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1977-11-24 第82回国会 参議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二十四日(木曜日)    午後一時二十一分開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月二十四日     辞任         補欠選任      向井 長年君     井上  計君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         塚田十一郎君     理 事                 加藤 武徳君                 林  ゆう君                 大塚  喬君                 野田  哲君     委 員                 岡田  広君                 源田  実君                 竹内  潔君                 林  寛子君                 降矢 敬義君                 堀江 正夫君                 増岡 康治君                 勝又 武一君                 久保  亘君                 山崎  昇君                 和泉 照雄君                 黒柳  明君                 立木  洋君                 井上  計君    国務大臣        内閣総理大臣   福田 赳夫君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  三原 朝雄君    政府委員        内閣法制局第一        部長       茂串  俊君        国防会議事務局        長        久保 卓也君        防衛庁参事官   夏目 晴雄君        防衛庁参事官   平井 啓一君        防衛庁参事官   番匠 敦彦君        防衛庁長官官房        長        竹岡 勝美君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁人事教育        局長       渡邊 伊助君        防衛庁衛生局長  野津  聖君        防衛庁経理局長  原   徹君        防衛庁装備局長  間淵 直三君        防衛施設庁長官  亘理  彰君        防衛施設庁総務        部長       銅崎 富司君        防衛施設庁施設        部長       高島 正一君        防衛施設庁労務        部長       古賀 速雄君        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省アジア局        次長       枝村 純郎君        外務省アメリカ        局長       中島敏次郎君        外務省中近東ア        フリカ局長    加賀美秀夫君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        外務大臣官房領        事移住部長    賀陽 治憲君        国税庁直税部審        理課長      掃部  實君        運輸省船員局労        働基準課長    豊田  実君        会計検査院事務        総局次長     柴崎 敏郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案(第八十回国会内閣提出、第八十二回国会  衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十二日、太田淳夫君が委員を辞任され、その補欠として黒柳明君が選任されました。また、本日、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として井上計君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 久保亘

    久保亘君 私は、質問に入ります前に、わが党の調査で明らかにされ、すでに報道もされております防衛施設庁会計検査院に対する供応について、防衛庁はその事実を認めているのかどうか、また、もし認めているとすれば、これらの問題については、当委員会において質問を受けるまでもなく、防衛庁長官として、また施設庁長官として、みずから発言を求めてその見解と責任を明らかにすべきものだと考えております。その点について、私は防衛庁姿勢としてまずお尋ねをいたします。
  5. 亘理彰

    政府委員亘理彰君) お答えいたします。  横浜防衛施設局におきます本年度の会計検査に関連いたしまして、過度の接遇があったという事実につきまして、新聞等に報道されておるわけでございますが、これは新聞によってもいろいろでございますけれども、大体報道されているとおりの事実があったわけでございます。まことに度を過ぎた点が多々ございまして、申しわけないと思っている次第でございます。  実はこの点につきまして、一昨日御質問があるということを考えておりましたものでございますから、その際にお答えいたそうということでおったわけでございますが、事実において間違いはございません。まことに申しわけないことをいたしたと思っております。
  6. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたします。  まず、事実につきましては、施設庁長官お答えを申し上げたとおりでございます。私もその事実につきまして調査をいたしましたが、報道されておりますことは事実でございます。  なお、この点について、事前に委員会等において遺憾の意を表すべきではないかという姿勢につきましても、そうし 御意見につきましては、謙虚な気持ちで御意見は受けとめてまいらねばならぬと考えておるところでございます。  今回の事件に対しまして、防衛庁長官といたしましては、私はその事務的な手続とか、あるいはその事由等いかなることが言われましょうとも、私は全体を判断をして、そうした行為につきましては、これは常識的に見ても非常識な問題であるし、適正な措置ではないと受けとめておるわけでございます。時期を置かずして幹部を集めまして、一昨日でございましたか、次官通牒を出して厳重に再発を起こさないように防止の処置をとって戒めておるところでございます。なお、会計検査院長からも御連絡がございましたし、私の方からも連絡をとりながら、そうした点において将来に対しましても最善の対処をしてまいる所存でおるわけでございます。
  7. 久保亘

    久保亘君 この事件につきましては、私はここで私の時間で質問しようと考えているわけではありませんが、ただこの問題について、私はあなた方のこういう問題に対する対処の仕方というか、防衛庁行政姿勢というか、政治姿勢と言ったらいいでしょうか、そういうものについて、やっぱりあなた方の方でこういうものをきちっと受けとめて、そして厳格な対処をしていくというような姿勢が薄いのではないか、こういうことを指摘をせざるを得ないわけです。  なぜそういうことを申すかといいますと、防衛庁につきましては、私どもは昨年来ロッキード事件に関するP3Cの問題などについて厳しく追及をしてきたところでありますし、それだけではなくて、防衛庁が、防衛庁装備などを納入する業者との関係においても、その業者メーカーとの間に交わしている契約書すらあなた方は手に入れることができない、こういう状況ロッキード事件の解明の中でも明らかになっておったわけであります。事件が起きてから、あわてて防衛庁としてはこれらの業者に対して契約書の提示を要請をするという形で幾たびか文書を出されて、しかも、その契約書はいまだに全部提出されておらない、こういう状況もあるわけでありまして、防衛庁のこれらの一連の姿勢というのは、今度の問題とも決して無関係ではない、こう思いますので、これらの問題については、後ほど質問もあろうかと思いますが、ひとつ防衛庁の厳格な対処をお願いをして、私はP3Cの問題について先回に引き続きお尋ねをしたいと考えております。  P3Cのライセンス生産について、防衛庁はすでにその方針を内定をされているわけでありますが、この生産を引き受ける国内企業についてはすでに接触を始められておるのかどうか、その点についてお尋ねいたします。
  8. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 私ども、その概算要求をしている段階ではございますが、P3Cを五十三年度予算におきまして十機の調達予定しておる次第でございまして、そのうち初めの三機は、ただいまのところアメリカ政府から直接購入するという予定でございまして、それ以下の機数というものはライセンス生産をいたしたい、こういうふうに計画しておるわけでございますが、そのライセンス生産機体エンジンその他電子機器等に分かれるわけでございますが、この機体と申しますか、プライムコントラクターと申しますか、それについてはまだ決定をしておるわけではございませんが、何と申しますか、いろいろ見積もりをつくったりなどするために、従来の経験の一番深い会社からいろいろ資料の提供などを求めておることはございますです。
  9. 久保亘

    久保亘君 従来経験の深い会社と言えば、川崎重工業に対してライセンス生産についていろいろと見積もりを求めたりして話を進めておると、こういうことでございますか。
  10. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 機体につきましてはそうでございまして、また、エンジンにつきましては、従来の実績、経験を持っておる三社というところから同じような情報提供を受けております。
  11. 久保亘

    久保亘君 エンジンに関する三社はどこどこでしょうか。
  12. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 川重、石川島播磨及び三菱重工でございます。
  13. 久保亘

    久保亘君 そうすると、これらの、エンジンに関する川重三菱重工、石川島の三社、機体についての川崎重工、こういうようなところとすでにその話を進められておるとすれば、ライセンス生産契約内容については、もし仮にこれが決定をされて実施に移されていくというような場合には当然明らかにされるものだと思いますが、それは御報告いただけるものですか。
  14. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 先ほど先生指摘ございましたように、なかなかエージェント契約と申しますか、そういうものを法的に提出を強要するというような権限もなく、全部が全部提出されておるということがないのはまことに残念でございまして、ただいまも努力を継続しておる最中でございますが、少なくとも、こういう大きなものにつきましては、公正を期すると申しますか、透明性を期するといったような意味からその契約書提出というものを求めることにいたしておるわけでございますが、まあこれをどういう形で公にするかということにつきましては、商業上の秘密とか、そういう問題を勘案して慎重に検討したいと思っております。
  15. 久保亘

    久保亘君 国産化率は、あなた方の計画では大体何%ぐらいになる予定でしょうか。
  16. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 私ども、いま概算要求をしておる段階では、まあこのスタートの段階でございまして、余り高くない、P3Cに関しましては三、四〇%というふうに推定しております。
  17. 久保亘

    久保亘君 次に、このライセンス生産に当たって、国内でこれを生産する企業に、ロッキード社部品あるいはその製品を納入をいたします場合に、ロッキード社とこの生産に携わる企業との中間に商社がいままでは介入しておりました。ロッキード社経験に照らして、今後はその商社を抜きたいという方針も何度か防衛庁長官は言われております。しかし、実際問題として現在のこの取引の状態を見ますと、それは非常にむずかしい問題をはらんでいるのではないかと思うんですが、すでにP3Cについて計画を進められておられるあなた方の方は、これは直接取引になさるおつもりですか、それともロッキードの総代理店を通じてメーカーの方へ行くと、こういうことになる予定ですか、その点をひとつ説明してください。
  18. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 私どもは、国内ライセンスメーカーと申しますか、メーカー契約をするわけでございまして、その国内メーカーは、機体に関しましてはロッキード社契約する、こういうことになっておるわけでございまして、その国内メーカーロッキード社との間の部品などの輸送その他につきまして、まあ私どもは直接は関与しておらないわけでございますが、ただいまのところロッキード社国内代理店と申しますか、こういう場合には恐らく実務代行といったような形になってくるだろうと思うわけでございますが、そういう実務代行者といったようなものをいまのところは選んでおらないと聞いておる次第でございますが、まあこういう場合、当庁が先ほど申し上げましたように直接関与しておる、関与と申しますか、タッチしておることではないわけでございますが、こういう場合、国内メーカーの外国とのつながり、あるいは、何と申しますか、通信、人員その他を考えてみますと、恐らくこういう商社実務を代行さした方がより効率的に安く上がるということも予想される次第でございまして、まあそういうことになるんではないかと、こう思っておる次第でございますが、私どもといたしましては、ロッキード社に対しましても、そういう場合には必ずその契約書を私ども提出するようにということを強く申しておりまして、向こうもこれに従うことを申しております。
  19. 久保亘

    久保亘君 その場合に、もし丸紅のような代理店ロッキード社が指定しました場合には、ロッキード側からの提出だけではなくて、商社の側にも防衛庁として契約書提出を行わせる自信がおありですか。いままであなた方は、ロッキード事件が起きてから、取引のある数十社に対して提出を求められて、それで提出しない企業がずいぶんたくさんありましたね。いまもそれは恐らく提出されていないと思います。これは法的に強制できないということで、結局最後は、それはなし崩しになって、契約書の中身がわからないままあなた方は直接組み立てて納入する企業に対して契約をされる、それから先のことは商社ロッキードメーカーとの問題であるということで終わってしまうのではないか、こういう危惧があるんですが、その点については、ロッキード事件において疑惑が残ったようなことは、今後P3Cに限らず防衛庁装備等購入に関しては一切ない、必ずそれらの問題は、求められれば全部国会に対しても明らかにできる、こういうことで理解してよろしゅうございますか。
  20. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 先ほどお答え申し上げましたように、全部のものについていまその代理店契約書提出させるよう努力を継続中でございますが、全部のものについてはなかなかむずかしい点もあるかとも思いますが、少なくともこういう大きなもの、特にP3Cといったようなものに関しましては、国内実務契約を受ける、あるいは代理店契約を受けるといったような者からは、その契約というものをこちらへ提出させる所存でございます。
  21. 久保亘

    久保亘君 いまの問題は、間違いなくやってもらいたいと思いますし、それからP3Cのような大きなものはということでなくて、少なくとも、防衛庁購入契約を結ぶものについては、求められれば、また必要があれば全部提出させるという方針をもってやってもらいたいと思う。そうしないと、どこまでが大きいもので、どこまでがそれではそういうものがなければなくてもいいというものかわからないようになる。そういうところにあいまいな姿勢を残すから、いろいろあなた方の政治姿勢についても将来疑問点が残っていくわけですから、私は、これらの購入については、大小にかかわらず必要な場合にはいつでも提示させてそれを明らかにする、こういう方針を持ってやってもらいたいと思うんですが、長官いかがでしょう。
  22. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 私は、民間における商行為と申しまするか、そういうものにすべて疑いをかけるということは、そういう姿勢はよくないと思います。しかしながら、こうしたロッキード事件が生じました現在時点、あるいは将来に対しましても、防衛関係のそうした装備品調達等について、いま厳正な処置が期待されるときでもございまするので、私はこういう時期には、いま申されましたような処置をぜひとりたい、そして疑いを晴らしてスタートいたすべきであろうという姿勢のもとに対処してまいる所存でございます。
  23. 久保亘

    久保亘君 わかりました。  じゃ次に、先般、P3Cの対潜水艦作戦問題点について私かなり時間をかけていろいろお尋ねをしてまいりましたけれども、この問題をさらに進めて、潜水艦領海侵犯に対するP3Cの警備行動というのがあり得るのかどうか。潜水艦日本近海において捜索し、そして最終的には侵略行為があり、おそれがあれば攻撃するというところまでが潜水艦作戦任務だとするならば、他国原子力潜水艦などの領海侵犯に対するP3Cの行動範囲というのはどの程度のものが考えられるのか、御説明をいただきたい。
  24. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 領海侵犯に対する対処任務というのは、海上保安庁任務でございます。したがいまして、領海侵犯の中に、潜水艦あるいはその他の軍艦等につきましても無害通航というのは許されておるわけでございますが、潜水艦の場合には、もぐったまま入ってくるというのは無害通航に当たらない通航だということになっております。したがいまして、そういうものに対する措置というのは、海上保安庁任務になっているわけでございます。しかしながら、現実の問題として、それではそのもぐってきている潜水艦というものを海上保安庁が探知できるかどうかということになると、現時点においてはその能力というものはないと思います。したがいまして、私どもの方はそういった任務を持っておりませんから、潜水艦領海侵犯に対してこれを排除するということはいたさないわけでございますが、たとえば海上保安庁が、どうもこの辺に潜水艦がもぐっているようだから現実におるのかどうか探知してくれないかというような依頼があったような場合には、その付近で現実におるかどうかということを、いわゆる海上保安庁情報提供するという形でやることはあり得るというふうに考えておるわけでございます。
  25. 久保亘

    久保亘君 いまのようなことでありますならば、領海内に、その侵犯をしてきた他国潜水艦、特にあなた方がP3Cの目標とされておる原子力潜水艦領海侵犯に対しては、これは海上保安庁権限であるからP3Cの権限外である、こういうことで、海上保安庁からこの辺に潜水艦がおるらしいから調べてくれと言われてP3Cがその任務につくというような種類のものであれば、私はあえてP3Cを数千億の経費をかけて海上自衛隊装備をする必要は全くないと思うんです。
  26. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま先生が言っておられますし、また私も御説明申し上げておるのは、いわゆる平時の場合のことでございます。したがいまして、有事になりましたならば、そういった潜水艦行動というものが現に脅威となり得るようなときには、そういうものに対して探知をし、追尾するという任務というものはきわめて重要になってくるわけでございます。それから、さらにまた、もう一つつけ加えますと、平時におきましても、私どもは訓練をやっているわけでございますから、そういう際に、潜水艦がもぐって領海の中を通っているというようなことがわかりますれば、それは当然海上保安庁の方に連絡措置をお願いするということになると思います。
  27. 久保亘

    久保亘君 そういう、自衛隊潜水艦日本領海内におけるもの、あるいは領海外であっても、二百海里の問題もあると思うんですが、そういう問題について捜索をして、そして領海内にある場合にはこれは領海侵犯として海上保安庁連絡をして、海上保安庁排除措置をとらせる、こういうことになれば、自衛隊としてはやはり領海内の潜水艦領海侵犯に対して一つ任務を持つ、こういうことになりはしませんか。
  28. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは先生も御承知のように、自衛隊に正式に平時において与えられております警察行動任務としては、領空侵犯措置というのがございます。これは自衛隊法によって与えられているものでございます。それと同じような形で、領海侵犯に対する措置というものが任務として与えられてはいないわけでございます。平時におきます自衛隊任務といたしましては、そういった組織的な暴力的な行動というもので、いわゆる防衛出動に至る以前の行為といたしまして、八十二条に基づく警備行動というものがございます。しかしながら、これも総理大臣の承認を得まして長官の命令によってそれを行えることになっておるわけでございますので、平時におきます領海の中の侵犯を除去する活動というものは海上保安庁が担当いたしておりまして、それにもちろん十分協力するという任務は与えられておりますので、私が申し上げましたように、情報提供したり、あるいは向こう依頼によってその実態をつかまえるというようなことはあり得ると思いますけれども、その範囲を出ないわけでございます。
  29. 久保亘

    久保亘君 今度は、領海内の問題については、結局P3Cを配置をしても原子力潜水艦等領海侵犯について海上自衛隊が具体的にとり得る措置は全くない、こういうことがはっきりしたわけですが、そうしますと、公海、領海における潜水艦行動について、侵略行為または侵略のおそれのある行為で限定的な小規模なものとしてこの排除措置としての攻撃をかけるという判断はどういう場合に出てくるのでしょうか、そこのところが明確でないと、ただ、潜水艦日本近海にもぐっておるらしいから、それを常時空を飛んで、経費をかけて見つけておこうと、それだけで四十五機で五千億にも達するような装備をいまやらなければならない理由というのはどうしても考えられないわけです。だから、潜水艦による限定的な小規模な侵略行為、つまり、あなた方が自衛隊の力をもってこれに攻撃的に対処させようとする、そういう可能性というものを何で判断するのかね、そこをお聞きしたい。
  30. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは海上自衛隊が発足いたしましてから、海上自衛隊任務として私どもが二つ重要な問題と考えておりますのが、いわゆる航路の安全を守るということと、もう一つは、地上の兵力が日本に侵攻してくる際、海上でこれを阻止するという、この二つの大きな任務があるわけでございます。その任務を遂行するために、海上自衛隊の発足以来、対潜水艦作戦というものを重視いたしまして、対潜哨戒機護衛艦さらにヘリコプターというような形で進めてまいっておったわけでございますが、そのうちのP2J、これがいわゆる原子力潜水艦の出現によりまして対潜能力がとても、比較して低下してまいりましたので、これを能力を上げるということでございます。で、いま先生がおっしゃいました、じゃどういう場合にそれがあるのかという問題でございますが、なかなか具体的に、こういう場合こういう場合となかなか分けにくい点はもちろんあるわけでございますが、いわゆる非常に抽象的になるわけでございますけれども、組織的な暴力が繰り返し行われて、そして日本のいわゆる海外とを結ぶ航路が非常に危険であると判断されたときに、これは政府として判断することになると思います。しかし、たとえば、たまたま航路を通っておった日本の商船が一隻沈められたから直ちにこれが発動するかということは、そうなるかならないかというのは、当時の客観的な情勢等も勘案しなければなりませんけれども、私どもといたしましては、一回起こったということで直ちに発動されるということにはならないんではないかというような感じもしているわけでございます。しかしながら、そういった原子力潜水艦現実におるというものに対して、そういったものに対処できる能力を持っているということが、これが大変大事だと私どもは思っているわけでございまして、そういった潜水艦行動というものを探知し、追跡し、そして攻撃する能力を持っているということが抑止力につながって、やはり航海の安全というものを後ろから支えるものであるというふうに考えておるわけでございます。
  31. 久保亘

    久保亘君 この前も私お尋ねしたんですが、攻撃する能力を持っているから抑止力になるということならば、アメリカの配備しておるP3Cというのは、これは核装備ができるから攻撃力によって抑止するということが可能なわけです。ところが、日本自衛隊がP3Cを配置をいたしましても、これはもう国の方針によって核装備はできない。そうすると、原子力潜水艦に対抗して攻撃するための装備としては、日本のこのP3Cというのは非常に弱いものになるわけです。そうすると、これは何の役割りを果たすかといえば、捜すだけ、そしてこの防衛白書に書いてあるように、そこから先は日米安保条約に基づいてアメリカの武力によって協力をしてもらう、こういうことにならざるを得ぬわけでありまして、しかもこのP3Cが潜水艦を捜すために積み込みますデータは、全部アメリカ提供するものでなければ日本自身はそのデータは持ち得ない、こういう種類のものでありますから、このP3Cを日本に配置をするということについては、私はいわゆる防衛白書に示されておるような国防というあなた方の見地を認めるとしても、このP3Cを多額の費用をかけて装備をする効果は非常に薄いのではないか。で、この前申し上げましたように、下手に原子力潜水艦日本近海で攻撃した場合には、潜水艦を沈めたという効果はあったにしても、その潜水艦が沈められたことによって国土が破壊されるという大きな影響を受けるわけでありますから、近海において原子力潜水艦を攻撃するなどということは、現実にはやってはならぬことだということを考えれば、P3Cの問題について私は防衛庁が再考されることが非常に必要であろうと、こう考えております。  時間がありませんから、次に、法案に直接関係をいたしましてお尋ねをいたしますが、今度のこの法律によって、海上自衛隊、航空自衛隊の定員の改正ができた場合に、五十三年度の自衛官募集計画はどうなるのか、あなた方が持っておられる採用計画数にこの増員分の定員が上積みされるのかどうか、その点はどうなりますでしょうか。
  32. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 五十三年度の自衛官の採用の計画でございますが、これは現在概算要求中でございますけれども、人数をちょっと申し上げますと、陸上自衛隊が一万七千三百五十人、それから海上自衛隊が三千七百四十人、それから航空自衛隊が三千九百人でございまして、現在お願いをしております増員分を含んだ計画をお願いをしておるわけでございます。
  33. 久保亘

    久保亘君 五十二年度の採用計画数に増員分をプラスしてあると、こういうことですか。
  34. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 簡単に申し上げればそういうことになります。
  35. 久保亘

    久保亘君 そうすると、この防衛白書の中ですでにあなた方が、これは何年でしたかね、昭和五十一年の十月二十九日、国防会議並びに閣議において決定をされました「防衛計画の大綱」、一年前に決められた、その中に「隊員の充足についての合理的な基準を設定する」「良質の隊員の確保」を図ると、こういうことが書かれてありますが、隊員充足の合理的な基準というのはどうなっているんでしょうか。これは前にも質問があったと思うんですが、私どもが単純に考えますと、現在陸上自衛隊の士、昔で言えば兵に当たる部分の充足率はわずかに六九%ですね、それは海上、航空の場合でも、これは八五、六%の充足率しかないわけです。この上に増員した分を継ぎ足してみたって、結局いまの定員の中だってそれぐらいのものは充足率を引き上げさえすれば増員ができるわけなのに、あえて定員をふやすというのは、合理的な充足の基準というものをあなた方が持たれるから定員をふくらませられるんだと思うんですが、この隊員の合理的な充足の基準というのはどこに設定されておるわけですか、それをつくろうと去年決められたんですから。だからその充足基準を説明してください。
  36. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) この充足の基準というのは二つの面があろうかと思います。  一つは、いわゆる人事管理をやる上でどのぐらいの欠員というものを持っておらなければ新たに入ってくる者を受け入れられないかという問題がございます。たとえば防大を卒業した若い幹部、あるいはやめていく隊員に対して、新しく入ってくる者をどういう形で受け入れるかというような問題がございます。そういう観点からの検討が一つございます。  それからもう一つは、いわゆる有事に役に立つような訓練をどの程度の充足があれば実施できるかという問題がございます。で、この点につきましては、海空におきましては、たとえば海上員におきまして大砲を操作する中で弾を運ぶというのは、一応長い間戦闘を継続する際には必要になりますけれども、普通の訓練においてはいつもそういう者を張りつけておく必要がないというような配置もあるわけでございます。そういったものを洗いまして、いわゆる平時の訓練におきまして、艦艇にはどのぐらいの人間を張りつけておく必要があるのか、あるいは航空部隊にはどういうものが必要か、それから陸上自衛隊におきましては、平時訓練をやるときに、たとえば一回中隊の中の四個小隊ある中で、それぞれの小隊の充足率を、たとえば七〇%あればいいのか、あるいは二つぐらいは八五%ぐらい充足しておいて、あとの二つについてはもっと充足率を下げても平時の訓練というものが行われるのかどうかというようなことを検討するというのが昨年決められたわけでございます。  で、私どもは以前からこれにつきましては検討を重ねてきておるわけでございますけれども、一応陸上宿衛隊につきましては、現在までの検討では八六%程度の充足があれば、しかもその中で幹部、曹については高充足であれば、特に技術を必要とするホーク部隊あるいは航空部隊等を九〇%程度高充足にして、それからまあ普通科等につきましては七〇%程度の充足というようなことでこの訓練ができるだろう、それを平均すると八六%ぐらいであろうというふうに考えておるわけです。  それから、海空につきましては、いま申し上げましたように船乗りといえども地上において教育する必要もあるわけでございます。それから、航空部隊の者も学校というようなところに入れて教育する必要もあるわけでございます。そういった者をローテーションしながらいくと、やはり九六%あるいはもう少し上ぐらいのところがいわゆる充足率として必要であろうと、このことは、その以上になるということを妨げないわけでございますので、私どもといたしましては、この充足を上げる努力はもちろんするわけでございますが、この委員会でも御説明申し上げましたように、人件費の圧迫というようなことも考えなければなりません。それからまた、人を採って、それが必ずしも優秀な隊員でないということも配慮しなければならないわけでございます。そういったことを勘案しながら毎年の充足率を決めていっているのが現状でございます。
  37. 久保亘

    久保亘君 充足率の合理的な基準というのが、いまあなたの御説明のような形で決まっていくのであるとするならば、何も定員をふやさなくても充足率を引き上げれば、いま海上の場合も航空の場合も、士の階級のところでは充足率はそれぞれ八五、八六なんです。だから、これを引き上げれば定員をふやさなくても処置できる問題なのじゃありませんか。それから、陸上の場合は八六でいいと言われたんですが、これは士の位の場合には六九になっておるんです。そして八六になっておるわけです。曹以上のところは陸海空を通じて大体九十数%、ほとんど満杯の状態になっている。だから、陸上自衛隊では、下士官である曹の人たちが七万五千人おりまして、兵隊である士の位の人は五万四千人しかおらぬのです。だから、下士官三人に兵隊が二人というような配置になっておる。そのしにまた将校がおるわけですね。だから、充足率というのを合理的に決めるということなら、何か一つの基準がないと――あなたか言われたようなことでありますならば、それは定員で操作せぬでもいいんじゃないですか、充足率で操作をすれば。そうすると、この法律改正をやらなくてもいいということになりゃしませんか。
  38. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 絶対数の頭数ということだけでまいりますとそういった御議論もあろうかと思います。しかし、再三御説明いたしておりますように、定員というものは、たとえば陸上自衛隊におきましては十八万の体制でもってどうやって有事に対処するかということが根本になっておりまして、それに基づく編成というものが決まってまいります。そして、その編成に基づく装備というものも決まってまいるわけでございます。海空につきましては、新たな艦艇あるいは飛行機が就役いたしますと、その中の構成というものが当然変わってくるわけでございまして、一つの部隊ができ、あるいは一つの艦艇ができますと、艦長初め定員的に認められない限りその船というものは定員の裏づけなしに動いているということになるわけでございます。したがいまして、編成上でいう定員というものは、そういう形で純技術的に編成を積み上げてまいった結果の必要な定員ということになるわけでございます。  一方、それをじゃどこまで充足するかという問題でございますが、たとえば、陸上自衛隊につきましていま先生が御指摘ございましたけれども、その中にはそれぞれのまた職種というものがあるわけでございます。したがいまして、確かに、たとえば普通科におきます、その職種におきます士の充足というものはきわめて低い数字でございますけれども、土でも、たとえば航空部隊なんかにおきましては高く充足しておかなければならぬというような問題もあるわけでございます。したがいまして、そういった編成上の定数、それから必要になってくる定員ということで私どもはお願いしているわけでございます。
  39. 久保亘

    久保亘君 どうもその辺は余りよく理解できぬところですが、要するに自衛隊における定員というのは、自衛隊を現在のいろいろな隊の編成で満杯にした場合にこれだけになるという定員であって、そして、実際にはあなた方が、いまは大体兵隊さんが七割ぐらいおればいいということで実際上の予算定員は別に決められている、こういうことになると理解すればいいんですね。いわゆる自衛隊のいう定員というのは、いま持っている装備や隊の編成を全部一〇〇%きちっと入れた場合にこれだけになるという人数ですね、それと、実際に編成されている隊の定員とは関係がない、こういうふうな理解をすればいいんですか。
  40. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それは、関係がないというのは、ちょっとそこまではとても私どもは考えられないわけでございますが、いま先生がおっしゃいました前段の中で、いわゆるここに定められております定数でとにかく有事に対処するんだという姿勢であることは間違いないわけでございます。
  41. 久保亘

    久保亘君 まあ時間がないから、水かけ論的になるからこれで私やめておくけれども、どうもその辺のところは理解しにくいところなんですよ。たとえば、さっき防衛大学の卒業生の問題なども言われたけれども、将校はほとんど満杯なんだからね、別に防衛大学の卒業生のために充足率を下げてあけてあるというようなことはこのいまの状態からは考えられない。これは大体停年退職によってうまく回転しているんじゃないかなという感じがするんです。この階級別の編成表を見ても大体そういうふうにうまくいっているようなんで、そんなの余り理由にならぬじゃないかと思う。  今度は、それでは兵隊に当たる部分ですね、この部分について一体募集はどういう基準でおやりになっているのですか、自衛隊の二士ですね、二士を採用する方法、それから採用に当たっての基準、あなたは、定員があるからといってどんどん入れたんじゃどうも余り質のよくないやつが入ってきて困るから充足率を下げてあるんだと、こういうことをさっきちょっと言われたんですがね、それならば優秀な隊員をそろえるということで採用の基準というのは一体どういうことになっているのか。
  42. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 優秀な、なるべく私どもは質のよい隊員を採用したいというふうに考えておるわけでございますけれども、二士の採用試験では一応適性検査を実施いたしております。この適性検査、いわゆる心理適性検査と申しまして、性格検査というものと知能検査を行っております。これは具体的に申しますと、性格検査の方は、それぞれの人間の人間像と申しますか、そういうものを総合的に見ようと、そして、受験者の性格あるいは傾向というものを判断しよう、こういうもので、それに必要な問題を提出してそれによってチェックをしておる。それから知能検査の方は、新しい事態に直面して、これをどう判断してどう対処するかという能力を検査しようというものでございまして、一応それぞれ点数制度によって、性格検査の場合も知能検査の場合も十五点というものを採用基準点にして採用いたしておると、こういう実情でございます。
  43. 久保亘

    久保亘君 かなり厳しい基準で採用をされておるようなお話でございますが、それじゃ最近における、あなた方が統計でとっておられるもので構いませんが、自衛隊員による犯罪件数、それから自衛隊法に基づいて懲戒処分を行った件数を、ちょっと年間のトータルでもいいから説明してください。
  44. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 大変申しわけありませんが、犯罪件数の方は後刻調べて御報告申し上げますが、自衛官の処分件数を申し上げますと、五十一年度におきまして免職になりましたのが二百五十三件、それから停職処分が七百六十件、減給、戒告等がございますが、これが約七百件、そういう状況でございます。
  45. 久保亘

    久保亘君 これは全部で二十三万台の自衛隊の隊員について、一年間に免職処分二百五十三件、停職や減給合わせて千五百件に近いというのは、これは隊員の採用とかそういうものについて、さっきあなたが言われたような基準でなくて、要するに採用計画がうまく進まないものだからかなり無理な採用をしているというようなことは関係ありませんか。
  46. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) まあこういう件数につきましてはいろいろな原因が考えられると思いますが、一応採用に当たりましては、先ほど申し上げましたような基準によってチェックをして採用いたしておるわけでございますけれども、ただ残念なことに、二士の隊員の全体の中で、国防の意識に燃えて欣然参加してくるという部分は比率にいたしましてはそれほど多くはありません。率直に申し上げまして一番入隊の動機で多いのは、何か技術を身につけたい、こういう者が半分以上占めております。その他入隊動機はいろいろございますけれども、その後、やはり最近の青年意識等と、それから集団の共同生活というものとのギャップとか、いろいろな原因がございますし、それから、人間関係がうまくいかないというようなこともございまして、いろいろな悩みその他によってこういう免職にしなければならないというような事犯を犯すという隊員がございますけれども、これは統計的に見ますと年々減っておりまして、たとえば五十年度に比較いたしますと約半分ぐらい減じております。まあ私どもは、今後とも自衛隊の中の隊員に対する待遇の改善とか、自衛隊をさらに魅力あるものにするというふうな施策を講じて、これらの事犯をなるべく減少させるように努力をいたしておりますし、さらにまた、いろいろな悩み事を訴える者がいないと、訴える相手がいないというようなことも非常に大きな原因をなしておりますので、従来から、たとえばカウンセリング制度というものを設けて隊員のいろいろな悩み事について相談を受けて、いろいろ心を砕いて隊員の指導に当たっているという状況でございます。
  47. 久保亘

    久保亘君 やっぱりだから、定員をふやして、そして二士の採用をやってみても、かえって自衛隊の中に、いま言われるように、別に自衛隊そのものに目的といいますか、使命感を感じて来る者はきわめて少ないと、こう言われたんですが、そういうことで集めてみても、結局あなた方の目的とされたところには向かわぬのであって、だから私は充足率を是正する程度のやり方でよいのではないか、こう思うんです。  それで、そのことは広報対象の分析に関することしの九月に行われました防衛庁の世論調査の結果によっても、自衛隊は拡張しなくてもよいという意見が圧倒的に多いはずであります。せいぜい現状のままでよいという数字が出てきておりますが、それはお認めになりますか。
  48. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 先般、防衛庁で行いましたいわゆる国民の意識調査、三千人を対象にしてやりましたが、この中に「あなたは、今後の日本の防衛力の整備のあり方について、どのようにお考えになりますか。この中から一つおっしゃってください」という中に、「現在より増強すべきだ」一一%、「科学技術の進歩に応じて、近代化をはかるべきだ」二二%、「現在のままでよい」三三%、「現在より縮小すべきだ」というのが、これは九%にすぎませんが、それから「わからない」というのが二五%あります。確かにいまの国民に防衛というものはなかなかむずかしい問題であろうということは、これはわれわれもわかります。できる限り広報、宣伝で周知していかなければならないし、わが国を守るという意識を持っていただきたいとわれわれは考えております。しかし平時の、ちょうど日本はいま花見のような感じで、そう国民が緊迫感を持っておりません。しかしながら、これだけのやっぱり自衛力は要るんじゃないだろうか、しかし現在の平時ではそうむやみに増強すべきではないんじゃないだろうかという国民の意識がやはりあると思います。そういう観点から、いま先生が言われましたように、現在のままでよいというのが三三%、しかし近代化を図るべきだというのが二二%あり、あるいは現在より増強すべきだというのが一一%、縮小すべきだというのが九%、こういう観点もひとつお含みおきで御了承願いたいと思います。
  49. 久保亘

    久保亘君 官房長のいまの説明の仕方も問題があるんですよ。「現在より縮小すべきだ」というのはわずかに九%と言われた。そうすると「現在より増強すべきだ」というのは二%と言われる。一一はわずかでなくて九はわずかだというようなそういう認識がおかしい。そして「科学技術の進歩に応じて、近代化をはかるべきだ」というのは、これは必ずしも増強せよという意見ではない。そういうことを考えていきますと、あなた方の世論調査の結果は必ずしも増強の方向で出ているわけではない。ところが、この世論調査の結果を発表をされるときには、「自衛隊はあっった方がよいと思いますか」というので、八三%あった方がよいという結果が出ました、ない方がよいというのは七%でありましたという、その面だけを非常に力説されておるわけです。しかし、この世論調査のあり方がそうすると問題になってくるわけです。この「あった方がよい」というところへ誘導していくために、前からの設問をずっと見てまいりますと、「自衛隊がこれまでどんなことで一番役に立ってきたと思いますか」という設問をやってあります。そうすると七五%の人が「災害派遣」と答えているわけです。その次には「今後どのような面に力を入れていったらよいと思いますか」というので、ここでも「災害派遣」というのがトップに出ておるんです。そうしておいて「自衛隊はあった方がよいと思いますか」という設問になっているんですから、八三%の人が「あった方がよい」という答えに誘導されているわけです。そしてこういうやり方をしておいて、その結果を八三%が自衛隊があった方がよいという調査結果になっておるので、いまや自衛隊は定着したといって、そして観閲式が行われる、こういうかっこうになっておるんですよ。これは少し手前勝手なやり方でありまして、もし本当に、まだ憲法上の論争も続いておるこの自衛隊の問題について、あなた方が言われているように、あった方がよいというのが国民の八五%近くも占めてくるというような状況になるならば、これは私どもは非常に重大な検討すべき課題だと思っている。ところが、こういうような結論を導き出すために非常に巧妙な世論調査の操作があるような気がするのであります。  長官お尋ねいたしますが、自衛隊というのは災害派遣というのは本来的な任務でありますかどうか、その点をお答えいただきたい。
  50. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 御承知のように自衛隊法におきましては、本来の任務は有事に対してわが国の平和と安全にこたえるということが本任務でございます。しかし、それじゃ災害派遣というものは副次的なものかというと、そういうような物の考え方でなくて、私は災害があったときには災害に応じていくという素直な読み方をいたしておるのでございます。どちらが主でどちらが副だというような物の考え方よりも、やはりこの設置された主任務、この主目的というのは、有事に対しまして祖国を平和と安全にしておくということが、これを遂行するということが設置の任務でございまするけれども、同時にまた、災害等があったときには、そういう副次的とかいうようなことでなくて、私はそれに応じていくというような任務を持っておるという受けとめ方をいたしておるのでございます。
  51. 久保亘

    久保亘君 いま現に自衛隊が災害時において役割りを果たしているその現実を国民は否定しているわけじゃないと私は思う。しかし、災害時における自衛隊の活動というのは、これは自衛隊が組織され現存しているからそういう役割りを果たしているのであって、本来自衛隊という存在がなければ、災害時におけるその派遣体制というのは、別途に国はこれを考えればよいのであって、災害のときに戦車や大砲は要らぬわけであります。だから、こういう世論調査に当たって、災害派遣における自衛隊の役割りというものをぐっと表面に押し出しておいて、自衛隊はあった方がよいという結論を出して、これで国民の間に自衛隊が完璧に認知されたという言い方をしていくことは、私は少しやり過ぎじゃないかという感じがするんです。その証拠に、あなた方の世論調査で、余りあなた方が声を高くして言われなかった部分には、先ほどの問題もありましたが、「あなたは、自衛隊や防衛問題に関心がありますか」ということについては、「非常に関心がある」、「少し関心がある」と答えた人を合わせて四七%です。「あまり関心がない」、「全く関心がない」というのを合わせて五〇%になっております。こういう前提を見て考うるならば、自衛隊があった方がよいという結論が八三%という形であらわれることは、非常に両者の調査の結果に矛盾があることに気がつかなければいかぬ。少なくとも、半分の人たちが自衛隊に余り関心がない、全く関心がないとあなた方の調査で答えている。ところが、あった方がいいかと聞いたら今度は八三%があった方がいいと言った。あなた方が観閲式に日にちを合わせて発表されるのはこの後の方だけ、こういうことになってくるのであります。これは国民に対して正しく国民世論の動向を知らせることにならないであろう。この世論調査のやり方や世論調査の結果の扱い方について、私はもっと防衛庁としては慎重な配慮がなされるべきであると思うんですが、長官はいかがお考えでしょうか。
  52. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 私は先生の御意見を素直に受けとめて真剣に考えてみたいという気持ちでおるわけでございますが、お言葉を返すわけではございませんけれども、社会党の党員の方々、どちらかというと私は非武装中立なりというようなことを徹底して理解を願っておる方であろうと思います。しかし、これもやはり災害派遣という実際を見ておられるというようなことがございましょうが、これらの方々も、前回総理府等において調査をいたしましたときよりもぐっと上がってまいりました。社会党におきましても七十数%でございます。共産党の方々におきましても五五%という数字が出ておるという事態もあるわけでございます。しかし、私はもっと本質的に考えるべきだ、と申し上げまするのは、この国を守るに値する国にせなければならない、そういう私は根本的に、国民の国に対しまする、あるいは社会に対しまする意識というようなものが徹底することがもう基本であろう。そういう点で、私どもは政治の体制なり経済の体制、社会福祉の体制というようなものが整備されることが自衛隊というものを評価する場合のやはり大前提になる。私はそうした立場でこの問題を取り上げておるわけでございます。したがいまして、前回も委員会において御質問がありました際に、決して八三%という数字をもって私どもはこれで結構であるというような物の考え方はいたしておりません。いま申されましたように、どういうやり方でしたのか、これは防衛庁だけがやったのではございません。防衛庁がやると、いま言われたような手前勝手になるから、やり方につきましては前回総理府等においてやられたものをそのまま持ってまいったのでございます。そこにも一つの配慮をして我田引水的な結果を受けとめてはならないということでございます。  それから、私もそのとき申し上げましたように、なおこうした数字が出たということは、やはり災害復旧の際の活動ということ、そういうものに一つのウエートがかかって判断をされたという見解もとるべきである、そういうことでございまするので、八三%が出たということで喜ぶということであってはならない。もっと掘り下げた立場で、やり方がどうであったのか、内容がどうであったのか、そういうことを反省し、そして自衛隊の将来の問題を考えて、私はこうした世論調査をやることについても、やり方も考えねばなりませんし、またその結果等も厳粛な立場で受けとめてまいるべきであるということを、私は委員会お答えしたのでございまするから、いま先生指摘のように、そうした数字が出たことをもって自衛隊が完全定着をしたとか、国民の完全支持を得ておるというようなことには、すぐ直接にそういう判断をすることはいかないということを、評価の際に申し上げたわけでございまするので、いま御指摘の点等を踏まえて将来に対しましては対処せなければならぬということで御意見を拝聴いたしておるところでございます。
  53. 久保亘

    久保亘君 時間が参りましたので、国を守るという考え方については、いずれまた長官が内閣改造後もお残りになりましたならば、その際に議論をいたしたいと考えております。  先ほどお願いをいたしました犯罪件数について、できればこの委員会の終わらないうちに資料を提出いただきたいと考えております。
  54. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) トータルの件数だけわかっておりますので。  五十一年度で隊員による刑事事件の発生状況でございますが、千六十件でございます。
  55. 久保亘

    久保亘君 委員長、資料としてひとつ後で提出さしてください。
  56. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 資料としてまとめてください。
  57. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 提出いたします。
  58. 久保亘

    久保亘君 さっきの懲戒の分と合わせて。
  59. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) はい。
  60. 野田哲

    ○野田哲君 まず、施設庁に伺いますが、施設庁の小牧の施設関係について伺いたいと思うんですが、盛りだくさんの質問をしますから、簡単に簡潔に要点お答えをいただきたいと思います。  小牧の第三航空団が三沢へ移転するという法案が提出されておりますが、その移転後の小牧の基地の使用計画がどうなっているか説明してもらいたいと思います。
  61. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 小牧から86Fの戦闘機部隊が出ていった後、輸送航空団隷下の輸送航空隊一を配備する計画を立てております。
  62. 野田哲

    ○野田哲君 小牧の基地の区域内に四十七筆一万五千百七平方メートルの個人の名義の所有地があることを防衛庁あるいは施設庁は御存じですか。
  63. 高島正一

    政府委員(高島正一君) お答えいたします。  承知いたしております。
  64. 野田哲

    ○野田哲君 個人の所有地がなぜ今日まで放置をされているんですか。
  65. 高島正一

    政府委員(高島正一君) いま個人の所有地であるかどうかということは、いわゆる私どもの方には、所管しております飛行場の中に旧軍が買収をした、しかし国有財産として登記が未了であるというものがございます。その財産であるかどうかということ。それから一方、御指摘のように法務局には個人有地として登載されておるものと、旧軍財産が、国有地として買収したものを国有財産として登記をまだしていない、その争いと申しますか、その辺がまだ懸案になっておるのがこの問題の焦点でございます。
  66. 野田哲

    ○野田哲君 争いになっているというふうに言われておりますけれども、旧軍の買収漏れが争いになっているというふうに言われるけれども、登記簿を見ると、ある土地は昭和二十五年三月二十八日に自作農創設特別措置法によって所有権移転の登記がされているわけです。これは国がやっているわけですね。自作農創設特別措置法による移転登記というのは、これはまさに国の責任でやったわけです。それからさらに、小牧市の大字南外山字西原一六五一の一、これは明確に地目は飛行場となっている、八百九十五平方メートル。これはごく最近、昭和四十五年ですか、農業協同組合の抵当権が設定をされている、そういう事例があるわけですが御存じですか。
  67. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 施設庁におきまして調査いたしました結果、一五三五の方の勧業銀行の抵当権は、戦前すでに抹消されております。それから、ただいま御指摘の一六五一の抵当権につきましては、昨年の四月二十日抹消されておるということを承知いたしております。
  68. 野田哲

    ○野田哲君 抹消は現在されていないんじゃないですか。私はここに登記簿を持っておりますけれども、登記簿では抹消の登記はしてないですよ、最近の登記簿ですけれども、生きているんじゃないですか。小牧農業協同組合の抵当権の設定。
  69. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 私ども実は森下先生からの質問主意書が提出されまして、現在その御答弁をつくるべく鋭意調査を進めておるわけでございますが、その調査の過程におきまして抹消されておるということが判明してまいりました。正式の手続がなされておるかどうかということについてはまだ確認はいたしておりません。
  70. 野田哲

    ○野田哲君 いずれにしても、この四十七筆の一万五千百七平方メートルという膨大な地域が、個人名義で現に登記簿に現存していて、その間において銀行とか、あるいは農業協同組合、金融機関から金を借りて抵当権を設定しているということになれば、これは個人の所有権が生きているということになるんじゃないですか。この最終的な処理はどうされるつもりなんですか。
  71. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 先ほども御答弁申し上げましたとおり、国有財産として登載することが正しいのか、個人有地であるということが間違いないのか、その辺が現在私ども財務局とも協議をしつつ調査を進めておるところでございます。御指摘のように個人財産であるということがはっきりいたしますと、個人の財産に対する補償ということは当然考えなければいかぬ問題であるというふうに考えますが、現在その辺は運輸当局とも、あるいは大蔵当局とも相談の上、今後私どもとしては処理を進めていかなければいかぬというふうに考えておる次第でございます。
  72. 野田哲

    ○野田哲君 結論から言えば、この登記簿に現存しているわけですから、四十七筆の個人財産が残っている。国としてはその個人名義になっている土地に対する処理方針がまだ協議中で決まっていない、こういうことであると、そういうふうに確認をしていいわけですね。
  73. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 結構でございます。
  74. 野田哲

    ○野田哲君 会計検査院見えておりますか。――先ほど久保委員からもちょっと触れましたが、会計検査院が、本年防衛施設庁関係で横浜の施設局に対する実地検査を行った日程、それから実施個所、これをまず説明してもらいたい。
  75. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) 横浜防衛施設局に対します検査は、まず横浜防衛施設局の本局でございますが、これにつきまして八月の二十九日、これは月曜日でございます。それから九月の二日金曜日まで本局検査ということで実施をいたしました。これにつきましては出張官九名を充ててございます。次に、施設局管内の現場の検査といたしまして、富士地区の現場、これは北富士、東富士等の現場でございますが、これにつきまして九月の五日、六日、七日、月、火、水と三日を充てております。これにつきましては出張官五名を充てております。並行いたしまして厚木地区の現場につきまして、全く富士と並行した日程で、九月の五日、六日、七日、月、火、水と三日間を充てております。こちらには三名の出張官を派遣いたしております。さらに横須賀地区の現場につきまして、引き続き九月の八日、九日、十日、木、金、土と三日間にわたりまして検査をいたしております。こちらにつきましては七名の出張官を振り向けております。これと並行いたしまして浜松地区の現場、これは九月の八日、九日の二日間を充てております。これには出張官三名を派遣いたしております。  以上でございます。
  76. 野田哲

    ○野田哲君 九月の九日に「マウント富士」へ宿泊をされていろいろやっておられる。これはどの地区のあれに該当するわけですか。
  77. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) 「マウント富士」の宿泊という日程はございません。昼食の際にこちらを利用したということはございますが、九月九日、金曜日でございますが、その晩宿泊をしたという事実はございません。
  78. 野田哲

    ○野田哲君 いま説明のあった富士地区が五、六、七、それから厚木地区が五、六、七、横須賀が八、九、十、浜松が八、九、こういう日程でやられておるというのですが、この九月九日に富士吉田の「マウント富士」で食事をされた、これはどの組が行ったんですか、いまの説明の中で。
  79. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) こちらにつきましては出張官二名が九月の九日参っております。これは富士地区の検査を行いました後で、課の課長がやはり現場を把握しておく必要があるということで、随行者一名を連れまして同じように富士地区の実情の調査に参っております。その際に「マウント富士」に立ち寄ったと、このように聞いております。
  80. 野田哲

    ○野田哲君 そうすると、この九月九日は富士地区の五、六、七のこの日程とは別に二人がここへ立ち寄られたと、こういうことですか。
  81. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) さようでございます。
  82. 野田哲

    ○野田哲君 施設庁の方で、いま会計検査院の方が日程を説明された、この日程に対してどのように経費がかかったのか、これをまず説明してもらいたい。
  83. 亘理彰

    政府委員亘理彰君) 新聞等に報道されておりますように、御殿場の「比富美荘」及び山中湖畔の「ホテルマウント富士」並びに横浜市のレストラン「かをり」において過度の接遇をいたしたという事実があったわけでございます。その状況について申し上げますと、まず「比富美荘」でございますが、これは九月の五日でございますが、調査官五名並びに施設局の担当者十八名計二十三名が、これは夕食でございますが、会食いたしまして、会議費から八万五千八百十三円を支出いたしております。それから同じ「比富美荘」におきまして、九月六日に調査官四名、施設局担当者十八名計二十二名によりまして、同じく会食をいたしまして、会議費六万八千百四十六円を支出いたしております。それから「ホテルマウント富士」につきましては、九月の五日、調査官四名、施設局担当者二十四名計二十八名によりまして昼食をいたしておりますが、その支出額が九万五千五百九十円でございます。それから九月の九日につきましては、同じく「マウント富士」におきまして、調査官二名、施設局担当者十七名計十九名で八万一千六百七十五円の支出をいたしております。それから、それに先立ちまして横浜市内のレストラン「かをり」におきまして夕食をいたしておりますが、八月三十一日に調査官七名、施設局担当者十五名計二十二名によりまして、会議費二十万二千六百九十円の支出をいたしております。
  84. 野田哲

    ○野田哲君 レストラン「かをり」というのは、これは二十万二千六百九十円じゃないですね、別に四万六千四百三十円というのがあるわけです。そうですね。
  85. 亘理彰

    政府委員亘理彰君) ただいま御指摘の点は、八月三十日に横浜施設局の職員が会食をいたしたものでございまして、おっしゃるとおりの金額の支出はございますが、これは検査官とは関係ございません。
  86. 野田哲

    ○野田哲君 職員五名で四万六千四百三十円、つまり一人一万円近いのを独自にやられたわけですね、そうですか。
  87. 亘理彰

    政府委員亘理彰君) そのとおりでございます。
  88. 野田哲

    ○野田哲君 それもしかし、施設局の伺い書、決議書には含まれておりますね。
  89. 亘理彰

    政府委員亘理彰君) そのとおりでございます。
  90. 野田哲

    ○野田哲君 亘理長官説明ですが、「比富美荘」の場合にはかなり抑えた金額ですが、個人負担もあったということですけれども、これは約三十六万円、九月の五日の日が。九月六日の日が三十三万円、大体こういう金額ですね、総金額としては。
  91. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 私どもが承知しております数字は、宿泊費、それから会議費で支出した分を含めまして、九月五日の分は二十二万三千五百十三円、六日の分は二十万九百四十六円ということでございます。
  92. 野田哲

    ○野田哲君 横須賀、浜松、これは私は全日程の資料を出してもらいたいと言ったんですが、横須賀、浜松の日程については、こういう関係のものは一切ないということですか。
  93. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) ただいまその点は調べておりますが、昼食を出したというふうなところはわかっておりますが、夜、会食したということは聞いておりません。
  94. 野田哲

    ○野田哲君 いま施設庁なり検査院の説明があったわけですが、検査院の方、この前建設委員会なり決算委員会で建設省関係指摘をされて、たまたま建設省関係であったけれども、ほかの省庁とはこういう関係はないと、こういうふうに答えておられますが、あの発言は取り消さざるを得ないと思うんですが、いかがですか。
  95. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) 私どもはそのように信じておりましたけれども、今回のようにひとり建設省だけでなく、防衛施設庁についても全く同じような事態がこのように明らかになってみますと、自信を持ってそのように申し上げるわけにはいかない、このように考えております。
  96. 野田哲

    ○野田哲君 この富士地区の検査ですけれども、これは当然富士吉田あところにある神田堀川とか、あるいはその他の川の工事、これは施設庁の費用でやられているわけですが、これらの点についても対象になっているんでしょうか、どうですか。
  97. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) 富士地区は、私どもの方の検査の対象といたしましては大変に関心の深いところでございますので、調査官をそれぞれ分けまして各方面の検査を実施しております。その中の一つとして神田堀川の検査もその対象といたしたわけでございます。
  98. 野田哲

    ○野田哲君 いま草刈りにエキストラを使ってやったとか、あるいは演習場の被害地区外の川が施設庁の事業費の対象になっていると、こういう疑惑が持たれて衆議院の決算委員会指摘をされているわけですが、こうなってくると、やはりこの宴会が、非常に大きな問題を見逃しているという疑惑をぬぐい去ることはできないと思うんですが、この点はいかがですか。
  99. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) 今回のような接待の問題が、私どもはなはだ残念でございますが、こう明らかになってみますと、世上一般、検査がそのために曲げられたのではないか、あるいはそのために影響を受けているのではないかと、このような御疑問を持たれることはいたし方なし、またやむを得ないことだと存じますけれども、私どもの検査そのものはそういうことで絶対に曲げられたことはない、影響を受けることはないと、これだけは確信を持って申し上げたいと思います。また、このことについては、それぞれの出張官についてもつぶさにその検査の結果の報告を受けておりまして、そういう意味合いにおいて幹部といたしましても点検はいたしておるつもりでございまして、そのために検査そのものが影響を受けたということは絶対にないと、このように申し上げる次第でございます。
  100. 野田哲

    ○野田哲君 三原長官にこの問題で見解を伺って、次の問題に入りたいと思うんです。  先ほど久保君の質疑に対しても見解の表明があったわけですが、現にあなたの指揮監督下にある防衛施設庁においても、会計検査院の実施検査に対していろいろ接待をされていた事実、そして、加えてこの実施検査の対象になった地域で、いろいろ対象外の問題、支出をすべきでない工事に対して住民の工作用に施設庁の費用が支出をされているんではないかと、こういう疑惑の指摘があったわけでありますが、どうしてもやはり私たちはこれを関連して考えざるを得ないというような状況にいまあるわけでありますけれども、そういうふうに会計検査院に対して施設庁がいろいろ接待をしなきゃならない必要が一体どこにあったのか、こういう事実があったことに対して長官としてはどういうふうな認識を持っておられるか、この点を伺いたいと思うんです。
  101. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほども久保議員にお答えをいたしましたように、施設庁において会計検査院接遇の結果については私も承りました。なおまた、河川についての事業に対して問題の指摘を決算委員会においてなされたということも承知をいたしておるわけでございます。特にいまお尋ね会計検査院に対します処置等につきましては、私はその理由のいかんを問わず、このことは適正な処置ではない、将来徹底して改むべきである、そういう考えでおるわけでございまして、早速一昨日幹部会同をいたしまして、事務次官通達をもって、施設庁ばかりではございません、他の関係自衛隊に対しましても、今後の防衛庁としての姿勢を改めて、こうした問題が再度起こらぬように厳重にひとつ処置をしてまいるように指示をしたところでございます。今後の問題につきましても、私自身遺憾の意を表するとともに、万全の処置をとってまいりたい、そういう考え方でおるわけでございます。  なお、会計検査院長からも、自分の方でもそうした処置をしてまいり、今後そうしたことのないように厳重に処置するから、今後会計検査等においてそうした接遇をしないようにという申し出も受けておりまするし、そうした点も付記いたしまして指示をいたしておるところでございます。
  102. 野田哲

    ○野田哲君 またこの問題は別の場でいろいろ議論があると思いますから、この問題はこの辺でおいてほかの質問に入ります。検査院、もう結構です。  運輸省の船員の関係の方来ておられますか。私は、安保条約、地位協定の運営が非常に曲げられて行われているのではないか、こういう問題について、関係各省庁、防衛庁長官に伺いたいと思うんです。  LSTという問題、関係者は御存じであろうと思うんです。昭和三十七年の四月一日に、それまで商船管理委員会で運航に当たっていたLSTの運航乗務員、これを施設庁の前身である調達庁に移管をされた、このことは間違いないですね。
  103. 古賀速雄

    政府委員(古賀速雄君) お答えいたします。  先生の御質問でございますが、時代は大分さかのぼりまして古くなりますが、昭和三十七年の三月三十一日に、在日米軍と米船運航株式会社との間で契約がございまして、それが米軍との間の契約の取り扱いの関係で終了いたしまして、その後、運航株式会社に働いておりました船員の失業問題が出まして、その失業問題を防ぐためと申しますか、失業救済の意味も兼ねまして、一時暫定的でございますが、米軍と全日本海員組合との直接雇用契約が成立するまで、暫定的な措置として、いわゆる当時調達庁の間接契約をいたしたことは事実でございます。
  104. 野田哲

    ○野田哲君 その昭和三十七年四月一日に調達庁に移管をした。これは昭和三十七年三月三十一日まで、いわゆるこの間接雇用の状態が続いて、三十七年八月一日に米軍直接雇用になった、こういう経過は間違いありませんか。
  105. 古賀速雄

    政府委員(古賀速雄君) そうではございませんで、三十七年の三月三十一日までは米船運航株式会社が運航しております。三十七年の四月一日から三十七年の七月三十一日までいわゆる間接雇用であったわけであります。
  106. 野田哲

    ○野田哲君 この七月三十一日まで間接雇用で、それから八月一日で直接雇用になったわけでしょう。そのときに、この当時の調達庁と、それから恐らく外務省も関与されているんではないかと思うんですけれども、八月一日に直接雇用になるその間に、米軍との間ではどこの場でどういう協議が行われたんですか。
  107. 古賀速雄

    政府委員(古賀速雄君) 何分十五年前のことでございますので、米軍との協議の内容についてはつまびらかでございませんが、私どもが知っております――調べられる範囲お答え申し上げますと、米船運航株式会社で運航しておりました時代の船員の諸手当でございますが、諸手当が間接雇用契約に切りかえられまして、間接雇用契約と申しますと、これはMC契約と申しまして船員契約でございますが、その引き継ぎの条件が十分でございませんので全日海の方から処遇改善の強い要望がございまして、それに応ずるためには、どうしてもMC契約では賄い切れないということで、全日海の方で米軍に強い直接の交渉がございまして、ストライキも何度も打たれたわけでございますが、その結果直接雇用契約で、大体間接雇用、つまりMC契約でやっております給料のほぼ二倍程度の額で直接契約に切りかえられた、こういうふうなことでございます。私どもはそういうふうに承知しております。
  108. 野田哲

    ○野田哲君 あのね、古賀さん、海員組合と、それからアメリカの海軍と直接の取り決めができるはずはないでしょう。そうでしょう。ベトナム海域へ出動しているアメリカ海軍のLSTへ乗る従業員の取り扱いが、日本政府が関与しないで、海員組合と米海軍と直接の交渉ができるはずはないでしょう。そうでしょう。どうですか。
  109. 古賀速雄

    政府委員(古賀速雄君) 間接雇用でいきます場合には、当然、間接雇用でございますから、乗組員、従業員の雇用条件の保護というような意味も含めまして、防衛施設庁長官が入るわけでございますけれども、いま申し上げましたように、防衛施設庁長官によります給与条件その他につきましては、海員組合の方はこれでは不十分だということで、直接雇用契約に切りかえるべく海員組合の方が米軍と直接の交渉を持ったというふうに私どもは伺っております。
  110. 野田哲

    ○野田哲君 それは労働条件のことであって、三十七年の四月一日から三十七年の七月三十一日までの間、間接雇用という形で日本政府が雇用して米軍に労務を提供していたものが、八月一日で切りかわるのに政府がノータッチでできるはずはないでしょう。どうですか。外務省どうですか、何の協議もなしにそんなことができるんですか。
  111. 古賀速雄

    政府委員(古賀速雄君) 当初から、先ほど申し上げましたように、切りかえるときに三ヵ月ないし四ヵ月という暫定期間の契約をやっておりますので、そのときに、もうすでに直接契約という含みもあったように私どもとしては推察されるわけでございます。
  112. 野田哲

    ○野田哲君 いままで政府が、千人前後の人たちを雇用して米軍へ労務の提供を行っていた、地位協定に基づいてですよ。これは地位協定の十二条四項でやっておられたわけでしょう。それが八月一日で全員が米軍の雇用になるのに、政府が全くその切りかえに関与をしないでできるんですか、そんなことが。できないでしょう。これは外務省の方どうですか。
  113. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) 何分にもしばらく年月のたちました問題でございますし、私どもとして、直接いま先生お尋ねの点について正確な事態を把握しておらないわけでございます。施設庁の方からただいま御説明のありましたようなふうに説明を伺っておりまして、要するに米船運航会社というところと契約をしていたのが、いろいろの事情があってそれが直接の雇用に切りかわっていく、切りかわっていく過程において施設庁が中に入って、間接雇用の期間が暫定的に一時あったというふうに私どもも理解している次第でございます。
  114. 野田哲

    ○野田哲君 身分の切りかえについては、あなた方がどう説明をされてもこれは政府が関与してやった、これしか思えない。後でまたその点は指摘をいたしますけれども、旅券の担当おられますか。――この人たちに対しては、ある時期に船員手帳を全部没収して、そして行き先を明記しない旅券を全員に支給をしておりますね、この事実はどうなっておりますか。
  115. 賀陽治憲

    説明員(賀陽治憲君) お答えいたします。  LSTの乗務員でございますが、これは昭和三十七年の八月以降も船員手帳により出入国しておったわけでございますけれども、運輸省が昭和三十九年の十一月二十五日以降船員手帳の発給を停止いたしましたので、それ以降は旅券を発給することとしたわけでございまして、その旅券は、旅券面の渡航目的はLST乗り組みのためということでございます。渡航の形態は一般外国船乗り組みの場合と同様、役務提供ということを記載させていただきました。
  116. 野田哲

    ○野田哲君 運輸省おられますか。――この船員手帳を没収というやつ、まあ言葉は悪いけれども、没収して旅券に切りかえたのは、どういう理由でそういうふうな手続をとられたんですか。
  117. 豊田実

    説明員(豊田実君) 先ほどお話が出ておりましたように、昭和三十七年の八月一日に従来のいわゆる間接雇用の形態から、極東管区軍事海上輸送司令部に、当該船員を直接雇用するという形態になりました。このため、わが国の船員法の適用がその時点でなくなっておるわけですが、その後三十九年十一月までの間、LST乗組員の便宜を図るために、関係当局とも協議した上で、出入国管理上必要な身分証明を当該船員手帳を使うことによって行っております。
  118. 野田哲

    ○野田哲君 いずれにしても、このLST乗組員の問題については、政府が全く関与していないとは言えないんですよ。運輸省が管理をしている船員手帳、これは恐らく多務省と運輸省、あるいは防衛施設庁なり外務省、それぞれ協議があったんだと思うんですが、全員一斉に、先ほど言ったようにLST乗組員という形で無限定のパスポートを交付しているわけです。これはあなた方は知らぬ存ぜぬで通るかもわかりませんけれども、明らかにこれは、つまり当時ベトナム戦争が非常に熾烈になってきた、そこでベトナム戦争に使用するLSTの乗組員として日本人を必要としたと。ところが、間接雇用の場合には、これは就労区域がベトナム海域でありますから地位協定に当てはまらない、安保条約に当てはまらない、そういうことから、間接雇用の形態ではどうしても問題が残るという形で、あなた方の方では、これは本人九九%はそういう取り扱いはいやだと言っていたのを、一方的に米軍の直接雇用に切りかえたと、私はこういうふうにしか思えない。  そこで、そういう形でLSTに乗り組んでいた方々の法的な身分というのは一体どういうふうに解釈をすればいいんですか。これはどうですか、外務省でも施設庁でも答えてください。
  119. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) ただいま先生のお話しのように、直接の雇用という形に切りかえられたわけでございますから、当然にその米軍の輸送機関と雇用契約を結んだ従業員とでも申すべきステータスではなかろうかというふうに考えます。
  120. 野田哲

    ○野田哲君 地位協定十二条四項の関係はどうですか、関係ないということですね。
  121. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) 先生よく御承知のように、地位協定第十二条の四項は、「現地の労務に対する合衆国軍隊及び第十五条に定める諸機関の需要は、日本国の当局の援助を得て充足される。」という規定でございまして、これはいわゆる間接雇用を原則として駐留軍の労務の需要を満たすべきであるという趣旨でございまして、逆にその直接の雇用を排除するという意味ではない、あくまでも、原則をなるべく間接雇用にしろという趣旨でございます。しかしながら、直接雇用の形があることもこの規定上排除はされない、こういうことでございます。
  122. 野田哲

    ○野田哲君 そうすると、あなたは、これは地位協定十二条による雇用だと、こういうふうにおっしゃるわけですか。
  123. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) 十二条四項によるとおっしゃられるときの、よるということの意味いかんにもよると思いますが、いずれにせよ米軍の輸送機関の従業員ということでございまして、これが地位協定の第十二条四項に照らしても、そのような雇用契約を結ぶことはこの規定によって禁止されておらない、こういう関係にあると思います。
  124. 野田哲

    ○野田哲君 そうするとあれですか、あなたの説明では、地位協定十二条による日本の労務者がベトナム海域で軍事行動に参加をしていた、こうなるわけですか。
  125. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) 短い御質問でございますが、いろいろの問題を含んでおるかと思います。  まず第一に、先生のいまの御質問の趣旨が、ベトナムとの関係ということが一つあり得るかと思います。この点につきましては、アメリカのベトナムにおける行動を、これをどういうふうに評価するかということは、一つ歴史上の問題としてあり得るかと思いますが、従来から、当時よりこの国会、いろいろの委員会におきまして政府側から御答弁申し上げましたように、米軍がわが国の施設区域を使ってベトナム水域に補給活動を行うこと自身は、安保条約上禁止されているところではないということをるる御説明申し上げているとおりでございます。これはベトナム自身は、先生よく御承知のように極東の範囲の中に入ってはおらないわけでございますが、当時ベトナムにおける事態が、極東における平和、安全と無関係ではないという認識に立ちまして、安保条約第六条に基づきまして、米軍がわが国における施設区域を使用して、ベトナム水域の周辺におけるところの補給活動を行うことは安保条約上許容せられると、こういう説明を行ってまいりましたし、そういうふうに信じております。  それからもう一つ、軍事作戦行動云々という点が先生から御指摘がありましたと思いますが、ただいま伺っている限りにおきまして、その当該船員の方々は、その補給活動に従事するところの米軍のLSTに勤務していたということと理解いたしておりまして、いわゆる戦闘作戦行動に従事するというようなものではなかったんではなかろうかというふうに考えます。
  126. 野田哲

    ○野田哲君 安保条約六条というのは、日本国における米軍の施設区域の使用、これを定めておりますね。そして地位協定の十二条というのは、日本国における米軍の使用する施設区域、この範囲に労務を提供するのが十二条なんでしょう。ベトナム海域にまで労務を提供するのが十二条ということにどこで解釈できるんですか。
  127. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) 十二条四項にお触れになりましたが、現地の労務に対する合衆国軍隊の需要というものは、日本国に駐留しますところの合衆国軍隊が、日本国という現地において、その日本国の中で、現実に使うか使わないかは別として、日本国におけるところの労務の需要があれば、それはこの十二条の趣旨に照らして需要を満たせというのが趣旨でございまして、そこで充足されたところの労務自身が、必ず日本国の領域内でのみ使用されなければいかないかということになれば、必ずしもそういうことにはならないだろうと考えるわけでございます。ことにいま先生の御提起のありますような船員の問題は、当然のことながら海上の運送に従事するわけでございますから、船員の活動が日本国の領域、すなわち日本国の領土と、それから内水と、領海と、その中でのみしか活動できないということはあり得ないんじゃなかろうかというふうに考えます。
  128. 野田哲

    ○野田哲君 それは大変な問題を含んでおりますね。つまり国内で、直接雇用、間接雇用にしろ、地位協定十二条に基づいて提供した労務者が、今度は米軍の必要に応じてどこの区域へ出動してもいいと、こういうことなんですか、簡単に答えてください。そういうことですか。
  129. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) どこの区域に出動してもいいということを申し上げているつもりはないのでございまして、要するに、米軍のわが国における施設区域の使用が、安保条約第六条に言うところの日本国の安全または極東における平和及び安全という目的に背馳しない活動に用いられている限りにおいては、これは安保条約上許容せられるというふうに考える次第でございます。
  130. 野田哲

    ○野田哲君 そうすると、ベトナム海域というのは、安保条約に定める極東の区域に入るんですか。
  131. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) 先ほども申し上げましたように、安保条約に言うところの極東に関します政府の統一見解によれば、ベトナム自身は極東の中には入っておらないのでございます。ただ、先ほどもちょっと触れましたが、また政府も安保条約締結以来たびたび御説明申し上げておりますことでございますが、それでは、個々の米軍の活動が、いわゆる極東の範囲の中に極限されなければならないかということになれば必ずしもそうではないのでありまして、極東の周辺における事態が、極東におけるところの平和及び安全に影響を及ぼすか否か、及ぼすことがあるにおいては、その限りにおいて米軍が極東の外に行動するということはあり得るという点を極東に関する統一見解の中に書き込んであるわけでございます。
  132. 野田哲

    ○野田哲君 そんな地位協定の拡大解釈があるものですか、これはもうでたらめじゃないですか。それじゃ重ねて聞きますけれども、このLSTの乗組員は、米軍の軍服を着て、着てというよりも着せられて、そして、船長は大佐待遇であるとか、機関長は少佐待遇であるとか、そういう形の階級が決められて、そして、いいですか、この人たちがLSTによって、安保条約で取り決めている米軍ではないそれ以外の第三国の武器弾薬、兵員を輸送した、これも許されるんですか。
  133. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) 第三国の兵員を輸送したかどうかという点につきましては、私どもの承知しております限りは、昭和四十年の四月でありましたか、当時のアメリカ局長からそのような事実はないと、アメリカ側に確認したところでそのような事実はないと当時の事態でお答え申し上げている記憶がございます。それ以降につきまして私ども特に確認したことはございません。  それから、先ほど申し上げました極東とその周辺という点につきましては、私の言葉が足りなかったかもしれませんが、その極東の範囲に関する政府の統一見解の中に一言触れておりますので、その点を読ませていただきますと、「新条約の基本的な考え方は」右のとおりであるが、「この区域」――この区域というのは極東でございますが、「この区域に対して武力攻撃が行なわれ、あるいはこの区域の安全が、周辺地域に起こった事態のため脅威されるような場合、米国がこれに対処するためとる」ことのある「行動範囲は、その攻撃または脅威の性質いかんに」よるのであって、必ずしも前記の区域、すなわち極東に「局限されるわけではない」、ただし、その場合に自衛権の制約だとか、それから事前協議の制約だとか、そういうようないろいろな制約があります、ということを統一見解で述べている、そのことを実は触れたわけでございます。
  134. 野田哲

    ○野田哲君 政府は、いままでこのLSTの乗組員の就労した業務内容について、武器弾薬を輸送するとか、あるいはアメリカ以外の兵員を輸送するとか、こういうことには従事していないというふうに説明しておられるわけですが、もし戦車とか、あるいは弾薬とかナパーム弾とか、韓国の軍隊を輸送している、そういう労務に従事しておったとすれば、それは法的にはどうなるんですか。
  135. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) LSTと申しますのは、私ども理解いたしますところ、物質とか人員の輸送を主目的とする船であるというふうに理解いたしております。で、したがいまして、そのLSTが、当時輸送いたしましたであろうものがいろいろ軍事上の物資を含んでいたであろうということは当然に予想されるところでございまして、ただその場合に、いま先生のおっしゃられたような具体的なものを運んでおったか否かという点については確認をいたしておらないわけでございます。
  136. 野田哲

    ○野田哲君 いや、だから聞いているんです。韓国の軍隊をベトナムへ輸送するその業務に従事していたり、あるいはナパーム弾とか、戦車とか砲弾とか、そういうものを輸送していた、これもこの日本国としては許される行為なんですかということを聞いているんですよ。
  137. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) これも安保条約論議になるわけでございますが、まず、第三国の韓国の軍隊という点につきまして、恐らくアメリカがわが国の施設区域を使用して行うところの活動が、もっぱら第三国の用に供するために行うということであれば、これは安保条約上問題がないわけではないだろうというふうに考えます。しかしながら、当時の全般的な状況の中で、第三国の軍隊を運ぶことがあったとしても、要するに問題は、当時の施設区域の米軍の使用の態様そのものが、全体としてわが日本国の安全及び極東の平和、安全の寄与に合致していたかどうかというところで判断すべきものではなかろうかというふうに考えます。また、ただいまナパーム弾その他の特定の物資のお話がございましたが、全く安保条約上の法律的論議といたしましては、その当該兵器が、禁止されているようなものとか、核兵器とかいうようなことでなければ、それが、その当時運送していた物資が武器であることが安保条約上違法であるとか不法であるということは言えないであろうと思います。
  138. 野田哲

    ○野田哲君 日本から出港して釜山とか仁川へ立ち寄って、そこで韓国の軍隊をベトナムへ運んだ、こういう行動は、一体どこでどういう取り決めに基づいたものなんですか。
  139. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) 私、先ほど来申し上げておりますことは、いま先生の御指摘のような事実があったかどうか、私ども確認はいたしておらないわけでございます。むしろ、四十年のアメリカ局長の答弁に徴すれば、アメリカ側に確認したけれどもそのような当時事実はない、当時はそのような事実はないということを言っておるわけでございます。ただ問題は、じゃそのようなことがあったときどうだという点でございますけれども、これは、先ほど来申し上げておりますように、その米軍のわが国の施設区域の使用が、もっぱら全く第三国の用に供するためにのみ使われているということであれば、これは問題が起こるだろうと思います。しかしながら、米軍のその当時の海上輸送活動全般が、安保条約第六条に照らして、これに合致しているとすれば、個々の場合にそのようなことがあったからといって、それが安保条約上禁止せられているというふうには考えておらないのでございます。
  140. 野田哲

    ○野田哲君 もっと端的に答えてもらいたいと思うんですが、もう一回聞きますけれども日本を出港した日本の労務者が、船長以下すべて運航しているこの労務者が、米軍の命令によって韓国へ行って韓国の軍隊を積んで、そしてベトナム戦域にその軍隊を輸送したというのは、日本アメリカと韓国との間のどういう取り決めがあるからできるんですか。ないでしょう、そういうのは。
  141. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) たびたび同じことを繰り返すようで恐縮でございますが、安保条約の施設区域を使って、米軍が日本国の安全及び極東の平和、安全という安保条約第六条の目的にこれを使う限りにおきましては、これは安保条約上合法なわけでございます。その場合に、施設区域を使うというのが、いわゆる安保条約に基づくところの施設区域を用いて補給活動を行うという点につきましては、これは安保条約上許されているわけでございます。これは戦闘作戦行動に使うということになれば事前協議の主題になりますが、単なる補給は、これは許されておる。したがいまして、それが日本の施設を使いましたところの米軍の輸送船舶が、その韓国の地域、水域とか、ベトナムの、先ほど申しましたような意味でのベトナムの水域で活動すること自体は、これは安保条約上排除はされないわけでございます。その場合に、その施設区域の使用の仕方が、総体として、全体として安保条約第六条の目的に合致しておれば、その個々の場合に、その第三国の兵員が乗っかったということをもって直ちに安保条約の違反ということにはならないのではなかろうかというふうに考えます。
  142. 野田哲

    ○野田哲君 これはアメリカ局長ね、私がここで具体的な例を挙げて聞いたからあなたの答弁がだんだん変わってくるんであって、いままでの国会答弁はそういうことになっていないでしょう。LST、日本の労務者が乗り組んだLSTというのは、戦闘行動には使わない一般的な物資を運ぶために、補給物資を運ぶために使われているんで、武器弾薬を運んではいない、だから問題ではないんだと、これがいままでの国会での答弁でしょう。そうじゃないですか。
  143. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) お言葉を返すようでございますが、私の理解している限り、そのような説明政府から行ったことはないのではないかというふうに考えます。これは米軍の補給活動として武器の輸送が行われようとも、これは安保条約に照らして違法ということは言えないだろうと思います。
  144. 野田哲

    ○野田哲君 あなた方の方でそういうふうにおっしゃるのでしたら、じゃ重ねて聞きますけれども、国税庁おられますか。――国税庁はこのLSTの乗組員に対しては源泉徴収をやっておりますね、勤労所得税について。間違いありませんか。
  145. 掃部實

    説明員(掃部實君) 源泉徴収をやっていたところでございます。
  146. 野田哲

    ○野田哲君 米軍に直接雇用されて、そしてパスポートを支給されて、米軍に直接雇用されて外国でドルで賃金をもらっていた者に対してどうして特別徴収ができるんですか、法的な根拠をちょっと示してもらいたいと思います。
  147. 掃部實

    説明員(掃部實君) LSTの乗組員は、日米地位協定第一条に規定する「合衆国軍隊の構成員」あるいは「軍属」には該当しない者とされておりますところから、所得税法特例法第三条の規定の適用はないわけでございまして、したがいまして、同協定十二条第五項の規定によりまして、すなわち国内法、所得税法第五条、第六条及び第八十三条の規定の適用があるものと考えまして源泉徴収を実施していたところでございます。
  148. 野田哲

    ○野田哲君 つまり、あなたのおっしゃるのは、地位協定に基づく米軍の軍属ではないから特別徴収をしたんだと、こう言われるわけですか。
  149. 掃部實

    説明員(掃部實君) そのとおりでございます。ただ、つけ加えさせていただきますと、船員のような現在地を移動する職業についておられる方々につきましては、所得税法上、居住者であるかどうかを判定いたします場合に、生活の本拠が国内にあるといたしますれば居住者として無制限の納税義務があるというふうに規定をいたしておりますので、したがいまして、所得税法上は居住者として無制限の納税義務がありとし、また徴収の方も国内において支払いがなされておるということで源泉徴収をやることが適切であるというふうに判断したわけでございます。
  150. 野田哲

    ○野田哲君 そういたしますと、これは運輸省や、それから防衛施設庁に伺いたいんですが、地位協定に基づく、あれに定めてある米軍軍属ではないという認定を行って所得税の源泉徴収を行った、こういう説明だし、それから、施設庁や外務省の方では、これは地位協定に基づく労務の提供だと、こういうふうに説明をされているわけですが、そうすると、なぜそういう扱いをされた人が船員の資格を失ったり、そして日本人として当然受けるべき年金とかその他の社会保障制度の適用の権利を現在剥奪をされているんですか。この点は運輸省なり施設庁なりそれぞれで答えてください。
  151. 豊田実

    説明員(豊田実君) 先ほど御説明いたしましたように、三十七年八月一日をもちまして米軍の直接雇用という形になりましたために、わが国の現行船員法の適用がなくなっておるわけです。これは特にLST船員であるからということではなくて、一般の外国船に日本人が乗り込む場合におきましても船員法の適用はなされておりません。
  152. 野田哲

    ○野田哲君 施設庁どうですか。
  153. 古賀速雄

    政府委員(古賀速雄君) 施設庁は間接雇用契約の担当官庁でございまして、このMC契約の中にも直接雇用を妨げるものではないというふうになっておりまして、間接雇用だけのことについて私どもはあずかっておるわけでございますので、直接雇用についての扱いについては私どもとしては権限外でございます。
  154. 野田哲

    ○野田哲君 外務省に伺いますがね、あなたの方では、いま法的な立場というものをしきりに説明をされたわけです。十二条によって直接雇用の形態をとっているこういう人たちが、どうして日本人としての年金の権利とか、あるいは船員保険の権利とか、こういう資格がなぜ失われるんですか。
  155. 中島敏次郎

    政府委員中島敏次郎君) ただいまお話を承っておりまして、そのような社会保障上の利益をその方々が得ておられなかったということは、はなはだお気の毒な状態であったというふうに考えます。そこで問題は、いま運輸省からのお答えにもありましたように、日本の法律上その方々には船員法が適用せられなかったということ、そのためにいまおっしゃられるような社会保障上の利益が得られなかったということでございまして、地位協定上どうのこうのという問題ではないというふうに考えるわけでございます。
  156. 野田哲

    ○野田哲君 つまり、あなた方の政府方の方では、税金は日本人並みに納めなさいということで源泉徴収をやる、米軍の軍属ではありませんと、こういう形で税金は源泉徴収をやる。ところが、社会保障や船員の資格の方は、外国の船に乗るのだから、旅券を持って外国の船に乗るのだからあなた方はもう船員の資格も社会保険も船員保険も関係ありませんよと、こういう扱いになっている。これは政府部内の扱いとしては矛盾をしておりませんか、いかがですか。
  157. 掃部實

    説明員(掃部實君) 国税庁といたしましては、所得税法なり法人税法という税法の規定に従いましてこれを適切に執行するという立場にございますので、法律解釈上適切であると一般的に考えられますものを忠実に執行しておるということでございます。
  158. 野田哲

    ○野田哲君 これはもうやはり三原長官に聞かなければいけないと思う。私は、だからきょうは外務大臣も、それから関係の責任者に出席してもらいたいという要求をしたんですけれども、あなた方の方出ていられないわけです。法的解釈にもかなり私は無理があると思うんですよ、先ほど来の地位協定、それから安保条約の法的解釈でも。そして、現にここに該当者の人たちが法廷で証言をした記録があるわけです。その記録を読むと、ベトナム海域において、LSTの甲板に一メートル五十センチぐらいの高さの土のうを積んで、常時機関銃で武装したLSTを運航して、そしてナパーム弾とか、あるいは各種さまざまの砲弾とか、戦車とか、そういうものの輸送に当たったと、そして船内の身分の取り扱いは、これは米軍の軍属として米軍の軍服を着せられて運航に当たっていた、韓国から韓国の部隊を運んだ、あるいは北ベトナムの捕虜をあのトラのおりと言われているあの島に運んだ。こういう証言が東京地裁でなされているんです。なぜそういう取り扱いになったかといいますと、これはベトナム戦争が激化する中では、日本防衛施設庁、当時の調達庁ですが、調達庁からの間接雇用の形態であったのでは、やはりベトナム戦争への直接の戦闘行動に参加する要員を日本政府が間接雇用で提供したということであれば、これは安保条約や地位協定から新たな国内で議論を呼ぶということで、あなた方が、実際は政府が、これは昭和三十七年七月三十一日まで間接雇用であったものを、米軍の求めに応じて八月一日からは直接雇用という形に切りかえて、政府は責任はないという形を形式上整えたわけですよ。そして運輸省と外務省が、船員手帳から無限定の旅券に、身分といいますか、身分証明書を切りかえているわけなんですよ。そういう状態でベトナム海域の戦闘行動に従事させられているんですよ。そして該当者の方々が、そのことは非常に問題があるんじゃないかということで反対をして、池田総理にまでこれは直訴をすると、こういう措置をとられたのが退けられているんです、ある個所で。結局そういう状態になっているわけです。そういう方々が、国税庁の方は地位協定に定める米軍の軍属ではないということで、米軍に依頼して源泉徴収を行っている。税金だけは国内で居住して就労している者と同じような扱いを受けた、そして船員の身分や船員保険については、外国で働いているんだからということで全部剥奪をされているんですよ。こんな矛盾したことがありますか、これは。これについては、やはりこれは政府としても幾つかの問題がありますよ。安保条約、地位協定の解釈の問題、そしてもう一つは、日本人として当然受ける社会保障上の資格、船員としての就労の資格を全部失っているんです。こういう取り扱いについて、これは本人たちの社会保障上の国民の権利としての問題については再検討してもらわなければならないと思うし、もし、こういう運用が安保条約、地位協定によって実際やられるんだというあなた方の拡大解釈によると、これは安保が何のために極東の区域を定めたり、あるいは日本国内における施設区域を定めたりしているんですか。まさに安保、地位協定そのものが、アメリカが必要とすれば世界じゅうに広がってしまう、こういうことになってしまうじゃないですか。こういう点について、これは長官の総括的を見解を承って、次の問題に入りたいと思います。
  159. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 私がお答えをすることが適当かどうかという問題もございますが、国務大臣というところで私に答弁を求められておるわけでございます。このこと自体私も、もう十年前だと思いますが、予算委員会でこのことが問題になって、いろいろ論議が進められたことをいま野田議員のお話を聞きながら回顧いたしておるところでございます。しかし、あの当時は一応の決着がついたと私はいま思い出すのでございまするけれども、改めてここに野田議員から御指摘がございました。御指摘の内容も関係各省、防衛庁、そして外務省、労働省、大蔵省、運輸省等と関連を持つ内容を持つものでございます。なおまた条約の解釈、運用の問題、あるいは法律、一般国内法にも関係する問題でございますが、しかし、結論的にいま申されましたように、国民としての納税の義務は実施をしたと、しかし船員保険なり、あるいは社会保障等の点については問題が残っておるではないか、現在訴訟にもなっておるということでございまするし、こういう問題を含めて、御意見については、訴訟の問題もございまするが、政府内において連絡協議をしてみたいと考えておるところでございます。
  160. 野田哲

    ○野田哲君 それじゃ、しかるべき場でまた伺いますから、明確なひとつ協議の結果を聞かしてもらいたいと思います。  次の問題に入りますが、基盤的防衛力構想という考え方が五十一年、五十二年と、防衛構想の前面に出てきておるわけですが、この基盤的防衛力構想というのをいろいろ私どもも勉強さしてもらったわけですが、「限定的かつ小規模の侵略までの事態に有効に対処する」、そして重要な事態になれば「新たな防衛力の態勢」に移行する、こういうふうに述べてあるわけですが、「新たな防衛力の態勢」というのは一体何を考えておられるのですか。
  161. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 基盤的防衛力構想というものをお決めいただく前提といたしまして、私どもは、現在のような国際情勢のもとにおけるいわゆる防衛力といいますか、自衛力、これの果たす抑止的な機能というものを重視いたしまして、基盤的防衛力というものを御決定いただいたわけでございます。しかしながら、侵略の事態になってまいりますと、その侵略の態様によりましては必要な防衛力、いわゆる相手の能力に対応できるような防衛力というものを考えなければならないわけでございます。したがいまして、情勢の変化によって侵略の態様というものがだんだん明確になってきましたときには、それに対応できるような防衛力に移行できるような基盤的なものということで御決定いただいたわけでございます。
  162. 野田哲

    ○野田哲君 その「新たな防衛力の態勢」というのは、どういうことを想定されているんですか。
  163. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは具体的にどういうものを想定するというところまでは現時点では考えていないわけでございますが、しかしながら、いずれにいたしましても、防衛力というものは有機的に機能を発揮しなければなりません。したがって、全く、その防衛力といいますか、自衛力として必要であると思われる基盤になる機能というものがなければ、これを伸ばしていくということはきわめてむずかしい問題でございます。したがいまして、わが国の防衛上必要な防衛力としての機能、これは一応そろえておく、そしてまた、配備等につきましても、全体をカバーできるような形で配備しておく、そして、いわゆる侵略が具体的になってくる、すなわち、具体化されるというような動きがあったときには、その必要な部分を強化して、それに対応できるような態勢に持っていくということで考えておるわけでございます。
  164. 野田哲

    ○野田哲君 侵略の脅威という言葉を使ってあるわけですが、この侵略の脅威というのは、能力に意図が結合して侵略となると、こうなっています。能力というのは、つまり軍事力、意図というのは国家としての侵略する意思と、こういうふうになっていますね。そうすると、端的に私は伺いますけれども、あの竹島ですね、竹島には現に韓国の軍事力が行使をされている。海上保安庁も機関銃の銃座が据えられていると、こういうことで、軍事的な装備が施されている。そしてさらに、韓国の責任者は、竹島の領有権が侵されるようなことがあれば軍事力を行使をすると、こういうふうに公言をされているわけです。そうすると、まさにこれは意思と能力がまざまざとここには結合した形があらわれているんですが、この竹島の状態というのは、これは防衛構想からいえば小規模な侵略、限定的な侵略ということになるんですか、全く私はこの「日本の防衛」に書いてある限定的な侵略という状態そのものだと思うんですが、いかがですか。
  165. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いわゆる竹島というのは、現実にはわが国の施政権の及んでいないところでございます。ということでございまして、外交的な折衝をやっているわけでございますので、いわゆる自衛権の発動の要件というものの中の、急迫不正の侵害があり、しかも他に全く方法がないときに最小限の自衛力を行使する対象というふうには考えていないわけでございます。といいますのは、先生も御承知のように、外交折衝により問題を解決すべく鋭意努力が続けられている場所だからでございます。
  166. 野田哲

    ○野田哲君 外務省に同じ質問をするわけですが、アジア局長見えておりますか。――あの竹島の状態、まさに軍事力が行使をされて日本の主権が侵害されている、この状態で外交交渉が行われているといったって、全然これは進展を見ていない、こういう状態があるわけですが、これは「日本の防衛」という防衛白書に書いてある限定的な侵略の状態、まさにそういう形態がいま具体的にあらわれているわけですが、これについてはどう考えておられますか。
  167. 枝村純郎

    政府委員(枝村純郎君) ただいま防衛局長からも御答弁いたしましたとおり、私どもとしては、外交的な折衝を通じてあくまで平和的な手段によって解決するということでございますし、そのための道はまだ閉ざされていないというふうに理解いたしております。
  168. 野田哲

    ○野田哲君 最後に。ああいう状態になっても、これはやはり侵略とは見ない、外交折衝によって解決をしていくんだということであれば、これはもう全部可能なんで、限定的な侵略に対して基盤的防衛力を持たなければならぬという理由はないんですよ、これは。どうですか。
  169. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) この限定的な侵略かどうかという判断、それに対する自衛権を行使するかどうかという判断は、これはまさに政治の判断であり、政府判断だと考えております。私どもが基盤的防衛力で考えておりますのは、能力として限定的な小規模の侵略に対応する能力を持つのだということで防衛力整備に努力しているところでございます。
  170. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 暫時休憩いたします。    午後三時五十六分休憩      ―――――・―――――    午後六時一分開会
  171. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  172. 野田哲

    ○野田哲君 総理にお伺いいたしますが、昭和五十二年の十一月十七日、ごく最近ですが、防衛庁が当委員会に「F-15の支援戦闘機能及び空中給油装置を残置することについて」ということで、統一見解を出されたことについて、総理は御承知ですか。
  173. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は承知しておりませんです。
  174. 野田哲

    ○野田哲君 その内容は、爆撃装置についても、それから空中給油装置についても残置をする、こういう内容になっているわけです。そこで、総理に伺いたいと思いますが、衆議院で総理は、F15については政府としてはまだ白紙だと、こういうふうに答弁されているわけですが、このF15の問題については、いずれ近く昭和五十三年度の予算の決定も行われる時期が近づくわけでありますけれども、今後の、次期戦闘機についての決定の段取り等について、何かお考えがあれば伺いたいと思います。
  175. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 次期戦闘機を昭和五十三年度においてこれを取り上げるかどうか、これは五十三年度の予算の編成の一環として決めていくと、こういう考えでございます。それに先立ちまして、国防会議にこの問題を諮る。この国防会議におきまして慎重審議をいたしました結果、これを採用すべきものというふうに決定になりますれば、これを五十三年度予算に取り入れる。国防会議でだめだと、こういうことになりますれば取り上げない、こういうことになるかと思います。
  176. 野田哲

    ○野田哲君 防衛庁がことしの七月に作成した「日本の防衛」と題するいわゆる防衛白書、これは七月二十九日にたしか閣議の了承を得たと、こういうことになっているわけですが、この中には、F15、それからP3C、この二つの新しい装備を配備をすることが記述をされているわけでありますが、その点は御存じですか。
  177. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) あの防衛白書と言われるものですね、これは大部のものでありますので、私は事細かには承知しておりません。おりませんけれども、いずれにいたしましても、この問題は国防会議に諮り、その国防会議決定を踏まえまして、昭和五十三年度予算において処理する、こういうことでございます。
  178. 野田哲

    ○野田哲君 総理は、過去佐藤内閣以来、ある短い期間を除いてはほとんどすべて歴代内閣の枢要な地位を占められておられたし、国防会議の議員のポストにもついておられた期間が長いわけでありますから、過去の経過についても御承知だろうと思いますが、昭和四十三年十月二日に、当時の増田甲子七防衛庁長官が爆撃装置についての見解を出されております。その内容は、憲法に照らして敵地を爆撃するようなことは避けるべきである、そこで爆撃装置は施さない、これが第九条の要撃戦闘機の能力の限度に関する佐藤総理の見解とも一致している責任を持った答弁である、こういうふうに答えておられるわけです。つまり、爆撃装置を持つことは憲法第九条を踏み越えるものだと、だから爆撃装置は持たないと、こういうふうに言っておられるわけです。それから、同じく四十三年の十月二十二日に衆議院の内閣委員会でそれをさらに補足をして、足が長いから――当時の予定をされていた戦闘機について、足が長いから爆撃装置を施すことは他国に攻撃的、侵略的な脅威を与えるから施さないんだと、こういうふうに言われています。で、四十七年になって、今度は行動半径――当時予定されていた戦闘機については、行動半径が短いから、これは爆撃装置を施しても脅威を与えることにはならないんだと、こういうふうに言われておりますし、そのことと関連をして、ファントムについては足の問題で爆撃装置はつけないことになった、こういうふうに言われているわけです。これは当時の増原長官。それから、四十七年の十一月、同様政府の統一見解が出ているわけです。それは、FXに爆撃装置を施さないと四十三年の増田長官が答弁したのは、当時選定を予定したFXは足が長いからである。で、四次防でのFST2改は足が短いから脅威を与えることにはならない。つまり、この段階で、一番最初の見解としては、爆撃装置を持つことは、他国侵略的、攻撃的脅威を与えるから爆撃装置は持ちませんと、これが四十三年の十月の増田長官の見解であったわけです。その後、今度は、足が短い場合には、持っても他国に対して侵略的、攻撃的脅威を与えることにはならないんだと、こういうことで、もっぱら足が短ければ構わないんだと、こういうふうに変わってきているわけです。そうしてさらに、四十八年四月十日に当時の田中総理が、空中給油の問題について国会政府の見解を明らかにしております。それは、空中給油はしない、空中給油機は保持しない、空中給油の教育訓練はしない。これもやはり当時の国会の議論は、空中給油を行うということ、空中給油装置を保持しているということは、足が長くなる、そのことが他国に対して侵略的、攻撃的脅威を与えることになるし、憲法第九条の範囲を逸脱することになる、こういうことで、つまり今日までの議論にいろいろの経過、変遷はありますけれども、足が長いものに爆撃装置を施すことは、これは攻撃的、侵略的脅威を与える、憲法九条に違反をする行為だ、一貫して足が長いということではもう一致してきているわけなんです。この経過は、何月何日だれが言ったということまではともかくとして、足が長いものには爆撃装置をつけることはいけないんだということが一貫した政府国会に対する統一見解であったわけですが、その経過は御承知ですか。
  179. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 大体承知いたしております。
  180. 野田哲

    ○野田哲君 いまの認識はいかがですか。
  181. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) わが国の防衛は専守防衛でございますから、専守防衛という基本的な考え方に一体沿ったものであるかどうかという見地に立ちまして具体的な問題を判断すべきものである、そのように考えております。まだ、F15につきまして、従来のいきさつなんか、これも検討する必要があります。そういうことを踏まえまして、専守防衛という精神に反する、そういうことがあってはならないわけでございまして、しかし、反するかどうかという技術的な問題になりますると、これは防衛庁からひとつ見解を聞いていただきたい、このように考えます。
  182. 野田哲

    ○野田哲君 総理はいま、わが国としては基本方針は専守防衛だと、こうおっしゃったわけです。その専守防衛という立場を基本にして、足が長いものに爆撃装置を持っていたり、あるいは空中給油装置を持っていることがその専守防衛に反するからというのが国会の中での議論であり、政府の統一見解であったわけです。だから、総理が専守防衛ということをここで強調されるのであれば、当然専守防衛であれば、いままでの国会の論議や国会に対する政府の統一見解として述べられた、足の長いものに爆撃装置をつけたり、あるいは爆撃装置を持ったものに空中給油装置を取りつけたりすることはやらないというのが、いままでの論議を踏まえた見解でなければならないと思うんですが、この点いかがですか。
  183. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 総理がお答えになる前に一言申し上げておきたいと思うのでございます。  問題は、いま総理がお答えになりましたように、わが国の防衛については専守防衛の体制でいくんだというお答えでございます。そこで私どもといたしましては、その総理の御方針なり政府の御方針はあくまでもそれを基礎にして、それに基づいて防衛、防空関係装備の整備をいたしておるのでございます。この問題を検討する場合には、私はその時点、その時期ということも一つのポイントだと思います。その時期における列国の航空機の技術的な進歩、あるいはその運用上、性能の向上というようなことが問題になるわけでございまするが、現在の列国の航空機の整備状況を見てまいりますると、私は、列国に対して日本のそうした装備の整備ということが脅威を与えるものではないという判断を持っておるわけでございます。あの当時に問題の中心でございましたのは、外国に対する侵攻、あるいは攻撃性の問題、そういうものが外国に脅威を与えるんだというような点が問題になって、そういう誤解を招くような装備は取り外そうということが論議されたわけでございまするが、現在におきましては、何回も申しておりまするように、航空機の進歩また運用の向上等を判断をいたしまして、わが国がF15にそうした支援戦闘機能を残置、装備をすること自身が、決して脅威を与えるものではないという政府の御方針に沿ってそうした判断を下したものでございます。
  184. 野田哲

    ○野田哲君 いま三原長官は、爆撃装置を持ち給油装置を持ったF15を取り入れることが、他国侵略的、攻撃的脅威を与えるものではないという政府方針のもとにそういうことに踏み切った、こういうふうに言われたわけですが、先ほど福田総理は、F15については全く政府は白紙だ、こう言ったのですが、あなたの政府というのはどこの政府なんですか。
  185. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 政府と申しましたのは、当時の政府として――私は時期の問題等を一つ申し上げた。当時の政府とされてはそうした御判断をなさった。しかし、防衛庁といたしましては、いま申し上げましたように、そうした侵略なり攻撃というような、脅威を与えるような誤解を招くことはないという判断をいたしました。しかし、このこと自体は、先ほど総理が申されましたように、国防会議の議を経てなお予算との関係等で予算閣議等において御決定をしていただくものと思いまするので、あくまでも防衛庁独自の私は決定でございます。政府と、そういうことを申し上げたならば、政府でなくて防衛庁単独の決定とひとつ訂正をいたします。
  186. 野田哲

    ○野田哲君 福田総理ね、先ほどの三原防衛庁長官のF15に対する見解というのは、私はここで何回も聞いているんです。ところが、今日までの、足の長いものに爆撃装置は施さない、あるいは爆撃装置を持った飛行機に空中給油装置は施さないという政府国会への何回にもわたる統一見解、あるいは総理の答弁というのは、これはすべて憲法論から出ているわけなんです。外国の領土へ爆弾を抱いて飛んでいけるような飛行機を持つことは、これは憲法九条の専守防衛の範囲を逸脱するものであるし、他国侵略的、攻撃的脅威を与えるからそういうものは持たないんだと、こういうことで空中給油装置についてもこれはふたをしたんです。憲法論から出ているんです。その当時、防衛庁説明でも政府の答弁でも、諸外国の飛行機がどんどん進歩しているがというようなことはなかったんですよ、議論の中では。すべて憲法論から出発をしているんです。だから、憲法を尊重するという福田内閣としては、他国の飛行機がどういうふうに変わろうとも、憲法第九条は変わっていないんだし、日本海の幅が変わっているわけではないんですから、やっぱり足が長くなる、空中給油装置、爆弾、こういうものは、いままでの国会に対して政府が約束をされてきた立場を貫くとするならば、爆弾を持った、空中給油装置を持ったF15というのは、いままでの政府の統一見解に反するのじゃないですか、いかがですか。
  187. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) この問題は、先ほどからお話がありますように、いろいろ過去においてこれに関連して論議があった、そのように承知しておりますが、今度国防会議を開きましてF15のケースを検討するわけです。その際には、F4等につきまして論議のあった国会の経緯、これらも十分検討いたした結果国防会議としては結論を出す、このようにいたしたいと、かように考えます。
  188. 野田哲

    ○野田哲君 私は、これは国会で議論がされ、それに対していままで何回か政府の統一見解が示されているわけでありますから、国防会議の議論の余地はないと思うんです。明らかにこれは、いまのF15というのが六千何百キロの爆弾を抱き空中給油装置、これを持つということになれば、もうはっきりその機能は、いままで国会で論議され統一見解で示されたことを逸脱をしている、明確なんです。改めてこれは国防会議で議論する余地もなく明確です。そうお考えになりませんか。
  189. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 防衛庁では、F15の場合はF4の場合と大変飛行機の性能が違う、こういうことを言っておるんです。そういうようなことを踏まえまして、これは憲法論議、もちろんこれは専守防衛ですから憲法論議の問題になりまするけれども、その専守防衛の範囲内のものであるかどうかというようなことを十分検討した上結論を出す、このような考えです。
  190. 野田哲

    ○野田哲君 その防衛庁のF15に関する問題も、時々刻々国会で議論していくと変わっているんです。伊藤防衛局長は、一番最初に衆議院の内閣委員会でこの問題を指摘されたときには、このF15は爆撃装置と射撃装置が一体になっているから技術的にどうしても外すことができないんだと、こういう説明をあなたは最初にされたわけです。メカニズムの問題として無理なんだと。これは装備局長ですか、防衛局長ですか、どっちかそういう説明をたしかされていると思う。つまり、機械が連動しているから、メカニズムが連動しているから外しようがないんだ、技術的に外しようがないんだと、こういうふうに、最初にこの問題を衆議院の内閣委員会指摘されたときには答えているでしょう。それから、これが大きな問題になってきたとき、今度二つ目には、各国の飛行機がどんどん性能が向上していく、それに対抗して特に低空高速侵入に対して空中待機がどうしても必要なんだ、だからスクランブル等のためにもできるだけ滞空時間が長いようにしておくことが必要なんだ、空中給油装置についてこういうふうに説明している。議論の段階でだんだん防衛庁方針も変わってきているわけです。  そこで、この統一見解でありますけれども、この中で非常に矛盾をしているのは、先ほど言いましたように、空中において警戒待機体制をとる必要性があるということが一つの理由になっているわけです。ところが、空中において警戒待機体制をとる必要があると言いながら、空中給油の訓練はやらない、空中給油機は持たない、こういうふうに言っておられる。空中訓練もやらない、空中給油機も持たないで、嘉手納の方にいるアメリカの空中給油機を使おうということが考えられているんだと思うんだけれども、どうやって常時空中待機体制がとれるんですか、とりようがないじゃないですか。明らかにこれは、こういうことでごまかしながら既成事実をつくっていく、こういうことが見えすいているじゃないですか。これは技術的な問題ですから防衛庁の方で答えてください。
  191. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 最初に私が御説明いたしましたときに、この構造的にも不可能であるということは確かに申し上げました。しかし、同時に、いわゆる104からファントムにかわるときの飛行機の性能、すなわちあの時期には要撃戦闘機といったプロパーの任務を持った飛行機というものは世界じゅうにございませんでした。私どもが選定をする際の対象機となったものは、いずれも、いわゆる要撃任務と、それから攻撃任務と両方兼ね備えた飛行機であったわけでございます。具体的に申しますと、たとえばF1というような飛行機にいたしましても、F105という飛行機にいたしましても、攻撃能力をかなり持った飛行機であったわけでございます。同時に、ファントムという飛行機も、いわゆる戦術戦闘機、あるいは当時は戦闘爆撃機というような言葉で呼ばれておりましたが、要撃能力と同時に攻撃能力をかなり重視した飛行機であったわけでございます。そこで、そのような飛行機を選定するに当たりまして、当時の御議論をいま改めてたどってみますると、基本的には、長距離の爆撃機というものが憲法違反なんであると、そしてまた、戦術戦闘機というものは爆撃装置をとらなくてもこれは憲法違反にはならないと、しかしながら、一つにはその当時かなりの爆弾を搭載することができるということもございましたので、相手に脅威を与えるというような誤解を与えるかもしれない。また一方、そのときには爆撃用のコンピューターというものを別に持っておりました。そしてまた、核爆弾を搭載する際の管制装置というものを別に持っておりました。したがいまして、技術的にも可能であるということであのときに外したわけでございます。現在このF15を私どもが採用したいというふうに考えておりますのは、このF15というのは、いわゆる空中における空中戦闘、これを中心に開発されたものでございまして、その能力はきわめて高くなっております。そしてまた、ファントムを採用するときにも空中における戦闘能力というものが重視すべき一つの点であったわけでございますが、実はその当時の空中戦闘機に比べましてエンジンがきわめて大きくなり、そしてまた機体が軽くなったという関係で、この空中戦闘能力というものは当時に比較するとはるかに高い性能が要求されるわけでございます。したがいまして、F15というのは、そういった意味の要撃戦闘にはきわめて適した飛行機であるということでお願いしたわけでございます。  さらにまた、空中給油につきましても、いま申し上げましたように、侵略してまいります戦闘機そのものの性能が向上いたしました。したがって、これに対抗するためには、いわゆる空中警戒待機のオペレーションというものはしなければならないと思っております。これが、ファントムを採用いたしまして爆撃機を対象としたときに比べますと、はるかに高いオペレーション上の要素になっているわけでございます。したがいまして、空中給油を行わなくてもこのオペレーションというのは必要になると思いますけれども一つには、有事に際しまして機数が少なくなったようなとき空中給油をいたしますと、少ない機数というものを有効に使うことが可能でございます。そしてまた、ある航空基地、その侵略してまいりますところに近い航空基地が破壊されたようなときには、遠くから行ってオペレーションをする場合、その途中におきまして空中給油をいたしますと、これはきわめて有効に活用できるわけでございます。そういうことを考えまして、空中給油の可能性というものは残しておきたいと考えたわけでございます。  さらにまた、その訓練なくしてできるのかという問題でございますが、これはF15を調査に参りました調査団が調べてまいりました結果では、空中給油というのは、空中給油機によって油を渡す方はきわめて練度の高いものが必要とされるそうでございますが、受ける側は平均的なパイロットが、一定の速度で一定の高度を保って水平飛行を行っているならば、ほとんど経験なくしても実施は可能である、そしてまた、仮に一回か二回経験しておけばきわめてこれはスムーズに行えるのであるということを調べてまいっておるわけでございます。したがいまして、平時における訓練というものは、教育課程の中にこれを入れまして何時間やらなければできないというものではないというふうに判断をしたわけでございます。
  192. 野田哲

    ○野田哲君 いろいろいま述べられたわけですが、昭和四十八年四月十日に、田中総理が三つのことを政府の見解として国会で述べられている。空中給油はしないということ、空中給油機は保持しない、空中給油の教育訓練はしない。これからわずか四年で急角度に変わらなければならない、変えなければならない、それほどこの日本を取り巻く国際情勢や、あるいは戦闘機の、あるいは軍用機の能力は急角度に四年の間に変わったんですか。これは当時からして航空機の能力というものは年々向上していくということは予見をされていたわけです。予見をされている中で、あえてこういう田中総理が見解を出されたというのは、やはり政治的な判断によって出されたわけです。先ほど福田総理が言われた専守防衛、憲法第九条、こういう政治的な判断によって国会に見解を出され、国会もこれを確認しているわけであります。したがって、ここが変わるということになれば、これは憲法第九条が変わったということでなければここを変えることにはならないだろう、私はこう思うんですが、総理はそうお考えになりませんか。
  193. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ防衛庁説明もお聞き取り願いたいんですが、政府といたしましては、これはもう憲法といいますか、専守防衛、この範囲内のものであるかどうかということですね、これを十分検討いたしまして、そして国防会議決定、予算案決定と、まあこういうことにしなけりゃならぬと、こういうふうに考えております。専守防衛のらちを越えると、こういうものにつきましては、これは取り入れることはできない、このような判断でございます。
  194. 野田哲

    ○野田哲君 まあ制服の人は、ここにもかつての将軍がいらしゃいますけれども、やはりその道の専門の人は、どうしても能力を高めていこう、軍事的な能力を高めていこう、そしてそのためにいい配備をしていこう、性能の高い配備をしていこうというのは、これは考えそうなことです。まあ、総理がやっぱりゴルフ場へ行かれるんでも、国内でつくった安物の道具よりも、やはりいい道具を持ちたいと思われるのと同じですよ、これは。そこをやはりチェックしていくのがシビリアンコントロールの役割りだと思うんです。で、明らかに、こういう計画が出てくるということは防衛庁部内、これは端的に平野空幕長の言葉にあらわれていると思うんです。私はあの人は正直でいいと思うんです。空中給油装置や爆撃装置をF15から外したときには、F15はF15でなくなってしまう。これは非常に正直だと思うんです。それから、政治の分野は装備には口を出すな、装備のことは口に出すなと、守る範囲だけ決めてくれればいいんだ、装備のことには政治はくちばしを入れるな、こう言っている。これもやはり制服の人たちの率直な気持ちだろうと思うんです。いい悪いは別にして。しかし、そういう考え方で現実にもうすでに準備が進められている。気がついたときにはもう既成事実ができ上がってしまっている、これであったのでは、一体シビリアンコントロールの機能はどこで果たされるのか、こういうことになると思う。総理は、これから国防会議で検討するんだと、こう言われるけれども、私は、これが機数が多いか少ないかというようなことは、あるいは国防会議の議論としては変わってくるかもわかりませんけれども、F15がですよ、別のものになって結論を出されるとは信じられない。それほど既成事実はできていると思う。  そこで私は、総理に見解を聞いた後、大塚君にバトンタッチしたいと思うんですが、国防会議決定を下すときに、今日までの憲法論を踏まえた国会での政府の統一見解が何回も出されている、これは尊重されますかどうか、このことを伺って私の質問を終わりたいと思うんです。
  195. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まだ私はこの経緯、いままでのこの問題についての経緯をつまびらかにしておりませんけれども、この経緯の検討、これも含みまして慎重に検討いたした上結論を出す、このようにいたしたいと存じております。
  196. 大塚喬

    ○大塚喬君 福田総理に若干お尋ねをいたしたいと思います。  昨年十月決定されましたポスト四次防計画大綱、総理、内容についてはとくと御承知でございますね。このポスト四次防計画大綱、この中で従来の方針から大きく変更されておることがございます。従来は所要防衛力論、これをずっととってきたわけでありますが、このポスト四次防計画大綱によりますと、基盤的防衛力の構想なるもの、このことが表に出されてきたわけであります。総理として、このような変更をとることになったこの基本的な考えをひとつ明らかにお示しいただきたいと思います。どういう理由でこういうことになったのか。
  197. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) わが国といたしましては、自衛力といたしまして、従来ですね、その量的拡大、これにまあ重きを置きましてその整備に努めてきたわけなんです。しかし、現段階になりますと、もう量的の方はこの程度でいいじゃないか、質的の整備、その方面に防衛努力の重点を向けていくべきじゃないか、そのような転換が政策上行われたと、こういうわけでございます。ポスト四次防におきましては、まあとにかく量より質だと、そういう構えで防衛整備には取り組みたいと、このような見解、これがいま政府の見解として採用されておる、このように理解しております。
  198. 大塚喬

    ○大塚喬君 ただいま総理が答弁あったような内容の背景には、平和憲法下で際限なく軍備増強を続けた結果、国民の間から軍事大国化への不安、このことを無視できなくなったからではありませんか、いかがですか。
  199. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ私は、そういう背景があるとは考えません。ただ、量的に見ますとかなりのところへ自衛隊も来たと、これからそっちの方は一休みいたしまして、そして質的にこの充実に努めたい、こういうことと素直に理解しておるわけであります。
  200. 大塚喬

    ○大塚喬君 実際には従来の高度経済成長、これから日本の経済は軌道修正を余儀なくされておるわけであります。で、このようなときに防衛費増大、このことを国民の前から何かこう糊塗して、そしてやらなければ国民が不安を抱く、不満を抱く、こういうことからこの質的な問題、こういうことにすりかえたのではありませんか。
  201. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私はそのようには受け取っておりません。素直に私どもが申し上げておる、そのように御理解願いたいと、かように思います。
  202. 大塚喬

    ○大塚喬君 そうだとしますと、従来の五ヵ年固定方式、こういう計画でいままでの国防計画というのが一次から第三次まで進められてきたわけであります。これを、この四次防計画大綱から単年度のローリング方式に変更して、いままで倍々と増大をしてまいりましたポスト四次防計画のこの五ヵ年間の経過、これは一体どのくらいになったらおさまるものと総理としてお考えですか。
  203. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほど総理からお答えになりましたように、一次防から四次防までは、実は列国の装備状況あるいは軍事力の増強等を検討しながら四次防まではやってきたわけでございます。しかし、それではそういう際限もないような軍備の拡大をするのかというような一つの国民の声の出たことも事実でございますが、しかし、私どもはいま総理がお答えになりましたように、この時点で国の内外の情勢、特に国際情勢を見、国内の財政経済の状態等も勘案をし、他の政策との調整、調和の問題も検討し、また、過去数年間におきまする防衛費の伸び、それらのものも勘案をいたしまして、ここらあたりで日本の適正な規模の防衛力というようなものを検討すべきではないか、そういうことで、この時期において検討いたしてみますと、大体ここらあたりが量的には適当であろうということで、そこで内部的に検討してまいりますれば、正面装備というようなものが整備されつつあったり、あるいは数的にそういうものが整備されてまいりますけれども、実際内部的に検討すると脆弱な質のものである、あるいは後方支援の体制、補給的な面、そういうものもまだ不完全であるし、あるいは隊員の福祉関係等を見ましても十全でない、そういうような点を考慮いたしまして実はこの防衛計画大綱をつくって、先ほどローリング方式と言われましたが、ローリング方式でなくて、大綱をつくってそれをできるだけ可及的速やかに実は計画的に自主的に整備していこうという方針を確立いたしたのが現在の防衛力整備の方針でございます。
  204. 大塚喬

    ○大塚喬君 従来、予算の額から言うと、先ほど申し上げましたように、倍々と増額をされてきておるわけです。で、この防衛計画大綱、これを実施をいたしますと、予算の規模はどのくらいになるのですかと、私はこの点がぜひひとつ明確にしてほしいものですから重ねて質問をいたすわけであります。
  205. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほど申し上げておりまするように、国の経済財政の状態、それから他省庁の施策との調和等も考えてまいるわけでございまするから、防衛費だけが伸びていくという結果にはなりません。なおまた、ここ数年来の防衛費の伸びというようなものも一つの参考にいたしておるわけでございまするから、そういう点を勘案をし、また、国際情勢が平和安全の体制が急激に崩れるというような判断もするような情勢にはないというようなことを判断をされて、昨年の暮れ閣議において御決定をなさいました一%、現在のところ、当面一%の線を超えないことをめどにして防衛費というようなものを勘案をしていけという御方針決定されておるわけでございまするから、防衛費が倍々といって倍増するというような情勢ではございません。数的には、物価の上昇等がありましていたしておりまするけれども、全体を総合的に判断をしていただきますれば、防衛費だけが倍増するというような状態ではないという現状でございます。
  206. 大塚喬

    ○大塚喬君 この四次防計画、これは十兆円を越えますか。十兆円を下回る、そういう額で抑えることができるわけですか。
  207. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 質問の御趣旨はよくわかりませんけれども、四次防計画というのはすでに終わりまして、ポスト四次防と申します。そういう時期にいま入っておるわけでありまするが、どこまでとらえて十兆円かどうかというようなことをいまお尋ねになりましても、はっきりお答えをすることは困難だと思うのでございます。
  208. 大塚喬

    ○大塚喬君 私が懸念いたしますことは、際限なく防衛費が膨張する、拡大、増大をする、こういうことに対する大きな不安を持つわけであります。この防衛費の増大、このことに歯どめをする必要がある、こういうことを国民はみんなやっぱり心配をいたしておるわけであります。この歯どめについてはどうお考えになっておりますか。
  209. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 防衛費の歯どめは、先ほど申しましたように一%の線という一つの歯どめを、明確にチェックラインが引いてあるわけでございます。そうした点でございまするとか、あるいは経済の状態、あるいは財政の状態、あるいは他省庁との政策の調和等の歯どめがあるわけでございまするが、しかし、非常な急激な変化がない限り、そうした急激な防衛費の増強というようなものは私は来さない、そういう判断に立っておるわけでございます。国民もその点は十分御理解が願っておる、そう私は承知をいたしておるところでございます。
  210. 大塚喬

    ○大塚喬君 一番心配をされますことは、ポスト四次防計画、その中で目玉商品がありますね、その目玉商品、この内閣委員会でも各党から論議が出され問題にされましたいわゆるF15の問題、それからP3Cの問題、それからAEW等の、これらの装備をこの計画に従って実現を図る、こういうことになりますと、これは明らかにGNP一%、こういう論議を超える恐れがあるのではないですか。総理ひとつ、この問題は総理から、この私のただいまの目玉商品をポスト四次防計画で実現を図った場合に、いま低成長下、そしていまの円高、こういうような日本財政の異常な危機の中にあってこういうことがそのまま遂行されるということは、これは国家財政に重大な危殆を引き起こす、こういうことになることをおそれるわけであります。総理からこれらの問題について、そのGNP一%、こういう問題、これとの関連の中において総理の所信を明確にしていただきたいと思います。
  211. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) わが国は、自衛力整備の質的な面におきましてこれは専守防衛である、この考え方を堅持していっておるわけであります。同時に、経費的側面におきましては、これはお話しのようにGNPの一%を超えないという範囲内のもので運営してまいるということを申しておるわけであります。この考え方、つまり、これが防衛費の最大の歯どめでございますから、この歯どめはどこまでも厳粛に守り抜くと、こういう考えでございます。
  212. 大塚喬

    ○大塚喬君 率直に申し上げまして、福田内閣成立以来の外交、防衛の基本方針と申しますか、これは明らかに平和憲法に逆行して、防衛力の増強、そして安保体制への傾斜を、福田内閣になって、前のどの内閣から比べてもこの傾斜が急速に深まっておると、国民はこういう疑惑を持っておるわけであります。防衛力の増強、さらに安保体制への傾斜を強めておる、このことについて総理の所信をお伺いいたしたいと思います。
  213. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 福田内閣になりましてから防衛力に非常に傾斜が強くなってきたと、こういうふうに国民が考えておると、こういうお話でございますが、私はそう国民の意識はくみ取っておりません。福田内閣は、もう従前の自由民主党内閣、それと同様、専守防衛に徹して自衛隊の質的強化を図っておると、このように理解しております。
  214. 大塚喬

    ○大塚喬君 先ほど野田君から発言がありましたようにF15の問題、これはしばしば衆参両院の予算委員会、あるいは内閣委員会、こういうところで、専守防衛と、こういう態度について総理からそういう所信の表明があったわけでありますが、そのことを逸脱して、制服組の中から、全くそれに反対をする、そういう発言がなされておるのにもかかわらず、依然として総理がそれらの問題を放置をされておると申しますか、ともかく、それらの問題について何らの意思表示もなさらない、そして既成事実、そしてこの国会が終わった段階で国防会議で決めると、こういうようなことを申されておるわけでありますが、明らかにこのことは、総理の責任を回避されたものと、私は総理がその責任を回避しておるものと、こう考えるわけであります。その点は総理はどのようにお考えでございますか。
  215. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、この自衛力整備、これが専守防衛のらち内でなければならぬという考え方ですね、その考え方から逃げ出すというか、回避するとおっしゃいますが、そのようなことはいたしません。今度国防会議でこの問題を論議しますが、そのときは、専守防衛の範囲内に属するかどうか、この点は厳粛に論議して結論を得たいと、かように考えます。
  216. 山崎昇

    ○山崎昇君 ちょっと関連して一つ。  総理ね、いまの問題に関連をして、実はおとといの委員会でも防衛庁長官に私からお聞きをしましたが、あなたがかつて外務大臣をやられたときに、武器だけに頼るのはこれは真の防衛ではないんだ、一番大事なのは外交なんだというあなたは言葉を使われておったわけです。そこで、いまこの問題がなぜこれだけ重要になってくるかというと、一、二関連して外交を聞きたいんだが、この間、いろんな問題がありましたけれども、エジプトのサダト大統領がイスラエルに行きましたね、これも外交的に言えばいろんな賛否はありますが、私はもう大事件ではないかと思っておりますが、これに対する外交上の問題としてひとつ総理の見解が聞きたいということと、あわせて、武器の問題と関連をして一番重要なのは外交だということを先ほど述べましたが、日中の平和条約というものを、あなたはどういう時期に、いつこれを実現をして、武器に片寄らないような問題の処理をするというのか。それから第三は、関連をして日ソの平和条約についてもどういう考え方でどういう手順であなたは進めていこうとするのか。これは軍事の問題とうらはらの問題でもありますから、特に外交上に力点を置いて私はあなたにいまお尋ねをしたわけです。F15の問題は純粋に軍事的な問題もありますけれども、私はやっぱり諸外国に脅威を与えないということになると、もっと私どもは目を向けなきゃならぬのは外交じゃないんだろうか、こう思うものだから、いま側面としての外交についてのあなたの姿勢を一言聞いておきたい。
  217. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) サダト大統領のイスラエル訪問、これはまあいろいろ反対があったようですが、あれを押し切って敢行したと、私はその勇気ある態度には敬意を表します。ただ、その成果がどういうふうなものになるであろうかということにつきましては、なお情勢の推移を見なければ申し上げられない。  それから、日中平和友好条約、これは私は、日中双方が満足できるような条件を早くつくり出して、そして締結にこぎつけたいと、こういうふうに考えておるんです。来月初旬に北京駐在の佐藤大使が帰ってくる、その佐藤大使の感触等も聞いて、これからの具体的な進め方、これを判断してみたいと、このように考えています。  それから、日ソの問題は、これは御承知のように領土問題、この問題が決着つきませんと、平和条約締結という運びになり得ざる性格のものであると。しかし、非常に困難な問題ではございまするけれども、精力的に日ソ間で話し合ってみたいと、このように考えております。
  218. 大塚喬

    ○大塚喬君 日米安保条約に傾斜をする、それから、防衛力を福田内閣は増強を続けると、こういうお話をしましたが、具体的にじゃ私の方からもう一つお尋ねをいたしますが、在韓米軍の撤退、これは明らかに米カーター政権のアジア戦略がアジア離れ、このことを明示しておると思うわけでありますが、総理はどうこれを受けとめておられますか。さらに、このときに福田内閣は、旧態依然として日米安保体制に依存する、こういう姿勢を強く打ち出しておるわけであります。ポスト四次防計画でも、この体制がわが国への侵略の防止に大きな役割りを果たしておるとしておりますが、この安保体制が成立した一九六〇年代、このときのアメリカの共産圏封じ込めの時代と、最近の国際情勢は大きく変質しておると思うわけでありますが、そのことを総理はお気づきになりませんですか。
  219. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) アジアに対する関心、アメリカが薄れてきたと、こういうような御感想でございますが、私はそうは思いません。カーター大統領もしばしば言明しておるところでございますが、アメリカはアジアにおける経済的、軍事的存在、プレゼンスですね、これを弱めることはいたしませんと、こう言っておるわけでありまして、この言葉を素直にそのまま受け取ることが妥当であろうと、このように思うわけであります。  それから、確かに六〇年代、それから七〇年代、私は緊張緩和という世界的な政治情勢の変化があると思います。しかし、そうだからといって日米安保体制がもう必要がなくなったんだと、そういう認識は持ちません。やっぱり世界じゅうもう全く平和の時代になったかというとそうじゃない。核大国なんていうのもありまするし、核大国とまでいきませんけれども軍備を整えている国も多い。そういう中でわが国を守っていくということを考えまするときに、やっぱり、その足らざるところを日米安保体制にその補充を求めるというわが国の姿勢は、私は正しいものであり、環境の変化はありましたけれども、これを変える必要はない、こういうふうに思います。
  220. 大塚喬

    ○大塚喬君 安保体制というような軍事同盟をいつまでもかたくなに固持しておる、このことはかえって緊張を激化することになると、こうお考えにはなりませんか。
  221. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ中国にいたしましても、安保体制は結構だと、こういうふうに言っておるんですよ。それから、ソビエトにいたしましても、そう安保安保と言って批判がましいことは言わぬと、こういうことで、私は安保体制が世界の緊張、これを激化しておるんだというような意識は毛頭持っておりません。
  222. 黒柳明

    黒柳明君 私、当面のF15のこと、総理にお伺いいたしますけれども、各国の航空軍事技術の進歩ですか、向上ですか、四年前の田中元総理の考え方が、四年たった今日変更したとしても、これはある面においてはやむを得ない面があるとは思います、あえて論じた場合、皆様方の立場に立って論ずれば。決して一国の国防、あるいは安全保障というものは固定的なものではないと、こう思います。まして日進月歩の世界の軍事競争の中にありまして、新しい飛行機を購入するときに当たって、国民の貴重な税金を使うわけでありますから、自民党過半数天下の中においては、幾ら私たちがこうやっちゃいけないと言ったところでそれが施行される可能性があることは間違いありません。であるならば、次善の策として、少なくとも私たちの財産、生命、日本の安全を守る、十二分に役に立つことにという考えも、私は決して当たらない世の中ではないと、こういうふうに思います。しかしながら、かといって、それがいまの一連の国会論議、F15の問題のように、何か国民に大きな疑惑を与える、このやり方というか、この終始一貫しない政府姿勢、これは私はよしとしないんです。その辺は十二分にやっぱり考えていただいて、そしてむしろ内政、経済問題だけではなくして外交、国防、軍事問題国際問題でも、野党と一緒に協調して、ひとつ国の外交方針、あるいは防衛面も推進できるような、私たちが喜んで協力できるような環境というものもつくっていただかないと、これはただ単にこういう対決ムードの論争をせざるを得ないと、私は非常に残念に思います。   〔委員長退席、理事加藤武徳君着席〕  ひとつ私は、こういう客観情勢の中においてやむを得ない場合もあるのかなという考えを持ちつつ、あるいはやり方がまずい、終始一貫しない、国民に大きな疑惑を与えるこのやり方はうまくないと、そっちの方のウエートが強い、こういう考えを持っていることもひとつ総理の頭に入れていただきまして国防会議を開く、そこではひとつそういう疑惑を払拭するような結論を出していただきたいと、こう思います。  そこで、防衛庁長官が、世界各国の航空軍事技術、この進展によりまして、わが国も、従来は足の長さ、あるいは爆撃装置等が攻撃的、侵略的な脅威を与えると、ところが今回の場合には、F15の空中給油装置を外さなくてもいいんだと、これは脅威を与えないと、こういうことでありますが、この与えなくなった理由ですね、今日的な、四年前じゃありません。四年前じゃなくて、今日的に世界各国の航空軍事技術、これ向上していると思います。これは間違いないと思いますよ。それに対応してのF15の防衛庁の見解、とった処置だと思いますよ。そうなりますと、一般的に言いまして、この攻撃的、侵略的な脅威を与えないという判断、その基準、これは今日的にはどういう判断、基準を総理はお持ちになっているのか、まずこの点からお伺いしたいと思います。
  223. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) その問題は、まさに国防会議においてこれを検討したいと、こういうふうに考えておるわけであります。今日この段階におきましては、政府といたしましてまだF15の採用を決めておるわけじゃないんです。F15を採用したいしたいと言っているのは防衛庁当局なんでありまして、なぜ防衛庁当局が、従来のいきさつにもかかわらずF15を採用せんとするかという点につきましては、防衛当局からお答え申し上げます。
  224. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほども野田議員にお答えをいたしたのでございまするが、列国に対して脅威を与えないという判断をいたしましたものは、まず第一には、列国の航空機の性能、技術等の進歩というような問題が、専門的な運用者としての立場はそういう点も一つございます。それと、なおまた、現在の専守防衛の立場を堅持いたしまして、攻撃を受けまする様相というようなものが、高高度のものがあったり、あるいは非常に低空的な侵入があったりする、しかも非常に長距離でやってこられるような航空機の状態もある。そういうものを空中に待機をして、専守防衛の立場でこれを排除するというような問題もあるわけでございます。  なおまた、一つには体制の問題があると思うんです。わが国のそうした防空の体制と、列国の防空の体制というようなものを比較する必要もあると思うのでございます。わが国がF15を持ったから、この防衛力の整備の一環としてそういうものを持ったからといって、全体の列国の体制等を考えて勘案してまいりますれば、すぐわが国がこれを侵攻し攻撃する、脅威を相手に与えるというような誤解を招くようなことにはならない現在の体制というようなこともあると思うのでございます。  そうした点、あるいは時期的な、いま申し上げますることは時期的な、過去において、四年前にそういうような方針が出された時点と現在の時点、それから、私どもがF15を調達にかかりまして入手をしてこれを運用するというのはいまからやはり十年ぐらい後、一九八〇年代の後期になるわけでございまするが、そういうような時期的なもの等を勘案してまいりますれば、私は決して列国に対して脅威を与えるものではない。  なおまた、私は、日本のシビリアンコントロール、政治優先の体制というようなものが、皆さん方の積み重ねられた努力によって私は定着しつつある。国防会議でそういう点も御決定願いまするし、また予算等においても審議を願うというような点、あるいは国会のこうした論議を通じての私はシビリアンコントロールの体制が、そうしたものを規制できるというような点等を総合的に勘案をいたしまして、列国なり外国が、日本の侵攻あるいは攻撃の企図があるというような脅威を感ぜられる、誤解されるようなことにはなってまいらない、そういう判断もいたしておるわけでございます。
  225. 黒柳明

    黒柳明君 八〇年代の後半にこういう装備がなされる、そのときはいまとまた違うでしょうね、軍事的な航空力のこの進展というものは違う。そのときになりますと、これはやっぱり相当進歩しているんじゃないですか。そういう議論がだんだんだんだんエスカレートしますと、当然ICBMとか、長距離爆撃機とか、これは攻撃用ですから、攻撃用空母、これもうまくないと、こう言っておるんですけれども、足が長い、あるいは爆撃装置と、これが一時は攻撃的、侵略的な意図がある、脅威を与えるという時代から四年たってそうじゃなくなったわけでしょう。さらにF15が配備されるであろう八〇年代後半になりますと、また航空技術というものは進歩するんじゃないですか。そのときになると、さらに、いや今度は爆撃機だって中距離ぐらいはいいんだと、こういう可能性がそのときに出るんじゃないですか、いかがです。
  226. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) このF15という飛行機、この世代の飛行機が、従来の飛行機と際立って違っている点が一つございます。これは、いままでの飛行機は大体寿命が三千時間ないし四千時間という期間でございます。したがいまして、戦闘機として有効に使える期間というのがおおむね十年でございました。ところがF15の世代になりますと、これらの飛行機の寿命というのは七千時間から一万時間というふうに延びてまいります。ということは、二十年その飛行機を使わなければならないということになるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては一九八〇年代後期から、いわゆる私どもの中で使っております第四世代、次の世代の航空機にも耐え得る性能を持ったものとしてこのF15という飛行機の性能を評価したわけでございます。
  227. 黒柳明

    黒柳明君 そうしますと、どうなんですか、ヘリコプター搭載用の航空母艦というのは、これはどうお考えですか、長官
  228. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) そうした御議論のあることも承知をいたしておりますが、いまわが国の海上自衛隊におきましてDDHという、ヘリコプターを搭載しておるのもそういう一つの経緯からだと思うのでございます。そういう点で黒柳委員の言われるような御意見等も出てこようかと思いまするけれども、いま私どもは特にそういうものを考えておるものではございません。
  229. 黒柳明

    黒柳明君 これは局長にお聞きした方がいいでしょう。三次防ではやっぱりこういう意見が出まして、いまの議論発展していくと、いわゆる攻撃的な、侵略的な脅威を与えないものならいいわけですから、そうすると中型爆撃機、ここまではいかないにせよ、それじゃ攻撃用じゃないヘリコプターを運ぶ――これは攻撃用ヘリコプターもできていますよ、アメリカにおいては。だけれども、攻撃用ヘリコプターあるいは攻撃用じゃないヘリコプター、それを運ぶ航空母艦というのは、これは敵に攻撃的、侵略的な脅威を与える対象になり得ますか。
  230. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) ただいま先生のお話ございましたF15の場合には、これは防空戦闘機でございます。ヘリコプターの運用というのは、対潜作戦の際に使うヘリコプターをどうやって運ぶかということでございました。三次防のときに、確かに六機を積んだいわゆるDLHと私ども呼んでおりましたが、大型の駆逐艦といいますか、そういったものを建造したいという考え方が海上自衛隊にはございました。しかしながら、要はこのヘリコプターというのは対潜作戦におきまして、いわゆる潜水艦のもぐっている位置を確認する、そういった任務を持ったものでございますので、当時の議論の過程におきまして、六機を積んでいる船が一杯あるというよりは、運用上これを三機ずつに分けて積んでおいた方がいいのではないかというような議論もたびたび繰り返されたわけでございまして、そういった観点で、ただいま大臣から申し上げましたDDHという形に決定していただいたわけでございます。したがいまして、私どもは、いま対潜作戦をやる上にはこのDDH、いわゆる三機程度を積んだ駆逐艦、そういったもので運用するのが最も適当だというふうに考えているわけでございます。しかしながら、これが将来、じゃ六機の方がよくなるのではないかということでございますけれども、現在の対潜作戦の考え方からすると、このヘリコプターが必要であるということでありまして、それがヘリ空母に積んでいなければならないということではございませんので、そういう考え方は持っていないわけでございます。
  231. 黒柳明

    黒柳明君 考え方を持っているかどうか。将来にはどんどんまたエスカレートして――四年間で変わってきたんですから。だから私言っているのは、先ほどの論議をまた繰り返しても時間がないですから、要するにヘリ搭載の空母は攻撃的、侵略的な脅威を与える対象になるかならないかと、こういうことを聞いているんです。
  232. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) これは軍事的な常識からいたしまして、ヘリ搭載の空母といいますか、ソ連あたりでつくっておるのはございますけれども、これはいわゆる対潜作戦用のものでございますので、攻撃的な空母というふうには分類されていないわけでございます。攻撃的な空母と分類されておりますのは、攻撃機を積んでおりまして、いわゆる大型の爆弾を積めるあるいは攻撃能力を持った飛行機を搭載できるのを攻撃的な空母というふうに分類しているようでございます。   〔理事加藤武徳君退席、委員長着席〕
  233. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると長官、これは意図があるかどうか、これは何回も言いますように、将来。各国の軍事的な航空技術の進歩とこれはバランスをとってきたんですから、とるためのいまの防衛庁一つ決定ですから、そうすると、いま言ったように攻撃的な分類に入っていないと、ヘリ搭載航空母艦は。そうすると、これは将来において、攻撃的な侵略的な脅威を与える対象じゃないと、だからつくられる可能性はあるんだと、つくるつくらないの意図は別ですよ。今日DDHで間に合っている、これはお呼びじゃない、この考えとは別ですよ。いまの理論をエスカレートしていくと、私それが心配なんです。またいつの時点かになって、いや世界各国の軍事技術の発展によりと、こうなった日には、また、福田総理が一生懸命総理在任中つくった統一見解、まあつくるかどうかわかりませんけれども、これがまた無になっちゃうんです。いや、福田は福田、おれはおれだと、いつまでたっても日本の防衛、安全保障が私たちとかみ合わない。これは不幸じゃないですか。そういう面で、ひとつ長官、これは将来攻撃的な脅威を与えるものじゃない、攻撃的な空母じゃないという範疇になった、そうなると、これはつくる可能性もできてくる、その情勢があれば。こういうことを言えますですな。想定問答で申しわけないですね。だけれども、これは必要なんです、国防というのは、安全保障というのは。
  234. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほど総理も申されますように、日本の防衛力装備の整備につきましては、あくまでも専守防衛の体制をとる、憲法の条章を踏まえてやるということでございます。私どももそういう点で、装備を充実する場合におきましては、その基本線を踏み越えてはならぬということでございます。しかし、われわれ防衛を担当する者といたしましては、日本に対しまする侵略、攻撃というようなものが実際に行われるというようなことに対しまして、これを排除せなければならぬという責任もあるわけでございまするが、しかし、あくまでも私どもは、攻撃的な性能を持つもの、そういうものなり侵略的な性能を持つようなものはとらないということでございます。その基本方針を踏まえて、一切のそうした兵器類あたりは検討を進めるわけでございますが、現在の段階では、いま先生が言われるような、そういうエスカレートをして将来そういうことまで考えておるかというようなことでございますれば、そういうことはいまのところ考えておりません。
  235. 黒柳明

    黒柳明君 くどいからまた繰り返しませんけれども、ヘリ搭載空母は攻撃型に入らないと言うんですから、これは将来建造される可能性は残されている、こういうことじゃないでしょうか。私、大臣じゃないから答弁したわけじゃないですけれどもね。  それから総理大臣、国防会議で検討して決めると、これはやっぱり内閣改造があした終わりますと、すぐまたお忙しい。あるいは日中問題、非常に多忙だと思いますけれども、このF15も、これだけ国会で論議を巻き起こしたわけですから、一応総理としても、御多忙の中で、国防会議でこのあたりにはめどをつけなきゃならないと、こんなことも、晩ひそかにお一人でお考えになっているとは思うんですけれども、どうですか、このめどは。
  236. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 年内予算編成ということを考えておるわけでありますから、予算の概算の最終決定、これが月末になるわけです。十二月末になるわけです。それ前に国防会議を開きまして、そしてこの問題も論議して結論を得る、このように考えております。
  237. 黒柳明

    黒柳明君 そのとき、先ほど私ちょっと口を滑らしましたけれども、盛んに先ほども政府と言って防衛庁とこう言い直した、長官が。まあ四年前の田中さんの見解を踏まえるわけじゃありません、その前には防衛庁長官の見解もありますけれどもね。ですけれども、いまやっぱりここで問題になったのは、四年前のあの田中総理の三原則、これを踏まえてです。ですから、私はやっぱり防衛庁政府見解にはならないわけでありまして、国防会議で決まったら、一回やっぱりもう一歩高次元の政府としての統一見解をここでは出すべきだと、こう思いますが、総理のお考えいかがでしょう。
  238. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これだけ論議のあった問題ですからね、やっぱり政府はこの問題について最終的決定をするという際に、どういう措置をするか、その決定につきましての考え方、これを明らかにする、これは当然のことだと思います。
  239. 黒柳明

    黒柳明君 ひとつ来年の一月下旬には通常国会がありますので、そのときまた変なことでがたがたしませんように、ひとつすっきりした、どういうことになるかわからないが、見解なりをつくっていただくと、こうしていただきたいことを希望します。  ちょっと問題変わりますけれども、円高の問題で三十億の問題、これはなかなかむずかしいということで、私もアメリカで、福田さんのいろんな苦労しているありさまを、政府を代表してアメリカで怒られてきたわけですけれども、まあうわさ程度ですけれども、この三十億という膨大なもの、ウランを買う、これもうまくなかろうと、購入することできない、航空機を買ったらといううわさがあるとか意見があったとか、こういうことについて、総理どうでしょう。緊急避難対策としまして、防衛庁にお伺いしたら、これはもういま各省のまとめた中の防衛庁は、あくまでも五十三年度予算の一環としてのF15、P3Cの購入だと言うんですよ。もういまのドル減らしの緊急対策じゃないと、こういうわけで、そうなりますと、一たびは三十億ドル、これはむずかしいと、これはわかります。しかし、やっぱり航空機ということも、これは何も買えということじゃありません。これもいまの日米間の非常に緊迫した経済問題の中でやっぱり緊急避難の一つの目標じゃなかろうかと、こう思うんですが、総理この辺どうお考えでしょうか。
  240. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 航空機につきましては、この際必要があれば買ったらどうだろうと、このように考えておるんですが、いま必要があるのかどうかということにつきまして民間航空の意見を徴しておると、こういうことなんですが、まだ結論は出ておりませんです。
  241. 黒柳明

    黒柳明君 これは民間航空だけに限るわけですか、お隣さんの方はお呼びじゃないんですか。
  242. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 自衛隊につきましては、これは予算で大体計画が決まっております。でありまするから、これについてはただいま考える余地のないものであると、このように考えております。
  243. 黒柳明

    黒柳明君 これはぜひ、自衛隊の方のP3CにしてもF15にしても、これは大体ノックダウン、技術導入方式でやるわけでありますから、緊急避難の対策にはならないかと思いますけれども、まだまだ自衛隊方面の――これはまあ発言すると何か自衛隊の武器の購入を促進する方にいくんですが、これは次元が別です。次元は別としまして、やっぱり考える余地がある面があるような自衛隊の方から意見聞いておりますので、ひとつ購入機のことも含めまして緊急にやっていただきたい、こう思います。  それから、また観点が違いますけれども、先ほどから若干論議になっている国防会議、これは昭和三十二年に国防の基本方針四項目が決まったわけです。三十二年ですよ。もう六〇年代安保から七〇年、やがてF15は八〇年代の後半を考えているわけでしょう。そうすると、国防会議のあり方、これは構成のあり方も問題だと思うんです。私は、抜本的に国家最高安全保障会議にするのか、ここらあたりは別にしましても、構成メンバーにしましても、総理を議長にしまして外務、大蔵、通産、経企でしょう。いま総合的にやっぱり安全保障を考えなきゃならない。これはもう福田総理の目論でもあるし、いろいろ広大な考えを仄聞しております。そうすると、今度はもうエネルギーの問題も国防の大きな安全保障の一環であります。一環どころか半分ぐらいのウエートを占めている。軍事じゃない、むしろエネルギー。当然食糧問題も安全保障の相当分野を占めなきゃならない。そうすると、いまの国防会議というのは軍事オンリーの国防会議。そして非常に狭い範囲の、ロッキードどうするんだ、F15どうするんだと、もういまの国家の安全保障というのは、これはわが国の体制はそんな安全保障の体制をいつまでもとっていたらうまくないんじゃなかろうかと、これについて福田総理は相当なお考えも持っていると仄聞はしておりますが、ひとつ構成メンバー、当然通産大臣がオブザーバーじゃ困るんじゃないでしょうか、科学技術庁長官もオブザーバーじゃ困るんじゃないでしょうか、運輸大臣こそ国家安全保障の中核にならないと防衛庁との連係操作がうまくいかないんじゃないんでしょうか、ハイジャックを例にとるまでもなく。そういういまの国防会議の構成メンバーから、三十二年に決めた国防の基本方針から今日の時点――F15だって四年間で変わるんですからね、もうそろそろこの国防会議の構成とか基本方針とか、それから将来に対する考えとか変えなきゃならない。私は何も、だからいまの自衛隊を強くしろという意見じゃありませんよ、私も一億一千万国民の一人なものですから、本当に自民党福田さんとは若干次元が違う面で、安全保障、国を憂えるという立場で基本的な問題をここで手をつけざるを得ない時期に来ているんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
  244. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国防会議についての黒柳さんの御見解、私はもう全く同感です。その構成につきましてもこれは考え直す必要がある。ただ、実際いま支障があるかと申しますと、支障がないんです。通産大臣も科学技術庁長官もオブザーバーとして参加をしておる。
  245. 黒柳明

    黒柳明君 運輸大臣入ってない。
  246. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 運輸大臣は入れようと思えばこれはいつでも入り得る態勢でありますから、今度は加えるようにいたしましょう。
  247. 黒柳明

    黒柳明君 そんなやみ取引だめですよ。正式にやらなきゃ。
  248. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ、とにかく適当な時期に、法的にも正式な構成員はこうであるという改定をいまから行うべきである、このように考えます。  なお、その運用につきましても、これは私もずっと国防会議の構成員として長い間その議事の運営を見てきておりますが、大体、防衛庁が具体的な案件について案件を整理いたしまして持ってくる、それを国防会議は承認するというようなたてまえでございまするけれども、国防会議はやっぱり、いまお話がありましたように、内外の軍事情勢、また国際政治の状況とか、国防と切り離すことのできない諸問題があるんです。背景として。そういう諸問題につきましても十分論議を尽くすというような仕組みが必要であろうかと、このように考えますので、運営につきましても今後いろいろ改めてみたいと、かような見解でございます。
  249. 黒柳明

    黒柳明君 ぜひ、お忙しいとは思いますけれども。これはロッキードのときも論議されたんです、国防会議のあり方というものが。むしろあってなきに等しきものだと、別の観点からね。それで、いままたF15で国防会議の問題というものが提起されているわけです。ですから、これはお忙しい中でしょうけれども、ひとつ、この次F15を検討するわけですから、そのときの一つの議題にもし、あるいは閣議の議題にもして、早急に、日本の本当の国家百年の安全保障体制のもとに立った中核であるこの国防会議のあり方というものを、くどいようですけれども、早急に法改正を含めて対処していただきたいことを重ねてお願いします。  時間がありません。それで、防衛二法の最終的な段階で申しわけないんですが、緊急な課題なもので。私もいろいろ調べまして、場が場じゃないものですから発言を差し控えますが、会計検査院と各省とのこの問題、運輸省が出、建設省が出、国鉄が出、また長官の方もやり玉と、私もいろいろ調べましたが、だけじゃないようであります。ひとつ、閣議でこの問題は、福田総理、やっぱり行政の最高の長でありますから、行政の各省庁、私の調べでは、やっぱり一つや二つの会計検査院の検査時の問題じゃありません。某省の某官房長が、こんな問題いつまで拡大するんだということも堂々とコメントとしているわけであります。常識が足りない。となると、これはうまくないと、また挙がった、また挙がったじゃ。ひとつ、ここまで各省庁――四省庁でしょう。ですから、これは総理みずから閣議の場において調べろと指示していただけませんか、むしろ、総理の方から調べろと。どうですか、まだやってない。これから一つ一つ出されたらうまくないですよ、尾を引いちゃって。全部これはやっぱり各省庁関係があるように私は判断します。それよりも、一つずつ出していただいた方が楽しみがあっていいという判断ですか、どうですか、それ。
  250. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 閣議におきましても、この問題は私から、建設省の問題、あるいは論議された際に、他の省庁におきましてもこのようなことがあってはならぬ、厳重に監督せられたいという要請をしておるわけであります。政府といたしましては、実情を精査いたしまして、そうして、これは何とかけじめをつけなければならぬ、そのように考えております。
  251. 黒柳明

    黒柳明君 済みません、あと二分ですから。  注意するのは結構なんです。もう現状は、過去のものですから過去のものを清算しなきゃならない。その過去のものを清算するためには、具体的に、やっぱり各省庁に検査員が検査に行ったときに、どういうことをやったかと、会計へ行くとちゃんと書類がありますから、それを見せなさいと、国会に報告すると、このくらいのことをしたっていいんじゃないでしょうか。あたりまえじゃないでしょうか。クリーンのあるいは非常に意欲的な福田内閣が、こういう問題がこの国会で取り上げられたら、もうむしろ進んで各省庁を調べて、その資料があったら国会提出する、このぐらいのことがなきゃならない。ただ注意しただけじゃうまくない。これを私は一つ一つ出されたんじゃうまくないんじゃないですかということを老婆心ながら御注意申し上げる。やるやらないは、これは行政の長である総理の判断ですけれども、ひとつ注意するだけじゃなくて調べなさい、簡単です、これは。報告しなさい。簡単です。それを国会にも報告しようと、こういう意思ぐらい持たないとこの問題は尾を引きますよ。これをやる意欲があるかどうか、この一点で私は終わります。
  252. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これもごもっともなお話です。まだ具体的に実情を調べろというようなことは申しておりませんけれども、恐らく各省ではそれぞれ調べておるだろうと思います。それを取りまとめまして、必要がありますれば国会にもまた提出する、このようにいたしましょう。
  253. 黒柳明

    黒柳明君 以上です。
  254. 立木洋

    ○立木洋君 総理、端的にお伺いしたいんですが、現在の日本においてアーミーデー、つまり軍隊記念日というふうなものが現在の日本に存在するかどうか、それからお尋ねしたい。
  255. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは、私この間観閲式というのがあって行ってまいりましたが、自衛隊創立記念日、つまり十一月の一日でございます。そのようなものがありますが、軍隊記念日という名前のものはございません。
  256. 立木洋

    ○立木洋君 軍隊記念日というのがないというのは、これは当然だと思うんですが、そこで去る十一月の三日、カイロにおいて日本の大使館がアーミーデーと称してレセプションを行った。これはきわめて重大な問題だと思いますけれども、総理、その点についてはどのようにお考えですか。
  257. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は実情を承知しませんので、政府委員の方からお答えいたさせます。
  258. 加賀美秀夫

    政府委員加賀美秀夫君) このレセプションは、十一月三日の日に在エジプト大使館の防衛駐在官が主催いたしましてレセプションを行いました。ただ、アーミーデーというようなことは言っておりません。自衛隊記念日に際して御出席願いたいという招待状でございます。したがいましてアーミーデーというようなことは申しておりませんし、十一月三日にやりましたのは、十一月一日にやるつもりでおりましたところが、ホテルの予約の関係で三日になったということでございます。
  259. 立木洋

    ○立木洋君 それは明確に招待状を取り寄せて調べたのですか。アーミーデーということは現地での私の確かな情報によって確認されていますけれども、それは間違いないですか。
  260. 加賀美秀夫

    政府委員加賀美秀夫君) 招待状自身、私見たわけではございませんけれども、実は大使に聞きましたところそういうことでございました。
  261. 立木洋

    ○立木洋君 それは、明確な招待状を見ていないんだったら、アーミーデーで招待されたかどうかということは確認できないじゃないですか。もしかですよ、総理大臣お尋ねしますけれども、アーミーデーという形で、もしかそのレセプションが開催されていたということが明確になった場合に、大臣そのことについてどのようにお考えですか。
  262. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 自衛隊の創立記念日という意味でのアーミーデーだというようなことでありますれば、私は何の支障もないと、このように考えます。
  263. 立木洋

    ○立木洋君 総理大臣、それは大変なことだと思うんですよ。あれは前、中曽根さんが海軍か陸軍かという言葉を言われて、あれは国会で大議論になって、取り消して反省なさった経過もありますね。つまり、軍隊という言葉を使うかどうかということは、これは憲法にかかわる問題なんですね。いま簡単に、アーミーデーという言葉が自衛隊の創立記念日という言葉で使われるならば大したことではないと言われたけれども、これは大変なことですよ。憲法にかかわる問題。いままで歴代の自民党政府も、軍隊というものについては、そういうふうに軍隊という用語は使わないようにしてきた。そういう言葉が、陸軍、海軍等々の軍という言葉が使われたならば、これは国会の中で大変な問題になってきたという経緯があるわけでしょう。憲法の第九条の最後の部分にどのように記入されているかということは、総理大臣御存じでしょう。いまの発言については、私は、軍隊記念日ということが自衛隊の創立記念日という意味であるならば問題ないという総理大臣の発言は私は取り消していただきたい。
  264. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、軍隊でなくて自衛隊創立記念日のことを英語に訳する場合にアーミーデーだと、こういうふうに訳したとすれば、これはよくそういうこともあるんです。新聞なんかではよくそういう訳語を使います。そういう意味だとすれば別に支障ないことじゃないかと、このように考えます。厳格に創立論で言いますと、自衛隊であって軍隊じゃございませんから、そういう法律論といたしますると、私は問題はまああり得るかもしらぬと、こういうふうに思います。しかし、俗語といたしまして、自衛隊創立記念日をアーミーデーだと言う、これは軽い意味に、素直にとればそう大きな問題じゃないんじゃないかと、こういうことを申し上げているんです。
  265. 立木洋

    ○立木洋君 これは外国がどういうふうに訳すかという問題とは問題が別だと思うんですよ。日本側がいわゆる軍隊という用語を使うかどうかというこれは問題なんですから、日本政府の側として軍隊という言葉を使うか使わないかの問題です。外国がどのように、たとえば日本自衛隊を外国がアーミーというふうに訳しても、これは外国の訳し方であって、日本政府として、少なくとも軍隊ということを英語に訳する場合でもそういう言葉は使うべきではないということは私は明確だと思うんですが、ですから、そういう事態があるならば、それは厳重に注意してそういうことはやめさせるべきだ。それから、そういうアーミーデーなるものと称する行事を、外国の在外公館にそういう行事を行いなさいというふうな指示はしているんですか、その二点。
  266. 加賀美秀夫

    政府委員加賀美秀夫君) まず、このアーミーデーという言葉を使ったかどうかという点でございますけれども、これは私どもは使っていないと思います。今回のカイロのレセプションにつきましてま……
  267. 立木洋

    ○立木洋君 使っていないと思いますじゃだめなんですよ。
  268. 加賀美秀夫

    政府委員加賀美秀夫君) 実はまだ確めていないんですけれども、私の知る限りにおきまして、これまで自衛隊記念日、いろいろ在外公館で私も経験いたしましたけれども、アーミーという言葉を日本大使館の方から使ったということはないと思います。
  269. 立木洋

    ○立木洋君 思いますじゃだめなんだと言うんだ。
  270. 加賀美秀夫

    政府委員加賀美秀夫君) 私の知っている限りは使っておりません。したがいまして、このカイロにつきましては調査の上お知らせ申し上げたいと存じます。  それから、防衛駐在官の赴任しております在外公館におきましては、この十一月一日の自衛隊記念日、創立記念日に際しましては、大体レセプションを行うということが慣例になっていると存じます。
  271. 立木洋

    ○立木洋君 総理、いま加賀美局長が言われた、思いますということじゃ困るんであって、そういうふうな場合にいわゆるアーミーデーという言葉は使わせないと、そういうようなことはやらせないということを大臣からはっきり答弁していただきたい。
  272. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 公式の文書で自衛隊創立記念日というのをアーミーデーと、こういうふうに翻訳することは、これは妥当じゃありませんから、もしそういう事実がありますればそれは取り消すようにいたします。
  273. 立木洋

    ○立木洋君 その点は重ねて強く要望しておきたいと思います。これは憲法にかかわる問題ですから。  それで話が変わりますけれども、極東で有事の際、在日米軍が日米安保条約の第六条によって出動すると、この事態の場合に自衛隊は協力できますか、できませんか。簡単なことです。
  274. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) もう一遍ひとつ。
  275. 立木洋

    ○立木洋君 時間がありませんからよく聞いておいてください。  極東で有事の際に、在日米軍が日米安保条約の第六条で出ますね、その場合に自衛隊としてその米軍の行動に協力できるかできないか。
  276. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 自衛隊としては協力はできません。
  277. 立木洋

    ○立木洋君 これは問題の是非は別ですけれども、安保条約によれば、在日米軍と自衛隊が共同でいわゆる行動をとれるというのは安保条約の第五条のみですね。
  278. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) そのとおりでございます。
  279. 立木洋

    ○立木洋君 じゃお尋ねしますけれども総理大臣に。安保条約の第六条、つまり極東における有事の際に在日米軍が安保条約の第六条で出動したと、この事態というのは、日本自衛隊で見るならば自衛隊法の第七十六条ですか、いわゆる火の粉が降りかかるというふうに判断される、つまり、おそれのある場合には、これには対処ができると思うんですよ。いわゆる自衛隊法によればですよ、これの是非は別として。こうした場合に、極東に起こった一つの有事の際に在日米軍は日米安保条約の第六条で出動する。自衛隊はいわゆる自衛隊法の七十六条でそれに対処する。一つの事態に在日米軍と自衛隊は異なった根拠法に基づいてそれぞれの行動がばらばらに行われる、こういう事態はあり得るわけですね。
  280. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それは、第六条で米軍が行動するときに七十六条によって自衛隊行動しているということは、具体的には私どもは予想をしていないわけでございます。
  281. 立木洋

    ○立木洋君 防衛庁長官答えてください。ごまかしたらいけないんですよ。私が言っているのは、何も日米安保条約の第六条で米軍が出動した場合、それに呼応して自衛隊がと言ってないんですよ。自衛隊としてはそういう事態、日本に火の粉が降りかかる、つまり、おそれのある場合というふうに日本政府判断した場合、自衛隊としてはそれに対応する、対処するということが、別々の根拠法に基づいて行うということがあり得るわけじゃないですか、長官
  282. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 実際の事態というものがどういうことを言っておられるかよくわかりませんけれども、いまの言葉をそのまま私なりに解釈をいたしますれば、そういう場合には、それがどういう性質のものかわかりませんが、われわれとしては準備態勢、要するにおそれのあるという場合には準備をするというようなことがあり得るかどうかなといういま判断をいたしておるところでございます。
  283. 立木洋

    ○立木洋君 長官、逃げたら困ると思うんですけれどもね。  そこで、総理大臣お尋ねしたいんですけれども、こういう事態が起こらないことが望ましいに決まっているわけですよ。しかし、極東で有事の際に、これは在日米軍というのは出動することができるわけです、これは日米安保条約の第六条によれば。自衛隊は、日本政府がそれが日本に火の粉のかかる事態だと――何も在日米軍か出動した事態を言っているんじゃないですよ。つまり極東でそういう状態が起こった場合に、そのこと自身を米軍の行動いかんにかかわりなく日本にとって火の粉のかかる事態だというふうに日本政府が考えた場合に、これは自衛隊法の七十六条で対処ができるわけですよ。つまり一つの事態にそれぞれが異なった根拠法に基づいて在日米軍と自衛隊は対応できるわけです。いままでの議論されてきておるのは、つまりそういう場合に、いわゆる効果的に安保条約を運用するということになるならば、米軍が出ていくんだし、自衛隊対処できるということになれば、その間どういうふうにするかということを日米間で共同調整すると言われるのが、いわゆる日米防衛協力小委員会での協議と研究の内容じゃないんですか。総理大臣に。
  284. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 専門的なあれですから。
  285. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いまこの日米防衛協力小委員会というのは、私ども段階で研究をやっているところでございますので御説明申し上げますが、もちろんその自衛隊防衛出動が必要であるという政府判断がございますと、七十六条の事態というものがございますと当然その出動命令は出るわけでございます。私どもがいまやっておりますのは、あくまで安全保障条約の五条に基づいて共同で対処するようなときに整合のとれた対処行動がとれるようにということで研究をしているのでございます。
  286. 立木洋

    ○立木洋君 だから、つまり「、おそれのある場合」というのを日米防衛協力小委員会の協議事項の中に入れたわけですから、おそれのある場合にどういうふうに共同作戦をするかということの研究協議の内容なんでしょう。だから入っておるというふうにはっきり言ったらいいじゃないですか。
  287. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いまやっておりますのは、第五条の発動された場合の共同対処ということをやっております。したがいまして、その「おそれのある場合」というところまでは進んでおりませんけれども、そのおそれのある場合にそれぞれの自衛隊なり米軍なりが、共同対処するためにどういう準備態勢をしておかなければならないかという研究を、今後の問題としてやる必要があるというふうには判断しているわけでございます。
  288. 立木洋

    ○立木洋君 だから、それはやるということなんですよ。いま、やっていないということになるのです。だから結局、そうしなければ、おそれのあるということを入れた意味がないじゃないですか。いわゆる日米防衛協力小委員会で第一回、第二回、第三回とずっと問題になってきて、第一回、第二回の防衛協力小委員会の問題に関して国会なんかで質問されたときには、これは第五条が中心でございますと答えたんです。第三回目以降、おそれのあるという場合が入っておりますというふうに、第三回以降の国会の議事録を見ていただいたらわかりますよ、ちゃんと述べてある。だから、おそれのあるという場合を入れたのは、先ほど言ったような事態ですね、それぞればらばらで対処したんでは困ると、だから、その場合には日米間の調整というのが必要になると。これは伊藤さん、あなた繰り返し日米安保条約の効果的な運用と言っているでしょう。効果的な運用やるのだったら、米軍は米軍で勝手に出ていく、自衛隊自衛隊対処する、そういう事態があり得るわけなんですから、それを共同で調整するということを行うというのはあなた局長の立場としては当然考えるべきじゃないですか。
  289. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) いま第三回目から突然出てきたというふうなお話でございましたが、私どもは第一回から第三回まで通じまして、どういうものが研究の対象になるのであろうかということをお互いに意見の交換をしてまいったわけでございます。そうして第四回目のときに、今後の研究協議の進め方について、三回までの会合でいろいろ議論したところを整理いたしました。そのときに、わが国に直接武力攻撃がなされた場合の共同対処、整合のとれた対処というものが中心になるのだけれども、これは有事の際に、第五条が発動されて直ちに共同対処というものができるとは考えていないわけでございます。したがいまして、情勢というものはその時点時点において変化していくわけでございます。したがいまして、それに至る過程において、それぞれの自衛隊、米軍においてどういう準備を進めなければならないかというようなことも、今後その第五条の対処の事態の前提として勉強する必要があるだろうというふうに意見の一致を見たところでございます。
  290. 立木洋

    ○立木洋君 その第一回、第二回のときに、それなら国会答弁で防衛庁はうそを言っているのですよ。おそれのある場合、そのときには述べてないのだから。後で議事録よく調べてみてください。第三回目以降しかおそれのある場合というのは明確に述べてないですよ、国会答弁では。その問題やると長くなりますから、あともう時間がないですから。だから問題は、先ほども言いましたように、先ほど言ったような事態でそれぞれが異なった根拠法で行動がとり得るということはあり得るわけですから、この場合の共同調整というのが、将来やはり日米防衛協力小委員会の中で問題になるのじゃないか。そういう問題になる可能性があるからこそ、「おそれのある場合」というのを挿入したんではないか、もう一度お尋ねいたします。
  291. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) それはそれぞれ別の行動をとっているわけでございます。そのときには自衛隊は七十六条に基づいて行動をとっているわけですが、第五条の共同対処という事態に移る可能性というのは当然あるわけでございます。そういったときに、共同で対処する、いわゆる有効に整合のとれた対処行動がとれる、そういったものを勉強しておるということでございます。
  292. 立木洋

    ○立木洋君 だから、その共同対処という言葉をもう少しわかりやすく言いたいと思うのですがね。先ほど言ったように、全くばらばらで双方が関連なしに行動をとるという場合と、それから一つになって行動とるという場合、その共同対処を言っているのじゃないのですよ。ばらばらにとる場合でも、こういう状態の場合にはおたくはこういう行動をとる、私の場合は根拠法は別だけれどもこういう行動をとるというふうな話し合いだと私は思うのですよ。それは事実上あり得ることだと思う。そういうことになった場合、最後ですから総理大臣お尋ねしますけれども、これは事実上、先ほど局長が言われましたように、日米安保条約の第六条によって在日米軍が極東の有事の際に出動すると、これに対して自衛隊としては協力できないんです。協力できるのは、日本に直接武力攻撃がかけられたときだけである。ところが、いまのおそれのあるということを日米防衛協力小委員会の中で協議の対象に入れたのは、つまり、在日米軍が第六条で出動したときに、自衛隊がそういう場合に対処行動がとれるわけですから、もし火の粉がかかるというふうに判断したならば。この場合の、どういうふうなそれぞれが行動をとるかということをやるということになれば、これは日米安保条約によって事実上日本自衛隊が協力できるという、安保条約の改定、改悪につながる内容になると思うんです。こういうふうなことが絶対にしないというふうに大臣言われるかどうか、そういうこともあり得るのかどうか。最後ですから、総理大臣の見解を述べていただいて質問を終わりたいと思います。
  293. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) まずいまのやつ解明いたします、五条と六条との関係
  294. 立木洋

    ○立木洋君 そして、その後大臣お願いします。
  295. 伊藤圭一

    政府委員伊藤圭一君) 第六条というのは、日本を直接守るための発動ではございません。で、七十六条というのは、日本を守るために自衛隊が発動されるわけでございます。そして第五条は、日本を守るために米軍と自衛隊が共同で対処することでございます。
  296. 立木洋

    ○立木洋君 そんなことはわかっているんですよ。
  297. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ただいま政府委員から申し述べたとおりでございます。
  298. 立木洋

    ○立木洋君 最後に一言だけ。  これは、この問題というのは大変な問題なんですよ。だから、そういう事態はあり得ないということを私は総理大臣から最終的に所見を聞かしていただけるかと思った。だけど、そういうふうな所見が聞けないということになれば、これは重大な問題ですから、福田内閣がいつまで続くかどうかわかりませんけれども、私はあくまでこの問題に対しては解明していく、徹底して究明していきたいということを最後に述べて質問を終わります。
  299. 井上計

    井上計君 最初に防衛庁にちょっと伺いたいんですが、十月の七日であったと思います。NHKのテレビニュースでちょっと報道したが、あと余り新聞に細かく出ておりませんでしたが、自衛隊のOBの訪中団に対して、中国の鄧小平副首相が一九八五年に第三次世界大戦が起きると言われたのか、起きる危機があるというのか、その点ちょっと余りニュースで明確でなかったんですけれども、そういうことについてお聞きになりましたかどうかお伺いをいたします。
  300. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) せっかくなお尋ねでございますが、明確に記憶をいたしておりません。
  301. 井上計

    井上計君 私は、私の記憶間違いないと思いますが、十月の七日のたしか夜のニュースであったと思いますけれども、NHKのテレビニュースで、自衛隊のOBの訪中団に対して鄧小平副首相がはっきり述べておる、まあこういうことであります。まあこれは一応結構でありますが、そこで私自身、個人的にも、確かにわが国に全く自衛力を必要としない、あるいはもう全くの無防備であっても、日本の平和が永久に保障され、維持されるならこれは大変結構だと思いますけれども、しかし、鄧小平副首相のこのような発言、あるいはまた、特にこの数年来の極東アジアのいろんな情勢の変化等から考えて、防衛の必要性はますます高まっておる。先般の当委員会で、私防衛庁長官にそのようなことをお尋ねをし、また防衛庁長官からお答えがございましたけれども、そこで、さらに一層、国民の中の防衛意識についてはまだまだ低いという感じがいたしますけれども、防衛意識の高揚等について、今後さらに一層国民の間に啓蒙あるいは宣伝をされることについて総理どうお考えか、ひとつ承りたいと思います。
  302. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 防衛意識につきましては、これが普及、これを図ることは私は大変大事なことだろうと、こういうふうに考えます。政府といたしましては、その方向の努力をさらにさらにひとつ強化してまいりたいと、そういう考えです。
  303. 井上計

    井上計君 そこで、これは福田総理にいささかいやなことでありますけれども、きのうでありますか、十月の末のいろいろと調査によりますと、福田内閣の支持率一七%、田中内閣の金脈問題で荒れ動いておりました末期の支持率よりさらに低下をいたしておると、こういうふうなことがきのう報道されております。そこで、私自身も野党ではありますけれども、国民の間にある政治への不信を早く解消して信頼を嵩めるという意味におきましては大変残念だという気がいたします。ところが、それらを考えてみますと、なぜ福田内閣への支持率が低いかという理由の一つとしては、余りにも総理が石橋をたたいて渡るような、まあいわば財政経済その他全般の行政等につきましての余りにも定石どおりのことをおやりだからというふうなことも原因ではなかろうかという気がいたします。伺いますと、総理は日本棋院の名誉八段でおられるそうですし、定石についてはそのようにお考えだと思いますが、どうでしょう、ひとつ天元の一石ということがありますけれども、この際大いにひとつ発想の転換をされて、国民がさすがにと思うような、まあこういう情勢でありますから、ひとつ発想の転換によって国民に明るいひとつ希望が持てるような、そういう政策をおやりになる御意思があるかどうか、お伺いをいたします。
  304. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いま世界じゅうの経済がこう揺れ動いておると、そういう状態の中でわが国の経済運営、これはなかなか容易じゃないんです。これはまあどなたにも伺いますけれども、そういう何というか、目の覚めたようなすばらしい手というものは、なかなか私どもも聞くことができませんが、とにかく私もせっかく努力しております。さすがは福田さんだなと言われるくらいの評価をしていただきたいと、このようにいませっかく努力をしておるというところでございます。
  305. 井上計

    井上計君 大いに期待をするといたします。  そこで、総理にひとつさらに、これはお尋ねというよりも意見を交えて申し上げたいと思うんですけれども、現在失業者が百万を超えました。潜在失業者二百万あるいはそれ以上と言われております。さらに、構造不況業種のいわば過剰労働力、近い将来離職するであろうという人、あるいはこの円高によっての円高倒産、これらを考えますと、近いうちにかなりの過剰労働力といいますか、失業者、離職者がふえると、こういう懸念がされておるわけです。じゃしからば、そのようないわば離職者、失業者日本国内でどの産業に吸収をするかということが、今後のやはり前向きな労働政策あるいは経済政策として当然必要であるわけですけれども、私ども見ますと、なかなか前向きなそのようなことについての政策というものがまだ検討されていないというふうにうかがえるわけです。  そこで、先ほど大塚委員からもお話がありましたし、またいろいろと御答弁がありましたけれども、現在のわが国の防衛予算はGNPの一%という一つの聖域を定めておられる。これはこれなりに、私別に一%がいけないとかどうとかというわけじゃありませんけれどもアメリカの六%、ソ連の一一ないし一三%、中国の七・四ないし九・一%、西独の三・六、さらにスイスの二・三%というのに比較をいたしますと、わが国のGNPの一%というのは余りにも低過ぎる、こういう感じがやはりしてなりません。といって、いますぐ防衛予算をふやすということについては問題があるということについては、これは承知をいたしておりますけれども、しかし、これがただ単に防衛予算をふやしたから、先ほど来大塚委員からも御意見がありましたが、軍国主義の復活であるとか、あるいはまた民生の圧迫であるとか、あるいはまた外国への日本侵略の脅威が高まるとかということとは、これはいささか違うという考えをいたしておりますが、そこでまあ将来の問題として、やはり一%というものについて当然お考えになる必要があると思いますけれども、これは先ほど来の答弁からしてお答えはむずかしいと思います。まあ総理のお顔には、君の言うとおりだけれども、なかなかいまそうはいかぬというふうなことのようです。ですから、これはお答えは必要といたしませんが、せめて現在一%未満である、まだ五十二年度予算については〇・八八%と聞いておりますが、せめてその不足分ぐらいは五十三度予算にひとつお考えになることが、私は不況対策であり、あるいは雇用機会の増大である。まあこのような面の解決に役立つ一助になるんではなかろうかと思いますが、いかがでございましょうか。
  306. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 景気対策というような側面からこれを考えますれば、まあ防衛費をふやすということも一つの考え方で、その防衛費をふやしたその額が景気に何がしかの効果があると思います。思いますが、まあほかに景気対策のためというならば、やる仕事というものは幾らでもあると思うのです。あるいは老朽校舎がずいぶん改築を待っているとか、あるいは老朽した病院が改築してほしいというようなものもずいぶんあるでしょうし、そういう方面へ国費を使うということをまず考えるということだろうと思います。防衛費につきましては、とにかく一%ということを政府方針としておるわけですから、この方針は堅持する。また、いま〇・八八しかいってないじゃないか、その差額を埋めろというようなお話でございますが、これは防衛費の内容、それから他のいろんな国家施策とのバランス、そういうものをよく見てみまして、整合性がとれるというふうにいたしたいと、かように考えております。
  307. 井上計

    井上計君 総理の答弁、お立場上現在のところばやむを得ない御答弁であろうというふうにこれは理解をいたします。ただ、防衛予算、防衛費というのが非常にすそ野の広い、いわば多くの中小零細企業防衛庁装備関係の予算についての大変な影響を受けておるということでありますから、景気対策としても私はかなり需要創出効果があるんではなかろうか、こういう考えを持っております。これはまたひとつ御検討いただくということでございます。  そこでもう一つ、やや関連をいたしますけれども、武器輸出の三原則についてお伺いをいたしたいと思います。再三政府も述べておられますように、また歴代総理も述べておられますように、武器輸出三原則については、これは遵守すべきであろう。これは当然だと思います。しかし、武器輸出三原則について、五十一年の二月二十五日の政府見解でありますけれども、これを見ましてやはり感じますことは、現在の武器輸出というものについての考え方が余りにも、言えば率直に申し上げまして、いろんな発言等について慎重になり過ぎて、どうもあつものにこりてなますを吹くような、そういうふうな傾向が見受けられるんじゃなかろうかという感じがいたします。すなわち、対象地域以外の地域についての武器輸出ということについては、私は、ここにありますけれども、「軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるもの」という原則の武器ということを、これをひとつ考えてみても、戦闘の用に直接供しないものまで全部武器という形で現在輸出禁止をしておるという考え方については、慎重になり過ぎて全くはれものにさわるという形で避けて通っておるという感じがいたしてなりません。いろんな、先ほどから申し上げた雇用機会の増大、あるいはまた不況対策、いろいろ考え、さらにまた八〇年代の防衛ということを考えていくと、先ほど総理おっしゃったように、質的な面についての向上、質的な面を重点的にというふうなことをお考えになりますと、やはり今後の防衛兵器の研究開発という面から考えていっても、私はそろそろ武器輸出禁止についても、対象地域外の輸出、また直接戦闘の用に供しない武器というもの、軍隊で使用するもの等についての考え方を、やはりこのとおり正確にひとつやるべきではないかという考えを持っておりますが、いかがでございましょうか。
  308. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いま景気の側面から言いましても、雇用の面から言いましても、武器輸出、これはよだれが流れるといいますか、本当に何というか飛びつきたいような、そういう性質のものです。しかし、わが国はとにかく平和国家であるということを宣言しておる、死の商人にはなりたくない、これは国民全体のまた気持ちでもあろうかと思うのです。まあ、武士は食わねど高ようじじゃございませんけれども、やっぱりわが日本人は平和に徹して、そして、少しぐらい経済的に不利でありましてもこの武器輸出三原則だけは、これは守り抜いていかなければならぬだろう、このように考えるわけであります。文章にも三原則はなっておりますから、その文言どおりにやっていきたい、かように考えます。
  309. 井上計

    井上計君 文言どおりにやっていきたいという総理のいま御答弁であります。文言どおりにお考えになりますと、私は現在のようなかたくなな武器輸出禁止というのはおかしいと、こういう気がするのですね。この輸出貿易管理令の別表第一、一九七から二〇五までの武器とはというものがあります。これをずっと読んでまいりますといろんなものがあります。例を挙げますと、「軍用船舶及びその船体並びにこれらの部分品」、「軍用航空機並びにその部分品及び附属品」、これらも、必ずしも軍用船舶と称するもの、軍が使うものが武器であるのかどうか、あるいは武器であってもそれが直接戦闘の用に供されるものであるかどうかというと、実は戦闘の用に供されない輸送用のもの、あるいは救助用のもの、それらもすべて武器だという考え方で輸出の禁止を行っておるということについては、余りにも、何かはれものにさわるような、避けて通るような考え方が強過ぎるんではなかろうか。特にこの中にありますけれども、「軍用鉄かぶと並びに防弾衣」、例を先般も挙げましたけれども、フィリピンあたりの軍隊が国内の治安維持のために使う鉄かぶとも、あるいは防弾衣も、これが武器であるという考え方で輸出禁止されておることについてはどうも納得がいかない、こういう感じがいたします。これはもう総理のお立場で、いまそう明確にされるとなかなかむずかしいと思いますので、あえてお答えを求めません。お顔には、大体おまえの言うとおりだというような、どうもそんなふうに見受けられますので、お答え必要としないということで、ひとつ私の見解をさらに明確に申し上げておきます。  そこで、最後にお伺いしたいと思いますが、先ほど来国防会議の問題あるいは国家安全保障会議の問題等、いろいろと質疑が出ております。ところで、たしか五月であったと思いますけれども、先般の通常国会におきまして、衆議院におきましてわが党から提案をいたしまして、国会に防衛特別委員会の設置をするということについての提案をし、自民党との間に合意に達しておるやに実は聞いております。そのときの申し合わせで、次期国会においてというふうなことになっておるようでありますけれども、まあ次期が、実は先般の臨時国会も期間が短かったからやむを得ないとすると、今回の八十二国会が次期とわれわれは理解をいたしておりましたけれども、この国会で何らその問題が実は全く話題にも何も上がっていない。これはひとつ総理というよりも自民党の総裁として、この防衛特別委員会の設置についてどうお考えか、ひとつお考えを承りたいと思います。
  310. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 防衛問題を国会においてさらにさらに掘り下げて論議をする、その場をつくる、これは先ほど防衛思想の普及、協調というようなお話がありましたが、そういう上から見ましても私は大変大事なことだろう、このように思うのであります。まあ常任委員会を設置する、これは各党の間で話をつけませんとなかなかできないことでございますから、何とかして皆さんの間で話をつけて、そして満場一致で防衛委員会設置決定と、こういうふうに持っていっていただきたい。このように私はむしろお願い申し上げます。
  311. 井上計

    井上計君 満場一致でお願いをすると、持っていくようにお願いをするという、これは総理というよりも自民党の総裁としてのお考えであろうと思いますけれども、満場一致はなかなかむずかしい、もし万一むずかしい場合にはどうされるかということと、そうして、次の通常国会におきましてはぜひ防衛特別委員会を設置をすることを、自民党総裁として強力にひとつお進めいただきたい。これを最後に要望して、またお考えをひとつお伺いをいたしたいと思います。
  312. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 自由民主党といたしましても、この防衛委員会の設置、これはもうぜひそうしたいと、こういう考えでありますので、それに向かって最大の努力をいたす、このようにいたしたいと存じます。
  313. 井上計

    井上計君 終わります。
  314. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  315. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 御異議ないと認めます。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。  暫時休憩いたします。    午後八時十一分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕     ―――――――――――――