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1977-11-01 第82回国会 参議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月一日(火曜日)    午前十時六分開会     —————————————    委員異動  十月三十一日     辞任         補欠選任      宮崎 正義君     中野  明君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         栗原 俊夫君     理 事                 長田 裕二君                 西村 尚治君                 最上  進君                 案納  勝君     委 員                 小澤 太郎君                 郡  祐一君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 菅野 儀作君                 高橋 圭三君                 前田佳都男君                茜ケ久保重光君                 大森  昭君                 中野  明君                 矢原 秀男君                 沓脱タケ子君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣 小宮山重四郎君    政府委員        郵政大臣官房長  河野  弘君        郵政省電波監理        局長       平野 正雄君    事務局側        常任委員会専門        員        栗生澤喜典君    説明員        文化庁著作権課        長        小山 忠男君        会計検査院第二        局長       松田 賢一君    参考人        日本放送協会会        長        坂本 朝一君        日本放送協会副        会長       藤島 克己君        日本放送協会技        師長       沢村 吉克君        日本放送協会専        務理事      山本  博君        日本放送協会専        務理事      川原 正人君        日本放送協会専        務理事      堀 四志男君        日本放送協会専        務理事      中塚 昌胤君        日本放送協会専        務理事      橋本 忠正君        日本放送協会理        事        反町 正喜君        日本放送協会理        事        武富  明君        日本放送協会経        理局長      渡辺 伸一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本放送協会昭和四十九年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書  (第七十七回国会内閣提出)     —————————————
  2. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十月三十一日、宮崎正義君が委員を辞任され、その補欠として中野明君が選任されました。     —————————————
  3. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 日本放送協会昭和四十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  まず、政府から説明聴取いたします。小宮山郵政大臣
  4. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和四十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和四十九年度の貸借対照表等によりますと、昭和五十年三月三十一日現在における資産総額は一千五百四十四億一千七百万円で、前年度に比し三十六億七千万円の減少となっております。これに対しまして、負債総額は六百十五億二千万円で、前年度に比し三億五千三百万円の増加となっております。資本総額は九百二十八億九千七百万円で、前年度に比し四十億二千三百万円の減少となっております。  資産内容を見ますと、流動資産二百九十三億八千七百万円、固定資産一千二百四十億三千万円、特定資産八億八千六百万円、繰延勘定一億一千四百万円であり、固定資産内容は、建物五百二十億三千七百万円、土地百四十九億五千四百万円、機械三百五十九億百万円、その他の固定資産二百十一億三千八百万円となっております。  また、負債内容は、流動負債百六十四億二千九百万円、固定負債四百五十億九千百万円であり、固定負債内容は、放送債券八十八億六千万円、長期借入金三百十七億八千百万円、退職手当引当金四十四億五千万円となっております。  資本内容につきましては、資本七百五十億円、積立金二百十九億二千万円、当期欠損金四十億二千三百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。経常事業収入は一千二百五十七億八千六百万円で、前年度に比し七十億六千三百万円の増加となっております。これに対しまして、経常事業支出は一千二百九十八億三千四百万円で、前年度に比し百一億五千五百万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支は四十億四千八百万円の欠損となっております。これに、特別収入十億三千六百万円及び特別支出十億一千百万円を含めた事業収支全体では、四十億二千三百万円の欠損となっております。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  5. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 次に、日本放送協会から説明聴取いたします。坂本日本放送協会会長
  6. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) ただいま郵政大臣から日本放送協会昭和四十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の概要につきまして御説明がございましたが、委員長の御指名によりまして、補足説明を申し上げることといたします。  まず、当年度末現在の資産総額は一千五百四十四億一千七百万円で、この内訳は、流動資産二百九十三億八千七百万円、固定資産一千二百四十億三千万円、特定資産八億八千六百万円、繰延勘定一億一千四百万円でございまして、固定資産内容は、建物五百二十億三千七百万円、土地百四十九億五千四百万円、機械三百五十九億百万円、その他の固定資産二百十一億三千八百万円でございます。  この資産総額を前年度末に比較いたしますと、三十六億七千万円の減少となっております。  これは主として、前年度から繰り越した当年度事業安定のための資金を使用したこと等により、流動資産が二十九億六千八百万円減少し、また、老朽施設売却等により固定資産が七億三千七百万円減少したためでございます。  一方、これに対します負債総額は六百十五億二千万円で、この内訳は、流動負債百六十四億二千九百万円、固定負債四百五十億九千百万円でございまして、固定負債内容は、放送債券八十八億六千万円、長期借入金三百十七億八千百万円、退職手当引当金四十四億五千万円でございます。  この負債総額を前年度末に比較いたしますと、三億五千三百万円の増加となっておりますが、これは債務の返還により固定負債が五億円減少しました一方、受信料前受け金の増加等により流動負債が八億五千三百万円増加したためでございます。  また、資本総額は九百二十八億九千七百万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積立金二百十九億二千万円及び当期事業収支差金のマイナス四十億二千三百万円でございます。この資本総額を前年度末に比較いたしますと、四十億二千三百万円の減少となっております。  次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず、受信料等経常事業収入は一千二百五十七億八千六百万円で、前年度に比較しまして七十億六千三百万円の増加となりました。  これは主として総合、教育両テレビジョン放送網建設を推進いたしますとともに、放送番組内容充実刷新及び事業周知受信者維持増加につとめました結果、有料受信契約者数が、カラー契約におきまして当年度内に二百十七万件の増加を示し、当年度末二千四十六万件となったためでございます。一方、普通契約は、カラー契約受信者増加に伴い当年度内に百四十五万件の減少を示し、当年度末四百八十一万件となりました。  次に、経常事業支出は一千二百九十八億三千四百万円で、この内訳は給与四百九十七億七千六百万円、国内放送費三百十億七千四百万円、国際放送費八億一千百万円、営業費百四十七億三千二百万円、調査研究費十七億一千百万円、管理費百四十三億五百万円、減価償却費百三十九億三千四百万円、財務費三十四億九千百万円となっております。  これを前年度に比較いたしますと、百一億五千五百万円の増加となりましたが、これは主として放送番組内容充実刷新受信者維持増加対策の推進及びこれらの事業規模拡大に伴う維持運用費等増加によるものでございます。  以上の結果、極力受信者の開発と事業運営合理化を図りましたが、経常事業収支差金は四十億四千八百万円の赤字となりました。  この経常事業収支差金固定資産売却益等特別収入十億三千六百万円を加え、固定資産売却損等特別支出十億一千百万円を差し引いた当期事業収支差金は四十億二千三百万円の赤字となりました。  なお、収入支出の決算においては、特別収入の項に、当年度事業安定のための資金として前年度から繰り越しました東京放送会館売却収入の一部三十四億九千三百万円を受け入れ計上しました結果、事業収支差金は五億三千万円の赤字となっております。  これをもちまして、協会昭和四十九年度末における財政状態及び当年度事業成績につきましての補足説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業発展に努力してまいりたい所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
  7. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 次に、会計検査院から、検査結果についての説明聴取いたします。松田会計検査院第二局長
  8. 松田賢一

    説明員松田賢一君) 検査結果の御説明を申し上げます。  日本放送協会昭和四十九年度の財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、昭和五十年十一月七日、内閣から送付を受けまして、その検査を了しまして、同年の十二月五日内閣に回付いたしました。  同協会の会計につきましては、書類及び実地につきまして検査をいたしましたが、検査の結果、特に不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  9. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 以上で説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 大森昭

    大森昭君 現在の放送法につきまして郵政省にお伺いいたします。  放送法は、日本放送協会についてはかなり具体的に、厳格に触れられていると思いますが、放送法でいうところの一般放送事業者いわゆる民放については、また企業優先という立場かどうかわかりませんが、放送協会と同一ではありません。しかし、放送界現状を見ますと、営業収益で比較することが適当かどうかわかりませんが、まあ一つの例として営業収入で比較いたしますと、五十一年度の場合にNHKは千九百二十三億の収入であり、民放は六千七百億であるという状況で見ますと、収入の面で当然収入支出という関係になりますから、民放の方がNHKよりかも大分広範囲に事業を行っておりますし、まあこのことはNHKよりかも民放がある面で放送業務に対して優位を保っているということを物語っておるというふうに思うわけでありますが、NHKの基本であります受信料制度にかかわる経営基盤に、そのような状況下の中で当然従来と変わりまして変化が起きているんじゃないかと思います。たとえば放送受信者受信料不払いなどを主張する理由などについても、NHK受信をしてないで民放受信しているからNHKに対して受信料を払わないなどという例もありますし、そのような状況下の中で先ほど申し上げましたように放送法第七条で、NHKに対しまして「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うこと」という規定があります。また九条の二には、民放と違いまして国際放送を行うことなど多くの任務を課されております。  そこで、現在の放送法については、過去数回にわたりまして改正の動きなどがあったようでありますが、現在のような民放発展状況下の中で、NHKだけに第七条などの任務を課していることについて適当かどうか、郵政大臣の見解を承りたいと思います。
  11. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 七条に全国あまねくところに放送しなければならないと書いてあります。私は、NHKが持っている性格というのは放送法に書いてあるということと、やはり公共事業公共放送——パブリックブロードキャスティングとしての使命が非常にございます。それなりに国民から受信料をいただいてテレビ放送をやられておるわけでありますから、これは民放と本当に性格が異なる、かつ法律に従ってもそれだけ厳正に、また多くの、一人でも多くの方々に見ていただくようなシステムでやっていかなければならない、そういうふうに感じておりますし、今後そういう意味でもNHKが難視聴の問題についても積極的にやはり解消をしていく必要があろうかと思っております。
  12. 大森昭

    大森昭君 ちょっと質問の趣旨が少し理解されておらないようでありますが、問題は今日の置かれておる状況が、NHKが発足した当時、民放などはほとんどありませんから、そういう役割りと同時に非常に公共的な立場で今日も運営されておりますが、そういう意味合いが問題じゃなくて、いま問題になっておるのは、民放NHKと比較をして優位にある。そこで問題は、なぜそういう質問したかと言いますと、難視聴解消対策の問題がある。そしてまた、受信料のいろいろな動き、せんだっても逓信委員会で御質問がありましたけれども、そういう問題をどのように解決をするかという意味合いで前段の質問をしたんであります。  それはそれでいいでありますが、いずれにしても具体的に入りますと、今日置かれておる放送界現状の中で、せんだっても新聞池袋問題が大々的に取り上げられておりますが、聞くところによりますとテレビジョン放送難視聴対策調査会なども過去につくられて、いろいろ報告書が出ておるような内容でありますが、一体具体的にこの難視聴対策について、解消策について、どのように現在進められておりますか。
  13. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) テレビジョン放送の難視聴解消現状について御質問でございますが、本年三月末の推定によりますと、辺地におけるテレビジョン放送の難視聴状況は、NHKにつきましては残存難視聴世帯数約七十三万、民放につきましては残存難視聴世帯数百九十万となっておりまして、なお、ただいま先生指摘都市における受信障害世帯数は約四十九万と推定されておるわけでございます。それで、これらの難視聴解消いたしますための解消策といましまして、すでに御承知のように調査会から報告書の御提出がございまして、郵政省内の委員会といたしましても鋭意これと取り組みまして検討を進めてまいったわけでございます。  これまでに、都市につきましては当事者間協議における基準的考え方を示す指導要領を策定いたしまして、いわゆる紛争が生じないよう建築主等指導するとともに、一方またSHFテレビジョン放送局、これは十二ギガヘルツ帯を使用するものでございますが、このSHFテレビジョン放送局実用化を図るため、免許方針の策定、関係省令政正等を行ったところでございます。これによりまして、都市対策といたしましては従来の有線テレビによります方法に加えまして電波によります対策がつけ加わったということになるわけでございます。  また、辺地につきましては極微小電力テレビジョン放送局ミニサテというふうに呼ばれておりますが、この極微小電力テレビジョン放送局実用化を図りますとともに、再免許に際しまして郵政大臣から一層の難視聴解消の促進を放送事業者に対して要望をしたわけでございます。  今後さらに同委員会における検討結果等に基づきまして、先ほども申し上げましたが、省内設置をいたしました難視聴対策委員会におきまして、鋭意検討を進めるとともに、有効適切な施策を講じてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  14. 大森昭

    大森昭君 鋭意検討するとか指導要領を出しているとか、いろいろ言われますが、指導要領、私持っていますが、具体的にこの指導要領をどういう形で徹底さしているかよくわかりません。いずれにいたしましても、先ほど数字が回答ありましたけれども、年々これは解消をされつつあるのかどうか。そしてまた数字もきちっと挙げられておりますが、私は的確に調査したわけでありませんから数字がありませんが、池袋の問題などを新聞で拝見いたしますと、どうも都市における約四十九万という数字も、あなたどういう調査をしたかわかりませんが、どうもこの池袋だけでも相当な数になると思うのですね。ですから、あなたのいまの数字というのはどのような根拠に基づいているのか、そしてまた指導要領の徹底というのはどういう形で徹底されておるのか、もう一度具体的に回答してください。
  15. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) ただいま先生から二点御指摘をいただいたわけでございますけれども、都市におけるいわゆる受信障害の件数の推定でございますけれども、先ほど申し上げましたように、五十二年度の三月末現在で推定をいたしております。これは、いわゆる先ほども申し上げました指導要領に基づきまして、それぞれ建築主その他から技術力のございますNHKに対しまして、各種の調査依頼が参っております。一方NHK自身といたしましても、郵政省の方からこの難視解消につきまして協力を求めておりますので、自主的また他動的に現在の全国的な都市難視世帯数を推計をいたしておるわけでございます。  五十二年三月末の状況先ほど申し上げたわけでございますけれども、その時点以降におきまして先生指摘池袋のサンシャイン60というような高層ビルが伸び上がりまして、現在、御承知のように二百メーター余りの高さになりまして、先生指摘のように十万あるいはそれ以上のいわゆる受信障害を引き起こしておるということでございますけれども、四月以降現在に至ります数字につきましては、先ほど申し上げました数字を減らす必要もございますし、また池袋サンシャイン等新たに発生をいたしました難視世帯数をプラスする必要があるというようなことで、一つのメジャーといたしまして五十二年三月末の数字を申し上げたわけでございます。  それから、もう一点御指摘のございました指導要領によってどのような指導をしておるかということでございますけれども、郵政省といたしましては、調査会報告に基づきまして、省内委員会等におきましてこの指導要領を作成をしたわけでございます。で、NHKを初めとする関係機関建築主その他この難視対策関係のある地方公共団体等に配付をいたしますとともに、郵政省を中心として団体がございます。いわゆる電波障害対策委員会という団体がございますけれども、そういったところを通じまして、また地方電波監理局を通じまして関係方面に対する周知を図ってまいっておるわけでございます。  したがいまして、この指導要領の中に出てまいります対策、工法あるいは基準というようなものが逐次指導先において浸透が図られておりまして、その後の都市受信障害対策に大きな力になっておるというふうに考えておる次第でございます。  なお、さらに従来の対策等によりまして、果たしていい結果が得られたのかどうかということにつきまして若干触れさしていただきますと、前回の再免許の時期、昭和四十八年十一月に実は難視聴解消計画を各放送事業者から聴取をいたしましたが、計画局総数六百四十一でございまして、昨年の十月、ちょうど昨年の十一月がすぐ前の再免許の時期でございましたけれども、昭和五十一年十月までにこの六百四十一のうちの六百十八が現実に置局をされてきておるということになるわけでございまして、計画に対する達成率は九六・四%、相当高い率になっておるわけでございます。先ほど申し上げました昨年の十一月の再免許のときにおきましても、同様に計画局聴取しておりまして、その総数は六百五十六でございますけれども、前回の例にかんがみますと、次回の再免許時までに相当解消がなされるのではないかというように期待をしておるわけでございます。  また、NHK民放放送局置局地区数につきましては、先ほど説明を申し上げましたいわゆるミニサテNHK民放が共建を行う、ともに同じ場所でミニサテ放送を行うというような段階にまいっておりまして、一方民放といたしましては、ミニサテヘの共建だけではなくって、従来NHKがすでに置局達成をいたしておりますような中規模程度中継局建設も、先ほど申し上げましたように取り組んでおるわけでございまして、年度的に見ますと、NHKも逐次難視聴世帯数が減ってきておる。それに対しまして民放も相当大幅な減り方をしてきておる。世帯数におきまして減ってきておるという現状でございます。  しかしながら、民放につきましては、やはりNHKとの難視聴解消に対する格差がまだまだ大きいわけでございまして、民放が自力で解消を図るべきものというふうに現在の段階では考えておりまして、郵政省といたしましては、機会あるごとに難視聴解消に積極的に取り組んでもらいたいということを要望申し上げておるところでございます。
  16. 大森昭

    大森昭君 この指導要領見ましても、受信障害対象範囲を確定をするために、これは建築主建物工事着手以前の受信障害予測地域受信状況を見るわけですね。それで、工事中にあるいは完成後の受信障害発生地域受信状況をまた調査するわけですね。それで実態を把握をして解決するように努力をすると、こういうことでしょう。これでは後ろ向きなんですよ。  私も専門家じゃありませんからよくわかりませんが、電波関係というのはむずかしいんでしょうけれども、大体二百メートルも高い建物が建てば、当然ここには障害が起きるということは明らかなんですね。ですから、とにかく建物は勝手に建ててよろしゅうございますと、調べておきなさいと。それで今度は建てた後障害があったら、それは建築主の責任で、住民とよく協議をしなさいというようないわゆる対策がこの指導要領の骨格をなしておるし、それではこれはたまったものじゃないんですよ。むしろ、そのような建物を建てればどのような状態になるかということを想定をして、やはり事前建築主に対して、そういうものを建てれば当然電波障害は起きる、そうすれば技術的にこういうものも当然設置をする形の中で建物を建てなければだめだという、やはりある程度の事前建築主に対する警告もしなければいけないし、それから経費の負担などについても出させるようなことをしなければ、建てた後の後を追っかけるような指導要領ではこれは指導要領ということにはならないんじゃないかというのを私は問題点一つとして指摘をしておるわけです。  そしてまたこの指導要領の一番初めに、いろいろ解消しなけりゃいけないんだけれども、なかなか立法措置がむずかしいと、立法措置が日にちがかかるから、とりあえずこの指導要領でと、こういうまた出し方も、何か立法措置にしてきちっとやりたいんだけれども、立法措置はむずかしいから、強制的なことはできないけれども、とにかくよきに計らってもらいたいなんというような大体指導要領というのはないんですよ。立法上確かに今日できておりませんが、しかしこのことは、NHKに対しては、少なくともテレビを持っている者が受信障害が起きるということは最大のことでしょう、これは。むしろ見えない方がいいんですよ、真っ暗になっちゃった方が。ちらちらちらちらしていたら目が悪くなるわね、逆に言えば、そうでしょう。  そういうまさに人体に影響するような状態にあるにもかかわらず、事後対策というのが指導要領の骨格になっているし、しかも前段に、立法措置についてはもうなお相当の日にちがかかりますと——怠慢ですよ、こんなことを書くことは。速やかに立法措置をやることについて努力をしているけれども当面こうやるのだというなら、これはまた話がわかるのであります。一体この立法措置なんというのは、いつどのような形で出されるのか、そしてまた、私がいま指摘したように、後追いじゃなくて、もっと能動的にやるという形のものということを今日考えているのかどうなのか。新聞に出てあわ食っているようなことじゃ困るんでありまして、一体この池袋の問題などについても、もう本当に具体的に調査をしておるのか、そしてまた、その調査の結果で今後はどのような対策を立てるのか、時間がありませんから、そう長ったらしく答弁されますと時間がむだでありますから、簡潔にひとつ答弁してください。
  17. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) まず、先ほど指摘の高層建築物による受信障害解消についての指導要領の考え方でございますけれども、この中に示されておりますのは、「受信障害解消対象範囲の確定に資するため、建築主は、建築物の工事着手以前の受信障害予測地域受信状況及び工事中、完成後の受信障害発生地域受信状況調査し、その実態をは握するよう努める必要がある。」ということでございまして、実は池袋のサンシャイン60につきましても、このような方法によりまして相当早く着手がなされまして、いわゆる遮蔽による障害の部分、いわゆる北の方に延びております受信障害発生部分につきましては、すでに対策を一部完了し一部進行中である、また足もとにつきましても同様というようなことでございます。  また一方郵政省といたしましては、電波法の百二条関係に高層建築物障害関係がございますけれども、いわゆる建築主が建築をしようというときには、建築主事にまずその状況が明らかになるわけでございまして、したがって、その地方公共団体建築主事のおりますところを、私どもといたしましても一つのねらいどころというように考えておるわけでございます。地方公共団体にも指導要領等に基づきまして御協力をお願いすると同時に、いわゆる都道府県あるいは市町村というようなところで、この電波障害に関連のございますいわゆる条例あるいは指導要綱というようなものを作成されるようにお願いをしてまいっておりまして、全国相当数の地方公共団体におきましてそのようなものができておるわけでございます。  で、そのできましたものの内容といたしましては、先ほど申しましたように、建築主事の段階でもってその申請書を受け取るときには、地元のいわゆる受信障害を受けられる市民の方々と話し合いをいたしまして、建築主が話し合いをいたしまして、これこれこのような対策を考えますというようなものがついてこないといわゆる建築申請書の受理を行わない、そこで建築主事のところでそういう指導を行うというようなことが大体全国共通的な形になっておりまして、私ども、そういった両面から指導、御協力をお願いをしてまいっておるということでございます。  一方、先生指摘のように、この受信障害解消のための基本構想の検討を進めるに当たっていろいろなむずかしい問題があるわけでございますけれども、その主なものについて簡単に御説明を申し上げますと、まず基金によって救済をいたします場合、その地域の範囲をどのように設定するかという問題がございます。この点につきましては、すでに御承知のように五十一年度、五十二年度実施をしております都市内の受信障害実態調査の結果を現在集約中でございまして、妥当な範囲を設定する必要があるんではないかということで作業をしておるわけでございます。  次に、解消のための費用負担者、費用をだれが負担をするか、負担金額、どれだけの金額を負担していただくかというような問題がございます。費用負担者及び負担金額をどのように決定するかという問題があるわけでございまして、御案内のように、障害の原因が複合化しておりますとともに、障害の態様も遮蔽障害だけではございませんで、反射障害等複雑化してまいっておりまして、合理的な方途を見出すために現在苦労をしておるということでございます。  第三に、障害の程度の認定の問題がございますが、できるだけ客観的な認定基準の作成が必要であるというふうに考えておりまして、これまた技術的に現在の段階ではまあ相当むずかしい問題であるというふうな感じ取り方をしておるわけでございます。その他、維持管理費、実行主体等々の問題がございますが、私どもといたしましてはまあ前向きに取り組んでおるというふうに考えておるわけでございますので、御了解を願いたいと思います。
  18. 大森昭

    大森昭君 まあ、いろいろ検討していて、むずかしい問題だからと言われちゃうとそれでおしまいになっちゃうんでありますが、まあ認定問題などにつきましてもなかなか、受信者自身がテレビを見てまして、ああうちのテレビも大分古くなったから映りが悪いのかなとかですね、そうなっちゃうと、これやはりNHKで、受信料を取りに行く方が、たまには、おたくのテレビは映りがいいんですかと言って、びっびっと見て、これはテレビの機械が悪いんじゃない、これは電波障害だという形のものでも積極的に能動的にやっていただきませんと、これはわからないですよ、専門家でもなかなかむずかしいと言っているわけですからね。  ですから、そういう意味合いで、いま御答弁がありましたように、むずかしい問題はたくさんあるんでしょうけれども、いずれにいたしましてもこの障害の問題というのは放送の基本でありますから、誠意を持って、熱意を持って早急に検討していただきまして、でき次第、中間でもいいですから、逓信委員にそれぞれ——委員会が開かれている場だけでもってこれはやりとりしているわけじゃありませんから、でき次第ひとつ資料を、中間のものは中間のものとして報告ができるようにお願いをしておきます。  次の問題でありますが、NHKの五十二年度の上半期における——五十二年度予算成立してずっと執行してきているわけでありますから、もうすでに半年過ぎましたから、今日の状態の中で、予算上の問題と実行上の問題との比較で受信料改定後における収納実態はどのようになっておりますか。
  19. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 五十二年度、まあ上半期終わりましたんですが、五十二年度の収納の状況、これは大体昨年度に比べまして〇・三%ぐらい悪い状況でございます。  と申しますのは、昨年度、五十一年度でございますが、滞納契約者が前年度に比べて、五十一年度は五十年度に比べまして約十五万ふえました。その滞納契約者、これの対策を鋭意講じておりますけれども、まだ依然としてふえつつある状況でございます。そういう状況にございますので、この昨年度にふえました十五万の滞納契約者、これが今年度の収納の面で影響を及ぼしてきておる。そのために昨年度同期に比べますと〇・三%ぐらい収納率が落ちているということでございます。ただ、今年度の年度の初めから比べますと、収納状況は徐々に上がってきております。上がってきておりますが、まだ昨年度に比べて九月末で〇・三%ぐらいの落ち込みがあるということでございます。
  20. 大森昭

    大森昭君 私の質問は、昨年度の比較を聞いているんじゃないんですよ。五十二年度の予算編成に当たって、いいですか、一年の計画が立つわけでしょう、五十二年。その中で、上半期と下半期と実行の段階で区分するかどうかわかりませんが、ことしの五十二年度の予算編成に当たっての率と今日の状態とはどうかと、仮に昨年度よりか〇・三%、十五万下がったと、これは五十一年ですね、五十一年と五十二年との予算の規模の計画受信料契約数が同じなら答弁する必要がありませんがね、違っているんでしょう。
  21. 川原正人

    参考人(川原正人君) 総じて申し上げれば、収納の方はただいま中塚から申し上げましたように、今年度の年間の契約目標に対し上半期で大体四四%の契約の獲得になっております。それから金額で申せば、これは前払いの分が入ってまいりますので、年間の予算の額に比べますと、半分以上上半期ですでに収納はできております。
  22. 大森昭

    大森昭君 そうすると、いまの後のお答えの方だと、何か余り心配ないようですし、前の方の中塚さんですか、の答弁だと、〇・三%、十五万下がっていると言うから、ちょっと答弁食い違いありませんか。
  23. 川原正人

    参考人(川原正人君) 上半期のところでお金を締めてみますと、私が申し上げましたような数字が一応出てまいります。ただ、中塚が申し上げましたのは、その裏にあると申しますか、実態の動きといたしまして必ずしも年間の目標どおりにいけるかどうか、そこが大変まだこれから努力を要する状況があるということを率直に申し上げたわけでございます。実態としましてはなかなかむずかしい問題を抱えておる。したがいまして、上半期で、すでに前払い分もお払いいただいている方がいるんで、お金を締めてみますと、半分ちょっといっているわけでございますが、最後になりますとなかなか今後努力を必要とするであろうと、こういう実態でございます。
  24. 大森昭

    大森昭君 そういうことはことし突発的に起きたことじゃなくて、毎年度毎年度あることなんですから、そんなのわかっているんですよ、素人じゃないんだから。問題は、五十二年度の上半期の状況を見て、当然下半期どのような推定をしていくかというのは、NHKの歴史というのは十年、二十年じゃないんでしょう。そうなってくると、私の聞く範囲では、いずれにしてもNHK受信料を主体として事業の運営をしているわけでありますが、その基本となる受信料というものが、従来のような伸びが、上昇率がとまっただけならいいけれども、むしろ減少をするんじゃないか。減少というのは減るという意味じゃないですよ、上昇率がぐっと下がるという意味ですけれどもね。そういうことになってきますと、これは経営基盤のもう最たるものが揺らぐわけですから、相当これは慎重にこの対策を立てなきゃいけないと思うんでありますが、ここが減ったいわゆる十五万という問題についての原因は、十分な調査はまだできておらないかもわかりませんが、おおよそどの辺にあるのか、回答できますか。
  25. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 五十一年度末で五十年度に比べまして十五万の滞納契約者がふえたということで、総数にいたしまして約七十五万の滞納契約者があるわけでございますが、この中で、約五十万は常時不在というふうに私ども申しておりますが、いつ行ってもいらっしゃらない、そういう方でございます。それから約十七万がNHKに対していろんな不満を持っておられる。NHKの番組を見ないから払わない、あるいはNHKの経営姿勢が不満であるから払わない、そういうNHKに対して何らかの不満を持っておられて支払われないという方でございます。残りの約八万が受信障害あるいは航空騒音、そういうことを理由にして払われないという方でございます。  この中で、前年度に比べましてこのNHKに対する不満を理由として払われない方のふえ方が、ほかの理由によって払われないふえ方よりも多くふえている、ふえ方が大きいということでございまして、私どもは、このNHKに対する不満、このふえ方を何とか抑える必要があるというふうに考えております。五十一年度がそういうふうになりましたのは、一つは、値上げ——五十一年度に受信料の改定をいたしました、それが原因になっているという部分が相当あろうと思いますけれども、しかし、NHKの経営姿勢なり番組なり、そういうものについての不満を何とか解消すべくこれから努力をしてまいりたい、このように考えております。
  26. 大森昭

    大森昭君 いろいろ努力をするということですから、しっかり努力をしてもらいたいのでありますが、ただ、集金をする方法などにつきましても、きのうちょっとこの資料をいただいたんですが、NHKの職員で七百八十人ですか、一般委託で一万三千二百六名、郵政委託が三千二百八名、あと口座の振りかえと、こうありますね。こういうやつも、職員で集金した率がどうで、郵政委託がどうで、一般委託がどうで、いろいろ分析すれば、たとえば一般委託でやった場合には非常に収納率が悪いと、仮の話ですよ。職員にしてやっぱりきちっとした方がいいということになりますね、逆に言えば、よければですよ。あるいは郵政の方の——−郵政の方がいやだと言うかもわかりませんが、郵政の委託は、山間地なんか行きますと、郵政の職員というのは、貯金も保険も郵便も配達しますからね、しょっちゅういないなんて言ったって、そうはいかないわけですからね、これは。だから、わりあい郵政委託の方は収納率は成績がいいとか、いろいろな分析の仕方はありますが、そういうことはくどくど申し上げませんが、いずれにしても、このNHK経営基盤ですから、そうしてまた公平負担というのが原則ですから、一々文句言って払わないで済むなんという風潮が蔓延しましたら、これは大変なことなんですから、どうかひとつそういう意味合いで、不払い対策に一層のひとつ努力をしていただきまして運営を図っていただきたいと思います。  そこで、まあ問題になりますのは、テレビ障害の問題、そしてまた受信料の不払い、こういう傾向になってきますと、当然NHKの運営が窮屈になってきますね。そこで一番問題になるのは、大臣から先ほど御答弁がありましたように、NHKが持つ公共性の問題ということになりますと、少なくともNHK放送に対するいわゆる番組の編成ですね、経費がかかりまして、経費が余り上がらないと、どんどん番組編成の方をおろそかにするんじゃないかというふうに危惧をされますが、果たしてNHKは番組編成、従来の放送のあり方について、いろんなことを私、具体的に申し上げませんが、ロッキード事件のときに何があったとか、前会長が何をしたとか、もう全部皆さんおわかりのことですから一々申し上げませんが、一体、基本となる番組編成について、従来より以上にそういう財政基盤の中でも経営方針として確立をしているんですか、どうなんですか。
  27. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) お答えいたします。  私、会長に就任以来、当委員会におきましてもその見解をお示しいたしておりますけれども、NHK公共使命というのは、何と申しましても番組である。番組の充実、番組が視聴者に支持される、共感を得るということなくしてNHKの基盤はあり得ないという考え方で、先生指摘の予算編成等について、確かに窮屈ではございますけれども、番組についてます考えたいという指導を続けておりますし、現在もそういう所存でございます。
  28. 大森昭

    大森昭君 まあ、会長はそういうふうに答弁せざるを得ないから答弁するんでしょうけれども、オリンピックの放送なんかも、テレビ朝日ですか、どうもNHK少し押されぎみのような感じがするんですね、民放から比べますと。そこでそういう御質問したわけでありますが、いろいろあろうかと思いますが、いずれにしてもいま予算編成の時期ですね、何か番組編成について特徴的な五十三年度の予算編成に向けて考えていることはあるんですか。
  29. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 具体的な点につきましては担当から御説明させますけれども、いま申し上げましたような考え方で、来年度、NHKといたしましては番組についてやはり真価を問われる時期であろうというふうに考えておりますので、そういう意味で、テレビにおきましては総合テレビの夜間について各段の努力と工夫をこらすべきではないか。なお、それに合わせて教育テレビジョンの問題についてもないがしろにすべきでないと、それともう一つの柱といたしましてはローカルの番組の充実ということを、やはり協会の経営の基盤を支える大きな柱でございますので、その点についても重点を置きたいというふうに考えております。  さらにラジオにつきまして、ややもするとラジオはただだというような言い方で認識される向きがございますので、そういうことでなしに、十分な工夫をこらして充実したいというふうに考えております。
  30. 大森昭

    大森昭君 まあ、会長の答弁であれですが、具体的に、それぞれのNHKに働く人たちの意欲というのはいろんな形であると思うんですね。それを引き出しまして総体的にNHKの予算の枠の中に入るか入らないかということになるんだろうと思うんですが、そういう意味合いからいきますと、そういうローカルの番組担当だとかいろんなドキュメンタリーやりたいとか、そういう形のものを、部単位になるのか課単位になるのかよくわかりませんが、そういうもので出さして、そして全体的にコントロールをして予算の編成をするという仕組みになっているんですか。
  31. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。番組編成の手順については、大体来年度はいま会長が申し上げましたように、視聴態様の変化を十分吸収した編成をしたいという基本方針が討議され決定されますと、それに応じた各部局からの提案も募集いたします。そして、その提案と基本方針とを見合いながら来年度番組のあらましを四月までに、大体来年の初めごろまでに決めるわけでございます。したがいまして、必ずしも全部やりたいからというものを全部寄せての番組編成でなくて、番組編成の基本方針と現場のやりたいものとをいかに結びつけるかということが私たちの仕事の一番大きなものでございます。
  32. 大森昭

    大森昭君 NHKの悪口を言うために質問をしているんじゃないんですが、とかく機構が大きくなりますと、どうしても制度的に運営しなければいけないこともあるでしょうし、そしてまた上の方から下の方に流れやすい傾向がありますので、やはり技術者というものはそれぞれの意欲があるわけですから、なるたけそのことは、もちろん出たからってできるということになりませんね、予算的な制約もあるでしょう。しかし、まず何と言ってもそういう担当者が絶えず民放と比較をし、そしてまたいまの多様化しておる受信者に対しての関心というのは最大限持っているわけですから、ですからそういう意味からいけば、機材が足りないとか、予算が足りないとかいろいろなこともあろうかと思いますけれども、そういう意欲を出させるようにすることが必要じゃないか。  と申しますのは、これは組合の話をして申しわけないのでありますが、日放労の白書なんかを読みますと、どうも十分に経営者の皆さん方が必ずしも職場の置かれている状態を把握しているというふうに書かれておりませんので、これは要望しておきますが、今日の財政問題などから、何もかもというわけにはいかないでしょうけれども、大臣、冒頭御答弁ありましたように、とにかくNHKでなければもう見られない。民放の悪口きょう言いたくありませんが、まさに民放は低俗のきわみですよ、もう。どうにもなりませんね。大体朝の九時ごろのテレビなんというのはどうなっているのですか、あれは、実際の話。つまらぬ事件を同じようにやっていますね。蒸発した、何が何だ、やれすったの、転んだの、そういう状態の中で、やはりせめてもこのNHKが、もうどの方もNHKを見るようなひとつ番組にしていただきたいと思います。  次に移りますが、何と言ってもNHKを運営するのには、経営委員会というのが大体最高のあれですか、権限があるわけですか。せんだって私も新しく出てまいりまして、賛成——立ったり座ったりするわけでありますが、六月に就任されました方について私ども反対をしたわけでありますが、少なくともそれぞれの立場がありまして、なるたけ各党全部賛成をするということにしたいと言ってもそうならない場合もあるだろうと思いますが、しかし、私はできる限りやはりどの党もこのNHKの経営委員になられる方は賛成をしてもらいたいという努力を私は最大限すべきだと思うのですね。ですから、そういう意味からいきますと、せんだっての経営委員の任命について、いろいろ人選の過程もあったんでしょうけれども、どうもわが社会党といたしましてはすっきりした実は形になっておりませんので、郵政大臣も、恐らく最高の省の責任者でありますからいろいろ折衝されたと思うのでありますが、どのような経過の中であのようなことになったのか、御答弁いただきたいと思います。
  33. 河野弘

    政府委員(河野弘君) お答えいたします。先生承知のとおり、この日本放送協会の経営委員会委員につきましては、放送法に定めておりますとおり、公共の福祉に関しまして公正な判断をすることができる、同時にまた、広い経験と知識を有する方の中から任命されるわけでございます。分野といたしましては、教育、文化、科学、産業などの各分野が公平に代表されるようにというように配慮してまいっているわけでございます。任命に先立ちまして、両議院の御同意をいただくことになっているわけでございますけれども、国会に御提案申し上げる以前に、いま先生からお話ございました個別の選考事情に関しましては、これを公にいたしました場合、いろいろ関係者がございますし、個別の支障が生ずるのじゃないかというように考えられます。当然、任命に先立ちまして、候補の方を郵政省あるいは内閣におきまして選任いたしまして、これにつきましてそれぞれ各省あるいはまたお互いに協議いたしまして決めるわけでございますけれども、その中身につきましては、いま申し上げましたような事情もございますので差し控えさせていただきたいというように考えているわけでございます。
  34. 大森昭

    大森昭君 いや、人事の問題で個人がどうのということを私はここでやるつもりはないんでありまして、ただ問題は、いろいろいま官房長が言われたようなことで人選するんでしょう。しかし、少なくともある一つの政党がどうもという難色を示した場合に、いまあなたが言うような、たとえば失礼な話ですが、この経営委員会のメンバー見ていただいたってわかるんじゃないですか。いや、これ、自民党の先生方におしかりを受けるかもしれませんが、それはやはり、お年寄りが悪いという意味じゃないんですよ。お年寄りの方ももちろん経験が積んであって、いろんなことおわかりで、やっていただくのもいいんですけれども、やはり中には今日の若い人たちの——私なんか若い方だけれども、全然もう青年に言わせると、あのおじちゃんはずれているなんという話があるんです。これは放送でしょう、テレビをどうあるべきかというわけでしょう。そうしたら、やはり若者の代表とか、それから御婦人の代表とか——入っていますけれども、やっぱりバラエティーに富んで経営委員会などについても運営していきませんとね。  それは正直申し上げまして、いま経営委員会の皆さん方すべてそれぞれの分野では私はりっぱだと思うんですよ。別に経営委員の皆さんけなしているんじゃないんです。それぞれの分野でそれぞれ日本を代表する方々なんですけれども、しかし必ずしもそれぞれの分野を代表しているからといっても、NHKの経営委員として果たしてどうかという、これは問題というのは別の角度でやっぱり見ていただかないと、私は非常に問題が起きると思うんです。  ですからそういう意味合いで、少なくとも問題があるような方は、過去のことは問わないというんなら、経営委員になってどのような立場NHKに対して貢献をするのかという話なども、反対される方については十分説得をして、話をしてというありようがあるんじゃないか。もちろん、そういう話し方をしてもそれはあくまでも反対だと言うかもわかりません。しかしどうもこの運営を見てますと、反対するならしてくれというふうなかっこうだけだと、どうも私はNHKの最高の経営機関である経営委員会が、数だけとにかく押し切って通ればいいんだという経営委員会であってはこれは大変なことになります。ですから過去のことは問いませんが、これからまた任期もそれぞれ終わられる方もありまして、また新しい方も入ってくるんでしょうけれども、そういう際には十分ひとつ賛成ができるようなことをお願いをしておきます。  反対したから、いやそういう言い方するならいつでも反対してやる、気にくわないからという意味で私は言っているんじゃなくて、できる限りNHKを運営する経営委員の皆さん方が、最も国民の目から見てガラス張りになるような状態をお互いに努力しようじゃないかという意味合いで私は申し上げているわけでありますから、どうかひとつそういうふうにやっていただきたいと思います。さらに、経営委員会のことについてもうこれ以上触れませんが、いろんなことがうわさをされております。したがいまして、実際の人選の関係などについては、慎重に取り計らっていただくことを要望いたしまして、次に入りたいと思います。  そこで、これはひとつNHKに働く人たちの立場ということになりますと、民放の方との比較になるわけでありますが、処遇だとか労働条件などというのはNHKの職員の方は大体民放と同じような形になっているんですか。
  35. 武富明

    参考人(武富明君) お答えいたします。  同様の放送会社でございますので特に変わったところはございません。ただやはり、一方では商業放送であり、一方は公共放送ということで、持っております業務の範囲というものが双方異なっている面が、多少違っている面があるんじゃないかと、私はそう思っておりますが、大方については同様だとお考えをいただいてよろしいかと思います。
  36. 大森昭

    大森昭君 どうもあなたの答弁よくわからないんだけれども、公共的な立場民放立場では仕事の内容が違うというわけですか。
  37. 武富明

    参考人(武富明君) ちょっと言葉が足りませんでしたが、民間放送の場合にはかなり外に外注をしている部分がございますが、NHKの場合にはほとんど全部自前でやっております。したがいまして、抱え込んでいる業務というものに多少の差があるということが私申し上げたかったわけでございます。しかし、押しなべて放送という業務に必要な業務というものはほとんど重なっておりますから、それが自分でやるかあるいは外注という形をとるか、いずれにしても業務内容としては余り大きな違いはございません、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  38. 大森昭

    大森昭君 余り細かい問題をここでやってもしようがありませんが、いずれにしてもあなたのいまの答弁でよくわかりませんから、具体的に後で資料を出していただきたいと思います。  それで、最後になりますが、いろいろ聞いてまいりまして感じることでありますが、総括的に申し上げまして、大変NHKの今日置かれている状態は明るいというふうに認識できなかったんでありますが、そこで、いかにしてこれから中期というのか長期というのか、NHKのそういう計画上の策定は、いま将来展望を見通してできているんですか。
  39. 山本博

    参考人(山本博君) ただいま御指摘がありました将来見通しでございますが、御承知のように、五十三年度までは、五十一年度を起点にいたしまして受信料を改定した年でございますが、五十三年度までは一つ計画期間として策定をいたしてございます。したがいまして、五十三年度の先ほどもお話がありました予算編成というようなものは、その線に沿って現在進めております。  したがいまして、問題は五十四年度以降新たに計画をつくるか、あるいは五十五年度を起点にするか。と申しますのは、五十三年度までいま申し上げた計画の期間がございますが、その後をどうするかということにつきましては、先ほど来もお話がありましたように、現在の経営情勢から見ますと非常にむずかしい複雑な問題をたくさん抱え込んでおります。この問題をやはり何らかの形で解決をしながら次の時点に進んでいくということが必要でございますので、そういうこともあわせ、長期計画と申しますか、中期計画といいますか、そういうものの策定を現在進行させております。次のNHKの五十三年度の予算を御審議していただく国会までには提出をすることができると思っております。
  40. 大森昭

    大森昭君 まあ役所の場合はおおむね概算要求はみんな上がっちゃって大蔵省にいっているわけですね。NHKの場合には少し予算の編成がずれているようですけれども、しかしおおよそ五十三年度の予算の見通しはもう、きちっとまとまってはいないでしょうけれども、およそできているんじゃないかと思うんです。少なくとも五十三年度に値上げなんてことは、これはあろうはずがないだろうと思うんですが、五十四年度の中では、いまの作業の過程の中でむずかしいかもわかりませんが、受信料値上げなんてことは検討せざるを得ないという状況になるんですか。
  41. 山本博

    参考人(山本博君) 五十三年度の予算は大体五十三年度までつくりました計画に基づいて編成いたしますので、受信料改定の問題は当然起こりません。五十四年度は、これは明らかにどういうふうな操作をいたしましても赤字が出てまいりますということは避けられないと思います。それ以降、伸びが非常に小さくなってまいりますので、先ほど申し上げましたように、どの時点かで、そういう問題も含めて総合的な対策というようなものを考えざるを得ない時期が来るだろうと思いますが、五十四年度については、現在のところ、受信料の問題をどう処理するかということにつきましては、次の国会の時点までに最終の決断をいたしたい、こう思っております。
  42. 大森昭

    大森昭君 いま、NHKの経営問題委員会かなんかというのがことしの六月ですか、つくられているんでしょう。大体こういう委員会ができると、答申を求めるのか報告書を求めるのかよくわかりませんが、大体経営状態が余りよくないから値上げした方がよかろうぐらいな形で——こういうことを言うと怒られるかもわかりませんが、大体よくある手なものですから言うわけでありますが、一体、このNHKの経営問題委員会というのは、六月につくられまして、現在どのような討議が行われているのか、そしてまたこの任務というものは一体何なのか、明確に答弁していただきたいと思います。
  43. 反町正喜

    参考人(反町正喜君) お答えいたします。  この経営問題委員会につきましては、先般の郵政大臣の意見書あるいは先般の国会予算承認の審議の過程を踏まえまして、御指摘のとおり六月に、十一人の、これは今後の公共放送としての協会経営の基本的なあり方並びにそれに関連します諸問題につきまして、実は専門的あるいは実務的に御審議いただこうという趣旨で発足させたものでございます。ただいままでに四回審議を行いまして、大体ただいままでは当面の諸問題といたしまして受信料免除の問題、あるいは国際放送の交付金その他の問題等について御審議いただきましたけれども、これから経営の見通しなり、あるいはその他公共放送としての基本的な問題、たとえば番組編成の問題でありますとか、収納体制の問題でありますとかいうことを逐次御審議いただく予定にしております。
  44. 大森昭

    大森昭君 いずれにしても、開かれたNHKにしていただくためには、そのような重大なことをやられておるならば、四回と言いましたけれども、一回ごとに速記録出しているんでしょう、議事録みたいなものですね。出していなければ出していないでいいんですが、出しているんでしょう。
  45. 反町正喜

    参考人(反町正喜君) 詳細な議事録ということではございませんけれども、必ずその審議の要点は当然のことながら記録してございます。
  46. 大森昭

    大森昭君 記録じゃなくて、印刷物出しているんでしょう。
  47. 反町正喜

    参考人(反町正喜君) 印刷物は出しておりません。
  48. 大森昭

    大森昭君 少なくとも私ども、逓信委員会に所属をしてこういう審議をしているわけですから、印刷物というのが出ていないと言うならあれですけれども、しかし、要約をしまして一回ごとに、こういう問題で討議をしました、こういう大体意見ですというぐらいは、この委員会か、あえてこれは極秘のものなら別ですけれども、公開されてもいいようなものなら、その都度ひとつ逓信委員ぐらいには配付をしていただけるかどうかお聞きしたいと思います。
  49. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 経営問題委員会のほかに、いま先生指摘の開かれたNHKという立場視聴者会議というのを全国五十一ヵ所に設けまして、いろいろと番組の問題、経営の問題を御審議いただいておりますが、これにつきましてはすでに公開、公表いたしておりますけれども、経営問題委員会の方はいわゆる会長の一種の私的諮問機関という形でございますので、まあ先生方の御意見等も伺った上でございませんと、私の一存ではここでお約束するというのもどうかと思いますので、そういう立場上のことも御理解いただいてこの席はお許しいただきたいというふうに思います。
  50. 案納勝

    案納勝君 関連。  ちょっと質問が飛びましたけれども、実は中期計画あるいは収支予算の立て方、この問題について関連をして、少しく大臣とさらには会長に、少し形の違った角度からお聞きをしてみたいと思います。  まず最初に会計検査院にお尋ねをいたします。  NHKの予算というのは政府機関、その範疇に入らないわけですね。そこで、NHKというのは国民の受信料によって成り立つ、権力からは一番遠い、国民のしかも公正な言論を守っていくためにあるわけです。それだけに国の財政法、会計法の拘束がないわけです。また、たとえば郵政省の監督機関的な、監督を受けているような機関でありませんから、大臣は意見を言うだけに一つしばられていますが、特段に予算、決算について調整やあるいは査定、一般の官庁のように大蔵省から査定を受けるようなこともないわけです。あるのは内部規程によって自由に予算が策定をされるという実態ですね。そして、まあ予算総則というのがありますが、これまた経営委員会の議決によって移用流用がされる、こういう仕組みになっているわけです。で、これは予算の場合ですね。  決算の場合は、一般的に一定期間における収支損益、経営の成果、こういうものをあらわすものですから、いま四十九年、この具体的に数字が出されている。しかし、実際にはこの出されている数字を見ても、私もいつも決算のときにあるいは予算のときに思うんですが、その計数の羅列にしかすぎないのではないか、こういうふうにしか考えられない。要するに款項目、款項しか出されていないわけです。これは予算も決算もそうです。何かこう款項に数字を当てて羅列をしている、こういったような実は印象を受ける。  したがって、私どもがこれを受け取って、この決算によって当該年度の収支予算などが適正なのかどうか、効率的に行われているかどうか、このことがにわかになかなか判定ができない。国会の承認が必要なんです。これは国民にかわって国会は予算を決め、そしてそれに基づいて受信料を定めるわけです。決算についても、国民にかわって議員は、委員会はそれを承認をするわけです。ところが事実上、実態的にこの款項だけで、しかも決算の数字の羅列にすぎない、こういうことになると、なかなかにわかに判定ができないというんで私どもはときには困っている。これは各同僚議員の皆さんそうだと思うんです。それで一日討議をして賛成、反対と、こうなる。そういう中で、特にこの執行過程については一番チェックできるところといえば実は会計検査院。  そこで私は会計検査院に聞くんですが、会計検査院としては、要するに検査をする際に、国の機関にあるように財政法、会計法あるいは査定、こういうものがある機関の監査、これはもちろんやっておられる。その監査と、NHKみたいな場合の監査というのは、監査をする場合に違った態度で監査されるのか。国民に成りかわって実は監査をされるわけだ。われわれはその監査報告を受けて、国民の代表ということでNHKの決算を上げようとしている。会計検査院の態度というのはどういう立場でやられるのか、そこらあたりをひとつまずお聞きをしておきたい。
  51. 松田賢一

    説明員松田賢一君) NHKにつきましては、財政法、会計法、これが適用されていない。先生の御指摘のとおりでございまして、こういった財政法、会計法が適用されている国の機関なんかに対する検査と、それからその適用がないNHKなどの検査、これに、検査の方法あるいは内容として、考え方あるいはその方法に差があるかどうかという御質問だと思いますが、私どもその両方につきまして、考え方としてその差を特に考えておりません。  と申しますのは、財政法、会計法が適用されます国の機関などに対しましては、これらの法令に基づきまして予算の効率的な執行、これが適正に行われているかどうか、それについて検査しております。またNHKに対しましては、NHKが定めました内部規程でございますが、その経理規程、その他の会計経理に関します諸規程に従いまして予算の執行が適正に行われているかどうか、そういうことにつきまして検査しておりまして、その考え方は少しも変わっておりません。  特にNHKが徴収いたしております受信料、こればNHKの財政の基本になっておるわけでございますが、これにつきましては、私ども国税の場合と同様な考え方を持っておりまして、それが経済的かつ効率的に運用されておるかどうか、そういうことに重大な注意を払って検査しておるつもりでございます。
  52. 案納勝

    案納勝君 そうすると、特別に区別はしてない、こう言われるわけですね。  そこで、私はもう一回お聞きしたいのは、NHKの場合は内部規程によって実は会計処理が行われる。これは自由に変更ができる、ある意味では。財政法や会計法の場合は、国会の場によって承認をされなくちゃならない。内部規程によって自由に改廃ができる、変更ができるような規程というのが——したがって監査をする、検査をする、それが果たして内部規程が適切なのかどうかという判断は、これは会計検査院としては全然しないわけですか。この辺はどうですか。
  53. 松田賢一

    説明員松田賢一君) もちろん、その基本になります経理規程など、この内容が適切でないとだめなわけでございまして、それはもちろん検査上、われわれもこういう規程でいいのか、厳に気はつけております。私、いまここで詳しい具体的な例はちょっと申し上げられませんが、かつて十数年前ですか、やはり規程がどうも変ではないかということで申し上げて、NHKの方ですぐ対処されて規程を変えられたというような例もあると先輩から聞いております。また、そのように、やはり規程そのもののこれでいいのかということも検査の過程の中では検討してやっておるわけでございます。
  54. 案納勝

    案納勝君 それじゃお尋ねしますが、記述すべき意見がなかった旨、先ほど会計検査院から報告されました。四十九年度の決算に関する実地検査の概要や、たとえば検査の重点、延べ人員、検査個所、または、それを通じて、いまも言われました諸点もありましょうが、改善すべき事項がなかったのかどうか、口頭事項、指摘事項等も含めてなかったかどうか、もう一回、そこあたりをお聞かせを願いたい。
  55. 松田賢一

    説明員松田賢一君) 四十九年度決算に対します実地検査の施行状況、これについて申し上げますと、NHK検査は、私の局の第二局の上席調査官という部屋が、これは課でございますが、そこが担当しております。ここは課長以下現在でも十三名、非常に小さい課でございますが、そこにまたNHKのほかに国立競技場、それから日本私学振興財団、その他八つの団体を持っております。それらをその人数で検査しておるわけでございますが、その課のNHK検査する調査官と申しますのは、検査の従事人員でございますが、これは九名でございまして、四十九年度はその課の実地検査というものが施行人日数、これはいわゆる検査の勢力でございますが、七百六十一人目かけてそれらの八団体検査をやっております。このうち、NHKに対しましては二百十六人目、約三割ちょっと切れますが、三割程度の勢力を割きまして、NHKの本部、それから地方本部、放送局、これらの十三ヵ所を検査しております。  この検査の結果でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、NHKの財政の基盤となります受信料収入、これの収納の状態とか、そういったことは非常に重大な問題だと考えておりますので、四十九年度におきましても、そういった問題に重点を向けて検査したわけでございます。その結果、受信料の徴収におきまして、いわゆる非世帯受信者に対する契約の促進がおくれているんではないか、そういった問題が見受けられました。それで御注意申し上げました例がございます。  その内容を簡単に申し上げますと、受信規約によりますと、事業所に対する——ホテルとか、そういったところでございますが、そういうところに対する契約はテレビ受信機の設置場所ごとということに定められております。ホテルとか旅館、そういったところの事業所におきましては、昨今の常識からして、また、これらの事業所の宣伝にもいろいろ出ておりますが、客室にはほとんどテレビがありますと、そういうようなことが出ておるわけであります。確かに常識からしても、こういうテレビを設置しているであろうと思われますんですが、その契約状況につきましていろいろ調査をいたしました。  ところが、ホテルだとか、そういう事業所側で言っております設置台数に対しまして一〇〇%契約しておるところもあるわけでございますが、中には非常に少ない契約しかないところ、あるいはまた一部には全く契約に至ってないというようなところも見受けられたわけでございます。そこで、これらの事業所に対する契約、これを促進するように御注意申し上げた。これに対しまして、NHKにおきましては、従前からこれはNHK自体でもやはり調査をしておられる。私どもが申し上げたのは、ある事業所では相当につかんでおられる、あるところではまだ欠けている面がある、そういうところでもう少し調べるべきではないかということでいろいろ調査してもらったわけでございます。  従前からそういった非世帯の契約につきましては努力をされておるということもありますが、早速、各営業部署に非世帯、特にホテル、それから旅館、こういうものに対する受信契約の徹底を期するように本部の方でも通達を出されまして、その後の検査におきましてその実施状況をやはり少しフォローしたわけでございます。そしてNHKの方でもホテル、旅館の資料、これを相当収集しておられました。そして事業所台帳のようなものを整備している。そして現場職員のほかに管理職の方も、いろいろそちらの契約に当たっておられたり契約の促進を図っておられるというような状況でございまして、契約件数の増加状況を見ますと、ちょうど四十九年の十一月末現在で約二十五万件程度でありましたものが、五十年の十一月、これでは二十八万、五十一年の十一−月末で三十万件と、だんだん向上しているという結果が出ております。  以上でございます。
  56. 案納勝

    案納勝君 もう一回会計検査院にお尋ねしますが、いま重点あるいは検査の概要について、その概要の中でいまの内部規程について、この内部規程が会計処理上適当なのかどうかという監査を、最近行ったことがあるかどうか。そこでそれが第一点であります。  それを含めて、会計検査院はよく決算委員会等でも言われるんですが、人員あるいは予算等の制約でなかなか十分な監査体制、検査体制というものがむずかしいと。NHKの置かれている立場とかチェックするところは会計検査院だとするならば、その万全を期さなきゃなりません。現在の検査体制で十分だというふうにお考えなのかどうか、これが第二点。お答えを願います。
  57. 松田賢一

    説明員松田賢一君) 第一点の内部規程の是非についてのことでございますが、これは検査の過程で私どもの方の調査官がやはりそういうことも念頭に置いて検査を進めておるということでございまして、特に、最近またNHKの経理規程も、大分年数を経まして相当整備されておるというふうにわれわれは感じておるわけでございますが、また現在その検査した結果で、こういう規程がまずい点があるというような報告は受けておりません。  それから、私どものNHKに対する検査体制のことでございますが、これは先ほども申しましたように非常に少人数でやっておりまして、これはNHKだけの問題ではなくて、私ども会計検査院の国の機関に対する全体のことでもございますが、必ずしも現在の検査体制が十分であるとは思っておりません。なお充実したいとは思っておりますが、私ども会計検査院といたしましては、検査体制というものには常に配慮を行っておりまして、人員の配置、そういったことのみならず質的な向上も図っておるつもりでございます。NHK検査に対しましては、先ほども申し上げましたように非常に少数の人間でやっておりまして、検査を行っているわけでございますが、他の団体も担当しておりますので、そういったことも考慮いたしまして、担当課の検査従事人員、これは逐次増員いたしまして現在では十二名が検査に当たっておる、そういった状況でございます。
  58. 案納勝

    案納勝君 私は先ほどから繰り返し申し上げましたように、十分な体制でないということになれば、実はチェック機能がそこだけしかないだけにきわめて大変だと思っています。特に四十七年の検査は、二百三十七人目、対象局、本部を初めとして各主要な放送局。重点項目は沖繩承継、放送センター建築工事、営業、放送設備の保守、こうなっています。四十八年度は百九十九人目、それで対象局は本部初め四十七年行われなかった地方局。営業、放送設備の運用など。四十九年は先ほど言われたとおり。私はこの二、三年こう見ますと、だんだん内容充実というよりも検査が、こう言ったら悪いですけれども、形式的とは言いませんが、だんだん検査日にちもあるいは中身についても薄められているのじゃないかという印象を受けるわけです。私はこれ以上申し上げません。  そういう印象を受けることについて、ぜひひとつ会計検査院としては検査の万全を期すための体制をとっていただきたいんです。それでなおかつ、もう長い年月が経てますから、財政法、会計法等の適用がないだけに、実際の内部規程上の問題も少しやはりもう一回見直してみるということも必要だと思います。そういった点について、特段の会計検査院の努力をお願いをしておきたい。これはいまのは答弁要りません。会計検査院はこれで終わります。  次いで大臣に見解をお聞きをしたい。これは予算上、収支予算についての様式、立て方について。先ほども私申し上げましたが、NHKの収支予算は放送法の施行規則でその様式が定められています。予算科目、款、項、この款項に過ぎないわけであります、中身は。しかも予算総則で移用流用が経営委員会の議決で行われる。先ほど同僚議員の大森議員から経営委員会の問題が指摘されたが、もっとこれは重大な問題を含んでおるわけであります。それはそれとしまして、経営委員会の議決で移用流用ができる、こういう仕組みになっております。  ところで、放送法の三十七条によりますと、受信者たる国民から徴収する受信料月額は国会が款と項、要するに項に出された収支予算を承認することによって定まるとこう書いてある。さらに収支予算の変更の場合も国会の承認を必要とする、こういうように規定がされております。こうした国会審議権絡みで現行の款と項だけの予算様式は、いままで何回も審議をしてきて本当に当を得ていないのではないか、予算審議として。国民の受信料をもって経営の基盤としているNHK、そしてそれの審議については国会の、国民の代表として審議をするこの場しかない。そういう場で審議をする収支予算について、款と項だけで、それで審議をしなさいといっても、その様式は必ずしも私は十分に当を得たものだとは考えられない。  もちろんマスコミ機関であるNHKに予算執行の弾力性が必要であることは私も認めます。これ当然必要でしょう。そういう特殊事情というものを否定するものではありませんが、少なくとも国会受信料の額の是非を判断をするに足るものでなければ、予算審議、収支予算案、これは私は十分ではないのではないのか、そういうものでなくちゃならないんじゃないか、こういうふうに考えます。  なかんずく現行の様式というのは、放送法制定時、二十五年、当初放送法の原案の中には、大臣は御存じだと思いますが、要するに受信料制、受信料を法定化する、国会受信料を決める、このことが盛り込まれて出されてきたわけなんです。この考え方というのは、収入の規模を国民の代表が国会で抑えられて、その上に立って収支の事業計画を大綱を決める、こういうシステムを当初の二十五年の放送法制定のときには原案として出されてきているわけです。それならば、大臣ね、要するに収入の規模が国会で法定化されて、それに基づいて事業計画が立てられるというならば、款項でいいわけであります、款項で。ところが、いまはその事業計画が先に来て、これだけ事業計画か立ちました、国会は自動的——するに修正権の問題にこれは関連をするんです。八百円なら八百円の受信料が必要ですと、これ認めてくださいと、こうなる。  要するに、二十五年の法制定時代の考え、流れというのは変わってない。ただ、これが三十七条に変わったのは、あの当時毎月のように、いや、いま以上にひどいインフレ状態、まさにわが国戦後の大混乱期だ。そこで、受信料を法定化すると、毎年これを変えなくちゃいけない、国会審議で。それじゃ大変だからといって要するに三十七条になったわけですね、修正された。そうすると、その中身の審議をする予算様式自体も、それに見合う体制というものをつくってこなければ、国会の場で十分に予算審議というのはできない。国民の委託を受けて受信料の是非を判断をするに足る、そういうものにならない。頭だけは変わったけど、中身は変わらないままにきている、こういう状態に今日あるのではないのか。私はここのところが——いよいよ五十三年度の予算編成にNHK入っているんだが、実は、従来からの予算審議の過程の中でNHK郵政省から提起をされてきて、それで審議をする中で、どうしてもそこのところがどうもひっかかるわけです。大臣はこの辺についてどういうふうに考えられているか、ひとつ大臣の御見解をお聞きをしたい。
  59. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 大変むずかしい御質問でございます。確かに、昭和二十五年ごろはそういう状況であった。で、先生のおっしゃる意味もわかります。予算を決めて、それであわせて事業計画を決める。しかしいま、国民のニーズが非常に多様化している、かつ高度化している中で、公共放送としてのNHKが国民のニーズにこたえるためには、大変高い番組も提供をしていかざるを得ない。かつ、そういう面がありながら、やはり経営そのものは、私自身考えますのは、NHKというのは百尺竿頭の上に立っている感がいたします。ですから、そういう面もございますけど、やはり内部の合理化あるいは内部の問題というものは、相当大きな問題を抱えている。たまたまNHKではその推進をこの六月から進めているようでございますけど、私はもっとこの逓信委員会においても、やはり資料等を求めて、そういう問題について討論していただくことも重要だろうと思います。  今後とも、ただ単に款項だけでなくて、私たち自分自身の感じでは、やはりもう少し細かい数字もほしいと思うところがございますけど、長いことの慣例でございますから、なかなかそのようにいっておりません。しかし、ぜひこの国会審議を通じて、公共放送としてのNHKが国民の皆さん方に理解できるような経営を十分やっていただくことは、郵政大臣としても願うところであります。
  60. 案納勝

    案納勝君 大臣ね、まあ私は、毎年のように予算を審議し、決算を審議していく経過の中で実はいま申し上げている。それだけまたNHKが、大臣が言われるようにきわめて重大な時期に来ているだけに、受信料一つ決定をするにしても、後ほどお尋ねしますが、来年度予算は、中期計画に基づいてすでに百五億ですか、赤字だそうです。先ほど同僚議員が言ったように、五十四年度はきわめて重大な段階にあるわけであります。それだけに国民がわかりやすいように、あるいはまた国民の代表である機関が十分に審議できるような、そういう形を私はとって、国民の納得を得ていく、協力を得ていくということがなければ、いまからなかなかNHK全体の将来像というのが私は出てこないのじゃないかと、こう思っているんです。  そこで、大臣ね、もう一回お尋ねします。この款項という放送規則は、これは政令によって政正できるわけであります、大臣がやろうと思えば。ある程度、もっとぼくは詳しくやっぱり出すべきだと思っている。これはぜひ大臣がやろうと思えば、既政令によってできるわけでありますから、これは大臣検討をしていただきたいんです。この予算様式、収支様式についてはもう少し、それらについて、いままでの経過やあるいは二十五年の法制定当時の考えられてきた筋道、あるいはいま現状置かれているNHK現状から先行きのことを考えて、もっと十分な審議内容というものが国民にわかるような形で、また私たちが審議できるような検討をしていただきたい、いかがですか。
  61. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) NHKにつきましては、収支予算のほか、その年度の事業運営の大綱を定めた事業計画をもあわせて御審議いただく……
  62. 案納勝

    案納勝君 それはわかってるんだよ。
  63. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) ということになっておりまして、この事業計画の中には、先生承知のように、いわゆる目に近いと申しましょうか、計画と予算を対応した事項も入っておるわけでございますし、さらに必要に応じまして、先ほど大臣からもお答えいたしましたように、資料の提出を求めていくということができるわけでございます。また一方、先生が申されましたように、NHKにつきましては、言論報道機関として、この運営の自主性、経営の弾力性ということが要請されるわけでございまして、その意味におきまして、予算によるいわゆる統制との調和を配慮していくということが望ましいと思われますので、まあいろいろお考え方があろうかと存じますけれども、このような方法もあるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  64. 案納勝

    案納勝君 このような方法もあるのではないかと、あるからこう出てきているんでしょう。もっと考えてみれと言っているわけです。審議をするに当たって、国民の要するに信託を受けて、NHKというものについての収支、そして受信料国会で定めるんですよ。そういう立場にある国会の場において提起をされる内容について、もっと充実したもので審議をしたらどうか、いまの様式では不十分ではないかということになれば、それについて検討するのはあたりまえじゃないですか。私はそれを言ってんですよ。いまあなたが言われたことは私は百もわかっています。その上に立って、今日の収支予算についての審議をするに当たっての問題点というのはそういうところにあるし、今後のことも考えて、このことについて検討をしてもらいたい、検討すべきではないか、これも一つの方法じゃないですか、あり方じゃないですか、あなたも言っているけれども、いま現状のままでも、それは一つのあり方でしょう。それを少し考えて改善をしたらどうかと、こう言ってるんです。  確かに経営委員会というのはありますよ。しかし、経営委員会というのは、先ほど同僚議員が言ったように、これは私から言わせると、大変大臣に文句があるところですよ。多くの問題で、経営委員会のあり方をめぐってNHKの全体のあり方まで派生をした論議がこの二、三年続いているんです。そういう中で、もっと国民の代表が参加ができる経営委員会にしなさいと、それを努力をすると言いながら、実は与野党一致もできないような経営委員を選任をしてくるというところになると、NHKというものについてのもう一回、政府はどうとらえているのかという見方まで出てくるのであります。  私は同僚議員が先ほど質問しましたから、これは後日に譲りますけれども、これについて答弁求めようと思いませんが、いま問題を提起をしている点については、私はもっとその立場としても、単に意見書を出す程度じゃなくして、やっぱりその内容について、規則上の内容について検討をする余地があるんじゃないか、こういうふうに申し上げておりますから、その辺は私はひとつ十分受けとめていただいて、御検討いただきたい、こう思います。大臣、いかがですか。
  65. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 先生のおっしゃる意味、よくわかります。しかし、経営委員もおりますし、内部的にも大変努力をされている、そういう意味で私、NHKの内部努力、経営委員の努力というものは、やはり今後とも見守っていきたいし、来年度予算については、そういう意味での方向を十分見きわめて今後対処いたしていきたいと思っております。
  66. 案納勝

    案納勝君 これは後日に譲りましょう。  引き続いてもう一点お尋ねをいたします。受信料月額は、本来毎事業年度の収支均衡を保つための必要額、要するに単年度主義というのをたてまえとしていますね、NHKの場合。ところが、今日、財政基盤の安定という見地から、現在の受信料は五十一年から五十三年、三年間の財政見通しを踏まえて提案をされる。言いかえるならば、五十一年度、五十二年度は黒字に立った。五十二年度は大体想定される二十億の黒字、五十一年度は約七十何億ですね。したがいまして、百億程度の金額が五十三年度の赤字を埋める。こういうので、実はこの前提案をされて受信料値上げになった。つまり三ヵ年間における——要するに、五十三年度の事業収支赤字を五十一年、五十二年で埋める、そして収支相称を図るというのがいまの政策です。  そこでお尋ねをしたいんですが、NHKの予算経理はその上に立ってなお発生主義をとっています。そこで五十三年度の事業収支は、いま私はちょっと先走りしましたが、どのようになるのか、正確に見通しとして。予算編成がいま目の前にきています。いままで報告をされたとおりの見通しを持っていていいものかどうか、どういうふうにお考えになっておるか。これは会長にお尋ねをしたい。もし私が言ったような赤字になるとするならば、どういうふうに今度の五十三年度の予算の中で処理をするか、これはもう想定をされるわけですから。五十三年度の予算編成をどういうふうにそこのところを考えているのか、全体を含めてひとつ会長から。
  67. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生の御指摘の中にございましたように、NHKの編成につきましては、五十一年度、協会受信料値上げを御承認いただきます際に、五十三年度までの見通しということで御承認をいただきまして、なおその間、五十一年度の冒頭で不測の国会審議状況がございまして、暫定予算というようなことがございましたので、その御審議いただきました過程の数字は、その後中期計画で訂正いたしました。そして五十三年度までお約束したような形での受信料の値上げをしないという編成をする所存で現在取り組んでおる次第でございます。  具体的な数字等につきましては専務から御説明いたさせます。
  68. 案納勝

    案納勝君 いや、具体的な数字はわかってる。もし私が言っているのが間違いだったら、違うというふうに答えてください。  これは補正後の計画ですね。五十一年度見込みは、収支過不足が八十七億の黒、五十二年度二十億の黒、五十三年度は赤が百七億、そこで五十一から五十三年度になれば収支はゼロ、こういうふうに私ども受けとめています。これは間違いないですね。そうするならば、それは今回の予算編成にどういうふうに計上されてくるのか、どうなるのか、そこのところ。
  69. 川原正人

    参考人(川原正人君) お答え申し上げます。  この前の国会協会側から御説明申し上げました見通しは、いま案納委員のおっしゃったとおりの数字でございます。  現在私ども五十三年度の作業に当然取りかかり始めたところでございますが、実は正直言いますと、五十二年度の予算、事業計画の執行状況がまだ半ばでございまして、これのまず点検をいま始めておりまして、先ほど申し上げましたように、おおむね総体的に言えばそう狂いはなくいけるものと考えておりますので、五十三年度につきましても、基本的な考えとしてこれが狂うことはない。数字はいろいろ出入りがあると思いますが、そういうふうに考えております。つまり、五十一年度、二年度に生じました、あるいは二年度に生じます繰越金をもって五十三年度の不足分、赤字を補てんしてまいる、こういう考え方でございます。
  70. 案納勝

    案納勝君 それじゃもう一回。最後にします。  いま言われるように、五十三年度の予算編成に当たっては、事業収支が百七億赤字、そこでその赤字の分を五十一年、五十二年両年度において生み出された事業収支差金による事業安定資金を使って資本収支の——要するに、事業安定資金を含めて資本収支の余剰をもって補てんをする、こうなりますね。そうすると、先ほど私が収支予算様式と言ったのは、大臣、今度出される従来の方式でいきますと、五十三年度NHK予算は百七億の赤字だというのがぼんと出るんですよ。これがクローズアップされるのです。四十九年のときは、これは会館の売却益がありました。それを特別収入で繰り入れた。事業収入の穴が特別収入で繰り入れられた。最後の予算を出したときの収支のところは、赤字というのじゃなくてゼロになってくるわけです、収支は。そういう出し方をするから、国民は、これはまあとんとんでいっているわと、こうなる。  ところが、今度の五十三年度の予算はいま説明されたとおり、いまの様式でいきますと、出されてくる五十三年度の予算は、私どもに配付されると、百七億の赤字でございますというのがほんと出てきて、後ろの方にちょこっと説明がつくのです、これは。この説明というのは、たとえば経常収支の差金は事業収支及び事業安定資金ですか、安定化資金等の中の幾らかのこれであれしますと、この二、三行の文章がつくだけなんです。私はこういう出し方というのが割り切れないわけですよ、正直言って。  先ほど、四十九年の方式、これは特別措置だと言う。確かに会館売却益ですから特別収入かもしれません。しかし、いまこの黒字に立って事業安定資金となっているやつは、国民から受信料の先取りをしている金なんですよ、三年分。先にもういただいているわけですね。そして、これはあたかも収支差益のように、五十一年、五十二年、黒になっていますから、五十三年の赤字は、二、三行のただし書きみたいなところで実は明らかにされて予算に出されるだけ。予算上は百七億の単年度発生主義をとったのです。しかも款項の中にぼーんと出てくる。赤字だけはクローズアップされる。  こういうことが私はどうも割り切れないだけに、先ほどから私が一連に申し上げているのは、今後も、三年か四年の中期の見通しを立て、五十四年度から出てくるでしょうが、その際における予算の出し方、収支予算の出し方というのは、もっと国民に十分に理解ができるように、一目見てわかるようなそういう様式にすべきではないのか。そういう中で、そういう表示をしていくことによって私はNHKの実情というものを国民も理解ができるし、審議をする場合にも十分理解ができるという、そういう措置が私はとられてしかるべきだと思います。その辺について、大臣はどのように考えられるか、会長としてはどういうふうにその辺は理解をされるのか、その辺をお聞きをいたしておきます。
  71. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生の御指摘も私として理解できますけれども、ただ私どもの方が百七億赤であるというのが出て、それが最後の数行で収支とんとんだということで百七億の赤をクローズアップしているというふうに御指摘いただきますことは、いささか私といたしますと、そういう御見解について少しく御再考願えないか、私どもの方は別に赤を誇示したり、赤を訴えたいということではございません。やはり赤ということについての御認識をいただくためには、むしろ現在のようなことの方がいろいろ御指摘いただいたり、御審議いただく上において、むしろ多少言い方はどうかと思いますけれども、いいんではないかというふうにすら考えておるわけでございますけれども、その点はひとつ御理解賜りたいというふうに思います。
  72. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 四十九年の収支予算において、四十八年度の東京放送会館の売却の一部を特別収入に計上している、これははっきり言いまして経営の問題とは余り関係ない。臨時に多額の特別収入が上がったからバランスがとれただけで、そういう意味では先ほどから申しておりますように、やはり経営の中では大変いろいろな問題を含んでいる、そういうことでNHKが努力していただくことはどうしてもやっていただかなければいけない。いま先生のおっしゃいましたようないわゆる国民がわかるということは、一番重要なことは、赤字をそう三年ごとに出さないことであるし、経営がもっともっと合理化される面を、もっと内部的に経営を見直していただきたいと思っております。  先生の御質問の中で、五十一年、五十二年両年度にわたって事業収支受信料の先取りを繰り越した、やはり事業安定資金というのは、いわゆる事業活動によって生じた余剰でありますから、特別な収入とはなりませんけれども、たださっきから申し上げておりますように、事業収支予算において、見通しだけではアッパーリミットが決まっておりますから、やはりアッパーリミットの中で事業をしていくという先生のお考え方もありますけれども、国民のニーズというのはもっともっと高度化しておりますから、それなりにやはりアッパーリミットが決まっている中の番組放送事業というものはどのようにするかということより、もっと経営の中でどうするんだということだろうと思っております。  そういうようなことで、今後ともNHKがぜひそういう努力をしていただいて、苦しくなったから受信料値上げるというようなことが簡単に行われないように私も願いますし、特にいまのNHKというのは、悪い表現ですけれども、いまの国鉄に似た面がありはしないかというような感じがいたします。そういうようなことを、やはりNHKの経営委員あるいは会長以下役員の方、職員の方が認識していただいて、聴視料をいただいているという、やはり国民一株主に返してやるという気持ちをNHKの経営の中にぜひ出していただきたいし、それは返し得るものは何だと言ったら番組以外ないのだと思います。そういう意味でも、番組については良質な、また国民の納得のできるような方向に向かっていただくことを願っております。
  73. 案納勝

    案納勝君 坂本会長はそういう答弁を会長という立場でされるわけですが、大臣の全般に触れての御答弁もわかりますが、私は合点がいかない、正直言って。これはまた再度立て方、様式というものが中心になってここにもありますが、いま見ていたのですが、出されている予算案というものは二ページで大きな活字です。NHKの予算とその内容、だからそれだけにこの問題は、大臣のおっしゃることはわからぬでもありませんが、引き続いてそれなりに論議を深めるということにして、きょうの私の関連質問は終わります。
  74. 大森昭

    大森昭君 最後に、私から言うまでもないのでありますが、先ほどから大臣も答弁されておりますように、放送というのは文化の創造でありますから、大変な影響力を持つわけであります。それなりに関係省の皆さん方努力しておると思いますが、しかし少し答弁を聞いておりまして、今日置かれておるNHKのいわゆる状態について、認識が甘いと言うとおしかりを受けるかもわかりませんが、大きく変革を求められている時代ではなかろうかと、こういうふうに思います。  やはり何といっても、いろいろな議論がありますけれども、計画が策定された上の議論でありませんと、決算は決算、予算は予算だけの議論であってはこれはとても議論にならないのでありまして、大変山本さんのお話じゃありませんが、むずかしい点だ、むずかしい点だというお話はよくわかるのでありますが、郵政の場合もむずかしくていま計画がないのでありまして、せんだってもいろいろ質問いたしましたが、むずかしいんですよ。計画というのは何でも。民間であろうと何であろうと計画というのは簡単じゃないのですよ。やはり立てることによって全体の意見がそこに集中をするということが必要なんでありまして、どうかひとつそういう意味合いで、きょうは、いろいろ質問いたしまして十分納得できない点もあるわけでありますが、時間がありませんからこれで打ち切りますが、どうかひとつ今日の経済見通し、経営の変革、そしてまさに真にNHK任務が遂行できますような計画を早急に打ち立てていただいて、先ほど案納先輩も言われましたように、国民にはっきりわかるような形のものを打ち出す中で国会の議論をしていくということを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  75. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十八分休憩      —————・—————    午後一時二十五分開会
  76. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  日本放送協会昭和四十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  77. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 私がこれからいろいろ質問させていただきますが、ぜひ当事者の皆さんの前向きな、そして建設的な御意見をお願いしたいと思っております。  まず、こういう財産目録貸借対照表損益計算書NHKのものは私、初めて拝見しました。ところが、どれを拝見いたしましても、午前中にもお話が出ましたが、特に「記述すべき意見はない」というのがみんな書いてありまして、大変私は不思議な感じを受けました。本当になかったのか、あるいは問題があったけれども、会計検査院段階でこれが洗われてきているのかという私は疑問を抱きました。これについては午前中御意見も出たようでございますが、ぜひ私みたいな初めての者でもわかるような、そういう点が了解できるようなものに今後していただきたい。これは別にお答えいただかなくても結構でございますが、これはお願いしておきたい、こう思います。と思います。  まず、郵政大臣にお伺いしたいと思います。  わが国のテレビジョンの放送体制でございますが、現行のNHK民放の二本立てというこのやり方ですけれども、日本の国情にこれは合っているか。大臣はこの放送体制を了とされていらっしゃるかどうか、よしとされていらっしゃるかどうか、これからまず伺いたいと思っております。
  78. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 日本放送協会民放との二本立てというのは、歴史的由来もございます。これは高橋先生よく存じていることであります。  で、私、現在のやはりNHK民放の二本立て、これは特に豪州、ヨーロッパはそのような形になっておりますし、その料金の体系はちょっと違うにしても、長い歴史の中でそれぞれ発達してきた民放NHKというものは、ともにやはり日本の文化、社会の発展というような意味でも、大変な力を発揮し、またその寄与をしてこられたことでありますので、私自身としては、大変重要なことであるし、今後とも健全な発展を両者がしていただきたいという願いもあわせてお答え申し上げます。
  79. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 私も考えは同じでございます。日本の国情には向いている体制ではないかと、そう私も思いますので、結構だと思います。  御承知のように、テレビジョンというものの日本の家庭生活における位置というのは非常に高いものがありますし、大変なものだと私は思いますが、古い調査で大変失礼でございますけれども、国民生活の中で——各国の国民生活の中ですが、何をしているときが一番楽しいかという調査がかつてありました。それを見ますと、日本では、一がテレビジョンで、二が旅行で、三がスポーツで、四が読書でという順番になっております。フランスやイギリスなんかでは、一が談笑——語り合うということですが、仲間や家庭内での談笑、これが一で、二が散歩で、三がスポーツで、四が旅行で、テレビジョンというのは八位か九位あたりにしか出てこない。アメリカはさすがにテレビ国ですから、一がそれでも談笑で、二がテレビで、こういう順番になっております。日本では、御承知のように、主婦に至っては一日四、五時間平均テレビを見る。  同時に、このテレビが持っている特性というものを考えますと、国民生活もしくは人間形成、こっちの方が私は非常に重視しております。テレビが持っている感性に訴える特性というものが、非常に重大な日本の国民形成、人間形成の将来に大きな影響力を持つ、これは大変重大なことだと私は思うのでございます。  そこで、ちょっと伺いたいと思いますのは、この番組の内容というのはネットの数——親局の数です、地方局はこの際問いませんが、ネットの数と番組の内容とはこれは切り離せない私は影響があると思います。少な過ぎますとこれは独善的な番組が出てまいりますし、多過ぎますと営業上の過当競争が視聴率という形で出てくると私は思います、営業上のです。視聴率というのは、これはぼくは内容の競い合いだったら切磋琢磨ですばらしいことだと思うのですが、営業のみに絡んだものになりますと番組の低下、低俗化というものを招くおそれが十分にあると思います。これは大変なやっぱり問題だと思うわけですが、そこで、大臣は現在のネット数、これは日本の経済規模あるいは文化度というものを考慮なすって、適正だと思われるでしょうか。
  80. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 大変むずかしい御質問であります。適正であるかないかということは、私自身認可をする郵政大臣といたしまして適正であると思っておりますし、現在東京では約民放五社が放送事業をやっております。それなりにそれぞれいろいろな活動をされておる。また、自由な競争の中で自主的な番組をつくり国民に影響を与えております。  先生がおっしゃいました前段のやはり国民に対しての影響力というのは大変大きなものであります。営業上の競争というところが私よくつかめないんでございますけれども、そういう意味では情報が相当大きく流れていることで、いわゆる家庭の主婦が四時間五十分ぐらいから五時間と見ております。最近のお子さんの方はそれよりちょっと少なくて三時間二十分ぐらいで、あとラジオを、FMを聞いている率が高いと、一時間四、五十分聞いている人もいますから、ともあれ五時間近くのものを聞いていらっしゃることですから、その情報の整理がどの辺でなされるのか。最近アメリカなどでは——これは私の友人でボストンに住んでいるのが、最近はニューイングランド地方ではやっぱりテレビを見ない運動なんていうのが出ているんだそうでございます。それはやはり思考力の問題というようなことで、やはり静かに読書し、また、友人と団らんをするというようなことが主体になっておるようでございます。  まあ、いまの日本の民放あるいはNHK等が、やはりそれなりにテレビを流しておるということは、それなりに日本の国民の上に大変な大きな影響を与えていることも事実ですし、現在の事情ならば適当であろうと私は思います。じゃどこが適当だと、基準だと言われますと大変困るんでございますけれども、感覚的に申し上げますとそのように私は感じ取っております。
  81. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 数が適正だというお考えのようですが、それでは今後将来ですね、ネット数がふえないと私は解釈してもよろしいでしょうか。要するに波があるから免許をおろすんだということはないと、波があるからおろすんだということではないんだというふうに私、受け取ってよろしいでしょうか。
  82. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) それは将来をここで先生に申し上げることは約束することになります。郵政大臣としては大変重大な発言になります。で、私は、現時点ではよろしいであろうと思うけれども、しかし、これからやはり変化する中で、たとえばいま現在、やはり大勢のニーズが出ておりますFM多重なんというのは新しい分野であります。非常に新しい分野が出てまいります。それからこれはテレビに使えるかどうか知りませんけれども、一つのレーザー関係の部門というものは相当出てまいります。そうしますと、非常にこの技術革新の時代でいまの数だけでセットしていくということがいいのか、悪いのかという、技術革新に変貌できる、変貌していく社会の中でそれだけで抑えていかれるのかということは、大変疑問の問題が残っております。そういうようなことを考えますと、いまの先生へのお答え、現時点ではおおむね適当であろうと私は感じております。しかし、時代の変化等を考えますと、また電波審議会等がございますので、そのようなところでやはりものを考えていただかなければいけない。そういうようなことで、私自身、いまの先生の御質問には大変お答えにくいことであることだけは御了承いただきたいと思います。
  83. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 私が申し上げたいのは、要するに技術的に、ここに波の余裕があるから免許が出るということではなくて、それだけではなくて、やはりさっき申しました、いま大臣もおっしゃいましたが、ニーズの問題あるいは文化度の問題、経済規模の問題、それらのものが私はむしろ先行すべきではないかというふうに考えて伺ったわけなんですけれども、いまのお答えを伺いまして慎重におやりいただくということで結構でございます。  ちょっとNHKに伺いたいと思いますけれども、受信料の不払い問題、またかという感を持たれるかもしれませんけれども、皆さん現場の方も御苦労なすっているということはよくわかります。この意識的な不払いと、それから常時不在者不払いと、この今後の見通しですけれども、いまの程度で抑えられると思っていらっしゃるか、あるいはこれ以上広がる懸念はないかどうか。そういう点はいかがでございましょうか。
  84. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 現状のままで私どもいろいろなことをやっておりますけれども、いまのやり方のままではふえていくというふうに私は考えます。
  85. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 そのふえていくというのは、午前中にもお答えがありましたけれども、意識的不払い者の方がふえていくという意味でございましょうか。
  86. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) もちろん現在のような生活態様、社会状況、こういう中では常時不在の家庭、そういう世帯がこれもふえていくことは明らかでございますけれども、率としてふえ方の度合いというのは、無理解者のふえ方というもの、この方がより率としてはふえると思いますし、それから、これからは都市受信障害、これによる、これを原因とした不払いというのも私はふえていくというふうに考えております。
  87. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 私は、そのいまの無理解あるいは意識的不払い者というのがあってもいいとは言いませんが、なければむしろおかしいので、こういう民主主義の世の中では。これはNHK放送Gメンでも使っているんじゃないかと言われるおそれもあるくらいあっていいと思う。しかし、パーセンテージが私は問題だと思いますね。そこでさっきお話ありました全体の滞納契約者というのは七十万、それから五十万が常時不払い者、意識的不払い者は十七万、こういうお答えです。このNHKの発表と一部マスコミに伝えられるNHK受信料の不払いというものに食い違いがあると私は思うんですが、これはどこから出てきているものでしょうか。
  88. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 先ほどお答えいたしました中で、滞納契約者数が五十一年度末で七十五万、その中で常時不在の世帯が約五十万、意識的な不払い者が十七万というふうに申し上げました。これは滞納契約者七十五万の中の内訳を申し上げたわけでございますけれども、契約をしない、していない方、または契約をどうしてもしていただけない方、いわゆる契約拒否者というふうに申しておりますが、この契約拒否者の中にやはり無理解と申しますか、NHKに対する不満ということを理由にして、どうしても契約をしていただけない方もございます。そういう方、私どもが現場を回っております委託の集金人等からの報告で得ております数字が約七万、NHKに対する不満、批判、そういうことを理由にして契約をしていただけない方が約七万、それを合わせますと二十四万というふうな数字になる。で、世間でいろいろ契約をしていない方、契約をどうしてもしていただけない方のほかに、世帯の移動等によってまだ契約に至ってない世帯もある。そういうものも合わせて不払い何万、何十万、何百万というふうに言われる場合もございますので、私どもが申している数字との間に違いがあるということは事実でございます。
  89. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 そうすると、それはテレビは買って持っているけれども契約をしていないという人たちも入れた数字ではないかと、こういうふうに解釈してよろしいですか。  そこで、とかくNHKの問題となりますと、受信料制度というのが取り上げられる。そもそもの基本的な考え方でございますが、この制度が決められた時代というのは、言ってみれば非常によき時代、言うところのよき時代であったのではないか。しかし今日はそう世の中甘くなくなってきて、市民意識も大変複雑になってまいっておりますし、またニーズも多様化している。時代は変わっているわけなんでございますが、会長の御意見はいかがでしょうか。この受信料制度というものが、NHKの本質にかかわる経営基盤として大事な問題なんですが、いずれ将来検討しなければいけない時期がくるとお思いでしょうか。この点をちょっと伺います。
  90. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 受信料制度につきましては、高橋先生指摘のように、ある意味ではいま論議の中心になっておりますけれども、私自身の考え方を申し上げれば、やはりこれは日本の放送の中で言論報道の自由を守る、そういう意味合いから言って、NHK事業運営を国民的負担の上において賄う、こういう趣旨でございますので、いろいろ困難はございますけれども、私としましては、現状では受信料制度を守るということに力を注ぐべきではないかと思って、現在経営に当たっておる次第でございます。  ただ、いろいろ客観情勢の変わっている中で、将来そういう問題について何も考える必要がないのかという御指摘につきましては、これは経営者としてやはりそういう点についてのいろいろな検討もしなければならないというふうに考えまして、いろいろ経営問題委員会その他、部内におきましても、それらのことについての協議はいたしておりますけれども、いまここで申し上げることは、何としても受信料制度を守るというたてまえの上で努力すべきではないかというふうに考えております。
  91. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 それではことしの六月に設けられました諮問機関である経営問題委員会、これでも大きなテーマとして、これは今後も慎重に考えていくというふうに解釈されますか。
  92. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) NHKの基本的問題等につきまして、当然、いろいろと御意見を承る場になるであろうというふうに考えております。
  93. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 これは本当に根本的な本質問題だろうと思います。どうも私のこれは何といいますか勘みたいなものですけれども、NHKのこれからの職員も一番頭を悩ませる問題ではないだろうかと思います。やはりそういう後輩のためにも何かここでわれわれは考えておくべきではないか、こういうふうに思いますので、ひとつ真剣に取り組んでいただきたい、こう思います。  そこでちょっと問題変わりますけれども、私、最近NHK離れという言葉をよく耳にいたします。これはまあ番組内容自体が民意を反映しないとか、あるいはいまの不払い問題の不公平に対する不満であるとか、いろいろあると思うんです。これが私の杞憂に過ぎないというなら非常に私はいいと思うのですが、庶民感覚としまして、ちょっとNHKに対するやっかみの神経がないだろうかということを私、気にしております、大変気にしております。これは建物も含めての話でございます。そこで、皆様のNHKということで、NHKホールですね、あれをより一層開放するというお考えはどうでございましょうか。
  94. 橋本忠正

    参考人(橋本忠正君) NHKホールは、御承知のようにこれは放送の設備でございますから、これを運営していく上ではどうしてもNHKが管理して、その上で一定の基準といいますか、規程を設けまして、その中ではできるだけ多くの方に御利用いただくということでやっております。ただ一般に気軽にとおっしゃられても、そこはやはりあれだけの設備施設を持っているものでございますし、放送のために利用するということが第一条件でございますから、いま申し上げたような規程の中でできるだけ御利用いただくようにという点は常々考えている点でございます。
  95. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 そのNHKホールの利用規程にというのですけれども、その中の、これは二条の二の三ですが、「もっぱら営利を目的としていると認められる催しもの」は、これは許可しない、こういうのがございますね。この「もっぱら営利」というのはどの程度のものをおっしゃっているのですか。
  96. 橋本忠正

    参考人(橋本忠正君) 大変規程はむずかしいのでございますが、根本的にはやはり御利用いただくための前提条件といたしましては、たとえば日本の文化の向上だとか、公共の福祉だとかということが先にまいりますので、「もっぱら営利」ということになりますと、ただこれを利用することによって、まああくまでも営利、金もうけということであって、やはりあそこを使っていただくためには、放送とか文化の面とか、あるいは公共の福祉、そういった面もやはりお考えいただきたい。ただ単にあれを完全に利用して営利だけということではいささかどうだろうか、かように考えております。
  97. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 それでは、たとえば民放があそこの利用を申し込んだ場合はいかがでございましょうか。  同時にもう一つ、それをあの中から民放が中継するということはどういうふうにお考えになるでしょうか。
  98. 橋本忠正

    参考人(橋本忠正君) 民放さんといえどもわれわれが考えております規程の概念に入りませば、当然これは御利用いただいて結構かと思います。ただ、放送する場合にはあくまでもNHKがこれを管理するといいますか、コントロールした上での御利用ということでございますから、その点がどうしても一つの条件になってくるかと思います。
  99. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 ああいうりっぱな建物がやっぱり皆さん庶民のものなんだという感じを、これは感覚というのは非常に大事だと私は思うんですが、ぜひ持てるようにしていただければと、これは希望といいますか、お願いということでございます。次に、さっき会長もおっしゃいましたが、やはりNHK公共性というものは番組内容に当然あると、これは常識であろうと思いますが、番組ということで報道、教養重点主義ということと、大衆娯楽路線ということをよく言われておりますが、公共放送としての、国民受信者皆さんにお返しをしようという公共放送としてのこれからの番組編成の上で、この二つというものをどういうふうに考えて番組編成へもっていっていらっしゃるか、しようとしていらっしゃるか、これをちょっと伺いたいと思います。
  100. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  視聴者の報道、教養番組についてのNHKに対する期待は非常に強いものがあると思いまして、今後ともその面の努力を続けてまいりたいとは思います。しかし、同時に健全な娯楽に対してもやや視聴率——娯楽番組においては視聴率というのはかなりのウエートを持って、番組の内容をといいますか、よしあしを決める基準になるかと思いますが、それにおいて必ずしもいま十分な成績を上げているとは思いません。来年度、番組改定に当たりましては娯楽番組に従事する人たちが十二分の力が発揮できるような番組編成を考えてみたいと思っております。ただ、いませっかく計画中でございますので、ここで具体的なお話にまではまだできない状況でございますので、その点御了承のほどをお願いします。すなわち娯楽番組を重視する方針を来年度番組編成で出したいと、こういうことでございます。
  101. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 それでは、一時うわさされたように、NHKが報道、教養をやっていればいいんだということではなくて、やはり私は娯楽番組というのは、さっき申しました人間形成の上に、たとえば幼児でも感性でもってこれを受け取れるということで非常に大事なものだと私は思っておりまして、娯楽番組こそ、まあ大げさに言えば教養番組だと、知らず知らずのうちにこれが国民の中に入っていくというものは非常に重大だと、こういうふうに私は思っておりまして、力は大いに娯楽番組は尽くさなければいけないと私は思っているのでございますが、そうするとよく言われるように、NHK民放の番組のあり方について、娯楽は民放に任せろと、報道、教養はNHKがやれというようなことは今後考えられませんね。
  102. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  公共放送NHK民放の共存ということは、あらゆる部面で、同じ土俵の上でフェアな競争をするということかと思いますので、私たちはそういう報道、教養はNHK、娯楽は民放というような考えはとっておりません。また、放送法にも調和ある編成ということがうたわれているのも同じ趣旨かと解釈いたしております。
  103. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 よくわかりました。これは私がアナウンサーだったんで誤解をされると大変に困るんでございますが、いま私が申しました報道、教養というのは、消化力を持っている人が見ると思って間違いないと思います。そうじゃない番組というのは、全く消化力のない幼児でもこれは接しております。また習慣として毎回毎回、毎日毎日入ってくるというものは非常な力を持っていると私は思うんですが、放送使命の中にやはり美しい日本語といいますか、そういうものは大きな国の文化を決定する要素になる。要するに、その国の国語がいかに正しく、そしてまたいかに美しいかというのが文化のレベルにもなると言われておりますが、常時伝達者として登場する——常時伝達者ですな、臨時ではなく、常に登場する——聞いておりまして、言ってみれば、われわれの世界から言いましたら鼻詰まりだったり、ガ行とわれわれは言うんですが、カキクケコができない。ガギグゲゴで全部やってしまうというようなものは、たとえて言えば歌を歌う歌手にいたしましても、これは一番軽べついたします。そういう方あるいはのむ話し方、あれは何と言ったっけな、のむ話し方というの、フケと言ったかな、落語の世界では。「う、何々」というやつですが、あれは一番陥りやすい点なんですけれども、これが常時伝達者として出てくるということは、私は大変に気にしている一人なんでございますが、どういう基準で、もちろん慎重に人選をしていらっしゃると思いますが、あれはどういう基準でおやりになっていらっしゃるか、ちょっと伺いたい。
  104. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  美しい日本語ということに対してはわれわれも社会的責任の一つとして重視はいたしております。しかし、同時に価値の多様化あるいは親近感等で、たとえばニュースにいたしましてもキャスター制度が導入される、あるいはその他の条件で現場に一番近い人、体験が一番身近な人がそのままの形でブラウン管に登場するという機会はふえております。しかし、その方たちが、おっしゃるように聞きづらい言葉であることも一、二事実でございますが、われわれとしては番組に登場する機会のある人についてはアナウンサーの方と同様、音声についての訓練もいたす一方、アナウンサーの人にもそういう現場体験をしてもらって、相互の切磋琢磨で、美しくかつ実感があふれる放送というものを視聴者に提供したいというふうに考えておる次第でございます。
  105. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 念のため、私はアマチュアがよくないとかいうようなことでは決してない、誤解していただきたくないと思うんでございますが、事件が起きてその場に居合わせた放送記者の方なんかが出るのは私は一向問題にいたしません。結構だと思います。そうじゃなくて、スタジオで常時、毎日出てくる方のことを私は言っておりますので、この点は誤解していただかないように。それでまた、いま申しましたやはり日本語の影響力というものは、私たちは後輩にもすばらしい日本語を使う日本国民であってほしいと思いますので、それにはやっぱり放送が一番大きな力があると思いますので、ひとつ慎重にやっていただきたいというお願いをしておきたいと思います。  それからこれはさっきもモスクワオリンピック問題のことは触れられていられたようでございますが、テレビ朝日が協定書を発表いたしましてから、NHKは現在も静観中でよろしいんでございましょうか。
  106. 橋本忠正

    参考人(橋本忠正君) その後モスクワの組織委員会からも何のアプローチもございませんし、テレビ朝日からもございません。ただいま御指摘の静観ということでございます。
  107. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 大臣に参考までに伺っておきたいんですけれども、もし仮にテレビ朝日側からと、それからこれはモントリオール方式グループですか、側の両者からあっせんを依頼されたような場合には、大臣は乗り出すお気持ちはおありでございますか。
  108. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) それは、もちろん労をとるのにやぶさかではございません。それより民放とテレビ朝日、NHKが話し合って解決していただくことを望んでおりますし、私は楽観しているんでございます。知的最高集団でございますから、そのぐらいのことができないようでは大変おかしなことじゃないかと思っております。
  109. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 それは当事者間で解決できるということは一番うれしいことだと私も思います。それはまあ祈ってやまないことだと思います。  それから、さっきもお話出ました池袋のサンシャイン60でございますが、まあNHK調査が十万世帯で、これは複合障害、あるいは反射障害、だんだんだんだん困難になってまいりまして、この難視聴対策として調査会指導要領も出ておりまして、当事者間でこれも解決する。あるいは原因者負担というようなことも言われたりしておりますが、原因者と言われましても、これからの都市難視聴の場合には、どれが原因なのか、とうていぼくはつかみにくいだろうと思いますし、もう一つは、電波のために建築を規制するというのもぼくは筋ではないと、こう思います。どんどんどんどん高層建築が、つまり都市構造が高層化するにつれまして高層建築が出てくるわけでございますが、一々これをその後を追っていって、果たして追いつけるものかどうかということを大変私は懸念しておりますが、大丈夫でしょうか。その辺のところをちょっと。
  110. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) お答え申し上げます。  テレビジョン放送が国民の日常生活において必要不可欠となっておりますので、この都市受信障害解消につきましては、省に課せられた重要な課題であるというふうに考えまして、先ほども申し上げましたように、テレビジョン放送難視聴対策調査会設置するなど、鋭意検討を進めてまいったわけでございますが、御承知のように、現在までに高層建築物による受信障害解消についての指導要領を作成いたしまして、先ほど申し上げましたように、建築主が建築に先立っていわゆる難視環境と申しますか、を調査をする、あるいは建築中、建築後において環境を調査をいたしまして対策を考えていく、というようなことを主眼にいたしました考え方の基準を打ち出したわけでございます。当事者間協議にはなるわけでございますけれども、やはり先生ただいまおっしゃいますように、できるだけ先回りをしたいというところから発した基準でございます。  さらに、これも先ほどちょっと触れましたように、電波法百二条の二のシリーズと申しますか、いわゆる放送中継の固定回線のような重要回線が、高層建築物によって障害を受ける場合の対処の仕方というものが、すでに電波法に入っておるわけでございますけれども、その中の考え方が、いわゆる建築をしようという建築主建築主事のところに申請をするわけでございます。一番早く地方公共団体建築主事のところにそういう計画が入っていくということでございますので、建築主事、ひいては地方公共団体にもお願いをいたしまして、まあそういった段階でいわゆる指導ができるような条例あるいは指導要綱というようなものを、府県なりあるいは市町村の方でおつくりをいただくというようにお願いをしてまいっておりまして、相当な府県あるいは市の方でそのような条例等ができ上がっております。  これは、建築主建築主事のところに建築申請をいたしましたときに、その建築申請書に、地元の住民等と建築主が話し合いましていわゆる電波障害対策といいますか、そういったものを、このように考えますというようなものを添付いたしませんと建築主事がその申請を受け取らない。これも先生指摘のように、できるだけその建築にまあ先回りをいたしまして、そういったところで考えていくというような方法をより合わせまして、いまいわゆる指導要領等によりまして指導協力方を強く進めておるというような段階でございます。
  111. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 これはどんどんどんどん出てくることでしてね、要するにビルが建ったから手当てをするというんじゃなくて、そういう事後対策ではなくて、どこにビルが建とうがそういう障害は起きないんだというような手というものは考えて——つまり、後からやったものは全部高くつきますわね。ですから、たとえばその対策をつくるのに非常に金がかかるといっても、結局後から見ればあれは安かったということが、いろんな場合、道路でも何でもこれは出てまいります。だから、ビルが建ったからこれを手当てするんだと一々追いかけるんじゃなくて、東京や大阪の場合には、どこでもビルは建ててくれと、電波の方は大丈夫だと、そういうような対策というものは考えていらっしゃるんですか。
  112. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) 大変むずかしい御質問でございますが、まあ理想的にはいわゆる都市構造と申しますか、そういったものの将来いかにあるべきかということがきちんと決まりまして、そして、そういったものを見通した上で放送側が対処をしていくということになりませんと、先生おっしゃいますように、放送がすでにスタートしておるところへ建築物がどんどん建っていくということになりまして、どうしてもまあ後手後手を引かざるを得ないという形になるのかと思います。しかしながら、これはなかなか言うべくして実現がむずかしいんではないかという気がいたしております。  それでは抜本的に何かいい方法があるかということになるわけでございますけれども、私たち、まあ先生方の御指導も得ながら、放送衛星を今年度中に、実験用でございますけれども打ち上げまして、いわゆるその難視聴に対する効果等につきましても調査をすることにいたしております。これが果たして都市難視にどういうふうな効果があるのか、あるいは辺地難視に対しましてどのような効果が期待できるのか、そういった点の調査をすることにいたしておりますけれども、これもまあ調査結果を踏まえまして将来のあり方を検討するということでございまして、まあ放送衛星さえ上がれば全部片づくというように軽々には考えてないわけでございますけれども、そういう考え方もあるのではないかというふうに思っておる次第でございます。
  113. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 まあぜひそういう長期の計画で、そして一つのビルのたんびに問題が起きるのではないという手というものは真剣に考えていただきたい、こういうふうに思います。  それからこれはNHKに伺いたいんですけれども、いま話題になっております芸能界のマリファナ汚染問題でございますけれど、もちろん私は、日本に法が存する以上、違反者はこれは悪いと思いますが、念のため、またここで大麻に対する日米の考え方の相違や取り扱いの違いを私は云々するつもりもございません。ただ、芸能人の場合ですが、放送出演の停止ということは、これは即生活権を奪われかねないということにつながっている、生活権につながっていると私は思いますが。しかも、うわさに上っただけで、逮捕はもちろん取り調べもまだ受けてない、口にされただけで、名前が出ただけでその営業活動に影響を及ぼしている例もあるやに聞いております。芸能人の場合には公人的な性格上やむを得ないと言われればそれまででございますし、かつまた、ある程度世間様から興味本位に扱われる、見られるというのもこれは仕方がないことかもしれませんが、捜査の仕方を見ましても、ある意味で芸能人の甘えの構造に対する警鐘であるという解釈も成り立つかもしれませんけれども、しかし、放送の出演の停止というものは、芸能人であるからこそ生活権が奪われる。それほど芸能人にとって放送というものは重大なもののはずですし、またNHKがやることというのは民放がすぐ右へならえをする習慣といいますか、慣習があるようでございますので、NHK放送出演を停止するという基準ですが、逮捕者はもちろんだろうと思いますが、取り調べだけでも、あるいはうわさに上ってもこれをなさるのか。放送当事者として何かの基準を持っていらっしゃると思うんですが、これをぜひ伺いたいと思います。
  114. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  芸能人にとって出演の非常に大事だということはお説のとおりでございます。と同時に、放送側といたしましても実は被害者でございます。私たちはなるべく多くの出演者の中から適当な人を選びたいというのにそれが制約されることも困りますし、また現に逮捕あるいは送検された者がすでにビデオが撮ってありまして、そのために放送を中止するという実害も出ております。私たちとしては、原則的に、法的処置が済み、市民としての権利義務が回復した段階で、そしてかつ世論がこれを温かく迎えるという状況で、なるべく早く出演していただきたいというふうに思っております。すなわち、市民としての権利義務の回復が最大の基準でございます。そして、できるだけ世論も温かくこれを認める方向になるように私たちとしても希望をいたしている次第です。
  115. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 まあ一つの考え方としては、芸能人タレントというのはやはりタレント性というものが値段といいますか、国民に受け入れられているのであって、必ずしも芸能人の個人生活まで云々するというところまでいくかいかないか、これはその国の国民性にもよりますね。アメリカあたりははっきりしておりまして、個人的に何やろうがおれはあいつが歌がうまければいいのだというような大人の割り切り方をしておりますが、日本ではまだそこまでからっとはしていない、ウエットな面もあるだろうと思います。それだけむずかしいことだとこれは思いますけれども、それではNHKとしましては、一度出演を停止した芸能人をまた再び登場させるということは、いまのお答えの国民としての権利義務を回復した暁というふうに考えてよろしいでしょうか。
  116. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  原則としてはおっしゃるとおりでございますが、そのほかに世論というのもございますので、なるべく世論が温かく権利義務を回復した人を認めてほしいというのが私たちの希望でございます。私の希望でもございます。
  117. 高橋圭三

    ○高橋圭三君 確かに世論が大事だということはよくわかります。ただ、さっきも申しましたように、NHKのとる処置というのは、放送界においてはすぐ右へならえという慣習があるということをひとつ腹に入れていただきまして、できればそういう意味で少し世論の先取りぐらいというものはむしろおやりいただいた方がいいんじゃないかと私は思いますし、よけいなことでございますが、ひとつお願いをしておきたい、こう思っております。  私の質問時間は少し余っているようでございますけれども、ぜひNHKのさっきから言われております財政の健全化とか、あるいは世論の番組への正しい反映とか、そういうものを考えていただきまして、長期的な展望の上に立ってその経営をしていくように、ぜひ国民のためにお願いしたいと思いまして、私の質問を終わらしていただいてよろしゅうございます。
  118. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 日本放送協会昭和四十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書については、冒頭に御説明をいただいたわけでございます。  そこで、私は概況を考えるに、経常事業収支昭和四十七年度から赤字基調となり、それが五十年度まで続いていたのでありますが、この間、四十八年度における東京放送会館の売却収入三百五十四億円余りの活用等により経常事業収支赤字をカバーしてきたと理解をしております。そして四十九年度は、同売却収入の一部繰り延べによる事業安定化資金三十五億円の充当、その他減価償却方法の変更、建設投資規模の圧縮などの支出抑制により収支均衡予算を編成されたものであると考えております。いずれにいたしましても、当年度事業運営は、オイルショックを契機として、社会経済情勢の非常に激しい変動期でございました。そういう中で二、三点の質問をしたいと思います。  まず一つは、長期負債返還金の一部八十七億円を、再度五十年度に繰り越しておられますけれども、このような措置をしたその理由を御説明をいただきたいことが一点。  第二点は、資源エネルギー節約の一環として、一日当たりの放送時間を年度当初から九月八日まで、総合テレビで一時間四十分、教育テレビ一時間五十分、また九月九日から年度末までそれぞれ四十五分、三十分の短縮を行っておられますが、このことによるメリットはどのようなものがあったのか。現在も引き続いて行っておられるのか。また、今後も事態によってはあり得ることなのか。  第三点は、当年度においては先ほど会長の趣旨御説明を伺ったわけでございますが、いずれにいたしましても、結論として五億三千万円の赤字決算となっております。このような事態になったその経過、それの説明と、また赤字対策をどのように措置——今後との兼ね合いでございますけれども、こういうふうに赤字が生じた場合にどのような措置、こういうことを考えていらっしゃるのか、御説明を伺いたいと思います。
  119. 川原正人

    参考人(川原正人君) 最初に、四十九年度において債務償還の予定八十七億円を繰り越したという、これについて御説明申し上げます。  実は四十九年度というのは、私ども当初もちろん予算としましては収支償う予算を考えていたわけでございます。御承知のようにその前年度の末期四十八年に、かの石油ショックと言われる経済の非常な変動がございました。四十八年の終わりから四十九年度にかけまして異常な物価の高騰というのがございました。さらに金利の上昇等、経済環境に大変な激変がありまして、実は四十九年度に入りましてからNHKの経営といたしましても先行きの経済情勢全く予断を許さないと、このような状況になってまいりました。そこで、四十八年度において東京の放送会館売却収入をもって債務返還を予定しておりました額のうち、八十七億円の実施を四十九年度に繰り越すとともに、さらにこれを当時の経済状況の中で留保して年度に繰り越すというような措置をとったわけでございます。終始この石油ショック後の非常に異常な物価高騰等の経済情勢に対処するための対策であったと、こういうことでございます。  それから、それにしても最終的に四十九年度五億三千万円の赤字となったではないかという御質問でございますが、私どもとしましては、この四十九石油ショック後の経済の異常な激変、物価の高騰等、もちろん手をこまねいていたわけではございません。一方において収入の確保を図るとともに、経費の節約もこれ徹底して行ったわけでございます。  しかし、残念ながら先ほど申しました物価の高騰のほかに、収入におきまして、これは四十八年度私どもの契約の獲得数が計画に対しましてかなりそごを来しまして、これが四十九年度当初、スタート時点におきまして契約数が予想に達しなかったということ。四十九年度におきましては、実は契約者の獲得は、これは予想以上に、予定以上に実は努力をいたしまして、その四十九年度だけで言いますとむしろ増収を図ったわけでございますけれども、年度当初、スタート時点における落ち込みと申しますか、マイナスが最後まで響きまして、どうしても収入の欠陥を回復することができなかった。  それに加えまして、先ほど言いました物価高騰による影響を支出の削減等でできるだけ防いだわけでございますけれども、残念ながら、支出は二億ほど予算で予定しましたより節約いたしましたのでございますけれども、やはり収入の方が見込みに達しませんでこういう欠陥を生じたと。この処置につきましては、この決算書類にも書いてございますように、前年度の繰越金等の活用によりまして、これは一応処理をした、こういうことでございます。
  120. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 第二点についてお答えいたします。  四十九年度における時間短縮の結果、経費減は約九千六百八十四万円でございました。なお、現在まで続けておりますが、五十一年見込みを含めまして総額一億五千百万円程度の節約、経費減となっております。
  121. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いずれにいたしましても、国民のNHKとして今後とも努力をしていただきたいと思います。  で、時間の関係で、私はもう一点質問いたしたいと思いますが、非常災害時における放送体制等の確立をどういうふうにするのか、そういう問題をただしてみたいと思います。  遠くは関東大震災があったわけです。そしてまた、東海地震説も話題になっております。先般も私、中国の天津周辺の大地震の跡を見てまいりましたけれども、非常に大変な様相がわかっております。またその他日本においても大災害等々、枚挙にいとまがないわけでございますが、その間被害者や担当者の方々からいずれも異口同音に出てくる問題は、情報の必要性というものが専門的にも素人の中にもすべて出てくるわけでございます。  そういう観点の中で、最近の静岡県においては、地震対策、まず予測をされている東海地震にどう対処すべきであるか、そういうことで一生懸命やっております。  一つは、地震予知体制と直前予知に対する対応策、そして住民、学校、事業所、交通処理対策はどうすべきであるか。また二番目には地震の被害想定調査、三番目には地震の災害対策計画の策定、そして四番目には暫定応急対策、ここまできますと最後は消防力の強化、そして情報網の整備はどうかというところにすべて結論が来るわけでございます。  私が住んでおります兵庫県においても、これは地元の神戸新聞の五十二年十月二十四日の報道でございますが、マグニチュード七・六を想定されて、近畿六府県警が訓練をしております。「大阪、京都、奈良府県境と和歌山市内で、同時にマグニチュード七・六の大地震が発生」という想定で、一五九六年、慶長元年の伏見地震をモデルにして、二十四日の朝、近畿管区警察局と大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山の六府県警が大震災の警備訓練を行っております。そういう中で、結論としては、芦屋以東は孤立するのではないか、こういうふうな問題がクローズナップをされているわけです。  中には、阪神間はマグニチュード六−七の激震、神戸−姫路−和田山間は同五、そういうふうな地域では鉄道や道路などの交通機関、通信もすべて途絶をしてしまう、尼崎を中心とする阪神間は孤立状態と化して、それで死者、負傷者、全壊家屋……。こういうふうな想定の中で訓練が始まっているけれども、やはり外部から見ておりまして、もしそういう現実に遭遇した場合には、交通の問題、列車の転落の問題、家屋の倒壊の問題、いま申し上げた道路損壊、車両事故、そういうふうなものが実際に火災を含めて大混乱に移ってしまうのではないか。そういう場合に、情報等がこれもだめになってしまうのではないかという懸念がある。これは大都市周辺でも非常に大きな問題になると思われますので、この際ただしてみたいと思います。  で、非常災害時における放送体制等の確立対策のまず第一点でございますけれども、放送は、広範な地域にしかも同時に情報を伝達できるという、他のマスメディアには見られない特有の機能を持っております。こうしたことから、災害対策基本法でも放送事業者に特別の役割りを定めております。地震、台風、大火災などの非常事態に際して、放送に対する国民の期待が大きいことは改めて言うまでもございません。したがって、郵政省においても、日ごろこうした事態に放送がその本来の機能と役割りを十分に果たし得るよう、特段の御配慮を払っていることと思われます。実際どのような指導を行っているのか、まず郵政大臣にお伺いをしたいと思います。
  122. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 放送関係の災害時におきましては、二つに分けられると思っております。災害情報の放送ということが第一項、第二項は災害情報の速報体制の強化ということであります。  災害情報の放送については、事業者が災害対策基本法の、先生のおっしゃいました基本法の規定によりまして、都道府県知事または市町村長から、災害に関する緊急情報の伝達または警告のための放送の要請を受けた場合は、これを放送することとし、このためにあらかじめ放送事業者と都道府県知事との間で協定が締結されております。それから放送事業者の自主的な放送体制というものがございます。防災関係機関あるいは現地取材等から得た情報を定時あるいは臨時ニュース、特別番組の形式で随時放送する。  二番目の災害情報の速報体制の強化については、放送設備の防災、これは地震がありますと、放送設備の問題がございますから、防災体制などもちゃんとしておかなければいけませんので、放送事業者は、親局及び主要な中継局について予備放送送信機及び予備電源の設置、中継のための予備ルートの整備等を行っているほか、必要な訓練を実施しております。  それから、防災関係機関との間の連絡体制の強化でございますけれども、災害対策基本法の規定により、NHKは指定公共機関となっておりまして、民間放送局は都道府県知事の指定により指定公共機関となると、民放はそのような仕事をいたします。NHK及び民放は、地方公共機関の指定を受けた場合には、災害時における防災計画で分担された任務を遂行することとなっております。地方防災会議会長または都道府県知事の発する要請に協力することとしております。また放送事業者は、平素から災害情報を適切に放送することができるよう防災関係機関との連絡を密にいたしておりますし、このようなことでNHK民放とは協力をしていくという体制ができております。
  123. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 大臣が言われておりますような形が一〇〇%いくとなれば非常に喜ばしいわけですが、まだまだ非常に、全国の府県すべて調査しましても本当にまだまだのところ多うございます。そういうような点で非常に懸念をしておりますが、第二点は、NHK公共放送機関として、また災害対策基本法による指定公共機関とされている関係もあります。そういうことで、地震、台風などによる非常災害時、他の報道機関とは比べものにならないぐらい重要な役割りと責任、これを背負っていらっしゃることはわれわれも目の当たりに見て非常に敬意を表しているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、NHK当局としまして、こうした事態での対応策を用意をされていらっしゃると思いますし、いままでも実施されていると思うわけでございますが、まず概要をお伺いをしたいと思います。あわせて災害対策訓練等の実施状況、これもどういうふうになっているのかお伺いしたいと思います。
  124. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  非常災害時におけるNHK使命につきましては先生指摘のとおりでございます。一般的に、三段階に分けて緊急事態に対する対処の要綱を取り決め、かつ、年に何回かはその図上演習をしているのが一般的なまず状況でございます。しかし、過般来、東海及び遠州灘地震が予測されました段階で、私たちは必ずしもいままでの一般的訓練だけでは足りないのではないかということで、特にそれを予想いたしまして、昨年一月、私が責任者になりまして東海地震対策本部をつくりまして、そして一月十三日以来プロジェクトを発足させまして、これの整備を行いました。そしてその重点事項は、まず御指摘のように放送施設の確保と必要な措置、要員器材の支援態勢及び輸送対策、さらに事前のいわゆる防災放送及び災害時緊急放送という三点に問題がしぼられます。  そして放送施設の確保につきましては、最悪の事態を設定いたしまして、中波による情報伝達を確保することを中心に施策を進めまして、そして名古屋におけるCK、静岡、浜松、三局の耐震性の診断と、そうして補強工事を行いました。さらに中波放送局の増力をいたしました。さらに静岡局及び宮竹放送所間の回線を有線ではなく無線でするように、これは工事を完了いたしました。また、機動的中継機能の整備等といたしまして、小型の可搬的なVTRとかあるいは小型のハンディカメラ等を整備いたしました。それからマイクロ回線の強化もいたしました。さらに連絡用無線につきましても、これを確保いたしました。さらに静岡県庁内に仮設スタジオを建設することも予算措置を終わりました。  以上が、要するに東海地震に対する放送施設確保についての手段でございます。  それから要員、器材の支援態勢も、関係各公的機関との協力を確認した上、ヘリポートの指定等々を行っております。  また防災放送及び地震予知等の問題につきましては、格段の努力をいたしまして、静岡県を中心に災害時における放送その他をいたすと同時に、全国的にも想定ドキュメント「地震警報発令の日」ということで九月一日に放送いたしまして、事前放送についての諸種の準備、情報を提供したわけでございます。  さらに、去る十月二十日に、名古屋、静岡、浜松、豊橋、横浜、甲府、各放送局の参加を求めまして、以上のいままでとりました手段を総括した上に図上訓練を行いまして、一応の東海地震対策を完了いたしました。  そうして、われわれといたしましては、これをさらに整備いたしまして、その結果とった手段等をまとめまして、災害の起こりそうな地域に次々に広げて、そしていままでの一般的な防災対策にさらにきめ細かい、かつ、実際的な手段、対策を積み重ねていきたい、こういうふうに考えております。
  125. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 東海地震説に対しての対応をいまお伺いをしまして非常に安心をしたところでございますが、現実に、国民階層の立場から見ると非常に混乱を生じるおそれもございますので、NHKでそういうふうにやっていらっしゃることが放送を通じての防災知識の普及啓蒙であるとか、そういうふうなことも一部肝要ではないかなと私思うわけでございますが、重なるかと思いますけれども、この点についてお伺いしたいことが一つと、もう一つは、家庭の立場から見ておりまして、テレビ文化といいますか、テレビ時代でございまして、ラジオ放送を——私自身といたしましても、テレビの方が目の前にありまして、どうしてもテレビオンリーになるわけですけれども、非常災害時におけるラジオ放送の活用の重要性というものも非常に私は大事だなあということを感じておりますが、あわせてそれらについても、御家庭の立場から見た場合に、NHKとしてはいかにそこまで予備的にこういう対応の手を打つかどうか、そういう点、重ねてお伺いしたいと思います。
  126. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  NHK側がいかに努力いたしましても、実際に活用してもらわなければ何にもならないことは御指摘のとおりでございますが、それはやはり私たちとしては、防災についてのいろんな番組の中で、自然の形で視聴者の皆さんにもわかり、かつ万が一のときにお役に立つような方法を具体的に放送番組として取り上げてみたいと思っております。  それから、ラジオにつきましては全く御説のとおりで、われわれの図上訓練もラジオを基幹とするということでやっております。
  127. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 よろしくお願いいたします。そして、最近のテレビ放送についても、局波中継、それもかなりの多段中継となっておりますが、災害現場に、私たちもその真っ最中に飛び込んでいくわけですけれども、中途の放送局の送信用の鉄塔が倒れるというふうな事故も少々あるわけです。そういう場合等の応急対策ですね、今後大きな災害が出た場合の対応策ですね、それの考慮されている点をお伺いします。
  128. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) お説のように、災害時にラジオが一番役に立つ。御家庭の電源のことを考えましても、停電が起こることは多いわけでございまして、トランジスターラジオで災害情報をお聞きになるということが非常に多いかと思います。ラジオにつきましての非常設備の準備につきましては、いま堀参考人から申し上げましたように、十分な手配をしておるつもりでございます。さらに、いまのお話のように鉄塔が倒れたときどうするんだというようなことも含めまして、可搬型のラジオアンテナ、非常用のアンテナというものも用意をいたしました。これも陸上輸送ではとてもそういう場合に間に合いませんので、空輸ができる程度にコンパクトにまとめまして、現地に持ってまいりまして、二、三時間のうちには十分機能できるような準備もいたしてございます。  なお、テレビの方につきましては、多段中継の場合に、中継の途中の局がもし事故を起こしたということになりますと、下局に電波がいかないというのはお説のとおりでございますが、これにつきましては、それぞれの地域に予備の設備を用意してございます。緊急にそういうものを持ってまいりまして、早急に復旧を図るということで対処する所存でございます。また、その場合につきましても、まず普通に一番被害を受けますのは受電設備でございまして、電源がとまるということは一番多いんでございますが、主要な局には自家発の非常発電設備を用意しておりますし、小さなところでそれを持ってない、まだ十分な配備ができてないところには親局からいつでも持ち出せるような小型の非常発電装置も用意してございます。
  129. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 民放の場合でございますが、民放もまた報道機関としての責務はもとより、災害対策基本法上の地方指定公共機関としての地位にあるわけです。NHKと同様、その業務を通じて防災に寄与すべき責務を負っているわけでございますが、郵政省より民放の非常災害時における放送体制についての概要の御説明先ほど大臣からもあったやに思うわけですが、ちょっと聞き漏らしましたので、御説明をお願いしたいと思います。  そうして民放について、一地域に二社とか四社が置かれているわけですから、この民放同士の各社間の協力体制、それはどういうふうになっているのか、お伺いいたします。
  130. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) お答え申し上げます。  まず第一点でございますが、民放におきましても、NHKとほぼ同様に、非常災害時の放送の確保につきましては各社とも力を注いでおります。昨年、民放百七社につきまして、非常災害時における放送の確保について実態を調査いたしましたが、予備送信機の設置につきましては、ラジオ九六%、テレビ六二・二%に達しております。また、予備電源の設置につきましては、ラジオが九八%、テレビ九六・七%がすでに措置されておりますほか、災害対策基本法第二条に基づきます都道府県知事の指定地方公共機関として、大部分の社がすでに指定済みという状況でございます。  第二点の民放各社間の協力関係の問題でございますけれども、非常災害時における民放相互間の協力関係につきましては、協定といった格別成文化されたものがあるようには聞いていないわけでございますが、平素からそれぞれの地区で相当協力関係を保っておりまして、たとえば取材協力であるとか、技術協力であるとか、必要な協力が行われております。  なお、民放各社の多くは都道府県知事から災害対策基本法第二条第六号に基づきまして、NHKと同じように指定地方公共機関としての指定を受けておりまして、その指定を受けた民放につきましては、同法第六条に基づいて都道府県の防災計画の作成、実施に当たり協力をする責務があるということになっておるわけでございます。そのようなことで、民放相互間の協力の事例も若干上がってまいっております。
  131. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 非常災害時において、いま民放だけお伺いしたわけなんですが、今度はNHKNHKだけとか、民放民放だけという、個々ばらばらの対策というふうなことになると、また心配も出てくるのですけれども、NHK民放との協力体制というものは必要だと思います。当然ですね、これは。そこで、NHK民放が、こういう非常災害時において、過去にどういう協力体制があったか、いまからはどうなるのか、そういう点で、老姿心で申しわけないわけですが、この点ただしてみたいと思いますが、大臣と会長にこの点についての御意見をお伺いしたいと思います。
  132. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  過去においてどういう協力体制があったか、まだ手元に資料がございませんので、確かなことはお答えできませんが、たしか大阪のときにテレビ朝日さんですか、ラジオで民放さんに御協力申し上げたことがあると思います。  なお、民放NHKの協力につきましては、各地方に災害本部等のいろいろな会合がございまして、そこで一緒に出席しておりますので、そういう機関を通じて協力関係を具体的に取り進めることに相なるかと思います。あるいはしていることと思っております。
  133. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) いま堀参考人から申し上げましたのは、その年月あるいはその他詳細は記憶しておりませんけれども、大阪地方の台風のときに、ラジオ関西でございましたか、ラジオの鉄塔が倒れまして放送不能になったことがございます。ちょうどNHKは当時、戦後のラジオ第三放送用のアンテナが、その後第三放送がなくなりまして、遊んでおったと言いましょうか、残っておったのがございました。これを急遽郵政省の御了解を得まして御用立てをしたという経験がございます。
  134. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 私、前に総理府の総務副長官のときに中央防災会議の事務局長をやりました。ちょうど四十七年に、四国あるいは宮崎県、鹿児島県の大災害がございまして、集中豪雨でございましたけれども、そのときもNHK民放、大変御協力をいただきまして、また大変な活躍をしていただいたということでございます。そういう意味では、中央防災会議、いま国土庁の中にございますけれども、この方も大変伝達ということについては、人心の安定ということ、それから情報を確実に伝えることによってやはり避難等々が十分できますので、これは当然NHK民放が協力していままでの事例もやっております。  先ほどNHKの方から大阪の風水害の問題ございましたけれども、これは大阪放送の鉄塔だと思います。そのような事故があってNHKの鉄塔をお借りしたということは事実でございます。
  135. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今後の非常災害時においても、NHK民放の協力体制というのはがっちり組んでいただいて、国民の生命、財産をさらに守っていただきたいと思います。  次に、国または地方公共団体が災害時に国土や国民の生命、財産の保全を図るためには、第三者の電気通信設備や無線設備の優先利用ないし放送局に対する協力などの方法では必ずしも万全を期せられないのではないかと思っております。したがって、防災実施機関が、情報の収集、被害状況等の迅速かつ的確な把握と適切な災害処理を推進するためには、自己の無線設備の設置が必要となろうと思います。こうした防災行政用無線の整備計画、どのようになっているのか重ねてお伺いしたいと思います。それに対するまた郵政省側の免許対策ですね、どのようになっているのかお伺いいたします。
  136. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) お答え申し上げます。  御指摘の防災行政用無線局の設置状況でございますが、現在二十四道府県が災害時における防災活動を遂行いたしますため、その出先機関、市町村等との間を結ぶ無線通信網をすでに設置をいたしております。未設置の都府県のうち二県は無線局の開設申請中でございまして、一都十二県は調査費計上または調査済みとなっております。その他の未設置府県に対しましても早期に整備するよう強力に指導を行いつつあるところでございます。  また、お尋ねの基本方針の問題でございますけれども、次のようなすでに免許方針を策定いたしておりまして、こういう免許方針によりまして地方電波監理局を通じて各府県を指導中ということでございます。  まず第一点は、「この無線局は、その業務が地域住民の生命財産の安全を確保するために開設されるものであることから、「無線局(放送局を除く。)の開設の根本的基準」第四条に該当する重要な無線局(公共業務用無線局)とすること。」といたします。  それから第二点、「回線構成は、地域防災計画に定める防災体制に最も適合するものであり、かつ、防災業務を遂行するために必要な通信を確保できるものであること。」といたします。  それから第三点は、「災害時における緊急重要通信の優先的疎通を確保するため、県庁等の災害対策本部の設置される拠点には、制御卓を置き、通信の一元的制御を行うものであること。」といたしております。  このような方針に従いまして各府県を指導中でございます。
  137. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 こういう、現実にでも災害が大変でございますし、それに対して国費というものが非常に復旧で多く出ているんですけれども、また、そこへこういう将来の大地震等も想定されている。こういう中で、全国で無設置の二県——無設置二県ですか、これは何県なんですか。  それでもう一つは、一都十二県がこれは調査費の計上ですか。この点、ちょっともう少し明確に実態を御報告をしてください。
  138. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) 先ほど申しましたように、防災行政用無線局の設置状況、これはことしの八月一日現在でございますが、運用中が十八でございます。それから一部運用中——防災行政用無線局というのは、まあ御承知のように、先ほど申し上げましたように、地域防災計画というものがまずできていなければなりません。本来できておるものでございますけれども、それが防災行政用無線回線にそぐわしいものでないと困るわけでございまして、そのような防災計画ができました場合に、先ほど申しました方針に従いまして最もふさわしい防災行政用無線局を回線構成していく、そういう考え方でございます。  そういった意味と、予算の都合等によりまして一部運用中というのが六道府県ございます。それからさらに、申請中が、先ほど申しましたように二県でございます。申請書提出から予備免許まで、これを申請中と申しましたので、先ほど申しました二県と申しますのはこの申請中でございます。計画中と申しますのは、まあ府県によりましてこの防災行政用無線局を設置するための調査をするために予算を計上しております。したがいまして、予算を計上して調査をして、それが済めばできるだけ早くひとつ申請をしましょうと、そちらの方に向けて郵政省としても指導中ということでございます。そこに手が行っていないいわゆるその他というのがございまして、まだ計画中でもないというのが実は八つございます。  以上でございます。
  139. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 時間が来ましたので最後に郵政大臣にお伺いをしますが、いま防災行政用無線に対する郵政当局の積極的な姿勢というものは私は感じました。しかし、国民サイドの立場に立って考えましたときに、まるまる運用しているのが十八県であると、こういうふうな観点から日本の行政を考えましたときに、私は、これは政府としても非常に災害に対していろいろの手を打っていらっしゃるけれども、国民の生命、財産を守るためには非常にまだこれは手薄である。せっかく郵政省も一生懸命やっていらっしゃるのに、府県が該当のそういうふうな条件的な整備の問題、もう一つは予算の問題等があるやに伺いますけれども、これでは私は国じゅうの災害というものについての対応、これはまだいかぬと思いますね。そういう意味で、郵政大臣、今後こういうふうな非常にばらつきのある県行政に対して、政府として、特に郵政大臣としてどういうふうな万全の手を打っていかれるのか、そういう点を最後にお伺いをして質問をやめたいと思います。
  140. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 防災行政用無線については長いこと懸案で、私自身もこれを促進した者の一人でございます。実際災害が起こらないとそのようなことをなかなかしないという地方自治体の中で、また費用も大変県自体ですとかさみますので、その辺の問題がございますけど、ぜひ郵政省としては、一日も早く全部の都道府県に防災無線体制ができることを望んでおりますし、私自身、そういうことを積極的にやるべきだ。と申しますのは、やはりその防災無線があるがためにどれだけ人が救われるか、また被害が少ないか、そういうことから考えますと、そういう計算が十分都道府県でなされておって、そういうことを考えて積極的にやっていただきたいと思います。  また防災体制については、私の方としては電波関係でございますので、その災害対策基本法に従って今後とも連絡等々密にして、少なくともそういう災害があったときに国民、罹災者の方々に十分な情報が提供できるような体制を十分とっていきたいと考えております。
  141. 中野明

    中野明君 では二、三点ちょっとお尋ねいたします。簡単にできれば御答弁いただきたいと思います。  この春以来問題になっておりましたし、また午後高橋委員の方からも出ておりましたモスクワにおけるオリンピックの放送の問題ですが、大臣は非常に楽観をしておるというようなお話でありまして、私もちょっと心配をしておる一人でございますが、オリンピックの放送NHK電波を通じて全国の国民に放映されること、これが一番望ましい形であると私も思いますし、多くの国民の皆さんもそういう点については期待をなさっていると思うんですが、NHKが諸般の事情がありまして、当委員会でも、会長の御答弁を私も議事録で拝見もいたしましたが、放送できなかった理由をどんなに御説明になっても国民は納得しないだろうと思いますので、どうしても、困難がありましょうともNHK電波を通じて全国に放映をするということがこれが一番説得力のあることになると私は思いますので、その辺の決意を会長にお伺いをしたいと思います。
  142. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 私も、オリンピックの放送につきましては、当然NHKが担当すべきであるという考え方でモスクワにも交渉に行ったわけでございますけれども、御承知のような経過で、残念ながら現状ではテレビ朝日さんの独占放送という形になっております。その後契約条項等の御発表もございましたけれども、まだ契約金その他十分なる情報等を明らかにされておられない点もございますので、現時点におきましては、先ほど橋本専務が高橋先生の御質問にお答えいたしましたように、一応静観しているという状況でございますけれども、今後の展開の中で、やはりわれわれとすれば努力すべきことは努力しなきゃいかぬというふうに考えております。  ただ、私どもはモスクワと交渉いたします経過の中で、テレビ朝日さんを除く他の民放のいわば負託を受けて交渉に当たったものでございますから、そういう経過の中で、やはり御納得いただくところは御納得いただくという形で解決を見るということでなければ、逆にまた視聴者の方々の万全の御理解をいただくというわけにもいかないんではないというふうに思いますので、そういう点についての事情も先生御了察いただきまして、今後よろしくお願いしたいと思う次第でございます。
  143. 中野明

    中野明君 まだ少し時間があるから大臣もある程度楽観しているというふうにおっしゃったと思うんですが、やはりNHKならNHKがこれを受けて放送をするということになりますと、いろいろ打ち合わせもありましょうし、技術的な準備も要りましょうし、そういう点では、きょう決まってあすからというわけにはまいらぬと思います。その点のタイムリミットといいますか、いつごろまでに話がまとまれば放映ができるのか、そのぎりぎりのタイムリミットはいつごろと見ておられるんですか。
  144. 橋本忠正

    参考人(橋本忠正君) 技術サイドのことでございますが、これも放送権問題と同様にテレビ朝日が技術面の契約をしておりますので、その内容、その後のいろんな展開等は私ども存じておりません。したがいまして、技術的な問題がどうなるかということにつきましてはここではっきりしたあれは申し上げられないんでございますが、過去のたとえばミュンヘンだとかモントリオールの例だけから考えますと、大体二年ぐらい前からあるいは一年半ぐらいでも努力すればできたという過去のあれはございます。しかし、モスクワの例がそのままミュンヘンなりモントリオールと同じであるかどうかという点については、私まだそこまでの検討いたしておりません。
  145. 中野明

    中野明君 そういう点になってまいりますと、要するに、NHKの方としてこのオリンピックの放送を、最終的にどうしても国民の皆さんにNHK電波を通してお送りすると、こういう決意が問題になってくると思うんですけれども、何かいま、私も技術的なことはよくわかりませんが、二年ぐらい前から準備をしなきゃならぬということもあるように御答弁がありましたが、そうしますと、タイムリミットというのは余り悠長なことを言っていられない、向こうの出方を待っているだけではいかぬのじゃないかというような気がするわけですが、二年なら二年ということになりますと、もうあと一年もないんじゃないかという気がするわけですが、そのぎりぎりの線までに何とか話がつけられると、このようにお考えになっておるんですか、どうですか。
  146. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 技術的な問題というのは、過去のNHKが代表して取材に当たりましたときの事例をもとにしての担当の答弁でございますので、現状でそれがそのまま当てはまるかどうか必ずしもつまびらかにいたしませんけれども、私自身といたしましては、先生の御指摘のように、NHKの責任者としてオリンピック放送についての決意というものは、それがあればこそ交渉に行ったわけでございますからそれに変わりはございませんけれども、しかし、全く何と申しますか、リーズナブルな形での解決でございませんと、やはり別の意味での視聴者の御指摘を受けることになりますので、そういうところを十分理解しながら、最終的には視聴者のために何が一番適当であるか、よかったかということを理解することによって、判断することによって解決を図りたいというふうに考えておりますので、この点、現時点においては御了察賜りたいと思う次第でございます。
  147. 中野明

    中野明君 大臣にお伺いしますが、非常にこれ最初からちょっと何か感情的なものが入ったんじゃないかというような気もするわけですが、そうすると、やはり技術的に一緒にまた仕事をしていかなきゃならぬということになりますと、なるたけ早くこの問題は解決しておかないと、いざ話がまとまってから今度は技術面でいろいろ意思の疎通を欠いて、結果として十二分なことが行えなかったということになると、これは迷惑するのはやはり国民ですから、そういう面で早目に郵政大臣の方からやはり仲をとるといいますか、両方に何とか早くしてスムーズに放映ができるようにというようなあっせんといいますか、労をとられる用意があるんでしょうか。ちょっと私、このまま信じておりますそのうちに、偉い人ばっかりでりっぱな紳士ですから解決なさるでしょうというようなことでは、果たしてうまくいくんだろうかという心配を持っておりますが。
  148. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) 私はそう思っているんですが、大体、あれだけのテレビ放送をされてやはり正論を吐かれているんですから、やはりみえやうぬぼれやそんなものを捨てて、国民のためにある放送ですから、そのぐらいのことはあってしかるべきだと思います。それは自分たちが放送しなけりゃならぬというならその話し合いに入るべきだ。番組編成に関する問題ですから、あえて私はそういう中にタッチしたくない、自主的にやりなさいと、それができなきゃ労をとりましょうということなんです。  それからもう一つ、私、いまの答弁の中で、NHKさんもやはりそういう各衆参の逓信委員会で再三のお話がある、モスクワの放送がモントリオールとどう違うんだというあいまいなことではいけません、情報だけはちゃんととっておくと、NHKもしかるべきそれだけの積極性がなければ私はいけませんと思っております。
  149. 中野明

    中野明君 大臣がそこまで御信用なさっているんですから、私も必ず解決するとは思っておりますが、やはりこういうことは人間の感情がもしそこに入ってまいりますと非常にぎくしゃくしたものになって、結果、国民の側がおもしろくないということになるわけでありますので、その辺は大臣の方も十分時間的なリミットもありますので、様子を見ながらよろしくお願いをしたいと思っております。じゃ、これはこの辺で。  次は、NHKの放安番組は、私もいろいろあちらこちらで資料を見てみますと、朝の七時と晩の七時ですか、ニュースが非常によく見られているというようになっておりますが、不幸にして耳が聞こえない、ために物が言えないという聾唖者の方が非常に全国にも数多くおられるわけですが、せめて一番よく見られている朝晩のニュースぐらいに、手話通訳といいますか、画面の。民放さんで、朝、どこかなさっておったところがあったようなふうに私思いますが、NHKの方としてそういう不幸な方々といいますか、不自由な方々に手話通訳で情報をお知らせするという用意がおありかどうか、この辺をちょっとお尋ねします。
  150. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  手話については、私たちは教育テレビに特別な時間を設定いたしましてやっていることからも御推察お願いできると思いますが、積極的ではございます。しかし、現在のところニュースは非常にいわゆる突っ込み原稿といいますか、その場で出てくる原稿も多うございますし、また、字幕等で理解を補うということで画面いっぱい利用しております。現在のところニュースに手話を入れるという計画は具体的には持っていない段階でございます。
  151. 中野明

    中野明君 総合テレビの方で手話を、ニュースだけじゃなしに手話を入れて、それだけどういうのですか、一人でも多くの方に放送をわかってもらうといいますか、知らせると、そういう用意はございませんか。
  152. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  現在教育テレビに設けております手話の時間が、放送日が非常に見づらいということで、それの改善の準備は進めておりますが、総合テレビジョンにおきまして手話を積極的に採用する準備はいまのところございません。
  153. 中野明

    中野明君 全国で大体聾唖の方は何人ぐらいおられると認識しておられますか。
  154. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) 当然のことながら調べた資料はありますが、私、現在持ちませんので、後ほど文書をもってお届けいたします。
  155. 中野明

    中野明君 非常に数多くの方が、私の調べた範囲では四十万人ぐらいいらっしゃるというふうに聞いておりますが、非常にそういう多くの方々がおられるわけですので、なるだけそういう方向に、何か教育放送で、しかもみんなの希望とあんまり合わぬような時間帯で適当に済ましておられるようなことじゃなしに、積極的に取り組んでいただきたいと要望をしておきます。  それから、最後にもう一点。これはけさほど来会長からも大臣からも、番組の内容でということ、国民からの集まった受信料NHKの番組の内容で勝負するという意味の御答弁もありましたが、地方の放送番組審議会というのがあります。で、この審議会の委員の方々、これが地方ですから、ローカル番組の意見を言ったり、あるいは番組の基準を決めたりなさる委員会審議会じゃないかと思いますが、これの選考が非常に私偏っているんじゃないだろうか、このように思います。まあ、全国津々浦々まで私知っているわけじゃありませんが、ちょっと拝見しましても、これは少し古い資料ですけども、大体変わらぬと思いますが、近畿地方の放送番組審議委員を見てみましても、わずか十人の中に四人まで京都大学の先生がお入りになっている。あるいは四国地方にしましても十人の中で六人まで愛媛県、香川で一人、徳島で一人、高知で二人というような選び方、また沖繩の方に行きましても、恐らくこのメンバーを見ますと全部本島に居住している人ばかりじゃないだろうかという気がいたします。やはり沖繩も先島を入れますと非常に島嶼部が多いものですから、やはり幅広く各地域から代表を出されることが番組審議会の審議内容の充実につながるんではないかと思います。  それからいま一点は、構成のメンバーの年齢でございますが、御承知のように、もう戦後生まれが半数を超えたという新しい時代になってきております。ところが、このメンバーを拝見いたしますと、まあ功成り名遂げたと言えばしかられるかもしれませんが、非常にりっぱな方々ばかりです。若い人の声がやはり出てこないんじゃないだろうか。地域的にも偏っているし年齢的にも偏っている。こういうことで果たして——地方といえども放送番組審議会、月に一回会合を持って会長の諮問にこたえているという、この大きな役割りを果たす審議会として、私、構成メンバーの選び方に問題があるんじゃないだろうか、このように思いますが、NHKの御意見を。
  156. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  番組審議会の人選については、かなり長い期間固定した時代がございまして、御批判のようなことも指摘されました。そして、間違いなければ四十八年九月にやはりメンバーの更新をしなければいけないということで任期制を採用いたしまして、その後、各分野にわたる方をお願いしなければいけないということで、一昨年、各分野ごとにということを中央番組審議会で決めました。  そして四十八年九月以降——そのときの番組審議委員は二十三人、年齢構成、平均七十一歳でございました。そして先週でほぼ第一次のいわゆる任期制に伴う番組審議会の構成の変革を一段落したわけですが、その段階で二十二人の方に中央番組審議委員になっていただきまして、かつて四十八年九月、当時の二十三人のうち十七人の方にやめていただきました。そしていま、その当時から番組審議委員を続けている方はわずか六人でございます。年齢が、平均年齢七十一歳から六十一歳というふうにかなり若返りました。さらには婦人の数も二人から四人というふうに変わりまして、青少年の意見を聞くためのそういう方もお願いしてございます。ただ、法律にはっきり書いてございますように、学識経験者をもって構成するということになっておりますので、私たちもその点から見ると、年齢構成がやや実際の視聴者にはそのまま対応したものでないことは、これはやむを得ないところかと御了承をお願いできると思っております。  なお、地方番組審議委員につきましても、同じような趣旨で、四十八年九月以降徐々にメンバーの更新その他を行っておりますが、いま御指摘になりましたように、四国の方は七人以上ということになります。そうしますと、四国は四県でございますので、どうしても各県から二名ずつということになれば八名。そうなりますと、審議会にお願いしても、旅費とかあるいは場合によっては宿泊も考えなければいけないというような状況で、予算上の制約もございまして、各県から大体一名ということにお願いしております。そして結果的に愛媛県が多くなるわけでございます。  その他九州、東北等につきましては、相当県が多うございますので、そういうアンバランスは四国ほどはございません。しかし先生のせっかくの御指摘でございますので、私たちとしては今後とも、番組審議委員については各方面の意見が公平に、しかもフレッシュな意見が聞けるように配慮いたしていくつもりでございます。よろしく御了承をお願いいたします。
  157. 中野明

    中野明君 以上で終わりますが、いま旅費のことも私、心配して聞いてみましたら、旅費のことじゃないようでした。会合を毎月各県ずっと順番に回っていってるというお話でしたから、それだったら、会場を移動していっているというのだったら旅費の関係はないからということで、御意見を申し上げておいたんですが、その辺も含めて、余り四国の場合で例をとって恐縮なんですが、愛媛県に六人もまとまってしまったんでは、何か私、そのことだけで番組がもう愛媛県オンリーになるんじゃないかという——ぼくは高知だからひがんで言うわけじゃないけれども、そういう感じがいたしますので。  以上で終わります。
  158. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、NHK四十九年度決算審議に関連をいたしまして、大変限られた時間でございますので、二、三点お伺いをしたいと思います。  まず第一点は、朝からの審議でも各委員先生方から問題が提起をされておりますように、やはりテレビ障害の問題というのが国民生活の中で非常に大きな問題になっております。私は、いま問題になっております池袋のサンシャイン60の高層ビルによるテレビ障害に関連をいたしましてお伺いをしたいと思います。  郵政省は五十一年の三月に「高層建築物による受信障害解消についての指導要領」ですか、を御発表になっておられます。それによりますと、「受信障害解消対象範囲について」というところを拝見いたしますと、「建築主は、建築物の工事着手以前の受信障害予測地域受信状況及び工事中、完成後の受信障害発生地域受信状況調査し、その実態をは握するよう努める必要がある。」というふうな文言が出ております。サンシャイン60ですね、大変問題になっておりますけれども、これに対しては、郵政省からは何らかの御指導だとか、助言だとか、そういうことはあったんでしょうか。
  159. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございました指導要領が作成されましたときに、地方電波監理局を通じまして関係方面周知徹底するということにいたしました。また、NHKその他関係機関に対しましても、本省あるいは地方電波監理局を通じまして協力方の依頼をしたわけでございます。  そのような成果が逐次建築主側にも浸透いたしておりまして、先ほども御説明を申し上げましたように、サンシャイン60につきましても、相当早い時期から、いわゆる受信障害環境ということに建築主側が非常に積極的に取り組みまして、NHK調査を依頼するというようなことを通じまして、特にサンシャイン60が建ち上がるに連れまして、伸びてまいります北側の遮蔽障害の地域、それから足元——これは電波塔からテレビ電波が出ました場合に、足元に相当受信障害地域ができるわけでございますけれども、その辺の調査を先行して実施をいたしました。すでに一部対策済みないしは現在対策中ということで相当成果が上がっているように承っております。
  160. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 NHKにお伺いいたしますけれども、大変広範な御調査をなさったという御報告を私どももいただいておりますが、これはサンシャイン60から御調査についての依頼をお受けになってなさったのですか。
  161. 沢村吉克

    参考人(沢村吉克君) サンシャイン60の方からの御依頼もございましたが、私どもとしましては、ああいうものができれば受信者に多大の影響があるであろうという大まかな予測はつくものでございますから、そういう意味で、自主的な発意のもとに調査をするということとちょうど一致したような形になっております。
  162. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、私は非常に不思議だと思いますのは、現在でも新宿副都心のあのたくさんマンモスビルができて、その電波障害というのは非常に広範に及んでいて大問題になっている。そこへまた二百四十メートルもの高さのものができれば、これはもう何らかの障害ができるのは当然明らかだと、予測にかたくないと思うのですよ。  それで、そういう点で非常に、何か指導要領をお出しになって、地方公共団体にも通達をして、条例だとかあるいは指導要綱をつくってもらっていると先ほどから何回も御説明を拝聴しているのですけれども、それでちょっと不思議に思ってしようがないのですがね。たとえば私ども存じておるところでは、東京でも、これは東京都の都市計画局指導課では「ビル建築に伴う電波障害改善についてのおねがい」という二ページのパンフレット、これを渡しているだけだということですね。  それから私どものおります大阪の状況はどうかと思って調べてみたら、これはこの指導要領というのは、こんな地方公共団体に御指導をいただくために向けて出された通達としては受け取っていないという点がまず一点ですよ。それから地方局の局長からの指導もされたことはない。たまたまことしの十月の二十六日というからついこの間、数日前。数日前に初めて大阪府、市とそれから十八市の御協力のお願いということで意見交換の場が持たれたわけです。しかし、そこでは、出席者は国の責任を明確にしてもらわないと困るということで、法的にきちっとしてほしいという意見が続出をしたというのが実情なんですね。ですから、大阪における十八市の中で指導要綱などを持っているところでも、これはもう建築主に対する単なる訓示規定というふうなことになっているわけです。  そういうことになりますと、これは何回も繰り返し質疑の中で言われておりますように、やっぱり対策は後手後手になって、被害を受けるのは受信者である国民だけが被害を受けるということになると思うんです。そういう点で、何か指導要領を出して、自治体にはちゃんと徹底してあるから、もう地元住民との話し合いがちゃんとついたということが添付されないと建築確認も受けられないみたいな御説明ではございましたけれども、一番集中的な問題を受けるであろうと思われる大阪や東京でもそういう状況だということと、先ほど、朝以来の御説明との間に食い違いがあると思うんですよ。その点、私ちょっと了解しにくいので、その辺少し現状と今後の強化の課題ですね、その点について御意見伺いたいと思うんです。
  163. 平野正雄

    政府委員平野正雄君) 指導要領につきまして、作成後直ちに地方電波監理局及び本省が関係方面に対して指導及び御協力の依頼をしたことは間違いがないわけでございます。  それで、ただいま先生からお話がございました東京都及び大阪府、市につきましては、実は先ほども申し上げました、条例ないしは指導要綱というものがまだ作成されていない実は地域でございます。私、たまたまことしの七月に本省に参ります前に、近畿で局長をやっておりまして、承知をしておるわけでございますけれども、大阪市及びその周辺におきましては、高層建築物による障害が頻発をいたしておりまして、先ほど来申し上げておりますように、建築主側でNHKに協力を求めるケースもございますし、地域住民がNHK等に協力を求める場合もございました。  それで、私ども近畿電波監理局といたしましても、かねてからいわゆる地方公共団体を含む建築主側、いま先生が御指摘になりました建築主側にお集まりをいただきまして、たしか昨年だったと思いますが、おととしでございましたか、いわゆる討論会と申しますか、説明会と申しますか、そういったことをいたしました。その中でも、先生指摘のように、国がより積極的に対策をとるべきであるという意見も出てまいったことは事実でございます。  しかしながら、やはり困りますのは地域住民ということになりまして、国が対策をとると申しましても、けさほど御説明をいたしておりましたように、基金構想その他いろいろ問題もございまして、そう一足飛びに準備ができるものでもないというようなことで、地方公共団体関係放送部の課長を何回か説明に参らせました。そのような効果があったのか、また地域住民の声が非常に強く出てまいりましたのか、それはわかりませんけれども、先生承知かと思いますけれども、大阪府及び大阪市におきましては条例ないしは指導要綱を策定する方向で検討したいというようなことを、それぞれ議会で知事及び市長が発言なさったと新聞にも出ておったように承知をいたしております。
  164. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 たまたま先月の二十六日に大阪では意見交換の会議があって、それはもう大問題だから、しかし地方公共団体にだけ条例をつくれなどというふうなことだけではどうにもならないので、政府が責任を持って法的な措置をやってもらわなきゃ困るという点が集中的に出たというのがこれは十月の二十六日なんです。ついこの間なんです。それが一番ホットな実情なんですよね、地方公共団体では。  ですから私は、いろいろ御説明はあるけれども、その御説明の範囲では、これは国民が被害を受けるテレビ障害というのは、これはもういつまでたっても、この調子でいくなら、国会論議ではいろいろ言われるけれどもよくならない、その点を非常に心配するのでこれは突っ込んでお聞きをしたわけでございます。  たとえばサンシャイン60の場合でも、こんなに障害の範囲が大きいとは予測しなかったと。だから、これから対策を立てるだとか、あるいはそれは反射障害で複合だと、だから政府にも一遍協力方を働きかけるなどというようなことを関係者は新聞報道などにでも随所に言われているわけですよ。そういうことになってまいりますと、その話がつくまで、被害を受ける受信者国民というのは、これは全く一方的に被害だけを受けなきゃならぬということになるわけですね。  たとえばサンシャイン60という会社というのは、これは私が申し上げるまでもなく、御承知のように日本の代表的大企業が全部集まってつくっておるような新都市開発センターでしょう。そこには三菱地所だとか東京電力、新日鉄、鹿島建設、三菱商事、大成建設、西武鉄道、日産、日本鋼管、日立——まあ皆読んだらずいぶんあるわけですけれども、二十七の大企業が共同して設立をした会社だと。まあ言うたらいまの日本の社会で起こってきている状況というのをうっかりして知りませんでしたと言えるような人たちの集まった会社ではないわけですよ。  ですから、ほんとにその対策指導要綱に基づいてきちんと一遍やらせるという立場をおとりになるなら、これは当然受け入れてもらえるはずだっただろうと思うんですよ。それがいまごろ問題になるというのは非常に残念だと思うんですが、そこで、複合障害だから政府にも働きかけるなどと関係者は言っておられるようですけれども、大臣、何か働きかけがあったですか。働きかけがあったら、内容はどういうことですか。
  165. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) サンシャイン60については、先ほどNHKからもお話がありましたように、新宿副都心の例がございまして、前からいろいろやっておりました。非常に高いビルでございますので、複合の反射が出ているということでわれわれも大変これを問題にして、こういう問題はやはりこれから相当出る問題であるから、徹底的に今後とも考えようということでございますけれども、サンシャイン60の建築主から、今回の受信障害の件については相談を受けておりませんけれども、われわれとしてはそういう実態が出ておる以上、やはり実質的に調査をしていくという考え方でございます。
  166. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、私は、対策が法的にはなかなかひまがかかるからとにかく指導要綱でというお考えなんですが、なかなか実態的には徹底していかないだろうと思うんですよ。高層建築物というふうに限るのではなくて、私ども国民生活の中でテレビ障害障害物になるのは、高層建築物であったりあるいは構造物ですね。私ども経験しておりますのは国鉄であり、あるいは私鉄の高架化であり、高速道路であり、そういった高層建築物、構造物というのがそういう障害を起こしてきているという実態から見まして、そういった点を解決していくというために、やはり私は単に指導要綱だけでは、地方自治体でも問題になっておるように不十分さがあろうと思うんです。  この不十分さを持ちながら乗り越えていかなきゃならないということであれば、もう一つお聞きをしたいと思いますのは、それじゃテレビ障害が起こった時点からそれが回復するまでの間の受信料について、これはどうなさいますか。不払いの問題の中で、そういった御不満が原因で受信料未払いの数が相当数あるということを再三にわたって御報道になっておりますが、その点はっきりした態度をすればいいと思うんですね。NHKとしては、こういう受信料の扱いをどうするかということはお考えになっておるんでしょうか、おらないんでしょうか。
  167. 中塚昌胤

    参考人(中塚昌胤君) 私どもといたしましては、受信障害があって多少見苦しくなりましても、実際にテレビの受像機を設置されて、継続的に使用されている、そういう場合にはこれは実用に供し得るものであるという、そういう状態にあるといたしまして受信契約を締結していただいて、受信料をお支払いいただくということにいたしております。
  168. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、普通、国民の常識といたしまして電波を買うわけでしょう。それで、それが買うにふさわしい商品でないからもう結構だということで不払いを、お金を払いませんという人と、何か知らぬけれども取られているという人と、いろいろあるという状況が、すぐに解決のめどが立たないという段階で、そういう状況がそのまま続くというのは非常にやっぱり不公平だと思うんですよ。その点では、電波障害を解決するまでの間についてはこうだと、もう免除するなら免除すると、そのかわりに解決のためには全力を挙げなきゃならぬというふうな、やはりもっと画然とした姿勢というものが要るんじゃないかというふうに思うんですが、郵政大臣、どうですか。
  169. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) テレビが全然見えないところについては、実際にテレビの受信機を使用することができないわけですから、放送法の三十二条による協会放送受信することができる受信施設とは言えないものと考えておりますが、またビルの陰等でテレビジョン受信障害を受けている地域にいたしましても、その受信障害の程度はまちまちでございます。非常にそれぞれの形がございます。たとえばアンテナの方向、高さを変えるだけでよく受信できるとか、あるいは少し技術的に手を加えれば受信がよくなるというようなこともございますので、そこでNHKにそれぞれの状況に応じて積極的に受信ができるような理解を得、かつNHK等のアドバイスを得てそのような方向に向かうべきだと思っておりますが、それができない場合に、どうしても入らない場合には、やはりどうなんでしょう、これはやはり受信ができないという第三十二条の項目に適応するんではないかと思います。
  170. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は電波障害をなくする方向というのは非常に明確になり、その障害物が原因者の立場で明確にされて、短期間に回復ができると、起こった場合でも短期間に回復ができるという場合には、これはNHKのお話のようでもよいかもわからぬと思うんです。しかし、そんなものあなた解決するのに、住民との話し合いとおっしゃるけれども、私どももそういうことに関係した経験持っていますけれども、どうなにエネルギーを使って長いことかからないと片がつかぬかということですわ、実際には。  そういうことになってきたらね、それで映像がちらついたり、二重三重になったりというふうなことになるわけでしょう。それは不払いが起こりますよ。しかし、テレビを置いてあるんやからお金もらいますんやと、こんな話は通じませんで、実際。むしろ品物は早くよいものに改善をするんだから、きちんと料金はいただきたい、解決するまではそのかわり免除いたしますと、まともな商品を差し上げてないんだからというふうな、もっときちんとした態度をおとりになるということになればね、テレビ障害解決についても、もっと真剣さが違ってくるんではないかというふうに思います。これは時間がありませんから、ひとつぜひ御検討を前向きに進めていただきたい。中途半端なままではよくないというふうに思うんです。  それから、次にお伺いをしたいのは、放送事業者による商業用レコードの二次使用の問題、これについてお伺いをしたいと思います。私ども全くこの分野はずぶの素人でございまして、細かい実情はよく存じておらなかったんですけれども、関係者の芸団協の調査を見て実は驚きました。といいますのは、今日の芸能人というのは、特殊な有名人を除いては、全体としては生演奏の機会が全般的に少なくなったり、生活も決して楽ではないという状態だというのが調査で出ております。これはちょっと古い資料でございますけれども、昭和五十年の資料によりますと、芸団協のこれは調査ですが、近畿では年収二百万以下の芸能人というのが五一・二%です。洋楽関係では平均二百万、東京で年収二百万以下が六二%、平均にして二百二十万というふうな状況になっている。そういうことの一つの原因は、放送用のレコードが営業用に使われて、いわゆる専門家の言葉で言いますと機械化失業の状態がだんだん強くなってきているんだと、こういうことなんですね。  それじゃ、レコードの営業用使用というのがどういう状態になっているんかということでお伺いをしますとね、もう時間がないから、私、調査をしたことを申し上げますが、これは日本レコード協会と芸団協の調査によりますと、NHKラジオでは、音楽鑑賞の時間というのは放送時間全体の中で二六・三%、これは五十年三月の暮れの調査です。が、そのうちレコード使用が八〇%、あとの二〇%が生演奏及びその他。民放に至りましては、音楽演奏時間というのは三〇・一%のうちレコード使用が九五%、こういう状況になっているわけですね。そういう状況を踏まえて昭和四十六年に新著作権法ですか、これが発効して以来、実演家の団体であります日本芸能実演家団体協議会、中村歌右衛門会長さんですね。ここでは三万七千八百名の組合員を持つ。芸能関係者の約九〇%を結集している団体のようでございますけれども、この団体に二次レコード使用料というのが払われ出したんですね。これが四十六年以来払われ出したんですが、五十一年を見てみますと、NHKでは二千万円、民放では四千五百万円というのが支払われているわけでございます。  これも私どもなかなか素人でよくわからないんだけれども、関係者がいろいろと御計算になりますと、三十分番組をまるまるレコードで放送した場合には、一分間二十円にしかならないということだそうでございます。だから、三十分放送して六百円。で、まあこういうふうに見ますと、そういう状況を見てみますと、余りにもこの二次使用料というのは安過ぎると思うんです。だって三万七千八百人に対して、NHKなら一年間に二千万円でしょう。だから、そういうつかみ金っていうんですか、つかみ金的などんぶり勘定で、全くこういったレコードの二次使用についての合理的なといいますか、客観的な基準もない、という状況なんです。こういう状態というのは、四十六年のあの新著作権法が発効する段階以後、いろいろ文化庁でも御意見を出しておられるわけですが、最初に、文化庁の方おいででございますか。——文化庁は、今日のこういう事態をどのようにお考えになっておられるか、最初にそれをお聞きしたい。
  171. 小山忠男

    説明員(小山忠男君) ただいま先生がおっしゃいましたように、現在商業用レコードを放送または有線放送に使用した場合には、放送事業者あるいは有線放送事業者は、この商業用レコードの使用に伴う二次使用料というものを、実演家とレコード製作者に払うということが著作権法上で規定をされております。それで現在、実演家におきましては芸団協を通じて、それからレコード製作者におきましては日本レコード協会を通じまして、放送事業者団体あるいは有線放送事業者団体と、毎年度交渉をしまして、二次使用料の額を決め、徴収をしているという実態でございます。それで、四十六年に新著作権法ができましてから、ちょうどこの制度ができまして、昭和四十六年の段階では実演家とレコード製作者の二次使用料の合計が六千百万円でございましたけれども、五年後の五十一年度におきましては一億四千万円ということでございまして、年々順調に増額を見ておると、こういう状況でございます。
  172. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 金額違いましたね、私が申し上げたのと。NHKは二千万円じゃないですか、五十一年度。
  173. 小山忠男

    説明員(小山忠男君) 失礼申し上げました。いま申し上げました数字は、実演家とレコード製作者の二次使用料の合計でございまして、実演家とレコード製作者はその金額を折半していますので、実演家に限って申しますと、その金額が半分になりまして、五十一年度におきましては、民放関係で四千五百万、日本放送協会関係が二千万と、こうなるわけでございます。
  174. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、この問題は、日本の文化芸術の健全な発展を保障していく上で非常に大事な点だなあというふうに思ってお聞きをしてるんですが、外国の例ですね、外国の例を見て一層その感を深くしたんですが、ヨーロッパ諸国では非常にその点をやはり配慮されているという実態が出ております。  たとえばヨーロッパでは、西ドイツやイギリス、フランスというのは、年間の全体収入基準にしてそれで定率式を採用しておられる。それからデンマークやスウェーデンでは、レコード放送一分間当たりの方式で報酬を計算するという、まあ二つのやり方があるようです。で、たとえばイギリスでは年間収入の二・五五%、これがそういう演奏家に出されてるわけですね。その金額は小さいですよ、イギリスはね、三億六千万ですわ。小さい金額ですけれども、そういうふうに見てきますと、民放ではたとえば六千億以上も総収入があることはすでに明らかですが、そんなイギリス並みに二・五五じゃなくて、わずか一%にしたってこれは六十億以上になるわけですからね、どれだけこれが、生演奏の機会をどんどん奪われ、そして生活に圧迫も加えられるというふうな芸能人の人たちに、本当に文化、芸術の健全な発展を保障していける支えになるかどうかの分かれ道だというふうな気がするわけです。  そういう点で、まず、きょうはNHKの決算なんで、NHKではこういった点を前向きにひとつ御検討になるお考えはあるのかないのか、それをまずお伺いをしたいと思います。
  175. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  原則的には前向きに検討する態度でございます。と申しますのは、御承知のように、この二次使用料につきましては、JASRACに支払います音楽著作権と密接に関係するわけでございまして、音楽著作権につきましてはブランケット方式という一括方式をとる——とってほしいという音楽著作権協会からの申し入れに対しまして、われわれはこれを、原則的に結構でしょう、ただし、実際交渉は、どういう基準によるか、どういうパーセンテージによるか、その他は話し合いましょうという態度でおります。当然のことながら二次使用についてもその問題との関連でございますので、私たちとしては原則的にはまあ前向きの態度でございます。  ただ、いま文化庁からお話し申し上げましたように、二次使用料が設定されました段階昭和四十六年、二つの団体に対してNHKが支払った金額というのは千四百万円、昨年度はこれが四千万円というふうに、累年実際、実情に応じて上がっております。そして、千四百万円がいいか悪いかという問題になりますと、そのときに決まった問題でございますので、こういう実態の推移と、そしていろんな理論的なものとをかみ合わせまして、交渉によって決めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  176. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 毎年少しずつ上がってることは私もよく承知しております。しかし、まあ一分間二十円というのはあんまりひどいんじゃないかというふうに思いますので、少なくともヨーロッパ諸国ですでに先発をし、その国の文化水準を健全に発展させていくためにいろいろと苦慮している歴史もあるわけですから、そういう点を御参考になって、合理的な基準設定を含めて前向きにお進めになっていただきたいと思いますが、会長どうですか。
  177. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) いま担当から答えたとおり、私も同様の意見でございますけれども、ただ、昭和四十六年以前につきましては——多少お言葉を返すようですが、このレコードの使用につきましては、コロムビアとかビクターとかという出所を明示すればただでいいという規定でございました。それを、四十六年の新しい著作権法の制定に当たりましてそれを改定したというときに、使用者側の経済に著しく影響のないように、その点は話し合って取り進めてもらいたいということでございますので、私どもも、ただであったということを申し上げる気はございませんけれども、その経過の中で誠意を持って話し合おうということで現状に至っておりますので、その点、その増高のテンポなり額なりについての芸能人の方の御不満はわからなくはございませんけれども、そういう経過の中での話し合いだということも御理解いただいて、円満に解決していきたいというふうに考えております。
  178. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間がありませんので、最後に一つお伺いをいたしたいんですが、実はNHKの職員の中の婦人の比率ですね、これはまあ拝見をいたしますと、いま七・七%ですね、全職員に対する婦人の占める割合でございます。それから、採用についても大変少ないですね。五十二年度の御採用では二百五人の採用の中で女子が十一人、大分少ないと思うんですが、それで私民放の方の実情を見てみますと、民放では全職員に対して女子の割合は一七・一%です。いろいろ適材適所というところもあると思いますけれども、少なくとも能力と条件に合えば婦人の採用というものを積極的にやるべきではないかと、そして婦人の持っている特殊性を生かして能力の開発にも進めるべきではないかというふうに思うわけです。特に、御承知のように国際婦人年以降、政府としてもそういった点では積極的な施策を進めておられる折でもございますし、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  179. 武富明

    参考人(武富明君) お答えいたします。  ただいま先生から御指摘を受けましたように、NHKの女子の職員の数は七%から八%の間に位置しております。これには先生承知のとおりに多少理由がございまして、一つには、協会の業務は大変幅の広い部分を持っておりまして、たとえば取材とかあるいは技術とか、あるいは番組の一部もそうでございますけれども、泊まり勤務とかあるいは早朝、深夜の業務等が伴う部分がございます。で、こういった大変不規則な勤務時間のために女性に適応しにくい部分というのがございます。これは協会が大変幅の広い業務を持っているというところから出てくる一つ問題点でございます。  もう一つの点といたしましては、こういう業務が行われているわけでございますけれども、これは各局、地方局全部にばらまかれて行われております。したがいまして、その各地方局と地方本部とか、あるいは地方局と東京都内だとか、そういう人事ローテーションの関係その他がございまして、やはり一方では絶えず転勤の可能性というものを持っておりませんとなかなか人事交流というのは円滑にまいりません。  こういった二つの事情から、実はある程度人事配置上の制約等がございまして多少女性の採用というのに限界を生じております。しかしそれだからと申しまして、じゃあ、それが可能な部分はどういうことになっているかと申しますと、たとえば東京の本部について見てみますと、たとえばプロデューサーとかディレクター、これの女性の占めているパーセンテージというのは一〇%になっておりますし、事務関係になりますと大体一九%になっております。そういう関係でございますので、実は協会が持っております特殊性、そういったものに御理解をいただきまして、先生の御指摘でございますのでいろいろ検討はしたいと思うんでございますけれども、一方ではローテーションの可能性その他を十分に踏まえましていろいろ考えさしていただきたい、実情をひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  180. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 まあお話ですが、私、だから民放と比べてみたわけですよ。しかし、差がちょっとひどいんじゃないか、御検討になっていただける余地があるのではなかろうかというふうに思いまして、時間がありませんので、そのことでひとつ御検討をいただき、前向きにやっていただけるということであればそれで結構だと思いますので、ひとつぜひお願いをしたいというふうに思います。  結構です。
  181. 木島則夫

    ○木島則夫君 オリンピック問題で一つだけ大臣とNHKに要望をしておきます。  これはあくまで放送局同士の自主的な紳士的な話し合いにゆだねることでございまして、私は安易に郵政大臣がタッチをなさっていただきたくない。そのことは番組編成にもつながる問題でございますので、確認の意味で伺っておきたいと思います。
  182. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 私ども、先ほど来御質問にお答えしておりますとおり、当然われわれ、私も含めましてわれわれの責任として対処したいというふうに考えております。
  183. 小宮山重四郎

    国務大臣小宮山重四郎君) NHKがそういうつもりでございますから、どうぞ自主的にやっていただきたいと思っております。
  184. 木島則夫

    ○木島則夫君 オリンピックのことを心配するのはわかるんですけれど、余り周りの声に動揺したり何かをして、頼まれもしないのに大臣がお出になるということは、これは一切ないと思います。それは番組編成にタッチをするということにつながりますから、私はやっぱり厳に慎んでいただきたいと思います。  NHKにしましても、これは私は希望だけを言わしておいていただきます。モントリオールに比べて高い放送権料を払う、そしてそこに一枚NHKが加わって提携をしなきゃならない、このことは、NHKが置かれている客観的な財政事情そのほかをシビアに判断をされた上で、やっぱり私はある意味で筋を通してもらいたいと思いますね。場合によっては、公共放送であるという筋を通すことで放送ができなかった、しなかったということがあってもいい、こういう意見も世の中にはたくさんあることを私はNHKに提供をしたいと思います。これは希望だけ言っておきます。  さて、いまの時代というのは、科学技術の進歩を軸として豊かな社会を目指す過程の中で、価値の多様化の状況が広がっていきつつあります。こういう中で、国民生活やあるいは国民文化と密接なかかわり合いを持っている放送は、こうした価値の多様化にどうやって取り組んでいったらいいか、取り組むべきか、この問題は日本でも視聴者の意向吸収という形、あるいはそれが番組と業務への反映という問題意識の中で、近ごろ非常に大事なウエートを占める分野となってきたことは、もう私が説明をするまでもございません。こういう状態は海外諸国でも同様に重視されているわけでございますが、日本と同じような公共放送と商業放送の二本立ての体制をとって共通の問題点を持っているイギリスにきょうは例をとって、日本の放送とダブらせながら私は問題の提起をしてみたいと思うのです。  イギリスでは、ことしの三月にアナン放送調査委員会が、将来の放送のあり方について報告書を出しております。イギリスでは、イギリス放送協会や商業放送法の有効期間の満了が近づきますと、政府が中立的立場放送調査委員会というものをつくって、放送の将来のあり方について諮問をするのが通例となっております。この調査委員会委員長の名前をとってつけられたのがアナン委員会というわけであります。  最近、NHKの反町理事はイギリスへ公務出張の際に、この報告書に対するイギリスの放送界の反応をつぶさにごらんになってきた、お聞きになってきたということでありますので、概略、ごく簡潔で結構でございますから、ひとつ、どこに問題点があって、こうした国民の多様化、ニーズ、そういうものと放送局との関係をどういうふうにとらえようとしているのか、その辺をまずひとつ御報告をいただきたいと思います。
  185. 反町正喜

    参考人(反町正喜君) お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおりでございまして、過去三年間にわたりましてアナン調査委員会検討いたしました結果が、本年三月に公表されたわけでございます。それで、これは一九七九年七月に、御指摘のBBCの特許状、それに商業放送法の期限が一応切れますので、その前に公表されたわけでございまして、私が参りました七月一日ごろがちょうどそれに対します放送界の意見書が提出された時期に当たっておりました。  このアナン調査委員会報告書のいろいろ提言もございますけれども、ただいま先生指摘のところに限って申し上げますと、やはり何といいましても先生指摘の価値の多様化の時代にありまして、国民大衆と非常に密接の度の強い放送局がいかに対処すべきかというところに一番大きな論点があったようでございます。  それらの点に関します提言といたしまして、アナン調査委員会は、御承知のように、一つは、一応将来の放送局の運営形態といたしましては、現在の、放送公共企業体と向こうでは称しておるようでございますけれども、言うなれば、ただいまのBBCとそれからIBA、これは民放に当たります。これも原則としてこういう経営形態が一番いいんではなかろうか。と申しますのは、この論議の過程で有力な一つの意見といたしまして、聴取料でありますとか、あるいは広告収入などの資金を一元的に管理して、そういう放送管理機構の一元的公有化を図るという議論が一方にございましたですけれども、やはりアナン調査委員会といたしましては、現行の放送公共企業体、経営委員会を頂点といたします放送事業体の専門的な判断に、すべてのその辺の国民の多様化に対応する道の、どうしたらいいかの判断を任せた方がいいんではないかというのが一応の最終的な結論だったようでございます。  そのほかに、国民あるいは聴視者と放送局とのかかわり合いにつきまして二、三の提言を具体的にいたしております。それは、一つ放送苦情処理委員会というのを設けたらどうか。これはいままでBBCあるいはIBAの中で部内組織として設けられたものでございますけれども、これを第三者の機関として設けたらどうか。これは放送に対する苦情その他を公平な立場から判断処理する機関でございます。  それともう一つ放送世論調査会と申しますか、このアナンのような調査会の提言によりますと、これも政府任命による第三者機関でございまして、七年に一回、各放送事業者の実績に対する世論を公聴会によりまして調査いたし、その他随時、政府あるいは放送事業者の委託によりまして、希望によりまして世論調査等を行って、それを年次報告書を議会に提出するというようなていの苦情処理委員会、これにつきましてはBBC、IBAその他の方面からもこれはまあ一応結構ではないかというような意見が多かったように存じました。  もう一つ放送世論調査委員会と申しますか、これはやはり公聴会等で——ちょっとダブリましたんで失礼いたしますけれども、先ほど申し上げましたのは放送苦情処理委員会、これにつきましては大体異論がなかったようなんでございますけれども、先ほどちょっと申し上げたかと思いますけれども、放送世論調査委員会、これにつきましてはやはり一般の放送界の反応といたしましては、やはりそういうものができますとそれが常時、常設の機関であり、第三者機関であり、それが日常的な活動を行い、あるいは一定の事務スタッフをつけるということになりますと、どうしても言うなれば放送をチェックする機構になりがちである。むしろ随時、このアナン調査委員会のように必要に応じて随時中立的な調査委員会をつくって、一つの結論が出ればそれで解散するという方向の方が望ましいのではないか。  そういうものに際しましてはすでにBBCなりあるいはIBAの中にすでに法律あるいは特許状で法定されております一般諮問委員会、日本におきますと、法定されております番組審議会のようなもの。これはBBCその他の場合には、番組だけでなくてその他の一般の業務にもいろいろ意見を賜ったり、あるいは御理解を願う機関でございまして、ちょうど先年私どもで始めました地方視聴者会議というものに当たろうかと思いますけれども、そういうものの運営を、あるいは人選——運営につきまして逐次改善することによってやった方がいいんではないかということで、これについては放送界その他からは余り賛成の意見がございませんでした。  大体そんなところが新しい提案、特に視聴者と放送局とのかかわりの中におきます提案としてはそんなところが主な点であったんではないかというぐあいに考えております。
  186. 木島則夫

    ○木島則夫君 何しろ膨大なものですから、この短時間のうちで御報告をしていただくということは大変むずかしいと思います。私もこのアナン調査委員会報告は概略承知をしているつもりでございますけれども、なおその盛られている問題点、問題提起、こういったものが将来の放送にどうつながっていくか、私ももう少し勉強してみたいと思います。  私が知り得たアナン報告の要旨は、締めくくりでこう言っております。われわれが常に念頭に置いてきたのは、発展しながら新しい情勢に対応するシステムをつくる必要があるということであった。つまり視聴者にとって最善のものを提供するために、放送事業者に対して最大限の自由と独立性を与え、それと同時に、放送事業者が自分のサービスエリアとする広範なコミュニティとできるだけ健全な関係を保つようなシステムである。非常に私はこれは示唆した内容的にも大変りっぱなものであると思います。  ところで歴代の放送調査委員会を通じまして、今回大きなテーマとなったのが放送事業者の何といいましょうか、日本語に訳しにくいのですけれど、アカウンタビリティーと向こうでは言っております。義務とか責任というんでしょうかね、という問題がクローズアップされております。これは公的な企業が国民に対して自己の行動について説明をする義務と言っており、イギリスでは企業に対する国民の関心が高まったりまた企業の社会的責任が問題になるようになった結果、盛んに使われている言葉のようであります。  で、アナン委員会は、委員会に寄せられた批判の中で、最も多かったのは、放送事業者は過去十年間、これは日本じゃないんですよ、向こうですよ。視聴者のかなりの部分の人が表明した見解に対し注意を払わず、自己の行動を視聴者に十分説明していないと考える人からのものであった。さらに、西欧社会における機関の中で、われわれのテレビ放送局ぐらい自己の行動を説明しないものはないが、その一半の理由は、視聴者の側からの選択が限られていることであり、さらに、放送では消費者が最も重要度の小さい参加者という仕組みになっているからである、こういうふうなことも中で指摘をされております。私は考えますのに、ヨーロッパでも価値の多様化とその具現のために開かれた放送事業体であるべきだという要望が多いことに気がつきます。  で、問題を手元に引きつけまして、日本ではどうなっているか。特にNHKというのは、公共放送として国民の要望に的確にこたえることを使命一つとしているわけで、こういった問題とどう取り組み、国民のニーズがますます多様化していく将来にわたって、どういうふうなアンテナを掲げながら、そしてこれをどうやって受けとめていくか、番組審議会そのほか視聴者センターとか、いろいろあると思いますけれど、そういったことも含めて、こういう価値の多様化の中でNHKとしてはどうやってニーズを受けとめているか、受けとめようとしていくか、お願いいたします。
  187. 反町正喜

    参考人(反町正喜君) お答えいたします。  やはり私どもも先生指摘のとおり、視聴者の意向をどう吸収し、どう反映していくか、あるいはまたNHKが、事業の遂行に当たって視聴者にどういうぐあいに理解を求めつつ事業を遂行していくのかというやり方につきましては、いろいろと現在までにやっている次第でございます。ただいま先生指摘のように、視聴者会議、これは全国五十三ヵ所に設けまして、いままで三回ございました。そのほか、視聴者センターでは年間百万件ぐらいの相談を受けておるというようなこともございますし、また年間千回以上超えます各種地域の住民方との懇談会、それらをやっているわけでございます。  さて、それを私どもの事業の遂行に当たってどういうぐあいに、たとえば製作立案部門にどういうチャンネルで流し、そこでどう判断をいたし、またそれを現場に戻してどういうぐあいに具体的な施策に戻していくか、そして聴視者の方々にこういうことをやりましたというフィードバックをするというところのチャンネルの整備、これも五十一年度に広報推進本部を設けまして、副会長を頂点といたします部内組織はつくったわけでございますけれども、そういう努力をしつつ、聴視者の意向の吸収、反映をただいませっかく努力をしておりますけれども、何といいましても、この辺は膨大ないろんな価値の多様化でいろんな御意見もございますし、御批判もございます。御提言もございます。その辺の振り分け方、一応私どももそういう意味で、広報推進本部等を通じてチャンネルの整備をいたしましたけれども、勝負は私どもこれからだというぐあいに考えておる次第でございます。
  188. 木島則夫

    ○木島則夫君 私は、これからの放送の先取りをする上で、その辺の問題点というのを本当に煮詰めて、そこら辺にウエートをかけてもらわないと、国民の要望する放送というのはできていかない。きょうは時間がありませんから、大きな問題柱だけの御提議、御提案をしてみたいと思います。  たとえば、さっきも同僚委員から、番組審議会の構成が少し地方的に偏っているんじゃないかとか、あるいは学識経験者というふうに制約をされちゃうと、どうしてもある意味でお年を召した方に限定されるのではないかとか、学識経験者という言葉自体をもう放送局なりその関係者は、何か物をよく知った、ある程度大成されたというようなイメージに受け取らざるを得ない。もうそういう発想から私は変えていかなければだめだと思いますね。  先に進みます。放送局が、いま反町理事が言われたように、懸命に聴視者の意向を吸収するためには柔軟なシステムが必要で、その一つが経営委員会だというふうに考えます。イギリスでもこの経営委員会というものに対しては非常に重要視をしておりますけれど、日本の場合とはちょっとシステム的にも趣を異にいたしますから同一には論じられないと思いますので、経営委員会のことについてここで触れさせていただきたいと思います。  NHKの最高意思決定機関であるこの経営委員会委員の決定につきまして、さんざんこの委員会でも議論がなされてきたわけですね。ですから、先ほどアナン委員会報告をしております西欧のいろいろの機関の中で、われわれのテレビ放送局ぐらい自己の行動を説明しないものはないがというこの言葉を、どうも放送局じゃなくて、日本の場合には政府というふうに向けなきゃいけないんじゃないだろうか。政府というか、この任命に当たる——もちろん国会も責任かありますけれど、そういうところに置きかえてみても、私は決して言い過ぎじゃないと思うくらいこの問題が、年がら年じゅうここで俎上に上っているわけです。  もちろん放送法十六条にのっとって、分野性とか地区性、あるいは欠格条項の規定など、法的な制約のもとで任命されておりますけれども、しかしその構成は必ずしも私は多様化を反映し、国民のニーズに沿った、ここのところが大事だと思うんですね。放送の将来に対応できるものであるかというと、必ずしも私はそうじゃないような方たちが構成員になってやしないだろうかと、ここのところが大変問題でございます。仮にも、こんなことはありませんけれど、委員の構成に偏りがありましたり、また党派的な利害関係の代弁者がいたりしますと、これはもう国民全体の利益を代表し、識見を持って考え判断をする立場が失われるおそれがございます。これは公共放送の方向を誤ることになりかねないわけであります。  現在、私はそうだとは言っておりませんけれど、何か放送が日進月歩で変わりつつある、価値の多様化がどんどんどんどん広がって、しかも複雑にむずかしくなっていく中で、そういうものを本当に受けとめられる最高意思決定機関の構成であるかどうかというところに、私はやはり同僚委員が御指摘をするような疑問を感じざるを得ないんです。特にこれから、大臣、十年、十五年先の技術革新時代を迎えて、社会は必ず新しいサービスの導入を要求するだろうということが予想されるときに、特に私は、放送の将来に対応できるような人たちが現在のメンバーの中には乏しいのではなかろうか、こういうことを御指摘を申し上げたいと思います。もちろん総理大臣の任命でございます。しかし、直接担当の郵政大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  189. 河野弘

    政府委員(河野弘君) お答えいたします。  先ほど先生のお話にございましたとおり、現在のように価値観の多様化で激しく揺れ動いておりますこういう時代におきまして、確かに放送そのものの社会における価値あるいはあり方、その影響というものはきわめて大きいものがございます。私どももその点は痛感いたしているところでございます。  ただ、これも先生のお話にございましたけれども、現在放送法の中におきましては、この経営委員の任命に当たりましては、やはり広い経験と知識を有する者、それから教育、文化、科学、産業などの各分野が公平に代表されるように配意すべしというものがございまして、私ども少なくともこの放送法規定に即応して任命、選任いたしてまいったつもりでございます。ただ、いま先生のお話にございましたように、放送の将来に対応できるものかどうか、その構成になっているかどうか、そういう点につきまして、これはきわめて重要なことでございますし、今後ともそういう意味におきましてこの選任に当たりましては配慮し、また留意してまいりたいと、こう思うわけでございます。
  190. 木島則夫

    ○木島則夫君 細かいことにわたって恐縮ですけれど、きょう余り細かい議論したくないんですけれど、「広い経験と知識を有する者のうちから」といいますと、若い人ももちろん入っていいんですね、官房長。
  191. 河野弘

    政府委員(河野弘君) 当然、年齢が老年の方が必ずしも広い経験、深い知識とは言わないだろうと思います。
  192. 木島則夫

    ○木島則夫君 ここに、十六条に「教育、文化、科学、産業」と書いてありますね。「その他の各分野が公平に代表されることを考慮しなければならない」、そのほかの分野というのを少し挙げてください。どういう分野から出しているのですか。あったらずらっと言っていただきたい。
  193. 河野弘

    政府委員(河野弘君) 教育、文化、科学、それから産業、このほかに私ども考えておりますのは法曹界あるいは言論界、それから各産業別、経済界、そういうものでございます。
  194. 木島則夫

    ○木島則夫君 何かここに書いてあることと同じことをおっしゃったように私は承ったんですけれども、そのほかの分野というのは、言論界はいいですね、一つは。これは文化の中に入るかもしれませんけれども、もうちょっと何か具体的な目安でもあったら教えていただきたい。つまり、どういう範疇から、そしてその範疇とされるものも、価値の多様化の中で非常にいまむずかしくなっているということなので、どういう目安で分野をお決めになっているのかを具体的に伺いたいということであります。
  195. 河野弘

    政府委員(河野弘君) 私ども、この経営委員の分野別ということで個々の先生方を分類いたしておりますのがただいま申し上げました分野でございます。「その他の各分野」ということでございますけれども、これも「教育、文化、科学、産業」というものによって言い尽くせないその他の分野が何らかの形であるだろうということから、私どもは、いま申し上げましたように分類いたしてそれぞれ把握いたしております。
  196. 木島則夫

    ○木島則夫君 私、揚げ足を取ったり——官房長はお人柄もいいし、私はそういうこときらいなんです。これもきょういきなり御質問を申し上げたので、後で教えてください、ほかにどういう分野があるか。そうしますと、ここに書いてある各分野から公平にという、これが空文になっちゃって、価値の多様化、ニーズの多様化の中で一体即応できているのかどうかという疑問点が一つ出てまいりますので、後ほどひとつ具体的にお教えをいただきたいと思います。大事なことですよ、しかしこれは。  ところで、私は、番組の問題の側面としまして、番組の中での暴力場面の扱い方について取り上げてみたい。これも個々いろいろ私はあるんですけれど、きょうはもう三十分で時間がありません。テレビで暴力番組が横行をしますと、知らず知らずのうちに暴力に麻痺をして、結果として暴力是認的な風潮を生みかねないということであります。特に、青少年への影響は、アメリカを初め日本でも論議をされている。私は、たしか四、五年前だったと思いますけれども、BBCの番組編成責任者と、暴力問題とポルノ問題を語り合ったことがあります。日本でもポルノ問題が非常にやかましかったときに、日本ではこういう状況です、イギリスではどうですかと聞いたらば、もうイギリスではこういう問題はとっくに卒業をした。法律の問題ではなく、これは常識の問題だ、テレビは映画とは違いますという、たった二行のお答えで済んじゃったわけであります。  しかし、暴力問題について私が伺った範囲では、これこそBBCが一番神経をすり減らしている問題である。たとえばアメリカの西部劇を放送する場合でも、殴り合いはお互いにフィフティー・フィフティーでなければ、後、リンチになったり、片方が負けて足でもって踏んづけられたり、顔から血を流すような場面はカットしてしまう。つまりフィフティー・フィフティーまでの殴り合いならば画面の中で出すけれど、それ以上はもう進行させない。私がそんなんじゃおもしろくないでしょうねと言ったらば、おもしろいとかおもしろくないとかの問題ではありませんというお答えでした。NHKはきちっとした常識を持って番組編成をなさっていらっしゃると思いますけれど、いかがですか。テロや、あるいはこのごろは物騒な事件が横行をしているときです。アメリカでもテレビのこの種の問題が裁判につながるような、事件につながるような問題も提起をされています。ひとつ確認の意味で伺っておきたい。
  197. 堀四志男

    参考人(堀四志男君) お答えいたします。  NHKといたしましても、暴力を是認するがごとき放送番組を作成、放映する意図はございません。
  198. 木島則夫

    ○木島則夫君 細かい問題についてはもういまのそのお答えで尽きるんですけれど、細かい問題について私もいろいろチェックをしてありますから、いずれこういった問題について具体的に討論を進めてみたいと思います。  要するに、もう時間が参りました。ここでは番組の問題の一つの側面としていま暴力の問題はどうだろうかと取り上げたわけでございますけれど、私は結局、放送の問題はいかにいい放送を行うかという問題に帰着をすると思います。  で、アナンレポートも指摘しますように、放送局のスタッフ、つまり放送のプロの集団が国民のニーズに思考と感覚の両面で鋭くこれに反応をし、国民生活ににじむ状況を先駆的にとらえる柔軟な感受性を持ちながら、これを番組の中に具体的に提起をするというプロの能力ですね、この能力、そしてこの訓練され、みがかれたプロ集団の能力というものが独善と偏見を排除しながらエネルギッシュに勇敢に発揮されること。こうした能力の発揮を可能にし、これをエンカレッジするシステム、経営のあり方、さらには最高の意思決定機関である、さっき問題にした経営委員会の適切な構成、それによる指導、こうしたものが相まってよい放送が実現されるように私は思います。  私が申し上げたいことは、よい放送とは何だろうか、それを可能にする仕組みはどうやってつくっていったらいいだろうか、それに関連する放送制度はこれでいいんだろうかという提言ももちろんこの中に含まれます。こうした問題を洗い直すような気持ちで考えてみようではないかということであります。  NHKを取り巻く環境は確かに厳しいですね。しかし、厳しいなりに、そこからはやりようによったら逆に可能性も生まれてくるということにつながると思います。受信料の不払いの問題もそうでしょうね。難視聴解消、これはもう純然たる技術の問題、もちろん政治の問題も入りますけれど、たとえば受信料不払いの問題にしても、経営委員会の構成を国民の価値の多様化、それに対するニーズを反映をする形で構成をし直すとか、番組審議会の中にもっともっとフレッシュなメンバーを入れるとか、そうすることは番組の中に息吹を取り戻しながら還元をされる、そういうNHK放送を国民の皆さんがごらんになって、いいじゃないかと、いままで偏見を持っていたけれど、これで直ったというような、そういうやはり放送がこれから必要ではないだろうか。  だから帰するところ、不払いの問題も財政の問題も、私は終局的にはプロの集団であるNHKの皆さんが自主性と責任を持っていかにいい番組をつくっていくか、そうしてその番組をいかにつくりやすいような環境に置くか、これが政治の課題だと思います。一切介入はしちゃいかぬと思います。多少私の言いたいことをいま申し上げてしまいましたけれど、いかがでしょうか、会長、こういう起点に立って、観点に立って来年度の番組の基本的な編成態度を伺っておきたいと思います。いまこういう段階ですから、うんと具体的に触れていただくことはむずかしいかもしれませんけれど、やはり前向きのひとつお答えをしていただきたいと思うわけであります。
  199. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) NHKが番組で視聴者の御理解を得るということはたびたびこの席でも私申し上げておるとおりでございますので、そういう趣旨を来年の番組編成にも貫きたいというふうに考えております。  ただ、御承知のように、先生指摘のように、視聴者の価値観の多様化、その他、ある一部に言われておりますようなNHK離れの原因等々を十分検討いたしまして、それが番組編成という形の中でもし手を入れるところがあれば手を入れなければいけないのではないかというふうに考えております。具体的にはこれから基本方針の策定に入るところでございますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、総合テレビの夜間の視聴者の生活態様並びにNHKに対するいろいろな御意向、そういうものを編成の中に表現していきたい。それと合わせて教育テレビあるいはラジオ等の問題についてもそこら辺のところを重点に基本的な編成方針を現在策定中でございます。
  200. 木島則夫

    ○木島則夫君 最後にもう一言。  郵政省にもお願いをしておきます。私が申し上げたことは官房長もよく御理解いただけると思うんですよ。要するに、プロの集団があるわけですね。その人たちは専門家ですよ。経営委員会があります。ですからNHK離れとか、いわゆる受信料の不払いという問題も、全部はそれによっては解消はしないまでも、私はやはり経営委員会の構成のメンバーを本当にフレッシュなものにするとか、番組審議会の若返りを図るとか、そうすることで郵政省の心配もひとつひとつとれていくんですよ。私の経験から言いますと、経営委員会に席を置く人たちがもし過去の古びた枠の中で選任された方々であるとするならば、プロ集団というのは、そういうのは悪いけどせせら笑って相手にしなくなっちゃう。そうなったときに一体NHKはどうなるか。ちょっと私は乱暴な言葉を使いましたけれど、非常にいま大事ですよ。それを郵政省も勇気を持ってやはりやっていくというところにNHKの危機の一つ解消がぼくはあると思います。いかがですか。
  201. 河野弘

    政府委員(河野弘君) 先生指摘の点、十分今後参考として考え、進めていきたいと思っております。
  202. 木島則夫

    ○木島則夫君 結構です。
  203. 青島幸男

    ○青島幸男君 前に質問に立たれた同僚委員のお話をそのまま引き継ぎさしていただきますと、そのまま議論を続けさしていただきますと、本当にNHKがわれわれ国民のものなんだという認識が行き届いてこそ初めて支持と信頼がかち得られて、不払い運動にしても、そういうものはなくなって、本来NHKを盛り立てていこうという支持がおのずと沸き上がってくるものだと思います。  そのためには経営委員会のメンバーが真に国民のために見解を代表する立場になきゃならぬということを私も再三申し上げておりますし、当委員会でも再三出ております。私は元来、ですからそれがゆえに公選制にしたらどうだろうかという持論まで持っているわけでして、そのことで何回も御議論申し上げたけれども、法制上いきなりそうするのは不可能だということも認識しております。しかし、それで了解したわけではなくて、そういう方向を検討していって、でき得る限り国民の方々の了解を得るということがNHKを健全に運営するということにはっきり結びつくことだと認識しております。  いまの経営委員の方々の中に、経営委員会のメンバーとしておられる以上は政府も御推薦の場で申すように公正中立、何によらず公正な判断ができる方で、国民にかわってそうしていただくんだということで御推薦なさるわけですね。そうあってほしいわけですけれども、そういう方々が一つの政党を支持するということを御表明になることはまだしも、その政党の政治資金集めに深く関与なさっているというようなことをジャーナリズムの中で発表になってしまわれるような立場ですね、私は大変誤解を招くし、ひいてはNHKの信頼を失うことにつながりはしないかと思いますが、その辺の御見解を明らかにひとつしていただきたいと思います。
  204. 河野弘

    政府委員(河野弘君) いま御指摘のように、経済団体のそういう担当者がおられることは事実でございます。ただ、しかしながら私どもはやはりこの放送法の精神に沿いまして、広い経験あるいは知識という面からいたしますと、各分野からの選出という面からいたしまして、現在この方がおられるということは必ずしもそう矛盾したものではないというふうに考えているわけでございます。
  205. 青島幸男

    ○青島幸男君 私は、あえてお名前もお立場も避けて御議論申し上げているわけです。むしろこういう委員会の場ですからね、その辺のところを明確にしていただきたいと思うんですけれども、そういうようなことを表明なさるようで誤解を招くようなことがあってはまずいですねと私は申し上げているわけですから、そういうことがあってはならないと思いますとお答えいただければいいんじゃないかと思いますけどね。個々の個人にわたって見解を申し上げているわけじゃないですよ。ですから一党を支持なさるということを表明されても一向に構わないだろうけれども、それは思想信条の自由ですからね。しかし、そういうお立場の方が一党の政治献金を集めることに関与なさっているというようなことを公になさるというようなことがあったら、それは不適当でしょうねと、こう申し上げているわけです。
  206. 河野弘

    政府委員(河野弘君) 先ほど先生の御指摘がありましたけれども、一党を支持するという態様でございますが、一つのある団体、政治団体と申しますか、そういう一党というものを具体的にこれを支持しているかどうかと、やはり非常にこう申し上げにくうございますけれども、私ども現在見る限り、この一党一派という考え方を抜け出しまして、そして現在の経営委員先生方すべてが各党派に偏った支持というものがないというふうに判断しているわけでございます。
  207. 青島幸男

    ○青島幸男君 これ以上議論しておりますと話がだんだん生臭くなりますのでこの程度にとどめます。しかし、私はそういう経緯で選ばれて、そういうお立場になられたんですから、公正中立でだれから見てもNHKの経営に誠心誠意、御熱意を持って臨まれているというふうにしていただきたいという希望を持っております。これはもう当然のことだと思いますね。ですから、今後の経営委員の御推薦に当たりましても、そういう、国民の側から、聴視者の側から疑問を持たれるようなことがないように御配慮いただきたいという点だけお願いを申し上げます。それなら大丈夫ですね。  それから、今度はNHKにお尋ねいたしますけれども、一昨年NHK基本問題調査会というのができまして、「今後の事業運営が一層国民の意向に沿ったものとなるよう検討を行うと共にその健全な運営を確保するための方策」を審議してもらうということで発足されたそうですが、あれはあのとき限りのものだったんでしょうか。それとも継続的にああいう調査会をつくることを御依頼になる御意思がおありなのかどうか、その点をまずお尋ねします。
  208. 反町正喜

    参考人(反町正喜君) 先生指摘の基本問題調査会につきましては、当時諮問を申し上げまして、その諮問の御答申をいただいたところで解散するということになっておりました。
  209. 青島幸男

    ○青島幸男君 この調査会にメンバーとして参加された方の中の御発言に、赤字解消についてしか論議できなかったことは非常に残念だったというようなことをおっしゃっている方もおありになるわけです。で、健全な運営の確保についてはいろいろ議論があったけれども、国民の意向に沿った方策の方については十分な議論ができなかったというふうなことをおっしゃっているのですね。で、ちょうど値上げの時期にこれは重なりましたので、値上げを正当化するためにこういう調査会を持ったんじゃないかという見方さえされたことがありましたね。そういう見方をされるというのはNHKさんにとっては大変不本意なんでしょうし、無論その意味からつくられたんじゃないということも私も信じておりますけれども、国民の意向に沿った方策の方に重点が置かれるような意味でこういう調査会がまたまた行われてもいいんじゃないかというようなことを代表の方が答申と同時に御発表になったということも伺っております。  その件に関しまして、今後どういうふうにこの問題に対処されていかれますか、御意見を伺いたいと思います。
  210. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生指摘の点につきましては、私どもも当委員会で御報告申し上げておりますように、部内に広報推進本部を副会長を長として設けまして、その委員会が中心になりまして全国五十三の地域に視聴者会議を設けまして、そうして先生指摘のような協会運営についてのいろいろな直接視聴者の方の御意見等も承る場をつくって現在努力しておるわけでございますが、それと並行いたしまして私の諮問機関という形で、今後の協会経営に多く解決しなければならない問題がございますので、NHK経営問題委員会を発足させまして、それと並行していろいろと御審議、御意見を承るという形で先生指摘の問題についての前向きの姿勢をとるつもりでございます。
  211. 青島幸男

    ○青島幸男君 わかりました。私もその参考資料をいただきまして、NHK経営問題委員会の方々の名簿なども入手しておりますが、会長の御見解もよくわかりますし、御努力が実ることを私も祈っておりますけれども、どうもこのメンバーを拝見いたしますと、先ほど木島委員からも御発言がありましたけれども、学識経験その他のことについて疑問を差しはさむ余地はございませんが、年齢的に大変高い方が多いですね。それで見ますと経営委員会のメンバーの方々とほとんど重複するといいますかね、余り変わってないという感じがします。そうすると屋上屋を重ねると申しますか、同じような体質のものが二つあるということになってしまうんじゃなかろうか。ですから、経営問題委員会で出てきた意見と、それから経営委員会で出てきた意見とおおむね同じだということになりますと、何のためにそれが存在するんだろうというような気もしないではないと思うのですけれども、その辺はどういうふうに御見解をお持ちでしょうか。
  212. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 私の諮問機関として設けました経営問題委員会につきましては、お願いする先生方の基準といたしまして、放送についての専門的な経験、あるいは御見解をお持ちになっている方からともかく現在はお選びしよう、こういう趣旨で選考いたしたわけでございます。  片一方の視聴者会議の方は、かなりお若い方も入っていろいろと生々しい御意見も承ることになろうかと思いますが、経営委員会は、これはもう全く放送法規定に基づきます協会の最高意思決定機関でございますので、この経営問題委員会と直接のかかわりはないというふうに考えておりますので、その運営につきましては十分御指摘の点を配慮しながら万全にこれに対処していきたいというふうに考えております。
  213. 青島幸男

    ○青島幸男君 お考えになっていること、よくわかります。  で、これは要望でございますけれども、これはもう皆さん方に申し上げる筋合いのものじゃないかもしれませんけれども、私どもと、あるいは二十年、年が隔っておりましても、後から生まれてきた子供たちは、生まれたときからテレビがあることに何の疑問も差しはさまずに育っておりまして、それからジャーナリズム関係の感覚ですね、知恵とか思考とかの問題とは別に、感覚的に大変隔たりを持っているということを私も実感しているわけですね。ですから、それこそ明治にお生まれになった方と昭和の何年代に生まれた人と、感覚的にずれがあることは当然でございますし、それだからこそ弁証法的に話も発展するんだと思うんです。  ですから、同じようなお立場放送のこともよくおわかりになっていらっしゃるし、学識経験もおありになって、しかも具体的にどうすればいいかという御案もおありになる方からは突拍子もない御意見って出てこないわけですね、当然。ですから話がわりあい堂々めぐりしたり、具体案——現実をどう乗り切るかとか、そうは言うけど現状はどうかというお話にしかならない気もいたします。そうなりますと、せっかくの会長の御趣旨のさまざまな意見が出て、その中からあらゆる可能性を探っていきたいということとは離れてしまうような気がしますんで、なるべく若い方、世代を異にした方々の御意見が反映できるような場におつくりになることを要望いたしますけれども、そのことのお答えをいただいて、残余の問題は重複を避けまして、省略させていただくことにします。
  214. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) NHK経営問題委員会の運営につきましては別に定員等が定まっているものでもございませんし、そういういろいろな先生方の御示唆なり御意見なりを参考にしながら今後運営の万全を期したいというふうに考えておりますけれども、いまここで直ちに、しからばいつからどうするかというふうなお答えはいたしかねますが、その点はひとつ御了解を願いたいと思います。
  215. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  日本放送協会昭和四十九年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、これを是認すべきものと議決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  218. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって是認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 栗原俊夫

    委員長栗原俊夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十四分散会