運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-10-25 第82回国会 参議院 商工委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十五日(火曜日)    午前十時十七分開会     —————————————   委員氏名     委員長         楠  正俊君     理 事         熊谷太三郎君     理 事         福岡日出麿君     理 事         対馬 孝且君     理 事         安武 洋子君                 岩崎 純三君                 植木 光教君                 大谷藤之助君                 下条進一郎君                 中村 啓一君                 中山 太郎君                 林田悠紀夫君                 大塚  喬君                 小柳  勇君                 竹田 四郎君                 森下 昭司君                 馬場  富君                 峯山 昭範君                 市川 正一君                 藤井 恒男君                 柿沢 弘治君     —————————————    委員異動  十月十三日     辞任         補欠選任      大塚  喬君     小山 一平君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         楠  正俊君     理 事                 熊谷太三郎君                 福岡日出麿君                 対馬 孝且君                 安武 洋子君     委 員                 岩崎 純三君                 下条進一郎君                 林田悠紀夫君                 小柳  勇君                 小山 一平君                 竹田 四郎君                 森下 昭司君                 馬場  富君                 峯山 昭範君                 藤井 恒男君                 柿沢 弘治君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○調査承認要求に関する件 ○小委員会設置に関する件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (派遣委員報告)     —————————————
  2. 楠正俊

    委員長楠正俊君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月十三日、大塚喬君が委員辞任され、その補欠として小山一平君が委員選任されました。     —————————————
  3. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、産業貿易及び経済計画等に関する調査を行うこととし、この旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 小委員会設置に関する件を議題といたします。  産業貿易及び経済計画等に関する調査の一環として、小委員十一名から成る資源エネルギー対策小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認めます。  つきましては、小委員及び小委員長選任につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認めます。  それでは、小委員熊谷太三郎君、下条進一郎君、中村啓一君、福岡日出麿君、小柳勇君、竹田四郎君、対馬孝且君馬場富君、安武洋子君、藤井恒男君及び柿沢弘治君を指名いたします。  また、小委員長竹田四郎君を指名いたします。  なお、小委員及び小委員長辞任及びその補欠選任、並びに小委員会から参考人出席要求がありました場合の取り扱いにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  10. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査議題とし、派遣委員報告を聴取いたします。  まず、第一班の御報告を願います。福岡君。
  11. 福岡日出麿

    福岡日出麿君 第一班について御報告申し上げます。  派遣委員楠委員長馬場委員藤井委員及び私の四名で、期間は去る九月七日から三日間。中部電力株式会社浜岡原子力発電所四日市石油化学コンビナート及びトヨタ自動車工業株式会社を視察いたしました。以下、視察の概要について簡単に申し上げます。  まず、中部電力浜岡原子力発電所について申し上げます。  昭和五十年代前期経済計画は、今後の中長期的経済発展の方向として、実質成長率六%強の線を明示しております。この経済見通しに基づく中部五県の今後の電力需要は、五十二年から五十六年の五カ年間に年率七・九%の伸びで、五十一年の千百三十二万キロワットから五十六年には千六百五十四万キロワットになると想定されるのであります。さらに、五十七年から六十一年の五年間には年率六・七%で伸び、六十一年の需要は二千二百九十万キロワットになると想定されます。これによって中部電力株式会社は、今後年々百万ないし百五十万キロワットの電源設備開発が必要になると考えております。  同社で現在工事中、準備中の電源設備としては、浜岡原子力発電所二号、知多火力発電所五号、六号、奥矢作水力発電所一号、二号、三号などがあります。これらの電源設備出力は、合計四百八十三万キロワットになりますが、これらが予定どおり完成いたしました場合の予備力率を見ますと、五十五年に建設確定分のみを加えて六・四%、計画分をも加えて七%、また五十六年には建設確定分のみを加えて四・八%、計画分をも加えて八・四%となり、いずれの場合も適正予備率とされる一〇%を下回ることになるのであります。その対策といたしまして、同社は浜岡原子力発電所三号機(出力百十万キロワット)の増設を計画いたしております。  ところで、わが国原子力発電所の現状は十三基、七百四十三万キロワットでありますが、今回視察した浜岡原子力発電所は、わが国八番目の原子力発電所として静岡県小笠郡浜岡町に建設され、一号機(出力五十四万キロワット)は五十一年三月十七日運転開始、また目下建設中の二号機一八十四万キロワット一は五十三年運転開始の予定であり、さらに計画中の三号機は六十年の運転開始を目指しております。原子炉型式はいずれも軽水型であります。  浜岡原子力発電所の特徴は二点あります。  第一点は、同所わが国有数地震地帯に立地していることを考慮し、地震対策を講じていることであります。具体的には、面積七百平方メートルの堅固な一枚岩の上に原子炉建屋タービン建屋を一体的に構築し、過去に実在した最大規模地震及び将来想定できる最大規模地震に耐えられるよう設計したことであります。  第二点は、遠浅で波の荒い海岸地形を顧慮して、冷却水用の海水をトンネル取水していることであります。放射能に対する人体安全対策といたしましては、まず一階にホール・ボデー・カウンターがあります。この設備は、人体の摂取した放射性物質の量を計測するためのものでありまして、同発電所所員請負作業従事者は、初めて同所に来たとき、同所を去るとき、その間は三カ月に一回及びその他必要と認めた場合に測るものであります。また、一号機建屋入口にはゲートモニターが設けられており、放射線管理区域から出る者について、放射能汚染の有無をチェックしております。  なお、静岡県温水利用研究センターは、同発電所の温排水を利用し、魚類等の養殖や種苗栽培の研究を行っております。  次は、四日市石油化学コンビナートでありまして、新大協和石油化学四日市工場中部ケミカル四日市工場東洋曹達工業四日市工場三菱油化四日市事業所三菱化成四日市工場及び日本合成ゴム四日市工場の六工場を視察いたしました。  石油化学工業はきわめて若い産業でありまして、わが国において石油化学製品がみずからの手で生産されるようになったのは昭和三十二年であります。当時、わが国石油製品市場において重油の比重がきわめて大きく、その結果として、揮発油分としてのナフサが過剰となるという事情を背景に、新技術工業化を契機として、わが国石油化学工業は急成長し、いまではその生産額製造業の約八・五%に当たるところの十二兆四千億、従業者製造業の約八・一%に当たる百三万人に達し、わが国産業構造国民経済に重要な地位を占めるに至ったのであります。  ところで、石油化学工業は次のような特性を持っております。  それは第一に、資本装備率が非常に高いこと、第二には、製造業としては人件費比率が比較的低いこと、第三には、原材料であるナフサ費用のコストに占める割合が大きいこと、第四に、技術依存性の高いこと、第五に、石油消費型産業であること、第六に、公害が発生しやすく、かつエネルギー蓄積が高いため、公害対策保安対策が重要であること、第七に、ナフサ分解から発生するガスを総合的、効率的に利用する必要から、コンビナート体制をとって発展してきたことでありまして、現在、全国に十七のセンターを数えておるのであります。  この石油化学工業には、現在次のような問題点が生じております。  一、まず石油危機を境として、原料であるナフサ価格が一キロリットル当たり、四十八年十月八千円から、五十一年度末二万九千円まで高騰し、これによりエチレン価格に著しい国際格差を生じました。ちなみに、五十二年七月時点では一キロ当たり米国の七十二円から七十四円、西欧諸国の八十六円から九十二円に対しまして、わが国では九十九円から百円であります。  また、産業設備投資額に占める公害防止設備投資額の割合は、全産業平均が一五・六%、石油化学工業が一七・二%となっております。なお、四日市コンビナートセンター会社である三菱油化及び新大協和石油化学の五十一年度までの公害防止設備投資の累積約三百六十三億円は、全設備投資累積額の約二〇%に相当いたします。加えて石油コンビナート等災害防止法の施行に伴い、流出油防止堤などの保安対策費の支出が今後必要となります。  さらに、化学工業技術進歩世界的に鈍化しており、わが国もその例に漏れず、技術進歩によるコスト引き下げ、新規需要開発、他材料による代替等は停滞しております。  これらの要因から、わが国石油化学工業製品国際競争力は著しく低下し、不況に苦しんでおるのであります。四日市コンビナートエチレンプラント稼働率は、三菱油化においては四十八年度の八二%が、五十二年七月には七〇%に低下し、新大協和石油化学においては、四十八年度の六九%が、五十二年七月には七三%に低下しております。ちなみに、全国平均稼動率は、四十八年の八四・七%が、五十二年の七月には七三・五%となっております。  なお、関連業界では次の二業種が不況カルテルを実施中でありまして、まず、塩化ビニール樹脂減産率四九・三%で、カルテル期間は五十二年五月十三日から五十二年十一月三十日まで、またポリオレフィン・フィルムは減産率が四三%で、カルテル期間は五十二年七月十一日から五十二年十月三十日までであります。  では、不況に対して企業はどのような対策を講じているかを、三菱油化を例にとって見ますと、次のとおりであります。  第一は、現業の採算向上対策でありまして、ナフサ価格に見合う製品価格の実現は需給関係から十分に達成できず、社内のコストダウン努力財務体質面から限界があり、ナフサ適正価格による安定購入には、なお多くの問題点があります。  第二は、不採算事業の整理でありまして、バインダー(大型回転成型機械)など樹脂加工商品の一部販売事業食品事業の一部、芝生事業等の撤退を行いました。  第三は、事業分離対策でありまして、事業を分離して四つの新会社を設立し、四百八十七名の従業員の出向を行いましたが、即効性は少なかったのであります。  第四は、資産処分でありまして、工場用地一般用地、社宅、株式の処分を行いました。  第五は、要員対策でありまして、すなわち人員整理希望退職者募集等雇用調整策をとらないことを前提として、労組と十分協議の上で事業分離社外派遣、退職不補充による八百名の減員計画を実施いたしました。また、従来新規学卒を大卒、高卒合わせて毎年約三百人採用しておりましたが、五十一年、二年、両年度は採用を停止いたしました。  次に、ナフサ価格の問題についての企業側の主張及びその要望は、次のとおりであります。  第一に、石油化学工業及び関連諸産業にとっては、ナフサ価格を早急に引き下げることが喫緊の課題でありますが、問題の核心は単にナフサ価格水準のいかんにあるのではなく、ナフサ価格が政策的に割り高に設定される制度的仕組みにあります。これを解決するためには、エネルギー供給体制全般の中で、燃料と区別した原料としてのナフサの位置づけを明らかにし、それに基づいて、総合的対策を樹立することが必要であります。  第二に、現在日本と西欧とのナフサ価格差は、一キロリットル当たり四千円ないし五千円でありますから、原料用ナフサ価格を早急に国際価格、少なくとも西欧の価格水準まで引き下げるとともに、石油化学会社自身がいつでも自由にナフサを輸入できるようにしていただきたい。  第三に、将来の原料用ナフサ価格及び需給を安定させるため、原重油ナフサ関税を原則として廃止するとともに、原油、ナフサの生だきを廃止していただきたい。  以上が四日市石油化学コンビナート視察の大要でありますが、通商産業省当局は九月三十日、ナフサ問題については、五十二年度下期の経済情勢の推移と輸入需要の増大を踏まえ、弾力的に輸入数量の拡大を図るものとし、当面、今年度の輸入数量は九百万キロリットル程度を見込むものとする。またナフサ価格については、今後とも需要業界石油業界との間の調整を進めることにするという方針を明らかにいたしております。  次に、トヨタ自動車工業株式会社について申し上げます。  初めに、わが国自動車産業の概況を述べますと、昭和五十一年の自動車生産台数は約七百八十四万台で、四十二年以降米国に次ぐ世界第二位の自動車生産国になっております。また五十一年の輸出台数は約三百七十一万台で、輸出比率は四七・三%に達しており、仕向け地別では対米輸出が四〇・七%(五十一年度)を占めております。さらに五十一年の輸出額は百九億九千ドルで、わが国輸出総額の一六・三%を占めております。  この自動車産業がいま抱えておる問題は、国内では公害対策、省資源対策及び需要の飽和であり、対外的には米国巨大企業自動車小型化戦略との競合であります。  トヨタ自動車工業株式会社は、企業別自動車生産台数においてゼネラル・モータース、フォードに次いで世界第三位を占め、対米輸出においても永年首位を占めてきた西独フォルクスワーゲンを抜いてトップに立っております。ちなみに第七十三決算期、すなわち五十一年七月から五十二年六月に至る期間においては、生産は対前期比一〇七・六%の二百六十一万台、国内販売は対前期比九六・五%の百三十五万台、輸出は対前期比一二一・七%の百二十九万台という成績をおさめました。これを車種別に見ますと、乗用車のシェアは生産国内販売輸出とも前期の七一ないし七二%から今期の六九%へと、わずかながら低下が見られました。  現に輸出状況を見ますと、仕向け地の三大国は、米国三五%、サウジアラビア一〇%及びオーストラリア七%であります。  会社首脳部説明内容は次のとおりであります。  一、輸出好調の原因を、たとえばコロナ米国同型車との比較で見ると、コロナの方が価格は幾分高いが、品質、サービスにおいてまさるため、米国消費者コロナを選択するものと考えられる。  二、国内販売量輸出量との比率について、現在はほぼバランスがとれているが、将来は六対四に持っていきたい。そこで、当面五十三年は五十二年とほぼ横ばいと予測されるので国内販売量を伸ばしたい。また仕向け地別では対米を徐々に減らし、対欧州は横ばいにしたい。中近東については見通しを立てにくい。総じて需要があるのに、輸出を減らさなくてはならないのが実情である。  円高対策といたしましてはすでに二回、六%価格引き上げをしており、現状程度為替相場で推移してほしいと願っておる。今後の海外の動きといたしましては、米国小型車生産欧州諸国輸入規制の動きにそれぞれ注目しておる。  三、次に外車輸入だが、現在の年間輸入量は約四万二千五百台であり、西独五一%、英国三八%、イタリア四%などが主である。輸入関税の税率はECの一一%に対しまして、わが国は六・四%であり、輸入障壁とはなっていない。性能等をも勘案すると、輸入外車価格国産車の約二倍に相当する。  四、省資源、省エネルギーという今日的要請に対しましては、エンジン本体効率向上重量軽減など、燃費向上対策に努力し、企画、設計、生産各段階において著しい成果を上げている。  五、交通安全については総合的対策を講じているが、特に車自体安全対策としては、故障診断装置衝撃吸収バンパー電子制御式横すべり装置など自主的安全装備を施すとともに、シートベルト着用運動など、人の安全対策を社内外で展開しておる。  六、さらに当面の課題である五十三年度排出ガス規制については、車種、エンジンの特性に応じ、三元触媒方式(五十二年六月発売車から実用化)、TGP燃焼方式(五十二年八月発売車から実用化)及び酸化触媒方式で対応することとしておる。  七、また、自動車関係諸税の租税総収入に占めるウエートは一〇・六%(五十二年度)になっており、自動車一台当たり税負担国際比較を見ますときに、わが国を一〇〇として米国は二三%、英国が六八%、西独が六四%、フランスが九九%になっておる。  一方、道路舗装率国際比較を見ると、英国九六・五%、西独九五%、イタリア九三%、フランス八九%、米国八〇・四%に比べて、わが国は三三・七%にすぎない。そこで、自動車関係諸税収入の使途についてとかくの議論が行われているが、今後とも積極的に道路財源に充てるべきであると考える。  八、なお、省資源的見地からモデルチェンジは自制すべきだとの議論もあるが、安全対策排ガス規制対策上の装備実施は、車体構造上必然的にモデルチェンジを要請するものであり、現にフォルクスワーゲン社が永年単一モデルに固執した結果は、車体構造改良上の制約を余儀なくされ、販路の縮小をもたらしたことを考えれば、いたずらにモデルチェンジが非難されるのは当を得ないと考える。  以上の説明を聴取いたしまして、質疑を行った後、上郷工場及び高岡工場を視察いたしました。特に、ベルトコンベヤーによる作業の進行中、作業工程上の異常、作業員個人健康異常等を含めて、何らかの異常が発生いたしましたときには、作業員個人の判断で作業の進行を一時停止できるというシステムをとっていること、そして異常個所の発生は、工場内に懸垂された標示灯パネル通称あんどん)に直ちに点灯、表示され、修理等対応策を講じることができるようになっていることなどは、人命尊重の配慮が行き届いているものと感じました。  以上、御報告申し上げます。
  12. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 次に、第二班の御報告をお願いいたします。林田君。
  13. 林田悠紀夫

    林田悠紀夫君 第二班について申し上げます。  派遣委員中村委員竹田委員と私の三名で、期間は去る九月七日から三日間。視察いたしましたところは株式会社諏訪精工舎株式会社三協精機製作所下諏訪工場関西電力株式会社黒部ダム黒部川第四発電所株式会社小松製作所粟津工場、九谷焼の九谷陶芸錦山窯でありました。  以下、視察概要について簡単に御報告申し上げます。  諏訪精工舎昭和十七年に創立され、精工舎グループの一つとして紳士用腕時計生産を担当しており、生産規模拡大とともに、諏訪、松本、塩尻、伊那地区に、順次、部品製造組み立て等専門とする関連会社七社を設立して、諏訪精工舎グループを形成しております。  精工舎工場従業員数は約二千四百名でありますが、関連会社、さらに協力会社外注会社等従業員を会わせると一万数千名となります。  去る三十九年の東京オリンピック開催のとき、競技用公式計時装置セイコーが採用されてから、急速に電子時計技術開発が進み、四十四年にクオーツと呼ばれる水晶発振式電子腕時計が発売されるようになり、その後年を追ってクオーツ生産も多くなり、需要も伸びております。現在、諏訪工場での生産は、ぜんまい式クオーツともで年間千百万個で、生産量の六〇%がアメリカ、東南アジアを初め世界各国輸出されております。現在でも輸出は順調に伸びておりますが、この輸出好調の要因として会社側は、セイコーのブランドで世界的に知られていること。大量生産のための製造技術がすぐれていること。海外販売体制が確立されていること。さらに、世界時計生産国であるスイス電子化に立ちおくれている上、スイスフランの高騰が、スイス輸出に悪影響を与えていること等であると説明しており、今後もなお、輸出の好調は続くであろうとのことでありました。  三協精機製作所昭和二十一年に創立され、オルゴール製造を初め、現在では精密機器、タイムスイッチ、八ミリカメラ、映写機、デジタルクロック、テープレコーダー、工作機械等製造しております。  私たちの参りました下諏訪工場は、オルゴール工場であります。  会社製品別販売高から見ますと、オルゴールは一四%でありますが、その生産量わが国第一で、世界の七〇%、わが国の七五%を占めております。工作機械部門を持って、自社技術による各種のオルゴール専用工作機を開発したことにより、近代的量産体制を確立し、現在では自動組み立て機等により無人化システムを進めております。月産は三百万台で、そのうちの六〇%はヨーロッパ、アメリカ、その他の国々に輸出しております。  この工場ではオルゴール機械本体だけを製造しており、あとは専門のメーカーによって、時計宝石箱たばこケース玩具等に組み込まれておりますが、まだ新しい用途を開拓すれば、さらに需要は伸びるであろうとのことであります。  次に、関西電力黒部川第四発電所について申し上げます。  黒部峡谷の御前沢地点に高さ百八十六メートルのアーチダムを築き、有効貯水量一億五千万立方メートルの大貯水池黒部湖をつくり、そこから約十キロメートルの下流地点地表下百五十メートルの深さのところに、黒四発電所建設されております。発電設備は、発電機四台で、最大出力三十三万五千キロワットであります。  この黒四発電所は、去る三十一年に着工、大自然の悪条件を克服しながら、七カ年の歳月をかけて、三十八年に完成されたものであります。この発電所が完成されたことによって下流の既設各発電所出力増加に役立ち、さらに新黒部川第二、第三発電所の新設も可能となったのであります。このように黒四が建設されたことは、黒部川水系の一貫開発の基盤ともなっており、その意義は大きいのであります。現在、黒部川水系発電所の総出力は、七十五万七千九百キロワットであります。  黒四発電所建設されました昭和三十年代は、当時の急増する電力需要に対応するため、電源開発が要請されるとともに、貯水池発電地点の開発を本格的に進めようとした時期でありました。その後、火力発電の技術の進歩、大容量の重油専焼等の出現により、電源構成の主体が水力から火力、さらに原子力へと移っております。  今日までに、全国で水力開発はかなり進んでおり、残された地点は奥地化して、開発条件は悪くなってはおりますが、水力は国内の重要なエネルギー資源であり、国内資源の有効活用の面から見ても、またエネルギー源の多様化を図る見地からも、水力の見直し、その開発を促進する必要があると思います。  小松製作所は、ブルドーザーを初め、建設機械のトップメーカーとして知られており、特にブルドーザーのシェアは大きく、国内では六〇%、世界でも二五%に達しております。  この製作所は、大正十年に小松市にある竹内鉱業から分離独立して設立され、最初、プレスの製造、農耕用トラクターの国産化に着手し、その後、トラクター、農業機械等の増産のため、昭和十三年に粟津工場が新設されました。私たちが視察いたしましたのは、粟津工場であります。  現在、この工場の主要製品は、中、小型のブルドーザ、小型パワーショベル、工作機械、プレス、鋳鋼品であります。鋳鋼から製品組み立てまでの一貫生産設備を持っており、新鋭設備はコンピューターと連動し、無人化、省力化を図っております。ブルドーザの組み立てラインは、中型用、小型用の二つの組み立て工場を持ち、それぞれ多種機種を合理的に組み合わせて流す多機種交互生産方式がとられております。月産は千四百台で、製品の約半数はアメリカ、中近東、共産圏その他各国へ輸出されております。  最近の不況下で、公共事業量の減少、民間建設投資の低迷等により内需は停滞しているようであります。  会社側の話によりますと、景気対策として公共投資の拡大を期待しているが、現に大手土木建設業者の多くは遊休機械を抱えているので、工事量がふえても、この遊休機械を稼働させることが先で、次の工事があるかどうかまで考えるので、すぐには新しい建設土木機械の需要にまで結びつかないであろうとのことでありました。  内需の停滞に対し、輸出は共産圏向けが多少減少しているが、アメリカ向けは期待できるとのことで、内需の不振を輸出でカバーしようとしております。  最後に、九谷焼について申し上げます。  九谷焼は、慶安のころに九谷地区で陶石が発見されたことが契機となり、その後、色絵を施した古九谷を完成し、現在の九谷焼の源流ができたと伝えられております。  九谷焼の素地は、やや青味を帯びており、これに合った絵づけをする、呉須を用いる下絵づけ、九谷五彩を用いる上絵づけにその特徴があるとされており、現在、装飾品、日用品を生産しておします。  産地は、石川県寺井町、小松市、金沢市、加賀市であり、産地の工場数は約六百、従業員数は約四千名、年間の売上高は百億円で、そのうち約三〇%は輸出しております。  五十年五月に伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づいて、伝統的工芸品に指定されましたので、現在、産地では、九谷陶磁器商工業協同組合連合会が母体となって、振興計画に沿って、後継者、従事者に対する成型技法及び絵づけ技法の基礎、または実務の研修後継者、従事者研修のための伝習生教室の拡張、整備、作業所の環境改善の推進等の振興事業を進めているところであります。  今回の視察当たり、御協力を賜りました関係者の方々に対して感謝の意を表して、報告を終わります。
  14. 楠正俊

    委員長楠正俊君) 別に御発言もなければ、派遣委員報告はこれをもって終了いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時五十四分散会      —————・—————