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1977-10-26 第82回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十六日(水曜日)    午後一時五分開会     —————————————    出席者は左のとおり。      理 事        山東 昭子君                 西村 尚治君                 福間 知之君                 渋谷 邦彦君                 木島 則夫君      委 員                 衛藤征士郎君                 下条進一郎君                 鈴木 正一君                 世耕 政隆君                 藤井 裕久君                 真鍋 賢二君                 大木 正吾君                 大森  昭君                 志苫  裕君                 高杉 廸忠君                 渡部 通子君                 渡辺  武君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       倉成  正君    政府委員        経済企画庁調整        局長       宮崎  勇君        経済企画庁調整        局審議官     澤野  潤君        経済企画庁国民        生活局長     井川  博君        経済企画庁物価        局長       藤井 直樹君        経済企画庁総合        計画局長     喜多村治雄君        資源エネルギー        庁石油部長    古田 徳昌君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        沖繩開発庁総務        局企画課長    山田 守一君        沖繩開発庁総務        局調査金融課長  吉川 元信君        国土庁土地局土        地政策課長    川合 宏之君        農林省畜産局畜        産経営課長    続  省三君        農林省畜産局食        肉鶏卵課長    甕   滋君        農林省食品流通        局市場課長    渡辺  武君        食糧庁総務部企        画課長      野明 宏至君        通商産業省産業        政策局商政課長  野々内 隆君        通商産業省産業        政策局消費経済        課長       野崎  紀君        通商産業省機械        情報産業局自動        車課長      浜岡 平一君        運輸省鉄道監督        局業務課長    吉末 幹昌君    参考人        畜産振興事業団        理事長      太田 康二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (卸売物価消費者物価乖離問題に関する  件)  (為替差益等に関する件)  (土地価格に関する件)  (自動車の割賦販売手数料等に関する件)  (景気対策物価目標に関する件)  (沖繩県における物価問題等に関する件)  (魚価の安定に関する件)  (石油価格に関する件)  (食肉の価格等に関する件)     —————————————   〔理事西村尚治委員長席に着く〕
  2. 西村尚治

    理事西村尚治君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  本日、委員長には病気療養中のため、委員長から委託を受けました私が委員長の職務を行います。よろしくお願いいたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本日、当面の物価等対策樹立に関する調査のため、参考人として、畜産振興事業団理事長太田康二君の出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西村尚治

    理事西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 西村尚治

    理事西村尚治君) 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 大木正吾

    大木正吾君 各論に入ります前に、少しく企画庁中心といたしまして総括的なことをちょっと伺いたいのですが、最近の物価の特徴は大体二つぐらい問題があると思うんです。  一つは、卸売物価の方が横ばいで、企画庁自身も若干下方修正したことは、先般来存じているわけでございますけれども、問題は、この消費者物価自身卸売物価横ばいの中でもほとんど下がってないということがございまして、七月だけがどうやら政府見込みの七・七%、それ以外はほとんど消費者物価の方は八から九%台の高値が続いているわけでございまして、このことが一つの問題だと考えています。二つ目の問題は、まあ二兆円の景気対策もございましたけれども、きょう、太田さんにもおいでいただいたそうでございますが、円高差益に関しまして、これがどうも消費者物価に反映していないということが問題じゃないか、こう考えておるわけでありまして、この二つが最近の物価問題の特徴的なことと考えております。  そこで、まず一般論として倉成企画庁長官にも伺いたいのでありますが、福田総理は、卸売物価鎮静状況がありますから、いずれはこれは消費者物価に波及する、こういうふうに申しておるのでありますか、私自身判断では、少しくその状況は高成長期需給ギャップのひどくなかったときとは違う、こう考えているのでありまして、生産財資本財中心とします卸売物価横ばい消費財に反映するということは少しく内容的に問題があると、こう考えておるわけでありますが、企画庁長官としてのお考えにつきまして、従来の卸売物価消費者物価に対する波及という一般的な、あるいは実績的な考えでよろしいかどうか、ここのところをまずお伺いいたしたいんです。
  6. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 卸売物価消費者物価になかなか反映しないではないかというお話でございますが、この点は、大木委員が御承知のとおり、卸売物価は、その構成がいわば消費財が四分の一、生産財が二分の一以上を占めているということで、卸売物価の中に占めている生産財のウエートが非常に高いわけでございます。また、生産財の中には輸入物資がかなりあるということで、卸売物価については円高影響がかなり出てくるという性格を持っておるわけであります。それからCPI、消費者物価の方を考えてまいりますと、消費者物価の中で約三割強、三三%程度サービス部門でございます。そのほかに季節商品が八%以上ございます。両方合わせますと四〇%以上になっているということで、必ずしも卸売物価ストレート消費者物価に結びつかない、こういう構造的な問題があるわけでございます。しかし、そうは申しましても、結局、卸売物価が安定してまいりますと、その中の生産財が仮に安定しましても、それが迂回生産を経まして消費者物価に響いてくるわけでございますから、その部分においては響く、しかし、それには相当のタイムラグがあると、タイムラグがあるのみならず、ある流通過程の間で若干吸収されてしまう、他の要因が働いていると、そういう問題があるわけでございまして、過去の経過を見ますと、卸売物価消費者物価ともに安定していた時期が昭和三十年から三十五年までの時期でございます。それから卸売物価が安定しておりましたけれども、消費者物価上昇が出てまいった時期がいわば三十六年から四十年という時代でございました。高度成長にいよいよ入ろうという時期で、工業製品はかなり生産性が向上してまいりましたけれども、なかなかサービスその他の部分はこれに追いつかなかったと、こういう点でこの乖離現象が出てまいりました。それから、昭和四十一年から四十七年は卸売物価も緩やかに上昇を示すようになりましたけれども、消費者物価との乖離がやや小さくなった乖離期というのがございます。四十八年、四十九年というのは狂乱物価の時期で、両方とも非常に上がったという時期でございまして、狂乱期を脱しまして、五十年以降が現在の時期に及んでおるということでございます。現在は、ただいま御指摘のように、卸売物価は非常に安定しているけれども、なかなか消費者物価の点は、サービス料金の問題、それから季節商品影響がございまして、なかなか卸売物価の安定がすぐストレート消費者物価とはつながっていないというのが現状だと思うわけです。
  7. 大木正吾

    大木正吾君 いまの長官お話を伺いますと、先行きは少し消費者物価の方も落ち着くだろうと、こういうふうにとれるんでございますけれども、実際には、従来の高成長期には若干余裕がございましたから、十三業種不況業種などの苦しみも余りなかったわけなんで、そういうところにやっぱり卸売物価影響が出たと思うんですけれども、いまの状況を見てみますと、卸売物価自体を五・四から二・九に下方修正したということもございますし、同時に、最近の自民党の河本さんもおっしゃっているんですけれども、円高問題が二兆円の景気対策を結局は帳消しにしてしまった、こういうふうに考えてみますと、なかなか国内設備投資などは政府考えるほどうまくいかないという感じかいたします。六カ月たっても、従来の——いま長官の御回答よくわかるんてすけれども、六カ月ぐらいの生産財資本財等乖離は確かにあったんですけれども、問題は石油でありますとか牛肉とか、そういったものなどを相互に関連いたしましての輸入関係問題等についてはもう少し早く影響は出た方がいいと、こう考えているわけでもありますけれども、総合しまして、私は、七・七%の消費者物価上昇で抑え込むことについて、政府全体ということよりは長官に伺いたいんですけれども、長官の正直な見通しを、たとえばもう一遍今度は新しい通常予算に組むのか、補正するのか、そういったことも含めて一体消費者物価七・七%が守り切れるかどうか、まあ一般論はわかりますけれども、長官の御判断を実は聞きたいんです。
  8. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 消費者物価の本年度中の上昇率を私ども七・七%にとどめたいという政府経済見通しをいたしておるわけでございますけれども、御案内のとおり、ことしに入りまして四月、五月というのは、これは授業料が上がったり、交通費が上がったり、あるいは電電の積み残しがやはり響いたりいたしまして上がりましたけれども、六、七月というのは下落をいたしました。八月が横ばい、九月は一・五%上がりましたけれども、これは例年の九月というのは季節の変わり目で、上がる時期でございます。例年上昇率に比較すると低かったということでございまして、季節商品を除きますと、まあ一応落ち着いていると申しても差し支えないと思います。先ほどはちょっと触れませんでしたけれども、特に今度の消費者物価がかなり高いことの原因一つは、二百海里問題を控えまして、水産物が若干値上がりをしていると、昨年に比較いたしますと。これが多少響いておるというところがあろうかと思います。そういう点はございますけれども、昨年は、どうも狂乱物価時に公共料金を非常に低く抑えたものですから、公共料金消費者物価にかなり響いてまいりました。三・一%程度響きました。しかし、ことしは公共料金値上げが若干ございますけれども、昨年と比較すると非常に穏やかなものであるということになっております。電気やガスの料金値上げというのも昨年のようにことしはございませんので、そういう点から判断をいたしますと、卸売物価の落ち着きが、タイムラグはございますけれども、やはり消費者物価に好影響を及ぼしている。公共料金もそれほど大きな寄与率にならないということを考えてまいりますと、注意深く経済のかじをとってまいります限りにおいては政府見通し十分達成できると、そう思っております。
  9. 大木正吾

    大木正吾君 まあ、長官は自信を持って十分達成とおっしゃられましたから、その答弁を一応記録しておきまして、通常国会等の際にもさらにまたお話を承りたいと、こう考えていますが、ただ、ただいまもありました中で、たとえば公共料金問題また、ことしの四月以降の物価のこのずっと流れを見てみますと、さっき申し上げたとおり、七・七%という数字は七月だけでございまして、後は全部が八%なり九%という状態でございますから、そうして今後、公共料金等を申し上げても少ないかもしれませんが、国鉄運賃問題がこの国会でもって値上げが決まるような動きが見えていますし、中医協が再開されまして、医療費値上げ問題等もまた問題になっているわけでありますから、必ずしもそういったものについて楽観ということはできない、こう考えておりますので、国民全体が期待しています消費者物価問題については、企画庁も十分な御注意を払っていただきたい、こう考えておりまして、これは七・七になるか、あるいは八・五になるか九になるか、その問題はこの次の通常国会の議論に持ち越したいと思います。  委員長のお許しをいただきまして、少し各論に入らしていただきます。  実は、今回のこの物価問題につきましては、円高問題ということがいまの長官の七・七%に持っていくためにも非常に大事な問題と考えているわけでございますけれども、政府が最近外貨減らしのためにやりました幾つかの、まあ六、七品目の問題を取り上げたのでございますけれども、航空機をなるべく早く台数をふやして前倒しで払えとか、あるいはジョニ黒をたくさんもっと買えとか、そういったこともございますけれども、残念ながらやっぱり十億ドル程度のもの、福田さんのおっしゃっているような話を含めても二十億ドル程度。これはしかし構造的じゃありませんから、緊急避難的なやっぱり問題に終わる、こういうふうに考えておるんですけれども、その問題について、外貨減らし円高、このことは、結局は国内に昔からある——これは素人話長官おっしゃるかもしれませんが、内に弱くて外に強い円という話がございまして、そういった中で生活に苦しんでいる国民の立場、灯油、魚、肉ですね、こういったものでありますけれども、そういう点に絡んで、外貨手持ち量を減らす現在の政府のとっておられる政策あるいは取り組み方について、もっと抜本的な方法についてお考えがあるかどうか、長官もしくは関係の方おられましたら伺いたい、こう考えています。
  10. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 国際収支のアンバランス、特に経常収支が非常に大きな黒字が出ている、これがOPECの黒字と関連いたしまして、どうも日本は輸出を非常に大きくやって、世界に失業を輸出しているんじゃないか、そういう非難を受けておることは御承知のとおりでございます。そういう意味から申しまして、経常収支黒字幅をできるだけ減らしていくということが当面要請されてくるわけでございますけれども、基本的にはやはり内需を起こして輸入をふやしていくということではなかろうかと思うのでございます。今回われわれかとりました総合経済対策も、やはりそういう意味で、内需を起こして輸入を喚起する、そういうねらいを持っておるわけでございます。これが正攻法でございます。  ただ、そうは申しましても、御案内のとおり、日本輸入構造が原燃料が非常に大きな割合を占めておるわけでございまして、石油だけで輸入の三分の一を占めているという状況でございます。輸入構造の中で、全くの消費財と称するものは三・八%にしかすぎないということでございます。そのほか、食糧その他のものを入れましても、これは十数%ということになるものですから、どうしても急になかなか輸入がふえてこないという問題があるわけでございまして、そこで問題が非常にむずかしいと。したがって、ただいま大木委員が仰せのとおり、緊急避難的に原油の備蓄をもっとふやすとか、あるいはウラン鉱石輸入を行う、あるいは航空機の問題を考えるとか、あらゆる知恵をしぼって、そういう輸入がふえる工夫を関係各省といたしているところでございますけれども、なかなかそういう輸入構造がある現況で非常に壁にぶつかっているというのが率直な現状でございます。  いま抜本的なというお話がございましたけれども、その抜本的なという意味がどういう意味か、私によくわかりませんけれども、何か特に特別の御提案があれば、ひとつお聞かせいただければ幸いだと思います。
  11. 大木正吾

    大木正吾君 なかなか高成長のメカニズムが残っている日本経済の中におきまして、オイルショック、そういったこともございましたわけですから、福田さんのおっしゃった三年間全治論も完全に飛んでしまいまして、なお病状は一進一退ということだと思うんでございますけれども、やっぱりそこのところに問題を返しまして、そして、いわば日本貿易立国、そのこと自体否定するものじゃないんですけれども、外貨を稼いでいる中心的な鉄鋼でありますとか、あるいは造船とか、そういった業種がございますけれども、そういった方々の成長の際には、財投資金その他でもってコンビナートなどをつくったりしまして、そして国民の金を相当つぎ込んだことは事実なんですから、この際にやっぱりそういったことについても一目置くべきではないかとも考えますし、それから同時に、緊急避難から少しく構造的な面に触れてまいりますと、やっぱり、いま長官おっしゃったとおり、まさしく国内需要拡大、これはもう景気の回復の問題を考えざるを得ないのでありますが、宮崎さんもおられますけれども、私は、やっぱり何だかんだ言っても、最終需要の問題を結局取り上げざるを得ないと思うんです。ですから、赤字公債か多いからということはよくわかるわけでございますけれども、一方じゃ二百兆を超える貯金があるわけで、あした、その方の話は大蔵委員会でいたしますけれども、とにかく何らかの方法最終需要拡大にひとつ目を向けてもらいたい。そのために住宅ということが出たんでしょうか、資料を見てみますと、住宅というのは、むしろ公団住宅目減り分民間で少し補完するという程度の、政府計画の当初原案の戸数にやっと到達するという程度のものでございますから、そういったことも含めながら考えていきますと、失業者の対策なり、あるいは思い切った減税ですね、三千億なんて言わないでもう少し思い切った減税をするとか、年末を控えていますから、ボーナスについて払える企業は思い切って払うとか、そういったこともこれは最終需要の面から見ますれば必要でございますでしょうし、同時に、広範な社会的な弱者の問題についても検討してよかろうと、こういうふうに考えていますし、それから住宅問題に目をつけたことは、私は非常に政府見方が正しいと思うんですが、年間の国と民間住宅計画に見合う程度に戻した程度ではやっぱりだめなんでありまして、もう少しこの辺の問題については、第三次不況対策と言うべきか、あるいは来年度予算かわかりませんが、そういった問題について、生活面に響く社会資本投資ですね。こういった方向性をはっきり出しますと、まさしく不況対策の効果がじわじわ出てくる、こういうふうに感じるわけなんですが、その辺について長官のお考え方がありましたら伺いたいんです。
  12. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 一番最後に大木委員が述べられた住宅の問題についての考え方は、政府の部内の意見ではございませんが、私としては全く賛成でございます。そして、この考え方を余り短期で考えるというのはいかがなものであろうかと。五年か十年に住宅を何万戸つくる、そういう数字合わせのものではなくして、思い切って日本住宅を改造していくんだという、まあ三十年計画ぐらいの都市改造を含めた住宅政策、そういうことは一つの大きなプロジェクトになるのではないかと私自身考えております。政府部内でも、ぜひそういうことを推進してまいりたいと思っておりますが、まだ政府でまとまった意見では決してございません。  ただ、後に述べられました減税の問題でございますけれども、これは私ども、減税景気に対する個人消費を刺激する要素であるということは、決して否定するものではございません。ただ、今日の消費性向動向を見ますと、減税が行われましても、それがすぐ消費に結びつくかどうかということは非常に疑問でございます。したがって、それが貯蓄に回る可能性が非常にあるということもございますし、また四十八年、四十九年、五十年、五十一年とずっと消費性向を見てまいりますと、五十一年度に関しては、大体五分位の比較的所得の高い人たち消費が非常に落ち込んでいるという状況でございます。それと同時に、耐久消費財がかなり一巡して、いわば目玉商品と言われるような電気冷蔵庫であるとか、あるいはテレビであるとか、そういうものが一巡しまして、大体ほとんど五〇%以上の普及率になっております。したがって、これからのそういう五〇%以下の商品で伸びる可能性があるということになると、たとえば台所用品であるとか、あるいは家具であるとか、あるいはVTRであるとか、いろいろそういうものがございますけれども、いずれもやはりある程度住宅事情等と関連してくる問題もあろうかと思います。  それからもう一つは、消費が非常に伸びない理由の一つは、非常に消費者ニーズというのが多様化しております。子供でも、プラモデルを買うのについて、なかなか人の持っていないプラモデルを買いたいというようなことで、値段というよりも、そういうみずからの気持ちに合ったものをできるだけ買いたいという、そういうニーズが非常に多いわけでございます。そのニーズに対して必ずしも供給側が対応してないという点も現在の消費停滞一つ原因であろうかと思うわけでございます。もちろん、その前に恐らく大木委員問題意識として持っておられるような老後の問題、住宅の問題、教育の問題、そういう貯蓄動機があることは否定いたしませんけれども、しかし、同時に、そういう問題もあるということを考えてまいりますと、いま非常に財政事情が苦しいときに何をやるかというりことになると、まだ非常におくれている下水道であるとか、学校であるとか、保育所であるとか、そういうものを充実していく公共事業に金をつぎ込んだ方がより効率的ではなかろうか、また景気刺激にもなるんじゃなかろうか、そういう判断を私どもいたしておる次第でございます。
  13. 大木正吾

    大木正吾君 現実には、日本国内国民の持っているお金そのもの自身は、これは相当な預貯金があるわけでございまして、長官は私の気持ちを察しておっしゃっておるわけですが、問題は、これは大蔵委員会の方ともラップしてしまいますので、少し控え目に伺っておきたいんでございますけれども、最近、一般消費税問題が出ていますけれども、二百兆という膨大な預貯金がある。で、二九・九%という限度を大蔵省は守りたい、こうおっしゃっているわけです。一部のEC関係学者の説とか、最近、国内学者の方の中にも、貯金というものの見方を少し変えると、赤字公債等預貯金の特に個人預金ですね。そういった問題について、みすみす目減り承知でもって貯金をしていくということは、個人と申し上げましても、相当多額に持っている方もおられるわけですから、そういった方の預貯金土地の方の投機に向かう心配もなきにしもあらずですから、そうしていきますと、定期にしておいても、物価上昇との関係で、二、三%損だし、土地だったら、大体最近の物価動向を見てみますと、二・三、四%上がっているわけですから、その方は確実に損をしない、もうけになるわけですから、そういったことを考えた場合に、これは長官意見として、個人で結構なんでありますけれども、預貯金公債との関係物価問題この三つを整合さした中で、いま出ている意見というものは、貯金をしていても損をしないというような公債の発行、これは別に国家経済全体の中では大きな枠の中で日銀が札びらを出すわけじゃありませんから、そういう意見も出ているわけで、私は、それについて賛成でも反対でもないわけで、いま意見を申す立場にありませんが、各種の方々からいろんな意見を聞いて回っている段階なんですけれども、これでもってこのパートの質問は一応区切りますが、要するに赤字公債の限度と、それと預貯金の二百兆を超える中で恐らく四、五割を占める個人預貯金ですね、こういったものの活用の仕方というようなこととの関連について、長官日本経済のこれからのかじ取りの中、心におられるわけですから、当然、景気刺激になり、景気をもう少し持ち上げる立場となりますと、住宅にしても、そういったことが資金がないと出てくるわけですから、私は個人的に自分の意見を持ちませんけれども、倉成長官の御意見として、国民の二百兆の中の個人預金など、要するに預貯金では目減りだと、公債を持てば損をしないというのですね、そういった問題について何らかのお考えがありましたら伺いたいのです。
  14. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 非常にむずかしい問題でございます。まあ個人はせっせせっせと貯金をする、企業はこの不況に対応して減量経営をやっていく、個人としては正しく、また個々の企業としては正しいけれども、いわゆるサムエルソンの申します「合成の誤謬」という形で、縮小再生産の可能性があるというのが今日の状態であるということは、大木委員と全く同じ認識を持っておるわけでございます。ただ、私どもは、一日も早く物価を安定させる、そうして定期預金の金利以下に物価がなるように努力をしたい。当面は、前期五カ年計画の中では、昭和五十五年におきまして六%以下と、もちろん金融情勢におきまして預貯金の金利は動きますけれども、一応六%以下ということを目安にいたしながら経済の運営をいたしておるわけでございます。  そこで、貯金の動機としては、未来財である教育であるとか住宅であるとか、あるいは老後の保障であるとかいうことを考え貯金をいたしておるわけでございますから、大木委員のおっしゃる論点が必ずしも私に十分のみ込めていないわけでございますが、恐らく貯金を何か物価にスライドでもする公債にでもして、そうしてそれを何かの形で活用する。しかも、その公債は市場に必ずしも出回らない、いわば永久公債的なものにして、しばらく凍結をするとか、そういうお考えが背景にあるのではないかと思うわけでございますけれども、ここで私がこうしたらよいと確信を持って、私の個人意見でも申し上げるまでの勉強をいたしておりませんので、またいろいろいいお知恵があれば、ぜひ私の方がお聞かせをいただきたいと思うところでございます。
  15. 大木正吾

    大木正吾君 いまの問題、これは西村理事にあるいは個人的に聞いた方がいいかもしれませんので、一応その程度にいたしまして、個別の問題について少しあれさせていただきます。  新聞記事でございますけれども、恐らく相当信憑性の強いものだと思いますが、通産省の産構審にからみまして、卸売問題の小委員会というものが持たれている記事がございました。これは早稲田の宇野先生が小委員長をやっておられまして、その中の提言といたしまして、メーカー系列によらない独立の卸売業の育成とか、あるいは中小卸売業者の組織化の問題とか、商取引、消費者サービス流通情報などの機能の高度化と、こういうことが出ているわけなんでありますが、たしか七月二十七、八日ごろだと新聞の記事から記憶いたしますが、これについて、通産省の担当局なりはその後どのような行政的な扱い方をされたかどうか、ちょっと伺っておきたいのです。
  16. 野々内隆

    説明員(野々内隆君) 御指摘のとおり、七月の末に産業構造審議会の流通部会の中にございます卸の小委員会が流通合理化について中間答申をまとめておりまして、内容は先生御指摘のとおりでございます。従来の通産省の流通合理化対策は、どちらかと申しますと、伝票の統一でございますとか流通基盤の整備という形で、業種別と申しますよりも横割り的な合理化というのが中心でございましたが、今回の中間答申の政策提言の中では、従来のその路線を発展させると同時に、流通に関しては非常に業種別の問題が多いので、業種別の流通の合理化を推進すべきであるということをかなり大きく取り上げておりますので、私どもといたしましては、現在、来年度予算につきまして大蔵省と話し合いをいたしておりますが、その中では緊急に合理化が必要な業種あるいは品目を幾つか選びまして、これについて生産段階から需要段階に至る縦の合理化を推進していきたいと、かように考えておりまして、現在検討中でございます。
  17. 大木正吾

    大木正吾君 企画庁の側といたしますれば、このことは産構審の小委員会でございますから、あるいは御存じなかったかとも思うんですが、ただ、せっかくのこういった答申などが出ていたものはもっと早く行政指導として私たちは実現していただきたいし、特にきょう太田さんもおいででございますけれども、肉問題の輸入等に絡みまして、最近新聞等も相当書いているわけでございますけれども、オーストラリアあるいはニュージーランド等の総理や副総理が——けさの新聞ですか、きのうの御発言ですと、大変物騒なことを言っているんですね。こういったことについて、日本政府がもっと輸入枠を拡大するなりしなければ、二百海里問題に絡んで日本の船を入れないとか、わりあいに友好的でありました同じアジアの国からもこういうことが出ているわけでございますから、ですから、これは細かく伺えばいいんでありますけれども、とにかく企画庁なり通産省の関係の方がもしおいででございましたら、CIF問題から調整金、さらに最終の小売店に入る経路、その間の値段、マージン、そういったことについて少しく伺いたいんです。
  18. 甕滋

    説明員(甕滋君) お尋ねの件は、輸入牛肉の流通問題についてお答え申し上げればよろしゅうございますか。
  19. 大木正吾

    大木正吾君 そうです。
  20. 甕滋

    説明員(甕滋君) 輸入牛肉につきましては、畜産振興事業団国内の牛肉価格の安定のために売り渡しを行っております。売り渡しにつきましては、法律の定めによりまして食肉卸売市場で競り売りに出すというのか原則でございますが、全国で二十五市場、こういった限られた数でございますので、全体の需要に行き渡らせるために、食肉の関係団体に対する入札による売り渡しも行っておるわけでございます。こういった原則で、一般の牛肉市場に輸入牛肉を放出いたしまして価格の鎮静を図るということでございますが、ただ、最近取り上げられておりますチルド牛肉につきましては、これは現地から国内の末端に至るまで冷蔵状態で流通させておりまして、特別な商品特性を持った牛肉でございまして、その関係で、事業団が一たん買いましてこれを売り渡すといったやり方になじまない性質がございます。そこで、あらかじめ商社から国内のそれを取り扱う需要者団体を決めておきまして、そこを直通ルートで流すと、その場合に内外の価格差に相当する調整金を取りまして、事業団が瞬間的に売買を行うというやり方をとっておるわけでございます。そして、このチルド牛肉につきましては、国内産の牛肉と非常に品質的にも近いということで、消費者にも喜ばれている商品でございます。そこで、これを中心にいたしまして事業団が全体需給を調整するといった業務の傍ら、展示的な意味で末端の小売価格の適正化に資するという趣旨から事業団指定店制度というものを設けて、そのいわば事業団から末端に至る直通のルートにこのチルド牛肉も流しているという事情がございます。  そこで、いまお尋ねの入ってきてから出ていくまでの価格の関係がどうなっているかということについて申し上げますと、現在、指定店で売っておりますチルド牛肉の事例で申し上げます。輸出価格がこれはFOBで四百三十七円、キログラム当たりでございますが、これにフレート保険料等が加わりまして、国内の到着のCIFが五百八円になるわけです。これに関税、諸掛かり等が加わりまして、事業団が買い入れる際の価格が六百六十三円でございます。これに先ほど申し上げました調整金が三百五十円加えられまして、売り渡しの価格が千十三円でございます。これから指定店に至るまでの運賃あるいは保管経費小売店におきます適正販売マージン、これを見まして、末端では千四百七十六円という姿になります。これはまだいわゆる部分肉と称する肉のかたまりの状態でございまして、これを店頭でスライスして販売するというためには、筋を抜いたり、脂をとりましたり、いろいろ歩どまり等のロスがございまして、精肉ベースでの小売価格が千七百四十円でございます。百グラム当たり百七十四円ということでございますが、これが各部位別に——部位と申しますのは、肉の部分別にロースでございますとか、肩の部分でございますとか、ももの部分でございますとかに分けまして、それぞれの価格をつけ、指定店におきましては、事業団がそういった間の適正な軽費を見込んで小売目安価格というものを決めまして、その目安価格を守って販売してくれるように指定店側に協力を求めて末端価格の適正化に努力しているという現状でございます。
  21. 大木正吾

    大木正吾君 二つだけ。いまのお話、大体私が持っている資料とほぼ一致しているわけでございますけれども、一つは肉のかたまりでいきますから、いろんな脂、筋をとったりということはわかるんですけれども、それが八五%ぐらいの歩どまりはいい方なんで、七〇%ぐらいにしかならないという話があったり、そういうことについて、農林省の担当の部局でそういうところの内容についてお調べになったことがあるかどうか、これが一つなんですね。もう一つは、これが一番困る問題なんですが、チルドなどのごときは、せっかく指定販売店を設けて、いま話がありましたとおり、出てくれば一番問題ないんですけれども、ところが、四分の一前後ぐらいしか指定店にいかないで四分の三がどっかに消えてしまう、こういう話が一部に新聞記事だとかその他出ているわけでありますけれども、そういったことについて、農林省、これも御承知かどうか。これは放出の全体をもっとふやす、いわばさっき申し上げたオーストラリアあるいはニュージーランド等との関係もありますけれども、この二つについて、とりあえずお伺いしたいんです。
  22. 甕滋

    説明員(甕滋君) まず第一点の歩どまりの問題でございますが、これは肉の種類によりましたり、それが部分別に入ってまいりますから、その部位によりましたり、いろいろ違うことは事実でございます。  そこで、具体的にいま先生おっしゃった八五%程度というものを現在採用しておりますけれども、これについては非常に厳し過ぎるとか、あるいはまあそこまで見る必要はないのではないかといったような御意見があるのも事実でございます。しかしながら、現在の輸入牛肉の実態から申し上げますと、やはり筋をとる、脂をとる、あるいはそれが冷蔵状態で参りますので肉汁が出る、いろいろな要素がございます。これは畜産振興事業団におきまして、その実態を踏まえて、現在の八五%が最も妥当であるということで計算の根拠に採用しているわけでございます。  それから、チルド牛肉につきましては、これも先生おっしゃいましたように、現在放出しております量の四分の一程度を指定店に流しておるわけでございます。残りの四分の三はどうなっておりますかというと、これは畜産振興事業団が本来国内の需給価格の安定を図るという意味で、その輸入牛肉を一般市場に放出するというのがあくまでも原則でございまして、そういったルートといたしまして、国内で末端に小売店を持っている食肉関係の団体を選びまして、先ほど申し上げたワンタッチのやり方で取り扱いを行わせておるわけでございます。したがいまして、チルド牛肉の特性からいきまして、小売店の店頭で精肉用に回るということが——最終的にはそうなるわけでございますが、その間、そういった取り扱わせております団体の系列で末端までストレートに流れるということを畜産振興事業団としても期待をして流しておるということでございますから、その期待どおりに末端の小売店までストレートにつながるという指導を従来からも行っておりますし、それが期待どおりでなくて、どこか回り道をするんじゃないかというような御批判も受けたことも事実でございまして、そういったことが万一ないように通達等も出しまして、さらに一層円滑な流通を行わせるような指導を行っておるわけでございます。
  23. 大木正吾

    大木正吾君 ちょっとこれは担当違いで申しわけないんですが、鈴木善幸さんおられませんので、倉成大臣にちょっと伺いたいんですが、二千万トンという絶対数ですね、これがやっぱり少ないから、結果的にいまお話のあったような形でもって、五百万トンぐらいの指定店販売ですと一日でもってなくなってしまう。私もよくスーパーとか小売店に行くんですけれども、昔は見たことがあるんですけれども、二、三年前に見たことがあるんですが、最近はとんとお目にかかったことはないわけなんですよ。ですから、そういうことに関しまして、国内の畜産農家なり畜牛農家の畜牛の関係もあるかもしれませんが、調整金との関係も含めながら、もう少し思い切って、やっぱりドル減らしも一つ関係あるわけでございますから、政府としてこういったオーストラリアあるいはニュージーランドの肉を、要するに輸入総量をふやし放出量をふやす、こういうことについて御努力願えないかどうか。ここのところは非常に大事な問題ですから、担当大臣でございませんことは承知でもって伺いたいんです。
  24. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 牛肉の問題は、国民が非常に深い関心を持っておる。のみならず、やっぱり国際的に見ても、日本の牛肉は非常に高いという批判をいただいておるわけでございます。問題意識としては私も大木委員と同じ意識を持っております。ただ、御承知のように、日本の牛肉の供給は国内が七割、それから輸入が三割ということでございます。大体国内の肉用の牛が約二百万頭弱でございます。そのうちの四分の一の五十万頭前後が乳用の雄ということになっておるわけです。牛は一年に一度しか子供を御承知のように生まないわけでございますから、やはりこの畜産の体制をもっと強化していき、そして生産コストを下げていくという努力もやはり非常に大事なことであると思っておるわけでございます。その中で、国内供給の三割を担っている輸入肉がどういう形で流通機構に入り、また国内の生産に影響を及ぼしていくかというところで農林大臣が非常に苦労されておるところだろうと思うわけでございますが、消費者の立場に立つ私といたしましては、畜産事業団における差益金等についても、できるだけ消費者に還元をしていただきたいということを農林大臣にも申し上げております。そして、畜産農家の体質を強化すると同時に、何か目に見える形で消費者に還元できないものだろうかということをいろいろ御提案申し上げておりまして、農林大臣も、そのいい知恵があれば、ぜひひとつできるだけの御協力をしたいということでございます。  実は、ちょうど私午前中に下高井戸の肉屋さんの小売店に参りまして、小売店の実際仕事をしておられる方といろいろお話をしてまいりました。きょうは、ちょうどそういう肉の安売りをするということで、やはりその畜産事業団の差益金を使いましていろいろな輸送費その他が助成されるということで、日ごろ大体四百五十円から五百円ぐらいのロース肉が三百六十円で売られる、あるいはその他の肉もやはり二割程度低いということで、きょうはそういう日にもなっておりまして、一週間に一回それをやるということでやられておるわけでございまして、買い物に来られた方ともお話をしましたけれども、やはりそういう目に見える形でこれが還元されていくということになれば、消費者の方も生産者の立場も理解していけるんじゃなかろうかと思うわけでございます。そういう努力をさらに深めてまいりたいと思います。
  25. 大木正吾

    大木正吾君 いま長官おっしゃったとおりでございまして、消費者の関心は、とにかく国内の畜牛関係の方々の生産関係のことも大事なんですけれども、やっぱり消費問題で、自分たちが食べたいけれども品物の安い物がないということは、非常に生活に響く問題ですから、鈴木善幸さんと倉成長官、相当これは厳しい議論になるかもしれませんけれども、やっぱり企画庁の場合には、国民の立場に立って、そして少しでも安いものかやっぱり入るようにしてもらいたいし、このことは、最近の国際状況との判断の中でさらに突っ込んだ話をしていただきたい。きょう、この話については以上で終わりますけれども、今後ともに委員会での質問だけで終わらせずに、私の方でも鈴木さんなどにもお願いにも行きますけれども、ぜひ御努力をいただきたいわけです。  次に、続けて石油関係でございますけれども、最近、電力、ガスにつきましては当分据え置くという話があったわけでございますけれども、料金の据え置き問題ということは、これは為替の差益との関係では、据え置くというようなことは料金値上げでも値下げでもないわけなんですね、結局。ですから、何か据え置くというのは非常にこう新聞やマスコミの報道からしますと、いかにも国民のためになっている感じがするのでございますけれども、実際に据え置きということは、それは差益がむしろ担当の企業なり会社の中では温存されていく、こういうふうに考えるし、いまの国際経済の状態なり通貨状況からしますると、二百五十円台が二百六十円というような状態になることは、しばらくはない、こう考えていいと思うんです。そうしますと、どうでしょうか、少しでもこれ下げるというような方向での御指導などができないかどうか。もし石油関係の方がおられましたら、そういったことについて通産関係の当事者の方の御意見もちょうだいしたい、こう考えているわけです。
  26. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 石油製品価格に関連しましての為替差益問題について御説明さしていただきたいと思いますが、五十年の十二月に私ども石油業法に基づきまして標準額を設定しましたが、その当時考えました為替レートが三百二円であったわけでございます。その後五十一年度になりまして円為替は毎月高くなっていったわけでございますが、結果的に五十一年度の平均為替レートか二百九十二円ということになっております。さらに五十二年度に入りましてもこの傾向は続きまして、五十二年度、つまり本甲の四月から九月までの平均為替レートが二百七十二円ということになっております。このような為替レートの円高傾向を踏まえまして、それなりに、それに応じました為替のメリットといったものが当然のことながら発生しているわけでございますが、同時に、他方、原油の価格について見ますと、本年の一月及び七月に、OPECの決定に基づきまして、産油国はその原油輸出価格を引き上げております。本年の一月には、OPEC十三カ国のうち十一カ国が一〇%引き上げ、二カ国か五%引き上げたわけでございますが、七月には十三カ国すべて一律に一〇%のアップということで線がそろえられたわけでございます。そういうことで、為替のメリットは当然のことながら考えざるを得ないと思いますが、同時に、これに対応しましての、ただいま申し上げました原油価格の引き上げによりますコストアップの要因、さらに、その他石油企業について見ますと、備蓄、防災費あるいは関税のアップといったふうな事情もございますので、その辺のことも考慮して石油製品価格についての判断をせざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。  なお、このようなOPECの原油価格の引き上げを受けまして、石油会社は、本年の三月ないし四月以降、二千円ないし二千四百円、石油製品の価格を上げたいということを発表したわけでございますけれども、先ほど申しましたような為替差益の発生といったふうなことも踏まえまして、この石油製品価格の引き上げは十分な形では実現されておりませんし、さらに、ごく最近に至りまして、一部の石油会社は、最近の円高傾向も踏まえて石油製品価格の据え置きということを発表したわけでございます。
  27. 大木正吾

    大木正吾君 石油部長のお話は大変よくわかるんでございますけれども、要するに据え置きということ自身は値下げでない、これははっきりしているわけですね。そこははっきり申し上げておきたいわけでございますが、関連いたしまして、最近、化学業界と石油業界のナフサ戦争みたいなものがあったわけなんでございますけれども、新聞でこれを拝見したんですが、結局、ナフサについては、通産省の指導価格よりも、大体資料などをちょっと拝見いたしますと、四、五千円ぐらい安く、結局——ヨーロッパでもそういう状況で売買なり、引き取られているようでありますし、同時に、通産省の指導の中で、むしろある意味では化学業界が居直ったということの結果かもしれませんけれども、二万四千円ぐらいに持ち込むという動きが出ているわけですが、このことは間違いないでしょうか。
  28. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) ナフサの価格につきましては、先ほど御説明の際に述べさしていただきました五十年十二月の標準額の設定当時、二万九千円という価格が設けられたわけでございます。その後標準額は五十一年の五月に廃止されておりまして、それ以降は自由価格、いわば供給者側と需要者側との価格についての協議の上で決められるという形になっておりまして、その後の実際の動きを見ますと、二万九千円ないしそれより若干下回る程度の水準で国内価格は続いているわけでございますが、他方、これに対しましてヨーロッパあるいはアメリカの価格を見ますと、特にその代表例として言われますヨーロッパにおきますロッテルダム価格を見ますと、昨年の中ごろから逐次値下がりをしております。この背景にはいろんな事情があるわけでございますが、ヨーロッパにおきます渇水のために重油の電力用向けがふえたと、そのために連産品であるナフサの供給もふえていく、他方、石油化学業界が不況で需要が落ち込んでるというふうなことから、需給が非常に緩んだと、そういうふうな事情も反映しておるわけでございますが、いずれにしましても、昨年の中ごろから、先ほど言いましたロッテルダムでのナフサの価格といったものは逐次下がってきております。さらにこれに加えまして、わが国におきます円高の傾向も加味されまして、最近の時点では、ヨーロッパでのロッテルダム・スポット価格は、わが国の国内の先ほど言いました二万九千円ベースの価格に比べますと、五千円前後の低い水準になってるということでございます。
  29. 大木正吾

    大木正吾君 ナフサ問題は、結局、これは原油輸入石油関係の九社なり、あるいは石油会社と鉄鋼とか、その他化学関係などの関係であるわけですが、問題は、この一般の国民気持ちからしますと、そういったことができますのに、一部の新聞報道、これは別に根拠がどの程度か私も調べておりませんが、このままでもって二百五十二、三円か二百五十五円ぐらいでもって円が進みますと、大体五千億ぐらいの差益じゃないか、私はこの数字を確実なものとは考えておりませんけれども、そういうふうな報道等がどんどん出てきますと、さて問題はナフサという、石油業界と中間製品の大きな企業との間では安くされたじゃないかと、灯油関係は一体どうしてくれるんだと、こういうことは必ず出てきますですね。そして、灯油問題についての動きを見てますと、さっき申し上げた電力、ガスの値上げ見送り、据え置き問題との関係もありますけれども、この方は灯油自身を元売りでもって据え置くというような言い方ですと、消費者の手元へ入るときには、やっぱり小売関係の業者の方々の手数料などが入ってきますから、どうしても値上がり傾向が出てきてしまうわけですね。ですから、そこまで立ち入った指導がなかなか困難かとは思うんですが一先ほどのチルド牛肉じゃありませんが、やっぱりガス、電力も据え置きなんだから、これから冬に向かって北海道、東北等は大変なんですから、為替の差益問題に絡んで、また灯油か上がるってやつは、どう考えたって、おれたちは納得できないという意見が出てくるわけですから、その辺の問題について、部長あるいは企画庁関係の方の御所見かありましたら伺いたい、こう考えます。
  30. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) ただいまの灯油につきましてのお答えをする前に、ナフサについてちょっとつけ加えさしていただきたいと思いますが、先ほど私が御説明しましたのは、国内価格とヨーロッパ価格の格差の存在について御説明したわけでございまして、現在、このナフサ価格につきましては、石油業界とそれから需要業界との間で値段についての協議中ということでございます。新しい価格が設定されているわけではございません。  それから灯油の小売価格についてでございますが、実は灯油の元売りの仕切り価格は昨年の九月以降横ばいになっております。私どもの据え置き指導も当初あったわけでございますが、その後、石油会社の先ほど御説明しましたような価格政策の決定もございまして、価格についての考え方の決定もございまして、昨年九月以降三万二千八百円というふうな水準で横ばいで推移しているわけでございます。他方、これを受けまして、小売の店頭価格はどうなっているかといいますと、昨年九月で十八リットルかんで七百二十四円という形になっておりましたが、その後逐次値下がりしまして、本年の九月は七百十八円という数字になっております。これは私どものモニター制を通じて調べた結果でございますが、そういうことでございまして、私どもが直接価格について考え方を打ち出すというのはこの、石油会社の元売り仕切り価格についてでございますが、このように元売り仕切り価格か安定した中で小売価格も昨年来安定している、ないし若干の低下ぎみであるということで考えますと、これから先今需要期につきまして元売り仕切り価格が据え置きで推移するならば、小売価格はやはりこれに対応しまして安定的な推移をたどるであろうというふうに私ども期待しているわけでございます。
  31. 大木正吾

    大木正吾君 企画庁考えも後で伺いたいんですが、古田さんのおっしゃったこと、それは傾向としてわからないことではないんでございますけれども、ただ、最近いろんな陳情などが参りますその話を伺いますと、やっぱり冬に向いますから、私たち東京に住んでいる人はわりあいに無感覚で、余り敏感にこないんですけれども、東北なり北海道の方々の話を聞くたびに出てきますことは、やっぱり小売価格が強含みといいますか、上がるということについて非常に心配しているわけですね。現実に上がる傾向が店によっては出ているという話もございまして、これは、きょう、どこの地域で、どこの店で上がっているということについて資料を持ち合わせませんので後にいたしますけれども、大臣なり、あるいは古田さんにもお願いいたしたいんですけれども、どうしてもやっぱり先ほどの肉と同じで、灯油などこそが一番生活に密着しました、結局、最近の経済動向の反映でございますから、いま古田部長おっしゃったように、少なくとも値下げまでいかないとしますれば、やっぱり小売価格のところも、私があえてここで強調しておきたいことは、元売りを抑えているという通産省の立場は、これは仕方ない、わかるわけですが、できますれば、やっぱり手数料を含めた、配達などございますけれども、小売価格のところで値上げせずに済むように、ひとつさらに格段指導を強化してもらいたいと考えているわけです。もし、このことがそのようにうまくいきませんでしたら、前回の物特でも石油連盟から参考人においでいただいたんですけれども、もう一遍石油問題につきましては、先ほど長官もおっしゃったんですが、やっぱり輸入原素材料の中の相当大きなウエートを持っておりますから、石油問題だけでも、これはもう一遍消費者物価あるいは卸売物価等に関連いたしまして話をさしていただきたい、こう考えていまして、長官の所見などありましたら伺いたいんです。
  32. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま通産省の石油部長からお話がございましたように、灯油については元売りの仕切り価格については非常に安定している、これが末端の方でも安定するように、われわれも十分需給の動向や、あるいはその実態を注意してまいりたいと思っておるわけでございます。  ただ、ここで一つ、私、議論を申すわけじゃございませんが、やっぱり短期の問題としては、もうまさに今日これだけ円が高くなり、そして石油会社が相当な利益を得ている段階で、やはり国民の関心事であり、また東北、北海道等では必需品である灯油の価格というものについてはそういうことで考えるのが当然だと思うんですか、やはり将来は石油製品の価格の中の体系ということも、十分国民のコンセンサスを得て合理的に決められるべきだというふうに思っております。でないと、ある部門だけが非常に高くて、ある部門が低いというような余りいびつなものになりますと、結果的には供給が十分行われないということになる可能性もあるんじゃなかろうかと思いますので、そういう問題も少し中・長期的に勉強をしていく必要があるし、また同時に、これは国民のコンセンサスがなければならない問題であろうかと思うわけでございます。
  33. 大木正吾

    大木正吾君 先ほどもお話ございましたとおり、OPECか将来どう動くかという問題でありますとか、アメリカの今度はむしろ逆に円高よりもドル安が問題だとか、そういったことは情報なり新聞等で十分わかるわけでありますけれども、ただ、問題は、やっぱり世界経済の流れをずっと見てみますと、円が二百六十円、二百七十円という状態に返ってくることは、私のあくまでも判断ですけれども、私が経済問題をずっといままで勉強してきた過程では、それはなかなかここ一、二年間の間に急にそういったことが起こることはない。むしろ今度はドルがあの状態でもってどんどん下がって安くなっていきますと、逆に円とかマルクとか、そういったものの強い——最近はイタリアもフランスも大分強くなって、ポンドなんかも強くなってきているようですけれども、そういった通貨調整問題などにまで発展しかねないということもございますから、私の申し上げていることは、いわば氷山の一角みたいなものでございまして、そして肉の問題と灯油問題を取り上げたんでございますけれども、そういったことを国民に具体的に、いわば政府自身の努力ということを知らせながら問題の解決に迫っていく、それこそコンセンサスを求めていかなくちゃいけない、こう考えているわけなんですね。しかも、最近のドルをかせぐ戦略的な貿易産業と、十三業種に一応なりましたけれども、不況業種との関係は完全に線の上下にばらついていまして、二極化現象が出ているわけですから、今度の不況対策でも、後の沈んでいる方を埋めるところに重点があっただけですから、極端に言いますと、私に言わしめれば、ドルをかせいでいる企業は企業として努力をしたというような居直り的な言い方も新聞等で拝見するんですけれども、そのことは認めますけれども、逆にまた今度は国民の財政資金等について、あるいは民間の資金等について相当程度便益を図っていただいた経過があることも、これも知っておいてもらいたい問題ですから、私自身、むしろそういった場合には、これはちょうど四十八年と逆になりますけれども、ある意味では、輸出で非常に強い産業の場合には税金で、どういう名目の税金をつけるかは別ですけれども、そこに何らかの税制、法人税の三段階制にするかどうか、いろいろありましようけれども、そういったことを考えながら国民に平等な立場における、あるいは産業上の平等というものも含めて考える課題が将来起きてくるんじゃないか、こういうふうにも感じるんですね。ですから、コンセンサスを求める立場からも、灯油問題については、これは石油というものに直接国民がいわば生活面で関連することでございますから、ぜひ古田さんの方の通産省もちろんでございますけれども、企画庁の方でもお話し合いの上で、何らかの形でもって、消費者が手にするときに去年とほぼ同じだという状態に行政的な指導なりその他含めてやっていただきたいと、こういったことを重ねてお願い申し上げて、見解を承っておきたいんですかね。
  34. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) ただいま御質問の中の灯油についてだけ私から御説明さしていただきたいと思いますが、灯油の小売価格につきましては、先ほど御説明いたしましたように、元売り仕切り価格が据え置かれますと、それに対応いたしまして今需要期も安定的に推移するであろうというふうに私どもも考えているわけでございますか、同時に、最終小売価格につきましては、対策としまして重要なものは流通段階の構造ではないかと思っております。長期的に見てまいりますと、流通段階の合理化を講じていくということはどうしても必要なんじゃないかと思っておりまして、灯油の流通対策としましては、たとえば中小企業振興事業団を通じましての共同施設事業融資とか、開発銀行あるいは北東公庫からの融資比率を高めた条件での融資の促進といったふうな形で、灯油の供給施設の共同化なり、この建設の促進をさせる、あるいは灯油販売業者の組織の強化を図るといったふうな施策を検討し、かつ講じているところでございます。
  35. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 通産省の方からお答えがございましたように、価格の問題は、やっぱり需給がタイトであるか、緩やかであるかということで決まってまいりますので、やはり供給が十分行われるということにも配慮しながら、いまお答えのような線を私どもも十分監視してまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、前段のお話は、非常に産業構造の転換に関するような基本的な問題のようでございましたので、また改めて問題を整理していただけばお答えいたしたいと思います。
  36. 大木正吾

    大木正吾君 肉問題、灯油問題と個々の問題について取り上げますと、まあ麦が最近六百億の差益がありましたとか、まだまだたくさん問題がございますけれども、時間も余りありませんから、最後に一つ伺わさしていただきまして、私の所見を最後に述べたいんですが、これも大蔵委員会の方と少しダブる点もございますが、御勘弁いただきたいんでございますけれども、一部に国土庁の方から出ています土地税制問題につきまして、住宅問題かやっぱり景気浮揚策の一つの柱と、こう考えたときに、今度のいわゆる国土庁がいま考えておられるような土地税制、簡単に申し上げますれば、一時、これは私も若干責任があるんですが、都市近郊の農地ですね、こういったものについて分離課税を持ち込みまして土地成金が大分出てしまったときの経緯がございまして、その後に重課税問題ということが立法化されたわけでございますけれども、最近、結局、国土庁の方からまた新しく重課税を撤廃をする、もちろん優良宅地という制限がついてますけれども、それから林地の緑地化と保全の問題が絡んでの話の保有税の緩和問題が出てきているわけですね。そういった二つの観点から私は心配があるわけですが、一つは、住宅地の土地が大体二・三%程度上がりぎみということはすでに新聞等に報道されているわけでございますし、不動産研究所でもそういったことを言っておるわけですが、そういったことと、もう一つやっぱり金融の流れですね。金の流れに関連いたしまして、結果的には金が土地の方に向いて動くということの心配ですね。この二つの問題点から、長官、どうでしょう。こういうことを実行に移しますことは、どうしても住宅政策を広げるために必要とお考えか、それとも、こういったことになりますと、かえって逆に、まあパニックとは言いませんけれども、住宅地の増高、値段の値上がり問題を招いてしまうという、長官、どっちの御判断に立たれますか。これは国土庁じゃございませんですが、しかし、やっぱり土地の価格というのは、これは卸売にも、実は消費にも、どっちの調査品目にもないわけなんですね、家賃として出てくるわけなんですよ。家賃の方は、御承知のとおり、大体東京、大阪等ですと、今年度九%から下がったことはないわけですね。そういう点を考えて伺うんですけれども、とにかく土地が値上がりする心配を私は持っているわけなんですが、住宅政策との兼ね合いでもって、倉成長官、どういうお感じ方を持っているか。もし関係の方がおりましたら、国土庁でも結構ですけれども、国土庁の方はやっぱり出したからにはこれをやるんだとおっしゃるかもしれませんが、物価問題を担当する大臣といたしましては、どういうふうにお感じでしょうか。
  37. 川合宏之

    説明員(川合宏之君) お答え申し上げます。  税制改正要綱につきましては、現在政府の部内で検討中の段階でありまして、一月ほど前に国土庁の税制改正要望を関係機関に提出したところであります。国土庁の基本的な立場といたしましては、土地税制を初めとしまして、現行の土地政策の基本的な枠組みはこれを維持しながら、優良住宅地供給あるいは国土の有効利用の促進という見地から、必要な範囲で見直しを行うという基本的態度に立っておりまして、現在関係行政機関に提出いたしております税制改正の要望の内容は、すでに先生御承知のとおりかと存じますが、土地譲渡益重課につきましては、基本的枠組みの一つといたしましてこれを維持しながら、御存じの優良住宅地供給の要件がありますが、この要件につきまして見直しを行おうといたしております。それから林地につきましては、現行の森林法と地方税法の体系との整合性を図りながら、国土の有効利用の促進の見地から手直しを要望しているところであります。  それから、先ほど先生御指摘の五十年度まで分離課税であったものを五十一年度から二千万円以上を総合課税に変えていただいておりますが、この点につきましては要望いたしていない状況です。
  38. 大木正吾

    大木正吾君 土地問題につきましては、これは大蔵委員会の方もございますから、その方でまた少し掘り下げて議論していきます。  最後ですが、これはもう質問でありません。長官にお願いでございますけれども、とにかく七・七%を死守するとおっしゃったわけでございまして、その問題について私が非常に心配いたしますことは、一つは、やっぱり卸物価景気問題を絡みまして、結局、消費者物価との乖離が非常にこれからも広がって続いていく、こういうふうに心配していることが一つなんです。もう一つは、もしも、次の不況対策なり景気対策をやった段階ですと、在来のメカニズムからしますれば、当然、景気が浮揚すれば物価が上がるということになるわけでございますから、経企庁は相当ふんどしを締めてかからぬと、やっぱり七・七%に不況段階では私はいくことは可能かと思うんですが、しかし、六・七%成長をどうしても迫られているという内外の事情からしますと、このことは大変な問題だと思うんです。ですから、そこのところは、大変な御努力が要りましょうけれども、ぜひお願いいたしたいし、同時に、円高差益問題ということは、毎日の新聞でもう書かれていない日はないわけでございまして、やっぱり国民からしますれば、せめて食卓に上る、まあ輸入牛肉は余りおいしくはないんですけれども、子供さん方が喜ぶんですから、そういったものかもう少し週に一回でもよけいに食べられるとか、これから寒さに向かって北海道、東北等の農民の方などは非常に出かせぎなども減ってきているわけですから、せめて灯油の家庭に入る値段も去年と全く同じだという状態に何とかしてやってもらいたい。このことを最後にお願いいたしまして終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  39. 渡部通子

    ○渡部通子君 私は、総論的な長官への御質問はちょっと後回しにいたしまして、各論から入らせていただきます。  消費者ローンあるいは割賦条件の緩和をめぐって通産省にお伺いをしたいと思います。  九月三日に政府が発表なさいました総合経済対策の中で民間需要喚起策として政府は一項目うたっております。すなわち、消費者信用の条件改善等、これを取り上げまして、その内容として、割賦条件の緩和あるいは消費者ローンの増加、あるいは金利の引き下げ、こういったことに努力をすると、こう言っていらっしゃいます。これは確かに、非常に個人消費の低迷している現在にございまして、消費者信用市場のみは年々二〇%から三〇%と、こういった高い伸びを示しておる中でございますから、大変大事な施策だと思うわけでございます。まあ住宅ローンについては、ことしに入って既契約分も含めて引き下げ処置がとられてまいりましたけれども、住宅ローンを除く消費者ローンあるいは割賦手数料、こういったものは金利体系や景気動向とは無関係のところに置かれているのではないか、こういったことが私はなはだ不満でございます。なぜここまで引き下げの手が差し伸べられないのか、それについてまず伺いたいと思います。
  40. 野崎紀

    説明員(野崎紀君) お答えいたします。  本年三月から四月に公定歩合がそれぞれ〇・五%、それから一%引き下げられまして、四月現在で五%になりまして、またさらに今回四・二五%に引き下げられたわけでございますが、これに伴って銀行の貸出約定の平均でございますが、平均金利をとってみますと、四月におきましては八%をちょっと超えておりましたが、八月にはそれが七・三、四%ぐらいまで引き下げられていると、こういうふうに承知しておりますが、この間、業界におきましても、その割賦販売手数料の引き下げにつきましては検討がなされまして、その結果、八月以降に自動車の割賦手数料は実質年率で一%、すなわち、一八・五%から一七・五%にそれぞれ各社引き下げている模様でございます。それから家庭電気器具におきましては、アドオン表示でございますけれども、大体〇・三%、すなわち、七・二%ぐらいの水準から六・九%程度に引き下げられておるものというふうに承知をいたしております。
  41. 渡部通子

    ○渡部通子君 消費者ローンの方はいかがでございましょうか。割賦手数料はいま伺いましたが、消費者ローンの金利の方は引き下げられておりますか。
  42. 野崎紀

    説明員(野崎紀君) いわゆる消費者ローンという中で私ども通産省に関係のあります部分と申しますのは、いわゆる提携ローンの関係でございますが、これにつきましては、現在アドオン表示で大体六%ぐらいになっておるというふうに承知しております。現在のところ、まだ引き下げはなされておりませんが、近く引き下げが行われるというようなことでわれわれは承知をいたしております。
  43. 渡部通子

    ○渡部通子君 いまの御答弁の様子でございますけれども、これは金利の引き下げからいったらば非常にスローな、そしてまた下げ幅も非常に少ないものではなかろうかと、こう思います。そしていま、車が一%、家電が多少下がっている、確かに私もそうだろうと思います。しかし、まだ割賦の品物につきましては、これだけではございませんで、ミシンも書籍も宝石も、あるいはたくさんのちまたには月賦屋さんもあるわけでございまして、そういったところにすべてそうした措置が及んでいくように、そういう形で努力をしていただかなければならないと思います。  なぜこんなに私が申しますかと申しますと、最近の月賦の利用というのは大変なものでございまして、総理府の貯蓄動向調査の五十年度のあれを見ましても、家庭における負債保有世帯、その世帯率というのは四四・三%あるそうでございますが、そのうち銀行の利用が一五・八%、月賦・年賦が一七・八%といいますから、まあ金高は多いにいたしましても、率からいえば、銀行利用者よりも月賦や年賦を利用している人が多いというような、そんな状況のようでございます。したがって、そういう中で割賦手数料が引き下げの対象になる、すべからくなると、これは非常に民間需要を喚起するという上からいっても大事なことだろうと思うわけですね。  それで、いま車は下がったという話でございますが、下がってないメーカーさんもあるんです。下がってないメーカーさんを御存じでございますか。
  44. 野崎紀

    説明員(野崎紀君) 割賦手数料は、基本的には各割賦販売業者がそれぞれ自主的に定めるべきものだと思いますので、それはただいま申しました六・九%とか七・二%、あるいは一七・五%という数字は、大部分の業者がそういうふうに自主的に定めておるということでございまして、中にはそれ以外の割賦手数料の水準のまま、あるいはそれと違った引き下げ方を行っているものも中にはあろうかと思います。その業者の具体的名前につきましては、現在手元に持っておりません。
  45. 渡部通子

    ○渡部通子君 まあ、おわかりになっていらっしゃっておっしゃらないんだろうと思いますけれども、私どもの調べたところによりますと、ダイハツ、マツダ、スズキ、こういったところは、まだ十月の現在でも割賦手数料は一%も下げてはおりません。確かに先ほどお答えにございましたように、ほかの会社の方では一八・五が一七・五になったりしております。それでも私は決して安くはないと思うのでございますが、この三社については、まだ下げていないというような実情です。で、確かに業界でおやりになることかもしれないけれど、通産省としては、消費者ローンとか割賦手数料とか、こういったものは金利の動向景気動向と連動して考えられるべきものだとお考えになりますか。
  46. 野崎紀

    説明員(野崎紀君) 割賦手数料という中には、いろいろ銀行からの借り入れを行っているそういう資金に対する金利コストというものと、それから信用調査に要する費用あるいは集金、それから貸し倒れの引き当て等のいろんなコストを含むものでございまして、必ずしも公定歩合あるいはそれに伴う銀行の貸出金利と一概にこれを比較して考えるというわけにもまいらないかと思いますが、ただ銀行の貸出金利が公定歩合の引き下げに伴って実際のコストというものが下がった場合におきましては、その分、他のコストの動向というものも絡み合わなければいけませんけれども、なるべくなら割賦手数料に反映をするということが望ましいものというふうに考えております。
  47. 渡部通子

    ○渡部通子君 いま望ましいという、私もそう思います。確かに銀行のローン、銀行の金利とは中身はいろいろの解釈もあるだろうと思いますしあれですけれども、やはり銀行金利が、金利体系が動いた場合にはそれにやはり見合って連動していくのが望ましいと私も思いますが、いま通産省の御判断もそうだと私は聞かせていただきました。  で、通産省の資料によりましても、消費者ローンは年率一二%、月販百貨店の手数料は一四、五%前後、このように承知をしております。これらのものと比べましても、やっぱり自動車とかいったものの二〇%近い手数料あるいは三〇%を超える家電の手数料、こういったものは少し高過ぎはしないか、こう思うんです。家電で申しますと、私は、この九月、十月のカタログを全部手に入れて調べてみましたけれども、たとえば日立ファミリーローンの実質年率は、このカタログによりますと、上は三〇%から最低のものでも一八%、それから東芝電化ローンは、やはりカタログによりますと一五・八%、それから三菱電機のクレジットによると一八%、こうなっているんです。やはり消費者信用の改善によって需要を喚起しようという現在の状況下におきまして、あるいはまた消費者保護の面から見ましても、これらの手数料は、先ほどいろんな理由は挙げられましたけれども、やはり三〇%、最低一五、六%に来ているというのは少し高いとお思いになりませんか。
  48. 野崎紀

    説明員(野崎紀君) 割賦手数料の大体の水準を申し上げますと、たとえば電機の場合などはアドオンで六・九%ということでございますので、実質年率にいたしますと、それの二倍弱になるわけでございます。したがいまして、一三%から四%ということになろうかと思いますが、それに金額及び支払い期間に応じまして一定の手数料というのが別に取られるわけでございます。それを合わせますと、実質年率にいたしまして、ほぼ二十カ月払いの場合におきまして約二〇%ぐらいの水準になっているかと存じております。それが高いかどうかという点を申し上げますと、これはやはり信用調査、集金、貸し倒れの引き当て等の費用を含めまして、それに金融コストを加えたのが割賦手数料となりますので、一概に高いということはちょっと判断しかねると思っております。
  49. 渡部通子

    ○渡部通子君 一概には言えない、それでは、たとえば東芝と日立というのを比べてみますと、一五・八%と三〇%という差がある、こういう大きな差ですね。一五・八%でもそれじゃ高いと一概には言えないとおっしゃるならば、この差ですね、こういったところに改善する余地はあるとお考えになりませんか。
  50. 野崎紀

    説明員(野崎紀君) たとえば電機の場合で言いましても、三カ月払いとか、そういった非常に短期の場合というのは非常にコストも高くつきます。したがいまして、その場合においては、実質年率として一括して取る手数料、先ほど申しました一括して取る手数料の比率というものは非常に高くなりますので、三〇%ぐらいになろうかと思いますけれども、それをもって高過ぎると言うことはできかねるというふうに考えております。
  51. 渡部通子

    ○渡部通子君 金銭の消費貸借に伴う利息であれば、利息制限法というのがあるわけです。ですから、元本が十万円未満の場合でしたら二割、御承知のとおりですが、十万円以上百万円未満の場合でしたら年一割八分、あるいは元本が百万円以上の場合でしたら一割五分と、こういう利息の上限というものが決められておりまして、それを超過した場合には無効とすると、こう法律で決められてあるわけです。この利息制限法の精神からいったならば、割賦の手数料ですね、同じだと私は言っているわけではないけれども、払う立場の消費者としてみれば、やはりそれだけお金が要るということについては同じでございます。この精神からいった場合、割賦販売法における金利、手数料の利息というか、割賦手数料といっても、名目は違うけれども、向こうでも経済的利益という面については同じなわけですよ。払う方の負担としても同じわけです。その辺をどうお考えになるかということですね。トヨタ自動車販売株式会社が五十二年九月に割賦金の早見表というのを出しておりますが、その早見表の解説の中にも割賦手数料金についてこういうことを言っているのです。割賦販売は、自動車代金を何回かに分割して支払ってもらう販売方法ですから、資金の面からみれば、ユーザーに自動車購入代金を融資していると同じですと、こう書かれてありました。こんなことから考えまして、利息制限法を超える手数料というものは、たとえ割賦販売といえども好ましくないのではないか。利息制限法の精神から見て、この精神は反映されてもよろしいのではないかと、こう私は考えますが、御意見いかがですか。
  52. 野崎紀

    説明員(野崎紀君) ただいまの割賦手数料の多くの水準というのは、利息制限法に定めておる水準を超えてはいないというふうに判断をしております。ただ、非常に短期の、たとえば三回払いというような場合におきましては、非常にそのコストもかかりますので、その三回払いというものに対する比率といたしましては、実質年率で申しますと三〇%内外ということになる場合もあるわけでございますが、これをもちましてその利息制限法の精神に合っていない、非常に不適切だというふうに言い切ることはちょっと私どもとしてはできなかろうというふうに考えております。
  53. 渡部通子

    ○渡部通子君 それじゃ、ちょっと手数料の中身について伺いますが、メーカー製造の大衆乗用車をディーラーが登録する場合の費用は、いまお幾らでございますか。
  54. 浜岡平一

    説明員(浜岡平一君) 御質問のとおりにぴったりお答えできる資料、いますぐ手元に持っておりませんが、大体の見当として申し上げますと、検査手数料で現在ですと四百円前後、それから新規登録手数料で三百円前後、それに普通行政書士を利用いたしますものですから、行政書士への手数料というようなものがかかるのではないかというぐあいに理解いたしております。
  55. 渡部通子

    ○渡部通子君 結局、お幾らなんですか。
  56. 浜岡平一

    説明員(浜岡平一君) 行政書士の手数料が千二百円ぐらいでございますから、合計いたしまして二千円弱くらいかと思います。
  57. 渡部通子

    ○渡部通子君 そうですね、行政書士の手数料を取ればこれでもっと安くなる、入れても二千円ぐらい、そういうお答えでございます。大体自動車を売買いたしますと、登録代行手数料というのか大体七千五百円から一万円取られるわけでございます。これはいま通産省のお答えになった二千円、私ども調べてみまして、二千cc以下の乗用車の場合でしたら大体七百円ぐらいが登録する際の費用だと思いますけれども、これが大体七千五百円から一万円という形で代行登録代として取られるわけでございます。しかし、これにそれほど五倍も十倍ものお金がかかっているのか、手数がかかっているのかということは、メインディーラーあたりの場合でしたらば、毎日何台も何十台もまとめて登録を一括して行う場合もあるわけでございますから、その費用を法定費用の数倍にも十数倍も取っているというのは、全くの取り過ぎではなかろうかと思いますが、いかがでございましょうか。
  58. 浜岡平一

    説明員(浜岡平一君) 検査、登録の諸費用につきましては、ディーラーあるいは地域によりましての差があろうかと存じますものですから、御指摘のような数字が一般的に適用するかどうかはわかりませんが、私どもも取り急ぎ調べましたところでは、たとえば七千五百円ぐらい大衆車について取っているというような例は、どうもあるようでございます。お話しのように、法定費用というものが一つの積算根拠にあるわけでございますけれども、これに加えまして、実際に、いわばお買いになりましたユーザーにかわりまして、本来ならばユーザーがおやりになるべき仕事をディーラーが代行するという意味で、それに必要な人件費、これは一人当たりの一時間当たり人件費と、それから所要時間というようなものを積み上げてこういう数字をはじいておるというのが実態のようでございます。一つの手続をいたしますのにどれぐらいの時間がかかるかということにつきましては、地域により、あるいはお話しのような販売台数の差によりましていろいろと差があろうかと思いますものですから、これを高いか安いかということにつきまして、いま直ちにどちらかに軍配を挙げたお答えをすることはちょっとむずかしいかと思います。
  59. 渡部通子

    ○渡部通子君 これは少し私、御答弁が甘いと思います。私がなめられているのかもしれないけれども、代行登録手数料そのものが法定の費用でいけば大体七百円しかかからないというのに、それが七千五百円から一万円、これはことしの十月現在で各社全部調べてありますが、一万円のところ、最低七千四百円と、こうなっている。どれだけ時間と人件費がかかるかわかりませんけれども、いま申し上げたように、大きいところでは、まとめて登録しに行くわけです。それが法定費用の十倍も取っておいて、高いとは言えないと思うというような通産省の姿勢というのは、私はまことに不満足です。だれが考えたって、こんなばかな手数料があるかしらと思わざるを得ないと思う。  同じように、車両の登録に必要な車庫証明書、これも警察から発行してもらう費用が、東京都の場合ですと、一件につき千二百円で済むんです。ですけれども、この車庫証明書代を代行するからといって手数料として約七倍の七千円、これが全部取られているわけです。もう一つ、ついでに申し上げますと、下取り手数料、これが五千二百円から八千円ぐらい取られているわけなんです。これは運転して運んでいくだけの話じゃないかと思います。ピアノにしても大型の冷蔵庫などにしても、そういうものを運んでくれるのは、みんなサービス料金に含まれますね。ピアノなんというのは本当に大変で、トラックを別立てにして二、三人人をかけて、いまで言うと、マンションの上まで持ってくるなんというのは大変な手間暇だと思いますよ。ですけれども、それはサービスとして含まれているわけです。自動車についてだけこんなに車庫証明手数料、納車手数料、下取り手数料、こうやって何千円も、一万円近くも取っているということは、まことにこれは私は取り過ぎではないかと思いますが、いかがですか。
  60. 浜岡平一

    説明員(浜岡平一君) 私どもの方も取り急ぎ調べてまいりましたものですから、基本的な考え方といたしまして、一時間当たりの直接人件費掛ける所要時間というようなことで費用の積み上げを行っているというぐあいに事実を承知いたしておるわけでございますけれども、一人当たり一時間の人件費を幾らぐらいに査定したらいいか、それから、一つずつの手続についてどれぐらいの時間が要るものかということにつきまして、十分チェックするだけの余裕がなかったものでございますから、先ほど申し上げたようなことを申し上げたわけでございますけれども、御質問の趣旨はよくわかりますものですから、今後、この積算の妥当性につきまして、私どもの方もさらによく勉強をしてみて、必要があれば所要の指導を行うということにいたしたいと思います。
  61. 渡部通子

    ○渡部通子君 これから調べて勉強して指導するということでございますが、ひとつ厳格にやっていただきたいと思うんです。といいますのも、買う方にしてみれば、これだけ手数料が要りますって、こう言われてみると、合計すると三万円ぐらいかかっているんですね。そんなものかと思ってしまわざるを得ないのです、こちらは素人ですし。ですけれども、ばかに車を買うときは、まけるといいますけれども、結局こういうもので、まけた分だけはちゃんとちょうだいされているのではないかと、だれが考えてもそう思うわけでございまして、こういった手数料と称するものが企業収益の一部として取り扱われているのではないかと、こう思うような数字の実情でございます。  いま、その程度の御答弁しかいただけませんのでしたらば、後日に譲りますので、どうかこの消費者保護、いま内需を喚起するという、こういう国を挙げての努力をしなければならないときでもございますので、どうか通産省も、そういった意味消費者のためにも、たまにはいい指導をしたと、こういう姿勢でひとつよろしくお願いをしたいと思います。  手数料関係については以上でございます。——そうですね、この件について、経企庁長官からも一言御所感なり御所見なりを伺わせていただきたいと思います。
  62. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま渡部先生と当局とのやりとりをいろいろ伺っておりました。私どもといたしましては、公定歩合の引き下げ、銀行の貸出金利の引き下げ等がございまして、資金コストが低下したという場合には、できる限り手数料率に反映していくようにあることが望ましいと考えておる次第でございます。
  63. 渡部通子

    ○渡部通子君 経企庁の長官に伺います。  先ほどの大木委員の質問とダブる点も若干ございますけれども、御勘弁いただきたいと思います。  今後の景気見通しについて、一言お伺いをいたしますが、補正予算も通って、経済総合対策の中心的の柱が成立したわけでございますが、今回の総合対策の効果について、政府は、この対策によって年末ごろまでには在庫の過剰感はなくなって、実質六・七%の成長は可能だと言っておりました。しかし、その後の円高によって総合対策の効果は帳消しになったという見方が産業界あたりから強まっていることが新聞にも報道されました。また河本政調会長の発言も御承知のとおりでございます。で、政府は、今回の対策で在庫調整が年末までに済まない場合、第二次補正を年度内に行うことを考えておられるかどうか。まあ大蔵大臣はいないというような御発言もあったようですが、経企庁長官としてのお考え、それからまた、来年度予算景気維持型にするということでございますけれども、減税や公共投資などについて、どういう考えでお臨みになるのか、これについて伺いたいと思います。
  64. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 今回の九月三日に発表いたしました政府総合経済対策は、事業費二兆円の事業を行うということと、それから公定歩合の引き下げ、その他構造対策、中小企業対策、各般のものを含んでおるわけでございますけれども、この総合経済対策の結果によりまして、私どもが予想しております経済効果は、五十二年度中に一兆五千億から一兆六千億の効果が出てくると思っております。なお、五十三年度の上半期にさらに一兆五千億前後の効果が出てくる、現時点から合わせて三兆円強の効果が出るというふうに、いろいろな試算をいたしておるところでございます。したがいまして、これらの施策によりまして、私どもは、それぞれの重要項目について検討いたしまして、実質六・七%の成長が達成できると考えておる次第でございます。  ただ、御指摘のように、円高が非常に急激にまいっておりますので、この動向というのは、これから十分注意していかなければならない。特に、円高が長く続いてまいりますと、これが輸出にかなり影響してくるんじゃなかろうかと思います。しかし、これも多少の時間的なずれがあるんじゃなかろうかと、円高があるからすぐ輸出が減るというわけのものでもない。それからまた、一面において輸入がふえるという面も出てくるのではないかと思いますので、この効果がどういうふうに経済成長影響を及ぼすかということは、まだいろいろ事態の推移を見守っておるところでございます。  したがって、私どもがいまやらなきゃならないことは、幸い補正予算もつい先日成立いたしましたことでもございますし、政府の総合対策を着実に実行いたしまして、そしてこれが景気の浮揚に役立つようにいたしてみたいと思っておるわけでございます。なお、来年度の予算につきましては、私どもは、やはり現在の経済の足を引っ張っておる一番大きな要素は不確実性、不透明ということ、先行きがどうなるだろうかということがやはり企業家にとっても個人にとっても非常に大きな、心理的な停滞の要素になっておると思いますので、政府としては、なるべく早く来年度の経済見通しなり、予算編成方針を明らかにするということが必要ではないかと思うわけでございます。この点に関しましては、総理も万難を排して年内編成を行いたい、そしてそのための準備をするようにと、そういうお考えを持っておられますので、その線に従って鋭意勉強いたしているところでございます。しかし、その中身をどうするかという問題は、国際経済動向なり、公債の問題なり、あるいは国内動向なり、いろいろまだ多くの要素と絡み合っておりますので、いまここで来年度の予算はどういう形の予算にするかということを申し上げる段階ではございません。
  65. 渡部通子

    ○渡部通子君 その前に、年度内第二次補正のお考えはあるかと伺ったんです。
  66. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいまのところ、考えておりません。
  67. 渡部通子

    ○渡部通子君 もう一点、物価安定の今後の見通しについて伺いたいんです。  三木内閣のとき以来、物価安定プログラムというものを掲げておられるようでございます。一年目、二年目、これは目標達成、三年目からいわゆる定期預金の金利、これを上回るようになってしまって、政府経済見通しに示された物価見通し、これか達成できなかった、こういう経過で今日に至っております。五十一年の消費者物価見通し八・二九が実績九・三に上がったわけでございました。今回の公定歩合の〇・七五%の引き下げによって、定期預金の金利と物価の差はさらに拡大する、こういう見通しでございますが、預金金利を上回る物価上昇ということは、どうしても国民としては納得ができない。これでは本当の安定成長経済とは言えないと私は思います。この際、物価安定の目標を明確にひとつしていただきたいと思うんです。先ほど大木委員の質問にお答えになっていらっしゃいますので、わかっておりますけれども、私は、むしろ逆に、これだけ卸売物価も下方修正をするというふうに鎮静をしてきておりますし、それから円高にはなってきておりますし、民間需要の盛り上がりはございませんし、こんなことで、むしろ下がる見通しでも努力目標として経企庁はお立てになってもよろしいんじゃないかとすら思っておりますが、物価の安定目標についてお伺いをしたいと思います。
  68. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま渡部委員の仰せのとおり、狂乱物価のときから毎年毎年物価を少しずつ下げてまいりました。ようやく一けた台になってきた。そして私どもの目標としております消費者物価というものは、昭和五十五年におきまして六%以下にしたいというのが前期経済計画の目標でございます。したがって、基本的な考え方としては、できれば定期預金の金利以下にしたいという考え方で最善の努力をいたしておるわけでございまして、昭和五十五年に私どもが描きます安定成長の姿がまさにそういう形になっておるわけでございます。  ただ、御案内のとおり、現在の段階では、まだなかなかそこまで行くにはかなり険しい道のりがあるということでございますけれども、幸いにして最近の消費者物価動向も、季節商品やその他サービス料金を除きますと、基本的にはある程度安定しておるわけでございますので、卸売物価の安定がだんだん消費者物価にも波及していくことでもありましょうし、注意深く経済の運営をやってまいりますれば、七・七%の今年度の目標達成はできると思っておる次第でございます。
  69. 渡部通子

    ○渡部通子君 七・七%の達成はできると、それから下がるというような感じはお持ちになりませんですか。
  70. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 円高が出てきておるし、卸売物価消費者物価は違うかもしれないが、その部分だけ卸売物価消費者物価も下がっていいんじゃなかろうかと、そういう素朴な感じが国民の皆様方にあることも私もよく承知いたしております。ただ、率直に申しまして、二百海里時代を迎えまして、食料品の中で水産物の価格が、若干われわれが予想した以上に上がってきたという問題がやはり消費者物価に響いておるということも御承知のとおりの状況でございます。そういうことがございますので、私どもは本当に幾らでも低くしたいという願望を持っておるわけでございますけれども、現時点で考えます限りにおいては、やはり七・七%をさらに引き下げるというにはまだ自信がないというところでございます。
  71. 渡部通子

    ○渡部通子君 十月十四日に決定なさいました円高に伴う物価対策でございますね、この中で、政府関与物資に対する対策に対して、私は、非常に物足りないというか、不満を抱いているものでございます。小麦は六百億円の差益が出ると言われておりますし、また、畜産振興事業団は五十一年度三百七億円、これも差益が出ると言われておりますのに、この対策の中にはこういった点が抜けております。それから輸入たばこについては、下げたのはイギリスたばこだけと聞いておりますので、八割を占めるというアメリカたばこについては手をつけられていない。こういった点で、どうも政府関与の物資に対して、円高消費者還元というこの施策が非常になまぬるいというか、むしろ何にもやっていないという感じがいたします。むしろ逆行するのではないかという心配すらするわけでございまして、政府部門の円高差益還元をこういう状況に置いておいて、そうして民間に還元しろと、こう言っても、民間が言うことを聞くわけはないのでございまして、この点に対する長官の御意見をお伺いします。
  72. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 十月十四日の物価担当官会議で決めましたものは、御承知のとおり、六項目あるわけでございますけれども、その第一は外国たばこ、これは政府関与の物資でございまして、十一月一日から英国製紙たばこを中心に平均で九・二%の値下げを行うということでございます。この点については、アメリカたばこのお話がございますけれども、これは専売公社が参っておれば、その方の方から詳しく御説明申し上げた方かいいと思いますが、私どもの聞いている範囲では、やっぱりアメリカの原料の値上がりがございまして、円高をもってしても、これを相殺することはできない。そういう形でこのアメリカ製の巻きたばこについて値下げをすることができなかったと、そういう説明を公社の方から聞いておるところでございます。  それから国際航空運賃については、これは国際的な協定がございますけれども、これは認可の料金でございますから、これも政府の関連する項目でございますし、また医薬品についても十一月一日の官報で告示される予定でありますが、平均五・八%の引き下げを行うということでございます。  それから先般三十六品目の調査をしましたものについて、なかなか末端価格が下がっていないものもございますから、これはそれぞれ商品で事情があるわけでありますけれども、それにしましても、通産省の方から、それぞれの関係業界、輸入関係団体三十八団体、それから流通関係十六団体に、円高輸入品価格に響くようにということの協力要請を行ったような次第でございます。  電力については、十四日の段階ではまだ十分煮詰まっていなかったわけでございますけれども、できるだけ長期間現行料金を維持していく、そういう考え方を持っておるわけでございまして、来年の三月に見直すとかいうような問題も、できるだけ長期に現在の電力、ガス等の料金を維持していく、そういう方針が明らかになっておるわけでございます。  それから小麦については、これはまだ農林省から詳しい相談を受けてないわけでございますけれども、これは御承知のとおり、食管法の規定がございまして、食管法によって、いろいろな経済事情や、あるいは需給事情であるとか、生産費であるとか、いろいろなものをしんしゃくしながら決めていくということで、この小麦の問題を決める際に一番むずかしい問題は米価との関係ではなかろうか。米か生産過剰で非常に余っている段階において小麦の価格だけ一人歩きできるだろうかという問題が一番大きな問題だというふうに思っておるわけでございますが、この点については、これから農林省といろいろ話を詰めていく段階でございます。
  73. 渡部通子

    ○渡部通子君 そこで、農林省に伺いますが、   〔理事西村尚治君退席、理事福間知之君着席〕 十一月に開かれる米価審議会において麦価の値上げ案が諮問されるのですか、どうなんでしょう。
  74. 野明宏至

    説明員(野明宏至君) お答え申し上げます。  麦の政府売り渡し価格につきましては、従来から食糧管理法の規定に従いまして、外麦のコスト価格、それから国内産麦のコスト価格、それから精米の消費者価格、こういったものを考慮いたしまして決定することとされておりまして、円高などによりまして外麦の輸入価格に変動があるからといって、直接これを価格に反映させるというふうなたてまえにはなっておらぬわけでございます。これまでも、たとえば四十七年以降、国際穀物需給の逼迫によりまして麦の国際価格が非常に高騰した際にも、これを価格に反映させるということはしなかった結果、約千四百億円という財政負担を行った年もございます。  そこで、これからの麦の売り渡し価格の問題でございますが、一つは、食糧自給力の強化というふうな観点から、内麦の生産振興に力を入れております。それに伴います財政負担がふえてまいっておりますが、そういったものを麦の政府売り渡し価格によって賄うべきではないかとか、さらに、米の現在の過剰下におきまして、麦製品の価格と米価との関係を再検討すべきではないかとか、そういった食糧政策上のさまざまな有力な意見がございます。したがいまして、麦の政府売り渡し価格につきましては、食糧管理法の規定に従いまして、特に現在の状況のもとでは、国民食糧としての麦製品のあり方というふうな考え方に立ちまして、精米価格との関係とか、そういった幅広い見地から検討され、決定すべきものと考えておりまして、ただ、ただいまお話ございましたような具体的な取り扱いにつきましては、まだ決めておらない段階でございます。
  75. 渡部通子

    ○渡部通子君 私が伺ったのは、そういういろいろの中身じゃなくて、十一月に開かれる米審で麦の値上げ、これが諮問されるのかと伺ったわけです。
  76. 野明宏至

    説明員(野明宏至君) 十一月には米価審議会の懇談会を開くことを予定しておりますが、これはことしの春の米価の際にいろいろ論議がございました生産者米価の問題につきまして、委員の全員懇談会を開いて論議をするということは予定されておりますが、麦の問題につきまして米価審議会を開くことは、現在のところ、まだ予定されておりません。
  77. 渡部通子

    ○渡部通子君 農林省は、当初損益見通しでは、外麦分として、管理費を含めて七十八億円の赤字を見込んでいらっしゃいました。しかし、その後円高差益分というものは、先ほどもお話に出ましたが、六百億と、こう言われています。この中には国際価格の低落も十分入っていると思いますが、締めてプラス・マイナスして黒字はどのくらいと見込んでいらっしゃいますか。
  78. 野明宏至

    説明員(野明宏至君) 外麦の損益につきましては、これはもろもろの要因がございまして、現段階で的確な見通しを申し上げられる段階じゃございませんが、あえて試算をいたしますと、国際価格の最近における低落、それから最近の円高というふうなことによりまして、当初約八十億の損失を予定したわけでございますか、それを差し引きいたしまして、全体で約五百五十億円の利益というふうな現段階の試算となっております。
  79. 渡部通子

    ○渡部通子君 それがそのままストレート消費者還元などと乱暴なことは私は言いませんけれども、それだけの黒字を抱えていらしゃって、ことしの値上げはどういうことになりますか、やはり値上げなさいますか。
  80. 野明宏至

    説明員(野明宏至君) 麦の売り渡し価格の問題につきましては、先ほどちょっと考え方を申し上げたとおりでございますが、その具体的な取り扱いについてはまだ決めておりません。
  81. 渡部通子

    ○渡部通子君 まだ決めておりませんというお返事でございますけれども、先ほど大木委員からもさんざ議論がありましたから蒸し返すことはいたしませんが、やはり円高という問題がこれだけ世の中に騒がれておりまして、これを何とか消費者に還元しろということは、福田総理も指導していらっしゃるような状況の中で、政府が関与する物資というものは、多少なりともせめて上げなかったと、こういうふうにぜひお願いをしたいと思うわけですね。石油でさえ値上げは当分しないということを言っているわけですから、食管の絡みもございましょうけれども、それをいつまでも財政対策の面からしかこのせっかくの円高差益というものに政府として対策をとらない、円高を財政対策としてしか見られないというのでは、私は、発想としては非常に硬直しているんじゃないかと思うわけです。やはり消費者の立場、これだけ先行きに不安を持っている国民に対して、政府が信用を取り戻す上からおいても、せめてパンや、うどんの値上がりがなかったというふうなことしの秋、冬にしていただきたいと思うんですが、それに対する農林省と経企庁長官、先ほどもございましたが、一言御返事をいただきたいと思います。
  82. 野明宏至

    説明員(野明宏至君) 先ほどもお答えしたわけでございますが、麦の政府売り渡し価格につきましては、内麦との関連とかという問題もございますが、現在、米が非常に著しい過剰の中にございまして、来年から米の需給均衡を図らなければならないということで、ことし九十万トンという生産調整であったわけでございますが、来年はこれを約二倍の百七十万トンというふうな規模でやっていかなければならない。そういうふうな時期にございまして、生産の調整と同時に米の消費をいかに伸ばして、国内資源である米を中心とした自給率の高い食糧政策というものをどういうふうに持っていくかというふうな点が非常に大きな問題になっております。これに関連いたしまして、外麦の削減論だとか、いろんな論議もございます。そういったような時期でございます。したがいまして、食糧管理法に基づいていろいろな角度からの検討をいたしてまいるわけでございますが、やはり食糧政策全体をどう考えるかというふうな観点からこの問題は検討され、徹底すべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
  83. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、一応たてまえとしては、食管法の四条の二、また食糧管理法施行令二条の四で、売り渡し価格は家計収入の伸びをもとに算出される上限価格、いわゆる家計麦価の範囲内において輸入麦のコスト価格、国内産麦のコスト価格、精米の消費者価格、その他の経済事情をしんしゃくし、消費者の家計を安定せしめることを旨として農林大臣が定めるということで、るるいま食糧庁から御説明いたしましたとおりでございます。ただ、御指摘のように、消費者の立場から言うと、これだけ円高になっているのになぜ麦が下がらないのかと、そういう素朴な気持ちがあることも私はよく承知しております。そこで、先ほど米の事情などをちょっと申し上げたわけでございますけれども、いずれにしましても、やはり消費者にわかりやすい形で価格が決められるべきものだというふうに思っております。せっかく農林大臣ともよく話し合ってみたいと思っております。   〔理事福間知之君退席、理事西村尚治君着席〕
  84. 渡部通子

    ○渡部通子君 時間がありませんので、最後に沖繩の件について少し伺いたいと思っております。  去る九月に本委員会の派遣として沖繩へ行ってきたわけでございますが、地元のいろいろな御要望もございましたし、それをまとめた形として、私、特に強く感じた二、三について御答弁と取り組み方についての御決意などを伺いたいと思っております。  まず第一に、中央卸売市場の整備のことについてでございます。私どもも朝早くから市場の実態調査に回ってみまして、私もまだ沖繩に卸売市場がないということでびっくりしました。帰ってきてからいろいろな方にお話をしますと、それも本当に驚かれるような実情でございました。まだ沖繩には卸売市場がないのというふうな話でございまして、非常に認識不足であったと痛感をしたような次第です。で、何とか向こうでもつくりたいということに気持ちはあるようでございますか、何しろ卸売市場一つを整備するのに八十億円という多額の経費がかかる、こういうことでございました。中央卸売市場法は復帰時にできたもので、特別措置は適用にならないということです。したがって、現行法では県の負担金が六十億円を必要とするということでございます。とても沖繩の現在の県財政では無理であるということで、何とかそこに特例の措置で軽減をしてもらえないかという話がありまして、私たちもそれは本当にそうだと思ってきたわけです。農業基盤も産業基盤も弱いですし、本当に野菜等が非常に高い。こういう流通機構などを整理して、何とか沖繩の人たちにもう少し安い物価、それから衛生的な取引、こういったものが必要だと思いましたが、それに対する御答弁、いただけますか。
  85. 渡辺武

    説明員渡辺武君) 御答弁申し上げます。  沖繩には、いま二十ほどの卸売市場があるわけでございますが、先生おっしゃいましたように、中央卸売市場というような大規模なものはございませんで、すべて零細で、施設も老朽化した形になっております。私たち、卸売市場の整備につきましては、法律に基づきまして計画的にやっていくということになっておりまして、五十一年度に将来十カ年を見通しました第二次の整備計画というものを立てて、現在実行しておるわけでございますが、その中では、沖繩におきましても中央卸売市場を整備するということが盛り込まれておるわけでございます。五十一年につくりました計画の中では、予定といたしまして五十三年度に用地を取得いたしまして、五十四、五十五で建物を建設いたしまして、五十五年度の末に中央卸売市場が開設するという計画になっておるわけでございますけれども、現実には、その施設・建物が建つ予定地が実は埋め立てを予定しておりますものですけれども、その埋め立て工事が大幅に現在のところおくれておるわけでございまして、いまのところの見通しては、早くてもその第二次計画の後期——五十六年から六十年が後期になるわけでございますが、その期間に建設ができるのではなかろうかというような状況になっておるわけでございます。お話しのございましたように、県の方で推測いたしましたところによりますと八十数億円かかるというようなことでございまして、われわれの方でのこの中央卸売市場の整備につきましての助成は、法律に基づきまして、上限が十分の四ということになっておりまして、復帰時にはこの計画がございませんものでしたから、いろいろ沖繩の開発につきましての特例法がありますけれども、その中には入っておりません。将来これをどうするかという問題があるわけでございますけれども、先ほども申しましたように、建設自体が大分おくれてまいっております。したがいまして、いま早急にということではないと理解しておるわけでございますけれども、埋め立てが済み、現実にそれか着工に至るというまでの間には、開発庁当局ともよく御相談申し上げまして、沖繩県の実情に即した方向で改善が行われるように努力してまいりたいというように考えておる次第でございます。
  86. 渡部通子

    ○渡部通子君 さらに、向こうの物価が高い最大の一つの理由というのは輸送コストが非常にかかるということでございました。それで、本土から沖繩、沖繩においても県内各離島間の輸送というものが非常に困難を来している様子でございます。この輸送手段の整備拡充あるいは運賃補助ということが向こうの人たちの大きな願いでもございました。一番南端にある竹富町というような島に参りますと、本土から沖繩、それでもかなり物価は高いのに、その石垣島よりさらに二、三割高い。しかも、みそ、しょうゆに至るまで二、三割高くなってくると、こういう輸送の状況なんです。竹富島あたりでは、離島物価の抑制と差額補償法を法制上つくってくれないか、こういう要望もかなりありました。これも一点お考えいただきたいことでございますが、その前に輸送の問題でございますね、何とか国鉄の延長という形で考えてもらえないかという。現在、輸送がどういうことになっているか、私は余り詳しくはないんですけれども、何とか輸送にかかる費用をもう少し下げる方法はないか、あるいは国鉄体系のような中に交通体系を組み込んでもらえないか、あるいは国鉄線の導入あるいは国鉄小荷物駅の離島への延長、こういったことに配慮をしていただけないかということです。何とかこれをやってあげることができたならば大変沖繩の物価という点で助かると思うんですが、この点運輸省の御説明をいただきたいと思います。
  87. 吉末幹昌

    説明員(吉末幹昌君) お答え申し上げます。  私ども、お話しございました沖繩に国鉄の船を回したらどうかというふうな趣旨だと思いますけれども、現在本土と沖繩の間には、御承知のように、各種の民間の航路がございます。それぞれの航路で定期航路でございますが、十分な輸送力というものは、輸送供給力というものは確保されているわけでございますので、今後も国鉄が別途新たに連絡船を設けなければならないというふうな状況にはないというふうに考えておるわけでございます。なお、運賃の面でございますけれども、国鉄が連絡船を通しますと、やはりそれなりのコストはかかるわけでございますから、現在の青函航路とか、ああいう国鉄が現にやっているところでもそうなんですけれども、結果的には民間航路との運賃と大差ないというようなことにならざるを得ないわけでございまして、特に、国鉄を就航させればというふうなことにはならないんじゃないかというふうに考えております。  それから、なお、荷物の関係で、沖繩にもそういう国鉄でいま小荷物をやっているのは御承知のとおりですが、そういう扱いができないかというお話も含まれていると思いますが、その点につきましては、現在国鉄と琉球海運との間で連絡運輸を行っております。連絡運輸を行いますと、国鉄の各駅から小荷物を出すことができるわけでございまして、現在、本土各駅から沖繩まで連絡運輸という形で、国鉄ルートを通じまして小荷物が運ばれる、連絡運輸を通じて運ばれるというふうなかっこうになっております。ただ、沖繩の中で那覇だけでございますので、それから先の各島々にはそういう連絡運輸の仕組みはないわけでございます。その辺につきましては、やはり国鉄と船会社との運輸協定でございますので、そういう協定の申し出があれば、国鉄としてもそれについては真剣に検討をさせていかなくちゃいかぬというふうに私どもとしては考えているわけです。
  88. 渡部通子

    ○渡部通子君 開発庁の方は、取り組み方についてはいかがでございますか。
  89. 山田守一

    説明員(山田守一君) 沖繩県の交通輸送と体系の整備につきましては、振興開発計画の中で一つの大きな位置づけをいたしまして、他地域にまさるような毎年度の予算措置を講じまして、特に港湾、空港、漁港、道路等の基盤整備等に努めてまいっておるわけでございますが、いま御指摘ございました離島間の運輸につきましても、関係省庁と十分協議いたしまして、問題の解決に当たってきておるわけです。
  90. 渡部通子

    ○渡部通子君 最後にもう一点、ベトナム難民の問題も——これはちょっと物価とは直接関係がありませんが、大変大きな課題でございました。それで、特に与那国島あたりでは非常に財政的にも困るということでございまして、隔離所みたいなものを建てるとか、あるいは財政を補てんするとかというようなことが必要になっていると思いますが、これについて何らかの前向きの施策かあるかどうか、やっていただけるかどうか、御答弁いただきたいんですが、開発庁ではそういう話を掌握していらっしゃいますですか。
  91. 山田守一

    説明員(山田守一君) 私のところは沖繩の振興開発計画に当たっておりますので、承知いたしておりません。
  92. 渡部通子

    ○渡部通子君 そうすると、ここでは御答弁いただける方……。
  93. 吉川元信

    説明員(吉川元信君) 私どもの課の所管ではございませんが、聞くところによりますと、一応日赤関係の特殊法人その他宗教関係のところで全部引き取っていただいたというふうに聞いております。ただ、正確な内容については私はわかりませんが、そういうふうに聞いております。
  94. 渡部通子

    ○渡部通子君 これは御答弁の該当者はいないようでございますね。——じゃ、以上で、
  95. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 関連。時間もありませんので、一つだけお伺いをしたいと思います。  いままで経企庁から出されるいろいろな消費者物価動向、これを拝見いたしまして感じますことは、大体生鮮食料品が上がったときに物価が平均的に上がっている、こういうことだろうと思いますね。特に水産物につきましては非常に顕著なそういう動向を示す場合があるようでございます。先ほども御答弁の中にございましたように、最近の消費者物価の中では特に水産物が上がっていると。先般やはり当委員会の行政視察で鳥取、島根に行ってまいりました。そのときに非常に感じましたことは、やはり消費者物価を安定させるためには円滑な供給、これが必要であろうかと思いますね。  ところが、二百海里水域の問題をめぐりまして、すでに長官も御報告を受けておられると思いますけれども、いろいろないまトラブルが起こっておるわけです。臨検される、罰金を取られる、拿捕される。せっかく常々として苦労して魚をとった、臨検された、罰金こそ取られないけれども、港に入ってくる、港に入ってくると必ず検疫を受けなければならないわけですね。そうしますと、大体一時か二時に入港するのがたてまえだそうです、朝四時ごろに市場に出すそうですから。ところが、検疫官が実際夜中に出頭しまして調べるわけにいきませんわ。連絡を受けて、そしてやっと船にたどり着くまでには、その間七、八時間から十時間経過する。こうなれば、申し上げるまでもなく、相当おくれて市場へ魚が入るわけですね、魚価は半値だと言うんです。こういったことが必ずしも鳥取の境港に起こる現象だとは私思いません。恐らく北海道を初め、日本国じゅう至るところにそういう被害を受けている生産者の方々が大ぜいおられるだろう。昨日も外務委員会でいろいろな報告を受けました。もうすでに百隻以上罰金を取られたり拿捕されている。こういう実態が述べられております。今後ふえこそすれ減ることはないだろう。そうしますと、生産者にとっては大変な脅威、さあ魚がとれない。そうでなくても大変魚獲の割り当てというものが少なく、制限をされているわけですね。そういうことが結局希少価値を生んで、消費者に対しては高いものを買っていただかなければならない。これは単に一時的な現象ではないということだけに、生産者を守る立場からと、それから消費者を守る立場からこれは重大な問題である。私は、特に検疫の問題については厚生省の答弁、きのう満足をいただけるような御回答いただけませんでしたけれども、いかんせん、もし検疫所のあるところに入港すれば、まだ時間的なそういうおくれというものを取り戻すことができるかもしれませんけれども、保健所や検疫所がないところにも入港する船もあるわけです。そうした場合に一体どうなるのかと、いろんな問題が想定されるわけですね。恐らく長官としてもそういう報告をお受けになって、これは捨てておけない、当然、農林省あるいは水産庁、そういったところとも連携をとられながら、そういった魚価の安定という立場から、どういうふうにいま取り組もうとされているのか、その辺の御見解だけをきょうはただしておきたいと思うんです。
  96. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私の郷里も実は長崎県で水産県でございますので、水産関係の方が二百海里時代を迎えて非常に御苦労されておる状況をよく承知をいたしております。いま御指摘のような点がいろいろあることも承知いたしております。したがいまして、やはりこれらの問題、外交上の問題、非常にむずかしい問題もございますけれども、生産者の方が安心して操業できるように、そして無用のトラブルが起こらないように、また同時に、国内においてそういう水揚げをする際に、いろいろな手続が不十分なために不利益をこうむらないように努力をいたしたいと、関係大臣ともよく御相談をいたしてみたいと思います。
  97. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 早急にお願いします。
  98. 渡辺武

    渡辺武君 私は、為替差益物価への還元の問題について伺いたいと思うんですが、いま石油とか、それから電力業界、先ほども御質問がありましたけれども、麦の食管会計その他、最近の円の急騰によって非常に大きな為替差益が生まれておるというのが実態であります。  石油業界の例をとってみますと、昨年度も大分為替差益が出ておりますが、今年度の上半期だけで日石が百三十億円、三菱が九十億円、丸善が五十億円の為替差益ということで、相当これは大きいですね。ところが、その反面で石油製品価格の動きを見てみますと、ガソリンのような過当競争ぎみのものについては卸売物価消費者物価ともに値下がりが若干見えているようです。しかし、私が昨年の八月とことしの八月の物価指数で比べてみますと、灯油については横ばいで変わりはないんですが、消費者物価指数については、これは全国の消費者物価指数ですが、若干値上がりの気味がある。これから先需要期を迎えて、恐らくこの値上がりをこのままにしておけば若干上がってくるんじゃないかというふうに心配されるわけです。それから重油の方を見てみますと、A重油の卸売物価指数は若干下がりぎみです。ほとんど横ばいですね。ところが、B重油、C重油ともに上がっている。特にB重油の値上かりはかなり大きいという傾向が出ているわけです。出光がこの間石油製品値上げしないということを発表しましたが、国民がいま特に期待しているのは、この大きな為替差益物価に還元して、特に家庭で使っている灯油あるいは農民が使っている重油、あるいは漁業用の燃油と、こういうところはぜひ下げてほしいというのが一致した願いだろうと思うんです。ところが、この十四日に発表されました政府円高に伴う物価対策の推進についてというあの対策ですね、六項目の対策の中に、いま私が申し上げたような品目が入っていないんですね。私ども、きのう、総理大臣もとよりですが、石油連盟の会長と、それから電気事業連合会の会長さんにも為替差益物価引き下げの方向に役立てるべきだという申し入れをいたしましたけれども、やはり政府としてもこの問題は取り上げるべきじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  99. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 十月の十四日の物価担当官会議で私どもが六項目の発表をいたしましたのは、この時点までに大体まとまったもの、そして具体的なアクションが起こせるものをとりあえず急いで出したわけでございまして、これがすべてではございません。このほかにもいろいろこれからも工夫していきたいと思っておるわけでございます。石油製品の価格については、私ども、基本的にはやっぱり市場のメカニズムを通じて自由に決定されるべきものだと考えておるわけでございますけれども、ただいまお話しのように、一部有力な元売会社で今春発表しました値上げの撤回の意向を表明したということも承っておりますので、やはり為替レートの動向、それから、同時に、若干OPECの値上げ等の問題とか、あるいは備蓄とか防災とかいう面でコストのかかる面もあると、そういう面をやはり総合的に見ながら適切な対応を図っていくことが大切ではないかと思っておる次第でございます。  なお、灯油、B重油等にお話がございましたけれども、四十八年の平均から五十一年の九月までを見ますと、ガソリンの場合は税込みで二・〇三倍、ナフサか三・九〇倍、灯油が二・四八倍、軽油が二・七〇倍、A重油は二・六六倍、B重油が三・三二倍、C重油が二・八八倍と、それぞれの事情がこれはあると思いますけれども、価格体系をどう考えていくのかという問題もこれから中・長期的にはやっぱり考えてしかるべきではないかと思っておるわけでございます。
  100. 渡辺武

    渡辺武君 物価担当官会議で、この石油価格の問題あるいは電力料金の問題、あるいは麦の為替差益の問題こういうような問題を取り上げたけれども、この六項目の中に盛り込まれなかったというような話も私どもの耳に入っているわけですよ。何か特別に問題があってのことですか。それとも、今後ともにこれらの品目についてやはり為替差益を価格に還元するという方向で検討する用意はあるんですか。
  101. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私ども、たとえば電力の問題一つとりましても、やはり今回の円高によって電力会社にかなりの利益が出てくると、そういう問題を一体料金との関係でどう考えたらよいかというようなことは、それぞれ担当官庁といろいろ検討はいたしておるわけでございます。ただ、物価担当官会議でこういうふうにいたしましたというところまで至らなかったということでございます。しかし、その後、御承知のとおり、電力については、できるだけ長期間現行の価格に据え置いていきたいというような関係当局から意思表示がございましたので、私ども、ある意味において円高が反映されたものというふうに考えておる次第でございます。
  102. 渡辺武

    渡辺武君 きょう、私は、時間がないので、石油製品の問題についてだけ取り上げたいと思うんですが、石油製品について関係省庁と検討したけれども六項目の対策の中に取り上げるまでに至らなかったとおっしゃったんですが、その至らなかった問題点はどういう問題点がありましたか。
  103. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) 今回の六項目の対策の中に、民間取扱物資の問題は一括して第五番目に掲げてあるわけでございます。石油製品の問題については、かねてから非常に重要な問題ということで、私どももこの円高の反映について関心を持ってきたわけですが、御承知のように、有力な元売会社が値上げを一度打ち出したものを撤回したというようなことから、どうも灯油等についてはこれからも安定的に推移するであろうというふうに認識をしたわけでございます。そういうことでございまして、現実の姿といたしますと、円高がかなり反映しておるというふうに思うわけです。今後円高がさらにどういう形で進展するのかということになりますと、いろいろな見方があると思いますけれども、石油の場合でございますと、一方でOPECの値上げというものがあるかもしれない、そういうようなこともございますので、円高と、それからそういう海外価格の取り扱い、そういうものをこれから総合的にながめていく必要があろう、そういう意味で注視をしていきたいと思っておるわけでございまして、事態の進展に応じては五番目の項目によっていろいろ対応できると思っております。
  104. 渡辺武

    渡辺武君 通産省からおいでいただいていると思いますが、石油業界全体で大体今年度どのくらいの為替差益が出る見通しなのか、それからまた、その為替差益を製品の値下げに活用するという可能性についてはどうなのか。特に私どもは、先ほど申しましたように、家庭用の灯油ですね、それから農業用の重油と漁業用の燃油、この辺は選択的にぜひ値上げすべきじゃないかと思っておりますが、その点について伺いたいと思います。
  105. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 先生御存じのとおり、為替レートが一円変動いたしますと、石油製品につきましては、キロリットル当たり八十五円程度の原油代が割安になるというような計算がございます。これを前提としまして、たとえば昨年に対しましてことしの上期の実績を見ますと、為替レートが二十円円高になっておりますから、この計算で数字を出してみますと、約五千億円程度——これは年率でございます。年ベースに直しますと、約五千億円程度の為替メリットが算出されるということになります。地方、このような為替メリットの発生に対応しまして、別途ことしの一月及び七月にOPECが原油価格を引き上げたことは御存じかと思いますが、それの影響が年ベースに直しますと、大体五千億円強というような数字もございまして、原油代のアップのほかに、その他備蓄なり防災費なり、あるいは関税も引き上げになりましたが、そのようなコストアップも含めて本年度の上期について考えますと、為替によるメリットはこのようなコストアップの要因によって相殺されておるという結果ではないかと思います。  したがいまして、このOPECの値上げを背景といたしまして、ことしの三月ないし四月ごろから石油会社は二千円ないし二千四百円程度値上げをしたいということで打ち出したわけでございますが、為替高の関係もございまして、その値上げは浸透せず現在に至ったわけでございますが、ごく最近一部の元売石油会社が現在の石油製品価格で据え置くということに方針を出しておりますので、今後、灯油も含めまして、石油製品全体について現在の価格水準が維持されていくというふうに私どもは考えている次第でございます。
  106. 渡辺武

    渡辺武君 値下げをしたらどうだという問いに対して、いまの製品価格が維持されていくだろうということで満足しているような御答弁があったわけですが、それにしましても、いまおっしゃった為替差益五千億円、それから一〇%の値上げでそれが帳消しと、そのほかコストアップで一千五百億円ですか、これでは値上げしなきゃやっていけないというような数字になっているわけですね。一体、そんな漠然とした大まかな数字国民は納得できましょうかね。もう少し詳細な計算根拠など、これはありますか。
  107. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 先ほどの五千億円の為替メリットにつきましては、一円当たり八十五円というメリットに対しまして二十円の為替高ということで、それを五十二年度の輸入見込み二億八千六百万キロリットルをかけて計算すれば出てくる数字でございます。  それから、その他のコストアップ要因でございますが、これは私どもの方で備蓄関係あるいは防災費の関係、あるいは関税のアップの金額といったようなものをそれぞれ積み上げて計算したわけでございますが、たとえば備蓄法によりますと、五十一年度末七十五日の備蓄目標が五十二年度末八十日まで高められております。これに対応して各企業とも備蓄用のタンクの建設というふうなことが必要となってくるわけでございますが、このような費用、あるいはコンビナート法の制定に伴いまして、たとえば自衛防災組織、具体的に言いますと、大型の化学消防車を置くとか、あるいはオイルフェンスを張る船を置くとか、油の回収船を持って置くとかいうふうな、いろいろな規定が設けられたわけでございます。さらに、そのほか消防法の強化もあります。防油堤を強化するというふうなことも必要になってくるということになるわけでございますか、そのようないろいろなコストアップ要因を積み上げまして、備蓄、防災関係のコストで全体としまして約八百六十億円程度。それから関税は、本年度から百十円原重油関税が上がったわけでございますが、この関税アップの分も含めまして、在庫原油の調整等もありまして七百億円程度の増加で約千五百億円というようなことになると考えておるわけでございます。
  108. 渡辺武

    渡辺武君 どうもまことに抽象的かつ漠々とした答弁で、それじゃとても私も納得できないし、それから国民も納得できないだろうと思います。詳細なやはり計算根拠ですね、これをぜひ資料として提出していたたきたいと思います。——委員長、ひとつお取り計らい願いたいと思います。
  109. 西村尚治

    理事西村尚治君) 提出できますか。
  110. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) ただいま御説明いたしました計算につきまして、いろいろな前提を置いた数字でございますので、それにつきましての概要はわかるような形にしたいと思います。  なお、一つ御説明さしていただきたいと思いますけれども、本年度の上期につきましては、先ほど言いましたように、為替メリットか発生しますと同時に、コストアップもいろいろな形であるわけでございますが、その結果、本年度の上期、つまり九月決算はまだ全体集計が終わっておりませんけれども、その数字を推定してみますと、本年三月期よりも若干石油精製業の経理状況は悪くなるだろう。特に赤字を計上しております会社の数がふえていくというふうな見通しでございます。
  111. 渡辺武

    渡辺武君 資料を提出してくれるということで、それは改めて検討したいと思いますが、いま伺った範囲を考えてみましても、私どもが出光石油の事例で計算したところと大分これは大きな食い違いがあるんですね。なぜ私どもが出光石油の例で計算したかと申しますと、昨年の二月の値上げの案の発表、それから今回値上げしない、いわば撤回したというような動きなどを見てみますと、やっぱり業界のプライスリーダーの役割りを果たしているんじゃないかという感じもしますものですから出光石油を例にとって計算したんですが、出光石油の計算方式どおりの計算方法で計算をしまして、そして原油が一〇%上がった、それからその他のコストも上がったということを見込んでも、私は、販売価格は十分に引き下げるだけの余地がある、可能性が非常に強いということを結論として申し上げざるを得ないのです。  細かい数字になりますので、委員長のお許しをいただいて、大臣と政府委員に資料をちょっと渡したいと思います。  その資料をごらんいただきながらお聞きいただきたいと思うのですが、出光石油がことしの二月十日に、OPECが原油価格を七・二%上げたということを理由にして、三月から石油価格キロリットル当たり三万一千円を三万三千四百円に引き上げる、二千四百円引き上げたいという値上げ案を発表しました。これは先ほど申しましたように、実現はしなかったわけですけれども、その際、出光は、この値上げの根拠の数字、計算方法をユーザーに説明しております。それで、この出光の値上げ数字や計算根拠、この点については通産省は御存じですか。
  112. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) その時点で出光から内容については聞いております。
  113. 渡辺武

    渡辺武君 それでは、もう大体頭へは入っていると思うんですが、お手元に差し上げた資料の一番左の方ですね、標準額というのがあります。これは値上げ直前の重油の価格とその内容であるコストの各中身を書いてあるわけですが、当時一バレル当たり十二ドル五十八セントという値段で、円レートは三百二円、一ドル三百二円というレートでありました。その右にAという欄がありますね、これは出光が二月の十日に値上げ案を発表した、その説明の数字です。  それで原油払出価格というのがあります。これは出光が石油輸入して、実際支払った価格です。これはキロリットル当たりで標準額が二万三千五百六十円のところをOPECが二本立て値上げで七・二%のアップがあった。ところが、その反面で円レートは二百九十五円に上がったということで、その値上げ分と、それから円レートの値上がり分、これを勘案して払出価格は二万五千百二十円だという計算を出光はしております。  それから関税、これは値上げ前と、それからその発表当時とやはり同じく一キロリットル当たり五百三十円という価格で表示しております。  それから自家燃料費調整というのがあります。これは石油を精製しますというと、目減りがある、五・三%ロスがある。この五・三%のロス分を自家燃料費調整分としてここに計上しているわけであります。これが千二百七十円が千三百五十円にコストアップする。  それから次が精製費、この精製費の計算方法が非常におもしろい方式でやられているわけで、これは精製費の中で変動する部分が約六五%ある。これは人件費等だというんですね。それに五十一年度と五十二年度の卸売物価指数を掛け合わして、そして算出するという方法をとっております。つまり標準額というのは昭和五十年度の価格とほぼ匹敵しているものですから、そこでそのうちの六五%分について卸売物価指数を二年度分掛け合わして、そして算出した。で、精製費標準額千八百円のところが値上げ発表時には千九百四十円になっておる、こういう計算です。  それから輸入石油製品分調整、これは標準時と値上げ発表時が同じく五十円ずつ。  それから販売管理費、これも精製費と同じような計算方法ですけれども、国内運賃とか人件費等、販売管理費の中の九五%が変動するとして、五十一年度、五十二年度の卸売物価指数の上昇率を掛けて販売管理費の上昇分を出しているわけですが、標準額二千三百五十円のところを値上げ発表時には二千六百十円という計算をしております。  それから金利、これは大体八%という計算で計算しておりますし、それから石油の備蓄費用ですね、これは先ほど御答弁がありましたけれども、昭和五十二年度中に八十日分の備蓄をする、そして九十日分を目指すということでどのくらいのコストがかかるかということで計算しているわけで、キロリットル当たり百九十円、これは値上げ時も同じ。それから防災、先ほどお話のありました、これは百三十円ということで、それから利潤は値上げ前も値上げ後もともにキロリットル当たり百八十円という計算で出しているわけであります。  それで、一番下の欄に三万一千円の販売価格、これが三万三千四百円にならないとならぬということでメーカーに説明したわけですね。  もしこの計算方式、これをもう会社の計算どおりに使って、そうして為替レートが二百六十円になった場合、しかも、先ほどおっしゃったように、OPECの値上げ、七月から一〇%上がりましたから、その一〇%上がったということを考慮して計算するとどうなるのか。原油の払出価格はこれは二万二千六百円に下がります。標準額は、先ほど申しましたように、二万三千五百六十円ですから、九百六十円キロリットル当たり下からなきゃならぬ、こういう計算になります。関税は、先ほどお話もありましたが、若干今年度から引き上げられておる。これを正確に計算しますと、値上げ前五百三十円のところ、今回は六百五十円に計算しなきゃならぬ、キロリットル当たり。百二十円のコストアップということになります。それから自家燃料調整費これも出光の計算方式で計算しますと、五十一円のコストの低下、千二百十九円のコストということになります。精製費も出光の計算どおりで計算しますと千九百四十円になります。それから輸入石油製品分調整、これは出光の値上げ案と同じように一キロリットル五十円というふうに算定して計算しました。販売管理費、金利その他すべて出光の計算どおりに計算する。そうすると、どういうことになりますかといいますと、販売価格は三万八百六円です。だから、標準時に比べて一キロリットル当たり百九十四円値下げすることができる、こういう計算が出てまいります。  なお、念のため一ドル二百五十円レートになった場合はどうなるのか。同じような計算で販売価格は二万九千八百七十円に引き下げることができる。標準時に比べて千百三十円の値下げができる、こういう計算が出てまいります。私どもは、出光の計算方法、これをそのままのみ込んで、そして為替レートが下がり、OPECが一〇%の値上げをしたということを織り込んでこういう算出をしたわけです。  これを見てもわかるように十分値下げの余地はある、この点をどうお考えになりますか。
  114. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 各社が値上げを発表いたします場合には、各社ごとにその会社のコスト計算をいたしまして値上げ幅を決めるわけでございます。その結果、ここに書いてありますような各項目についても各社ごとにいろいろ違う計算になっております。この計算はもちろん出光のケースでございますけれども、ここで、たとえばBやCの場合を考えてみますと、為替レート二百六十円あるいは二百五十円ということで全体の計算をしておるようでございますが、先ほど私御説明いたしましたのは、本年度上期の実績は二百七十二円であった、ですから、その二百七十二円ということで、これは出光なら出光という特定の会社でなしに、業界全体としての為替メリットあるいはコストの増加分がどういうふうにとらえられるかという、比較的マクロなとらえ方でございますが、それを御紹介したわけでございます。したがいまして、今後、本年度全体としての為替メリットはどうなるか、あるいはコストのアップがどうなるかということにつきましては、いまから先、つまり本年度下期の為替レートがどうなるかということを見定める必要があるかと思うんです。これについての見方ももちろんいろいろあると思いますし、その見方によっては、あるいはこの計算のような数字を使うということもあり得るかとも思いますけれども、いずれにしても、これについては現在の二百五十円台の為替レートが非常に流動的だということで、その動向を見きわめる必要があるかと思います。  それともう一つは、ここの試算に書いてありますのは、本年七月の原油価格のアップまででございまして、現在伝えられております本年十二月のOPECの総会で来年一月以降の原油価格がどうなるかということが議論されているわけでございますけれども、これについてOPEC総会の決定の仕方といったことも非常に重要な事柄になるんではないかと思います。そういうような諸点を考えながら、今後の石油製品価格の動向については検討すべきじゃないかというふうに考えております。
  115. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、いま御答弁で挙げられたのは、為替レートの問題と、それから十二月にOPECがどのくらい上げるかという二つの点を特に強調されたわけですね。  それで、その問題は後から少し研究したいと思いますが、この出光の計算方式、これについて、あなたは値上げ発表時にこの内容は知っていると言われたけれども、この計算方式は一体適切なものなのか、適切でない点があるのか、これはどうですか。
  116. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 先ほど言いましたように、各社ごとに区々の計算をしているわけでございまして、私どもは、その各社が値上げを発表する前に事実上内容の説明を求めておりますけれども、それについてその適否を判断するということではございません。そういうことで、この表のAの欄をもとにして三月一日から出光が二千四百円値上げしたいということを発表したのが経緯ということでございます。
  117. 渡辺武

    渡辺武君 いや、それはちょっと逃げ口上じゃないですか。なるほど出光というのは一つの会社です。石油連盟の加盟各社の中の一つですわな。しかし、出光は、さっき申しましたように、プライスリーダーの役割りをしていると思われる節がある。なぜかと申しますと、二月の十四日に出光が値上げを発表した。そしたら、それに続いて十五日には共石が値上げを発表した。その後、前後して、これは公式には発表されなかったけれども、シェルも丸善も九石もそれぞれ関係特約店に値上げを通告している。その内容はどうかというと、各社共通なんですよ、各社共通。各油種等額、キロリットル当たり二千四百円の値上げだと、こういうことを発表したわけですね。あなたは、出光とほかの会社とはそれぞれ計算が違うんだと、内容が違うんだと言っているけれども、値上げをしたいという額は、みんな二千四百円ですよ。共通の計算方法でやっていることはこのことでも明らかですわ。だから、これは業界共通のものと見て差し支えない。今度も、恐らく業界を代表した形で出光が値上げの撤回ということをやったんじゃないですか。ちょっとあなたの説明は私は納得できませんし、事実に反している。
  118. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 確かに出光あるいは日石といった会社が業界全体のプライスリーダー的な働きをすることは事実かと思いますけれども、出光が二千四百円の値上げ発表をしたときのコストについての考え方は、いまいただいたようなことかと思いますが、しかし、その他の会社は、それぞれの会社のコストにつきましては、また別の見方をしておりまして、その結果、実は希望する値上げ幅というのは出光の三下四百円とは非常に違った数字になっております。しかしながら、先ほど言いましたように、出光がプライスリーダー的な働きをしますから、それより高い値上げを打ち出しても、とてもそれは浸透しないというふうなことで、各社ごとのコストについての見通しと言いますか、推計とは別に、一応値上げ幅は出光に追随したというふうな結果になっていると、決してその内容が同一ということではありません。
  119. 渡辺武

    渡辺武君 ということは、つまり出光の発表した二千四百円の値上げに追随した、あるいは追随できるということだろうと思うんですね。もし出光の計算方式で値下げが可能であるならば、ほかの会社もそれに追随して値下げをすることができるということになろうかと思うんですね。  そこで、先ほど問題にされていた為替レートの問題、これを申し上げたいと思うんです。先ほどの御答弁ですと、今年度上半期で二百八十円が平均レートだと、それで計算したと言われたですね。ところが、その答弁と、それから先ほど大木委員に、円レート平均二百七十二円でございますというふうに答弁された。これは明確な食い違いがある。私は、この二百七十二円の方が事実に一層接近した数字だろうと思う。なぜかと言えば、その二百八十円というのは、四月に二百七十六円十八銭、もう二百八十円台を四月の段階で割っているんですよ。その後ずっと円レートは一路高くなっている。現在では二百五十一、二円というところまで来ているわけでしょう。二百八十円という換算レートがいかに現実から離れたものかということは明らかです。仮にあなた方がおっしゃった二百七十二円という数字で二百八十円との差を出してみると八円でしょう。あなた、先ほど円レートが一円動けばキロリットル当たり八十五円の為替差益が出るんだと、こうおっしゃっている。そこで、一円について八十五円だから、八円の差額になるとどのくらいになるかというと六百八十円為替差益が出るんです。今年度の扱い数量、あなた方に聞いたら約三億キロリットルだと言う。三億キロリットルをこれに掛け合わせたら約二千億円という新たな為替差益の算出ができるんです。あなた方の二百八十円というレートの計算、これは為替差益をやっぱり不当に低目に計算する、そういうやり方ではありませんか、どうですか。
  120. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 大変恐縮でございますが、先生の聞き間違いではないかと思います。私は、昨年に比べまして為替レート二十円円高になったという計算をすれば先ほどのような数字になるということを申し上げたわけであります。
  121. 渡辺武

    渡辺武君 上半期と言ったでしょう。
  122. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 上半期でございます。そのもとは、昨年の為替レートの実績は二百九十二円だったのでございます。本年度上期の為替レートの実績は二百七十二円でございます。したがいまして、その差額二十円を昨年度に対比しての数字ということでとらえて計算をして全体の数字を御紹介したわけでございます。
  123. 渡辺武

    渡辺武君 その点は、私、時間があればもう少し突っ込んで論議したいと思うんです。残念ながら時間も大分迫ってきましたのでね。  私どもがなぜこの二百六十円、二百五十円というレートで計算したものをあえてあなた方にも提起しているかという理由を申し上げたいと思います。  それは御承知のように、為替レートが二百六十円台割れをしましたのは十月六日の日でしたね、十月六日が二百五十九円三十銭という相場でした。その後、一路為替相場はずっと高くなりましたよ。そして、さっき申しましたように、いまは二百五十円台もすれすれというところへ来ているわけですね。ですから、最低限十月以降二百六十円から二百五十円の間の相場で支払いが行われているわけですよ。大体、石油というのは四カ月のユーザンスでしょう。これか普通だと思う。だから、原油が港に着いてから四カ月たって、たったときの為替相場で実際の支払いが行われているわけですな。そうでしょう。ですから、もっと言えば、私は、十月以降じゃない、もっとそれ以前の着到部分についても二百六十円から二百五十円の間のレートで計算はすることができる、そう思います。そういう意味で、二百六十円と二百五十円の二つのレートで計算した表を出しているわけです。  しかも、十月からと私申しましたが、一月から九月までの間にどのくらい石油各社が合計して為替差益を手に入れているか、これは私どもの新聞「赤旗」の十月二十三日号に詳しい計算方法を示して正確に計算してありますので、後からごらんいただきたいと思うが、私どもの計算によると、この一月から九月までの間で二千八十五億五千七百万円の為替差益石油各社の手元にすでに生み出されている。もしこの二千億円を超える為替差益も価格安定のために使うとするならば、いまここに出ている二百六十円のときにはキロリットル当たり百九十四円の値下げができると、二百五十円のときには千百三十円の値下げができる。この数字は、一月から九月までの二千億円の為替差益をぶち込んでいけばもっと下げられるという数字になるんです。いいですか。この点をどう思いますか、非常に明確じゃないですか。OPECか一〇%上げても、なおかつ為替レートはもっとそれよりも急速に上がってるんです。莫大な為替差益がある。少なくともこの為替差益というのは普通の営業行為で稼ぎ出したものじゃない。円が高くなったという、いわば臨時の条件によって生み出されたものでしょう。企業が私すべきものじゃない。企業の社会的性格から言っても、社会的責任から言っても、当然これは消費者に還元すべきものだと思う。この点、重ねて伺いたい、値下げするかどうか。
  124. 古田徳昌

    政府委員(古田徳昌君) 現実に石油会社の為替差損益がどういう形で経理上掲げられているかと申しますと、五十一年上期に四百四億円、これは石油精製会社三十六社の合計でございます。それから五十一年度下期で六百六十八億円というふうな数字になっております。それから五十二年度上期も、恐らく五十一年度上期中におきます為替の動向を踏まえて考えますと、現在のところ数字は集計されておりませんが、恐らく五十一年度下期の傾向を引き継いでいくであろうということは言えるかと思います。  なお、先生のおっしゃいました為替益は、いわゆる原油の買い付け時期と、それからその代金を支払う時期との間の為替差に基づく為替差損益でございますが、私が御説明しましたのは、ある一定時期に対して現在の時点の為替レートの変動のために円建てで見た場合の原油価格がどうなるか、つまり全体の企業経営に対しましてのコストに対しての影響だけでございます。為替差益の取り上げ方につきましては、この二通りの方法があるわけでございますが、先生の御説明されましたのは、先ほど言いましたその買い付け時期と支払い時期との差を為替差損益として計上していく、経理上の問題ではないかと思いますが、いずれにしましても、このような形で為替差益が出ますが、他方、これに対応しましてのコストアップ要因が先ほど私が御説明したような形で出てくるということで、この石油製品価格についての考え方は、あくまでメリットサイドだけではなくて、コストアップの要因との対応で判断すべき問題ではないかと思います。したがいまして、上期については、先ほど私が御説明したような形で、むしろコストアップ要因の方が上回るというふうな傾向であったわけでございますが、下期についてどう判断するかということは、先ほど言いましたように、今後の為替レートの動向なり、あるいは今年十二月のOPECの決定内容といったことを踏まえて判断する必要があるんではないかというふうに考えます。
  125. 西村尚治

    理事西村尚治君) 渡辺君、もうそろそろ時間ですから、簡潔に願います。
  126. 渡辺武

    渡辺武君 ええ、簡潔にやります。  コストアップ要因ということを盛んに強調される。しかし、最大のコストアップ要因はOPECの一〇%値上げであろうと思うんですよ。私どもが先ほど一月から九月まで二千億円の為替差益が出ていると言うのは、CIF価格で計算してるんです。つまり日本の港に到着したときの価格、一〇%の値上がり十分織り込み済みのものです。そして実際到着したときの値段と、四カ月のユーザンスで、四カ月後で円レートが高くなってから払っている、それだけ円の使い分は少ないわけですよね。円に計算した価格は低いわけです。その差益、当然これは合理的な計算だと思う。あなた方が、いまの計算、ひとつ詳細な資料を出してほしい。改めてまた検討したいと思う。  いずれにしましても、将来OPECがどのくらいの値上げをするかということについては、神のみぞよく知るです。これについてどうする、こうするということは、いま論議する段階じゃないと思う。また値上げがあったときに、石油各社が詳細な原価を国民の前に公表して、国民的にこれを討議して決めればいいと思う。問題は、いままでの間に莫大な為替差益がすでに出ているし、いま現に出つつあるという状況です。これを私企業が、あの物価狂乱の引き金を引いて国民に大きな迷惑をかけた石油各社が自分のふところへ入れるということは不当じゃないか。少なくとも家庭用の灯油、農業用の重油、漁業用の燃油、これの引き下げに選択的にこれを使えば十分に引き下げの余地がある、そのことを言ってるんです。  どうですか、長官、お聞きになられて、通産省の説明で、値上げは撤回したからこれでいいというふうに御満足いただいたら困るんです。どうしても引き下げたいと、その執念で問題に立ち向かってもらいたいと思う。この石油価格の引き下げの問題については、どう考えられますか。
  127. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいまの通産省と渡辺先生とのやりとりを伺っておりましたが、やはりこれは計算の基礎をもう少し同じ土俵で詰めてみる必要があるんじゃなかろうかと思いますので、その点は、私ども、よく勉強さしていただきたいと思います。  同時に、私は、やっぱり政府としては、石油製品の価格については、いずれにしましても、市場のメカニズムで基本的には解決すべきであると、しかしながら、この情報の提供という点では、できるだけ国民にわかりやすく、どういう仕組みになっておるのかということを正確に提供するのが政府の役割りではなかろうかと思ってるわけでございまして、非常に狂乱物価時等におけるような標準価格の設定とか、そういう立場をいまとっておりませんので、その点は御理解いただきたいと思うのでございます。
  128. 木島則夫

    ○木島則夫君 黒字減らし対策につきまして、夕べ、大蔵、通産、農林、外務、経企の局長レベルでの会議が開かれて、黒字減らし対策が講ぜられたそうでありますけれど、その中で、黒字減らしの額については年度内に最低二十億ドルを目標とする、特定品目についてはオレンジや牛肉の輸入枠の拡大が論議をされたそうであります。  長官、一言で結構です。このくらいの目標はね、単なる議論ではなくて、私は実現をしていただきたいと思います。最低二十億ドル、牛肉の輸入の枠の拡大見通しいかがですか。
  129. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私、まだ全然報告を伺っておりません。いま、どういう根拠でお話しになっているか存じ上げませんので、ちょっと論評を申し上げるわけにはまいらないと思います。しかし、できるだけ名案があればひとつ、今日の経常収支黒字というのが非常に大きな風当たりになっておりますから、ドル減らしのために知恵をしぼってみたいと思っております。
  130. 木島則夫

    ○木島則夫君 十月の十四日に物価対策六項目をお決めになっておりますけれど、この中で牛肉の価格対策にも触れております。とにかく日本の牛肉というのは、はっきり言ってべらぼうに高いですね。ある商事会社の五十一年度の調査でありますけれど、東京、ニューヨーク、ロンドン、ジュッセルドルフ、パリ、ミラノ、主な都市の中で牛肉の値段を調べてみたら、東京の、つまり日本の牛肉というのは群を抜いています。皮肉な話でございますけれど、東京で一番安い品目は、これは比較の問題でもありますけれど、自動車とワイシャツということになってます。したがって、自動車を乗り回すよりも牛肉を食べる方がいまはぜいたくだと言っても言い過ぎじゃないぐらいですね。  そこで、長官、プライベートなことをお尋ねして大変恐縮でありますけれど、市井人として、一市民として、一カ月にどのくらいの牛肉を召し上がって、召し上がるときにどんな感じでその牛肉を召し上がるか。これはせっかくおいでになりました事業団の太田さんにも私はお尋ねをしたい。
  131. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私の郷里は水産県でございますので、まあ、どちらかというと魚の方が私の口に合うわけでございます。しかし、いま企画庁長官として私は物価を預かっておりますので、まあ、あらゆる物を食べております。昨日の夕食のときには豚肉を食べました。これは百グラム百五十円でございまして、小さなこのくらいの二切れ、これが九十グラム、そういうことでかなりおいしいものをいただきました。しかし、牛肉の方はなかなか、二倍以上の値段ということで。きょうの午前中に参りましたときには、国内産の牛肉が三百五十円百グラム、もちろん輸入肉については二百六十五円から、またロースのいいところで三百五十円というようなことで、いろいろな段階がございますが、そういうことでありますので、一カ月にどのくらい食べるかと言われると、ちょっといま正確に計算をいたしておりません。
  132. 太田康二

    参考人太田康二君) 私も職掌柄いろいろ肉の関係も調べておりまして、いま先生の御指摘のとおり、日本の牛肉が——もちろん、品質の比較の問題もあるわけですが、豪州に比べて五倍ぐらい高い、アメリカに比べて三倍だというようなことが言われております。したがいまして、食べるときにそういうことも当然感じながら食べるわけでございますが、私の場合には、どちらかと言いますと、一番安い鶏の肉が私好きでございまして、鶏肉、豚肉、牛肉というような順序でむしろ食べておるというのが実態でございます。
  133. 木島則夫

    ○木島則夫君 プライベートなことで、大変失礼いたしました。  牛肉については、これは幾ら国際市場価格が下がろうが、また円高による差益が出ようが、はっきり言いますと、牛肉の価格に何ら結びつかないところに問題もあれば、また消費者サイドからすれば、いらいらがあると思うんですね。これは将来の国内の自給率を確保する、あるいは生産農家を守るといった立場からは、私も現在の制度を根本的にいますぐ変えるということは無理だということも承知をしておりますけれど、外圧といい内圧といい、これほど高まっている現在、やっぱり制度を根本的に変えないまでも、消費者サイドにもうちょっとウエートを置いた改善はできるはずだという立場に立って、私は個々の具体的な問題について御質問をしていきたいと思います。  政府は、本年度十一月、十二月分のチルド牛肉の輸入分から一キログラム当たり調整金を二百五十円積み上げて六百円を徴収することになった。円高や海外相場の値下がりによりまして輸入牛肉の値段が一段と安くなった今日、私はどうかと思うんでありますけれど、どうでしょうか、農林省に伺いますが、こうした措置が一般末端価格に影響しないように指導をしていくと、こうおっしゃっておりますけれど、現にあなた方がおっしゃっておるチルド肉千七百四十円相当というものも現場ではやっぱり相当上がって売られているという、こういう形も出ています。どうですか、私はやっぱり影響があると見ますけれど、あなた方はどういうふうにごらんになってますか。
  134. 甕滋

    説明員(甕滋君) ただいま先生から御指摘のありました調整金の引き上げの問題でございますが、これは事業団が取り扱っておりますチルド牛肉につきまして、取扱業界で不当な利益になってきているという批判が非常にこの夏ごろまで強く行われたわけでございます。事業団といたしましても、それを検討してまいりまして、事業団本来の機能として内外価格差について調整をするということから、そういった不当に生じている私的な利益については公的なところで吸収をするという趣旨から今回の引き上げを行ったわけでございます。このように、調整金の引き上げの目的は中間段階の利得の吸収ということでございまして、末端価格についてこれを引き上げるとか、影響を与えるということでは全くないわけでございます。しかしながら、こういった引き上げの措置が末端価格に悪影響といいますか、引き上げるような影響を与えるおそれがあるんではないか、現実にそういうようなことがあるんじゃないかという御指摘につきましては、私どもとしましては、末端価格を引き上げないという基本方針から、十一月、十二月、たまたま年末にかけて大事な時期でもございますので、チルド牛肉については量をふやしまして、十二月分につきましては従来ペース、月二千トンぐらいのベースということでやってまいっておりますけれども、それを三千トンにふやすというような措置を講じておりますほか、円高対策の中でもうたってございますが、指定店の目安価格につきまして、事業団の方から適正価格として指示をしておる価格がございますから、その普及、徹底を図るという趣旨で指定店に対する指導も強化しておりますし、また、モニターの制度につきましても、従来から消費者団体等も含めましてモニターをお願いしているわけでございますけれども、それに加えまして、さらに県段階におきましてもモニターを活用していただくという措置もあわせ講じまして、値上がりのないように最善の努力をいたしたいと考えております。
  135. 木島則夫

    ○木島則夫君 もう少し具体的に伺います。  従来的には、大体二千トンのチルド牛肉が入ってきているわけですね。そうすると、指定販売店に行きますのは、そのうちの五百トンですね。間違いありませんね。——で指定店というのは、市場価格形成が行われない、いわば、何と言うか、圏外にあるお店と考えてよろしゅうございますね。そうですね。——そうすると、むしろあとの千五百トンが一般の牛肉店に行って、それがメリットのある作用を起こして価格を下げさせるというのが私は本格的な目的じゃないかと思う。したがって、その指定店というのは、言ってみれば、たとえてみりゃモデルハウスみたいなものですね。これからアパート、マンションを買う、このアパートの一室はこうなっていますよというようなのを見せるような、つまりモデルハウスみたいなものじゃないでしょうか。ですから、第一段階としては私はわかるけれど、むしろ二千トン入っている現在でも、そのうちの千五百トンが一般のいわゆるお店に行く、それをきちっと規格なり価格表示をさせながら一般の価格を下げさせるというところにこそ私は手だてを本当は講じなければいけないんだろうと思いますが、私の言い分間違っていますか。これは事業団からも聞きたい。
  136. 甕滋

    説明員(甕滋君) 先生のお説のとおりでございまして、私どもが考えております畜産振興事業団の役割りといたしましては、これは一般需給価格の調整ということでございまして、国内の需給に見合わせまして輸入牛肉の放出を行い、卸売価格の安定を図るというところにございます。したがいまして、事業団の放出の方法といたしましても、これは一般市場に出していくということで、市場に対する競りでございますとか、需要者団体に対する入札でございますとか、チルドにつきましては、品物が特殊な性格がございますので、随意契約という形で一般の流通ルートに流していくというのが原則でございまして、この結果、昨年からことしにかけて、国内の卸売価格も一割か、それに近いところに現在下がってきている、需給安定という目的は一応達成されてきているというふうに思うわけでございますが、ただ、それが末端の小売価格の方にどういう影響を与えるかというのが重要でございます。  そこで、事業団は末端の小売価格を適正化するという趣旨から、先生がモデルハウスとおっしゃったたとえでございましたが、小売の目安価格を決めまして、一つの展示的なルートとしてそこにチルド牛肉の四分の一程度のものを流して、そこで適正価格を形成させる、それにならって、何と申しますか、残りのチルド牛肉についてもそういった適正価格で売らせるような誘導を図りたいということでございます。そのチルド牛肉の価格自体は、国内産の牛肉とのバランスと申しますか、相互関係がございまして価格形成が行われております関係で、そのチルド牛肉の価格を目安価格に近づけて安定させるということが国内産牛肉を含めた全体の牛肉の安定につながるという認識でございまして、現在、指定店については、従来から八百店の規模で行っておりましたものを二千二百店に拡大をいたしまして、目安価格もある程度引き下げる措置なども講じまして、その徹底に努めているということでございます。
  137. 木島則夫

    ○木島則夫君 事業団にいまの質問伺いたいんですね、もう一つそれに私は追加をしたい。時間がないから簡潔にひとつお願いをしたい。  指定店制度というものを私は否定をいたしません。しかし、これがやたらにたくさんになっても、モデルハウスばっかりふえちゃって、なかなか結構ですけれどと言うんじゃ、これは話にならないわけですよ。一般小売店にそのモデルハウスなり、行政指導というものがいかに影響をするかというところに問題点があるわけで、そこに重点を置いてひとつ事業団の太田さんお答えください。
  138. 太田康二

    参考人太田康二君) 御承知のとおり、事業団の第一義的な任務は、中央卸売市場における枝肉の価格を安定帯の中におさめる、中心価格に収斂させた価格を実現するということにあるわけでございまして、この点につきましては乳用牡犢につきましては昨年の九月から、和牛につきましてはことしの三月から、安定帯の中に完全に入って推移をいたしておるわけです。むしろ価格的に見ますと、前年同月に比べますと八%ないし一〇%下がっているわけです。  そこで、その次に私どもはいかなる手を打つべきかということになるわけでございますが、私どもの第一義の任務はそういうことでございますけれども、せっかく輸入牛肉につきまして、これからの新しい消費の形態として、各部位を表示しまして、全体の肉としてこのくらいの値段であれば各部位はこれで売れるはずだという比価率を出しまして目安価格というものを決めておるわけでございます。これはいみじくも先生が御指摘になりましたとおり、まさに展示的な効果をねらって、これによって他のチルドビーフにつきましても、われわれは同様なことに売られることを期待をいたしておるわけでございまして、それぞれの売り渡し団体等につきまして、農林省を通じまして、当然、それぞれ以外の物もこのあれでいけば売れるはずだからということで御指導をいただいておるような次第でございます。実は指定店だけの監視だけでも大変なことで、まだその趣旨が徹底していない、あるいはもっとしっかりやれというようなおしかりをいただいているようなことでございまして、モニター等も増加をいたして、農林省の御協力も賜って、しっかりやっていきたいと思っておりますが、全体に対する、何と申しますか、指導の点につきましては、いまいったような思想でこの指定店という制度が設けられていることは御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  139. 木島則夫

    ○木島則夫君 あなたの口から飛び出したので、問題をフォローしていきたいと思います。  モニターというお話がありましたね。指定店を監視をし、指定店を指導するだけでもこれは大変だとおっしゃった。大体何人ぐらいで、どんな形でやっているんですか。それで、将来、一般小売店までそういう監視を広めるためにはどのぐらいの人数がかかるんですかね。予算的にもどのくらいのものが必要か、概算で結構ですよ。聞かしてください。
  140. 太田康二

    参考人太田康二君) 現在やっておりますモニターにつきましては、私どもの畜産振興事業団の食肉部の職員を中心として、これは二十七人おるわけでございますけれども、これらを中心として随時——この近辺が中心になるわけでございますけれども、指定店の監視をする。これには農林省の食肉鶏卵課の職員にも協力をしていただいております。それ以外に地婦連にお願いをしまして、これは六百人モニターとしてお願いをいたしております。これ約二千店について調査をしておる。これは一カ月一回ということになっておりますが、それ以外に日本食肉格付協会という団体がございますが、そこの格付員の方を六十人動員いたしまして残りの二百店につきまして調査をしていただく。これだけでは不足でございますから、さらにこれを強化するという意味で、私、数字的には存じ上げておりませんが、今回農林省が国産牛肉の安売り対策を講ぜられます。このためにモニター制度を新しくまたやられるようでございますので、これらを動員してやっていただくということにもなろうかと思います。  さらに、これは来年度の中、農林省の定員の問題に絡んでのお話でございますが、私、常々言われておるわけでございますけれども、これだけ末端のいわゆる小売価格というような問題になりますと、やはりそれを監視する国の職員が要るんではないかということで、物価担当官という制度がかつては例の狂乱物価の時代にできたようでございますけれども、私が聞いておりますのは、農林省でも、たとえば食糧事務所の方をかなりそちらの方に振り向けるようなことを来年度お考えになっておられるようでございます。私どもといたしましては、ぜひそういった国の物価監視の職員なんかをふやしていただきまして、こういった事業は、とても私どもだけの手では、ざっくばらんに言いまして、できないわけでございますから、御協力を賜れば大変幸いだというふうに存じております。  なお、農林省の関係のことは、私詳細存じあげておりませんので、答弁は差し控えさしていただきます。
  141. 木島則夫

    ○木島則夫君 新たに物価担当官というまたお役人をふやすことは、行政改革を強く訴えている私どもといたしましては、これはそのままは受け取れないんです。そこら辺はまあ合理的にやらなきゃいかぬということはわかるのですけれど、たとえば地婦連に頼んでモニターをしてもらっていますね。その費用は農林省からいま出ているわけですか、事業団ですか、ちょっと聞かしてください。
  142. 太田康二

    参考人太田康二君) 事業団でございます。
  143. 木島則夫

    ○木島則夫君 それで、調整金の問題ですけれど、五十一年度が三百七億、本年度見通しとしてどのくらいまでいきそうですが。
  144. 太田康二

    参考人太田康二君) 私ども、とりあえず四月から八月までを集計いたしたわけでございますけれども、これで約百億強という数字を得ております。これから先の問題につきましては、まだ下期の割り当ても私たちいただいておりませんので、何とも申し上げかねるわけでございますけれども、昨年の三百七億というのは、数量もかなりな数量でございましたので、三百七億というような数字も出たかと思います。ただ、今回またチルドビーフを二百五十円上げたというようなこともございまして、これらを勘案しますと、やはり昨年程度の調整金はあるいは出るのではないかというふうに思っておりますが、先ほど申し上げたような数字が現在までの集計で出た数字でございます。
  145. 木島則夫

    ○木島則夫君 実は、この調整金の使い道が余りにも生産者サイドに偏っているいまのこの制度の中で、改善をされるべき私は非常に大きなウエートがあると思うのです。そういう意味で伺いますけれど、五十二年度の指定助成対象事業を見ましても、消費者を対象にしたものが見当たらないというと語弊があります。回り回ってそれが消費者に還元をされると言えば、これはそれまでなんでありますけれど、直接的な対象がありません。したがって、消費者に還元されるような何らかの措置が私はとられてしかるべきだと思いますけれど、直接的なもう少し事業なり還元の仕方というものを考えておいでになりますか。
  146. 甕滋

    説明員(甕滋君) 畜産振興事業団差益につきましては、これは畜産物価格安定法に定めがございまして、畜産の振興あるいは畜産物の流通の合理化のために使うということになっております。その際、生産者、消費者双方の利益を考慮して私ども決定をしておるつもりでございます。その場合、御指摘のありました生産対策に非常に偏っているのではないかという点でございますが、これはあるいは議論になって恐縮でございますけれども、やはり生産の安定は、そのコストダウンなり供給の増大なりを通じて消費者に還元されるべきものでございますし、それから消費の対策につきましても、消費拡大することによりまして、ふえてくる生産が順調に吸収されていくという観点から、生産にも好影響を与えるといった性格のものだと考えられるわけです。したがいまして、差益金の使い方について生産者対策、消費者対策と非常に峻別して見てまいりますのも問題があるのではないかという感じでございますが、ただ御指摘のような、目に見えた形で消費者の利益につながるというような事柄についての配慮が足りないではないかという御指摘につきましては、私どももそのように考えておりまして、実は五十二年度の差益事業の中におきましても、これは流通段階では産地の食肉センターに対する出資等も行っておりますし、また、たまたま本日から開始されました国産牛肉の特別販売事業、これは差益の一部を活用いたしまして、主として乳牡の牛肉につきまして運賃その他の助成を行いまして、原価から計算された適正な価格で安売りをするというような事業を始めておるわけでございます。東京都の場合がきょうからということで、毎週水曜日行ってまいりますけれども、そういった事業にもこれを活用する、あるいは生活協同組合につきましても、そういう事業をやっていただく際に助成をするというようなことを行っておるわけでございますけれども、今後差益の使途をそういったことについてもさらに使うことができないか、いま鋭意検討を進めているところでございまして、広く各方面の御意見を伺いながら対処していきたいと考えております。
  147. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま農林省サイドからお答えがありましたように、産地直売、たとえば二割引とか三割引、産直制度ですね、こういうものもその対象になるでしょうし、あるいはその調整金から国内肉の安売りとか、そういうものの拡大を図っていってもらいたいと、もっと事業団としては、どうですか、そういうものに調整金を使った方がいいと、理事長自身もお考えじゃないですか。
  148. 太田康二

    参考人太田康二君) 私、昨年の十二月に事業団に参ったわけでございますけれども、今日まで事業団をお預かりして事業を運用してまいりまして、二つ運用面で問題を指摘されております。  一つは、チルド牛肉の問題でございまして、これにつきましては利権化しているんではないかとか、競争原理が導入されていないじゃないかというような意味での非難がございました。調整金につきましては、先ほど甕課長が御説明申し上げたとおりの措置を講じていま一つの問題は解決できたかと思いますが、なお、競争原理の導入等につきましては、目下慎重に検討をいたしておるところでございます。  二番目に、いろいろ私どもの評議員会等で言われます問題は、いままさに先生が御指摘になられました膨大な額の調整金なり売買差益金が輸入牛肉勘定に生じまして、一定の額を積みまして、それを助成勘定に繰り入れていろいろな指定助成対象事業に出資なり補助をいたすわけでございますけれども、その際、私も、この間、日経の記者の方にも申し上げたんですが、消費者に対する配慮がその面で足りないんではないかという意味の批判がございます。いま課長も申されたように、生産者対策といい消費者対策といい、どちらを——生産者対策もやっぱり長い目で見れば消費者対策にもなると思うんでございますが、直接まさに消費者を念頭に置いての対策が乏しいと。私どもは輸入牛肉をお預かりしておるわけでございますけれども、これは全体の流通のいいときで三割、通常の場合は二割から二割五分程度でございましょうし、八割は国産牛肉が流通しているわけでございますから、やはり国産牛肉の流通の合理化、国産牛肉のといいますか、やっぱりそこにむしろ視点を当てて流通の合理化を図るべきではないかというふうに前々から農林省とも御相談申し上げて仕事を進めてまいってきておるわけでございますけれども、今回初めてと言っていいのかもわかりませんが、先ほど来御説明もありましたような制度を農林省としてもお決めになりまして、私どもがかねてお願いをしておりました事業に対しまして私どもの助成勘定から補助をするという道が開かれたわけでございます。恐らく先生の御意向では、それをもっと規模を大きくしたらどうだということになろうかと思いますが、最初のことでもございますので、まだ地域も限られておるようでございますが、私は、これが成果を得ますれば、やはり拡大する方向に持っていっていただきたい。私はぜひそのように農林省にお願いするつもりでおります。
  149. 木島則夫

    ○木島則夫君 五十二年度の助成金のうち、畜産経営改善資金特別融資事業という名目で百二十一億五千七百万円が計上されておりますね。これは私が伺ったところですと、畜産パニックが昭和四十八年から四十九年にかけて起こったと。当初、政府がこれは一般会計から特別融資をしたと。しかし、その後、五十一年になって価格が持ち直したけれど、まだ後遺症が残っているというような状態らしいですね。ところが、今度はこの残った分について事業団の方から融資をすることになったというような話も私は——そうではありませんか、聞いております。この辺の真偽と経過的措置について農林省の方からちょっと説明してください。
  150. 続省三

    説明員(続省三君) ただいま畜産経営改善資金の御質問があったわけでございますが、先生お話しのとおりでございまして、四十八年、四十九年に非常にえさが値上がりしまして、そのときの値上がり分を融資をいたしたわけでございます。それに対して利子補給をいたしました。何とかその辺ではおさまったのでございますが、特に肉用牛につきましては価格の下落がございまして大きな赤字を生じました。いろいろ資金措置をその後もとったのでございますが、昨年まで調べました結果を見ましても、なお相当大きな繰り越しの赤字があるということが判明いたしましたので、肉用牛に関しましては四百億円の低利資金の融資を行うということにいたしたわけでございます。この原資は農協の資金でございます。それに対しまして事業団のこの調整金から利子補給を行うということにいたしたわけでございます。肉用牛四百億に対しては、いま数字持ってきておりませんが、四十数億の利子補給額になると思っております。これは五カ年間、末端金利五分ということで融資を行ったわけでございます。
  151. 木島則夫

    ○木島則夫君 何か私がお話を聞いていると、一貫性がないように思うんですね。政府が一貫をしてやるべきところを何か事業団から、肩がわりじゃありませんね、融資をしたということで、何か非常に融通無碍というのか、幅があるようにも思いますね。これは任意的なものなんですか、それとも義務的なものなんですか。
  152. 続省三

    説明員(続省三君) 先生の融資につきましての御質問でございますが、原資はいずれも全部農協資金でございます。ただ、その利子補給額をどこで出すかということでございますが、一番最初の、第一次の畜産経営特別資金のときは事業団から全額出しまして、その後四回ほど融資措置を行ったわけでございますが、その際は国と県で利子補給額を計上したわけでございます。昨年、肉用牛生産振興資金、それから本年の肉用牛の経営改善資金につきましては、事業団のこの調整金を利子補給の方に充てたということでございます。いずれにしても、原資は農協資金でございます。
  153. 木島則夫

    ○木島則夫君 それは原資は農協ということはよくわかるんですよね。政府が利子補給をしたり事業団が、何か多少勘ぐりをいたしますと調整金がこんなに出てきちゃったんだから、今度おまえのところでやれよと、違いますか。
  154. 続省三

    説明員(続省三君) そういうわけではございません。ただ、緊急を要しましたときには、事業団のものをそのまま充てたり、最近は地方財政が非常に苦しくて、なかなか原資を、農協資金を使うとしましても、地方自治体の方で予算計上ができないというようなことも配慮いたしまして、今回は事業団の金を使ったということでございます。
  155. 木島則夫

    ○木島則夫君 この辺は、私ももう少し詰めを行ってから御質問をすべきだったと思いますがね。何か事業団というのはとても融資無碍で、困ったときには、じゃ、事業団に持っていけばいいやということになると、これは困ると思うんだけど、事業団の立場としてどうですか。
  156. 太田康二

    参考人太田康二君) 御承知のとおり、国の予算は主として一般会計で農林省の畜産関係予算は計上されて行われるわけでございますけれども、やはり年度途中で非常に緊要度の高い事業が出てきて、それに、たとえば予備費等で対応すればいいのかもわかりませんけれども、できないような場合に事業団の助成勘定から補助する場合もあり得るということで、私は、基幹的な事業はやはり原則として一般会計の方でめんどう見て、緊要度の高いやむを得ざる事業等について事業団の方で、見ていくというような、いわゆる分担があるのではないか。そういう原則の中で、もちろん例外もあるわけですけれども、そういうような基本的な考え方で運用されておるというふうに理解をいたしております。
  157. 木島則夫

    ○木島則夫君 私もいま事業団の理事長がおっしゃったことは原則だと思いますね。やっぱり基幹的なものは国からきちっと出して、緊急やむを得ざるものについては、それはいろいろの方途を考えるというのはいいかと思いますけれど、何か余りその辺が安易になると、事業団というものの調整金も、これは一体どうなっているのかという疑惑も生じかねないわけでありますから、やっぱりその辺きちっとやってもらいたいと思うんだね。  それから、加工原料乳の不足払いの問題もありますけれど、これも去年度限度数量を超えた分について事業団から補てんをしておりますね。
  158. 太田康二

    参考人太田康二君) 御承知のとおり、昨年度の加工限度数量は百三十八万トンであったわけでございますけれども、夏場の天候が非常に不順でございまして、飲用乳の消費が伸びなかったわけでございます。したがいまして、天候が悪いと牛肉の生産はふえるわけでございますけれども、牛乳の消費がふえませんもので、バター、脱脂粉乳になる。それの原料になりますところのいわゆる加工原料乳が相当大量に発生いたしたわけでございます。年度末で約十三万七千トンたしかオーバーしたわけでございます。ちょっと昔のことを申し上げて大変恐縮なんですが、私が畜産局長をやっておりました当時にも、非常にこれはごくわずかだったんですけれども、オーバーしたことがございました。そのときの措置として、たしか事業団のやっぱり助成勘定でめんどうを見た事例があるわけでございます。それで、今回の場合にどうするかというようなことがずいぶん議論をされたようでございましたけれども、現在の加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の限度数量というものの性格が必ずしもはっきりしていないというようなこともございまして、結局、オーバー分を何かでめんどうを見ろということになりまして、ことしの飲用乳価の価格等を決定されました三月の末の段階において、ひとつ事業団の五十二年度の助成勘定の中からその十三万七千トンのオーバー分を見ろという決定が行われて、私どもがその執行に当たったということでございます。
  159. 木島則夫

    ○木島則夫君 調整金というのは、こういうふうにいろんな角度からこれから検討をして、やっぱり国民の皆さんが納得をする使われ方、方途を講じてもらいたいと思いますね。ここのところはやっぱりきちっと申し上げておきたいと思います。  それから調整金の使い道については、われわれは、たとえば生産者とか消費者を含めた調整金運用協議会、まあ、これは仮称ですけれど、そういうものもつくっていったらいいんではないかとか、いろいろ提言をしているわけです。提言と言えば、もう一つ。私どもは、現在の制度を根本的に変えないまでも、安定上位価格を引き下げて事業団の輸入牛肉の放出量をふやすとか、それに伴って輸入量が増加をする、調整金がふえる、それを共同牧場の補助金とか、あるいは集団肥育の助成金など生産者対策に使っていってもらいたいという提言も実は申し上げてきたわけでございます。こういうことを含めて、ひとつ農林省と事業団双方からお答えをいただきたい。
  160. 甕滋

    説明員(甕滋君) 調整金の使途につきまして先生の御指摘、事業団の調整金と一般会計の予算との関係をきちっとやっていくべきであるということは、おっしゃるとおりでございまして、先ほど事業団理事長からも触れましたように、やはり制度にわたるもの、基本的なものにわたるものは国の一般会計で措置するということで、現にたとえば子牛価格の安定等につきましても、制度の経費は一般会計から出しておりますし、その補完的な緊急的なものにつきましては事業団の差益金を使っているというような、たとえばそういうようなことでございまして、今後もその辺はきちんとやっていきたいということでございます。  その使い方につきまして、生産者、消費者、そういったところの意見を聞くような場をつくってはどうかというようなお話も承っておるわけでございますが、そういった趣旨に基づきまして事業団には現在評議員会というものがございまして、これは一般、民間の方々も加えまして広く御意見を伺うという場になっておるわけでございます。評議員につきましても、先般、消費者代表の方々についても人数をふやすとかいうような人選を行ったところでもございまして、こういった事業団の運営の重要事項については御意見を伺いながらやってまいりたいと考えております。  なお、調整金につきましては、農林省が大蔵省と協議をいたしまして、その執行につきましては、補助金適化法に基づいて、一般の経理がはっきりされるような仕組みで運用をされております。会計検査院も入ります。そういうようなことで、その使途については、そういう疑いのないように厳正な執行を今後とも図ってまいりたいと考えております。  それから価格安定制度についての御提言、まあ安定価格帯のレベルが高い、あるいは安いといったような議論があるのは事実でございます。私ども、御承知のとおり、年度の安定帯につきましては、三月に審議会を開きまして、これは生産者、消費者双方の代表の方々も含めましていろいろ広く論議をしていただいて決めておるわけでございます。また、今後のレベルにつきましては、来年度ということになろうかと思いますけれども、いろいろそういった場で御議論を願い、慎重に決めてまいりたいというふうに考えております。
  161. 太田康二

    参考人太田康二君) 事業団の従来の助成勘定の事業というのはそれほど大きな額ではございませんでしたので、わりあいにその運用に当っては、先ほど来お話のございましたとおり、法令でもちろん一つの枠がはめられておりますし、一件ごとに農林、大蔵の了承を得て実行してまいったわけでございますけれども、そう言ってはなんでございますが、評議員会等にも後で報告するというような程度でいままではやってまいったわけでございますけれども、最近事業団に対する批判も非常に強く出ておりますし、いま課長が申されましたように、ことしの八月十日で任期が切れた評議員を全員かえまして、十五人まで新しい人を入れまして、その中には、従来消費者代表の方も数が余りなかったわけですが、ある程度ふやすというようなことで、この間も新しい委員の方々の第一回の評議員会を開きました。かなり活発な御意見が出まして、これからおたくの重要な業務については皆ここに報告を願うとか、あるいは意見を聞いてもらわなきゃ困るわよというような御意見もあったような次第でございまして、私どもの助成勘定の額も相当多額に上るような今日の事態でございますので、これからは評議員会等の場を通じまして皆様方の御意見を十分伺いまして、それらの意見をもとにして行政庁とも相談をしてその執行に当たってまいりたい、かように存じております。  それから、制度に対する批判の問題につきましては、私も大体いま甕課長が言われたと同じような考えでおりますので、御了承をいただきたいと思います。
  162. 木島則夫

    ○木島則夫君 これで最後にいたします。  最後に長官に伺いたいんでございますが、議論をお聞きになっていておわかりのように、結局、牛肉に対する消費者サイドのストレスというものは、一つは、こういう仕組みがよくおわかりにならないという言い方は失礼かもしれませんけれど、わかりにくいということが一つあるんですね。ですから、いわゆる差益が出ようが、国際市場価格が下がろうが、ちっとも影響ないじゃないかという、その経過説明というものかよくわからない。だからもっとPRをして、なるほどそうなのかということで、ある程度御納得をいただくと同時に、実はいついつまでには大体の目安がつきますよと、安い牛肉とまではいかない、妥当な牛肉がいついつまでには食べられますよという、こういう目安をやはり示していただくことがやっぱり私は政治ではないかと思います。いかがでございましょうか。
  163. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私も全く木島委員と同じ意見を持っております。やっぱり国民にわかりやすく、差益が出たならどういう形でこれが国民に還元されていくかと、たとえそれが生産者対策であっても、それが回り回って国民にどう利益になるかということをやっぱり説明する必要があると思います。その努力は必ずしもいままで十分でなかったと思います。  それから、いつまでに安くなるかという問題、ちょっとむずかしい問題でありますので、もっと牛肉が安く国民の口に渡るように最善の努力を尽くしたいと、こう思っております。
  164. 木島則夫

    ○木島則夫君 ありがとうございました。
  165. 西村尚治

    理事西村尚治君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十分散会      —————・—————