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1977-10-27 第82回国会 参議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十七日(木曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         金井 元彦君     理 事                 夏目 忠雄君                 望月 邦夫君                 野口 忠夫君                 神谷信之助君     委 員                 衛藤征士郎君                 金丸 三郎君                 熊谷  弘君                 鈴木 正一君                 鍋島 直紹君                 成相 善十君                 佐藤 三吾君                 志苫  裕君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 上林繁次郎君                 前島英三郎君    国務大臣        自 治 大 臣  小川 平二君    政府委員        警察庁長官    浅沼清太郎君        警察庁長官官房        長        山田 英雄君        警察庁刑事局長  鈴木 貞敏君        警察庁刑事局保        安部長      森永正比古君        警察庁交通局長  杉原  正君        警察庁警備局長  三井  脩君        自治政務次官   中山 利生君        自治大臣官房審        議官       石原 信雄君        自治省行政局長  近藤 隆之君        自治省財政局長  山本  悟君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        行政管理庁長官        官房総務課長   竹村  晟君        行政管理庁行政        管理局管理官   佐々木晴夫君        国土庁地方振興        局総務課過疎対        策室長      近岡 武男君        法務省刑事局公        安課長      石山  陽君        大蔵大臣官房地        方課長      宮原  翠君        国税庁直税部審        理課長      掃部  實君        文部省管理局参        事官       鈴木 博司君        文部省管理局企        画調整課長    塩津 有彦君        農林大臣官房文        書課長      関谷 俊作君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部業        務課長      吉末 幹昌君        運輸省航空局飛        行場部管理課長  増田 信雄君        運輸省航空局技        術部運航課長   川井  力君        建設大臣官房官        庁営繕部建築課        長        渡辺  滋君        建設省道路局路        政課長      山本 重三君        建設省住宅局建        築指導課長    大田 敏彦君        日本国有鉄道旅        客局総務課長   須田  寛君    参考人        日本航空株式会        社社長      朝田 静夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○地方行政改革に関する調査  (警察に関する件)  (地方行財政等に関する件) ○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣  送付、予備審査)     —————————————
  2. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから、地方行政委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方行政改革に関する調査のため、本日の委員会日本航空株式会社社長朝田静夫君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 地方行政改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 和田静夫

    和田静夫君 何か朝田社長、体のぐあいがよくないようですから、先にという話でありますので、日航関係から、ちょっと前後いたしますが、入りたいと思います。  ハイジャック防止は、直接的には機内に武器を持ち込まないことでありますが、そのために手荷物制限ボデーチェックが厳重に行われなきゃならない。実際の体験でもまだ不十分と思われるところがたくさんありますが、今回の二つの事件を契機にして、十分な対応がなされているとは思いますけれども、この外国空港の場合、特に日航の手で行うダブルチェックが必要なんではないかということを考えます。そういう意味で必要なこの外交交渉や、あるいは実施状況ですね、これは日航としてどうなっていますか。
  6. 朝田静夫

    参考人朝田静夫君) 日本航空朝田でございます。  ただいまのお尋ねの件につきましては、目下私の方でも関係各国の私どもが寄港いたしております空港についてダブルチェックをやらしていただきたいと、こういうことを関係当局に申し出ておりますが、従来から国家警察あるいは軍隊によって政府責任においておやりいただいておりますチェックに介入をさせないというような国もありますし、そういう点におきまして、いま関係各国空港当局に私どもの出先の支店長交渉をいたしております。円滑にそういうことができるような体制を私はこの際お願いを申し上げておきたいと思いますのは、外交ルートを通して政府政府の話し合いによってこのことが実現できますように、この機会にお願いをいたしたいと思います。
  7. 和田静夫

    和田静夫君 いまの社長のあれで、運輸省政府としてこれを外交ルートに乗せる努力というのはどんな形をされているんですか。
  8. 増田信雄

    説明員増田信雄君) 運輸省といたしましては、日本航空の手によりましてただいま社長が申し上げましたような交渉をいたしておりますけれども、その結果によって、外交ルートに乗せなければ実現ができないという国については、外務省を経由いたしまして相手国に話をするということを考えております。昨日でございますが、一般的な要請として外務省お話を申し上げ、これから個々具体的なケースが出てきた場合には御相談に行くということにいたしております。
  9. 和田静夫

    和田静夫君 国内の場合にちょっと戻りますが、空港におけるチェック航空会社として行っていらっしゃいますね。で、日本航空が直接日航職員の手でチェックされているわけではありませんね。これは。
  10. 朝田静夫

    参考人朝田静夫君) 私ども職員チェックをいたしておりませんが、国内航空会社三社で共同して決定をいたしましたハイジャック等防止のための検査要領というものを作成をいたしまして、それに基づいて、警備保障会社等委託をいたしまして行っております。その際に、私ども保安専門職員というものを、私どもの方ではセキュリティーオフィサーと呼んでおりますが、こういう者を各空港配置いたしておりまして、そういうチェックを、警備保障会社が行うチェック巡回指導あるいは監視をいたしておるような状況でございます。
  11. 和田静夫

    和田静夫君 その場合、外部の警備専門会社などに委託をされるわけですね。その契約は一体どういうぐあいに行われるのか。たとえば競争入札のような方法で行われているんだと思うんですね。そうすると、入札をする場合にチェック技術的基準が一体保障されるんだろうか、あるいは会社の経営上の観点からコストを重視して大変低い能力会社に結果的には委託をすることになるのではなかろうか、そういうことがおもんばかられますが、チェックの技術的な水準がそういう意味では低下するおそれがある。それに対する教育などというようなものはどういう形でなされているわけですか。
  12. 朝田静夫

    参考人朝田静夫君) 仰せのとおり、入札制をとっております。そこで、私どもの方だけで契約をいたしておりませんので、先ほど申し上げましたような国内航空会社三社で決定をいたしました検査指導要領というものに基づきまして、その品質を担保するに足る業者というものを選ぶ。そこで、ビッドで安い者に契約をしておるのではないか、そのために品質が低下しておるおそれがないかという御質問でございますが、一年契約をとっておりまして、その更改のたびごと教育訓練実施をいたしております。ただ安いからといってビッドでそれに落とすというようなことはございませんので、実績を十分勘案をいたしておりますし、その警備保障会社の中に立ち至って立ち入り検査もやっておるわけでございます。したがいまして、その品質が担保できるような努力はいたしておるつもりでございます。入札制をとっておりますので、新しく契約をいたしました者あるいは契約を更改いたしました者につきましては、その当初、警察関係あるいは運輸省航空当局の御指導を得まして教育訓練を行っておるわけでありますが、そういう関係各機関からの講師を派遣していただきまして、当初は教育訓練を一週間ばかりやっておるというふうになっておるような状況でございます。
  13. 和田静夫

    和田静夫君 エックス線による金属探知器の性能ですが、これは大変有力な人からの意見としても私は聞いたことがありますし、私自身もいろいろ経験をしていますが、たとえば同じような状態でもってあの探知器のところを通りましても、私たちは幾つかのキーポケットに入れていますが、それがひっかかる場合とひっかからぬ場合がありますね。恐らく連続探知能力との関係だと思うんです。われわれ写真機を使うときフラッシュをたく、連続的には数秒、間を置かなければそのフラッシュは機能をしないなどと同じようなことではないかと思いますが、意識的に前の人間が通った後すぐ入っていけばひっかかりませんよ。ある一定の時間が置かれて入っていけば同じ状態ですからひっかかるという形を何遍か経験をしていますが、一体、一つ検体を探知した後、次の検体を探知するまでの時間というのはどれぐらいですか。
  14. 朝田静夫

    参考人朝田静夫君) ただいまのお話金属探知器お話かと思います。エックス線器手荷物をやっておりますので、メタルディテクターという金属探知器お話だと思いますが、これは一人検査場を通過いたしますと、そういうことについてエックス線と違いますから、磁性によるところの金属探知器でございます、上からも下からも、あるいは横から、あるいは斜めというようなことに感応するわけでございますが、私は非常に技術的なことはよくわかりませんが、通過した後すぐということには反応しないんじゃないかということは、私うかつにして存じておりませんけれども一定検体が通りますと必ずそれは作動すると。エックスレイの場合にはそういうことがございますけれども、あの磁性金属探知器ならばそういうことがないように私は承知いたしておるわけでございます。
  15. 和田静夫

    和田静夫君 これ、警察どうです。
  16. 三井脩

    政府委員三井脩君) いま朝田社長が言われたように私たちも理解しております。恐らくそれは非常に敏感に感応するように機械をセットしておく場合と、多少もっと緩めてセットしておく場合とあるわけです。そうすると、その人、それを扱っておるガードマンならガードマン経験とか、疑わしさを発見する度合いとか、そういうものによって、相当な物でも感応しないようにしておって、しかも状況で判断するという場合もありますし、技術的に言えばもう何でも反応するということになりますので、その辺の差は、それぞれの場所とかその人によって個人差があってセットの仕方が差があるということはございます。
  17. 和田静夫

    和田静夫君 この辺は、そういうことが起こり得ないだろうと言われますが、実際問題としては起こり得ている。同じ状態で私は通っているわけですから。いわゆるポケットに入っている物は同じ状態で通っている。その場合に一番問題になるのは、たとえば非常に大きな観光シーズンなどに、皆さん御経験があるかどうか知りませんが、北海道へ飛ぼうとする。そうすると日航の上がり口なんというのは大変ですね、もうずうっと列です。一方では、何便はもう準備できたから早く急いでくれという放送がある。必然的に旅客は急ぐ。乗れるのかというあそこで争いが起こる。そうすると連続的にあそこを通しますよ。連続的に通ったときには決してひっかからぬですよ。一遍やってごらんになってください。前の人間について、前の人間が通った後すぐ通れば同じ状態でひっかかりません。ところが、同じ状態で距離を置いて通ればポケットに入っているキーはひっかかりますよ。それは一つぐらいじゃひっかかりませんがね。そういう状態は私はあるのではなかろうか。いま否定をされましたからあれですが、一遍確かめてみる必要があると思う。  そこで、ドバイハイジャック事件以来、日本航空フェーズスリーという対策をとってきたと言われていますね。今度のダッカ事件では結果的にはフェーズスリーは役目を果たさなかった。それは効力がなかったということがあってダッカ事件が起こった。フェーズスリーというのは一体何ですか。なぜ効果が上がらなかったのか。私は、それがたとえば企業秘密ですから言えませんと言われるのかもしれませんが、その効力がなかったからドバイに続いてダッカが起こった。だとすれば、効力がなかったものはもう企業秘密でも何でもなくて、もっと、政府対策を急いでいるわけだし、われわれも真剣に考えているわけですから、失敗の原因というものをやはり明らかにされて広く検討を求められるべきだと思いますが、いかがですか。
  18. 朝田静夫

    参考人朝田静夫君) フェーズスリーというのは、いま私どもは少し名前を変えましてフェーズCと言っておりますが、実際的には同じことでございます。このフェーズCをやっておったが効果がなかったということでは私はないと思うのでございます。それはなぜかと申しますと、東南アジア中近東ヨーロッパ各国は、先ほども触れましたように、その国の政府警察あるいは軍隊というものが、直接治安当局がその衝に当たっておられる。したがいまして、私どもはそれ以外のところの場合、あるいはそれによってチェックをされておればフェーズCというものは満足するわけでございますが、にもかかわらずフェーズCというものが、航空会社として持っておりますそういう警戒体制の段階というものが、まあやっておったにもかかわらず、ああいう事件が起こっておるじゃないかという、こういうことになりますと非常にむずかしい、航空企業の側としては非常にむずかしい問題を抱えておるわけでございますが、そういう意味関係各国政府みずからそういうことをおやりいただいておるわけでございます。  そこでフェーズCの内容を社内極秘であるから発表しないということを私も一時申し上げたことがございます。そこで明らかにしてはどうかということでございますが、いまここで明らかにしてもよろしゅうございますが、非常に詳細にわたっておりますので、あるいは後刻文書でもって提出さしていただいてもよろしゅうございますが、非常に細かく規定をいたしておるわけでございます。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ時間もありませんから資料としていただきましょう。  一昨日のこの参議院運輸委員会朝田社長は、ハイジャックに対して日航としてとるべき対策民間企業あるいは国際関係ということを踏まえて政府等に要望すべきいろいろの点、そういうものを述べられました。で、日航独自で実施できる対策、それから政府協力法改正を必要とする対策、それから国際的協力を求めなくてはならない、そういう問題について、ちょっと重複する部分があると思いますが、お聞きしたい。
  20. 朝田静夫

    参考人朝田静夫君) 私が一昨日、参議院運輸委員会お願いを申し上げましたことは、まず第一にダブルチェックというものをやる場合に、先ほど申し上げましたような各国政府の主権の厚い壁にぶつかるということも考えられますので、そういう障壁をひとつ取り除いていただきたい。政府の手において取り除いていただきたい。私どもはやれることは幾らでもやりますが、そういう問題がございますので、ひとつ政府外交ルートを通して御折衝いただきたい。ダブルチェックを認めないとか、あるいはみずからやらなくてもこちらがやってやるとか、いろいろ各国事情がございましょうから、それに応じましてひとつ政府政府でその御折衝をいただいて、筋道をつけていただきたいということが第一点でございます。  それから第二点は、国際協力ということが政府対策にも今回決定されておりますが、私どもの考え方からいたしますというと、国連あるいはICAO国際民間航空機構でございますが、あるいはまた百社ばかりの国際航空に従事いたしております世界じゅうの航空会社で組織いたしております国際航空運送協会IATAと言っております、そういうオーガニゼーション、組織、機構を通じまして、ハイジャック防止に対してそれぞれの分野において強く再発防止効果的な手を打っていただきたい。私自身もやれることは、IATA理事会理事を私が仰せつかっておりますので、四十八年のドバイハイジャック事故以来、直後に開かれました理事会におきまして、モントリオールで開かれたのでございますが、その際にも、各空港において人的、物的施設による検査のばらつきというものをひとつなくしていただいて、世界共通の方式で同じ精度の高い防止対策を私はアピールしたわけでございます。そういうようなことで、私どもでやり得る問題はやらしていただきますが、ぜひ国連あるいはICAOというような、政府メンバーになっておられますそういう機構を通して国際協力お願いいたしたいということが第二点であります。  それから第三番目に申し上げましたことは、手荷物を一個に制限する。極力制限をする。この問題もIATA決議というものによって決められておるわけでございますが、それがどうしても守られないというようなこともございまして、私はやっぱりIATAでこういう決議がある以上、各航空会社国際競争の中にあって、やはりお互いのそういった競争の間にどうしても緩やかになってくる、これはどうしても加盟各メンバー遵守励行をするということをIATAの場を通じてやっていかなきゃならぬということが第三点であります。  それからあと、そういうようなことで手荷物一個主義と言いますが、これはなかなか実現がむずかしい問題が一つございますのは免税品の問題であります。日本人のお客様には免税品をお買いになる量が外国人旅客に比べて非常に多いわけでございます。酒あるいはたばこ、香水というような免税品の取り扱いをどうするか。この問題につきましては私どもはひとつ着地でそれを受け取る。ホノルルで注文された物を機内に持ち込まないで、羽田に着いて着地で受け渡しをできるようにしてもらいたい。これは関税法というたてまえでいままでお願いを申し上げてまいりましたが、なかなかこれは実現困難でございますが、今日のような深刻な事態を迎えて、こういうことの法律改正お願いできないだろうかというようなことを申し上げたのであります。今後の検討問題としてもお取り上げいただきたいと思うのでございますが、それができない間は一体どうするんだと、こういうことになりますと、それをひとつ客室内に持ち込まないで、ひとつ取りまとめまして、これを——ベリーと私どもは呼んでおりますが、航空機の腹の中の貨物室に全部お預かりをする。この問題は現場において大変大きな労力と時間等いろいろなものを要するわけでございますけれども、そういうことは言っておられませんので、できるところからひとつやっていくというようなことでいま体制を整えておるようなわけでございますが、非常にむずかしい問題が免税品の問題にあるということでございます。一番最後に申し上げましたことは、東南アジア中近東あるいは欧州各国においてそれぞれの政府治安当局みずからそういう検査を、あるいはその監視体制を強化していただいておるわけでございますから、非常にむずかしい諸般事情も私もよく承知いたしておりますけれども、ひとつ国内空港におきましても警察前面に出てきていただいて、これを警察責任においておやりいただけないかと、こういうことを申し上げたのであります。  私どもはなぜそういうことを申し上げるかといいますと、航空会社がやっておりますそういったチェック、そういったものは運送約款範囲内でしか処理ができないわけでございますから、凶器が発見された、それを押収するわけにもいかない、その人に質問をするわけにもいかない。運送約款範囲内での処理しかできませんので、これは私は前面にひとつ警察が出ていただきたいというこを申し上げたのでございますけれども諸般事情、いろいろむずかしい事情があろうかと存じますので、もしそれが困難ならば、いまやっておる体制の中で同様の効果が上がる運用をお考えいただきたい。あるいは漏れておるかもしれませんが、そういうことを申し述べてお願いを申し上げた次第でございます。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 昨日の読売新聞によりますと、あなたはハイジャックを完全に締め出す体制を考える、こういうことを述べられて、そのツルの一声で政府緊急対策項目に続いて八項目対策が打ち出された。海外空港保安職員を置くなどの措置等については、現地採用がよいかどうかなどの詰めを行うなどというようなことも含んで二十一日に職員ヨーロッパに派遣をされたというふうに伝え聞いていますが、これらの集約はいつごろの時期に行われるのですか。
  22. 朝田静夫

    参考人朝田静夫君) ただいま御質問の第二点の問題をお答え漏れをいたしておりまして失礼をいたしました。  いま御指摘のとおり、私どもは十七空港保安専門職員というものを配置をいたすことを決定いたしました。そこでダブルチェックもやらなければなりませんし、情報の集収、伝達といったようなものもやらなければなりません。先ほど——後先になってまことに恐縮でございますが、御要望をいたしましたときに、情報伝達ということについてもお願いを申し上げました。警察庁あるいは大使館あるいはIATA機構、あるいは極東航空機構というようなものもございますので、そういう情報を事前にお伝えを願いたいということも申し上げたので、一つ漏れておりまして失礼をいたしましたが、そういうようなことで、情報の収集あるいは連絡、それからダブルチェック実施いたしましたときのそれの監視、あるいは空港職員、あるいは空港関係のいろいろな事業がございますが、たとえて申し上げますと、機内食を積み込むとか、あるいは給油をやるとか、あるいはその機内を清掃するという者に紛れてそういうことが行われる危険性がございますので、そういう規則において、シップサイドにおいてそれを監視するセキュリティーオフィサー配置すると、こういうことで十七空港についていまその人選を急いでおる。警察当局の御指導も得まして速やかに配置をしたいと考えております。あるいは現地の人を私ども会社職員として雇用した方が現地の実情に明るいのではなかろうか、この辺も政府当局の御指導を得まして速やかに措置をいたしたいと考えております。
  23. 和田静夫

    和田静夫君 最後ですが、現状において日航としてはハイジャック再発危険性があると御認識ですか。
  24. 朝田静夫

    参考人朝田静夫君) 私は少なからずそういう危険性があるのじゃなかろうかということを憂慮いたしておるようなわけでございます。
  25. 和田静夫

    和田静夫君 どうもありがとうございました。  それじゃ警察、長官にお伺いいたしますが、日本赤軍は、重信房子が海外の根拠地づくり、そういうことを目指してアラブに渡ってつくった組織とされていますが、彼らの目標はパレスチナ解放というアラブ重点主義であった。ところが、最近のハイジャックなどの様相から見てみますと、日本国内の天皇制糾弾あるいはロッキード、日韓問題というような形の、言ってみれば国内重視主義といいますか、重点主義に移ってきたようにも思われます。そうすると、この作戦行動というのは、中東、ヨーロッパからアジアに移ってきているのではなかろうか。日本赤軍の根拠地というのは一体どこなんですか。
  26. 三井脩

    政府委員三井脩君) 日本赤軍の根拠地は漠としておりますけれども、中東地域でございまして、従前の情報によりますとレバノンが中心でありましたけれども、レバノンの一戦がありましたために散り散りになってあちこちに分散をした。レバノンの戦争状態も一応おさまってきたのでまた戻ってきておるのではないかと一般に言われておりますが、中東地域に幾つかの根拠地を持っておって、その間を遊動しておるというようなことを私たちは推定をしておるわけでございます。先ほどお話がございました彼らの目が日本国内の問題に向いてきておるということは、今回の事件の中で彼らが出した声明あるいは事件そのもの等からもうかがわれるわけで、その結果東南アジア地域に彼らは事を起こすということが多くなっておるのかと、こういうことになりますと、これはまた事はどこで起こしても、日本国内向けということであれば、その効果のある地域を選ぶということでありましょうから、あるいはやりやすいところというところが中心になるわけでございまして、過去の例を見ましても、ヨーロッパハイジャックをして云々というようなこともありますので、地域が最近東南アジアでわりあいに多くなってきておる傾向はございますけれども、どの地域が安全といいますか、その危険性がないというようなわけにはまいらないというように思っております。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 引き続いてドイツの赤軍問題も起こったんですが、いま日本赤軍の国際的な立場というのはどういうふうになっていると御判断になっておりますか。
  28. 三井脩

    政府委員三井脩君) 世界的なゲリラは、その国特有のもの等もあるわけでございますが、いまわが国に関係があり、かつ日本赤軍との関連というようなことで考えますと、何といいましても第一はアラブゲリラ、パレスチナゲリラというのが一番大きなものでございまして、これとの関連で彼らは行動をするということで、ある意味ではパレスチナゲリラのグループの一員といいますか、これと同調するグループと考えてもいいほどのものだと思いますけれども、テーマは日本における革命ということを考え、そしてまたその延長線上に世界革命というのを考えておるわけでありまして、アラブゲリラの中で、日本赤軍と同じようにマルクス・レーニン主義にのっとって世界革命を考えるという組織はPFLPでございます。そのほかにないわけでもありませんが、これが中心でございます。そういう意味で、PFLPとの関係が一番深いと、で、アラブゲリラ全体の中では、PFLPはむしろ拒否戦線という部類に属しておりまして、和平を拒否するグループと、こういう意味でございますが、どちらかというと、異端極左である。で、少数分子であると。その少数分子と日本赤車がマルクス・レーニン主義に基づく革命という線で共通性を持ち、連携をしておる。ただ、具体的にやることは、片方はパレスチナ解放から世界革命。日本赤軍は日本の問題を、日本革命を目標にし、世界革命を考えると、こういうことでございます。もう一つは、西独の赤軍——西独赤軍という問題がありますが、これは西独の赤軍というのは、いろいろ情報資料等によりますと、革命などというようなことを考えておるわけではありませんで、ニヒリスト、あるいはアナキスト、むしろニヒリストグループではないかと、こういうふうにいわれておるわけでございます。したがって、破壊やそういうものの先の方に彼らなりに何らかのことを考えておるのかもわかりませんけれども、当面は破壊自体を考えておる、こういう組織であると考えられます。  そこで、いま言いました西独赤軍とアラブゲリラと日本赤軍が何らかの意味でつながりがあるのかと、こういうことは問題かと思いますけれども、よく伝えられますように、いわゆるテロリストのカルロスというのがおりますが、これは世界的なゲリラのための武器ブローカーというような性格のものでございますけれども、こういうものを接点として間接的にはつながっておると考えてもいいんではないかと、こういうふうな見方もありますけれども、私たちの判断では、直接西独赤軍と日本赤軍との関連、つながりは直接的にはないと、ただ破壊と、テロということで共通性がある。何といいましても、アラブゲリラとのつながり、アラブゲリラの中の少数グープであるPFLPとのつながり、こういうことであろうと、ただアラブのゲリラの少数グループの極左のPFLPも、その目標とするところが、パレスチナ解放というところにありますので、これは大きな世界情勢の動きということには左右されるわけですから、日本赤軍はそれとの連携においては、共闘という点においてはそれに影響を受けますけれども、日本革命、日本でのテーマ、闘争というものを考える限りにおきましては、アラブ情勢との関連といいますか、アラブ情勢に制約されないという面もあるのではないかと、こういう意味で従前のように完全にアラブゲリラの枠の中で動いておったというときよりは、日本の国内問題を闘争テーマとして考えるようになってきたという点で、従前よりは危険性は増しておると、こういうふうに考えます。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 今回のハイジャックで奪取された六百万ドルですが、たしか六つのバッグに入れて運ばれたといわれてますが、正確であるかどうかわかりませんが、最終着陸地であったアルジェ空港ではおろされなかったともいわれていますね。そうすると途中クウェート空港、ダマスカス空灘に立ち寄っているわけですから、途中でおろしたのか、あるいはバッグの行方はどうなったのか、これは把握されているかどうかというのが一つですが、時間もありませんから一方的に言いますが、また六百万ドルはすべて百ドルの紙幣で用意をされたと伝えられている。恐らく国内に六百万ドルないわけないだろうと思うんですが、四百万ドルアメリカから取り寄せたというのは、連続番号等、こちらが紙幣の行方を追うために、そういう意味では新しい紙幣を必要としたんだろうというふうに素人なりに考えますが、そういうナンバーは控えられていると伝えられている。そうすると、これが使用された場合、発見確認をされる、そういうルートというのは追及をしていけるという確信があるわけですか。
  30. 三井脩

    政府委員三井脩君) 六百万ドルは、私たちが承知しておるところでは三つのバッグに詰め込まれたものと考えておりますけれども、それがどこでおろされたかと、アルジェリアでおろされたことは間違いありませんけれども、アルジェリアでおろされたのが全部であるのかどうかという詳細については、いまのところ、まだわかっておりません。それぞれの国に照会をし、そういう点も含めて当該国からの捜査結果の報告といいますか、通報を待っておるわけでございます。  二番目の六百万ドルの紙幣、百ドル紙幣で調達をしたという問題につきましては、当時、直ちに間に合うものは二百万ドルしかわが国内にはないという意味で後の四百万ドルをアメリカから取り寄せた、こういうふうに承知いたしております。  これを捜査的に、今後捜査の観点から追及するといいますか、そういう観点で手を打っておるかということでございますが、大変短時間の切迫した時間でありましたので、その時間の許す限りのことはいろいろとやったわけでございますけれども、具体的にどうしたかというような点につきましては、大変捜査の機微にまたがるといいますか、そういう点でありますので、その点は御理解をいただきたいと思いますが、将来、そういうものが使われたときにどういうかっこうでわかるか、追及できるかという点については、したがいまして、一般論としてわれわれの仕組みといいますか、そういう点を申し上げるわけでございますけれども、そういう紙幣なら紙幣の番号等がわかっておる場合にはICPOを通じて手配をいたします。ICPOがそれぞれの国に手配する。それぞれの国では、その国の組織で国内事情によっていろいろ違いますけれども、それぞれ手配してそれがわかる。こういうことで、ICPOルートを通じての国際捜査協力によってその辺は進められることになっております。
  31. 和田静夫

    和田静夫君 ハイジャック防止対策について伺いますが、その前提として問題の範囲を限定をしたいと思います。  現在考えられている法的な措置あるいは予防措置など、そういうあらゆる措置をとったとして、一〇〇%完全にハイジャックを阻止できる方法があるか、その自信があると言える措置があるのでしょうかね、その辺はどうお考えになっていますか。
  32. 三井脩

    政府委員三井脩君) 私は二つだと思います。  一つは、根本的なことでありますが、こういうテロリストがハイジャックをやろうという気を起こさないということが一つだろうと思いますが、これはハイジャックをやる彼らの目的がいろいろあると思いますが、最終的には政治目的、彼らは革命闘争としてやっておるわけでありますから、革命闘争のばかばかしさということを彼らが理解する、それに寄与するようないろんなことを手を打つといいますか、そういう情勢の展開というようなことが一番大きなファクターで、それによってハイジャックの意思を放棄してもらうということが第一。ただし、これは大変迂遠なことだと思いますが……。  最も現実的でわれわれのやれることということでありますと、そういう意思を持っておっても実行するチャンスがないように、チャンスを封ずるといいますか、そういう手だてであろうと、これにつきましては何といいましてもハイジャックについてだけしぼって言えば、武器を機内に持ち込ませない。そのために徹底した検査といいますか、これをやるということでありまして、一人一人徹底して検査をやれば、私は絶対に持ち込むことは不可能だと思います。その検査のやり方は人間について、人間が携帯して持ち込むものは一人一人検査をして持ち込ませない。それから別に託送荷物として航空機の中に持たせるものについては税関でやっておるようにピックアップ、抜き打ち、選別的じゃなくて、百なら百、全部またひっくり返して見るということをやれば、これは物理的に絶対武器を持ち込めない、丸腰で乗るということでありますから、ハイジャックにならないと思います。そういう努力をすべきだと、これについては先ほどお話がありますように、航空客の多さとか、そういうことによってそれが現実には完全に実施されておらないというところに問題があるということでありまして、ハイジャック防止することを至上命令だと考えれば、そのためにダイヤが混乱したり、航空の便数を減らすということがあっても、一人一人また一個一個の荷物を徹底して見るということであろうと思います。
  33. 和田静夫

    和田静夫君 もう一つは、仮にハイジャックが発生した場合に、一部伝えられるような、機動隊内の特殊訓練部隊を派遣をして、そして強硬作戦を行った場合、確かに今度の西ドイツのGSG9がモガジシオ作戦といわれるようなものをやった。で、しかし、これは偶然的な要因もあって、乗客に一人のけがもなくて成功した、偶然はあったが。これと同じような形のことをいわゆる乗客に一人の死傷者もなく、一〇〇%完全に作戦が成功する方法があるだろうかと考えると、それは私はなかなか保証はできない。私は結局、さきの問題といまの問題、このハイジャック防止対策というのは、この二つの疑問の間をどう調整するかにあるというふうに実は考えるんです。すなわち完全に防止することは困難であって、完全に救出することもまた困難である、そういう要件がある。したがって、この予防と事件発生後の救出等について、あたかも人権を無視しても予防をして、またどんな手段を用いてもハイジャックを武力阻止するといいますか、実力阻止するといいますか、そういう思想というのはこれはやっぱり容認ができません。で、これはおのずから限度があるわけですが、この限度についてはどのように限定をすべきだと長官お考えになってましょうか。
  34. 三井脩

    政府委員三井脩君) ちょっと長官の前に私から申し上げますが、私たち国内でこういう事案が発生するという場合に処理をすることを常々考えております。現にハイジャックはわが国では「よど号」ハイジャックを一号として、十一号まで発生いたしまして、そのうち「よど号」以外は全部検挙解決をしておるということでございます。事案の性質にもよるわけでございますが、そういう結果だと。この場合に私たちの考え方は、人質になっておる人の、犯人は別として、犯人も準じますけれども、第一には人質になっておる人の人命安全を考える。同時に犯人を制圧検挙して事態を解決をする。これは一見矛盾しているようにあるいは見えるかもわかりません。具体的な場合には矛盾という形をとる場合もありますけれども、この二つを最後まで具体的状況や条件の中で追及をするというのが警察の使命だと私たちは考えておるわけでございます。  そこで、今度西ドイツの海外における場合ということでございますが、あれはいわば奇襲が行われて、恐らく犯人もそういうことが行われると考えておらなかったと思います。そういう中で行われたということで、大変なリスクを冒して成功したということから考えますと、その冒すリスクの危険と成功の確率ということには大変問題があろうかと思います。  それから同時に、それでもなおあれが成功したということにつきましてはいろんな条件があったと思います。いわば西ドイツが国を挙げてあれを成功するように導いたんだと、直接、間接に、ということが問題であるわけでございまして、その以外のそういういろんな条件の集積、相乗効果の上であれがいい結果を生んだんだと、こう私は考えますが、それを抜きにいたしまして結果だけを見てまねをするとか、結果だけを比較するということには大変問題がある。もっと端的に言いますと、奇襲だから成功したわけでありまして、あんなことが起こったら奇襲やるぞということを犯人が知っておるということでは、ドイツといえども再び成功することはあるまいと、こういうようなことも考えられますので、これはひとえに当該事案の性質、事態の状況といいますか、それとその事態が発生したときの国内外の諸条件がどういう状態になっておるかということの総合的な結果判断され、行われることじゃないだろうかというように考えておるわけでございます。
  35. 和田静夫

    和田静夫君 長官、ちょっと私ここへ来てから三十分時間を短縮されたものですからちょっと急ぎますから、もう少しまとめて一遍長官の見解求めますが、いまなぜそういうお伺いをしたかといいますと、一番気にかかっているのは瀬戸山法務大臣の発言なんですよ。瀬戸山さんが法務大臣に就任をする際に、場合によっては血を流しても立憲法治国という制度を守るという決意を持つことが必要である、こう彼が述べた。また西ドイツのルフトハンザ機の人質救出措置についてどういうふうに状況を見られて言ったのかしらぬが、西ドイツというのはやり方すばらしい、粘りに粘ってそうして実行した。実際にあのようなことをやることは可能だということを示してくれた、そういうふうに大臣見解が述べられているんですね。いま三井さんからお話がありましたから、いわゆる警察が考えている考え方というのはわかりましたが、私はこの法務大臣見解が記者会見というような形でもって一般国民に与えた衝撃というのは、今度人質になった方々の発言にみられますように、だれもこれを了とする立場に立っていませんよね。それから学者の間でも大変な意見が出てきている。法務省として端的に答えてもらいたいんですが、こういう大臣発言のもとにハイジャック防止対策の法的措置を考えるわけですか。法務省来ているでしょう——。  それでは、私は、頻発する人質の事件で強硬作戦を行う場合に、犯人の人質下に置かれている危険性というものと、強硬作戦による危険性というものを比較考量をすべきだ、これはもう当然そう思うんです。これについては一定の判断基準、要件といったものが設けられなければならぬだろう、そういう判断基準、要件というものはこれは設けられているわけですか。
  36. 三井脩

    政府委員三井脩君) 端的に申しますと事件の性質ということを最初申し上げたわけでございますが、それを分析いたしますと、いろんな要件がございます。それは犯人の数からいきまして、それから彼らがある程度のおどしでやろうとしておるのか、ある程度の段階で妥協する余地を持ちながらあのような脅迫をしておるのかというような、犯人の主体側の条件につきましてもそうでありますし、また人質の状況もございましょうし、あるいは飛行機の種類等もございますし、そういう点は私たちはいろんな角度で分析し総合判断するようにしております。
  37. 和田静夫

    和田静夫君 それはそうでしょう。ただ私はいわゆる超実定法的なやり方というものが今度の場合とられている。これの論議は別の機会にやろうと思っているんですが、今度の場合カーター大統領の非常にすぐれた友人がいたから、日本政府はまずそのことを考えたんではなかろうか、これは邪推か推測されている向きもあるし、あるいは産油国を中心とする感情問題を石油との関係で考えてというようなことも、政治的には判断を福田内閣としてはしたんじゃないかということもわれわれはおもんばかることもできるし、いろいろな角度があるんですが、ともあれ私は一定の判断基準というものは設定すべきじゃないだろうかというふうに思うんです。それはそうでないと、法秩序からいってやっぱり納得できないということに私は通ずると思う。したがって、この問題含んで長官からちょっと答弁を、先ほどの問題と……。
  38. 三井脩

    政府委員三井脩君) ちょっとその前に一言。  いまの、私は国内の問題を中心にお答えしたわけでございますが、いまの海外に起こった場合にどうするかという基本的なことは、これは一警察、一法務省ということではなくて、外務省もありましょうし政府挙げての問題でございますので、現在内閣に設置された対策本部で検討すべきテーマになっております。ただ、そういう判断基準をオープンにできるのかというようなときに、そういう問題はまた検討の中に出てくると思いますが、いまそれは検討テーマになっておるということを申し上げます。
  39. 浅沼清太郎

    政府委員浅沼清太郎君) 西独の対処の仕方とわが国の対処の仕方、これはやはり両方の国の国民性、治安状況、世論の動向、まあ何といいますか国情の差でこれ比較して同一に論ずることは無理だと私は思います。いまのような国際関係で、今回のようなハイジャックというものを考えますると、外国でやると、外国で事件が発生をしたということでありまするので、その国の主権のもとでその国が全責任をもってやる、処理すると、こういうのが原則でありまして、その点で見れば今回のルフトハンザの事件処理は異例であると私は考えるわけであります。先ほどから警備局長が申しておりまするように、私どもハイジャックあるいは人質事件が起こりますると、人質を救出するということをまず第一に考えます。例の浅間山荘事件などでも女性一人が人質でございましたけれども警察官が、結果としては残念ながら殉職者を出しましたけれども、しかしあのような形でやる、同時にしかし、人質を救うが、非常にむずかしいテーマではありますけれども、犯人もつかまえる。しかしこの日本赤軍のハイジャック等を考えますと、やはりこれはハイジャックあるいは人質事件でわれわれはいろいろな手段、いろいろな手を、方策を講じまして、たとえば犯人を説得するとかやるんですけれども、それは個々ケースによって非常に違う。特にこの種の犯人は非常に警戒深くて、しかもなかなか説得に応じるような連中じゃない、非常に危険な連中であるということもありまして、非常にむずかしいんでありますけれども、しかし先ほど局長が申し上げましたように、国内ではとにかく人質を救う、犯人もつかまえるということで大体成功しておるのであります。私どもは、いま申し上げた基本方針というものは今後もこれでいかなければならぬと、そのためにわれわれとして平素の訓練なり、あるいは準備なり体制なり、そういうことを十分考えていきたい、こういう考えでございます。
  40. 和田静夫

    和田静夫君 もうハイジャック問題最後にしますが、ちょっとまとめて少しお伺いしておきたいのは、警察庁、日本赤軍によるテロの防止対策として赤軍調査官制度を新設して十一月にも発足させるというふうに伝えられていますが、この調査官について一体業務内容なり人数なり配置のいわゆる規模なりというものをもうお決めになっているのかどうか。で、一体どんなことをやらせようとするのか。私たち、ちょっと受け取り方によっては秘密国際警察機構的なものをお考えになっているのではないかというふうに大変危険に懸念もされますので、外国に出かけることが一体あるのかどうなのか。そういう場合にはどういう資格なんだろうかという点が一つです。  それから、警察官の海外派遣のため——法制局長官も来てもらってこの問題はもっと時間をかけて論議をしようと思っていたんですが、きょう時間がなくなりましたからやめました。国内法の改正を見送るというふうにきのう報ぜられました。これは朝日のきのうトップでしたが、これは本当なんだろうか。現行法のままで海外派遣ができるという根拠というのは私はないと思っているんです。ということは、警察法第六十四条で、警察法に特定の定めがある場合を除くほか、都道府県警察の管轄区域内で職権を行うものと定められているわけだし、警察法そのものは国外におけるところのものを想定をしながらできた法ではありませんしね。ここのところは一体どういうことになるんだろうかということは、これはより深い論議は別の機会にやりますが、一体報道をされたような形のことを結論づけられたのかどうか。この二つの点だけちょっと答えておいていただきたいと思います。
  41. 浅沼清太郎

    政府委員浅沼清太郎君) 最初の、赤軍に対する情報活動の問題でございますけれども、これはやはり主として日本赤軍が海外で訓練を受け活動をしておるということでありまするので、海外における活動状況というものをできるだけ把握したい。それから、同時に、国内にもこれを支援する組織がございますが、これをひとつさらに徹底して解明をいたしたい。この国内外の情報活動によりまして彼らの不穏な活動についてこれを未然に防遏するということが現在非常に一番大事なことではないかというふうに考えております。それで、そのもっぱら赤軍を担当する体制をつくるということで現在いろいろ検討を進めておるということでございます。  それから、これらの海外におけるハイジャック処理のために警察官を派遣するという問題でございますが、言うまでもございませんが、海外に警察官を派遣するためにはその国の承認がなければ、これはならない。当然であります。したがいまして、その前提の上で現在国際法上の問題、国内法上の問題、その解釈運用につきまして慎重に検討している、こういう段階でございます。
  42. 和田静夫

    和田静夫君 次に移りますが、杏林学園というのがありまして、これは理事長が完全に一人で牛耳っている結果、問題は、今度の一連の愛知医科大学問題あるいは金沢医科大学問題などと一緒に本院の文教委員会などでも、あるいは予算委員会などでも問題になっていますが、いろいろ問題が出てきています。  杏林大学設立に当たっての基本財産のうちで杉並区西荻北三丁目に昔あった医療法人松田病院の建物、これは現在に至るまで杏林大学の基本財産に入っていないわけですが、それどころか、ここではもはや理事長の長男であるところの松田博青さんという副理事長が建物を取り返して四十八年にマンションを建てて営利をそこから得ている、こういう状態になっていますね。文部省、これどうするんですか。
  43. 鈴木博司

    説明員鈴木博司君) お答え申し上げます。  昭和四十四年九月三十日付の学校法人杏林学園の寄付行為変更認可申請書添付の医療法人財団杏林会の寄付申込書における寄付物件の中には、当時同財団が所有していました先生御指摘の松田病院は含まれておりません。
  44. 和田静夫

    和田静夫君 これは基本財産に組み入れるということが条件になりながら認可手続がとられましたよ、文部省。私は明確にしておきたいのですが。愛知医科大学の四十七年の認可に当たって、私は本院の決算委員会で大変な疑惑があることを指摘をしました。そしていまになれば私はあのときもっと文部省の説明を了とせずに追及をしておいたら、愛知医科大学問題は起きなかったという自責の念に実はかられているんです。その意味では私は文部省の説明をまるのみにしたがゆえに、愛知医科大学問題がわずか五年間で表に出てしまった、当時こうなるよということは、私は決算委員会でちゃんと申し上げておいた。こんな疑惑に満ちた許可をすれば当然この学校法人は問題を起こす、そう言っておいた。したがって、私はいまの答弁を了としません。これは明確に基本財産に組み入れることが、医療法人松田病院の建物を繰り入れることは条件になっていた。それが文書、手続的にはいま言ったような形でもって表面を糊塗してしまう。したがって問題が起こる。  それから、時間がありませんから、ずっとこちらが言っていきますが、たとえば文部省に提出されている松田進勇理事長の履歴書、これが日本大学医学部でも問題になっているようでありますが、日本大学医学部教授という肩書きがある、ところがこれは明確に履歴の詐称である。そういう意味では理事長あるいは短大学長としての適格性をさえ疑う。また、理事長の子息女、たとえば長女であるところの細谷繁美さん、次女であるところの松田紘枝さん、次男であるところの松田隆昌さん、実際には勤務をしていないそういうときにも創立以来高給が支払われていますね。これは賃金台帳もある。理事長はこの支払いをさせたことによって学園に明確に損失を与えている。また、三人の子息は不当な収入を得たということにもなろう。だれがいつの時期にこの給与を一括受け取っているかもみんな調査も済んでいる、こっちは。で額は、私は世間的な常識からいってここの当時の賃金が高いとは言わぬ。言わぬが、それは少額のものでたとえあったとしても、こういう状態というのはやっぱり見逃すことができない状態ではないか。なお、理事自身が学則に反して給与を二重に受け取っておる。これも文部省好ましい状態であるとは思わない。  それから、構内に売店がありますが、これは問題になってから以降、四十八年一月以降はその収益金等については経理にあらわれているが、それまでは全部不明金ですね。こういう問題がある。  同様に構内の隣接地の有料駐車場の売上金、これも経理上不明確である。  また、理事長の息子さんであります松田博約というんですか、博約さんの経営する東京都民建設産業という会社、これは長年三鷹市の学園の土地約一千九百平方メートルを使用してきたが、この中には工事もない時期も占有をしていた時期がある。学園建設以外の目的に明確に使用されていた、いわゆる建設産業株式会社として使用が行われていた。こういうような形で、いまは問題になりましたから、都民建設が買い取った形になっているが、これらも大変な逸脱した行為だ。  私は杏林学園全体の運営というのはいま申し上げたような形で大変な疑惑に満ち満ちている。そしてもう時効になった問題をいまずっと言ったんですが、時効になった部分でありますからあれですけれども、時効になったとはいいながら、いわゆる学校法人としてふさわしからざるそういうような幾つかのことを指摘することができます。私はこれは結局、理事長の個人経営ないしは一族経営となっているために公私混同が起こる、そういうことではないかと思うんです。で、理事長は入学寄付金集めから、あるいは入学者の決定、経理のチェック、そして驚いたことには、興信所を使って教職員個々の調査をやらせる、それを種にしながらその地位を揺さぶるなどというような——これはいつでも参考人として出てくると言ってくれている方がいらっしゃいますから、私は自信を持って述べますが、こういう恐怖政治的なことが学園内で行われる、そういう結果生じている諸問題であります、これから私が取り上げていく問題は。時効になっている問題についてはあんまり深くもう時間がありませんから言いませんが、いま申し上げたようなことがずっとある。こういうのは、愛知医科大学なり金沢医科大学と全く酷似をしているわけです。このことを念頭に置いて答弁を願いたいのであります。  この入学寄付金等、決算との乖離についてであります。これは明確に私は不正事件ではないかと思うんですが、これは警察がどのように答弁をされるか、これからお聞きをしていかなければわかりませんが、文部省が事情を聴取された結果の説明ですね。衆議院における予算委員会のやりとりを読みましたが、この入学寄付金総額と決算との差額は、文部省の言い方によると、後援団体である杏会に寄付したということになっていますね、五十二年三月四日の衆議院予算委員会。そこで、決算書を全部洗ってみました。杏会に寄付したという科目が見当たりません。どこにあるんですか。
  45. 塩津有彦

    説明員(塩津有彦君) いまの杏会でございますが、杏会は四十五年四月に設立されたもので、御承知のとおりでございます。その目的は、杏林大学の振興と研究勉学の環境整備、同時に会員相互の親睦を図り、もって大学の発展に協力するというわけでございます。この杏会は当初、御承知のとおり、いま先生がおっしゃいましたような、入学時の、大学の説明によれば任意の寄付金というものを一たんこの杏会に入れまして、それから順次大学の正規の経理に繰り入れるという手続をとってきたわけでございます。その手続の過程におきまして、毎年度の入学時の寄付金をその年度に全部繰り入れるというようなことをしていない年度がございます。したがいまして、杏会で収入いたしました寄付金の総額と、それからその年度の学校法人の経理に正規に計上をされました寄付金の総額が合わないという年度があるわけでございます。そういう結果を生じたわけでございますが、調査をいたしました結果、四十九年度にほとんど杏会の保有資金の全部を杏林学園の正規の経理に繰り入れております。その際に、正確には持っておりませんが、二十万か何かそれぐらいの額だけが残っております。それから五十年度になりまして、この杏会というのは、杏林学園維持後援会というふうになっております。維持後援会の現在の経理によりますと保有資金はゼロになっております。すべて学校法人の正規の経理に繰り入れているという報告を受けているわけでございます。
  46. 和田静夫

    和田静夫君 問題になるのは、私は、四十九年決算四十九年で全部入れます、こういうふうに理事長が説明をした。ところが、私は四十九年決算全部洗ったって入っていませんよ。あなたの文部省の方へきている、つくられている文章で、文部省が黙認をしている形で私は了とするわけにはいかないので、正式な決算書全部手に入れましたが、入っていません、それ。問題はこの父兄会の杏会と、そしていま言われた後援団体であり、任意団体である杏会、杏会というのは同じ名前で二つあるわけですから、この杏会二つの操作を通じながら大変疑惑に満ちた操作が行われているということはもう明確でありまして、文部省の側もたとえば予算委員会の答弁の中で、決算等との対比において約四億の金が行方がわからないという意味での答弁をされております。これは私触れていきますが、触れていきますけれども、たとえば後援会としての杏会は四十五年以降一人の事務員も置かずに何億という金をやっぱり持ったわけです。これ何か事業やりましたか、先ほど目的を言われましたが、杏会として事業やられましたか、そのときのそれじゃ杏会にあったところの金の滞留しているところの資金との関係におけるいわゆる出し入れというものは明らかになっていますか。
  47. 塩津有彦

    説明員(塩津有彦君) 杏会の目的はいま申したとおりでございますけれども事情をよく聴取しましたところ、当初の杏会というのは、入学時の寄付金というものを収納し、それを保有資金として持ち、順次学校法人の正規の経理に繰り入れるという仕事を中心にやっておりましたものですから、今度の事情聴取に当たりましても、正規の——正規といいますか、大学の後援会としてふさわしい目的、内容、実態を備えるようなものに改組するということを指導いたしました。大学はそれを確約しておるところでございます。  なお、杏会の当初の役員ということでは会長、副会長、理事数名、監事一名という役員が発令されておるところでございます。
  48. 和田静夫

    和田静夫君 実態の討論、実態の論議をしているのであって、いわゆる数億の金を持っておる。たとえば四十五年から平均、いま四億として平均二億ぐらいあったとしても、十二、三億の金が杏会に滞留をするという形になる。それだけのものが一人の事務員も置かずに操作をされたということは杏会の経理の出し入れというのは一つもないということですよ。これは杏会の決算お持ちになっているのなら全部出してもらいたい、そして間違えてもらってはいかぬのは、父兄会の杏会と、いま問題になっている杏会というのは違うということですよ。父兄会が杏会としていろいろなことをやられていることはわかっておりますよ。資金操作のために置かれたいわゆる幽霊団体としてのこの杏会、たとえば寄付金集めてきます。そして寄付金の五億ぐらいは杏会に残しておきます。十億ぐらいは学校法人に入れました。で、この五億は問題になるまで知らぬ顔していました。問題になったから四十九年になってにわかに入れてくる、こういう捜査だけでもって全部が是正をされたんだということにはなりません。四十八年当時の捜査というのは時効になっていませんから。ここの部分は、これは警察庁、私の考え方間違ってましょうか。
  49. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) いま先生仰せの間違ってないか、時効の点でございましょうか——。まあそれは罪種によりますが、まあ詐欺、横領、それぞれの罪種によって違いますが、横領等であれば時効は五年と、こういうことでございます。
  50. 和田静夫

    和田静夫君 そうですから警察、この辺、いま論議をしているところをお調べになりましょうか。
  51. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 警察の基本的姿勢、いまさら申し上げるまでもございませんけれども、具体的な犯罪容疑があるということであれば、これは厳正なる法に照らしまして処置をすると、これは当然でございます。杏林大学の問題につきましても、先ほど来の論議、あるいはまた昨日先生の方から資料等も一部提供を受けておるというふうな状況のようでございますけれども、まあいずれにいたしましても管轄権を有しまする警察、これに送付いたしましてひとつ検討をするというふうな気持ちでおりますけれども、時効その他いろいろの問題もあるようでございますし、そういう点も含めてひとつ検討をさせていただきたいと、こう思います。
  52. 和田静夫

    和田静夫君 この事実は文部省の説明とは逆でありまして、これはさっきも言いましたけれども、私はあの愛知医科大学でもう本当に自責の念に駆られていますから、あのときにやっていればこんな不祥事件起こしていなかったと思っていますから。この問題はあなた方の単なる、理事長と書面でもってやりとりをした、あるいはこういうふうに指導をしましたということでもって了とすること絶対にできない立場でありますことは、もう一遍言っておきますが、入学寄付金はこの松田理事長と、以前は東洋レスポワールというところの会社の部長であった——これは名前もわかっていますが、入試ブローカーであるTという人との間で集められていた。そしてこの集めた金の中からある金額だけが残されて、そして残りが杏林学園の収入となるそういう仕組みであった。すなわち入学寄付金は二重帳簿になっています。もとの帳簿の方が後援会の杏会と呼ばれるものである。国税庁、こういう二重帳簿の場合の状態ですね、これは当然脱税容疑が生じませんか。
  53. 掃部實

    説明員(掃部實君) お答えいたします。  国税当局といたしましては、最近国会だとか新聞などで取り上げられております杏林大学の寄付金の件につきまして、重大な関心を持っているところでございます。現在鋭意その資料、情報の収集、整理に努めておるところでございますが、その結果に基づきまして、課税上措置すべき点が明らかになりますれば、適正な処置をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  いまお話しになりました一般論でございますが、二重帳簿ということになりますと脱税ということになりますが、本件杏林学園はいわゆる学校法人でございますので、課税上の問題その他については、学校法人それ自体についての法人税の課税ということについては、一般的には課税をしない仕組みになっておりますので、本件についての脱税容疑ということについては、われわれとしては調査をするすべがないというわけでございます。
  54. 和田静夫

    和田静夫君 誤解がありますよ。私は学校法人杏林学園のことを言っているのではありません。いわゆる任意団体、後援団体杏会のことを言っているんです。杏会は任意団体ですよ。これは明確に、たとえば法人税法のいわゆる七条でいう非課税規定には該当しませんでしょう、これは明確に。いわゆる民法三十四条でいうところの公益法人でありません、杏会は。学校法人については御説のとおりでありまして、学校法人についてまで何もやれと言っているんじゃない、杏会です。この杏会というのは民法三十四条の届け出を行っているわけじゃありませんからね。そういう、いってみれば社団、財団としての官庁の許可を受けた公益法人ではありません。ここがたとえば数億の金を運用する、そこから果実が生まれる。そういう果実については課税対象になっているでしょう。そういう意味のことで私は指摘をしているんであって、いまあなたが後段で答弁をされた部分——前段の部分はそれでいいんですが、後段で答弁をされた部分は、その杏会が何か学校法人であるかのごとき感覚をお持ちですから、そこのところは誤りですから、これは明確にしておきたいんです。  で、杏会には毎年幾らずつ積まれたかということ文部省おわかりになっていますか。
  55. 鈴木博司

    説明員鈴木博司君) ただいまのところ資料を持ち合わせてございません。
  56. 和田静夫

    和田静夫君 ただいまのところ資料を持ち合せてございませんなんていうことに文部省ならないんであってね、あなたの方は先ほど言ったとおり四十九年には返しました、五十年には返しました。四十五年ぐらいから始まっているものをそのころになってこうしましたから過去はどうでもいいんですなんという学校指導そのものがおかしいと思っているんだけれども、ともあれそういうふうに言っている。そういうふうに言っているのなら、その返した金額があるはずです。返した金額なんかありませんよ。返すということを言った、しかしながら金が調達できない。あるいは調達をすればどこかから借りた。借りたということになれば非常におかしな話でありましてね、銀行通帳がありましょう、杏会には。果実を生んでいるでしょう。この利子を生んだ部分については、いわゆる租税特別措置法による免除規定はないわけでありますから、当然国税庁の問題になる。そして、生むべき果実が実は郵便貯金通帳がない。ないとする。ない。そうであれば、ここの部分からは疑惑が生じてきて警察庁がこれから調査をされていきゃおわかりになる、こういう仕組みにここなっているんですよ、ここのところは。これでもって学校改善ができましたなどというような性格のものではないわけだ。すなわち私が二重帳簿と言ったのは、架空の団体なんですよ。で、そういう二重帳簿になっている。学校法人のお金が多額に流用される。これはお調べになる必要があります。国税庁よろしいですか。
  57. 掃部實

    説明員(掃部實君) 本件財団につきまして、それが人格のない社団であるか、あるいはまた財団であるか、あるいは個人の集合体であるかということについては現在調査中でございまして、この段階で法人税の課税あるいは所得税の課税といったことについて回答を差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、鋭意調査を続行いたしまして、最終的な判断をとりたいというふうに考えております。
  58. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、調査されていますから、その調査結果については後から教えていただける——まあそれは、いわゆるあなた方の言う守秘義務の問題はあるでしょうが、調査の進行でいわゆる守秘義務に、守秘の問題にひっかからぬところはちゃんと出してもらえる、こういうことになりますか。
  59. 掃部實

    説明員(掃部實君) 先生御承知のように、われわれといたしましては任意調査調査いたしますものですから、御承知のように守秘義務が絡んでまいりまして、一般的に守秘義務を前提としてお話をしなければならないということで非常に苦しいわけでございますが、現に調査を続行していることは間違いはないわけでございますので、その辺のところで御勘弁を願いたいというふうに考えております。
  60. 和田静夫

    和田静夫君 まあ調査が終わるころにもう一遍質問します。  そこで警察庁ですが、たとえば文部省の答弁によってもこの約四億円ぐらいが、この時効になっていない部分、四十八年以降のことを考えると約四億円ぐらいの部分というものが問題になっているんですよ。ここのところは、これは私は非常に重要だと思っているんです。  で、まあ一方税の関係はお調べになっているようでありますが、これは警察庁関係としてもここのところはひとつ十分に調査を求めたいと思うんですが、これはよろしいでしょうか。
  61. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 大変長い年限で複雑な内容のように漏れ承ります。まあ、そういう意味でひとつ十分検討させていただき、またその過程におきまして先生を初め、それぞれの情報、そういったものについてはよろしくお願いしたいと思います。
  62. 和田静夫

    和田静夫君 もうちょっとで終わりますが、杏林学園の八王子学生寮の敷地であります。これは長男松田博青、それからいわゆる認知された長男——長男二人になるわけだが、その認知された松田隆昌という子供さん、それから次女松田紘枝さん、こういう名義で四十五年七月十四日及び四十六年一月十一日の二回に分けて八王子市宮下町の土地の購入が行われました。購入費は大部分杏林学園から支払われた。ところが、二年後の四十七年十二月二十八日になって杏林学園の名義に真正なる登記名義の回復という名目で変更されている。その間は個人名義になっているわけですね。杏林学園の資金でもって買われたが個人名義になっておる。で、問題になってきたら四十七年になって錯誤、錯誤と真正なる登記名義の回復というのはどういうふうに手続きが違うのか知りませんが、もう時間がなくなってきたので、法務省ここ求めたかったんですが、きょうはもうあれしますが、そういう状態で回復している、こういう状態になっているんです。しかしこの間に、回復するまでの間に、この土地はいずれも抵当権が設定されていて、そして不正な占有が行われたことは登記簿上明確であります。こういう状態になっている。で、個人名義の土地に抵当権まで設定して借金をしている。これはダミーとして土地を購入したということではなくて、明らかにその土地を自己のものとして、いわゆる個々人、自己のものとして使用している、こういう状態になっているんですよ。で、この不正占有している土地に理事長の息子さんが経営している東京都民建設産業が学生寮を建てて、そして自己名義で登記をした。これは大学からも出資金が出ていますが、ともかく四十七年の約一年、学生を入居させて果実を生んだ、収入を上げた。結局、松田一族が大学が買った土地を不正に自己のものとしてもうけようとしたわけになりますが、四十七年十二月に発覚しそうになって先ほど申し上げたような形で真正なる登記名義の回復という形で実は名義変更をした。で、建物を大学が買い取った形にまあこうしてなっているわけですね。しかし、これは結局不正なる占有があった期間があることはもう明確だと思うんですよ、言ってみれば横領。その間に土地から生ずる果実の可能性を考えてみれば、学校法人に対してそれだけの損失をまた一方で与えたということになろう。これは警察庁いかがですか。
  63. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) いまお伺いしただけで刑事局長の私として結論的にどうこう申し上げられません。いずれにいたしましても検討をいたしたい、検討させていただきたいということを申し上げておきます。
  64. 和田静夫

    和田静夫君 あとの部分に入る時間がなくなりましたが、ここでもう一つですが、いま申し上げたような事実関係がある。これは警察調査された結果はどういうふうにあれするかわかりませんが、これから検討調査される過程で私に対していろいろと連絡をとってもらえる、こういうことになりますか。
  65. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) それぞれのケースに応じて、またしかるべく御連絡もいたしたいと思います。
  66. 和田静夫

    和田静夫君 連絡をする……。
  67. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) それぞれの内容の詰めその他に応じてひとつ判断し、また連絡もその必要に応じてはいたしたいと思います。
  68. 和田静夫

    和田静夫君 一番最後のところがよくわからないな、にわかにこう、言葉がちょっと小さくなるもんだから。いたしますと受け取っていてよろしいわけですか。前段の部分はよくわかりました。
  69. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) その連絡の態様その他でございますが、調査を逐一先生の方にというふうなことはちょっと問題だと思いますが、いずれにしましても長い間のいろいろ複雑なる内容を含んでいるようでございますので、十二分にひとつ検討した上で判断したい、こういうことです。
  70. 和田静夫

    和田静夫君 文部省、最後に申し上げておきますが、いま世間的にたくさんの学校が問題になっています。逐一別の機会に、それらの学校、特に私は、愛知医科大学の問題は、当初指摘した責任がありますから、徹底的に追及をいたしますから、ここの問題は、単にいま申し上げてきたとおり、理事長の独裁的な運営ですから、そうすると、その理事長との接触において物事は善処されましたなどというような認識で今日世間的にたくさん起こっている学校法人問題というものを扱っていったら、これは私は大変なことだと思うのです。余分なことでありますが、四十七年、愛知医大などの認可当時の施設局長は、今日深く皇室とかかわりがある場所にいかれたのでありますからね、これは十分考えながら措置をしてもらいたいと思う。なまじっかのことでもってこれは措置をされると政治的には大変な問題に私はなる。そういうことだけちょっと申し上げておきます。
  71. 鈴木正一

    鈴木正一君 本年は御案内のように自治法公布施行されてから三十年に当たっておるまさに記念すべき年でございますが、そういう長い経過を踏まえながら、行政改革という課題の中で順を追って質問をさせていただきます。特に政府が今回行革に意欲的に取り組んでいるさなかでございますので、今日の地方自治それ自体が国民に定着をしておるような実態を踏まえて、県なり市町村からそれぞれ長い間強く要望をされてまいった事項の中からひとつ尋ねてみたいと思います。  まず第一番目に、昭和四十五年の十一月二十日の閣議決定事項というものがございます。さらに、同年の十二月の二十二日にそれに基づいての閣議の報告がされたようであります。その命題は、「行政機構の簡素合理化の推進」並びに「地方支分部局の整理再編成について」というものが決定と同時に報告になっているようであります。その中身についてひとつまず最初に自治省からお示しをいただきたい、こう考えます。
  72. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 行政管理庁の方からお答えいただく方が適当かと思いますけれども、御指名でございますので、十一月の二十日の「行政機構の簡素合理化の推進について」という閣議決定が行われております。これは二つの部分からなっておりまして、一つは「国家行政組織法等の改正」ということで、「国の行政組織の内部部局等の設置改廃を政令で定める」ことができるというふうにするという点でございます。もう一つが「地方支分部局等の整理再編成」の問題でございまして、地方支分部局につきまして府県単位の機関をどうするか、あるいは府県単位機関以下の機関についてどうするかというような方針を決めておるわけでございます。そのほか若干の特殊法人についての統廃合のあり方を示しております。これを受けまして、十一月の末だったかと思いますが、閣議の口頭報告決定が行われておりますが、それは地方支分部局の整理再編成についてより具体的にどこの部局をどうするかということを決定したものでございます。
  73. 鈴木正一

    鈴木正一君 次に、行政管理庁の方にお尋ねしたいと思いますが、それと同様な中身で昭和四十五年の十一月の二十日の行政監理委員会によって出された「当面の行政改革事項に関する意見」というものがあるようでございますが、この大要についてまずお示しをいただきたい。
  74. 竹村晟

    説明員(竹村晟君) 行政監理委員会は昭和四十年に設置されまして現在第四期の委員で運用をしております。お尋ねの意見は第二期に属するものありますけれども、「当面の行政改革事項に関する意見」として委員長を除きまして六人の委員で意見をまとめたものであります。その大要は、当時の高度経済成長に伴いまして、社会経済情勢が非常に変動すると、そういう中で行政がよくこれに対応するためには不要不急化した行政部門の大幅な整理縮小、それからこれに伴う公務員の大幅な配置転換、そういうことを行いまして、行政需要の実態に即応した全行政の再編成を実現しなければならないと、こういう基本的な考えに立ちまして具体的に六つの項目について意見を述べております。  第一が「「総合開発庁」の設置」であります。これは当時の工業化と都市化の急激な進展の中で、人口と産業の集中によりますいわゆる過疎過密の問題があったわけでありますが、こういう中で全国的に均衡のとれた国土を実現するということで総合開発庁の必要を述べたものであります。  それから、「地方支分部局の整理再編成」でありますが、これが第二の項目として挙がっております。これは社会経済情勢の推移と交通通信手段の進歩に伴いまして簡素合理化を図る余地が大きいと。また、公務員の配置状況から見ても、その整理縮小と再編成が特に必要であると、こういうことで地方支分部局につきまして、これはブロックの機関、県単位の機関、さらにその下の機関もあるわけでございますが、十七の機関につきまして個別に意見を述べております。それからあわせまして機能の充実強化が必要であるけれども、当面措置をとる必要があるとして二つの機関を挙げております。  それから次に、第三の項目でありますが、「特殊法人の整理再編成」、それから第四番目に、「農林行政の改革」、それから五番目に、「許認可事項の整理」、最後の六番目に、「配置転換の促進」と、こういった項目について意見を述べております。
  75. 鈴木正一

    鈴木正一君 両省庁の方からそれぞれ四十五年関係の態度決定された内容についてお伺いをいたしたわけでありますが、これらの中身はいずれも私の知る範囲だと昭和四十六年から五年間のうちに実施をするというようなめどをつけておったようであります。もちろん原則としてという言葉を使っておるわけでありますが、そういうことでございますので、まず閣議報告なされた内容の中身で具体的に挙げますというと、大蔵省関係財務部を昭和四十六年度に廃止をして所要の現地事務処理機関を配置をする。それから、昭和四十六年度以降五年間以内に、財務局及び財務部の出張所の約四割を整理統合する、こういうふうになっておるわけであります。四十六年から五年間ということになりますと、もうすでに過ぎておるわけでございますので、大蔵省はそういう決定に基づいて今日までどのようにひとつ取り組んでこられたか、あるいはまた実施をされたならばその実績についてひとつお示しを願いたいと思います。
  76. 宮原翠

    説明員(宮原翠君) お答えいたします。  問題二つございまして、最初は財務部の問題でございますが、これにつきましては、財務部を廃止して、所要の現地事務処理機関を配置するという閣議決定がございまして、これに従いまして法律改正案を準備いたしまして国会に提出し御審議を願ったわけですが、これは審議未了ということで法案としては成立を見なかったわけでございます。しかし、大蔵省といたしましては、この法律案の趣旨を生かしまして、その後鋭意検討いたしまして、財務部の所管の事務のうち主計関係事務を四十二の財務部から一切財務局の方に集中いたしまして、主計課というのを廃止いたしました。それから金融面におきましても、地相銀の検査、監督事務を財務局に全部集中いたしました。それから三つの財務部にありました次長制を廃止をいたしました。こういうことで財務部の法律案は成立いたしませんでしたけれども、その趣旨にのっとりまして積極的に整理合理化を図ったわけであります。  それから、もう一つの出張所の点につきましては、閣議報告に基づきまして、当時全国に二十四カ所出張所がございましたが、その四割であります九つの出張所を四十六年度から五十年度に至る五年の間にその事務をすべて局に集中いたしまして整理統合を行い、この報告にありますとおりの案をすべて実行し終わっております。
  77. 鈴木正一

    鈴木正一君 農林省はいまの件についてどのような実績をお持ちですか。
  78. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 農林省関係につきましては、ただいまの閣議報告の中では統計調査事務所と食糧事務所の二系統の出張所につきまして整理統合がうたわれておるわけでございます。  まず、統計調査事務所につきましては、昭和四十六年度以降五年間以内にその出張所を約四百五十カ所に整理統合する、こういうことになっておるわけでございまして、当時昭和四十五年度末におきましてこの出張所が六百八あったわけでございますが、四十六年度以降五年目に当たります。五十年度には、目標数でございます四百五十よりさらに統合を進めまして、五十年度末で四百三十八ということで閣議報告以上の整理統合の実績を上げておるわけでございます。  なお、統計情報事務所関係につきましてはその後も引き続き毎年十数カ所程度統合を進めておりまして、五十二年度末には四百九程度になるということで、さらに統合は一層進めておるわけでございます。  次に、食糧事務所でございますが、これは閣議報告の中では出張所を全廃する方針のもとに四十六年度以降五年間以内に八割を廃止するということが書かれておるわけでございますが、このとき、二千七百九十五ございました。その後五十年度末には出張所を整理統合した結果九百四十四、五十一年度末に七百三十二ということで、五年という時点におきましてはこのときの八割を廃止するというところの一歩手前のところまで参っておりますが、その後引き続き統合は進めておりまして、最終的にはこの閣議報告にもございますように、出張所は全廃をするという方針で進んでおりまして、五十二年度末には五百十九ということまで持っていく予定でございまして、当初の予定しました八割はその時点ではそれ以上に達成をしていると、こういうことでございます。
  79. 鈴木正一

    鈴木正一君 行革の推進ということになるわけでありますが、この場合はやはり行政事務と財源の再配分というような問題をよけて通るわけにはまいらぬわけであります。きょうは時間の関係上財源関係まで踏み込んでいく余裕ございませんが、行政事務についてお尋ねをしてみたいと思いますが、臨時行政調査会においてまとめましたところの再配分の原則というようなものがございます。ちょっと読んでみますが、これはまず第一に、現地性の原則というものが貫かれなきゃならない。本来、「行政事務は、国民の便利という観点から、地域住民の生活に密着した実施事務はなるべく身近かなところに配分されるべきである。」それから第二点としては、総合性の原則を貫けという。「行政事務は、行政の総合調整機能が発揮されるところに配分されるべきである。」三つとして、経済性の原則というものを掲げられておる。行政事務は、その処理に当たって支払われる経費が最小限となるように、経済的配慮のもとに配分されるべきである。この三つの原則は、私どもとしては当然のことだと思うのでありますが、これについての認識の度合い、まず自治省の方からひとつお聞かせを願いたい。
  80. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) そのとおりだと思います。  その考え方の基本は、シャウプ勧告の考え方と軌を一にしておるわけでございますけれども、要するに、国、都道府県、市町村と、三つの段階の行政機関があるわけですけれども、それぞれの責任分野というのをはっきりさせる。で、それに対応して財源措置を十分行っていくと、そして身近な行政というのは、最も身近な行政機関にやらせるのが適当である。つまり、市町村優先ということで事務配分を行うべきであるという考え方でございまして、ただいま御指摘のございましたところの臨時行政調査会の考え方もそれにのっとっておるわけでございまして、そのとき膨大ないろいろな意見書が出されたわけでございますけれども、それも大体その線に沿ってまとめられておるというふうに了解しておりまして、私ども自治省といたしましては、いろいろな行政事務の再配分に当たっては、そういう考え方を基本として関係各省とお話し合いをしておるということでございます。
  81. 鈴木正一

    鈴木正一君 いまのようなことで、行管の方はどのような受けとめ方をされておるかお聞かせを願いたい。
  82. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) 国と地方との間の行政事務の配分の問題につきましては、ただいま自治省の方からも申されましたように、シャウプ勧告以来、種々の議論があり、それから臨時行政調査会でも先生御指摘のとおりの御判断を示されておるところでありまして、私どもといたしましても、この考え方自体につきましては、国と地方の行政の仕組みの大原則の問題としまして、そのとおりであろうかと考えております。ただ、具体的な行政事務のいわば洗い直しというふうな話になてまいりました場合には、やはり個別の行政のあり方の問題というふうなこともございますので、その大原則と、個別の行政の原則と、このあたりを両者相勘案しつつ考えてまいる必要があるというふうに思いますけれども、私どもといたしましても、そうした考え方のもとに行政の見直しというふうなものを進めてまいりたいというふうに考えております。
  83. 鈴木正一

    鈴木正一君 いままでの中でありましたように、いわゆる勧告であるとか、あるいは閣議の決定だとか、あるいは何々委員会とか、いろんな中身で数々の答申なり、意見等が出されて今日まで来ているはずであります。したがって、それらを着実に実行に移していくということでないというと、住民それ自体につながるところの本物の行政ということになっていかない、こういうように私は判断をするわけで、まかり間違えばそういううっせきされたものが、いわゆる政治全体に対する信頼感を失っていく。特に、自治体においてはもう国民、それぞれの住民に定着をしているいまのさなかでありますから、それらの要望というものを着実に解決をしてやるという努力を払わなければ、いかに行革を政府の方で考えられても空念仏に終わる可能性が多分にある、こういうふうに考えるわけであります。そういう意味から今度具体的にひとつお尋ねをしてまいりたい。  全国の知事会なり、あるいは都道府県議長会、それで長い間要望しておった問題があるわけでありますが、そのうちの二、三の点をここに取り出してお伺いをしてまいりたい。  まず、機関委任事務の問題ですが、これは自治法の第百四十八条ですか、別表三に全部載っかっておる。これをずっとながめますというと、大体事務関係の中で固有の事務がありますが、七割を占めている、機関委任事務というものが。まあ私ども、地方自治というのは三割自治だということをいわれてきておる。財政面で三割、それから事務面でやはり三割自治なんですね。だから、自治法制定して今日まで三十年もかかっていて、なおかつ事務の中身において完全に知事の行い得る権限を全部持っておるところの事務というものが完璧になっておらない。機関委任事務という形の中で改正をされずにそのままになっているわけです。そういうようになりますというと、固有の事務との区別が非常にむずかしくなる、つけにくいわけです。したがって、行政の責任の分野それ自体についてもうまく区別ができなかろうと思うのであります。さらにまた、地方議会で議決をするということができなくなっておるわけでございますから、住民の立場に立っての批判なりチェック、こういうものがきわめてむずかしくなっておるわけです。言いかえれば一番住民に密着することが多いところのこのような事務が、権限が及ばないというようなことで完全な機能発揮ができないでおると私は思うのであります。したがって、機関委任事務各件については速やかにまず廃止をしてほしいというのがそれぞれの団体からの強い要望であったと思うのでありますが、まあ全部廃止というわけにいかぬまでも、廃止もしくは整理をすべき段階であると、こう思うのであります。  三十年前に決めた別表第三にのっとって依然として機関委任事務でこうやっておるということは、これはもう自治の本質から完全に離れている形、こういうように考えますが、これについての自治省の見解をお示しをいただきたい。
  84. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 基本的には御指摘のとおりであると私どもも思っております。地方団体が自分の責任において解決できるものは、原則としてもう地方公共団体限りの固有事務として行わせるというふうにあるべきであると思っております。ただ、御指摘のように、機関委任事務は実は年々ふえておるような状況でございます。これにはまた一つ理由がございまして、たとえば従来ならば地方公共団体のまさに固有事務でございました地域開発行政、公害行政、そういったようなものがこのところ非常に法体系も整備されてまいりました。国の見地におきまして、国家的に見て一定の方針を定める、その方針にのっとって各地方団体がやる、そういうことが必要であるということで、これらの行政につきましてそれぞれ立法が行われ、その事務を国の出先機関に行わせるというよりは、より合理的、能率的な見地から機関委任事務という形で地方団体に行わせるという例がふえてきておるわけでございます。この場合におきましても、御承知のように、たとえば公害行政につきましては国が一定の基準は法律で定める、しかし、地方団体におきましてその実行事務はもちろん行いますし、必要に応じましては上乗せ条例等もつくることができるというような道も開くなどいたしまして、国と地方団体との責任分野をできるだけはっきりさせるという態度で私ども臨んでおるわけでございます。ただ、機関委任事務の中に地方団体に行わせてもいいじゃないか、むしろ行わせるべきでないかというようなものもあることも事実でございますので、私ども、国と地方との行政事務の再配分が叫ばれております折から、個々の事務につきましてこれをどうすべきかということを検討をしておるところでもございます。ただ、御承知のように、すべて法律に基づく事務でございますので、法律の改廃の機会にそういったことを私ども強く関係各省に主張し、関係各省の御協力を得て御指摘のような方向に持っていきたい、そういうように考えておるところでございます。
  85. 鈴木正一

    鈴木正一君 そうしますと、いまのような考え方で、従来の答弁ではそうなっているわけですが、どのような時点で、どういう形でいままでどのようなことをやってきたかというようなことがありましたならひとつお聞かせを願いたい。  これは生活保護であるとか、あるいはいろいろ戸籍の関係、あるいは国会議員の選挙であるとか、そういうものはもうすでに離してやって結構なものがあるわけです。そういうものはそれは改正は当然必要なんだから、法律改正、自治省の立場でやはり説得をしながら、先ほど申し上げたようなシャウプ勧告の精神にのっとっていくという原則を貫いていくならば、当然この三十年間に、これは最初の二十年は別としてここ十年ぐらいの間には当然要望にこたえるような形をとってしかるべきじゃないかと、しかるべきではなかったかと、こんなふうにも考えるわけです。その経過等ありましたならひとつお聞かせを願いたい。
  86. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 私ども毎年の政府提案の法律案等が関係各省から出てまいります場合におきましては、基本的にはこれは地方団体でやらせるべきじゃないか、やれるではないかというような精神のもとでいろいろ折衝しているわけでございますが、先ほど申しましたように、国家的見地におきまして一定基準をつくり、それを国民に保証するナショナルミニマムと申しますか、先ほども申しました特に公害行政、地域開発行政等につきましてはそういった要請が一方にあるわけで、それなるがゆえに、これは法律でそういった分野につきましてもいろいろな規制が行われておるというのが実態であろうかと思います。またその必要があるんだろうと思います。したがいまして、それぞれの法律の段階におきまして、関係各省との間で十分話を詰めていくということでございまして、ただいまも申しましたように、それぞれの法律をごらんいただきますと、国と地方団体との責任分野をその中においてはっきりさせておるというのが実態でございます。ただ、基本的にはこれまでのたくさんの法律の中には、地方団体に事務を行わせるべきである、この機関委任事務は廃止すべきであると、そういったものがあることも事実でございますので、その点については今後とも関係各省と十分調整してまいりたいと思っております。
  87. 鈴木正一

    鈴木正一君 それじゃついでにお尋ねをしておきますが、先ほど国家的見地ということを申されましたが、それはお互いの考え方だと思う。国家的見地と言っても、地方自治体がそれぞれ存立がされて、そして健全な運営が行われて一つの国家的なものができ上がるわけだ。ですからこの関係は親分、子分だとか、あるいは上だとか下だとかの関係では私はないと思う。そういう意味先ほどのシャウプ勧告の内容等もはっきり原則としてあると思う。ところが、さまざまこの事務に入ってしまうというと、そういうものが薄れてきておるのではないかと、こういうふうに思うんです。やはりこれは車の両輪だか、あるいは夫婦の関係にあるかいずれかの問題だと私は判断をする。それを国の方は上なんだ、おまえらは子分なんだというような考え方でいる限り、三十年前の第百四十八条の別表第三がそのまま行われてなお平然としている。ところが住民に直接タッチしているところの市町村なり県というものはそうでなくしてくれという具体的な要望をずっとひっ提げておるわけです。それに自治法の改正ができないでいるというようなことでは、自治省少し余り熱意がないんじゃないか、こういうふうに言われてもいたし方ないと思いますが、その点についていかがですか。
  88. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 自治省の方に熱意がないというお言葉でございますけれども、たとえば先ほども申しました公害行政等につきまして、本来は私はこれは地域住民の安全を守るために地方団体が固有事務としてすべて行っていいものであると思うわけでございますけれども、やはり全国的な見地から、一定基準までは国が法律によって規制するということも必要である。特に三十年代後半以降の高度経済成長でいろいろなひずみが出てまいっております。社会福祉関係、地域開発関係、公害関係、こういった行政について国が国民の福祉を守るという見地で立法するということも、これも必要なことだと私ども思うわけでございます。そうした場合に、これを一々国の出先機関をつくりそこにやらせるというよりは、やはり行政の能率性というような面におきまして、都道府県、市町村がその事務を委託を受けまして行うということも一つの方法であろうというふうに考えておるわけでございます。ただその場合、地域の実情を一番よく知っているのは地方公共団体でございますので、その地方公共団体が自主性を持ってそれを行うことができるよう、同じ法律をつくるにいたしましても、そういった万全の配慮というのが私どもは必要ではないかというふうに思っております。したがって、できる限り地方団体の固有事務をふやし、そうして機関委任事務というものはできるだけ縮小する方向で対処することは当然でございますけれども、そういったやむを得ないものにつきましては、地方自治を損なわないというような観点でもちまして関係各省と具体的な事務の配分について打ち合わせを行っておるということが実情でございます。
  89. 鈴木正一

    鈴木正一君 先ほども申し上げたんですが、私も地方議会で満三十年いままできておるわけなんで、二十二年のときからですからね。ずっときてて、どうしてもやはりこの点は腑に落ちない。それは、議会というのがあるわけですね。議会の議決に付されるべき問題じゃないんです。ただ執行部から説明を受けて、意見を述べることができるだけのことで、地方自治法九十九条一項ですか、これによって議決の対象にならない。そういうふうになりますというと、住民の立場に立ったところの決定的な批判なり態度決定というものができない。そういう仕組みの中で自治というものを貫けというようなことを一方で言う。矛盾しておると私は思うんですが、そろそろいい機会だからどうですかというふうに考えざるを得ないわけです。この点についてはいかがですか。
  90. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 御指摘のとおりだと思います。したがいまして、私ども機関委任事務の増加ということにつきましては非常に慎重に対処をしておりますし、むしろいまの機関委任事務につきましてもできるだけ廃止できるものは廃止するという方向で対処していきたいと思っております。
  91. 鈴木正一

    鈴木正一君 次に、国の出先機関ですね、これをながめましてもまことに不合理、不経済な部面が多いわけです、事務上。ひとつ一例を挙げてみたいと思うんで、これらについて自治省の見解を伺いたい。  たとえば、最近大変金額的に込んでまいった地方債というものがありますね。国債もあるが、地方債許可事務というのがあるわけですが、これが自治省が要求する以上に、たとえば大蔵の方からは詳細な資料の提供を求められる。そうすると大蔵の方でも説明をしなきゃならない。自治省にも。こういうことでやはり二重の手間がかかってくる。つまり事務処理が二元化される。これはやはり一元化すべきだというように私は判断をする。あるいは地方財政に関する調査事務、これも同じ形でやられているわけです。あるいは農林省関係にもございます。通産にもあります。いずれの省においてもそうやってすべてが、大体出先機関が明確に、たとえば農政局であるとか、そういうものがぴしゃっとできておるにかかわらず、そちらの方でヒヤリングをやって、またぞろそれより以上のものを本省に持ってこなけりゃだめなんだという考え方、こういうことでやられているわけです。これはきわめて不合理であり非能率的である、こういうふうに私は思うんですが、これらについての弊害を認められるか、あるいはまた改善の方策というものを持っておられるのか、自治省からお答えを願います。
  92. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) まさに御指摘の点は二重行政の弊の問題であろうかと思います。御承知のように六団体の方からも国の出先機関、特に府県単位の出先機関については、先ほども御指摘のございました四十五年の閣議決定、そういったものも踏まえて早急に対処されたいというような意見書もたびたび出てまいっておりまして、私どもそれを踏まえて行政改革推進本部の中でも強く主張しておるところでございます。ただ一方、現行制度のもとにおきましても、やはりできるだけ二重行政にならないように関係各省庁には絶えず要請しておるところでございます。
  93. 鈴木正一

    鈴木正一君 次に、また今度の行革で問題になって、つい最近の新聞等ではまたぞろ浮かび上がれないような記事も載っておるわけでございますが、いわゆる私ども多年にわたってやれという要望をしてまいったものに、いわゆる地方事務官制度の問題がある。私の手元でこれは大変な数にもなるわけですね。社会保険事務の関係で一万五千八百九十四名、それから職業安定失業保険関係で二千三百二十九名、それから自動車の検査登録事務で二千八百四十三名、計二万一千六十六人というのがこの地方事務官としての定員及び配置場所という形になっているわけです。これは時代に即応しないからひとつ廃止をされたいというようなことが長い間きていたことは御案内のとおりであるわけです。なぜこういうことになるかというと、これは全く普通のもの、関係ないものをながめてもおかしいと思うんですね。人事と予算権がないわけですね。それで指揮、監督権だけ与えておくと。こういう有名無実化をしておることが、やはり行政の責任というものを不明瞭にしておくのではないか、こう思うんです。それがいい行政なんだということの認識に立っている限りにおきましては、やはり最近の新聞記事のように、どこかにまた飛んでしまうような心配がさらけ出されておるわけです。そういうことのないようにひとつやっていかなければならぬ。この点は先ほどの行管からの説明もありましたように、行政監理委員会からもはりきりとうたわれている。過渡的な措置としての地方事務官なんだから廃止すべきであるということがはっきりしているわけです。それが七年もたってもまだできないという傾向、それはどこにあるのか、まことにこれ不思議なことである。まあ近くは、私ども関係なかったわけですが、第七十二の国会でもこれが行われているようでありまして、衆参両院の地方行政委員会でやはりその方向で五十一年の三月三十一日までに解決をするんだと、こういう附帯決議もされておる。いかにそういういろんな形の中で出てまいっているにかかわらず、いざ行革ということになるとそれに取り組まない。取り組んでも各省のエゴでそれらが解決できないでおざなりになってしまう、またぞろ後退だと。こういうことではやはり行政全体のまことにこれ国民にサービスするという立場からの行政ではない。行政の事務官それ自体でやっている仕事にとどまるのじゃないか、そういう考えを強くせざるを得ない。そういうことでひとつ今回の行革を扱う場合、いわゆる行政事務の再配分問題等相含めて、いまの地方事務官のような制度というものの廃止というようなものをどの程度強く取り組んでいこうとするのか、その意欲のほどをひとつお示しを願いたい。
  94. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 今回の政府の行革の中にも地方事務官問題というのは取り組まれております。したがいまして、私どもこれ長年の懸案でございますのでぜひとも解決をみたいということで努力しておるわけでございます。ただ、御承知のように、三十年間これが解決できなかったのにはそれなりの理由がございます。私ども衆参両院の地方行政委員会の附帯決議というものもあるわけでございますので、そういったものを踏まえまして今後とも関係各省と強く折衝してまいりたいと思っております。
  95. 鈴木正一

    鈴木正一君 行管の方はいまの問題について、地方事務官制度の廃止、これについてはどのような御見解をお持ちですか。
  96. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) いま自、治省行政局長からお話しされた点と基本的には全く同じ意見を一応持っております。御承知のとおり昭和二十二年以来の種々議論をされた問題でございまして、いろいろと御指摘の点もあるわけではございますけれども、一方またそれなりの各種行政の特殊性といったような問題もございまして、このあたりにつきまして各行政の業務の性格あるいは効率性、行政責任の明確化、このような問題を総合的に配慮しつつ関係省庁間で相協議をいたしておるというのが現状でございまして、今回の行政改革の一環といたしましてこの問題につきましても強く相互の協議と、それからその解決のための検討を推進してまいりたいというふうに考えております。
  97. 鈴木正一

    鈴木正一君 行管の方はこれ一番明確な御本尊様ということになるわけで、先ほど申し上げましたが、行政監理委員会で——皆さんのところの内部の組織だ、それで四十五年に明確にこれは廃止する必要があると、これははっきりうたわれている。自分で考えてうたいながらあと実施に踏み切れないということであってはまことに残念なので、ひとつ御努力願いたいと思います。  時間が来ましたから大体終わりたいと思いますが、私どもは地方議会の中においては何ら指図を受けなくても時々刻々と迫っておるところの行政の需要に対応し得るだけの行革は適時適切に断行してきたんです。ところが考えてみますると、やはり地方団体それ自体が国との相互関係の部分が多分にある、ただいま申し上げましたように。そういう中で国の方がやはり歩調を合わせて思い切って行革推進ということに取り組んでいただかなければ意味がない。地方自治体の方がむしろ政府それ自体よりも本気になって住民サービスに取り組んでおるのが実態であろうと、なけなしの財布をはたきながら。したがって、行政事務と相並行する財源問題にも苦労いたしながらも行革に取り組んで今日まで至っておる、こういう実態でございます。  そういうことを十分に踏まえられて、現在行革に入っているさなかでございますから、しり切れトンボに終わらぬようにひとつ取り組んでもらわなきゃならない。特に自治省は地方自治体の全部監督をしたり、あるいは調整をしたりする役割りが負わされておるわけなんで、したがって地方自治体からの声というものを踏まえて実施をしていって何ら苦労になるはずはない。それが役割りなんだ。行管は行管の立場で別な形でながめられる部面もあろうかと思いますけれども、相ともにひとつ相互間というものが不信関係に陥らないように、十年も要望したものがこれはもう実態にそぐわないなんという結論が出るはずがない。そのようなことを守っていただければ、りっぱに地方自治体というものは住民福祉向上のために働く場所というものはどんどん、どんどん考えられてくる、それができないような仕組みの中で、中央と地方というものが何らか上下の関係にあるような意識に立つ限り、私はシャウプ勧告に相戻る体制にずっとなっておるのではないか。こういう意味で冒頭それらを確認をして、二、三の具体的な事例について質問申し上げた。どうか、いま行革に取り組んでいるさなかでございますから、以上のような精神もう一回、地方自治法制定のときと、さらにまた勧告内容を受けたときの時点というものを振り返って、そして今日の時代に対応のでき得るような機動性のある、円滑性のある、あるいは能率的な行革を実施をしていただくように希望申し上げまして、質問を終わります。
  98. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 午前中の質疑はこの程度といたします。     —————————————
  99. 金井元彦

    委員長金井元彦君) この際、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。小川自治大臣。
  100. 小川平二

    ○国務大臣(小川平二君) ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  今回の補正予算において昭和五十一年分所得税の特別減税による所得税の減収が歳入に計上されたことに伴い、地方交付税においても、当初予算計上額に対しまして九百六十億円の落ち込みを生ずることとなりました。  しかし、現下の地方財政は、すでに決定された地方交付税の総額を減額できるような状況ではありませんので、昭和五十二年度分の地方交付税については、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金を九百六十億円増額することにより当初予算に計上された地方交付税の総額を確保することとし、さらに、当該借入額の償還については、後年度における償還額に見合う額を臨時地方特例交付金として一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることにより、地方財政の運営に支障の生じないようにすることといたしております。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  101. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 以上で説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  午後一時五十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      —————・—————    午後二時一分開会
  102. 金井元彦

    委員長金井元彦君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方行政改革に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  103. 志苫裕

    志苫裕君 少し時間が詰まりましたので、通告をしておきましたものがずいぶん省かれるかもしれませんが、御了解をいただきます。  最初にちょっとささいなことでありますが、先般、同僚の委員と一緒に新潟、長野の方に派遣をされまして、そこで、その報告はすでに行われているわけでありますが、その際、非常に真剣に要望のあった一、二の点について少し見解をただしておきたいわけであります。  その一つは、過疎問題でありますが、特にどこでも熱心に要望は出ましたが、そのうちの一つ二つ申し上げますと、まず過疎地域の指定基準、これは国土庁の方ですけれども、この指定基準が結局人口になっておるわけだけれども、旧村単位で見ればずいぶん人口は減っているのだけれども、中核的な昔の町村の一つでありますと、全体薄まってしまって平均数字は余り落ちないというふうなところもあるわけで、そういうところを引っ張り上げる意味で、たとえば山振法のように合併以前の区域をたとえば対象にして、そういうものを含む当該町村というふうな扱いができないかどうか。この点はいかがですか。これは国土庁だな。
  104. 近岡武男

    説明員(近岡武男君) 特に合併の関係の場合にそういう事案が出てまいるわけでございますが、御指摘がございましたように山村振興法の場合は旧市町村の区域を単位としておりまして、この場合はたとえば林野率が高い地域であるというふうな地域の性格に着目をしまして、当該地域に重点的に産業振興法などの施策を講じて地域の振興を図っていこうということで、そういうふうな趣旨の法律制度になっておるわけでございますが、過疎対策緊急措置法によって施策を講じようという場合には、合併に関係する市町村の全域を対象にしまして交通、通信体系の整備とか、あるいは公共施設、公益施設を広域的に適正に配置して進めていくというふうな計画を立てまして、これに基づいていろんな施策を展開していくというふうな体系になっておりまして、市町村の全域を対象にして対策を講じてまいろうというふうな趣旨になっておるわけでございます。  お話がございましたような合併の場合におきましても、その時点で合併に関係する関係市町村の全域を、関係市町村の人口の状況とか、あるいは財政力等の条件を判断いたしまして、全域を過疎市町村の地域に指定をするかどうか判断してまいり接して、できるだけ新たな過疎地域として法の適用を進めていくわけでございまして、単にその人口が総体的に増加しているというだけではなくて、合併に関係する旧過疎地域の市町村の面積の割合とか、あるいは人口の比率とか、そういうことも判断に入れてできるだけ過疎地域措置法の適用を図ってまいろうという趣旨でございますので、その点御理解いただきたいと考えております。
  105. 志苫裕

    志苫裕君 いろいろ言っているが、結局どうなの、それ。該当の要望の趣旨というのは、そういうことになっておってなかなか救われないから基準を緩和をするように、たとえば先ほど言ったようなそういう工夫をして引っ張り上げられないかと、こういうことを熱心に要望しているわけです。いまの法律の説明なら、あなたから聞かぬでもよくわかる。何とかならないかということを言っているわけです。
  106. 近岡武男

    説明員(近岡武男君) 過疎法はあと二年を残すのみでございますが、これまで合併の際にそういう判断で進めてきてまいっておりまして、ここ二年半ぐらいの間にそういう事案も出てまいりませんし、現在の残された期間は現在の形で進めてまいりたいという考え方をとっております。
  107. 志苫裕

    志苫裕君 自治省どうですか。それで、いまのあと二年しかないというのは、その時点になればどっちみちもう少し延ばしてくれないかというような話も政治的な話題になるでしょうから、それはそれで一応横に置きまして、自治省そういう要望強く出ているでしょう。
  108. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 過疎法は御案内のとおり議員立法でございますけれども、これが立法をされる過程におきまして旧町村単位で人口の減っておるところ当然あるわけでございますが、そういったところを救うべく旧町村単位で決めるかどうかということが実は一つ大きな議論になったところでございます。  そこで、先ほど国土庁の方からも説明いたしましたが、山村振興法におけるところの山村というのは、これはその施策の性格上旧町村でやっているわけですけれども、過疎法という場合においては、市町村単位でその地域におけるところの地域づくりということになるもんだから、結局市町村単位で計画をつくり、財源措置を行っていくということの方がベターではないかということで現行法のようになったということを聞いております。したがいまして、先ほども国土庁が申しますように、あと二年で一応十年間の予定の期限が過ぎるわけでございまして、その後こういった恵まれたい地域をどうするかという問題が次にあるわけでございまして、そういった時点におきまして過疎地域もその他の地域も含めてこういう恵まれない地域をどうするかという見地で国土庁ともども自治省としても検討してまいりたい、このように考えております。
  109. 志苫裕

    志苫裕君 議員立法の趣旨もありますから、二年後のことはまた議会でもこれは議論をいたしますが、いずれにしても熱心な要望もあるところでもありますから、これは少しでも基準が緩和できる、そういう工夫ができないかどうか、これはひとつ両省でまた相談をしてみてください。
  110. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 過疎法はただいま申しましたように、法律のたてまえがそうでございますので、過疎法で救うわけにはまいりませんけれども、御承知のように自治省の方では辺地債等の制度もあるわけでございますので、そういった点の活用を図りまして、地元の実態に合うように運用してまいりたいと思います。
  111. 志苫裕

    志苫裕君 その過疎対策事業債あるいは辺地対策事業債ですが、振興整備計画に基づく事業で過疎債、辺地債の適債事業とならない事業がありますね。特にわれわれ行きましたところで要望あったのは、統合以外の学校の整備でありますとか、あるいは集会場等をつくるのに市町村がめんどう見ているといいますか、補助をしてやる、そういうものに対する費用、せめてそういったものが適債事業の枠に組み込まれないかという強い希望が表明をされておりましたし、直接これはそれとかかわりないのですが、そういう町村に限って学校統合なんかして子供をずいぶん遠くから通わせるというしかけになっておりますために、交通費の援助でずいぶん市町村の財政が痛いわけですよ。そういうこと、あるいは器宿舎、冬はどっちみち全部子供を一カ月連れてこなければいかぬというかっこうになりますから、この寄宿舎とか、そういうところの経費などなどを含めて先ほど言った適債事業のこと、それからこういう経費の補てんというものについて特に配慮ができないかという点はいかがですか。
  112. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) ただいま御指摘の適債事業の範囲でございますが、過疎法におきましては、過疎地域において児童生徒が減ってまいりますので、従来の学校単位では適切な教育ができないということで、やむを得ず学校統合の事態に至るケースが非常に多いということで、学校統合につきましては、過疎債の適債事業にいたしております。それ以外の普通の学校整備につきましては、これは過疎地域の特有な現象というよりは、やはり全地方団体に共通の事業でありますので、過疎債の対象にはいたしておりません。ただ、こちらの方は一般の義務教育整備債の充当で、今年度の場合でいいますというと、地方負担額に対して九五%の起債充当を行っておるわけでございます。それから従来七五%充当分については、従来から六割の元利償還の交付税算入が行われ、また二〇%の上乗せ部分につきましては、全額その償還費を基準財政需要額に算入するという形で対処しておりますので、学校整備そのものについて申しますと、御案内のとおり、七〇%の算入率でございますから、そう大きな差は出てこないんじゃないかと思っております。  いずれにいたしましても、現在の過疎債の対象事業といたしましては、過疎現象に伴う緊急事業という形で統合学校を対象にしている、このような考え方でなっておるわけでございます。  それから、過疎地域におきましては、御指摘のように統合等に伴いまして非常に遠距離通学を余儀なくされるケースがあるということで、スクールバスの運行あるいは寄宿舎の維持と、こういった財政負担が出てまいります。この点につきましては、現在普通交付税の計算上、スクールバスの場合には一台当たり三百万円、それから器宿舎の場合には入舎児童一人当たり十二万八千円の経費が必要であるという前提で、普通交付税計算上割り増し計算を行っております。
  113. 志苫裕

    志苫裕君 後段わかりましたが、にもかかわらず実はずいぶん後段の方では経費がかかっているようなんです。形態は、そこの間バスでも借り上げて通うような——どうなのか、バス会社に通わせて、どっちみち赤字ですから、その補給金を上げるとか、子供に直接交付をする、補助をするとかということをしているようですが、そのことはちょっときょうは無理ですが、適債事業の枠を広げるという話、それは審議官言うようにあれですよ、辺地学校統合云々——学校統合は辺地でなくてもやっているわけであれですけれども、これはいまあなた現状説明をしないで、もうちょっと何か工夫してみてください、これは。実はこういうところは非常に困っているんだ、本当の話が。そこで何でもいいから枠を広げてもらいたいという熱心な希望があるので、皆さん一ぺん決めるとなかなか変えないくせがあるけれども、きっと検討してみてください、これは。
  114. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 私ども過疎債の運用に当たりまして、確かにこの制度がスタートした当時と最近とではいろいろな財政需要、行政水準の内容も変わってまいりまして、当時としては対象として余り論議されなかったものも、最近になってから必要になってきているものいろいろあります。たとえば有線放送が無線に変わる、それが従来の基準では適債にならない、こういうような問題もありまして、私どもといたしましては、過疎地域の実情を踏まえて新たに必要性を生じてきたようなものについては、できるだけその対象を広げるという努力を重ねてまいりたいと思います。ただ、ただいまの学校の建設の場合につきましては、過疎地域特有の財政需要なのか、あるいはおよそ自治体全体の財政需要なのか、その辺の線の引き方の議論もあると思いますので、研究さしていただきたいと思います。
  115. 志苫裕

    志苫裕君 この点は結構です。国土庁は結構です。  行政改革について、実は細かい質問を用意したんですが、時間がありませんから、ただ、これは改めてまた大臣等おいでいただいたときにやりますが、基本的なことだけひとつお伺いをしておきます。  九月一日に行政改革に関する基本方針及び要綱が定められた。その中には自治体に関することは要請という形でちょびっと入れてありますが、自治省の五十三年度地方行財政重点施策案、これによりますと恐らくこの政府の基調が貫かれているんだと思いますが、細かいことは聞きませんが、ひとつ、いわゆる新しい時代に入ったのだから、その新しい時代に即応をして地方行財政のあり方を洗い直さなければいけない。あるいは懸案を決まりつけなければならないというのが、うたい文句に出ているのですが、行政改革をしなければならない新しい時代とは何か、一体どういう時代なのであって、その時代の目標は何なのか、こういうものを持たないで、何かどこかさわる場所がないかというのでは何も決まりがつかない。まあよく言われていますが、明治は富国強兵、殖産振興であったと、戦後は戦後復興と経済成長であった、しからばこれからは何なのか、それに向かう行政の組織の展開とは一体どういうものなのか、何かこういうふうなものがないままでの、何かこう新しい時代になったのだから、新しい入れ物をというようなことを言うても、抽象論で結局何も決まりがつかないんですという意味で、その辺の時代的な背景と改革の視点とでもいいますか、そういうものだけちょっときょうお伺いをしておきたい。
  116. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 非常に高度なむずかしい御質問でございますけれども、戦後三十年たちまして世の中の情勢もいろいろ変わってきております。そして高度経済成長と言われた時代が過ぎ去って、これから安定経済成長というふうに言われております。こういう世の中の変わり目には、やはりほうっておけば積み重なっていく行政というものについて、振り返ってメスを入れるということが必要になってくるだろうと思います。戦後のわが国の行政改革というのを振り返ってみましても、ちょうど池田内閣の所得倍増時代に臨時行政調査会というのを開きまして、国地方の行政事務を総ざらいしまして膨大な答申が出された。それに基づいて行政改革が行われた——行われなかったものもありますけれども、そういう姿勢をとったわけでございます。ちょうどいま一つの節目に差しかかりまして、高度経済成長時代にいろいろ積み重ねられた行政、その中にはもちろん維持すべきものもございますけれども、この際、見直してみて安定経済成長と言われる時代に即応した行政体質に改めるということが当然必要であろうと考えておるわけでございます。  行政の理念でございますが、当然のことながらこの国土の中において国民があるいはその県土におきまして県民が豊かな生活を保持できるような環境づくりということが終極の目標であろうと思うわけでございます。そういった状況でございますので、国も本年初めから本腰を入れて行政改革を行うということでいろいろ政府部内でも現在検討しておりますが、そういった時代の時勢に対応いたしまして地方行政の面におきましても、この際、各方面にわたって検討してみたいということでございます。
  117. 志苫裕

    志苫裕君 まあ、皆さんの文章のどこだかにもありましたが、何かこう高度経済成長時代から安定成長時代に入ってもう少しゆとりといいますか、安らぎといいますか、そういうようなものを取り戻すというふうな何かがありましたが、そうなってくると、私は、地方自治三十年の歴史を経て改めて自治ですね、身の回りというものが見直されていいわけだし、重みを持ってもいいわけだと思うんでありますが。   〔委員長退席、理事望月邦夫君着席〕  そこで、あれですか。その種のものはどこがどんなスケジュールでいつごろまでに何かを詰める、何かそんなスケジュールのようなものを持っていますか。
  118. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 先ほど御指摘ございました九月二日に閣議了解を見ました「行政改革について」という中には六項目ばかり書いてございますが、これは何も国の行政改革だけではなくて、地方にとりまして非常に重要な部分を含んでおるわけでございます。  先ほど御指摘の地方自治の観点からという点から申しますならば、この中のたとえば許認可事務の整理の問題、国庫補助金の整理の問題、それから二重行政と言われております、特に国の地方出先機関の整理の問題、それからかつてからの懸案でございます地方事務官の問題、こういった問題につきましては私ども非常に強い関心を持っておるわけでございまして、現在行政改革推進本部が政府部内で設けられて鋭意検討しておるわけでございますが、その中でも地方自治の観点から発言をしておるところでございます。  それで、これがいつまでにこの六項目について具体案が出るかということは、現在の予定では一応明年度予算にもいろいろ関係があるので、十二月ぐらいを目標にしてやっておるということでございますけれども、この中には、御承知のように高度に政治的な色彩を帯びたものもあるわけでございますので、その辺については私ども一刻も早く取りまとめをしていただきたいと思っておるところでございます。
  119. 志苫裕

    志苫裕君 余り具体的にもなってないようだから、これは私どもも重大な関心を持っておりますから、いずれ提言をしながらずっとこれから詰めていくようにしたいと思うんです。  きょうはこれくらいでやめときまして、地方債に入ります。  地方債の問題にこれから残された時間をいただきますが、私の手元に地方債に関する十月十一日付自治大臣官房審議官石原信雄と銘打ったメモがあります。これは自治省からいただいたものでありますから、一応私自身の発言の記録にとどめるためにこれちょっと読んでみます。    回 答(メモ)   地方債の許可制度の運用については、自治省  としても出来るだけ地方公共団体の自主性を尊  重するように改善の努力をしてきました。   御指摘の枠配分方式の拡大についても、従来  から望ましい方向であると考えており、市町村  分については、すでにその九〇パーセント以上  を都道府県ごとに枠を配分する方式に切り替え  ております。   今後においては、都道府県分も含めて、地方  公共団体の単独事業について、一定の枠の範囲  内では地方公共団体が自主的に起債事業を選択  できるような仕組みとする方向で改善するよう  努力したいと考えております。  このこと自体は非常に結構なことだと思うんでありますが、しかし、これがいかなる状況のもとで出されて、いかなる役割りを果たしたのかということになると、必ずしも結構じゃない。  以下この問題について少し詰めてまいりますが、まず、このメモが出されるに至った事情をお聞きをしたい。
  120. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) ただいま先生読まれましたこのメモの日付にあります十月十一日の午後であったと記憶しておりますが、東京都議会の議員の方が何名か参られまして、都議会で御案内のように、当時起債の訴訟問題が論議されておったわけでありますが、そのことに関連して幾つかの質問と要望に来たというお話でございました。  質問については、現在の起債の許可制度の運用の状況などいろいろお尋ねがありお答えしたわけでありますが、今後の起債の許可制度の運用の改善、改正の方向につきまして要望があったわけであります。  その要望について自治省としての考え方を聞かしてほしいと、特にその際論議の中心になりましたのがいわゆる一件査定の問題であります。  御承知のように一件査定というのは、個々の事業ごとにその事業が起債対象事業として適当であるかどうかという内容の審査を行っておるわけでありますが、このことが地方公共団体の財政運営の自主性に悪影響があるということで、非常に地方団体側からも不満が多いと、なるべくこういったものはやめるべきではないかということが話題になりまして、そこで、この一件審査方式をできるだけ減らして一定の総枠配分方式にすべきではないか。特に都道府県の単独事業につきまして現在は一件審査方式をとっておるわけでありますが、これについて枠配分方式を導入するということはできないのかというようなお尋ねがあったわけであります。  私どもは、この私の回答でも申し上げておりますように、基本的な考え方といたしまして、現状では地方債の許可制度を全面的に廃止すると、いわゆる自由発行制度に移行することは困難でありますけれども、ただ、具体の許可制度の運用に当たりましては、なるべく地方団体の自主的な選択を尊重していきたい、そういうふうに持っていきたいということを申し上げました。特に、これまでは一件審査が原則となっております都道府県の単独事業につきましても一定の枠をつくりまして、その枠の中では都道府県の選択を尊重すると、そういうような方式に持っていきたいと、このように回答を申し上げたわけであります。  なお、その際、私はお尋ねに対し、あるいは要望に対しましていろいろ口頭で回答を申し上げたわけでありますが、おいでになった議会の皆さん方が、そのうちの要旨をメモにしてほしいと、というのは、都議会でもいろいろ御論議があったようでありますが、私が答えたことの内容について後になって、いや、そうじゃないというようなことでは困るということで、私の答えた中での骨子といいましょうか、ポイントと考えられる点についてはメモにしてほしいというお話がありましたので、私は、私の申し上げたことの要旨を、ただいまお読みいただいたような形でメモとして差し上げた次第でございます。
  121. 志苫裕

    志苫裕君 都議会議員数名、これ何党ですか。
  122. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 新自由クラブの所属の議員さんだと承知しております。
  123. 志苫裕

    志苫裕君 新自由クラブの議員数名が来て地方債の許可制度の運用等について質問ないし要望があった、だから審議官としていろいろ答えてその要旨をメモにした、回答となってますが。地方債の許可制度や、あるいはそれの運用についての要望ならいろいろといままでも各方面から出されています。一番新しい権威ある質問ややりとりでは、この十月八日の当院本会議における寺田質問に対して福田総理が答えたんです。こういう要望ややりとりというようなものはずっとあるわけでありますが、とにかくこの十一日の午後新自由クラブの諸君が数名が来て、その日のうちに文章で回答をしなければならないという差し迫った事情があったんですか。皆さん、要望はよく検討しましょうというような、ありますな。先ほど私、幾つか要望したけれども、何かこうあんまり書いてくれるようなものはなかったけれども、しかしこれは、この内容が従来の扱いとどこが変わっておるのかいずれ聞きますが、何かこういう形にして回答をしなければいけない差し迫った事情でもあったんですか。
  124. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 私は、おいでになった議員さん方がどういうふうな事情、どういうふうな背景で私のところにおいでになって質問やら要望されたのか正確には存じておりません。ただ、当時、都議会で起債訴訟の議案についていろいろな御議論があったと。その議論についての一つの検討の材料にしたいというふうに私は承りました。そこで、お尋ねの件についてはお答えしたわけであります。私ども、このような要望とか質問をいただいた場合には、通常その場でのお答えできるものはお答えしておると。それから内容的にその場で決められないようなことを含んでおる場合には、それは時間の余裕をいただくということでありますが、その際のお尋ね、御要望については、私はこのメモに書いたような内容、これは自治省としての基本的な方向であり、基本的な考え方でありまして、当時部内の意見は大体こういう形で固まっておると私は承知しておりましたのでこういう内容のお答えをしたわけであります。そこで、メモというか書いたことを確認する何かが欲しいということを強く要請されました。こういった場合に、私どもの役所の扱いといたしまして、何といいましょうか、公式の文書であるならば、いわゆる行政実例になるような問題等であるならば、通常は決裁を経て正式に判こをついて文書を発送するという手続をとるわけでありますが、口頭でお答えした内容について、それが後で誤解があってはいけないから、しゃべったことの内容を確認するというような形でのメモのようなものを差し上げるというケースは過去においてもないわけではございません。そこでどうしてもそのようなものがいただきたいというお話でありましたので、私は内容的に私の話したことについて別に後で変える気もありませんし、どうしてもということでありましたからメモを差し上げたと、こういうような経緯でございます
  125. 志苫裕

    志苫裕君 この内容をちょっとお伺いしますが、この内容は従来の取り扱いを変更するものでありますか。簡潔にひとつ答えてください。
  126. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) ただいま申し上げましたように、都道府県の単独債につきましては、現在はいわゆる一件審査方式でありますから、この答えのように、いわゆる枠配分方式にするということであればそれは変更を意味いたします。
  127. 志苫裕

    志苫裕君 変更自身は私らが前々から要望していることでありますから、そのことはそれでよろしいんで、いずれにしても、従来の取り扱いを変更する内容を含んでおる、であるからこそ、石原審議官は十一日にこれをお答えになった後、新聞によれば十二日にこの内容のものを大蔵省とも協議の上政府の統一見解とした、こう報ぜられていますが、次官これは前日に答えられた石原審議官の、一審議官のメモは、翌日それが政府統一見解で裏打ちをしたわけですか。
  128. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) ただいまの点でございますが、新聞報道の問題でございますけれども、私はこのような内容の回答をいたしましたが、その件につきましては、これを具体化する段階は五十三年度の地方債の許可方針の中でそういうことになってくるわけです、その必要性が出てくるわけですが、いずれにしても許可方針の変更は大蔵大臣との協議事項になっております。そこで、私はこのような内容の答えをしたということを大蔵省には連絡いたしました。ただしこの事柄自身は私どもはかねてから主張しておる事柄でありまして、基本的な方向については大蔵省もなるべくならそう持っていきたいというわれわれの方向を了承しておりますので、ただそういうことが、お答えしたものですし、外にも出ますことでありますので、大蔵省に念のため連絡したということでありまして、統一見解としてそれによって改めてそこで決めたということではございません。
  129. 中山利生

    政府委員(中山利生君) ただいま石原審議官からお答え申し上げましたように、この内容につきましてはかねてから当委員会等でも自治省の見解として、方針として何回も御答弁申し上げております既定の方針でございまして、事新しくこのメモに新しい政策が盛り込まれたということではないと私どもは了解しております。
  130. 志苫裕

    志苫裕君 それならば、先ほど、審議官も自治省が常々考えていたことだと言い、それから次官は、自治省の既定の方針であったと、こうおっしゃるのであれば、十月八日の本院本会議において寺田議員が起債の許可問題等について質問をしたときに、起債の自由化はだめなんだ、こういう形で少しでもその自由裁量というものを広げていきたいと答弁になるはずでしょう。十一日、新自由クラブが事京の事情を抱えてきて、これだけの——少なくとも僕は前進だと思いますよ、少なくとも許可方針の変更で大蔵省と協議をして来年以降の政府の方針として盛り込まれるべき内容に一歩出たわけですから、それぐらいの構えがあったのであれば、福田総理が本会議において木で鼻をくくったような返事になるわけないですよ。改善のかの字も言ってないじゃないですか。ともかくそのことは後にいたしますが、とにかく従来の政府の取り扱いを変更をする内容を持っている、だからいまも審議官おっしゃいますように、自治日報という新聞にも書いてあるが、翌十二日早速この旨を大蔵省と協議をして、五十三年度適用の方針を定めた、それに類したような御返事があったわけでありますが、そうしますと、一審議官が文章でメモとして東京都議会の諸君に答えたときには、大蔵省との協議も終わっていない。したがって、政府の方針になっていなかったのですね。これはいかがですか。
  131. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) この私のお答え申し上げた内容は、その一定の枠の範囲内では地方公共団体が自主的に起債事業を選択できるような仕組みとする方向で改善するよう努力したいと考えておりますと、これは従来からこういう考え方、答弁の仕方はしてまいったわけであります。ですから、私は従来自治省が対外的に申し上げておった方向あるいは内容と違うことを申し上げたわけではございません。これをどのように御理解いただけるか、それはそのときどきの客観情勢などによっても違うんでしょうけれども、私どもの考え方、方向、方針自身は従来から申し上げてきた内容をここで申し上げたわけでありまして、私が十月十一日の段階で自治省として新たな決定をその場でしたという内容は含んでございません。  なお、ただいま十月八日の本会議での質問に対する答弁について言及なさいましたけれども、このときのお尋ねの中には、そういう許可制そのものが地方自治の基本原則から廃止さるべきじゃないかというお尋ねでありましたので、そういう向きのお答えをしたと思うんであります。部分的な改善をすべきだというお尋ねはなかったように思うんです。  なお、この許可制度の運用について、ただいまのメモで申し上げたような内容をかねがね私どもはお答えしておるわけでありますが、一番新しい時点で申しますと、ことしの三月二十四日の本委員会におきまして、社会党の小山先生に対する自治省財政局長のお答えでも、大体私が申し上げたと同じ趣旨の御答弁を申し上げておるわけでございまして、私どもといたしましてはこういう方向に努力いたしたいということは現在も変わっておりませんし、五十三年度の許可方針の決定に向けてその努力を続けてまいりたいと、このように考えている次第でございます。
  132. 志苫裕

    志苫裕君 ですから私は、この内容自体はそう飛び離れたことを言っているわけでもない。しかし、まあ引っ込み思案の皆さんからすれば大変前進した結構なことだと、こう思ってはいますが、しかし、少なくとも翌日大蔵省と相談をして、これ来年からこうしたいということを政府の方針として定めなければならない内容であったことは確かだ。それを用心深い役人の皆さんが、こうやって書いてあわ食って前の日に届けなければならないという状況を私は問題にしている。そのものずばり言えば、東京都が行おうとしていたアクションに対する介入ですよ。これは政府が全部意思統一をしてやったということになれば、政府が介入したということになるけれども、どうもそこはないみたいだ。そうすると一審議官の東京都に対する介入ですよ。そういう役割りを果たしたことになりませんか。現に東京都の新自由クラブは、さきの選挙での政策の中では起債の自由化というものを高らかとうたい上げて、そして今度東京都議会で都知事が提案をした起債の自由化に対する態度をいわば決めようとしたときにあなたのところにおいでになったわけだ。そしてこれを金科玉条にして時期尚早論を唱えて、いわば反対に回った。都議会の構成から言えば、新自由クラブがキャスチングボートを握っておるからこれは否決という形になったわけでありますが、地方公共団体が意思を決定しようとするときに、この自治省審議官のメモは何がしかの役割りを担ったことになりませんか。この点いかがですか。
  133. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 私ども所管しております行政についての解釈、考え方、方針、こういったものについて自治体あるいは自治体の議会、あるいは労働団体などからよくお尋ねを受けることがあります。その際は、私どもはこれに正確にお答えするということが務めであると考えておりまして、常にそうしておるわけでございます。今回につきましても、都議会において起債の訴訟を提起するかどうかということが大きな論議になっておったわけでありますが、そうした背景の中で、その議案に対していろいろ論議している過程で、地方債の許可制度の運用についての自治省の考え方を聞きたいと、論議の参考、判断材料といいましょうか、参考にしたいということで私どもの日ごろの考え方を聞きたいと、こういうことでおいでになったわけでありまして、私どもは日ごろから考えております考え方、方針、これを率直に申し上げた次第でございます。したがいまして、私どもがお答えした結果が都議会の議案の審議にどういう影響をもたらすであろうかというような点についてまで、私どもは考えて答えを留保するというところまではできないんじゃないか、かえってそうすることが、せっかくおいでになってお尋ねになっているのに、その影響を考慮してお答えしないということが、都議会における審議に対する私どもの本当の意味の中立的な立場として正しい方向であるかどうか、こういった点も私自身実は苦慮したわけでございます。  しかし、いろいろ考えまして、議会の皆さん方が提出された案件について御判断いただく場合に、あらゆる情報を集め、あらゆる判断材料を集めて御審議いただくということが正しい方向であろうと思いますし、私どもが所管の行政について考え方、方針等をお尋ねになり、それが審議の材料となるんであるならば、これはお答えすることの方が私どもの務めではないか、このように私自身は判断いたしましてお答えをいたした次第でございます。したがいまして、私自身は決して都議会に積極的に介入するとかそういった大それた気持ちを持ってお答えしたわけではございません。
  134. 志苫裕

    志苫裕君 余りこれ長々とやりますと、今度はあべこべに——私は、皆さんが時にいろんなものを改めていく上で、変えるときには大胆に変えると、いつも俗に役人仕事で憶病になってぐずぐずしているよりは、大いに変えるものは変えてほしいという立場の者でありますから、この問題で余り追い込めるというと、今後また憶病になっちゃって直すものも直さぬということになっても困るんで、余りこれ追及もしたくないんですが、どうも私はタイミングから見ると政治効果をねらった節がある、こう思っておるんですが、あなたがそうじゃないと言うんだから、これは私としてはずいぶん遺憾な状況であったということだけ申し上げておきたいと思うんであります。  ともかく、地方債が本来の役割りのほかに、現実的には地方税の落ち込みの補てん分であるとか交付税の足りない分の穴埋めであるとか、矢継ぎ早に出てくる公共事業の裏負担分に使われるとかいうふうに、さまざまな役割りを果たしておりまして、現実には自治体財政の全体の収支のつじつま合わせにこの地方債が使われてまいりますと、もはや地方債を抜きにして地方財政が存在をしないような状況になってしまっています。その地方債を許可制度にということになれば、これは地方財政全体を許可制度一本でコントロールをするという、こんな大変な機能を持っておるわけでありまして、こうなれば自治体の財政自主権なんというものはなきに等しい。だから、財政自主権は憲法で認められた自治の基盤をなすものなのだから、ひとつそれを回復しようとする志向が生まれたり、あるいは意見が交わされたり、ときには公平な第三者機関である裁判所に判断を求めたりということがあったっていいじゃないですか。地方債はそれだけ大きい機能を果たせば果たすほどに、ときにはもろ刃の剣にもなるわけでありますから、いろいろ意見が交わされるということはむしろ私は健全だと思うのでありまして、あったっていいじゃないかと、さあ大変だと言うので、押さえ込む方にみんな構えなくてもいいじゃないかというふうにも思うわけでありますが、東京都がまあ結局起債を訴訟しようと思ってだめになったわけですが、東京都が起こそうとしたアクションですね、これについてはひとつ皆さんどういう感触をお持ちですか。さらに、訴訟はやめたけれども、しかし起債の自由化という、このものの考え方は別に誤っちゃいないという考えのもとで、たとえば公募債などをどんどんどんどん発行して、事実上この自由化をねらうというようなことを考えたら、自治省はどう対応しますか。けしからぬ、法律違反だと知事罷免でもしますか。これはいかがですか。
  135. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 先生御指摘のように、大変不幸なことでありますが、最近の経済情勢のもとで地方財源が十分でないと、これを補てんするために大量の地方債が発行せざるを得ない状況になっておるわけでございまして、まあ皮肉なことに、その結果いよいよこの地方債の許可制度というものが自治体の財政運営に大きな影響力を与える結果になっていると、これは私どもも率直に認めざるを得ないと思います。それなるがゆえに、一層この許可制度の運用に当たっては私どもはその点の配慮、自治体の自主性を最大限に生かす配慮が必要になってくるんではないかと、このように考えております。で、まあ東京都が先般の議会に提出した議案は、およそ地方自治体の起こす起債について中央政府は関与してはならないと、すべて自由にすべきであると、そういう判断を求める訴えを起こそうという議案であったわけでありまして、私はそのような訴訟の提起が妥当な方法であるかどうか、まあこれを私どもは被告として擬せられておったわけでありますから、それについての判断は差し控えさしていただきたいと思いますが、もちろん行政制度の改革についていろいろな手段、方法がある、いろいろな御意見がある、これは民主主義の世の中でありますから、それ自身これは絶対いかぬとか、これはいいとかということは言えないんじゃないかと思います。いろいろな方法があっていいんでないかと思います。問題は、地方債の許可制度そのものが今日の時点において全く廃止することが、ここにわが国の実情から見て妥当なのかどうか、正しい道なのかどうかという点については、私どもは残念ながら現状においてはまだ廃止できないと、完全な廃止はできないと、このように考えている次第であります。  ただ、その全体としての許可制度は維持しなければならないと思いますけれども、その運用に当たりましては、先ほど来申し上げておりますように、なるべく各自治体の主体性といいましょうか、自主的な判断が生かされるような方向を選ぶべきであろうと、このように思います。それの非常にいい方法は、やはり枠配分方式ではないかと。一定の財源計算からくる枠内においてはその団体が自由に地方債を充当できると、こういう方式を拡充していくという方向ではないかと思うのであります。  で、まあ一つの例として、たとえば市場公募債のようなものを自由発行制にしてはどうかと、こういう御提案だと承知いたしますが、まあ地方債の発行の自由化といいましょうか、自治体の自主性を広げるやり方として、事業ごとに、事業の内容ごとにその枠を広げていく、そういう行き方と、資金の面からこういう資金は自由にする、こういう資金はそうでないという行き方と、二つの方法があり得るんだろうと思います。今日、地方債制度を維持しなきゃならない非常に大きな理由としては、国内の資金を計画的に配分調整する、それは民間セクターと公共セクターにまず分けていく、それから公共セクターの中では国やあるいは政府関係機関、それから地方自治体、これらに計画的に分けていくと、こういう必要性からこの許可制度が必要ではないかと私どもは考えておるわけですが、そういう見地に立ちますというと、本来そういう資金統制といいましょうか、計画的な調整外の部分、これについては自由にしていいじゃないかという議論があり得ると思います。  事実、私どもは、通常のこの資金ルートに食い込まない資金調達方法、具体的に申しますと交付公債でございますが、交付公債につきましては、たてまえとしては許可制度の枠内でありますけれども、実際はもうほとんどよほどの障害がない限りは申請されたものをそのまま許可いたしております。そういう意味で、市場公募債については、たてまえとして公社債市場に売り出されて個人消化を前提にしているという意味で、先生の御指摘のような御議論が起こり得ると思うのであります。しかし、現状におきましては、市場公募債のうち個人消化されているものは大体一五%ぐらいでありまして、八五%ぐらいはやはり金融機関の資金によって最終的には引き受けられているという現状でございます。そういう現状で資金配分を一つの大きな目的とする許可制度の中からこれをはずしてしまうということは、私は現状ではむずかしいのではないかと、このように判断をいたしております。
  136. 志苫裕

    志苫裕君 時間がなくなりましたが、まとめにいたしますけれども、とにかくいまも答弁にもあったし、またこのメモにもありますが、できるだけ地方公共団体の自主性を尊重するように改善の努力をやってきたのだし、いまもやっておるということが、いまの答弁でもこのメモにもあるようでありますが、この考え方というのは、本来起債というのは自治体の自由であり、地方自治の理念からすれば、それは望ましいことなんだという理解に立っているわけですか。イエスかノーかでいいですよ。
  137. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) 私どもも理想の姿としては起債は自由発行であることが望ましいと考えております。現在の地方自治法の構成も、御承知のように二百三十条では自由発行をうたい、いわばその特則のような形で二百五十条が位置づけられておるわけでございまして、私どもは将来の理想の姿としてはそういうことではないかと考えております。
  138. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。私らのこの自治法の二百三十条と二百五十条の矛盾というのは、「当分の間」ということでつないでありますように、まあ一種の緊急避難のような状況、たとえば資金配分の問題などのそういう状況があるから、当分の間その二百三十条と二百五十条が矛盾するような形で存在し得るというふうに理解をして、まあ現実の問題としては特に資金の需要調整の必要はあるなという気持ちもないわけじゃないんですが、ただ先ほど言いました十月八日の福田総理の答弁は、これは皆さんが補佐をしながら答弁をさせているんでしょうが、これは容認できませんよ。福田さんはどう言っているかというと、たてまえはそうなのだけれども、しかし緊急避難的にこういう問題があるという言い方をしていないんだ。起債の自由化というのは、資金調整の問題、それから自治体相互の調整の問題、そういうことでできない、それをやると混乱が起きるんだと、まあここまではいいわ。本来、だからこの起債というのは自由であってはならぬのだと。総理大臣は違反だ。全く答弁は法律違反の答弁だ。でありますから、これはいずれどこかで問題にしたいということだけ指摘をしておきますが、いずれにしてもあと二つだけ答えてもらえばいいですが、私言いましたように、百歩を譲って緊急避難だというふうに考えるにしても、答弁の趣旨にもありますように、できるだけ自主性を尊重するように考えるとして、ますます総枠配分を徹底をして事務処理も何か二つか三つに分かれておるんですが、一元化をして、自治体別の起債枠を定めたら、その枠の中はもう事実上自動承認制とでも言いますかね、そういうような扱いにするべきだということが一つ。  それから二つ目は、地方債計画で枠を縛っておるならば、全部政府が資金を持つかというと、政府が、政府資金がどんどん年々低下しておりますね、現実には。みずから自分で調達せよと言うんなら別に枠を縛ることはないですよ。枠決めて自分で銭探してこいと言うんなら、何もよけいなこと言ってもらわなくてもいいわけだ。ですから、自分で調達せよと言うなら許可はむしろ不要で、民間資金もしくは市場公募債は許可の枠外になさったらどうかと、そうすれば政府資金は学校とか下水道とか交通などの生活関連の方にまず回して、高速道路だとか、地域開発などの事業は自治体の判断で縁故債などを探すというふうになるし、住民がもしそれを買うというようなことにもなれば、住民参加というものが体で感じられていいだろうというふうにも思うわけでありまして、そういう点をどう思うか。  三番目に、資金全体の調整のために地方公共団体金融公庫についてでありますが、これはぼくらも原則としては賛成です。ただ、これがまた新しい統制機関になっては困るわけでありまして、またやたらと力ばっかり持っても困るわけでありまして、そういう意味では、運営によく配慮をして自治体のたとえば代表など、運営委員のようなものをつくって加えるとか、自治体の声が届きやすいような運営を考えたらどうかという三つの点をこの際要望しておきますが、ひとつ、さっと答えてください。
  139. 石原信雄

    政府委員(石原信雄君) まず、ただいまの御指摘の第一の枠配分方式をできるだけ広げるべきである。これは私ども再々申し上げておりますように、そういった方向で努力してまいりたいと考えております。  それから第二の民間資金で、自分で調達する資金については許可制度から外したらいいじゃないか、これはよく出る議論でございます。現在の許可制度の一つの存在理由であります民間部門と公共部門の資金の計画的な配分、調整、これは政府が所掌しております資金のみならず、民間資金をも含めての考え方でありますので、民間資金は全く外しちゃうということでは現在の許可制度の目的を達成されないと考えております。また許可制度に係らしめているという、そのかわりと言っては何ですけれども、私どもは許可した資金、それが民間資金でありましても、必ずそれが引き受けられるように、消化できるように、たとえば金融機関の監督官庁である大蔵省から、関係金融機関に対して引き受けに協力するように指示を出していただくというようなこともいたしまして、その許可制度の枠に入れている見合いの責任といいましょうか、これは出させていただくつもりでございます。  それから第三番目の公庫の改組に関連してその運用面を改善する、特に自治体の意向を反映するような仕組みを考えてはどうかという御指摘でございます。私ども過去何回か公庫の改組構想が出されておりまして、いままでの構想の中には、自治体と政府の共同出資というような構想もありました。そうなれば当然そういう構想でスタートすれば、運営面にも自治体の代表が入ってくるというような形が当然考えられると思います。ただ、現在、政府系の金融機関はすべて政府出資だけでございます。したがいまして、私どもの公庫改組構想の中でも、特に自治体出資につきましては、国庫当局は大変強い反対意見があるように聞いております。したがいまして、この問題は改組を実現する過程において、一つの大きな検討課題ではないかと、このように考えております。
  140. 志苫裕

    志苫裕君 終わりました。
  141. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は一昨日、二十五日に三井局長が日本赤軍を支援をする国内メンバーグループ、これは百名は下らないだろうと、こういう発言をなさったんですね。これはまことにいままでにないいわゆる赤軍の全貌に近いようなものを明らかにしたと、こう言って過言ではないと。それだけに非常に重要な問題だろうと、こう思います。またそれだけに報道機関も大きくこれを報道したわけですから、これは国民の間にも大きな私は関心を持たれた問題だろう、こう思います。そこでそれだけにあの発表、いわゆる支援グループメンバーが百名は下らないだろうという、これは言うならば言いっぱなしみたいな形です。ですからやはり国民の関心が大きくそこに集中されているという立場からするならば、やはりもう少し突っ込んでいろいろな点を明らかにしておく必要があるのではないか、こう私は思います。そういう立場から何点かお尋ねをしてみたいと思います。  まず最初に、三井局長が言われたことを私は信用しないというわけではない。けれども、まことに重要な問題だけに、またこのままほっておけば、これだけに言いぱなしというような形になれば、国民の不安というものを増大するだけだろうと、こう思います。そこで、これだけの重大な発表をするその陰には、それなりの相当な根拠がなければならないだろうと私は思うんですね。そういう根拠についてはどういうところに置かれているのか、その点をひとつお聞かせ願いたい。
  142. 三井脩

    政府委員三井脩君) 赤軍支援組織のメンバーの数についての根拠というお尋ねでございますが、ちょっとその前に申し上げたいのは、日本赤軍と言いますのは、私たちが治安上重視しております極左暴力集団、中核を初め革マル云々というようにたくさんおるわけですが、その中の一つということになるわけでございます。極左暴力集団全体では、ただいま私たちは全国で三万五千五百という数を一応推定しておるわけでございます。その中における百名という程度でございますから、人数からだけ言いますと、格別大きい数ではないという、全体の中におけるウエートと、質はまた別でございますけれども、そういう点がまずございます。たとえば極左暴力集団の中で一番数が多いのは中核派でございまして、これは五千八百、その次は革マル派ということでこれまた四千五百というような数を、一応の丸い数字でございますけれども、私たちは判断の基礎にしておるわけでございます。という意味で日本赤軍はそういう数でございますが、問題はその本体であります日本赤軍自体が国外におる。それで日本国内におきましては格別の動きは彼ら自身できないわけでございますけれども、海外の日本赤軍と連携をとりながらわが国内において日本赤軍に役に立つような広い意味での支援活動をしておる、こういう者が人数において約百名程度でございますが、どういうふうな形であらわれておるかと申しますと、今回事件が九月二十八日に発生いたしまして、その翌々日の九月三十日に京都大学で立て看板を出して、このハイジャックを支援するということをはっきり公然と言いました。その立て看板を出した組織の名前は変な名前ですけれども、一九八〇行動委員会と書いておるわけでございます。これは、この一九八〇行動委員会の実態そのものがどういうものであるかということについては、その解明の程度、わかり方の程度に問題があるといたしましても、日本赤軍のああいうようなハイジャックテロ行為を公然と支持をすると、こういうことでありますので、これはまず支持団体の有力なものであると、こういうふうに見るわけでございますが、このほかに昨年の十月に日本赤軍メンバーの奥平純三がヨルダンから送還されてまいったわけでありますが、その直後に同じく京都大学校内に立て看板を出して、奥平の逮捕を弾劾すると、同志を奪還せよというような立て看板が出ました。そのときそれを出した組織は五・三〇Fとこれまた妙な名前を書いておるわけでございます。したがいまして、ただいまのような海外におる日本赤軍のテロ行為に直結してこれを支持すると明確に言いましたのは、まずこの二つ、こういうことになるわけでございます。  この組織がどういうものであるかということについては、この名前からだけでは必ずしもわからないわけでございますけれども、私たちが見ておりますところでは、たとえばさきに申し上げました一九八〇行動委員会というのはその名前で立て看板を出したほかに、たとえば京都大学の元助手でありました竹本信弘が分限処分を受ける、極左の事件に関連したために分限処分を受ける。これに対する反対ということで、同じその名前によって集会を開く、京都大学でビラをまくと、こういうような行動をしておりますので、そういう行動の中からこれの活動家は京都大学に根拠を持っておる者であるということで、若干の者はわかっておりますが、全部は必ずしもわかりませんけれども、そういう活動をしておる人物であり組織であるということが判明をいたしておるわけでございます。同様に五・三〇Fというのは、五・三〇フラクションということでございますが、これまた極左系の組織の中から分離したといいますか、脱落したといいますか、分かれてこういう組織をつくっておるものであるということが判明してきておるわけでございます。こういう式にこの二つははっきりとああいうテロ行為を、日本赤軍のテロ行為を公然と支持をしておる。そうすると、そこまでいかなくても日本赤軍が意外に国内状況をよく知っておるじゃないかというようなことも声明等でも見受けられるわけでありますが、これは国内ともいろいろ連絡をしておるのであろう、そういう連絡のこちら側の拠点になっておるものとか、日本赤軍にそういう連絡上の便宜情報提供しておる、あるいは日本赤軍からの、たとえば先般も話が出ましたけれども、大阪に新聞社がございまして、これが日本赤軍から送られてきた声明をその機関紙に載せると、こういうようなこともありますし、声明のみならず日本赤軍のメンバーという名前で、名前載っておりませんけれども、個人名出ておりませんけれども、日本赤軍、海外の日本赤軍からの便り、通信ということで載せておるというようなことをやっておるところがございます。  で、この極左系の新聞社でございますけれども、これは何も日本赤軍だけやっておるわけではありませんけれども、ほかの極左系のいろんなものを扱っておる、それぞれの集会あるいは活動を支援しておるというようなことがその機関紙、新聞等に出ておるわけでありますが、とりわけ日本赤軍との関係で言いますと、日本赤軍はほかに似たような発表手段を持っておりませんが、ここだけは日本赤軍のものが出てくる、こういうことでありまして、日本赤軍に対する支援の程度には差がありますけれども先ほどのように公然とテロ行為を支持するという確たるものと、いま言うように、そこまでいかぬけれども大変彼らの国内宣伝活動の場を提供しておる、こういうものがあるということで、ニュアンスにいろいろ差がございまして、もっと下がっていきますと、日本赤軍の関係者でわが国に送還されて帰ってくると、これはそれぞれ犯罪になりまして、いま身柄拘束されておるのもありますが、すでに刑が終わりまして、罰金その他刑が終わって自由になっておるというのもあります。そういうときにその弁護を買って出る。単に弁護を買って——弁護をすることはもちろんそれなりのことで、これは批判すべきことではありませんけれども、その弁護を通じて日本赤軍の活動を支援をしておるというように見受けられるいわゆる救援組織の人物もおる。救援組織もある。その救援組織自身はといいますと、何も日本赤軍の救援だけ、救援弁護活動だけやっておるわけではない。しかし、たくさんある、相当数ある極左系の救援弁護組織の中で、その組織だけは日本赤軍の救援活動を特に買って出ておる、こういうようなものがありますので、私たちはこううものを日本赤軍に対する国内における支援組織、そのメンバーは支援組織のメンバーと、こういうふうにとらえまして、彼らを十分治安維持の観点から彼らに対して関心を払わなければいかぬ、こういう発想で、百名ちょっと超えておりますけれども、このぐらいの数を私たちは関心を持つ対象として考えておる、こういうことを申し上げた次第でございます。   〔理事望月邦夫君退席、委員長着席〕
  143. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いろいろお話しをいただいたんですが、おとといの局長の発言が、いままでおっしゃらなかった、初めて発表された、こういったところにこの話題というか、大きな関心が持たれたわけですけれども、私もそういう意味で百名前後の支援グループがおるであろうと。で、国民も報道機関を通してわかったことはやっぱりその点だろうと思うんです。そこでいまお話があったように、いろいろなお話があったけれども、いわゆる百名は下らないであろうというところに私はしぼってみたいと、こう思います。  そこで、いまおっしゃったお話の中から感じられることは、この百名前後のメンバーの一人一人の氏名ですね、これはそうなるとぱちっとわかっておる、こういうことですか。
  144. 三井脩

    政府委員三井脩君) 申し上げておる百名程度は一人一人全部わかっておる数だけでそれだけでございます。
  145. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大体発表になられたのはおとといでございますけれども、そういったことが大体いつごろの時点でそういったことについて掌握ができたのか。それはどうですか。
  146. 三井脩

    政府委員三井脩君) だんだんとわかってきておるわけでございますが、形といいますか、ちょっと歴史的といいますか、いきさつから申しますと、重信房子が四十六年にわが国を出国しておる。アラブへ向けて出国したわけでございます。出たときは彼女は共産同赤軍派のメンバーでございまして、そこの政治委員、まあ最高幹部の一人であったわけですが、赤軍派は連合赤軍になって浅間山荘などの事件をその後起こしたわけでございますけれども、彼女は、日本国内での活動には限度がある、それはそれでやるけれども、海外の革命勢力と連帯をして世界革命をやる、そのことが同時に日本革命にも役に立つんだ、こういう発想のもとに出たのが四十六年でありますが、その後海外へ行ってみると、日本国内でのやり方がおかしいということで訣別書というものを日本——自分の組織に送りまして脱落したといいますか、脱退をしたということで、日本国内とは縁が切れて、海外でアラブゲリラを支援するという立場で行動することになったわけでございます。そこで、その翌年の四十七年にテルアビブ事件というのが起こりまして、それを発端として海外におるのは四十六年に出た重信一人ではなくて、その前から出ておった人間あるいはその後出た人間等が重信を中心にある程度のグループをつくっておるということがわかってまいったわけでございます。その辺をきっかけといたしまして国内との連絡等を見ておりましたり、それからまた海外でも種々のテロ行為を犯しておりますので、その辺の中からだんだんとわかってまいたわけでありまして、百名程度の最後のところは今回の事件を通じてはっきりとわれわれはつかんだと、こういう経過でございます。
  147. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 国内の支援メンバーですね、これといわゆる海外の赤軍派との連絡、これが今回のいわゆる乗っ取りを通しても、非常に国内事情がよくわかっておるというような点からいって、常識的に考えても確かにそうであろうと、こううかがえるわけです。うかがえるだけではどうにもならぬので、当然これからますます拡大のおそれがあるという、こういう心配があるわけですね、そういう事件についても。赤軍が大きくなれば事件も大きくなるだろう、その可能性は十分あるわけです。そういうことを踏まえて、やはり連絡をどうしてもこれからとれないような形をとっていかなきゃならない、これは当然の話ですね。そのためには、これはやっぱり大きなこれから起きるであろうと想像されるこの事件、事故を未然に防ぐためにもそれは徹底してやっていかなきゃならぬ、こう思います。それについてはやはりそれだけの対策措置体制、いろいろなこれを防ぐための考え方というのはあると思います。そういった点についてはどういうようなことを考えていらっしゃるのか。これはやっぱり私はあれだけの発表をされたわけですから、ですから国民のすべてがやはりそういったところに大きな関心を持っているんじゃないかと、こう私は思いますので、その点をできる限りひとつ詳しくお話を伺えればと、こう思いますが。
  148. 三井脩

    政府委員三井脩君) まず、従前も国内におる日本赤軍の支援組織については私たちは治安上関心を持っておったわけでございますが、ただいまのような情勢の中でこれをさらに厳しくといいますか、よく見なきゃならぬと、こう考えますので、今回の事件を契機といたしまして従前見ておった警察側の体制を飛躍的に向上させなきゃいかぬじゃないかと、こういうふうに考えまして、飛躍的といいましてもなかなか人数を飛躍的にふやすとかというようなこともできかねますけれども、できるところからやっていこうということで、ただいまのところ日本赤軍の支援メンバー、組織のある関係都道府県の警察の、この問題を兼務でなくて専従で見る警察官の数をふやしたいということをひとつ考えて、いま関係のところと検討折衝をしておるという点が一つございます。  それからもう一つは、今度は海外との連絡のやり方についてこれを遮断していくといいますか、その状況をよくつかむということでございますが、これは具体的な方法の問題でございますので、いろいろの方法を講じなきゃならぬと思いますけれども、何といいましても通信というものは自由でございますし、また海外とも電話ですぐ話ができるというような発達した現在の状況の中でございますので、そういうことを連携を遮断するというようなことは法的にも、実際上もなかなか無理であろうと、したがって一番いいのは国内におる支援組織のメンバーが直接または海外におる日本赤軍メンバーの命令を受けて、いわゆる一本釣りといいますか、海外の日本赤軍の活動家になる候補者を日本国内で一本釣りで集めて送り出すと、こういうようなことがあり得るわけでございます。そういうことで海外の日本赤軍メンバーとなって活動したというのもおるわけでありますので、そういう場合に、これを海外に出さないためには旅券を発給しないというようなことが一つ有力な手段であろうということで、旅券法の改正等を関係のところにお願いをするということを考えておるわけでございます。  それからまた、同じことでありますけれども、その人間が出られなければ今度は他人になりすまして旅券をもらっていく、こういうことも封じなければならぬというようなこともあるわけでございます。それからまた言えば、海外におる日本赤軍は直接こっちへ帰ってこられないというようなこともありますので、向こうにおる外国人その他で、日本人でもいいわけですが、向こうにおる、日本赤軍の周辺におる支援組織のメンバーでわれわれが知らない、海外のことでよく知らない、こういう人間を日本に派遣して支援組織を連結するというようなこともあり得るわけでございますので、そういうような点につきましてそういう人物の入国がたやすくできないといいますか、こういう点についても規制ということが必要ではなかろうかと、これは特に法律の改正ということではなくて、運用の問題、そういう事実がわかっておればそれなりに措置ができるわけでありますので、そういうことでいわゆる入国管理、まあ最初の旅券の問題も含めますと出入国の管理について現行法のもとでできることを確実にやる、それには必要なデータを関係当局にわれわれが提供するということが大事だろうと思いますし、それで足りないところは法の改正ということをお願いするというようにいたしておるところでございます。それは一つでございますけれども、その他細かなことはいろいろ情報活動あるいは捜査活動の具体的な問題でございますので、必ずしも一般的に申し上げかねるというようなこともございますので御理解いただきたいと思う次第でございます。
  149. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまおっしゃったように、大体百名前後のこのメンバーについては当局としてははっきりと掌握しておると、こういうことですね。今回起きたいわゆる乗っ取り事件につきましても、これはいわゆるその国内の支援グループとの連絡は十分あったであろうということが想像されるわけですね。そうすると、あれだけの事件を起こしたそれはいわゆる日本赤軍——海外にいる日本赤軍だけの問題ではなくて、支援グループも含まれたいわゆる行動であった、事件であった、こう判断できるわけですね。私はそう思うのです、つながりがあるわけです。その場合、いまおっしゃったように、百名前後のメンバーはわかっているということは、大体そういうメンバーとの連絡の中でああいう問題がいわゆる的確に行われてきたということが想像できるわけですね。そうなると、国内のいわゆる支援メンバー、これらに対する逮捕といいますか、捜査を当然やらなくちゃならぬでしょうけれども、いわゆる何らかの形で逮捕するとかいうようなことはこれはできないのですか。
  150. 三井脩

    政府委員三井脩君) もちろん事件と関連が出て、共犯関係が出てまいりますれば逮捕等にも及ぶわけでございますが、ただいまのところ海外の日本赤軍と国内の支援組織あるいはメンバーとの連絡の状況は、端的に申せばただいま申しましたような具体的な立て看板だとか、機関紙だとか、あるいはわれわれにはわからない通信、連絡あるいはもっとほかに具体的な人が行き来しておるというようなこともあろうと推定されるわけでございます。そういう意味で、彼らが従前と違いまして、日本国内の今日的な状況を、彼らなりに、判断は別として具体的なことはわりに知っておるということがわかるわけでございますが、そういうような国内状況を向こうに通報するというような支援活動を、国内の支援組織及びメンバーがやっておるということはもう客観的に明らかに推定されるわけでございますが、そのことが直ちに今回のハイジャック事件について共犯的関係関係しておったかということになりますと、これはもっと捜査的に詰めなければならぬわけでございますが、そういうところまで国内の連中は知らされておらなかったのではないかというようにただいまのところは思われますけれども、しかしいろいろ関係があるということでございますので、すでにあの事件が起こってから三十カ所を超えるところにつきまして、いわゆる捜索を令状によって行っておるというところでありまして、これは彼らと国内との関連があるというように考えて捜索をしたということでございまして、捜索といいますのは、今回の事件の証拠資料収集というねらいでありますが、そのことが直ちに、その証拠資料が出てきた国内の場所、人がこの事件について共犯的関係でかかわっておるということには直ちにならない。それからそれはまた今後の捜査でございますが、いま直ちにかかわると、そういう共犯的な関係と、国内の連中が関係しておるかと、こういうふうなことでありましたら、ただいまのところは何ともどちらともわかりかねるということでございますが、今後のこともございますので、私たちはそういう点については十分関心を持ち続けるという意味で警戒をしていくつもりでございます。
  151. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、何カ所かいわゆる手入れをした、そういったことをやったということは、いわゆる今回の事件にかかわりがあるんではないか、こういう立場から捜査をしたということですね。私の申し上げたいことは、とにかく百名のメンバーがわかって、その中に連絡をとっている可能性のある者がいるであろうということです。これは想像にかたくないわけです。ですから、なるほど何カ所かの手入れをやったと。それで終わってはならないと私は思うんです。これは徹底的にやっぱり捜査という問題については途中で手を緩めるようなことがあったんではならないと思うんです。その辺のいわゆる当局の考え方、もちろんこういうふうに聞けば当然、おっしゃるとおりですということで終わるかもしれませんけれども、なおこれは言えるかどうかわかりませんけれども、何カ所かの捜査をやったと。これからはもう一歩進めてこういうようなことをやっていくんだと。ぼくはなぜこんなことを言うかというと、いわゆる警察当局がこれだけの、言うならば国民の恐怖ですよ。それに対してどう対処していくんだという突っ込んだ考え方というものが国民に明らかにされるということが大事なことじゃないか、こう思うんです。ですからそういう立場でお尋ねをしているわけですけれども、この点ひとつ。
  152. 三井脩

    政府委員三井脩君) この事件の凶悪性から考えまして、また先行きへの、この持っておる問題の重要性から考えまして、私たちはぜひ事件の真相を明らかにして、これを検挙するというつもりでスタートしておるわけでございます。ただ問題点は、海外において行われたということでありますので、国内関係者がこの事件関係しておる程度ということになりますと、少なくとも主犯というわけにいかないだろうと。しかし、じゃ全くゼロかというと、いまお話しのように国内のことをいろいろ言うと、国内状況認識の上に立ってああいうことをやったということでありますので、その辺のところを今後の捜査で解明していく。ということは同時に、この事件の解決につながる道でもありますし、また再発防止につながるというように考えますので、国内のものにつきましては外国の政府に頼まなくてできることでありますので、私たちは最大限の力を入れて解明してまいりたいというふうに考えております。
  153. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 当然これは壊滅されるということは、もうだれしも望むことですけれども、そう簡単にいく問題ではないだろう、こう思います。そこで、何とかこれは大きくならないように食いとめなければならない。その努力を当然やっていくんだという決意のほどを、それがいまお話になったわけですが、そこで、やはりメンバーはさることながら、そのメンバーが構成しているグループ、これはあるわけですね、そのグループが現在では一本化されていない、個々にその動きをとっておる、こういうお話。これはやっぱり一本化されるとますますその力を大きく発揮してくる可能性はあります。ですから、その一本化されていくという傾向性、そういうものがあるのかどうか。あるとすれば当然それを防がなければならない、このグループを。そのグループというのは現在どのくらいあって、その傾向性は、いわゆる一本化というその傾向性、そういう点についてはどうなのか、その点をひとつお話しいただきたい。
  154. 三井脩

    政府委員三井脩君) 組織を幾つか名前を挙げましたけれども、名前を挙げられるような組織は、まだそう多くございません。ただ、人数は百名程度と申し上げた、いまのところはどちらかというと、個人が中心で、こういうものを支援する。したがいまして、グループに入っておらない個人は心情的な支援だろう。それがいまのところ中心だと。組織に入っている者は具体的な支援をしておる。こういうふうに考えられるわけでありまして、ただ最近の傾向を見ますと、こういう事件に刺激されたということもあろうかと思いますが、わりあいにこういう事件を支援するための集会というものを開こうとする傾向が出てまいりました。集会を開きますと、そういう組織が同じような集会をそれぞれの組織で、あるいはそれぞれの人間で開くというのが、横に連帯しようという動きにもなってまいりましょうし、また集会に集まったメンバーでない人たちが、またこれに参加していこう、こういうことになりますので、そういう傾向については、十分に注意をしていきたいというふうに考えております。
  155. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 もう終わりですけれども、十分に注意をされていくということ、それはよく当然のことであろうと思います。いわゆるそれがグループ化がだんだん進むということは、これは大変なことだということです。だから注意をしていくという考え方だけではぼくはちょっと納得できないのです。これだけの大きな問題です。これだけの大きな問題に対して当局が注意を払っていきますという、そういう簡単な答弁ではぼくはこれは納得できないと思う。これは私だけが納得できないのではなくて、多くの人が納得できないだろう。局長のお話ですから。ですから当然それに対して、この傾向性としては一本化されていく可能性ある、それに対してはどうする、どうなくちゃいけないか、また現在のグループに対してはこうなくちゃいけないだろう。またそのグループが一本化されないまでも、まだふえていく可能性はある。そういったことについては当局としてどういう、これから対策を講じ、そして措置をとるんだという、また体制づくりもこうするんだという、こういったものがはっきりしないと、やはり国民の不安というものはいつまでたっても消えないだろうと思う。こういうふうに思います。その辺の確信のあるところを私はお聞かせ願えないかというふうに思います。
  156. 三井脩

    政府委員三井脩君) いまのようなねらいでこういう支援組織が力強くなるとか、大きくなるとか、これ以上広がらないというようなことが一番大事でありますが、これにつきましては警察以外の措置としてはいろんなことがなされると思いますし、そういうことを私どもとしては期待するわけでございますが、警察としてできるということになりますと、彼らがいろいろの違法行為をやる。その支援行為を実現するために違法行為に及ぶというときには、その違法行為を看過することなく取り締まっていくというのが一番オーソドックスなものでありましょうし、また先ほどもちょっと申しましたような海外との連絡関係で動くというときには、彼らがそのメンバーであるというだけでもいかぬと思いますけれども、そういうことを中心に出入国の規制というようなこともできるものはやっていくというようなことで、彼らの活動の、あるいは行動の範囲というものを制限していくということがこれから広がらない一番の手だてではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  157. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 最後に、堂々めぐりみたいなことかもしれませんけれども、何か聞いていまして、いままでやっぱりこれらに対するとるべき対策というものはいろいろとやってきたと思うんですよ。やってきたけれども、いわゆる拡大のおそれがあるんだという発言、こういうことですね。ですから、いままでやることはやってきた、これからもいままでと同じようなことをやっていって、果たしてこれが収束まで簡単に持っていけるとは私は思いませんけれども、やはり何らかの、決め手まではいかないかもしれませんけれども、このいわゆる対策というものに対して、もう一歩進んだ考え方がなければ堂々めぐりじゃないか、こんな感じがしてならないわけですね。ですから、その点を、私は専門家じゃありませんので、専門家であるいわゆる当局がその点を踏まえてひとつ今後も万全の対策体制、あらゆる角度からこのいわゆる阻止に努力をしていただきたいことを願いまして終わりたいと思います。
  158. 神谷信之助

    神谷信之助君 前回に引き続いてハイジャック問題について最初に警察庁にお伺いしたいと思います。  前回は長官が出席できなかったのですが、いろいろ具体的に警察庁自身が今日までの努力の結果、把握をされている状況なり、あるいは今後の対策についてある程度お伺いをいたしました。そこで、きょうは長官がお見えいただきましたので、最初に長官の方からこの問題についての今後の対策について、長官としての見解あるいはこれまでとってきた問題について改善をすべき点、あったのかなかったのかという点まで含めて長官のまず見解をお伺いしたいと思います。
  159. 浅沼清太郎

    政府委員浅沼清太郎君) 今回の日本赤軍によるハイジャック事件は、御承知のような結末を見たわけでありますが、私どもは今後再びこのような事件が起こってはならぬということで、そのためにまずわれわれ警察として何をなすべきか、また関係方面に警察の立場で要望すべき問題は何かというようなことでいろいろ検討をいたしておるわけでありますが、特に日本赤軍は主として実行部隊は海外で訓練を受け活動をしておる、したがいましてこれらについての実態を把握をすると、そのための情報活動を特に強化しなければならない。従来も日本赤軍の情報活動につきましては、情報収集につきましては、いろいろな国との協力を得つつやってきたわけでありますが、たとえばスウェーデンなどとは密接な協力をいただいて、日本赤軍のメンバーを送還をしてきておるというような成果も挙げておるわけであります。しかし、正直なところ隔靴掻痒といいますか、もう少しこの面の体制なり活動を強化する必要があるということで、その問題、国際的な面の情報収集活動を強化する。それから御承知のように、この日本赤軍につきましては、国内の支援組織というものが幾つかございます。これらの国内の支援組織についても、従来も相当なエネルギーを割いて彼らの実態解明及びその動向の未然防遏といいますか、そういう努力をやってまいりましたけれども、これをさらに徹底してやる、このいま申し上げたように国の内外にわたる日本赤軍の実態解明と支援組織の実態把握ということのために内外における情報収集体制というものを強化する、そのためにはやはり日本赤軍に専従するところの体制をつくりまして、その面の強化を図らなきゃならない、これが一番まず警察としては当面焦眉の問題であるということを考えまして、現在政府に置かれました対策本部にもわれわれの意見も申し上げ、その体制をつくるべく現在鋭意準備を進めているということであります。  それから、この種事件再発防止のためにはもう再三本委員会でも述べられておりまするように、検査体制手荷物検査及び身体検査——ボデーチェック、この体制を強化するという問題があります。これは国内的な問題、それから国際的な問題、外国の問題につきましては、これは私ども運輸省あるいは日本航空等にもいろいろ意見は申し上げまして、その強化、たとえばダブルチェックの問題、そういうことが非常に大事だと思います。国内的には御承知のように現在は航空会社警備保障会社契約を結びまして、それによってガードマンがまず第一次的に荷物の検査をやる、ボデーチェックをやる、警察はその検査の結果容疑があると、疑わしい者につきまして必要な職権の行使をやるということにいたしておりまして、この面については運輸省指導のもとに航空会社がこれを強化するような方向で検討されていると聞いておりますが、それについてはわれわれもその体制に応じて警察チェック体制に、後抑えみたいな問題になりますけれども警察としても必要に応じて個々の飛行場ごとに検討しまして、これを強化していきたいというふうに考えております。一般的にその他政府においていろんな施策が講じられておりまするが、直接警察が関与するような問題は以上のような点でございます。
  160. 神谷信之助

    神谷信之助君 先日そういった問題、警察の態度、これからの対策ですね、それらをさらにより効果的にするために、これまでのいろんな捜査状況や、あるいは過去のいろんな事件の現在における状況、これらいろいろお伺いしたんですが、きょうはそれを繰り返すことはないと思いますので、長官の方もひとつ十分あの議論を踏まえてさらに考えてもらいたいというふうに思います。きょうは一昨日に続いてお尋ねをする点、伺いたいと思うんですが、まず一つは、十月の十二日の衆議院の予算委員会で私どもの東中議員が質問いたしました。それに対して三井局長の答弁で、四十四年以来、内ゲバ殺人事件、これは四十五件で、四十八年までのものは全部解決、検挙していると。今日まで四十五件のうち二十二件解決をして四九%の解決だというようにおっしゃっているわけです。これに関連をして二、三お伺いしたいと思います。  まず第一にお伺いしておきたいのは、いわゆる検挙率というのはどういう形なのかということですね。たとえば検挙件数を発生件数で割って百倍するというのが検挙率なのかどうか、まずこの点についてちょっとお伺いしたいと思います。
  161. 三井脩

    政府委員三井脩君) そういうふうにやっております。
  162. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると、発生件数と検挙件数との対比だけでは、一件について数人なりの犯人がおるという場合には、これは完了ということにならないわけですね。この種の犯罪というのは大体グループ的犯行が、最近特に組織的犯行が多くなってきていますから、そういう点はどうなのかと思うんですが、この間の質問に対する三井さんの答弁の中には、一方完全解決をしてますとおっしゃっているんですがね。この完全解決というのは、犯行グループに参加をした者、数人なり数十人なりありますが、これを全員逮捕してそうして送検をしたと、まだ未逮捕の犯人が残っているという状態ではないという意味なのかどうか、ちょっとこの点もお伺いをしておきます。
  163. 三井脩

    政府委員三井脩君) 御指摘のように、この種事件は一件当たりの被疑者が多くて、内ゲバ殺人の場合は大体十四人ぐらい、一件につき、そういう平均になるわけでございます。で、解決と言っておりますのは、この平均的な話で一件について十四人が全部検挙されたやつがもちろん解決でございますが、解決の中に入れておりますのは、十四人のうち、つかまえた者、で、未逮捕の者もある、しかし未逮捕の者もあるけれども、これは名前が割れて指名手配を全国に打っておると、こういうものを解決と、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、本当は十四人被疑者なら十四人全部手の内に入ったとかということが解決だということかもしれませんけれども、指名手配を全国に打つということによって、そこまで割れた者も解決に計上しておるわけでございます。
  164. 神谷信之助

    神谷信之助君 そうすると完全解決ということに私はならぬと思うんですよ。結局、犯人の割り出しができたと、それでそのうちの相当部分が逮捕できたと。少なくとも、犯人の割り出しができた、そして指名手配をしたと、それで完全解決ということであれば、逮捕されていない者は、これは指名手配をしてもつかまっておらぬのだから、さらに犯行を重ねる条件というのが存在をすると、こういう状況になっておるわけですね。だから、これはちょっと完全解決とおっしゃる意味には入らぬのじゃないかと思いますが、この辺どうですか。
  165. 三井脩

    政府委員三井脩君) 四十八年以前の完全解決は、もう全部逮捕したり何かしているわけです。ただ、あのとき、正確に申しますと、三重県で中核の委員長が殺された、これは未解決でございますから、一件を除き他は全部解決と。それで他の事件はといいますと、いまお話しのようなものじゃなくて、これは全部被疑者は検挙しておると、こういう意味でございます、あの場合の。そのほかの場合に解決というのは、いまのように被疑者が割れて指名手配を打って全然逮捕してないというものは解決の中に入れておりません。指名手配も打つが主要な者は検挙しておる、まだ残っておるけれども主犯とかそういう者は検挙しておるというのは事件解決の方に入れておりますが、必ずしも落着じゃありませんけれども事件としては解決と。したがいまして、四十五件のうち二十二件はもうわれわれは解決と考えておりますが、この二十二件で検挙した被疑者は、三百七人をこの二十二件で検挙しておると、そのほかに指名手配を打ってまだ身柄が手のうちに入ってないというものがあると、こういうことでございます。
  166. 神谷信之助

    神谷信之助君 これ以外にね。
  167. 三井脩

    政府委員三井脩君) はい。
  168. 神谷信之助

    神谷信之助君 そこで、いまのなにですと、たとえば五十年の十一月十九日に衆議院の法務委員会で当時諫山議員がいろいろ質問をしております。それでそのときに福井さんが答弁なさっておって、四十四年から四十八年までに発生した分は例の三重大学事件を除いては全部解決したというのがある。だからその状態がそのまま続いていると、四十八年以前の分については。という状況ですね。  そこで、三井さん、予算委員会質問で四十五件という数字をおっしゃたわけなんで、早速質問者の東中議員が、四十五件とおっしゃるからには根拠がすでに明らかなんだろうから、それについての資料の提出を求めたんですが、これも前回も申し上げましたが、委員会質問してもらったらお答えをしますということなんですよ。ところがこれ時間がありますから、ここでいろいろ細かく答えてもらっても、予定の時間をきょうは減らしていますから、そういうことでは私ども困るんで、したがって次の事項について、これは東中さんの方からもお願いしているわけですが、資料として提出をしてもらいたいというふうに思うんです。一つは、いわゆる四十五件について、発生年月日、それから死亡者名とそのセクト。第二番目が、事件の概要、目撃者の有無、人数を含めて。第三に、犯人または被疑者とそのセクト。犯行グループの正確な人数が不明の場合は概数で結構です。四番目に捜査の概要。五番目に、検挙されている場合その処分について、個々の被疑事実を含めて。こういう五項目について資料提出をいただきたいと思うんですが、いかがですか。
  169. 三井脩

    政府委員三井脩君) 四十五件は、ただいま申しましたように二十二件は解決をしておりますけれども、他の二十三件は目下捜査進行中ということでございます。で、二十二件のものにつきましても、たとえば目撃者の条項とか、いろいろむずかしい点もありますので、そのいまお話しの項目よく検討いたしまして、できるものは資料にいたしたいと思います。
  170. 神谷信之助

    神谷信之助君 できるだけ可能な範囲でお知らせをいただきたいというように思います。  その次に法務省にお伺いしますが、五十年の一月以降で内ゲバ事件が十数件発生しておると思いますが、法務省が受理されたものですね、五件というようにお伺いしておりますが、その発生年月日、受理人員、処理状況、これをちょっと簡単に御報告していただきたい。
  171. 石山陽

    説明員(石山陽君) お答えをいたします。  昭和五十年以降、検察庁関係で受理をいたしましたいわゆる内ゲバで殺人を伴うもの、その総件数は、いま先生から五件とおっしゃいましたが、その後精査いたしまして六件でございます。人員にいたしまして三百六十三名を検察庁として受理いたしました。なお、この三百六十三名という数字の説明は後刻申し上げます。  その処理状況につきましては、現在までに公判請求が六十四名、家庭裁判所等に送致いたしましたものが七名、不起訴処分に付しましたのが二百九十二名でございます。で、先ほど申しました三百六十三という数字は、これは私どもの方では、大きな数字になりました一番の理由は新橋駅内ゲバ事件というのがございまして、この場合たまたま加害者であると思われます中核派の犯行と、それから被害者側に立つべき革マル派と両派入り乱れまして、検挙者多数おりましたので、検察庁はこの関係を全部一まとめにして件数上数えておりますので、人員が多くなっているということでございます。  以上であります。
  172. 神谷信之助

    神谷信之助君 もう時間の関係がありますから余り細かくはお聞きしませんが、先ほど三井局長が四十五件中二十二件で四九%だというように予算委員会でおっしゃったんですが、ところがその四九%とおっしゃる中身のうち、四十八年以前のやつは三重大を除いて全員逮捕だと。ですからそれ以後の分、これは主要な部分、主犯、中心人物は逮捕したけれども、未逮捕の分もあって全国指名手配中の者も二十二件の中に入っていると、こうなるわけですね。だから、言うなれば犯罪者は全部逮捕して犯罪行為に対する措置を完了したという状況にはなってない。四九%とおっしゃるけれども、そうはなってない。  もう一つ私は問題は、いま御報告ありましたが、公判請求をしたのが六十四名で、受理をしたのが三百六十三名です。そして家裁送りが七名ありますから、それを加えて七十一名なんですね。不起訴にしたのが二百九十二名になっております。ですから、特に五十年以降の事件では集団的な暴力事件が発生をし殺人が行われている。たとえば五十年のあの日通航空のやつですと、これは中核派七、八人の犯行だといわれて、送検されたのは一人、これは不起訴になってますね。それから五十年の三月二十七日川崎市役所裏、これの事件は三人だといわれています。五十年の十一月十九日の衆議院の法務委員会での答弁ではそうなっています。これ三人ということになっていますが、これは一人だけ逮捕、この一人は、警察官じゃなしに、その場におった一般人が逮捕した、いわゆる常人逮捕の分なんですね。これは公判請求されている。それから六月四日の大阪市立大学の構内の事件、これは数十人が犯行に参加をしておるわけですが、このうち九人が受理をされて公判請求されたのが二人、こういう状況ですね。それから七月十四日の先ほどありました新橋事件、これは数百名といわれるのが三百二十四名受理をされて、このうち公判請求三十六名、家裁送致が七人、殺人罪による起訴はないという状況になっています。起訴猶予その他で二百八十一人ですか、という状況になっておりますね。ですからこれ見ますと、最近の組織的な特に犯行がふえ、そして多くの人々が、多人数が参加をしているという、そういう事案ですから、警察の方もなかなか大変だろうとは思うのですけれども、こういう事案についての解決が非常におくれている。当時もこの法務委員会でも問題になっておりますが、このころは中核と革マルの内ゲバが激しいときで、犯行前には新聞記者会見をし、犯行後はまた新聞記者会見をする。相互に復讐をし合うという状態であるし、しかも目撃者は相当多数におるそういう場所でやられているような事件もあるという状況で、いまだにこれらがほとんどまだ解決されたという状況になってない、こういう事態については一体どういうようにお考えでしょうか。
  173. 三井脩

    政府委員三井脩君) いま五十年以降の、二十四件あるわけですけれども、そのうちの主なものについてのお話でございますが、未解決の事件につきましては、五十年以降の二十四件につきましても、すでに六件について検挙をし、被疑者九十四人を検挙しておる、こういう状況でございます。ただ、いわゆる内ゲバ殺人と私たちは呼ぶわけでございますが、これを法律を適用——罪名からいきますと殺人でいけるものもあれば、傷害致死がその事態の実態をあらわしておるといいますか、構成要件的には傷害致死ということもあり得るわけでございまして、これは傷害致死もいわゆる内ゲバ殺人の罪名として事態によっては適当なものだと、こういうふうに考えるわけでございます。  お話のように、この事件にはいわば組織的、計画的なものというのが一般の事件の場合よりは多い。それだけにまた一面、事件には手がかりがそれだけ多い、捜査上は多いということもあるわけでございますが、同時にまた、彼らが証拠隠滅といいますか、そういうことを計画的に組織的に行うということもありますし、調べの中でも、大学を拠点にしたり、いろいろな彼らの組織というものによって守られておる性質の事案でございますので、一般の刑事事件全般を通じて見る検挙率ということから見ますと、ラップタイムといいますか、そういう観点から言いますと時間がかかるために検挙率が悪くなっておりますけれども、四十四年以来について先ほど申したようなことでありますし、古いものについてはほとんど全部解決しておるということでありますので、時間はかかりますが、じみちな努力によって解決をしていく、こういうことでありますので、多少の時間はかしていただかなければならぬと、こう思うわけでございます。  先ほど、すでに解決しておる二十二件について申し上げたわけでありますが、現実に検挙したのは三百七人、指名手配でまだつかまらないのがこのほかに五十二人おる、こういう状況でありまして、つまり犯人が割れて、指名手配を受けて、なおかつ身柄が手に入らないということが、彼らの組織性といいますか、計画性ということのまた一面のあらわれでもあろうと思いますが、それからまたそういう時間がかかるというのはそういう点でございます。  それからもう一つは別の観点でございますが、事件を起こしておいて、後で記者会見で犯行声明をするとか、あるいは新聞社その他に電話をかけたり手紙出したりということで、自分のセクトがやった、セクトの手柄であるというようなことを誇示することが多いわけでございます。この点はなかなか——日分のセクトがやったと言っておるなら、そのこと自体でそう言っておる人間を被疑者として検挙できそうなものだ、できないのはどうかしているんじゃないかというような印象、感じを与えるかもしれませんけれども、彼らも大変、一見ラフに言っているようでありながら、よく考えて言っておりまして、自分がやったと言っておるわけじゃない。また自分のセクトがやったとは必ずしも——やったと推断はされますけれども、言い方には、表現には大変気をつけて言っておるというようなこともございまして、それから直ちにそうしゃべったから、記者会見でしゃべった人間をその内ゲバ殺人事件の被疑者として直ちに逮捕するというには法律上無理であると。それからまた、自分のセクトだと言ったからといって、そのセクトの責任者を検挙するということにつきましては、刑法の犯罪の個人責任主義といいますか、個人責任にまでこれを細かく分解をしてきめつけ得るだけの疎明資料がなければ被疑者として逮捕が困難であるというようなことなどございまして、必ずしも一般の常識とはマッチしない点もあろうかと思いますが、ただ、私たちはこれを材料にして、彼らがそういうことを犯行声明をしておるということを事実として、これを捜査に活用するということをいま行っておるわけでございまして、それで直ちに逮捕とはまいりませんけれども、捜索の手がかりにしたりなどして捜査を推進するという意味では、これをも活用しておるということでございます。
  174. 神谷信之助

    神谷信之助君 ちょっと管弁を簡単に願えませんかね、きょうは時間が余りありませんから。  だから私は思うんですよ。完全解決したのは二十二件だと。しかし検挙したのはそのうち三百七名で、手配中の者は五十二名。これで完全解決をしたということには私はならない。そういうとらまえ方自身一つ私は大問題じゃないかと思いますね。これが海外に逃亡する、あるいはそして日本赤軍に合流をする。そういう可能性もないとは言えないでしょうし、だからこれら手配中の者も含めて完全に逮捕して、そして犯行に加わった犯罪者、これを明確にそういう処置をとられるという状況になって初めて完全解決であって、まさに私はそういうとらまえ方——全国指名手配をしたからもうそれで終わりだという、そのことが一つ問題ではないかというように思うんです。こういう者が、実は前回にも申し上げましたけれども、今度日本赤軍なるものが路線の変更をし、そうして内ゲバを繰り返しているこういう連中にも呼びかけをして、そして合同、合流を訴えているわけですから、これらが日本赤軍の一つのある種の予備軍といいますか、こういう日本赤軍あるいはそれを支援するグループ、これを育てていく土壌になっている。したがって早くこういうのを逮捕して、そしてしかるべき措置をするというのが必要なんで、もう指名手配をしたから完全解決、終わりと、どっかでうまいことひっかかればまあいいけれどもという状態を私は問題だというふうに思うんですね。  それからもう一つ、いままでの国会での私ども質問に対して、これらに対してはマンーツー・マン方式をとってずっと調査をし、そして捜査もしているという答弁もなさっています。それからさらに日本赤軍を初め、のみならず中核やあるいは革マルの内部、こういった極左暴力集団の内部に警察協力者がおって、そこからもいろいろ情報をもらってそしてやっている。協力をしてくれた者に対しては当然金も渡しているということは何回か明らかにされているんですね。で、この辺、そういう協力者を中核や革マルの中にも持ちながら、しかしそこで協力してもらっているネタはそう大したネタではなしに、これは諫山さんの質問のときにも出ていますが、実際そういう行為をやったかどうかということはなかなか、やるというような予告、そういう情報、これは得られなかったということで、実際にそういう内ゲバ殺人事件を引き起こしている。こういう状況が繰り返されている。こういうのは一体どうなのか。逆に適当なネタを渡して警察から金をもらって、それで彼らの爆弾をつくる。そういうこともあり得るわけで、そういうようないままでのやり方、それから全国指名手配をすれば完全解決というやり方、考え方、発想、こういうところに私どもどうも警察側のやり方の手ぬるさといいますか、あるいは手抜きのようなものを感ぜざるを得ないんですが、この点はどうなんです。
  175. 三井脩

    政府委員三井脩君) 五十二名の指名手配で未検挙の被疑者がおる。したがって当該事件について、その事件が指名手配をしたのでそれで完全解決をしたと、こういう考え方ではないわけでございまして、事件としては、計算上、殺人事件を検挙したという刑事事件との対比の中で考えますと、当該殺人事件の検挙、検挙解決という形状になりますけれども、残っておる指名手配被疑者も引き続きこれを検挙するために努力をしておる。したがいまして、来月はそのための全国一斉のそういう被疑者の指名手配月間ということも行うわけでございまして、毎年行っておりますが、そういう努力をしておるわけでございます。  一般に、ほかの事件もそうでございましょうけれども、格別この極左集団の組織を持っておる事件につきましては、いわゆる彼ら流の支援組織といいますか、そういうものを伝って逃げるという点が顕著でございますので、われわれとしてはその辺を打破するということが特に大事であって、そのために時間がかかるということがあるわけでございます。  全般としてわれわれも検挙に努力しておる、また世論もそういうような内ゲバといったようなことに対して批判厳しくなっておるというような中で、これはもう顕著にこのことはあらわれておるわけでございまして、たとえばことしは内ゲバ事件というのは二十九件今日まで発生しておりますが、昨年は七十三件、ですから三分の一強でございましょうか、その程度になっております。一昨年は二百八件でございますので、これから見ますと七分の一というようなことで、われわれの努力はそのトータルの数で見ればそういうふうにやっておると、また功を上げておると、奏功しておるということが言えるのではないか。ただその中の内ゲバ、いまのは内ゲバ全体の数でございますから、その中で死者が出たといういわゆる内ゲバ殺人だけを取り上げてみますと、以上のような時間かかっておるという点が一般刑事事件との対比の中で出ておるということは、組織にかくまわれておる事件の性質ということになりますので、そういう点を打破するために努力をしておる。多少の時間がかかるということでございます。
  176. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは大体五十年の十一月に諫山さんが質問した時点からそう余り変わってないんですね、そう変わってないんです。二年ちょうど大体たったわけです。その点いろんな努力をされていることは一面ではわかりますけれども、しかし私どもどうもその点ほかの一般殺人事件なり何なりと比べると、この間東中議員が予算委員会で指摘をしたように手ぬるいというか、手抜かりがあるんじゃないかという感を抱かざるを得ないんです。  そこで、長官ちょっとお伺いしますが、こういう状態で来月は全国指名手配については一斉運動月間みたいなのをやられるようですけれども、こういう連中がまだまだ未解決になっているし、あるいは中にはもう海外にかくまわれて飛び出しているかもわからぬし、それこそ日本赤軍の中にも入っておるかもわからぬし、もうこの辺の情報はよくわからない、そういう状態がありますね。  で、一昨日質問したときにわかったんですが、今回のハイジャック事件について、先ほど長官は海外の出来事であるから、国外での事件だからなかなか情報が取りにくいんだと、こうおっしゃる。これは具体的に私ども一昨日は新聞で報道されているいろんな事実について警察の方で調査をするあるいは確認をしたかどうかと聞きますと、これはもう単なるうわさにすぎないのでそういうことはやってないと、ただインドのボンベイにおける犯人の行動については、インド政府に対して捜査を依頼をしている。しかしそれでも彼らが日航機の航空券をどこで買ったかと、これも報道されていますが、それを日航を通じて調べたのかと言うと、それは確認できない、こういう状況ですね。だから国外で起こった事件ですから、確かに隔靴掻痒の感がありますよ。しかしそれだけにあらゆる情報について敏感に、事実でないかもわからぬとしても、全く火のないところに煙がないような記事ではないんだろうと思いますから、その現地に連絡をし、現地の公館を通じて調べてもらうとかいう措置というのも当然情報を得るためには必要なことではないかと。それさえも余りやられていない。だから口では非常にこの事件を重視をして、そしてその捜査を強化をし、対策を強化をするとかいろいろおっしゃっているけれども、実際にやっておられるのは、先日いろいろお聞きをしますと、どうももう一つ国民の側から言うと手ぬるいじゃないかと、もっとてきぱきやれるのじゃないかと、そういう感を深くしたんですが、この点についてひとつ長官のお考えを聞きたいと思うんです。
  177. 三井脩

    政府委員三井脩君) この前私のお答えしたことがあれでございますので、ちょっと申し上げておきますが、この前のお話は、新聞等で今度の犯人がダッカから乗って、その前にホテルで云々というようなことが出ておりましたが、そういうことを警察は捜査して知っているかということでございますので、捜査をいたしておりますが、新聞が言っておるようなぐあいに私どもは捜査上まだ動いておりません。しかし、捜査上いろんなことは入っています。いろんなことは入っていますが、あの新聞で言われているように、右から左にこうでしたと捜査上言うわけにまいらないということを申し上げたわけでございまして、全然捜査してないと、捜査やっておらないという意味ではございませんのでどうぞ。
  178. 神谷信之助

    神谷信之助君 いやそうじゃないですよ。それまでにことしの七月ごろにカルカッタ支店に対する脅迫があったとか、日航のベイルート支店に脅迫があったと、そういう情報とか、外電とか、そういった問題について聞いたら、それはもう調べてない。それからさらに、そういう事実がいろんな……僕はあのインドのボンベイの彼ら五人の行動だけ聞いたんじゃないですよ。そのほかにたくさん聞いたわけです。それについてその国の大使館、公使館なり領事館なりを通じて調べてもらってないのかというと、一般的に情報をくれというだけで、具体的にこの点についてどうなのか調べてくれということは言ってない、こう言ったじゃないですか。
  179. 三井脩

    政府委員三井脩君) そういうこともございました。それは聞く必要はないと、情報活動上、あるいは捜査上われわれは聞く必要を認めないというものについて聞かなかったということでありまして、御指摘の、日航に脅迫状が来て云々というのがありましたが、あれはどうかということでしたけれども、その点については調べたけれども、そういう事実があったということは確認に至らなかったということをお答えしたわけでございます。
  180. 浅沼清太郎

    政府委員浅沼清太郎君) 今回のハイジャック事件につきましては、現在必要な捜査の手続は警視庁によって進めておりますし、乗員その他関係者からの事情聴取も行っておりまするし、またその間国際的な捜査協力を要するものについては、ICPOなり、あるいは在外公館のルートを通じてなり、必要な捜査資料を照会する等のことをいたしまして、現在まだ捜査を進めているという段階でございます。  それから、極左の問題でございますが、私どもは、やはり現在のわが国の治安を考える場合の最大のがんが極左であるというふうに認識をいたしております。ただ、いま、たとえば内ゲバ事件が問題になっておりますけれども、御承知のようにこの事件は家族も、あるいは被害者の家族ですね、被害者の家族も、あるいは同じ組織にいる関係者も全く捜査に協力をしません。また、同じ場所にいてけがした連中も捜査に協力しないというのが一般でありまして、かつ先ほど局長も話しましたように、非常に計画的な犯行でありまして、そのために非常に捜査が難航しているというのが事実であります。  また、爆弾事件等も御承知のように、もうすでに全部爆弾で雲散霧消してしまいますので、非常に捜査はむずかしい。しかも、大体時限爆弾ということで、もうセットしたのは、全然爆弾が破裂するずっと前でありますから、目撃者等も非常に把握しにくいということでありますけれども、爆弾事件ども非常に時間がかかりますが、企業爆破にいたしましても、あるいは北海道の爆破事件にいたしましても、必ずこれは検挙してきている。  それから、内ゲバ事件も非常に捜査がむずかしいわけでございますけれども、とにかくこれは何とか検挙をしてきたし、また私は検挙していかなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。  いずれにいたしましても、日本赤軍を初め、極左の問題は現在の日本警察としては最大の治安の課題であるという決意で取り組んでいるということでございます。
  181. 神谷信之助

    神谷信之助君 それで、この間聞きましたときに、例のクアラルンプール事件ですね、これは五人で、うち二人は割り出したけれども、これは死んでいます。残り三人の犯人についてはまだ割り出しができてない。で、このとき釈放された者、釈放された五人もおると、釈放された連中もいますね、それでこのうち今度の事件で佐々木とか坂東、戸平、これらが今度の犯行に参加していたんではないかという推測は報道されているわけです。それから今度また六人が新たに釈放されました。中には、刑事事件の犯人まで含めて釈放された。これらがまた向こうで訓練をされて、そして彼らの犯行に参加をすると、こういうことも予想されるわけですね。したがって、これがこうやって拡大再生産されていくと、それから国内国内で、先ほど言いましたように、まだ未逮捕の者が相当残っておるし、まあ内ゲバ殺人事件の犯行をやった者だけが日本赤軍だけじゃなしに、そのほかにも先ほどの話ですと極左暴力集団は三万五千五百人おるわけですから、この中に相当の支援組織、支援グループに参加をする連中も出てくるでしょうし、拡大をされる可能性というのもある、こういうことになってきていますね。私は、だから、これはよほど警察の方が腹をくくってこれについての検挙、いままでできなかった点いろいろ弁解はされていますけれども、しかし、その点について一体どこに問題があるのか、改善をすべき点がないのかどうかという点を含めて、私は十分検討していただく必要があるだろうというように思います。この点一つ指摘だけしておいて、もう時間がありませんから。  ただ、最後一つちょっとお伺いしておきますが、五十年当時から、それまでも何回かお答えになっているんですが、そういう暴力集団のグループにおる連中まで含めて、今日もなおそういう情報の提供で協力をしてもらう者、あるいはしてもらった場合には金品の授与をすると、こういうことは今日もなお続けられておるわけですか。
  182. 三井脩

    政府委員三井脩君) 簡単に申しますが、情報活動の重要性にかんがみ、必要なものをやっております。いまの謝礼の点等について特に申しますと、社会通念上常識的なものをやっておるということでございます。
  183. 神谷信之助

    神谷信之助君 この問題は、また改めてやりますが、いずれにしろ、あの背叛社事件の裁判でも明らかになっているように、当時では十一万円からの金品が、金が授与された、渡っていますね。そういうことも法廷で明らかになっています。これは重大な私は問題だと思うので、改めてまた機会を得て追及したいと思います。  それから長官、この赤軍の専従班をつくって情報活動を強化をするという話でしたが、これは現在の警察官の人員の中でそういうグループをつくるということなのか、新しく増員を要求されるということなのか、どちらのお考えですか。簡単でいいですよ。
  184. 浅沼清太郎

    政府委員浅沼清太郎君) 一部は増員をしないとちょっと賄えないというふうに考えております。
  185. 神谷信之助

    神谷信之助君 私は、これはけしからぬと思うんですよ、増員を要求をするということは。たとえばこの間、共産党の岡山県党会議がありました。そうしたら、西大寺署の署員が会場の入り口向かい側の医者の駐車場のところに車を置いて、その中からスパイをする、見張っているわけですね。見つけられたら、いや魚釣りに行こうとして友だちを待っているんだ、探しているんだと、魚釣りの道具も何もない。追及されたら、いやわしは女が好きなんで女の顔を見てんのやとか言ってみたり、そう言って、最後には結局、その西大寺の市民会館ですな、その会場の事務所でいろいろ話し合いをした結果、西大寺署の署員だということがわかりました。西大寺署に電話を入れたら、そういう男はおるけれども、きょうは非番でそんなところに行っているはずはないと、初め言いました。そのうちに本人がもう一遍かけてくれというのでかけたら、やっとそれじゃ引き取りに行きますということで引き取られた。こういう、共産党が公然としていま憲法体制下で活動している、それに対してまでわざわざ、非番かどうか知りませんが、そういう署員を派遣をして、そして見つかるといろんなうそを言う。それだけじゃなしに、その報復として、翌日朝六時半ごろから岡山県委員会やその他を捜査をすると、三人ほど逮捕すると、これは検事勾留も認められないで釈放せざるを得ぬと、まああたりまえのことなんですね、ほかの事務所の人も出入りをしておる人もおるし、そこで話し合いをしておるのを不当逮捕だ、監禁だとかなんとかそういうことで強制捜査をする。そういうむだなところに人を使っておきながら、片一方ではいまだに彼らの極左暴力集団の逮捕も十分にできない。それで今度の事件を契機にして、現在の警官の職員の中でそういうむだなことはやめて、そして実際にそういう情報活動をやるためにそういうものをつくるというのはわかりますが、それをよいことにしてまた増員をして、そして実際にどういう活動するのかわからぬと、これでは私は国民は納得しないと思うんです。この点はひとつ私の見解として申し上げておきますから、今後の検討をなさるときには十分ひとつ御研究を願いたいというように思います。時間がありませんから、以上で警察に対する質問の方は終わりますから、もう結構でございます。  次に、自治省の方にお伺いします。簡単なことで見解をお聞きしたいと思うんですが、御承知のように、いま国鉄の運賃の値上げと法定制緩和の問題が国会で重要な議論になってきています。衆議院の運輸委員会であすにでも採決をするというような動きになってきているんですが、そこで、衆議院の運輸委員会の自民党の加藤理事から国鉄再建の基本方向の案というのが出されています。で、これにもし各党合意をしてもらえるならば直ちに閣議決定をしてもよい、あるいはあしたの総理質問の際に同趣旨のことについて総理から答弁をさしてもよいということで、値上げ案の修正とあわせて抱き合わせの形でこの国鉄再建の基本方向案というのが出されてきています。これは実は地方自治体にきわめて重大な関連を持つ内容があるので、そういう意味から自治省のひとつ見解をお聞きをしたいと思うんです。  まず、いわゆるローカル線、赤字だからもう廃止をするという、そういう切り捨ての議論ですね。これは地方の住民自治の発展、また住民生活の向上を目指して取り組んでいる自治体にとっても、またそれを援助している自治省としてもよいことなのか悪いことなのか、どういうようにお考えか、まず端的にお答えいただきたいと思います。
  186. 中山利生

    政府委員(中山利生君) ただいまの衆議院の法案審議の状態をちょっと承知しておりませんが、ただでさえ非常に苦しい立場にあります地方の財政を圧迫するような形でこの再建を進めるということは、私どもとしてはどうもとらないところでございまして、ただ経営が困難だからといって地方の動脈であります、また民生にも非常に密接な関係のあるローカル線が切り捨てられてしまうということになりますと、地方団体の運営につきましても大きな影響が出てくるということで、これは極力阻止しなければならないというふうに考えます。
  187. 神谷信之助

    神谷信之助君 これ自民党の加藤理事から、自民党の見解といいますか、自民党案として出されたようでありますが、これについては政務次官、相談にあずかっておるわけでしょうか、意見を求められたことあるでしょうか。
  188. 中山利生

    政府委員(中山利生君) 私、承っておりません。
  189. 神谷信之助

    神谷信之助君 これによりますと、私これ重大だと思うんですが、国鉄経営のあり方として、第一は、国鉄は主として都市間旅客輸送、都市と都市との間の旅客の輸送ですね。それから、大都市圏の旅客の輸送、首都圏とか阪神圏とか、そういう意味でしょう。及び大量提携貨物輸送の分野を中心に、みずからの採算において企業的経営を行う、こうあるんですね。したがって、この三つの分野については、ひとつ国鉄は引き続いてやっていこうと、その他の部分についてはこれはみずからの採算において企業的経営を行う。採算が合わなければもうやめていきますよという意味を持つわけです。  それで第二項に、その他の特に効率性の低い分野については、これがいわゆる地方ローカル路線の問題も含まれるわけですが、他の輸送機関との関連において効率的な輸送体系を形成するための施策を強力に講ずるとともに、国鉄経営上の負担の限界を超えると認められる構造的欠損について、国民経済的観点を考慮して公的助成を含む所要の対策を講ずるとあるわけです。すなわち赤字の路線について国鉄経営上の負担の限界を超えるもの、そういう構造的欠損については公的助成を含む所要の対策をと、こうあるわけです。それでわざわざ加藤理事は、この公的助成というのは本当は地方公共団体と書きたい。しかし、これは風当たりも強いから公的助成という表現にしてあるが、意味はそういうことでありますという説明をなさっています。私これの報告を受けましてこれはきわめて重大だと思うんですね。昨年の十一月四日の参議院運輸委員会で、国鉄値上げ問題を議論された後で附帯決議があります。これには特に「地方交通線等の赤字に対しては、一段と助成を強化し、国の責任において解決するよう努力する。」、こうあります。参議院運輸委員会決議は、そういうローカル線の赤字問題については国の責任において解決せよと、言うなれば自治体にしわ寄せをしては困るという意味を含めて、これは衆議院では附帯決議できなかったんですが、参議院運輸委員会ではちゃんとそういう決議ができているわけです。ですから、そういう趣旨から言っても、これは重大な問題だと思うんですが、しかもそれは閣議決定——きのうの段階では民社党あるいは新自由クラブも同調する、あるいは共同提案をしてもよいというような態度が言われ出してきておりますから、そういう状況になれば閣議決定をされるという可能性もあります。こうなりますと、これは自治省にとっても重要な問題ではないかと。自治省は毎年概算要求のときに、自治省の事務次官名で、各省の事務次官に対して地方財政に大きなしわ寄せ、負担をかける場合には、地方財政法に基づいて自治省と協議をしてもらいたいというのを特に毎年強調しておられるわけですね。直接いますぐ自治体に負担をさせるということではないけれども、しかし、これは五十三年度、五十四年度中に計画を立てて具体化をして、五十五年度から実施をすると、こういうことですから。それをさらにこういう形で基本方向になるものが閣議決定をされてしまうということになると大変なことになる。当然こういう重要な問題は自治省の意見を聞く、あるいは少なくとも自民党の名前で加藤理事がこういう提案をなさる場合には、自治大臣なり自治政務次官である中山さんの意見を聞くとかどうとかあってしかるべきだと思うんですがこの辺どうなんですか。
  190. 中山利生

    政府委員(中山利生君) 国鉄再建のために国鉄の分割論であるとか地方移譲論であるとかいうようなことは前々からお説としては承っておりましたが、今回の国鉄運賃法の審議の中で、自民党の中でそういう動きがあるというようなことは私どもも聞いておりませんし、また役所の方へもまだ何の連絡もないそうで、もしそういうことがあるとすれば、先生お説のように、地方財政にこれは大きなウエートがかかってくるわけでございまして、その問題から解決をしないと実現は不可能ではなかろうかと考えます。
  191. 神谷信之助

    神谷信之助君 これはたとえば政務次官の選挙区でもそうですよ、水郡線の状況ね。これは五十一年度の決算を見ると収入が十億七千万円、経費が四十四億九千万円で、差し引き三十四億くらいの赤字で、収支係数は四一八ですかということで赤字路線ですからね、これは水戸市なりその沿線の市町村が金を出さなかったら、負担をせぬかったらもう廃止だと、こうなるわけですから。金出したら動かしてやるけれども、金出さぬかったらもう切り捨てますよ、こうなりますと、これは特にローカル線の場合は財政力の弱い自治体を走っているところも多いですね、まさにそれでなくても財政が弱いところに負担をかけさせる。鉄道をそれじゃ廃止してそのかわりにバスを走らそうと、こうしますと、今度はまたバスがべらぼうに高くなります。同じ距離で、たとえば京都でちょっと調べてみましたが、約八倍でしたね。京都から並河間、山陰線ですが二十四・八キロで一カ月の定期代が千九百二十円。それが国鉄バスになりますと同じ二十四・八キロ、鶴ケ岡から下中間、一カ月定期で一万五千百二十円。これは五十二年四月の料金ですけれども、だから約八倍にはね上がる。だから、地方のそういう過疎地域で産業もなかなか発展をしない、過疎化が進む、そういうところで鉄道がなくなり、そして八倍もかかるようなバスが走る、それに乗らなきゃならぬ、ますますこれは踏んだりけったりなわけです。それがいやならその自治体は分担金を出しなさい、こういうやり方はこれはいままでなかったわけなんですが、国鉄は国もかんだ公社として国民の足を守るために、ある意味では採算を度外視して営業をすると、こういうことで初めて国民の国鉄と言うことができると思う。ところが、赤字だから背に腹はかえられぬということで、自治体側にとりましても結局その金はまた国からもらわないと、自治体自身、自分の財源を持っておるわけではありませんから、結局国が出すわけでしょう。そういう意味では責任を持ってこの問題を解決するというこの点に立たないと、これは私は大変なことではないかと思うんです。しかも五十一年度の国鉄の赤字が単年度で約九千億ですが、新幹線及び在来線の幹線、これが大体一万三千四百七十二キロ、それから地方ローカル線が九千二百四キロ、四一%がローカル線です。それで収益はどうか、赤字の点はどうかというと、新幹線は黒字で二千百六十億は出していますけれども、幹線の在来線は赤字で八千七百五十二億、旅客と貨物含めて差し引き六千五百九十二億、ローカル線の方は二千三百六億ですね。赤字九千億の四分の一はローカルで、四分の三の方が実は幹線の方なんです。これの方は残すけれども、ローカルの方は自治体に金を出せといいますと、これは大変なことです。貨物を含めての黒字線といいますと、東京の山手線と高崎線しかないと、こうなりますからね。大阪の環状線も赤字です。大阪の方は負担はせぬでもいいけれども、財政力の弱い、産業基盤の弱い、そういう過疎や小さい市町村からは金を出せというのも、これは全く不合理きわまる話です。  というように、どう考えてみても、この国鉄再建の基本方向案というのは、私はこれは重大問題だと思うんですよ。そこで、自治省としては、政務次官先ほどからおっしゃるように、これは認めるわけにはいかぬとおっしゃっているわけですから、これ一遍、ひとつ至急問題にしてもらって、あしたでも採決しようかと、あるいは総理答弁、これでやろうかというような話も出ているわけですから、そういう形でもう一応のレールは決まってしまいますと、これは自治体にとって大変重大な問題です。具体化すればまた意見を言えばいいというような問題ではない。基本方向が赤字補てんについて国が責任を持つというふうじゃなしに、自治体にも責任を持たせようとすることになって、これは新しい方向ですから、それを政府の方針として決めるというふうに最重要な時期だと思うんで、この点についてひとつ緊急の問題ですので、お尋ねをしたんですが、ひとつしかるべき善処をお願いしたいと思いますが、次官のひとつ答弁を。
  192. 中山利生

    政府委員(中山利生君) お説のとおりでございますので、早急に善処をしたいと思います。
  193. 前島英三郎

    前島英三郎君 よろしくお願いいたします。初めて質問させていただきますが、きょうは実は建設省の方と運輸省の方と警察関係の方においでいただきました。どうもお忙しいのに申しわけございません。私は、四十分の中で関連質問をいろんな形でやらせていただきますので、向こうへ飛んだり、こちらへ飛んだりということがあるかもしれませんが、私は立って御質問できませんので、ひとつ座ったままで結構ですから、お答えいただきたいと思います。  実はヨーロッパへ行ってきた方が、とにかくオランダからお帰りになった方が、オランダには実は造幣局の方とお会いしたけれども、世の中には目の見える人と見えない人しか住んでいないんだ、だから、目の見えない人のことを考えれば、目の見える人は何でもない。また、デンマークに行った建築主事の方の御意見を伺ってきて、町づくりというふうなことでいろいろディスカッションしたお答えというものが、世の中には歩ける人と歩けない人しかいないんだ、だから、歩けない人のことを考えれば、歩ける人のことは何でもないんだ、こういうふうな御意見を伺ってきて、その辺から日本のいろいろな行政面を見たときに、余りにもいまのこの日本というものは、福祉福祉ということは叫ばれているけれども、すべてが健康な人たちを中心に社会構造がなされているんじゃないか。私も国会へ入って初めて車いすが入ったということで、私の通るところに階段昇降機が二基、車いすのトイレも本会議場の二階に一つ、この委員会室のこちらに一つ、それから議員会館に一つというまあ三つ、スロープも二つぐらい、私の通るところが非常にいやみったらしくつくられているというような現状を見ましても、ぼくはこれからの公共物というものが、やっぱり法のもとにすべての人が平等であるならば、歩ける人、歩けない人とか、あるいは目の見えない人たちに、すべての人のことを配慮して、すべての公共物並びにそれに準ずる公共物というものがつくられていかなければいけないんじゃないか。この国会議事堂一つを見てもわかるように、全くすべてがそういうハンディキャップを背負った人たちのことが配慮されていない。その辺についてこれからの公共物に対する取り組み方につきましてまず建設省の見解を伺いたいと思うんですけれども
  194. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) お答えいたします。  まず建設省におきましては当省所管の官庁施設につきまして身体の不自由な方の利用を考慮しました設計を採用しております。また、既存の庁舎等についても改修を進めております。一方一部ではございますが、地方公共団体では指導要綱を設けまして、民間の公共性の商い建築物も含めて各種施設設備等の設置を建築主に対して要請しておりますが、建設省としてもこれを高く評価し、その実績及び経過を見守っております。さらに、福祉という観点から公共建築物の設計の指針とするために、身体障害者の利用を考慮した設計資料、こういうものを作成しまして、行政庁を通じてこの資料の普及を図るともに、説明会等におきまして行政関係者あるいは設計者等に普及指導を行っております。
  195. 前島英三郎

    前島英三郎君 それは大変指導ということはわかるんですけれども、それがただ一向にかけ声だけで、やっぱり建築基準法というふうなものにそういうものが一項も触れられていないわけですね。その建築基準法の一部を、つまり公共物並びにせめてそれに準ずる公共物、たとえば障害者にとってすべての業務の窓口である郵便局なんかは、みんな最低二段、三段という階段のところがすべてですね。それは確かにスロープにしてとかいうような監督指導はなさっているというふうにおっしゃっているけれども、やっぱり建築基準法というものの中にどうしてもそういうふうなものがしっかりと盛り込んでないというところに、ぼくはやっぱり問題があるんじゃないかという気がしますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  196. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) 建築基準法と申しますのは、御存じかとも思いますけれども、「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り」という目的を掲げております。でございますので、この法規の改正によるのが適当かどうかはちょっとまだ判断しかねておりますが、目下のところ、身体の不自由な方がどういう地域のどういう用途の建物をしばしば利用なさるかというふうな点につきまして十分な解明が必要であるということを考えまして、厚生省所管の中央心身障害者対策協議会の第三プロジェクトチームにおきまして、立法措置も含めて鋭意検討を進めておるところでございます。
  197. 前島英三郎

    前島英三郎君 障害者がどこのどういうところを選んで生きるかとか、使うかというぼくは問題じゃないと思うんです。だから、私のこの入った国会議事堂でも、私が動くところしか改装してないですよ。そうでしょう。私が動く道すがら本当に改装してあるだけで、ほかは全く、衆議院の方は手がつけられていませんよ。それからたとえば私たちの仲間がじゃあ国会見学に来ようとしたって、まだまだ傍聴席まではとてもその形ができていませんよね。ただ私が国会議員になったからその道すがらができるということになると、あああの車いすの動く範囲はこことこことここだからというような形のもとの判断でしか改装とか気持ちというものはなされてないような気がするんです。だから、ぼくはこれはやっぱり建築主事というものはもちろん建設省が任命するわけですし、そういう点で建築主事の、ぼくは建築基準法などを見ますと非常に力が大きいと思うんです。だから、その辺では、あくまでもこれはもうどういうところにどういうぐあいに障害者が動くかということよりも何よりも、建築基準法そのものに対してぼくはやっぱり一部改正するということが必要だと思うんですけれども、重ねてその辺をちょっと見解を伺いたいと思います。だから、障害者の動く範囲というものを余り規制づけられると非常に困るわけです。
  198. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) 先ほど申し上げましたように、建築基準法と申しますのは地震に対する安全度とか、あるいは火災に対する防火の問題、避難の問題、そういうことを決めまして生命、健康の保全を図るという目的でございますので、基準法にそういうことを盛り込むのはちょっと適当ではないのかというふうな感じがしております。  それでやはり一方そういうことが必要であるということになりますれば、何らかの別途の法的措置が必要になるのではなかろうか。その構造等に関しましては基準法に盛り込むことはできるかと思いますけれども、やはり建物にこういうものを設置しろということを決めますには、それだけの別途の法律が必要ではなかろうか、こう考えております。
  199. 前島英三郎

    前島英三郎君 それも、たとえば公共物、準公共物というような別項を掲げてもでしょうか。
  200. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) すべての建築に及びますので同じかと思います。
  201. 前島英三郎

    前島英三郎君 そうなりますと、これはなかなか見通しとすれば大変暗いわけで、銀行だとか、あるいは郵便局だとか、あるいは区役所だとか、市役所だとかというような、こういう公共物というものが、ただそれぞれの自治体の感覚の中でつくられていく、そしてまた一つのきっかけづくりによってつくられるというのを感じますときに、まだまだ一方では障害者の社会参加を呼びかけながら自立心を啓蒙しながらですね、そういうことが一向にやっぱり、ただ言葉だけの上で駆け引きに終わってしまうというような形を否めないと思うんですけれども、建築審査会というようなものももちろんあるわけですし、たとえばそういう人たちの中にもちろん障害者も参加したり、あるいはまた行政指導の中で、これからつくられる公共物に対してのあの建設省の指導みたいなものはどのように行われているのでしょうか。
  202. 渡辺滋

    説明員(渡辺滋君) 私、建設省の官庁営繕の仕事でございまして、官庁営繕部では御承知のとおり実際仕事をする範囲限られておりますから、その範囲で体の不自由な方が使われるであろうということは幾つかございます。そういった役所について建物を新しく建てる場合、これについてはそういう具体的に申しますと、スロープの問題あるいはとびらが自由にあくと、そういった問題につきまして設計で考慮するということを四十八年から、手がけております。ただそれで、それも特定の役所からさらに範囲を広げまして、五十年にもうちょっと広い意味でやるということで、たとえば階段をもうちょっと緩くするとか、そういうふうな考慮も五十年度から始めております。  で、今回五十二年度に至りまして、さらにこれを統一的にしようということで部長の通達を出しまして、私どもの所管といいますか、所掌しております、設計して建物をつくる建物及び在来の建物についてもそういう考慮を払おうではないかというふうな通達を出して動いておるところでございます。
  203. 前島英三郎

    前島英三郎君 その通達だけではなかなかこういうものは解決されていかなくて、諸外国のいわゆる先進国、福祉先進国と称されるところでは、もうすべてそういうものが建築基準法の中に盛り込まれているというようなことを承っているんですが、たとえば諸外国のそういう例などは建設省では率先して学ばれているでしょうか。
  204. 渡辺滋

    説明員(渡辺滋君) 私どもの方でいま勉強中でございますが、アメリカその他どういうことをやっておるか、あるいは国内もやはり市町村いろいろやってございますので、その辺がどういうふうになっているのか、私どもの組織を通じていろいろ勉強中でございます。
  205. 前島英三郎

    前島英三郎君 アメリカなどでは、これはもう法的に建築基準法の中にしっかりと盛り込まれているということを私は伺っているんですけれども、いずれにしましても公共物というものはすべて、車いすの人も松葉づえの人も目の御不自由な方々も万人がやっぱり出入りできるようにならなければ法のもとには平等とはぼくは言えないような気がするのですが、そういう点からもいま建設省では国道に対していろいろと段差解消というような形の行政が大変活発に行われているということですが、いまどの辺まで国道は段差解消はなされているんでしょうか。
  206. 山本重三

    説明員山本重三君) 私ども昭和四十八年に老人とか身体障害者等の通行の安全と利便を図りますために通達を出しまして、ただいま先生御指摘のような歩道と車道との段差解消の事業を実施してまいっておりますが、五十年度末で私どもが全国で必要な個所ということで調査しました時点では四十三万カ所ばかりございます。そのうち五十年度末できましたのが二十九万カ所でございまして、ほぼ七割ぐらいでございますが、その後二年経過しておりますので、近いうちにはおおむねこういったものの整備が進んでまいる、かように考えております。
  207. 前島英三郎

    前島英三郎君 この段差の取り外しですが、これはどういう基準をもとに段差取り外しということをお考えになって、この段差取り外しの、七割方の完成ということですが、この辺の基準はどういう点から行政では通達したものでしょうか。
  208. 山本重三

    説明員山本重三君) 歩道の切り下げの対象といたしましては、歩道の巻き込み部といいますか、巻いておりますね、巻き込み部における車道とのすりつけ部分、それから横断歩道個所の歩道と車道とのすりつけ部分、それから中央分離帯も当然邪魔になりますので、中央分離帯と車道とのすりつけ部、こういったところにつきましては全部切り下げましてすりつけをやるという方針で、必要個所を選定して順次整備を進めております。
  209. 前島英三郎

    前島英三郎君 それがたとえば国道を何カ所か点検をいたしますと、ただ要するに段差を取り外しただけなんですね。勾配が、たとえば車いすは七度から八度以上になると後ろへ転倒してしまうというようなことになるわけですが、それがひどいところでは三十度、四十五度なんという形で、ただ単に段差を取り外しているにすぎないというふうなところを見て、この七割というのもただ何となくそれは自転車が今度は車道から歩道へ移るというような形になって、むしろ自転車の方でもぼくは急な段差は大変だと思うんですけれども、その辺のことでやっぱりただ段差取ればいいというようなものじゃないんですけれども、それと同時に、段差は国道みたいなところにはある程度そうした形で幾つか取り外されてはいるけれども、一番また障害を持った車いすの人たちにとっては、ちょっと中に入った商店街であり、中に入った町の道であり、区の道であるわけですけれども、まあその辺の町づくりということでいろんな人たちがいろんな形でやっているわけですが、たとえば車道と歩道とを分離するために鉄さくを設けておりますね。あれはやはり建設省の指導のもとにあの鉄さくという道路行政はやっているわけですか。
  210. 山本重三

    説明員山本重三君) 先生御指摘の鉄さくというのはガードレールのことだと思いますが、当然これは建設省の指導のもとに交通安全施設としてその整備を進めております。
  211. 前島英三郎

    前島英三郎君 ところが、これが非常にまた乳母車の人も、あの買い物カーを持った方々にとっても大変不便なことは——もちろん車いすも不便です、これはもう七十センチぐらいありますから。五十メートルぐらい行きますと途端に電柱にバーンとぶつかるわけです。またちょっと行きますと、あるいは電電公社の鉄柱にぶつかったりするというようなことを考えますと、やっぱりこの辺も見直していただかないと、なかなか人間ただ歩く人だけが通る道、しかも交通渋滞は激しい、わざわざもとまで戻って車道を危険を冒して通らなければならないというようなことになっていて、大変車いすの人たちが最近町へよく出るようになったんだけれども、この電柱といわゆるガードレールの兼ね合い、しかも交通標識がすべて歩道の中に立てられているというような現状を見ましても、やっぱり電柱のいわゆる町の中のあり方、歩道の中に占める割合というようなものも建設省でこれから指導していただきたいと思うんですが、その辺はいかがでしょう。
  212. 山本重三

    説明員山本重三君) 先生御指摘のように、道路の中には当然道路の占用物件として電柱、電話柱等がたくさん占用許可を受けて設置されております。私どもといたしましてもこういった公共事業に要する施設の占用というものは道路法で一応基準がございまして、基準に該当するものについては占用を認めざるを得ない。そういう面で占用許可をしておるわけですが、先生御指摘のように、確かに車いす等を利用されて通行される方の便も当然考えた占用の位置等を考えていかなきゃならない。そういう面で私ども町を歩きまして、そういう思い当たる節の場所もかなりあると思います。そういう面で、今後占用の位置等について道路管理者が占用許可を行います場合に、そういった細かい配慮をした許可指導をするように、今後十分注意してまいりたいと思います。
  213. 前島英三郎

    前島英三郎君 それで警察への関連質問になっていきますが、警察ではどのようなお考えなんでしょう、交通行政の面で。
  214. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 先ほど建設省の方からお話があったとおりでございますが、やはり身体障害者用の方の道路の交通と安全というものに十分やはり配慮して仕事を進めていかなきゃならないというふうに考えております。
  215. 前島英三郎

    前島英三郎君 じゃあ引き続きまして警察の方にお伺いしますが、障害者にとりまして車というものは補装具の一部というような解釈でますます車に対する免許取得希望者というものがふえているわけですけれども、なかなか希望に沿えない部分というものが大変あるわけですね。まあ、たとえば私が実は昨年免許証を取得しましたが、まず府中の試験場へ行きます、そして申し込みして、それから能力検定を受けまして、それからたとえば公認教習所があるかというと、実は自分たちの周りにはないと、じゃだれか自分が希望する車種の指導員を探して、それから練習をして、それも昼間は公認教習所へは入れませんので、障害者の公認教習所というのは非常に少ないものですから入れませんので、夜間十時過ぎあたりにその人にお願いして免許取得をする。それからまた仮免もペーパーテストも府中まで行く。それからまた練習をして実技もまた府中へ行かなければ仮免の実技は受けることができない。それからまた道路でもって仮免の練習をしまして、それから本試験の学科を受けに行って、それからまた練習を積んで今度は本試験の実地に入っていく。非常に一般の人たちにとっては教習所があって教習の中で、たとえば仮免許までは免除されるものが、そのハンディキャップを持ちながら、みんなそうした形で府中まで行ってとか、どこどこまで行ってとかいうふうな形で、いろんな都道府県にもう教習所はいっぱいあるんだけれども、障害者が学べるというところが非常にない。そこで、東京都の場合には七カ所公認の障害者もできるというものもあるんだけれども、そのためには北海道から九州から東京に来て、こちらで寄宿して、それから練習をしなければというような形があるんですけれども、そういう形のいわゆる都道府県への警察等の指導みたいなものは、重量制限の問題を含めましてどのようになされているかお伺いしたいと思います。
  216. 杉原正

    政府委員(杉原正君) いま身体に障害がある方方に対しまして運転免許を出しておりますのが全国で七万一千五百人ほどおられるわけでございます。これは先ほど先生御指摘のとおりでございまして、普通の五体満足の者と違いまして、こういういわゆる機械でもって補完することで能力というものがある程度広がっていくという、そういうものであるだけに、やはりわれわれとしては、最大限の努力をしていかなきゃならない。まあ具体的にどういう方にどういう範囲のものが出せるのかというふうなことも十分考えなきゃいけませんので、こういう運転適性問題研究会というものをわれわれ内部的につくりまして、国立身体障害センターの自動車訓練室長さんであるとか言語障害センターの所長さんなどを委員に加えて、いま寄り寄り検討をしているところでございます。  先ほどお話のございました教習所関係の車、まあこれは東京だけでなくて各県それぞれ数はまだ少ないわけでございますが、千二百あたりから二千ccぐらいのノークラッチ、その他身障者用の教習用の車を備えつけましてやっておりますが、これにつきましても私ども決して現状で十分だと思っておりませんし、民間の教習所ではございますが、われわれのなし得る範囲で極力こういうものを各所に、しかも性能のccの排気の高いものをできるだけ備えつけていくという方向で現在指導をしておりますし、仮に車のccがある程度備えつけのノークラッチその他の車、性能の低いものであっても、その方の能力はたとえば千八百でも大丈夫だというのであれば千八百までのものを出すような、そういう事柄についても今後十分改善をしていくようにということでいませっかく努力をいたしておるところでございます。
  217. 前島英三郎

    前島英三郎君 ありがとうございます。  私の場合はこれは下肢障害いわゆる半身麻痺ということになりますが、そうすると、それぞれの指定された教習所には千二百までしかないわけですね、それ以上のものはないわけです。そうすると、まず千二百に乗ると、それからその千二百に乗りこなして、やがてディーラーにいわゆる自分の乗りたいと思う二千ccを予約して、それにいわゆる手動式のものをつけて、これも一つ十万円ぐらいするわけです、それをつけて、そしてまた免許の書きかえをお願いしなければならないというふうなことで、その教習所に置いている千二百ccも、あるいは県の福祉課から与えられたものであったり、あるいは地域の善意によって寄せられたものでもあるわけですけれども、たとえば重量制限の千二百では、本当に車いすが、もちろんトランクには入りませんし、座席に入れますともうそれでほかの人は乗せられないわけですね。そういう点でもぜひとも一般の人たちと同じように希望する重量の中で免許取得ができるように、そしてまた、この指導員を率先して障害者がむしろ体験を通した中から知恵を出し合って対等の立場で指導できるような指導というようなものをお願いしたいと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  218. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 先生非常に御苦労なさってこれおとりになった経緯も私もよく承知をいたしております。各県それぞれ、先ほどちょっと言い返すようですが、千二百だけではなくて千二百から千四百、千六百、千八百、二千と、県によって事情違いますけれども、それぞれ全部いま備えつけをいたしておりまして、これをもっと高い性能のものをできるだけ備えつけるようにいま指導しておるというのは先ほど申し上げました。そういう具体的なとり方の問題についてまあ実情を申し上げますと、まずいろいろ体に障害の程度とかそれに合わしてどんなものだったら危なくないかどうか、しかも初めの方初心者だもんですから、まずこの辺のところで乗ってみられて、たとえば一年ぐらいたったときにこうではないかとか、老婆心ながらいろいろこう、御承知だと思いますが、試験場あたりで御指導したり相談を受けたりしながらやっておるのが実情でございますが、先ほど申しましたように、基本はやはりその方の能力に応じてぎりぎりの一番高いところまで出すということをわれわれの仕事の目標にしながらこれから漸次改善を進めていきたいというふうに考えております。
  219. 前島英三郎

    前島英三郎君 その車に乗れる人はまだいい方でありまして、車にも乗れない、それからまたタクシーもなかなかプロパンガスが後ろへ積んでありますので、車いすのタクシーは、個人タクシーの少しぐらいの中に車いすの方もどうぞというマークがつけられていると。障害を持ったがために一歩も表へ出れないというような現状を考えますと、乗り物というものが障害者の社会参加の上にいかに大切かということにおのずとなっていくわけですが、そういう点では免許取得の緩和ということをいろいろ御検討されているのは大変ありがたいと思うんですが、その中にさらにありがたいのは、こうした「駐車禁止除外車両証」というものを私たちはいただけるわけです。これは東京都の公安委員会からいただいているわけですが、実はこれが東京都から外へ出ると使えないわけですね。外へ出ますと、これはもう駐車場探す、どこももうほとんど駐車ができないような状態になっておりますので、そこでこれはお願いになるわけですが、これが東京都の公安委員会でできたものが、たとえば四十七都道府県の中でどこでもこの東京都の公安委員会が発行したものは使えるというような、そういう緩和処置はとれないものかどうか、これちょっとお伺いしたいと思うんですが。
  220. 杉原正

    政府委員(杉原正君) これ、私ども先生にお願いをされてやるようなものでなくて、われわれがむしろもっと積極的に考えていかなきゃならないものであると思います。いまは道路交通法のたてまえがそれぞれの県の公安委員会が出すような仕組みになっておりまして、一応やれますのは、具体的な運用の問題としまして、こういうある県で許可証のあるものについては他県においてもそういう配慮で物事を具体的な現場指導として考えろということが一つございますし、それからもう一つは、法令上きちっと全国で共通するような手当てをするということも決して不可能なことじゃございません。そういう意味を含めまして前向きに積極的に検討していきたいというふうに考えております。
  221. 前島英三郎

    前島英三郎君 じゃまだ見通しとすれば、現段階ではこれはやっぱり東京都だけと……。
  222. 杉原正

    政府委員(杉原正君) 現在のたてまえはそうでございますが、これを見た個々の警察官がどういう扱いをするかということになりますので、だから、先ほど申しましたように、各都道府県に連絡をして、こういうマークをお持ちの方については現場措置として、いわゆる取り締まりをしたりあれをしたりするようなことのないような措置を運用としてやることは可能でございます。そういう方向で措置をしていきたい、とりあえずは。
  223. 前島英三郎

    前島英三郎君 いままでの例でも、中にはこれは東京都だけですからだめですというので、これがあるとどこでもいいと思って、たとえば山梨へ行って実は何万円も罰金を払ったと、あるいはレッカー車で運ばれちゃったというんで、涙ながらに訴えてくるような人もいるもんですから、その方の、警察官お一人お一人の気持ちもこれは千差万別で、わりあいに理解のある方もいれば、また理解のない、公務に忠実な方もいらっしゃるわけで、その辺を、でき得ればこれがあると、まあその辺は、みんなやっぱり必要に応じて、それに迫まられて使うんだという温かい御指導を重ねてお願いしたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  224. 杉原正

    政府委員(杉原正君) そういう方向で積極的に推進が図られるように措置をしたいと思います。
  225. 前島英三郎

    前島英三郎君 ありがとうございます。  そこで、また乗り物の話になるわけですけれども先ほども言いましたように、車も乗れない、自分でも運転できない人にとっては、国鉄は何よりも頼りになるわけでございますけれども、なかなか公共物と似ておりまして、国鉄も満足に車いすで、あるいはまた目の御不自由な方が一人で乗れるような形につくられていない。いま五千駅ぐらいございますけれども、その中で何か六十カ所ぐらいは車いすで入れるところがありましょうか、五十カ所ぐらいでしょうか、国鉄のお考えを伺いたいと思います。
  226. 須田寛

    説明員(須田寛君) お答え申し上げます。  いま先生御指摘がございましたように、確かに車いすにお乗りになった方がそのままお使いいただけるような何らかの工事を施しました駅は六十五駅しかないわけでございますが、私ども極力、職員のおります駅につきましては、事情の許します限り車いすをお使いになっていらっしゃる方が駅においでになりました場合には、介添えと申しますか、御案内を申し上げて、安全にホームまでお越しいただけるように極力手の許す限り介添え申し上げるようにという指導をいたしております。やはり地方の駅へ参りますと、スロープウェーがございましたり、あるいは踏み切りになっておりましてホームまで階段でなしに渡っていただけるようなところもございますので、実際上車いすの方々が御利用いただける駅はもう少したくさんあると思いますけれども、なおいまの六十五駅をなるべくふやしてまいるよう、機会を見てふやしてまいりたいというふうなことで努力をいたしたいと思います。
  227. 前島英三郎

    前島英三郎君 これは私も体験したことですが、国鉄の駅にはたとえば障害者指定駅というようなものが設けられているんでしょうか、ちょっとお伺いいたしたい。
  228. 須田寛

    説明員(須田寛君) 指定駅というものは設けておりませんのですが、町の御当局の方で福祉モデル都市というふうなものを御指定になっておるようなところがございますので、極力そういった駅からいまのような設備を優先的にやっておりますので、あるいはそういうふうな名前があるのかもわかりませんが、私どもの方では別にどの駅を指定するというふうなことはいたしておりませんで、極力多くの駅で御利用いただけるように努めております。
  229. 前島英三郎

    前島英三郎君 その指定駅ということは、これは私も体験で、名古屋へ行きましたときに、新幹線いま名古屋にはエレベーターができました。ついこの間までエレベーターがなくて、私ども東京駅で乗りまして、名古屋へ行って帰りに、障害者用の個室ができて大変ありがたいと、乗らしてほしいということをお願いしましたら、名古屋は障害者の指定駅じゃないという言葉をいただいたものですから、だれが一体障害者の指定駅とか指定駅でないとかということを決めておられるか、御意見を伺ったわけですが、それは別に国鉄で決めているわけでもないし、どうってわけじゃないわけでしょう。
  230. 須田寛

    説明員(須田寛君) いまのお話でちょっとわかりましたのでございますけれども、指定駅という言葉はもちろんございません。ただ、いま名古屋がそうでないというお言葉がございましたのでちょっと気がついたのでございますけれども、実は新幹線の駅でエレベーターと車いすの方がお通りいただける通路とが完全に完備いたしております駅は、一貫して車両の中までお乗りになったままでずっと行っていただけるような駅が幾つかあるわけでございます。そういう駅をあるいは指定駅と駅員が言ったのではないかと思うのでございますが、名古屋駅がいまそういう設備をまだ持っておりませんので、そういう御案内ができないということを申し上げたのだろうと思いますけれども、われわれは極力新幹線の駅は全部そういった車いすの方に一貫した御利用をいただける駅に逐次いたしてまいりたいと思っておりますので、指定駅というのは正式なものではもちろんございませんが、そういう意味で申したのだろうと思います。
  231. 前島英三郎

    前島英三郎君 さて、そこで新幹線をちょっとお伺いしたいんですが、新幹線で、いま車いすで乗降できる駅というのは何駅ぐらい……。
  232. 須田寛

    説明員(須田寛君) いま申し上げましたような意味で、一貫して車の中まで御利用いただける駅は九駅でございます。
  233. 前島英三郎

    前島英三郎君 「こだま」には一つもないわけですか。
  234. 須田寛

    説明員(須田寛君) 「こだま」と「ひかり」とあわせてとまっておりますような駅にはございますが、「こだま」だけの停車駅には現時点ではないと思います。
  235. 前島英三郎

    前島英三郎君 これは、新幹線に私たちが乗る場合の一つの段取りですが、御存じでしょうか。
  236. 須田寛

    説明員(須田寛君) 一応われわれの方では安全をモットーにいたしておりますので、一応事前にできましたら駅の方にお申し出をいただきまして、駅の係員が入り口のところから列車の乗り場まで御案内申し上げるというふうな感じでいたしておりますので、なるべく駅に事前にお申し出いただきたいという御案内を申し上げているわけでございます。
  237. 前島英三郎

    前島英三郎君 東京駅の場合には一週間前に個室を予約します。予約しますと一時間前に駅長室に私たちは行くわけです。駅長室には階段が二段ございます。この階段二段で駅長室で私たちは障害者手帳と割引証と本人とがお願いするわけです。そうすると、ここは——この辺になるともう外国の手続ですね。そして切符をいただいて表へ出ます。で、スロープが一カ所あります。一カ所入ってきますと、改札口は左の方から入りますと左へすぐ倉庫の入り口へ入るわけです。そうすると地下道がございます。この地下道が大変暗くて、レンガづくりで、その中を、つまりトロッコというのですか、鉄輪というのですか、荷物の運搬の耳をつんざくようなものすごい音の中を私たちはいわゆる新幹線ホームまで行くんですが、あの距離も恐らく二百メートル、三百メートルぐらいはあろうかと思いますが、ぼくはもう大変こわくて、何ともあそこを通るのがこわいという感じがするわけです。ましてやホームによりましてはさらに地下の中の橋を渡っていくというような形の中で、荷物用のエレベーターに乗りまして、それが一番最前部か最後部にありまして、それから七号車までという距離は大変な距離なわけですね。そういうことを思うと、せめて東京駅というのは表玄関であるという形から、八重州口に何かそうした形で車いすの人も目の不自由な人もあるいは松葉づえの人も乗れるような手だての考えはできないものであろうか。とにかく段取りとすれば非常に煩わしいし、しかも駅長室に入るまでには二段の階段があって、そしてまたレンガづくりの暗い地下道を通らなければならないというふうなことで、全く人間的に扱われていないというふうにぼくは言っても過言ではないというふうな気がするわけです。もちろん障害者は割引がございますから余り文句は言えないわけでありますが、しかし国会議員さんはただで胸を張って堂々と参りますのに、何か障害者の場合には、そうしたところを、全く事故が起きてからでは始まらないというような気がするんですが、安全というようなことを考える上でもいかがその辺はお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  238. 須田寛

    説明員(須田寛君) 大変恐縮でございますが、いまの手続の点につきましてはもう少し簡単にお乗りいただけるように早速勉強いたしたいと思っておりますが、やはりどうしてもほかのお客様との関係で、非常に混雑をしておる駅なものでございますから、職員が極力ホームまで御案内申し上げたいということと、それからやはりエレベーターの位置がございまして、この位置にうまくたどりつきますために、いまの荷物の通路を遺憾ながら御利用いただいているような次第でございまして、この辺大変申しわけないと思っておるのでございますが、八重州の方から入っていただくようなことにつきましても実は当初検討したわけでございます。エレベーターの位置と、それから車の着きます位置とがどうしてもうまく合わないものでございますから、やむなく暫定的にいまのような方法になっておるわけでございますけれども、いま東京駅は改良計画を検討中でございますので、特に新幹線の乗り入れ予定もございまして、八重州側を相当いじるようなかっこうになっておりますので、その際にはいま先生御指摘のあるところを十分検討いたしたいと思っております。それまでもいまのようなことで非常に危険な思いをさしているというふうなことを承りましたので、もう一回東京駅の事情を私どももよく調べまして、極力いまの範囲の中でよりいい方法がないかどうか、もう少し勉強してみたいと、かように考えております。
  239. 前島英三郎

    前島英三郎君 続いて運輸省の見解を伺ってみたいと思います。  これからの新幹線——上越線あるいは東北新幹線いろいろ計画もあろうかと思いますが、できちゃってからそういうものを取りつけるというのは大変な予算がかかると思うのです。ぼくはできる前に、先ほども建築基準法に非常にこだわるわけけですけれども、できる前にそういうものが何か法律の中に一部ぽっと少しでもいいから入っていることによって、これからつくられる公共物あるいはそういう乗り物に対するすべての人が使えるものというものはぼくは簡単にできるような気がするのですね。その辺運輸省の見解をお伺いしたいと思います。
  240. 吉末幹昌

    説明員(吉末幹昌君) ただいま先生からお話ございましたこれから開業する予定になっております東北、上越新幹線でございますけれども、いままでの東海道、山陽新幹線の利用状況といいますか、経験を踏まえまして、関係者の御意見もいろいろ承っておりますので、そういうようなものを生かしまして、駅の設備でございますとか、それから車両そのものの問題もございます、両方あわせまして身障者の方々が利用しやすいような方向で検討するようにというふうなことで私どもとしては国鉄に申し入れをしておるというふうなことでございます。
  241. 前島英三郎

    前島英三郎君 航空機のハイジャックなどがありまして、その防止策というようなこともあわせて大変だと思うけれども運輸省から伺いますが、実はこれは私もそうだったんですが、博多で私のこの車いすが、つまり車いすごと乗れなかった。どうしてかと言いましたら、車いすがハイジャックの武器になるということを言われたわけですね。それにまた最近は電動車いすなどが大変普及してきまして、私は手でこげるからいいけれども、手でこげない人にとっては電動車いすというものを頼るしか旅行のすべがない。せめて一度飛行機に乗ってみたい、本当にほのかな願いで飛行機に乗ったりするというようなことがあるわけですけれども、幸い障害者割引というのも二五%飛行機の場合にはなされておりますし、せめて一度海外も飛んでみたいという気持ちの人たちも大勢いるわけですが、その辺で電動車いすがバッテリーということによって、もちろん持ち込むこともできない、車いすも凶器扱いにされてしまうという、防止策が余りにもきつくきつく締めていく部分に、そうして旅行もできないような人たちも出てくるのですが、その辺は運輸省としていかがお考えくださるでしょうか。
  242. 川井力

    説明員(川井力君) 航空機の場合には、一般的に空を飛ぶ品物でありますので軽くつくってありまして、したがいまして、非常に構造がきゃしゃにできております。そのために爆発物とか、燃えやすい品物、そういったものの塔載の禁止とか、制限措置を講じております。それで電動車いすの場合はいま先生御指摘のようにバッテリーを使っておりまして、そのバッテリー液が漏れることによりまして人員あるいは航空機機体そのものに損傷を与える可能性があるという見地から、現在のところは漏れないバッテリー——防漏型バッテリーと呼んでおりますが、それ以外のバッテリーつきのものは一切搭載を認めておりません。そういう現状でございまして、車いすそのものを凶器として扱うというような見解はございません。いすは、原則といたしまして胴体の下の貨物室に搭載していただく、もし客室の方に何らかの余裕がございましたら、客室の方にも搭載できるようにはなっております。
  243. 前島英三郎

    前島英三郎君 大変時間がなくて、ほかに幾つかあったんですけれども、大変きょうはありがとうございました。私初めて質問さしていただきました。それよりも何よりも大変こだわるようですが、最後に建築基準法の問題を、何としても公共物に対する建築基準法の一部改正、いわゆる特殊建築物に対するというような個条書きのところもありますけれども、その辺の見通しみたいなものはいかがでございましょうか、最後に建設省にお伺いしたいと思います。
  244. 大田敏彦

    説明員(大田敏彦君) 先ほど来御答弁申し上げたようなことでございまして、諸外国の例をいろいろお話しになりましたけれども、建築基準法という、日本語で言いますとこれになるわけでございますが、向こうではいろいろな法律があると思います。その辺はよく勉強してみますが、そもそも公共物ということであれば、いま官庁営繕部の方から答弁しましたように、自分の所管している建物あるいは各省の所管している建物、そういうことには、自分がつくるわけでございますから、特段法律の規制がなくても、そういう理解さえあればどんどん設計できますし、また改修もできるのではないかと思います。ただ、地方公共団体の建物、こういうものは直接国が及ぶわけでもございませんので、そういったことをなるべくこちらの方からお願いもし指導もし、そういうことをやってみたいと思いますけれども、いきなりすぐ法的な規制でもって設置しなければならぬということにつきましては、なお厚生省等といろいろ御相談しながら進めたいと思います。
  245. 前島英三郎

    前島英三郎君 どうもありがとうございました。
  246. 金井元彦

    委員長金井元彦君) 本日の質疑はこの程度とし、次回は十一月一日午前十時三十分開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前五時三十二分散会