運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-10-27 第82回国会 参議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十七日(木曜日)    午前十時十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         楠  正俊君     理 事                 熊谷太三郎君                 福岡日出麿君                 対馬 孝且君                 安武 洋子君     委 員                 岩崎 純三君                 下条進一郎君                 中村 啓一君                 中山 太郎君                 林田悠紀夫君                 小柳  勇君                 竹田 四郎君                 森下 昭司君                 馬場  富君                 峯山 昭範君                 藤井 恒男君                 柿沢 弘治君    国務大臣        通商産業大臣   田中 龍夫君    政府委員        公正取引委員会        委員長      橋口  收君        公正取引委員会        事務局取引部長  長谷川 古君        経済企画政務次        官        森  美秀君        経済企画庁調整        局長       宮崎  勇君        経済企画庁物価        局審議官     水田 治雄君        経済企画庁総合        計画局長     喜多村治雄君        大蔵省国際金融        局次長      宮崎 知雄君        通商産業省貿易        局長       西山敬次郎君        通商産業省産業        政策局長     濃野  滋君        通商産業省基礎        産業局長     天谷 直弘君        通商産業省生活        産業局長     藤原 一郎君        資源エネルギー        庁長官      橋本 利一君        資源エネルギー        庁公益事業部長  服部 典徳君        中小企業庁長官  岸田 文武君    説明員        外務省経済協力        局外務参事官   三宅 和助君        大蔵省銀行局総        務課長      石川  周君        運輸省海運局監        督課長      棚橋  泰君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    参考人        中小企業金融公        庫理事      熊谷 文雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (景気対策に関する件)  (円高に伴う諸施策に関する件)  (中小企業対策に関する件)  (構造不況対策に関する件)  (ナフサ価格問題に関する件)     —————————————
  2. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  公正取引委員長から発言を求められておりますので、この際これを許します。橋口公正取引委員長
  3. 橋口收

    政府委員橋口收君) 今回、公正取引委員会委員長を拝命いたしました橋口でございます。  閉会中の発令でございましたが、今国会におきまして正式に御承認をいただきましてありがとうございました。  大変むずかしい時期の就任でございまして、その職責の重さを痛感いたしておるわけでございますが、浅学未熟なものでございますが、せっかく勉強いたす所存でございますから、何とぞ御協力のほどよろしくお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  4. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査のため、本日、中小企業金融公庫役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 竹田四郎

    竹田四郎君 きょうは経企庁長官がお見えにならないようですけれども、政務次官が答弁に当たってくれるということなんですが、まだお見えにならないんですけれども、先に通産大臣にお伺いしたいと思いますが、大変十月に入って円高ドル安という為替相場変動が激しかったわけでありますけれども、今後の見通しとして通産大臣は、この為替相場というものが一体どんなふうになるんだろうか、これは通産大臣としてですよ、大蔵大臣日銀総裁はまたそれぞれの考え方がおありだろうと思いますけれども通産大臣としては、今後の為替相場というようなものは、どんなふうに推移していくだろうかとお考えになっておりますか。
  8. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御案内のとおりに、今回の為替相場の問題はアメリカ赤字と、日本の方の経常収支黒字と、それに対しまする外部のいろいろな要因、こういうふうなことが原因円高になっておりますわけでありまするが、これが御案内のとおりに、七月二百六十五円見当からさらにだんだんと二百五十円台になりまして、今後どういうふうに推移するだろうかということに対しましては、非常にむずかしい問題でございまするけれども、私どもといたしましては、願望といたしましてはもっと円が正常な姿に戻ってもらわなくてはならぬと考えておりまするが、それでは幾らが正常か、こういうことになりますと、非常にむずかしい次第でございます。  ただ通産省といたしましては、当面この非常な円高に対しまして、為替緊急対策をいたしておりますることは御承知のとおりでございますが、同時に今後、これがどの移度長期間にわたって進展するだろうかということを慎重に見守りながら、各般の対策を講じておるような次第でございます。その間には差益差損、両面のいろいろな問題が出てまいりますることも当然でございます。
  9. 竹田四郎

    竹田四郎君 通産大臣はいまこの円高ドル安について当初のところは日本黒字減らし、日本景気回復、それから最近においては円を集中攻撃してきたような感じがいたしますけれども、しかしこれは円だけが高くなるということにはどうもならないような気がするわけでありまして、ドルの全面的な安、世界的な各国通貨に比べて安くなる、こういう心配も出てきているわけでありますが、その点はどうなんでしょうか。もしこの前と同じように円だけが下がって、フランなり、マルクなり、その他の通貨が上がる、高くなるということになると、四十六年みたいな事態というものが出てくることが考えられるわけであります。特に、アメリカ赤字の大きな原因というのは、石油の輸入の非常に過大というか、私どもから見れば過大、しかもそれがかなり一つ地域に集中をしているというようなこともあるわけでありますが、円高お話はいま聞きましたけれどもドル安というものの将来は一体どうなるんでしょうか。
  10. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) このケースは非常にデリケートな問題でありまして、軽々に申すこともできませんけれども、今回のようなこういう現象が、日米間だけで済まないで、ヨーロッパ方面にもやっぱり波及連動することもあるんではないかしら、こういうふうな懸念も持っておりまするが、しかしながら、ただいまの御質問ケースは非常にむずかしい問題でありまして、ちょっと私の立場で所見を申し上げることは控えさしていただきとうございます。
  11. 竹田四郎

    竹田四郎君 経企庁の方では、いまの質問に対しまして簡単に繰り返しますと、今後の円のドルに対する相場というものは一体どういうふうになっているであろうか、あるいは第二点は、ドルというものが世界的にどうなっているのか、円とドルとの関係ではなくて、他の先進国通貨に対して、ドルというのはどういうふうになっているのか、この二点をいま通産大臣にお伺いしたんですが、経済企画庁の方ではどうお考えになっているか、二点お願いします。
  12. 森美秀

    政府委員森美秀君) お答えいたします。  円高の問題につきましては、御承知のように、最近急激に起こってきた問題でございまして、いろいろな判断がございますが、私どもといたしますと、変動相場制になって以来、こういうこともあり得るかとは考えておりましたが、ただいまの御質問のように将来について、あるいはアメリカの問題につきましては、いまここではっきりした結論が出ないわけでございます。それについて御了承いただきたいと思うわけでございます。
  13. 竹田四郎

    竹田四郎君 いま御両者からお話をいただいたわけですけれども、しかし、いま日本国民が一番心配しているのは将来どうなるんだろうか、自分企業は一体どうなるんだろうか、不況の上に円高が来ているわけですから、その辺は大蔵当局とか日銀当局発言というのは、私、余りそういうところまで詰められませんけれども通産省として、あるいは経企庁経済プラン——長期的な、あるいは中期的な経済プランという立場からは、やはり一定の見解を持っていなくちゃいけないのじゃないか。  ただそれが、この前の倉成長官みたいに具体的に数字を言っちゃうと、また大変外国から文句を言われる可能性はあるわけですけれども、趨勢として、どんなふうになっているのだろうか。これはやっぱり私は、仕事をやっているものとしては一番心配になるところです。自分企業が成り立つかどうか、転換しなくちゃならぬかどうか、そこまでも考えなくちゃならぬ問題だろうと思う。これがもう気息えんえんになって危篤状態になって転換するといっても、これはなかなかできません。だから健康なうちなら手術ができるけれども、病気になってもう手術ができないという状態になって、そんなことを言われたってこれは困っちゃうわけであります。力のあるうちにそういう点については、歩く方向というものはやっぱり政府として責任を持って出していくべきじゃないか。こう思うのですが、どうでしょう、通産大臣
  14. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お説のとおりでございまして、輸出関係に携わっておりまする業界、ことにそれが日本の場合におきましては非常に中小企業零細企業が多いということから考えましても、通産行政といたしましては、この問題は深刻に受けとめておるような次第でございます。と同時にまた、その対策にいたしましても、先般の為替変動に対しまする緊急融資つなぎ資金だけではなく、不況業種、さらにまた構造関係からくる落ち込んでおりまする業界が、同時に繊維を初めとして輸出産業には多いわけでありますから、この点に対する万全の諸施策を総合的にいたしております。しかしながらわれわれといたしましては、過ぎたるは及ばざるということもございますが、できるだけあらゆる問題に対処できるように、きめの細かい、しかも機動的な処置がとれるような機構並びに措置をいたしておる次第でございまして、この点は個々の相場幾ら幾らということはまた別に万全の対策を、処置をいたしつつございます。
  15. 竹田四郎

    竹田四郎君 ただ漫然と、万全の対策とこう言われても、私はこれは大変そういうことをやれば、逆にこれからの日本経済というものはもっと危なくなる心配があるわけです。万全とは一体どういうことなのか。これはまたあとで御議論をいたしたいと思いますが、ただ単に万全ということだけでは私は納得できない、国民も納得できない。やはりいま一つ方向性経済官庁として持つべきである、そういう方向国民に明示すべきだと思いますが、またあとでお尋ねをしたいと思います。  きのうアメリカ公定歩合を〇・二五%引き上げましたが、これは今後どんな影響為替相場に及ぼしてくるでしょうか。
  16. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 昨日のアメリカ引き上げの問題に対しましては、われわれの方といたしまして目下慎重に研究さしておりまするけれども、本件は通産行政の方ばかりではなく、根本的に為替金融その他、いわゆる大蔵当局の方からの私はむしろ御検討を待って、われわれの方といたしましても措置を講じたい、かように考えております。
  17. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は通産大臣として、通産省としてどう考えるのかということを聞いているわけで、何もそれによって具体的にこういう施策——先ほどからあなたは、私の方はこういう制度をつくります、こういう施策をやります、こういうことを盛んに言っているんですが、私は通産大臣の、これに対してどういう認識を持っているかということを聞きたいわけでして、ほかの省との関係とは関係ないと思います。通産大臣御自身がどう考えておられるか、その点をお聞きしたいのです。
  18. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いまの公定歩合引き上げの問題に波及いたしましてのわれわれの分野といたしましては、貿易あるいは企業投資関係、そういう面でございますけれども、これはただいま早急に研究さしておりますので、なおその間、中間的なまだ御報告を申し上げる段階ではないと思います。
  19. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも私、日本通産行政というのは、全体的にもう少し世界的な視野、あるいは世界的な敏感な反応というものを持ってもらわなくちゃいかぬと思うんですが、どうもいまの通産大臣お話を聞くと、余りそういうことの敏感性がないことをきわめて遺憾に思います。私は、これからの日本産業というのは、世界的なかかわり合いとの中で常に考えていくという立場をとらないと、私は失敗していくだろうと、こういうふうに思いまして、そういう点ではぜひひとつ、お考えになっているんだろうと思いますけれども、そういう問題をやっぱり早く国民に明示をしていく必要が、特に通産の場合には私はあると思う。特に日銀とか大蔵の場合には、私はその辺は慎重でなくてはならぬと思いますけれども通産の場合には、私はもう少し明示していただいていいんではないかと思います。  それから二番目の問題に移りますが、これは経企庁でございますが、この間補正予算を組むに当たりまして、国際収支見直しを実はやったわけでありますが、どうもいままで特に当初の見通しは、赤字七億ドルと、だれもが信じないような数字を出して恬然としていたということは、私きわめて遺憾でありますし、そうしたものが国際的な信用にも関連があると思うんですが、今度は貿易収支が百四十億ドルですか、経常収支が六十五億ドルという見通しを立てたわけでありますけれども、しかし、この間の新聞発表を見ますと、四−六の上半期ですでに経常収支は五十五億ドル台に乗ってしまっておると、こういうことでありますけれどもあと下半期があるわけでありますが、もう見通しの枠からいきますと幾らもないわけですね。これは一体、またその見通しが誤っていたということをお述べになるのか、それともこの下半期は情勢がうんと変わって、そのあとの枠で、貿易収支なり経常収支なりが、見通しの枠に入るのかどうなのか、この辺は次官でなくても結構でございますから、その辺はひとつ明確に、こうなるんだということにしていただかないと、どうも経済見通し——国民は相当これは信頼しているわけでありますから、その信頼を裏切るということになると困りますから、その辺を明確にしていただきたいと思います。
  20. 宮崎勇

    政府委員宮崎勇君) お答え申し上げます。  先ほど先生が御指摘のように、政府の当初の経済見通しによりますと、五十二年度の経常収支はマイナス七億ドルという見通しでございました。その後の推移を見ますと、予想以上に輸出が伸びたということもございますけれども内需の不振を反映いたしまして、輸入が非常に不振であった。特に原材料在庫水準も高いというようなことで、予想と違いまして輸入が伸びなくて、今回の改定試算では、御指摘のように経常収支六十五億ドル、そして貿易収支百四十億ドル黒字に訂正したわけでございます。それで、四月から九月までの推移を見ますと、御指摘のように貿易収支ではすでに八十六億四千万ドル季節調整済み数字でございますが、同じように経常収支も五十四億三千五百万ドルということで、確かに差し引き計算をいたしますと、下期の方が非常に黒字が収縮するということにはなっておりますけれども、上期の方でかなり大きな数字になっているというのは事実でございます。ただ、すでに輸出につきましては、数量ベースにおきましてほとんど伸びなくなってきておりますし、今後世界貿易、あるいは円高等の影響によりまして、輸出伸び率は月々必ずしもスムーズにいくというわけではございませんが、だんだん鈍化してくるというふうに私ども考えております。  それから輸入の方は、まだいまのところは内需が弱い上に、輸入原材料在庫水準が高うございますので、急激に伸びるということはございませんが、漸次今回の総合対策効果があらわれてきて、ふえてきて、見通しのように百四十億ドル貿易収支経常収支においては六十五億ドル黒字ということでおさまるんではないかと期待しております。
  21. 竹田四郎

    竹田四郎君 それじゃ後半を含めて六十五億ドル前後に確実におさまると、間違いありませんね。
  22. 宮崎勇

    政府委員宮崎勇君) 総合対策効果を含めまして、その方向にだんだん推移していくということを期待しております。
  23. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ、あんまり自信のないような御答弁なわけでありますが。それでは九月に出された総合対策補正予算もその中に入るわけでありますが、このときは大体為替見通しは、どのくらいでいくという見通しのもとに総合対策というのは立てられたのですか。
  24. 宮崎勇

    政府委員宮崎勇君) 先ほどからお話がありますように、現在はフロート制でございますので、将来の円レートがどれくらいになるかという具体的な予測というのは大変むずかしいわけでございます。したがいまして、従来もそうでありますけれども経済見通しをつくります場合には、その最近時点における相場を採用しております。したがいまして、九月二日前後の中心レートで立てております。
  25. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、もし円安で九月二日の二百六十円台でこれから推移していくということになると、大体総合対策はそのとおりにいくと。しかし、もし一般にいわれているように二百五十円台の円高が続いていくということになると、総合対策は、これはやっぱり予定どおりいかない、こういうことになるんではなかろうかと私は思うわけですけれども、特に日本の最近の景気は、一般には輸出と、それから公共事業財政支出、これによってようやく下支えをしているというのが一般の評価でございますけれども、そうしますと、総合経済対策というのは、二百五十円台が続くということになれば、これはちょっと目標に到達をしない、こういうことに理解してよろしゅうございますか。これは大臣の方がいいな。
  26. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの御質問ですが、今後の推移をわれわれとしましては、ただいま企画庁からお答えいたしましたようにできる限りの努力をいたしまして、ある一定ベースに維持してまいるように、政府としましての挙げての努力を続けなければなりませんが、それにつきまして通産省の方といたしましては、今日のこういった非常な冷えきった経済の上に、さらにまた円高という問題で、ダブルパンチをくらっておるような状態でございます。これに対しましての施策につきまして、総合的にいろんな問題を取り扱っておりますが、なお御質問にお答えいたしまして、さらに詳細に逐次お話を申し上げたいと存じます。
  27. 竹田四郎

    竹田四郎君 一体あなたも加わって、そして通産省が一番そういう点では声を大にして、大型補正ということはもうずいぶん前から言っていたわけですよね。それでいま今日の段階で、しかも当時の円相場と今日の円相場かなり違ってくるわけですわな。そうすると、そういう見きわめというのは、総合対策に対する十分な効果があったかなかったかという見きわめというのは、見直しというのは一体いつごろする予定にしておりますか。これもわからんですか。
  28. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御案内のとおりに、この今回補正予算を大型な予算を組みましたことも、期するところは一つ見通しのもとに、一日も早く経済の立て直しをしなきゃならぬということでございましたが、その後におきまするアメリカその他の動きというものが、われわれが所期いたしておりまする以上に、非常にスピーディーに進展いたしたということでありますが、補正予算を通していただきましたいまの時点におきまして、ことに円高対策、その他いろいろな施策が、十月の一日からわれわれの方の場合におきましてはスタートを切っておる次第でございます。  御案内のとおりに為替変動対策緊急融資制度、これを十月の一日からいたしまして、わずか二十日間の統計でございますけれども申し込み相談だけで九十件、十七億二千万円という額に達しておるような次第でございまして、このつなぎ融資だけでも非常な需要があることは申すまでもございません。これがさらに、今後の将来の推移から今回の二兆円という一つのあれが、どういう御意見か不明でございますけれども、われわれの方といたしましてはできる限りの考えられる財政処直、あるいはまたその他の政策をとったわけでございまして、今後はこの推移を見守りまして、さらに諸般の問題を考えたいと存じますが、通産省といたしましても円高対策連絡推進本部を設けまして、あるいは機動的に総合的に、いろんな対策の立案、調整推進をいたすように、二十四日からこのスタートを切ったわけでございます。これらのいろんな施策によりましての対象地域も、各産地別に二十二産地から七十三地点に広げまして、そして各企業別影響を判断いたしておるわけでございまして、その推移を待ちまして、さらにいろいろと御相談を申し上げる機会があるかもしれません。いまのところは、現在の大勢を注意深く見守っておると、こういう状態でございます。
  29. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういう具体的なことはまた後で聞くんですよ。だから、通産省を代表するあなたの当面の景気なり内需の拡大なり、そういうものに対してどう考えているのかという基本的な認識を聞かない限りは、政策なんか出てこないと思うんですよ。それを聞いているんですから、ほかのことはあんまり、また後で聞きますから。一体もう前提が狂ってるわけですよ、総合対策前提がね。これで二百六十円台に今後すぐ戻っていきますよということをおっしゃれば、それは私ども信じますよ。しかし、新聞で見る限りはどうも二百五十円台がかなり続くんじゃないだろうかと国民もそう考えていると思う。世界的なあちらこちらから入ってくる情報によっても、やはり二百五十円台続くだろうと。下手すりゃ二百四十円台にいくんじゃないだろうか、こういうかなり強いというのか、弱いというのか、そういう情報も入ってきているわけですわな。  だから、あなたの方が二百六十円台に回復しますよと言えば、いまおっしゃったことを私は了承するんです。そのことをあなたも先ほどはっきり言ってない。言ってないということになれば、一般新聞的な、出ている各界の意見を基準にして物を考える以外にない。そうなればすでに私は前提が狂っているんじゃないか、こう思うんですよ。だから、その基本的なことを聞きたいんですよ。こういうことをやります、十一月一日からこういうことをやりますというのは後で聞きますから、それは安心してひとつ待っていてほしいと思うんですが、その基本的なところを教えていただきたい。
  30. 宮崎勇

    政府委員宮崎勇君) 経済見通しの問題でございますので、私から事務的にお答えさしていただきたいと思います。  九月の二日に見直しをやりましたときの円レート前提が、最近変わってきているというのは御指摘のとおりでございます。ただ、今日の円高がどの程度持続性を持っているかということにつきましては、いまの段階では何とも予想がつかないわけでございますし、それから円高影響が実体経済にあらわれますには、多少タイムラグがあるわけでございます。したがって、もう少し事態の推移を見なければいけないということだと思われますが、先生の御質問の、たとえばGNPあるいは需要項目にどういう影響があるかと言いますと、当然いろいろな影響があるわけでございます。直接的には輸出入についてまず最初にあらわれまして、輸出が減少する、あるいは輸入が増大するという現象があらわれるわけでございますが、これもある程度のタイムラグということで、すぐに来月からそういう傾向が顕著になってくるというわけではございません。  それから間接的には、たとえば円高がさらに続くというようなことを仮定いたしますと、企業家の方が先行きについて自信を持たなくなるというようなこともございますので、設備投資に影響があらわれる、あるいはそれと関連してほかの国内需要項目が変化するということは考えられますが、また反面で、円高が続いてまいりますと物価、特に卸売物価が安定するということもございまして、実質面ではこれが経済成長を支えるという働きも一面ではするわけでございます。  そういういろいろの効果がございますので、九月三日の総合対策推移を十分に注目をしながら、経済動向あるいは経済政策の運営について配慮をしていきたいと、こういうふうに考えております。
  31. 竹田四郎

    竹田四郎君 すぐそこへ政府は逃げていると思うんですよね。いままで日本のこうした不況というものを、非常にその谷を深くしてしまった、あるいは円高にこういうふうに導いてしまったという議論に対して、どうも政府の対応が常におくれているじゃないかと、これがもう二、三年前からの批判なんですよね。三木内閣のときは何にもやらなかった。昨年はもっと早く需要を高めるべきであったのに、それを、まあロッキード関係の事件があったとはしても、それをとにかく前半期にやるものを後半期に持っていっちゃった、こういう、いつもそのタイムラグ、タイムラグが政策の上につきまとっていることがよけい今日の情勢を招いたという批判があるわけですよ。ですから今度も私は、そういう意味では、やはりいままでの反省の上に立って考えるならば、それは大蔵当局とかあるいは福田総理はなかなかそういうことは言えないだろうと思うんですけれども、少なくとも企業というものを預かっている通産省としては、いままでは大体早く物を言っているわけですよね。ことしだって、当初予算が採決された直後から通産省大型補正大型補正ということを何回も言っているわけですね。  そういうことを考えてみると、私は通産省として現在の景気判断の中で、やはり相当早目に対応をしていかないとまたおくれてしまう。そしてまた見通しを狂わしてしまう。こういうことがあるんではないかと思うんです。そういう点では、どうもいつもは駆け足で前へ出ているのに、今度は非常にのろいテンポで物を言うというのはどうもわからぬ。
  32. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私の方は、企業をお預かりいたしております役所といたしまして、その深刻な打撃をこうむる可能性のある為替相場の問題に対しましては十分心配もいたし、また勉強もさせていただいておりますが、しかしながら、ただいま先生の御質問にお答えいたします立場といたしましては、ただいまの二百五十円台の相場になりましたいまの時点におきまして、なお諸般の施策を、たびたび申し上げて失礼でございますが、万全を期してその準備をいたし、対応いたしてまいるということしか申し上げられないと存じます。  と申しますのは、経済見通しの問題につきましては、通産省といたしましては一つの見識を持たなければなりませんけれども、同時にまた国のつかさといたしましては部署部署を守ります上から申しまして、企画庁もございまするし、あるいはまた対外為替の問題につきましては、日銀があり大蔵省があり、そういうふうな他省に関連いたしまする事項であると同時に、これがわが国だけで行われることではない、アメリカ日本という相手のある話でもございまするし、そういう点では、同時に非常に重大な案件であるだけに、部署の違いまする私から、為替の問題等々につきましてお答えをいたしますことは、どうぞひとつ御容赦を願いたいと存じます。
  33. 竹田四郎

    竹田四郎君 私はいま為替のことを聞いておりませんけれども、この辺で聞くのをやめます。どうもいままでと大変違って、何か責任逃れをしている感じがしてならないわけです。私は景気の問題を聞いているわけで、為替の問題をいま聞いているわけじゃありません、為替の問題は先ほどお答えいただいているわけですから。  時間がありませんから先へ進みますが、黒字減らしの対策をいま通産省は一生懸命やっているわけですね。そして七億ドル黒字減らしということを一応出したわけでありますが、その後福田総理から、それじゃ足りないからもっとふやせということを言われているわけですが、この黒字減らしが私は大した効果はあるとは思いませんけれども、しかしやらないよりベターだという意味ではいいと思いますけれども、その七儀ドル以上の黒字減らしに対しては、いまどんな計画を立てていらっしゃいますか。
  34. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御案内のとおり、先般ドル減らしと黒字減らしという意味から申しまして、原油の約三百六十万キロリッターの追加輸入でありますとか、あるいはまた非鉄金属の備蓄、ウランの問題、さらにナフサの輸入の増と、こういうふうな問題に対しまして約七億ドルほどの量に相なりますが、この上に、さらにわれわれの方といたしましてはこのウランの問題を買えるだけ——どれだけ買えるか、ERDAの方と電力会社を通じて交渉をしてもらっておるようなものもありまするし、そのほか備蓄の問題にいたしましても、これに要します現在タンク等が容易にございませんが、タンカー等の借用によりまして、さらに追加の輸入もできればいたしたいと思っておりまするし、いろいろと研究中でございまして、まだ明確にそれ以上のケースにつきまして申し上げる段階にはまいっておりません。同時にまた、交渉をいろいろといたしましても、先方からのいろいろな回答待ちやら、あるいはまた交渉中というケースでございます。
  35. 竹田四郎

    竹田四郎君 少なくとも総理からはそういう指示が出ているわけですね、七億ドル以上、とにかくもっとふやさないかぬと言われているわけですけれども、いまのお話では何か研究中——結論的には研究中だということですが、またいつまでもこれも長くそんなことをやっているわけにはいかぬと思うのです。早く数字を出していかなければ、総理からの指示もあるし、やっぱり世界各国が見ているわけですから。そういう結論はいつごろまでお出しになるのですか。相当ぼくは早期に、これは急ぐべきだと思うのですよ。ちんたらちんたら少しずつやったって、これは世界にはわかりませんからね、やっぱり世界的にそれを見せるには、よしここで十五億ドルにしたと、こういうふうな問題を出していけば、私はやはり日本努力をしているという誠意が、各国にある程度は認められると思うのですがね。  ただ、総理からは指示が出たけれども、研究中研究中で長く続いてたんじゃ、これはまたやる気がないんだ、また円でいじめてやろうと、こういうことに私はなると思うのです。そういう点を、一つ一つ明確に追い込むようにしていったらどうですか。私はある意味で、いまは為替相場に関連しては大変政治的な問題だと思うのですよ。計数的な問題じゃなくて、政治的な問題だと思うのです。そういう意味で、そういうものを私は早くやっぱりぴしっとすべきだと思うのですね。その時期を明示することが、世界に向けての日本の態度ということになると思うので、その辺を、ただ研究中だけじゃ私は困ると思う。時期を明示していただきたい。
  36. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それが実は、はっきり申し上げられれば申し上げたいことはやまやまでございますが、まだそこにまで立ち至ってないのが現状でございます。
  37. 竹田四郎

    竹田四郎君 全くこれだけの黒字で攻撃を受けているのに、わずか五億や十億ドルのものが……、それは結論的に言ったらいろいろな摩擦はあるでしょう、国内的にも国外的にも摩擦はあるでしょう。しかしそういう方針を、いついつまでに実現をするということを明示していくということが、私はいま非常に重要なことだと思うのです。ただ優柔不断に、非常にむつかしいことでございまして、いつになるかわかりませんというようなことを言ってたんじゃ、これはやっぱりいま世界に対応できる道じゃ私はないと思う。それはそのとおりいかないかもしれませんよ。いかないかもしれませんが、日本国際収支に対する決意がここまであるということ、そのことが、いま私は必要だと思うのです。だから、これはいまここでは恐らく答えられないと思いますから、早急にひとつその時期というものを明示をしていただきたい、こういうふうに思います。  それから銅、亜鉛の、もう先ほど非鉄金属の中にこれは入っているだろうと思いますけれども、これの輸入措置というのは一体どういうふうにされるのか、特に備蓄の仕方あるいは中小鉱山への影響、こういうものは一体どんなふうになっておりますか。これは担当者で結構です。
  38. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 非鉄金属の備蓄につきましては、先生御承知のように昨年度から備蓄制度を発足いたしまして、初年度は銅、鉛、亜鉛を対象にいたしまして三百億の在庫買い上げをやっております。この段階におきましては、政府が利子補給いたしまして、それから借入金につきましては政府保証を行っております。それから、せんだって行いました銅、亜鉛を対象といたしました三百億円の買い上げにつきまして、これは市中銀行ベースで実施いたしております。  で、今後どのようにいたすかということでございますが、これでかなりの在庫調整と申しますか、総じて六百億程度の在庫調整が行われまして、それによりまして資源輸出国からの鉱石の安定的な引き取り、あるいは御指摘の国内鉱山に対する対応ということも、それなりの効果が出てくるものかと思っております。ただ、来年度以降もさらに百五十億円程度の在庫買い上げをいたしたいということで予算要求いたしておりますが、これを繰り上げて実施した方がいいのか、当初予定どおり来年度時点で実施した方がいいのか、これは国際的な市況への影響というものもございますので、そういった内外への影響あるいは情勢といったものを見守りながら対処してまいりたいと、かように考えております。
  39. 竹田四郎

    竹田四郎君 特に中小鉱山の場合ですが、これは一般的に大体いまの建て値とコストを比べると、建て値がコストの半分くらいだということのようですけれども、こういう措置は一体どうしていくんですか。これではもう、ちょっとやりきれない、だろうと思うんですけれども、その辺どうなさいますか。
  40. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘のとおり、わが国における生産コストと建て値の関係、非常に乖離いたしております。それに対しましては、まあ従来からも関税制度を活用いたしまして、トン当たり十二万四千円のコストカバーなどもやっておりますが、一般的に非鉄金属におきましては、まあ他の構造不況業種と同じように苦境にあるわけでございますが、特に非鉄金属におきましては、需給の実際よりもむしろLMEの相場が非常に急激に、非常に大幅に変動するというところに大きな問題があるかと思います。現に、昨年の八月時点では銅の建て値が五十二、三万しておったのが、現在御指摘の二十四、五万円下がっておるといったようなことでございますので、国際相場と申しますか、LME相場の動きによっては十分採算可能性のある山であるというふうにわれわれは考えておりますので、その間、いま申し上げました関税制度の活用のほかに、いわゆる埋蔵量の確認と申しますか、広域調査、精密調査、あるいは新鉱床の探査補助金へかような従来から進めております三段階方式によるところの探査、探鉱活動というものを一段と拡充してまいりたい、こういったことで中小鉱山に対応いたしたいと思います。  一部では、つなぎのための資金需要についてのお話も伺っております。これはしかし、山によりまして、それぞれ資金の使途なり、あるいは必要とする資金の量も異なっておりますので、当然それぞれの山ごとの実情を調査し、あるいは事情を聴取した上で、資金手当てにも協力してまいりたい、かように思っております。
  41. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 関連。通産大臣にちょっと関連してお伺いしたいんですが、いまの金属産業にまつわる問題で、予算委員会で私から大臣に、十七日の衆議院予算委員会で、あなたがこの緊急輸入として一億ドル分を何とか輸入措置をしたいと、こういう答弁あったということを私確かめました。その問題についてこれ以上緊急輸入をされれば、現在でさえ、昭和三十五年以来スクラップ・アンド・スクラップという金属産業に対して、さらに一億ドル輸入をすれば、これはめためたに中小鉱山は閉山をせざるを得ないと、これについてあなたは慎重を期すということを私に簡潔にお答えを願っております。  そこで、いまの問題とちょっと関連するんですが、現実に五十二年六月末で、これは適正在庫というのが銅の場合は四億トン、亜鉛が大体七万トン、大体これが適正量として長官わかっておるとおり、大体この数量になっておるわけですよ。ところが、現実に五十二年の六月末在庫でいきますと、銅が十五億三千万トン、それから亜鉛が二十万トンと、こうなっておるわけだ。もうこれ六月末現在で適正量をはるかに——四倍から五倍になっているわけですよ。これにさらに一億ドル輸入なんと言ったら、これはあなた中小鉱山をめためたにつぶすということですよ。これがいまやメタル産業の労使ともに非常に心配しておることなんですよ。この点がいま竹田委員がいみじくも言ったように、中小鉱山の保護対策として、これは大臣おわかりかどうか知らぬけれども、五十一年五月十三日参議院、この商工委員会で、金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議の中で、この際金属の国内保護緊急強化の決議というのをしているわけですよ。この中にもはっきりうたっているんですがね。そういう観点から言っても、この問題に対して大臣はどういう態度をおとりになるのかと、これをきちっとしてもらいたいんですよ。
  42. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ただいま対馬委員御指摘のような状況にあること、重々われわれも理解しておるわけでございます。したがいまして、一方で黒字対策という要請と、国内の中小鉱山の維持という問題、この二つの問題の関連と申しますか、バランスにおいてこの問題に対処すべきだと、かように考えております。
  43. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 大臣どうですか。バランスの問題について聞いているんじゃないんだよ。
  44. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの問題でありますが、民間企業によります鉱石輸入が、御指摘のように非常に甚大な影響を受ける、こういうふうな問題、さらにまた鉱石輸出の発展途上国との摩擦の回避の問題、いろいろとむずかしいところがございますが、備蓄の問題は御案内のとおり財団法人の金属鉱産物備蓄協会、これを通じまして実施されておるような次第でございまするが、いまお話しのような国内関係調整とかあるいはまた鉱山の、私も国家のために重要な鉱産資源の、ある一定というものは守っていかなけりゃならぬと、こう考えまするし、同時にその経営も深部の掘削その他、非常に経費もかかるようなことで、保護政策もとっておるような状態でございますので、その点は両々相まちましてさらに検討を重ねたいと、かように考えておりますが、同時にまた黒字減らしという問題も、御指摘のように国内的なある限度を超えてのことはできませんけれども、その範囲内におきまして、別途いろんな施策を講じまして、やはり相当なものはこの際備蓄せざるを得ないと、こういうふうにも考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  45. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 よろしくお願いしますと言ってるけど、大臣あなたの答弁を聞くと、ここは言えないとか、ここは研究したいとか、この段階では勘弁してくれとかと、こういう答弁ばかりで、さっきから聞いていると。やっぱり大臣なんだから、ある程度確信を持って、展望をいま与えないということが国民が一番心配しているんだから、大臣自信を持ってお答え願いたいと思うんですよ。それは決議という——これは決議のしっ放しじゃないんだよ。五月十三日の決議では、国内金属資源の最優先保護ということになっているんでしょう。あなたがいま言っている黒字減らしも重要だと、こう言うけれども、それはこの一億ドルを入れたらあなためためたになると、こう言っているんだよ、現実に。適正量を五倍も超えているんだから、在庫が。適正量、適正量と、こう言っているけれども、五倍以上も超えて、さらに一億ドル入れたらどうなるんだ、こう言っているわけだ、私は。だから国内資源保護という、最優先保護という観点からいくならば、この点についてはこの段階ではむしろそこを基本にして処置をしていきたいと、こういうお考えならこういうお考えだということを、原則をきちんとしてもらえばいいんですよ。そこを言っているわけですよ。はっきりしてくださいよ。わかっているようなわからないようなことを言ったらだめだよ。
  46. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それは対馬先生のおっしゃるとおり、政府といたしましては、皆様方の御決議によりまして守るべき一線は守りながら、同時にまたあわせて国際的な関係において調整をいたしてまいりますので、その点はどうぞはっきりと区別して考えたいと存じます。
  47. 対馬孝且

    ○対馬孝且君 これは分けて考えると言ったって、国内資源保護の立場は守っていくという、それはいいんだけれども、分けて考える、こう言ったって分けられないんだよ。大臣そう言ったって。適正量がさっき私が言ったでしょう。一定の数量がもうすでにあるんだと、それに現在在庫はもう五倍になってしまっていると。それにさらに一億ドル新たに上積みするとなったら、これはもう全く洪水になっちゃうんですよ。洪水在庫になっちゃうと言うんだ、私の言うのは。それだから言っているわけですよ。だからその点は少なくとも緊急輸入という問題については、やっぱりあなたの段階でこれははっきりとめていくと、こういう慎重な配慮があっていいんじゃないか、これを言っているわけだ。何もあなたを責めているんじゃない。とめてもらわぬとどうにもならぬということなんです、どうですか。
  48. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御意見のほどは十分考えまして処置いたします。
  49. 竹田四郎

    竹田四郎君 時間がなくなりましたから、外務省の方お見えになっているかとも思いますが、また次の機会にひとつ東南アジアとの問題をやらしていただいて、きょうはもう時間ありませんから、ひとつお引き取りいただいて結構でございます。  通産大臣に次に伺いたいんですが、この間あなたは予算委員会で、為替相場変動等に対する対策というものを二百五十円台になって見直さなくちゃいけないということをおっしゃいましたね。どうですか、それは。
  50. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いろんな対策を講じてまいっておりますが、将来の点につきましては不明でございますけれども、現在立てておりまする通産省緊急対策、これを見守ってまいりたいと考えております。
  51. 竹田四郎

    竹田四郎君 見守っていきたいとあなたおっしゃるんですが、この間は見直すと言ったんですね、はっきり。だから、具体的にその辺は変わってきているだろうと思うんですね。たとえば、二百五十円になったから業種の指定も私は違ってくるだろうと思う。あるいはその他にもいろいろ違いが出てくるだろうと思う。そういう見直しを、やはり早期にやってもらわなくちゃいかぬと思うんですが、それはするんですかしないんですか。いまの問題では、今度は見守るという言葉に変わっているわけですがね。
  52. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 先ほど申し上げました円高対策の連絡推進本部というものを、それでございますから設けたわけでございまして、そこでまず現況を、詳細な情報をとりまして推移を見守り、同時にまた、それに対して必要な緊急処置も、とるべきものはとってまいります。
  53. 竹田四郎

    竹田四郎君 大臣ね、その都度その都度答弁変えられると、こっち困っちゃうんですよね。見直すと言ったからこっちは見直すつもりで、具体的にどう変わってくるのかと言えば、今度は見守るという言葉になりますし、そういう点はっきりしてくれなくちゃいけないと思うんですけれども、もう時間がありませんからそれ追及しておりません。  円高になりまして、物価の問題になりますが、片方は円高で困っているけれども、片方は円高でもうけているという事態があるわけですが、内需を拡大するということがやっぱりいまの一番大きい至上命令だと思うんですけれども円高によって国民が消費をふやせるものが私はあると思うんですがね。これはこの前のときもそうでありましたし、今度も国民としては、円高円高だといってつぶれる方のことばかり言っているわけですが、その陰ではもうけているのがずいぶんいるんですが、そういうものはやはり国民に還元をして、内需、消費の拡大、そういうものに当然していかなければならぬと思うんですが、その辺は一体、これは経企庁の物価関係だろうと思うんですけれども、どういう措置をいまとっておられるんですか。たとえばウイスキーなんか少し下がったというんですが、そのほかでもなかなか下げ切れないものがある。むしろ逆に円高の中で上がっているようなものもあるわけですけれども、どうも国民、これは納得できないわけなんです。そういうことに対しては、一体どういう措置をおとりになっているのか、その点を明確にしてほしいと思います。
  54. 水田治雄

    政府委員(水田治雄君) お答え申し上げます。  年初来の著しい円高傾向によりまして、卸売物価、消費者物価、それぞれ影響がございますが、先生御承知のように、輸入金額の中では大半が原材料輸入でございまして、現在までのところ、卸売物価に対しましては、原材料が大半を占めております関係上、一月から九月現在でとってみました場合、円高による卸売物価の影響は一%の低減効果ということになっております。  九月では、前年同期比〇・五%高というのが卸売物価でございますが、おっしゃいました消費者物価の点につきましては、消費者物価の物品の構成が、そういう輸入原材料関係はほとんどございませんで、直接的にはレモンとか、グレープフルーツとかあるいはバナナとか、三品目ぐらいしかございませんので、円高の消費者物価への影響と申しますのは、ただいま申し上げました卸売物価の鎮静化ということを通じまして、いろいろな生産過程を通じて消費者物価へ次第に及んでいくということになろうかと思います。  それで、それでも消費者物価にはそれなりの影響があるということで、三十五品目につきまして、先生御承知だと思いますが、一月と六月の輸入価格、それから国内の小売価格を調査いたしましたところ、三十五品目のうち、十五品目は輸入価格が下がっておる。二十品目は元値が上がりまして輸入価格はかえって上がっておる。これはすべて主要な消費物資でございますが、十五品目が輸入価格は下がっておる。そのうち小売価格が下がっておるものは六品目ということでございましたが、ウイスキーについても、六月現在では若干の輸入価格の上がりになってございます。で、ウイスキーの場合若干上がりになってございますが、小売価格につきましては、ウイスキーは並行輸入が大分前から行われておりまして、小売価格は、輸入価格が若干上がっているにもかかわらず小売価格は若干の下がりということになっております。  で、いま申しました卸売物価への影響が非常に著しいということのほかに、消費物資自身、輸入消費財自身につきましては、個々の品目につきまして非常に事情が違いまして、元値が上がるとか、あるいは国内品との競争が非常に激しいもの、あるいは国内需給が非常に緩和されておるもの、そういうものにつきましては、その六品目——十五品目輸入価格が下がっておるうちの、六品目は小売価格も下がっておる。また、二十品目輸入価格が上がっておるうちの、十一品目は輸入価格は上がっておるけれども、先ほど申しました国内産品との競合が非常に著しいとか、あるいは需給が緩和しておるとか、そういうことで輸入価格は二十品目上がっているもののうちの、十一品目はかえって小売価格は下がっておると、こういうことで、円高による輸入価格と小売価格との関係というのは、すべての物資について一概に申せないということでございますが、ウイスキーについてはそういうようなことになっております。  それで、十月十四日に各省の物価担当官会議というのを開きまして、先日発表がございました、たばこの値下げであるとか、あるいは薬価基準の改正であるとか、民間輸入物資につきましての、これは通産省から出していただくわけでございますが、主要な輸入団体あるいは流通団体への通達であるとか、いろいろ決めましたわけでございますが、その中にウイスキー等のものについての並行輸入の促進という措置をうたっておりまして、公正取引委員会を中心にこの措置を徹底してまいりたいというのがいまの立場でございます。  以上のような円高効果が及びますのには、まだ相当の期間が必要であろうかと思いますが、この効果がひいては個人消費の増進、現下の経済情勢にかんがみまして、個人消費の増進ということにできるだけつながることを期待いたしまして、物価局の立場からは以上のような対策を講じております。
  55. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなたの言っていることは私全然それはわかりません、そういうことは。庶民は貯金の金利は減らされ、物価は高くなっているのに、そして円高円高って騒いでいるのに、ぼくはまだあると思うんだ、安く消費者に提供できる物は。あなたのいまの答弁では私とても納得できませんよ。もっと個別商品一つ一つどこで安くならないか、十分ぼくは追跡調査しなければ国民承知しないと思うんだよ。これは次官どうですか、そういう問題についてもう少しぴしっとやってくれなきゃ、いまの審議官の答弁あたりでは国民とても納得できませんよ。これは全部洗い直して、確かに原材料のものは直接じゃありませんけれども、いまかなり国民が日々消費する物、そういう物に対してあるわけですね、直接の物はたくさん。そういう物はもっと下がらなければ、向こう側が値上げをしたからというだけでは、いまの情勢の中で、そんなこと私は全部に対してそういうことはあり得ないと思うんですよ。もう少しその辺は追跡調査して、次の席上で、その辺を明らかにしてくださいよ。とてもそれでは納得できない、そういうものは。
  56. 森美秀

    政府委員森美秀君) いまの先生のお話、全く理解できるわけでございますが、そういうことに基づきまして、いま審議官が言いました三十五品目についての状況調査をしたわけでございます。しかしながら、おっしゃるとおり、あくまでこれはやはり一つ一つについて追跡調査をして納得いくような状況判断をしたいと、こう考えております。
  57. 竹田四郎

    竹田四郎君 終わります。  中小企業庁の方済みません、時間がなくて。
  58. 下条進一郎

    下条進一郎君 補正予算が通ったばかりの今日でありますけれども、やはり庶民の声の中には、依然としてこの不況問題なかなか解決しそうにもない。しかも追い打ちのように円高問題が出てまいりまして、まあ、産業界は中小企業を含めて、きわめて厳しい状況下に置かれているわけであります。そこでこの問題を、やはりいままでいろんなひずみが出たり、ぎくしゃくした問題を後向きに解決することももちろん必要でありますけれども、前向きに一体今後どうしたらいいかと、基本的な問題もやはり私たちここで考えていかなければならないと思うわけでありますが、その一つといたしまして、私たちはいろんな経済のバランスという問題を考えた場合に、全体の経済のかじ取りの一つの基本方針がやはり見直されなきゃならない。そういう時期にきていると、このように考えるわけでございます。  たとえば国内においては需給ギャップが十数兆円ある。国際的に言えば国際収支黒字幅が依然として減らない。そういうような国内、国外においてのインバランスというものが依然として引き続きあるというわけであります。これは何でこういうような原因になったかというと、私はやはり過去の数字をある程度見直してみる必要もあろうかと思いますけれども、七四年、七五年、七六年——四十九、五十、五十一年、この三年の日本の成長率は七・二%、こういうことになるわけです。そこでそれが一体何によって支えられたかということを分析してみますと、国内需要によってこれを支えたものが一・一%である、逆に言えば輸出によって六・一%の分がカバーされたと、こういうことが数字ではっきり出ているわけでございます。ちなみに私たちがよく比較いたします西ドイツの経済の足取りを見てみますと、同じ時期すなわち七四年、七五年、七六年というこの間の西ドイツの成長率は三・三%で、国内の需要によってそれがカバーされた、支えられたというのが三・三%でありますから、海外に迷惑をかけて日本は成長し、西独はそういうことなく自助努力によって成長したということが言えるわけであります。それはとりもなおさず国内の問題に関連あるばかりでなく、海外問題すなわち国際収支、そういう問題についても非常にこれが大きく影響しております。同じ時期における日本輸入はマイナスの四・九でありますが、西ドイツの場合は輸入が一九・二ふえております。こういう意味におきまして、私はこれをやはりこれからも同じように経済政策を続けている限りにおいては再び同じ目に遭うと、こう見なければならない、このように考えるわけでございます。  そこで私は、いま急に高度成長を望めというようなことを申すわけではありませんけれども、過去において実質成長が一〇%以上続いておった、そういう日本経済構造の中から、急に低成長のどん底に陥るような、この低い形の成長率に切り換えてしまった。今日の場合で言うならば、かなりの稼働率が低いとか、余剰設備があるとか、在庫が多いとか、こういう点から見ましても、いまの政府が言っておられますところの六・七%成長率というものは一体妥当かどうか。さらに、これから来年度の予算に関連して、その問題も当然出てくると思いますけれども、私はこの六・七%はいま直ちに、この全体の問題を解決するためには妥当ではないんじゃないかというような見直しが、そろそろ必要な時期に来ているんじゃないか。すなわち高度成長から日本経済がソフトランディングするには、もうちょっと高目の成長率を一応暫定的に間にはさまなければ、私は国内におけるインバランス、国際的なインバランス、すなわち全体の均衡を取り戻すことはできないと思いますけれども、まず経済企画庁の方からその問題についてお答え願います。
  59. 宮崎勇

    政府委員宮崎勇君) 先生御承知のように、六・七%という本年度の成長率目標を掲げたわけでございますが、わが国の経済は自由主義経済を基調としておりまして、大部分の経済活動が民間によって行われております。したがって、この特定の六・何ポイントというような成長率にこだわるというのは余りよくないことかもわかりませんが、私どもは、いま御指摘のように経済の各面にわたって、たとえば物価でありますとか、雇用でありますとか、国際収支、いろいろ問題を抱えておりまして、そういうものを一つ一つ解決していくためにコンシステントな経済政策が要求されて、そういうものに一つの指針を与えるという意味で、成長率の目標を掲げているわけでございます。で、その成長率が過去高度成長のときに一〇%という非常に高い時期があったわけでございまして、その高度成長を支えておりました要因は、これまたいまいろいろ言われているわけでございますけれども、その中の非常に重要なことが、資源やエネルギーというのは豊富、低廉に供給されたということがございます。そういう条件が今日失われてきているわけでありまして、過去の高度成長というようなことが、将来も実現できるという基盤はなくなっているんではないかというふうに考えております。  で、確かに一〇%成長から急激に成長率を落としますと、御指摘のようにいろいろ摩擦はございます。しかし、中長期的に見ますと、そういう内外環境の変化から、今後日本経済というのは、六%程度の成長が適正な成長率ではないかというふうに考えております。もちろん考え方といたしましては、今日のように過剰設備を抱えたり、あるいは過剰雇用を抱えているときには、高目の成長をねらうという一つ考え方もございますが、今日の財政バランスあるいは物価問題、その他を勘案いたしまして六・七%というのを、本年について掲げたわけでございます。
  60. 下条進一郎

    下条進一郎君 過去の答えは全く必要ないと私は思います。十分皆さん御承知です。  私は、いまの問題をこれからどうやって解決したらいいかということで、来年度の予算に関連して、あるいはこれからの産業構造のいろいろな問題を解決するために、ほかに解く道はないんじゃないかということで申し上げているのですから、私はいまのその政府考えておられる問題意識というものに対してやや疑問を持ちますし、それから現在の六・七%がいいというお考えについては、それを維持する限りにおいては日本のあらゆる経済問題は解決できないんじゃないかということを申し上げておきます。  そこで、これからの先行きの問題でありますけれども、せっかく国内において不況業界のいろいろな構造改善の問題あるいは産構審の答申というものがありますけれども、現在これらを一生懸命おやりになっていらっしゃいましても、先行きの外貨事情、外為市場の問題のいろんなかき回し要因によって、またまたこれが足を引っ張られるというような、私は非常に困る状態に現在ある、こういう認識は、通産当局あるいは企画庁当局もお持ちだと思います。  たとえば、きのうの最終終わり値が二百五十一円六十五銭ですか、しかも先物の三カ月のディスカウント幅が三・〇九九%ということでありますと、やはりどんな円高の状況が続いておっても、またそのために輸出がかなりカーブをかけられましても、先行きにおいてやはりまだ円高基調が続くというふうに見るのは、私はこの為替相場の先行きから見れば、当然の見方だと思うんですよ。これは政府当局として、まだたとえば二百五十円を割るとかどうこうということは発言できないことは重々承知しておりますけれども、やはり全体の政策見通し、そういうものを立てるときには、こういう為替市場の先行きを見るのは当然ですし、先ほどお話も出ましたように、市場の中でやはりかなりのだぶつきがある、そういうことで、私はこの問題は先行きに対しては相当シビアな考え方、厳格に物を考えながら対策をとっていかなければならない、このように思うわけでございます。したがいまして、いまの成長率の問題に余り触れておりますと、産業問題に入れませんので、さらにカットしてまいりますけれども、来年度の予算については、私はかなり積極的な物の考え方、国債の水準の問題その他を含めて考えていただきたいということを要望する次第でございます。  そこで、私は外貨問題、黒字問題が日本のせっかくの産業政策を足引っ張るような形になっていることは否めない事実でありますけれども、その場合に、黒字減らしというものを私は後向きにやることももちろん必要でありますけれども、まずやはりいろんな制度上で、手直しをしなければならない問題が私はあると思うんであります。——大蔵省来ておられますね——たとえば、私は、現在いろいろ黒字問題出ておりますのは、貿易収支あるいは経常収支という議論は多いんでありますけれども、オーバーオールのBP問題というものはわりあい言われておらない。外為市場において外貨がよけい入ってくるというのは、オーバーオールの議論がやはりなければならないと私は思うんであります。  その一つとして、私は幾つも問題があると思いますけれども、早速手がけていただきたいと思うことを二点申し上げまして、大蔵当局のお考えをただしたいと思うんであります。  たくさんの問題ありますけれども、特に目立った問題だけ申し上げますと、一つは、いわゆる非常に、マーケットの中で外貨ポジションのいろんな問題がありますから、そのために円建て外債の発行、そしてまた同時に、海外投資を促進していただきたい。ロングタームのものの取り扱いをかなり積極的にやっていただきたい、こういうことでございます。これは経常収支から離れて、全体のオーバーオールのポジションを見る場合には非常に必要なことだと思います。それが第一点であります。  それから第二点は、為替管理法の扱いの中で私は問題がある。日本が従来きわめてまだ経済的に弱い時代においては、輸入はすべて外貨建て、そしてしかも輸入ユーザンスを借りて、それでやる。大体四カ月、そういうことでありますから、その積み上がった外貨が、現在借り入れとして相当大きく残っているわけであります。いまこの日本経済情勢あるいは外貨の状況において、そういう外貨を借りなきゃならない状況は、私は余りない。金利の中で泳ぐという市場でございましょうけれども、金利は日本の方が公定歩合が四・二五%、ニューヨークマーケットにいたしましてはもうずっと高くなっておる。だから、金利の関係で外貨を借りなきゃならない、いわゆる輸入業者あるいは輸出の関連の方々の必要性もない、こういうことであるならば、このくらいのときには思い切って、いろんな問題があるかと思いますけれども、いわゆるユーザンス関係は円建てにする、円シフトができるようにするということが私は所要であり、その意味において外貨アタックが、受ける面が少なくなる、こう思うんでありますが、その点のお答えを願います。
  61. 宮崎知雄

    政府委員宮崎知雄君) ただいまの先生の御意見経常収支でたまった外貨は資本収支でもって相殺して、基礎収支を均衡に持っていく努力をすべきじゃないか、こういう御意見だと思いますが、私どもすでにそういう面につきまして、先般九月の二十日に発表になりました対外経済対策におきましても、円建て外債を発行を促進するというようなことを言っておりますし、それから、事実ことしに入りまして国内の長期金利が大分下がってきておるものですから、円建て外債の発行は相当進んできております。昨年度は、一年間で六銘柄で総額も六百二十億円であったものが、今年度に入りまして四月から九月までですでに私募債を含めまして八銘柄で、その総額も千二百二十億というふうな金額になっておりますし——円でございますが。それから今後も十月から十二月まで千九百億円ぐらいの起債が予定されている、こういう状況でございます。  対外投資の面につきましても、いまほとんど為替の面では何も制限はしておりません。外交上問題が生ずるようなものにつきましては、若干の規制がございますけれども、その以外の点では規制をやっておりません。  ただ、全般的に申しますと、基本的には私ども国際収支の問題議論されますときは、やはり第一義的にはどうしても経常収支の問題が国際的に取り上げられる。特にオイルショック以降、非産油開発途上国とかあるいはOECDに加盟している小さな国の経常収支が、恒常的に大きな赤字になっておりますので、やはり国際収支の全体の調整をうまく図っていくためには、なるべく強い国が余り大きな黒字を、経常収支で出さないようにというようなことが言われておりますし、それはそのとおりだと思いますので、第一義的には、やはり経常収支黒字をなるべく減らしていくということに努力すべきではないかと思います。  それから、そこで出た黒字を次に資本収支の方でもって押し出していって、なるべく総合収支で均衡を図っていく、そういうふうな努力をしているわけでございます。  それから、もう一点のいわゆるユーザンスの問題でございますが、御指摘のように日本輸入というのは非常に、大部分が外貨によってファイナンスされておりまして、現在でも、為替銀行の短期の資産と負債を比べますと、大体百二十億ドルぐらいの負債超になっているのが現状でございます。私どもは、こういうふうに輸入金融が余り過度に外貨に頼るというのは、いろいろな面で好ましくないものでございますから、従来からいろいろ施策を講じまして、なるべく円とドルの両方のバランスがとれるような、輸入金融の姿に持っていきたいというふうにして努力しております。  昨年度から、いろいろ期限づきの輸入手形につきまして、輸出の場合と同じように表紙手形の制度を採用するとか、あるいはことしに入りましてからも為銀の外貨債務に対しまして準備率を掛けるとかいうようなことをやってきております。  それから最近になりまして、公定歩合もことしになりまして三回引き下げになっておりまして、逆にドルの金利が上がってきておりますので、その円シフトの可能性というのも出てきております。現に九月になりまして大分円シフトが進んだわけでございますけれども、最近のようにちょっと相場がまた大分荒れてきておる関係もございまして、いまのところ円シフトがちょっととまったようなかっこうになっておりますが、これで相場がまた安定しましたら円シフトも興ってくるんじゃないか、私どもそういうふうに考えております。
  62. 下条進一郎

    下条進一郎君 ただいまの御説明、最後のところは、ぜひある程度、いろいろなマージンの問題等も含めてやはり見直しをやっていただいて、機構的にそれが動くようにぜひ御研究いただき、実施していただきたい、こう思うわけでございます。  それから、私、いまの御説明で、御質問した中で、決してショートやロングのキャピタルフローだけを問題点としてとらえているわけではないんでありまして、時間の関係、制限がありますからポイントだけ申し上げたわけでございますが、たとえば貿易の方の問題につきましては通産大臣の方にもお尋ねいたしたいんでありますが、黒字減らし、それから輸入の促進と申しましても、いろいろな項目がたくさんある。これは全部を、やはりじみちに積み上げていただかなければなかなか解決しない、こう思うわけでありますが、先ほどもちょっと出ましたけれども、私は、やはり現在ロットとして大きく輸入の促進に役立つのは、やはり石油備蓄だと思います。ヨーロッパの場合には、御承知のようにほとんど先進国は、イギリスを除きまして備蓄量はもう百日を超えているわけです。通産省のお考えでは、現在、五十五年三月末で九十日というメルクマールをつくっていらっしゃいますけれども、私は、それはもう一回見直していいんじゃないか。こういう外貨事情だし、こういうような輸出入のインバランスのときにあるわけでありますから、できましたら私は九十日という目標自体をもっと上げていただくことが必要だし、それからまた同時に、それを達成する時期ももっと早めていただいたらどうかと、それが私は、現在この問題解決の一助として役立つのじゃないかと思うんでございます。  そこで、たとえば土地がないというような問題ございましたなら、まだ離島で、人の住んでない離島たくさんございます、日本には。そこらをまたどうやって利用するかという問題もあろうし、それからまた先ほど出ましたように、船も、あいているタンカーもたくさんございます。そこらの問題を何とか解決していただく、金の問題についても思い切って、私はやはりこの問題に対して国債を発行することがいいかどうか検討していただきたいし、その他のまた財政資金の中でも、運用できるものがないかどうかということを洗いざらいもう一回検討していただく、そして石油の備蓄というものをもっと真剣に、しかも実現の時期を早めるということでやっていただかないと、この問題の基本的な解決につながらないということを思うんでありますが、通産大臣、いかがでございますか。
  63. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま石油備蓄の問題につきまして、下条委員からの御質問にわれわれも全く同感でございまして、まず第一は九十日という予定、量におきましてもできる限りの早期の充足をしなきゃいけない。世界各国の例を見ましても、各国ともに備蓄を非常な努力をしてやりつつあるわけでございまして、日本も決して九十日で満足しているわけじゃございません。ことに、さらに民間に依存いたしておりまする現在の備蓄のやり方を、さらに必要に応じて、政府みずからが備蓄もしなきゃならぬというような私は気構えさえ持っておる次第でございますが、その点につきましては、いろいろ法律の改正の問題やら、その他諸般の準備もございますので、せっかく努力をいたしておるところでございます。  それから、いまのお話のタンカー等の備蓄の問題も、これもまことに考えられることでございますけれども、これとても民間の所有いたしておりまする船腹でありまするし、また備蓄をいたす現在の手段は、やはり企業体がいたしますので、企業体同士のお話の促進やら、またそれをどこに置くかということになりますと、なかなか漁業権の問題、その他むずかしい問題が介在いたしておる次第でございます。そういうことで、せっかくいろいろの努力を払っておる次第でございますが、この点につきましては、さらにエネルギー庁長官も参っておりますので、政府委員から……。
  64. 下条進一郎

    下条進一郎君 ちょっともう時間がないので、大臣のお答えだけで結構です。
  65. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 大体そういうふうな方向で進んでおります。
  66. 下条進一郎

    下条進一郎君 私が申し上げましたのは、非常にやはり喫緊だと、そういうことで大臣も非常に苦労していらっしゃると思いますけれども、ぜひ、エネルギー庁長官もここにおられるわけでありますから、この問題を検討課題ということではなくして、やはり検討の上、すぐに実行できるように早く進めていただきたい、こういうことをお願いする次第でございます。  それから、もう一点でありますが、通産大臣にお願いしたいと思いますのですが、不況業種というものが十二とか十三というように言われております。しかし、こういう情勢におきましては、その業種もだんだんとふえていくというような傾向にあろうかと思うんであります。それで、この前通産省の方では産構審の見直しをされまして、これからの先行きのビジョンをこの中にきわめて細かく、またロングのレンジで書いていらっしゃるわけでありますけれども、私はそういう中の結論としては、頭脳集約的な産業というものが日本の将来産業一つの目標だということはわかりますけれども、いま私たちは現時点において、この中に生きていなきゃならない。その生きている中で、幾つかの不況業種があるわけでありますから、その不況業種というものを、一体個々にどういうように誘導していかれるのか、これは非常に大事な問題だと思うんです。  たとえば繊維の中に勤めている人は一体どうなるかと、私はいろんなたとえば下請の中の、今度の円高のために影響を受けた下請の小さい業者の話を聞いてみますと、もうそれは首切りしかないという、大変なことなんです。失業は二%、そして倒産は多いと、こういうときにやはりそこに働いている人たちが将来に向かって、こういう企業はこういうふうに変わっていくんだというきめの細かい誘導があれば、ある程度は安心すると思うんですけれども、私はそういう意味において細かい誘導をぜひお願いしたいと思うんですが、この問題について通産大臣の御所見を伺いたいと思います。
  67. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま仰せのとおりでございまして、不況業種の今後のいろんな協力の問題並びに構造不況業種のごときにおきましては、どうしても業種転換という問題が大きくクローズアップされておりまして、それを果たしてたくさんの雇用労働者の方々が、暫定的にはよろしゅうございますが、いろんな対策がございますが、将来いかなる方向にこれを誘導するかということは非常になかなかむずかしい問題でございます。なお、この転換の問題につきましても、転換促進法等によりまして、いろいろと法制的にはできておりましても、おのおの個々の事情もあり、また今後の施策方向におきましても、いろいろとなお研究を要する点がございます。  ただいまお話のきめの細かいと申しますか、それよりもむしろ愛情のこもった今後の中小企業の指導、転換、これらの問題につきまして、一言中小企業庁長官からお答えいたさせます。
  68. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) これからの中小企業をめぐる環境の変化は、さまざまなものが予想されます。国際的にも発展途上国の追い上げであるとか、あるいは一層国際経済の一体化が進む、また国内的に見ましても、新技術の開発あるいは原料事情の変更、さらにまた公害規制等々のさまざまな環境の変化に対し、中小企業はいかに生きていくかということを、やはりこの際腰を据えて考えるべき時期にきているという気がいたします。その際に、この際一層の合理化を進めてこの危機を突破していこうと考えられる方もありましょうし、ある場合には、ある程度戦線を整理をして対応しようという考えを持たれる方もありましょう。さらにまた、一部の方は新しい分野へ転向しようと考えられる方もございましょう。それらの方に対しても、なるべく有効なガイドポストを用意するという御提案は私どもとしても当然のことではないかと思います。私どもは、やはりどの業種に移るかというようなことは、実際はやはり経営者の一番最高の判断を要する局面であろうかと思いますが、そういう判断を助けるような資料をなるべく用意をいたしまして、こういう新しい情勢に適応しようとする中小企業をお手助けしていきたいと思います。
  69. 下条進一郎

    下条進一郎君 確かに非常に大事なことだと思いますが、実際にはなかなかむずかしい問題だと思うんです。しかし、これは国民がみんな求めていることでありますので、ぜひ大臣、この問題をしっかり取り組んでいただいて、そしてやはり通産省は頼りになるということが国民一人一人がわかるように持っていっていただきたい、これをお願いする次第でございます。  それに関連いたしまして、特に中小企業、これはもともと弱いわけでございます。それが、今度の不況の上にさらに円高問題が参りまして、一層また困難になってきている現状であります。私は中小企業問題、長官もいらっしゃる、いま一生懸命やるというお話でございましたが、これに関連して一、二の提言を持っております。たくさんございますけど、その問題についての御所見を承りたいと思います。  一つは、今度こういう事態に備えまして為替変動緊急融資というのを通産省はおやりになったわけでございます。先ほどの御報告もございました。しかしながら実際の金利は七・六%なんですよ。七・六%はノーマル金利です。やはり救済ということならば低い金利でなければ救済の意味をなしません。それで現在日本は、たとえばいまのお話中小企業金融機関だからと、公的部門だというお話があるかもしれませんけれども日本政府が金を出しているアジア開銀のいわゆるスペシャルファンドあるいはアメリカにあります世界銀行のIDAの特別融資にいたしましても、三彩とか一・五%で融資をしておるわけであります。世界の後進性のある企業にはそういう金利を出して、国内の金利には依然として高いものをそのまま据え置く、これでは中小企業の味方、それを救済するということには相ならないと思います。ぜひ下げていただきたい。  それから第二点は、いま資本装備率というのは非常に低い、世界的に最も低いわけでございます。そこで、こういう危機の時代において、中小企業がやはり資本装備率を高めるためには、私はやはりいろんな面で考えていただきたい。そういう為替変動のための特別の準備金を置いた場合には、それを無税で積み立てできるようにするとか、あるいはまた、すでに動いておりますけれども中小企業の投資育成会社、この投資は優良企業ばかりやっておるわけです。本当に困るところの中小企業に対していまの投資育成会社の手は伸びていないのが現状でございます。そういう面について、ぜひとも体質の改善をあわせて考えながら、いま申し上げました問題をぜひ取り上げて、早急に実施していただきたい、そういうふうにお願いする次第でございます。
  70. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) お尋ねのございました為替変動対策緊急融資制度の金利の問題でございますが、この制度自体は、私ども産地調査いたしましたとき、大変最近輸出の注文が減っておる、つなぎ資金が何か用意してもらえないかという声にこたえまして、急遽創設をしたものでございます。御承知のとおり十月一日からその運用を開始したところでございますが、政府系三機関に聞いてみますと、かなりの問い合わせがございますし、すでに借り入れの申し込みをした者もあるという状況でございます。産地に実態調査をしてみますと、この制度のあることはかなりほとんどの産地知っておりますし、また利用したいという企業もかなりの数に上るのではないかと予想をいたしております。同じような制度として、倒産関連融資制度がやはり通利でやっておりますが、これまた相当の使用実績がございますので、私どもとしましては、とりあえず用意しましたこの為替変動対策緊急融資制度、かなりの利用が期待できるのではないかというふうに思っておるところでございます。ただ、御承知のとおり業界の中には金利を下げてほしいという要望のございますこと、私どもの耳にも入っております。ただ、いまのような事情でございますので、いましばらく実情を見ました上で、これをどうするかということを、さらに考えてみたいと思っておるところでございます。  それから、第二にお尋ねのございました自己資本の充実の問題は、私どもとしてもかねがねこれは大事なことであると考えておるところでございます。一方では、税制面のいろいろの対応策、他方では、いまお話のございました投資育成会社の活用、こういう二つの手段が考えられるわけでございますが、後段にお話ございました投資育成会社の問題につきましては、実は私どもも、従来の投資育成会社の運用方針でいいだろうかどうだろうか、中でいろいろ議論をいたしておるところでございます。いま率直な感想といたしましては、もう少し業種の幅もふやしていきたい、それから、対象となる中小企業の範囲も広げていきたい、それから、いままではいわば優等生だけが対象になるという仕掛けでございましたが、これをもう少し幅広く適用できるようにしていきたい、こういうことを考えまして、いま構想を詰めております最中でございます。
  71. 下条進一郎

    下条進一郎君 ぜひそれを実行していただきたい。  先ほどの金利の問題は、状況を見てという問題じゃないと思うんであります。私はもっと早急に実行していただきたい、お願いいたします。  それから、銀行局の方にひとつお尋ね並びにコンファームしておきたいと思いますが、いま外貨事情がこういうように黒字が続くと、そうすると外貨がたまるということは、円がそれだけ町に流れるということであります。これで過剰流動性問題が当然出てくると思うんです。この前の四十八年のときのああいう事態を起こさないように、ぜひいまからやっていっていただきたい。最近統計の中でもマネーフローの中でM3が出てまいりました。ところが、M3は残高だけですね、平残じゃないんだから。だから、そういう意味でのコントロールがまだ十分じゃないと思うんです。これから先行きこの問題がまた国民生活、あるいはさらにこういう経済情勢を悪化するような、いろんな要因の一つの手がかりになるかもしれないので、だからぜひともこの問題についてしっかり見きわめて、手形買い取り制度というような方法もいろいろあるかもしれませんけれども、過剰流動性対策について、いまからしっかり考えておいていただきたい、これをお願いして、ひとつ御意見を。
  72. 石川周

    説明員(石川周君) お答え申し上げます。徳田銀行局長、ただいま大蔵委員会で答弁中でございまして、大変申しわけございませんが私がかわってお答えさしていただきたいと思います。  御指摘の点は、私ども金融政策を担当する者といたしまして最大の問題と考えております。インフレ対策には、常に全力を挙げて万全の注意を払っているところでございまして、現在の経済情勢、景気の情勢から勘案しますと、当面はそういう問題はないとは思いますが、長い目で見まして禍根を残さないように、十分の努力をしていきたいと思います。ただ、先生も御指摘のように、最近のマネーサプライ、あるいは日銀券の動き、そういった金融関係の諸指標を見ますと、金は全体としては過剰流動性ということよりは、逆に余り伸びないといった傾向にございまして、当面は金融全体といたしましては御心配になるような点が芽を出し始めているというふうには必ずしも思えないようにも思います。ただ、いずれにいたしましてもインフレ問題は常に注意しなければならない問題であることは間違いございません、万全の注意をしていきたいと思っております。
  73. 森下昭司

    ○森下昭司君 まず最初に、通産大臣にお尋ねをいたしておきたいと思います。  それは、九月二十一日の中小企業団体全国大会に出席して大臣は、大会の総意の決議に基づいて中小企業専任大臣を置いてもらいたいという要望が特別決議で行われたわけであります。その特別決議の要望にこたえて、いまや中小企業関係の従事者は間接的には七千万人、中小企業問題はいわば政治的問題であるということを前提といたしまして、その要望決議の実現に向かって努力をするということを表明されたわけでありますが、この中小企業庁の専任大臣という問題について改めて大臣のお考え方をお伺いいたしたいと思います。
  74. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御指摘がございましたように、中小企業の従業者というものは総企業数の九九・四というような大変な高率なものでありまして、のみならず、これに就労いたしておりまする勤労される方も三千六百数十万ということであります。同時に私は、その関連人口を考えますると、ただいま御指摘のように七千万を超えるというほどの人口でございますことを考えますれば、中小企業問題というものはただ単に経済問題というだけではなく、本当にこれは政治問題であり、社会問題である、こういうふうにさえ把握いたしておるような次第でございます。さような意味で、現在通産省のいたしておりまする業務というものが、ほとんど四〇数%というものはこの中小企業問題に取り組んでおると申しても過言ではございませんし、また予算面から見ましても同様でございます。  この、いまの中小企業の問題につきまして専任大臣を置いたらという御質問でございまするが、これはまあ私の立場というものは、まさに私自身は中小企業専任大臣のような気持ちで執務をいたしておるのでございまするが、まあいろいろとこれは高度の政治判断もあることでございましょうが、さようなことをもってお答えといたします。
  75. 森下昭司

    ○森下昭司君 いや、私はだから最初に、九月二十一日の中小企業団体の全国大会で、特別決議の要望に沿ってお答えになったことを前提に出しているんです。何もいまここで改めて尋ねてるわけじゃないんです。そのとき、私の目の前のあなたは、中小企業専任大臣を置くことについては努力をすると、大みえを切られたんです、大みえを。ですから、その点について重ねて私は所信を尋ねたんです。もう一度お尋ねいたします。
  76. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) そのときの速記はもちろん調べる由もございませんけれども中小企業の問題については私自身体を張ってやっておると、こう申したのでありまして、その言葉のニュアンスをどうおとりになりましたか、専任大臣を置くことに対して努力をすると、こういう明確な発言は、ここに中小企業庁長官もおりまして、その発言のむずかしさというものを非常に研究いたしながらあの席に参ったようなわけでございますから、明確には申し上げなかったということを明確に申し上げておきます。
  77. 森下昭司

    ○森下昭司君 これは、後ほどできれば私全国大会の事務局から議事録をひとつお借りしたり、あるいは録音テープ等で詳細に、また機会を改めたいと思います。  私は、いま大臣がいみじくもむずかしい表現だと言われましたように、大会の雰囲気から申し上げますと、大臣のそのお答えになった内容について、万雷の拍手が出た。要するにそれは期待感であります。そうしてもらいたいという期待を込めた拍手が出ておるということからいたしましても、大会における受け取り方は、大臣自身がそういった専任大臣を置くことについて十分配慮してくれるものだという、私は大会に集まった構成員の方々のやっぱり気持ちというものがあったのではないだろうかというふうに思うわけであります。  ただ、私はここで重ねてお尋ねいたしておきますが、むずかしい問題ではありますが、大臣としては体を張って中小企業関係についてはやっておるんだというお考えをいまお述べになったわけでありますけれども、やはり中小企業団体あるいはその他の多くの中小企業者からそういった要望が出ていることは、これは無視できないと思うんです。その無視でき得ないということは、私はやはり中小企業を専任する大臣を置くことの方が妥当性があり、かつまたそのことによって中小企業の振興ということに相なるのではないだろうかという感じがいたすんでありまして、将来に向かってこの問題について、大臣の所見をもう一度お尋ねいたしておきます。
  78. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私はいささか先生の御意見とは違った所見を持っております。と申しますのは、中小企業と申しますものは、一つ企業体の中におきまするあるいは資本金、あるいは従業員、こういう意味におきまして一応大企業あるいはまた中堅企業と区別いたしまして特段の保護、助成をし、育成をしなくちゃならぬというような、そういうふうな意味を持って中小企業対策というものが特に考えられておるわけでございます。  そういうことから申しまして、企業の事業の内容というものは、大企業中小企業という対立関係でもなければ、あるいはまた中小企業というものが独自の業態でもない。たとえて申すならば、ある一人の人間が青年であり、あるいはまた老年であると、同じ人間でありますけれども、三十歳以下は青年と言うというふうなのと同様でありまして、企業それ自体のやはり仕事の内容というものは、通商産業行政として行っておりまする行政とは何ら区別を必要としない。ただ、あるいは融資の面において、あるいは信用の面において、あるいはまたいろいろな活動の面において特段の保護をいたすというところにプラスアルファが加わっておるというのが中小企業行政であろうと、かように考えるのでありまして、私は特に中小企業というものが別個な通産行政から離れたものではない、かように考えております。
  79. 森下昭司

    ○森下昭司君 たとえ話で、いま人間の年齢から、たとえば三十歳以下は青年と区別するとか区別しないとかいうお話がありましたが、私はその前提といたしまして、大企業中小企業の構造変革を初めといたしまして、現在の産業構造の中における位置づけは、年齢的な、いわゆる三十歳を境として青年とか荘年とか老年とかというような区別の問題とは、本質的におよそ遠いものだというふうに理解をいたしております。それは、今日プラスアルファ的要素で中小企業の保護育成をしているんだと、私はそのプラスアルファ的な、要するに何と申しますか、付録的な、もっと言うならばつけ焼き刃的な、そんな助成政策で今日の中小企業が大企業に立ち向かったりするよりも、中小企業そのものが、小規模零細企業が大多数を占めている現況からいたしますれば、これは日本産業構造上からも重大な発言だと私は思うんです。小規模零細企業なりというものは、これはやはり大企業と違った構造なり体質なりを持っておる。だからゆえにこそ、大企業と違った政策というものがとられなければいけないと私は考えております。そういう点については大臣認識が根本的に違うことをまず申し上げておきます。  それから、それでははっきりお尋ねいたしておきますが、田中通産大臣としては、将来に向かっても中小企業専任大臣を置く必要はないというお考え方ですかどうか、はっきりしてください。
  80. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの発言の中で、ちょっと私から一言申し上げておきますが、プラスアルファというお言葉が私はちょっと……
  81. 森下昭司

    ○森下昭司君 あなた使ったんだよ。
  82. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いや、プラスアルファという言葉がちょっと訂正を私みずから要します。  と申しますのは、プラスアルファではございません。たとえば一つ企業の銘柄が、資本金あるいは従業員というところで中小企業という区別をいたし、同時に、それに対する信用の少なさということから信用補完制度を特段に加え、あるいはまた勤労、労働の面におきましても特段の勤労者に対する、労働者に対する保護政策をとっておるというような、いろんな面が中小企業にはございます。しかし、仕事の銘柄それ自身と申しますものは、大企業のいたしておる銘柄と中小企業のいたしておる銘柄とが全く違ったものではない、こういうことを申し上げようと思っての表現でございまして、プラスアルファという点は私自身が取り消しますから、その点はどうぞ明確にしていただきとうございます。  なお、中小企業の問題につきましては、私自身が中小企業の専任大臣と、かく心得まして執務をいたしておる次第でございます。
  83. 森下昭司

    ○森下昭司君 それは組織上、行政組織からいけば、あなたは中小企業庁を監督する大臣ですから、それは当然ですよ、そんなことは。私は、中小企業諸団体や中小企業関係者が、中小企業省なり——はっきり言えば中小企業省です。中小企業省なり中小企業専任の大臣を置くべきだという考え方があるが、田中大臣としてはそういう考え方を持っているとお答えになっていただけるかどうかと聞いただけの話です。余分なことは聞いておりません。
  84. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私の思いまするところによりますれば、そういう必要がいまはないのではないか。通商産業省において十分、その点は長官以下必死になって努力をいたしておることを改めて申し上げます。
  85. 森下昭司

    ○森下昭司君 それではここで、先ほど私ども竹田委員からいろいろと不況問題の環境条件の問題について質問があったわけであります。そこで私は、さらにちょっと具体的な点二、三お尋ねをいたしておきたいと思います。  その第一は、中小企業関係の倒産の状況についてであります。昭和五十一年度の状況をながめてまいりましても、約二万件になんなんとする中小企業の倒産が続いておりまして、その後も倒産は一向に減少するどころかやや微増の状況すらあるわけであります。かてて加えて、先ほどの質問にありましたように、円高によりまして相当深刻な影響を与えることはもう事実でございます。否定することはでき得ません。今後の、いわゆる中小企業関係の倒産の動向というものをどう見通しておみえになるのか、まず最初にそれをお尋ねいたします。
  86. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) いまお話ございましたように、倒産水準が非常に高いことは私どもとしても非常に心配をいたしておるところでございます。昨年一年で一万五千件、これは負債総額一千万円以上のものの集計でございます。一万五千件ございましたのに対し、今年も依然として高い水準が続いております。恐らく、このままで推移すれば昨年を上回る数字になるのではないかという感じがいたします。  これからの予想という点はなかなかむずかしい要素がございますが、私どもとしては、一方では景気の回復というものが一日も早く中小企業に潤うようになってほしいと念願をいたしておりますものの、やはりこれが大企業を経、中小企業に浸透するまでには若干の時間がかかるだろう。それから、一般的に申しまして十月——十二月期というのは倒産が高水準の時期に当たっております。それこれ考えてみますと、私はやはり今年いっぱいはある程度高い水準が続いていくということを前提として、それに必要な対策を講ずるということが必要なのではないかと思っておるところでございます。
  87. 森下昭司

    ○森下昭司君 そこで、最近通産省におきましてはその対策といたしまして、地方通産局ごとに各県、各地の金融機関、産地の代表でもって、先ほどもちょっとお話がございましたが、連絡会議を設けるとか、あるいは三年、五年にさかのぼって法人税の払い戻しをさせるとか、あるいは産地ぐるみの構造改善計画の立案をするとか、いろいろな緊急対策というものが行われているようであります。また、そのほか中小企業団体法によるカルテルあるいは下請企業対策、設備共同廃棄利用の推進、事業転換対策推進と、いろいろな問題が行われているわけでありますが、私はこの問題の中でやはり一番問題になりますのは、法人税の払い戻しが、果たして四十八年当時と同じように実現できるのかどうかという点がひとつ問題になるのではないかと思うのでありますが、この法人税の払い戻しの問題等についての見通しについて、お考えをお伺いいたしたいと思います。
  88. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) いまお話ございました法人税の払い戻しの問題は、たしかこの前のドルショック対策の一環としてとられた措置のことではないかと思います。今度の円高に伴って同じような措置がとれないかという御提案かと思うわけでございますが、私どもといたしましては、やはりいまの財政事情というものをひとつ考えておかなければなりません。それと同時に、当時はかなり従来からの所得が累積をされておったところに、あの措置がとられたのに対しまして、今回は各企業とも赤字経営がずっと続いているという状況でございますので、果たしてそれをとりましてどれだけの実効が上がるかというような点も吟味しておく必要があるのではないかと思います。  御指摘の点は、私どももなおよく勉強さしていただき、その実態に応じて必要な対策をとるということにさしていただきたいと思います。
  89. 森下昭司

    ○森下昭司君 二番目は、先ほど下条委員からもちょっと御指摘がございましたが、為替変動に伴う緊急融資制度、金利が通常金利の七・六%、たしか中小企業庁が行われました円高影響調査によりましてもこの融資制度は、長官は先ほどかなりの申し込みが期待できるとか、現実に二十日間であるけれども相談とか申し込みもあったとか、抽象的な御表現がございましたが、先ほど申し上げた中小企業庁の円高影響調査によった際に、特に繊維関係の業者からは、過去に何回も何回も融資を受けてきた。借りたいと思っても、また返さなくちゃならぬということを思うとかえって重たくなるから、この制度がせっかくできても、余り利用しないんだという方が大変たくさんおるというふうに私ども聞いておるんでありますが、その点について先ほどから抽象的なお答えがあったようでありますが、かなりの申し込みが期待できると言われるなら、どういうことを根拠にいたしましてそういうようなことになるのか、お尋ねいたします。
  90. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 私どもがこの制度を発足しまして以降、各政府系三機関でどの程度の申し込み状況になっておるのかということを急選調査をいたしてみました。  先ほど申し上げましたように、ちょっと手元に数字を持ってきておりませんけれども、三機関とも一体この制度はどうなっているのかという問い合わせがかなり来ておりますし、また現に相談として、具体的な形で申し込まれている件数も相当な件数に上っております。中にはすでに貸し付けの申し込みまで入ったものもございます。そういうような状況でございますので、やはりこれはやってよかった、またやって喜ばれる制度ではないかと思っておるところでございます。  先ほど申し上げましたのはこれと同様の制度、類似の制度として、関連倒産緊急融資制度というものがございまして、これまた通利でやっておるわけでございますが、この制度は四月から始めて九月まで半年間に、かれこれ三百億以上の利用がございます。そういったことからしますと、この為替変動対策融資制度も、ある程度利用が期待できるのではないかと、先ほど申し上げた次第でございます。  ただお話の中にもございましたように、私ども二十二、三日の実態調査をいたしましたときに、この為替変動対策緊急融資制度について付帯調査をいたしました。それを見ますと、ほとんどの企業はこの制度を知っておるし、利用したいということを言いながら、一部やはり金利を下げてほしいという要望もございましたし、中にこれは一部分でございますけれどもお話ございましたように、これからの先行きや見通しがつかない、借りること自体も心配だという答えがございました。これはもうお話にあったとおりでございます。私はやはりその答えを見まして、産地がこの円高の問題で相当の衝撃を受けているなということを感じ取った次第でございます。  したがいまして、私どももこういう実態をさらに掘り下げて調査をすると同時に、それと並行して、今後どういうふうな対策をとっていくかということを具体的に詰めていくことが必要であろうと思っておるところでございます。緊急融資制度自体をどうするかとか、あるいはそれに関連をして、今後合理化を進めていく場合にどういう応援ができるか、またさらには、一部この際転換をしようというときに、どういう応援ができるか、こういったことを少し詰めて考えていきたいと思っておるところでございます。ただとりあえずの手段といたしまして、実は昨日審議会を催しまして、転換業種の追加指定という措置をとることにいたしまして、近くその旨の告示をするようにいたしておりますし、またかねて懸案になっておりましたいわゆるマル経資金の金利引き下げという問題についても、大体大蔵省と話がつきましたので、こういったように、できるものから逐次手を打っていくということで対処していきたいと思っておるところでございます。
  91. 森下昭司

    ○森下昭司君 これと関連いたしまして、九月一日から政府中小企業金融三機関の貸出金利が引き下げられた、同時に十一月一日からその政府中小企業金融の三機関からの既往の貸付金について、総体的に金利が高いというので、いわゆる金利の引き下げが今後一年間行われる、これは不況業種の指定を受けたものに限るという前提がついておるのでありますが、それにいたしましても、金利の格差が余りにも大き過ぎるのではないだろうかというふうに私ども思うわけであります。たとえば、中小公庫や国民公庫がいわゆる既往の金利を八・六形というふうにいたしましても、いわゆる九月二十一日からの貸出金利の引き下げでは国民金融公庫は基準金利が七・六、同じように中小企業金融公庫も七・六ということになりますと、ここにもう一%の差があることは説明を要するまでもありません。一千万円で十万、一億円借りれば百万円という大きな差が出る。特に商工中金に至りましては、長期貸し付けの一年から五年のものが組合貸しで七・六%、これを今度はいわゆる九%に直すわけでありますけれども、これも一・四%という差がついてくる。あるいは長期貸し付けの五年を超えるもので、構成員貸しが九月二十一日の金利では八%、既往の金利是正が九・四%ということになりますと、これまた一・四%の差がつく。一億円で百四十万円という金利差が出るというようなこと等を考え合わせてまいりますると、不況業種の指定を受けたという特定の業種を対象にいたしまして、十一月一日から実施をいたしまする既往貸出金利の引き下げは、もう少し九月二十一日に実施した新しい金利に近づけていく必要があったのではないだろうかというような感じがいたしますが、このように決まった経緯についてお尋ねいたしておきたいと思います。
  92. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 中小企業の経営にとりまして、支払い金利というものは非常に大きな負担になっております。私どももこの金利を少しでも下げていきたいということで、大蔵省ともかねがお話をしてきておりまして、そういう経過を経まして、先ほどお話ございましたように、ことしの初めであれば基準金利が中小公庫、国民公庫の場合八・九%でございましたものが、七・六%まで引き下げられたという経緯になっております。  実は金融機関におきましても、それぞれ資金コストがあるわけでございまして、その資金コストの許す範囲内で金利を下げていくという形になるわけでございますから、私どもとしては、何とか下げられるような環境をつくるということに一生懸命気を配ってきたところでございます。おかげさまで商中の場合であれば、割引債、金融債の利下げが一つの原資になりますし、国民公庫、中小公庫であれば運用部資金のコストというものが原資になるわけでございますが、それぞれ下がりましたのを受けまして、できる限り金利を下げるということで先ほどのような現行金利へ持っていったわけでございます。ただ、そういうふうにすればするほど、既往金利との格差が目立ってくるという問題が出てまいりまして、そこで私どもは、こういうことはいわば余り例のないことでございますが、既往金利の引き下げもひとつこの際やってもらえないかという話をいたしまして、これはずいぶんいろいろ折衝の経緯もございましたが、まずこれからの基準金利を精いっぱい下げた上、さらに上乗せの要求になるものでございますから、いろいろ折衝がございました。まあしかし、こういう特段の事情であるからということで、基準金利だけではなくて、既往金利までもさらに下げてもらうという措置が、ようやく実現をしたという経緯になっております。  そういう経緯でございますので、基準金利の引き下げの方は、ある程度手心を加えれば既往金利の方に回る原資ができてくるわけでございますが、私は、なるべく基準金利を下げるということに最大の重点を置いて、その余力でできる限り既往金利に及ぼしていくということで、いまのような金利が決まった経緯になっております。この辺従来にない特殊の事例ということで、特例措置として認めたということもあわせて御勘案をいただきたいと思います。
  93. 森下昭司

    ○森下昭司君 そのいわゆる開銀それから北海道東北開発公庫、中小企業金融公庫国民金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、この五行があるわけでありますが、このうち沖縄開発金融公庫を除きまして、いま申し上げた残された四行の貸し出し総額が約九兆四千億円、八・七%以上の高金利の貸し出しは約四兆六千億、約二分の一でありますかになっておると言われておるわけであります。こういうような数字前提としていたしますならば、既往金利の引き下げはまだまだ私は可能ではなかったかというふうに考えるわけであります。さらにまた、これらそれぞれの機関の資金といたしまして、財政投融資の資金の金利は六・五%というような点等あわせて考えますと、私は中小公庫あるいは国民金融公庫等におきましても八・六%以下にすることも可能ではなかっただろうか、また商工中金は一般の資金を仰いでいるという関係もございまして、中小金融公庫なり国民金融公庫よりもやや高い金利になっておるのでありますが、新しい金利が、中小企業金融公庫国民金融公庫とほぼ遜色のない、要するに金利になっておるというようなことを考えますと、商工中金の既往金利の引き下げはやや低過ぎるのではないか、九・〇から九・四%、四十九年十月から五十年七月分が。五十年十一月から五十二年四月分が、これまた九・〇から九・四%になっておるのでありますが、さらに私は〇・五ないし一%程度の金利の引き下げは可能ではなかったかというふうに思うんでありますが、現行商工中金というのは出資者に対しまして四%ですか、何かの配当をしておるというふうに聞いておるのでありますが、いまの経営状況から見まして、この金利をさらに引き下げることは将来可能性はないのかどうか、ちょっとお尋ねいたしておきたいと思います。
  94. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 私どもは下げられるだけ下げていただくということで、その都度金融当局と御相談をいたしておるところでございまして、私ども承知しておる限りでは、今回の金利改定というのは、各金融機関の経営からすれば非常に苦しい条件であるけれども、しかしやはり一般の市中が下がっておるということとの均衡も考えまして、精いっぱい努力した成果であるというふうに聞いておるところでございます。  ただその中で、いまお話ございましたように、商工中金だけが他の機関と多少金利が高いではないかという点は、私ども承知をしている問題でございます。これは、基本的には資金のソースが違っておるということが背景にあるわけでございますが、同じ中小企業が借りていく場合に、あそこだけ少し高いということも気になるのは、いわば当然のような気もいたします。これを少しでもカバーするために、商工中金に対しましては今年度五十億の出資をいたしまして、金利が上がる要因を少しでも消していくような措置を講じたわけでございますが、来年もそれを上回る要求をいたしておりまして、こういうようなことによって、少しでも金利低減にお役に立つような措置を講じていきたいと思っておるところでございます。
  95. 森下昭司

    ○森下昭司君 この制度を、期間を一年間に限定した理由は何ですか。
  96. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 私の理解しておりますところでは、やはりこの不況というものを前提にしまして、特に苦しい業種で赤字経営になっておるというようなところを、放置しがたいということから今回の措置がとられたのであろうと思います。とりあえず一年間の措置を講じて、その間の情勢を見ながら、これをどうするかということをその後に決めるという取り扱いになるんではないかと思います。
  97. 森下昭司

    ○森下昭司君 先ほど私は、最初に不況倒産の見通しの問題についてお尋ねをいたしたわけでありまして、非常に見通しとしてはむつかしい問題がある、したがって不況は、倒産はなかなか数が減らぬのではないだろうかというようなお話があったわけでありまして、私ははっきりと一年先に構造不況業種が立ち直ることができる、これは近代化促進法とか構造改善事業とか、あるいは事業転換とか、いろいろ先ほど申し上げたカルテルの問題だとかあるわけでありますが、そういうことによって立ち直ることができるというはっきりした見通しがあって、それで一年と限定するならば、それはそれなりに理解することができるわけであります。そういう見通しがなくて、ただ当座、当面の私の立場から言えば、糊塗的な政策であってはならぬと思うのでありまして、一年たった後にはまた再び検討されるであろうということはわかるわけでありますけれども、私はやはりこういった問題については、ある意味においては中小企業者に自助努力を起こさせる一つの誘い水としても、大きな期待を持つことができるわけでありまするから、私は不況業種に限定をしたという前提であるならば、もう少し期間の点については考慮してよかったのではないだろうかという感じがありますので、いま長官のお答えになりましたように、さらにひとつ一年後については御検討願っておきたいと思うわけであります。  それから中小企業金融公庫の方がお見えになっておると思いますので、中小企業倒産緊急融資制度に関しまして、一つの事例についてお尋ねをいたしておきます。最近、大阪の双葉工具株式会社代表取締役の岡本という方から上申書を私いただいたわけであります。その内容は、自分の得意先のT社が倒産をいたしまして、約千六百万円か二千万円程度のいわゆる債権の取り立てが不能になった。したがって、この制度を利用して二千万円程度の資金を中小企業金融公庫から借りたいと思ったけれども、いろいろと手続上問題があって借りることができなかった。その問題点は、担保がいわゆる第一主義であるので、担保設定が可能でない限り貸すことができないということであったというわけであります。まあしかし大阪通産局へ行き、その後また中小企業金融公庫大阪支店と交渉を再開して、結果におきましては借り入れることができたわけでありますが、この点については詳細にもう中小企業金融公庫の方において御調査なさっておるわけでありまして、どうしてこういうような問題が起きたのか、原因は何かという点について、一点だけお伺いいたしておきます。
  98. 熊谷文雄

    参考人熊谷文雄君) ただいま先生から御指摘の双葉工具でございますが、結果としては二千万の融資が行われたわけでございますけれども、私どもが調べたところによりますと、当初社長がおいでになりましたときに、五千万円の担保価値のあるものを社長の方から提供されまして、それにつきましては先順位が三千万円ついておりまして、したがって担保内の余力が二千万円残っておったわけでございますが、それにつきまして三千万円の融資の申し込みがあったわけでございます。私どもとしましては、政府関係機関でございますが、やはり一つの金融機関といたしまして、貸し付け実行に当たりましては最終的な債権保全を図るために担保をいただいておるのが一般のたてまえでございまして、今回の緊急融資の際につきましても、もとよりそれにつきましては原則によるわけでございます。  そういうことを申し上げたのではないかと思いますが、ただ、私ども実は従来とも中小企業庁からの御指示もございましたし、私どもの窓口における実感等も踏まえまして、中小企業者の特に最近における経済状況のもとにおきまして、担保の能力が不足するという実情にかんがみまして、十分担保の評価のあり方、たとえば現在の処分価格ではなくて時価によるとか、あるいは担保財産の範囲、すなわち土地とか不動産から機械設備等に拡大し、あるいは有価証券、場合によっては個人の財産、そういったものに拡大していく、こういった方法をとって、できるだけ担保力が不足することによりまして融資が受けられないというふうな事態がないように、努力してまいっておるわけでございますが、今回、このような措置がとられるにつきまして、中小企業庁からの指示もございましたし、私どもとしても、できるだけそういった弾力的な配慮につきましては努力をし、窓口にも十分指導をしておるわけでございますが、ただいま御指摘のような点につきましては、窓口の相当者の段階での、当初社長がおいでになりました際の説明に、やや不十分な点があったのではないかというふうに反省しております。  きょう御指示もございましたので、私どもといたしましては今後さらに、そういった配慮につきましての指示をいたしたいと思っております。
  99. 森下昭司

    ○森下昭司君 繰り返す必要はありませんが、このことは八月十二日——この制度は大体九月三十日に終わる予定であったんでありますが、現在の不況にかんがみて再び来年の三月末日まで延長するということになっておる制度でありまして、八月十二日といえば、相当この制度が利用されて、窓口の方もその取り扱いについては周知徹底、十分承知しておると思うんであります。その方が申された中で、「然しながら私共が此の制度」——「此の制度」とは、いま言った中小企業倒産対策緊急融資制度であります。「此の制度を実行致す場合の貸出し条件等は、当所の他の通常貸出しの場合と何等変るもので無いことをご承知願います。」ここに問題があるんです。全然理解してない。ですから、この方が再び大阪通産局へ行かざるを得ない。行ったら、もっと上の人に会えと。上の人に会った。会ったら、上の人も同じようなことを言った。で、上申書が出たんですね。  これは記録を見ますと、上申書が出て、ぼくらが調査したところ、あなた方の方はあわてて担保の見直しということをお考えになって融資なさったというふうに理解できるんです。あなたの方は九月の十五日に決定したんだと。そして、その後金利の変更等がありますから、若干待って十月三日ですよという御説明がございました。しかし、第一原因は窓口にあったことは、これは否定できないんです。こういう点、中小企業庁長官、一体、幾ら制度をつくったって、こんな状態では「仏つくって魂入れず」ですよ。どういうような指導をなさっているんですか。
  100. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 私どもせっかく倒産対策緊急融資制度をつくりましたのですから、これをいかにうまく使われるかということについては、絶えず注意を払い、また関係者の指導を行わなければならないということを重々考えておるところでございます。  私どもも、本件について聞いてみまして、どうもやはりちょっと手ぬるいところがあったという感じがいたします。私どもも、こういう経験も踏まえまして、今後こういうことがないように、これが十分生かして使えるようにということで、さらに一層関係機関にも指示をし、また連絡をし、改善を図っていきたいと思っておるところでございます。
  101. 森下昭司

    ○森下昭司君 それでは、石油差益の問題について、長官にちょっとお尋ねいたしておきます。  長官は、参議院の予算委員会で約四千九百億円——前提は、円レートが二十円高くなった場合、概算——というお話がございましたが、この積算の基礎ですね、ちょっとお尋ねいたします。
  102. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御承知のように、石油につきましては円高一円当たり、輸入原油につきまして八十五円、キロリッター当たり為替レートが出るわけでございます。それから本年度——ことしの四月から来年の三月末までの原油の輸入量二億八千六百万キロリッターと見込んでいるわけでございます。それにただいま先生御指摘の二十円を掛けますと、約四千九百億円になると、こういうことでございます。
  103. 森下昭司

    ○森下昭司君 そういたしますと、なお、これが三十円、三十五円、四十円というふうに円高——大体私ども二百五十円台が相当長く続くのではないかと思うんでありますが、仮に二十円でいま言った四千九百億でありまするから、三十五円になりますと、大体倍近くになってくるというような計算になるわけですか。
  104. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) マクロ計算としては、二十円に対してその倍率を掛けていけば数字が出てくるかと思います。
  105. 森下昭司

    ○森下昭司君 逆に、私、通関統計から入りましたものを基礎にいたしますと、昭和五十一年九月から五十二年八月までに支払い金額は二百二十九億三百万ドルというふうになっているわけであります。これを一ドル、いま申し上げたように二十円なり三十円なり三十五円というような円高で差益を求めますと、長官のお述べになりまするよりも相当大きないわゆる差益が出るという勘定になるんでありますが、その点についてはどうですか。
  106. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ただいま御指摘の約二百二十九億ドルというのは、とらえた時点が昨年の九月からでございまするから……
  107. 森下昭司

    ○森下昭司君 そうです。
  108. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 時点の差がございますが、ただ、この二百二十九億ドルというのを前提といたしますと、仮に一割下がっておるといたしますと、二十二、三円になりますか、そういったところから、二十二、三円となれば五千億を若干上回る程度のものになるんじゃなかろうかということは言えるかと思います。
  109. 森下昭司

    ○森下昭司君 そこで今度は、石油各社が、いわゆることしの一月値上げ、それから七月値上げなどを背景にいたしまして、値上げを各社が要請をいたしておったわけでありますが、これは値上げをみんな取りやめて、値上げを取りやめたことが差益の還元だというふうに理解されているわけであります。  しかし、実際問題といたしましては、私はこの円レートの先行き見通しの不安定ということが一つあると思うんであります。  それからもう一つは、この十二月にカラカスで開かれまするOPECの石油会議において、石油の原油がどの程度値上げ幅があるのかというような不安定要素を考慮して、そういう措置をおとりになったと私は思うんでありますが、こういった問題について、私はむしろ、逆に輸入牛肉の三百円や四百円が問題になる時代に、消費者に対する行政の姿勢としては、こういう石油各社の申し出をそのままよろしいと、やはり私は、石油各社は精製、元売を含めまして、言うならば、差益を還元をするという姿勢というものを積極的に出すことが社会に対する企業の私は責任だというふうに理解をいたしておるわけであります。  そういう点からまいりますと、企業が、差益は値上げをしないことですよというようなお話をそのまま御了承になっておるというふうに聞いておるんでありますが、そういうお考え方でずっといかれるのかどうか。  また、十二月の値上げは思ったより低かったとか、あるいは円高が思ったより長期化、続く展望を見通したとかいうような場合には、私は逆にこの前の値上げ、五十年の十二月に石油業法第十五条で標準額を設定したと同様に、やはり今後も石油業法第十五条によって、一つの標準額というものを通産省みずからが積極的な行政指導で臨むということが私は消費者に対する姿勢としては必要なことではないだろうかと思うんでありますが、その点を含めて御見解を伺いたいと思います。
  110. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ただいま先生御指摘になりましたように、為替メリットが出ておるということも事実でございますが、一方、大幅なやはりコストアップ要因があるということも配慮する必要があるかと思います。ことしの一月と七月のOPECによる原油価格の引き上げによりまして、これはもう既定の事実として出てきておる線でございますが、先ほど申し上げた約二億八千六百万キロリッターについて考えますと、原油代だけで約五千億の値上がりになるわけでございます。その原油のほかに備蓄、防災、保安関係のコスト、あるいは本年から百十円原重油税関税の引き上げをやっております。そういった要因が総じて千五百億円程度でございます。合わせまして、年度間を通じて私たちの試算によりますと、これマクロ的ではございますが約六千五百億円程度のコストアップ要因がある、こういうことになるわけでございまして、これと為替メリットがどのような相殺関係になるかということが問題のポイントになるだろう、かように思うわけでございますが、いまの時点におきまして、私はマクロ的に見ましても十分コストペイするところまでいっておらないんじゃなかろうかと、かように考えるわけでございますが、ただいま御指摘もございましたように今後為替レートが、たとえば二百五十円で定着するとか、あるいはカラカスにおけるOPEC総会で値上げが見送られるとかいったような事態になれば、その時点に立ってまたその時点の判断をいたすべきだ、かように考えるわけでございます。  それから、石油業法十五条による標準額についてでございますが、これにつきましては、御承知のように石油の製品につきまして不当に高騰する、あるいは不当に下落するおそれがある場合で、石油の安定的かつ低廉な供給が阻害されるおそれがある、特に必要であるというふうに通産大臣が認める場合には、石油審議会に諮って標準額を決定する、こういう制度になっておるわけでございまして、前回、五十年の十二月に標準額を設定いたしました段階におきましては、これまた御承知のように、石油危機の後、混乱を極力軽減する、あるいは回避するために、石油の各種製品につきまして価格抑制指導をしておった。それだけでもコスト割れ状態にあったわけでございますが、その後やはりOPECの値上げもあったというようなことからいたしまして、そのまま放置しておきますと石油の安定供給ができないというおそれがあったために、十五条による標準額の設定をいたしたわけでございますが、その当時と今日を比較いたしますと、必ずしも私たちとしては十五条の要件が充足されてないじゃないか。特に、これも先ほど先生御指摘になりましたように、為替レートというのは非常に変動的である、流動的である、あるいは為替差益と申しますか、石油の場合、御承知のように石油を産油国から船出したときに債務が発生いたすわけでございますが、二十数日の航海日数を経て通関した後、三カ月ないし四カ月の輸入ユーザンスがございます。続いて四、五カ月のタイムラグの後で仮にそこで円安になっておりますと、むしろ為替差損が発生する、かような問題もございますので、私たちといたしましては、当分の間為替レートの推移、あるいはOPECのカラカス総会の結果、こういったものを見た上で、その時点で判断いたしたい、かように考えております。
  111. 森下昭司

    ○森下昭司君 まあ為替差損が出るということは、私はきょうの竹田委員の御質問に対する大臣経済企画庁の御答弁からいたしますれば、常識的にはあり得ないであろうというふうに思うわけであります。ただ一言、石油業法第十五条の要件を整えていないのではないかというお話がございましたが、さらば五十年の十二月は不当な下落をしたり高騰をするような要因があったかというと、価格のいわゆる指導はしておったけれども、不当に下落する要因もなければ不当に高騰する要因もなかったと思うんです。むしろ逆に、自由主義経済をもとにして価格形成がなされるという原理からまいりますれば、むしろ石油各社は製品がだぶついて、C重油を初めといたしましてナフサ等がなかなか値上げが思うに任せなかった。それを石油業法第十五条で通産省が助けた。ある新聞は、通産省は石油業界に救いの手を伸べたということを報道したことを、私はいま覚えておるわけでありまして、若干長官とその点については見解が相違いたしております。  電力の問題はちょっと時間がありませんので、申しわけございませんが割愛さしていただきまして、渥美火力問題の電源開発促進法第三条三項、四項に基づく意見書の取り扱い問題を通じまして、若干残された時間質疑をいたしたいと存じます。  まず第一に、それぞれ県知事を通して意見提出者に回答書が送付をされたということになっておりますが、このような手続は、どのような法的手続によって行われたのか、まず最初にお尋ねいたします。
  112. 喜多村治雄

    政府委員喜多村治雄君) 意見申し立てが二月二十二日にございまして、それに対しまして利害関係人に対しまして第三条第四項に基づきまして「意見の申出があつたときには、国の行政機関の長は、これをしんしやくして必要な措置を講じなければならない。」というのがございます。この「必要な措置」というものを比較的大幅に読みまして、通産大臣に対します意見申し立て及び農林大臣に対します申し立てを十分に検討いたしました上で、「必要な措置」という内容として出したものでございます。
  113. 森下昭司

    ○森下昭司君 私は法的な手続なり、法律がなければ政令でありますとか、あるいは規則でありますとか、要綱でありますとかそういうものがありましたかと聞いている。
  114. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 電源開発促進法施行令第七条によりまして意見書の申し出の手続が決まっておりますが、意見書の申し出は県知事を経由して提出されるということになっております。回答の方は、手続は別途決まっていないわけでございますが、そういった申し出の手続に準じまして、知事を経由して回答を出しているということでございます。
  115. 森下昭司

    ○森下昭司君 私は、申し出の手続をそのまま準用したということはいただけない話でありまして、やはりこれは、政令なら政令の不備ではないかと思うのであります。  もう一点お尋ねをいたしておきますが、いわゆる公文書の要するに回答書ですべて十分だったと、私詳しいことは申し上げなくとも御両者はこの間の四月七日の委員会にお出でありますから、私と喜多村局長の一問一答については十分御承知のはずであります。でありますから、それを前提といたしまして、このような回答形式をとって十分ないわゆる処置を行ったとお考えになっているのか、その点お尋ねをいたします。
  116. 喜多村治雄

    政府委員喜多村治雄君) この意見申し立てがございました後、十二省庁の連絡会議を約八回ぐらいにわたって行いまして、どのような形でこれに対する回答をするか、その内容をどうするかということの検討をいたしまして、その結果として出てまいりましたのが、先生仰せのとおりの手続で、文書で出しましたのと、文書で出しません部分は、通産省がこれに対して具体的に必要な応じて、あるいは必要と申しますか、申し出がありますればその説明をするということにいたしたわけでございます。仰せのように私どもが出しました文面につきまして、必ずしも十分だとは思っておりませんけれども、内容が非常に技術的、あるいは個別的にわたりますので、専門の通産省の担当官から、これに対する御説明をされた方がよりいいのではないかというように判断をいたしております。
  117. 森下昭司

    ○森下昭司君 出してください。  いま喜多村局長から、担当でありまする通産省の方から御説明をした方がいいのではないかというお話でありますが、いまの喜多村局長答弁の中に、文書で出せないものについては通産省から説明することに相なっておるといういまお話がございましたが、文書で出せないものというのはどういうものを指すのか、まず最初に公益事業部長にお尋ねします。
  118. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 私どもの九月二十一日付の回答でございますが、これは御指摘のように、結論と、それから後、今後それをしんしゃくしてどうするかという対応、この回答でございます。不十分でないかという御指摘でございますが、私どもやはり回答いたします際に前例等調べまして、回答しているもの、していないものもあるわけでございますが、そのうち回答しているものについての前例に従って、こういう回答をしたわけでございますが、なお喜多村局長からも御説明しましたように、私ども通産局の担当官から必要な補足説明を行ったということでございます。
  119. 森下昭司

    ○森下昭司君 その担当官の補足説明があるということはどういうふうに意見者の方へ御連絡なさったのですか。
  120. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 意見の申し立て人に直接は御連絡しなかったわけでございますが、申し出について、こういう考え方であるということをプレス発表いたしました。その際に、なお具体的な個別的、技術的な問題については、申し出があれば補足して御説明します、という発表をしたわけでございます。
  121. 森下昭司

    ○森下昭司君 それで事足りるとお考えだったですか。
  122. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 十月の二十日に、先ほど申しましたように、担当官が意見申し立て人のところに伺いまして補足説明をしたということでございます。
  123. 森下昭司

    ○森下昭司君 私の聞いておるのはそんなことじゃないのです。時間がありませんから質問に的確に答えてください。  プレス発表のときに、必要な事項については説明いたしますよと言ったことをあなたはいまここで答弁なさったんです。そのことで、意見書を出した人に対して十分であったとお考えですかと聞いているのです。新聞記者に言って、何で意見を出した人に言えないのですか。電話の連絡もしてないじゃないか。はがき一本出てないよ。それで十分ですか。それを聞いているのですよ、はっきり言えば。答えてください。関係人以外の人に伝えて何で関係人に伝えないか。
  124. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 関係人の申し出がございまして、私どもとしては、先ほど申しましたように十月二十日に説明に伺ったということでございます。
  125. 森下昭司

    ○森下昭司君 質問に答えてください。  大臣、あなたちょっとお聞きしておく、最高責任者でしょう。意見書を出した人に対し切り捨て一片の、こんな一片の紙きれ出しておいて、新聞記者に発表したときに、文書で出せないものについては、説明を求められれば説明いたしますよと答えたんです。それで意見書を出した人に電源開発促進法第三条三項、四項で十分措置したことになるのですか。はっきり答えてください、大臣。誤まりがあるなら誤まりを率直に認めよ。大臣、答えなさい。大臣答えてください。
  126. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) ちょっとその前に事実をもう少し……。
  127. 森下昭司

    ○森下昭司君 事実知らぬことあるか、あんたが。おれが四月七日に聞いておって。大臣、答えてください。そんな重要な問題を全然大臣が知らぬておかしいじゃないですか、答えてください。
  128. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いま、事務的な執務上の手落ちがあるようでございますが、今後十分注意いたしまして、さようなことがございませんように改めたいと思います。
  129. 森下昭司

    ○森下昭司君 手落ちがあって、事業部長、十月の私は二十一日と聞いておりますが、一日の日の違いはいいです。十月の二十一日に名古屋通産局松原公益事業部長及び内田計画課長が、意見を出されました北山郁子さんのお宅へお伺いされたそうです。三時から四時半まで約一時間半お伺いされておる。これは電話で行くといってきただけですよ、いいですか。そこで率直に申し上げます、こういう場所ですから。こういうようなことをしたことは前例がございません、また法規の上では確かな規定がないので、どのように御説明を申し上げていいかわかりませんという前提で、質問したら、そのことは私ではわかりません、本庁から行けと言われて参りましたというような問答が一時間半繰り返えされて、はい、さようなら、こういうことです。これで説明したことになるのですか。
  130. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 私ども報告を受けたところでは、通産局の職員が出向きまして、そこで十分御説明をしたというふうに受けているわけでございますが、なお必ずしも御理解を得てない部分もあるように聞いておりますので、その部分については、なお詳しく補足説明をするようにということで対処してまいりたいと思います。
  131. 森下昭司

    ○森下昭司君 補足説明は、じゃ、いつ、どこでやるのですか。
  132. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) まだ具体的に、いつ、どこでということは決めておりません。
  133. 森下昭司

    ○森下昭司君 喜多村局長にこういう席で申し上げるのは恐縮でありますけれども、この前は、こういう意見に対しましては十分検討を願っておいて——十二省庁で八回御検討願ったそうでありますが、納得のいくような答えをしていただくことと、こうなっているのですよ。いまのやりとりで、一体意見申し立て人の北山さんが納得をしているというふうに推測できますか、これ。どうですか。
  134. 喜多村治雄

    政府委員喜多村治雄君) この前の国会で先生にお答え申し上げました内容から照らしますと、なお不十分であると思います。  で、通産省の方でも、なお今後申立人に対する説明をする、こういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
  135. 森下昭司

    ○森下昭司君 大臣、いま公益事業部長からお答えになりましたように、さらに補足説明を何回か納得のいくようにやっていただけますね。
  136. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 今後十分注意いたしまして執務いたさせます。
  137. 森下昭司

    ○森下昭司君 それじゃひとつ最後に、これは大臣に直接またお尋ねいたしておきますが、ことしの七月四日通産省の省議で「発電所の立地に関する影響調査及び環基審査の強化について」ということがあるわけであります。今後の電源立地に際しましては、環境調査及び地域住民への公開、周知等を強化する方針を打ち出したというふうに私は聞いておるわけであります。  私の前回の質問に対しまして田中通産大臣は、この渥美火力三号機、四号機、八条許可、四十一条認可等に関連をいたしまして、「立地にかかる環境保全上の検討結果をば公開いたし、地域住民等にさらに周知を図るとともに、適切な意見につきましては計画に反映するよう、事業者を指導してまいる考えでございます。」と答えておりますね。公開、周知、そして意見聴取、これはやりますと答えている。事業者にやらせると言っている。これが行われているという御報告をお受け取りになっているのか、まだ行われていないというふうにお聞きになっているのか、この点ちょっとお尋ねいたします。
  138. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまの総括的な面におきまして、現地の環境評価等につきましては一段と手心を加え、十分な処置をとるということを決めましたけれども、当該具体的なケースにつきましては、寡聞にして私まだ報告は受けていなかった……
  139. 森下昭司

    ○森下昭司君 わかっている人でいい、公益事業部長でいいよ。
  140. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 電調審後におきましても、私ども周知、公開を十分やるようにということで事業者を指導しておるわけでございます。具体的には、公害対策の概要を書きましたチラシを配布するとか、あるいは環境影響調査の概要につきましてパンフレットを配布をするとか、そういった措置が現実に講じられているというふうな報告を受けております。
  141. 森下昭司

    ○森下昭司君 それが、何と申しますか、周知徹底さしたとか、公開をしたとか、意見の反映ということになるのですか。チラシを配って、パンフレットを配って、これで事足れりということですか。これは少なくとも私はもう一遍——何遍も質問を繰り返して申しわけございませんけれども、四月七日の委員会で詳しく述べてありますから触れませんけれども、環境庁と通産省との間において文書確認事項になっているのでしょう、環境アセスメントの先取りということで。そして何遍も、大臣も、長官も、公益事業部長も、この席上で、公開し、周知徹底させて住民の意見を聞きます、いい意見があれば計画に取り入れますと何遍でも答えている。チラシとパンフレットで事足れりですか。もう一遍お尋ねいたします。
  142. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 配布いたしましたのはチラシ、パンフレットでございますが、「渥美火力第三、四号機の増設に係る環境影響評価について」という資料を発電所で公開をしており、検針票と申しますが、それに記載いたしまして、必要な方はそこで縦覧ができるという周知の措置をとったというふうに聞いております。
  143. 森下昭司

    ○森下昭司君 それで周知徹底させたというなら、それならそれなりの理解はいいと思います。私は理解しませんよ、そんな方法は。意見の反映はどういうルート、どういう方法で行うんですか、これはっきりさせておいてください。事業者に行わせることになっているが、中電は町の住民代表とも会わないし、もちろん反対している人には会わないでしょうし、反対をしておる人は、中電が来れば幾らでも会って意見を申し述べる機会を持ちたいと思っているのですよ。しかし、中電側はちっとも会っていないんですよ。意見の反映はどういう方法、どういうルートで行うというのか、最後に聞いておきます。
  144. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 具体的に公害対策につきましての意見の反映については、県あるいは町当局からいろいろと御意見を承りまして、それを計画に反映させていくということで、公害対策を一層強化するということをやっているのであります。
  145. 森下昭司

    ○森下昭司君 そんなことはないよ、君。答弁は、事業者に行わせますと大臣は答えているんじゃないか。中電は何をやるかと聞いているんだよ、私は。
  146. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) いや、県当局の意見によりまして……
  147. 森下昭司

    ○森下昭司君 県じゃないよ。四月七日の議事録もう一遍読もうか、それなら。大臣はちゃんと事業者に行わせますと言っているがや、どうしてそんなこと変わっちゃうの。県や市町村に肩がわりしちゃうの。
  148. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) 県、町当局の意見を計画に反映さして、事業者が公害の削減計画を修正してやっております。
  149. 森下昭司

    ○森下昭司君 いかぬよ、関係住民の意見を聞きと書いてあるがな、あなた。関係住民の意見を県や町が聞くんじゃないんですよ。事業者に行わせますと、大臣、書いてあるんですよ。何遍でも読みます、大臣からあったんだし、議事録ちゃんと書いてあるんです。おかしな話をして……、もう時間が来て申しわけないのですがね。さっき私が読んだのをもう一遍読みますよ、それなら。「地域住民等にさらに周知を図る」と、「公開いたし、地域住民等にさらに周知を図るとともに、適切な意見につきましては計画に反映するよう、事業者を指導して」いくと言っているんです、ね。「事業者を指導して」いく。だから県と市が周知徹底を図って、そうして計画の意見を聞いて、それを事業者にいいのがあれば大臣から伝えるという、そういう理解の仕方ですか。先ほどお話あったチラシだとかパンフレット、それなら県や市が発行しましたか。中電がやったんでしょう。ちゃちなチラシを。
  150. 服部典徳

    政府委員(服部典徳君) どうも御説明悪かったのかもしれませんが、県とか町の公害削減についての御注意、これを事業者が受け入れて、削減計画を修正をしているということでございます。したがって住民という概念からいきますと、公共団体でございますから、まあ住民代表ではございますけれども、直接住民ということに当たらないかとは思いますが、そういうことで事業者に意見を反映させると……
  151. 森下昭司

    ○森下昭司君 それじゃ事業部長と大臣答弁と全然違ったことを言っているんじゃないか。  きょうは委員長、時間がありませんからやめておきますが、今後の問題にいたします。まだこれから始まっておるんですから。あなたの方の補足説明があるんなら、補足説明の状況等、進展いかんによりましてまた委員会でやらせていただきます。
  152. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、休憩いたします。    午後一時三分休憩      —————・—————    午後二時十一分開会
  153. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査のうち、不況対策等に関する件について参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  156. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  157. 馬場富

    ○馬場富君 私は、今日の政治課題の中の、特に構造不況、そしてその関係の諸問題について質問いたします。  構造不況の中でも、いま問題になっております苛性ソーダの点でございますが、これは御存じのように、いま非常にわれわれの生活の必需品の中の基礎産業として重要な産業でございますが、昭和四十八年以来の不況によりまして、大変打撃を受けております。この関係につきまして、ソーダ業界不況状況について説明していただきたいと思います。
  158. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 技術的な詳細なことにわたりましては、ただいま担当官もすぐこちらに参りまするけれども、私から一応申し上げておきたいと存じまするが、御案内のとおりに、構造不況業種と申しましてもいろいろございまして、あるいは平電炉、繊維、あるいは合繊、いろんな面がございます。たまたま苛性ソーダの問題につきましては、またその中におきましても特殊なものでございます。  御案内のとおりに、日本ソーダ工業になりましてから久しい間、隔膜法によりまして苛性ソーダをつくっておりましたのでありまするが、その後、より純度のいい電解法になりまして、御承知のとおり、水銀精留器等によりまする高純度のソーダができるようになりまして、そのことは同時に化学繊維、合成繊維といったような非常に塩分をきらいます高度の化学工業におきましては、なくてはならないもののような状態でございました。ところが、その後水銀に対しまする、人体に対しましての汚染の問題がございまして、特に環境庁、通産省、こういうところにおきましての、水銀法に至りましたもの、これを、元の隔膜法あるいはまたイオン交換樹脂によりまする高度のものに切りかえて、水銀を使わないようにというふうな技術的な制約をいたすようになりまして、自来この苛性ソーダにおきましては目下転換中でございます。ところが、なかなか純度のよろしいイオン交換法が容易に全面的に開発できませんので、隔膜法ということになりますると、先ほど申しましたような高度の苛性ソーダ、純度のいいソーダを必要とする業界の方にも影響が出てまいりました。のみならず、今後一日も早くイオン交換のソーダ製法に切りかえたいというて努力中でございまするが、その間におきましてはデュポンやダウといったような海外からの苛性ソーダが流入するようになりまして、日本の苛性ソーダ工業界というものは、いまや非常な実は構造不況に直面いたしておるような次第でございます。  私、一応の経過を申し上げまして、さらに御質問をちょうだいいたします。
  159. 馬場富

    ○馬場富君 いまの大臣お話のように、昭和四十八年にあの水俣病等の公害によりまして、業界通産省の転換計画によりまして水銀法より隔膜法にかわったわけです。いま転換中でありますが、この産業構造審議会の製法転換計画のうちの趣旨と、あるいは四十八年から五十三年までの年ごとの需要計画の需要能力と、それから転換率をひとつ示してもらいたいと思います。
  160. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 転換計画の詳細なデータを持ち合わせがただいまございませんが、ちょっとお待ちいただきますれば、担当官が参ります。これは非常に技術的な問題でございますと同時に、大変デリケートな問題でございますので、ひとつ担当官から明確なお答えをいたさせます。
  161. 馬場富

    ○馬場富君 じゃ、いまの、質問につきましては後にいたします。  要は、この転換計画のために非常に問題点が起こっておる。というのは、結局、転換は一つは隔膜法によって転換をなされたけれども、これに並行して、結局、実は需要の方が伸びなかったと、こういう問題が起こっておりますが、これが一つは構造不況の大きい原因でございます。そのために実は、この設備転換のために一期分だけでも二千七百億円からの一つは設備費をかけて転換したわけです。これはちょうどソーダ工業界の年間総売り上げに匹敵する金額でございますが、二期分を入れますというと五千二百億円にも上るというわけでございます。それで、金利負担、だけでも約四百億円になると、こういう状況ですが、これに対して政府は、どのようなまた対策考えておいでになるかお示しを願いたいと思います。
  162. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御案内のとおりに、隔膜法と申しますものがだんだんだんだんとユーザーの方も、高度な科学技術上の展開をいたしますと、隔膜法によりまする苛性ソーダでは純度が悪いというようなことで、いろいろと御指摘の、これをイオン交換のあれと取りかえていくということでございまするが、その場合におきましても、まだ技術的には非常に日本としましては劣っております。で、そういう問題とともにもう一つは、転換を命じました隔膜法になりましても、その純度の苛性ソーダでは今度は合成繊維その他高度の化学工業の方が受けられないというようなことで、御案内のとおりに、生産されました三分の一程度のものが、なかなか消化できないといったような問題もございまして、御指摘のように非常にソーダ工業界が、まあどちらかと申すならば公害というものを、新しい社会の一つの大きなテーマとして考えまする場合に、その面からきます構造的な転換を迫られております。  いまお話しの、転換いたしまするための、非常な高度のものでございますので資金も要しまするが、残りました残余のソーダ工業界、この去就と申しますか、今後のあるべき姿というものに対しましては、産業構造審議会その他によりまして、いろいろと検討をいたしております。まだ審議会の構造改善の指針が決定いたしておりませんが、われわれの方では審議会の答申を待ちまして、それに従って検討をいたしたいと、かように考えております。
  163. 馬場富

    ○馬場富君 それじゃ、引き続いて先ほどの通産省産業構造審議会の製法転換、これの趣旨と、それから四十八年から五十三年までの年ごとの需要計画と需要能力、そして転換率を教えてください。
  164. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) 昭和四十八年の十一月に環境庁にありますところの水銀等汚染対策推進会議におきまして、苛性ソーダの製法の水銀法から隔膜法への全面転換計画の行政指導方針が決定をされたわけでございまして、それに基づきまして、以後製法の転換を進めてまいり、第一期におきましては約六割の転換が行われたわけでございます。  数字を申し上げますと、転換前におきましては生産能力が三百八十三万トンでございましたが、五十二年六月末におきましては、このうちの百七十四万トンが水銀法として残り、二百七十六万トンが隔膜法として転換をされたわけでございます。——需要の推移でございますか。
  165. 馬場富

    ○馬場富君 よく聞いてもらいたいんです。四十八年から五十三年までの、産構審によって出した年ごとの需要計画と需要能力というのが出ておるわけですよ。それから、それに対する転換率ですね、隔膜法と水銀法との転換の率です、年ごとに。
  166. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) 先生おっしゃいました産構審における需要能力とおっしゃいますのはちょっと私わかりかねるんでございますが。
  167. 馬場富

    ○馬場富君 需要計画です。
  168. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) 産構審で需要計画というものはつくっておりませんのでございますが。転換の数字はわかりますけれども……。
  169. 馬場富

    ○馬場富君 産構審が四十八年に発表いたしました隔膜法から水銀法に転換する、いわゆる製法転換の計画があるでしょう、それですよ。
  170. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) 計画ベースで申し上げますと、隔膜法の生産能力は、昭和四十八年末におきましては十七万八千トンでございまして、水銀法の生産能力は三百六十六万トン、合わせまして三百八十三万八千トンの生産能力がございまして、五十年九月末には隔膜法の生産能力を三百五万一千トン、それから水銀法の生産能力を百六十七万四千トン、合わせて四百七十二万五千トンにするという計画でございまして、これを実行ベースで申し上げますと、五十年九月末におきましては隔膜法が百四十九万四千トン、それから水銀法が二百八十三万七千トン、生産能力が四百三十三万一千トンになりまして、さらに五十二年六月末で見ますと、隔膜法の生産能力が二百七十六万六千トン、それから水銀法の生産能力が百七十四万七千トン、合計の生産能力が四百五十一万三千トンと、こういうふうになっております。
  171. 馬場富

    ○馬場富君 それは計画数字でございますね。
  172. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) 初め申し上げましたのは計画数字で、後に申し上げましたのが実行した転換の結果でございます。
  173. 馬場富

    ○馬場富君 それに続きまして、いわゆる実績ですね、実績は通産としてはどのようにこれをとらえてみますか。
  174. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) 実績と申しますのは転換の実績でございますか。
  175. 馬場富

    ○馬場富君 いや需要実績。
  176. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) 需要実績は、現在大体年間三百万トンでございます。
  177. 馬場富

    ○馬場富君 そのために、結局大きい一つはここに狂いができたと思います。転換の方は実は、いまの計画に基づいて通産の指導のもとに、いま発表されたような四十八年には三百八十四万トン、五十二年には四百五十一万トンと、こういうように実は転換されたわけでございますけれども、それに並行しまして、ソーダ業界の実績というのは、反対にいまおっしゃったように実は四十八年から下降の一途をたどっておる、これが実情だと思いますが、これは明らかに一つは、計画と実績との大きい食い違いだ、これは計画に誤算があったと、こう私は思うわけですが、これに対する通産の見解をお聞かせいただきたい。
  178. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) 先生御指摘のとおり、確かに計画の数字と実績とは非常に大きくかけ離れております。昭和四十八年当時におきましては、あの当時の経済情勢を背景といたしまして、日本経済全体の成長につきましても、それからソーダの需要に関しましても非常に楽観的な見通しが行われておりました。で、隔膜法の転換も、メーカーが大体一四〇%の転換を——一四〇%と申しますのは、たとえば百万トンの水銀法のプラントを壊しまして百四十万トンの隔膜法のプラントをつくったという意味でございますが、そういうふうに、将来の需要見通しにつきまして政府の方も業界の方も、楽観的な見通しに基づきまして転換が過剰に行われた点がございます。その結果、現在非常に大きな余剰設備をつくってしまったということにつきましては、反省をいたしておる次第でございます。
  179. 馬場富

    ○馬場富君 反省だけでは済まぬ問題だと思います。そういう点でそのために実は業界におきましては、この大きい計画と実績の食い違いによりまして、それは百六十七万トンもの食い違いが出てきておるわけです。そのために結局業界におきましては操業率は五〇%から六〇%まで落ち込んでおる、こういうような状況で、政府の指導によって二千七百億円の巨額を投じて転換した新設の設備は四〇%、金額にして約一千八十億円分の設備が遊休しておる、こういう結果になっておるわけです。これは私は反省では済まぬ問題だと思いますが、この点かくと御答弁お願いしたいと思います。
  180. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) 昭和四十八年の第三水俣病が起こって世上騒然としたような時期におきましては、一日も早く水銀法から非水銀法に転換することが急務であるということで、水銀等汚染対策推進会議におきましてあのような決定がなされたわけでございます。その決定に従いまして、転換に対し財政援助等をいたしたわけでございますけれども、その当時の需要見通し、これにつきましては、その他の種々の経済見通しと同様に、当時の情勢からいたしましては、ああいうような需要見通しを官民ともにいたしたわけでございまして、現在からこれを振り返ってみますと、その見通しが誤っておったわけでございますから、非常に反省をいたしておる次第でございます。
  181. 馬場富

    ○馬場富君 次に、実は需給のアンバランスによりまして、一応一期計画は終わりましたけれども、二期計画はいま中途でございますけれども、この推進をどうするのかと、いわゆる転換目的である公害対策はそれじゃ今後どうなるのか、この点をはっきりお願いしたいと思います。
  182. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) 第二期転換につきましては、初めは四十八年の決定におきましては、五十三年三月末までに全面転換をするということに、原則として全面転換するということになっておったわけでございます。しかしその後の情勢を見ますと、隔膜法なる技術に関しましてはいろいろ疑義がございまして、隔膜法の製品では、必ずしも現在の需要に適合しないというようなことがわかってまいりました。それからまた、他面、イオン交換膜法なる新しい技術が出てまいりまして、このイオン交換膜法の技術はいま開発の途上にあるわけでございます。したがいまして、ことしの春におきまして環境庁で会議を開きまして、このイオン交換膜法の技術につきまして専門の委員会をつくり、それの工業化の可能性につきまして、専門的な検討をしていただくということが一つ。それからもう一つは、残っておる水銀法でございますが、この水銀法の工場は現在クローズド化ということが行われているのでございますが、このクローズド化がどれほど確実に行われておるかということにつきましても、専門の学者の調査をしていただくという二つのことを決定し、それに従いまして現在鋭意調査をしており、本日その委員会が開かれまして、一応の結論が出されることになっております。この委員会まだ終了いたしておりませんので、いまその委員会の結論がどうなるかということを私申し上げられませんけれども、この委員会の結論に立脚いたしまして、イオン交換膜法への転換を今後進めていきたいというふうに考えております。
  183. 馬場富

    ○馬場富君 計画が一つは行き詰まったと、そのためにイオン交換膜法におきましては、これはまだ実は検討の段階ですね。だからそんなものを対策の中に入れていただいたって、これは困るわけでありまして、今後のそれは結果待ちということでございますし、それから水銀法によるクローズドシステムの問題、あわせまして隔膜法の問題、ここに一つはこれからのソーダ業界の非常に運命がかかっておりますし、この構造不況をどういうふうに乗り切っていくかという問題があります。  それから、政府の、一つはそういう誤算によりまして、多額のいわゆる設備資金をかけて転換してしまった人もある、そういう人たちとの不公平さ、こういう問題等もございますから、速急にこれは計画を立てて、やはり業界の人たちにも安心してその計画が推進できるように、ひとつはしっかりとしていただきたいと思いますが、その点よろしくひとつ御答弁願いたい。
  184. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) イオン交換膜法及びクローズド化システム等に関する、この技術的な調査結果を踏まえ、かつまた今後の経済状況の推移等を踏まえまして、国民の健康の面からも、それから経済上の問題からも、両方とも納得のいくような転換を進めてまいりたいというふうに考えております。
  185. 馬場富

    ○馬場富君 それに関連いたしまして、この深刻な構造不況と転換でどうしようもないと、こういう日本のソーダ業界の中にありまして、世界最大のソーダ生産力を持つ多国籍企業アメリカのダウケミカルが実は日本に進出して来ると、このために各地にその運動をいま展開しているわけでございますが、これはソーダ業界のみならず、いま非常なわが国産業においても大きい重大問題であると、私はこういうふうに考えるわけでございます。その点について、政府の見解と、あわせていまダウケミカルが計画しておる計画というものをひとつ発表してもらいたいと思います。
  186. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) ダウケミカルの進出に関しましては、資本自由化をしておりますたてまえ上、これを政府が力でもって抑えつけるというわけにはまいらない状況にございます。しかしながらダウケミカルは、日本進出に当たりまして、日本のソーダ業界の需給状況等も考え、マーケットに著しい混乱を起こすようなことはしない、ソーダ工業を始めるに当たりましては、通産省とよく相談をしてやっていくということになっており、現在のところ、ダウが仮にソーダ工業を日本で開始するといたしましても、それは昭和六十年以降のことになるというふうに一応われわれは了解をいたしておるわけでございます。したがいまして、いまこの構造不況の最中におきまして、ダウの進出のためにソーダマケーケットが撹乱されるというようなことはないものと考えております。
  187. 馬場富

    ○馬場富君 ダウは、その計画が最終的には七十二万トンと、こういう莫大な一つは大きな計画を持っておるわけです。だから私、これはちょうどソーダ業界の生産率からいきますと二〇%に当たるわけです。たとえこれは六十年度にいたしましても、わが国のソーダ業界については徹底的なこれは打撃を受ける問題です。そういう点について、このダウが示しておるそういう計画をも通産は完全にコントロールができるかどうか、これを御答弁願いたい。
  188. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) ダウは最終的にどれほどのプラントをつくるかということにつきまして、確定した計画があるとはわれわれは聞いておりません。一応新聞紙上等に相当大きな数字が報ぜられておったこともございますけれども、それが確定した計画であるというふうにはわれわれは考えておりません。先ほど申し上げましたように、ダウが現実に日本で工場建設をするということになります場合には、通産省といろいろ相談をしながらやっていくということになるだろうと思います。ただ、先ほども申し上げましたとおり、われわれはダウに対してこれを統制する権限は持っておりませんので、まあいわば行政指導というようなベースで、日本の市場に混乱を起こさないような仕方の進出を要請するということになるものと思われます。
  189. 馬場富

    ○馬場富君 まあ、今後の進出ということになりますけれども、そのためにはいままで何点かやはりダウケミカルに対して一つはチェックの機会はあったと思います。いわゆるこちらに対する資本の問題にいたしましても、あるいはいままでの製造品目の許可の問題にいたしましても、そういう点についてやはりソーダ等の製法の転換を申請しておるわけですけれども、これには計画がついていないかどうかという点と、それからそれについて、通産はどのような態度でこの問題を見たかをはっきりとお示し願いたい。
  190. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) ダウの子会社が日本にあるわけでございますが、このダウケミカル日本の定款の変更ということに関しまして、通産省に対して承認の申請が出されており、この申請をいかに処理するかという過程におきましての通産省との間でいろいろやりとりがあり、通産省に対しまして念書を提出して、日本への進出に当たりましては、通産省の行政指導に従いながら、市場に大きな撹乱を及ぼさないようにして進出をすると、こういう了解になっているわけでございます。
  191. 馬場富

    ○馬場富君 これは新聞紙上等におきましても、通産はこれを認可を与えたにつきましては、やはりこれに対して行政指導をできると、こういう条件のもとに認可をしたと、こういうように新聞等で公表されておりますが、その点はどうでしょうか。
  192. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) おっしゃるとおりでございます。
  193. 馬場富

    ○馬場富君 それでは、今後ダウが進出してきた場合でも、そのソーダや化学製品についての生産については、通産は生産量等についてのコントロールができるというように理解してよろしゅうございますか。
  194. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) ダウに対しましても、日本一般の化学企業に対する場合と同様の行政指導ができるというわけでございます。あくまでもこの行政指導と申しますのは、その企業との間でいろいろこの意思の疎通を図り、相互の了解の上に相談づくで物事を運んでいくというのが行政指導でございますから、法律をもって強制するというようなコントロールはできません。しかしながら、この日本のマーケットがどういう状況にあるかということは、ダウももちろんよくわかっておるわけでございますし、そういうわけですから、そういうマーケットの状況をよく勘案しながら、そこで著しい混乱を起こすような進出の仕方はしないということで双方が合意しておるわけでございます。
  195. 馬場富

    ○馬場富君 もう一点ダウにつきまして、いま日本のソーダ業界の現状から推して、また転換の状況から推してダウの進出とダウの今後の政策が、いま日本の現状からいって無理だということだけは通産当局はよくおわかりかどうか、その点について。
  196. 天谷直弘

    政府委員(天谷直弘君) 現段階において、ダウが日本に直ちに進出するということは無理であろうと考えております。
  197. 馬場富

    ○馬場富君 次に、構造不況業種の中でも特に石油化学あるいは繊維、塩化ビニールあるいは化学肥料等の、こういう業種の構造不況原因となっておる一つは、問題にナフサの価格がございますが、このナフサの価格についてお尋ねしたいと思います。  今回の構造不況対策の中で、通産一つ対策として、石油化学について、ナフサの価格を引き下げることがこの構造不況の解決の原因であると、こういうように見て、通産がこのナフサの値下げに対して手を打つと、こういうのが対策の中にございますが、これはどのように進められているか、御答弁願いたいと思います。
  198. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘のように、石油化学あるいは化学肥料といったナフサを原料としている業界が非常に苦境にあるということをわれわれも承知いたしております。ただ、石油業界におきまして、円高によるところの為替メリットも発生はいたしておりますが、一方、かなり大幅なコストアップ要因がある。さようなところから一部の元売企業におきまして、この三月あるいは四月に二千円ないし二千四百円の値上げを打ち出しておったわけでございますが、これを当分の間据え置くといったようにも発表いたしております。現実の問題として値を下げるというところまでは至っておらないのが現状でございます。私たちといたしましては、価格の問題につきましては、両当事者が、石油業界と需要業界が話し合いまして、その間に建設的な良識のある解決が見出されるものと期待いたしておるわけでございますが、一方輸入量につきましては当初七百五十万キロリッターの輸入を予定いたしておったわけでございますが、とりあえず百五十万キロリッター増量いたしまして九百万キロリッターの輸入を実現いたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  199. 馬場富

    ○馬場富君 いまお話のように値下げの問題はいま交渉中だという、結局は輸入によって量をふやして解決すると、こういう御答弁でございますが、この輸入ナフサの拡大ということにつきまして、現在このように石油化学やあるいはナフサを需要とする業界におきましては、ほとんど皆構造不況業種の中に入っておる現状でございます。そういう中で、現在国産が七に対して輸入ナフサが三というような割合に使用されております。こういう中で果たしていまお答えのような輸入拡大ができるかどうか、これは技術的にできるかどうか、この点ひとつ返答していただきたいと思います。
  200. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) いまおっしゃったようなシェアと言いますか区分にはなっておりますが、私たちといたしましては、いわゆる石油供給計画に従いまして計画的に輸入の実行を図るというたてまえをとっておるわけでございます。したがいまして、今回増量いたしました百五十万キロリッターにつきましても、もちろんこれは外国から入れるわけで、相手方の問題ということもございますが、計画に従って輸入されることをわれわれとしては期待いたしております。また事実可能だと、かように考えております。
  201. 馬場富

    ○馬場富君 百五十万キロリッターの増加ということを必ずこれは実現すると、こういう答弁に理解してよろしゅうございますね。それにつきまして、実はこの石油業法にもありますように、一つは、この石油業法の精神となっておる消費地精製主義ですね、それからもう一つは、国産品優先市場の原則というのが実は石油業法の精神になっておるわけです。それにつきまして、この輸入拡大によってこの問題が、私は解決が非常にむずかしいと思いますけれども、するとおっしゃいますが、こういう方法はこの石油業法の精神からいくと変な対策になるんじゃないか、この点ひとつ御答弁願いたいと思います。
  202. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ちょっと御趣旨私としても十分くみ取れないのでございますが、御承知のように石油製品というのは、原油から各種の石油が同時に生産されるいわゆる連産品という性格を持っております。その間に、需要との関連あるいは原油の性状等からいたしましてある程度一定の得率というものはあるわけでございます。そういったいわゆる連産品の性格からいたしまして、ナフサを考える場合にも、ナフサ以外の各種関連産品とのつながり、あるいはそれに対しまして一応、輸入量の算定、かようなものが行われるわけでございまして、私は、当初七百五十万キロリッターの予定のものを九百万キロリッターまで輸入を増大することによりましても、現在の石油業法のたてまえには背馳するものではない、かように考えております。
  203. 馬場富

    ○馬場富君 いまの御答弁を理解しますと、やはり国産ナフサは従来どおり使うという上に立って、輸入ナフサをふやすということですか。それともいま需要の方が非常に低下してきておると、そこへ持ってきて輸入ナフサをふやすということは、国産ナフサの数量に変化があるかどうかというこの点です。
  204. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 私、確たるところまでまだ報告受けておりませんが、全体の石油各種連産品の需給というものを踏まえて実施することと思いますが、また一面安い輸入品を百五十万キロリッターふやすということは、現在、需給両当事者で進めております価格交渉にもいい結果を及ぼすようにといったような配慮もございます。さような観点に立って、下期の供給計画を進めていくことになろうかと、かように考えております。
  205. 馬場富

    ○馬場富君 再度お尋ねいたしますが、国産ナフサが一定量いま出ておると、これはそのまま減量せずにその輸入ナフサをふやしていくというと、結局需要度を拡大すると、こういうことに理解しなければならぬわけですが、その点よろしゅうございますか。
  206. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ただいま申し上げましたように、私、まだ十分にそこの報告を受けておりませんが、需要増とおっしゃったのはむしろ供給増、要するに国産品を一定の現在の当初の計画どおりにしておいて、そこに百五十万キロリッターの輸入で供給増を図る、こういう意味でおっしゃっているんだと思います。その状況によりましては、その他の製品、たとえばガソリンだとか、灯油だとか、あるいは軽油だとか、そういったものとの関連で得率というものが決まっていくものと理解いたしておりますので、全く国産のナフサの増減がないというところまで、私いまの段階では言い切れる自信はございません。
  207. 馬場富

    ○馬場富君 もう一点は国産ナフサの、いろいろな両者の立場からいけば非常にむずかしいことかもわからぬが、国産ナフサのいわゆる二万九千円ですね、これはやはり下げることが一番急務であると、こういうふうに実は思うわけです、われわれも。その点ですね。  もう一点は、これと合わせまして、いま日本のやはり石油というのはほとんどメジャーを通じて買われておりますし、それから、いま国際価格の面からいきましてもみんなドル建てになっております。そういう点で、このナフサ価格もドル建てにするのがこれは当然じゃないかと、よしんばこれは、最初のときからやはりドル建てにするということの方がよかったんじゃないかと、こういうふうにわれわれはこの問題をとらえながら考えるわけですけれども、この点二点ですね。一つはいまの国産のナフサの価格の値下げは今後進められるかどうかという点とあわせまして、いわゆるドル建ての問題ですね。よろしくお願いします。
  208. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 二万九千円という建て値の引き下げの問題でございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、需給それぞれの当事者で話し合いを進めておると、こういう段階でございますが、ひとつ御理解いただきたいのは、日本にはコンビナートリファイナリーというのがございまして、これは全国で九地域にございます。これがそれぞれの石油化学あるいは発電所との関連において立地されておるわけでございますが、このコンビナートリファイナリーというものが、非常に企業自体が体質が弱くなっておる、この三月末時点におきましても、繰越損失百三十五億を抱えておるといったような問題も踏まえて考えるべきだと思いますが、私たちが直接介入するというよりは、先ほど来何度も申し上げておりますように、両当事者の話し合いに待つということになろうかと思います。  それからナフサ価格のドル建ての問題でございますが、これはいわゆる支払い条件の一つのタイプでございます。われわれがとやかく言うべき問題ではございませんで、これもやはり需給両当事者での話し合いで、いかなる支払い方法を講ずるかということは、両当事者の判断で決めるべき問題ではなかろうかと思います。私たちとしてこれをとめておるとか、あるいは進めておるという立場ではございません。
  209. 馬場富

    ○馬場富君 石油業界のいろんな話もいまおっしゃいましたけれども、やはり先ほどの質問の中にも、午前中に出ましたが、一つは、石油業界為替差益で四千九百億円の利益も受けておると、そういうような立場からいきまして、実はこれを使う、ナフサを使う業界、石油化学やあるいはその石油製品の関係業界においては、実はその深刻な不況のために三分の一ないしは二分の一も減産をしておると、こういうような状況で、これに関係する従業員は百三万と、これが深刻化してくれば十八万人の過剰人員も出てきておると、こういうふうな状況で、これを対比して見たときに、余りにも石油を中心とした業界において不公平があり過ぎるという点も感ずるわけですね。そういう点でこの問題は、私はそういう意味からも、一つはナフサの価格が、通産初め構造不況の計画の中に建てられたように値下げをすることが妥当だという考え方と、それから一つは、輸入拡大によってそれをなされつつありますけれども、やはり結局国内ナフサの値下げということに今後も真剣に対処してもらって、そして石油業界がこのように差益によってもうけたものを、結局そういうナフサや石油製品に還元して、やはり国民の生活を差益からもこれは還元しなければいかぬと、このように思いますが、その点を強く要望いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。
  210. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私は非常に短い時間でございますので、端的にお伺いをいたします。  初めに、大臣為替相場が急激に変動をしそうであるということを通産省で掌握されたのは七月だということを大臣予算委員会で御答弁になりましたが、そのとき以来、この問題について通産としては相当取り組んできたと私は思うんですね。それで、実際問題としてもうすでに同僚議員や、午前中にもいろいろ質疑ございましたので、私はもうくどくは申しませんけれども、実際問題は非常に大臣ね、これは実務というのはずいぶんおくれているということです。私は大阪ですけれども、具体的な問題も申し上げるとたくさんあるんです。  たとえば中小企業に対する為替変動対策緊急融資というのがありますね。これは発表したのはいつですか。
  211. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 九月三日の景気対策の一環としてこの制度の創設を発表いたしました。
  212. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 九月三日。新聞等に発表されたのはいつごろでしょう。大体で結構です。
  213. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) その前後であると思います。
  214. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 九月の三日とおっしゃったでしょう。現実に大阪では、具体的に私名前申し上げてもいいんですが、これはもう大変だというのである業者の方が、こういう緊急融資という対策あるんだなというんで現実に国民金融公庫に借りに行った。行ったのは十月に入ってからです。あなたがおっしゃったより一カ月後ですね。ところが、大阪のある国民金融公庫では全然知らぬわけです、これ。そんなのまだ全然通知がありませんと、こういう実情ですわ。そういう点からいきますと、先ほど大臣答弁では、こういうふうな業界、いろいろ利用されている、また要望もたくさんある、いろいろおっしゃってましたけれども、実情は、そういうことが現実にあるということです。ですから私はそういう点は、もっとやっぱり小まめに対策をしていかなければいけないんじゃないかと、こう思うんです。  ですからそういうふうな意味では、こういう緊急対策をやったから全部が救われるというんではなくて、やはり血の通った行政というふうな意味で、特にこういうふうな面については配慮をしていただきたい。この点まず大臣から御答弁いただいておきましょう。
  215. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) まことにありがたい御質問で、実は中小企業庁長官とも昨日もいろいろと相談をいたしたのでありますが、われわれが次から次にいろんな政策考え、また執行いたしておりますが、なかなか末端までの浸透というものがむずかしい。そこで機関紙等々でも中小企業庁で発刊して、それで周知徹底を図ったらいいじゃないかというようなことを、きのうも実は話をいたしておりましたのであります。  ことに中小企業の問題、このような冷え切った中におきまする一番どん底のお気の毒な小規模企業あるいはまた中小企業、こういう問題の対策は理屈だけではなく、本当に愛情を持った心からの気持ちが私はまず潜在的になきゃならない、こういうふうに思います。そういう点では、とてもたくさんの従業員も使っていない、組織的にもまとまっていない小規模企業の経営者、おやじさんといいますか、等々は新聞さえなかなか読むような暇もないようなことが多いと思うんであります。そういうことで、どうしたらば一体周知徹底ができるだろうか、もっともっと新しい制度ができたらば、これを徹底させるための中小企業庁の末端の機構、あるいは通産局、あるいはまた商工会議所、商工会、さらに市町村といったような方々を本当に、あるいは訓練もし、あるいは教育もし、あるいは御指導もし、そうして末端までの浸透、親切な御指導をできるように、われわれはこれから努めなきゃならぬということを、昨日も長官としみじみ話し合ったような次第でございます。
  216. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ぜひこの問題は、これは対策とかそういうふうな言葉の上だけではなくて現実の問題として、大阪の——私は地元におりますからよくわかっておりますけれども、鉄鋼業界にしましても、鋳物業界にしましても、不況というのは簡単に融資を、お金を借りるというだけではもう済まない。もうお金は借り倒して担保も何もなくなってしまっていると、そういう非常に苦しい実情にあるということをわかっていただいて、その上でやっぱりこの対策を立てていただかないといけない、そういうことになると思います。そういうような意味で、ぜひともこの問題については今後またいろんな角度からお願いをしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  時間の関係がございますので、端的に次に為替差益の問題ですね、これはエネルギー庁になりますけれども、これは私は長官ね、午前中にも多少質問ございましたけれども、私はちょっと角度を変えて質問してみたいと思うんですけれども、石油の為替差益というのは私は大変なものだろうと思うんです。それをやはり国民の生活というものにどう還元をするかということを、やっぱりエネルギー庁の長官というのは、そういうことは大臣考えるんで、エネルギー庁の長官は業者の方のというのじゃ困るんで、この為替差益という問題についてやっぱり深刻になって考えてもらいたいと私は思う。  そこで長官ね、いままで長官が午前中を含めて答弁されたような答弁は全く要りませんので、それはもう私は重ねて質問しませんから、違う意味で質問いたします。  それは、まず昭和五十一年度決算による出光とか日石とか丸善とか、石油九社ありますね。九社の為替差益、これは幾らなのか、これが一つ。それから石油業界全体、まあ通称三十六社とも言われておりますが、この三十六社のいわゆる為替差益というのはどのくらいになっているのか、昭和五十一年度です。これまずお答え願いたい。
  217. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) まず、全体として五十一年度の決算では千七十一億円出ております。ただいま先生から会社別におっしゃったわけでございますが、その数字持ち合わせておりません。ただ、民族系、外資系という区別の資料で申し上げますと、民族系につきましては六百四十五億、外資系につきましては四百二十六億円ということになっております。
  218. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 昭和五十一年度のいわゆる為替変動によって千七十一億というような石油業界全体の為替差益があったわけですね。これはやっぱり昨年の決算でさえこれだけあったわけですわ。これから見ますと、ことしのいわゆるこの円高による差益というのは一体どの程度予想されますか。
  219. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 為替差益として幾らになるかということは、いまの段階ではマクロ的に試算をするより方法はございません。
  220. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それで結構。
  221. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) それで計算いたしますと、これは午前中もお答えしたわけでございますが、一キロリッター当たり八十五円、一円の円高につきまして八十五円の為替メリットがあるといたしまして、年度間で二億八千六百万キロリッターの原油が輸入されるといたしますと、年度間を通じて二十円の円高の場合には約四千九百億円、かようになるわけでございますが、ただ為替メリットと申しますか、その点についてのみ申し上げればさようなことになるわけでございますが、コストとして考える場合には、その他のコストアップ要因というものも当然考えてかからないといけないということになろうかと思います。
  222. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 後段の話はいいわけです。これは要するに四千九百億というのは、これはマクロ的に長官考えてみてそれだけあるというわけですから、実際問題決算の上でこれはもう、為替値上げ要因やそういういろんなものを含めて、現実に昭和五十一年度には一千億というものが出ているわけですね。差益として出ているわけです、決算の中で。ということは、逆に言えば、現在のあれからいけば長官のこの見積もりというのは、マクロ的に見て四千九百億というのは非常に私は少ない見方だと思う。現実にそういうふうに言う人がいるわけですよね。最低見積もってこれだけはあると、こうなります。そうしますと、これはやっぱりこれだけの差益があるということは明らかなんですよ。  ですからそういうふうな意味では、私はぜひこれをどういわゆる国民にといいますかね、これは要するに国民にということは、値段の上で具体的に還元せざるを得ないわけですから、それをすべていわゆる値上げ要因とかそういうことで云々という、会社側が言うようなことを長官の口から私は聞こうとは思わぬ。やはり長官としては、これだけの差益が出ているわけですわ、現実にね。ですからそういうような意味では、やはり違う意味での行政指導というのが必要になってくるんじゃないか。  私はそこで現実の面として、この二十日付の新聞によりますと、灯油の各社がこれから冬場にかかって灯油の値上げとか、あるいは使用の増加期間が来るわけですけれども、そういうような意味ではこれはやはり私は現在の三万二千八百円というのは値下げせざるを得ない。私は幾らかでも反映しないと、使う方としては納得しませんよ、やっぱり。またそういう行政指導もしないと、これはもうかねがねから言われている、通産省企業べったり寄りだということを言われざるを得ないわけですね。そういうような意味では、何らかの行政指導をすべきであると私は思うのです。またもっと逆な意味で言いますと、これだけの為替差益をどう国民に還元をするかということについて通産省としてはどう悩んでいるか、これはもっと具体的にお願いをしたいと思います。
  223. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) いささか失礼な言い方になるかもしれませんが、為替の差益というものは一人歩きしておるものでは私はないと思います。差益というのは別の言い方をすれば、その分だけ原油を安く購入し得るコストの引き下げ要因であると理解いたしております。したがいまして、コスト構成の中で、一方で一月と七月にOPECが原油価格を引き上げております。この引き上げておる効果とどう相殺されるか。あるいは原油以外のたとえば備蓄だとか、保安、防災関係のコスト等の上昇というものも織り込みまして、コストとしてどうなるかという立場考えるべきだというのが、別にこれは業界考えではなくて、経済というものはそういうものだと私は理解いたしておるわけでございます。  また私どもといたしましても、できるならば為替の差益というのはできるだけ還元いたしたいわけでございますが、反面、安定供給ということも非常に大切でございまして、安定供給ができないような、コスト割れで供給をしろと言っても、これまた無理な問題かと思うわけでございまして、そういう観点に立ちまして、私はこの石油業界における為替差益の扱い方、それをどのようにコストに反映あるいは価格に反映していくかということについては、私なりに苦慮しておるつもりでございますが、現在の段階では、まだ十分コストをカバーし得るに至っておらないということでございまして、一部の元売企業が、この三月あるいは四月に発表いたしました、値上げをとりあえずこの段階で据え置く、それなりのやはり消費者への差益の、あるいは本来もう少し高くなるべき原油コストの円高によるところのメリットを国民に還元しておる一つの手段だ、かように理解いたしております。
  224. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 長官、そんな考えは全然あきませんわ、それは。私はそれはわかっているのですよ。それはそうおっしゃいますけれども、灯油各社はだれも初め、この灯油をどうのこうのという問題が大きく起きる前に、前もって凍結しますと、こう言うておるわけよ、これね。というのは、こういう業界が凍結しますと言うことは、こういうことが問題にならないように前もって手を打っているわけです、現実にね。しかもあなたおっしゃるように、現在では為替差益がカバーするところまで行っていないとこうあなたおっしゃいますけれどもね、それじゃ現在までというのは一体為替相場ね、いわゆる一ドル幾らまでならどの程度のカバーができると考えているのか、これからまた円高というのは、どこら辺までいくと考えているのか、これ非常に重大な問題ですよ、実際問題ね。そういう点も御答弁いただきたいと思います。  それから、時間ございませんので端的にもう申し上げますが、これ現実の問題として、灯油の問題については昨年九月、通産省としては価格凍結指導というのをやっておりますね。それでことしの五月でそれが解除されているわけですけれども、これからまた灯油の需要期に入るわけですよ。そういうような意味ではいろんな事情はありましょう。けれども、やはり私はここら辺でこの問題については相当考える必要がある、少なくとも昨年の九月のあの行政指導にプラスかつ現在のこの三万二千八百円というのをもう少し下げるべきじゃないか、下げる指導をすべきじゃないかというのが二つ目です。  それからもう一点、最後に申し上げておきますが、これは先ほどからのいわゆる原油をこれから円高ですからどんどん輸入をする、これは私はいいと思うのですね。そこでいわゆるC重油とかナフサというのは、これはほとんど大企業ですからね、相手は。ですからずうたいが大きいわけですよ。ですから値段の交渉にしたって何にしたって、こんなナフサの値下げとかC重油の値下げというのは、それぞれ企業間で相当私はやられると思うんです。ところが灯油とかガソリンというのは、これは非常に零細ないわゆる消費者でしょう。こういう人たちは、これはなかなか力関係から言いましても、これは交渉する相手が、もう相当まとまらない限り大きな力にならないわけですね。そういうような意味では、これから冬場に向かって非常に私は重要な時期に入る。そういうような意味で、ぜひそういう点にも配慮をしてやっていただきたい。この三点について一遍御答弁をいただきたい。
  225. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 初めに私が為替メリットだけでまだコストをカバーしていないというお答えをいたしたわけでございますが、これは個別企業に当たったわけでございませんで、先ほど来申し上げておりますようにマクロ的な計算の結果でございます。その後の過程におきましても、五十二年度上期の決算まだ集計終わっておりませんが、本年の三月末において赤字企業が三社程度であったわけでございますが、いままでのわれわれの調査によりますと、これが数社にふえるといったような状況でもございます。そういった意味合いも含めまして、必ずしもコストを全体としてカバーしておらないんだと、こういうふうに申し上げたわけでございます。  それから灯油の問題につきましては、御指摘のように昨年の九月時点で三万二千八百円の元売仕切り価格で凍結と申しますか、据え置きを指導いたしまして、十八リッター店頭渡しで七百二十五円というのが当時の価格であったわけでございますが、最近九月時点での消費者モニター調査によりますと、これは七百十八円、まさに需給の実勢を反映しながらその価格というものは形成されておるということでございます。  それからガソリンについても同様のことでございまして、昨今はどちらかといえば価格が軟調ぎみでございまして、千円ぐらいキロリッターベースで安くなっているんじゃなかろうかと思います。ただ、御指摘のように、灯油だとかあるいはガソリンといったものは一般国民が消費者として直接購入する、その他の製品との差等があるということは重々私も承知いたしておりますので、そういったところに不当なしわ寄せが寄らないように注視してまいりたいと、かように考えております。
  226. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 私の時間参りましたのでこれでもう終わりますが、大臣、そういうふうな意味で特にこの灯油の問題については、やはりこれから冬場に入りますし、相当需要期に入るわけですから、通産省としてもこれは実情調査をちゃんとやって、それで、今後できたら私はこの貿易差益というのを、それはコストの中にすべて含まれると、それはそのとおりでしょう。けれども、やっぱり国民の目から見ればそれだけではないわけですね。ですから、そういうような意味でよく調査をして、ぜひ私は行政指導なり何なりできちっとしていただきたい。このことを大臣に最後に御答弁いただいて私の質問を終わりたいと思います。
  227. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御趣旨のほどはよくわかります。私どももそういった気持ちで今後対処いたしたいと存じます。   〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕
  228. 安武洋子

    ○安武洋子君 けさから論議をされておりますけれども、いま円高が大きな問題になっております。特に九月の末からの円高は異常な状態で、通産省の和田事務次官も異常状態だ、こうおっしゃっているわけですけれども、この円高原因というのは大きく言って私は二つあると思うんです。  一つは、何といってもアメリカの円に対するねらい撃ち、こう言っても言い過ぎでないような圧力だと思います。政府予算委員会などでアメリカの圧力を否定されておりますけれども為替市場ではいま、相場のことはブルメンソールに聞け、こう言われているほどで、九月の下田会議、それから日米準閣僚会議、IMFの総会、こういうものを通じてアメリカはいま選択的為替調整、これを打ち上げまして追及をしているわけです。これが第一の原因。  そして第二の原因といいますのは、今回の円高原因をつくりましたのは、これは日本貿易収支黒字がやり玉に挙がっているわけですけれども、鉄鋼あるいは自動車、カラーテレビ、こういうものの集中豪雨的な輸出、これがアメリカやECに向けられて大きな摩擦を引き起こしていると思うのです。  そこで私は通産大臣にお伺いいたしますけれども、一体この円高にどういうふうに対処をなさるのでしょうか。あるいは家電とか、自動車とか、こういうふうな無秩序な集中豪雨的な輸出に対して、どういう対策をおとりになるのでしょうか、基本的な考え方をお伺いいたします。
  229. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御指摘のとおりでございまして、いまの円高によります影響がまことに深刻にあらわれております。  いまお話ございましたように、どう対処するかという問題につきましては、一方におきましては黒字減らしと申しますか、何とかして経常収支日本の黒が、これが減りますように、一方におきましては、先方に向かいまして集中豪雨的な大変な輸出が行われておる、これを何とかして正常なものに戻しますと同時に、先方のいろいろと誤解もあり、あるいはまた先方の事情もあり、そういうふうなことがございますので、アメリカに対しましても、ECに対しましても、政府といたしましても、あるいはまた業界に対しましてもよく指導もし、また外交的にも折衝を重ねてまいらなくてはならない、こういうふうに考えます。またそういうふうな影響が対外的にもありますと同時に、また対内的にもいろいろの影響がございますので、一方においては円高によりまする差益もありますれば、あるいはまた差損もあります。そういうふうな関係で、内外の諸般の問題をいろいろと検討をし、一つ一つ解決に努力をいたしておるような次第でございます。
  230. 安武洋子

    ○安武洋子君 通産大臣と御意見が一致したらしゅうございますけれども通産大臣はいまの円高原因一つ、これはアメリカの円に対するねらい撃ちとも言うべき圧力だということに、全くそのとおりだとお答えいただいたわけですけれども、これに対して、じゃ、どういう対策をおとりになりますんでしょうか。
  231. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ちょっと全く同じであるとおっしゃいましたが、いまの表現がちょっとのどにつかえますので、その点はちょっと訂正いたしますが、私はいまのアメリカの大きな赤字と、それから同時にまた日本経常収支黒字と、それに対しましての、またそれ以外のいろいろな要素に基づきまする結果がいまのようなことになっておりますので、別にアメリカ日本に対しましての計画的な動向とは私は必ずしも考えておりません。しかしながら、結果からいたしますると、対米関係におきましては調整を要する面が非常に多いということは事実でございます。  そこで円高の問題のみならず、アメリカの自動車、家電あるいは鉄鋼、そういうふうなものに対しましての、先方におきまする経済的な甚大な影響、打撃をできるだけ与えないように、あるいはまた向こうの労働大衆の失業等々にかかわりまするような問題に対しましても、これもそういうことがないように、われわれといたしましてはあるいは対内的に当該業界に対しましてのお話し合いを進め、あるいはまた先方に対しましても誤解がないような了解と、同時にまた、外交的にいろいろな問題の解決をやっていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。一方また黒字の問題につきましては、われわれの方で何とか先方からの輸入を拡大いたしまするように、対内的にも努力をいたしておるような次第でございます。
  232. 安武洋子

    ○安武洋子君 お答えがすぐに変わるのは、大臣、困ります。先ほど私がお伺いしたときにはおっしゃるとおりだと思いますということでございましたので、御意見が一致したというふうに受け取らせていただきましたけれども、   〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕 大臣アメリカの意図的な圧力でないと、こういうふうにまたいま御訂正なさいましたけれども、でも、いままでのいきさつを見ますと、九月の二十九日にブルメンソール財務長官は、アメリカ貿易収支赤字は七七年に二百五十億から三百億ドルになる、こういう見通しを述べて、日本貿易経常収支黒字が是正されなければ、米国などで保護主義の動きが出るのは当然だ、こういう発言をされて、この発言が今回の円高の契機にもなっておりますし、それからIMFの総会——これは九月末ですが、下田会議、こういうところで黒字国、特に日本への攻撃がなされているわけです。  こういうアメリカの主導の一連の国際会議の中で、ドルの信認低下について米の経済、それから景気の先行き、こういうものに一応の信頼を獲得した上で、問題は日本、西独の内需拡大と黒字減らしだと確認させて選択的為替調整、この下地づくりもいたしておりますし、さらにはアメリカの上下両院の経済合同委員会でのソロモン財務長官の証言の中でも、まあいろいろありますけれども通貨を切り上げるように引き続き日本に対して要請すると、黒字国に対してですね、こういうふうなことも言っておりますし、まだたくさんいろいろとあるわけなんです。ですから大臣がたとえどうおっしゃろうと、やはりアメリカの非常に円をねらい撃ちにしたやり方、これが今度の私は円高原因だろうというふうに思うわけなんです。  そこで、通商産業をあずかる通産省としても、この円高というのは非常に重要な問題だというふうに思うわけですけれども為替政策のあり方、方針、こういうものに対して政府部内の中ではどういう態度をおとりになっていらっしゃるのか、それからまた政府日銀は実勢に任せるというふうにおっしゃっていられるわけですけれども、通商産業省としてはどういうふうにこういう問題についてはお考えなのか、お伺いいたします。
  233. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま変動相場制をとっておりまする日本といたしまして、御案内のとおり、それを固定化いたすことはできないのでありまして、それに対しましてあるいは日銀、あるいはまた大蔵当局為替政策に従いまして、私どももそれに対応した通産行政をいたしておるような次第でございます。  なおまた、今後の見通し等々にも緊密な連絡をとりまして、そうしてわれわれは大事なお預かりいたしておりまする企業が活力を喪失することがないように、また非常な冷え込んだ経済の中におきましては何とか、なかんずく中小企業の厳しい姿に対しましては、これを守り続けていくように、元気づけていくように、こういうふうな政策をとるのが通産省立場でございまして、為替それ自体の問題につきましては大蔵当局なり日銀当局なり、そちらの方にお任せをいたしたわけでございます。
  234. 安武洋子

    ○安武洋子君 私の質問にもう一度ちゃんとお答えくださいますでしょうか。私は政府日銀が実勢に任せるとこうおっしゃっているわけですけれども通産省としてはこのことをどうお考えでございましょうかと、こういう御質問をいたしております。
  235. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) これはおのおの機構の中には担当があり、つかさつかさがあるわけでございます。変動相場制に対しまする批判でありますとか、あるいは見解は通産大臣といたしましては控えさせていただきます。
  236. 安武洋子

    ○安武洋子君 でもこの問題は、日本通産行政に大きな影響を与えるわけなんです。私は政府日銀が実勢レート、これ、任せるといっているのは非常に大きな問題があろうかと思うんです。  お伺いいたしますけれども、いま輸出をふやしている自動車とか、鉄鋼とか家電とか精密機械、こういうふうな各業種の輸出採算レートですね、通産省は一体どれぐらいだと御認識なさっていらっしゃるんでしょうか。
  237. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それは採算レートの問題から申すならば、輸出を業といたしまするものといたしましては、輸出がしやすいようになることが喜ばしいことでございますから、円が余り高くなることは好まないでございましょうし、あるいはまた原料を購入しなきゃならない立場輸入業から申しますと、これまた安い物が入ってくるようになった方がよろしいでございましょうし、一概にも申し上げられません。
  238. 安武洋子

    ○安武洋子君 いま私が申し上げましたような業種の輸出採卸レートを、一体通産省としてはどれくらいに見ていらっしゃるんですかと、こういうことをお伺いいたしております。
  239. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) ただいま自動車、鉄鋼、家電、精密機械などの採算レートの御質問でございますが、これらの品目につきまして、品目ごとあるいは企業ごとにいろいろと内部の事情ございますので、われわれとしては、幾らほどが採算レートということは申し上げられませんが、いずれにしましても自動車、家電、精密機械につきましては、かなりな価格競争力を持っておることと判断しております。
  240. 安武洋子

    ○安武洋子君 私ども調査ではいまおっしゃったように、自動車とか家電とか、こういう輸出産業といいますものは非常な競争力を持っている。これは経済企画庁調査局の経済月報五月号でもちゃんと分析をなさっていらっしゃいます。鉄鋼大手五社で百円台、自動車七社で二百円台、これで限界利益確保可能な対ドルレートだ、こういうふうになっておりますし、さらに十月の五日の日経の輸出企業円高影響の全体の利益がゼロになる円レート、これには日産自動産が百六十五円、トヨタが百六十円、こういうふうになっているわけなんです。大臣に私は申し上げたいのは、実勢レートといいますのは、こういう輸出企業のみを念頭に置いたものになる。これに対して輸出関連企業とかそれから産地、これは大幅に採算点を割っているわけなんです。  ですから中小企業庁に私、これもお伺いいたしとうございますけれども、七月時点調査をなさっておられますこれらの産地の。この七月時点調査をなさったときに産地の採算点、これを幾らぐらいと見ていらっしゃったんでしょうか、ちょっとこの点、お伺いいたします。
  241. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 七月の調査のときに採算レートをどのくらいかということを聞きましたところ、これは業種により、産地によって非常に幅がございました。ただ総括して申し上げますと、大体その当時でございますと二百七十円とか二百七十五円ぐらいがほしいという声がかなり多かったように思います。ただその後、さらに私ども産地のいろいろ実態を調べてみますと、これは産地の中で企業によって相当差があるということが言えるように思います。同じ雑貨の産地の中でも独得の意匠を持ち、独得の機構を持っているものは、ドルの値上げをもって対抗することができるという声もございますが、他面、価格競争力のみに頼っているところにおきましては、ドル円レート円レートの動きというものが企業の経営を左右する非常に大きな要因になっておるという答えが出てきております。
  242. 安武洋子

    ○安武洋子君 中小企業庁、今回の円高が生じてから実態調査をなさっていらっしゃいますね。中小企業輸出関連業種ですね。この実態というのをどういうふうに把握をなさっていらっしゃるかということをお伺いしたわけですけれども、七月の二十七日に中小企業庁は産地における円高影響調査、これでも採算レートは、二百六十五円が定着すれば多くの産地で相当の影響を受けるものと予想していると、こういうふうなことも挙げていらっしゃるわけです。七月の時点で二百七十円前後の採算ベースだ、幅があるけれどもといまお答えございましたけれども、現在の事態というのはかなり深刻さを増しているというふうに思うわけなんです。いまの現状、どういうふうに把握をなさって、そしてどういう対策考えていらっしゃるのか、けさほどからの対策もございましたけれども、さらにそれにつけ加えて、対策を何かお考えかということをお伺いいたしとうございます。
  243. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 六月以降円高の情勢が顕著になってまいりました。私どもは七月にいまお話のございましたように二十二産地についての実態調査をいたしました。その後同じ産地につきまして八月の状況、九月の状況を調べ、さらに十月になりまして一段と円高が進みました段階で、新しい時点の追加調査を行っております。それらの状況を通観をしてみますと、七月ごろに円高影響を受けまして、各産地とも輸出の引き合いが非常に減ってきたということが言われております。そのことを背景にして各産地とも手持ちの受注量がかなり減りつつあるということが言われております。ただ、八月、九月と二百六十円台がしばらく続きましたので、その後多少注文が出てきたというような声も出てきました矢先に、十月にさらに円高になりましたので、これからまた注文が非常に減るんではないかということを心配をしております。その間にありまして、手持ちの受注残もかなり落ち込んできておるということが言えると思います。  また、産地の金繰り状況を聞いてみますと、やはり資金的にもかなり苦しいということが言われております。二百五十円台が仮に今後続いたらどうなるかということを聞いてみますと、産地におきましていろいろ答えは違いますけれども、大まかに申しますと、やはり注文の減少ということは避けられないだろう、それからもう一つ、加工賃が引き下げられるということを心配するという声もございます。これからの対応といたしましては、ここで採算点ぎりぎりになっておる、これ以上値下げはできない、これから多少注文が減るのはやむを得ないというグループと、それから他方では、もう仕事がなくて困っておる。したがって、採算の面では相当無理になっておるけれども、注文は受けざるを得ないというような答えをしておるグループと二つに分かれるのではないかと思っております。いずれにせよ、今度の円高の問題というのは、中小企業産地にとってはかなり重要な問題になっておるということが言えると思います。  私どもは、こういうような事態に対応しまして、とりあえずつなぎ融資という形で、先ほどちょっとお話もございましたが、十月一日以降、為替変動対策緊急融資制度というものを発足をさせました。これは各産地の声を聞きまして、資金繰りに困っているのでとりあえずつなぎ金融が欲しいという声にこたえたものでございます。しかしながら、これはあくまでもつなぎでございまして、こういうつなぎをしている間に、これから中小企業としてこれをどう受けていくのかということについての方向づけ、またその方向づけに応じた具体的な政策、これらを逐次積み上げていかなければならないと思っておるところでございます。
  244. 安武洋子

    ○安武洋子君 けさからの対策をお伺いいたしておりまして、いまそれ以上の対策ということでお伺いいたしましたけれども、それ以上の対策はお答えいただけなかったわけです。けさからの論議の中でも出ましたのが、事業転換、これを促進していくというふうなことも出ておりましたけれども、事業転換についてはこれは法が発足したばかりなんです。やっと研究会ができた、まだ計画的な段階を脱していないわけです。しかも、いま現在深刻な不況の中で事業を転換して、必ずうまくいくという保証はどこにもないわけなんです。十七業種を追加なさっておりますけれども、こういうことでは本当にいまの深刻な円高からの影響、これを救うことはできないと思います。いま輸出中小企業者、これが最も望んでおることというのは、もっと適切な政府対策なんです。これいま打つ手をもっとどんどん早く打っていただかなければならないというのは、先ほどからも出ておりましたけれども、いま私調べてみますと、実に中小企業庁、調査調査調査を何回も繰り返していらっしゃるわけですね。調査をするのが悪いということではありませんけれども、ことしに入って産地円高影響調査これが三回目なんです。七月から九月にかけて部分的に実施したものを加えると五回にもなっているんです。今月に始まった市場最高の相場の中でも二回目を迎えるというふうになっておりまして、一体何回やれば気が済むのか、通産省の真意を業者ははかりかねているというふうな状態もあるわけなんです。  ですから、こういうのんびりと調査をするのではなくて、私はやっぱりどろなわ的な調査をすれば事足りるの様子さえ行政姿勢にうかがえるのだというふうな誤解を与えないためにも、いま早急に手を打っていただきたい。それは手を打とうと思えば打つ方策があると思います。いま中小企業の切実な要求というのは、小規模経営改善資金の金利をお下げになっていらっしゃいますけれども、これだけではなくて、いまおっしゃいました為替変動緊急融資制度ですね、これについても、十月十九日の中小企業庁の調査でも、金利の引き下げを求める声が多いというふうに御調査をなさっていらっしゃるわけです。この中で、使えない人たちは借入金が多いから、先行きの見通しがつかないから、さらに借り入れることは負担が重くなる、こういうことで借り入れをちゅうちょしているわけなんです。これもちゃんと御報告なさっていらっしゃるわけです。それなら私は、この為替変動緊急融資の金利を速やかに引き下げるべきだというふうに思います。  けさほどの討論の中では、しばらく様子を見ておきたい、こういうふうにおっしゃいましたけれども、いまのでも金を借りられる人はいいのです。借りたくても借りられないと分析なさっていらっしゃる、この人たちに対してどうこたえるかということがいま一番大切なことではなかろうかと思うんです。私ども調査でも、一番多いのが融資制度の金利の引き下げなわけなんです。各通産局の懇談会の中でも出されております。政府がおできにならないか、私はできると思います。ドル対のときに通常金利八%のときに六・五%になさっていらっしゃる。私はいま、やはり金利というものを下げるという方向で真剣に検討なさるべきだというふうに思いますけれども、いかがなんでしょう。金利を下げるということでこれは御検討願い、金利を引き下げるというふうな方向をお出し願えないものでしょうか、お伺いいたします。
  245. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 繰り返し調査をしておるという点について御批判ございましたが、私どもとしては、やはり円高の問題が産地にどういう影響を及ぼすかということについては非常に心配をし、一月ごとにその実情の変化を調べるということで、調査を重ねてきたということでございますので、その辺の真意はぜひ御了解をいただきたいと思うわけでございます。私どもは、今後ともやはりこういう産地の実情については、もっと産地の数もふやしまして、しかも都道府県の協力も得て、今後産地について大きな問題が起こったときには、国と府県とが一体になって対応できるような組織づくりをしていきたい、こういう願いも込めまして、いま実施しております産地調査、七十六産地について府県の協力も得てやっておるという次第でございます。  そこで対応策でございますが、先ほど申しましたように、円高緊急融資制度はとりあえずのつなぎ金融という形で実施をいたしましたが、このつなぎをしておる間にこれからの中小企業のあり方を基本的に考え、また、対応策を打ち出していかなければならないということは先ほども御説明したとおりでございます。各産地の対応を見ておりますと、一つのグループは、やはりこの際新製品を出したり、あるいは合理化をもっと進めたり、あるいは高級化を進めたり、あるいは国内市場向けの新しい商品を生み出したり、こういった形でひとつ前向きの方向を強く打ち出していかなければ、これからの産地はどうにもならないというような答えが出ておるのが第一のグループでございますが、そのほかにやはりある程度ぜい肉を切って戦線を整理して、これからの企業経営、いわば減量経営形態という形で対応しなければならないという答えもございます。さらにまた、第三のグループとしましては、やはりいままでの仕事にしがみついていては前途が限られておるので、少し新分野へ転出をするということを考えていかなければならない、こんな形に整理できるかと思います。私どもはそれらの三つの方向に即して、それぞれどういう手が打てるかということをいま勉強をいたしております最中でございます。  その中で、当面つなぎの金融としての円高緊急融資制度について、金利の引き下げはどうかという点でございますが、これはけさほどるる御説明いたしましたとおり、私はいまの制度でもかなりの利用が行われるだろうと思っておりますが、確かに産地を調べてみますと、この緊急融資制度について利下げをしてほしいという要望もございますことも事実でございます。したがって、私どもはしばらく様子を見ながら、これについてどういう措置をとるかということを研究させていただきたいと思っておるところでございます。
  246. 安武洋子

    ○安武洋子君 確認をさせていただきますけれどもドル対のときには八%をこれは六・五%にやっぱりやってなさる。しょうと思えば、いま緊急にできるわけです、るるお述べでございますけれども、ですから、その調査をされるということは私は決して悪いことだと言ってないわけです。でも、調査をいままで再三再四なさっていらっしゃるけれど、打つべき手は早く打っていただかないと産地では大変なんだと。そして御自分のところの調査の中でも、やはりこの利が高いから利用できないということをちゃんと報告なさっていらっしゃるわけです。そうすると、これに対してどういう手をお打ちになるんだと。いまから静観して調査してじゃなくって、この利率を下げるということで、いろいろと御検討をなさるのかどうかと、その点をお伺いいたします。
  247. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 金利の引き下げの問題につきましては、引き下げ原資をどうするかという問題、あるいは金利体系の中でどういうふうに位置づけるかというような問題、やはり勉強すべき問題がいろいろございますので、この席でお約束をするというわけにまいりませんので、先ほどのような御答弁を申し上げたわけでございます。したがいまして、私どもは先ほど申しましたように一つの研究事項という形で本店は答弁をさせていただきたいと思います。
  248. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃ利率を引き下げるということで、研究事項で研究なさる、こういうことでございますね。よろしゅうございますね。
  249. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 引き下げるかどうかという問題も含めまして、この制度のあり方全般をもう一度見直しをしてみたいと思うわけでございます。
  250. 安武洋子

    ○安武洋子君 何のために御調査なさるのかと、それなら。ということでね、怒りを禁じ得ないわけですよ。調査をなさって、産地から上がってきた声の大きな部分、これは別に私ども調査でもそのとおりですけれども、御自分のところで言ってなさる。それに対してこたえるか、こたえないか、わからないけれども勉強しようと。そんなばかなことはないと思うんです。やはりドル対のときのように研究して、下げられるものなら下げるんだと、こうおっしゃるのが当然だと思いますけれども大臣いかがでございますか。
  251. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その深刻な中小企業の方々の声に対しましては、われわれも本当に何とかしてあげたいという気持ちもいっぱいでございますが、同時にこれは政府全体として考えることでございますから、ここで長官が直ちに先生の御質問に対して歯切れのいいお答えができないことをまことに申しわけないと考えております。政府全体として考えたいことであります。
  252. 安武洋子

    ○安武洋子君 歯切れのいいお答えというのは、それはいま下げるというお答えなんでしょうけれども、そこまで言ってないんですよ。下げることを前提として研究し、調査をするということでなければ、何のために調査をなさっていらっしゃるんですか。そのことに疑問を呈しているわけです。ですから、しぶといようですけれども、やっぱり何とかしてあげたいと思われるなら、何とかしてくれと言っているんです、利下げで。だから、そういうことを含めて検討しましょうと、そのお答えもできないんですか、大臣
  253. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 何といいましても今日の日本企業、特に中小企業が借入金に依存しております度合いが九割で、自己資金が一割というような資金の構造でございますと、金利という問題はもう本当に経営に重大な問題でございます。他方また、中小企業庁の根本の政策としましては、中小企業の経営の健全化ということで、一方におきましては、借入金をできるだけ減らして自己資金をふやそうというような、そういうふうな指導も他方においては基本的には行っておるような状態でございます。当面のこの円高の問題に対しまして、特に産地産地によりましてはもうこれ以上続けていけないというような、限界に達したような悲痛な叫びもありますこともよく承知はいたしており、長官もそれに対しましては苦慮いたしておるわけでございますが、何とかしてあげたいという気持ちは十分に持ちながら、金利の問題となりますと、政府全体としての整合性を持った統一の見解を出したい、こういうことでございますので、御質問いただいておりまする先生におかれましても、われわれの胸の中は十分御了察いただけるものと、かように考えます。
  254. 安武洋子

    ○安武洋子君 何とかしようというふうに胸の中を察しさせていただきまして、次に移りますけれども、ただ金利の問題だけじゃないんですよ。中小企業者の切実な声というのはもう実にたくさんあるわけなんです。  私はここに一つの例を持ってまいっておりますけれども、神戸の中小輸出商社、これは七百社ほどあります。平均一社に五人というふうな規模なんですけれども、ここはいま一円、二円に息をのむと、息を殺しているんだというふうなことでお先真っ暗だと言っているわけなんです。ここに全国中小貿易神戸連盟の調査があります。実態については何度も調査をなさっていらっしゃるので申し上げるまでもないと思いますので、どういう要求が出ているか。利下げだけじゃないんですよ。ここのところでは、中小輸出業者のための特別優遇為替予約レートの確立をしてほしいとか、あるいは当面、対ドル二百八十五円より円高になった場合の救済処置考えてほしいとか、中小輸出業者に対して税制上の処遇、為替変動準備金制度の新設、それから中小貿易業を守り、発展させるための抜本的な政策、こういうものを確立してほしいと、ここまで要求しているわけなんです。  それからさらに、兵庫県には三木の金物、これも全体として輸出比率が二二・六%なんですけれども、ここでも洋鋸工業協同組合、ここで聞きますと、とにかく困っているんだと、これまでは二百六十五円で契約、出荷、これをやってきたし、いまもやっているけれどももう続かない。十二月いっぱいだ。来年からどうなるかわからない。為替の安定、固定を望むとともに、自動車などから課徴金を取って零細な企業に回してほしい。ここまで言っております。  それから兵庫には、さらに円高の打撃を受ける西脇市の播州織物、こういうのもあるんです。これは輸出比率が六五%なんです。この播州織物総合開発センターの話ですと、とにかく為替レートを安定させてほしいというふうなことも言っておりますし、市の商工課なんかでも打つ手がなしで困っていると。電力料金の引き下げを望む声が非常に強い。それから長期低利の融資といってもいま借金をしているのでもう借りられない。とにかく融資よりは補助に近いものを要望する。こういうふうな要望が非常に出ているわけなんです。  ですから、私はどうしてもこの中小業者の切実な声にこたえるという姿勢を持っていただかないといけないと思います。いまの円高の特徴といいますのは、こういう中小業者から輸出企業、ここへ恨みの声がまず第一番に出ているというのが大きな特徴なんです。これ日本輸出刃物工業組合ですけれども、ここでは、輸出やそれから為替差益でもうけている大企業のしわ寄せを、なぜ中小企業が受けなければいけないのか、こういうことを言っておりますし、日本双眼鏡工業会専務理事さんは、これは鉄鋼、自動車、家電などのむちゃな輸出のツケが中小企業に回されてきている。大手企業を恨む。こういうふうな発言もあるわけです。まだまだいろいろ発言がありますけれども、こういう声は私は当然だと思うんです。業者の方は一生懸命やっていらっしゃる。しかし大手企業のむちゃくちゃな輸出によって円高になる、契約もできない、こういう状態になっているわけです。大臣が言われるように本当に何とかしてあげなければならない、愛情を持ってやらなければならないというふうに本気でお考えなら、中小企業対策本気でおやりになる気なら、私はまだやることがあると思うんです。実勢レートでブレーキのかからない大企業のこういう輸出、これを抑えるために、先ほど大臣が言われたあれではだめなんです。やはり私はここで輸出均衡税、こりいうものを創設すべきではなかろうかというふうに思うんです。こういうことをすることによっていまの対外圧力、これも回避ができますし、こういう財源を取ればこれを中小企業対策にも回せると、こういうふうに思うんですけれども中小企業のこういうたくさんの声にこたえて通産大臣どうでしょう、こういう思い切った対策お出しになる気はございませんか、お伺いいたします。
  255. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) いまのようなお話も私よく聞いております。同時にまた、中小企業対策に対しましてもっともっと努力をしなけりゃならぬ。本当にお話を承るだけでも私は思いを新たにして、これからしっかりがんばりたい、かように考えます。
  256. 安武洋子

    ○安武洋子君 大臣、御答弁になっていらっしゃいません。  私は具体的な提案を申し上げているんです。いま中小企業の声をお伝えしたのも、こういう中小企業の声にこたえて、やはり実際にどうしたら——この集中豪雨的な実勢レートではこれは大企業擁護になってしまって、ブレーキがかからないんですよ。だから私は輸出均衡税を設けるべきだ、こういうことをおやりになってください、いかがですか、こういう御質問をいたしております。
  257. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまお答えいたしましたように、そういう御意見も私は聞いてもおりまするし、また同時にいろいろな方策も考えたいものだと、こう思っておりますが、ここにおいて明確なお答えをすることができないのが残念でございます。
  258. 安武洋子

    ○安武洋子君 では輸出均衡税も考えていただいて、検討していただいている、こう承ってよろしゅうございますね。
  259. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それは方々からの御意見として、よく聞いております。しかし、それにつきましての踏み切りはいたしておりません。
  260. 西山敬次郎

    政府委員西山敬次郎君) ただいまの御答弁に補足さしていただきます。  この輸出均衡税の関係でございますが、われわれといたしましては、経常収支黒字幅を縮小するための施策といたしましていろいろとあろうかと思いますが、単純に申しまして、そのために輸出を縮小するかあるいは他方輸入を促進するか、いずれかだと思うわけでございますが、この輸出を縮小させるという方向につきましては、これは世界的に縮小均衝につながる道でございますので、はなはだこの自由貿易主義の立場からいたしますと、とり得ないところではなかろうかと思っております。したがいまして、経常収支黒字幅を縮小するためには、やはり内需を喚起するなどいたし決して輸入の促進に大いに努めるべきであろうかと思うわけでございます。したがいまして、われわれ事務的には、輸出を規制するような方向の税制につきましてはネガティブに考えておるわけでございます。  で、先ほどの御質問にありましたような相手国の市場を撹乱するような集中豪雨的な輸出につきましては、別途の方途をもちまして、われわれとしては節度ある輸出を行うように業界に指導してまいりたいと思っておる次第でございます。
  261. 安武洋子

    ○安武洋子君 集中豪雨的な輸出に対して、節度ある節度あると、まあいつもこういう御答弁しか返ってこないわけなんですね。通産大臣の先ほどの御答弁、それからいまの御答弁、私はその姿勢はやはり問題だと思うんです。中小企業に対して、本当に真剣に対策を講じていらっしゃる姿勢とは受け取れないわけです。特定大企業の集中豪雨的な輸出、これを節度あるというふうな言葉だけで、やはり野放しにされて抑制をしておられないというふうな私は受け取り方をいたします。  いまの不況のこの深刻な原因といいますのは、こういう特定大企業の集中豪雨的な輸出を野放しにして、大企業の海外進出とか、それから対ヨーロッパへの集中の輸出、こういうのは全然抑制しないでしているというふうなところが、いまの日本不況一つの大きな原因になっているわけなんです。こういうところの政策転換をしなくて、やっぱり物価の抑制とか国民生活の安定とか、こういうことはあり得ないと思うわけなんですよ。ですから私たちは、輸出均衡税、これをすべての企業にかけてください、こういうことは言ってないんです。一部の大企業の集中豪雨的な輸出について言っているわけなんです。こういうような大企業というのは価格競争力、先ほどもおっしゃったように国際競争力、これは大きいわけなんです。ですから、先ほどおっしゃった御答弁の中にあったように、絶対にこれは景気とか経済の縮小というふうなものを招くものではないと思うわけです。問題は、特定の商品の輸出に対して景気回復の大半を任せっ放しにしている、こういうところに原因がありますし、きょうも報道されておりましたけれども、ダンピング容疑の問題とか排日感情の高まりとか、こういうふうなことを幾ら自主規制をやりましても招いているわけなんですよ。ですから、いまの政府対策というのは私は、輸入をふやすとおっしゃいますけれども、それは農民の望んでいない農作物であるとか、それから反対の強いウラン鉱石とか石油備蓄のこの石油とか、こういうふうなことなんですね。それじゃ国民生活に本当に役に立たない。この新聞の中にも書いてありますけれども、ここではおもちゃ業界円高が憎いと言っているわけなんです。この玩具、雑貨の貿易会社の社長さんがおっしゃっているには、「鉄鋼、自動車など輸出を一割自粛したらどうか。緊急輸入を五億ドルや十億ドルするよりも効果があるはず。」、民間の方でもこういうふうにおっしゃって、政府の思い切った施策を望んでいらっしゃるわけなんです。  いま、日本は国際的にも批判を受けておりますし、健全な輸出産業、こういうあり方を考えましても、私は輸出均衡税を含めて輸出の抑制政策をもっと真剣に考えるべきではないかというふうに思うわけですけれども大臣、いかがでございましょうか。
  262. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 非常に貴重な御意見として承っておきます。
  263. 安武洋子

    ○安武洋子君 そういうお答えは、私がいま申し上げております輸出均衡税については、じゃあ御検討願えると、こう受け取らしていただいてよろしゅうございますのですか。
  264. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま先生のおっしゃるような御意見、あるいはまたそれによく類似いたしました見解等は、私のところにも方々から言ってまいっておるわけでございます。いまの日本の税体系の問題やら、あるいはまたいろんな政策上の面で、そういうふうな問題につきましても検討をいたしたこともございますけれども、ただいまの段階におきましては、これは一つの見識として承らしていただきます。
  265. 安武洋子

    ○安武洋子君 貴重な意見だと言ってもらいながら、そういう受け取り方をされますと大変困るわけで、私はまじめにいますぐにでも、こういうことをなさるべきではなかろうかというふうなことを御提案しているわけなんです。そういうお答えをいただくということは、私は大臣中小企業のことを真剣に考えるのだ、愛情を持って考えるのだと、こういうふうにおっしゃっておられますけれども、やっぱり大企業中心だ、そういう立場にお立ちになっていらっしゃると言わざるを得ないと思うのです。先ほどからのお答え、それからこちらからの質問の御答弁も、貿易立国だとか国際協調だとかいろいろなことをおっしゃいますけれども、やっぱり依然として大企業輸出は野放し、中小企業輸出——耐えられないわけなんですよね。大企業輸出を放任してそのしわ寄せを中小企業に持っていく、こういうふうに客観的になってしまっているわけなんです。私は政府がこういうことを真剣にお考えにならないという立場というのは、これは財界の立場と一致すると思うのです。これは証拠がございます。  ここに朝日新聞の十月十五日の座談会、これを持ってまいっておりますけれども、この中で財界の方が座談会をなさっていらっしゃるのですね。ここでトーメンの調査部長さんとか三菱油化の社長さんとか、元国債通貨基金の理事さんとかというふうなお方が一致して、この輸出税に対する反対の声を上げてなさるわけです。ですから、私はやっぱり政府の御答弁と財界のこういう反対の声とが一致するというふうなことで、真剣にお考えいただけないというふうなことは、大企業べったりだと国民から批判を受けてもしょうがないと思うわけですけれども、さらにもう一度大臣にお尋ねいたします。真剣に私が先ほど御提案申し上げたこと、お考えになるお気持ちがおありなのかそうでないのか、こういうことをお伺いいたしまして私の質問を終わります。
  266. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) それは大変な誤解でございます。断じてそういうことはございません。政治というものはあくまでも弱者の味方である、それが政治であります。そういう点から申しまして、大企業べったりとかあるいはまた政府はどうの、これはもうむしろ返上していただいて、そうしてわれわれがあくまでも国民のために真剣に、なかんずく弱い中小企業のために闘っておるということをあえてここに申し上げまして、お答えといたします。
  267. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 最初に、繊維の問題をちょっとお聞きしますが、綿と羊毛の後を受けて合繊業界が勧告操短に入っておるわけですけど、一番合繊がおくれておったわけですし、糸量に換算して五五%ほどの供給をしておるという川上段階ですから、この勧告操短がかなり市況回復に役立つものと期待しておったんですが、円高に伴って一月以降の成約がむつかしいということになれば、この合繊六〇%輸出しておるわけだけれど、これが国内に還流してくる。そうなってくると、せっかくのじゃ口をひねった繊維のカルテルというものが、再び問題になってくる。需給が軟調になる。市況回復がはかどらないというような結果を招くことを憂えるわけですが、この辺についてどのように見ておられるか。  もう一つ、あわせて合成繊維が市況産業である、国際的な市況産業である、しかも六〇%輸出しておるという状況で、国際競争力を著しく失っておるという状況に見られます。一両日の状況を見てみましても、大変国際競争力を増しているところのアメリカが、東南アジアあたりの市場の一割ほどをすでにもう奪っておるというような状況で、これはもう将来展望として大変なことだと。これらを見てみても、やはり国際競争力をわが国の合成繊維が失いつつあるということを顕著に裏書きしておる問題だというふうに思うわけだけれども、この二点について、これは局長で結構です、局長の方からひとつ。
  268. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) お答え申し上げます。  合成繊維の関係でございますが、いまお示しのように、十月一日から不況カルテルにかわりますところの減産指導に入ったわけでございます。そこへちょうど円高という問題が起こりまして、確かにせっかく立ち直りかけた市況に水がかけられたということも事実でございます。ただ、そういうことで非常に輸出に依存しております合成繊維の輸出分の国内還流問題というものは確かにあるわけでございますが、実は減産指導の内容といたしましては、輸出と国内分とを分けておりまして、輸出は別枠にしておりまして、国内につきまして生産枠を指示すると、こういう形になっております。したがいまして、現状、減産指導の期間内におきましては、少なくとも輸出に向かうべきはずのものが国内市場へあふれるということは、歯どめがかかっておるかと思います。したがいまして、そうなりますと輸出が減りますことがもろに合繊各社の生産減ということになりまして、そういう意味合いでのコスト上昇要因になると、こういうやはり苦しい問題になるわけでございます。したがいまして、何とかやはり輸出を落とさないような努力が必要になってくると、こういう状態であろうかと思います。  なお、国際競争力の問題につきましては、非常に合成繊維、世界的に過剰設備でございまして、アメリカあたりからの非常に安値の東南アジア、中国等への売り込みというのが現実にあるわけでございますが、これは実はアメリカの方のコスト関係を見ましても、そちらもどうもダンピングの疑いがむしろあるというぐらいな感じでございまして、国際的には非常にコストを割った輸出というような感じが出ておるわけでございます。したがいまして、国際的な設備の調整ということが行われませんと、輸出市場は非常に厳しい問題があるわけでございます。もちろん国内の合成繊維につきましても、稼働率が落ちておるわけでございますから、したがいましてそれだけコストが高くなるわけでございまして、やはり国内につきましても合成繊維の設備調整が行われまして、その上でコスト要因を改善いたしまして、国際競争力を増していくということが必要であろうかと思います。何にいたしましても、非常に厳しい状況でありますことは先生御指摘のとおりでございます。
  269. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 この国際競争力の低下というものが、たとえば欧米の合成繊維とわが国の合成繊維を比較して、それを単に操業度の低下がもたらすコストアップ要因に基づいて、国際競争力が低下しておるというふうにいまの答弁から受け取れるわけだけど、私はそれだけではないと思う。もっと合成繊維のいわゆる素原料、たとえば先ほど来議論に出ておるナフサ、これが明らかに——アメリカと比較する、あるいは韓国と比較するということはいささか問題があろうと思うけど、日本と同じ環境にあるEC諸国とわが国と比較して、ちまたにキロリットル当たり五千円の開きがある。こういったことが直ちに国際競争力に響いておると私は判断するのだけれど、その辺について、局長としてどういうふうに考えておられるか。
  270. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) いまお話のございました合繊原料のもとになりますところのナフサ価格といいますものが、割高であるということは確かにあるようでございまして、合繊原料としましては、実はナフサからストレートじゃございませんで、その中間原料の段階がございますので、すぐにとは申しかねるわけでございますけれども、マイナス要因であることは確かであろうかと思います。
  271. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 羊毛、綿の場合は三カ月の小刻みではあるけど二次、三次のカルテルをやっておるわけだけど、合繊の場合には装置産業というああいった特殊な実態の中から、合繊業界にとっては不名誉なことかわからぬけど、勧告操短という形でいまじゃ口をひねっておる。これは三カ月なんだけど、十二月末で終わりますね。もう目の前に来ておるわけですが、まあ、このカルテルの弾力的運用ということが非常に叫ばれておるときに、もう目の前にある一月一日以降の合繊のカルテル問題、いわゆる操短をどのように見越しておられるか。
  272. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 合成繊維産業に関します減産指導後の問題でございますが、現在一応十二月末までの三カ月ということでスタートをいたしております。御高承のように減産問題といいますものは、できますれば独禁法の不況カルテルによりたいというのが私ども考え方でございまして、現在一月以降の問題ということになりますと、綿紡あるいは羊毛紡績含めまして、全体の市況がどうなるかということをながめてみませんと、実は一月以降の問題を論ずることはちょっとむつかしいわけでございまして、私どもとしては当分、市況あるいは需給状況をながめてまいりたい、かように思っておるわけでございます。なお、その間、過剰設備の対策というものをこの期間内にめどをつけてもらいたいということを申しておるわけでございまして、できればそういうふうに進めてもらいたい、このように思っております。  ただ、先生いまお示しのように、必ずしもそういうふうにうまくいくかどうかということは現実になかなか保証がしにくい点でございますので、状況を見ました上で、需給状況あるいは設備の処理の問題の進み方、あるいは価格の問題、それらを勘案いたしまして、いましばらくたちましてから判断をいたしたい、このように思っておるわけでございます。
  273. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 この繊維の需給協議会が開かれましたね、二十六日に。すでに五十二年の繊維の動きについて見通しを立てておる、こういう状況が一つ。それからすでにもう十一月ですからね、もう目の前に来ておるわけです、一月一日というものは。そうなりますと、十二月の少なくとも初旬には、次の一月一日以降の勧告操短をどうするか、あるいはカルテルにするのか、この見きわめをつけなければいけない。局長おっしゃるように、合繊自体が自助努力自分の構造改善というものを進める道を開くことは当然のことで、現在協議をやっておるようですが、これとてもあと一カ月のうちに全部ぱっと出るというものでもない。需給バランスそれ自体を見ても需給協議会でちゃんと見通しは立っておる、あるいは価格の問題もあと一カ月展望したときに急に円安が来るというものでもない。そうなってまいりますと、もう必然的にこれ現実の問題としてあるわけで、局長のお立場で非常に苦しかろうけど、しかし非常に大事なときなんで、私は常識的に考えて合繊業界自体が構造改善に努める道をみずから模索するという努力は継続しつつ、やはり通産当局としては繊維全体のじゃ口の問題としてこれは弾力的に運用して、できるだけじゃ口をしぼっていくべきだという方向性は希望すべきだと思う。大臣どうです、それ。
  274. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) まことに御意見のとおりでございまして、繊維関係の担当といたしましても、そのような大体方向局長努力をいたしておる次第でございます。
  275. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 どうです局長
  276. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) いま大臣から御説明いたしましたように、御趣旨は大変ごもっともだと思います。ただ、私ども業界の方に申しておりますのは、あくまでも自主的な判断なり行動というものを期待しているわけでございまして、なるべくならばいろいろな仕組みに依存せずにやってほしいということで、余り早くから先の政府の行動ということについて決めるということはいかがなものかというふうな感じを持っておることを、ちょっと申し上げておきたいと思います。
  277. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 心情的に私の言っておることに大体間違いないということのようでございますので、次の問題で、繊維連盟が現在継続中の東京ラウンドから繊維品は特例措置として除外するよう希望しておるわけです。これはもう工業先進国ではほとんどそういう形で特例措置というものを求めておるわけですが、当局としてどのようにお考えかということ。  それから昨日衆議院の商工委員会日本化繊協会の会長の宮崎輝氏が主張しておる問題でございますが、MFAの発動はガット第十九条の発動と同じであるという考え方から、わが国がMFA第三条を発動をするとの意思表示を行えばおのずから輸入問題、秩序ある輸入という問題について輸出国からの姿勢が正されてくるであろうという意味のことを言っておるわけです。この点についてどのようにお考えであるかということ。  それから、ECとアメリカに対するMFA改定の交渉を早くやらなければ、すでに商談も始まっておるような状況でございますので、日常取引にも影響を与える。したがって、早期に交渉を再開すべきだという考え方も打ち出しておるわけです。この三つの問題についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  278. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) お答え申し上げます。  関税の一般引き下げ、MTNの問題でございますが、確かに動きといたしましてはアメリカ業界その他におきまして、繊維品については一般的に例外だというふうな動きが業界サイドではあるようでございます。ただ、関係当局の方ではなかなか全体のあれがそこまではいきませんで、全部一括して例外というふうなことはちょっと考えていないように私ども聞いております。MTNの問題は現在一般的なフォーミュラを検討している段階でございまして、それでどういうふうなフォーミュラでいくかということが決まりました上で、私どもさらに検討を続けたいと、このように思っておりますが、確かに繊維製品の日本の関税がアメリカその他と比べて、ECとはそう変わりませんが、アメリカに比べますと低いということは事実でございますので、その辺考慮した上で対処いたしたいと思っております。  それから、MFAの関係でございますが、これはガットの方から言いますと、ガットの十九条の例外というふうな形になっておると思います。わが国がMFAの協定に加盟しているわけでございますので、その必要が生じますれば、いつでもこれを発動することができる立場には立っておるわけでございます。したがいまして、現実にその必要性いかんということでございまして、これにつきましては昨年の繊工審の提言の中にもございまして、これに発動をする必要が生じた場合にはどうするかという仕組みの問題につきましては、繊工審の需給貿易部会の中に調査小委員会を先生御承知のように設けておりまして、ここで問題が生じた場合には二国間協定なり何なりの仕組みに動くと、こういうつもりでおるわけでございます。ただ、現状におきましてはまだそこまでの事態ではございませんで、数学的には、昨年に比べますと本年度繊維の輸入は現在のところ減少いたしております。また、合繊について言いますと、輸出が非常に多いわけでございまして、相手国によりましては輸入もありますけれども輸出の方が多いというふうなケースもあるわけでございますので、余り軽々には動けないという問題があるようでございます。  なお、EC及びアメリカとの二国間協定の問題でございますが、これは大体軌道に乗っておりまして、実は日本からの輸出につきましては昔と異なりまして、すでに枠には全部到達しないというふうな状態でございまして、余り協定を結ぶのに問題はなかろうか、大体交渉はスムーズに進行していると御承知おきいただいて結構だと思うわけでございます。
  279. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これ大臣、東京ラウンドということを非常に気にする動きがあるんだけど、繊維品の関税は、いま局長もおっしゃったようにわが国は低いんですよ。だから、これ高いところから下げさしたらいいんであって、高い国は下げろと言えばいいんであって、こっちが何もそれをまた下げたりする必要はないんで、この辺はよく心得てやっていただきたいと思うんです。  それから局長中小企業安定審議会が綿、スフ織物など十業種の登録制の一年延長を決めましたね。これは来年の十月末まで単純延長ということだけど、さきの繊工審の提言の中で、おおむね五十四年六月以降は登録制というものは廃止すべき方向で検討していくべきだというものであったと思うんです。しかし、この構造改善の進捗状況、いまのような不況の中で、あるいは登録制を廃止することによる混乱などを考えたとき、やはりもう少し先を展望して、提言が金科玉条というものでもない、そういう点でやっぱりある程度の見通しを立ててやらなければ、とりわけ中小の織布業界などは大混乱になると思うんですよ。だから五十四年六月でこれは終わりだぞというものでもない、いまの状況から言えば。提言の時期からずいぶんこれ客観条件変わっておるわけですから、そういった面でもう少しこれ色よい返事をここでひとつしておいてもらいたいと思うんですよ、全体に対して。非常にこれは支えになるし、いま進捗しつつある構造改善、これ少し先に伸びておるという状況ですから、いまの問題として、非常に二年先のことはむずかしいかもわからぬけど、少しオフレコでもいいですからね、一遍お考えを出しといていただきたい。オフレコといっても実際みんなおるけど、どうです。
  280. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) 設備登録制の問題でございますが、これいま先生からお話ございましたように、昨年の十二月の繊工審の提言におきまして、構造改善というたてまえから、またなるべく自主的に判断して繊維産業を各企業が立て直していくというたてまえから、なるべく構造改善事業の成果を見きわめつつ、段階的解消を図る方向であるというふうな提言になっておるわけでございます。私どもとしてはもちろんこの提言は尊重すべき立場にございますし、基本的な方向としてはそれで正しいんだと思っておるわけでございますが、いま先生からお話ございましたように、当時想定いたしましたよりは予想外に深刻な不況状態ということでございまして、直ちにこれを廃止するとか、あるいは五十四年をめどに廃止するというふうなところまでここで踏み切るということは、やはり非常に無理があるかと思います。  特に設備廃棄問題、共同廃棄というものをやっておりますので、それの新設問題との絡みもございますので、当時考えましたよりは少し長期に、少なくとも設備共同廃棄のめどがつくころまでは存続させるべきではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。これは、基本的には、御承知のように安定審議会で毎年検討いたしまして、一年ごとに見直すというたてまえでございますので、私どもとして、長期にわたって存続するとか廃止するということは申し上げられない立場でございますが、一般的な考え方としては、そういうふうなニュアンスで考えておるということでございます。
  281. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 長官、ナフサの問題ですけれども、先ほど来もうずっと論議やったからそういった面は一切省いて、私は結論めいたものからざっくばらんにお聞きしたいと思うんです。  その一つは、いま局長もおっしゃったように、たとえば合成繊維にして見れば、これは需要業界一つです。ナフサが国際的に見て高い、キロリットル二万九千円に対しておおむね五千円高いというふうに言われておる。しかも二万九千円が決まったのは五十年の十二月ですね、一ドル三百二円のとき。現在一ドル二百五十二、三円で動いておるわけですけれども、先ほど、一円上がればキロリットル八十五円価格差益を生むという石油業界。一方、いま局長がおっしゃったように国際競争力を失って、そして、アメリカが七千円ほど安いですよ、これは。ナフサ、どんどんどんどん侵食しておる。こういうような客観情勢にあるわけですから、ナフサの問題を次のような要領でやったらどうかと。それは、原料用ナフサ価格については国際価格、少なくともこれはアメリカとか韓国と比較することは無理だと私思います。西欧並み、西欧並みの価格水準まで引き下げるということを考えたらどうか。  そのためにはこの広義の石油化学産業、それにはナフサを使う塗料だとか合繊だとか、たくさんあるわけだけれども、このエネルギー政策に基づく価格体系の中のナフサ価格というものを一遍分離して、そして広義の石油化学の基礎原料であるという観点から、別途に国際水準にリンクするような措置をとれないものか、現在のナフサ価格というものは、まさにこれは行政指導に基づいて全体の価格体系の中に組み込まれておるものですから、三百二円で一遍決まったら一年間ほとんど動かない、自由競争の原理はもうこれは全然失っておるわけで、値下げということはあり得ないわけですからね。これは分離すべきじゃないだろうかというふうに思うんだけれども、どうでしょう、長官
  282. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 先ほどお話ございましたように、すべての原油ではないと思いますが、やはりナフサ価格につきまして内外で格差があるということは、やはり国際競争力を弱める一つ原因になっていると思います。ただ御承知のように、昨年の夏まではむしろ国産品の方が、輸入品よりも安かったというようなこともあったわけでございますが、その後、ヨーロッパ諸国における干ばつの問題だとか、あるいは不況、さらに円高基調といったようなことから、御指摘のような現象になっておるというふうに私たちは理解いたしておるわけでございます。ただいま原料用ナフサについて国際価格とリンケージをとれないかといったような形で、いわゆる石油製品の価格体系から取り外して、独立して原料用ナフサということで取り上げたらどうかというお話でございます。これにつきましては、私今後ともまた検討もさせていただきたいと思いますが、いま思いつく点は二つほど問題があるかと思います。  一つは、やはり全体としてコストをカバーし得るものでなければ、安定供給に支障を来すという問題もございますので、そういった観点から差益が出ていることは事実でございますが、その他のコストアップ要因との関連から考えまして、全体として安定供給に支障を来さないようにといったような観点も必要かと思います。それから、言われるように、原料用と燃料用とは違うんだという考え方もあろうかと思います。しかし、いずれにいたしましてもいまの立場からいたしますと、やはり石油各種連産品との関連において価格というものを考え、かつは需給の実勢に応じて適正に価格が形成されていくといったようなことも必要かと思いますので、直ちにこれを一般の石油製品の価格体系から外して云々ということは、お気持ちとしてはわかるわけでございますが、必ずしも現実論としてそのように適用できるかどうかという点については、若干の疑問を持つわけでございます。  それからもう一つは、国際価格とのさや寄せというようなことでよく言われるのは、ドル建て円払いといったような方式の問題でございますが、こういった問題につきましては、やはり価格と同時に、支払い方法ということで需給両当事者で検討を進めると申しますか、交渉をすべき問題ではなかろうかと、かようにも考えておるわけでございます。
  283. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 もうすぐやめますから、もうちょっと。  先ほども長官、供給業者と需要業者との円満な話し合いによってやるべきだというふうにおっしゃっておるわけだけれども、実際問題としてこれはよく考えてもらわなければいかぬのは、石油製品供給というのは、基本的には計画生産でしょう。だからいかなる製品も過剰にならないという仕組みを現につくっておるわけですよ、石油供給業者は。だから実際問題として、すべての石油卸品の需給がうまくバランスしないような形でナフサ、重油以外の製品の需給をタイトにする、そうしてそのことによって不足するナフサと重油は厳しい行政指導のもとで制限つきで、しかも、特定業者について割り当て輸入を認める、こういう形になっておるわけだから、だから需要業者について見れば、石油供給計画でナフサというのは不足ぎみに常に置かれておる。しかも不足ナフサは、自由に輸入はおのれはできないのだ、しりを全部締められておる。そうして本来ガソリンに流れるナフサが需要業界に押え込まれて、そうして結果としてガソリンを高値安定に持っていくためにナフサで操作しておるというような形に、これは被害者意識かもわからないけれども、現実に仕組みから考えればなっておるわけなんだから、三方ふさいで円満に供給業者と需要業者と話し合えと言ったところで話し合いのしようがないんですよ、これは。  だから輸入は自由だ、だれでも自由にできるのですよという形なら、これはその状態において国際価格とのバランスで交渉もできるけれども、それはまかりならぬという形でいったら、一方的に流れてくるものに対して、交渉ということは常に値上げ交渉、それを受け身で立たなければいけないということ、だから国際価格に比して、いま私は国内生産と輸入品を言っておるんじゃなくて、現実に需要業界が手にするナフサの国際価格との比較ですから、その面で値下げを求める立場から言うなら、対等な立場での交渉ということにはならない。このような価格体系をとっておるのは、広範なエネルギー政策に基づいてやっておるわけだけれども、わが国だけですから、日本だけなんだから。そういった意味で私は両者の話し合いというのは、口では言うけれども、実際できない。それはやはり、当局が行政指導のもとに適正価格というものを示さなければだめだというふうに私は思うんです。だから日経新聞なんかでも、為替差益の一部を石油製品の値下げに還元すべきだということを社説でも掲げておるような状況です。そういった状況を照して、私は行政当局が積極的に介入すべきだというふうに思うのだけれども、どうでしょう。
  284. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘のように、供給計画に基づいて国内の生産あるいは必要輸入量を計算いたして、安定的な供給を確保するということでやっておるわけでございます。ただいまの輸入の問題につきましても、当面百五十万キロリッターということで増量いたすことにいたしたわけでございますが、一方、両当事者の話し合いでは、御指摘でございますが、私たち現在マクロ的に見る限りにおきまして、やはり価格を引き下げる段階にない、やはりコストアップ要因の方がまだ高いといったふうに見ておるわけでございまして、私たちが指導する、あるいは介入するということになりますと、コスト割れで指導しなくちゃいけないといったようなことにもなるわけでございますので、そういった点については、むしろお互いに実情の知り合った需給両当事者の間で、お互いにどこまでがまんするかといったような形での交渉が、むしろ現実的ではなかろうかということで、両当事者の話し合いということを申し上げておるわけでございますが、ただ御指摘のような問題もございますので、私たちといたしましてもそれぞれ報告を受けながら、その進捗状況を見守っておるというのが現状でございます。
  285. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これは長官ね、ノーマルな状態経済が動いておるというときには、おっしゃるようなことでもいいと思うんですよ。片っ方の需要業界であるところの、塗料にしてもあるいは樹脂にしても合繊にしても、文字どおりギブアップ寸前ですわね。それは先ほど局長もおっしゃったようにこれはもう大変な問題になっておる。片や、少なくとも年間ならして、為替で二十円上がれば四千九百億ほどの、じっとしておっても価格差益が出るという状況に置かれている石油業界でしょう。であるなら、いま直ちにこの一年先にもとのような明るい経済状態になるとはだれも思ってない。それは大臣も先ほど答弁なさったとおりだし、円の問題だっていまこれが二百七十五円に戻るとはだれも思ってないですよ。そういう状態にあるんだから、だから平生の状態で論議することとは違う、異常事態でこれ論議しておるわけなんだから。私はもっと当局が積極的に介入しなきゃだめだと思う。だからこれはひとつ大臣、後でお答えいただきたいと思う。それは積極的に介入すべきですよ、もうその時期ですからね。  時間がないから、あわせて私申し上げたいんだけど、わが国のこれは将来展望に立っても言えることだけど、資源エネルギーの有効利用という観点から、原油の生だきあるいはナフサの生だき、これは一考を要するんじゃなかろうかと、だから発熱量だけを要求するその発電用の燃料に、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、こういったものを大量に含んでおる原油を生だきするということが、果たして非常にタイトなわが国のエネルギー状況の中でいいものかどうか。だから、これはその生だきすべき、たとえば発電用なら発電用が、もっと別な角度からこの発電用の燃料というものを研究していくべきだと私は思うんだけれど、その点についてどうだろうかと。  それからナフサの国際価格をロッテルダムの価格に照らして、ドル建てで契約するという方法をとるならば、先ほど支払い方法に問題があるとは言っておるわけだけど、そこを工夫していけば、これは将来展望に立った場合に、たとえば差益といえば差損もあるじゃないかとオウム返しに出てくるわけだけど、こういったものもずっとならされて、不公平な感じを持たぬ、いわゆる国際的な価格に常にリンクした形で供給できるし、買い取りもできるということになる一つのこれは方法だと私思うんですけどね、この辺どうだろうかと。  それから最後に、輸入の問題だけど、これはやはり輸入を、輸入量をふやすということじゃなくて、需要業界にバースやタンクの問題もありますけど、直接輸入ということをある程度認めるという方向をとれば、これも私は一方的ないま交渉事というのはなくなる道につながるんだろうというふうにも思うし、そうであれば現に十五万キロリットルぐらいのスペースを持っておる業界だってこれはあるんですからね、一社で。これからタンクをつくって将来展望に立ってやっていくということだってできるんだから、これは方向性の問題だと。だから、このことだって私は全体を見た場合に有効な措置だと思うんですが、いかがなものでしょう。  以上で終わります。
  286. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 四点ほどお尋ねがあったわけでございますが、第一番の点は、非常にむずかしい通常の状態でないということも私もよく知っておりますし、関係業界も苦況にあると、十分承知しておるつもりでございます。  また御理解いただきたいのは、差益は差益としてございますが、やはり原油等のコストアップということも考えざるを得ない。現にこの春時点におきまして、三社程度が赤字決算をいたしておったわけでございますが、五十二年度の上期についてはまだ集計中ではっきりしたことは申し上げられませんが、これが数社に上るんじゃないかといったような見方もあるということも御理解賜りたいと思います。  それから、二つ目の問題といたしまして、原油あるいはナフサの生だきにつきましての御見解、私は全く同感でございます。貴重な油を、あるいはナフサをそのまま燃焼するというのは非常に考えるべき問題が多々あるかと思います。ただ御承知のように、環境基準を達成するために、電力業界としてもやむなくこれを使っておるといったようなこともございますんで、今後低硫黄重油の手当てを一層努力するとか、あるいは公害防止技術の開発とあわせて、計画的、漸進的に減少さしていくべきだ、かように思っております。  それから、ロッテルダムプライスにリンクして、ドル建てベースでどうかいうのは、先ほどお答えしたようなことでございます。  それからナフサの輸入について、ユーザー業界に入礼さしたらいかがかという御提案であったかと思いますが、これも検討すべき問題かと思いますが、現在でもやはりユーザー業界と話し合いをしながら輸入をいたしておるということでもございますし、また一方、繰り返すまでもございませんが、連産品といった性格からいたしまして、他の油種とのバランスということも考えて、輸入を適時適切に入れていくということもこれまた必要かと思います。かような時期でございますから、もっと弾力的にという御指摘もわからないわけではございませんが、逆の場合に、国内の石油各種製品の混乱状態といったような事態をやはり防止するということも、常に考えておかなくちゃいけないといったような問題もございます。  いろいろとお答え申し上げたわけでございますが、御趣旨を体していろいろと検討してまいりたいと、かように思うわけでございます。
  287. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 大臣ちょっと何か……。
  288. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいまエネルギー庁長官から詳細お答えを申し上げたとおりでございまして、いま先生の言われますこと、まことに、たとえばナフサの生だきなんというのは、これはもうどう考えましてももったいない話でございますが、環境庁の関係のNOxの問題があるとか、あるいはまたいまの化繊関係あるいは肥料関係その他、いろいろな原料としてのナフサの価格の問題に対しても、また石油業界としての問題とか、大気への問題とか、いろいろとがんじがらめになっておりますこのエネルギーの状態でございます。私はこのいまのエネルギーの問題こそは、やっぱり総合エネルギー調査会におきまして、エネルギー全体の問題を真剣に取り組んでおりますと同時に、この液体関係の燃料の問題、石油の問題等々の問題もやはりあわせて私は、そのある段階におきましては、国策に沿うた大きな改革もしなきゃならぬ時期もあろうと、かように考えております。しかしながら、ただいまの段階におきましては、長官がるる御説明申し上げたとおりでございます。
  289. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 通産大臣お疲れのようでございます。もう一息でございますから御勘弁ください。  わが国にとって、たとえば国際紛争が発生したときに、エネルギーの確保、特に石油の確保が経済的な安全保障の面で必要不可欠のことであるというふうに私は思いますが、その点について大臣の御認識はいかがでございますか、簡単で結構でございます。
  290. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) エネルギーの問題こそは本当に私は国家の最大の問題であり、同時にまた、日本にとりましては、日本独特の最大の難関であると、かように考えております。
  291. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 そうした認識に立って、現在のわが国の石油の備蓄計画、九十日の備蓄計画というので十分だというふうにお考えでしょうか。
  292. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私はさようには考えておりません。カーター大統領になりましてから、アメリカのあれだけ豊富な資源を持っておりますところにおきましても、非常な備蓄を努力いたしておりまするし、世界各国ともに備蓄につきましては真剣に取り組んでおりまして、もちろんわが国といたしましても、できる限りの、これに対しましては努力を払っていかなくちゃならない、かように考えております。
  293. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 そう考えますと、九十日備蓄から百二十日へというのが当面まず計画されなければいけないと思いますが、その場合の備蓄計画としては、従来のような民間ベースで十分なのかどうか。やはり国家備蓄に対して、通産省もしくは政府として真剣に取り組んでいく必要があると思いますけれども、その点について。
  294. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御質問の点は、まさにそのとおりでございまして、そのためにはまた改正立法を要しまするし、いま右から左にというわけにはまいりませんが、できる限り早い機会にこの備蓄の、国家備蓄ができるように、あるいはまたそこに対しまする受け入れの機構の問題の法律改正もいたしたいと考えております。なお、そのほか御案内のとおりに輸入促進というような外貨との関係も、こういう意味からも他のいろいろな方途を全力を挙げて努力したいと、かように考えております。
  295. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 いま法律改正の問題が出ましたが、石油開発公団法の改正の問題だと思います。それに絡めて大臣は、いまの外貨対策としての輸入の問題、いわば緊急輸入の問題の必要性を触れられましたが、もし当面の外貨減らしということでこの石油備蓄を考えるなら、これは五十三年度の問題でなくて、五十二年度中の問題だというふうに考えてよろしゅうございますか。
  296. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) ただいま御指摘の点は緊急輸入の問題、私たちただいま十一月末までに三百六十万トン積み増したいということでやっておりますが、これは過去の最高備蓄量、在庫量と申します、これが六千四百五十万キロリッターであったわけでございます。八月時点との差三百六十万キロリッターを、とりあえず精いっぱい積み増したいということでございますが、それ以上になりますと、これはタンク容量との関係が出てまいりますので、そういった関連とで考えていかなくちゃいけない、かように思っております。
  297. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 そうしますと、タンク容量についてさえ解決できれば、三百五十万キロリットル以上の備蓄も、当面の緊急輸入として考えてもよろしいというふうに通産省としてお考えだと考えてよろしゅうございますか。
  298. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘のようにタンク容量ができれば、間に合えばさようなことでございますが、御承知のとおり、大型のタンクをつくるまでには物によっては三、四年から五年もかかるといったようなことでございます。当面われわれ検討いたしておりますのは、タンカー備蓄でございます。これは本来備蓄増強のために、タンカー備蓄のほかに地下備蓄だとか海洋備蓄といったものを、昨年来検討いたしておるわけでございます。さしあたってタンカー備蓄について申し上げますと、船腹の過剰といったような問題もございますので、これが活用できるならば、一石二鳥あるいは三鳥の効果があるんじゃなかろうかということも言い得るわけでございますが、一面、世界的にまだまだどこの国でもタンカー備蓄というのをやっておりません。言ってみれば、基礎研究の段階でございます。わが国におきましても、たとえばどこに係留するかといった立地の問題がございます。あるいは各種の海上保安法規との関連で、いわゆる安全性あるいは防災対策といったような問題がございます。あるいは現在陸上タンクを主としてやっておりますが、これに比べますと、タンカー備蓄はいずれにしてもコスト高になってくるわけでございます。そういった経済性の問題をどうするか、あるいは国がやるのか、民間がやるのかといったような問題も取り含めて現在検討中でございます。第一次的には私どもの方でも検討いたしますが、関係省庁とも十分連絡をとりながら検討いたしたいと、かようなことでございます。
  299. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 きょうは運輸省海運局からもおいでいただいておりますが、運輸省側でのこの問題に対する検討の結果、もしくは業界側での希望、それからいまタンカー備蓄と地上備蓄施設とではコスト高になるという話がありましたが、私の聞いている範囲では必ずしもコスト高ではないという試算もあるようですが、その辺について御説明いただきたい。
  300. 棚橋泰

    説明員(棚橋泰君) タンカーによります石油の備蓄につきましては、ただいま長官からお話のございましたように、現在タンカーが非常に不況でございますので、これを利用していただければ大変業界として助かるということで、そういう意味では非常に前向きの姿勢でございます。この点につきましては、昨年通産省が中心になられまして、私どもも参加をさせていただきまして、事務的な問題の検討を行ったわけでございますが、中間的な結論というようなところでとまっておりますが、その段階におきましては安全その他いろいろ問題がございますので、当面可能なのは、タンカーを船員を乗せたまま船の形で係留といいますか、停泊させるという形で備蓄をするということが、当面可能な唯一の方法ではないだろうか。  それからそういたしました場合には、海運の、船のサイドといたしましては、余剰でございます大型タンカーをいわゆる定期用船、船員をつけました形で定期用船に出させていただきたい。そういう形でございました場合には、船サイドとしてのコストといたしましては、一カ月一重量トン当たり四百円程度ということで御提供できるのではないだろうか。ただその場合には、希望といたしましては大量のタンカーをまとめて一元的な備蓄機関に御用船をいただいて、そこに船を出すという形が望ましい。こういうようなことを中心といたしまして、その委員会で希望も述べましたし、御検討もいただいたというわけでございます。それをもとにいたしまして、海運業界といたしましては関係方面に御陳情を申し上げて、体制が整ったら使っていただきたい、こういう体制で現在提供可能な約二十隻の船の選定等を事務的に行っておるところでございます。  先ほど申し上げました一カ月一デッドウェート当たり四百円という価格は、タンカーのサイドから見ますとちょうど採算のとれます点と、それからこれ以上タンカーを動かすよりは、係船をした方がいいといういわゆる係船点というもののちょうど中間ぐらいでございまして、タンカーサイトといたしましては、それでは赤字の出る価格ではございます。ただ、現在のタンカーのマーケットはそれより下がっておりますので、そういう形で二年、最近では三年でも結構だと、こう申しておりますが、二年ないし三年という期間を限ってでございましたら、赤字がこれ以上ふえるよりは、その価格で使っていただきたいと、こういうような実態でございます。  まあそういうことでございますけれども、何分にもこの問題は備蓄をされる側が、タンカーをお使いいただくかどうかということでございまして、私どもは海運業界に対しましては、海運業界としてできるだけの体制を整えて、もし用船をしていただける場合には提供できるような準備と、それから用船側が御用船なさいましたときに、いろいろな問題点の詰め等について協力をしろということでございましたら、極力積極的に御協力を申し上げて、この問題が実現できるように努力をしろ、こういうことで指導をしておるところでございます。
  301. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 いまの備蓄コスト、用船コストで四百円という話がありましたが、これは重量トンというのはキロリットルと考えていいわけですね。そうしますと、年で四千八百円。先ほどちょっと伺ったんですが、原油の価格がいまキロリットル当たりで二万二千七百円という話でございますから、大体原油価格の二〇%程度というような感じになろうかと思います。そうしますと、たとえばこれからもOPEC等で年々原油の、石油価格の引き上げが行われるというふうに考えれば、このコスト増を償っても余りあるというような形で、わが国にとって経済的にプラスになるというふうに考えられると思います。そういう意味では、地上施設の整備を待たずに、この際タンカーの用船によって、特に現在余っているドルを使って石油を輸入するということは、十分政策的にわが国の経済的安全保障の立場から、取り上げられる問題ではないだろうかというふうに考えます。  ちなみに地上施設で備蓄をした場合のコストをお伺いしたいわけですが、私の聞いたところでは、新しいタンクではキロリットル当たり六千円ぐらいというふうに聞いておりますが、もしそれに間違いがなければ、地上に新しいタンクをつくるコストと比べても、当面つなぎとしてタンカーを使うということは、決してコスト的にもマイナスではないというふうに思いますが、いまとにかく余っているドルを石油にかえるということ、そのためには地上施設では不足だから、つなぎとしてタンカーを使うということ、しかもそれによって石油の輸入の時期が早くなったとしても、将来の原油価格の値上がりというものを考えれば、経済的にペイするというところまでいくかどうかわかりませんけれども、セキュリティーの面を考えても、なおかつコストの面で十分償うという点を総合的に勘案されて、資源エネルギー庁として、これについて真剣にといいますか、むしろ実現する方向でお取り組みいただけるのではないかと思いますが、そう考えてよろしゅうございますでしょうか。
  302. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 先ほど答弁いたしましたように、昨年来世界に先がけて検討いたしておるわけでございますから、われわれとしても真剣に取り組んでおるわけでございます。  ただ、ちょっと申し上げておきますと、大体陸上タンク平均いたしまして四、五千円程度というのがわれわれの常識になっております。それから、別に水を差すわけじゃございませんが、先ほどの四百円、年間四千八百円というのも、私たちの一番関心の問題は立地点の問題でございます。ということは、地元との折衝、特にその中では漁協との折衝、したがって漁業補償、先ほどのお話しの中には漁業補償が幾らになるかということはゼロで計算なさっておるんじゃなかろうかと思います。そういった問題も、決して消極的な意味で申し上げているわけじゃございませんが、現実にどこに停泊するか、係留するかということを決めませんと、太平洋の中をうろうろ満杯のタンクを動かしておるというわけにもまいりませんので、私たち一番の大きなやはり関心事は、いろいろ先ほど申し上げましたが、どこの地点に安全に係留できるかということが一等大きい問題だと思います。  それから、御承知のように民間といたしましては、本来四十五日の備蓄で足りるという商業採算の問題がございます。九十日備蓄に対しても、なお国の助成が足りないという不平、不満が強くあるわけでございます。そういったものに加えて、さらにこれを積み増しするわけでございますから、現実の問題として民間にやらせるためには、かなり思い切った助成措置を講ずるか、さもなければ国がやらざるを得ない。国がやるとした場合には、いわゆる石油開発公団法の改正といったような立法手続も必要になってくる。そういった問題点があるわけでございます。御指摘のように、われわれとしてはできるだけ前向きに検討する、対処したいと、かような立場におるわけでございます。
  303. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 まさに国家備蓄に取り組まなきゃいけないと思いますが、その意味で石油開発公団法の改正、さっき大臣からもお触れになりましたが、これは、次の通常国会を目指して提出するというふうに考えてよろしゅうございますか。
  304. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 通産省としては、さような立場で準備をいたしております。
  305. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 その場合の備蓄施設等について、また石油備蓄のための原油購入価格について、五十三年度予算ではすでに要求をされていると思いますが、いかがでしょうか。
  306. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) せんだって、八月の三十一日に総合エネルギー調査会から中間報告が出ておるわけでございますが、これにつきましては当面と申しますか、六十五年度に向かって一千万キロリッターの備蓄を、九十日分を超えるものとして石油開発公団が備蓄したらどうかと、こういうことになっております。その線に従いまして、来年度石炭及び石油対策特別会計の中で約二百数十億円の予算要求をいたしておるわけでございますが、御承知のとおり石特会計につきましては、来年度八百五十五億の資金不足ということになっておりますので、この財源をいかに確保するかということが当面の問題になろうかと思います。
  307. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 いまおっしゃった二百数十億というのは、原油の購入代金も含んでいるわけですか。
  308. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 土地の手当て、タンクの建設費といったものは初年度でございまして、初年度ではまだ原油を購入する段階まで至らないという感じで、むしろ施設部分というふうにお考えいただければいかがかと思います。
  309. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 そうしますと、タンカー備蓄を石油開発公団でやってもらう。そのために公団法の改正は早期に実行をして、タンカーの用船を石油開発公団でやらせるということは十分考えられると思いますが、いかがでしょうか。
  310. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) いまの段階では、まだそこまでの検討は終わっておりませんが、いずれにいたしましても、石油開発公団法の改正をやって、公団として備蓄ができるということになれば、あとはわれわれの先ほど来申し上げておる検討との兼ね合いで、運用上の問題になろうかと思います。
  311. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 そういう方向で、一日も早く備蓄量を増大させるということが、われわれの考えではわが国の産業活動、国民生活に一たん緩急のあったときにトラブルを少なくするためにどうしても必要だという気がいたします。その意味で前向きの御検討をお願いしいたわけですが、係留地点が問題だというお話がありましたが、これはいままでの検討の中には、国内だけでしょうか、国外も検討対象としてすでに勉強されてますでしょうか。
  312. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) まだ具体的に、どこに立地を求めるかというところまではいっておりませんが、いずれにいたしましても、当面の問題検討いたすとするならば、国内における立地ということになろうかと思います。
  313. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 船ですから、「むつ」のように洋上を漂流するというのもちょっと大変ですけれども、必ずしも国内の係留地点だけに限る必要はないんじゃないだろうか。韓国がいいのか、南の島がいいのか、ボルネオあたりでどっかいいところはないかということも十分考えられると思いますが、それはエネルギー庁の備蓄に対する考え方からすると、危険だということになるんでしょうか。たとえばアメリカの塩の鉱山の中に備蓄をしてもらうという話すらあるわけですから、太平洋の中の外国の領土の中に係留をするということも十分考えられると思います。
  314. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) むしろ海外でタンクを係留するというのは、日本立場よりも相手国の立場考えなくちゃいけませんので、こちらの領土でないところに出かけていって、一面公害輸出といったような批判を招かないようにも考えなくちゃいけないんじゃなかろうか。ただいま御指摘アメリカの岩塩鉱についても検討いたしたわけでございます。これにつきましては、最も早く活用できるものでも、なお一年ぐらいの準備期間が要る、通常のものであれば三ないし四年かかって、その上で備蓄に入る、こういったことでございますので、当面の黒字対策としてはタイミングとして合わないんじゃなかろうか、こういう結論になっております。
  315. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 いろいろ問題点がわかってまいりましたけれども、いま海外、もちろん相手国の意向があるわけですけれども、これも係船について若干の費用を払うというふうにすれば、日本の国内の漁業補償と比べてどっちが安いかというと、いまのような雰囲気ですと、外国に若干の係船料みたいなものを払っても、その方が安いかもしれないという気がして申し上げたわけでございます。そうしたいろいろな問題、むずかしい問題もあろうかと思いますが、いまお話のように、当面の緊急の黒字減らしといいますか、外貨減らしという点も大事な政策の課題でございますし、それから、それによって石油の備蓄量をふやす、本当はタンクをつくってから備蓄をふやすのが正常な、オーソドックスなやり方ですけれども日本の場合にはどうも逆の方からいかないとなかなかタンクがふえないという面もありますので、そういう意味では、緊急対策としてタンカーによる備蓄にまずとりかかって、それからそれを地上へ移していくということも十分考えていいんじゃないだろうかというふうに思いますので、その点エネルギー庁の御検討をお願いを申し上げます。  そして大臣の最後御判断をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  316. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 御指摘の点一々ごもっともの点もございます。先ほど来申し上げましたような問題点ございますが、極力前向きに検討したいと思います。
  317. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) なお、緊急輸入の点につきましては、総理も非常に関心を持っておられまして、私にも御指示がございました。われわれもそれに向かって鋭意検討はいたしております。しかしながら、なかなかこういうことというものはちょっと考えますといいようでありますけれども、いざ実際に当たってみた場合には、本当にいろんな障害があることをいまさらのように痛感しますが、あるときには少し蛮勇をふるわなきゃならないと、こういうふうな気持ちもいたしております。
  318. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 通産大臣予算委員会でも申し上げたんですが、いまの政治なり行政なりで欠けているのは、どうも決断力だと。基本的な政策を定めたら、少々のトラブルについては思い切った対策をとっていくということが必要だろうと思います。いろいろと思い悩んでしまうと何もできなくなってしまいますので、何が当面大事かというのをまず打ち立てて、それに対する打開策を考えていくというふうにいたしませんと、物事は進まないという気がしておりますので、その点だけつけ加えさせていただきます。  生活産業局長にもおいでをいただきましたが、また参考人のおいでいただいたときにでも関連して伺いたいと思いますので、きょうは恐縮でございますが……。
  319. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 他に御発言がなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会