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1977-11-15 第82回国会 参議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十五日(火曜日)    午前十時三十七分開会     —————————————    委員異動  十一月十四日     辞任         補欠選任      斎藤栄三郎君     降矢 敬義君      黒柳  明君     太田 淳夫君  十一月十五日     辞任         補欠選任      片岡 勝治君     勝又 武一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         塚田十一郎君     理 事                 加藤 武徳君                 林  ゆう君                 野田  哲君     委 員                 片山 正英君                 源田  実君                 竹内  潔君                 林  寛子君                 堀江 正夫君                 大塚  喬君                 勝又 武一君                 久保  亘君                 山崎  昇君                 和泉 照雄君                 太田 淳夫君                 山中 郁子君                 井上  計君    国務大臣        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  三原 朝雄君    政府委員        国防会議事務局        長        久保 卓也君        防衛庁参事官   夏目 晴雄君        防衛庁参事官   平井 啓一君        防衛庁参事官   番匠 敦彦君        防衛庁長官官房        長        竹岡 勝美君        防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君        防衛庁人事教育        局長       渡邊 伊助君        防衛庁衛生局長  野津  聖君        防衛庁経理局長  原   徹君        防衛庁装備局長  間淵 直三君        防衛施設庁長官  亘理  彰君        防衛施設庁総務        部長       銅崎 富司君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案(第八十回国会内閣提出、第八十二回国会  衆議院送付) ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、斎藤栄三郎君及び黒柳明君が委員辞任され、その補欠として降矢敬義君及び太田淳夫君が選任されました。また本日、片岡勝治君が委員辞任され、その補欠として勝又武一君が選任されました。     —————————————
  3. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。三原防衛庁長官
  4. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由及び内容概要について、御説明いたします。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  これは、自衛官の定数を、海上自衛隊八百九十人、航空自衛隊九百十七人計千八百七人増加するための改正でありまして、海上自衛官増員は、艦艇、航空機就役等に伴うものであり、航空自衛官増員は、航空機就役等に伴うものであります。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  これは、航空自衛隊輸送航空団編成航空団編成と区分し、輸送航空団司令部及び輸送航空隊から成る編成を定めるほか、同じく航空自衛隊第三航空団司令部の所在地を愛知県の小牧市から青森県の三沢市へ移転するものでありまして、それぞれの部隊の任務遂行の円滑を期するためであります。  以上、法律案提案理由及び内容概要を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  5. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 以上で説明の聴取を終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 大塚喬

    大塚喬君 ただいま提案趣旨説明がありました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の主要な部分について、防衛庁長官、さらに関係者の皆さんに質問をいたしたいと存じます。  初めに、日米防衛首脳会談の結果について、主として防衛庁長官お尋ねをいたしたいと存じます。  ことしの七月末のブラウン米国防長官の訪日、その後九月には三原防衛庁長官訪米と二度にわたって日米防衛首脳会談が行われております。これらの会談を通じて在韓米軍撤退後の米アジア戦略日本防衛構想日米防衛協力等話し合いがあったことが伝えられておるわけであります。七月末、ブラウン米国防長官がソウルで米韓安全保障協議会出席帰途日本に立ち寄り、福田総理三原長官らと会談をし、その際ブラウン長官は在韓米軍撤退についての米韓協議内容、これを説明するとともに、わが国に対し日米防衛協力に関して五項目要請があったと伝えられております。これは八月の五日の各新聞に報道されておるところであります。その内容は、一つには対潜能力向上、二番目に防空能力向上、三番目に補給態勢の充実、四番に対韓経済協力、五番に在日米軍の労務費問題を含む防衛費の分担の五項目、この提案があったと言われておるわけであります。  これらの項目日米間の懸案問題としてたびたび報道されておるところでありますが、当然両国間で話し合いがあったと思われますが、三原長官はさきの参議院本会議、これは十月の八日の代表質問において、この五項目要請事項を全面的に否定をされておるわけであります。一部の報道では、三原長官がこの要請のあったことを間接的に認めたという報道もなされておるわけであります。これは八月五日の閣議後の記者会見防衛庁官がこの点を間接的に認めておると、こういう報道もなされておるわけであります。この点について、この五項目要請事項、これがあったのかどうか、もう一度確認をいたしたいと思います。さらに、訪米中の第二回会談でもこの五項目について話し合いがあったのではないかと、こう予測されるわけでありますが、この点について防衛庁長官からはっきりしたひとつ事実関係、その内容等についてお伺いをいたしたいと存じます。
  7. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたします。  御指摘の七月の二十七日でございました。米韓の第十回安保協議会帰途米国国防長官ブラウン氏が防衛庁を訪れまして会見をいたしたのでございますが、その際には、当時共同声明で第十回の米韓安保協議会内容は公表をいたしておりましたから御承知でございますが、それらの協議内容について意見交換をいたしました。また、それらに関連しながら若干の意見交換をいたしたのでございます。しかしながら、その際に、いま御指摘の五項目に対しましては私どもに具体的に要請をするというようなことはございません。それから次には、私が九月に渡米をいたしました際に、ブラウン国防長官初め国務長官なりとお目にかかりましたが、その際にも、米側から具体的に私どもに対してそうした五項目要請というものはございませんでした。しかし、御承知のように米国議会等、特に日本調査団などを派遣をいたしました会計検査院でございますとか、予算局等調査結果を報告した中にそういうものが整理されておったし、米国議会内にそうした意見のあることは私も承知をいたしておるところでございます。
  8. 大塚喬

    大塚喬君 米側にそういう意見のあることを承知しておると、こういういま答弁がありましたけれども三原長官直接にブラウン長官から提案要請の事実があったかどうかということと別にして、日本政府に対して、日本防衛庁関係者に対して、アメリカからそういう要請があったのかどうか、その点も一切ないということなのか、長官承知をされておるということは、一体どういう手段でそのアメリカ側意向というものを承知されておられるのか、そこのところをひとつ明確にしていただきたいと思います。
  9. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほども私は申し上げましたように、アメリカ議会あるいは一般軍事評論家等において、先ほど申しましたように日本安全保障に対する予算の問題でございまするとか、あるいはいま申されましたような五項目問題等について種々御意見のあることは一般報道されておることでございまするので、私どもはその点はそういう報道を通じて承知をいたしております。
  10. 大塚喬

    大塚喬君 報道を通じて承知をされておると、こういうことでありますが、アメリカ政府意向というものは、全然公式にも非公式にも日本政府には伝達されておらないわけですか、一度もそういうことはお聞きになっておりませんか。
  11. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) そこで、私はそういうアメリカ議会等意見のあることを承知をいたしておりまするので、私が九月に渡米をいたしました際に、そうした問題についてアメリカからまずアジア情勢等意見がございました。私は日本防衛体制等について意見を申し上げました際に、そういう中身についてアメリカ情勢もわかりまするので、私の方から日本防衛力整備についての意見を申し上げて意見交換をいたしたのでございます。
  12. 大塚喬

    大塚喬君 そうしますと、アメリカ側の方からはそういう要請がなくて、日本側から、防衛庁長官の方からアメリカ側提案をしてその話し合いをされたと、その話し合いのあった事実ということはお認めになるわけですね。
  13. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) そのとおりでございます。私どもこの防衛基本方針なり防衛計画大綱中身整備につきまして、自主的に計画的にやっておる中身でございまするので、私の方から日本防衛力整備についてこういうような進め方をいたしておるということで、私の方で申し上げました。
  14. 大塚喬

    大塚喬君 もう一点お尋ねをいたしますが、三原長官訪米前に、特に福田総理から、訪米の際に、アメリカアジア戦略変化の有無についての意見交換安保ただ乗り論の対日非難に対する日本立場説明、この二点について福田総理から三原長官指示があったと、こういう報道がなされておるわけでありますが、この事実はあったのですか、なかったのですか。
  15. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いま二点についてお話がございましたが、アメリカアジアにおける軍事体制変化並びに防衛費一%論、ただ乗り論というようなことについて福田総理から意見があったということでございましたが、前段は全くございません。前段アジアアメリカ軍事情勢変化というようなことについてのお話はございませんでした。しかし、先ほど申し上げましたように、アメリカ国内、特に議会あたり中心にして安保ただ乗り論的な意見がある、この点については十分ひとつ日本防衛力整備状態なり、あるいは日本のただ単に防衛ばかりでなく、アジアの安定と平和、アジア安保体制の確立のために協力をいたしておるという日本事情をひとつ十分理解をさしてほしいということが、総理から私に渡米前にお話がございました。
  16. 大塚喬

    大塚喬君 そうしますと、そのただ乗り論ということに対する日本立場説明すると、こういうことで日本側の方から各種の提案三原長官によってなされたと、こう理解をしてよろしいわけですね。  次にお尋ねをいたしますが、今回の日米防衛首脳会談議題一つとして取り上げられました在韓米軍の撤退問題、これはアメリカアジア政策変更ではなく、ニクソン・ドクトリンの延長として説明をされておるようであります。カーター政権戦略構想としては、ソ連の脅威を直接受けるヨーロッパでは地上兵力を張りつける前方展開戦略をとるに対し、アジアでは海空を主体とする抑止戦略をとり、地上兵力局地戦争に参加させるかどうかの選択権アメリカが握る、このことは明らかにアメリカ戦略アジア離れということを示しておると、こうだれでも理解をするところであろうと思います。まず、この点について三原長官の御意見をお聞かせいただきたいと思いますが、アメリカアジア戦略変化というか、変質というか、この事実を変質変化がなかったということの認識をされておるのか。私は明らかに変化があったものと、こう受けとめておるわけでありますが、日米安保条約は御承知のように六〇年代に締結されたものであります。その軍事機能は明らかに変質しておるということで、アメリカ側がこういうことを明らかにしておるものと考えられるわけですが、旧態依然として日米安保条約体制に依存しておるわが国防衛政策、このことについては、三原長官はこの六〇年代と同じようなそういう考え方でこの日米安保条約というものに対する受けとめ方、対処の仕方、こういうことをお考えになっておられるわけですか、どうですか。
  17. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 結論的に申し上げまして、米国アジア軍事情勢戦略体制について変化があったとは考えておりません。安保条約の堅持につきましては、きのうも福田総理発言をいたしましたように、日米安保条約関係はますます堅持していかねばならぬという結論でございました。私がアメリカと、アジアアメリカ戦略体制について意見交換いたしました際のことを御報告を申し上げますが、米国関係者は、世界の軍事バランスの問題、それから、同盟国関係に対しまする防衛の公約の遵守、アジアにおいても軍事的存在プレゼンスについては、今後ともこれを堅持していくという決意を私に話したのでございます。したがいまして、米国といたしましては、アジア軍事面ばかりでなく、アジア自身政治経済重要性等指摘をしておったのでございまするが、そうした意見交換の中からは、先生指摘のように、米国アジア離れをいたしておるというようなことは私は受け取ることができませんでした。先ほど申しましたように、アジアに対しまする軍事的なプレゼンスについては変更はないと、そういうことを私はその意見交換の中で受けとめてまいったところでございます。
  18. 大塚喬

    大塚喬君 アジア離れか否かということは、単に個人的な主観の問題ではないだろうと思います。この点については重ねてまた論議を進めることにいたしまして、三原長官訪米の際に伝えられております報道、これはF15、P3C、この採用日本政府がもう決定したかのような、こういう報道もなされておるわけであります。AEWの調査費、それから自衛隊装備質的改善、こういうものを米側説明をし、日本の努力が米側から高く評価をされておると、こういう報道も明らかにされておるわけであります。しかし、このF15あるいはP3Cの採用、これは国防会議決定事項であろうと思うわけでありますが、この点については長官、これはいかがなものでございますか。こういう決定は、防衛庁だけで単に決定をしてよろしい、そういう性質の決定事項でございますか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  19. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほどから申し上げておりますように、アメリカ議会中心とする内部において、先ほど項目が挙げられましたが、そういう問題が論議されておるということは先生も御承知のとおりでございます。なお、それに関連をして、防衛費一%というようなものは、それを当分の間は超えてはならないぞという歯どめのあることも御承知のとおりでございます。そういう点等を踏まえまして私は意見交換をしたわけでございます。特に、日本の憲法の問題あるいは政治情勢等もつけ加えて私は申し上げてまいったのでございます。  なお、換算要求というようなものにつきましては、私自身本年度防衛白書を英訳を対校いたしまして事前送付をしたりして理解を求めておったのでございまするが、そういうふうな中で、私は日本防衛力整備の今日の状態、そして五十三年度の問題等について説明をいたし、そして先ほど申しましたように、私ども日本アジアにおける安全保障に対する協力と申しまするか、アジアの平和のためには、防衛面だけではございません、ASEAN等に対しまする経済援助でございまするとか、文化交流等、広くそういう面からも協力をいたしておりますということを申し上げました。その際に、いま先生指摘防衛力整備の中での、いま三点を挙げられましたが、F15の問題、P3Cの問題、あるいは早期警戒機問題等について調査費までつけたではないかというようなこと自体は、これは防衛庁だけの決定でございます。これから先、私どもの措置をせなければならぬ経過を申し上げると、まず国防会議参事官会議中心にして関係省庁の御了解を受けねばならぬ、それを越えて、国防会議をまた開いてそこで認めてもらわねばなりません。その上に五十三年度の予算政府決定ということも仰がねばなりません。全くいま言われました三つのプロジェクトの問題は、防衛庁だけの決めた、スタートラインに立ったところでございまして、これが来年度実現するというまでには非常な厳しい道がございますということを申し上げました。  なお、私がそういうことを申し上げますと、先ほど申し上げましたように、しかし防衛面だけで日本アジアにおける安全保障協力という面をとらえていただくといろんな非難なございましょうけれども、われわれは先ほど申しましたように、ASEAN等に対する経済協力なり文化交流というような面も広く含めて協力をいたしておるということも説明をいたしましたので、そういう点で理解を示し評価をしたというのが結論であろうと思うのでございます。
  20. 大塚喬

    大塚喬君 いま長官がお認めになったように、このF15、P3Cの採用ということは、これは防衛庁決定事項でないということが明らかになったわけであります。で、防衛庁内部意思統一、このことだけをもって米側日本政府決定事項のような形で説明をしておると、こういうことについての妥当性について私は大変疑問を持ったわけであります。正式決定でもないF15やP3Cの採用説明米国での日本に対する安保ただ乗り論をかわすための——前に福田総理指示、こういうふうなこともお尋ねをした理由は、これは福田総理からそういう内容についても指示があったわけですか。福田総理との話し合いの中で、そういうことを三原長官の方からこういうことを政府決定のようにアメリカ側報告をして理解を求め、アメリカの世論の緩和を図る、こういうようなことで説明をするということで、事前に首相にもそのことを報告をし、了解を求めてされたわけでありますか、そして、この問題の説明に対してアメリカ側の反応は一体どういうものであったのか、そこのところを明らかにしてほしいと思います。
  21. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたします。  総理からそういう細かい御指示はございませんでしたけれども総理が、日本防衛力整備についてどうもただ乗り論というようなことが盛んに言われる、その点はひとつ、君は防衛力整備で努力いたしておるけれども、あるいは広く経済文化交流という面でも日本としてはアジアの平和と安定のために努力しておるということをひとつ十分話せということでございます。その点については、総理からは、再度申し上げますが、具体的にいま私が申し上げるようなことが言われたというわけではございませんが、しかし、そういうもの全体を包む大局的な判断に立つ御指示はございました。  それから、アメリカ側におきましては、これは先ほどから、私はアメリカにおける内外記者団会見におきましてもそのことを申し上げております。決して政府決定ではございません、一庁である防衛庁としての決定でございますという解説をいたしました。また、米側にもその点は十分申し上げましたところ、米側から逆に、それでは国会がそういう情勢の中にあって通し得るのかどうかというような逆の質問まで受けたくらいでございまして、したがいまして、アメリカ報道機関等もそれが日本政府決定だとは受けとめておりません。そういうような経過でございます。
  22. 大塚喬

    大塚喬君 重ねて日米防衛協力の問題でお尋ねをいたしたいと思います。  日米防衛当局間の情報交換、これを一層緊密にするため、事務当局、これは局長レベル会談でありますが、日米事務当局同士会合を頻繁に開く必要があると、こういう点で合意したということが伝えられておるわけであります。この提案米国からなされたものでありますか、日本側三原防衛庁長官の方からなされたものでありますか、そこのところをひとつお聞かせいただきたいと思います。さらに、この会合具体的メンバー、それから議題会合頻度、どうなっておるのかお尋ねをいたしたいと思います。  で、三原長官訪米をされたのは九月十日前後ごろと記憶をいたしておるわけであります。といたしますと、それからもう二カ月余経過をいたしておるわけですので、この問題についてその後どういう経過をとっておりますのか、詳細に報告を受けたいと思います。
  23. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 私自身九月九日に日本を立ってアメリカに参りました。その際に痛感をいたしましたのは、アメリカ議会の上下院の軍事委員長にもお目にかかる機会を与えていただいたわけでございますが、それらの方々に日本状態を御説明をいたしましたが、なかなか、初めて聞くというような状態のものもあったと私は受けとめたのでございます。なおまた、国務省あるいは国防省その他にも、初めから、スタートから日本防衛体制を御説明をせなければならないような事情下に置かれたのでございます。私は、これは最高首脳者会談をするというのは限られた時間しかございません。二時間というような予定がほとんどでございまして、多少それが延びて二時間半になるというようなことでございましたので、この状態ではいかぬなということをしみじみ感じました。そこで私は最終的にそうしたことを判断をして、やはり事務レベル間における平素連絡を緊密にしておく必要があるということを痛感をいたしたのでございまして、それには実は事務次官会議というのがあるわけでございます。それが制度的に、話し合いの中にそういうものがありますけれども、実際に運営がこの数年なされていないという実情でございましたので、実はぜひひとつ。それから、具体的には防衛関係航空機等のお互いの取得関係調達等問題等もあるわけでございますので、そういうようなものを含めて、私は平素から事務レベルにおける緊密な連絡が必要であると思うからということで私が提案をいたしたのでございます。それに対しては、ぜひそういうことにひとつやろうではないかという合議ができたわけでございます。  その後の経過を申し上げますと、いま、事務次官レベルのいままでの会議がございましたので、その会議を近くどちらも出てきて、ワシントンを訪ねるということではなくて、ハワイ等でやったらどうだろうかというようなことが、外交レベルにおいていま進められておるということでございます。遠からずそういう機会を持つのではなかろうかということでございます。頻度あるいは構成等につきましては、まだ具体的にはしておりませんけれども、大体事務次官ということでございまして、年に一回になりますか、二回になりますか、そうしたこともそうした事務次官レベル会議でお話し合いがなされるものだと期待をいたしておるところでございます。
  24. 大塚喬

    大塚喬君 長官訪米されてからもう二カ月余ですね。ずいぶん時間の経過も過ぎておってのんびりしておるという感じもないわけではありませんが、これらの議題というのは、一体どういうことを主に事務レベル日米会合というのは考えられておるわけですか。
  25. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いま議題については決定をいたしておりませんけれども、やはり日米安全保障体制の円滑な運営ということであろうと思うのでございます。  なお、いま御指摘のように二カ月もなったということにつきましては、国会中心防衛庁も動いておりまするし、国会が終了してというのが私の考え方でございます。
  26. 大塚喬

    大塚喬君 次に、第二の質問として自衛官の定数増問題についてお尋ねをいたします。  ただいま防衛庁長官から趣旨説明のありましたこの定数増の問題でありますが、今回の法律案による増員は、昭和五十年度から昭和五十二年度までの三カ年計画に基づき、海上自衛隊八百九十人、航空自衛隊九百十七人、計一千八百七人の増員をしようという、こういう説明があったわけであります。  そこで、第一の質問として、今回の海空増員は、それぞれ艦艇の就役に伴うもの、航空機の就役に伴うものと、こういう説明がありました。で、第八十回の国会においてこの法案提出時の欠員数を調べてみますと、海上自衛隊が四万一千三百八十八人の定員に対し、現員が三万九千四十人、二千三百四十八人の欠員、航空自衛隊が四万四千五百七十五人の定員に対し、現員が四万二千百六十九人で二千四百六人の欠員、双方合わせまして四千七百人もの欠員が生じておるわけであります。この欠員数は一体その後どうなっておりますか、最も新しい資料でこの海空、あわせて陸上自衛隊の欠員の状況についてもひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  27. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 一番新しい時点での状況というお尋ねでございます。五十二年、本年の九月末現在の数字を申し上げます。陸上自衛隊では定員十八万でございますが、現員十五万三千九百九十一名、欠員が二万六千飛び飛び九名でございます。海上自衛隊は、定員四万一千三百八十八名でございます。現員が三万九千飛び八十二名、欠員が二千三百飛び六名。航空自衛隊でございますが、定員四万四千五百七十五名でございますが、現員四万二千三百十九名、欠員は二千二百五十六名。  以上の状況でございます。
  28. 大塚喬

    大塚喬君 ただいま報告のありました欠員数、この欠員数は今回の増員数の二・五倍ないし、あるいは三倍近く、相当大幅な欠員の実情であります。私ども素人の考えでは、まずこの欠員を充足することの方が先じゃないかと、何をしているのだと、こういう感じを強くするものであります。それでなお足りないということならば増員する必要もあるいはあるかもわかりません。この点については、三原長官どういうお考えでございますか。
  29. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ただいまこの定員の問題について御質問がございました。私ども常にこの充足の問題と定員増の問題についていろいろな方面から御質問を受けております。なかなか御理解していただくのがむずかしい点もあるわけでございますが、まず、私ども自衛隊として使っております編成定員という考え方から御説明申し上げるとおわかりいただけるのではないかと思いますので申し上げてみたいと思いますが、編成定員というのがございまして、陸上自衛隊については十八万の編成定員によりまして有事の際に防衛行動をとるということになっております。したがいまして、陸上自衛隊におきましてはその十八万の体制ということがきわめて意味のあることでございます。ところが、これに対しまして海空の場合には、この人員が十八万であるというようなことよりは、艦艇の数あるいは航空機の数、こういったものが防衛力を象徴するものになっております。  先生も御承知のように、各国の軍事力というものを比較する場合に、陸軍につきましては、主として編成定員何万人、何百万人いるということがその陸軍の実力というものをあらわすことになっておりますが、海軍につきましては、どういった艦種を何隻持っているということが主になってその防衛力、軍事力というものを評価するようになっております。空軍につきましては、どういう種類の航空機を何機持っているということになってまいります。したがいまして、この定員の面から見ますると、海と空につきましてはその装備変更されることに伴う人員の増減ということになってまいります。したがいまして、装備が変わってまいりますことによってこの人員というものは連動してまいるわけでございます。したがいまして、この就役に伴うものということは、当然一方において船なり飛行機が除籍になってまいるわけでございますから、そのために、それまで使われておりました定員というものを新たな艦艇あるいは航空機に振り向けまして、そしてさらに新しい性能を持った航空機、艦艇、それが必要とする人員というものをはじき出しまして、その差をお願いしているというのが現在の海上自衛隊航空自衛隊増員のお願いでございます。  そこで、それよりも人員を充足して、そのものをよそに向けたらいいではないかという御疑問でございますが、この定員の考え方からいたしますと、いま申し上げましたように、充足率を上げるということは、現在の定員で十分な訓練ができないとか、あるいは任務を多少ダウンさせなきゃならぬということはカバーできるわけでございますが、新しい航空機、新しい艦艇、こういったものを運用するための定員にはならないわけでございます。したがいまして、過去三年間この増員が通らなかったときには、船、飛行機というものは出てまいりますので、現在九十数%の充足率の中からさらにこれを割愛いたしまして新しいものに振り向けているわけでございます。したがいまして、その結果どういうことになるかといいますと、従来持っておりました装備品の運用、訓練、それが新しい艦艇の方に人員を回すということになりまして、さらに実質の充足率というものが下がってまいります。したがいまして、全体的に見ますると、やはり訓練がむずかしくなる、そしてまた、あるいは運用上の制限をするというようなことをやってまいらなければならないわけでございます。したがいまして、冒頭に申し上げましたように、この装備に連動する定員というものはお認めいただきまして、そして充足率を上げることによりまして、いま認めていただいております装備品というものを有効に運用できるようにしたいということでこの増員をお願いしている次第でございます。
  30. 大塚喬

    大塚喬君 大変ただいまの答弁を聞いて疑問をよけい大きくしたわけでありますが、そうすると自衛隊というのは象徴自衛隊ですか、憲法に定められております天皇制と同じようなそういう中身なんですか、ともかく形だけあれすればいいと。ともかくいまのお話では、どうも大変私自衛隊の運用、運営というものについて大きな疑問を感じました。
  31. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) この充足率という問題というのは、常に一〇〇%あるということではこれは人事管理ができないわけでございます。したがいまして、御承知のように毎年防大の卒業生が出てまいりますし、毎年それぞれの、たとえば少年工科学校の学生なんかが出てくるというような場合には新陳代謝というものが必要でございます。したがいまして、常に一〇〇%ということは、これは全省庁にわたって定員管理からいきますとそういうことはあり得ないと思います。したがいまして、海上自衛隊航空自衛隊におきましても九六%、あるいはそれ以上のところを充足率ということでやってまいっておるわけでございますが、一方に必要な装備品がふえてまいりますので、そういう点におきましては、現在持っているものの中で、通常の訓練などでがまんできるようなところはなるべくそちらの方に回すということで運用しているわけでございます。したがいまして、いま天皇の軍隊というようなお話ございましたけれども、現実には、かなり定員化されない、したがってそれだけ人が採れないということになってまいりますと、いわゆる現実の隊員には重荷になってきているということは事実でございます。非常にひどかった時代というのを一つだけ申し上げますと、四十八年の場合には、海空自衛隊約五千人というものが定員化されませんでした。このときには現実の問題といたしまして、レーダーサイトの運用が、各レーダーサイトにおきまして二十四時間の運用をやっておりましたのを、ある一部のレーダーサイトにおきましては八時間の運用を停止したというようなこともあったわけでございます。
  32. 山崎昇

    ○山崎昇君 ちょっと関連してあなたにお聞きしますが、いま定員と現員の関係についてあなたの説明がありました。そうすると、自衛隊は一体、この定員と現員の充足率というものをどの程度に判断されますか。私これは一般的な公務員で言いますと、大体退職率というのは四%前後ですね、退職者は。したがって、新規の採用もそれに見合って大体定員管理がなされている。これを見ますとかなりな欠員率ですね。そうすると、防衛庁で考えられる充足率というのは大体どのくらいのことをあなたがいまお考えになっているのですか。
  33. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいましたのは陸上自衛隊の場合だと思います。海上自衛隊航空自衛隊は九六%の充足率を持っております。で、その中でさらに、定員化されないためにいまよそに回しているという御説明を申し上げたわけでございますが、陸上自衛隊は八六%ということで従来まいっております。したがいまして十八万の体制の中で二万五千人程度の欠員を抱えているわけでございます。  そこで、それではどういう観点からそういう考え方をとっているかということでございますが、一つには、陸上自衛隊がいわゆる部隊訓練に支障がない範囲ということで、これは陸上自衛隊の中でも日常の生活をやっております部隊の、たとえば給食の関係とか、あるいは会計の関係、そういった日常の業務をやっているような部署には充足を非常に高めております。そしてまた、教育をやっております教育機関の充足率というのも一〇〇%に近いところに持っていっております。したがいまして、いわゆる訓練をやっている第一線の部隊の充足率というのが下がっているわけでございますが、その場合に、たとえば一つの連隊の中で四つの中隊がございます。で、その四つの中隊の中にさらに小隊があるわけでございますが、その小隊の中で部隊の訓練に必要な最小限の三個小隊なら三個小隊というものを充足しておいて、一個小隊というものは数を少なくしておく。そういうことによって全体の中隊訓練あるいは連隊訓練等が可能な範囲ということで、私どもは一応技術的に計算をいたしましたところが、陸上自衛隊では八六%程度で可能であろうというふうに判断をしているわけでございます。
  34. 大塚喬

    大塚喬君 率直な感じを言わせていただくと、自衛隊の運営というのは、定数をそろえて、外国にも見てくれと、そういう象徴的な内容という、そういう感じを受けたわけでありますが、この点に関してもう一点お尋ねをいたしますが、このたびの増員は比較的充足率がよい、そして頭打ちになっております幹部、曹クラス、これの定員増をねらっておるのではないか、こうも言われておるわけであります。この一千八百七人の増員海空別に、それから幹部、曹、士、このクラス別の内訳をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  35. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 増員は全部士のクラスでございます。予算的に見ますと増員は士のクラスでございますけれども編成的に見ますると、たとえば艦艇に必要な艦長のポストとか、そういうのがあるわけでございますが、ちょっといま手元にその全部の集計したのは持っておりませんので、調べて御報告いたします。
  36. 大塚喬

    大塚喬君 この定数改正の法案審議に、提案者の方でそれらの資料を出さないでこの国会審議に臨むというのは、少なくともまじめに国会審議に御参加いただいておるとは認めがたいですね、これは。当然それらの資料は用意をして、そういう内容の検討があった際に即座に説明ができるような、そういう審議でなければ国会の審議は意味ないじゃないですか。委員長、この問題をどう計らうのか、ひとつ善処をいただきたいと思います。
  37. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま御説明しましたように、増員そのものは士のクラスでございます。で、その士のクラスで増員をしていただきまして、その中で今度は階級別は別に編成上つくってまいるというものでございます。したがいまして、増員そのものは士の階級でございます。
  38. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 増員は士の階級で編成は別と、その編成は。(「ごまかしだ」と呼ぶ者あり)
  39. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 直ちに調べまして御報告申し上げます。
  40. 大塚喬

    大塚喬君 この質問に関連をして欠員との関係をやっているんですから、暫時休憩をしてください。
  41. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 保留してほかの質問を。
  42. 大塚喬

    大塚喬君 いま関連しておるので……
  43. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  44. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 速記を起こして。  午前の審査はこの程度にとどめ、午後零時三十分より再開をすることにいたします。  休憩いたします。    午前十一時三十二分休憩      —————・—————    午後零時四十二分開会
  45. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  午前に引き続き、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  午前の大塚委員質問に対する答弁を求めます。
  46. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 先ほど先生の御質問に対しまして数字を用意しておりませんでしたことを深くおわび申し上げます。  この増員の問題につきましては、もとより私ども、新しい艦艇ができ、あるいは新しい部隊ができます、それに必要な階級別の定数というものを算定いたします。そして、一方除籍になります艦艇、航空機等との差においての必要な数をお願いしているわけでございます。  先ほどちょっと申し上げましたが、募集の場合に二士の階級の者を募集すると申し上げましたのは、いまから数字を申し上げますが、それぞれの幹部あるいは准尉等になりますのには、十年あるいは十五年という歳月を要するわけでございまして、編成上、幹部あるいは曹というものができましても、これを直ちに募集によって埋めるというわけにはまいりませんので、現存おります能力を持った者をそういうところに配しまして、逐次上げてまいりまして、募集をするときには士の者を募集するというふうになっているわけでございます。  海上自衛隊につきましては、幹部につきましては、編成的に見ますると、現在四十九年度の予算定員では七千八百五十九人になっております。それが今回この法律で内訳といたしましてお願いしておりますのは、幹部の合計というのが八千二百二十四人になるわけでございます。したがいまして三百三十人の増ということになります。それから、准尉につきましては、予算定員が六百二十八人で、今回が七百二人、二十七人の増ということでございます。曹の階級につきましては、現在の予算定員が一万八千六百四十四人でございまして、今回の内容は一万九千七百八十三人でございます。したがいまして、六百十人の増ということになっております。これに反しまして士のところは、現在一万四千二百五十七人でございますが、これが一万三千五百六十九人ということになりまして、差し引きいたしますと七十七人の減ということになるわけでございます。これは艦艇、航空機等変更に伴いまして、整備員等につきましては、あるいは技術を要するポストにつきましては、当然曹以上の階級が必要であるわけでございまして、そういう観点から一つ一つ当たりました結果こういうことになっているわけでございます。  航空自衛隊について申し上げますと、四十九年度末、すなわち現行の定員の内訳といたしましては、幹部が七千九百六十四名でございます。これに対しまして新しい定員の内容といたしましては八千百三十三人でございます。したがいまして百二十一人の増ということになります。准尉が、現在六百二十一人で、今回七百五十一人ですが、これは逆に二名の減になります。曹につきましては、一万九千二百二十八人に対しまして二万一千五百九十七人になります。したがいまして四百六十九人の増でございます。士の合計につきましては、一万六千七百六十二人、それに対しまして一万五千十一人ということになりまして、士の全体といたしましては三百二十九人の増ということになりますが、この階級別増員の数字が定員総数の差と一致しないのは、この増員のほかに、いま申し上げましたように技術的なポストといたしまして、いわゆる格上げがあるからでございます。たとえばいまの航空の士では二千八十人の格上げをいたします。したがいまして三百二十九人の増という結果になるわけでございます。  これを合わせまして航空自衛隊が九百十七人、海上自衛隊が八百九十人の増員をお願いしているということになるわけでございます。
  47. 大塚喬

    大塚喬君 いまの問題に関連をして、もう一歩突っ込んで検討したいと思うわけですが、海空の幹部、曹クラス、士別の充足状況は現況どうなっておりますか。先ほど九月末現在という報告がございましたが、それに見合う九月末現在で、海空の幹部、曹、それから士別の充足状況、欠員の状況。
  48. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 陸上自衛隊から申します。  陸上自衛隊の場合でございますが、やはり同じく五十二年九月末現在でございますが、幹部は定員が二万二千——数字を丸く申し上げてよろしゅうございましょうか。
  49. 大塚喬

    大塚喬君 お願いします。
  50. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 二万二千名、現員が二万一千名で欠員が五百三十余名、それから曹が定員七万六千名でございますが、現員がやはり七万六千、これはちょっと端数を処理いたしますが、欠員が二百四十六名でございます。これは数字を細かく申しますと、七万五千九百六十六名に対しまして、現員が七万五千七百二十名でございます。それから、士が定員七万八千五百三十二名、現員が五万三千九百三十二名で欠員が二万四千六百。  海上自衛隊でございますが、幹部が八千二百名、現員が七千九百名でございます。欠員が二百七十名。曹が一万九千七百名に対しまして、現員が一万九千名で、欠員七百。士が一万二千六百名、現員が一万一千三百名で千三百名の欠員でございます。  それから航空自衛隊の場合、幹部が八千百名の定員に対しまして、現員が七千九百名で百九十名の欠員。曹の場合に、二万二千名でございますが、現員が二万七百名、欠員が八百名弱でございます。それから士が定員一万四千名でございますが、現員が一万二千九百名、欠員が一千百八十名、以上のような状態でございます。
  51. 大塚喬

    大塚喬君 ただいま二つの資料の説明をいただいたわけですが、幹部、曹クラスについて欠員が多いと、それから、この定数増は幹部、曹クラスの充足を図る、こういうことが明らかになったわけでありますが、そうしますと、より一層今回の定数増、三年前から定数増を要求しておって、三年を経過した現在なおこのような欠員の実態であり、それにまたこのような大幅な——大幅なと申しますか、ともかく千八百七人、こういう定数増を要求する趣旨が、どうも防衛庁の一体真意はどこにあるのか、大変疑問に思うわけでありますが、これならば三年間にわたって定数増を要求する必要は毫もないのではないですか、これは。ともかく、ことし現在急にこういう欠員ができたというのでなくて、三年間要求をして増員増員と、こういうことになってきたわけですが、現状から考えると、これはどう考えても定数増の必要という必要性は認められませんので、この点に関して防衛庁長官からひとつ重ねて見解をお聞かせいただきたいと思います。三年間にわたって要求しているのですからね。
  52. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほど防衛局長からお答えをいたしましたように、三幕において欠員のあることは、人事管理上ある程度の欠員は必要でございますということを申し上げました。そこで、今回お願いをいたしております増員につきましては、海空の場合には新しく設定をいたしまする装備によって定員の必要が出てくるわけでございます。したがいまして、それじゃ三年間どうしておったかということでございますが、その点につきましては、現在あります実定員の運用によって無理から無理をする、あるいはある機能につきましては十全な機能発揮を制約をしながら、そこから定員の補充というようなことで移籍をさしていく、そういうことでここ三年間を過ごしてきておるわけでございます。したがって、過重な負担をしておりますところもございまするし、また機能が、二十四時間フルに動かさねばならぬのが時間的にやむを得ず制約しなきゃならぬというような運用をいたしてきたのが現実でございます。したがいまして、できるだけ毎年毎年そうした新しい装備に補充し、充足する、張りつける定員増をお願いせねばならぬというのが現在の海空の実情であるわけでございます。
  53. 山崎昇

    ○山崎昇君 どうもなかなかぴんとこないのは、私は、定員というのは法定定員と予算定員と、それからあなた方がやっております運用定員といろいろある。いまいろいろ説明聞いたのですがね、先ほど私は定員と現員との充足率についてちょっとお尋ねしたら、これを新陳代謝があるから多少の欠員を持たなきゃなりませんと、こういう答弁であった。それは一般公務員の場合は私の承知する限り四%前後だと思っているのですが、海と空は先ほど説明で九六%前後と言いますから、大体新陳代謝を賄う程度の欠員保持ということになろうかと思う。しかし、陸上の場合は八六%ですから、これは新陳代謝を賄うなんということにはならない。そこが一つ問題点が私はあるんではないかと思うんです。  それからもう一つは、先ほど局長から、今度の充足は全部士だと、こう言う。ところがいま聞きましたら、曹とか幹部にかなりな欠員がありますね、ところが任用上からいきますというと、士から曹に変えるわけでしょう。曹として初めから募集するわけじゃありませんね。そうすると、私はこの曹の欠員ということがなかなか理解しにくくなってくる。全部が士が欠員であって、いろんな事情があって入れられなかった。そして、部隊編成上これはどうしても必要だから定数増と言うのならまだ私は理解をしてもいいと思う。ところがそうでなくて、曹に欠員があって、説明は、士に全部定員を充てるんですと言うから、ここになかなか理解しにくい点が第二として出てくるのですね。  それから第三は、部隊の編成上階級別はなるほどぼくらもわかります。しかし、定数を要求するときには士を要求をして、実際の編成は階級別にやりますというところにこれまた問題点が出てくる。そういうところが何とはなしにもやっとするものだから、聞いている私どもの方もなかなか理解できない、こうなると思うのです。したがって、いま私は二、三の点疑問に思うものですからお聞きをしたんですが、その点についてひとつ解明をしてほしいと思う。
  54. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ただいまの御質問の第一点でございます陸上自衛隊八六%は、これは新陳代謝ではないではないか、まさにそのとおりでございます。私が先ほど説明いたしましたのは、その新陳代謝のために必要なものとしては海空、すなわちいま先生が御指摘になりましたその四%というのが海空でございますということで、陸上自衛隊につきましては、平時の訓練が十分にできる体制ということで一応八六%というのをめどにしているわけでございます。このことにつきましてはいろいろ御議論があると思いますが、世界の各国にいたしましても、陸軍につきまして全部の師団を一〇〇%充足している国というのはほとんどないわけでございます。で、非常に重要な場所の師団というものは一〇〇%近い充足をしておりまして、その次の線上にあります師団というものは五〇%、さらに後方におきます師団というものは、通常の場合には三〇%程度の充足というようなことで平時の訓練をやっておる。そして有事の際にはその一〇〇%の体制でもって戦闘力を発揮するというふうに、常識的に言いまして陸軍というのはその訓練が十分にできる体制というものを維持するということをやっているわけでございます。もちろんこれは一〇〇%に近い充足を持って実員の指揮をやるということが望ましいわけでございますけれども、いろいろな事情がございまして、訓練ができるという八六%を考えているというのが現状でございます。  第二点の、曹が欠員で、そして士を採るというのはおかしいのではないかという御質問でございますが、やはり人事管理上からいきましても、幹部あるいは曹というところにある程度の欠員というものは必要でございます。といいますのは、ある年期がまいりますと士の中のものは当然選ばれて曹になるわけでございます。したがいまして、そういった階級別にもそれぞれのある程度の欠員というものを抱えておかなければ円滑な人事運営というものができないわけでございます。したがいまして、この曹の階級にも欠員を抱えているというのが実情でございます。  それから、士で充足するのはおかしいではないかということでございますが、私が申し上げましたのは、募集をするのは士でございますという意味でございまして、そのための予算というものをお願いしているわけでございまして、その士が入ってくるということによって、ある程度の年期を経て、そして上の階級に行ける者はまた上がっていくというわけでございます。したがいまして、現状におきましては、上に上がれる者があってもなかなか上がれないというようなこともあるようなわけでございまして、それぞれの階級にある程度の欠員を抱えているというのが現状であるわけでございます。
  55. 山崎昇

    ○山崎昇君 せっかくいま御説明いただいたんですが、どうしても私わかりませんのは、曹とか幹部クラスは、いまお話のありましたように、年数が来て資格ができた者が士から上がっていくことはそのとおりだと思う。ところが、あなた方が新しい艦船だとか、そういうものを編成するときには艦長とか階級別に私は設定されると思うんです。だから、一般の充足率は別にいたしまして、もし三年前からその部隊編成に必要なら、その曹については定数上できちんとすべきものであって、定数上は全部士であって、それを採用してから、さて部隊の階級別に来た者を上げますよと言うから私はちぐはぐになるんじゃないかと思うんです、この説明が。その辺が質問者がやっぱり納得できない点じゃないかと思う。そういう意味で曹の欠員ということについて私どもどうもぴんとこない。だから、部隊編成するのに、たとえば曹十名なら十名、それは士から入れてありますと、しかし一般的に人事管理上、運用上、曹については、たとえば四%前後ならば四%前後は運用上の欠員として持っておりますと言うなら私はまだ話がわかる。そうではないんです、あなたのいまの説明を聞きますと。その辺がぴんとこないものですからもう一度ひとつ。
  56. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 私の説明が足りなかったかと思いますけれども、確かにいま先生がおっしゃいましたように、新しい艦艇ができたときには、艦長の一佐あるいは二佐以下それぞれの階級が必要でございます。したがいまして、その運用に必要な者は現員の中から抜いていってその艦艇につけているわけでございます。そしてまた、それぞれの部署につきまして与えられました階級というものにつきましては、内部の訓令におきまして一階級上下はこれを許容されております。したがいまして、そういうような人事管理をやりまして、端的に申しますと薄めているようなかっこうになっているわけでございます。そして必要な者をできるだけ上の仕事をさしておきまして、そして新しい者を採って教育をしていくと、そういうことになるわけでございます。
  57. 大塚喬

    大塚喬君 どうも山崎委員が納得できないように、私もいまの説明ではどうも納得できません。まあここで余りかかずりあっていることもいかがかと思うものですから、定員の問題で、先ほど説明のありました陸上自衛隊の定員の問題について少しくお尋ねをいたしたいと思います。  陸上自衛隊が四十八年に一応十八万人と、この体制が完成をしたわけでありますが、現況は先ほど説明によりますと二万四千六百人、こういう膨大な欠員の状況であります。で、この陸上自衛隊については、防衛庁長官お尋ねをいたしますが、今後増員と、こういうことはないとここで確認いただいてよろしゅうございますか。
  58. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) この点につきましては、大綱に決めてありますように十八万定員でいくということでございますので、大綱を変えない限り十八万でまいるところでございます。したがって、定員増は現在のところ考えておりません。
  59. 大塚喬

    大塚喬君 海空については、これは三年間続けて提案をされておる現況でありますし、毎年定員増が要求をされておるわけであります。五十三年度の防衛庁概算要求においても海上で六百八十人、航空で七百九十三人、統幕で七人、計一千四百八十人の増員要求が出されておるようであります。で、海空については、その増員要求が装備の調達計画とも密接に関連していると思われるわけですが、ポスト四次防計画に海空自衛隊増員計画、これはもう装備の方やなんかの四次防の計画ができておるわけですから、それに伴う人員の増ということも当然当局としては計価をお持ちのことと思います。で、今後の増員計画、これをひとつ、四次防計画を実現するための今後の海空自衛隊増員計画を説明いただきたいと思います。
  60. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいましたポスト四次防ということでございますけれども、御承知のように、四次防までは大体五年間を一つの区切りといたしまして、その間にどういう装備を持ち、それに伴うどういう増員が必要であるかということを検討してまいりました。しかし、ポスト四次防ということになりますと、防衛計画の大綱に定められております内容につきまして、いわゆる装備品のリプレース、そういったものを中心にやるわけでございますので、艦艇がかわっていく、あるいは飛行機がかわっていくということはあるわけでございますけれども、ポスト四次防の何年間の期間に何人という増員の計画というのは持っていないわけでございます。しかしながら、いずれにいたしましても、四次防というものにおきまして、自衛隊防衛力といいますか、自衛力、これは一応概成したということになっておりますので、従来、四次防まで量的な増強計画を含めた内容になっておりませんので、増員というのはいずれにしてもそう多くないというふうに見込んでいるわけでございます。
  61. 大塚喬

    大塚喬君 はっきりおっしゃってください。増員計画の計画表があるんじゃないですか。
  62. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは増員計画表というのは持っておりません。したがいまして、たとえば来年度こういう艦艇を要求する、あるいはこういう航空機を要求する、その艦艇、航空機に必要な人員はどれぐらいであるか、一方、その装備に従いまして落ちていく飛行機あるいは艦艇、こういうものが何人ぐらいになるか、そういうのを計算しながら毎年必要な最小限度のものをお願いしていくという考え方に立っておるわけでございます。
  63. 大塚喬

    大塚喬君 装備計画の方が長期計画というものを持って、これに伴う人員ということが、艦艇や航空機の就役に伴う人員増ということが必要になってくる、こういう先ほどからの説明でありますので、当然ある一定期間の長期計画と申しますか、中期計画というのはあるはずだなと、私はこう見ておるわけなんですが、それは一体ないんですか。  それから、いまこの審議をしておる問題と重要な関連があるわけですが、先ほどの五十三年度の概算要求、海上での六百八十人、航空での七百九十三人、それから統幕での七人、これの幹部クラス、曹クラス、士クラスの増員の内訳は一体どういうことになっておりますか、明らかにしていただきたいと思います。
  64. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 増員の内訳はいま先生がおっしゃったとおりでございますが、この階級につきましては、いま私手元に持ってきておりません。したがいまして、いま大蔵省と折衝中でございますので、細かいところはいまここに持ってまいっておらないわけでございます。
  65. 大塚喬

    大塚喬君 委員長、注意してくださいよ。この定数増の審議に際して、その内容を具体的に明らかにしないで検討するということは不可能でしょう、これ。そういう資料を持参しないで定数増の審議をするということは国会軽視もはなはだしい。当局がまじめにこの国会審議に参加しておらないということで、こちらの方もそれに伴って本気になって審議する気が起きないじゃないですか、これは。委員長から厳重注意をしてください。
  66. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) お聞きのとおりでありますので、今後十分資料を整備の上で審議に臨まれるよう強く要望いたします。
  67. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ただいまの御質問は五十三年度の棚卸要求中のものと伺いましたので、この内容をいま手元に持ってきていないわけでございます。
  68. 大塚喬

    大塚喬君 大変遺憾であります。ひとつ資料として速やかに提出をされるように要求をいたして次に質問を進めます。  年々伸びる防衛関係予算でありますが、その中で人件費、それから糧食費、被服費、医療費、いわゆる人にかかわる経費の割合がかなり高くなっておるようであります。五十二年度防衛本庁費に占める割合は六〇・八四%に達しておりますが、これは年々この数字が伸びておるように見受けるわけであります。わが国防衛体制において、現在自衛官にかなりの欠員がある。一方、陸海空自衛隊に二十六万六千人もの定員を常時配置するたてまえになっておるわけでありますが、そういう中でこのたびの人員増、そして五十三年度の人員増も要求をされておる。とすれば、より一層人件費、いわゆる人にかかわる関係予算が全体予算の割合で大きくなってくることは当然の成り行きであります。このことは財政硬直化の大きな原因になっておる。このことは、一般行政の中でそういうことがしばしば指摘をされて、その改革の論議がなされておるところでありますが、自衛隊はこれらの問題には全く無関係に、無風状態の中で定数増という要求をされておるわけでありますが、そこで、現在の世界情勢、緊張緩和という方向は何人も否めない現実の姿であり、まことに喜ばしいことだと、こういうふうに私ども考えておるわけでありますが、わが国でも、直接わが国に対する脅威、こういうふうなものは現況考えられないと申しますか、ともかくそういうことが、以前の事態よりはきわめて好転をしておる、薄くなっておると、こういう私ども理解をしておるところでございます。で、この自衛隊の定数増、自衛隊の定員だけ有事即応体制をとっておく必要が一体あるんだろうかと、大いに疑問が残るわけであります。で、この自衛隊の定数増という問題と、一般行政機関の定数問題、これは給与費関係が次第に増加をして財政硬直化と、こういうことで昭和四十三年以来たび重なる定員削減を一般行政機関は受けておるのであります。これに対して、ポスト四次防の計画に基づく基盤的防衛の構想においても定数はそのままになっておるわけでありますが、この一般の公務員に対して、防衛庁長官お尋ねをいたしますが、防衛庁だけが自衛隊の定数増を要求する、これはバランスを失することになるとお考えではございませんか。財政硬直化というこういうことに対して、自衛隊というところ、防衛庁という関係はどういうふうにこの問題をおとらえになっておるか、基本的な長官の考えをお尋ねいたしたいと思います。
  69. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 一般公務員と自衛隊との関係において、同列でいまの硬直化問題がございまして、確かに防衛庁予算におきましても人件費が増加をいたしてきた今日までの経過でございます。その点におきましては、人件費の増大が、他の装備関係あるいは基地関係等の費用に対して、そうした硬直化の結果を生むのではなかろうかという御指摘でございます。私ども、御承知のように四次防までにおきましては、周辺各国の軍備の状態等を勘案しながら四次防までの防衛庁装備なりあるいは全体の体制整備のために向かってまいりましたが、ここで基盤的防衛力というような構想を打ち立てることによりまして、大体現在の防衛の規模は、内外の諸情勢を見てまいりました場合にこの程度でよかろうという決断を下したところでございます。そういう点で、その防衛体制の質的な整備に向かってこれから先努力をしてまいるというような方針のもとに今日の防衛力整備をいたしておるわけでございます。  いま御指摘の具体的な中身につきましては、経理局長から答弁をさせたいと思います。
  70. 原徹

    政府委員(原徹君) 御指摘のように、人件費の割合が防衛関係費の中で、特に石油ショック以後のインフレがございまして人件費のべースアップが非常に高くなったということで、防衛関係費の中で、昭和四十八年度は人件費と糧食費と合わせまして四六・五%でありましたのが、五十一年度には五六%までなった。五十二年度はべースアップの率が若干マイルドになった関係でその割合が五五%と若干減りました。しかし、この五五%と申しますのは、過去に比べてもちろん非常に高いわけでございます。しかし、今後インフレがないということでございまするならば、やはりこの人件費の割合は私どもは減っていくだろうと思っております。  それから、いまの自衛官一般公務員でございますが、これはやはり国の防衛の必要ということで、一般公務員と機能が大分違うように思います。したがいまして、自衛官は総定員法の枠内ではございませんで、総定員法の枠外にそういう機能の違いということからなっているわけでございます。ただし、防衛庁におきましても、一般の事務官、シビルというのがございます。これはもちろん総定員法の枠内でございますから、毎年定員削減の対象になっているわけでございます。  それともう一つ申し上げますのは、先ほど充足率の問題がございまして、実は陸上自衛隊について八六%という数字でございます。これはいろいろ防衛庁の訓練に最小限必要なものとして八六%ということでございますけれども、確かに先ほどの人件費という財政上の問題も半分ぐらいの理由になっておるわけでございまして、そういうことで、予算がつけば八六%よりもっと多い方がよろしいのでございますけれども、そういう点も財政に協力するという意味で、八六%で訓練に支障がないという意味で私ども協力していると、こういうわけでございます。
  71. 大塚喬

    大塚喬君 この定数増の問題は、各一般行政機関とのバランスは考慮する必要はないと、こういう御主張でございますね、これは別だと。こういうことがいまの答弁にうかがわれたわけであります。  それから、人に伴う経費、この問題が五五%ということがございましたが、私が持っておる数字と五%以上の開きがあるんですが、これはどういうところから出ておるのかですね、一体人に伴う経費、それが総額幾らで、装備関係に伴う費用が幾らでそれぞれ何%、その他の予算が幾らでそれが何%か、ひとつその内訳も明らかにしていただきたい。私が指摘するのは、六〇%ともかく超える、そういう人件費、そのことは財政硬直化につながる原因だと、こういうことを指摘しておるわけですから、そこのところをはっきりさせてください。
  72. 原徹

    政府委員(原徹君) ただいまの数字の点でございますが、たしか六〇・八という数字を御指摘になったんだと思いますが、これは防衛本庁の経費を一〇〇としてやりますと六〇・八になります。私が申しましたのは、施設庁等を入れまして防衛関係費というのが一般にGNPの何%というときに使う数字でございますので、防衛関係費をもとにして計算をいたしますと、それが五十一年度で五六%になるわけでございます。  それから、いまのやはりシビリアンは、先ほど申しましたように防衛庁にもおりますので、それはいまの総定員法の枠の中でございますから、毎年定員削減の対象になって、それはそういうふうにやっておるわけでございまして、自衛官はなぜ総定員法の枠の外になっているかと申せば、それはシビリアンと自衛官との機能差、機能の差であるというふうに私どもは考えておりまして、その自衛官の方は、やはりその国の防衛の必要の方からくる計算でやるのがよろしかろう、こういうことで総定員法の枠の外になっておるということであります。
  73. 大塚喬

    大塚喬君 財政硬直化を打開する方法として、定数減という問題が各省庁で昭和四十三年以降十年間も真剣に論議をされ、大変なそれぞれの省庁ではむずかしい問題を抱えておられると思うんです。いま防衛施設庁を含めると五五%の人件費と、こういうことでありましたが、防衛庁そのものの予算では人件費は六〇・八四%になるはずであります。そこへまたこういう定数増を、来年もまた重ねて定数増をと、こういうことになりますと、国の予算がいろいろ、先ほど答弁の中には制約を受ける、こういう答弁がございましたが、自衛隊だけはそういう他の行政機関とのバランスを離れて、そして、財政硬直化という問題はわれ関せずえんということでこういうことをされることについて納得できないと、こういうことを私は論議の焦点にしておるわけですので、この点に関して、防衛庁長官から、自衛隊の国防上のそういう性質からこの増員についてはそれはもうがまんしてもらうんだ、やむを得ないんだと、こういうことのお考えかどうか、ひとつ重ねてはっきり明確な御答弁をいただきたいと思います。
  74. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほども私は申し上げましたが、内外の諸情勢、特に先ほど先生も御指摘でございましたが、この日本が外国から脅威を受けるような状態でないではないかと、当分の間そういう見通しがつくではないかという御指摘がございましたのでお答えをいたしたのでございまするが、そういう情勢判断をいたしましたので、基盤的防衛力という、一つのそうした理由のもとに基盤的防衛力の設定を昨年いたしたのでございます。したがって、そこでいま言われましたような防衛力整備について、防衛体制全般を見渡しながらそうした基本的な方針を確立し、防衛計画大綱というようなものを設定をしたのでございます。これは、そうした御指摘の点を踏まえての防衛庁の反省であり、また政府防衛力整備の方針であるわけでございます。  なお、いまも経理局長が御説明をいたしましたように、内局も施設庁ももちろん防衛費でございます。そういう点につきましては、シビリアンに関しましては、いま申し上げましたように十分そうした硬直化の打開のために政府の方針に沿いながら人事管理をいたしておるということでございますので、御理解を願いたいと思うのでございます。
  75. 大塚喬

    大塚喬君 いまの答弁を聞いて、より一層私の考えを、確信というか、そういう感じを深くしたわけですが、最近の国際情勢変化、こういうことから、定数増というよりは自衛官の定数を削減をして部隊編成を教育訓練を重点とした、平時編成にすること、こういうことがいま国家財政の異常な困難な時期の中にあってより必要な措置ではないかと、こう考えるわけですが、この点、長官いかがでしょう、お考えは。
  76. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 有時に即応する体制でございますが、それはいまのところ平時の体制でございます。したがいまして、これがほかに平時の体制というものがあるのかということになるわけですが、それは私は現在の体制が平時の体制でもあるし、有時にも即応する体制でもある。そういう考え方のもとに立っておるわけでございまして、いまの防衛体制を現況にかんがみて変革をするというような考え方にはなっておらないところでございます。
  77. 大塚喬

    大塚喬君 前に防衛庁では、その合理化と、人員面を合理化するという、こういうたてまえで部隊機能の民間委託、それから省力化、こういうことの検討をいただいておるという話を聞いたわけでありますが、その結果は現状どうなっておりますか。
  78. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生が御指摘になりました増員をなるべく抑えるという意味で、いろいろなできる限りのものを部外に委託するということで努力をいたしてまいりました。したがいまして、現存におきましても、たとえば陸上の基地におきます給食関係といいますか、そういった関係は部外に委託したり、あるいは一部の経営のようなものも部外に委託したりというようなことで努力をいたしております。しかし、現在の自衛隊の業務を実際に行うために、まあ非常に端的に申しますと車の整備あるいは飛行機の整備、そういったものも含めて部外に委託できるのではないかというふうな検討もいたしましたが、いまのところはまだそこまでの結論を得ていないわけでございます。といいますのは、ただいま大臣からも申し上げましたように、平時編成、有時編成ということではございませんで、現在のこの自衛隊で有時の際には即応体制をとらなければならないというようなことで、一応検討はいたしておりますが、その後はっきりした結論を得るには至っていないというのが現状でございます。
  79. 大塚喬

    大塚喬君 他の官庁がすべてそういうことで努力をされておるのに、ひとりらち外に防衛庁だけが立っておられるということもこれはいかがかと、こう思うわけでありますが、いまの問題については、定数増というよりはそういうところを努力を重ねて、財政の大変困難な時期に重ね重ねの定数増という要求があるべきではないと、こう考えるわけでありますが、この点、長官の御見解をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  80. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いま防衛局長からお答えをいたしましたように、それ以外にたとえば特科部隊におきましてのシミュレーターの設定によって省力化をやる、あるいは通信関係整備をして省力化をやる、そういう点につきましては、防衛庁といたしましてもそうした国の政策の路線に沿いながら努力をいたしておることは先ほどお答えいたしたとおりでございます。
  81. 大塚喬

    大塚喬君 この定数問題は、また後ほど質問を続けることにいたしまして、先般来大変論議を呼んでおりますF15戦闘機の給油、爆撃装置の問題について少しく質問をいたしたいと思います。  F4E採用決定当時の昭和四十三年、当時の増田防衛庁長官は、米空軍が装備をしている核爆弾装置はもとよりこれを備えない、また爆撃装置、すなわち空対地レーダー、爆撃用コンピューター、コントロールボックス等のいわゆる爆撃専用装置は一切施さない、これは昭和四十三年の十一月十二日の衆議院内閣委員会で増田防衛庁長官の答弁内容であります。四十八年、当時の田中総理が、野党のF4Eの空中給油装置の取り外し要求に対して、空中給油機は保持せず、訓練もしない、装置については、二点給油のため地上の用には供するが空中給油の機能には使えないようにすると、こういう発言があったことは御承知のとおりであろうと思います。これは昭和四十八年の四月十日、参議院の予算委員会での田中総理の答弁であります。このようにF4E戦闘機から爆撃装置及び給油装置を取り外した理由としては、四十七年防衛庁が出した統一見解、「わが国の戦闘機の「爆撃装置」について」、ここの中に明らかに述べておるとおりであります。行動半径の長い戦闘機に爆撃装置を施すことによって他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるとの誤解を生じさせかねないためであると、こういうふうに受けとめておるところであります。今回の参議院の論議においても、次期FX採用予定のF15戦闘機については、一、爆撃装置は対空射撃装置とコンピューターが一体のため取り外すことができない、二として、空中警戒態勢が必要であり、空中給油装置は取り外さない方が防衛上から適当である旨の理由で装置は取り外さない方針が表明されてきたところでございます。  で、質問の第一として、爆撃装置については、単に技術上取り外しが困難の理由で取り外さないことにしておるのであります。F15の航続距離は四千五百ないし四千七百七十キロと、こう伝えられておるところで、F4Eの二千九百六十、この航続距離から比べますとこれを上回っておるのであります。さきの統一見解にある行動半径の長いものに爆撃装置を施すことは他国に脅威を与える点の解釈、いつどこでどのようにしてこういう見解が防衛庁から出されたのか、それらの経緯について長官から御説明をいただきたいと思います。
  82. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたしますが、わが国防衛力はあくまでも憲法にのっとり、そうして私どもといたしましては、わが国に自衛のため必要最小限度の防衛力整備をいたしまして、決して他国を侵略したり、攻撃したり、あるいは脅威を与えるようなことはしないという基本方針と申しますか、そういうものはあくまでも堅持していく方針でございます。なお、いま御指摘の、この基本方針が、どうもF15の場合に変更したのではないかというような御指摘でございますが、決してそうではございません。いまのF15の性能というようなもの、あるいは搭載機器というようなものを存置いたしましても、いま申し上げましたような、他国に対して脅威を与える、そういうものではございませんということを申し上げておるのでございます。もちろん、田中総理あるいは増田長官がその時点において申されましたことも承知をいたしておりまするが、その当時におきましては、世界列国の航空機の技術の状態、あるいはそれに基づきます性能、そういうものを判断しながらこれに対処していくということでございまして、その当時におきましては、いま御指摘のような支援戦闘機としての装備というようなものは、かえって脅威の誤解を招くから取り外すべきであろうというような立場で当時は取り外したのでございます。現時点におきましては、列国の航空機の技術の向上なり性能の向上、またわが国の地勢的な環境なり、あるいは運用、また日本防衛に対しまするシビリアンコントロールの徹底、そうしたたてまえから、私どもといたしましては、そういう基本方針を変えたのではなくして、そうした現在時点における列国の航空機状態、あるいは国内的なシビリアンコントロールのそうした定着、そういうものから考えて、方針を変えるのでなくて、列国のそうした航空機技術なり性能の向上に対処して日本防衛に当たるというようなところから、実は今回のF15の搭載機器について、支援戦闘なりについて、あるいは給油装置等について、そのままの状態で置きましても、基本方針を踏まえてこれを変更するようなものではないという立場に立っておるわけでございます。  なお、当時のF4なりとの関連等において、技術専門的な、あるいは機能の専門的な御意見がございましたので、この点につきましては防衛局長から説明をさせます。
  83. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ただいま先生から御指摘がございましたファントムのときの問題と今回の問題でございますが、まず、私どもが五十三年度の予算F15をお願いするに当たって検討いたしましたときに、ファントムができましたときのその飛行機の目的と、F15の持っている目的、これの違いというものを詳細に検討したわけでございます。御承知のように、ファントムができましたときには、この飛行機は、要撃戦闘機というよりはいわゆる戦術戦闘機として、地上の攻撃力、こういうものを付加するということが一つの目的であったわけでございます。それは、御承知のようにF104というのがきわめて要撃に適した戦闘機でございましたが、その後世界各国の戦闘機の開発に当たりましては、要撃のみではなく多用途の飛行機をつくろうということでできてまいりまして、その傑作機としてできましたのがファントムでございました。したがいまして、ファントムというのは、もちろんそういった爆撃能力というものも当時としてはきわめて高かったわけでございますが、同時に、きわめてすぐれた飛行機でございましたので、要撃機といたしましても一流であったわけでございます。私ども防衛庁航空自衛隊といたしましては、当時やはり爆撃機そのもののスピードが非常に速くなったというようなことから、すぐれた要撃機ということでファントムを採用いたしたわけでございます。しかしながら、日本のように要撃専門にこのファントムを使ったというのはきわめて例が少のうございまして、世界各国約四千機のファントムが採用されておりますが、そのほとんどは、要撃任務と同時に同じぐらいのウエートを持って対地攻撃能力というものを評価しているわけでございます。ところが、F15という飛行機は、これは新たな世代の飛行機でございまして、今後一九八〇年代以降に主として要撃任務につくわけでございますが、その時代になりますと、ファントムがつくられましたときの爆撃機に対する要撃任務というだけでは足りなくて、すでに第三世代と言われております飛行機があらわれておりますが、いわゆる戦闘機が非常に長距離の航続距離を持ってまいりました。それからさらに、エンジンが大きくなりました結果、きわめて高い高度で進入してくるということも可能になったわけでございます。さらにまた、ミサイルが発達いたしまして、戦闘機によりまして遠い空域からの攻撃というものも可能になってまいったわけでございます。したがいまして、この戦闘機に対抗するためには、要撃機も空中に行ってかなり強力な飛行性能を持ちまして、いわゆる空戦といいますか、ドッグファイトと言っておりますけれども、そういったものにも対抗できなければならないわけでございます。したがいまして、低空で進入してくる飛行機あるいはそのドッグファイトをやるということになりますと、燃料の消費量というものは、普通飛んで一回の攻撃をするのに比べましてきわめて多量の燃料を使用するわけでございます。そういったことなどもございまして、このF15という飛行機の優秀性に着目いたしましてこの採用をお願いしているわけでございますが、ただいま申し上げましたように、F15という飛行機は要撃機能というものはきわめてすぐれております。しかし、それに対しましていわゆる爆撃機能というものにつきましては、ファントムができました当時ファントムに付加されましたほど大きなウエートを持っていないというのも事実でございます。それからまた、ファントムを採用したときに比べますと、空中警戒待機というものがきわめて重要な運用の要素となってまいったわけでございます。したがいまして、空中給油装置なくしてもできるだけ足の長い飛行機で空中警戒待機というものを実施したいというふうに考えておるわけでございますが、この空中待機をやりますときに、たとえば基地がやられたときには遠くから行ってやらなければならないというような問題が生じてまいります。そういうときには、空中給油装置を持っておりまして、その航続距離を延伸することによりまして、少ない飛行機で効果的なオペレーションが実施できるというふうに考えているわけでございます。何といいましても、ファントムのときに核爆弾を積んで攻撃できるというようなことから、この誤解を与えないというような意味で爆撃照準装置を取ったわけでございますが、F15にはその爆撃能力といたしましては核爆弾を積むこともできません。そしてまた、現時点におきます能力としましては、相対的に見ましてファントムのときの爆撃機能というものに比べますと飛行機自体としては低下しているわけでございます。さらにまた、この空中給油能力によります航続距離の延伸というものは、そういった空中待機というものを重視して、ぜひこれを装置さしていただきたいというふうに私どもは考えているわけでございます。   〔委員長退席、理事林ゆう君着席〕
  84. 大塚喬

    大塚喬君 お話を長々お聞かせいただいたわけですが、率直に言って答弁になっておらないと、こういう感じがいたします。この統一見解は廃止をされるんですか、どうですか、そこをはっきりさしてください。廃止したんですか。
  85. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 当時の統一見解と申しますか、航空機整備に対する基本方針というようなものは、そうした性能あるいは機能というようなところでなくして、私は基本的な方針は外国を侵略しない、攻撃をしない、そして脅威を与えないという、そういう基本方針は変えておりません。あくまでも憲法にのっとってわが国の専守防衛の体制という基本方針を踏まえておるわけでございます。その方針にのっとって私どもの専守防衛体制の中の対空関係整備をするという、そういう視点におきましては、私はある意味で変更かと言われますれば変わった事態であると。それは先ほど来申し上げておりまするように、世界列国の航空機の技術の進歩、機能の向上というようなものに対応する処置をとらざるを得ないという立場から、今日の搭載いたしておりまする支援戦闘機能であるとか、あるいは給油機能というようなものの装備の設置というようなものを取り除いてはおりませんということを申し上げておるところでございます。
  86. 大塚喬

    大塚喬君 そうだとすれば、統一見解は廃止をするか、変更するか、それ以外にこういうことはあり得ないはずです。で、私が特にここで指摘をしたいことは、その専守防衛基本方針、これがこのことによって重大な変更があることを私は指摘せざるを得ません。世界の航空機が進むんだからということで、ソ連の、あるいは朝鮮民主主義人民共和国の、あるいは中国の、ベトナムの、そういう距離が何か変わって、遠ざかっていったのか、他国に脅威を与えないと。他国の脅威ということを考えてまいりますと、先ほどの専守防衛基本方針というものと、防衛庁は明らかにその当時の統一見解と今度は重大な変更があるので、このことについて変更したのかどうか、重ねてひとつ明らかにしていただきたい。
  87. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 基本方針はあくまでも変えておりません。憲法にのっとりまして必要最小限度の防衛力整備をしていく、そして外国を侵略したり、攻撃したり、あるいは脅威を与えるような——方針は変えません。そういうようなことでございまするから、基本方針は変えておりませんが、しかし防空という任務を持っておるわけでございまして、その防空戦闘に対する列国の飛行機の技術の進歩なり、あるいは機能の向上に対処する私は体制については、今日のようなF15のような装備というようなものを取り除くというようなことはいたしておりませんということを申し上げておるところでございます。
  88. 大塚喬

    大塚喬君 答弁にならない。
  89. 野田哲

    ○野田哲君 これは大変重要な問題なんで関連して伺いたいと思うんですが、昭和四十二年に佐藤総理国会で述べられているのは、これは爆撃装置を持つか持たないか、こういう問題のときですけれども、他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるがごとき装備自衛隊の限度を超える、こういうふうに答えているわけです。それから、増田防衛庁長官当時の問題としては足が長いからということが非常に問題になっているわけです。足が長いから、そのことが他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるから空中給油をどうするかと、こういう問題が四十八年に問題になっているわけです。足が長いか短いかということが、他国に対して侵略的あるいは攻撃的な脅威を与える、こういうことで当時空中給油装置はふたをしたわけです。つまり、いまの防衛庁長官の答えから言えば、侵略的な意思を持っていなければどういう装備を持ってもいいんだと、こういう解釈と私は承るわけなんです。しかし、防衛庁が出している方針によると、侵略とは何かということについて防衛庁は本に書いていますね。侵略とは、まず侵略的な装備と侵略をするという意思、この二つの要素が結合して具体的な侵略行為になっていくんだと、こういうふうにことしの防衛白書でも書いてあるわけです。いままでの国会論議においても、侵略的な意思は持たないということと侵略的な装備は持たない、これが専守防衛の範囲内だと、こうなっているわけです。いま三原防衛庁長官がそのいままでの経過変更すると、こういうことであれば、意思さえ持っていなければどんな装備でも持っていいんだと、私はこういうふうに非常に大きな変更された解釈として承ったんですが、それであれば、もう一遍それをきちっとした文書にしてこの内閣委員会へ提示をしてもらいたい、こういうふうに思うんです。
  90. 大塚喬

    大塚喬君 質問者の私からも、いまの問題はこれは重大な変更認めざるを得ない、こういうことでございますので、それらの経緯について、具体的なその内容について、現に四十七年の十一月の七日に防衛庁から統一見解が出されておるのと明らかに相違をいたしておるものですので、これを正式の文書として本委員会に提出されるよう要求をいたします。  で、時間が参りましたので、質問は後でまた続行させていただくことにして、本日の私の質問はいまの要求をしてこれで終わりとさしていただきます。
  91. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) ちょっと補足をさせていただきます。  いま野田先生から、意思さえ云々ということでございましたが、あの当時も書いておりますように、本来的にその航空機が侵略機に値するような航空機であるかどうかということもあるわけでございます。それと、私が申しておりまするのは、政治優先の日本の体制、まあ意思の問題かということに通ずると思いますが、そればかりでなくして、私は防空の任務を遂行せなければならない、そういうことでございまするので、侵攻してまいりました列国の航空機の技術なりあるいは性能の向上したものにどう対処するかということも同時に考えていかねばならぬと思うのでございます。そういう点から、私は今回防衛庁において——まだ政府決定をしたわけではございませんけれども、最終的には国防会議の議を経て御決定を願うわけでございまするが、そういうことでございまするので、ひとつそういう点も御配慮を願いたい。航空機一般的な技術進歩と性能の向上というものにどう対処するかという点もひとつお考えを賜りたいと思うのでございます。  なお、これに対する内閣委員会にそうした防衛庁としての考え方を書き物に書けということでございますので、その点はひとつまとめて提出をいたしたいと思います。
  92. 野田哲

    ○野田哲君 いまの防衛庁長官の見解でありますけれども、昭和四十二年に、それ以降も何回かこの内閣委員会予算委員会で攻撃的脅威、侵略的な脅威を与える装備は行わないということを言明をされているわけです、ファントムのときも、あるいはそれ以前も。そこで私は、いまの防衛庁長官の見解を聞いていると、F15は攻撃的、侵略的な脅威は与えないと、こういうふうにおっしゃっているかとも思うんです。もしそうであれば、これは装備局長ね、今日の世界の飛行機の中で他国に対して攻撃的、侵略的能力を持って脅威を与えるというように評価される航空機は一体どういう航空機があるんですか、F15が脅威を与えないんだとすれば、脅威を与える飛行機というのはどういう種類の飛行機があるんですか、戦闘機。
  93. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これは攻撃的、侵略的兵器というのは、もっぱらその相手に脅威を与えるということを任務にしている兵器であろうと思います。したがいまして、従来から御説明申し上げておりますのは、たとえば相手に壊滅的破壊を与える大陸間弾導弾のようなもの、あるいは飛行機につきましては、アメリカで言いますとB52のような四千マイルというような行動半径を持って核爆弾を積めるようなもの、あるいはまあ、それが完全に入るかどうかわかりませんけれども、たとえばF111というようなのがございます。これは七百マイルの航続距離を持っておりまして核攻撃もできるようなものでございます。そういったもっぱら相手に壊滅的な打撃を与えるための航空機、これがいわゆる脅威を与える攻撃的、侵略的兵器だというふうに私どもは考えているわけでございます。   〔理事林ゆう君退席、委員長着席〕
  94. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 私は、防衛二法に関連しましては第三航空団の三沢移駐に関連をする問題についてお尋ねしたいと思いますが、そのほか私の長い自衛隊の体験を通しまして、きわめてじみではございますけれども日本の国の防衛にとって、また自衛隊にとってきわめて重要であると考えておりますところの幾つかの問題点につきまして質問もし、また一緒に考えさしていただきたいと、このように思います。  まず第一点の、第三航空団の三沢移駐に関する問題であります。  十八日には委員会でもって地元の視察が行われるようでございますが、もう何年もかかっておりますこの三沢移駐の問題につきまして、いままで防衛庁が実施をしてきたところの地元対策、これをまず承りたい、このように思います。
  95. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 三沢基地につきましては、かねてから各種の周辺対策を講じておるところでございまして、障害防止、騒音防止、民生安定対策その他各般の施策につきまして、年々相当の予算を投じて地元の御要望を承りながら充実に努力してきておるところでございます。ただ、この第三航空団の小牧から三沢への移駐に関しましては、まだ法案の国会審議を了しておらない段階でございますので、私どもこの第三航空団の移駐に関しまして、関連しまして具体的に地元とお話し申し上げているということはまだございません。幸いに法律が成立させていただいて移駐が決定いたしました場合には、地元に対しまして改めて移駐について御協力をお願いするということになるわけでございまして、その際には地元の御要望を承りながら周辺対策につきまして御要望に沿ってできるだけのことをいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  96. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 そうしますと、現在までに大体基本的な地元との話し合い、施策というものは講ぜられてきた、したがって法律が通れば、あとさらに地元の要望その他を十分に話し合いの上で支障なくこの移駐はできると、このように考えて差し支えございませんか。
  97. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) この点は、繰り返すようでありますが、法律が成立いたしました段階におきまして、具体的に第三航空団の移駐の段取りを考えました上で、地元にその申し入れをいたしましていろいろ御要望も承っていくということでございまして、まだその具体的な段取りには入っていないわけでございます。
  98. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 次の問題に入らしていただきます。  第二番目は、自衛官の社会的な地位という問題を取り上げてみたいと思います。  今国会におきましても、栗栖発言あるいは平野発言、こういった問題に対しまして、国会の場におきまして、憲法違反ではないか、シビリアンコントロール、これがおかしいじゃないか、こういったような問題も提起をされたわけであります。これにつきましては、総理あるいは大臣の方からきわめて明確な答弁があったわけでございまして、今日、防衛庁が最近実施しました世論調査、これによりますと、大体自衛隊はあった方がいいというのが八三%ある。この内訳を見ますと、(「災害のときだよ」と呼ぶ者あり)しばらく黙って聞いてください。いまおっしゃった社会党、社会党を支持する人でも七五%は自衛隊があった方がいいんだ、七八%です。公明党でも八二%、共産党も五五%ですか、民社党に至っては九一%、自民党支持者は九三%、こういうような状況でございます。笑われますけれども、これはもう本当に世論調査の結果ですから。かつてのように税金どろぼうと、こういったようなことを言う人はもうもちろんなくなったわけです、こういうようなことでございますから。けれども、依然として自衛官の社会的地位は高いとは言えない。国際常識からすれば不当に低く位置づけをされておる、また処遇をされておる、これが実態じゃないかと私は思うわけでございます。そこで、きょうは問題点をしぼりまして、特別職の公務員でありますところの自衛官の、同じ公務員、一般職の公務員と比較したところのいろんな処遇、こういったような問題につきまして御質問したい、こう思います。  まず初めに、もちろん自衛官一般公務員としての拘束を受けるわけであります。が、同時に特別職公務員としての拘束も受けます。そこで、自衛官一般公務員との異質面といいますか、特別自衛官だけが拘束を受けておる、いろんな問題がありますけれども、どういう面が違っておるのかといったようなことをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  99. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 先生ただいまおっしゃいましたように、またよく御存じのように、自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つために、直接侵略及び間接侵略に対処する、こういう任務を与えられておるわけでございます。そのために武器を保有することができるし、必要な場合に武力を行使することもできますし、さらに武器の使用をする権限も与えられておる。こういう観点からいたしますならば、非常に特殊な、他の組織体とは非常に異質な組織であるということが言えようかと思います。そのために、その構成員である自衛官はすべて特別職国家公務員、こういう身分を与えられておるわけでございます。具体的には、たとえば自衛隊法にもございますように、隊員は、服務の本旨をよく遵守せよという規定がまずございます。そのために服務の宣誓を行う義務がございます。それからさらには、隊員は、いつでも職務に従事することのできる態勢になければならない、いわば常時勤務態勢、こういう態勢にあることを義務づけられておるわけでございます。さらには、指定の場所に居住をしなければならないという居住義務がございます。さらにまた、これは一般公務員も大体同じだと思いますが、職務遂行に当たっては、上官の許可を受けないでみだりに職務を離れてはならないという規定もございますし、職務の遂行に当たっては、上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない、こういう義務もございます。さらにまた、一般職国家公務興にも信用失墜という規定がございますが、隊法におきましては品位を保つ義務ということで、やや違った表現で威信を傷つけるような行為をしてはならないという義務を与えられておるわけでございます。それから、階級ごとに定められました、やや一般社会の通念よりも若年の停年をもって退職をしなければならない、こういう規定、あるいは退職する場合には承認権者の承認を得なければならないし、また場合によってこれを承認しないことができる、こういう規定もございます。さらにはまた、労働組合等の団体を結成し、またはこれに加入してはならない、こういう特別な義務づけがございます。  大体一般国家公務員と違った特殊な義務というものは以上のようなものであると思います。
  100. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 いま人事局長、隊法の各条項を挙げて御説明いただきましたが、私の理解によりますといろいろあります、おっしゃたように。問題は、隊法で言う任務の特性から、まず宣誓、一般公務員ももちろんやるわけですが、自衛官の宣誓においては、その中に特に、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努めなければならないんだと、こういうようなことがございます。人命は地球よりも重しといったようなことは言っておれないわけであります。さらに、もちろん命令に服従しなきゃなりませんが、この命令に服従する義務に違反した場合のいろんな刑罰、これが具体的に一般公務員では考えられないような規制が課せられておることはもう言うまでもございません。このようなことを考えました場合に、この自衛官自衛官は特別職の公務員として一般公務員に比してきわめて厳しい要求と法の拘束を受けておると、このように私自身は認識をするわけでありますが、長官、その点いかがでございますか。
  101. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 御指摘のとおり、非常な何と申しますか、服務上の制約下にあると思います。人権はもちろん十分な尊重をいたしますけれども、服務規律の面では御指摘のような規制が加えられておると思うのでございます。
  102. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 人事局長にお伺いしたいと思いますが、そのような認識に立ちました場合に、特別職でありますところのこの自衛官に対するところの処遇といいますか、これは一般公務員に対して、この拘束、この任務にふさわしい待遇が与えられてしかるべしじゃないか、このように思うわけでございますが、いかがでございますか。
  103. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 先生おっしゃるとおり、自衛官には先ほど申しましたようないろいろな制約が課されておるということからいたしまして、やはりそれにふさわしいような処遇を与える必要が当然あると思います。ただ、一つ一つ具体的なものにつきまして一般職の国家公務員と厳密には比較をいたしたものはございませんけれども自衛官自衛官独自の処遇を与えるべきであろうというふうに考えます。
  104. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 確かに歴代の防衛庁長官、または防衛庁当局、この隊員の処遇の改善という問題につきましては、どの長官も非常に心魂を傾けていろいろと努力をしていただいておるわけでございます。私ただ、ここでは時間ございませんが、一、二の例について申し述べたいと思いますが、たとえば上級職の甲と、それから自衛官のAランクに属する者、これは防大出身であるとか一般大学出身の幹部でございます。これの一選抜の昇任年齢を私比較をしてみたわけでございます。これは人事院規則あるいは防衛庁の人事規定でもって見たわけでございますが、そうしてみますと、どうも自衛官の昇任の年齢、これが一般公務員に比較すると不利な状況になっているんじゃないか、このように私自身は感じたわけであります。全部というわけではございません。たとえば一、二尉でございますと、一選抜は、自衛官の場合二十六歳、それから行政職の(一)の五等級、これが一、二尉に相当するわけでありますが、これは二十八歳でありまして自衛官の方が二年早いわけであります。ところが、これが二、三佐になりますと三十四歳でございます。これに相当しますところの四等級になりますと三十二歳でなれる。二年早くなっています。さらにこれが将補、一佐になりますと四十一歳、それから二等級は三十九歳である。防大の一期がもうすでに一佐に一部なっておるわけでございますが、一番早い者が四十一歳でございますね、防大一期の場合は規定どおりいったとして。人事管理上は四十二歳になっています。ところが上級職甲の人は三十九歳で同じランクづけされておる、こういうことでございます。さらに、将の場合で見ますと四十七歳、そして一等級は四十四歳、このようになっています。  さらに、もう一つの例について申し上げますと、上級幹部のランクづけがどうも一般公務員に比して自衛官の場合低いように思うわけであります。たとえば指定職、指定職になっておりますのは将の(一)、それから将の(二)になりますと一等級でございます。将補、一佐はいま言いましたように二等級である。それから二、三佐が四等級である。これを歴史的に見ますと、たとえば二十九年度から三十九年度ぐらいは将の乙というのが局長と同じようなランクづけをされておったように私は思います。それが四十四年度になりますと局長は指定職になる。ところが将の乙はそのまま一等級である。そのまま今日まできておる。これはもう一例でございます。こういったような問題について人事局長いかがでございますか。
  105. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 確かに先生おっしゃいますように、この昇任の仕方において行政職(一)の上級甲の職員と、わが方の自衛官の一選抜の一番モデルケースで昇任をした場合とを比較いたしますと若干のずれがございます。一応調べてみましたけれども、やはり、たとえば一尉に昇任するときにもうすでにおくれておるわけでございます。ただ、この問題につきましては、行政職の上級甲の公務員につきましては、御存じのように人事院の実施する国家公務員試験を受験をして公務員になる。しかし、幹部自衛官の場合にはそういう試験は通過しておらないわけでございます。それと、またもう一つは、自衛官の場合には、やはり一応部隊編成の理念と申しますか、そういう考え方に基づいてどういうポストにどういう階級を据えるかということを厳密に検討して今日にずっと積み重ねてまいってきておると思います。そこで、直ちにこの行政職の上級甲の者と、自衛官の一選抜の者と直に比較していいものかどうかという若干の問題はあろうかと思いますけれども、しかし、全般的に見ておくれがあることは事実でございます。したがいまして、こういう点については今後とも改善の可能性を見出したいというふうに考えております。  それから、もう一つの問題のランクづけの問題でございますけれども、たとえば将補の場合を例にとりますと、各幕の部長あるいは特に重要な課長、こういう者は将補でございますけれども先生御存じのように、昭和三十二年に現行の給与体系の基礎が定まりましたけれども、そのときにその職務の分析を行いまして、こういう職務にある者を将補とすると。その場合に、一般職の場合にそれに相当する者として本省の課長等が大体対応するものという考え方で定められたものと思います。ただ、その後本省の課長等の官職は、逐次の改正なりあるいは格上げ等によりまして、現在は非常に多くの者が一等級ポストについておるという状況でございます。そこで、いわば将補はその意味においては本省の課長に追い抜かれたという状況があろうかと思います。ただ、これにつきましてはそれに相当する官職が全部まだ一等級になっておらないという状況もございますので、それらとの比較均衡をとった上で逐次この改善に努力をいたしたいというふうに考えております。
  106. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 私の資料は違っておるかもしれません。二十九年度から三十四年度ぐらいの格づけで、将補は局次長、部長と同じようなランクづけされておったのですね。課長は一級下なんですよ。ところが、局次長の方は三十九年度からもうずっと一等級ですが、将補は二等級そのまま。それだけじゃなくて、一級下だったところの課長がいまおっしゃったようにもう一等級になっている人が多い。こういうような状況でございます、私の認識によれば。  それから、先ほど確かに一般職の場合は人事院規則によるところのちゃんと試験を受けておる、ところが自衛官の場合はそうじゃないじゃないかと、確かにそうでございます。けれども自衛官の場合は、全部防大出たからというわけじゃございません。その間にいわゆるAGS、CGSなんかの選抜によるところの試験を受けて通った、その中で優秀者を私は対比して言っておるわけでございます。多くはもう申しませんけれども、ひとついまのような状況でございますが、長官、こういった問題につきまして、今後ともぜひとも御努力いただきたい。これは私の長官に対するお願いでもあり、要望でございます。いかがでございますか。
  107. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 御指摘自衛官の処遇につきましては、歴代長官も十分な配慮をしてまいっておるところでございますが、私も、まずそうした俸給、給与の取り扱い、なおまた、住宅施設等の福祉対策等を含めて対処してまいりたいと思っております。
  108. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 この問題、そのくらいにしまして、次に、昨年の十一月、国防会議決定されました新防衛計画は大綱につきまして、私お伺いをしたい、このように思います。この夏出されましたこの「日本防衛」、これによりますと、新しい防衛計画の基調をなしておりますところの基本的な考え方、これをいろいろと書いてあるわけでございます。大体五十二ページから五十五ページ、このくらいにかけまして、まあ言ってみれば新しい防衛計画大綱の基本的な構想といったような問題、これが述べられているように思います。  私の理解によりますと、まず第一に、限定的かつ小規模な侵略までの事態に、原則として独力で有効に対処し得ることを防衛力整備に当たっての能力上の目標とするんだと。そして、この小規模の侵略というのは、一般的には、大がかりな準備を行うことなしに奇襲的に行われ、短期間のうちに既成事実をつくってしまうことなどをねらいとしたものだと。さらに、これがために、これに対応できるような必要な各種機能を備える、後方支援態勢を含めて。この中には質的な向上、あるいは抗たん性の向上と、こういったような問題も重視をされておるわけでありますが、その組織及び配備において均衡のとれた態勢を保有するのを主眼とするんだ、さらに情勢に重要な変化を生じ、新たな防衛力の態勢が必要とされるに至ったときには、円滑にこれに移行し得るよう配意をしておくんだと、こういうことのように理解するんですが、大体そういうことでよろしゅうございますか、防衛局長
  109. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生がおっしゃったとおりでございます。
  110. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 同じ理解の上に立っていまからいろいろと話し合いたいと思います。  まず第一に、新しい防衛計画の大綱で、特に現在持っておるところの正面兵力、これを質的に改善するが、同時に、いざという場合に有効性のあるものにするのだと、そこで、抗たん性をふやさなきゃいけない、このようなことが非常に強調されておるように私は思うわけでありますが、したがって、この抗たん性施策というのが新しい防衛計画の大綱におけるところの一つの柱、とまでは言えないかもしれません。しかし、重要な要素を占めておる、このように思うわけですが、それについては間違いございませんか。
  111. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 最初の防衛計画以来四次防まで、私ども防衛力の漸増、すなわち量と質の面での増強ということで努力をいたしてまいったわけでございます。その過程におきましてどうしても重視されましたのは、正面兵力ということでございました。したがいまして、限られた予算の中でこれを配分いたしますときに、どうしても、いわゆる後方支援能力とか、いま先生がおっしゃいました抗たん能力、抗たん性といいますか、そういうものの手当てというものが必ずしも十分ではなかったという反省がございます。したがいまして、基盤的防衛力をお決めいただきましたときに、一応正面の兵力というものは四次防の勢力をもって概成したとみなして、それに厚みをつけていくことが今後の課題であろうということを国防会議でも御決定をいただきました。したがいまして、ことしの予算からもうすでに十分始まったかということになりますと、必ずしも十分とは言えないかもしれませんが、そういう面について今後努力してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  112. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 いま防衛局長からお話ございましたが、本年度の予算、これでは十分とは言えないけれども、今後まあ十分に配慮していきたい、こういうことでございました。五十二年度、たとえば海あるいは空、これは基地防護あるいは基地防衛、こういったような面につきまして、やはり問題点がたくさんあると思うんです。具体的に五十二年度どのようにいまやっておられるのか、あるいは五十三年度、これらの問題を具体的にどのようにやろうとしておられるのか、この辺ひとつ承らしていただきたいと思います。
  113. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) まず海上自衛隊について申し上げますと、海上自衛隊の抗たん性ということになりますと、艦艇そのものということになろうかと思います。この場合には、昔の艦艇と違いまして最近の艦艇は、いろんな意味での抗たん性というものには努力しているわけでございます。たとえば、被害を受けましたときに、その被害を局限するために応急措置を施す努力といいますか、構造上そういう努力をしたりしているわけでございますが、同時にまた、これらの艦艇を結ぶ通信系、あるいは指揮管制システムというようなことになりまして、非常に艦艇を有機的に動かす、こういったものもいわゆる後方支援能力としてはきわめて重要でございます。同時にまた、旧海軍と違いまして艦艇そのものが小さくなっております。したがいまして、行動の日数というものが昔のように三カ月とか四カ月というようなものはございません。したがいまして、それぞれの地方総監部の所在地に帰りまして、補給をいたしましてまた作戦をしなけりゃならないということになりますから、そういったそれぞれの基地の機能を強化するということも、これも抗たん性の一つでございます。したがいまして、こういうものにつきましては、従来ともやってまいったわけでございますが、そういった今度は基地自体の警備能力とか、あるいは海上自衛隊の中で非常に重要な地位を占めております航空部隊につきましては、たとえば滑走路がやられたときにこれを修復する能力、あるいは航空基地の安全を保つための自隊の警備能力、こういうことが重大になってまいります。したがいまして、ただいま五十二年度におきましては、この増員との関係もございますけれども海上自衛隊におきましては航空施設隊というようなものも編成したいと思っております。こういったものは、滑走路の修復などにきわめて大きな能力を持っているわけでございますから、そういったものも抗たん性ということになろうかと思います。さらにまた、警備所というのを持っておりまして、これは常にその艦艇を監視したりしておるところでございますが、小人数によって僻遠の地にございます。そういったところの自衛警備能力、そういったものに今後力を入れてまいりたいと考えているわけでございます。  航空自衛隊につきましては、御承知のように防空能力といたしましては、要撃戦闘機、それからナイキの部隊、それから警戒管制のレーダーの部隊と、この三つによりまして防空作戦を実施するわけでございますが、まず、航空基地におきましては海上自衛隊と同じような問題を持っております。滑走路が攻撃されたときの修復能力、それから、戦闘機が最初の急襲によりまして地上においてやられないための掩体の問題、そういったものを来年度の予算から具体化してまいりたいというふうに考えておりますし、レーダーサイトにつきましては、これは米軍から引き継いだものでございましてすでに二十数年たっております。したがいまして、現在におきましても、これはいわゆる地上に設置されたものでございますのできわめて攻撃を受けやすい状況にございます。したがいまして、移動警戒レーダーの設置等にも努力する必要があるというふうに考えているわけでございます。なお、地対空の誘導弾部隊は基地をそれぞれ持っているわけでございますが、それぞれの基地の自隊警備能力、こういったものを上げていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  114. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 いまいろいろお話ございましたが、たとえば基地の、特に航空基地の場合ですね、防護と同時に防空が必要である。ところが基地防空ということを考えますと、たとえば航空基地なんかでも現在まだキャリバ50でもって申しわけ程度にしか置いてない。当然こんなことでは基地防空は達成できないと思うわけです、私は。そうでなくても飛行場も少ない、飛行機の数も少ない、こういう状況下において。この辺を具体的にどのように能力を向上していかれるのか。たとえばいまの滑走路の復旧のための能力にしましても、来年度から始めようと、こういうことのようでございますが、どうも起こり得る実態を考えますと、非常にテンポが遅いじゃないかと、大きな柱としておられるというのに比してはこれらの施策がどうも弱過ぎるじゃないかと、こういうような感じを持って私は質問をしておるわけでございますが、いかがでございますか。
  115. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生の御指摘のように、私ども部内におきましても、常にそれは議論になるところでございます。私ども四次防のときにも、そういった面につきまして一つの柱ということで努力してまいりましたけれども、いわゆる正面兵力の近代化というものにきわめて多くの費用がかかります。したがいまして、限られた防衛予算の中で優先度をつけてまいりますと、なかなか実現しなかったというのが実情でございますが、防衛計画の大綱ができまして、近代化のテンポというものとの兼ね合いにおきまして、特にそういった後方支援体制の充実並びに抗たん性の強化というものに力を入れてまいりたいと思うわけでございます。ただ、この掩体ごうの問題、あるいは防空のための対空砲の問題等にいたしましては、これも古いものをいままで使ってきておったわけでございますけれども、それぞれの自衛隊におきまして最も適したものを選びたいというようなこともございまして、いろいろ検討などをしてまいりましたが、ようやくそのめどがつきましたので予算化をしてまいりたいというような段階に来ているわけでございます。
  116. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 もう一つ抗たん性につきまして、私、陸の弾薬の備蓄の問題につきましてお考えを聞きたいと思うわけでございます。  ある人に言わすと、戦闘能力は弾薬の関係から一時間だなんてばかみたいなことを言う人もおります。あるいは一週間ぐらいだなんと言う人もおるわけです。もちろんそんなこと、私は実態知っておりますから思っておらないわけでありますが、しかし、私の記憶によりますと、陸上自衛隊の場合に、有事の場合に備える弾薬が十万トン以上あったと思います。それが年々減ってきている。これを幾らまでふやせというようなことは私もちろん聞きません。お答えにくいと思いますから言いませんけれども、いつごろまでに大体整備をされるか、ある程度の量、目標なのかというようなことをお聞きしたいと思います。
  117. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいましたように、弾薬というのはきわめて問題視いたしまして、私どもも常々議論しているところでございます。で、二次防末に七万三千トン程度ありました備蓄が、だんだん減ってまいりまして現在は六万トン弱になっているわけでございます。これは先生も御承知のように、年間の訓練で射耗する弾薬よりも少ない量を購入しておったという結果その備蓄を食いつぶしていったということでございます。私どもが予想しております、あるいは想定いたしております日本の侵略の事態に対処する陸上自衛隊の最小限必要なものといたしましては、いま先生がおっしゃいました十万トン以上のものが必要だというふうに判断されます。ただ、御承知のように、仮にこれが十万トンになっても、それが全部有効であるかどうかということはまた一つ別の問題がございまして、どういう弾をどのような形で持つかということが重要でございます。したがいまして、現在持っております中にも、多量に持っているものもありますし、またきわめて微々たるものもあるわけでございます。そういったものを跛行状態を直しながらやっていくわけでございまして、いつごろまでという期限を申されましても、これもなかなかいまの時点で三年後には十万トンにするということは言えない状況でございますが、いまの状況では足りないというようなことで私ども努力してまいりたいと思うわけでございますが、同時にまた、この弾の問題につきましては、一カ所に十万トン持っておってもこれが有事の際にすぐ役立つというわけではございません。したがいまして、先ほど抗たん性という中で申し上げませんでしたけれども、こういったものを適当な場所に適当な形で保管するということもあわせて考えてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  118. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 防衛局長のいろんなお話ももちろんもっともなんですが、私は、今度のこの白書に示されておる——先ほど私も申し上げました、見解の一致を見ましたところの防衛力整備に対するところの基本的な構想、これによりますと、当面あるとすればやっぱり小規模侵攻なんだと、そしてこれは奇襲的に生起の可能性が大きいんだと、しかも、これは「原則として」とあります。この「原則として」というのはもう別な意味でございましょう。これはもうお互いわかっているわけですから申しません。「独力」でやるんだと。そうであるならば、私は少なくともいま申し上げましたような抗たん性の問題、これらはまあ十年先を見通してぼつぼつやればいいんだ、こういったような問題じゃないんじゃないかと、こう思うわけでございます。まあそういう私の見解を述べて、次に移りましょう。  次は、教育訓練の問題に入りたいと思います。いろんな意見を異にした方がおられるわけですが、少なくも自衛隊の平時における最大の任務は教育訓練なんだ、精強な自衛官、部隊の練成なんだと、これはだれもそういう認識に立っておると思うわけでございます。大綱でもこの教育訓練というのは非常に重視をされておられますし、また、来年度のやつは知りませんけれども、従来毎年長官の趣旨、業務計画におけるところの長官の趣旨、あるいは陸海空幕僚監部の業務計画の方針においても、この教育訓練というものはきわめて重視をされてきたと思うわけでございます。ただ、客観的にはいろんな条件上の拘束がある。第一線の部隊も防衛庁当局も挙げて苦慮されるところが多いと思うわけです。この辺はわかるわけですが、どうも見ておりまして、まず航空自衛隊です。航空自衛隊の最も精強でなければならないパイロット、この練度がどうも落ちておるんじゃないかというような感じがしてならないわけです。もちろんこれにはいろんな理由があると思います。訓練空域が非常に制約を受けておる、あるいは予算上いろんな制約がある、こういったようなことが大きな制約になっておると思うわけですが、ここで同じようにやっぱり練度が落ちているんだという認識に立つならば、それはどうしてそういうことになったのかということにつきましてひとつお伺いしたいと思います。
  119. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) お答えいたします。  御承知のように、現在航空自衛隊につきましては部隊の精到さというものを期しまして種々訓練を重ねておるところでございますが、ただいま御指摘のとおり、練度は必ずしも高くはございません。近年若干低下の気味にございます。これのよって来るゆえんというものはいろいろございますけれども、まず第一には、訓練空域が未設定であるというふうなものがまだ多々あるわけでございます。たとえば百里の訓練空域もまだ設定されていない、それから沖繩関係の航空部隊についてもまだ訓練空域が設定されていないというふうな問題が一つ。それから第二番目としては、訓練空域が設定されておりましても、面積的に非常に狭いというふうなことから、航空機の最大限の機能を発揮するための広さがとられていないというふうなことが言えようかと思います。またさらには、この訓練空域、いずれもこの設定の経緯にかんがみまして洋上に設置されておりますということから、基地からこの訓練空域まで行きますのに非常に時間がかかるというふうなことから、訓練効率の面から見て必ずしも実効のある訓練になっていないというふうな事柄が挙げられようかと思います。私どもとしましては、こういった訓練空域のいろんな制約、問題というものを解消すべく努力を重ねておるわけでございますが、いまのところは残念ながら必ずしも十分な訓練空域が得られていないというふうなことが言えようかと思います。
  120. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 訓練空域につきましてはまあ大体同じような認識を持っておると思うんですが、そのほかに、先ほど予算的な制約もあるんじゃないかと言ったんですが、たとえば飛行時間が削減されておるとか、それから標的、弾薬が削減をされておるとか、電子戦訓練が電波妨害機の機数その他の関係から十分できないとか、こういうような面もやはり相当大きく影響しておるんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでございますか。
  121. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) この練度の問題につきましてはいろいろな要素が影響をするかと思います。もちろん飛行時間その他もあるかもしれませんけれども、まあその飛行時間がございましても、ただいま申し上げたように訓練空域が遠いということによりまして、飛行時間そのものがかせげましても、その中身が非常に実のある訓練にならないというふうなことも言えようかと思います。いま航空自衛隊の訓練の関係におきまして一番問題になりますのは、やはり何と申しましても訓練空域の制約であろうかというふうに理解しております。
  122. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 その点は私も同じ理解なんです。同じ理解なんですが、そこで、それじゃ訓練空域の問題につきましてちょっとお聞きしたいと思います。  欧米諸国も訓練空域ということになりますと大変困難な状況にあるというふうに私は思っておりますが、この欧米諸国におけるところの空域等の管理状況、これはわが国に比較してどのような施策がとられておるんでございましょうか、ひとつ教えていただきたいと思います。
  123. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 先ほど来訓練空域の話をしておりますが、私どもの方の訓練空域は、御承知のように航空交通の安全を確保するというのが第一義的な目的でございまして、そういった面から設定されているわけですが、現在の訓練空域はいわゆる平面的に設定しているわけですが、欧米におきましては、こういったいわゆる平面分離だけでなく、時間分離あるいは高度分離といったような、狭い空域、特にヨーロッパ等におきましては非常に狭い空域において訓練をしているわけでございますが、そういったきめの細かな空域を設定しているというふうなことがまず第一の特徴であろうかと思います。また、訓練空域とは直接関係ございませんけれども、航空交通管制の仕方自体についても、わが国の管制の仕方とは違った軍と民とのきわめて密接な連絡を持った調整が行われているというふうに聞いております。
  124. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 わが国でも、これはもう皆さんよく御承知ですが、後方援助機材の精度向上であるとか、レーダー網の整備等が促進をされておるわけでございまして、そういう観点から見ますと、もう欧米と同様な、いまお話のありました立体的な分離、あるいは時間差の分離、これによって空域の有効利用が可能な状況にもうなっておるのじゃないかと、このように私は思うわけですが、いかがでございますか。
  125. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) この件に関しましては、従来より運輸省当局といろいろ訓練空域の設定あるいは管制の方式等も含めまして御調整をしている段階でございまして、いずれそういうふうなことになる。また一部の訓練空域については、いま申し上げたようなことが行われている例も一、二自衛隊においてもあるわけでございます。今後そういった面が順次拡大されるものというふうに期待しております。
  126. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 どうかひとつ、数の少ない飛行機、どうしても精強でなければなりませんこのパイロットを養成するために障害になっておりますところの訓練空域の問題、あるいはその予算上の制約の問題、こういったような問題を最大限の努力をもって解決をしていただきたい、そうして本当に役に立つパイロットを養成していただきたいと願ってやまないわけであります。  次に、陸上自衛隊の訓練につきましてやはり若干御質問したいと思います。  実は、陸上自衛隊につきましては私は一番詳しいわけなんですが、陸上自衛隊の場合は、特にここでは射撃訓練、射撃の練度、こういったような問題にしぼりたいと思います。毎年練成のための射撃もやる、同時にその検閲を実施をして、その検閲の結果によって個人あるいは部隊の練度を把握をする、向上を図る、こういう仕組みになっておるわけでございますが、どうも最近一、二年間の特に火砲関係の部隊、あるいは戦車関係の部隊の射撃の検閲の合格率が若干下がっておるのじゃないか、このように私自身は認識しているんですが、その点いかがでございますか。
  127. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) ただいま訓練検閲、いわゆる射撃の訓練基準から見た練度、技量、資格というものが下がっているのではないかというふうな御指摘でございましたが、私ども調査によりましても近年若干下がっておることは事実でございます。
  128. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 これらの原因はいろんな原因があると思うわけです。これはもう私もよく承知しています。けれども、その原因の中に、やっぱりどうも予算的な原因が大きくこの一、二年の場合はウエートを占めておるのじゃないかと、このように私は私なりに認識しているんですが、いかがでございますか、その辺は。一概には言えない面もあると思いますが。
  129. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) これも先ほど航空自衛隊の訓練練度の問題と同様でございますが、いろいろな理由が考えられると思いますが、第一には、まず演習場、射撃場の制約ということが挙げられようかと思います。また訓練用の弾薬の制約ももちろん一つの要素としてあると思いますが、私どもとしては今後の訓練場、演習場の整備、それからシミュレーター、そういったトレーナー類の活用ということによってこの練度の低下をできるだけ防ぎたいというふうに考えておるわけでございます。
  130. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 私自身が当事者で終わったわけですから言うのもおかしいような話でございますけれども、実際に陸上自衛隊の射撃成果を上げるための年間の射耗弾というのが、旧軍当時に比べてみても決して多くない。この点は、平時のそのほかによるところの訓練によってカバーしょうとか、あるいはシミュレーターその他こういう教育訓練の機材を導入することによってカバーをする、なるべく予算の増加を図らないように配慮をする、こういうようなことでやっておられることはよく承知しておるわけですが、それにしてもやっぱり限界があると思うわけです、私は。やっぱり最小限のものはどうしても毎年撃たしてやらなければだめなんだと、このように強く感じておるわけでございまして、その辺今後ともやっぱり配慮される必要があるだろう、こう感じておる次第でございます。  陸上自衛隊の訓練につきまして、もう一つ沖繩部隊の訓練につきまして私伺いたいと思います。  沖繩が復帰になりまして部隊が移駐してもう五年になるわけであります。ところが、御承知のように沖繩では現在まだ訓練ができません。わずかにやっているのは駐とん地の中でやれる訓練だけであります。そのためにわざわざ九州まで、年何回も来て射撃をしておる、こういう状況でございますが、そのために私は大変なロスを生じておるだけではなくて、士気上に及ぼす影響も大変に大きいと、こう思うわけです。沖繩の特殊事情というものは十分わかるわけであります。また、そういう事情を踏まえて、山中長官時代に、当分の間は沖繩では訓練しないんだということを申されたわけですが、当時からもう四年以上たっています。もうそろそろそういったような面につきまして地元の了解も得られるんじゃないかと、得るための努力もすべきじゃないか、このように思うわけですが、いかがでございましょうか。
  131. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) お話しのように現在沖繩には演習場、射撃場というものは皆無でございます。そういうことのために、沖繩におります部隊は一年のうち訓練のほとんど全部、射撃訓練のほとんど全部と一般訓練の大半を本土に依存しているわけでございます。したがいまして、そういった意味から、沖繩にいる部隊の練度というものは、内地のたとえば西部方面隊の八師団管内の連隊と比べましても、射撃練度、そういった面においても非常に低い、それから訓練の頻度も約半分ぐらいしか行っていないというのが実情でございます。私どもとしては、いまお話に沖繩では実射訓練云々というふうなことがございましたけれども、せめて小火器の基本射撃ぐらいは沖繩本土でもって行いたいというふうに考えておるわけですが、なかなかそういうことがすぐできるというような状況でないのは非常に残念でございます。
  132. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 沖繩の部隊につきまして、いろんな施策が講ぜられておることは私よく承知しております。士気を維持するために、向上するためにいろんな施策が幅広くとられておりますが、私は現段階においては、やはり一番大事なのは、沖繩においても教育訓練がある程度できるようにその場を与えてやることだ、それがもう沖繩部隊にとっての最大の願望だと、このようにも思っておるわけでございまして、ひとつ長官にもその点御理解、御認識いただいて、御努力いただきたいと、このように思うわけです。  次に、私は新防衛計画大綱の中にうたわれておりますところの主要装備品の充実の問題に問題を移したいと、このように思います。  まず、陸上自衛隊の主要装備品、時間も余りありませんから戦車だけについて申し上げますと、二次防からずっと四次防までを通観をしてまいりますと、二次防の段階あるいは三次防までは、その要求数に対して大体これが達成できてやってきた。これが四次防になりまして、例のオイルショック以来非常にダウンしてしまった。これはもうそのほかの海上自衛隊の艦艇等も同じような運命に遭っておるわけでございますが、これが五十二年度も要求に対して相当ダウンをしております。私の承知しておるところによりますと、戦車の能力というのは、十三師団体制を保持するための必要な戦車の定数、これに対しまして非常に少ない。毎年努力をされるところでございますけれども、これらはいつごろまでかかって大体定数を充足されようというふうに考えておられるのか。戦車の問題は、私は特に言いますのは、列国の師団の戦車装備に比較してきわめて日本の場合戦車の保有数というもの、戦車戦力というものが劣っておる、比較にならぬほど劣っておる。しかし、少なくとも十三師団体制を維持するためには、少ないけれども、劣っておるけれども、この定数だけは充足しておかなければ、有事のときに本当に役に立つ陸上自衛隊になるのかどうかというような懸念を持っておるわけでございまして、そういった観点からお聞きをする次第であります。
  133. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 戦車につきましては、当初アメリカからもらいました戦車で発足をしたわけでございます。十三個師団が編成されましたときに、この戦車の定数というものが一応千百両程度ということで私ども考えたわけでございます。その当時、この陸上自衛隊が持っておりましたのが、私の記憶いたしますところでは、九百両近いものを持っておったと思います。その後、その戦車が古くなるにつれまして新しい戦車、すなわち六一式戦車というものに変わってまいったわけでございます。そして四次防から七四式戦車という新しい戦車に変わってまいりました。二次防以来、ずっと年間六十両のペースでこれをつくってまいりまして、いま御指摘がございましたようにオイルショックのときに四十七両という数字にたしか私の記憶では減ってまいったと思います。その後その状態が続いているわけでございます。しかしながら、この戦車は、一時期アメリカからもらいました二十数年前の戦車というものがきわめてたくさん除籍していった時代がございますが、新しい戦車に変わってまいりまして徐々にこれはまたふえてきております。一番少ないときには七百両前後くらいまで減ったと記憶いたしておりますが、いま八百両近くまでは上がってきていると思います。なかなかこの千百両全部の定数を満杯というところまではいきませんけれども、私どもの計算といたしましては、一応六十両程度をリプレースしてまいりますと、常時千両以上のものを保有することができるということでございますが、いま確かにその点では少しペースが落ちているという反省をいたしております。したがいまして、千百両というところまでいついくかということになりますと、これもいま直ちにお答えしにくいところでございますけれども、そういったふえていくぺースというものが落ちないように努力してまいりたいというふうに私どもは考えて努力をしている次第でございます。
  134. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 私、算術的に計算をして自分なりに見ますと、今後、いま持っておる戦車でも、まだ供与の戦車が百両ぐらいあるやつが二、三年のうちに落ちるんでしょう。六十両ペースでずっといったとしても、下手すると十年ぐらいかかるんじゃないかと、違っておるかもしれません、計算が——というような気がしておるわけでして、本当にそんなことでいいんだろうかと、こういう思いを抱いておるわけであります。  もう一つ海上自衛隊の護衛艦について私お尋ねしたいと思いますが、護衛艦の現状は、四十八年度は三隻に対して二隻しか認められなかった。四十九年度は三隻に対して一隻だと、五十年度は二隻に対して一隻だと、五十一年度は二隻に対して一隻、五十二年は三隻に対して二隻、こういうような状況になっておるというふうに思います。それで、私承知しておりますのでは、新防衛計画の大綱では、海上の護衛艦につきましては、大体五十一年度の予算認められたもの、この隻数を質的に改善しながら保持していくんだというふうにも理解しておるわけですが、この五十一年度の隻数といいますと何隻ですか、六十隻ぐらいですか、これずっと保持していけるんですか。いまのような要求に対して穴があいているわけですが、いかがでございますか。
  135. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 艦艇の護衛艦約六十隻というのは大綱で決めていただいている数字でございます。現在約六十隻を維持しているわけでございますが、艦齢というのは、いま私どもが考えておりますのは二十三年ないし四年程度というふうに考えておるわけでございます。したがいまして、このサイクルでまいりますと計画がやや下回ってきているというのは事実でございます。いろんなことを工夫しながらこの六十隻を維持してまいりたいと思っておりますが、今後はこの建艦計画というものが狂わないように努力しなければならないと思います。しかしながら、この艦艇というものはきわめて性能が向上いたしますと同時に、建艦費というものがきわめて高額になってきているわけでございまして、特に最近は、除籍になりますのを新しくする場合には、かつてつくった艦艇の倍以上の値段でこれを購入しなければならぬという問題が片方にあるわけでございます。したがいまして、訓練をやりながら、なるべく大事にしながら、そういった修理などをしながらこの六十隻を維持していく努力をしてまいりたいというふうに考えております。同時にまた建艦の方も推進してまいりたいと思っておるわけでございます。
  136. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 海上自衛隊の全般的な防衛力というものを考えました場合に、もちろん護衛艦だけじゃないわけでありまして、そのほかの問題等バランスをとりながらやっていくということになるのは当然だと思いますけれども、五十三年度はあれですか、やっぱり従来どおり三隻ぐらい要求をされておるやに聞いておりますが、今後は大体三隻ペースぐらいでいかれるんですか。
  137. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 五十三年度は、ターターを積んだ護衛艦一隻とDD二隻、計三隻お願いいたしております。この三隻ペースでずっといくかということでございますが、これはリプレースの関係がございますので、三隻かあるいは二隻というようなこともあろうかと思いますが、二ないし三隻というペースを維持していきたいというふうに考えているわけでございます。
  138. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 これも私の試算でございますから間違っておるかもしれません。間違っておるかもしれませんけれども、仮に三隻ずつでこうやっていきますと、除籍、これを計算をしますと、五十一年度の隻数を保持するためには大変な年数がかかるようにも思うわけです。いま二隻ないし三隻ということを言われましたが、二隻でいったらまたこれはえらいことになっちゃうという感じがするわけなんですね。この辺ひとつ、いろんな制約からそういうような計画にもなっておるんじゃないかというふうに思うわけですが、やはりこの防衛という問題を考えた場合に、もっと観点を変えていく必要があるんじゃないか、このようなことを思うわけでございますが、これはもうこのくらいにします。  次は、人員の充足の問題につきましてお尋ねしたいと、このように思います。  先ほど来、定員と充足の問題がずいぶんと問題になったわけでございます。確かに、定員についてのいろんな考え方が、陸上自衛隊海空自衛隊では若干違うところがあることはもちろんよく承知しておりますけれども、私はこの国会でもって決めたこの定員というものは、有事において期待するところの機能、これを発揮するために必要な人員、これを国会で決めたんだと、こう実は理解をするわけですが、それでよろしゅうございますか、いかがでしょうか。
  139. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 先ほども御説明いたしましたが、特に陸上自衛隊につきます十八万の体制というものは、有事においてその十八万の体制で対処するという考え方に立つ自衛力というふうに考えておるわけでございます。
  140. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 海空についても、確かに艦艇あるいは航空機、こういったような問題、これに伴って定員が動いてくるわけですけれども、しかし、考えてみますと、海空といえどもやはり本質的には陸と同じように有事において期待するところの機能を発揮するために必要な人員なんだという点については同じじゃないかと思うんですが、それはそうでございますね。
  141. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) それはまさにそのとおりでございまして、いかに優秀な装備品を持っておりましても、人がなければこれを運用することができないわけでございます。したがいまして、一つの艦艇ができますときには、艦長以下それぞれの配置に必要な定員というものをお認めいただいておきまして、そして有事の際にはそのフル定員によってこれを運用するというものでございます。
  142. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 従来からもこの国会で、いろんな委員会で、この定員と充足の問題が諭ぜられてきておるわけであります。これはことしの五月の衆議院の内閣委員会での論議の中で、これは多分大蔵省の方が言われたんじゃないかと思いますが、この定員と充足の問題につきまして次のようなことを言っておられるように承知しています。それは、一つは平時についてある程度の欠員が出るのは仕方がない、これはもう理解できます。それから次は、陸とは違うので、海空はできるだけ定員に近くしなければならないんだと、こういったような問題、さらに、予算的に積極的に充足を抑えるという考え方はないんだと、しかし、人糧費のパーセンテージが非常に増大をしておる、したがって実行上ロスが出ないことも考えなきゃならない、このこともよく理解できます。それからさらに、基本的にはどこまで優秀な隊員が採れるかということを基本的に考えておるんだと、こういうようなお答えが出ております。理解できる面も、必ずしも理解できない面もあるわけでございますが、従来、充足率、これはほとんど国会で決めた定員に対して充足率は物理的にマイナスになる面はともかくとして、一〇〇%近くにするんだという考え方で来たわけでありますね、それがいろんな原因からだんだん下がってきて、陸上自衛隊の場合は八六%前後に定着したかっこうになってしまっておる。これらの原因について、ひとつどのように把握をしておられるか、お聞きしたいと思います。
  143. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 確かに陸上自衛隊の場合は八六%前後でここ推移しておるわけでございますが、特に顕著にあらわれている現象といたしましては、昭和三十四年度の後半あたりから急激に退職者がふえ、あるいは応募者が減少するという傾向が見受けられておりまして、それ以後恒常的な欠員を抱え込んでおるという状態でございます。海空につきましては大体九六、七%を維持しておるという状況でございます。その原因ということでございますけれども、まあいろいろ考えられると思いますが、一つには経済動向の影響ということが挙げられるかと思います。最近はやや退職者が減少しているという状況で、若干好ましい現象が出ておりますけれども、まあそういった経済動向の影響というものが背景にあると思いますが、そのほかには、まあ二士適齢人口と申しますか、十八歳から二十四歳まででございますが、この人口が逐次減少する傾向にあるということが一つ挙げられます。それからさらには、高校進学率あるいは大学進学率というものが逐次向上してまいっております。この影響というものもかなりのものだろうというふうに考えております。さらにまた、本質的な問題といたしましては、わが国の労働慣行として終身雇用制とか、あるいは年功序列賃金制というようなことが挙げられると思いますけれども、これに反しまして、二士隊員は二年任期あるいは三年任期というきわめて短任期で新陳代謝をするという制度になっておりまして、このことは、わが国の労働慣行からいたしまして非常になじみにくいということが本質的にはあるんではないだろうかというふうに考えております。ただ、こういう困難な状況ではございますけれども、私ども逐年、募集経費等をいただきながら逐次募集体側を充実強化してさらに充足率の向上ということに努力をいたしておるという現状でございます。
  144. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 この人員充足につきましては、私も本当にその衝に当たっておったわけですから、どういうような問題点が生起をし、何が原因でこのような状況になっておるかということは私なりによく承知をしておるわけでございますが、ここではひとつ陸上自衛隊の八六%前後、先ほどこの八六%前後というのは、陸上自衛隊の訓練をやるのに必要なパーセンテージと、このように解釈しておると、こういうお考えでございましたが、本当にそういうことでしょうか、いかがですか。
  145. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま人事教育局長から御説明いたしましたように、かつては陸上自衛隊も一〇〇%近い人員でやっておったわけでございます。昭和三十五年ごろから逐次これが減ってまいったわけでございますが、私どもが、過去に何度かこの問題について検討をいたしました。ある時期には九〇%ないととても訓練ができないというような考え方が出たこともございます。しかし、その後いろんな形で検討いたしまして、シミュレーターを使ったり、あるいはそのほかいろいろな工夫を重ねることによって、総体で八六%という充足率であれば、これによって、たとえば航空部隊とかホークの部隊のように、きわめて高度な装備品を運用する部隊におきましては高充足率を保つ、そしてまた一部の部隊については、先ほども御説明いたしましたように一個小隊の人員を減らすというような形で何とかやりくりをして、八六%であれば訓練を実施していけるだろうと、そしてまた有事の際には、急速の募集ということもございますでしょうし、また三万九千の予備自衛官というものもございます。そういったものを充足することによって一応十八万体制の実力というものは発揮できるだろうということで、八六%ということでここ数年推移してきている次第でございます。
  146. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 八六%ということになりますと、実際、いま防衛局長言われたように非常に充足を高くしなきゃならない部隊もあります。あるいは、この八六%の中には新隊員、教育中の者ももちろん含まれます。そういうようなことからしまして、第一線部隊、これはもう非常に低くならざるを得ないわけですね。私の承知しているのでは六〇%を割っているんじゃないかと思うんですね、八六%ということになると。またそうならざるを得ないんじゃないかと思うわけです。そのようなことになりますと、たとえば普通科中隊は定員が二百十何名でございますね、それに対して六〇%を割る百二十名から百三十名ぐらいになっちゃう。それで本当に普通科の部隊の訓練ができるのかどうか。部隊は苦心しています。そのことは私もよく知っている、私自身が苦労しながらやってきたわけですから。ところが、たとえば小銃小隊なんかも、こういうことになりますと、三個班のうち一つは欠除しなければならない。そのほかの二個班も半分ぐらいでやらなきゃならない、こういったような状況なんですね。  私はもうこれ以上とやかく言いませんけれども、八六%という数字は、決して部隊が、これで十分やれるんだと言っておるこの充足にははるかに遠い数字であるという認識はやはり持たなきゃいけないんじゃないかと、こう思うわけです。そのためにはいろんな問題あります。いろんな問題ありますけれども、やはり充足の向上というものについては努力をしていく必要があるんだと、こう実は思っておるわけですが、いかがでございますか。
  147. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生が御指摘になりましたようなことを、私どもも部内におきますいろんな検討の段階において、そういう問題を検討いたしております。しかし、一方またこの充足率を上げるということになりますとそれなりの努力が要るわけでございます。いま先生もおっしゃいましたけれども、この募集のために割いている力というものもきわめて多いわけでございます。そういったことが、やはり第一線部隊にのしかかってきているという問題がございますので、ただ予算をつけてその充足率が上がるかということになると必ずしもそういうことではないわけでございまして、それのためにまた人を割かなきゃならぬというような問題もあるわけでございます。そういった点をいろいろ幕僚監部とも一緒に研究をいたしまして、まあこの八六%を維持していけば、そういった募集のところに割ける人員なんかもそれなりに差し出し、そしてまた部隊の訓練なんかも必要な訓練というものはできるという判断のもとにこういう数字でここ数年間推移してきているというのが実情でございます。
  148. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 問題は、私はやはり募集の体制の問題が一つあると思うんですね。それで、初め警察予備隊が発足をした。このときには、募集体制が、市町村にどんどん応募者がやってくる、市町村が窓口になって受けつける、そして地方連絡部が事務的な処理をする、そして入隊さす、こういうことで、現在の地方連絡部の組織なり現在の防衛庁の募集体制というものができておるわけですね。ところが、その後非常にその募集が困難な時期を迎えてきた。そこでどうしたか、予算的にあるいは人員的にその中のやりくり、まあもちろん大蔵省でもいろいろと配慮をされております。知っていますが、そういう範囲内において、全く募集環境が変わってきたにもかかわらず基本的な体制を変えないで今日まで来ておる、そこに私は募集上の問題がやはりあるんだろうと、こう思うわけです。こういう問題は、確かに若年層が減ってきてもおります。まあ経済は高度成長から低成長に移ってきたといっても、やはりこの労働力の問題はいろいろあるわけです。私はやはり国の全般的な政策として、この防衛に当たるところの自衛官に、ある程度の配分といいますか、基本的な考え方においてはこのくらいのものはどうしても充当しなければならない、自衛隊を維持するためには。そのためにはいままでと違った視野に立つところの防衛体制というものを考え、そしてそれに移行していかなければいけないんじゃないか、こう思うわけですが、いかがでございますか。
  149. 渡邊伊助

    政府委員(渡邊伊助君) 先ほど募集体制の問題が御指摘がございました。これは確かに先住おっしゃるように、自衛隊発足当初、先ほど防衛局長もちょっと一言申し上げましたように一〇〇%近い充足率を維持していたということがございます。その当時は、確かに先生おっしゃいますように、地方連絡部の考え方というものはそのとおりであっただろうというふうに考えます。ただ、その後基本的にはそのままだという御指摘でございましたけれども、その後、地方連絡部も、昭和二十九年度発足当初は大体十七カ所程度でございましたけれども、逐次増加してまいりまして、全国で五十カ所、それから、募集事務所も逐次増設いたしまして現在は百九十六カ所、それから募集案内所も百四カ所というように、それなりに社会情勢の流動に対処するように募集体制の充実を図ってきておるということはございます。ただ、充足率をどの程度にするかという問題でございますけれども、これは先ほど申しましたいろいろな募集上の困難と申しますか、そういったいろんな原因があると同時に、まあ人件費の制約と申しますか、予算上の絡みの問題も当然あるかと思いますけれども先ほど防衛局長申し上げましたような考え方で、現在は陸上自衛隊の場合八六%程度でここ推移しているという状態でございます。
  150. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 確かに防衛庁の努力、もちろん大蔵省が認め予算、これが裏づけになっておるわけですが、それによっていろんな体制の整備ができておることは知っております。けれども、それは防衛庁サイドの努力なんだ。私は防衛庁サイドだけじゃなくて、もっと労働省そのほかいろんな各省との関連において基本的にやっぱり考え直す時期が来ておるんだと、いまはもう遅いぐらいなんだと、こう実は思っておるわけですが、いまの八六%の問題、まあこれ以上もう言うのを差し控えたいと思いますが、ただ、こういうことだけは言っておきたいと思います。予備自衛官で欠員を埋めるんだと。大体予備自衛官というものはそういうことじゃなかったわけですね。予備自衛官というものは、その十八万体制においては、やはり十三個師団体制、これを実際に有事において有効に機能さすために、平時では持っていることが必ずしも必要でない後方関係の支援部隊であるとか、いろんな部隊をその段階において急速に編成するんだと、こういったようなことが主体だった。けれども、充足率がだんだん下がってきたから、仕方ない、充足するんだ。思想がやはりだんだん変わっています。しかもその予備自衛官制度というものが、なかなか管理体制その他からいって問題点を多く含んでおる。私はよくわかります。わかりますけれども、やはりこの充足については、八六%でいいんだという姿勢じゃなくて、やはり少しでもいろんな施策を講じて向上さすという努力が防衛庁には必要じゃないか、こう思うわけですが、長官いかがでございますか。
  151. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) お答えをいたしますが、堀江さんの言っておられることはよく理解できますし、また、そういう御意見のあることも承知をいたしておるところでございます。しかし、先ほど防衛局長なり人事教育局長が申します経過等もあるわけでございます。防衛力整備は、装備とともに人的な面におきましても、国の経済財政事情、あるいは先ほど大塚さんからも御指摘がございましたわが国における諸施策との関係をも配慮をいたしておるわけでございます。最小限度でがまんをしていくとすれば、どこの線でとどめていくかということで検討してまいった場合に、八六%というようなところでがまんをしていこうではないかというようなところに現在では方針を決めて、それを遂行いたしておるところでございます。貴重な御意見でございますので、なおよく十分現在の諸般の事情等も勘案をいたしまして勉強をさしていただくことについてはやぶさかでございません。
  152. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 防衛庁を取り巻く環境なりいろんな諸条件の制約、もう私はわかり過ぎるぐらいわかるわけです。わかっておって、あえて私はこのことを申し上げました。ひとつこの防衛白書に示されておりますところの基本的な構想の原点に返りまして、やはり私は努力すべきものは努力していただきたい、こういうことを重ねてお願いをする次第でございますが、最後に私は、どうもきょうは十七時半でやめられるということですから、きょうの予定が終わるように、私はもうそろそろやめようと思うわけです、残念ながら。だれに言われたわけでもないんですがね。  最後に防衛庁費の問題です。私きょう新防衛計画の大綱につきまして幾つかの問題を取り上げさしていただきました。いろいろと問題がたくさんあるわけでございます。そのことはもう十分過ぎるぐらい皆さんにもおわかりいただいたと思うわけでございます。こういうような状況下において、本年度は、防衛庁予算、まあベースアップ分を含めないで〇・八八%である。で、来年度の概算要求、これを見ますと、GNPどのくらいに計算するかによってもちろん違うわけです。私は、いまの要求されておる金額そのものをもうまるまる認めたって一%にはもちろんならない金額だ、こう思うわけでして、どうしてもやはりこの一%以内だなんていうのは、私は防衛力の実態を十分にわかっておらないんじゃないかと、こう思うわけです。先ほど言いました世論調査の結果から見ましても、いろいろな結果が出ておる中で、「あなたは、自衛隊防衛問題に関することで、どのようなことを知りたいと思いますか。この中から二つか三つおっしゃって下さい。」、こういう設問がございます。これに対する答えを見ますと、全部数えてみますと百三十六出ておりますが、その中で一番多いのが、自衛隊防衛能力を知りたい、こういうことでございます。それから二番目に多いのが、日本防衛上の問題点を知りたい、こういうことになっておるわけであります。もちろん「ない」と答えた者が相当数おりますけれども、答えた中ではこういうようなのが多いわけであります。私はやはり、国民が自衛隊をあった方がいいと言っておるその世論が非常に高くなっておる、しかもその中において、現在の防衛力で有事の場合に本当に役に立つんだろうかどうなんだろうか、問題点はどこにあるんだろうかといったような素朴な疑問をたくさん持っておると思うわけです。そういったような問題を踏んまえた場合に、やはり私は今後とも、まあ総理もきのう重大な情勢変化のない限り一%以内を堅持するということを言っておられます。まず一%に対して、こういった問題点を解決するために来年度の予算からぜひとも努力をしていただきたいと、こう思うわけです。長官いかがでございますか。
  153. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 御承知のように、政府防衛力整備につきましては、わが国の財政経済事情、あるいはわが国の他の施策との調和、そういうものを総合的に勘案しながら、なおまた、過去数年間の防衛費の推移等も参考にいたしたわけでございまするが、各年度の防衛費はその当年のGNPの一%、当分の間は一%を超えないめどにおいて実施していけというような閣議決定がなされたのでございます。したがって、私どもはやはりその国の御方針には沿ってまいらねばならぬと思うのでございます。しかし私は、いまも御指摘がございましたように、実際は本年度の予算は〇・八八%でございます。そうした数字から計算をいたしますと、まだ一%に達するまでには二千四百億ばかり一応数字には上がってくるわけでございまするが、しかし私どもは、そうした国が決めました一%の線はやはり守っていかなければならぬ。しかし、実際に先ほどから御指摘があっておりまするような防衛計画大綱に示すその防衛力整備という点については、自主的に、計画的に、着実に私は可及的速やかに整備をしていく必要があると思うのでございます。そういうことがなされておるかどうかという強い反省をせなければならぬと思うのでございます。特にこの一%という数字につきましては、これは当分の間云々というような言葉もございまするけれども、そういう言葉でなくして、実際はこれは固定的な期間を目途といたしているわけではございません。実際上、情勢のいかんによっては可動的な性質のものでございまするけれども、といって、いま申し上げまするように、それではどこまででもやっていけるかというようなことになりますれば、やはり国が一つ情勢に応じためどを決めた以上、その線に沿って私ども防衛力整備をやっていかざるを得ないという立場にあるわけでございます。したがって、再度申すようでございまするけれども、問題は、その中で実際に喫緊の整備を要するものを具体的に整備をしているかどうかということが一番重要な問題である。しかし、やはり歯どめはあくまでも前提にしていかねばならぬ、そういう態度なり姿勢で予算と取り組んでおるところでございます。
  154. 堀江正夫

    ○堀江正夫君 これをもって私の質問を終わります。今後ともひとつよろしく御努力をいただきたい、このようにお願いをする次第であります。
  155. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私は、防衛二法に関連をいたしまして質問をしたいと思います。  まず、横浜市における米軍機の墜落事故について若干お尋ねいたします。  九月二十七日に、横浜市の住宅地に米軍のジェット偵察機が墜落してから約二カ月近くなろうとしておりますが、   〔委員長退席、理事加藤武徳君着席〕 日米合同委員会事故分科委員会は、その間何回ぐらい開催をされたのか、また、同委員会のいままでの開催経緯について施設庁長官から御説明を願いたいと思います。
  156. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) お答えいたします。  事故分科委員会におきましては、事故直後に合同委員会から事故原因の徹底的な調査検討と、それからさらに、事故の再発防止のための対策の検討を含めて合同委員会に報告するようにという付託を受けまして運営を始めたわけでございますが、いままで開催されましたのは、公式の会議は、去る九月三十日及び十月七日の二回でございます。  で、この二回の会議におきましては、これからの調査活動につきまして日米間の相互の全面的な協力を申し合わせるとともに、米側から事実関係につきましての説明を聴取する等のことをいたしておるわけでございます。すなわち、九月三十日の委員会におきましては、まず米側から、当初米側の把握しました事故の概要を聴取しまして、それに対する質疑を行い、日本側からも事実関係等にわたる説明の要求を行いますとともに、今後の委員会の運営方法について協議いたしております。  それから、十月七日の委員会におきましては、米側から、事故状況につきまして知り得たところについてさらに中間的な説明がございまして、それから、日本側からは、十月六日の合同委員会で、必要に応じて専門家の部会を設置することができるということについて意見の一致を見たことにかんがみまして、日本側としては、このような専門的な機構の設置が必要と判断しておるということを伝えたわけでございます。それからなお、米側から、かねて捜査当局に対しまして、エンジン等を精密調査のために米本国に送りたいという意向連絡がございましたこともありまして、この七日の委員会におきましては、米側調査はできるだけ日本国内で実施してほしいと、しかし、調査の必要上、米本国にエンジン等を移す場合にはこれを事前連絡してもらいたいということ、それから、仮に米本国にエンジン等を移した場合にも、その結果は日本側に提供してもらいたい。それからまた、日本側調査の必要上エンジン等の検査を行う必要がある場合には、これを日本に持ち帰ることを要求することあるべし、というようなことを申し入れておるわけでございます。  で、その後、事故分科委員会といたしましては正式の会合は開かれていないわけでございますが、議長同士では接触を保っておりまして、このエンジン持ち出しの件につきまして、十七日に書面をもって申し入れる等のこともございましたし、いろいろ連絡はとっておりますが、現在の段階はその米側調査結果の取りまとめを待っておる、その取りまとめが終わりましたならば、これは米側から事故分科委員会において報告され、その説明を受けると。で、その場合に、現在の事故分科委員会の日本側のメンバーでは、専門的な知識、経験を有する委員が足りないわけでございますので、その米側から調査結果が出たときの検討、分析に備えまして、専門家の体制を整えようということで鋭意準備しておるところでございます。
  157. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そうしますと、十月七日以降は約一カ月ちょっと何にも開かれなかったと、そういうところに私は防衛施設庁の非常に何といいますか、受け身の姿勢があるんじゃないかと、あなた方自体でいろいろ情報収集なり、あるいは事情聴取したことで向こうに積極的にこの問題の解決を迫っていくという、そういうような態度がなぜなされなかったのか。
  158. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 日本側といたしましては、随時関係各省の連絡会議等開いて、情報交換連絡、今後の検討の進め方等についての勉強はいたしておるわけでございます。ただ、この事故調査につきましては、前から申し上げておりますとおり、第一次的な調査は米軍において行われる。これについては航空機の事故調査でございますので、いろいろこの原因、事実関係につきましても、それから事故原因につきましても、簡単な推測でまとめるわけにはまいらないわけでございまして、人的な証言あるいは物的な分析等々を含めまして、まとまった形で米側において調査結果を取りまとめてくる、それを踏まえて日本側において専門家を交えてこれを検討する、疑問のあるところは徹底的に追及をしていく、そうしてその結果を踏まえまして、今後の再発防止のための安全対策につきまして、これを合同委員会に報告し公表いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。御指摘のように、この事故分科委員会そのものの活動は、申し上げますように、米側調査結果の取りまとめを待っている状態でございまして、十月七日以来開かれていないことは事実でございますが、その米側調査結果がまとまった段階で、それを活発に検討を進めることができますように諸準備を整えておるというのが実態でございます。
  159. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そうして、七日の日に、エンジンをもしも本国に持ち帰る場合は事前に通告してくれと、そういうふうなことの申し入れをされたようでございますが、このファントムのエンジンというのは、いま自衛隊の使っておる戦闘機のエンジンと同じだと思うんですが、石川島播磨あたりでも、こういうエンジンの——離陸直後にエンジンから火を噴いたわけでございますから、エンジンのまあ燃料漏れ、こういうことが素人考えでもわかるわけでございますけれども、そういうような、持ち帰るときには連絡をしてくれというやんわりしたそういう申し入れなのか、持ち帰ってもらったら困ると、こちらの方で一緒になって検討しようと、こういうような強い立場の申し入れをされたのか、その点はどうだったのですか。
  160. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) まず事故調査の体制でございますが、これは私どもの所管ではございませんけれども、二十七年から合同委員会の合意がございまして、米軍機にかかわる事故については米側で一次的な調査権を持つということになっておるわけでございます。その結果を日米合同の事故分科委員会で検討すると、こういう体制でございます。したがいまして、一次的な調査米側がやります場合に、在日米軍で人員、施設、機材等で不足なために本国へ持ち帰らなければならないということにつきまして、私どもはそれをできるだけは日本国内で調査してもらいたいということでありますけれども、絶対に困るという立場ではなかったわけでございます。ところが、一面調査の促進ということも再々申し入れておるわけでございまして、米側としては、これを、エンジンとその関連部品をカリフォルニアの米海軍航空修理施設に運んで精密な調査を行ったわけでございますが、一面調査の早期促進ということも申しておったわけでございますので、私ども米側に遺憾の意を申し入れたのは、それについて事前連絡を怠ったという点の申し入れであったわけでございます。  なお、石川島播磨あたりでもエンジンの調査ができるのではないかという御指摘でございますが、その点については私ども具体的に承知いたしませんけれども、ファントムはわが航空自衛隊も持っておるわけでございますが、今度の事故機はRF4Bという型式のものでございまして、航空自衛隊が持っておりますのは4E、これは戦闘機型も偵察機型も4Eということで型式が違うわけでございます。エンジンも同様にGEのエンジンでございますけれども、同じ型式のものではないと聞いております。
  161. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 まああなたの方で申し入れをされて、そして何も相談もなく持ち帰って、そして事後報告を受けたというようなこと自体が、国民の間からも、非常に施設庁の方でやはり遠慮しいしいのそういう姿じゃないかと。やはりアメリカという、この安保の体制のもとで日本を守ってやっているんだという、昔の占領軍のそういう意識が非常に濃厚で、そして施設庁の方は守ってもらっておるんだという受け身のそういう姿勢が、こういうような行動にあらわれておるんじゃないかという国民の批判があるわけでございますが、その辺に対して長官はどういうふうにお考えですか。
  162. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) そういう見方をお持ちいただくというのは、まことに私どもといたしましては残念なところでございまして、私ども米側に遠慮することは毛頭ございませんので、日本側立場で言うべきことは私自身も言っておりますし、事故分科委員会の議長その他も、問題の都度、日本側立場において言うべきことはきちんと申しておるつもりでございます。  このエンジンの持ち帰りの件については、これは大変申しわけない次第でございますけれども、自後に、十月七日に申し入れたにもかかわらず十月の八日に横田から持ち出しておったということを、十四日の晩に至って承知したわけでございまして、はなはだうかつであったわけでございますが、この点については十五日に、米側にまことに遺憾であるということを申し入れると同時に、さらに、事故分科委員会の議長から文書をもって、エンジン等については米側調査が完了次第日本に持ち帰ってもらいたいということ、それから検査結果を日本側に提供してもらいたいということ、それから事故調査の完了まではパイロット等、あるいはその他の機材については日本国内にとどめおくことを文書をもって米側に申し入れをいたしておりまして、米側はこれらについて協力する意向を表明しておった次第でございます。それで、なお、御承知と存じますが、事故機のエンジンとその関連部品につきましては、この十一日に横田基地に持ち帰られまして、十二日に厚木基地に移送されておる次第でございます。
  163. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 長官がどういうふうに弁明をされても、そういう感じを与えたということは否めない事実でございます。エンジンの持ち帰りの前後の対応のやり方とか、あるいはまた十月七日に開催されてそれ以後一カ月有余も開催されない。被害を受けておるのは日本国民でございますから、そういうような点をひとつ反省をして、今後の交渉には毅然たる態度をもってやっていただきたいと、このことを特に要望しておきます。  それで、事故分科委員会というのは、米軍の事故調査委員会の報告を受けてそれを調査すると、一応こういうふうになっておりますが、では米側の事故調査委員会からどのような中間報告が現在なされておりますか。
  164. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 米側調査結果についての中間報告は受けておりません。これは初動の段階におきまして、事実関係等について米側承知しておったところを聞きましたことは先ほど申し上げたとおりでございますが、その内容は去る十七日に国会にも御提出申し上げました私どもの中間報告に記載されておるわけでございますが、事故分科委員会レベルにおいて米側調査結果を中間的に報告を受けておるということは現在の段階ではございません。
  165. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 では、あなたの方でお調べになった段階で次の事実が判明しているかどうか。  第一点は、離陸直後にエンジンから火を噴いたわけでございますが、その理由整備不十分なのか、離陸前にすでにトラブルがもう起こっておったんじゃないか、そういうことから、出発前の機体整備と点検の実情調査をされたかどうか、その結果はどうなっておるのか。  第二点は、パイロットの脱出時の高度及びぎりぎりまで墜落地点を選んで機体を捨てたかどうか。脱出の時期ですね、そして脱出の時刻は何時何分何秒であったのか。二人乗りでございますが、脱出は別々に脱出できるのか、連動でやるのか、だれが操作したのか。  それから三点は、機体の落ちた正確な時間はどうであったか。
  166. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) いろいろ先生が挙げられました諸点は、まさに事故調査そのものの内容として現在米側で詰めておるところだと存じます。  まず、その整備については、通常の、機体につきましてもエンジンにつきましても、定期的な点検とか、あるいは日常の点検整備あるいは飛行直前のパイロットによる点検等があるわけでございますが、これらは規定どおりに行われておったというふうに、そしてその際には異常は発見されなかったというふうに聞いておるわけでございます。  それから、パイロットの脱出の時刻でございますが、この点は中間報告でも申し上げておりますとおり、当日の午後一時十九分十二秒と、これは秒単位でわかっておりますのは、脱出のボタンを押しますとその信号が電気的に流れまして、これを横田でとらえておるということから正確な時刻がわかっておるわけでございますが、その時点が、搭乗者の脱出にぎりぎりの時間であったかどうか、ぎりぎりの脱出であったかどうか、この点はまさに調査一つの大きなポイントであるわけでありまして、この点については確認を現在の段階でいたしておりません。  それから、脱出の場合に、これは複座でございますので連動するかどうかということでございますが、これは私素人でございますが、連動するというふうに聞いております。ただ、それをだれが押したかという点については、この調査結果の際に明らかにされるべき事項であろうと思います。  それから、機体の正確な墜落の時刻、これについては、先ほどの脱出のように機械的に正確な秒単位のものがはかられる仕組みはないわけでございますので、これは目撃者の証言でありますとか、パイロットあるいはそれに追随しておりました米軍の僚機、同僚機のパイロットの証言でありますとか、あるいは写真がいろいろ目撃者によって撮られておるわけでございます。そういうものの科学的な解析によって正確に近い時刻が推定されるのかと思いますが、この点はまさに事故調査の大きなポイントの一つでございまして、私どもまだその結果は承知しておりません。
  167. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 九月二十八日の朝日新聞によりますと、この離陸から墜落まで目撃をした人の記事が載っているようでございますが、「離陸する前、エンジンを全開したとき、左側エンジンのノズルの左側から細長く赤黒い炎が出ていた。」と、これは多分「燃料が漏れてアフタバーナーの火が引火したようだ。」と、こういうふうに語っているという記事が載っておるようでございますが、この点については、施設庁としては直接この人にお会いになって事情聴取等のそういうことをされたかどうか。
  168. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 目撃者はたくさんおられるわけでございますが、施設庁自体でそういう目撃者の証言は得ておりません。これは警察当局が相当の人数の方につきまして目撃者の証書をとっておられるというふうに聞いております。なお警察庁の職員は事故分科委員会のメンバーでもありますので、その結果は日本側米側調査結果を検討する際に重要な資料になるものと考えております。
  169. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 先ほど、あの偵察機は複座で偵察員が後方に乗っておったようでございますが、単独作動か、連動できるのか、こういうようなことをお聞きしましたが、単独でも連動でも両方ともできるんだ、こういうふうに私たちは承知しておるわけで、そして作動したのはたしかに偵察員が作動したと、こういうふうにも聞いておるんですが、偵察員が作動しておれば、火が回ってきたんですからあわてて作動したと、こういうふうにも思われますし、そしてまた、連動をしたまま偵察員が作動したというふうにも聞いておるんですが、そうしますと、パイロットは無人のところにできるだけ遠く持っていこうと思ったけれども、偵察員が作動したものだから飛び出した、こういうようなことになろうかと思うんですが、そこらあたりはいかがですか。
  170. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 先ほど、私連動ではあるまいかと申し上げましたが、これは不確でございますので緊急確認しまして御報告申し上げます。  なお、そのだれが作動したかという点について私も小耳にはさんでいることはございますが、これを正確な証言等によって確認しない段階で申し上げるのは御遠慮さしていただきたいと思います。
  171. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 その機体の墜落の時刻とか作動の問題、そこらあたりがこの大きなポイントになろうかと思います。そしてまた、離陸直前の整備の問題、そういうことも含めて、ひとつ今度の委員会があるときには十分の詰めをしていただきたいと思います。  それから次は、航空母艦の搭乗員という、特殊なそういう勤務体系と基地航空隊の搭乗員ということでは、飛行場周辺の住宅地に対する配慮のあり方、あるいは緊急脱出の訓練度のあり方が私は違っておるんじゃないかと思うんですが、そこらあたりの認識はいかがですか。
  172. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) このパイロットは、すでに御報告しておりますとおりに、アメリカの海兵隊の第一海兵航空団の第一五海兵航空群の第三戦術偵察飛行隊に所属するものでございますが、この飛行隊の所在地は岩国でございます。したがいまして、常時母艦に乗っておるということではなくして、岩国に原隊がありまして、随時空母にも搭乗いたすと、こういうことであろうかと思います。  それからなお、事故直後に私ども米側に対しましていろいろなレベルで遺憾の意を申し入れますとともに、今後この種の事故が再発することのないように厳重に申し入れておるところでございますが、米側からも遺憾の意の表明がありますと同時に、安全対策については従来から十分に教育もし、訓練もしておるが、なおこの事実、今回の事故の事典の発生にかんがみて、その事実と安全の徹底については周知方を徹底しておるということでございまして、一般に私ども聞いておるところによりますと、これは当然のことでございますが、飛行する場合に、特に有視界飛行等の場合には人口の稠密地帯の上空をなるべく避ける、少しでも人口の少ない地区の上空を飛ぶようにする、それから万一事故の際、脱出のやむなきに至ったような場合には、地上の被害を最小限にするように機首を海上あるいは原野、山林等に向けるように指示をしておるというふうに聞いておるわけでございます。
  173. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ日本航空自衛隊の方で、緊急脱出ということについてかねての心構えということについてはどういうような訓練をしていらっしゃるんでしょうか。
  174. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) 航行中緊急状態に陥りました場合に、飛行機の機能回復ができるかどうかということがまず第一のポイントでございますけれども、そういうことができません場合には不時着、不時着の確信もない場合にはやむを得ず緊急脱出の措置をとるわけでございますが、その場合にも航空法第七十五条の規定に従いまして、地上の人または物件等に対する危難を防止するための措置をとるというふうなことが決められておりまして、この趣旨についてはふだんから隊員に周知徹底を図っております。
  175. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 最近の新聞の記事でございましたけれども日本航空自衛隊の幹部の方が、自分たちは、日本の飛行場というのは周辺に人家が非常に多いので、もしもそういう不幸な状態になったときには命をかけてできるだけそういうような住宅地には落とさないように、極力もうぎりぎりの線まで脱出の時期を縮める訓練をしているんだという意味のことをおっしゃったことが新聞に載っておりますが、そういうことからしますと、米軍は本国ははるか東の方にあるわけでございますから、日本の基地に離着陸をする場合、本国の場合とは精神状態に違いがあることは、これはもう人間として当然ではないかと、こういうふうな気がしてならないわけで、そういうことで、今回のこの住宅地に墜落したことも、私はそういう特に航空母艦の搭乗員であったということで、空母の場合はもう周りは全部海でございますから、脱出のときにはそういうようなことを考える必要もないぐらい大海原でございますから、そういうようなことのかねての訓練度というのが、厚木基地を中心とする日本の基地に飛来する米軍に対しては、厳重に私はそういうような訓練の練度を高めるということの申し入れがなされておらなければならないと思うんですが、その点についてはどうでしょうか。
  176. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 地上に被害を及ぼすおそれのあるような場合に、むやみに機体を捨てて脱出してはならないということは、パイロットの常識と申しますか、これはまあ人間的な常識であろうと思うわけでございます。そういう点についての教育は日ごろからやっておるということを米側も申しておるわけでございまして、その点については、私ども具体的にパイロットの脱出の態様、時期が、そういう平素の教育指導に照らしてどうであったかという点については調査結果にまつべき問題であると思いますので、軽々な発言は控えさしていただきたいと思います。
  177. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 厚木の基地が供用開始になったのは昭和二十七年だと思いますが、それ以後、大体あの周辺の米軍の墜落事故というのは何機落ちたんでしょう。そしてまた、神奈川県の県下に米軍機が落ちたのは何機なんでしょうか。
  178. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) いま詳細な資料がちょっと手元に出てまいりませんけれども、厚木基地周辺での墜落事故は、講和発効以後五十一年度末までに五十一件でございます。そのうちで民間人の死亡事故を招来しました事故は、三十年代非常に多うございまして、三十年代の十年間で二十件ほど出ておりまして、これによる民間の死亡被害も三十五人の多きに達しておるわけでございますが、三十九年に大事故が二件続けて起きました以後、幸いに四十年代には民間人の死亡事故をもたらすような事故は起きなかったのが最近までの実情でございます。
  179. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 あなたがおっしゃった五十一機というのは、今回の一機を入れるとたしか五十二機になるはずですが……。
  180. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) はい。
  181. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 それから、神奈川県下で墜落した米軍機は何機でしょう。
  182. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) これはすぐわかることでございますが、ちょっと手元でいまにわかに資料が出てまいりませんので、後ほどお答えいたします。
  183. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 神奈川県下では、私の調査したところによりますと、米軍機の墜落事故というのは百五十九件になっておるようであります。そういうようなことで、この神奈川県の方々が、もう厚木の基地を含めてどうしても移転をしてもらいたいというたっての要望があるようでございますが、この点について防衛庁長官はどういうようにお考えですか。
  184. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) このことは、実は神奈川県知事、また横浜市長、周辺の市町村長さんあたりからもそういう要請が出てまいっておるわけでございます。で、私ども今回の事故調査の結果等をまた踏まえてまいらねばならぬと思いまするが、設定された時点と現在の飛行場周辺の状態というものは非常に状況が変わってまいっております。人口稠密な地域に化してまいっておる現況でございますので、そうした点を踏まえながら検討を進めねばならぬかと思いまするけれども、現在のところ、いま代替地をどこに設けるかというような点でございまするとか、あるいはあの厚木基地の重要性等にかんがみまして、いますぐ移転をというようなことは考えておらないところでございますけれども、しかし、事故調査の結果等踏まえて検討せなければならない将来の問題であろうという立場に立っておるところでございます。
  185. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 横浜市長の飛鳥田さんが、アメリカの慣習によりますと、こういうような墜落事故が起こったときには、その原因がはっきりするまでは飛行を一時中止をするんだと、こういうようなことをおっしゃっておりますが、そういうような慣習を確認をされましたでしょうか。
  186. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) これはアメリカの状況というものも問い合わせましたが、一概に必ず停止してやるというものでもないようでございます。たとえば、非常に原因がはっきりいたしておりまして、たとえば脚の材質が悪いというようなことがわかりますと、全機を点検するために数日間とめるというようなことはあるようでございますけれども、事故があったから直ちに自動的に停止して対策をやるということではないようでございます。
  187. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次に、今度人身事故が起こっておるわけでございますが、そのほかに財産事故も起こしておるわけでございますが、これに対する被害者の補償、これについて防衛施設庁はいままで何回、どのような交渉をされたのか、また補償基準はどのようになっているか明示していただきたいと思います。
  188. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 被害者の方々に対しましては、大変申しわけない物心両面の、また二人の幼いお子さんが亡くなられるというふうな重大なことになりまして、申し上げる言葉もない次第でございます。  その補償の問題につきましては、事故直後から個々に被害者の方へのさしあたりの生活の確保のための御援助の措置をいろいろ講じておりますが、この点につきましても、特に初動の際におきまして不行き届きの点が多かったことを申しわけなく思っている次第でございます。だんだんこの具体的な被害者各位への補償につきまして準備を整えておりまして、第一回の説明会は十月の六日に開いたわけでございますが、その後いろいろ御要望を承り、また準備もいたしまして、先般十一月の五日に第二回の説明会、これは被害者の方々、地元の方、それから県、市の職員の方、御参加になりまして説明会を開いた次第でございます。さらに、その結果に基づきまして、今度被害者の方々で細かい点のいろいろ御質問事項を御相談、取りまとめをなさいまして、今週中にも三回目の御説明の会を開きたいということで準備しておる次第でございます。大筋の方針につきまして御納得をいただけましたならば、その後は個々に被害者の方々の被害の実態に即しての補償の手続を進めさしていただきたいと、こう思っている次第でございます。   〔理事加藤武徳君退席、委員長着席〕  なお、この基準でございますが、これは去る五日の説明会におきましても被害者の方々に御説明申し上げて、詳しく御説明申し上げているところでございますが、大筋を申し上げますと、まず死亡されました二人のお子さんにつきましては、御遺族の方に対しまして、お亡くなりになったことに伴うホフマン方式による逸失利益、それから、亡くなられるまでの療養費用、それから葬儀費用、それから慰謝料等をその内容といたしております。それから、負傷された方々、この中には比較的軽傷だった方もございますが、現在もまだ林さんの奥様、それから妹さん、それから椎葉さんの奥様と、三人の方がなお病院で治療を続けておられるわけでございますが、その他負傷された方に対しましては、当然のことながら療養費用、それから休業あるいは障害に伴う逸失利益、あるいは慰謝料等を補償申し上げることになるわけでございます。  それから、財産の関係でございますが、家屋とか家財につきましては、原則としまして被害面前の時価と申しますか、実損額を補償いたすということになります。それからなお、近隣で自動車とかあるいはガラスが壊れた等の方もあるわけでございますが、この方々に対しては、修繕費、復旧できます場合にはその修繕費をお支払い申し上げるということでございます。  なお、個々に被害者の方々あるいは御家族の御意向を伺いまして、御要望に応じて内払いをするというような手順につきましても実施できるように準備をいたしておるところでございます。
  189. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 日米地位協定によりますと、この補償の支払い額の分担というものが決まっておるようでございますが、米軍側が七五%、日本側が二五%と、こういうふうになっておりますが、今回みたいにアメリカの主なる原因が墜落によって被害者は日本人であるということで、どうもその二五%の負担というのは、地位協定で決めておられるとは言いながら国民として非常に納得しがたい点でございますが、これはどういうふうに理解したらよろしいんですか。
  190. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 地位協定の問題は外務省からお答えするのが適当であるかと思いますが、外務省の方は出席されておりませんので私ども理解しておるところを申し上げたいと存じますが、旧行政協定を改定いたします際に、政府としましてはNATOの地位協定がこの旧行政協定に比して全体として有利になっておるという考えから、いわゆるNATO並みの線を確保しようという立場をとったと伺っておるわけでございます。  それで、地位協定の十八条5項に定めております分担率は、ただいまお話しのとおり米側にのみ責任がある場合には米側が七五%、これは公務の場合でございますが七五%、日本側が二五%を負担するということになっておりますが、これにつきましてはNATO諸国の場合と同様の基準になっておると承知しております。この分担の方式の考え方は、派遣国の軍隊、この場合米軍でございますが——は受け入れ国の防衛に寄与するものであるということ、それからまた、被害者からの損害賠償請求の処理を受け入れ国の法令に従って行うことにかんがみまして、受け入れ国としましても、この派遣国軍隊の公務上の行為による損害から生ずる請求の処理につきましては、その一部を負担することが適当であるという考え方に基づくものでございまして、この点はわが国の場合も同様であるというふうに承知いたしております。
  191. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 エンジンも持ち帰られて、いよいよこちらの方の調査も始まるわけでございますが、そうなりますと事故分科委員会等の開催も近いと思います。この原因調査の見通しといいますか、どのようにお持ちですか。
  192. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 米側にはその調査結果の取りまとめをかねてから早くしてもらうように促進しているわけでございますが、現在の段階でいつ米側から提供の準備が整うかということについて具体的な連絡を受けておりません。私どもはできるだけ早くいたしたいということと、その原因の解明、それから特にこれと関連いたします自後の再発防止のための対策につきましては、十分な日本側の検討を経てまとめなければいかぬと、こう思っている次第でございます。すでに二カ月を経過いたしておりまして、私どももその点は感じておるわけでございますが、ただ、この航空機事故の調査につきましては、いろいろな従来の事例等も調べてみておるわけでございますけれども、たとえば三十九年に起きました町田市での事故がございますが、このときも民間の被害者が四名も亡くなられるという事故でございましたが、このときは二カ月弱でまとまっておるわけでございます。同年の三十九年の九月の大和の事故のときには、このときも大事故でございますが、このときは最終的に合同委員会から内容の発表がありますまでに四ヵ月半ぐらいかかっております。それから、四十六年にやはり横浜の旭区で、これは人身事故はございませんでしたが、山林に墜落した事故がございました。このときには七、八カ月調査結果が出るまでにかかっております。なお、民間航空機の事例などもいろいろ参考のために調べてみたわけでございますが、これは大きい事故になりますと、むしろ一年以上もかかると、一年、二年かかるというような例が、具体的にデータは持っておりますが、少なくございません。ただ、今回の場合はパイロットが生存しておるということもありますし、そう長い時間をかけてはいられないというふうに、特に今後の安全対策の万全を期する意味からはできるだけ早くまとめたいと思っておりますが、現在の段階ではまだ米軍の調査結果の検討が日本側の手に渡っていつから始められるか申し上げられない次第でございます。
  193. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ今度第二点目を質問をいたします。  昨日も代表質問お尋ねをいたしましたが、在日米軍の駐留費の分担問題について再度お尋ねをいたします。  地位協定二十四条では、「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、「日本国に負担をかけないで合衆国が負担すること」になっておるわけでございますが、基地労務者の労務費をわが国が負担することはこの地位協定に違反することになるわけでございますけれども、昨日の総理並びに防衛庁長官の御答弁では、この二十四条の精神によって処理すると、こういうふうにおっしゃったわけでございますが、これは直接、間接を問わず、要するに合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は全部合衆国の方で負担をする、日本国に負担をかけない、こういうふうな御答弁と理解してよろしいですか。
  194. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 在日米軍の労務にかかわる問題につきましては、昨年から日米間で特別の合同委員会をつくりまして、労務にかかわる種々の基本的な問題につきまして慎重に検討を進めておるところでございます。で、この検討は、御承知かと思いますが、ここ数年来、駐留軍従業員につきまして、これは慣行的に公務員と同率同時の実施ということで私ども米側に要望をし、曲がりなりにそういう線で実現してきておるわけでございますが、その年々の交渉が非常に難航いたしまして、たとえば四十九年の給与改定につきましては、五十年の二月の終わりまで日米間の合意にかかる。それから、五十年の給与改定の場合には五十一年の春までかかる。そうしますと、公務員の場合には給与法が成立いたしますと年内にベースアップの差額が支給されるというふうなことでありますけれども、駐留軍従業員の場合にはこれが半年もおくれる。それからさらに、年々その給与改定交渉の際に、何がしか労働条件の切り下げになるようなことを迫る。こういうことで、年々この給与改定問題が難航しておるという状況にかんがみまして、これを基本的に解決いたしたい。そうして、現在二万三千人の従業員でございますが、家族を合わせますと十万人の生活にかかわる問題でございますので、この駐留軍従業員並びにその家族の雇用と生活を安定した基盤の上に置こうと、こういう趣旨で交渉を進めているわけでございます。どういう解決策が見出せるかという点につきましては、現在鋭意検討中でございまして申し上げる段階に達していないわけでございますが、いずれにしましても地位協定の枠内におきまして解決を図る。そうして、基本的に従業員並びにその家族の生活を安定した基盤の上に置こうということでいま鋭意努力をいたしておるところでございます。
  195. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私は防衛庁長官に昨日の答弁のことをお尋ねしたんですが、御答弁がありましたので、ではついでに、じゃ二十四条の「合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」ということは、私は直接、間接を問わず伴うすべての経費と、こういうふうに解釈するんですが、いま施設庁長官お話では、直接と間接を分離してというふうに理解せざるを得ない答弁のようでございましたが、そこらあたりはいかがですか。
  196. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 地位協定の枠内においてということは、昨年から日米間で交渉を始めた際の交渉の基本的な枠組みと申しますか、日米間でその点については合意の上に立って進めておるわけでございます。  で、この地位協定の枠内で日本側で何をなし得るかという点につきましては、現在いろいろな観点から検討いたしておるという以上には申し上げられないわけでございますが、いずれにしましても、先ほど来申し上げましたような駐留軍従業員の雇用並びに生活の問題を安定した基礎に置こう、こういうことで、地位協定の枠内で何をなし得るかについて鋭意検討をしておる段階でございます。
  197. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 昨日も総理並びに私からお答えをいたしまして、ただいまは施設庁長官お答えいたしましたように、あくまでも安保条約の地位協定に基づいて、これを前提にして労務問題と取り組んでおるところでございます。その内容等につきましては、ただいま合同委員会において鋭意検討を進めておりますので、その中身についていま申し上げる段階にないわけでございます。
  198. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 それなら、長官の方は直接、間接という、そういう使い分けを防衛庁の方でやっておられるようでございますが、この米軍のあらゆる経費というものは、直接経費であろうと間接であろうとやはり米軍が負担をすべきであると、私はこのように理解をするのでありますが、その理解ではなくて、間接と直接という理解のもとでこの問題は処理されるべきであると、こういう認識でしょうか。
  199. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いま直接であるとか間接であるとかいうようなことを申し上げる段階にございません。あくまでも地位協定の枠組みと申しますか、地位協定そのものを踏まえて私どもは取り組んでおるところでございますので、いまその点を具体的にお答えする段階にないということでございます。
  200. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ施設庁長官お尋ねをしますけれども、新聞の報ずるところによると、防衛庁としては、駐留軍従業員の給与など直接経費は分担はできないが、各種保険の事業主負担分や労務管理事務委託費の米側負担分は、間接経費として日本側が負担しても法的に可能との解釈をとっているようであると、こういうように報ぜられておりますが、これはこのとおりなんでしょうか。
  201. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 私ども立場先ほど来大臣並びに私がお答え申し上げておるとおりでございまして、現在、その地位協定の枠内で駐留軍従業員の雇用、生活を安定させるため何をなし得るかということを鋭意検討しておるという段階でございまして、新聞にいろいろ報ぜられるわけでございますが、私ども直接、間接がどうのというふうなことを申しておることはございません。
  202. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 また、この問題については、米側との交渉の経緯及び今後日米合同委員会労務問題部会でいつ話し合いが行われて結論を出される予定なのか。米側からは、報ずるところによりますと、十一月一日までに——もう過ぎましたけれども、改善されなければ、駐留軍の従業員の五十二年度の給与引き上げには応じない、このような最後通告とも言うべき、そういう通達がなされておる、このように言われておりますが、この点はいかがでしょうか。
  203. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 現在日米間の交渉は、労務に関しまして昨年から設けられております合同委員会で内々に行われておるわけでございますが、これは、日本側は外務省のアメリカ局の北村参事官が代表になっておられるわけでございます。で、この日本側においてもいろいろ検討しますと同時に、アメリカ側意向についても打診をするというふうな形で、非公式な形での交渉が行われておるというふうに聞いておりますが、いつこれが決着を見るかということについて確たる見通しは私どもまだ伺っておりません。ただ、いま先生お話ございましたように、十一月一日までに結論を出そうということが昨年始めましたときの日米間の合意でございました。この期限はすでに過ぎておるわけでございますが、したがって、できるだけ早くこの方針を固めなければならない。ただ、本年の駐留軍従業員の給与改定の問題につきましては、基本問題に関します交渉と並行してこれを進めようということでいまやっておるところでございまして、この点について、こちらの基本問題について解決がなければ給与改定交渉には一切応じないというような米側の態度ではございません。並行して進めるということで、両方ともできるだけ早く決着をつけたいということでやっておるわけです。
  204. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 最近の円高ドル安という状態になりますと、昨日も外務大臣の方からその点も答弁にありましたけれども、なかなか米側としては応じにくい点があろうかと思いますが、これについてはどのようにお考えですか。
  205. 亘理彰

    政府委員(亘理彰君) 在日米軍の経理状況に円高の問題が影響がないということは申せないと思いますが、しかし、当面の円高の問題が、労務に関しまして昨年来進めております日米間の話し合いに直接影響するというふうには私ども考えておりません。
  206. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ次は三点目の質問に移りますが、防衛庁が十月三十日に発表しました防衛に関する意識調査の結果について、防衛庁長官はどのように把握し認識しておられるか、お答え願いたいと思います。
  207. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先般の防衛庁におきまする世論調査につきましては、国民のまずは広報機関と申しまするか、テレビあるいはラジオ、新聞等を、いつの時点にどう見ておられるかというような媒体の嗜好と申しまするか、そういう点が一つ明確になった。なおまた、日本防衛についての意識程度というようなものが明確に受けとめられた。こういう点で、私は世論調査に対しましては一つ評価をいたしておるところでございます。今後も、防衛庁といたしましても広報活動を積極的に展開をいたしたい。  次には、その調査の結果でございますが、御承知のように全体的には八三%という結果が出たわけでございます。防衛庁長官としてはよい結果であるという受けとめ方をいたしておるのでございまするけれども、その結果が出ましたものは、防衛に対しまする御理解協力というような点もさることながら、やはり災害出動を積極的にやった、そういうことが国民の理解に大きな役割りをした、そういう見方もいたしておるわけでございます。こうした八三%という好結果が過去に比較して出たからといって、私は安んじてはならない。積極的に、有事の際には国家の、国民の防衛に当たるという、そういう点を踏まえて、なおまた災害時における出動等も私は積極的に、みずからを戒めながら、精鋭な自衛隊の育成に向かって努力をせなければならないという受けとめ方をいたしておるところでございます。
  208. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 ただいま長官もおっしゃったとおり、特にこれまでどんなことに役立ってきたかということについては、災害派遣が七五%、今後どのような面に力を入れたらよいかということについては、災害派遣が三八%で、安全確保が三四%、治安維持が一一%という数字でございます。本来の主目的である外国からの侵略の抑止や治安維持よりも災害派遣を第一にすべきだという意見であるわけでございます。言葉をかえて言えば、本来の目的よりも副次的な災害派遣を期待する声が大きいことにどのように長官が考えていらっしゃるか、御所見を伺いたいと思います。
  209. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 今回の調査、これは先ほど長官が言いましたとおり、従来総理府が三年ごとにやってくれておりまして、これが五十年のときに七九%であった。それでいま、最近のわれわれが防衛白書を出しましたり、あるいはミグ25とかいろんな事件がございました。われわれなりの防衛意識が向上しておるかどうかという意味で調査したわけなんです。いま先生おっしゃったとおり、自衛隊が災害派遣に役立っておるという支持率が七五%である、それから今後どのような面に力を入れたらいいかというのに災害派遣が三八%ということで、治安確保よりも高いじゃないかというような御質問ございました。これはまだ自衛隊、いままで戦ったことがないわけなんですから、いままで何に役立ったかといえば、これはだれが考えても災害派遣に一番役立ったということになるだろうと思うのです。と同時に、やはりいま国民が危機意識が非常に薄いものですから、ここ当分の間は自衛隊、一番役立ってほしいというのはやはり災害派遣だろうと、こう思うんです。しかし、一方では自衛隊の設けられた目的は何かといいますと、これはやはり安全確保が六〇%という数字で、災害派遣が一三%という数字が出ておりますので、これは国民はよくわかって、平時における自衛隊のあるべき姿ということで災害派遣に非常に力を入れて評価してくれたことはわれわれも感謝しております。現に、大体われわれ現在年間に七百四十件から七百五十件自衛隊は災害派遣に出ております。そして、約八万人から十万人の延べ隊員が出ておりますし、あるいは一万三千台から一万五千台のトラックその他が出て災害派遣に力を入れておるわけでございます。今後とも平時におきます現在の自衛隊におきましては、一方では、百年兵を養うのは一日の用ですから、一生懸命に訓練に励みますと同時に、平時の間におきます災害派遣は一層力を入れるべきであろうと、このように考えておるところでございます。
  210. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いまのお尋ねの点で、そうした災害派遣等の、要請が強いが、それに対する資材、施設等について万全を期する考えはないかというお尋ねもございました。その点につきましては、いまの装備につきまして十分足り得るものでございます。なお、足らない資材等につきましては処置をしてまいる所存でございます。
  211. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 長官は非常に早のみ込みで答弁をしていただきまして恐縮に存じますが、いま国土の乱開発で非常に荒れておりますし、また生活の多様化によって災害は今後多発する傾向にあると思います。いま長官がおっしゃったとおり、また官房長がおっしゃったとおり、そういう前向きの姿勢でやっていただくということは非常に心強いわけでございますが、災害になりますと威風堂々と部隊を組んでこられるんですが、余り重機材はお持ちでない、また持ってこれない状態かもしれませんけれども、そういうようなことを考えますと、やはり効率を上げるという意味合いからももうちょっと施設、機材の装備をした方がいいんじゃないかと、国民の要望にこたえるためにはそういうように思うんです。  そこで、長官お尋ねしますが、台風来襲地帯というのは九州でございますが、西部方、面隊あたりの施設、機材を見ますと、やはりほかとは余り特徴がないような、そういうふうに思うんですが、そういうような台風常襲地帯に配置されてある方面隊あたりは少しそういうような配慮をされるべきじゃないかと。また、普通科連隊あたりも、油圧ショベルあたりは装備をした方が災害の派遣のときには効率が上がるんじゃないかと、こういうように思いますが、その辺の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  212. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生が御指摘ございましたが、施設、機材については私どもも充実をしたいと思っております。四次防のときに特にこの点について力を入れるということで、普通科連隊にドーザー、バケットローダー等の機械を投入いたしまして、これはきわめて早い期間にこれを装備するということで計画をいたしております。  九州は特に違ったものをということでございますけれども、私どもといたしましては、大きな災害につきましては、四十九年度以来災害派遣の演習もいたしておりますし、またその地方地方に応じました施設、機材を持ちまして、特に四十六年以降でございますか、各県にそれぞれの地区施設隊なども設けまして、この災害派遣に万全を期するような努力はいたしておるわけでございます。ただ、大変言いわけがましくなりますけれども、私どもはこの機材を非常に大事に使っておるものですから、かなり、長く使っております。したがいまして、中にはやや古くなったというものもございます。一般の土木業者というのは非常に早くこれを使いまして新しい機械にかえていくというところがございまして、ある観点からすると少し古くなっているということもあろうかと思いますが、そういう点につきましては努力してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  213. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は四点目の質問に移りますが、もう御承知のとおり日本は島国でございますし、資源やエネルギー、こういうように乏しい国土、狭い国土に一億一千万の人口を擁しております。ですから、石油にしても食糧にしても、各種資源にしても、これを外国から輸入して、加工して付加価値を、高めて輸出して食べていくという宿命とも言うべき立場にございます。そこで、日本自体の生存を維持するためには、外国より食糧、石油、資源の確保と海上輸送力及び安全の確保が不可欠の要件であろうかと思います。  一九七四年末に国連で決議をされました侵略の定義第三条(d)項によれば、商船隊に対する攻撃は明らかな侵略行為とされていると、この決議に対して防衛庁長官はどのような御所見、見解をお持ちかお伺いいたします。
  214. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) この四十九年の十二月の十七日ですか、国連総会で「侵略の定義」というものをおっしゃったとおり総会で採決、決議したわけなんですが、御承知のとおり国連で、侵略の定義というのは二十何年かかって、非常に問題があって、詰めて詰めて、過去三回ともだめになっちゃって、過去七年かかりましてやっとつくり上げた問題のように聞いております。この侵略の定義そのものは国連憲章の三十九条ですか、すなわち安全保障理事会がいわゆる侵略行為の存在というものを決定する。これは安全保障理事会が決定権を持っておるわけです。そのために侵略というものの定義をつくろうということでやったようでございますが、ただし、非常にむずかしい問題が多数あったものですから一応のガイダンスにすぎないと、最終決定安全保障理事会が決定するということでのガイダンスになっておるようでございます。その中に、いま先生が御指摘になりました第三条の(d)項でございますね、国家の軍隊による他国家の陸、海または空軍もしくは商船隊または航空機隊——マリーン・アンド・エアフリートですか、それのフリートという言葉を使っておる、それに対する攻撃も、いわゆる国家の軍隊による他国家の商戦隊または航空機隊に対する攻撃も、一応ガイダンスには侵略という定義をしておるわけです。わが国の場合に、たとえば南方で商船隊がある国家の軍隊から撃沈されたとかといった場合に、われわれはこれは侵略と見て、自衛隊法七十六条で言う外からの武力攻撃があったという解釈でやるかという問題でございますけれども、われわれの外からの武力攻撃、いわゆる直接侵略という解釈は、いわゆる計画的、組織的な意図を持って行われた侵略と、偶発的なものはちょっと入りにくいんではないだろうかということの解釈をしておりますので、恐らくその一船団がたまたまやられたということだけで直ちに——総理大臣の判断あるいは国会の承認を受けて防衛出動が下令になるのですが、その場合に、私の方では自衛権発動のための直接の武力攻撃という解釈をするかどうかは、先ほど言いました組織的、計画的というような意図その他も十分考えて判断されなければならない場合があるんであろう。直ちに、一概にすぐにこれは侵略とは言えない場合もあろうと思います。
  215. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私はその偶発的な問題ということじゃなくて、いまの日本の外国からの資源、エネルギー、そういうものを輸入をしている航路というのは、ほとんどが南方ルートでございますから、そこらあたりに計画的にある力を持ったそういうような攻撃が加えられたときに、その国連で言う侵略と認め自衛隊の自衛権の発動をされる、そういうようなことをお考えかどうかということです。
  216. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 御承知のように、自衛隊のそうした実力活動ということについては、厳正な規制があることは御承知のとおりでございます。そこで、いま申されましたような南方海域なりあるいは太平洋海域等でそういう事態が起こりました場合には、それをいま防衛出動とみなされるかどうか、計画的、組織的な行動であるかどうかということの判断が一番問題になるわけでございます。そういう判断が立てば国会の承認を得て防衛出動というようなことがあり得ると思います。しかし、それが判断が困難である、どうもそういうような状態にはないというような場合にとりましては、自衛権の発動と申しますか、警備行動というようなものを総理の承認を得て防衛庁長官が出動を命ずるわけでございますが、そういう二段の構えでやらねばならぬかなといまのお尋ねに対しましては考えるわけでございます。それだけ自衛権の発動については規制があり、慎重を要するという立場を持っておるわけでございます。
  217. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 では、防衛庁長官の専守防衛という考え方と、その専守防衛の範囲ということについてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  218. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) この専守防衛といいますか、この自衛権の発動の範囲ということにつきましては、従来も国会でしばしば御議論されているところでございます。私どもといたしましては、領海、領空の中でこの自衛権を発動するだけとは考えていないわけでございます。したがいまして、自衛に必要な範囲の公海、公空上に及ぶそこにおきまして武力攻撃を受けたときに、自衛権を発動して防衛行動をとるというふうに考えているわけでございます。
  219. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そうなりますと、日本の動脈とも言うべきそういうところを、いかに精鋭な自衛隊があっても、油が切れたり食糧が送られなかったりしたらこれは活動がぐんと低下するわけでございますから、そういうようなところに意識された強い力で攻撃を加えられたと、言いますとマラッカ海峡からこちらの方、あるいはまたインド洋の方でそういうことになった場合に、これは侵略と認めてやはり対応される、そういうような、いまの気持ちから——防衛局長お話からしますと領海、領空だけじゃないと、こういうようなお話でございますから、そこらあたりはどうなんですか。
  220. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 今日までこの問題が、先ほど防衛局長が申しましたように論議をされましたが、一応政府としての意見と申しまするか、取りまとめてまいりました意見といたしましては、大体周辺でございますれば五百海里、領土の周辺でございますれば五百海里、それから、航路でございますれば一千海里程度のところまでしか行ける能力はないのではないか、そういうような一つの現在時点におきましては意見政府としては持っておるわけでございます。
  221. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そうなりますと、仮定の問題でございますが、いまいろいろ論議をされている大陸だなの問題、大陸だなは公海でございますが、ここに日本の国益というもの、あそこに海中石油の探索をやって相当に国費を投入するというようなことになったあの地域に、もしもそういうようなことが始まったときに、不幸にしてそういう攻撃が加えられたということになりますと、これは近いところでございますが、自衛権の発動というのはお認めになるわけですか。
  222. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いま私が、領土の周辺につきましては数百海里——五百海里と見るか四百海里と見るか、数百海里という一つの方針でおるわけでございまするが、いま言っておられまするのは、その範囲でございますれば、公海上でございましても、その事態が、先ほどもございましたように歯どめがはっきりあるわけでございまするが、計画的あるいは組織的なそうした攻撃であるというようなことと受けとめられるかどうかという問題でございますから、そういうような地点でございますれば、そういうことが国会の承認を得てできるかなということになろうかと思うのでございます。
  223. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 南方ルートが、いろいろ情報の収集等によって険悪になってきたと、そういうことで商船隊の護衛をしなければならないと、そうしなければ輸送路の確保が、日本の動脈の確保ができないと、こういうような事態になったときの自衛隊としての対応の処置はどうされますか。
  224. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) そうした仮説なことにいま私がお答えをするということ、それ自体慎まねばならぬと思うのでございます。しかし、そうした日本の周辺の状態が、そういうような状態にいま私どもは当分ならないという判断に立っておるわけでございます。そういうような事態がまいりました際には、そうした問題について検討をせねばならぬかなというようなことでございます。いま卒直にそういうような仮説に対してどうしますというようなことを申し上げる事態でございませんので御了解を願いたいと思うのでございます。
  225. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 防衛庁長官は、有事のときにしかるべき措置をとる事前の研究は、きのうも総理が言っておられたとおりやっていくのが当然の職責だと、こういうことで、いま仮定のとおっしゃいますけれども、やはり考えられるそういう問題でございますので、いま一遍答弁願いたいと思います。
  226. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) 先ほど申しておりまするように、自衛権を発動するというのは国会の承認事項でございます。そういう事態には私は国会の御承認を得、処置をしなきゃならぬ、そういうことになろうと思うのでございます。
  227. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 先ほど防衛局長の答弁によりますと、領空、領海にかかわらずそういう攻撃が加えられたということになると、いま防衛庁長官がおっしゃったとおりの措置で自衛権の発動ということもあり得ると、こういうような御答弁のようでございましたけれども、今度は方面を変えまして、憲法第九条によりますと、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と、こういうことがあるわけでございますが、ここら、この憲法との関連という問題に関してどのように御見解を持っていらっしゃいますか。
  228. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) あくまでも専守防衛という自衛の立場でその判断をいたしたいと考えております。
  229. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 去る八月の末から、ソ連の護衛艦が、玄界灘でわが国の領海を侵犯したり、ソ連海軍偵察機二機が長崎県の五島列島沖で領空侵犯したり、あるいはソ連軍用機が秋田沖二十九キロまで異常接近したり、非常に頻繁であるようでございますが、最近の動向について、またこのような活発化したその背景というものはどのように御認識をしていらっしゃいますか。
  230. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) ただいま先生お話がございましたように、ソ連海軍の最近の増強というものはかなり目覚ましいものがございます。で、過去十年間を見でみますると、ソ連の海軍というものが、沿岸警備を主とした水上艦艇から遠洋海軍に変わりつつあるというのが見受けられるわけでございます。特にソ連の海軍力の中で際立って注目されますのは、潜水艦の数がきわめて多いということでございます。そして、潜水艦の行動というものは、全部が全部わかるわけではございませんけれども、現に一九七一年以降ソ連の艦隊というものは太平洋に出て訓練をやっております。七五年になりますと、オケアン75というような大規模の演習もやっておりますし、また、昨年、ことしにかけまして、いわゆる船団攻撃あるいは空母の攻撃、対潜水艦作戦、そういったものを中心に沖繩周辺等で訓練を重ねているわけでございます。したがいまして、海軍力というものは過去十年間顕著に増大されてきているという傾向が見受けられるわけでございます。
  231. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 最近日中条約の締結の機運が非常に高まっておりますけれども、これが早期締結をされた後予想されるのは、これは常識上ソ連の対日運事行動がいままで以上私は活発化するんじゃないかと、こういうふうに思いますが、これに対する予想とか、また自衛隊としてはどういうような対応の措置をおとりになる予定なのか、そこらあたりをお聞かせ願いたいと思うんです。
  232. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) いま先生お話がございましたが、日中協定ができてソ連の艦艇の対日軍事行動が盛んになるだろうというお話でございますけれども、私は、日中協定ができましてもソ連と日本との間できわめて緊張状態になるということは予想していないわけでございます。いままで軍事的な面でいろいろな調査の行動その他をやっているのは事実でございますが、これはやはり平時の行動でございまして、有事の行動というふうには私どもは考えていないわけでございます。
  233. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 先ほども申し上げましたとおり、わが国が輸入しておる資源の大部分というのは、台湾付近を通過するいわゆる南方ルートに依存しているわけでございます。また、いま防衛局長がおっしゃったとおり、増強の一途をたどっているソ連極東海軍のインド洋あるいはまた太平洋進出の経路の要点としては台湾地域があるわけでございます。日中条約締結によって台湾に対する発言権を日本が放棄した場合、この大事な南方ルートの輸入路を遮断される、そういう懸念が素人としてもあるわけでございますけれども、これに対応する処置をお持ちかどうか、どのように考えていらっしゃるか。
  234. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) 先ほども申し上げましたように、私どもは、そういった日本に対して組織的な暴力的な攻撃というものが繰り返し行われるようになるとは思いません。そのことは現在予想していないわけでございます。このソ連の海軍の軍事力というものが増強されて、これが活発に活動しているというのは事実でございますけれども、やはり侵略というものは、そういった軍事行動とともに、侵略の意図が結びつかなければ起こらないと私どもは考えているわけでございます。したがいまして、そういったふうな形で、日本に対する侵略という形に直ちになるというふうには予想していないわけでございます。
  235. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 あなた方の方ではそういう情勢であっても、今度は日中条約が締結をされて、日本が台湾に対する発言権を放棄した状態になったときに、唯一の日本の動脈が台湾の近くを通っているということで、いろいろ封鎖とか遮断とか、そういうことが行われ、日本としても非常に困った状態になることが私は予想されるんじゃないか、北洋漁業の問題でも大変ないやがらせをされておるわけでございますから、そこらあたりは常識上そういうことが起こるんじゃないか、こういうふうに思うわけでございますが、その辺の認識はいかがでしょうか。
  236. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) いまのようなお尋ね情勢というようなもの、たとえば無資源国日本でございまするので、南方あるいは太平洋から資源、糧食等が運ばれるわけでございます。そういうようなものが断たれるというような状態というようなのは、私は相当な期間予想できる態勢があるのではないかと思うのでございます。そういうような判断に立ちまして、情勢判断に立って、そして自衛権発動の三原則みたいなものがはっきりございます。その三原則に照応しながら、そういう事態にどう対処するかというようなことを私どもは決意をするわけでございます。そうして国会の承認を得るというような段取りになろうかと思うのでございまするので、そうした情勢判断がそういう方向になってまいりますれば、それに対処するだけの準備態勢を現在の自衛隊防衛力でも断行せざるを得ぬかなというようなことになろうかと思うのでございます。
  237. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そういう長官の答弁からして、今回F15という航続力の非常に長い、そして爆弾等も積んでおる、そういうような機種を選定されたということも、いろんなそういう領空、領域、領海の中だけじゃなくて、さっき防衛局長がおっしゃった、外でもそういうようなことが起こったときに攻撃しかける力を持ったそういう機種の選定をしなければならないという深慮といいますか、深い考え方がおありで選定をされたんじゃないかと、こういうふうに思わざるを得ないんですが、そこらあたりはいかがでしょう。
  238. 伊藤圭一

    政府委員(伊藤圭一君) それは全く私どもは考えていないところでございまして、先ほどもございましたが、四千六百キロ飛べるではないかということでございますが、これは何にも積まないで、ただ飛行機が飛んでいく場合に四千六百キロでございます。そして、先ほど来御説明いたしておりますように、これからの防空戦闘機というものは、やはり空中において相手の戦闘機とドッグファイトをやらなきゃならないわけでございます。この場合のいわゆる戦闘行動というものは、普通飛行機が飛ぶ六倍以上の燃料というものを消費いたします。したがいまして、そういう形で今後の新しい防空体制として必要な観点から選んだのでございまして、このF15が航路を護衛するためというふうには考えていないわけでございます。で、その航路を守るのは対潜哨戒機であり護衛艦であるわけでございます。もちろんそのF15装備によりまして日本の防空体制がしっかりしているということは、やはり日本に対して侵略の意図を持っております国の飛行機の自由な行動というものを阻止するわけでございますから、結果的には航空勢力の跳梁というものを許さないという意味におきましてはそういうことにもなろうかと思いますけれども、そのための目的でF15というものを装備したいと考えているわけではないわけでございます。
  239. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 最後に自衛官の停年のことについて若干お尋ねをしたいと思います。  これは自衛官の方々は若年停年であるということはもう御承知で、特に私たちも友人等が非常に困っている、だから延長してもらいたいという皆さんの声もございましたし、また長い間苦労してこられたこういう方々に対する処遇という、人間尊重という立場から質問をいたすわけでございますが、隊員の停年制の根拠と経緯といいますか、現行はどのようになっているのかお答え願いたいと思います。
  240. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 自衛官の福祉、そういったものをお考えの上での御質問で、心から感謝いたします。  現在のわが国自衛官の停年は、自衛隊法の施行令で定まっておりまして、御承知かもしれませんけれども、将が五十八、それから将補が五十五歳、一佐が五十三歳、そして二佐以下下士官三曹に至るまでが五十歳という停年で現存定まっておるわけでございます。
  241. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 民間では、官房長にお尋ねしますが、五十五歳というのが慣例のようになっていますが、この五十五歳を決められた背景といいますか、ここらあたりは研究していらっしゃると思いますが、お答え願いたいと思います。
  242. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 私も一昨年人事教育局長で参りまして、自衛官の停年、少なくとも、停年退職する者の九八%までが二佐から三曹まで、これが五十歳でやめていくと。ということは、五十歳でやめますと、大体五十歳のときに自衛官の平均見ますと二人の子供さんがあると、一人は大学中途であり、あとの二子の方は高校在学中、非常にこれから子供の教育に金の要るときにやめていかなければならない。せっかく生涯自衛官を天職として心がけて五十歳でやめていくということは確かにお気の毒だという感じがいたしております。一方では、御承知のとおり民間企業では五十五歳定年、さらには六十歳定年というところへいっておるわけでございますから、自衛官につきましても何らかの停年延長を考えるべきではないだろうかという方針のもとで現在検討を進めておりますが、いろんなメリット並びにデメリットもございます。
  243. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 民間が五十五歳に定年になった経緯というのは、たしか私たちの調べでは明治三十五年に日本郵船が規定をしてから大体そういう慣例になったようでございます。そのときの男女の平均年齢というのが四十歳、いま七十二歳でございますので、もう六十歳定年というのが常識のようになっております。そういうことから、では昔の旧軍時代の対比というもの、それから外国軍人との比較はどうなっているのか、同じ階級ですね、それから警察官との比較はどういうふうになっているかをお答え願いたい。
  244. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 旧日本軍隊、これは陸軍と海軍と若干差がございまして、海軍の方が少し若いようでございますけれども、一応上の方の階級にある者、たとえば大将は六十五歳、中将六十二歳、少将五十八歳、大佐が五十五歳、この辺のところは確かにいまの自衛官よりも高うございます。少佐が五十歳、ただし中尉、少尉、准尉、曹長、軍曹、伍長、この辺は、下士官は四十歳、それから少尉、中尉は四十六歳、こういうふうなところで、いまの自衛官に比べますと、上の方の階級の者は昔の方が高いけれども、下の方の階級の者は昔の方が停年が若い。もちろん昔は平均年齢うんと若いですから、でありましょうけれども、そういうことになっております。  それから諸外国を見ますと、大体アメリカ、イギリス、フランス、特にアメリカ、イギリスは下士官クラスの方が大体五十五歳ということで、日本自衛隊よりは少し高い。ただし、アメリカはうまくしておりまして、五十五歳または勤続年数が三十年とかという勤続年数によって縛ることもございます。そうしますと、十八で入ったら四十八でやめるということもあり得ますから、そういう縛り方もしておりますが、一般的にアメリカやイギリス、西欧諸国——フランスは、下士官は日本の場合よりも三十七、八歳というところで少ないようです。それから、ソ連がやはり中佐以下四十五歳、四十歳、下士官四十五歳、これは最近また上げたように聞いておりますけれども、まあ少し低いということから見まして、いまの自衛隊自衛官という性格から見ますると、必ずしもそう低くはないが、西欧諸国、アメリカ、イギリスに比べますと少し低いから考えるべき余地があろうと思います。それから、日本の警察官には定年というものはございませんけれども、一応慣例的に勧奨退職を勧めます年齢が、大体当時は五十五歳から、いまは五十六、私がおった岡山県では五十七歳、大体その辺まで上がってきております。ただし、警察官の場合は、巡査の場合も、年がいきましても駐在所勤務とか、防犯勤務とか、刑事とか、そう身体的に肉体を酷使する場所はないんで、機動隊にはこんな年齢おりませんが、自衛隊の場合にはほとんどが機動隊的な性格を持っておりますので、その辺のむずかしさを十分考えていかねばならぬと、このように考えております。
  245. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は自衛官の階級別の年齢構成はどういうふうになっておるのか。それと自衛官の停年退職のいままでの実績といいますか、それから今後の見通しという見積もりはどういうふうに積算していらっしゃるか。それから退職者の就職先はどのように処理をして、そして退職をして就職ができないでぶらぶらしていらっしゃる人が大体パーセンテージで幾らぐらいいらっしゃるのか。
  246. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 現在自衛官の階級別の年齢構成を見ますと、幹部では平約三十九・四歳、たとえば将は五十四歳、一佐が四十九歳、三佐が四十二歳、二尉が三十七歳というようになっておりまして、大体尉官クラスが三十代の後半、佐官クラスが四十代から四十九歳、将官が五十代ということになっております。それから下士官といいますか、これは一曹が四十・七歳、以下はずっと若いのが現在の平均年齢でございますけれども自衛隊発足以来もう二十数年になっておりますので、当初入った方がだんだんと停年に近づいてきております。陸上自衛隊の場合には、特に一曹、准尉、それから三尉、こういう方々が大体四十七、八歳がだんだんと占めてくる率が高うございます。それで、いままで停年でやめていかれる退職自衛官、これは下士官と、それから将、幹部に当たるわけでございますが、大体年間平均二千人から二千五百人でございましたが、これが年々これからふえてまいります。五十二年度は三千五百人、五十六年度には約五千八百人ぐらいということで、これからの数年間が相当停年退職者がふえてまいるわけでございます。この停年でやめた退職自衛官が、特に大半が五十歳でやめていくのでございますから、これの再就職ということが一番大事な問題であろうと思いますが、私は自衛隊に入って驚きましたのですけれども自衛隊はこの再就職につきましては、他のほとんどの官職以上に最も力を入れておる分野であろうかと思います。各府県に置いております地方連絡部には全部援護課があり、各駐とん地には援護センターがありまして、一生懸命にやめていく人たちの再就職を考えてくれておるわけでございます。大体、退職自衛官の中で、自衛隊で再就職を世話してくれというのが大体八割から八割五分ある。それの九九%までが何らかの形で再就職先を見つけて入れております。五十一年度におきましては、退職者約二千九百名、うち就職者二千四百人、まだ五百人残っておりますが、これは五十二年度中にもうほとんど就職いたしておりまして、失業手当でぶらぶらしているというのはもうほとんどない。何とかして一生懸命おさめようという努力をしておりますが、行きました先の給料、手当が、昔ほどよくなってはおりません。そういう点を今後考えたいと、このように思っております。
  247. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 では、停年を延長した場合、あなた方の立場から、メリット、デメリットという、そういうようなことをいろいろ言っていらっしゃるようでありますけれども、それはどういうような点があるんでしょうか。
  248. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。  メリットの最大のものは、これは自衛官の生活安定ということが第一のメリット、仮に五十五歳まで停年を延長いたしますと、まあ退職金も、五十五歳で五年以上ふえますし、それから、問題は年金が一般公務員と同じでございますから、五十五歳から一応満額出るわけですけれども、五十歳ですと八割しか出ないということもございます。それから、子供の生活が大体安定したときに次の再就職へいけるということで、非常に安心して自衛隊で勤務できるというメリットが停年を五十五なら五十五に延ばすことによってあり得ると思います。  一方のデメリットですけれども、デメリットは、五十五歳までの肉体で、相当それがふえてきた場合に自衛隊としての精強度に影響あるかどうか。私、五十四歳ですけれども、もう私の年で第一線の小隊長をやらされるなんて、それは大変な——これはゴルフやっているわけじゃないんですから、有事の場合に本当にやれるかどうかというようなことがございます。そういう観点で、いま各自衛隊は今後停年を少しでも延ばそうとするためには、もう少し後方勤務、有事の場合における後方勤務ですね、整備とか輸送とか補給とか、こういう部面に停年延長した者を少しでも回せたらどうだということでいま検討してくれております。  もう一つ最大のデメリットは、これ一挙に三歳停年を仮に延ばしたら三年間昇任全部できなくなっちゃうんです、自然減耗以外は。そういうことで、停年延長、これは徐々に一年ずつやっていかなければいきませんけれども、それでやりましても内部の昇任枠が相当落ちるということを覚悟しなきゃならぬ。これはもう隊員の諸君に覚悟してもらわなきゃならぬ。これが大きなデメリットかと、このように思っております。
  249. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 最後に、官房長が人事教育局長をしておられるころ、昭和五十年九月の十九日に「人に関する総合施策」と、この第四項に、停年制について、現行の停年制を五十五歳まで五十二年度からを初年度として約十年間に段階的に引き上げて実施するように、こういうふうに勧告したのが発表されておるのですが、その後これはどうなったのですか。
  250. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) この勧告が出ましてから私、人事教育局長にいったわけですけれども、非常にこれはよく勉強してくれたのです、一年間。そして五十五歳停年までいけるのじゃないかということで、人事教育局で一定の資料を集めましたけれども、参りましていろいろ聞きますと、やはり制服側につきまして、海上自衛隊なり、特に海上自衛隊というのは皆船に乗せまして、若い者でも二年なら一年間後方勤務につけるわけですから、後方勤務のポストが少ないとかいうようなことで、やはりまだ完全にこの五十五歳停年延長には納得がいっておりませんでした。コンセンサスを得られておりませんでしたので、過去一年間もう一度停年延長についてのコンセンサス、五十五歳は無理だろう、五十三ぐらいまでなら何とかいけるのじゃなかろうかというようなことで、いま現在の人教局が一生懸命詰めております。何とかせめて五十三ぐらいまでは、六年かかっても七年かかっても、一年でも延ばしていくべきではなかろうかというようなことで内局は考えておりますが、今後さらに各幕の方々のコンセンサスを得つつ、その方向に進んでいくべきであろうと、私はこのように考えております。
  251. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 最後に長官にお聞きしたいんですが、特に二佐ですね、二佐の五十歳というのは、先ほど申された家庭的な問題とか、そういうことで非常にお気の毒な状態じゃないかと思います。そういうことで、いま官房長が人事教育局長をしておられるころのあの一つの案を早急にひとつ具体化されるようにやっていただきたいと思うんですが、御見解をひとつ最後に。
  252. 三原朝雄

    国務大臣三原朝雄君) この問題は、私就任以来、自衛隊の停年制の問題につきましては、いま官房長がるる申しておりますように、徹底的にひとつ検討をしてみてくれということで取り組んでおるのでございますが、その中でも二佐という階級のところ、その家族調査などをしてみましても、家族はまだ中学から高校だというような子弟関係があるようでございまするし、とにかくできるところからやるというような方針は立てられないかというようなことで検討をさしておるところでございまするが、貴重な御意見としてひとつ受けとめてまいりたいと思います。
  253. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  254. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の審査のため、十一月十八日、青森県に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員決定はこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 塚田十一郎

    委員長塚田十一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十五分散会      —————・—————