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1977-10-28 第82回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十八日(金曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員異動  十月五日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     河田 賢治君  十月二十七日     辞任         補欠選任      川村 清一君     田中寿美子君      吉田 正雄君     宮之原貞光君  十月二十八日     辞任         補欠選任      田中寿美子君     川村 清一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 省吾君     理 事                 青井 政美君                 初村滝一郎君                 山内 一郎君                 川村 清一君                 相沢 武彦君     委 員                 北  修二君                久次米健太郎君                 坂元 親男君                 田代由紀男君                 田原 武雄君                 野呂田芳成君                 降矢 敬雄君                 坂倉 藤吾君                 丸谷 金保君                 宮之原貞光君                 村沢  牧君                 原田  立君                 藤原 房雄君                 河田 賢治君                 下田 京子君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農 林 大 臣  鈴木 善幸君    政府委員        農林大臣官房長  澤邊  守君        農林大臣官房審        議官       犬伏 孝治君        農林大臣官房審        議官       渡邉 文雄君        農林省農林経済        局長       今村 宣夫君        農林省構造改善        局長       森  整治君        農林省構造改善        局次長      福澤 達一君        農林省農蚕園芸        局長       堀川 春彦君        農林省畜産局長  大場 敏彦君        農林省食品流通        局長       杉山 克己君        農林水産技術会        議事務局長    下浦 静平君        食糧庁長官   大河原太一郎君        水産庁長官    岡安  誠君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        国土庁地方振興        局特別地域振興        課長       平岩 金一君        通産省機械情報        産業局産業機械        課長       鈴木 直道君        郵政省電波監理        局航空海上課長  吉川 久三君        建設省河川局水        政課長      安仁屋政彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○漁業水域に関する暫定措置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○農林水産政策に関する調査  (当面の農林水産行政に関する件)     —————————————
  2. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五日、小笠原貞子君が委員辞任され、その補欠として河田賢治君が選任されました。  また、昨日、川村清一君及び吉田正雄君が委員辞任され、その補欠として田中寿美子君及び宮之原貞光君が選任されました。  また、本日、田中寿美子君が委員辞任され、その補欠として川村清一君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事川村清一君を指名いたします。     —————————————
  5. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 漁業水域に関する暫定措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。鈴木農林大臣
  6. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 漁業水域に関する暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  漁業水域における漁業に関して拿捕した外国の漁船については、適当な担保提供により早期釈放するという措置をとることが国際的に一般化しつつあり、また、今国会におきまして承認をお願いしております日本国地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定においても、このような措置をとるべきことが規定されております。  このような状況にかんがみ、漁業水域に関する暫定措置法等違反により拿捕した外国船舶及びその乗組員に関し、適当な担保提供によりこれを早期釈放するための制度整備を図ることとし、本法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、漁業水域に関する暫定措置法等違反に関し船舶拿捕が行われた場合には、政令で定める取締官が、その船長及び違反者に対し、担保金またはその提供を保証する書面提供があれば違反者釈放され、船舶その他の押収物返還される旨及び提供すべき担保金の額を告知することといたしております。  第二に、担保金またはその提供を保証する書面が告知されたところに従って提供されたときは、取締官または検察官は、遅滞なく、違反者釈放及び船舶その他の押収物返還に必要な措置をとることとしております。  第三に提供された担保金は、主務大臣保管し、違反者が求めに応じて出頭しなかった等の場合には、国庫に帰属することとしております。なお、国庫に帰属しなかった担保金は、事件に関する手続きが終結した場合等その保管を必要としない事由が生じた場合には、返還することとしております。  最後に、経過措置として、この法律施行前における拿捕に関して提供された担保金またはその提供を保証する書面は、この法律に基づいて提供されたものをみなすこととしております。  以上が、漁業水域に関する暫定措置法の一部を改正する法律案提案理由及び主要な内容でございます。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  7. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 補足説明を聴取いたします。岡安水産庁長官
  8. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 漁業水域に関する暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由補足して御説明申し上げます。  この法律提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  第一に、漁業水域に関する暫定措置法規定違反した罪その他の政令で定める罪に当たる事件に関して拿捕が行われた場合には、取締官は、拿捕に係る船舶船長またはその代行者及び違反者に、遅滞なく、担保金またはその提供を保証する書面主務大臣に対して提供されたときは違反者釈放され、船舶その他の押収物返還される旨を告知するとともに、提供すべき担保金の額を告知することとしております。ただし、事件政令で定める外国人が行う漁業または水産動植物の採捕に係るものであるときは、この制度は適用されないこととしております。  なお、取締官とは、司法警察員である者であって政令で定めるものをいうこととしております。  第二に、告知する担保金の額は、事件の種別及び態様その他の情状に応じ、政令で定めるところにより、主務大臣の定める基準に従って、取締官が決定することとしております。  第三に、告知した額の担保金またはその提供を保証する書面政令で定めるところにより主務大臣に対して提供されたときは、主務大臣は、遅滞なく、その旨を取締官または検察官に通知することとし、取締官または検察官は、この通知を受けたときは、違反者釈放及び押収物返還に必要な措置を講じなければならないこととしております。  第四に、提供された担保金は、主務大臣保管することとし、違反者がその求められた期日及び場所に出頭せず、または返還された押収物提出を求められたものがその求められた期日及び場所提出されなかったときは、その翌日から起算して一カ月を経過した日に国庫に帰属することとしておりますが、その国庫に帰属する日の前日までに、当該期日の翌日から起算して三カ月以内の特定の日に出頭しまたはその押収物提出する旨の申し出があったときは、担保金国庫への帰属は停止することとしております。しかし、この場合においても、その申し出に係る特定の日に出頭または提出がなかったときは、担保金は、その日の翌日に国庫に帰属することとしております。  第五に、担保金国庫に帰属しなかったものは、事件に関する手続が終結した場合等その保管を必要としない事由が生じたときに返還することとしております。  第六に、主務大臣は、政令で定めることとしております。  最後に、附則におきましては、経過措置として、この法律施行前に漁業水域に関する暫定措置法等違反する罪に当たる事件に関して拿捕された船舶船長その他の関係者から提供された現金またはその提供を保証する書面で改正後の漁業水域に関する暫定措置法規定する担保金またはその提供を保証する書面に相当するものは、同法の規定により提供されたものとみなすこととしております。  以上をもちまして、この法律案提案理由補足説明を終わります。
  9. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) なお、本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  10. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 農林水産政策に関する調査のうち、当面の農林水産行政に関する件を議題といたします。  これより本件に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 時間の関係もありますので、甘味資源関係のもの、とりわけサトウキビ価格の問題を中心にいたしまして大臣に御質問申し上げたいと思います。  糖安法規定に基づきますところの政府の四十七年十月作成の五十三年砂糖年度国内産糖目標生産費にかかわりますところの「農産物需給の展望と生産目標試案」というのがあるわけでございますが、示されたところの生産目標試案現実のこの生産状況を見ますれば、余りにも開きがあり過ぎるという感がしてならないんです。たとえばビート作付面積生産量サトウキビ収穫面積生産量をずっと年次別に見てみますとそのことが歴然とわかるわけでございますけれども、この生産目標からはるかにほど遠いところに現実の問題としてあるという原因の最も大きなものは何だというふうに政府としては握っておられるのか、そのことをまずお聞かせいただきたい。
  12. 渡邉文雄

    政府委員渡邉文雄君) お答え申し上げます。  五十三年の目標生産費計算の基礎になっておりますてん菜あるいは甘蔗糖作付面積、あるいはただいま御指摘がありました六十年見通し等に考えられております面積につきましては、たとえばてん菜で申し上げますれば、五十三年約七万町歩ぐらいを考えておったわけでございますが、現実には約四万九千町歩というようなことに今年産でなっております。甘庶糖の方はおおむね目標面積三万六千町歩に近いラインに来ておりますが、てん菜の方が特に落ち込みがひどいわけでございますが、これは御承知のように、北海道畑作地帯輪作の中でてん菜が位置づけられておるわけでございまして、たとえば二年ほど前に連続して続きました湿害というようなことで反収が減ったというようなことが、微妙に次の年に反映をするというようなこともあろうかと思います。一時六万町歩台を達成したことがあるわけでございますが、四万二、三千町歩にその後落ち込みまして、幸いことしは五万町歩弱にまで復活してまいったわけでございます。甘蔗糖の方は、先ほど申しましたように、おおむね目標を達成しつつあろうかと思いますが、もう一歩というところでございます。  原因につきましては、先ほど申しましたように、輪作関係で前年あるいは前々年反収等が減りますと、どうしても他の作物を志向するというふうなことがございます。ある意味ではやむを得ないところではないかと思います。
  13. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 天災、いわゆる冷害であったとか、天候とか災害のところにそういう原因を求められておるようですが、これは大分違うんじゃないでしょうかね。毎年冷害があったとかどうだとかということはないわけなんで、たとえばビートで見てみますと、七万ヘクタールなのが御承知のように四・二万ヘクタールしかないというようなこの事実。生産量も落ちておる。三百二十七万六千トンが、計画書を見ましても五十二年度で大体二百四万云々と、こう出ておる。あるいはサトウキビの問題にいたしましても、大なり小なり似ておる。言うなら、単に災害だけでなくて、年々ずっとおしなべて傾向としては減少の道をたどっておるんですよ。  たとえばいま局長は、サトウキビの問題について、収穫面積の問題だけ何か報告があったわけですが、なるほど当初の三万六千ヘクタールが二万ヘクタールですか、それは少ししか違っておらないと言うことができますけれども生産量を見てごらんなさいよ。二百九十七万四千トンというこのねらいが、実際は五十一年度で百五十六万トンしかないという、これは著しい違いですよね。これを単に冷害があったとか、あるいは台風があったという気候現象にだけ農林省は求めておられるようですが、事実と違うんじゃないでしょうか。ずっと低落傾向をたどっておりますよ、これ。その点、もう一遍お尋ねします。
  14. 渡邉文雄

    政府委員渡邉文雄君) 数字面積について若干補足をして申し上げたいと思いますが、ビート面積につきましては、御指摘のように、四十年から四十三年あるいは四十五年ごろまでは五万町歩台を維持してまいりまして、最高になりましたのは四十八年の約六万一千七百町歩まで上がったわけでございますが、その後四万七千町歩、四万二千町歩と大分減りました。特に五十一年度の四万二千町歩落ち込みましたのは、それだけが原因だというふうに申し上げるわけではございませんが、四十九、五十年の湿害というのが非常に反収減につながりまして、ビート農家がそれ以外の作物を志向したというようなことがやはり直接的な原因ではないかと思いますが、幸い五十二年には四万二千町歩から約二割増の四万九千町歩まで復活しております。私どもの方としましても、さらにこの面積増につきましては、各般の施策を講じまして努力をしてみたいと思っております。  それから、キビの総生産量につきましては先生御指摘のとおりでございまして、反収面積は確かに目標値の三万六千町歩に対しましてさほどの差はないかもしれませんが、反収が当初見込みました反収に比べまして伸び悩みが非常に顕著でございます。沖縄と南西諸島と平均しました反収で申し上げますと、ほぼ十年前の六トン台、それが最高でも六・九トンまででございまして、その後一進一退を続けておりまして、一昨年が六・五トン、昨年が南西諸島台風被害等がございまして大分減産をいたしまして六トン台に落ち込んでおりますが、ことしは幸い一部災害がございましたが、かなり復活しまして六・七トンぐらいにはなろうかと思っております。
  15. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 もう少し私は、やはり現実を直視してもらいたいと思いますがね。一番あなた方がねらっておるところは、後から恐らく出るでしょうけれども生産性を高めると口を開けばそういうことをおっしゃる。しかし、現実の問題としては、その生産性と関連をするところの土産量が非常に落ちておるんですね。たとえばビートの問題にいたしましても、当初の計画から見れば百二十万トンも落ちておるわけでしょう。生産量三百二十七万六千トンと言いながら、五十二年度は計画の中を見ますと二百四万トンというかっこうで出ておる。おたくからもらったところのこの資料にありますわね、これに。あるいはサトウキビにいたしましても、五十三年度で二百九十七万四千トンつくり上げるという計画です。ところが、現実には百九十六万トン、百万トンも開きがあるんですよ。これを、先ほども御答弁になりましたけれども天候だけの原因ということになりましょうかね。私は違うと思いますよ。そこらあたり認識から、私は現状認識から背後に問題点があるのじゃないかと思うんですが、これはどうなんですか。——きょうは局長は来ていないのですか。
  16. 渡邉文雄

    政府委員渡邉文雄君) 確かに反収につきまして伸び悩んでおることは事実でございまして、先ほど申しましたように、特に南西諸島につきましては土地条件整備等のおくれもございますし、土壌条件改善等も進んでいないという現実もございまして、当初の見込みに比べましてかなり下回っておることは私ども十分現実は直視しておるわけでございますが、今後生産対策その他も十分講じまして、反収増にはできるだけの努力をしてみたいというふうに考えております。
  17. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 委員長局長はどういう事情ですか。大臣一人じゃないか。あと審議官だけじゃないか。——待っていますよ。そんないいかげんな答弁では困る。きのう質問事項をちゃんと申し上げておるんですから——参議院の農水はなめられているんじゃないのかね、これ。
  18. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 速記をとめて。   〔速記中止
  19. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 速記を起こして。
  20. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 大臣、 お聞き及びだと思いますが、先ほどからちょっとこれは無責任過ぎますよ。これだけやはり減収になっておるという現実を、天候だけにこれの原因を求めるというのは。皆さんやはり議論されて主張されておるところの、生産性の問題とか価格の問題にこれは一番関係しませんか。本当に農民生産意欲をかき立てて、つくりがいがあるというような気持ちになれば、こういうぶざまなかっこうにならぬと思うのですよ。けれども、私はこの間の議事録を拝見いたしますと、とても順調に伸びておるみたいな報告がありますけれども、いま具体的にもらっておりますこの資料をもとにして数字を調べてみますと、決してそうじゃないのですよ、これは。この点についてはこれ以上答弁を求めませんけれども、申し上げておきます。  それになお引き続いて申し上げますが、自給率の問題も私はそうじゃないかと思うのです。五十三年度で二八%に置くというのが計画なんですよ、これはね。ところが、現実自給率はどうかということです。これを拝見をいたしますと、四十八年前後のもので二〇%前後に来ておるという、こういう報告がある。なるほどそのときはそれでいいでしょう。しかしながら、糖価安定事業団が発表いたしておりますところの自給率を見てごらんなさい、推移を。大変な落ち込みですよ。四十七年の二〇・二%を契機にいたしまして、四十八年、四十九年、五十年とずっと下がっておるのですよ。糖価安定事業団の年報も、これは推定のようでございますけれども、五十年は一六・三%としてここに出しておる。一体、日本の農作物自給率を高めようというのが、政府農林行政の一番中心だと私は思うのですがね。であるにもかかわらず、先ほど申し上げたところの生産量もさることながら、自給率の面においてずっとこう落ち込んでおる。ここの原因をどういうふうに当局としては見ておられましょうか。
  21. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 自給率については、四十七年が二〇・一%、その後四十八、四十九と下がってまいりました。五十年は推定の段階で一六・三でございましたが、実績は一五・六と、この辺まで御指摘のとおり下がってまいっておるわけでございます。これに対しまして、五十一年は一八・六ということで、まあ二〇を若干下回っておりますが、かなり回復を見せているわけでございます。北海道、特にてん菜糖にありましては、作付の増もかなり見られるというような状況になってまいっております。  ただ、御指摘のように、一般的になかなか自給率目標を描いてもその達成がむずかしいということでございますが、これはもちろん先ほど来御説明を申し上げてまいったかと思いますが、一般的な基盤整備でありますとか、技術の問題でありますとか、そのほか生産条件、そういったものが大きく影響いたしていると思います。時に、この期間は災害等もあったり、天候不順等もありまして、こういうふうに大きく下がったということはありますが、私どもとしては、やはり今後ともそういう生産対策を増強していく。価格面とあわせてそのような総合的な措置をとることによって、今後とも、もちろん種々の困難は伴いますが、自給率向上に努めてまいりたいと考えております。
  22. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それは一年一回や二回災害があったでしょう。だからそれはわかりますよ。たとえば五十年度のビートの場合あたり冷害の問題もありましょうけれども先ほど審議官もそうでございましたけれども、そういうものの原因をあたかも天候異変に求めていくという、その見方に問題があるのですよ。何といっても大事なのは、いかにして農家生産意欲を起こさせていくか。こういうことになりますれば、いわゆる皆さん考えておるところの生産性を高めるためのいろいろな基盤整備とか、そういうものも大事でしょうけれども、やはりつくりがいのあるような、それに見合うところの価格の問題をお互い保障してやるということが一番大事なことじゃないでしょうか。どうでしょうか、大臣、そこら、先ほど来お聞きだと思いますが、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  23. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 甘味資源は、国民食糧の面からいたしましても非常に重要な資源でございまして、できるだけ自給力向上ということにつきましていろいろの施策を進めておるわけでございます。  いま宮之原さんから御指摘がありました、その中でも生産対策基盤整備事業等と並んで価格の問題が大きなウエートを持っておる。生産農民皆さん意欲を持って取り組んでいただくという面から、価格という問題が大変重要であるという御指摘は、そのとおりでございます。  そこで、私ども一遍にはまいりませんが、今年度のてん菜糖価格の算定に当たりましても、従来、生産奨励金——この生産奨励金をいつ打ち切られるかもわからぬというたてまえでございますから、まず今年度はその半分だけを基本価格の中に組み入れまして、そして糖安法規定趣旨に沿いましてパリティによって計算をした。こういうようなことで、価格の面につきましても、政府としてもできるだけの努力をいたしておるところでございます。  なお、来年度も引き続きそういう線に沿いまして改善をしてまいりたい、こう考えております。
  24. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それは大臣自体も、いま御答弁いただきましたように、先ほど私が数字でもって指摘しましたところの事象というのは、これはやはり私は何と申し上げても、価格問題が一つの大きなやはりネックになっていると思います。もちろん、農林省としては、生産性を高めるためのその手だてが十分でなかったからだというところにウエートを置きたいということが、恐らくお答えしたいところでしょうけれども、決定的な大きな要因を持つということは、いまも大臣が言われたように、これはやっぱり否定できないと思います。それだけに、私はこのウエートを持つところの価格の問題を、本当に農家皆さん意欲をかき立てるようなかっこうに持っていってもらわなければ困るのです。けれども、いま大臣答弁されたように、単に生産奨励金を告示価格の中に入れたのだと、これでは私は十分じゃないと思うのであります。不十分だと思いますよ、それは。農家から見れば、率直に申し上げて、手取りがどうふくらむかというところが問題なんですから、手取りがですよ。なるほど不安はありましょうけれども、毎年価格決定のときには、その生産奨励金政府から幾ら出せます、あるいはまた工場側から幾ら出せますということを確約して出すわけですから、それは若干の不安はありましょうけれども、手取りがどうだということがやはり決定的な決め手になると、私はこう思うのですよ。その点を、私はやはりしっかり踏まえておいていただきたいと思うのです。  それで、私は申し上げたいのですが、たとえばサトウキビの例で生産意欲との関係で申し上げますれば、奄美、沖縄の農家にとりましては、このサトウキビ作物というのはこれは米作同様の、言うならばやはり生命農業とも申しますか、これ以外に頼るものはないのですよ。それだから、やはりこれに対するところの価格がどう決められるかということが最大の関心事になるのですよ。私はそういう点で、いわゆる本土におけるところの米同様ぐらいの、現地の農家にとってはこれは大きな問題である。そういう点からこの両者を見てみますれば、御承知のように、十アール当たりの所得、あるいは一日当たりの家族労働の報酬も非常な開きがあるということは、これはもう大臣もお認めのとおりなんです。  したがって、私はどうしてもやはり糖価安定法二十一条に言う再生産を確保することを旨とするところの生産者価格という見地からいくならば、この問題について、もっともっと積極的な意欲をかき立ててもらわなきゃならぬと思うんですがね。ただ、すでにビートが決まると。しかも、ビートを見ますれば、ほとんどパリティ一本にいま決まっているという実態なんですがね。そこにまた、私どもがいろいろ各野党間話し合っていつも改正案として出しておりますところの生産費所得補償方式というものの根本的な考えがあるわけなんですがね。そこのその生産費を保障する、こういうところまでこの問題について価格決定の中で進めていかないことには、私はやはりこの問題の本質的な解決にならないと思うんですが、どうお考えですか。
  25. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) てん菜糖にいたしましても、私は北海道の畑作農業にとりましては、これは輪作等の観点からいたしましても非常に重要な作物だと考えております。また、サトウキビは鹿児島県の南西諸島、沖縄県にいたしましても、ああいう海洋性、亜熱帯性の気候風土の中でそれに適するところの作物としてはビートが非常に重要である、まさに基幹作物である。本土における米に匹敵する重要性を持っておるのだと、これは私もそのとおりに認識をしております。  価格の面につきましていろいろ御意見があることも承知をいたしておりますが、いま宮之原さんからパリティ方式でなしに生所方式でやったらどうかと、こういう御意見がありました。サトウキビの場合をとってみますと、どうも生産の規模あるいはまたそれぞれの地域における生産の条件、いろいろの諸条件で生産費を正しく的確にとらえるということが、これは非常にむずかしい面がございます。この点が、生所方式をとろうとする場合の一つの問題点でございます。  もう一つは、こういう減速経済のもとにおきまして、果たして生産者のために生所方式がいいかどうかという問題になりますと、まあいろんな見方があると私は思うのでございます。沖縄の例をとってみますと、非常に生産性が現在のところ低いわけでございまして、これを労働費に見てまいりましても、てん菜は大分合理化が進みまして、三十六時間ぐらいまで進んでおります。ところが、沖縄のサトウキビの場合におきましては百六十時間をオーバーする、百七十時間に近い労働力を使っておるわけでございます。  したがいまして、てん菜糖が一日当たり労賃部分として計算されますものが九千円台になっておるのに比較しまして、沖縄のそれは三千五、六百円という三分の一程度でございます。しかも、その労働費の状態はどうかというと、刈り取りに七〇%の労働時間がかかっておると、こういうことも御高承のとおりでございます。これは刈り取りのための機械の導入でありますとか、合理化を進めることによりまして、この百七十時間近い労働時間というものは百時間にも八十時間にも急速に私は短縮することができる、このように考えております。  そういう場合において、生所方式によって生産性向上した、それだけ今度は価格が下がっていくというような現象も出てきかねない、こういうようなこと等もございまして、私は従来どおりやはりパリティ計算でやった方がこういう経済情勢の中においては生産者のためにプラスになるのではないかと、こういう考えも持っておるのでございます。  そこで私は、沖縄、鹿児島県の南西諸島の農協や代表の諸君がお見えになったときに、きょうはざっくばらんなことをひとつお話を申し上げましょうということでお話をしたら、びっくりしておられたわけでありますが、それは仮に五十一年度のサトウキビ価格はトン当たり一万七千百円でございますが、その中で価格支持の費用、これは国費で二百三十六億円入れております。これをトン当たりにいたしますと、一万一千九百円に相当いたします。一万一千九百円。それから事業団調整金、輸入等からこれは負担をさせましてこれをサトウキビに交付をしておるのでありますが、これがトン当たり千九百円でございます。そういたしますと、価格支持費用として国費を入れ、事業団の調整金を入れておりますのが、合計いたしまして一万七千百円のうち八一%がそういう費用である、八一%が。でありますから、そういう価格支持の資金であるとか、あるいは調整金等から補完しておるとか、そういうものを加えて価格の中で八〇%を超えてそういうものが組まれておる、こういう実態を生産農民皆さんにも私は率直に申し上げた。どうしてもこれは土産性の向上というものを、われわれも一生懸命土地基盤整備であるとかいろいろなことをいたしますと、皆さんの方でもひとつそれをやってもらいたいと、こういうことを申し上げたわけでございます。価格について、いかに政府においても国費等を使いまして努力をしておるかと、この点もひとつ御理解を賜りたい、こう思うわけでございます。
  26. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 まあ大臣のいまのお答えは、議事録を拝見をいたしますと、この間でも同趣旨のことをお答えいただいておるんですが、それでも私はちょっと納得できないのです。と申し上げたのは、たとえば大臣の先般の、十月五日ですかの喜屋武委員に対するところの御答弁の中で、米作との比較の中で、稲作はまあ基盤整備が進んでおって、農業機械の導入によって非常に生産性向上しておると、米は。だから、減反をしても米づくりがなかなかやまないんだと。けれどもサトウキビはその逆なんだ。生産性向上、合理化をやっぱり先行させるべきだ、その可能性もまた大きい作物だと、だから生産費所得補償方式というのをとらないんだと、こういうことを答弁をされておるわけでございますが、これはその論法からいきますと、むしろ米は生産性も高い。それで、生産性が高いところの作物はパリティの方がメリットがあるんだと言うのなら、米もそうされたらいいのじゃないですか、むしろ米はもう生産性が非常に高まっていると言うのなら。しかし、米の方は依然として生産費所得補償方式をずうっと一貫してとっておる。これは農家の方々も、生産費は幾ら上がっても生産費所得補償方式というのが、なお自分たちに実入りとしてはいいからだという理解をするからじゃないでしょうか。もし、いやパリティがメリットがあるんだ、もう生産性が高まっているんだからと、こう言えば、農家の方からむしろその逆な現象が起きてきやしませんか。私はその点で疑問に思うんですがね。  なお、もう一つ申し上げておきたい点は、生産性が低い。確かに低いんです。低いから、これにはもちろん生産性を高めるためのいろんな方策というものが、これは私は必要だと思う。その点、いままで政府が怠ってきているとは申し上げてない。私も資料を持っておりますし、私もまたそのことについては非常に関心を持っていますから、いろんな努力をされておることは私も評価します。しかしながら現実の問題としては、生産性を高めるところの苦労をしながら、まだまだ生産性向上させるための手だてよりも、現実の問題としてパリティで出されるところの指数よりも生産費が非常に高いところにあるという、この現実をこれは無視するわけにはまいらないでしょう。  だとするならば、あるべき姿はこうだからしてそこまでおまえたちがまんをせよというわけにはこれはまいらないんです。農家は毎年毎年これでつくらなければならない、それで生活しよるんですから。だとするならば、現実的な処理の仕方として、これはやはり生産費というものを相当重視をしたところの価格というものを決めなければならない。そうしていて、一方、生産性を高めるための手だてをするということが当然必要じゃないんでしょうか。それをどうも答弁を拝見いたしますとパリティの方がメリットがいいんだからパリティ一本で行くんだよという話では、これは幾ら現地の皆さんあるいは当該者の皆さんに納得せよと言ったって、ちょっと納得できないんですよ、どう思いますか。
  27. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は前段で申し上げたわけでありますが、生産費所得補償方式をサトウキビの場合にとるということについてはいろいろの困難性があるということ、またこれはサトウキビだけではございませんが、それぞれの主要作物につきましては、その生産の態様、実態等を勘案をしましていろんな価格の算定方式、こういうものが糖安法その他でそれぞれ決められておるわけでございます。そういうことをまず前段で申し上げた。  それから、いまパリティをとっておっても、私は沖縄のこのサトウキビというのは、少し政府生産農民皆さんが力を入れて生産の合理化、生産性向上を図れば、これは急速に改善もできるし、いまのパリティ計算の中でも相当てん菜糖に近いような方向に改善ができるのだと、労働時間の問題も具体的に申し上げたようなことでございます。そして、いまの価格の中でも政府その他が相当の財政資金を入れてこの価格支持政策をやっている、こういう実態を申し上げたわけでございます。
  28. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 少し大臣の申し上げたことを補足させていただきたいと存じます。  確かに糖安法規定によりますと、「最低生産者価格は、政令で定めるところにより、農業パリテイ指数に基づき算出される価格を基準とし、物価その他の経済事情を参酌し、甘味資源作物の再生産を確保することを旨として定めるものとする。」ということになっております。ただ、大臣も申し上げましたように、生産の実態を全く無視するという話ではございません。パリティ価格を基準として定めているわけでございますが、生産費所得補償方式を、あるいは生産費方式をそのまま採用しがたい理由としては、これも大臣から触れましたように……
  29. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 それはわかっていますよ。
  30. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) ただ具体的に申し上げたいと思いますのは、生産費方式をとりますというと、ここ十年ほどの間の実績をとりましても、収量の変動等により前年よりも生産費が下がるというような年がございます。現実に諸物価が上がる中で、生産費方式をとって前年より下がるような価格を決めることができるかということになりますと、これは実際問題としてなかなかそうまいらないと思います。その意味でも、生産費方式というのは安定性を欠くのじゃないか。その点、米のような全国的な作物とは大きな違いであると存じます。  それから、なお手取り水準に配意して生産事情も考えてというお話でございますが、従来の価格を決める際には、奨励金等によってそういった手取り水準全体についての配慮がなされているわけでございます。  それからことしの——ことしのと申し上げましたのは先に決まりましたビートのでございますが、五十二年産のビート価格の決定に当たりましては、従来外枠でもって据え置かれてきた奨励金、それらの手取りのことを配慮して、しかし、これは奨励金であるからということで据え置かれてきたわけでございますが、これを正式な価格に組み入れたのは半分でございますけれども、手取り水準につきましてはこの分につきましてもパリティアッブを図るということで、仕組みの上でも価格に取り込むようにしたということと同時に、手取りの実質の額の上においてもパリティアップを適用するというような、従来に比べてかなり改善した価格についての扱いをいたしておるわけでございます。
  31. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 今度は計算あるいは実績の問題でいまから質問しますが、私はやはり物の考え方ということについて先ほど来から言っておるんです。私は、もうすでにビートの値段が決まり、そしてサトウキビが今夜にも決まると、こう言われているところの情勢の中で、いまここで生産費所得補償方式をとれとか、それを承認せよと、こう申し上げているんじゃない。しかしながら、少なくとも生産費というものを相当パリティに加味したところのものを持たない限り、それはパリティ一本では現実の問題としていきませんよということを申し上げておる、これは。たとえば、先ほど来から大臣は、あるいはこの議事録を拝見する限り、合理化が進む、生産性向上していく、それはさせるというそのことはいいですよ。しかし、そこに来るまではがまんせよというわけにはまいらないんじゃないかということを私は申し上げておる。  しかも、大臣サトウキビ地帯を、奄美、沖縄の実態を御存じだと思いますけれども、いかに生産性向上せよといっても、北海道のような広大な地域と対比いたしますと、地理的なやはり条件がありますだけに限界があるんですよ、これは率直に申し上げて。大農式のものはできません。ネコの額ほどのところに、山とか谷とかいろいろなところを工夫しながら、サトウキビ農家皆さんつくっておるわけです。そういう地理的な条件ということになっていきましたら、やはり機械を入れる、刈り取りを機械化する、いろんなものをやっていく、基盤整備をする、それにはやっぱり限界があるんです。それだけ投入して、さらに同じような方式をつぎ込んで、北海道と同じように生産性が高まってくるだろうと想定をするということは、これは現実に合わないことなんですよ。そのことを一体理解されておるのかどうか。  さらには、サトウキビの場合は御承知のように、これは輪作はききませんよ。春植えや夏植えで一年物か一年半に一回取るでしょう。ビートは半年間できちっとできてくる。ほかのものでも、大きな農場方式で輪作もきく。言うならば、沖縄や奄美、さらに種子島の農家にとっては、これ以外にどうにもできないところのこれは農作物なんです。それだけに、政府生産性を高めるためにいろいろ努力をしてくれること、それは結構なんです。大歓迎なんです。しかし、これだけ金を投じてやったから生産性が上がってくるのは当然である、だからそのときまでおまえたちはパリティ一本なんだと、これでは私は現実に合わないと思うんです。農家にとっては本当にことしつくったものがつくりがいがあって、来年はもっとつくろうという意欲をやっぱりわかさなきゃならない。  だとするならば、きょう、あすじゅうに決まるところのこのサトウキビの生産者価格の問題については、生産費ということを相当やはり重視をしたところのものをしない限り、本当に私は所期の目的に沿わないと思うんですが、そういうお考えで作業を進められておるのかどうか。もうすでに原案なるものもできておると思います。内部の話を聞きますと、与党の皆さんともすでに朝打ち合わせてあるという話も聞いておりますが、そこらあたりのことをもう少しざっくばらんにお聞かせ願いたい。
  32. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 価格の決定に当たりましては、現地の生産者あるいは生産者団体、さらには与党のそれぞれの機構でいろいろ議論がなされております。私ども政府の職員もその場に呼ばれて、それを拝聴いたしております。それらを総合的に私ども最終的に取りまとめて、大蔵省と折衝をして、政府としての原案を作成するということになるわけでございます。その点、けさも確かに生産者団体あるいは与党の先生方の御議論承りました。それらを基礎にして、私どもこれから作業をいたすわけでございまして、まだ正式の原案というようなものは固まっておるわけではありません。ただ、価格を算定するに当たりましては、価格自身について慎重に検討することはもちろんでございますが、これは私どもの局だけで処理できる話ではございませんが、全般的な生産対策、そのほかの総合的な措置を絡めて、全体として価格問題を処理するということで考えてまいりたいと思っております。
  33. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 じゃ、もっと具体的にお聞きしますが、先般のビートの最低生産者価格の算出基礎はどういうかっこうになっておりますか。ここにプリントはもらっておりますけれども価格決定で何が幾ら、何%何%というのは——物の考え方ですが、どうもこれを拝見をいたしますと、いわゆるパリティが一〇六・五六%と、こう出ておりますね。そろえのごろ合わせみたいに手取り額もどんぴしゃり、そういうかっこうになっておるんですが、まさかごろ合わせのためにこういうふうに決められたとは考えられませんが、どういう算出基礎になっておるんですか。
  34. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) パリティ価格計算をいたします場合、これをいつの価格を基準としてとるかという問題がございます。今日まで、従来から前年、前年をそのまま価格を採用いたしましてパリティで伸ばしてまいったわけでございますが、それではそれこそ、まさに先生のおっしゃられるような農家の生産の実態等を勘案した場合、手取り水準、所得を保障する額としては十分でないということで、四十七年来奨励金というものが加えられております。これは価格そのものではない別途の生産喚起のための奨励金であるということでありまして、額はこ三二年ほど、端数は別でございますが、据え置きになってまいっておるわけでございます。  ただ、これらの実態を考えますというと、今日においては農産物価格の総合的な見直しということで、新しい観点から価格算定のあり方を検討すべきでないか。その場合、今日これだけ実質的に確保されているところの手取り額そのものが今後の基礎となり得るのではないかということで、従来決めてまいりました価格、それを一たん離れまして、奨励金を価格並みに扱う、価格の中に取り込むこととしてはどうかと、これは実は麦を皮切りにいたしまして、農産物全体についておおむねそのような方向での調整がなされつつあるわけでございます。ビートにつきましても、そのような趣旨から五十一年産の最低生産者価格そのものは一万三千百円、それから奨励金が三千九百円、合わせて一万七千円でございましたが、この一万七千円の農家手取りをベースといたしましてこれをパリティで伸ばす、そのことによって農家手取りを一万八千百二十円にするということにいたしたわけでございます。  ただ、これを具体的な財政上の措置として価格で扱うか、奨励金でどの部分を残すかということになりますというと、手取りは一本でございますけれども、中の仕分けとして、これは財政上の問題等もありまして、最低生産者価格そのものは一万六千四十円ということで、これは結果的に奨励金の半分分を、いままで奨励金として扱われてきたものの二分の一を取り込んだという形にいたしたわけでございます。奨励金がなお二千八十円残っております。そして合計が、先ほど申し上げました農家手取り一万八千百二十円ということになっているわけでございます。  なお、残っております奨励金二千八十円については、これは価格並みの扱いをする。逐次政府内部での財政的な、あるいは理論的な整理が、あるいは糖安法上の位置づけが確立され次第、これを価格に繰り入れていくということを考えているわけでございます。
  35. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 いや、その中身は私も承知しておるんですが、聞きたかったのはその算出の基礎、物の考え方を聞きたかったんですよ。たとえば生産奨励金を告示価格の中にできるだけ盛り込んだと、そのことは私は評価したいと思うんです。そのことは結構ですがね。ただ、そういたしましても、結果的に見ると、農家の手取りというのは一〇六・六%と、いわゆるパリティそのものにぴたっとはまっているんですよ、これ。ですから、皆さんの物の考え方は、パリティ一本方式という形でこのビートは決められたものじゃございませんかと。それとしか判断はされませんが、基準の決め方はね、中身のいろんなやりくりは別にしてね。ですから、そういう方法でやるとするならば、違いのあるところのサトウキビの問題も、生産費の面で大きな違いの出てくるところの問題も右へならえということになりかねないから、私はお聞きしておるんですがね。こういう方式でやはりサトウキビももう皆さん作業しておられるんですか、聞きますが。
  36. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 確かにいま先生おっしゃられたように、結果として農家手取りをパリティで伸ばしたということになっております。ただ、このことは、従来の扱いが最低生産者価格はパリティで伸ばしても奨励金は別途決める、性格としてはその都度その都度決めるということになっておるわけでございます。そして、従来三年は据え置きになってきたということからすれば、この奨励金を価格並みの扱いをして手取り全体についてパリティで伸ばすということは、私自身これはかなり改善を図ったものというふうに思っているわけでございます。  これと同じことをサトウキビについても考えるかというお尋ねでございますが、私はむしろサトウキビには、これは内部の細かい話になりますけれども、別途、奨励金をビートと同じように直ちに繰り込めるかどうかということについては、事務的、技術的な問題がありまして、組み込むこと自体にむしろ一つの克服しなければならない問題があるというふうに思っているわけでございます。しかし、当然ビートにやりましたことはサトウキビに適用するべき性格のものというふうに考えております。これらの議論は最終的に全部煮詰めたものではございませんけれども、基本的な考え方はそのように考えているわけでございます。
  37. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 生産奨励金を告示価格の中に盛り込んだと、そのこと自体はわれわれ理解できるんです。農家にとってみれば、問題はどういう名前であろうと、手取りですよ、これは率直に申し上げて。何のことはない、何だかんだと言いながら、たとえば生産奨励金の一部分を投入しておいて——生産奨励金だけは前の形であれそのまま残しておいて、それがプラスされたというならまだわかりますよ。何のことはない、ただあっちのものをこっちへ動かしたものだけだとしか思わぬのです、これ。そうすると、先ほど来私が申し上げておるように、現実の問題として、生産費の高いこのキビ作農家にとっては、パリティが結果的に一〇六・六%しか上がりませんでしたということでは、これは本当に生産意欲をわかすところのものとして結果として出てきたものとは思えぬ。言うならば、生産費というものを何ら考慮しなかったというかっこうにしかならないんですよ。それだけに、同列で並べるという問題の認識の仕方について、先ほど生産性を高めるための努力云々と言いながら、現実の問題としてはこうなんですよと、こう申し上げているんですよ。そこはやっぱり皆さんの考え方としては、依然としてそれだけですか、この問題については。
  38. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 五十一年の生産費は確かに一万九千三十円、昨年度もでございますが、本年の決定されましたビート糖との価格と比べましても高くなっております、これは沖縄の生産費でございますけれども。しかし、生産費が決定された糖価を上回るということはある話ではございますが、逆に、その年の収量がいいときは、生産費が決定された価格を下回るということもあるわけでございまして、生産費そのものは年々変動するわけでございます。たまたま五十一年が生産費の方が価格を上回ったからといって、直ちには生産費でなければならないという議論には私はならないかと存じます。
  39. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 そういたしますと、皆さんの試算でいけばそれならこういうかっこうになりますか。大体ビートと同じようなかっこうにするとなると、五十一年度の告示額の一万三千三百十円、それの一二二・四%ですから告示額は一万六千二百九十一円。奨励金をこのようにビート並みに五三・三%というかっこうにすると、これが二千二十円、農家手取り一万八千三百十一円というかっこうにしか出てこないんですよ、キビの価格をこういま皆さんのやられたところの数字でずっとやっていくとね。そうすると、仮にキビ価格が今、明日中に決まったといたしましても、大体いままでの皆さんの御答弁や主張から見ますと、この前後の、大体当たらずといえども遠からないところに私はいま来ていると思うんです、この数字は。しかし、これから見るとこの生産費という、だが現実にかかったところの昨年のこれとは非常な違いはありはしませんかと。千五百三十八円という開きが出ますよ。  あなたは、先ほど沖縄が一万九千三十円だと言いましたが、これは鹿児島は、種子島と奄美の方は生産費は二万一千九百二十二円なんです。あなたは低いところの沖縄を言いましたけれども、鹿児島は二万一千九百二十二円になっておりますよ、実際にかかっているものが。それは普通、両者を加算、加重平均しますね。そういたしましても一万九千八百六十九円になるんですよ。低いところのものを言われては困るんですよ、これは。平均したものを言ってこそ客観性があるんですよ。こういうようなものから見るならば、これではサトウキビの問題は本当に生産意欲を考えるという価格にはなりませんよと言っているんです。そこに、たとえば同じ原料であるところのビートがこう決まったから何でも右へならえさせなきゃならないというところに、皆さんの非現実的な物の考え方があるんじゃないですか、算出方法も。
  40. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) ビート並みの計算をした場合のまず数字でございますが、これは若干先生のおっしゃられたのとは違うことになるのではないかと思います。ただ、この価格にどう奨励金を取り込むかということについてまだ確定しておらない段階で、私どもこの場でもって数字を申し上げることは差し控えたいと思います。  それから、私確かに沖縄の数字を申し上げました。しかし、先生御自身が指摘されましたように、鹿児島の五十一年の生産費は沖縄よりも相当高くついております。これはむしろ異常な年でございまして、一般的には鹿児島県の生産費の方が沖縄県の生産費よりもかなり下回る状況にあるわけでございます。このこと自身が、年によって生産費は大きく動く、したがって、その動くような生産費をそのまま価格算定に採用するというわけにはいかない。それはもちろん参酌される事項ではありましょうが、年によって大きく動くものをそのままとるわけにはいかない。  それから、なお一つ申し上げておきたいのでございますが、前年の生産費に比べてこれは大きく伸びております。ただ、この伸びたのは実質が伸びたというよりは生産費の算定方法、従来とっておりました自家労賃の労賃単価のとり方を約二割程度アップするような形に修正したということによるところが大きいわけでございます。そのことも一つあわせて申し添えておきたいところであります。
  41. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 だって皆さんは、生産費というものをパリティに相当考慮しながら価格をいままで決めたこともあるでしょう。四十八年と四十九年を見てごらんなさいよ。四十八年は、サトウキビの問題で言えば、当時パリティが一五・四一、それで八千二十一円、それに推定生産費が九千三百八十八円だったから、両者を平等に見て二で割って、それで奨励金を入れて、一万円という大幅な価格を決定されたんですよ、皆さんは。四十九年も、このパリティにプラスするのに一万三千二百二十四円という推定生産費を参酌をされながら一万五千円という手取りを決められたんですよ。それを、五十年度からパリティ一本にしているところに、奄美や沖縄の実際の農家から見れば非常に矛盾があると言って指摘をしているんですよ。それは、あるべきところの姿としては、なるほど生産費を高めるためにいろんなものをやっていただく、それは結構だけれども、まだそこまで高まっておらないんだから、だとするならば、四十八年や四十九年のあの方式というものを加味されたものが今度の場合にも相当重視されてしかるべきではないか。それを、五十年以降特に今度の場合はパリティ一本になっておりますけれども、そういうことだけでは実際の農家生産意欲を沸き立たせることにはなりませんよと私は言っておるんですよ。
  42. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 宮之原先生のおっしゃる気持ちも、わからぬでもないわけでございます。しかし、農産物といえども一つの商品であり、同じ甘味資源であるビートとこれを切り離して別扱いに算定方式をとるべきかどうかと、ここにもやはり国民的なコンセンサスが要るのではないか、このように私は思うわけでございます。  なお、奄美にしても沖縄にしても、ああいう北海道に比べて耕地も狭い、条件も悪い。だからこれはビートとは別に特別に考えるべきだというお気持ち、これは私はよくわかります。つまり、同じ甘味資源ではあるけれども、そういう事情を勘案して、地域対策的な観点も加えて算定をすべきだというお気持ちもにじみ出ておるように感ずるわけでございますが、なお、先ほど私が申し上げたように、このサトウキビ価格形成の中で国の価格支持のための財政資金なり、あるいは調整金なりというものが価格の中の八一%を占めておる。ところが、てん菜糖の場合には六八%になっております。そういう意味でも、北海道てん菜糖よりも沖縄等のサトウキビに対してはまあ十数%の財政資金その他の面で考慮が払われておると、こういうようなことでございまして、いま私に、この甘味資源価格を今年度決めるに当たって、北海道てん菜糖とそれからサトウキビ価格の算定について別扱いにせいということを御主張されましても、にわかにそういたしますというようなわけにはまいりません。これは今後の研究課題としてやってまいりたい、こう思っております。
  43. 宮之原貞光

    宮之原貞光君 何も私は、五千円とか一万円というぐらいの開きあるいは差をつけろと言っているんじゃないんですよ。しかし、現実に地理的な条件、あるいは生産の過程から見れば、当然価格というものは、農民がどれだけ自分たちの投資をしてやったかというこの生産費というものが、これはやっぱり考慮されないということこそ悪平等じゃないでしょうか。そういう現実を、たとえば北海道、奄美、沖縄含めての農民や、あるいは製糖労働者でつくっておりますところの甘味資源を守る全国共闘会議というのがあるのです。ここではやはりその現実を直視して、そして従来の一本方式からことしはビートは二万一千円、キビは二万四千円にしてもらいたいという統一要求をし、政府にも出しておるんです。これは現実北海道の製糖労働者の皆さんも入って、なるほどそれはそういう現実的な生産性、生産高の問題において生産費の問題は確かにある。行く行くは、それは理想としては大臣が言うように一本にならなきゃならぬかもしれぬけれども、いまの段階でないんでしょう。だとするならば、こういう問題を考慮することなしに私は決められるということこそ、これはいかがかと思いますよ。現に過去は違っておったんでしょうが。それがここ五、六年来一緒になってきておるんですよ、これは。だから、私はこの点について大臣にここで答弁は求めませんけれども、もうきょうじゅうに決まるだろうというその問題については、そういうやはり現実を直視したところの配慮をするという親心があってこそ、私は甘味資源自給率を高めたいと言って努力をされておるところの農民皆さんの汗の苦労に報いる道だと思うんです。そのことを、強くこの機会に御要請申し上げておきます。
  44. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 宮之原先生のお気持ちは、よく私も拝聴もいたしましたし傾聴すべき点もございます。今後とも研究いたしてまいりますが、しかし前段で申し上げましたように、これは奄美大島なりあるいは沖縄にとっては、何といっても内地の米に相当する基幹的作物である、またこれが農民の生活の根拠にもなっておる、そういうことを私は認識をいたしまして取り組んでおるわけでございまして、生産基盤の整備のための予算の配分に当たりましても、このおくれておるということ、また地理的な条件、そういうところを勘案しまして予算の配分には傾斜配分をしております。  それから沖縄に対しましては、現地の御要望にこたえて原原種農場をつくるべきだとこう考えまして、来年度予算にその農場の用地買収費を要求をしておりますし、これが実現をすれば、それに関連する施設等をできるだけ早く整備をいたしましてこれもやってまいりたい。そういうようなことで、私も認識においては宮之原先生と同じような気持ちで、このサトウキビの生産の振興またその生産性向上するようにというような諸施策をやってまいることを、ここにお約束を申し上げておく次第でございます。
  45. 北修二

    ○北修二君 それでは、農林大臣初め農林省当局に五点について御質問をさせていただきたい、かように存じます。与えられた時間が二十分でございますので、簡潔にひとつ御答弁をちょうだいいたしたいと、かように存ずる次第であります。  まず第一に、五十三年度以降の水田の利用再編成対策についてお伺いをいたしたいと、かように存じます。これは言うまでもなく、米は過剰基調にあることは十分理解をいたしておるわけでございます。われわれも農業関係といいますか、あるいは農協関係も農業団体も十分理解をし合いながら、食管を守るという観点からこの百七十万トンについては協力をしていかなければならぬと、かように考えております。しかし、御案内のように、これは全国の稲作農家が共同の責任において分担をして計画を達成していかなきゃならぬと、かように考えるわけでございますが、公平適正な配分が必要と思いますが、具体的にどのような方法で適正あるいは公平な配分をしようとしておるのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  46. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この百七十万トンの転作目標の配分、これは非常に全国的に関心の中心になっておるわけでございます。この水田利用再編対策はこれはやらなければいけない、こういう総論では皆さん御理解も願い、やろうじゃないかという方向に御協力をいただいておるわけでありますが、この配分等の各論に至りましては、各地域ブロック等においていろいろ御意見がございます。全く公平そのものでやれという御意見と、それからまた適地適産、地域の特性を組み入れてそして地域分担的なことも頭に入れて配分をすべきだと、こういう御意見いろいろあるわけでございます。  私は、長期的にはこれはどうしても適地適産、地域の特性というものをやっぱり織り込むようにして、日本農業の構造の再編成、これを長期的に見た場合にはやらにゃいかぬ。しかし、急激な変化というようなことも、またこれは生産農民皆さんに大変な混乱を来すことにもなるわけでございますから、ただいま各方面の御意見を聞いて、公平適正にいかにそれをやるかということで、いま鋭意検討中でございます。
  47. 北修二

    ○北修二君 努力をするということでございますし、またいろいろお話がありますが、いままでの経過から申し上げますと、非常に協力をしてきた地域ですね、生産調整が始まって以来十分国の施策に理解をしながら協力をしてきたところと、協力を余りしなかったところと経過としてある、かように存ずるわけでございますが、ある地域につきましては相当量の、全国の三分の一から協力をしたところもあるわけでございますが、これは経営のぎりぎりまで実は転作の実施をいたしてまいっておるわけでございますし、また行政あるいは団体ともに実は説得をしながら今日に至ってきておる、こういうことでございます。それにかかわらず、適地適作云々というそういうような諸般の情勢というか考え方から、相当従来よりも上積みをするということに相なりますと、正直者がばかを見るというような施策になりはせぬか。百七十万トンと言えばもう大量なものでございますから、やはり全国的な協力、協調が必要でないかと思いますが、大臣はこれらについてどういうような考え方、確信を持ってこの百七十万トンをおやりになる考え方なのか、再度ひとつお伺いをいたしたい。
  48. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 過去のいろいろの経緯のあることも十分承知をいたしております。そして、前段で申し上げましたように、各地域ブロック等からそれぞれの御意見が出ておるわけでございますから、過去の経緯、いま各方面から出ておる御意見、そういうものを十分くみ入れまして、公正適正にその辺はやってまいりたい、このように考えます。
  49. 北修二

    ○北修二君 転作目標達成後の天候によって発生する限度超過米がことしも出てまいりましたが、御承知のように、全量を達成してくれたら政府が買ってやるぞと、だからぜひ割り当てられた数量の転作はしてもらいたいと、こう言って実は促進をしてきたわけでございます。しかし、いろいろことしも御努力はいただきましたが、そういう成果にならなかった。百七十万トンという多量の生産調整をするわけでございますから、来年度はそういうことも政府が促進する意味で、超過米については買い入れをする、こういうお考えはないかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  50. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 予約限度数量を超えてできましたところの超過米、まあ余り米、この処理の問題でございます。私は百七十万トンの生産調整、転作をやっていただきますれば、そう大きな余り米が出るとは考えておりません。また、余り米が仮に豊作等によって出ましても、過去におきまして、昭和五十年、これは全国の作況指数がたしか一〇七だと思っております。今年度もおかげさまで豊作でございまして、八月十五日現在の作況指数は一〇四と、今度は九月十五日を出すわけでありますが、若干それよりも上回るかもしれません。そういうように過去においても相当大量の超過米が発生をしたわけでございますが、これらにつきましては指定団体である農協あるいは卸売業者、そういう方々の御協力を得、政府もまた金利、倉敷、出荷促進対策費等々の所要の助成をいたしまして、これらの大量の超過米は自主流通ルートを通じまして全部処理がなされてきておるわけでございます。  したがいまして、私は今回の生産調整が行われた後においてそう余り大きなものは出ないとは思っておりますが、その処理に当たりましては、いままでと同様に自主流通ルートを通じてこれをひとつ処理していただく、また政府も円滑にそれがいくための所要の措置を講ずる、こういうことでやってまいりたい、このように考えております。  なお、達成したところと達成できなかったところ、これはやはり何らかの考慮をせざるを得ないとこう考えておりまして、たとえば自主流通米で政府の買い上げ価格よりも過去の例から見ますと若干安くなっておりますが、その面について、自主流通ルートであるけれどもその手取り価格を幾らか、一生懸命御協力をいただいたところについては配慮をする必要があるのではないかと、こう考えております。
  51. 北修二

    ○北修二君 農林大臣からしさいにお話がございましたが、いま余り米の問題が出ましたので要望をひとつ申し上げておきたい。  北海道は、いま米を一生懸命出しておりますが、余り米がことしは予想よりも若干多うございまして、十二万トンぐらい出そうであります。そうしますと、少なくとも北海道の米というのは六月までには処理をしてもらわなければならぬ。それには、自主流通米を主体に少なくとも月一万四、五千トンを処理をしていっていただかなければ六月までには処理ができないわけでございますので、その点、特段のひとつ御配慮をちょうだいいたしたいことを要望いたす次第であります。  次に、畑作の共済制度について若干説明を願いたいと、かように存ずる次第であります。  四十九年度以降、臨時措置法に基づきまして畑作の共済の試験実施を行ってまいりましたが、この制度が本格的な実施に向いてこれからやられるわけでございますが、この点についてお伺いをいたしたいと思います。  まず、畑作物の共済制度の本格的実施に向いて要綱の作成、法律の改正を含めてどのようなタイムスケジュールで進めようとしているのか、この点についてお伺いをいたしたいと、かように存じます。
  52. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 現行の畑作物の共済は昭和四十九年度から試験実施をいたしておるわけでございますが、その試験の実施の実績等にかんがみまして、昭和五十三年に法制化をいたし、昭和五十四年度からは本格実施へ移行することを目途に制度化の作業を進めているところでございます。目下、この本格実施に関する事項を中心といたしまして、学識経験者の参集を得て検討を進めておるわけでございますが、その検討の結果を踏まえて、次期通常国会に農業災害補償法の一部改正案を提出したいと、かように考えておる次第でございます。
  53. 北修二

    ○北修二君 次に内容に入りますが、私も共済組合長を二十年やっておりますので制度内容は専門でございますので、簡潔にお願いをいたしたい。  補償の限度について、再生産を確保するために少なくとも生産費を補償する保険設計にすべきと考えますが、この点はどのようにお考えになっておりますか、どのように進められておるか、この点についてお伺いをいたしたいと存じます。
  54. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 試験実施の結果を踏まえまして、私たちは全般的な制度の組み立て方を目下鋭意検討をいたしておるわけでございますが、その場合に、御指摘制度の骨子になりますものは、骨子といいますか、制度で最も重要な点と申しますのは、一つは共済掛金の国庫負担割合をどうするかということであろうかと思います。それからもう一つの問題は、要するに通常足切りと言われておりますが、その足切り問題をどうするかと、こういう問題でございますが、これらの点につきましても、畑作農業の実態、畑作振興の必要性、その他共済事業との均衡等を十分に考えながら定めるという方向で検討しているところでございます。
  55. 北修二

    ○北修二君 それでは足切りの問題でございますが、でん粉あるいはてん菜、これは寒冷地に適した畑作物で、非常に変動が少のうございますから、これはできるだけ足切りを少なくしてもらいたいものだ。それから豆類でございますが、豆類については、うわさによると足切りを四割ぐらいに云々というようなお話があるようでございますが、もし四割に足切りをするとするならば、これは任意加入でございますし、なかなか入らない。やはり保険制度でございますから、全員が入ってこの組合を守っていく、あるいは保険制度を守っていくという必要があるわけであります。たとえば例を申し上げますと、損保でございますから、私はことしは入る、ところが千人おるうちに百人しか入らなかった、ところが来年は不作かもしれぬからということで全員入ってしまった、こういう実は不公平な保険制度になり得る。あるいは組合運営もなかなか容易でない、こういう問題もございますので、運営上も魅力のある方法にしてもらいたいものだ。四割などというような足切りではこれは運営は容易でない、この点は十分考えていただきたいと、かように考える次第であります。  さらにバレイショの問題でございますが、バレイショの評価をどう見るか、価格というか、これは用途別に考える必要があるのでないだろうか。種子用、食用、加工、こういうようなことも十分用途別に価格を設定する必要があるのではないか、かように思いますが、この点についてはどうお考えになっておるか。時間がございませんので、もう一遍にお聞きをいたしたいと思います。  次に、共済掛金の国庫負担についてでございますが、これにつきましては国庫負担率を米、麦と同じような方向にひとつ考えていただけないものかどうか、これについてひとつお伺いをいたす次第であります。
  56. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 第一の足切りの割合でございますが、これは先生よく御存じのとおり、農家の自家保険の能力でありますとか、あるいは道徳的危険の防止でありますとか、あるいは損害評価事務の効率性でありますとか、あるいは政策保険としてどこまでを損害補てんの限度とするか、あるいはまた共済掛金国庫負担能力等を総合的に判断して決めるべき問題であろうと思います。農家の立場からいたしますれば、足切りはできるだけ少ない方がいいし、掛金はできるだけ安い方がいいし、共済金はできるだけたくさんもらうのがいいと、それが一番いい保険でございますが、しかしそういうわけにもまいりませんが、同時にまた、おっしゃいましたように、保険が魅力あるものでなければいけないということでもございますので、そういう点の要素をすべて総合的に勘案しながら、私たちは鋭意現在検討を行っているところでございます。  第二のお尋ねの、バレイショの価格が違うがそれをどういうふうに反映させるかということでございますが、この本格的実施の仕組みにつきましてもいろいろ検討中でございますが、バレイショはお話のように用途別に単価あるいはまた反収等が違いますので、これを一本で引き受けることには検討の余地があるというふうに思っております。したがいまして、本格実施のための制度化に当たりましては、バレイショの共済金額なり共済掛金率なり掛金額等につきましては、これを区分して取り扱う仕組みにしてはどうかという、そういう方向で検討をいたしております。  それから、最後国庫負担の割合でございますが、これは先ほども申し上げましたように、畑作農業の実態でありますとか、畑作振興の必要性、その他の共済事業との均衡等を考えながら目下鋭意検討をいたしておるわけでございます。よく御存じのとおり、共済掛金の国庫負担割合を検討する場合に当たりましては、その要素としてはいろいろな要素がございますけれども、一つは共済目的につきましての農政上の位置づけ、あるいは共済事業の作物保険であるか、あるいは資産保険であるか、あるいは共済目的の収益性はどうであるか、それから加入方式で強制加入であるか、任意加入であるかというような要素を勘案をして決定すべきものであると思いますが、これらの点につきましても今後十分慎重に検討をしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  57. 北修二

    ○北修二君 ちょうど時間になりましたので、韓国漁船の操業の問題、あるいはいま大臣非常に御努力をいただいておる日ソ漁業長期協定交渉についてでございますが、私、時間がちょうどちょっきりになりましたので、この点についてはもう内容を申し上げなくてもおわかりと思いますが、ぜひ最善の努力を払って漁民を守っていただきたい、あるいは日本漁業を死守する、こういう点で御努力を御要望申し上げて、私の質問を終えたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  58. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 私は、きょう二つ問題を提起をしてお答えをいただきたいわけでありますが、一つは沿岸漁業、それにかかわる漁業無線の問題に関しましてお聞きをいたすわけでございます。  二つ目の問題は、米の需給調整にかかわる省の考え方並びに態度の問題、それについて質問をいたしたいと思うわけであります。  第一の問題につきましては、正直申し上げて、すでに質問内容は事務当局の方にも通知をいたしてありますから要点はおわかりだと思いますので、時間の関係もありますからきわめて要領よく簡潔にお願いをいたしたいというふうに思います。  いま二百海里時代を迎えまして、わが国の食糧自給の観点からいきましても沿岸漁業がきわめて重要な位置を占めている、これはいまさら申し上げる必要はないところであります。そこで、この沿岸漁業の振興の観点でありますが、これは漁業構造の改善の中に当然含まれてまいります漁業用無線の効果的なといいますか、秩序のある活用というものも大きなウエートを占めておるわけでありますが、農林省の設置法第七十八条第五項及び組織令の第百十六条二項のいわゆる「無線施設に関する技術の指導監督及び助成」というこういう定めがあるわけでありますが、これは全般の問題でありますから、なかなかしぼって御答弁はむずかしいというふうに思いますけれども、少なくとも基本的なこれらの助成あるいは指導監督に対します考え方、たとえば具体例がありましたらそれを一、二挙げていただきまして、大臣あるいは長官にお尋ねをいたしたいと思います。
  59. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) いまお尋ねの、農林省設置法それから組織令に「漁業用無線施設に関する技術の指導監督及び助成」という項目があるが具体的事例はどうかという御質問でございますが、まず、指導監督について申し上げてみたいと思います。  これの具体的なやり方につきましては、まず都道府県の水産当局を通ずる指導というものがあるということが一つございます。それからもう一つは、全国団体としまして、現在社団法人で全国漁業無線協会というのがございます。私どもは全国的な問題につきましてはこの全国漁業無線協会を通じ、また都道府県固有の問題につきましては都道府県の水産部局を経由いたしまして、必要に応じまして漁業無線の運用面、主として運用面でございますけれども、それに関しまして必要に応じ指導をし監督をいたしておるというのが第一点でございます。  それから助成の点でございますが、いまお話にもございましたとおり、この沿岸漁業につきましての漁業無線というものは、構造改善には密接な関係があるのでございますけれども、助成としまして現在行っておりますのは、まず沿岸漁業構造改善事業、その一環といたしまして沿岸漁業の超短波漁業用海岸局の設置につきまして補助金が出るとか、そういうような形でもって助成をいたしております。それから、個々の漁船も無線設備を有しているわけでございますが、個々の漁船に対・します漁業用設備の助成は、漁業近代化資金の利用というようなことでこれは助成をいたしておるというのが実情でございます。
  60. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 あと少し詳しくその点については触れてお尋ねをいたしたいと思いますが、昭和四十四年に国際的な関係から電波関係法令が大幅に改正された。その改正に伴って漁船の船舶局あるいは海岸局等施設にかかわる規制が加わっておりまして、場合によっては機種交換をしなきゃならぬ。こうした幾つかの問題が発生をしておるわけでありますが、したがって、これに伴って管理をいたしますのは電波監理局、それから漁業という観点になればこれは当然水産庁、この関係はきわめて私は密接不可分の大いに連携をとりながら実態に合わせて法改正というものが行われていかなければならぬというふうに考えるわけでありますが、この法令、規制等が改正をされました際に水産庁とそれから電波監理局、これらに対するところの意見調整の場といいますか、こうした問題はたとえばルール化をされておるのか、あるいは具体的にどのように行われておるのか、この辺についてお尋ねをいたします。
  61. 吉川久三

    説明員(吉川久三君) お答え申し上げます。  昭和四十四年に行いましたSSB無線設備の技術基準の改正は、国際電気通信条約付属無線通信規制で定まっておりますSSB無線設備の技術基準が改正されたこと等に伴うものでございます。この省令改正の検討に当たりましては、実施期日あるいは経過措置期間等を含めまして水産庁と十分意見を調整いたしまして、最終的には昭和四十四年二月の二十六日、郵政省で開催されました電波監理審議会の聴聞会、これはこのSSB無線設備の技術基準を改正いたします無線設備規則の一部を改正する省令案につきまして聴聞したわけでございますが、この聴聞会に水産庁の方が出席されまして、この聴聞会の聴聞の結果に基づきます電波監理審議会の答申を受けまして、このSSB無線設備に関します設備規制の一部を改正する省令案は改正されたわけでございます。  なお、この聴聞の席上等で申し述べられました水産庁の意見は、主としてこの新基準が適用されます無線設備の経過措置等について申し述べられたわけでございまして、その点につきましては、改正省令の中にそのまま盛り込まれまして必要な措置がとられておるわけでございます。
  62. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いまお答えいただきました四十四年二月二十六日ですね。この聴聞会というのはどういう規模になっているんですか、お聞きをしたい。構成。
  63. 吉川久三

    説明員(吉川久三君) お答え申し上げます。  これは、電波法の中にこの聴聞に関しますと申しますか、電波監理審議会に関します規定があるわけでございます。たとえば無線設備規則等の重要な省令を改正する場合に、この電波監理審議会に改正案につきまして諮問をするわけでございます。で、電波監理審議会におきましては、当該省令改正案につきまして利害関係者の意見を求めまして、その改正案につきましての意見を郵政大臣あてに答申いたしまして、郵政大臣といたしましては、その答申を尊重して措置するということになっておるわけでございます。
  64. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いまの答弁はわかるんですが、具体的に、じゃ聴聞に立ち会う対象というのは一体どうなっていたんですか、この辺一つはお聞きをしたかったわけでありますが、これはまあいいです。  それで問題は、先ほど質問をいたしましたように、今後の沿岸漁業の振興と、あわせて無線の占める位置というのはきわめて重要なんであります。したがって、水産庁と電波監理局とが絶えず漁業無線の関係について充実をし矛盾をなくしていくために話し合いの機会あるいはルール化を私はしてもらいたい、こう思っているんですが、その辺の考え方をお聞きをしたい。
  65. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) いまのお話そのとおりでございまして、私どもも常時郵政省の方と御相談をいたしております。  いまお話の聴聞会といいますのは、いわば形式的なといいますか、これを経なければならないというようなことでございますので、私どもも事前にいろいろ相談いたしましたけれども、この聴聞会にも出席をいたしまして準備書面というものを提出をいたしまして意見を申し述べる、結果は郵政省の方からお答えございましたとおり、私どもの希望どおり、この郵政省令に採用していただくということになったわけでございます。今後ともおっしゃるとおり十分連絡を密にしてやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  66. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 そこで、省令に基づいて特例期間が設けられておりますですね。これが本年の十二月三十一日をもって特例期間がなくなります。したがって、現行旧機械のままで使われておる船舶数あるいはその船舶に対して具体的に十二月三十一日の期限切れまでにどのような形でこれの遂行を図られようとしておりますか。その辺についてお答えをいただきたい。
  67. 吉川久三

    説明員(吉川久三君) お答え申し上げます。  昭和四十六年当時、設備の取りかえを必要とするSSB無線装置は、漁業無線関係におきまして約一万一千あったわけでございます。その後、私たち、無線局の検査の際だとか、あるいは漁業関係無線通信の打合会議の際等を利用いたしまして、この取りかえ等につきまして周知指導をいたしました。また、社団法人全国漁業無線協会並びに社団法人全国船舶無線工事協会等を通じまして、この周知指導を行ってきておるわけでございます。で、本年の九月末現在におきまして、なお取りかえてない無線局が漁業関係におきまして約二千七百局残っております。これにつきましては、本年末までに取りかえを行うよう引き続き指導を行っておるところでございます。  なお、この二千七百局の中には、SSBの旧基準の期限切れでございます本年十二月末までこれを使用いたしまして、新しい年になりますとこれを撤去するというようなものもございます。これは操業海域の変更等によりまして一ワットDSBという無線局の方に移っていく、あるいは冬の間は休業する、春の操業の再開を待ちましてその際に工事をするというようなものも含まれております。  以上でございます。
  68. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いまの二千七百の数字ですが、これはもう管内全部調査をされて確認をしている数字ですね。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 ただ、私の出身であります三重県の状況からいきますと、この沿岸漁業無線の船舶局がいわゆる百十四、これは本年の一月一日現在。若干の移動はありますが、総数においては余り変わりがない。そのうちで、旧設備を使用いたしておりまして新しくかえなきゃならぬのが今日現在九十三船舶局ある。この数字は大変な数字なんですね。いまそれぞれの組織を通じて指導をされておると言うけれども、その指導効果というものは全然上がってない。しかも、DSBの場合はおおむね二十万程度ということになりましょうか。SSBの無線設備ということになりますと、七十万、八十万の大体資金が必要になってくる。こうした事情等もありまして、旧機械を備えた船舶があっちへ行ったりこっちへ行ったり移動している、持ち主が変わっている。このような関係等がありまして、把握が大変むずかしいとは思うのでありますけれども、どうも数字について私自身としてはよく信用ができないのであります。  同時に、この十二月三十一日までの期限切れに伴って、法改正に基づいて一応の猶予期間はあったとは言うけれども、これからますます重大になってくる沿岸漁業に対して、言うならば漁業近代化資金とは言うけれども、近代化資金の実態からながめていきまして、無線設備に使われておるケースというのはきわめて少ないのじゃないのか。これは後で質問しますが、こういう状況の中で、言うならば法規制に伴っていままで使っておった機械が取りかえられなきゃならぬ。取りかえるに当たっては、当然それらに対して補助をしていくという考え方があっていいのじゃないんだろうか。  いま、正直申し上げまして、三重県の場合に、ちょうど昭和五十年に漁家所得でありますが、これはおおむね三百二十万、政府統計の数字からいきましても昭和五十一年度三百五十五万、こうなっているわけです。そうすると、そういうような漁家収入の割合からいきましても、この無線機の取りかえ、それに要する出費というのは相当負担に感ずるわけです。こうした観点について、補助をする考え方、あるいはこの近代化資金等がそうしたことについて、むしろこの規則、規定からいきますと、きわめて適用されるのが目につきにくいような、ごく簡単に出されておりまして、それぞれの持ち主が近代化資金が使えるんじゃないかということ自体もよく知らないという現状なんです。こうした実態を踏まえて、私はきちっとした指導をお願いをいたしたいというふうに思いますが、問題は、補助をする気持ちがあるのかどうか、こうした観点を少しお聞きをしたいと思います。
  69. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 猶予期間が迫っておりますので、これはやはり年内には必要な設備に交換をしていただくということを、ぜひ私どもお願いをしたいと思っております。その費用がいま御指摘のとおりに六、七十万円かかるというお話でございますが、やはり個々の漁船に備えつける無線でございますので、これを助成の対象にするということははなはだ困難でございますので、従来から私どもは、必要な場合には漁業近代化資金制度を御利用いただくようにということで指導をいたしておるわけでございます。  後ほどということでございますが、私どもも近代化資金、現在の手持ちでどれだけ無線用に近代化資金が出ているのかというようなことは、実は非常に細かいものでございますので的確には把握いたしておりませんが、利用できるように、たとえば漁船をつくる場合には漁船資金とあわせてその中で利用ができますし、また、漁船漁業用施設等の購入に際しましては、二号資金といいますか、二号資金の利用というものも可能でございますし、相当程度の近代化資金はすでに利用されておりますし、今後も利用可能でございます。もし指導等が不徹底であるならば、この点につきましては、利用方につきましてさらに指導をしていきたいと思っております。
  70. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 それで、いまの海岸局それから船舶局ですね、これに対して漁業近代化資金助成法施行令第一条、同表の第二、これに決められておると思いますが、これの活用状況。  それからもう一つは、同じ趣旨におきます農林漁業金融公庫の業務方法書別表、これの十八に定めがあるわけでありますが、これの漁業無線、海岸局あるいは船舶局合わせまして、使用状況についてひとつ資料提供を求めたいと思います。
  71. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) ちょっと資料の点についてお答えをいたしたいと思いますけれども先ほど申し上げましたように、現時点におきましては、近代化資金のうち、現在無線関係の経費は漁船資金の一部として、または漁船漁業用施設の一部として利用されておりますので、現在私どもの手元に、そのうち漁業用通信施設に何件、どれだけ利用されているかという資料はございません。  それから公庫資金につきましても、いま御指摘の別表十八でございますけれども、これは沿岸漁業構造改善推進資金のうちで漁業用通信施設、これは現在利用されておりません。融資実績はございません。それ以外の漁船資金の中では、先ほど申し上げましたように含まれていることがあるのですが、分類ができておりません。もう一つ、漁港資金というのが別表十六にございます。この漁港資金のうちで漁業用無線施設、これは相当大規模なものでございますけれども、これは四十九年に一件、それから五十年がなくて、五十一年度につきましては四件、一億六百万円というような融資の実績がございます。  したがって、御要求の細目につきましては、いま直ちに資料提出できるような状態にございませんので、御了解をいただきたいと思っております。
  72. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いまそういう御答弁をいただいたわけでありますが、先ほどもお話がありましたように、漁業構造改善事業の実施に伴いまして、昭和四十四年から五十一年、昨年まで四十二件の、構造改善事業として、その中の海岸局のいわゆる無線施設でありますが、この設備費として規定に伴う設備費用の十分の四、いわゆる四〇%でありますが、政府補助が出ておるわけですね。ところが、この政府補助の中で、これは長官が御答弁いただきましたように、超短波の漁業用海岸局、これの設置に対する助成でありますね。ところが、沿岸漁業法からいきますと、小型漁船とはという規定がございますね。これは十トン未満の船舶、漁船、これを沿岸漁業法の中でとらえておるわけですね。そうしますと、十トン未満は、先ほど電波監理局の方から触れられておりましたように、使用する無線はDSBを主としている。大体十トン以上、沖合い漁業ですね、カツオ・マグロ等も含めましてこれがSSB、こういう観点になってまいります。  そうすると、沿岸漁業の構造改善の立場から支出をしていくのに、この助成をされました海岸局の形ですね、これは一体どういうことになるんですか。沿岸漁業法からとらえていきますと、最高十トンの漁船というものが一つの基準になっておる。それ以下でなきゃならない。当然、沿岸漁業の構造改善、こういう形で振興法に基づいて法律がつくられているわけです。そこで海岸局がつくられる。海岸局がつくられるのに当たって、今日まで昭和四十四年から延べ四十二件の補助が行われておるわけですね。この海岸局は、DSB並びにSSBおおむね二つを持っておるわけです。そうしますと、法律に伴って、法令に伴って補助をされますのは当然十トン未満のSSB、形からいけば。法理解からいけば。ところが、片方でSSBの方も包括をしまして、海岸局の設備として建設計画が出て設置費が決まる、そのうちの十分の四というものが政府の補助になっている。こういうことになりますと、この十トンという制限で行っていることについても矛盾があると思うんですが、現実問題、一体何に基づいて、どの法令に基づいてこの補助というものが行われておるのか、ちょっと私は不思議でならない。この辺に関して答弁をいただきたい。
  73. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) どうもちょっと、私御質問の要点が多少わかりかねる点もあるのでございますが、こういうふうに理解してよろしいかと思いますが、沿岸漁業の構造改善につきまして、大体これは共同利用施設を中心に事業をやっておるわけでございますが、その際、漁船という場合には十トン以下というのが基準になっている、十トン以下についてはSSBではなくて別の波長を、DSBですか、波長を利用する無線施設を持っていると。それとの関連において海岸局へ助成がどういうことになるのかという御質問だと思いますけれども、これは私ども沿岸漁業構造改善というのは、御承知のとおり相当広範囲の地域を指定いたしまして、それぞれ共同利用施設を中心にいたしまして、これらの構造改善事業に基づく要綱をつくりまして助成をいたしておるわけでございます。したがって、特にこの海岸に設置された無線局、先ほど指摘のとおりの実績があるわけでございますけれども、この無線局は十トン以下の船だけが利用する無線局でなくてもこれはよろしいのではないかと。それはその構造改善地域の中で漁業を営んでおります漁業者の共同利用施設ということでこの海岸局を設置いたしておりますので、そういうことからこの海岸局は、SSBだけでなくてDSBですか、両用の施設を備えているということになっているのではないかと考えております。  私どもは、それぞれの段階で討議が行われまして、その地域において最も緊急的に必要な施設というものの選定がなされて助成をいたしておるわけでございますので、相談の結果、そういうような施設、またはそういうような装備を持った海岸局を設置いたしたいという御要望によって助成をいたしておるつもりでございます。
  74. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 少なくとも政府補助を行うには根拠法規があって、その根拠法規に伴って補助が出されるわけでしょう。それが拡大解釈をされるというふうな話になりますと、これはとんでもないことになるだろう。もしそのことが通ずるとするのなら、SSBの海岸局が設定をされて、そのSSBを使う船舶局はこれはおおむね十トン以上なんです。これは実態をよく御存じのはずです。しかも、それは沿岸漁業法とのかかわりから言えば、本来沿岸漁業をやっておったにしても、漁業法の救済規定の中にその船舶は入ってこない、そういう話になる。  ところが、現実問題としては、SSBを備えつけた十トン未満の船だってあるわけです。そこの海岸局に対して、仮にSSBであっても、これは一部であっても補助しているというのならそれはそれで私は認めるんです。大いに結構です。ところが、同じSSBの大半を使用する船舶局、十トン以上の船です。しかも、船舶安全法からいけば、二十トン以上は対象になるけれども、二十トン未満はなってこない。こういう事情の中で、現実にはその船は相当遠くまで行って漁をしていることは事実です。とすれば、それはまさに無線そのものが命綱、これは私がいまさらここで述べる必要はないと思います。唯一の通信路なんです。それに対して漁業近代化資金という制度はあるにしても、これは返さなきゃならぬのです。海岸局の設置は共同ではあるけれども、これは返さなくてよろしい。ただ、今日の段階としては設備を行ったときの一時資金しか出ていない。私は、もっとこの沿岸漁業を充実をさしていくためには、少なくとも海岸局も海岸局の運営も、同時に船舶局とこの管理の状況も含めまして、当然これは両方を助成をし助長をしていくというのが一つの大きな筋になるだろう。こういう意味合いで、なぜ船舶局には補助対象が出てこないんだろうか。この辺が少し腑に落ちないわけでありますので、ひとつ明確な回答をお願いをいたしたいと思います。
  75. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) いま御指摘の十トン末満の船と十トン以上の船との無線機の設置、それと、それを利用する海岸局との関係でございますが、現状といたしますと、先生もこれは十分御承知と思いますけれども、沿岸の方も最近は非常に装備が優秀になりまして、船の方も漸次大型化してくるということでございます。したがって、沿岸漁民も十トン未満の船だけじゃなくて、十トンを超えるような船を装備いたしまして効率的な漁をやっているということが普遍的になってきておる。そこで、その関係から無線施設の装備も違ってくる、それを受ける海岸局も両用でなければならないということになっているわけでございます。  御指摘中心は、そういう両用無線というものは船にとっては命綱みたいなものなんだから、陸上局については構造改善事業による助成の方途があると、ところが船の方の命綱である無線施設には助成の、つまり補助金の制度がなくて、近代化資金という融資にしかすぎないではないかという御質問だと思いますけれども、これは漁船——確かに無線施設は重要でございまして、これは命綱というようなことと思いますけれども、漁船につきましては先ほど申し上げましたように、漁船の建造の際に当然必要なほかの施設と同様に、無線施設につきましては低利長期のいわば助成を持った融資がいくわけでございますし、また、漁船に対する設備を購入する際にも助成を持った近代化資金が利用できると。個人的な施設につきましては、補助金の交付よりもやはり低利長期というような助成を持った融資の方がなじみやすいということで、現在、これは水産だけでなくてほかもそうでございますけれども、そういう方途をいたしているわけでございます。そういうことで、この問題は今後とも進めたいというふうに考えております。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕
  76. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いまの長官の回答というのは、きわめて私は冷たい冷淡な回答だと思うんであります。また改めてその辺についてはもう少しやりたいと思います。  ただ、沿岸漁業の海岸局の実態であります。これは冒頭御説明をいただきました設置法あるいは組織令、これに伴うところの指導、補助あるいは管理、こうした立場からいきまして、海岸局の運営自体に大変な今日大きな問題が出ているわけですね。  この問題点中心は、私はやはり管理をしていく常時配置の人の問題、これが一番大きいわけです。一番困っているところは、やはり船の漁の中心が、夕方出ていきましてそして夜間にかけて操業をする、あるいは朝早く出ていって早朝のうちに操業をする、これがまあ漁業の実態ですね、おおむね。ところが、その時間帯に人をどう配置をしていくかという課題がきわめて大きなわけでありますね。しかも、今日海岸局の経理区分というものは一般の事業とは明確に区別をされまして、寄付金か、あるいはその海岸局に参加をしている会費か、場合によっては政府補助かと、こうなっておるわけです。国の補助は、これは海岸局維持のための経費の中に突っ込まれるように規定ではなっている。ところが、日常の運営に対しましていまだかつて、長官がさっきお答えになりましたように、一切の補助がない。ただ設置に当たってのみ補助がある。経理の面では明確に国の補助を受けるような仕組みになっておる。この辺は実行面と大いに矛盾があると思うんです。ぜひこれは補助ができるように私は要求をしたい。法律が生きるようにお願いをしたい。こういうたてまえがあるんですが、それに対するところのひとつ回答をお願いしたい。
  77. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 御指摘のとおり、無線局の運営につきましては、昼間につきましては大体これは漁業協同組合等に設置されておる例が多いようでございますので、組合の職員が、電話等でございますので随時これをやるというようなことも可能でございますけれども、夜間の操業のような場合には二十四時間勤務が必要であるとか、また最近はぼつぼつ専門の資格を持ちました専任の職員を配置しているような局もふえてまいりましたので、人件費を中心にいたしまして運営費がかさんでいるところも私ども承知いたしております。現在、超短波の無線局が全国で四百十九ございますし、中短波それから短波の無線局が百三十七、合計五百五十六局ございますが、これらの中には、運営必ずしも問題がないところばかりではございませんで、多少問題のあるところも承知いたしております。  ただ私ども、これははなはだ恐縮でございますけれども、施設の設置につきましては助成の道もございますが、その後の運営につきまして助成をするということは、水産のみならず農業用、林業用の施設を通じまして、ほとんど例がないことでもございます。この運営につきましては、もっぱら会員によります寄付等で運営をされるなり、併設されております漁業協同組合の経費として落とされるということが通例でございます。そこでいろいろ問題もございますので、現在、全国漁業無線協会にお願いをいたしまして、この中短波、短波の海岸局のみならず、超短波の海岸局を含めて全体といたしましてどう今後合理化をしていったらいいか、合理化がどうできるのかという問題を、五十一年、昨年以来検討をお願いをいたしておるわけでございます。私どもやはり必要不可欠なものではございますが、なお合理化をする余地があるのではあるまいかということで、専門的な立場から御検討を続けていただいているわけでございますので、その結論を受けまして、今後の対策、合理化対策というものを確立いたしたいと、かように考えております。
  78. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 いま合理化の問題が出ましたのですが、これは前の当委員会の中で長官がやはり全国百三十七無線局の合理化の検討、こういう御答弁をなされています。いまのは数字が少し違いました。しかし、これは全体を指してのことだろうというふうに思いますが、現在漁業用海岸局というのは五百七十局、それから船舶局四万七千六百二十五局、こういう形になっておるわけです。  したがって、この五百七十局すべてを、これから合理化をしていくに当たっての検討の対象にされているわけですね。で、この合理化ということになりますと、当然技術者の配置の問題ではなくて、いまたくさんある特に沿岸漁業局、これは基地がたくさんあります。それぞれの組織がある、それにほとんどが乗っている、こうなっていますから、当然これをブロックならブロックに集めるとか、そういう課題が出てこようというふうに思うんです。  これはもう実態としてよく御承知のように、今日の漁業のそういう沿岸にずうっと局ができ上がっていった歴史というのは、漁業海区の問題、これは一つの歴史的なそこの漁業経営をしてきた伝統が、なかなか隣同士うまくいかないという幾つかの問題とぶつかりまして、現実には幾つか置かなきゃならぬという形がある。だから海区調整、それを利用する漁民の問題、ここに絡まって、私はそのことの基礎ができない限り、なかなか合理化というのは思うようにいかないだろうと思う。技術の面では、電波監理の面では、これは簡単にできるはずです。しかし実態としては、そういうふうに合理化をし、数を少なくし、そうして利用する船舶局を多くしていく、こういう形の課題というのが果たしてこれからのいわゆる沿岸漁業振興という立場に立って適当なのかどうなのか、ここがきわめて私は問題だろうと思うんです。  もちろん、使用する電波の限度がございますから、この限度を拡大するわけにいかない。そうなってまいりますと、その使用している波の使える数の中でのいわゆる局配置ということになるでしょうが、むしろ沿岸漁業をますます整備をし振興していくためには、私は局数を少なくしていくというんじゃなくて、もっともっと局を私はそれぞれ見合って分類ができるという立場の方がむしろ漁業振興の立場からいいんじゃないのか、こういうふうに実は考えるわけです。この辺は、大変いま論議をされておる方向とは逆なんじゃなかろうかという気がする——これは推測でありますが、気がするわけであります。ぜひそうした観点も、漁民が自分たちが漁に利用するいわゆる区域の状況と、それを守りながら生産を上げていこうとする気持ちと、それを無視をした私は無線局の近代化という形になってまいりますと承認ができにくい、こういうふうに思いますので、ぜひそれも含めた検討課題にして論議を進めてもらいたいというふうに考えるわけであります。  そこで次に、それに絡みながら私は周波数の割り当ての問題について少しお聞きをしたいのであります。いま周波数の割り当ての問題、これは私どもの三重県だけでも、県内にある海岸局の中で同じ周波数を使っているケースというのが二ケースあります。その二ケースが遠隔地であれば比較的これは関係がないんです。しかし、むしろ共同の漁区あるいは隣接をしている漁区、こういうことで使われる周波数が同じになっている。こうなりますと、絶えずそこに先ほども申し上げましたような漁区争いといいますか、それが発生をいたしまして、こうした中で具体的なトラブルの内容まで言う必要はありませんが、きわめて熾烈なトラブルが発生をする一つの要因になるわけであります。ぜひこの周波数の関係につきましては、そうした現状も踏まえて、私はトラブルなく漁に従事ができる、こうした状況をつくり上げるのに協力をする立場でのいわゆる電波の配分、こうしたものが考えられ、実行されていかなければいかぬというふうに思います。その辺のひとつ考え方をお聞きをいたしたいと思います。
  79. 吉川久三

    説明員(吉川久三君) お答え申し上げます。  現在、二十七メガヘルツ帯の周波数を使用いたしております船舶局はDSBの周波数を使用しておるものが約三万六千局、SSBを使用しておりますものが約八千局ございます。これらの船舶局に対しましてDSBの電波といたしまして五十四、SSBの電波といたしまして百一波を割り当てております。で、これらの電波を個別の無線局に割り当てるに際しましては、当該海岸局が持っております地理的条件だとか、あるいは操業海域だとか、電波の利用状況だとか、それから海岸局に所属しております漁船数だとか、あるいは割り当て周波数の現状だとか、もろもろの点を勘案いたしまして、漁業の実態に即応したような周波数分配計画というものを策定いたしまして割り当てておるわけでございます。しかし、近年、特に二十七メガヘルツ帯のDSBの周波数を使用いたします漁船が非常にふえておりまして、非常に通信の混雑が増大してきているわけでございます。で、この混雑緩和の対処の一つといたしまして、従来は全国を六ブロックに分けましてこの周波数の割り当てを定めておったわけでございますが、去る九月にこれを全国を三ブロックに分けまして、周波数の共用区域を拡大するという方向をもちまして新しく出てきます通信需要に対処いたした、こういう措置をとっておるわけでございます。  もう一つは、やはり船間通信でございますが、この船間通信用の新しい周波数三波を、同じく去る九月に追加割り当ての措置をとった次第でございます。この二十七メガヘルツ帯におきます電波の割り当ては現在すでに限界に来ておるというように考えられますので、長期的な展望といたしましては、一九七九年の九月に一般問題を扱います世界無線通信主管庁会議、この世界無線通信主管庁会議の重要な議題の一つといたしまして周波数分配表の見直しというものがございますので、この会議の結果を見まして検討を進めていきたい、こめように考えております。  なお、漁業通信の円滑な運用を確保するためには、定められました通信手続等に従いまして秩序ある通信を行うということもまた十分必要なことだと存じますので、この点につきましての指導も十分やっていきたいと、このように考えておる次第でございます。
  80. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 考え方はわかるんでありますが、具体的にいま私ども県内で、局名を挙げれば、答志、波切それから古江、この三つは同じDSBであります。電波が同じである。さらにもう一つは、磯津、伊勢湾西部、この二局が同じであります。この磯津、伊勢湾西部につきましては、局が隣り合わせであります。局が隣り合わせ、全然離れてない、間にどの局も入ってないで引き続いている。それから先ほど言いました答志、波切、答志は離島でありますけれども、波切もこれまた先端です。古江は少し離れておりますからこれは余り問題はない。現実問題としては答志、波切、さらにこれは愛知のある海岸局とも周波数が同じ、こうなっております。こうした形の中では、これはなるべく緊急に私はこれらの措置をとってもらわなきゃならぬ。これは各県にも相当あるだろうと思うんです。これは正直に申し上げまして、先ほども言いましたようにきわめてトラブルを発生しやすい。そのことから無線以外のトラブルが発生しやすくなってくるんで、ぜひともこの課題についてはひとつ電波監理局として誠意のある措置を早急にとられるように、私は検討を加えて実施をしてもらいたいと、こういうように要望を申し上げておきたいと思います。
  81. 吉川久三

    説明員(吉川久三君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、一ワットDSB並びにSSB二十七メガヘルツ帯の船舶局並びに海岸局に、数の割合に比べまして割り当て得る電波の数は非常に限られておるわけでございまして、その限られた電波の中におきまして多数の海岸局あるいは船舶局にこの周波数を指定しておるわけでありまして、先ほど申し上げましたいろいろの条件を検討いたしまして指定しておるわけでございますが、やはり数との関連におきましてそのような事態も出る場合もあるわけでございます。で、そのような事態にならないように可能な限りの配慮はしておりますが、結果としてそうならざるを得ないという場合もあるということでございます。先ほども御説明申し上げましたように、二十七メガヘルツ帯の周波数を追加割り当てするということはもうすでにできないような限度になっておりますので、去る九月に行いました新しい措置によりまして、もし可能ならばいろいろと検討を進めてまいりたい、このように思っております。
  82. 坂倉藤吾

    ○坂倉藤吾君 ただ、これからますます沿岸漁業が増加をしてくるのは、これは郵政省自体が五十一年度の通信状況報告の中で明確に指摘しているんです。いわゆる二百海里時代を迎えまして遠洋の部分が少なくなってきている。いわゆる五十トン以上の船の船舶局数は減ってきているけれども、いわゆる十トン以下の言うならばDSB、これを中心にする船舶局というのはどんどんふえてきている。このふえてくる傾向にあわせて海岸局の問題というものを検討されなきゃならぬ。この組み合わせが必要になってくるわけですね。したがって、それはいま国際的な観点あるいは限りある電波の使用の問題でありますから総体としてはわかっておりますけれども、ぜひ、電波監理局として沿岸漁業を軸にした、それに協力のできるそういう立場の漁業無線に関する電波監理のあり方、これをぜひひとつ確立をしてもらうために十分に連絡をとり合ってやってもらうことを、ぜひともこの機会を通じて御要望を申し上げておきたいというふうに思います。  次に、米の需給調整にかかわる農林省の考え方あるいは態度の問題でありますが、この十月二十六日の日に、米をめぐる諸問題についての農林大臣と知事との懇談会が開催をされました。これはむしろ知事の側から農林大臣の出席を要請をして、そしてそれがまとまってこういう機会になったというふうに思います。ところが、この二十六日の会議の中で配られております資料は、「米需給均衡化対策の骨子(案)について」、それから「転作奨励金について(案)」、「米をめぐる諸問題についての意見」、この三つが配付資料として配られております。問題は、この「米需給均衡化対策の骨子(案)」。私は、きょうは時間の関係もありますので中身には触れません。触れませんけれども、この骨子は、これからの日本の農業の基本に触れるきわめて重要な問題である。しかも、提案のときに言われておりますように、十年間の計画というきわめて長期的な展望、しかも基礎的な問題である。この重要なものが、実は私どもの方にはこれは全然御提示はない。機会がとらえられてこの知事会で出されたり、あるいはその前に、十月の十三日に全国農林部長会議、これでもこの資料が出されているというふうに私はお聞きをしているわけです。  そうなりますと、これからの国の食糧問題、さらには農業そのものの問題、きわめて基本的な課題でありながら、実は国会の場ではこのことの論議あるいは検討が加えられないで、いわゆる全国農林部長会議だとか、あるいは知事会の方にこの資料が配られる、この辺について私はきわめて不思議でならぬわけであります。  その点についてもひとつ態度表明をいただきたいわけでありますが、同時にもう一つは、この「骨子(案)」という形で、先ほども言いましたように十月の十三日あるいはこの二十六日と、こういうふうに出されておるわけでありますが、そこに「案」というふうに書かれておることは、それぞれの場で、たとえば知事会なら知事会の場で全体が幾つか意見を出し合って、その意見の合意を見てこの「(案)」というのが消えてこの骨子が修正をされていくのか。この「(案)」というのは、閣議にまだかかってないからそのままで「(案)」になっているのか。この辺の「(案)」の意味もあわせてひとつお聞きをいたしたいと思います。
  83. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) いま米の需給均衡化対策、さらに水田利用再編対策、こういう角度でいろいろ検討いたしております。その検討の過程におきまして、農業団体あるいは全国知事会等におきまして、例年、御承知のように転作の問題につきましては実践的な、実務的なお仕事もお願いをし、御協力もお願い申し上げておる、こういうことでございますので、「(案)」を固めてまいりますためには、そういう関係の深い各方面の御意見あるいは御要望、そういうものを十分お聞きをいたしましてそして「(案)」を固めたい。  相当「(案)」が固まった段階において、国会の参議院、衆議院の農林水産委員会等にも御意見を拝聴する、私どもの考えもお話しをして御批判、御指導もいただく、こういう考えでやっておるわけでありまして、国会の方には私はぜひこの「(案)」が相当固まってまいりますればこれを御披露いたしましてさらに御検討と御指導をちょうだいをしたい、こういう考えでおるわけでございまして、まだ、いま、御指摘のように、平素この種の仕事につきまして実務的な御指導、御協力をいただいておる各方面の御意見を伺っておる、こういう段階でございます。それらの御意見等を聴取をいたしまして、御要望のあるところもできるだけこれを取り入れまして、「(案)」が相当固まってまいりますれば国会の方にもそれをお示しをして御指導もいただきたい、このように考えております。
  84. 川村清一

    川村清一君 ちょっと大臣、関連してお尋ねしますけれども、率直に言って、大臣のただいまの御答弁を聞いていると、非常に理にかなったような、筋の通ったような御意見でありますけれども、しかし、まあわれわれ立場を変えて考えてみますと、非常にこれは言い逃れであるというふうにしか受け取られない。首を振っていらっしゃいますけれども、事実そうです。先ほども論議されておりましたが、米の需給調整で来年は百七十万トンの生産調整をする。しかもこれは来年一年じゃなくて十カ年計画である。そして百七十万トンというのは、前期三年間これをやっていくと。百七十万トンと簡単に言いますけれども、これを生産調整するということは、水田面積にすると約四十万ヘクタールですから、この四十万ヘクタールの水田をつぶすという、こういうことなんですよ。ですからこの配分の問題も出てくるんで、先ほど自民党の北委員からもこの点について触れられておりましたが、どういうふうに配分するのかわかりませんが、私も北海道出身ですから北海道の立場から言うならば、いままでのようにもし三〇%を北海道に割り当でるということになれば、そうすると面積で約十二万ヘクタール。そうしますと、北海道の水田面積の半分がこれは調整されるということであって、そうなればこれはもう北海道の水田農業というものは根本的に壊滅するわけであります。これは北海道の例をとりましたが、これはずっとならしていくとどこの県にも当てはまるわけです。これは大問題ですよ。  したがいまして、この問題を国会になんか先に出したならば、もう国会の方でガーガーガーガーやってとてもやれないもんだから、一生懸命あなた方はいま全国知事会にこれを示して、何とかこれを受けてくれと、また全国の農業団体にも示して、何とかこれを受けてくれといって一生懸命説得しているのがこれが実態でしょう。新聞にちゃんと出ているじゃありませんか。そこで、もう知事会では北海道、東北の知事は絶対反対と言っておったが、きのうの朝日あたりを見るというと、まあ大筋において大体了承したと、しかしながら配分ということになれば大変な問題が起きるだろうということが出ておる。それから農業団体におきましても、全農あたりはこれはまあ生産調整はやむを得ぬだろうというところまで来て、次はこの配分、これが問題になると。したがって、原則では賛成したが、今度は各論になるというと大変な問題が起きてくる。そこで、これはただいま大臣の御答弁は、いろいろ案を出してそして御意見を聞いておるんだと。御意見を聞いておるということは、反対の意見があればそれを直すということが御意見を聞くということなんですよ。  ところが、いま農林省のやっていることは、御意見を聞くのでなくて、決めたものを何とかこれを受けてくれ、受けてくれということを説得しているのがこれは実態ではないですか。それが実態でしょう。そうしてそれで決まったならば国会の方にまあお示しして、そして国会の方の御意見も承りましょうというのが、いまの言うならば大臣のお言葉なんです。だからわれわれの立場から言うならば、要すれば大阪城を攻略するように外堀りを埋めて、その次には内堀りを埋めてそうしていよいよ本丸にかかってくると、本丸にかかってくるときが国会へ出てくる。もうそのときには、本丸も焼けてしまっているというような状態のときにあなたは持ってくるという、そういうお考えでしょう。そうじゃないですか。これは、やりようによっては日本じゅうの農業は大変なことになりますよ。私はおどかすわけじゃないですけれども、これは百姓一揆が全国からほうはいとして起きてくるんではないかというふうな気さえもするわけですよ。それだから、そういうことでなくもっと率直にはっきり言っていただくことですね。  それから、時間がありませんのできょうはやりませんが、いずれ米問題で徹底的にやらねばならぬと思いますから、あなた方は全国知事会や農協に出された資料をそのまま国会へ出してください。どうですか、出していただけるかどうか、それを御答弁いただきたいです。
  85. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、きわめて民主的な気の弱い男でございまして、これを農業団体や知事会等に押しつける、そういうような考え方でお話し合いをしておるのではございません。むしろ農業団体、知事会等でも大変な大事業でございますから、御関心を寄せていただいて、また御心配もいただいておって、そして農林省の現時点における考え方等を聞きたいし自分らの意見も率直に述べたい、こういうことでやっておるわけでございまして、本当にこの「(案)」が固まってまいりますまでには、そういう各方面の御意見をお聞きしなければ固まってこないわけでございます。  特に川村先生も御指摘のように、実際におやりになるところの農民、農業団体の方々の御要望なり御意見というものも相当これを取り入れてやってまいりませんといけませんし、私は謙虚な気持ちでいま各方面の御意見を拝聴しておる。そこである程度「(案)」が固まりますれば、これは農林省の考え方として国会にも十分御説明もし、またいま御要求になりました資料は全部提出をいたします。これは日本農業の構造を変えるような大変な大事業でございます。そういうようなことで、これはもう各方面、特に国会の御意見というものは十分に拝聴して進めなければいけない、このように考えておりますので、全然他意のないことをひとつ御了承を賜りたいと、こう思います。
  86. 田原武雄

    ○田原武雄君 サトウキビとお茶について、主として農林省当局に質問いたします。限られた時間でありますので、簡単明快に答えてもらいますように御要望申し上げておきます。  まず、サトウキビについて申し上げます。御承知のように、沖縄県及び鹿児島県南西諸島サトウキビは、その立地条件並びに気象条件から本土水田地帯の米に匹敵する基幹作物であり、また生命作物でもあります。そして、わが国の数少ない甘味資源として重要な役割りを果たしていることも、またいまさら申すまでもございません。このような理解の上に立って、政府といたしましてもこれまで生産者価格の引き上げ並びに生産対策の強化などに努力され、ようやく農家生産意欲が高まってまいりましたことは、私どももそれなりの評価をいたしております。しかしながら、さきにありましたとおり、経済的にも政治的にも離島というきわめて不利な立地条件のもとで、その上に台風や干ばつなどの相次ぐ厳しい悪条件の中で生産に励んでいる農家として、これまでの対策が必ずしも十分なものであり満足すべきものであったとは受けとめておりません。米軍の占領統治下から復帰後ともども奄美も沖縄も日なお浅く、環境条件いまだ整わざる南海の孤島にあって、このサトウキビを命の綱とも頼み、暮らしの糧として働き続ける多くの人々のために温かい政治の手を差し伸べるためにも、私の質問に対しましては温かい理解のある答弁を示してもらいますようにお願いを申し上げます。  第一に、今夕決められようとしているサトウキビ価格の決定でございますが、去る十月七日にはカンショ、バレイショ、てん菜などの価格が決定されましたが、その基本的な計算方法としては、基準価格に奨励金をプラスしてそれにパリティ指数を乗じて決定をされました。これは甘味資源を取り巻く厳しい環境のもとでは一歩前進をしたものであり、まずは妥当なものとして評価しております。しかし、今回サトウキビについてはどのような価格決定をしようとしておるのか、当局の御意見をお聞かせ願いたい。考え方をお聞かせ願いたい。ひとつ簡単に明快にしてください。
  87. 渡邉文雄

    政府委員渡邉文雄君) サトウキビ価格につきましては、できますれば本日中に決めたいと思っておりますが、サトウキビが鹿児島県南西諸島あるいは沖縄県のただいま先生御指摘のように基幹となる重要な農作物でありますことは、私ども十分認識をいたしているつもりでございます。従来も生産対麦、価格対策の両面からその施策の充実はつきましてできるだけの努力をしてまいったつもりでございます。  五十二年産のサトウキビの最低生産者価格につきましては、糖価安定法の規定に基づきまして、パリティ価格を基準といたしまして再生産の確保を図るということを旨として適正にこれを決めることといたしたいと思っておりますが、なお御指摘のように、鹿児島県南西諸島及び沖縄県におきます特殊土壌の状態あるいは台風の常襲地帯であるというようなことの、立地条件が他に比較しまして劣悪であるというようなことは十分念頭に置いておるつもりでございまして、従来からも基盤整備、機械化の推進あるいは品種改良等、生産対策の拡充強化に努めておりますが、価格対策の面につきましてもできるだけの努力をしてみたいというふうに考えております。
  88. 田原武雄

    ○田原武雄君 私は、南北問題を論じようとはみじんも思っておりません。広大な土地で機械化が比較的前進している北海道に比べて、サンゴ礁というきわめて恵まれない条件下で、復帰後開発もいまだにほとんど成果をおさめていない地域で生産されているサトウキビについては、このことを十分加味して価格が決定されるべきものだと思います。けさほども、お名前は申し上げませんが、やはり厳しい条件という——また佐藤元総理か沖縄を復帰さしたときでも、本土並みになるべく生活水準を引き上げるのだというかけ声があったので、この厳しい条件下ということを加味して、去年も顧みますと当初財政負担が三億六千万だった、ところが十七号台風が何と四十八時間も低迷した、サトウキビはしんからやられたということで、それらを踏まえて六億四千万円を上積みして、政府が親心を示して十億を財政負担をしてもらった。ことしも、来年までは十億をばやると決めてもらっておるが、しかしことしも異例の永良部台風にやられて困っておるのです。  それで、いま審議官基盤整備と言われたが、ややともすると価格決定のときに基盤整備が出されるけれども、それはいいが、それにすりかえられて価格現実に低かったんじゃいけない。それはやるけれども、三年、四年、十年後のやった後のもちろん成果であって、問題は全く金額的なものだ。それはやっぱり踏まえて、現時点には価格を、単価を幾らかでも上乗せする、そして財政負担もよりひとつ多少のことは見てやると。けさも小委員会でそのようなことをやるべきだという発言が多かったが、これに対してはどのような考えを持っているか。できればひとつ、さっき大臣もそのような発言があって、環境を踏まえながらという温かい言葉が出たが、具体的にはどのように考えておるか、ひとつ御意見をお伺いいたします。
  89. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) サトウキビは、先ほど政府側から申し上げておりますように、鹿児島県南西諸島、沖縄県にとりましては本土の米にも匹敵するような基幹的作物である、またそれだけに、農民の方々のこれに対する生活の依存度も高い、こういうようなことで、これを今後とも生産の向上を図り所得の安定を図るようにやってまいりたい。それにはいろいろの対策がございますが、宮之原さんにも申し上げたように、その中でもやはり価格という問題が、農民皆さん生産意欲向上させる面からいってもこれは重要な要素であるということも私も申し上げたところでございます。  したがいまして、今年度の甘味資源のまずてん菜糖につきましては、あのような算定方式、いままでの方式とは一歩前進をしたと、こういう算定方式をとったわけでございます。これは来年等におきましても同様の方向で私は考えていきたい、こういうことも思っておりますが、この沖縄、南西諸島サトウキビ価格につきましては、先ほども申し上げたように、この価格形成の中で北海道てん菜よりももっと財政負担なり何なりの面においても政府としては配慮をした価格になっております。今後とも十分その実情を踏まえまして、今回の決定に当たりましても適正に決めてまいりたい、こう思っております。
  90. 田原武雄

    ○田原武雄君 大臣のありがたい配慮を賜りましたが、数字の方はわかりませんけれども現実計算方式を根本から変えよとは申し上げてない。一歩前進したと私も評価します。しかし、その上にも厳しい条件を多少なりとも加味すると、復帰後日が浅いということ、それから内地水準に一歩でも近づけるということ、去年も六億四千万財政負担をやってもらったんだが、ことしも幾ばくを、ここで価格を言うと言質をとりにくいので、小委員会もございますので、とにかく大臣が少しは財政負担をよけいに上乗せしろよということをひとつ示してもらいますように、特にお願い申し上げます。  次に、サトウキビ生産対策について質問します。  土地基盤の整備でございますけれども、これは必須の要件でございます。恐らく価格決定のたびに出ますけれども、環境整備をしてもらわなければならぬけれども、残ったところは畑の真ん中にサンゴ礁がごろごろしている。また、水が少ないとサトウキビの生育が悪い、伸び率も悪いが、また大きさも小さいわけです。それで水利も含めてやってもらわなければならぬ。農林省は土地基盤整備のためにどのような対応をしようとしておるのか、これについてひとつ御見解をお伺いいたします。
  91. 森整治

    政府委員(森整治君) 南西諸島、沖縄、畑作中心の農業ということに相なるわけでございまして、その場合の畑作につきまして、いま御指摘の水資源の開発なり畑灌の施設の整備なり、圃場あるいは農道の整備、そういう畑地基盤の整備中心に各事業を進めておるわけでございます。奄美と沖縄は若干の違いがございます。しかし、いずれにいたしましても、ここ数年——まあ数年というのはちょっとあれですが、二、三年ということでございますが、相当大幅に予算の計上をしてまいりました。いろいろ沖縄につきましては、私はやはり復帰後日が浅かったということ、そういうこともございますし、それからやはり水の資源調査ということが相当問題でございまして、現に農林省も相当な金を使いまして河川の調査それから河川に依存できないところは、地下ダムみたいなものにつきましてただいま調査を進めております。その中で御承知のように、宮良川の着工も今年度始まりました。こういうことで大いに今後予算も整備充実してまいりたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
  92. 田原武雄

    ○田原武雄君 現状をすでにごらんになった方が多かろうと思いますけれども、沖縄や南西諸島の中でも、未墾地帯はサンゴ礁のより多く残存していて開発の困難な場所が多いことは申すまでもございません。いいところはだんだんだんだん、ネコの額のようなところでも開発している。したがって、アングルドーザーはもちろん、強力な削岩機等もあわせ備えて、思い切った開墾までせぬければ、環境整備基盤整備ということを口にはするが、そう生やさしいしろものじゃございません。それでひとつダイナミックな開発、圃場整備が促進されることを特に強く要望しますが、このようないままでと違った角度で削岩機を備える、場合によってはダイナマイトをかけてサンゴ礁もぶち割ってしまう、そしてブルドーザーをかける、アングルドーザーもかけると、この方向をやってくれるかどうか、これについて見解を明らかにしてもらいたい。
  93. 森整治

    政府委員(森整治君) 御指摘のように、サンゴあるいはサンゴ礁それから石灰土壌ということでいろいろ基岩が露出しておりましたり、土壌中にいろいろ石礫がまじっておるということで、それを除去するということは重要な問題だと思っております。特に沖縄につきましては、そのための一応単独事業も仕組めるようにやっております。それから、その他圃場整備事業、畑地帯総合土地改良事業あるいは農地開発なり干拓地整備、こういうのは石礫の除去というのは当然補助の対象にする。それから、前者の圃場整備、畑地総合につきましては、石礫除去が整地工の中で実施できるようにということで、一応補助率も上げまして、この点十分問題のないように、大いにこういう問題には対処してまいりたいというふうに考えております。
  94. 田原武雄

    ○田原武雄君 いま前向きで取り組む姿勢についてはこれは非常にありがたいことだが、言うはやすくして、サンゴ礁を中心にしていままでの通り一遍の開発構想ではなかなかできないんです。私はかつて戦車部隊を指揮してやったんですが、アングルドーザーも一番先に鹿児島県に持ってきた男ですけれども、そういうことで、もう少し抜本的に思い切った蛮勇をふるって、島の人たちがサンゴ礁にいどむような蛮勇をふるってひとつ大きくいどんでもらいたい、資本を投下してもらいたい。特にお願い申し上げます。  次は、品種改良対策についてお伺いいたします。  種子島、奄美諸島といえども、キビ作の世界的な天候気象条件からすると、むしろ北限いっぱいでございます。この地における品種改良、優良品種の開発はこれは不可欠の要素でございます。農林省はこれについていかように考えておられるか。沖縄とは、もっとあれは南域ですから違うんですが、その地域にふさわしい品種はその土壌でつくらなけりゃ間に合わないんですよね。沖縄と一括では、本当の奄美にふさわしい品種改善はできないんです、その気象じゃなけりゃ。どのような考えを持っておるか、ひとつお伺いします。
  95. 下浦静平

    政府委員(下浦静平君) サトウキビの品種改良につきましては、農林省の九州農業試験場温暖地作物研究室というのが種子島にございます。それから沖縄県農業試験場、それからさらにはやはり農林省の試験研究機関でございます熱帯農業研究センターの沖縄支所、これは石垣島にございますが、等でやっておるわけでございますが、特に奄美大島以北につきましては高糖度の品種が必要でございます。さらに、霜害対策からいたしまして特にわせのものが必要でございます。それからさらに、収益性を高めることが発展に大きくつながりますので、合理的な株出し栽培を普及させる必要があるわけでございます。このために、萌芽能力のすぐれた機械化適応性品種の育成が重要であると考えております。  そういうことで品種改良に取り組んでおりますが、昭和四十七年に新品種NI1、それから昭和五十二年に、株出し性能が高くかつ多収の品種でありますNINの2という新品種を開発をいたしまして農林登録をいたしており、逐次普及に移しているところでございます。
  96. 田原武雄

    ○田原武雄君 特に黒穂病は、台風、干ばつと並んで大きな打撃となっております。この黒穂病は、農薬では駆逐することはきわめて困難であるとしております。品種改良以外には方法がないというのが常識でございます。にもかかわらず、品種改良について試験研究はやっていないわけじゃないが、私は何回も言っておりますけれども、きわめて貧困でございます。それでもっともっと力を入れて、ひとつ熊毛、奄美を含めて、北限いっぱいの地域における品種改良をもっと積極的に進めてもらいたい。真剣にひとつ開発を進めてもらいたいと思いますが、いままでの惰性では、私はこれは掛け声だけで、価格決定のときに環境整備、圃場整備、それから品種改善、絶えず出る言葉であるが、一向前進しない。これについてどう考えておられるか。むずかしいことでなく、やるということだけ聞けばいいから、ひとつお答え願いたい。
  97. 下浦静平

    政府委員(下浦静平君) ただいま御指摘のございました黒穂病でございますけれども、これは私どもも課題の一つということで取り組んでおります。ただ、この黒穂病に対する抵抗性の強い品種の育成は、御指摘のとおり、現段階では未解決の問題ということになっております。したがいまして、最重要課題ということで今後も考えてまいりたいと思っておりますが、現在育成中の系統の中に本病に対する抵抗性の強いものも出てまいっておりますので、ただ収量、糖度等の面で必ずしもすぐれていないという点があるようでございますが、なお相当の試験を重ねる必要があるというぐあいに考えております。
  98. 田原武雄

    ○田原武雄君 次に、毎年サトウキビ価格決定のときに問題になるのは、いわゆる刈り取り、脱葉が七〇%の労働時間を占めておる。これにはもっともっと大きく民官一体となって検討して、これを研究室の方でやると言うけれども、一向に成果は上がっていません。そこで、けさも小委員会でも話がございましたけれども、刈り取り、脱葉にも、私は過去、製糖会社や農協団体がやっている。文明農機という専門メーカーにもやらせたけれども、資金が足りない。また、完全なものができない。技術陣が貧困である。取り組む姿勢が弱いということで、りっぱな成果を上げていません。これをやらないと、とても北海道並みの生産性は上げられません。そういうことですが、これに対してはどのように政府は、農林省は取り組まんとしておるか。御解明、御説明願いたい。
  99. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 先生御指摘のとおり、沖縄のサトウキビの生産におきまして刈り取り関係の労力が非常にかかっておるという、この点を改善できればはるかに生産性が上がるわけでございますので、私ども、従来農業機械化研究所にこの問題を専門に担当させまして、サトウキビの収穫に向く刈り取り機の開発に取り組んできております。ある程度成果は上がってきていると思いますが、まだ未解決の問題が残っておりますので、今後機械化研究所の研究調査の運営を通じまして、この点に大いに力を入れてまいりたい。  なお、その際には、民間との提携協力ということも必要であろうと思います。その辺についても配慮をしてまいりたいと思います。
  100. 田原武雄

    ○田原武雄君 これは非常に大事な問題で、サトウキビ生産の最もネックでございますので、是が非でもひとつ農林省が本腰になって力を入れてもらいたい、特にお願いします。思い切った予算化をしてもらいたい、技術陣を動員してもらいますように要望申し上げます。  次には、サトウキビに対する農業共済制度について質問いたします。  畑作共済については、試験結果を踏まえて、昭和五十四年から実施が予定されていることは、遅まきながらそれなりの評価をし、また期待をいたしております。しかし、問題は共済の内容であります。そもそも、共済は、端的に言うと安い掛金で十分な補償ができるところによさがあるわけです。そこで、いまの試験の制度ではとてもそれは物の用に立つと思っておりません、私は。これはひっかからない共済であると思っております。したがって、補償は三割方式などと言わずに、足切りなんかを言わずに、離島というハンディも考えて、米並み以上の、できればひとつ全額補償ということで一筆調査をして、三割でも、二割でも、一割でも補償するという姿勢をとらなければ、私どもは全戸加入に持っていきたいと思っていますけれども、それがためには魅力のある、価値のある共済制度に持っていかなきゃならぬ、これが大事であると思う。  もう一つは掛金でございますけれども、全国に最も条件のいい、国が金をかけて基盤整米でさえもこれは四割である、四〇%である。もっとできることなら、一〇〇%とは言わないが、八〇%ぐらいサトウキビにかけてやったって、離島の人たちをば、価格を基本方式で上げられないならば、このようなことでひとつカバーすべきであると思いますが、これに対する見解をお伺いいたしたい。
  101. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 畑作共済については、五十四年度から本格実施に移行することを目途に、目下法制化のための作業を鋭意進めておるところでございますが、共済の内容につきましては、現在国庫負担の問題とか、あるいは足切りの問題とか、その他制度の組み立て方の基本にかかわる事項について、十分慎重に検討をいたしているところでございます。  農家にすれば、確かに先生がおっしゃるように、安い掛金でたくさん共済金をもらえる、そういう保険制度がいいのでございますが、そうばかりもなかなかまいりませんので、やはり適正な掛金で適正な共済金が支払われるというふうに考える必要があるかと思います。同時にまた、足切りの問題につきましても、全相殺の形をとるのかどうかによってもまた違ってまいりますから、その辺のことも踏まえまして、あるいは畑作農業の実態なり、畑作振興の必要性なり、あるいはまた、その他の共済制度との均衡という問題も十分踏まえまして、慎重に検討をいたしたいと考えております。
  102. 田原武雄

    ○田原武雄君 ほかのものと見比べてというような慎重な発言でございますけれども、これはやはり前もってもう小委員会でもあるように、厳しい条件下であるので、一度制定しておけば後はまた改正ができるとおっしゃるけれども、一度決まったらなかなか改正できませんね。それでひとつ、最初の決定のときに厳しい条件を織り込んでやってもらいたい。特に要望申し上げておきます。  次は、サトウキビを転作奨励の対象に、特定作物にしてほしいということです。飼料作物、麦、大豆、ビートなどはすでにもう加えられておりますが、サトウキビも対象とすべきであるが、そのような考え方はあるのかないか。  もう時間がないので、私は駆け足でしゃべりますけれども先ほども北先生から話が出ました、来年は四百五十万トンの米が余るんだと、百七十万トンは調整するんだ、そしてそれがためには四十万ヘクタールを調整の対象にするんだと、行政ベースで均等割り当てするんだと、いろいろな話が出ていますよね。どうなるか知らぬが、そのような話が出ている。それはだれがやるのか、さっきもおっしゃったけれども、百姓一揆が起きれば大変ですよ。それで、サトウキビでもやはり少しでも転作の対象にできるように特定作物に認定して、国策に沿って稲転が順調に行くような方向で抜け道を少しつくっておかなきゃいかねそういうことで、ぜひひとつこれも特定作物として認定してもらいますようにお願いしたいが、イエスかノーか言ってもらえばいいので、ひとつ明快なお答えを願いたい。
  103. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 従来とも、水田総合利用の対策を進めている過程におきましても、沖縄に対しましては転作目標を割り振るということはいたしておりませんが、しかし、沖縄において水田から転換する作物としてキビが考えられるから、それを現在農林省が構想中の将来の水田利用再編対策の中において特定作物並みに扱ってほしいという御要請だと思いますが、この特定作物の考え方は、一つには転作の拡大可能性が大きいということ、一つには生産を伸ばす必要性が大きいこと、それからもう一つは収益性の問題で、特に反当収益でございますが、反当収益の問題で農家といたしまして転作がしやすい条件づくりをするという意味で、その収益が米作所得に比べて反当で著しく劣るということ、この三つの条件を満足するものについて重点的な特定作物の扱いをしていきたいというのが考え方の基本でございます。  その点で、サトウキビは労働時間はかなりかかっておりますけれども、反当所得で見て、まあ過去の数字で見ましても価格関係の所得それから奨励金の関係の所得がありますが、転作関係の所得を加えて見てまいりますと、これは四十九年から五十一年、われわれの計算では所得が十万円を超えるというかっこうになっておりまして、第三番目の要件から見ていかがかということで、私どもは、当面サトウキビ特定作物にする考えは持っておらないわけでございます。
  104. 田原武雄

    ○田原武雄君 それはいまから考え直して、ひとつ考えをば入れる方向で検討してもらいたい。ということは、米転作も至上命令になってきますよね。だれかがやらなきゃならぬ、転作を。米は絶対量が余っているんだ、二百八十万トンの米を使用する中で、五十一万トンで、サトウキビは国内のバランスが足らないんですからね。そういうことも考えてひとつ前向きで取り組んでもらいたい、特にお願いを申し上げたい。答えは要りません。そうすると言ってしまったら後がないだろうから、ひとつ検討してもらいたい。  次は、関連してでございますが、国土庁当局に対し質問いたします。  奄美群島の総合的な振興開発は、現行の奄美群島振興開発特別措置法によって徐々には成果を上げつつありますが、この特別措置法は、昭和五十四年三月三十一日をもって期限切れである。このままで放置していくと、基盤整備や産業の振興は、口には言っても一向に整わないまま大変なことになります。そこでぜひとも延長してもらう、これは延長してもらうことについてはイエスでしょうと思いますが、イエスと言ってください。  後は、奄美群島の生活水準は非常に低いので、群島の開発計画はいまから、一年前から現地に派遣してつぶさに調査をして、科学的な調査に立ってこうあるべしということを出して、振興計画は抜本的な上乗せをして、いつも価格決定のときに環境整備、圃場整備をするんだということをおっしゃっているので、抜本的な上乗せをして、少なくも沖縄並みの上乗せをしてやってもらいたい。むしろ、後から行った沖縄の方が前進して奄美の方がおくれているじゃないかと、あるいはまた上乗せが、かさ上げが少ないんじゃないかと、このように思いますので、これに対する考え方をばひとつお伺いいたします。
  105. 平岩金一

    説明員(平岩金一君) お答え申し上げます。  奄美群島が御案内のように昭和二十八年十二月日本に復帰いたしましてから、今日まで二十有余年の歳月を経たところでございますが、この間におきまして、奄美群島の振興に必要な各般の事業を推進いたしますため、特別措置法に基づきまして復興事業及び振興事業をそれぞれ十年間実施いたしました後、御承知のように、昭和四十九年度から振興開発事業を実施中でございまして、それなりの成果も上げてきたところでございます。しかしながら、奄美群島は、申し上げるまでもなく、本土から遠く離れた外海離島であり、しかも、台風常襲地帯という不利な条件などのため、群島をめぐる環境は依然として厳しく、たとえば所得水準につきましてもなお本土との間にも格差があり、公共施設の整備ども必ずしも十分であるとは言えない面があることは、先生の御指摘のとおりかと存じます。  現行の奄美群島振興開発特別措置法は、ただいまお話のございましたとおり、昭和五十四年三月末までの限時法となっておりまして、現在第四年度目に入っているところでございますが、本年度を含め残されました二年間におきましても、同法に基づく振興開発計画に掲げられました諸目標の実現に向けて全力を尽くすつもりでございます。  ところで、昭和五十四年度以降の奄美群島に対する措置につきましては、現在、県が実施いたしております奄美群島振興開発総合調査の結果や振興開発事業の成果の見込みなどを踏まえながら、奄美群島振興開発審議会の御意見も十分にお聞きいたしまして、また御案内のように、昭和四十九年の特別措置法改正の際における国会の附帯決議の御趣旨も体しまして対処いたしてまいりたいと、かように存じております。
  106. 田原武雄

    ○田原武雄君 そのようなことで、事前にひとつ調査をされて、前向きで大幅のかさ上げをして、サトウキビ価格のときに、構造改善をやるからというようなすりかえがなされないように、本当に整備をなさるように、特に積極的な政策を御要望申し上げておきます。  次は、お茶の問題で申し上げようと思ったが、時間がございません。そこで生産対策、輸入対策、消費拡大の問題、流通対策、なかんずく貧困である指導統制対策について質問したいと思っておりましたが、次の時期を見て質問しますので、十分検討してりっぱな答えができますように、お願い申し上げておきます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  107. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後三時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五十三分休憩      —————・—————    午後三時七分開会
  108. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、当面の農林水産行政に関する件を議題として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  109. 原田立

    ○原田立君 大臣、午前中、社会党の同僚議員からいろいろとサトウキビの問題について御質問申し上げましたけれども南西諸島、沖縄方面においては、サトウキビの生産についてはもう内地のお米をつくると同じようなそういう重要な基幹作物である、こういうふうに私たちはとらえているわけでありますけれども大臣もそこら辺のところは当然のことだというふうにお感じだろうと思いますが、いかがですか。
  110. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 午前中にも私の考えを申し上げたところでございますが、あの鹿児島県南西諸島、沖縄県いずれも海洋性、亜熱帯性の特殊な気候風土の中でサトウキビの栽培、これは重要な作物であり、まさに内地の稲作に相当するような基幹的作物である。これが農家の農業所得なり生活の、農家経済の中で重要な地位を占めておる、こういう認識を持っておりますことは、るる申し上げたところでございます。
  111. 原田立

    ○原田立君 それで、そのような御認識の上に立って、やっぱりそれにこたえてあげるという姿勢が政府になければならぬと思うんですが、そういう意味で、価格の保障問題等について十分御配慮だろうと思いますけれども現実の問題からいきますと、生産費等と比べてみてその買い上げ額が非常に低い。いろいろと問題はあるにしても、そういう基幹産業であるという認識の上に立つならば、当然代価の問題についてもっと手厚い姿勢を示してあげるべきではないか。たとえばてん菜においてはトン当たり一万三千六百九十二円の生産費である。ところが、サトウキビにおいては鹿児島県は二万一千九百二十二円である。沖縄は一万九千三十円である。こうがくっと高いんですよね。それでありながら、実際問題のトン当たりの引き取り額というのは、てん菜との差においてはたった百円の差しかない、いままでの例から言えば。それでは余りに不合理過ぎるのではないですか。
  112. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これは、サトウキビが沖縄並びに南西諸島の基幹作物であると同様に、北海道におきましてもてん菜は畑作の基幹的作物であるという重要性を持っております。そしてこれは貴重な甘味資源であると、こういうことでございまして、この甘味資源価格につきましては糖価安定法、これに基づきましててん菜糖サトウキビをこれは算定をいたしておるわけでございます。いろいろ御意見もございますが、今年てん菜につきましては、御承知のように奨励金、これもパリティ計算をしまして、半分は基本の価格の中に入れまして改善を加えたところでございます。将来ともそういう考え方で漸次改善をしてまいりたい、このように考えております。私はそういう意味合いで、十分今年度の甘味資源に対する価格の是正ということについては前向きで取り組んでおるところでございます。
  113. 原田立

    ○原田立君 大臣、いまの買い入れ価格で沖縄及び奄美、種子島、それらの生産農家の人たちは十分に生活ができると、こういうふうにお考えですか。
  114. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、まあサトウキビだけで営農をやっておられるのでなしに、いろいろ複合的な営農もおやりになっておる、そういう方が相当多いわけでございます。このサトウキビ生産性向上をして、そうして労賃につきましても相当合理化ができる、生産性向上ができる、何にせよ百七十時間近い労賃をここに投入をしておるわけでございますが、私は今後この改善は大分可能な期待が持てるのではないか、こういうようなことも考えておるわけでございまして、サトウキビだけでいまの時点で生活を稲作農家その他と同じようにというわけにはまいりません。確かにまいりませんが、しかし、政府としても精いっぱいの努力をしておる。  御承知のことと思うのでありますが、いま精糖業界はいろいろの事情によりましてコスト割れの状況にございます。したがって、この精糖業者からの調整金というものをこれまで出しておりましたけれども、これがなかなか出せないような状況にあるのではないか。そうすると、これまた政府でこの面もごめんどうを見なければならない、そういう点もいま検討いたしておるところでございまして、政府としても財政的な支出が相当ございますけれども、できるだけのサトウキビ農民のために配慮をしておるということは、御理解がいただけると思います。
  115. 原田立

    ○原田立君 てん菜関係が一万八千百二十円に決まった。恐らくいままでの例からいけば、サトウキビの方はこれに百円増しで一万八千二百二十円ぐらいにお決めになるんだろうと思うんですけれども、それでは余りにも口と実行とうらはらみたいな感じがして私はならない。先ほど宮之原委員からいろいろと質問がありました。要するに、農家の手取りがもっとふえるような努力をもっと十分にしてもらいたいというのが、先ほどの御意見でありました。私も同様な意見です。それについて、先ほど局長大臣も余りはっきりした返事をしなかった。再度御答弁願いたい。
  116. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) てん菜にいたしましても、サトウキビにいたしましても、これは経済物でございます。その物の価格ということになりますと、その物自身の持っている経済的な価値、効用というのが一つ基本になるかと思います。そういう物の見方として、パリティでもってある時期の価格を基準としてこれをスライドして見ていくということになっているわけでございまして、いまお話しのお話のように、生産費が確かにキビの場合高くつきますが、生産費だけでこれを決めるというようなわけにはまいらないわけでございます。ただ、そういう生産費の動向についてこれを参酌するということは、再生産の確保を旨とするという条文の規定によりましてもこれは必要なことであろうかと思います。しかし、そういったことは農家手取りべースでもって考えるという形でもって、従来も正規の最低生産者価格のほかに奨励金を加えるというようなことで調整してまいった事実があるわけでございます。そういうような調整の過程を経まして、かつてはてん菜価格をキビ価格は相当下回っておったのでございますが、今日ではほほ同水準、若干のむしろ逆転した関係になってきているわけでございます。生産費は確かにキビの場合高くつくことは事実でございますが、それだけで価格を決めるというわけにはまいらない。  それから、生産費は五十一年は仰せのように確かに生産費の方が決定価格を上回っておるという状況にございますが、年によって振れがあるものでございます。現に生産費が農家手取りよりも下回っておったという年もございますし、生産費が前年より下がるというような年もあるわけでございまして、たまたま五十一年の生産費が高くついたからといって、それだけで価格を決めるということにはなかなかならないのではないかというふうに思うわけでございます。ただ、こういう価格決定の際に、私ども価格だけでものをすべて決めつける、判断をするというわけにはまいらない、やはりこれは私どもの局だけで処理できる話ではございませんが、農林省全体としてのてん菜なりサトウキビなりの対策を総合的に考える中で、価格問題とあわせて検討してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  117. 原田立

    ○原田立君 これで終わりにしたいと思いますが、大臣、いまの局長答弁の中に、生産費だけでは買い入れ価格なんか決められませんよという、まことに血も涙もないような御答弁が返ってきたけれども、そういうような姿勢では、あの終戦のときに沖縄の人たち、奄美の人たちが味わった苦しみ、その後のおくれ、それなんかに対して最も手厚い態度で迎えている、手を打っているというふうには私は思えない。特に北海道てん菜においても、ああいう寒冷地域、また沖縄あるいは奄美大島、南西諸島等なんかも、ああいう暖かい地域、特殊な地域なんです。もっと手厚い手当てをすべきではないか、そうするのが奄美大島あるいは沖縄の人たち、あるいは北海道の人たち等に報いる道ではないだろうかと私は思うんですが、大臣の御所見はいかがですか。
  118. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) おっしゃっておるお気持ちは、痛いほど私もわかっております。しかし、政府としても、できるだけの改善を前年度に比べて事実とろうとしておるわけでございます。今後とも生産対策、構造対策、いろんな面でも、一層この特殊な状況下にありますサトウキビの育成、このために政府としても最善を尽くしたい、このように考えております。
  119. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いままでいろんな論議がありましたのであれですが、現在、農業、漁業いずれにわたりましても当面いたしておる問題は、いまだかつてない非常に大きな問題ばかりでございます。それだけに、私どもも真剣に現状というものを的確に把握するということ、それに対する的確な処置、対策、こういうものが今日ほど望まれる重大なときはないだろうと思うんであります。  いろんな問題があって、わずかの時間ではその一つ一つ挙げることはできませんが、その一つに過剰米の問題があるわけであります。これはいままで議論もございましたけれども、確認という意味においてお尋ねするわけでありますが、御承知のとおり、本年は天候に恵まれて大変な豊作であったということであります。これは農業者の努力天候に恵まれたということでありまして、この過剰米の処置につきましても、政府の方では自主流通のルートに乗せるという方針をお決めのようでございますが、農民の声はやはり政府に全量買い上げてもらいたいという、また五十年のあの処置、それに準ずるような形でできないのかどうかという、こういう強い要望のあることは御存じのとおりであります。この過剰米と自主流通米、この制度のそもそもの発足の時点からさかのぼって云々しなければならないのかもしれませんが、そういう淵源は別にいたしまして、当面の五十二年、本年の産米につきまして、どういう方針でこの過剰米の処理をなさる方針を固められたのか、また、その間のことについてひとつ詳細に御報告いただきたいと思います。
  120. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今年度は天候にも恵まれ、また関係者の御苦労によりまして作況指数は八月十五日現在で一〇四、こういう豊作型でございまして、これは近年で申しますと、五十年、作況指数一〇七を数えたときに次ぐところの豊作ということに相なっております。  そこで、相当量の御指摘のように超過米、余り米が発生をするということを私どもも予想しておるわけでございますが、政府としては、昭和五十年の大豊作の際におきましても、これは指定集荷団体である農協、また配給の元売りをされておる全糧連の傘下の方々、そういうような方々の御協力を得まして、いわゆる自主流通ルート、これを通じて五十年の際も全量処理をしていただいたわけでございます。もとより、その際におきまして、政府として金利あるいは倉敷あるいは出荷促進対策費、いろいろの助成も、この措置が円滑にできるようにそういう措置を講じたところでございます。その際、藤原さんの地元である北海道、昭和五十年にはたまたま冷害等の事情がございまして余り米が出なかった、むしろ平年作よりも収穫が少し減っておる。でありますから、北海道の方々にとっては初めての経験になろうかと思います。そこで非常に御心配をなさっておる向きがありますが、しかし、五十年の際には、いま私が申し上げたようなことで全量これが処理されておる。したがいまして、今年度の超過米の処理についてもこの方針で御処理を願うようにいたしておるところでありますし、また、政府としても必要なる助成措置を講じてまいろうと考えておるところでございます。
  121. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣に言わせると、過去の経験もあり、北海道では初めての経験かもしれないけれどもそう心配することはないぞということのようでありますが、しかしこれは単にことしのことだけじゃございませんで、今後の問題にも関することであり、農林省の米需給均衡化対策、こういうものも出ておるだけに、今後に対する不安というものがより大きく、これは将来に対してももちろんのこと、ことしの過剰米に対しても一体どうなるのかという不安が出てくるのは、これは当然のことだと思うのです。  時間もありませんから一々お聞きすることもできませんが、それのよって来るところは、今日までの農林省の農業政策に対する不信というものがやっぱり大きな原因になるだろうと私は思うんです。約束したことはちゃんと実行されるということであれば、大きな信頼感の上に立ってやれるかもしれませんけれども、農業、漁業いずれにいたしましても、一つの大きな転換期に来ておる。特に農業につきましては四十六年以来減反政策がとられてきて、御存じのとおり、北海道におきましてはその目標を大幅にオーバーするぐらい一生懸命努力をしてきたというそういう努力がありながら、今日なおかつ将来に向けてのまたいろいろな問題が出てきたという、こういう不信感というのは払拭し得ないものがある。これを自主流通ルートに乗せるから心配ないというのですけれども、これは各地それぞれ皆自分なりに努力をしていることでありまして、何でも政府におんぶにだっこということじゃ決してないのです。私も上川地方や名寄方面をずっと回ってまいりましたが、名寄におきましては、御存じのとおりウルチ米とモチ米の比率というのはモチ米の方が多い。それは、どっちかというと、長い問いろいろ研究をして自主流通に乗せやすい、今日までそういういろんな環境条件の中で、いざというときの自衛手段、防衛策として名寄の農家の方々は努力をしてきたわけであります。そういうそれぞれの立場立場で努力のあることを十分に配慮をし、皆様方が机の上でそれをどれだけ、何万トン過剰になってどうするということじゃなくて、現地の厳しい諸条件というものを勘案した施策というものを是が非でもひとつ考えていただきたい、こう思うんです。  米需給の均衡化対策につきましても、いろんなことを申し上げる時間がありませんからあれですが、この大体の骨子は発表といいますか、私ども目を通しておるわけでありますが、詳細のことになりますと、また後日時間をいただきましていろんな論議をしなければならぬと思います。とかくいままで反収の少なかった北海道でだんだん反収が上がるようになってきた。そして、過剰米というとすぐ北海道が対象になる、そういうところであるだけに、将来に対していろんな努力をしてきたと、また大臣もご存じのとおり、出身の岩手県等におきましては、山間部に稲作のところがたくさんあるわけですが、山間、谷間みたいなところにある水稲も、実はお米は一番安定した作物だということで、防衛手段として、畑作は非常に価格変動が大きいし保障もない。それだけに、お米は非常に安定したものとして、自衛手段としてのお米をどうしても最小限度これだけはいざというときのためにつくらなければならぬ。そういうことで、その地その地のそれぞれの事情があり、そしてまた努力があり、そしてなされてきたわけでありますから、これが画一、またはそういう現状の把握なくして上からといいますか、農林省皆さん方の現状もわからずに画一的な方策というものが出されるということになると、これは非常に大きい問題だと、私どもはこう思うわけであります。  いま問題になっておりますように、稲作と畑作との価格保障という、こういう制度そのものにも大きな問題があります。農民の長い間の知恵の中でそういういろんな努力を重ねてきておったという、こういうことからいたしまして、私は、米需給均衡化対策、来月どうするとか、近々どうするとかというようなことのようでありますが、本年の過剰米そのものにつきましても、なかなか納得し得ないいろんなものがある。第一次の減反政策におきましても、一生懸命農民努力をしながら政府の言うとおりやりながら、今日またこういうところに追い込まれてきておる。これは政府の責任だけではない、いろんな問題があるかもしれません。しかし、見通しの甘さということは否めない事実であろうと思うんです。そしてまた、これから十年先のことについて農民に次のことを強いるということになりますと、これは相当な時間をかけて話し合いをし、納得をし、そうした上に立って進めなければならないと私は思うんです。  そういうことから言いまして、やっぱり現状の認識ということから、各地それぞれいろいろ状況が違うわけでありますから、農林省の職員はご存じのとおり検査員から普及員からもう膨大な職員を抱えているわけでありますが、いまこそこれらの方々が農民の中に飛び込んでいってその実態の把握をする、農業団体に任せて、そこから上がってきたものだけを集約するということじゃなくて、農林省自身が農民の中に飛び込んでいってその実態を把握をし、そうした現状に基づいた生の声を生かした施策が必要ではないか、そういう対話が必要ではないか、私はこのように痛感をするものであります。それは、水産庁とかほかの省庁から比べますと、農林省にはもう手足があるわけでありますから、これはもうじっくりひとつ話し合っていただいて、とかく今日までの施策というのは農業団体の中心幹部、そこらあたりを大体説得すればというような、こういうことで来たわけでありますけれども、今度は余りにも十年間に対する、十年という長期の展望の上に立つ、そしてまた、各地それぞれのいろんな諸情勢が違うという非常に複雑な諸問題がある、こういうことを勘案せずして、上から画一的な調整政策といいますか、生産調整のようなものをやるということにいたしますと、これはもう農民だっていままでここまで努力をしながらという、こういう意見が強く沸き起こってくるのはこれは当然のことだと私は思うんです。大臣、どうですか。
  122. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 藤原先生御指摘のとおりでございまして、この水田利用再編対策はまさに日本農業の構造を変革をする、こういう重大な問題でございます。しかし、このことは日本農業の将来を考え、総合的な食糧政策を考え、さらに米の需給均衡を確保する、そうして食管制度を堅持していく、こういう観点からも避けて通れない、また必要なことである、こういう点につきましては、私は全国の農民諸君も十分御理解がいただけるだろうと思うわけであります。ただ、この実施に対するところの具体的な施策につきましては、私はできるだけ各方面の御意見をお聞きをし、また、いろんな御要望等、御意見等もくみ上げてこれをやってまいる。また、これが円滑に実施できるような条件整備をする、これは行政の責任でもございます。  そういうような観点から、いろいろ各関係の団体とも御意見をいま聴取をしておりますし、近く各県の担当官から県内のそれぞれの事情、こういうものもお聞きをしたいということで、各県のヒヤリングもやることにいたしておりますし、地方農政局長も集めて管内の実情、そういうものもよく聞いておるところでございます。また、農政審議会の方にも御意見を伺って進めておるところでございまして、藤原先生御指摘のような心構えで取り組んでおるということを御理解を賜りたい、こう思います。
  123. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 このたびの施策は、どんなに大きな転換点に立っているかということを認識すればするほど、いま大臣のおっしゃったようなことももちろん積み上げていかなきゃならないことだと思います。最近の新聞、大臣もお読みになっていると思いますけれども農林省の職員の方々が机で計画ばかり立てないで現場にひとつ入ってみてもらいたいという投書がずいぶんあるように私は思うのですけれども農林省の方ですから農業のことがわからないわけじゃない。かつてはそれぞれの立場でいろいろなことをなさった経験がやはり生きていらっしゃるんだろうと思いますけれども、現場にただいまいろいろ問題になっている検査官とか、普及員の方とか、そういう方々もたくさんいらっしゃるわけであります。手足があるわけですから、農政局の中心者とか、団体の中心者とか、そういう方々の意見もそれはもちろん大事なことでありますけれども、本当にじかに、十年という計画を立ててなさるからには、やはりそれ相応の慎重な手だてを経ませんと、農家の方々も初めてということならまだいいんですけれども、かつて四十六年以来ずっとやってきておる。  じゃ、四十六年以来やってきたことが、一体どれだけの反省の上に立ち、どれだけの検討の上に立ってこのたびの施策がなされたか。これはもう農林省の言うことを信じてその上に乗っかるということじゃなくて、農民自身も本当にこれは人ごとじゃない、真剣に対策を考えなきゃならない、こういうことで不信感はますますつのると私は思うんです。そういうことから、是が非でも、農林省にはそういう各地方にたくさんの職員がいらっしゃるわけであります。それらの手をフルに生かして、十分にひとつ農民個々の声というものを吸収した上に、本当に納得のいくそういう政策というものを、声を生かした政策というものを確立してもらいたい、このことを申し上げているわけであります。十分にひとつ御検討をいただきたいと思います。  それからまた、転作の作物等につきましても、これは御存じのとおり、長い米一辺倒の政策のために畑作物につきましては、政府で奨励する大豆にしましても、麦にいたしましても、品種改良等においてはずいぶんおくれをとり、そうしてまた技術者も不足をし、また実際それを真剣に耕作しておる農家も老齢化をし、数が少なくなっていろという現状です。こういうことを一つずつ数字を挙げて申し上げませんけれども、研究者が不足したり、また研究がずっと滞っておったり、いまこれからやるといいましても、おいそれと昔の姿には戻り得ない、こういう現状にあることも十分に御存じのことだと思います。また価格のことにいたしましても、畑作との間には余りにも差ができ過ぎておりまして、また共済制度等を見ましても、ずいぶんな施策の上において差があり過ぎる。流通、消費、こういうものにつきましても、一層の強化対策を講じなければならないことは御存じのとおりであります。  こういう多方面にわたる諸問題ということからいたしまして、これはもう短期日の間にできることじゃないだろう。私、何も時間が長いからいいということでは決してないんですけれども、やっぱりこれだけのことをするには相当積み上げて、手だてを経て施行しなけりゃならないことだろうと思います。そういう点で慎重な対策、そしてまた手順を踏んで、そして農民の納得の上に立った対策を講じていただかなけりゃならぬ、このように思うんですが、大臣どうですか。
  124. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今回の水田利用再編対策、これは思いつきや急に取り上げた政策ではないわけでございまして、米をめぐる諸情勢、また、国民の需要に見合って生産を伸ばさなければならない他の主要作物、こういうような総合的な対策を講じなければならないということ、これはもう御異論のないところでありましょうし、こういう観点に立って、できるだけこの需給の均衡がとれるようにということで、先年来水田総合利用対策、こういうこともやってまいりました。そういう経験からいたしましても、これはさらに一歩を踏み込んで生産性の高い水田の高度利用、合理的な利用をやることによって総合的な食糧自給力を高める、米の均衡化も需給の均衡化も図る、こういうことを私どもいままでの経験、そして足らざるところに対する反省、そういうものに立ちまして、今回水田利用再編対策、これをひとつ各方面の御理解、御協力を得てやろう、こういうことでございますから、藤原さんがおっしゃるように、あらゆる方面の御意見を十分くみ上げてこれを実施してまいる考えでございます。
  125. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 いままでも基本農政とか総合農政とか、いい言葉を使われながら、それはそれなりのその時代の一つの考えであったのかもしれませんけれども、結果を見ず、時代の流れが非常に激しいと言えばそれまでのことですけれども、時代にマッチし得ない。見通しの甘さといいますか、いろいろな問題のために実を結んでいない。この減反問題も、きのうきょう起きたわけじゃない。四十六年以来農民努力をし、今日まで来ているわけでありますが、しかし、それのための環境整備とか、突然に思いついたんじゃないと大臣いま言われましたけれども、それならば、どれだけの環境整備のための努力をなさったか。また、これを実施しようというからには、それだけの環境整備というものがなされなければ、思い切った政策——思い切ったといいますか、私どもはこの政府の考えを頭から肯定しているわけじゃ決してありませんけれども大臣がいま思いつきで言っているのではないと言うからには、それだけのやっぱり実績の上に立ってのこのたびの対策であるのかどうか、こういうこと等を考え合わせますと、これは私ども非常に厳しく見なければならないという、こういう見解を持っているわけであります。  いずれにしましても、現実現実でございますので、それ相応に何らかの施策をしなきゃならないと思いますが、過剰米のために減反を強いられて非常に苦しみ悩み、その中で農業をどうするかということを一番の最前線で苦しんできたのは農民であります。農林省皆さんはいろいろ企画を立て施策をするということで、余り血も流したこともないかもしれないし、それぞれ御努力なさったことは御努力なさったと思いますけれども農民の方々ほどの、実際タッチしていらっしゃる方々のような苦しみを本当に味わったかどうか。こういうことを考えますと本当に胸の痛くなるような思いですけれども、どうかひとつ現実現実といたしまして、先ほど大臣のおっしゃったように、十分な声をくみ上げての納得のいく施策を進めていただきたい、こう思うんです。  ちょっと話は変わりますが、もう時間もございませんので建設省の方いらっしゃいませんか。——最近の都市化現象、それから産業の発展、生活水準の向上、こういうことで水資源ということが非常に叫ばれておるわけでありますが、それと、一方では、都市周辺の農地が壊廃されて、そうして農業用水の過剰といいますか、いままで使っておったものを使わなくなったわけでありますから、こういうことで、水資源の利用ということについて行政管理庁から、五十年の五月「水資源の利用に関する行政監察結果に基づく勧告」というのが出ているわけであります。「都市化に伴う余剰農業用水の利活用」という、私どもこれは各地を回りますと、こういうことを本当に痛感するところが幾つかあるわけであります。それぞれのところで、水不足とともに余剰農業用水の活用ということについて非常に関心を持っていらっしゃる。  時間もありませんから一つずつお聞きするのもあれですが、この行政管理庁の勧告に対しまして、建設省としては基本的にどういうお考えでいらっしゃるのか。そうしてまた、今後の取り組みといいますか、これはいろいろ問題がありますから一言では答えられない面があるかと思いますけれども、確かにこれは一つの議題の中で重要なことだろうと私は思うんですけれども、時間もありませんからかいつまんで建設省のお考え方をお述べいただきたいと思います。
  126. 安仁屋政彦

    説明員安仁屋政彦君) 建設省におきましては、昭和四十八年度以降、一級河川につきまして水利用の合理化の指導調整というものを行っております。これに基づきまして、ただいま先生から御指摘がございました都市化の進展に伴いまして使用量が減ってまいりました農業用水を上水道等へ転用してまいってございますが、二、三の例を挙げてみますと、広島県を流れております芦田川、ここで農業用水の利用主体としては五カ村用水等がございました。これを福山市外一市二町の上水に転用しております。また、利根川水系の権現堂川、これは農業用水の利用主体は権現堂用水でございますが、これを埼玉県の上水に転用する。こういったことで他に八件、合計十件につきまして農業用水の上水道への転用をしております。  そのほかに、建設省に上がってまいりまして審査中のものが七件、申請がまだ出ておりませんが現地で調整中のものが十二件、約三十件近くのものにつきましていま先生が申されましたような措置を講じておりますが、今後ともそういった事態には的確に対処してまいりたい、このように考えております。
  127. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これはもちろん壊廃になったわけですから、農業が再び行われるということではないところでありますから、直接農業そのものが——農業振興地域ということになるとまたいろいろ問題があるかもしれませんが、都市市街化区域内にも現在水田があり、それがどんどん壊廃になっているという、こういうことで、私どもも各地を歩いて非常に気がついたことでありますのでお聞きをしたわけでありますが、何といっても水利権をお持ちの方と、それから地方自治体、農業者、それぞれの関係者の方々とのお話し合い、そしてその上に立って建設省が河川の流量とかいろんなものを勘案した上でのお考え、最終的には建設省が御判断なさるんだと思いますが、そういう点で、そういう事情を勘案した上に立ってこれはやっぱり有効利用という上から見て非常に大事なことだろうと思いますので、いまお話がございましたけれども、ひとつ十分御検討なさり、またそれぞれの現状に応じてひとつ適切な処置を講じていただきたいものだと思うんです。  時間もございませんので、本当にお呼びしたんですが、基本的な考え方わかりましたから、以上で結構です。  次は、大臣、農業もいろいろ問題があってお聞きしなければならないことがあるんですが、きょうは一般質問ということで、漁業のことにもちょっと触れておかなければならぬだろうと思うんです。  日ソ漁業協定の交渉につきまして、いろいろな推移を見ておるわけですが、やっぱり漁業者が一番心配するのは、この先どうなるのかという見通しが立たぬと。これはどんな仕事でもそれが一番不安のもとであり焦燥のもとになるわけでありますが、暫定協定、それも長期ではなくして一年——しかし漁獲量等についてはまだ的確な取り決めの段階ではありません、サケ・マスを中心といたしまして。それから、サケ・マスにつきましては、アメリカ、カナダも非常に厳しいことを言っておる。こういうことに対する漁業者の不安というのは、これは覆うべくもないことだと思うんであります。  それと、これはまあこれからのことで、漁業者としてのこれからの経営上どういうふうに考えてやったらいいのかという一番基本になる大事なことのファクターが決まらぬということですからあれですが、およそのことは新聞で私どもも見聞きはしておるわけでありますけれども大臣からこの長期協定の交渉等を通じましての見解、それからアメリカ、カナダ等に対しての問題、くるめてひとつ御説明いただきたい。
  128. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 国会の御支援、御協力によりまして、モスクワ交渉、東京交渉それぞれ領土絡みの問題でございましたが、わが方の立場を害することなしに両協定が締結ができたわけでございます。しかし、これは一九七七年十二月末までの暫定協定でございまして、明年度以降これがどうなるかということが問題でございまして、今回実務者の代表を送りまして、この問題で話し合いを行ったわけでございます。  その結果、わが方といたしましては、できるだけ日ソの漁業関係、北洋漁業というものを長期にわたって安定をさしたい、こういうことで、日米漁業協定と同じように五年ぐらいにしたい、こういう考えを持っておったわけでございます。それと同時に、暫定協定の中に含まれていない日ソの間の今後の北西太平洋の資源調査資源の評価、あるいは持続的生産性の確保、そういうようなことを図りますために、相互でひとつ漁業共同委員会のようなものを設置して、そこですべてこういう問題に取り組んでいく必要がある。これが第一点。  それから、日ソの関係は、これは二大漁業国として今後一層協力関係を発展をさせる必要があるということで、漁業協力の問題。  それから第三点の問題は、二百海里の外における公海上のサケ・マスの問題でございます。特にこの問題につきましては、ソ連あるいはアメリカ、カナダ、いずれもサケ・マス、遡河性の魚種につきましては母川主義——母なる川主義と言って、各国起源のサケ・マスについては、二百海里の外でも管轄権を持つのだという主張をやっていることは御承知のとおりであります。でありますから、今後残された問題は、日ソ漁業条約が実質的に効力が消滅した後における二百海里の外における公海上のサケ・マスの取り扱いをどうするか、こういう問題が暫定協定に取り込まれていない重要な問題でございます。そういうようなことで、いまの日ソ、ソ日の協定の期限を延長する問題と、いまの漁業協力協定と申しますか、そういうものをぜひ締結しなければいけない、こういうことで交渉に臨んだところでございます。  この両暫定協定の長期延長につきましては、ソ側としては、国連の海洋法会議の結論が出るまでの間の暫定措置として最高会議幹部会令というものができ、その上に立って日ソ漁業協定ができたと。また、日本側もそうではないかと。漁業水域に関する暫定措置法というようなことの上に立ってソ日協定ができておる。こういうようなことで、まあ当面一年間の延長をしようではないかと。これは合意されたところでございます。その一年も、それでは一九七九年はどうなるのだという問題がありますが、これはツブ・カニ協定と同じように一九七八年の適当な時期に協議をするという協議条項、これも挿入をいたしまして、そしてこの暫定協定の内容、これをそのとおりに延長するということは合意されておるところでございます。ただ、来年度のクォータの問題につきましては、今回時間がございません関係等もございまして、改めて十一月の中ごろから始めようと、こういうことで合意をいたしております。これは、先ほど申し上げた日ソの協力協定と一緒に十一月交渉においてこれをやろうということに相なっておるところでございます。  一方、日米加のこの漁業条約、これもアメリカが二百海里宣言をいたしまして一応脱退というようなことを表明をされておりますけれども、しかし、三国で話し合いをして、そして日米加漁業条約の改定という形で今後も日米加の漁業関係をひとつ続けていこうと、こういうアメリカからの提案があり、その線に沿うて話し合いが先般なされたところでございます。  今回の交渉におきましては、それぞれの国の考え方というものを述べ合いまして結論は後日に譲る、来年の一月の中ごろから再度会合を開いて結論を出そうではないか、こういうことに合意をしたわけでございます。いずれにしても、その際におけるサケ・マスの問題、これは日米加の場合におきましても重要な問題に相なってきておるところでございます。
  129. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 もう時間もありませんので、後日また法案審議のときに時間をいただいていろいろ述べさせていただきたいと思いますが、それで残された時間でちょっと一つ、二つお尋ねします。  減船のことについてもそれぞれの業界でいろいろ話し合う、これはいつも大臣もおっしゃっておりましたが、お話し合いを進めておるようであります。しかし、零細なといいますか、中小零細といいますか、こういう漁業者というのは、経営者というのは非常に苦しい立場に立たされておるのじゃないか。特に一杯船主というような方々ですと、船を減船しますと廃業ということになるわけでありますから、そういう点で非常に苦慮なさっておる方々が多いということも私どもは聞いております。減船も今回初めて起きたわけじゃございませんで、いままで一、二度あるわけでありますが、今度のこの業界の中での話し合いということですが、話し合うにはそれぞれ業界の方々が集まってお話し合いをするんでしょうけれども、どちらかというと、実際的には各地の組合長さんたちが集まっていろんなお話し合いをなさる。組合長さんはそれぞれの組合員の方々の意見を集約なさるということでしょうけれども、なかなかみんなの意見を参酌するなんということは、そんなことをやったらこれはまとまりつかないことになるのかもしれませんけれども、大勢というのはやっぱりあるわけです。  そういうことで、いままで第一次、第二次ですか、政府の方でもこの減船については、こういう方針が望ましいのではないかという、こういうことが望ましいということを提起なさるというか、付記なさるといいますか、こういうようなことをなさったこともあったんですね。こうしなさいということではないのかもしれませんが、一つの方針なり、物の考え方として。今回は業界に全部げたを預けて、ひとつあんた方でやりなさいという、それだけに漁業界というのは——まあ大臣はその中に生きてきた方ですから、御存じのとおり、力のある人とそうでない人と、意見を言うといいましても、素直に自分の意見を言えないような場もいろいろあるようでございまして、減船問題についてはなかなかどういう基準で物を考えていくべきかという、まとまらない業界もあるように私は聞いております。  これは、いまここで農林省がどうしなさいなんというのは、こういうことは出し得ないのかもしれませんけれども、私はやっぱり漁業に明るい鈴木農林大臣、私どもが信頼する農林大臣がこのかびの難局、国難とも言うべきこのたびの問題に対処していろいろな施策をなさって、私ども信頼をいたしておったわけでありますけれども、しかし物事は非常に大きいだけに決して全部が全部うまくいくわけもございませんが、うまくいくいかないということよりも、物によってはなかなか考えの基準というものも見出し得ないで非常に悩んでおる方々、そういう業界もあるようです。こういうことについて、決して水産庁も傍観しているわけじゃないだろうと思うんでありますけれども、ぜひひとつこういう現状といいますか、実態というものをよく把握なさって、的確なひとつ方向性なり何なりというものについても、行政指導なんというそういうことはこういう問題については余り介入することは私は好ましいこととは思いませんが、やはり相談のあったときには的確な相談に乗るようなことも必要ではないか。非常に期日が迫っておる。  もう一つは、この減船問題がはっきりいたしませんと、造船業界が船をつくれないということ。造船業界もこれは運輸省、通産省関係あるかもしれませんけれども、これはやっぱり国務大臣という立場でひとつ農林大臣、ぜひ真剣によくお考えいただきたいのですが、これはもう東北、北陸——宮城の山西造船も倒産という大きな問題を抱えておるのですが、それぞれ中小造船会社は船がつくれない。その船をつくる許認可というのは、船をつくるということに対しては運輸省かもしれませんけれども、どれだけの船をどうするかということをお決めになるのは、そのもとになる考え方を出すのは水産庁でも農林省でもあるわけでありまして、農林省は全然造船には関係がないということではないだろうと思うのです、造船問題について。  それだけに、融資対策——これは確かに五百万、そしてその後船舶振興会から出ておるわけですけれども、実際船舶振興会から出たお金というのは、プロパーの一般金融から借りるときには、それはもう借りたじゃないかということで、そしてそれは差し引かれて、実際に活用できるお金というのはそれから差し引かれたわずかなお金しか運用できない。船がつくれないという現状の中で、見通しのない中で手形の期日が迫り、そしてまた、せっかくお借りしたお金もそれだけで事足りるわけでは決してないのでありますから、六千万、七千万船舶振興会の方からお借りしたとは言いながら、そういう中でやっぱり小さい造船所は非常に四苦八苦していることは、これは大臣も地元ですからよく御存じのことだと思うのです。これはぜひひとつ国務大臣という立場の上に立って、また、農林省にも関係のあることでもございますので、対策をいたしませんとこれは非常に大変なことだと思うのです。  また、水産加工業に対しましては、これまた大臣のいろいろな配慮によって融資の枠が決められて融資配分、これは配分のことについては過日もいろいろ申し上げて、どうしてもわれわれの頭は北海道の方に行くようだけれども、東北にもちゃんと一生懸命やっておるところもあると思うので、十分にひとつ適正な配分をしてもらいたい。それは約束しますということでありますが、各業界、こういう大変なときですから、どこもみんな大変な思いをしているわけですが、今日まで的確な実力者大臣らしい采配をふるってきたわけですけれども最後のけじめをひとつぴちっとやっていただいて、さすがとこう言われるようにひとつ御精進いただきたいものだと思うのですが、どうでしょうか。
  130. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 北洋漁業の問題に関連する救済対策、これは私としても、こういう財政難の中ではございますけれども、精いっぱいの努力をいたしたつもりでございます。また、これをやりますには、各業界とも個別に話し合いをいたしまして、大体業界も納得する水準で減船等の補償、こういうものも固めたわけでございます。  ただ、藤原さんが非常に含蓄のあるお話をされておるわけでございますが、いまのある程度の減船等に対する政府の救済交付金、あるいは残ったものがそれだけのメリットのある漁業——サケ・マスとかそういうようなものにつきましては、さらに業界内部で政府の救済措置の上に上乗せをして減船をやる人をひとつ決めていこう、こういうことをやっておる。その場合に、業界の中ではいろいろ話し合いが行われ、地方、地方によりましてもいろいろの話し合いが行われておるようでございます。たとえば、まず減船をやる場合には複数船主等をやっぱり一隻はひとつ減船に優先的に回すべきだとか、いろいろな御意見があります。私どもはそういう業界の全体として融和がとれるように、みんながそれならばというようなぐあいに話し合いがまとまっていくことを見詰めながら、それに対する措置を講ずるようにいたしております。  なお、従来税制上の問題につきましても、本来であれば政府救済交付金等これは一時所得として扱う、しかし、民間でやるのについてはそうはいかないというのが従来のことでございましたが、これにつきましても私は税制上もその分も一時所得として、従来二カ年間にこれを新たなる投資等に使う場合に税制上の恩典がある。二年という限度でありましたが、これも四年というぐあいに大蔵省と交渉してやったわけでございます。そういうようなことで、ただ政府の基本の救済措置だけで事足れりということでなしに、業界のそういう要望等にも沿いましてあとう限りそれぞれの措置を行っておると、これもひとつ御理解を賜りたいと、こう思います。  なお、水産加工業界等に対しましても緊急つなぎ融資をやりましたが、その後二百八十億の融資措置を講ずることにいたしまして、国会の御承認も得るように手続をとろうとしておるところでございます。今後、救済措置等につきましては、最終的な結末を見るまで水産庁としてもできるだけのお世話をしていく、これがわれわれの責任である、こういうぐあいに心得て、努力を今後ともやってまいる考えでございます。  それから造船の問題、これはサケ・マスと北転船、これを除いてはもう減船等の問題も全部決まっております。ただ、サケ・マスと北転船の問題が、はっきりどの船がどうやめるかということが決まっていないという問題が一つあります。それからもう一つは、大体一隻の船で表作と裏作と、こうやっておることは御承知のとおりでございます。したがって、サケ・マスの方では減船に該当するようになったけれども、裏作としてこういうものを今度はマグロとサンマをひとつ年間やっていこうとか、そういうことをいまいろいろ個々の船主が検討し、今後の経営を考えておる段階であります。そういうようなこともありまして、一時、船の新規建造とか改造とかいうことについて少し時間をかけておる、その結果を見た上で造船所に対して契約の分を早くひとつ着工してくれとか、そういうようなことになろうかと思うわけでありまして、これも早く減船等の措置を講ずる、またその他の決まったところについては、一応もう心配がないからひとつ建造等の問題は造船所に対しては着工を進めるように、造船所の窮状ということも十分承知をしておりますので、そういうように農林省としては指導を加えておるところでございます。
  131. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 きょうは午前から多くの方々から沖縄の農業問題、そしてサトウキビ問題が論ぜられて、私は一喜一憂をいたしてただいまに至っておる次第であります。  サトウキビはもともと甘いものでありますけれども、この価格決定が非常に辛くて厳しいという、こういうことも今日までの過程でよく身にしみて感じつつあるわけなんです。そこで私は、短い時間でありますので、具体的に問題を提示してお答え願いたいと思います。  まず第一点の価格決定は、いままでの推移からしますと、遅くとも十月二十七日の晩、二十八日の朝までには決まる、こういうことを聞かされてまいりました。その決定はいつ、もう決まったのですか、あるいはまだなんですか、お聞きしたい。
  132. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 今晩中には決めたい、こう考えております。
  133. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、これまで私も含めて生産農家あるいは関係団体、県当局からも、奨励金というのは好ましくないから基本価格に一本化してほしい、こういう強い要望があるわけですが、また要望いたしてきましたが、その問題はどう処理されるのですか。
  134. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) ビートの場合は手取り水準でもってこれを価格並みに扱う、全体としてパリティで伸ばす、この額を決めたわけでございます。この結果がトン当たり一万八千百二十円ということになっております。キビの場合も、原則的な考え方はこれによるというふうに私どもは考えております。  ただ、キビの場合は、現在の最低生産者価格の中にいわば奨励金の先取り的な意味で九百円部分を取り込んだものがありますので、全くビートと同じような扱いになるかどうか、やや技術的な問題ではございますが、奨励金と最低生産者価格の区分については議論のあるところかと思っております。ただ全体としての扱い、手取り水準でパリティで伸ばすということについては、これは大臣からもしばしばほかの機会に答弁申し上げておりますように、ビートと同じ考え方によるべきだ、少なくとも農林省としてはそのように考えております。
  135. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 きょうの農林省の御答弁の中にもあって、私、非常に疑問を持ちつつあるわけです。  まず、お尋ねしたいことは、われわれが、あるいは政府調査資料あるいは統計したものについては、非常にこれは大事に私はいたしておる、またいたしたいと思うのです。ところが、きょうの御答弁の中にもあったのですが、それは必ずしもとらわれるものではないというふうに私受け取れる節があったのですが、その責任ある政府調査した資料、統計、これをどのように評価しておられるか、それをお聞きしたい。
  136. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) もちろん、政府調査した統計、この場合はキビの生産費ということになろうかと思います。   〔委員長退席、理事山内一郎君着席〕 その生産費調査による生産費は、これは農家が実際にどれだけ生産費がかかったか、またそのことが農家所得の上にどのように貢献しているか、そういった全体のことを知る指標としてこれは意味ある数値だというふうに考えております。ただ、価格決定と関連させて考えます場合、それが本当に安定的に価格決定の指標たり得るかどうかということになりますというと、キビの場合、沖縄及び鹿児島県の南西諸島において生産されるいわば地域的に限定された作物でございます。したがいまして、米のように全国的に平準化されるということもない。したがって、年々の変動もきわめて大きい。天候いかんによっては、きわめて豊作のときもあるしきわめて不作の年もある。したがって、生産費の変動が余りにも激しいために、これを農家の経済の一つの指標としてとらえるのはよろしいのでございますが、価格算定の根拠としてそのまま用いることはできないというふうに考えております。ただ、それを全く価格算定上無縁のものかと言えば、それはそうではなくて、パリティ価格を基準として再生産を確保することを旨として定めるという考え方の中には、生産費は全体としてこれは参酌されるということになるというふうに理解いたしております。
  137. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 どうも納得いかぬ点があるわけですが、ひとつ具体的に指摘しておきたいことは、農林省調査された沖縄県民の出産費の調査で、五十一年度ではトン当たり一万九千三十円とはじき出されておるわけです。ところが、去年はトン当たり奨励金を加えて一万七千百円だったわけですね。ここにも大きなずれがあるわけなんですが、疑問の一つは、こういうところにも具体的に感ずる。その根拠なんですが、これはどのように解釈しておられますか。
  138. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) サトウキビ価格は、これはビートも同じでございますが、基準年に対してパリティ指数を用いて、いわゆるパリティを基準として算定されます。したがいまして、それが現実の生産費と乖離を生ずるということは、これはあり得る話でございます。年によっては生産費より大きくなり、年によっては生産費を下回るということもあるわけでございます。近年におきましては、それらのことも配慮して、全体として農家手取りの水準で、奨励金も加えましてある程度生産費をカバーし得る、あるいは生産費を超えるというような年もあるわけでございまして、たまたま五十一年を見れば、それは仰せのように生産費の方が決定価格を結果的には上回っているということもありますが、そのような乖離は、価格の決定のルールと、それから現実の生産費が年々変動するということからして私はやむを得ないことではないかと思っております。
  139. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それから、よく沖縄の、いまさっきもありましたが、いわゆる普遍性の問題。たとえば米の場合には全国共通の基盤があるが、サトウキビは一部である、こういうとらえ方なんですが、これは甘味資源共闘会議の審議の結果からも、ビートの場合にはトン当たり二万一千円ですか、サトウキビの場合にはトン当たり二万四千円、ちゃんとそういった理解の上に沖縄の特殊事情を認め合っておるわけなんですね。それをはっきり理解していただかぬというと、ただ一部だから一部だからという、こういう形でこれがすりかえられる心配が多分にある。その一部であればこそ私は、その特殊事情を配慮する大事な国の姿勢がなければいかぬと、こう思うんですが、大臣いかがですか。大臣にまず……。
  140. 杉山克巳

    政府委員杉山克巳君) 大臣にまた追って御答弁いただくことにしまして、私から。  私が一部だからと申し上げましたのは、決して米のように基幹的重要作物ではないという意味で申し上げたわけではございません。生産費をとるに当たっては、地域的に限定された作物であるために全国的に平準化されることがない、したがって、年々の変動が大きいという意味で申し上げたわけでございます。沖縄の地域の特殊性、特に日本内地の場合に比べまして、いろいろむずかしい経済的な条件をしょっておるということは私どもも十分承知いたしております。ただ、価格を決めるに当たりまして、価格の上にそれを直接反映さすということはいかにも困難でございますので、これは生産対策といいますか、全体のサトウキビの振興対策、そういったものの中でも配慮していくというようなことで、価格決定の際に総合的に検討さしていただいて、それなりに措置をとってまいったところでございます。
  141. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大臣にお尋ねしたいんですが、そうしますと、今後も、これからも生産費所得補償方式ではなしにパリティ——いわゆる所得補償方式を取り入れるという、こういう前向きの姿勢はあるんですか、ないんですか。この見解をお尋ねしたい。
  142. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、各主要農産物——私は、てん菜サトウキビも地域的ではあるけれども重要な作物だと考えておりますが、そういう意味で、あらゆる重要な作物価格決定に当たりましては、それぞれの作物の特性、また生産事情、いろんな態様がございます。そういう態様に即応したところの価格形成というものがなさるべきだと考えておりますし、また法律その他の面でもそのように相なっております。  ただ問題は、私はやはり自給率向上ということを農政の基本として考えておりますから、できるだけこの再生産が確保できる、そして農業者の所得が安定するように、こういう基本的な考え方で取り組んでおるわけでございます。でありますから、沖縄にとってはサトウキビは内地の米と同じようだから、米と同じように生産費所得補償方式をとれと、こういうぐあいにはまいらない。やはり生産の諸条件及びその作物の特性、そういうようなものを勘案しながら、それぞれの適するような価格の算定方式をとっていきたいということでございまして、サトウキビに対しまして生産費所得補償方式をとるという考えはいま持っておりません。
  143. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 再生産確保意欲を阻害しておる一つに、基盤整備のおくれがあると思います。  それで、次に、沖縄の農業は、よく私も言い、また聞かされますが、他県に比較して二十年ないし三十年のおくれをとっておるということをよく聞かされ、またそう思うんでございます。それほどおくれておる中で、最も阻害されておるのが基盤整備のおくれなんですね。それで、基盤整備のことについてはパリティとの関係で絶えず強調されました。基盤整備がなされればパリティ方式が有利である、こういうことを農林省はたびたび力説しておられたんであります。それじゃ沖縄の場合、この立ちおくれている基盤整備はいつまでに、何年計画で本土並みに持っていこうというこの計画を持っておられるか、また、その五十三年度の予算の裏づけはどうなっておるか、その計画と予算の裏づけ、これを明らかにしていただきたい。
  144. 福澤達一

    政府委員(福澤達一君) 沖縄のサトウキビというのは基幹作物として一番大切なものであるということは、私ども十分受けとめておるわけでございます。  ただ、サトウキビづくりというのは、その栽培から収穫あるいは搬出、一連の体系というものが、労力の中産性を高めなければならないという観点から基盤整備事業というものを何とか促進しなければいけない、こういうように受けとめまして、この予算の拡充整備に努めてきておるわけでございます。特にそういう点から、この農業基盤整備事業につきましては、沖縄の農業の振興開発計画にのっとりまして、農業用水の用水源の開発と、それから圃場までの導水の措置あるいは圃場に対する畑地灌漑の整備あるいは圃場を整備するための措地、それから農道の整備とか、そういう一連の基盤整備全体につきまして鋭意実施してきておるわけでございますが、五十二年度予算におきましても当初の予算総額は九十八億五千万円でございました。これは対前年比一五二・五%ということで、国全体の基盤整備事業の伸びに比べまして非常に高い予算の位置づけをしておるわけでございます。また、五十三年度につきましても、引き続き予算の拡充整備を図るために百三十一億一千百万円を要求いたしまして、予算の拡充を図るような考え方で進めておるわけでございまして、特に沖縄と全国との比較をいたしますと、これまた、沖縄の予算措置というものを高いところにおさめまして、予算を確保するように努力をしておるわけでございます。  なお、沖縄につきましての長期計画がございますけれども、これは基本的には都道府県の事業量というものは明らかにはされておりませんけれども、積算の基礎として考えますと、大体千七百億というものを長期計画の一環として考えておるわけでございまして、これはただいま申し上げましたように、毎年の伸び率がたとえていま申し上げますと、五十年度が対前年比一五四・四%、五十一年度が一五四・八%、五十二年度が一五二・五%というぐあいに、政前年比が一五〇%をほぼ上回るような予算の確保をしてきておりますので、この予算から考えまして、これからの長期計画の残っている残量というものを年率二〇・二%でやっていきますと、目的を十分達することができるという余裕があるように私どもは考えておるわけでございます。
  145. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 繰り返すようでありますが、いま具体的と言えば具体的、雑駁的と言えば雑駁的ですね。私の問いは、政府としては沖縄の基盤整備は何年計画で、あと何年で本土並みに持っていこうという計画を持っておられるか、それにはどれだけの予算を、まず五十三年度なら五十三年度に第一年次の予算を計上するのか、これをぴしゃりお答えしていただきたい。
  146. 福澤達一

    政府(福澤達一君) 沖縄の長期計画と申しますのは、昭和四十七年度から昭和五十六年までの十カ年計画でございます。したがいまして、ただいま私が申し上げましたのは、その間におきまして当面の長期計画の構想として持っております内容につきましては、いまの予算の拡充整備を図っていく段階におきましては十分達成することができる内容であると申し上げたわけでございます。
  147. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 推移の中で、必ずしも計画どおりいかぬ面も出てくるかと思います。その基本をはっきり打ち立てていただいて、それでその目標に向かって本当にばく進してもらわぬと、これはこの格差を本土並みということがもう大前提でありますから、それに持っていくための予算の裏づけ、計画、御努力がどうも私、もどかしさを感じてなりません。そういうことでしりをたたくと申しますか、しりをたたいても前進してくださらぬのなら、しりをあぶって立ち上がってもらわないといかぬのじゃないかと、こういうあせりを感じておる次第でありますので、ひとつ頼みますよ。  次に、大事な沖縄農業の開発を阻んでおる、これは沖縄全体の立場からも言える水の問題、水資源の解決なくして沖縄の農業、工業、生活用水、工業用水、農業用水いろいろありますが、きょうは特に農業用水の抜本的な解決、これに対してどのような構想を持っておられるか、計画を持っておられるか、その予算はどう裏づけられているか。
  148. 福澤達一

    政府委員(福澤達一君) 先ほども少し言及いたしましたけれども、沖縄県の特にサトウキビにつきましては、何よりも水が大切なものであるということは、十分私ども認識しておるわけでございます。水のあるなしによりまして収量が何倍も違うというようなことも、ところによっては聞いておりますので、沖縄県の畑作中心でありますサトウキビにつきまして、水不足というものがしばしばありまして、干ばつの被害というものも受けておる実態も心得ておるわけでございまして、そのために水資源の開発につきましては、農業基盤整備事業の中でも特に鋭意推進をしておるところでございます。  そのために、復帰いたしましてから直ちに、私どもは沖縄の水資源開発というのが一番大事な問題であるということで、その開発の基礎資料を得るための河川の流量の調査、これは二十七河川でございますけれども行うとともに、河川の開発の困難なところにつきましては地下ダムの開発とか、あるいは淡水湖の開発というようないろいろの調査を行いまして、その事業化の見通しを得た地区から順次事業に着手しているのが実情でございます。現在、すでに五十年度からは国営の宮良川の地区の真栄里ダムという工事を着手しておりますし、また、県営灌漑排水事業につきましても十五地区を実施いたしまして、鋭意、沖縄における水資源開発を中心といたしまして農業用水の確保ということに努めておるわけでございます。
  149. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 水資源の解決の問題につきましてはもっと触れたいんですが、時間がありませんので、これに関連して要望を申し上げたいのは、県営農業用ダムの建設計画がありますね。今度は多目的ダムのまた建設予定がありますね。問題は、その補助率の問題ですね。これは法改正を伴うわけなんですが、補助率の問題、どうしても十分の十にしていただかないというと、沖縄自体では、たとえば二十億、三十億要する予算に対して八〇%ということになりますと、あとの二〇%の負担がとうていたえられない、こういう実情を十分ひとつ配慮していただいて取っ組んでいただかぬと抜本的な解決は困難である、こういう実情を申し上げて特段の御配慮をお願いしたい、こう思います。  それで最後に、水産試験場の整備につきまして、沖縄が四面海に囲まれ、特に水産立県のこれは歴史的な過程もあるわけなんですが、どうしても水産試験場の充実に国の力を貸してもらわなければいけない。こういうところで、水産試験場の整備について、経過は御存じと思いますが、昭和四十七年度から四十八年度の二カ年で都道府県水産試験場育成強化事業実施要領、これに基づいて、国の二分の一補助で庁舎を南の糸満市に着工しておると、設立されておる。さらに五十一年度から、都道府県水産試験場育成強化事業実施要領の一部改正で、国の二分の一補助で屋外実験水槽の設置を進めておると。ところが、今後の試験研究を強化するためには、いま申し上げた施設設備では非常に不十分である、不満足である、こういう立場からこの保全、確保、利用等あるいは屋外実験施設等の整備がどうしても必要である、急務である、こう地元側も要望し、県も要望し、私も訴えるわけなんですが、これに対して国としては、農林省としては、水産庁としてはどう考えておられるか、承りたい。
  150. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) いまお話のとおり、沖縄県立の水産試験場につきましては昭和三十二年に那覇市にできたわけでございますが、その後、糸満市に移転をするということで、四十七、四十八の二カ年にわたりまして、移転に伴います施設整備の助成を行ったわけでございます。それから八重山支場建設に当たりましても、これは四十年から、四十七年にわたりましてそれぞれ助成をいたしまして整備に努めております。また、その後におきましては、御指摘のとおり、施設整備並びに機器の整備のために毎年助成をいたしておるわけでございまして、いま御指摘のような必要な施設等につきましては、五十三年度以降につきましても引き続き助成ができるように、現在予算要求をいたしておるところでございます。
  151. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの件で特に御要望申し上げたいのは、十分の十の補助を定めた沖縄振興開発の特別措置法があるわけなんですね。それに準じて、この農業試験研究施設の設置に対する助成の特別措置をしてもらわなければいかぬというのが、特に要望する強い骨子であるわけですが、これに対するひとつお答えを願って、私はすぐ決算委員会に行かぬといけませんので、これで終わりたいと思います。
  152. 岡安誠

    政府委員岡安誠君) 確かに農業試験場関係につきましては、十分の十ということで現在運用がなされております。これは沖縄以外の都道府県が二分の一補助に対しまして特に優遇されているわけでございます。ところが、はなはだ残念ながら、水産試験場関係につきましては沖縄県だけに実は助成をいたしておりまして、沖縄県を除きます都道府県には現在私ども施設整備その他の助成をいたしておりません。そこで、沖縄県だけ助成をしているということで現在二分の一ということになっているわけで、その点、確かに農業試験場関係とは補助率の差があるわけでございます。これを十分の十にという御要望でございますが、非常に困難だと思いますが、今後ひとつ検討をさせていただきたいと思います。
  153. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 困難は不可能ではないと思います。その困難を突破していただいて、それが沖縄への御配慮だと思いますので、大臣いかがですか。
  154. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 困難ではあっても不可能ではないという御鞭撻をいただきましたが、できるだけ私も努力いたします。
  155. 下田京子

    ○下田京子君 きょうは、農機具問題に関するいろいろな角度からの質問をしたいと思います。  御存じのように、昭和二十八年に農業機械化促進法が制定されて、その後各地域から価格の面あるいは安全性の面、耐久性の面、いろいろと要望等もあり、それに基づいて国の一定の改善もなされたというふうに思いますが、しかし依然としていま大きな問題になっているのは、一つは、機械化貧乏と言われるように価格の問題があり、一方、さらに他方では、相も変わらず安全性のことが論議されておりますけれども、農機具事故による死亡者は減らない、むしろふえ続けているというような実態、大臣も御存じかと思います。   〔理事山内一郎君退席、委員長着席〕 私自身も、福島県内あるいは東北、北海道各地で、実際に農機具の事故により亡くなった遺族の方々の話や、あるいは農機具の事故により手を失った婦人の方のいろんな訴え等も聞いてきております。こうした事故を防いで、本当に農機具の導入普及が過酷な労働から解放される、あるいは農業経営も楽になる、そういう本来の目的に沿うような方向で具体的な改善がされるべきだと思うわけです。  そういう点から見て、具体的にこの死亡事故を見てみますと、農林省の園芸局で調査した数字だけ見ても、四十六年に全国的には三百六十四人、四十七年には三百六十人、そして四十八年に四百二十四人、四十九年には四百四十五人とふえていて、その後五十年どうなっているかということは聞きたいところですけれども、そういうふうにふえているわけですね。そしてまた、北海道のこれは農作業安全運動推進本部の調査資料によりましても、同じ年度で、四十六年には三十八件の死亡、四十七年に五十三件、四十八年に五十四件、四十九年五十九件と、こうふえてきている。その後五十年に四十二人とちょっと減りましたけれども、相も変わらずこれだけ農機具によって尊い命を奪われているわけです。私は、亡くなった人ももちろん、その残された家族のことを思いますと、本当にこれらのことを総合的に対策を練っていかなければならないというふうに考えるわけです。  こういった農機具事故の要因が一体何かと考えてみますと、第一にやっぱり機械そのものにあるんじゃないか、機械そのものの安全性ということがやっぱり大きな問題になるだろう。それから第二番目には、やはりその機械を安全に使うという人の問題です。操作上の問題だと思いますが、こういうことがあると思う。それから三点目には、やはり機械を使う環境の問題が入ってくるかと思うわけですけれども、やっぱり何といっても機械そのものの問題ということが大きな問題として残るんじゃないか、こういうふうに考えます。それでこうした事態について大臣、どうしたら本当にこれらの事故をなくしていけるようにできるでしょうか、基本的な対策等、大臣のお考えをまずお聞きしたいと思います。
  156. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 近年、わが国の農業が農業機械の導入によりまして省力化が進み、また生産性も高まっておる。しかし、一方におきまして、その効率利用というような面で十分な体制ができていない、こういう面がありまして、農機具貧乏というようなことが言われるように相なっております。また一方、いま御指摘がありましたように、農機具によるところの事故、これも必ずしもこれが減っていない、こういう安全性の問題が大きく改善を求められておるところでございます。  御指摘のように、この農機具の安全性の問題につきましては、農機具それ自体の安全性、ただ性能を追う余り、安全性についての十分な配慮がなされていないというような点等につきましては、これは農林省におきましても研究所等において十分研究をいま進めておりますし、通産省等を通じてその農業機械それ自体の安全性の確保向上ということをお願いを申し上げておるところでございます。  それからもう一つの問題は、やはりこれを操作をする、これを使う場合における技術的な問題、あるいは十分な操作上の注意をすべき点、そういう点について、これは講習会を開きましたり、あるいは展示会を開きましたり、あるいはまた技術者による指導をやりましたり、いろんな面で農民の方々がこの農業機械を本当に安全操作ができるように、そういう指導もいたしておるところでございます。  もう一つの問題は、どうも事故の実態というものを調べていっておりますと、これが農作業中の事故のほかに、農家とそれから実際のたんぼであるとか、あるいは畑地であるとか、そういうところへ行くまでの道路上におけるところの自動車、トラックその他のものとの衝突事故、そういうものも出ておるようでございます。そういうようなことで、農道の整備であるとか、そういう環境の整備ということも、これまた非常に重要な問題だと思っております。そういう点を配慮しながら農機具によるところの事故防止、こういうことにつきましては、今後とも努力をしてまいる所存でございます。
  157. 下田京子

    ○下田京子君 いま大臣が、この農機具事故が減ってきていないということについて、大きく三つに分けてお話ございましたが、その第一の、機械そのもののことについて研究もしているし、それから安全性の確保を具体的にメーカー等へ通産省を通じてもう求めているという答弁だったかと思います。全体として、そういうふうな方向で国も改善されてきていることは認めます。  しかし、実際に、具体的な問題でどうなのかということでお尋ねしたいわけですけれども、まず第一に、昭和四十九年に農機具の型式検査の主要な実施方法及び基準の改正というようなことでもって安全装備の検査が追加されて、安全性問題が四十九年を境にして非常に厳しくなってきたかと思うんです。しかし、それじゃ、その四十九年以前に国営検査を受けて合格している型式の農機具が現在も販売されているかと思うんですけれども、実際には一体この四十九年度以前の問題についてどういうふうな指導あるいは検査をしているのかというふうなことを、まず第一にお尋ねします。
  158. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 検査の型式、数につきましては、現在機種の数で言いますと九機種ということで、出荷額を金額別の出荷額で見ますと、約八割ぐらいを占めるものについて型式をやっており、その中に安全性の要素を取り込んでおるということでございまして、検査の合格、不合格の関係から言いますれば、一番最近の時点で申し上げますと、第一次に受検をしてまいったものについては八割ぐらい合格しているわけでございます。こういう制度になっているわけですが、それ以前の受検のものにつきましては、これはこの農機具は変遷がかなり短期間に大きく変遷する、変化をするという状況でございまして、機種の交替等が行われまして、現在助成事業などに乗りまして流通をしておりますものは、すべて新たな型式の合格をしたものということになっておるというふうに理解をしておるわけでございます。
  159. 下田京子

    ○下田京子君 質問に答えてください。  そうしますと、四十九年以前の型式合格のものも出回ってはいるわけですね。しかしそれは補助事業に入るものについてはきちんとやっているけれども、それ以外のことは逆にやっていないということに受け取れますね。
  160. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 型式とは別に、現在二十二機種につきまして安全鑑定という事業を起こしてやっておるわけでございます。この安全鑑定におきまして安全性の確認を受けて、安全鑑定の合格証を添付して売るということになっており、出荷額ベースで見まして大体九五%くらいをカバーしておるというふうに考えておりますので、安全鑑定まで受けずに流通するものは若干数あろうかと思いますが、大部分は安全鑑定合格ということで流通をしているものと理解をしております。
  161. 下田京子

    ○下田京子君 最初の質問で、四十九年以前にも国営検査をやっていましたね、九機種について、おっしゃるように。しかし実際には、その後また変わってきていると思うんですよね。だから、その変わってきたものに、その基準から四十九年度以前のことについて再度検査しているかどうか、検査しないでそのままになっているのかどうかということです。機械化促進法の第十条の第一項の中には、御存じのように、型式検査の実施方法及び基準を変更した場合には、それ以前の基準で合格した農機具について合格証票をつけることのできる期限を限定することができると、こうなっているわけです。だから逆に言えば、その合格取り消しということもあり得るということですね。
  162. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) これの対応につきましては、再検査を受けさせるということで対応をしておるわけでございます。その際には、改造の内容等について指導いたしまして、そしてその指導に沿った方向で改造がなされてきたものについて型式検査を行い、合格したものについて合格証を交付すると、こういう形で対応しているわけでございます。
  163. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、型式検査についても安全鑑定についても、先ほどの全体の流通に乗っている型式については八割ですか、それから安全鑑定については九・五割ですかの機種については全部済んでいるというふうなことに理解され、残りのわずかの機種について、あるいは型式について、中古についてのものが検査されないで出回っているというふうに解釈してよろしいでしょうか。
  164. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 大筋においては、そのように理解してよろしいと存じます。
  165. 下田京子

    ○下田京子君 大筋にという答えですけれども、そうすると残りは何が問題なんでしょうか。
  166. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 中古機等につきましては、当然のことながらこれは型式とかそういうことと関係してやるということはございませんが、それ以外のものにつきましても、完全に型式合格ということで合格証を添付して売られておらないものがあると、それは若干あるというように私ども承知しております。
  167. 下田京子

    ○下田京子君 そういういわゆる残された型式を通過してないもの、安全鑑定も受けてないもの、そういったものがしかし実際には大変出回っているということも見ていますし、聞いている。そういう際に事故になった場合、その責任ですね、メーカーにきちんと要求したり、あるいは安全装備をするようにという指導をしたりという責任問題については、どのように考えておるでしょう。
  168. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) これにつきましては、現場現場でいろいろと機械作業中の事故等を媒介にいたしましていろいろのお話が上がってくるケースがございます。私どもはそういう問題が上がってまいりますと、専門的な立場から機械化研究所にそういうことについての見解も求めまして、やはりこれは機械の態様に問題があるというときには機械メーカーも呼びまして、機械の適切な改造の方向について検討をしていただくということを指導をしておるわけでございます。
  169. 下田京子

    ○下田京子君 そういうふうな点から、たとえば耕運機のVベルトの部分に安全カバーを装備した方がいいというようなことになって、無料取りつけの問題が出てきたというふうに解釈してよろしいでしょうか。
  170. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) Vベルトの問題はこれはかなり一般的な問題でございまして、私どもは具体的な先生の問題にしておられるケースがどのケースであるか存じませんが、そのVベルトによる事故が起こらない防護カバーを機種によりましてつけるような指導ということは、具体的にやっておるわけでございます。
  171. 下田京子

    ○下田京子君 やっているわけですね。その際の、四十九年以前の機種ですからね、型式ですからね、そのものについて安全カバーをかけると、その費用は農民負担でなくって、販売店なりメーカーの責任でやられていると思うんですけれども、その辺の経過は御存じないでしょうか。
  172. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) ただいま私が申し上げましたのは、一般指導態度について申し上げましたわけで、具体的に過去の出回っておりますものについて、Vベルトの関係がうまくなかったということで事故が起きました場合の対応は、個別具体的にその態様に応じてメーカーなり流通業者、あるいは被害を受けました、傷害を受けました農家側との話し合い、こういうもので片づけられているというのが一般的な姿でございますが、事が、非常に行政当局も関与をいたしましてやらなければならぬという場合も出てまいります。そのために、私どもは苦情処理の窓口開設ということをやっておりまして、県々の消組なり、あるいは農協系統でございますと経済連というようなところで苦情処理の窓口を開設しまして、そこへ苦情を持ち込んでいただく、そういうことによって、具体的な問題の妥当な解決を図るようにという指導をしておるわけでございます。
  173. 下田京子

    ○下田京子君 苦情処理の窓口のことについては後ほどまたお伺いすることにいたしますので、具体的に今後の問題として確認したいことなんですけれども、四十九年以前の型式あるいは機種等についても、不備な点が出てきてこれは改善が必要だということになった際には、メーカーの責任で行政指導も含めて農民負担、販売店負担なしでやれるような方向で指導されますことをお約束いただけますか。
  174. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) この問題は、一般的に被害の起こった態様と、それに対する救済措置を具体的にどうするかということについては一概に決めかねるわけでございまして、ケース・バイ・ケースで判断をしていくべきものと、また、当事者の話し合いで解決をするのを一番第一次的には尊重すべきものというふうに考えておるわけでございます。
  175. 下田京子

    ○下田京子君 いまの答弁ですと、やっぱりそうすると、政府がずっとこう実施をいろいろやってきましたけれども、義務づけがないために抜けられるという、逃げられるという問題も残ると思うんですよ。だから、やっぱり基本的には農民の立場に立って、機械を買った者、使う者の立場に立って型式検査なり安全鑑定の基準から見て思わしくないというふうにはっきりわかったものについては、これは当然メーカーの責任で私はさせるべきだと思うんです。大臣、いかがでしょうか。
  176. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これはまあ農林省の分野だけの問題でございませんで、通産との関連もございます。いま下田先生が御指摘になった点、この点は十分政府部内でも検討してみたいと考えております。
  177. 下田京子

    ○下田京子君 ぜひ検討をお願いします。  いままでお話しになってきたその安全鑑定の問題でございますけれども、去年の八月から実際に鑑定が始まって、ことしの六月までその鑑定が取り行われたと聞いておりますけれども、この制度はさらに今年度もずっと続けていこうとしているものかどうか、お尋ねいたします。
  178. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 安全鑑定は五十一年度から実施しておるわけでございますが、今後とも安全鑑定制度は維持して運用してまいる考えでございます。  なお、現在、初年度の安全鑑定を受けました機械の流通利用の実態についても調査中でございまして、その結果等も踏まえまして、今後の制度の運営に当たってまいりたいというふうに考えております。
  179. 下田京子

    ○下田京子君 それじゃ次の問題に入りますけれども、安全鑑定との関係もございますが、特にトラクターの安全フレームの取りつけ問題です。これは安全フレーム全般とトラクターの安全フレーム取りつけのことでは、ことしの五月二十四日だと思いますが、農林水産委員会で先輩の小笠原議員が取り上げております。このことについては、政府も検討していきたいというふうにお話しであることも知っております。しかし実際に、このトラクターの安全性を確保するという点で、安全フレーム取りつけが絶対的に必要なのかどうなのかという政府の見解がまだはっきりしていないと、こういうふうに私思うんです。トラクターの安全性を維持する上で、それから命を守るという点で、安全フレームが取りつけられておれば死亡事故につながらないで済んだという例はたくさん聞いておるわけで、皆さんも御存じだと思うんですよね。だから、そういう御認識に立って、安全フレームはこれは機種じゃないと、部品なんだと、装備なんだと、だからトラクターと対でもってきちんとやっぱり安全鑑定の基準の中に入れるとか、国営の検査の中に入れるとかいうふうに私はすべきだと思うんですが、どうでしょう。
  180. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 先生のおっしゃることは、私どもも非常にうなずける点があるわけでございまして、そういう考え方に沿いまして、トラクターにつきましては五十年度から型式検査の対象といたしまして安全フレームを取り上げることにしておるわけでございます。  ただ、先生も御指摘のとおり、この安全フレームについてはまだ検討中の問題も数々ございまして、現段階までに安全フレームの型式の合格機というものは二十七形式あるわけでございますが、これではまだまだ非常に不十分である。もう少し急速に、この型式といたしまして安全フレームが種類も多くなって、いろいろの態様のトラクターに適切に取りつけられるようにするという必要があると思うわけでございます。目下、鋭意そういう角度から機械化研究所の研究も深めていく、それから検査能力も充実を図る、この両面で対応をしておるところでございます。
  181. 下田京子

    ○下田京子君 いまの説明ですと、やっぱり型式と、それからトラクターから安全フレームを外して型式だけで見ているというところに問題があるというふうに思うわけで、やっぱり安全フレームというのはトラクターと対になって初めてその効力を実際には発すると思うんですよね。そういう点から見て、たとえばこれは行政管理庁の行政監察局で具体的に北海道管区や新潟の局に指導している中身でもありますけれども、特に北海道に対しては安全フレームの装着を義務づけるというか、啓蒙しなさいというふうに言っているわけですよね。ということは、やっぱりそのことをきちっと認めた上でこういうのがなされているのだと思うんです。  それと、さらにスウェーデンなんかの例ではということで十勝の専門家の方のお話も聞きましたし、あるいは根室農協のお話なんかも聞きましたけれども、実際にトラクターに安全フレームが取りつけられていることによって、さっきも言いましたように、死亡事故を防いできているというふうに言っているわけですね。ですから、ぜひともトラクターに安全フレーム取りつけをむしろ義務づけてほしい、行政指導で徹底してほしいという声が出ているわけなんです。そして現実としては、根室農協の管内だけで見ますと、トラクターが現在千五百七十台あるそうです。これに対して農協が一台三万円の助成をなさって、おおよその数だけれども、いま二分の一ぐらいの取りつけが完了してきている、こういうふうなお話でもありますし、さらに北海道としては、補助事業あるいはそれらに関係することについての事業等では全部それを義務づける行政指導を行っている、こういうことなんです。ですから、最低でも補助事業の際にはそれを義務づけるということは私は可能だというふうに考えるんですが、どうでしょうか。
  182. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) これはトラクターと安全フレームとの関係は、トラクターはある意味ではいろんな作業に使う機械でございまして、汎用性のある機械ということになるわけでございますから、そういうことになりますと、そもそもトラクターを製造段階から安全フレームを最初からつけておくというのも一つの考えではございますが、トラクターの利用の形態、利用の場所等によってはかえって不適当になるという場合もございます。そういう関係がございまして、全国ベースで見てトラクターには安全フレームを必ずつけなきゃいかぬのだというふうにはなかなか考えにくい問題があるわけでございます。ただおっしゃるように、非常に農業の状況が平らな土地で広いところ、傾斜も余りそう大したことはない、農道も整備をされておるというような状況がかなり見られるようなところでどうかというような限定した考え方で考えてまいりますと、それに対する対応というのは非常にやりやすくなるというふうに思うわけでございます。  なお、私ども助成をいたします場合に、安全フレームを装置をした状態における農機具、トラクター、これは安全フレーム込みでもちろん助成の対象にはいたしておるわけでございます。ただ、安全フレームをつけたものでなければ助成をしないというふうにはなかなか助成基準で書きにくいというのが実態でございまして、先生の御指摘の問題は、今後指導の問題としてどうするかということでございますので、真剣に検討さしていただきたいと思います。
  183. 下田京子

    ○下田京子君 いまのお話の中で一つだけ確認したいことなんですが、トラクターについて補助事業の際には安全フレームも込みで対象にしているというお話が一点、これは確認できることですね。
  184. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 国の補助事業としてそういう形のものに助成をつけるということはこれはやっておるわけでございます。
  185. 下田京子

    ○下田京子君 さらに今後とも行政指導も含めたりして検討していくというお話だと承りましたが、具体的に言えば、たとえば四十九年の五月二十二日付で出されております、農機具の型式検査の主要な実施方法及び基準における安全装備に関する検査の主要な実施方法及び基準についての農用トラクターの具体的なチェック項目のうちの、たとえば第八項目の中に含めるとかいうようなことも含めて検討するというふうに受け取ってよろしいのでしょうか。
  186. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) ただいまの問題は、にわかにここでちょっと御回答できませんが、真剣に検討いたしてみたいと思います。
  187. 下田京子

    ○下田京子君 そのことも含めて検討したいというふうに受けましたので、今後ともよろしくお願いしたいというふうに思います。  この点につきまして大臣からも再度答弁いただきたいですけれども、いま質問のやりとり等の中でもおわかりかと思いますけれども、農耕の工程の中ではいろいろとあると思うんですけれども、取り外しが可能な形でもって必要最低限安全フレームをトラクターの中にきちんと装備するような形での指導も含めて、今後とも事故のないような形で、大臣の方からもさらにこの検討が早期に実現できるようにお願いしたい。いかがでしょう。
  188. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これは安全性の問題でございます。大変大事な問題でございますから、この点は十分検討させます。
  189. 下田京子

    ○下田京子君 よろしくお願いいたします。  それでは次に移りますけれども先ほどから論議の中心にしています国営検査のことと、それからいまちょっとトラクターとの関係で出てきました補助事業の問題との関係でお尋ねしたいんですが、昭和五十一年の八月十日に農林事務次官通達で「補助事業及び制度資金によって導入される農業機械の選定について」というのがございます。この中で記として、補助事業によって導入する場合の一の(1)に「農業機械化促進法に基づく型式検査の対象機種を導入する場合には、その合格機の中から選定するものとする。」と、こういうふうに書かれております。このとおりになされていれば問題がないとは思うんですけれども、実際にこれに基づいて受検中のものもあると思うんですよ。いま検査を受けているものもあると思うんです。この受検中のものの取り扱いについては、聞くところによりますと、五十年、五十一年度受検中という、何といいますかそういうものをつけて取り扱っているとか、あるいは受検が終わった後でもし不合格機だということがわかったときには合格機と取りかえるというようなことも出されて、通達というか、お話しになっている、指導なされているというお話を聞いておりますが、このような方向で五十二年度も行っているんでしょうか。
  190. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 先生のおっしゃるように、助成の対象機種の選定に当たりまして、型式検査合格機の中から選定するということでやっておりますが、今後におきましては、まだ型式検査の対象になっていない機種の問題につきましてまず取り上げる必要があるということから、型式検査の対象になっていないけれども安全鑑定の対象にはなっておるというものがございますので、そういったものについては、安全鑑定の対象機種となったものにつきましては安全鑑定基準の適合機、この中から……
  191. 下田京子

    ○下田京子君 質問に答えてください。
  192. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) この中から選定するようにして、助成をする際にそういう方針で進むということでいま考えておるわけでございます。近く、そういう関係の通達を出して徹底をしたいと思っております。
  193. 下田京子

    ○下田京子君 型式検査について安全鑑定云々だということだったら、その受検中のものについての取り扱いはどうかということなんです。簡潔にお願いします。
  194. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) まだ型式に合格をしないということになればこの通達の趣旨には反することになるわけで、好ましくないことだと思います。
  195. 下田京子

    ○下田京子君 いえ、私が聞いているのは、受検中のものについての取り扱いがどうであるのか。受検中ということで売り出しているのか、あるいはその後不合格機とわかった場合に交換などというものがあるのかということです。
  196. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) これは通達等では申しておるわけじゃございませんが、もし万一受検中ということでそれが補助事業の中に入っていく——これは通達の趣旨には反するわけですが、合格をするということを前提でそういうことをしたというふうにしか考えられませんが、それが不合格になったというようなときにはこれを合格機と取りかえるというようなことは、通達等で言うということは必ずしも適切ではないと存じますが、この通達の趣旨には方向としては合うというふうに思いますが、もともとそういう形で受検中ということで、まだ合格もしないうちからいって導入をして、後で不合格になるというようなことはもともと好ましくないことでございまして、私どもはそういう事態を避けるような指導を先行すべきだというふうに思います。
  197. 下田京子

    ○下田京子君 それを避けるように指導すべきだとかじゃなくて、指導なさっているのは皆さんです。そういうことを指導していると聞いているけれども、実際五十二年度もそうしているのかどうかということを聞いているわけです。
  198. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 私ども農業機械の行政の当局者として、そういう形で結構だというふうには申し上げておりません。
  199. 下田京子

    ○下田京子君 実際に、そうするとそういうことがあるというのですが、これは全くしてないということになりますか。実際に好ましくないけれども現実的にはそういうことがあったということですか。どちらでしょう。
  200. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) これは補助事業の内容をそれぞれのチェック機関がどの程度まで厳密にやっておるかということになるわけでございますが、私どもそれの実態を必ずしも詳細に把握はしておりません。しかし、現実の対応としてそういうことがないとは言えないと思います。私どもとじては、今後そういう問題について具体的な事例等あれば調査をいたしまして、どういう対応がいいのかということを真剣に検討してまいりたいと思っております。
  201. 下田京子

    ○下田京子君 それはもう責任逃れだと思いますよ。ですから、この問題は時間もあれなので譲りますけれども、実際受検中ということで出回っているというものがあって、それで後で今度不合格になったら合格機と交換するというふうなことを確認するならするように指導してくださればいいわけですよ。  それで、第二番目に移りますけれども、実際にやっぱりこの通達の中の一の(2)、いまおっしゃったことなんですけれども、型式検査と、それから農業近代化資金の導入のことについては、安全鑑定の対象機種を導入する場合には安全ということが確認されたものから選定する、こういうふうに言われていますね。しかし実際は、ついことしの六月終わったばかりでしょう。だから、まだ安全鑑定のことについては、いまこれから実施の段階に入るということになると思うのですが、具体的にいつから実施するのかということをお尋ねします。
  202. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 近いうちに、その関係の通達を出したいというふうに思っておるわけでございます。
  203. 下田京子

    ○下田京子君 近いうちというのはいつごろになるでしょう、くどいようですけれども
  204. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 来年の一月一日以降適用する、これは準備期間も要りますので、そういう内容の通達をごく近々のうちに、一週間以内くらいに出したいということで準備しているわけでございます。
  205. 下田京子

    ○下田京子君 その際に、いろいろ問題が起きたものについてはどう処理なさるおつもりでしょうか。
  206. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 問題の対応もいろいろございますと思いますが、この通達の趣旨に沿うように、具体的なケース・バイ・ケースで適切な指導を加えるということでやってまいりたいと思います。
  207. 下田京子

    ○下田京子君 時間がないので、また、いまの方向で、とにかく農家の人たちがばかを見ないようにという方向でやっていただきたいということです。  同時に、いまあれこれ聞いていますと、やっぱり問題は、型式検査のことも含めて、本当に去年の暮れあたりからでしょうか、具体的に安全問題について法制化していくことが必要だ、すぐにでもやるようなお話をなさっていたと思うんですよ。実際には昨年の、五十一年の五月十八日の農林水産委員会で当時の庄司幸助議員の質問に対しましてこう答えているわけです。これは小笠原説明員ということですが、安全鑑定の状況も踏まえながら、来年度から実行できるような方向で具体的に年次計画を立ててまいりたいというふうに考えている、こういうふうに言っているわけなんですね。しかし、実際はたな上げにされてしまっているという状況なので、やはりここに及んでどうしても法制化ということが必要になってきているのじゃないかというふうに思います。このことにつきましては、北海道の農作業安全運動推進本部でも、現在国の方に出したいということでいろいろと検討があると聞いておりますので、ぜひとも国の責任において、農機具事故による死亡あるいはいろんなけがというものをなくしていく方向で法制化の方を検討いただきたい、こう思います。大臣いかがでしょう。
  208. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) この問題は、お話にもありましたように、昨年来検討は続けております。ただ、技術的にいろいろ問題点もございますので、早急にこれを法改正をして義務づけるというようなことまでここで申し上げることはできませんが、いまのような問題もございます。そこで、この問題につきましてはなお引き続き検討し、早急に結論を出すように努力をいたしたいと思います。
  209. 下田京子

    ○下田京子君 ぜひお願いしたいんですが、早急に結論を出すその結論は、国の責任逃れということじゃなくって、通産省なりあるいは担当、関係するところと諮ってやっていただけるというふうに理解してよろしいでしょうか。
  210. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) この問題は、私ども事務当局だけの検討でなしに、すでに農業機械化審議会の特別部会に検討をゆだねて、検討を開始したところでございます。これは具体的なデータ等に基づいての議論でございませんと、なかなか技術的な問題もございますから適当でないと思いますが、できるだけ結論を急ぐようにいたしたいと思っております。
  211. 下田京子

    ○下田京子君 次に、先ほど大臣のお話の中でも、いろいろ講習会もやっているというお話ございましたが、農機具を使用する者にとっての技術研修、安全指導講習会のことですか、いろいろ聞きたいことがあるんですけれども、一点にしぼって、特に婦人に対する研修のことを具体的に進めていただきたいというふうに思うんです。  その必要性はどこにあるかと言いますと、第一に、兼業農家が多くなって婦人が農機具を使用する率が多くなった、これが第一の理由です。第二番目に、専業農家におきましても、機械をいじるのは男の人、そしてふきだまりを女の人がというのじゃなくて、農業作業の効率やなんかから見ても、むしろ農機具を操作するのが婦人であって、その他いろいろな処理は男の人の方が事故も少ないし、労力等でも非常に効率的になるというお話であります。さらに第三点目に、これは具体的に北海道で聞いてきたお話ですけれども、奥さんが御一緒に仕事をしていたんだけれども、だんなさんがいま機械の中にはさまれていて、動いている機械の中で、機械をどこでとめていいかということがわからないために目の前で腕を切断されるというような大変痛ましい事故を見ているわけです。そういった点から見て、婦人が農機具の操作等ができたら事故が大変減るんじゃないかと、こう思うわけなので、特に婦人に対する研修、それからさっきちょっとありましたが、苦情処理の問題等あると言いますけれども、秋田県の場合ですと、窓口をつくったが一件もそういうものが持ち込まれてないというふうな報告も聞いているところを聞けば、やっぱりこれらのことについて、ただ行政レベルで苦情処理の窓口をつくったというだけで終わっているんじゃないかと思うので、もっともっと婦人のことも中心にしながら、全般的な農機具にかかわる人たちの研修を保証していただきたいというふうに考えます。
  212. 堀川春彦

    政府委員(堀川春彦君) 婦人の農業機械に関する研修は、都道府県の機械の研修施設等においてすでに開始をしておるわけでございますが、残念ながら現在までのところ婦人の研修受講者の希望が少ない。しかし、県によりましては、受講者の中でかなりの割合を占めるという実態もありますので、ただいま先生の御指摘のような婦人の農業機械とのかかわりもふえてくるわけでございますから、一面においては母性の保護というようなことも考えながら、適切な婦人に対する機械研修を強化する方向で指導してまいりたいと思います。
  213. 下田京子

    ○下田京子君 よろしくお願いします。  その際には、それなりのやっぱり予算と、それから施設というか、場所ですかが必要だと思います。来年度の予算なんかを見ればそういったものが入っておりますけれども、まだまだ少ないと思うんで、そうした予算上、それから体制上を含めて御検討をさらに強めていただきたいと思います。  その次に入りますが、労働災害の問題ですね。事故に遭った際の補償制度というのは、現在政府の労働災害と農協サイドのいろいろなあれこれありますけれども、いま具体的に申す時間もなくなりましたので簡単に申しますと、労働災害——労災のいまの保険制度というのが、他の一般的ないろんな災害制度に比べて非常にすぐれた点を持っていると思うんですよね。しかし、これはあくまでも企業主負担の原則での労働災害に農業者の問題、事故も含めているということで、一定の限度があると思うんです。そういう限度が考えられるというところから、あくまでもやっぱり農家単位の加入だとか、あるいは対象機械をもっと広げるだとか、作業範囲の拡大をするだとか、あるいは保険料を安くするだとか、そういういろんなところから見て、労災とは別個な形での農業者独自の補償制度創設をぜひ検討していただきたい、こう思うわけなんですが、大臣いかがでしょうか。
  214. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) お話しのように、この農作業上における労働災害の問題につきましては、一般に労働省でやっておりますところの労災保険制度がございます。それからもう一つ、農協等が中心になってやっておりますところの……
  215. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、時間がないので検討するかどうか、全体的なことは私も聞いています。
  216. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) そこで、二つのいま制度のもとにやられておるわけでありますが、労働省の方は料金その他の保険料も安い、しかし適用の範囲は狭い、一方は非常に広い、こういうような問題がありまして、これを国の制度として取り上げるかどうか、労働省の関係の労災法との関係、整合性、いろいろむずかしい問題があります。しかし、研究はひとつ進めてまいりたいと思います。
  217. 下田京子

    ○下田京子君 研究されるという答弁をいただいたので、ぜひそういう独自の保険制度創設のために、具体的な効用あるものができるように早急に進めていただきたいと、再度重ねて要望し、最後になりますが、いまの農機具全体の販売の中で農機具メーカーがどのぐらいの利潤を上げているかというふうなことに関係しながら、今後その価格のことや何かをどういうふうに対処するかという点でお伺いしたいんですけれども、御存じかと思いますが、十月の二十五日付の日本農業新聞によりますと、上位三社、いわゆる久保田、ヤンマー、井関の三社で農機具関係の市場の七割以上を占めているというお話ですし、しかもその中では、いま不況だと大騒ぎされている中で、井関にあっては五十一年度決算でもって経常利益が九十億二千万円、前年比で五八・四%増、久保田鉄工が四百二億五千万円、前年比で一〇%増、ヤンマーが経常利益三十九億一千万円で前年比で二八・七%増というふうに利益を上げているという点について御承知かと思うんです。  こういうことについて、やっぱり不当なもうけを吐き出させる、あるいは販売店や農家にそれを加算させないような形で、メーカー自身にアフターサービス等々も含めた責任をもっと強化する必要があるんじゃないか、こういうふうに考えているわけです。その点について、せっかくおいでいただいていますので、通産省がどういうふうなお考えを持っているか、それから農林省がどういうふうなお考えを持っているかということをお尋ねしたいわけですが、あわせてこういうような状況の中で、実は御存じかと思うんですけれども、これは今月の二十五日ですね。千六百人からの関東、東北、甲信越地区の農協組合長さんたちがお集まりになりまして、機械化貧乏返上への大運動を起こされています。その中にはいろいろと書かれております。  第一には、系統農協としての力を合わせて価格水準を大幅に引き下げると、こう言っていますし、それから、不要不急のモデルチェンジをなくして性能本位の機械をもっと導入して過剰投資を防ぐということ、それから三つ目には、安全性の問題とサービスの問題等も含めて投資効率を高めるということで、農協サイドがこういう運動を行ってきているわけですね。こういう運動に対して国がやっぱりもっと援助をし、そしてまた、農民の立場に立った機械利用が効率ある形でされるようにということを私どもも願うわけなんですが、それもあわせてひとつ御答弁いただければと思います。
  218. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、全国の農業団体が農機具貧乏を追放するために立ち上がったと、組織を挙げて立ち上がったということは、おくればせながら大変結構なことだと、こう思っております。あれだけの強大な農協組織を持って、いままでメーカー等にあなたがおっしゃるその過当な利益を取られておるというようなことは、これはおかしい。全農という大きな力のある中央団体もあるわけでありますから、私は農業団体の系統の力をもってすればこれは適正な価格でこれを購入をする、こういうことが私はできると思います。それから、モデルチェンジもしばしばやって、そして部品の供給がもう古い物にはないとか、そういうようなこともこれは農業団体が十分チェックすることができる。また共同利用、そういう面につきましても、系統団体の組織活動によって共同利用作業というようなこともできるでありましょう。私は非常に大変結構なことだと思いますので、農林省としてもこれをバックアップをしまして、十分な成果が上がるように今後支援してまいりたい、このように思います。
  219. 鈴木直道

    説明員鈴木直道君) 私どもといたしましても、やはり農機具メーカーが農村の方々の切実な需要にこたえて、これは先ほどいろいろ御質問ございました安全性、もちろんアフターサービスあるいは部品供給いろんな御希望があるわけでございまして、それに対して適切にこたえていくことが企業自身の責任ではないか、かように思っておりまして、そういう観点からかねがね強く指導してまいっているつもりでございます。  また、価格の面につきまして御指摘ございましたが、価格につきましては全農と農機具メーカーとの間の自由な話し合いということでございまして、私どもといたしましてはそれに介入はしませんで、適正な価格が設定されるよう見守っていく、かような現状でございます。
  220. 下田京子

    ○下田京子君 最後に、いまのお話承りまして、農協の運動については大臣もバックアップというお話ですが、具体的に予算措置やその運動の中身についての国の援助等を期待いたしまして、さらに通産省におきましても、メーカーの立場というのじゃなくて、本当に農機具を使う農民の立場あるいは販売店の要求も含めた立場でいろいろと配慮がなされるよう、指導がなされるように要望いたしまして、質問を終わります。
  221. 鈴木省吾

    委員長鈴木省吾君) 本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします    午後五時三十九分散会      —————・—————