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1977-10-27 第82回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十七日(木曜日)    午前十時五分開会     —————————————    委員異動  十月二十七日     辞任         補欠選任      田中寿美子君     川村 清一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         嶋崎  均君     理 事                 上條 勝久君                 細川 護熙君                 藤田  進君                 塩出 啓典君                 中村 利次君     委 員                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 梶木 又三君                 戸塚 進也君                 中西 一郎君                 桧垣徳太郎君                 藤井 裕久君                 藤川 一秋君                 宮田  輝君                 穐山  篤君                 大木 正吾君                 川村 清一君                 矢田部 理君                 鈴木 一弘君                 多田 省吾君                 佐藤 昭夫君                 渡辺  武君                 市川 房枝君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  坊  秀男君    政府委員        経済企画庁物価        局審議官     柳井 昭司君        大蔵政務次官   斎藤 十朗君        大蔵省主計局次        長        山口 光秀君        大蔵省主税局長  大倉 眞隆君        大蔵省理財局長  田中  敬君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省国際金融        局長       旦  弘昌君        国税庁税部長  水口  昭君        国税庁間税部長  矢島錦一郎君        労働大臣官房審        議官       谷口 隆志君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        公正取引委員会        取引部景品表示        指導課長     土原 陽美君        経済企画庁調整        局審議官     阿多 忠明君        国土庁土地局土        地政策課長    川合 宏之君        大蔵大臣官房調        査企画課長    大竹 宏繁君        大蔵省銀行局保        険部長      貝塚敬次郎君        厚生省保険局医        療課長      三浦 大助君        食糧庁総務部企        画課長      野明 宏至君        通商産業省産業        政策局調査課長  杉山  弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○租税及び金融等に関する調査一般会計の歳出の財源に充てるための産業投資  特別会計からする繰入金に関する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、田中寿美子君が委員を辞任され、その補欠として川村清一君が選任されました。     —————————————
  3. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 大木正吾

    大木正吾君 いろいろあるわけでございますけれども、最初に、最近の経済動向に若干絡んで一般的なことをお伺いいたします。  政府、企画庁を中心としまして、最近経済見通し変更等もしたわけでございますけれども円高傾向自身に対しまして大蔵当局、まあ日銀さんも関係ございますが、坊大臣見通しとしてどうでしょう、二百五十円、まあけさも一円、二円という話もありますが、二百五十円台がしばらくは続くというお考えでしょうか。
  5. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 最近の円高でございますが、非常に強調でございまして、ただいまのところ、予想が非常に性質上むずかしい問題でございます。だけれども、これが非常にいまから下がる、あるいは上がるとかということは予想いたしかねますけれども、大体この程度でいくのじゃないかしらということを考えますが、どうもこれはなかなかむずかしいことでございますので、責任を持ってお答えするということは困難なことと存じます。
  6. 大木正吾

    大木正吾君 総合的には、二百五十円台が急に二百六十円、七十円になる国内国外経済環境はないと私は判断をするんですが、そこで二つほど伺いたいんです。  一つは、非常に今回の場合には、今度の二兆円の不景気対策に見られますように、十三業種中心としまして、二百七、八十円でも出血だというところに対する手当てが中心であった、こう考えておるわけなんですが、二極化現象といいましょうか、二百四十円程度でも何とかいける、こういう業種もあるわけでございますから、これは従来の円の切り上げ当時の状況とは少しく違うわけなんでございまして、不景気対策それ自身不況業種に向けての対策に終わっているわけですが、二百五十円なり二百四十四、五円でもいけるという業種に対しまして、大蔵大臣は何らかの措置といいましょうか、要するに、これはかつて大蔵省特別利潤税というものを一応税調等に諮問したことがあるんですが、これは日の目を見なかった、財界の反対がありまして。そういった名称は別にしまして、やはり課徴金とかそういったものを外国へ取られるならば、これはむしろ国民の方に、財政が非常に苦しいんですから、そういった面から何らかの、法人税時限立法でも結構なんですけれども、二百五十円前後が続くとしたときに、輸出花形産業から、税を媒介にして、まあ調和というか、あるいは輸出で非常に外貨がたまり過ぎて困っているわけですから、外貨がたまり過ぎて円高と、こう悪循環を繰り返しているんですから、そういったことに関しまして、大蔵省として所見がもしございましたら伺いたいんです。
  7. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 為替変動によりまして、その差益を受けて得をする、差損によって損をする、そういったような部面が出ていることは、これはもう避けられないことでございますが、その差益によって利益を得たというような企業なり会社なりというものは、当然これは、いまもお話ございましたけれども法人税をその分だけ負担をしてもらう、それから損をした人たち会社は、その分はこれは損金ということになるということでございますので、そこで特別に何とかそれを調整すると申しますか、それに対して別の措置として新たなる租税措置を考えぬかというお話でございますが、目下のところは、必ずしも私どもといたしましてはそこまでは考えておりません。
  8. 大木正吾

    大木正吾君 私の意見としますれば、これは大変な、従来高成長期のときには、まあ繊維とかあるいは玩具とか、苦しい軽工業関係の追い上げられるところでも、ある程度輸出産業は持ちこたえたと思うんです。しかし特徴的なことは、やっぱり持ちこたえ切れない状態が出てきている。だから、政府は、今度の不況対策の目玉にそれを一つ挙げたわけですがね。そして問題は、私はアメリカにもECにも言いたいことうんとありますよ、確かに品物は余りよくないですからね。あるけれども理屈抜きに包囲されて集中砲火浴びている現状ですからね。しかも、ドルがたまり過ぎたことが円高を誘っているわけだから、それはやっぱり何らかの方法でもって、まあ国民全体に税を媒介にしながら還元していく。別に、不況業種にすぐにそのままストレートに持っていくどうかは別にいたしまして、そうすることが私は円高問題なり国際的な非難というものをかわす道じゃないか、こう考えてもいるんです。ですから大蔵大臣、絶対にそのことはもう考えないとおっしゃるかどうか。私の見通しでは、二百五十円台が二年ぐらい続くという見方に立っているものですから、あえて再度御質問したいんですがね。
  9. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) ただいまの御提案、二つの要素を含んでいようかと思いますが、一つは、いわば輸出税とも言うべきものを考えたらどうか。これは実は私がお答えするのは必ずしも適当でないのかもしれません。と申し上げるのは、輸出税的なものを考えるといたしますと、企業ベースで考えるというのが非常にむずかしゅうございまして、やはり品物ベースで、それから輸出のときの水際で考えることで、むしろ所管としましては関税局長がお答えしなくてはならないのかもしれませんが、便宜、突然の御質問でございますので私からお答えいたしますと、やはり品物ベース水際でということは、まあ技術的にどの程度それが可能かという問題を別にいたしまして、たとえば非常にいま勢いがよく出ている品物に特別の輸出税というようなものを輸出の際に課税する。結果が、先方における建て値が上がるということで調整されるのであれば、むしろそういう手段を講じなくても、まず建て値を上げて問題が片づかないものかということを、そこを一遍吟味してみなくてはいけないだろうと思います。それから建て値が上がらない、それはその輸出品のコストになってしまう、それだけこっちの差益が減ってしまうということでございますと、それで果たしてうまくいくか。全体にそれは確かに輸出抑制にはなるのかもしれませんけれども収入効果としましては、やはりそれだけ逆にまた法人税の方は減るわけでございますし、まあいろいろなことを考えながら吟味してみるよりしようがないんではないか。当面としましては、やはり輸出の集中豪雨的な姿というものを直す、それにはやはり輸出税というのでなくて、もう少し別の行き方の方がむしろいいのではないかなという感じを持っておりますが、なおそういう技術的な面があるということを含みながら検討を続ける問題であろうかと思います。  それからもう一つの側面としまして、為替差益差損は当然に法人税の増益なり減益なりに響いてまいります。それ以上に特殊の負担を求めるかという問題を考えてみますと、やはりそこでとらえようとする差益というものは何を基準にする差益かというところが非常に現在のシステムではむずかしい。セントラルレート基準にするというのははなはだ技術的でないし、さればといって、特殊の基準をつくりまして、その基準の上下で差益差損を考えるということになると、何か日本政府が非常に特殊な一つレートをつくったというふうに受け取られかねない問題もございますので、御趣旨は私どもとしてもわからないわけではございませんけれども、いずれも技術的に考えてみるとなかなかむずかしいなということをお答えせざるを得ないかと思います。
  10. 大木正吾

    大木正吾君 差益問題、きのうも物特でもって少しやりましたので、石油関係などまだ質問したいことはたくさんあるわけですが、ドルをこれ以上、結局二百億ドルになんなんとするものを、緊急避難的な意味でもってウランを買ったりしてやっても限界がございますからね、相当構造的な面がございますから、主税局長お答えいただいてあれですけれども、ぜひ関税なりそういった面との話し合いも、これからは、おそらくこれが一時的なショックならまだいいですけれども、二、三年構造的に続くという判断に立ちました場合には、何らかの方法がとられなければならない。要するに外貨がたまり過ぎて、国内でも物価が高いのに国外ではばかに円が高く扱われているわけですからね。投機筋もございますけれども、しかし、やっぱりそういった意味を含めて、主税局長立場に私御同情申し上げるんだけれども財源が非常に乏しいですから、大変な予算編成で、赤字公債も問題なんですから。だからそういう点を含めて、ささやかであるかもしれませんけれども考えてみてもらいたい、こういうふうに要望いたしてこの問題については終わっておきます。  次の問題でございますが、これは実は大蔵省以外の方にも若干来ていただいておりますので、いまのこととも若干関連して御質問いたしたいんですが、食管会計問題なんでございますけれども食管会計の中に最近小麦豊作値下がり差益ですね、そういったことがございまして、これは新聞で拝見したので、農林省へ行って調査したわけじゃないのでありますけれども、六百億ぐらいの差益の黒字が出ている、こういう話がございます。名目的には相当大きな金額なんですけれども、その中身を少し、担当者たしかおいでと思いますけれども、御説明いただきたいと思うんです。
  11. 野明宏至

    説明員野明宏至君) お答え申し上げます。  食管特別会計損益変動でございますが、先生ただいま差益とおっしゃられましたが、これを差益と言えるかどうかということは必ずしも問題でございますが、予算で見込みました損益とその後の輸入麦買い付け価格変動、これによります損益変動という意味で申し上げますと、これについては国際価格だけでなくて、いろいろな要因損益変動には絡んでまいります。したがいまして、現段階で的確な見通しを申し上げることはむずかしいわけでございますが、ある前提を置きまして申し上げますと、国際価格一つは低下いたしております。それからもう一つ為替レート変動いたしております。この二つ要因を合わせまして、麦につきましては当初予算で約八十億円の損失を計上いたしております。その後の、ただいま申し上げました変動によりまして、変動額といたしましては約六百三十億円ということになっております。したがいまして、差し引きいたしまして大体五百五十億円程度輸入麦につきましては益が出るのではないかというふうに見込まれます。  なお、その中でただいまお話のございましたいわゆる円高によります部分がどの程度かと、これも一定の前提を置きまして試算をいたすわけでございますが、大体概算いたしまして百五十億円程度ではなかろうかというふうに推算いたしております。
  12. 大木正吾

    大木正吾君 いまのお話の中で百五十億ということで、その数字はまあ一応信用いたしますが、小麦を輸入する場合のレートは幾らで計算されておるんですか。
  13. 野明宏至

    説明員野明宏至君) これは予算では三百八円で輸入麦買い付け価格を積算いたしてございます。これまでの実績と申しますか、年初来ずっと買い進んでおるわけでございますが、大体それの平均といたしましては二百八十円程度になっております。ただいま申し上げました百五十億円という数字は、そういったこれまでの推移を前提にいたしまして試算をいたしております。
  14. 大木正吾

    大木正吾君 三百八円というのが、実際には一七、八%現状から見たら安い形でもって取り引きされておるわけでございますけれどもあと一つだけお伺いいたしますが、豊作が毎年続くということはないと思うんですけれども、この為替レート差益関係につきましては、食管会計全体の中で消費者米価問題との照合等を考えていただきまして、ことしはまあ上がっちまったからしようがないんですが、やっぱり生産者米価消費者米価との乖離が非常に激しいわけですから、そういった面で都市のサラリーマンは何てがまん強いといいましょうか、結局黙ってますけれども、そういった幅を来年なり再来年なり、私の見方は二年ぐらいこれは続くと思うんです、いまの実勢二百五十五円前後を中心としまして、そういった形でもって、農林省として、要するに消費者米価値上げ幅を圧縮するという方に使う気持ちはございませんか。
  15. 野明宏至

    説明員野明宏至君) 食管特別会計全体といたしましては、約八千億円の損失が現在ございます。その大部分は米であるわけでありますが、この中でも、いわゆる政府管理経費的なものと、それから値段政府買い入れ価格より政府売り渡し価格の方が大幅に安いというふうなことによります財政負担も非常に大きい額に上っております。したがいまして、そういった売り渡し価格買い入れ価格より安いという状態は、食管制度の健全な運営という観点から見ましても望ましいことではないということで、これにつきましては段階的にこれを是正していきたいというふうに考えまして、昨年、ことしということでやってまいっておるわけでございます。これは結局食管制度を健全に運営していくために必要なことであろうと考えておりますので、もちろん、いろいろな経済事情を考えながら具体的な運用はしてまいるわけでございますが、そういう考え方につきましては、引き続き踏襲して、来年以降の米価運用をしてまいる必要があろうかと、かように存じております。
  16. 大木正吾

    大木正吾君 大蔵省農林省にまたがる問題でございますから、先ほど申し上げたのは二極化現象で、従来の円高差益問題と少し産業状況は違っていますんで、これはまあ主税局長にも伺ったし、大臣にも伺ったわけですけども、同じように、やっぱり品物が違いますけども小麦差益、そうしてお米の方じゃ逆に大変な消費者米価の方が値上がりが、農民の方も困るんですけども、とにかくやっぱり幅が広過ぎては恨みの的ですからね、そういったことを含めて考えていきますと、私は、きょうは坊大蔵大臣政府の代表でおられるわけですから、最近の経済事情の中で二つだけ例を挙げたんですけれども、要するに分水嶺引いて上の部分と下の部分が物すごく開いているという状態ですね。ここのところはやっぱり政府としてもなるべく圧縮すると、そうして経済的にも社会的公平感というものとか、あるいは摩擦現象をなるべく薄めていくと、こういったことが必要ですから、そういったことを要望いたしながら二つの問題を終わりまして、次に入らしていただきます。  次の問題は、実は土地税制に関する問題でございますけれども、これは国土庁の方の説明を伺いましたら、自治省ですかという話もございまして、どなたかおいでいただいていると思うんですが、最近土地の重課制度問題についての見直し、それからこれは相当な面積にわたりましょうが、保有税緩和という二つの問題を中心といたしまして、土地に関しまする税制緩和というか、話が出てきているわけでございますけども新聞報道を見る限りは、まだ政府内で統一見解になっていないと思うんですが、ただ、こういったものが芽を出しますと、結局だんだん大きくなって木になってしまうということも必配ですからあえて伺うんですが、私が一番心配しますことは、不動産研究所等調査におきましても、東京、大阪等の市街化区域の住宅用土地が大体八月段階で本年二・三%ぐらい上がっている、こういう話があるわけです。これは預金金利が抑えられまして、そして物価が七・七になってませんね、七月だけで七・七、あとは全部八から九ですから。そういった中で定期預金金利を三、四%上回っている状態と、この土地値上がり問題を考えていきますと、私がもしも仮にここでもって、そんな金持ちじゃないんですが、一千億円なり五百億円持っておったら、それは銀行から出しまして、やっぱり小切手も名義を変えても土地を買いますよ、結局。そういったことになりますと、またこれ、田中さんの当時のようなパニック的な狂乱状態にはならぬと思うんですけれども心配なことは土地の、特に住宅地値段の高騰問題が一つなんです。これについてお答えいただきたいんです。  もう一つついでに申し上げて、また後で御質問いたしますが、もう一つ伺いたいことは、特に保有税の方なんです。保有税を、説明伺いますと、林地その他手入れをしないで草ぼうぼうだから何とか税金を少し安くしてきれいにしたいとか、これは新聞報道だから、そんなことはないよと言えばそれまでのことだけれども、とにかく銀行から借りているものですから、土地を買ったときに、四十八年当時——私は四十八年に土地を買ったのは相当経営者としても不適格だと思うんです。大体破裂寸前経済のときに買う人は少し物の見方を間違っているんですね。そういったものに対して銀行から四兆、六兆という話もありますが、金利が、結局金が遊んでいるといいましょうか、金がそこに使われていると。企業も大変だが銀行も大変だ、それが今度は景気の足を引っ張っている。こういう話が、新聞をすべて信用するわけじゃありませんけれども、そういう話も出るわけで、これは逆に申し上げれば明らかに大企業、商社などの土地を買い占めた者に対する結局お助けというような形にとらざるを得ないんですよ。  ですから、この二つについてひとつ、前の方は、住宅関係土地値上がり心配を招かないかどうか。二つ目保有税の方の問題については、これはむしろ買い占め過ぎた土地に対する、大企業に対する援護射撃じゃないか、こういった問題について少しはっきり答えていただきたい、こう考えているんです。
  17. 川合宏之

    説明員川合宏之君) お答え申し上げます。  税制改正要望につきましては、先生先ほどおっしゃったとおり、現在政府の部内におきまして検討中でありまして、もう少し詳しく申し上げますと国土庁その他税制要望側の官庁から大蔵省主税局初め関係省庁に対しまして税制改正要望を一カ月ほど前に提出いたしまして、その具体的内容を目下大蔵省初め関係省庁に御説明申し上げている段階であります。  国土庁の基本的な姿勢といたしましては、投機的な土地取引抑制地価の安定、これを基本的な政策といたしておりますので、今回の国土庁税制改正要望につきましても、その方針に従いまして要望いたしている次第であります。  要望内容につきましては、すでに先生承知のとおりでありますけれども、まず国税につきましては、一般土地、俗に言う土地転がしのようなものに対する法人土地譲渡益重課そのものにつきましては全然手をつけませんで、ただ現行制度にあります、優良住宅地供給につきまして例外規定を設けておられますが、この例外規定につきまして手直しを行いたいと考えております。  それから、地方税につきましては、先ほどおっしゃった林地適正管理を期するために、現行制度との整合性を図りながら林地適正管理を進めるという方針地方税法見直しをお願いしている次第であります。  今後、関係省庁国土庁が協議するに当たりましては、先ほど申し上げました土地投機的取引抑制及び地価の安定という基本方針に従いまして、国土庁立場関係省庁に十分理解していただき、協議を進めるようにいたしたいと考えております。
  18. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 土地譲渡益重課国税の方でございまして、ただいま国土庁土地政策課長が御説明申し上げたような要望を受けまして、現在私どもの手元で検討をいたしております。  大木委員よく御承知のように、現在の要望にございます適正利益率要件と申しますのは、優良宅地に限って認めている制度でございまして、そもそも宅地になりようのない山の中を買ってしまった、それをこれから売ったらどうなるかというときには、もともとその適正利益率いかんにかかわらず利益はすべて重課するということでございまして、その点の改正要望は来ていないわけでございます。優良宅地供給のために税が阻害要因になっているという主張がございまして、私ども立場は、阻害要因になっているとすればそれは直すべきだろう、しかし、本当にどういうメカニズムで税が優良宅地供給を阻害しているのか、それをもっと私どもが納得できるような説明をしてほしい。税の適正利益率を外しまして、それを国土利用計画法に言う適正価格によるチェックだけでとめたらどうかという御要望なんで、それは私ども考え方としてわからないではないわけでございます。適正利益率を用いないで適正価格で指導していけば最終需要者である宅地を求めている庶民の方にどういういい影響が出てくるのか、そこを十分説明してほしい。それが説得的であり納得できるならば、それは私どもとしても関係方面に御了解を求めつつ立法化を検討するにやぶさかでない。どこまでいきましても、ねらいとするところは、最終需要者である土地を買って家を建てたいという方のためになるのかならぬのか、そこを十分説明してくれということでいま検討を続けている状況でございます。  土地保有税の方は自治省からお答えをいたすと思います。——ちょっと自治省参っておりませんようでございますので、便宜私からお答えいたしますと、土地保有税につきましても、国土庁要望は、金利負担に加えて土地保有税負担があるのでどうにもならないからひとつ緩和してくれということではなくて、適正に利用されている土地については保有税負担緩和することを考えてもいいという思想が、もともといまの土地保有税法の中に御承知のようにございます。その考え方の延長線として、林地として有効利用されるものについて緩和することはできないだろうか。林地として有効利用をすることを認めないと、どうにも負担に耐えかねて、ほったらかして土地が荒れ放題になるということでは国土行政としても困るという角度からの御要望だというふうに私としては聞いておりますが、現在自治省がそれを受けましてどういう検討をしておりますか、そこは申しわけございませんが、私ども必ずしも詳細に存じておりません。ただ、要望の趣旨はそういうことだというふうに聞いております。
  19. 大木正吾

    大木正吾君 大倉さん大変だと思いますけれども、とにかく私も実はこの説明受けましてから、三カ所ぐらい見て回ったんです、率直に申し上げまして。そうして小田急沿線の百合ケ丘周辺から町田、あの辺とか、それから井ノ頭線なり京王線の沿線とか、中央線の沿線も二、三カ所見て回ったんです。  ところが、やっぱり国土庁さんのおっしゃっている提案の中身と非常にギャップがございまして、とにかく土地問題というものになりますと、あいている土地で草ぼうぼうで、そして自治体等がどうしてもそういうところについて緑地にしたいとか、そういうようなことになれば、これはもう当然そこは公園にするか、そういったいろんな文化施設、スポーツ施設をつくるなり、貸すなりする方法もあるわけなんですね。ですから、現実見て回った感じでは、後段の方の林地問題は少しく事情が違うと、こういうふうに感じてまいりました。同時に、この判断がむずかしいと思うんですね。適当に管理されているという形の問題の中身が問題ですから。  それから、一項の方の問題に関しましても、実は同じような小さな土地、百坪とか五百坪とか、そういった土地など見て回ったんです。やっぱり潜在的な土地の需要が結局強いですね。ですから、大倉主税局長承知のとおり、いまドーナツ地域に建っています持ち家というものは、土地がわずか三十坪あればいい方なんです。二十三区に入ってきますと十五、六坪です。三十年たって壊れちゃったら建て直しがきかない、もう許可ができないようなところですね。そういったことの背景なりマンションブームの背景には、潜在的なやっぱり住宅なり土地事情というものがあると考えざるを得ないんです。  同時に、あわせまして今度の金融問題、これは後で銀行局長さんにお伺いしたいと考えておるんですが、定期に預けても損だという、こういった心理がそういったものと連動していきますと、むしろ私は貯金の方だって定期の場合には二、三%は損なんだ、土地だったら二%でも三%でも増高するという傾向出ているとなりますと、心理的にはやっぱりその方に預金者の気持ちが流れるということも、これもなかなか避けがたいと思うんです。ですから、そういう意味合いで、まだ内閣の合意がありませんようですけれども、特に自治省の方の御答弁は後でまたいただいても結構ですけれども、国の財政の大元締めであります大蔵省といたしましては、これは相当慎重にやりませんと、大倉さん昔からよく知っておりますけれども、私とかあなたの場合にはまだまだこれは年配ですから、昭和三十年か三十五、六年ごろまでの間に東京におった中高年の方々は土地が何とかローンで買えたわけですが、いまの大蔵省の恐らく課長補佐とか係長さん方がだんだん育っていきますと、それこそ六十五歳で公団はばっさりだと、こうなったときには、まず埼玉か千葉か、それもしかも真ん中か先の方へ行かなければ土地つきといった場合にはマイホーム持てない、これは明らかですわね。ですから後輩さんのためにも、ひとつこのことは相当慎重に吟味して取り扱っていただきたいということをこの問題についてお願いいたしておきます。
  20. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 御指摘の御趣旨よくわかりますし、譲渡益重課の問題も先ほど申し上げた基本的な考え方の上で一番いい結論を出すように努力をいたしたい。  土地保有税につきましても、たまたま昨日、私衆議院の大蔵委員会で同じ意見の御質問を受けましたのですが、やはりどうにも買い手がいないような、使い物に当面ならないような、宅地になりようがないような土地を買ってしまって、それがいま金利負担保有税負担でどうにもならぬから何とかしてくれと言われても、それは私どもの方に持ってこられるのはお門違いでございますというふうに申し上げているんです。その点は見失わないように、今後検討を続けてまいりたいと思います。
  21. 大木正吾

    大木正吾君 それじゃ金利問題について質問させていただきます。  本会議あるいは予算委員会等におきましての御質疑を傍聴したり、あるいはテレビで拝見いたしたり、新聞等で拝見いたしますと、預金金利の目減り損がほぼ大体四千百億円ぐらいと、こういうふうな御説明があったわけでございますけれども、これは大蔵大臣がお答えになったと思うんです。四千百億円というようなお話がございました。  私、もちろん金融問題の専門家じゃありませんから、余り細かな数字については詳しくは存じないのですが、現在の国民の貯蓄総額は五十二年の三月で二百一兆五千七百二十四億、これは間違いありませんか。
  22. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 貯蓄の残高でございますが、これは個人の貯蓄でございましょうか、法人合わせたものでございましょうか。
  23. 大木正吾

    大木正吾君 そうです、三月末現在で。
  24. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) お答えいたします。  国内の総貯蓄、国民所得統計でございますが、実はこれ五十年の国民所得、これよりちょっとおくれておりまして、五十一年の三月末で総貯蓄の純増が四十七兆七千八百七十三億円でございます。法人合わせました総貯蓄の残高となりますと、マネーフローからとらなければならないわけでございますけれども、金融機関の預金の残高という形ならば出るわけでございますけれども、総貯蓄という数字では、いまある数字は手元にはその数字しかございません。
  25. 大木正吾

    大木正吾君 法人個人含めまして三月末の貯蓄残高は二百一兆五千七百二十四億と、政府の統計の中で私これ割り出したのですが、間違っていないかということを聞いているんですが。
  26. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 金融機関だけの総貯蓄でございますが、これは五十二年三月末で百六十兆五千九百八十九億円でございます。
  27. 大木正吾

    大木正吾君 ちょっと数字の乖離が激しいのですが、私が申し上げているのは都市銀行、郵貯、農協さん、信金あるいは相銀、全部これ含めたものなんですが、いいです、わかりました、それで結構でございます。  その次に伺いたいことは、この貯蓄に占めます法人の率と個人貯蓄の率は大まかに申してどの程度になっていますか。
  28. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 金融機関に占めます法人個人の預金の比率は、ほぼ同額でございます。
  29. 大木正吾

    大木正吾君 そういう計算でいきますと、これ坊大蔵大臣にも大変申しわけないんでございますけれども、本会議でのお話予算委員会での御質疑に対するお答えと少し数字がこれ違ってくるというふうに私考えるんですが、それはまあ百六十兆か二百一兆かということは、これは後でもって銀行局の方で調べていただければ、私の方では要するに国民の総預金を総合して申し上げていますから、データ全部、日銀とかあるいは大蔵省関係からいただいたものでやっていますから、まあ時間がありませんから細かなこと抜きますが、いま徳田さんおっしゃった形で五〇、五〇ということは、私のこの資料ですと、逆に平均値では個人の方が少し少ないという判断です。そこで申し上げたいことは、なおかつ、郵貯等の場合には定額貯金もございますが、これは個人が多いわけですね。そういう点で郵貯の場合の三十兆の場合には、これは定額が大体六、七割占めていることも承知なんです。そういったことをずっと計算してまいりますと、実はこれは大蔵大臣に大変失礼な質問になるかもしれませんが、大ざっぱに見ましても、個人貯蓄四〇%から四五と見て大体六千五百億から七千億ぐらいの目減りと、こういうふうに私判断をしたんでございますけれども、四千百億円と予算委員会でお答えになられた——根拠が少し違うのかもしれませんが、少し何か水減らしといいましょうか、薄目にお答えになった、操作的なことはないでしょうか。
  30. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 預金金利引き下げの、ことに個人所得に与える影響につきましては四千百億円という数字、これは本年度に入りましての預金金利引き下げの部門全部合わせてでございまして、今回の〇・五引き下げの部分だけでございますと八百億円と申し上げたわけでございます。これは個人部門全体のバランスでございまして、個人は預金をしておりますと同時に、住宅ローンその他の借り入れもあるわけでございます。したがって、預金金利の減少とそれから住宅ローンその他の支払い利息の減少と、これを差し引いたものがいま申し上げた数字になっているわけでございます。
  31. 大木正吾

    大木正吾君 細かな数字銀行局に後ほど——きょうじゃありませんが、後で伺いに参りますけれども、その際徳田局長忙しいかもしれない、国会終わってからでも結構ですから、またぜひ教えていただきたいんですけれども、ただこういうことだけ申し上げておきます。  これは金融財政事情の専門家、名前は伏せますが、これがある雑誌に書いた文章を、簡単ですからここでもってちょっと読ませていただきますと、資本金一千万円以上の企業金利負担軽減効果は、今回の〇・七五%のもので七千二百億円、三、四月の分を含めていきますと、年間において二兆六千百億円、こういうようなことがある金融関係の雑誌に出ていることも事実なんですね。ですから、まあこういうものを発表する際には目減りを、なるべく国民の気持ちをやわらげるということも必要でしょうけれども、詳細に算出根拠等についても私は大蔵委員会等の場合には、これは大蔵大臣にもお願いいたしたいんですけれども、こういう計算の根拠でもって四千百億円になりました、同時に法人の方がそれによって受けるメリットといいましょうか、金利差の利益というものについてはどうなるんだと、そういう話が伺いたいわけですし、同時に、今度の景気対策一つの大きな柱は、こういったことが結局民間の設備投資の喚起あるいは雇用の拡大、こういうふうに非常にこれは大きな声で福田さんは強調された問題なんですね。ですから、その辺のことについてもう少しやっぱり具体的な資料などを私は次回の大蔵委員会に、どうでしょう銀行局長、いまお話あったこと、やりとりやっていますと長くなりますので、四千百億円、あるいは企業が受けた一兆何がしかのものとか、そういったことに対しましての資料をちょうだいできますでしょうか。
  32. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) この計算の内訳はいろいろな前提があるわけでございますが、そういう前提でこの計算ができたわけでございまして、その要目につきましては資料として提出いたしたいと思います。
  33. 大木正吾

    大木正吾君 それじゃ最後の項目の質問に入りますが、これ大倉さん大分苦労されているんで、ここで余り厳しく言いたくもない。ただ問題が非常に重要なものですから、例の一般消費税関係について伺いたいんです。  国の財政は大体歳出関係のウエートをまず決めて、そして歳入が後追いすると、こういうことが大体予算を組むときの原則になって戦後ずっとやってきたと思うんですけれども、結局高成長当時はそれでも心配なかったんですね。歳入が大体十一月ごろには、四十年ごろのペースでも大体三、四千億円の自然増があるとか、四十五、六年ごろには六、七千億ぐらいになったときもございますから。ただ、こういうような予算の組み方で、このような安定成長というかあるいは不況というか、そういった段階でいいのかどうか。最近まあ新聞に一部出ていますが、アメリカの何とかとおっしゃる方がゼロベース予算とか、あるいは既得権認めないで毎年スタートすると、こういう話がございますが、むしろ事業によっては三年、四年かかるものもございますから、そういったものは別にいたしまして、予算の組み方について新しい知恵を少しまあ出し合うということが必要な時代ではないかと、こう考えるんですが、当然行政関係の費用の削減等も結構ですけれども、基本論としてその辺のことについて主税局長どうお考えでしょうか。
  34. 山口光秀

    政府委員(山口光秀君) 主税局のお話というよりは主計局の問題だと思いますので、私からお答えさしていただきます。  これも御承知のことだと思いますが、このような財政状況でございますんで、来年度の予算編成のスタートになります七月の末の概算要求のやり方についての閣議決定におきましても、従来より一段厳しい調子で、既定経費につきまして、制度も含めて厳しく洗い直してもらっておる。それで、でき得べくんば各省要求官庁におきましても減額の要求もしてもらいたい。それから、補助金につきましても従来から整理合理化を図ってまいりましたが、こういう情勢でございます。また一方、行政改革の一環としても取り上げられている問題でございますんで、今回は補助金整理合理化につきましてのやや具体的な基準まで閣議了解の別紙につけていただいて、各省に徹底を求めたところでございます。  で、八月の末に各省から概算要求が出てまいりました。私どもいま作業をしている段階でございますが、まさにその閣議の決定の趣旨に沿いまして日夜努力しておるところでございます。
  35. 大木正吾

    大木正吾君 まあこれ試行的なものですから、余り私もこれを押し込むという気持ちはございませんが、ただ、日本経済の将来を考えた場合、一般消費税というもの、これは革命的な税制の導入というふうに考えておりますんで、何かやっぱりかわるべき手がないかと思ってひとつ伺ったわけなんです。  関連しまして、もう一つ伺っておきたいことは、これもECの事務局長さんがおっしゃっておる問題で、これは社会党という党の立場から若干離れるかもしれませんが、逆の意味で質問してみたいと思うんですが、いま二百兆を超える国民の預貯金があり、その中の約半分と銀行局長おっしゃった個人預金がございますね。この預金者の方方、べらぼうに高い預金率に思っているんですが、内容はもうくどくどしく皆さん方御承知ですから申し上げませんが、一部ECなり日本の近経の学者の説の中に出てきておる最近の議論というものは、むしろ貯蓄率ですね、国民の個人の貯蓄を財政源として活用する方法はないかと、こういう意見が出ていることは大倉さん御承知だと思うんですが、その場合の一つ中心的論点は、公債の発行、それが物価上昇にスライドをする——言えばこれは定期預金ですね、定期預金金利物価スライドするというようなもので、公債という名前は名前でしょうけれども、長期の定期預金で、そうして持っていてもらいたい年限というものを十年とかというふうに長期にしていきますと、銀行引き受けと違いまして、これは札びらになって返ってくることは十年間ぐらい避けられるわけですからね。そういった財政の仕組みなどについても、いま国内外に若干議論ございますから、そういったことに対しての感触でも結構ですが、感想がありましたら伺いたいんです。
  36. 田中敬

    政府委員田中敬君) 大木委員のおっしゃることは、個人の貯蓄性向が非常に高い、その貯蓄資産、金融資産の持ち方の一つとして国債の保有ということを積極的に考えたらどうかという御質問の御趣旨と存じますが、私どもも国債の消化というものにつきましては市中消化の原則というものを立てまして、かつ、市中消化と申しておりますのがただいまでは市中金融機関による消化と、それから個人による消化、この二本立てが市中消化というふうに考えておりますが、個人の消化につきましては、当初国債発行を始めました時点におきましては、全発行量の約一〇%程度というものを個人消化に充てるという目標で、昭和四十一年から国債発行しました数年間ずっとその目標をほぼ達成してまいりましたが、おっしゃいますように、このところ個人の貯蓄が非常に大きくなった、あるいは国債の大量発行に伴いまして個人消化の促進という手立てを、昭和四十年の半ば以降各種の手立てを講じてまいりました。たとえば、税制における国債の特別のマル優制度でございますとか、あるいは個人が消化しやすいように国債の小額券面の発行、たとえば五万円券というようなものを昭和四十三年から発行いたしますとか、あるいは累積投資に国債を組み入れる、その場合の国債の購入限度を五万円から一万円、さらには個人当たり五千円でも月々累積投資ができるというような形で、国債への庶民の参加ができるような施策を講じてまいったわけでございます。さらに本年に入りまして、いろいろの債券のニーズに従いまして、御承知のように中期割引国債という五年物を発行いたしまして、これはほとんど全部個人の方に消化していただくという努力を重ねてまいりまして、現在では、先ほど申し上げました当初目標の一〇%の個人消化に対しまして、本年度、この四月から十月までの消化実績でございますと、個人消化が発行額の二四%になっております。昨年は約一七%、そういうことで、個人消化の方向は進んでもおりますし、私どもといたしましても、これは今後さらに個人消化を広げるために、国債の条件なりあるいは国債の種類の多様化であるとか、あるいは販売方法につきましていろいろ議論されております銀行によります窓口販売の問題とか、こういうものを今後の検討課題としてさらに進めてまいりたい、さように考えております。
  37. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先ほど先生にお答え申し上げた数字について確定的なことをちょっと申し上げたいと思います。  金融機関別預金で、郵便貯金も入れましたところで、総預金が五十二年三月末で二百二十七兆四千億でございます。これは郵便貯金も入れた数字でございます。それから、法人個人の預金比率でございますが、これは郵便貯金が入っておりません、いわゆる銀行と相互銀行、信用金庫、信用組合でございますが、個人預金が四八・七、法人預金が五〇・四でございます。
  38. 大木正吾

    大木正吾君 徳田局長、申しわけないんですが、いまの話、資料として、私たち勉強したいもんでございますから、この次に大蔵委員会ございます際にひとつごめんどうでも概要をまとめてお出しいただきたいことを再度お願い申し上げておきます。  さて問題は、一般消費税問題の中身に入りますが、大変御苦労されている主税局長なり、あるいはきょう小倉税制調査会の会長は参考人等でもって呼んでいないわけでございますけれども、将来そういったことについてお願いするかもしれませんが、ひとつやっぱり不公平税制の是正問題について伺っておきたいんです。  予算委員会で予算が上がった日でありましたか、渡辺厚生大臣がこの問題について、私ども社会党の山崎君の質問に対しまして、医師の優遇税制、社会保険診療報酬課税の特例について御質問いたしましたら、その前にたくさんいろんなことあるんだと、こういう話がございまして、新聞には、まあ二、三の新聞ですけれども、厚生省の態度はまた後退したと、こういうような話がございまして、そういうことがちょっと気になるんですけれども、私は坊大蔵大臣を信頼していますし、今度の一般消費税のあの答申の中身でも、非常に厳しい言葉でもってこのことを実行しろ、こう迫っているわけでございますね。そうしますと、坊大臣どうでしょうか、大蔵大臣としまして、金額が一千八百九十億、千九百億程度だから大したことはないというのじゃなく、いまでは国民の庶民感情としまして、なぜお医者さんばっかり七二%のあれだと、二十九年度以降からはもう事業税関係などについても相当軽減されていますね。そういったものなども含めてやっぱり抜本的にやる必要があると考えていますけれども大臣の当初の国会における答弁あるいは予算委員会の答弁については間違いなく実行していただけるでしょうか。
  39. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) この問題は数年間にわたる重大なる問題でございまして、速やかにこれは片をつけなければならなかった問題だと私は思います。それが今日までまだ片がつかずにきておるということでございますが、いずれにいたしましても、租税を公平に制度をつくり、これを執行するということが何よりもこれは大事なことだと考えますので、私はこの問題については、せっかく調査会の方からも答申をいただいております。御熱心なる答申であります。かつまた、熱心なる御提言等もございます。そういうようなこともこれありまして、何とかできるだけ速やかにこの処置をつけたいと、かように考えています。
  40. 大木正吾

    大木正吾君 速やかにということでございますから、恐らく来年度の予算編成に具体的な芽が出てくるというか、相当抜本提案が出てくることを期待いたします。次の問題に入らしていただきますが、不公平税制の問題では、この問題以外に配当・利子の分離課税あるいは交際費の非課税問題などもございますけれども、私が一番質的な意味合いでもって問題だと思っていますことは、実は法人の、あるいは企業の配当の益金不算入問題ですね。このことが実は骨というか、質の意味では非常に重大な問題じゃないかと思うんです。  そこで伺いたいんですけれども、株式市場における法人の株式保有率がどの程度になっているか。同時に、この株式の保有に対しまして、法人税率の中に入れた場合の税収はどうなるか、あるいはそれをさらに、分離課税の現状のままで結構でございますけれども、分離課税程度見直したらどうなるか、その辺のことが実は私はやっぱり不公平問題でわりあいに国民の方がむずかしいという感じを持っている面じゃないかと思うんですけれども、そこのところを主税局の関係の方に、株式は少し担当が違うかもしれませんけれども、伺っておきたいんです。
  41. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 計数につきましては、ただいま受取配当総額はすぐ出ると思いますので、調べました上でお答えいたします。  ただその前に、税制調査会での御論議を通じまして、受取配当を益金に算入しないといういまの仕組み、これがいわゆる不公平税制として扱うかどうかということは五十年八月以降取り上げていただきまして、かなり長時間御討議をいただきました。五十一年度答申の際に、いわゆる不公平税制として今後精力的に整理合理化すべきものを政策税制というところで整理されました。政策税制について整理合理化を推進しようと、今回の中期答申でもその考え方が引き続き答申の中に示されております。何が政策税制であるか、何をそれ以外として扱うかということは、五十一年度答申で詳細に触れられておりまして、これは資料としましてすでに国会にもお出しいたしてございますが、その中では、ただいまの御指摘とは違いまして、受取配当を益金にしないといういまの仕組みは、政策税制としては考えないんだということになっております。  その理由の一つは、やはり受取配当を益金にしないというのは、法人税の性格につきましてよく御論議が出ます、必ずしも適当な言葉だと思いませんけれども、擬制説とか独立説とかいう論議とかかわりなく、どの国でも大体原則としては課税対象から外しているわけでございまして、最大の理由の一つは、やはり法人収益を課税いたしますときに、企業経営の形態に対して中立的でありたいという点があるのだろうと思います。と申しますのは、支店で経営いたしておりますと、当然に支店の利益は本店にまとめまして課税が行われます。子会社で経営いたしておりますと子会社の収益として課税がされ、親会社は別の課税をされているわけでございます。両者を通算いたしますれば、それでいわば支店形態と同じ負担になりまして、企業経営の形態いかんによって税が介入することがないであろう。その意味で申せば、子会社の収益を一たび課税して、さらに子会社から親会社が受け取る配当をもう一度親会社の収益として課税いたしますと、税が介入するためにむしろ子会社をつくらない方がいい、支店でやった方がいいということになるんではなかろうか。そういう考え方があって、擬制説とか独立説とかいう以前に、どの国でも原則として受取配当には課税をしないという仕組みの方が多いわけでございます。したがって、これは政策税制として扱うのではなくて、法人税の課税の仕組みとして考えるべき問題であろうという整理がされています。  もう一つの問題は、法人法人の株を持っているのが非常に多いのだから、それについて負担を求めてもいいではないかという別の角度の御議論もございますが、これにつきましては、法人が非常に株主と切り離された独自の存在であると考える場合には、受取配当を課税する反面で支払い配当を損金にするという考え方一つあるわけでございます。私ども税制調査会でことしの七月でございましたか、委員以外の各方面の有識者の方にお越しいただいて御意見を伺いたいという機会を持ったことがございまして、そのときに、御承知の東京都新財源構想研究会の座長でございます山本教授に来ていただいたんでございますが、山本教授は、かねてから支払い配当を益金で課税すべきだということを強く主張しておられます。そのときに、なぜそういう御主張かという御質問が委員の方から出まして、もし課税するとすれば支払い配当は損金にするのですかという御質問がございましたところ、山本座長はそれはそうなんですと、こうお答えになったわけです。したがいまして、これはやはり仕組みの問題としてお考えになっておるので、課税しないことが不公平だというとらえ方ではないのだというふうに委員の皆さんも御了解になったようでございます。  ところで、数字は、法人株主の比率というのは実は申しわけございません、証券局で聞きまして後刻御報告できると思いますが、私どもにわかっておりますのは、受取配当の総額がわかっております。これは五十年度の税務統計でございますが、総額が四千八百五十三億円でございます。そのうち現在のシステムで課税対象から除かれますいわゆる益金不算入額と申しますのは二千四十七億円でございます。なぜ差額があるかと申しますと、これ非常に技術的なのでごく簡単に申しますと、負債利子控除というものがございますので、受取配当全額が益金不算入になるわけではない。したがって、現在受取配当益金不算入制度の結果、課税対象から外されている配当額というのは四千八百の方ではなくて二千四十七億円の方である、そのように御了承いただき、なおこれに対しまして先ほど御紹介しましたような御議論で申しますれば、支払配当が全部損金になっているわけでございましょうが、支払い配当総額は同じ年度で同様に税務統計の方で申しますと一兆五千二百億円でございます。
  42. 大木正吾

    大木正吾君 いまの問題につきましてはまだ若干疑問残りますけれども、時間の関係もありますので、通常国会までこれは引き続く一般消費税論争でございますから、さらに資料などあれしまして、再度質問さしていただきます。  最後に、時間も参りましたから一つだけ主税局長にお伺いいたしたいのでございますが、税調の答申に対しての問題ですから、ある意味じゃ税調会長小倉さんに対することかと思うのですが、まあ小さい倉と大きな倉の違いですからひとつお答えいただきたいのでございますけれども、三年間で大体五十五年に三十八兆という歳出規模を想定いたしまして、そうしてその当時の大体財源不足が国税でもって四兆六千から六兆六千ぐらいになると、地方税では云々という数字がございますけれども、私疑問に思いますことは、漸減方式ということがとれないかどうかですね。なぜ三年間で全部一遍になくさなければならぬかということがこれは一つの問題です。そういう経済情勢に日本はいまあるかどうかという問題です。同時にまた、逆に導入してしまいますと、ドイツの例がございますが、わりあいにこの消費税というものは、見にくいといいますか、一般国民から見たら透かしてわりあいに見にくい問題で、所得税の場合には確かに抵抗もありますが、抵抗があるということはやっぱり見やすい税金だから抵抗が起きると思うんです。私は日本経済の将来について、増税という問題については別に反対じゃないんです。反対ではないんですけれども、見やすいものでもって公平にいっているからこのパーセンテージだけ上げていきたいんだと、こういうふうな話なら説得力があるし、使い道はこうだということならなおさら、いまお前さん税金が高いとおっしゃるけれどもあと五年たったら年金の受給者じゃないか、こういう話ができるわけです。そういう点等考えますと、やっぱり公債というものは各国全部出しておりまして、ゼロという国は先進工業国ほとんどないわけでございますから、漸減方式でいく。同時に物品税の、あの答申ですと物品税余り魅力がないなんて、私に言わせると何か少し意図的に書いたんじゃないかと、こんな勘ぐりもできないことないんですが、そういった漸減方式がとれないかどうか。一般消費税以外の財源を生む方法、それについて、質問としてまだ残りますけれども、最後に大臣主税局長に御見解を要約的に賜りまして終わりたいと思います。
  43. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 幾つかの点の御指摘ございましたが、一つは、五十五年度に何とかいわゆる特例債をゼロにしたいという中期計画なり財政収支試算なりを今回の税制調査会の答申の際に参考としてお使いになっているわけで、その数字が扱いとしては御承知のように(注)に入っております。したがって、固定的にこの計数をいま決めてしまって判断することを適当でないということを本文でおっしゃりながら、しかし、ほかに手がかりがないから計数的な参考として使ったという立場をとっておられます。  その場合に、五十五年度に特例債を何とかゼロにしないと将来にわたって非常に問題を残すし、それは世代間で、現在の世代が楽をして、その元利償還費を後の世代に残していくことではないか。俗な言葉で申せば、建設公債は五十五年度現在でもまだ相当多額に残っているという計算になっておりますが、建設公債というのは、まあいわば住宅ローンを借りて家を建てるようなことであって、返していくのは大変だけれども、やはり後後の世代には家が残るんだからまだがまんできるんではないだろうか。しかし特例債というのは、これはお気にさわるかもしれませんが、いわばサラ金で金を借りてお小遣いを上げておるというような話であって、これをいつまでも続けるということは適当でないという御議論は非常に強かった。したがって、五十五年度で特例債をゼロにしたいという計数は一つの重要な参考として考えましょう。ただ、同時に御議論がございましたのは、そうは言っても無理じゃないんだろうか、もう少し五十五年というのを先へ延ばしてみたらどうかという御意見も確かにございました。その点もやはり(注)で触れられております。ただ、そういう意見もあったが、これは先に延ばしてみても、かえってその所要税収額なり税収不足額が大きくなるだけだろうということが言われております。したがって、最初の御指摘の問題は、そのような審議の経過であったということでお答えにかえさしていただきたいと思います。  それから今回の提言は、まず、答申の一番最後の部分で書いてございますように、歳出の内容の洗い直しをぜひやってほしい、いわゆる不公平税制の是正もぜひやりなさい、しかし、その両者で大きな財源を生ずるということは期待できないだろう。したがって、そのような努力を続けながら、いまの税制の仕組みの中での増収も極力図りなさいということになっております。したがって、御指摘の物品税の問題もその中に位置づけられるであろう。ただ、それでもやはり足りないと思う。だから、そうであるとすれば、所得税で、しかも一部で言われているように非常に所得の大きい人だげというのでなくて、大きい人を含めてかなり下の方の方まで広く所得税の増税をお願いするのか、あるいは一般消費税を考えるのかということではなかろうか。それは国民に選択を求めるべき重要な課題であるということで、一度文章が切れております。実はそこで答申は切ってしまおう、重要な選択問題なんだから、本当に納税者の皆さんとしてやむを得ない道としてどちらを望まれるだろうかということをこの際は問いかけておいて、その反響を見てから議論を詰めるべきではないかという御意見が最後まで強く残っておりました。ただその点につきましては、多数意見としまして、やはり一年有余勉強を続けてきた上でどちらがいいですかと言ってほうり出すだけでは、それはやはり税制調査会として適当でないだろう。国民の選択の問題であるということを一度はっきり答申した上で、税制調査会としては、やはり上から下まで所得税の増税というよりは、一般消費税の方がいいんではなかろうかという選択をしてみた、それをひとつ、序文にございますように、国民に十分な理解を求めるように努力を続けなくてはいけない、政府もそのために格段の努力をしなさいということが序文に言われておる。そういう仕組みの答申でございますので、何と申しますか、何が何でも一般消費税が唯一無二の答えであって、そのほかのことは一切構わぬという答申ではないわけでございます。
  44. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 主税局長がお答え申し上げたことで尽きておると思いまして、私が申し上げることそれほどございませんけれども、ただ一つ申し上げたいことは、国民に公平なる税を課するという見地からいきますと、私は何といいましても直接税の所得税が、まあこれは私の独断かもしれませんけれども、一番これは理想的な税だと思います。しからば、そういう理想的な税一本でもって、いろんな要請をすべてその所得税にかけるというか、所得税をして果たさしめるということも、これは少し所得税に対して重荷だと思います。さような意味におきまして、税体系はいろんな補完をするような形において各種の税がある、こういうことでございますから、垂直的な公平性を持ち、かつまた、相当な税額を上げることができるというのは所得税でございますが、何としてでもこれを補完をしていかにゃならぬ。いまの日本の財政状態から申しますと、この所得税にもうすっかり重荷をかけまして、そしてこれからの日本の財政、これはふえていくに決まっておりますけれども、それを賄わすのに所得税でやっていこうということは、これはちょっとやっぱり重荷過ぎる。  そこで、いま主税局長が申されたとおり、いろんな税について考えてみたけれども、それでもってはなおかつ十分ではない、どこかでやっぱり補完するというような形を考えることができないだろうかということで考えられたのが、今日日本では消費に対する税が、非常に税体系の中では七、三とかなんとかというようなことで、まだややゆとりがあるというようなことから、そこで一般新税というものを考えたことだと思います。それには世の中で非常に非難もありましょう、それは物価を上げるとか。これはまあしかし、われわれといたしましては、たった一回これはそのときに物価の形において上がっていくということもあります。それから逆進性ということも言われておりまするけれども、やはり私は一方において垂直的な公平を期した所得税がかかっておる、それとひとつ補完的な、やや比例的な消費を基準とした—消費も私は担税力の物差しにはなろうと思います。金持ちが貧乏な人よりもたくさん消費をするというようなことは、これは経済上そういうことでございますから、それは一つ負担力の物差しになっていると思います。そういうような立場から、この一般の消費税ということに目をつけて、ひとつお互いに補完をさしていこうというような考えから、この新税の構想が生まれたのではなかろうかと思いますが、何も必ずこれをやってしまうというように、それはまだいまのところ決まったわけではございませんけれども、何とかしてそういったようなことの考え方から、こういうものも取り入れたらどうだろうかというふうに考えております。
  45. 大木正吾

    大木正吾君 穐山委員に後引き継ぎまして関連質問していただきますが、お願いいたしたいことは、いま大臣補完とおっしゃったんですが、私の見方は、むしろこれ一遍入れますと所得税中心主義が崩れるという危険を将来はらんでいると見ているもんですから、まだ質問が何項目か残っておりますけれども主税局長にお願いしたいんですけれども、ぜひ討議の過程で使いました資料とか、藤田理事を通じてお願いすることがあるかもしれませんが、小倉会長に一度大蔵委員会においでいただくと、こういったことにつきましても時期を見てお願いいたしますので、その点ひとつよろしくお願いいたします。
  46. 藤田進

    ○藤田進君 先ほどの大木君の質疑に関連してですが、三点お伺いしておきたい。これは大蔵大臣から。  医師税制特別措置について何とか片をつけたい、速やかにと。これは住々にして誤解、解釈が残ってしまいまして、この片をつけたいということは、いわば答申にもあるように、この際再検計して、特別措置についてこれを撤廃するというのも一つの片のつけ方でしょう。それからもう一つは、速やかにと言ってみても、これなかなか与党の中を見ても議論はあるように承っております。したがって、速やかにと言うが、五十三年度の財政収入に間に合うようにこれを措置するのか、これが一つの点であります。  それからもう一点、第二点は、どうも閣内に本件についての足並みが不そろいで、本会議等を通じて聞いてみても、福田総理が一番消極的のように思うし、まあそれは所掌柄大蔵大臣が一番積極的なようにもそれは思われます。ところが、それはそれとして、昨日医師会における厚生大臣の発言等を見ると、必ずしも私ども考えているような線ではなくて、医師の、たとえば個人開業医等にランク別をして、そして所得が一千万以下とか、一千万から二千万まで、二千万以上とか例示しながら、いわば暫定措置的な方途をすでに現内閣の閣僚である厚生大臣から提案されているわけであります。速やかなる時期的な問題と関連して、閣内でもあるいは与党内におきましても、もう結論を出さなきゃ、これはもし五十三年度を期待するならば間に合わないと思うわけです。この点が第二点です。  もう一点は、物品税というか消費税というか、あるいは付加価値税というか、これ盛んに租税収入の中に占める割合が各国の例を引用しながら、いかにも直接税、間接税の比率が相当崩れて、直接税中心になっているということを理由に先般挙げられていたと思います。しからば、直接税、間接税の今度の創設しようとする物品税を含めてどの程度の割合を志向されているのか。確かにわが国も四五%ないし五五%とか、ほぼフィフティー・フィフティーに近い時代もあったことは私も記憶しておりますが、しかし、所得格差が非常についている現段階で、一体大蔵大臣はどういう割合を考えているのか、この点が第三点であります。  以上についてお答え願います。
  47. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私は片づけるという言葉を申し上げましたが、片づけるということは、これをどういうふうに、きちんと決まってやめちまうとか、あるいはどうするというようなことがいままだはっきりと固まっておりません。しかしながら、これを是正の方向に踏み出していこうということだけはぜひやりたいと、かように考えておりますので、そこできちんとしてこれを具体的にこうするんだということを申し上げないで、片をつけたいと、こういうふうに申し上げたのでございます。  それから、一体いつ、来たるべき国会でやるのかと、こういうことでございますが、私はすでに先ほども申し上げましたとおり、税制調査会が数年来にわたってこの問題について処理をするようにというようなことを提言されております。私はそれに対しましては非常な敬意を表しておるわけでございますが、いまの租税状態におきましてこれを何とかするということを勇気をもって提言してくれたということに対しましては、非常にこれに敬意を表しております。さような意味におきまして、できるだけ速やかに何とかして行きたいと、こういうことを申し上げた。それに対しては、閣内において意見がやや一致していないじゃないかというようなお話でございますけれども、私は総理大臣が慎重にとおっしゃっておられるのは、事が非常に重大なものであるから、そこで慎重なる扱いをせにゃならぬと、こういうふうにお考えになっておると信じております。総理は恐らく——日本語は大変デリケートな、大変はっきりしないことがありまして、考慮するとか慎重にするとかということは、いかにも何と申しますか、消極的な意味のことを言っておるというふうにとられることもあるわけでございますけれども、恐らく総理の慎重にとおっしゃることは、この問題は本当に重大な問題であり、かつ、むずかしい問題であるから、そこで慎重にというふうな表現をされたことであろうと私は信じております。しかし、総理がどういう決意でいらっしゃるかということについては、まだ私は話を詰めてはおりません。  それから、医療行政の中心におられる厚生大臣が、いろんなこのことに関連しました意見を述べられておりますけれども、私は、医療行政を担当する厚生大臣としては、いろんなことをお考えになるということは、これは当然そうあるべきものだと思います。だから私は、厚生大臣がああいうふうにおっしゃられておるということは、この租税問題に対して私がこれを何とかしたいと考えておることに対して反対の意思を表示しておるものであるというふうには受け取っておりません。恐らく厚生大臣としても、この租税特別措置における医師の診療報酬課税というものは、これはこれでいいんだというふうにはお考えになっていないというふうに私は受けとめております。ただし、厚生大臣とそういったような点につきまして、細かい相談とか話し合いとかいうようなものはまだいたしておりませんが、これから密接にひとつやろうと思っております。そういうようなわけで、ぜひこの問題を片をつけていきたい、かように考えております。  それから、直間比率につきましては、方々の国では五対五だとか、あるいは五対四だとか、あるいは五対三だとか、いろいろありますけれども、いまわれわれがそういったような数字で比率を考えてどう持っていこうというふうには考えておりません。そこらのところはまだ未定でございまして、いろいろ考えた末どうなるかということでございます。初めから目標を定めて比率を考えておるわけではございません。
  48. 穐山篤

    ○穐山篤君 最初に、税金の問題一つ伺っておきたいんですが、国の財政あるいは地方自治体の財政、すべて税金が基礎になっているわけですが、これは当然のことですが、それを憲法の面から見ますと、たとえば教育にしろあるいは農業にしろ、それぞれ基本法というものがつくられているわけです。これは国民立場から言えば当然のことだし、また、そうなければならぬと思うんですが、しかし、一番国の財政を支えている税金あるいは税制の問題についてのいわゆる基本法というものがないわけですね。これは非常に片手落ちではないかというふうに考えます。少なくとも、たとえば教育について言えば、憲法の定めるところによって教育の事柄が明らかにされている。それが教育基本法になり、あるいはそれぞれ要綱になり、いろいろな法律規則になっているわけです。しかし、事税金についてはその基本がなくて、個々の税金のことだけが法律になっている。これは基本的な立場からいうと非常に不可解に思うわけですが、その点についての大蔵大臣の基本的な考え方をお伺いをしたいと思います。
  49. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 大変重大なる御提言と思います。しかし、各国の立法例等も考えてみますと、どこの国も先進国は租税についてやっておりますけれども税制についての基本法というものは、これは私が寡聞にして知らないこともありますが、そういったようなこともありまして、たとえばいろいろなものについて基本法があるじゃないかと、こういうお話でございます。たとえば公害について基本法だとかそういうものはある。そうすると、何かそういったようなものについて共通的な規定を、一つの基本的には共通なものを決めておるというのが基本法だと、かように私は考えますが、税制についてもそれは一つの大変な考え方ということとして、私どももこれについて御提言はよく耳に入れさしていただいて今後対処してまいりたいと思いますが、今日私、まだ初めてお聞きすることでございまして、そういうふうにいたしましょうとも、それに対してそれは適当でないといったような僭越な言葉を申し上げるような私にはいま頭がございませんので、さように御理解願いたいと思います。
  50. 穐山篤

    ○穐山篤君 次は、不況業種対策の問題ですが、すでに予算は上がっております。しかし、禍日の参議院予算委員会でも、あるいはまた衆議院の商工委員会でも、不況業種に対しまして特に参考人を呼んでいるわけです。参考人の意見というのは明らかにされていますが、非常に深刻な現状を明らかにして、国に対します財政的な措置あるいは金融の措置あるいは雇用の問題など、具体的な注文、要望が出されているわけです。これらに対して、すでに政府としては一応の対応策は発表はしておりますけれども、参考人を呼んだ後、新たに金融措置にしろ、あるいは雇用対策などでこうしていかなければならない、あるいは計画しておった作業というものを繰り上げるというふうな新たな検討、提案というものはないでしょうか。
  51. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先生御指摘のとおり、不況業種対策は当面の最も大きな問題の一つでございまして、関係業界の自主努力を補完するという形で、主務官庁が業種別について総合的な対策を講じたものについて、先生承知のとおり、金融面の諸施策を講じているわけでございます。この中には、御承知のとおり、不況業種に属する企業の転換対策であるとか、あるいは既往金利の引き下げとか、そのような措置をとっているわけでございますが、現在とっている措置に加えて何かさらに考えているかという御質問でございますけれども、ただいま申し上げました不況業種に属する赤字企業の既往金利の引き下げにつきましては、これは業種の指定について常に見直しが行われておりまして、今後とも実情に応じて業種の指定が行われるものと考えております。  それから、これも先生承知のとおり、現在大蔵省、通産省、日銀を入れました連絡会議が設けられているわけでございまして、この席上において、特に通産省側から適時適切にいろいろな問題が出されておりますので、そういう新しい問題提起を踏まえてそれに即応したような施策を講じていきたい、このように考えております。
  52. 穐山篤

    ○穐山篤君 やや抽象的ですけれども、この十二不況業極というものはそれぞれ性格があるわけですね。市場を失ってどうにもならないとうふうなものを初め、まあ大まとめにしてみれば四つか五つぐらいの型があるわけです。ですから、その意味で言えばきめの細かい対策を講じなければならないと思うし、現にそういう方向であると私は信じます。ただ、過日の予算委員会で、この不況業種十二種類については、いまの政府対策で言えばおおむね一年程度で減量ができるし、再興の見通しを持っているというふうに総理大臣は答弁をしております。この一年間というのは、不況業種あるいはわれわれにいたしましても、一年間たてば何とか見通しがつくかなという希望と期待を持っているわけです。そういう意味では、この一年間という数字は私は単なる数字ではないというふうに思うわけですが、それぞれ違うこれだけの型の不況業種を一年の間に再起再興させるという具体的な根拠といいますか、そういうものについて明らかにしてもらいたい。
  53. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) お答えいたします。  一年間と先生がおっしゃいましたのは、不況業種についての既往金利の引き下げの期間が一応一年間ということになっているわけでございますので、その点も含めての御指摘かと思いますけれども、これは先生御指摘のとおり、各業種によりまして現実面の対応も非常に異なっておりますし、また、その後の成り行きというものも非常に変わってくるわけでございますから、この一年間という期間、この既往金利の引き下げの件につきましは、現在は一応一年ということになっておりますけれども、先行きその時点になりまして、また経済の実態に合わせまして、またいろいろな施策を弾力的に考えたい、このように考えております。
  54. 穐山篤

    ○穐山篤君 やや自信がないようなお答えですが、といいますのは、今度補正予算が編成をされたときに、不況業種問題というのは特に政府が力を入れたと、そのことについては十分評価をいたしますが、その当時の状況の際には、円高による重圧問題というのは、傾向としては十分に承知はしておったとしても、政策の面や行政指導の面では十分に考えられなかったのではないかと私は推察をするわけです。その後、円高の問題が顕著にあらわれて、それ自身に対する、輸出中小産業に対する大変な影響力がありますが、それがまた、不況業種に関連をして重圧を加えている業種がその後またふえてきているわけですね。そういたしますと、一年限りで、おおむね一年で見通しをつける、あるいはまた、その後状況が変化をすればというのは、やや政策担当としては無責任ではないかというふうに考えます。ですから、この円高の影響と不況業種の関連をどう接続をさして措置をとっているのか、あるいはいこうとしているのか、その点ももう一度お伺いをしておきたいと思います。
  55. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 一応一年という時期を限っておりますのは、これは一年ということに重点が置かれているわけではございませんで、当面見通し得る限りにおいて一年という時期を一応限ったわけでございまして、そのときの実態に応じて、一年たった時点においてまた弾力的な措置をとるということは先ほど申し上げたとおりでございます。  それから円高関係でございますが、これも御承知のとおり、中小企業為替変動対策の特別融資制度が現在発足しているわけでございますけれども、これは七月におきます円高状況前提といたしまして、当時の通産省における実態調査を踏まえて発足したものでございますけれども先生御指摘のとおり、現在はその当時に比べてさらに事態が変わっているわけでございます。したがいまして、現在通産省においてもそういう面での実態調査を急いでおりまして、その結論を待ちまして、さらに、場合によっては制度見直しということも考えらるのではないかと考えております。
  56. 穐山篤

    ○穐山篤君 その点については、労働省の雇用対策ですね。
  57. 谷口隆志

    政府委員(谷口隆志君) いわゆる構造不況業種の問題につきましては、産業経済面とか、また雇用面でも非常に重要な問題でございまして、先ほど来話のありましたように、総合経済対策の中でも重要な政策課題になっておるわけでございます。したがいまして、私ども雇用対策を進めるに際しましても、当然それぞれの業種に関連いたします事業官庁と十分密接な連携を持ちまして、広い角度から検討を行い、それに基づいた対策を進める必要があるということで、そういう体制をもって臨むことといたしておりますし、また、労働省プロパーといたしましては、一般的な雇用情勢の悪化の上に、構造不況業種からの雇用問題といいますのは今後非常に重要な問題となる可能性もございますので、そういう意味で、労働省内に労働省全体で取り組めるような臨時雇用対策本部を設けまして、緊急的に雇用対策を充実するということで進めておるわけでございます。  その中で主要な問題は、御承知のとおり、雇用安定資金制度というものがこの十月一日から発足いたしておるわけでございまして、この十月一日に発足しました雇用安定資金制度の中では、いわゆる十二業種のうち五業種、すなわち繊維・衣服とか木材・合板、平電炉、造船、海運・はしけというようなものは、雇用安定資金制度の中の事業転換等雇用調整事業の対象業種として指定いたしておりまして、この関係で指定の仕方が細分類、小分類等でありますので、五十四業種で対象事業所が十八万、対象労働者数は約二百万ということになっておりますけれども、そういうことで進んでおりますし、今後とも、その他のいわゆる構造不況業種につきましても、事業官庁と連携をとりまして、事業官庁の方で一定の産業構造の転換につきましての政策方針が決まりました段階には、また追加指定する等の措置をとってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  58. 穐山篤

    ○穐山篤君 いまの問題についてもうちょっと深めてもらいたいんですが、確かに、雇用安定資金制度というものが強化をされて発動されているということは大いにわかります。しかし、それは現実に訓練をする、あるいは事業の転換をするために必要なものを行うというものにとどまっているだけであって、その成果というものが具体的に実効があらわれるには、訓練をし、あるいは転換するために必要なことを進めた後、新しい職場に、あるいは既往の業種でも結構ですけれども、雇用が具体的に拡大する見通しがなければ、それはまあ極端なことを言えば長期間にわたって訓練だけをしている、あるいは技術の見習いだけをしているということに終わってしまうわけですね。その意味では、単に労働省の分野でなくて国全体の景気対策とも関連をするわけですが、新しい職場あるいは転換できる職場というのを具体的にどういう業種で考えられているのか。あるいはそういう業種はこれだけのものがありますよというふうにいま自信を持って言えるような産業業種、あるいは地域というものがあれば具体的にひとつ明らかにしてもらいたい。
  59. 谷口隆志

    政府委員(谷口隆志君) 雇用安定資金制度は、先生十分御承知のとおりでございますけれども、成長率が低下してまいりますと、一たん失業いたしますとなかなか就職しにくいというような状況にまいりますので、雇用対策といたしましては、従来のような失業してからの対策というよりも、さらに積極的に進めて、できるだけ失業の予防とかあるいは離職の防止を図る、そういう趣旨から発足をさせることといたしました事業でございまして、その中には一時的な不況、すなわち、短期的な景気変動に対します景気変動等雇用調整事業と、それから産業構造の転換に伴います事業転換等雇用調整事業があるわけでございまして、これらの事業の運営につきましては、景気変動等雇用調整事業は当然のことながら不況を過ぎたら立ち直るという見通しのもとの問題でございますけれども、事業転換等雇用調整事業につきましても、教育訓練とか出向とか、それぞれ関係の労使で協定をされるなり話し合いの行われた上で進めますので、そういう面で、この事業の対象になっておられる労働者の方々が雇用の安定面で抜けることはないわけでございます。  そこで、いま御指摘になりました、せっかくそういうことをやってもどこへ行くかということでございます。この事業だけでやった場合、いま申し上げましたように具体的に話をつけて進めていくということでございますので問題はございませんけれども、いまのような情勢の中で、構造不況業秘から、そういう努力にもかかわらず離職された方々をどうするかというような問題につきましては、やはり雇用対策というものは経済政策なり産業政策と総合的な形で進められなければなりませんし、そういう意味で適切な経済運営が引き続き維持されていく、そういう中で、また、雇用吸収力のある産業としてどういうものがあるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、関係の官庁と十分協議しながら検討して進めていかなきゃならぬと思っております。  現状について見ますと、雇用情勢非常に深刻化して問題になっておりますけれども、製造業は、少しずつでございますが雇用者数が減っておりますけれども、結局三次産業、すなわち卸、小売、金融保険とかサービス業は引き続き少しずつでございますがふえておりまして、結果として雇用者総数はふえているというようなことでございますけれども、そういうような状況を踏まえまして、先ほど申し上げました中長期的な検討もしながら、雇用吸収力のある産業についての雇用対策を、そちらに吸収させるための雇用対策をどのようにやるかということを進めてまいりたいというふうに考えております。
  60. 穐山篤

    ○穐山篤君 まあ議論すれば長いんですが、雇用の問題についてもう一点だけお伺いしておきます。  それは、年間の予算あるいは今回の補正予算を含めて、公共事業投資はかなりのボリュームになるわけです。それで景気を図ろうとするわけですが、全部きめ細かく私は調べたわけではありませんけれども、公共事業投資が地域的に偏在をしているという感は免れないと思います。どうしても、これから北海道あるいは東北というふうなところは降雪時期になるわけでありますので、必然的に能力が落ちます。そういうことを考えてみますと、北海道であるとかあるいは東北、それに九州、さらに、私は最近沖繩へ行ってきたわけですが、沖繩の失業率というものは非常に高い、こういうふうに見るわけです。したがって、この全体の景気浮揚、あるいは雇用対策というのと同時に、地域的な雇用対策を踏まえませんと、特定の地域だけで失業者が固まる。しかし、それとても出かぜぎで雇用を吸収しようとすることになれば、建設だとか土工だというふうに、体力がなければ耐えられないというふうな雇用のところに集中してしまうわけですね。特に、この偏在した地域的な雇用の対策というものが具体的にあれば、ごく簡単でいいですけれども、お伺いをしておきたいと思うんです。
  61. 谷口隆志

    政府委員(谷口隆志君) 雇用対策につきまして、先生の御指摘のように、地域的にいろいろ問題を抱えておりますので、そういう地域的な問題に対応した対策を講じていかなきゃならぬということは御指摘のとおりでございます。  一般的には、やはり雇用機会の少ない地域につきましては、企業立地なり企業誘致というようなことで、その地域で雇用機会が拡大してまいりませんと基本的な解決にならないわけでございますけれども、この問題はそう短期間に進んでいくわけでもございませんし、最近のような雇用情勢ではなかなかそういうことも進みにくいというようなこともございますので、私ども雇用対策といたしましては、そういう雇用機会の少ない地域で新たに増設なり新設をされて雇用者を雇われる事業主に対します雇用促進給付金のようなものもございますけれども、やはりそういう地域につきましては、公共事業面での失業者吸収効果というようなこともかなり大きいわけでございますので、その点につきましては、関係の省庁、事業官庁、それからまた地方に対しましても、そういう事業実施されます関係部局に協力のお願いをいたしたわけでございます。  そこで、いま御指摘のありましたような地域につきまして、たとえば北海道でございますと、季節受給者が、これは気象条件によりまして、また東北とは若干違った形で季節受給者、季節労働者の問題がございますが、その上に、今回の北洋漁業の漁獲規制の問題で離職者が出てまいりますし、そういう面で季節労働者に対する対策といたしまして、関係省庁なり道庁と連絡をとりながら、たとえば公共工事を、従来ですと夏場に非常に集中いたしまして、その時期には東北の方から人が行って働いておられるというような状況もあるわけでございますけれども、できるだけ平準化されること。その前提といたしまして、できるだけ事業量も拡大して実施していただく必要もございますけれども、そういう対策とか、あるいはまあ、漁業離職者に対します職業転換対策等を講じる必要がございます。  また、沖繩は非常に失業情勢悪いわけでございますけれども、やはり特徴といたしまして、軍関係の離職者が三七%ぐらい占めておられるとか、また、一つの大きな特徴といたしまして、若い方方の失業者が多いわけでございまして、三十歳未満の失業者が六五%以上を占めているというようなことでございます。さらに、Uターンで帰ってこられるというような傾向もございますけれども、そういう若い方々につきましては、本土の優良な求人を沖繩に持っていきまして、現地で職業相談をしながら広域的な就職活動を図るというような、そういう個々の地域に応じた対策を進めていかなきゃならぬということで実施いたしておるわけでございます。
  62. 穐山篤

    ○穐山篤君 それでは例の黒字、貿易対策のことについてお伺いしますが、世間の非難は非常に強いわけでありまして、特に円高についても最近とみにそれが加わっている。そういう意味で言いますと、一時的に輸入量を拡大をするという問題に現実にぶつかっています。それから、総理大臣が国際的に約束した立場から言えば、恒久的に貿易面、特に日本が諸外国から輸入するボリュームもふやしていかなきゃならぬ。これは日本経済立場から言うと相反するような問題の性格を含んでいると私は思うわけです。  しかし、とりあえず一時的に輸入する物が、すでに政府側の検討の方向が示されておりますけれども、これはどういう品物といいますか、物品を中心にされているのか。石油だとかウランだとか、いろんなものがあるわけですが、しかし、石油を一時的に備蓄するにしましても、これは地の利の問題もあるだろうし、あるいは船の問題もあるだろうし、いろんな障害が一つ一つの項目でたくさんあると思うんですね。中には、非鉄金属だとか、あるいは農産物を大量に輸入すれば国内産業にさらに重圧を加えるという意味では、非常に相矛盾した政策を行わざるを得ないという現状に直面をしていると思うんですが、その一時的な輸入増加の態度についてひとつ明らかにしていただきたいし、それから、先ほど申し上げた恒久的な黒字減らしの基本的な態度というものについても、あわせてひとつ明らかにしていただきたい。
  63. 大竹宏繁

    説明員(大竹宏繁君) いわゆる対外経済対策につきましては、九月三日の総合経済対策、あるいは九月二十日にさらにこれを具体化いたしました対外経済対策の推進という方針に基づきまして、現在その具体化を政府部内におきまして検討しておるところでございます。  個々の物資につきましては、それぞれいろいろ問題がございますけれども、現在検討を進めておるところでございまして、さらに、それを一時的なものでなくて恒久的にどうするかというお尋ねでございますけれども、基本的には、やはり内需の拡大を通じまして輸入の増加を図っていくということが基本かと存ずるわけでございまして、その線に沿いまして、総合経済対策で決定されました需要の追加、先日成立いたしました補正予算の迅速で的確な執行を通じまして雇用対策の推進を図るということがやはり基本になろうかと、こういうふうにえ考ます。
  64. 穐山篤

    ○穐山篤君 どうも抽象的ですが、時間がありませんから、最後にひとつお願いしますが、今度の補正予算を含めまして、景気浮揚のために公共事業投資というものが中心になって今年度の予算編成を見ることができると思います。しかし、公共事業投資ということになれば、投資の拡大ということになればそれだけ大きな財源を必要とするわけです。一般的なやり方としてはそうだろうというふうに思いますけれども、しかしこの一年間、あるいは去年一年間、公共事業投資を中心にして景気対策というものをやってきたけれども円高であるとかその他のいろんな理由が重圧としてあるわけですから、来年度の予算の編成に当たって、ことしのような、あるいは去年のような予算編成の態度では、単にそれは予算全体の規模を大きくするけれども実効が期待できないんじゃないか。ただいまも内需の拡大というふうな説明がありました。時間がありませんから、細かいことを申し上げるつもりはありませんけれども、この一、二年の経験から考えてみて、内需の拡大、それも国民福祉の生活基盤の拡充という、そういう面から内需を拡大をしていかないと、ことしの轍、去年の轍を踏むような気がするわけです。  各省庁から出されております予算の注文を見ておりますと、ことし、去年の注文とほとんど性格が変わらないというふうに考えるわけですが、省庁から要求のあった予算案というものを受けて、大蔵大臣としては来年度は発想の転換を私は考えるべきだと思いますけれども、その点についての基本的な、あるいは特徴的な考え方を最後にお伺いをしておきたいと思います。
  65. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) お答え申し上げます。  来年度の予算につきましては、ただいま大蔵省主計局が中心となりまして、鋭意これの編成の事務を進めておるところでございます。  そこで、この来年度の予算の何と申しますか、特徴と申しますか、内容と申しますか、それについてどうだと、こういう御質問でございます。予算というものは、私はやっぱり来年度の日本の国の経済財政の事情が最もよく見通しがつくというときに、これはやっぱりそこが大事だと思います。いまおっしゃられたようなことも非常に大事なことであるということは、これはもう私そのとおりだと思いますけれども、そういうような意味におきましては、来年度の経済見通しというものがまだまだ固まっていないんです。その経済見通しがやがて固まってくると思いますが、それを踏んまえまして、その上に五十三年度の予算を組んでまいりたいと、かように考えますので、いまこの段階でどれを重大視、どれを眼目にしてというところまでお答え申し上げる段階には参っていないということを申し上げてお答えにかえたいと思います。
  66. 穐山篤

    ○穐山篤君 経済見通しの話になると、どこまで正確に見詰めるかということになれば、時期をずっとおくらせることに物理的にはなるだろうと思いますが、国民立場からいえば、国の政策考え方というものが来年はどうあるかということがこれら関心を深めるわけです。そういう意味で言いますと、年内の編成ということでいまの大蔵大臣考え方を了解してよろしいんでしょうか、それとも年が明けてから、十分見詰めてから予算編成を終わりたいいう意味ですか、その点明確に最後にお願いしたい。
  67. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) そのことにつきましては、先般の閣議におきましても、総理大臣から、五十三年度の予算は年内にひとつ編成を完了するようにという強い御指示を受けておりますので、私どもといたしましてはぜひそういうふうに運んでまいりたいと、かように考えております。
  68. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 社会保険診療報酬課税の特例に関して、大蔵大臣に幾つかの点をお尋ねしたいと思います。  私が与党議員の立場でこれまでタブー視されてきた感じのこの問題を取り上げる真意は、わが国税制の長期的ビジョンに立ったやむにやまれぬ心境ということなんです。どうか私の真意を御理解願い、勇気を持ってお答えをいただきたいと、そういうことなんです。  たとえば、国税庁発表の脱税ワーストリストによっても、医師が常に上位を占めている例は御存じだと思います。あるいは、最近の一連の医科大学寄付金問題をめぐる資料の中に医師の高額寄付者が多いというマスコミ報道ということから、国民の受けとめている素朴な印象は、医師という職業はもうかる職業だということだと思います。大蔵大臣の御認識はいかがでしょうか。
  69. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いろんなことは私も耳に入れております。だから、いろんな職業の中でそういったようなことをお聞きしておりますけれども、私はその徴税に直接当たった者でもございませんが、そのいまのおっしゃられたことを、そうではないということは私は申し上げられない気持ちでございます。
  70. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 まあ、もうからないと言えないということですから、ぼくは、もうかると思うというように理解しますけど、大臣は、十月二十一日の閣議で、「五十三年度予算の編成に苦慮している。予算を健全化するためには、増税を図らねばならない。そうなると、不公平税制の親玉とも言える医師優遇税制を解決しないわけにはいかない。橋の前に大きな石がある場合、渡る前にまず、その石を除かねばならない。同税制の是正は是非実現したいと思う。」と発言せられたと新聞は伝えております。この御発言の内容は事実でしょうか。ここに資料ありますけども……。
  71. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私は、さような趣旨のことを発言いたしました。
  72. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 確認の意味でお聞きします。  大臣は、医師優遇税制のかねてからの廃止論者と私は聞いて伺っております。今度の予算委員会での、私も委員会のメンバーですから御答弁をずっと聞いてきましたけど、二月二十二日の参議院予算委員会で公明党の塩出委員の質問に対する御答弁の中で、「私もこれは不公正なものだと思っております。」と述べられました。いかがでしょうか、この機会にもう一度確認さしていただきますが、こういう医師優遇税というのは世界じゅうで日本だけだということですね。これは不公平だということをもう一度確認しておきます。
  73. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 現行の社会保険診療報酬ですか、それに対する課税のあり方は、これは日本の税制全般から見ましても一つの不公平なものであると、こういうふうに考えます。
  74. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 昭和五十年度の税制改正答申には次のように具体的な改正案が盛り込まれております。その要旨は、大臣も御承知のとおり、報酬の多少によって控除率を四段階に分け、一千五百万円以下は七二%、一千五百万円から三千万円以下は六二%、三千万円から五千万円以下は五七%、五千万円以上は五二%とするというものです。  そこでお尋ねしますが、これを、大蔵省がかねて調査されている医師の収入データと対比しますと、四段階の中でどの段階に相当するケースが一番多くて、逆に、どの段階に当てはまるケースが少ないのか、それを御答弁願います。
  75. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 私ども国税庁の協力を得まして調査いたしておりますところから考えますと、ただいま糸山委員のおっしゃいました控除率の中の五二%というのが一番実態に近いのではなかろうか、このように考えます。
  76. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 この一、二、三、四と分けていますけど、五千万円以上五二%に近いと言いましたけれども、大体これは後の質問にくっついてくるんでね、どの辺が多いのか少ないんだとか、きょうの新聞関係があるんだ。
  77. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 診療科目ごとにかなり違いますし、それから個々の診療所なり病院で非常にばらついているわけでございますが、それを総平均いたしますとおおむね五二%近くというふうに私どもとしては認識しておるわけでございます。もちろん、個々の診療所なり病院にとりましては七〇近いものもございますし、場合によっては五〇よりも低いものももちろんありまして、それらを平均いたしまして大体五二%に近いんではなかろうかと考えているわけでございます。
  78. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 ここでもって資料を要求したいんですが、ちょっとお願いしておきます。つまり、一千五百万円以下の七二%、一千五百万円から三千万円以下は六二%という段階を四段階に分けましたけれど、これいい案だと思うんですが、この四段階に該当する医師がどのぐらいいるのか、一、二、三、四種類にですね、区別にしていただきたいと思います。これはいま出なければ——恐らく持ってないでしょう、本当は持っていなきゃいけないんだよ、これこの場でね。だけれど、もし出てないならば資料を要求してこの委員会でいただきたいとそう思いますが、いかがでしょうか。
  79. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 後刻理事会に諮って提出を求めます。
  80. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 理事会——まあ結構です。  渡辺厚生大臣が、きのう経団連会館で開かれた社会保険指導者講習会で、年収二千万円から三千万円以内は現行で、それ以上の年収の医師は法人としての性格を明確にし、合理的な改善を図るなどの新しい具体的提案をされたニュースがけさの新聞に載っておりますが、私が読んだ印象では、折衷案のような気がいたしてしようがないんです、これはどうも。厚生大臣は、私から大蔵省にこの案を正式に要求すると伝える新聞もありますが、ここに出ておりますが、まさか大蔵大臣はいまの御心境よりも後退をなさるようなことはないでしょうね。つまり、妥協せられるようなことがないだろうねということをここでちょっと確認をしておきたいんですが、ひとつお願いします。
  81. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私は、まだその点につきましては厚生大臣お話をしたことはございません。そこで、そういうことが新聞にも出ておりますし、いま糸山委員から御質問も受けましたので、今後厚生大臣とよく話し合いをしてみたい、かように考えております。
  82. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 大臣大臣の信念ですからね、これね。自民党の中にも大分大臣を応援している人いるんですからね。これは渡辺厚生大臣も本心は何言いたいかわからないけど、やっぱり医師会という大きな力のところとの交渉ですからそれはむずかしいと思います。でも渡辺厚生大臣だんだんと後退をしているんですね、答弁が。ですからもう大蔵大臣ね、これ次から出てきますけれども、その点においては答弁要りませんけれども、どうですか、ひとつ信念をもって、とっ組み合のけんかしたっていいからひとつやってくださいよ。頼みます。それは。  質問に入ります。  十月二十二日付の日本経済新聞朝刊は第一面のトップで、「医師優遇税制の是正 大蔵省、具体案作りに着手 控除に段階つける 来年度実施を検討」という見出しのもとに、先ほど私が述べました五十二年度の税制改正答申を大蔵省がそっくり採用して具体的な改善策を検討し始めたと大きく報道しております。ここに同新聞の切り抜きも私が持っておりますが、大臣も当然これはお読みになったと思いますが、この新聞報道は事実でしょうか事実じゃないんでしょうか。
  83. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 私もその報道を承知いたしておりますが、ただいま私どもの部内で検討いたしておりますことは、税制調査会の答申に即して検討いたしております。税制調査会の今回の答申は、第二という部分の中で本件に触れておられまして、そこでは、社会保険診療報酬課税の特例は廃止すべきであり、少なくとも昭和五十年度改正に関して答申した改善案を早急に実施に移すべきであるというふうに指摘されておりますので、私ども検討の基礎がただいま糸山委員の御指摘になりました五十二年度改正答申であるということは事実でございます。そういうことを知っておりましてああいう記事になったんだろうと思います。
  84. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 私は、大臣こう思うのです。いま国民の大多数が抱いている素朴な感想は、医師はもうかっているのではないか、そのくせそんなにも税制の上で優遇されていていいのか、全く不公平というべき税制ではないかということ。つまり医師だけをなぜ特別扱いにするのかであり、改正に絶対反対という医師会側の態度は特権意識まる出しの主張ではないかということだと思います。これは国民がほとんどそう思っていると思うのです。もう国民に黙れと言っても黙らないと思います。  そこで私は、古いことを蒸し返すわけじゃございませんが、二十三年前の昭和二十九年十二月四日に開かれました衆議院大蔵委員会の会議録がここにございます。会議録によりますと、議員立法として提出されましたこの医師優遇税制問題を、質疑省略の上、全会一致で原案どおり可決したとき、委員長代理として採決を諮られたのが、これなんとこちらにお座りになっている坊大蔵大臣、いまの大蔵大臣坊秀男委員となっております。いや、うそついちゃだめよ。こっちありますよ、大臣。だめだよ、逃がすわけにいかない、これはもう一番の山場なんだから。当時の坊委員長代理がいま大蔵大臣という税制の責任者になっていらっしゃるということは、何とも歴史の皮肉としか言いようがありません。  そこで大臣、繰り返すようですが、大臣は先日の中期税制改正答申を尊重されるお考えと思いますが、この点確認をさしていただきます。
  85. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 先般の税制調査会の答申は、私は先般も申し上げましとおり、これは尊重いたすつもりでございます。
  86. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 大臣、これ、もしなければ資料は差し上げましょうか。坊秀男さんて出ていますよ。名前も赤線引っ張ってありますから、よろしければ、もう忘れたなんていうことでは済まない、これは幾ら二十三年前でも。差し上げますよ。これは自分がやったことだから。ですから御自分がやったことですから御自分で責任をとっていただきたいと思うし、委員長気をつけてください。これあれですよ、うっかりしたことやると後で必ずこういうようになるんですから。質問続けます。まあ後ほどゆっくり読んでください。思い出してください、昔の吉田内閣を。  大臣はこれまで国会での御答弁で、なるべく早い時期に答申を実現したいとおっしゃっておられますが、その時期とは具体的にいつなのか。五十三年度がむずかしい状況であるのならば、次の五十四年度ということに当然なるわけですが、いかがでしょうか。早い時期なんてごまかさないで、どうでしょう。
  87. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) これは私の念願でございまして、できるだけ早い機会にやりたいと、こう思います。いまいつやるかと、こういうことを切り込まれましたが、私の念願はできるだけ早い機会にやりたいと、かように思います。
  88. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 いまの大臣の御答弁に正直言って私は失望しました。早い時期に早い時期に、できるだけ早い時期に、これ聞き飽きましたけれども国民の多くもきっと失望しているでしょうし、また失望したでしょう。私は自分の政治信念、つまり政治信条の上からもこの問題に真剣に取り組む決意を持っております。もし次の通常国会に政府が提出されないようでしたら、法制化のときが議員立法であったことから、改正法案も議員立法で、しかも与野党を通じた議員立法を提出したいとさえ私は考えているのです。市川さん、聞いておいてくださいね、これ。どうぞ野党の先生方も聞いておいていただきたいのですが、与野党乗り越えてこれは議員立法出したい。この特例にメスを入れないで一般消費税に代表される増税の導入をめぐり、国民の理解も協力も恐らく永久に得られないことになるでしょう。五十三年度にこの特例を正し、五十四年度に税制改正を行う、これが財政の長期ビジョンのプログラムの中で必要なことではありませんか。二十九年十二月に坊委員長代理が採決したこの特例を、今度は大蔵大臣として、いまこそ勇気と決断のもとに是正されることを強く望みます。大臣改正法案の提出をこの場でもって約束していただきたい。五十三年、お願いします。
  89. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 繰り返し申し上げておりますけれども、私は、自分としてはどうしたってこの念願を達成したい。しかし、幾ら大蔵大臣といえども、一人でもってそういったことを決めていくわけにはまいらない。私も、こういったような重大なる問題は、まず第一に国会議員の皆さん、そういう方々に、糸山さんのように熱心に誠意を持ってこれをやれというふうに言ってくださる人ばかりではございません。そういったような人たちともこれから折衝を重ねていかなければなりませんから、ここでこれをやりますということをお答えしても、何にいたしましても議会制民主主義の、皆さんの御協力を得なければできないことでございますから、それを私は期待いたしまして、ぜひともこれをやりたいと、かように考えております。
  90. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 議会制民主主義とおっしゃいましたけれども国民のほとんどはそれを望んでいると思いますし、与野党の中でも、私もずいぶん聞いてまいりました。自民党の中にもおります、不公正税制を直さなければいかぬと、私みたいのもいますよ。これは十人や二十人じゃないんですから。大臣、これは通りますよ。問題は、大蔵省が腹をくくってやるかやらないか。医師会と全面戦争になって、向こうが仮にストライキをするなんということになると大変なことになるから、こわいからこわいからということだったら、国民は黙っていませんよ。やっぱりここでもって正しいものは正しい、悪いものは悪い、あるいは財源が非常に影響する、金もかかる、国でもって援助もしなきゃならない、いろんなことでもって負担がかかるかもしれないけれども、正すべき問題は正していただきたいんです。そうしないと、一般消費税を仮にもし考えているならば、まじめに税金を払っている人はばかを見てしまう。ぼくなんか一生懸命税金を納めているわけでございますから、どうか国民のコンセンサスを取りつけるためにも、坊大蔵大臣の勇気ある行動をお願いいたします。もう一言、もう一回答えてください、しつこいようですけれども
  91. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) ぜひともさようにしたいと思っております。
  92. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 非常にいい御答弁いただけたと思いますので、私は次の質問に移ります。  実は、私のところに最近届いた一通の手紙があります。長い手紙なので時間がちょっとこぼれることも——まあこれはこぼれないでしょう、答弁簡単だったので。差出人の心情を少しでもおくみ取り願えれば幸いです。残念ながら質疑は恐らく時間の関係でできないと思いますから、時間がなくなりますから、問題提起だけ、そして問題提起をした後、坊大蔵大臣とそれからこの担当は保険部長さん、貝塚さんの御答弁というか、感想を聞かしていただけば結構です、手紙に関する感想で結構ですから。きょうは提起だけしておきます。   私の主人は、ことしの一月二十六日の早朝、  あるがんセンターの病室で胃がんのため四十八歳の生涯を終えました。死亡診断書によると、死因は激しいせき込みのため、たんがのどに絡まっての窒息死であり、臨終の際の苦しみようはまるで地獄絵を見るありさまでございました。けれどそれは、あくまでもだれもが一度は通る命あるものの宿命として私の心の中であきらめなければならないことでございます。  同時に、私にはいつまでも亡くなった主人への思い出に浸っている余裕もなかったのでございます。主人が残した二人の子供、高校二年の長男と中学一年の次男を私はりっぱに成人させなければならないのでございます。  幸いと申すのも適当な言葉ではございませんが、主人は亡くなる一年ほど前に生命保険に入っておりました。それも、別に自分から進んで入ったのではなく、主人の会社に出入りしていた生命保険会社のセールスマンに強く勧められて加入することを決心したのでございます。それが一昨年の五月の終わりごろでございました。  主人は、健康だけが取り柄の平凡なサラリーマンでございます。強いて言えば、深酒をした明くる日はときどき胃が重いと言っていました。そこでその旨を保険のセールスマンに申し上げたところ、そのセールスマンの方が、現代医学ではそのくらいのことは心配することはない。ただ自分では健康と思っていても万が一のことがある、そのためにも保険が必要だと申したのでございます。それで六月十四日に、病死の場合一千万円がおりる保険に加入したのでございます。そのとき保険会社から専属の医師がセールスマンとともに見え、実に簡単な健診をいたしました。そして口頭で既往症について聞かれました。主人はかつて病んだことのあるぜんそくのことは申し上げました。胃のことはセールスマンに、申請するほどのことはないからと言われておりましたので、黙っておりました。  入院は七月十四日で、手術は七月二十七日でございました。手術の結果、胃潰瘍ではなくがんであることを知らされました。もちろん主人にはないしょでございました。年齢的に若ければ若いほどがんの進行度は早いものだそうで、主人の場合はわずか三カ月ほどの間に進行していたのだそうでございます。結果は、前に申し上げましたとおり、手術後わずか半年ほどで帰らぬ人となったのでございます。主人の死後、残された私たち親子三人のこれからの長い長い人生を支えるものは、悲しくそして恥ずかしいことながら、主人の加入していた保険金だけでございました。それとローンでやっと購入したばかりの小さな家。けれどそれは私の甘い甘い願いだったのでございます。  夫の死後二カ月ほどして保険会社から届いた返事は、告知義務違反のため一銭の保険金も支払えないというものだったのでございます。告知義務違反、初めて耳にするこの言葉の意味がどうしてもわかりませんでした。説明を請うと、主人が胃の変調を保険会社の医師に報告しなかったことが要するに告知の義務を怠ったことになるそうでございます。私の記憶する限り、セールスマンの方から主人の生前一言たりとも告知義務などということの説明を受けたことはございませんでした。私は、主人の友人や私の知り合いで生命保険に加入している方々に告知義務のことを聞いて回りました。けれど、どなたともそんなことは知らないと申すのでございます。知り合いの方が紹介してくださった弁護士さんに相談したところ、やはり法的には勝つことは無理だろうというお答えでございました。結局私はあきらめたのでございます。  ただ思うに、このようなケースは私どもだけが特例ではなく、十分に起こり得ることだと思うのです。なぜなら、加入までは生命保険会社のセールスマンがすべての窓口であり、その後のことはセールスマンの手を離れ、すべて会社という機構の仕事となってしまうからでございます。私たちはセールスマンの執拗な勧めによって加入するわけでございます。そのセールス  マンは歩合制なので、自分の成績のみを考え、ただただ熱心に執拗なまでに保険への加入を甘言をもって勧めるのでございます。ここに生命保険会社のでたらめさがあるような気がしてならないのです。   重ねて申し上げます。胃の変調は心配するには及ばない、したがって、申請する必要はないと言ったのはセールスマンでございます。  主人は、最後まで自分が死に至る病であったことを知りませんでした。それでも死ぬ間際にきっと心のどこかで、死後保険金を頼りに私たち親子三人が多少の間でも生活の不安を感じないで済むだろうということを考えたかもわかりません。そのため、私たちは墓参の折にも保険金のことは何も報告はしないのでございます。——すっかりあきらめたいま、私はこれから人生を強く生きていくことを考えなければなりません。そして皮肉なことに、私は生きる支えとしていまある保険会社のセールスマンを始めたのでございます。けれど、心の中で一つだけ決めたことがございます。それは、自分の成績のみを考えて告知義務の一項を被保険者に意図的に隠すことだけは絶対しないセールスマンになることでございます。たとえそのために成績が落ち、毎月のお給料が少なくなったとしても覚悟はできております。   長々と愚痴めいたことを申し上げました。何とぞ何かの機会にこの問題を国会内でお取り上げ願えたらこれにまさる幸せはございません。人づてに聞きますと、いまだかつてこの告知義務の問題を正面から取り上げてくださった国会議員はおらないということでございます。何とぞ、何とぞよろしくお願いを申し上げます。本人の名前は出しません。保険会社の名前も出しません。  こういう一つの手紙が来ております。きょうは提案で、この問題についてのことを審議はしませんけど、どうかこの手紙を読んだ限りの感想を大蔵大臣と、それから担当である貝塚保険部長の御答弁、感想をいただきたいと思います。
  93. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いま読まれました書簡につきましては、胸を打たれるものがございます。
  94. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) お答えいたします。  実は、きょう糸山先生から告知義務違反のことで御質問があるということで、実は昭和五十年に保険審議会の答申が出ておりまして、それをもう一度読み直してみました。そうしましたら、各論のところで募集制度というのがございまして、そこで審議会で指摘しておりますことは、従来とかく生命保険会社の経営姿勢は業容拡大主義に偏り、外務員の大量導入に依存するものであったため、改善策の実施が不徹底だったということを指摘しています。  五十年の六月にこの答申を受けまして、大蔵省は早速募集制度の三カ年計画というのをつくりまして、大量に入ってくる外務員をとにかく阻止する方向で、三カ年計画で、たとえば五十年と五十三年と比べますと、一切増員まかりならない、まかりならないどころか四万人くらい減らすという指導をやっております。その計画は毎年毎年ローリングしてきまして、五十一年も同様に五十一年と五十四年と比べますと四万人くらい減らしていく。要するに入り口でまず大量動員ということを減らすということです。入った者をどうするかといいますと、従来は試験を受ける前にすでに登録した。それじゃいけないと、協会の統一的な試験を受けさせて、試験に合格した者だけが募集できるように、そういう制度に改める。  その他いろいろと改善策講じておりますが、いま感想をということで、先生のお読みになった手紙に対する感想を述べますと、まず執拗に勧められたと、強く勧められたと、これは大変してはいけないといいますか、執拗という言葉はしつこくという意味だと思いますが、本当に必要な人に対してだけやるんであって、しつこくやっちゃいかぬということをよく言っておるんでございますが、いまだにそれが徹底していないこと、要するに、われわれは制度を一生懸命つくっておりますけど、運用についてはまだまだそういうことあるんだということを深く反省する次第でございます。  それから第二番目に、そのくらいのこと心配ないということでございますが、別に手紙疑うのではございません。事実認定はちょっと勘弁いただきたいのでございますが、一般論だけでお答えさせていただきますと、そういう場合には従来大蔵省といたしましては契約者寄りの処置をするように指導しております。抽象的でございますが、そういうお答えで勘弁いただきたいと思います。  それから、説明の不足の問題がずいぶん出ました。説明するようにということで答申を受けました行政の大きな柱は、一つはいま言った募集制度の改善、一つは情報提供ということを非常に強く言っておりまして、各セールスマンはパンフレットを持ちましたり契約のしおりを持ちましたり、そういうものを持って十分説明するように制度はできております。それから契約いたしますとき、しおりを実際に受け取った受け取らないとか、確認をするようにわれわれ強く指導しております。ですから、一応たてまえといたしましては皆様方がそういうしおりを読んだというたてまえにはなっておりますが、その説明のしぶり、説明が十分であったかどうか、こういうものになると事実問題でございますので、われわれはやっぱりこういう点に、仕組みだけつくって安心してはいけないということを強く反省させられた次第でございます。  以上でございます。
  95. 糸山英太郎

    ○糸山英太郎君 最後。いま何か部長から懇切丁寧に御答弁ありましたけど、この告知義務違反、一体年間どのくらいあるのか。  それから最後ですから言います。「生命保険ウソの部分」、こういう本がベストセラーで出ているんです、非常に売れているんです、こういうのは。これはもしかしたら大蔵省の方々のPR不足、あるいはコンセンサス、国民に対して説得をさせる努力が足りなかったんじゃないかということを私は非常に感じております。この問題はこれからもっともっと審議していきますけど、一応留保はしますけど、どうか年間どのくらいあるのかということだけひとつお尋ねして、私の質問を終えさしていただきます。
  96. 貝塚敬次郎

    説明員貝塚敬次郎君) 保険の解除は、契約開始後二年以内は行使できますので、最近二年以内に死亡、保険にかかる死亡件数押さえますと、五十一年は一万九千六百二十五件ございます。そのうち告知義務違反ということで解除いたしましたのは千六十件、五・四%でございます。  以上でございます。
  97. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時五十分まで休憩いたします。    午後零時四十六分休憩      —————・—————    午後一時五十四分開会
  98. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、租税及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を続けます。
  99. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、きょうは最初の大蔵委員会でございますので、いろいろ一般的な問題について二、三お尋ねしたいと思います。答弁は簡潔に、要点だけで結構でございますので。  まず最初に、経済企画庁にお尋ねいたしますが、いわゆる二兆円の事業費と言われる補正予算が成立をいたしまして、九月初めの政府の総合経済対策の一環として成立したわけでありますが、急激な円高によりましてこの補正予算の効果が非常に薄れたんじゃないかと、こういうような声もあるわけでありますが、政府としては今後の経済見通しについてどのような考えを持っておるのか、お尋ねしたいと思います。
  100. 阿多忠明

    説明員(阿多忠明君) 政府は、先般九月三日に総合経済対策を決定いたしまして、今回また、その主要な柱でございまする補正予算の御審議を賄いまして成立を見たわけでございます。ただ、その後の経済の動きを見てまいりますと、先生御指摘のとおり、九月末以来急激な円レートの上昇が見られたわけでございますが、この円レートの上昇という問題につきましては、これが、もし先行きこのような状態が引き続き継続するということでありますると、その影響はいろいろな面に当然出てくるわけでございます。  基本的には、円レートの上昇というものは、まず貿易面にあらわれるわけでございまして、輸出の数量を減らし、また、輸入の数量をふやすというような効果がございますし、また、経済の実体面につきましてもデフレ的な効果をもたらすということは御承知のとおりでございます。ただ、この円レートがどのような先行き推移を示すかということにつきましては、しばらく情勢を見守る必要があると思いまするし、また、この円レートの上昇というものが、経済の実体に影響を及ぼしてくるまでにはいろいろとタイムラグという問題もございます。また、どのような効果を及ぼしていくかにつきましても、いろいろとそのときの経済条件によって異なってくるわけでございます。こういった面につきましては、われわれとしましても、いろいろ検討いたしているわけでございますが、いずれにしましても、当面私どもといたしましては、先般決定いたしました総合経済対策を逐次実施してまいりますことによりまして、予想されております需要創出効果、本年度内におきましては一兆五、六千億を予想しておりますが、その効果が出るのを見てまいりたいと存じておるわけでございまして、当面この私どもの改定見通しによりますところの政府見通し、六・七%の実質成長率は十分達成し得るのじゃなかろうかというふうに考えている次第でございます。
  101. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 非常に、いつも言われることは、政府の発表と実態はかなり離れているんじゃないか。たしか四、五、六の第一・四半期の経済成長の瞬間風速は非常に高い。しかし、完全失業者は百万人をなかなかもう六カ月、七カ月下らない。中小企業の倒産は一千件を突破してもう二十数カ月、あるいは三月から七月ごろまでは千五百件ということでありますね。政府の言っていることと実態はかなり乖離をしておるんではないか。こういう感じがするわけでありますが、大事なことは、ただ数字がどうなるかということよりも、私たちとしてはやっぱり企業倒産あるいは失業者あるいはそのもとになる稼働率指数、こういうものがどうなるかということが非常に関心があるわけでありますが、大体いま言ったような項目がどういう方向にいく見通しであるのか、このあたり見通しを持っていらっしゃるようであれば御説明いただきたいと思います。
  102. 阿多忠明

    説明員(阿多忠明君) 御指摘のように、この一−三月期あるいは四−六月期の国民所得ベースの成長率で見てまいりますと、一−三月期は前期比二・五%の成長、四−六月期は一・九%の成長でございまして、マクロ的にはそれ相応の経済の拡大が見られるわけでございます。しかしながら、一面御指摘のありましたような雇用の面、あるいは生産動向あるいは倒産状況という面で見てまいりますると、これらはなおかなり問題があるわけでございます。  雇用の面につきましては、御指摘のように、当面の状況を見てまいりますと、常用雇用者の統計で見てまいりますと、この水準はなお引き続き前年の水準を若干下回るという動きを示しております。失業者数につきましても、百万を超える水準が続いているという状況でございます。ただ、この雇用面につきましては、総理府統計局の全産業の雇用者数で見てまいりますと、これは全体としましては前年の水準を上回っている、一%強の水準で推移している状況でございますし、就業者数という面で見てまいりましても、また、前年の水準をやっぱり一%以上上回っているという状況でございまして、雇用面の中身につきましても、製造業とかいわゆる大企業におきましては引き続き現状規制と申しますか、雇用面での抑制ということを進めているわけでございますが、それ以外の分野におきましては、就業者数の増加が見られるわけでございまして、中小企業あるいは第三次産業関係におきましては、なお就業者数の増加が見られるという状況でございます。  また、先行きにつきましては、私どもとしましては、全般的な動きといたしましては、昨年度に引き続き就業者数あるいは雇用者数は、年度としましては一%台の増加を維持するというふうに見ております。ただ御承知のように、産業の内部におきまして、各業種別あるいは大企業、中小企業等の格差が大きいわけでございます。それによって、むしろ具体的な経済の実体におきましては問題があるというふうに見ておるわけでございます。  次に、生産の動きでございますが、御指摘のように、生産の動きはここのところ芳しくないわけでございまして、昨年末以来の在庫調整が一時進展したわけでございますが、その後また、ことしの四−六月期、七月−九月期とまた再び在庫調整の動きが見られるわけでございます。したがいまして、生産の動きもこのところ伸びが非常に弱い、あるいは横ばい状態で推移しているということでございます。しかしながら、在庫の問題につきましては、この秋口に入りましてから若干在庫減らしが落ちついているということでございます。  先行きの見通しにつきましては、昨年度は生産の増加は前年度に対しまして一二・七%の増加を見たわけでございますが、今年度は、これまでの推移から見てまいりますと、大体五%程度の増加にとどまるのではなかろうかというふうに見ておるわけでございます。  このような状況でございますので、企業の稼動率関係を見てまいりましても、引き続き芳しくないわけでございます。稼動率は昨年の春ごろにはかなりの、稼動率指数で申し上げますが、九〇に近いところまでいったわけでございますが、その後むしろ低下いたしておりまして、最近の係数では八月で八五・八、前月、七月以来若干改善されておりますが、なおかなり低いところにあるわけでございます。  先行きにつきましては、今後在庫調整の進展も見られると思いますし、また今回の総合経済対策の効果も浸透してまいりますので、逐次需要も回復し、生産も伸びていくし、稼動率も若干ではあるが上昇していくというふうに見ている次第であります。
  103. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 要点だけで結構です、余り時間もありませんし。  それで、私が申し上げたいのは、やはり経営者の方々が一番望んでいるのは、将来に期待を持たせるような、そういう言葉だけではないと思うんですね。やはりある程度の将来に対する国の見通しと申しますか、そういうものが欲しいんじゃないかと、このように私たちもいろんな人に会って思うわけですが、そういう点、福田内閣は景気の回復についてもいろいろ景気のいいことは言うけれども、だんだん時がたつとそのとおりにいかない、こういうことを繰り返しているんじゃないかと思うんですね。  昨日の新聞を見ますと、私は余り内容はよく知りませんが、経済企画庁の発表では、いわゆる八月の景気動向指数、DIというのがあるんですね、ディフュージョン・インデックスと書いてありましたけれども、これが四カ月連続して五〇%を切っておる。したがって、この指数で見る限りは景気は後退期であると。ところが実際はそうではない。一生懸命、これだけのデータを集めるにはたくさんの人たちが苦労をして、いろいろ調査をして、そうして集めた結果は、私は、われわれ国民の現実の気持ちには合うんじゃないかと思うんですが、政府見通しとは全然反対の方向にきておるわけです。こういう点どう考えておるのか。やはり、かつての高度成長時代といまの低成長時代というのは、いろいろな面で質的な変化があるわけですから、そういう点、国民の指標となるようなものを検討すべきではないか、こういうような気がするんですけれども、その点はどうでしょうか。
  104. 阿多忠明

    説明員(阿多忠明君) 景気動向指数につきましては、先生御指摘のとおり、五月以降この八月までの四カ月につきまして、指数として五〇%を下回っている状態が続いているわけでございます。景気動向指数の見方といたしましては、景気動向指数が五〇%を下回るということは、経済活動全般としまして下降局面に入っているというふうに見るのが本来の見方でございます。そういう意味では、ことしの経済動向が五、六月ごろからかなり停滞現象を示しているということを反映している側面が確かにあるかと思います。  ただ、景気動向指数の個々の指標——全部で二十五本の指標でもってつくられているわけでございますが、この個々の指標につきましては、当面の経済動向を見る場合に一つ問題とされます点は、政府の公共支出の動きであるとか、あるいは消費の動きであるとか、若干のものが正確に反映されない仕組みになっているということでございます。景気動向指数が作成されましたのはかなり前でございまして、ちょうどわが国の高度成長時代につくられたものでございますので、経済活動の中でも何と申しますか、余り変化がないようなものというものにつきましては指標の中に入っていない側面がありますので、最近のような安定成長と申しますか、高度成長でない時代に入ってまいりますと、必ずしもその指標が経済活動全般の動きを正確に示しているかどうかについては、若干問題があるのではなかろうかというふうに私どもは考えます。
  105. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 だから、そういう問題があるのであれば、そういう公共支出とか、それから個人消費等はGNPの半分以上を占めているわけですから、そういう動向の入らない指数では意味がないわけで、そういうものを加えて、より正確に経済の予測のできる指数を再検討すべきじゃないかと思うんですが、その点どうですか。
  106. 阿多忠明

    説明員(阿多忠明君) 景気動向指数そのものを作成いたしておりますのは、実は企画庁の中で調査局というところでございます。私は調整局でございまして直接の所管ではございませんが、調査局におきましても、前々から、高度成長の時代から安定成長の時代に入るということで、景気動向指数の内容につきましては再検討を加えるということで、いろいろ作業をしているというふうに聞いております。
  107. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから物価の問題でございますが、狂乱物価からはかなり鎮静はしておるわけでありますが、しかし、実際定期預金の一年の金利よりはかなり高い水準でおるわけですね。いま非常に円高になって、輸入する原材料あるいはいろんな商品、そういうものの影響がきちっとあらわれてきているのかどうか。たしか私の記憶では、公正取引委員会等の調査では、この円高による為替差益というものが消費者物価に影響をしている面は非常に少ない、これはずっと前でございますが、そういう調査があったわけですけれども、現在はどうなのか。また、この円高物価安定につながるように経済企画庁としてはどういう方向で行くのか。これはちょっと前もって言ってなかったから、あなた担当の局じゃないかもしれませんけれども、こういうことは経済企画庁全体の問題ですから、経済企画庁の代表としてひとつ答弁してもらいたいと思うんですがね。
  108. 阿多忠明

    説明員(阿多忠明君) 円高差益を消費者物価へ反映させるという問題につきましては、これは御承知のとおり物価局の所管でございますが、私の聞いておりますところでは、先般、八月末でございますか、主要な輸入消費財につきましてどのくらい円レートの低下が反映しているかという調査を行ったものがございます。  それによりますと、物によりましていろいろでございますが、必ずしも為替レートの変化が多くの消費者物価に反映されてない面が見られるわけでございまして、物価局の方におきましては、これが消費者物価に反映されるように、流通機構につきましていろいろ問題があるわけでございますが、そういう面でいろいろと行政指導をするというふうに聞いているわけでございます。また、今回円高が一段と大きくなったわけでございますが、それにつきましても、さらにこれを国内物価へ反映させるように、いろいろと検討を進めているというふうに聞いております。
  109. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 その点はひとつよろしくお願いいたします。  そこで、大蔵大臣にお尋ねしたいわけでありますが、今回の政府の総合対策の効果について、これは先般の日本経済新聞の「経営者一〇〇人の意識調査」の結果、これが新聞に載っておったわけで、この経営者は中小企業というよりもむしろ日本の非常に輸出産業の花形というか、こういう経営者の方々のアンケート調査の結果でありますが、まあ総合経済対策の景気刺激効果に対する見方は非常に厳しいわけであります。すでに効果が出ていると見る経営者は四人、年内に効果が出るというのが十一人、年明け後に効果が出ると見るのが二十七人。一方、効果が円高で帳消しになったという経営者が二十二人、年明け後も効果は期待できないと見るのが三十四人。そのほか無回答が二人と、それで合計百人ですね。私は、これは鉄鋼業界とか自動車業界とかそういうような代表の結果でございまして、もっと同じ輸出産業でも価格競争力の弱い各産地の人たち、まあ午前中もお話がありましたが、衆議院の方でも参考人としてその大変な姿を言っておるわけでありますが、ここに出ているのはそういう点で言えばまだ比較的いい方だと思うんですけれども、そういうような見方をしておるわけでありますが、大蔵大臣としてはどうお考えになりますか。
  110. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いまのお話によりますれば、大分これ点数が辛いようでございまして、私どももこれを真剣に受けとめねばなるまいと、かように考えます。しかし、政府がやってまいりました景気対策としましては、当初予算におきまして前半期において七三%の前倒しをやると、こういうことでこの方策を着々と実行してまいりました。九月期におきましては七五%余りの契約が完了しておるというようなことでございます。  まあしかし、そういったような契約がありましても、実際に末端の実際経済にまで移っていくということには相当なタイムラグもありますし、なかなかまだわれわれの考えておるところまでは参っておりませんけれども、しかし、大分在庫等について動意が出てきているというようなこともございますが、それに加えまして、今度総合経済対策の一環といたしまして成立いたしました補正予算における公共事業等を、これを加えまして、そうしてこの両方の公共事業の残というものを、これは完全に年度内に全部消化をするという覚悟でおりますが、そういったようなことで、前途はそう急には、目に見るごとく回復ということはないかもしれませんけれども、着実なる歩調をたどるということを考えております。いまやりましたことは精いっぱいのことでございまして、ひとつ静かに見守っていただきたいと思います。
  111. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで、このアンケートの中で、やはり三十二人の人が五十二年度内の第二次大型補正予算の編成を望んでおる。これはそういう経営者人たちの気持ちもわかるわけですけれども、いまの国の財政の問題から考えれば、なかなかこれは大変な問題だと思うんですが、こういう第二次補正予算編成を望む声に対してはどう考えておられますか。
  112. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) とにかく補正予算が、これが通ったまだその直後でございます。だから、先ほど来申し上げておりまする当初予算及び今度の補正予算というものの残事業、これをできるだけ早く消化してまいりたいと、かように考えておる折からでございまして、今日ただいま第二次ですか第三次ですか、そういったような追加をやろうとはいまのところは考えておりません。
  113. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 予算通ったばかりでありますから、恐らくそういうことじゃないかと思います。  そこで円高の問題でございますが、これは私たちなかなかぴんとこないことが非常に多いわけであります。ことしの初め二百九十二円であったレートがいまはもう二百五十二円になって、これは日本の製品をどんどん外国へ輸出をして、そうして経常収支が余りにも大幅の黒字になったためにこうなったんだ、このように聞いておるわけであります。しかし、日本人が一生懸命働いて、そうして世界に負けない優秀な製品をつくって、それをどんどん買っていただくために輸出をする、こういう点から見れば、そのこと自体は非常に、そう悪いことじゃないんじゃないかと、こういう気がするわけであります。しかし、やはりこれは国内的にも国際的にもいろいろな問題があるわけでありますが、特に直接円高になって被害を受けるのは、午前中にも話が出ましたように、いわゆる輸出産業が影響を受けると思うんですね。それで、国内産業輸出産業と申しましても、自動車や鉄鋼のような企業から中小企業まで、いろいろあるわけでありますが、こういう国内産業に対する影響というのは大体どのように通産省は見ておるのか、また、それに対する対策はどうなのか、これは余り細かい数字じゃなくても、マクロ的な大ざっぱな方向でもいいと思うんですが、御説明をしていただきたいと思います。
  114. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘のように、日本の輸出産業の中にも自動車、家電、精密機械といった国際競争力の非常に強い業種から、産地の中小企業までいろいろございます。特に、輸出関連の中小企業に対する影響は非常に心配されますので、私ども、この十二月一日から中小企業為替変動特別融資制度を発足させております。それと同時に、この二十四日、省内に関係局長中心といたします円高対策推進連絡会議というものを発足させまして、ここで中小企業につきましては輸出比率二〇%以上の産地七十六を選びまして現地調査を実施中でございます。それから主要な業種、これも二十数業種ございますが、業種ごとにその影響を調査するということで、いずれも来月の中旬までに早急にその調査結果をまとめたい、そういうふうに考えておりまして、その調査結果によりまして、また必要な対策を講じてまいりたい、かように考えております。
  115. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 大体の影響というのはどうなんですか。私が聞いている範囲では、いわゆる自動車とかこういうものはかなり、影響が甚大ではありますけれども、その中でも比較的価格以外の競争力が非常に強い。だから今後の輸出等については余り影響は出ないんじゃないかと。むしろ、いわゆるいまさっき言った産地ですね、こういうのは非常に影響が多いんじゃないかというようなことを聞いておるわけなんで、その点の感触はどうなんですか。
  116. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) 先生ただいま御指摘のとおりでございますが、先ほど申し上げましたように、非常に輸出競争力の強い自動車、家電、精密機械といったものにつきましては、ドル建ての価格の引き上げ等もできますので、当面さしたる影響はなかろうかというふうに考えております。  影響を受ける業種の方でございますが、いままで私どもが得ております情報を総合いたしますと、たとえば船舶とかプラントとかいうものにつきましては、契約がほぼ船舶の場合には一〇〇%近くが円建てでございまして、プラントの場合もほぼ七割までが円建てでございます。したがいまして、そういう面での為替差損というものにつきましては、かつてほど大きなものはございません。ただ、船舶にいたしましても非常に新規の受注環境が厳しくなっておりますので、円建て契約をいたしますということになりますと、これからの新規受注の獲得には相当問題が出てぐるのではなかろうかと考えます。  それから、構造不況業種というふうに一括して呼ばれておりますが、私ども所管業種の中で申しますと、繊維でございますとか平電炉でございますとか、そういったものにつきましては、現在でも相当苦しい状況輸出をしておりますので、この円高の影響というものはかなり強く出てくる可能性があるというふうに考えます。  それから、たとえば鉄鋼業のようなものを例にとって申し上げますと、原料を相当多量に、これはドル建てで輸入をいたしておりますので、原料輸入面でいわゆる円高のメリットというものが出てまいりますので、輸出面に対する影響をある程度相殺することは可能であろうかと思います。いずれにしましても、国内の需要不振ということで、現在かなり深刻な影響を受けておるところでございますから、輸入面での円高効果がありまして若干カバーされると言いましても、やはりカバーし切れずに残る面が出るのではないかと思います。  以上、ざっとしたことでございますが、先ほど申し上げました二十三業種につきまして現在調査中でございますので、調査結果がまとまりました段階でまた御報告を申し上げたい、かように考えております。
  117. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ぜひひとつ、通産省の万全の対策をお願いしたいと思います。これは細かいことは次の機会に譲りたいと思います。  そこで、経済企画庁にお尋ねをいたしますが、十月初めに今年度の経済見通しを改定をいたしまして、国際収支、これは経常収支がマイナス七億ドルであったのが六十五億ドルに変更したわけですね。これは今年度の六十五億ドル見通しはどうなのか。普通考えれば、このように円高になったわけですから、この改定見通しが出てからはまた急速に変化しているわけです。その点考えると、輸入がふえて輸出が減ると、こういうようなことに理論的にはなるわけでありますが、実際の影響はどのように考えていますか。
  118. 阿多忠明

    説明員(阿多忠明君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、円高レートが先行きどのように推移していくかにつきましては、確たる見通しが立てがたい状況にあるわけでございます。また、この二百五十円台の円レートがもし推移するといたしましても、それが貿易面に具体的に数字としてあらわれてくるまでには、いろいろとその間にプロセスがございまして、直ちに輸出が減少し輸入がふえるというわけではないわけでございます。したがいまして、当面円高によりましてどのくらい国際収支の面に具体的に数字が出てくるか、影響がすぐくるかという点につきましては、はっきりとは申し上げにくいというふうに考えております。  ただ、当初見通しの七億ドルの赤字から、今回六十五億ドルの経常収支の黒字へと見通しを変えていったわけでございますが、この見通し数字につきましては、まだ先行きいろいろ情勢が変わるわけでございますが、この達成が可能であるように私どもとしては期待しておるわけであります。
  119. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 大蔵省にお尋ねしますが、これも新聞で申しわけないんですけれども、けさの新聞だったですか、外務省の吉野審議官あるいは大蔵省の松川財務官、この方がいろいろ講演をされまして、いまのような円高が推移していくならば、円高というか、輸出入のアンバランスが続いていくならば、外国の対日批判の空気はまことに険しいと。これはもうかつての繊維交渉のときのような状態である、下手をすると対日批判、さらには輸入制限にもつながるのではないか、こういうことを警告をされておるわけでありますが、私たちも確かに対日批判につながるとは思うんでありますが、これでは本当に大変だ、何とかしなきゃいけないんじゃないかなと、こういうような気がするわけでありますが、こういう外国の日本に対するいろんな報復的な制裁の危険性、そういうような点について、大蔵省もこれはやはり中心省庁でございますので、どう考えているのか、これをお尋ねしたいと思うんです。
  120. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) ただいま御引用になりましたような方々が、そういう深い危惧の念を持っておられるのは事実でございます。先進諸国の中におきまして、現在経常収支が黒字であります国は数えるほどしかございませんで、たとえばドイツ、日本、それからスイスの程度でございます。なかんずく、日本の黒字はかなり高いものになるであろうということが一般的に予測されておるわけでございまして、その中にありまして、先般のIMFの総会などでも、日本も対OPECの赤字を負担してもらえまいか、つまり逆に言いますと、経常収支の黒を減らして、でき得れば赤字にしてもらえないかという要望が強くあったのは事実でございます。  と申しますのは、その他の先進国におきましても失業の問題あるいは全体的なインフレのおそれ、そういうようなものがまだ根強く残っておるわけでございますので、先ほど先生のおっしゃいましたように、日本のように失業もわりあいに国際的に比較しますと少ない、それから経常収支も黒になりまして石油危機から脱却したということとは、国内的に見ますと経済の運営がうまくいったということになるわけでございますが、国際社会の中に占めます日本の経済の大きさというものがこの数年間非常に大きくなったわけでございまして、逆に言いますと、日本の経済の運営に対する期待もまたそれにつれまして高まったということであります。  したがいまして、先般九月三日に発表されました経済総合対策、それから同じ月の二十日に発表されました対外経済対策、それらの項目によりまして、施策を実行することによりまして、基本的には景気をまず回復させるように努力する。それから個々の問題といたしましては、日本の貿易構造からいたしまして、でき得るものから輸入をふやすように努力するということがわれわれの緊急になすべきことではないかと、かように考えております。
  121. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 大蔵大臣にお尋ねしたいんですが、いまのような国際的な空気の中で、日本もやはり国際社会で皆さんと仲よくやっていかなくちゃいかぬと思うんですね。しかし、ある面から言えば日本の製品が非常に優秀なわけで、まじめにやらないほかの国が悪いんだと、こういう論議ももちろんあるわけですけれどもね。しかし、現実の世界の中においてはそういう諸外国の日本に対する要望にもやはりこたえていかなくちゃならない。これが私が当然じゃないかと思うんですけれども、そのあたり大臣はどう考えておるのか。そして、この経常収支というものがどの程度であれば大体妥当であるのか。ことしの目標とは、予想とは違って、どの程度であれば望ましいのか、その点はどうなんでしょうか。
  122. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 基本的に申し上げますと、日本が黒字基調であるということは、これはそんな悪いことであるということではないと私は思います。しかしながら、いまの世界経済というものは相互に連帯と協調といいますか、そういうような態度でもってやっていって、お互いがひとつ世界経済のために健全なるノーマルな成長発展を期していくということでなければ、自分だけが豊かになり自分だけが富を集めていくというようなことでは、この資源有限の、しかも人口もどんどんふえていっておるという世の中において、それではいけないというので、これからの経済というものは、どうしても各国お互いが、自分が成長しようということであるならば相手方もまた成長すると、こういうふうな行き方でいかなければならないということがこれからの私は経済の本当の姿だと思います。  さような意味におきましては、日本に黒字がどんどんたまってくるということは、これはどうも世界全体にとってはよろしくない、また日本にとりましても、そういったようなことを続けておるということでは、私は、ことに日本が世界のいまや経済の舞台におきまして大変重要なる役割りを演じておるというような立場からいたしましても、これはやっぱり相互協調というような原則の上に立ってやっていかなければならないということでもって、いまの世界及び日本の経済に対処していかなければならない。したがって、いろんな方法でもっでドル減らしもしていかなければならないというようなことでこの経済を切り抜けていくのがいまの日本の与えられた重要なる課題であろうと思います。
  123. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) 第二点の御質問の、経常収支の将来の姿はどうかという点でございますけれども、この点につきましては、日本の貿易構造といいますか、国際収支構造からいたしまして、貿易外の支払いは常に毎年六十億ドルないし七十億ドル、あるいはときにはそれを超えるような赤字が続いておるわけでございます。したがいまして、そのほかに移転収支もございます。これは、たとえば無償の贈与と援助のようなものがこの項目に入るわけでございますが、この項目につきましても、日本の無償援助が将来ふえていくという傾向からいたしますと、この面でも赤字がふえていかざるを得ないんではないか。先ほど申し上げました貿易外収支につきましても、これは貿易の拡大につれてこの数字もふえていくわけでございますから、傾向といたしましては、この貿易外の収支も赤字がふえていく構造になっておるわけでございます。他面、長期資本収支という項目がございますけれども、この項目では、たとえば経済協力で長期の円借款を与える、あるいは円建て債を発行するというようなことが今後とも続いていくと思いますけれども、その面でも赤字がふえていくのが今後の大ざっぱな見通しではないか、かように考えております。  したがいまして、貿易収支と貿易外の収支と移転収支を合わせました経常収支では若干の黒字、それから長期資本収支では赤字ということで、それらを合わせました基礎収支ではとんとんというのが五十年代前期経済計画でも想定されているところでございまして、そういう方向が大まかな方向ではなかろうか、かように考えております。
  124. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ことしの経済見通しは、最初、先ほど申しましたように七億ドルの赤字だったわけです。たしか、政府がああいう見通しを立てたときにも、いろんなエコノミストや調査機関は、こんなことはおかしい、どうも政府は、外国の手前こういう数字に合わしたんじゃないかと、こういうような論議があったように覚えておるわけでありますが、確かにそのとおり的中をして六十五億ドルに改定をしたと。しかも、この数字も、私いただいた資料では、四月から九月でもうすでに五十六億ドルの黒字で、六十五億ドルに抑えるにはあとわずか九億ドルしかない。しかし、現在の輸出入のいろいろ認証というんですか、ああいういろいろなデータを見ても、これはもう明らかにはるかにオーバーしてしまうんじゃないか。一体そういう原因がどこにあるのかが一つ。それと、やはり私は国際的に批判されるのを避けるためにいいかげんな——いいかげんなと言っては失礼になるかもしれませんが、結果的にはいいかげんになっちゃったわけで、そういうような数字を示してすぐ半年後にあらわれてくるような、こういう姿勢は非常によくないんじゃないか。もうちょっと責任のある正確な見通しが立たないものかどうか。これは私は素人でありますから、本来非常にむずかしいもので、このように狂いがあるのは当然なのかもしれませんけれども、そのあたりはどうなんでしょうか。
  125. 阿多忠明

    説明員(阿多忠明君) 本年度の経常収支の見通しにつきまして、大幅に当初の見通しと現在時点での見通しとでは変わってきている点は御承知のとおりでございます。  なぜこのように見通しが違ってきたかということでございますが、私どもといたしまして一番大きな原因と考えておりますのは、一つは、国内面におきまして内需の伸びが予想していたほどに強くなかったと、そのために輸入の見通しが結果としましては高めであったということが大きい点、今年度の経常収支の見通しが変わってきた点が大きな原因であったというふうに見ております。輸出につきましても、当初見通しよりは高いのでございますけれども、ただそれは、もう少し内容を見てまいりますと、前年度五十一年度の特に十二月、昨年の十二月からことしの三月にかけましての五十一年度の第四・四半期におきます輸出の伸びが予想をかなり上回わった伸びを示したということがございまして、その結果、五十二年度のスタートの時点におきまして輸出の水準が非常に高いものになってしまった。そのために、今年度に入りましてからの輸出の動きを見てまいりますとほぼ横ばいの推移を示しているわけでございますが、他方では輸入が伸びてないということから経常収支の黒字が出た、相当の黒字が出たまま今年度に入って状況が推移しているということが大きいわけでございます。それが私どもとして考えているところでございます。  ただもう一つ、弁解がましい点で申しわけないことでございますけれども、経常収支の見通しというものはなかなか正確な見通しを立てることがやはり技術的にも非常にむずかしいという問題がございます。輸出と輸入と合わせますと約千三、四百億ドルになるわけでございます。さらに、経常収支でございますから貿易外の受け取りと支払いを含めますと二千億ドル近い全体の規模になるわけでございますが、そのそれぞれが受け取りと支払いに分かれておりまして、一方の伸びが一%ふえる、他方の伸びが一%それよりも下回るというようなことでありますと、それだけで二、三十億ドルの食い違いがすぐ出てくるということでございますので、技術的にもなかなかむずかしいという点があるということを御了承願いたいと思います。
  126. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 見通しがむずかしいのはわかるのですが、こういうことになっていろいろ外国から批判されるというのは困るわけでね。内需の伸びが非常に鈍ったから輸入が減ったんだと、しかし、一方では日本の国のGNPの伸びは大体六・七尾ですか、これは達成できると。そのとおり大体順調にいっておるようにわれわれも、政府はそのようにいっていると思っているわけですけれども、一方ではこういう点に非常に狂いがあるということは、何かそういう計画、見通しの作業自体にもう少し検討すべき点があるんではないかと、これは私たち部外者が思うだけで、あるいは間違っているかもしれませんけれども、そういう感じがするわけであります。このことはそういう意見だけを述べさせていただきます。  そこで、九月二十日にこの対策として石油備蓄量をふやすとか、ウランの鉱石を輸入するとか、非鉄金属の輸入、ナフサ輸入、あるいは農産物の繰り上げ輸入、約七億ドルの輸入拡大を決めたと。これは大体予定どおり輸入が進む予定であるのかどうか。また、この程度では余り何にもならないんじゃないか、もっと上乗せすべきじゃないか、こういうような意見もあるやに聞いておるわけでありますが、そのあたりの政府現状について簡単に説明をしてください。
  127. 大竹宏繁

    説明員(大竹宏繁君) 九月二十日の対策は、輸入の促進といたしましては、原油、非鉄金属あるいはウラン鉱石、飼料といったような個別の品目について、あるいは備蓄を拡充する輸入を促進するといったようなことが決定されておるわけでございますけれども、これをそれでは幾ら具体的に輸入するかということは、現在政府で部内の検討を進めておるところでございまして、かなり詰まったもの、あるいはまだ検討段階にあるもの、いろいろございまして、総体的な額としてまだまとまってお示しするまでに至っておらないわけでございますけれども、鋭意検討を進めておるところでございます。
  128. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 たしか予算委員会で、福田総理は、関税引き下げの問題についても、東京ラウンドの前にわが国が単独で実施もしたいと、そういうことも検討しておる、こういうような答弁がありました。これは国内業界の反対もあるとは思うんでありますが、こういう点政府の作業はどの程度進んでおるのか。EC等アルコール類など三十品目の関税引き下げを要求しているやに聞いておるわけでありますが、その点はどうなんでしょうか。
  129. 大竹宏繁

    説明員(大竹宏繁君) いわゆる東京ラウンドの関税引き下げの前倒しとして、関税率を一方的に引き下げてはどうかというような考え方があるわけでございますけれども、その一方的な引き下げを行った場合、東京ラウンドでどのようにカウントするかといったような技術的な問題、これは相手国のある話でございますので、その辺も現在まだ検討中でございます。
  130. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 なかなか検討中が多いようでありますが、そこで大蔵大臣にお尋ねしたいんでありますが、経団連の土光会長は、余り土光会長の考え方にはわれわれはすべては賛成はしていないわけでありますが、なかなかいいことを言った場合は、これはやはり採用しなきゃいけないと思うんですが、あわてて小手先の黒字減らし等をとるべきでないと、長期対策を立て、その実行の裏打ちがあれば国際的な納得は得られると、こう言っておるわけですね。確かに、原油の備蓄量にしてもウランにしても非鉄金属にしてもナフサにしても、あるいは食糧にしても、これはやはりいま輸入すれば、将来の輸入を前倒しして輸入するだけですから、本当に小手先の対策じゃないかと思うんですね。しかし、確かにそういうような小手先の対策ではこの問題は解決に至らない、またやがてくるわけでありまして、確かに土光会長の言うように、もっと長期的な対策を立てて、やはり国際社会の中で日本が生きていくためには、現在のたとえば週休二日制、一方では働き過ぎじゃないかというような、われわれ一生懸命働いて働き過ぎなんて言われると本当にまことに残念ですけれども、そういうような点をどうするかとか、かなりやはり長期的な、また構造を変えていくような、そういうような対策を立てて、そしてそれを世界にも説明をし、また、やる以上は実施していかなくちゃいかぬ。先ほどのマイナス七億ドルのように、半年もたって六十五億ドルに変え、また何カ月たったらこれ百億ドル近くになったというようなことでは困るわけですね。やっぱりそういう長期的な計画を立てて、そして誠意をもって話をしていけば納得してもらえるんじゃないか。そういう長期対策を立てるべきではないか、こういう土光会長の意見は私は賛成だと思うんですが、大蔵大臣はどう考えますか。
  131. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私も新聞で土光会長の御意見は拝見をいたしました。その長期的な対策ということ、これはもちろん大事なことであろうと思います。それについては大いに耳を傾けなければならない。その長期的な対策について、土光会長どういうことを意味なすっていらっしゃるのか、これまだ私もわかりませんけれども政府といたしましてもこれは大いに考えていかなければならないと、かように考えますが、それならさしあたって、この急場にいろいろなことをやっておりますけれども、それがすべて小手先のことだから役に立たないということでなくして、そのいわゆる小手先生言われる緊急にいろんな対策をやっていくということも、これもやっぱり無視をしてはいけない、かように考えます。長期的な対策につきましては、これは今後も大いにひとつ勉強してできるだけ早く考えてまいりたいと、かように考えております。
  132. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 もちろんそういう当面の対策と長期的な対策、どちらも大事でありますので、いま政府のやっていることが間違いだということを私は主張しているわけじゃないし、土光さんもそれを言っているんじゃないと思うんですね。  そこで、長期的な対策として、午前中大木委員の質問に対して、大蔵大臣は、やはり内需の拡大であると、たしかそういう答弁をされたと思うんですね。これは内需の拡大ということも、これはまことに資源有限時代、まあ福田さんはしょっちゅう資源有限時代とよく言われるわけで、そうなってくるとやはり消費は美徳というような体制も改めていかなくちゃいかぬ。あるいはまた、国の財政も、もう三カ年連続三割近い国債を持っておる。昭和五十五年度は赤字国債も脱却できないんじゃないか、大幅な増税をしても。そういう中で内需の拡大も非常に、なかなか言うはやすくむずかしい問題じゃないかと思うわけでありますが、大蔵大臣としては、内需の拡大というのはどういう方向の内需の拡大を目指しておるのか、その点をお伺いしたいのが一つ。  もう一つは、そういう具体的な中期財政計画と申しますか、これは決して国際収支のバランス是正だけの問題ではなしに、それも含めて、そういう中期的な財政計画を立てるべきじゃないか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  133. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いまの日本のとるべきことは、おっしゃられましたとおり、基本的にはやっぱり国における内需の拡大をやっていって、そして内需が非常に強くなってまいりますと、輸出に対する内部からの圧力というものは減殺される、さらにはまた、内需の拡大によって輸入を刺激するということでございまするから、これはぜひともやっていかなければならない。  そこで、それをやるにはどうすればいいかということでございますけれども、これはやっぱりいま民間における設備投資、いきなりそこにいきましても、なかなかこれは設備投資の意欲が起こってこない。さらにはまた、民間の消費につきましても、これもなかなか沈滞いたしておりまして、これが起こってこないと。そこで、さしあたってこれはどうしたって政府財政資金によって事業を盛んにやっていくということによって、それでまず波及効果の多い公共事業というものに重点を置きまして、年初以来それをやってまいって、今度補正予算でもそれをやってきたと、こういうことでございます。とにかく財政資金でもってひとつ大いに刺激をしていこう、こういうことを考えておりますが、ただ、それのみではそれはいくわけのものではございませんから、金融等につきましても、でき得る限りの施策を考えて実行しておると、こういうわけでございます。
  134. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、そういう内需の拡大ということが、単なる消費は美徳なりのような拡大になることよりも、そういう意味大蔵大臣の考えには賛成はするわけですが、ただ、不況対策が即福祉にもつながっていくように、何か公共事業に予算が要るから福祉は後退である、こういうことはむしろよくないことであって、両方を追っていかなくちゃいけないんじゃないか。そういう意味で、公共事業にしても、この間新聞を読んでおりますと、たとえば小中学校の老朽校舎、これが六百八十三万一千平方メートルあって、毎年七、八十万平米ふえているわけでありますが、ことしの予算は四百十億円で百十七万五千平米、だからこのままでいくと二十年かかるということが書いてありました。したがって、現在小中学校の老朽校舎の建てかえは、二千三百八十七億円あればいわゆる全国の小中学校の老朽校舎の建てかえができると、これは新聞の記事でございますのであるいは間違いかもしれませんけれども、そういうのはいろいろ基準はあると思うんですけれども、私なんか、老朽校舎であれば土地代も要りませんし、二千三百八十七億のお金がすぐ景気刺激にも役立つし、また、これはもうりっぱな鉄筋の校舎にすれば何十年も使えるわけですし、そういうような点に、いまの基準の枠を外れても私はやるべきではないかと、この点はどうでしょうか。
  135. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 国の施策につきましては、このような財政経済が窮迫しておるときには、いろいろな事項事項について、これは政策効果といいますか、そういったようなものを各般の角度からながめてみまして、そうして厳選をしてまいらなければならないと、かように考えます。  そこで、財政の手段によってそういったような目的を達成していくためには、公共事業ももちろんこれは大事なことでございますし、おっしゃられた福祉政策といったようなこと、あるいは教育に関すること、そういったような非常に幾つかのものが、万般のものが私は絡み合いまして、そして日本の国の経済、日本の国の景気というものを支えておるということを、よくこれ考えていかなければならないと、さような意味において、必要でないと言うとはなはだ語弊があるかもしれませんけれども、今日の日本の状況におきまして何が大事であるかということを厳選して、そして政策の実行、政策の立案ということに、鋭意その方面に力を注いでいかなければならない、かように考えます。
  136. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで、余り時間ございませんので、まあそういう点で、来年度の予算の問題でありますが、午前中の質問に対しても、大臣経済見通しがまだ出てないんだからわからないと、こういうお話でございましたが、それは確かにそうかもしれませんが、いわゆる三〇%の国債の比率にこだわらないで景気刺激予算を組めという、これも先ほどの日本経済新聞経営者のアンケートでは、百人のうち二十八人がそういうことを要望しておるわけであります。私は必ずしもこの意見には賛成ではないわけでありますが、まあしかし、先ほど申しましたように、学校の校舎とか、いわゆる社会資本の充実、そういうようなものは今後十年、二十年、三十年と子孫も恩恵を受ける問題でもありますし、そういう点が日本が非常におくれておるから、また社会的な国際的な批判も受けるわけでありますので、そういう点で三〇%というラインはあんまり意味がないんじゃないかと。要は長期的なそういう見通しによって、いまはこうであっても五年、十年先にはこうなっていくんだと、こういうような見通しがあることがより大事なわけであって、私はその三〇%が三一になってはいけないとか、そういうことは余り意味がないんじゃないか。そういう意味で、私はもっと先ほど話したむしろ長期的な計画のもとに、場合によっては三〇%ラインを超えてもやむを得ないんじゃないか。そうして、ついでに申し上げますが、現在の大蔵省が中期試算につきましては、昨年とことしとまた改定をして、実際あの試算でいきますと、五十五年度に赤字国債を脱却するためには、五十一年度決算で十六億の税収を三十五億、わずか数年の間に二・二倍に税収を上げていかなければこれは達成できないような、こういう内容のものは、これは余りにも現実離れをしておりますし、もっと将来に伸ばしていく、もっと長期的な計画を立てる必要があるんじゃないか。福田さんもきのうテレビの討論会で、いま日本は歴史始まって以来の大転換期なんだと。それほどの重病人なわけですから、もっと私は長い、五十五年度よりももっと将来にやっぱり目標を置いてやるべきではないか、この点どうでしょうか。
  137. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 公債依存度の三〇%にお触れになりましたが、三〇%にこだわるということは、これは目先のことであって、もっと長期に考えたらどうかと、こういうお話のように承りましたが、私は依存度三〇%というものを、これはことしは三一%でもいいじゃないか、あるいは三二%でもいいじゃないかという考えが、いまのこの事態を乗り切るために目先のことにこだわり過ぎるんじゃないかと。私は、財政というものは一年限りのものではない。財政は長い長期にわたりまして、予算はなるほど一年一年で組んでまいりますけれども、しかし、財政方針とか財政の運営とかいうものはもっと先まで考えていかなければならない。  今日、日本はすでに三〇%になんなんとする公債依存度を三年間も続けてきておりますが、これをまあ、ことしはひとつ三一%までいってもいいじゃないかという考え方は、何も数の一%とか二%に私はこだわるものではございませんけれども、何と申しますか、考え方と申しますか、観念と申しますか、これは将来の財政の健全を期していくためには、一つの、人間というものは数から入りませんと物の大きさはわかりませんから、三〇%とか三一%とか言っておりますけれども一つのこれはまあわかりやすい言葉で申しますと歯どめと申しますか、一つの物差しといいますか、そういったようなものを決めてかかりませんと、これはもう一つせきを切りますと、ことしはひとつ三一でいいと、来年なら三二でいいというようなことにえてしてなりやすいということから考えてみますと、三〇が絶対の数字としては私はどうということではないと思いますけれども、少なくともそういったような数字以前の観念と申しますか、一つの概念と申しますか、考え方と申しますか、これは何かしっかりとしたものを持ってかかっていかなければ、私は将来長期に物を考えていくような態度ではないと、かように考えまして、大変かたくなでございますけれども、やっぱりその三〇%以内の公債依存度というものは、これは大事に考えていかなければならないことだというふうに考えておるのでございます。
  138. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は三〇%を崩せということではないわけで、本当に長期的な実現性のある計画に基づいて、ことしは三〇でなくちゃいかぬ、来年は二五でなくちゃならぬ、そういうものであればそういう計画をつくっていただきたいわけですね。ただ、ことし三〇%、去年三〇%、じゃあ三〇%の理論的根拠はどこにあるかという、やはりそれは長期的に物事を見ていかなければいかぬわけで、そういうやはり計画をつくっていただきたい。その長期計画に基づいた上で三〇%という線が決まれば、これは大蔵大臣はいまのようなかたくなな姿勢で守ってもらわなくちゃ困りますし、私はそういう意味を申し上げたわけで、その点、まあ中期計画の御答弁がなかったので、これをひとつ。  それと最後に、もう時間がないので、いろいろ一般消費税の問題もあるようでありますが、私たちはやはり税の不公平の是正、あるいはまた現在の歳出構造というものの徹底的な洗い直し、そういうものをした上で、やはり何年かの国民の理解を得るためのPR期間も置いて行うべきである、こういうことを意見として申し上げたいわけであります。  そういう点で、特にこの予算編成の問題について、まあ最近アメリカ等ではゼロベース予算というようなことがいろいろ新聞等にも載っておるわけで、大蔵省もゼロベース予算主義でやっているんだと、こういうように言っておるわけでありますが、それは精神的にそうしておるわけであって、システム的にやはりアメリカで言われているようなゼロベース予算ではない。私はそのように経費を、ケネディなどはそれで半分行政費節減をしたというようなことも載っておりますね。だから、大蔵省主計局の、そういう主計局自体のシステムを抜本的に変えて、場合によっては多少メンバーをふやしてでも、やはり本当に予算の最も効率的な使い方を検討するような、そういう抜本的なゼロベース予算主義、まあゼロベース予算じゃなくてもほかのでもいいわけですけど、そういうものを考えなければいけないんじゃないか。この点とひとつ中期計画の点、この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  139. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 中期財政計画を立てろと、こういう御意見のようでございますが、これは私は反対でも何でもありません。そういうようなことに持っていくということは非常に大事なことでございますけれども、中期の財政計画を立てるということは、何年間かの歳入歳出というものを、これをひとつ見通しを立てまして、そうしてそれに基づいて財政計画を立てると、これはなかなか容易なことではございません、財政試算といったようなものではございませんから。しかし、そういったようなものをつくっていくということは非常に大事なことであるということは、御意見全く賛成でございます。そういうような意味におきまして、いま大蔵省におきましても、これを財政審に相談をいたしまして、財政審においてその勉強をしてもらっておるというところでございます。なかなかしかし、これは厄介な仕事でございまして、中期における経済財政といったようなものの見通しを立てて、そうしてそれに基づいて計画をつくっていくということは、西欧でも、西ドイツやイギリスでもそういったようなことを考えまして、十年もかかってやっとこさその端緒についておるというようなことでございまして、しかし日本といたしましても、そういうことができればそれは本当に結構なことでございますので、御意見に対しましては非常に私は賛成でございますけれども、ここ一年、二年のうちに、この異常なる状態のもとにおいて財政計画をつくるということはなかなかむずかしいことだと思います。  予算編成に当たって、毎年前年度の予算の中で、既定経費というものを抽出いたしまして、そして新たに要る経費のみに対しまして査定をするというような行き方ではいけないんではないか、こういうお話でございましょう、ゼロベースというのは。もうそれでなしに、原点からひとつ検討をしていけと、こういうお話のように承りますが、私は、本来はかくあらねばならぬ、それは基本としてはそういう方針でもってやるべきものだと思っております。だから大蔵省におきましても、近来におきましては非常にそういったような行き方というものを尊重いたしましてやっておりますが、五十二年度、五十三年度等におきましても、ことに五十三年度は、予算の歳出の面におきましてはでき得る限り原点から考えまして、スクラップ・アンド・ビルドの思想に徹しまして、そしてこれを検討いたしておる。また、歳入の面におきましても、いまの税制というものを全般的にこれを見直しまして、そして新たにひとつ構想を練るというような考え方でもって、ただし、五十三年度に歳入の面においてどれだけの体系をつくっていくかということは、これはまだ決まっておりませんけれども、そういうようなことで鋭意検討を続けておりますが、要するに、予算の姿がはっきりとしてまいりますのは、これはやっぱり私は来年の経済見通しというものが固まって、それを踏んまえてかからなければならないと、かように考えております。
  140. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 まず私は、明年度の予算編成の基本姿勢の問題について大蔵省大蔵大臣に質問をいたしますが、午前中の穐山委員、また先ほどの塩出委員の質問にもありましたが、今回の、先日可決をされました補正予算案、これ見ましても、大企業向けの公共投資が重点になっているいうことでありますが、もうすでに事実が明らかにしておりますように、ここ二年来、三年来、そういう大型公共投資を中心にした景気対策政府としては一貫してやってきた。ところが、一向にその経済効果、景気回復はあらわれてきていないという事実がはっきり示されておると思いますけれども、わが党としては、一貫して、本当の景気回復のためには、一つ国民の購買力を向上させる、同時に公共投資を、もっと国民生活に密着をした方向に投資の流れを変える必要があるんだということを主張してきたということは御存じだと思います。  したがって、ここ二、三年来の政府が踏襲をしてきました政策によってははかばかしく効果が上がっていないという、そういう厳粛な事実。したがってこのことは、あと五十三年度の予算編成の大詰めが年内にくるわけですけれども、二カ月ほどで急に大きく変わるということは、これはまあ常識的にいったって考えられる問題ではない。先ほど来の大蔵大臣の御両名に対する答弁で大型公共投資、同時に確かに購買力を高める、投資の流れを変えるという問題も重要ですと、生活基盤重視というのも重要ですと、こう言いながら、しかし、経済見通しがまだはっきりしませんので、もう少し先にいかないと何とも言えませんという言い方とか、あるいはどこに相対的に重点を置くかという、そこの選択の判断があるんですという言い方ということで、そこはすっと逃げられるわけですけれども、私が重ねて御質問したいのは、この二、三年来ですでに実証をされている。そういう点であと二カ月と迫っておるこの予算編成という点で、五十三年度については国民の購買力を高める、公共投資を流れを変えるという、このことも予算編成の重要な要素として政府としては検討をされるべきだという意見を持つんですけれども、その点の御意見をお聞きしたい。
  141. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 政府が今日までにとってきたいろんな政策実行及び予算編成方針でございますが、いかにもそれは大衆の利益とは関係のない大所得者と申しますか、企業と申しますか、それに偏重したものだというふうに規定をなすっていらっしゃるようでございますが、私どもはそうは考えないんです。一番いま、今日この際、日本にとって、大衆に対しましてもあるいはわれわれの生活に対しても波及効果のあるものは何かということを考えますと、それは政府財政支出におきまして公共事業を、これを刺激し喚起していくことによりまして、まあ手っ取り早い話は、その雇用というようなことも、事業を盛んにするということによりまして雇用に対しても相当大きな波及効果があると。  それからまた、そういうことに相なりますれば、大衆の消費ということにつきましても、これまた相当な刺激になるというような、つまりこの波及効果というものを考えまして、この際は、これは政府財政支出によって公共投資をやっていくことが一番適切であるというふうに考えまして、五十二年度は当初予算からそれをやりまして、そうして着実にその前倒しの方式を、これを進めてまいりまして、やっとどうやらその前倒しの計画が、これが計画どおり契約ができたというところまでまいったのでございまして、決して私は、大衆の利益と相背反するというような政策をとっておるとは考えていないんです。
  142. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私の質問に対する答弁がどうも要領を得ませんが、ただ、いま言われておる答弁の限りでも、国民の購買力、生活基盤の公共投資を軽視しているわけではないというふうに言われていますので、その前提で、具体的問題でお尋ねをいたします。  きょうの新聞に出ていますように、昨日厚生省の諮問機関であります老人保健医療問題懇談会、ここの答申が出まして、いわゆる老人医療費の問題について、当面七十歳以上の医療費無料化は継続をすべきだということを基本内容にした、そういう答申が出ているわけですけれども、もちろんこの問題の最終結論は閣議で決まる問題だということはもう当然のこととして、大蔵大臣のこの問題についての姿勢をお尋ねします。
  143. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) この老人医療の問題につきまして、私はまだ、答申が出たことは新聞で承っておりますけれども、厚生大臣とこれについて話し合いをしておりません。恐らくは、この問題につきましても大蔵省の事務当局では、主計局で予算の編成というような場所におきましてあるいは話し合いをしておるかもしれませんけれども、私にはまだそれは上がってきておりませんし、私も厚生大臣とひざを突き合わして話してはおりません。だが、決してそれに対して反対をするものじゃございませんよ。社会福祉というものは、これは本当に適切有効にぴたっとしたところへ使っていかなければならない。それも、しかも、その給付と申しますか、その額でございますが、これも非常にぴたっとしておるものでなけりゃならないということから考えてみますと——この老人福祉に対していま申し上げるつもりはございません、これは話し合いをしていないんですから。要するに、余分なお金が使われたり——一般の問題です——それからぴたっとしてないというようなところへ金が流れていくということがもしあるならば、そういったようなものは……
  144. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 聞いてないことまでいいです。
  145. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 社会福祉の中で最も有効なる方面へ使っていくということが私は社会福祉のお金の使い方の最も適切なものだと、かように考えております。
  146. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 限られた時間ですので、私の質問をしてない余分なことまでいろいろ答弁をされて時間を空費をしないようにお願いをしたいと思います。  重ねて、そういう国民の購買力を向上させるということが重要だということとの関係で参議院の予算委員会でも問題になりました義務教育の教科書無償配付措置、これについて、文部大臣の答弁としては、これは引き続き踏襲をしたいという見解を表明をされておるわけですけれども大蔵大臣の御意見はどうですか。
  147. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) むろん同僚の文部大臣の言われることですからこれは尊重せねばなりませんが、これについてもいろんな意見が私の耳に入ってきております。しかも、これは予算編成の問題でございますので、その過程においてこれは適当なる——減らすとか減らさんとかということをいま申し上げておるんじゃありませんけれども検討をされるべきものであろうと思います。
  148. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 第二の、投資の流れを変えるという点で、一つは、すでに中学生浪人一万人ということが大きく新聞にも出ましたし、国民的不安にもなっておるということで、五十三年度概算要求について、文部省からは都道府県の高校新増設についての国庫補助を、五十二度をさらに五十三年度に向けてひとつ引き上げようという概算要求が出されておる。あるいは、予算委員会でも問題になりました住宅問題、この点でいわゆる持ち家主義、これを重点ではなくて、今度の補正予算案に出ましたような、公営公団住宅の当初の年次計画さえ切り捨てをするという、こういうことはすべきではない。安くて住みよい勤労者住宅をと、こういう点で高校増設に対する国の補助をふやす、あるいは公営公団の住宅を少なくとも年次計画は完全実施をしていくという、この問題について大蔵大臣の意見を。
  149. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) ただいま予算の編成の最中でございます。結局は、この予算については、国会の場におきましてお決めを願うことになるわけでございますが、その編成の最中に大蔵大臣がやってまいりまして、これはどうするんだあれはどうするんだということを申し上げることは、ひとつ差し控えさしていただきたいと思います。
  150. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私は、前提として申し上げたように、最終的には閣議で結論が出るんだということは重々承知の上で、財政の主管責任を持っておられる大蔵大臣の努力方向としてはどういう方向でされるのかということで聞いているわけでありますので、そういうことで御答弁をいただきたいというふうに思います。  続いてお尋ねをしますが、さっきも議論になりました国債発行の問題、これは私から言うまでもなく、もう三年連続三割近い状況に来ている。全世界の発達した資本主義国の中でも最高の国債依存率になってきているということで、これがめぐりめぐって将来に向けての大変な国民の重税負担をもたらすということはもう議論の余地のない問題だと思いますけれども、この点で、さっきの御答弁でも、大蔵大臣としては、三割は超えないというのは一つの重要な歯どめ概念としてやっていきたいという言い方もありましたし、さらに九月八日の、これは日経でありますが、大きな見出しつきで「国債依存度さらに下げる」と。実際にその会見内容の中でも大臣はそういう発言をされておりますが、具体的に、当然予算全体の伸び率がありますから、そのことも十分勘案して、一つは国債の発行の総額それから依存率、この両面において五十三年度国債を下げると、こういう努力をされるのかどうか。私は両面において下げるべきだという主張をするわけですけれども、その点の大臣の御意見。
  151. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 公債の依存度はどうしても三割以内と、できることならさらに目に見えた下げ方をしたいと、かように考えております。  そこで、いま何か予算の枠と……、そういうことでございますか。
  152. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 公債の全体の総額の点でも、それから予算に対する依存率、この点でも……
  153. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 公債全体の枠ですか、枠も率もということでございますね。——そういうような細かいことに——細かいんじゃない、大きなことでございますが、そういったようないろんなことにつきましていまここで申し上げるだけの段階に来ていないんですよ。それはなぜかと申しますと、先ほど申し上げましたとおり、予算は、やっぱり来年度の経済見通しというものが固まりませんと、ここで私がいろんなことを申し上げましてもそれはなかなかむつかしいんです。ただし、いま申し上げましたとおり、公債の依存度というものが、三年間も続けて三〇%に近いというようなものを来年もやれというようなことになりますと、予算が硬直化しまして、まるで公債の収入が公債費にかかってしまうというようなことに結局なってしまいましたら、これこそもう予算の機動性も予算の機能というものも失ってしまいまするから、それはぜひとも三割以内にしたいと、こういうふうに考えております。
  154. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 重ねて申し上げますけれども、この国債の問題というのは、これはもう御承知のように、さっきも言いましたが、未来に向かって国民に対しての重税強化のいわばそういう悪しき遺産を残すということで、私の見解としては、これは国を滅ぼす亡国国債だ。そういう点であらゆる方策を尽くして、来年度依存率の点でもそれから総額の点でも、これを可能な限り減額をする、こういう方向での最大の努力をやっていただきたいというふうに思います。  時間がありませんので次に進みますが、五十三年度の税制の問題について幾つかお尋ねをいたしたいと思います。  来年の経済見通しがいろいろ厳しいということを理由にしながら、最近、総理あるいは大蔵大臣初め政府閣僚の皆さん方が、ずいぶんたくさんの機会に、来年の所得税減税は見送りだという発言を再々行われておるわけですけれども、しかし片一方では、午前中も議論に出ましたように、たとえば大企業向けの大資産家向けの土地重課税緩和の問題とかいうようなことがいろいろ議論に上ってみたり、あるいは税調の答申では、もう言うまでもありませんけれども一般消費税という大変な問題が答申に出てきておる。  こういう時期でありますが、当然所得税減税の問題についても、五十三年度税制政府として検討されるに当たって、これはもう一顧も検討の対象にしないと、見送りというのはいわばそういうものですが、こういうことであってはならないと思うんです。少なくとも所得税減税の問題については検討項目に入れて、これからのいろいろの検討作業の結果どういう結論になるかにかかわらず、とにかく検討項目に入れて検討を続けていくんだということをひとつ確認をしていただきたいと思うんですけれども、その点どうですか。
  155. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) もう時間ございませんから、簡単に結論だけ申します。  来年、所得税減税についてどうするんだと、こういうお話でございますが、それはもちろん所得税というものもこれは大事なものでございまして、減税するにしても増税するにしましても大事なものでございますけれども、所得税を減税をするというような余地は私はなかなかむずかしいんじゃないかと、かように考えます。
  156. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 非常に経済見通し、情勢が困難だということを力説をされるわけですけれども、しかし、これは今国会で扱いが最終結論どうなるか、まだ結論が出たわけではありませんけれども、国鉄運賃の値上げとか健康保険料の引き上げとかを初めとして、一連の公共料金の値上げがどんどんまた進行しようとしている。片一方不況も一層深刻だということで、いわゆる低所得者層に対する所得税減税の問題を全然検討の項目に加えないということは、これは私はあり得ないことだと。その結論がどうなるかというのはこれからの検討作業の結果ですけれども、ですから検討の余地がないという問題ではありませんねと、検討項目に加えるんですねということをもう一遍聞きたい。
  157. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私は、所得税を減税するという余地がちょっとむずかしいんじゃないかということをさっき申し上げたのです。
  158. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 どうも答弁が要領を得ませんけれども、また、引き続いていろいろただしてまいりたいと思います。  問題を次に進めたいと思いますが、五十三年度税制の問題にかかわって、これはもう予算委員会でも多くの方からいろいろ意見が出ましたように、まず一般消費税を云々するに先立って、不公平税制の是正が先決であるということは大方一致をした意見としていろいろ出されておるのではないか。  きょうも出ております医師税制の問題について、私どもの意見としては、診療報酬の改善とあわせてこの医師税制の問題についても必要な是正を行うということは、これはいわば論を待たない問題ということでありますが、それ以上に、もっと予定できる税収の額という点から言って、大企業に対する措置をどうするかというこの問題が肝心の問題だろうと思います。  そういう点で、実は私もいろいろ作業をしまして、有価証券の報告書とか、いろんなものをずっと繰って、いろいろ計算をしてみたんですけれども、いわゆる大企業に対する引当金、準備金、特にその中でも貸し倒れ引当金とか退職給与の引当金、さらには価格変動準備金、海外投資損失準備金、そういう一連のものがあるわけですけれども、こういう措置によって、結局それが大企業の内部留保、利益隠し、税金逃れ、こういう結果になっておるということで、ごくもう言わでもがなの問題かと思いますけれども、私調べてみたわけですけれども、たとえば三菱重工、ここの退職給与の引当金累計が千七十億、当期取り崩しが百二十億、したがってこの残高九百五十億、一方貸し倒れ引当金について言えば累計百六十七億、当期七十九億、残高八十八億。でありますから、これを課税の対象に加えると、こういう措置を行っていけば九十九億の税収を図ることができる。  新日鉄、三菱重工、住友金属、石川島播磨、日立製作、日産自動車、三菱化成、麒麟麦酒、この八つについて、とりあえず、これは別に何もここだけを特別の目的があってやったんじゃなしに、手持ちの資料の関係でここをずうっと調べたわけですけれども、そうしますと、この八社で可能な税収約二百億になるわけであります。これはいま言いましたように、退職給与引当金、貸し倒れ引当金、これだけで、そして八社について約二百億でありますから、これは国税庁の統計でも出ておりますように、資本金が百億以上の大企業ということでやりますと二百十八社、それから十億以上の企業でやりますと千七百五十社、そして各種そういう対象外の措置が、さっき言いましたように、その他いろんな引当金、準備金含めますと膨大なものになるということで、全体としてこれにメスを入れていけば非常に大きな額になるということがこの数字検討からも明らかだと思いますけれども、そうした点でこうした問題について、本当にいま大企業の実態がどうか、国民の生活現実がどうか、軽々に一般消費税ということを論ずる前にまず何をすべきだという、こういう見地からこの大企業に対するいわば特別の減免税、これについて是正をするということについて検討をしようという意思はありませんか。
  159. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) ただいまの御質問にございましたいわゆる不公平税制の是正は、従来引き続き一層積極的にやれということを答申されております。私どももそのように考えてまいりたいと思います。ただ、御質問の中にございました引当金につきましては、かねてからの御審議の結果、これは繰入率をその都度見直すことは必要であろうけれども制度自体がいわゆる企業優遇税制であるとか、あるいは不公平税制であるという考え方をとるのは適当でないという御答申をいただいておりますので、その点は申し添えておきたいと思います。  準備金につきましては、個々の政策目的に即しまして個別に検討をして、五十一年度、五十二年度でそれぞれかなりの縮減をいたしましたけれども、引き続き期限が到来するものを中心検討してまいりたいと、このように考えております。
  160. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いまの御答弁だと、一般的にはそういう大企業に対する措置の是正についていろいろ検討を加えていくのだと、ただ、現在の制度上のいろんな制約がある。私どもはその制度自身をひとつメスを入れようということをあわせて言っているわけでありますが、現在の制度上のもとでも、この繰入率の引き上げについては、こういう大企業に対して、必要なことについては勇気を持ってやっていくというのがただいまの見解ですか。
  161. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) できるだけ簡単に申し上げたいと思いますが、引当金の制度そのものをいわゆる不公平税制として考えることは適当でないという御答申をいただいておるわけでございます。ただ、現在ございます繰入率が果たして実情に即して適当かどうか、それはそれとして十分吟味をすべきだ。  したがって、たとえば昨年度の改正では貸し倒れ引当金の繰入率を切り下げたわけでございまして、そのようなことは実情に応じて考えてまいりますけれども、私が御質問の御趣旨を間違えていればまことに恐縮でございますが、引当金は大企業が利用しているんだから、そういう角度から縮減しろとおっしゃられても、それはそういうものではないというふうにお答えせざるを得ないと思います。
  162. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 どうも一般論的答弁しかなさらないわけですけれども、それなら別の角度から重ねてお尋ねをいたしますけれども、いまおっしゃっている引当金の繰入率の引き下げですね、これについては金融関係については貸し倒れ引当金の繰入率の引き下げ措置をすでに開始をしてということで、したがって、同様の方向を当然やろうと思えば、さっき私が幾つか代表的に例を挙げましたけれども、金融機関だけじゃなくて、いろんなそういう製造産業関係の大企業についてもやるということも、そういうことをやるんだということで現在考えておられるわけですか。
  163. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 引当金の繰入率というのはそれぞれ規定がございまして、貸し倒れ引当金というのは政令で一律の率を決めております。それが現実の状況に比べて引き下げる由があるという判断をいたしまして、前回引き下げをいたしたわけでございまして、それを金融保険業以外の一般業種、これはあらゆる業種を含むわけでございますが、それについても引き下げを行うかどうか、それはなお実情を見た上で検討してまいるという姿勢をお答えしたわけでございまして、必ず引き下げるという意味でお答えをしたわけではございません。  同様に、退職給与引当金も、いまの繰入率の計算がきわめて合理的でないというふうには私ども考えておりません。もし合理的でない面があればそれは直さなくてはいかぬ、そういう姿勢をお答えしたわけです。
  164. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ただいまの御答弁は、現時点で明確にこうしますというふうには言えないけれども検討方向としては、方向としてそのことを考えておるんだという御答弁だというふうに理解をするわけですけれども、さっきちょっと早口で数字を申し上げたから何かと思いますけれども、たとえばさっき言いました貸し倒れ引当金の関係について言えば、三菱重工の場合百六十七億に対して実際にそれで充当をしておるのは、取り崩しておるのは十一億にすぎないということで、余りにも多くの引当金を充てておるじゃないかと、これが課税対象から外されるという措置が果たして妥当かどうかということだと思いますし、あるいは別の例でいけば麒麟麦酒、退職給与引当金二百五十四億、実際の当期取り崩しはわずかに九億、一割にも満たないということは、これは余りにも露骨な措置ではないかという点で、どうしてもこの点については強力な措置をひとつ断行をしていただくということと、それから税の仕組み自身についても、こういったものを課税の対象に加えるという方向を、どうしてもひとつ取り上げていただきたいというふうに思うんです。  その点で重ねてお尋ねをいたしますが、実は今回の税制調査会の答申で、いわゆる政策税制、減税と、それから法の仕組みにかかわる税制とを区別をして、今後見直すべき税制政策減税に限定をするんだというのを基本方向として打ち出しておる。私ずっといろいろ過去にさかのぼって少し調べてみたんですけれども、中期的税制答申としては今回のやつに先立って四十六年八月の何があるわけですね。もちろん単年度答申は毎年ありますけれども、中期的方針としては四十六年八月、それと今回、こういう区切りになっておる。  この四十六年八月の税調答申でも、よくよく担当でありますから御存じと思いますけれども、「法人税の基本的仕組みについては、法人の性格論に固執することなく、法人税制を法人の社会的、経済的実態に適合させるという方向で引き続き検討していくべきである。」ということで、いわば法の仕組みに関する問題も、ここの部分についても税の対象に加えていくという方向を検討をすべきではないかというのが四十六年答申の方向なんです。  で、今回これがいわばがらりと変わると、中期方針、中期的税調答申としてはこの間ないわけですから、まあ実際は五十一年度の単年度税調答申で、実はことしの答申のような考え方がちらっと出だしているんですけれども、そのことも重々承知をしているんですけれども、こういう点からいって、時間をかけて税制調査会として議論をしたはずの中期的答申で余りに大きなこういう違いが出てくるというのは、私としては合点がいかないという意味で、これもまあことしの答申の考え方というのも一つ考え方だというふうに思うんですけれども、その点はどうですか。
  165. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) ごく簡潔に申し上げますと、いわゆる不公平税制の是正をすべきであるという問題意識は、今回の中期答申に取りかかっていただくより前に、五十年八月から御論議をお願いしたわけでございまして、五十年八月から五十年の暮れまでかけて御審議を願った結果が五十一年度の答申に入っております、御承知のとおりでございます。そのときに政策税制とそれ以外のものの仕分けをして、政策税制を極力整理合理化に努めていくというのが妥当な方針であるという御答申をいただいております。その問題につきましては、今回もう一度御議論を願いまして、やはりその方向を踏襲しようという御答申をいただいております。  その場合に、もう一つの問題でございます、ただいま御指摘の四十六年のいわゆる長期答申でかなり議論されておった法人税の基本的仕組みの問題はどうなったかという点でございますが、それにつきましては、今回の中期税制でも改めてまた御議論をいただいております。詳細は答申でもうすでに御承知だと思います。  四十六年の答申に比べて今回の答申が後退しているのではないかというような御趣旨の御質問のように承りましたが、私としては後退しているとか前進したとかというふうに受けとっておりません。改めて議論をしてみて、やはり問題が非常にむずかしいし、また、議論が余りに両極端に分かれておって、とうていこの中期答申という時間的制約の中では、どちらか一方に軍配を上げ切れない。したがって、答申自身にございますように、今後なお時間をかけて検討せざるを得ないというのが今回の結論でございます。
  166. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう時間がないのでせいているのですけれども、私は中期税調答申、中期答申というからには、それの方が権威があると思うんですね。やっぱり理論的にもそれから実際的にも十分検討を加えてこの答申がつくられる。ですから、四十六年答申がそうなっておったのが、その中途のそれ以降の単年度答申でそれがすりかえられていくという、こういうことについては、私はどうしても合点がいかない。この点については、一般新聞ども批判を加えている点だと思います。そういう点で、もうあえて答弁は求めませんが、この四十六年答申の精神に照らしても、また、先ほど来の問答の中で、大企業に対するそういう課税の問題についても検討の俎上から外すということではないというふうに言っておられるわけでありますし、実際に大企業の先ほど来数字を上げて申し上げておるような、そういう現実に照らして、一般消費税云々ということに先立ってこういう問題にどうメスを入れるかということで、鋭意検討をやっていただきたいと思います。  重ねて、大企業問題できのうの新聞にも出ていました、いわゆる今日の円高問題の関係の中で、大企業の海外投資損失準備金制度の適用を発展途上国だけじゃなくて、いわゆる先進国に対してもこれを適用をしていくということを新聞が報道しておりますけれども、このことは事実ですか。
  167. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 新聞に出ておりましたような、適用対象地域を一般の海外事業法人について広げたいという要求が正式に来ておるかどうか、私ちょっと存じておりません。ただ、海外投資損失準備金そのものは今回適用期限が到来いたします。したがって、先ほど申し上げました、一般的にこの準備金は政策税制の中に分離されておりますから、政策税制を逐次整理合理化していくという流れの中でこの問題を取り上げていくということが一つございます。ただし、政策目的に応じて個別の措置を考えるという基本的な考え方からいたしますと、先刻来他の委員からの御質問に国際金融局長がお答えしておりますように、構造的には、やはり日本は今後資本輸出をある程度促進することが基本的に重要ではないかという点が一つございますので、そういう政策的な要請というものと、片方で準備金を逐次整理合理化すべきだという要請と、これ両者が矛盾いたしますが、それらをいかに調和していくか。それにつきまして、五十三年度税制改正一つの重要な問題として検討いたしてまいりたい。
  168. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もうきょうのこの席上では結構でありますから、これらの動きについて別途の形で御報告をいただきたいと思いますが、仮にそういうことが問題として登場してくる場合、そういう場合、円問題の対策に名をかりつつ、大企業に対しての一層の減税措置を加重をする、こういうことになるわけでありますので、断じてそのような大企業減税措置を加重をするようなことはしないように、強く私の意見を申し述べて、次の問題に時間の関係で移りたいと思います。  次は、税制調査会のあり方の問題ですけれども、もう逐一私から申し上げる必要はないと思いますが、約三十名の構成メンバーのうち、政府関係機関の出身者が五人とか、銀行、証券の関係三人、それから企業代表四人、こういうことで、余りにも政府関係企業の代表、銀行の出身者、これで十二人という大きな部分を占めておるじゃないか。労働者の代表二名、消費者代表に至っては皆無ということで、これはどういう基準で決めているのか。それと、これは大蔵省の指名でやっているのか、どこかの団体に推薦を依頼をしておるのか、国会に推薦を求めるという、そういう今後の意思はないのか、これから五十三年度以降の税調メンバーの新たな選任がやられる時期に来ておりますので、そういう点についてはどうですか。
  169. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 税制調査会の委員の構成につきまして、いろいろな批判的な御意見があるということは私も承知をいたしております。そういう御批判は謙虚に受けとめなくてはいけないと考えておりますが、ただ、おっしゃいました中で、いわゆる経営者の方がいらっしゃる。それも全くいらっしやらなくていいという御意見ではないだろうと思います。多過ぎやしないかという御意見のように思います。それからもう一つは、いわゆる労働関係の代表の方が少な過ぎるという御意見でもあるのかもしれません。そういう点につきましては、やはり非常に大きな組織を代表してお二人の委員がそれぞれ入ってきておられますが、そのほかに、なお現在の組織のほかに労働界の代表という方に来ていただくのかどうか、その点はひとつそういう問題として検討を進めることであろうかと思います。  それからまた、経営者という肩書きを持っておられる方が、たまたま従来からの積み重ねの上で産業行政に関する学識経験者ということで入っていただいている方が、たまたま同時に企業の会長であったり社長であったりされておるという面がございます。それらもしかし、いまございまする御批判を謙虚に受けとめながら今後の人選に当たってまいるということが必要ではないかということを、内閣審議室の方にお話はしております。  実質上、私どもがいろいろと下準備をいたしまして、内閣審議室の方に御相談に伺うことはこれは事実でございます。ただ、委員の任命は内閣人事でございます。内閣審議室が最終的には責任を持つ問題でございます。実質的には私どもがお手伝いしておるということはこれを否定するつもりはございませんので、いま申し上げたような態度で臨んでまいりたい。
  170. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 いまの御答弁で、多少構成の偏った点については、それを改革する方向で一遍検討を加えてみたいということでありますので、ぜひひとつそういう方向で、しかも、国会の意見も適切な形で聞くということも含めて検討していただきたいと思います。  税調の運営について、これはある新聞で私見たんですけれども、一回大体二時間、うち一時間半は大蔵省説明、残り三十分が討論の時間、こういうまさに大蔵省の隠れみの、こういう機関になっておるという表現です。それから、配付をされる諸資料については、会議が終わると回収をするということになっております。そういう点で、もっと税調がその権威にかけて審議がきちっとやられるような運営、また、私聞いたところでは、昭和三十六年以前は会議については公開にしておったということもちょいと聞くんですけれども、そういう意味で運営の民主化を図ってもらいたいというふうに思うんですけれども、そういう点どうですか。
  171. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) まず、会議の公開でございますが、これは現在会議は非公開とするというふうに定められております。その理由は、やはり学識経験者というお立場で、もちろんそれなりの背景を持ってお越しいただいていることはまた事実でございますけれども、やはり、ある場合にはその組織を離れての御自由な意見を伺うということも必要でございますので、いろいろな意味で、会議そのものを公開にすることは必ずしも適当でないという考え方でずっと来ておると了承しております。ただいまおっしゃいました三十六年以前に公開したことはあるというのは、ちょっと私記憶にございませんが、なお調べてみたいと思います。  それから、審議の運営が大蔵省の隠れみのであるという御批判は、これは正直に申し上げて私どもとしてははなはだ不本意でございまして、ただいま具体的におっしゃいました、二時間の会議で一時間半説明をしてあと三十分であったというケースが、それは確かに一度ぐらいあったと思います。たまたま、ああいう御発言をなさった委員は非常にお忙しい方でございまして、今回も何時間にわたる会議の中の一番後ろの方の何回かにお越しいただいて、そのうちに一度そういうことがあったかもしれませんが、通常、最近の事例で申し上げますと、私どもはできる限り二時間の予定で、事務的な説明は一時間以内でとめて、なるべく御討議の時間を長くしていただきたいということをお願いして、会長もそのように運営しておられますし、また、当日議題に供しましたものについての質疑が、御論議が完全に終わらないときには随時時間を延長していただきます。今回は、時間を一時間以上延長したケースが何回もございます。そういうふうに運営していただいておりますので。  それから、資料の点につきましても、これまた同じ方の御発言であるように思いますけれども、たまたま、本日は資料を席上に置いておいていただきたいと申し上げたのは、それは答申の素案の文章でございまして、計数資料につきましてお持ち帰りをいただかないようにというお願いをしたことは最近ございません。また、そういう計数資料は必ずお持ち帰りいただいて御検討いただいておりますし、報道機関にもそのつど発表いたしております。国会でも御要求があれば、もちろんお届けいたしております。したがいまして、答申の素案というものを、文章を、今回は約八回ぐらい臨時小委員会と総会の間で行ったり来たりして、練りに練っていただいたわけでございますが、それをその都度の段階で公開するということは、ほかの審議会でも恐らくなさっていらっしゃらない。やはり練りに練ったものの最後の姿が一番大事なものであるというふうに私どもとしては考えておりますので、計数資料が全く取り上げられてしまって勉強の余地もないとおっしゃるのはやや誤解ではないか。私どもとしてははなはだ不本意であるというふうにお答えせざるを得ないと思います。
  172. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 本当はもっと税調の運営の問題についてただしたい点があるんですけれども、時間の関係があるので、いずれにしてもひとつ一層の民主的な、国民に開かれた運営を図っていただきたいということを重ねて意見として申し上げて、最後に、清酒業の保護政策、保護行政の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  実はこの九月、当大蔵委員会としても関西方面へ現地調査に行きまして、その節に酒造業者の方方からいろんな訴えを聞いたわけでありますけれども、そうした点、お聞きをした話をどういうふうに積極的に取り上げていくかという当委員会の任務に照らしても、また、私、出身の京都の伏見の酒造業者の方からも、個別にいろいろ事情をお聞きをしたんですけれども、そういう角度でお尋ねをするものですが、言うまでもなく、この酒類の中には清酒、ビール、ウイスキーという、この三つあるんですけれども、特に清酒関係が圧倒的に零細企業が多いということで、重税と高物価政策のもとでその経営が危機に追い込まれておるということは、もう先刻御承知のことだと思いますけれども、したがって、この三つを単純に市場競争をさせるということではなくて、ちょうど世界の相当数の国が独特のワインなんぞをつくって、いわば国民酒としてそれを保護育成をしておる。それと同様に、わが国においても清酒についてこれを保護育成をしていく、そういう積極施策が必要なんではないかということをまず大前提にしてお尋ねをするわけです。  一つは、清酒の原料米の価格の問題ですね。これが清酒の製造原価の七割を占めるということで、この米の値段が年々上がっていくということで、この五年ほどの間に約倍ぐらいになってきているということで、大変な打撃を与えておるわけですけれども、ことしの国の施策として、政府管理米を総需要量の一割程度、六万トンぐらい割り当てるという措置がとられていますけれども、余剰米やあるいは減反政策が云々されておる、そういう時期でもありますだけに、明年度に向けてこれを一層積極方向に拡大をする、そういうことができないかということについてお尋ねをします。
  173. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 佐藤君に申し上げます。  質問時間が来ておりますので、簡単に締めくくっていただきたいと思います。
  174. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) いま御案内のように、お米につきましては清酒の必要不可決の原料でございます。年々酒造米が値上がりでございまして、他の種類、ウイスキーとかビール、そういうような種類との競争という点からいっても非常不利になってきているということで、そういう意味でも清酒業界が大きな影響を受けているということは私どもも十分承知しておるわけでございまして、これまでもでき得る限りそういうような負担を軽くするようなという方向で、最大の努力をしてきておるところございます。幸いことしも酒造用の自主流通米につきましては主食用とほぼ同じような助成措置を講ぜられましたし、原料米の一部につきましても政府米の払い下げが実現するというようなことで、清酒の業者の方々の米代の負担軽減に資することができたわけでございます。これにつきましては、所轄庁が農林省食糧庁でございますので、私どもで決定すべきことではございませんが、今後とも業界への影響なども十分考慮しながら慎重に検討してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  175. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それでは時間の関係ありますので、最後の質問にいたしますので、お許しをいただきたいと思います。  次の問題は酒類の表示の問題です。もう前置きみたいなことは省略いたしますけれども、とにかく清酒とビールとウイスキー類、これについて原料並びに製造年月日の表示が大変不統一になっておる、こういう現実があるわけですけれども、そういう点で、いわば清酒業、清酒の業界の皆さんは公取委員会の当初の行政指導、これは全体について行うんだということを、そこをいわば前提にして清酒の業界として内部で自主的に相談をしてこういうことをやってきていると、年月日まで入れるということでやってきている。にもかかわらず、ほかの部分、とりわけウイスキーの部分が事が遅々として進んでいないということで、いわば一杯食わされたという感情も含めて、この問題についての強い意見の表明が出ているということですけれども、そういう点で行政の統一性と、そういう点からいって、特に公取あるいは国税庁としてはウイスキー業界に対して、聞くところによりますと、指導はしておるんだということですけれども、日限を切って一段と強力な指導を行うというふうにすべきではないかというふうに思うんですけれども、その点についての答弁を願いたいということ。  それから、酒類の販売業の免許基準でありますが、私もいろいろ調べてみたんですけれども国税庁の酒類の販売業免許等取扱要領、この通牒があるわけですけれども、この中で、いわゆる小売業については人的要件それから場所的要件、需給調整上の要件、かなり厳格な規定をしております。ところが、百貨店またはこれに準ずるものという表現で、これについては税務署長ではなくて国税局長の判定にゆだねるというふうにしておるということなんですが、それについて国税局長の判定基準の明確な定めがない。強いて言えば、一定の広範囲にわたって酒類の需給状況調査を行ってという、こういうくだりがあるだけなんですけれども、そうしますと、たとえば小売業、一般の小売業に規定をしております営業経歴あるいは経営の能力などの人的条件、あるいは距離的要件、こういうことなんかは度外視をしたまま、国税局長の恣意的判断で、そこらの点については恣意的判断でやられるというおそれがあるんじゃないかということで、いまそういう大スーパーなどが進出をして小売店を泣かせるという事例が頻発をしていると思うんです。そういう意味から、結果的に大企業に対して緩い基準になるようなおそれがあるこういう免許基準についてはもう一遍見直しをする必要があるんじゃないか。いやそうではありませんと言うのであれば、現に京都も含めていろんな近畿でも……
  176. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 佐藤君に申し上げます。  質問時間は超過しておりますから、簡単にお願いします。
  177. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 済みません。  いろいろ紛争が起こっておるわけですけれども、小売店との同意を基礎に、国税局としては大規模のそういう店舗については慎重な判定を行っていくんだということをこの場で御確認いただけるかどうかという、以上が質問であります。
  178. 矢島錦一郎

    政府委員矢島錦一郎君) 御質問にお答えいたします。  最初の清酒の表示が他の酒類に比較いたしましてアンバランスであるという御意見でございますが、酒類につきましては、御案内のように、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律、いわゆる酒団法というのがございますが、これと、それから食品衛生法という法律と、それから不当景品類不当表示防止法という三つの法律に基づいて行われているわけでございますが、それぞれの法律によってその目的を異にしているわけでございます。  御案内の、まずアルコール分の表示が、たとえばビールがないじゃないかというようなお話もあろうかと思いますが、これにつきましては、酒団法では各酒類ごとに必要に応じて表示しておりまして、具体的には製造者の氏名とか製造場とか所在地とか容器の容量とか、それから種類、品目、級別といったようなものを必要に応じて表示するということになっておるわけでございます。  それから製造年月日の表示につきましては、これは公正取引委員会の所管に属しまして、その御指導によって表示されている事項でございますが、答弁を差し控えた方がいいと思うのでございますが、現状を申し上げますと、清酒については年月日のうちの日の表示をやっております。それから、ビールにつきましては上旬、中旬、下旬という旬表示を実施をしております。ウイスキーにつきましては、まだそこまで至っておりませんが、これにつきましても、公正取引委員会と業界との間で、現在どういうような表示をしたらいいかということにつきまして検討がなされておるというふうに私どもは聞いております。  それからスーパーの問題でございますが、スーパーにつきましては、大型店でございますが、やはり長官通達でございまして、酒類販売業免許等取扱要領というのがございまして、これに基づきまして一般の小売業者の免許と基準を異にしないで、一応要件に合致すれば——免許の可否のいかんによっては一般の小売業者と同じような基準で、基準といいますか、円じレベルで一応免許の可否を問うというたてまえになっています。しかしながら、最近の経済情勢がきわめて停滞しておるというような状況も考慮しまして、スーパーのような大型店は非常に大規模の資本のものが進出しておると、あるいは販売力も非常に強大であるといったような状況を十分考慮いたしますと、零細な既存の小売業者に与える影響もきわめて大きいということも考えられますので、免許を与えるかどうかということにつきましては、関係業界の意見もすでに十分参考にしながら慎重に、特に慎重に運用しておるわけでございます。  以上でございます。
  179. 土原陽美

    説明員(土原陽美君) ウイスキーの表示につきましては、かねてから業界に対しまして表示を適正化するようにということで検討を要請しておりまして、業界の方でも昨年あたりから景品表示法に基づきます公正競争規約を設定するという方向で検討を開始しております。現在のところ、まだ案がわれわれの方に示される段階に至っておりませんが、公正取引委員会といたしましては、できるだけ早く規約が設定されますように、業界の方に積極的に働きかけていきたいというふうに考えております。
  180. 中村利次

    ○中村利次君 景気対策と雇用不安解消の問題が、これがもう国民の悲願であり、政治の決定的課題になっておるわけでありますけれども、どうもなかなかその実が上がらない。このことが今国会でも、あるいは次の通常国会でも、五十三年度予算編成等も絡めて大変なやはり論戦の中心になると思います。またなっています。ところが、こういう問題について私は質問をしたりあるいは議論をする時間が全くありませんので素通りをしなきゃなりませんけれども、この深刻な不況の中で雇用不安はおさまらない。倒産におびえながら、特に中小企業なんかは努力をしておるというのが現状ですが、そこへ円高問題でダブルパンチを食らっているんですけれども、これは午前中から円高問題も取り上げられてまいりましたが、円高の徴候というのは、数カ月で、とにかく国民にとってもあるいは関係者にとってもびっくりするほど円高になったんですが、オイルショクのときにしても、日本の情報網というのはきわめてお粗末であるということが言われて、やっぱり打つ手が後手後手であるということが言われてきたんですが、悪口を言うようですが、むしろ商社の方が情報のキャッチも速いし対応も非常に素早いと言われております。この円高問題について政府はどういう情報をお持ちになりどういう対処をされたのか、過去のことから伺いましょう。
  181. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 最近の円高は全く大変な事実を示しておりますが、そもそも、この円高になりましたのは、世界市況の九月における円高というのが一つの契機になりまして、その後一進一退を続けてまいっておりまするけれども、ついに最近は今日までにもない円高状況を示しております。その間には、あるいは思惑だとかそういったようなこともあり、また、ブルメンソール財務長官が、まあ批判と申しますか、そういったような発言もありましたけれども、かくなりました基調というものは、やっぱり日本の輸出が非常に堅調であるということと、それからもう一つ他方に、アメリカのドルが将来非常に低下していくであろうという予想が世界的に考えられまして、それが私は今度の円高を招来したゆえんだと思いますけれども、何もこれ円高だけではなくて、ドル以外の、スイスにいたしましてもドイツにいたしましても、EC諸国の通貨がやっぱりドルに比しまして相当な上がりを示しておると、こういうことのようでございます。
  182. 中村利次

    ○中村利次君 ちょっとどうもやっぱりかみ合わない点がありますがね。まあ、そんなことをやっていると時間がございませんから……。  確かにそれは、ドルが安くなって、円だけではなくてヨーロッパの各国の通貨も高くなっていることはおっしゃるとおりです。しかし、とにかく円高はアメリカの国際通貨戦略だと言われるぐらいに異常なものがありますよね。また、国民にとって全く不思議というか不満というか、円高で、先ほど申し上げましたように、この不況でもう深刻な倒産に瀕しておる特に中小企業輸出産業なんかは、ダブルパンチでもうこれは生き延びられないというぐらいになっておるのに、円高のマイナス面は深刻にこういうぐあいに特に中小企業を強襲をし、政府対策を講じてみてもそれはどうもカンフル注射みたいなもので、焼け石に水みたいな状態にありますよね。ところが、プラス面なんていうのはさっぱりどうもあらわれませんな。何かいろいろのあれがあるでしょうけれども、たとえばわかりやすいたとえで言えば、複雑怪奇な流通機構の中で蒸発をしちゃって、ちっとも円高のメリットというのは国民に還元されない。これは大蔵大臣の所管事項ではないかもしれませんが、そういう点についてどうお考えですか。
  183. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 円高に対しましては、たとえば為替変動損失に対しましていろんな金融方面におけるこれの救済措置といったようなものもとっておりますし、いろんなことをやっておりますけれども、何しろ目下のところの勢いは大変な、そういうこともありますけれどもドルがどんどん下がってきて円が上がっていくというようなこういう傾向が、いろんな手を尽くしておりますけれども、いまのところは、どうも最近はスピードがその方が早いものですから、十分なそれの効果がまだ出てこないうちにこういうことに相なっておりますけれども、これに対しましては、今後も私は通産当局その他関係当局と相談をいたしまして、できるだけの手は講じてまいりたいと、かように考えております。
  184. 中村利次

    ○中村利次君 メリットがちっとも、蒸発しちゃうのは何か手はありませんか。
  185. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) これなかなか急に……
  186. 中村利次

    ○中村利次君 いや急じゃないですよ。
  187. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) むずかしいことでございまして、しかしながら、これをただ座視しておるということではございませんけれども、ただフロート下の市場におきまして、このレートを牽制するということについて、これを一定の水準を決めてそこへ導入していくとか、あるいはある一定の方向にこれを誘導していこうというようなことだけはこれはできない。ただ、大変ないまの状況で、乱高下というものに対しましては御案内のとおりですが、これに対する手は打つておりますけれども、それ以上のことをやるということはできないと、こういうことです。
  188. 中村利次

    ○中村利次君 これはやっぱり政治は何をしているんだということになるんですよ。打撃だけはきわめて深刻に出てきて、いい面は、円高のプラス面なんというのはちっともどうも出てこない。これはどこで蒸発しているのだ、それをつかまえて、やっぱり打撃に対する対応も、あるいはメリットに対しても国民立場に立ってこれは生かしていくというのは政治の責任でしょう。大臣のいまの答弁では、打撃面についてはいろんなことをやってますよと、これやってないとは言いません。決して拱手傍観されているわけじゃない。しかしなかなか、おかげで円高の打撃も何とかかんとか傷を浅手にしてやらしていただいておりますという声はありませんよ。だから私が最初質問をしましたのは、円高はゆえなくしてある日突然起きたことじゃないんですから、政府円高傾向に対してどういう手を打つのか、あるいはこのメリット、デメリットに対してどういう施策をするのかということが、これは当然あってしかるべきだと思うんですよ。ですからそれをお伺いしているんですけれども、的確な手は打てないのだ、また打ってなかったということになるわけですね。
  189. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 為替変動についての損をするいわゆる差損、このショックについては何かやっておるけれども、その差益について、その差益が一向に社会に還元しないじゃないか、こういうような御質問のようでございますけれども、その点につきましても、何としてでもこの差益というものが一般に還流していくということには努力をしております、いろいろと。それで、実はその差益というものが、卸売物価が非常にむしろだんだんと安定しつつ下降状態にありますが、卸売物価にはそれはあらわれてまいっておりますけれども、まだいろんなことで小売物価の方にはあらわれてきておりませんけれども、結局やっぱり卸売物価というものが小売物価のとにかく基底をなすものでございまするから、私はやがてと申しますか、とにかく小売物価の方に、消費者物価の方へこれがだんだんと波及をしてくるということを信じておるものでございます。
  190. 中村利次

    ○中村利次君 やっぱりどうもぴたっとこないですよ。それが経済のメカニズムだとおっしゃればそれまででしょうけれども、それではやっぱり芸がないと言われてもしようがないので、ただ大蔵大臣は所管事項ではございませんから、これまた別の機会にあれすることにしましてね。  先ほど大臣の答弁の中にもございましたように、円高というのはアメリカの戦略的なものもと言われていたと、それからもう一つは、ドルが非常に弱くなったというのはこれはアメリカのエネルギー、原油輸入によってドルが弱くなったということが言われてますね。そういう点はどういうぐあいに、ドルが非常に弱くなった、こういう点、また将来についてもドルがどうも強くなる見通しは余りないのではないかと思われる根拠というか、理由はどういうぐあいにお考えになっていますか。
  191. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御指摘のとおり、アメリカが近来非常に原油を多量に輸入をし続けておるということがアメリカの経常収支の赤字になるという一番大きな原因であろうと私思います。そういうようなこともあって、何も日本が何のことはない黒字を集めてしまって、それが大きな原因でアメリカが赤字になるのだということに対しましては、そんなことではないというふうに私は考えておりまして、機会あるごとにそういうことは申しておるわけです。
  192. 中村利次

    ○中村利次君 そうなりますとね、ドルが弱いというのは、これはやっぱり中期、長期的に見てもドルが強くなるという可能性はないと、こういうぐあいに政府としてはお考えですね。
  193. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私は、そういうようなことについてここで申し上げるということはこれはひとつ差し控えさしていただきたいと思います。よその国のことにつきまして、あれはどうなるこうなるというようなことについては、これは私がここでお話し申すことは差し控えさしていただきます。
  194. 中村利次

    ○中村利次君 ちょっと間違えないでくださいよ。ドル円高、あるいはマルクにしてもフランにしても、とにかくドルが弱くなれば必然的にほかの通貨というものは上がってくるわけでしょう、他国の通貨というのは。そうなりますと、他国への干渉ではなくて、日本が正しく、このドル安というものが一時的なものなのかあるいはかなり長期的なものなのか、そういう判断をしないであなた通貨問題なんというものは対応できないでしょう。そんなもの他国干渉だから答えられないというような逃げ方はそれはだめですよ。どういうぐあいに判断をなさるのか、日本国政府として。
  195. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私は私なりの判断はいたしておりますけれども、その見通しをここで申し上げるということは差し控えさせていただきます。
  196. 中村利次

    ○中村利次君 おかしいんだな。日本の政治はだれがやっていくんですか。あなた大蔵大臣でやっぱりその元締めでしょう。通貨問題なんかの見通しはあるけれども、それは答えられない。どこに支障がありますか。支障があるならおっしゃってください。
  197. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私がこう申し上げるのは介入をすることになるからそれを言わないと、こういうことではございません。私は、やっぱり私がここでそういったような将来のことについての見通しを発言するということは、坊秀男というのはこれは眇たる存在でございますけれども、それは将来の相場形成に何らかのそういうことによりまして影響があるということを恐れるものでございますから、私個人は何でもない存在でございますけれども、日本の大蔵大臣がこういうような見通しをしておるということは、これは私は慎重に考えていかなければならないと、かように考えます。
  198. 中村利次

    ○中村利次君 まあ無理に、そうおっしゃるのを言わせようとは思いません。しかし、やっぱりアメリカの原油の輸入というのが、大変なエネルギー節約で騒いでいますね。必ずしも、議会の方ではこれに、大統領が騒ぎ回るほどの対応姿勢はないのが外電の報ずるところですよね。そうなりますと、大臣おっしゃったようにアメリカの原油の多量の輸入によってドルが弱くなった。そうなりますと、原油の輸入が少なくなるという見通しがない限りはドルが立ち直るということはなかなかむずかしいという判断にならざるを得ないんですよね。そういうものをやっぱり私は大臣がしっかりつかんでいただいて、そうして円高対策だとか、あるいは日本の貿易収支の大幅黒字で諸外国から非難をされるようなもの、外貨減らしなんかもおやりになっているわけでありますから、大した効果はなくても。そういうことにならないと、どうもさっぱり、的確な判断もないのに打つ手打つ手なんというものは効果を出しようがないわけでありますから、そういう意味で質問しているんですから、間違えないでくださいよ。何も大蔵大臣の答弁で投機をあおっちゃって通貨パニックをもたらすなんということは、そんなことは関係ありません。だから質問のポイントをひとつ正しくつかんでいただいて答弁してくださいよ。
  199. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) おくれて参りましたので、十分お答えができるかどうかわかりませんが、ただいま御指摘の点につきましては、アメリカの貿易収支の大幅な赤字というものは、非常に石油の輸入が急にふえておるということが原因であることは明らかでございます。もちろん、日本からの対米の輸出もふえておりますけれども、何と申しましても、大宗をなしますのはアメリカの石油の輸入が大幅にふえておるということでございます。これに対しましては、アメリカ政府といたしましてもこの点は十分認識しておりまして、エネルギー資源をどうやって節約するか、その他のエネルギー政策の根本的な確立ということを現在鋭意努力しておるわけでございまして、その関係の法案も議会で審議されるやに聞いておるところでございます。  そういうことてございますので、また、先般九月に日米の準閣僚会議が東京で行われました際に、この日本の経常収支の黒字に関連いたしまして、その点についても当方からアメリカに対して、エネルギー政策をどうやっていくのかということについていろいろ問いただしてもおるところでございます。それに対するアメリカ側の回答は、エネルギー節約あるいは根本的にエネルギー資源をどう扱っていくか、その政策について現在鋭意努力しているところであるという回答があった次第でございます。
  200. 中村利次

    ○中村利次君 石油の大食い国の筆頭はアメリカで、日本は二番目だそうですけれども、これは労ういうのが私はにわかに是正をされるとは思い言ぜんよ。日本だって昭和六十五年には十・何%の省エネルギーという計画が、政府の計画でありますけれども、それが非常にむずかしいものであることは、これは何人も否定できないと思う。  それからもう一つは、やっぱりアメリカのこの大幅赤字、その決定的原因はエネルギー問題にある、これは他山の石ですよ、日本にとっても。いま大幅黒字だといって黒字減らしをやらなきゃならないぐらいになっていますけれども、しかし、このままでいきますと、やっぱり昭和六十年には石油換算で、どんなに努力をしてみたって七億キロリッター前後あるいはそれ以上の、石油換算でエネルギーが必要になる。その場合の日本の国際収支はどうなっていくのか、これはアメリカあるいは日本を加えてそういう点の見通しはどうお考えになっておるのか。これはもう決定的な、やっぱり銭金の問題ですから、大蔵大臣ひとついかがですか。
  201. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) 先ほどの御説明に若干補足させていただきますと、日本の場合にはまだ景気の回復が本格的でございませんので、石油だけにとってみますと、オイルショックの起こりました七三年に比べまして、昨年の消費量、それから輸入量ともまだそれぞれ九三%程度、七三年を一〇〇といたしまして九三%程度にとどまっております。しかし、アメリカの場合には景気の回復が日本その他の国よりも先行いたしまして、かなり景気回復が行われておりますために、七三年に比べまして、消費量では二割ぐらいふえております。輸入量では七三年に比べまして七割ぐらい昨年ふえておるわけでございます。単に節約であるとか、そういうことだけでございませんで、景気の回復が先行したという要素も、この石油の輸入をふやしている原因になっているかと思われます。  それから、ただいま御指摘の、将来長い目で見たときにどういう姿になるかということにつきましては、御指摘のとおり、われわれといたしましても中長期の見通しを持って、将来どういうかっこうになるかということについては勉強してまいる必要があろうかと思います。
  202. 中村利次

    ○中村利次君 これは私が申し上げたのは、日本の場合は、やっぱり政府は本年度六・七%の実質経済成長率、税調はこれを受けて名目成長率を一三%という、そして一般消費税等の増税の導入まで検討したらどうかという、こういうふうになっているわけですよね。それはもう国会を構成する各政党が五・八から七%、七・二、政府は六・七。この実質経済成長を名目成長に引き直しますと、これはオイルショックでエネルギーの需要量がへこんだ現在を、そしてまた回復しつつある現在を基点として六十年、六十五年にはやっぱり容易ならざることになるんです。しかし、こういうことをやっておったんではこれで時間になってしまっておしまいですから、これはまたの機会に譲りますけれども大蔵大臣、それはあなた頼みますよ。的確な国際的な情勢、あるいは特に円高問題なんかアメリカなんかに決定的な影響があるわけですから、そういうものを的確におつかみになって、そうしてやっぱり先手先手と打っていくという対策をぜひ私はおやり願いたい。  そういうことで、来年はいま申し上げましたように、税調なんかでも税制の不公正を直していかなきゃならぬが、そいつを手をつけて直していくにしても、それは数千億という財政の赤字には大したことはないんだと。したがって、どうしてもこれは増税を考えざるを得ないというようなお考えのようですね。その上に立って一般消費税を含む増税以外には財政を健全化していく方法はなかろうという姿勢のようですが、そこで来年度、一般消費税はこれは来年の間に合わないですか、どうですか。
  203. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 日本の今後の財政を運営していくためには、御承知のとおり、だんだんとやっぱり歳出面の、福祉を中心とした、あるいは公共事業を中心とした経費が増高していくということは認めなければならない。そうするというと、いまの自然増収だけに期待をしておったのではとても歳入は間に合わないということで、税制調査会におきましてはいろんな増税、国民負担を増高していく手段を考えられて、その中の一つとして一般消費税についても考えなければならない、こういうことを提言されておるわけなんです。これをやっていくためにはどうしたって租税の面において、執行の面においても、あるいは制度の面においても、これは公平を期していかなければならない、こういうことを提言されておるわけです。そういうような方針に従いまして、これはいずれにしてもやっていかなければならないことでございますけれども、しからばこれを何年度にやるかということにつきましては、これは五十三年度から先の各年度においてそのときの実情、状況、そういったようなものを踏んまえてやっていくということでございまして、その点につきましては、さらにまた税制調査会でひとつ御審議を願うと、こういうことになっておる次第であります。
  204. 中村利次

    ○中村利次君 もうきょうは十月の末ですよ。予算編成までには幾らもないですよ。そうすると、一般消費税は五十三年度予算のうちに取り入れていく可能性もあるんですか。私は、これはやっぱり方法として検討して取り入れる可能性はあるけれども、五十三年度の予算にはその可能性はないと判断していたんですが、あるんですか、いまの大臣の答弁では。
  205. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) そこのところを今度税制調査会において審議をしてもらおうと、こういうことに相なっておるのでありまして、もう全然これはやらないんだとか、あるいはやるんだとかということは、今日まだそこまで決める段階にはなっていないと、こういうことと思います。
  206. 中村利次

    ○中村利次君 そういう答弁をなさるからおかしくなっちゃうんです、これは。もう五十三年度予算の編成まで期間ないでしょう、できるんですか、そんなの。税制調査会に答申をしてもらってやろうと言っても、税制調査会の答申はこの間出ている。そしてその中には一般消費税が入っておるけれども、少なくとも五十三年度にはこれは間に合わない。総理だってそう言っているのに、大蔵大臣が力むことないじゃないですか。そこから入らないと、もう時間がなくなったからあれなんだが、これは余り大蔵大臣が力んでがんばらないで正直に言ってくださいよ。つじつまの合わない答弁だけはしないでくださいよ。
  207. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私はつじつまが合わぬとは思っておりません。税制調査会が、これをどの程度どこまでいつ取り上げるかということについては、さらに税制調査会において審議をしてもらうと、こういうことになっておりまして、総理が、私はこれはやめたんだということはお聞きしておりませんが。
  208. 中村利次

    ○中村利次君 やめたとは言っていませんよ。  大蔵大臣、それは時間が終わればしり切れトンボになって、それでおしまいになるかもしれませんがね。やっぱり大蔵大臣は責任ある方ですから、ですから総理だって何も一般消費税をやらないとおっしゃっているのじゃなくて、これは大いに検討をするんだが、目先の五十三年度の予算編成にはこれはやっぱり間に合わない、五十三年度の予算編成には盛り込まれない、そういう意味ですよ。そうでしょうと聞いているんですよ。
  209. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私は、総理も五十三年の税制改正一般消費税は取り入れないんだということを、こういうふうにおっしゃっておるようには聞いておりません。
  210. 中村利次

    ○中村利次君 まあ水かけ論ですからね。これは私は五十三年度には間に合わない、はっきりもう幾らもしないで答えが出るんですから、そういうのを、何だかやっぱり国会というところはタヌキとムジナみたいになまくら問答をやっておるから、だからおかしくなるんですよ、日本の政治が。だから、お答えにならないのは結構です。しかし、これはやっぱり政府の姿勢が正直にならないと——影響があるようなことはおっしゃらなくてもいいですよ、しかしそんなのは何の影響もないんですから。  いろいろ増税について、あるいは税制の不公正の改善の問題についてお聞きしたかったんですが、時間が来ましたから、最後に、これは大蔵大臣をほめるんですよ。まあ大変ないつも話題になります医師の優遇課税の問題について、自民党の党内にもいろいろ問題があるようだし、これは私ども政府ばかりを追及をしていいものだとは思いません。やっぱり正直言って、各党ともこれに対しては国民的な立場でどう対処すべきか、そこへ行くとこの間の、閣僚で大蔵大臣や厚生大臣がこの是正について意欲を示されたというのは、新聞報道によってそれが正しければ評価をしますが、本当にこれはやりますか、またできますか。いまのいろんな党内事情等も含めて、意欲だけじゃなくて可能性等についてお伺いをして、もうしょうがないです、次の機会に譲って、私の質問を終わりにします。
  211. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) この社会保険診療報酬の課税の問題でございますが、もう数年にわたりましてこれは是正していかなければならないということを税制調査会が答申をしてきておるわけなんです。これは私は税制調査会の今日までの努力というものを尊敬し、敬意を払っておる。私もまたこれを実現していきたいということを念願しております。しかし、私の力だけでもっては、これはできることかできないことか、私がここでできるということを言えとおっしゃられましても、できるできぬということは皆さん方の御協力を得るか得ないかというところにかかる問題だと私は思う。ぜひともそういうふうに御協力、御理解をお願い申すのが、私も一生懸命になります。
  212. 中村利次

    ○中村利次君 大臣は努力されるわけですな。
  213. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) そうです。私一人だけじだんだ踏んだところでどうにもなりませんから、皆さん方の御協力を切にお願い申す次第です、この機会に。
  214. 野末陳平

    ○野末陳平君 それでは御協力申し上げる意味で、ぼくもいわゆる医師税制の特例について質問しますが、初めはひとつおさらいですから、この特例措置が創設された昭和二十九年の当時と現在と、おさらいの意味で比較した数字をそちらに教えていただきたいと思います。  まずこの措置によります減収額ですね。減収額が昭和二十九年と現在と、途中はある程度飛ばして結構なんですが、どのくらいふえて、当時の倍率でどのくらいになっておるかというようなこと、先に教えてください、おさらいですから簡単に。
  215. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 節目節目を拾って申し上げます。  二十九年度の減収見込み額は十二億円、当時の特別措置によるグロスの減収額は五百十四億円、二・三%でございます。四十年の本措置による減収額が百三十億円、その時点の特別措置によるグロスの減収額が二千二百八十二億円、五・七%でございます。五十二年度予算ベースでは減収見込み額が本措置によりまして一千八百九十億円、五十二年度予算ベースでの特別措置によるグロスの減収額は八千四百億円でございますので二二・五%ということに相なります。
  216. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますと、五十二年度におきましては二二・五%ということは約四分の一、もちろん弱ですが、全体の租税特別措置における減収額の中でこの特例が占める比率というのは相当大きいということはもう当然わかるんですがね。このお医者さん——お医者さんと言っても勤務医とかいろいろありますから、ここではもちろんこの適用を受けているお医者さんですけれども、お医者さん一人当たりに直しますとこの減税額、これはどういうふうに考えますか。
  217. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) ただいまの一千八百九十億円をベースにいたしまして、どの人数で割るかいろいろ議論があり得ると思いますけれども、一応私どもが税務統計で把握しております医療保険業の人員、いわば個人で医療保険所得を得ておられる方の人員、これが九万五千二百七人、約十万人でございます。一人当たりに直しますと約二百万円ということに相なります。
  218. 野末陳平

    ○野末陳平君 一人当たり二百万円を減税していると、この措置によって。これが地方税にはね返る部分地方税はどのぐらいと推定されますかね、まあ大ざっぱでいいですが。
  219. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 地方税にはね返ります分が自治省の計算で六百八億でございますが、そのほかに御承知のように事業税で社会保険診療報酬収入にかかわる所得は事業税が非課税になっておりまして、その減収額が二百十四億円と推計されております。合計八百二十二億円でございまして、これを最初に申し上げました人数で割りますと、一人当たり八十六万三千円、その両者を合計いたしますと、国税地方税を合わせまして一人当たり税額で約二百八十五万円の減税になっております。
  220. 野末陳平

    ○野末陳平君 これは特別措置ですからね、これだけあると言われればそれまでですが、どんな業界でも地方税含めて二百八十五万と、開業医一人当たりこれだけ減税されているというのはちょっとこれは優遇され過ぎだという感じがしますね。大蔵大臣、どうでしょうかね、優遇されているんじゃないかと。
  221. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 優遇されておると思います。
  222. 野末陳平

    ○野末陳平君 これは常識ですね。ところで、この税調の答申をずっと見てみますと、ここに書いてあることが、いわゆる医療保険業の一人当たり平均所得が給与所得者、つまりサラリーマンの平均収入と比べて四十七年の税務統計では約四倍になっているということなんですが、もちろんもうそこから五年もたっていますが、このサラリーマンとそれからこの保険医の一人当たりの平均所得、これをちょっと当時と現在とを比較してみたいと思うんですよ。そこで、このお医者さんの一人当たりの所得は二十九年幾らぐらいで、現在は幾らぐらいで、一体どのくらい倍率で伸びているか、まずそれを言ってください。
  223. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 国税庁で調べました数字を申し上げますが、まずお医者さんの方の事業所得でございます。昭和二十九年には四十二万円でございます。それから昭和四十年には二百二十二万円、一番新しい昭和五十年につきましては一千二十五万円と、こういうふうになっております。したがって、伸びで申しますと、二十九年を一〇〇といたしますと昭和五十年は二四四一と、こういうふうになっております。
  224. 野末陳平

    ○野末陳平君 ということは二十四倍ということですね。
  225. 水口昭

    政府委員(水口昭君) そうでございます。  それから次にサラリーマンでございますが、サラリーマンの場合は所得税法上の給与所得の金額ではなしに、平たく言えば税込みの給与所得の年額というふうにお考えいただけばいいと思います。ですから給与控除をしない金額です。それで申し上げますと、昭和二十九年には二十六万円でございます。それから十年余りたって昭和四十年で申しますと五十八万円でございます。それから新しい昭和五十年で申しますと二百二十三万円と、こういうふうになっておりまして、指数で申しますと大体八・五倍程度と、こういうふうな伸びを示しております。
  226. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで税調のさっきの数字に戻るんですが、二十九年と比べてお医者さんがぐっと伸びてサラリーマンが余り伸びが悪いと、別にひがみっぽく言うわけじゃないんですけれども、二十九年は四十二万円と二十六万円でしょう。サラリーマン二十六万円、お医者さん四十二万円。そうするとお医者さんはサラリーマンの約一・五、六倍という所得ですね。現在、五十年でいけば今度はお医者さんが一千二十五万でサラリーマンが二百二十三万、そうすると約四・五、六倍ですね。要するに、少なくも一人当たりサラリーマンよりもお医者さんの所得は四・六倍であると、こういうことですね、いまの話ですと。
  227. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 単純に計算いたしますとそういうことになりますが、さっきお断りいたしましたように、お医者さんの方は事業所得の金額である、それからサラリーマンの方は平均収入の額である、若干前提が違いますが、倍率を計算すればそういうことに相なります。
  228. 野末陳平

    ○野末陳平君 もちろん、これを同列に比較するんじゃありませんが、いまの出された数字でいくと、つまり税調の約四倍開きがあるということのこれが裏づけですね。  そこで、この税制によっていわゆるお医者さんの所得水準について配慮を行ったのがこの特別措置ですよ。当時は、二十九年ごろは当然それが必要だったわけですが、いまの数字幾つか並べていただいただけでも非常にもう社会の実情が違っているということは言えるわけですから、そこで果たしてこのまま所得水準のめんどうを、つまり所得水準について配慮をこの特別措置がしていくかどうか、これは考えてみればおかしいということになるんでしょうが、いままではおさらいで、この先についてひとついろんな大臣の見解を伺いたいわけですよ。  厚生省に来てもらっていますが、参考までに、厚生省の統計による国民医療費の伸びとそれから診療報酬の支払い額の伸び、伸びというか、額でもそれはいいんですが、当時と比べて、いまのように、二十九年の数字あるかどうか知りませんが、現在とちょっと比べて伸びを教えてください。
  229. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 国民医療費の伸びを一概に比較するのは大変むずかしゅうございますが、疾病構造の変化とか医学の進歩等がございましたので。単純に比較いたしますと、国民医療費につきましては昭和二十九年度は約千百五十二億円でございました。これが昭和五十年度になりますと約六兆四千七百七十九億円になりまして五十六倍という数字になっております。  それから、診療報酬支払い額でございますが、これは政府管掌健康保険におきます診療報酬支払い額につきましては、昭和二十九年度は三百四十七億円でございました。これが昭和五十年度になりますと一兆三千四百七十一億円でございまして、三十八倍ということになっております。
  230. 野末陳平

    ○野末陳平君 時代がいかに変わっているかということですけれども、この診療報酬の支払い額の中に占める薬代ですね、お医者さんは薬を水増し請求したとか薬浸しとかいろいろ言われていますが、そういうことを言っているんじゃないんです。大体どのくらい支払い額の中で薬は占めていますか。
  231. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 診療報酬に占めます薬剤費の割合でございますが、政府管掌健康保険につきまして毎年実施しております社会医療調査というのがございます。これによりますと、昭和五十一年は三七・三%でございます。
  232. 野末陳平

    ○野末陳平君 ここからが私の興味のあるところでして、いま一応厚生省の方は診療報酬の支払い額の中で薬は三七・三%と。大蔵大臣、そういう数字ですが、医師会、武見さんあたりに言わせると数字が違うんです。  日医ニュース、これは保険の場合の必要経費の七二%は当然であると。それはいいですよ、当然であるというのもいいんですが、この内訳を見るとかなりずさんな数字なんですよね。ずさんかどうかをこれから質疑によっていろいろ聞いていきたいんだけれども、武見会長はこう言っているんですよ。薬品代が四〇%から四五%かかっておると、それから人件費その他で三〇%が必要である。ですから必要経費七二%は当然、七五%ぐらい欲しいんだけれども、ということを言っているわけです。この日医ニュースに書いてある。  そこで、いまのは三七・三%と言いましたけれども、これを比較する気はありませんよ。これを比較するんじゃなくて、この薬品代が果たして四〇%から四五%も、全医師の保険でやった収入の四〇から四五%もかかるかどうかということで、ぼくは臭いと思っている。臭いわけだ、当然かなりずさんな数字−武見さんもなかなか、ときどきいいかげんなことを言うからね。  そこで厚生省、ここから聞きたい。請求の際にお医者さんがこの薬の単価と掛ける点数、単価というのは薬価基準ですね。ここで請求するいわゆるそちらで決めた、厚生省で決めた薬価基準の方式ですけれども、決め方ですね。バルクライン九〇の方式、これをちょっと簡単に説明してください。そうすると、これから実際の薬価や何かのことでもって武見さん、あるいは医師会の出している数字がとうてい常識では考えられないという意見を言いたいと思うんで、バルクラインを簡単に。
  233. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 九〇%バルクライン方式と申しますのは、一口に言いまして九割までが、薬の総量の九割までが買える値段ということでございます。
  234. 野末陳平

    ○野末陳平君 九割までが買える値段というと、基準がここにある。基準が九割ということは、上に少しある、下にある。つまり中をとるんじゃなくて、九〇に線を引いて、これが薬価基準ということですね。ということは、薬を買う場合に、同じ薬が安くも買える、買い方によっては。しかしそんなに安くない場合もある、少々高い場合もある。いろんな値段をとってその九〇に線を引いてこれが薬価基準だと、こういう決め方です、そうですね。  そうしますと、ここで厚生省にはっきりお伺いしておきたいんですが、お医者さんが請求するのは薬価基準でもってお金が来るわけですね。ところが実際に薬を仕入れるというか、買うというのは、いろんな買い方があって、少なくもバルクラインで九〇ということになると、それ以下の薬についてはここに相当の開きがある。つまり仕入れの実額と請求してそちらからもらう金とは開きがあるということは言えますね。そうですね。
  235. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 医薬品の価格と申しますのは、包装形態とかあるいは購入の数量あるいは地域的条件によりまして、同一製品でも差はあるわけでございます。したがって、現在は九〇%バルク方式によって算出しておるわけでございますので、この方式による以上、若干の差益はあるということは言えると思います。
  236. 野末陳平

    ○野末陳平君 さて、この若干の差益ということになった、この若干が問題なんですが、ともかく差益が現実にあるとなれば、これはどうなんですかね、税の上から見てこれは差益なんだから、やつ。はり所得ということになるでしょうね。
  237. 水口昭

    政府委員(水口昭君) お医者さんの場合に、大多数のお医者さんは社会保険診療の部分があるわけでございます。それからわずかでございますが、租税特別措置法二十六条の適用を受けないお医者さんもいらっしゃるわけなんです。それから適用を受けるお医者さんでも、自由診療分は租税特別措置の適用を受けないわけでございますね。  それで、二十六条の適用を受けない方でございますが、これは所得税を計算する場合には、お医者さんの収入金額から必要経費を引くわけでございます。その場合、必要経費に入る薬代というのは基準価格ではなしに、実際にお医者さんが仕入れられた薬の価格、これをもって計算するわけでございます。
  238. 野末陳平

    ○野末陳平君 いわば実額だ。実勢価格。
  239. 水口昭

    政府委員(水口昭君) はい。ですから、安く薬を仕入ればそれだけ所得はふえる、こういうことになります。  それからもう一つ、社会保険の方でございますが、適用を受ける方でございますが、これは御承知のように、租税特別措置法二十六条によって昭和二十九年以来必要経費といいますか、七二%というふうに決まっておるわけでございます。したがって、薬の基準価格と実勢価格が差がありましても、それとは関係なくといいますか、引かれる部分が決まっておると、こういうことになっておるわけでございます。
  240. 野末陳平

    ○野末陳平君 そのとおりで、引かれる部分は決まっている。しかし、現実に差益があればこれは税の上からは一種の所得なんでしょう、ということになるんでしょう。
  241. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 先ほどお答えいたしましたように、自由診療等につきましては、まさにそれは所得になるわけでございますが、社会保険分につきましては、法律でもって別途七二%という数字が決まっているものでございますから、関係がないと言った方が正しいかと思います。
  242. 野末陳平

    ○野末陳平君 わかった、わかった。要するに、じゃこうだ、医師会が言っている四〇から四五%かかると言っているけれども、これはいわゆる薬価基準ベースであって、税の上ではもうこのままだ。適用を受けるからこのままで認めていると、そういうことですね。ぼくの方は、現実に仕入れのときは安く買えて、しかも、安く買えないまでも九〇で線引いている以上、ここに差益が若干はあると、これをどう考えるかと聞いたわけで、税の上ではいまはそんなものは問題にしてないわけですよ。しかし、現実にはお医者さんとしては薬を仕入れて患者に薬を渡す、この渡す操作の過程で差益があるらしいというのはわかるんでしょう。ここを言っているんです。これを、いまは現行法では何ら税の上では対象にしてないけれども、そういう答えでしょう。だから対象にしてないのはわかるけれども、現実にはこういうのは所得なんでしょうと言うんですよ。
  243. 水口昭

    政府委員(水口昭君) ですから、租税特別措置法の二十六条なかりせば、全部が自由診療分と同じようなことであるならば、これは当然所得になるということです。
  244. 野末陳平

    ○野末陳平君 わかりました。なかりせば所得になるけれども、あるからね。所得と認めてなくて、あるいは認める必要もなくてまけているということになるわけですね。  問題は、厚生省にお聞きしたいんですが、あなたも御存じのとおりだ。薬価の見直しをやらなきゃならぬということは、当時、いまの薬価基準を決めた四十九年ころからますます薬は下がっているわけですね、実勢価格が。それはおわかりですね。当然これから直さなければいかぬと思っているのだから。
  245. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 薬価基準につきましては、中央社会保険医療協議会におきまして年一回薬価調査をやる。その実勢価格を反映するということになっておりますけれども、正確には年一回、少し延びておりますけれども、これは下げております。今回銘柄別収載いたしまして、十一月一日告示の予定でございますけれども、今回の薬価調査の結果で約五・八%下がることになっています。
  246. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで、この薬価の見直しはこれから出るんでしょうけれども、いままでくどくど言ってきたことは、お医者さんたちは七二%必要経費はこれは当然であって、その内訳を言うなら四〇から四五%が薬品代だと、こう言っているんですが、現実にはそれは薬価基準ベース、請求するベースであって、自分が仕入れるのは安く買える、幾らでも買えるわけですから相当差がある。あなたは若干の差益であると、こういうふうにお答えになったけれども、この差が若干かどうか、ここが実は問題なんですよ。あなた若干ってどのぐらいの差益だと見ているんですか。
  247. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) これも中央社会保険医療協議会におきまして、医療経済実態調査というのをやっておるわけでございますが、昭和四十五年の医療経済実態調査によりますと、約三〇%という数字が出ております。しかし、その後三回の薬価基準の引き下げがございまして、その後の数字につきましては、五十一年の医療経済実態調査をやっておりますけれども、いま集計中でございますので、その三回分下げました薬価の影響がどう出てきておるか、これはまだ集計の結果が出るまでわかりません。
  248. 野末陳平

    ○野末陳平君 ということは、わかっている範囲ではちょっと古い数字だけれども、薬価基準と実際の仕入れのところ三〇%ぐらいということですね、そういう意味だったね、いまの。
  249. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 昭和四十五年の古い社会医療調査でございます。
  250. 野末陳平

    ○野末陳平君 古過ぎるな。それからずっと下がっているのは御存じのとおりで、これ時間もないから、具体的なそちらで決めている薬価基準と、それからお医者さんがたくさん使っているいろんな品目、これを一体薬価基準に幾らで、現実には幾らで買えてというようなの、これはあしたやります。もう時間がなくなっちゃった。大蔵大臣せっかく来ていただいたけれども、ですからあした別の委員会で実例に基づいてやりますが、ぼくの言っているのは、薬価基準ベースで四O−四五%というけど、若干の差益というものが現実にあるわけだ、厳として。それを全然隠していい数字を出すというのはよくないということですよ。それでその若干がどのぐらいかということを言いたいわけで、四十五年で三〇%というから、このままでも……。  大蔵大臣にお聞きします。要するに、七二%の特例が確かに必要だったんだろうと思いますよ、その二十九年。時代は大きく変わって、税調の答申にもあるとおり、いままでの実情から言って、社会保険について税制により一定の所得水準の維持を図るという考え方はその社会的経済的素地を失っていると言えるとはっきり税調も言っている。これが恐らくいわゆる前段でそちらから出していただいた数字関係あるところだと思うんです。ぼくの方は、お医者さんが七二%であたりまえだと言っているその内訳に、薬を四〇−四五%と言っているが、この中に差益があるのにもかかわらず、実際に購入する額と請求してもらう額との間に差益があるにもかかわらず、それについては触れないでこれを主張しているんで、この彼らの言う七二%の必要経費率というのはかなりいいかげんだという結論なんですよ。わかります、大臣
  251. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) なかなかむずかしい計算のようでございますけれども、御意見のように、結論としてはそういうことになろうと思います。
  252. 野末陳平

    ○野末陳平君 もう時間ないんで、まだ聞きたいこといっぱいあるんですがね、税調の答申の方に移りましよう。  これ大臣にお聞きしますが、収入階層によって控除率を決めておりますが、ここに七二という現行数字も出ている。ところが五二%という数字が出て、これは五千万円超の部分には五二%控除率適用と、こういうふうに税調は答申しておりますが、この五二という数字ですな、どういう根拠で言ったか知らないんですが、この税調の前置きを見ると、社会保険診療の実態に近い概算的な実際経費率という言葉がありますから、多分この五二あたり、あるいはそれ以上の五七か何か、この辺が実際経費率なのかなと、こう思うんですが、そう見てもいいでしょうか。
  253. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 午前中糸山委員にお答えいたしましたとおり、私どもとしては五二%という控除率は、私どもの方での調査によります平均的な経費率にほぼ近いものという前提でこの答申がなされたものと理解いたしております。
  254. 野末陳平

    ○野末陳平君 ほぼ近いということは、現在七二%必要経費を認めているということとはずいぶん差がありますね。どういう根拠でその五二を出されたか知りませんが、ぼくはこの差は、いま言ったように、大蔵大臣、あなたが肯定していらしたけれども、実際に請求してもらうお金と、それで払って仕入れる額が余りにも違うんですよ。薬はどんどんダンピングしているもんで、これが一括大量購入あるいは現金問屋あるいはその他の買い方がありますがね、どんどんどんどん薬価基準の単価が下がって買えるわけです、下がったところで買える。だからこれは——あしたやりますから。  結論は簡単なんだよね。要するにぼくはこれでも足りないと思っている。税調のこの答申の収入階層別の控除率は、これずさんだと思う。この累進税率はかなりいいかげんじゃないかと、ずさん過ぎるんで、これは相当妥協案じゃないかと思いますが、これでも足りないんだが、せめてこの程度は五十三年からやらないとだめですよと、その根拠として、医師会が出している数字は違うんですよと、彼らが必要経費七二を主張するが、その根拠というのはそれほど確実なものじゃないということを言いたいんですが、どうですか。そんな気しませんか。
  255. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) この控除率を一本で決めるというところに非常に問題があろうと思うんですよね。五二のものもあればそれより下のものもありますというようなことで、いま分析なされたように、そういったような一本で決めたものを分析いたしますと、おっしゃるとおりです。これで十分、これでもって解決がつくという問題じゃありませんけれども、そう一々控除率を決めていくというわけには法律ではいきません。しかるべきことでもって決めていかなければならない。それにつきましては、いろいろと御批判もあろうと思いますが、そういうことでございます。
  256. 野末陳平

    ○野末陳平君 最後。  そうしたら一つだけ大臣に聞いておきますが、この答申は、まあこのとおりそちらが尊重しておやりになるかどうか知りませんよ。しかし、五百万とか千五百万でもって線を引いているんですね。そして控除率も五%刻みになっているが、もう少し刻み方が細かくてもいいんじゃないんでしょうかと、それは、この階層にどのぐらい医者がいてというところのデータがないから、それはちょっといまぼくの方もはっきり言えませんけれどもね。これは少なくもぼくは不満なんですよ、これでも。だけども大臣としてはこの程度でもさっき言った、実現の意欲ということをさっきから強調されたが、これを言っているんですか。この程度のもであればよろしいと、これを実現したいということを頭の中では具体的にお考えで言われているのか。それだけを最後にして、あしたありますから、あしたに回しますよ。
  257. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) これもけさほど当委員会でお答えいたしましたとおり、今回の税制調査会の答申では、社会保険診療報酬に対する課税特別措置については廃止すべきであり、少なくとも昭和五十年度当調査会が答申した具体案を早急に実施に移すべきであるというふうに言われておりますので、ただいまお示しになりました五十年度答申にございますかなり粗っぽい段階控除率というものが検討の基礎とされるということは申し上げられると思います。
  258. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 本日の調査はこの程度といたします。     —————————————
  259. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 次に、一般会計の歳出の財源に充てるための産業投資特別会計からする繰入金に関する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。坊大蔵大臣
  260. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) ただいま議題となりました一般会計の歳出の財源に充てるための産業投資特別会計からする繰入金に関する法律案につきまして、その提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  昭和五十二年度補正予算におきましては、財政の節度を維持しつつ、公共事業費等の追加を行うため、それに必要な財源の一部については、特別な財源措置により確保することといたしております。  その特別な財源措置内容は、北海道東北開発公庫、日本開発銀行及び日本輸出銀行の国庫納付金の増額が見込まれること等により、産業投資特別会計に生ずる余裕金を同特別会計から一般会計へ繰り入れようとするものであります。しかしながら、現在、産業投資特別会計法におきましては、この余裕金を一般会計へ繰り入れる道がありませんので、今回、昭和五十二年度の特例措置として、その道を開くため必要な立法措置を講ずることとした次第であります。  この法律案内容は、一般会計の歳出の財源に充てるため、昭和五十二年度において、産業投資特別会計から、約千五十八億円を限り、一般会計に繰り入れることができることとするとともに、当該繰入金に相当する額は、同特別会計の積立金の額から減額して整理するものとし、当該繰入金は、同特別会計の歳出とすることとするものであります。  以上が、この法律案の提案の理由及び内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  261. 嶋崎均

    委員長嶋崎均君) 本案に対する質疑は次回に譲ることといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十一分散会      —————・—————