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政府委員(
伊藤圭一君) 最初に私が御
説明いたしましたときに、この構造的にも不可能であるということは確かに申し上げました。しかし、同時に、いわゆる104からファントムにかわるときの飛行機の性能、すなわちあの時期には要撃戦闘機といったプロパーの
任務を持った飛行機というものは世界じゅうにございませんでした。私
どもが選定をする際の対象機となったものは、いずれも、いわゆる要撃
任務と、それから攻撃
任務と両方兼ね備えた飛行機であったわけでございます。具体的に申しますと、たとえばF1というような飛行機にいたしましても、F105という飛行機にいたしましても、攻撃
能力をかなり持った飛行機であったわけでございます。同時に、ファントムという飛行機も、いわゆる戦術戦闘機、あるいは当時は戦闘爆撃機というような言葉で呼ばれておりましたが、要撃
能力と同時に攻撃
能力をかなり重視した飛行機であったわけでございます。そこで、そのような飛行機を選定するに当たりまして、当時の御議論をいま改めてたどってみますると、基本的には、長距離の爆撃機というものが憲法違反なんであると、そしてまた、戦術戦闘機というものは爆撃装置をとらなくてもこれは憲法違反にはならないと、しかしながら、
一つにはその当時かなりの爆弾を搭載することができるということもございましたので、相手に脅威を与えるというような誤解を与えるかもしれない。また一方、そのときには爆撃用のコンピューターというものを別に持っておりました。そしてまた、核爆弾を搭載する際の管制装置というものを別に持っておりました。したがいまして、技術的にも可能であるということであのときに外したわけでございます。現在このF15を私
どもが採用したいというふうに考えておりますのは、このF15というのは、いわゆる空中における空中戦闘、これを中心に開発されたものでございまして、その
能力はきわめて高くなっております。そしてまた、ファントムを採用するときにも空中における戦闘
能力というものが重視すべき
一つの点であったわけでございますが、実はその当時の空中戦闘機に比べまして
エンジンがきわめて大きくなり、そしてまた
機体が軽くなったという
関係で、この空中戦闘
能力というものは当時に比較するとはるかに高い性能が要求されるわけでございます。したがいまして、F15というのは、そういった意味の要撃戦闘にはきわめて適した飛行機であるということでお願いしたわけでございます。
さらにまた、空中給油につきましても、いま申し上げましたように、
侵略してまいります戦闘機そのものの性能が向上いたしました。したがって、これに対抗するためには、いわゆる空中警戒待機のオペレーションというものはしなければならないと思っております。これが、ファントムを採用いたしまして爆撃機を対象としたときに比べますと、はるかに高いオペレーション上の要素になっているわけでございます。したがいまして、空中給油を行わなくてもこのオペレーションというのは必要になると思いますけれ
ども、
一つには、有事に際しまして
機数が少なくなったようなとき空中給油をいたしますと、少ない
機数というものを有効に使うことが可能でございます。そしてまた、ある航空基地、その
侵略してまいりますところに近い航空基地が破壊されたようなときには、遠くから行ってオペレーションをする場合、その途中におきまして空中給油をいたしますと、これはきわめて有効に活用できるわけでございます。そういうことを考えまして、空中給油の
可能性というものは残しておきたいと考えたわけでございます。
さらにまた、その訓練なくしてできるのかという問題でございますが、これはF15を
調査に参りました
調査団が調べてまいりました結果では、空中給油というのは、空中給油機によって油を渡す方はきわめて練度の高いものが必要とされるそうでございますが、受ける側は平均的なパイロットが、一定の速度で一定の高度を保って水平飛行を行っているならば、ほとんど
経験なくしても実施は可能である、そしてまた、仮に一回か二回
経験しておけばきわめてこれはスムーズに行えるのであるということを調べてまいっておるわけでございます。したがいまして、
平時における訓練というものは、教育課程の中にこれを入れまして何時間やらなければできないというものではないというふうに
判断をしたわけでございます。