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1977-11-17 第82回国会 参議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十七日(木曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————    委員異動  十一月十四日     辞任         補欠選任      熊谷  弘君     徳永 正利君      衛藤征士郎君     木村 睦男君      鈴木 正一君     丸茂 重貞君  十一月十五日     辞任         補欠選任      佐藤 三吾君     松本 英一君      神谷信之助君     宮本 顕治君  十一月十六日     辞任         補欠選任      松本 英一君     佐藤 三吾君      宮本 顕治君     神谷信之助君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金井 元彦君     理 事                 夏目 忠雄君                 望月 邦夫君                 野口 忠夫君                 神谷信之助君     委 員                 金丸 三郎君                 木村 睦男君                 鍋島 直紹君                 成相 善十君                 佐藤 三吾君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 向井 長年君    国務大臣        自 治 大 臣  小川 平二君    政府委員        大蔵省理財局次        長        副島 有年君        厚生省医務局長  佐分利輝彦君        厚生省保険局長  八木 哲夫君        厚生省年金局長  木暮 保成君        自治大臣官房長  石見 隆三君        自治大臣官房審        議官       石原 信雄君        自治省財政局長  山本  悟君        消防庁長官    林  忠雄君        消防庁次長    田中 和夫君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        建設省河川局砂        防部砂防課長   大工原 潮君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○連合審査会に関する件 ○地方行政改革に関する調査  (自治体病院に関する件)  (防災に関する件)     —————————————   〔理事夏目忠雄委員長席に着く〕
  2. 夏目忠雄

    理事夏目忠雄君) ただいまから地方行政委員会開会いたします。  本日は、委員長が所用のためおくれますので、その間かわりに私が委員長の職務を務めさせていただきます。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十四日、熊谷弘君、衛藤征士郎君及び鈴木正一君が委員辞任をされ、その補欠として、徳永正利君、木村睦男君及び丸茂重貞君が選任されました。     —————————————
  3. 夏目忠雄

    理事夏目忠雄君) 次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 夏目忠雄

    理事夏目忠雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事神谷信之助君を指名いたします。     —————————————
  5. 夏目忠雄

    理事夏目忠雄君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  航空機強取等防止対策を強化するための関係法律の一部を改正する法律案について、法務委員会に対し、連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 夏目忠雄

    理事夏目忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 夏目忠雄

    理事夏目忠雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  8. 夏目忠雄

    理事夏目忠雄君) 地方行政改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 冒頭ちょっとお聞きしますが、きょうは最終の質問で、自治体病院の医師不足問題との兼ね合いで、自治医科大学の入学者選考の仕方について質問を予定していますが、何かこの答弁者側が、自治省だとか文部省だとかというふうな形で決まらぬようですけれども、これはどっちかに決めましたか。
  10. 山本悟

    政府委員山本悟君) きのうお話を承りまして、一応入学試験やり方等につきましては私の方でお答えできるように鋭意資料を取りまとめましたが、学校の大学としての管理問題というようなことになりますれば、自治省というのは主管省ではないということになってまいりますので、特にその点文部省に私の方から連絡するということはやっていないということでございます。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 きょうは自治体病院に関する問題について質問をいたしたいと思います。  自治体病院の果たしている役割りについて、時間の関係もありますから、まず私は簡単に分析をしてみたいと思います。  第一に、現在の自治体病院のうち一般病院について見ますと、医療法による総合病院は二百九十一病院で、これらの病院はすべて都道府県広域地域中核病院としての機能を果たしています。しかも高度特殊医療救急医療総合対策、それから僻地総合対策基幹病院看護婦養成それから医師の卒後研修、さらに教育関連病院など、国の医療政策の遂行には、これは自治体病院協力なしには私は不可能だと実は考えています。  第二に、人口二十万人未満市町村にある三百八十三病院、その五〇%は、これは自治体病院であります。これはちなみに医療法人個人病院は二十四病院六・二%、国立も九・五%にすぎないわけであります。地域医療水準は、地域中核病院機能水準によって左右されるものでありましょう。また救急第二次、第三次医療僻地中核病院もこの総合病院基幹としなければ成り立たないと思います。  それから第三番目に、自治体一般病院のうち百床未満病院が三百二十九病院ありますが、このうちの八五%二百七十七病院人口五万人未満市町村にあります。その大部分というのはその市町村で唯一の病院であります。すなわち民間病院の敬遠するような経営環境の中で、あえて公共性のために病院経営を行っている、この私が述べた分析ですね。あえて異を唱えるべきところがあれば、自治大臣から、まずひとつ異があれば指摘してもらいたいんです。
  12. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 公立病院の果たすべき、また現に果たしております役割り機能、仰せのとおりだと存じております。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、一般的に言いまして、自治体病院公共目的を持っているがゆえに、あえて採算の困難な医療を行っているということは、これはもう確認をされると思うんです。この公共性から見て、人的な装備やら物的な装備というのは民間病院を大きく上回っております。また室料差額徴収あるいは付添看護というようなものは、民間病院に比較してはるかに少ないという状態になっています。ところが、現行画一料金制ですね、薬品偏重技術軽視料金制、こういうもとでは、自治体病院収支をとることはむずかしい仕組みであると指摘をしなけりゃなりません。  自治体病院財政について幾つか質問をいたしますが、ことしの三月十一日の衆議院地方行政委員会で首藤現事務次官は、——当時財政局長でありますが、こういうふうに答弁されているわけであります。「総合的な問題の解決とあわせまして、その後起こりました赤字について再びたな上げ措置そのほかの健全化対策をとる必要がある、このように考えておるわけでありまして、鋭意検討を続けさしていただきたい、」この検討の結果前進した回答が出ておれば、それを財政局長からお聞きいたしたいし、なお今日前進した回答ができないというんならば、検討の時期の終わりを明らかにしてもらいたいと思います。
  14. 山本悟

    政府委員山本悟君) 公立病院経営状況は、昭和五十一年度決算見込み等を見てみますと、過半数の事業が単年度では純利益を出している、こういうような状況になっておりまして、また不良債務を有する事業方向としては漸減をしている。ただし額というのは、特定病院で非常にふえるというようなことがございますから、総体としてはふえておりますが、事業所の数という面でとってまいりますと、漸減をしている、こういうようなのが全体の状況でございまして、いろいろ事業所によって非常な差が出てきていると、こういう状況が一般的に申せるんではないかと思うわけでございます。したがいまして、その不良債務を有する事業につきましてどう扱うか、先ほどお読みいただきましたような御答弁も、財政局長としてすでにやっているわけでございますが、そういうようなことでいろいろ検討を加えておりまして、自主的な経営健全化計画というようなものに基づきまして、その不良債務解消が図られるように指導したい。またそうして、そういうようなことをする場合には、財政措置というものも適切な強化をしたい、こういうようなことで検討を進めておるところでございまして、近い時期に結論を出すということができるんじゃないかというように存じておるわけでございます。  ただ、一般的に全体の不良債務をもう一遍全部たな上げしてしまってというやり方は適切なのかどうか、これはいろいろ考え方のあるところでございまして、先ほど申し上げましたように、自主的な経営健全化計画というようなことによって自主的に努力をしていただくし、また財政措置もする、こういうようなことが適切なんではなかろうかというようなのがいまのところの考えでございまして、なるべく早い時期にそういう方向結論を申し上げられることができますように持っていきたいと思っております。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 自治体病院財政再建策検討に当たって、その公共的な性格というものを位置づけておくことが必要でしょう。国の医療政策第一線機関という性格ですね。そういう性格があるわけでありますから、医療の量的あるいは質的な地域格差解消に果たしている役割りをきちんと評価する基準を私は持っている必要があると思うんです。持ってもらいたいと思っているわけです。そういう位置づけを行いますと、現行の出来高払い診療報酬制度のもとにおいては、自治体病院経営は、どうしても不採算の生ずることはやむを得ない。この基本認識について、いま御答弁がありました自治省検討内容との関連でどういうふうにお考えになりましょうか。
  16. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御指摘のように公立病院というのは、先ほど来お述べになりましたように、いろいろな特殊性を持っているわけでございます。それに対しまして社会保険診療報酬というものが画一的であったことというようなことがあるわけでございまして、それらの点がやはり公立病院経営をむずかしくしている理由であることは御指摘のとおりであろうと思います。ただいまお述べになりましたような、公立病院としての特殊性というようなのは、やはり普通会計との間の負担区分といったような問題にもなってくるわけでございまして、そういった点で普通会計として持つべきものは持っていくというような考え方も取り入れまして、いろいろ措置をやってきているわけでございまして、なおかつさらにそういった保険での検討というものは続けていく必要があると、こう思っておるところでございます。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 先ほどの答弁との関連でありますが、累積赤字はこれはいろいろ考えてみても放置できない状態だと思うんです。そうするとこの対策はとられると受けとめておいてよろしいですか。
  18. 山本悟

    政府委員山本悟君) 自主的な解消計画というものをおとりいただくということと見合いまして、解消に対する財政措置もしていくと。こういうことによって、先ほど申し上げましたように、全体がすべての同じ傾向になっているというわけでございませんものですから、先ほど申し上げましたように、特定のところは非常に困っている、相当数のところはだんだん改善されていると、こういったいろいろな個々の事情がございますものですから、やはり非常に状況の悪い企業というものについては努力もしていただきたい。そういうものとあわせ考えまして財政措置もしてまいりたい、それが自主的な再建計画、これはもう強制とかいうものじゃございませんで、自主的にやっていただきたいというような気持ちでおります。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 改善方向が見えている見えていないの問題で、特に過疎地域などの自治体病院の問題については、後ほど触れたいと思うんですが、過疎四法の縛りでもってにっちもさっちもいかなかったり、あるいは人員規制でもってにっちもさっちもいかなかったり、内部努力をして改良していけば、改良していっただけ困るという状態、国の補助金はなくなってしまうというような、いろいろな点は後ほど述べますけれども、したがって、よいところもあれば悪いところもあるというような、そういう意味のことを含んでいまの答弁を受けとめておきたいと思うんですが、この四十九年度発行特例債金利ですね、当時の金利水準からこれはきわめて高い、借りかえ措置などをやるべきだというふうに考えますけれども、そういうお考えはいまお持ちになりませんか。
  20. 山本悟

    政府委員山本悟君) 確かに四十九年当時出しましたその時期の金利でございますから、全体として現在に比べれば高いと御指摘のことがあるわけでございますが、実はそのときに出しました五百六十九億のうち五百三十九億というのが縁故資金縁故資金ということになりますと、やはり発行団体ごとに相手方のあるという話になってまいりまして、一般的に一斉一律の措置によって借りかえをするということは事実上金融上の扱いからいきましてもむずかしいというような問題になってしまっているわけでございます。公営企業金融公庫の貸し付けは三十億ございますが、この分につきましては考えられるかもしれませんが、縁故というものはやはり金融やり方としまして一斉一律に借りかえをしろということはむずかしいようなことでございます。なお特例債元金償還額につきましては、ことしから例の普通交付税措置も四〇%から五〇%さらに上げるというようなことをいたしまして、当該団体負担の軽減というものには、私どもとしてもぜひ協力していきたいと思っているところでございます。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省診療報酬ですが、診療報酬五十一年二月のこの物価賃金水準によって五十一年四月に改定されたもので、すでに二年近くなる。この間の物価賃金の上昇によって五十二年度病院収支というのはさらに悪化すると思われますね。で、厚生省ことしの通常国会で涼しくなったころにはという、涼しくなって考える、こう答弁しました。すでにその時期を過ぎました。で、諮問延期理由というのは何ですか、またいつ諮問しますか。
  22. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 先生指摘のとおり、前回の診療報酬改定というのは五十一年四月でございます。御指摘のように、その後の経済情勢というのも変動しておるわけでございまして、物価人件費等も上昇しているということでございます。したがいまして、診療報酬改定というのは厚生省としても考えなければいけないということでございます。ただ、診療報酬改定は当然中医協の御審議をいただかなければならないということで、実は昨年の十一月以来歯科の問題で中医協が一時中断しておったわけでございますけれども関係者の御理解、御協力も得まして、長いこと中断しておりました中医協がことしの八月に再開されたわけでございます。そこで、再開されました中医協におきまして、私ども診療報酬改定の問題を御論議いただく、いずれにいたしましても、厚生省が最終的には諮問案というのを中医協に提出するわけでございますけれども、その間にやはり中医協は各側から構成になっているわけでございますので、関係者の御意見を十分承った上で諮問申し上げるということで、八月に中医協が再開されまして、その後五回ほど中医協審議を行っております。その段階におきまして、診療側なりあるいは支払い側というものの御意見もある程度出たわけでございます。そこで厚生省の方で諮問案を提出すべきであるというようなことから、実は今月の九日に厚生省が各側と折衝の上諮問案を提出すべきであるというようなことで、中医協厚生省諮問という段取りになったわけでございます。ただ、中医協におきます協議の段階におきまして中医協会長からも、各側と折衝厚生省諮問をしたという際にそこで混乱が起きることのないように、十分各側と折衝した上で厚生省諮問案を提出すべきであるというようなことから、厚生省の方もある程度の期間をいただきまして各側と折衝を始めたわけでございますけれども、現段階におきまして各側との非公式の折衝を続けておりますけれども、その段階におきまして非常に意見の食い違いがあるというような点もございますので、先般の九日の諮問案の提出ということに至ります段階にまいりませんで、中医協円城寺会長にも御相談申し上げまして、できるだけ諮問案調整につきましてさらに鋭意この問題を詰めたいということで、九日の中医協諮問というのは延期していただきたいということで、九日の諮問ということは延期されたわけでございます。私どもも、厚生省諮問案を提出するということでございますので、できるだけ意見調整を図りました上で、早急にこの問題解決いたしまして、診療報酬の引き上げの案というものを諮問いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  23. 和田静夫

    和田静夫君 現行自治体病院施設設備等、これは自治省厚生省、どちらになりますか、これらに対する補助金ですが、公的医療機関施設整備費補助金、それから同設備整備費補助金、それから救急医療施設整備費補助金、同設備整備費補助金、それから僻地中核病院施設整備費補助金、同設備整備費補助金、こういうような形でたくさんあるわけですが、これらの補助金というのはずっと調べてみると大変少額ですね。で、まず、いま述べた補助金実行率、これは厚生省からちょっと説明していただけませんか。
  24. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 毎年予算は消化させていただいております。
  25. 和田静夫

    和田静夫君 これ、きのう質問通告で具体的に説明しておいたがね、補助基本数実額との比というのはどういうことになっていますか。
  26. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 大まかに申しますと、建物については若干補助額の方が低いように思われますが、械機とかシステムの補助金につきましては、これは買い方もございますけれども補助基本額の方が若干高いという状況でございます。いずれにいたしましても、建物単価にしても機械単価にいたしましても、またさらに運営費単価にいたしましても、年々改善努力はいたしております。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、五十三年度国家予算要求に向かってどれぐらいの改善になるわけですか。
  28. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 五十三年度要求につきましては、特に建物につきましては、これは統一要求でございますので、約一〇%ぐらいの増加要求であったと思います。また機械につきましてはおおむね従来どおりで、員数の増も要求をいたしております。また運営費要求でございますが、これはやはり単価、つまり賃金その他のアップを要求いたしておりますし、また種類によって異なりますが、員数増加要求をいたしております。しかしながら、大まかに申しますと、主として個所数増加の方にウエートを置いております。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 建設改良費にかかる補助金ですがね、これ自治省自治体運営所管する立場から自治省要求していくべきではないかと考えますが、そういうお考えありませんか。
  30. 山本悟

    政府委員山本悟君) 自治省というのは地方団体に対しまして地方財政その他全般的なことは所管をいたしておるわけでございますが、やはり特定事業特定の系統の補助制度というようなことになりますと、これはやはりそれぞれの所管省におかれてやっていただくというのがたてまえでございますし、またそういう方向で、各省ごとにもお願いをせざるを得ないんじゃなかろうか、直接自治省要求するというのはいかがなものであろうかと思っております。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省自治体病院運営費に対する補助金のうちの特殊診療部門運営費を見てみますと、不採算地区病院への補助金ですね、これは補助対象に、取り扱い患者数過疎四法の二つ縛りをかけていきますね。これはなぜですか。
  32. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) その理由は、やはり経営が非常に困難な公的医療施設に対して補助をするという性質に基づいたものであると思います。したがって現在は、御指摘のとおり過疎四法の縛りがまずございますが、しかし、これは少し厳し過ぎるのじゃなかろうかというので、明年度予算要求ではその拡大を図っております。  次に、取り扱い患者数でございますが、これはなかなかむずかしいところでございまして、最初に申し上げました非常に経営が困難な病院対象にするという原則に立ちますと、現在の基準でございます入院患者が百人、外来患者が百五十人というようなところは、一種の病院損益分岐点のようなところではなかろうか、それ以上の入院患者外来患者が参れば、経営改善が図られれば黒字にも転向し得るのではないか、そういった病院管理上の、経営管理上の問題がございますので、この問題についてはさらによく調査はいたしますけれども、当面その基準拡大する計画は持っておりません。
  33. 和田静夫

    和田静夫君 その過疎四法について、たとえば日赤など公的病院では適用していませんね。この差はなぜか大変疑問なんですが、私は公的病院と同様に自治体病院を扱うべきだというふうに思いますが、いま厳し過ぎるから拡大の用意があるというお話でありますが、言ってみれば日赤など公的病院並みにするというお考えですか。
  34. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 結論から申しますと御指摘のとおりでございますが、ただ自治体病院の場合には、先生よく御存じのように、交付税とか特別交付税が参っておりますので、それとの調和を図る必要はあろうかと考えております。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 それから、取り扱い患者問題ですでに御説明がありましたが、現行のこの入院百人それから外来百五十人を超えても、地域の需要に応じて不採算医療を行っている事情に変わりはないわけですね。そうしますと、私はやっぱりここを再検討を望みたいわけです。当面たとえば入院患者二百人あるいは外来三百人というような程度に拡大することは考えられてよいのじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  36. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 当面そのような考え方は持っておりません。しかし、そういった小病院のいわゆる損益分岐点と申しますか、標準的な経営管理のあり方というような点についての調査研究は続けております。
  37. 和田静夫

    和田静夫君 いまの点は私の方は強く望んでおきます。で、研究をされた結果、やはりいま申しましたような形で善処されることが実情に合う、そういうふうに述べておきたいと思います。  それから、特殊診療部門運営費補助金の問題で、おたくの補助金要綱によりますと、県が三分の一出すと国も三分の一出す、そういう仕組みになっていますね。この結果、県が補助金を出さないところでは国は出さぬということになりますね。そういうことで、県が補助金を出さないところでは補助金がもらえないという、そういう特殊診療部門運営実情があるわけですが、いま補助金を出していない県はどこですか。
  38. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) ただいま資料を精査いたしまして回答いたしますので、ほかの御質問がございましたら、先にしていただきたいと思います。
  39. 和田静夫

    和田静夫君 これ自治省にお聞きしますが、私は、こういうような補助金というのは事業主体以外の支出を国が強要することになっていますね。こういう補助金は、私は、取りやめるべきだと、言ってみれば国が充足をさせる、そういうようなやり方にすべきではないかと思うんです。これは自治省いかがでしょうか。
  40. 山本悟

    政府委員山本悟君) 基本的にはそういった要綱的な扱いによりまして、地方団体に事実上の義務みたいなかっこうで負担をさせるというかっこうになるわけでございますから、補助制度そのもののあり方といたしまして、そういったかっこうのものは自治省としては余り適当ではない、直接に国の目的のためにおやりになるものはおやりになったらいいんじゃないか、こういうような気持ちは基本的には持っているわけですが、個々の具体の補助制度そのものにつきましては、なお研究させていただきたいと思います。
  41. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 先ほどの和田委員の御質問でございますが、県が三分の一を持っていないので国の補助金が行っていないというような事例はないと私ども考えております。  また、現在の国が三分の一、県が三分の一、自治体が三分の一というような補助金の交付方法でございますが、たとえば一番歴史の古い防疫対策、コレラ等の急性伝染病対策でございますが、こういったものは明治七年から始まっておりますけれども、衛生関係はその時代から国と県と地方が三分の一ずつ分担をする。それは地元の市町村の固有事務でもあるが、県も応援する、国も応援する、そのような考え方で一般的に進んでまいっております。
  42. 和田静夫

    和田静夫君 その前段のお答えですが、いわゆる県が補助金を持っていないところ対象にしていませんから、厚生省の側は持っているところは全部払っているわけですから、そういう意味ではうちは外しているところはないというお答えになるわけですが、私の言っているのはそういうことではなくて、県が実際問題として三分の一を持っていないから厚生省は初めから対象として考えていない、そういう県があるわけでしょう。それはどこですか。
  43. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 私どもはそういうところはないと考えております。
  44. 和田静夫

    和田静夫君 いやいや、それはないと言ったって、現実あるから。そんな答弁答弁にならぬですよ。
  45. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 私どもは、和田委員がおっしゃるように、県が三分一持たないから出さないということではなく、この運営費補助金についてはいろいろな要件が付されておりますので、その要件を満たさないために交付されていない、そのように考えております。
  46. 和田静夫

    和田静夫君 これはいまの厚生省答弁に対して自治省どうですか。
  47. 山本悟

    政府委員山本悟君) 基本的には、先ほど申し上げましたように、たとえば伝染病のように負担区分としてはっきりと国、何分の一、府県、何分の一、市町村、何分の一と、こういう負担区分があるものにつきましては、それはそれなりで結構でございますが、そういうかっこうじゃなくって、県が出せば国も出すという言い方だけの場合にはいささか問題があるんじゃないか。個々の具体の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、研究させていただきませんと、明確に御答弁申し上げかねるわけでございますが、方向といたしましては、私どもとしてはそういう感じを持っているということでございます。
  48. 和田静夫

    和田静夫君 いまの自治省の側の答弁というのは、厚生省の側も少しよく吟味してもらいたいと思うのですよ。実際問題として要件を満たす、満たさないということで、要件を満たさないから、したがってというふうに外されているわけでありまして、現実にある。  それで、ここのところはやっぱりこの種補助金のいわゆる制度についてはもう少し抜本的に両者協議をして考えてみる必要があると思いますね。これは自治大臣いかがでしょうか、厚生大臣などと協議をしながら、少しここの部分の取り扱いというのは考え直した方がいいというふうに私は思います。
  49. 小川平二

    国務大臣小川平二君) いま御指摘をいただいた点につきましては十分研究をいたしたいと思います。
  50. 和田静夫

    和田静夫君 これに限りませんが、自治省、こういうような県を経由する補助金というのはほかにもあると思うのですが、そういう資料は一覧でできますか。
  51. 山本悟

    政府委員山本悟君) 主要なものは出せると思いますので、御提出いたします。
  52. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ、その主要なものについて、資料要求をしておきます。よろしいですか。
  53. 山本悟

    政府委員山本悟君) 承知いたしました。
  54. 和田静夫

    和田静夫君 それから、高度医療についてでありますが、高度医療についても現在がん施設だけを対象にしていますね。地域基幹中核病院である自治体病院で行っているこの現行料金制度などから、不採算になる特殊高度医療全般というものを私は対象とすべきではないだろうか。たとえば大都市では頻度が高くて採算医療であっても、中小都市では頻度が少なくて不採算になるもの。医療の水準差によって不採算になるものとして、脳外科あるいは心臓外科あるいは小児病棟、リハビリテーションというようなものがあります。また精神病院は、精神医学の進歩に対応した診療方針なり、社会復帰に伴う積極的な措置をとれば当然これは不採算になります。ここの部分は私立の精神病院というのは大変もうけているからあれですが、結核病院は、たとえば一般的に不採算で、民間は転換していますが、自治体では経営をせざるを得ませんからしでいる。こういう点というのはどういうふうにお考えになりますか。
  55. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 現行制度といたしましては、御指摘のように高度不採算医療対象にして補助金を交付しているのでございますけれども、いま和田委員指摘のように、高度不採算医療というのは数え上げると幾つもあるではないか。それを一つ一つ対象にしていくのか、それとも病院を全体として基幹病院的なものは運営費補助を出すんだというふうにした方がいいのかといった基本的な問題がございます。しかし、私ども明年度予算要求といたしましては、たとえば御指摘のあったものの中で、小児医療はまず対象にしたいと、こう考えております。ただ、御指摘のあった中で、脳外科と申しますと、これは救急医療にも密接な関係のある分野でございますが、心臓外科という分野につきましては、現在欧米におきましても心臓外科を余り分散するのは国の医療政策として得策ではないのではないか。やはり一部の基幹病院に集中すべきではないか。人的、物的に見まして非常にむだが起こるというような考え方が強くなってきているわけでございます。したがって、そういう点もよく検討しながら今後の改善を図ってまいりたいと考えております。
  56. 和田静夫

    和田静夫君 五十二年度のこの地方財政計画では、病院事業会計に対する繰り出し金として千三百七十八億円が計上されていますが、交付税では二百五十億円、それだけしか措置されていないわけです。これはなぜでしょうか。
  57. 山本悟

    政府委員山本悟君) ただいま御指摘のございましたように、財政計画におきましては千三百七十八億円措置をいたしているところでございます。地方交付税で具体に各団体に対します措置というのも、いろいろと逐年拡充をする努力をいたしてきているところでございまして、地方交付税におきます具体の措置といたしましては、五十一年度では普通交付税特別交付税合わせまして約四百四十億ばかし入れている。さらに五十二年度におきましては、市町村分につきまして普通交付税の算定上、密度補正によりまして総額四十二億何ばかしを入れるというような措置を講ずる等逐次改善を図ってまいっているところでございまして、その方向というのはなお今後とも検討し、さらに何といいますか、算入するべき率というのを高めてまいりたい、こういう気持ちでいるわけでございますが、何分にもやはり新しく入ってきましたようなこういった負担区分であるというようなこともございまして、一気になかなか基準財政需要額なり特別交付税なりで相当高いところまで見ていくということが非常にむずかしい状況であったわけでございますが、さらに高める方向検討を逐年続けていく必要がまだあるのじゃないか、こういうように思っているところでございます。
  58. 和田静夫

    和田静夫君 高める方向検討されるというのは非常に結構な話でして、ぜひそれ求めますが、せめて繰り出し金の二分の一は交付税措置すべきだと思いますよ。それはそういう方向努力されますか。
  59. 山本悟

    政府委員山本悟君) 各年度地方財政全体の姿があるわけでございますので、どれまでということをなかなか言いにくいわけでございますが、方向といたしましては、そっちの方向に持っていくように努力をいたしたいと思います。
  60. 和田静夫

    和田静夫君 自治体病院のこの建設改良の起債に対する政府資金ですが、これ一件二十五億円の限度額が設けられておる。これを超えるものは縁故債に依存せざるを得ない、そういう実情であります。現在病院建築は一床当たり最低一千万はかかる。すると、二百五十床程度。しかし自治体病院の中にはそれ以上のものが多い。自治大臣は、五月十二日の地行で私のこの質問に対して、改善のためひとつできるだけの努力をしてみたいと言われたんです。大臣、これ努力結果はどうですか。
  61. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 政府資金の一件当たり限度額は、御高承のとおり逐年引き上げてきておるわけで、四十五年八億、四十六年の十億、四十八年十五億、五十年度におきまして二十五億円と、こうなっておるわけでございますが、五十二年度におきましては、従来限度額の計算の中に含まれておりました医療機器あるいは医師、看譲婦宿舎の分を別枠扱いにすることによりまして実質的な引き上げを図ったわけでございます。五十三年度におきましては、これをさらに改善いたしますように関係省に対して要望をいたすつもりでございます。
  62. 和田静夫

    和田静夫君 同じ質問ですが、大蔵省、これどういうふうにお考えになりますか。
  63. 副島有年

    政府委員(副島有年君) ただいま自治大臣から御説明がありましたように、最近におきまして病院事業は建設の単価もアップしておりますし、病院経営規模も拡大をしておりますし、そのほか特殊付帯設備等の強化で事業費の増大を見ていることは事実でございます。したがいまして自治省からも、ただいま大臣から御説明がございましたように、限度額の引き上げの要望を受けておりますので、いま申し上げましたようないろんな事情を踏まえまして五十三年度予算の際に検討していきたいというように考えておる次第でございます。
  64. 和田静夫

    和田静夫君 政府資金で全額充当すべきでありますが、もし困難であるとしても、この不足分については、たとえば土地購入資金ですね、こういう特利の公営企業金融公庫資金を導入すべきだと、こう思うのですが、これはまず自治大臣いかがですか。
  65. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 不足分につきましてできるだけ良質な資金を供給したいと、かように考えまして、仰せのように、さしあたって用地費につきましては公庫の融資対象にできまするように関係省庁とただいま協議を進めているところでございます。
  66. 和田静夫

    和田静夫君 これは大蔵省いかがですか。
  67. 副島有年

    政府委員(副島有年君) 現在基準を超える部分については縁故債で認めているわけでございますが、政府資金の充当は私どもとしては政府資金の効率的な使用あるいは適正な配分ということのためにも基準額の範囲内にとどめるべきであるというふうに考えております。したがって、そこに重点的に使用することが先決であるというふうに考えております。
  68. 和田静夫

    和田静夫君 この建設改良債は、何というか、査定基準実情に即しておらぬです。三〇%程度不足をして、その分縁故債になる。私はやっぱりこれ実情に沿うように改善努力はされるべきだと思うのですが、大蔵どうですか。
  69. 副島有年

    政府委員(副島有年君) 先ほど申し上げましたように、政府資金の充当限度、これはそういうことでできるだけ実情に合わせるようにしていきたい。ただ、それを超える部分につきまして、これに政府資金を充てるべきかどうかということについては、私が申し上げましたように、まだまだ基準内の需要が非常に強い段階において政府資金を充てることには私どもは疑問を感じております。ただ、基準をどうするかという問題は、これは厚生省の御判断の問題だと思います。
  70. 和田静夫

    和田静夫君 そこで厚生省厚生省は先ほど言ったような意味での資金の導入については何か反対をされているような感じですが、そんなことはありませんか。いまの基準問題を含んでどういうふうにお考えですか。
  71. 木暮保成

    政府委員(木暮保成君) 厚生省所管をいたしております年金の積立金、昨年度末で十七兆弱になりまして、非常に膨大な額でございます。その運用が一つの大きな問題になっておるわけでございまして、この運用につきましては、保険料を掛けております事業主、被保険者の方々を中心といたしまして使途を明確にするようにと、それからまた融資対象を国民生活に直結する部分に充当するようにというような御希望がかねがねございまして、私どももそのとおりにしなければならないというふうに考えておるわけでございます。そういう趣旨に基づきまして、昭和三十六年に国民皆年金という体制に入りましたのを機会にいたしまして、地方公共団体に年金資金を融資する場合には、特別地方債という整理をいたしまして、私どもの資金を一元的に使っていただくというようなことにいたしておるわけでございます。これによりまして、先ほど申し上げましたような積立金の使途が一目瞭然になるということも担保できますし、また特別地方債の対象にいたしておりますのは、ただいま議題になっております病院事業とか社会福祉施設、そういうものでございますので、国民生活に密着した分野で生かせるということになるわけでございます。また、そのことによりまして掛金を掛けていただいております事業主、被保険者が、年金の資金が如実に国民生活に役立てられておるということを見ていただけるというようなことになっておるわけでございます。こういうことでございますので、私どもといたしましては、貸付条件等を改良を努めてまいりましたし、今後とも改良していかなければならないと思っておりますけれども、従来のやり方でやらしていただきたいと、かように考えておるわけでございます。
  72. 和田静夫

    和田静夫君 さっきの土地購入資金の自治大臣の御答弁がありましたが、これに対して厚生省は純潔主義だとかなんとか言って反対されている。理由はそういうことでしょう。そういうことですか。
  73. 木暮保成

    政府委員(木暮保成君) 純潔主義ということでございますが、これはただいま申し上げましたように、事業主、被保険者の方々から使途が明確になるようにということが要望されておりまして、そういう形で特別地方債という整理をいたしまして、年金の資金を充当する分野を明確にしておるということでございます。
  74. 和田静夫

    和田静夫君 その分野を明確にされている。しかし、それでは実情として不足をする。したがって、土地購入資金についてはより良質な財源というものを他から求める。その一例として私は公営企業金庫から求めたらいいじゃないかということを言った。自治省はその立場に立って折衝を大蔵にもされる。こういう御答弁でありました。これらはやっぱり協議する価値があると私は思うんです。そういう立場に立って協議をされますか。
  75. 木暮保成

    政府委員(木暮保成君) 関係各省と十分協議をしたいと存じますけれども、私ども考え方といたしましては、用地費等につきまして不十分であれば、現在の特別地方債の形でなるべく充実をしていきたい、こういうふうに思っておりますけれども、御指摘のように十分協議をしてまいりたいと思います。
  76. 和田静夫

    和田静夫君 この改良費用でありますが、改良費用についても、私は病院設備の実態を考えてみますと、全額を融資対象とすべきだと考えているんです。あるものを改良しようという、いわゆる存在するものを改良しようとするのが、過日の世界病院学会などでも大勢を占めたと報告をされています。そうすると、病院建築費の二分の一は付帯の設備費でありますから、この耐用年数は十五年以下だと、ところがこの耐用年数の延長になるものしか起債を認めない。そういう結果、改良費用がないために、せっかく改良をしていって使えるものがあるのに全部壊して新築し直す、そういう建て直しをしているという話も聞く。これは非常に不経済な話だと思うんですよ。これは自治省どういうふうにお考えになっていますか。
  77. 山本悟

    政府委員山本悟君) 病院の改造に要します経費につきまして、そのすべてを起債対象とすることはなかなかむずかい問題のようにも存じますが、現在のところでも、たとえば消防法なり建築基準法等に基づきます施設の整備や施設の機能の向上といったようなものに資する改造等につきましては起債の対象にしているというような、運用面におきましてできる限りの実情に合うような対応をしていっているというのが現在の姿でございまして、関係省庁とも協議をいたしまして適切に措置ができるように私どもとしては努めてまいりたいという気持ちを持っております。
  78. 和田静夫

    和田静夫君 これは大蔵省どうですか。
  79. 副島有年

    政府委員(副島有年君) 自治省ともよく相談をしてまいりたいと思います。
  80. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省、看護料ですが、看護料は自治体病院の財政を左右する状態になっています。現行料金は昭和五十年の原価さえ保障していない。自治省の公営企業年鑑で見てみますと、一人一ヵ月支出が二十五万八千二百三十五円、一方、看護料は特二類で十九万九千五百円、差し引き看護員一人一カ月について五万八千七百三十五円、年間で七十万四千八百二十円の赤字になっている。で、推定では本年度はさらに悪化して一人年間百十六万九千円ぐらいに上るでしょう。これが自治体病院経営悪化の大きな要因となっていると考えられますが、いかがですか。
  81. 山本悟

    政府委員山本悟君) 現行社会保険診療報酬におきます看護料、例の手厚い看護体制をとる場合におきましては、看護職員一人当たり、換算いたしますと十九万九千五百円。それが実績の額に比べて低いではないかという御指摘であろうと思いまして、やはり現実の姿との関係から言えば、その差というのも非常に病院経営上今後困難にする理由の一つには当たっていると思うわけでございますが、そのどの水準をとるのが適当なのか、合理的なのかということになってまいりますと、単純な実績との比較というだけでも済まない問題もあるいはあるかというような気もいたすわけでございます。まあ府県、大都市、都市、市町村と、いろいろな段階によりましてそれぞれの看護一人当たりの額というようなものも違ってまいるわけでございまして、非常にむずかしい問題でございますが、合理的な基準に基づいて適切な診療報酬改定ということは私どもとしてはぜひやっていただきたいという気持ちを持っております。
  82. 和田静夫

    和田静夫君 厚生省は、診療報酬というのは、個々の行為ごとの原価を計算せずに、総体で医療機関の経営費を賄うように定めているという主張をずっとやっていらっしゃいますが、薬剤費だけは個々の行為が採算をとれるように計算して定められていますね。しかも、過大な利潤までも何か保障をされているという感じです。そうすると、看護料の場合は、患者何人に一人という基準を明確に定めている以上、薬価と同様個別に私は計算すべきではないだろうか、そう思うんです。しかも、この看護料の場合に、計算の基礎となる平均給というのは、薬価で九〇%バルクラインをとるなら、私は同様のバルクライン方式によるべきだろう、そういうふうに考えるんですが、これは素人の考えなんですかね。いかがでしょう。
  83. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) 社会保険診療報酬の中で、看護の問題につきましても、当然看護料ということでできるだけ実態に合わせるということでやっているわけでございますし、特に最近におきます人件費なり、あるいは賃金の上昇傾向から考えましても、診療報酬改定の際には、看護料につきましては特に重点的に考えているわけでございます。先般の五十一年の四月の改定の際も、五十年度におきます人事院勧告が一〇・九%、あるいは春闘が一三・一%というような実績だったわけでございますが、五十一年の四月の診療報酬の看護料の際には一五・六%というような引き上げを行っているわけでございまして、そういう意味からも、看護料につきましては重点的に考えているという点を申し上げられると思いますし、次回の診療報酬改定の際にも、これらの問題につきましては十分配慮していかなければならないというふうに考えております。
  84. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、いまの看護料のいわゆるバルクライン方式ですね、そういう形のものまで煮詰めてお考えになるということになりますか、いまの御答弁は。
  85. 八木哲夫

    政府委員八木哲夫君) バルクライン方式というよりか、薬価の場合とやや違うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、現実におきます看護婦さんの人件費の上昇というものにつきましては、十分考えた上で看護料というものを考えていきたいというふうに思っております。
  86. 和田静夫

    和田静夫君 その看護婦の問題で、たとえば国立病院には、一般会計で、五十二年度予算で見てみると、国立病院の療養所の看護婦の処遇改善費が二百九億円あって、自治省に尋ねますが、これは夜間の手当の引き上げ三十九億やら夜間看護体制百六十九億やらというようなことになっていますね。看護婦の人員一人当たり年額八十七万円というようなことで計算されていますが、もし国がいま全額保障ができないとすれば、私は、不足分というのは当然自治体の一般会計で負担するという考え方、いわゆる負担額を国が交付税等で措置をする、そういう考え方、国の予算検討して国立病院との関係において考えてみると、国と国立病院自治体自治体病院という関係考えてみるとそういう論理になると思うんですが、自治省、そう受けとめますか。
  87. 山本悟

    政府委員山本悟君) 基本的には、この問題、やはり社会保険診療報酬改定ということによって措置されるべきことで、その方が解決いたしませんで一般会計の方で直ちに持つことが地方財政全体として適当なのかどうかということは、よく検討をしてみなければならないことではなかろうかというような気もいたすわけでございまして、ただいま御指摘のように、国立の病院がこうであるから、直ちに現状において地方の場合も一般会計で持つという方向に踏み切るということは、ちょっと全体の地方財政問題といたしましてもむずかしい点があるんじゃないかというような気持ちをいたしております。
  88. 和田静夫

    和田静夫君 看護学院の運営費をちょっと聞きます。これは、看護学院の性格上私は全額国が負担すべきであると考えているんですが、いまこれ二分の一ずつですかね。基準額の算定において、実習に要する諸経費、特に指導員給与費、いわゆる教官兼務の病院職員、そういう教育のための時間に対応する給与、宿舎の所要経費なども織り込むべきではなかろうか。  なお、自治体病院では、医師の養成所、医師会の養成所、あるいは高校の看護科などの実習教育、そういうものを委託されていますね。ところが、実習に伴う経費の補助制度がない状態です。これは問題じゃないかと思うのですよ。ちなみに国をちょっと調べてみると、国立大学の場合には、文部省、委託費を依託先から生徒月三千円取っている。こういうことにいまなっているんです。この委員会には鹿児島県知事経験者もいらっしゃいますが、鹿児島の県立病院なんというのは大変でして、五つか六つぐらいのところからこういうあれを全部無料で抱え込むものですから、経営は大変そこの部分からあれになるという形になっていきまして、ここのところは、これは厚生省ですか自治省ですか、十分考えるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  89. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) まず厚生省からお答えを申し上げます。  前段の、看護婦養成所の実習にかかる経費の増額につきましては、御指摘のとおりであると思っております。現在のところは教材費等が入っているだけでございますけれども、実習担当教官の費用だとか、それから、二番目の御質問関係してまいりますが、実習病院に対する謝金だとか、そういったものも組んでいくべきだと思っております。そういった改善を図ろうと五十三年度では努力をいたしているところでございます。  なお、実習を担当する病院はおおむねいわゆる基幹病院でございますので、いろいろほかの建物、設備、運営費等の補助金を重点的にそういうところにも差し上げるというような配慮もいたしてきておりますけれども、あらゆる施策を総合して看護婦の実習の改善あるいは確保については努力をしてまいりたいと考えております。
  90. 和田静夫

    和田静夫君 これは、自治省、よろしいですか。
  91. 山本悟

    政府委員山本悟君) ただいま厚生省から御答弁のありましたように、改善方向予算要求等もされているようでございますから、それを大いに応援をしてまいりたいと思います。
  92. 和田静夫

    和田静夫君 救急医療問題ですが、自治体病院救急医療に対する協力が不十分であるというようなことが何か巷間言われるような不幸な状態が生まれていますが、これはそんなふうに厚生省考えになっていますか。
  93. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 日本全国の資料で見ますと、国公立の病院関係しております救急医療は、消防が搬送いたしました患者ではおおむね二五%でございまして、四分の一ということになっております。この点がいろいろ世間から批判を浴びているのではないかと思っておりますけれども、ただ、各都道府県あるいは各地域で見てまいりますと、むしろ自治体病院の方がその地域救急医療を全面的に担当しているというところもあるわけでございます。
  94. 和田静夫

    和田静夫君 いまお答えになりましたが、特に後者の部分で非常に重要な点は、百床未満病院を含んで、救急告示を受けていない病院の九五%というのが夜間休日診療を実施している。これは、自治体病院協議会というのの調査をずっと見てみますともう明確であります。また、休日夜間診療を実施しながらも告示を受けない理由として、医師の充足難、救急告示制度、地方自治体並びに自治体病院の財政難、それから地域住民の過度の期待というようなものが挙げられていますが、告示を受けない理由としてこういうふうに挙げられている点というのは、こう受けとめておいてよいと厚生省はお思いでしょうか。
  95. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 一般的に申し上げますとただいま和田委員指摘のとおりであろうと思います。ただ、救急告示病院診療所というのは、三十八年の消防法の改正、それに基づく三十九年の厚生省令に基づいて設けられた、けが救急対象とした、つまり外科系の救急担当医療機関の制度でございます。したがって、内科系の強い病院にとりましては、この告示病院制度は向いていないわけでございます。しかしながら、自治体病院の使命というのがございますから、そういった病院も何らかの方法で医師を確保して、外科的な機能を持って告示に参加すべきではないかという御議論もあろうかと存じますけれども、やはりそういった要員を全国方々の市町村で確保していくということは、現時点においてはまだマンパワーの点でかなり無理があろうと考えております。
  96. 和田静夫

    和田静夫君 これは財政面からちょっと考えてみますと、救急診療は告示の有無によらず、実際にまあ実施をしているわけですね。そうすると、自治体病院に対し、私はすべてこの救急医療補助対象といいますか、そういう形の取り扱いにすべきだと思うんですが、これはどちらですか、厚生省ですか。
  97. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) すでにその病院赤字病院でございますれば対象にしているわけでございます。厚生省予算書を見ていただけばわかりますように、救急医療対策はいわゆる一次、二次、三次と指定された医療機関の建物、設備、運営費に配る予算が一括して計上してございますが、そのほかに自治体病院とか、あるいは日赤、済生会の公的な病院につきましては、運営費赤字補助の部門にも、救急診療というような部門がございまして、もしその病院赤字であるならば、すべて基準を設けて補助対象にしております。  まあ、先生がおっしゃるように、黒字病院までもということは、いまの段階ではとても無理であろうと考えております。
  98. 和田静夫

    和田静夫君 救急医療の総合対策の第二次病院、これはまあ輪番制をとっております。輪番制に組み入れられない自治体病院ですね、あるいは組み入れられても非番の日は救急医療補助対象になってませんね。そうすると、非番の日は救急医療を拒んでもよいのだろうかという疑問がわきますね。実際は、自治体病院は非告示でも非番の日でも、救急患者が来れば診療を行わざるを得ませんよ。したがって、常時救急体制を整備をしておく必要がある。そして、その重要さというのは、これからますますふえる。だとすれば、それに要する経費は当然国が見る、こういうことが必要になると思うんですが、この部分についてはどうですか。
  99. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 救急医療担当のシステムの組み方といたしましては、ただいま和田委員指摘の、地域病院の輪番制——きょうはこの病院、あしたはこちらの病院という方法が一つございます。それから毎日各病院が診療科を協定いたしまして、この病院はきょうは内科、この病院はきょうは外科、この病院はきょうは産婦人科という診療科目協定方式という方法も採用しておりまして、実態から申しますと、この方法の方が多いわけでございます。しかし、あるべき姿は、どっか一つの救急病院というのがはっきり決まっておりまして、その病院が一つで全部引き受ける、周りの病院や診療所もできるだけ応援するというのが本来のたてまえであろうかと思いますが、そのようないろんな方式がございますけれども、先ほど申し上げましたように、輪番制に入りました病院については、救急医療対策として補助金が行くわけでございます。輪番制に入らなかった自治体病院には、例の運営費補助制度として補助金が行くわけでございます。しかしながら、まあ三日に一人とか一週間に二、三人とかというような、いわゆる本格的な救急業務の範疇に入らない程度の患者の処理状況でございますと、いずれの制度にいたしましても、救急をやっているから補助金を差し上げるのだというわけにはいかないのでございまして、ある程度以上の外来患者入院患者がなければ、救急をやっていると私ども考えないわけでございます。   〔理事夏目忠雄君退席、委員長着席〕
  100. 和田静夫

    和田静夫君 ちょっと角度を変えますが、たとえば休日夜間診療所のうちで、終夜診療を担当する診療所というのはどのくらいあるものですか。
  101. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) まず夜間担当のセンターが約三割ぐらいでございます。ところが、その夜間担当もあくる日の朝までやっているというところと、二十四時で終わるというところがあるわけでございまして、本当に終夜やっているという休日夜間急患センターは、まだ残念ながら一割程度しかございません。
  102. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、そうなって夜間はそのたとえば非告示病院自治体病院で担当しているということになりますね、これ。なっている、現実は。で、休日または休日夜間診療所には、いま言ったように、何割であろうがとにかく補助を出している。しかし、最も困難な深夜まで担当している自治体病院には、非告示であったならば何も、まあ運営費補助は別として、いわゆる補助が出ない、こういうことというのは、それは常識的に大変不公正じゃないですか。
  103. 佐分利輝彦

    政府委員佐分利輝彦君) 先ほど申し上げましたように、救急医療対策補助金は別にいたしまして、自治体病院運営費補助制度について見ますと、規格を二つ設けまして、Aクラス、Bクラスという規格がございまして、単価を変えておりますけれども、一定数以上の職員をそのために配置し、で一定数以上の患者を処理したというところには差し上げております。したがって、先生指摘のところは、まあ告示もしていないし、また救急患者の処理数も非常に少ない、この点につきましては、民間医療機関の場合にも、やはりかかりつけの患者から夜中に電話があれば救急医療は担当しているわけでございますから、別に公的だけが担当しているということではございません。各医療機関、やはりできるだけのことはしているわけでございますので、現在の補助制度としては一定の規格基準を設けて救急業務に該当するようなものについては、補助対象にいたしております。
  104. 和田静夫

    和田静夫君 この自治体病院における最大のネックというのは、医師の充足難ですね。この問題はもちろん自治体病院経営上の最大の問題点であるわけでありますが、国が今日まで自治医大の創設以外ある意味では何ら有効な対策をとっていないというふうに考えられます。で、自治体病院のうちで中小規模の病院というのは、立地条件からいって医師充足というのはきわめて困難な状況にあります。何遍も私は本委員会でこれ取り上げてまいりました。このことが病院機能の向上あるいは経営の効率化を大きく阻害している、そういう実情にあると実は大臣思うんです。国は、この自治医大の設立、あるいは医大一県一校の設立、そういうものを進めていらっしゃいますが、自治医大というのは一校しかない。そうすると、一般医大の養成数の増加が、立地条件の悪い自治体病院の医師不足にそのまま連なると考えられない。勤務医師の不足の最大の原因というのは、勤務医と開業医の実所得の格差があるということでしょう。この実所得の格差というのは、診療報酬体系が開業医に有利に定められていることと、開業医師の税優遇措置とにある。これは一般的にそういうように言われている。特に中堅の勤務医が、子弟教育等のために開業医の高所得と税措置に魅せられて開業していく。そういうことがこの勤務医師の不足というものを生じて、そして勤務医師の給与の高騰を来して、そして自治体病院運営を困難に一方ではさせるという、そういう連鎖がある。また、こういうことが医師の都市集中を招いて、そして地域格差拡大させているということでもあろう。言えば医療荒廃のもとというのは、開業医優位の診療報酬体系とそして開業医税優遇措置にあるのではないだろうか。政府は、勤務医の充足の対策としても、私はまず五十三年度からこの開業医に対する税優遇措置を撤廃すべきだと思う。大蔵大臣や総理大臣が本会議その他でこの問題については答弁されていますが、自治体病院におけるところの勤務医不足状況、いわゆる医師が充足をしないという側面から考えて、自治大臣は積極的にこの税優遇措置を撤廃すべきだという、そういう立場に立つべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  105. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 当面の医師の確保難、その原因は仰せのとおり開業医に有利な現行診療報酬にあるという御指摘、私もその点は同感でございますので、現行診療報酬改善につきましては厚生省に大分要求をしてきておるところでございます。  現行のいわゆる医師優遇税制との関連でどのように思うかというお尋ねでございますが、これは少し研究をさせていただきませんと、この場で即答申し上げかねる点でございます。確かに一つの問題点でございますから、十分考えてみたいと思っております。
  106. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃしばらくこれ問題として残しておいていただいて、自治大臣の在任中に一遍自治大臣のお考え方を承らしてください。恐らく内閣改造されたって有能な自治大臣だからお残りになると思いますけれども検討されっぱなしで答弁されずに去るということのないように。  そこで、自治医科大学の問題ですが、この入学の選考の仕方というのはまずどうなっていますか。
  107. 山本悟

    政府委員山本悟君) 自治医科大学の入学試験の要領でございますが、第一次試験と第二次試験を二つ行っておりますが、第一次試験は各都道府県におきまして試験をしていただく。その試験は、ただし問題は自治医科大学が作成いたしました問題につきまして各都道府県において受験者らに対して試験をしていただきまして、各都道府県から、設立当初は六名でございましたが、現在は八名の方を選抜をしていただきまして、その方が第二次試験を受ける資格者になる。それで第二次試験は自治医科大学におきまして各都道府県単位にそれぞれ二名ないし三名の合格者を決めるわけでございますが、自治医科大学におきまして第二次試験を直接行いまして、その際に合否の決定に当たりましては、学力なり人物なり健康等を勘案いたしまして厳正な第二次試験を直接やると、こういうシステムになっております。
  108. 和田静夫

    和田静夫君 これ、各県何名という形でとっていくわけですね。
  109. 山本悟

    政府委員山本悟君) 実際に合格させますのは、原則が二名、端数がございましてときどき三名のところがございますが、原則二名、特殊なときには三名という程度の総数になる。四十七府県でございますから、百人といたしましてもそういうようなことになってまいります。それから第一次試験では、大体現在では八名、各府県ごとに試験の結果で八名を推薦してもらいまして、その人について第二次試験を行うと、こういうことになっております。
  110. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、上からの成績順との関係ですね。いわゆる県に二名、三名。で、八名ぐらい推薦されてくる。二次試験は自治医科大学で行われる。そうすると上からの成績順からいけば、どこどこの県どこどこの県と、こう片寄るわけですね。可能性がある。それと最終的には各県二名三名になるという関係。いわゆる成績順位と各県の二名三名——まあ二名、二名という形との関係というのはどういうふうに選考されますか。
  111. 山本悟

    政府委員山本悟君) 御案内のとおり、自治医科大学というのは、各府県が拠出をいたしまして、各府県におきますところの僻地医療対策といたしまして一定の義務づけを持った方々を養成をいたしているわけでございまして、各府県では、府県のその八名なら八名の方の中から成績のいい者から上二名をとっていくということでございまして、府県間で多少のアンバランスというのは、これはまあ問題点ではございますけれども、いまの制度としてはやむを得ないということで割り切っておるということになっておると思います。
  112. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、極端なことを言えば、県から推薦があった部分がある一県非常に悪かった、悪い諸君の推薦であるという場合には大変なアンバラができる。しかしそれもやむを得ないと、いまのところは。そういうことですかな。
  113. 山本悟

    政府委員山本悟君) 第一次の試験におきましても非常に志願者は多いと聞いているわけでございまして、その中から八名程度の推薦、第二次の資格者ということでございますので、ただいまのところ、多少のばらつきはあるにいたしましても、学校当局の方からそのために非常に学力差ができるというような話は聞いていないわけでございまして、まずまず各県バランスをとりながら動いていっているんじゃないかというようにいまのところは見ているところでございます。
  114. 和田静夫

    和田静夫君 その選考のための何か基準的な資料というものはあるわけですか。
  115. 山本悟

    政府委員山本悟君) 基準的なと申しますとちょっとどうお答えしていいのか迷うのでございますが、先ほど申し上げましたように、第一次試験といえども、この問題作成は自治医科大学そのものの共通試験をいたしておるわけでございます。各県ばらばらの問題でやっているわけではございませんで、したがいましてそういう点においては統一がとれているということでございまして、募集要項というものを毎年発表いたしましてやっているわけでございますが、いまのそういうような二次の試験のこういうかっこうでやるというようなことも公表いたしましてそのとおりに行っているわけでございまして、その辺のところに誤りはないと思っております。
  116. 和田静夫

    和田静夫君 そのまず資料、そういう公表されている資料は全部いただけますね、選考に当たっての。
  117. 山本悟

    政府委員山本悟君) 入学者募集要項等、公表されているものはもちろん提出いたします。
  118. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、最近県立医大の問題などでいろいろ問題になっていまして、考えてみますと、自治医科大学の、何と言うんですか、自治医科大学運営のための初代の会長は汚職でいまつかまった福島県知事木村さん、それから二代目はいま問題になっている奈良県医科大学に政治的入学をさせたと言われる奥田奈良知事などという形のものが、自治医科大学に深く関与をしていますので、いろいろの疑惑が実は生じてきていますが、第一次試験が統一の試験で行われて、その採点は県でやりますか、自治医科大学でやりますか。
  119. 山本悟

    政府委員山本悟君) ちょっとつまびらかにいたしておりませんので、調べましてお答え申し上げます。
  120. 和田静夫

    和田静夫君 そこをまずひとつ、それじゃそれも資料でいただきたいと思います。  それから、もう一つこの機会に資料要求をしておいて私は——具体的には幾つかのある知事の息子さん、あるいはある事件で検察の厄介になった県議会議長の息子さんなどという形の人名が上がってきていますが、それらは後にします。一期から六期まで、いま六期ですね。六期までの入学者名簿を、これは点数はわれわれに出すというわけにいかぬでしょう、いかぬでしょうから、入学者名簿一覧をいただけますか。
  121. 山本悟

    政府委員山本悟君) 入学者名簿はわかると思いますので差し上げたいと思います。
  122. 金井元彦

    委員長(金井元彦君) 午前中の質疑はこの程度にいたしまして、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十一分休憩      —————・—————    午後一時十九分開会
  123. 金井元彦

    委員長(金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方行政改革に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  124. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 きょうは防災対策について何点かお尋ねしたいと思います。  まず、先日消防庁の方から昭和五十一年度の地方防災白書、これが発表されたわけですが、これを見ますと、いかにも危険がいっぱいという感じを受けるわけです。そこで、この白書を発行されてまず消防庁長官どういうふうにお感じになっているのか。これ担当大臣としても全然知らないというわけにもいかぬだろうと思いますので、大臣からもひとつお考えをお述べいただきたいと、こういうふうに思うんですが。
  125. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 私自身地方行政をずいぶん長くやっておりましたが、直接消防をお預かりしたのがまあ一年半ほどになります。消防をお預かりしておりまして、いわゆる防災対策というものにつきましては、率直な感じを申し上げれば、もう常に、はだえにアワが生ずるというような場面にしばしばぶつかるわけでございます。これはやはりいざ一朝事が起こったときに防災対策の必要性は叫ばれますけれども、年がら年じゅうあるものではないだけに、常々からのこれに対する配慮ということが、その責任者の当事者になってみますともっと足りない、もっとほしいという面がたくさんあるんでございますけれども、全体の中ではやはり、何と申しますか、保険を掛けるようなことで、起こるか起こらぬかわからないものに金をつぎ込むよりも、目前にどうしても金が要るということがある、それに引きずられるという面が実は多分にあるんではないだろうかと、予算的な面あるいは人員的な面、さらには仕事の面でも、こういうものに対する調査の面その他について、まあ当事者としてはもっともっとやりたいし、それから地方団体においてはやってほしいという面が大変あると、これが率直な感じでございます。で、そういう中にありまして、特に国家財政、地方財政御承知のような状況になりますと、どうしても、起こるか起こらぬかわからない火事か地震のための金よりも、目前に学校の生徒が何人ふえるから校舎が必要だという方に回りやすいという面もありまして、特にその責任の立場から申しますと、厳しい場面を迎えているというような気がいたします。この厳しい中でもできる限りのことを国の中でも努力し、地方団体にもその当局に御努力願って、一朝事が起こったときの人命あるいは財産の損害を一人でも、一円でも少なくするということに努力するのがわれわれの責任であるという気がいたしております。  そこで、御指摘地方行政防災の現況、これはまあこういった調査は実は毎年やっておりまして、集計も毎年やっておりますんですが、今度これをある程度公にしたというのも、ある意味では一般の方々にもこういうことに関心を持っていただきたい、もし現状がお粗末ならお粗末なりにこんなもんでございますよというのを知っていただきたいという気持ちもあったわけでございますので、したがってこれを堂々と出して、もうこれだけできておりますから安心であるというような自負した気持ちは少しもございません。いろいろ足りない面もあるんですが、それを一般の方々に知っていただくと同時に、われわれ自身もさらに自分で励みをつけて、こういうものに対する万全を期する、その一つのよすがにしたいという気持ちでこれをお出しいたしましたし、自分自身も読んでそう感じております。
  126. 小川平二

    国務大臣小川平二君) 防災体制を整備、充実いたしますことの必要性について、知らないわけではなかったのでございますが、責任の立場に立つに及びまして、このことを実感いたしておる次第でございます。つきましては、いま長官の答弁にもございましたように、この問題に対する認識の普及徹底ということにも努力をしなければならないと思っておりまするし、まあ不十分な点はたくさんございますので、必要な予算の獲得ということにつきましても、国、地方を通じて大変財政が逼迫しておる今日でありますけれども全力を注いでまいりたいと、こう考えております。
  127. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 白書に対するお考えをお聞きしたわけですが、実際に長官並びに大臣がおっしゃるように、年がら年じゅうあることではないからという考え方、しかしこれは毎年のように起きてきているわけですね。ですから、その起きてきた時点で大騒ぎするのがいままでの例ですよね。ですから、もうこれはやっぱり最近というよりも、ここ何年の間見ても相当な災害をこうむり、そしてそのためにとうとい生命を失っているという、それとまた大変な破壊がなされている。そんなことでやはり平素そのための準備というものが必要だろう、こう思います。ですから、それについてやっぱり御承知のように地方自治体のいわゆる財政という問題、これを考えたとき、そう簡単にいかないということ、それだけにやっぱり国の立場からすれば、それを補うための相当な努力、これが必要になってくるんじゃないか、こう思いますけれども、これは質問じゃありませんので。  一つ一つお尋ねをしてみたいと思いますが、災害対策基本法の第十六条、これによりますと、各都道府県、市町村、これには防災会議を置くことになっているわけですね。これは全国的に全体的にこの防災会議というのは設置されているのかどうかということ、この辺からひとつお尋ねをしていきたいと思います。
  128. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 防災会議は、沖繩を除きましてはこれは完全に設置していると、設置が済んでいると申し上げていいと思います。ところが、沖繩は実は五十三市町村のうちで那覇市だけが設置されておりまして、あとの五十二市町村が未設置でございます。それから東京都で五つほどは離島で、特に区域が小さいこと、それから委員の学識経験者その他も得られないことということで、設置は法制上免除になっているところが五つほどございますが、この五つは設置しなくてもいいし、またできないというところでございます。その沖繩の五十二というのは、これはどうしても設置をしていただかなければいけないということで鋭意指導してまいっておるのでございますが、これは御承知のとおり復帰がずっと遅くなりまして、その復帰の段階で初めて災害対策基本法が適用になったということもありますし、復帰してからいろいろ本土の市町村並みにやることが非常に多かったので、こちらの方が遅くなっているという面も何がしかあるかと思いますし、反面、沖繩というのは台風の常襲地帯でございますし、防災ということについては決して不熱心である地域ではございません。これは鋭意つくるように指導してまいりたいと思いますが、現実の姿を見ますと、防災会議をつくるにはまず防災会議条例をつくらなければいけないのでございまして、この条例はことしの四月現在ですでに十九の市町村ができております。そして、沖繩県知事の考え方をお伺いしますと、これも鋭意進めて、本年度中には少なくとも半分以上に条例はとにかく制定してもらうように指導しているんだということでございますし、事実その後の動きを見ておりますと、これは順調に進んでいると思いますので、まあ大分復帰がおくれて、おくれてはおりますけれども、近い将来この五十二市町村には全部設置を見ることができるというふうに読んでおります。
  129. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 お話はわかります。で、いま申し上げたように、いわゆる法令によって決まっている問題ですね、これは。ですから、当然つくるのはあたりまえだ。置くことはあたりまえだ。それで、特に沖繩の五十二という問題ですね。免除されている五団体は別としまして、当然沖繩もこの法令に従って防災会議を置かなければならぬ立場にあるわけですね。で、逐次前進はしておると、こういうお話です。私思うには、これは大事な問題だけにお尋ねをするわけですが、そういういわゆる防災に対する基本的な体制といいますか、こういうものはやっぱり必要なんで、早急につくらなければいけない。と同時に、法律からすれば、災害対策基本法第十六条の法律の精神というもの、これが逐次つくっていけばいいんだよという、こういうことなのか。やはり法律の精神から言えば必要であるからこそつくれということですから。ですから、やはり早急にこれを設置するという必要があるんじゃないか。この辺のところはどういうふうにお考えになっていますか。
  130. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) まったく御説のとおりでございます。これは逐次ということではなくて、もう復帰すればこの法律は適用になるんですから、本来から言えば、もう数年前からできてなきゃならないものではございました。われわれの方が指導の手を抜いていたという意味ではございませんですけれども、何せアメリカの占領のもとでいろいろなアメリカ流といいますか、あちら自体の体制を、すべての面において本土の市町村体制に直すということで、まあ時間がかかったんだろうということぐらいしか考えられないんでございますけれども、いま申しました、知事が今年度中に半分というのも私聞いて大変疑問に思うぐらいでございまして、今年度中というどころか、まあことしじゅうぐらいに、条例ぐらいは全部と言ってほしいぐらいの気持ちでございますし、それぐらいの気持ちでまた指導を続けてまいりたいと思っております。
  131. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ちょっと意地が悪いような言い方かもしれませんが、いま局長のお話を聞いてまして、局長のお話のようではうまくないんじゃないかと思うんです。ということは、特に沖繩だけがおくれておるということですね。やはりおくれているという、なぜおくれているのかという根本的な原因ですね、これが明らかでなければ、その弊害を除去するわけにいかない。その辺の基本的な、根本的な、いわゆるおくれに対する理由づけというものが、いまお話はないわけです。ですから、その辺がやっぱりこの問題について一番大事なところじゃないか、こう思いますが、その辺をもう少し、どこにおくれている原因があるんだという、これを私は明らかにしていくべきであると。それが明らかにならなかったら、やっぱり早くするものもおくれてしまう、当然だろうと思うんですね。ですから、そういう意味でひとつ最大の原因、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  132. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 実は、もう先生のお持ちになった疑問を私自身が持っているような状況でございまして、いまちょっと前の答弁で申し上げましたけれども、ほかのところは全部できている。沖繩だけが復帰後数年——五年もたちますか、できていないというその理由というのを、納得のいく説明も私自身も受け取りかねてございます。聞いておりません。まあ想像すれば、この災害対策基本法が適用になって防災会議をつくらなきゃいけないということに復帰以後なりましたんで、それは本土の市町村から比べれば何年か後かにもなったんですけれども、ほかにいろいろな法制があって、いろいろ本土と同じような体制にするのにも、一つ一つやっていって、ついこちらが手が抜けたというぐらいしかもう想像できませんので、これをやるについて財政負担が要るわけでもなし、これを置くという条例を議会に出して、議会に反対があるようにするものでもなし、全くそのおくれたという理由が私自身も納得できないみたいでございますので、これはもう、まあ特につくづくと聞いて、理由があれば別ですけれども、そうでない限り、知事の言われるように、今年度中に半分などとは言わずに、ことしじゅうに全部というくらいの気持ちでさらに強く指示と申しますか、指導してまいりたいと存じております。
  133. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまのお話からすれば、いわゆる怠慢という以外にないだろうということです。金がかかるわけじゃない、やる気ならできるんだということですね。まあそういう衝に当たる人材の不足という問題、あえて言うならばあるかもしれませんが、しかしまあ、それはそれなりにいわゆるその人材に対する枠というものは法律で決められているわけじゃない。だから、やろうと思えばできないわけじゃない、それができないということは、これは怠慢という以外にない。そして、しかも災害をこうむる、被害をこうむる最も有力候補地ですね。そこで、そんな考え方ではうまくないんじゃないか。ですから、起きてから泣くということではなくて、大騒ぎするということでなくて、その辺やはり責任を持って、国の方で強力なやっぱり指導というものが必要になってくる。それがなされてない。いま局長が言われたように、もう何年も前にできてなくちゃならぬというのができてないということを、それをまた見過ごしてきたというところに、やはりこちらにも責任がないとは言えない。ですから、大事な問題だけに、そのときになって、必ず起きるであろうという、その想定ができるわけですから、ですから、一日も早くこれは設置するように強力な指導をすべきだと、こういうふうに思いますけれども。  で、あとこれと同時に、今度はその防災会議がなければちょっと進まぬだろうと思う問題ですけれども、やはり基本法の四十二条に市町村地域防災計画ですね、これを作成することになっているわけです。当然これがなければ雲をつかむようなものだろうと思います。計画はなければならぬ。この点についてはどういうことになっていますか。こんなことを、数字的な問題を局長に一々一々お答え願うのはこれは恐れ多い話なんですけれども、まあそのほかにおいでになってないとすれば局長からお話しをいただく以外にないだろうと思いますから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  134. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) おっしゃいますとおり、この防災会議ができませんと、防災会議にかけてつくるべき地域防災計画というのができないわけでございますが、防災会議がないのはいま沖繩の五十二団体だけと申し上げました。防災会議はできたけれども防災計画がまだできていないというもの、これが数個団体あるわけでございます。まあ全体で三千を超える団体のうちで、数は非常に、十を下回る数でございますから、まあ言ってみれば九九%できているとは言い条、できない団体が幾つかあるということも、御指摘のとおり、大変な問題だと思います。具体的に東京都で国立市が調査の時点では挙がっておりましたが、その後調べてみますと、現在これはできておるそうでございますので、まあ国立市を除きます。あと利島、それから御蔵島、小笠原村という島嶼の小さな市町村がこれはできておりません。ここは、防災会議については免除団体でございます。防災会議は免除団体でございますから、防災会議は置かなくていいんで、したがって、つくるとすれば市町村長が自分でつくればいいわけです。ですけれども、ここについてはまだできてないということでございますから、これはまあ非常に小さな規模の団体でございますし、事務能力の問題かもしれないし、あるいは非常に小さいものですから、もうそれなりに昔からのしきたりその他あって、改めて計画をつくらないでもという判断があるのかもしれません。しかし、いずれにせよ、法的にはこの防災会議を置かない団体でも計画はつくらなければいけないわけでございますので、これは都を通じてよく指導したいと思います。  それから、大阪府に藤井寺市と河南町、この二つがまだできていないという報告を受けております。それから、鹿児島県で伊集院町と霧島町とそれから福山町と三カ町できておらない。あとは沖繩の五十二団体ができてないと、こういう姿でございます。で、まあこれらについては、できていない府県の数も非常に少のうございますし、具体的な町村も少ないので、さらに強い指導をしてまいりたいと思いますが、これはまあ防災会議条例を設定する、あるいは防災会議をつくるというのに比べますれば、たとえば精密なものをつくろうとして調査研究を十分やっている、そのためにおくれたというようなこともあるいはあるかもしれませんので、個々具体的には私の方でつかんでおりませんけれども、さらにこれらを指導すべき立場の都県府県その他を督励いたしまして、まあ九九%できておりましても、一〇〇%に一日も早くしたいという努力を続けてまいるつもりでございます。
  135. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまの前におわびをしておきますけれども、私、局長局長と大変失札いたしました。長官であります。この委員会、いつも課長さんか、せいぜい局長さんくらいだものですからね。余り長官だとか大臣とか呼んでも来てくれないでしょう。ですから、ついつい局長と申し上げて失礼いたしました。  この防災計画ですね。大体防災会議のないところは計画もないという、この数字からいってそういうことが言えると思うんですね。やっぱりこの防災計画がなくて、じゃ何をそこではやるのかという、災害に対して。こういうことになるわけで、やっぱりこれは防災というための一つの目玉になる問題だろうと思うんですね。それがちゃんとできてないということはまことにゆゆしき問題だろう、こういうふうに思います。やはり先ほども申し上げたように、毎年毎年起きてきて、その都度ああでもない、こうでもないということが言われてきているわけです。ですからそんなことをいつも繰り返すんでなくて、やっぱりそういう体制ができたからもう完全である、もう何もその問題は起きないんだというわけにはいかぬと思う。だけれども、少なくともその法律で決められている範囲のことはやはり本気になって取り組むべきである。だとするならば、当然どこにおいても防災計画があってもしかるべき、こう思いますので、その辺のやっぱり力の入れ方、考え方、そういったものについて真剣に考えて、その努力をさせるだけの強力な指導が必要じゃないか、こう思います。その点はひとつ今後大いに期待をいたしておきます。  それで、法令によりますと、いわゆる危険個所と指定されている地域があるわけですね。これは長官に一々数字のことをお聞きするのもどうかと思いますので、大体こちらでつかんでいる、あの防災計画にもありますように、全体でいわゆる七万三百十六カ所というんですか、危険個所ですね。いわゆる法令で決められている、指定されているということなんですね。これはそれじゃ地域防災計画ですか、これにこの七万三百十六カ所という指定された地域、これは全部上がっていればまだいいですよ。ところがこれを、あの防災白書を見ますと、七万三百十六カ所のうちその二四・一%である一万六千九百四十カ所、これがいわゆる地域防災計画に掲上されている、こういうことなんです。これはどういうわけなんだと、当然上げる必要のあるものだとするならば、法令で指定されているんですから、七万カ所上がってきていいわけでしょう。それが一万六千何カ所しか上がっていない。こういう状態、それは何を意味するのかということで、その点をひとつお聞かせいただきたい。
  136. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) これは実は私の方の資料のつくり方にも、私、話を聞きまして多少問題があるような点がございます。法令で指定されている個所というこの法令が、急傾斜の関係の法令と地すべり防止と、この二つにつきましてはまさにその人命あるいは財産、そういうものに危険を及ぼす個所としての指定でございますので、これで指定された個所は当然といいますか、まあ一〇〇%防災計画に上がってきてもいいはずのものでございます、この二つにつきましては。この二つが現在は前者が八九・五%、後者が八四・三%上がっておるわけでございますので、これらは前者の残りの一〇%強あるいは後者の一五%強というものはさらに精密な調査をした上でこれに上げて、その対策をあらかじめ考えておくべきものでございます。この二つについては御説のとおりでございますが、同じ法令のうちで三つ目の森林法というのはちょっと目的の範囲が広うございまして、森林の経営といいますか、そういったものの見地から指定されているうちで、直接、人家がないとか、人命財産に損傷を与えるおそれがない部面もあるわけでございまして、こういうものは森林法の立場からは危険個所でございますけれども、防災的立場からは防災計画に上がってこない面があるのもやむを得ないという気がしておりますし、事実これの数が、非常に森林法の指定の数が多うございますが、防災計画に上がってきているのは一三%ということで、それでこれらを総合して全体としての防災計画に上がっているのが二四%という低い数字を示しておりますけれども、森林法で指定されたうちの当然上げるべきものとあとの二つ、合わせてこれが一〇〇%上がるのが実は私理想だと存じておりますので、この次からは少しそういう点を区分して資料をつくったらいかがかと考えております。  いずれにせよ、いま先生指摘になりましたように、当然一〇〇%上がるべき前の二つの急傾斜と地すべりの方が八九、八四ということでなお不十分でございます。同様に森林法の一三%というのも、その数十%はあるいは人命に関係のないものかもしれませんけれども、それにあるものが恐らく二四%、一三%というようなまだ不十分な数字であると思いますので、これらについては実はもうことしの——この調査は四月一日現在でやったわけでございますけれども、これらの結果を踏まえまして、ことしの五月にも建設省と共同いたしましてもう一回全部見直して上げるべきものは上げろという指導を繰り返しておりますが、さらにそれを強力に進めてまいりまして、これらが上がるべきものは全部上がることに努力をしてまいりたい。ただ森林法の数字が非常に大きいためにああいう数字になるのは資料としておかしいものですから、その点もう少し内部で検討してまいりたいと、こう存じておる次第でございます。
  137. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまおっしゃったように森林法によるもの、これは一二、三%、そういう森林法によるものは範囲が広く、そして人も住んでないというような、そういうところも含まれているので、恐らく防災計画に上がってこないんであろう、こういうような御意見、それは確かにあると思います、むだなことはしちゃいけませんからね。しかし、それはそれとして、あと急傾斜崩壊地域だとか地すべり地帯だとか、そういう重要な問題、その問題についてやはりこの数字が示すように防災計画には全部それは上がってこないだろう、こういうことは言えると思いますね。ですからその辺のところはやはりなぜ上がらないのかという理由、これはやっぱりはっきりしなきゃいかぬじゃないか、こう私は思うんですよ。で、何回も何回も言うようですけれども、起きてからとやかく言ってみたところで間に合わないから、いまこうしてこの委員会においてお尋ねをしまた注意を喚起するということでお話をしているわけですからね。ですからそういう意味で、これはやはり上げるべきものも上がってないということはこれはうまくない。やはり相当強力な指導を行っていかなければならない。私はどっちかといえば、なぜ上がらないのかというその理由が明確に知りたいわけですよ。ところが余り明確ではありませんね、その理由については。ですからそれも言うならば少し怠慢じゃないかと、こういうふうに思いますね。そんないわゆる幾ら文書でこうでございます、ああでございますといって、先ほど長官が言われたように、これが国民全般に対して一つの警鐘、啓蒙、そういったものにつながればと、こう考えて出しましたと言うけれども、しかし当事者が一番肝心な部分で抜けていたんでは、これは防災白書が出ても何にもならぬじゃないかという感を深くするわけですね。ですからそういう意味で申し上げているわけです。  で、あと今度は建設省になりますが、問題ぐっとしぼりまして、たとえば急傾斜崩壊区域、これは全国的にいってどのぐらい個所がありますか。
  138. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 急傾斜崩壊危険個所でございますが、これは一応危険な限度といいますか、地形的な条件をまず設定いたしておりまして、がけの高さが五メーター以上、それからがけの勾配が三十度以上であると、それからがけの下に保全人家戸数が五戸以上の崩壊の危険性があると、そういうふうながけの危険個所を対象として調査いたしております。そういった前提での調査でございまして、そういった個所が全国で、これは四十七年に大災害がございましたのを契機といたしまして、そのときに総点検をしたわけでございますが、その後の災害等踏まえまして、ことし見直しを実施いたしました結果六万四千個所が危険であるというふうに調査されております。
  139. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 六万四千ですね。そのうち、先ほどから申し上げているように、防災計画に載せられている、いわゆる掲上されているのはどのぐらい載っかっていますか。
  140. 大工原潮

    説明員大工原潮君) いまの危険個所を、まず急傾斜の法律によりまして指定の手続をとります。法律で指定されますと、その地域は一般の民地でございますので、私権の制限を受けるというふうなこともございまして、必要最小限度ということで範囲を設定するわけでございます。そういった意味で現在のところ指定は促進いたしておりますけれども、法律による指定の個所が五千六百八十一カ所ということで、全体の危険個所数に対しまして約九%でございます。それは急傾斜の法律による指定個所でございまして、その指定になりますと、その地域につきましては、当然いまお話がございます地方防災計画に組み入れる等の措置をとっていただくように関係部局には御連絡申し上げるというふうな形になっております。
  141. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ちょっとぼくの聞き方が悪かったかもしれませんが、六万四千カ所ございますね。いまおっしゃったのは基準みたいなもので、急傾斜崩壊区域、急傾斜ということでいわゆる規定がありますね。その規定に当てはまったものが六万四千ということですね。そのうちのいわゆるこれは一応とにかく、一応じゃなく、地域防災計画に載せられなくちゃならないものですね、これは当然。それが全般的に言って全部載っかっているかどうか、たとえば六万四千カ所載っかっているのかどうかという、こういうことをぼくは聞いているわけでして、その点どうなんでしょう、載っかっているのかどうか、防災計画に。
  142. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 先ほど消防庁の方へお尋ねの、法律による指定の範囲のものと、それからそれ以外のものというふうな先ほど区分のお話がございましたので、一応そういった法律に指定するとした場合の数字をベースとして申し上げたわけでございます。したがって、六万四千カ所がどのようにいまの地方防災計画の中に危険個所として組み入れられているかということにつきましては、私どもの方ではちょっと数字の持ち合わせがございません。
  143. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) 法令によって指定されております個所の中で八九・五%が防災計画に載っております。それから法令によって指定されておりませんものの中の四〇・二%ということになっております。
  144. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 で、とにかく防災計画に載っかっていない部分があるわけですな。そこで、その法律、いわゆるこれに関係した法律ですよね、法律二十条には、地域防災計画に警戒避難体制を定めるという項があるわけですよね。これはどういうことなんですか、読んだとおりかもしれませんけれども、これは具体的に言うと警戒避難体制というのはどういうことなんですか、どっちがあれしているんですか。
  145. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) 先生御存じのように、地域防災計画は防災の基本的な事項をみんな書いてあるわけでございます。危険な地域からどこに避難したらいいのか、どういう経路を経て避難すればいいのかというような避難のやり方の問題から体制の問題から避難場所の問題から、全部書いてあるわけでございます。
  146. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私が聞きたいことは、いわゆる地域防災計画に掲上されていなくて——掲上されて初めてこの法律二十条による地域防災計画に基づいて警戒避難体制をしくということ、それはできると思うんですよ。載せもしないでこれができるか。これは、いわゆる警戒避難体制というのは人命の問題が主体になってくるでしょう。災害起きるたんびにとうとい人命が失われたということでもって大騒ぎになるわけです、特にね。ですから一番大事な部分じゃありませんか。その一番大事な部分が、いわゆる防災計画ができていないことによってこれも明確ではないと、この体制それ自体が、ということでは、これはぼくは大変なことじゃないかというふうに感ずるのですね。その点どうなんですか。
  147. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) 先ほど申し上げました数字は全国の平均でございますが、地域によりましては一〇〇%、ほとんど一〇〇%危険個所が地域防災計画に書いてあるところもございますし、あるいは非常に少ない数しか書いてないところがございます。そのそれぞれの防災計画をつくります場合の考え方といいますか、重点を置いて、非常にここは大変な大事なところだというところに焦点を合わせてやっておるような形の計画と、それからもうとにかく危険なやつは全部洗いざらい書いて、そして一般の注意を喚起したいという形のものと両方あるようでございまして、しかし、そういう危険な場所についてはできるだけ地域防災計画に載せることの方が正しい方向であるというふうに考えておりますので、そういう地域防災計画に載せた数の少ない地域については、今後重点的に指導してまいりたいと、こう考えております。
  148. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、防災だ防災だなんて大きなことを言うけれども、その一番大事な部分がそういうふうにおろそかにされているという感じ、これは、そのやっていることが全部お体裁みたいな感じを受けざるを得ないわけですよね。ですからこれは、本当から言うならば、これから強力に指導しますとかなんとかという問題じゃなくて、きのうきょうに始まったことじゃありませんので、当然そういった一番大事な部分についてはきちっとできなくちゃならぬということですよ。それでこそ初めてこれからの、たとえばことし災害があった、そのケースをにらんで、その体制の中で、どうその体制を広げていかなくちゃならないか、またこの部分はどうであるか、ああであるかという、それを踏まえて将来のあらゆるまた前進した計画というものも生まれるだろう、こう思うわけですけれども、それにもかかわらず、こんなことでは聞く気にもなれないということになっちゃいます。そう言われても仕方ないでしょう。聞く気にもなれませんよ、そんな状態では。ですから私は、そういうことを踏まえてこんなことじゃしょうがないじゃないかということでお尋ねをしているわけですが……。  そこで、問題また変えますけれども昭和五十一年度に発生した災害件数、これは千九百四十件ということは、私の言っているのは法令によって指定されている個所、その中で起きた災害、その件数が千九百四十件。私の方はそういうふうに調べた結果つかんでいるわけですが、これ間違いありませんか。
  149. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) 五十一年度中に起きました一万六千二百十八件の災害の中で法令による指定個所は千九百四十件ということになっています。
  150. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、法令で指定された中での災害件数が千九百四十件ですね。で、指定個所以外、これは危険な個所だなあという、こういうふうに考えられている中での、そういう個所でのいわゆる起きた災害、この件数はどのくらいになりますか。それをちょっと、わからないんですが。
  151. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) いまの千九百四十件のほかに、上記以外で把握しております危険個所、これが七千七百五十件、それから把握してなかった個所が六千五百二十八件、合計一万六千二百十八件ということになっています。
  152. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 非常に簡単におっしゃいますけれども、その辺が私問題だろうと思うんですね。で、いわゆる指定された中でもって災害が起きた。じゃ、どういう対策を講じてきたのか。指定されていろいろ手当てをしたけれどもまた起きたという、そういうことはあり得るけれども、またそれはそれとして、指定されていないで、しかも危険個所であるということがわかっている、そういうところで起きた件数が七千幾らと言いましたね、いま。この問題、これは財政的にもどうにもならぬのじゃないかと、こういうところが。それから残りの六千件を超すノーマークの地域から災害が起きておる。それが六千だというんでしょう。ノーマークですよ。これ何にも、防災計画にも上がらないのかもしれませんね、ノーマークなんというんだから。それがそういうところで起きてきているという問題。これはやっぱり全国的に洗い直し、いわゆる総点検という問題。何かというとすぐ総点検と言うんですけれども、しかしこういう実態を踏まえた場合、これをおろそかにできない。いわゆる六千五百件からのノーマークの地域で災害が起きている。ということになりますと、これはいわゆる指定されたところだけ考えていればいいという問題ではなくて、もっともっと大きく、この災害を防ぐという立場から言うならば、この見直し、検討していかなければならない問題じゃないかと、こういうふうに思うんですね。ですから、その点はどういうふうにお考えになっているのか。
  153. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) これは努力の足りない面その他も御指摘のようにずいぶんあるかと思いますし、それからどういう点が危険かという基準の決め方にも問題もあるかもしれませんが、また一部私やむを得ない面——やむを得ないというか、いかに努力してもこの数字をゼロにすることができないという特殊な面もやはりあるのではないかという気がいたします。たとえばもう数十年来といいますか、百年といいますか、土地の古老に聞いても崩れたこともないというようなところが崩れたというケースも決してこれは例外的ではないわけでございます。集中豪雨というのは非常に局地的に一気に多量の、何十ミリ、何百ミリの雨が降るということは、これはわが国の地形上しばしばあることのようでございますけれども、これはもうほとんど予測できないし、もしそういう集中豪雨が襲いますと、いままでもかつて崩れたことがないところが崩れてしまうというようなことで、ある程度やむを得ない面というのがそこにもあるかと存じますが、結局、確率その他あるいは基準の決め方を非常に厳しくとれば、危険個所として浮かび上がってまいりますけれども、それはまた何十年、何百年に一遍の雨が来ない限りは危険でないというか、崩れないと、そういうところへたとえば財政的な負担をかけてあらかじめ措置をするとかいうようなことも、場合によっては経費の効率上問題があるとかいういろいろな点の兼ね合いというのがございますものですから、いまのままでいいとは実は毛頭思っておりませんし、それから、建設省の先ほどの御説明でも、がけの高さ五メートル、傾斜三十度、下に五戸という一つの基準でもって見直しをしていただいておりますけれども、現実にはがけの高さ四・五メートルのところが崩れたり、下が三戸しかないところが三戸全滅したりということもあり得るわけでございますので、その辺の兼ね合いを考えながら基準をさらに研究し、それから気象に関する予報その他の技術も進歩する、それらに従ってもう時々刻々これらの基準を見直し改定するという努力は続けていかなきゃならないと思いますが、現在の数字がこれ満足な数字であるとは申し上げませんけれども、しかし、ある程度いま言ったようなわが国の地形その他上やむを得ない面というのがありとすれば、それらをできるだけ克服する努力を最大限していくというのが今後の考え方ではなかろうかと存じております。
  154. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 一言申し上げておきますけれども、私は、先ほどから言っているように、法律で設けられたそういう指定個所であっても、指定個所にされているから万全の措置がとられて、対策がとられて、そこで事故が起きないと、災害が起きないと、そんなことを言っているわけではない。どう手を打ったって災害が起きてくる。これは当然だろうと思う。もしそんなことができると考えている者がいるとするならば、それはよっぽどどうかしている。それを認めつつ私は聞いている。で、言うことは、長官のお話もわかるけれども、いままでやるべきこともやらないで、そして徹底すべきことも徹底されないで起きたという災害ならば、これは怠慢と言われてもしようがない。そういう傾向があるではないですかということを私は言っているわけです。それじゃ困る。その点を私は指摘をしているんだということをひとつ頭に入れておいていただきたい、こう思います。  そこで、これは建設省、急傾斜地崩壊対策事業の五十二年度事業費、これはお幾らになりますか。
  155. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 五十二年度事業費といたしましては百七十八億八千六百万ということで実施いたしております。
  156. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そのうち国費の負担といいますか、補助といいますか、それはどうなっていますか。
  157. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 国費は九十億でございます。  ちょっと、先ほど申し上げました事業費は、その外に受益者負担金が加わりますので、総事業費としては平均いたしまして一〇%前後の増加があるわけでございます。
  158. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 一つ一つ細切れでお聞きして申しわけないんですけれども、そのいわゆる事業対象は何カ所ぐらいになっていますか、国費九十億の。
  159. 大工原潮

    説明員大工原潮君) ちょっと詳細な数字を手元に持っておりません。
  160. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ大体、決して恥かかせるつもりはありません。約千二百カ所あるんです。このいわゆる事業費をもってどれだけの個所に対して事業を行っていくか、これは約千二百あるんです。そこで私聞きたいのは、その千二百カ所、九十億の国費を投じて、そしてその五十二年度事業を起こす。その千二百カ所の事業推進状況、これはどういうふうになっているんですか。
  161. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 事業の推進状況といいますと、本年度予算規模の中で、本年度は特に公共事業の促進というふうなことから、早期着工を実施いたしておりますので、現在のところその事業につきましては、先日の数字多少の誤差があるかと思いますが、約八〇%程度の消化はいたしておるつもりでございます。
  162. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 で、それはどこの報告ですか。どうやっておつかみになったんですか。
  163. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 月ごとの契約状況を官房会計課でとらえておりまして、それを特にことしは事業促進という年でございますので、月に一遍ごとに局議で報告がございますので、その数字が大体その程度であったというふうに記憶いたしております。
  164. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 で、もうそろそろ終わりなんですが、当然これが推進されて年度内に完成をするという必要が当然あると思うんですが、大体まあ国費九十億のいわゆる補助ですな、この事業に対して、で、これは総事業費の大体半分以下なんです。いま一〇%上乗せしても完全に半分以下です。いまの地方財政のいわゆる窮迫、こういう中でこの半分以下の国の補助によってその事業が円滑に推進されていくかどうかということが、私は心配なんです。先ほど長官が言われたように、どうしても絶えずある問題ではないのでおろそかになりがちじゃないかという長官のお話だった。だからそういったことも踏まえて考えたときに、いわゆる補助金五〇%以下で、そしてあとは地方自治体が持つ。そういった事業の進め方で現在の窮迫した地方財政の中で、これが本当に、言われるように、報告どおりにいっているのかどうかということを私は憂え、心配するわけです。その点その兼ね合いはどういうふうにお考えになっていますか、いわゆる地方財政、現時点における窮迫した地方財政を踏まえて考えた場合、九十億というこの国費補助で、それで本当に防災というものが推進されていくのかどうかという点についてどういうふうにお考えになって、どうとらえておられるのか、その点ひとつ。これはやっぱり大臣にもちょっとお答えいただいた方がいいかと思います。大事な問題ですから、その辺のところ。
  165. 大工原潮

    説明員大工原潮君) いま、急傾斜対策事業につきましての御質問でございますが、私ども、急傾斜対策事業につきましては、建設省といたしまして昭和四十二年に予算補助制度で二億五千万という事業費で出発した事業でございます。その後法律が昭和四十四年にできまして、それ以後非常に倍々というふうな予算の伸びをもって伸ばしてきた事業でございまして、先ほど申し上げましたように、五十二年度の百七十八億という予算につきましても、対前年比四四%増ということで、河川局の中でも最高の伸びを示しておる予算でございます。で、他のいわゆる一般の公共事業と多少急傾斜対策事業性格が違いまして、一般の河川事業あるいは私ども所管しております砂防事業等と比較いたしまして、被害の範囲が非常に多数であっても限定されておるというふうな事業性格がございます。そういった性格から出発しておりますので、もともと急斜面の処理というものにつきましては、民地でもございますし、公共施設そのものではございません。したがって、そういった事業性格から、他の事業補助率等とバランスをとり、一応補助基本額、いわゆる受益者負担金を差し引きました補助基本額の二分の一を補助するというふうなことで制度化されておる事業でございます。したがって、冒頭申し上げましたように、危険個所が六万四千カ所というふうな多数を抱えておりますので、現在のところ、その中で特に危険度の高いもの、人家戸数の多いもの、経済効果の高いものというふうなものから順次実施しておるところでございますし、今後とも事業の進捗につきましては、鋭意努力してまいるつもりでございますし、さらに、五十三年度の急傾斜対策事業につきましての予算要求も一・七倍ということで、河川局の中でもトップランクで伸ばすというふうな積極的な取り組み方を考えておるところでございます。
  166. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 建設省の努力のほどは認めます。それはよくわかりますが、私の聞いていることは、その努力云々の問題ではなくて、あらゆる現状を踏まえてこの事業に対しての補助金五〇%以下、そういう状態で果たしてその事業というものが大きく推進することがきるかどうか、これからどうあるべきなのか、防災ということについて。予算的にそれで十分なのか、いまあなたが、いろいろなほかとの絡みから見ればこのように予算を取っているんですと、よけいに。こういうお話。だけど、それもわかります。あなた方の努力、それはわかります。わかるけれども、だから事業が推進するという問題ではない。私は、そこのところを聞きたい、それでいいのかどうかということですね。ですから、それは失礼ですが、あなたに聞いても無理かもしれません。そこでやはり大きな立場から、大臣からその点ひとつお答えいただければと思います。
  167. 小川平二

    国務大臣小川平二君) きわめて率直に申しまして、防災対策ということは事柄の性質上、ややもすれば後回しにされがちの問題でございます。自治省といたしましては、これに伴う地方負担の面におきましては、今日まで十分の措置をとってきておるわけでございますが、これからも地方公共団体を督励いたしまして施策の拡充強化に努めてまいりたいと、こう考えております。
  168. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これも建設省になるんですか、もう質問もおしまいですが、全国的に言って危険個所、いわゆるノーマークのところに、さっき言ったように相当やっぱり災害が起きているわけですから、全部ひっくるめてどのくらいあるのか、この点ひとつどういうふうに調査した結果つかまれているのか。
  169. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 先ほど急傾斜崩壊危険個所について御説明申し上げましたが、そのほか、建設省の中で私ども砂防部として所管いたしておりますのは、地すべりの危険個所、それから土石流危険渓流という三本でございます。  これらはいずれにいたしましても人家人命に直結する被害を、非常に激甚な災害を与えるというふうなことで、われわれも先ほど申し上げましたように、本年見直し調査をやりまして、現在把握いたしております数字を申し上げたいと思います。地すべり危険区域につきましては、これは法律が三省庁の共管でございまして、建設省、それから林野庁、それから農林省の構造改善局の三つで所管いたしております。で、所管の区分といたしましては、林野に起こります地すべりにつきましては林野庁、それから農地におきます地すべりは農地局、それからその他のものは、特に渓流等に関連のあるものも含めまして建設省所管ということでございます。一応、建設省所管の数字では、現在のところ約五千六百カ所の危険個所を把握いたしております。  で、参考に農地局所管のものが二千七十カ所、それから林野庁所管のものでございますが、約二千九百カ所、合わせますと、大体一万六百カ所程度が危険個所として全国的に把握されている状況でございます。  それから、土石流の発生危険渓流でございますが、これも本年見直しをいたしまして、人家に、五戸以上の集落に渓流がありまして、被害を与えるおそれがあるものというもので把握いたしたものが約六万二千渓流でございます。  そういったいずれの調査対象の前提ございますので、いま先生おっしゃいましたノーマークという範囲は、まあ人家が一戸、二戸というふうなものも将来においてはその対象として調査すべきかと思いますが、現在のところ私ども事業対象という立場で調査いたしておりますので、そのような前提で調査した結果でございます。
  170. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ、それは現時点でいわゆる建設省が調査した結果、ですから合計しますと七万幾らになりますね、危険個所が。で、昨年と対比して現時点で再調査をしたわけですね、いまのお話ですと。ですから、前回、いわゆる昨年まで、調査するまでのものと対比をしてどのくらい危険個所がふえたんですか。
  171. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 先ほどちょっと御説明申し上げましたが、前回の調査昭和四十七年の大災害のときに調査をいたしまして、その後の災害等で漏れがあるのではないかというようなことから、本年見直しを実施したわけでございます。したがって、四十七年の数字で申し上げますと、急傾斜崩壊危険区域につきましては、前回の数字が六万七百カ所程度でございますので、今回の六万四千カ所と比較いたしますと、五・八%程度調査の結果ふえたということでございます。  それから、地すべりでございますが、これは前回約五千二百カ所でございますので、増加率といたしましては約八%の増でございます。  それから、土石流発生危険渓流でございますが、これは前回の調査と今回の調査はやや調査基準対象を変えたといいますか、渓流という単位のとり方に、いろいろ災害の経緯から渓流の単位のとり方に、いろいろ災害の経緯から渓流の単位のとり方をもう少し考えるべきではないかというふうなことから、前回の調査の中で一渓流と判断しておったものを二渓流というふうにとらえたものもございます。したがって、数字だけで申し上げますと、前回の調査は約三万五千渓流であったものが、今回は六万二千ということでございますので、約八〇%の増になっておるわけでございますが、その中で純然たるいわゆる見落としといいますか、それは約一万程度の増であったわけでございます。大体前回の数字との比較はそのような状態でございます。
  172. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 一応とにかく調査の結果、こういう危険個所があるといういまお話になったのは、いわゆる法令に基づいての危険個所ということになりますね、今度。いまおっしゃった七万何がしの危険個所というのは。
  173. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 法律による指定を必要とするのは、地すべりの危険個所と、それから急傾斜は法律による指定はございますが、土石流の危険渓流というものにつきましては、これはまた砂防法でございまして、砂防法の指定の仕方というのは、むしろちょっと性格が違うというふうでございますので、自治省で取りまとめておられるのも、そのような取りまとめになっておろうかと思います。
  174. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ちょっと、五十一年度の白書ですね、さっきから公表しているのは。それによりますと七万何がしかあるわけでしょう。いまのお話だと土石流のそれを抜くとえらい少なくなっちゃうわけですよね。その辺合わないんじゃないかという感じがするんですがどうですかね。何かこう一致しないんですよね。
  175. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) 調査の時点が、こちらの私どもの方の調査の方が、五十二年の四月一日現在ということになっておりますが、その時点の違いもあるかと思いますが、それからいま七万件という中には、森林法の指定区域が五万九千八百五十二というのが入っておりまして、法律によって指定されます急傾斜は六千三百、地すべりは四千百で、その辺の数字はそう大きな隔たりはないと思います。
  176. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いずれにしましても、いま建設省でお話をしたその危険個所、これをどういう考え方でその解消を図っていくかということが今度問題です。把握をしていけばいいという問題じゃない。だから把握をしたらどういう対策を講じて、これを一日も早くなくしていくかということが問題なんです。だから、そのことについてはどういうふうにお考えなんですか。どういう対策があるのかということですな。
  177. 大工原潮

    説明員大工原潮君) われわれ砂防関係事業、いわゆる地すべりあるいは土石流対策でございますが、これは法律に基づきまして第五次治水事業五ヵ年計画というものを五十二年度から発足さしております。その総枠は七兆六千七百億ということで、一応その枠の中で特に土石流対策は目玉として促進するように考えております。ちょっと数字を申し上げますと、土石流対策といたしましては第五次五ヵ年計画の中におきまして、砂防ダム等を施行しなければならないということで、五千三百六十渓流につきまして完成を図るように計画いたしております。  また、地すべりにつきましても、やはり、これは建設省所管のものだけでございますが、五十六年度までいまの第五次五ヵ年計画の中で人家、公共施設等に影響が著しいというふうなものにつきまして七百七十カ所の概成を図るというふうな計画を持っております。  また、急傾斜につきましては、これは法律上五ヵ年計画とかそういった事業計画がオーソライズされてはおりませんが、先ほど申し上げましたように、一応建設省の中では積極的に取り組むという姿勢は出しておりまして、一応建設省の中だけの計画といたしましては、五十五年までに危険度が高いというふうなもの、あるいは保全人家戸数が多いというふうな個所につきましての七千四百地区を概成させるというふうな目標を持って現在鋭意進めておるところでございます。
  178. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと七万数カ所ですね、先ほどのお話になった、そのうちの、いわゆる五ヵ年計画を持ってそのうちの七千何がしかを解決いたしていきますと、こういうことですね。
  179. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 急傾斜につきましては、六万四千の危険個所につきまして、そのうち七千四百地区を概成させるということでございます。
  180. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ一挙にできれば一番いいのだけれども、そうはいかない。ですから、これ全部そういう計画を立てながら、さしずめ五ヵ年計画で急傾斜については七千カ所をやるんだということで、そのまた土石流だとか、そのほかの、こっちの自治省から言えば森林関係なんかもあるだろうし、しぼって建設省だけの問題ですね、この五ヵ年計画の中で、その五ヵ年計画ということは、それは全部解消できるという問題ではない。だから、そのどの辺にめどを置いて、少なくとも現在わかっているものあるわけですね、はっきりしているものが。それは少なくともこの時点では解決していくんだという、五カ年計画を立てておけばいいという問題ではない、それは部分的な問題だ。もっと大きな立場から全体観に立ってこの全体を解決していくということについてはどういうふうに今後していくのかという、こういった問題があると思うんです、目先だけの問題じゃなくて。その点についてはどういう考えを持っていますか。
  181. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 急傾斜につきましては、いま申し上げた個所は人家二十戸以上というふうなものにつきましては、ほぼ地域的に概成を図るような方向で、特に危険度の高いものでございますが、調査段階でわれわれは危険度をAランク、Bランク、Cランクというふうにいろいろ色分けはしてございます。したがって、そのAランクの個所につきましては、二十戸以上についてはほぼ概成を図るというふうな一つの目標がございます。ただ災害は必ずしもそういった地点のみではないので、災害が起こった場合には当然それ以下のものも対象として実施いたしておりますし、異常が出た場合にはそれ以下のものもやっておるというのが実態でございます。  それからなお、それらの対策と並行いたしまして、これは住宅局所管でございますが、がけ地近接危険住宅移転事業というのがございまして、危険住宅に居住しておる人で、まあがけに近接して危険であるという範囲に居住しておる人は、ある範囲におきまして設建省において補助をいたしまして、そして移転をさせるという制度もございますので、それらとあわせましてこれらの危険個所の絶滅を期していきたいというふうに考えております。
  182. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 おっしゃっていることはよくわかるんですが、だけれども、私の聞いていることはそういうことじゃなくて、もっと全体観に立った将来どの時点でこういうふうにしていくんだという、もっと大きなものをお考えならばお聞かせ願いたい、こう言ったわけですが、少し大き過ぎちゃって、ちょっとここで結論出すわけにいかぬかもしれない。ですから、この程度にしておきますが、しかしいずれにしても、この一つ一つをお聞きしたわけですが、そういう中で感ずることは、かけ声だけは大きいけれども、内容は非常にお粗末だなあという、いわゆる内容がお粗末ということは、それに取り組む姿勢の問題、体制の問題、まことにお粗末だなあという感じがしますね。ですから、私はそういう感じを持ったがゆえにきょうお尋ねをしたわけですから、今後、いまきょう私が聞いたことがすべてではない。もっともっと専門的な立場からいろいろと検討し、思索し、そして対策を講じなければならない問題があるだろう、そういったことに対してどれだけか意識をまたきょうを通じて高めていただくことができるならば、幸いだと思うんです。
  183. 金井元彦

    委員長(金井元彦君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後二時三十四分散会      —————・—————