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1977-11-24 第82回国会 参議院 社会労働委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二十四日(木曜日)    午後零時十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         上田  哲君     理 事                 佐々木 満君                 玉置 和郎君                 浜本 万三君                 小平 芳平君     委 員                 浅野  拡君                 遠藤 政夫君                 亀長 友義君                 熊谷  弘君                 鈴木 正一君                 成相 善十君                 福島 茂夫君                 真鍋 賢二君                 森下  泰君                 高杉 廸忠君                 広田 幸一君                 安垣 良一君                 渡部 通子君                 小笠原貞子君                 柄谷 道一君                 下村  泰君    衆議院議員        社会労働委員長  橋本龍太郎君    国務大臣        労 働 大 臣  石田 博英君    政府委員        労働省職業安定        局長       細野  正君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○特定不況業種離職者臨時措置法案衆議院提  出) ○国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨  時措置法案衆議院提出)     —————————————
  2. 上田哲

    委員長上田哲君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  特定不況業種離職者臨時措置法案を議題といたします。  これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 佐々木満

    佐々木満君 まず、衆議院橋本委員長におかれましては、大変お忙しいところを私の質問に御答弁をいただきますために、わざわざ御出席を賜りまして厚くお礼を申し上げたいと思います。  そこで、最近の厳しい経済情勢の中にありまして、労働者皆さんが、少なからない方々が深刻な雇用不安に悩まされておることは、先般来いろいろと論議されておるとおりでございます。こういう情勢の中にありまして、橋本委員長におかれましては、いわゆる離職者臨時措置法を精力的に取りまとめをいただきまして、議員立法として御自身の御責任提案をされたことに対しまして、まず、私は、心から敬意を表したいと存じます。  この臨時措置法は、議員立法ではございますけれども成立をいたしますと、当然のことでございますが、法律として一人歩きをしていくわけであります。労働省なり政府がその運用に当たっていくことになるのでありますが、当然、政府なり労働省がこの法律運用に当たるに際しましては、議会におきますところの審議内容なり審議経過等について御配慮をいただいて運営をしていただくことは当然でありますけれども、中でも私は提案者の御意向というものをよくおくみ取りをいただきまして、提案者の御意向に沿ってさらに議会審議経過を踏まえて、正しく運用をしていただく必要があるかと存じます。そういう意味合いにおきまして、きょうは御提案をされました橋本委員長その人に対して二、三お尋ねをいたしたいと存じますので、よろしく御協力をお願い申し上げたいと存じます。  まず第一は、先般、橋本委員長から提案理由につきまして直接御説明をいただいたのでございます。何回も読み直しをいたしまして、大変含蓄のある提案理由だというふうに思っておるわけでございますが、大変重要な法案でございますので、大変申し訳ございませんが、どのような趣旨で何を目的として立案をされ、提案をされたのか、大変恐縮でございますけれども、いま一度、もう少し具体的にひとつお教えをいただきたいと思います。
  4. 橋本龍太郎

    衆議院議員橋本龍太郎君) 本日お招きをいただき、参議院社会労働委員会考え方の御説明を申し上げる機会を与えていただきましたことに、最初にお礼を申し上げます。  本来、私どもとすれば、こうした離職者対策といったようなものでの特別な立法措置を必要としない社会経済情勢をつくり上げることが最も望ましいことであります。しかし、もうよく御承知のように、最近の雇用失業情勢というものは従来に見ない非常に深刻なものでありまして、すでに失業者数も百万を超え続け、失業率そのものも二%を超える。しかも、有効求人倍率も〇・五倍台というところを低迷したまま、遺憾ながら回復の兆しを見せておりません。また、最近の円高等の状況もその一つのあらわれでありますが、いま日本日本だけでこうした問題を切り抜けることができる状況ではすでになくなり、国際社会荒波をそのままで受けとめなければならないような状況になっております。そういう状況の中で、オイルショック以降安定成長に向けて国は努力を続け、今日までまいったわけでありますが、遺憾ながら日本の国内だけではいかんともし得ない国際情勢変動に伴う構造不況と申しますか、特定不況と申しますか、そうした産業も発生することは今日では目に見えてまいりました。また、国民生活様式その他の変動によりあるいは新しい資源開発等の影響を受けて、従来の産業としていやおうなく衰退に追い込まれていかなければならないようなものもございます。こうしたものを考えてまいりますときに、どれだけ企業者努力をし、そこに働く方たち努力をされましても、また国がどれだけのてこ入れを図ろうとしましても、それだけでは現在の経済荒波を越えていくことができない産業というものがある程度想定をされるわけであります。そして、これは従来のわが国の高度経済成長時代において行ってまいりましたような、一時的な不況をしのぐために、一定期間の間、企業に対するてこ入れを国が行うことによって、やがて景気の回復を待つという手法が、今回はこれには適用ができません。そうなりますと、今後そうした構造的な要因による不況にあえいでいる業種からは、一定時点においてある程度まとまった数の離職者が発生する危険性というものはきわめて大きなものがあります。本来ならば、政府がこれに対して積極的に対応策を講じられることが望ましいことでありますが、政府自身として雇用安定事業をつい先般スタートをさせたばかりでもあり、また対策本部を設置し対策を講じておられるとは言い条、構造不況業種そのものてこ入れの段階をまだ踏み越えることができない情勢というものが、つい先般まであったわけであります。しかし、そうした産業に働いておられる方々は、毎日の生活に非常に不安を感じておられることも間違いない。また、最大限の努力をした後における救いの措置というものが考えられない場合に、企業としての抵抗にも一つの限界があろう。最善を尽くして努力をしなさい。しかし、持ちこたえがきかない場合、そこから出る離職者に対してわれわれはこれだけの措置をいたしますよという考え方を、国として事前に示す必要があろうというのが私どもの基本的な考え方でありました。そして、期せずして各政党各会派ともに同様な趣旨から、この特定不況業種離職者に対する臨時対応措置を講じ、従来発生をしておる、まあ百万台の失業者方々にはこれ大変申しわけない話でありますけれども、こういう構造不況といった特定要因のために発生する大量の失業者というものを、まず出さないで済むような雇用の安定が図れれば、まず第一歩の成功。もし、そうした方々が出た場合にも、それを速やかに新しい雇用の場を切り開いていくことによって、より社会不安の発生することを防いでいきたい。そうしたことを考えていけば、その失業の予防と再就職の促進という二本の柱で、やはり一つ特別立法を必要とするということから、衆議院社会労働委員会において各党意見が一致し、今日、参議院での御審議を願っているような次第でございます。
  5. 佐々木満

    佐々木満君 次に、この法案中身について具体的に二、三お尋ねを申し上げたいと思います。  第一は、この対象になりますところの業種範囲の問題でございます。これにつきましては、去る十七日にもいろいろな御質問なり御意見が当委員会で出たのでありますが、私はわざわざ特別立法をつくって特に手厚い対策を講じようとする以上、当然この範囲というものを国民皆さんの納得のいくような線で確立をすることが必要であると存じます。法案におきましても、第二条でそのような観点からだと思いますが、幾つかの縛りと申しますか、しぼりをかけていらっしゃるのであります。経済基調変化ですとか、国際経済環境変化ですとか、供給能力が著しく過剰で、しかも長期にわたるとか、いろいろございますが、その中で「法令に基づく行為又は国の施策に基づき」云々というのがございます。ひとつ、私もこれわかるような気もいたしますけれども、「法令に基づく行為又は国の施策」、とは一体どういうのを提案者考えておられるのか、お教えをいただきたいと思います。
  6. 橋本龍太郎

    衆議院議員橋本龍太郎君) この法律案そのものが、一般失業者に比べて、この特定不況業種対象となりました産業から発生した離職者に対して、特に手厚い援助措置を講じようという考え方をとっております。その場合に、従来もそういう観点から見ますと、たとえば繊維離職者でありますとか、港湾運送業関係でありますとか、あるいは漁業離職者など、こうした特定対象をとっての手厚い措置というものは、国の行為とか、法令とかいうものに基づく行為ということで対策を講じてまいりました。まあ、今回も特定不況業種離職者として、一般失業者とは違う扱いをする限りにおいては、やはり法令に基づく行為あるいは国の施策に基づくといった一つ基本線は必要であろうと考えた次第であります。  なお、これは衆議院側でこれを取りまとめてまいります中で、整理をしてまいりました基本的な考え方というものを、この機会に申し上げてみたいと思いますが、まず第一に業種要件として経済基調変化国際経済環境変化長期にわたる不況等経済的事情、それによってその製品や役務の供給能力が過剰になり、その状態が長期に、継続するということが一つ問題点であります。そうして、いまも御質問にありました法令に基づく行為または国の施策に基づく事業縮小等が行われるということと、それによって相当数離職者が発生する、または発生するおそれがあるということが、もう一つのしぼりであります。こういう考え方そのものにつきましては、事業転換等、従来から行われております雇用調整事業業種指定基準考え方と同じように、生産活動でありますとか、あるいは雇用状況等を見ると同時に、需給ギャップ状況を勘案するためには、在庫量でありますとか、操業度等というものも考慮に入れなければいけないのではないだろうか。こうしたことが一つの問題として提起をされております。  そういう考え方をとってまいりますと、国の施策等というものの要件については、次のような場合が考えられると思います。  一つは、はっきり法令に基づいて直接事業規模縮小等が強制される場合であります。また、事業規模縮小等について、次のような内容を含む閣議決定あるいは当該業種を所管する省庁の明確な政策決定がなされて、これに基づく国の負担でありますとか、あるいは行政指導が行われることと、そういうものが考えられます。  この二のケースになりますと、たとえば従来行われておりますものを例にとりますならば、繊維等で行われましたような過剰設備過剰施設買い上げ廃棄を国が直接実施するようなケース、あるいは過剰設備施設買い上げとか廃棄の資金について、国が事業主またはその事業主によって構成されております団体に対して補助あるいは利子補給等行為を行う、またあるいは事業規模縮小等についてその事業所所管大臣の勧告とか直接の行政指導が行われるというようなケースであります。私ども考えております法令に基づく行為または国の施策というものはこうしたものでありまして、指定は原則としていろんな議論がございましたが、最終的には日本標準産業分類の小分類または細分類で行うということを、衆議院側立案の過程としては各党の合意を得ておるところでございます。  なお、こういう状況の中でありますから、これについて、たとえば中央職業安定審議会等意見を聞くといったような必要性もあるいは出てくるのではないだろうか、私どもとしてはそのように考えておる次第であります。
  7. 佐々木満

    佐々木満君 いまの業種指定の問題に関連をいたしまして、衆議院におきまして決議が御承知のようになされておるわけでありますが、それを拝見をいたしますと、業種指定は、「法の趣旨を生かし、経済実情に即応して弾力的に行うこと。」とこういうふうになってございます。  そこで、この「弾力的」というのはどういうことなのか、まさに弾力的でございましょうが、少し具体的にお教えをいただければ大変ありがたいと思っておりますが。
  8. 橋本龍太郎

    衆議院議員橋本龍太郎君) いまの御質問の点は、附帯決議の中の早期実施に関する部分をとらえたと理解してよろしゅうございますか。  これは私どもとしては、実は衆議院側として責任を持った施行日を決めたいという考え方もずいぶん強くありました。ただ、率直に申しまして政府側事務当局内容のすり合わせで手いっぱいでありまして、事務的な日程その他まで十分に調整をし切らないままに各党会派意見が一致し、法律を制定するという運びになってまいりまして、その点で施行日についての議論最後まで実は一致を見なかったわけであります。そこで、私どもとしては現在の非常に厳しい雇用情勢の中でありますし、雇用不安の解消に少しでも役に立つならば、できるだけ早い時期で施行していただくことが望ましいと基本的に考えております。それだけに、私どもとしてああした附帯決議を付しました趣旨は、参議院においての御審議において、場合によってはもっと早い日取りが設定できるならば、一日も早く施行できるような状況をつくっていただきたいという願いも込め、また政府側にも早期実施についての真剣な努力というものを望みたいということで付したような次第でありまして、これ以上の部分を申し上げますといろんな問題がありますので、この部分についてはこの程度のお答えで御了承願いたいと思います。
  9. 佐々木満

    佐々木満君 私の質問の仕方が大変幼稚でございまして、実は委員長さん別なことをお答えをいただいてしまったわけでありますが、私がお尋ねを申し上げたのは、この業種指定に当たって経済実情に即応して弾力的に行えと、こういう御決議があるわけでございますので、この弾力的というのはどういう意味かと、弾力的なお答えで結構でございますけれども、ひとつ一言お願い申し上げます。
  10. 橋本龍太郎

    衆議院議員橋本龍太郎君) 大変失礼いたしました。いま実はそこのところを、いま実はどちら側の部分を指されたのかはっきりしないもんですから、ちょっとお尋ねをし返して御答弁申し上げたようなことでありますが、いま御承知のように、政府自身対策本部を設けて対象としております業種は、一定の数に限られております。ただその中で、衆議院としてはすでに可決をいたしまして本院に送付をされております漁業離職者についての特別臨時措置法、また運輸委員会において同様先般衆議院を通過いたしまして本院に送付をされております船員の方々離職問題についての特別立法、このようにこの法律案政府対策本部考え方からいけばカバーしているものの中で落ちておるものもございます。他の立法を必要としたものもございます。同時に、たとえば安定事業対象にとっておりますような業種を全部考えに入れろというような御意見もあるわけでありまして、その幅というものは必ずしも実は一定をいたしておりません。そして、特定不況業種として考えられるものが、今日の時点で想定されている業種だけで果たして足りるのかどうかということは、これは今後の課題としてわからない部分がずいぶんあるわけであります。仮にたとえば、円高相場等がこのまま続いていけば、現在特定不況業種とは考えられていない業種においても、当然構造的な不況に追い込まれ、そのための対応策を必要とするような業種も出てくるかもしれません。逆に、今日では構造不況業種の中に数えられておるものでも、場合によってはこの円高による為替差益等の恩恵を逆に受けて、危機を脱する産業もあり得るわけであります。そうなりますと、いま世情いわゆる構造不況業種として言われておりますような産業だけが、果たしてこの法律対象として想定されていいものかどうか、この点には私どもにも自信がございません。また、俗に構造不況と呼ばれております中にも、国の施策とか、先ほど申し上げましたような法令に基づく行為という範疇から線を引くならば、その対象にならないケースもあるいは出てくるかもしれません。ただ、こうした立法に院として踏み切りました趣旨というものは、これによって少しでも多くの方々雇用の安定が図られ、また不幸離職の事態になりましても、新たな職域を見出すための努力が速やかに行われるようにという願いを込めたものでありますから、政府が現在対策本部として取り上げておられる業種にあえて固執することなく、もっと広い範囲考えていただく場合も、またもっと対象を逆に削る場合もあり得るであろう。現実を踏まえてより効果のあるような運用をしてもらいたいという趣旨でございます。
  11. 佐々木満

    佐々木満君 大変御親切なお答えをいただいてありがたく思いますが、次に私はこの今回の法案、大変重要な条文がたくさんあるわけでありますが、その中で私なりに考えまして、まあ一番とは申しませんけれども、とりわけ重要であるという条文は第四章の規定、中でも第九条の職業訓練に関する規定だろうと私なりに考えておるのであります。いわゆるこの特定不況業種にたまたま勤めておったばっかりに、不幸にして離職を余儀なくされる、そういう労働者、この皆さん方が一番希望しておること、一番痛切に求めておることは何かと申しますと、私はお金をもらうことも結構だと思いますけれども、一日も早く安定した職場に再就職をする、そうして安定した賃金を得て生活の安定を取り戻すことが一番労働者の方が望んでいらっしゃることだと思います。ところが、この人たち経済の循環によって出てくる一時的な失業者と違いまして、再就職の場所というものをいままで経験しなかった新しい分野に求めなければならない、こういう方々であるわけであります。そのためには職業訓練というものをやり直しをしまして、新しい腕を全く新しくみがき直すと、こういうことをしなければならぬわけでございまして、私はその意味職業訓練というものが大変大切だと、こういうふうに考えるのであります。  第九条には、そういう意味だと思いますが、職業訓練の時期でありますとか、期間でありますとか、職種、あるいはこの訓練施設、あるいは訓練定員、こういうものについて特別の措置を講ずると、こういうふうに書かれておるわけでございます。大変結構なことだと思いますが、ひとつこの特別措置中身として、提案者はどのようなことをお考えになっておられるか、お聞かせを願いたいと思います。
  12. 橋本龍太郎

    衆議院議員橋本龍太郎君) これはいま御指摘のとおり、不幸にして離職者が発生してしまった場合においては、新たな職場を、一日も早く安定した職場を得られるように職業訓練をし直すということは、大変重要な項目であると、間違いありません。私どもがいま考えておりますのは、その離職者実情を、その方の過去の経験、技能、そういうものを生かして関連した分野に向けられればそれに越したことはありませんけれども、御指摘のような場合が多く出てくることを考えて、この職業訓練に対する条項を入れたわけであります。それと同時に、せっかく新たな職域を開拓したつもりが、そこがまた構造不況業種にぶつかってしまったり、あるいはその方々がすっと入れる職種はあるけれども労働市場需給関係からいって無理だというようなこともあり得るわけでありまして、その意味では相当機動的な運用をこれは必要といたします。そのため、まず第一に訓練施設を、これはもうむしろ実は労働大臣に御答弁をいただいた方がいいのかもしれないんですが、訓練施設そのものを余り固定した考え方で使わずに、有効に活用していただきたい、そのためには入校時期そのもの多様化を図っておいていただきたい。それは一定の時期にしか入れないというのでは、これは困ります。ですから、入校時期の多様化をまず図っていきたい。同時に、訓練施設状況に応じて、たまたまこの職種ならば非常に求人数はありそうだというところが定員で縛られて、それ以上の方が入れないというんじゃ困ります。ですから、臨時訓練科定員を増員するというようなことも考えていただきたい。それから、労働市場における求人等に見合う職種訓練については、むしろ積極的に各種学校等訓練実施を委託するというような措置も講じてもらいたい。また、場合によっては必要な施設を借り上げて速成訓練を行うというような運用考えてもらいたい。そして、まず第一に離職者の前歴、すでに持っている技能等を生かして、その実情に応じて現行の職業訓練規定というもの、基準そのものをある程度弾力的に運用してもらいたい。違った職種でありましても過去の職歴が生きる場合というものは当然考えられるわけであります。それをしも、規定の日数がなければ訓練を終了したとみなさないというようなことはおっしゃらずに、そういった点の基準は弾力的に運用をしていただきたい。こうしたことを私どもとしては考えておりまして、ことに各種学校等の利用とかあるいは施設借り上げによる速成訓練とかという考え方は、ぜひこれは政府として実施に移していただきたいものと考えております。
  13. 佐々木満

    佐々木満君 いまの職業訓練の問題で、労働大臣一言お尋ねを申し上げておきたいわけでございますが、要はいま提案者が言われましたとおり、まあ特定不況業種離職者に限らず、職業訓練というのは社会経済変動の激しい今日におきまして、敏速に柔軟にしかも十分に、労働者なり経済界の要望に対応するということが必要だと思うのでございますが、とりわけ不況業種につきましてはそういう点が強く要請されると思うんでありますけれども、ひとつこの職業訓練、敏速に十分に対応するということについて、労働大臣の御決意をひとつ簡単にお伺いをしたいと思います。
  14. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いま橋本委員長から例示されましたように、たとえば入校時期を一定に固定させない。それから、現在の各種学校施設を利用する。その他広範な、いままでのような比較的固定した観念を乗り越えた施策をすでに準備中でございまして、予算要求等をいたしております。今日の深刻な雇用情勢の中にあって、一つの光とでも申しましょうか、希望というのは、職種によってはまだ求人倍率が非常に高い職種がたくさんでございます。一般技能労働力の不足が七十万とも七十五万とも言われておるわけであります。したがって、訓練を受ければ就職機会が求められる余地がありますので、そういう求人倍率の高い職種につけるような訓練を急ぎたいと、こう考えております。
  15. 佐々木満

    佐々木満君 最後に、労働大臣提案者お尋ねと申しますか、お願いも含めて申し上げたいわけでありますが、この法案成立をいたしました場合には、当然政府労働省におかれましては、全力を傾けて実りのある運営をしていただかなければならない、これは当然なことであります。私はせんだって、久しぶりに労働省設置法というのを拝見をさしてもらったんでありますが、その中には「労働省は、労働者の福祉と職業の確保とを図り、もって経済の興隆と国民生活の安定とに寄与する」と、こう書かれております。「労働者の福祉」それから「職業の確保」、こういうことが明定されておるのであります。私は、過去三十年間の労働省の歴史を拝見をいたしまして、まあこの戦後の変動する経済社会の中にあって、労働省労働者の立場をよく理解して、よく今日までやってこられたというふうに私は考えております。大変な労働省皆さんの大きな御苦労があったと思います。しかし、この戦後最大の厳しい経済環境を迎えた今日こそ、労働省はこの立省の精神を踏まえて働く人たち、そして国民のためにその実力を十分に発揮する私は絶好のチャンスを迎えたと、こういうふうにも考えるのでありまして、どうかひとつこういう厳しい情勢にあって、労働省が本当に国民皆さんから理解をされ協力を得られるような、そういう役所としてさらに伸びていただくことを期待をいたしたいと思います。そうは申しましても、これだけの新しい法律を実行するとなりますと、やはり人と金が必要である、私もそう思います。特に、第一線で働いておられます公共職業安定所の仕事がふえるわけでございます。私もかつて地方で職業安定所の皆さんと一緒に仕事をしたことがございますが、日本の国でいろんな役所がございますし、いろんな出先機関がございますけれども、職業安定所ほど忙しい事務所は私はないというふうに考えております。したがいまして、本省におかれてもさることながら、第一線の職業安定所の皆さんが働きやすいように、人の面でも金の面でも仕事のやり方の面でも工夫をしていただきたいというふうに思うのでございます。大臣にはまだ法案が通っておりませんけれども、ひとつこの職員の増員の問題、そういうものの見通し等について、できればお聞かせをいただきたいと思いますし、最後に、提案者橋本委員長にはせっかく法案立案され、提案された責任者でいらっしゃいますので、こういう法律がりっぱに運用できますよう、人の面、金の面等でひとつ応援をしていただいて、相ともども法律の円満な施行に御努力をいただきたいということを提案者にはお願いを申し上げたいと思います。大臣の御答弁、もし提案者の御決意がございましたらあわせてお伺いをしまして、私の質問を終わります。
  16. 石田博英

    国務大臣石田博英君) 職業安定行政が、御承知の状態の中で非常に業務量がふえている、御同情をいただきましてまことにありがたい次第であります。この増員の問題、これには私ども極力いま関係各省に対して要求をいたしておるところでありまして、全力を挙げてその貫徹に努力するつもりでございます。
  17. 橋本龍太郎

    衆議院議員橋本龍太郎君) この法律案そのものが、今後本当に生きていくか、あるいは十分に生きないままに終わってしまうかというのは、ある意味では労働大臣においておまとめをいただく職業紹介計画、また各事業主が労働組合の意見を聞きながらまとめる再就職援助計画という、この二つにかかっているわけでありまして、できればこれは雇用の安定、離職が発生しないようにしてもらうことと同時に、失業といういやな時期を抜きにして転職が図れることを私どもは期待をいたしております。それだけに、いま御指摘のように、第一線の公共職業安定所等においてそのお世話をし、指導に当たる担当官の充実というものが必要であることは間違いありません。衆議院社会労働委員会といたしましては、そうした点についての配慮をぜひ政府としても全体において考えてもらいたい。年度途中の定員の増員その他については、総定員法その他の問題もありましょうけれども、こうした非常事態でありますだけに、できるだけ制度の範囲内において、できるだけの担当官の充実を図ってもらいたいということで、すでに行政管理庁等については委員会として申し入れをいたしております。現在、それに基づいて、聞くところによりますと、労働省と行政管理庁との間において事務的な折衝は行われているようでありますが、どの程度対応ができるかという結論を得たとはまだ私も報告を受けておりません。もし、お願いのできることありますならば、本委員会におきましてもそうした点についての御配慮を賜り、参議院社会労働委員会としても、政府に対してその点についての配慮を申し入れていただくような御処置がとっていただければ、私どもとしても非常に幸いであります。提案者としても全力を尽くすつもりであります。
  18. 上田哲

    委員長上田哲君) 委員各位にお諮りをいたしますが、午後一時から衆議院本会議が開会されるとの報告を受けておりまして、労働大臣橋本委員長の御出席の可能を図りたいと考えております。  亀長委員にお伺いいたしますが、御一問あるということですが、その間の時間で処理できるならばそういたしますし、後に……。
  19. 亀長友義

    亀長友義君 後に。
  20. 上田哲

    委員長上田哲君) そうですか。そういう次第でありますので、このあたりで昼食を含めて休憩をとったらいかがかと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 上田哲

    委員長上田哲君) では、そのように取り計らいます。  午前の審議はこの程度にとどめ、午後二時再開とし、暫時休憩いたします。    午後零時五十八分休憩      —————・—————    午後三時七分開会
  22. 上田哲

    委員長上田哲君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、特定不況業種離職者臨時措置法案を議題とし、質疑を続けます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  23. 亀長友義

    亀長友義君 立案者であります橋本委員長お尋ねしたいんであります。私はこれは全くの労働問題素人でございますので、きわめて初歩的なことをお伺いするかもしれませんが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。  御承知のように、いま失業情勢、大変深刻になっておりまして、完全失業者が百万人台とか、あるいは有効求人倍率が〇・五倍だとか、いろいろな深刻な状況が叫ばれております。さらに円高と、いろいろな問題がありますことは御承知のとおりでございます。こういう中で、いまこういう新しい立法をされるということでありますが、この法律によってどの程度の失業者離職者が救済されるのか、その辺の模様、またそれによりまして今後この法律を前提としてどのように考えていくおつもりか、あとの方は労働大臣でもあるいは官房長でも結構でございます、お答え願いたいと思います。
  24. 橋本龍太郎

    衆議院議員橋本龍太郎君) いま、先生のお尋ねになりました点、これは大変実は私どもとしてお答えしにくい数字でございます。と申しますのは、いま御指摘のとおりに、すでに百万を超える失業者がある上に、今後いわゆる特定不況業種からどの程度失業者が発生をし、この法律対象としていわゆる認定離職者としての取り扱いを受けるかということでございますから、これは現状で考える限りは、実は想像以上の数字が出てまいりません。また逆に、構造不況業種指定を受けた業種の中の離職者でありましても、仮に、たとえば再就職援助計画がつくれない、あるいはつくられたが安定所長の認定が得られないという事態になりますと、この法律に言う認定離職者としての取り扱いを受けられないというようなこともございます。それだけに、数字としてどの程度出てくるかというお尋ねになりますと、これは私どもとして正確な数字のお答えがいたしようがありませんので、あるいは安定局の方である程度の見通しがあれば、その数字については安定局の方からお答えをいただければと思います。  ただ、先ほど佐々木先生の御質問の際にも私は申し上げたわけでありますが、こういう法律は、実は役に立たないで済んでくれればそれに越したことはないわけでありまして、たとえば二十万なり三十万なり、あるいは四十万なり、今後二年間の間にどれだけ発生するかということは、私どもとしてはいま想像はしたくない、ただ、発生をしたときに、その方々失業という時間をできるだけ短縮して、新たな職場についていただけるようにしたいということでつくりましたと、そういう気持ちを申し上げて、数字の点は安定局の方から概数の見通しがつけられるものであれば答えてもらいたいと思います。
  25. 石田博英

    国務大臣石田博英君) いま橋本委員長から御説明がありましたように、大変むずかしい問題でございますが、その背景をなしておる諸条件を申し上げてみたいと思います。  まず、私どもの方でいわゆる雇用安定資金制度の二つの事業一つは景気変動等による雇用調整事業、それからもう一つは職業転換等雇用調整事業、この二つの事業でそれぞれ五十四種ずつの業種指定いたしております。そこに働いておる人の数は、前者が百七十八万ぐらいだと思うんです。それから後者が二百六万、これは現在働いている数字であります。一方、通産省、運輸省、あるいは農林省等の所管の事業であって、いわゆる構造不況業種として十二業種指定されておるわけでありますが、その十二業種の中で雇用されておりまする総数を大体三百八十万くらいと踏んでおります。しかし、その中で一番大手は繊維でありまして、繊維が二百八十万、その中の百十万が流通部門であります。繊維だけの流通部門というのは非常に少ないわけでありますので、その流通部門までいわゆる構造不況業種指定することには問題があると、こう思っておる次第であります。一方、日経連は、四百万で一割過剰と、こう非常に荒っぽい読み方をしておるわけであります。さらに、これに円高が加わってきているわけでありますが、円高に影響を受けるいわゆる特定地域の業種——輸出依存度の非常に高い業種を持っておるその地域の、これも二十二業種につきまして、これは二十二業種というのは中小企業庁が七月の時点において円高の影響、為替変動の影響をどれだけ受けるかという、そういう点の調査をいたした業種、二十二業種について私どもの方が十月末時点で調査をいたしました。企業数が約一万五千、そこに働いております従業員総数が十二万、こういうことになるわけであります。  さて、こういういまの法律、新しく御審議願っておる法律、それからすでに成立をいたして実行に移っております雇用安定資金、これらの諸施策によってどれだけ救えるかということになりますと、過去の経験から申しますと、いわゆる雇用調整給付金を実施いたしました結果として、私どもは約三十万人の離職をとどめ得たと、こういうふうに判断をいたしております。
  26. 亀長友義

    亀長友義君 もう御承知のような状況でございますので、この法律による対策はもちろん、各種の経済対策を講ずることによって不況を乗り切るほかはないと思うのでありますが、私はこの法律につきまして、中身につきまして若干明確にしていただきたい点がございますものですから、お伺いをしたいと思うのであります。この法律を読みましたところ、私としてどうも明確でないというような印象が多少ございますので、ぜひとも明らかにしていただきたいと思います。特に、今回の法律によって、従来おりました職場基準にして離職をした者が、他の指定されない産業よりは温かく扱われるということでございますので、そこら辺に私はやはりはっきりした考え方があることが、そういう優遇を受けない人にもこの法律を理解をさせるために必要でないかと考えるものであります。  そこで、最初にお伺いをしたいのでありますが、この条文を読みますと、国際環境の変化、需給事情の変化云々により、これがため、国の施策法令に基づく行為云々となっておりますので、究極的には、いかなる原因があろうと国の施策あるいは法令に基づく行為、そういうことがあって初めてこの法律が発動されるものと解釈してよろしいでしょうか。また、「国の施策」という言葉は非常に広い概念でございますが、これについても何かお考えがあればお示しを願いたいと思います。
  27. 橋本龍太郎

    衆議院議員橋本龍太郎君) その点につきましては、先生の御指摘のとおりでありまして、私どもとしては、いかに企業の経営者が努力し、また従業員が努力いたしましても、その他の要因によって、その企業自身努力あるいはその業界自身努力によっては切り抜けられないような外的状況のある産業というものをこの中では頭に描いております。ただ、その中にはいろんな問題点があるわけで、それに対して一般離職者よりも、失業者よりも手厚くするためには、何らかのやはり国の行為の歯どめというものは必要だろうというふうに考えております。先ほどにも申し上げましたが、一つは、法律に基づいて直接事業規模縮小等が強制される、こうしたケース。または、事業規模縮小等について、次のような内容を含んでおります閣議決定とかあるいは当該業種を所管する省庁の明確な政策決定がなされて、これに基づく国の負担とかあるいは行政指導が行われているケースというものを、私どもはこの対象として想定をいたしております。この閣議決定あるいは所管大臣の明確な政策決定、それに伴う国の負担あるいは行政指導という中には、過剰設備過剰施設買い上げ廃棄を国が直接実施をいたします場合、あるいは過剰設備過剰施設買い上げ廃棄の資金について国か事業主またはその団体に対して補助あるいは利子補給を行っているようなケース、また、事業規模縮小等について事業所管大臣の勧告あるいは直接の行政指導というものが行われているもの、というところに線引きをいたしております。  ただ、ここで、衆議院時点におきまして非常に論議になりましたのは、実は、最終的に運輸委員会の方で御審議を願うことになりました海運関係についてでありまして、御承知のように海運、確かにいま船腹のだぶつきにより過剰船員を抱えております。そして、船員か陸に上がって他の仕事を求めるケースもあるわけでありますし、また、日本船籍を有しない船に対して、運輸省がある程度の指導をいたしました結果、集団で外国船に乗り組んでいっている場合とか、いろんな実はケースがございます。そういうケースを一体どうやって救うかというのは、実は衆議院段階においても一つの大きな議論になりました。また、本年の三月四日に日ソ漁業協定の時間切れに伴いまして、あるいは国際捕鯨条約の動向等の影響を受けまして、捕鯨船でありますとかサケ・マス等の減船が行われ、同じ水産業の中でも他の船にいやおうなしに乗り移らざるを得ない、あるいは陸上がりをするというケース等もございました。こうしたケースは、それぞれずいぶん論議はいたしましたが、後に御審議を願うことになると思います漁業離職者についての特別立法を準備し、また船員の方々に対する特別立法運輸委員会の方において御準備を願うといったことで対応をして整理をつけた次第でございます。
  28. 亀長友義

    亀長友義君 もう一つ、私参考にお伺いしたいんでありますが、これはもしまだどうにも結論が出ていないということであれば、それで結構でございますけれども、ここにあります「製品又は役務の供給能力が著しく過剰となっており」という要件についてでありますが、これは製品が外国から供給され、そのために国内に不況状態が生じる。まあちょっとわかりにくいかもしれませんが、一例でございまして、現にそういう状態があるかどうかという問題は別でございますが、わかりやすくするために単なる例として、たとえば外国から生糸がたくさん入ってくる。このために国内の繭の生産者が困る。もちろん、大部分は自営の方でありますが、しかし若干雇用者もいる。さらに、製糸業もそのために困るというような、こういう場合には、製品が外国の供給能力によって起きてきておるわけであります。別に、いま製糸業どうこうするということではございませんが、例と申せばそういうこともあり得るんですが、これは外国の製品の供給能力というのは考えておられるんでしょうか、どうなんでしょうか。あるいは法律上はあるけれども、別にそこまで考えておるんではないということでしょうか。
  29. 橋本龍太郎

    衆議院議員橋本龍太郎君) いま、具体的な例示としてお取り上げをいただきました生糸あるいは国内産繭と輸入生糸の関係、これが果たして構造不況業種として指定を受ける事例であるかどうかということは、それだけで決定のできるものではございませんから、私もこれは何ともちょっと申し上げにくい点がございます。ただ、一般的に申しまして、たとえばよく例示で出てまいります構造不況業種一つの例をとりますと、たとえばアルミ精錬なぞの場合は、これは確かにボーキサイトそのものが完全に海外に依存をして、しかも膨大な電力を必要とする産業であり、石油ショック以降のエネルギーの値上がりというものを考えますと、国内におけるアルミ精錬というものが、海外のアルミ精錬に対抗し得ない状態に至りつつある。また、そういうケースが今後も続行することが予測されるということはあり得るわけであります。その場合にはそのアルミニウムというものがどのような形で海外から運び込まれるかは別として、少なくとも国内におけるアルミ産業というものが国際経済変動の中における国際競争力を失いつつあるという事態には変わりがないわけでありまして、その海外から製品が搬入される、あるいは原料が搬入されることそのものが、私はこの中で特定不況業種としての指定を受ける受けないには直接かかわりはないと。ただ、間接的な影響から言いますなら、当然そういうものはあり得るわけでありますから、そういうケースというものも想定し得るかと思います。
  30. 亀長友義

    亀長友義君 法律上、特に外国がいかぬとか国内だけだとかいうことはないと思いますし、また恐らくこれほどの影響が出れば国として何らかの施策をとっておる場合、輸入制度がむずかしければまたほかの方法というようなこともありましょうから、いろいろ現実にはそういうものがあるいは出てくるんでないかと私はむしろ心配をしておりますし、またこういう法律ができると、恩典に浴したいというような気持ちも、これは国民の間に出てくるのでないかという気もいたします。非常にそこら辺に運営上、今後私は問題が残るんではないかという点を頭に置きながら質問をしておるわけでございます。  それでは、次の質問になりますが、独禁法で、御承知のように、不況カルテルを認める場合の不況要件というようなものがございます。それから、先般、政府で発表されました構造不況対策の十二ですか、十三になりましたか、不況対策をやっております。そういうもので言う不況の概念あるいは構造不況の概念、この法律では構造不況という言葉は、読んでみましたが、どこにも法律上は出てこないようでありますが、そういうものとの大まかな考え方としてどういうふうに違うのか、共通の点があるのか、そこら辺をひとつお伺いをしたいと思います。
  31. 橋本龍太郎

    衆議院議員橋本龍太郎君) 実は、自由民主党の原案をつくりました段階では、構造不況という言葉をそのままに援用いたしておりました。しかし、各党の御意見を取捨選択をし、その長を取り短を削る中におきまして、構造不況という言葉よりも「特定不況業種」という言葉の方がふさわしいということで、構造不況という言葉を特定不況に直したという経緯がございます。いま、先生が御指摘になりましたような問題点というのは確かにあるわけでありまして、構造不況という言葉を使う使わないにかかわらず、その意図するところは、私は世間において言われる構造不況という言葉と必ずしも違いがあるとは考えておりません。ですから、先ほどの御質問にも関連する部分でありますが、結局、経済基調変化でありますとか、国際経済環境変化でありますとか、あるいは長期による不況といった経済的の要因のほかに、あるいは先ほど御指摘のその生糸のようなもの、こういうケースに入るかと思いますけれども、代替品の出現による供給過剰というものがいろいろな製品において考えられるわけであります。こういうケースも、やはりある意味では特定不況業種といいますか、構造不況という言葉を使うかは別として、こうした制度を考える上には当然根底に置かなければなりません。そういうことからまいりますと、一つはやはりいま申し上げましたような国の行為とか、あるいはその法律による行為とかというもの以前の問題として、あるいはその以後になりますかわかりませんけれども生産活動の実態というものと雇用状況というもののにらみ合わせはどうしても必要になります。また、いま御指摘がありましたような需給ギャップ状況というものも当然見なければなりませんから、操業度でありますとか在庫量等も勘案して考えられなければならないことは当然でありまして、実は最初の御質問に対して数字で私がお答えをいたしにくかった理由も、大臣は政府のお立場としていま指定されております十二でありますか、十三でありますかの業種対象としてお答えになっておられますけれども、またこの円高対象の二十二業種というものを引用されたわけでありますが、そういうものを絡めて特定不況業種指定する際には、私もどこまでの業種がこうした全体のバランスを考えた上で指定をされるかということについて確信がない部分もございますので、そうした点、非常に不正確なお答えになりましたことをこの機会におわびを申し上げておきます。
  32. 亀長友義

    亀長友義君 次に、私は、「相当数離職者」と書いてございますので、相当数って、大まかに何千とか何万とかいうふうなお話なのか、いわば日本労働者の総数から見て相当数であるというふうに考えていくのか、あるいは個々の産業について、たとえば半分が離職をしなければならぬと、こういうふうに考えていかれるのか。実は先ほど——けさほどですか御答弁の中で、通産省の標準産業分類によるというお話がございました。これは、御承知のように、行政管理庁が事業所ごとの産業分類をやるためにやっておるものでございます。私も詳しく見るほどのいま時間もなかったんでございますが、非常に雇用の数からいけば少ないけれども、その事業としてはたとえば半数ぐらいが離職をせざるを得ないような状態になると。しかし、産業分類の上から言えば、細目の中に例示というのがそこに細かくありまして、この例示に該当するようなものも私はあるんでないかと思います。ところが、私のけさの受け取り方が間違っておるとこれは訂正いたしますが、全部細分類でやるんだということになりますと、その他の問題がいっぱい入ってきて、指定されないと、再分類どまりだということになるとそういう問題が出てくると思うので、実際の御運用にも関係があるので私はお伺いをするわけでございます。
  33. 橋本龍太郎

    衆議院議員橋本龍太郎君) けさほどお答えを申し上げましたのは、確かに日本標準産業分類の小分類または細分類で行うというのが衆議院側での論議の大体のまとまりでありましたので、そのようにお答え申し上げました。ただ、御指摘のような点もありますので、私どもはこれらの考え方については、中央職業安定審議会の意見ども伺う必要があるんではないかと考えておりますということを、実はつけ加えたわけでございます。御指摘のような点の御心配は、確かに衆議院側各党意見のすり合わせをいたします段階でも出ておりました。ですから、私どもは何も必ずしもこの小分類あるいは細分類というものに固執するものではございません。
  34. 亀長友義

    亀長友義君 これは実際の運用でございますので、労働省の方で十分具体的な事件に遭遇したときはよろしくお考え願いたいと私は思います。  時間もございませんので、最後に。御承知のように、本法案指定を政令にゆだねておりまして、非常に広範な委任立法であります。そういう意味で、恐らく二年間という時限立法にもされたのであろうかと思います。あるいは不況みたいなものが二年間で必ず解消するということであったのかもしれませんが、法律的には恐らく、法律の目から見れば議員立法だから二年間という、私は謙虚な態度をとられたんであろうと、私なりに推察をいたしております。そこで、恐らく現時点において明らかなものだけに限るべしという議論も、法制論としてはあると思うんでありますが、あえてそれは別としまして、緊急の立法でございます。ただ私は、この政令の範囲指定するということによりまして、新たな私は社会問題を起こさないように、十分この運用については注意をする必要があると考えております。前歴、勤めておったところの産業によって恩典を、非常な温かい待遇を受ける人ということになるわけでありまして、それを受けられない人が、それによって疎外感を持つとかいうようなことがないように、私はこの政令の適用についてはそのような観点から慎重な配慮と、他の国民離職者が納得するような運営を今後していただきたいと、さよう念願をいたしまして私の質問を終わります。
  35. 上田哲

    委員長上田哲君) 答弁はいいわけですね。
  36. 亀長友義

    亀長友義君 答弁は結構です。
  37. 上田哲

    委員長上田哲君) 他に御発言もなければ、特定不況業種離職者臨時措置法案質疑は、これをもって終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 上田哲

    委員長上田哲君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  39. 上田哲

    委員長上田哲君) この際、国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法案を議題といたします。  まず、提出者衆議院社会労働委員長橋本龍太郎君から趣旨説明を聴取いたします。
  40. 橋本龍太郎

    衆議院議員橋本龍太郎君) 国際協定締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法案を、その提案理由を御説明を申し上げます。  漁業離職者に対する雇用対策としては、従来から漁業再建整備特別措置法や雇用対策法に基づき必要な措置が講じられているところでありますが、最近における漁業をめぐる国際環境は、二百海里問題等を中心に急激に変化をいたしております。  このような状況下において、国際協定締結等がなされ、それに伴って実施される漁船の隻数の縮減に伴い、一時に多数の漁業離職者が発生することが見込まれております。このため、これら離職者の再就職の促進等について特別の措置を講ずることが、当面の緊急課題となっております。  このような問題に対処するため、特別の法律を制定すべく鋭意検討を進めてきたところでありますが、ここに本案を作成し、提出するに至った次第であります。  次に、その内容の概要を御説明申し上げます。  第一に、この法律対象となる「特定漁業」は、国際協定締結等により緊急に漁船の隻数を縮減することを余儀なくされ、これに伴い、一時に相当数離職者が発生する業種として政令で指定いたすことといたしております。  第二に、漁業離職者の再就職を容易にするため、必要な職業訓練について、特別の措置を講ずることといたしております。  第三に、離職の日が一定期間内にあること、一定期間以上特定漁業に従事していたことなどの要件に該当する漁業離職者に対し、漁業離職者求職手帳を発給し、就職指導等を行うとともに、その者の再就職の促進を図るため、就職促進手当、訓練手当等各種の給付金を支給することといたしております。  第四に、公共事業の計画実施者等に対し、漁業離職者の雇い入れの促進について配慮するよう要請することができることといたしております。  第五に、船員となろうとする漁業離職者に関する本法の適用について、特例その他の措置を講ずることといたしております。  第六に、四十歳以上である手帳所持者であって、一定要件に該当する者に対する船員保険の個別延長給付の日数は、現行の日数に三十日を加え、九十日とすることといたしております。  以上が、この法律案内容の概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  41. 上田哲

    委員長上田哲君) 以上をもって趣旨説明の聴取は終わりました。  修正案等の御相談がございます。  暫時休憩いたします。    午後三時三十八分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————