にいつ報告してくれます。
  159. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) いま宮之原先生仰せになりましたように、募集要項の発表の限度はまあ十二月の二十五日あたりか、これははっきり申しますと、ぎりぎりの限度だと思いますが、やはり実際は来月の中旬あたりが一つのめどかと思っておりますが、私どももじっくり各大学と御協議を申し上げたいと思っておりますので、いま明確に何日というふうにはちょっと申し上げかねると存じております。
  160. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私は何もこの問題で大学ばかり、学校ばかりいじめようと思っていないですよ。しかし、大学側にもそういう姿勢を要求すると同時に、文部省の姿勢も、それならこれに変わるように国の補助金を大幅にふやすんだと、単に要求したぐらいじゃだめなんだからと言って、私は海部さんがそれを閣議の中で積極的にものを言って、今度の場合特別にこれは一時やろうじゃないかというぐらいの積極的なやはり提起をし、国もこの問題についてはこれを根本治療するためにこうしておると、こういう姿勢をやっぱり見せなきゃだめだと思う。いままで私は大学のあり方から言っていますけれども、それだけでは皆さんはそのまま責任がないとは言われませんよ、このことは。そのことも大事ですしね、あるいは先ほど私が紹介いたしましたところのこの国の助成ということと社会的な寄付金の問題についてやはり大学側は言っておるんですよ。私は、やはりこの問題についてもこれは文部省として重視していただきたいと思うんですよ。  御承知のようにアメリカの伝統的な医科大学はほとんど私学なんです。しかし、これは御承知のように幾多の財団から多くの金を、寄付金を受けてそれを中心にして持っておる。しかもその寄付金というのは、全面的に税金か免除されておる、控除されておるという仕組みなんです。ところが、日本の場合どうですか、一定額はそれは控除がありましょうけれども、これは控除になっていないでしょう。だとするならば、もっともっと私立大学経営者がたとえばりっぱな医科大学をつくろう、私学を運営したいということでいろんな方々に寄付金を仰ぐという積極的な姿勢を示したときに、皆さんがせめてその寄付金については全面的に免税の対象にしていくということを文部省なら文部省が積極的にやっていくという、こういうことも相またなければ、私はこの問題については解決できないと思うんです。  こういう諸問題について、私はやはりこれは政治的な問題だけに、大臣のそれらの問題に対するところのお気持ちといいますか、御見解をお聞きしたいと思う。
  161. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 先ほども申し上げましたように、今年度私立医科歯科大学に対する助成金の大幅な概算要求を特に別枠で最初から決めておりますのは、こういった政策努力をすることによって学校当局にも厳しくこの事態を受けとめ、反省をしてもらいたいという強い気持ちを持ってのことでございまして、これは私は全力を挙げて大蔵大臣にその必要性を説き、理解と協力を得てこれの確保のためには全力を挙げて最大の努力をしなければならぬと心に決意をいたしておりますが、それのみならず、そのほかもできる限りの政策努力というものを積み重ねまして、こういった教育費の負担というものが著しく社会的に見て高過ぎるという批判を避けるために、できるだけ抑制するために努力をしなければならない、これは私も心の底からそう考えております。
  162. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それをぼくもまあ期待をしたいと思います、それはね。だから、私は何回も申し上げているように五百二十一億を満額とれさえすればいいという考えでは、とても今日の問題解決つかないと言っておるんですよ。税金の控除対象の問題とかいろんな問題について、もっともっと大学側が金の面で苦労をしないような条件をつくってやるということも私はやっぱり文部省責任だと思うんですよ、これは。これまた政治家の責任じゃないでしょうかね。言いたくはございませんけれども、この私立医科大学あるいは歯学部の設置にはみんな政治家が絡んでいますよ。みんな何かの役割りを果たしている、特に与党の皆さんが。だから、入学時のときにいろんな紹介議員というのがたくさん出てくるんですよ。しかし、本当にその大学を設立したならば、いま申し上げたところの諸点を与党の皆さんとして打開するのに積極的な姿勢を示したときこそ、文字どおり本当に純粋にその大学をつくろうと思ってやったというふうに理解できるんですよ。そういうことはやらないで待ってたんじゃ進みませんからね。この問題ぜひとも私はやってもらいたいと思うんですよ、これ。  それともう一つ、これ通知問題と絡んで聞きますがね、経理の公開問題です。これもまた、海部さんは七月三日の愛知談話で経理の公開ということを非常に強調されておる。なおまた、八月五日の日経新聞の社会部長と木田次官ですか、これとの対談の中でも同様なことを言っている。私はまた、この経理の公開という問題もこれは重要な問題だと思うんですがね。ところが、この経理の公開の問題が、先ほど来私か指摘をいたしておりますところの文部省の当初の原案よりは、これまた大きく後退をし、「必要に応じて財務状況関係者に明示すること。」、こういうように「必要に応じて」と、こうまた一つここで抜いとるんですよ。これは明らかに骨を抜いたみたいなものですね、これ。「必要に応じて」というのは、だれが「必要に応じて」というふうに認めたときですか、それなら。それからまず聞きましょう。それは大学当局かという意味なんでしょう。違いますか、この通知は。局長だ、これは。
  163. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) これは先生おっしゃいますように、当該学校法人がたとえば学生納付金について父兄に説明をするというような場合に、当該学校法人がその必要に応じて大学の収支状況の概要を説明するというような意味でございますから、その判断はそれぞれの学校になるというふうに考えております。
  164. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうするといままでと同じじゃありませんか。問題を起こすところは、公開をしないからいつまでも問題起きているんでね。そういう姿勢のないところの大学はいつまでもこれは公開をせぬでもよろしい、こういうことになりますね。これが経理公開問題の、愛知大学問題ではたくさん問題かあったわけなんですけれども、これだったら愛知大学側はあるいは付属高校側が「必要に応じて」と認めさえしなければ、いつまでもほおかぶりできるというかっこうになりゃしませんか。どうですか、それは。これでは本当にいまのような大学の問題の改善になりましょうか。
  165. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 私先ほど原則を申し上げたつもりでございますが、その状況によりましてやはりその財務状況というものが明らかにならなければ、特定の状況に対応する場合に十分な資料が得られないで十分な対応ができないというような場合もあろうかと存じます。そういった場合、これはまあケースによりますので一概に申し上げられませんが、関係者からたとえば学生納付金の算定の根拠について理解を求められると申しますか、学校側として理解を得ようといったような合理的な理由に基づく必要があった場合なども含めて、これは必ずしも学校法人だけの判断ということでなくて、客観的な状況に応じてその必要というものが決まってくるであろうと、そういうふうに考えます。
  166. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いまの話は、答弁は大事ですが、「必要に応じて」というのは大学側だけじゃないんですね。そうすると、たとえばどこまでが入るんですか、要求した場合には。
  167. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) それぞれの状況に応じて、やっぱり必要があるなしということは客観的に決まってくる場合が……
  168. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どこが判断するのと言うんだよ。この、必要に応じて、という判断はどこがやるんですかと聞いているんですよ。
  169. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) それは具体的には学校当局がやる場合か多かろうと存じますが、必ずしもそれに限られるというふうにも考えておらないわけでございます。
  170. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは大事なことですから聞きますからね。そういうことでこれ通るでしょうかね。これはおたくの前任者、前任者犬丸さんですか、おたくですかね、おたくと大学局長との名前で各大学に行っているんですよ。そこにはちゃんと、「各大学は、」という主語があるんですよ。「各大学は、内部監査機能の強化などにより経理の適正を期するとともに、必要に応じて」と。これ日本人の読み方だったら「各大学は、」と主語があるということは、これは学校かということですよ。それどうもあなたの答弁はまだそこをぼかしているんだがね。たとえばこの「応じて」は文部省側も必要に応じたと判断した場合も入るというように理解するんですか、これは。これ厳密な文章の読み方ですからね、主語は「各大学は、」と書いてあるんですよ。はっきりしてくださいよ、それ。そういうあいまいにやるからますます自分勝手にそれぞれ解釈し出してとんでもないことになるんですよ。皆さんは通知やいろんなものを出されるときは、半言半句巌密に検討されて出されるんでしょう。
  171. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) ここの文言でございますが、ここでまず「関係者」と申しておりますのは、学生やその父兄などで、学生納付金を負担する者を考えているわけでございます。それから端的にここで「必要に応じて」と申しておりますのは、各大学に対してこれは通達をしておるわけでございますから、各大学が必要に応じて明示するということでございますが、必要な状況がどうなっているかということは、これは大学か勝手に判断するのではなくて、そのときの状況を見てできるだけ客観的に判断をするということであると思っております。
  172. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 どうもわかりませんね。できるだけ客観的に判断しますというのは——局長、聞いてくださいよ。客観的に判断するというのはだれが客観的に判断するの。あなた方がやるんですか。それとも大学側がですか。だから一番最終的な判断者だれですかって聞いているんです。さっきから。
  173. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) そういう判断を行うことを大学に要請しておるのがこの文章でございますから大学でございます。
  174. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 だから従来と変わらないかっこうになりやしませんかと、こう言っているんですよ、さっきから言っているのは。これだったら理事長世耕委員みたいにりっぱな理事長さんがいらっしゃれば別ですけれども、たとえば今日まで問題を起こしたところの大学理事長というのは理事長らしくないやつがたくさんおるからいろんな問題を起こしておるんだからね。私はもうこれ自体一つの問題点があると思っているんですよ。だからむしろこれ大臣ね。この物の考え方というのは、これは通達がもうこうだから直されぬでしょうけれども、実はこういうことなんだと、われわれか「必要に応じて」と見た場合にもさせることがあるんだからと、これぐらいのやっぱり指導性がこの中に含まれているという指導をせぬ限り、いまさら私は通達は撤回せいと申しませんけれども、これでは従来と変わらなくなりますよ、この公開の原理というものは、幾らこれを局長が口を酸っぱくして言うたってそうなっちゃってんだから。しかも御承知のように、八月七日の原案にはなかったんですよ、あなた方の。
  175. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 先ほど申し上げましたように、大学がその必要に対応して関係者に説明し、明示するということでございますが、先ほどちょっと申し上げましたように、個々のケース、具体の事例につきましていわば客観的に見てそういう必要があるのにもし大学がそういう手順をとらない場合には、この通知に基づいて私ども文部省がこれは必要であろうというふうに判断いたしましたときには、この通知に基づいてそういう説明、明示をするように指導するということであると思います。
  176. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 幾らあなたが説明をされようとも、この通達は非常にその点ではしりか抜けておるということはこれは明々白々なんです。それだけに、この通知に基づいてなんでと言わないで、今度は監督の立場で、補助金をやるところの文部省としては監督権があるわけなんだから、その立場からこの経理の公開の問題については厳正を期するように指導しますと、これでなきゃうそなんだよ。大臣そうじゃないでしょうか。いかがでしょう。
  177. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) これは各大学に少なくとも私学振興助成法に基づく助成金が出してある、国民の皆さんの税金が出るわけでありますし、また学校法人会計基準にのっとって、私は詳しい専門語はわかりませんけれども、財務計算書類を公認会計士の監査を経て所管庁である文部省には出さなければならぬということになるわけでありますから、その必要性というものを文部省が認めたときには、その文部省の判断でこの点はこういう必要があるから明示してもらいたいということは、当然その学校に対して言うべきだと思いますし、そういう必要というものを解釈することは私はそうだと考えます。
  178. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 残念ながらこの通知はそのものだけではこれは解釈できないんです、これは。この通知は向こうに出しているんだから、「大学は、」という主文があるんですから、これは。それだけに私は、いま大臣が答弁されたように、補助金をやって指揮監督権のあるところの文部省は、これとのかかわりなくやはりそのことについては厳正にやってもらいたいと思います、それは。ただ申し上げておきますけれども、いままではもう事件が起きてにっちもさっちもできなくなってからようやくみこしを上げるというのかいままでの文部省実態ですよ。だからなれ合いがあるんじゃないかとか何とかおかしいと、こうよくうわさされるんです。そういうことのないようにひとつ厳正にやってもらいたいということをこの際につけ加えておきます。  続いてお聞きしますが、次は、やはりこの通知の問題と絡みますところの入学の公正の問題です。入学選抜の公正の問題、ここに「公正かつ妥当な方法により選抜し得るよう選抜方法の改善に努め」なさいと、こう出ておる。この意味は、たとえばいま大学間でようやく軌道に乗りかけているところの共通第一次学力試験、そういう試験等に行く行くは参加させてもらおうという意図があるのかないのか、物の考え方か。これはどういうふうに解釈したらよろしいか。そこをちょっと聞かしてもら  いたい。
  179. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 各大学におきまして従来から御指摘をいただいておりますように、問題の生じているところは教学側の入試の選抜についての責任体制が整っていないという点があるわけでございます。その点の姿勢を正すということがまず一つでございますが、さらに、募集要項の中で入試の期日の問題、あるいは合格者の発表方法の問題等について明確に定めてもらうということがございます。それから、共通入試の問題につきましては、その通知と同時に各協会の会長あてに文書を出しておりまして、その中で、共通入試への参加の問題を含めて、入試の選抜の公正化について考えてほしいということを申し上げてあります。私立医科大学協会の方は、共通入試について積極的にお取り組みになっておりまして、現在各大学に対してアンケート調査等を準備をなすっているというふうに聞いております。
  180. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 何かいまのお話だと、共通入試の問題についても非常に意欲的だという報告なんですが、これまた八月三十一日の文部省通達に対する当協会の見解をこう見ますと、こう書いてあるんですよ。これは、「共通一次学力試験への参加・はMCAT等を含めてわれわれが巳に積極的に検討しつつあるところである。」その次があるんです。「しかし、これらの採用が直ちに選抜の公正や医師となるにふさわしい者の選抜に繋がるものと安易にとることは厳に戒めなければならない。」と、これはやっぱり共通テストというのには安易には飛びつくわけにはまいらないと、医師となるにふさわしいところの者の選抜には余り適さないみたいなことを書いてある。こういうものの統一見解ですよ。それがいま大学局長の、この問題についても積極的に取り組む姿勢を見せているというのと大分違うみたいですが、どうなっておるんですか。
  181. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 率直に申しまして、医科大学協会の方が歯科大学協会よりも姿勢は積極的であると考えております。もちろん共通入試に参加をすることによって、それだけで事柄がよくなるわけではないことは当然でありますし、共通入試を取り入れた場合に、それを全体の入学試験の中にどのように位置づけるのか、共通入試を利用しながら面接その他、医師の適正を備えた者をどうやれば入学させることができるのかということを含めて検討が要ることは当然でございますから、そういう意味で医科大学協会は、共通入試の導入について検討をしていくというふうに考えておるわけでございます。
  182. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 何も言葉じりとらえるわけじゃないんですが、この共通入試というのはあれですか、たとえば国公立の医科系の学校にはやっぱり不向きなんですか、これは。だからここに、医師となるにふさわしいとは考えられない節があると言っているし、あなたもいまお話しされておるんだろうけどね。そういうふうに理解しておいていいんですか。
  183. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 私の説明が大変に不行き届きで申しわけございませんが、国立の場合には、むしろ医科大学の系統の大学あるいは学部におきましては、共通入試について積極的に取り組んで、そして共通入試を実施をすることと相まって、面接あるいは小論文等を積極的に導入をして、単なる学力試験ということだけではなくて、全体として医師の適性を備えた者を入れるような積極的な入試を実施をしようということで、むしろ医学の系統は共通入試の意義を高く評価をし、積極的に取り組んでいるというふうに私たちは判断をしております。私立医科大学の場合にも同様なことが期待できるわけでございますから、全体の入試のあり方というものを考える。そのことを通じて共通入試の問題に医科大学協会が取り組んでくれることを期待しているわけでございます。
  184. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 これは期待してじっとしておらないで、ひとつ積極的に話し合ってみてくださいよ。どうも私は、これだけの問題を起こしながら、この医大協あるいは歯科医大協のいろんな文書を見ますと、何とか切り抜けさえすればいいと、従来のうまみは何とかして残しておこうという姿勢がうかがわれてしようがないんですよ、率直に申し上げて。だから入試の問題についても、いま意地悪いところで質問私はしましたけれども、ちゃんと書いてあるんですよ、これ。医師となるにふさわしい者の選抜につながるかどうかというのは疑問だとさえ出ている、国立医大の方は歓迎しているのに。だから何とかして私大の特殊性とかなんとかと、そのうまみを残そう残そうとするところの気がうかがわれてしようがないんです、これ。そればかりではございませんよ。  さらに、私はもう一つ質問をしますけれども、いわゆる入学選抜者の決定の問題は、これは決定のやり方どうなんですか。皆さんどういう指導されますか、今後は。これはもう学校教育違反もいいところでしたね。今後どういうふうに指導されますか。
  185. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 問題の生じた大学におきましては、これは教授会の議を経て入試の委員会は作成をいたしておりますけれども、そこでは問題の出題と採点をするところまでで、最終的な合格者の決定の段階に至っては学長と一部の理事者によって決定が行われているというのが一般的なパターンでございます。これがきわめてぐあいが悪いので、教授会がどのような形で入試の全体について責任を持つかというのは、それぞれ大学によって一律ではないとは思いますけれども、出題のところから最終的に合格者を決定をするところまで、これは必ずしも一人一人の合格者について教授会が全員で審議をしろということではございませんから、特別の委員会をつくってそこで合否の判断をし、それを教授会確認をするというふうな手続が普通はとられるわけでございましようけれども、そういった形で、教学か責任を持って当該大学入学すべき者を決定をするという体制をとるように指導をしているわけでございます。
  186. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 この通知に、「入学者の決定については、関係法令等の規定に基づき適正な手続により厳正に行う」云々と、こう出ていますね。この意味することは、学校教育法施行規則の六十七条に基づくところの、普通の大学でやっておるところの、これをやりなさいという意味じゃありませんか。違うんですか。
  187. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 御指摘のような趣旨でございます。
  188. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 ところが、残念ながら受けとめる方はそう受けとめておらぬというんですよ。また読んでみましょうか。こう書いてあるんですよ。「入学の公正について」、「入学者選抜教授会の議を経て学長の決すべき事項であることは法の示すところであり、教学組織の責任体制の確立によってその公正も支えられるものであることは明らかである。合否の決定に理事会が介入して寄附金をからませるなどは論外であるが、」、これからなんです。「であるが、教学権の確立をうたう余りに、私立大学においては設置者たる学校法人理事会が教学と経営との両者を含めて最終的責任を荷うものであることを乱してはならないであろう。」と、こういうふうに、まだまだこの理事会のうまみ、理事長のうまみというものを、余韻を残しておるんですよ、皆さんの申し合わせば。これまた、それは最終的には教授会がずっと合格一覧表を持って、理事長か最後は決めるでしょう。けれども決める前のこの文言の言い方というのは、これは皆さんの通知がそのまま生かされるということは、私は若干危惧するんですよ。従来のようにそれがうまみだと思われるとこれは大変なことになりますわね。愛知医大の例ですけれども、数学零点の者が六人入るとか、英語か零点の者が二人入る、あるいは理科か零点の者が二人合格するというようなことがあって、これはとても困るんだ。だとするならばやっぱり大学においては、少なくともやっぱり教授会の権威というものはぼくは重んじられなけりゃならぬと思う。そういうものに基づいて出されたものが、一番最終的な判断として理事会で決定されるというのならいざ知らず、こういう物の言い方というのは、まだまだ私は、問題を起こしたところの関係者側が、本当にこれは済まなかったと、こういう気があるんだろうかどうだろうかということさえ疑うんですが、こういうことに対して大学局としてはどういう指導をされますか。
  189. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 問題を起こしました大学の場合には、それを深く反省をして、それぞれ教授会が改革の委員会を設けて、まさにいま先生が御指摘のような方向でこれからの入試のあり方を検討しているわけでございます。私立大学の場合には、たくさんの伝統のある大学がそれぞれその大学の建学の方針に従って運営、経営に努力をされ、苦労をされてきているわけでございますし、そういったことをむしろ踏まえて私立医科大学協会の側で、教学の組織と理事組織との間の円滑にして適正な協力の関係と最終的な法人としての責任というものについて言及をされているというふうに理解をいたします。そのことが、当面問題になっているような、まさに学校教育法施行規則の規定に反するような状態を是認をするというような趣旨で書かれたものでは毛頭ないというふうに私たちは考えております。
  190. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 なかなか大学側を信頼したお話ですか、ぼくは、それもいいけれども、あれだけ問題を起こしたんだから、問題を起こしたところの過程の経過というものを考えてひとつ指導してくださいよ。非常に片一方には寛大でありながら、今度あなたがたの直属の学校教育に携わる者についてはもうはしの上げおろしまで目を光らして処罰をするという、全くこれくらいちぐはぐなものはありませんよ。こういうものにこそ、世の中の指摘や指弾を受けるところの者にこそ私は巌正たるべきだということを強くもう要請申し上げておきますよ。  時間がありませんから次に移りますが、付属病院のあり方の問題についてちょっと聞きたい。  問題を起こしたところの愛知医大の付属の病院は、総工費百六十億から二百億かかったという十一階建ての白亜の殿堂ですわね。教授の皆さんもたくさんりっぱな方がおられる。ところが、残念ながら学生を入れるところの器とか——先生方はりっぱでも、学生が先ほどちょっと申し上げたように零点の者も入っておるという時代ですから、これは非常にちぐはぐな状態なんですが、ただ私がここで指摘をしておきたいところの問題点は、非常にいろんな、国立関係もそうですが、特に歯学関係学校、医学校を回って感ずるのは、この付属病院か非常にデラックス過ぎるという印象なんですよ。あんなにデラックスにしなければいかぬのだろうかと思うようなものがあるんですよ。病院というよりはホテルという感じがしてならない。今日、やはり金がかかる、金がかかると言われておるところの問題点に、この付属病院のあり方という問題も私は一つの問題点じゃないかと思うんですが、その点について当局としてはどういうように考えておりますか。
  191. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 率直に申しまして、これまでの大学設置審議会のアフターケアの場合の病院の状況についての視察をする視点というのは、大学病院が十分な施設設備を持っているのか、そこに十分な医師、看護婦あるいはその他の診療に当たる技術者がいるのか、そして、全体として病院が活発に機能をしているのかというふうな点に視点を置いて視察をしたわけでございます。しかし、御指摘のように、今日の時点考えた場合に、大学の設置基準というものを踏まえて、それをはるかに超えた施設設備が行われているという場合に、それを単純に、よければよいほどいいというわけにはまいらぬという反省が大学設置審議会の方にも出てきております。今年度のアフターケアの結果を検討する席でもそういった御意見が関係の方々から出ておりますし、明年度以降、いま申しましたような歯科大学医科大学全体の経営ということを考えながら医学の教育に必要にして十分なものか備わっているのかという視点をさらに加えてアフターケアを実施をするような運びにいたしてまいりたいと考えております。
  192. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私もこのことをぜひともやってもらいたいと思うんですよ。これは「私立医科大学財政の現状と課題」と書いた私大協の経営部会から出ているやつですよね。これをこうして見ますと、「資金収支計算」のところを見ても、既設校はその収入の七三・五%を実に病院から入れている、医療収入から。新設校が四三・九%。言うならば、財源のほとんど大部分を病院経営から求めなきゃならない。言うならば、その病院を、医学の、いわゆる教育の場というよりは、むしろ、そこでうんと経営をし、もうけるだけもうけていただいて、その金を学校の方に回してもらおうという、この医学もいまやそろばんになりかけておるわけでございますけれども、こういう状態に私はやはり問題があると思うんです。ここにまた今日、経営者の皆さんが赤字だ赤字だと言って赤字に苦しんでいるところの問題があるんですから、ぜひとも私は、いまお話があったように、過大施設というものを抑制をしていくところの指導というものも皆さんやっていただきたいと思うんですね。ただ、行ってから、はありっぱですね、りっぱですとほめるだけが私は能じゃないと思うんです。このことである程度抑制をさせていかなけりゃこの借金の問題点というものはいつまでたってもずっとついてまいりますよ。  それと同時に、私は、この問題は、話を聞きますと、病院に対するところの補助というのは単に人件費だけでしょう、対象になるのは。これだけじゃやっぱり一つの問題があるんじゃないかと思うんです。もっと、この病院が現実の問題として最大の赤字のがんになっているんだから、それをどう救うかという中では、皆さんのいろんな国庫補助の場合でも、人件費にだけ限るということでなくて、もう少しこれを検討するという問題点をしてもらいたいという点。  それからもう一つは、単に文部省からでなくて、これは、りっぱなお医者さんができたら、今度は厚生省の所管になって、お医者さんになっていくわけでしょう。私は厚生省も責任ないとは言えない。厚生省がこういうところの医師の養成機関に対してどう具体的に補助の手だてを伸べるかという問題。  それにまた、最近、地域医療というものが叫ばれ出している。それだけに地域にとっては、自治体にとってはこの病院というものは非常に大事なものになっている。だとするならば、自治省が、こういう医療施設に対して——病院はいまや単なる研究の機関というよりはその地域におけるところの大きな総合病院になっているんですからね、恩恵を大分受けておるわけなんですから、そういう皆さんも、これは自治省なら自治省、厚生省あたりも何らかのやはり手だてをこれに対して講じていって財政的な面を見るということがやられない限り、私はいままでのような補助金制度の対象だけにしぼっておったんじゃ、ただ過大な施設を抑えますだけではこの問題は解決つかないと思うんです。  そこで、そういう問題については、大臣にお聞きしますけれども、単に文部省の問題というよりも政府全体の医療行政とのかかわりの中において、こうした問題についても、今後、今次のこういう不祥事を本当に再び起こさないようにして、改善していくというならば、もっともっと実らさなけりゃならないと思うんで、その点どうお考えになりますかね、大臣の意見を聞きたい。
  193. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘のように、関連が非常にある問題でありますから、文部省だけでどうのこうのということではなく、厚生省やさらにはその他いろいろな関係官庁の力を借りなければならぬ問題かあろうかと思います。そういうときには、その権限とかなんとかは抜きにして、率直に私から政治的にも相談を持ちかけ、話し合い、知恵を借り、協力し合いなから解決できるようにしなければならぬと考えます。
  194. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 時間がありませんのではしょりますが、もう一つお聞きしたい。  それは医師養成の問題ですね。厚生省の、方おられますね。私は、四十六年十二月の医科大学設置調査会の「医師養成の拡充について」という高見文相に対するところの報告書とかあるいはその前後におけるところの国会におけるところの医師養成のあり方の問題についてのいろんな議事録を見ながら非常に強く感じておるんですかね。そこで、医師養成の問題について聞きたいと思うんです。私は医師養成というから厚生省の仕事かと思うと、これはみんな文部省みたいになっておるんですね。それでお聞きしますがね、まず厚生省に。人口十万につき百五十名という物の考え方はいまでも変わりありませんかね。
  195. 内藤洌

    説明員内藤洌君) いま先生から御指摘がございました人口十万人対百五十人という医師の目標につきましては、昭和四十五年当時に厚生省が文部省に申し入れをいたしました当時の数値でございます。
  196. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 時間がありませんからね、結論だけ言ってください。
  197. 内藤洌

    説明員内藤洌君) 昭和六十年を目標にいたしておりますので、現在まだこの目標に向かって進んでおるという段階であると考えております。
  198. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そうすると、四十六年三月で当時の国公私立医学部定員は四千三百八十名と報告されておる。ところが、現在は医学部が七千三百八十人なんですよ、入学定員がね。そういたしますと、すでにその当時よりは三千人も定員がもうふえておるわけです、国公私立みんな含めて。そういうような計算でいきますと、当初の四十七年から五十一年度までに千二百名から千三百名をふやすという計画は優にもう突破されておる、達成されておるのだ、これは。しかも、いま申し上げたように三千人もこの当時よりもプラスになっているということから考えますれば、この計画でいきますと昭和六十年の云々というのはこの三千名で、現在の定員で不足しますか、それとも余りますか、どうですか。この計画をそのままずっと算術そろばんでいくと、どうなりますか。
  199. 内藤洌

    説明員内藤洌君) いろいろ未確定の要素はございますけれども、大まかな推計をいたしますと、昭和六十年を待たずして人口十万人対百五十人という目標は達成できるのではないかと考えております。
  200. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 私がいま尋ねておるのは、現実の昭和五十二年度の国公私立医科大学入学定員は七十一学部で七千三百八十名なんですよ。だから六十年までに十万人につき百五十名というのは大体これで賄われていると、こういうふうに素人判断でするんですよね。大体そういうふうに理解しておいてよろしゅうございますかということなんですよ。
  201. 内藤洌

    説明員内藤洌君) 私がいま申し上げましたのは、現在の定員を前提にいたしまして将来を推計いたしますと、大まかに申しますと昭和六十年を待たずして達成できるのではないかというふうに考えておるということでございます。
  202. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そういたしますと、さらにこの調査報告書を見ますと、これは国公立の大学をふやせということが中心なんですね、この報告書は。そうするとまたこれから国公立は、ことしも何校ですか、来年出てくるのは三校ですかね、それからまた次の年度か、あと五校ぐらいふえますわね。そうすると四十七都道府県みんなにできるというかっこうになるんです。こうなりますと、この定員はいま私が指摘したところの人数よりもさらに定員はふえることは間違いございません、これはね。そうなった場合に、この医療行政のあり方という観点から見た場合に、今後私立医科大学をふやしていかなきゃならない要素というものがあるのかどうか、そこをどう判断されていますか、文部省は。
  203. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 五十一年三月の高等教育懇談会の報告におきましても、将来の医師の計画養成ということを考えた場合に、私立医科大学による拡充分というのは予定に入れておりません。私どもは当面の無医大県解消計画を完成をし、さらに、現在の国公私を通じた医科大学の内容を充実をしていくということを考えるというのか方針の基本的な方向であろうかと考えます。
  204. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そういたしますと、幸か不幸か私学助成法が五年間ストップしていますわね。そうすると、そういうような医師の需給関係から申しますと、大体国立があと五、六校これはふえることになっておるのだからそれでとんとん足りていくと。したがって、今後のやはりこれだけ問題を起こしたところの私立関係の医学部ないし医科大学というものは、新設ということじゃなくて、このもとの問題の内容の充実ということが今後のやはり文部省の方向だと、こういうように理解してよろしゅうございますね。
  205. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 医科大学の場合には、御指摘のように私立についてはさらに内容の充実が重点であると思います。
  206. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いや、私が念を押すのは、これは先ほど紹介いたしましたところの調査報告書だってね、私立大学の問題については当時の木田さんですか、当時はいまの次官の木田さんが大学局長でしたね。言っておるのですよ。これは、私立医大については充実した医学教育を行うことができ、かつ健全な経営ができるはっきりした見通しが得られる場合に限って云々と、きわめて消極的なことをこう言いながら、あの報告の前後にして四十七年、四十九年と雨後のタケノコのごとくばあっと出てきたのだ。そしていわく、それは文部省ではどうにもできません、いわゆるあの問題については申請主義でございますから、条件が整って申請さえすれば私どもは認めぬわけにはまいりませんと、こういう答弁をしておるのですよ。今後もやっぱりそこはそういうように抜けられるのですか。私はそれであってはこの医療行政全体の問題とそのいまのものとがちぐはぐなかっこうになっていくばかりだと思うのです。それでまた無理に無理を重ねていく結果になると思いますので、今度はこういうことはないでしょうね。いかがでしょう。
  207. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 設置を認可する場合の基準が当時よりも著しく高くなってきているということは当然でございますが、法律のあり方としまして、当面五年間は特に必要があると認めるもの以外は私立大学の新増設は認可をしないということが法律で明らかになっておりますし、特に設置をすることが必要かどうかということにつきましては大学設置審議会、私大審を通じまして非常に慎重な審査か行われておりますので、当時とは法律の構え方自体が変わっているわけでございます。
  208. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 変わっておるからどうだということになるのですか。そこの後を聞かしてもらいたいんだな。
  209. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 単に大学設置基準を満たしているからということで認可をするということではなくて、それを認可することが特に必要があるかどうかという判断をさらに加えて、しかるべきものは認可をするということになるということでございます。
  210. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 国内の医師の需要関係からいえばもう必要ないですね、これは。ただ問題は、歯科医大、これはどないするつもりですか。先ほど同僚議員の粕谷委員からも質問があったんですがね。これ八〇%前後はほとんど私学におんぶしておるかっこうですがね。今後もこれは私学におんぶするつもりですか、文部省の行政の方針としては。それとも国立を徐々ではあるけれども一校ずつぐらいでもふやしていって、この需給のアンバラを是正しようというお考えですか。いかがですか。
  211. 佐野文一郎

    政府委員佐野文一郎君) 先ほどもお答えをいたしましたように、歯の場合には医の場合と異なりまして約八〇%を私立に依存をしているわけでございます。かねて国会でもその点についての御指摘がございまして、徳島、鹿児島の両大学に歯学部を設置をし、あるいは既設の歯学部の定員増を行うというふうなことを通じて国立による養成数の増というものを進めてきたわけでございます。現在は岡山大学と長崎大学の歯学部について創設準備を進めているわけでございますし、この創設準備をさらに強化をしたいと考えております。それ以降の歯学部をどのようにつくるかということについては、現在はかなりの大学で設置の希望を持っているということは承知をしておりますけれども、岡山、長崎の以後どのように歯学部をつくっていくかということについては方針を確定をいたしておりません。さらに慎重に対応をいたしたいと思います。それは一つには、歯学部の場合には、医学部の場合にももちろんそうでございますけれども、医学部の場合以上に教官の確保等に非常に問題があるということがあるからでございます。
  212. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 時間がまいりましたからこれでやめますけれども、いま私、長時間にわたりましてこの通知問題を中心にしていろいろお聞きしたんですが、まだこの通知を出したから非常に前進するだろうという確信を残念ながら皆さん方の答弁から得ることはできませんでした。しかしながら熱意だけはわかるんで、どうしてもやはり私はこの不祥事件を起こした後の根絶するところの手だてを具体的にどう講ずるかという問題ですから、やはり物を言う場合には遠慮なく言っていただいて、積極的にやっぱり指導していただきたいと思うんですよ、これはね。同時に、いま最後にお尋ねしましたところの歯医者さんの養成の問題にしても、長崎、岡山以降はめどがないというお話ですけれども、やはり医療行政ですからね、一つの。そうすれば医師についてはこれだけという展望があるならば、少なくともやはり歯科医についてもこうだと。だって歯科医が足りないということでいろんな問題、診療上の問題で起こしておるわけなんですから、それは一体どういうところでやっていくのかということの方向性というものを私はやっぱり明確にしなければいかぬと思うんです。その場その場の行き当たりばったりの私は教育行政であっても困るし、医療行政であっても困ると思うので、これはやはり文部省と厚生省と一番かかるところの問題でございますから、それらの点についても早急に結論を出して、明確なやはり方向性ということを出す中で、今後の医療に対しますところの、大学に対しますところの行政というものをきちんと筋のあるものにしていただきたい、こういうことを強く要望しまして終わります。
  213. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 養護学校の義務制設置のことは、あと一年半後に迫っておるわけですが、まず養護学校の各県における建設がどういう進捗状況を現在示しているか。完成年度である五十四年段階では、これが完成をされた場合には、養護学校教育の対象になる精神薄弱、肢体不自由、病虚弱児の児童生徒の不就学というものはおおむね解消することができる見通しが立っておるのかどうか。養護学校の就学対象外になっておる重度障害者、重複障害者、これに対しては引き続き猶予、免除とされて、教育の外に置かれ続けることに理屈としてはなるわけですが、こういう子供たちがどういう状況であり、これに対しては何を考えていかれるのか。この三点について、まずお伺いをします。
  214. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 養護学校学校施設自体の整備状況でございますけれども、これは昭和四十七年ですか、五十四年までの間に養護学校入学する児童生徒のために必要な学校数を策定いたしまして、その概数で申し上げますと、その当時、既存の養護学校というのが病虚弱、肢体不自由、精神薄弱を合わせまして二百六十一校であったかと思いますけれども、それにもう二百四十三校増設いたしまして、五百校強の学校を整備すれば一応対象児童生従が収容できる、こういう計画で進めてまいりました。しかし、実際にやってまいりますと、現在のところ、その学校の数はおおむね計画どおりいっているわけでございます。ただ、この養護学校の一校当たりの児童生徒の収容定員というものを重度障害者等を入れまして、大体百五十名くらいという基礎で計算をいたしましたけれども、その後の実績を見ますと、やはりその一つの学校に百五十人の障害児を集めるという実態は必ずしも通常的ではない。もっと小規模な学校運営になっておるというのか実情でございまして、これはまあ子供を、障害児でありますから、あんまり遠いところへ通わせたくないというようなこともありましょうし、それから現在その障害児というものか各種の福祉施設あるいは病院等に入っておって治療を受けながら訪問指導を受けておるというような子供さんもおるわけでありまして、そういうような分校的なもの、あるいは福祉施設的なものを、この際小規模ながら独立して養護学校とした方が現実にマッチして適当であろう、こういうようなこともございまして、いまこの各県の養護学校の整備計画につきましては、もう一度実態に合うように洗い直してくれということで、調査計画をお願いし、その調査を集めつつある段階でございますが、最終的にはしたがいまして、当初文部省が策定しました、五百校あれば足りるという計画よりも、もっと養護学校の数は多くなるであろう。ただその一校当たりの規模はもう少し小さくなるかもしれない。しかし、その数はどのくらいになるかということは、もう少し、本年の末くらいまで計画を見ながら詰めていこう、こういうことになっておるわけでございます。
  215. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 第一の点で、学校数はおおよそ計画どおり進捗をしておると言われておるわけでありますが、各府県によっていろいろ実情があろうと思いますが、数の進捗状況自身について見ても、聞くところ、五十二年度には三十八学校を建てる予定であったのが、実際には三十三でとまっておる。その前年は三十八の予定のところが二十六であった。さらに、その前年は同様目標に対して二十五であったというふうに聞いておるわけであります。かなり踏ん張らないと五十四年の義務設置のときに勢ぞろいをして出発することはなかなか困難な事情があるのではないか。まあ二つの理由から困難がきておる。  第一には、折から地方財政が非常に悪い。新増設をやるについてはその上に必ず超過負担がかかってくるわけであります。いま言われました同様規模において、学校が一つ建っても生徒が必ずしも予定数だけ上がらないというようなことも、重度の子を受け入れるについて国の基準どおりでは実際やりにくいというようなことも内容的にかかわっておるということは、いま説明で触れられませんでしたけれども、明らかだと思うんですね。重度化した児童生徒に見合う施設設備、こういう部分が今度の養護学校設置について配慮されていないために各府県の取り組みの中で実質的な持ち出しになっていると、こういうのが財政上の理由でありましょうし、これは直接施設にすぐにかかわらないとしても地方財政をさらに痛めておることは、今日的な水準でこの問題をながめて学校建設すれば、それに対して重度かつ多様化をした教育内容の保障のために定数の場合にも先進県ではかなり基準を上回って配置をしていくと、こういうふうになりまして全体として困難がある。もし、いま洗い直し、見直ししなければならぬと言われるなら、この辺のところにも目をやって、これについても改善された姿で行われていかないと、かけ声はあったけれども、出発をするときに不十分な状態になると思いますので、その点を念を押してひとつ答えをいただきたいと思います。  それからもう一つ、これは財政問題等とのかかわりではありませんが、一つの運動として養護学校建設阻止論とか、養護学校義務化阻止論というのがかなり全国各府県の中で言われるというようなことが見逃せない影響をもたらしておるのではないか。まあ一部自治体ではそれらを理由にして建設について消極的な態度をとるというような例も私の聞くところ散見をするわけであります。この二つの問題があると思うんです。  まず、財政問題については、見直しの中でこれらの基準面積あるいは定数の問題等の持ち出し、東京都の例なんかを見ますと、一つの学校を建てると三分の二ばかり国から補助がくるはずだけれども、実際にはまあ計算のしようもあるでしょうか、実際に建てれば十分の一を補うのみだというようなのが実際の姿になっておる。人口急増地の小中学校の建設なんかのときにも大変ですけれども、この設備の場合には一層そういう問題が大きくあらわれてきていると思いますが、まず財政問題についてはどうですか。
  216. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 養護学校の義務制の計画に伴います学校施設の整備の点につきましては、御承知のように、負担率を通常の場合の二分の一から三分の二に引き上げておるわけでございまして、それから面積の点でも各都道府県の要請に対応できるように従来措置をいたしてまいっております。御指摘のように、昭和五十年、五十一年については、石油ショック等の影響もありましてか、実績が計画よりも落ちていますけれども、明年度各都道府県におきましてはかなりの計画を持っておりますので、私どももこれに対する補助の措置については対応できるように用意をしてまいるよう努めたいと思っております。  なお、超過負担の問題でございますが、特殊養護学校関係でございますといろいろな備品類等も設置者計画の中には込められておるかと存じますが、現在、施設の補助でございまして、いわゆる備品等が含まれておらないというような点がございますが、施設そのものの単価の改善につきましても、明年度どもできるだけ努力をするようにいたしたいというふうに考えております。
  217. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 頼りない答弁になっておりますけれどもね。たとえば子供が重度になってくれば、標準的に考えればトイレは離れたところに置いておくのがいままでの学校のあり方ですけれどもね。くっつけて、トイレも全面介護の子供ですからね、設計上やるとか、訓練室とかプレーイングホールとかいろんな今日の水準で問題が出てくるのはほとんどいままでの基準でかからないわけですね、この点は。こういう点についてせっかく歩きながら是正するというようなことで、今日若干の再検討も行おうかという際には、そういう新しい要因ですね、経験のない重度の子供、いままでは猶予してきた子供を、いよいよ教育の恩恵を受けようというときに、それだけにふさわしい見方が盛り込まれなければならないと思うわけですけれども、その点は答弁がなかったと思うんですが、局長どうですか。
  218. 三角哲生

    政府委員三角哲生君) 御指摘の点につきましてはよく実態検討いたしまして改善について研究をさしていただきたいと思います。
  219. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 大臣、いまお聞きのとおりですから心にとめておいていただきたいと思うんです。  次の問題として、この養護学校建設を阻止するというような、常識ではちょっと浮かんでこないようなことが、一つは間々あらわれてくる、ときにはヘルメットをかぶってくる諸君、ここにとどまっておる限りでは、私は一つの社会事象というふうな見方もあろうかと思いますけれども、この点はひとつ文部省、厚生省でしっかり腹に据えて養護学校という問題を国民——父母に明らかにされなければならないというような重要なところに進んできておるんじゃなかろうかと思うわけです。  それは一つは、この問題については文部省、厚生省、各府県に入れば教育委員会それから同時に民生局は非常に重要な関連を持って進むことになりますし、学校と施設の関連というのは密接でありますけれども、ことしの自治体労働者の労働組合の私は運動方針書を読んでおるわけですけれども、「社会福祉労働者のたたかい」という中で、十分な養護学校に対する理解を欠くような要求事項があります。端的に申しますと、「社会福祉労働者のたたかい」ですから、間違いなく厚生省関係の各府県なんかにある障害児の施設に直接働く人たちの仲間でもあろうかと思うわけですね。七九年度養護学校義務化に向けて、条件整備が本格的な取り組みになって動き始めている。これは障害児を普通校へ就学させないで、隔離、差別教育をやるものだ。障害児福祉が具体的な再編過程に入っておる。この養護学校義務化というのは、就学児の判定機関によって検診を行い、障害程度によって子供を分類して選別を徹底化し、地域社会から生活と教育を隔離する障害児囲い込み政策を推進することだからこれは阻止をするというような状況が方針になって出てきておるわけであります。これがほかならぬ、かなり障害児の施設と関連性の深い働き手を含む中で社会福祉の課題として取り組まれておる、この点ではひとつ子供の成長と発達と障害の程度における教育上の取り扱いというようなものについて学校施設の働く役割がもっとよく周知されなければならぬのじゃなかろうかと思っておるわけであります。  まあ、私の意見としては、すべての障害児を地域普通学校へやれという主張がかなりけたたましく叫ばれており、教員諸君の中にも一定の影響を持っておることは現実でありますけれども、こういう意見は少なくともこの障害児の障害の程度を無視して、一律普通学校へやるというようなことは、子供を発達させていくという、その発達保障について念頭に置かれていないということと、障害ごとにふさわしい形態の内容、方法、就学を指導するという観点が外されておると思うわけです。この点について文部省では、特に養護学校について、各府県等はそういう影響を受けることのないよう、明確な態度を打ち出される必要がある。その点については文部大臣考え方をお伺いをしておきたい。  具体的には、このことと関連して、兵庫県の例ですけれども、五十二年に二校建設ということが決まっておったのが、反対論もありますので、混乱が起こらないようにというようなこと、用地取得難と言って五十三年に回して、五十三年度二校建設されるはずのものが、一向学校規模も立地も明らかにされないというようなことで、危ぶまれているというような例も出てきております。  一方でこの宣伝の文書を見ますと、同時に文部省へ座り込みをかましたら、文部省は文書回答をやったというようなことも非常に喧伝をされまして、他団体には例のない揺さぶりが成功したというようなことで、文部省回答文というのもかなり全国に宣伝をされておるわけであります。これは昭和五十二年の四月二十日付ですが、斉藤署名で霞ケ関郵便局長を経由して、全障連という団体の一翼である全国青い芝の会文部省座り込みの成果としての答弁書がかなり宣伝をされておる、こういう点については、文部省ではぜひとも教育上の観点から問題を明らかにされることと、それから、こういう阻止とか粉砕とかいうものに対して各府県が消極的姿勢をとらないように明確にされるという二つのことが必要だろうと思うんです。その点について、大臣、いかがでしょうか。
  220. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) まず最初の御指摘の点でありますが、私も養護学校を見せてもらいに参りまして、相当重度な方であるというクラスの実際の授業や——授業と申しますか、お遊びと申しますか、見せてもらってきまして、それに携わっておる先生方には頭が下がるとともに、やっぱりそういうふうにすることがそれぞれの子供さんのためになるなあ、というのが私の感じた実感でございました。したがいまして、養護学校というものは、やっぱりそこへ来る人のためになると判断を私もいたしましたし、義務化の計画を進めるに当たっても、これはできるだけそういう方々に来ていただくようにしなければならぬだろうと、こういう考えでございます。
  221. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 養護学校について差別論の論点の一つは、子供を能力別に分けて、普通児のところへ行けるのにそこにほうり込んでしまうと、こういう差別、選別の道具になるというのが論拠の一つ。それからもう一つは、子供をその本人の障害の程度に合わせて教育すればどの子供も能力が伸びるという観点をとらないで、一律に飛躍をして科学的な観点を欠いて一つの運動論に陥っていると申しましょうか、そういうところにあると思うわけですね。その点を明確にしなければ、こういう障害を乗り越えることはむずかしいと思うわけです。私が見てきたところでも、確かに異常に障害児学級の出現率の高いような府県かあらわれておるわけですね。いわば障害児学級を設けたら、そこの学級を一人や二人にしないで、ちゃんとお客さんを集めるために、IQは一定程度以上あっても、ちょっと指導困難なような子供をその中にほうり込んでしまって、懲罰の道具に使うと申しますか、みせしめの道具に使ったり、学テ全盛時代には、学校の平均点を上げるために、点数の低そうな子供は障害児扱いをして外したりすると、まあ異常に出現率の高い県が指摘されているのは、これは香川とか福島とかいうようなところがあるわけですし、まあ養護学校自身についても、特定県の養護学校にはIQ七五以上の子供が三〇%もおったというような例もあります。こういうようなことを一切なくすること、つまり障害児でない者を障害児教育の場を利用してそこへ突っ込むというようなことを一切なくするということが、一つの必要になると思いますですね。  もう一つは、この養護学校、障害児学級ですね、特殊学級とそれから普通児学級、これらのところを固定させないで、状況に合わせて一番ふさわしい姿で動くことができるような体制をつくることになるだろうと思うんです。そういうような点が非常におくれておりますから、いわばこれらの乗じるところになって、一方では障害児学校、せっかく養護学校をつくればできるだけ教えやすい子供で定員を満員にしようとするような誤りが出たり、もう一つは、それを粉砕すると称しながら、本当に障害児のために必要で、養護学校ができればいままでの猶予、免除になっておった子供教育することができるという、その養護学校の粉砕論に転化をしたりするということになると思うわけです。  その二つの点について、ひとつそのとおりであるのかないのか、問題意識についてひとつ明確な答弁をお伺いしておきたいと思うんです。
  222. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) この障害者もすべて普通学校でという一つの要望がありますことは、私どもも承知しておるわけでございます。しかしながら、いまのそのすべての身体障害者に対しても適切な教育の機会をというその根本の考え方は、やはり教育基本法なり憲法に言いますところの教育の機会均等であり、その趣旨は、御承知のように、すべて国民は能力に応じてひとしく教育を受ける権利があるということであり、その能力というのは、やはり広い意味に考えますれば、身体に障害のある子供さんについては、その障害に対応した教育を受ける権利があるというふうに考えるべきだろうと思うわけでありまして、そういう趣旨からしまして、私どもは一律にすべて普通の学校でなければ教育を受けることにならないんだという考え方には賛成できないのであり、そこで、その点につきましては、ただいま御指摘がありましたように、地方におきましてはそういう運動に押されがちだという実態もあるようでありますんで、担当の課長会議等に際しましては、十分それらの点について指導し、適切な学校設置計画が進められますように努力をしてもらうよう、要請しておるところでございます。  一方、このそれじゃ特殊学級、特に普通学校の特殊学級の一学級の編制基準は、現在の標準法では十二人に下げたわけでございますが、小規模学校でありますとそれが七人だったり八人だったりと。これは一般学級の方から知能指数の低い子供さんをそこへ連れてくるというようなことが絶対ないというふうには思われないので、そういうケースもときにはあるやに聞くわけでございますが、これはやはり教育というものを考えました場合に、学校の都合でそういう場合に特殊学級を目いっぱいにするために適当に子供を選んでくるというようなことがもしあるとすれば、それは私はやっぱり適当なことじゃないんで、それはそれぞれの学校において十分そういう点は配慮して、本来普通学級で十分にやれる子供さんは普通学級で教育するというたてまえでやるよう、これもまた従来とも指導しておるところでありますが、今後ともそういう趣旨でまいりたい、かように思うわけでございます。
  223. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 いまの局長答弁は、特に障害児でない者を障害児の教育の場を利用して普通児から排除するというようなことはあってはならないことだという答弁としてお聞きしますが、いいですね。それに十分普通児の教育を受けられる子というふうに言われるとむずかしくなってくるわけです。不十分でも受けられる子なら力を入れて普通児の場で教育をするというようなことも、これは努力として行われなければならぬと思いますね。  それから、低学年のときには普通児学級である程度やっていくことかできても、高学年になって格差が開いてきているような場合には、全体の国民から信頼される特殊的な教育の場面であるときには養護学校、あるときには学級というようなことにやっていけるような状況を速やかにつくり出さないと、これがいわば袋小路に入ったみたいにそっちに入ったら抜けられないというような状況であってはならぬと思うんです。これは就学指導委員会の問題になろうかと思い、後で御答弁をいただきたいと思いますけれども、それらの問題が少なくとも天下の自治労の中で十分に理解されていないというような現状があるとすればゆゆしきことではなかろうかと。特に判別委員会の問題が、これが選別の場であるというふうに理解をされるというような点については、ひとつ十分に文部省と厚生省も連絡をとられ、この点については周知徹底の措置がとられる必要があると思いますけれども、厚生省の方でいかがでしょうね。
  224. 佐藤良正

    説明員(佐藤良正君) 施設入所の児童の就学につきましては、市町村教育委員会等におきまして、指導委員会が設置されておるわけでございます。これは周知の事実でございますが、その中には先生指摘のとおり、私どもの管轄でございますが、業務を担当します施設長であるとか、あるいは児童相談所長等が関係者として加わっておりまして、その点について十分連係をとっておるということでございまして、その面につきましては、私ども課長会議を通じまして十分指導をいたしておるといった状況でございます。
  225. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 施設の子供が、養護学校の設置によってみんなとられてしまうというような合理化の不安を持っておるところに誤った思想宣伝が行われて、その上に巻き込まれるというようなことになってもいけませんから、ぜひとも厚生省、文部省並びに各府県の教育委員会、そして民生部等の関係の中でよろしく処置をしていただきたいと思うわけであります。  続いてお伺いをいたしますが、養護学校の対象者と対象者でない者というところでまだ猶予、免除の問題か生きておるわけですね。これの状況はどうなり、猶予、免除の者に対してはどういう措置をされるのか、猶予と免除は同じか、猶予は何で免除は一体何なのか、現在ここまで措置が延びても残っておる猶予、免除の対象者という人はどういう者を言うのかというようなことについて、簡潔にひとつ答えていただきたいと思います。
  226. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) ただいまの猶予、免除につきまして御説明申し上げます前に、特殊学級対象児童につきまして、先生にお言葉を返すようで恐縮ですけれども、ちょっとでも障害があるような少しぐらいの者は一般学級でとおっしゃいました。私はその趣旨はそうだろうと思うんです。
  227. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 可能な者はということですよ。
  228. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) ただやはり、この子は特殊学級か普通学級かということは、医者なり先生なりの判断というものを入れていただかないと、保護者なり本人だけの希望でいうと、必ずしも主観的判断と客観的に違うことがありますから。
  229. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 いや、それはいいです、異議がありませんから。
  230. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 先ほどの御発言はちょっと私は納得……
  231. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 いや、十分と言うから言うたんですよ、ぼくは。
  232. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) はい。むしろたとえば自閉症のような子供で特殊学級へ初め入ったけれども、だんだんやっているうちにその傾向が少なくなってきた。それで普通学校へ行くと、それは私は大いにやった方がよろしいと、こういうふうに考えるわけです。  ところで猶予、免除でございますが、現在猶予者と免除者の数でございますか、猶予者が七千五百名、免除者が五千五百名と、両方合わせまして一万三千名というのか実態でございます。そして、猶予、免除はどう違うかということでございますが、文字どおり免除の方は障害が非常に重いし、回復する見込みがないと、したがって、この子供は義務教育を免除すると、もうずっと受けなくてよろしいんだというのが免除者であり、猶予者の方は、障害の程度から見て何ほどか歳月を経たならばあるいは教育を受けられるようになるかもしらぬ、そういう見通しのある者については、これは当分の間義務教育を受けることを猶予するということでありますから、そこで取り扱いが違ってくるわけでございます。そこで、このような一万三千名の子供が義務制が実施になりました場合に、やはり同じような数で猶予・免除者として残るかどうかということでございますが、その点につきましては、御承知のように最近では養護学校子供を通学させて教育をするというほかに、障害の程度がかなり重い者につきましては、自宅で療養中あるいは病院や施設で療養中、こういう子供さんも何ほどかおるわけでございますので、そういう子供さんにつきましても、学校の方から自宅なり病院なり施設に出向いて行って、週に二回くらいずつ教育を行う。教育と言いましても、もちろんその内容は、いわゆるそれぞれの教科の独立した勉強というよりは、養護学校教育要求であります養護訓練でございますね、障害の程度に応じて手足の機能訓練であるとかあるいは発声訓練であるとかあるいは聴覚の訓練であるとか、そういうような養護訓練を主体とした訪問指導を実施するということを現在かなりやっておるわけでございます。そして、その対象の児童生徒数が、五十二年度の初めで約七千五百人くらいというふうに推定されておりますが、義務制に向かって私どもは、いまの障害の重くて現在猶予の対象となっておるような子供さんについても、訪問指導の対象になり得るような子供さんについては、将来はそっちの方向へ持ってまいりたい。そして残った子供さんで免除者を中心にして、医学的な配慮からしてまず生命維持が第一だと、教育よりも生命維持だとあるいは障害の治療だと、そういう子供さんをできるだけ限定して、そういう子供さんは引き続き猶予、免除という形でこの制度を残していきたい、こういうふうに考えております。
  233. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 大体、合計一万三千人の猶予、免除が、現在の状況下では置かれていると、こういうことですね。もし、いまから養護学校の建設が進捗をして、収容数がふえてくれば、現在時点では猶予、免除のところに置かれておっても、五十四年度以降、就学がその中から可能になるということは予想されるわけですね。
  234. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 現在の猶予者の中にも、その正確な数はつかんでいないんですけれども、正規に学校に学籍は置かないけれども、つまり着護学校生徒にはなってないけれども学校において非常勤の先生が出向いて行って訪問指導していると、こういう人が若干おるわけでございます。そこで義務制になりました場合には、そういう学籍を持たないで訪問指導させるのではなくって、そういう場合には全部学籍を持たせて訪問指導の対象にすると、こういうふうな考え方でもってまいりたい、かように思うわけでございます。
  235. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 いずれにしても、この養護学校の対象者から除外されざるを得ないという重度・重複の子供に対しては、養護学校として学校教育はできないけれども、何らかの方法でと。具体的に言えば、訪問教育等で教育を及ぼしていこうという考えであるというふうにお伺いをするわけですが、実際には先ほどから言われるように、養護の対象者と対象外とは、医者が何がしかのはかりできっちりはかり得るようなものではないということが、今日の実践の中でかなり出てきておると思うんです。  東京都では、希望者全員就学ということで、今日の七年計画と並行しながら一歩進んだ取り組みをしてきた。確かに、全国でいま一万三千を数える者が、東京都で勘定してみれば七百人でありますから、東京なら普通千五百人とか何か出てくるはずのものが、七百人だけはいまでも収容しかねておりますけれども、在宅というのは非常に減って、七百人のうちの五百人までは現実には施設にいるわけですね。そういう状況になっておる。まあ、それはずっと判別の状況が正確になれば何ですけれども、現在では、実際には猶予、免除を受けておるという者は、たとえ家が貧しくて、もし養護学校にやろうと思っても、かなり遠いから、親が付き添っていかなければ家から手放すことができない。そういうことのために施設にお願いをすると、こういう状況になって、そのことで親が手を放して働いているというような例ですね。むしろ社会的理由によって猶予免除になっておるわけであって、医学上の理由やその他の発達程度の問題とは必ずしも言い得ない。少なくとも一万三千人の中の相当数の者は、東京都の例であれば、とうとう取り残した七百のうちの五百までは、実際にこの社会的理由が多い。もしこの中に、より制度を及ぼしていって、施設内のベッドサイドの一対一の一番重い訪問教育から場合によればスクールバスだとか、看護婦さんの付き添いが保証されれば、それに加えて週に二回とか三回とかは、教育の真髄である集団教育をやるというようなことも可能な子供たちが、それがやっぱり水準の低さのために放置されているというような状況があるというのが現状ではなかろうかと思います。  こういう点から見ますと、訪問教育というのは、私は二つの意味があると思うんです。訪問教育というのは、これから力あるものとして、最後の部分に大きく伸ばされ、進めなければならない。しかし、同時に今度は、養護学校の義務化というのはお金もかかりますし、さまざま大変ですから、及ばないところを訪問教育でお茶を濁すというふうになれば、訪問教育というのは、逆に猶予、免除を現実に温存をするつい立ての役割りになってしまうと、この二つの意味があるだろうと思うわけです。  そういう点から、訪問教育について、私は、特にここで二、三の点を明らかにしていただいて、そしてこれの本当に教育的効果のある訪問教育の推進について充実をやってもらいたいと主張するわけです。  一つは、今日の訪問教員というのは常勤であって、専任であって、そして学級定数等が明らかになったものかどうか。これは非常に体系がまちまちだ。普通の学校先生や校長さんの退職された方が非常勤で訪問教員になって、ふらっと行ってお母さんとお茶飲んで帰ってくるというようなことでは、猶予、免除のこの実態温存の、これは隠すつい立てにしかなりませんから、非常に評判の悪い県もあります。実際に。こういう状況について訪問教育と言われるのなら、この点について一つの基準を明らかにされる準備はあるのか。いまの訪問回数はどこで聞いても、週二回、一回が多くて二時間、週四時間以上の訪問教育というのは余りないわけであります。それから、訪問教育を受ける子供は、もし教育の対象と考えるなら、当然就学奨励費を受けるべきだと思うわけですけれども、これがいってないんじゃなかろうか。  こういう三、四の点がありますが、どうでしょうね。常勤、専任であるのかと。学級定数等は明らかになっておるのかと。訪問回数、授業時間はどうか。在宅施設の者にも、子供に就学奨励費を出すというような方向へ進められるのか。この点についてお答えをいただきたいと思います。
  236. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) この訪問教育を担当する教員の身分、取り扱いにつきましては、各県いろいろでございまして、おっしゃるように常勤の先生の場合もありますし、非常勤の講師であります場合もありますし、教育委員会に籍を置きます指導員であるという場合もあるわけでございます。そこで、身分の問題もありますけれども、私は、要するにそういう特殊な、非常に障害の重い子供さんのところへ出かけていっていろいろな機能訓練等の養護訓練をするわけですから、やっぱりその方がそういう面における教育について堪能な方であるということが非常に大事だと思うわけです。そこで、そういう意味での訪問教師の資質の維持、向上というような点をこれから少し考えてまいりたい。
  237. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 どういう措置をされるわけですか。
  238. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) これは現在のところでは、そういう方の講習会のようなものを将来考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、一回あるいは週当たりの授業時数の問題でありますか、これも調査によりますと、確かに一週二回、一回二時間程度というのが一番多うございます。ただ、四時間やるものもありますし、一週三回というものもあるわけですから、平均しますと大体そのくらいになるということでありまして、これはまさに教育対象児の障害の程度、それから教える教育内容というようなものを考えて適切にやっていくべきものであろうと、一応の基準は決めながら、実際は障害の程度に応じて弾力的に考えていくというのがよろしいんではないか、かように思うわけです。
  239. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 この点については明確に基準なり、規格なりを置き、特に養護学校の対象者の範囲内の者に対して残っておる訪問教育というのは、過渡期のものとして早急に発展をさせて、そうして子供の就学を促し、訪問教育は基本的、基礎的には養護学校の対象者外の、いまなお猶予、免除対象に残されておる者の範囲で適用されるというふうでなければならぬと思うのですが、その点についてはどうですか。
  240. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) その点は先ほど申し上げましたように、私どもは訪問指導の対象者でありましても、その子供に、ある養護学校の児童生徒としての学籍を持たせて、養護学校教育の一環であるというふうに考えてやってまいりたいと思っているわけでございます。
  241. 小巻敏雄

    小巻敏雄君 最後に、いまなお養護学校へ通うことができず、また、非常に不十分な訪問教育等の対象になっておる病院もしくは施設の子供について言うわけですけれども、これは、できるだけそこに派遣教師、それから病院内の学級、そして隣接の分校あるいは施設内の分校等について計画をして、厚生省とも十分連絡をとって進められるべきではなかろうかと思います。  私は、これに先立ってかなり養護教育の実際を見てきたわけであります。大阪に、境養護学校の分校で整肢学院というところに置かれているものがあります。そこに行ってみれば、以前は大体ポリオの子供の整肢学院であったわけですね。ところが、ポリオなんというのはなくなって、ほとんど脳性麻痺等の障害で、言語障害から重複障害のある子供ばっかり、非常に先生方熱心にやっておりまして、六歳になって言葉の出なかった子供が、一年いて母親と父親を見分けるばかりでなく、先生方を見分け、発音するようになり、二年目になって非常に積極性がふえて健康もよくなっておるわけですね。こういうのは恐らく、ここは幼稚部がありませんから、おくれて始まった教育ですけれども教育を受けると同時にかなり長足の進歩をするわけであります。同時に、整肢学院は病院ですから、訓練の時間が訓練士によってこれは医療の場面で行われるのですけれども、器具等は学校で行うよりもよく準備されたもので、一人ずつに適合した器具が与えられておりますね、完備しておるわけです。しかしながら、この学校で非常に成果を上げておるのは、先生方と訓練士等を含めて、勤務時間外に一人ずつの子供に対する到達目標を共通で確認をし合って、学習をして、いまの時点ではこの子おしっこということだけが中心目標になると、訓練もそれに向けてやるとか、いろいろやった中から目に見えた発達ができているわけですね。だれを呼ばれてもああとしか言えなかった子供か一年でまあたい焼きの歌を歌ったというわけですけれどもね、どんな歌だったか私は聞きませんけれども。こういうところを見ますと、やっぱり医療は一人が一人を治すわけで、疲れたら寝かせるわけでしょうけれども教育というのはやっぱり集団の中で、先生の方も集団で、子供も集団の中で周りとつき合いながらやるときに非常に発展をするものですね。教育の不可欠の構成要素の一つは、集団という要素があると思いますし、人類が子供を育てるんだってほとんど長い間集団の中で育ってきておるわけであります。孤独というのは異常な状態であります、自殺をするような状態になるんですから。こういう点についてはひとつ施設に残っておる子供についても、現実は病状の程度によって養護学校の対象外になっておるのではなくて、実際問題一ケースずつ当たれば、行政の水準が伸びてここに設備の手が及び、そうして、教育の手が及んだら必ず飛躍的な発達をし始めるという状況、大部分の子供にありますから、この点については格段に協力をされていく必要があるんじゃなかろうか。そうして、その場合に、施設の場合には非常にところによってまちまちですけれども教育委員会学校と民生部との、あるいは教育委員会、委員、施設とそれから行政。学校と行政とそれから施設の連絡についてほとんど保障がないということが非常に大きな障害になっておるわけであります。すでに安嶋初中局長あてに昭和五十年の三月三十一日に出された研究会の報告なんかでも、これらの問題について非常に貴重な示唆があわせて与えられておるわけですから、この点についてはひとつ格段の努力をするということによって、この五十四年の義務制の出発点を内容的にも強化をされていく必要があるだろうと思う。  きょうは時間がきておりますから、ほかに同和教育のために来ていただいた方々には大変失礼で省略になりましたけれども、ここで終わりますが、最後に、これらの問題について、文部大臣の決意を聞かしていただいて終了したいと思います。
  242. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘問題点につきましては、養護学校の義務化を控えまして、本当にその義務化をすることによってそこへ通ってくる子供さんたちのためにならなきゃならぬわけでありますし、また、その通ってくる、通ってこないといういろいろな問題は、やはりそれぞれの立場に応じて、それぞれの子供さんのためになるような内容のある施策であらねばならぬということは、御議論を通じ、また、私どももそういう心構えで対処しておるわけでございますので、先生の御意見を十分拝聴さしていただいて、また一生懸命努力を重ねていきたいと考えます。
  243. 秋山長造

    秋山長造君 もう時間が余りありませんからね、私もできるだけ簡潔にお尋ねしますから、お答えの方もできるだけ簡潔にひとつお願いします。  まず最初に、幼児教育について文部大臣の御所見を承りたい。幼児教育をどういうように考えておられるか。
  244. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 幼児教育というのは、一言で言いますと、きわめて大切なものであるということでございますし、また、現在具体的に幼児に対する文部省の取り組んでおります姿勢といたしましては一四、五歳児の人で幼稚園に入園を希望しておる人が全部入れることを目標に立てまして努力をしておるということでございます。
  245. 秋山長造

    秋山長造君 四十七年から始まった年次計画がありますね。ちょうどことしあたりがその中間になるわけですが、いまおっしゃるように、四、五歳児を全部収容できるのを目標に持っておられる。そこまで持っていった結果はそれでどうしようというお考えなんですか、文部省としては。まあたとえば幼稚園の義務教育化という話が始終あるわけですが、そういうものと関連をして、全部収容してそれで幼稚園というものをどうしようというのか。
  246. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) ただいまのところは五十七年にそれを達成しようと思って鋭意努力をしておりますが、他面、厚生省の所管にございます保育園というものがございまして、これはその設置目的も、もちろん機能も違うわけでありますけれども、行政管理庁の方からも、厚生省との間で幼稚園と保育園の問題について協議をするようにというような指示もあり、また、その必要性を文部省も感じておりますので、ごく近いうちに厚生省との間に協議を始めて、幼稚園と保育園の問題についていろいろ意見を交換し、検討を重ねていきたいと、こう考えております。
  247. 秋山長造

    秋山長造君 大臣が私がだんだん聞いておこうと思っていることを先へどうもおっしゃったので、もうこれでやめてもいいんですけれども、(笑声)だけれども、もうちょっと、時間がありますから、少し細かく聞いておきたいと思います。  いま大臣がおっしゃったことの材料にされるおつもりでしょうが、この間十月の十七日に幼児教育施設の総合的実態調査を発表されましたね。これは大臣、ごらんになりましたか、新聞にも大きく報道されたし、各新聞が皆社説で取り上げていましたが、いや、読んでおられぬなら読んでおられぬでいいです。ごらんになられましたか。
  248. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 何といいますか、走り読みでさらっとこう、普及状況がどうなっておって、五十七年までの計画はどうでというようなことでありますが、詳細精密に一語一語というわけにはまいりませんでした。
  249. 秋山長造

    秋山長造君 予算委員会なんかで連日大臣はお忙しかったから、それはそうだそうと思うのですが、だから軽視されておるとは思いません。——初中局長の手元でやられたわけですね、この調査を。
  250. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) この調査は官房でいたしました。
  251. 秋山長造

    秋山長造君 じゃ、あなたに聞いてもわからぬな。
  252. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 大臣よりは少し詳しく読みましたけれども。(笑声)
  253. 秋山長造

    秋山長造君 では、余りもう細かく聞きませんから、まあ大体幼稚園はあなたの管轄ですから、責任者としてわかっている範囲でいいんですか、この調査をやられた結果どういうことかわかったのか。あるいはそのわかった結果をあなたの方でどういうように今後政策的に取り上げて生かしていこうというおつもりなんですか。簡潔でよろしい。
  254. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) 一つは、幼稚園と保育所との関係でございますけれども、幼稚園の在園率の高いところは保育所の在園率が低い、逆の場合は逆だと、こういうことでございまして、そこに、本来の幼稚園と保育所との機能を考えた場合に、いずれの地域においても同じような在園状況にはなっていないということが一つございます。  それから公私の幼稚園の普及状況というところを見ますと、私立幼稚園の非常に占める割合が高いのは主として人口の集中した大都会中心でございまして、人口の二万以下というような小規模の市町村の場合にはむしろ公立幼稚園の方が普及しておるというようなことで、このことは、実際の問題として幼稚園に就園させる父兄の経済的負担の関係等から言いましても今後の課題でございます。そこでわれわれとしましては、この実態を踏まえまして、保育所との関係では先ほど大臣が申しましたように、両施設の適正な併存ということを将来さらに実施するために、厚生省の関係の方と話し合いの場を持って両者の将来の設置計画の整合性を一層図っていこうという点か一つございます。  それから公私の格差の是正という問題につきましては、私立幼稚園それ自体に対する運営助成と、それから私立幼稚園に子供をやる親に対して就園奨励的な経費の増額というようなことを進めまして、公私の負担の格差是正をしようというような点が、大きく申しますとこれからの課題であると思うわけでございます。
  255. 秋山長造

    秋山長造君 いまおっしゃったようなことは、本当は今回の調査をせぬでも前々からわかっておったことだ、ただそのわかっておったことの一番新しい状態がわかったというだけのことであってね。いまの局長のおっしゃったのは、保育所と幼稚園の併存ということを基本にして整合性を確保していきたい、こういうことですね。それから保育所と幼稚園は併存していくということはもうはっきりしておるわけですか、文部省の方針としては。
  256. 諸沢正道

    政府委員(諸沢正道君) その点につきましては、現在の幼稚園と保育所のそれぞれの法律上掲げられた目標か、保育所は保育に欠ける幼児の保育をつかさどるところであり、幼稚園は幼児期の幼児を教育する施設であると、はっきり性格が分かれておるわけでございますので、その両者の将来にわたった今後のあり方としてもその法律の目的を踏まえてやるというふうに考えておるわけでございまして、一昨年のこの行管の勧告におきましても、その点につきましては、「家庭及び幼児の立場から両制度の調和を保ち、」云々と、こういうふうに書いてあるわけでございまして、両制度の併存ということを前提にしての勧告であるというふうに理解するわけでございます。
  257. 秋山長造

    秋山長造君 御答弁としてはそうだろうと思う。おっしゃるような御答弁しかやりようがないと思うけれども、ただ、それは一応のたてまえであって、実際にはもういまの、今度の調査の結果でもはっきりあらわれているし、前々からもう種々問題があって、あなた方は実はもうこれ、頭を悩まされてきたと思うんですが、全くこんがらがってしまって、これはもう何といいますか、とても併存だとか何とかいうような状態ではないでしょう。もうアンバランスで、でこぼこだらけで、幼稚園という名で保育所のようなこともやっておるし、保育所という名で幼稚園と同じことをやっておるし、それからまあ補助金関係、いろんな関係違うもんですからね、またそういう角度から、幼稚園をつくった方が得だろうか、保育園をつくった方が得だろうかというような行政的な配慮もあったりしてよけい混乱しているわけですが、どうですか、もう余り途中のところはいろんなことは申しません、時間がないから。文部省としてあるいは文部大臣としては本当にあれですか、この問題について厚生大臣なり厚生省なりと本腰を入れて話をつけるつもりなんですか、どうなんですか。早急に決まりをつけるおつもりですか、どうですか。
  258. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) この問題につきましては、私はいずれきちんと決まりをつけなきゃならぬときか必ずくると思うんです。要するに、いまは五十七年までそういう全入という目標をつくって作業をしておりますけれども、それからこれは規則とか通達とかそういうむずかしい専門的なことを越えて、私の感じで申しますと、幼稚園の非常に多い地方とか保育園が非常にたくさんある地方とか、そういう問題等もあると思います。そこで、きょうまで教育内容の一元化ということについては、両省間で意見か一致をしている。教育内容の一元化ということについては、幼稚園と保育園の間で共通の認識ができたわけでありますから、ですから、こういうことについては先がどうなるかということじゃなくて、そういうお互いに持っておる問題点を全部正直に出し合って議論を詰めて、何らかの結論をやっぱり出すべきときだと、こういうふうに私は思います。
  259. 秋山長造

    秋山長造君 出すべきときだというのは、今日ただいまいう意味ですか、何年先という意味ですか。
  260. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 先ほど申し上げましたように、きわめて近いうちに正式に文部省と厚生省でこの問題を通じての話し合いの場を設けて、問題を出し合って話を始めてもらおうと、こう決心しておりますので、いつ幾日ということじゃなくて、話をとにかく始めるということでございます。
  261. 秋山長造

    秋山長造君 大体この行管の勧告が出たのは一昨年の秋でしょう。それからもうはや二年ですわね。この間何もしてない。話の結論をすぐ出せといえばそれは時間かかるかもしれぬけれども、話を始める糸口ぐらいはもうとっくに始まっておらにゃいかぬのだけれども、これ二年間ほったらかしにして、それでこれから早急にと言うたところで、あんた一体、本当にやれるんかどうか。まあしかし、やるとおっしゃるんだから、それはもう大臣の御発言をそのまま承るよりしようがないけれども、ただ、海部文部大臣というのは、ある意味では私は型破りの大臣だと思いますよ、あなたは。だから、世間の評価もそれなりに大きいと思う。あなたに対する期待もまた大きいと思う。私らもそれはある意味では期待していますよ。だからなおさらのこと、この際、厚生省がどうとか文部省がどうとかいうつもりはないけれども、いずれにしても子供は一人ですからね、それがその役所の都合か何かで厚生省の所管になったり、文部省の所管になったりしているわけですからね。だからやっぱりこれは責任を持って、しかも行管の勧告では何か中教審だとか児童福祉審議会だとか、そこらの委員なんかに名前を連ねておるような人を両方から出し合わせて、そして早急に協議を始めるようにというようなことを書いてありますけれども、私はそれはもうそういう段階は過ぎておるんじゃないかと思うんですよ。行管の方も大分どういうわけか遠慮されたのかどうか、私は少なくともこれはもう事務当局同士の話でどうもなるものじゃない。それはいままでの繰り返しでこれはいつまでたっても同じことだと思いますよ、恐らく。そう言っては諸沢さんには済まないけれども、本当の話が。そこで、やっぱり政治家同士の大所高所に立った決断ですよ、と私は思うんです。だから、そういう意味であなた、文部大臣、ひとつ厚生大臣と早急にかつ真剣に話し合って、あなたの責任においてあなたの在職中にけりをつけてくださいよ。それだけのことできますか。
  262. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) これは全く非公式でございますが、厚生大臣には私から直接このことについて要請したこともございます。文部省文部省で私が話をするから、厚生省は厚生省で厚生大臣話をしてもらって、とにかく行管の指示もあることであるから、文部省、厚生省でいろいろな材料を出し合って忌憚のない話をする協議会というものを発足させたい。これは厚生大臣も私のこの申し入れに対してよろしいと言ったのかうんと言ったのか、とにかく同意をして一生懸命厚生省側へ伝えてくれたはずであります。そして、必ずこれは近いうちに話を始めるわけでありますから、そこでお互いにやっぱり問題点を出し合って、どういうことになっていくかということについて話を具体的に始めていきます。
  263. 秋山長造

    秋山長造君 じゃ、これはやっぱり二つ並行してやられたらいいんじゃないか。大臣同士の、政治家同士の話し合いとそれからそれを裏づけるというか、それと並行して行管の勧告にあるような協議ですね。その話はあなたの話はいつでもできるんでしょうが、大臣同士の話は。それはすぐ一遍だけ言ったことがあるというだけでなしに、閣議でも何でもしょっちゅう会っておられるわけですから、だからその話を継続して押していかれることと、それからこの審議会か協議会か何か知らぬが、それは一体いつからやられますか。それはめどぐらいはつくでしょうよ、いつからやりたい、いつからやりますということぐらいのことは。
  264. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 協議会の方は近いうちに必ずやるということで、いつと言われましても……
  265. 秋山長造

    秋山長造君 十一月からやりますか。
  266. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) いつと言われますと困るのですけれども、必ず早くやります。十一月……
  267. 秋山長造

    秋山長造君 年内にはやりますか、どんなに遅くなっても。
  268. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 年内にはどんなに遅くても必ずいたします。
  269. 秋山長造

    秋山長造君 必ず……。
  270. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) はい。
  271. 秋山長造

    秋山長造君 いまの点はひとつこれは私から大臣にお願いするとかなんとかいう筋合いのものではない。これは天下の世論でしてね。それから、文部省自身が長年これはもう悩みに悩んできておられる問題だと思う。恐らく逆に厚生省は厚生省でやっぱり悩みに悩んできておるんだろうと思う。だから、見方によっては文部省と厚生省のなわ張り争いの、子供を犠牲にしておると言われてもしようがないと思うんですよ。こんなことはいまさら言わぬでもよく御存じだと思うんで、ひとつこれはぜひ至急にけりをつけてください。明確に結論を出してですね、そしてはっきりしていただきたい。私は責任があると思うんです。それだけでもういまの問題は打ち切ります。  それから国連大学のことをちょっと。これも時間がないから余り詳しくは聞けませんが、ちょっと一言だけお尋ねしておきたいと思うんですが、国連大学か鳴り物入りて三年前に発足した——鳴り物入りというのはちょっと語弊があるかもしれぬけれども、率直なところそういう感じで発足したし、それだけに部外者の期待も大きかったわけですけれども、どうもその後、努力は非常にされておるんでしょうけれども、何か影が薄くなったような感じを受けるんですがね。早い話が資金関係でまず非常に大きい壁にぶつかっておることは否めないと思うんですよ。日本はそれでも六千万ドルですか、すでに出しておるようですけれども、あとはどうなっているんでしょうかね。一体アメリカですね、肝心の。アメリカは最初一億ドルぐらい負担するという話だったのが五千万ドルだというようなことになり、そしてその一回分として一千万どる一たんは——おととしですね、上院で一千万ドル出すことに反対だという決議をした。ここにおられる有田さんや河野洋平君ですかね、議員連盟の皆さんがアメリカへ行かれたり、その他政府の方もいろんな手当てを通じて働きかけて、その結果またそれを取り消して、そして一千万ドルを出しましょうということに一たんは決まったらしいが、それがまたこの間もう一遍引っくり返ったんですね。そういう経過を言いよると長くなりますから、それは申し上げませんが、一体その資金関係なり、いまの現状、これからの見通し問題点、こういうことでわれわれも非常に心配しておるんですよ。大臣あるいは文部省当局も非常に困っておられるのじゃないかと思うんです。そこらの実態というものをひとつ簡単でよろしいから説明してください。
  272. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) ただいま御指摘のように、国連大学の問題につきましては、特に基金の問題で非常にむつかしい状況に立ち至っておるようでございます。御案内のように、国連大学の経費は各国政府からの自発的な拠出金によって賄われることになっておるわけですが、各国の拠出につきまして一九八一年、今後四年間、四年後でございますが、一九八一年までに目標額五億米ドルの国連大学基金を設定して、原則としてその利子によって賄っていこうということを基本にしていま進んでおるわけですが、今日までのところ、ただいま秋山先生からも御指摘のように、わが国の六千万ドルを初めとして、ベネズエラ、ガーナ、ノルウェー、オーストリア、スウェーデン、オランダ等計十三カ国が拠出を行っておりまして、基金総額は約六千六百万ドル、二百億円弱となっております。政府としては外交チャンネルを通じまして、各国に対し種々の働きかけ等も行っており、なかんずく米国の拠出につきましては、繰り返し働きかけを行ってきておったわけでございますが、ただいま御指摘のように、本件の拠出につきましては、去る九月米国議会上下両院協議会で否決されまして、少なくとも来年度までは米国からの拠出は望みが断たれたということになりました。文部省としましては、国連大学の国際的性格にもかんがみまして、できるだけ多くの国が協力と支持を与えるよう、これはどうしても外交チャンネルを通ずる必要がありますので、外務省とも協力をいたしまして、国連ユネスコその他国際的な場も活用いたしまして、各国からの拠出を要請するよう働きかけておるところであります。  当面、わが国で申しますと、昭和五十二年の会計は一体どうやっておるのかと申しますと、本年度二百億弱の基金を元といたしまして、年間約十八億円の予算を持ちまして国連大学は諸事業を展開しております。その諸事業というのは、昭和五十一年に国連大学の目指しまする理想を三つの具体的なプログラムにいたしまして、世界の飢餓、人間と社会の開発、天然資源の管理と利用という三つのテーマを取り上げまして、それぞれの分野において世界の各地に提携機関ないし協力機関を設け、研究活動のネットワークをただいま広げつつあるところであります。で、そのうちで特に飢餓の分野につきましては、発展途上国の若手学者二十二名にフェローシップを支給するということもすでに実施をいたしております。で、わが国との関係で申しますと、人間と社会の開発プログラムに関しましてはアジア経済研究所、それから飢餓のプログラムにつきましては農林省の食品総合研究所が国連大学の提携機関となるべく国連大学から打診を現在受けておるところであります。また、天然資源プログラムにおきましては、太陽エネルギーに関する情報センターをわが国に置くことを検討中であると聞いております。  で、国連大学自体といたしましては、約五十カ国を訪問して、基金に対する拠出の要請を行っておるようでございまして、現在、国連大学の方の状況を聞いてみますと、大体一億二千万ドルまでの拠出の約束は取りつけておるようでございます。で、明年度の国連大学の財政を一体どうするかということで、国連大学でいま非常に真剣な検討をいたしておるようでございますが、現在の基金を元とし、さらにこれにいろいろな工夫を加えながら当面乗り切っていこうということのようでございます。  で、文部省といたしましては、外務省の協力も得ながら、まずは基金の問題につきましてこれが一日も早く安定するところまで努力をしたいということか一つ。それからもう一つは、わが国の学界の協力体制の本格化を一日も早くしたい。それから、現在渋谷の東邦生命ビルを借りておりますが、恒久的な敷地の設定を急ぎたい、こういうことでございます。  で、具体的なスケジュールといたしまして、国連大学のヘスター学長以下、国連大学の幹部がそれぞれの国を訪問し、地域を訪問しまして地域懇談会というものをいま世界各地で逐次展開をいたしておりますが、国連大学を招いた国でありまするわが国につきましては、この十二月にその地域の懇談会も開きまして、わが国の学界、わが国の関係者からの国連大学への要望も率直に国連大学からも聞きたいと言っておりますし、いろいろ意見を取りまとめまして、国連大学を支持し、激励し、国連大学の基金を初め、これが安定して成長するようにとこいぬがっておるというのが現状でございます。
  273. 秋山長造

    秋山長造君 いろんな事業を始められておることは結構ですが、ただ何といってもこれは資金の、この大前提か確立しなきゃこれはどうにもならぬと思うのですが、そのアメリカの議会がこういうように何回も変わってきたのは、これはどういうわけですか。特にいきなり、いろんなさっき申し上げたような過去の経緯がありながら、いまになってまたにわかにこれを上下両院協議会で否決するというようなどんでん返しか行われたと、これは何が原因ですか。どういうことが背景でそういうことが行われたのですか。それからまた、そういうことは予想されなかったんでしょうか。大臣どうですか、これ。
  274. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 先ほど申し上げましたように、国連大学の問題につきましては、外務省の国連局の協力を得ながら、私ども、外交チャンネルのインフォメーションは承っておるわけですが、外務省の方から私ども承っておるところでは、米国議会の上下両院協議会で否決されるに至った主たる理由と申しましょうか、として、一応二点言っております。一点は、国連機構に対する不信感の拡大に伴って、新しく設置される機関に対する拠出について非常に厳しい態度が米国議会等にあるのではないかということが一つ。第二は、米国の議会関係者の中に国連大学の目的、活動に対する理解を十分持たない意見か相当あるのではないかと、この二点を挙げております。  で、先ほど申しました十二月に東京で行われます国連大学当局者との地域懇談会があるわけですが、多分きょうかあすか、今明日中ぐらいにワシントンで国連大学関係者とアメリカのいろいろな人たちとの地域懇談会をやっておるところであります。  私どもが外務省の方から聞いておりまするのは、大体そういったところでございます。
  275. 秋山長造

    秋山長造君 これは対外折衝という面は文部省は全然タッチなさらぬ、全部外務省任せですか。  それからアメリカの議会で否決されたらもう仕方かない、かくかくしかじかの理由で否決されたんだろうぐらいな報告を聞いて泣き寝入りということになるんですか。それではどうもこれは余りにも頼りない、情けない。少なくとも外務省かその対外折衝を引き受けてやるにしても、しかし、外務省としてもこれはちょっと大きなミスじゃないですか。こんなこと、いまに始まったことじゃない、過去の経緯があるんですからね。なおさらこういうことは事前に察知して、事前に、ここまでにならぬうちに手を打つとか、何か一時決定を延期してもらうとか、いろいるやるべきじゃないかと思うけれどもね。一体外務省——外務省欠席のままて言ってもしようがないけれども、しかし、まあ文部大臣もこれ共同責任があると思うのですがね。こういう大きな問題をただこうやってやられてしまって、それでどうしようもないと、さあどうするか言うてもどうも対策も立て切れぬというんじゃ、これ、こんなことで国連大学が一体できるんでしょうかね、どうですかな、大臣。
  276. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 外務省に外交的な折衝についてはお願いをしておるわけでございましたけれども文部省といたしましても、もちろん、これは私自身がヘスター学長と会いまして、ヘスター学長自身のやっぱりアメリカは母国であるわけでありますから、アメリカへ帰ったら政府あるいは議会関係筋に働きかけてもらいたいということは心から要請しましたし、また先月の初め、ユネスコの国際教育会議に参りましたときも、そこの事務総長のム・ボー氏にこの問題で懇談の機会をつくってもらいまして、そもそも国連で決まる段階のときにユネスコというのは大変これをサポートして、支持してくれた団体でありますから、ム・ボー事務総長もそのことについては十分認識を持っておりまして、これはアメリカというよりもむしろ世界の世論として、いろいろな国がこの国連大学の重要性を認めて拠金をするように自分も協力をして働きかけようと、どことどこの国にはまず言おうというようなことまで非常に積極的に私には言ってくださったわけでありますけれども、いろいろな努力をできるだけ続けますとともに、日本としましても、やっぱり国連の決議をもって東京に本部を設置して、そして日本からも有能な方がそれに参加して世界の人類に貢献するためのプログラムを行っておるんでありますから、これで挫折とか、これでできないということじゃなくて、できるだけの努力を続けながら国連大学というものが所期の目的を果たしていくように今後とも努力を続けていきたいと思っております。
  277. 秋山長造

    秋山長造君 それはもうおっしゃるようにするよりしようがないけれども、ただ、この国連大学のそもそもの初めからの経緯をずっと顧みると、やっぱりそれはアメリカの果たすべき役割りというのが大きいですよ。だからアメリカがこういう態度に出てくるということは、それは何といっても非常に障害になりますよ。これは間違いないですよ。それはなるほど、発展途上国とかそういう方面に関心はそれは深いでしょう。深いけれども、そういう国は皆、なかなか負担金をそうよけいたくさんの負担金を拠出してくれるわけじゃありませんし、だから、当初の資金計画五億ドルの内容から言いましても、日本を除いた場合、それはやっぱりアメリカの役割りというのは大きいですよ。だから、いまから言っても——今後のために申し上げるわけですけれども、やっぱりこれは政治家としての文部大臣が、せっかくユネスコまで行かれたんだから、それはワシントンへちょっと寄って帰られるべきだったですね。それで、日本の政治家、国会議員なんかもあれでしょう、こういうことになる前に、八月九月ごろワシントンへ行った人もあるんでしょう、こういう問題をもひっ提げて行かれた人もあるんじゃないですか。そういう御報告を聞いておられると思うのですよ、文部大臣。それで、今度はちょっと情勢が少しおかしいぞとかなんとかということぐらいのことは事前に文部大臣の耳に入っておったんじゃないかと私は想像するんですけれども、それでは全然寝耳に水ですか。いまからアメリカなりあるいはこの中近東、右代表でサウジアラビアなんか相当大きい役割りを果たすんでしょうが、そういう方面に対して、外務省ルートでやるのも一つの方法ですけれども、それだけで任せ切りじゃなしに、やっぱり文部大臣自身としても、大いにあなた、学術の交流、文化の国際的交流というようなことに力を入れてきているわけですからね、文部省として。文部大臣としてもじかにやられたらどうですか。フランスの亡くなったマルローなんかというような人は、あなた外務大臣任せじゃありゃせぬ、文部大臣が外務大臣以上の働きをこの文化の国際交流なんかでやっておったじゃないですか。あなたはそれひとつやられたらどうですか。
  278. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 微力でありますけれども、できるだけ努力させていただきます。
  279. 秋山長造

    秋山長造君 まず国連大学の本部をいまのような仮住まいではいかぬということをさっきおっしゃっておったけれども、その本部の候補地として教育大学の跡云々という話があるんですか。
  280. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) 国連大学の恒久的な敷地をどこにするかということで、やはり都内、都心の国有地をいま幾つか検討いたしております。まだどこというしぼりまでは来ておりません。
  281. 秋山長造

    秋山長造君 教育大学の跡もその幾つかの中の一つですか。
  282. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) いま複数でございますが、教育大学の跡地も検討の対象にしております。
  283. 秋山長造

    秋山長造君 別にそれほどまだ具体化したわけじゃないんですか。
  284. 井内慶次郎

    政府委員井内慶次郎君) まだこれからでございます。
  285. 秋山長造

    秋山長造君 まあその本部の候補地については、いろいろこういう席で余り細かいことを聞くのもどうかということもあります。またお答えになるのもなかなかいろいろまた御配慮があると思うから、それ以上のことは聞きませんが、いずれにいたしましてもね、この本部を早く確立することと、それからやっぱり国際的な働きかけ、それからその資金計画をかきっと確立するということ、これにはやっぱり、それはもう外務省と言うてもこれは政府の責任ですからね。特にこれは文部省文部大臣が一番やっぱり実質的な責任者ですから、ひとつ全力を挙げて取り組んでください。われわれも微力ですけれども、またどんな面でも協力しますよ。ひとつぜひがんばっていただきたいと思います。もう一度決意だけお伺いして、もう終わります。
  286. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 全力を挙げて国連大学が前進をしていきますように努力をさせていただきます。
  287. 秋山長造

    秋山長造君 もう一つあったんだけれども、時間がもう大分たちますから、きょうはこれで打ち切ります。また次の機会に。
  288. 吉田実

    委員長吉田実君) 本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会      —————・—————