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1977-11-01 第82回国会 参議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月一日(火曜日)    午前十時五分開会     —————————————    委員異動  十月二十八日     辞任         補欠選任      川村 清一君     田中寿美子君  十月三十一日     辞任         補欠選任      田中寿美子君     竹田 四郎君  十一月一日     辞任         補欠選任      竹田 四郎君     田中寿美子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         嶋崎  均君     理 事                 上條 勝久君                 細川 護熙君                 藤田  進君                 塩出 啓典君                 中村 利次君     委 員                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 梶木 又三君                 戸塚 進也君                 中西 一郎君                 桧垣徳太郎君                 藤井 裕久君                 藤川 一秋君                 宮田  輝君                 穐山  篤君                 大木 正吾君                 竹田 四郎君                 矢田部 理君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 佐藤 昭夫君                 渡辺  武君                 市川 房枝君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  坊  秀男君    政府委員        経済企画庁調整        局審議官     澤野  潤君        大蔵政務次官   斎藤 十朗君        大蔵大臣官房審        議官       加藤 隆司君        大蔵省主計局次        長        山口 光秀君        大蔵省関税局長  戸塚 岩夫君        大蔵省理財局長  田中  敬君        大蔵省理財局次        長        川崎 昭典君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省国際金融        局長       旦  弘昌君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        文部省初等中等        教育局教科書管        理課長      岡部 稔成君        文部省大学局審        議官       大塚 喬清君        通商産業省貿易        局輸出課長    柏木 正彦君        中小企業庁長官        官房総務課長   中沢 忠義君        労働省職業安定        局雇用政策課長  白井晋太郎君    参考人        日本銀行副総裁  前川 春雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○一般会計歳出財源に充てるための産業投資  特別会計からする繰入金に関する法律案(内閣  提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月二十八日、川村清一君が委員辞任され、その補欠として田中寿美子君が選任されました。  また、昨十月三十一日、田中寿美子君が委員辞任され、その補欠として竹田四郎君が選任されました。     —————————————
  3. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 一般会計歳出財源に充てるための産業投資特別会計からする繰入金に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は去る十月二十七日に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 竹田四郎

    竹田四郎君 公庫関係の滞貸償却引当金繰り入れ問題でありますが、これはたしか昭和五十年度から、いままでの積み立て方式から洗いかえ方式という方式に変更されたようでありますが、いままでの方式よりどう違ったか、具体的にどう違ったのか、その辺の御説明をまずいただきたいと思います。
  5. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生指摘の、政府関係金融機関貸し倒れ準備金繰り入れ方式でございますが、従来におきましては、貸し倒れ準備金につきましては原則として累積方式をとっていたわけでございます。  と申しますのは、公庫によっていろいろ差があるわけでございますけれども、たとえば国民中小公庫であれば累積は千分の四十八まで積み立てが認められると、こういうことになっていたわけでございますけれども、先生承知のとおり、昭和四十八年に行政管理庁からの勧告が行われまして、この滞貸償却引当金等につきましては、民間企業洗いかえ方式と異なっているのはおかしいというような御指摘がございましたので、昭和五十年からは洗いかえ方式にいたしまして、毎年度繰り入れをいたしまして、翌年度その戻し入れをすると、そういうような方式に改められております。
  6. 竹田四郎

    竹田四郎君 四十九年度までは累積制度積み増し制度ということで、五十年度から洗いかえ方式にしたんですが、その際のそれぞれの公庫積み立てばどれだけあったんですか。
  7. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) お答えいたします。  四十九年度の滞貸償却引当金残高、これは各公庫全部について申し上げますか。
  8. 竹田四郎

    竹田四郎君 各公庫についておっしゃってください。
  9. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 国民公庫が四百十四億円、中小公庫が三百七十八億円、北東公庫が百五十二億円でございます。それから住宅公庫が百四十三億円、農林公庫が二百四十九億円、医療公庫が十四億円、環衛公庫が三十九億円、沖繩公庫が十七億円でございます。  それから、五十年度でございますが、五十年度国民公庫が四百九十二億円、中小公庫が四百五十一億円、北東公庫が百六十三億円、住宅公庫が百四十六億円、農林公庫が百三億円、医療公庫が八億円、環衛公庫が二十一億円、沖繩公庫が十四億円と、このようになっております。
  10. 竹田四郎

    竹田四郎君 そのときに、いまおっしゃられたその数字を、積み立てを取り崩していると思うんですが、どうもいままでのいろいろな政府から出された資料を見ましても、取り崩されたお金が一体どこへ行っているのか、これ全然わからないわけですね、何に使っているのか。せっかくこれだけたまりまして、行管庁からも勧告を受けたと、しかし、そのお金がどこへどう回っているのか国民はさっぱりわからない。たとえば農林にいたしましても国金にいたしましても中小公庫にいたしましても、ここで見ますと大変な積み立てがあるわけです。それがどこへどう回っていってるのか。まあ金繰りとしては恐らく貸し付けなんかに使ってるだろうとは思うんですが、取り崩された金がどう処置されているのか、この辺が全然予算書を見てもわれわれわからないわけです。これはどういうふうに取り崩した金を使っているんですか。その辺を明確にしてほしいんです。
  11. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 貸し倒れ準備金の取り崩しでございますが、これは損益処理といたしまして期末に戻入いたしまして、それから新たに繰り入れをするわけでございまして、現実にその期中におきましてはこの貸し倒れ準備金貸し付け原資として使われているわけでございます。そして損益計算戻入をいたします場合には、これが一応収益に立つわけでございまして、全体の損益計算の中でこれが使われている形になるわけでございます。ただ、御承知のとおり金に色はございませんので、まあ支出面の何に使われることになっているかということについては確定できないわけでございますけれども、全体の収支の中でそのようなことが行われているわけでございます。
  12. 竹田四郎

    竹田四郎君 たとえば、農林漁業公庫の場合積立金は二百四十九億ある。ところが、五十年度繰り入れた分というのは百二億ですか、百三億円ですか、そのあとはどうしたんですか。そうすると、それで百四十六億近くのお金というのが出てくるわけですが、それは一体どういうふうに使ったんですか。ただ、農林公庫にいたしましてもその他の公庫にしても、一般会計からの受け入れというのがそれぞれ相当ありますね。ただ、私ども不思議に思うのは、たとえば農林とか環境とかあるいは医療とか、そういう種類のものというのは、その年に限って一般会計からの繰り入れというのは極端に少なくなっていますね。これは、どうもちょっとその辺がわからないわけですけれども、その辺はどうなんですか。
  13. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生指摘のとおり、この繰り入れと翌期の戻入との差額があるわけでございますが、この分は農林公庫としては一応利益金に立つわけでございます。したがいまして、前期二百四十九億円の繰り戻しがありまして、翌期百三億円の繰り入れでございますから、御指摘のとおり百四十六億円の差が出るわけでございますが、この点につきましては、その分補給金の節約であるとか、そのような形になってあらわれてくるわけでございます。
  14. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういうのを明確にしてくれないと、われわれ後でいろいろそろばんをはじいて、恐らくこの分はこっちの方にいっているんじゃないかとか、この分はまだかなりどこかへ適当に積み込まれているんじゃないかとか、こういうことになるわけですね。  たとえば、いまの百四十六億の内容にいたしましても、次の引当金にどれだけ入れたのか、それで残った分は一体どうしているのか、これ全然わからないわけですよね、国会では。結局行政ベースで勝手にそれをやっている。そして一般会計からはある程度繰り入れている。これではどうも税金を納める立場の者としては全然わからない。これをやっぱりわかるようにすべきだと思うんですね。まあ今度は、これだけの大きな改革というようなものが、これからまたどんどん行われていくかどうかわかりませんけれども、そういうようなことについて私は政府のやり方というのは、どうもこの公庫関係というのは国民にわからないようにしておる。そして言葉の上では、その金は貸し付けに使いますからむだには使っておりません、金利を安くするためにこれやりますと、あるいは貸付枠を多くするためにそういうことをやっているんです、こういうふうに片っ方では言っているようですけれども、どうもその辺が不明確である。やっぱりもうかった分については、これだけ利益が出た、これはどういうふうに処理したということを私は国会にもっと明確に示すべきだと思うんですよ。それでないと、一般会計からは相当大きな額を繰り入れている、片っ方じゃ利益が出る。何でそういう繰り入れをやらなくちゃならないかという理解も私どもつかないわけですね。  これからの問題だって私そうじゃないかと思うんですよ。一般会計の方は赤字赤字でしょうがない。ところが、公庫の会計見ると結構高いものが利益に出ている。それはそれでふやしていく。具体的にどれだけそのためにふえた、そのためにどれだけ、たとえば国金なり中小公庫なりその他の公庫でそのために利率が下がりたというならば、これもまた明らかにしてもらえばそれはいいですよ。その辺は一般金利の水準があるからそれから特別にどうするというわけにはいかぬ。こうなれば、私どもは一体、それだけの利益が出ているのにその処理がよくわからないし、金を利用している人は、金利が安くなりますよ、貸付枠が大きくなりますよと言ったってそうはいかない、こういうような事態になってくるんじゃないですか。  だから、その辺を私は今後も、これは一つの機会であったわけでありますけれども、そういうものをひとつもっと明確にしてもらわにゃいかぬ。いまの農林漁業金融公庫の取り崩しも、ひとつこれ委員長、われわれにもわかるように資料として出してもらいたいと思うんですよ。百四十六億が一体どこへいったか私ども全然わからぬわけですよ。十円や二十円の金じゃないわけでありますから、何百億という金でありますからね、こういうものはひとつ洗いかえ方式によって、いままでの積み立てを、具体的にその利益をどこへ充てたのか、この点をひとつ明確に資料として出していただかなければならないと私は思うんですけれども、これはひとつ委員長にお願いするわけでありますが、資料として出してもらいたいと思うんですが、どうですか。
  15. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまの竹田君の資料要求につきましては、後刻理事会で御相談申し上げることにしたいと思いますが、その性格から見てどうもなかなか資料はむずかしいような気がします。したがって、理事会でよく技術的にそういうことができるかどうかということを議論して、なるべく御理解をいただけるように努力をいたします。
  16. 竹田四郎

    竹田四郎君 ちょっと向こうの返事聞きましょう、出せるのか出せないのか。
  17. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) いま先生が御指摘になりました点は、貸し倒れ引当金あるいは滞貸償却引当金経理の問題が中心になるかと思いますが、先ほど申し上げました行政管理庁勧告でも同しようなことが指摘されておりまして、滞貸償却引当金の、その処理継続性がないため決算表示が不明瞭である、したがって、一般に公正妥当と認められる企業会計原則と異なった処理が行われているのではないか、こういう指摘があったわけでございます。  滞貸償却引当金につきましては、問題はそれを、滞貸償却引当金があるということじゃなくて、その繰入率がその期によって変動すると。その変動するのがここに指摘しておりますように連続性がないじゃないか。したがって、ある期にもうかったときに滞貸償却引当金が仮に上がれば、その分利益がそこで吸収されてしまうわけでございますから、次に利益が出てこないわけでございます。そうじゃなくて、一定基準で滞貸償却引当金繰り入れるようにすれば、もう繰入率はある程度客観的に決まるわけでございますから、したがって、収益が出た期には当然それをオーバーしたものは利益となって出てくるではないか。したがって、こういう面で企業会計経理明確化を図りなさい、こういう勧告であったわけでございますが、この方針に従いまして、先ほどお答え申し上げましたように、昭和五十年からは洗いかえ方式にすると同時に、この繰入率にいたしましても、一定基準を設けまして継続性を持たせたわけでございます。  こういう意味で、ここに指摘されておりますような決算内容表示の不明瞭という点はこれによって処理されていると、このように考えておりますが、先生指摘の、この貸し倒れ準備金戻入がどのようになっているかということにつきましては、これは損益計算書で御説明申し上げるのが適当と思いますので、損益計算書提出いたしまして、それに基づいて御説明申し上げるということにいたしたいと思います。
  18. 竹田四郎

    竹田四郎君 私がいま主として、最後の方はその質問に対する答弁のような気がしますけれども、一体取り崩したときの金がどこへ行っているのか、これはさっぱりわからぬですよ。だからその四十九年、五十年度、先ほどもまあ五十年度にもまだ累積の全部取り崩してない金額があるようでありますけれども、そういうものを一体どこへどういうふうに配分したのか、これは過去の資料ですから、これからの問題じゃありませんから、具体的に数字が出るはずなんです。出ないはずはないと思うんです。だから、これはどうしても私出してもらわないといけないと思うんですけれども。  それから国金とか住宅金融公庫、特に国金の場合ですが、これが減らなかった、これは金額もかなり大きいわけですね、四百十四億ですから、まあ一番大きいわけですね。先ほどあなたがおっしゃった点では、五十年度には四百九十二億、非常に大きいわけです。この国金の場合には一体どうなのか。一般会計の方も、この方は余り減ってませんわな、こういうのは一体どういうわけなのか。これは住宅金融公庫も同じだし、まあ沖繩の場合には、たしかこのときはできて間もないと思いますから、これはある程度わかるわけでありますが、その辺は一体どうなのか。農林だけでなくてほかの方が減らなかった、それは一体どういうわけなのかよくわからぬです。
  19. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 国民金融公庫の場合には、五十年から洗いかえ方式になったにかかわらず、先生指摘のように、数字は下がってないわけでございますが、これは実は洗いかえ方式に移行いたしまして、先ほど申し上げましたように、繰り入れ限度を定めたわけでございます。それが四十九年の洗いかえ方式に移行する直前におきましては、繰り入れ限度が千分の四十八でございましたけれども、五十年には国民公庫の場合には繰り入れ限度が二十六・四に下がったわけでございます。しかしながら、現実の繰入額は二十四・五にとどまっておりまして、繰り入れ限度最高限度を下回っていたわけでございます。したがいまして、結果としては数字は下がらないということになっております。これはもちろん、その間に国民公庫貸し出し残高がふえたわけでございますけれども、それに対する比率は当然絶対額としては上がってくるわけでございまして、その限度を下回っていたために、金額としては上がっているけれども限度内におさまった、こういう姿になっております。
  20. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうもその説明もちょっとよくわからないし、まあその辺もひとつ一括して、後ほど資料として提出をしていただきたいと思うんですけれども……。  それから、各公庫の滞貸償却実績引当金との関係、これはどんなふうな数字になっていますか。これもできたら資料でお示しを願いたいと思うんですが、どんなふうな数字になっておりますか。
  21. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) お答え申し上げます。  滞貸の償却額実績でございますが、年度によっていろいろ非常にばらつきがあるわけでございますけれども、たとえば……。
  22. 竹田四郎

    竹田四郎君 全部言ってください、五十一年度でいいです。
  23. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 五十一年度だけ申し上げます。五十一年度でございますと、国民公庫が六億三千七百万でございます。引当金繰入額は五百四十七億円でございます。それから中小公庫は一億二千一百万でございまして、引当金繰入額は五百四十二億円でございます。そのほかにつきましては、住宅公庫は一千万円でございまして、繰入額が二百二十四億円でございます。農林公庫が五千八百万円でございまして、繰入額は四十億円でございます。それから環衛公庫は二千二百万円でございまして、繰入額は二十一億円でございます。それから沖繩公庫は三千七百万でございまして、繰入額は七億円でございます。
  24. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、大変償却実績というものと、それから滞貸償却引当金というものですね、どうしてこんなに少ないのに、これは五十一年度だけじゃないと思うんですよ、この償却実績数字というのは。若干の差はあっても何百億という償却実績にした例というのは私はないと思うんですよね。積んであるのは、特に国金中小金融公庫は五百億、住宅金融公庫で二百億、膨大な数字ですよ。なぜこんなに引当金を多くしなければならないのか。それでこういう、いまおっしゃられたところは、大体国庫納付金というのは出していないわけですね。いままで出しているのは銀行を除いては開銀と、あるいは北東ぐらいなものですわな。なぜあえてここへこれだけ積んでおかなくちゃいけないのか、これはわからぬわけですよ。しかもこれらの公庫というのは、一般市中銀行とははっきり違うわけですよね。政策金融としてその。バックには政府がいるし、必要に応じては補給金として一般会計からこれへ入れているわけですよ。それにもかかわらず、これ倍率にしたら何倍ですか、国金の場合は。百倍に近いでしょう、九十倍ぐらいでしょう。政府公庫であるがゆえにこういう大きな金額が積まれるということは、どうも私ども納得いかないわけですね。しかも、片方赤字財政で困っている、三〇%の国債依存度はどうしても守らにゃいかぬというときに、ここだけこういうふうに、しかも国民の目に余りさらされない形でどんどん積まれていく。どうもその辺は納得できないんですが、大蔵大臣、わかるんですか、なぜそうなったかということは。官僚ベースでどんどんと進められていって、一番財政の責任で頭を抱えている大蔵大臣が、これはこれで当然だというのは、どうも私は納得いかないんですよ。  たとえば、金が自然増収であり余ってもう使い道がないというようなときには、私はこういう道もあるいはあるかと思いますが、いずれにしても国民の目に余りはっきりしない。これじゃ片方財政赤字だ、財政赤字だと言っても、どうも私ども納得できないですね。確かに中小企業困るからこっちへこれだけ枠を広げにゃならぬからこうしたんだよということが明らかであればいいですが、そういうことは余り明らかでない。ただ、どんどん積んでいってこうふえている。どうも私は納得できないんです。なぜこんなにも多く、百倍近い引当金を置かなくちゃならない、一年だけならいいですよ。もうたとえば五十一年度国金の場合には、特に六億三千万の形でうんと低くなっちゃったというんならいいんですよ。そうじゃなくて、大体このぐらいの線ですわな。よくわからぬですが、大蔵大臣、わかりますか。
  25. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) そういった政府機関貸し出しについては、もちろん政策金融でございまするから、一般的には、これは他の民間金融機関よりもリスクの多いといったような貸出しもやらなければならないということと、それからもう一つは、やっぱり貸し出し金利をできるだけ下げていかなければならぬ、下げた方がいいというようなことから考えますと、無利子の原資といいますか、そういったようなものができるだけ——できるだけといっても無制限というわけじゃありませんけれども、多い方がその目的は達成できるといったような関係から、そういったようなことになっておるということのように私は考えます。
  26. 竹田四郎

    竹田四郎君 それならそれで返すべきものは国庫へ返す、必要ならそこからこう出してくる。これだって国から出た補給金というのは利子つかないわけですな、これは同じことですよ。ほかから金を借りるということになればこれは別ですよ、これは金利かかるわけです。国の方から補給金をどんどん出しているわけです、ほかのことについて。だから一回戻して出すという形にすれば国民には明らかになりますよ。政策必要性もそこでより強調できるんです。いままでそういうことやってないわけですよ。だから、あなたがいま言ったことは私はちょっと理屈にならないと思うんです。  たとえば、この金を資金運用部へ返しちゃう、そしてまたここから借りるということになればこれ金利つきますよ、これには問題あるでしょう。だから、公庫の国に対する納付に関する政令なんかもあるわけですよね。利益金が出たらそれは国庫に納めにやならぬということになっているわけですよね。第三条だったですか、第何条だったか条項は忘れましたけれども、そういう規定がちゃんとあるわけですよ。それをただここでこういう形だけにしてしまうというのは、私はどうも納得できない。ぼくはほかの方だってこれ納得できないと思うんですよ。しかも、こういうふうに国家財政が非常な危機のときにそれが明らかにならない前にやっている、こういうことでしょう。  今度だって、国の方がこの補正予算で困るから開銀、輸銀、北東公庫利益金を出して、繰入率を下げて出して、そして入れたわけでしょう。ほかのことだって私は同じだと思うんだよ。どうもその辺は改革してもらわなければ、必要なら出していけばいいんですよ。私は必要でも出すなと言っているわけじゃない、必要なら出していく。そして国会の審議にも国民の目にも明らかになるようにその金が動いていく。いまのままじゃこれ国民の目に明らかじゃないですよ、ただ積み立てておくだけですからね。その辺改善すべきだと私は思いますよ、大蔵大臣どうですか。
  27. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生指摘のとおり、滞貸償却引当金のあり方については、常に検討が行われるべきものとは考えられますが、恐縮でございますが、原則的な議論として申し上げますと、政府関係機関も政府から独立して独自の金融業務を営んでいるわけでございまして、これは行政管理庁勧告にもございますように、一般に公正妥当と認められる企業会計原則に従って経理されるのが望ましいというふうに勧告もあるわけでございまして、一般企業会計原則によりますと、貸付金につきましては正当な評価引当金としての貸し倒れ準備金を積むのが妥当であるということになっておりまして、その原則に従って滞貸償却引当金公庫では積んでいるわけでございます。  先生指摘のように、貸し倒れ損失が出たらそれをストレートに国庫で補てんすればいいじゃないかというような御意見もこれは十分にあり得ると思いますけれども、しかしながら、国から独立した法人として独自の金融業務を営んでいるたてまえから申しますと、すべて直接に国庫の負担に依存するということは必ずしも好ましくないわけでございまして、貸し倒れができた場合には、一応自己の責任において自己の経理内で処理するという形をとることが望ましいと考えられますので、こういう形で滞貸償却引当金が立てられているわけでございます。  それからまた、滞貸償却引当金の機能といたしましては、御承知のとおり、内部留保としてはこの形しかございません。公庫もやはり独立した金融機関でございますから、一定の内部留保を持ち、そしてそれは無利息の非常によい資金でございますから、それが貸し出し利息全体を薄めることになるわけでございます。先生指摘のように、これを財投と振りかえてもいいじゃないかという見方もあり得ると思いますけれども、これは無利息の金でございますから、財投と振りかえた分につきましては、当然その部分につきましては補給金が必要になるわけでございまして、そういうことも総合的に勘案して、現在の滞貸償却引当金の制度が行われている、このように考えております。
  28. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣、何か意見ないですか。
  29. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) ただいま局長からお答えしたとおり私考えております。
  30. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは民間の機関じゃないんですよ、国の機関なんですよね。国の監督権も強いんですよ。それでしかも、普通の年度にはいろいろな形で補給金が何百億、何十億というのが毎年のように出ているわけですよね。そうなれば完全な意味で独立じゃないんですよ。そうなると、銀行局長の言うことも私わからないわけじゃないですよ。しかし、余りにも多過ぎるじゃないか、もう少し少なくしたっていいじゃないか。しかも、それが国民にわからないというんです。わかるようにするには、一たん返してまた戻せばそれではっきりわかるわけですよ。そういう方式だって私は一つ方式だと思うんですよ。もう少し国民にわかるようにしてくださいよ。わからないまま片一方じゃ苦しい苦しい、要求は赤字だからだめだ、一方では断っておきながら一方ではどんどんたまっている。これじゃ、われわれが一体中小企業に対して、あるいは農林漁業者に対してどういう政策をやっていくかということだって明らかにならないですよ。  そういう意味では私はもっとはっきりさせるべきだと思うんです。はっきりさせなかったら、全く国会は何のために国会審議しているのかわけがわからなくなる。だから、私はもっとはっきりさせる努力を検討すべきだと思うんです。全部とは言いませんけれども、ある部分というものは、これだけのあれがあったら一回国庫に入れて、また国庫から出すという手続が私当然あっていいと思う。そうすればわれわれの目にだって明らかですよ。私はそういうふうにこれ直すべきだと思うんです。どうなんですか。これは大臣に聞きたいな。
  31. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) その前に事務的なお答えをいたしますが、補給金を出しながら高い率の滞貸償却引当金を積まぜているのはおかしいじゃないかという、その点はまさに御指摘のとおりでございまして、原則といたしましては、民間の金融機関の二倍ということを公庫の準則にしておりますけれども、補給金を出しております公庫につきましては、予算上財政上との関連もございまして千分の一ということで計上してございます。
  32. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御指摘の点も非常に重大なことだと思います。これは将来ひとつ検討材料にしたいと思います。
  33. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは将来というのはいつのことなのか知りませんけれども、国庫の方は赤字で、この次、来年度は三〇%の国債依存率が守れるか守れないかという私は緊急事態にあると思うんです、いま財政は。そういうときにのんびりとして将来などと、そういうようなことは私はやるべきじゃないと思うんですよ。もう来年度予算からこの点は検討を私はすべきだと思うんですよ。それでなければ、何だ、政府銀行も一緒にもうけているのかと、私はこういう批判というのは当然出てくるし、私は宣伝しますよ、大いに。だから私は来年度から検討するというふうにしてもらわなければ困る。
  34. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 滞貸償却引当金の問題につきましては、御承知のとおり、いま御審議していただいておる法案にも関連するわけでございますが、一応見直しをいたしまして、それで輸銀、開銀につきましては引き下げを行ったわけでございますけれども、それ以外の公庫につきましては、御承知のとおりのような経済情勢でございまして、先行き不況産業その他に対する貸し出しもふえていきますので、このような金融経済情勢のもとでは、むしろ滞貸貸し出しはふえる趨勢にあるわけでございます。御承知のとおり、かつて北東公庫は千分の六というような大幅な貸し倒れを出したこともございますので、先行きの経済情勢を見ました場合には、やはり当面はこの民間金融機関の二倍という繰入率が妥当ではないかと、このように考えておる次第でございます。
  35. 竹田四郎

    竹田四郎君 繰入率の問題は後で問題出しますが、とにかくもう少し明確にしてくださいよ、明確に国民にわかるように。どれだけ積み立て利益が上がっておるのかどうなのか。本来ならばこうした公庫利益が出れば国庫に納めるというのが原則ですよ。それが全然出てないじゃないですか。  それから、先ほどあなたがおっしゃった点で、たとえば普通の市中金融のベースに乗らない、そういうような特殊な対象に金を貸すんだと、こういうふうに言うんですがね。それじゃ農林関係というのはあれですか、国民金融公庫や中小企業金融公庫に比べてこれはベースにより乗りいいということなんですか。この辺もよくわからぬですね。繰入率を、今度改定いたしましたから下がったわけですが、農林漁業金融公庫の場合には千分の十、国民金融公庫や中小企業金融公庫の場合には千分の二十二・八に今度はしましたね。市中金融のベースに乗りにくいというんならどうしてそういう、私ども考えても住宅とか農林とか環境とか沖繩とか北東とか、こういう一般の市中金融に乗りにくいようなものについては繰入率が低くて、どちらかと言えば一般市中金融の補完的なというか、まあそっちが、金利がそれよりもこっちが安いからとか、あるいは条件が市中よりも緩やかだからということで借りられるような国民中小金融公庫の方がはるかに繰入率が高いわけですね。これでも千分の十二・八、千分の十三ぐらい違うわけですね。この辺なんかも私どもまさに理解ができない点ですわな。そういう、この国民、中小とその他の公庫との間に千分の十三も繰入率に差があるというのは、一体これはどういうことなんですか、よくわからぬ。
  36. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生指摘のとおり、国民中小公庫とその他の公庫との間には繰入率に差があるわけでございます。これは国民中小公庫の場合には、その業務の性質上、これが信用金庫と取引層が非常に類似しているわけでございますので、信用金庫を基準にして繰入率が決まっているわけでございます。そこで、その他の公庫は確かに先生指摘のようにいろいろ政策金融、同じように一般民間金融機関の融通を困難とするような資金を融通するわけでございますけれども、ただ御承知のとおり、国民中小公庫は一応独立と申しますか、補給金を受けておりませんで、かなり金融機関としての独立性が強いわけでございます。ところが、そのほかの公庫は大体補給金公庫でございますので、補給金を受けているということもございまして、その辺を勘案しながら現在のような率が決まっているわけでございます。
  37. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ一般会計から補給金が出る出ないということなんですけれども、これも恐らく大蔵大臣なり銀行局長の判断でこの繰入率というのは決まっているわけでしょう。別に法律で決まっているわけじゃないんでしょう。そうなってくると、われわれとしてはいまのお話だけではどうも納得できない。もう少しその辺のあり方というものも、なぜこんな数字になったのか、根拠というものが、きわめて何か率直に言うと銀行局長の鉛筆の先一つ数字が勝手に変わるという形になると思うんですがね。具体的にそれじゃこの国金の場合にしても、二十五・二から二十二・八、すなわちここで二・四ですか、千分の二・四という数字は、どういう根拠で二・四というのは出たんですか、これ全然わからないですね。
  38. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) これは、公庫の滞貸償却引当金の繰入率につきましては、五十年に洗いかえ方式に移行いたしましてから、民間の金融機関の二倍という原則を確立したわけでございます。この繰入率につきましては、一応政令で大蔵大臣が定めるということになっているわけでございますけれども、その基準といたしましては、五十年の改正が行われる前は必ずしも一定の、先生指摘のとおり、まさに客観的な基準はなかったわけでございますけれども、改正以後は原則として民間金融機関の二倍という客観的な基準によって決めているわけでございます。それで国民、中小の二十二・八でございますが、これは先ほど御説明いたしましたように、信用金庫の倍ということになっておりまして、信用金庫の場合には五十二年四月から五十二年九月までの事業年度につきましては千分の十一・四になっているわけでございます。したがいまして、これの二倍の二十二・八という数字になっているわけでございます。
  39. 竹田四郎

    竹田四郎君 その二倍という根拠は何ですか。信用金庫の二倍というのはよくわからぬ。何で二倍にしなくちゃならぬ根拠があるのか。ただあなたの方は二倍、二倍と言って数字を合わせているけれども、なぜ二倍になるのか、どういう経過で信用金庫の二倍という線を出したのか、その根拠は何ですか。
  40. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 民間金融機関の二倍としていることについて、これが一・八倍でなぜいかぬのか、あるいは二・二倍でなぜいかぬのかという議論は十二分にあり得ると思います。しかしながら、先ほど御説明いたしましたように、公庫政策金融機関として、それぞれの法律に規定されておりますように、一般民間金融機関の融通を困難とする資金を融通すると、こういうたてまえになっておりますので、そういう政策金融機関としての特殊性を踏まえまして二倍という数字を決めたわけでございます。
  41. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、二倍というのはいいかげん当てずっぽうに、数字がラウンドナンバーで適当だから二倍と。なぜ一・五倍じゃいけないんですか、なぜ二倍にしなくちゃいかぬのですか。それが、引当金償却実績がもっと少なければわかるんですよ、この間の感覚が。そうじやなくて、償却実績の百倍も、国金なんかにすれば百倍も引当金を積んでおいて、それで二倍にしなくちゃならぬというのはこれ全然わからぬ。これがたとえば十倍だから、政策金融だから危ないこともあるから、それじゃひとつ二倍にしようというのならこれはわかる。百倍も違うんですよ。それでどうして二倍にしなくちゃならぬのか私はわからぬ。これは大蔵省の頭のいい方は全部わかるかもしれぬけれども、国民にはわからぬね、この論理は。どうなんですか。
  42. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生指摘のとおり、二倍というのは精密な計算根拠があってのことではございません。ただしかしながら、繰り返して申し上げて恐縮でございますけれども、一般民間金融機関の融通を困難とする資金を融通するというようなたてまえでございますとか、あるいは先ほど大臣からも申し上げましたように、これは公庫としては唯一の無利息の内部留保でございます。この内部留保があることが金利全体を低める要素にもなっているわけでございまして、そういうことを勘案いたしまして、また、かつて累積限度が千分の四十八であったようなこともあったわけでございますから、そのようないままでの実績ということも踏まえまして一応二倍が適当であろうかと、このような判断が現在下されているわけであります。
  43. 竹田四郎

    竹田四郎君 これ、全然根拠なしにあなた言っているわけですね。私どもを説得さしてくれる根拠があるなら、私は二倍でも五倍でも十倍でもいいですよ。根拠なしにこういうものをやって、片っ方ではあえて利益を出さないような、国へ納付ができないような措置をここでやっているわけですよ。おかしいと思うんですよ。国へ返せばこれがすぐ高い金になって返ってくるわけじゃ私はないと思うんですよ。いままでの一般会計からの補給金を見たってわかるわけだから。どうしてもこれは相当検討してもらわないとわからない。繰入率を高くすれば結局滞貸償却引当金への繰り入れが多くなる。したがって利益は計上されない、利益が計上されなければ国庫へ納めなくてもいい。こういうことで、ここでぐるぐるやって、どんどん積み立てて、実際上は多くしちゃっている。これはどうしたって国民は納得できませんよ。しかもこれが、後に政府の監督というこういう大きなバックがついているわけです。これは一回一般会計へ出して、一般会計からここへ入れる、これできないことないと思うんですよ。高い金にもならないわけです。公庫と大蔵省との、要するに紙だけで済むことですわな、一筆書けばこれで終わりだ。私はそういうふうにしてもらわないと、どうもこの公庫の問題というのは国民にわかりにくい。せっかく政府がやるなら、やっぱり国民にわかりいいような会計処理をして、利益があったら入れる、必要だったら出してくる、そういうふうにすべきだと私は思うんですが、なぜこれができないんですかね。だから今度の場合だって、繰入率を下げ、行政管理庁が言うとおり洗いかえ方式にした。それだって利益出てこないじゃないですか。なるべく国民から利益を出さないように、国庫へ納めさせないように、主計局だけ勝手にひとつ赤字で苦労しなさいと、われわれは知りませんよ、こんなことで一体財政危機が乗り越えられるのかと思うと私はもう情けなく思う。当然変えるべきだと思う、現実的に即したものに。必要だったら出せばいいんですよ。大蔵大臣どうですか。どうも私はわからぬ。いいかげんなことでいいかげんにやっているとしか国民に報告できない。
  44. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) いま竹田委員のお話を聞いておりますと、実は私どもが日ごろ銀行局などに申し上げておりますのと同じような立場でおっしゃっておられるように思いまして、大変ありがたく思うわけでございますが、御承知のような赤字財政でございますので、いろいろ工夫をこらさなきゃいかぬ、また、五十三年度予算編成に当たっても恐らくそういうことをやらなきゃいかぬということで、大変私ども貴重な御意見として拝聴しておったわけでございます。  ただ、貸し倒れ準備金を全然持たなくていいかというと、それはそういうことはないんだろうと思います。結局程度問題だろうと思いますが、いま政府から補給金を受けております公庫につきましては、千分の一というところで、民間よりもはるかに低い水準までいっているということで、問題は恐らく中小、国民という二機関が焦点になるんじゃないかと思いますが、私どもは、いままで中小、国民については、中小企業専門の金融機関でございますので、民間の中小企業専門の金融機関の倍という貸し倒れ準備率というところでやむを得ないのかなという感じを持っておりましたんですが、中小企業の専門ということを考えますと、やはり貸し倒れという不測の事態に備えなきゃいかぬ、あるいは良質な資金を供給しなきゃいかぬというような要請がございますので、その辺は特別な配慮が必要でないかという感じでおったわけでございます。しかし、いまの御意見もございますので、今後はなお検討さしていただきたいと思います。
  45. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、そういう貸し倒れ引当金をなしにしろと言っているわけじゃないんですよ。ある程度必要なことは認めるんですよ。そいつはもっと明らかにしていく。余りにも償却引当金のこの差が多過ぎるんじゃないか、このことを私は言っておるわけですよ。だからこれはぜひひとつ早急に検討して、財政危機の折から、私はもっと国民にわかるような方策を講じてほしい。  それから利益金のことなんですが、今度の当初予算で、開銀の場合にはたしか利益金の計上をしていますね、大体八割ぐらい。これは一つのめどだろうと思いますが、北東公庫はどうしてこれはやらないんですか。これだって利益金が出るということが当初わかっていたわけですからな。だからこれも同じように、決算のときになってぽかっと出て決算委員会の人がびっくりするというようなやり方でなくて、予算のときから、北東公庫についても利益金が出るならば、その全額ということはなかなか、いろいろな変化がありますからこれはできないだろうけれども、やはり利益が出るるものは出るとして、そしてそのうちのどのくらいは国庫に入れるんだということをやはりやる必要があるんじゃないんですか。今度の場合それやってないですね、全然。北東公庫には幾らですか、利益が出ますが、八億五千三百万円ですか、当初予算ではそれだけのものが出る。しかし、産投会計のところには開銀の百五億ですか、これしか計上してないですね。北東公庫では利益が出ると言いながらこれは入れてない。これも私は不親切というか、やっぱりやっておかなくちゃならぬ問題だと思うんですが、そこは入れてない。今度あれですか、補正でやっと入れるということになっておるわけですが、こういうことも私は国の予算のあり方で、利益が出ているということが明らかなのに、それを当然産投会計へ戻すということをやってない、これはおかしいと思うんですよね。だから、八億円ですからその八割として六億ぐらいは私は産投会計の方に計上してしかるべきだと思うんです。どうなんですか。
  46. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 開発銀行北東公庫国庫納付の取り扱いが若干異なっておりますのは、開発銀行につきましては半期半期で概算納付をさせる仕掛けになっておりますので、上期の分は全部入れる、下期の分は八割の概算納付の分を当年度の歳入、あとの二割というものは結局ずれ込んで翌年度の産投会計の歳入になるわけでございます。そういうのが従来のやり方でございますが、北東公庫につきましては、一年決算でございますし金額もそう大きくありませんので、一年ずれずれで取っておったというのが実情でございますが、今回はああいう、いま御審議願っておりますような特別の措置をとりますので、当該年度で取るということにしたわけでございます。その点の取り扱いの差は、やや沿革的なものもございますし、それから多少何と申しますか、弾力性を持たした運営というような面もございますが、今後の検討課題だと思います。
  47. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういうふうに、私はやるべきことはやっぱりやってほしいんですよ。あなた方はそれは細かいところをずっと見ているからわかるんだけれども、われわれは予算の議決の対象にもなってないようなそういうところへちょこちょこっと書いてある程度のもので、率直に言ってなかなか目を通しにくいんですよ。だからやるべきことはぴしっと私はやってほしい。こういうことも今後改めてほしいと思うんですが、いま私の時間がありませんから次の問題へ移ります。  この前予算委員会で、私ども社会党として、開銀、輸銀、北東公庫予算書を出さないというのはけしからぬということを、私もうちの党もこれは主張したわけです。まあ予算は通りましたから、いまからほえても、あの野郎適当にほえさしとけというのが皆さんの方の立場だろうと思うんだけれども、しかし、私はこの間の大蔵大臣の予算委員会の説明納得しません。なぜ納得しないかという根拠は、今度はこの会計いじったんでしょう。出した分は資金運用部から借り入れをしたわけでしょう。それだけは利息を払わなくちゃならぬわけでしょう。それがただ一般金利引き下げという状況によって過去の借入金に対する利子が下がったから合計したらマイナスになった、これはたまたまマイナスになったということだけだとぼくは思うんですよ。  私は特に明らかにしておきたいんですが、一般金利の引き下げがあったからこっちの数字が変わりたというなら、そうやかましいことは言わぬです。非常に他動的というか、パッシブなあり方ですからこれはいいですよ。しかし、今度は会計そのものをいじったわけでしょう、ここに問題があったわけですよ、主体は。それにたまたま金利引き下げというものがここへ加わったわけですよ。主導は会計そのものにあったわけです。そういうことであれば、私は当然これはこの面も国民に明らかになるように予算書を出すのがあたりまえじゃないか。それはプラス・マイナスしたら金額が低くなったんだから出す必要はないんだと、こういうことには私はならぬと思う。そういうやり方をやればやるほど、だんだん財政というものが国民から遠いところへ行っちゃう。これで数年後には新しい税制を組み込むことを考えざるを得ないでしょうけれども、こういう状態をやっておく限りにおいては国民だってわかりませんからね。この辺は私ははっきりさせてもらわなきゃいかぬと思う。法的な問題より政治的な問題だと私は思う。法的にも私は完全にこの点は納得しているわけじゃありません。政治的にはもう全然納得しない。これからはこういう問題は私は起こり得ると思うんですよ、今後。明らかにしてほしい。
  48. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 予算委員会でいろいろ御議論いただきました問題でございますが、その際にも申し上げたところでございますが、今回問題になっております輸銀等の三機関の収入支出予算そのものはいじらなかったわけでございます。収入支出予算は、金融機関でございますんで、金融の貸し借りそのものを収入支出にする仕掛けになっておりませんで、その金融業務に伴って生じます、たとえば借入金の利子が歳出に立つとか、貸付金の利子が歳入に立つとか、あるいは人件費等の事務費が歳出に立つとかいうような、そういう面を収入支出予算として国会の御議決を仰いでいるわけでございますんで、今回は、いま竹田委員指摘のとおり、歳出面で、支出面で増額をお願いする要因がございませんでしたので、補正をお願いしなかったわけでございます。まあ、公庫等の予算・決算に関する法律あるいは輸銀法、開銀法の規定を見ましても、必要な場合には補正予算提出することができるということになっておりまして、そのような場合に法律上補正予算提出しなければならないことにはなっておりませんので、私ども違法の問題はないというふうに考えております。  それから、たとえば借入金の限度額が今回の特別措置によって変わるわけでございますが、そういう面につきましては、借入金の限度額の増額等につきましては予算総則をもって御審議を仰いでおるということもつけ加えさせていただきたいと思います。  それから、私ども実はいまの先生の御指摘の点は非常に予算書をつくる段階で気にしていたわけでございまして、収入支出予算を御提案申し上げるということにはならないけれども、今回法律までお出しいたしまして特別の措置を講ずるについて、三機関の財務内容がどうであるか、あるいは経理内容がどうであるかといったようなことを御審議の御参考にどういうかっこうかで提出しなきゃいかぬのじゃないかというんでいろいろ工夫いたしまして、結局は予算の説明という、補正予算説明というのをいつもお出ししておりますが、その中に三機関の財務内容を掲げておりまして、これで御審議の御参考になればということで、われわれとしては精いっぱい工夫したつもりでおったわけでございます。
  49. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは、バックグラウンドも違うんですよね。これはまあ古いことだから私申しませんけれども、要するに、われわれとしてこうしろということを言っていたわけですよ。あなた方の方が外的要因でやったわけじゃないんですよ。しかもそれが、予算書提出することができるんだから、禁止しちゃいないんだから、出してはならないということになっていないんだから。ぼくは政治的にも当然出して、国民財政がわかるようにすべきだと思うんですよ。それを、ただ単なる幾つかの説明をしたからそれでよろしいということには私はこれはならぬと思うんですよ。しかも、あなたたちはどこへそういう話持っていったか知りませんが、提案者の方には一向に説明なし、一遍にぽかんと出してくる。率直に言ってこういうものというのはわかりにくいんですよ。一般会計と違いましてね、非常にわかりにくいんですよ。だから、私は政治的にこれは今後出すようにすべきだと思うんですけれどもね。これはひとつ理事の方でこの問題については取り扱ってもらいたいと、こう思うんですよ。とにかくいままでずっとやっていることが少し変わるならいいですよ、新しくこういうことをやったんですからね。  それに、その前例というのはあるわけですよ、前にも。これと同じわけじゃありませんけれども、食糧管理会計のことで、私も議事録を読んでみましたけれども、これは昭和四十四年の二月の四十三年度補正予算のときに、一般会計から食管会計が赤字になるからというときに金を出したわけですよ。このときも三百何億ですかの金を出しているわけですね。そして、いろいろな議論をしておりますよ、鳩山さんと福田さんと北山さんで。言うならこれは反対のようなことですよ、問題はね。おおよそ反対のようなことです。そして最後に、当時の福田総理は、この問題は、読みますと、「今回の補正予算の扱いは、これを前例といたしません。」とはっきり言っているんですよ。ただそれだけじゃなくて、「なお、今後補正予算の扱いにつきましては、皆さんの御意見を十分尊重し、検討いたします」、ここまで約束しているんですよ、八年前に。こういうものは全然生かされてないんじゃないですか。そういう点で私はきわめて遺憾だと思うんですよ。こういうことは今後も行われる可能性は私はあると思うんです、いまのような財政事情の中で。だから、少なくとも大きく変えるときには私は予算書を出すべきだと思うんです。これは確かに出さなければならないという規定じゃないですよ。それだけれども、私はやっぱりそう大きく変えたときは、少なくともそのときは予算書を出して、こういうようにいたしました——内容については私ども反対しているわけじゃないんですよ、決して。誤解されちゃ困るけれども、内容については、私どもは提案したことがかつてあるわけですから、反対しているわけじゃないんですよ。しかし、国民にわかりやすく、財政民主主義を貫くという意味では私は出した方がいいし、あなた方もそういうものは大蔵省の中の密室でなくて、やっぱり国民に明らかにして財政について御協力を求めるという態度がなければ、これからの財政は私はやっていけないと思うんです。  そういうことを考えると、これは終わっちゃったことですから、時間があれば私は予算委員会でもう少しやりたかったんですが、時間がなかったものですからやりませんでしたけれども、私はこういう時期には当然できるという規定があって、やってはならないということじゃありませんから、私はやるのが財政民主主義の立場からいっても、国民によりよく理解していただくためにも、私は出して、大蔵省はそれによって間違いを犯したということにはならぬと思うんです。進んでそういう点においては私はやってもらわなくちゃ困ると思うんです。  今度のこの問題をどう結末をつけていくか、これはさらにひとつ理事会あたりで十分検討していただいて、今度のこの教訓をどうするのかということをやっぱり残してもらいたい、こういうふうに思うんですが、大蔵大臣、どうですか。
  50. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 財政民主主義と申しますか、国民に広い意味で国の予算のことをよく理解していただくという努力はますます必要になってきていると思うわけでございますが、今回の問題について申しますと、問題は、収入支出予算の問題というよりは利益処分の問題であり、あるいは、たとえば繰り上げ償還という、収入支出以外の要素の問題であるということでございますので、よく理解していただきますためにも収入支出予算をお出しするということが本筋かというと、そうではむしろないんで、三機関の財務内容あるいは資金計画といったようなものをお示しする方が実態的に御理解いただける筋ではないかというふうに思うわけでございます。われわれもそういう意味で国民に御理解いただく、あるいは国会の御審議の便になるようなことを努めるということはこれからもやっていくつもりでございますけれども、当然のことでございますが、いまのお話でございますと、どうも収入支出予算を出すのがいいのか、あるいは、いま申しましたような財務内容を明らかにするような資料をお出しするのがいいのかと申しますと、どうも私どもは後者の方ではないかと思いまして、十分でなかったかもしれませんが、そういう方法をとらしていただいたということなんでございます。
  51. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 大分厳しい御指摘を受けたのでございますが、この件に関しましては、実は事前に各党の政策審議会の会長さん……。
  52. 竹田四郎

    竹田四郎君 その問題はいいです、解決しているから。
  53. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) お集まりを願って、そして三機関からこの特別財源を、これを納付さすことによって財源にするということにつきましては一応御説明を申し上げまして、そういうようなことでございますが、もっと大蔵委員会やあるいは広く新たに御説明を申し上げれば、これはもうそれが一番よかったことと思いますけれども、一応そういう経過をたどっておりますので、何分ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  54. 竹田四郎

    竹田四郎君 もう時間過ぎましたから、私はそのことはきょうは余り問題にしてないんですよ。この前あなたが予算委員会でちゃんと文章を読みましたから、そのことをいま私は蒸し返そうとは思わぬですよ。ただ、財政民主主義の立場から、私はそういうものが出て初めて国民の目もわれわれの目もその問題に深く入っていくんですよ。予算が出ないで説明だけということになりますと、これはなかなか大蔵省の出している文章って長いものですよ、一回ぐらい読んだんじゃとてもわからぬですわ。だから、むしろそれは進んで国会の審議に供すると、そうすべきだということを私は大蔵大臣に聞いているんですよ。  過去のことはもう私は聞いているわけじゃないですよ、いま。そのことを蒸し返せばまた長くなりますから、私は蒸し返しません。そういう財政民主主義の立場というものを貫くべきじゃないか、これからますます苦しい財政事情にあるときに、もう進んでおれのところの蔵はこれだけしかないよとわかるように私はやっていかないと、どうも政府関係機関のことというのはわかりにくいですわ、そういうことは進んで国民に明らかにするような態度をぼくは大蔵大臣として持つべきだと思うんですよ。あなただってまだ大蔵大臣長くやらなくちゃならないんだから、どこかの大臣みたいに、もう十一月になれば何だかんだとあなた言っていらっしゃらないんだから、そういう財政民主主義を私は当然貫いていくべきだ、そのことを大蔵大臣はどう考えているのか、そのことを聞いているんですよ。大臣答えてくれないと困るんですよ。
  55. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 仰せのとおりですけれども、これはやっぱり財政というものは民主主義でいかなければならないということは私も深く胸にこたえております。そういうようなことで、できるだけ御趣旨に沿うようなことについてこれから検討してまいりたいと、かように考えております。  なお、そういうようなことは予算には書かなかったけれども、繰り返して申しますけれども、事前にお話を申し、各党に申し上げた、今後もそういうことはぜひやってまいりたいとかように考えます。
  56. 竹田四郎

    竹田四郎君 終わります。
  57. 穐山篤

    ○穐山篤君 先日の予算委員会で、大蔵大臣発言要旨が配られまして、これ以上追及するつもりはありませんが、筋の問題ですから、発言要旨の第三項について見解を伺いたいのです。  この要旨を静かに読んでみますと、追加財源を確保するために引当金の率を下げ、あるいは財源を捻出をしたと、こういうふうに要旨書かれているわけです。しかし、過去の経緯から言えば、二つの銀行あるいは当の公庫引当金のあり方の問題についてずっと議論がされてきているわけでありますので、本来の筋から言えば、運用制度の改正という立場に立って貸し倒れ引当金の率を下げた、その結果財源が千五十八億円捻出をすることができたんだ、こういうふうに筋を立てなければおかしなことになると思うわけなんです。この文章では遺憾の意を表しておりますから、それ以上追及するつもりはありませんが、筋は筋として立てていただきたいと思いますが、その点大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。
  58. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) これまでの公庫等の貸し倒れ準備金については、関係法令その他企業会計処理一般的な考え方から見まして、それはそれなりに妥当なものだと、こういうふうに考えております。今回貸し倒れ準備金について輸開銀について繰入率の見直しを行いましたが、これは公庫貸し倒れ準備金の積み方が現行会計上のあり方から見て不適当であるというよりも、十月二十一日の予算委員会で御説明申し上げましたとおり、大変厳しい財政事情のもとにおいて財政の節度を維持しつつ、公共事業等の追加財源を確保するために実施したものであるということをお答え申し上げます。
  59. 穐山篤

    ○穐山篤君 二つの銀行あるいはその他公庫の貸し倒れの過去の状況を見ましても、一、二あったことは私も記録でわかりますが、現在の引当金というのはもう現実離れをした引当金であることは客観的に明らかだと思うんですね。したがって、今回こういう措置を三つの問題についてとりましたけれども、来年度の全額政府出資の金庫公庫貸し倒れ引当金、あるいは先ほど竹田委員からも御指摘になりました膨大な償却費というものについて、先ほど検討をするというふうに言われているわけですが、これは一昨年の野党の共同修正提案から考えてみても、もはやこの段階で検討の結果を明らかにすべき時期に来ているものと思います。先ほどの御答弁では、さらに検討を続けるというお話がありましたが、私どもとしては、その検討の経緯なり結果というものを、予算編成までに中間的にも報告をしてしかるべきだというふうに考えますが、その点についてのお考え方を明らかにしていただきたい。
  60. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 政府関係金融機関貸し倒れ引当金あるいは滞貸償却引当金の繰入率につきましては、先ほどからいろいろ御説明申し上げたところでございますが、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、年度の途中において景気回復を策するという財政上の緊急の必要性という観点から、輸開銀につきましては貸し倒れ準備金の率の見直しを行いまして、民間金融機関と同じ率に手直しをしたわけでございます。  これからの検討の問題でございますが、これも先ほども申し上げましたように、一般的な金融情勢、客観情勢はむしろ厳しい方に向かっているわけでございます。開銀にいたしましても、あるいは中小、国民にいたしましても、これから構造不況業種その他不況産業に対する貸し出しというのがだんだんふえてまいりますし、また、一般のそれ以外の企業につきましても経理内容は必ずしもよくないわけでございまして、潜在的には貸し倒れ的なものの率はむしろ以前より上がっているわけでございます。したがいまして、そういう客観情勢にあることも踏まえましてこれから検討してまいりたい、このように考えております。
  61. 穐山篤

    ○穐山篤君 私の聞いているのは、当然これは政府の義務として研究をしなきゃならぬわけですが、いつまでも研究ということではならないと思いまして、少なくとも年内に予算編成を、原案を作成をするとするならば、その前にひとつこの種問題について国民の前に考え方を明らかにする、あるいは検討の方向なり経緯というものを明らかにすることが、いままでの経緯から考えてみて私は一番大切ではないか、そのことを指摘をしているわけです。単に抽象的に、さらに引き続き検討をするというだけでは非常に不満でありますので、その点も改めて強く追及をしておきたいと用います。  さて、政府系の金融機関の金利の下限上限について、ごく簡単に明らかにしていただきたいと思います。
  62. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 政府関係金融機関でございますが、下限上限という取り決めをしております規定は特にございません。輸出入銀行につきましては、業務方法書におきまして六%から九%の間というような規定がございますが、それ以外の金融機関につきましては、基準となる貸し出し金利が一応規定されておりまして、これにつきましては、御承知のとおり、現在は七・六%になっているわけでございますが、それ以外の貸し出しにつきましては、それぞれの貸し出し内容に基づきまして個々に金利が決まっております。したがいまして、上限下限というような決め方はそれ以外の金融機関にはないわけです。
  63. 穐山篤

    ○穐山篤君 その点は、後で資料でいただきたいと思います。  先ほどもお答えがあったわけですが、内部留保をたくさん行うという意味で、かなりボリュームの多い金がそれぞれの銀行あるいは公庫にあるわけですが、理屈から言えば、コストの低い金を準備をするということになるだろうと思う。しかし、実際に借りる人の立場から言うと、金利にしろあるいはその他の融資条件が、できるだけ借りる者の立場から言えば有利にということを期待をするわけですね。貸し出す方の銀行なりあるいは公庫は、かなり多いものを持っているわけですけれども、内部留保をたくさんやっているということ、あるいはやろうとしているということは、いま申し上げましたように、近い将来金利を安くして借りやすくする、あるいは融資条件を緩和をする、そういうふうな見通し、展望があって年々この内部留保の金を積み上げてきたのかどうか、その点の因果関係をはっきりしてもらいたい。
  64. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、政府関係機関の貸し出しにつきましては、量的な問題のほかに質的な問題があるわけでございまして、特に金利の面であるとか担保繰りの面であるとか、そういう面が特に中小企業にとっては非常な重要な問題でございます。そういう意味で、先ほどいろいろお答え申し上げましたように、滞貸償却引当金その他無利息の資金があることによって、運用部の借入金利を薄めまして低い金利を出しているわけでございます。具体的には、本年四月以来、貸付原資である運用部借入金の金利は一%しか下がっていないわけでございますけれども、貸付金利は一・三%の引き下げが行われておるわけでございます。
  65. 穐山篤

    ○穐山篤君 政府系の銀行公庫、まあ設立がかなり古いわけですよね、ほとんど昭和二十年代。その後のものはごく最近設立をされているものですが、ずっと毎年の予算総額全体あるいは貸付勘定の推移を計算をしてみますと、年々高くなっているわけですね。これは利益金をそのまま国庫に返さずに翌年に入れている、あるいはまた、新しく国が貸付枠をふやしている。いずれにしてみても、どんどん漸増をしているわけです。中でも、高度成長のときと言われました二、三年の間も、これまた同様にそれぞれの銀行公庫の予算総額というものが、あるいは貸付勘定が多くなっているわけですね。  ところが、この二、三年の経済を見てみますと、政府政策の上から言ってみても、安定成長に指向をした、あるいは安定成長の中で日本は生きるんだということをしばしば総理大臣は言っているわけですが、その国の政策とこの政策金融との間には余り関連がなく毎年毎年増額をされていると私は数字の上から判断をするわけです。その点についての考え方を明らかにしてもらいたい。
  66. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) お答えいたします。  政府関係機関の融資は、一般政策金融と言われますように、そのときそのときの政府の重点的な施策を反映すべきものでございますし、これは先生指摘のとおり、そうすべきものでございますし、また、現実にそのような形で行われているわけでございます。  たとえば、中小金融関係の三機関の貸し出しでございますが、本年度は前年対比一八%の伸びとなっているわけでございまして、これは御承知のとおり、相互銀行、信用金庫あたりの中小企業金融機関の伸びは一〇%、十数%にとどまっているわけでございまして、それを大きく上回って貸し出しが行われることになっております。こういうところの、たとえば現在のような経済金融情勢のもとで、中小企業の基盤の強化あるいは業種の構造転換ということが大事なものであるということを反映して、そのような策定が行われているわけでございます。
  67. 穐山篤

    ○穐山篤君 時間がないので余りきめの細かいお答えがいただけないようですが、抽象的には私はそういう回答だろうと思うんです。  そこで今日、総理大臣がよく言います六・七%時代あるいは六%台というこの成長率の中における政策金融政府系の銀行の社会的責任というものは、単に抽象的なものでなくて、もっと具体的にしなければならないというふうに思うわけです。これはすでに銀行関係の審議会でも、この安定成長下における銀行の役割り、社会的責任というものが議論が始まっているようですけれども、しかし国会としては、国が資金を出して政策金融をやっているわけですから、少なくとも、この十二の銀行なり公庫の今日的な社会的な役割りというものは何だということをもっと明確にすべきではないかというふうに思いますが、その点もう一度お願いをしたいと思います。
  68. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) その点はまさに御指摘のとおりでございます。それぞれの政策目的を持ちまして、中小企業金融であるとかあるいは住宅金融であるとかそのほか環境衛生関係、それぞれの金融機関があるわけでございますけれども、それぞれの金融機関におきまして、それぞれの政策目的を十分に果たすように資金が計画が策定されているわけでございます。それからまた、個々の金融機関の内部におきましても、たとえば開発銀行とか輸出入銀行その他かなり幅の広い融資をしているわけでございますけれども、たとえば開発銀行をとりましても、総融資に占める比率で申しますと、国民生活改善関係の資金が四十七年には全体の一〇%でございましたが、五十二年には三〇%に上がっているわけでございまして、そういう意味で新しい国民のニーズに合わせた、あるいは国民経済構造の変化に合わせた融資が行われるように、政府といたしましてもかなり指導しているわけでございます。
  69. 穐山篤

    ○穐山篤君 それでは話題を変えたいと思いますが、円高の問題です。  九月三日に政府が総合経済対策を発表した時点では、たしかレートは二百六十七円前後ではなかったかというふうに思います。その当時のレートから考えてみまして、この円高問題については多少懸念があったと思いますけれども、基本的な重点対策目標に入っていなかったわけですね。その後、この円高問題が急速に変化をしたために、いまや具体的な対応を迫られているわけですが、この一週間あたりの状況を見ておりますと、二百四十九円とか二百五十円というふうにかなり変化をしております。また、政府にしろ業界にしろわれわれにしろ、一円下がった、一円上がったということを一喜一憂しなければならないほど影響があるというふうに思うわけです。  そこで、これからレートが九月三日発表した当時の二百六十円台というふうなことを想定ができるかどうか、あるいは二百四十円台から二百五十円ぐらいのところで低迷をするのかどうなのか、この見通しについてまずお伺いをしたいと思います。
  70. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御指摘のように、円ドル為替が最近に至りましてまた大変な円高、ドル安というような実況を呈しております。これは、何と申しましても、やはり基本的にはわが方の輸出が非常に堅調であって、アメリカの将来のドル安ということが予想されるということでこういうことに相なっておると思いますが、円高が今後長期に続いてまいりますと、わが方の輸出の量がだんだん減ってくる、輸入がふえてくるということになるわけでございますけれども、そういうことはこれは大変なタイムラグを要することであり、またそういったような、どういう規模になるかということを予想しろとおっしゃられても、なかなかこれはむずかしいことであろうと思います。  しかし、この状況を一体どういうふうに直接レート、水準を維持していくとか、あるいはある一定の方向にこれを誘導していくというようなことは、いまのフロート下におきましてはこれはなかなかできないということでございまして、そういうようなことから考えまして、予想をどの線に置け、置いたらどうだということにつきましては、ここでなかなかこれを申し上げるということはできることではございませんし、また、たとえできても、予想をするということは私の口から申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  71. 穐山篤

    ○穐山篤君 このレートの問題について日銀が介入をする、これも当然のことだろうと思います。しかし日本政府としては、少なくとも六・七%というものを国際的にも内外に明らかにして、国際的な責任を負っているわけですね。それと関連をして、当然為替レートの問題が、円高になってただ被害をどう払いのけるか、あるいは影響のある業種、産業あるいは地域に対してどういう手を打つかというだけではきわめて消極的な対応策にしかならないと思う。政府として、この問題を解決するためにどういう道をとれば円高問題についてある一定の見通しをつけることができるかという具体的なものがなければ、国民全体は安心ができないというふうに思いますが、なかなかそれは国際的なかかわり合いがありまして、秘中の秘のこともあるだろうし、あるいは対策の立てられない部分もあると思いますが、現在考えている具体的なものは何か、そのことについて明らかにしてもらいたい。
  72. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 現在考えておりますことを基本的に申し上げますと、何回も申し上げておりますけれども、総合経済対策を決めましてそれを着実に実行する、そのために先般成立を見た補正予算というものを、これもできるだけ早く本年度のうちに必ず消化するというような問題、それからまた対外経済政策といいますか、これも実行をしていくということだとか、最近いろいろ考えておりますけれども、何といたしましても輸入でございますね、それを刺激をいたしまして、たとえば東京ラウンドに先立ちまして——基本は東京ラウンドでございますけれども、東京ラウンドに先立ちまして、輸入の何と申しますか、前倒しといいますか、そういったようなことをいま政府は鋭意これを考えまして、できるだけ速やかにそれを実行してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  73. 穐山篤

    ○穐山篤君 仮に、レートが二百五十円でしばらく続くということになったといたしますと、当然成長率に重大な影響があることは間違いないと思いますね。総合対策を立てられた二百六十七円当時、現在二百五十円前後というところのようですが、この関係でいきますと成長率はどのくらいダウンをすることになるんでしょうか。
  74. 澤野潤

    政府委員(澤野潤君) お答え申し上げます。  先生のおっしゃいますように、円レートは八月から九月末にかけまして大体二百六十六円前後で非常に安定的な推移をたどってまいりましたが、総合経済対策をとります前後から、まあ、そのころもまたやはり二百六十六円であったわけでございますけれども、九月末から十月にかけましてかなり急激な円高傾向というものが出てきておるわけでございます。したがいまして、この為替レートの円高ということが長期にわたりまして続くということになりますと、これはやはり輸出数量が減少し、輸入の数量を増加させるという効果はあると思います。  そうした効果が実際にあらわれるのにどれくらいの時間がかかるか、これはなかなかむずかしい問題もございまして、まずその第一にタイムラグはどれくらいあるかという問題、それからその効果はどの程度であるかという問題がなかなか推測することはむずかしいわけでございまして、そんなに早くあらわれるとは思ってないわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、去る九月三日に決定いたしました総合経済対策、これをなるべく速やかに実施に移しまして景気の着実な回復ということを図ってまいりたいと思ってるわけでございまして、それをやってまいりまする以上、五十二年度におきましては例の六・七%という実質経済成長率というものは十分達成できるのではないかと考えておるわけでございます。
  75. 穐山篤

    ○穐山篤君 総合経済対策、七%推進をする、多少効果があらわれるのは遅くなるけれども六・七になるものと思うというふうに言われたんですけれども、単純な計算でいきましても、二百五十円という数字がしばらく続くとすれば、計算の上から言えば〇・三ぐらいのダウンにならざるを得ぬじゃないかというふうに考えます。金額にして、素人目の子勘定で言ってみても八千億から八千五百億円ぐらいの影響を受けるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  76. 澤野潤

    政府委員(澤野潤君) お答え申し上げます。  ただいま申しましたように、確かに長期にわたった場合でございます。それがタイムラグをある程度持った上で影響があらわれてくるということは、それは事実そうだろうと思います。しかし、それがいつごろからどの程度と申しますか、いま先生がおっしゃいましたように〇・三ぐらいという程度であるのかどうかということについては、現在の段階では予測することは非常にむずかしいということでお答え申し上げたわけでございます。
  77. 穐山篤

    ○穐山篤君 前回の大蔵委員会で、円高にかかわることについて関係機関が実態調査をいま始めたと、こういう御報告をいただいたわけですが、たしかあれは七十六地区ですか、その調査のすべては終了はしていないんだろうと思いますが、その中間的な実情を明らかにしていただきたいと思います。
  78. 中沢忠義

    説明員(中沢忠義君) 中小企業庁でございますが、いま先生指摘のように、七十六産地につきまして十月下旬から各県と連絡をとりまして調査に入っております。この結果につきましては、十一月半ばごろに集計が出ると思います。従来は二十二産地を対象といたしまして、七月以降数回にわたりまして調査をしておりますが、一番最近の時点で結果が出ておりますのは十月の調査でございます。  その調査では、特徴的に申し上げられますのは、一時落ちついておりました成約の回復状況が、十月初旬からの円高傾向によりまして再び為替相場の先行き模様ながめということから発注率が落ちておるということで、十月上旬の状況では通常の水準に比べ受注残の減少ということが出ております。  以上でございます。
  79. 穐山篤

    ○穐山篤君 早く調査の結果を明らかにして、対応をとにかく急がなければならぬというふうに思うわけです。  さて、そこで対応の問題なんですけれども、先ほどの御答弁では、できるだけ総合経済対策の実効が上がるように努力したいと。そのことは当然だろうと思いますし、国民もそれを期待をしていると思う。しかし、現実の円レートというのは一番最悪な事態にありますし、よくなりたいという気休めの気持ちはあったにしてみても、対応対策としては、二百四十円あるいは二百五十円前後というものがしばらく続くという、そういう展望に立って対応対策をつくらなければ、これは気休めで、業界やあるいは産地やあるいは働く人たちに気休め的なことを言ってみても私はしょうがないと思うんですね。ですから、厳しい立場で対応をぜひしてもらわなければならない。  その立場から若干の質問をしたいわけですが、すでに予約があったところも発注がとまった、あるいは予約がその後ない、だから勢い生産を縮めなければならないし、落とさなければならない。まあ出血をやるとするならば赤字覚悟でやらなきゃならないわけなんですけれども、ほとんどの業種業界に聞きましても、出血はしたくないという気持ちですね。そうしますと操業を縮めるあるいは停止をするということになれば、結果的には機械をとめる、労働者を解雇にするかあるいはいろんな方法があるだろうと思いますが、合理化をせざるを得ない。現実に若干の地域歩きましてもそういう状態が起きているわけです。  さてそこで、この円高に伴う労働者の救済の問題です。これは不況業種の問題にプラスアルファとして加えられ、つけ加えられているわけですから非常に深刻であります。たとえばある業者が銀行に金を借りに行った。ところが、融資の条件の中に労働者を幾ら幾ら要員を削減をしなければ金を貸さない、そういう条件がついているところが非常にふえてきたわけです。これは労働省にもすでに駆け込みを行っている業者もあるいは組合もありますけれども、今度の臨時国会の性格というのは景気浮揚と同時に失業対策、雇用対策というところに中心があるわけですが、せっかく国会で議論をして金を捻出をして予算の補正を行う、あるいは公定歩合を引き下げるというあらゆる手段方法を通しましても、出先のところでは親の気持ちが十分に伝わらない。現に伝わっていないわけですね。その銀行融資のあり方の問題について、少なくとも今日は物の考え方、発想を変えなければならないというふうに考えますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  80. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) こういう不況の時期における民間金融機関融資のあり方でございますが、確かに先生指摘のとおりでございまして、金融機関というのは融資に関してはスペシャリストでありプロであるわけでございますから、相手の内容が危なくなったからと言ってすぐに手を引くようでは、これは本来の機能を全うし得ないわけでございます。そういう意味で、これからまさに金融機関経営者としては本来の金融機関としての機能を発揮する正念場に来ているわけでございます。特に、先生指摘の雇用問題との関連でございますが、これは先般来申し上げておりますように、今回の公定歩合引き下げに関連いたしまして、今回の公定歩合引き下げの目的というのは雇用の安定維持にあるわけでございますので、企業と金利引き下げの交渉をする際には、相手方企業にその趣旨を十分伝達するようにということにつきまして、公定歩合引き下げの直後に、全銀協の会長以下各金融機関の代表者を呼びまして、十分にその点は示達した次第でございます。  それから、ただいま先生の御指摘になった融資に当たって人員整理を条件とするようなことがあるのではないか、こういう問題でございますけれども、民間の金融機関としては、御承知のとおり、大事な預金者の預金を融資しているわけでございますから、融資先の企業の内容の健全性について関心を持つこと、これは当然でございますけれども、しかし、金融機関として労使問題に立ち入るべきではないことはもちろんでございますし、また、経営者の意思に反して人員整理というようなことを条件にして融資をするということが好ましくないということも、これもそのとおりでございます。  したがいまして、特に先般各金融機関の団体の代表者を呼び集めまして、この点については特に十分に配慮するよう示達いたしまして、その点各金融機関も書面をもって管下に流しているわけでございます。そういう面で、雇用問題については大蔵省といたしましても金融機関の指導に当たって十分に配意しておりますし、これからもそのような指導を続けていきたい、このように考えております。
  81. 穐山篤

    ○穐山篤君 代表を集められたし通達を出したという話は聞いておりますが、しかし、それが具体的に担保されるかどうか、保証力があるかどうかというのは全く見当がつかないわけですね。ですから、たとえばの話ですけれども、融資の条件に労働者をどのくらい首を切りなさい、そうしなければ低利の融資はしないというふうな事件が現にあるわけですが、それを救済するにはどこかで保証してやらなければいかぬと思うんですね。  一案ですけれども、たとえば財務局なり財務部に苦情窓口といいますか、駆け込み口といいますか、そういうものをつくって具体的にこの保証をきちっと行わしめるという措置がなければ、単にそれは指導したということだけで終わってしまうと思うんです。私の言いたいのは、この厳しい状況はわかりますけれども、公定歩合を下げたり予算の補正をしたりいろんな苦労をしているときに金貸しの条件として首を切る。一番簡単なやり方ですね。ですからそれを排除するために、たとえば日銀の支店だとかあるいは財務部というものが窓口になって、そういう苦情があるならば具体的に持ってこい、こういうふうな措置を考えてもいいときではないかと思いますが、そのことについて考え方を明らかにしてもらいたい。
  82. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生指摘のとおり、単に示達しただけではそれは効果は余り期待できないわけでありまして、そのフォローアップも非常に大事でございます。実はこの点につきまして、先月の二十七日に全国の財務局の理財部長会議がございまして、その席上でこの問題を取り上げまして、理財部、各財務部においてもこの問題についても金融機関を十分指導するように指示してございます。また、その後検査その他につきましても、そういう機会をとらえてそういう問題がないかどうかについてこの点も指導を重ねていきたいと、このように考えております。
  83. 穐山篤

    ○穐山篤君 これは少し古い話になりますが、例の狂乱物価の際に三木総理は政治姿勢として、悪質な業者の売り惜しみというふうなものが横行しているのでこれを何とかしたいという、その政治姿勢として目安箱を考えたわけですね。これは直接それがどれだけ効果があったかということは計算の上では明確でないにしてみても、私は政治的には非常に効果のあった方法だと思う。それにならうつもりはありませんけれども、常に労働者がその犠牲になっているというのは何としても耐えられない状況でありますので、駆け込みの具体的な処理、不満の具体的なはけ口、窓口というものをつくることが福田内閣の政治姿勢として一番私は必要ではないか。その方法はいろいろあります。しかし、単なる指導でなくて具体的な窓口というものを改めてもう一度お伺いをしておきたい。
  84. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 御指摘のような窓口を活用することは非常に大事だと思います。現在御承知のとおり、両建て歩積みに関連いたしまして中小企業に関するもろもろの苦情を承る相談所が各財務局、財務部にございますので、その周知徹底をさらに図りましてそれを活用してまいりたい、このように考えます。
  85. 穐山篤

    ○穐山篤君 まだ私は不満なんですけれども、たとえば、まあたとえばというよりも具体的にいま東京都内でも起きておりますし、その他日本全国でたくさん紛争が起きているわけですね、現実に。経営者としても何とか再起再建をしたい、低利の融資を借りたい、あるいは無担保のものをほしい、これは本当に精いっぱいの努力をしているわけですが、その努力がどうしても報いられないわけですね。国全体がいま緊急事態に対して知恵をしぼっているんだと、私はそういうことを具体的にするために窓口というものを提起をしたわけですが、しかし、それも窓口がありますよというだけでは政治的な効果というもの、あるいは具体的な成果というものを生むことはできないと思うんです。  一例ですけれども、政府が今度こういう駆け込み機関をつくったと、あるいは苦情の受け付け場所をこういうところに設置をした。企業の秘密は守るけれども、心配なところ、問題のところは駆け込んでこいよと。そういうことを新聞その他で広告をすることが、このむずかしいときを乗り切る政府の政治的な私は姿勢ではないか。ですから、もう一歩もう一歩前へ、先の努力をしなければならないし、その努力の方向を国民の前に明らかにするということを私は提案をしているわけですが、大蔵大臣、ひとつ見解を明らかにしてもらいたい。
  86. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 御指摘の点につきましては、十分承りまして、特に商工会議所であるとか商工会との連携も非常に大事だと思いますので、その辺との連携を進めまして、広報活動、そういうものの存在ということを十分に徹底させまして、中小企業者の苦情について前向きに受けとめるように検討してまいりたいと思います。
  87. 穐山篤

    ○穐山篤君 労働大臣がおいでにならないんですけれども、いまの問題に関連をして、雇用のことについてお伺いをしたいと思います。  不況業種、あるいは円高によります影響、これはすべて最後のところになりますと雇用の問題になるわけです。たとえば、最近のあの三井金属にしろ、あるいは日本曹達の合理化、首切りの状況を見ておりましても、これはもう大変な削減の提案がされているわけです。ただ、労働者の首を切ってしまうというだけでは、これはもうどうにもならないというふうに思うわけですが、片方では雇用対策の問題について別の委員会で議論をされておりますので、その議論を十分に待つ以外に方法はないと思いますが、野党の提案の臨時措置法、雇用対策の臨時措置法のどういうところがネックになって、邪魔になって政府としては受けられないのか。その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  88. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) お答えいたします。  いまの御質問でございますが、離職者対策につきましては各党法案を提出しておられますけれども、政府としましては各党の調整を見守っているところでございまして、野党の法案につきまして、特にここで御意見を申し上げることはできないと思います。
  89. 穐山篤

    ○穐山篤君 まあ、やむを得ないですな、これは。  じゃ最後に、大蔵大臣、六・七%のことについてお伺いします。  総理大臣は、最初六・七%周辺ということで成長率を国会に明らかにしました。その後、国際的には六・七%というふうにしっかりした目安というものを明示をいたしました。その後の努力は努力としてわかりますが、最近のような経済状況から考えてみまして、六・七%あるいは六・七%周辺という数字はきわめて大変な数字になっていると思います。幾らになるかわかりませんけれども、少なくとも六・七%あるいはこの周辺ということにはならないと思います。  その場合に、数字のよしあしということよりも、これは一たん国際的に明らかにした目安、あるいは成長率の目標であるだけに、これは国際的な数字というふうに言わざるを得ないと思うんです。私は六・七%が無理だというふうに判断をしますが、もしそういう私が指摘をするような状況に立ち至ったとするならば、日本の国際的な信用、あるいは国際的に発言をした責任というのは具体的にどういうふうにおとりになるのか、明らかにしてもらいたい。
  90. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) とにかく、現在円高と申しますか、そういったような傾向が非常に強くあらわれてまいっておるということから、一体六・七が達成できるかどうかということについて各方面から非常な、それでいいのかという御意見も承っております。私どもは現段階といたしましては、これは総合経済対策だとかあるいは予算だとか、それからまた、その他の輸入の前倒しといったようなことに全力をささげてまいりまして、六・七%を何としてでもこれを達成していきたいと、こういう考えでおる次第でございます。いろいろの御意見もありますけれども、どうしてもこれを達成してまいると、こういう決意をいたしております。
  91. 大木正吾

    ○大木正吾君 穐山委員の雇用問題にちょっと関連しまして御質問いたします。  まず、衆議院の方の大蔵委員会の中では、金融機関の週休二日制問題に関する小委員会が持たれておったようでございまして、その記録も拝見しておったんでございますけれども、今回とられましたこの不況対策二兆円何がしの中では、政府は、特に総理も雇用拡大問題ということを非常に強調しておったわけでございまして、従来の不況の際の金融の出番と少し中身が変わってきているわけなんです。いま穐山さんのおっしゃったことは主として不況業種関係でございますけれども、まあ銀行局長、あるいは審議官、大臣、それぞれ相当自信持って答えられておるわけでございますが、依然として失業者の数が百万台、二%台なんですね。潜在含めたら恐らく五、六%かもしれませんし、倍率の方は〇・五あるいは前後で変わってないわけです。ですから、銀行法の十八条改正問題等に絡みまして、どうでしょう、少し雇用の創出拡大、こういったものについて大蔵省、労働省、その他政府関係で少し誘導的な政策をとるお考えはないですか。  これは、できましたらこの次にもっと深く質問をしたいんですけれども、きょう関連いたしまして一つだけ伺っておきたいんです。
  92. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 週休二日制の問題はいろいろ御審議いただいているところでございますけれども、御承知のとおり、これは金融機関だけの問題ではないわけでございます。これはかつて大平大蔵大臣がお答えしたこともございますが、大蔵省の守備範囲を越えた問題でございまして、一般的に社会経済各般に大きな関連のある問題でございます。したがいまして、この問題について銀行局、銀行サイドだけではかばかしい結論を出すというわけにはまいらないと思います。  しかしながら、当面の、先ほどいろいろ御議論もありましたように、労働行政、雇用行政につきましては当面最大の課題でございますので、先ほど御答弁申し上げましたように、公定歩合の引き下げにつきましては雇用の安定維持という面につきまして金融機関にいろいろと指導をしているわけでございます。これは日銀の短観でございますが、これから、本年度上期の企業の経理の動向を見ますと、企業全体といたしましては二二%の減益でございますが、一方人件費は六・五%の増加と、こういうことになっておりますので、まあ、公定歩合引き下げによる金利負担の軽減分が直接にそれに結びついたと言うことはむずかしいと思いますけれども、マクロ的な見方をもってすれば、企業の収益の増加ではなく雇用の維持安定に向かう面が相当あったのではないかということも推定されるわけでございます。そういう面を含めまして、今後とも金利、金融政策を弾力的に運営することをいろいろ考えてまいりたいと、このように考えております。
  93. 大木正吾

    ○大木正吾君 ぜひ次回時間いただいてもう少し詳しく伺いたいんでございますが、金利負担軽減そのものが経営者なりその他の方々の負担軽減意識というか、そういった気持ちをやわらげて、本来ならば臨時工あるいはパートタイマー——本工かもしれませんが、そういう方は少しぜい肉を取りたいとよく言われるんですけれども、私たちはぜい肉らしいんですけれども、そういったことを少し何か時期を延ばしたぐらいのことはあったかもしれませんけれども、しかし、総理ははっきり雇用の拡大と、こう言っているわけですから、そういった因果関係をぼくらはもっとしっかり聞かないとならないし、同時に、いま一番大事な問題は、何といったって銀行法十八条問題等が法的には大きな問題でございますから、この次にもう少し質問させていただきます。
  94. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十二分休憩      —————・—————    午後一時二十九分開会
  95. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  一般会計歳出財源に充てるための産業投資特別会計からする繰入金に関する法律案の審査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁前川春雄君の出席を求めることについて、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  97. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 休憩前に引き続き、一般会計歳出財源に充てるための産業投資特別会計からする繰入金に関する法律案を議題とし、質疑を続けます。
  98. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、ただいま議題になっております一般会計歳出財源に充てるための産業投資特別会計からする繰入金に関する法律案に関しまして、まず二、三質問したいと思います。  今回の法案そのものにつきましては、昭和五十年の予算委員会における審議で、共産党を除く野党修正案を提出をしたいきさつもあり、わが公明党としては賛成でありますが、五十年度においてはこのことが実現をされず、現在において野党の修正案における要望が実現をしたという、こういう理由はどこにあるのか、これを大蔵大臣からお伺いします。
  99. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御指摘のように、輸銀等の三機関から今度特別財源として一般会計納付するということになったことにつきましては、すでに昭和五十年予算の審議に当たりまして、参議院予算委員会において社会党、公明党、民社党及び第二院クラブから共同提案された予算修正案の中に、輸開銀貸し倒れ準備金の取り崩しによる国庫納付金の増額等の歳入の修正の御提案が含まれており、この修正案に対し、大蔵大臣、大平さんでございましたが、大蔵大臣から、政府としては反対である旨の意見を申し上げたという経緯のあることは、私も承知をいたしております。  当時といたしましては、予算の政府原案に対する修正という形での御提案であるために、政府といたしましてはこれを受け入れることができなかったのでありますが、今回の補正予算編成に当たりましては、厳しい財政事情のもとにおいて、財政の節度を維持しつつ、公共事業費等の追加財源を確保するため、かつての御提案の経緯も踏まえまして、今回の特別の財源措置を講ずることとなった次第でございます。  なお、過日の参議院の予算委員会におきまして、事前に十分な説明を行い、御理解を得ないまま今回の措置をとったことにつきましては、御指摘を受けまして、率直に遺憾の意を表明した次第でございます。  以上のような経緯であります。
  100. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 五十一年度の予算、あるいは五十二年度の予算、ともに三割近い国債を発行しなければならない、こういう状態であったわけで、いまおっしゃったように、五十年度は、もうすでに政府の予算はできて、その修正の形で出されたからかえるわけにはいかなかったんだと。それならば、五十一年、五十二年度の予算においても、最初からこういうことをやっておけばなおよかったんじゃないかと、その点はどうなんですか。それが、なぜ今回特にこれが出てきたかというその根拠、そのあたりがわれわれ明確にわからないわけです。
  101. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 午前中からいろいろ御議論がありましたように、この問題は財政当局の側から申しますれば、なるべく今回のような方向で考えてほしいということでございますが、片一方、やはり銀行行政の立場からの、政府関係機関と申しましても金融機関でございますから、そういう要請があるわけでございまして、いわばその間の兼ね合いをどこでとるかという問題であったわけでございまして、漸次、私の方の側から言えば改善の方向にきたわけでございます。  今回、補正予算で公共事業を追加いたしまして、もう少しのところで、要するに三割を守れるかどうかという瀬戸際であったものでございますから、千百億程度の金をこういうかっこうで調達していただくようにし、そういう意味で開銀その他の金融機関にも、それからまた、銀行局にもぎりぎりの線として御協力いただいたわけでございまして、何と申しますか、みんなで、関係者一同ぎりぎりの線を守ろうということで努力した結果であるというふうに御理解いただけたらと思います。
  102. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは先般の委員会におきましても、大蔵大臣は国債の依存率三割をぜひ守っていきたいと、こういうぎりぎりの線を守るために金融機関の側も大局的見地から説得してやったと、そういう御説明でございますので、私もある程度納得するわけでありますが。  そこで、これはこの前の委員会でもちょっと論議が残った問題なんですが、大蔵大臣がやはり国債依存率三割をもう何としても守りたいという、こういう根拠がどこにあるのか。私たちは、果たして三割、三割、三割をずっと守っていけば日本の財政は立て直しできるかというと、決して——三割というのは大変な数字じゃないかと思うんですね。そこに、大蔵大臣が三割というラインをどういう長期的なビジョンのもとに、なぜ、五十二年度の予算を国債依存率を三割以下にとどめればいいのか、このあたりはどういうお考えでございますか。
  103. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 公債の依存度三割ということでございますが、今日世界の各国でその財政をながめますと、公債の依存度三割ということは、なかなかどこの国にもこれそういう例がないという異常な姿でございます、日本のいまの財政における国債の依存度は。私は、その三割というものは、数においてその三割が、これはもう数字として三割一分であったって二割九分であっても、数字としてはそれはほんの少ししか違わないということでございますが、だけれども、三割というそういう大きさのものをいますでにもう三年間続けてきておりますが、これをなお将来一年、二年続くというふうに続けてまいりますと、これはもう財政が硬直化いたしまして、財政の機能と申しますか、機動的な働きといいますか、それがなくなってしまうということも考えられます。そこで、何も三割というそのことでなしに、まあ人間は物の大きさを考えたりなんかするときには数字でもって考えなければ、これはっきり頭へ、言う方も聞く方もそれはさっぱりわかりませんから、そこで数字という都合のいいものを発明しておるわけでございますが、それで、私は公債の依存度というものの何かここに一線を引かなければ、もうどんどんどんどん、ことしはこれでもいいんだ、来年はこれでもいいんだといったような考えでもってしては、私は財政を崩してしまうと、かように考えるものでございまするから、数字以前の一つの歯どめと申しますか、何と申しますか、そういったような固い観念といいますか、そういったようなものはこれは大事なものであろうと、かように考えます。そうして、何も三割ということではなしに、何とかして三割以内にだんだんとこれ逓減をしていくように持っていきたいと、こういうふうに日本の財政を健全化してまいりたいと——一遍にばっとはいきませんから——というふうに私は持っていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  104. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、五十三年度は大体何割にするつもりなんですか。
  105. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) でき得るならば三割からうんと低めにいきたいんでございますけれども、それはなかなか困難であろうと。三割を何とかしてできるだけ切っていきたいと、かように考えております。
  106. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 だからこれは、確かに三割も国債依存、しかも三年間続いてやっているような国は世界にもないわけで、これは低いにこしたことはないわけですね。だから私は、やはりそういう意味で、じゃ本当に後になって考えれば、ことしは二割五分にしなければならなかったんだと、あるいは来年は二割四分にしておかなければならなかったんだと、そうしていけば将来こうなっていくんだという、やはりある程度の将来に対するビジョンというか、そういうものの上からことしは三割にしなければならない、来年は二割八分にしなければいけない、そうしてそれを守るためにあらゆる努力をしていくと。そうでないとなかなか財政の改革はできないんじゃないか。今回このような処置が、五十年度のときから言われながらようやくにして、五十一年度本予算でもできず五十二年度でもできず、五十二年度補正予算においてこれが実現をしたということは、やっぱり大蔵大臣の言う三割という、これはまことに根拠はないと私は思うんですけれども、しかし一応のラインがあったから、そのもとに、それに皆さんの合意を得られて実現をしたわけでありまして、当然、そういう意味から、私は長期的な財政再建のビジョンの上に立った国債依存度というものを一つの歯どめとして考えていかなければいけないんじゃかいか。日本は非常に大きないま高度成長からの転換、あるいは油ショックからの立ち直りという非常に大きな転換期を迎えておるわけで、なかなかこれは全治三年とか五年とかというような短期間で解決できるほどの軽症ではないんではないか。それだけに、大蔵省としても長期的なビジョンの上に立った、裏づけのある国債依存度の限界というものを私は考える必要があるんではないかと、こう思うんですが、この点、大蔵大臣の御意見はどうでしょうか。
  107. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) やはりこの三割の依存度というものを、一遍にこれを大きく切っていくということは不可能です。だから私は、着実に漸進的にその方向に持っていくためには、おっしゃるとおり、五十三年度、五十四年度というふうに考えていかなければならないと思いますけれども、しからば、五十三年度数字をどうする、三〇%をどこへ、二五%にするのか二六%にするのか、あるいは五十四年度にこれをさらに切り込んでいくのかといったようなその計画というものは、ただいまのところはこれちょっと、見通しを立てて計画を立てていくという段階には、今日のところ到達していないということを申し上げたいと思います。
  108. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 しかし、そういう方向にいま努力はされておるわけでしょう。また、大蔵大臣としても当然そういう中長期計画というものを持たなくてはいけないと、またそういう方向で努力をしていくと、そういうことはよろしいわけですね。——ちょっと御答弁いただいて……。
  109. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御意見のとおりでございます。
  110. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで、今回三つの機関、北東公庫、日本開発銀行、日本輸出入銀行、この三つの機関から産投会計へ国庫納付金八百三十七億円が納付され、それを加えて一千五十八億円が産投会計から一般会計繰り入れが行われると、このように聞いておるわけでありますが、この三金融機関から産投会計への国庫納付金の内訳はどうなっておりますか。八百三十七億円の内訳を知りたいんですが。
  111. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 八百三十七億円の内訳でございますが、このうち輸銀が五十一億円でございます。開銀が六百六十三億円、北東公庫が百二十三億円でございます。
  112. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、私がいただきました資料によりますと、それぞれ三金融機関ともにいわゆる貸し倒れ引当金ですか、または滞貸償却引当金の率を非常に下げて、そうしてそこで利益金に計上してそれを産投会計の方に納付すると。その場合、それぞれの金融機関はこの繰入率を何%から何%に下げたのか、それによって幾らの金額がいわゆる利益金として浮かび上がってきたのか、これをちょっと説明していただきたいと思うんです。
  113. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 貸し倒れ準備金に対する繰入率の変更でございますが、輸銀と開銀は従来の千分の十から千分の五に引き下げたわけでございます。それから北東公庫については千分の十は従来どおりで変えなかったわけでございますけれども、経過措置を廃止したわけでございます。それによりまして取り崩しをいたしました金額は、輸銀が三百七十六億円、開銀が七百六十八億円、北東公庫が百二十三億円でございます。
  114. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、これ、私もどうなったのかよくわからないんですが、北東の場合は取り崩しが百二十三億円で、それが産投会計にそのまま納付されておるわけですね。ところが、開銀の場合は七百六十八億円が六百六十三億円に減っておる、取り崩し額のうち、いわゆる産投会計に繰り入れられたのがそれだけに減っておる。特に輸銀の場合は三百七十六億円が五十一億円に減っておるわけでありますが、これはどういうわけでございますか。
  115. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) お答えいたします。御指摘のとおり、北東公庫につきましては、貸し倒れ準備金の取り崩し額百二十三億円がそのまま財源の増加につながっているわけでございますけれども、輸銀の場合には、三百七十六億円の取り崩しに対しまして、利益が出ましたので法定準備金の繰り入れが行われたわけでございます。法定準備金の繰り入れは、貸出金残高の千分の七ということでございますので、三百二十五億が法定準備金に繰り入れられまして、残りの五十一億が国庫納付金になったわけでございます。したがいまして、財源の増加額としては五十一億円になったわけでございます。  それから開銀でございますが、七百六十八億円が取り崩されたわけでございますけれども、国庫納付金の概算納付の予定していた額がすでに百五億円ございましたので、七百六十八億円から百五億円を引きました残りの六百六十三億円が今回の財源増加分になったわけでございます。
  116. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、日本開発銀行の場合は、いわゆる日本開発銀行にしても利益金というものに対して法定準備金という制度が私はあるんじゃないかと思うんですけれども、ところが輸銀の場合のみこういう法定準備金をとり、開発銀行の場合はそれを全然とっていないと、こういう理由はどこにあるわけですか。
  117. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 法定準備金は、輸銀も開銀も両方とも積み立てているわけでございますけれども、開発銀行の場合には、当初予算においてすでに収益が出ることが予想されておりまして、したがって、法定準備金も限度いっぱい積み立てることが当初から計画されていたわけでございます。したがって、ここに新たに出た利益は法定準備金に充てられないで全部財源の増加分、納付金に向かったわけでございます。  一方、輸銀の方は収益が出ておりませんで、法定準備金にあきがあったわけでございますので、その分収益が出ましたのでまずそこに充てまして、残りが納付金になったわけでございます。
  118. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わかりました。そうしますと、この法定準備金というのはこれは利益の二割、もしくは貸出残高の千分の七までが法定準備金として許されるというお話でございますが、この法定準備金というのはどういう目的があるのか、これは民間金融機関との対比においてどのように考えればいいのか、これは非常に初歩的な質問で申しわけありませんが、ちょっとお聞きしたいんですけど。
  119. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 御承知のとおり、民間金融機関につきましては任意準備金それから法定準備金、これは輸開銀の法定準備金とは違った性格でございますけれども、名前は同じでございますが、そのような形で内部留保が認められているわけでございますけれども、それと同じような意味で、政府関係機関としての輸銀、開銀に法定準備金が認められているわけでございます。これはほかの公庫にはないわけでございますけれども、輸銀、開銀にだけ認められております理由といたしましては、これらの二つの金融機関が銀行という名前を付せられていることでもおわかりになりますように、運営にほかの公庫に比べて自主性が持たされているわけでございます。したがって、その自主性を経理面で支えていくものとしての法定準備金が一応法律に規定されているわけでございまして、この法定準備金の機能といたしましては、内部留保を充実させまして経営基盤を安定させますとともに、長期の政策融資のリスクにも備えさせまして、経営の自主性あるいは弾力性を持たせるということをねらいとしたものでございます。
  120. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わかりました。  そこで、昭和四十九年度以降今日まで、赤字国債を除いても昭和四十九年度は国税収納金整理資金に関する法律施行令の一部改正、これで四千三百二十億、また五十年には昭和四十八年度歳入歳出決算上の剰余金の処理の特例に関する法律、これによって二千六十七億、さらに昭和五十二年度には貴金属特別会計法を廃止する法律、これで九百九十七億、同じく国税収納金整理資金に関する法律の一部改正、これによって三千五百億、こういうように、何と申しますか、非常に歳入歳出数字を合わすための処置としてこのようなことが行われておるわけでありますが、今日の財政状態から考えるならば、何となくわれわれもこういうものは小手先の一つのやり方であって、もっとやはり抜本的なことを考えていかなければいけないのじゃないかと、何となくつじつまを合わせるためにやっているけれども、果たして、じゃこれ過ぎたらこの次にはどういう財源が捻出されてくるのか、そういうような気がするわけでありますが、こういう今日までしてきた一連の処置を振り返って大蔵省としてはどう考えるのか、これを伺っておきます。
  121. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) ただいまお話がございましたようないろいろな財源対策をやってまいりました。四十九年度の国税の関係決算対策でやりましたものですからちょっと事情が違うわけでございますが、いずれにせよいろいろな財源を探してきたわけでございます。  御案内のような大きな国債、公債依存を続けている財政でございますから、政府の中でいろいろ財源がないかというような、多少みみっちいと思われるようなこともやるし、これからもやるべきであろうと思いますが、しかし、おっしゃいますように、基本は歳入歳出の見直しということにあるんではなかろうかと思います。歳出面におきましては、既定経費を制度を含めまして根っこから洗い直すという努力をさらに続けていかなければならないと思いますし、歳入面でも負担の適正化のためにいろいろ努力を払っていかなければいかぬ。大変苦しい道であろうかと思いますが、それが基本的な筋道であろうかと思います。
  122. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは、いまも主計局次長が根っこから見直していくと、こういうことは去年もずっといままで言われてきていると思うのですけれどもね。しかし、現実にはそういうことだけではなかなか解決の糸口もつかめないと思う。そういう点からやはりシステム的に抜本的と申しましても、それはわれわれはそういう言葉を使っても、じゃどうすればいいかということはわからないわけですけれどもね。ただ、最近新聞紙上で、アメリカ等においては各企業においてもゼロベース予算という、一つ一つのデシジョンパッケージとかいうようなそういうものに分けて、そして優先順位を決めていくと。かなりいままでの予算編成のあり方とはシステムを変えていくようなことが行われておるわけですね。また、かつてアメリカにおいてもPPBSですか、こういうようなのも試みられて、これは余り成功しなかったやに聞いておるわけですけれども、しかし、何らかのそういう努力が私はなされていると。やってみてうまくいく場合もあれば、うまくいかない場合もあると思うんですけれども、そういうような何らかの新しい道がないものかどうか。優秀な人たちが集まっておる大蔵省ですから、そのあたりはアメリカの例等も参考にして、もうちょっとシステム的な方法はないのかどうか。大蔵大臣としてそういうことをもっともっと真剣に考えて、強引にやっていく決意があるのかどうか、そのあたりはどうなんでしょうか。
  123. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) ただいまお話しのような、予算編成をもっとシステマチックにやれという、何かそういう手法を開発しろということは、私ども予算編成の仕事をやっております者にとってはもう年来の夢でございまして、いまお話のございましたPPBSが大分アメリカでもてはやされましたときにも、それを何とかわが国でも活用できないかということで相当研究してまいりました。しかし、いまもお話ございましたように、PPBSという手法はアメリカでもどうもうまくいかなかったというようなことで、私ども残念に思っておるわけでございますが、最近お話がございましたゼロベース予算というのが、カーターがジョージア州でやったことがある。今度連邦予算についても一九七八年度予算、来年の十月からの予算でございますけれども、それに適用しようじゃないかということで研究しているというようなことで、私どもも関心を持ってこれ勉強してみたいなと思っておりますが、いろいろ研究する必要は大いにあろうかと思いますが、なかなかシステマチックに予算というものはぱっとできるというようなところばかりじゃございませんで、折衝を重ねながらいろいろな利害関係を調整していくというどろ臭い、血みどろな過程というのが実は予算編成の過程にあるわけでございますので、その辺も踏まえながら、しかし、新しい手法の導入などについても研究は進めていきたいと、こういうふうに思っております。
  124. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これはやっぱり、だれか専属にこういうものを研究をするとか、あるいはアメリカへ行って、実際にジョージア州ではどういうようにやったのか、こういうようなものを十分研究はされているとは思うんですけれども、これはやっぱり非常に大変な問題で、いままでのやり方を変えるということはもういろいろな抵抗もあるし、大変だと思うんですけれども、しかし、そういうことをやらなければなかなかいけないんじゃないかと。そういう点で、大蔵大臣の決意だけ——どうもわれわれいままでの感じでは、口では根っこからやるやると言っているんですけれども、なかなかいままでの流れがずっといつまでも続いていくような、そういう感じがしてならないのですけれども、その点どうですか。
  125. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 今日、日本の状況でございますが、いまさら私が申すまでもなく、国際、国内の経済事情というものは非常に困難をきわめております。ことにまた、そういったような中における日本の財政というものも、本当に困難な事情に立ち至っておりますが、そのときにおきまして五十三年度の予算を組んでいく。いまその作業を続けておる最中でございますけれども、これは御指摘のように、みみっちいと申すと大変あれでございますが、そういったような行き方でもってはとうていやれないということを私どもも考えております。だから、一方歳入の面におきましても、また他方歳出の面におきましても、これはもう思い切ってひとつ根本的にこれを見直していって、いまの一番原点に立ち戻って、そうしてそこから考えていくということをやらなければならないと思います。さようなことで、歳出におきましては、あらゆる経費というものに対して検討いたしまして、そしてこれを根っこから考えて節減をやっていくということを、スクラップ・アンド・ビルドの精神に徹しましてこれをやっていくと。そして、いまの日本の国に対しましてどういったようなところに力を入れていくか。政策の選択と申しますか、これをきわめて厳しく、いまの事態に一体何を捨てて何をとって何を有効に活用していくかということ。それともう一つは、歳入の面におきまして、これはどうしても現在の体系における税制ということだけでもってしては、なかなか歳出の面に応じていくことはできないということも、なかなか応じることがむずかしいというようなことから考えまして、まだ何税をどうするというようなことは考えておりませんけれども、ひとつこれも充実したものに持っていきたい。その持っていくためには、何と申しましても数年来言われております租税の公平化ということがどうしてもこれは大事なことであるというようなところから、一つずつ勇気を出して、そしてこれに、歳入歳出の面において全力を挙げて取り組んでまいりたい、かように考えております。
  126. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ひとつ御健闘祈ります。  それから次に、昭和四十八年の十月に行政管理庁公庫引当金のあり方等について勧告がなされておるわけであります。この勧告は、一つ引当金のあり方、また一つ公庫の経営がなかなか不明瞭である。こういうような二点。そのほかにもあったかもしれませんが、そういう点を勧告をしておるわけでありますが、現在それらの勧告はどのように実現に移され、どのように解決されてきたのか。これをお伺いしたいと思います。
  127. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、四十八年の十月十一日に、行政管理庁から勧告が出たわけでございまして、その内容は、先生指摘のとおり、滞貸償却引当金が中心でございまして、滞貸償却引当金累積引き当てを行い、かつ、その処理継続性がないため、公庫の経営の結果を示す決算表示が不明瞭である。一般に公正妥当と認められる企業す。それから、国民公庫でございますと〇・三%になっております。
  128. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 国民金融公庫の場合が千分の三十で、だから民間の場合とは……。ちょっと、もう一回よく言ってもらいたいんですけれども。
  129. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 国民公庫の場合には千分の〇・三でございます。
  130. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、結局政府系の方が高いということはいまの数字でも示されると判断していいわけですか。民間の方が千分の〇・三で、政府機関の方が千分の〇・五三と、こういうことをいま説明されたんですね。
  131. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) いま申し上げましたのは、民間の場合には信用金庫を取り上げたわけでございますが、ほかの金融機関について申しますと、たとえば全国銀行は千分の〇・一二ございます。それから相互銀行が千分の〇・三でございまして、国民公庫の場合には、五十一年に関する限りは相互銀行とほぼ同じ程度でございます。
  132. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ということは、政府系機関はあんまり民間の金融機関が貸さないようなところへも政策として貸すと。だから当然そういう償却費も多い。しかし、いまのデータから言いますと余り変わらないということは、政府系金融機関もなかなか金を貸さないと、こういうことになるわけですか。その点はどう判断していますか。
  133. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) たまたま五十一年の数字はそのようなことでございますが、これは年別によりましていろいろ変動がございまして、たとえば同じ五十一年でも住宅公庫の場合には千分の八になっているわけでございます。ですから、民間金融機関のまあ二十倍、三十倍となっているわけでございまして、その年その年によってかなり変動があるわけでございます。ただ、基本的な傾向といたしましては、国民公庫中小公庫は、御承知のとおり、一般民間金融機関の融通を困難とする資金を融通しておりまして、特に、最近は為替変動関係あるいは倒産関連関係あるいは不況関係貸し出しが非常に増加しておりますので、これからの先行きの見通しとしては、傾向はもう少し、これよりもっと償却の比率は高くなるんじゃないかと考えております。
  134. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まあ民間の二倍にしておるという根拠について、どうもわれわれ明確に理解できないわけでありますが、この点はまた後日に譲ります。  そこで、今回の処置によりまして、いわゆる政府系の三金融機関は無利子の金は一般会計の方に行っちゃったわけで、その分は財投から利子のつくお金を借りるように聞いておるわけであります。そちらの方は利子がつくわけで、そうなりますと、当然経営的にも影響を受けると思うわけであります。したがって、貸出金利というものがなかなか予定ほどは下がらない、貸出金利の下げ率が鈍化していくんじゃないか、こういうことを心配するわけでありますが、その点はどの程度の影響があるのか、これをお伺いします。
  135. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生指摘のとおり、無利息の資金がなくなりまして、これが財投資金にかわるわけでございますけれども、しかしながら、今回金利全体が引き下げの傾向にございまして、原資全体としての金利が、運用部からの借入金が下がっているわけでございます。したがいまして、現在の貸し出し面の金利、この前引き下げを行ったわけでございますが、その引き下げを行った貸出金利の実効はこれからも可能であると考えます。
  136. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 きょうの午前中のお話では、銀行としての借り入れの方の金利は一%下がり、貸し出しの方の金利は一・三%下がっておると、だから非常に利ざやが減って、なかなか金融機関の経営も大変じゃないかというような、そういうようなお話だったわけで、その上に今回の処置があれば、やっぱりまあ影響はないことはない、あるわけでありますが、どの程度の影響かですね。これはまあ全体の資金量から見てそう心配することのない影響なのか。たとえば貸出金利が〇・一%ぐらいはどうしても下げ幅が少なくならざるを得ないものなのか。その程度の数字的なことはわかりませんか。
  137. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 本年度に関して申し上げますと、まあ無利息の資金を国庫納付いたしますのは年度末近くになってからでございますので、したがいまして、その有利息の資金と入れかわる期間はごくわずかでございます。そういう意味で、余り大きな影響はないものと考えております。
  138. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わかりました。  それでは、この法案についての質問はこの程度にとどめまして、あと二、三大蔵大臣にお伺いをして質問を終わりたいと思いますが、まあこの円相場の問題でありますが、以前から、海外からわが国の円相場に対する日銀の介入に対して、まあ海外からはこれはダーティーフロートだと、こういうような批判があったわけであります。それに対して、大蔵省及び日銀の意見は、これはわが国の場合はいわゆる投機的な円買いなどを防ぐために日銀の介入も当然ではないか、こういうような主張できておると思うんですけれども、今回の円の六十円台を切ってから五十円台を切るまで、わずか二十日間の間に急激に上がると、こういうようなことの裏にはかなりのやはり投機的な動きがあるのかどうか、そのあたりはどのように認識されておりますか。
  139. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) 最近一カ月間に、かなり各通貨につきまして円高の傾向があったのは事実でございまして、その間投機的な動きもあったと私どもは思っております。ただいま御指摘のダーティーフロートであるかクリーンフロートであるかという点でございますが、この点につきましては、IMFの為替相場に関しますガイドラインがございまして、その中で、自国通貨の為替相場の短期的な乱高下が顕著に見られるような無秩序な状態に対処するため、必要な場合、為替相場に介入しなければならないという規定がございまして、この条項に適合する場合に介入いたしますことは許されておるところでございまして、わが国の通貨当局といたしましても、このような乱高下が認められるときには随時介入してまいった次第でございます。
  140. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 しかし、結果的には乱高下、乱高かもしれませんけれども、こういう急激な変化を伴っておるという、そういう結果を生じたことは、やはり政府、日銀の買い入れに対する姿勢が非常に弱かったんじゃないか、もっとやはり強力にやるべきではなかったか、このように思うわけであります。その点どう考えておりますか。
  141. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) 先ほど申し上げました介入のガイドラインでございますが、その最初にございますのは、加盟国は、国際収支の効果的な調整を妨げるため、または他の加盟国に対し不公正な競争上の優位を得るために、為替相場または国際通貨制度を繰作することを回避しなければならないということを言っておりまして、この趣旨は、原則としまして、為替相場といいますのはそのときどきの市場の実勢に任せるべきものであるというのが原則でございます。それに対しまして、乱高下がありますときには、その例外として介入しなければならないということになっておるわけでございまして、わが国の通貨当局も従来この原則に従ってまいったわけでございます。したがいまして、為替の市場の実勢が円高の方向に行くという場合には、これは実勢に沿っていくのが原則でございますので、それにつれて最近は上がってきたということでございます。介入の態度がなまぬるいというやの御指摘でございましたけれども、われわれとしましては、随時介入すべきときには十分介入してきたと、かように考えておる次第でございます。
  142. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 一説には、米国の金融機関とか、それから西ドイツの金融機関とか、こういう人たちの意図的な円買いが相当あると、このように言われておるわけでありますが、そういう実態についてはどう把握されておりますか。
  143. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) 最初に申し上げましたように、確かに投機的な動きもございました。特に、海外からの円買い、ドル売りの圧力はかなりございましたわけでございます。しかしながら、九月二十八日来の切り上げ率を見てみますと、日本が、これは三十一日現在でございますけれども、六・六%、それからスイス・フランが五・三%、マルクも三・三%ということでございまして、各通貨若干の程度の差はございますけれども、かなりそれぞれ切り上がっておるというのが実態でございます。
  144. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わが党は、昨日、官房長官に円急騰で緊急申し入れをしたわけでありますが、その中で、国際投機資金の急速な流入の規制についても検討してもらいたい、こういうことを要望しておるわけでありますが、これはもう検討してくれているかどうか、こういうことはできるのかどうか、その点どうなんでしょうか。
  145. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) わが国の為替管理は、ドイツあるいはスイスあるいはアメリカ等に比べましてなお今日かなり厳しいものがございます。逆に申しますと、海外の投機資金につきましては、わが国はなかなか入りにくいという体制になっておるわけでございます。一方では、わが国のそういう厳しい為替管理に対してはかなり厳しい海外からの批判もあるわけでございますが、現状といたしましては、いま申し上げた諸国に比べますと投機資金が入りにくい体制になっておるのが実情でございます。
  146. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、政府は中小企業為替変動対策緊急融資制度と、こういう制度をつくりまして、これが十二月一日からでございますか、実施に移るやに聞いておるわけでありますが、これは金利が通常の金利で、やはり金を借りてもこれは返さなくちゃいけないわけで、輸出関連企業の深刻な事態を考えるときに、この金利をもっと下げてもらいたい、こういう強い要望があるわけであります。私たちもこれは当然下げるべきではないかと思うわけでありますが、その点政府としては検討しておるのかどうか、その用意ありや否や、これを伺いたいと思います。
  147. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生指摘の中小企業為替変動対策特別融資制度でございますが、これは実は七月にドルが二百六十円台になりましたときに、それを踏まえましてできた制度でございます。御承知のように、現在はかなり実態が変わってきておりますので、目下通産省において実態調査中でございまして、その結果が出ましたならば、御指摘のような点についても見直しが行われることがあり得ると考えております。
  148. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 今回のこういう円高を招いたのは、一つにはアメリカが非常にドル防衛の努力が足りない、余りにも国際収支が赤字になって、こういうところに一つの大きな原因があるわけで、アメリカにももっとしっかりしてもらわなくては困ると思うわけでありますが、こういう点で、やはり日米の深い関係から考えるときに、日本政府としてもその点をアメリカに強力に要請をすると、わが国ももちろん努力するけれども、アメリカにもやはりこれは強く要請をしなければならないと思うのでありますが、その点大蔵大臣の考えはどうですか。
  149. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) お説のとおりでございまして、日本にドルがたまって円高になったというようなことは、アメリカががちゃがちゃ言いまするけれども、これはすべてが日本の輸出ということではありません。それより大きな原因は、私はやっぱりアメリカが石油を初めそういったような物を、これは大変大量に継続的に輸入しておるということでございますので、そういったような点につきましてもひとつ自粛をしてもらいたいということは私どもの強い希望でございまして、その要請はすでにしておるようなところでございます。
  150. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 最後に、政府は緊急輸入対策をいろいろ考えていらっしゃるようでありますが、特に問題になっておるのは牛肉ですね。実際オーストラリア等のを輸入すれば国内価格よりもはるかに安い価格で輸入ができる。しかし、それをやると国内の畜産業者が困ると、こういうような問題があるわけですけれども、そのあたりを、やっぱり畜産事業団もあるわけですから、もうちょっとうまく、国民の皆さんもいままでよりはずっと安い牛肉が食べられて、しかも、畜産農家にも輸入価格とその販売価格の利益で補助金を出せるように、そういうようなうまい知恵を、消費者も生産者もどちらもやはり喜ぶような方法があるんじゃないか、緊急輸入の一環としてこの問題も私は大蔵大臣が音頭を取って解決すべきじゃないかと、こう思うわけですが、その点はどうですか。
  151. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) そういったような点につきましては、目下政府におきまして、むろん農林省その他通産省、そういった関係の省庁もございますが、そういうところと密接なる連絡をいたしまして審議を重ねておる次第でございまして、結局適時適切なる措置に出よう、こういうことに相なっております。
  152. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 終わります。
  153. 渡辺武

    ○渡辺武君 私は、まず最初に、筑波に都内の学校その他の施設が移転するその跡地の問題、これを若干伺いたいと思うんです。  筑波移転に伴って東京都内に非常に大量のオープンスペースが残される、これはもう御承知のとおりと思いますが、私の手元にある資料によりますと、都内だけで五省、十七機関、三十六ヵ所、百四十七ヘクタールの移転に伴ってのスペースができるという状況です。それで、これはいまの過密で悩む大東京にとっては最後の唯一の残されたオープンスペースと言っても差し支えないと思うんです。したがって、これは都市問題の解決、特に過密問題ですね、それからまた、防災上の諸要求を解決するための非常に適切な条件になるだろうというふうに私は考えるわけです。  で、東京都知事を初め都内二十三区の区長会や、それからまた、それぞれの地域の住民団体が非常に繰り返し繰り返し陳情しておられるということも私申し上げるまでもないことですが、この国会にも請願が出ております。御参考までに請願の内容を読んでみますと、「一、国は、筑波学園都市に移転した各機関のすべての跡地を地方自治体に払い下げ、国の転用や三分割有償方式の採用、地方自治体以外への譲渡は行わないこと。二、地方自治体に譲渡するに当たっては、地方財政の危機と本来跡地が都民に還元されるべきものである点を考慮し、無償による払下げか貸与とすること。」と、こういう内容になっているんです。そうして、そういう請願の理由として、「筑波学園都市に移転した各機関の跡地は、総面積百四十七万平方メートル(四十四・五万坪、後楽園の百倍)」というふうに括弧して入れてあります。「にも及び、東京都の過密問題の解決に不可欠な土地である。」というのが一番最初に理由として挙げられているところであります。  私は、こうした東京都の住民や自治体挙げてのこの強い要望はぜひ実現させるべきだというふうに思いますが、大蔵省としてはいまこの問題についてどういう方針で臨んでいらっしゃるか、伺いたいと思います。   〔委員長退席、理事上條勝久君着席〕
  154. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 筑波移転跡地の転用につきましては、各方面からの御要望が非常にたくさん競合いたしております。これらの御要望を踏まえまして、現在国有財産中央審議会に跡地利用の大綱について審議をお願いしているところでございます。同審議会におきまして利用計画の大綱が決定されました後に、関東地方審議会において具体的に利用計画を策定するという予定になっておりますが、大蔵省といたしましても、この利用計画の策定につきまして、既往の所管省庁の利用を優先的に認めるとか、あるいは全部何々するといったようなことは考えておりませずに、都市の過密解消と真に有効適切な利用を図るという覚悟で進めてまいる所存でございます。
  155. 渡辺武

    ○渡辺武君 いまおっしゃった国有財産中央審議会ですね、ここでの審議はもうかなり何回も行われたという話も聞いておりますが、どういうような議論が出ているか、伺いたいと思うんです。
  156. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 国有財産の審議会に中央審議会と地方審議会がございますが、現在審議が行われておりますのは中央審議会でございます。数回議論をいたしておりますけれども、主に過密解消といいますか、都市の再開発あるいは空閑地の確保といった面の議論から、どのような施設に転用を図るべきかといった議論がされておりますけれども、まだ公にできる段階には至っておりません。
  157. 渡辺武

    ○渡辺武君 その過密解消ということの中には、現在特に東京都で緊要なものとして議論されております防災問題ですね、これは含まれていると理解していいですか。
  158. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 防災の点につきましては、非常に重要な話でございますので、筑波移転跡地にも含まれておりますけれども、もっと広く返還地の利用をも含めまして議論をされております。
  159. 渡辺武

    ○渡辺武君 いま大蔵省としては過密解消という方向で考えるという御答弁があったと思いますが、私は、いろいろこの中央審議会で議論が今後続けられるだろうし、それから地方審議会の方でも議論が進められるだろうと思いますけれども、これらをやっぱり貫いて、大蔵省として、いま東京都民や東京都あるいは二十三区のそれぞれが要望している中心問題ですね、いま言われた過密解消という方向を堅持していっていただきたいというふうに考えるんです。  この点について特に申し上げたいのは、この筑波に学園都市をつくって都内からいろんな施設を移転するという法律ですね、筑波学園都市建設法というのがありまして、そのときに、第一条にこの法律の目的が書かれていて、簡略に言えば学園都市をつくるということと、同時に、「あわせて首都圏の既成市街地における人口の過度集中の緩和に寄与することを目的とする。」というふうに、第一条で目的もはっきりうたわれているわけですな。それから提案理由の説明の中でも、やはり同じように学園都市を建設するということと、「あわせて首都圏の既成市街地における人口の過度集中の緩和に寄与する必要がある」ということもうたわれているわけです。やはりこの法の根本趣旨ですね、これに十分立って、今後の跡地の利用という問題についての大蔵省の方針を貫いていっていただきたいと思いますが、どうですか。
  160. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 御指摘の法律の趣旨に沿いまして、現在議論をしていただいておるところでございます。
  161. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、ちょっと心配になるのは、都市再開発という意見も審議会の中で出ているという点ですね。私いま文京区に住んでおりますが、池袋の駅がすぐ近くにあるのですね。見ますとね、あの池袋の駅の近くに以前あった巣鴨の拘置所の跡地ですね、これに新日本製鉄その他の大企業が、これが一緒になりまして大きなビルを何本もつくっていますね。最近は、いま建設中の高層ビルの影響でテレビが非常に広範な地域にまで障害を及ぼしているというような事例も出ているようですけれども、あんなふうな形のいわゆる都市再開発に利用されたら、これはとてもたまったもんじゃない。東京都民の要望も見るも無残に踏みにじられるだろうという懸念が非常に強いわけです。  それで、具体的に人の名前を挙げるのは差し控えますけれども、この中央審議会の中には不動産関係の業界の代表の方も数人入っておられるわけですね。ですから、この都市再開発という意見が出てきているという点に、私は非常に懸念を持つわけですが、この都市再開発利用ということの可能性ですね、いまの筑波移転の跡地のこの点についてはどうお考えですか。
  162. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 先生の御指摘のお話は非常に貴重な、あるいはむずかしいといいますか、根本問題を含んでおると思いますが、いろんな方面の御希望なり御要望、またいろんな問題点を踏まえまして議論をしていただいておるところでございますけれども、まだ内容をお話しするという段階にまで至っておりません。
  163. 渡辺武

    ○渡辺武君 都市再開発をやる場合には都市再開発法に基づいて当然行われるだろうというふうに私考えるんですね。そうしますと、この都市再開発法に基づく再開発については、細かい点は時間の関係で省略しますけれども、地域住民の同意というのが非常に重要になってくると思うんですね。それから、特に地方自治体の姿勢ということも非常に重要な要件になると思うんですね。先ほど申しましたように、もう都も区も住民もいわば一体となって過密の解消と、あるいはまた、防災のための施設ということで非常に強い要望を持っているわけですね。そういう条件のもとで、都市再開発に当たって住民の同意とか地方自治体の同意とかいうようなことが可能性として考えられましょうか。
  164. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 都市再開発に当たりまして、いろんな意味で法律上の手続が決まっておるという点は十分心得て議論をしていただいております。
  165. 渡辺武

    ○渡辺武君 にこれは、地方自治体が施行するということになりますと大変な費用がかかる。それからまた、住民との間にかなり紛争も予想されるというような状態ですね。私はそういうことは避けるべきじゃないかと思います。その点重ねて伺いたいと思うんです。
  166. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 跡地の利用が円満に実現できますように努力をいたしたいということは私どもかねがねから希望しておるところでございまして、その方向で審議会においても検討願っておる次第でございます。
  167. 渡辺武

    ○渡辺武君 それからもう一点、有償三分割方式はとらないようにしてほしいという趣旨の請願になっているわけですが、この辺の可能性はどうですか。有償三分割方式というのがこの跡地に適用されるものなのかどうなのか。
  168. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) おっしゃっておられます点は、返還財産に関する一つの指針と申しますか、方針についての話かと思いますが、筑波の跡地につきましてはそういったことは一切未定でございますけれども、国有財産の処分でございますので、何といいますか、全部ただで還元しろといったようなことはできませんので、有償を原則といたしたいということは考えておるわけでございます。
  169. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうすると、有償三分割方式というのは米軍から返還された土地に限ってのことだということですね。だから、筑波に移転するその跡地についてはそれは適用されないということですか。
  170. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 筑波につきましては、まだ白紙でございます。
  171. 渡辺武

    ○渡辺武君 白紙というのはどういうことですか。この有償三分割方式というのは、はっきり「米軍提供財産の返還後の利用に関する基本方針について」という国有財産中央審議会の答申の中で特別にうたわれていることでしょう。そうしますと、筑波に移転したその跡地については、これは米軍返還財産じゃないでしょう。そうすると、有償三分割方式というのはそこには適用されないというふうに当然解釈しなきゃならぬと思いますが、どうですか。
  172. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 御指摘のとおり、別の財産でございますから、そのもの自体は適用されないわけでございます。
  173. 渡辺武

    ○渡辺武君 もう二点伺います。  四十七年の国有財産中央審議会の答申、これを読んでみますと、端的に言えば、民間営利企業への払い下げはやらないと、あるいは公用もしくは公共用の土地として使うという趣旨のものになっていると思いますが、そういうふうに解釈していいでしょうかね。また、その方向で今度の跡地の利用というのが考えられるものだろうと思いますが、どうですか。
  174. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) おっしゃるとおりでございまして、公用、公共用を優先的にということでございます。
  175. 渡辺武

    ○渡辺武君 それで、いま文部省が、自分が従来使っていた土地ですし、学校特別会計に所属している財産だったというようなこともあろうかと思いますが、入試センターとか国連大学だとかあるいは第二国立劇場などをつくりたいというような強い要望があるというふうに私聞いているんです。しかし、こういう建物をせっかくオープンスペースになるところに建てるということになりますと、これは過密解消あるいは防災という見地からしては的はずれになるんじゃないかというふうに思いますが、一番最初に、別にもとの所有者の要望を優先的に考えるということはしないというふうにおっしゃったけれども、この具体的な問題についてもそう理解していいですか。
  176. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) もとの所有者がいろいろと御希望を出すということは御要望の一つとして検討さしていただきたい。特に優先的に考えるということはいたさないつもりでございます。
  177. 渡辺武

    ○渡辺武君 しかし、現在入試センターについては法律もでき、そしてまた、予算の中にも若干組まれているということで、駒場で着々その準備が進んでいるというふうに私は聞いております。これは一体どういうふうになりますか。
  178. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 御指摘の駒場で準備が進んでいるという点は、駒場の跡地に、一部、暫定的にと申しますか、仮にそこで作業を行っておるということかと思いますが、これはあくまでも暫定ということでございまして、本格的な用地の跡地利用の計画決定ができた段階にはどうなるかという点とはまた別の話でございます。
  179. 渡辺武

    ○渡辺武君 それから柔道センターをつくろうと、特に文京区の教育大の跡地、あの辺を目指してかなり猛運動が進んでいると。その運動の主体になっている発起人の顔ぶれを見ますと、なかなか、財界の有力者その他等々がずうっと顔を並べているんですね。地域の人たちは大変心配しているんです。この問題についてはいまどういう御見解ですか。
  180. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) その問題はまだ詳しく伺っておりませんし、また、御要望として踏まえますといろいろ検討しなければならないと思いますけれども、ここでちょっと意見を申し上げるような段階に至っていないわけでございます。
  181. 渡辺武

    ○渡辺武君 聞くところによりますと、防災という問題が非常に重要になってきているものですから、したがって、柔道センターをつくった方が防災上いいんだと、畳もたくさん敷いてあるし、炊き出しもできるんだというようなことを言っているらしいんですね。しかし問題は、やっぱり一定のスペースがあるということが防災という見地からしたって非常に重大な問題なんですね。私聞いてみますと、ここには百五十名収容の宿舎、それから百台収容の駐車場などの施設を設けるというような計画も入っているらしいんですね。そうなってきますと、せっかく一定の広さのあるあの教育大の跡地、これがやっぱりそういうかなりの高層の建物になるだろうと思いますが、そういう建物をつくることによって防災という見地からしたら非常にこれは、何といいますか、効果の少ないものになるというおそれがあるわけですね。ひとつその点も十分にごらんいただいて、過密解消、防災という見地からこういう要求については厳しい態度で臨んでいただきたいと思います。どうでしょう。
  182. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 過密解消、防災という見地から議論を進めるということにつきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、そういう趣旨で審議会でも審議を進めていただいております。
  183. 渡辺武

    ○渡辺武君 最後に一点伺いたいんですが、先ほどの請願の中にも、地方自治体の財政がいま非常に窮屈なんで、有償で払い下げるということではとてもこれは困る、何とか無償にしてほしいという趣旨のことが書かれているわけですね。これは私はもっともなことだと思うんです。文京区議会で聞いてみますと、あそこの文京区にある教育大の跡地、あれがもし仮に払い下げになったとき、区としてだけで数十億円の金がかかるというんですね。ですから、とてもこれは一つの区だけでは抱え切れない問題なんですよ。せっかくの土地を本当に都民のものに生かす意味で、その点十分考えていただきたい。特に無償貸与という方式がございますですね。国有財産法の第二十二条ですか、無償貸与という規定がありますし、それから国有財産特別措置法の二条にやはり無償貸し付けという条項が出ているわけですけれども、こういうようなせっかくの法の趣旨を十分に生かして対応していただきたいと思いますが、どうでしょう。
  184. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 先生指摘の地方公共団体の財政事情、そういったものは十分わかるわけでございますけれども、国の財政事情というものもまたございまして、したがいまして、国有財産でございますから、やはり有償で処理するということを原則としたいというふうに考えておりますけれども、一つ一つの処分につきましては無理のいかないように、円満な解決を図りたいというふうに思っております。
  185. 渡辺武

    ○渡辺武君 それじゃ、跡地払い下げの問題はこれで終わります。どうぞお引き取りください、ありがとうございました。  それでは、この法案の質問に移ります。  余り時間がないので端的に伺いますが、今度この三金融機関の貸し倒れ引当金の繰入率ですね、これを若干引き下げて財源に充てるという措置が行われたわけですけれども、輸銀で申しますと千分の五まで引き下げた、開銀では千分の四・九、北東公庫では千分の十ということになっております。それで、このいただいた参考資料にも出ておりますが、実際の債権償却ですね、これはもうほんのわずかなものなんですね。四十九年度開銀で千分の〇・一三、輸銀の場合には千分の〇・〇二、北東公庫で千分の六というような状況で、実際のいわば貸し倒れの状況と繰入率に非常に大きな乖離がある。先ほども他の委員からも質問がありました。私も同じ立場から、この繰入率はやっぱりもっと実情に適した方向に引き下げるべきじゃないかというふうに思います。この点大蔵大臣どうでしょう。
  186. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 輸開銀北東貸し倒れ準備金の繰入率でございますが、先生指摘のとおり、最近は非常に償却が少ないわけでございます。北東公庫の場合は四十九年約一億円の償却があったわけでございますけれども、開銀の場合には四十九年四億円の償却がありましたが、それ以後余りないわけでございます。したがいまして、貸し倒れ準備金がこれだけ要らないのではないかという見方もあるわけでございますが、これはいままでいろいろと申し上げてきましたように、これらの金融機関は政府から一応独立して固有の金融業務を行っているわけでございまして、行政管理庁勧告にも、公正妥当な企業会計原則によるべきではないかというような指摘もあるわけでございます。したがいまして、この点は貸し倒れ引当金という形で貸し倒れに対処することが必要と考えられるわけでございますが、その繰入率につきましては、確かに政府関係機関であるからもともとそういうものは要らないんで、貸し倒れがあれば直接国庫が負担すればいいじゃないかというような議論も成り立ち得るわけでございますけれども、しかしながら、独立の法人として機能を営んでいる以上は、やはりすべて直ちに国庫負担に依存するということではなくて、やはり貸し倒れが出た場合には自己責任において自主的な経理によりこれを負担することが望ましいわけでございます。  こういう意味から、いろいろな角度から繰入率を検討しているわけでございまして、繰入率につきましては、確かに行政管理庁勧告でも、過去の償却を一応の基準とすべきではないかというような御指摘もあるわけでございますけれども、しかしながら、金融機関の貸出金のこれは評価の引当金でございますので、先行きの景気の動向がどうなるか、あるいは金融情勢がどうなるかということも含めてこれを勘案しなければならないわけでございます。  この点、輸銀、開銀具体的な御指摘がありましたので、それについて御説明申し上げますと、輸銀の場合には、御承知のとおり、現在プラント輸出あるいは海外資源の開発などで発展途上国への融資が非常にふえてきているわけでございます。これらの発展途上国におきましては、特にオイルショック後、非産油発展途上国における対外債務の累積などが非常に問題になっておりまして、国際情勢いかんによってはまことに目途しがたいものがあるわけでございます。こういう点で先行きを見通しますと、やはりこの程度の貸し倒れ準備金の繰入率は必要ではないかというふうに考えております。  また開銀につきましても、最近構造不況業種その他リスクの多い分野に対しまして政策的な要請から融資を行ってきているわけでございます。したがいまして、こういうことを踏まえますと貸出金に対する評価の引当金としては決していまの繰入率は高きに失することはないのではないか、このように考えるわけでございます。  また、これもるる申し上げておりますように、貸し倒れ準備金は無利息の金でございまして、金融機関としては非常に質のよい資金でございます。この点でこれの活用ということも踏まえまして、現在のような繰入率が適正な水準ではないか、そのように考えております。
  187. 渡辺武

    ○渡辺武君 大体これらの金融機関の貸し倒れ引当金の繰入率をもっと下げろと、そうして財政補てんの一助にせよというのは私ども従来から主張していたんです。やっとこういう措置になった。この前もいま御答弁のあったと同じようなことを言って反対しているんですね。実際実情に合ってないですよ。  それで、時間がないので問題は新しく進めますが、いまおっしゃった今後貸し倒れがふえるかもわからないと言われている開銀、輸銀で見てみますと、大体融資残高の九〇・六%は資本金五億円以上のいわば大きな企業に偏って貸されている。輸出入銀行でいいますと九四・八%が資本金十億円以上の大企業に貸されていると、こういう状態です。大企業だから貸し倒れ少ないとはそう一概には言いがたいけれども、しかし、中小企業に貸すよりははるかにこれは安定した融資先ですよ。まさにこれは全くの大企業本位の金融機関のあり方だと言って私は差し支えないと思う。いまこの不況とあわせて円高と、まさに中小企業こそが最大の苦境に立っているわけですね。政府系の金融機関であるならば、この比重は中小企業の方に重点を置いていくべきだというふうに思います。あわせて私はもう一回申します。余りにも実情からかけ離れた繰入率ですよ。これをもっと引き下げるということも当然これは検討課題にすべきだと思います。どうですか。
  188. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先生の御指摘の点も踏まえまして、輸銀、開銀につきましては今般繰入率を半分に下げたわけでございます。中小企業に対してもっと政府関係機関が、ことに輸銀、開銀が重点的に融資すべきではないかという御指摘でございますが、まず開発銀行について申し上げますと、御承知のとおり、開発銀行の出している資金ということは、国内資金でございますけれども、これに対しましてはすでに中小三機関があるわけでございまして、したがって、中小企業はそちらの方でまず第一次的に借り入れをしているわけでございます。したがいまして、政府関係機関のうちの中小金融機関でないところに、まあ中小企業以外の資金需要が集まってくるという関係にございますので、開銀についてはそういう事情がまずあるということを申し上げておきます。  それから、確かに開銀の場合に、資本金いま十億円という線で申し上げますと、十億円未満の企業に対する貸し付けを見てみますと、これは五十一年度末でございますが四五%でございます、件数で申しますと。ただ、金額は御指摘のとおり一六%と、全体に占める比率は低いわけでございます。これは御承知のとおり、開銀の使命が、長期資金の供給によって産業の開発及び経済社会の発展を促進するという目的のために、基幹産業であるとかあるいはエネルギー問題であるというところに重点的に貸し出しをしているわけでございまして、その政策の重点の置かれている、たとえば電力であるとか石油とか、そういう企業が比較的大企業が多いところから、結果的にこのような姿になっているわけでございます。ただ、それ以外の貸し出しにつきまして、たとえば地方開発の貸し出しを見ますと、これは十億円未満の企業に対しまして貸し出し件数は六三%、残高は三九%とかなり比率が高くなっておりまして、貸し出し内容によって極力中小企業に対しても配意しているわけでございます。  それから、輸銀の点でございますが、輸銀につきましては、確かに数字的には先生の御指摘のとおりでございますけれども、現在海外投資相談室の設置その他によって極力中小企業にも配慮をして中小企業貸し出しをふやすように努力をしているところでございまして、着実にいま成果が上がっております。  それから商社貸し出しその他につきましても、実質的にはその裏に下請企業のような形で中小企業がかなりございまして、実態調査の結果でも大体三割が中小企業に流れているわけでございますので、まあそういう点もございます。今後とも先生の御指摘の点を踏まえて、中小企業に配慮させるように指導してまいりたいと思います。
  189. 上條勝久

    ○理事(上條勝久君) 政府側の答弁は簡明にお願いします。  渡辺君、時間の関係上おまとめを。
  190. 渡辺武

    ○渡辺武君 一言だけ。中小企業の方向に努力すると、結構なことと思いますが、そういう方向でやってもらいたいと思いますが、念のためにもう一言。  これは大蔵大臣にぜひ御答弁いただきたいんですが、その産投会計の出資金の内訳なんです。五十二年度の計画の累計で申しますと百六十三億一千四百万円の出資金なんですけれども、そのうちで住宅金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、中小企業信用保険公庫、   〔理事上條勝久君退席、委員長着席〕 それから公営企業金融公庫農林漁業金融公庫、住宅公団、これらを大体国民生活に関連した機関だというふうにしますと、出資の計画の総額は二十五億八千八百万円、全体のわずかに一五・九%にしかならないんです。そうして、いま言った開銀、輸銀、それからそのほか電源開発会社、石油開発公団、日本航空会社等々、それ以外のものに対しては大体八四・一%が振り向けられているという実情です。まあこれが本当に大企業本位の性格を持っているというのは、歴然としていると思うんです。私どもはこの産投特別会計、これはやはり国民生活本位のものにもつと切りかえなきゃならぬというふうに思います。同じ量の財源ならば国民生活優先の方向に使って、国民の購買力を高めることによっていまの景気を回復していくというのが私は本筋だと思うんですね。その点からしても、大蔵大臣どう考えられるか、答弁いただきたい。
  191. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 産投会計は企業に対して出資をすると、こういうたてまえです。それで住宅金融公庫等につきましては、これは利子補給表していくと、こういうようなたてまえをとっておるわけでございます。近来、なるだけそういったような中小企業だとか、あるいは住宅金融公庫だとかというものに対しましては、利子補給をすることによって相当な金を需要者に回していくと、こういうことになっておるようなことで、産投会計から出資ということはちょっとなじまないんじゃないかと思います。
  192. 渡辺武

    ○渡辺武君 一応これで。また後でやります。
  193. 中村利次

    ○中村利次君 財政の節度を維持しつつ財源を求めるために産投会計から一般会計に一千五十八億余りを繰り入れようとする法案ですけれども、これはまあいろんな経過があったわけですから、ですからこの引当金を五%にして千五十八億余りをたたき出すということについて何も異論を唱える必要はないと思うんですが、しかし、純増分の三%、そしてここでは引当金を五%にして財源をひねり出したと、これは引当金としてはいままでいろいろ議論もありましたけれども、政府としてもこれはもうこれでいいんだと、全く引当金として十分なんだという、こういう前提に立っておられるということですか、そうですね。
  194. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 今回の輸銀、開銀貸し倒れ準備金の繰入率の引き下げでございますが、これは政府関係機関に対する貸し倒れ準備金につきましては、一応政策金融というたてまえから民間金融機関の二倍という原則でいままで行ってきたわけでございますけれども、今回、年度の途中において財政の節度を堅持しながら景気回復を策するという財政上の特別の必要に基づきましてこれの見直しを行いました結果、輸銀、開銀につきましては他の公庫と比べて民間の金融機関とかなり類似点があるということに基づきまして、民間金融機関と同じ準備率、繰入率にしたわけでございます。そういう意味で、現在の時点ではこの貸し倒れ準備金の繰入率が一応妥当なものと、こういうふうに判断しております。
  195. 中村利次

    ○中村利次君 妥当なものと判断をされて、これは前々からやっぱり議論のあったところですよね、この引当金。これは法人の引当金等についてもいろんな議論がいままで行われてきています。  そこで再確認ですけれども、これで十分である、千分の五で十分であると、何ら差しつかえない、過去の実績等に照らしても。そういうことで一般会計への繰り入れを今度は財源の問題によって決めたと、こういうぐあいに受け取ってよろしいわけですね。
  196. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 先ほど申し上げましたような当面における政策要請あるいは財源の問題、政策金融のあり方等を含めて総合的に判断いたしまして、現在の繰入率が適当であると、このように判断したわけでございます。
  197. 中村利次

    ○中村利次君 法人の場合は経過措置を講じておられますね。政府関係の三機関の場合には、これは経過措置がないわけじゃありませんけれども、まず千分の五で一発で財源化をされた。法人の場合、これは金融保険業もあるわけですけれども、その辺の、法人の場合には経過措置で五十五年の十月からですか、政府関係機関の場合には一発と、これは何か理由がありますか。
  198. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 一般の税法上、法人の場合には激変緩和ということで経過措置がとられているわけでございますけれども、政府関係機関の場合にはそのような納税というような問題がございませんので、一挙に経過措置はなしに千分の五にしたわけでございます。
  199. 中村利次

    ○中村利次君 もう一回。よくわからなかったです。
  200. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 税制の場合には、これは法人税の関係がございますので、激変緩和ということもございまして経過措置をとっているわけでございますけれども、政府関係機関の場合にはそういう法人税のような問題もございませんので、経過措置をなくして一挙に千分の五にしたわけでございます。
  201. 中村利次

    ○中村利次君 これは法人税制の改正ではなくて、政令、省令でおやりになっておるわけでしょう。どういう関係になりますか。
  202. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 貸し倒れ準備金繰り入れにつきましては、根拠法規は法律でございますが、具体的には政令におきまして貸し倒れ準備金の繰入率は大蔵大臣が定めると、このように規定しております。
  203. 中村利次

    ○中村利次君 ですから、政令、省令を私は非難しているのじゃないんですよ。法人税法の関係もあって激変を避けて経過措置を講じたとおっしゃる。どうもわからないんですがね。政府機関の場合にはそういう関係がないから一発でやったとおっしゃるけれども、法人税制とどういう関係がありますか。
  204. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 政府機関貸し倒れ準備金と税法上の一般の法人に対する貸し倒れ引当金というようなものは、これは大体同じようなものでございますから、一方の税制上における貸し倒れ引当金と申すものは、これは一五%だったものをいきなり一遍に五%に引き下げると、そうすると税の負担が、その法人の大変に一年のうちに税の負担が激変する、非常な激化をするというわけでございまするので、これを年々逐次下げていくと、こういうことでございますが、政府機関の場合にはこれは税の関係がございません。法人に対する課税をできるだけ漸次かけていくと、こういうことです。それで、一般の法人はそれでいい、その必要がある。ところが、政府機関の場合にはこれは何ら税の関係がございませんから、非常に引き下げられる方のはだに感ずる痛みというか、それは民間の法人とは違いますから、それでこういうことになった。というよりも、一般法人の場合は、税をかける場合にはどうしても余り急に激変をするということはこれは避けなければならないと、こういうことなのでございます。
  205. 中村利次

    ○中村利次君 これは確かに一般法人の場合一発で税が激増をするというのは避けて、なだらかにするために経過措置をとったというのはそれはある面ではわかります。しかし、千分の五で十分であるという前提に立てば、とにかく三年後にはトータルでは同じことでしょう、税収は。どうですか、大蔵大臣
  206. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) そのかけられる法人にとりましては、最後にいくものと——この積立金というものは、それに対しましては税をかけないということになっておりますので、一遍にがたっとこれを下げたら、そうすると大変な税が、過超負担と言うとおかしいのですけれども、急に税負担が増してくると、こういうことでございます。
  207. 中村利次

    ○中村利次君 どうもはっきりしませんけれども、これはいろいろ議論になったところですが、私はトータルではそれほどの差は出てこないと思うんですよ、どうせ千分の五にするわけですからね。だから経過措置を否定はしませんが、やっぱり何か景気対策のためには財源が要ると、そしてその景気対策そのものは法人に対しても操業度を引き上げる等のプラス面がある。これはみんなそいつを望んでいるわけですから、そこら辺の兼ね合いを財源等を絡めてどうお考えになるかということを実は聞きたいんですけれども、何かこれは、大蔵大臣は納得できるようなお答えはなさらないでしょう。ですからそれはいいです。  そこで、政府関係機関の内部留保のうち、この三機関だけではなくて、たとえば電電公社なんか資本剰余金というのがありますが、これはどういう勘定ですか。
  208. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 金融機関以外の政府関係機関でも、資本準備金とかあるいは利益準備金を持っている機関がございます。それは資本金を補いまして、たとえば固定資産の取得のための財源に実質的になっている。片方で固定資産があって、その引き当てとしてそういう準備金があるというようなかっこうになっているわけでございます。
  209. 中村利次

    ○中村利次君 そうしますと、とにかく政府は公債の発行を三〇%以内ということに非常に固執をされていらっしゃる。これは二九が正しいのか三〇が正しいのか、三一、三二はいけないのかという議論はいままでありましたが、とにかく三〇%ということを固執していらっしゃる。そうなりますと、やっぱりこれから、たとえば六・七を円高問題、ドル安問題のあおりまで食いながら何とかこれは何が何でも達成をしていくんだということになりますと、なおかつ、歳出面で効果のあるような対策が打てないと、これは行政機構の改革にしても大山鳴動ネズミ一匹にもならない。省庁の見直しですら、総理が執念を持っておやりになったのが、これは大変な反撃を食ってだめになるというぐらいですから、私はこの行政機構の改革も歳出面でかなりの効果を生むような、そういうことの実現というものは期待できない。残念ながら、国民は非常にこれは期待しておるけれども。また、失礼なことを言いますが、いまの政府では実効ある行革なんてことはできないということになると、やっぱり歳入面をどう図っていくかということになれば、こういう電電公社の資本剰余金だとかあるいは専売公社の利益積立金だとか、こういうものを財源的に手をつけるような可能性があるのかないのか、そういう点について伺っておきます。
  210. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 御承知のような財源事情でございますんで、いろいろな制度につきまして根元から洗い直すという態度でやっておりますんで、ただいま御指摘の点も、実は内々の話でございますけれども、検討はさしていただいておりますが、先ほど申し上げましたように、物になっちゃっているわけでございますから、その物を売るとかあるいは別の金融をつげなければ準備金を取り崩すことはできないというような関係にございまして、かなりむずかしい問題だと思いますが、なお続いて検討をしてまいりたいと思います。
  211. 中村利次

    ○中村利次君 そのときどきによって政策の変更というのがありますね。たとえば国鉄の新幹線をどうするか、あるいは本四架橋をどうするか、これは経済の動向によっていろんな変化というものがあると思うんですよ。だからそういう意味を含めて、これらの積立金、剰余金等は見直される場合がかなりのウエートを持ってあると、こういうぐあいに考えていいんですか。
  212. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) ちょっと聞き漏らしましたんですが、かなりの……、一番最後のところを。
  213. 中村利次

    ○中村利次君 かなりのウエートで。
  214. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 先ほど申し上げましたように、相当むずかしい問題だと思いますので、検討はいたしておりますが、実現性がどこまであるか、まだめどがつかない状況でございます。
  215. 中村利次

    ○中村利次君 これは、法案の対象になっております政府関係三機関の引当金、こいつを一般会計繰り入れるということは、その前提としては千分の五の引当金積み立てで十分なんだということだったんですね。私は、それはそれなりにいいと思うんですよ。だからそれに異議を唱えるわけじゃない。しかし、千分の十であったんです。そのときには、千分の十でなければならないという理由があったんです。あるいは一般法人の場合でも、千分の二十、千分の十五あるいは千分の十二というのを——金融保険業の場合には千分の十ですか、千分の五に政令、省令を改めて、そういうことをこれでいいんだということでおやりになる。そのときそのときで政策の転換というのがあってきたし、また今度もあってるんですよね。だからそいつを、総体的に何か便宜主義だというぐあいに国民が受け取るようなやり方というものはまずいんです。ですから、政策の基本を変えないまでも、そのときそのときの経済情勢に応じた政策の転換はそういうことを十分に配慮をして行われるべきであって、たとえば貸し倒れ引当金なんかでも、実績に照らしてこれは多過ぎるんじゃないかという議論があったのを、いやいややっぱり千分の十でなければいかぬといってやってきたわけでしょう、いままで。だからそういう点についての基本的な姿勢を大蔵大臣に聞いて、この法案関係はこれでおしまいにしますが、いかがですか。
  216. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 千分の十から千分の五にいたしましたことでございますが、輸銀、開銀は、いままでのいろんな運営をやってきたその経験からいきますと、やはり民間の法人とか金融機関といったようなものと非常に相通ずる相似の点がございます。そういったようなところから、一般の法人と大体同様に積立金、準備金というものはこれで間に合うんである、現下の事態におきましてはさして支障がなかろう、こういうふうに判断をいたしまして、それで今度の措置に出たような次第でございます。
  217. 中村利次

    ○中村利次君 大臣は答弁上手というのですかね、困るんですよ。私は、今度のこの千分の十を千分の五にしてそして一般会計繰り入れるというのを、けしからぬとか批判しているんじゃないんですよ。そうじゃなくて、これはほかにもいろんなものがあります、政府関係機関であると一般法人であるとを問わず。だから、何か財源をどこかで見つけなければならないというときになれば、便利的に、こういうものをこう、ここにあるからこれを持ってきようと。それには、これを持ってきても憂いはありません、十分でございますという説明がついてそういう財源措置をする。法人の場合にはこれは税収になってくるわけですから。そういうのを政策としてセットしておやりにならないと、せつな主義では国民から決して支持をされないんじゃないですか。何かそういうぴしっとしたものがあるべきじゃないかということをお尋ねしたんですけれども、これももういいです。——主計局の次長、何かございますか。あったら……。時間がないもんですからね。
  218. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) お説のとおりだと思います。それで、場当たり的に何かやるということではなしに、何か原則的なものは見出せないかというような点からも検討さしていただいております。ただ、それじゃいま実現可能性のある話でそういうことをやっているのかと言われれば、そこのところはまだとてもめどがつかない段階でカオス状態ではございますけれども、内部的な検討としてはおっしゃるようなことも検討さしていただきたいと思います。
  219. 中村利次

    ○中村利次君 不況対策はやらなければならない、景気は何が何でも浮揚しなければならない、財源措置は苦しいということになりますと、ぼくは、いままでいろんな議論がたくさんありましたけれども、おっしゃるように、確信をもってこれでやりますというものをぜひひとつ、もう全般にわたって政府が確信の持てるようなもの、あるいは国民の支持を得られるようなそういうやり方をぜひ要望しておきます。  それから、もう時間がなくなってしまいましたけれども、円高問題なんか午前中からずいぶん質問あるいはそれに対する政府のお答えがございました。私はこれは別な面からとらえても、確かに私自身もいままで批判をしてまいりましたが、景気の回復策として国内需要をどう喚起をするのかということが不可欠の問題だと思いますけれども、そうじゃなくて、実際には経済成長率は輸出に負うところが過去には非常に多かった。ですから、集中豪雨的な輸出を節度を持つということは、これは国際経済社会の中で当然だと思う。しかし、今度の円高の問題はそれだけではない。アメリカは、エネルギー政策の一環でしょうけれども、原油の買い入れが非常に多過ぎてドルが弱くなった。そういうものを絡めて、やはり国際通貨戦略としてアメリカにはちゃんと戦略的なものがある。アメリカの国益のためにあると言われておる。われわれもそう思う。ところが日本の場合には、景気も浮揚しなければならない、雇用不安をなくさなきゃならないというのがこれはもう政治の絶対命題でありながら、それを、補正予算だってそのためにやるんだと言っておきながら、円高が来るとこれはもう全くあおられっ放しですね。そのために倒産しそうなのもまたいっぱいプラスして出てきた。  そこで、わが国が国益のためのそういう戦略がないということになると、まことにこれはもうどうなるんだということになるんですがね。まあいろいろ物をはっきり言えない面もありましょうけれどもね。わが国にやっぱりこの円高に対する——日本だけが何か悪者になって袋だたきにされて、輸出をうんとやったことによるドルが弱くたったということが、さっぱりどうも国際的にそういう対策はない。わが国としても、わが国の国添上から言ってもそういう戦略が乏しいということになれば一言これは言いたくなりますよ。何かありますか。なきゃ困るんですけれどもね。
  220. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 何遍も申し上げることでございますがね、基本的にはやっぱり国内の景気というものを喚起していって、国内需要というものを刺激をすることによって日本からの輸出圧力といいますか、それを軽減していくとともに、日本の輸入というものを増大していくということが、これが基本的な行き方であり、かつまた、それとともにやっぱり先般の対外経済対策でいろんなものを決めておりますが、たとえば輸入の前倒し、東京ラウンドに先立っていろんなものを、石油の備蓄を初め輸入をしていくというようなことにつきまして、今日政府関係各省におきまして非常に熱意を持っていま実行方法、具体化について研究しておるところでございますが、こういったような一連の施策というものを、これをできるだけ早く効果的に実行していくということでございまして、相場そのものに対しましていろんな誘導をしたりというようなことは、このフロートのもとにおいてはこれはやれないことであるということでございます。
  221. 中村利次

    ○中村利次君 なかなかオーソドックスなことをおっしゃいますけれどもね。かなりこれはいまの円高あるいはドルの弱さというのは異常な状態でしょう。アメリカは自国の責任において、ドルが安くなっているんだけれども戦略を持って国益的なことをやってますよね。日本はやられっ放しです、これは。だからそこにわれわれは何か芸がないかと、こう言っているんですが、その基本的なことに加えて、何もよその国の不始末まで全部背負い込んであなた日本がきゅうきゅう言って、そして円高によって倒産がまたプラスされる、そして雇用不安もますます深刻になる、こういうものに対してしりぬぐいばかりやってないで、何か攻撃的な戦略というものがないですかと言って聞いているんですよ。
  222. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) ただいま申し上げたようなことでは大変これはなまぬるいと、こういうような御意見でございまして……。
  223. 中村利次

    ○中村利次君 それはやるべきですよ。
  224. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私どももこれは一生懸命やるといたしまして、とにかくアメリカが赤字がふえてドルが安くなるという一つの大きな原因はあたかも日本にあるかのごとく、そういうことではなくて、私どももアメリカが石油の輸入というものを継続的にきわめて多量にやっておるということが一つの大きな原因だと思います。そういうようなことから、アメリカに対しましてこれは別に干渉するわけでも何でもございませんけれども、ひとつアメリカのエネルギー政策におきまして考えてもらって、そうして石油の輸入というようなことはひとつ自粛をしてもらえまいかということはこれは要請をしておるというような次第でございます。
  225. 中村利次

    ○中村利次君 これはもっと質疑を詰めたいんですけれども、時間がもう来てしまいましたから。  やっぱり私は切ないものがあると思いますよ、日本国としては。それは片方には二百海里から漁業交渉の問題だってやられっ放しという印象がある。片方には経済的あるいは国際通貨の上からだってこれだけの深刻な国内情勢にありながら追い打ちをかけられているような、それで要請をするというのでは、何かやっぱり攻撃的な戦略というものが私は当然あっていいんじゃないかと思いますが、これはまた別の機会に譲る以外にありません。時間が参りましたからこれでやめますけれども、もっと国民の期待にこたえる、そういう政策、戦略というものをとってほしいと思いますね。     —————————————
  226. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日竹田四郎君が委員辞任され、その補欠として田中寿美子君が選任されました。     —————————————
  227. 渡辺武

    ○渡辺武君 日本銀行からおいでいただきましたので、円問題について若干伺いたいと思います。  きょうの東京為替市場では、ついに一ドル二百四十八円という相場が出たそうであります。二百五十円台はもう割れてしまったというのが実情です。こういうような状態になってきますと、一体日本経済にとってどういうような深刻な影響があるのか、まずそれを伺いたいと思います。
  228. 澤野潤

    政府委員(澤野潤君) お答えいたします。  確かに先生のおっしゃいますように、八月、九月は大体二百六十六円で円の相場は推移いたしまして、九月の終わりごろから最近にかけましてかなり急激に大幅に円高の傾向を得ております。しかし、この円高の傾向と申しますのも、これがもし長期的にずっと続いた場合には、基本的には理論的に申しますと輸出数量が減少する、輸入数量が増加するということによってそれなりの効果があらわれてくるのじゃなかろうかと思うのでございますけれども、しかし、この効果があらわれるまでにはかなりのタイムラグがあるというのがわれわれの過去の経験からも言えるわけでございまして、むしろ円高になりました当初は、黒字幅の縮小よりは黒字幅が増加するといった傾向すらあらわれ得るのが従来の経験でございます。したがいまして、これがいかなる時期にいかなる程度においてあらわれるかということにつきましては、われわれとしてはいま鋭意勉強中でございますけれども、なかなかむずかしい問題で、どの程度であるかということをいまここでは申し上げる立場にはございません。  しかしながら、少なくとも本年度に関する限り、五十二年度に関する限りは、先般採用いたしました総合経済対策、これによりまして内需を拡大し、内需を拡大することによって一応五十二年度内では一兆五、六千億円程度の効果があると考えられておりますけれども、この内需の拡大によりまして経済成長、生産の拡大といったような面から、一応政府が見通しております実質経済成長六・七%というものにつきましては、それを何とか達成できるのではないかと考えておる次第でございます。
  229. 渡辺武

    ○渡辺武君 私きょうは持ち時間少ないんで、端的にひとつ皆さんお答えいただきたいと思うんです。  輸出中小企業は深刻な打撃だと思うんですが、通産省の方どうですか、二百四十八円というような状態になって。
  230. 柏木正彦

    説明員(柏木正彦君) 業種によって影響は違いますけれども、相当苦しいところが出てくると思います。
  231. 渡辺武

    ○渡辺武君 もうちょっと言ってくださいよ。余り抽象的でわけがわからぬ。具体的に言ってくださいよ。
  232. 柏木正彦

    説明員(柏木正彦君) 非常に品質の高級なもの、そういったものにつきましては二百五十円になりましても輸出がそれほど困難ではないというところもございますけれども、おおむね繊維及び雑貨など輸出中小企業につきましては今後成約がむずかしくなる、ただし、あと今年及び来年の一、二ヵ月の輸出につきましては、すでに成約したものについての輸出が中心になるわけでございますから、通関ベース等におきましては影響が出るのはむしろ来年の三月以降であろうと、こう思われます。
  233. 渡辺武

    ○渡辺武君 どうも時間がないんで、もう少し深く伺いたいんですが次に移らざるを得ません。  輸出中小企業に大きな打撃が来るだろうと、これは当然予想されるし、もうすでに来つつあるわけですね。二百五十円台を割るというような事態ですから、これが日本経済に対して全体として否定的な影響を与える。いままで政府のやってきたいわゆる不況対策なるものも、これはもう焼け石に水みたいな状態になるんじゃないかというのが一般新聞でも書かれていることです。  大蔵大臣に伺いますけれども、先ほど輸入の前倒しや緊急輸入など、それからまた財政を主軸とした不況対策などを対策として考えているんだということをおっしゃったんですが、ウランの緊急輸入とか牛肉の輸入枠の拡大とか、聞くところによりますとそれだけで約二十億ドル程度しか輸入効果はないだろうというふうに言われておりますね。それも含めまして、その程度の対策で一体いいのかどうか、どういう効果が出るのか、これを伺いたい。
  234. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) おっしゃるように、これで十分だというふうには考えておりません。これもやれるものからやっていくということでございまして、その他につきましても今後大いに考えていかなければならないと、かように考えております。
  235. 渡辺武

    ○渡辺武君 まことに頼りない御答弁ですね。だってもう急騰しているでしょう、一方では。他方でそんな状態でしか政府が対策について考えてないということだったら、私は円はもっと上がっていくんじゃないか、そう思わざるを得ないですよ。  端的に伺います。経常収支はどうなりますか。政府の当初見通しでは七億ドルの赤と、こういうことになっていましたね。改定見通しで六十五億ドルの黒に激変したわけですよ。ところが、ことしの四月から九月までにもうすでに五十五億ドルの黒ということになっているじゃないですか。経済成長率六・七%ということを前提条件としてもこういうことになっているんです。まだそこまで達成しないうちに、一体これ多少でも緩和できる見通しありますか。特にその主軸となっている大企業の集中豪雨的な対米輸出、これについて一体今後なお緩和するという見通しはありますか、どうです。
  236. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) 確かに御指摘のように、本年度末の経常収支の改定見込みは六十五億ドルでございます。それから、先月末の経常収支の黒字は五十五億ドルでございますが、しかし、今後対外対策を着実に執行していく、一方では景気の上昇を期待するということでこの現在の目標を何とかして達成したい、そのための努力を鋭意続けておるところでございます。
  237. 渡辺武

    ○渡辺武君 達成したい、努力していると言っても、それじゃ集中豪雨的な輸出は一体規制できますか。通産省どうですか。
  238. 柏木正彦

    説明員(柏木正彦君) お答えいたします。  いわゆる円対策は、先ほど来坊大蔵大臣もお答えになりましたとおり、内需を振興し輸入をふやすということによるべきであろう、したがいまして、輸出を規制するというふうな方法によるのは好ましくないというふうに通産省としては考えております。
  239. 渡辺武

    ○渡辺武君 それは答弁にならぬですよ。これは経済企画庁の経済月報のことしの五月号に出ていたんですが、「限界利益確保可能な対ドルレート」というのでグラフが出ている。それによりますと、五十年下期の数字ですが、鉄鋼の場合は百四十円のレートになっても限界利益確保可能だというんですね。それから自動車の場合ですと、まあグラフだからはっきりわからないが、二百十円から二百二十円くらいのレートになっても限界利益確保可能だと、こういうことになっている。  それから日本経済新聞の十月五日付、これは「全体の利益がゼロとなる円レート」ということなんですが、日産の場合は百六十五円、トヨタは百六十円、日本電気の場合は百六十円、ステレオなんかを生産してますパイオニア、この場合は百五十五円、これで利益ゼロですから、それよりもちょっと低目のところで利益が確保できると、こういうことだろうと思う。大企業は競争力持っているんですよ。二百五十円を割ってもなおかつ輸出は可能なんです。しかも、円レートが高くなれば鉄鋼なんかは原材料の輸入価格は下がるんです。それだけまた競争力はつくでしょう。一体これでこの集中豪雨的な輸出、野放しにしていていいですか。何か対策講じなきゃならぬじゃないですか。中小企業は大変な状態ですよ。大企業はのほほんとしていられる。どうですか。どういう対策講じますか。
  240. 柏木正彦

    説明員(柏木正彦君) お答えいたします。  円対策の中心は、先ほど来申し上げましたとおり内需の振興と輸入の促進ということによるべきだと思います。なお、自動車、鉄鋼、家電というふうな商品の輸出見通しあるいは円のレート高騰に伴う影響等につきましては、専管課長——自動車課長、電電課長、鉄鋼業務課長が参っておりますので、それぞれ対策を聞いていただきたいと思います。
  241. 渡辺武

    ○渡辺武君 ちょっと時間がないものだから、せっかく伺いたいんだけれども、ちょっと時間いただいていいですか。
  242. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) いや、もうそれぞれ決まった時間がありますから、その中でやってください。
  243. 渡辺武

    ○渡辺武君 じゃ、あなた代表してどういうことを考えるのか、この集中豪雨的な輸出、これに対して。一言言ってください、簡単に。
  244. 柏木正彦

    説明員(柏木正彦君) 集中豪雨的な輸出によりまして輸入国において貿易摩擦等招来することは、通商国家たるわが国としてとるべき道ではありませんので、そういう場合におきましては節度ある輸出を行うよう業界に対しましては適時注意を喚起しているところでございます。
  245. 渡辺武

    ○渡辺武君 大蔵大臣、この大企業の競争力持っていて集中豪雨的に輸出しているこういう状態、野放し同然なんですね、自粛要請するというような程度です。私はやっぱり輸出に対する、こういう大企業の集中豪雨的な輸出に対して適切な税を賦課すべきだと思うんです、いわば輸出均衡税のようなものですね。この点についてどういうお考えか。  それから、せっかく日銀副総裁おいでいただいて、もう時間も切迫してきましたので、ついでに伺いたいと思うんですが、やはりこれほど円が高くなっても依然として実勢に任せるという態度をおとりになるのかどうか、これも伺いたいと思います。
  246. 戸塚岩夫

    政府委員戸塚岩夫君) 輸出品に対しまして輸出均衡税を課することは、理論的に輸出を抑制する手段として考えられるわけでありますが、現下の厳しい経済環境を考えますと、いま直ちに人為的に輸出を抑えるような形で税を課することは一般的に適当でないと考えております。  御承知のように、九月二十日の「対外経済対策の推進について」を発表しました際にも、輸出面の措置としましてはただいま通産省の輸出課長からお答えしましたとおり、「輸出動向の注視を続けるとともに、関係業界に対し節度ある輸出を行うよう注意喚起を図る。」という線で現在は対処してまいりたいというふうに考えております。
  247. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) 前川でございます。  現在フロート制のもとにおきまして、IMFその他各種国際金融機関会議の場を通じまして確立されておりまする各国共通の原則は、御承知のように、為替相場はそのときどきの市場の実勢にゆだねると、これを一定の水準に維持しあるいは誘導するということはしないということが原則でございまして、介入も投機的な要因等による為替相場の乱高下を防止する、それをならすという目的だけに使うということが原則になっております。これは、固定相場制度の時代にいろいろ矛盾がございまして、そういう時代のいろいろの困難、弊害を除いて初めて確立された原則でございまするので、私どもも現在、これからもこの原則を続けてまいろうというふうに思っております。
  248. 渡辺武

    ○渡辺武君 私は、もう円の相場がこのくらいまで高くなって、日本経済にも、特に中小企業に対する影響が非常に深刻になったと、日本銀行が全く野放し同然で実勢に任せるんだという態度をとっているべきときじゃないんじゃないか。もうやはり日本経済の現在と将来を考えて介入すべき時点にきているんじゃないかというふうに思います。何かこの介入するという点で、いまおっしゃったことのほかに国際的な制約があるんじゃないでしょうか、どうでしょう。  私、まあ御答弁を早くいただく意味で申し上げますが、一九七四年の六月十三日IMF理事会の決定というのがありますね。ここに原文持っております。「変動為替相場運営のガイドライン」、その初めの方にいまおっしゃったようなことが書いてあるんですね、しかし、第六項を見てみますと、変動相場制のもとでも為替介入をすることができるんだと、その場合にはこうせよという趣旨のことが書かれているんですね、絶対為替介入しちゃいかぬということじゃないんですね。ちょっと読んでみますと、「変動相場制をとっている諸国は、介入にあたって、他国の利益を考慮することが望ましい。他国とは、介入通貨国をふくむ。介入通貨発行国と使用国との間で通貨介入のために、相互に満足すべき合意が行われると有益であろう。」、こう書いてある。つまり別の言葉で言えば、いま日本銀行が通貨に対して介入をする場合に、相手国であるアメリカの合意が必要だということじゃないでしょうか。この点どうでしょう。  それからもう一点、先ほど大蔵大臣はアメリカに対しても発言するんだと、余り石油は輸入し過ぎるなということを言うんだとおっしゃいましたけれども、ここにはアメリカの合意がなければ日本銀行は通貨の介入できないんだということがちゃんと書かれている、そういう趣旨のことが。この点についてアメリカの合意を得るという、このアクションを起こすおつもりがあるかどうか。この二点を伺いたい。
  249. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) ただいま御指摘のIMFの理事会の決議、一九七四年の六月の決議は、フロート制におけるガイドラインを規定した決議でございます。確かに第六項にはいま御指摘になったような項目がございます。為替相場に対しまして介入を行う場合には、円の対外価値であるばかりでなしに介入をいたします通貨、これは通常ドルでございますけれども、そのドルを発行している国にも関係することでございまするので、その立場を考慮に入れろということが書いてございます。しかし、これは一般的な意味の精神を規定したものでございまして、実際の介入に当たりまして、一々相手方の意向を聞くとか了解を求めるとかいうようなところまで規定したものではないと思っております。現に私どもが介入をしておりまする場合に、アメリカに一々相談するとかあるいは了解を求めるとかいうようなことは一切いたしておりません。
  250. 渡辺武

    ○渡辺武君 大蔵大臣どうですか。
  251. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) 確かにおっしゃいますように、四十九年の六月のガイドラインにおきましては、「変動相場を採択している加盟国は、介入に際して介入使用通貨の発行国を含め他の加盟国の利益を考慮することとする。」と、その次に、「介入通貨の使用に関して、介入通貨発行国と使用国の間で相互に満足のゆく取決めが合意されることとなれば有益であろう。」ということを言っておりますが、こういう合意が必ずなければならないということは言っておるわけではございません。現実の介入に際しましても、一々アメリカの合意を得なければならないというふうにわれわれは理解いたしておりません。
  252. 渡辺武

    ○渡辺武君 最後に一問。  私、特にこの点を申し上げますのは、いまアメリカと西ドイツの間では相談して、なるべくマルクは切り上がらないようにということでマルクは比較的安定しているわけですよ。もっとも最近になりますと、ドルの方が不安定になってきてマルクも若干切り上げの方向という状態があらわれておりますけれども、ことしの六月ごろからの動きを見ますと、マルクは比較的安定している。これは相談ずくで円に集中攻撃を加えるというアメリカの戦略からきていると思う。  私、ここにモルガン・ギャランティー・トラストのことしの九月の「世界金融市場」誌、ここでの分析を持っております。これによりますと、アメリカの経常収支が赤字になるというのは国際競争力が落ちているということじゃないんだという趣旨のことですね。むしろ日本の円が強過ぎるんだと、だから為替を、日本の国はもっと円を意識的に引き上げるようにすべきだと、こういう議論をやって、これがいわば一つの大きな素地になって、そしてブルメンソールの発言等々、一定のきっかけがあって、そうして円がガッガッと高くなっている。明らかにアメリカの意識的攻撃ですよ。そういう状態が一方である。  したがって、日本銀行としても、わが国の経済について自主的な立場で対応すべきじゃないかと思うんです、私は。西ドイツが介入できてなぜ日本の日本銀行が介入できないのか。私はやはりいまのこの深刻な経済的な打撃、これを回避する上でも当然介入を行うべきだと、アメリカに対してそのことを要求すべきだと思います。重ねてどうでしょう。
  253. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) ドイツの場合と日本の場合と一つ基本的に違いまする点は、ドイツにおきましては国際収支の基礎的収支は赤になっておる。日本の場合にはそこまでいっておりません。もちろんドイツも貿易収支あるいは経常勘定において黒を出しておりまするけれども、資本勘定でその黒を消すということが行われておるわけでございます。日本はまだそこまでいっておりません。基本的にはそういう違いがあると思います。  第二の御質問でございました、ドイツは介入をしているが日本は介入してないじゃないかという点につきましては、われわれも相当の多額の介入をしております。しかも、それにもかかわらず相場の円高のこの大きな動きを、若干緩和することはできましたけれども、とめることはできなかった状態でございます。そういう点につきまして、ドイツと日本と介入のやり方について、私どもはむしろわれわれの方がかなり大幅の介入をしておるということを申し上げておきたいと思います。
  254. 渡辺武

    ○渡辺武君 最後に一問だけ。  そうしますと、実勢に任せるということであれは、その実勢そのものが、先ほど来お聞きいただいたように集中豪雨的な輸出はとどめるすべもないという状態なんですね。国内の景気刺激政策、これも十分な効用を発揮しない、緊急輸入、これも二十億ドル程度で焼石に水だ。大蔵大臣自身がさざ波程度の力しかないんだということを言っておられる。そういう実勢に任せるという日本銀行の態度が今後も続くとすれば円はもっと高くなる。こういうふうにしか解釈できないじゃないですか。それでいいですか。
  255. 前川春雄

    参考人(前川春雄君) 相場の実勢と申しますのは、基本的には国際収支の状況によりまするが、国際収支の黒そのものだけではなくて、国際収支の先行きに対する国外、対外取引の市場関係者全体の見通しもこれに絡んでまいります。そういう意味で相場観というものがこの夏までは二百六十六円と、非常に大きな国際収支の黒字を出しながら相場観は二百六十六円ということで市場関係者の間では確立しておったわけです。それが九月末以来相場観が変わりまして、そのきっかけはどうであったか、いろいろ先生の御説もあるかと思いますが、そのきっかけはともかくとして、国際収支の現状においてはそれほど大きな違いがなかったにもかかわらず、市場関係者の相場観がここで変わってきたということだと思います。この相場観がこれからどういうふうになるかということにつきましては、私どもも為替政策の一翼を担っておる立場にございまするので、相場がどういうふうになるかということにつきましては答えることを遠慮さしていただきたいと思います。
  256. 野末陳平

    ○野末陳平君 いまの法案については、もう大体質問することもありませんので、歳出面における問題を、財源難から歳出面の細かい見直しといいますか、厳しい見直しが必要になっていることは言うまでもないわけですから、ぼくもそれについて幾つか拾ってみて考えることがありましたので、大蔵大臣に意見をお伺いしたいと思いまして……。  きょうは時間の関係で、教科書の無償配付の問題と国立大学の授業料の問題とか、そんなようなことをやっていこうかと思うんですが、主計局に聞きますが、国立大学の授業料はいよいよ値上げですか。ぼくは値上げやむを得ないと思っている立場ですから、お伺いするんですが。
  257. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 国立大学の授業料は五十一年に約三倍近く値上げしたわけでございますが、来年度予算の編成に当たりましていろいろ検討はしておりますけれども、まだ値上げするともしないとも決まっておりません。
  258. 野末陳平

    ○野末陳平君 だけれども、大蔵大臣の諮問機関で一応値上げの意向という方針は打ち出したわけでしょう。
  259. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 御承知のような財政状況でありますので、いろいろ見直しを行っているわけでございますが、見直しを行いますやり方の一つとして、財政審議会の委員の方々の御意見も伺いたいということで、部会を設けましていろいろ御検討いただいているわけでございますが、その部会に文部関係のいろいろな問題を御説明申し上げたという事実はございますが、なお結論とか——それは審議会としての結論ですが、それすらもまだいただく段階には至っていない。一応御説会計原則とは異なった処理が行われているのではないかということでございまして、滞貸償却引当金の問題と経理明確化の問題について勧告がなされたわけでございます。  その内容は、一つは、公庫の滞貸償却引当金繰り入れ方式が民間の一般金融機関と違いまして累積方式をとっている、これは洗いかえ方式をとるべきではないかというのが一つでございます。  それからもう一つは、その繰入額が償却実績に比べて過大ではなかろうか、こういう指摘でございます。  それから経理に関しましては、繰り入れ後の損益が毎年度ゼロとなるのは経営成績の把握の点からいっておかしいじゃないか。結局これは滞貸償却引当金の繰入率がかなり任意的に変動しているんではなかろうか、このような指摘であったわけでございます。  これに対しまして、政府側といたしましてもいろいろ対応策を実施したわけでございまして、一つは、滞貸償却引当金経理の方法を行政管理庁指摘のとおり、累積方式から洗いかえ方式に変えたわけでございます。  それから、繰入率でございますが、これは従来累積方式をとりましたためにかなり繰入率が結果的に高くなっていたわけでございますけれども、これを改めまして、原則として民間の金融機関の二倍ということに改めたわけでございます。  それから、三番目の経理明確化の点でございますが、これは、確かに指摘の前におきましては、公庫によりましては、収益が出た場合に、それを全部滞貸償却引当金の方に繰り入れたために、結果的に収益がゼロであるというような形になっておりまして、行政管理庁指摘のとおり、累積率に継続性がなかったわけでございますけれども、今回は改めまして、民間の金融機関の二倍という一つ原則を打ち立てまして、このことによって、いわば恣意性がなくなったわけでございまして、継続性が確保されることになったわけでございます。したがいまして、このような方式をとることによりまして経理方式も明確になった、このように考えております。
  260. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 しかし、それ以後五十年、五十一年とずっと見ましても、北東公庫以外は全部利益金がゼロになっているわけですね。そういうことになりますと、余り前とは変わらないのじゃないかと、これはどういうことなんですか。
  261. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) お答えいたします。  確かに先生指摘のとおり、五十年以降におきましても結果的には利益金がゼロの公庫が多いわけでございますけれども、実はその背後にある経理方式は全く変わったわけでございまして、従来は、利益金が出ますと、どちらかというと滞貸償却引当金の率をある程度動かすことによって結果として利益金が出ないようにするというような方式をとった場合もあったわけでございますけれども、五十年、五十一年におきましては、滞貸償却引当金の率を一定にしてしまったわけでございます。したがいまして、それを超える利益が出た場合には必ず利益が出た形になるわけでございまして、この点につきましては、民間の金融機関におきましても一応貸し倒れ引当金を積んでその残りが利益になってくるわけでございますから、その点においては民間金融機関と同一経理方式をとったことになるわけでございまして、結果的にはゼロではございますけれども、その背後の計算方式は全く変わってきたわけでございます。
  262. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは午前中にもいろいろ論議があったわけですけれども、いわゆる滞貸償却引当金の率が実際の償却額に比べて余りにも差がある。それで、午前中のお話では、やはり金融機関というものは、できるだけ貸出金利も下げ経営も安定をさしていかなければならない、そういう社会的な要請から、できるだけ引当金の額等も多いにこしたことはない、こういうお話で、それはそれとしてわかるわけですが、私は、行政管理庁勧告から考えるならば、やはり引当金というものは、その趣旨から考えて、どの程度の滞貸償却額が出るか、そういうものにある程度危険負担を考えて、その平均の二倍とか三倍とかそういう程度に抑えて、そして、金融機関の金利を安くするとか経営の安定のためとかいうのはもっと別な項目を考えた方がすっきりするのじゃないか。これはあるいは素人的な発想かもしれませんけれども、行政管理庁勧告の趣旨から考えればそうすべきではないかと思うんです。その点はどうなんでしょうか。
  263. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) お答えいたします。  先生指摘のとおり、政府関係の金融機関でございますから貸し倒れ引当金はもっと低くてもいいじゃないか、あるいは貸し倒れが出た場合には直接それを国庫で持てばいいではないか、そういうような議論も十分にあり得るわけでございますけれども、しかしながら、これは先般も御説明申し上げましたとおり、政府から独立して固有の金融業務を営んでおります金融機関といたしましては、これは行政管理庁勧告にもあるわけでございますけれども、できるだけ公正妥当と認められる企業会計原則にのっとることが望ましいということになっているわけでございまして、この点で貸し倒れ引当金も必要だと考えているわけでございます。  その場合の繰入率の問題でございますけれども、確かに、現実償却の比率は非常に低いわけでございますが、どの程度の滞貸償却引当金が適正であろうかというような判断に当たりましては、過去の実績とともに将来への見通しということも大きな問題でございまして、御承知のとおりな経済金融情勢でございますので、現実北東公庫ではかって千分の六というような貸し倒れを生じたこともございますし、そのような面を考えますと、ある程度の繰入率は必要でございます。  また、先ほど申し上げましたように、政府から独立した金融機関として、特に開銀、輸銀の場合には法定準備金もございますが、公庫の場合には内部留保としては滞貸償却引当金だけでございますので、その意味でも、金融機関としての先ほどの企業会計原則という見地から見ましても、ある程度の内部留保、しかもこれは無利息の非常にいい性質の金でございますから、それが必要だということは考えられるわけでございます。現実にこれだけの滞貸償却引当金貸し出しに回されておりまして、貸出金利を低めるのに機能しているわけでございます。そのような各方面のことを踏まえまして、現在程度の繰入率が適正ではないか、このように考えているわけでございます。
  264. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 二点についてお尋ねしますが、不況が非常に深刻で不況業種の問題等も論議され、二十数ヵ月中小企業の負債一千万以上の倒産千件がもう続いておるわけでありますが、そういう中で、民間あるいは公庫を含めて、いわゆる滞貸償却額というものはいま増加の傾向にあるんではないか。一般的な話かもしれませんけれども、それはどの程度の増加の傾向にあるのか。  それともう一つは、民間とそれから政府系、これは相手が大企業に貸し出す都市銀行は比較にならないと思うのでありますが、それに相応する民間銀行の場合の償却額と比べて、実際の額というのは率はどのように違うのか、この点もしわかりましたら説明してほしいと思います。
  265. 徳田博美

    政府委員徳田博美君) 金融機関の実際の償却でございますが、たとえば国民公庫で申し上げますと、五十年が二億五千三百万でございましたのが、五十一年が六億三千七百万でございまして、二倍以上の増加となっているわけでございます。中小公庫につきましても、五十年が七千万が五十一年が一億二千百万と、このようにふえております。  それから、民間の金融機関の同じく償却でございますが、たとえば信用金庫で見ますと、五十年が五十六億円であったのが五十一年が九十六億円と、これも同じく倍にふえているわけでございまして、そういう意味で最近は滞貸償却の可能性が非常にふえているわけでございます。  それから、貸出金総額に対する貸出金償却額の比率でございますが、たとえば信用金庫でございますと、五十一年で千分の〇・五三でございま明申し上げて若干の質疑があったという段階でございます。
  266. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますと、学校特別会計一般会計から繰り入れている分、それをいま七千何百億でしたっけね、その分をどうしてもこのぐらいはカットしなければという積極的な説明をしたわけじゃないんですか。
  267. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 学校特会への繰り入れをこういうふうに減らすんだという観点から、議論と申しますか、説明をしたわけではございませんで、いまの授業料が国立、私立を通じましてバランスがどうであろうかと。まあ私どもの立場から言えば、国立大学については値上げの余地がないかどうか、その辺の御説明を申し上げたわけでございます。
  268. 野末陳平

    ○野末陳平君 文部省にも来てもらっていますから、これは後回しにして、初めに教科書の方からいこうと思うんです。この方はもう大分具体的らしいですから、まだ全然決まっていないと言われますと何か話になりませんから……。  教科書の方ですが、これは現在無償配付ですけれども、これを有償に切りかえるという、これはもう方針がほぼ決まったように聞きましたが……。
  269. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 教科書の話もいまの授業料と全く同じでございまして、同じ日に財政審にも御説明申し上げましたが、授業料と同じことでございまして、無償のままで給与をするのがいいのか、あるいは貸与をするのがいいのか、あるいは父兄負担を考える余地があるのかないのかというようなことで御説明申し上げたわけで、これも全く結論というのは得ておりません。
  270. 野末陳平

    ○野末陳平君 結論が出たらこれは大変で、だから日教組なんかは無償化をそのまま続けるために反対運動を起こすとかいろいろ言っているわけですよ。だから、そちらの率直な方針をお聞きしたいわけなんですね。  ぼくはやはり父母に——父母というか、つまり家庭に負担がきつくなるので、まあ金額はそれほど多くないかもしれませんけれども、これは無償のままを続けるべきだと思っているんですよ。文部省はやはり当然それを望んでいるでしょうけれども、文部省が、財源難ではあっても絶対にこの教科書の無償配付という制度は守りたいと考えている理由は何ですか。このままでいくとちょん切られるおそれもなきにしもあらずで、文部省に先に聞いておきましょう。
  271. 岡部稔成

    説明員(岡部稔成君) お答えいたします。  教科書無償制度と申しますのは、先生承知のとおり、憲法二十六条の義務教育は無償とするという、この精神をより広く充実するという意味で昭和三十八年度に出発した制度でございます。それで今日まで十四年間の経過を経ておりまして、この制度は国民の間に非常に定着をしている、私どもはさように考えておるわけでございます。  教科書の無償制度につきましていろいろと御意見もあろうかとは存じますけれども、十四年間の経過を経ているということと、義務教育というものは端的に申し上げますと富める者貧しき者という差別なく、平等にしかも公平に教科書を給与するというのがそのたてまえではなかろうか。そういうふうな意味におきまして、先般の参議院の予算委員会にも文部大臣答弁いたしましたけれども、この制度は大事にしていきたいというような考えでおるわけです。
  272. 野末陳平

    ○野末陳平君 大体そんなところだろうと思いますが、そこで大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、どうも無償か有償かというだけでもって話が進んでいってしまいますと、これは非常に誤解を招くと思うんですね。やはり無償はいけないんで有償にするとか、いや有償は困る、無償が憲法の精神からいって当然だと、こういう議論はむしろ余り意味がないんで、第三の道を考えるべきだとぼくは思っているんで、大臣の意見をお伺いするのですね。  やはり、有償ということはこれは絶対よくないと思いますね。ただ、無償は無償ですが、いまのように毎年生徒に配るということでなくて、やはり三年なり五年なりの貸与制という形が望ましいのじゃないか、いろいろな角度から見て。まず、ぼくは貸与制を真剣に検討するのがこの際大蔵省としても当然で、無償か有償か、あるいは父兄一部負担かとか、そういう議論はちょっと違うのじゃないかと、そう思いますが、まず大臣どうでしょう。
  273. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いずれ、この教科書無償ということにつきましても予算を伴うわけでございます。教科書だけではなく、五十三年度の予算につきましては、大蔵省でいま編成の真っ最中、これは検討の俎上にのせて一生懸命に検討いたしておるという問題でございます。  そこで、これにつきまして、予算編成の態度といたしましては、先ほど来いろいろ申し上げておりますとおり、非常な厳しい態度で、今日までのいろんな施策につきましても、これはもう根っこからひとつ十分見直していこうじゃないかというような態度をとっております。そういうようなときでございまするので、私はこの問題をどうするということは今日まだ申し上げかねますけれども、こういったような事態におきまして、いまおっしゃられました無償でもって渡すとか、あるいはこれは有償にするとか、そういったようなこれは両方の——まことに端的な話でございますが、それでなしに、ひとつ知恵を出したらどうだと、こういうお話でございますが、そういったようなことも踏まえまして、大変な非常に参考になる御意見だと私は思います。そういったようなことも踏まえまして、これから慎重に日本の予算の編成ということ、それからまた教育の大事なことといったような各角度からこれを検討いたしまして、御提言になったようなことも踏まえて、そして結論を出してまいりたい、かように考えます。
  274. 野末陳平

    ○野末陳平君 もちろん、だから結論が出ていたらもうここでもっていろいろお聞きする必要もないわけで、文句言うしかないようなふうになりますから……。  そこで、予算を伴いますから、あれこれこれから問題があるんでしょうけども、額としてはそんなに大きいものではないので、これをもし無償をやめるといったらば、ほかに幾らでもむだ遣いあるじゃないかという議論の方が強くなってくると思うのですね。ですから、やはりいま言ったような無償をそのまま残して、そして、少しでもお金がかからないような方法という意味で貸与制はどうかというふうに考えているんです。ぼくは個人的に貸与制がいいと思うんです。外国なんかの一部でもそういうことをやっていますけれども、いま無償でくれるからといって大事にするわけじゃないし、勉強の仕方にもいろいろ問題があるでしょうけれども、貸与制がいいと思うんですが、文部省としてはどうなんでしょう、三年、五年ぐらいの期間で貸与制にするということにはどんなデメリットがあるとお考えですか。それとも賛成なんでしょうか、どっちでしょう。
  275. 岡部稔成

    説明員(岡部稔成君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、無償貸与制度というものについていろいろな考え方があろうかと思うわけでございます。ただ、先ほど先生おっしゃいました無償貸与制というものにつきまして、私どもの方から申し上げますと四つの点から疑問が出てくるわけでございます。  まず第一は、教育上の問題でございます。御承知のとおり、わが国の学校教育において教科書というものが主たる教材として非常に重要な役割りを果たしておるということは御承知のとおりでございまして、欧米諸国の例に見られるように、参考書的なものであるというふうな考え方は日本にはございません。したがいまして、教科書というものは児童生徒の所有物という考え方が明治以来ずっと今日まで続いているわけでございまして、そういう伝統的な考え方、特に国民の中にもこれが浸透しておる。こういうふうな状態のときに貸与制ということを云々ということはいかがなものであろうかというのが一つの問題点でございます。  それからもう一つは、使用済みの教科書というものが手元に残らないということでございまして、そういたしますと、系統学習あるいは各分野ごとの関連づけた学習というものができないのではなかろうかということが一つでございます。  それから、これは蛇足みたいになりますけれども、自分の教科書ということになりますと、いろいろと漢字の横にかなを振ってみたり、いろいろ自分の記憶なり何なりを書き記すというようなこともできるかと思います。これも非常にそういうことができないということになるならば、学習上不便ではなかろうかということでございます。それからまた、児童生徒に教科書の棄損ということの精神的な面が非常に大きくのしかかっていくのじゃなかろうかというようなこともございます。  それから、新本と旧本ということになろうかと思いますが、そうするとある生徒は新しい教科書を使い、ある子供は古い教科書を使うというようなことも出てくるのではなかろうか。  それから、第二番目が衛生上の問題でございますけれども、多数の児童生徒の手を経てまいりますので、御承知のとおり、いろいろな病気の発生のおそれもなきにしもあらず。これは蛇足でございますが、先般教科書会社の先生方外国に行かれまして、貸与制をとっているところに行って見られましたところ、病気の問題で非常に苦労しているというようなことを見聞してお帰りになった御意見を拝聴したこともございます。  その次は父兄の負担の増大でございますが、日本人というのは非常に教育に熱心でございますので、家に持って帰れないとか、あるいはそういういろいろな記入ができないとかいうことに相なりますと、親は無理をしてでも教科書を買う。そうすると、二重の教科書を購入するということになって、かえって父兄負担の増大ということに拍車をかけるのではなかろうかというような点が懸念されるわけでございます。  それから、財政上の問題でございますけれども、長期に使用するためにはいまのような教科書ではとてももちません。そうすると、どうしても製造原価なり輸送費なり相当のコストアップをいたすわけでございまして、決して三年あるいは五年で使うから経済的に安くなるというようなことは望めないのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。  それから、どの程度棄損したら教科書を印刷するか、購入するかというような問題、なかなか微妙なところが出てこようかと思っておるわけでございます。  それから、これは教科書会社の経営上の問題でございますけれども、現在のところ、採択をいたしまして、どこどこの教科書会社が何ぼ何ぼと指示をして教科書がスムーズに発行できるわけでございますけれども、三年、五年というふうなことになりますると、いつの時点でどれだけの教科書が要るのかということがなかなかつかみにくいというような問題もこれありで、そういうふうなことをいたしますと、結局弱小である教科書発行会社の経営にも影響をしてきて、スムーズな教科書発行ができないというようなおそれもなきにしもあらずというようなことで、私の方としてはちょっと貸与につきましては即刻云々ということはできないような状況でございます。  以上でございます。
  276. 野末陳平

    ○野末陳平君 ずいぶんたくさんいろいろなマイナス面を挙げられましたけれども、一々それについて反論しようとは思いません。それは結局あれでしょう、まだ所有物という観念がしみついているからいろいろな問題が起きてくるわけですから、もう永久に所有物でいっていいかどうかわからない。逆に言えば、個人の所有物でなくて仲間の所有物だという考え方もあり得るわけだし、それから貸与することによって物を大切に使うということもあり得るわけだし、また、プラス面も非常にあると思うんですよ。だからどちらをとるかということなんでね、いままでこれが定着したからこれがいいという、その立場でマイナス面を挙げるだけではやはりぼくは十分な議論にならないと思うんですね。  大蔵省にあえてお聞きしますけれども、教育問題としてこれをとらえれば非常にめんどうくさい、個人的にいろんな意見が出てくるでしょう。だけども、いま文部省の方が言った原価の問題、金の問題でいきますと、現実にいまの教科書よりも三年も五年ももたせようというからには、もうちょっと金かけてがっちりした物をつくらなきゃなりません。だから当初金はかかるかもしれませんが、どうなんでしょうかね、教科書会社の問題とかあるいは文部省がいろいろ挙げる衛生上とか、そういうようなことはちょっとおくとしまして、やはり有償だといってあれこれ反対されるよりも、無償のままにして貸与の形を前向きで検討する方がこの際話は能率的じゃないかと思うんですがね。当然、主計局でもそういう議論は出てきてあれこれいままでやっておられるわけでしょう。有力なのはどの辺ですか。
  277. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 有償論というのはないわけではございませんけども、仮に有償ということをやりましても、低所得者層まで負担をかけるということは、そのほかの学用品やなんかとのバランスから無理なんじゃないかと思います。だから有償化ということは、極端に言えばお金持ちでも、たとえば小学校一年生の教科書でございますと千円ぐらい、年間千円ぐらいの話なんですが、それも政府が負担するのかというような感じの議論をしているわけでございます。いまの貸与方式というのも、先日財政審で議論しましたときには、アメリカとかイギリスでもやっている制度でございますので、そういうことをして何と申しますか、子供のしつけにもいい面があるんじゃないかというような御議論もございました。しかし、先ほど文部省から御紹介のありました難点もございますし、また、われわれもそういう点も御紹介したわけでございまして、これからその辺いろいろ広い角度から議論していただきたい。何も思い詰めてこれにしなきゃいかぬという感じで現在おりません。十分議論を尽くして、この制度の持っている意味とかあるいはいままでの経緯とか十分踏まえながら、冷静に議論していきたいと思います。
  278. 野末陳平

    ○野末陳平君 有償化はちょっと問題ですね。それだけはやってもらいたくないと思いますがね。  国立大学の授業料へいきます。  文部省に聞きますけれども、ぼくは一番、授業料は確かに先ほど主計局からも話ありまして、この間値上げしたばっかりだしという、後ろ暗いような何か言い方をしていましたけれども、ぼくはやむを得ないとは思っているんですが、問題はどのぐらいアップになるかとか、その辺のことになりますが、その前に、私立と国立に対する考え方が、世の中が変わってきているということが言いたいんですね。まず私立と国立の、私立には医科、文科系と分かれるんでしょうけれども、一応この授業料の大ざっぱな平均で比較してほしいと思いますが、どれだけの差が出ていますか、ことしは。
  279. 大塚喬清

    説明員(大塚喬清君) お答えいたします。  五十二年度の大学の学部の授業料年額は九万六千円でございまして、私立の方の平均の額が二十四万八千円ということになっております。大体私立が国立の二・六倍ということになっております。
  280. 野末陳平

    ○野末陳平君 ついでに、国立の学生一人当たりどのくらいのお金がいまかかっているんでしょうかね。
  281. 大塚喬清

    説明員(大塚喬清君) 国立の学生一人当たり教育費につきましては、昭和五十年度の学校基本調査に基づきまして試算いたしますと、約百三十四万円となっております。
  282. 野末陳平

    ○野末陳平君 大蔵大臣に、ぼく個人は、要するに理想は私学への助成金、援助の方をもうちょっとしてもらえれば、自然にこの格差もちょびっとぐらいは縮まるだろうと思ったりいろいろ考えているのですが、まずいまの数字などをちょっと見てみただけでも、安過ぎるとは言いませんけれども、やはり私立行くのと国立行くのでこれだけ差が出ると、あるいは税金の使われ方という立場から見ると一人当たりに百何十万もかかっているというようなことは、納税者、つまり私立に通わしているという意味ですね、私立に通わせているという父兄なんかには余りいい気持ちのする数字じゃありませんね。昔は国立は苦学生とか本当に食えないというか、かなり厳しい家庭の子弟が行っていたですけれども、いま違いますからね。奨学金ももちろんかなりもらえますし、それから生徒のうちのかなりの数もらえますしね。それから、バイトはするしないは別としましても、家庭環境が必ずしも昔のような簡単な言い方はできなくなっていますね。ですから、国立に行くのと私立に行くというのはいわゆる存在上の価値というのはもう同等で、国立の学生の方が優遇されなければならないという理由は全然ないわけですよ。だから、できればその差を縮めるというのがぼくは当然の考え方だというふうに思っているわけですね。  そこで、この国立の授業料というものは、これはもうみんな反対すると思いますがね、やはりある程度は個々で負担してもらうと。結果的に一般会計からの繰り入れ分がどのぐらい抑えられるようになるかそれは知りませんけれどもね、やはり基本姿勢としてやむを得ないという感じなんですね。ですけれども、だからといって値上げしろと言う前に、私立の方の助成金、これはどうですかね、これ財源難だからとうてい手が回らないとさじ投げられちゃうかもしれないのですが、これについてはいまのところどういうふうにお考えですか。それと絡めながら考えたいと思うのですよ。
  283. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 一般的に申しましてね、教育ということは非常に今日の日本にとっては大事なことである。そういうことからいきますと、やっぱりできるだけ大ぜいの子弟が大学へ行くということが一般的に大事なことだと、そういったようなことから考えてみまして、じゃそういう希望の人が多いのだから国民的の要請だからといって——今日私立大学の中にはちょっと批判を受けてもしようがないというような学校もございます。そういったようなことは別といたしまして、これはこれに対する対策というものを考えていかなければならぬと思いますが、そういったような観点から、これはひとつ重大な問題として、国立と私学との間に余りにも経費の格差が大きいということ等についても、これは大いに注目していかなければならぬことだと私は思います。そういうふうなことで、それでその均衡をとるのに国立大学を経費負担を上げていくか、あるいは私立の学校の負担を軽くせしめていくかといったようなことが一つのバランスをとる方法でございますが、いずれにいたしましても、これやはり国の予算に非常に関係の生じてくる問題でございます。ちょうどいま予算の編成期になっておりますので、ここいらの点は大蔵省は文部省ともよく相談をいたしまして、最もいまの事態に適切であり有効であるというような態度、というような方法を考えてまいりたいと、かように考えております。
  284. 野末陳平

    ○野末陳平君 さっき文部省から出た数字ですけれども、授業料の比較で私立が約二・六倍と言うんだけど、私立というのはもっと雑費なんぞいっぱいかかるから、はっきり言って差というのはこれだけの単純な数字では出ないと思うんですが、一番恐れるのは、税金で言えば、たとえば不公平税制でお医者さんはという、こういうような実態を越えた、ある程度感情的というか、もう信念になるようなこういう不公平感というのがあっちこっちに渦巻いているわけですね。そういうものの一つにこの問題も出てきている。父兄の教育負担ものすごいでしょう。教育費負担があるから税制で教育費の控除のようなものを認めてくれたらどうかというようになると、それは個人的な事情は考えられないといって一発ではねられちゃう。こういうことを続けていますと、私立に通わしている、あるいは私立を選んで通わしている父兄の方が多いですからね、そういう人たちの間にこの格差というものがまた教育上の不公平ということになって、ぼくは余り好ましくない結果を生むと思う。ただ教育問題としてああこう言う範囲を越えてしまうだろうと思うんですよ。  そこで大臣のように、どちらをとるか、つまり国立の方を上げるか私立にお金を出してと、どちらをとるかといったって、簡単に大臣はおっしゃるけれども、これは金出してくれるとは思えない。当然ですね。そうすると、せめて国立の大学の授業料も、まあいろんな反対はあるでしょうけれども、上げることに消極的になる必要はないと思うんですよ。そんなことで、きょうはそちらの結論もまだ出てないということで、余り詳しいことを説明にならないようですが、やはり来年度の予算編成に当たっていろいろな歳出面の見直しをされている場合に、この辺も本格的に考えてほしいと思うんですがね。  きょうは、この二つだけにしておきます。
  285. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十三分散会      —————・—————