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1977-10-26 第82回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十六日(水曜日)    午前十時十一分開会     —————————————    委員異動  十月六日     辞任         補欠選任      宮之原貞光君     松本 英一君  十月七日     辞任         補欠選任      田原 武雄君     古賀雷四郎君      渡辺  武君     小巻 敏雄君  十月十九日     辞任         補欠選任      園田 清充君     金丸 三郎君  十月二十一日     辞任         補欠選任      和泉 照雄君     藤原 房雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村田 秀三君     理 事                 遠藤  要君                 上條 勝久君                 青木 薪次君                 太田 淳夫君                 小巻 敏雄君     委 員                 青井 政美君                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 戸塚 進也君                 林  ゆう君                 桧垣徳太郎君                 最上  進君                 佐藤 三吾君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  田澤 吉郎君    政府委員        国土政務次官   佐藤 守良君        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁長官官房        審議官      四柳  修君        気象庁長官    有住 直介君        消防庁次長    田中 和夫君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        科学技術庁長官        官房参事官    佐伯 宗治君        林野庁指導部治        山課長      江藤 素彦君        中小企業庁計画        部金融課長    松尾 成美君        運輸省港湾局防        災課長      寺尾  健君        気象庁観測部地        震課長      渡辺 偉夫君        労働省労働基準        局監督課長    小粥 義朗君        建設省計画局宅        地開発課長    渡辺  尚君        建設省都市局都        市計画課長    海谷 基治君        建設省河川局防        災課長      井沢 健二君        建設省河川局砂        防課長      大工原 潮君        建設省住宅局建        築物防災対策室        長        対馬 英輔君        消防庁予防救急        課長       荒井 紀雄君        日本国有鉄道施        設局長      村山  煕君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○災害対策樹立に関する調査  (台風第九号(沖永良部台風)による被害等に  関する件)  (東海地震に対する新幹線の安全対策に関する  件)  (桜島噴火に対する防災対策に関する件)  (北海道有珠山噴火による被害に関する件)  (地下街及び高層ビル防災対策に関する件)  (宅地開発に伴う防災対策に関する件)     —————————————
  2. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る六日、宮之原貞光君が委員辞任され、その補欠として松本英一君が選任されました。  また、去る七日、渡辺武君及び田原武雄君が委員辞任され、その補欠として小巻敏雄君及び古賀雷四郎君が選任されました。  また、去る十八日、園田清充君が委員辞任され、その補欠として金丸三郎君が選任されました。  また、去る二十一日、和泉照雄君が委員辞任され、その補欠として藤原房雄君が選任されました。     —————————————
  3. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと思います。  理事選任については、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、ご異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ご異議ないと認めます。  それでは、理事に小巻敏雄君を指名いたします。     —————————————
  5. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 災害対策樹立に関する調査議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 貴重なお時間を私にいただきまして、委員長に心から敬意を表します。ありがとうございました。  私は、本日は沖永良部中心としました災害問題につきまして、若干質疑をいたしたいと存じます。  御承知のように、台風九号によりまして、沖永良部中心としまして大変な災害が生じたわけでございますが、現地を見てみますと、住宅災害が非常に大きいウエートを占めておりまして、軒並みに住宅がやられておるという現状でございます。これらの問題につきましては、関係省庁十分連絡をとりましたところ、かなり積極的な努力の跡が見られますので、私としては、委員会の皆さんに今後ともひとつこの御推進に御協力をぜひお願いをして、りっぱな住宅が建つことを心からこいねがっております。  また、商工業者被害もかなりひどくて、これも激甚災指定ということが一応議題にのっているようでございまして、ぜひひとつ早期に指定をお願いしたいということでございます。  ところで、今回の災害のいろんな問題を検討する中におきまして、災害が起きてから、輸送問題で非常に問題を生じております。最後には自衛隊輸送機を借りざるを得ないといったような状態が続いて、これが住民の生活不安に非常に重大な影響を及ぼしておるわけでございます。したがいまして、この輸送問題を今後恒久的に安定させるということが、私は離島にとって非常に大事なことであるし、特に、沖永良部島につきましては、この問題の解決が当面焦眉の急であるというふうに考えます。  私ちょうど現地へ行きましたときには、災害が起きてからしばらくしてからでございましたけれども、ただいま和泊港にかなりの港をおつくりになっておりますが、ちょうど荷役の最中でございました。しかし、うねりのためにどうしても荷役ができずに、荷役をとめているというような状況でございまして、これでは大変困ったものだなというふうにつくづく感じたわけです。そして伊延という裏港の方に回りまして、波の状況を見てみましたところ、全然平穏でございまして、裏と表の段違いの差が考えられる。したがいまして、痛感いたしましたことは、災害対策上もあるいは一般のいろんな諸問題を解決するためにも、この裏と表は全然条件が違いますので、二ところに港湾をつくらなければいかぬというふうに考えてきたわけでございます。そういった裏港の問題につきまして、具体的にどう考えておられるか。それからまた、ただいま一万トン級を着けるということで工事を進めておられる和泊港、この問題がいつ完成して具体的に供用できるのか、荒天の場合にできるのかできないのか。できないとすれば、どうしても裏港の問題を具体的に解決しておかなければならないというふうに考えますので、裏港の問題につきまして、政府はどういう御方針で今後お進みになるのか、具体的にひとつお答え願えれば大変ありがたいと思います。どうぞお願いします。
  7. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 私どもの方で取りまとめました要点だけ御答弁申し上げまして、足りない点ございましたらば、運輸省の方から補足していただきたいと思います。  お尋ねの港湾整備の問題でございますけれども、奄美のように外洋性離島につきましては、その気象条件あるいは海象条件という特殊性にかんがみまして、一年間を通じて利用できるような港湾整備する、そういうむずかしい課題があろうかと思います。特に、御案内のようなサンゴ礁の多いような地形条件、そういったことを考えますと、十分な整備が期待できないところもあろうかと思います。そういう点では、やはり中核港湾のみならず、御指摘のような、いわゆる補完港湾をもあわせて整備しなければならないものと考えております。具体の問題としまして、現在沖永良部にございます和泊港、五十五年度完成を目標に、マイナス九メートルのワンバースの完成予定でございます。ただ、その和泊港、御指摘のような点もございますものですから、これを補完するための要望は地元に今回もございました。そういった点を考えまして、今後鹿児島県を初めとするこの調査検討あるいは地元との調整等の結果を踏まえまして、十分これに対処してまいりたいと考えております。
  8. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 問題が災害のときに出た問題でございますので、具体的に調査が進んでいるかどうかは私は承知をいたしておりません。しかし、従来の長い経験の中で、裏港をつくるべきだという意見が出ておりますので、沖永良部の両町村の間での調整問題もありましょうし、どこにつくった方がいいか、あるいは気象条件調査とかいろいろな諸問題がありますので、これはひとつ調査を具体的に進めていただいて、早急な着工を私は希望したいと思います。  また、和泊港の状況を見ましても、これが裏港がそう簡単にはできないと、サンゴ礁距離もかなりございましょうし、いろいろございましょう。それの掘削とかいろいろな問題を考えると、なかなか時間がかかる。そうしますと、いま、当面和泊港の荷役が、外海に直接深いところに面しておりますので荷役ができないんだということになりますと、これを何とかして早く、たとえばサンゴ礁掘削とかあるいは防波堤の設置とか、いろんな問題によって具体的に解決できるように、ぜひひとつ御検討を願いたい。また、この問題は地元からの御要請もございましたけれども、特に、二百海里問題等がございまして漁業資源の枯渇が言われておりますが、ただいまあの辺は漁港がないために、なかなかそういった問題が具体的に解決しないという問題もある。漁港さえできれば、りっぱな漁港さえできれば、そこに多くのたん白資源を集積できて、それを大阪とか東京に送ることができるということも、町長さん方から強く要請がありましたので、その点も国土庁で具体的にひとつ問題の解決に努力していただきたい。ぜひお願い申し上げたいと思います。  ところで、港湾局からおいでになっておりますか。——港湾局としましては、たとえば裏港をつくるならばどういう御計画でお進めになる構想であるか、その辺をちょっとお伺いしたいんですが、場所の問題は結構ですから。
  9. 寺尾健

    説明員寺尾健君) お答えいたします。  まだ、裏港をどこにつくるかということにつきましては、これから十分慎重に検討していかなきゃならないと思っておりますが、さっき先生指摘のように、台風のと唐にはやはり西側というのが静穏であるということは事実でございますので、十分、風等あるいは波のあたりの調査もこれからしなきゃいかぬと思いますが、やはり西側というのが一つの大きな候補地点だろうと思っております。
  10. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 和泊港がああいう状態ですから、私は御計画を、構想をお伺いしたいと。水深何メートルで何千トンぐらいのクラスの船が着く程度はひとつ考えてみたいというような、御構想があるかどうかをお聞きしたわけでして、具体的な港の位置とかはこれからの調整の問題ですから、ひとつその辺をお願いしたい。
  11. 寺尾健

    説明員寺尾健君) どのくらいの船を対象とするかということにつきましても、鹿児島県を中心に現在検討しておるというふうに聞いておりますが、現在、和泊港がマイナス七メートル五十の水深の岸壁を持っております。やはりこれが着けるぐらいのものをというふうに、一応それを頭に入れて検討しておるというように聞いております。
  12. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 ひとつ、地元の熱心な御要請もございますし、その必要性を痛感するわけでございますし、また、特にあそこは台風の常襲地帯でございますので、いつ今回のような、九月のような問題が起こるかもしれない、そういった事態を考慮されまして、ひとつ早急に計画をまとめていただいて着工を図っていただきたい。私としましては、希望するのは、五十四年度にはひとつぜひ着工していただきたい。これは私の要請でございますので御答弁は要りません。ぜひひとつお願いします。運輸省の御検討をこの席でお願いしておきます。  次に、気象の問題についてでございますが、今回の気象情報連絡伝達というのが、なかなかうまくいかなかったように地元からお話がございました。これも沖繩気象台鹿児島気象台関係が、どうもうまくいってなかったというふうに聞いております。したがいまして、この気象問題につきまして具体的に御質問をいたしたいと思います。  この奄美群島、あるいは沖繩を含めまして、これはちょうど日本台風進路に当たります。したがいまして、ここで左転するか右転するか、これは日本全国にとって非常に重要な意味がある問題でございます。その情報が的確に通報されるか通報されないかということは、非常に関心を持っておるところでございまして、との体制の問題が、今回のような事件を引き起こすようでは非常に困ったものだというふうに考えます。  そこで、私としましては、この奄美大島におけるところの測候所が、今後どういう体制強化していってこの台風災害情報連絡をやっていただくのか、この辺の、今回の災害にかんがみて御計画をひとつお伺いしたい。気象庁の方によろしくお願いします。
  13. 有住直介

    政府委員有住直介君) お答えいたします。  今回の沖永良部台風に際しまして、台風進路とか進行速度の予想が非常に実際とは食い違いましたために、また情報内容伝達方途が欠けましたために、大変御迷惑をおかけしまして、これを教訓といたしまして、具体的な改善、それから防災に資するようにやる覚悟でございます。  ただいまの御質問の、名瀬測候所の機能の強化につきましては、まず第一に、静止気象衛生のひまわりでございますが、あれで得られました画像を名瀬測候所で受画できるようにして、情報充実を図りたいと思っております。また、日中気象回線の開通によりまして、中国の実況値とか台風警報等が受信できますので、情報充実に活用いたしたいと思っております。また、勢力の強い台風奄美諸島に接近するようなおそれがある場合には、本庁から技術職員を応援派遣するつもりでおります。また、全国気象レーダー情報総合的判断を迅速的確に行えるように、レーダー情報デジタル化研究というのをやっておりますが、近い将来、これを業務に導入いたしまして、予報を担当している官署には通報するように処置したい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  14. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 台風の問題につきまして、NHKが大体情報連絡をやっている現況でございますが、この際、NHK気象台の間でどういうような御理解が得たのか、この経験にかんがみまして、ひとつその辺を詳細にお答え願いたいと思います。
  15. 有住直介

    政府委員有住直介君) 手短かにお答え申し上げます。  台風の常時監視体制というのを、私ども本当に大事だと思って再検討いたしておりますが、その結果、今後は沖繩気象台鹿児島地方気象台をオーバーラップさせて、毎時監視体制をとるように改善いたします。また、奄美地方、特に沖永良部諸島の周辺が、鹿児島NHKテレビを主として聞いておられるという実態から、こういう改善を行いますというと住民への周知が徹底されるわけになりますけれども、放送に関することでもございますので、この点をNHK協議を行いたいと思っております。それからまた、各種の台風観測値が本州に収集されて、台風情報として予報を担当している官署に伝達される時間でございますが、これが約二時間もかかったという場合もありましたけれども、今後部内の作業を迅速に進めるように指導いたしますとともに、また、内容重要性に応じて随時放送されるように、NHKに依頼いたしたいと思っておるわけでございます。NHK関係としてはそういうことでございます。  また、今後台風情報につきまして、名瀬測候所の発表する台風情報を含めまして、特に奄美地方防災対策に資するために、暴風雨圏に入る時刻と暴風雨圏の大きさ、それからまた最大瞬間風速、そういうものが住民皆様方に正確に伝わるように、きめの細かい表現をするようにいたしたい。それに伴いまして、放送内容につきましてもこれに準じてなされるように、NHKに依頼いたすつもりでおります。
  16. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 さように願います。いずれにしましても、今回のそういう不手際と申しますか、うまくいかなかったことに対しまして政府は十分御反省をいただいておりますので、ひとつぜひ、ただいま申されたことにつきまして確実な実行をお願いしたい。  最後に、政務次官にお伺いしたいんですが、第一番目に申し上げましたとおり、私は、台風で、十七号台風にも見られるとおり、非常な大きな災害をこうむっております。この進路問題をどう確定していくかということが私は国民にとっても重大な関心事であるし、またそういった意味で、奄美大島諸島付近における観測網整備とかあるいは情報伝達の方式の確定とか、いろんな問題を含めまして、これの体制強化に今後どういうぐあいに対処されるか、これを御意見を伺っておきたいと思います。  これで終わらせていただきます。
  17. 佐藤守良

    政府委員佐藤守良君) 二つの点でお答えしたいと思います。  最初の、実は古賀先生がおっしゃいました沖永良部輸送路確保の問題でございますが、この点につきましては、全くおっしゃるとおりでございます。私も先月十四日、十五日と現地へ参りまして、特に離島におきまして輸送路確保がいかに大切であるかということを感じたわけでございますが、特に今度の場合は港が使えないこともございまして、実は自衛隊のC1を要請いたしまして、ただ、C1が非常に滑走距離が短くてよかったという、助かったということでございまして、私は航空路と港をどう整備するかというのが大きな問題じゃないかと、こう思っております。特に、裏港の問題は、実は私も十五日に裏港に約五百トンぐらいの船が入るのをまあじっと見ておったわけでございまして、大変御苦労して入ったということでございますが、聞くところによると、たしか昔、西郷南先生があそこから上がられたという話もあるようでございまして、私は、この表と裏を合わして一本ではないかというようなことでございまして、実はそのときは県の土木部長にもあるいはこちらに帰りまして港湾局にも、実は至急検討するようにと。だから、私はあわせて一本と、こういう考え方のもとに、裏港整備を何とか急いでやる必要があるんじゃないかと。それから、特に実はサンゴ礁等の問題でございますが、日本港湾技術ではその程度の問題私は解決できるのではないかと、こういうことから検討をお願いしておるということでございます。  それから先ほどの気象観測の問題でございますが、これは先ほど長官が申したとおりでございまして、実は私もこの点は専門家でございませんゆえ、明確なお答えできませんけど、私は気象庁というのを非常に高く評価しておるということで、今度のようなことは実は初めてだということでございました。その意味におきましては、長官が申したようなことでございまして、大いに反省いたしまして、今後はできるだけこういうことのないような形でひとつ努力いたしたいと、このように思っておるわけでございます。
  18. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 終わらせていただきます。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 東海地方に対して、特に駿河湾地震説によって住民の不安は高まっているわけでありますが、もしもマグニチュード8、震度六以上の地震が到来するということになりますならば、甚大な損害が実は予想されるわけであります。で、こうした中で国民は、特に東海地方、なかんずく静岡県民は、地震予知震災対策の早急な樹立を実は求めているのであります。わが国の地震予知計画は、日本学術会議の勧告が昭和三十八年にありました。それから測地学審議会建議昭和三十九年にあったわけです。昭和四十年から第一次計画がスタートいたしまして、四十四年は第二次計画に変わりまして、同時に、計画の総合的な推進体制の必要が叫ばれるようになってまいりました。四十九年からは第三次計画となって今日に至っておりますけれども、この間に、昭和四十四年ですね、各省庁大学研究者から成る地震予知連絡会がスタートしたことは、御案内のとおりであります。で、四十六年には中央防災会議大都市震災対策推進要綱が決定されました。その後、四十九年に総理府に地震予知研究推進連絡会議が設置されたわけであります。これが、さらに昨年、五十一年の十月に科学技術庁が総合的にこれを担当するようになりまして、地震予知推進本部というように改組されてまいりました。で、政府地震予知研究推進の一元的な組織として、科学技術庁長官本部長に据えましたこの推進本部は、行政体制面からいきまして、性格や責任や権限について、非常にあいまいもことした点が多いと思うんでありますが、この点についてどういうようにお考えになっておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  20. 佐伯宗治

    説明員佐伯宗治君) 御説明いたします。  ただいま、いままでの経緯につきまして先生がおっしゃられたとおりでございますが、御承知のとおり、地震予知推進本部と申しますのは、従来の連絡会議を格上げした形で内閣に設置いたしましたが、関係省庁協議機関ということで、確かに責任問題とかそういった面は多少弱い点がございますけれども、それを関係省庁事務次官に参加していただいてカバーしているようなことでございまして、将来につきましては、先ほどの測地学審議会の、今後第四次建議というのが現在検討されておりますが、その中でも行政体制のあり方などの建議が行われる予定でございますが、推進本部の中でも今後の地震予知体制についての検討を始めております。その時点で明らかになってまいると思いますが、もっと責任ある体制が考えられることと思います。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 そういたしますと、データの集中は気象庁とそれから各大学ですね、東大とか名古屋大学、それから国土地理院とかあるいはまた防災科学技術センターとか、地質の観測所といいますかね、そういったところがデータを持ち寄る、気象庁地震課がそれをまとめて、そしていわゆる分析することになるわけですね。で、この際、予知推進本部と、それから中央防災会議ですね、これが最高の機関ですけれども、総理大臣が議長になっております、この機関との関係はどうなりますか。
  22. 佐伯宗治

    説明員佐伯宗治君) 地震予知推進本部には、中央防災会議事務局あるいは関係省庁でございます国土庁事務次官自治省事務次官メンバーになっておりますし、また、中央防災会議には科学技術庁長官メンバーになっておりまして、十分連絡はとられるものと、また、その下部組織にはおのおの各関係省庁職員が参加しておりまして、十分連絡はとられることになっております。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 地震予知連絡会との関係はどうなんですか。
  24. 佐伯宗治

    説明員佐伯宗治君) ただいまの東海地域判定会そのものは、地震予知連絡会下部組織ということで設けまして、それでその事務局気象庁に委嘱しているわけでございます。
  25. 青木薪次

    青木薪次君 そうしますと、地震予知連絡会と、それから地震予知推進本部と、こういうものを中央防災会議は従えているというふうに思っていいんですか。
  26. 四柳修

    政府委員(四柳修君) ただいま科学技術庁の方から御答弁申し上げましたように、どちらかといいますと、予知推進という問題につきましては、先生指摘のような行政ベースとして確とした技術水準と申しますか、必ずしもそういった体制が十分取り切れないものですから、次官会議メンバー中心としまして、そういった予知体制あるいは予知技術の推進ということを中心としまして、そういった組織がございます。で、中央防災会議の方は、御案内のように総理府に設けられまして、総理大臣が会長でございますけれども、どちらかといいますと、全国的な問題としましての防災の基本方針ですとか、あるいは防災に関します施策の総合調整でございますとか、一たん緩急の場合の非常災害対策本部の設置あるいは災害緊急事態の布告といったような、通常ベースの問題と緊急ベースの問題と、そういったものを取り扱っておりまして、そういう意味では下部組織というよりは、片や研究推進グループ、片や行政としての総合的推進中心機能という形だろうと思います。
  27. 青木薪次

    青木薪次君 どうも余り性格がはっきりしないんですが、地震予知推進本部は、ことしの四月の四日に東海地域の判定会の発足を決めたでしょう。これは非常に権威のあるものですわね。で、むしろ地震関係等についてはこの方が、中央防災会議で発表する以前にここで固めて、そうして権威あるものを発表するということになるわけですよ。これにはいま言われたようにあらゆる著名な学者——これ六人ですね、それて四月十八日に初会合をしているんです。それから何回会合を開かれましたか。
  28. 渡辺偉夫

    説明員渡辺偉夫君) 十月の二十一日まで六回開かれてございます。ただし、これは判定委員打ち合わせ会という名目で、一種の勉強会の形で開かれてございます。
  29. 青木薪次

    青木薪次君 そうすると、今回の有珠山の予報とか警報といったものも、全部この中に入るわけですね、これと関連するわけですね。
  30. 渡辺偉夫

    説明員渡辺偉夫君) これは地震だけでありまして、火山のことについてはこれは含まれておりません。
  31. 青木薪次

    青木薪次君 だって、有珠山は火山のこともあるけれども、地震が常にいまも起こっているわけでしょう。この関係についてはどうなるんですか。
  32. 渡辺偉夫

    説明員渡辺偉夫君) 火山の方は別に火山噴火予知連絡会というのがございます。それで、現地に総合観測班という形で前線基地を設けてございます。そこで火山の予知あるいは将来の状態を含むところの、予知を含むところの統一見解という形で情報を一般の方に、あるいは防災関係の方にお知らせしてございます。
  33. 青木薪次

    青木薪次君 予知体制の一元化という問題については、昨年本委員会でも決議を行って多大の関心を集めたわけです。それはいま政府で説明されたように、私どもは一定の評価はしているんです。しているんですけれども、やっぱりばらばらで、全くそれぞれの権能によって体制もまちまちである、情報集めもろくにできていないという話を私どもは聞いているわけです。そういう中で、地震判定を出すということは、これはどういう形——たとえば国民に出すのか、あるいはまた行政官庁に出すのか、そういう点についてはいかがですか。
  34. 渡辺偉夫

    説明員渡辺偉夫君) 先生のおっしゃいましたのは、恐らく東海地域判定会の情報内容と私は了解しております。判定会の情報内容は、先生も御存じのように六人の学者の先生から出されまして、その中身は、規模であるとか場所であるとか時間であるとかという内容がございまして、それらの情報の結果は、各防災機関及び報道関係その他のところにその情報の結果を発表し、それから、判定会長がその発表した内容の経緯について詳しく説明することになっております。  以上でございます。
  35. 青木薪次

    青木薪次君 その発表は、行政上のいわゆる指示とか命令とかに属するものですか。
  36. 佐伯宗治

    説明員佐伯宗治君) 別に、これは行政上の指示でも命令でもございません。地震予知推進本部として発表するのを、気象庁にかわって発表していただくということでございます。
  37. 青木薪次

    青木薪次君 地震対策全般を総括する行政機関の新設について、私ども、過般、東海地方、特に静岡県を中心として本委員会調査団を派遣したわけです。そのときも、関係当局並びに静岡県からも、地震対策全般を総括する行政機関の新設について強い要望が実はあったわけであります。で、現在の地震予知連絡会体制では、たとえ予知が可能としても地震予報を公表できる体制でないと考えられる。したがって、地震予報を公表するには社会的影響も考慮する必要もあるので、これらの対策について行政機関を創設されたいという要望が、実は静岡県だけでなくて全国的に寄せられているという点について、主管庁としてはどういうふうに聞いておりますか。
  38. 佐伯宗治

    説明員佐伯宗治君) いろいろと御意見ございますけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、現在八省庁ですか、またがっておりますが、たとえば、地震予知連絡会は長期、中期の地震予知につきまして三カ月に一回検討会を開く、あるいは地震予知推進本部におきましては幹事会を一、二カ月に一回開くと。連携は十分とれておりますし、また、現在観測を行っております各省庁は、それぞれ別の任務を持っておりまして、たとえば国土地理院は水準測量とか測地をやっておりますが、これは地図をつくることも一つの仕事としております。また海上保安庁は、これもやはり海底地図をつくるとかいうことをやっております傍ら、地震予知に関する観測も行っているというようなことでございまして、これらを一挙に新体制に持っていくのは非常に大変なことだろうという意見もございまして、当面は、現在のままで縦横に連絡をとりながらやっていけばよろしいという学者先生の御意見もありまして、今後につきましては、先ほど申し上げましたように、測地学審議会地震予知推進本部において今後の体制のあり方について、現在検討を進めておるところでございます。
  39. 青木薪次

    青木薪次君 震災対策については、中央政府よりも地方の方が実は進んでいるんですよ。私どもの静岡県等におきましては、先般も国土庁長官が出席いたしまして、そして大がかりな、十万人参加の大訓練をやったわけですよ。そういうことも——これは一つの例でありますが、これは統一されたものです。それから市町村ごとに、また町内会ごとにやっているわけですよ。起震車を持ってきてそれに実際並べてみたり、あるいはまた戸板を持ってきたり、いろいろやりながら、初歩的なものから高度に至るまでいろいろ研究しながらやっている。しかし、中央政府の方の方針というものは、いろんな形でもってこのセクションはできているけれども、横の連携がなくて、権威あるものがないという点を非常に実は嘆いているわけです。この点については、本委員会で、先ほど申し上げたように昨年決議もしているわけですから、そういう点については、ひとつ厳粛な反省を持ってさらに取り組むということをしていただきたい、こう思います。  それから、大都市震災対策推進要綱に基づく震災政策の推進状況という資料をかつて私は手にしました。この中にはいろいろのものが載っておりまして、かつて私どもが静岡県を調査したときにも、一番被害の大きいと思われるのはいわゆる交通機関、しかもその中心はたとえば国鉄新幹線、あるいはまた高速道路、あるいはまたダムといったようなもの、これが損壊したら大変なことになるということであります。しかし、この分厚いこの中に、国鉄の新幹線のことなんか片っぺらもない。郵便局だとか、消防庁だとか、すべて——防衛庁とか、通産省だとか、いろんなものがたくさん載っているけれども、何も載ってない。この点については一体関係当局どう考えておられますか、新幹線は地震が起きないと思っているのか。
  40. 四柳修

    政府委員(四柳修君) その前に、先ほどの中防会議予知連との関係の点、ちょっと御答弁が足りなかったように感じますけれども、予知体制の方につきましては、いまの技術水準を中心として予知推進本部という形になっておりまして、ただいま先生指摘のような、その判定が出た後の防災側の体制というものをどうするかということは、中央防災会議なり各省庁の次元でどう処理するかというふうに、一応区分けをしております。  そこで、いまお尋ねの、先生お手元の資料に新幹線の対応が載っていないという点でございますけれども、そういう点も含めまして、防災側の体制整備をするために中央防災会議の中に関係省庁連絡会議を設けまして、いろいろの制約はございますけれども、たとえば判定会からある判定情報が出された場合に各関係省庁がどういう対応をし、それを地方公共団体あるいは各地域、企業等に対しましてどういうふうに徹底伝達をするか、そういった対応のマニュアルにつきまして、現在事務的に詰めているところでございます。  先生十分御案内のことでございますから特に申し上げませんけれども、御案内のように、新幹線の場合には震度四以上の地震が起きたらば一応送電系統が切れてとまるといいますけれども、やはりその間、二百キロ以上のスピードで走りますと二千メートル以上自然に走ってしまう、そういう状態に対してどう対応するのか、あるいは新幹線の関連施設の保安度はどう点検し、どう整備するのかと、そういったことも含めまして、現在国鉄あるいは運輸省の方で調査をし、それに対応した施設整備計画をつくって、そのマニュアルというものをいま進めておる状況でございまして、具体的なものとしてお手元にいまお出しすることはできませんけれども、先生お手元の資料に載っかってない点は、緊急に関係省庁に聞きました点をまとめただけでございまして、国鉄が全然やってないというわけではございませんものですから、そう御理解いただきたいと思います。
  41. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄の施設局長お見えになるようでありますけれども、こういう問題については、いま四柳審議官が言われたけれども、それじゃこんなに微に入り細に入った資料をつくって、これまで含めているのに、何にも交通機関については——道路のことは書いてあるが、新幹線やその他のことは何も書いてない。のり面の関係や落橋対策などといったら、これは多数の人命が損傷を受ける。しかも、静岡県の場合だけ考えても「ひかり」と「こだま」は単位時間内に十本入っている。これは千人乗っていても一万人それこそやられてしまうんですよ。そればかりじゃないんですよ。こういうこの交通の問題について、震度四だったらこれはストップさせるというけれども、さっき言われたように、後で言うけれども、有珠山の関係なんかを考えてみたら全く芸がないですよ。地方は、一体政府は何してくれるのだとこう言っておる。そこを私は言っておる。本委員会でも昨年決議をしているという形の中で、国鉄の施設局長、国鉄の方が連絡しないのか、それとも国土庁は国鉄なんていうのは全然もうこれは赤字だから、金がないからまあいいと思っているのか、その点、国鉄施設局長どういうようにお考えになっていますか。
  42. 村山煕

    説明員(村山煕君) 国鉄といたしましては、もちろん大ぜいの人命をお預かりして輸送しておりますものですから、当然でございますけれども、安全を第一に考えて輸送対応をしてまいっておりますし、今後も進めていくつもりでございます。  いま御指摘先生のお話につきましても、国鉄は関係省庁の御指導を得ながら、対応策をいろいろと進めていくべきものと考えておりますし、従来も、直接の監督官庁でございます運輸省にもいろいろ申し上げ、また運輸省からも御指導をいただきながら、いまの新幹線の災害対策等を進めておるわけでございます。
  43. 青木薪次

    青木薪次君 建設省は、昭和五十三年度を初年度とする五十七年度までに、震災対策中心として二十八兆五千億の道路計画を策定しているわけです。前回の委員会でも私が質問いたしましたならば、いやもうほとんどすべて地震対策は万全である、こういう話を聞いているわけです。じゃ国鉄どうかと聞いたところが、国鉄は投資計画一年間約一兆円——昭和五十三年度に一兆五百億円になるだろう。その中で地震対策の金幾らですか、五十億円だと言うのです。片方は何兆という段階を考えている。片方は五十億円とは一体何事だということで大蔵省に聞いたところが、じゃあこれから相談をします。これから相談をすると言うけれども、それじゃ一体レクチュアやっているのかと言ったところが、いろいろいまヒヤリングの段階でその辺のことを考えていくと、こういう話であります。静岡県の知事あたりは、新幹線に対しても、予知連絡会の予知情報というものを基本として指示、指令が出るということだけれども、間に合わない、いまの政府のやり方ではとても頼りにならぬ。だから、したがって、地方にこういう道路にしろ、新幹線にしろ、これをストップさせる権能を与えてもらいたいというのが、いま課題になっているわけでしょう。そういう点について審議官どう考えていますか。
  44. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 先生指摘の点、私どもも十分静岡県から伺っております。いまの問題、もう少し分析してみますと、予知情報が出たときに国、地方、関係公共機関等を含めましてどういう対応をするのか、そのことが一貫してないではないかと、あるいは法的その他含めて整備されてないではないかと、こういう御意見だろうと思います。確かに一面そういう点はあろうかと思います。  私どもなりに反省してみますと、一つは現在の予知情報というのが、これは気象業務法でも気象業務からはずしてあるように、技術的に必ずしもはっきりしたといいますか、現在では最高でございますけれども、気象程度の確度にはなっていないと。そういうことで、やはり政府の業務として国民一般に対しまして警報、予報を出すという形にまだいっていない。したがって、いまの推進本部あるいは判定会という学者サイドの科学的な結果というものを一つの情報として提供していただきまして、それを受けて、防災側の体制がやはり万全を期するためにいろんな仕組みをせなくちゃいかぬという形になると思います。そういう点、たとえば私どももいま検討しておりますけれども、現在の災害対策基本法の中には、そういう予知情報が出た場合の防災側の受けとめ方というものは必ずしもはっきりしていない。したがって、御指摘のように、たとえば新幹線はどうするのか、高速道路をどうするのかといった、それぞれの施設管理者がそういった情報が出た場合にどういった対応をするかという、いわばオーソライズされた計画というものがございません。したがって、将来、急がなくちゃならないと思いますけれども、私どもも、不確かとは言えいまの段階で万全を期するために、そういった情報が出た場合に、関係指定行政機関あるいは指定公共機関含めましてどういった対応をするのかという、いわば防災上の業務計画とか地域防災計画とか、そういった次元の中にそういったものをオーソライズして位置づけまして、そういう過程の中で関係地方公共団体あるいは関係指定公共機関等の意見を総合してまとめてまいりたい、そういう方向で、現在おくればせながら検討を始めているところでございます。
  45. 青木薪次

    青木薪次君 先ほどちょっと触れたわけでありますが、有珠山の火山の噴火に伴う——地震も含めてですよ、いろんな警報出しているわけですよ。この警報はきわめて権威のある警報であったわけですよ。ところが片方、避難している皆さんはまだかまだかということで、一時間に何回も地震が来るということを押してとにかく帰してくれという突き上げがあった。ところが片方は、マグマの移動というものが表面に非常に出てきているという中において、これはまた新しい地震が起こるんじゃないか、噴火が起こるんじゃないかということで、もう少し待ってくれということが、片方、行政側の立場です。ところが、市町村長は勝手にこれを解除したんですよ。そして帰したわけですよ。こういうような問題について、権威というもの、私はさっきから警報の権威というものはどうなのかということを聞いているのは、実はそこにもあるわけですよ。  ですから、判定会の事務窓口が気象庁にある。しかし、地震予知研究科学技術庁だ、それから文部省だ、通産省、運輸省、建設省がそれぞれの分野を担当している。研究の予算を見ると、五十二年度予算で総額で三十六億七千八百万円、五十一年度予算のこれでも五九%増しだとこう言っている。片方の方の金のあるところは、建設省道路局のように二十八兆五千億も積んで、さあ来いと言っている。国鉄あたりは赤字でもって金を借りてきて、そうして今度は景気回復の一助もあり、しかも、近代化推進のために新幹線計画その他をやりながら、一兆五百億も予算を持っている。その中で、五十億の地震対策。そういうようなばらばらな行政で一体いいのかどうなのか。ここに、主管庁が科学技術庁で、横の連携を、中央防災会議を実際主管しているのは国土庁なんですから、そういう立場に立って専管の専庁を設ける必要があるじゃないかということを、ここでひとつ佐藤国土政務次官にお聞きいたしたい、こう思います。
  46. 佐藤守良

    政府委員佐藤守良君) いま青木先生がおっしゃった点につきましては、私も不十分が非常にあるというのはかなり理解できるかと思います。したがいまして、それで国土庁というのができておるわけであります。御存じのように、国土庁調整官庁で実施官庁じゃございません。したがって、そういう形の中に国土庁がその調整を図りながら、先生がおっしゃったような趣旨をいかに生かすかということで国土庁が実はできて、その役目を果たしつつあるというのが現段階ではないかと思っておるわけでございまして、私は実はたしか、いつでございましたか、先生がおっしゃったそのための専門の庁を設けたらどうかという提言も聞いたり、新聞等で拝見したことがございますが、現段階ではその必要はないのではないかと、実はこのように理解しておるわけであります。
  47. 青木薪次

    青木薪次君 いろいろとまだ非常に不満足な実は答弁であります。しかしながら、地震はいま直ちに来ても不思議ではないという情勢になっているわけです。しかも、関東大震災並みのマグニチュード8、それから震度六ということになれば、ほとんどのビルやその他は倒壊してしまうんじゃないか、橋は落橋するんじゃないか、のり面は倒壊する、ダムは崩れるじゃないかというような状態のもとで、全くもってこれに火災が加わって大変な事態になるだろうということが言われているわけであります。したがって、この問題については、国土を守るということと、人命財産を守るという、こういうことに徹してもらうように、各省庁のセクト的なばらばら行政なんというものについてはこれをひとつ統一して、しかも足らざるところについては予算を補い、そして統合調整するような方向で、これは閣議でもってその問題を検討してもらうように、ひとつ国土政務次官から——後で国土庁長官も見えるようですけれども、ひとつ厳重にそういう意見があったことを、本委員の意思としても伝えていただきたい、こう思います。
  48. 佐藤守良

    政府委員佐藤守良君) いま先生のおっしゃったとおりでございます。で、国土庁としましても、先生がおっしゃいました二つの点、国土を守るということと、生命財産を守るという立場から、十分徹してやりたいと考えておりますし、長官が後参りますが、私から特によくお話ししたいと思います。また、そういう意味におきましては、先生方の御協力を心からお願いいたす次第でございます。
  49. 上條勝久

    ○上條勝久君 有珠、沖永良部災害対策については、その大筋においては、不満足な点もありますが、政府が、今日まで当委員会でいろいろ調査をし審議をしてまいりました過程を十分に踏まえて、そして対処していただいておるということは、私はそれを認めます。しかしながら、まだ残されましたいろんな問題があるわけでありまするから、ひとつ各省庁とも、この上とも前向きの対処を切に要望しておきたいと存じます。  そこで、きょうは私は、この火山爆発による災害及び防災対策について、政府の確たる御見解を求めたいと思うわけでありますが、特に有力な佐藤政務次官おいでをいただいておりまするので、よろしくお願いします。  昭和四十八年に当院の発議によって制定されました活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律、この制度によって、桜島等を初めといたしまする、これは有珠もそうでありますが、活動火山地域における避難施設及び防災営農施設の整備あるいはまた治山治水、治山砂防事業等については、積極的に推進をしていただきまして、それぞれ地域住民の福祉に貢献をしておるということは事実であります。しかしながら、桜島のように、火山活動がいまでも連日しかも長期にわたって活発に連続をいたしております。そのために、爆発であるとかあるいは地震、噴煙によりまする山間の荒廃、そして民心の不安定、さらには降灰被害、そのために社会全般の活動の上に大変な悪影響を及ぼしておる、これは大変な状態でございます。私の出身地の宮崎県の南部にもその余波が及んでおるわけでありますが、きわめて深刻な状況であるということは、これは各省庁のお取りまとめをいただいておる国土庁政務次官も御承知いただいておると思いますが、その点いかがでしょう。
  50. 佐藤守良

    政府委員佐藤守良君) そのことは知っておりますし、また、大変な被害をこうむっておる事実も承知しております。
  51. 上條勝久

    ○上條勝久君 御承知をいただいておるはずであります。これはもう関係省庁十分御承知をいただいていなければなりません。これらの事態に対処する災害対策なり、あるいは防災対策には多角的な対応が緊要であろう、こう思うわけでありまして、そのためには、現行制度の運用だけでは十分にこれに対応することはできないと私は確信をいたしておる次第でありますが、この点について政府御当局どうお考えか、これまたひとつ政務次官からお答えをいただきます。
  52. 佐藤守良

    政府委員佐藤守良君) いま上條先生おっしゃったとおりでございまして、私もその事実を認識しておりますが、ただ問題は、この降灰につきまして、五月から八月の間が一番多いかと思いますが、ただ降灰——積灰というのですか、この厚さが問題であるわけでございまして、これが果たして事業として成立するかどうかが問題ございますけれども、ただ先生がおっしゃるように、大変、地域住民の人が非常に被害をこうむっておるということがございまして、実は先生の御趣旨を体しまして、積極的に私はこの問題の解決に取り組むべきじゃないかと、こう考えております。
  53. 上條勝久

    ○上條勝久君 そこで、そういう御認識をいただいておるわけでありますが、いま、聞くところによりますと、衆議院におきましても、この特別委員会で小委員会を設置して、この問題にひとつ取り組んでおられるようでございます。私は、この際、ひとつ現行制度を見直していただいて、そして、いま政務次官からお話のありました降灰対策事業をこの制度の中に追加していただく必要がある。同時に、特定の地域——これはどこもここもというわけにまいりませんでしょうが、特定の地域を降灰激甚地域に御指定をいただくようなことにお願いをして、そして被害対策、あるいはまた被害の防除のために積極的な諸施策を講じていただくことが、私は実情に即した政策であると、かように思いますが、政務次官おいでですから、特に長官のおいでを待つまでもありません、お取りまとめ役である国土庁の確たるお考えをひとつ明確にお答えをいただきたい、こう存じます。
  54. 佐藤守良

    政府委員佐藤守良君) 実は長官が参って答弁するのが本当だと思いますが、私、政務次官として答弁させていただきますと、先ほど申したとおりでございまして、私は現状に合うように対処すべきである。実は雪の問題にやはり積雪の除去というのがございますが、やはり私はこの噴火の降灰等の様子を見ておりまして、これと同じではないかと、実はこのように考えておるわけでございまして、いま各地方団体とか、あるいは各先生方で論議されておる状況でございますが、そういうのを踏まえまして、積極的にこの問題に対処して取り組みたいと、このように考えておる次第でございます。
  55. 上條勝久

    ○上條勝久君 積極的に前向きに検討に取り組んでいくという御意見でありますから、しかし、これなかなかその受け取りようがむずかしゅうございまして、積極的に前向きに検討には取り組むが、私がお尋ねを申し上げておるのは、この際、ひとつ非常に困っておる実情、被害なりそういう実情というものを十分御承知をいただいておる、また何とかこれは見直しもやらなきゃならぬであろうということも御理解をいただいておるということであれば、ひとつ政務次官、もう思い切って改正の方向で取り組むというふうに私は理解をさせていただきたいんでありますが、いかがでございましょうか。そう理解をしてよろしゅうございましよう。
  56. 佐藤守良

    政府委員佐藤守良君) 実は現行制度との関連もございますわけでございますが、大体先生のおっしゃるような趣旨を踏まえて努力したいと、こういうことでございますから。
  57. 上條勝久

    ○上條勝久君 それじゃ、そういうことでひとつお願いをいたします。  それからこれはもう要望でありますけれども、そういうふうに制度が改められてまいりますれば、その制度に関連して、またもろもろの施策が前向きに進められていくということになるわけでありますけれども、それはそれといたしまして、降灰の除去であるとかあるいは公共施設の降灰の対策、それから農林漁業商工、住民の健康に関する対策、あるいはまた、いま以上の避難施設の整備、さらには治山治水事業の一層の推進、火山活動研究観測体制充実、これはまあ気象庁長官おいでをいただいておりますが、これもいまやっていただいておりまするけれども、先ほどの御発言にも関連をいたしますが、ますますその充実に向かってお取り組みをいただかなきゃならぬ、かように思います。さらにまあ特別な財政措置も、これはもうそういう地域であれば当然に付帯していく必要なわけでありまするので、これらの問題について、さらに一層のひとつ御努力と、前向きのお取り組みをいただけまするように強く要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。  ただ、先ほどちょっと地震予知の問題が出ましたが、私も長年そういう問題にいろいろこう関係をさしていただいてきておるわけでありますが、私個人の判断といたしましては、この地震予知の技術と開発ということは、いまの世界の科学技術の状況、力をいたしましては、なかなか、これ十日先に地震が起こるぞというような予報を発することは不可能である、私は私なりにさような見解を持っております。したがいまして、変な未確定情報を流すということは、これはまた一方において大変な問題があるわけでございまして、私は当面地震予知については、たとえば五年周期に地殻変動の調査をやる、あるいは気象庁のいろんなひずみ計等その他最近開発された機材を使っての予知に取り組むといたしましても、各省庁が、これは非常に近いうちに地震が起こるという予知はできないというふうに、残念ながら思うわけであります。その点については、もう世界の頭脳を動員して前向きにそれができるように努力をせねばならぬことは、これはもう国際的にも大事なことでありますけれども、事実はそういう状態である。したがって、六カ月先とか——どうも地殻の変動状態その他を総合的に地震予知連絡会議等において分析調査をした結果によれば、まあ六カ月先、一年先に、あるいはそういうことになるかもしれぬよという程度のことが、残念ながら現実的な世界のいまの情勢における地震予知ということではなかろうかと思うわけであります。それとても、たとえば国土地理院等が行っておりまする、五年を周期として日本列島全島、全国を覆うた地殻変動調査というものを、繰り返し繰り返しやらなければこれはだめなんでございます。しかしながら、政府のこれに取り組む予算措置というものがきわめて不十分であるということでありまして、聞くところによると、国土庁の骨折りが功を奏して、来年は各省庁とも行政部費の一般要求基準を外れて相当多額な、昨年の倍以上の要求をしておることも伺っておりますが、こういう経費が、財政当局においてびた一文削られないでこれを認めるというようなことに、ひとつ国土庁でも十分なお力添えをいただきまして、また、国会においても諸先生方の御協力をいただいて、これこそはもう派閥を超え、党派を超えてやらなければならぬ私は大事な問題である、かように思うわけでございまして、そういうものじゃないだろうかとかねがね思っておる次第でありますので、一層のひとつお取り組みをいただきたい。  とにかく、世界が挙げて一日も早く地震予知の技術の開発に成功する、同時に、日本におきましては、とにかく可能な——地震予知のためには幾ら予算を使ってもかまわぬ、法律が必要であるならば法律もつくってよろしいという考え方を、私はかつて法制局長官をされた林修三先生が新聞に書いていらっしゃるのを見まして、これは卓見である、私はこれこそが政治である、そういう非常な力強さをかねがね感じておるわけでありまするので、どうかひとつ、先ほどの青木先生の御発言にも関連いたしますが、地震予知については一層の御努力をお願いをいたしたい。それには、目の前に来ておる各省の来年度予算要求、これが、地震予知に関する限りびた一文財政当局が予算を削るようなことのないように、長官政務次官、ひとつ各省庁に対しまして御助力をお願い申し上げたい、かように思いますので、重ねてお願いをいたします。ありがとうございました。  長官、せっかくおいでをいただきましたけれども、有力な政務次官おいでいただいておりますので、大体政務次官にお答えをいただきましたのと全く同じようなお気持ちであろうと思いますが、まあ一言申し上げますと、桜島のもう連日長期にわたる——桜島だけではございませんが、大変な社会不安というか、民心の不安定と申しますか、あるいはまた、降灰等によりまする非常に広範な被害が出ておるわけでありまして、これには、当院発議によりまする現行法ではなかなか対処できないということでありますから、ぜひひとつ思い切って一部改正に取り組んでいただいて、そして降灰の対策事業、さらにはまた、局地の降灰激甚地域の指定というような制度を考えていただくということに、ぜひひとつお願いをしたいということを申し上げましたところ、その意を体してそして対処すとという御意向でありますから、ひとつ、長官におきましてもお考えはお変わりないと思いますので、せっかくでありますが御了承、お含みおきをいただきたいと思います。
  58. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 桜島には、この夏実は視察に参りました。あの桜島は、御案内のように、鹿児島県としてもミカン初め果樹園芸の非常に重要な地点なんでございますが、火山灰による被害が、その地帯の農業というものに大きな被害を与えておるのでございまして、様相を変えたのでございます。ですから、それに対するやはり活火山法というものの改正やらあるいはまたもろもろの施策について、十分先生の御要望に沿うように努力をしたいと思います。さらに、有珠山の火山噴火もございますから、そういう点も含めて、日本列島全体の火山活動、火山に対する体制というものをもあわせて、この法の見直しに対して積極的に取り組んでみたい、かように考えます。
  59. 上條勝久

    ○上條勝久君 非常に、実力大臣のただいまの御発言はちょっと政務次官よりも一歩出ておると受け取りました。これで私も、わずかな時間でありますけれども、お尋ねをいたしましたかいがあったようなことでありまして、ぜひひとつこの法律の改正に踏み切っていただくという方向で、よろしくお願いをいたします。   〔委員長退席、理事青木薪次君着席〕
  60. 藤原房雄

    藤原房雄君 大臣の時間が三十分足らずだということですから、大臣にまずお聞きすることだけ何点かお話ししたいと思うのであります。  一つは、いまお話ございました火山周辺の、このたび有珠山の爆発によりまして一番問題になっている点、何点かしぼられておるわけでありますが、その中で一番地元地方自治体として困るのはこれは降灰の問題、灰の処理。これは農業関係ですといろんな施策もあるようでありますが、やっぱり市街地におけるもの、それから桜島のようなところになりますと、恒久的な施策ということで灰を除去するような施設、こういうものがなければならぬ、こういうことだと思います。いずれにしましても、全国的な様子について見直すといいますか、検討しようと、非常にいま積極的なお話があったんですが、現行法の中で、市街地における降灰の除去ということは非常にいまの法律の中ではむずかしい問題だと。北海道におきましても、一番地方自治体が頭を痛めたのはここの問題です。ぜひひとつ、現行法の中で何らかの施策のできる、またそれをある程度かさ上げをするというか対処できる問題はいいといたしまして、市街地等におきます問題につきましては、これは雪とは一緒に考えられないかもしれませんけれども、総体的な法体系の中で市街地降灰の除去の問題については取り組んでいただきたい、こう思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  61. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 先生案内のように、活火山法は、現行法は、内容としては避難と防御だけなんでございます。ですから、やはり活火山法をいまひとつ対象を広めなければならないということが、諸先生方の御発言でよう理解できるわけでございますから、   〔理事青木薪次君退席、委員長着席〕 そういう点で見直していかなければならないと、かように考えております。特に、有珠山の火山噴火によりまして、市街地における降灰の除去作業というものは、これまでほとんど考えられないことだったのでございますが、そういう点についても、やはりどういうように織り込むかということについては、今後検討してまいらなければなりませんけれども、ただいま先生の御指摘のような線に沿うて、一層研究をしてまいりたいと考えます。
  62. 藤原房雄

    藤原房雄君 このたびの有珠山の噴火に伴いましての諸施策については、非常に大臣積極的に取り組んでいただいたことは、非常に敬意を表するわけでありますが、何せ地方自治体といたしましても非常に弱小なところでもありますし、また、観光地という特殊なところでもあるだけにいろいろな問題がございまして、せっかくの御努力にかかわらず、何点かまたお願いしているところでございますが、いまお話のありました点、ひとつ積極的にお取り組みいただきたいものだと思います。  この有珠山の噴火に伴う諸問題については、また後からお話をするとして、最初に一つだけお聞きしたいんでありますが、最近の台風被害というのは大河川よりも中小の都市河川といいますか、こういうのが非常に多い、こういう傾向を私どもは痛感いたしておるわけであります。これはいままでの国の施策の中でも、やはり国の管理しております一級河川を中心としての——そのほかの二級河川や、また準用河川を投げ捨てたわけじゃ決してございませんけれども、全体の河川の改修に対します国の施策、治水計画というのはこれは大河川に集中しておった。そういうことで、一部、昨年ですか、長良川のような大きなこともございましたけれども、最近は、そういう一級河川のような大きな河川の被害というのは非常に少なくなったろうと思うわけであります。ところが一方では、このたびの十一号台風に象徴されますように、八月の青森県の弘前市や、今度の福島、茨城県、岩手県、特にいわき市を中心にしまして、非常に、これはもう台風がございますといつも同じような被害をこうむるということで、この間全然手をつけなかったということでは決してないわけでありますけれども、しかし、依然としてこういう中小河川が住民に大きな被害をもたらしておるという現実は一向に変わってない。また、大臣のおひざ元であります弘前におきましても、黒石、弘前、八月に被害がございました。これも、もう地元ですから御存じだと思いますけれども、小さな二級河川ということでありますが、最近の都市化の開発の進んでおるということもございますし、それから農業用水、水だめ、こういうものとの競合という問題もありましょうし、いろんなふくそうした諸問題がございまして、非常にむずかしい問題ではございますが、これからはどうしてもこの中小河川に力を入れて、また、準用河川等についても積極的な施策をいたしませんと、地域住民の方々は非常な脅威にさらされておる。しかも、同じ河川がちょっと雨量が多いとすぐ被害をもたらすという、こういうところについてはやっぱり積極的に——これはいつどこにどういう雨が降るかということは予測し得ないといたしましても、被害のあったところについては、災害の被災地につきましては災害によりますいろんな施策があるわけですけれども、それがやっぱりなかなか進行状況は進んでいないということ、こういうことで、非常にこれから中小河川に対して、特に準用河川等につきましても積極的な施策を考えにやならぬ。五十三年度におきましても相当お考えのようでありますが、これは建設省の予算といいますか、考え方が中心になるのかもしれません。しかし災害防除という、国土保全という意味から、国土庁長官も相当な御努力をいただき、積極的なお力添えがなければ、これは住民の要望にこたえられないんではないかと思いますけれども、この間のことについて国土庁としてはどういう取り組み、今後に対する施策をお考えか、お伺いしたいと思います。
  63. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) ただいま御指摘のように、一級河川はかなりこれもテンポは遅いのでございますけれども、それなりに改修が進められてまいっております関係からして、最近のこの被害というものは非常に少のうなっております。しかし、それに引きかえて中小河川以下ですね、これの改良というのは非常におくれておる関係から、最近は一級河川よりも中小河川以下の災害が非常に大きい、また、被害の規模も非常に大きいということは、先生指摘のとおりでございます。また、鉄砲水のような治山治水の管理が完全でないために起きる被害というものも非常に大きいのでございまして、そういう関係から言いますと、私はやはり国土保全の面から、日本列島全体を一応危険地域というものをすでに調査済みでございますから、そういう点に重点を置いて、今後、治山治水の対策を思い切って進めていくということが一番重要だと思うのでございます。そのために、すでに第五次治山治水計画というものが策定されてございますが、それを基本にして、一層、ただいま御指摘のような被害のないように努力をしてまいりたいと考えております。  なお、すでに起きた被害に対しては、できるだけ早い機会に、関係省庁の御協力をいただきまして、復旧工事に努力をしたいと、かように考えます。
  64. 藤原房雄

    藤原房雄君 復旧工事早くやりたいということですが、御存じのとおり、弘前の寺沢川も査定が近く終わってこれからということで、東北の場合はこれから冬を迎えるわけであります。こういうことで、やっぱりその地域によってはできるだけ査定を早くし、そうして着工できるような、最低限融雪期に被害をもたらさないようなこともあわせやっていただきませんと、これは毎年災害対策委員会でこんなことを申し上げているわけですけれども、なかなかこれは進み得ない隘路のあることはわれわれもわかりますが、それを前進させる——東北、北海道に課せられたこういう冬期間、融雪期、こういう事情をよく知って、それを一歩でも前進させようというのが大臣の今日の立場じゃないかと私は思うわけですけれども、ぜひひとつ、地元のことでもございますし、積極的に取り組んでいただいて、田澤長官の時代に、こういう問題についてはめどがついたという実績をひとつおつくりいただきたいものだと思います。  それから、先ほど申し上げたように、中小河川確かに非常に多いわけですが、中小河川——一級河川等ですと、被害が非常に大きいということで皆さんの眼を奪う。しかし、中小河川の場合は、とにかく大きな災害があったという報道はあるでしょうけれもど、それほど皆さんの関心を引かないわけですが、実際、この寺沢川でもう死者が九人出たり、負傷者が二十二名出たり、それから家屋の全壊、半壊、床上、床下の被害というものは大変なものです。このたびのいわき市におきましても、台風がちょっと通り過ぎたというだけのことかもしれませんが、しかし、やはりがけ崩れ等におきまして死者が出ている。それは人数は多くないかもしれません。二人かもしれませんけれども。それから全壊、半壊、床上、床下、こういう被害がやっぱり相当出ておりまして、今回のこういう一級河川以外のところの被害というものも、これは総計いたしますと相当な数になるんじゃないかと私は思うんです。こういうことで、ぜひ、個々の問題を見ますと、それほど大きな被害でないかもしれませんけれども、地域住民にとりましては毎年同じような被害をこうむる、こういうことのないように、ひとつ積極的な御施策をお願い申し上げて、進めていただきたいものだと思います。このことについては後からまた申し上げたいと思います。  次は——次はというか、大臣の時間が制約ございますので、申し上げておかなきゃならぬと思いますが、何と言っても、このたびの有珠の爆発、噴火によりまして被害をこうむった、その被害の対策ということでありますが、大臣も、このたび予算委員会等におきましても、特別立法と言いますか、現行法でどうも網にかからぬものについては考えなけりゃならないだろうという御発言は、今日まで一、二度私ども聞いておるわけでありますが、国の積極的な施策によりまして、ずいぶん諸問題がだんだん解決した部門もあって、縮少されつつありますが、しかし、やっぱり何点かは残っておる。こういう問題については、政府に設けられております災害対策本部におきまして、地元の市町村長さん方といろいろお話し合うことになっているはずですけれども、地元のいろんな現状については、時折、本部として長官みずからお聞きになっていただいていますか。
  65. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) この前の災害対策特別委員会で、諸先生方からの御意見等を承った後、直ちに本部会議を開きまして関係省庁を集め、さらに北海道庁、さらに関係の市町村長においでをいただきまして、有珠山の火山噴火は特殊な現象であるから忌憚ない意見を述べてほしいということで、その機会をつくりました。その結果、私たちは、現行法を弾力的に活用してできるだけの対策は進めてまいりたい。しかし、どうしても現行法で救いがたいものがもし出てきたとしますならば、それは新しい制度を、特別な制度をやはり考えなければならないだろうという結論に達したような次第でございます。
  66. 藤原房雄

    藤原房雄君 私も前に農林水産委員会やまた災害対策委員会でいろいろお聞きいたしましたが、そしてまた、農林省、建設省それぞれ、まあ雨が降る、そしてこれから雪が降ってまた融雪期、こういう二次災害を非常に地元としては懸念をしておるということで、二次災害のないようにという、こういうことで早くに砂防その他の施策をしてもらいたいというふうに思いますが、農林省、それから建設省で、今日まで砂防関係、二次災害防止のためになさった施策の現況とこれからの予定、ちょっとお伺いしたいと思います。
  67. 江藤素彦

    説明員(江藤素彦君) 林地に堆積しておりまする火山灰等が流出いたしまして、この今回の有珠山の災害にもたらされますところの二次災害、そういうものに対しまして、いままでやってまいりました治山事業についての経緯を申し上げたいと思いますが、大体、林地降灰の被害額は七十六億五千五百万円に達したわけでございます。林野庁といたしましては、災害発生後直ちに係官を派遣いたしまして、山地災害につきましての現地調査と、それから復旧対策の指導を行ったわけでございまして、その結果、次期降雨等によりまして林地に堆積しておりまする火山灰等が流出いたしまして人家、公共施設等に二次災害を与えるおそれのある個所につきましては、本年度におきまして、工種を申し上げますと、谷どめ工、それから土どめ工、さく工といった工法を用いまして、緊急治山事業によりまして実施いたしまして、次年度以降につきましては、これをまた積極的な推進策として引き続き実施する予定をしておるわけでございます。  緊急治山事業のうち、すでに着手しておりまする個所につきまして申し上げますると、それぞれの町村別に申し上げまして、伊達市関係が六カ所で七千八百万円でございます。それから壮瞥町が十五カ所で一億五百万円になるわけでございます。それから虻田町につきましてが一番多いわけでございますが、二十三カ所で四億四千百万円という額になっております。それから洞爺村が三カ所で三千四百万円でございまして、最後に豊浦町でございますが、この関係で一カ所一千七百万円でございます。合わせまして四十八カ所の六億七千五百万円でございます。  また、近日中に着手する予定個所につきまして申し上げますと、伊達市につきまして六カ所一億七千四百万円でございます。それから壮瞥町関係が三カ所八千二百万円、それから虻田町が一カ所でございまして二千万円、洞爺村につきまして一カ所九百万円でございます。計が十一カ所の二億八千五百万円という額でございます。  なお、これらの治山事業の計画及び実施に当たりましては、関係の他省庁と連携を密にいたしまして、効果的な防止対策を今後も講じてまいりたい、このように考えております。  今後の対策といたしましても、必要な個所につきましては積極的な対処をしてまいりたい、このように考えております。
  68. 藤原房雄

    藤原房雄君 大臣の時間ないんであれなんですが、農林省それから建設省、後から、その実施したのとそれから個々の計画、ひとつ資料として提出いただきたいと思うんですけれども……。  それで一つ問題なのは、水道施設のことについてでございますが、厚生省としては、主に浄水場のところは林野が多いんだろうと思いますけれども、これも砂防が完全であれば、これはもう土石流を防ぎ二次災害を起こす懸念はない。こういうことだと浄水場を移転する必要はないんじゃないかという、こういうことのようなんですが、あすこの地形から言いまして、小有珠がすぐ一キロ足らずのところにあるという、非常に隣接したところであるし、現在水が澄んでいるとは言いながら、現在まだ活動がとまったわけじゃありませんし、いろんな危惧される点もあります。今日これだけ、相当な施設をつくったとは言いながら、浄水場については、じゃ心配がないのかと言ったら、水というのはこれは私どもの生活に欠かし得ないものですから、特に旅館業は、お客さんが来て水が出ませんなんていうことになると、じゃどこが責任を持つのかという、まあほかのものなら別として、水ということの性質上これは非常に慎重に考えなきゃならないことだ。それだけに地元でも、何も現在あるものが使えるのに別につくりたいなどと言っていることじゃ決してございませんで、こういう位置に不安を抱きながら置くということが、水道という性質上いいのかという、こういう議論がずいぶんあるわけですけれども、これは大臣も何度も聞いていらっしゃって、また御検討いただいていることだと思いますけれども、どうお考えでしょう。
  69. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 水道の水源地の問題でございますが、現段階では、現状の水源地で何とか水道の処理をしていきたいという意向のようでございます。ただ問題は、冬を越して春を迎えた段階で、果たして降灰等の影響がどの程度になるのか、そういう点はまだ定かでございません。ですから、そういう点も含めて、今後どうしてもあの水源地を他に移さなければならないのか、現状でいろんな措置をしてやれるのかどうかという問題が残りますけれども、現段階では、いまの水源地で何とかしていこうということのようです。もちろん、どうしても移さなきゃならないという場合においては、これはいろいろな問題があろうと思いますので、その折にはいろいろまた特別な対策を考えなければならないのじゃないかと、かように考えております。
  70. 藤原房雄

    藤原房雄君 これつくるといっても、三年ぐらい月日がかかるということや、様子を見なきゃならぬという、余りにも不確定要素が多いということで、そういう危惧を抱きながら推移を見るという、そういうことでいいかどうか。水ということの性質上、そこをひとつ積極的にお考えいただきませんと、私もまあやった方がやらないよりは——安全性といいますか、今後のことを考えますと、いいだろうと。そのまま使えるものならそれにこしたことはございませんけれども。そういう今度の火山、地震、将来どうなるかということについての非常に確定し得ないいろんな要素がありますから、一概には言えないと思いますけれども、これもぜひひとつ専門家といいますか、そういう方々の調査なり何なり、なってからと、推移を見てなんというそんなことじゃなくて、ひとつお進めいただきたいものだと思うんです。  それから、あとはいろんなことありますけれども、次の問題は、やっぱり中小企業者に対する問題ですね。これもだんだん、北海道東北開発公庫等、そういうところから、融資を受けられるような大きなところについては受ける、それからまた中小企業金融公庫とか、政府機関から受けておるようですが、だんだんそういう資金力のない方といいますか、保証力のない方々が残るような形になってきておるということは御存じだと思います。数字や何かもいろいろあるわけですけれども、時間もございませんから……。  それで、やっぱりこの保証ということになりますと、貸す立場の論理から言えばわれわれもわかるわけですけれども、しかし、それでは現実問題、いま倒産の危惧をなさっている方は救いようがない。それだけに地元としては協同組合のような形にして、そしていまございますいろんな業種の方々が金融対策協議会といいますか、そういうものでいろんな業種の方々がお集まりになっていただいて、そして協同組合の方がお互いに担保し合うという、保証し合うといいますか、こういう形でお互いに保証するような形にして、これは政府機関その他銀行等から言いますと、やはり被災者でない人でなければというような条件を付されますと、これはもうとてもできない、現実はなかなかその壁を破るのはむずかしい。こういうことで、非常にむずかしい条件はあるんですけれども、地元の方々のまだ融資のめどのついてない人たちに対してどうするかという、地元でもいろんなことを検討しているようです。やっぱりこれからはこういう中小企業者、ああいう観光地ということで、いろんな業種の方々に対してどうてこ入れをし、支えるようにするかということが一番のやっぱり課題じゃないでしょうか。そして個人災害に対してどうするかという、こういうことが最後にだんだん残ってくるんじゃないかと思うんですけれども。金融問題については、これは時間もありませんから、もう大臣のちょっとお考えお聞きして——もうすぐいらっしゃるんだと思いますけれども、これは相当、いまの現行法の枠の中だけでは、ちょっとどうしようもない問題が非常に多いと私は思うんですけれども、大臣どうでしょうか。
  71. 田澤吉郎

    ○国務大臣(田澤吉郎君) 最初に、水道の水源地については消極的な態度じゃございません。私の方でも積極的に厚生省と打ち合わせをしながら調査を進めてまいりたいと思います。  また中小企業者対策でございますが、特に金融面については、これは特に考えなきゃならぬと思っております。現に松代地震の例もございますので、こういう点を考えて、できるだけ早い機会にこれの特別な措置をいたさなければならないと、かように考えております。
  72. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ、大臣よりも明快な答弁をするという政務次官がいらっしゃるから、安心して申し上げますが、地元のいろんなお話をお聞きになって十分に御理解いただいていることと思いますけれども、現在、この中小企業の話を続けますが、生活援護資金とか、道の災害資金とか国の金による災害資金、共済による災害資金という、まあいろんなそれぞれの立場で申し込みをし、それを決定するという段階に至っているわけですけれども、これは災害があって間もなく暫定的にはいろんな処置を一応なさったわけですけれども、これは手形の決済とかなんとか、もう暫定的なことでは済まされないところにきておる。現在、こういうシーズンといいますか、本当は夏が多いわけですけれども、秋もある程度。ところが土曜、日曜はある程度の宿泊数があった。しかし全体的にはもう物の数ではない、二百台、三百台。土曜、日曜といっても千から三千かそこらぐらいですね。全部、この周辺入れますと、大体九千ぐらいの収容能力があるということですから、相当な経営難に陥っているということは、そしてまた、現在も依然としてその壁が破れないというのが現状であることはもう御推察いただけると思うんです。  そこで、激甚災の局地激甚の指定を受けなければ、その融資の利率そのほかにもまた影響あります。商工業者につきましても、激甚についての制度がいろいろあるわけでありますが、やはり国の立場からしますと、貸す立場からいたしますと、何はどうしますこうしますといいますけれども、借りる立場からしますと、自分がどの資金に一番適合するのかという、こういうことになりますと、なかなか徹底し得ないものがある。それはまあ役場、それぞれ商工会、そういうところで積極的にチラシや何かやっているようですけれども。やっぱりこういうのは明確にして、それぞれ窓口きちっといたしまして、どういう人にはどういう資金がどうかということを明確にいたしませんと、これこれこういうふうになっておりますというだけでは地元としてはなかなか借りようがない。  それから、現在この激甚法に指定になるのかならないのかということ、われわれが東京で考えている以上に地元におきましてはいろんな不確定な問題があって、どこにつながっていけばいいかという、こういうことが明確にならない点があるんですね。こういうことは、これはまあ通産省が主に金融関係のことはやっていらっしゃるんだと思いますけれどもね、どういうようにこれを徹底をし、そしてまた資金の別枠の確保、そしてまた、それに対して申し込みを受けられ、そしてまた今後に対してどういう方針で決定をなさろうといたしておるのか、ひとつ御説明いただきたいと思うんです。
  73. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) ただいまお尋ねの、まず激甚災害の問題でございます。これ特利の問題でございますが、現行の法律では、どうも激甚災害ということにはならないであろう。しかし、松代地震の際に、先ほどちょっとお話出ましたが、激甚災害法ではないけれども、閣議決定で同様の措置を講じたという例がございまして、で、私どもといたしましては、このような形で激甚災害と同様の取り扱いができるようにということで、実は関係省庁と折衝を進めておったわけでございます。実は本日現在まだちょっと結論を得るに至っておりませんので、もうちょっと時間をいただきたいと思いますが、そういう方針で折衝を進めております。まず、金利の点はそういうことでございます。  第二に、資金の量の問題でございますが、これは激甚災害の場合もそうでございますが、災害については、特にその特定の地域で量について枠を設けるということはしておりませんが、災害——この場合も災害というふうに扱っておりますが、についてのその必要な資金については優先的に出しております。もし特定の地点で資金が足りなくなりましたら、これはその地区に必要な額は配分するように手配いたしますので、資金の量の点については、御心配いただかなくてもいいようになっておるというふうに思います。  で、機関それぞれによって向き向きがあるから、それについてきめの細かい指導が必要ではないかというお話でございますが、これはまことにごもっともな御指摘でございまして、私ども、商工会あるいは商工会議所を通じていろいろ金融相談などをいたしたり、あるいは窓口でも相談をし、それから道の方からも、この金融の時期には、問題が起きた地域には専門の職員が一人現地に常駐して、いろいろ御相談にあずかるということもやっていただいているというふうに承っております。そういったこともやってはまいりましたけれども、さらに徹底すべきであるという御指摘、確かにごもっともだと思いますので、再度、その体制について私どもとしてもチェックをしてみたいと思います。
  74. 藤原房雄

    藤原房雄君 政務次官、これ局地激甚の指定はいつごろ決定になるんですか。その方向でということはわれわれも聞いておるんですけれども。
  75. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) ちょっと、確定的な日取りは実はまだ決まっておりませんので、いつと明確に申し上げられないので申しわけございませんが、関係方面との折衝もいわば最終段階というぐらいに来ておりますので、間もなくと申し上げられると思います。
  76. 藤原房雄

    藤原房雄君 利率のことも大きな問題なんですが、いま御答弁ありましたから、それはそれとしておきます。  これはやっぱり一番問題なのは、どうしても選別融資といいますか、経営状態とかいろんなことについて、検討する段階で振り落とされる人が出てくる、借りることができない人が出てくるということですね。保証能力とか、保証ということが重要な問題になってくるんだと思いますけれども、これはやっぱり保証限度額、保証のてん補率の引き上げとか、保険料率の措置、こういうものもさることながら、現在の保証のあり方ですと、災害地の人の保証人では実際は政府機関でもこれは首は縦に振らないでしょう。保証するということは、ただ名前を連ねるということではない、それだけの責任を持つということですけれども、貸す立場から見れば、現在被災者の一人である人を保証人に立てるということではやっぱり心もとない、こういうこともあるのかもしれませんが、しかし、何かそこに弾力的なものの考え方をいたしませんと、どうしてもあるところで線を引かれて、それ以外は手のかかりようがないということになるんじゃないでしょうか。その間はどういうふうにお考えですか。
  77. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) 災害の場合の保証の担保なりあるいは保証については、私どもとしては極力弾力的にやるようにという指導はいたしておりますが、これの具体的な適用につきましては、一律にはなかなか言いがたいと思います。個別に、それぞれの事案に即して、何とか金融がつくようにということで窓口ではやっておるつもりでございます。で、一般的にどうかという点はなかなか申しがたいんですけれども、もし、具体的に担保の点、あるいは保証の点が問題で融資が受けられないというような事案がございましたら、これは先ほどの商工会なり商工会議所、あるいはもしそれでらちが明かないようでございましたら、道あるいは通産局に持ち込んでいただいて結構でございますが、現地で個別に問題ごとに解決をしたいと。従来は、災害の場合に、私どもといたしましては、それで金融上支障がないように何とか解決をしてきたというふうに考えておりますので、今回の場合も同様にやっていきたいということで、受け入れ体制は整えているつもりでございますので、極力その個別の事案に即して御相談いただければというふうに考えております。
  78. 藤原房雄

    藤原房雄君 数字も私は持っているんですけれども、先ほど申し上げたように、どういう機関から借りるとどれだけの利率で、自分の現状に即したものかということに対して、ちょっとまだ飛び込み得ないものもあったり、それぞれのいろんな立場の方がいらっしゃいますので、全部が全部申し込んでどうなったということでは決してないのかもしれませんけれども、申し込み金額や件数等見ますと、やはり地元——政府の方も積極的にやってるとは言いますけれども、そういうデータは余り数字の上では出てないようです。  それから市中銀行についても非常にむずかしいようで、信用金庫等においてはある程度やっているような数字を大体私どもつかんでおるのですけれども、やっぱり現実問題としては、被災者の方の保証人ではないということで非常に厚い壁があるようです。それだけに自衛手段として業者の方々が、関係企業の方々が集まりまして被災者中小企業協同組合、こういうものをつくって、そしてお互いに保証し合おうといいますか、中小企業協同組合法によりますものとして特例を設けてもらって、この区域内の問題については何とかひとつやるようにできないだろうかという、地元ではこういうことまでいろいろ考えておるんですけれども、何かこれはいたしませんと、現行法だけではやっぱり——いま具体的な例があったらおっしゃってくださいという、そういうお話ですけれども、具体的な例など申し上げなくたって、これは実際お借りしている方々のお話を聞きますと、そんな安易なものじゃないということはもうはっきりしているんです。もし、そういうことについて疑義を抱かれるんだったら現地をひとつ見ていただいて、現状を把握なさって、地元の方々が何とか、ここでこれだけの施設があっていままで運営をしておったわけでありますから、何かの条件でこれが大きく変わらなければならないということでは決してないわけで、いらっしゃる観光客の数が急激に減るという、こういう条件がどこかにあるわけでは決してないわけで、いつでもそれだけのものを受け入れる態勢はあるわけです。ただ、いますぐというわけにいかない、こういう状況にあることは御存じだと思うんです。こういうことで、地元としても自衛手段としていろいろ検討しておるようなんで、これらのことについて、ひとつ積極的にバックアップをしていただきたいものだと思いますが、どうでしょう。
  79. 松尾成美

    説明員(松尾成美君) 地元でその協同組合をつくってという案があることは、私どもも御陳情拝見しておりますので承知しておりました。私どもなりに検討いたしましたが、問題の解決の仕方としては、率直に申しますと、余り現実的にいますぐ有効な手段とはどうも思われない。私どもといたしましては、むしろ従来の激甚災害の場合にやってきた体系というのは、これは長年の経験があるわけでございまして、災害対策としては非常にうまく問題を解いてきた。政府でのいろいろな措置のやり方としては、やはりこの激甚災害の場合と同じような形のものをやるというのが一番円滑にいくんではなかろうかということで、いま、閣議決定をもって措置をするという方向で準備をしているわけでございます。これが従来の中小公庫、あるいは国民金融公庫、商工組合中央金庫からすでに二十六億ぐらい貸し出しがございますが、この貸し出しの実行ともつながってくると。もうすでに貸し出しは進められているわけでございまして、それに金利を軽減するという措置を加えれば、余り新しい借り入れ手続とかそういうことは必要なく——失礼しました、先ほどの二十六億は申し込みでございますので、実行で十億ぐらいでございます。で、それらの、これまですでに進行しているいろんな貸し付けとうまくつながって事が動いていくということで、私どもとしましては、この問題の解決については、むしろ激甚災害並みの措置を閣議決定で実施するという方が現実的な解決策ではなかろうかというふうに考えております。
  80. 藤原房雄

    藤原房雄君 地元で言うのは、金利を少しでも低くすること、これは願うところです。しかし、どうしても経営状態や何やらいろいろありますから、全部が全部とは言い得ない問題もあるかもしれません。しかし、実際ここでそれぞれ経営をなさっておる方々がここに踏みとどまろうとして、そして融資を受けようとして、じゃ一〇〇%融資を受けられるかというと、先ほど来申し上げておりますように、いろいろな保証能力といいますか、担保能力といいますか、こういうことでどうしても厚い壁にぶつかる。それでどうしてもあと幾らかあれば何とかなるものができ得ないという、こういう声が非常に大きいんですよ。それをやっぱり何とかするためにはこういう形にする以外にないという、あなたの論のような、そういう閣議でどうして金利を安くしてという、それは非常にありがたいことですけれども、それの枠の中に入らない多くの方々をどうするかということで、地元でこういう論議をしているわけでしてね。だから、それはもういまの法体系の中で何とか運用できるんだったらこれは一番それにこしたことはありません。しかし、私もこの前の災害のとき申し上げたように、これは火山というやつ、噴火というやつは物が余り壊れない——壊われるというほかの災害とは違う点で、非常に特異なものだから、そういう点はひとつ十分に考慮してもらいたいと、これは大臣にも何回も申し上げている。また、雪のようにある時期が来たらそれが全部解けてしまうということとも違うわけであります。  そういう点で、公共施設等についてはある程度の見方はあるでしょうけれども、個人的な問題については非常にそれを補うものがない。国の法律自体も、個人災害については非常に薄い。最近ようやく弔慰金や何かの制度ができたということでございますから。そういうことからいって、こういうお店をやってきている、ある一つの経営をなさっているという方々に対しましても、こういう噴火に伴う降灰の被害、それに伴って客足がとだえるという、こういうことはいままで余りこれは経験したことがない。それでまた松代等とは違って、三百万超すほどの観光客の方々がいらっしゃるようなこういうところ、観光地であるという非常な特異性、こういうこと等も考え合わせて、これは過去の事例だけにとらわれておりますと、どうしても救えない多くの方々が残るということです。  で、弾力的運用と先ほどからいろいろお話あるんですけれども、具体的なことになると全然弾力性がないということですね。これはぜひ、まああなたはそれは現状を説明なさるという、そういう立場かもしれませんけれども、これは大臣ひとつ積極的に御検討いただきまして、これから考えられると思う金融面ですね、個人的な災害、それからまた自分が経営なさっている飲食店を中心とする——旅館でも、大きいところはある程度のことはあるかもしれませんが、こういう小さい飲食店やまた個人災害、こういうものについてやっぱり配慮いたしませんと、弾力的、弾力的と言っても、どこにその弾力的な効果があらわれたか。公共施設等については、確かにいろいろな問題について解決した面もあるかと思いますけれども、やっぱりこれからはこういう個人災害について、そしてまた、こういう中小商工業者等についてどういう施策をするかという、この点にだんだんしぼられてきたんじゃないでしょうか。こういう点で、ひとつ積極的な取り組みというか、それこそ弾力的にひとつやっていただきませんとね、政務次官どうですか。
  81. 佐藤守良

    政府委員佐藤守良君) いまの藤原先生のおっしゃる点は、私も非常によくわかるわけでございます。先ほどお聞きした中で、結局、いま松尾さんがおっしゃったことにつきましては、本当にぼくは弾力的にやってあると。ただ問題は、二十六億の申し込みのうち十億いま貸し出して、残りが十六億というところに一つの問題があるかと思うわけでございますが、で、実はこの政府機関と、市中銀行とは考え方を変える必要があるということも一つあるわけでございますが、私は、今度は金を貸す場合に一つの問題は、過去は健全経営であったが、今度の有珠山の噴火によって非常に経営が悪化したという場合の融資と、過去も経営内容が悪くて今度はもっと悪くなったというようなことで非常に違ってくると思うんですが、この場合は、特にそういう点をひとつ弾力的に運用するというような姿で、とにかくこの噴火によってこうむった被害はできるだけ助けるというようなことで、短期的な金融あるいは長期的な金融ということにつきまして特別配慮をする必要があると、このように思っておるわけでございます。  実は、私も選挙区で災害が何回かございましたが、非常にうまくいきました、ずばり言いますと。その間、一つは金融機関の、特に政府機関の金融機関の解釈の中に、やはりある程度われわれが通訳する必要がある場合があるんじゃないかという点もあるわけでございまして、この意味におきましては、先ほど松尾さんが言いましたように、できるだけお役に立ちたいという気持ちを持っているわけでございますし、われわれもそれを察してまたお役に立ちたいと思います。  また、先生から何か御注意があれば、お教えいただければ最善の努力をいたしたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
  82. 藤原房雄

    藤原房雄君 政務次官も、地元で何とかしょうということで、こういう考え方、一生懸命検討しておるということもお聞き及びだと思いますけれども、ぜひひとつ過去のそういう経験等も照らし合わせていただきまして、お取り組みいただきたいと、こう思うんです。  もう時間もございませんので長いお話できませんであれですけれども、どうぞ中小企業庁におきましても、現状の分析、そしてまた弾力的運用と言うからには、どういう点が現行法の中でできるか、やっぱりどうしてもこれ以上はできないぞという問題については、ひとつ積極的に御相談いただきたいものだと思います。  それで、政務次官ね、これ、大臣も現行法でできないものについては積極的に——積極的と言うか、現行法でできないものについては特別立法なりまた暫定法なり、暫定的な処置として処置しなけりゃならないだろうというお話でございますが、いま申し上げた金融面についても、これはだんだん皆さんのせっぱ詰まった問題として大きく盛り上がって、地元としては二百億何とかしていただきませんともうやっていけぬぞという、こういう町民大会があったことは御存じだと思います。そのほか農業についても、比較的いいとは言いながら、農業でもやはり果樹関係、それから漁業につきましてはこの前の委員会でもいろいろ申し上げました。中小業者、それから漁業者、農業者、それぞれの立場立場でまだまだ解決し得ない問題があるわけなんです。政府といたしましても、対策本部を設けていろんなことを御検討なさっておると思うんですけれども、いま、やっぱりこれは現行法の中ではなかなかむずかしいぞということで、御検討いただいておる問題がございましたらお話しいただきたいと思うんですけれども、どうですか。
  83. 佐藤守良

    政府委員佐藤守良君) いまの点につきましては、実は現行法である程度片がつくんではないかと、このように考えておるわけでございます。と申しますのは、金融の問題でも、私はほとんど片が——少なくとも御希望に沿えるようにできるという確信を持っております。それから、ある場合は、私は松尾さんと現地へ飛びまして一々ひとつ話を聞いてみたい、このように考えておるわけでございまして、現段階におきましては、現行法の改正につきましては検討をまだしておりません。
  84. 藤原房雄

    藤原房雄君 できなければというのは逃げ口上みたいなもので、実際はそういう必要がないという御結論の上に立っての御発言なのか、本気になってお取り組みいただいて、その中で、そういう問題が出てくるであろうということを本気になってお考えになっておるのか、どっちですか。
  85. 佐藤守良

    政府委員佐藤守良君) もう本気に全力で取り組んでおります。そういうことです。
  86. 藤原房雄

    藤原房雄君 先ほど、失礼しました。農林省の方には御説明いただきましたが、建設省の砂防関係の方いらっしゃいますか。——済みません、中断しまして。
  87. 大工原潮

    説明員大工原潮君) 有珠山の噴火に伴いまして泥流の二次災害が予想されるというふうなことで、すでにあの周辺地域につきましては、土木研究所等も現地へ入りまして調査を実施いたしております。すでに泥流が発生しております南の地域、いわゆる泉地域でございますが、そういったところはすでに泥流も発生いたしておりますが、温泉街地域の方にはまだ泥流は発生いたしておりません。そのように、非常に有珠山の灰の性質あるいはそれらの流動状況がどういうふうになるかというふうな点につきましては、今後まだ検討すべき問題があろうかと思います。  で、対策でございますが、あの地域は積雪もございますので、緊急に、いわゆる超緊急といいますか、直ちに積雪期までに実施すべきものと、それから恒久的対策と、そういうふうな二つに分けまして、緊急的なものにつきましてはすでに緊急砂防という形で、あの地域につきましては全部で約八渓流でございますが、すでに緊急砂防の設計協議を終えまして実施にかかっております。  さらに、その後の恒急対策でございますが、現在のところ大蔵当局にもすでに協議を持ち込みまして、激特事業という形で、現在のところおおむね三カ年計画でございますが、実施したいというふうに考えております。  なお、緊急事業につきましては、施行の期間の制約等がございますので、枠ダム——いわゆるプレキャスト材を使いまして枠でつくりますダムでございますが、そういった工法を用いておりまして、激特事業で実施しますものにつきましては、将来、砂防ダム、一般的には砂防ダムでございますし、それからあるいは流路工、それから沈砂池等を実施いたしまして、そういった二次災害の防止につきましては万全を期してまいりたいというふうに考えております。で、緊急砂防は、全体で、現在補正予算を含めまして四億四千七百万ということで決定しております。
  88. 藤原房雄

    藤原房雄君 いまの、先ほどもちょっと申し上げましたですが、資料をひとつ後からまた、現状と今後のやつ、農林省とそれから建設省、ひとつ御提出いただきたいと思います。  それでは、先ほどちょっと中断しておりましたが、時間もございませんから一、二問になりますが、中小河川のことについて、残余のことをちょっと御質問いたします。  まず、河川改修の目標といいますか、河川改修の計画を立てるに当たりまして、一応目標の設定というのはあるんだろうと思うんだが、大河川は大体百年から二百年に一度の災害確率、こういうものを目標にしておるというふうに私ども聞いておるわけなんですけれども、中小河川の改修目標というのはどういうふうに設定されているんですか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  89. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 中小河川につきましても、非常に大きな川であるとかあるいは小さな川とか、いろいろあるわけでございまして、直轄クラスの川につきましてはやはり直轄に準じたような考え方をとっております。それから特に小さな河川につきましては、私ども、短時間の雨量がその川の流量、死命を制するというふうな状態でございますので、時間雨量で申しますと、大体五十ミリぐらいの時間雨量が降ったような、そういうもので被害が余りないというふうなことのような計画を考えております。
  90. 藤原房雄

    藤原房雄君 今度のいわき市の藤原川とか、新川、鮫川、これはどこか決壊したわけじゃ決してないわけですね。やはり台風で相当な時間当たりの雨量が多かったということもございますが、そういうところに最近特に集中的にこういう雨量の多いような傾向が強いのかどうか、まあこれはどういうふうに見るべきか、私どもは専門家じゃないからわかりませんけれども、やはり全体的に見まして、非常に単位当たりの雨量の多い、こういう形のものが多いんじゃないでしょうか。それだけに中小河川のはんらんというか、暴れ回るということが非常に多い。こういうことで、これが大災害、大きな災害に結びついてくるというふうな——大きな災害といいますか、先ほど来申し上げておりますように、一級河川から見ますと、面積やまた被災者という数は少ないかもしれませんが、総計いたしましてやっぱり中小河川の方々は非常に被害を受けておる、こういう結果になるんじゃないかと思うんですね。こういう点で大きな一級河川、大河川と中小河川では改修の目標には余りにも差があり過ぎるという、こういう点では確かに改修目標というものについてお考えいただきませんと、まあこれも進捗状況といいますか、中小河川の整備河川延長とか、整備済み延長だとか、整備率、こういうようなものとにらみ合わせて、相当な金額がかかるわけですから一遍にはいかないことはわれわれもわかるんですけれども、しかしそれはそれとして、改修目標に余りにも差があるということも一つのまた要因ではないかというふうに思んですけれども、建設省ではどうお考えですか、これ。
  91. 井沢健二

    説明員(井沢健二君) 河川の場合には、中小河川の、いわゆる水系で考えました場合には、いわゆる利根川であるとかあるいは木曽川といったような大水系と、それからここにありますような、いわき市付近のようなああいう小さい川等ございますけれども、私ども、いわゆる大河川と申し上げましても、その利根川なら利根川のような大きな川でも、いわゆる直轄で管理しておるようなそういう大河川区域と、それからいわゆる補助でやっておりますその支川でありますとか、そういう区域とあるわけでございまして、たとえばこういう大きな河川につきましては、上流の中小河川の改修をして流量をふやしますと、それがもろにいわゆる幹線の水系に、幹線のところに響いてくるというふうな状態もございますので、そういうふうなものをいろいろバランスをとって考えてておるわけございます。  全体で、河川法適用区域というのが全部で約十二万キロぐらいございますが、そのうち一万キロが、直轄で管理しておりますいわゆる大河川と申しておりますものでございます。残りの区域は中小河川といっておりますが、いわゆる大河川の支川と、それから小さな川、一本、一本の小さな川と合わせたそういうものになってございます。
  92. 藤原房雄

    藤原房雄君 もう時間もございませんので、これ最後になりますが、人命尊重という、また国土保全ということから、国土庁の担うべき役割りというのは非常に大きいと思う。これはいつも委員会で私も申し上げておる。それだけに、この調整官庁という立場かもしれませんけれども、国土庁というのは、国土保全の上から非常に重要な役割りを担っていただかなきゃならぬと思います。  三全総の計画が決定されようとしておるわけですけれども、やっぱり三全総の中で、この防災行政というものをはっきりいたしまして、これはまあどっちかというと、国土の開発推進のような形がいままでの姿であったろうと思うんですけれども、いろいろ論議ございますように、これは従来の考え方を大きく変更するということはでき得ないことかもしれませんけれども、やっぱりこの中で、毎年同じような災害を受けて、そして多くの人命が失われ、それで財産を失う、こういうことを繰り返すようなことになると、やはりこの防災行政というものの位置づけというものを明確にして、総体的に考えていただくことが大事じゃないかとわれわれ思うんですけれどもね。とかく、こういう防災というのは、起きたときにそれに対して対処するという、こういうことで今日まできているわけですけれども、やっぱりひとつの国土のあるべき姿として、災害の起きない国土というものを明確にするということは必要なことだと思う。私どもがあのトータルプラン作成いたしましたときには、その経済のあり方ということと、やっぱり私どもの住まう国土がどうあるべきかという、そういうものもきちっとした位置づけの上に確立しなければならぬという思想といいますか、考えのもとにやっておるわけですけれども、この間のことについては政務次官どうでしょうか。
  93. 佐藤守良

    政府委員佐藤守良君) もう、いま中小河川のはんらんとか、急傾斜地の崩壊による災害等は、先生のおっしゃるとおりでございますが、ただ、問題は二つありまして、一つは原形復旧と改良復旧の問題があるかと思います。それとともに財政負担の問題があるかと思います。と申しますのは、私は、中小河川の場合は、たしか四分の三から二分の一の国の補助で、あとは地元負担だと思いますが、その辺も踏まえて検討する余地があるということで、特に河川というのは、本当に、距離は私ちょっとはっきり覚えていませんが、非常に長い距離を持っておりまして、その財政等の問題がございますから、この辺から解決しないと、正直言いますとなかなかむずかしいのではないかと、実はこのように考えております。
  94. 藤原房雄

    藤原房雄君 財政負担は、それはもちろん財政的に大変なことはわれわれも承知して、今日まで何カ年計画、何次かずっと続けてやってきたわけですけれども、この国のあるべき姿というものの中に、やっぱりこういう人命を失い、財産を失うようなことのない国土を確立するという、こういう考え方を明確にしておくことが大事ではないかということ。そうした上に立って、これはやっぱり限られた財政の中でのことでございますから、短兵急にできるわけじゃないでしょうけれども、その位置づけの中で着実な推進をしていくという、こういうことをぜひひとつ今後お考えいただきたいということなんですけれどもね。
  95. 佐藤守良

    政府委員佐藤守良君) 先生のおっしゃるとおり、いま実情の御理解をお願い申し上げたわけでございまして、その方向で、特に三全総にはその点重点的に織り込んでございます。先生のおっしゃる趣旨の方向でこれは努力してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  96. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十分休憩      —————・—————    午後一時三十三分開会
  97. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、災害対策樹立に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  98. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 この夏以来、私、有珠山の噴火に伴う災害、そして昨年襲った台風の跡を見せてもらうということもあり、愛媛、香川などを視察をいたしまして、赤潮とあわせて自然の災害、つめ跡が恐ろしいということと同時に、この問題が常に人間生活に影響を及ぼして、そしてときには死傷者を出し、こういう、結果を悲惨なものにするということは、人間のつくった構造物とそして自然とのかかわり合いにおいて、これはいつの場合にもあらわれてくるものなんだと。俗に、天災は人災だと言う人もありますけれども、そういうことを深く感じながら帰ってきておるわけであります。  普通、過去の状況で別段のことはなかったところに、今日の都市が大都市化した状況では、これは大都市の中にも多くの大災害がいつでも潜在的に市民、国民の前に危険として存在をしておる。このことはもう広く認識されておるところであり、航空機に乗ってもビルの中にいてもこれに対する備えがなければ完全は確保されない。こういう観点から、私は、特にきょうは都市災害として安全が保障されなければならない地下街の問題についてお伺いをしたいと思っております。  昭和四十七年の五月に、私も大阪に住んでおるわけですけれども、千日デパートの火災というものは、ビル問題あるいは都市問題を改めて見直させるものであった。実に死者百五十八人、そうして負傷者八十一人というような非常に悲惨な災害をもたらした。南、千日デパートと言えば元歌舞伎座跡で、まさに大阪の花の中心の場所でそういう状況が起こっておるわけですね。その後、これらの問題が自覚をされて、昭和四十八年の七月三十一日には四省庁通達が建設それから消防、警察、運輸、これらの手によって出されましたし、昭和四十九年の六月二十八日には、この四省庁通達を受けて、建設省から通達が出されて、地下街の基本方針というのが策定され、この指導のもとに、今日の都市災害を防止する立場での行政が進められておるというふうに承知をしておるわけですが、都市災害というものの根本的な性質、それに対して新しく地下街が持つ意味、それに対する指導の中心方向、基本について、ごく簡潔に建設省の方からお伺いをした上で、これの行政効果と申しますか、この現状についてお伺いしたいと思います。
  99. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) ただいま先生の御質問にございましたように、昭和四十九年の六月に建設省を初めといたしまして関係省庁の間で「地下街に関する基本方針について」というのをまとめております。これに基づきまして、それぞれの役所の間におきまして連絡を密にしながら、地下街についての防災上あるいは衛生上の観点、その他の観点につきまして十分打ち合わせをしながら、これに対応していくということでやっておるわけでございます。
  100. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 まあこの措置以降、幾つかのポイントがありますけれども、やむを得ない場合を除いて地下街をつくるのは、新増設は厳に抑制をする、原則的には認めない、こういう態度を確立されまして、やむを得ない場合の新増設に当たっても、これは特に地下の連絡道、駐車場以外には店舗は極力規制するというようなこともお決めになった。それから他の建設物との接続というのは原則として禁止をする。多くの場合、地下道というのはそこに国鉄、私鉄の駅があり、そうしてデパートがあり、デパートの地下というのは概して地下街に口を開いておって、通行者は、デパートへ買い物に行く人も通行する人も分かちがたく結びついておるわけですが、こういうことは、新しい地下街の中にもう口をあけさせないというようなことをお決めになった。それから、必要な設備をつくらなければならないというようなこともお決めになりましたし、やむを得ぬ新増設の場合でも、事業主に対しては管理運営の責任のとれるものを当てて、続いて管理運営について責任を持たせるということもお決めになっておるわけですね。そういうことですね。
  101. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) そういうことでございます。
  102. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 その結果、大体そのときまでずいぶんと広がっていった地下街の建設はストップをされた。おおよそ全国的にストップをされたと思っておるんですけれども、その後新しく建設をされたものはありますか、これが一つ。  もう一つ、その後新しいものは規制によってストップをしておるわけでありますけれども、古いものに対して、それらの規制の具体的な内容を及ぼすというような意味ではどういう措置をしてこられたのか、これらの問題についてお伺いしたいと思います。
  103. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) 通達の以後、正式に認めたといいますか、そういうものはまだないわけでございますけれども、実は通達の以前から、こういうものの計画につきましては非常に長い間の時間がかかるわけでございますから、この通達の以前からいろんな進捗状況といいますか、そういうことに応じまして計画が立てられて、関係省庁にも話が上がってきておったというものはあるわけでございます。そういうものにつきましては三件程度進捗といいますか……
  104. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 どことどこですか。
  105. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) そういうことでございまして、新しく出てきましたものも三件程度ございます。
  106. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 名古屋とか福岡とか、そういうふうに言ってくれたらいいわけですよ。
  107. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) 広島と川崎とそれから京都駅と、その三つでございます。
  108. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 私は、ちょうどこの通達が出る前からあの申請があって、駆け込みで、いま建設されておる名古屋はその後できたものだというふうに聞いておりますし、福岡についてもそういうことはあるんじゃないか。具体的には、しかし、それらのものは、在来からあった東京もしくは大阪の大きな地下街、これに比べてかなり改善の跡が見られるのだというふうなことも聞いておりますし、まあ古いものだけはそのままにして、そしてその後のものだけしか改善が及ばないということであれば、防災上の観点から問題残りっぱなしですからね。この点についても、行政指導で一定の改善が行われているというようなことも聞くわけですが、具体的にはどうなんですか、そこは。
  109. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) 先ほど申し上げました基本方針にも、そういう既存のものにつきましても、できるだけ改善をしていくということが盛られておりますし、したがいまして、建築行政あるいは消防関係の行政、そういうそれぞれの行政の中で、いまそういう実効が上げられているものというふうに考えております。
  110. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 具体的に聞きますけれども、この地下街の災害というものの最大の問題点は火災になるわけですね、ほかにもいろいろあるでしょうけれども、そうでしょう。それで、火災が地下街で発生した場合に他と違って問題になるのは、地下街の場合には非常に長い、煙なり火が走る、道路は消防の入る道と一致するから消火活動が困難になる、これが十分に考慮されないでつくられている。それから、そこに入っている通行人ないし構造物の客が、逃げまどってパニックが起こった場合には非常に厳しい被害を出す。これらに従って階段の問題だとか、それから消防施設の問題だとか、幾つかあなた方挙げているでしょうが。これらの具体的な問題について、新しいものと古いものと、それから古いものについてのとるべき措置というようなものを少し挙げて説明してもらわぬとわからぬですよ。
  111. 対馬英輔

    説明員(対馬英輔君) 地下街の建築基準法によります規定でございますが、これは各構えから地上に通ずる階段等の距離等を決めてございまして、これは従前から基準を変えてございません。かなり厳しい歩行距離の制限を使っております。各構えから三十メートルには必ず出入り口があるというような基準を定めてございますので、その点での危険はないかと思います。それから地下街の各構えの内装制限、それから各構えの防災区画、このようなものも、耐火性能のかなり高度なものを要求してございますし、現行の既存のものにつきましても、安全性は確保されていると、かように考えております。
  112. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 あなた方が出しておるこの基本方針を見ると、従来からあった地下街と違って、新しくやっていく場合には、ここで出された基本方針によりますと、地下街とそれから他の施設との連絡は原則的に禁ずるということとあわせて、いまから認めていくものについては、道路の面積とそれから地下街における店舗の面積が、半々以上のものは絶対に認めないというようなことも書かれておりますし、それは従来からの原則になっておった。これが十分に保障されていないようなところについても、これは及ぼしていくというようなことを挙げておるんじゃないですか。
  113. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) 基本方針におきまして新しくいろいろ決めておりますことにつきましても、既存のものにつきましてはできるだけ及ぼしていくということでやっておりますけれども、なかなか現実には費用の問題その他ございますので、全部につきましてぴしっと行われているかどうかということについては、まだそこまでいっていないというふうに考えております。
  114. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いまのような答弁状況であれば、基本的な方針は出しまして、そこにはなかなかりっぱな規制が記述されておるわけでありますけれども、具体的に、従来からいわば乱開発的につくり上げられていった地下道に対してはそのままの状況であって、新しい規制の内容が及んでいないというふうに聞こえるわけであります。確かに、この出すに当たっては新増設を認めないと、そして新規にやる場合には、これは特に増設する場合でも、既存の部分も関連して新しい規格に合わなければ認めないというふうに書かれておるわけですね。同時に、そのとき以来すでに三年を経過するというような状況の中で、既存のものに対する監督行政なり改善が進まなければ、その点はいわば片手に落ちになるんじゃありませんか。その点で、既存のものに対する問題点と、今後の展望について具体的に挙げてもらいたいと思うんです。
  115. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) 先ほど申し上げましたけれども、この四十九年に出しました基本方針につきましては、先生もちょっとおっしゃっておりましたように、いろいろな事故の例、災害の例等を踏まえまして、関係省庁協議をしてつくった中身でございます。しかしながら、それ以前から地下街につきましては、防災上、衛生上その他いろいろ問題があるわけでございますから、この基本方針を決める以前から、建築基準法であるとか、あるいはその他の法律はあったわけでございまして、そういうものによりまして、当然防災上その他のチェックはしてきておったわけでございます。したがいまして、以前のものがすべて何といいますか、危険だとか何とかということではなしに、そういうものの経験を踏まえて新しく一つの方針を出して、この方針のもとに新しいものを、あるいは増設につきましてはこれをきちっとしていきたいと、いままで以前に比べまして厳しくしていきたいということでつくりましたのがこの方針でございます。したがいまして、この方針につきましてもそういう趣旨でございますので、この方針の後につきましては、この方針にのっとりましていろいろやっておるわけでございますけれども、なかなか、既存のものにつきましては、先ほど申し上げましたように、方針の中ではできる限り及ぼしていくということは決めておりますけれども、なかなか何といいますか、経費の問題その他ございますし、その地下街をいろいろの面で増改築するといったような場合を除きましては、実際問題としては、設備を向上しろ、改善しろということがなかなか言えないわけでございますけれども、今後の指導といたしましては、この方針に盛られている趣旨に従いまして、さらに一生懸命やっていきたいというふうに考えております。
  116. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 去年の五月の新聞が伝えておる記事ですが、消防庁の関係にわたるわけです。千日前ビル火災や、大洋デパートの火災、こういうことで大型ビルや地下街は、五十二年の三月までに初期消火設備の完備を義務づけられておるけれども、これが非常におくれておって、一たび防災改修工事をやるということになれば数千万から億単位の金がかかると、こういうことで消防法改正から一年たってもこれが非常におくれておる。ほとんど、さまざまな問題について、改正消防法の定めた状況というものが実行されていないというようなことを記述をしておるわけであります。ビル、地下街の防災というのは、法律というようなものは全く無に等しい。床や壁などの内装は不燃材料とせよ。三十メートル以内に二カ所以上の出入り口を設けろ。防火シャッターを各店舗ごとか五百平方メートル単位に設置せよ。スプリンクラーを設備せよ。こういったふうな問題、これに対して非常に状況が悪いというような記事を伝えておりますけれども、その点についてはどうでしょう。
  117. 荒井紀雄

    説明員(荒井紀雄君) 消防法の問題につきましては、御案内のとおり、昭和四十九年の法改正によりまして、既存の地下街につきまして、一定の消防用設備を遡及して設置することを義務づけられたわけでございます。そこで、消防当局といたしましては、法の趣旨にのっとりまして、鋭意地下街等の設置方につきまして強力な指導を行ってきたわけでございますけれども、その結果、その猶予期限が切れました昭和五十二年三月三十一日現在におきましては、法成立当時よりはかなり進捗したという傾向が見られるわけでございまして、ちょっと具体的な数字を申し上げますと、地下街につきましては、たとえばスプリンクラー施設の場合でありますと、法成立当時七〇%をちょっと超える程度の普及率、設置率であったわけでございますけれども、この期限が切れました三十一日現在におきましては八五%程度になっておるわけでございます。なお、若干まだ違反物件があるわけございまして、この点につきましては、今後ともなお強力な行政指導を重ねてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  118. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いまの答弁と、当時の状況調査が行われた結果のこの報道というのは、はなはだしく食い違っておるわけであります。雑居ビル、百貨店、これらのものについて三月末まで猶予期間を決めておって、四月一日から基準が適用されるということについて、去年から一年間、百貨店、大規模小売店の二百三十五件、雑居ビル四千二百九十二件、地下街七の、計で四千五百三十四件を検査したけれども、合格をしておったのは、百貨店ではかなり検査時点で合格をしたが、まあ百貨店の九十四と雑居ビルの千八百十だけで、旧法にすら違反しているものが地下街七を含めて二千六百三十件もあった。残りは、旧法では合格だが改正法に照らすと違反ということであった、というようなことが発表されておるわけであります。  先ほどの建築基準法が従来どおりからであって、そして特にこれの厳格な適用、新しい地下街規制のための基本方針に対する適用が、古い地下街に及ばない。それから消防法の定めた問題がサボタージュされているというような問題は、今日いわば地下街の通行者、市民、住民にとっては、古い大規模地下街の中にあっては運を天に任しておるような状況になっていると見るより仕方がない状況ではなかろうか。  ここで詰めてお伺いするわけですけれども、特に大阪の地下街というのは、一番大きいのは大阪駅周辺になりますが、これは世界一の規模になるだろうと思うわけですね。こういうものは諸外国にも余り例を見ない。ここのところで申しますと、地元で実験をやっておるんですが、発煙筒一本たけばすぐに見えなくなってしまうような状況があって、後ほど新しく建てられた虹のまちその他の新しい部分の状況に比べてはるかに劣悪であります。こういう状況に対してどれだけの規制措置が行われ、どれだけの改造がプログラムに上っておるのかということが、全然答えられないというような状況であっては、安んじて生活することができない。少なくともこの基本方針に書かれた通達内容については、厳格に実施をするというふうにやってもらいたいと思うわけなんですが、その点どうですか、建設省。
  119. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) この通達の既存のものに対する取り扱いでございますけれども、これは先ほどから申し上げているようないろいろな面がございますけれども、先生指摘のいまの具体的な大阪の地下街等につきましては、関係省庁とも打ち合わせをいたしまして検討してみたいと思っております。
  120. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 特に、地下街というものは非常に総合的なものでありますから、地下街全体についての管理、規制とあわせて、建築基準法がどうなって、どう適用させるかということが非常に問題になると思うわけですね。すでに昨年以来も防災の問題、排煙の問題等について建築基準法の改正が考えられたわけですね。しかし、それは残念ながら、いわば骨抜き修正によって実っていない。こういったふうな点については、建設省としては早急に措置をされる準備になっておるのかどうか、これをお伺いします。
  121. 対馬英輔

    説明員(対馬英輔君) お答え申し上げます。  昨年の第七十八国会におきまして、建築基準法の一部改正が成立をいたしまして、本年の十一月一日から施行を予定してございますので、今後この改正法に含まれております防災関係規定を積極的に活用することによりまして、防災対策推進を図っていく考えでございますが、既存の、いま先生指摘ございました百貨店、ホテル、地下街等の特殊建築物につきましては、人命の安全を確保するため、一定の避難施設の義務づけが必要ではないかというふうに考えております。したがいまして、このため、政府といたしまして、次の通常国会に特別立法を提案いたすよう、現在検討を進めているところでございます。
  122. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ちょっと最後のところ、もう一遍言ってください。
  123. 対馬英輔

    説明員(対馬英輔君) 防災関係につきましては、特殊建築物につきまして避難施設を義務づけるということで、特別避難階段ですとか、それから消防の救助活動等に必要な非常用の進入口あるいは非常用のエレベーター、それから非常用照明装置、こういうものの既存のものに対する設置義務、それから一番煙等の通り道になります縦穴区画の防火区画、こういうものを重点に考えております。
  124. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 先年の衆議院で問題になった建築基準法の改正案の際には、既存のデパート、地下街などにもさかのぼって防火避難施設の設備を義務づける遡及適用、これが適用されてアウトになってしまったわけですね。この部分については、特別立法で処置をするというようなことも言われてきたわけですけれども、建設省としてはこの部分について立法準備をされておると、こういうふうに聞いていいわけですか。
  125. 対馬英輔

    説明員(対馬英輔君) 先ほど申し上げましたように、御指摘のとおり、現在、次期の通常国会に提案をいたすべく検討を進めているところでございます。
  126. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 これは鋭意進めてもらわなければならないわけであります。  特に、続いてお伺いをするわけですが、地下街について、概して規制が入り適用をされておるのは、大体公共の道路面積、あるいは公共の国鉄の駅その他の下にある通路になる部分ですね、ここに規制をされておるわけでしょう。たとえば、デパートの土地の下から地下街部分までに接続してくる別途の地下設備、実質的には地下街になりますけれども、これとの連絡通路、これらのところには、現在皆さん方の出された通達の範囲は及んでおるわけてすか。——これは当然建設省に答えてもらわなくちゃね。
  127. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) 地下街につきましては、上にあります、何といいますか、道路あるいは駅前広場の下を利用します通路、それが主でございますけれども、それに接続します店舗でありますとか、それからあと、いま先生おっしゃいました連続しますところまでの通路といいますか、そういうものも一応適用になるというふうに考えております。
  128. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 あなた方御存じであろうと思って、特に大きなプッシュをしてこなかったんですけれども、大阪駅前の地下道の模様を見れば、これは物すごい大きなもので、国鉄が入り込み、阪急が入り込み、地下鉄が三本入り込んでいるわけですね。そしてその上には大体大阪市の市道、国道等が通っておるわけですね。その下に、上の方が交通頻繁であるということで地下道がつくられて、ここのところに、あなた方が通達を出されたような公共の地下街がある。そしてこれが非常に危険だというので、こういうものは余り新しいものをつくらせないようにしておるわけですけれども、実はその横にたとえば阪急があって、自分のところの階下に、地下に開発をしてそこから地下街をつくっている。これはもとからありますけれども、阪急三番街というようなものがあるわけですね。ほとんどこれと融合する状態になって、見かけはもう地下街と全く同一でありますけれども、こういうものは、あなた方が開発制限の対象にし、それから今後規制の対象にしておるものになっておるのかどうかということをお伺いしておるわけです。
  129. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) 民間のビルの地下街——地下階といいますか、地下はこの適用にはなりませんけれども、そこに接続するまでの地下街については適用になるということでやっております。
  130. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 地下階は適用しないけれども、地下街は適用するということですね。
  131. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) そういうことでございます。
  132. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 実際、ここのところの現状について言いますと、あなた方が規制をしておる地下面積の中で、道路部分、通路部分と店舗の部分は、大体道路部分が四〇%と店舗の部分が六〇%を超えてはならないということを決めておるわけですけれども、その点が、阪急三番街の中に入りますと、八対一とか九対一というところまで、道路の部分が少ないわけですね。こういうものは、あなた方の通達によってもう開発は許されなくなっておるはずなんです。したがって、その後新しい開発は行われていないわけです。ところが、こういうものが現に大阪地下街の一翼として存在をしておる。こういうものに対しては、これからどういうふうにやっていかれるのかということをお伺いしたいと思います。
  133. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) この通達以前といいますか、通達の、地下街につきましての店舗と通路の面積の関係等につきましては厳しくしておるわけでございますけれども、いま先生おっしゃいましたような、それ以前のものといいますか、店舗の面積が多いというようなものも実際にはあるわけでございます。しかし、この通達によりまして、すぐに、それではそれに見合うように通路部分を広げろとこう言いましても、実際地下街の構造的な関係あるいは予算の関係その他もございましょうけれども、いずれにしましても非常にむずかしいというようなことがございますので、安全面、防災面、そういう面からは、そういう通路を広げろというようなことではなしにといいますか、そういうことができれば一番いいわけでございますけれども、そうではなしに、それに見合うほかの安全施設、建築基準法的ないろんな施設をつくるとか、あるいは消防法の方の関係でそれを補っていく、そういうような方法も考えられますので、そういうようなことも含めまして、総合的に指導していきたいというふうに考えております。
  134. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 もう一遍念を押しますけれども、いま例示をした阪急三番街というのはわかりますか。あなたわからぬのじゃないですか。わかっていますね、どういう意味なのか。
  135. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) 大阪の阪急三番街が具体的にどうかということはちょっと……。
  136. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いや、これが適用内に入るのか入らないのかという問題なんですよ。あなたわかっていますか。
  137. 村田秀三

    委員長村田秀三君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  138. 村田秀三

    委員長村田秀三君) それでは速記起こして。
  139. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 いま言われたように、大阪地下街は全体として、地下街の上に乗っておる所有が私鉄のものになっておる場合にも、それから法人のものになっておる場合にも、もしくは国鉄が所有している場合にも、いずれにしても地下街として建築基準の規制を受け、そしてこの通達による規制の対象になるということを確認したわけですけれども、この点について、非常に今日まで問題は多いわけであります。その点、いまお伺いしてみると、はなはだ掌握もされていないし、いわば現実の監督も行き届いていないというようなふうにも感じられますので、ひとつこれはよく調べて、今後ともこれについての処置について御説明をいただきたいと思うわけであります。  なお、このあなた方がお出しになった基本方針の中に、事業主についての記載があるわけですね。この事業主は、管理運営の責任を果たすことができる国もしくは地方公共団体もしくはこれに準ずるような団体が、責任を持って事業主にならなければいかぬと書いておるわけですけれども、大阪地下街の主な事業主はどういうものがなっておるのか御存じですか。
  140. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) 詳細にはあれでございますけれども、いま手元にある資料によりますと、梅田地下センターにつきましては、大阪地下街株式会社というようなものがなっておるようであります。
  141. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 大阪地下街株式会社というのは、巨大な大阪の地下街の相当部分の事業主であります。したがって、これについて防災施設をつけさせると、場合によったら改良改善を行って消火施設をやらせると、こういったふうなことはこの法人が責任を持つわけですね。その点どうなんですか。
  142. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) そういうことでございます。
  143. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 ここで労働省にお伺いをするわけですけれども、労働省は地下街労働対策要綱という文書を出したことがありますね。この目的には何と書いてありますか。
  144. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 四十七年に地下街労働対策要綱を労働省として定めておりますが、「目的」をちょっと読み上げますと、「地下街の店舗、事務所で働く労働者の使用者、地下街の所有者および管理者をもつて構成する協議組織を設置し、地下街における非常災害発生時の労働者の危害防止措置並びに労働者の作業環境の改善、適切な健康管理その他必要な措置を総合的に講ずることにより地下街における労働者の安全衛生の確保、労働条件の向上その他福祉の増進をはかり、あわせて一般公衆の生命の保持に寄与することを目的とする。」というふうにうたっております。
  145. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 この地下街労働政策要綱で言う「一般公衆の生命の保持に寄与する」というのは、どういうことなんですか。
  146. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 労働省として対策を講じます場合は、いわゆる労働者を中心としてその対象にしてるわけでございます。地下街の特殊事情としまして、そこで何らかの危害防止措置をやるとなりますと、その地下街が一般大衆の通行の場であるとかいうことから、単にその地下街の店舗に働く労働者だけではなくて、通行人を含めた危害防止措置も他の関係行政機関との協力のもとに行うことが、最も効果的であるという面もございますので、直接の目的は、あくまでその地下街に働く労働者の危害防止であり、あるいは健康保持、こういうことでございますが、その対策を効果的にすると同時に、そこの地下街を通行する大衆の危害防止というものも、安全保持というものもあわせてねらいとするというふうに、副次的と申しますか、そういう形で目的にうたっているわけでございます。
  147. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 はなはだこれも頼りない答弁になるわけですが、労働省は一義的に、労働者の安全衛生を守り、労働条件と労働者の福祉を、これを不当な状況におかないように監督をする。その趣旨で、地下街の労働対策要綱を出したというのはプロパーで当然のことだけれども、この項目の、そのことによって「一般公衆の生命の保持に寄与する」というのは、地下街労働者の安全衛生が守られず、労働条件や福祉が非常に劣悪な状況になれば、一般公衆の生命保持にとって、その保障にとって非常に不利な状況が出てくる。労働条件が非常に劣悪になって労働者がめちゃくちゃな状況になれば、一般公衆の生命に、あるいは防災上でも瑕疵が出てくるというような意味を持つんじゃないですか。
  148. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 地下街の店舗に働く労働者の行動が、たとえば労働条件が悪いことによっていろいろ阻害されて、その行動の影響力が一般公衆にどういう影響を与えるかという面よりは、むしろ、たとえば地下街の店舗あるいは事務所なんかの換気の問題であるとかあるいは気積の問題であるとか、そうした問題を論ずる場合に、通常の工場なんかと違いまして、一般大衆も同時に存在しているわけでございますから、そのたとえば換気あるいは空調といった面で労働者の健康保持のためにやることが、同時に、そこを通行する一般大衆の安全保持にも役立つという効果をねらって、この対策の要綱に織り込んでいるものというふうに私ども理解しているわけでございます。
  149. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それなら、こっちから申しますけれども、ここの事業主であるところの大阪地下街株式会社は、その後、こういう状況が出ましてから、若干、この施設設備については、誘導灯をつけるとか、防災センターについて設備をつけるとかいうことをやっているわけですね。それと見返りと言わんばかりに、それまでにあった保安、安全にかかわる事業主の責任としてのこの人事行政の上で、ずいぶんと合理化をやっているわけですね。施設をやれば人を減らすというふうにやって、これが安定した雇用が非常に少なくなってきておるということですね。そういう状況の中で、たとえば、地下街についての保安上からの巡視をするというようなことについての能力が非常に減ってきておりますし、それから、全体としての店舗で雇い入れる者が常勤——安定した雇用の状況でない店員が多いために、具体例を挙げれば、あなた方の出した通達に「広告等の掲出の制限」というのがあって、「地下公共歩道においては、誘導灯及び歩行者の案内のための設備の視認性を妨げる広告、看板等を設けてはならない。」というような状況が書いてありますけれども、この状況なんかは非常に乱脈になってますよ。せっかく誘導の指示などがありましても、そこのところにポスターがぶら下っておって、実際目で見ることができないというようなことになっておったり、シャッターがあったらその前に商品が積んであって、いざという場合には歩行について措置ができない、こういったふうな状況に対して、保安のために人が確認していくというようなことが、ほとんど労働条件の悪化によって保障されなくなっておるわけですね。こういったふうなところに目が届かなければ、地下街の労働対策要綱というのは空文になってしまうのではないか。労働者の労働条件が守られないことによって、具体的にはその果たすべき——労働者自身は一般公衆の生命の保持に役立つ労働を任務としておるわけですからね、そっちの方が非常にまずい状況になっておるというようなことは御存じでしょうかね。
  150. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 大阪の地下街で、そうした合理化でたとえば保安の巡視その他に当たる人が減らされて、そのために十分な活動ができてないという点、私つまびらかに承知はいたしておりませんが、御指摘のような点はほかの地下街でも起こり得るかと思います。
  151. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 地下街は非常に広がり、その範囲はふえておりますけれども、この三年間の間に、少なくともこの保安の必要が特に叫ばれるような状況になってから、ふえたのではなくて、明確に減っておりますからね。特に、機械設備がつけられるたびに人が減るというような状況については、もしあなた方が連絡会を開いて問題を検討されるのなら、一つの重要な要素としてお考えおきを願いたい、このことを申し上げるわけであります。  まあ、特にここで念を押しておきたいことがあるわけですが、とにもかくにもこの地下街に関する基本方針をお出しになってから、大体の地下街の建設はこれはとまっておるわけですね。しかし、同じく大阪の地下街に関して、いまダイヤモンド地下街問題というのがございまして、この問題についても、新聞報道では、現在地下街建設がとめられたために、大阪市が地下街を建設する予定で売却をした土地の店主たちが裁判を起こしているという問題が新聞で報道されておるわけです。十月二十一日の新聞に報道されている。その点については御存じですか。
  152. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) いまの先生のお話は、大阪市再開発ビルとの関連におきます新しい地下街の計画だろうと思いますけれども、裁判云々という話は、大阪市の方の担当の方からちょっと聞いたことはございます。
  153. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 あなた方新聞読まぬのですかね。これは以前、梅田地下センター、それから堂島地下街というふうに大きくつながっておる途中の、真ん中のところに、大阪市が都市再開発によって第一ビル、第二ビル、第三ビルというのを建てて、第二ビルは、当然規制が出るまでは従来地下街開発をやってそこへつなぐ予定であったわけですね。だから、ここでは一階よりも地下の方が値が高かったわけですよ、売却したときには。これがとまったために損害を受けたというので、この地下の入居者が訴訟を起こしておる。これについて大阪市では、まあこの計画はまだなくなっておらぬというような返事をやっておるわけですね。この件は、今後の建設省の認可その他にもかかわる問題ですし、従来からの継続の問題だから御承知だろうと思うんですけれども、それの今日の状況について話をしてもらいたいと、こう言っているんです。
  154. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) いま、先生おっしゃいました新しい大阪の地下街の件につきましては、まだ正式に、地元にあります、地下街連絡協議会というのがそれぞれ置かれておるわけでございますけれども、そういうところからの正式な話としてはわれわれに上がっておりません。しかし、先ほどもちょっと申し上げましたように、大阪市の担当の方からは、その計画の概要につきまして、私どもの方にこういう計画がある、こういう計画内容だからと、こういうようなお話での話は参っております。そういう程度で、現在の段階ではそういう段階でございます。
  155. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 少なくともこの場合には、大阪市立の第二ビルというビルの地下階に現在入居しているわけですね。これが地下街としての連絡開発を要求し、それでない限りには損害補償をしろということを言うておるわけですから、これは地下街と他の施設との接続の、認可するかしないかという件に該当するものだと思うわけですが、どうですか。
  156. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) ただいま大阪市の方から私どもの方に来ております話につきましては、新しい地下街の部分と、それから既存のビルとを結ぶと、両方の性格があろうかというふうに考えております。
  157. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 新しい地下階と既存の地下街とを結ぶ地下街開発でしょう。そういうことでしょう。これはまさに、このあなた方の出した地下街に関する基本方針で今後増設を抑制するという部分と、特に地下街と他の施設との接続については、厳格に規制するというのにまさに該当しておるじゃないですか。
  158. 海谷基治

    説明員(海谷基治君) 該当しております。
  159. 小巻敏雄

    ○小巻敏雄君 それで結構です。
  160. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 災害については、公共施設の災害もあれば、個人の財産を失うという場合も、いろいろ私はあると思う。どちらであってもそれは一つの国家的な損失ではないかと思う。ですから、災害が起きてそれの救援の対策をどうするかということも大事なことだけれども、いかに災害が起きないようにするか、被害を受けないようにするかという、もう先ほどからも出ている防災というか予防措置というか、そういうことが大変大事なことであって、これはいろいろやられていると思うんです。きょうはその辺を中心にして、幾つかの点で御質問してまいりたいと思うんです。  第一には、そういう意味に立ちまして、災害で、風水害とかいろいろ含めて結構ですから、正確な数字を求めるんではなくて、年間にどのくらい損害というものがあるんですかということです。
  161. 四柳修

    政府委員(四柳修君) お尋ねの点につきましては、災害対策基本法で毎年国会に御報告しておりますけれども、その中に載っかっている数字で、最近の数字で申し上げますと、施設等の被害額とそれから家屋全壊の戸数、棟数で申し上げますけれども、五十年度までは確定数字ございますけれども、五十年度が九千四百三十三億円、千六百二十五棟でございます。それ以前で比較的金額が大きいのが、四十七年災の七千七百二十億、三千七棟、それから、一年飛びまして四十九年の七千四百三十二億、千三十一棟でございます。それから五十一、五十二は、大変恐縮でございますが主な災害だけでございますけれども、五十一年度は非常に多うございまして、一兆五千二百億の被害でございます。それから大体損失が二千九百棟。五十二年現在までが三千五百七十億で、千六百棟でございます。
  162. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それで、ほかの災害なんかを私見ておりまして、非常に努力によってずっと減ってきているのは労働災害ですね、これはもう目覚ましいと言っていいくらいに努力によって減少してきている。ところが、火災の方なんかは、いろいろ統計を見ましても、依然として減るどころではなくてふえてきているというか、まあこれは家屋の数もふえてきているから、そういう形で損害額も上がってきているかと思うんだけれども、そういう数字を私も見てきたんです。そこで私が言いたいのは、これだけのものを全部ひっくるめると、一兆円を超えるような大きな損害を毎年受けるんで、そのうちのたとえば二%なら二%でも予算を取って、それで予防対策のそういうものに逐次投じていくという、そういう計画があるのかどうなのかということです。
  163. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 先生指摘のように、被害額に対して直接スライドしましてその予防というふうには実は結びついてないと思いますけれども、現在の災害予防といいますか、そういう観点で、主として政府の各施設の整備計画の中では、御案内のように、本年度から始まりました第五次の治山治水の五カ年計画といったようなものが、被害額とは直接結びつけませんけれども、たとえば公共事業全体の中で、仮に治山治水あるいは海岸等の、さらには災害復旧等を含めますと、ほぼここ数年間大体二割から二五、六%ぐらいの比率で来ているものですから、大体そんなものを参考にしながら全体計画が決められている状況でございます。
  164. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 かなり予算で取られていることもわかっているんですよ。ただ、この間の有珠山のときも聞いておって、参考人に質問したときでも、火山学会のああいう研究というか、そういうことについてはもう世界一だと自負しているわけでしょう。これだけ火山があるんだからそうだと思うんですよ。それだけの高いやっぱり技術なり研究の能力を持っていながら、そういうものを発揮して、それで少しでも地震について——それは地震をつかめと言ったって私は無理だと思うけれども、できるだけの施設をつくって、そしてそういうふうな優秀な人たちがおるんですから、そういう人たちが十分に研究ができて、そしていろいろ火山爆発でも、何でも、予防が少しでも行われるという方に進んでいかなくちゃならないだろうと思うんです。ところが、あの有珠山の場合でもおわかりのとおりに、何ですか、地震計が一つあっただけというお寒い話で、これからやるところでしたというようなお話も聞いたんですがね。  そういうことで、私が言いたいのは、たとえばこの沖永良部島の台風にしてもそうだけれども、あれ台風のコースですよね。それで何十年に一遍かは大きなのが来て、ああやってどすっといってもうほとんど島の八割がやられてしまう。だったら、ああいう台風のコースはわかってるんだから、そういうところはもう木造の住宅は建てさせない。全部鉄筋の、それからある程度大きくして鉄筋住宅を建てて、そのかわりに国がその費用の半分は持って、半分は自分で持つという形にして、それじゃ国家がそこへ半分も補助するなんて言ったら不公平じゃないかという声があるかもわからぬけれども、私が言いたいのは、国家的見地に立ったときにそのことは決してむだでもないし、そうやって一度そこに投資をしたことによって、補助をしたことによって、以後ああいう形で家屋の被害が起きないということになるならば、これは国全体から考えたら大変なプラスでもある。だから、そういう点で災害が減らせることは、言うならば、逆の意味で言えば、それだけの財産が失われなかったことなんで、そういう角度というか、そういう見地でこの災害対策というものに取り組んで、少しでも減らしていくという努力をしてもらいたいと思うんで、そういう点で聞いているんですけれども。
  165. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 先生の、御意見を交えました御質問伺っておりまして、実は私どもも本当にそう思います。確かに、先ほど治山治水のために国の公共投資の四分の一近くを使っていると申し上げましたけれども、その中の三分の一なりその四割近くというのは、実は過去の被害の復旧ということでございまして、これまた、御指摘のような点がなければそういったものが少なくて済むと。まして個人の問題につきましても、やはりいままではそういった配慮というものが必ずしも十分ではございませんでしたけれども、いまの行き方としましては、私どもも今回の有珠の噴火等、あるいは東海の大地震等考えまして、どちらかと言いますと、いままでは公共施設の整備ということが一つのシビルミニマムといいますか、そういう感じで、物をつくることがいいことなんだということが中心でございましたけれども、それ以前に、たとえば台風が来るときの観測体制にしましても、あるいは地震予知の問題にしましても、どちらかといいますと、ソフトウエアの面その他も含めましての研究その他が、それこそ施設復旧費の何分の一かで済むものが足りなかったがために、いまの御指摘のような点が出ているのではないだろうかと、そういうふうにつくづく考えておりまして、いますぐそういったものがどういう形でとられるかということは、十分研究してみなくちゃわからないと思いますけれども、御趣旨の点は、私どもも十分反省している点でございます。
  166. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これは建設省の方に聞いた方がいいと思うんだけれども、宅地造成が盛んに行われているわけなんですね。それで、かなり大規模なそういう造成工事が行われているんだけれども、その造成工事をやっているさなかに、あの集中豪雨や大雨が来て、水が出て大騒ぎするということもあったと思うんです。こういうことをやらせるときに——私は結論を先に言ってしまうと、そういう宅地造成をして売り出すときに、ここへちゃんと何メートルの道路をつくりなさい、下水道もちゃんとやらなくてはいけませんよというのと同じように、その面積に対してある一定の割合はちゃんともう木を植えさせて、そうして単なる公園じゃなくて、かなりの木を植えさせてでなければ宅地として売り出してはいかぬというふうなことを考えられないかどうか。と言いますのは、木が水を、あれ何と言うんですか、保存——蓄えるという力は大変なものだと思うんです。だから、そういう点からいって、あの山やなんかをばちゃばちゃっとやって全部削ってしまうという、ああいう造成工事をやらしておくのが、私は水害、災害を起こす大きな要因になっているんじゃないか。だから、新しいところに、団地や何かできたところでもって雨が少し降れば水が出て、そこですぐ水害が起きる、災害が起きている、そういう点についてお考えをお聞きしたいんです。
  167. 渡辺尚

    説明員渡辺尚君) 現在、先生の御指摘のようなことに関する規制について申し上げますと、まず、都市計画区域内につきましては開発許可という制度がございまして、知事の許可にかからしているわけでございます。で、その開発許可をする際に、これは都市計画法でございますけれども、許可基準がいろいろあるわけですが、がけ崩れとか、いわゆるそういった災害とか、それから排水関係ですね、こういったものについての技術的な基準がございまして、排水施設でありますとか、用水でありますとか、あるいは遊水池、そういうものを設置するというふうな義務づけをするようになっておるわけでございます。それから、直接いわゆるがけ崩れ等にかかわるものといたしましては、宅地造成等規制法という法律がございまして、で、これはやはりまた別個に知事の許可が要るわけでございますけれども、一定の宅地造成工事につきましては、その許可が必要なわけです。——失礼しました。その前提として、規制区域という区域を決定いたしますけれども、その規制区域の中で工事をやる場合には許可が要る。その許可をする際に、やはり同じ法律の中で技術基準がありまして、がけがどのくらい以上になったらどういうことをしろとか、それからのり面はどういうふうに手当てしろとか、そういう形で規制をしている、まあ、行政指導も含まれますが、やっておるということであります。  で、御指摘の、木を植えさしたらどうかという点でございますけれども、確かに木があれば、何といいますか、保水効果といいますか、水を流さないようにするという効果はあると思いますが、やはり宅地開発をやるということは、そういうものとの調整、自然との調整はもちろん必要ですが、やはり有効な宅地をつくっていく必要があると、そこで木を切らなきゃならない場合もあるわけでありますが、そういうものを勘案しながら、つまり、流出係数が変化することに対応して、先ほど申し上げましたような排水施設でありますとか、そういった技術基準で規制していくということになっているわけでございます。
  168. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 少し立ち入って聞きたいんだけど、許可するときに排水工事の方は、ここに雨が何ミリまで降ったならばという形の、どこまでは許容されてきちんと排水ができるというのは、どの程度の物指しになっているんですか。
  169. 渡辺尚

    説明員渡辺尚君) 個々のケースによって非常に違うかと思いますが、一応基準といたしましては、開発許可の方ですけれども、都市計画法の施行規則の二十二条でございますが、排水施設の管渠の勾配とか断面積ですね、これは五年に一回の確率で予想される降雨強度を考えて、それに合ったものをつくらなきゃいかぬということになっております。
  170. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これは現地をごらんになっていただいたらわかると思うんですね。私なんかはどちらかというとそんなこと素人の方だけれども、私たちがあそこへ行ってみましても、あの程度の下水道でもって、仮に五十ミリの雨が降ったって、これだけのものがみんな落ちるわけでしょう。それが全部あの中の狭いところへやってくるんですから、どれだけのものになるかということは素人が考えたってわかるんですね。じゃあ、それだけのものを受け取って流すだけのあれができておるかといったら、ほとんどできてやせぬですよ。  私は、木のことを言うのは、自分の経験で、昔のことになるけれども、私は戦争に行ってた方ですから、ラバウルの海軍航空隊におったんです。あの中へ防空壕掘って、そのときに木の根っこのところを掘ってなにしたわけなんですけれども、上では、ああいう南方ですから一カ月間雨一滴も降らないんですね。ところが、木の根っこからは、その一カ月間の間も毎日毎日ぽたぽた、ぽたぽたと水滴を防空壕の中へ落としているんですよね。それで、私は木というものが根っこのところにどれだけ水を保存しているものか、大変なものだなあと思った。一カ月間一滴も雨が降らなくたって、それだけのものを持っているんですからね。それで一般の、普通の場合、山でもどこでもそうやって木があることによって水が蓄えられている。それがゆえに、かなりの雨が降ったからといっても、水が出ても、なかなかそんなことにならない。それが新しく造成された宅地、そういうところでしょっちゅうのようにああいう水害の事故を起こすということ、その違いは私はそこにあると思う。  この前なんかも、兵庫県の神戸、あそこへ行かれればわかるんですが、山を削ってしまって、ちょっとの、そんなに大騒ぎするほどの雨じゃないけれども、雨の降った後へ私が行ってみたら、何かあそこは立入禁止になりまして、工事も全部ストップしてた。水がかなり出たんでしょう、やられていたんですがね。  ですから、その辺の点、私は、知事の許可だというんだけれども、もう少しきちんとして、そして、その工事をやるそばからもうちょっとそういうことをやっていたら——それは宅地をつくるという点からいけば、そんなもの、緑地帯なんか設けたら、それだけまた単価が上がるということがあるかわからぬけれども、しかし、災害のことから考えていったら、その方がまだ安上がりだと思うんで聞いているわけなんです。ですから、そういう点で、この点はぜひともお考えをいただきたいと思います。
  171. 渡辺尚

    説明員渡辺尚君) 御指摘のような防災のための樹木の保存につきましては、地形とか地質とかそういうことから、一律に義務づけるという場合に問題があるということもあるわけでございまして、まあ有効性の問題ですね。で、いまちょっと御指摘になりましたが、土地利用との調整等を図りながら保存をしていくようにということで、まあ都道府県を指導してまいりたいというふうに考えております。
  172. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私、今度は消防庁の方に高層ビルで、さっきは小巻先生の方から地下街のことが出たんですが、私は高層ビルですね、こうどんどんと建って、これもちゃんと許可されてつくられていくのだけれども、火災だとかあるいは停電だとか、それから地震の場合にはこれはまあ地震にはちゃんと耐え得るという形ででき上がっているんだけれども、実際にそういういろいろの事故が起きたときの対応策というものがきちんと行われているのかどうか、それをお聞きしたい。
  173. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) 先生御心配のように、高層建築物の場合には、外部からの消火活動あるいはまあ救助活動といったようなものが、大変むずかしいということになるわけでございます。そこで、建物自体の防災体制といいますか、それを強化しなければいかぬということで、高層建築物の場合には、たとえばスプリンクラーをつけろとか、あるいはそのスプリンクラーのために地下に水の蓄えを持てとか、あるいは停電するかもしれませんから非常電源を必ず置きなさいとかいったような義務をいろいろ課しまして、そのほかに、たとえば外から消防隊が入ってくる、それが各階で地上におけると同じように消火活動ができるということのための連結送水管と申しますか、そういうものが出るようになっておりまして、それで、それに放水のための器具とか、あるいは圧力を加える設備とか——水圧がなければ消えませんから。そういったスプリンクラーを置いて火を消すんですけれども、それでもだめな場合には消火隊が入っていってやるというような、そういう二重三重、それから、そのほかにまた避難ばしごとか、まあいろいろと義務を課して、できるだけ高層建築におけるそういう非常の場合の対策を法律では義務づけておるわけでございます。
  174. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 その義務づけているのはわかるんだけれども、実際に皆さん方がごらんになってどうなるんですかということですね。それで、現実にあすこへ届くはしごはないわけなんでしょう、そんなものは。それから、火事だといったときに、少なくともあんなものが少々ふえたって、何というんですか、ちょっとしたぼやか何かだったらそれはそれでおさまるかもわからぬけれども、実際問題として火事になって吹き出しちゃったときに、あんなもの、いままでのあっちこっちのビルの火事を見たってわかるように、人間の予想外の事態が起きますですわね。しかも、最近の何というんですか、新建材というか、ああいうものなんか使われているとガスが出てくるとか、そういうことから考えていったときに、実際問題として、それで、その高層ビル、ああいう新宿やなんかにあるのは、そういう点で何か避難訓練とかなんか本格的におやりになっているのか、やらしているのかどうかですね。
  175. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) これは建築基準法の関係でございますけれども、高層建築の場合には不燃材料を使わなければいかぬというような義務を課してありましたり、それから普通のエレベーターのほかに、非常用のエレベーターが新宿のああいうビルも全部あるわけでございますが、そういう非常用の大きなエレベーターがございまして、これは消防隊がそれに乗っていくと。これはまた非常電源で停電の場合でも動くというようなことで、まあ消火計画、消防計画をそれぞれのビルがつくりまして、もちろん中にいろんな管理主体の違う店が入っておりましたりしますから、全体として総合的な防火管理体制というものは、大変むずかしい問題でございますけれども、一応責任者を置きまして、防災センターやなんかも置いて、年に一遍ぐらいは訓練をしてということは、大抵のああいう超高層のビルあたりではやっておるようでございます。
  176. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ここでそれ以上あれこれ談じ合ったってしようがないことで、これも冒頭申し上げましたように、災害が起きないためのいろいろの手をお打ちをいただきたいということでお聞きしているんですから、ぜひともやっていただきたいと思うんです。  霞が関ビルだって、あれどれくらい入りますか、恐らくあそこに二万くらいの人間は入っちゃうと思うんです。そうすると何かあったとき、じゃあその人たちを避難させようとしても、もう、避難させる場所がないんです、あんなところに。そういうことだし、いまエレーベーター大きいのがあるといったって、それは片方からじゃあ消防庁が使ってなにを持ってくるといえば、これに乗れやせぬし、ですから、その辺のところを、実際にビルが全体でもってお遊びでなくて本気になってやっぱりそういうときの訓練を三月か半年に一回ぐらいおやりになって、いざというときに、死者なんか一人も出ないでみんながなにできるようなことをぜひしていただきたいと、これは要望しておきます。  次に、これもそちらに関係するんだと思いますけれども、いまの道路事情もうごらんのとおりで、こういう形の中で、ときどき救急車なり消防車が走り抜けるわけだけれども、見ておったって、サイレンだけ鳴らしておったって思うようには走れないわけですね、もうよける場所がないんですから、あれだけいっぱいになっているんですから。ですからそういうことになったときに、それは火事だろうが何だろうが小さいうちに防げたものが、駆けつけるのが遅かったために大きな事故になるということもあると思うんです。だから、その辺についてどういう手を打たれているかお聞きしたいのです。
  177. 田中和夫

    政府委員(田中和夫君) 先ほど先生の方から、火災の被害がだんだんふえてきているというお話があったわけでございますが、ここ数年大体横ばいと申しますか、私どもの方に集まっております統計では大体横ばい。物価その他を考えますと、本年に入りましてから少しふえておりますけれども、去年までは大体横ばいあるいは少し下がっておるという状態でございます。  私どもといたしましては、しかしそれで満足しておるわけではございませんで、もっとみんなが安心して住めるような社会にしなきゃいかぬということで、消防力を充実いたします、あるいは消防署の配置を考える、あるいは地域防災計画の中でそういった場合の対応をあらかじめ計画的に考えておく、それに基づいて訓練をするというようなことで、最近のこういう道路事情その他でございますので、危険物もふえてきている、いろんな悪い条件がたくさんあるわけでございます。そういう悪い条件に対応して、それでも地域社会を火災から守れるようにということで、いろいろ工夫して、必要があれば通達を出し、指導を続けておるという状態でございます。
  178. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これも、必要があればじゃなくて、もう少しやっていただきたいと思います。  私は、もうずっと昔のことだけれども、中労委やっていたときにも、もうこれほどじゃなかったけれども、かなりやっぱり交通事情が悪くなった。で、中労委ですから、よく公共の福祉ということをしょっちゅう議論をしておったんですが、そのときにも、あの交通渋滞によるロスというものがどのくらいあるかといって、これ計算の仕方もいろいろありますけれども、私なりにその計算をしたんです。そうしたら、そのときの東京都の予算の四三%に匹敵するという数字が出てきたんですね。都の予算の四三%が交通渋滞によって——これは災害じゃないから目に見えないけれども、全体がそれだけのロスを受けているということになるならば、東京都も本気になって、そして国からも金出してもらって、それで都心の中にある学校全部三多摩なり何なりあちらの方に持っていって、寄宿舎持ってやったってその方がメリットがあるんではないかと、そういう考え方持ったことがあるんです。  で、これは警察庁の方に言うことだけれども、いまのように、交通が渋滞になったらなったでどんどんスピード制限を下げてくるだけなんです。そして事故が起きないようにということしか、いまの警察庁の人たちの頭の中には私はないと思うんです。警察庁はそれでいいかしらぬけれども、日本の国なり全体がそのことによってのロスなり損失というものをどれだけ受けているか。それで、単なる日常は十分で行けるところが三十分、四十分かかってもそれでいいかもわからぬけれども、何か災害が起きたときに、そのことの対応が果たしてできるのかどうかということを考えたときに、いまのようなことではいけないんではないだろうか。起きてからでは手おくれなんですから、そういうことが起きないように、事前に十分な手をお打ちいただきたいというのが私の要請したいことです。そういう点で十分お考えいただきたいと思うんです。  次に、今度は国土庁の方に最後にお聞きしていきたいのだけれども、有珠山で、問題いろいろ出ておるんだけれど、あの有珠山の救援対策で幾つの法律が適用というのですか、法律が適用になってあの救援対策がとられたのですか。
  179. 四柳修

    政府委員(四柳修君) お尋ねの、幾つという正確な数にお答えにならないかもしれませんけれども、いままでのいろんな経緯を考えてみますと、一つは火山が爆発した、したがって今後の推移を見るために火山観測を強化しなくちゃいけないという意味気象業務法というものがございます。  それから、噴火があった、そのために住民が避難しなくちゃいけない、あるいはこれに関連しました地域の安全確保をしなくちゃいけないということで、災害対策基本法に基づきます市町村長の住民の避難の指示の問題ですとか、あるいは自衛隊災害出動関係自衛隊法の問題ですとか、さらには、交通規制の道路交通法の問題といったところがその次元でございます。  次に、三番目の次元としまして、被災者の救済、あるいは復興資金の融通という問題で、災害救助法によります被災者の収容、仮設住宅の建設といった問題がございます。あるいは、いずれ出てまいります問題としまして、被災者に対します税の減免という法律がございます。こういったものが適用あろうかと思います。さらには、農林関係者に対します天災融資法、自作農維持資金融通法あるいは農林漁業金融公庫法といったものがありますし、それから、一部現在適用になっております商工関係の各金融の各公庫法がございますが、これらが被災者の救済の問題。  四番目に、いろいろ被害を受けました公共施設の復旧のために公共土木施設、あるいは農林水産業施設、あるいは公立学校等の、それぞれの災害復旧関係の法律がございます。  それから五番目に、いわゆる二次災害の防除という問題で森林法、砂防法、あるいは治山治水緊急措置法といったような問題があろうかと思います。  それから六番目に、これらをひっくるめまして、いわば財政措置の問題としまして、とりあえずは地方公共団体に対しまして普通交付税の繰り上げ交付をした、あるいはいずれ特別交付税の問題とか、激甚災によります財政援助の問題と、こういったような過程によりまして、非常に大ざっぱでございますけれども、主なものを拾いましても二十ぐらいあろうかと思います。
  180. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それじゃ、今度はあの激甚災害の、いままで、これは何も有珠山に限らないことで、大体そういう災害が起きて激甚災害指定が決まるまでにはどのくらい、何日ぐらいかかったのか、平均。
  181. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 今回の有珠山の場合には、実は災害が進行しているという過程でございますものですから、非常にそういったものの比較にはならないかもしれませんけれども、通常の風水害が発生いたしますと、先ほど申し上げました公共土木施設の被害の査定というものが一、二カ月かかって行われます。それから激甚災を適用するために、農林水産業関係のいわば農民の方々の被害というものが農林省の出先機関によって調査が行われます。これも大体一、二カ月かかります。それからその他商工関係被害ですとか、公営住宅被害ですとか、そういったいわば被害額の調査が決まりませんとどうしても適用になりませんが、通常のペースをとりますと、それらが一、二カ月かかりまして、その後数字が確定次第ということでございますから、大体二、三カ月ぐらいの通常ペースでございます。
  182. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 前にも言っているように、私は、災害対策だけは迅速第一で、そして多少のアンバランスがあっても、もう打てる手はどんどん打っていって、結果的にはそこには多少アンバランスが出たといっても、それが私は問題になるんではなくて、ああだこうだといってテーブルの上で議論ばかりして打つべき手がおくれている、このことが被災者の人たちに本当にお気の毒で申しわけないんじゃないかと思うんです。  それで、また有珠に戻るんですけれども、私どもが行ったときは確かに進行中ではありますよ。あるけれども、ほぼ三週間後よね、あの大きな爆発噴火の。それで次官は行かれたかどうかあれですけれども、依然として畑に灰がなにしたまんまでしょう。私は何でああいうことをしておくかというんですよ。結局あれも査定の問題だと思うんですよ。それだったら、私は、バレイショのなにのところもそうだけれども、スコップ持ってほじくって、それで引っぱり出したときにまだイモはちゃんとしているけれども、つるをなにしていったらもうすぐ抜けて、するって、もう腐り始めてきているんですね。だから、いろいろそういう査定のこともあるならば、その一つの地域にどっか一枚ずつ、この辺はどのくらい積もったと残しておいて、それ以外のところはどんどん復旧作業をやって、いま言ったようにバレイショの畑であるならば、そんなものみんなほじくり返しちゃって、それで政府が買い上げてバレイショ工場へ持っていって、でん粉工場ですか、でん粉にしてなにしておけば、それは値段のこともあるかわからぬけれども、それは貯蔵が効きますわね。ああやっておいて、あれから掘ったって、あれはもう使いものにはならずで、全部だめになるわけですよ。ですから、私は、もうちょっと国家的レベルの見地に立ってどうするんだという、いかにして被害を少なくするのか、そしてそういう災害を受けないようにするのかという考えをお持ちをいただきたいと思うんです。で、そういう上に立ちましてこの災害対策基本法もできて、私もずっとこれを何度も読ましていただいたり、つい先ほども出たが、その法律が、ああいうことが起きると幾つの法律が適用になるんですかと聞いたのもそこにあるんだけれども、これは農林省の管轄です、これはどこの管轄ですと言って、そこが調整がつかない。つかないから、激甚の指定もなんて言っていないで、この災害対策基本法、これはもう十五年前につくって、その後も一部改正してきてあるんですけれども、言うならば一つの法律で、それでそういうことがあったらぱっといって、そして救援対策の指揮命令系統もきちんとして、次々どんどん手を打ってやるべきことをやっていかれるような、そういう何と言うんですか、総合的な法律にこれを変えてつくり上げていくことが私は必要なことだと思うんです。ですから、いま再検討する気があるかどうかと言って、その御返事はともかくとして、まあ御返事もあればしていただきたいと思いますけれども、何とかそういうことをやっていって、そして前向きで、一年たったら一年たったごとに、これは天災みたいなものですから台風なんか来るときも来ないときもあるけれども、少しでもそういう努力をして被害が少なくて、それで国全体が国民全体が救われるという方法を考えていただきたいということで、最後に申し上げて終わりたいと思います。
  183. 佐藤守良

    政府委員佐藤守良君) いま先生のおっしゃる点は、災害の場合は迅速を第一にするということで、被災者の人の立場になりましてこれを救済するのが、これが本旨でございます。それで実は災害の場合、たとえば激甚災等の問題につきましても、実は被害額の算定は一応基準がございまして、被害額の算定ということで、公平にするという立場が一つあるかと思うわけでございますが、ただ今度の、私は実は現地に行きまして約二日間、二度行きましたわけでございますが、現地に行きまして、やっぱりたとえば灰が肥料になるかどうかという問題があったりしたと思うんです。というのは、あの灰がたとえば十センチぐらいなら掘り返したらアルカリ性がふえて肥料になるとかという問題があります。その研究もかなりあったということもございます。また、林野等におきましては、先生のおっしゃるとおり感じたということでございまして、まあその辺はこれから大いに考えたいと、こう思っておるわけでございます。  実は私は、いま先生が法律を一本化して全部退治をするようにということでございますが、なかなか実は各省にまたがることで、そういうこと非常にむずかしいと思うわけでございまして、私は現行法をうまく活用する。その中に、実は現在国土庁が窓口になってこの災害の問題対処するわけでございまして、でき得れば、これはお金の問題が特に大きな問題でございまして、国土庁災害予備費などのかなりな金は持っている。そういうものを持ちまして足らざるを補うというふうな形で、迅速にやっていくということも一つの方法ではないかと、このように考えているわけでございます。
  184. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もう最後。それでいいですけれども、現行法規でやられておって迅速に手が打たれているということが、私が感じられるならこんなこと言わないんです。きわめてスローテンポだ。昔、私がフィリピンの国会、ちょっとあすこへ行って審議はどんなことをするか聞いたことがあったんですが、三日前に、その場所なんか忘れましたけれども、大火があったんですね。その大火があった、それに対してどういうことをするかといって、そうして実際に、じゃあすこに幾らの金を予算の予備費から出してあれする何すると言って、その本会議の場の中で議論されて決められていくんですね。ですから、それは国のスケールも違うし、いろいろの違いもあることなんでありますけれども、これだけ日本のような国になって、いろいろの面で近代化がされておって、これだけの民主的なりっぱな国会があっていろいろやられているならば、その辺の点、もう少しやっぱりスピードアップして、そして実際に災害に遭って困っている人たちが、ああやっぱり皆さん方よく私たちのためにやってくれたと言って感謝されるような、そういう政治が行われなくちゃいけないと思うんで申し上げているんですから、その意のあるところをくんで御検討いただきたい。  以上です。終わります。
  185. 村田秀三

    委員長村田秀三君) 本日はこれにて散会いたします。   午後三時八分散会