運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-11-15 第82回国会 参議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十五日(火曜日)    午前十時五分開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月十四日     辞任         補欠選任      降矢 敬義君     斎藤栄三郎君      中村 禎二君     坂元 親男君      松本 英一君     矢田部 理君      太田 淳夫君     黒柳  明君  十一月十五日     辞任         補欠選任      坂元 親男君     中村 禎二君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         小谷  守君     理 事                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 土屋 義彦君                 赤桐  操君     委 員                 遠藤  要君                 寺下 岩蔵君                 中村 太郎君                 中村 禎二君                 堀内 俊夫君                 増岡 康治君                 矢田部 理君                 桑名 義治君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 栗林 卓司君    国務大臣        建 設 大 臣  長谷川四郎君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  田澤 吉郎君    政府委員        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁計画・調        整局長      下河辺 淳君        国土庁水資源局        長        飯塚 敏夫君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省都市局長  中村  清君        建設省河川局長  栂野 康行君        建設省道路局長  浅井新一郎君        建設省住宅局長  山岡 一男君         ―――――        会計検査院長   佐藤 三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        行政管理庁行政        監察局監察官   松井  稔君        環境庁水質保全        局水質規制課長  島田 隆志君        運輸省航空局新        東京国際空港開        港推進本部副本        部長       上田  浩君        会計検査院事務        総長       鎌田 英夫君        日本国有鉄道貨        物局長      山崎 忠敬君        日本国有鉄道施        設局踏切課長   寒川 重臣君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     大塚  茂君        新東京国際空港        公団理事     皆川 葉一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (首都圏における水の需給問題と水資源開発  に関する件)  (成田国際空港開港に伴う交通アクセスに関  する件)  (建設省出先機関における会計検査に伴う接待  問題に関する件)  (第三次全国総合開発計画に関する件)  (公共工事共同企業体方式の運用に関する  件)  (住宅金融公庫の貸付総額及び貸付限度額の増  額問題に関する件)  (信濃川河川敷問題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 小谷守

    委員長小谷守君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十四日、太田淳夫君、松本英一君、降矢敬義君及び中村禎二君が委員辞任され、その補欠として、黒柳明君、矢田部理斎藤栄三郎君及び坂元親男君がそれぞれ選任されました。     ―――――――――――――
  3. 小谷守

    委員長小谷守君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日の委員会参考人として新東京国際空港公団の役職員出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小谷守

    委員長小谷守君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 小谷守

    委員長小谷守君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 赤桐操

    赤桐操君 昭和五十一年版の建設白書によりまするというと、水資源開発地下水利用等供給面において各種の問題が発生をいたしておる、その対応はきわめて困難になりつつあるということが指摘されております。水の供給の動向に見られる問題点、ネックとなっておりまする点は、その克服のための方策としてどのようにとられてきておるか、この点についてまず冒頭伺いたいと思います。
  7. 田澤吉郎

    国務大臣田澤吉郎君) 水の問題につきましては、ただいま御指摘がございましたように、生活水準向上あるいは産業発展等によりまして水の需要というものが非常に増加しているのは御案内のとおりでございます。これは昭和五十年の水需要の統計でございますけれども先生案内のように都市用水は約三百三十億トンと言われております。そのうち生活用水は約百三十億トン、工業用水は約二百億トン、さらに農業用水は五百七十億トン、合計して九百億トンの水の需要があると言われておるわけでございまして、今日、経済がある程度減速しておりますのでこの数字はやや下回るといたしましても、大体この線をたどるのじゃないだろうかと言われておるわけでございます。特に、工業用水については、四十年から四十五年までには七%の増加を示したのでございますが、四十五年以降は一%の増でございますからやや鈍化しておりますけれども生活用水は依然として需要が高いわけでございます。ですから、私たちはやはり水の節約あるいは水の再処理という問題を十分検討してまいらなければならない。そのために「水の日」をつくって国民に水の節約に対する考え方を訴えておる一方、根本的な解決は何としてもやはり水資源開発が必要でございますから、計画的にこれを進めておるのでございます。しかし、ただいま先生指摘のように昭和六十年では全国でやはり四十億トンから六十億トン不足するであろう、南関東だけでも十一億トンから十七億トン不足するであろうと子想されておりますので、私たちはこの不足に対して積極的に水の総合的な対策計画的に進めまして御期待に沿うように努力をしたい、かように考えておるのでございます。
  8. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、水の需要についての第一次から第五次まで、昭和三十五年以来の各種計画が進められてきておりますが、これから進むに当たって、いろいろな問題が発生するけれども、これからの対策については、いままでの総括としていろいろまとめられた上でなければ具体的なものについては考えられないと思いますけれども、第一次から今日まで一応たどってきた経過の総括といいますか、そういう実際面についてもう少し詳細に伺いたいと思いますけれども
  9. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 建設省におきましては、広域利水調査報告ということで第一次、第二次をつくったわけでございます。それで、現在第三次広域利水調査というものをまとめ中でございます。この現在まとめております広域利水調査によりますと、南関東地域の五十年現在の水需要というものは約九十億トンでございます。そのうち約二十億トンが渇水時には取水することのできない不安定な取水に頼らざるを得ないという実態でございます。今後六十年までに新規に必要となります需要量というものは四十ないし五十億トンと考えられておる次第でございます。これらに対処するために、利根川水系におきましては霞ケ浦開発川治ダムなど、また荒川水系におきましては滝沢ダム浦山ダムなど、またその他の水系につきましても水資源開発建設を現在鋭意促進しておるわけでございます。また、水資源有効利用につきましても、先ほど国土庁長官からお話ありましたように、下水処理水利用ということで高度利用事業化をすでに荒川において着手しておる次第でございます。これらによりまして、総合的に見まして三十ないし四十億トンの供給を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。そうしますと、約十億トン程度不足が生ずるわけでございますが、このように水資源開発というものを積極的に進めるとともに、一方では限られた水資源というものを有効に利用するということで、水の適正化合理化というものによりまして総合的な水資源対策を今後とも進めていきたいというふうに考えております。
  10. 赤桐操

    赤桐操君 長官のさっきのお話の中では、文化の程度向上によって生活用水がかなり増大していくということが言われておる。私は、南関東に集中している人口、この中で使われている生活用水の量というものは莫大なものだと思うんですね。この生活用水というものがこれから漸次上がっていくとするならば、その見通しども相当詳細に立てなきゃならないだろうと思いますが、いま一体基準として生活用水の一人当たりの量をどのぐらいに見ておるのか、この点ひとつ伺っておきたい。
  11. 飯塚敏夫

    政府委員飯塚敏夫君) ただいま御指摘のとおり、生活用水増加といいますのは、水道普及率とともに生活水準向上ということで両方絡み合うわけでございますが、先ほど私ども長官が申し上げました各個人一人当たり使用量でございますが、一日三百九十九リットルということで見込んでおります。しかし、実際にはこの生活用水の中には大都市、あるいは地方都市でもそうでございますが、都市活動用水といたしまして大口の学校とか駅とか病院、その他消火用水等都市活動に必要な用水もかなり含まれております。そういうことも全部包含いたしまして、私どものただいま申し上げました数字は、すべて一人三百九十九リットルということで計算を現在しておる次第でございます。
  12. 赤桐操

    赤桐操君 一般的にいろいろ各種団体がこの問題についても計算をいたしたり検討をしたりしておりますが、一説においては大体三百九十九リットルという程度のものではなくて、一人大体五百リットルぐらいは見なけりゃならぬのではないか、こういうことが言われてきておりますが、その点についてはどのように考えを持っておられますか。
  13. 飯塚敏夫

    政府委員飯塚敏夫君) ただいま申し上げました数字全国平均数字を申し上げた次第でございますが、御指摘のように大都市ほど都市活動用水という量が非常に比率が高まってまいりますので、一人頭に直しますと、ただいま御指摘のように五百リットルという数字もございます。
  14. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、いまいろいろと言われてきた、長官の言われておりまする将来展望についてはかなり訂正されなきゃならない面も出てくるのではないかと思うんですが、どうですか。
  15. 飯塚敏夫

    政府委員飯塚敏夫君) 私ども全国で四十ないし六十億トン昭和六十年に不足するということを申し上げましたが、その時点では都市活動用水の将来の増加というものも当然見込んでおります。しかし、それは昭和五十一年、昨年の二月の中間見通しでございまして、最近の社会状況等を踏まえまして、産業変動等ももう一回見直しをいたしまして、先ほど政府で決められました三全総というものとの整合性を保ちながら、現在鋭意五十二年度末、今年度末を目途にその辺の需要見込み等も勘案いたしまして、修正いたしました長期的な水需給計画というものを策定したいと考えております。現在そのために目下作業中でございます。
  16. 赤桐操

    赤桐操君 千葉県の場合でありますが、水資源確保の上で大変今日いろいろと困難な状況下に立たされておりまする利根川水系上流ダムの問題でありますが、いま千葉県などで非常におくれを来しておるという大きな理由の一つには、利根水系上流ダム群開発がおくれているせいではないか、こういうことが大変厳しく県議会等でも論議されております。県当局もこのことを指摘しております。こういった面について建設省考え方について具体的にひとつお示しを願いたい。
  17. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 利根川水系上流部におきましては、いままで矢木沢ダム下久保ダム、草木など八ダムをすでに完成しておるわけでございます。今後ますます増大します流城水需要あるいは洪水調節ということに対処するためにおきまして、現在川治ダム、八ツ場ダム奈良俣ダムなどにつきまして建設を進めておるところでございます。これからはこれらのダム事業推進に努めるというのが、上流ダム推進するというのが第一点でございまして、さらに中下流部におきましては湖沼開発あるいは北千葉導水路などのような流況調整河川というものの水資源開発及び利用のための施設を鋭意建設していきたい。あわせまして水使用適正化合理化に努めまして貴重な水資源確保を図っていきたいというふうに考えております。これらの措置によりまして首都圏水資源開発の大宗を担う利根川水系及び荒川水系に依存します昭和四十五年から六十年に至る間の新規水需要毎秒百九十五立方メートル、これは利根川水系フルプランでございますけれども、に対する水資源開発を行っていく計画でございます。また、これらの実施当たりましては、いわゆる水資源地域対策というものが基本でございますので、水源地域整備水没関係者生活再建対策というものを鋭意実施する。あわせまして昭和五十一年度に設立しました利根川荒川水系水源地域対策基金というものを活用しまして、積極的に水源地域対策を講じまして事業の円滑な推進に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  18. 赤桐操

    赤桐操君 水資源確保につきましては、千葉県の場合等で見まするというと、県内各河川、さらにまた区域内の湖沼、湖などが大変汚濁をしてきている、こういう状況等もありまして、この水資源の活用上の問題に大変経済的にも効率的にも阻害要因を来しておるということが言われてきております。環境庁の立場からの明らかにされているところによりますれば、瀬戸内海環境保全臨時措置法、これは時限立法でありますが、これが来年の十一月に失効する。こういう関係等もあって、現行の濃度規制方式から総量規制方式導入される、こういう問題について大変検討を加えられているようであります。特に、東京湾であるとか瀬戸内海のようなもの、あるいは伊勢湾、こういったいわゆる閉鎖性水域に適用されるということについては、これは総量規制の点から見ていって、さらに私は流入河川上流にまで発展させるべきではないだろうか。これは利根水系等を見ておりますると、そういうことを痛切に感ずるのでありますが、この点について考え方をひとつ伺いたいと思います。で、総量規制問題は、いずれにしても私は河川湖沼のつながりの関係から見ていって今回ひとつ考えなきゃならないであろうと、こう思いまするので、この点ひとつ明快に御回答願いたいと思います。
  19. 島田隆志

    説明員島田隆志君) 先生いま御案内のように、現在の水質汚濁防止法は、濃度規制によりまして特定事業場排水規制ということで、実際上、地先水域水質保全に重点が置かれているわけでございますが、いま先生指摘ございましたように、非常に二県以上にまたがるような広域的な、しかも閉鎖的な水域におきまして、汚濁源発生源全体を把握して県際問題あるいは上流県問題を調整を含めながら統一的な効果的な規制が行えないというような限界がございます。したがって、これらの閉鎖的な、しかも広域的な水域につきまして関係県一体となって、上流県も取り入れまして、流入する汚濁負荷量総量を一定以下に抑えるという、いわゆる総量規制導入が叫ばれているわけでございますが、従来から環境庁におきましても、いま御指摘ございましたような瀬戸内海伊勢湾東京湾などの閉鎖性水域につきまして、総量規制制度をどう導入したらいいかというような必要な調査検討を進めてきたわけでございます。先月の二十九日に、このような閉鎖性水域汚濁に対する水質総量規制導入につきまして、あり方につきまして、現在中央公害対策審議会に諮問しまして、いま御審議を願っている段階でございます。いま先生指摘にありましたように、やはりたとえば伊勢湾東京湾みたいなところ、あるいは瀬戸内海を含めまして、上流県あるいは内陸部から入ってくるものも管理しないと、地先水域だけ、あるいは臨海工業地帯だけではどうにもならないというような問題がございますので、そういう上流県、内陸部も含めて、広域的な総量規制をやっていく必要があるのじゃないかという方向でいま検討を進めておる段階でございます。
  20. 赤桐操

    赤桐操君 いま千葉県の例で見まするというと、大体水の供給の八〇%が利根水系に頼っております。それで、まあ都市部における生活用水や、あるいはまた工業用水等についてはこれは別といたしまして、特に農業関係にもかなり大きな実は問題が最近出てきておるということであります。たとえば灌漑用であるとか、もちろんそこには生活用水も含まれておりますが、そういう形で用いられておりまする両総用水事業、それから大利根用水事業、こうしたものがいま現存しておるわけでありますが、しかし、実際には地域によってはかなり水の逼迫が訴えられてきておる。そういう関係からいたしまして、さらに東部、東総という二つの事業がいま計画をされている。そして進められておる、こういう状況にございます。そういった実は非常に南関東全体でもかなりいろいろ水の問題が出ている、さらにまた利根水系に八〇%を頼る千葉県の状態、そうした中でも非常にこの水の問題がそれぞれ出てきている、それが政治課題になってきている。こういう状況の中で、一体成田空港開港に伴って、成田周辺における用水事業をめぐりましてどのような考え方を持っているのか、空港開港に伴う水需要がどういうように予測されているのか、この点についてひとつ伺いたいと思います。
  21. 飯塚敏夫

    政府委員飯塚敏夫君) 南関東地域水収支全体でございますが、これにつきましては、昭和五十一年四月十六日付で閣議決定を見ました利根川水系及び荒川水系水資源開発基本計画によりまして、その辺の将来予測を十分勘案しながら基本計画を定めた次第でございます。その中で、関東地域全体の合計量といたしまして需要見込み約百九十五立方メートル毎秒を見ておりますが、その見通しに対しまして、とりあえず供給の目標といたしまして百六十立方メートル毎秒を具体的な施設計画として明らかにしております。その計画に沿って現在鋭意水資源開発事業を進めているわけでございますが、ただいま御指摘成田空港開港関連いたしました、成田空港開発による水道用水需要、それから成田空港開港による人口増及び都市活動用水増大等、これらもその中に当然含まれておりまして、成田空港分といたしましては日量三万立方メートルを考えておる次第でございます。その水源施設といたしましては、すでに計画の中に織り込み済みでございまして、利根河口ぜきと川治ダムを考えております。御存じのとおり利根河口ぜきはすでに竣工しておりますが、川治ダムは現在工事最盛期でございまして、鋭意その供給に支障のないように考えたいと思っております。とりあえずは成田空港開港時には暫定的な取水という形で取り入れることになろうかと思いますが、開港時にはなお――先ほど三万トンと申し上げましたが、当初には一万二千トン程度の内訳としての需要発生が見込まれておりますので、これには十分対処できるんではないかと私ども考えておる次第でございます。
  22. 赤桐操

    赤桐操君 一万二千トンというのは、来港者あるいはここに集中する地域を含めてのことであろうと思いますが、どのくらいの来港者として見ておられますか。
  23. 飯塚敏夫

    政府委員飯塚敏夫君) ただいまそれの算定根拠となりました来港者資料を持っておりませんので、後刻調べてお答え申し上げます。
  24. 赤桐操

    赤桐操君 この一万二千トンというのは開港当初の想定であると伺ってよろしいんですか。
  25. 飯塚敏夫

    政府委員飯塚敏夫君) そのとおりでございます。
  26. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、水需要とここに集中する人口の問題等々は後回しにいたしまして、次に移りたいと思います。  今日まで千葉県当局では空港周辺整備等大変努力をしてきております。特にこのうち河川改修については県が事業主体ということで、新空港周辺地域からの流出排水を排除するために、根古名川という川がありますが、この川の改修に全力を挙げてきているわけであります。目下実施中でありますが、これは県が事業主体となってはおるようでありますが、その事業費の内容、具体的な国費は一体どのくらい充当されているのか。こうした面について詳細ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  27. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 根古名川につきましての改修実態を御説明いたしたいと思います。資料が手元にございませんが、その概要について御説明します。  根古名川につきましては、現在空港関連として鋭意実施中でございまして、いまわずか一部上流が残っておるわけでございます。それには多額の用地費が必要であるということで、用地国債というもので開港には間に合わせたい。と同時に、一般改修につきましても空港関連空港の方の事業費とかあるいは河川改修費、そういうものを集中して十分対処していきたいというふうに考えてございます。
  28. 赤桐操

    赤桐操君 同時に、この空港周辺にはたくさんの農地がございまして、あの地域は北総台地といって千葉県でも非常にたくさんのいろいろ農業生産物を出しているところであります。これは大変農業振興対策上から見ましても、周辺に対する対策は重要な問題でございますが、特にこの農業面関連してくる問題はやはり水の問題でありまして、この成田空港開港関連をいたしましていろいろの用水事業がありますが、両総用水との関連をひとつ伺っておきたいと思います。  いまこの両総用水というのは農業用水生活用水に使われております。で、この成田空港開港が行われまするというと、根古名川あるいはまたこれとの関連の中に含められまする荒海川、取香川、新川、小橋川といろいろありまするけれども、これらの関連から相当いろいろの物質が排出してくるであろうと思われるわけであります。したがって、空港開港と同時にそれらのものが流されてまいりまするので、両総用水そのもの汚濁がかなり問題になるのではないかと地元では非常にこれを心配をいたしておるわけでありますが、もしそういうことになってまいりまするというと、農業のこれはかなり大きな基本をなしている水でございまして、その農業のしかも千葉県における大きな北総台地、中心をなしておりまするこの農業地帯全体に大きな影響をもたらすことになるわけでありまして、この点ひとつ明確に御答弁を願いたいと思います。
  29. 飯塚敏夫

    政府委員飯塚敏夫君) 空港開港に伴います当該地域環境汚染といいますか、用水汚濁の問題でございますが、これらに対しましては十分にそれらに対処するように、建設省における下水道事業等によりまして十分対処するというようなことに承っております。  ただいまそれに関連いたしまして当該地域農業の問題でございますが、これらにつきましては成田用水関連事業といたしまして約二千五百町歩、それから根古名川関係の地区に対しまして約千百町歩灌漑面積に対しまして、新規取水すべき流量といたしまして成田用水に一・四二毎秒トン、それから根古名川地域に対しまして〇・八六トンの新たな新規水量補給を考えておる次第でございます。これらにつきましては、いずれも川治ダム水源といたしまして、成田用水空港開港後できるだけ早い機会に、それから根古名川につきましては空港開港時に間に合わすというような目標で、現在鋭意これらの事業を進めておるところでございます。
  30. 赤桐操

    赤桐操君 いまそういう御説明でありまするけれども、この空港整備に使うところの汚排水は大体取香川に排水されるというように聞いております。この場合には当然空港で使われたその汚排水というものの中には重金属物質が含まれておることは当然であろうと思います。したがって、これが三次処理まで行われていくなら話は別でありまするけれども、かなり緩和されると思いますが、事実上はそれは困難であろう。そうすると、実際にはたれ流しの状態が許容されることになるであろう、こういうことが大変地元で心配をされている。で、取香川というのは、主水路におけるところのものはこれらの排水が流される、副水路の方が農業用水に回される、こういう実情にありまするので、この問題が明らかにされませんというと、これは大変地元においても大きな問題になるだろうと思いますが、取香川の汚濁対策、具体的な対策、これをひとつ重ねて伺いたいと思います。
  31. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 成田空港開港に伴いまして関連する下水道事業でございますけれども、これは新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律ということで定めてございまして、これにより決定されました新東京国際空港周辺地域整備計画に定められた事業をすでに現在五十一年度に完成しておる次第でございます。下水処理に対する措置というものはこれで対応できるというふうに考えておる次第でございます。先ほどのこの事業をたとえて申し上げますと、印旛沼流域下水道あるいは地区内下水道、こういうものが含まれてございます。
  32. 赤桐操

    赤桐操君 いま空港周辺における各排水の状態について、かなり地元の方でも広範にわたって不安の念が高まってきておるわけでありますが、いま一つの例を申し上げまするというと、これは佐原の方でありますが、こういうことを私に寄せてきております。現在、私は、根古名川利根川両総用水の水の悪循環という名称で空港開港に伴う河川水質汚濁を問題にしている。それは空港からの排水根古名川汚濁し、さらに利根川の水を汚濁し、その水が両総用水から九十九里平野へと送られる。これを飲料水とする佐原市民や九十九里平野の人々の健康は一体どういうことになるであろうか。佐原の住民として、それが騒音対策問題以上に大きな心配だと、こういうことが言われておるんですね。いま御答弁によると、大体そういうものについては対策を進めておると、こう言われるのでありますが、こういう地元の皆さん方が納得されるようなそういう対策はおとりになっているのかどうなのか、この点をひとつ重ねて伺いたいんです。
  33. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 先ほど申し上げましたように、下水道事業というものは昭和五十一年度で完了しておりまして、いま先生おっしゃいました地元不安というものにつきましても、今後とも十分考えてまいりたいというふうに、その推移を見守ってまいりたいというふうに考えております。
  34. 赤桐操

    赤桐操君 先ほど私がお伺いいたしました水の使う量でありますが、開港当初は一万二千トンと言われておりますが、この裏づけとなっておりまする来港者等々の裏づけについてわかりましたか。
  35. 飯塚敏夫

    政府委員飯塚敏夫君) ただいま来港者だけの詳細を調べておりますので、後刻報告申し上げたいと思いますが、三万トンめ全体の内容と申しましては、千葉ニュータウン関係人口が三十四万人、それから成田ニュータウン並びに空港関係を含めまして、空港関連といたしまして六万人ということで見ております。その中で、ただいま御指摘空港の来港者だけが幾らかということについては、ただいま連絡中でございますので、後刻また説明させていただきたいと思います。
  36. 赤桐操

    赤桐操君 いま水の問題を中心としていろいろお伺いをいたしましたけれども、各関係の自治体からは空港開港をめぐりましていろいろの問題点を公団や国に対して要望をいたしていると思います。来年の三月三十一日に開港するということが至上命令のようでありますが、一体これらの各種の諸問題については、水問題を初めといたしまして果たして解決がつきつつあるのかどうなのか。そして三月三十一日までにこれらを解決して開港という運びになるのか、それともそうしたものが解決されない状態にあってもなお見切り発車を断行するのかどうか。この点について伺いたいと思います。
  37. 飯塚敏夫

    政府委員飯塚敏夫君) 先ほども申し上げましたとおり、空港関連用水につきましては……
  38. 小谷守

    委員長小谷守君) 水資源局長にひとつ。いまの御質問に対しては、参考人空港公団の総裁が答えるべきじゃありませんか。
  39. 飯塚敏夫

    政府委員飯塚敏夫君) 失礼いたしました。
  40. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 新空港開港三月三十一日ということは、まだ正式に決まったわけではございませんが、いずれにしましても年度内開港ということを私ども目指しておりますので、それに対する諸準備は万全を期しておりますし、十分整い得るというふうに考えております。
  41. 赤桐操

    赤桐操君 私の手元には地元から大分いろいろの要望書が届いておりまするけれども、総裁はそういうことを言っておられますが、ここには非常に大きな問題が存在していると思います。きょうはまあ主として水にしぼって申し上げますが、このたくさんの地元の要望事項の中で、その一例として昭和五十年十一月二十日に実は出されておりまする根古名川の土地改良区からのものをひとつ例にとって伺いたいと思うのでありますが、空港建設に伴う排水協力費の要請としてこれは提出をされております。しかし、根古名川土地改良区の場合に約百ヘクタールに及ぶところの改良区の減少があるわけでありますが、このため出水速度が速くなる。さらにまた、出水初期による自然排水がほとんど望めないということで、さらに加えて流水その他のいろいろ阻害等々の条件が重なってくる、こういう関係からして非常に悪条件が累積している現実になっておる。問題は、この川は、組合員の賦課金によってずっと根古名川というものは土地改良を行ってきたものであるけれども、この悪条件の克服の運営費、経費の増大に伴いまして組合員、農民が経費負担について要求をしているわけでありますが、空港開港のいわゆるしわ寄せとしてこうしたものが農民にのしかかってきている。このことについての要請であろうと思いますが、これについてはどのように考えを持っておられますか。
  42. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 根古名川改修につきましては、先ほど申し上げましたように十分対処してまいりたい。ただいま先生がおりしゃいましたいわゆる土地改良区の組合員の負担というものは、これは農業用水路の負担じゃなかろうかと思います。したがいまして、建設省の方でちょっと把握いたしておりません。
  43. 赤桐操

    赤桐操君 わかりました。それでは、大体以上で水の問題については終わることにいたしまして、次に空港開港に伴う交通の問題について少しお伺いをいたしたいと思います。  きょうは総裁がおいでになっていますから端的に伺いたいと思いますが、空港開港当初の来港者というのは一体どのくらいに算定をしておられますか。
  44. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 交通関係は運輸省の方でやっておりますので、そちらから御答弁をお願いしたいと思います。
  45. 上田浩

    説明員上田浩君) 成田国際空港開港時のいわゆる空港アクセス旅客は、大体片道三万四千人を見込んでおります。
  46. 赤桐操

    赤桐操君 三万四千人というと、年間一千万ということですね。
  47. 上田浩

    説明員上田浩君) 片道三万四千人でございます。
  48. 赤桐操

    赤桐操君 片道で三万四千人、来港者は。
  49. 上田浩

    説明員上田浩君) 片道。六万八千ということでございます。
  50. 赤桐操

    赤桐操君 六万八千ですか、一日の量が。
  51. 上田浩

    説明員上田浩君) はい。
  52. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、その六万八千人の数というのは、どのくらい自動車の方に流れますか。
  53. 上田浩

    説明員上田浩君) ただいま御説明申し上げましたように、空港アクセス旅客は一日平均、片道でございますが、三万四千人と推計いたしております。そのうちどの程度が鉄道輸送、どの程度がバス輸送あるいはタクシー輸送ということに相なるかということでございますが、ただいま羽田空港におきます交通機関の選択傾向、あるいは旅客のアンケート調査、それから東京都心と成田空港の距離等を勘案いたしまして、鉄道輸送約四九%、道路輸送は五一%、そのように考えております。
  54. 赤桐操

    赤桐操君 私の手元に清水馨八郎氏の「成田空港」という一書があるんでありますが、これで明らかにされておりまする数字でいきますというと、片道一日六万一千人となっておりますね。いまの副本部長のお話によりますと三万四千人だと、こう言われておるんです。しかし、清水馨八郎氏の御説によりますると、六万一千百人ということが明確に出ているわけですね。しかもこれは新東京国際空港公団の推計、昭和五十二年三月現在によればと、こうなっているわけですね。清水さん私はいいかげんな数字をもとにしていると思わないんですよ。これは千葉大学の教授でいらっしゃる。特に、こうした問題に対する権威者として今日わが国の学界でも評価されている方であります。この方の御説によりまするというと、いま申し上げたような数字で出てきている。しかもこれは開港当初であって、昭和六十年次になりますると十二万人の、倍になると、こう言っておるんですね。大分この点、数字に違いがあるんですがね。副本部長の方のお考えと、明らかにされたことと大分違いがあるように思いますが、それはどういう理由ですか。
  55. 上田浩

    説明員上田浩君) 冒頭私が御説明申し上げましたのは三万四千人という片道旅客でございますが、これは都心から成田空港に向かう空港アクセス旅客でございますので、成田周辺のいわゆる成田ニュータウン等からのアクセス旅客を含みますと一日約四万、こういうことに相なっております。清水先生の御推計によります六万という数字は私たちまだ十分把握いたしておりませんが、この一日アクセス旅客四万人につきましては、関係機関とも横の連絡をとり、かつ過去の成田空港における旅客の動向あるいは今後の国際旅客の動向というものを勘案いたしまして推計いたしました数字でございます。
  56. 赤桐操

    赤桐操君 いま大分この三万四千にこだわっておられますが、三万四千というのは年間一千万人ですよね。しかし、そう言われるもとになる数字の中では当初計画は一千六百万人以上とされておりたんではないんですか。そしてそれは約五万人となるわけですね、六割増にですから。ところが、清水さんはそれらの数字等をもとにされて六万一千人と、こう出しておられる。ですから、三万四千人――この間松本次長の話によりますと、三万四千人という御答弁があったんです。しかし、その数字はちょっと違うんじゃないのかという私の重ねての質問に対して、いま数字の訂正をすると混乱をするからということを言われた。しかし、実際にはもうこれらの権威者が書いておられる数字では六万一千人になっておるんですよ。私は、六万一千人と三万四千人ということになってくると、これは大変な差になってくると思うんですよ。そのうちの三分の一が自動車に流れたと仮定いたしますると、自動車の数は一万台と、こう言われておる、この前の答弁では。しかし、現実には私は六割から八割の増を見込まなきゃならなくなるだろう。六万一千人ということになると二万人になるんですよ、自動車を使う人は。ですから、それは京葉道路からさらに湾岸道路に流入してくる自動車の台数になってくるんですね。  先般の建設省から明らかにされた内容によりますれば、京葉道路から湾岸道路ができ上がって、ここに流れていく量は大体二万ないし三万台だと、こう言われておるんですよ。そうすると、九万ないし十二万台という自動車が依然として京葉道路を走っていることになるんです。そこへいま一万七、八千台の自動車が開港当初から重なっていくということが間違いないとするならば、これは大体私は現在の京葉道路のそのままの状態が続くのではないか。現在の京葉道路がそのまま続くということになりまするというと、成田から東京までの時間は一体どのくらいになるのか。私がけさ千葉から六時半に起きて自動車で来た。ここへ着いたのは、わずかに事故が一つあったために、三時間半かかっておる。平常は大体一番速くて一時間半ですよ、これは。そして大体二時間が今日の相場になっている。こういう状況の中で千葉-東京間が二時間、千葉成田間が二十分と仮定いたしますと、これは百キロの速度ですから、二十分と仮定するならば、それだけだってもうすでに二時間以上かかるんじゃないですか。羽田へ乗りかえのお客さんが、成田から羽田へ行くということになりまするならば、たくさんトランク持っていますから自動車に恐らく積むでしょう。そういう場合には、これはとてもじゃないけれども三時間ぐらいかかるんじゃないですか、成田から羽田までの時間というものは。そう考えてみますると、いささか当局の示されておりまする数字には欺瞞があるのではないだろうか。この点が基本的に解明されてこないと、一体交通アクセスの問題の焦点というものが解明されるかどうかと、こういうことになるんですが、この点、副本部長少し責任ある答弁をしてくれませんか。
  57. 上田浩

    説明員上田浩君) 先生の御指摘の点でございますが、過日私たち松本航空局次長がお答えした点もございますが、私たちといたしましては、冒頭申し上げました三万四千人になるとか内訳についてここで申し上げまして、先生の御疑問の点をいささかでも御説明いたしたいと思っております。三万四千人を推計いたしましたその内訳につきまして御説明申し上げますと、航空旅客につきましては、これは現在の国際航空旅客の動向等を勘案いたしまして推計いたした数字でございますが、一日片道九千三百人、それから送迎者は一万三千人、これは現在の羽田の動向等、さらに都心と空港の間の、新成田空港との距離等を勘案いたしまして一万三千人とはじくわけでございます。それから見学者が三千六百人、その他従業員。それから成田空港に商用で出入りをいたします方々を含めまして八千百人、合計三万四千人と考えておる次第でございます。  したがいまして、いま御説明いたしました三万四千人のうちの一万三千人というかなりの部分が送迎者で占めている。そういうようなことから、清水先生のはじかれました六万一千人でございますかの内訳につきましては、私たちはつまびらかにこの時点で応じ上げておりませんが、この送迎者というものがかなりのウエートを占めるということになりますと、現在の都心-新空港間の距離等を勘案いたしまして、将来かなり距離の面からしていけるというように考えておるのでございます。したがいまして、三万四千人というのは、あながち当てずっぽうの数字であるというようにわれわれは考えておりませんで、この線に近いところにほぼ空港アクセス旅客はおさまるものと確信いたしておる次第でございます。
  58. 赤桐操

    赤桐操君 清水馨八郎氏は、新東京国際空港公団の基礎的な資料の責任者としておやりになった方ではないんですか。少なくとも私は、清水さんは、空港公団が現在お使いになっておりまする基本的なこれら指数をつくり上げるこの責任者としておやりになった方だと聞いております。この方がおつくりになったものをもとにして実はこれを書いているんですよ、この本は。これはあなたもお読みになっていると思います。これを知らないということはあり得ないです、私たちがみんな読んでいるのですから。この中で、昭和五十二年三月現在、「新東京国際空港公団の推計」となっております、これは。清水さんの推計ではないんですよ、これは。清水先生空港公団の委託によって少なくともこの基本数字をまとめた方ではないんですか。そして空港公団が認めたその基本的な数字に基づいてこの本は書いているのですね。だから私は伺っているんですよ。ほかのいいかげんなもので言っているんじゃないです。「六一、一〇〇人」と、こうなっている。ですから、しかも松本次長は、いま訂正をすれば混乱するから、これはこのままの状態で進めていると言われている。しかし、訂正をすれば混乱するんじゃなくて、推定が違ってくるならば、きちんと言うべきじゃないんですか。そういういいかげんな数字で、あるいはまたは現在使われていない数字をもとにして、それで交通アクセスの問題を解決しようとすること自体が問題があるのではないですか。
  59. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 清水先生の推計、何か公団から出たというようなお話でございますが、私もその数字を承知いたしておりません。それから、清水先生に公団が基礎的な資料といいますか、を委託をして調べていただいたとかいうようなこともございません。
  60. 赤桐操

    赤桐操君 いずれにいたしましても、権威ある清水先生が、少なくとも公団の各種資料基本的なものに携わっていることは事実でありまするし、そのことは否定されることにならないだろうと思いますね。それで、その上に立ってこういう数字を出しておられるわけであって、この点についてどうですか、運輸省の方はこの数字の改定をする腹がありますか、ありませんか。
  61. 上田浩

    説明員上田浩君) 清水先生の六万一千人の推計の基礎になりましたデータ等につきまして、私たち調査させていただきたいと思っています。その上でまた先生に御報告いたしたいと思っております。
  62. 赤桐操

    赤桐操君 いずれにいたしましても、成田から東京までの状態を見てみまするというと、ほとんど湾岸道路ができ上がってもこれは影響がないんです。ということは、どだい湾岸道路と京葉道路の関係というものは、成田空港というものを想定してつくり上げた計画ではない。これは建設省が明らかにしておる。したがって、そこに成田空港が割り込んできているのですから、これは当然私は無理な話だと思うんです。ですから、成田空港の方の関係をどんなに数字を抑えて上乗せして糊塗しようとしても、その分だけははみ出してくるんですよ、これ。京葉道路から湾岸道路に、湾岸道路ができ上がれば一切解決するようないろいろの政府の見解が表明されておりますけれども、これはまさにいま申し上げた経緯から考えてみても詭弁であると言わなければならぬと思うんです。したがって、政府の湾岸道路や京葉道路を中心としたこの自動車の配送、こうしたものについての見直しというか、そういうものについては根本的に検討しなきゃならぬ時期に来ていると思うんですが、この点どうですか。
  63. 上田浩

    説明員上田浩君) 来年の一月末に湾岸道路、さらにこれに接続いたします自動車専用道路が完成し、供用開始されるというようにわれわれは仄聞いたしております。この湾岸道路の開通によりまして、現在の京葉道路あるいは首都高速七号線における交通渋滞というものはかなり緩和されるものと期待はいたしておるわけでございます。しかしながら、これをもって新東京国際空港のアクセス関係の問題は終わったわけでございませんので、われわれといたしましては、道路輸送というものに依存することなしに、やはり多量交通輸送機関でございます鉄道輸送というものに空港アクセス旅客を誘導していく方途というものを考えている次第でございます。そのためには、出発前に自宅あるいは空港ロビーで道路の混雑状況を速やかに把握できるような交通情報提供システムを考えていくとか、あるいは旅客を鉄道輸送に誘導する意味におきまして、旅客手荷物のピックアップサービスというようなものも考えておりまして、これによって空港アクセス旅客をなるべくたくさん鉄道輸送の方へ誘導していきたい、そのように考えておるわけでございます。
  64. 赤桐操

    赤桐操君 質問を終わります。     ―――――――――――――
  65. 小谷守

    委員長小谷守君) 委員異動について御報生いたします。  本日、坂元親男君が委員辞任され、その補々として中村禎二君が選任されました。     ―――――――――――――
  66. 矢田部理

    矢田部理君 私は、建設省会計検査院の驚くべき癒着の実態についてきょうはただしながら、両者の姿勢を詰めていきたいと考えています。  ここに本日必要な限りでの書類を持参いたしましたが、十カ所の工事事務所の書類であります。これが何と驚くべきことには、すべて飲み食いの請求書、領収書なんであります。たとえば東京の例をとってみますと、本年の八月二十九日から九月二日まで、宿泊はございませんでした。全部日帰りの検査であったにもかかわらず、これだけの膨大な、これはまあ二枚ずつコピーに写されておりますが、飲み食いだけの領収書が積み重ねられている。もう私は率直に言って、この資料を入手いたしましたときに愕然といたしました。具体的な問題については改めて指摘をしてまいりますが、最初に建設大臣、会計検査院は院長がまだお見えになっていないようでありますが、事務総長からこの重大な事実についてどう認識し、どう考えておられるのか、その点を冒頭に明らかにしていただきたいと思います。
  67. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 今回の事例につきましては、接遇に対しまして会計検査院にも多大の迷惑をかけておりますし、また、議会に対しましてもいろいろ御心配をかけております。まことに遺憾であると考えております。なお、担当部長会議等を通じまして、今後再び疑惑を招くことのないように地方建設局を監督してまいりたいと考えております。
  68. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 今回明らかになりました事実につきまして、私ども大変驚愕いたすと同時に、深く反省いたしております。ただでさえ会計検査院というのは、国民の信頼を得て、国民の負託を受けて国の財政の適正化を期すと、こういう役所であるにもかかわらず、その調査する者がこういう事態を起こしたということにつきまして深く反省いたし、また、おわび申し上げる次第でございます。
  69. 矢田部理

    矢田部理君 建設大臣、一つ一つ明らかにしていきますが、たした日曜日の朝日新聞で、十一カ所の工事事務所にまつわる酒食のもてなし等々の実態が明らかにされました。あれは氷山の一角です。まだまだ膨大な領収書や資料があるわけでありますが、あの十一カ所について、基本的に事実関係はお認めになりますか。
  70. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私の方で調べたものを先生に御提出申し上げたとおりでございます。
  71. 矢田部理

    矢田部理君 私はけさまで待ったのですが、資料は一部しか提出をされませんでした。だから、資料で提出したとおりでございますと言うだけでは説明になりません。
  72. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) いま先生お話がございました件でございますが、私ども十三日に朝日新聞の記事が出ましてから、直ちに私以下関係者が登庁いたしまして、大臣の御指示を受けまして実態調査を開始をいたしたわけでございます。何分、十一カ所でございますけれども、特に中部地建のごときは七カ所でございまして、山村奥地からございますので、その資料等の整備に時日がかかったわけでございまして、今朝おおむねの調査を終えるという事態でございます。  そこで、私ども調査結果を御報告を申したいと考えております。
  73. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっと、結論的に、大綱的に認めるかどうかということをまず。私、質問いたしますから。
  74. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 朝日新聞の記事の内容につきましては、多少数字等に誤差がございますけれども、おおむねそのとおりであると思います。
  75. 矢田部理

    矢田部理君 基本的な事実関係はお認めになっているわけでありますが、私はここに、さしあたり十万以上、一回の宴会なり昼食なりで費消した具体的な事例を少し集めてみました。  読み上げますと、たとえば大阪国道工事事務所では連日宴会をやっています。とりわけ最初の二日間は、前の晩からこれは出向いていっているわけでありますが、「宝家」という大阪では一流の料亭、割烹旅館だそうであります。ここで、一晩で二十二万強のお金を使っています。翌日もまたやりました。その次は二十三万円であります。以後、検査の期間中、場所は移りますが、毎晩のように宴会を重ねている。その翌日は十二万五千円等々。何のためにこんなことが必要なのか。こんなことが許されていいのかどうか。ここに「宝家」の具体的な領収書も書かれてありますが、たとえば、当初の五月二十二日の晩は十四人で先ほど申しましたように二十二万四千円使っている。料理が九万八千円、酒四十六本で一万六千百円、ビール二十三本、九千二百円等々を含んで二十万円以上の金を二晩にわたって飲み食いしている。いずれも会計検査院の検査を担当する方々と建設省の幹部が出席してそれをやっている。  これはもう大阪だけの事例ではありません。東京のごときは、これは先ほども指摘をしましたように日帰りなんであります。本来夕飯などを必要としないケースであるにもかかわらず、これまた「東天紅」という中華料理屋、領収書がございますが、ここで何と二十二万円、中華料理を食っている。それだけではありません。あらゆるところで、たとえば相武国道工事事務所では「なか安」という料理屋で十六万八千円、あるいに「富士森会館」で十二万円、福岡国道工事事務所を見ますと、「野鳥」という料理店で十万強の費消をしている。信濃川下流工事事務所では「やひこ観光ホテル」で十四万、「金しゃぶ」というところで十六万も食っています。これは特に注意をしておきたいのはお昼なんですね。夕飯ですらないわけです。十五人で会食をしたということでありますが、お昼に一人一万円以上の金を使っているんですね。もちろん酒が出ています、酒の話は後でいたしますけれども。あるいは天竜川上流工事事務所では「だるま」というところで十五万――これは毎晩やっています。最初五月十八日が十五万、十九日が十三万、十六日が十一万、三日連続で酒食のもてなしをしている。さらに、飯田国道工事事務所の例をとれば、「三宜亭」というんですか、料亭だろうと思いますが、ここでまた十二万何がしかの金を使っている。こういうことが行われていいのかどうか。  会計検査院から伺っておきたいと思いますが、あなた方は検査に当たって、こんなことをどんどん受ける体質を持っているんですか。どういう指導や指示をしているんですか。事務総長に伺いたいと思います。
  76. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 会計検査院といたしましては、もう従前からいろいろ折に触れ問題がございまして、その都度厳重に、出張の際、かたくそういう接待を受けないように、こういう指導をいたしております。そういうようなことになっても極力これを断る、絶対接待を受けるということのないように、こういう指導をしてきたわけでございます。過去において何度かそういう通達も出しましたし、最近におきましても幹部会その他で常常厳重に申し渡している状況でございます。
  77. 矢田部理

    矢田部理君 厳重に常々申し渡しているわりには効き目が薄いようですね。私はいまことしの事例を主として申し上げました。去年もおととしも全部やられているんですよ。しかもその酒食のもてなした領収書だとか、決裁書といいますかね、等々は全部会計検査院に証憑書類として上がってきてもいるんです、自分たちの飲み食いの分も含めて。どういう注意、どういう指導をしているんですか。
  78. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 先生指摘のとおり、そういう書類につきましては、一切ではございませんが、検査院に毎月の計算証明といたしまして参っております。ただそれが、その中にわれわれが接待を受けたというものがどれであるか、こういう点がこれは在庁検査、いわゆる書面検査ではわからないわけでございまして、これは会計実地検査、実地に工事事務所なら工事事務所に赴きまして、そのときにそういった書類を検査して、このときにいろいろ稟議書も当事務所にはあるはずでございますので、そういうものを徴して検査を実施する。ただ、短時日の間に一年の仕事を見ると、こういうわけでございます。工事事務所などにおきましては、検査の本体はやはり工事ということでございます。どうしてもそういった庁費のたぐいの事務費の関係になりますと目が行き届かない、こういう面もあるかと思いますが、できるだけそういうものは見るように、こういう指導をしているわけでございます。
  79. 矢田部理

    矢田部理君 国分の足元すら目が届かないようでは厳正な監査ができますか。検査ができますか。具体的に伺います。会計検査院は酒食のもてなしは受けることになっているんですか。簡単で結構です。
  80. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 会計検査院の職員は酒食のもてなしを受けてはいけないと、こういうふうに常々指導しております。
  81. 矢田部理

    矢田部理君 昼食などが出されればいただくことになっているんですか。
  82. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 昼食につきましても、かつて出されたものにつきましては代金を払うようにと、こういう指導をしたこともありますし、なるべく昼食期間、昼食の時間といいますか、休憩時間、そういったものはお世話にならないように、各自外へ出て食事をするようにと、こういう指導をしてきたわけでございます。ただ、非常にへんぴな現場へ入った場合、そういう昼食を各人とろうとしても困難な場合もございます。そういう場合は、やはり現場の工事事務所なり、そういう相手方の、受検庁の方のお世話にならざるを得ない、こういうことがございます。原則として昼食代も払うと、こういうことでございますが、なかなかその辺が徹底を欠いているうらみはございます。この点は多少個人差があるかというような気もいたします。
  83. 矢田部理

    矢田部理君 かつて会計検査院が各区役所回りなどをしたときに、料亭で懇談会やったとか手みやげをもらったとかいうことで大変問題になったことがあります。そのときに当時の佐藤事務総長は、そば一杯でも許されないと、厳しい対応をしているわけですね。しかもこれを受けたかのようにこのときには職員各位に対して通達まで出しておる、綱紀の保持についてという。手みやげはどうですか。これはいたただいて帰るんですか。
  84. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 手みやげなどにつきましても、当然これは辞退する、また、送ってこられた場合は送り返す、これが原則でございます。そういうふうにするように指導しております。
  85. 矢田部理

    矢田部理君 検査をする立場から、儀礼的なものであっても、あるいは日常的には行われる程度の接待であっても、これを受けないというのが基本でしょう。それが昼食であれ、みやげであれ、もちろん夜間の飲食なども含めて。そこが基本なんでしょう。そこはどうなんですか。
  86. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) これはもうおっしゃるとおりでございます。そういうことをいたしますと、たとえそれがごく軽少なそば一杯であっても、これはやはりそれからだんだん拡大解釈されてくる、こういうおそれもあります。そういうことのないように、やはり国民の皆さんの疑惑を招くことのないように、先ほどおっしゃいました、院長がそば一杯たりともと、これはもうまことにおっしゃるとおり、そのとおり申し渡してあるわけでございます。
  87. 矢田部理

    矢田部理君 建設大臣に伺います。  検査を受けるに当たって、現場に対してはどういう指導をされているんですか。とりわけ接待等についての指示はどうなっているんでしょうか。そこを伺っておきたいと思います。
  88. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 会計検査を受けるに当たりまして、受ける側の建設省工事事務所が接待等によりまして会計検査院にかえりて御迷惑をおかけして、国民の疑惑を招くことのないようにわれわれも十分注意をして現場を指導いたしております。検査を始めるに当たりまして、大体おおむね会計検査院とお打ち合わせをしながら進めておりますが、私どもとしてはこういうことのないように注意を払っておるところでございます。ただ、建設省の場合におきまして、大体一週間ぐらい検査官がおいでになるわけでございますけれども、その間は朝早くから夜遅くまで現地で調査をされます。場合によっては破壊検査等も行われるわけでございまして、相当な労力それから努力を必要とされておるわけでございます。で、ある段階におきまして会計検査院の方を交えてその講評を聞き、また検査の過程におきまして設計とか、あるいは施工、積算等につきましていろいろ議論が出る場合がございます。そういう議論を取りまとめる意味におきまして、ある段階で会合を持つということもまた私どもにとりましても非常に有益なことと考えることがございますので、そういうことのためのある程度最小限の簡素な会食はやむを得ないものというふうに考えておるわけでございます。
  89. 矢田部理

    矢田部理君 両者間に矛盾があるようですね。会合が必要だ、その際に簡素な接待はやむを得ない。つまり、あなた方の方はゼロではない、会計検査院はそば一杯も受けないと言っている。これはどう調整するんですか。
  90. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 私が申し上げましたのは、いままでの建設省考え方を申し上げたわけでございますが、会計検査院のいまの御答弁を承りまして、われわれとしても執行いたしたいと考えております。
  91. 矢田部理

    矢田部理君 いま答弁を聞いて考え直すようなものじゃないでしょう。過去にも幾つか問題になっている。そのたびごとに各省庁もそれに見合うような厳しい態度をとろうという政府内の話し合いなども行われていたにもかかわらず、あなた自身が簡素なものならやむを得ないんだというような態度じゃどうにもならぬじゃありませんか。建設大臣どうなんですか。
  92. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 原則は原則でございますので、原則を守らなかったという点につきましては何とも私の方の、申しわけないと考えております。
  93. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっとわかりにくいんですが、官房長の言うようなのが原則なんですか、あなた方の方は。
  94. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 原則は、先ほど会計検査院の方からお話がございましたようなのが原則でございます。
  95. 矢田部理

    矢田部理君 そうすると、昼食たりとも出さない、接待しないということになりますか。
  96. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) そのとおりであろうと思います。
  97. 矢田部理

    矢田部理君 ところが、これから一つ一つ内容を明らかにしていきたいと思いますが、大臣の言った原則、会計検査院の考えているそば一杯たりともいただかない、あるいは官房長の言った簡素なものならばと、どの基準に照らしたってはるかに縁遠いような豪勢な食事を、あるいは酒食のもてなしをやっている。共通した点を幾つか申し上げますれば、昼間からみんな酒を飲んでいるんですよ。いいですか。全部その領収書あります、ここに。それだけではありません。たとえば東京の例をとれば、景山課長を迎えるに当たって全部接待の日程が事細かに組まれています。八月三十一日開始、昼食場所「福久良」、景山課長等々の名前が記載をされている。メニュー、ビフテキ、てんぷら、焼き物、煮物、吸い物、御飯、メロン、飲み物ビール、昼食ですよ、これは。これは状況に応じてと括弧で添え書きがつけられている、ジュースと。九月一日、昼食場所「文豪屋敷」、景山課長その他。メニュー、牛肉網焼き、お通し、前菜、酢物、煮物、御飯、赤出し、ビール、状況に応じて。これはまあ全日程がメニューまで、料理屋の場所はもちろん全部メニューまでつけられている。ビールは状況に応じてと書いてありますが、領収書を調べてみますれば、全部酒を出している、ビールを出している。こんなやり方がありますか。毎日やっているんです、しかも。こんなでたらめがありますか。建設大臣どうでしょうか。
  98. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) いま先生指摘のようなことは、きわめて遺憾であると存じます。
  99. 矢田部理

    矢田部理君 遺憾なだけではちょっと済まないんじゃないでしょうか。しかも検査には本省からも立ち会っていますね。現場がたまたまよかれと思って行き過ぎをやってしまったという性格じゃないんじゃないでしょうか。これが全国実態ですよ。すべて本省の係官がその検査のときには本省から出向いていっている。建設省総ぐるみの言うならば接待工作、酒食のもてなしをやっているとしか言いようのないような事実関係が次々と出てまいります。建設大臣、いまにして昼食たりともとか、そば一杯でもというような言い方をされるのとはおよそ縁遠い実態がある。これはまあこれから次から次とその事実関係は明らかになってくると思いますが、どうしますか。遺憾で済みますか。
  100. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私の方も十分調査をいたしまして、再びそのようなことの起こらないように厳重に警告をしてまいりたいと存じます。
  101. 矢田部理

    矢田部理君 まあ責任の追及等の問題については少しく後にいたしまして、まず事実関係を全面的に出していくことが私は大事だと思います。  会計検査院に伺いますが、費用の支出方法といいますか、支出方といいますか、通常官公庁が人を接待する場合にはどんな費目からどんな捻出の仕方、支出の仕方をするんでしょう。
  102. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) これは各省庁に交際費というものもありますから、それで支出する場合もございますが、なお庁費から支出する場合もございます。
  103. 矢田部理

    矢田部理君 いま問題になっております各工事事務所のようなところでは、どういう費目から支出をするのがたてまえ、原則になるんでしょうか。これは建設省に伺っておきます。
  104. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 原則といたしましては、地方建設局の予算にございます建設事業監督事務費、それと事務費のうちの庁費でございます。
  105. 矢田部理

    矢田部理君 会計検査院接待費などというのは何か予算上盛られているんですか。それともどこからか出す仕組み、仕掛けになっておるんですか。
  106. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) そういうものはもちろんございません。ただ、庁費のうちの会議費ということで支弁をしておるわけでございます。
  107. 矢田部理

    矢田部理君 ところが、各工事事務所によってその支出の仕方はきわめてまちまちですね。大阪の例をとってみましょう。大阪では交通量常時観測調査費、この日は何か交通量の常時観測でも検査のためにやったのでしょうか。検査院に聞きましょう。――どっちでもいい。
  108. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) いまのお尋ねは、事業調査費をもって会議経費を支弁するのは問題であるという御指摘であろうかと思います。われわれといたしましては、事業調査費は道路、河川等所管事業に係る事業採択の必要性等の調査計画等の調査、工法等の調査等に要する経費を支弁するため、予算上、目として認められているものであると考えております。したがいまして、事業調査費の内訳といたしましては、学識経験者の謝金、旅費、施設費、立木伐採等補償金、調査委託費のほか調査費、旅費が含まれています。この場合、その調査費といたしましては、調査のため必要とされる資料の収集や、その分析検討のための打ち合わせ会議費等が含まれておるわけでございます。会計検査事業の適正な執行を確保するために行われるものであり、検査、公表等が事業効果と執行のあり方についての指針ともなることから見まして、事務打ち合わせ等に支弁をいたしたわけでございます。
  109. 矢田部理

    矢田部理君 接待そのものを大臣の先ほどのお話ではしないことになっている、そば一杯たりとも出さないのが基本だと。にもかかわらず、先ほど申し上げましたように、大阪では総額的には百三十万、全部飲み食いですよ、これは。ここに領収書全部あります。百三十万も飲んだり食ったりした費用、どうして交通量常時観測調査費と関係があるんですか。説明がつかないんじゃありませんか。あなた、何かあらかじめ準備してきたものを読み上げたようですが。
  110. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 私は、調査費からのそういう会議費の支出については違法ではないという見地から一応の御説明を申し上げたわけでございまして、先ほど来御指摘いただいておりますような会議の開催等につきましては大臣の申し上げたとおりと考えております。
  111. 矢田部理

    矢田部理君 これ、一つ一つ挙げれば切りがありませんから、一度、後で資料要求は全体的にしますが、各工事事務所が会計検査院の接待に当たって出した費用、その費目等を全部明確にしてほしい。  私のところが収集した資料によれば、あるところは項だけしか出ていない。あるところは目まで書いてある。あるところは目の細分というんでしょうかね、いまの交通量常時観測調査費なんというのはそこになるわけですが、そういう書き方をしているところもある。みんなばらばらなんです。官房長は、目の流用とか項にかかわるものではないから、したがって財政法上違法でないんだということを言いたがっているようでありますが、違法か違法でないかの前に、予算の執行として適正なのかどうなのか、当、不当の問題は一体どうかかわるのか、この辺を厳密に詰めていかなければならぬと思うんですが、会計検査院どうですか。
  112. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 目の細分といたしましていろいろあるわけでございますが、ただ建設省の場合、この辺につきまして科目解疏で明確になっておりません。したがいまして、ここで私が直ちに御意見を申し上げるのもいかがかと思いますが、ただ予算のつけ方、それがそういうものも――そういうものというのは会議費的なもの、そういうものを含んでいると、こういうつけ方であれば、そこから出すということも特段違法ということにならないかと存じますが、この辺はまだ詰めておりませんので、私の方で御意見を申し上げる段階でないと、こういうふうに思います。
  113. 矢田部理

    矢田部理君 これだけ重大な問題になっているわけですね。言葉の前段に、違法ではないと思うが内容は詰めていないということで、違法でないかのごときことを強調されるようだけれども、私は違法か違法でないかという問題と、あわせて当、不当の問題があるだろう。私に対する会計検査院の説明では、一般に――これは会計検査院の酒食のもてなしを指しているんじゃなくて、一般に外から人が来た場合に接待をする、多少会食などをするに当たっては、これは原則は道路工事諸費といいますかね、のこれは項でありますが、の中で庁費と工事雑費というものがある、そこから支出するのが通常だろうと思うというふうに説明をされているわけですが、その会計検査院の説明が筋だとするならば、したがって調査費などから出すというのは筋でないということになるわけです。とりわけ、この大阪のように、道路交通情勢調査費だとか、ほかの例もたくさんあります。どう関係するのか、わけがわからぬようなところからそれぞれやりくりをして支出をしている形跡、傾向が強い。当然その当否は問題になるんじゃありませんか。
  114. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 私が先ほど申し上げましたのは、一般的な庁費という前提で申し上げたわけでございますが、ただいま御指摘を受けております会計検査院の接待云々と、こういう点につきましてこれがどう影響するのか、その辺についてはいま検討をしておる段階でございます。
  115. 矢田部理

    矢田部理君 みずからかかわった問題でもあるし、現に二、三日の問題かもしれませんが、その支出の当、不当、違法かどうかというようなことについては、やっぱり緊急に詰めて対応策を講ずべきだと思うし、その支出が仮に違法でないとしたって、この酒食のもてなしが合法になるわけじゃありませんからね、そこだけは明白にしておきたいと思います。緊急に結論を出してほしいと考えています。  次に、先ほど東京の事例に触れましたけれども、幾つも事例がたくさんございますので、きょうは東京の事例を中心に若干の質問をしておきたいと思います。  東京はことしの八月二十九日から九月の二日まで五日間にわたって検査が行われました。この五日間の接待の状況を一覧表的に見てみますと、特徴的なことは全部昼と夜、酒食のもてなしをしているということなんですね。先ほども触れましたように、東京は宿泊の必要がございません。相当早い時間に検査が終わった日もございます。なぜ夕飯、夜の酒食のもてなしまでしなきゃならぬのでしょうか。金額的にも大阪に次いで百二十万余のお金を飲み食いだけに使っています。読み上げてみましょうか。八月二十九日昼、「花汀」というのでしょうか、五万一千円、夜、「東天紅」二十二万円、いずれも端数を省略いたします。八月三十日昼、「かね松」で食べたのが四万六千円、「寿々喜」というところで食べたのが六万一千円、そのほかに同じグループが「寿々喜」で食べたのが一万二千円、夜、「花汀」が八万七千円、「エルム」というところで一万八千円。八月三十一日昼、「福久良」四万四千円、「花汀」一万一千円、「宮川」一万七千円、「水車」五万三千円、夜、「京王プラザ」二万七千円、「魚保」一万四千円、「宝寿し」八千円、「寿し文」一万円、「東寿司」二万四千円。九月一日昼、「魚伝」四万三千円、「水車」三万二千円、「川甚」二万三千円、「釜長」一万八千円、「大飯店」一万七千円、夜、「魚清」三万二千円、「寿し文」一万円。二日昼、「ケーアイエージェンシー」三万五千円、「水車」三万五千円、「大野屋」二万五千円、「松浦寿し」二万六千円。よくもよくこんなに食べたもんだと思うほど四、五日の間に百三十万も建設省会計検査院の役人が食いほうだいに食ってしまった。しかも昼の食事にはほとんど例外なく酒が出、ビールが出されています。建設大臣と会計検査院にもう一度、この事態、具体的な事実に即して受けとめ方、処し方についてお話をいただきます。
  116. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 事実をもう少し調査をしてみないとはっきり私も御回答を申し上げられませんけれども、そのままのお話を承っただけではまことに遺憾であるというふうに考えております。
  117. 矢田部理

    矢田部理君 もう調査の必要ないんですね。東京の件については建設省が私の資料要求に応じて全部百三十万円の領収書を出してくれました。この領収書を見れば事実関係に争いようがないんです。酒、さかなの内訳まで全部出てます、これは。いまさら調査の問題じゃないですよ。そういうところへ来ているんです。会計検査院、どうなんですか、そば一杯なんという話じゃないでしょう。これで検査できると思いますか。国民の税金の使い方を検査する役人が国民の税金で飲み食いをしている、これでまともに検査ができると思えないでしょう。大変な不信、怒りすら国民は持っています。こういう事実に直面してあなたどういうふうに考えられますか。
  118. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) ここにございます資料は、私どもが日曜日の日に直接当人たちを呼び出しまして調査いたした事実と合致いたしております。まさに先生指摘のとおり、われわれ夢想だもしなかった事態ということに受けとめておりまして、ただただこういう事態を引き起こしたと申しますか、こういうことをしたということにつきまして、われわれの指導も足らなかったし、本人の自覚も不足していたと、こういうふうに考える次第であります。ただただこの件につきましてはおわびをするより方法がないと、こういうふうに存じております。
  119. 矢田部理

    矢田部理君 検査院長もお見えになったようでありまするが、過去にも幾つかの不祥事がある。そのたびごとに綱紀粛正等の通達を出してきた。ところが、今回の事例というのは、たまたま不心得の職員がいて、あるいは建設省がもてなしを常態化している状況のもとで抗し切れなかった、あるいは不心得の者がいて手を出してしまったというようなケースではないと思うんですね。ことしの検査の状況を調べてみると、もうおしなべて数十万から百万を超える接待を受けている。ことしだけじゃありません。去年も、おととしも次から次へと事態は明るみに出てきている。いまここに、たとえば名古屋の事例がありますが、ここではもう三年連続数十万の接待をしているんですよ。ここまで事態が重大になってしまった。めちゃくちゃになってしまった。単に、遺憾であります、今後注意しますということでは済まないことはおわかりいただけると思うんです。  検査院長がおいでになりましたので、まずあなたの考え方、受けとめ方、伺っておきたいと思います。
  120. 佐藤三郎

    会計検査院長(佐藤三郎君) 今回こういう事態がありましたことをはなはだ遺憾に思う次第でございます。憲法上、独立機関といたしまして、厳正公平な検査を施行すべく憲法で保障せられた独立機関においてこういう事態があったということを本当に申しわけなく存じておる次第でございます。私といたしましては、今回の事件はこれは早急に徹底的に事実を調査いたしまして、これに対する応分の処置を講ずることはもちろんでございますけれども、今後こういうことの二度と起きないように事細かに抜本対策を講じていきたい、いまそういう考えでおります。
  121. 矢田部理

    矢田部理君 建設省関係会計検査院が年間にどのぐらいの件数の検査をいたしますか。河川とか道路とか幾つかの例に分けて御説明をいただきたいと思います。
  122. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) ただいまの御質問に直ちに正確な御答弁申し上げることになるかどうかと思いますが、大体道路関係を所管しております建設一課におきまして、七十六カ所、人日数にいたしまして一千四百三人目……
  123. 矢田部理

    矢田部理君 何日数ですか。
  124. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) これは、出張人員に出張日数を掛けた……
  125. 矢田部理

    矢田部理君 件数だけでよろしゅうございます。
  126. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 件数でございますか。――出張個所は主として道路関係を担当いたします建設一課につきまして七十六、これも直轄関係でございます。それから建設二課、これは河川関係が主体になりますが、これが五十カ所、合わせて百二十六カ所、、これが五十二年でございます。ことしの正月からこの九月までに実施した実施状況、こういうことでございます。
  127. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、これらの検査に際して建設省側が接待等のために支出した費用、それを裏づける請求書なり領収書なりは会計検査院にも上がってきていると思うし、建設省自身も保管をしていると思うんでありますが、何年ぐらい保管をしておりますか、両者からお答えをいただきたい。
  128. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 五年でございます。
  129. 矢田部理

    矢田部理君 同じですか。
  130. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 同じでございます。
  131. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、私が調査した限りでも、もう調査すればすべて接待費が数十万最低ついて回る、百万を超えるものも相当数ある。この全体を明らかにする意味で、まだ資料も残っているようでありますから、最近五年間に検査したそれぞれの事案について、検査日、検査場所、検査に派遣した職員名、応対した建設省の役人――当事者関係ですね、それから接待その他の費用の支出状況。東京の本年の件については私が建設省からいただきましたが、これと同じようなものを全部出してほしいというふうに要求したいと思うんでありますが、委員長ひとつ……。
  132. 小谷守

    委員長小谷守君) 矢田部君にお答えいたします。  ただいまの資料の御要求につきましては、後刻理事会において検討いたします。
  133. 矢田部理

    矢田部理君 これはもうすでに一例出してあるわけでありますから、建設省会計検査院としては出していただけますね。理事会で後で御協議いただくことになるわけですが。
  134. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 理事会の御決定に従いますが、過去五年でございますけれども、証憑書類等について、これが会計検査院のためのものであるかどうか、そういう仕分けはできかねるのではないかと考えております。なお、検討は、もし御指示がございますれば検討いたします。
  135. 矢田部理

    矢田部理君 委員長の方によろしくお願いしたいと思います。  それから、ほかの省庁で会計検査院、この種の事例はないでしょうか。ほかの省庁についても接待関係の領収書その他が上がってきているはずでありますが、その点はどういうふうに見ておられますか。
  136. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) ほかの省庁について同じような事態があってはこれは大ごとでございますが、私はないと確信いたしております。ただ、過去に、では絶対なかったかと申されますと、やはり三年ぐらい前ですか、一件ございます。まあそういう状況でございます。
  137. 矢田部理

    矢田部理君 私ども指摘するまで建設省についても気がつかなかったんでしょう、あなた方は。現にこの割烹旅館の、あるいは料亭の領収書がどんどん会計検査院に上がってきているにもかかわらず、あるいはみずからその酒食のもてなしを受けた人が会計検査院にたくさん、どっさりいるにもかかわらず、ほかの省庁にはありませんなどと断言できますか。
  138. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 会計検査院に提出されております、たとえばこの会議費の証拠書類でございますが、今回もこの事実関係調査当たりまして、膨大な証拠書類の中から引っ張り出して、それぞれ工事事務所ごとに分ける作業をやったわけでございますけれども、ただ、証拠書類として提出されておりますのは、支出負担行為の決議書あるいは請求元の請求書、それに対する領収関係の書類、こういう関係で稟議に――稟議といいますか、何の目的でこの会議を開くか、出席者はどういう人たちであるか、こういうような点につきましてはございません。したがいまして、調査当たりまして難航をきわめておったわけでございますが、御説のようにほかの省庁について同様なことがあるではないか、検査院の中からわかるはずであると、こういう御指摘でございますけれども、なかなかこの分がこれだ、検査院関係である、こういうふうに判断はいたしかねるのが提出群類の状況でございます。
  139. 矢田部理

    矢田部理君 検査院長に詰めておきたいと思うんですがね。こういう大きな指摘があるまで、率直に言えばでたらめな、やりほうだいなようなことをやってきて気がつかなかったのが会計検査院だったんです。他人を検査する前にみずからの足元を清めなきゃならぬと私は思うんです。その意味で資料も、会計検査院には稟議書等は来てないようでありますけれども、さっき言った飲食の領収書などは全部言ったように上がってきているはずです。各省庁とも全面的に厳正な検査をやる、これを約束してほしいと思うのですが、いかがですか。
  140. 佐藤三郎

    会計検査院長(佐藤三郎君) こういう事態がありましたので、私としてはそういう事態もほかにはないと確信するんですが、なおひとつ点検の努力はしたいと思っております。
  141. 矢田部理

    矢田部理君 それは単なる点検の努力じゃなくて、徹底的に点検をして、もう一回みずからを徹底的にただすということなしには、またまた同じようなことの繰り返しになりますよ。私どももほかの省庁についても全く聞かないわけじゃないんですよ。そば一杯食べていないなんという実態、ほかの省庁ありますか。建設省ほどはでではないにしたって、それなりの接待を受けている実態はあるんですよ。  もう一つ建設省に注意をしておきたいし、会計検査院にも明らかにしておきたいと思うのでありますが、ここに膨大な飲食の領収書があります。しかし、これだけだったろうかと思うんです。私は率直に言ってこの領収書だけではない、もっと隠れた部分があることを幾つか突きとめています。建設大臣どうですか。たとえば官房長は、バー、キャバレーに行ったことはないと言っている、この領収書には。芸者を揚げたこともないと言っている。なるほど領収書を見た限りはそうであります。しかし、どうです、それは確信を持って言えますか。
  142. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) 私どもが先ほど申し上げましたように、十三日以来調査をいたしました結果におきましてはそういう事実はございません。
  143. 矢田部理

    矢田部理君 まだそこまで調査するほど態勢ができてないんじゃありませんか。要するに、われわれが調査した結果を、明らかにした内容が事実であるかどうかということを見きわめるのに大わらわで、これ以上いろんな足が出ている可能性十分にあり得る、このことを私は注意しておきます。今後の調査に当たっても、その観点もぜひ持った上でやってほしい。  それからもう一つ、私は非常に建設省がこれだけの大がかりな接待工作をやった背景は一体何であったのか。それ以上の関係が業者と建設省関係の中になかっただろうか。工事の請負人等との間に大きな癒着、醜い関係がないだろうか。そういう中で日常的に大がかりな接待を受けているがゆえに、言うならば建設省役人はたかが二十万程度の接待、一回数十万や百万程度のものはという、何といいますか、余りに醜い関係になれ過ぎちゃったために感覚が麻痺しちゃっているんじゃないか、一つ。  それからもう一つは、工事の目こぼしやずさんさや工事のミスや、あれこれの欠陥等について何か弱点があるがゆえに多額の接待をせざるを得ないのではないか等々、いろんな問題が背後には隠されている可能性が十分あります。私ども調査の中でも一部それが挙がってきています。等々を考えてみると、単にごちそうしたとか、されたとかいうだけではなくて、建設省自体に大変な問題が背後関係としてひそんでいる。そこを含めて全面的なやはり調査、洗い直して姿勢を正すべきだと思うが、大臣いかがでしょうか。  もう時間でありますので、会計検査院にもそのことを含めて徹底的なやはり建設省関係の検査をすべきである。それから他省についても同様の問題があり得るので、それについても調べるべきである。このことについての院長の回答を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
  144. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私は昨年の十二月二十四日に就任いたしまして、それ以来綱紀粛正という点につきましては厳重に行っておるつもりでございまして、その後に、私の期間中には絶対にそういうことはあり得ないと確信を持ってお答え申し上げます。
  145. 佐藤三郎

    会計検査院長(佐藤三郎君) この問題に関して検査が曲げられたかどうかという問題でございますが、これについては私ども絶対に検査を曲げたようなことはないと確信いたしておりますし、もしそういう事実がございますればひとつ御指摘を願いたいと思います。曲げた事実があれば御指摘願いたいと思います。それから、それに関連してほかの省庁の問題でございますが、これも御指摘のような御意見もっともでございますので、検討さしていただきたいと存じます。
  146. 小谷守

    委員長小谷守君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時五分まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      ―――――・―――――    午後一時八分開会
  147. 小谷守

    委員長小谷守君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  148. 増岡康治

    ○増岡康治君 国土庁につきまして質問をさせていただきたいと思います。去る四日、長らく待っておりました三全総が閣議決定になりました機会に、大臣並びに下河辺局長にいろいろと御質問させていただきたいと思います。  今回の三全総を拝見さしていただきますと、従来と変わりまして、いわゆる国民に対して国土の総合的な開発基本的な方向をはっきり示すということがありますし、あるいはまた国民一人一人の住まい方までを選択するというようなところまでおりておりますし、またあるいは、民間の投資活動に対しまして誘導的あるいは指導的な役割りを果たすといったような、何か私ども読みまして国民総ぐるみの計画のように思われるだけに、私ども政治に関与する人間といたしましては、これは最大な関心事でありますし、よくお聞きしておいて私どもも十分頭に入れなければいけない、こういうことで質問をさしていただくわけでございます。  この計画は、いわゆる十年に一度という大計画でございまして、そういう意味で国土庁長官に、この三全総の基本的な課題とは何か、あるいはまた私どもよく知っておりました前の新全総、第二次の計画がございましたけれども、こういうものに対するものと比較しての基本的な相違点、こういうものをひとつ教えていただきたいし、またこれについて私は特に考えておるんですけれども、こういうぐあいになりますと非常なリーダーシップが必要だというような気がいたしますので、そういう点にかんがみまして、長官のいわゆるこれに対する意欲といいますか、こういうものをお聞かせいただきたいと思います。
  149. 田澤吉郎

    国務大臣田澤吉郎君) 第三次全国総合開発計画は、先生案内のように昭和四十四年につくられました新全国総合開発計画の見直し作業というのと、昭和五十年の十二月に閣議決定されました三全総概案、サブタイトルは「二十一世紀の人と国土」という長期展望作業を基本にして、その時代の推移を基本にしながら、やはり国際情勢あるいはまた資源の有限性というものを基礎にしながらその地域の特性を生かして、さらに健康で文化的な、しかもこれを自然と人間が調和するようた状態、そういうようないわゆる人間居住の総合的な環境をつくる。いわゆる総合的な環境というのは、自然環境だとかあるいは生産環境だとか生活環境が調和した環境でございますが、こういう環境をつくることを目標にいたしているわけでございます。  そこで、新全総との違いがどういうところにあるのかということでございますが、先生案内のように新全総は開発計画を大規模プロジェクトに置いてあるわけでございます。しかしながら、この三全総は定住構想に開発の方式を求めておりますから、そういう点に大きな差があるわけでございます。ですから、新全総ではいわゆる大型プロジェクトでございますから、新幹線だとかあるいは自動車道等の推進を図ることによって地域開発を図ろうということなのでございますが、この定住構想につきましては、やはり地方にこの人口が定住するためにまず雇用の場をつくらなければいけない、ことに若年層の地方定住を促進してまいらなければならないという点から、やはり住宅だとか生活環境だとか、あるいはまた教育、文化、医療等の水準を高めるということが基本的な目標なんでございます。しかし、それだけではなかなか人口の定住というのはむずかしゅうございますから、その背景として、新全総でも唱えられました、また新全総でも主張してまいりましたいわゆる交通体系、通信体系の整備だとかあるいは工業の再配置等も加えて地方に人口の定住を図ろうということがこの三全総の特徴であり、ねらいであり、新全総との違いなのでございます。  そこで、この三全総はともするとばら色の計画じゃないかと、こう言われますものですから、私はばら色で終わっちゃいかぬと、こう思いますので、この計画を進めるに当たってはやはり計画実施が一番重要でございますから、国土庁としては五十三年度の予算からでも各省庁の先頭に立って、いわゆる三全総実現のための調整を思い切って予算の面でも実行の面でも進めてまいりたいと、かように考えているわけでございます。そうして三全総を基礎にしていわゆる北海道開発計画だとか沖繩開発計画、あるいは首都圏、中部圏、近畿圏等の開発計画を見直しをしまして具体的な案をつくる、また、道路だとか治山治水面においてもそれぞれ長期計画を策定いたしまして、関係省庁と協力してこの案の実現のために努力をいたしたいと考えているわけでございます。しかも一番むずかしいのは、やはり先ほど先生も御指摘になりましたように、上から押しつけてこの計画を進めるというのじゃなくして、下から盛り上がってこの計画を進めるということが基本なんでございますから、地方公共団体が積極的にこの計画に参加していただかなければいけない。その積極的な姿勢に私たちはこたえていくという形でこの計画を進めてまいりたいと、かように考えておりますので、どうか先生もひとつ十分御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  150. 増岡康治

    ○増岡康治君 昭和五十年に国土利用計画法に基づく作業が行われまして、国土庁は非常に一生懸命やられまして、昭和六十年を目標に国土利用計画の作成をやられたわけでございますけれども、この基本になる都道府県計画というものにつきまして、いまどの程度が済んでおるのか、まだ残っておるところもあるのではなかろうかということと、もうすでに済んだ都道府県計画というものは、まだこの三全総が決まっていない以前になろうかと思いますが、こういうものがこれから行う都道府県計画、残っておる県があると思いますが、これによって若干そういう計画が動くのかどうか、この点を下河辺局長にお聞きしたいと思います。
  151. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) 国土利用計画法に基づきます国土利用計画につきましては、いま御指摘いただきましたように、全国計画についてはすでに閣議決定をして都道府県におろして都道府県で現在作業をしていただいておりますが、大半の県は年内に計画を終了するものと考えておりますが、なお数県残りますものにつきましては、年度内には何とか策定していただくように指導を申し上げておりまして、私どもとしては年度内に一応各都道府県計画が終わるものと見ておりますので、その全国の都道府県計画がまとまりました段階全国集計を試みまして、去年閣議決定いたしました全国計画と対比をして問題があれば相互に調整をしたいと考えておりますが、次の時点では市町村計画におろす予定をしておりますので、市町村計画の指導をどのようにしたらよいかということの検討を現在しておるところでございます。
  152. 増岡康治

    ○増岡康治君 この五十年の国土利用計画法でいろいろと三十七万平方キロのわが国の利用実態もわかったし、将来どうしようという作業が非常な努力でなされたわけでございますが、結局今回の三全総を拝見いたしますと、この国土利用計画から来た調査と、いま大臣がおっしゃいましたように、これからどうするかということにおける人口配分というものが非常な大きな柱になっておるように思っておるわけでございます。この中でいわゆる居住というものに非常に重きを置かれた。そういうことをだんだんと広げていきますと、流域圏というような言葉が今回出てきたわけでございます。私ども日本全国いろいろ歩いております人間といたしましては、確かに人と自然というもののかかわり合いを強調したような計画論がいつか出てもいいなと思っておったやさきでございます。ただ私どもは、こういうような流域圏とかあるいは水系管理とか、こういう問題の把握はわりあいなれた人間はわかるのでございますけれども、一般の国民の方々は何だろうかなあと、こういうようなことがあるのではなかろうかと思っておるわけでございます。この三全総の主要計画課題で、いわゆる国土保全を中心とした、国土の管理を重視したということにつきまして、全般の計画、この三全総の位置づけといいますか、これについて全体に国土の管理というものがこの計画の中にどう位置づけられておるのか、この点について局長にお願いしたいと思います。
  153. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) 大臣が先ほど申しましたように、第三次全国総合開発計画は新全総の総点検というような仕事から入ってまいりまして、定住構想ということにまとめていったわけでございますが、その過程でやはり一番大きく問題になりましたのは国土を総合的に管理するということであったと思います。先ほどお話ございましたように、一つ一つの圏域を定住圏として生活構想を固めたいと考えたわけでございますが、もう十分御承知のところでございますけれども、従来ここ十年あるいは十五年、高度成長下におきます生活圏というものの考え方が、とかくすると、どうも交通というものによる圏域という考え方に少し偏り過ぎてはいなかっただろうかという問題があります。通勤通学のこと、あるいはショッピングのこと、いろいろ市場との関係それぞれ考えましても、交通が便利になるということでひとつ新しい生活圏をつくろうという動きが強かったように思われますけれども、生活全体を考えます場合には、人間にとっては水は必要でありますし、それは利水というだけではなくて治水なりあるいは環境の問題としても重要でありますから、上流から下流に向かっての一貫した水系管理のもとで初めて安定した生活の基礎ができ上がるということは言うまでもないことでありますので、第三次全国総合開発計画におきましては、その土俵の上に成り立つ生活の基礎基盤として国土の管理ということを最も重要視すべきであるという本来的な考え方に乗っているというふうに考えております。
  154. 増岡康治

    ○増岡康治君 従来の、現在までの国土開発の方向が全国のネットワークである程度これをそのままやれば、大体交通的なもの、基幹的なものができるから、この上にもう一つこういうような国土の管理の立場から流域圏をはめてみると、ちょうどうまく整合するんではなかろうかと、こういうような考えは確かにあるわけでございますけれども、結局従来の私どもがなれた第一次、第二次の計画というものは、そういうプロジェクトというものが非常に前に出ましてわかりやすかったんです、実は。一つの手段が前に出たということでわりあい理解しやすい面がありましたけれども、今回はいわゆる定住構想という、何かわれわれ人間が最終的に求めておるものが浮かび上がってきた。これは非常に結構でございますけれども、目的と手段とがうまくかみ合えば非常にりっぱな計画だと思っておるわけですが、そのかわりやはり長官も先ほどおっしゃったようにばら色ではないかと、こういう問題がどうしても出てくるわけですけれども、これは先ほどおっしゃるように、地域の皆さん方から、下から盛り上がるものというところにおいてこれが成立するものと思っておるわけでございます。この定住構想の中で、水資源のことにつきましてはけさほどお話が出ましたので省かしていただきますが、いわゆる大都市の問題が先般もこの委員会で取り上げられたわけでございます。この大都市における限界性というものについて、もう一度簡単でよろしゅうございますけれども、その対策をどうするのかということについてお願いいたしたいと思います。
  155. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) 巨大都市問題といたしましては、第三次全国総合開発計画では東京圏と大阪圏という二つの巨大都市化しております圏域をつかまえまして、その対策を考えております。東京圏と大阪圏の人口は現在でも過密な状況と言われておるにもかかわらず、まだ当分の間人口増加は避けがたいという判断に立たざるを得ないわけでございます。ただ、過去十年間あるいは十五年間は社会増によって人口増加し、つまり地方から巨大都市人口が流入してくることによって人口増加しておりますが、これからの十年あるいは十五年というものは、むしろ大都市の中で自然増加によって人口増加するという時代を迎えておりますので、流入をできるだけ避けるということではなかなか人口増加をとめることができませんで、自然増加というものによってこれから約十五年間で東京圏、大阪圏、両圏合わせますと約七百六十万人ぐらいの人口増加を覚悟してかからなければならないという実態にあります。そのときにやはり住宅問題としての宅地の供給の問題であるとか、あるいはそこに住む方々への水の供給であるとか、あるいは電力の供給であるということについては、施設によって補うことがそろそろ困難な時代に入っていることは御承知のとおりであります。しかし、わずかながら残された可能性を求めて、水資源にいたしましても電力にいたしましても土地にいたしましても供給を強化しなければなりません。しかし、一方では土地や水やエネルギーの利用をできるだけ効率的に限界を踏まえて消費していただくことを国民の皆さん方にわかっていただかなければならないという事態であります。しかもこの過密の問題は土地、水、エネルギーというにとどまりませんで、緑が非常に失われていく問題、あるいはごみ処理の問題、あるいは蔬菜その他の生鮮食料の供給の問題など多々ございますので、どうしても第三次全国総合開発計画としては巨大都市問題に取り組むと同時に、実はきわめて限界があるという認識に立っておりまして、場合によっては、特に過密の現象が集中いたします八月の時点においてやはり大都市の機能を一部中止するということさえも予想しておかなければバランスしないだろうという厳しさを持って対策を訴えております。
  156. 増岡康治

    ○増岡康治君 いまのような非常な危機感に満ちた巨大都市の様相でございますので、この三全総ではいままでなかなか言えなかったいわゆる首都移転問題だとかいろんな大きな構想を出されたわけですが、これは非常に実現がむずかしいというような感じがありますし、またそういうコンセンサスを得ればやらにゃいけないという問題でもあろうかと思いますが、もしこういうことが実現しなかった場合のいわゆる巨大都市問題はどうされますでしょうか。
  157. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) いまお尋ねのありました問題といたしましては、特に巨大化の問題として東京の問題がございます。東京の問題については、やはりいまのままですと西暦二〇〇〇年、つまり昭和七十五年、もう間もなくやってまいりますが、その時点で東京圏の人口が約三千五百万程度まで増加する可能性を持っているということで考えておりますが、南関東、一都三県三千五百万の人口を擁して、ある水準の生活を維持することは技術的に一は相当な困難さを感ずるわけでございますので、いま御指摘いただきましたように、やはりどうしても首都機能の移転ということを考えざるを得ないであろうということで、第三次全国総合開発計画でも首都機能の移転問題をもっと明確に述べるべきではないかという御意見をいっぱいいただいておりますけれども、首都という問題は実は国土開発あるいは国土利用という行政の角度からだけ結論を求めることには少し行き過ぎを感ずるような面もございまして、やはり国政全体としてその決意をしていただく時期が来ているのではないかという意味で、この実施の課題といたしまして首都機能の移転問題をここへ簡単に述べさせていただいているところであります。やはり、東京圏の問題は首都機能の移転問題等を抜きにしては解決困難な面を多分に持っていると思います。  ただ、そこまでいかないでというお話に対しましては、実は現在わずかながら東京圏は社会増がございますが、その社会増の中心が二十から二十二、三歳ぐらいの年齢層の社会増が中心になっておりまして、かつてのように全年齢層にわたって流入があるということではなくなってきておりますが、この二十二、三歳の年齢層の社会増の内容は恐らく教育問題にあるというふうに考え、特に大学への進学率が非常に高くなる過程で起きている現象であるというふうにつかまえておりますので、大学の地方分散ということにもし成功できれば、社会増加をとめることができるというふうに考えておりまして、もしその大学あたりの年齢層の社会増をとめれば、大都市への居住がやがては結婚して子供ができるというプロセスに入っていきますから、一人の学生が入れば数人の都市人口になっていきますので、その基礎のところで流入をとめるということは大都市問題にとってかなり重要な課題であるということで、教育、医療、文化の施設の地方への移転ということを巨大都市問題の大きな課題にしております。
  158. 増岡康治

    ○増岡康治君 いまの話にも出ましたように、これから地方都市が大切になってくる中におきまして、いわゆる地方の中枢都市と言われる札幌だとか仙台、広島、福岡等が挙げられております、名古屋ももちろん先頭でございましょうけれども。こういう中のこういう都市と、それからいわゆる地方都市という、先ほど大臣がこれから育てにゃいけないと言われた地方都市と、問題の性格づけがあると私は思うわけでございます。いまいわゆる文教、医療等、この中枢都市をねらっておられる現実がもうすでにあるわけでございますけれども、この地方中枢都市に対する考え方を全般にどこへ出てくるかなということで私もいろいろ三全総を読ましていただいたわけですが、いわゆる地方都市というものはどうしようという方向がわりあい出ておるわけでございますけれども、地方の中核都市というものはやはりだんだんと過密現象を来しまして、私は広島でございますけれども、いまおっしゃったように、やはり大学の移転というようなこともできて、大体そういう方向にいっているんではなかろうかと思いますけれども、地方中枢都市の問題が、案外これから思わぬ巨大都市と同じような問題があるような気が私はするわけでございまして、これについてどういうぐあいに把握して、三全総の中で把握されたか、これについてもう一度済みませんがお願いします。
  159. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) おっしゃるとおりでありますが、大ざっぱなことを申し上げまして、人口増加が毎年あるわけでありますが、過去におきましては日本の人口増加の約三分の二が東京圏と大阪圏に収容されていて、あとの残りの三分の一が地方へ定住していったという、統計上そういう形になっておりますが、三全総で予測しておりますところでは、これからは日本の人口増加の約二分の一が東京圏、大阪圏になお増加しますけれども、残りの二分の一がその他の地域に定住していくということになる計画にしております。このことは三分の二が二分の一になっただけでありますけれども、巨大都市で大きな人口を収容するのとは違いまして、地方の都市におきまして二分の一の増加人口を収容することは、これはなかなか容易ではない仕事であります。そしていま御指摘ありましたように、二十万以上の都市に集中的に地方都市人口増加が認められます。昭和四十五年の国勢調査などを見ておりますと、特に小さい都市は人口が減少しておりますけれども、二十万程度あるいはそれ以上の都市においては人口が急増してきておりまして、学校問題その他でも、人口急増都市の学校問題は単に大都市周辺だけではなくて地方都市にまで及んで施策を必要としていることは御指摘のとおりであります。しかし、五十年国勢調査を見ておりますと、実はこの二十万ぐらいの都市の人口増加がやや過密問題を反映して人口増加が多少なりとも鈍化をいたしまして、むしろ五万ぐらいの都市でさえも人口が急増する都市が出てきているというような形で、いま御指摘いただきましたように、これからの定住構想の中で地方都市人口増加というものがもう非常に明らかになってきているということで、三全総の中では地方都市整備が非常に大きな課題であるという認識に立って書いているつもりでございます。
  160. 増岡康治

    ○増岡康治君 そこで、いわゆる地方都市における定住構想、これが非常にこの中心課題になっておるわけでございますが、いわゆる地方都市における定住圏を確立するための最も重要なものは何かという問題でございますが、これ、いろいろ読んでみますと、いわゆる交通体系等の問題はもちろんでございますけれども、いろんな教育、文化、医療等の問題もいろいろ出てきておりますが、これをひとつまとめて、いわゆる地方都市における定住圏といった場合は何をまず考えにゃいけないか、こういう点についてひとつお願いします。
  161. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) 地方定住圏というものにつきましては、実は都市と農村ということを区別することではなくて、都市と農村とを一体としてそこで定住できる条件をお互いに持ち、お互いにサービスし合うという形をとりたいということが考え方基本でございます。そのときに何を一番手段として重要視しているかというお尋ねでございますが、何しろいま現在経済成長が非常に低迷して不況感があります関係で、各地方公共団体、特に市町村の皆さんとお話をしておりますと、どうしてもここで定住するためには安定した雇用の条件が欲しいという意見がとても強く出てきておるわけでございまして、第一次産業あるいは第二次産業、第三次産業、それぞれその地域の特色に応じてバランスのとれた雇用の条件を基礎基盤をつくっていくということは、やはり地方定住圏における非常に大きな課題の一つであるというふうに考えております。しかし、従来でも工業分散あるいは工業誘致ということで雇用の場をつくってきたことも今日まで事実であり、やってきているわけでありますが、若年層がそこへ定住するためには、やはり教育、医療、文化というような生活そのものに対する行政上のサービス水準を上げておきませんと定住し切れない。特に、子供ができたときの子供の生活の条件というようなことに耐えられないということがありますので、教育、医療、文化等を中心とした生活への行政水準を上げることをひとつ大きな課題にしております。それからさらには、先ほど御質問いただきました、定住圏によりましてはかなり国土の基盤が不安定な地域があり、地盤沈下その他の条件を持ったり、あるいは地すべり等を持った地域もあり、国土保全というものが重要であることはもちろんでございます。  総括的に申しますと、いま御指摘いただきましたように交通体系の整備が非常に大きな課題でありまして、全国三千三百の市町村長に三全総に対する御意見を承りましたものを整理いたしますと、やはりどの市町村長さんも、農林水産業にとりましても、生活にとりましても、あるいは工業、流通にとりましても、地方定住圏を確立するためにはやはり交通体系というものの整備をしてほしいという要望がきわめて熾烈であるということがございまして、それらの御意見を反映して交通体系の整備を整えていくことを考えておるところでございます。
  162. 増岡康治

    ○増岡康治君 いまの交通体系の要望が強いというお話、そのとおりだと思うんでございますが、地方の中小都市あるいは農村でもいいんでございますけれども、この定住ということを考えますと、その環境整備というものをいまからやはり頭に浮かべておかなければいけないと思います。まあ道路だとか――一般の交通という概念が正しいと思いますが、交通だとか国土保全だとか水の問題だとか、あるいは上水道だとかいうのはわりあい考えやすいんでございます。ところが、そういうところにおきましても下水道の問題がいずれは問題になってくる。特に、今回はいわゆる流域圏構想あるいは水系主義と先ほど大臣がおっしゃいましたが、こういうようなものを考えていきますと、やはり上流の都市でありましょうとも、上流で汚すとその水はだんだん下流へ流れてくるわけでございます。そういうようなことから、地方の中小都市あるいはある程度まとまった農山村でも、いまからやはりこの下水道事業というものについてある程度考えておかにゃいけないように思いますが、現在における下水道の進捗状況と、またこういう地方に対する投資、あるいはある程度農山村でもかたまった集落に対してはどういうような考えをお持ちか、建設省の都市局長にお願いいたします。
  163. 中村清

    政府委員中村清君) お答えいたします。  御存じのように、現在第四次の下水道整備五カ年計画、これは五十一年度が初年度でございますが、五カ年計画に基づきまして事業実施しております。計画の目標としましては、五カ年計画がスタートする際には、いわゆる下水道普及率とわれわれ言っておりますが、これが二二・八%である、それを最終の五十五年度末には四〇%に持っていきたいということで仕事を進めております。ただ、計画の過程をつぶさに見てまいりますと、ただいま御指摘がございましたように、地方都市、確かに大都市に比べて従前の投資も非常に少なかったということもございますけれども、下水道整備状況がいわゆる大都市に比べるとよくないといったことが言えるのでございます。そこで、私ども大体大都市、大きい都市、下水はおいおい整備されてまいりましたので、これから中小の都市に向かって、中小の都市の下水道について大いに整備を図らなければいけないというふうに考えております。  なお、ただいま御指摘がございました、いわゆる地方の農村の下水道の問題でございますが、これは都市計画区域外の小規模の農村集落につきましても下水道整備をしてくれという声が非常に強うございますし、また、その必要性も大変強くなってきたということがございまして、実は昭和五十年度から特定環境保全公共下水道という制度を新しく設けまして、小規模の農村集落等を中心にしまして事業実施しております。これは現在事業実施個所は約三十五ほどございますが、今後とも農村の下水道整備につきましては、農林君の方でもやっておられる仕事がございますけれども、それと両々相まって整備に力を入れていきたいというふうに考えております。
  164. 増岡康治

    ○増岡康治君 いまの話も聞いてわかるんでございますけれども、相当これは各地方都市あるいは農山漁村も金がかかるなという実は感じがするんです。いままではどちらかと言えば上の方から下の方へこういろんなプロジェクトを押しつけるということから、今度はみずから市町村の国民が自分の方でものを考えようということになって、逆に受けざらをつくるようなことになってこようと思うわけでございます。こういうことで相当政策投資が行われにゃいけない。従来のただ縦割り行政のままでこうやってもなかなかこれはむずかしい。やはりねらったものはねらったように政策的な先行投資をやらにゃいけない。こういうことにつきまして、先ほど長官がおっしゃいましたように、来年からひとつこういうものについてもずっとにらむんだというようなお話でございますけれども、この政策投資というものが従来も行われてきたわけですけれども、そう如実になかなか傾斜配分その他というのは案外できそうでできないという感じが私するわけでございます。今回のようなこういう三全総の精神を大いに推進するということになると相当な政策的な投資が必要であるし、また国土庁におかれても、従来の事業調整費等は非常に喜ばれたんです、実は。こういうものをさらに拡大して、調整費をもって政策投資を応援するとか、こういう点について非常に私どもは期待しておるわけでございますが、こういう政策投資といいますか、各省が持ち得る施設計画予算というものを、若干いわゆる傾斜配分等の問題、バランスをとるという点について、今後国土庁におかれてはどういうフォローをなさいますか。これは長官にひとつお願いしたいんでございますが。
  165. 田澤吉郎

    国務大臣田澤吉郎君) 先ほども申し上げましたけれども、これから三全総を実現してまいるためにはやはり地方公共団体が積極的な姿勢をとっていただかなければいけない。そのためにはやはり市町村、地方公共団体のいわゆる地方財政というものに、行財政に思い切った変革、あるいは思い切った重点を置いていかなければならないと思うのですね。それからもう一つは、現に農林省がいま進めております農村総合モデル事業というのがございますが、このように選択的な投資ができるような形をするという、いわゆる政策目的的な投資を進めるということがこれから非常に重要だと思うのでございます。要は、地方公共団体がいわゆる積極的な姿勢をとって、それに政府がこたえていくという姿勢が中心でございます。さらに私たちは、やはりそのほかに国土庁が中心になって、先ほども先生からお話がございましたように、縦割り行政だけじゃやはり国民にサービスができませんので、調整官庁である国土庁が中心になりまして関係省庁との調整をしてこの事業の促進を図りたい。これは五十三年度から予算の面でできるだけ私は重点を置いてこれを進めたいと思いますが、三全総ができたばっかりでございますから、どの程度まで大蔵省が理解していただくか知りませんけれども、できるだけそういう姿勢で私たちは今後進めてまいりたいと、かように考えております。
  166. 増岡康治

    ○増岡康治君 これからの三全総の進め方でございますけれども、だんだんと作業がまたおりていくことと思っております。先ほども話がありましたようないわゆる流域圏というものを考えますと、二百か三百ぐらいあるという話を聞いておりますが、こういう作業はどういうようにして今度下へおろしていかれて、また上へ持ってくるか、こういう一つのプロセスですか、これひとつ聞かしていただきたいのですが、局長お願いします。
  167. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) 第三次全国総合開発計画閣議決定されましたので、定住圏そのものについて少し具体的な検討を始めたいと思っております。まず最初に、事務的には国土庁の内部におきまして、各局にも関係いたしますので、国土庁内におきまして定住圏の具体化のための作業のグループをつくって作業を進めたいと思っておりますが、やはり関係省庁が非常に多くなりますので、いままで特に広域生活圏の仕事をしておられた自治省や建設省などの関係省庁ともよく連絡をして、私ども中央官庁なりの考え方の一案を一応つくりました上で地方公共団体とよく御相談を始めたいというふうに思っておりまして、その御相談の結果をもってまた再びまとめていくということの繰り返しをしばらくやらせていただこうというふうに考えております。
  168. 増岡康治

    ○増岡康治君 この作業の問題を取り上げましたのは、いろいろ私も各地方の市町村長さんにお会いしますと、今度の三全総の受け取り方は、だんだんこれからは自分でものを考えなくてはいけなくなったと、ひょっとしたら上から何も言ってくれないんじゃないかと、やはりいいものはいい、指導してほしいということが非常にあるわけです。自分でものをやらにゃいけなくなったということを盛んに言っております。いままではやはり手段が先へ出たものですから、それについていけばどうにかなったということから、今度は自分たちでとにかくいいものをつくろうということで若干戸惑いもあるわけでございます。その戸惑いをやはり助けてあげにゃいけない。皆さん方から各市町村計画あるいは県計画、だんだんできていくわけですけれども、やはり全国的な視野に立った政策があるわけでございますので、そこらをやはり市町村の皆さんがよく理解していただけるのは、その作業経過においてそういうものがまた如実に出てくるものと思いますので、この作業も非常に私ども注目をしておるわけでございます。ひとつよろしく市町村長さんといいますか、地方の人とよくお話を願って、やはりみずからやろうという気力のあるようなものに誘導していただきたい、これはお願いでございます。  そういうことを前提にいたしまして、やはりいま先ほども触れられたように、何が一番必要かということになると、交通問題のようなものが如実に出てくるわけでございまして、いわゆるモータリゼーションという問題に対して将来どう受けとめるか。モータリゼーションというものに対して、巨大都市ももちろんですが、農山村も非常にこういうものに対してどう受けとめて日本人は考えにゃいけないか。今回の計画をされる立場から、モータリゼーションに対しての問題を地方都市とどう結びつけて考えておられるか、もう一度ひとつお願いします。
  169. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) 第三次全国総合開発計画の中で、交通の各分野の調整を関係省庁ともいろいろディスカッションをして決めさしていただいたわけでありますが、その中でモータリゼーションをどういうふうに評価するかということは非常に大きな問題点の一つでありました。その問題といいますのは、片方では、石油資源その他資源問題からモータリゼーションというものはやはり疑問があるという考え方、もう一つは、騒音あるいは排気ガス等のためにやはりモータリゼーションが増加することに問題があるという考え方で、でき得ればモータリゼーションをできるだけとめていった方がよいという考え方であります。しかし一方では、実は巨大都市におきましてはすでに御承知のようにモータリゼーションは頭打ち状態になってきているわけでございます。しかし、地方都市、農山村を結ぶ交通につきましては、現在まだモータリゼーションが非常な勢いで伸びている状況でございます。そのために大都市はモータリゼーションから大量交通機関、そういう手段に切りかえるという前提で計画を練っておりますが、地方定住圏に対してモータリゼーションをとめることができるかどうか、あるいは適当であるかどうかということが非常に大きな課題であります。私ども計画といたしましては、ある程度のモータリゼーションはやむを得ないという見解に立っております。それは地方の定住圏におきまして交通量をいろいろ検討してまいりますと、輸送量の単位が非常に小さくて頻度が非常に低いものですから、大都市のように大量交通手段に切りかえることが非常に技術的に困難であります。そしてしかも、バスでさえも経営上の困難を感ずる状況であるというような実態から、地方都市、農山村の皆さん方がやはり小さい自動車というものを中心にモータリゼーションが非常に伸びてきている現実があって、それを無視することができないということを考えて、そのための道路整備はやはり重要な課題であるということにしております。しかし、野放しでモータリゼーションがよいということではあり得ませんで、やはり最小限にモータリゼーションをとめたいということは考えておりますが、それ以上に自動車におきます排気ガス、騒音をもっと技術的に改善できないか、あるいは燃料消費量をもっと少なくできないかという、自動車それ自体に対する技術開発の投資がきわめて重要であるということもあわせて申しておるわけでございまして、ここ十年、やはり地方の定住のためにモータリゼーションが避けては通れない問題であるというふうに考えております。
  170. 増岡康治

    ○増岡康治君 確かに私どもそのように考えて地方を見ておるわけですが、とにかくいま御承知のとおり、若い方々を農村に残そうと思っても必ずこれは乗用車とトラックをペアで与えないととても定着しないし、わずかなたんぼへ行くにも恐らく皆自動車で行っておる、こういうことがありますだけに、この問題は相当やはり軽視できない問題だと、技術開発その他も大いにひとつやりながら、農村の若者というものもこういうものに非常にあこがれを持っているだけに、交通体系もやはりこういうものに沿っていかないと、なかなか定着しないように私も思っておるわけでございます。  それで、この三全総では、一番最後のところに、いままで新全総でフォローいたしましたいろいろなネットワークの問題等がいろいろと書いてあるわけでございます。今回のこういうような作業は恐らく六%の経済成長云々を頭に置きながらこういう表現になったと思うわけでございますが、経済成長の問題とリンクしておるように思いながらも、やはりこういうような定住圏構想とは言いながら、みんなの待っておるのは国土の主軸をなします高速交通体系といいますか、これを非常に期待をしている。また、その期待をしておるところがこれからいわゆる大きな人口を定住させたいというところにもなりますので、この辺に対して、ただ定住圏であるからということでこの辺が失われるということはまた地方の活力を失うことにもなる、あるいはまた民間のエネルギーをどんどん引っ張っていくにはこういうものもぜひとも必要であろう、あるいはまたエネルギー政策から来るいわゆる大きな開発地点の問題についても必要なものはどんどんやらにゃいけないと思うわけでございますが、この点について大臣のお考えを聞きたいと思います。局長で結構でございます。
  171. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) いまお尋ねの点は、幹線交通体系と工業基地のことだと思いますが、この定住圏というものを非常に強化して定住構想を出しておりますゆえんのものは、新全総におきまして幹線交通体系というものに重点を置きました結果として、やはり幹線交通体系がややもすると大都市集中型の効果を非常に大きく持つのではないかという御疑問が非常に出てきていたことも事実であります。したがって、私どもとしては幹線交通体系の整備の前提としては、やはり地方の定住圏一つ一つがかなり強い基盤を持つことが前提でありませんと、幹線交通体系を整備する趣旨が十分生きてこないということに立って定住構想を表に出して、その強化を特にこの計画の中でうたっているわけでありますが、しかし、三十七万平方キロの中で一億数千万人がともかく生き抜いていくためにはやはり全国幹線交通体系というものをつくり上げて、第一次産業の市場にいたしましても、あるいは二次産業のいろいろな生産と消費との関係にいたしましても、幹線交通体系が重要な役割りを果たすということについてはやはりその意義は失われてないわけでございます。しかし、いま御指摘いただきましたように六%という経済成長を前提にしておりますので、いままでのように十数%成長したという経済のもとで非常に速い速度で建設が進んだ時代とは違うわけでありますし、やはり環境問題あるいは住民との関係というものもきわめて重要な課題でありますから、慎重に慎重さを重ねてやはり幹線交通体系をつくり上げていきたいというのが第三次全国総合開発計画考え方でございます。  工業基地につきましては、実は特に今日重要と考えておりますのは、エネルギーを中心とする工業基地をやはりある程度、最小限建設することがどうしても重要であるという観点に立っております。そして六%成長の中で必要となるエネルギーの量に対して、それを供給するに足るだけの基地の設計をしなければならないということを考えておりますが、現在御承知のように東京湾瀬戸内海にほとんどの石油を中心とするエネルギー基地が集中立地しておりまして、この集中立地を実は環境問題からいえば若干でも軽減したいぐらいの感じでおりますけれども、現実はまだ若干増加する傾向にあるわけでございますので、やはり長期的には東京湾瀬戸内海を避けた外洋に面した地域に新しい基地を用意しておく必要がある。で、これからの工業基地はやはり計画を立て、アセスメントをし、住民の方々ともお話し合いをして建設工事をするということを考えますと、やはりある意味では七年ないし十年かかるというような大仕事でございますから、少し早目から手を打ってちょうどいいぐらいではないかというふうに思っておるわけでございまして、その幾つかの工業基地について、少しづつ地区ごとにその進みぐあい、あるいは内容が違いますけれども、一つ一つ慎重に建設を始めるということをこの第三次全国総合開発計画の中で書いているところでございます。
  172. 増岡康治

    ○増岡康治君 最後に、先ほど申し上げましたように三全総というものが非常にどういいますか、地域問題になるわけでございます。この三全総をずっと見ていますと、私はたまたま広島の人間でございますから中国地方でございますが、中国地方という名前というのはなかなかこの中では出てこない。まあ瀬戸内海へちょうど臨んでおるということかもしれませんが、北海道、東北と九州等、非常にしっかりした迫力のあるものとして裏づけてありますが、まあこれは余談でございますけれども、中国地方というのは山陽、山陰がございます。いわゆる山陽筋というものに対しては、なるほどこれは文化的な、あるいは教育的な面の目玉商品はあるんでございますが、これといってこの中へ特に名前が出るのは、中国地方ではいわゆる山の中の林野的な感じが出てまいりますが、何か私も十分よく読み尽くしておりませんが、いわゆる計画をなさった段階で中国地方についてはどういうような感じで頭に浮かべておられたか、最後にちょっと下河辺さんに聞きたいと思いますが。
  173. 下河辺淳

    政府委員(下河辺淳君) 新全国総合開発計画のときと違いまして第三次全国総合開発計画では地方別のコメントをしませんでしたので、いまお尋ねのようなことがあったかと思います。しかし、これは国土庁ということになりましたので、その全国計画全国計画としてつくり、そして各地方別にはまた地方別の計画を別途つくるということを前提にしておりますので御了解いただきたいと思いますが、第三次全国総合開発計画におきましては各地方別の定住人口につきましてかなりの作業を詰めてやっております。実は四十七都道府県の事務方と私どもで何回か定住人口の構想について作業を共同でいたしまして、その成果をここへまとめたわけでございますが、感想を述べろというお話でございますので若干述べさしていただくとすれば、この各都道府県との作業の結果として、この第三次全国総合開発計画の地方別の定住人口なり、あるいは年齢別なり、あるいは工業なりという配分をここで示してございますが、一言でいいますと、中国地方につきましては、昭和五十年の人口の封鎖人口よりもやはり下目の人口が定住人口の構想の目標になっているということで、中国地方でやはり封鎖人口まで収容していくことに非常な無理がある面を一応は反映していると思うんです。  しかし、御指摘ございましたように、山陽と山陰の違いが非常にございまして、山陰地方にあってはむしろ定住したくてもなかなかできないという困難な問題があり、山陽についてはこの人口の――先ほど広島について御指摘があったように、余り急激に人口が急増しないようにという配慮があるにしても、現実はかなり人口が急増する可能性を持っているというようなむずかしい問題を持っていると思いますが、中国地方の計画としてさらに検討をさしていただきたいと思います。
  174. 増岡康治

    ○増岡康治君 ありがとうございました。終わります。
  175. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は、前回、前々回の当委員会で同僚議員の質問がございました。それとの重複を避けながら、非常に断片的になって恐縮ですけれども、当面の課題について若干お伺いをしてまいりたいと思うわけです。  まず最初に、公共工事におけるいわゆる共同企業体方式、ジョイントベンチャー、このあり方についてでありますけれども、このジョイントベンチャーの方式は、御承知のように中小建設業者の技術力の向上、あるいは地元の中小企業者の工事配分の増大と、こういうものを意図しまして、昭和三十年代の後半から公共工事にこの方式が取り入れられ、特に建設省が力を尽くしてこられた。    〔委員長退席、理事赤桐操君着席〕 このあり方はよく承知しているわけですけれども、十一月の十日でしたか、建設省の方から共同企業体の適正な活用についてと題する通達を発注機関の長、あるいは共同企業体による適正な施工についてと題する通達を業界団体の長にそれぞれ計画局長名で通達を出しておりますが、この趣旨を一度御説明願いたい。
  176. 大富宏

    政府委員(大富宏君) お述べになりましたように、公共工事が次第に増大するに伴いまして、その円滑な施工を確保するとともに、中小企業者の施工能力を上げるという意味で、中小企業同士のジョイントベンチャーを中心としてこの推奨方を指導してまいったわけでございます。事務次官通達といたしまして三十七年十一月、四十一年の五月に事務次官通達を出しまして、共同企業体の活用の適正化について流したわけでございますが、それ以降非常に共同企業体による発注方式が多くなってまいりましたけれども実態をよく調べてみますと、必ずしも三十七年通達あるいは四十一年の通達のとおりにいっていない、いろいろな問題が出ているということを業界からの陳情もございますし、発注者からの問題指摘もございましたものですから、十一月の十日に計画局長名をもって通達を出したわけでございますが、その局長通達の内容は、いままでの事務次官通達に新たな内容をつけ加えたことということじゃなくて、むしろ三十七年あるいは四十一年の事務次官通達をもう一回ひとつ原点に返って適正にこれを運用されたいという注意を喚起する内容のものでございます。そこで、主な内容は、ジョイントベンチャーというのはそもそも構成員が相互の信頼と協調を前提として共同で工事を施工するというのが内容でありますから、いやしくも共同で円滑に適切に工事ができないような仕組みがないように、ひとつ発注者に十分御指導をお願いするという内容でございます。
  177. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういうふうないま御説明ですけれども、それじゃもうちょっとさかのぼってお伺いしたいんですが、このジョイントベンチャー方式による工事の内容が、実績がふえてきたと、こういうふうに御答弁がありましたが、その実績はどうなっていますか。   〔理事赤桐操君退席、委員長着席〕
  178. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 公共工事の前払い保証を受けた建設工事についてだけのデータでございまして、四十八年度以降でございますが、四十八年度は全体に占める割合が七・九%、四十九年度が八・三%、五十年度が一〇・六%、五十一年度が一六%、五十二年度は現在まだ四月から五月までのデータでございますが、全体の請負工事量の一五・八%というぐあいに逐年増大いたしております。
  179. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、いま御報告をいただいた数字を振り返ってみますと、当初やはり建設省が予定をしたいわゆる中小業者にも機会を与える、こういう所期の目的は漸次果たしてきているわけですね。にもかかわらず、ここで原点に戻るような――通達も私拝見しましたが、確かに局長がいま答弁されたように、事新しいものを含んでいるわけじゃないんです、通達の内容は。しかも原点に返れと、こういうようなことを特に強調しなければならない状態というのは、恐らくことしの五月でございましたか、建設省が主要な発注官庁だとか、公団だとか、都道府県だとか、指定都市などの発注機関に対してアンケートをなさった。そのアンケート調査でとらえて出てきた問題について、問題点をそこでつかんで、それを背景にしてこういう通達が出たと理解されるわけですが、そこで上がってきた問題点というのは、どういう問題点が上がってきましたか。方向としては伸びている、しかし、ここで改めて原点に戻るような通達を出さなければならぬというのは、そういう問題点が出てきたからだろうと思うんですが、その点お伺いしたい。
  180. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘になりました五月の調査でございます。近年非常に共同企業体の施工がふえているということで、その活用の内容いかんということで早急に実施を行ったわけでございまして、調査対象機関は、お述べになりましたように各省庁、都道府県、指定都市、公社、公団等の主な発注機関百三機関について行ったわけでございます。調査の方法は各発注機関の契約担当課あてにこの調査票を配りまして、そこから発注機関の出先においてそれぞれ調べて、その結果をまたまとめて建設省に報告してもらうというやり方であったわけでございますが、調査項目といたしましては、共同企業体による施工の実績はどうであるかとか、共同企業体の資格審査は一体どのような時期に行っているか、共同企業体の構成員の組み合わせについて一体発注者はどのような指導をやっているだろうかというような調査項目でございます。  調査結果を概括的に述べてみますと、共同企業体による施工実績のある発注機関は、いま述べました百三機関のうちで七十五機関が実施しているという数字になっております。それから共同企業体の資格審査の時期は年度当初に行われるもの、年度当初から初めからジョイントベンチャーを組ませて指名願を出させるというものと、工事発注ごとに行われるものと、両方の方式を採用しているもの、いろいろな問題があるわけでございます。それから構成員の組み合わせにつきましても、あらかじめ発注者において指導をやっているやり方、あるいは自主的に持ってくるやり方、いろいろあるようでございます。それから、この共同企業体というのは三社以上が構成するわけでございますが、この構成員の代表者の選任につきまして発注者がどの程度かかわり合いを持っているかというような調査をやったわけでございます。  いまお述べになりました問題というのは、この中でいわゆるペーパージョイント――共同企業体というのは構成員が共同して一つの工事を責任を持って遂行するということでございますが、ただ、このペーパージョイントというのは、構成員の中で実際に仕事をやるのは数社でやって、実際に参加している中では全然工事をやってないいわゆるペーパージョイントと見受けられるものがどの程度あったかというようなアンケートをやったわけでございますが、これは大部分がそのようなことがないと言われているものもあるわけでございますが、一部いわゆるペーパージョイントという傾向のものも見受けられるという回答もございました。こういった調査の結果と、先ほど申しました業界あるいはその他の発注者におきまして、現在の共同企業体の発注にはそういうようないわゆるペーパージョイント、あるいは共同企業体による施工というのは非能率であるとかいうような意見もございまして、それをもとにいたしまして今回の通達を起案したわけでございます。
  181. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは、私は冒頭に申し上げたように、毎年共同企業体方式による工事の発注がふえている、これは非常にいい傾向だと思うんです。これはもう当初の目的が果たされていきますし、中小業者にもそういう機会が与えられるわけですから非常にいいことだ。ただ、おっしゃった意味の、たとえばこの間五月に建設省がアンケート調査をされて出てきた特徴といいますのは、技術力が違い過ぎてもともと組ませるのが無理だと、こういうような意見も出てきた。あるいは、金だけは受け取るけれども、一方はほとんど工事には関与しない。さらにもっとひどいのは、役所からジョイントの相手を知らされて行ってみたら会社の実体がなかった。こういうようなことが挙げられた。しかし、私は総体的にはこの共同企業体方式というのはよろしい、ただ問題点が上がってきた、だから原点に返れと新通達を出した、ならばその通達にもっと問題点指摘できるような適切な、あるいは将来の方向を含めた通達になさるべきではなかっただろうか。  いろいろ原点に返れというようなお話なんですけれども、たとえばこれは業界新聞ですが、果たしてそのままかどうかわかりませんけれども、「昨今、共同企業体の活用実態についてみると問題なしとしない」、こう指摘してますね。しかし、「本来、共同企業体は各構成員相互の信頼と協調を前提として共同の責任で施工されるよう構成され運営されるべきものであるので、発注者においてもこの趣旨をふまえ、共同企業体がその協定の定めるところにより共同で円滑かつ、適切に施工ができるよう構成員、出資の割合等について適確な指導をお願いする」。文章にあらわれているのはこれだけなんです。ですが、もっとよりよい方向にこの共同企業体方式というのが進むとすれば、もう少しかみ砕いた通達にすべきではないだろうかと私は思うんですが、この点どうですか。
  182. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 建設省の方で、事務次官通達で三十七年と四十一年に通達を出しておりますが、この共同企業体の活用に対する基本的な考え方というものは、もうこの両通達で明確になっているわけでございます。今回計画局長名をもって通達した内容も、これをただ繰り返すということじゃなくて、すでに過去において事務次官通達を出した内容について発注者に注意を喚起するということに重点があったわけでございます。お述べになりましたように、もう少し詳しく書いたらどうだという御指摘でございますが、この四十一年の五月の通達には、いまお述べになりましたように共同企業体の構成員はおおむね五社以内にとどめなさいと、そうしないと責任関係も不分明になりますよとか、単なる受注機会の増大を図るための方便になってはいけませんよとか、工事の適切な遂行が期待できないと判断されるものに対しては指名することなくとか、非常に具体的に四十一年の通達は一々書いているわけでございます。そこで、今回は事務次官通達じゃなくて局長通達ということで過去の通達について注意を喚起した。これが動機で発注者がそれぞれの――発注者というのはそれぞれ発注事情が違うわけでございますから、個別に具体的に共同企業体の適切な活用ができるように、発注者においてそういったものをおつくりいただくことを願っているわけでございます。
  183. 二宮文造

    ○二宮文造君 なかなか火中に手を入れるというふうなことはお役人は避けられるのが普通の姿勢ですけれども、しかし私は、総体的にいい方向に進んでいるこの共同企業体方式を、特殊なこういう悪い事例のために後退するようなことがあってはならないし、さらにまたこれを前進させる意味でも、たとえば東京都や埼玉県、これは独自に共同企業体の基準というものを、あるいはその要綱をつくっていますね。たとえば東京都の場合は、三億円以上五億円未満の工事は中小同士で組ましなさい、これ、いろいろランクがあるようですけれども、ひっとらえて平均的に言いますと、三億円以上五億円未満の工事は中小同士で組ませなさいと、五億円以上十億円未満は中堅と中小で組ませなさい、十億円以上十五億円未満は中堅同士または大手と中堅を組ましなさい、あるいは十五億円以上、あるいは二十億円以上、こういうふうにいわゆる工事の難易といいますか、これを勘案しながら細かくお互いの構成員を選んでいく、こういう組み合わしたジョイントの方式というものを要綱で示しています。  したがって、こういう基準づくりというものを建設省がいわゆる発注官庁に対して指示をしてあげるのが今度の新しい通達の意味ではなかっただろうか。それは前に出しているから、だからもうこういうふうに原点に返れと言っただけだというのじゃなしに、前にそういうことを出してあったけれども、こういう紛らわしい特徴も出てきたので改めてこうだと。ここをやっぱり行政指導といいますか、そういう建設省のかゆいところに手が届くという、こういう通達になるんではないかと私は思うんですが、これはどうですか。ですから、基準づくりをいまや地方自治体に指示をする、こういう段階になったのではないかと思うんですが、局長どうですか。
  184. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘になりましたように、東京都あるいは埼玉県、兵庫県というところでも、それぞれこういった共同企業体の取り扱い要綱は逐次整備されたと思います。私どもはいまお述べになりましたように、共同企業体といいましても、そもそも私どもが最初関心を持っておりましたのは、中小・中小のジョイントをやりまして、お互いに中小の体質の弱い中小同士が集まって施工能力を上げていく、そして一ランク上の仕事をとっていく。むしろ中小企業に受注機会を確保し施工能力を上げるというところにこの共同企業体推奨の原点があったわけでございます。しかし、発注者の事情によりましては、いまや中小・中小という組み合わせだけじゃなくて、大手・大手の組み合わせなり、大手・中小の組み合わせなりというようなものが非常にバラエティーに富んで活用されているわけでございます。そこで、東京都の要綱も埼玉県の要綱も並べて見ますと、大変中身が違うわけでございます。私はこれは発注者の事情によってそれぞれ変わってもしかるべきだと思うわけでございます。ただ、私どもが関心を持っておりますのは、あくまでも共同企業体というのは共同で施工するわけですから、共同でし得ないような余りに実力の差の激しいようなものは困りますよという原点の注意だけを喚起し、あとは発注者にお任せしたいというのが姿勢だったわけでございます。
  185. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでは、自治体には自治体の運営の方針がありますから、そこまで関与したくないというお考えもわかりますけれども、それでは直轄事業の方で、直轄事業共同企業体方式でやるその要綱づくりというものを建設省で取りかかっておると思いますけれども、そう聞いております。建設省のいわゆる直轄事業に対する共同企業体方式というものの要綱はどういうふうな基本的な考えで進んでいますか。
  186. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) ジョイントベンチャーの活用につきましては、先ほど計画局長から申し上げましたように、予算執行の通達におきまして、中小企業の受注機会の確保という観点から、ジョイントベンチャーの活用を直轄としては推奨いたしておるところでございます。したがいまして、年々契約金額でございますとか契約件数はふえてまいっております。ただ、建設省工事は中小に適する工事から大工事にまで各段階に応じて千差万別あるわけでございます。その際にジョイントベンチャーという制度は単に中小の施工能力の向上という意味のジョイントベンチャーだけではなくて、大規模な困難な工事をやるためのジョイントベンチャーということも考えられるわけでございます。そこで、直轄関係といたしましては目的別にこれを整理いたしまして、中小企業振興のためのもの、大規模工事を的確に施工していくためのもの、また地元関係を考えながらこれを円滑に工事をして施工していくもの等、目的別に一応分類をいたしまして、それぞれに応じまして、その構成員は中小・中小がいいのか、大手・中小がいいのか、あるいは大手・大手がいいのか、あるいはジョイントベンチャーを組む場合の数は何社以内が適当であるのかどうか、ジョイントベンチャーを組んだ場合にその資格審査上、御承知のように建設省工事の規模に応じましてランクづけをいたして五段階に分けておるわけでございますが、その際に、資格審査の上にジョイントベンチャーを組んだものを格上げする必要があるのかどうか、あるいは指名の際に何らかジョイントベンチャーについて配慮する必要があるのか等多種多様な組み合わせがございますので、現在各関係集まりまして要綱を検討をいたしておる段階でございます。
  187. 二宮文造

    ○二宮文造君 要するに、先ほどの計画局長の答弁が非常に気になっていくんですがね。いわゆる共同企業体方式が、先ほど答弁されたように中小同士が組んで、そしてその技術力の向上を図って、そしてその一段上の仕事までとれるように、そういうふうに指導していきたいという方針、これはずっと伸ばしていただきたいわけです。ところが、たとえば大手の建設業界の方ではこのジョイントベンチャー方式には非常に疑問をいま投げかけているわけです。もう御存じのように、これは業界新聞ですけれども、対象工事は中小でも施工できるような工事に限定しろだとか、いいですか、それから構成員は原則として二社以内でし、構成資格も下方二階級までの組み合わせにしろとか、こういうふうに大手の建設業界とすればもはやこの共同企業体方式というものがお荷物になりかかってきた、こういうふうな陳情を建設省に繰り返していると私は聞きます。また、今度は中小建設業者の方は、局長が先ほどおっしゃった、お互い中小企業同士で着工できる、そういうものを、方式を伸ばしてもらいたいというふうに、これは中小は中小で言っております。この辺の兼ね合いですけれども、これはやっぱり冒頭に申し上げたように、そもそも共同企業体方式の始まりというのが後者にあったわけですから、これはよもやお忘れなくこの方式を進めていってもらいたいし、またその中に出てくるいろいろな欠陥についてはこれは是正しながら、むしろ積極的に建設省の方から指示、指導をすべきではないか。こう私はお願いしたいわけです。よろしいですか。
  188. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘になりましたように、大手からのジョイントベンチャーに対する要望についても私ども承知いたしております。しかし、いまや共同企業体というのはいろいろな方面で使われ、中小同士のみならず、大手・大手、大手・中小という組み合わせも結構活用されているわけです。で、私どもといたしましては、やはり原点に返りまして、中小同士の施工能力を上げるというところに建設業行政の意味を持っておったわけでございますが、いまや発注者におきましては、やはり大手・大手の組み合わせも大手・中小の組み合わせも発注事情によっては非常に有効な方法だということでございますから、要はこういったジョイントベンチャーの構成員なり出資割合なり施工の方法なりということで、私どもが願うところの共同企業体による施工に欠陥がある、あるいは不適正な施工をなさるということだけは厳に慎むようにというのが私どもの願いでございますので、今後十分ひとつ私どももこれについては監視もし、指導もしてまいりたいと思っております。
  189. 二宮文造

    ○二宮文造君 適確な指導をやっていただきたい。この方式を伸ばしていくために適確な指導をやっていただきたいという意見です。  それから続いて、次に橋や道路などの土木構造物、あるいは設計や工事管理ないしは地域開発計画計画とか、あるいは立案とか、こういうものを中心にしていわゆる建設コンサルタント、これはもう業として成り立っておりますが、この建設コンサルタント業界の現状というのはどうなっておりますか。
  190. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 建設コンサルタントにつきましては、建設省告示でもって現在登録制度で運用いたしております。これは法律でも何でもない建設省の告示でもって登録をいたしまして、ある一定の水準を持っている建設コンサルタント業者を登録して発注者の便宜に供しているというのが実態でございまして、三十九年四月にこの登録規定をつくったわけでございますが、最近大変建設コンサルタントの需要が大きくなってきている。建設コンサルタントの体質を改善し、振興したいということから、五十二年の四月に抜本改正いたしまして、登録水準、コンサルタントの登録すべき水準を少し高めまして現在実施いたしておりますが、この登録規定に基づいて登録されている業者数は、五十二年の一月末現在で千五百三十二社ございます。
  191. 二宮文造

    ○二宮文造君 計画局の建設振興課の所管で社団法人建設コンサルタント協会、こういうのがありますが、この協会が建設コンサルタント業法、この法案の素案をまとめまして、それで建設省にこの素案をもとにして、政府案としてとにかく立法措置をしてもらいたい、業界のいろいろな指導あるいは運営のために立法措置を講ずるように陳情したと聞いておりますけれども、その陳情の趣旨とか素案の内容とかというのはあらましどうなっておりますか。
  192. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 社団法人建設コンサルタント協会からお述べになりましたように五十二年の九月に建設コンサルタント業法案というものが出てまいりまして、建設コンサルタントをひとつ登録制を法律をもって確立して、無登録業者は営業を禁止する、それからコンサルタント業者に対して規制並びに育成を行う、それに必要な国庫補助制度をやったらいいじゃないかというような内容の法案でございます。私どもは先ほど申し上げましたように建設コンサルタント業に対して法律をもって臨む必要性があるのかないのか。現在、建設関連業研究会というのをつくりまして、これには私どもも入りまして、発注者、業界等の学識経験者等も入れまして、まず一番重要な建設コンサルタントの実態一体どうなっているのか、運用の現況がどうなっているかというようなところを十分勉強した上で、立法の有無等について慎重に検討したいという次第でございます。
  193. 二宮文造

    ○二宮文造君 従来も国会で問題になりましたけれども建設コンサルタント、これが業者を通じまして、いわゆる公共工事の場合の工事業者への情報が筒抜けになるとか、あるいは特定業者に契約が偏ってしまう、こういうふうな従来の方式の中で出てきたわけですね。また、登録業者だけでも千数百社と、こういうふうにいま御報告がありましたけれども、多少業界の中は混乱を来しているような状況にもありますね。ですから、これは果たして業法の立法措置が必要なのかどうか、ちょっと私もまだ疑問でございます。立法措置をするのがいいか悪いかということについては、ここで私、意見を述べるだけの材料を持っておりません。しかし、この建設コンサルタントというのが一つの事業として成立をし、そしてその公共工事がそこに依頼をされるようになる。こうなってきますと、いわゆる先ほど申し上げた情報の筒抜けとか特定の業者に偏るとかいうことは、立法措置関係なく適正に運営されなければならないと思います。この点についてはどういうふうなチェックなり、どういうふうな指導をなすっているかをお伺いしたい。   〔委員長退席、理事赤桐操君着席〕
  194. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 建設コンサルタントといいますのは、もう非常に幅が広うございまして、土木建築業の設計管理をやる本来のコンサルタント業のほかに、単なる調査というようなものまでも含んでいる。千差万別でございまして、立法でもって臨む部面というのはどういうコンサルタント業なりやということを今後十分見きわめた上で立法の有無についても検討したいと思いますが、法律の有無にかかわらず、先生のおっしゃいましたように国会でも指摘を受けましたけれども、コンサルタント業と建設業との関係をどう規制していくか、非常にむずかしい問題でございますが、この中立性の確保ということがやはり基本であろうと思います。私ども建設省告示で現在コンサルタントの登録規定をつくっているわけでございますが、この中に、業務に関しまして不誠実な行為のあった業者につきましては、登録規定におきまして登録を削除するという規定も設けております。それから先ほど申しましたように今度の登録規定を五十二年の四月に全面改正いたしましたが、そのときの通達事項におきましても、コンサルタント業者というのは依頼者の利益を害することのないようにということを通達の中にも入れております。そのコンサルタントにつきましては、先生の御指摘になった点が中心の課題だと理解いたしております。
  195. 二宮文造

    ○二宮文造君 従来、国会で問題になった、特に問題になっているのは、建設業者の資本出資に基づいてコンサルタント業をやっていると、こういう場合に親会社との関係、これが非常に密接なものですから、こういう問題がありましたから、この点特に留意をして指導していただきたい。  それから次、先般、大臣、補正予算の審議の際に、住宅金融公庫の金利の引き下げを野党の三党が要望をし、そうして野党三党とそれから自民党との間に申し合わせ事項ができまして、御承知のとおりでありますけれども、この申し合わせ事項の第一項に、来年度の公庫融資の改善については貸し付け総枠並びに貸し付け限度額の増額等を含め前向きに検討する、こういう一項目が加わっております。御承知のとおりです。これはしかも自民党の当初の回答は、来年度の公庫融資の改善については前向きに検討をする、こうなっていたのを、それでは余りにも不明確である、貸し付け総枠並びに貸し付け限度額の増額等を含めと、こう挿入されたこと、やりとりの経緯は御承知のとおりだと思うんです。しかも自民党サイドのコメントでは、貸し付け限度額の増額については画期的に配慮する――これは文章にはなっておりませんけれども、そのときの話し合い等の中では画期的に配慮すると。こういうふうな背景のもとに来年度の住宅金融公庫の融資の問題について野党三党並びに自民党との間で申し合わせができました。それを受けて大臣、今度、来年度もう間もなく予算編成の時期がまいりました。伝えられるところによりますと、年内に大蔵省原案を決めるというところにまで来ておりますが、さて、大臣の双肩にかかっておりますが、この申し合わせ事項をどのように大臣こなしていただけますか、御決意のほど伺いたい。
  196. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) お約束を申し上げた点につきましては、最大限の努力をして御期待に沿う覚悟でございます。
  197. 二宮文造

    ○二宮文造君 たとえば、この間の補正予算のときには、低所得者の場合にはもう優先貸し付けにする、二百六十五万円ですか、所得二百六十五万円を限度として、その方々のためには優先貸し付けをする、あるいは今回に限っては二十万円貸し付けの限度額の枠を増額をする、こういう申し合わせが二、三に続きました。御承知のとおりです。今回十月の申し込みの場合に二十万円ふえたわけですが、来年度は、これは文章にはなっておりませんが、貸し付け限度額の増額については画期的に配慮する、こういう心証を得て申し合わせがその背景の中で出ているわけですが、この辺は一生懸命大臣が努力されるという意味はわかるんですが、私どもはやはり画期的にという言葉を踏まえますと、今回でも二十万円だと、低所得者の場合ですよね、今回二十万円ふえた。画期的というのがつくと、さらにもっと腰だめをして予算の折衝に当たっていただくと、こういうふうに私受け取りたいわけですけれども、金額が五十万とかなんとかということは私は言いませんけれども、そういうふうに大臣は決意をして交渉に当たる、そういう姿勢にあると了解してよろしいですか。
  198. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) そのとおりに私も懸命に努力をいたす覚悟でございます。
  199. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣のお気持ちをくみながら私質問するので非常にやりにくいわけですが、答弁がしやすいように注文しているわけですけれども、しかし、補正予算の審議の際に自民党と野党三党の間で取り決めたこの住宅金融公庫の扱いというのは、これは非常に画期的なことだと私は理解しておりますし、これはやはり忠実に履行していただかなければならぬと思います。大臣の御健闘を祈りたいと思う。  そこで、その点に関連してお伺いしたいわけですけれども、住宅金融公庫による個人向けの住宅融資の今後のあり方についていろいろ言われておりますので、この際大臣並びに住宅局長等の御意見も伺っておきたいんですが、これまで融資対象者は返済能力との兼ね合いで下限は決められておりました、下限は。所得の下限ですね。が定められておりましたけれども、上限には制限がなかった。したがって、そういう兼ね合いから高所得者が政府の低利融資を受けられるのは不平等だ、悪平等だと、こういうふうな意見もないではなかったわけです。ですから、せっかくの政府融資、公庫融資、これがやはり低所得者にはどうしても月月の返済能力との関係、生活との関係から、手は出したいけれども、まじめに考えれば考えるほど公庫融資を受けて住宅を建てるということにはなかなか踏ん切れない、まあ従来こういう経緯があった。したがって、それを利用する人はやはり高所得者の方に向けられたんではないか。だから、せっかくの政府融資だから、もう少し低所得者の方々が利用できるように、強いて言うならば今度は逆に上限を切って、それ以上は銀行ローンでお建てなさいと、こういうふうな方式にやるべきではないかという意見もあるわけです。この辺について、今後の住宅政策を進めていく局長として、こういう意見に対してはどういうお考えを持っていますか。
  200. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 公庫融資の際に上限を切ったらどうかということに対しては、実は住宅宅地審議会の答申の中にもそういうことが述べられておりまして、今後の検討課題になっております。従来、上限を設けておりませんでした理由は、住宅金融公庫が融資いたします対象の住宅が四十平方メートル以上百二十平方メートル以下という限定がございました。したがいまして、うんとふところの温かい人が、そういう小さい家じゃなくてもっと大きい家をおつくりになるだろう。住宅の対象戸数といいますか、対象の規模の中ですでにある程度所得が反映しておるというように考えておったわけでございます。しかしながら、御案内のとおり、最近に至りまして新しく第三次五カ年計画推進するに当たりまして、規模につきまして閣議決定をいたしております。その閣議の決定を十分に達成させるというためには、やはりある程度もう少し大きい住宅についても援助の手を差し伸べる必要があるという見地から、百二十平方メートル以上百五十平方メートルぐらいの住宅につきましても融資の対象にするということを大体方向として決めたわけでございます。しかし、それとうらはらといたしまして、やはり従来のようにそういうふうな対象だけで限っておるということではまあぐあいが悪いということでございまして、昭和五十一年に住宅金融公庫法の改正をお願いいたしました。所得が比較的多い方、もしくは規模が比較的大きい住宅をお建てになる方に対しましては、従来の五分五厘の金利とかえまして、資金運用部資金と連動いたしまして、利子補給金が要らない新しい銘柄の融資をつくったらどうかということで、そういうことができるというふうに法律を改正していただいております。現に百二十平方メートル以上百五十平方メートルまでの家をおつくりになる方については、昭和五十二年度から六分五厘の金利で融資を始めておるところでございます。  いま先生のおっしゃいましたように、一番上を切りまして、これ以上は民間に行ってくれという上限の問題。それともう一つ、いま申し上げましたように五分五厘と六分五厘の間の問題があるわけでございます。それらの点も含めまして総合的に検討しなければならないと考えておりますが、実は同じ法律改正の際に、その六分五厘の対象の者は毎年度予算の一割以内という制限もついております。その辺のところをかみ合わせますと、非常にむずかしい詰め将棋になりますが、そういうことを念頭に置きながら十分現在勉強いたしておりますけれども、予算編成に当たりまして大蔵省と十分協議をしてまいりたいと考えております。
  201. 二宮文造

    ○二宮文造君 協議していただくのは結構なんですがね、国民にしますと、家を建てるというのは相当前から準備をし、計画をし、そしてその資金繰りをし、その上で今度は家族会議を開き、月々の返済が可能かどうか、将来のベースアップはどうだろうか、そこまで検討しなければなかなか家というものは建たないんです。したがいまして、やはりその方針というものがそのときそのときに適確に国の方から示されぬと国民は困るわけです。  私がこういう問題をお伺いするのも、つい先ほども申し上げましたけれども、補正予算のときにいわゆる低所得者については無抽せんという、優先貸し付けという新しい方向を採用したわけですね。これは非常に画期的なことだったと思うんです。それを参考にして一部ではこういう意見も出ております。公庫融資のあり方については、低所得者には五分五厘で無抽せんで貸し付けをする、あるいは中所得階層についてはこれまでどおり五分五厘だけれどもこれは抽せんになる、高所得階層については抽せんで六分五厘ですか、これで貸し付けをする、まあこういうふうな進め方をやったらどうだという意見が、これは民間じゃありませんよ、一部政府部内でもあるようですけれども、この点についてはどうですか。
  202. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先日、新聞紙上等で、そういうふうに関係当局の方からも考え中だというのが記事に載っておりました。現在のところ予算要求さなかにおきまして、大蔵省との間でそういう話は一切まだいたしておりませんけれども、まあ私どもいろんな案があると思います。それも一つの非常に有力な実行可能な案ではないかと想像いたします。しかし、私の立場でいまここで、いま聞いたところで考えを述べろと言われますと、私はやっぱり中所得等二つに分けないで、五分五厘のところは全部無抽せんにしたらどうか、その間の仕切りをつけて、上の方は抽せんというのが実は建設省の立場では最後まで主張すべきではなかろうかというふうな感じがいたしております。
  203. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと、低所得階層、中所得階層、高所得階層と、こういうふうに三つに分けるような考え方ではなくて二つに分ける、こういうふうな進め方の方がいいではないかというふうな、これはまあもっとも局長のこの場における感触としてお伺いをしたわけですがね、果たしてそれで……。下の方の段階は無抽せんでする、下の段階は。上の段階は抽せんにする。抽せんで、あれですか、高い利息の方ですか。その辺ちょっともう一遍。
  204. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 最初、いま先生がおっしゃいました方式は、私はきわめて実行可能な実現性のある案ではないかと申し上げたわけでございます。しかしながら、われわれは来年度といたしましては、総枠それから融資額のみならず戸数についても相当努力をしたいと考えております。その努力の目標といたしましては、やはりいま言ったように五分五厘は全部無抽せんだというぐらいの意気込みで要求をしなければ、私はもう何といいますか、全体としていい結果にならないのじゃないかというのをいま思ったと申し上げたわけでございます。
  205. 二宮文造

    ○二宮文造君 まあ元気がよくて結構ですけれども、これは詰めません。そのように努力していただいた方が国民の方は助かりますから詰めませんが、ただ、やはり政府の一部の部内でこういうふうな低所得階層、中所得階層、高所得階層と、こういうふうに分けて、そして五分五厘での無抽せん、あるいは五分五厘での抽せん、そしてまた六分五厘での抽せんと、こういうふうに総枠との関係もあるからやったらどうかというふうな意見があることは私もうなずけると思うんです。ただ、この所得区分ですが、この所得区分の決め方というのが非常にこの場合めんどうになる。そこで、いろいろその所得区分の決め方について意見があるようですけれども、たとえば低所得階層というのは公営住宅の入居資格者の上限収入、先般も採用されました二百六十五万円、それから中所得階層と高所得階層との線引きについては、年収が五百万、六百万、この辺の線で中高のめどを置いたらどうだろうかというふうな意見もあるようですけれども、この辺についての感触はどうですか。
  206. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) その辺につきましても、余り高く決めますと意味がございませんし、余り低く決めますと、はみ出しがふえるというようなことから、非常にむずかしいやっぱり詰め将棋であろうと思っております。いまここで数字を申し上げるのはきわめて適当でないんだろうと思いまして、十分検討した上で関係当局と相談をしたいと思っております。
  207. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから先ほどちょっと、建坪百二十平米から百五十平米、これについては、非常に大きな家ですね、建てた場合には六分五厘の金利が採用されて、五十二年度からそうなっていますと、それで百五十平米まで建築が可能になりましたと、公庫融資でね、こういう答弁がありました。この場合、年寄りとかそれから身体障害者、しかも低所得者の場合、家族構成が大きくて、しかもお年寄りがいるとか、あるいは身体障害者がいるとか、どうしても建坪面積を大きくしなきゃならぬと、こういう場合にはやはり配慮されると私は思うんですが、現行制度はどうなっていますか。
  208. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 現行制度におきましても、先生のいまの御指摘の点と全く同様でございまして、六十歳以上の人が同居する場合、それから六人以上の家族が同居する場合、それから心身障害者とその親族が同居する場合という場合には、百五十平米までをおつくりになる場合でも五分五厘で融資をするというふうになっております。
  209. 二宮文造

    ○二宮文造君 それはぜひそのままにしていただきたいと思うわけです。  それからもう一つ、いつも公庫融資で問題になりますのは宅地の購入資金なんです。建築費も標準建築費や何かで相当やっぱり自己資金を用意しなきゃなりませんし、特に宅地の購入資金、これの貸し付け限度額を大幅に引き上げていかないととてもじゃないけれども現状にそぐわない、こういうことで非常に要望が強いわけですが、この点はどうでしょうか、宅地の貸し付けの限度額の引き上げ。
  210. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 従来も土地の合理的利用を図る中高層の分譲住宅はもちろん貸しておりますが、それ以外にも計画的に開発された良好な住宅地の購入に対して貸し付けをいたしております。金額は先生おっしゃるとおりいままで非常に低うございました。来年度も一遍にこれは引き上げるというわけになかなかまいらぬと思いますけれども、できる限りの増額をいたしたいということで予算要求を現在いたしておるところでございます。
  211. 二宮文造

    ○二宮文造君 ただ、問題は方向性を早く明示をしていただきたいということです。予算折衝の技術的な問題、駆け引きの問題もありましょうけれども、最近では先にPRした方が勝ちのようですから、ひとつ建設省の方で打ち上げて、それで大蔵省が渋ったら、悪いのは大蔵省だというふうに世論を巻き上げていけば、それも仕事の一つではないかと。国民の方は、先ほども言いましたように早いところ方針を決めていただかないと、さあきょう決まった、そして今月中に申し込みだというようなことではとても段取りがつかないわけです。したがって、補正予算のときにそういうやりとりもありましたし、あるいは景気対策の一環としてこういう住宅の建設というのが相当に期待される面もありますし、また国民の住宅事情の中からも相当数建てかえをしなきゃならぬ必要に迫られているわけですし、いいしおですから、早い機会に方針を明示をしていただいて、国民の方もそれに対応する姿勢が早くとれるように決断をしていただきたいと思うんですが、大臣、この点はどうですか。
  212. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) お話本当にごもっともだと思うのでございまして、家を建てたいという、人間は皆その本能を持っておるわけでございますから、それに対して政府の方で一日も早く、いっときも、一刻も早くやはりその方針に沿うような方法をとるということが当然な義務だと思います。したがって、仰せのとおりなるべく早く決まり次第ひとつ報告をしていきたいと、こう考えております。先ほどから局長がお話し申し上げたように、われわれはまだこれから折衝をするんだものですから、ちょっとここで委員会で弱腰は見せられないものですから強そうなことを言っておるのでございまして、何としてもこの強い意志を貫いてまいりたいと、こういうことでいまお話を申し上げておるんですが、なるべく御期待に沿いたいと念願をしております。
  213. 二宮文造

    ○二宮文造君 国電のしり押しのシーズンが来ましたから、この件についてはわれわれも一生懸命しり押しをしたい。しかし、とにかく方針を早く決定していただくということが大事だということをお願いしたいわけです。  それで、ちょっと具体例になりますけれども、これは公営住宅の件で、私の地元の方の関係で話がありましたのでちょっとお伺いをしたいわけですけれども、木造の公営住宅の耐用年数というのはどうなっておりましょうか。
  214. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 現在、政令で二十年と定めております。
  215. 二宮文造

    ○二宮文造君 もし二十年たたないうちに、たとえば十二、三年とか四、五年とかいうところで建てかえ計画を市なら市が持った場合、建設省はそのあれを受けてどう指導しますか。
  216. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 公営住宅法は中に一章を設けて建てかえのことを決めております。その中では、いろんな必要がある場合には建てかえ基準としての耐用年数は全体の二分の一を経たものは対象としてよろしいということにして取り扱っております。
  217. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういう一章から見ますと、これは具体的には宇和島市の問題なんですが、宇和島市にも幾つか団地をつくりまして市営住宅を建設をしているわけです。問題は、たしか昭和三十八年、九年、四十年、この程度建設をされた夏目ケ市団地というのが、六十四戸だと思いますがあります。これは耐用年限は確かに来ておりません。ところが、これを宇和島市当局が建てかえの計画をしたわけです。まだ建設本省には上がってないようです。上がってないようですが、建てかえの計画をした。そのいきさつが住民にとってはこれはちょっと寝耳に水でして、この夏目ケ市団地よりもはるかに古い団地が幾つもあるわけです。同じような規模のところもある。そういうところを差しおいてなぜ建設してから年数の浅いわれわれのところに白羽の矢を立てたのか、住民としてははなはだ理解できない。これは建てかえをしますと、一年目は現行の家賃で据え置きですが、いわゆる傾斜家賃になりまして、二年、三年、四年、五年と、五年目にはもう一万五千円、二万円という大変な家賃になってしまう。これじゃとてもじゃないけれども生活ができない。だから、耐用年数も来てないし、市当局が言うように雨漏りがしているという事態もない、壁が落ちているという事態もない、結構適当な住宅環境の中で住民の方は住まっていらっしゃる、それをなぜわれわれのところへ白羽の矢を立てて建てかえをするのかというので、ここに住んでいらっしゃる方が全員が反対をしているわけです。まあ請願も出ておりますが、こういう住民の意思と反し、しかも耐用年数がまだ来てない、そこに住んでいる人が十分にそこで生活をしている、不自由を感じていない、こういう公営住宅の建てかえの申請が出てきたときには、建設省、それ受理しますか。
  218. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 実は、先生から宇和島の件が、話が出ると聞きましたので、現地へ問い合わせてみました。現在のところ、まだ県の方で検討中でございまして本省には上がってまいっておりません。聞いたところによりますと、先生おっしゃいますとおり、夏目ケ市団地というところで現在木造が六十五戸あるそうでございます。それを建てかえまして中層耐火造で四階建てで百四十四戸にしたい。それから共用施設といたしまして新しく集会室、幼児遊園、屎尿処理施設をつくりたい。建てかえ倍率は二・二二倍。そしてその他の要件といたしまして、やはり耐用年数の二分の一は経ておる、敷地の面積も一万六百九十三平方メートルあるというようなことでございまして、電話で聞いた限りによりますと、やはりまあ現地の実情についてさらに精査をする必要がございますけれども、法律で定めます建てかえの要件は一応完備しておるようでございます。したがいまして、もし県の方が検討の結果申請をしてくれば、私どもといたしましては前向きに検討せざるを得ないであろうと考えておりますけれども、いずれの場合でも、この公営住宅法にはたとえば公営住宅の明け渡しの請求というようなことがございますけれども、そういう法律の手続によらないで、時間をかけて十分に話し合いをしていただく、強制的には進めないようにするというようなことを私、従来から各都道府県にお願いしております。そういう方針で御交渉願いたいということ。それから来年度予算におきまして、そういうような家賃の変更、それから移転料、仮住居等につきまして、やはり最近建てかえの要望が非常に多うございますので、そういうものに対する予算について十分前向きの予算の要求をいたしておりますけれども、そういうものも大いに努力をしながら御相談に乗ってまいりたいという姿勢で臨みたいと思っております。
  219. 二宮文造

    ○二宮文造君 建てかえの要件を満たしているから、県から上がってくれば受理して前向きに検討せざるを得ないと、こういうふうな御答弁ですけれども、要するに耐用年数は二十年でしょう。そこに住んでいらっしゃる方が雨漏りがひどくて困るとか、壁が落ちて困るとか、住宅環境はきわめて悪いという事情があるならば別ですけれども、そういうこともありませんと、しかも建ってから十四年ないし十六年しかたってないんだから、耐用年数まであと四、五年そのままにしていただけませんかと、こういう要望なんですよ。これは無理ないんじゃないですか。耐用年数は二十年、壊れてもいません。したがって、耐用年数が来るまでは建てかえを延期をしていただけませんかという話ですよ。これは指導できませんか。国損じゃないですか、言ってみれば、これは。
  220. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) その点十分に検討を要すると思います。ただ、公営住宅法の建てかえ事業の施行につきましては、「地方公共団体は、公営住宅の建設を促進し、及び公営住宅の居住環境を整備するため必要があるときは、公営住宅建替事業を施行するように努めなければならない。」という項がございまして、その項にどういう点が該当するかについて十分調べた上で前向きに対処するということになろうかと思います。
  221. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、その返事は気に入りません。私の言っているような話は聞けませんか。耐用年数までそのまま置いていただきたい、こういう住民の声というのには耳をかす必要はありませんか。自治体が必要と思われたら、そしてその県を通過してくれば建設省としてはそれを受理すると、こういう答弁ですが、住民の声は聞けませんか。
  222. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 同じ公営住宅法の中で、「公営住宅建替事業により除却すべき公営住宅の大部分が」「耐用年限の二分の一を経過していること又はその大部分につき公営住宅としての機能が災害その他の理由により相当程度低下していること。」というふうなことが書いてございます。これらの点も十分勘案をして指導してまいりたいということでございます。
  223. 二宮文造

    ○二宮文造君 指導してまいりたいってね、そんなの勘案するのを私、気に入らないんです。もう少し頭をやわらかくして聞いてくださいよ。私の申し上げているのは、せっかく建った公営住宅、木造ですけれども、現在十分そこで住んでます、家賃もおかげで安いです、この家賃の安いのは魅力でしょう、恐らくね。そして現在の住宅環境ならまだ四、五年はもちますと、そうすれば耐用年数が来るでしょうと、そのときにお建てかえをいただきたい、それまで待っていただきたいという住民の声に耳をかすと、あなたは一言もおっしゃらない。条文の方ばっかりおっしゃって、住民の声にはさっぱり耳を傾けないから私は気に入らない。
  224. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 実はその辺につきまして詳しい事情を知らないわけでございます。したがいまして、そういう点については十分そういう点も拝聴して、十分考慮した上で基準に合っておるならばやむを得ないと申し上げただけでございます。
  225. 二宮文造

    ○二宮文造君 やっと一声、住民の声に耳が入りましたけれども。それで、こういう事情なんです。夏目ケ市の住宅よりも古い住宅がほかにもある。たとえば和霊町にある四十戸余りの市営住宅は昭和二十八年に建築されて二十三年経過している、しかもこれは老朽化している。しかし、これはそのまま置いといて、そしてなぜ夏目ケ市の方に手をつけるのかと。まあ私もよくわかりませんけれども、非常に政治的な背景があるやの話もしている人がいました。これはやはり古いもの、老朽されたもの、それが四十四戸であり、一方は六十五戸ですから、二十戸余り違うとは言いながらも、この一覧表、宇和島市の公営住宅の一覧表を見ますと、二十七年、三十一年、二十五年、二十五年、三十一年、三十一年、三十二年、三十年、ずっと要するに夏目ケ市よりも古い住宅がたくさんあるわけです。それらをぶっ飛ばしちゃって自分たちのところに悪いくじが回ってきたというのが住民はどうも理解ができないということで、ぜひこれはひとつわれわれの要望をくんでいただきたい。それで、さすがに新しくなって、そして中高層の方に入りますと気持ちはいいかもしれませんけれども、家賃が五倍になっちゃう、これもまた大変なことです。そういうこともこれあり、ひとつ住宅局長の耳の中にしかととめておいていただきたい。よろしくお願いしたいと思います。
  226. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 十分御意見を拝聴いたしましたので、そのように現地の事情をつぶさに聞いた上で処置したいと思います。
  227. 二宮文造

    ○二宮文造君 それからもう一つ、これもまだ聞きたいことがほかにあるんですけれども、一時間半のお約束ですから、地元に関係のあることを先にやらしていただきますけれども、国鉄の方いらしてますか。――予讃本線の多度津駅、それから貨物専用駅の浜多度津、この浜多度津駅の現在の効用といいますか、価値といいますか、浜多度津駅を存続する価値というものをどういうふうに踏まえておられますか。
  228. 山崎忠敬

    説明員(山崎忠敬君) 浜多度津駅は、現在貨物のみを取り扱っておる駅でございまして、現在発着トン数は約二万トン余りの駅でございます。多度津駅から浜多度津まで二・二キロで、扱いは貨物支線ということでございまして、貨物のみを扱っておりまして旅客は取り扱っておりません。入れかえ方式によりまして現在九往復ほどの小運転方式による列車回数があるわけでございます。主として輸送されております貨物は、二万トンの中で一万四、五千トンが、多度津工場がございまして、そこに入る事業用の物資になっております。あと五、六千トンのものが一般荷主さんの物資でございまして、米、紙パルプ、鉄鋼、肥料、こういったものが輸送されておる、こういう現状でございます。
  229. 二宮文造

    ○二宮文造君 要するに、あそこは昔工機部と言いました。多度津工機部というところでしたが、いま多度津工場とおっしゃっているようですが、そこに使う資材が年間扱いの六割から七割までそこでやっているわけですね。それはいま御説明を伺ってわかりました。それから、この浜多度津駅というのは昔は海岸からクレーンですぐ荷物が揚げられたんです、駅へ。よろしいですか。ところが、いま多度津町が埋め立てをしてしまいまして、あれは五十万平米か五十万坪か知りませんけれども、もう海岸沿いじゃないんですよ。したがって、年間貨物扱いが二万トンというお話ですけれども、もう四国総局も御存じだと思うんですが、廃線してよろしいと、こういうことで住民との間にいつ廃線をするかというふうな話し合いまで進んでいるんですけれども、なかなか国鉄の方が踏ん切っていただけないから、ごらんのようなな事態が起っちゃったわけです。多度津町がいわゆる都市計画をやりまして、そして土地を造成しました。埋め立てをして造成をし、いわゆる区画整理をやりたいわけです。ところが、そのために十六メートルの幅員の道路をわざわざ県に頼んでつくっちゃった。  ところが、浜多度津駅へ入るポイントが道路の真ん中にあるために幅員十六メートルの道路の約半分、八メートル、これを仕切ってしまって通行させないわけです、平面交差ですから。これはわけはわかりますよ、ポイントがあるから、ポイントの切りかえがあるから通さないということなんでしょうけれども、道路ができたのにこれは私のところの専用でございますというので、道路の半分を通行どめにしちゃうという、そしてそれを一年半も放置しておくというのは、これはちょっと国鉄エゴじゃないかと私は思うんですが、そのために住民がどれほど迷惑をしているか。一年半になりますよ、道路ができて。住民がどれほど迷惑をしているか。しかも貨車は入れかえを含めて九往復でしょう、一日に三回しか通らないんですよ、本来は。入れかえを含めて九往復。本来いま多度津工場に送るための貨物車が入るのは一日に三往復だそうです。たったそれだけのことで道路の半分を締め切っちゃうという、こういうやり方はちょっと問題じゃないでしょうか。早急に解決していただきたいと思うんですが、どうでしょう。
  230. 山崎忠敬

    説明員(山崎忠敬君) 現状は先生の御指摘のとおりでございます。鉄道線路があるところに道路が建設された経緯につきまして、実は私もつまびらかにしておらないわけでございますが、私の方で実は急遽現地局の方にも事情を照会して調べてみましたところ、四十六年九月の時点におきまして多度津町と四国総局との間で国鉄の近代化に関する協力方につきまして覚書を交換しておると、こういう経緯がございます。  なお、国鉄といたしましては、貨物合理化問題につきましては貨物駅の集約、ヤードの統廃合、列車体系の再編成、これを三本の柱として現在取り組んでおるわけでございまして、先生御承知のとおり、すでに私どもも五十三年十月時点における貨物駅の廃止につきましては、全国二百六十六駅につきまして具体的な駅名も提示いたしまして、地元あるいは荷主さんの協力を得る懸命の努力をしておるわけでございます。そういう態勢にあるわけでございますので、当浜多度津駅の問題につきましてもさらに検討してまいるように四国総局とも打ち合わせておるわけでございます。  ただ、この駅を廃止いたしまして、一般の荷主さんの荷を受け入れる駅の問題がございますが、一番近い駅は丸亀駅でございます。これは道路で直線になろうかと思うんでございますが、三キロ五百ほどでございます。あと坂出駅が十キロというようなことでございまして、通常の例で申し上げますと、丸亀駅の方に集約をいたしたい、こういうことに相なるわけでございますが、ただ、丸亀駅につきまして都市計画事業の問題があるやに聞いておりまして、その辺受け入れ駅の都市計画がらみの問題が実はまだはっきりしておらない、こういうことでございますが、いまこうして写真を拝見しておりましても、まことに地域の住民の方にも御迷惑をおかけしておると、この実情につきまして痛切に私もまあ痛感するところでございます。さらによく現地局を指導いたしまして、地域の発展に寄与する方向でひとつ前向きに努力をするように指導いたしたいと思います。
  231. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は技術的にはわかりませんが、その道路の真ん中にポイントの切りかえがありましょう。切りかえがあるために、平面交差の場合にそこは国鉄側が仕切って通行どめにしてあるところ、あそこを取っ払って、たった七・五メートルです、とにかく工事に着手できないで住民が迷惑を受けているのは。その部分だけ八メートルしか幅量が使えないわけです。だから、これはポイントの切りかえがあっても通行どめを取っ払って、まず平面交差でもできるようなことはこれは可能なんじゃないでしょうか。ポイントの切りかえはあったとしても。   〔理事赤桐操君退席、委員長着席〕
  232. 寒川重臣

    説明員(寒川重臣君) 御指摘の点につきましては、貨物局長から御説明いたしましたように、多度津駅の廃止の問題がございましたので、その関連とあわせて踏切の確保の問題を取りまとめたいということで、一年半いろいろその詳細につきましては県なり町の方々と相談してまいったわけでございますが、多度津駅廃止の問題が長引くと申しますか、現在のままで踏切バックせざるを得ないということでございますと、御指摘のようにポイントの問題を解決いたしますれば現在のままで踏切確保が可能でございますので、前後の踏切との関連も踏まえながら現地を指導してまいりたいというふうに考えております。
  233. 二宮文造

    ○二宮文造君 お役人の答弁用語を聞いているんじゃないんです、私は。もう道路ができて一年半も住民はしんぼうしているわけです。国鉄さんの方は貨物の合理化計画があるから、全国的な合理化計画の中に合わせてその一環として浜多度津駅を考え、その一環としてこの道路の問題を考えているところに問題のとらえ方が違っているわけです。住民は現実に町づくりをしたい、そのためにもう土地の造成もした。そして西浜地区、東浜地区というのはこれからの将来展望をやるために道路をつくったわけです、県にお願いして。それができた。できたけれども、国鉄が一日に三往復使うだけのために半分締め切ってしまって通さない。これはよろしくないわけですから、ポイントの切りかえがあっても、舗装をすれば平面交差が可能ならばまずそれを国鉄としてはやってくださいと。あわせて来年の十月には全国的に貨物駅の合理化をやりますので、その際にはもう率先して浜多度津駅は廃駅にいたしますと、廃止にいたしますと、こういう二段――当面直ちに利用できる方法を町に与える、そして来年の十月を目指して駅を廃止するという、こういう二段構えの受け答えをなさるべきではないかと私は思うんですが、この点について簡潔に御答弁願いたい。
  234. 寒川重臣

    説明員(寒川重臣君) 現状のままで踏切を拡幅する場合の問題点につきましては、現在いろいろ検討しておりまして、御指摘のようにポイントを移設する必要があるという問題が一つ。それから十六メーターの道路になりますと、遮断機を設備する必要がある。先ほどお話がございましたように、貨物列車回数が非常に少ない場合は線路がさびまして、いわゆる信号の閉塞、自動信号のための閉塞効果が出ないもんですから、どうしても踏切警手をつけなければならぬという問題がございます。したがいまして、これらの問題について当面拡幅、現在の状況で拡幅できるように現地をいろいろ指導してまいりたいということであります。
  235. 二宮文造

    ○二宮文造君 だから、私の言ったとおりに答えてくれればいいんだけれども、どうもほかのこと言うからまたややこしくなっちゃう。現在のポイントの切りかえを、切りかえがあるからそういう措置をとられてきたんだろうと思うけれども、あれはあのまま置いておいて平面交差は可能なんでしょう、技術的に。これ、どうなんですか。
  236. 寒川重臣

    説明員(寒川重臣君) 踏切部門にポイントが入るというのは軌道構造上まずいものでございまして、しかもあそこは曲線部分になっておりますから、ポイントは移設しなければならぬということになります。
  237. 二宮文造

    ○二宮文造君 それなら早く駅を廃止するんですな。全く無用の長物ですもの。無用の長物。住民に迷惑だけかけているんです。だから、貨物駅の合理化計画と切り離して、浜多度津駅というのが現状必要かどうか、不必要だと、こういう論法のもとに早く駅を廃止するように努力してください。私が聞いたところによると、そんなに一日たびたび通るところじゃないんだから、現状のポイントの切りかえを置いたままで平面交差は可能だというふうに聞きましたよ。それはしょっちゅう切りかえするんならこれは別ですよ。引き込みのあれを入れてまで一日九往復ですから。
  238. 山崎忠敬

    説明員(山崎忠敬君) 初めに貨物集約の関係につきまして、先ほど二百六十六と申しましたが、二百七十六と御訂正申し上げます。  それで、この問題につきまして現地の局とさらに地元と前向きで御相談をするように指導いたします。ただ、五十三年十月という時点につきましては、私どももちょっとその中に入れるわけにはまいらないんではないかと、こう思うわけでございまして、その間先生指摘の技術的に何とかならぬかということにつきましては、国鉄の技術陣の力をかりまして、これも前向きで検討させたい、こう思っております。  以上であります。
  239. 二宮文造

    ○二宮文造君 多度津町の役場としても非常に困っているんです。もう多度津町というのは、昔は、これは歴史、沿革を言うと長くなりますが、金比羅街道になりましてね、森の石松なんかが上がったのが多度津港で、琴平へ行ったわけですよ。ですから、そういういんしんをきわめた港町なんです。ところが、ずっと明治以来今日までの過程で坂出とか丸亀とかに押されて、とにかく古いお城町になってしまったから、何とかして町を蘇生させなければいかぬというのが、町民が一体になって乏しい財政の中から海岸に向かって土地を造成をし、あるいは県にお願いをしてこういう幅員十六メートルの道路をつくり、乏しい財政の中から町当局も負担金を出して、営々辛苦してこの道路をつくっているわけですよ。それを国鉄さんがでんと真ん中にはさんじゃって、おらのところは通さないというようなことで、もうその部分さえできれば一年半前から住民が利用できる。そしてその向こう、延長線には十一号線がありまして、これは非常にまたこの十一号線と結ぶ基幹道路になるわけですよ、多度津町にとっては。ですから、通行量が非常にふえていくことを予想しているわけです。そういう背に腹かえられないような状況の中でつくってもらった道路なんです。それをいま写真にありますように道路の半分通行どめ、舗装もさせない。こういうことでは愛される国鉄とは言えませんよ。あれ見るたんびに多度津の人は、あれは反国鉄と、こうなりますよ。ですからこれは、それで実際に浜多度津駅の貨物駅としての機能がないわけですから、いま。十分にその辺のことを御承知いただいて、早急に貨物駅の廃止、それが不可能ならば平面交差が可能なように国鉄がわきをすかす、こういうふうに早い方がいいわけですから努力を願いたい。これはもう注文つけておきます。よろしいでしょうか。五十二年度中にはやるという当初の話だったんですよ。
  240. 山崎忠敬

    説明員(山崎忠敬君) いろんな事情で計画がおくれておりますが、努力をいたしたいと思います。
  241. 二宮文造

    ○二宮文造君 その努力目標は五十二年度中という前々からの約束、これも踏まえて努力をしていただきたいと思います。
  242. 山崎忠敬

    説明員(山崎忠敬君) 期間の点につきましては、なお技術的にもいろいろ検討もさせないといけないわけでございますし、なお五十二年度中にできなかったことにつきましての事情もあるわけでございますから、明確にお約束いたしかねるわけでございますが、十分事情につきましては承知をいたしておりますので努力をいたしたいと、こういうことでございます。
  243. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣もいま見ていただいたでしょう。道路予算をつけてせっかくつくった道路がこういうことで有効に使われてないわけです。ですから、これは本当に田舎の一地方の一地区の問題ですけれども、ここにやっぱり国の行政の何といいますか恥部というものが、ここにいみじくも表現されているわけですから、ひとつまた運輸大臣にも閣議のときでも声を足してあげて、あれは何とかせにゃまずいぞと、こういうふうに声を足していただきたい、こうお願いしたいんですが、いかがでしょう。そのために写真を見てもらったんですから。
  244. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私の方からも、助言と言うてはおかしいけれども、お話を申し上げます。
  245. 二宮文造

    ○二宮文造君 まだ四分ありますが、あと問題残しましたけれども、きょうはこれで終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
  246. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、十月二十七日に本委員会で取り上げました信濃川河川敷問題について質問したいと思います。  あの直後、突如として十一月一日に廃川敷処分が告示されまして、十一月二日には衆議院の建設委員会、参議院の決算委員会で大きな問題とたり、各新聞も社説を載せ、投書も出るなど大きな政治問題の一つになっていることは御承知のとおりです。  まず、十一月一日に廃川敷処分が告示されましたけれども、大臣決裁は十月二十五日だったと報道されておりますが、間違いありませんか。
  247. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 私の記憶では十月二十一日でございます。
  248. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 十月二十一日に大臣決裁が行われていたと。ところが大臣は、私が十月二十七日に質問したところ、私は各般の事情が一切そろえばやるつもりでおりますと。私が、条件がそろえばということですねと言うと、はいと、そう答えているわけで、ところが六日も前に実は大臣決裁が済んでいる。そのことを隠してその場をとりつくろったことになりますが、これは重大な食言だと思いますが、いかがですか。
  249. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 私が申し上げました十月二十一日でございます。
  250. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、十月二十一日に大臣は決裁していたわけでしょう。私はそれから六日後の十月二十七日に本委員会で質問したんです。ところが大臣は、各般の事情が一切そろえばやりますと、もうすでに決裁しているということは言わなかった。隠していることになるじゃありませんか。
  251. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 各種の事情がそろえばやるんであって、決裁はいまお話しのように、私、日時はよく覚えておりませんでしたけれども、決裁は一応いたしまして、一切そろったらばおやりなさいよということを申し上げておりました。
  252. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それは全く国会に対する侮辱です。私は廃川敷処分問題についていろいろ質問して、もうすでに大臣は決裁していたわけでしょう、十一月一日に告示するつもりだった。ところが、本委員会で私が質問したのに対して、一言も私はもう決裁したとかということを言わないわけだ。これはもう国会に対する侮辱でね、食言ですよ。事実をごまかしているんじゃありませんか。
  253. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) こういう、前にもいろいろな問題があったことでございますから、私の方は国会終了後にやったとかなんとかということじゃなくて、こういうことはなるべく国会が開会中に早くやらなければいかぬのだと、まだ議論もあるだろうと、お話も承ることがあるだろうと、ですからなるべく早くこれをやりなさいと。こういうことで、そろったらばすぐにこれをおやりなさいよということで私がサインをしておいたわけであります。
  254. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、国会の開会中にわざわざやったというなら、私が十月二十七日に質問したんですから、はっきりもうすでに私は決裁しているということを言えばいいわけです。これは非常に重大な問題で、私はもっと追及したいと思います。  朝日の十一月十三日に長岡市長の小林孝平氏のインタビューが載っております。ここで市長はこういうことを言っている。昭和五十年の九月二十五日に田中角榮と小林市長が会談して、田中角榮が一晩考えさせてくれと、九月二十六日、田中、入内島金一、小林市長、三者会談が行われて、その結果、確認覚書が生まれた。全部一任すると言われたそうです。その後こう書いている。「正面には出なかったけど、長岡市と室町産業の取り分を二分の一ずつにすることも、この直後に決めたんですよ。」、つまり昭和五十年の九月の末にもう半分ずつというのはそのときもう決めていたと。「仮谷さんが三木さんに確認・合意の内容をもって行って廃川敷をやろうとしたんだが、やれなかった。」というんですね。つまり、昭和五十年の九月に半分ずつ、今度と同じですよ。今度の覚書と全く同じで、半分は長岡市、半分は室町産業という覚書、これを仮谷建設大臣は三木首相のところへ持っていったと。ところがやれなかったと、そう書いてある。河川局長、この事実を知っていますか。
  255. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 全然知りません。
  256. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 全く御存じない。長谷川建設大臣は御存じないですか。
  257. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) もちろん私の知る由ではありません。
  258. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、あなたはこの間の委員会でも、また決算委員会でも、河川局長も、小林長岡市長の言うことを全面的に信用して今度のことをやったということを答弁しております。その小林市長が、朝日新聞のこれだけ大きなインタビューで公然と覆いている、「今週の主役」というところで。彼がうそをついていないと私はこの問題については信用します。  ところで、ここで重大な問題が起きる。つまり、今度と同じ半分ずつということを三木首相はそのとき同意しなかったんです、その廃川敷処分の内容を。ところがあなたは、かつて三木首相が同意しなかったと同じ今度の覚書の内容を、しかも三木首相が国会ではっきり約束した、首相と協議、了承のもとにという約束を行ったのに対して、あなたは福田首相と何らの協議もしないで独断で強行したということになる。そうすると、私たちこれまで首相と協議、了承せずにあなたが独断でやったということを問題にしていましたけれども、それだけじゃないんです。かつてこの問題を国会で約束した、三木首相が断った、つまり同意しなかった内容をあなたは今度やったんです。つまり、自民党の同じ内閣の決めていた方針を百八十度あなたは個人で勝手にひっくり返して今度の廃川敷処分をやったことになります。  あなたは、そういう権限を一体だれから与えられたんですか。
  259. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私は、専決処分を持っているのは私でありまして、総理ではございません。私が私の考えでやったことでございます。
  260. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは本当に重大な問題ですよ。三木首相は、昭和五十年六月六日参議院の決算委員会で、建設大臣限りでなしに私との協議を建設大臣に指示する考えだということを国会で約束しているんです。竹下建設大臣は昭和五十一年六月三日、衆議院予算委員会の小委員会で、総理と相談することなく専決でやることはないということを言っている。私はあなたが建設大臣になったときに、この問題を質問した。あなたは、前の中馬建設大臣と全く同じでございますということを言った。あなたは、この問題を勝手に建設省の専決処分であるという判断を下す権限はないと思うんですけれども、いつ、なぜ、そういうことを決めたんですか。
  261. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) おかしいね。専決処分が私にないとだれが判断したんですか、あなたの判断ですか。
  262. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、自民党の三木内閣、三木首相が国会で約束したことですよ。また、竹下建設大臣も専決でやることはないと言い、私は歴代の建設大臣にこの問題常に聞いている。すべての建設大臣がいままでどおりだということを言っている。あなたも就任のときにはそのことを言ったんです。国会での首相の答弁、また当委員会でのあなたの答弁を勝手にひっくり返す、これは重大問題です。私は議事録を調べて、いまの建設大臣のこの問題について、建設大臣が専決処分を持っているということを議事録で調べること、これを委員長に提案いたします。
  263. 小谷守

    委員長小谷守君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  264. 小谷守

    委員長小谷守君) 速記を起こして。
  265. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 きわめて重大な発言を建設大臣は勝手におやりになっている。  ここで、もう一つ聞いておきたいんですけれども、あなたは九月三十日の記者会見では首相の事前了解を得るつもりだと公然と述べている。なぜその後首相との事前了解を受けなかったんですか。
  266. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 御承知でしょうけれども、こういう答弁というやつはみんな書いてあるんでありまして、それによって私は、それを書いてあったからそのところまで読んだということでございまして、私は、私の専決処分を持っているものを、こういうことが私が総理に相談しなければならぬということはあるわけではございませんし、私が専決する権利を持っているんですから、私がやったわけでございまして、総理とは何ら話はしておりません。
  267. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 答弁は、書いてあるのをあなた読むだけですか。だれが書くんですか、答弁は。無責任なことを言わないでください。あなた建設大臣なんですよ。ただ答弁を読むだけですか、だれかが書いた。  それで、私の質問は、あなたは九月三十日の記者会見で、首相への事前了解をするつもりだと述べた、なぜやらなかったんですか。
  268. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) つもりが、つもりなんですから、やると決定したわけじゃありませんから。あなたは、つもりというのは決定ですか、そうじゃないんです。つもりなんだから、そういう考え、つもりでおりますけれどもと言ったでしょう。つもりだと言うんだから。私は別に、そんなつもりですけれども、何も私がやるものを総理まで持っていって、総理に相談をしてきて、いいか悪いかと言ってきてやる必要もない。私の専決処分ができるものは私がやる、そういうことでございます。
  269. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 十一月二日の参議院決算委員会で園田官房長官は、十一月一日に告示後、事後報告を受けて了承したと答弁しています。事前には一切福田首相に相談しなかったんですね。もう一度聞きます。
  270. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 先日から何回言っても同じことでございまして、しておりませんとはっきり申し上げておくから、もうあと聞かないでください、同じことは。
  271. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、私は本委員会ではこの問題はきょう初めて聞くわけですから、改めて確認します。  これまでの国会での答弁に反して、あなた自身の答弁に反して、この重大な政治問題となっている信濃川河川敷処分をあなたは大臣の専決処分として行い、事後に首相に報告し、私が質問したときには決裁したことさえ隠し、十一月一日に突如告示をして、官報告示という形で首相にも国会にも国民にも押しつけたんです。この責任はきわめて重大だということを改めて指摘しておきます。私はこの前の委員会であなたに、なぜこういう処分をやるのかと聞きました。するとあなたは、すべての疑惑が晴れたからだと、そういう趣旨のことを述べて、私がそれでは文書を出せと申しましたところ、委員長の問いに答えて、疑惑の晴れた理由を出せと言うならば出しますと、そう答えました。十一月五日付で本建設委員会に「信濃川河川敷の廃川について」という建設省の文書が出てまいりました。  それで、次にこの文書についてお伺いします。信濃川河川敷問題についてはもう国会でずっと問題になってまいりましたし、もう建設省の方々も大臣もよく御存じと思います。細かな問題幾つもありますけれども、大きな疑惑というのは三つあるんです。  一つは、昭和三十九年から四十年までの期間に、当時の地域の農民を実際上だましまして膨大な土地を、あそこの土地を室町産業という形で買い集めた。これは完全に農民をだましたものだというのでいま裁判になっている。ここにいま裁判をやっている大井正則さん、農民の供述録取書があります。これは刑事告発のときに裁判所に出されたものですけれども、生々しくいかにだまされたかということが書かれています。  昭和三十九年に蓮潟の公民館の会場に集められた。呼ばれて行った。それで越後交通の庭山、片岡、風祭――有名な人物、こう言った。「土地を売っても耕作を続けてよい」「耕作料はいらない」「国からよこせと言われれば返さなければならない土地だ」「どうせ水によくつかる土地ではないか」ということで判を押させられた。そのとき初めて文書を見ると室町産業という名前があって、初めて室町産業という名前を知った。このとき民有地は坪五百円、占用地は坪五十円だということであります。ところが、その後がらりと状況が変わって長岡大橋がつくられ、バイパスが設けられ、私たちが売った土地はあれよあれよと言う間に一等地に生まれ変わった。もちろん水につかることもなくなりました。最近河川敷が解除になる、そうするともとの所有者に下付されるというその河川敷解除も目前に迫っている。全く当時の越後交通の人たちの説明とは全然食い違っており、ばかを見たのは私たちであり、私たちはだまされたとしか言いようがありません。まことに残念でなりません。何とかして売買契約を無効にして土地を返してもらいたいと思います。これが裁判所に提出された大井正則さんの供述録取書であります。この裁判ずっと続いておりまして、いよいよ疑惑が深まっております。今月の下旬には実地調査も行われます。この農民をだまして、民法九十条の公序良俗に反して土地をだまし取ったのではないかというのが第一の大きな疑惑であります。  二番目の疑惑は、この建設省がらみの例の霞堤ですね。最初は霞堤というのがいつの間にか連続堤になった。昭和四十三年七月にその決定が下されたということで、水のつかる土地が水のつからない、いまあなたが廃川敷処分を行ったそういう土地に生まれ変わる、これが二番目の大きな疑惑であります。  三番目は、田中首相の地位利用であります。買い占めた当時大蔵大臣、その後幹事長、長岡大橋の建設計画のことも、恐らく堤防のことも、河川法の改正の問題も、八号線バイパスの問題もすべて事前に情報を知り得る立場にあった田中角榮氏が地位を利用してこの七十三ヘクタール、羽田空港の三分の一に及ぶ土地を田中ファミリーの手に入れてしまう、で、百億円あるいは二百億円、三百億円に達する土地をわずか一億四千万円の投資によって手に入れるという、田中金脈の最大規模の疑惑と言われる田中氏の地位利用であります。  この三つの大きな疑惑があると思いますけれども建設省のこの文書では、第一の問題、第三の問題など全く書いておりませんけれども、それでは疑惑が晴れたということにならないではありませんか。
  272. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) いま先生がおっしゃいました第一の問題は、現在民事裁判やっております、だましたという問題でございます。これにつきましては二人が、大ぜいのうち二人が裁判を行っておると。それからただいま初めて、その大井さんの訴訟ですか、拝読したわけでございます。また一方、田中前総理の方からの、いわゆる室町産業の方からの答弁書もあろうかと思います。それについては全然知っておりません。したがいまして、現在そういうふうに民事裁判で係属中でございますので、建設省としては見解を申し述べる立場にございません。  それから第三点の地位利用でございますけれども建設省としては何ら承知していません。
  273. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうしますと、河川敷に関係する疑惑は全く晴れたという先日の委員会での大臣の答弁は事実と違うじゃありませんか。
  274. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 廃川敷処分というものは、いわゆる河川管理上廃川していいかどうか、治水上の観点から決めるものでございます。しかしながら、いろいろ御意見もあり、論議がありましたので、その廃川というものを六年間、完成後六年間も引き延ばしてきた、しかしながら、先般来からも論議されておりますように、長岡市長からの陳情書、それから室町産業との間に結ばれた覚書、さらにはいわゆるそれが各派代表者会議で了承されておる、また多数の三百九十人も出席した町内会長会議において圧倒的な支持を受けた、そういう面から私たちとしましてはこの処分を行った次第でございます。
  275. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、ですから、その長岡市長の覚書とかいう話は、これも一つの問題ですけれども、私が言ったように、疑惑は全部晴れたとは言えないじゃありませんか。疑惑は晴れたと言えるんですか、大臣。
  276. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) そのときの疑惑が晴れたというのは、まずその会議録を読んでみないとまた私どもわかりませんが、大体さかのぼったその時代のことをどうこう言われてみても、私の方ではどうも困るのでありまして、法律にあるとおり、不必要にただ取り上げた土地は無償で返さなきゃならぬという、不必要になった場合は即時返さなきゃならぬという法律がありますから、それにのっとってわれわれの方は処理しなければならぬと。しかし、したがって六年間もほうっておいたということでございますので、そのうちに、昨年、一昨年でしたか、あの問題があったものですから、あった土地でございます、ですから十分その点を考慮に入れて延ばしてきたつもりだと。そこでいろいろなお話がありまして、今度はその利用方法がこう決まりましたという、どうしても長岡市でもって先日もお話し申し上げたようにあれが必要なんでこうしてもらいたい、半分、つまり政府が取り上げた河川敷、その民間のでないやつは、そのままそれをこちらで使うんですからぜひ御了承願いたいということと、利用方法として、公のものを、公共性の強いものをこれだけつくるんでございますから、ぜひ願いたいというようなこと。したがって、市長と室町産業というのと二者の話し合いがあって、その室町産業が跡を利用する場合でも、市長と相談をして公共性の強いものに限るということになっておるというような話でございまして、しかし、それでは物足らないと、そういう話があった場合は建設省へ話がなけりゃいかぬと、建設省でイエスと言ったらばそれは行ってもよろしいだろうと、それまで取りつけてきなければいけませんと、こういう話をしまして、そして後で、口頭ではいけないから後で文書をもって通達を申し上げて、今度の長岡の市長がよろしゅうございますという御返事をいただいた、そういう順序を通ってきているわけであります。
  277. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まあ大臣と局長のお話、私事実と違うことを指摘したい。ここにも、この文書にも書いてありますけれども、長岡市議会の各派代表者会議で了承したという覚書並びに長岡市長の言い分は間違っています。少なくとも日本共産党の長岡市議団は了承しておりません。この問題については長岡市長あてに共産党の市議団は文書で抗議文を出しています。それから町会長会議、ここで圧倒的な支持を得たということも事実に反します。いきなりあの議題が出されて、二人の賛成演説があって、異論ありと手を挙げた町会長は指してもらえなかった。そして圧倒的な支持で御支持をいただきましたと一方的に宣言されたのであります。八名の町会長が長岡市長あてにこの問題でも文書で抗議文を出しております。こういう事実から見ても、あなた方の言う理由は全く成り立ちません。それから建設大臣は当時の速記録を見なきゃわからぬと言いました。私ここに持ってきております。速記の写しです。建設大臣、あなたですよ。これはもう、さかのぼって、いろいろな問題が起こっておったことでございますから、そういう一切の問題がその疑惑を晴らすだけの条件が整えられた、こういうふうに判断をいたします、あなたそう言っている。あなた、田中角榮の地位利用の疑惑が一切晴れたと、そう言えますか。田中角榮氏は自分で、将来いつか明らかにできるだろうと言ったけれども、その後一言も言っていないんですよ。田中角榮にかわってあなたは疑惑が晴れたという根拠を持てるんですか。
  278. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) それはあなた、話が違うんであって、われわれは建設省として、私の所管とする点からついて判断が晴れたのであって、前にどうこうあったというのは私どもの関知するところではないわけです。
  279. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そこが問題なんですよ。あなたは関知するところでないと、ところが田中角榮というのはどういう人物ですか。長岡市長に会って、あなたに一任するということを言っているんですよ。ところが、法律的には室町産業の株主でも役員でもないんですよ。名前なんか出てこないんですよ。ところが、あの膨大な土地は田中角榮が一人で一任すると言って小林市長にやれるような土地なんだ。だから田中角榮が問題になっているんですよ。それを建設省の関知することではありませんと、田中角榮地位利用かどうかそれは知りません、建設省に関することだけしか知らぬ、しかし、建設省に関することが田中角榮がらみでこれだけ大問題になっている。
  280. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 答弁しておきます。
  281. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 待ってください。あなたにまだ質問してない。ちょっと待ってください。  田中角榮がいかなることをやったか、もう一つ私は紹介しておきます。昭和五十一年八月三日の新潟日報に現県知事の君健男氏が新聞記者とインタビューしている。ここで知事がこう言っている。「田中さんは「国の事業でやらせる」といって大蔵省が七つしか認めない一級河川指定を十一にして信濃川を割り込ませた。これが国の直轄事業になった」。信濃川を一級河川にするのも田中角榮が割り込ませたと、そういうことを君知事が言っているんですよ。こういうことを君知事が言っているということさえあるということを私は紹介しておきたい。だから、これだけの大問題なので、田中角榮の地位利用について、また田中ファミリーの農民をだました問題について、そういう疑惑、これを晴らさなければ疑惑が一切晴れたと、廃川敷処分をやれたなんて言えないんですよ。そういう疑惑があるからこそ国民は怒り、新聞、社説もあれだけ書いて問題にしてるんではありませんか。  それで私は、次に、あなた方が建設省に関する疑惑は晴れたと言われておりますその中心問題に入りたいと思います。あなた方が出されたこの文書、冒頭の一に「信濃川河川敷に関し、建設省に係る問題として論議されていた霞堤を連続堤に計画変更した経緯については、技術上の見地から検討を行い変更したもの」だと等々、だから「解明できたと確信している。」と、あなた方が疑惑が解明できたというのは、この問題なんでしょう。
  282. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) ええ、そうです。
  283. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そこで、この四十三年七月の霞堤から連続堤に変えたという問題について質問したいと思います。  行管庁の方、お見えになっていますね。行管庁のこの監察、昭和五十年九月、信濃川蓮潟地区の河川管理に関する行政監察結果、これには六ページのところにこう書いてある。「昭和四十一年の国会質疑当時の建設省での検討経過及びその結果は明らかでなく、それとの対比における連続堤への計画変更の経過を明らかにするものになっていない。」と、こう書かれておりますけれども、その後明らかになったんですか。
  284. 松井稔

    説明員(松井稔君) その後明らかになっておりません。
  285. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 建設省は明らかになったと考えるんですか、いま行管庁は明らかになっていないと答えた。
  286. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 建設省は明らかになったと考えております。
  287. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私、この問題を討論しようと思いませんけれども、行管庁は経過は明らかになってないと、その後も。前に発表した行管庁の報告どおりだって明らかになってない、その後も。ところが、建設省は明らかになったと、建設省はこれ調べられている被告なんですよ。被告が明らかになったとみずから言って、これで客観的にそれで証明されたと思うのはよほどおめでたいか、それで世の中通ると思っている大変な状態であると思うんです。ここではだから行管庁は少なくとも明らかになってないと答えた、明らかになったと確信しているのは建設省だけだということをまず確認しておきたい。  それで、実はこの問題で一番大きな問題は、ここに書いてありますように、この文書で明らかに書いてありますように、「技術上の見地から検討を行い変更した」、ここに最大の問題があるんですよ。技術上の見地からと、技術上の見地からだけ霞堤から連続堤に変更したのでは、先ほどの関知しないという最大の欠陥に結びつくんです。技術上の見地というのは、当時の文書を調べますと、約四千六百八十万円、金がもうかると、連続堤にするとですね、そういうことです。それから法線上流量もそう変わらないという技術上の見地、しかし、霞堤を連続堤にしたら田中ファミリー、室町産業が何十億円ももうかってしまうと、そこに最大の問題があるんですよ。これは四十一年七月の二年前の昭和四十一年の十月二十日にわが党の加藤進議員が衆議院の予算委員会で質問しているんです。当時、橋本建設大臣が決して本堤にはいたしませんということを答弁している問題なんです。田中ファミリー、室町産業がこの土地を買い占めていると。連続堤にしたら莫大なもうけが起きるではないかという質問を国会でして、佐藤首相にも聞いた、橋本建設大臣にも聞いた。そうしたら連続堤にしませんと、見えるか見えないかの霞堤のままにしておきますという答弁が国会であった。だから、建設省のお役人たちも、また新潟の現地でも、北陸地建でも、みんなそのことは知ってたはずなんですよ。だから、技術上の見地で四千六百八十万何がし安くなるからといって、田中ファミリーに数十億円、百億円以上ももうけさせてはいけないんですよ。技術上の見地だけではなくて、社会的、政治的、民主主義的な見地でこの問題を調べなきゃいけない。そういう問題を一切検討しないで、技術上の見地で四十三年七月にこの霞堤を連続堤に切りかえてしまったというところに一番の疑惑があるんだ。どうですか局長、当時この問題を霞堤から連続堤に締め切ったら室町ファミリーに大きなもうけが転がり込むという問題を建設省並びに北陸地建は、この四十三年七月に技術以外の――結局、国民が最も関心を持っている問題です。その問題を検討したことがあるんですか。
  288. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 建設省としましては、そういう問題があるということは知りませんので、そういうことは検討しておりません。純粋に技術的な問題から検討いたしました。
  289. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 知りませんというのは、そんなこと全くないですよ。知っているはずですよ、四十一年の十月二十日に衆議院の予算委員会で問題になったんですから。建設省、それを知らないんですか。建設大臣が答えているんだから。これも大変な問題ですよ。本当に知らないんですか、建設省は。国会の予算委員会で論議になったことを、建設大臣が答えたこと、あなた方が建設大臣に恐らく霞堤その他の問題で答弁資料を用意したこと、一切知らぬのですか。
  290. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 四十一年十月の国会の議事録は読んでおります。それは疑惑はあるといいますか、買い占めを始めておるということでございました。
  291. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ちょっと困りますね、そういう答弁をしているのでは。このときに、もうこれ、全部言いませんけれども、加藤進議員は、田中角榮の問題、室町産業の問題、どのぐらいの土地を買い占めたかの問題、これで買った当時の二十倍以上ももうかってしまう問題、しかもこれが霞堤が連続堤になるのではないかという問題、全部述べているんですよ、ここで。建設省が知らないわけはない。しかも衆議院の建設委員会建設省河川局が提出した京坂元宇氏の事情聴取メモ。京坂元宇氏は当時の問題についてこう述べている。室町産業から工事上必要な土地を買収したことを証憶していると。だから、北陸地建はあの当時、堤を作業するのにいろいろやって、とにかく霞堤は四十年から建設が始まったんですから、土地を買ってみたら室町産業というのが出てきたわけですね。だから、室町産業があの土地を買い占めていたということは知っていたわけですよ、北陸地建京坂氏は。国会で問題になる、霞堤つくって、土地買ってみたら室町産業が持っている、みんな建設省知っていたわけですよ。こういう当時の問題、全く知らないということは言わせない。国会で問題になった以上、この霞堤を連続堤にする問題は恐らく局長や大臣まで上がってくると思いますが、当時上がりませんでしたか。
  292. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) いろいろ調べてみましたら、そういう問題は上がっておりません。先ほどの工事上必要な土地というのは、霞堤の送り出し工事の土地買収の中に一部室町産業が持っておった土地があったというにすぎません。
  293. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまの答弁を見てみても、四十三年七月に単に技術上の理由で霞堤を連続堤にしてしまったという重大な疑惑が出てきました。そして四十一年に国会であれだけ問題になっていたのに、建設省の幹部は知らなかったと。知らなかったはずはありません。知らなかったという理由でそういう決定をしてしまったと。そして、しかもこの当委員会に出た文書は、技術上の見地から検討を行い変更したものだ、解明できたと確信していると。全く解明できない、そのことを私は指摘しておきたい。  それから衆議院の予算委員会の小委員会で問題になりましたが、しかも大事な工事の文書ですね。これのおもて書き、かがみが紛失していたと。総体計画、箇所別変更調査、これが原議がない、昭和四十二年から四十四年、工事実施計画書、この三冊についてはおもて書きが紛失していたという大変な問題が出てきました。一番肝心なところで、いかなる人が判を押したか、それからまた、いかなる理由でこの霞堤を連続堤にしたかという理由を書いた文書がなくなっちゃってるわけですね。そして建設省が衆議院予算委員会委員会に提出した文書ではこう書いてある。建設省調査した結果、紛失した理由は、計画書の頻繁な使用によりおもて紙が脱落したこと及びおもて紙の部分を別つづりにし、その別つづりが紛失したことによるものと推定され、故意に捨てたものとは考えられない。しかし、当時委員会に提出された全部の文書を見ますと、四十二年から四十四年以外の箇所別変更調書、ちゃんとかがみがついていますよ。毎年毎年つくるんでしょう。使う回数も同じぐらいだと思うんですね。これ、すり切れてなくなるどころか、きれいな文書がちゃんとついていますよ。これも全部ついている。判こも全部押してある。これがいつの間にかなくなっちゃったと、すり切れて。そんなばかな話を人が信用すると思いますか。そして、しかもこういうかがみをわざわざ外してどこかへとじてあったと、とじてあったのが全部なくなっちゃったと、こんなばかな話、信用できますか。  それで、この紛失した人、これを確かめることができましたか。これをお聞きします。
  294. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 先ほど先生がおっしゃいました、おもて紙がなくなった本体というものはこういうふうな工事実施計画書でございます。これは一信濃川のみならず、北陸地建全部の河川をとじたこういう厚いものでございます。それで、おもて紙というものは、これはおもて紙が紛失した実物でございますけれども、こういうふうな薄い一枚紙のものでございます。  それで、おもて紙という性格を御説明いたしたいと思います。これは、この工事実施計画書を本省に提出していいかどうかを地建局長に伺うための決裁を求めるものでございます。四十二年度のものにつきましてはこれでございますけれども、頻繁な使用、これは厚いものでございまして、いろいろ全地建の河川が入っておると、頻繁な使用によってこの一枚が取れたということでございまして、四十三年、四十四年度につきましては、こんなにしておりますと、おもて紙が取れるということで、地建の一括して別とじにしておったというのがたまたま紛失したということでございます。しかしながら、建設省としましては、これそのものは真実そのものであるというふうに確信しておる次第でございます。  その理由につきましては、まずこの計画書でございますけれども、これは地建の文書取扱規程に定めるところによりまして、局の文書管理責任者である総務課長に引き継がれまして、他の一般文書と同様に所定の書庫に保存されておるというのが第一点でございます。それから、これに大臣承認の承認書がついておるというのが第二点でございます。それから第三点としましては、この実施計画に書かれておる内容、これは内容を申し上げますと、護岸が何メートル、築堤が何メートルという毎年の工事実施を示す元になる資料でございますけれども、その数字と、実際現場にできておる実績というものが、工事台帳とかあるいは河川現況台帳などによりまして全く一致しておるということによりまして、真正なものであるというふうに建設省は確信しておるという次第でございます。
  295. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 行管庁は、その紛失問題についてどういう見解ですか。
  296. 松井稔

    説明員(松井稔君) おもて紙が紛失いたしましたのは、先ほど先生建設省の見解として読み上げられましたとおり、計画書が頻繁な使用が行われたという状況がございますし、また頻繁な使用による棄損をおそれ、おもて紙の部分を別つづりにしたものが紛失したというふうに推定しております。
  297. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 別つづりにわざわざとっておいて、それがたまたま紛失したというようなことでこの疑惑解明はできない。ある新聞は、恐らくそのおもて書きには京坂当時河川部長の判しかなかったんじゃないかというようなことを言っていますけれども、それはわかりませんよ。そういう疑惑も出るような奇怪なことなんですよ。四十二年から四十四年まで、ちょうど一番問題になる部分のおもて紙がなくなってしまうと、別にとじていたらそれもたまたま紛失しましたと。  さらに、重大な疑惑がこの霞堤から連続堤については残っております。これはまだ予算小委員会でも問題になっておりません。それは三十七年の三月――二月から四月、この四十三年の七月の実際に変更したときよりも六年も前です。六年も前、昭和三十七年、ちょうど田中ファミリーが農民からの土地買収計画を練って農民から承諾書の捺印をとっていた時期です。この時期に北陸地建と長岡工事事務所が霞堤を締め切るという案を決めた事実があります。行管庁の報告にはこの経緯について述べてありますが、行管庁、この問題をどう見ておりますか。
  298. 松井稔

    説明員(松井稔君) 行政管理庁は、河川管理上の問題について調査を行ったわけでございます。
  299. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもちょっとよく覚えていらっしゃらないようですけれども、この行管庁の報告の三ページに書いてあります。三十七年の二月に北陸地建と長岡工事事務所は、蓮潟地区を霞堤とすることは意味がないので現計画路線に沿って延長し、締め切ることにするという懸案事項の打ち合わせ調書というものをつくりました。それで建設省の本省に行って相談いたしました。本省では三十七年の四月付で、これは霞堤で計画されているのを保留に、連続提案を保留にいたしました。その文書が出てきております。その文書は予算小委員会に提出された詳細なこの文書にありますけれども、本省はここに「現計画通り霞堤で計上し、連続堤案は保留する。」ということを本省側として決めまして、霞堤を連続堤にするという長岡側の計画は保留されたんです。それで、行管庁はその経過を述べて、なお連続堤案が保留された理由は明らかでないと三ページに書いてある。その後明らかになりましたか。
  300. 松井稔

    説明員(松井稔君) 昭和三十七年九月に作成された現存する直轄河川改修総体計画懸案事項調書というものがございます。それからもう一つ現存する調書といたしまして、直轄河川改修総体計画懸案事項打ち合わせ調書というのがございます。これは、この打ち合わせ調書に基づきまして北陸地方建設局が本省と打ち合わせました結果、先ほどの三十七年九月に作成されました調書が作成されたというふうに考えております。で、このことは昭和三十七年三月の直轄河川改修総体計画懸案事項打ち合わせ調書、局原案でございますけれども、これにペン書きで、現計画どおり霞堤で計上し、連続提案は保留すると記録されておりますことからもうかがうことができます。
  301. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 なぜ建設省は、この連続堤にするという現地の局の案を保留したんですか。当時の事情を建設省としては調べましたか。
  302. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 当時の人に聞いてみましたところ、十分な締め切ることの優劣が議論されていなかったということでございます。
  303. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 われわれもこの問題非常に疑問を持ちまして、当時のいろいろ事情を調べました。北陸地建の局長の加藤三重次氏、当時の。河川部長の木村正昭氏、次が青木康夫氏、それから建設省の当時の治水課長の金子牧事氏、それから当時の北陸地建担当の課長補佐の岡崎忠郎氏、これらの人々に全部聞きましたけれども、皆さん全部記憶がないと、全く覚えていないという返事ばっかりでした。しかし、きわめて奇怪なことは、この連続提案を現地では決める、それを建設省では保留する。ところが、三十七年九月の北陸地建の懸案事項調書には、蓮潟地区は現在霞堤で計画されているが、これについては釜ケ島地区に準じて検討すると。全体計画については現計画どおり霞堤で計上しておくことになったと、こう書かれておる。ところが、この釜ケ島地区に準じて検討するというのを調べてみますと、この釜ケ島地区というのはもう少し上流で、すでに三十六年六月に締め切りが決定された場所なんですね。そうすると、連続堤にすると現地で決めて、本省では保留すると、しかし釜ケ島地区に準じてというと、準ずるといえばやっぱり締め切りの方向なんですよ。私はここに非常に大きな問題があると考えざるを得ません。  なぜかと言えば、田中ファミリーにとっては連続堤にならなきゃ困るんですよ。それでなければ廃川敷処分できないんですから。しかし、連続堤にならなきゃ困るけれども、すぐ連続堤だということが発表されたんではもっと困る。昭和三十九年から四十年、農民から土地を買い占めなきゃいかぬから。もうすでに連続堤になると、ちょうど河川法の改正の時期です。河川法は三十九年六月に改正が参議院を通過して、四十年の四月一日から新河川法による。新河川法になったことによって、あの土地を廃川敷処分にして室町産業が全部手に入れるというすべての条件がそろってくるんです。河川法改正を待たなきゃならぬ。それから長岡大橋やバイパス、これらの計画も進めなきゃならぬ。これらの条件全部そろって、その間は農民から三十九年、四十年、買い占める間は霞堤ということにしておかなければ農民に見破られるから、実際には本堤、連続堤にする方針なんだけれども、全部仕事が済むまでは霞堤にしておかなければならない。それで私は三十七年三月の――二月から四月のここら辺のところについてきわめて奇怪な事態が進行したと思うんです。そして四十三年七月にすべてが終わって、農民も全部売ってしまって、全部が終わってから橋本大臣の答弁に反して霞堤が連続堤に公然と行われる。これが私は田中金脈の最大規模の黒い事件と言われる信濃川河川敷の大まかな舞台裏だと思うんです。そしてこの舞台装置の一番の場所になったのは建設省ですよ。建設省の本省と長岡の工事事務所と北陸地建じゃありませんか。これらの問題について、予算小委員会ではまだまだ何ら疑惑が追及されていないんです。この問題についてすべて解明されていると局長言うことができますか。
  304. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) ただいま先生おっしゃいました、釜ケ島に準ずるということは締め切るということをおっしゃいましたけれども、それはある前提に立てばそういう意見もあろうかと思います。しかしながら、この釜ケ島に準じて検討するという意味は、釜ケ島の築堤工事というものはやはり霞堤であったわけでございます。それを順順に送り出しながら、そして河状の変化を様子を見ながら工事を進めておったわけでございます。したがいまして、この釜ケ島に準じて検討するという意味は、いわゆるそういうふうに蓮潟にしましても送り出しの築堤が始まつた場合には順々毎年その川の様子を見ながら、そして締め切るか締め切らぬか、あるいは調節容量の減とか、あるいは工事費の節減とか、あるいは締め切っても治水上絶対安全であるかどうかとか、そういう点を総合して判断したわけでございます。だから、釜ケ島に準ずるということは、築堤を出しながら、川の様子を見ながら、そして締めるか締めぬかを決定するということが技術的な常識でございます。
  305. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 局長は余り事情を知らないで私の質問を逃げようとしてそういうことを言われる。釜ケ島については当初徐々にやっていくという時期がありますけれども、三十六年にはもうすでに締め切り決定されているんです。  しかも私、もう一つ証拠を挙げておきましょう。昭和四十年の六月二十一日、長岡の市議会で、原沢建設部長は市議会での答弁で、とりあえずは霞堤でいくんだと聞いています――とりあえずは、と言っているんですよ。昭和四十四年十二月九日、長岡市議会で小林市長はこう答弁している。橋本建設大臣の国会答弁は政治的な答弁だ、建設省としては一貫してふさぐことになっていると、こう長岡市長は答弁している。だから、長岡工事事務所だとか北陸地建だとか長岡市は、とりあえず霞堤だと、しかし、この裏には角さんがおり、送り出し期成同盟もできてやってきて、連続堤になるんだということを知っているんですよ、現地では。長岡市議会で昭和四十年に答弁、四十四年、橋本建設大臣の答弁は政治的答弁だと。大臣が信用して今度覚書、これを承認した小林市長自身が市議会でこう答弁している。私はこの問題、これだけ複雑な経過があるので、きょう与えられた時間ですべての問題を尽くすことはできません。しかし、私がきょう出した問題だけでもまだまだ疑惑は何ら解明されていない。農民をだました問題、田中角榮の地位利用についてはもうあなた方も認めた。しかし、建設省がらみの霞堤を連続堤に切りかえたという問題についても、これだけ問題がまだまだあるのであります。こういう疑惑が残っていて予算小委員会ですべて終わったということはできないではありませんか。
  306. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) この地区の霞堤計画というものは、昭和二十八年度からもうすでに霞堤計画と、そしてそれは懸案事項になっておったわけでございます。そして、まず三十五年の五カ年計画のとき、また三十八年の総体計画のとき、また四十年の五カ年計画のとき、すべて霞堤計画に計上されておったわけでございます。そして河状の変化を見て四十三年に霞堤をいわゆる締め切ってもいいと。先ほど申し上げましたように、純粋に技術的に検討して決めたものであるということは私は確信しております。
  307. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、ですから純粋に技術的に決めたんではいけない問題なんですよ。それを純粋に技術的に決めたということで、何ら責任がないかのように言うところに大きな問題があるんです。技術的に決めちゃいけないんですよ、これは。これだけの問題が国会で問題になっているんですから。だから、純粋に技術的に決めないで、橋本建設大臣の言ったとおり霞堤のままにしておけばよかったんです。それを技術的という理由でやってきたところに建設省がらみの大きな疑惑が生まれているんじゃないですか。  私は、この問題について、予算委員会委員会の問題についてもう一つお伺いしたいんです、いま。局長、局長どうですか。予算委員会の小委員会でこの問題は徹底的に検討して結論が出るまで処分させないと三木首相は言ったわけですね。このことは御存じですね。予算委員会委員会で結論が出ていると思って今度の処分を行いましたか。建設大臣どうですか。
  308. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 上田さんは、小林長岡市長のおっしゃったことをどうも否定をしておりますけれども、われわれは長岡市長の言ったことは否定をしておりませんし、信頼をしておりますし、したがって、あなたが言うことを聞くと、あなたの言う、勝手ないいところだけ自分のことを言って、こっちのことは何も言わぬで、あなた勝手ないいことだけをおっしゃっておるんで、そんな一方的で、こっちが黙ってなくちゃならないということはおかしい話だけれども、だから答弁さしてくれと言えば、させていただかなかったけれども、まあこれはしようがないわ、これはルールだから。ルールだから仕方がないけれども、その予算委員会の小委員会であれだけの論議がされて、そしてその結論が大体出たと私たちは判断をしておりますし、また必要ならば、それだけの、あなたがおっしゃるほどの必要なものだったら、なぜそれをつくっていただかなかったんですか、小委員会を。それはおっしゃらないで、あなたの方はおっしゃらなくて、それをどうしてつくってくれなかったかというが、どうしてつくらなかったんです、それだけ重要なものだったらば。あれをつくってならぬということないでしょう。あれ、つくっていいんでしょう。
  309. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 自民党が反対してつぶれたんです。
  310. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) いや、だれが反対しようと、そんなことぐらい了解を求めたらいいじゃないか、それだけの重要なことだったらば。それを、あたかもわれわれがそれを無視してどうでこうで……。小委員会というものはもうなくなってしまって、それだけの議論が尽くされた結果であって、だから私の方は、もうこれで了としたものなりと判断することは当然なことだったと私は思う。それだけ必要なんなら、必ず小委員会なんというものはいつでもつくれるんですから、つくれるはずですよ。ですから、つくってないところを、現在を見れば、いまもってまだつくってないんですから、あなたがこれをがあがあ言ってからまだつくってないじゃありませんか。なぜつくらせないんですか、それを。そういうこともひとつ踏まえてやってくださいよ。第一必要なら、私らがつくっていけないんだと、私らが言えるわけのものじゃないんですから、どうかそういうものをつくってどんどんやるならやってください。
  311. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 われわれは予算小委員会を復活させてということを提案しています。いままで次の国会でできてこなかったのは、自民党が反対した結果、できていない。  ところで、建設大臣、この予算小委員会がどういう経過で生まれたか御存じですか。
  312. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私はどういう経過で生まれたかということは本当はよく知ってはおりませんけれども、結論から見れば、あれだけのいろいろな議論が行われて、そしてそれが後開かれておらない。開かれておらないばかりでなくて、次期国会にはそれがつくられておらないというこういう現実の上に立ってわれわれは判断をする。その判断があなたは――するとまたいろいろなお話が出るでしょうけれども、長岡市長が、各党全員が賛成をいたしてくれましたと言う。それから三百九十何名が全部賛成というか、反対はありませんでしたと、こういうことだった。それは私は文書をもって出てくるんですからそれを信頼するよりほかに道がない。あなたはそうおっしゃるけれども、あなた方が声明を出して私は受け取りました。しかし、今度は長岡の市の議会の議長は、まさにそういうことはありませんでした、まさに共産党のおっしゃることは違いますと、また反論してきているんですから、それは向こうの方でやってもらわぬでは、私の方はこれは議論にならぬわけだ。
  313. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 予算小委員会で結論が出たと大臣は判断したと言いますけれど、ここが大問題たんですよ。予算小委員会自身が結論を出し、予算委員会が結論を出し、国会が結論を出す問題を建設省が、建設大臣が結論は出せないはずですよ。国権の最高機関と行政を持っている政府と三権分立の問題、あなた御存じでしょう。建設大臣が予算小委員会で結論が出たと判断していると。そういう権限は全くありません。これは重大ですよ。取り消しますか。
  314. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 取り消しません。
  315. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 取り消さない……。これはいよいよ重大ですね。で、予算小委員会がなぜつくられたか。仮谷建設大臣が青森で、国会のようないいかげんな答弁はしないと演説したでしょう。あれでできたんですよ。仮谷建設大臣が、これは国会のようないいかげんな答弁ではありませんと言って大問題になった。国会はそれで空転したんですよ。それで予算委員会の理事会で大問題になって、それでは閣僚が答弁に反するようなことをしているかどうかチェックする機関をつくらなきゃならぬというので予算小委員会昭和五十年十月の二十二日に生まれたんですよ、各派理事会が相談して。元の建設大臣の仮谷さんが国会の答弁はいいかげんなことだということを言った機縁で、閣僚が答弁をきっちり守るかどうか、いい答弁をするかどうか、それでできたんですよ。それで五つのテーマが予算小委員会にかかることになった。しかし、結局四つはかかりませんで取り下げられて、最大の問題としてこの信濃川河川敷の建設省のこの文書の問題、行管庁の監察問題が残っでかかったんですよ。五十一年の六月三日、たった一日しかやってない。社会党の楢崎さん、共産党の増本さん、公明党の方、三人の委員がやって、一日で、終わってないんですよ。何で建設大臣がそういう結果について勝手に終わったと判断できるという権限があるんですか。建設大臣がいいかげんなことを言って、それをチェックするためにつくった機関を、これを無視してまたもやいいかげんなことを言う。あなた、二重に大問題ですよ。
  316. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) それほど重要性のものであるとするならば、なぜ小委員会を後引き続いてつくらないんですか。できていないじゃありませんか。
  317. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 自民党が反対したからだと言っているでしょう。
  318. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) できていないものを出して……、できていないんですから、それはもう解決がついたと判断することは当然じゃありませんか。いまでもあなたできるんですよ、いまでも、つくる気になれば。
  319. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは、ある案が出てきたけれども、それも小委員会で採択されていないんです。それを建設大臣が勝手に判断する、そういう権限は全くありません。これはもう全くあなたは国会無視のことを何回も何回も繰り返している、こういう問題はきわめて重大です。しかし、私は許された時間が少しになっておりますので、この問題、私は保留して、建設大臣が国権の最高機関の国会にかわって予算小委員会の結論、これについて判断できると、結論が出たと判断する、こういう越権行為を今後もわれわれは問題視します。そしてまた国会において、先ほど私述べましたけれども、首相が約束したことを、私の専決処分で勝手にやってしまうという越権行為についても今後責任を追及したいと思います。  あと、私二つの問題をお聞きしたいんですけれども、いま建設省は十四、十五の両日、新潟県にこの問題で丸山河川局次長を初め調査に派遣されておりますが、その目的、また何を調べておられるのか、これについてお答え願います。
  320. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) その目的は二つございまして、第一点は室町産業の二分の一の土地におきます市や県の土地利用の意向調査、第二点が長岡市が室町から譲渡を受ける価格などについての調査、その二つでございます。
  321. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 その調査結果については、恐らく決算委員会にも報告をされると思いますけれども建設行政の調査を担当しております当委員会にも報告していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  322. 栂野康行

    政府委員栂野康行君) 理事会で諮っていただきまして、それに沿って処置したいと思います。
  323. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 県や市の利用計画をお調べになっておられるというのは、室町産業にいくあと半分の問題ですね。これについてもさらに前向きに検討されようと思っていると思いますが、長谷川建設大臣は小林市長に会われたときに、半分だけじゃなくて全部市が使ったらどうかと、そう言われたと言われましたね。それをひとつお伺いします。
  324. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私は、その陳情書を持っていろいろ参りましたから、そのときに、いろいろ問題があった土地なんだから市で全部取って、そして市でもって全部公共性のものに使ってもらえないのかと、ぜひそうしてくださいよということをお願い申し上げました。ところが、やっぱり市の方でも都合があってなかなか全部というわけにはいかぬというようなお話でございまして、それではあとは公共性のものを、必ず公共性のものに限って私の方でチェックしてやりますという話で、それじゃぜひひとつそのときには建設省の方にも話してくださいよということで連絡をする、あらかじめ連絡をして、建設省でよろしいと言った場合にのみそれはオーケーを出してくださいよと、そういう約束をしておったわけであります。しかしながら、その約束は、最後のは口頭でございますから、口頭ではいかぬから文書をお送りして、そのように了承をしていただいた、こういう意味でございます。
  325. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 全部市で使ったらどうかという点については、長谷川大臣と私はいまのところ意見が一致します。それで、私はこの問題、一番いい解決は農民に戻すことだと思いますけれども、次善の策として、公共用地として使うと、裁判の結果に基づいて農民には返すけれども、それを前提にしながら次善の策として、公共用地にすることが世論が納得する次善の策だろうと思います。三木首相も昭和五十年十月三十日の参議院予算委員会の答弁で三つの点を言われた。やっぱり暴利を得させないということ、一つ。それから価格はやっぱり実費プラス金利程度でやるという二番目。三番目はやっぱり公共優先だということを三木総理大臣は国会で約束されたんです。これをやっぱり国民も国会も覚えているわけですね。今度やっぱり国民が怒ったのは、新聞も世論も一斉にこの問題を追及したのは、半分長岡市にやるのはいいけれども、あと半分室町産業にいっちゃうじゃないかと。これでは疑惑は残ると。これでは、建設省のこのやり方ではまずいということを一斉に世論が問題にしたんです。朝日新聞も毎日新聞も日経も読売も社説を書いて、この問題については全部公共利用にしたらどうだということをそれぞれがそれぞれの言い方で問題にしたわけであります。この点で、先ほどの参議院決算委員会で私の質問に対して園田官房長官は、私の意見も参考にしてさらに検討してみようということで、いう答弁がありました。建設省としても、残りの室町のところにも公共利用というひもをつけて、長岡市長にもさらにひもをつけ、口頭だけじゃなくて文書まで出したということですから、本当の公共利用としては、やはりここに市あるいは県で公共利用するようなことに建設省としてももっともっとやっぱり努力していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  326. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) これだけの問題がいまだ残っている問題でございますので、十分その点は心得て今回の処置をしたつもりでございます。
  327. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いまの点は大変前向きの積極的答弁だったと思います。それで市民の側も、これはやはり国会でこれだけ問題になったのでいろいろ声が出ております。たとえば国や県が買い上げて住宅地に払い下げてほしいという声が出たり、釣りの会は釣り堀りをつくって市民に利用させろというのもあり、流通センターをつくってくれという繊維協会の声もあり、あるいは市営農場にして市民の野菜供給にと、あそこは長岡市の野菜を八割もつくっていたところですから当然そういう声も出ているんですね。ですから、あれだけの広大な土地を、いまニュータウンもできますし、高速道路も近くを通っており、相当大事な土地なので、これを市や県がやっぱり公共利用してほしいという声は市民の間からもほうはいとして盛り上がっておりますので、ぜひその努力を強めていただきたいと思います。  もう一問ですね、一問というか、私最後に問題提起をしたいと思います。建設省の出された文書は、私幾つか問題を指摘したように、ほとんど疑惑がやっぱり解明されておりません。何ら回答になっていないと私は思います。この問題は世論でも大きく問題になりましたし、首相との協議の有無の問題、今後の疑惑の解明の問題、土地利用の問題等々非常に大きな問題が山積みされております。きょう私、疑惑の一部について質問いたしましたが、なお質問したい点もたくさんあります。その点で、どうしてもやはり首相との協議問題も含めて、三木首相があれだけ約束されておりますので、首相出席のもとで本建設委員会としても集中審議が必要ではないかと思います。あるいは決算委員会でも取り上げられておりますので、決算委員会との連合審査ですね、これは慣例集を見ても調査の案件も含めて連合審査できることになっておりますので、建設委員会の首相出席のもとの集中審議あるいは決算委員会との連合審査、これが必要だと思いますので、このことを提案します。  それからなお、いま大臣から答弁がありましたように、建設省はこの問題について大きな責任を持ち、今後の努力を約束されましたけれども、この問題を引き続き調査する検討の場として、建設行政を担当とするこの本建設委員会に小委員会を設置するということが必要ではないかと思います。この小委員会は、この信濃川河川敷問題だけではなく、本日の午前中に矢田部委員が取り上げました、また大きな問題になりました会計検査院に対する過大な接待問題、これも建設省として大きな問題ですので、この信濃川河川敷問題の疑惑並びに処理をめぐる問題、それから会計検査院の接待問題、この二つを調査検討する場として本建設委員会に小委員会をつくることを提案いたしまして、私の質問を終わります。
  328. 小谷守

    委員長小谷守君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  329. 小谷守

    委員長小谷守君) 速記を起こして。  本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会      ―――――・―――――