運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-11-17 第82回国会 参議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十七日(木曜日)    午前十時十五分開会     —————————————    委員の異動  十一月一日     辞任         補欠選任      田中寿美子君     竹田 四郎君  十一月十五日     辞任         補欠選任      下条進一郎君     藤川 一秋君  十一月十六日     辞任         補欠選任      藤川 一秋君     下条進一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         楠  正俊君     理 事                 熊谷太三郎君                 福岡日出麿君                 対馬 孝且君                 安武 洋子君     委 員                 岩崎 純三君                 大谷藤之助君                 下条進一郎君                 中村 啓一君                 林田悠紀夫君                 小柳  勇君                 竹田 四郎君                 森下 昭司君                 馬場  富君                 峯山 昭範君                 市川 正一君                 藤井 恒男君                 柿沢 弘治君    国務大臣        通商産業大臣   田中 龍夫君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       倉成  正君    政府委員        公正取引委員会        委員長      橋口  收君        公正取引委員会        事務局取引部長  長谷川 古君        公正取引委員会        事務局審査部長  野上 正人君        経済企画政務次        官        森  美秀君        経済企画庁調整        局長       宮崎  勇君        経済企画庁調整        局審議官     澤野  潤君        大蔵大臣官房審        議官       渡辺 喜一君        大蔵省国際金融        局次長      宮崎 知雄君        通商産業政務次        官        河本嘉久蔵君        通商産業大臣官        房審議官     山口 和男君        通商産業大臣官        房審議官     松村 克之君        通商産業省通商        政策局次長    花岡 宗助君        通商産業省貿易        局長       西山敬次郎君        通商産業省産業        政策局長     濃野  滋君        通商産業省立地        公害局長     左近友三郎君        通商産業省基礎        産業局長     天谷 直弘君        通商産業省生活        産業局長     藤原 一郎君        工業技術院長   窪田 雅男君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        資源エネルギー        庁石油部長    古田 徳昌君        資源エネルギー        庁公益事業部長  服部 典徳君        中小企業庁長官  岸田 文武君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        北海道開発庁計        画監理官     大西 昭一君        国土庁計画・調        整局計画課長   星野 進保君        大蔵省関税局輸        出課長      村本 久夫君        厚生省環境衛生        局乳肉衛生課長  岡部 祥治君        厚生省環境衛生        局参事官     三井 速雄君        厚生省社会局老        人福祉課長    末次  彬君        厚生省児童家庭        局母子衛生課長  佐々木輝幸君        農林省農林経済        局貿易関税課長  中島  達君        農林省畜産局牛        乳乳製品課長   中島 圭一君        農林省畜産局食        肉鶏卵課長    甕   滋君        海上保安庁警備        救難部長     久世 勝巳君    参考人        日本銀行理事   中村  進君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (円高に伴う諸施策に関する件)  (構造不況問題に関する件)  (中小企業不況対策に関する件)  (石油備蓄基地立地等に関する件)  (灯油価格等に関する件)  (廃油等輸出問題に関する件)  (牛乳の不公正取引に関する件)  (ナフサ価格問題等に関する件)  (貿易収支大幅黒字に伴う緊急輸入対策に関  する件)     —————————————
  2. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査のため、本日、日本銀行役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 小柳勇

    小柳勇君 先般、予算委員会国際貿易の問題を若干質問いたしましたが、時間が足りませんので、きょうわずかの時間ですけれどもいただきまして、補足の質問をやらせていただきます。  特に円高問題が予算委員会のときよりなお一層厳しくなりました。国際的にも日本対策に対する不満感があるようでありますし、国内的にも、一体福田内閣はどうするのかと、そういうような不満なり焦りがあります。したがって、きょう通産大臣なり経済企画庁長官、あるいは日銀からも役員の方に来ていただいておりますが、緊急を要する問題なり根本問題を若干質問いたします。その後、時間がありますれば、産業構造の大きな転換を要するもの、あるいは中小企業対策で緊急を要するもの、そういうものを、時間を六十分いただきましたので、重要問題を拾い上げながら質問いたしたいと存じます。  まず円高問題が、昨日も二百四十五円台に上がってまいりました。先般の予算委員会でも内閣全体の対策なりは聞きましたけれども、一向に円高の厳しさが鈍くならない。まず、通産大臣はこの実態をどう把握しておられるのか。具体的には、この二百四十五円台というのがこれからしばらく続くとお考えか、あるいはそうでないとお考えかお聞きをいたします。
  6. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 実態なるものは、いつも申し上げておりますように、アメリカ貿易収支の赤と日本経常収支の黒と、そういうことにさらに投機的な要因も加わっておると存じますが、ただいま御指摘になりました二百四十五円というこのラインが続くか続かないかということに対しまして、私どもは、現時点の非常に深刻な実態というものをそのまま受けとめて、そうしてこれが対策を講じておるのでありまして、もちろんこれがどの程度続くかということも、私どもには申し得ない実態でございますが、何はともあれ非常に変動がありますことはわが国貿易立国中心といたしておりまする国柄から申しまして、まことに重大なことであり、これが対策には万全を期さなきゃならない、かように考えておるのでありまして、政府におきましても、御案内のとおりに十一月の四日の閣議におきましても、対策を特に格段に行うように総理からも指示がございましたし、われわれも、私ども守備範囲といたしましては、黒字の少しでも解決ができますように、金融の問題につきましては、備蓄その他を初めといたしまして諸般の検討をいたしておる次第であります。  また、現実の問題といたしましても、日々手は打っておるわけでありまするが、しかし膨大な数量でもありますので、これにつきましては政府は挙げてこれに取り組んでおるような次第でございます。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 経済企画庁長官にお聞きしますけれども、これ、けさの日経新聞ですが、「一ドル二四〇円レートならカラーTV除き全滅」と、こういうような見出しで輸出商品採算調査した実績が出ています。二百四十五円台ではほとんども採算がとれなくて、企業が成り立たないという実績が出ておりますが、いま通産大臣見通しについて非常に暗いようであると、対策をいろいろ考えているようでありますが、対策は後で聞きますが、経済企画庁としては、この二百四十五円などという円高レートが、一時的なものであると判断しておるのか、当分続くと考えておるのか、その点だけを答弁してください。
  8. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私の立場でいま何とも申し上げることはできません。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 通産大臣はどうですか。
  10. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまお答えを申し上げたとおりでございまして、私どもはこれらの変動相場制でございまする為替レートにつきましては、ただそれを踏んまえましてわが国産業経済の上に悪影響が少しでも少ないように、全力投球をいたしておる次第でございます。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 経済企画庁の方でいま見通しが述べられないという理由と、それからそれでは一体何にもしないでよろしいと考えておるのか、何か対策考えておるのか、どちらですか。
  12. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 御案内のとおり、今日の円高背景は、先ほどから通産大臣が申しましたように日本貿易収支、また経常収支の大幅な黒字、また同時にアメリカ貿易収支の大幅な赤字、この背景には石油輸入増大というものがございますが、そういうことが背景になっております。したがって、私どもとしては、急激なこういう変化というのは好ましくないと考えております。できるだけ貿易経常収支の均衡が図られるような努力、また緊急輸入等についても最大の努力をするということは、先般予算委員会総理からも申し上げたとおりでございます。また、アメリカに対してもドルの価格が、基軸通貨として安定していくように協力を求めていくと、こういう姿勢でございます。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 日本輸出産業というのが二百四十五円台ではもうやっていけないというのが五割以上という調査です。政府の方でも調査していると思うんですけれども、これは新聞社の緊急の調査ですが、政府に対する対策をいま非常に不満がっている。まあこれは新聞ですから一方的に取り上げるわけにまいりませんけれども日銀の方でも「〃黒字無策〃を批判日銀円高介入にいずれ限界」があると、こういうような記事も出ています。もちろん新聞記事だけで云々いたしません。ただ、せっかく商工委員会で後、貿易収支の問題なり、あるいは黒字減らしなり、具体的に論議するのに、もう少し腹を割った質疑なり答弁を聞きませんと一論議できないわけですね。ただもう形式的なそういうものでは済まないと思うわけです。具体的な政府対策はじゃ後で聞きますが、日銀としてはここ二、三日特別に意を用いて、円高を抑える方向対策をお取りになっておるようでありますが、この当面の円高の問題をどうとらえておられますか、御答弁願います。
  14. 中村進

    参考人中村進君) その問題に対しまして、私ども為替市場運営態度というものをまず申し上げさしていただきたいと存じます。  私ども相場運営態度は国際的な合意に基づいた線に沿ってやっているわけでございまして、為替相場につきましては、基本的にはそのときどきの需給によって決まってくるところにゆだねるわけでございまして、人為的にある特定の水準を維持させるとか、あるいはそちらの方向に誘導するというようなことはいたしておりません。しかしながら大量の投機資金が流入するような場合には、これを抑える必要がありますので、その場合には私ども適宜介入をいたしているというのが現状でございまして、このことはずっと以前から一貫した態度でやっており、今後もそうした態度で臨んでいきたいというふうに思っております。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 国内的なものと、国際的に何か輸銀なり、あるいは開銀なりその他銀行筋を通じながら、国際的にこの円高を若干でも抑える方向日銀としてお考えになったことございますか。
  16. 中村進

    参考人中村進君) その点につきましては、日本国際収支現状とか、それからさらにいまの大幅な黒字を、どうやって縮小しようと努力しているかということを海外諸国によくPRすることが必要だと私ども思っているわけでございます。私ども海外国際機関といろいろ取引関係もございますし、また外銀在日支店と五十六行も取引関係があるということで、海外国際機関中央銀行、それから市中銀行の方がよくお見えになります。そういう人に対しましていろいろと日本実情説明いたしておりますし、また海外金融センターに私ども駐在員事務所を設けておりまして、そういうところを使いまして、それぞれの中央銀行なり、あるいは報道機関なりへの説明も行っております。それからいろんな国際会議におきまして、たとえばIMFの場とか、あるいは中央銀行総裁会議であるBISの場をかりまして、日本実情説明しているのでございます。その中心となりますことは、日本は確かに大幅な黒字がいまは出ているけれども、まあ一生懸命それを減らそうという努力を行っているんだと、ただ、それにはやや時間がかかるので、しばらく様子を見てもらいたいということを中心に、日本事情をよく説明いたしているのでございます。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 地方銀行代表者会議などをお開きになっておるようでありますが、地方における円高による企業の倒産なり、あるいは企業不振なり、そういう実態に対してどのように把握しておられるか。後で政府対策も聞きますけれども、たとえばこれが二カ月あるいは三カ月ぐらいで大体推移すると、たとえば二百七十円、あるいは八十円になるというような見解であるのと、あるいはこれ半年ぐらい続きますよと、あるいはもっと円高になるかもわかりませんというような日銀筋の見解があれば、また地方銀行会議などでも別の話も出ると思うんですけれども、そんなのを含みながら、地方における円高による産業実態についてどう把握しておられますか。
  18. 中村進

    参考人中村進君) 最近の円相場の急速かつ大幅な上昇ということが輸出産業、特に中小企業にどういう影響を与えるかということは、私ども深甚な関心を持って常時ウオッチしているところでございます。確かに最近のように円高になりますと、輸出産業、特に競争力の弱い中小企業におかれましては、かなり困難な問題に直面されているというふうに思うのでございます。私ども地方支店を動員いたしまして、先ほども触れましたように、常時実情を把握しているわけでございますが、その結果を簡単に申し上げますと、このように円高になりましても、価格を引き上げて輸出量を維持できるような競争力の強い産業というものは、自動車関連でございますとか、あるいは時計、カメラといったような、ごく一部に限られているようでございます。多くの業種におきましては、特に競争力の弱い繊維あるいは造船、金属洋食器、雑貨といったような業種におかれましては、かなりまあ輸出採算が苦しくなっているということでございます。しかも、中にはこういうような円高のために新規の商談がストップしているという例もあるようでございますし、また既契約につきましても値引きを要求されるとか、あるいは極端の場合にはキャンセルされるといったような例も間々あるように承知しているわけでございます。  以上が私どもの把握しております最近の円高中小企業への影響でございます。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 もう一問ですけれども日銀の方に聞きます。  それは、いわゆる産業構造による不況と、それから円高による経営不振とは違うと思います。もちろん対策も違いますが、産業構造による不況は、産業構造を改造していかなければ不況を脱出できないけれども円高による企業不振については、それだけの金を補助すればやっていけるわけです。したがって、いま差益差損の問題もありますけれども二つに分けて対策を立てなければならぬであろう。だから差益のある、円高によって益のあるところは、それだけ金がだぶつくわけですから、別な、どういう方法にかこれを消費者に還元するとか、あるいは一応銀行に何らかの方法で吸収するとか、それを、円高によって差損して不振になる企業の方に金を回せば、この企業はやっていけるわけです。こういう面で銀行筋として、あるいは日銀として、その対策を別途に考えなければならぬというようなことで、特に措置されることがございますか。
  20. 中村進

    参考人中村進君) いまの先生御指摘の、構造不況によるものと円高によるものと分けて考えるべきであるという御意見でございますが、確かに考え方としては、分けて考えるということが整理上都合がいいと思いますが、実際上はその辺かなり入り組んでいるところがあろうかと思うのでございます。  それから、円高によって利益を受けてるところから、差損をこうむってるところへ金を回したらどうだというお話でございますけれども、これはまあ私どもお答え申し上げる性質のものかどうか疑問に思うものでございますので、その点はお許し願いたいと思いますけれども、それではこういう事態に対しまして、日銀として何をやっているのかということをお答え申し上げたいと存じます。  まあ私ども、常日ごろ金融機関に対しまして、健全な経営を行っている企業が、資金事情のために行き詰まるというようなことがあっては決してならない、ということをよく指導いたしているのでございますけれども、最近相場円高になりましたのに伴いまして、私どもさらにその指導を強めているわけでございます。それからまた、まあ円高というふうな事態になりますと、どうしても企業として体質を改善をするとか、あるいは製品の高度化を図るとか、対応措置を要するわけでございますけれども、それにつきましては、金融機関に対しまして、業者と一緒になって知恵を出し合って新しい工夫を生み出すよう、つまり企業に対するよき相談相手になるよう、また強く要請しているところでございます。  なお、各地におきまして私どもは、現地の金融機関とか、あるいは関係各省の出先の方々と密接に連絡をいたしまして、その地区の企業金融の状況を迅速、的確に把握いたしまして、所要のいろいろなケースに応じた処置をとるよう配慮いたしているところでございます。  以上でございます。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 日銀の方はお忙しいようでありますが、最後でございますが、これから通産省なり経済企画庁施策を追及してまいりますが、この新聞でも、もう日銀介入円高を抑えるということは限界がございますよと、政府はもっと早く黒字減らし具体策を進めてくれと、速度を速めてくれというような希望があると、これはまあ新聞記者の推察でございましょうけどね。で、ちゃんと大臣おられますからね、日銀としていま、政府なりあるいは業界に対してどういうものを期待し、希望しておるか、お答え願います。
  22. 中村進

    参考人中村進君) 大幅な国際収支黒字を是正するための措置につきましては、もうすでに政府におかれまして、財政を中心として各般の措置が実施されておりますけれども、しかし、この景気振興による国際収支黒字幅圧縮というものにはかなりの時間を要するというふうに思われます。したがいまして、当面としては、輸入増大を図るための個別的な措置を、一つでも二つでもなるべく早く実施お願いできたら、というのが私どもの率直な希望でございます。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 じゃ、経済企画庁長官に。  先般の予算委員会後に、内閣の方で黒字減らし緊急経済閣僚懇談会お開きになりまして、緊急対策をお決めになったようであります。いま日銀からも希望がありましたように、輸入対策なりあるいは関税引き下げの問題など、いまどういうふうな実態にありますか、お答えを願います。
  24. 倉成正

    国務大臣倉成正君) わが国貿易構造は、御承知のように、OPEC諸国に対して大幅な赤字、それから先進国の場合には、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、こういう原材料を輸入する国々に対して大幅な赤字でございます。この赤字分をどこかで補っていかなきゃならないということで、結局対米あるいは対ECと、そういう国々に対してある程度の黒字が出てこないとわが国経済が成り立たないわけでございます。ただ、今日いろいろ問題になっておりますのは、円高の問題と同時に、先進諸国が非常に失業者が多い、そして不況があって、日本輸出のために失業者が出てきておると、そういういらいらが、非常に日本に対する風当たりとなってきておるのは御承知のとおりでございます。したがって、基本的には先ほど日銀からお話がございましたように、内需を拡大して輸入をふやしていくということが筋でございますけれども、なかなか輸入がふえない。輸出は数量的には伸び悩んでおるわけでありますけれども、金額的にふえておるというために、貿易収支に大幅な黒字が出ておる、また経常収支黒字が出ておるということでございますので、これらの問題についてやはり諸外国に、日本貿易構造日本経済という問題について、十分な理解を深めていくというのが基本的な姿勢でございます。  それと同時に、やはり関税については、東京ラウンドで、関税についての交渉が行われるわけでありますけれども、これらの問題を日本としては少し前倒しをして、東京ラウンドで一括して決められる前に、わが国としてはそういう関税引き下げや非関税障壁について、できるものはひとつ是正していくということで、日本が決して輸入について制限をしているんじゃないんだと、そういう姿勢をこれからは示していくことが非常に大事なことじゃなかろうかと、もっともこれは相手のあることでございますから、相手がどういう関心を持っておるかということについても十分検討してみる必要があると思いますけれども、そういう問題を、日本の国益を踏まえつつ、これからどういうふうにやっていくかというような問題について、関係閣僚会議検討を進めておるというのがいまの実情でございます。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 アメリカから通商交渉特別代表部法律顧問が参りまして、日本政策に対していろいろ話をするようであります。アメリカが言うからということより、むしろいまの日本貿易をどうするかということを主体として考えなきゃならぬと思います。たとえば円高だから急に目の色を変えましても、輸入問題などは解決できないことはよくわかりますけれども政府の方の施策後手後手といいましょうか、おくれぎみであると、この円高の問題が出ましたのは予算委員会のときじゃないわけですね。以前からそういう徴候がありました。春の予算委員会ごろから、福田総理ロンドン会議以降ずっとこういうような傾向がありました。政府施策速度の遅さもありますが、国際的なPRの面もあるのではないかと考えるわけですね。で、やったことを率直に諸外国に知らせると、こういう施策をやったと、そういう面もあるように思います。  通産大臣、さっきちょっとお答えになりましたが、具体的に緊急輸入については実績が上がっておるのかどうか、あるいはどういう指示をされたかと、こういう問題についてお答えを願います。
  26. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御案内のとおりに、先般政府の方といたしましては、閣僚会議によりまして、緊急輸入その他の具体的な処理方針を早急に推進するように決めますと同時に、また為替変動の緊急融資の活用ほか、国内的には十項目を定めまして、緊急対策を講ずる次第でございますが、同時に、ただいま先生がおっしゃいました中に、すでに委員会等で申し上げましたあるいはウランでありますとか、あるいは石油備蓄でありますとか、これらの問題を強力に進めつつありますことはすでに御案内のとおりでございます。同時にまた、この国内的な影響の問題と、それからもう一つは、ただいま御指示がありました国際的な一体PRをどういうふうにしておるのだということでございまするが、後段のことは私どものちょっと所管からは外れまするけれども、国内的な問題に対しましては、ただいまお話もございましたように、円高の当面の対策と、同時にまた構造不況の問題とが並行いたし、重複いたしておるようなことは当然出てまいりますので、これらの問題については、特にそのひずみのひどい中小企業、特に輸出産業等の問題につきましては、わが方といたしまして推進対策本部を設けまして、全国七十数カ所の実態調査をいたしまして、業種別、産地別にもいろいろなきめの細かい対策をいたしますと同時に、取引の内容から申しまして、円建ての取引の業界もあればドル建ての取引の業界もあり、おのおのこれも差が生じておる次第でございます。  かような問題につきまして、もし御指示がございますれば詳細に政府委員からお答えを申すことができます。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 政府委員から少し聞きましょう。
  28. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 円高の問題が中小企業産地に影響を及ぼし出しましたのは、大体六月ごろからでございます。その後七月、八月、九月と、私ども産地の実態調査を続けておりましたが、十月に至りまして特に円高影響が顕著になりましたので、再度係員を派遣をいたしまして、実態を把握をいたしました。それらの結果を振り返ってみますと、やはり円高になりましてから、まず影響があらわれましたのが受注の停滞ということでございます。バイヤーの方もこれからの先行きの見通しが立ちにくい。また輸出業者の方も採算がとりにくいということで注文が停滞しました。その結果として各産地では手持ち受注残がだんだん減少するという傾向があらわれてまいりました。なお一部には為替差損を商社だけではしょい切れなくて、産地に寄せてくるというような傾向も出ております。ところが八月、九月の段階では二百六十円相場がしばらく続いておりましたので、多少注文が出かけたものの、十月になりましてまた一段の円高によって、さらに輸出が停滞をするという形で推移をいたしました。産地におきましてはこれから生産計画を立てる上に一体どうなるんだろうか、また採算の面で一体どこまで下がっていくんだろうか、この辺が非常な不安に襲われておるという実情かと存じます。  私どもはさらに十月末の実態調査を行っておりまして、これは七十六産地を対象とした調査でございますが、その結果が近くまとめられるということになっております。中間的にいろいろ聞いておりますと、十月の受注の停滞というのがかなりはなはだしいということを聞いておるところでございます。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 ちょっといま意味違ったんですけれども緊急輸入などで黒字減らしの方の緊急輸入対策について、通産省どうでしたかという質問だったんですけれども、いまちょっと話が進みましたから、中小企業庁長官に重ねて聞きますが、不況業種十二業種だけでなくて、中小企業不況によって非常に経営困難です。その上に円高によって二重に打撃を受けています。さっきもちょっと触れましたけれども不況業種によるこの企業の不振は、やっぱり産業構造を若干変更していかなければ、改善していかなければ根本には変わりません。これはもう不況というよりも、むしろ日本経済政策なりあるいは産業政策の転換の方向に重点を置かなきゃならぬであろう。円高による影響はたとえば輸出輸入を金額を同じとすれば、片一方百万円のうち二十万円残っている、片一方は百万円のうち二十万円足らぬ、だから余った方から足らぬ方に持っていけば経営だけはできるはずですよ。だから、同じような不況産業といいましても、円高による不況倒産というものは意味がちょっと違うわけです。だから、たとえば緊急ですよというなら、緊急に何か融資の方法とか救済の方法考えなきゃならぬでしょう。そこでここに、さっきちょっと言いましたけれども、これはけさの日経です。お読みになったかどうかわかりませんが、「一ドル二四〇円レートならカラーTV除き全滅」と書いてある。これをごらんになりまして、どう緊急対策をとられますか。
  30. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 私ども、七月ごろ各産地に対しまして、一体どのくらいの採算レート考えているのかということを聞きましたときに、二百七十円とか二百七十五円とかいうような数字を答える産地がかなり多かったわけでございます。最近の時点における数字は、また別途いま調査をいたしているところでございます。いずれにいたしましても、産地の実情調査からうかがわれますことは、最近の円レートというものは、中小企業採算にとっては非常に大きな打撃であるということが総括的には言えると思います。ただし、これはやはり業種別また企業別にいろいろ差があるように思います。従来から繊維、雑貨関係は特に打撃が大きかった、従来の調査では、軽機械はわりあい打撃が少ないかのような報告もございましたが、ごく最近の調査では、その分野にも影響があらわれているというような形ではないかと思います。ただ、同じ繊維、雑貨をとりましても、自分で独特のデザインを持っている、ブランドを持っている、あるいは独特の商品を持っている、こういう企業につきましてはかなり競争力が強い。これは発展途上国で同じようなものを探してももう得られないというような独特の商品を持っている場合には、かなり円高に対して抵抗力がある。こういう実情も聞かれるところでございます。ただ、総括的に申しますと、やはり大きな影響を受けておると私どもは感じております。  そこで、産地に対しましてこれから一体どう対応していくのだということを聞いてみますと、かなり多くの産地からは、やはりこの際、もう一度自分の経営を振り返って、そして一段の合理化を図っていく、あるいは新製品を開発していく、やはりここでくじけてしまってはどうにもならないから、やはり何か前向きの方向を打ち出していかなければならないという産地もかなり多いわけでございます。しかし、他面ではいままでかなり過剰設備を抱えていた、これを少し整理をしなければいけないという答えが出てまいりましたり、あるいはいままでの仕事をずっと続けているということについてはやはり考えなければならないので、事業転換の問題を、産地としてどう考えるか、真剣に考えてみよう、こういうような声も出ているところでございます。  とりあえず先般為替変動対策緊急融資制度を実施いたしましたが、これはいわば注文の減少に伴うつなぎの金融措置でございまして、私どもは、いま申し上げましたような中小企業産地がこれからどうやって生きていくのかという方向を、私どもとしてもよく実態を把握をし、また相談にも乗り、またそれを実現をするように政策を展開していく、かなり中小企業政策としても重要な時期であると、かように考えておるところでございます。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 いや、抽象的にはそのとおりなんです。大変言われることはそのとおりなんですけれども、具体的にカラーテレビ除いて全滅だと、こう書いてあってね、緊急対策をしなきゃ、たとえば経済企画庁長官はいつごろまでか、もう見通しできません、答弁できないと。それはそうでしょう。これから非常に流動的なあれですから、またアメリカがどういうふうに変わるかわかりませんしね。一番いま直接の直撃弾はアメリカでしょうから、だからそれは政府がここで公式に見通し言われぬのもわかります。普通ならもう本当に質問やめますよ、こんな答弁では。ただ、非常に微妙な段階だからいま質問続けているわけですよ。無意味だなあと思いながら質問続けているわけですよ。いまの中小企業庁長官の答弁も、そんな答弁じゃ無意味なんですよ。私が言っているのは、これはもうカラーテレビを除いたら二百四十円レートでは全滅ですよと書いてある。それじゃ一カ月でも半月でもいいから、緊急的にもし申し出てきたらこうしますという対策がなきゃ論争にならぬでしょう。  だから、まあきょう出たことで、いま新聞に出たことを私がいま質問していますから、すぐ具体的な答弁できないかもわかりませんけれども、さっきから言っていますように、設備過剰による不況ならば、採算割れならば、これはその設備を縮小しなきゃなりませんでしょう。これは後で質問するつもりです、産業構造の転換で。ただ、円高による不況は、それはもう余っておるところから足らぬところに持っていく、これも単純な発想ですけれども、これは非常にできないことでしょうけれども、だからこれは緊急的に、たとえば超低利の融資をやりますとかなんとかというようなことも考えなきゃならぬでしょうけれども、それには一体金がどれくらい要るかという問題も起こりますね。だから緊急的なものと構造転換の半恒久的なものと、二つ分けて対処していかなければ、こんがらがっておりませんかと。この間の予算審議もずっと各党聞きましても、不況対策というけども円高による不況対策と、それから構造自体の不況対策とは変わっていかなきゃならぬという論争しませんでした。それできょうはわざわざ一時間もらって、その論争いどんでいるわけですから、そういう面でもう一回中小企業庁長官見解聞いておきたいんですよ。
  32. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 構造不況問題と円高問題、やはりよって来る原因が違うという点、私どもも理解できるところでございますが、ただ、中小企業の立場になってみますと、出てくるところは、いわば仕事が減ったという形であらわれる面では、非常に同じ形であらわれるわけでございまして、中小企業自身の意識からしますと、どちらがどちらというような区別を余り意識せずに、要するに助けてくれというようなのが率直な印象ではないかという気がいたしておるところでございます。私ども、いまお話の中に、それぞれ基本的な対処方法は違うんではないかという点はわかるわけでございますが、さりとて円高によって利益を受けた分を、損をした分をカバーするために制度的に使うというような形でございますと、あるいは為替レートの人為的操作というような形にもなるのかもしれません。私どもは、その辺のことは別といたしまして、当面中小企業が抱えておる、仕事が欲しいという悩み、あるいはこれでは採算がとれないという悩みを、いかにしてカバーするかということを念頭において、対策を進めておるところでございます。  その意味におきまして確かに先般とりました緊急融資制度というのは、いわば一種のつなぎ金融以上のものではないということも私ども十分理解をいたしております。両方、構造問題あるいは円高問題を含めまして、先ほど申し上げましたような中小企業の悩みにいかにこたえるかということを腰を据えて考えていきたいと思っておるところでございます。
  33. 小柳勇

    小柳勇君 それじゃ経済企画庁長官ですね、先般からたとえば石油差益については消費者に還元いたしますと、半年なら半年ですね、販売価格を据え置きましょうというようなことが答弁されておりまして、それ以上に出ていません。差損の方には緊急融資すると、低利の緊急融資をいたしましょうとなると、これは大きな利益を与えることになります、行政として。こちらの方はもうそのままです、もうけはそのままでおいておきますと、そのかわり値上げをいたしませんから、半年か一年。一年にならぬかもわかりませんよ、暮れにはまた石油値上げがあるかもわかりませんから。ただ、これは半年ばかり価格をそのままにしておきましょう。電力も石油もそうしましょうと、こちらの方には金を特別に緊急融資しておいて、こちらの方はそのままということは産業政策上、あるいは国民感情としては不公平ではございませんか、その点どうでしょう。
  34. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 円高によって非常に打撃を受ける輸出産業、特に中小企業が非常に苦しい思いをしていると、一方において円高によって利益を受ける、特に輸出比率がなくて輸入原材料が非常に多いもの、いま御指摘のように石油、電力、ガス、あるいは食品と、こういうものがいまのお述べになりました点に当てはまると思います。そこで、石油関係については御案内のとおり、いろいろこれからのOPECの値上げとかいろいろあるかもしれませんけれども、しかし、かなりの利益が出ていることは間違いないわけでございます。しかし、この石油の需要者ということを考えてまいりますと、非常に大口の大企業が大体石油の需要者でございます、灯油は別でございますけれども。そうなりますと、やはりその大口の需要者が石油業界に対する目は非常に厳しいものがございまして、やはり毎日の為替相場も見ておりましょうし、石油会社の経営の状況というのも十分承知しておりますから、両者の交渉にゆだねましても、やはりこの石油業界の利益が独占されるというようなことは、防ぐことができるというふうに思っておるわけでございます。  ただ、この石油価格が下がることによって利益を得ます電力、あるいはガスというところになるわけでありますけれども、電力等についてどの程度利益が出るか、為替相場がどこまで続くのか、OPECの値上げがどうかといういろいろな議論がございますけれども、大まかに試算をいたしてみまして、仮に七百億程度電力業界が利益が出る、それを一体料金に当てはめた場合にどうなるだろうかということで計算をしてみますと、東京電力あたりで二十円ちょっと、一日に。一月に百二十キロワットアワー使うと計算しまして、二千数百円の電力料金になるわけですが、それを二十円ちょっと、二十一円程度下げることができると、そういう機械的な計算はできるわけでございます。  それから、ガスについても同様な計算ができるわけでございますけれども、この際、やはり電力料金、ガス料金というのは大体二年間はその料金を維持するというようなルールに従っていままでやっております。これはもちろん狂乱物価のときは別でございましたけれども、二年間は、その間にコストが上がっても上げないというようなルールでやっておりますので、むしろ来年の四月以降また新しい値段を考えるというよりも、できるだけ長い期間、現行の料金を据え置いていくという方が混乱をなくすいい方法ではないだろうか、そういう方針をとっておるわけでございます。  それから灯油については、御案内のとおり石油業界等におきまして、この冬の灯油は据え置くという発表をいたしておるところでございますので、そういう意味では還元できるというふうに考えておるわけでございます。  しかしいま御指摘のように、そんなことよりも実際もうかったものをすぐ、何か困った者に右から左へやるうまい方法はないかという素朴な国民感情ではなかろうかと思うわけでありますけれども、統制経済、計画経済をやっているわけでございませんので、なかなか小柳委員のお気持ちについてはわれわれも同じような気持ちを持っておりますけれども、現実の問題としては、ただいま申し上げましたような対処の方針以上に出るということはきわめて困難であるというのが実情でございます。
  35. 小柳勇

    小柳勇君 あと十分ですから十分の論議もできませんが、大蔵省に質問いたしますが、関税引き下げなど緊急的な措置黒字減らしの緊急措置などについていま論議いたしておりますように、これが一カ月続くのか、二カ月続くのかわからないという経済企画庁長官は答弁を避けておられますが、大蔵省としてはどういう態度で、予算編成もすぐありますが、どういうふうな見解——この円高に対する見通しなり、あるいは関税引き下げなど緊急対策についてとっておられますか。
  36. 宮崎知雄

    政府委員宮崎知雄君) 私担当が国際金融でございますので、全体の対策についてはお答えちょっとしかねますが、相場の先行きの問題につきましては、私のところ担当でございますのでお答えさしていただきたいと思います。  最近の円の切り上げの率というのは相当高くなってきておりまして、きょうも二百四十五円、寄りつきが三十五銭というようなところに寄りついておりますが、今後為替相場が、円のレートがどういうふうになっていくのかということにつきましては、フロートのもとでのそういう相場の先行きについて言及することは、為替市場にいろいろ影響がありますので、差し控えさしていただきたいと思うわけでございますが、先生御承知のとおり、従来の私どものフロート制のもとでの為替政策と言いますのは、相場の形成は原則として市場の需給にゆだねるということでございまして、相場が非常に乱高下すると、そういうのはなるべく防止する、それからなるべく相場の動きがスムーズになるように、そういう場合には介入をいたしますけれども、原則として相場を一定の水準に維持したり、あるいは特定の方向にこれを誘導するというようなことは、ただいまの国際的なフロートのガイドラインというのがIMFで決まっておりまして、そういうもとで私ども為替政策をとっておるものでございますので、特定のそういう水準に維持したり、一定の方向へ持っていくということはできないということであります。
  37. 小柳勇

    小柳勇君 国際金融関係の方を主として言ったから、金融局に言いましたから、大蔵省の質問はこれで終わることにいたしますが、あとは中小企業金融対策まだありますけれども、国際金融局次長では答弁できませんね。
  38. 宮崎知雄

    政府委員宮崎知雄君) ちょっと担当が……
  39. 小柳勇

    小柳勇君 どうですか、大蔵省の方は後で注意しておかなければいかんですね。じゃ、時間ありませんから、あと五分ですから。  通産大臣、いまの円高問題については他の同僚議員もまたいろいろ質問されるでありましょうが、私の質問は以上にしまして、構造不況業種に対する対策をここに表として出していただきました。これもこの前予算委員会で少し詰めたかったんですけれども、詰められませんでしたが、この結論、通産省関係については業者団体は大体において納得していますか。
  40. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御案内構造不況業界に対しましての問題でありますが、平電炉に関しては御案内のとおりに組合を結成いたしました後に、カルテルの運用の点につきましても、独禁のカルテルから団体法のカルテルに切りかえまして、そうしてそれが円滑に運用されておると存じます。  それからまた繊維の関係におきましても、振興事業団等が中心になりましての設備の買い取りその他着々といたしておりまするが、中小企業以外の大どころの繊維関係におきましては、合繊のごとき、わが省におきまして政策的な指導もいたし、これに対しまして業界も協力をされております。そのほかアルミでありますとか、あるいはダンボールでありますとか化学肥料、いろいろございますが、おのおの構造改革の審議会が内部でいろいろと検討を重ねておられまして、その回答を待ちまして、政府といたしましては逐次対策を進めてまいる考え方でございます。  なお、構造不況関係中小企業の問題におきましては、ただいま概括的に長官からもお話申し上げたような次第でありまして、その点は円高対策の問題とは離れまして、構造的な問題を逐次進めております。御質問の要点の、これがうまくいっているかということに対しましては、私は順調にまいっておると、かように信じております。
  41. 小柳勇

    小柳勇君 時間がまいりましたから質問を終わりますが、この「産業構造ビジョン実現のために」という産構審報告もございますが、いままでと違いまして具体的にちっとも数字が出ていません。  それから、産業計画懇談会の貿易構造の改善とか、あるいは産業構造の改善の方向などの提言も出ております。こんなのをずうっと読みますと、いまの、一つは産業構造の転換をしなければ現在の不況乗り切りなかなか困難であるということ。特にその中で大企業のことが書いてありますが、中小企業のことが余り触れてありません。中小企業転換法が昨年からできておりまするが、この転換もなかなか簡単にいかぬのですね。机の上で考えるようにまいりません。先般から中小企業の各課に私の知り合いの者も再三陳情しておりますけれども、たとえば東芝の下請が、日立の下請はノーハウの関係がありましてすぐ受け取れぬわけです。だから、東芝が五割操短いたしますと、もろに中小企業や下請が全部倒れてまいります。ほかの方の仕事をしようとしましても、機械はありましてもほかのメーカーも下請させぬのです、やっぱり企業秘密がありますから。そういうことなど、この下請企業中小企業転換法についても根本的に検討し直さなきゃならぬのではないかと思います。わが党も産業構造の転換に対して本格的に取り組みまして、どうしたらこれからのいわゆる安定成長時代に沿う産業構造にするかということに取り組んでまいりますが、きょうもう時間もございません。また、機会を改めてもらって、業界の代表なりあるいは中小企業の代表などをここに来てもらって、政府と一緒になって討論していただきたい、希望いたしまして質問を終わります。
  42. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御希望でございますから、何にも私の方からお答えをすることはございませんが、小柳先生を初め皆様方よく御承知の上で御質問をいただいておるわけでございまして、いま先生がおっしゃったように、なかなか作文どおりにはまいりません。先生のこれからのいろいろの御提案あるいは党の御提案に対しましても、私どもも本当にありがたくちょうだいいたしまして、一緒に御研究をさしていただき、また政府の方といたしての施策の上にそれを上げてまいりたいと、かように考えております。
  43. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 まず最初に、苫小牧の東部開発に伴いまして、石油備蓄基地を昭和五十五年度を目途に五百万キロリットルの完成を目指すということが、経団連、財界の要請によって通産省は検討開始をしているという報道が明らかにされました。したがってこの真意につきまして、通産省のまず考え方をお伺いをしたいと、こう思います。
  44. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御承知のとおりに、九十日備蓄を進めるために、五年間で三千三百万キロリッター、五十二年から五十四年までにかけましてなお二千万キロリッターのタンク容量の備蓄基地を確保しなければならないと、こういう状況にございまして、ただいま御指摘の東部の苫小牧につきましても、有力なその候補地の一つとして関係省庁とも連係をとりながら、現在検討しておる段階でございますが、こういった問題につきましては、申すまでもなく環境保全あるいは安全確保といった観点から、あるいは地元の理解と協力を得るという方向で対処することも必要かと考えております。
  45. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 国土庁来ていますか。——  国土庁にちょっとお伺いしますが、三全総の位置づけの中で、苫小牧の大プロジェクト工業基地計画、これについてどういう位置づけを考えているのか、この点ちょっとお伺いしておきます。
  46. 星野進保

    説明員(星野進保君) 御説明申し上げます。  三全総の中におきましては、基本的には東京湾だとか瀬戸内海その他の地域におきまして非常に基幹工業型、基幹資源型の工業が過密化しておりますので、それをできるだけほかの地域へ分散させるという基本的な考え方に基づきまして……
  47. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 苫小牧でいいよ、苫小牧。
  48. 星野進保

    説明員(星野進保君) 特に苫小牧につきまして、三全総の中ではこう書いております。北海道東北地域において大規模工業基地を苫小牧東部地区、それから以下むつ小川原地区に建設しというふうに書いてございます。それでよろしゅうございますか。
  49. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 これは通産省、いま国土庁もありましたが、開発庁きょう来ておりますか。  開発庁としてこの苫小牧プロジェクト、つまり大工業基地の道側の新道開発計画の基本方針がありますね、新しく道開発計画。この基本方針に立っての苫小牧のマスタープランについてどういう骨格ですか。どういう基本構想をお考えになっておるか。
  50. 大西昭一

    説明員(大西昭一君) ただいま先生御指摘の新しい北海道総合開発計画を現在私ども検討いたしております。まだ成案を得ておりませんが、いま試案の段階で、いろいろ北海道開発審議会等で御検討をいただいておりますが、その中で、苫小牧東部工業基地につきまして、私どもとしましてはやはり基幹資源型工業の遠隔地立地ということは、国全体から見ても、または北海道総合開発を進める上からも非常に必要な施策であるというふうに考えまして、今後引き続き苫小牧東部工業基地の整備を進め、できるだけ早い時期に、予定いたしております企業の立地を促進したいというふうな方向で現在検討中でございます。
  51. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 これ、開発庁、いままあ抽象的なことをおっしゃっているんですが、北海道開発計画、五十一年十二月北海道が出したこの素案の中に明確に出しているのは、これは新しい工業立地の促進という苫小牧工業基地の建設促進、具体的に本土工業の飛躍的発展を図り道民生活の向上に寄与するため苫小牧東部工業地区の開発を推進し、石油精製、石油化学、鉄綱等の基幹資源型工業、自動車工業及び同関連企業などの立地を促進をするということが明確にこれは素案の段階で方針として明らかにされているわけです。これは間違いありませんか。
  52. 大西昭一

    説明員(大西昭一君) 先生いまお読みいただきました北海道発展計画は、私どもがいま検討いたしております、新しい国がつくります総合開発計画に対します道の意見として、内閣に提出されたものでございます。私どもも十分承知いたしております。
  53. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこで通産省に、私はこの問題につきまして、昭和五十年十二月十一日の本商工委員会石油備蓄法案が提案をされた際に、私はこれを質問いたしております。この中で、私は特に時の河本通産大臣、それから増田エネルギー庁長官に対しまして、あえて苫小牧という問題を取り上げまして、この問題を質問いたしました。このときの考え方というのは、やはり石油精製、こういうものとの直結がなければ、備蓄基地という考え方はやっぱり基本にし得ないと。つまり石油精製とのつながり、石油精製との直結、私が先ほど申しましたように、そういう工業基地になる産業との関連で備蓄という問題を考えていきたいと。もし考えられるとしても、いまのことは苫小牧考えていないと、五十年の十二月十一日時点では考えていないと、苫小牧は。こういう答弁でありましたが、もし考えられるとすれば、私がいま言ったように、仮に考えられるとしたら、そういう段階での検討が必要である、こう言っているのでありますが、この点の考え方はどうか。私が聞きたいのは、この段階で単なる備蓄基地に終わるのか、そういった工業基地としての展望がいつそれでは具体的になるのか、こういう問題を含めて通産省の考え方は検討されているのかどうか。これをひとつ明らかにしていただきたい。
  54. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘のように、本来備蓄だけでございますと、地元に対する雇用機会等を含めまして経済的還元が少ない。御指摘のように、やはりコンビナートのような形で備蓄あるいは精製設備も一緒に持ってきてもらいたいというのが一般の要請でございます。ただいまの段階では、備蓄をやる人とそれから精製をやる人は果たして同じ人であるかどうか。と申しますのは、御承知のように、精製設備につきましては、石油業法に基づきまして五カ年の供給計画を前提として、どの程度の精製能力を増強していくかという検討も必要であるわけでございます。ただいまの時点においては、まだそこまでの段階には至っておりません。御趣旨は私もよくわかりますので、そういったことも念頭におきながら、今後の状況を見ながら対処してまいりたいと考えております。
  55. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 私らは何回もこの問題で言及しておるんですが、結果的には北海道の開発計画もこれは狂ってきているんです。当初から、こういう苫小牧大工業マスタープランというものを出したときに、果たして税金のむだ使いになるのではないか、つまり下地をつくっても上乗せするものができなければ、実際意味がないのではないかということをずいぶん言ってきました。これは開発庁にも言ってきました。現実に、われわれ言ったとおりになっているわけだ。具体的に、それではいつの時点で石油精製が来て、いつの時点でそれじゃ石油化学が立地をされて、いつの時点でそれじゃ自動車工業が来るか、今日のこの低成長の中で、ほとんどお先真っ暗というような現実の状態であるわけだ。そのことをかねがねわれわれは、もう五年前からこのことを言ってきたんだよ。結果的に考えてみると、現実にこれは税金のむだ使いだ。そこで、幸いいま通産省がドル減らしにタイミングを合わして、この空地を利用して、あわやひとつ乗っかってやろうと。幸いにしてこの苫小牧の現状というのは、御案内のとおり、一つは漁業基地問題が解消している。それから企業誘致と言ったって、なかなかそうはならない。しかし現実に下地は、基地はでき上がっている。これ幸いと乗っかったにすぎないんですよ。これは簡単なんだ、当時エネルギー庁長官はそんなこと言ってないんだから。五十年十二月、そんなこと、言ってないんだ。  ただ私が言いたいのは、そういう実態の中で、通産省も安易にこの問題乗っかってきているんですよ。だから、私はなぜこのことを言うかと言いますと、こういった問題の根本の段階で、私は開発庁にも聞きたいし、開発庁としてこれに対するいま相談をしたというんだから、開発庁としてこれに対するどういう態度を基本的にお持ちなのか、これが一点。  それからエネルギー庁長官に、最後に大臣にも聞きますが、私がいま申し上げたのが実態だと私は思っているんですよ。そうしますと、これは時の河本通産大臣、私にこう言っているのですよ。会議録私ありますから申しますが、私の質問に、いまも長官もお答えになってますが、まずこの問題をやる場合には、一番大事なことは、やっぱり住民のコンセンサスを得ることが第一条件である。まず住民の理解だと、そうして環境、安全性の問題をまずはっきりさせることである。この二点を河本通産大臣私にはっきり言明している。しかもこれは、できてからやるのでなくて、構想の段階で関係者の十分にコンセンサスを得なければならない。このように明快に構想の段階ということを、基本構想の段階でということをはっきり河本通産大臣私の質問に答えているわけです。いままさに構想の段階であるわけだ。ところが現実に、北海道の道の副知事も全然寝耳に水だというのです。苫小牧市長さんも、これは北海道新聞の一面トップに明確に出ておるのでありますが、これを見ますと、苫小牧市長全く寝耳に水だという談話出ているのですよ。これは七月十六日の北海道新聞のトップに出ているわけだ。こういう関係は、どうもやり方自体について、私は肝心かなめの地元が寝耳に水だという、しかも道側も副知事も全く聞いておりませんと、こういうやり方は、やっぱり相変わらず官僚天下り的な発想で、こういうものをやるということ自体に非常にいま苫小牧の住民は、いまでさえ、石炭火力でさえこの環境アセスメントの問題で非常な住民の怒りがあるのです。そういう中で、なおかつ安易にこういう問題が出されてくるという、それ自体のやっぱり——当時の石油備蓄法案を通すときはうまいことを言って、私に適当なことを言ったとは思わないけれども、大臣はかわろうとも、時の河本通産大臣が明快に答弁をしている。時の増田エネルギー長官が私にこれ答えているんだから、そうだとすれば、こういうものが一切行われていないということの一体実態はどうなっているんだと、こういう点をひとつ通産省にお伺いしたい。  開発庁には、その相談に乗った態度について、どういうふうにお考えになっているか、この二点をひとつお伺いします。
  56. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 九十日備蓄の達成の必要性をいまさら申し上げるまでもありませんし、またそのためには適地が必要だということも当然のことでございます。御指摘のように、その際に住民の理解と協力を得る、安全、環境対策に十全を期するということは当然のことでございます。この問題につきましては、まだ企業段階で、どの程度熟しておるものか、あるいはどの程度現地との交渉に入っておるかということについては、私たちの方もさらに関係者を招致いたしまして、十分地元の理解を得た上での協力、あるいは安全、環境対策に遺憾のないように指導をしてまいりたいと思います。
  57. 大西昭一

    説明員(大西昭一君) 先生いまお話がございました苫東における石油備蓄につきましては、内々通産省から苫東工業基地での石油備蓄について、その可能性について検討方、苫東の計画の推進の衝に当たります私どもに御相談がございました。その後いろいろ通産省とお話し合いを進めておりますが、私どもの基本的態度といたしましては、苫小牧東部工業基地は、あくまでも工業基地として開発するということが前提でございますので、その工業基地を整備してまいります中で、石油備蓄の基地がどういうふうなことになるのかということが、まず第一点問題になるわけでありますけれども、土地利用の観点からいたしますと、五千数百ヘクタールという中でございますので、いま通産省からお話がありました五百万キロリッター程度の備蓄につきましては、用地の土地利用上の問題としては、そうさほど問題はないかと思います。ただ問題は、あくまでも上物と申しますか、石油精製業をできるだけ早く立地させたいというのが計画推進の衝に当たる私ども考えでございますので、石油精製ができるだけ早く立地ができるということの促進に寄与するということであれば、北海道といたしましても将来石油の需要は伸びるわけでございますので、北海道も相応の備蓄をするというのが、これは現在のエネルギー政策全般から考えましても、北海道として検討すべき問題であろうというふうなことで、現在検討を進めておる最中でございます。  それから、先ほど北海道の副知事も地元もというお話がございましたが、実はそういう通産省との御相談ができたところで、正式に地元には、こういうふうなことで地元として検討をお願いできないかということをできるだけ早い機会にいたしたいと思っておりますので、正式に政府からは聞いてないという地元の声は確かにそうでございまして、まだ正式に地元にはお話もいたしておりません。
  58. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこで開発庁、いま相当に石油精製、そういうものが来なければ、これは現在ある基地は工業基地なんだから、備蓄基地じゃないんだから、それが備蓄基地ということになれば本来の目的に反するということになるんで、そのことが達せられなければ、この備蓄基地は認められない、こういうことでしょう。そういう態度で進んでいるということを確認していいですね。
  59. 大西昭一

    説明員(大西昭一君) 基本的には先生の御指摘のとおりでございます。ただ、現在第一段階計画で石油精製三十万バレルを、これは地元も合意の上で考えております。三十万バレルの九十日備蓄といたしますと、大体五百万キロリッターぐらいは当然必要になるわけでございまして、これは現在の石油備蓄法の精神からいたしますと、あそこで三十万バレルやるということになれば、当然五百万キロリッター程度の備蓄は必要であろうというふうに考えております。
  60. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこであなたも御存じのとおり、苫小牧のあの現地の用地計画というのは御存じでしょう。用地計画はA、B、C、D、E地区に全部これ分かれているわけで、私もこれ全部持っていますけれども、これ見ると、これは石油備蓄基地のA、B、C、D、E地区というのは、少なくとも先ほど私が挙げた石油精製、石油化学あるいは自動車、こういった用地のためのこれ設置ですからね。このために国民の税金を使ったんだから。石油備蓄が来るためにこの基地はつくったんじゃないんだから。そうすると仮にこれ五百万キロリットルでもこの分を認めれば、それだけ本来の工業基地が失われるということになるわけだ。そういうことになるでしょう。ところが、そういう問題について、いまあなたが言うとおり、石油精製基地だって、私が知っている限り、私がこれ調べてわかっているんだけれども、五十六年度までは石油審の中でも決まっているじゃないですか、全国的に。間違っていたら指摘してくださいよ、長官も。五十六年度までは全国的に決まっているんでしょう。そうすると、五十七年度以降でなければその問題があって、はっきりするかどうかということはこれ通産省自身だってわからないことでしょう、あなた。これは審議会だから。そういう段階があるんだから、これはいまこの問題にそれじゃ必ず石油精製なりますということの保証があるんですか。この点どうですか。これは通産大臣にお伺いします。
  61. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) まさに御指摘のとおりでございまして、現在どちらかといいますと精製能力の方が過剰ぎみでございますので、先ほど申し上げました石油業法に基づく五カ年後までの供給計画におきましても、いま直ちにこの時点において、精製設備を増設しなければならないという事情にないわけでございます。ただ先ほども御指摘のように、精製工場を含めて、全体としての工場団地としての育成を図っていくということも私としても御趣旨よくわかりますので、そういったことは念頭に置いておきたいと思います。
  62. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま担当者の方から具体的なケースにつきましては申し上げたとおりであります。でありますが、原則といたしましては、計画を進めるに当たりましてまず安全、環境対策というような問題を、これが最も重要なことでございまして、これらに対しまして万全の配慮を払いますとともに、地元の十分な理解と協力を得られることが、これが先決でございます。
  63. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこで、先ほど開発庁もお答えになっているんですが、その構想がまとまってからという、そこが間違っているんだよ、これ。通産省もそうなんだけれども。こういう構想が出た段階で、いま苫小牧の石炭火力、伊達の開発見て一番わかるでしょう。これは長官も御存じのとおり、伊達開発がなぜ三年も四年もおくれたかということなんだよ。あれは住民のコンセンサスが得られないから、落下傘で頭から、北海道電力と北海道が頭からおろしてきてこれ納得せいと、こうやるから住民が反発して、漁民が反発して裁判問題になり、いまなおパイプラインの問題であんた伊達火力が着工できないでいるわけだ。  こういう実態というのは、構想の段階でそこが適地であるのかどうか、住民の合意が得られるのかどうかという段階はいまの時点が一番私は大事だと思うのですよ。まとまってからひとつこれでやれ、これ相変らず従来の官僚のやり方と同じなんだよな。何にも民主的でもなければ住民のコンセンサスを得る段階でないのだよ。問題は、この段階で、石油備蓄法の段階で河本通産大臣に詰めたのは、大臣もはっきり答弁しましたのは、構想の段階で十分に住民側との対話を通して議論を聞きますと、その中でやっぱりそういうことのないような指導をとっていきますというのが、河本通産大臣の明快な私に対するお答えなんだから、それは開発庁がまとまってからなんて言ったって、そんな、話にならないのだ、そんなこと言ったって。それだからいままでやっていることが、石狩川振興にしたって苫小牧東開だって全部失敗しているじゃないか。今日あなた四年も五年もずっとずれてきているじゃないか、現実に。そういう問題がなぜ起きるかということは、計画どおりいかないかということは、根本の土台が間違っているからなんだ、やり方についての。私はあなた方に言いたいことはそこなんだよ。ただこの問題についてはっきり答弁願いたいことは、まず再確認したいことは、やはり苫小牧東部のマスタープランにある工業基地、企業の誘致、こういう工業基地ということを基本に置いてこの備蓄問題ということが処理されるといういまのお答えですから、長官も。大臣もそういうお答えしていますから。ところが開発庁もそのお答えをしていますから、その目的が達成されるということがなければこの備蓄基地は認められない、こういう基本方針に私は立っているのだが、この点ひとつ、もう一回確認します。
  64. 大西昭一

    説明員(大西昭一君) 私ども態度としては、あくまでも先生いまおっしゃったとおりの方針を持っております。先ほど私ちょっと言葉が足らなくて説明が至らなかったかと思いますが、実は通産省と御相談申し上げておりますというのは、構想を地元に示す際に、いま先生まさに御指摘になりましたように、石油精製につながる備蓄でありますというふうなことを、できるだけ地元にはっきり申し上げたい。その上でひとつ地元で御検討願いたいというふうなことを固めるために、いままでいろいろ御相談を申し上げておるということでございますので、決して上から天下りにぽっと構想を地元に示すというふうなことではございませんで、構想をお示しするときの条件として、こういうことでございますがいかがでしょうと、こういうふうに運んでまいりたいということでございます。
  65. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それからもう一つ、この問題でいま長官にちょっとお伺いしたいのでありますが、私は先ほど言ったように五十六年度まではすでに石油審として、もうこれは備蓄基地の一応全国的な決定はなされている。そうしますと、五十七年以降のこの基地の計画というものはどういうふうになされるかということは、五十七年以降でなければ出てこないということになるわけです。ここらあたり、その見通しをつけると、こう言っているのだが、いつの時点でそれじゃ石油精製を含む見通しが一体なるのか、その点ちょっとはっきりしてもらいたいですな、この機会に。
  66. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ただいま御指摘備蓄基地じゃなくて精製能力と申しますか、そちらの方だと思いますか、備蓄基地につきましてはこれは別にどこにというデッサンがございません。精製能力ということになりますと、これはやはり内外の経済情勢と申しますか、オイルショックの後ずっと後遺症が続いているこの不況から、どのように立ち直れるかという問題との関連になってくるかと思います。現在大体石油の精製設備の稼働率、大体平均して七〇%から七五%程度ではなかろうかと思います。いわゆる適正稼働率というのは九〇%という線に置かれておりますので、そういった需給事情一般が、どのように精製能力の拡充を必要とするかといったような問題にかかわってまいりますので、いまの時点で、いつごろからということは予見しがたい状況にあるわけでございます。ただ石油の五カ年供給計画と申しますのは、毎年度その年を含んで五年ということで、簡単に申し上げると、毎年見直しをいたすわけでございますので、その時点における状況を織り込みながら判断をしていく、こういうことになろうかと思います。
  67. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 そこで大臣、いまお聞きのとおり、開発庁としてはあくまでも当初の苫小牧工業基地、そういう目的につながるものでなければ、つまりこの備蓄を認めることはできない。これは土地が限られているわけですから、それが備蓄基地を設定しちゃったらほかの企業ができないわけだから。これは素人でもわかることであって、したがっていまはっきり開発庁の態度が明解になりましたので、通産大臣としてこの苫小牧東部備蓄基地の基本を、これは河本通産大臣も同じように、あくまでもまず住民のコンセンサスを得ることが第一であると、それから環境、安全性を確保することであると、この二点はいいんだが、そのことは確認していいんだが、問題はその工業基地という目的がはっきりされない限り、この備蓄基地という問題については通産省としては考えられるのかどうか。あるいは、むしろそのことを基本に敷いてこの問題をこれから検討していくと、こういうひとつ大臣としての考え方をこの機会に明確にしておきたいわけです。大事なことだから、そこをあいまいにされると困るんだ。
  68. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 結構でございます。
  69. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 結構でございますということですから、工業基地に向かってひとつ備蓄のことを考えるとこういうことですね。その点ひとつ明らかになりましたので……。  そこで、次の問題とちょっと関連してこれは明らかにしておきますが、これも北海道新聞の十一月十日付に出ていますが、北炭夕張鉱の廃鉱を利用して石油備蓄考えてみたいと、これは通産省でありませんが財界筋ということで報道されています。財界筋からという報道でこれは出ているんでありますが、一応こういうことが、財界として通産省に要請をし、通産省も検討を始めると。これは新聞でありますから真意のほどはわかりませんが、そういう見出しでここに出ているわけであります。したがって、これは備蓄法の問題のときに私もこれは質問しておりますけれども、ヨーロッパ、アメリカあたりでは岩塩坑道を通じまして備蓄をしているというあれがございます。これはこのときも私当時の増田さんにもお伺いして質問をしておりますが、そういう手はあるんでありますが、この点についてもし通産省として真意のほどがおわかりであればお聞かせを願いたい、こういうふうに思います。
  70. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘のように、陸上タンクの適地難という問題もございますので、他に安全で経済的な方法はないだろうかといったようなことで、御指摘の地下備蓄方式といったものも検討はいたしております。  ただ、日本にはヨーロッパにあるような岩塩坑がございませんので、どの程度実現可能性があるかという問題は残っております。御指摘のこの夕張廃鉱を利用するという問題については、私の方はまだ聞いておりません。ただ、現在時点で率直に申し上げますと、立地条件あるいは地質条件等から見まして非常にむずかしいんじゃなかろうか。と申しますのは、余り海岸から離れておりますと、港から離れておりますとその輸送距離が長くなるという問題もございますし、それから油が漏れないように堅固な岩石が必要であるわけでございますが、御承知のようにこの地域は苫小牧の東港と申すんですか、この港からいたしましても直線距離でも六十キロもある。パイプを引くとすると百八十億もの金がかかるという問題もございます。それから石炭鉱でございますから石炭層が崩れやすい、あるいは水分を含みますといわゆる盤ぶくれというような状況を来すおそれがあるといったようなところから、私たちまだ詳しくは聞いておりませんが、そういった点からこれはかなりむずかしい問題ではなかろうかというのが、私の現在での判断でございます。
  71. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 これは私参考までにここに出ているものですからお聞きしたんでありまして、私も炭鉱の経験屋で経験は私も持っておりますから、実態的にはかなりこれは安全性の問題というよりも、いま問題申し上げましたけれども、一つはやっぱり坑道ですからね、岩塩坑道ではないんで、むしろ鉱山なら一つ考えられる点があるんですけれども、何といってもやっぱり坑内の場合は、廃鉱になった場合には排気、人気の関係のまず通気が全然ゼロだということですね。それから問題は、やっぱり地下水が坑道を流れているということ、それから、地震等がもしあった場合の構内の崩落、その他の盤ぶくれ等もありますが、坑道が完備されれば別ですけれども、いまの廃鉱のまますぐ利用するということはなかなかやっぱり安全性、危険性の問題として問題が残るのではないということは、私なりにこれは体験を通して見ることができるのでありまして、したがってこれはいま考えていないということですから、問題になった時点でまたこれいずれお伺いすることにします。  そこで、先ほどの苫東の問題にちょっと関連いたしまして確認をしておきたいんでありますが、これは現地段階では、この間苫小牧の石炭火力の問題で、これは率直に特に開発庁あたりはひとつ認識してもらいたいし、通産省も認識しておいてもらいたいんですが、非常に住民側の反対があったわけです。最終的には住民側も了解したのは、調査立入権を認めなさいと。いま環境アセスメント法がまだできておりませんから。北海道の地域ではできているところも——全国では四日市とかいろいろありますが、現実に四日市の二の舞になる可能性があるわけです、苫小牧の場合は。あそこに御案内のとおり北海道では厚真、鵡川というあの沿岸地帯はシシャモの来る地域でございまして、サケもこのごろ日高川に上がりましてね、やっぱり相変わらず漁業の基地なんです。そういう中にあって石油備蓄基地がこれからふえていくということになりますと、漁業面の被害ということが非常にやっぱり心配されているわけです、影響が。現実に四日市にああいう事故が起きて、水島のコンビナートのような事故が起きた場合に一体どうなるか、その保障はあるのか。これは、この前も私はこの委員会で備蓄法のときに申し上げているんですが、そういう点から言っても、まず大事なことは、ただ市町村、道側の段階も大事ですが、やっぱり住民の各層のそういう声を聞く、住民の素朴な声を聞くという意味での住民のコンセンサス、これはひとつ特に通産省の段階でも、それから開発庁の段階は特に配慮しながら、そういうものを十分に声を聞くという、それからそういうものに理解が得られるという、そういうことが基本であるということについては大臣もお答え願っておりますから、その点を常に念頭に置きながら、この問題の処理に当たってもらいたい。これは私特にひとつ強く申し上げておきたいと思います。この点両方から、通産省と開発庁からお聞きしておきます。
  72. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘の点、十分配慮してまいりたいと思います。
  73. 大西昭一

    説明員(大西昭一君) 私ども今日まで苫小牧東部の事業を進めてまいりまして、先生御指摘の点はもう身にしみて感じておりますので、十分地元の、特に地域住民の意見を聞くという中で、できるだけ理解と協力を得て進めるというふうな態度を持っていきたいと思っております。
  74. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それでは、ほかの問題もありますのでこの問題は一応これで。こういう段階で、ひとつ通産省と開発庁のこれからの行政指導のあり方について、私もひとつ十分に注視をいたしてまいりたい、このことを申し上げておきます。  それでは次に、先ほど小柳先生からも出ておりまして、私も予算委員会で申し上げましたが、時間の関係予算委員会で詰めができなかったし、この間消費者団体の代表とともに通産省へ参りまして、いまの為替差益による石油の、特に灯油価格の問題につきまして話し合いをいたしてまいりました。長官不在でありましたので話しが詰められなかったのでありますが、こういうことなんです。  問題は、私らが全部調べてまいりまして、予算委員会でも私申し上げましたが、私が調べた中では、大体はっきりしているのは五十年の十二月、大体二月まで為替差損の段階になっておりまして、五十一年の三月から大体差益の傾向というふうに出てきておるわけでありますが、本格的にずっと計算してみますと、総括をしてみますと、五十二年の四月までの差益は端数は捨てますが二千五百七十一億円という為替差益の利益が出ている。それから、五十二年五月以降ことしの十月まで、OPECの値上げ分を差し引きまして計算いたしますと千八百四十七億円差益が出ている。というのは、これ日本生協連の具体的な数字として出されております。これは大体長官ともこの間予算委員会でやりましたが、ほぼ四千億ないし五千億という話が出ましたが、こういう中で現実の問題としてやっぱり差益がこれだけ出ているわけですから、キロ当たり私の計算でいきますと十八リッターで大体二十円程度下げられるという計算が出ます。正確に言いますと十八円ということになるんですが、下げられると思いますが、これがどうして下がらないかと、いつも長官とこれ渡り合うんですが、いや実はOPECの値上がりがあるかもしらぬと、だからできるだけ凍結をしていきたいんだと、こうすぐ言うんだが、過去三年間私はこの問題で毎回やっているんでありますが、差損金出たときはすぐツケをこれ回しているわけですよ、商社が。これは紛れもない事実ですよ、はっきり申し上げれば。私全部統計を持っていますから、時間もありませんから何ですが。  したがって差損金だけはすぐツケを回し、それからOPECの値上げのときはまたすぐツケを消費者に回して、必ず値上げさしているわけですよ。ところが、このときは非常にスピーディーにやるんですけれども、いざ差益が出てまいるとなかなかもたもたもたもたして、やっぱり通産省としては業界の方にどうも肩を持っているんじゃないかという消費者の、この間の日生協の連中の声もやっぱりそういうふうになるんですがね。それはやっぱりそういうふうに考えざるを得ないと思うんですよ。ところが常におっしゃることは、いやこれからもOPECがあるかもしらぬと、そこら辺をながめてなんて、こういうふうに言うんだけれども、現実にどんなことを言ったってこれは差益が出ているんだから、出た分についてはひとつ——この間のおたくの流通課長の答弁では、昨年より上げませんと。間違ったら訂正してもらっていいですよ。昨年の価格より上げませんと、現在モニター調査によりますと、店頭で七百二十円、配達価格で七百五十円になっているので、ほぼ大体店頭では昨年よりもちょっと弱含みだと、こう言っています。しかしこのまま推移をいたしますと、この流通課長お話によりますと、七百二十円昨年度並みが、かなり弱含みで価格は推移をするであろうと、こういう答弁なんですよ。  ところが現実を見ますと、これは北海道消費者協会、これは十月のモニターの調査がありますがね。これは地域をちゃんと挙げますが、岩内ではもうすでに十八リッター八百二十円ですよ、長官、岩内で十八リッター八百二十円。まあ北海道は十八リッターといってもぴんときませんけれどもね。北海道はドラムかん十五本も使うんですから、二百リッターという計算でいくんでありますが、それから美唄ではこれは八百二十円です。それから稚内では八百五十円というところがあるんですよ。なぜこれが出ているかと言いますと、つまりメーカーは凍結しても、小売業者が人件費その他のアップによって店頭から消費者へ渡るまでに結果的に高いところでは八十円、安いところでも二十円くらい上がっているんですよ。結果的に昨年度並みだと、こう言ったって昨年度から上がっているわけですよ、消費者に渡る段階では。私は小売業者を泣かしたくないということを私は言っているわけです。小売業者を責めたいと私は言っているんじゃないんですよ。元売がそのぐらいの配慮はしていいんじゃないかと、元売の段階で。それを何とか元売が見てやる方法はできないのかと。これがこの間の消費者団体の代表と生協連の代表とが行ったときの詰めの話なんですよ。  だから弱含みになるとあんた方も認めているわけでしょう。日石初め弱含みになるだろうと、弱含みになるというならば、これは元売が下がるということでしょうと言ったら、そのとおりですと、こう言うんですよ、おたくの流通課長は。元売が下がるということがわかっておるならば、なぜ通産省が、これだけの差益が出ているんだから、行政指導してこれだけ下げなさいと、こういうことをぼくははっきりこの段階でやっぱり——何も私はばらばらだということはわかるんですよ。小売段階はばらばらだから、機械的なこと言っているんじゃないですよ、私は。一定の店頭の小売にはね返っている消費者に負担になっている分、昨年度より。ありますよ、安いところで二十円、高いところでは八十円あります。私そんなことを全部やれと言っているんじゃないんだ、そんなわからないことを言っているんじゃないんだよ。日生協なり消費者団体の皆さんが言っているように、せめてこの分を、消費者にはね返ってきている二十円なら二十円分だけは差益分として見てくれないかと、これ全く話が私は筋道が通っておると思うのだよ、消費者団体の皆さんが言っていることが。その程度見てくれぬかと、何も全部見れと言っているのじゃないんですよ。差益分の十七円とか十八円、せめて二十円ぐらい消費者に負担にならないようにひとつ見てくれないかと、これを言っているわけです。大臣、ちょっとここを覚えてもらいたいんだよ。だからおたくの担当課長でさえ、これから需要期に入って、北海道いま需要期ですから、来年の四月まで需要期なんですから。弱含みになるということは元売が下がるということを認めているわけだ。下がるというのであれば、これは政府が現実に差益が出ているのだから、そこらあたりをどういう形でもいいから、私はその点を、せめていま消費者団体の方々や生協連の方々が訴えているように、現実には昨年並みと言うが、昨年並みから上がっていると、そして全部負担してくれとは言わぬと、せめて二十円程度差益のこのようなことはひとつ面倒見てくれぬかと、これは私は理にかなっていると思うのだな。話が通っていると思うのだな、この点は。これを何とかできないのかというのをずばり質問しますが、ここなんですよ長官。ここらあたりひとつ具体的に答えてくださいよ、これ。抽象論言っているのじゃないから、ぼくは。
  75. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 先生御承知のように、昨年の九月に十八リットルかんを七百二十五円で据置くように指導してまいったわけでございます。ことしの九月のモニター調査では全国平均が七百十八円、十月はまだ集計を終わっておりませんが、大体横ばっているようなところ、要するに軟調気味で推移しておるというのが実情でございました。それに対しましていま為替差益お話ございましたが、事実為替差益出ていることは否定するものではございませんが、コストアップ要因との関係でやはりこれを勘案していかなくちゃいけないという問題も事実だと思います。為替差益の計算というものはなかなかむずかしいものでございまして、どういう前提を置いて計算するかという問題もあろうかと思います。特に為替の先物予約をしているような場合には、これは計算上出てきたって、現実には差益差損というものは発生してこないというような問題もございます。いずれにいたしましても、そういった為替差益につきましてはコストアップ要因もあわせて考えなくちゃいけないということも御理解賜りたいと思うわけでございます。  そういったことを前提といたしまして、いわゆる末端小売価格がただいま地域によって八百円を超すといったものがあるという御指摘でございますので、私たちもその実情も調べてみたいと思います。なぜさように上がっておるかということを調べてみたいと思いますが、私たちといたしましては、いずれにいたしましても、末端小売価格が安定的に推移するように、引き続きまして元売企業に対して努力をさらに続けるように、要請してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  76. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それで長官、小売末端価格を全部メーカーにしょえと、そんなことを言っているのじゃないのだよ。そこを理解してもらいたいのだ。そこを間違ってもらっては困るんだよ。現実には、あなた方去年並みだとずいぶん言うんだよ。去年並みだと言うから、これは青森県も、秋田県も、現に千葉でも現実に去年から上がっているというんですよ、これどんなこと言ったって。それは買う方が言っているんだから、どう言ったって。これデータ間違いだったら、後で差し上げますから、これは。これは私のあれじゃないからここに中村先生がおりますから、北海道の消費者協会というのは、これ道庁がちゃんと指導してつくっておられるんですからね。これは御存じのとおりでございまして、当時の副知事さんがおいでになりますからね。これはごまかしでも何でもございませんから、これははっきりしておりますので、これによって出てきているのですから、長官、私言いたいのは、何も——高いところでは配達料八円とかありますよ、高くなっているところは。それをそんなことをばらばらなことを言っているのじゃないんだよ。ばらばらなものを全部見れと言うのじゃなくて、せめて二十円程度のそういう昨年から上がっている、消費者にはね返っている分だけは何とかひとつ通産省が行政指導して面倒見てくれぬかと、こういうことを言っているわけですよ。そうしたら、いま長官の答弁がございましたから、指導しているということですから、具体的に私は詰めませんけれども、少なくとも元売の日石初め、去年もやっていただきました。長官の努力石油部長の努力でやっていただきましたけれども、ああいう方式を何とかひとつ元売メーカーを呼んでいただいて、そこらあたりの弱含みになるのであれば、そういう意味での行政指導といいますか、そういうことを考えていただけないかと、これはいかがでしょうか。
  77. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 先ほども申し上げましたように、末端小売価格が安定的に推移するように、元売企業に一層の努力を要請いたします。
  78. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 わかりました。それじゃそういうことで、長官のお答えに従って必ずそうなるであろうことを信じまして、それじゃひとつ見守っていきたいと思います。  それから例の、これも予算委員会でやったけれども、さっぱりその後効果があらわれないということで、本当はきょうこちらに来る予定だったんですけれども、予定変更になってますけれども、これは消費者団体から強く言われているのは、相変らず十キロボンベ、この前も予算委員会で申し上げて、当時福田副総理大臣時代からこれ問題になって、必ず段階的に解消すると、北海道価格は。任してくれといって胸張ったのはこれ福田さんなんだよ、本当のこと。この間の予算委員会でも、ひとつ最善の努力をいたしますと、私に総理大臣お答えになっておりますけれども、ところがさっぱり下がってないというのだよ。これ消費者協会の、私の方の資料じゃないから、これは。これ見てくださいよ。現実に相変らず二千円だよ。十キロボンベ二千円、千九百五十円というのがたくさん出ていますよ、長官。そうして本州から見たら当初百五十円だったんだよ、本当は。一昨年は百円の差だったんだよ、これは。やっぱり総理大臣だなと思ってぼくは感心しておったんだ、通産省も努力したんだなと思って、価格が詰まったわい、当時百五十円だったのが百円になったから、これはやっぱり努力してくれたということで感謝しておったんだが、いま逆にこれは二百五十円に格差ついちゃったんだ、本州と。縮まるどころか開いちゃったわけさ。それで消費者の皆さんも、非常にこれおかしいじゃないか、そんなこと言ったって、縮まるんならわかるけれども、二百五十円に広がっていくというのはどういうことなんだといって、納得できないというのですよ、これだけは。差が縮まるんならわかるよ。ますます広まっていっているわけで、これははっきり申し上げますが。これも全部出てますから、町村別にきちっと出てますから見てください。いま挙げただけでも名寄というところは二千三百円ですよ、斜里というところでは二千円です。それから釧路でも二千円。これはどんどん出てきているのです。これは私のデータでございませんから、何回も申し上げますように。  したがって、これは答えが簡単なんだ。私は何回も言ってるんだ。流通機構にメスを入れなきゃだめなんだ。これはわからない人もいるだろうからちよっと申し上げますが、これは石炭の船会社というのがありまして、つまりそういう名残なんです。つまり船仲業者というのがおりましてね、石炭販売の。船仲業者というのはわかりやすく申し上げますならば、メーカーに対するつまりその下の第一販売、第二販売、こういうかっこうで、全国的に見ますと北海道が中間流通機構が一つ多いわけですよ、はっきり申し上げて。これは石炭販売流通機構の名残がそのまま残っておりまして、船仲業者というのが一つあったもんですから、それがたまたま第二販売ルートになっておりましていま残っているわけです。それが結果的に中間搾取をする。もちろんこれはあるわけですから手数料取るのはあたりまえだと思いますが、それを何とか合理化していけば、これは本州並みになるのですよ。これは簡単なんだ。それにメスを入れてくれとずいぶん言ってるんだが、歴代長官からずっと、増田さんもずいぶんこれはやりますと言っておきながら一向に改善されていないわけだ。だから消費者も頭に来ているんですよ。総理大臣まで価格差解消するということをこれまで何回も言明していながら、縮まるんならわかるけれども、広がるということはどうしても納得できない、この点どうですか。これ具体的にどうなっていますかいま。
  79. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘のように、プロパンガスにつきまして価格格差が依然存在していることは事実でございます。私の方の調査にいたしましても、あるいは北海道の消費者協会の調査によりましても格差が依然として残っておるということでございますが、この原因でございますが、元売仕切り価格が北海道向けと本州向けと同じになるように、あるいはそれよりも若干でも安くなるようにと、かねがね指導しておることは十分先生も御承知のとおりだと思います。とすれば問題は、北海道内陸部における流通段階におけるコスト高と申しますか、いま船仲のお話もございましたが、そういった問題もありましょうが、販売量が一般的に少ないということ、あるいは輸送距離が長いこと、こういった流通段階におけるコスト高ということが大きな要因にもなっておるかと思います。それだけにわれわれも努力はいたしておりますが、なまやさしい問題ではないということでもございます。かねがね申し上げておりますように、われわれといたしましては徒前と同じく今後とも北海道向け仕切り価格を割り高にならないように指導してまいりたいと思います。一方、北海道プロパンガス問題協議会の検討結果を踏まえて流通面での対策を講じていく必要があろうかと思っております。  またこれと並行いたしまして、これは先生の御示唆もあったわけでございますが、販売店に対する調査を実施いたしております。これは通産局から北海道庁に依頼いたしまして、道内のLPガス販売業者五十店につきまして、各地域五店ずつ選びましてその中から調査をしてまいりたい。それからいま一つは、これはすでに十一月の上旬に札幌の通産局でLPG販売価格事情聴取などもやっております。これは現在まだ集計中でございますので、結果をまだこの段階で申し上げるまでに至っておりませんが、さような対策を講じながら根気よく、しかも前向きに対処してまいりたいと、こう思うわけでございます。
  80. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 ひとつ努力するということで、長官何回も言うんだけれども、下がってきますか、これどうですか。下がるようになるということだけでいいよ。根気よく、前向きは結構なんだけれども、相変わらず下がっていかないというのじゃこれは消費者がうんと言わないんだよ、これ問題は。ただ、その点のやり方があるんだよ。ないんなら別だけども、そういう第二販売ルートを一回呼んで、その点を合理的にチェックすればできるんだと私は言ってるんです、その点は。何もぼくはそういうものはやめちゃえと言っているんじゃないのだよ。そういうものを合理的にやればできるんだというわけだ、私は。やってくれという業界の意見もあるんですよ、率直に私聞いているのだけれど。それがさっぱりなかなか手をつけられないという、こういうことなんだから、それじゃ国がそういう高く買っているところに差額金を補償してくれますか、少し。直らないんであればそれをめんどう見てもらう以外にないんだよ、どうしますか。下げるのであれば期待するけれども、下がらないんであれば、いつまでもこれ下がらないというわけにいかないんで、その点はやっていただけますか。
  81. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 差額を補てんする云々という問題ではないと思いますが、御承知のように先ほど申し上げました北海道プロパンガス問題協議会、ここにはいわゆる学識経験者、メーカー、元売、卸売業者のほかに、小売業者並びに消費者も入って検討しておるわけでございます。現在までにすでに七回の会合を重ねまして、問題点の検討を行ってきたわけでございますが、さらにこれから流通改善対策についての問題点、特に北海道における特殊事情、こういったものを掘り下げて、小委員会で検討するという段階になっておりますので、ただいま先生御指摘の当事者と申しますか、事業者を呼んで事情も聞いてみろという御指摘があったわけでございますが、そういったこともこの小委員会の場でやるということになっておりますので、そういった方向で対処してまいりたい、こう思うわけでございます。
  82. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それじゃひとつ、小委員会で実のある対処をしてもらいたいということを特に申し上げておきます。もしこれが、その結果まだ下がらないようであれば、私は本当毎回言って、総理大臣まで言っていることだからうそ言ったことになりますよ。北海道価格差は解消する、必ず段階的に解消しますということを、これ福田総理大臣の明言だから、三年前からの。その点ひとつはっきり踏まえて対処してもらいたい。通産大臣、最後にいまの問題で確認しておきます。
  83. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お話のことはまことにごもっともなことでありまして、私ども総理の意を体し、また先生の御意見のごとくに努力をいたします。
  84. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それで時間もなくなったので……中小企業庁来ていますか。——  実は予算委員会でこれも申し上げたことで、北海道の日魯造船ですが、造船不況による倒産問題で、運輸大臣から答弁を願って、田村運輸大臣も最善努力を払っていただいております。ただ非常に事態は、予算委員会でも申し上げたように、親会社である函館ドック、日魯漁業もやっぱり株が五五〇、五〇持っているわけですから、親会社の積極的な乗り出しがなければどうにもならぬということで、いま船舶局長中心にして親会社に呼びかけをしていただいているんですが、会社更生法を出すに至ったわけですよ、結果的には。いまそれをやっているわけですが、それで何とか再建をしようということで、親会社に話はしています。ところが、そうやっているうちに、もう来月の賃金払えなくなっているわけですよ。まあ函館市長も大変心配をしていろいろやっていただいているんでありますが、当面対策はどうにもならぬということなんで、これ、時間もありませんから、ずばり長官にひとつ、今度の不況業種指定にはなっているわけですよ、言うまでもなく、造船ですから。不況業種指定でいけばこの間の中小公庫二千万円、国民公庫五百万円ということになるんだが、少なくともこの変動相場に伴う為替緊急融資制度、これを何とかダブルでいろいろ対策をとることができないか。これ、こだわることないんだよ、私これにこだわってはいないんだけれども、何とかこの日魯造船に対するいま再建をしようということで、運輸大臣が中心になって先ほど言った関係会社に、親会社に呼びかけをして、再建の緒につきつつあるんだけれども、来月どうもならぬわけですよ。  もうだから緊急融資をどうしても仰がなければならぬわけだ、ところが御案内のとおり、もうにっちもさっちも動きがとれないというわけだよ。親会社は満度に貸しているし、むしろ吸い上げたいくらいだから、どうも手のつけようがない。そのうちにこれは大変なことになる。ことしは暮れから飯も食えないということになるので、ぜひここでやってくれという函館市長さんの話もありました。現地の労使からもちろん話もあるし、きのう私も船舶局長と会いました。船舶局長はきょう日魯漁業の常務と函館ドックの常務を呼んで、最終的な詰めというのをいまやっているわけですよ。しかし、来月どうにもならぬわけです、どういったって。後ほど恐らく田村運輸大臣からも通産大臣の方にこの話をお願いするという話は言っておりました。とりあえずその対策をひとつ、何らかの措置を通産省として、この前答弁願っておりますから、関係官庁として処置をしてもらいたい、いかがでしょうか。
  85. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) いまお示しのケースにつきましては、私どもも下請の方々の実情を調べまして、できるだけ仕事をあっせんをしながら、経営だけを維持していくということについて指導をしてまいったところでございますが、何よりもまず本体がしっかりすればこの問題は解決するわけでございます。その意味におきまして、いまある制度をいかにうまく使っていただくか、またさらにそれについて改善すべき点がないかどうか、こういった点につきまして運輸省ともよく打ち合わせしまして、前向きに対処してまいりたいと思います。
  86. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それで、長官ね、運輸省と打ち合わせしてもらってすぐやってもらいたいんだけれども、とりあえず出せる金として、何せ金がないんだから、だからその点、不況業種指定にはなっていることはこれは明らかなんで、その資金は出るんでしょう。この点どうですか、最大限しぼったとして。
  87. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 不況業種指定にたしか私記憶でなっていると思いますが、その分につきましては不況業種に対応する一連の対策がとられる。それからいまお話のケースは、為替変動対策緊急融資制度に乗れるかどうかという点ですが、いま乗っかっておりますかどうか、いま手元に資料がございませんのでチェックできませんか、業種はとりあえず五十九業種指定いたしたものの、その後もし必要があれば追加をするということは当然考えておるところでございまして、その辺につきましては、それぞれの所管官庁から産業実態を明らかにした資料をいただければ、それを吟味しました上で追加指定をいたしたいと、かように考えております。
  88. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それぜひひとつ、積極的に検討してもらいたいと思うんですよ。  それから、中小企業のここにあります対策の中で、中小企業庁が出した倒産防止法の適用、これは現実にいま日魯造船の場合は、先ほど申しましたような実態ですから、これは私はこの法の精神からいって適用になると考えますが、これいかがでしょうか。
  89. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) これはこれから御審議願うわけでございます。私どもは親会社が会社更生法の適用を受けるというようになった事態にはこの法律が動き出し得ると考えております。ただ御承知のとおり、この法律は法律が制定をされましてから多少の時間的な準備が必要でございまして、本当に具体的な給付が始まりますまでに時間がかかってしまうわけでございます。その間の対応策につきましては、現にあります各種の倒産対策をフルに活用しまして切り抜けていく。また、この法律ができますれば、その法律へ円満に移っていく、かように考えておるわけでございます。
  90. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 それじゃ長官、ひとついま私が提起しました為替変動対策緊急融資資金、それから先ほど言った中小企業倒産防止法、もちろんこれは緊急に上げてもらわなければ困りますけれども、そこらあたりも含めて、日魯造船の緊急措置対策ということの特段のひとつ配慮をとっていただきたいということを特にここで要請をしておきます。
  91. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) さらに札幌通産局にも指示をいたしまして、現地の新しい情勢を把握をし、それに応じたような適切な対策をとるように、できるだけの努力をいたしたいと思います。
  92. 下条進一郎

    下条進一郎君 私、再び商工委員会で質問いたしますのは、この商工委員会の各委員だけでなく、恐らく国会のすべての人が、そしてまた日本国民全体が、この円高問題についてしばしばの審議がありながら、具体的な解決がなかなか行われていない、そういうことで大変に心配をしている問題だということで、再度ここに質問に立った次第でございます。限られた時間が三十分間でございますので、ポイントだけ御質問いたしまして、できる限り明確に具体的に、お答え願いたいと思うのであります。  なお、きょうは通産大臣お体のおぐあいが悪いのに押して御出席いただきまして恐縮でございます。  それでは、最初に大蔵省にお尋ねいたしたいのでありますが、この前からいろいろと取りざたされております円高対策、それに対する為替関係対策といたしましていろいろ議論が出ておりますけれども、私ながめておりますところでは、やはり急激な円の変動相場に対して、買い支え等で糊塗をしておるというのが現状ではないかと思うのであります。全体の問題は、貿易問題のみならずやはり資本収支を含めた総合収支の影響で外為市場に影響してくるわけでありますから、そういう観点から全体の為替政策、これについて具体的には現在どのように対処していらっしゃるか、またどのようにいろんな問題が出ているかというようなことを少し御説明願いたいと思います。
  93. 宮崎知雄

    政府委員宮崎知雄君) 円の対ドル相場、最近になりましてかなり高くなっております。切り上げ率も九月の末から八・八%ぐらいの切り上げ率になっておりますが、基本的にはやはりその原因は日本国際収支が非常に大幅な黒字であるということと、もう一つはアメリカ国際収支が反対に赤字である、こういうことが基本的な原因でございます。したがいまして、この円高対策としましては、基本的にはやはり日本国際収支黒字減らしを図っていくということが必要でございまして、そのためにただいま企画庁が中心になりまして、いろいろ緊急対策輸入対策というようなことを検討しているわけでございます。  為替の面におきましては、御承知のように現在のところフロート制でございますので、特定の水準で介入して、相場を特定の水準に固定するというようなことは現在はできない仕組みになっているわけでございます。私どもとしては、やはりその基本になります黒字を減らしていく、そのためには貿易の面で輸入をふやしていくということはもちろんでございますが、もう一つは、為替の需給に関係がありますのは貿易だけではございませんで、資本収支の面の需給もございますので、ただいま御指摘になりましたように、私ども資本収支の面でも、たとえば円建ての外債を促進をしていくということで、最近になりましてかなり円建て外債はたくさん発行しております。ことしの四月から十一月までですでに千七百二十億円の円建て外債を発行しておりますし、その後も大体一月までに約千九百億円ぐらいの発行を予定しているというような状況でございます。このほかにいろいろ直接為替管理を強化して円高を防げないかというような議論もございますけれども、これはやはり日本為替管理全体が、国際的に見ましてまだ非常にきつ過ぎるという非難の声が強いもとでございますので、そういうふうな措置をとることは適当ではないのじゃないかというふうに考えている次第でございます。
  94. 下条進一郎

    下条進一郎君 まあいろいろと努力はしていらっしゃることは認めるのでありますけれども、いまこういうような大変な火事場であるわけであります。そういう場合に、急場をしのぐためにオペレーションをやって、たとえば数日間で二億ドル、三億ドルというのが新聞に出ておりますし、月間を通ずれば二十億ドルというような大きなレンジのものになっておる。そういうものをやはり相場の需給関係で調整していかない限りは、こういう問題はなかなか思惑を呼んできて、かえってまた悪い状態になってくるということを心配するわけであります。たとえばリーズ・アンド・ラグズもかなり私はあると想定いたしております。ですから、いい方に向けばそういう問題は解決するわけでありますが、やはり抜本的なそういう問題に対する取組み方が表へあらわれてこない限りにおいては、そういうような姿が全部悪い方へ悪い方へ向いていく。先物がまだ高いんじゃないか、こういうようなことであれば、なかなか市場が落ち着かないわけでありますから、その意味においての資金の全体の需給、市場の調整というものについて、やはりもっと積極的にやっていただきたいと思うんでありますが、その点の考えはいかがでありましょうか。
  95. 宮崎知雄

    政府委員宮崎知雄君) 先ほどお答え申し上げましたように、現在のフロート制のもとでは、介入と言いますのは、結局相場が非常に乱高下するとかいうような場合にそれを防止する、あるいは相場の非常に急激な動きをなだらかにしていくという程度の介入が認められているわけでございまして、その基本的な原則は、やはり為替相場は市場のそういう需給にゆだねていくというのが原則になっておりまして、これがIMFで決められておりますフロートのガイドラインで、ルールになっております。したがって、そういう国際的な合意のもとで私ども介入をやっておりますし、そういうもとで為替相場政策をやっておるわけでございまして、基本的にはいまのような強い円高の圧力というものは、やはり日本の大きな国際収支黒字というところにあるわけでございますから、基本的には一日も早く輸入をふやしていくというような具体的な措置をとっていくよりほかにないんではないかというふうに考えております。
  96. 下条進一郎

    下条進一郎君 私のポイントとちょっと答えが違うんでありますが、要するに、オペレーションの問題を私は言っているわけじゃないのです。全体の資金需給のすべての勘定をもう一回御検討いただいて、この前予算委員会で私が申し上げましたように、円シフト問題を含めての全体の為替市場のあり方、制度的な問題、そういったものをもう一回御検討いただいて、現在のような形が少しでもよくなるように、しかもこういう状態において放置されたままではなかなか姿が直りませんので、いつまでもいつまでもみんな不安のままに置かれている。こういうことがないようにしていただきたい、こういうことをお願いする次第でございます。  そこで、いま宮崎次長からお話がございましたように輸入をふやせばと、こういう議論でございます。確かに輸入をふやすということも、この問題を解決するためには大変に大事なことでありますけれども、私はいま見ておりますのに、だれが一体それを買うか。内需がないのに輸入をふやせ、ふやせといっても、一体どの程度ふえるものかという点に対して非常に疑問を持つわけでございます。その点はどうでございましょうか、通産省の方からお答え願いたい。
  97. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) ただいま御指摘のとおり、輸入をいたしますにつきましても、現在のような物の需給状況でございますと、なかなか在庫も多うございますし、可能でないわけでございます。したがいまして、われわれとしましては、輸入をこの際ふやすためにはやはり備蓄ということを考えておるわけでございます。
  98. 下条進一郎

    下条進一郎君 一足飛びに備蓄という問題だけでなくして、私はやはりその輸入というものは、基本的には内需というものが起こってこなければ、民間輸入中心でありますから、やはりそういう需要が起こらなければ、幾らいろんな手だてをしても輸入はふえていかない。私はそこら辺非常に問題があると思うんであります。そこで、第一には内需を喚起していただきたい。この問題は最後にもう一回申し上げます。  それと同時に、最近議論されておりますところのNTBですか、その問題につきましても、これをとればいかにも輸入がふえるような議論が行われております。私は若干疑問を持つんであります。私はその問題について、通産省が国民をミスリードすることのないように指導していただきたい。私は、現在残っておりますところのそういうNTBのものは、恐らくこれはハードコアであると思うんですよ。ハードコアにメスを入れるということは、私は国内の産業の問題として大変大きな問題だ。そうでなくても日本経済が弱っているときに、そういうものに深いメスを入れていくということは、私はやや疑問があるのじゃないかと思うのです。お入れになるのは結構でございますけれども、私は見通しはなかなかむずかしい。そういうものを爼上に上せて対外折衝すると。いかにもそういうことができるようなことを、海外にそういう理解あるいは認識を与えることは、私は大変な間違いだと思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  99. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) 先ほどは先走りまして、備蓄お答えだけ申し上げて失礼いたしましたが、今度はまたNTBの関係だけをお答えさせていただきます。  NTBにつきましては、もうすでに御承知のように、東京ラウンドの一環といたしまして、われわれは各国との間の交渉を始める準備をしておるわけでございますが、この十一月の一日までの間に、各国ともにその相手国に対しましてNTBに関するリクエストを提出するということになっておりまして、一応十一月の一日までに出し終わったことになっておるわけでございます。その内容につきましては、いろいろとただいま検討いたしておりますが、御指摘のとおりなかなかむずかしい問題が多うございます。したがいまして、最近の円高対策といたしまして、そのNTBを前倒しに行うとか、そういった検討は前向きにはいたしますが、なかなかむずかしい問題がございまして、これは東京ラウンドの進行と合わせまして検討してまいりたいと思っております。
  100. 下条進一郎

    下条進一郎君 いまのお答えで大体の概要は理解できますけれども、私が特に強調したいのは、前向きに検討するということを通産省がおっしゃっても、あるいはそれに関連して農林なりその他ほかにもあると思うのでありますが、できないことはできないのであります。それを今度の円高対策の一環の政策の中にお入れになるということは、私はかなり問題がある。私は、できないことは初めからそれをのけて、本当にできることに対して政策を集中していくということが私は必要だと思うのです。その点で通産大臣いかがでございましょうか。
  101. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 下条さんのおっしゃるとおりでありまして、根本的には景気が立ち直らないことには内需のあれがありませんし、当面の黒字対策といたしまして備蓄をいたしますのにも、これが現行の制度でありますと、業界の方の民間購入になりますから、まだ政府備蓄ができません、法制上の問題もあります。それを乗り越えても、結局なかなか油にしてもあるいは銅にしても、備蓄がむずかしい。そこへさらに今度は東京ラウンドの前倒しということで、御指摘のように、わが国にとりましては、非常に重大な物件につきましても、関税引き下げをあえていたして、そして促進を図ると、こう一口には申しますけれどもなかなかむずかしい。その点はおっしゃるとおりでございます。
  102. 下条進一郎

    下条進一郎君 ただいまの通産大臣の非常に配慮ある御回答、私も全く同感でございます。大変にむずかしい問題と思います。各国から突っつかれてやむを得ずその問題に入らざるを得ないと思いますけれども、やはり国内産業が今日のような厳しい状態にあるし、加えてもうすでに先ほど申しましたように、もうそれはすでにハードコアになっておるのじゃないかという見地でございますので、きわめて慎重に対処していただきたい。私は問題はほかにあると、このように申し上げたいと思うのでございます。  続きまして、たびたびいまお話が出ておりますように、緊急輸入という問題がぜひとも必要であるということは、もうすでに対策の中に述べられておりますけれども、その中でやはり外貨が、たとえばオペレーションをやった結果、どんどんと積み増しになってしまう。それを有効に使うという方法でいろいろな対策考えられておるわけでありますけれども、まあ、石油というものが値が上がる。下がる先行きのある外貨を、その石油に切りかえていくというのが一番賢明ではないかということで、またロットとしても金額もはりますので、石油備蓄の推進ということが盛んに論議され、通産省としても対策を講じておられますけれども、まあ最近の新聞紙上で知りました範囲におきましては、なかなかこれまた進まない。で、対策というものは実際に動かなければ対策にならないわけでございます。検討していると、あるいはいろいろむずかしいということがあろうかと思いますけれども、やはりある程度障害を乗り越えてその問題に取り組んで一つの答えを出し、実際に滑り出していただかなければ、私はこれは対策としては取り上げたことにならないと思うんでございます。その点について、どういう点が現在この石油備蓄について問題になっておるか、その点をひとつ御検討いただいた結果のあれを御報告いただきたいと思います。
  103. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘の問題は二つあるかと思います。九十日備蓄目標達成のための問題点と、ただいまのお話からしますと、むしろ下条委員から直接お触れにならなかったんですが、あるいはタンカー備蓄の実行上の問題点、その二つの問題があろうかと思います。  まず緊急輸入との関係で申し上げますと、タンカー備蓄でございますが、現在御承知のように、十一月末を目標に六千四百五十万キロリッター、過去の最高まで積み増しを進めておるわけでございまして、そういった関係から現状においてさらに備蓄を緊急に進めるということになりますと、タンカー備蓄に頼らざるを得ない、こういう問題になってくるわけでございますが、まさに御指摘のように安全性の問題、経済性の問題、そういった問題があるわけでございます。特に、どこに係留するかと、いわゆる泊地を選定すること、それは適地であると同時に地元の理解と協力、特に漁業関係者等との調整が必要になってくるわけでございますが、そういった点につきましては現在運輸省あるいは農林省と協議を続けておる、できるだけ早く結論を出したいというふうに考えております。その過程におきまして、一部たとえば石油会社などが持っておるシーバース等についても活用できないかといったようなことも検討いたしておるわけでございます。  それから、九十日備蓄の問題につきましては、五十一年度末、ことしの三月末には七十五日まで完了いたしております。来年の三月末、八十日までもっていくわけでございますが、これもまず可能だと思います。むしろこれから九十日までもっていく間か非常にむずかしい問題を抱えてくるかと思います。それは一つには、備蓄コストが非常に高くなってくるということもございますが、それ以上にやはり適地をどこに求めるかということでございまして、五十二年から五十四年度までの間になお約二千万キロリッター程度のタンク容量を確保するの必要があると、こういうことでございまして、方式といたしましてはいわゆる個別石油企業がやる方式と、共同備蓄会社による方式、こういった二つの方式で進めてまいるわけでございますが、これは現在われわれとして予算要求中のものでございますが、たとえば備蓄立地促進交付金制度といったようなものを創設することによりまして、地元に経済的な還元を行うといったようなことも含めまして、さらに立地確保に努力してまいりたい、かように考えております。
  104. 下条進一郎

    下条進一郎君 ただいまの長官のお話で非常に苦労していらっしゃるということですが、現実問題としては進んでいないことだということになりますと、やはり円高対策としての一番効き目のあるこの石油輸入の問題それに関する備蓄問題というものがなかなか進まないということだと、私は東京ラウンドで攻め立てられるそちらは私はふさいで、やはり筋論として石油備蓄の方で進めていけばという論旨を展開しようと思いますが、そちらが進まないとなると、また先ほど東京ラウンドの方に逆戻りして、もっと痛い目に日本は合うんじゃないかということを懸念するわけでございます。  そこで石油備蓄問題、これはいろいろの懸念する問題があろうかと思いますが、やはり電発のときにも相当苦労されたと思いますけれども、ああいうようないろいろなエキスパートが私はおられると思うんですよ。そういうエキスパートを集められて、土地の手当ての問題あるいはその公害の問題、そういったものに集中的にやはり動員してぜひ問題を解決していただきたい、その問題が一つ。  それからもう一点は、私は長い目で見ますと、ただいま長官からお話がございましたその備蓄の全体の大きさでございます。五十五年三月末の九十日というのは私は少ないということを、この前申し上げておるのでありますが、そういう問題に対して、やはり何といっても大事なのはその財源でございます。現在の備蓄は民間備蓄中心でございますから、どうしても国家備蓄というものに入っていかなければならない。そうでなければなかなかそれはもう無理でございます。その問題について、資金手当ての問題はまあどう考えていらっしゃるか、これは非常にむずかしい、大蔵省との関連の問題になろうかと思いますけれども、その二点を通産大臣からひとつお答えいただければと思いますが。
  105. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) この備蓄に対しまする所要資金でございますけれども、これは今度の一例を申しまして、タンカー備蓄の問題とりますと、この油代と用船料と利子補給と、こういうふうなものを加えましても千五百億円程度の膨大な金額に上ります。これはこのほかに、漁業の補償でありますとか、あるいは地元の補償は、これは入っておりません。いまのこのタンカー備蓄ということを一口に申しましても、なおこういうふうな資金的な手当てのほかに、法制上から申しましても安全性確保に対しまするいろいろな保安上の問題があります。ことにタンクの問題等は、消防法の改正によりまして非常に広い地域が、約従来の計画の倍ぐらいの土地を所要いたしまするし、しかし今度のタンカー備蓄につきましては、先般の三菱の水島事件等を考えましても、あのときだけの補償費や清掃費合わせまして約三百億円ほどのものが要ったのでありまして、こういうことから考えますと、今度のタンカー備蓄の場合におきましても、やはりそういうふうな保安上の補償問題が非常に重大な問題になってまいります。なおまた、国際的に見ましても、こういうふうなものに対しまする保険制度というものがまだできておらないと、こういう難関もございます。  計画備蓄の問題につきましては、既定方針どおりでありまするけれども、さらにまた公団等を活用いたしまして、これにも公団法の改正が必要でございますが、約一千万キロリッターの国家備蓄をいたしますということになりますれば、それ相応に大きな計画的な資金が要るわけであります。そういうことを、まず来年度の予算に対しましても大蔵省と目下交渉をいたしつつあります。
  106. 下条進一郎

    下条進一郎君 大変にむずかしい問題だと思います。また来年度の予算はいろいろな面で財政的な制約の多い年だと思いますけれども、私はやはりこれは国内の非常に大事な問題の一つだということでございますので、まあ非常に乱暴な言い方をすれば、建設国債というものの制度があるならば、やはりこういう大きな国家目的に沿うものであれば、別の何らかの資金調達の問題をひとつ突破口として考えていただくと、そういう勇気を持って取り組んでいただかない限り、一般の予算の中で、あるいはほかの財源から一部削り取ってこちらへつけるというようなことでは、私はなかなか解決しないんじゃないかと思うんでございますが、通産大臣いかがでございますか。
  107. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) この予算の問題が、私は今日の国家財政から申しまして非常にむずかしい。まあ新聞等見ましても、こういうふうな落ち込んだ景気のもとに歳入欠陥が出るんじゃないかというようなことも新聞には出ております。反面また景気浮揚という、経済関係から言いますれば、投資減税とかなんとかといったような、むしろ景気浮揚のための相当公債論が一方においては出ております。そういうふうな基本的な問題は、これは私の方の所管ではございません。あるいは大蔵省なりあるいは日銀なり、あるいは企画庁の問題でございますが、われわれの方といたしましては、そういう厳しい財政の中におきまして、御承知の六十年八兆八千億という目標達成、その初年度の来年度の石油の資金獲得という問題は、これはもうあらゆる問題を超越して、私は国家的な大問題だと、かような信念のもとに、予算折衝に取り組む覚悟でございますので、よろしくどうぞ御協力をいただきます。
  108. 下条進一郎

    下条進一郎君 非常にかたい決意を通産大臣から伺いまして、ぜひそれで徹底して実現を図っていただきたいとお願いする次第でございます。  それから次は、円高関連につきまして中小企業庁の方にお尋ねしたいんですが、この前通産省の方で調査された円高中小企業に対する影響、これが十月初めの調査だったというように伺っておりますけれども、その後通産局長会議でまた新しいデータも入ったように聞いておりますが、具体的にはどうであったかということと、それに関連いたしまして、例の緊急融資の金利に関連いたしまして、かなり努力されたと思うんでございますが、私もこの前申し上げたんですが、六・二まで努力されたんでありますが、これは予算の途中ということで、非常に苦労されたことはわかりますけれども、私はそういう問題を六・二で済ませてしまうということは大変な問題だと思うんです。やはりそれを救済するということであるならば、もっともっとフェーバーを与える金利にしなければならない。日本は事実そういう金利を海外に出しておるわけでありますから、国内の中小企業が困っているときにはもっと金利の問題について検討していただきたい、こう思うわけでございます。その点で中小企業庁長官と大蔵省の方から簡単に御返答いただきたいと思います。
  109. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 円高に伴う産地の影響につきましては、先回たしか御報告したかと思いますが、現在七十六産地につきまして一番新しい動向の調査をいたしておりまして、近くこれが取りまとめができると思っております。  なお、その中間段階におきましていろいろな話も聞いておりますし、先般通産局長会議を催しまして、各地の状況も伺いました。これらによりますと、どうもやはり十月になりましてから一段と円高が進んだということが各産地に強い影響を与えておるようでございます。特に注文がかなり減っておるということを印象づけられております。それと同時に、いままでの調査では、まあ何とかいけそうだと言っておりました産地が、どうもこれはわが方も大変になってきたというような声が新しく出てまいりました。さらにまた、いままでは下請関係になりますと手持ちの仕事があるものですから、とかくそれに気がとられておりましたものが、はて、これから先はというような感じが、下の零細な企業に非常に広がってきておるというような印象も受けております。いずれにせよ、かなり大きな影響を与えておると私どもは総合判断いたしております。  それから、第二にお尋ねのございました金利の問題、これは先回の委員会でも強い御要望のございましたことを私ども十分承知をいたしております。その後大蔵省とも御相談をいたしまして、いまお話ございましたように、当初三年間六・二%、その後六・七%、期間につきましては、五年を六年に延ばす、据え置き期間は一年を三年に延ばす、かような措置をとった次第でございます。  中小企業といたしましては、少しでも金利が安く、また期間が長いということを望むのは当然でございますし、特にいま円高の問題が非常に大きな影響を与えている際、その声は非常に強い切実なものがあると私どもは理解をいたしております。ただ、これは私から申し上げるのもいかがかと思いますが、運用部資金コストとの関係もございますし、それから六・二%といいます金利は、私どもでは、災害で特別に使っておりますほかは余り例のないことでございます。なおまた、第一次ドルショック対策、第二次ドルショック対策と比べましても、六・二%といえば一番低い金利になっております。また期間の面でも、従来は三年ないし四年というものを今回六年に延ばした。それから据え置き期間も、いままでは二年というのが最高でございますが、今回三年という、これはほかには余り例のない措置をとりました。  こういうようなことで大蔵省にもできるだけの御協力をいただいたつもりでございますが、なお私どもは産地の実情をよく踏まえまして、しかるべき対策を今後とも考えていきたいと思っております。
  110. 渡辺喜一

    政府委員(渡辺喜一君) ただいま中小企業庁長官の方からお答えいただいたとおりでございます。もちろん金利その他の条件というのは緩和されればされるほどそれは、それを受けるメリットは大きいということでございましょうが、これらの緊急融資を行うのが政府関係金融機関であります中小三機関を通じて行うということになっております。その政府関係中小三機関、特に国民、中小両公庫の原資というのは、大部分が運用部の資金を使うということでございますから、これらの機関を通ずる融資である限り、どうしても資金コストの面からの制約というものを受けざるを得ないわけでございます。  で、過去のドルショック、たとえば第二次のドルショックのときがやはり六・二で、四年目以降六・七と、今回と同じ条件になっておるわけでございますが、この場合は当時の運用部金利コストというのが六・二でございまして、決してこの六・二は運用部の資金金利を割った金利ではなかったわけでございます。それに対しまして、今回は運用部が六・五でございますから、そういう意味では六・二という金利は、ある意味では運用部のコストを割って出しておる、こういうことでございまして、同じ六・二ではございますが第二次ドルショックのときよりはかなり思い切った措置になっておる。  さらに、私ども伺うところでは、当面の金利の問題、特にその金利の〇・幾つというふうな差の問題よりも、やはり当面の問題は据え置き期間であると。当分の間その返済の要がないというところが非常にやはりメリットなんだということも伺っておりまして、その点については先ほどの長官のお話のとおり、据え置き期間三年という、過去に全く例のない長期の据え置き期間を設定した、三年間は元本を返済する必要がない、こういう措置を講じたわけでございます。  下条先生のお話の中に、外国にはもっと非常に安い長いものを出しておるという点がちょっとございましたが、そういうもの、たとえば第二世銀等に出しております金、これは無利子五十年という、いわば贈与みたいな金でございますが、そういう思い切った措置を講ずるということになりますと、どうしてもこういう金融機関を通ずる措置では無理になるわけでございまして、それはもう全く財政そのものでやらなければならないというようなことにもなるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、この金融機関を通ずる措置としては、かなり限度いっぱいのことをやったという感じでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  111. 下条進一郎

    下条進一郎君 じゃ、最後に締めくくり。  いろいろ検討されたことはわかりますけれども、いずれにいたしましても、時間でございますので、通産大臣また大蔵省に特にお願いいたしたいのは、いろいろ検討されても、具体的に表へ出てきた円対策というものがはっきり出てないというところが現状でございますので、ひとつ本当に積極的に取り組んでいただきたい。輸入の増加の問題、あるいは大蔵省の方のいろいろな外為対策の問題、円シフトの問題、総合的に勇気を持ってぜひやっていただきたいし、来年度の予算に対しましては、ぜひ内需が喚起できますように、大型の予算、積極的な予算をつくるように取り組んでいただきたいことを要望いたしまして質問を終わります。
  112. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      —————・—————    午後一時四十六分開会
  113. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 休憩前に引き続き、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  114. 馬場富

    ○馬場富君 私は、産業廃棄物の処理並びに公害輸出についてお尋ねいたします。  一点は、韓国向けの廃油スラッジの輸出については、昭和四十七年ごろより日本の取り締まりが厳しくなったので、日本で処分の困難な廃油スラッジを韓国に大量に輸出したわけでございます。その悪質な廃油のために韓国でも受け入れることができずに、昭和五十一年七月時点においては釜山、仁川等の韓国の港に数千トンも山積みされて、韓国で一大社会問題を起こしておりますが、これに対しまして、通産省並びに厚生省はこの点については知っているかどうかお尋ねいたします。
  115. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) ただいまの御質問の廃油の輸出の件でございますが、これにつきましてはなはだ遺憾でございますが、こういうことがありました事実を存じております。
  116. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) 厚生省におきましてもさような事実があったことを存じております。
  117. 馬場富

    ○馬場富君 次に、この大量の公害輸出、不法の輸出に対しまして、韓国では、五十二年の七月に韓国政府が韓国輸入業者並びに税関職員に厳重な処罰を行っております。また、公害で使用できない大量の廃油スラッジについては、韓国政府は一億六千百三十万円を国庫より支出して、これを処分することに閣議で決定をしております。これに対しまして、通産並びに厚生省は、この事実を知っておるかどうかをお尋ねいたします。
  118. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) その事実は存じま上げません。
  119. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) 韓国の新聞記事等におきまして、そういう記事が報道されたことは仄聞しておりますが、事実の内容については私ども確認しておりません。
  120. 馬場富

    ○馬場富君 通産の方はこれは御存じないわけですね。これは五十二年の七月、韓国で大問題となり、また韓国政府見解として、これの検察庁の処分が公に発表されておりますし、それから新聞等でも大々的にこれは報道されております。これをしっかりひとつ通産省の方も確認しておいていただきたいと思います。  それでは次に、この問題につきまして、具体的な問題についてお伺いしたいと思いますが、初めに通産省にお尋ねいたします。  これは事実、新聞等でも問題になりましたが、五大企業株式会社という会社が韓国の産資開発株式会社という会社に廃油を輸出しようとした。そういう事実がこちらで確認されているかどうか、確認されておれば、その承認年月日と数量と、あわせまして金額について御報告願いたいと思います。
  121. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) 昭和五十一年の七月九日に名古屋通産局が承認いたしました件が、ユースドオイルということで仕向け地韓国、三千トン、三千ドルというのが三件ございます。次いで昭和五十二年の一月十四日に大阪通産局が承認いたしました件といたしまして、ユースドオイル(クルード・オイル・スロップ)六千四百トン、仕向け地韓国という案件が三件あります。名古屋通産局が承認した件は、数量は九千トンで、金額は九千ドルでございます。
  122. 馬場富

    ○馬場富君 相手方の会社、お願いします。
  123. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) 産資開発株式会社でございます。
  124. 馬場富

    ○馬場富君 実は、いま通産の方からお示しになったように、最初に許可したのが五十一年の七月でございます。それで、大阪通産が許可したのが五十二年の一月の十四日でございますね。そういう点でこういう二つの問題がございますけれども、これは私、事実その現場で実はただした状況でございますが、この名古屋の通産局で認可を受けて廃油を輸出しようとしたこの五大企業は、その後三ヵ月間の期間で許可を受けたが、三ヵ月間の期間で間に合わなかったために、そのために三ヵ月間の延期を申し出した。こういうことです。結局六ヵ月になりますけれども、その期間に輸出しようとしたところが、実はこの品物ができておりません。この廃油につきまして、通産の方はこの許可につきまして、このように確認しておるかどうかお答え願いたいと思います。
  125. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) 名古屋通産局で承認いたしました案件三件、おのおの五十一年十月九日に期限延長いたしまして、昭和五十二年の一月九日に期限切れとなっております。したがって輸出実績はございません。
  126. 馬場富

    ○馬場富君 この輸出商品はなぜ輸出ができなかったのか、それを御答弁願いたいと思います。
  127. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) 正確には存じませんが、恐らく憶測しますところによりますと、韓国政府の規制も厳しくなっております。恐らく相手方か輸入する事情になかったせいじゃなかろうかと思っておるわけでございます。
  128. 馬場富

    ○馬場富君 私が名古屋通産局の担当の大泉課長並びにこの五大企業の社長にも会って聞いた結果は、やはりこの品物は、その間に実は受知県等でも、また内地から韓国に対しての大量の公害輸出というので問題になって、そしてそのことが名古屋通産局でわかったわけで、そういう点について名古屋通産局の大泉課長は、これはやはり再三の承認はできないんだといって断ったところ、その五大企業が再三にわたってこれを強く迫った。だが、それ以上言われても、これは国の問題であるからということで、本省の決裁を得てもらう以外にはないんだ、こういって断った。こういうことを課長も申しておりますし、業者もそう言っておりますが、これに間違いございませんか。
  129. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) 直接担当課長なり業者から聞いておりませんが、恐らくそういう事実はあったろうと憶測しております。
  130. 馬場富

    ○馬場富君 ところが、先ほど通産の方がお示しになりましたように、多少数量こそ違え、名古屋で輸出しようとした、そして名古屋で問題があるとされて拒否されたこの品物が、本当に一月たたずの間に同じ関係官庁である大阪通産局でこれを承認された、そしてこれを輸出されようとしたわけでございます。これは実は港まで持ち出したところ、大阪府警によって告発されたために、いまだに大阪港に野積みになっております。これはいま地元でも大きな問題になっておりますが、このように告発されるような廃油スラッジをなぜ通産局は、そういうことがほぼ社会的に問題になっている時点において輸出承認をしたのか、通産の責任あるひとつ御答弁を願いたいと思います。
  131. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) その件に関しましては、はなはだ遺憾な次第でございますが、実は私ども通産局間の連絡不十分でございました関係もありまして、別の大阪通産局に申請された件につきまして、なかなかその辺の事実を知り得なかったことはまことに遺憾と存じます。  ただ、今年の四月、五月になりましてそういう事実が判明いたしましたので、大阪通産局としては、この期限切れになりました承認の案件につきまして、それを延長しないという措置をとりました。その点は御了承おき願いたいと思う次第でございます。
  132. 馬場富

    ○馬場富君 いま御答弁のように、これは先日も衆議院で問題になりましたが、実は大阪の尻無川の流域に最初は千四百本もこれは放置された。以後いろいろな問題等があって、結局現在も九百五十本程度まだそのままに放置されておりますけれども、そういう輸出を担当する通産当局が、そういう事態の状況等もよく把握しなくて、またその時点で、厚生省や新聞等でも韓国輸出の問題が相当やかましく言われておる時点において、私は、本当に余りにも行政が、同じ官庁でありながらばらばらの行政もはなはだしいと、こう思うわけでございます。そういう点につきまして、この産業廃棄物に対する通産の基本的な考え方と、こういうものに対する基本的な理念の欠如だと私は思います。そういう点について通産の責任ある御答弁を願いたい。
  133. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) この廃油の輸出につきましては、相手国におきます使用者の判断によりまして、いろいろと用途もあるわけでございます。あるいは相手方の国によりましては、有益な原料になり得る場合もあるわけでございますが、反面、公害に対する各国の事情も異なるわけでもございまして、いろいろ条件がございます。したがいまして、これらの件につきましては慎重に、あるいは公害の輸出にならないように、本来判断すべきものだと思っておる次第でございます。  ただしこれにつきまして、貿易管理面からこれをチェックすることにつきましては、いろいろと法制的にも検討いたしておるわけでございますが、むしろ第一義的には、本年の三月に改正強化されました厚生省の廃棄物処理法の、これの運用によりましてこれを指導監督していただくのが第一義的な問題じゃなかろうかと思っておるわけでございます。
  134. 馬場富

    ○馬場富君 その問題については、また後で大臣等にもお尋ねをいたしますが、私はもっとそういう点で、厚生省の強化が行われたのでいいということではなしに、通産自体としても、これからまたいろいろな関税等についても質問いたしますが、そういうものともあわせまして、後ほどまた答弁をいただきたいと思います。  次に、大蔵省関税局並びに厚生省にお伺いいたします。  大阪に東亜環境貿易株式会社がございますが、韓国にこれが廃油を輸出し問題になっておりますが、その概要について大蔵省並びに厚生省の見解をお伺いいたします。
  135. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) ただいまの御質問の件でございますけれども、御質問の御内容を申し上げますことは、私どもの税関が受理いたしました申告書の内容にかかわるものということになるわけでございますので、申告書の公表につきましては従来からも公表しておりません。申告制度を担保いたしまして、適切な申告を確保するという見地から、ひとつ従来同様、お許しをいただきたいと思う次第でございます。
  136. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) 東亜環境貿易の件につきましては、本年でございますけれども、東亜環境貿易株式会社という会社が、韓国に廃油らしきものを輸出するということをたまたま聞き知りましたので、それから事情をいろいろ調べてみましたところ、過去において何回かそういうことをやったこともあり、それからまた現にやろうとしているということを把握いたしましたので、これは大阪市が廃棄物担当の部局になるわけでございますけれども、大阪市を通じまして指導いたしましたところ、確かに物が韓国へ参りまして、必ずしも適正に処理される保証がないというふうなことをその会社自身が認識をいたしまして、自発的に輸出を取りやめる、それで、日本国内において処理をするという方針をとって、現にそういうことで処理をしたわけでございます。そういうことでございますので、東亜環境につきましては、現在韓国に対する輸出はしておらないように承知しております。
  137. 馬場富

    ○馬場富君 厚生省にお尋ねをしますが、いま概略の説明でございますけれども、この輸出につきましては、実は大阪市の環境部が輸送ということを許可したために、この問題が起こったということに私は理解しておりますが、そのために韓国輸出外国輸出が問題になったときに、厚生省はそのことについて大阪市の環境部に問い合わせをされました。それについて大阪市の環境部から厚生省に対しまして、東亜環境が、実は韓国並びに各方面に国外輸出したそういう明細表やその状況が報告されておると、そういうように聞いておりますが、これはどうでしょうか。
  138. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) 大阪市から私どもが報告を受けましたところでは、東亜環境貿易輸出でございますが、昭和五十年から五十一年、五十二年と、三年間ほどにかけまして廃油等輸出されております。
  139. 馬場富

    ○馬場富君 はっきりしてください。どのくらいの数量が、どのくらいの期間にわたって、また主だった品目はどんな品目のものが輸出されたか、それをひとつはっきりと答弁してもらいたいと思います。
  140. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) 昭和五十年におきましては、これは月日は私ども把握しておりませんけれども、大阪市からの報告によりますと昭和五十年におきましては、廃油が六百七十七トン、これは韓国となっております。それから、廃タイヤというのが百九十八トン、それからその他というのが、これは何かわかりませんけれども、その他というのが若干ございます。それから、五十一年になりまして、廃油というのが二千六百六十四トン、これは韓国でございます。それからそのほかに三百六トン、これは台湾となっております。それからその他、これはいろいろな物のようでございますけれども、金属とか皮革とか書いてありますが、四十トン、これは韓国となっております。それから五十二年になりまして、廃油二百五十トン、これは韓国でございます。そういう報告を受けております。
  141. 馬場富

    ○馬場富君 その報告書の中に、五十二年の二月の二日の時点で、この東亜環境が韓国に輸出した中でペンキ合成溶剤という名目で五十トン輸出されておると、こういうのがその記録の中にございますか。
  142. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) そういう細目については期日、それからその品目の細目等私ども報告受けておりません。
  143. 馬場富

    ○馬場富君 大蔵の方に質問いたしますが、先ほど税関の方では、これは結局大阪市の調べ等によっても明らかになっておりますが、実は五十二年の二月二日に韓国あてに、東亜環境から大阪港を通してペンキ合成溶剤というのが輸出されておるということの報告を私の方は聞いておりますが、これにつきまして、先ほどそういう詳細はございませんと、こうおっしゃっていましたが、私の手元にその通関に添付する書類が一部来ておりますが、これはやっぱり輸出関係の添付書類かどうか御確認願いたいと思いますが。
  144. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) ただいま拝見さしていただいております輸出申告書、これは銀行認承用の申告書でございます。銀行認承年月日と番号等きちんと押してあるわけでございますが、果たしてこれが税関に添付されて出たものであるかどうか、通常税関の方へ添付されまして、あれのものはこの下の税関輸出許可年月日及び番号の欄に税関の印を押印いたしましてお返しをしておるということでございますが、その印がございませんので、その点につきまして、これが果たして税関の方へ提出されたものであるかどうかということについては、何とも申し上げられない次第でございます。
  145. 馬場富

    ○馬場富君 それではその申告書の添付書類でございますが、そういうものが、税関を通る場合に添付する書類であるかどうかという点と、それからもう一点は、その添付書類の品名と数量と相手先を読み上げていただきたいと思いますが。
  146. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) 一般的に輸出のためにいわば輸出申告をいたします場合、税関用の輸出申告書というものが正規のものになるわけでございまして、またその品目を輸出する際に、銀行認承を要するというものにつきましては、添付書類といたしまして、ここにありますような銀行認承用輸出申告書が提出をされまして、果たして認承を受けているかどうかということを税関で確認の上、輸出の許可を行うということになっているわけでございます。そこで、これが果たしてその添付されました銀行認承用輸出申告書であるかどうかという問題は別といたしまして、お尋ねのございましたこの輸出申告書、読み上げてまいりますと、これは輸出者は東亜環境貿易株式会社ということになっておりまして、商品名といたしましてはコンポジット・ソルベンツ・フォー・ペインツと、こう書いてございます。ペンキ合成溶剤とでも訳すのかと思う次第でございます。なお、仕向地につきましては韓国というふうにこの書類ではなっております。
  147. 馬場富

    ○馬場富君 もう一点その書類についてお聞きをしますが、そのものはそういう書類であるが、そのものずばりではないということの御答弁でございますけれども、たとえばそういうような添付書類といわゆる税関に対する申告書と、中身というのは一致しなければならぬと思いますが、その点どうでしょうか。
  148. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) 税関の輸出申告につきましての通関審査におきましては、正規の税関用輸出申告書に記載してあります事項と添付書類、ここにございます銀行認承輸出申告書、このものかどうか別といたしまして、一般的にこういったものでございますとかあるいは仕入れ書とか、そういうようなものと対査、確認を行った上、それが合致しておるということを確認をした上で、輸出許可をするということになっております。
  149. 馬場富

    ○馬場富君 私はあえてなぜそんな質問を申し上げますかと申しますと、実は韓国への多量の輸出の中には、そういう一般の商品名として輸出品目を書きながら、その内容は実は廃油や廃油スラッジが、どうしようにもならぬようなものがどんどん輸出されたということがこの問題の焦点ですし、そういう形で税関を抜けたということが問題なんです。  そこで、実は大阪市がこの東亜環境の輸出につきましてその内容をチェックした状況が厚生省にも報告されておると思いますが、この内容をまとめたものを私はここに読んでみますと、それによりますと、輸出品目のうちのドラムかん六本について調査したが、内容物は化学工場の蒸発残留物並びに中間製品のボンド、ペイントかす、廃シンナー等であり、廃油の範疇に入るものであるとされて、分析表を見ましても、ここの中には明らかに重金属等を含む完全に産業廃棄物の廃油であるという断定がなされておるわけでございます。これは大阪市の環境部が、その東亜環境の輸出物について検査した事実の報告がここに出ております。  それからまた、この問題につきまして韓国側の検察庁がこの公害問題については非常に社会的な問題になったと、その韓国の検察庁の発表によりましても、廃油を複合ペイント等とごまかして輸入したことがここにはっきりと発表されておるわけでございます。そのために韓国におきましては、こういう関係の業者を実は厳重に取り締まっておるわけでございます。そういう意味で、この中身が廃油であるものを品名を詐称して輸出するということは、私は国際信義の上からも、また法的な問題からも大問題であると、このように思うわけでございますが、たとえばそういうような、実は輸出品目の記載品目と違った品目を輸出した場合の大蔵、通産省のこれに対する見解をお示し願いたいと思います。
  150. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) 一般論で恐縮でございますけれども関税法の見地から申し上げますと、輸出通関に当たりまして、偽った申告をするということは禁じられているわけでございまして、私ども常に正しい申告が行われるように、精いっぱいの努力をいたしておるというような現状でございます。これからもいろいろ現物検査等をどれだけ行うかというようなことにつきましては、一方で人員の制約等があるわけでございますけれども、重点的に進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  151. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) 貿易管理上でチェックいたしますのは輸出承認あるいは輸出認証でございますが、これにつきましては文書上のチェックでございます。したがいまして、現物との相違につきましては税関でチェックをされるということにはなっておりますが、われわれとしては承認しました品目と現物が相違のないことを期待しておるわけでございます。
  152. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ちょっと関連。  税関ね、あなたのさっきから答弁聞いていますと、一般論としてとか何とかかんとか、そんなことばっかり言っていますけれども、具体的にこれだけの物が、あなた方の目をかすめて現実に韓国へ出ておるわけでしょう、それをあなた方がチェックすることができなかったわけでしょう、現実に。チェックする責任は通産省はあなたの方にあるとおっしゃっているじゃないですか。これは仮定の問題じゃないですよ、現実にそういうふうなものが輸出されたことは厚生省の発表でもはっきりしているじゃないですか、さっき。そういう中にあって、さっきあなたの答弁を聞いていると何ら責任のないような、一般論としてなんという考え方じゃ承知しませんよ。もう少しやっぱりきちっとした答弁していただきたい。それできちっとした処分、きちっとした考え方を述べてもらわないと、あなたじゃだめですよ。局長なり大臣なり来てもらわないと困ります。そんないいかげんな答弁で済むなんて思ったら大きな間違いですよ。
  153. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) 誠意を持って答弁をいたしたいと思うわけでございますが、事実関係等につきましては、先ほど来申し上げておりますような次第でございますので、お許しをいただきたいと思うわけでございます。
  154. 馬場富

    ○馬場富君 この問題につきましては、韓国においてはこの廃油不正導入に関係した者については、報道によりますと懲役及び罰金等で非常に重罪が科せられて、そして本当に即断でこれを実行しておりますが、一つは国際的問題もございますし、そういうふうに偽った事実等のことが韓国からの情報や、あるいは大阪市の環境部の発表等によっても明らかな点がございます。そういう点について、大蔵、通産当局のもう一遍考え方をお伺いしたいと思います。
  155. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) たびたびくどいようで大変恐縮でございますが、私どもこれが実際の問題といたしまして、明らかに違ったものであるということでございましたら、関税法上必要な処置をとるということになるわけでございますけれども、ただ実際に輸出されましたものにつきましては、これの立証方法そのほかで直ちに罰則の適用というところまでいくかどうか、ここらのところは今後の推移を見てまいりませんと、問題が残るのではなかろうかという気がいたすわけでございます。
  156. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) 廃油等輸出につきましては、四月四日付をもちまして貿易局長名で通産局長あるいは税関長に対しまして通達を発しまして、廃油の輸出申請があった場合には直ちに報告をするようにということでチェックをいたしております。五月には、名古屋通産局に申請されました案件につきまして、これは取り下げるように局の方で指導さした次第でございます。
  157. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あのね、輸出課長ね。いまのあなた方さっきから物を言いませんけれども、昭和五十年に廃油六百七十七トン、これは韓国に輸出されていますね。あなたの手元通っているはずですよ、少なくとも。それから五十一年に二千六百六十四トン、五十二年に二百五十トン、これは廃油が現実に出ているわけですよ。そのときの商品名は何だったんですか。
  158. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) ただいまお聞きいたしました点につきましては、現在手元に資料がございませんのでちょっと判明いたしかねるわけでございます。
  159. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 きのうからこの問題については、いま質問しております馬場から何回もあなたの方へ問い合わせしていますね。それがいまだに確認していないというのはどういうことなんですか。具体的に先ほどから輸出申告書も出して、あなた方の正式の輸出申告書と、また銀行のこの証明書と品名が違うということはないんでしょう。違っておれば、あなた方許可しないわけでしょう。そのことは先ほど確認しましたね。ということは、あなた方の申告書の品名というのはどうなっていたのか。はっきりしてください、はっきり。
  160. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) お言葉を返すようで大変恐縮でございますが、申告書につきましては、これはいわば私人の、あるいは企業の契約行為というものに基づいて行われ、税関の方に出されているわけでございます。この辺、これが正しく行われるということを担保するということが必要でございますので、その申告書にどういう品名で記載されていたかということ等につきましてはお許しをいただきたいと思うわけでございます。
  161. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あなた、それつかんでいるんですか。どういうふうに書いてあったか。つかんであるんですか。
  162. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) いま手元にはございませんけれども……。
  163. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そんな、つかんでないのにそんないいかげんなこと言うな、本当に。そんないいかげんなこと……。あなた、つかんでもいないのに、それが守秘義務だからと言って通るわけじゃないですよ。私たちは現実に現物をあなたに見せている、あなた方のミスじゃないですか、これは。中身と申告した名前と違うというのは、はっきりしているんじゃないですか。にもかかわらず、そんな点をごまかすようじゃしょうがないじゃないですか。ただ、守秘義務ということだけでは通りませんよ、現物を見せているんですから、われわれは。これがあなた方の書類と合っているかどうか、品名についてはすぐ確認をしてください、きのうから言っているわけですから。
  164. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) この、ただいま見せていただいております二件の点につきましては先ほど申し上げたところでございますけれども……。
  165. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 二件じゃないよ。五十年、五十一年、五十二年と三年間にわたって輸出しているじゃないか。その名前を。
  166. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) その点につきましては、ただいま初めてお聞きしたわけでございまして、調べてみたいと思っておりますけれども、その内容について申し上げることにつきましてはお許しをいただきたいと思うわけでございます。
  167. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、承知できないね、そんなことじゃ。局長かだれかかわりに出てもらってくれ。冗談じゃない。とんでもない、そんなことじゃ。あなたが答弁できなかったら答弁できる人来てくれ。
  168. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  169. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 速記を起こして。
  170. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) 統計上では一般的に調べましたところでは、一つは、技術的になって恐縮でございますけれども輸出統計品目番号二七一四の九九〇というクルード・オイル・スラッジあるいはオイルスラッジ、それからもう一方といたしましては統計番号三八一九の九三〇、ユースド・コンポジット・ソルベンツ、まあ廃油溶剤と申しますか、そういうようなものとして、一般にいわゆる廃油というのが輸出されておるというような例が多いというふうに承知をいたしております。
  171. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまの三八一九で言ったの、もう一回言ってください。
  172. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) ユースド・コンポジット・ソルベンツでございますとか、インフレーマブル・ウエースト・オブ・ケミカル・インダストリーズ、いわゆる化学工業の廃棄物、かすといいますか、そういうようなものとして分類されるものが多いということでございます。
  173. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましてもいま三八一九の分言いましたけれども、三八一八というのあるでしょう。それどうです。
  174. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) 申しわけございません。個々の申告のことではございませんが、三八一八、配合溶剤及び配合シンナー、これに当たるものもあり得るわけでございますが、これは分類上の話といたしまして、この三八一八も古くなってまいりますと、三八一九になるということでございます。
  175. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あのね、三八一八のこれ見てみなさいよ。ちゃんとコンポジット・ソルベンツ・フォー・ペインツになっているじゃないですか。そうなんでしょう。違うのこれ。古くなったらこうなるなんて、そんな……。
  176. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) そのとおりでございます。
  177. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 初めからそのとおり認めたらいいじゃないか。そのとおりなんじゃないか。さっきから馬場さんが言っているとおりの名前をあなた方認めたんじゃないか。そうでしょう。それが要するに、いまのコンポジット・ソルベンツ・フォー・ペインツ。日本語に訳するとどういうことなの、これ。
  178. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) 合成溶剤ということになろうかと思います。
  179. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 フォー・ペインツとあるから、ペンキ合成溶剤ですね。それが問題の廃油スラッジだというんじゃないですか。名前と中身違うじゃないですか。
  180. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) このコンポジット・ソルベンツ・フォー・ペインツというふうに書いてございましても、これの中身、これがこういうものとして新しいものであるか、あるいは古いものであるかということによりまして、分類上は三八一九になるということもあり得るということでございます。
  181. 馬場富

    ○馬場富君 いずれにしても、いまの答弁を聞いておりますと、ペンキ合成溶剤ということです。結局だからそれが廃油だとしたら、この品物は違うと、こういうふうに理解すべきじゃないでしょうか、どうですか。
  182. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) 廃油というものの定義の中で、貯油タンクのいわば底にたまります泥油といいますか、そういったものが廃油ということでございますと、そしてまた、石油製品がある目的に使用されました後に、品質が変化し、あるいは石油以外の不純物が混入したため、そのままではもとの用途に使用できなくなったものであるというふうに考えますと、もしそういうものでございましたら、先ほど申し上げました分類の方の前の方の分類に入るというようなものであろうかと思います。
  183. 馬場富

    ○馬場富君 非常にわからぬ答弁ですけれども、品名は、明らかにいま日本語に訳すれば、ペンキ合成溶剤ということになるわけですよ。そんなほかの説明なんか、この輸出の申告書には書いてありませんよ。あなたが勝手にそんな向こう側の立場になって解釈するような立場がございますか、はっきりしてもらいたいな、これは。
  184. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) この申告書、いまお預かりしておりましたもので見る限りでは、ペンキ合成溶剤ということになるわけでございまして、廃油というようなものとは違うと言わざるを得ないと思います。ただ、認証用の申告書につきましては、税関といたしましては、これは決済方法といいますか、支払い手段が確実であるということを証明する書類であるということで、その決済関係をチェックをしておるという現状でございます。
  185. 馬場富

    ○馬場富君 いずれにしても、その品物はペンキ合成溶剤ということですから、そういう点につきましては、これは大阪市のこの問題に対する調査もはっきりとしておりますし、また受け入れ側の韓国側の証明もいま出てきております。そういう点で、ひとつこれは大蔵省も徹底的に事実を調査して、後日報告してもらいたいと、こう思いますが、委員長お願いします。よろしゅうございますか。
  186. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) 調査をいたすにやぶさかではございません。ただ、私ども調査といいますのは、どうしても税関の方へ提出されました輸出申告書によって調査をするということになりますので、それの内容等につきまして公にするということにつきましては、お許しをいただきたいと思うわけでございます。
  187. 馬場富

    ○馬場富君 これはほかの商品ではなくて、実は東亜環境が輸出をしておるということにつきましては、いわゆる公害物質を結局扱うということで、大阪市の環境部の許可を受けてやっておることです。そして、これは一々環境部にも報告しておりますし、その内容は詳細に環境部はつかんでおるわけです。そういう点で、同じ官庁関係にある市のそういう環境部の、その品物を輸出する問題点について、そういうことの官庁との打ち合わせ等について、私は何らこんなこと差し支えないし、当然参考にすべきだし、また韓国で最近、先ほど発表いたしましたように、この公害輸出の問題の韓国側の実態が公表されてきております。そういう点等についても、向こうから資料を受けることもできるわけです。そういう点について、あわせて御調査願いたいと思いますが、御見解説明してもらいたいと思います。
  188. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) ただいま先生の御質問の中で、若干、何といいますか、補足させていただきたいと思うんでございますけれども、大阪市環境部が、個々の輸出行為について許可をするとかということはいたしておりません。この東亜環境という会社が、一般的に廃油の収集、運搬について、その業として行うことにつきましての許可を与えておるわけでございますけれども、個別に、いついっか、これこれの物を輸出するかどうかということにつきましての許可というのはございません。本件、大阪市の環境部か詳細を承知しておりますのは、私どもの聞いておりますところでは、この問題が起こりましてから、大阪市がこの東亜環境を呼びまして、事情を聴取したということのようでございます。
  189. 馬場富

    ○馬場富君 私は、厚生省に聞いておるんじゃないよ、大蔵省にこのことを聞いておるんですよ。そんなことは私知ってますよ。結局市の許可というのは、運搬の許可を得ておるということにすぎぬじゃないですか。そのために、やはりその扱う産業廃棄物についてはチェックをしておるということですよ。大蔵省の見解をひとつお願いします。
  190. 村本久夫

    説明員(村本久夫君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、私どもの行政といいますのは、やはり輸出につきましても輸入につきましても、この申告を行う人が正しい適正な申告をするということを目的といたしまして行っておるわけでございます。そういったことで、この申告の内容が公表されるというようなことになりますと、そこいらに担保が懸念をされるというような状況でございますので、申告書の内容につきまして調べて公にするということにつきましては、お許しをいただきたいと思うわけでございます。
  191. 馬場富

    ○馬場富君 じゃ、次に進みます。  次に、大蔵省関税局と、並びに厚生省にお伺いいたしますが、先ほど来の質問の中でも発表されましたように、五十一年十二月の二十三日に、大阪の税関を通しまして台湾へ廃油が輸出されておりますが、これは先ほど発表されたから、私は御存じだと思いますが、先ほども申しましたようにこの東亜環境株式会社は、台湾の益州公司に対して廃油三百六トンを輸出しておるわけでございます。そうして、これがいま台湾で大問題になっておることについて、関係当局はこのことを御存じかどうか、御説明願いたいと思います。
  192. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) 先ほどの大阪市からの報告によりますと、昭和五十一年に台湾に対して三百六トンの廃油を輸出しておるという報告を受けておりますが、その期日、それからその輸入業者、それから、あるいは処理先等については存じておりません。
  193. 馬場富

    ○馬場富君 いま答弁のあったように、輸出されたことは事実であるという状況でございますが、これが実はいま台湾で大問題となりまして、十月の十五、六日の台湾の一流紙は、全部この問題を強く取り上げて、日本の公害輸出を非難しております。そして、それによりますと、台湾では、現在その産業廃棄物の廃油を処理する施設が一つもないと、そのために、これに困り果ててしまっておるということと、もう一点は、輸出時の重量と向こうの受け入れ重量とに大きい食い違いがあると、そういうために価格差が起きて、それでこの品物については、本当にだれが所有かわからぬような状況で、いま台湾側でも困り果てておるわけでございます。このように、先ほど来韓国の公害輸出もさることながら、また、台湾への輸出もこのような事実がはっきりしておるし、また台湾の社会問題にもなっております。  そういう点で、ここで私は、ちょうど大臣もお見えでございますから、こういう問題につきまして、先ほど来ずっとるると質問いたしましたが、やはり外国に、日本でも処理がむずかしいというような廃油を輸出をし、相手側にも本当に困らせるというような問題に対して、通産大臣見解をしかとお尋ねしたいと思います。
  194. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまお話をるる承りまして、私も非常に驚いたわけでございますが、さようなことはあってはならないことであります。なかんずく、これが自分の国の中においてさえ、環境の問題あるいはまた安全の問題が非常に重要視されておりまする今日、それをよその国に輸出して、そうして、しかも相手国に非常な迷惑をかけ、しかもそれが相手国の司直の手によって裁かれるというようなことは、まことに国辱でもあるわけでありまして、今後かような問題につきましては厳重にかようなことがないように指導いたしたいと思います。
  195. 馬場富

    ○馬場富君 もう一点は、先ほど来の大蔵の説明によりますと、税関においてとうていそういう産業廃棄物等の輸出についてのチェックはむずかしいと私は判断いたします。そういう点で先般も通商産業貿易局長の名前で税関に対しても通達が出ておりますけれども、そういうことが困難なような状況下で、これをどうやってそれじゃ取り締まっていくかと、まあ先ほどは厚生省の結局基準が強化したからいいという話でございましたが、こんなことでいままでの廃油輸出実態から見てチェックできるもんじゃないと思います。そういう点で、私は通産当局にお尋ねするのは、これを機会といたしまして、いま通産にやはり輸出に対する規制品目がございますけれども、そういう中にこういう日本でも運搬等に問題があるような産業廃棄物等については、やはりこれを加えて通産の方が輸出の中でこれをやっぱりチェックするという考え方を持つ以外に、私はこれはうまくいかないんじゃないかと思いますが、それに対する御見解をお尋ねいたします。
  196. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) 先ほどお答え申し上げましたが、この廃油につきましては、その性格が使用者によりましていろいろと有益でもあり、あるいは実害があったりするケースがあるわけでございまして、これを貿易管理上の面からだけで判断するということはなかなかむずかしいんじゃなかろうかと、あるいはさらに廃油の定義につきましてもいろいろと事務的に困難もあろうというようなことでございますので、貿易管理上の承認品目とするということにつきましてはただいまのところ考えていないわけでございます。  で、先ほど申し上げましたように、ただ厚生省に任せるというんじゃなくて厚生省でもそういう法がございますし、われわれとしましては関係各省ともよく連携をいたしまして指導強化してまいりたいと思っておる次第でございます。
  197. 馬場富

    ○馬場富君 その点については要望でございますが、ひとつ品目の中に加えることがむずかしかったら、その他の方法でよろしゅうございますから、やはり結局輸出担当は通産でございますから、そういう点でひとつ何かぜひとも考慮してもらって、はっきりとしたチェックの方法考えてもらいたいと要望いたします。  次に、日本海で、日本周辺を回って問題になりました高共丸の問題につきまして質問いたします。これにつきましては、この廃油を当時ドラムかんで千八百本を積んで日本を一周するほど回ったわけでございます。そうして、これはいまどのように処理されておるのかお尋ねいたします。
  198. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) 高共丸に積まれておりました廃油類でございますが、ちょっと手元に資料いま持っておりませんので若干違うかもしれませんが、大部分が愛知県にございますさる民間の廃油処理業者において処理をしております。現在全部ではございませんけれども、相当分が処理済みであるというふうに聞いております。
  199. 馬場富

    ○馬場富君 じゃ、その処理に対しましてとかくのうわさはございますけれども、この処理費の支払いというのはだれが支払うのか、説明していただきたいと思います。
  200. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) 廃棄物処理法上、私どもが所管しておりますのは廃棄物処理法でございますけれども、この法律上はだれが負担するかということについては格別の規定はございません。
  201. 馬場富

    ○馬場富君 私は法律の適用を聞いておるわけではございません。事実高共丸に千八百本積んで日本国中大騒ぎした、そうして日本の皆さん方に大変迷惑をかけた。それが東京の港に着いた。そして、どっかで処分されておるという話は聞いた。だが、いまあなたの説明でいくと愛知県によってこれは処分されておるという話ですか、もうこれ現実の問題ですよ。高共丸の廃油ですよ。これをじゃだれが責任を持って結局処理費を払うのか説明していただきたいと思います。
  202. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) 本件の場合、高共丸に物を、廃油類を載せました三基実業という会社があったわけでございますが、この会社がいろいろな経路を経まして、その排出企業からその廃油の処理を委託を受けたという形になっておるわけでございます。したがいまして、その三基実業という会社がこの処理をする責任があり、まあしたがいましてその処理費を負担する責任があるということになろうかと思います。ただしこの三基実業という会社は、現在のところ実態が全くございませんで、事実上倒産したような状況でございます。
  203. 馬場富

    ○馬場富君 事実上倒産して実態もわからぬという状況で、現実これが処理されて、それでその三基実業が責任持つわけですか、どうでしょうか。
  204. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) ただいま申し上げました廃棄物処理法上の責任は三基実業にあるわけでございます。現実にこの処理されておりますものの費用負担をだれがするかということは、現実にだれが払うかということは別になるわけでございます。いろいろな関係者のいろいろな工夫があるようでございます。
  205. 馬場富

    ○馬場富君 まあ工夫があるとおっしゃいましたけれども、現実いまいないと、こういうことで、その問題に対して厚生省も少なからず関係があると思います。そういう点でこれに対してどのような指導をいましつつあるかということを聞かしてもらいたいです。
  206. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) いろいろな関係者が絡んでおるわけでございますけれども、あくまでこれは民間の取引の問題でございますので、私どもは積極的に関知いたしておりません。
  207. 馬場富

    ○馬場富君 じゃあ責任は三基実業だが、それはいないから、民間の取引だから厚生省としてはタッチせぬと、こういうことでよろしゅうございますか。
  208. 三井速雄

    説明員(三井速雄君) はい、そのようでございます。
  209. 馬場富

    ○馬場富君 次に海上保安庁に、この問題になった高共丸の荷主である三基実業の関係でお尋ねいたします。  昭和五十一年の四月七日に伊豆大島沖で沈没した廃液タンク船の第二せと丸について事故の原因と状況並びに問題点を詳細に説明願いたいと思います。
  210. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) 先生が御指摘になりました事件は、昨年四月七日に下田沖で三基実業が運航者として用船しました曳船第一三笠丸これによりまして曳航されておりました廃液タンク船、これを横浜から瀬戸内海に運搬する途中に海難に遭って、先ほど申しました海面において沈没したと、そういうふうな届け出があったわけでございます。これに対しまして海上保安庁としましては、一応海難ということなので、直ちに巡視船を出動させまして、救難あるいは流出の状況の調査に当たったわけでございますけれども、船は、その海域は約水深千メーターほどのところでございますし、なお廃液としまして廃酸、廃アルカリ等を積んでおった模様でございますが、それの流出油というものもなく、一応海難事件としてはそれで済んだわけでございます。  しかし、本事件は一応海難事件を合わせましても、せと丸の沈没事件につきましてはやはりこれ過失犯でもこれは刑事事件でございますので、過失あるいは場合によっては故意犯でそういう両面から捜査を行ってきましたが、ちょうど同海域が非常に深いということで、同船の引き上げがもうこれは事実上不可能でございます。それからまた目撃者がそばにいなかった等の事由から、一応捜査をその後ずっと続けてきましたが、これ以上捜査の進展が非常に困難と判断して、現在一応捜査を打ち切っているという状態でございます。しかしわれわれとしては捜査をやめたわけじゃなくて、今後新たに確実な物証等が明らかになったときには積極的に当然この捜査を行うこととしておるわけでございます。
  211. 馬場富

    ○馬場富君 このせと丸が横浜を出港いたしまして、何か目的で、どこに向かっておったかという点と、それから積んでおった内容は、廃酸、廃アルカリ、あるいは廃油というように聞いておりますけれども、その量ですね、おのおのの量。それからこの船が入っておった保険の金額と保険名を御説明願いたいと思います。
  212. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) 該船は、横浜から瀬戸内海の大三島に向かうということで出港したわけでございます。  なお、この原因でございますけれども、当時の海象気象は、海面状況は晴れで、西南西の風七メートルということで、波が三、うねりが四、視程は非常によかったということでございます。  なお、関係者の申し立てによりますと、先ほどの伊豆大島風早崎の五十八度一〇・五海里の海上で一応左舷に傾斜して、そして沈没したと、このように申し立てております。  なお、該船に積んでいた廃酸、廃アルカリは約千四百キロリッターというふうに私どもの資料に残っておるわけでございます。
  213. 馬場富

    ○馬場富君 保険は。
  214. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) 保険につきましては、実はいろいろ後の調査という段階で調べたところ、私ども調査では、二千万円が保険金として所有者に支払われたと、そのように記録されております。
  215. 馬場富

    ○馬場富君 積荷でございますけれども、廃酸、廃アルカリにもう一つ廃油が含まれておったように聞いておりますが……。
  216. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) 実は私どもの手元には一応廃酸、廃アルカリということで記録が残っておるわけでございます。  それからもう一つ、巡視船が沈没した現場に直ちに捜索に行きましたときにほとんど油がなかったと、そのように見ておりますので、その点実情としてはそういうことでございます。——ちょっと大変失礼しました。資料が私の手元になくて、いま資料が見つかりましたので申し上げますが、廃油がそのうち、千四百キロリッターの中に約四百キロリッターある、そういうことでございます。失礼しました。   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕
  217. 馬場富

    ○馬場富君 その積荷の中の四百キロリッターの廃油が海底に沈没して、船のまま沈んだわけでございますが、いま瞬間的な汚染はないと、こうおっしゃっておりますけれども、これはやはり海の中に四百キロリッターの廃油か入った、こういうことでございますから、廃酸、廃アルカリについては中和の可能性もあるけれども、廃油については、これは今後浮上のおそれもあるが、それに対する措置はどう考えておりますか。
  218. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) この油を積載したまま深海に沈没するという事例は、ただいままでも間々あったわけでございます。そして、それがどのように海面に出てきたかということにつきましては、いろいろな事例で、その漏えいする場所が非常に小さければ徐々に出まして拡散するとか、あるいはその破口が大きければ一遍に出てきて相当被害があるとか、いろいろな形態がございます。  いま先生御指摘のように私どもこういう事件がありまして、油を積んでおれば当然その後に巡視船のパトロール等に合わせまして、あるいは航空機の公害監視をやっておりますので、そういうところで浮流油の流出の状況を常時把握しておりますので、もし万が一そういうことが見つかりますならば、所要の処置をとると、こういう方針でございます。
  219. 馬場富

    ○馬場富君 海底千メーターという大変な深海で大変むずかしいという状況でございますが、公海ですし、海上汚染のおそれも十分ありますから、この点については厳重な今後も監視をひとつお願いしたいと思います。  続きましてこの第二せと丸の沈没については、業者間でとかくの疑問の声が出ておるわけでございます。海上保安庁等においてもその点がかなり問題点があるやに聞いており、調査もされておると思いますが、その問題点がございましたら御説明いただきたいと思います。
  220. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) これはいろいろ捜査上の問題でございますので、いまここで先生にこれとこれが非常に問題だということを、るるちょっと御説明するわけにはいきませんけれども、しかし一応問題点としましては、私どもは、一つは捜査の手順をここでオープンすることがいいかどうかは別にしましても、実は非常に問題点としましては、やはり物証が中にあるということが一つ大きな問題でございまして、やはりその物証によって犯罪捜査をしなければいかぬというのがわれわれの原則でございます。しかし、海上におきます事件というのは非常に困難性がございますので、そればかり言っておれません。いろいろ関係者等から聞き込み、あるいは陸上関係者のいろいろな関係というものを今後鋭意捜査いたしまして、やはり海上の治安の確保というものをわれわれは積極的にやっていきたい、このように考えております。
  221. 馬場富

    ○馬場富君 そこでこの問題につきましては、そういうやはり業者間や関係者の中の声を総合してみますと、やはり一点は、沈没の原因が非常に明確でないという点がございますし、それから曳船には資格を持った機関士が乗ってなかったと、こういうような問題もございますが、この点はどうでしょうか。
  222. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) 先生おっしゃるとおりでございまして、その沈没原因につきましても先ほど冒頭に申し上げましたとおり、これは事件としてわれわれ捜査を開始したわけでございます。その点につきまして沈没状況あるいはこれがどうだったかということを現在まで調べたのでございますけれども、物証がないということがまず第一の難点でございました。しかし、もちろん曳船についても十分捜査をいたしまして、先生御指摘のように曳船の機関士が無免許であったということで、私どもはこの機関士を検挙しております。
  223. 馬場富

    ○馬場富君 それから参考までにちょっと。一つは業者間の非常に疑問になっておる点をお話して、それにあわせて御説明いただきたいと思いますが、業者間では積み荷は愛媛県の大三島に行くということで積んだわけでございますが、その積み荷のうち廃酸と廃アルカリにつきましては、この三基実業というのは東京都で実は廃酸、廃アルカリの海上投棄をできる資格を持っておるわけです。だから、この廃酸、廃アルカリの重いものをわざわざ愛媛県の大三島まで、東京湾の沖で流せるものを運ばなければならなかったか。こういう点について非常に疑問点がある。この点はどうでしょうか。
  224. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) この捜査の段階においてそういう関係者からいろいろな点を聞きまして、いろいろな捜査技術ということを駆使しまして、今後それを十分解明をしていきたいと、このように考えております。
  225. 馬場富

    ○馬場富君 あと一、二点お願いしますが、もう一つは、業者間では、航海の安全性の上からもせと丸は実は十四年前に建造したかなり老朽化した船舶で、その上エンジンもないはしけの船であって、当日には操だする人も乗っていないような状況で曳航されておった。こういう状況下におきまして、産業廃棄物というような危険なものを積んで遠く四国まで長距離運ぶという場合には、航海の常識としてこれは初めからやはり無理があったんじゃないかと、こういう声がございますが、この点はどうでしょうか。
  226. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) いろいろな経験上からそういうものの見方というものもありましょうし、また、船舶検査等の問題からも一応一つの基準はパスしているかと、その当時は私ども考えざるを得ないわけでございますけれども、いろいろ先ほど申しましたように、今後、いま先生も申しましたような関係者等からの聞き込みも十分いたしまして、そういうふうな問題を今後積極的に解明をしていきたいと、このように考えております。
  227. 馬場富

    ○馬場富君 では最後、まとめてひとつお願いいたしますが、実はこのせと丸につきましては、五十一年の一月ごろより横浜港内にあって、あそこに係留したために、海上保安庁にしてもかなり海難のおそれがあるということで再三にわたって移動を要請しておった。それについてもなかなか従わずにやっと五十一年の四月七日に出港したという。そういうふうな問題点もございますし、それから老朽船にしては保険金額等についても非常に大きな金額であるというような問題点もいろんな業者から出ておりますし、それから、かつては高共丸で大変皆さん方に御迷惑をかけ、そして瀬戸内海では不法投棄等の問題もあった。こういう状況からして、この問題については、やはりかなり関係者の中からそういう強い疑問の声があるために、どうか海上保安庁におきましても、この疑問の解消ができるように徹底的に調査をして、この前進をひとつ考えていただきたいと、こう思うわけでございますが。
  228. 久世勝巳

    説明員(久世勝巳君) まず第一点でございますが、せと丸の処置につきまして、横浜の保安部長、これは京浜港長でございますけれども、移動命令を出したということで御指摘がございましたが、まさにそのとおりでございます。ただし、これは一応無人のままで港内の航行のふくそうする海域に係留していたということで、運航者に対しまして、ここでは非常に危ないから安全な場所に移しなさいと、そういうことで移動命令を出したわけでございます。  それから第二点の、先生御指摘のように、われわれとしても、やはり海上における警備というものを担当しておりますので、今後ともあらゆる手段を講じまして徹底的にこの解明をやりたいと、このように考えております。
  229. 馬場富

    ○馬場富君 最後に、通産関係にお尋ねいたしますが、先ほど来質問いたしましたように、日本にできた公害が外国まで輸出されたり、そして外国にも御迷惑をかけたり、あるいはそういう点で国内においても最近やはりここ数年間についてはかなり大がかりな不法投棄も私どもの手にずいぶん入っております。こういうような状況からしまして、いま産業廃棄物の取り締まり法が強化されたとは言いましても、やはりいま、たとえば私が取り上げました廃油一つをとらえてみましても、最近においては、工場等で出る有害物質等を含む廃油等につきましては、これを完全な処理施設をつくるためにはかなり高額な金もかかる。そういうことで、現実にはあの廃油の排出量よりは完全に処理する施設が少ないんじゃないか、ここに大きい問題点があると思いますが、この点について通産の見解をお聞かせいただきたいと思います。   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕
  230. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 経済が高度になってまいりますると、いろいろな有害な毒物、あるいはまたそれを隠滅しますに当たりましてもなかなか消えないといったような、永久的な毒、害の物も出てくるようになったわけでありまして、これらは同時にまた、人類社会の上におきましても文化の上におきましても、非常に大きな障害とならざるを得ない。そういうことが、これがいろいろな経営体、いろんな産業上、鉱工業上の問題から排出するというようなことになりますと、われわれ通産行政をいたす者も、同時にそういうふうなことに重大な関心を持って、しかもまた、それに対する社会的な責任というものも感じながら行政を執行していかなければならないと、思いを新たにいたしまして、ただいまのお話を傾聴いたした次第でございます。
  231. 馬場富

    ○馬場富君 あわせて大臣に、そういうことで、いままでもどっちかと言うと、産業廃棄物の処理施設につきましては、そういう有害物質等を含むようなそういう排出につきましては高度の技術とやはり設備が要る、そういう関係で完全にこれが処理できる施設というのは、日本でも数えるくらいしかないんじゃないかと私は思うわけです。いわゆる法律はしっかりしておっても、それをやはり処理するという施設については大いに問題が私はあると思います。そういう点で、いままではどっちかと言うと、企業やりなさい、あるいは地方自治体やりなさいという考え方が多く、今日まで来たわけでございますが、このように他国にも迷惑をかけ、不法投棄が行われる状況におきましては、やっぱり企業やあるいは予算の小さい地方都市におきましては、とてもこれをこなすだけのことは非常に困難だと、こういうことを私は現実身をもってつかんできておるわけでございますが、そういう点で、どうか、この廃油処理施設等につきましても、国が考えていくなり、あるいはいま地方公共団体等についても融資制度が考えられておりますけれども、補助等も考えたり、そういうような立場でひとつ、この廃油の処理については国が、通産がやっぱり前向きで取り組まなければ私は解決できない問題だと思います。結局は日本を取り巻く付近を汚すだけだし、結局はだめにしてしまうという結果になってしまうと思います。  そういう点で、今度実は通産が全国で三十カ所ですか、そういう処理施設をつくるような案も考えられて、いわゆる調査費等も来年度には要求されるというような話を聞いておりますけれども、そういう観点からも、それは三十何カ所の構想はどのような構想か。あわせまして、できればそういう公的な廃油処理施設等についても、そういう財源を考えていくお気持ちがあるかどうかをお尋ねしたいと思います。
  232. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御指摘のごとくに、通産省におきましても、産業廃棄物の処理のための適切な政策のあり方を積極的にひとつ検討していくことといたしまするが、その一環としての事業者の地方自治体等が、共同で処理あるいはまた再資源化を行う第三セクター方式の共同処理、また再資源化センターの建設、普及、かような問題につきまして検討をいたしておる次第でございます。このために、明年度におきましても所要の調査を行うべく予算措置を準備中でございますが、なお、これらの三十三カ所でありますか、全国の主要なコンビナートもいろいろございまするし、特に深い関心と今後の行政のあり方につきまして慎重に検討をしてまいります。  なお政府におきましても、各担当の役所がございますわけでありますから、緊密な連絡のもとに万全を期してまいりたいと、かように考えております。
  233. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣にお伺いいたします。  最近のこの不況ですね。ただ単に不況という言葉で片づけていいかどうかわからないぐらい大変な状況にあるわけですが、先般から構造不況ということで、ずいぶんわれわれも取り組んできたわけですけれども、最近はまた、その構造不況にあわせて異常ないわゆる円問題、これはもう大変な実情にあります。先般補正予算が通りましたけれども、その後におおいかぶせるような今回の円高の問題であります。したがって、中小零細企業はもう瀕死の重傷と言ってもいいんじゃないかと、こういうふうに考えております。そこで、まず大臣、円高の問題、これ、どこら辺で落ちつくと大臣はお考えでございましょうか。
  234. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その問題は、これはなかなかむずかしい問題であると同時に、私どもは、この非常な円高に基づきまする影響をこうむる企業体をいかに守り、いかにそれに対する対策考えるかというところの役所でありまして、円自体の問題は、これは大蔵省なり日銀なり、その方面の守備範囲でございますが、私どもといたしましては、これが一日も早く安定した姿になってもらいませんと、いまのような先行きの目安もつかないようでは商売ができません。それで、一体幾らが適正であるかと申されましても、これは自主的にどうこうできる問題ではございませんので、残念ながらもっぱら守備に回っておるような状態でございます。
  235. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大臣おっしゃるとおり、これは確かに先行きの見通しがないともうどうしようとないと、そういう実情にあります。したがって、やっぱり本当の主管は大蔵であり、あるいは日銀でありましょうけれども、中小零細企業を抱えていらっしゃる大臣としましては、これはやはりそこら辺の見通しを一日も早くつけて、そして経済見通しがはっきりしない以上、いわゆる中小零細企業の皆さん方が立ち上がるというのは非常にむずかしい、そういう実情にありますんで、その点はぜひとも一日も早くきちっとしてほしいと、これがもう一つの大きな念願であります。この点は後で御答弁願いたいと思います。  そこで私は、きょうは私の持ち時間はあと十分ほどしかございませんので、端的にお伺いをいたします。  先日の当委員会でもお伺いをいたしましたが、最近の円高によりまして、特に石油各社ですね、相当な差益が引ていると私は思います。日本石油なんかは、先日の報道によりますと、五十二年度上半期の中間決算で百三十八億一千万円もの差益が出ていると、こういうふうに報道をされておりますが、これは当初の予想をはるかに上回る数字である、私はこういうふうに思いますが、ここら辺のところはどういうふうに掌握していらっしゃるのか、一遍お伺いをしたい。
  236. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 円高の問題につきましては、前段先生のおっしゃいました非常な被害をこうむっておりまする差損の問題と、それから後段お示しになりました石油会社あるいは電力会社、ガス会社その他といったような差益の問題と、まあ二つがあるわけでございます。しかしながらわが方といたしましては、特に四十数%のシェアを占めます輸入の大宗をなす石油関係におきまする相当額の差益、これに対しましてまたそれだけではなく、差益全般を通じまして国民経済の上にむしろ何とか均てんさして、差益の効果をもたらさなきゃならぬ、かように考えておりますが、御指示石油の問題につきましては、長官がおりますので長官からお答えいたします。
  237. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 石油における為替差益の問題でございますが、御指摘のとおり為替差益が出ておることは事実でございます。一方、原油価格の値上げを中心にいたしまして、コスト上昇がかなりの額に上っておる、この二つをどのように相殺関係に立ってながめていくかということになろうかと思います。日石等におきまして、せんだって決算の新聞発表などをいたしておりますが、御承知のように日石なるものは三十数社に上る石油精製企業の中で最右翼と申しますか、従来からも経理内容のいい企業でございます。三十数社の中で、特に民族系におきましてはこの三月末、五十一年度末の決算におきましてなお七百億程度の繰り越し赤字を持っておるといったような、一言で申し上げますと企業間格差もかなり出ておるということでございます。かといって私自身、そのコストアップの要因とそれから為替差益との関係につきましては、常に注意をして見ておるわけでございまして、私といたしましても可能な限り、やはり為替差益と申しますか、メリットは還元すべきだという立場に立っておりますが、ただ、いま申し上げましたように、必ずしも石油業界全体として為替差益の方がコスト上昇要因を上回っておるということにもなっておらないというのが現状でございますので、私たちといたしましては、当分の間状況の推移をながめながら、適時適切に対処してまいりたい、かように考えております。その中で、灯油につきましては一部企業におきましては据え置きを発表いたしております。  いずれにいたしましても、昨年の九月に元売価格を三万二千八百円以下にとどめるようにと指導してまいったわけでございますか、昨今の情勢ではその価格を下回ると申しますか、店頭小売価格で十八リットルかんがこの九月時点で全国平均七百十八円ということで、昨年の七百二十五円を下回っておると、こういうことでございます。また冬場に向かいまして量的にも十分確保して、そういった両面から今後とも灯油等につきまして、安定的に供給できるように努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  238. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 長官ね、先週ですかの当委員会でも私はこの差益の問題を話をしまして、トータルでは五千億ないし六千億の差益が出るんじゃないか、そういうふうな話があったわけですけれども、またあれからまだ出そうな気がするんですよね、最近の情勢からいきますと。私は長官の言われんとすることもわからぬでもないですけれども、通産省、いわゆるエネルギー庁がこの差益が出るということは暗に認めているんですけれども、しかしながら今後のコストアップ要因という、そこに焦点をしぼって、それで結局製品の値下げなり灯油の値下げなり、そういうものについては非常に消極的である。それは私は非常にエネルギー庁が、これはやむを得ないのかもしれませんけれども石油会社にいわゆる癒着したと言ったら怒られるかもしれませんが、そっちの方に偏した姿勢じゃないか。やはりこれだけの巨額な差益が出たということは、国民は皆知っているわけですよ。ですから、単に値上げをやめさしたという、また据え置いたというだけでは納得しない。これはやはり、具体的に何らかの差益の還元の方法というのを私は考えるべきじゃないかというのがまず一つ。  それから、この間は灯油の話をしましたけれども、きょうはさらにもう一つ突っ込んで話をしておきたいんですが、電気料金やガス料金、これもやっぱり私はまだ値下げの余地があるんじゃないか、そういうふうに思うんです。現実の問題として電気・ガス料金のいわゆる原価に占める燃料費の割合、これは前から東京電力やいろんなところの原価に占める燃料費の割合というのが何回も出ておりますけれども、三五、六%から四〇%近くかこの原価に占める燃料費の割合ですね。そういう点からいきますと、現在の為替レートからいきますと、これはもうやがていま二百四十四、五円というところですけれども、四十円というのをまた切る可能性もあるというふうな話もわれわれの耳に聞こえてくるわけです。そういうふうになってまいりますと、これは差益というのはますます広がる可能性がある。先週の委員会で私が長官に質問した当時とまた現在とはまた大分雰囲気的にも違う。そういうふうに見てまいりますと、私は特に灯油だけではなくて、東京電力とかいわゆる電力料金並びにガス料金、そういうふうなものを、いわゆる幾らかの差益を国民に還元する、そういうふうな的確な行政指導が必要なのではないか、こういうふうに思うわけですけれども、これらの点をあわせて御答弁いただきたい。
  239. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) まず、差益の還元ということで石油についてのお話でございますが、私も御指摘の趣旨は全くわからないわけじゃございません。差益とそれから原油価格等のコスト上昇要因を申し上げておりますのは、結局安定供給ということも頭に置かなければいけないということでございます。  で、私がこういうことを言うとまたおしかりを受けるかもしれませんが、一般に差益の問題のみが非常に表面化しておりまして、かつてことしの一月以降のOPECの値上げの当時にはそれぞれそれに対するいろんな御意見もあったわけですが、いつの間にか輸入価格の引き上げというものが過去のものになってしまったような印象もぬぐい切れないんじゃないか。決して私はそれはわがまま勝手な立場で言っているわけじゃございませんが、安定確保を維持するためには、そういった両面から判断をし、適切な対処をしていかなくちゃいけないという立場におるわけでございまして、極力、差益がコストをオーバーする場合には、それを還元するという方向考えるべきだということについては私も異存はございませんし、また今後ともそういったことで対処してまいりたいと思います。  それから、電力とガスの料金の問題でございますか、電気につきまして私の方で試算いたしましたところ、いわゆる為替差益なるものが五十二年度間で千百二十一億、これは九電力でございますが、千百二十一億ぐらい発生する。ところが一方で、昨年九電力の料金認可をいたします際に、ことしの一月以降のOPECによる原油価格の引き上げというものをコストに織り込んでおりません。これが約三百八十億ほどあるわけでございまして、差し引きいたしまして七百四十一億円が五十二年度間を通じての九電力のいわゆる為替メリットに相当するというふうに試算いたしております。仮にこれをキロワットアワーに換算いたしますと十八銭でございまして、一カ月百二十キロワットアワー使用するところの標準家庭と申しますか、いわゆるシビルミニマムの上限の電力量を消費する家庭に換算いたしまして、約月当たり二十一円六十銭、こういう数字でもございます。ガス料金につきましても同じような計算をいたしておるわけでございますが、そういったことから、やはり公共料金としての電力料金は、できるだけ長く低位に安定さした方がいいという結論に達しました。実は、来年の三月末がいわゆる原価計算期間の終了時でございますか、それ以降、できるだけ長く私たちとしても現行料金が据え置きのままで維持されるということも、一つの消費者還元への方法ではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、せんだっても新聞報道であったわけでございますが、大阪瓦斯の社長が最低一年間は据え置くんだといったような言明をいたしておりますのも、私たちが指導しておる方向に即してそういう方向消費者還元をしたい、こういう意思の表現ではなかろうかと見ておるわけでございます。  先ほど先生の御指摘になりましたように、前回御質問いただいた当時よりも為替レートも下がってきております。それに応じて差益還元に対する国民の関心というものも厚くなってきているということも私は理解いたしておりますが、ただ、こういった料金あるいはコストといったものはかなりの期間を置いて考えるべきであって、瞬間的に考えるとまさに御指摘のようなところもあろうかと思いますが、やはり一定の期間を置いて、その期間内におけるコスト、あるいはその中に占める差益といったようなものを総合判断すべきではなかろうか、かようにも考えておりますので、御指摘の御趣旨私も十分わかるわけでございますが、私たちとしてはさような対処をいたしたい、こういうことでございます。
  240. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これで終わりますが、大臣にそれじゃ一言。  これはいずれにしましてもこういうふうな円高問題で、泣く方と笑う方と両方あるわけですけれども、特に為替差益の問題については、これからますます私はその差益を国民に還元せよという声は強くなってくると私は思うんです。そういうふうな意味で、いまエネルギー庁長官からもお話ございましたけれども、そこら辺の還元をどういうふうにしてやるかということについては、大臣としてもやはり真剣に考えていただきたい。このことをお願いをするとともに、大臣の答弁をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  241. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 本件につきましては、総理が非常に早くからこの差益の一般国民に対する還元の問題を特に指示されておられましたのであります。元来、行政といい政治といい、帰するところは常識の線でありまして、専門は専門としての精密ないろいろ分析や研究がございますが、やはり私どもは国民大衆の一般の考えというものを、これを政治の上にも行政の上にも反映しなければならない。そういう点では、一つは非常に大きな差益のメリットというものは何かと申すならば、卸売物価がずっと安定し、否むしろ下降傾向にあり、消費者物価も鎮静いたしておるということ、これは目に見えない非常に大きなメリットでございます。しかしながら、それだけではいけないのでありまして、この膨大なメリットをこういうふうに国民大衆に還元しているのだというアクションが、私はそれが政治だと、こういうふうにも考えますので、いろいろと検討いたしておるのでございます。どうぞその点につきましても、今後とも御協力をいただきとうございます。
  242. 市川正一

    ○市川正一君 四年越しの不況、それに追い打ちをかけている今日の円高問題、そういう中で、先日当委員会といたしましても参考人の意見聴取を行い、衆参両院でも集中審議を行いましたが、私はそれを踏まえて、きょうは時間もございませんので、一般論のやりとりでなしに、火急でかつ具体的な問題について、特に大臣その他の御見解を伺いたい、こう考えております。  まず最初に、いまも問題になりましたが、円高による為替差益に関連してでありますけれども輸入価格は、たとえば日銀統計によりましても、八月現在において昨年比で約一四ポイント下がっております。そこでお伺いするわけでありますが、中小メーカーの使用する輸入原材料価格に、こうした為替差益がメリットとして反映しているのでございましょうか、どうでしょうか。
  243. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 日本経済構造から申しましても、中小企業が非常に大きなウエートを占め、また、日本全体のあり方から申しましても、原料、材料、食糧まで、すべて輸入に依存いたしておりますので、この為替のメリットというものは、いろんな意味でメリットもデメリットも出ております。この中で、輸入業者とおっしゃいます中でも、取引の関係が円建てのものとドル建てのものとによりましてはまたおのずから違いが出てまいりまするし、あるいはまた産地別にもおのおの異なって、銘柄が異なるに従いまして異なります。きょうは中小企業庁長官も見えておりますから、先生の御質問に対しましてより詳細にお答えいたします。
  244. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 中小企業の動向を見ておりますと、注文の数字がこのところずっと低迷をいたしております。また売り上げの商品の値段というのも一向上がっていかない、その中で原材料はどうかということは、非常に大きな要素になってまいるわけでございます。ただ、中小企業もさまざまでございまして、使用する材料もそれこそ無数にございます。これらについて一つ一つ分析することはできませんが、これを総括的に見るときの指標は、何と申しましてもやはり卸売物価ではないかと思っておるところでございます。卸売物価につきましては、御承知のとおりこのところ安定をしております。場合によっては若干低下というような形も部分的には見られるということでございまして、原材料の動向はほぼ横ばいという形で推移していると、こういうふうに見ておるところでございます。なお、今後仕入れをいたしますときには、中小企業の側も当然円高のメリットをわれわれにも還元してほしいというようなことで、材料を仕入れるときにいろいろ折衝することになるのではないかと思っておるところでございます。
  245. 市川正一

    ○市川正一君 横ばいということは結局下がってないということですから、要するにこれだけの莫大な差益を受けている部分がいわば効果としてあらわれていない、産業的に言えば。私は、幾つかの中小業者や産地に直接実情調査をこの点でいたしましたが、結局、輸入原材料価格は全く下がっておりません。たとえば一例でありますが、その原材料の九九%、ほとんどすべてと言っていいわけですが、それを輸入品に依存している皮革産業でございます大阪の袋物鞄工業協同組合のお話では、一デシ——これは御承知のように十センチ平方のものですが、昨年からずっと引き続いて三十五円ないし三十六円のまま推移いたしております。  また、ステンレス鋼を使う金属食器産業の場合、これは、この場でちょうど十一月の一日に当委員会が参考人の意見聴取をいたしましたが、その際にも燕の代表から、国内鉄鋼メーカーは原材料及び添加元素等、輸入による為替差益を全く反映されていないというふうに切々と訴えている。このように大企業、大商社は円高の中でいわば甘い汁を吸っており、他方中小企業はいずれも原料高製品安、しかも輸出面では大打撃を受け、輸入面のメリットはない。いわば俗な言葉で言えば、往復びんたという実情にあると言っても過言でないと思うんです。私は、直ちにもっと実情を通産省として調査され、そして輸入商社など為替差益の還元の指導について、先ほど大臣御答弁もなさいました、決意もなさいましたが、明確な指導の強化をぜひお願いしたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
  246. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) この為替の問題に対しまして、通産省といたしましては為替対策本部をつくりまして、かつまた、ただいま長官からも申しました各産地別にもおのおの情報のルートを特に強化いたしまして、通産局を媒体といたして迅速な報告が来るように、それからまた、わが方といたしましては十月の十四日でありますか、流通関係輸入関係の各種団体に対しまして通知を出しまして、詳細な報告を聴取いたしますと同時に、このメリットの還元、国民大衆に対しまする価格引き下げ等につきまして指導をいたすよう通知を出しました。それが十一月の十日には、期限といたしまして集まってまいっておるはずでございます。産業政策局を中心といたしましたこの対策本部というものの報告なり、あるいはまた中小企業庁のこれに対しまする対策なり、両々相まちまして、機動的に、しかも積極的ないろいろな施策をこれからもどんどんととっていきたい、かように考えております。
  247. 市川正一

    ○市川正一君 私、いま中小メーカーに関しての質問いたしましたが、実情調査し、そして積極的措置をとるというふうに理解いたしますが、あわせて、午前来問題になっております一般消費者、国民へのこの問題の、いわば還元の問題でありますが、わが党は、去る十月二十五日にこの円高差益還元を政府に申し入れましたけれども、この問題は今日国民的な世論になっていると、こう考えます。午前来のやりとりの中で、電力、ガスなどもございましたが、特にこれから冬場にかけて需要が拡大する灯油価格などは、その最たるものであると考えます。  午前の政府答弁の中で、右から左へは行かないんだ——もうお帰りになりましたか経企長官の言でございますが、これは結局、それで据え置きと。先ほどもエネルギー庁長官の、結局据え置きがいわば最大の国民への還元だということに帰着するようでありますけれども、しかし、これは右から左へ行くんですね。行かないんじゃなしに、行くんですよ。と言うのは、もともとこの輸入価格そのままで販売すれば、為替差益自身が生じようはずがないわけですから、これはやはり、単純に国民感情としていろいろな要素を加味したとしても、やはり右から左へ行くべきだ。そういう世論の高まりの中で、石油連盟の石田会長自身も、これは、暖冬ならばという条件つきではございますけれども、灯油の値下げを示唆なすっているわけですね。しかも、日本石油自身に例をとってみましても、今年度の上半期で百三十八億の差益を出している。さらに、集中審議の中で福田総理も、御承知のように、為替差益消費者への還元は最善の努力を払うというふうにお答えなすっていらっしゃるわけです。とすれば、こういう趣旨から申しましても、先ほど電力料金に関しては長官の方からお話ございましたが、では灯油について、あるいはまた農事用の重油について、さらには漁業用の燃料について、その価格引き下げを講ずるのはこれは当然できるし、またやるべきだと、こう考えますが、この点はどちらからでも結構ですが、いかがでございましょうか。
  248. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 先ほど石田会長のお話が出ましたが、私、直接聞いておりませんので、どのように理解すべきか、価格というものは需給の実勢、事情を反映して決まるものだというふうにもとれますし、また、先生御指摘のような解釈もできようかと思います。いずれにいたしましても、私たちといたしましては、先ほどお答えいたしましたように、灯油につきまして今後のレートの推移などを見ながら、その時点において適切に対処いたしたい。少なくとも現在時点におきましては、据え置きの方向で一部の元売メーカーも発表いたしておりますので、あと量的に確保できるならば、かなり安定的に今冬も過ごし得るのではなかろうか、こういう立場で申し上げておるわけでございます。  それで、こういったことが適切なお答えになるかどうかということもございますが、実は、この三月あるいは四月に、御承知のとおり、OPECの原油価格の引き上げに伴いまして二千円ないし二千四百円の値上げということを元売十三社が打ち出したわけでございます。仮に、この二千円に計算いたしますとリッター当たり二円でございますから、十八リッターかんの灯油価格というものは、その場合には三十六円上がるということになるわけでございます。先ほど申し上げましたように現在、昨年より五、六円下がっておるわけでございます。とすると、私は二千円アップというその元売協の打ち出しが適正だと申し上げておるわけじゃございませんが、仮に、数字的にそういったことで計算いたしますと、四十円何がしかのものが還元されているということにもなるわけでございます。便宜数字的に申し上げるとそういったことも言い得るかと思いますが、私の申し上げたいのは、為替メリットも出ておりますが、反面、コストアップの要因ということも頭に置き、かつは安定的に灯油を供給するという立場に立って、今後とも適切に対処していきたい、かように考えておるわけでございます。
  249. 市川正一

    ○市川正一君 この点は、私は、国民世論は恐らく納得しないだろうということをはっきり申し上げて前へ進めたいと思うのですが、私、いま差益の問題を申し上げましたが、一方で差損の問題がございます。特に大企業による為替差損の下請中小企業への転嫁の問題が現実に各地で続出しております。私は、大阪で調査いたしましたのでありますが、もともと輸出好況産業であるはずの家電、あるいはオーディオメーカーである松下、あるいは音響、こういうところが円高を理由に下請工賃の大幅な切り下げを下請に言ってきていると。このことは今月の十一日に大阪の通産局と関係業者の代表が交渉いたしましたときに、大阪通産局の担当者も承知しているということで、認めているところでございます。私は、こういう大企業、あるいは大商社の下請企業中小企業への為替差額を口実にする転嫁に対して、犠牲のしわ寄せに対して、通産省として実情調査し、必要な規制措置を早急に講じていただく、このことを強く要望したいのでありますが、この問題について明確な態度表明をいただきたいと思います。
  250. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 私どもも産地の実情をいろいろ調査しておりますと、いま御指摘のような問題がいろいろ出てきておると感じております。一つには、契約分について、これは本来輸出業者と下請業者との間は円建て取引でございますから、差損の問題は生じないはずであるにもかかわらず、商社の方から、私どもも苦しいので幾らかメーカーの方でも背負ってほしいというような声が、かなりの産地で出ております。それから次には、新規契約分について、この新しい為替レートに対応して、いままでの値段では商売ができないから、もう少しメーカーの方も仕切り値を安くしてほしい、こういう声が出てきておりまして、これまた中小企業の経営に大きな問題を投げかけておるものと思います。正直に申しますと、いまの段階では大メーカーも苦しい。また、中小メーカーも苦しい。私はやはり、そこは本当ならばお互いに力を合わせあって、苦しみもまた分担をするということが当然であろうかというふうに思っておるところでございます。ただ、ほうっておきますと、往々にして大企業の方が力に任せまして、おまえの方で全部背負えというようなことになりがちでございます。私どもはこれからいろいろ産地の動向を調べますときに、やはりいま申し上げましたようなことを頭におきまして、中小企業も一生懸命合理化にこれから努力をするわけでございますが、それが全部中小企業だけにしわ寄せられるというようなことのないように、気をつけていきたいと思っておるところでございます。
  251. 市川正一

    ○市川正一君 いまの中小企業庁長官の、大企業中小企業も苦しいという認識は総体的なものとしておっしゃるわけでしょうけれども、私は同意はいたしかねますが、仮に百歩譲ったとしても、そうだとしても、しかし、おっしゃるようにやっぱり力の弱い者、中小企業にそのしわ寄せがいくという従来の実績、また今日の実態があるわけですから、やはり弱者を救済し、それを保護するという、先ほど大臣もおっしゃった中小企業、冒頭におっしゃったやはり日本経済の上で占める位置、その立場からもぜひ強力な指導的措置、監督的措置をやっていただくことを重ねて要望いたします。  次に、政府が今回実施されました既往貸付金利の引き下げ措置についてでありますけれども、特に最も深刻な状態にある小零細自営業者ですね、この場合に、その赤字認定基準はどうなっているんでございましょうか、お伺いいたします。
  252. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 今回とりました既往貸付金利の引き下げ措置、これは従来例のない措置でございますか、昨今の金利情勢にかんがみ、また不況の状況を勘案をしまして、特別の措置として打ち出したわけでございます。御承知のとおり、対象としては不況業種に属する中小企業であって、健全な経営を続けながらも赤字である企業というふうに対象を決めております。問題は、健全な経営を続けながら赤字であるということの認定をどうするのかというお尋ねではないかと思います。
  253. 市川正一

    ○市川正一君 特に自営業者の……。
  254. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) まあ私どもは、この認定というのは、申請者本人が赤字であるという申告をされ、それを基礎として判断をするというのが基本原則であろうと思っておるところでございます。ただ、申請者自身が赤字であるかどうかがわからぬという、中小企業の場合にはなかなか経理などもしっかりしておりませんので、そういう場合には書類などを持参をしていただいて、相談をしながら検討するというやり方を基本として考えております。  もう少し細かく申し上げますと、書類などを拝見いたします場合に、青色申告をしておられる方は決算書がございます。それから白色申告の場合には確定申告書を見れば一応状況はわかるわけでございます。それらによりまして、税引き前利益が赤字であるという場合には対象にするというやり方にいたしております。それから、無申告者の場合が一番むずかしいわけでございますが、そういう場合で、本人にもなかなかわかりにくいというようなときには、売上帳等を見せていただきまして判断をするというようなやり方でいかがかと思っております。
  255. 市川正一

    ○市川正一君 結局申請者が申告し、そして判断する、その判断というのが、いわばいろんな要素はあるにしても明確なラインといいますか、基準が必ずしもない。特にこういう自営業者の場合には、その点でいろいろな矛盾やいろいろな困難に直面しているというのが実態なんですね。私は大阪の実情を先日聞いてまいったのですけれども、大阪の国民金融金庫のある支店の担当者は、ほとんどの方はいま言った中小零細自営業者ですが、対象にならぬでしょうというふうに申しておられたですね。なぜかというと、自営業者の場合には、赤字認定の具体的基準が、いまおっしゃったように定かでない。そこから自営業者の場合は、とにかく生活しておれば赤字でないということにさえなりかねないわけですね。というのは業者団体が、四人家族で百八万円という税の控除基準を、これを一つの目安として調査いたしましたところ、五万人の中でそれに該当するのは百二十人そこそこだというような実情にあるわけですね。ですから現状のままではこの措置がいわば空文化するおそれさえ、私、大阪の事情を聞きまして懸念いたしました。そこで最も困難な事態にあるこういう小零細業者を救済するために売り上げの減少とか、そういう幅広く救済できる基準を明確にして、関係各機関に対して指示する必要があるんじゃないかというふうに考えますが、この点いかがでしょう。
  256. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 私どもどもも、中小企業の経営の中でやはり金利の負担というのも非常に大きな圧迫になっておるということは、もうかねがね承知をいたしております。その意味から少しでも金利を下げていきたいということで、従来から努力をしてきたところでございます。幸い、ことしは公定歩合も何度か下がってまいりました。また中小企業金融公庫、国民金融公庫の原資である運用部資金のコストも下がってまいりました。私どもは、そういう背景のもとに、資金コストが下がったらその下がっただけは十分新規金利の引き下げの実現を図るということで、従来から大蔵省とも折衝し、また三機関とも打ち合わせをしてまいりました。  御承知のとおり中小公庫、国民公庫の場合には、年当初が基準金利八・九%でございましたものが、昨今では七・六%に下がってきております。この七・六%という数字をつくりますに際しても、三機関の経理等をいろいろ調べていただきまして、可能な限り下げるということで大蔵省と詰めた数字でございます。ただ、それでも既往の金利との格差の問題が出てくるということから、いままでこういう措置をとったことはないわけでございますが、非常に困る、こういう緊急事態における例外的な措置として、一般金利を下げられるだけ下げたのに加えて、さらに一段いま申し上げましたような措置をとるという方向を打ち出したわけでございます。したかいまして、資金の原資の量においてもおのずから限界がございまして、その意味から不況業種に限り、また赤字企業に限るというような限定になったという経緯でございます。これを、いまお話しのように広めますと、かなりの資金量、原資が必要でございまして、いまそこまでの余力が恐らくないのではないかという気がいたします。問題は、新規金利を下げるか既往金利を下げるかという選択の問題でございますが、私はやはり、なるべく新規の金利を下げることに最大の重点を置きながら、それと余り不均衡にならないような多少の調整をするというようなやり方でこの問題を処理してまいったつもりでございます。
  257. 市川正一

    ○市川正一君 長官、私が御質問したのは、その赤字認定の基準の問題で、それが特に自営業者の場合には、その基準がないために事実上この恩典に、あえて恩典と申しますが、あるいは特典といいますか、にあずかれない。それはいま言ったように、どこで赤字の線を引くかというと、結局生活保護以下のあの四人家族で百八万円というふうな線で引かざるを得ない。とすれば、それに該当するものはほとんどいないじゃないかという問題なんですよ。だから異例の措置、特例の措置、それはもう大分伺っておりますから、それはそれとして結構なんですけれども、私が申し上げているのはそこなんですよ。だから、中小企業の中でも特に自営の零細業者の人たちが、いまこの為替円高問題の中で、いわば非常に大きな損害を直接にも間接にも受けた人たちの救済策という意味で、その線引きをもっと、たとえば単なる青色申告云々という窓口での判断ですね、金融機関側の判断ということにゆだねずに、やはり売り上げの減少とか、もっと多角的で実と情のあるいわばラインを、基準を引くべきでないか。きょう直ちにここでお答えがなければ、ぜひそういう方向に向かって研究もし、至急に具体化していただきたいということを要望いたしたいと思います。
  258. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) この制度の性格からいたしまして、資金の原資が国民の零細な預金でございますので、やはり黒字企業までカバーするのはいかがであろうかということから、赤字企業を対象としたわけでございますが、問題は赤字企業の認定の問題でございます。実は制度発足の当初におきましては、その辺の要領が必ずしも統一をされておりません、あるいはまた徹底を欠いていたという面がございまして、あるいは御指摘のような問題が起こったのかもしれませんが、私どもは、その後打ち合わせをいたしまして、先ほど申し上げましたような形で一応の統一を図り、そして、それを末端に徹底をするように先般措置をいたしました。窓口でのトラブルは恐らくかなり減るだろうというふうに思いますが、なお現実に無申告の場合において認定の問題が起こった場合には、なるべく親切に相談に乗ってやり、また弾力的に扱うというようなことで、今後とも三機関を指導してまいりたいと思います。
  259. 市川正一

    ○市川正一君 なお親切で弾力的な対応というものをもう少し、後ほど機会を得て具体的にお話も伺いたいし、詰めたいと思います。  さて、いま長官のおっしゃった異例の措置あるいは例外的措置というふうな問題でございますけれども為替変動緊急融資制度について、田中通産大臣御自身、集中審議の際に、わが党の渡辺議員の質問に対しまして、貸付条件について今後事態の推移を見て臨機の措置をとるという御答弁をいただいたわけでありますが、その後も私、事態はますます深刻に進んでいるというふうに考えております。長官も大臣もここの点御一緒だと思いますが、たとえば、私、先日大阪に参りまして、めがねレンズあるいは人造真珠、家庭用ミシン等々すべて成約ストップでございます、また韓国、台湾の追い上げで次の契約更新期には首が絞まる、これは新聞報道の表現でございますが、そういう訴えが続出しております。そこで、同僚議員からの質問などに対しまして、今回のこの制度が異例の措置であり例外的措置だということを政府側の答弁として繰り返されておるわけですが、私は、本来この緊急融資が、業者自身の責任でもたらされたものではないという点から申しまして、いわば輸出関連業者の損金補てんという性格から見まして、本来利子負担のないものにするのが望ましいというふうに考えております。同時に、したがって金利の問題あるいは期間の問題について貸付条件を緩和すべきだと考えておりますけれども、なかんずく貸し付けの入り口でシャットアウトする担保条件の問題ですが、これはもっと緩和する必要があるんじゃないか。  なぜならば、今回の対象業者の多くは、これまでニクソン・ショック——ドルショック、オイルショック、こういうふうにいわば連打をこうむっている。相次ぐ損害といいますか、打撃といいますか、そういうところでもう担保をほとんど出し尽くしているというのが偽らざる実情なんですね。したがって、このままでは担保がないためにどうしようもないというのが業者の大部分であります。その結果、いま大きな社会問題になっておりますサラリーマンの金融問題など、これに頼らざるを得ない、そして不法な高利とあくどい取り立て等から結局企業倒産、自殺、中には心中、一家蒸発というような悲劇が続出しております。こうした悲惨な事態を未然に防ぐためにも、せめて担保条件の大幅な緩和という点については、各金融機関や各地の通産局に指示をさるべきだというふうに考えますが、この点特に大臣からのお答えをいただきたいというふうに考えます。
  260. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 冒頭の御発言は、為替変動対策の緊急融資の今回の措置、つまりこれはつなぎ融資でございますけれども、二千万円をもっと枠をふやせと、六分二厘をもっと安くしろと、こういうことであろうと存じますが、この点はお答え申し上げましたように、まあ客観情勢の推移もありまして、臨機の措置を今後ともにとっていきたいと、こういうふうな弾力的な気持ちでおることは事実であります。しかしこの六分二厘という金利は、過去におきまするいろいろな三回にわたってのつなぎ融資のおよそ最低と申しますか、限度額までの最善の処置をとったわけでございまして、これにつきましてもなかなか、大蔵当局等とも今後ともに折衝はいたしますけれども、状況いかんによって弾力的に対処いたしたい。  それから担保の問題でございますが、これにつきましても、担保の徴求にしろ評価にしろ、政府系の三機関の指導のもとにできるだけの措置をとりますが、ことに私どもが無利子、無担保の貸し付け——国民金融公庫の分でありますとか、さらにまた、信用保証協会の信用補完制度を活用しての無担保の融資の問題でありますとか、特別小口の問題でありますとか、いろいろとそういうふうな制度もあるわけでございますので、私どもは大いにそういうものを活用していただきたい。  それから、午前中にも申したのでございますけれども、本当にきめの細かいと申しますか、これでもかこれでもかというぐらいのいろいろな制度を次から次につくっております。あるいは不況業種の指定に基づきますいろいろな措置とか、構造不況の問題についての対策とか、今度の為替の問題でありますとか、こういうふうなものを私はたくさんつくりましたけれども、どうでありましょう、これか一体末端まで、みんなが御承知になっておるのかおらないのかということが実は非常に気になっております。こういう制度もある、こういうあれもあるというのを、商工会なりあるいは商工会議所なり、あるいは市町村の末端のところでよく教えていただき、指導していただくならば、相当程度までそういう零細な方々にも妥当するものがあるんだろうと思うんでありますが、何しろ小規模企業等になりますると、もうおやじさん以下、家族ぐるみ働いておるという方は、新聞もろくにごらんになる暇もないという方々が、こういうむずかしいたくさんの手続を御存じない方も多いんじゃないか。何とかこれを周知徹底するように十分にPRをしなきゃいかぬ、かようにも考えております。  なお足らないところは長官から補足いたしていただきますが、どうぞひとつお会いになった方々や何かに、こういうふうないろいろな制度が完備されておるということもPRをしていただきとうございます。
  261. 市川正一

    ○市川正一君 その担保の問題で何かございますか。
  262. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 私も昔、大阪府の商工部長をいたしておりましたが、大阪の方々がお見えになりますたびに、大阪の実情をいろいろ聞かしていただいております。特にあそこの繊維関係の方、雑貨関係の方、非常に深刻に受けとめておられるということは私自身も承知をいたしておるところでございます。  いまお尋ねの担保の問題でございますが、私どもも従来から担保については弾力的に扱うようにということを指示してまいりました。実は、先般中小公庫と話をいたしましたときにこの問題を取り上げまして、担保の運用の弾力化というのを具体的にどういうふうにやっているのだというような話もいろいろ意見の交換を行ったところでございます。従来は不動産担保、特に土地が担保になっておりましたが、最近は機械なども十分評価をして担保にとるようにいたしておりますし、取引をする中小企業の立場に立って、いろいろ中で相談をしながら担保の運用の弾力化、担保徴求の弾力化という点について今後とも積極的に取り組んでいきたいと思っております。
  263. 市川正一

    ○市川正一君 それでは時間がありませんので次の問題に進みたいと思いますが、こうした深刻な不況のもとで零細経営の直面している問題の一つとして、私、飲用牛乳の流通問題について取り上げたいと考えます。  まず、厚生省にお伺いいたしますが、見えてますか。——  牛乳は栄養の上からも、また国民にとって健康上も重要な食品の一つであると考えます。だからこそ、厚生省も母子保健法に基づいて妊産婦や発育期の乳児に対して牛乳を無料で支給する自治体の事業に補助金を出しておられるのだと、こう考えますが、厚生省いかがでございましょう。
  264. 佐々木輝幸

    説明員佐々木輝幸君) 先生おっしゃるように、妊産婦及び乳幼児の栄養強化対策といたしまして牛乳を支給しているところでございます。妊娠時また授乳時には、通常の場合よりも各種の栄養を非常に多く必要とするようになるわけでございます。また乳児につきましても、急激な成長のためにバランスのよい栄養を必要といたします。そういう点からいたしまして、母子の栄養対策として、牛乳は各種の栄養素を非常にバランスよく豊富に含んでおります。特に妊産婦が必要といたしますカルシウム、ビタミンA等については非常に多量に含んでおりますところから、牛乳を支給することにいたしているところでございます。
  265. 市川正一

    ○市川正一君 続いてお伺いいたしますが、牛乳は野菜とか果物などとは違って、厚生省も乳及び乳製品の成分規格等に関する省令で、たとえば摂氏十度以下で保管するとか、そういうことを義務づけられておりますように、特に衛生を重視する必要がある特殊な食品であると考えますが、どうでしょうか。
  266. 岡部祥治

    説明員(岡部祥治君) 先生御指摘のとおり、牛乳、乳製品につきましては特に衛生上の配慮を要するということから、食品衛生法で規制をいたしておるわけでございます。特に一般食品と違いまして牛乳関係につきましては、先生御指摘の乳及び乳製品の成分規格等に関する省令という特別な省令を設けまして、成分規格あるいは保存方法の基準等を設けておるところでございます。
  267. 市川正一

    ○市川正一君 続いて農林省にお伺いいたしますが、現在、牛乳はそれぞれ町にある専業の販売店が毎朝各家庭に配達する宅配によってその消費を支えてまいりましたが、この宅配というのは、病人はもとより体の弱いお年寄りや妊産婦、あるいは赤ちゃんや共働きの夫婦にも毎日新鮮で栄養のある牛乳を毎朝届けるなど、国民生活に重要な役割りを果たしてきたものと考えております。そして、この宅配によって安定的な消費が確保される。同時にそのことが安定的な生産にもつながり、ひいてはわが国の酪農の振興発展に大きな役割りを果たすものと思いますけれども、農林省の御見解を伺いたいと思います。
  268. 中島圭一

    説明員中島圭一君) 飲用牛乳の流通につきましては、御指摘のとおり、長い間わが国におきまして牛乳販売店を通ずる家庭配達方式によって行われてまいったわけでございますが、近年スーパー等の量販店の進出に伴いまして、また紙容器という新しい容器の導入等もございまして、最近におきましては牛乳販売店の販売本数の低下とか、あるいは牛乳販売店を経由する販売シェアの低下というような傾向が見られているところでございます。ただ御指摘のとおり、家庭配達方式につきましては、わが国の飲用牛乳の消費は非常に天候によって左右されるというところでございまして、非常に晴天の日が続きますと牛乳の消費がふえる、雨の日には消費が落ちるという特徴がございます。家庭配達方式から店頭販売、スーパー等の店頭販売の増加に伴いまして、こういう傾向がさらに著しくなっているという傾向が見られるわけでありまして、他方、家庭配達方式は、雨の日も風の日も家庭にちゃんと送り届けるというようなことで、牛乳消費の安定、その維持拡大というような点におきまして非常に大きな意味を持っているというふうに考えているところでございます。
  269. 市川正一

    ○市川正一君 で、いまお答えいただきましたような役割りを果たしている牛乳販売店の数は、これは大手五社でその六十数%を占めておる系列の販売店の数でありますけれども、私ども調査では、この五年間に約二万店から一万八千店に減っております。  これは最近起こった事件でありますけれども、去る十月の十七日、船橋市で牛乳販売店主が親子心中するという悲劇が起こっております。私はここに、これを報じました十八日付の朝日新聞の切り抜きを持ってまいりましたけれども、「スーパー攻勢の悲劇——牛乳店の親子心中」という見出しで、この記事は近所の方々、あるいは同業者の話によると、ふえ続けるスーパーや百貨店での安売りなどのために、小売店への客は減る一方である。スーパーがこれ以上進出すれば、牛乳店ばかりか他の小売店でも同様の悲劇が起こりかねないとまで言い切っていると報じております。そして牛乳については、この船橋市のある牛乳販売店主佐久間保さんという方でありますが、千ccの牛乳二百三十円ぐらいの小売値を百三十円前後で売り出すスーパーには、とても太刀打ちできないという憤激の談話も伝えております。  そこで、公正取引委員会にお聞きいたしたいので、ありますが、こういう船橋のスーパーのやり方、これは独禁法で規制している不当廉売に該当すると思うのでありますが、見解を承りたいのであります。
  270. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 飲用牛乳の問題につきましては、公正取引委員会も率直に申しまして頭を痛めておるところでございまして、末端の小売段階におきます大型スーパー店等によります廉売活動につきまして、各方面から申告やあるいは苦情の申し出をちょうだいいたしておるわけでございます。極端な表現をとりますと、公正取引委員会の電話が一日じゅう鳴りっ放しだというふうに申し上げても過言でないくらい、大変な件数に上っておるわけでございます。件数を申し上げますと、ことしの四月から九月までの半年間で牛乳の関係の申告かございましたのが二百三十六件でございます。それに対しまして不当廉売の実態等を調べてみますと、明らかに行き過ぎと目されるケースが幾つかございます。したかいましてそういうものに対しましては、電話等によりまして、口頭によりまして警告を発したり、あるいはケースによっては書類をとるというような措置をとりまして、直ちに中止をいたさせておりますし、さらにそういう行為が繰り返されることのないように注意をいたしておるわけでございます。そういう件数をこれも申し上げてみますと百八十件でございますから、半年間で百八十件ということは大体一日一件やっていると、こういうことでございます。そういう点から申しまして、いま先生のおっしゃいましたような事案でございますと、恐らくは不当廉売に該当するのではないかというふうに考えられます。
  271. 市川正一

    ○市川正一君 そこで公正取引委員会としては、特に大手業者かスーパーに対してどういう納入方法をとっているかというのは御存じでしょうか。
  272. 長谷川古

    政府委員(長谷川古君) お答えいたします。  現在調査を準備中でございますから、まだ具体的には調べておりませんが、ただ、断片的にはいろいろなことを若干聞いております。かなり安く入っているというふうに考えております。
  273. 市川正一

    ○市川正一君 私どもは事実に基づいて調査いたしてみたのですが、たとえばスーパーに対しては十ケースについて一ケース無料でつけて納入するというようなやり方が現に行われているのであります。ということは、結局、大手メーカー系列下に押さえている販売店には高い卸売価格を押しつけ、その上に立ってスーパーには安い価格で卸しているということになるわけでありますけれども、こういうやり方は明確に独禁法で規制している差別価格の押しつけであり、同法の第十九条の不公正な取引に概当すると思いますが、いかがでございましょうか。
  274. 長谷川古

    政府委員(長谷川古君) ただいま申し上げましたように具体的に調べておりませんので、具体的にはお答えできませんけれども、一般的にそのような場合には差別価格になるおそれがあると思います。  なお、私どもまだ具体的には調べておりませんけれども、この間小売団体からの陳情を受けまして話を聞いたのですけれども、かなりいま牛乳は生産過剰でございます。したがいまして、これが普通の商品であればこれは下がるのがあたりまえなんですけれども、一般の小売業者にはほとんど下がっていない。ところが、上場会社の決算書を見ますと、市乳の値下がりは顕著であるというふうに書いてあるわけでございまして、どこかその辺が一つの大きな問題じゃないかというふうに思っております。
  275. 市川正一

    ○市川正一君 ぜひ実情をお調べ願いたいと思います、橋口委員長、特に。  それでは、こういう点はいかがでしょうか。明治、森永、雪印など、いわゆる大手の乳業がございますが、そこでの小売店への卸売価格はいかほどになっているか、御存じでしょうか。
  276. 野上正人

    政府委員(野上正人君) 各県の何は地区によって違います。購入価格も違います。それで、全般的には百七十六円ぐらいで販売されておるのではないかと思っております。これもまだ正確に調査したものではございませんけれども……。
  277. 市川正一

    ○市川正一君 これは調べればわかることなんですが、私どもの調べによりますと、百七十六円、その下に四十銭というのがつきまして、各社とも一円一銭の狂いもないんですよ、全く合致している。ということは、これは私、やみカルテルの疑いがあるというふうに断ぜざるを得ぬのでありますが、私は、公取委員会がこの問題について直ちに調査されることをこの際に要求いたしますが、中小メーカー、それから農協系がございますが、ここではどれぐらいで卸しているか御存じでございましょうか。
  278. 野上正人

    政府委員(野上正人君) 中小メーカーにつきましては区々でございまして、はっきりした数字は現在のところ調べておりません。
  279. 市川正一

    ○市川正一君 これも私ども調査によれば、大体百六十円前後というふうになっております。したがって大手は百七十六円四十銭。ということは、この中小、農協系などと比べて大手がぼろもうけしているということになると思うんです。ですから、これは大手の乳業各社の決算を見ても明らかなところでございますが、生産者である農民からは買いたたき、そして系列の牛乳販売店を犠牲にしてシェアを拡大しようとするこの大手乳業メーカーのやり方が、先ほど申しましたように販売店をつぶしている一因になっているというふうに考えるわけでありますが、大手メーカーはこういうやり方を改めて、少なくとも中小メーカーなどが卸している価格で販売店に卸すべきだと。これは決して一業者の問題ではなしに、国民全体、消費者の健康の問題から考えましても当然の要求であると思いますが、ここで牛乳の生産流通の所管に当たっておられる農林省の見解をまずお聞きいたしたいんであります。
  280. 中島圭一

    説明員中島圭一君) ただいま御指摘のとおり、中小メーカーや農協プラントにつきましては、卸価格が大手メーカーよりは若干低い価格と思いますが、これらにつきましてはコストの問題がございまして、飲用牛乳に回る以外の、いわゆる余乳と申しますものがございますわけでございますが、この余乳処理に伴う負担とか、その他のコストの面を十分調べてみないといけないと思うわけでございます。中小メーカー、販売店を圧迫するというようなことは好ましくないわけでございますが、そういう生産費のコスト面をさらに調べてみないとはっきりしたことは申し上げられないと  いうところでございます。
  281. 市川正一

    ○市川正一君 私は、価格問題の立ち入った議論は別として、実際にそういう実態になっているという事実に基づき申し上げているわけでありますが、ここにあるスーパーのチラシがございます。ここには明治牛乳が千cc百円。ここには雪印牛乳が千cc九十八円というふうなことになっております。一見、千cc百円、消費者にとっては非常に結構なように見えるんでありますが、実は、それではいつでもそういう値段で売っているのかということになると、そうじゃないわけです。また、売っている本数も限られております。いわゆるお客をつるためのおとり商品というようなものになっております。これは不当なおとり廉売というふうに言わざるを得ないんであります。しかも売り方といえば、野積み同然に、さきにお話がありました厚生省の基準などどこ吹く風というふうなことも間々散見いたします。こうした不健全な商法によって、さきに触れましたが、宅配を軸に社会的に重要な役割りを果たしている専業の牛乳販売業者を駆逐し、次々とつぶしていくということは、私は、これは日本経済全体の、あるいは消費者全体の大局的利益を損なうものというふうに言わざるを得ぬのであります。これに対しては、不公正な取引方法についての特殊指定にして規制すべきであると考えますが、まず牛乳所管の農林省の御見解を伺いたいと思います。
  282. 中島圭一

    説明員中島圭一君) 現在の牛乳の安売りにつきまして不当廉売の特殊指定を行うべきかどうかの判断につきましては、これは公正取引委員会の御判断に待たなければならないわけでございますが、私どもといたしましては、牛乳というものが毎日国民の皆様に消費される重要な栄養食品であるということから、牛乳の価格はできる限り正当な価格、安定した価格で販売されることが望ましいというふうに考えております。また、牛乳が品質あるいは内容面におきまして余りブランドの差がないというようなこと、あるいは毎日消費されると申しますか、奥さん方が毎日のように店に買いに行くというような面から、非常にスーパー等の目玉商品として使われやすい性格を持っているのではないかというふうに考えております。  また、牛乳の過度な行き過ぎました安売りということは、結局、現在流通形態の大きな変化の中で、非常に困難な局面にあります牛乳販売店の経営を一層圧迫して、牛乳の消費の安定を阻害するおそれもございますし、また、スーパーに納めております牛乳メーカーは、どちらかと申しますと中小メーカーや農協プラントの系統が多いわけでございますが、これらの乳業メーカーが過度な廉売によりまして卸売価格の低下というようなことにこれがつながりまして、結局、それが酪農生産者の原料乳代を圧迫するというようなことになりますと、酪農生産の安定的発展という点でも問題が生じかねないという点もございまして、私どもといたしましては、過度な廉売というものは好ましくないというふうに考えております。適切な内容の特殊指定というものがもし可能であれば、非常に望ましいことであるというふうに考えております。このようなことから公正取引委員会の方にもいろいろと御相談をしているところでございます。
  283. 市川正一

    ○市川正一君 公正取引委員会としても、当然そういうお立場であろうと存じますが、いかがでございましょうか。
  284. 橋口收

    政府委員(橋口收君) 飲用牛乳の販売問題、ことに末端におきます過当競争問題につきましては、先ほど申し上げましたように時々刻々手を打っておるわけでございますが、基本的には需給の関係に変調を来しているというところにあると思われますし、さらにまた販売形態の変化とか、あるいは国民の消費性向とか、あるいは生活態様の変化ということも要因として考えられると思いますので、ただいまお示しがございましたようないわば出口としての末端におきまして、不公正な取引を取り締まるということだけでは問題の根本的な解決にはなりにくい面があることは、これは御理解いただけると思います。しかし、そう申しましても、確かに、現象としては末端において大変な競争が行われておるわけでございますし、それに伴って社会的な影響も出てきておりますから、われわれといたしましても、特定の事業分野についての不公正取引方法の指定ということができれば、大変よろしいと思っておるわけでございます。  で、従来も実は、その特定の事業分野につきましての不公正取引方法の指定ということで検討いたしたこともございますし、さらに案を発表いたしまして、学識経験者とかあるいは消費者の皆様方の御意見を聞いたこともございます。大ざっぱに申し上げますと、通常の仕入れ原価に対しまして六%の小売マージンを加えたものが適正な小売販売価格ということにいたしたのでございます。ところが、それに対しまして各方面から御意見がございまして、実は賛成の意見というのは大変少なかった経緯がございます。これは、いまから数年前の昭和四十八年のことでございます。このときには全商品について末端の小売価格についての不公正取引方法の指定ということで検討いたしたのでございますが、それにつきましては、いま申し上げたような問題があったのでございまして、今後取り上げるといたしますと、全商品ということではなくて、本当に必要な商品について、果たして通常の仕入れ原価にプラス適正マージンというような考え方を適用することができるかどうか、これが検討に価する問題だというふうに考えております。  ただ特殊指定ということになりますと、やはり取引の内容とか方法とか、要件の限定ということが必要になってまいります。したがいまして、不公正取引に該当しない事例を掲げて、それらを除いた残りの適正な取引方法の指定ということになりますから、これはやはり要件の限定ということが大変むずかしい内容になってくると思います。そういう意味におきまして、姿勢は前向きでございますが、取り扱いは慎重にやっていきたいというふうに考えております。
  285. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 市川君、時間が過ぎました。
  286. 市川正一

    ○市川正一君 あと二問だけ。  繰り返して申し上げますが、この問題はただ牛乳販売業者の要望ということだけでなしに、国民の保健あるいは経済、流通の健全化にかかわり、広く世論にもなっている。  私、大阪の府議会の意見書をここに持ってまいっておりますが、去る十月の二十五日に各会派共同提案によって、牛乳の流通秩序の確保に関する意見書、四項目を全会一致で採択いたしております。  その第二項、これは総理並びに関係閣僚や公取委員長にも送付されておりますのですが、第二項には、飲用牛乳小売業における特定の不公正な取引方法の指定の措置を講ずることということを明記しておりますが、この点前向きにぜひ御検討いただきたいと思うんでありますが、こうしたいま行われているスーパーの不当なやり方を放置するということは、牛乳の安定生産と安定消費を支え、わが国の酪農振興に大きな役割りを果たしてまいりました牛乳販売店をつぶし、ひいてはスーパーに買いに行けない病人やお年寄り、妊婦などの弱者あるいは共働きの家庭などに犠牲を強いることになるというふうに考えます。  そうした中で老人福祉と結びつけて、ちょうど一人暮しの老人への福祉電話や、あるいは愛のベルなどと同じように、牛乳、乳製品を一人暮しの老人に配り、その配達のときに声をかけ、孤独なお年寄りを励ますという一声運動などが各自治体でいま広がっております。特に都会砂漠と言われる大都市の中で一人暮しの老人が亡くなって、一週間も放置されたというようなことを防ぐ一助としても、こうした運動は意義があることと考えますが、関係各省庁が積極的な態度を示すことが大いに期待されておりますが、特に厚生省の御意見を伺って私の質問を終わらせていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
  287. 末次彬

    説明員(末次彬君) お答えいたします。  一人暮し老人に対します福祉施策といたしましては、ただいま御指摘のございました福祉電話あるいは日常の老人の身の回りの世話をいたします家庭奉仕員の派遣、あるいは介護人の派遣といった事業を柱として実施しているところでございますけれども、このほかに地方公共団体あるいは老人クラブ、あるいは婦人会、あるいはボランティア団体というようなさまざまな団体が、友愛訪問等のようなかっこうで一人暮し老人の安否の確認、あるいは孤独感の緩和といったためのさまざまな事業を行っておるところでございます。申すまでもなく老人福祉の問題といいますのは、個人あるいは団体を問わず国民の各層がそれぞれの立場で、きめの細かい配慮を行うということが必要であるというふうに考えております。ただいま御指摘のありましたような、配達の際に一声かけていただくというような事業の実施につきましては、これは在宅福祉の向上にとって寄与するものがまことに大きいというふうに考えておる次第でございます。
  288. 市川正一

    ○市川正一君 どうもありがとうございました。  大臣に要望だけ一言。大臣、お聞きのようなわけなんで、ひとつ中小零細業者を守るという見地からも格段の御尽力をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  289. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 本院の二十七日の商工委員会で私はエネルギー庁長官にナフサ問題で御質問申し上げました。前後して二十五日、二十六日、二十八日に衆議院の商工委員会でもナフサ問題に関しまして集中的に論議が行われておるところです。私の質疑、それから衆議院における長官をめぐるいろいろな論議を私いろいろ調べてみました。  結論的に言いますと、質問に立った各委員は、現に石油業界は莫大な価格差益を得ておる。私も申したところでありますが、一円円高になれば一キロリットル八十五円、昨今の状況で見ますと、二十円円高としても四千九百億の利益を得ておる。これは長官も否定していないところです。したがって、基礎産業である石油化学が大変な打撃を受けておる。こういった中で、その価格差益を還元してナフサ価格を国際価格に直ちにスイッチすべきである。そもそもナフサ高の現行の製品価格体系というものは、通産省が行政指導によって価格体系をつくったわけであるから、今回もその行政指導によってこの著しく高い価格体系を、不況対策として調整するということを公約した政府のたてまえからも早急に措置すべきである。おおむねこういった意見に終始しておると思うわけです。  なおこのことについては、天谷基礎産業局長も、基礎産業という重要な位置づけにある石油化学が、現在二割強輸出を行っておるのに、為替リスクをまともに負い、ナフサは円建て為替が相殺されることなく、もろに今度は逆に円高影響をこうむって大変な状況にあるから、何としても早急に対策を講ずべしということを言っております。この辺のいきさつについては私はもう繰り返しません。ただ、これら一連の各委員の発言に対して長官の答弁は、おおむね一月と七月にOPECによる値上げがあったということ、そしてそれに伴って防災の面あるいは備蓄の問題などを通じてコストアップ要因がある。これを抜きにして価格差益を一概に講ずるわけにはまいらない。こういう答弁であったと思うんです。したがって、私はいささか細かいことになりますけれども、このコストアップというものについて少し私の見解を申し上げて、そして長官のまた御見解を承りたいと思います。  一つはOPECの原油値上げ、一月と七月に行われたわけでありますが、言うまでもなく、五十年の十二月に一ドル三百二円というところで二万三千五百六十円という原油価格が決定した。その後一月と七月のOPECの原油値上げは公示価格で一〇%、実質は八%強と見るべきと思うんです。三百二円の時点から現在までの間、いま二百四十五、六円で一ドルの円が動いておりますが、仮にこれを二百五十円と丸めて見ても円は一七%高くなっております。そうしますと、一七%の円高とそれからこのOPECの原油値上げの八%、これを相殺しますと九%の原油の標準価格二万三千五百六十円から差し引ける金額である。つまり、そのことはラウンドで見て二千円になる。したがって、長官のおっしゃるコストアップ要因の原油値上げというのは、円高によってなお二千円仮に差し引いたとしてもパーでいくんじゃないだろうか、これが一つ。  それからいま一つ、保安と防災の問題について長官はしきりにおっしゃっておるわけでありますが、もうこれは長官もよく御存じのように、製油所にはいろいろな設備があるが、そのうちナフサの製造に使われるのはごく一部であって、具体的には常圧蒸留装置を経過して、通してナフサというものは精製されるものです。したがって、それぞれの油種の中でガソリン、灯油、軽油あるいはA重油、B重油、C重油、これらと比べて最も安直にナフサというものはできるんです。これは御存じのとおりだと思います。したがってその設備のために、たとえば汚染物質をよけいに発生しないための設備だとか、危険を伴わない設備であるとか、あるいは保安費というものはこれはなるほど上昇しておると思うが、いま言ったところのこの設備について、特にナフサの原油蒸留設備についてどれほどのコストアップ要因があるのか。だから、先ほど言ったようなそれぞれの油種については、なるほど大変なたとえば減圧蒸留装置が要るとか、あるいは触媒分解装置が要るとか、あるいは重油間接脱硫装置が要るとか、それぞれの設備を経由して製品が流れるんだけれども、ナフサはそうじゃないわけなんだから。その他のコストアップ要因をナフサにかけるということは私は不当であるというふうに思います。  なおこの備蓄についても、十月二十八日の衆議院の商工委員会で五日分ふやしたと、その原油代金増加分は約九百億円というふうに長官はおっしゃっている、約九百億円。金利を一〇%としてもコストアップの要因は、年間これはその一割ですから九十億円である。あるいはタンクの金利償却などを含めてもたかだか百億円程度のものであろうと思うんです。そうだとすれば、石油製品一キロリットル当たりせいぜい五十円ぐらいの負担増になる。したがって、備蓄それ自体がナフサのコストアップ要因にはならない。  それからいま一つ、二万九千円の標準価格決定.時の原価計算で、これは通産省のエネルギー庁が出しておるわけですが、燃料費千二百七十円、精製費が千八百円、金利千二百六十円、締めて四千三百三十円が見込まれておるわけですけど、ナフサの精製設備の、先ほど申したように精製設備のうちごく一部、それも温度、圧力も低くて済む、触媒も使用しなくて済む、こういった状態の中でナフサがこの四千三百三十円のいわゆる経費、これをどれほど負担すればいいのか。まあ、せいぜいナフサの場合、いま言ったようにきわめて軽易な設備で通過して出てくるものですから、そのうち二割を負担すればいいだろうということになると、いま申したところの四千三百三十円の経費というものはナフサにそのままかかるものではない。これらを全部勘案してみると、差し引いていくと現在の二万九千円という標準価格、これに対してナフサ価格は私の計算では二万三千五百四十円となる。これをやったって決しておかしくはない。なお、標準価格決定の場合に販売管理費として二千三百五十円が見込まれておるわけですが、これももう御存じのように、たとえば灯油なんかの場合ですとそれぞれの数多い販売業者にこれを販売するわけですから、販売管理費というものは要るわけだけど、ナフサの場合はこれはパイプで流し込んでおるわけですから、何で販売管理費が要るんだろうか。隣接した工場からパイプでどんどんバルブをあけ締めして流しておるわけですから、これは販売管理費というのは要らない。仮りに要ったとしてもこれは軽微なものである。それらを勘案すると、まあ適正価格というのはおおよそ二万一千円としてもおかしいはない。つまり、そのことはヨーロッパにおけるナフサの長期契約物——スポットじゃないですよ、長期契約物か現在トン当たり百二十三ドルですから一ドル二百五十円とすると二万一千五百三十円、ニアイコールで中東原油を引いておるところの欧州とわが国との標準価格は同じになる、こういうことになるのです。  だからわれわれは欧州との対比において、アメリカと本来対比すべきであろうけれど、アメリカはみずからに石油も持っておるということであるならば、同じような環境にある欧州と対比して欧州の価格と連動させろという論拠もここにあるわけです。その辺いままでマクロな状態でコストアップ要因があるから、そのために価格差益をナフサには使えないんだとおっしゃっておった長官でございますけど、どのようにお考えかお聞きしたいと思うのです。
  290. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ナフサの価格問題につきましては、私自身も非常に苦慮しておるところでございます。ただいま先生から詳細にわたってコスト分析をお伺いしたわけでございますが、私この場にいまそれに対応する数字を持ち合わせておらないわけでございますが、一応のいまの先生のお話に対しまして感触を申し上げますと、まず一つは為替レートを二百五十円ということで特定して計算なさっているんじゃなかろうかという印象を受けたわけでございます。しかし、これは御承知のように昨年一年間は二百九十二円が平均実績だったと思います。あるいは、ことしの上期は二百七十円が平均値であったと思います。したがって、仮りに下期は二百五十円で推移するとしても、年度を通じる場合はそれの加重平均と申しますか、二百七十円と二百五十円であればその真ん中のざっと二百六十円だといったようなことで計算しないと、いま時点の二百五十円だけで計算するということは、コスト比較の関係において若干問題が残るのではなかろうかという気が一つするわけでございます。  それから二番目にいろいろと精製費だとか防災費等についてお話伺ったわけでございますが、これにつきまして私一つ申し上げておきたいのは、石油製品というのはナフサだけが単独に生産されるのではなくて、一定の得率のもとに各種の製品が出てくるわけでございます。俗に連産品と称しておるわけでございまして、その中で各石油製品ごとにコスト計算をするということは実際問題として非常にむずかしいわけでございます。また、現実的ではない点もあろうかと思います。したがいまして、いわゆる石油製品の価格というのは、一つは連産品であるという特殊性があった場合において、かつは各種製品ごとに需給の実勢を反映するというものが、これは確かに一番理想的なものじゃなかろうかと思います。しかし、全体と個々のものとがそこで平仄が合うといったような価格形成も非常にむずかしいと思いますが、特にこの際私申し上げておきたいのは、石油の各種製品というものは連産品の性格を持っておる、こういうことでございます。いわゆる先生の先ほどお話はコスト分配的なお話であったわけでございますが、果たしてさような形で個別にじゃナフサだけ取ってほかの製品が要らないということになると、これ、ナフサは非常に高いものになってしまうわけでございまして、そういったところも御理解を賜らないと、普通の製品とそういった点が違っておるんだということもお含みおきいただきたいと思います。  それから、原油代につきましては、かれこれ私たちのいまの見方はことし二億八千六百万キロリッターぐらい、来年の三月まで通関してくるというふうに見込んでおるわけでございますが、これに対するOPECの一月と七月の原油価格の引き上げによりまして、かれこれ五千億前後の上昇要因になっておるというふうに見ておるわけでございます。  それから、そういった原油価格以外のコストアップ要因として、いま御指摘のように、備蓄費、防災費、関税その他のものを申し上げたわけでございますが、私たちの方の計算で、トータルの数字しかいま持ち合わせないわけでございますが、備蓄、防災費関係で約八百六十億、それから関税その他で七百億と、大体千五、六百億になるわけでございますが、これを合わせまして約六千五百億前後、本年度間のコストアップ要因があると、かようにまあ申し上げておるわけでございます。それで、個別の原価計算的なものは持ち合わせないわけでございますが、防災関係で若干例示的に申し上げますと、コンビナート法が制定されましたことによりまして、自衛防災組織というものを各工場が持たなくちゃいけない。そのためには当然そのための人員も必要でございますが、大型の化学消防車あるいはオイルフェンスの展張船、それから油の回収船と、こういったものを常置しなくちゃいけない。あるいは流れ出した油の防止堤をつくるといったいわゆる特定防災施設の設置、あるいは緑地等の設置ということが義務づけられておるわけでございます。  それから、消防法の強化によりまして、保安距離が長くなりまして、いわゆるタンク間の距離が従来よりも五〇%程度、したがって用地全体としても従来の一・五倍の用地が要ると、あるいは防油堤の強化だとか、あるいは定期点検と申しますか、一万キロリッター以上のタンクにつきましては五年に一回完全にそのタンクを空にして点検する。ということは、稼働率が仮に一〇〇%満タンにするといたしましても、八〇%の稼働率に落ちる、こういうことでございます。  それから、関税その他の中には精製費だとか販売費等も当然含まれておるわけでございまして、個別について詳細に申し上げる数字持ち合わせませんが、ただいま私が申し上げましたようなことも含めて、いわゆる為替差益とコスト上昇との関係がどうなるかといったような形でチェックする必要かあろうかと思うわけでございます。  私といたしましても、冒頭に申し上げましたように、石油事情事情といたしまして、石化業界なり合繊業界は非常に苦境にあるということを承知しております。そういった意味合いにおきまして、できるだけそういった苦況にある業界との関係においても、何とか対応できないものかというふうに考えておるわけでございますが、いま申し上げましたようなところから、いま時点において直ちにというところまで至らないということが現状でございまして、いま幸いと申しますか、両業界で精力的に値決め交渉を続けておりますんで、その値決め交渉の情勢を注視しながら、われわれとしても対処してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  291. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これまでの衆参両院を通じて長官いつもおっしゃることは、まさに連産品だと、だから石油からナフサだけを抽出するんじゃないという論で終始一貫しておるわけです。これはそのとおりなんです。そうだとすれば、連産品として出てくるところのガソリン、灯油、軽油、重油、そのA、B、C重油、あるいはアスファルト、全部出てくるわけだけれども、結局いま私が申したような製造工程を経て出てくる物——私は石油業界をつぶせと言っているんじゃないですよ。石油業界もきちっとこれはエネルギーとして大変大切なものだから生かしていかなきゃいかぬし、将来展望も持たなきゃならない。そうだとすれば、それぞれの連産品の中でナフサが割り高になっておるということですよ。しかも問題は、たとえばこれは基礎産業である石油化学、石化は、基礎産業であると同時に、国際競争を常に持っておる状態、欧州の場合と日本が全くこれは同じ状態にある。  たとえば欧州か中東から原油を運ぶ、距離は近いかわからぬけれども、あのスエズは小さい船しか通らないから、喜望峰を通って回っていくわけですから、運賃も大体日本と同じですよ。あるいは石油から出てくるところの精製設備、精製設備も大体同じ設備を持っておるし、需要構造も大体同じ。そういう中にあって、彼らも連産品で全部価格が決まっておるんだろうけれども、その連産品として決まっておるものが、大体二万一千円から二万二千円。私が先ほど二百五十円と、これ現の、現勢レートですから、現勢レートで計算すると、現に同じような数字が出てくる。それを二万九千円に行政がせしめておる。これは石化とか合繊がわが国においていまのような状況の石油業法の中ではバーゲニングパワーが全然ないわけですから、行政が決めておる。だから結局それはそれぞれの、いまいみじくもおっしゃったような連産品の中でナフサが割りを受けておる。割り高になっておるんだ。だから石化にしても合繊にしても、ただ下げろと言っておるんじゃないんですよ。欧州と競争するんだから、だから欧州における長期契約物である価格と連動さしたらよろしいと。向こうが上がれば上がったらいいんだ、同じスタートラインに立とうじゃないかと。下げるときは同じに下げたらいいじゃないかと。そういうふうな形をとらなければ、これはまさに計算のしようもないかわからぬ。  だけれども、このことは何も石油に限った問題じゃないんであって、ナイロンでも同じですよ。ナイロンから出てくるものが洋服になる場合もあれば、もっと広く自動車のタイヤコードになる場合だってある。それは同じナイロンでもその後の工程の処理によって値段は変わっておるんですよ。それは手間暇かかるものは高くなるのはあたりまえだし、手間暇かからぬのは安いですよ。同じことなんですよ。手間暇かからぬのが一番割り高になっておる。だからおかしいと言うわけです。何もそれは石油に限ったものじゃない。繊維だって同じだし、プラスチックだって同じだし、どこにも見られる現象ですよ。化学なんて全部そうですよ。そこをもうちょっときめ細かくやらなければ。しかも石油化学が、石化がもうけておるというんじゃない、もうどうしようもない、競争力がなくなっておるという状況にあるんだから、だから私はどうしようもないんだ、どうしようもないんだ、しかもバーゲニングパワーもないところに、話し合いなさい話し合いなさいと言ったって、これは話し合う余地もない。自分でどうしようもないんですから、法の中で。だから流れてくるものを決められた値で受けなきゃいかぬ。そしてそのユーザーはきわめて強力なところばかりなんだから、サンドイッチになって動きがとれない。そこにやっぱり行政が決めた指導価格であるなら、行政がやっぱりそのしりをぬぐわんかったら、これはもう全部つぶれてしまえということに等しい。  だから基礎産業局にしても産業政策局にしても、困ったことだと、何とかすべきだと、政府も、大臣、公約しておるんですよ、不況業種として調整します。それをもうこれだけの時間がかかり、衆参両院を通じてみんなナフサを何とかしろと言っておるのに、ただやれやれじゃどうしようもない。その辺大臣どうですか。
  292. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 大臣がお答えする前に一言申し上げておきますが、冒頭に申し上げましたように私自身非常に苦慮しておる問題でございますが、したがって傍観いたしておるということではございません。ただ、いま先生が御指摘になった点について一、二点補足さしていただきたいと思います。  コンビナートリファイナリーというようなことで全国で九つあるわけでございます。ことしの三月末時点でまだ百三十五億の繰越損を持っておる。かような為替差益が出ている中においても、まだ上期の決算全部終わっておりませんが、このコンビナートリファイナリーの中にむしろまだ赤字増大するものもあるわけでございます。そういう見込みでございますが、これは一つには御承知のようにコンビナートリファイナリーというのはナフサの得率を一般の精製よりも非常に高めておりまして、それに従いまして重油だとか、ナフサと重油のウエートを非常に高めておりまして、いわゆる採算性のある油種と言われるガソリンは、他のものと比較して格段に低い。そういったコンビナートリファイナリー自体の影響もあろうかと思いますが、一言申し上げておきたいのは、非常にコンビナートリファイナリーでまだ欠損がふえていっている向きもある。したがいまして、私の方としてはさらにそれを下げてという指導をいまの段階でいたすよりは、むしろそれは両方がどこまでコスト割れをかぶるかという問題でもあるわけでございますので、両業界でよく話し合ってもらいたい、こういう立場にあるわけでございます。  それからもう一つ、国際価格との御指摘でございますが、これも全く私はごもっともだと思います。ただ、昨年の八月まではむしろ国産品の方が安かったわけでございます。かれこれキロリッター当たり五百円ぐらいCIFベースでは国産品のが安かった。さらに一年さかのぼりますと二千五百円国産品の方が安かったわけでございますが、それが昨年の夏、ヨーロッパにおける異常渇水のために重油の消費需要がふえ、それに伴ってナフサの生産がふえた。ところがヨーロッパ諸国におきましても石化業界非常に不況にあったために、ナフサが荷もたれしていると申しますか、過剰供給になっているといったような事情と昨今の円高とが絡み合ってまいりまして、CIFベースでかなりの差が出てきたというのが現状でございます。さような事情を申し述べた——私は言いわけをするつもりはございませんが、そういった事情も踏まえながら、いかにナフサ価格問題、あるいは石油業界と石化業界との話し合いを健全なベースで円滑に進展せしめるかということに苦慮いたしておるということでございます。
  293. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 コンビナートリファイナリーのお話がありましたが、これは二十八日の衆議院の商工委員会でも、五十年時点における売上高利益率の見込みは〇・五八%、これは五十一年度実績で売上高利益率一・三九%、ここに半分ぐらいは価格差益が入っておるわけなんです。こういう数字もないわけじゃありません。しかし、これは時間もないからこの点についてさらに細かく申し上げるいとまがないわけだけれども、しかし、私はこれは大臣にもよく申しておかなければいかぬし、お考えをお聞きしたいと思うんだけれども、いま長官もおっしゃった、なお健全に両者が話し合ってというけれども、それは先ほど申したように、全く現在の石化については、これはバーゲニングパワーがないわけでしょう。どう見ても。しかも行政で決めた価格体系なんだから、それが国際価格より高い。そのことはやはり率直に長官もお認めになっておる。しかし、かと言ってなかなかこれいじれぬ、何とか話し合ってくれと苦慮しておられる、これはよく私もわかります、この事情は。だからそこをやっぱり大臣が考えなければいかぬ。特にいろいろこの問題で論議しておった時点とずいぶん様子が変わって、十月三十一日に化学会社は石油に対して各企業ごとに、十月分の受け取り以降国際価格しか払わないという仮払い通告をしておるんです。これは一種の宣戦布告ですわな。話し合いの土俵に乗ってこぬのだから、そして政府も何もせぬのだから、だから国際価格しか払いませんと、こうやっておるわけですよ。これは現物が入って大体二カ月後に現金決済するわけだから、十二月になれば現金決済でこれは問題になるんですよ。全部現に受け取った荷物について、貨物について、仮払いしておったこの金しか払いませんよと。そうすれば行政で決めた行政価格と標準価格と違う。トラブルになりますよ。  そういう状況に立ち至っておるのに、なお両者が健全に話し合うのをじっと見ておるんですと、それは通らないですよ、そんなことは。そうでしょう。だから、それでもなお情勢を見ておるんですというなら、いつになったら行政が介入するんだ。これ以上のこと、何がありますか。もう石化は全部——それじゃ石油が全部ナフサ渡さぬと、社会問題になりますよ、金払わぬなら出さぬといったら。もう大変なときになっておる。それでもなおじっとしておるんだと。いつになったらやるんだというんです。私は、その辺のところをもうちょっとはっきりしなかったら、物理的にこの石油業法がある、安い外国製品があっても買えない、まさにバーゲニングパワーもない状態で相撲とれ相撲とれといっておるわけのことだ。そして石化が言っていることは、私はやはりひいき目に言うわけじゃないけれども、いつまでも安くしろというわけじゃないんだから、高くなったら高くなってもいいと、要するに国際価格に連動しろというんだから、だからドル建ての円払いという形をとったって、それは構わぬわけですよ。高くなったら高くする、しかし、安くなったら安くしろよということなんだから、これは理が通っているんですよ、これは。どうです、大臣。
  294. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私の就任以来の実は大問題でございまして、特にナフサの問題は最近非常に化繊関係、合繊の皆さん方が問題にしておられるわけでありまして、実は灯油の価格の安定とか、そういうふうな問題も関連しての連産製品でございますだけに、非常にむずかしいのであります。で、実は化学関係の方々が再三おいでになりましたときに、ひとつユーザーとして元売の方との交渉をしてくださいということを申したのであります。同時に、百五十万キロリッターの枠も、輸入枠をふやしました。これがまた、いまのユーザー御自身が船も波止場もお持ちにならない方が多いし、それからコンビナートの連産品関係が多いし、なかなか他のユーザーのような立場ではございませんが、仄聞するところによりますと、非常に二万九千円という価格に対して、ロッテルダムのスポットのコストに近い二万四千円程度までお話し合いで下がったようにも聞いておりますし、そういうことがあればよかったなあと実は考えてもおったわけでございます。いま先生が詳細にこの連産品についての関連をお話しになりましたが、私といたしましても長官をいつもいつもいじめておるようなわけでありまして、何とかひとつすぱっとした解決をいたしたいものだと思いながら、余りにも山が大きいというようなことでございますし、道も険しいような次第であります。いましばらくお待ちいただいて、ひとつじっくりと御相談を申し上げたいと思いますが、同時に一番問題になっておりますのは差益の、為替の問題だと、当面、こうなってまいります。そうしますと、だれが考えましても莫大な差益が出ておるわけであります、業界全体としては。しかし、その中でメジャーの関係と重質油を主に食っておりますいわゆる民族系との関係の経理上の格差なんかもなかなかむずかしいものがございまするし、せっかく長官と鳩首協議中でございますので、いましばらくお待ちいただきとうございます。
  295. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 ちょっと聞き漏らしたのだけれども石油側が二万四千円という回答をしておるわけですか、役所に対して。
  296. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 大臣の申し上げたのは、輸入品で二万四、五千円で入ってくるものもあると、こういうお話だったと聞いております。
  297. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これは今度輸入をふやしたということで、輸入ナフサについては国際価格に近い値段でいっておるわけで、これは二〇%割るような状況ですから、それが全部を支配するほどじゃない。で、大臣、これは田中通産大臣は就任以来の難問だとおっしゃるけれども通産大臣は高潔で人格円満でみんなが尊敬しておるわけだから、難問なるがゆえに、大臣が出て行かぬかったら、これはどうしようもないですよ。だから、長官をいじめたって、長官も苦しい立場なんだから、やっぱりそのために大臣がおられるのですから、そうじゃなかったらエネルギー庁も省に昇格するかという問題出てくるわけだから、それはだめなんでしょう。やっぱり大臣が出番なんですよ。いま言ったような非常事態に入っておるわけですから、だから私は大臣か入って——何も莫大な価格差益を持っておるからそれをはき出せと言っておるのじゃないのですよ。要するに、筋の通る形にしろと言っておるわけですからね。しかも、使う側の石化にしても、合繊にしても、これは言うまでもない、大変な問題になっておる。そしてたまたま石油は、それは昨年、一昨年は別として、今日の日本の狂ったこの経済状況の中で、とにもかくにも価格差益を得ておることは事実だ。そういう状況に照らして問題を申し上げておるわけだから、これはべらぼうな横車を押しておることでも何でもないんです。ひとつ勇断を持って大臣、これは一遍やってほしい。しかもあんまり時間を置かずに——これは長官に尋ねたりする必要はないのですよ、あなたの考えでやったらいいのだから、どうですか。
  298. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私が就任いたしました昨年の暮からことしの正月にかけましては、御承知のとおりの関税定率法によるあの別表の問題がございましたね。それからまた今度は、総合エネルギー調査会の答申として、六十年までには八十八兆円の財源をどこから求めるかというようなことで、またガソリンのコストの問題やら、あるいは一兆数千億円のガソリン税の問題やら、いろいろございます。そういうふうな幾多のいろんな問題を踏まえまして、鋭意私の方でも本当に、先生がおっしゃられるまでもなく、朝に晩に頭を悩めておる次第でございまして、どうぞよろしくもうしばらくお待ちくださいませ。
  299. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これはひとつ、大臣よろしくお願いします。  長官も人ごとじゃございませんので、同情して私は申し上げておったわけなんだから、勇気を持ってやっていただきたいと思うのです。それじゃもう長官、結構です。  時間がありませんから先に移りますが、繊維の問題で、実はこの商工委員会でも三年ほど前でしたか、大島つむぎをめぐる問題が出ました。韓国とのトラブルがありました。参議院の商工委員会としても奄美に調査に赴いた向きもあります。このことについて、このほどまた大島つむぎの方からいろいろと状況についての説明などを受けておるわけですが、一つは日韓両国の協定数量、これは三万六千五百反ということになっておるんですね。ところが、三万六千五百反になっておるけれども、韓国は一反を二反と読みかえておるというのですよ。だから、わが方は三万六千五百反と思っておっても、これは倍になるわけですね。ワンピースというのは二反を一反。これでは何の取り決めかわからぬということを聞かされて、とんでもないことだなというふうに私らも思っておるのですが。韓国業界が、私直接聞いたわけじゃないけれども、つむぎ業界が発表しておる韓国が保有する設備、その稼働状況を見ても、韓国ではつむぎの消費というのはありませんから、全部わが国なんだから、それに照らしてみても、なるほど三万六千五百反を倍にした形のものが日本に流入しておるというふうにうかがわれるわけです。この辺の事情がどうなっておるかお聞きしたいと思うのです。
  300. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 大島つむぎの韓国からの輸入の件でございますが、御承知のとおり、いま先生お示しのとおり、本年度の日韓つむぎに関します協定の中で、絹織物全体として昨年度実績より約二割の減少ということで協定を結んだわけでございます。中で、大島つむぎにつきましては、昨年度四万反という協定に対しまして、いま先生がお示しのように、三万六千五百反ということで話を決めたということでございます。  で、本年度の履行状況につきましては、現在私どもの手元にございます数字では、四月から八月までの韓国の輸出量一万七千七百三十九反ということに相なっておりまして、この推移でいきます限り、年度間で協定量を上回るということはないというふうに理解をいたしておるわけでございます。いま一反が二反に勘定されておるというふうな御趣旨のお話がございましたのですが、かつて確かに反物につきまして、二反を一匹と称するわけでございますが、そういうふうな錯誤がかつて協定を締結する時分にあったやに聞いております。しかし本年度協定の際には、その点は平米ベースでも確認をいたしておりますので、一反約四・六平米でございますか、その点は間違いはないと思っております。  なお、これが一応自主規制ベースということで、韓国の方で管理権を持つ形になっておったわけでございますか、どうもそれでは韓国のビザだけでは若干問題があるということで、韓国との間で数量は減すわ、管理権についても文句をつけるわということで、非常にハードな折衝をしたわけでございますが、こちらが、韓国側で出しましたものを税関で留管令に基づきまして確認をするという通関時確認制をとっておりますので、その点も私どもは間違いはない、このように思っておる次第でございます。
  301. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これはひとつ一反を四・四七平米ということできちっとチェックするようにしていただきたいと思う。  同時に、観光客が持ち帰る、それも自分が使用するだけじゃなく、表現が悪いかもわからぬけれども、かつぎ屋さんのような形で持ってくる。これを差しとめる手は、まあ、ないかもわかりませんけれども、その折に、原産地表示が不明確である。故意に原産地表示をやらないで、片っ方の反末をブランクにしておいて、それを国内で「本場大島紬」というふうに金粉で染め込んで、そして巻きかえて売るというようなことも現にあるし、以前にもこの参議院商工委員会でもその現実をわれわれも見ておるわけです。それがいまだに続いておるということでございますので、この辺についてもよく指導していただきたいと思います。  それからいま一つ、一村産業が大変なことになりまして、その後これは通産省も思い切ってこの手を打ち、日銀とともに、あるいは合繊業界とともに、一村産業建て直しの施策を講じられたことは、私は大変時宜を得た措置であったと思うのです。しかしいまなお石川県——石川県に限らず、北陸の合繊織り産地においてはやはり信用不安というのが渦巻いておる状況でございますので、この辺について局長としてのお考えを一度はっきり聞かしておいていただきたい。  それからいま一つ、これはまだ法案が参議院では審議がなされておらないところでございますが、衆議院全党一致で特定不況業種離職者臨時措置法が通りました。したがって、何としても私どもも、会期が少ないけれども、これは会期末までに通さなければならない法案だと思っておるのです。目の前でこれはもう成立を見ようかというときですから、勢い成立を見れば、この特定不況業種を政令で指定することになります。この政令で指定する場合に、当然通産省としてこれは一つの基準的なものを導き出さなければいけないわけだけど、私は具体的に申し上げますが、現在行政指導で行われている不況カルテル、まあ減産を行っておるところの合繊業界、合繊業界は私は行政指導に基づいて不況カルテルを行っておるわけですから、この特定不況業種に今度は加わるものであるという解釈をとっておるんですけど、いかがなものでしょう。
  302. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 二点についてお答え申し上げたいと思います。  最初の北陸の産元商社一村産業の件でございますが、いまお話ございましたように、同社は北陸地方に大きな関係会社を持っておりまして、ここが仮に破綻をするということになりますと、非常な繊維全体のパニック状態ということも予想せられるというふうに感じましたので、若干異例とは存じましたが、うちでも大蔵省、日銀とも協議をいたしまして、それぞれ銀行グループ及びメーカーグループ結束して、これを立て直すということでいま大体軌道に乗っているという感じでございます。したがいまして、その関連におきましては一応信用不安はおさまったものと了解をいたしておるわけでございますか、なお、円高というふうなことは北陸の機業地に非常に甚大な影響を及ぼす問題でございますので、今後とも私どもといたしましては全般にわたりまして、繊維産業につきましてはある意味では、何か起こりますと、その波及というものが非常に恐れられる状態でございますので、全般の状態を厳重に監視しながら、事態が危ないというふうな感じになりましたときには、いつでもこういうふうな姿でその鎮静のために努力をいたしたい、このように思っておるわけでございます。  それからいまの第二点でございますが、特定不況業種離職者臨時措置法案が現在衆議院から参議院の方へという段階にございまして、これは私どもとしては大変現在の状態を前提といたしましてありがたいことであると思っております。お示しのように十月一日から合繊業界につきましては、通産省といたしまして個別の減産地ということに踏み切ったわけでございまして、自主的に確かに不況カルテルと同じような効果をねらったものでございます。で、いま提案されております法案が成立いたしました暁には、いまお話ございましたように労働省とも十分協議をいたしまして、合繊産業につきましてはその保護対象として指定することについて積極的に努力をしてまいりたい、このように思っております。
  303. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 じゃ結構です。  次に移りますか、実は福井県の福井市の隣に鯖江という市がありますが、この鯖江市で都市計画事業の遂行と土地の高度利用を図る上から、鯖江駅前第一地区市街地再開発事業を市議会の決定に基づいて五十年度から三カ年事業として現在施行中である。このことについて鯖江市は、自治法九十九条第二項の規定に基づいて意見書を田中通産大臣初め官房長、産業政策局長あるいは大阪通産局長に提出しておるところです。御存じのようにこれは、「本市施行にかかる事業には、キーテナント誘致が必須条件であるので、これが促進されるよう積極的に推進を図ること」、「関係権利者の意向が、十分に反映されるとともに計画事業が遂行されるよう善処すること」、「消費者の利益保護にたつての指導・調整を図るよう努めること」ということになっております。  で、これは市街開発法に基づいて国費、県費、市費をもって公共事業として行っておるものです。しかるに商工会議所はこれに対して真っ向から反対を示し、きわめて複雑な状況になっておる。県も県費を使って、すでに工事を着工しておる状況の中から、この仲裁に入る状況を示しておるけど、商工会議所はがんとして受け付けない。まあ大変な混乱状況になっておるわけだけど、当局としてはこの経緯をどのように見ておるか。  なお、当面の管轄者であるところの大阪通産局に対してどのような指導をしておるのか。大阪通産局は現地でどのような行政の指導をしておるのか。その経緯等について、現状等についてお聞きしたいと思います。
  304. 山口和男

    政府委員(山口和男君) お答え申し上げます。鯖江市駅前開発ビルの問題につきましては、施工者が福島鯖江市長の名前において市街地再開発事業の一環といたしまして、大規模小売店舗を設置するという大店舗法三条に基づきます届け出が本年の四月二十八日に受理されております。私どもは直ちに手続に入りまして、五月の二十五日に公示をいたしまして、同時に地元商工会議所において当該案件についての検討を、審議をするように連絡を申してきた状況でございます。  で、届け出の内容は、建物は四階建て、店舗面積が六千六百平方メートル、各テナントをアジャストということになっております。で、その後商工会議所の商調協におきまして、五月の十六日に商調協を開催いたしまして検討いたしましたところ、本件につきましては、市内の小売商業者に与える影響が大きいのではないかという意見が非常に強くて、一応商調協としてはこの大規模店舗の進出については、中小小売商業に対する影響のおそれがあると認められるというような答申を商工会議所会頭あてにいたしております。その後商工会議所会頭から大阪通産局に対しましても、同様の趣旨の報告が参っております。まあ一応の理由といたしましては、五十年度ごろから、あるいは五十一年度に二つの大型店が鯖江市にできておりまして、そういった既存の大型店との関係においてオーバーストアぎみがあるんじゃないかというような趣旨での反対意見があったということでございます。  その後本件につきましては、さらにやはり地元と、地元の意見調整を進めるべきであるという判断に立ちまして、大阪通産局におきましても県等と連絡をとりまして、県の方で鯖江市の方と商工会議所の方との話し合い、仲裁あっせんに乗り出すということで、九月末に市の方に一応県のあっせん案を提示いたしました。市はこれによって進めると、結構ですというような大体返事をしておりますが、商工会議所の方はその同じような提示をいたしまして、最近この案については受け入れられないという回答が出たというように聞いております。まあ、そういうことで、県のあっせんが非常にむずかしいと、必ずしもうまくいかなかった、不調に終わったというような状況になってきておるようにいま報告を受けておりますので、さらに大阪通産局におきまして商工会議所に対する指導と申しますか、そういった点をもう少し進める必要があるんじゃないかというような判断をいまのところいたしておりまして、これからさらに地元との話し合いをできるだけ尽くすようにということで進めてまいりたいと考えております。
  305. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これは県の商工部長か鯖江市長と商工会議所会頭に出しておるあっせん案の中にもあるとおり、たとえば商工会議所に対するあっせん案の中に、駅前再開発事業については、市街地再開発法に基づく法令上の手続により今日まで積み重ねられてきたものであることを了承されたい。これは市の議決に基づくものであり、県がこれを許可し、市費、県費を使い、建設省に申請し、建設省も国費を出して建築を行っておるところのものです。したがって、俗に言うところの大店舗が進出する、それに対して反対期成同盟ができて反対する、それを事前商調協でいろいろ動くということとは趣がいささか違うわけですよ。だから、あなたのところで同じような感覚で地域民主主義だと、事前商調協だと言って手をこまねいておるようなものとは、これ違うわけですよ。国も責任を持たなきゃいかんのだ。県も市も持たなきゃいかんですよ。建物はもうできつつあるんですよ。その駅前の小売商業の方たちは、みんなこれ市民として賛成して、そして閲覧機関も縦覧機関も全部経過を経て、みずから立ち退いて、それができるのを待っておるわけですよ、テナントとして入るのを。それをそこから離れた商店街の人たちが反対して、それですったもんだしておる。私は、これは大阪通産局怠慢だと。そして、あなたのところも、要するに地元で何とかしてくれ、何とかしてくれと逃げ打っておると思う。公共事業ですからね、これは。だから、その辺のところをよくわきまえてやらなければ。だから、市の決定、県の決定、国の決定に対して、商工会議所が反対したらとまる、そんなばかなことはないですよ。これ。だから、商調法ももちろんあろうけど、あるいは大型店舗法もあろうけど、この問題、いささか違うわけですから。それを一緒くたにして、全部地元に任して、地元がうまいこと話つけてくれよと、これは私、ひきょうだと思う。  私も大阪通産局に行ってみましたけれども、市も困惑し県も困惑しておる。すでに金出ているんですからね、建設省から。その金をどうするんだということですよ。建物をつぶして原状へ、もとに復帰するのかと。いままでのやり方ではいけないわけですから。十分私は督促して、督励してこれ進めなきゃならない。でないと、これは中小の小売商も困っておるんですから。その辺どうなんですか。
  306. 山口和男

    政府委員(山口和男君) 先生御指摘のとおり、国の費用あるいは県の補助等を含めた市街地開発計画の一環でございまして、鯖江市市議会において認められた計画でございますから、本来市の商工会議所の立場、あるいは中小小売商等においても、まあその中の市民の一環として、この計画について大体了承があるというのが普通だろうと思うんでございますが、こういった市の主宰いたします地域開発計画での大店舗、大型店誘致という件については、通常はそういった紛争は起こらないというように私ども理解をしておるわけでございますが、本件につきましてはいろいろな事情があるようでございまして、商工会議所の方の反対意見が非常に強いということだと思います。ただいまのところ、三条の届け出後のいわゆる事前商調協の段階で、商工会議所の方は手続をしたというかっこうになっておりますが、いずれテナント、中に入ります商店につきまして、五条の届け出を出してくると、こういう段階があるわけでございまして、そういった時期ももう近づいていると思いますので、この段階で、積極的に商工会議所の方への指導等もやりたいと思っております。いずれにいたしましても、法の手続、次の五条の届け出をしまして、もし非常に問題がある場合に通産局長が勧告できるというような規定になっております。その辺の判断を五条の届け出が出ますと、いずれにいたしましても下さなければいけない時点が来ると思いますが、先生の御指摘の点を十分踏まえまして進めてまいりたいと思っております。
  307. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 最後に。時間が来ましたから、これで私質問を終わりますけれども、私いま申したように、たとえば事前商調協というものは、法の手続も何にもないのです、これは。法律には何もないことです。ただ通産局が、何とか地元でやらせということでやっておるにすぎないのであって、私の手続は、三条申請というのは、これは申請すればいいだけのことなんであって、五条申請を出して、そうしてある一定期間がたったら、期間内に結論を出さなければいかぬのですよ。それを事前商調協として何カ月も何カ月も、おまえらで話をしろ、おまえらで話をしろということで突っぱねておるだけです。五条申請、その他も受け付けぬというのが、いままでの通産省の態度ですよ。法を通産省自体が押し曲げておるのですよ。それに悪乗りをしているのです。  だから私の聞き及んでいる範囲では、鯖江市の市議会議員は三十名で構成されておるのだけれども、一名の保留を除いたら全員賛成です、これ。決議までしておるのです。しかもそれは、きちっと住民に対する縦覧機関も全部つくってやっておる。それを商工会議所の議員が、これは商工会議所法に基づいた議員かもわからぬけれども、その地方自治体が、県も国も決定したことに対して、横車を押して動かぬということになったら、これは民主主義もくそもないですよ。だから、そこは混同してはいけない。これはなるほど大店舗が進出するに当たっては、大店舗法に基づいて五条申請、その他のものあるけれども、これはきちっとした形で公共事業を行っておるものであるから、それに事前商調協が話し合えなんて言ったって、これはナンセンスなんです。だから、それこそ五条申請を直ちに出すとか、あるいはもっと積極的に通産省なり通産局が入って、県もこれはあっせん案を出しておるわけなんだから、それに対して、どうも商工会議所がこれはねたようですと、こんなべらぼうな話はないので、これはよくよく考えて処置してもらわないといかぬし、これがとんざするということになったら、国も県も市もその決議というのは一体何だということになる。地方自治とは何だということになる、議会とは何だということになる。一部の商工会議所の会頭が、何があるんか知らぬけれども、反対だと言ったら、市も県も国も決めたことが、まかり通らぬ、そんなばかな話ないですからね。これはもうちょっと勇気を持って、はっきり処置していただきたい。どうです。
  308. 山口和男

    政府委員(山口和男君) 商工会議所に意見を出すように依頼をするわけでございますが、商工会議所の方は、先生御承知のように、商調協を編成をして、商調協にその案件を提示して審査させる。商調協の方は、私ども四十九年出しました通達によりまして、商業者と消費者と学識経験者の代表者が均衡のとれた形で選定されて構成されておるということでございますから、その商調協の中には、そういった消費者なりあるいは学識経験者の意見か十分反映されておるのがたてまえだと思うのでございます。商工会議所の会頭が一存で決められるという形には、実は手続上はなっていないわけでございまして、そういった点で商調協の運用、あるいは商工会議所の意見の提出のやり方、そういった点について若干問題があるのじゃないかという気がいたしますので、そういった点についての指導をしなければいかぬということで、従来からやってきておるつもりでございます。ただ、もう時期もかなり進んできておりますので、五条の手続等の問題につきましては前向きに進めてまいりたいというように考えております。
  309. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 きょうは経済企画庁にもおいでいただいておりますので、最近政府がいろいろと対策を立てております対外経済対策の内容と、果たしてこれで現在の円高の問題、もしくは景気の問題問題解決するかどうかという点について質疑をしたいと思います。  まず、政府に設けられました対外経済対策会議黒字減らし対策検討状況はどうなっておりますか、お答えいただきたいと思います。
  310. 森美秀

    政府委員(森美秀君) ただいま柿沢委員お話でございますが、政府の対外経済対策会議につきまして、経済企画庁の長官であります倉成大臣が座長となりまして鋭意努力をしておるわけでございますが、この細部につきまして、進行状況について政府委員の方からお答えさせていただきます。
  311. 澤野潤

    政府委員(澤野潤君) お答えいたします。  対外経済対策につきましては、御承知のように九月三日の総合経済対策、あれの一環として打ち出したものでございまして、その後それを関係省庁の間でより具体化するために、九月の二十日に関係閣僚が集まりまして、今後より積極的に検討推進すべき項目につきましてこういう項目をやったらいいんではないかという点を決定いたしたわけでございます。それがいま政務次官からお答えいたしましたように、対外経済対策会議というものになって十一月十二日に設置されたものでございまして、ここの会議におきましていろいろと具体的に推進いたしておるわけでございますけれども、現在までに具体化したものにつきまして申し上げますと、まず原油の積み増し、非鉄金属地金の備蓄、ウラン鉱石の輸入促進、ナフサの輸入促進といったような備蓄等の輸入促進というものを合わせまして約七億ドルでございます。さらに今後残存輸入制限品目の輸入枠の拡大とか農産物、たとえば小麦とか飼料用穀物、トウモロコシ、大麦等、そういった飼料用穀物の在庫と備蓄の積み増し、さらに大豆とか牛肉の前倒し輸入、それからこれはそう大した金額ではないんでございますけれども、貨幣用の原材料、銅とかニッケルでございますけれども、そういったものの繰り上げ輸入など、いま関係各省において、備蓄とか前倒し輸入を行うということを検討いたしておるわけでございまして、この努力が実りますれば数億ドルになるんではないかとわれわれは見当をつけておるわけでございます。  そのほか、いろいろ東京ラウンドにおける関税の前倒し引き下げの問題とか、いろいろ新聞等にも出ておりますような、原油のタンカー備蓄の問題とかといったようなものにつきましても現在鋭意検討中でございまして、緊急輸入ということに対応すべく努力いたしておるわけでございます。
  312. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 そうしますと、いまほぼ決まったものが七億ドル、それに鋭意努力しているものを合わせて数億ドルということになりますと、合計十五億ドル以内ぐらいというようなことになるわけです。それと例の総理の三十億ドルの願望、もしくは二十億ドルという数字とはどういう関係になるんでしょうか。
  313. 澤野潤

    政府委員(澤野潤君) お答えいたします。  いま申しましたのは、現在までにかなり具体化したものでございまして、現在さらに検討いたしておるものも幾つかございまして、これらを合わせた計数的なものというのは現在まだ出ておりませんが、十数億ドルよりもさらに上回るべく、目下努力しておるところでございます。
  314. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 それでは具体的に伺いますが、いま今後努力をしているというところで問題になりました東京ラウンドへの取り組み、実施できる関税引き下げについては、前倒しで実行することも検討するというようなことが伝えられております。いまの審議官からのお話にもありましたが、この問題について通産省の取り組み方はどうなっておるんでしょうか。
  315. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 柿沢先生の御質問でございますが、ただいま企画庁を中心にいたしまして鋭意努力を重ねておりますが、その中におきましても特に総理が非常な熱意を持って進めております東京ラウンドの問題であります。  御案内のとおりに、われわれの方の中でも関税引き下げの問題についてはなかなかむずかしいものでございますけれども、御案内のとおりにワインとかウイスキーとかブランデーとかいったような、こういうふうな大蔵省関係の品目も国際的な水準からしますと相当高率でございまするし、そのほか農林関係の物質、これも余り大きなものもございませんが、関税率につきましては高いものもございます。通産関係の方では、御承知の自動車でありますとかあるいはまたコンピューターでありますとか乗用車でありますとか、そのほかいろいろと細々したものがございます。こういうふうなものに対しましても、特に東京ラウンドを待たずして前倒しをしたいというような総理のお気持ちもございますが、目下各省におきまして詰めを行っておる次第でございます。
  316. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 いま通産大臣から、通産物資についても東京ラウンド前倒し実施を検討したい、前向きに実施したいというお話がございました。その中で特にアメリカ関心品目と伝えられておりますコンピューター及びその周辺機器、それからカラーフィルム、それに自動車、この三つといいますか四つといいますか、この三品目ないし四品目の今後の実施の見通し関税率の引き下げ見通しお話しいただきたいと思います。
  317. 花岡宗助

    政府委員(花岡宗助君) お答えいたします。  ただいま先生の御指摘になりました三品目につきましては、現在なお検討中の段階でございますので、具体的な数字はまだ申し上げられる段階に至っておりません。私どもとしては、鋭意努力をいたしておるという段階でございます。
  318. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 鋭意努力をしておられるということである以上、実施をされるということだと理解をいたしますが、現在、私ちょっと手元にあります資料で言いますと、カラーフィルム、これが国内の生産額がたとえば五百億円程度、それに対して輸入額が五十億円程度、ロール状のカラーフィルムでございますが、つまり世界を制覇しているというコダックですら日本の市場には一割程度しか入っていないというのがアメリカ側のフラストレーションの原因だろうと思うわけです。それで、日本関税率を調べてみますと、これ三七・〇二の二の(二)ですが、ロール状カラーフィルム一六%、これはアメリカ輸入関税は何%になっておりますか。
  319. 花岡宗助

    政府委員(花岡宗助君) お答えいたします。  ロール状のカラーフィルムにつきましては米国の関税率は五%でございます。
  320. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 もしも日本の写真業界といいますかフィルム業界か、国際競争力が十分できたということであれば、輸入関税日本の一六%、アメリカの五%、やはりかなり格差がある。日本が三倍といいますか、アメリカが三分の一ということになると思います。それから電算機について数字を見ますと、中央処理装置で大体輸入額が日本の生産額の二割ぐらい、それから周辺機器と言われる部分でいうと一割というような感じになっているわけですが、中央処理装置八四・五三の一の(1)が日本関税率が一三・五、それから関税率表で言って、一番大きな品目である周辺装置の中の自動データ処理装置、八四・五三の一の(2)、これが二二・五になっておりますが、アメリカ輸入関税率はどのくらいになっておりますか。
  321. 花岡宗助

    政府委員(花岡宗助君) お答えいたします。  ただいま御質問のございました電算機の本体につきましては、アメリカ関税率は五・五%でございますし、それから周辺機器の、先ほど先生の御指摘のございましたものにつきましても同じ税率の五・五%になっております。
  322. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 そうしますと、ここでもかなり大きなやはり関税率の差があります。本体で一三・五と五・五ですから、これも三倍までいきませんが、それに近い数字。それから周辺機器の中の中心部分で言うと、五・五と二二・五ですから四倍以上になっております。  もう一つ、アメリカ関心品目である乗用車、これは日本の生産額三兆六千億という大きな数字に対して輸入額が六百億程度、わずかな数字ですけれども、税率か六・四、これもアメリカはどのくらいでしょうか。
  323. 花岡宗助

    政府委員(花岡宗助君) アメリカにおきましては乗用車の関税は三%になっております。
  324. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 そうすると、これも日本の税率の方が倍になっているわけです。日本の乗用自動車も世界的に見て競争力が最高だと言われているわけですけれども、それにもかかわらず、なお輸入関税の面ではこうした形でアメリカに比べて高い税率で保護をされている。電算機についても、これは戦略産業ですから、いままでもかなり手厚い保護を受け、そして、それが高い関税率で守られてきたということも理解できるところですが、ここまで輸出競争力が強くなった、アメリカとの間で輸出の急増についてトラブルが起こっているというときに、果たしてこの水準が国際的に納得を得るものかどうか、非常に疑問に思うわけです。その意味で、もちろん関税引き下げについてはさまざまな取引の問題がありますし、全体としてのバランス論があることは十分承知しておりますけれども、こうした日本産業競争力の急速な上昇という点から考え、そして日本輸出の急増がアメリカ国内で大きな問題になっているという前提で考えると、これは単に、いま大臣もおっしゃいましたけれども、ワインだってウイスキーだってまだ高いとか、農林省にいろんな残存輸入制限があるとか、よその省がやらないんだから通産省はやらないというふうな、そうした各省間のいわば責任のなすり合いで実行をおくらしていいんでしょうか。一番やはり影響を受けるのは通産物資であり、最も通産省が先頭に立ってこの貿易収支対策を立てなければならない立場でございます。その点を考えて、思い切って通産省から踏み出すということは考えられないものでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
  325. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私はそういう意味で申したのではございませんで、ここに書いてあるのが、上の方からワインとかスコッチとかずっとありましたから、上からこう読んでまいりました。その点は誤解がないようにしていただきます。  それからまた、いまの通産物資の点におきましても、御案内のとおりに自動車のごとき、これは確かに現在の六・四%の関税率でありますが、欧州諸国に比べましても、アメリカの方は三%、ヨーロッパの方は一一%と、こういうような状態でありまして、国際競争力も十二分にございます。もちろん業界の方といたしましても、この東京ラウンドの場合に率先して陣頭に立ってもらえると思います。そのほか銘柄別に見ますればいろいろございますが、ただ一つコンピューターに関しては、これはもう御案内のとおりに、日本が二位とは申しますけれども、IBMその他絶対的な一つの大きな攻勢がございまして、この点はなおお話し合いを続けなきゃならない。しかし一番大きな問題になっておりますのは、カラーテレビあるいはカラーフィルム、それから自動車、こういうふうなものは、私の方としても率先して業界の説得なり了解を求めたい。そういうふうに、なかなか銘柄別に見ますと、いろいろの産業上の駆け引きもございますので、その点は実は余りここではっきり申し上げにくかった次第でございます。
  326. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 いろいろと問題のあることはわかるわけですけれども、私たち、一方的引き下げというのは、何か非常に屈辱的であり損害であるかのごとく考える傾向があるように思うんです。それは、もうすでに実は四十五年、四十六年の円の切り上げのときに私たちの行動を縛ったビヘービアというか、思考のパターンだったと思うんですね。絶対に要求されない限り切り上げはしない、むしろ切り上げは国のためにマイナスだ、損だという形で最後まで現レートを守ることが国益だというふうに考えてきました。やるんなら弱い通貨の方がやれと言ってきました。その結果どういうことになったかと言えば、最終的には切り上げをさせられた上に国内に調整インフレの傷跡を残してしまったわけです。関税率の問題についても、従来の常識は、これはもう当然ケネディ・ラウンドの例をまつまでもなく相互主義だ、だから相手が下げない限りうちは下げない、すべてパッケージでなければというようなことを従来考えがちだったと思いますけれども、そこで関税率でパッケージになってバランスかとれて、経済全体でもっと大きなマイナスをこうむったのでは、むしろ国益を守ったことにならないんじゃないだろうか、小さな部分的な整合にこだわって全体としての利益を見失うようなことがあってはいけないという気がいたしますので、この点については、ぜひ通産大臣のリーダーシップを発揮していただくようにお願いをしたいわけでございます。  それから、この対外経済対策の中に入っております項目の中で、まだ非常に未確定のものに緊急輸入の中の一番大きな品目であるウランの購入の問題があります。これは米国政府交渉中と聞いておりますが、その交渉の状況はどうなっておりますか。
  327. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) われわれの方は、御案内のとおりに、ウランの鉱石並びに濃縮、すでに御承知のとおりにアメリカの方と交渉をいたしておりますが、これはまたアメリカの方の中で電気業界あたりは、日本に大量に出すことにつきましては非常に抵抗が強いんでありまして、われわれが相当の額をこれに期待したのに、先方の応答ぶりが非常に心配いたされます。でございますから、これは冒頭申し上げましたいろんな銘柄の七億ドルに、全体十億ドルにさらに上乗せしてという、この上乗せの問題は今後ともに折衝を重ねなきゃなりません、先方があることでありますから。
  328. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 何か日本で騒いでしまったんで、アメリカ側で電力業界を中心に反対をしているというような話も聞きますけれども、その辺交渉の機微にわたる点もあると思いますので、これはこれ以上質問をそれじゃ取りやめますが、あと備蓄の問題では、非鉄金属の備蓄の問題があります。民間備蓄についてはすでに決まっているというお話でございますが、これをさらに上回るやっぱり国家備蓄というものを何らかの形で、国が直接でなくても官民あわせた形での備蓄機構の確立のようなものが必要ではないだろうかというふうに考えますが、それについてのお考えと、時間を節約する意味で、あわせてタンカー備蓄、前回商工委員会でお聞きをしましたが、その後依然として漂流をしているというふうに聞きましたけれども、全く進展がないのか。通産省と運輸省と経済企画庁で押しつけ合っているというような話も聞きましたけれども、その辺は企画庁も含めて御意見を伺えれば幸いです。
  329. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 非鉄金属の備蓄につきましては、御承知のように、昨年政府保証で政府から利子補給をするという形で第一次の備蓄を実施いたしたわけでございます。ことしになりまして、民間資金三百億円を活用いたしまして銅、亜鉛につきまして現在備蓄を進めつつある、こういう段階でございます。来年度につきましては、昨年と同じような形で現在予算要求をいたしておりますので、そういった意味合いで備蓄を進め、あるいは安定的な輸入を実現いたしたい、かように考えておるわけでございます。  それからタンカー備蓄につきましては、前回もお答えいたしましたが、私たちとしては、いわゆる現在の石油備蓄なるものは陸上タンクを中心にいたしておりますが、そのほかに、より経済的でより安全な方法はないだろうか、たとえば地下備蓄だとかあるいは海洋備蓄についても検討いたしておるわけでございますが、このタンカー備蓄についても、同じようなレベルで昨年来検討しておったその過程におきまして、黒字対策の一環として早急に実行に移すようにという指示もあって、私たちとしては具体的な方策について関係省庁と打ち合わせをしておるわけでございまして、これにつきましては世界にまだ類例のない、先例のない方式でございまして、したがいまして立地問題、安全性の問題あるいは経済性の問題といったような問題もございますが、決してわれわれ押しつけ合いをいたしておるわけじゃございませんで、事の重要性にかんがみ、できるだけ早く実施に移したい。しかし、いずれにいたしましても安全性を無視するわけにまいらないというような問題があることは事実でございますが、決して考え方自体はフロートしているんじゃなくて、堅実に前進をする方向で各省で現在打ち合わせ中と、こういうことでございます。
  330. 澤野潤

    政府委員(澤野潤君) 企画庁といたしましては、先般十一月十二日に開かれました対外経済対策会議等通じまして、座長である倉成長官から、通産、運輸両省を中心としてこの問題を早急に検討するようにということをお願いしてあるわけでございまして、いまエネルギー庁長官からお答えがあったとおりでございます。
  331. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 そうしますと、この問題も実施の方向検討しているというふうに考えてよろしゅうございますか。
  332. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) むしろこの問題は、われわれの方は非常に積極的にやりたいのでございます。いまIEAで九十日備蓄と言っておりますけれども、国際的に見ればスイスなんかは百二十八日分とか、デンマーク、ベルギー、西独みんな百日を超える備蓄でございまして、日本の九十日というのは非常に低い実は目標なんでございます。そういうことから、それだけではなく、日本はもう油を持っておらないんでありますから、全力を挙げてこの備蓄だけはなお推進したいと、かように考えます。
  333. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 日本のように無資源国で、しかも大きな人口と経済活動を支えているところが、いまのように裸でこのむずかしい国際経済の中に立っているというのは私も無謀な話だと思います。そうした意味で、原油を初めさまざまな鉱物資源をできるだけ蓄積をしていくということが大切ではないだろうか。経済的な安全保障の意味で不可欠のものだというふうに考えておりますので、いろいろ手法の面でのむずかしさはあると思いますけれども、ぜひ積極的にお取り組みをいただきたいと思います。  それから農林省においでいただいておりますので、先ほど通産大臣からも言及されました農林物資の関税引き下げ及び残存輸入制限品目の割り当て枠の拡大の問題、これについて農林省の御意見を伺いたいと思います。
  334. 中島達

    説明員中島達君) ただいま御質問のございました農林省所管の品目に関する関税引き下げの前倒しのことでございますが、先ほど通産省の方々からお答えになりましたように、目下わが省におきましても種々検討をしている段階でございまして、その具体的な内容あるいは今後の見通し、これは現段階においてはお答えをすることを差し控えさしていただきたいと存じます。
  335. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 交渉中ですからというお話がありましたけれども、これについても、午前中の下条委員の質問とは方向が違うと思いますけれども、私たちは、やるべきことはやっぱりやっていかなきゃいけない。もちろん食糧の自給率の向上という点について、十分配慮をする必要はあると思いますが、しかし同時にやはり国際分業、それぞれの有利な品目を交換していくという点について、もっともっと農林省としては配慮をしていただいていいんじゃないだろうか。  特に牛肉の問題ですが、私もヨーロッパにいて毎日ビフテキを食べていました。日本に帰ってみて、毎日食べたいとは思いませんけれども、たまには肉の顔も見たいと思っておりますけれども、なかなか牛肉を食べるわけにいかない。牛肉についてはニュージーランドやオーストラリアのいろいろな要求もあることですし、この際思い切って枠の拡大をしていただきたいと思いますが、これは消費者希望を込めてお願いをするわけですが、農林省いかがでしょうか。
  336. 甕滋

    説明員(甕滋君) いまお話しのように、牛肉の問題でございますが、需要がだんだん伸びております。その需要に対応いたしまして長期的に安定供給を図るということか重要だと私ども考えておりまして、そのためには国内生産を育て、しかしながらまだまだ足りないわけでございますから、できるだけ輸入を安定的に行いまして、総体として安定供給を図るという考え方をとっておるわけでございます。  そこで、この下期の輸入割り当てにつきましては、先ごろ一般枠で四万トン、これは上期の三万五千トンの上に、畜産振興事業団の在庫積み増し分といたしまして特別に五千トンふやした量でございますが、それと、それからホテルでございますとか学校給食でございますとかで特別枠というものもございますんですが、それは内訳はこれから決めるといたしまして、十二月までを目途に七千五百トンの枠にいたしますという方針を明らかにしたわけでございます。これは、昨年度末に本年度分として二千五百トンの枠をすでに出したものが下期にも入ってくるということで、実質的に一万トンの特別枠ということでございました。そこで合計五万トンの枠に相なるわけでございますけれども、上期に比べると一万トンふえているという数量でございます。これは需給上必要な数量をもとにいたしまして、さらに最近の諸情勢にも十分気を配りまして、最大限努力した割り当てをいたしておるわけでございます。  なお、これに対しましては、最大の輸出国でございますオーストラリアからはこれを歓迎する、喜ばしいという意思表示がまいっておる次第でございます。
  337. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 オーストラリアが喜ばしいと言ったのは、いままでの完全な石頭よりも少しよくなったという程度で、本当によかったという満足感では私はないと思います。  それから牛肉の問題は、量と同時にやはり価格の問題が非常に大きいと思うわけです。若干脱線しますけれども、どうしてあんなに高くなってしまうのか。吉野家の牛どんというのが街角にありますけれど、あれは三百円。どうもチルドビーフで、何か特定のいまのホテル用とかいうことで入ってくると、三百円で牛どんが食べられる。食べさせる方法はあるわけです。ところが、町で肉屋さんから買ってくると、家で牛どんつくっても五百円かけてもできないということになってしまう。どうもその辺の流通機構に問題があると思いますし、畜産振興事業団の運営のあり方、その辺にもいろいろ改善すべき余地があると思いますが、それ一つだけお答えをいただけますでしょうか。
  338. 甕滋

    説明員(甕滋君) 御指摘のように、牛肉の中にもいろいろな値段がございます。これはまず国産の和牛から乳牡でございますとか、酪農から出てまいります乳廃牛でございますとか、種類が多いということも一つはございますし、また輸入牛肉の中でも種類があるというようなことで、値段がまちまちという点がございますけれども、なお、御指摘のように流通がいろいろ錯綜しておりますとか、不合理であるがために、本来であればもっとスムーズに流れまして価格形成も適正になるべきものが、必ずしもそうなってないという御指摘があり、かつそれは当たっている面があると私ども考えております。したがいまして、一般的に国内の流通の合理化ということについては、まあ細々申し上げませんけれども、いろいろ取り組んでおるつもりでございますし、また畜産振興事業団の輸入牛肉の取り扱い方法についても、ことしに入りましても指定店制度を拡充強化いたしますとか、目安の価格引き下げますとか、いろいろ努力を払っておるわけでございますけれども、今後、御趣旨のようなことも踏まえまして、いろいろ検討してまいりたいと考えております。
  339. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 どうもありがとうございました。  農林省は、ともすれば生産者七、消費者三という七、三の構えと言われておりますけれども、まあフィフティー・フィフティー、もしくは河野前参議院議長のように野党の方を七だということで、消費者七、生産者三という形で頭のというか、政策の切りかえをしていただけないだろうか。つまり、農林省は農林水産業の保護のための役所ではなくて、一億一千万人の国民に食糧を安定的に、安価に供給するための担当の省だというふうに考えていただくべきじゃないだろうかというふうに考えますので、ひとつよろしくお願いをいたします。農林省、結構でございます。  それから、ここの対外経済対策の中でも取り上げられておりますが、「輸出面の措置」ということで、輸出動向を注視しながら関係業界に節度ある輸出を行うよう注意喚起を図るというような項目がございます。私は注意喚起を図るということで果たして十分なんだろうか。円がこれだけ高くなりますと、なかなかこれからの日本輸出も厳しいとは思いますけれども、これはいま直ちに実施すべきかどうか、いろいろな問題はあるにしても、ひとつ輸出の急増、たとえば豪雨輸出といったようなものに対して、先方の輸入国から輸入制限を受ける、もしくはダンピング嫌疑を受ける、もしくは輸入課徴金をかけられるというようなことをやられる前に、日本の側で輸出調整税とか輸出課徴金というものをかけて調整をするということは考えられていいんではないだろうか。  前回、市川委員がその問題をちょっと指摘されましたけれども、一つは為替レートの急速な変動、もしくは国際競争力の大きなギャップによって、一方では輸出が完全にストップしてしまう、他方では高くなったレートでもなお輸出を続けられるというような日本輸出産業の二重構造というものを考えてみますと、競争力の高いところから、これは禁止的に、もしくは抑圧的にかけるのではなくて、若干の輸出調整税をかけて、そこで上がった財源で、輸出が完全にストップしてしまう今後、の衰退輸出産業に補助金を出していく、もしくは業種転換の補助金を出していくというようなことは、過渡的な方法として考えられていいんじゃないだろうか。輸出課徴金については輸出を悪とする考えだとか、輸出を一生懸命やった者に罰をかける制度だとか言われますけれども、決してそうではない。輸入関税だって輸入が悪だから輸入関税をかけているわけじゃないわけですから、たばこの税金が高いのも、たばこが悪だからたばこに税金をかけているというふうに考える必要はないわけですから、一つの政策手段として輸出課徴金の制度というものを検討してもいいんじゃないだろうかというふうに考えますが、いかかでしょうか。
  340. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの集中豪雨的な輸出が先方の国の撹乱をし、特に労働問題等を引き起こしておるということから、これをどう調整するかということでありますが、しかし日本といたしまして自由貿易、自由主義を経済の原則といたしておりまする関係からも、政府といたしまして輸出税ということにつきましては考えておりません。  なお、それに対しましての自主的な調整あるいはまたさらに行政指導によりますお話し合いということは進めなければならぬ、かように考えております。
  341. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 すぐに行政指導とか数量調整という話になるんですが、数量調整の方が輸出税よりもいいという理論的な根拠はないわけですね。むしろ市場のメカニズムを使っていくんだ、できるだけ市場原理を活用するんだという立場に立つのなら、数量規制というのは本来やはり避けていくべき問題。むしろ市場原理を尊重する意味で税率をかけていくという形の調整の方が私は望ましい。それを輸出に対して抑制的だからいかぬと言ってしまうのは、円の切り上げは国益に反すると言うのと同じ議論になるんじゃないだろうかというふうに思いますが、時間がありませんので、この論争はまた改めて通産大臣と機会を持ちたいと思います。  それからいままで緊急輸入の問題、もしくは関税引き下げの前倒し、輸出調整税の問題、伺ってまいりましたが、これ全部合わせても、先ほど澤野審議官からお話が出ましたように、いまの国際収支黒字を帳消しにするには余りにも小さな金額だと思います。上期だけで五十五億ドル、下期も含めれば百億ドルの経常収支黒字の中で、二十億ドルいったとしても、これは微々たるものだというふうにも考えざるを得ません。そういたしますと、やはり今後の円高対策、もしくは国際収支の均衡のためには国内政策の転換が必要ではないかと思いますが、その点は通産省としていかがお考えなんでしょうか。
  342. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) まあ一番問題でありますのは資本収支の点だろうと思うんでありまして、当面の貿易収支の面だけで赤だ黒だということよりも、問題はその経常収支だけでなく、さらに私は国際的に対外経済協力でありますとか、その他国際責任の上から言いましても、今日の日本の国際的な他位から言いまして、まだまだ私は経済協力その他の点では足りない、そういうことを痛感いたしております。ことに国際機関に対しまする援助、投資、そういう点では国際水準からはるかに低い。むしろ世界各国の最低といって見られておりますようなODAといったような問題については、まさに恥ずべき状態であろうと思うのでありますが、そういうふうな雰囲気に対しましては、私は少なくとも経済協力についてもっともっと積極的であるべきであると、そういうことが結局資本収支の点に帳じりが入ってまいりますので、そういう点を私いま申し上げたような次第であります。
  343. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 前の自民党の対外経済協力特別委員長としての通産大臣の、経済協力にかける情熱というのはよくわかりますけれども、ただそれだけでも問題は解決しないんじゃないだろうか。やはり国内経済政策のもっと円滑な執行といいますか、内需振興というものがやはり基本にならなければいけない。その面で私は円高があれだけ騒がれたときに、総理大臣がいま国債依存度の三〇%は厳守せよというようなことを大蔵省に言うというのは、これはいま予算編成を目前にしておりますから、要求側の官庁の要求をたたき切る道具としては非常に都合がいいかもしれませんけれども、国際通貨面、国際通貨の心理に与える影響としては、日本政府のやることはどうせ大したことない、国債依存度三〇%を維持する限り、ろくな景気刺激策はできっこないという印象を国際通貨筋に与える。それが最近のまた二百四十五円とかいう円高の原因になっていると思うわけです。十一月は貿易収支の受け払いもほぼ均衡するかもしれませんけれども、十二月はもう一度輸出代金がどっと入ってくる月ですね。十二月の月間のたとえば外貨面での黒字の見込み、もしくは流入額、そんなものは数字をお持ちかどうかわかりませんけれども、やはり数億ドルになるんじゃないだろうか。そうすると、十一月はこのまま二百四十円台でいっても、十二月にもう一度二百四十円を割ることすらあるかもしれないという気がするんですけれども、これは通産大臣にお聞しても何ともお答えのない話だと思います。ただ私は、そういうおそれが十分ある。そういうおそれを考えた上で、いま経済政策について発言をされなければいけない。いまの総理の三〇%を厳守せよという財政収支の均衡を中心とした経済政策を、額面どおり受け取るならば、私は二百三十円が必ずあると、考えざるを得ないわけです。それは毎月毎月の黒字の累積から見ても当然起こってくるというふうに考えますが、それに対して経済全体をあずかる経済企画庁としてはどうお考えなのか。
  344. 澤野潤

    政府委員(澤野潤君) ただいま先生の御指摘がございましたように、確かに、この円高の問題というのは経済全般に対して幾ばくの影響という、少なくとも本年度に限りましても影響があると思います。しかし、一応円高問題というものは、理論的に考えますと、これは輸出量を将来に向かって減らし、輸入数量を増すという効果があるわけでございまして、しかもその効果というものもかなりのタイムラグを持つ。むしろ最初円高になった場合にはJカーブの、初めの方は輸出をふやすという傾向であるわけでございますけれども、将来にわたっては、もし円高傾向というものが長続きしたとすれば、それは黒字幅の縮小と申しますか、貿易収支の均衡方向に向かうものであろうかと思うわけでございます。そういう状況でございますけれども、少なくとも現時点において、われわれがこれからの経済というものを考えてまいります場合には、先ほどの総合経済対策の実施というものか、現在できるだけ速やかに行うべくやられておるわけでございまして、例の公共事業に一兆、それから住宅建設に一兆という、総事業規模におきまして二兆円を超える総合経済対策、補正予算の成立によりまして現在それが実施に移されておりますけれども、これの効果が、少なくとも本年度中には一兆五、六千億円は出てくる予定でございますし、また来年度にわたりましても、総額で一応乗数効果的に計算しますと四兆数千億という数字にはなるのでございますけれども、五十三年度の前半をとりましたら三兆数千億というような効果になってまいるわけでございまして、そういう効果をこれから期待いたしますれば、本年度の経済成長というものについては、それなりの、まあ政府見通しとして描きました程度のものは達成できるのではなかろうかと思っておるわけでございます。
  345. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 どうも経済成長率は、政府がことしの初めに立てた当初見通しと、十月に立てた改定見通しと変わっていない、実質成長率で変わっていない。それにもかかわらず、経常収支の方は七億ドルの赤字から六十五億ドルの黒字に大転換をしているわけです。この間の予算委員会での集中審議でもありましたように、外国では、日本国際収支というのは成長率と関係ないんだと、成長率が同一でも赤になったり黒になったり、交通信号のように変わるんだということで、もっぱら評判になっているわけですから、たとえ成長率が維持できたとしても、どうもいまの黒字基調は変わらないんじゃないだろうかという気がいたします。特に月末の輸出代金の受け取り超というものを考えてみると、どうも十二月はうまく乗り切れるのかどうか。  先ほど日銀中村理事のお話でも、日銀は買い介入は原則としてしない。市場の実勢に任せるのだということをはっきりおっしゃっているわけですから、そうすれば毎月毎月の受け払いの中で、ドルが余ってくれば自動的に円が上がっていくというのは、これは避けられない事実ですね。これはもう天気と同じように、政府がどうしようもない事実です。それを打ち消すためには、いまは黒字でも来年は赤字になるんだという、はっきりした投機筋なり何なりに対する見通しを与えることが必要だ。そのためには、いまのぐずぐずと後手後手に回っている福田経済政策を思い切って転換するという信号を打ち上げない限り、私は続くと思うんです。そうすると三〇%の線を維持する、その中で景気刺激を図るというような、これは実はできもしない公約だと思いますけれども、そんなことを年内いっぱい主張し続けて、年末の予算編成のときになって、やってみたらだめだったというようになるのなら、そのときまでやっぱり円高は続くと考えなきゃいけないという点では、どうも総理の綱渡りは非常に危険な綱渡り、一国の経済政策の責任者としてよりも、どうも予算編成をにらんだ主計局長の感覚を抜け出していないという気がしてしようがないわけですが、もう総理のお気持ちをはだで感じておられる通産大臣は一番お近くにいらっしゃるので、どうも総理にもう少しその点を思い切って申し上げる必要があるんじゃないだろうかという気がいたしますが、いかがでしょうか。
  346. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) さっきちょっと対外経済協力の方を少しアクセントをつけ過ぎたものですから、内需の拡大の問題が陰の方に引っ込んだようなことでありますが、しかし基本的にはこの内需の拡大という問題が一番大きな問題だと思うのであります。そのときに考えてみますると、どうしてもいまの日本のありようからするならば、貿易の問題は別としまして、やはり公共投資ということに最重点が向けられなきゃならない。政府の資金散布以外には景気の浮揚の当面のあれはないということから、御案内のとおりにこの二兆円のあれも追加をいたしたわけでありまするが、それが波及効果がどこまでございますか、大いに期待するところでございますが、しかしながら私どもは一方においては構造的なカットダウンをして体質も改善をしなきゃなりませんが、当面は何といいましても公共投資、政府財政資金による景気対策ということに求めざるを得ないんだろうかと、こういうふうな気持ちもいたしております。  通商産業省といたしましては、そういうことからも、特に企業も投資減税とか何とかというふうなことを申しておりまするけれども、どうぞ景気対策が、内需の拡大が、これが最優先であることは、これはお間違えのないように願います。
  347. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 投資減税の話も伺いたいと思ったんですが時間でもございますし、余り長くお引きとめをしても申しわけないので、ただ、いま申しましたような五十三年度の経済運営もしくは経済政策についての、しっかりした見通しなしに五十三年度予算の編成に取りかかることは、私は非常に危険だという気がしてならないのです。その点で経済企画庁は、すでに五十三年度の全体の経済見通しをお立てになり、そして経済全体の運営に責任を持っている立場から、大蔵省にはもう申し入れをしておられると思いますけれども、いかがでしょう。
  348. 澤野潤

    政府委員(澤野潤君) ただいま先生からお話がございましたけれども、現在十一月の半ばでございまして、いまわれわれといたしましては五十三年度の経済見通しの中のいろいろな需要項目——個人消費支出とか住宅建設とか民間設備投資、在庫投資、それに一番重要な財政の問題、それから海外経常余剰の問題といった各項目についていろいろ勉強いたしておりますけれども先ほどからいろいろお話がございますように、これらの項目につきましても、円高影響とか、現在の総合経済対策が来年度にどのような影響を持ってくるかというようなことを勘案いたしまして、それぞれについて勉強はいたしております。しかし、これはやはりこれから十二月までに、また例の総合経済対策の効果というものもあらわれてくることが期待されるわけでございまして、ここのところ一カ月ばかりしばらく様子を見ながら、それがどのようになっていくかということを見きわめました上で、最終的に経済見通しをつくり、それが財政にはね返って予算ができるというプロセスになるわけでございます。したがいまして、現在われわれといたしましては、経済見通しのアウトラインがどういうふうになるかというようなことはまだ申し上げる段階ではございませんけれども予算委員会総理がよくおっしゃってますように、中期的に見ました場合に、今後やはり前期経済計画の線をアウトラインとしてはたどっていくとすれば、約六%程度の実質経済成長率というものは考えていく必要があろうというようなお話もございますし、われわれといたしましても、総合経済対策の効果等をも十分考えながら、五十三年度の経済見通しを立てたいと思っておるわけでございます。  また経常収支等につきましても、五十二年度につきましては、実質で見ますと、輸出の方は最初の見通しが五%程度の伸びだったのが六%程度になったわけでございますけれども輸入の方は七%程度と見込んでおったものが三%程度に落ちたというのが、マイナス七億ドルから六十五億ドルに変わった理由なのでございまして、これが先ほど申しましたようなJカーブの効果、それから円高の先行き見通し等によりまして、五十三年度どういうふうになっていくかということは、これからゆっくりと見きわめたいと思っておるわけでございます。
  349. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 まだ経済見通しの各需要項目を検討しているところだというお話がありましたけれども、あと予算編成一月後に迫っているわけですね。十二月の半ばには政府の編成方針を出さなきゃならない。そうすると、いまやっておかないと、実は私も経済企画庁で働いたことがありますが、結局経済見通し主導型の予算編成ではなくて、予算編成に引きずられた経済見通しをあとからつじつまを合わせるということになるわけです。その辺澤野審議官も十分御承知のことで、あえて申し上げる必要もないと思うんですが、やはりもう少し経済政策主導型の予算編成という形に直していかないといけないんじゃないだろうか。これは大蔵省がどうの経済企画庁がどうのというなわ張りの問題じゃなくて、経済全体の運営を正しく行うために、もう少しやっぱり経済企画庁にしっかりしてもらわないといけないという気がいたします。  私どもは今年度の当初予算の審議のときから、公債依存度三〇%にこだわるべきでない、もっと思い切った内需の振興策をと言っておりましたが、そのたびに福田さんからは放漫財政を認めるのか、そんなことをしたら財政がもたない、インフレになると、こういうおしかりをいただいておりましたが、結局一年間を振り返ってみると、われわれの主張していたことが正しかったということを証明されたわけです。そういう意味で今度三〇%以上の公債を発行した予算を、福田総理の手で何のかんばせあって編成できるのかという気もいたしますけれども、しかし、これは一人の名誉の問題じゃなく、国の経済がかかっているわけですから、私たちはそうした方向で一日も早く来年度の基本方針を、総理なり経済対策に責任を持つ企画庁なりでお示しをいただくということが大事だと、予算編成の手のうちは見せない、決まるまで何も言わないということでは、国内の予算編成はうまくいっても、国際的な経済の責任は果たせないという気がいたします。  それを申し上げて、何かコメントがあればいただきますが、なければこれで終わりにいたします。
  350. 澤野潤

    政府委員(澤野潤君) いま柿沢先生のおっしゃられたこと非常によくわかるわけでございまして、少なくとも先般の総合経済対策を策定いたしまして、将来にわたりましてその予算と経済見通し関係というものはむしろ総理中心に、内閣一丸となって現在の経済情勢、非常にわれわれとしても危機感を持っておる経済情勢に対して対処していくべきであり、またそういうふうにいきつつあるということを一言コメント申し上げまして答弁とさしていただきます。
  351. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 他に御発言がなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。   午後六時三十六分散会      —————・—————