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1977-10-27 第82回国会 参議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十七日(木曜日)    午前十時一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小谷  守君     理 事                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 土屋 義彦君                 赤桐  操君     委 員                 遠藤  要君                 中村 太郎君                 中村 禎二君                 降矢 敬義君                 堀内 俊夫君                 増岡 康治君                 片山 甚市君                 太田 淳夫君                 桑名 義治君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 栗林 卓司君                 森田 重郎君    国務大臣        建 設 大 臣  長谷川四郎君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  田澤 吉郎君    政府委員        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁計画・調        整局長      下河辺 淳君        国土庁大都市圏        整備局長     国塚 武平君        国土庁地方振興        局長       土屋 佳照君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省都市局長  中村  清君        建設省河川局長  栂野 康行君        建設省道路局長  浅井新一郎君        建設省住宅局長  山岡 一男君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        北海道開発庁計        画監理官     大西 昭一君        環境庁企画調整        局環境管理課長  望月 美之君        環境庁企画調整        局環境影響審査        課長       大塩 敏樹君        環境庁水質保全        局水質管理課長  林   亨君        大蔵省主計局主        計企画官     公文  宏君        農林省構造改善        局計画部計画課        長        穂積 良行君        農林省構造改善        局建設部開発課        長        岡本 克己君        通商産業省立地        公害局工業再配        置課長      有岡 恭助君        運輸省港湾局参        事官       石月 昭二君        運輸省鉄道監督        局総務課長    植村 香苗君        自治大臣官房地        域政策課長    丸山 高満君    参考人        日本住宅公団総        裁        澤田  悌君        日本住宅公団理        事        沢田 光英君        日本住宅公団理        事        有賀虎之進君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (第三次全国総合開発計画に関する件)  (自転車駐車場整備に関する件)  (共同住宅の管理問題に関する件)  (信濃川河川敷問題に関する件)  (中海干拓事業に関する件)  (日本住宅公団家賃問題に関する件)  (第三期住宅建設五ヵ年計画に関する件)     —————————————
  2. 小谷守

    委員長小谷守君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本住宅公団役職員出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小谷守

    委員長小谷守君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 小谷守

    委員長小谷守君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 片山甚市

    片山甚市君 十一月の一日には国土開発審議会で第三次全国総合開発計画に関する諮問が行われるようでありますが、それを経て答申をされ、閣議決定をされるというふうに聞いておるんですが、そこで三全総について、そのような立場から若干の質疑を行いたいと思います。  御承知のように、総合開発計画については、単なるペーパープランだと、これは書いてあることだけだというお話がありますけれども、私はこれは非常に重要な政策であると思うんです。国土庁所管でありましても、各省庁行政機関全体が一つになって当たらなきゃならぬ、全体的に受けとめなきゃならぬ性格のものだと思っています。いずれの機関一つでもそれに機能をしないということになれば、この計画は事実上進行しない重大な問題だと思います。過去の全総計画とその実行上の諸問題をそういう意味では明らかにしなきゃならぬという立場質疑をしたいのです。  まず、今回の第三次総合開発計画、三全総についての基本的な目標、これについて若干御説明願いたいと思います。
  6. 田澤吉郎

    国務大臣田澤吉郎君) お答えいたします。  第三次全国総合開発計画は、先生御案内のように新全総見直し作業長期展望作業を基礎にいたしまして、関係省庁と密接な連絡をとって策定されておるわけでございまして、経済の前提を五十年代前期経済計画に沿うてございます。そして期間をおおむね十カ年といたしておりまして、開発方式は、第一次の国土総合開発計画拠点開発方式でございましたが、また第二次のいわゆる新全総開発方式は大規模プロジェクト方式でございますが、三全総開発方式定住構想方式といたしてございます。そしてこ方式、この定住構想は、いわゆる文化的で健康で、地域性に富んだ人間居住の総合的な環境をつくろうということがねらいでございまして、この定住構想を進めるためにはやはり雇用の場というものをまずつくらなければならない。それから、そのためにはやはり住宅、あるいは生活環境、あるいは教育文化医療等水準を高めるということが基本的な目標でございます。それが特徴であります。
  7. 片山甚市

    片山甚市君 そうしますと、いわゆる三全総ができるというのについては、いまお話があったように、第一次の旧全総、それから第二次の新全総という計画がどのように実施されてきたかということについて明確にしなきゃならぬと思います。そういうことで、これらについてでございますが、まず第一次の旧全総計画は、全国に二十一地域開発拠点を設け、各拠点を数珠の状態につないで工業化をやってきた、開発を増幅させる、いわゆるふくらませることによって地域格差を縮小させるということであり、高度経済成長に見合った工業中心立地条件整備が目的であったが、それはどのような結果を生んだのか。
  8. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 第一次全国総合開発計画は、いま御指摘いただきましたように拠点開発方式ということで、具体的な施策としては新産業都市及び工業整備特別地域整備をいたしました。それらの地区におきましては、二十一の地区でございますけれども、これらの地区はその置かれている地理的条件社会的条件によってその後の発展の状況は非常に違ってきております。簡単に申せば、太平洋ベルト地帯に属します拠点におきましては工業開発がかなり進みまして、しかし、反面では公害問題その他環境問題について特に配慮しなければならない状況というものが生まれておりますし、一方では生活環境整備を急ぐ必要があるという実態にあるかと思います。それ以外の地区については、現在のところまだ工業誘致がうまく整っていないということもありまして、従来の計画に沿って計画を進めているという状況でございます。一般的に申せば、工業開発についてはほぼ計画に沿って進んできておりますけれども人口集積その他についてはまだもう一段努力を必要とするという状況であると思います。
  9. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、分散をするということで二十一の地区新産都市などをてこにして行った結果、環境破壊とか公害という住民との問題が起こった、こういうふうに理解をしたい。そして四十四年に第二次全総、新全総をおつくりになったんですが、第一次の拡大強化基本であり、中枢管理機能集積といわゆる情報を含めた物流機構を広域的に体系化するいわゆる新ネットワーク建設で、開発可能性日本列島全域に拡大するという考え方であったと思うのですが、そのときの国土、いわゆる水、土地、資源の開発利用を一層効率的に進めるため巨大社会資本投資計画であったようです。また、日本列島改造過密過疎同時解決をうたい上げました。計画高度経済成長を通じて行うべきだと強調しておったのですが、その結果はどのような状態になりましたか。
  10. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 新全総は、御指摘のように大規模プロジェクト方式ということで、新幹線、高速道路あるいは大規模工業基地をつくるということをてこにしながら、全国土が均衡のとれた利用状態にいくようにということをねらったものであることは御指摘のとおりであります。そして四十四年につくりました計画は、その計画を達成するために調査を始め、準備を始めておったわけでありますけれども、第一次全国総合開発計画で、先ほど申しましたような公害あるいは環境問題等に対するいろいろの反省を必要とするということから、総点検作業を一方では始めたわけでありますけれども、四十四年の計画それ自体につきましては、その後オイルショックその他の経済的な諸条件、特に高度成長から安定成長への移行ということに伴ないまして、四十四年計画というものは余り実施されずに今日に来ているという状況でございます。  特に、お尋ねがございましたいろいろの効果についてでありますけれども一般的に申し上げますと、人口につきましては、やはり依然として地方分散であるよりは大都市集中型に推移しているということが言えるかと思います。しかし、工業につきましては、東京圏大阪圏というものへの集中度が弱まってきておりまして、昭和四十年時点においては約五割が東京圏大阪圏に、工業出荷額規模で申しまして約五割であったものが、現在では四四%のシェアに落ちてきておりますので、三全総につないで、これをさらに四〇%以下に持っていこうということにつなげております。  所得格差につきましては、全国総合開発計画が影響しているということの評価はいろいろ問題がありますけれども、結果的に一人当たり所得で見ますと、東京を一〇〇とした一人当たり所得格差都道府県別に見ましてだんだん減ってきておりまして、三十五年時点では、一人当たり県民所得東京を一〇〇として五〇以下の都道府県は三十一県に及んでおりましたが、昭和四十九年では東京を一〇〇として五〇未満というものは六県になってきているというような効果はあるのではないだろうかというふうに考えております。
  11. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、新全総は、計画はされましたけれども、実質的にそれは進まなかった。その理由はオイルショック、あるいはいまおっしゃったように安定成長ということに切りかえざるを得なかった。そういたしますと、それ以外の問題は大きくございませんか。
  12. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 進まなかったということで申し上げるよりも、あるいは十分調査検討をしている、あるいは地域方々のお話し合いをしているということで申し上げた方が正確かもしれません。
  13. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、大規模プロジェクトによる集中工業化による新全総はその実現の可能性がなくなって三全総を策定せざるを得なくなったと言われておるのですが、その新全総の中で最も行き詰まったといいますか、今日的にそれはどの問題が残っておるのか、もう一度お伺いします。
  14. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) やはり、一般論といたしましては、高度成長から安定成長への移行の過程の現段階において、いわば一種の景気対策を必要とするような状況下において社会資本整備が思うように進まないということが一つポイントだと思います。もう一つポイントは、今日エネルギー問題が非常に重要な段階に来ておるわけでありますけれどもエネルギーの将来についての見通しを明確に持って、そのために必要な基地をどのようにつくるかということについてもう一段努力を必要とするというふうに思います。
  15. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、電源開発にいたしましても、石油備蓄基地にいたしましても、あるいは素材工場をつくるについても、住民の十分な支持、あるいは国際的な環境として、それをいままでのように進めていく条件がまだ固まってない。こういうことから新全総が新しく三全総に変わらざるを得なかった、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  16. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) いまおっしゃることで大体よろしいのですけれども、さらに一層正確に申せば、お話し合い、あるいは調査の進んでいる段階候補地ごとに非常に差がございます。ある程度工事に着工している段階のもの、あるいはまだ全然地域方々とのお話し合いを始めた程度のものということで、地区ごとに具体的な非常に大きな差がありますから、余り一般に律することは適当ではなくて、その地区の特色に応じて判断していくべきであると思います。
  17. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、今回そのような調整をしていくためには新しい構想が必要だということでお考えになったと、こう考えてよろしゅうございますか。
  18. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 結構です。
  19. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、いわゆる高度経済成長政策がすでに終わったと言われるのですが、その間に御承知のように完全雇用政策の一面をもってその政策は一応終わったと思う。高度経済成長政策は全部悪いのじゃなくて、大体その面の中では、国民の就業の機会が非常に大きくなったということについてはとりあえず認めます。  そこで、そのかわりインフレを助長させ、都市過密化生活環境を破壊させた、これが一つ二つ目には、コンビナート周辺地域開発は、公害地域産業の崩壊を来すようになった。三つ目には、一方農漁村では、離農、出かせぎによる過疎化進行をした。こういうことで、高度成長政策が破綻をしたのは、いまおっしゃったようにエネルギーの危機、エネルギー見通しが十分でない、こういうことによって過密過疎の両域にわたり、失業と地方行政機能大変混乱、麻痺をしておるというように思いますが、いかがでしょうか。
  20. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) いまおっしゃられた幾つかの点は、高度成長のもとであらわれたデメリットの点について幾つか御指摘いただいたと思うのです。そのデメリットについては、その最大限われわれとしてはそれを何とか解決すべき努力をする必要があることは御指摘のとおりでありますが、私どもとしては、反面においてはやはりメリットもかなりあって、国際的な比較というようなことから見れば、わが国の場合かなり生活水準が高くなっている、あるいはかなり文明的な恩恵を受けているという諸点があることもまたお認めいただきたいというふうに思います。
  21. 片山甚市

    片山甚市君 あなたは一次、二次もつくられて、今度三次も大立て役者としてやっておるのですから、メリットの分を少し強調されたらどうですか。お聞かせください。
  22. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 私どもデメリットだけに注目していろいろと対策を講じていきたいと思います。
  23. 片山甚市

    片山甚市君 非常に謙虚に言われるので安心しました。あなたは、志布志の方に、ビフテキを食べたいなどということを言わないで、緑を満喫したいと言われるのは、この世の中では最高のぜいたくではないかと言われておったから、どのように厳しく産業優先をされるのかと心配していましたが、こういう公開の席上でそういう話を聞くことは非常にうれしい。  次に移りますが、それならば、あなたは、計画するけれども計画した意図とは反対のことが行われると、こういうように言っておるようでありますから、そういうような凶器みたいなものをつくられるのはかなわぬなという立場から、計画による過疎過密同時解決は実は同時進行だ、こういうことについてはどのように受けとめられますか。
  24. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 第一次全国総合開発計画とか第二次全国総合開発計画のときには、分散政策ということを前面に押し出して考えていたと思うのです。そのことは、一般方々とお話し合いをする際に出てくるものは、大都市の側から人口にせよ企業にせよ、よけいなものが地方へ割り込んでくる、そして地元は国の命令によってそれを受け取らざるを得ないのかというふうな形での御批判がいろいろ出てくるというようなことがございまして、そういった誤解を生むゆえんのものは何であるかということをいろいろ考えまして、第三次全国総合開発計画においては、余り分散という言葉を使わずに、定住ということで、それぞれの地域の側からその地域に応じてどのように完全雇用を達成し、あるいは雇用の場をつくるということをなさるかということを通じて、全国的な適正な配置をもたらすということができないだろうかということを根本のねらいにしております。
  25. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、新全総におけるところの工業配置構想ですが、それは予定どおり進んだのでしょうか。新全総でいわゆる工業配置構想を持っておりましたね、各ブロック。突然お聞きすることになるから準備はないかもわかりませんが、どのぐらいの割合で進みましたか。
  26. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 結果といたしましては、新全国総合開発計画というのはかなり低い成長計画を持っておりまして、実態的にはかなり高い成長で推移いたしましたので、その絶対値としては、新全総規模をほぼ中央においても達成したという結果に終わっておりますが、実態上高い成長であった分だけはやはり大都市へ集中したという結果を生んでいると思いますが、詳細はちょっときょう資料を持っておりませんので……。
  27. 片山甚市

    片山甚市君 ここで報告の文があるんですが、「ネット・ワーク方式に至るまで」いろいろやったんですが、「いずれも分散をねらいとしていたといって」もいいんですが、それは工場、いわゆる第一次も第二次も分散をねらいとしておったのでありますが、「首都圏近畿圏中部圏整備法などの、大都市圏からの追い出しと相まって、地方工業立地を促進させるものであった。しかしそれは、もっぱら重化学工業地域を新しい地点に建設することをねらいとしたものであり、新産都市工特地域などを中心工業地帯が形成されはしたが、全体として工業配置には大きな変化」がなかった、こういうように数字的に言われておるんですが、余り変わりはありませんか。
  28. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 昭和五十年、五十一年という現時点におきます工業出荷額シェアでごらんになる場合には、御指摘の点で余り間違いでないと思うんです。ただ私どもとしては、基地づくりを通じてその効果があらわれてくるだけの評価の時間はいただきたいというふうに思うわけで、東北地方でいま工業団地なり工業基地建設しておりますものが、実際に出荷額なり雇用効果にあらわれてくるのは、やはり十年あるいは二十年という長さをもって御検討いただかなければならないというふうに思います。
  29. 片山甚市

    片山甚市君 そのような第一次、第二次、旧全総、新全総を見直した結果、三全総計画、創案をされ始めたんですが、いままでのように地域的な工業化の推進ではなくて、居住環境整備を重視した、いわゆる地域整備をする主体として、いわゆる中心地域におけるところの整備を、居住環境整備するめに今回はそれを三全総にしたというように書かれておるんですが、そのとおりに解釈していいか、それについての内容を少し説明してください。
  30. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) やはり、いま東北の事例をお挙げになりましたので、東北などについて申し上げたいと思いますが、北海道東北地域というものは全国土地でいえば四三%もあるにもかかわらず、人口としては全国人口の一五%が定住できるにとどまっているというところは、やはりもう少し環境整備することによって全国人口定住化を図れないだろうか、あるいはいままで東北北海道から大都市へ流出している方々が、生まれた地域で居住するという条件を整えることができないだろうかというところが基本であります。そのときに第一次産業というものがより振興されて、いままでのように農業人口がどんどん減るということではなくて、若干でも減少を食いとめられないだろうかということも考えておりますけれども、やはり北海道七百五十万、東北地方千五百万人というようなことを想定する場合にはかなりの工業立地を必要として、それによって雇用の場を得るということしか道はないだろうというふうに思っておりますので、工業誘致あるいは立地ということを重要視はしております。しかし、人間定住するためには職を得るというだけで生活できるわけではありませんので、大臣から申しましたように、教育医療文化というようなことについて、もう少しいままで以上に地方への分散施策というものを各省と協議して進めてまいりたいということを通じて、定住圏の形成というものが成功し得ないだろうかということを考えております。
  31. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、先ほどは安心したような言い方をしたんですが、新全総で積み残した問題を、国民合意を得るような方法をとりながら、どのように達成するかということが三全総における最大の願いである、こういうように理解をしてよろしゅうございますか。新全総でできなかったものを今度三全総で達成してみたい。それはどういうことかというと、後から質問いたしますが、苫小牧東部あるいはむつ小川原秋田湾あるいは志布志、それから今度は四国はまた入ったようでありますから、あれは私はよく知っておるんですが、海軍の軍事基地があったようなところですから、船が入るんですから、油基地としての宿毛あたりを願って、西南を、四国、追加されましたね。そういうようなことであると、本来いまおっしゃったように、東北で千五百万、北海道で七百万の人口を擁するためには、そういう工業基地をつくっていくという必要性があると、それを達成するためには合意を得る方法をとりたい、こういうように素直に考えてよろしゅうございますか。
  32. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) いまおっしゃられたことにいろいろ意味があるかと思いますので、あえていろいろ申し上げたいと思うんですけれどもエネルギーのための基地をつくるということは生活の上で一つ条件であると思うんです。それがすべてであるというようなことには絶対ならないわけであって、人間の総合的な居住環境を図るためには諸般のいろいろな整備をしなければならないし、その総合性が確保できるところに初めて定住性が確保できるというふうに思うわけです。現在、いまおっしゃられた、むつとか苫小牧とか、あるいは志布志というようなことについて私どもが注目しておりますのは、エネルギー基地をつくる必要があるかないかという点にひとつ大きな課題があるというふうに思っています。  このことは、将来人口が増加するという条件だけではなくて、現時点において東北北海道東京湾石油に依存してエネルギーを消費しているという実態にありますし、日本海地域九州地域は全面的に瀬戸内海の石油に依存しているという実態にあるということは現実でありまして、そのことだけは何とか脱却いたしませんと、東京湾と瀬戸内海の環境問題の基本をつくり上げることができないという認識に立っておりますので、今後の経済成長とか人口増加ということもございますけれども、実は現状の環境問題としてやはり東京湾と瀬戸内海に、現在すでに石油精製で言いますと、東京湾と瀬戸内海で全国の七五%の処理能力を持って東北北海道や九州へ供給しているという実態だけは何とか改善しておきたいという要素を加えて議論しております。
  33. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、今回の巨大開発に見られるものというよりも、エネルギー基地はその地域における自給自足と言ったらおかしいけれども、その地域における自給を達成をしたい、そのところで必要なエネルギーはそのところで調達ができるようにしたいという考えがある、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  34. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 厳密な意味地域アウタルキーを形成しようというところまで考えているわけではございません。しかし、依然として長期にわたって東京湾と瀬戸内海からの全国的な供給という体系は改めておきたいというふうに思います。
  35. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、三全総は、新全総、旧全総によって全国的な公害をまき散らす、または住民意識の高揚、過疎過密同時進行という結果に対してその矛盾を手直しをする必要となって、工業開発のペースのダウンを図ったと考える、まず私は。それはそういうふうに見てよろしゅうございますか。
  36. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 全くそうではありませんで、テンポがおくれていくのは高度成長から安定成長への移行に伴うものであるというふうに考えております。そうしてもし仮に需要が小さくとも大きくとも、その地域との環境アセスメントなり、あるいは住民の意向を反映するための時間をかけるということは別の要素であるというふうに思います。
  37. 片山甚市

    片山甚市君 わかりました。それでは、新全総計画したものを国民の、住民理解を得た範囲でこれからも進めていくというように理解した方が非常に早うございますか。
  38. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) そう思います。
  39. 片山甚市

    片山甚市君 そういうことで、新聞とかそういところで二・五全総だとかいって書かれたことは正しい表現だということで受けとめておきたい。これはどしても後日審議会でお諮りになり、答申された正式のときにまたお話をさしてもらうことですが。  そこで、私の立場から言いますと、いまや冒険的ないわゆる巨大開発ではなくて、もっと着実な既成工業地帯の再開発、いわゆるきらわれないでお招きをいただくような工業化を図ることに最大の努力を図るべき時期ではないか。そのために私たちは総点検をされたり中間報告をされたりされるものだと思っておりましたら、いま局長がおっしゃるように、北東北、南九州の停滞ですね、さらに一層開発努力によって解決したいと、こうおっしゃっておる。そのことは新全総でお決めをいただいておる、実施をしていくところで隘路になった諸問題についてはどうしても進めなければ、日本の国の将来にエネルギーの供給あるいは素材の供給ができない、どうしても進めたい、こういうことでありましょうか。
  40. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 既成工業地帯の再整備をするということは、御指摘のとおり当然であると思います。私はその既成工業地帯において生産量を増大する方向に向かって既成工業地帯の再開発をするということは余りできないのではないかというふうに思っています。むしろ縮小するというようなことに着眼して再開発をするということがむしろ理想ではないかというふうに考えております。しかも先ほど申しましたように、東京湾、瀬戸内海という状況から見た場合には、やはり地方でそれぞれ新しいエネルギー基地をつくるということがどうしても必要ではないかというふうに思っておりますけれども、それはある一つの六%経済成長ということを総合政策の結論として、前提として置いた場合に私どもがそう思うわけでありまして、その要請から各地域におりて各地域方々とお話し合いをしたり、あるいは調査を進めたりして、できるもの、できないものが出てくるという考え方をしておりまして、できないという条件が多くなってきた場合には、経済成長そのもの、あるいは国民生活の様式あるいは水準そのものについても、やはりお互いに検討し直していくという余裕を持ったものとして計画を立てておく必要があるというふうに思います。
  41. 片山甚市

    片山甚市君 そのことはあなたの御意見として承っておきますが、新全総、旧全総工業開発を今日までやってきた。その工業に必要な労働力は農村、山村、漁村から都市部に集中されたんですが、そういう労働者は都市にこれから定着をする。定着すると、労働力の再生産が行われることになると都市人口は自然増を——社会増ではなくて自然増を含めてこれからも増加し続けると思う。ところが、その反面、高齢者社会ということで、いわゆる都市も農村もでありますけれども農漁村は特にそういうようなことで荒廃をしていくのではないか。こういうふうに考えますが、大都市における人口、それから農山漁村における、地方における人口の問題としてどのようにこれから受けとめていくか聞きたい。
  42. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 御指摘いただきましたように、やはりこれからの社会構造を考えました場合に、第一次産業が労働力を吸収する力が実際問題として余りないということもございますし、それから第二次産業というものが六%成長という低い成長のもとで余り労働力の吸収効果がないというようなことがあって、産業構造としては比較的三次産業に傾斜した産業構造になっていくであろうということを一つは前提にしております。それからもう一つは、どうしても大学進学率が高くなって、高学歴な人口が増加してくるだろうということを感じております。もう一つは、いま御指摘いただいたように、どうしても老齢化というものは避けがたいというこを考えております。そういうことをいろいろと考えてみます結果として、私どもとしては国土について人口を考えます場合に、都市化というものはやはり依然としてかなり速いテンポで進んでいくであろうということで、都市化ということにかなり大きく着目をしなければならないというふうに考えておりますが、その都市化の中でやはり老人問題というものが非常に大きな位置を占め、世帯分化におきましても、老人世帯というものが増加するということにどうやって対応したらよいかということは大きな課題であるというふうに思います。
  43. 片山甚市

    片山甚市君 先ほどいわゆる公害多発工場は縮小することがあっても、これを抑制するというか低公害にするようなことについては政策として適当でない、こういうようにおっしゃいました。そこで、そういうような考え方について、実はネットワーク論が補修せなきゃならなくなって定住圏構想が出されたと、こう思ったんですが、そうすると、生活環境の破壊というのは、これから新しく来る工場では起こらない歯どめというのはどういうふうにされますか。
  44. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) ちょっと御質問の趣旨が余り明確に受け取れませんでしたのでお答えが少し曲がるかもしれませんが、公害があっていいということというのは絶対あり得ないのであって、あらゆる産業を低公害のものに持っていくという努力はするわけでありまして、いま御発言いただきましたように、公害のある産業はやはり要るんだからそれで立地するんだというお受け取りいただいたとしたら、私の発言が不十分なわけでありまして、エネルギー産業その他についても十分低公害化の方向というものは最大限の努力をしなきゃいけないということが前提であると思いますし、そしてまた第一次全総、第二次全総、第三次全総、あるいは将来第四次全総となったりしましても、人間生活の中でやはり二次産業というものがかなり大きな重要な意義を果たしていくということは変更することはあり得ないというふうに思います。
  45. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、三全総国民生活を優先させる政策であるように宣伝をされておるんですけれども、やはり巨大開発のために必要な水と土地を求めて、北海道あるいは東北、南九州に工業立地を求め、その処女地におけるアセスメントをこしらえて、それも議会という名で、住民よりは議会という名においてこれを策定していく。このために、この地域を最も工業立地可能な条件ということで、石油精製とか製鉄などの基地づくりをするために策定されておる。いろいろとお話がありましたが、そういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  46. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 全くそうではありません。その必要性があるということが一事が万事というふうにお受け取りいただくことは非常に私どもとしては困るわけでありまして、そのことは苦しいけれどもやらなければならない仕事の一つであるということをるる御説明しておりますし、むずかしいからこそ国としては重要な課題として取り上げているわけでありますけれども、それのみをとか、それだけでとか、それを中心にということは私どもとしては考えておりません。
  47. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、人口の四三%がすでに大都市に集まっておるんですが、そのいわゆる公害問題、工場の問題についての解決策、こういうことはどのように今度の三全総では具体的に図られますか。
  48. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 大都市地域におきます都市改造の問題、あるいは既成工業地帯の改造の問題ということを基本問題の一つとしております。
  49. 片山甚市

    片山甚市君 それでは、具体的にどういうように進めていかれますか。その基本目標についてどのように、工業の再配置の問題等について先ほど申しましたけれども東京圏あるいは大阪圏、名古屋圏等について、あなたの方では大都市における問題として、具体的に三全総ではこのようにやっていくという御説明がありましょうか。
  50. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) いま御質疑の過程から出てきた工業の問題について言えば、やはり東京、大阪におきます工場の規制の強化ということを具体的に進めてまいりたいというふうに思います。それに関連する法令もすでにあるわけでありますから、そういうものの運営その他によって強化をしていきたいということは、具体的な仕事としてこれから出てまいるというふうに思われますし、それからまた通産省などで行っております工業配置法に伴う諸政策を強化していきたいということによって、工業の側面を政策として打っていきたいと思いますが、跡地対策その他については、今度は都市計画その他の手法によって跡地を公園その他住宅地などに転用をしていくというということを進めてまいりたいということを思います。ただ、工業の再配置という、あるいは再開発ということだけではなくて、やはりいま御指摘いただいておりますような東京の場合、大阪の場合、名古屋の場合、それぞれの大都市圏としての特色を持っておりますから、特色に応じた機能の再配置あるいは住宅建設というようなことに大都市圏整備を進めていきたいというふうに思っています。
  51. 片山甚市

    片山甚市君 騒音とかあるいは悪臭、汚濁など、生活環境の破壊や住民の健康の支障ということから、大都市周辺の公害型の重化学工業工場をどう処理するか、どういうように措置をするかということについてはいまのお話では十分ではありませんから、具体的にそのことについてどのようにやっていかれるのか。というのは、三全総では居住環境条件整備をして向上をさしていきたいというならば、いま日本の産業の中で最も主要な地位を占めるいわゆる三大工業圏における生活が、居住条件がよくならなければ、工業配置を新しい条件のもとに地方に求めるということだけであって、現に過密でありかつ公害があり生活環境が破壊されておるものについて、どのようにバランスのとれた開発をしていき、定定させていくということでなければならない。そういう意味では定住圏構想というのは、おくれたところ、まだ開発をされてないところ、そして人がまだ住みついておらないところ、こういうところに力を入れておるけれども、いまそこに住んで生活が大変になっておるところについての具体的な提案がない。こういうように思いますが、それについての説明を願いたいと思います。
  52. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) いまのお話でちょっと誤解があるのかと思います点は、定住圏構想大都市圏をやらないということではございませんで、やはり私どもとしては大都市圏の中も幾つかの定住圏ということで、地方公共団体を中心にしてそれぞれの定住圏環境整備ということは、やはり地方と同じように進めてまいりたいというふうに考えております。
  53. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、具体的な例で言いますと、東京におけるそれでは定住圏構想に基づくこれからのあり方はどういうように考えておられますか。一番大きい、一千万を超えるところですから。
  54. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 東京圏定住圏をどのように考えるかということについて、具体的には三全総決定後に関係省庁とも相談をし、地元の地方公共団体とも相談をして、地元の公共団体の主体によって決めてまいりたいということでありますから、現在私が明快にここでお答えすることは避けさしていただきたいと思いますけれども、考え方の基本としては、やはり東京を見ております場合に、通勤通学というようなことを通じての交通体系によって大都市地域形成が行われているということが一般的に言えるのではないかと思うわけでありますけれども、この段階でやはり河川管理あるいは下水道の管理あるいは水質汚濁、環境問題というようなことからいった場合には、やはり水系水脈に対応した地域形成ということにもう少し着目いたしませんと環境問題と対応する生活環境づくりができないのではないかということから、交通の条件だけではなくて水系管理という角度を入れて大都市圏定住構想というものをやはり考えていくということがひとつ大きなポイントではないだろうかということを感じているということだけ申し上げます。
  55. 片山甚市

    片山甚市君 そうしますと、首都圏の中で東京都が占める位置が非常に大きいと思うんです。国土庁の案の中には首都を移す、または分けるという案が出ておりました。これらは経済的、政治的に非常に大きな圧力がかかって、案としてあっても首都圏機能的に住みやすい条件にするための案としてはまとまるかどうか、これはどういうようにお考えでしょうか。
  56. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 第三次全国総合開発計画では、首都機能の移転問題を今後の課題にさせていただこうということで案をつくっています。これを言い出しました一つの考え方の前提には、現在の東京におきます過密の現状の解決のためには、やはり首都機能を移転するというところまで深入りしなければ十分ではないという認識があったことも事実でありますけれども、もう一つの考え方として、やはり産業構造が非常に第三次産業あるいは中枢管理機能に傾斜していくという傾向が避けられない。新全国総合開発計画の場合には中枢管理機能の労働力がこれだけ大きくなるというふうに実は見込んでおりませんで、昭和六十年で第三次産業シェアが四七、八%であると見込んでおりましたのが現在すでにそれを突破いたしまして、第三次全国総合開発計画では、第三次産業シェアがやはり五五、六%までいくことを認めざるを得ないのではないかということを仮説にしておりますので、そういったような状況から言いますと、東京中枢管理機能人口が余り巨大に集まってくる要素を何とか避けておきませんと、東京人口増加がまだ依然として続いてしまうというおそれがあるという観点に立っています。
  57. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、もう一つの巨大都市としてあなたの方が着目している大阪ですが、これは経済活動は斜陽化しておると思いますけれども、やはり近畿の中心的な位置づけがあると思います。しかし、四国、中国、九州に対しての拠点というようには考えられませんが、この大阪についての位置づけはどういうふうになっていますか。
  58. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 巨大都市として過密の現象をトレースしていきますと、東京圏に比べまして、やはり大阪圏においても相当深刻なものがあるという現象面というのはお認めいただきたいと思いますけれども、しかし、機能的な実態から言いますと、首都としての東京と大阪とは格段の差がついてきているという見方をしておりまして、東京とは違って、大阪については、むしろ東京に持っております中枢管理機能の一部を大阪に移転できないものかどうかということをやはり検討すべきであると考えておりますし、さらには東京に余りにも集中しております教育文化という機能をもう少し大阪へ移転できないであろうかということを含めて、過密という現象面では同一の扱いとして対策を講じたいと思いますけれども機能配置論としては、東京と大阪では性格を異にしているという認識に立って書いています。
  59. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、その次に位する中京圏、いわゆる名古屋圏でありますけれども、この地域は、私先ほど申し上げたかもわかりませんが、いわゆる開発が予定されるというか、重視されるというか、その地域としては制限をしてほしくないというか、こういうような意見があるのでありますが、この名古屋圏についてはどのように今後展望されますか。
  60. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 第三次全国総合開発計画では、三大都市圏の問題の中で名古屋圏だけを別な扱い方をしております。この扱いを別にいたしました根拠は、いま御指摘いただきましたように、過密の現象面で東京や大阪が持っている悩みの深刻さに比べれば名古屋圏の場合にはまだ余裕を持っている。土地や水、その他の点で余裕を持っていると言っていいのではないかと思われますが、しかし、やはり将来に向かって再び東京や大阪というような過密の状況ということが再現しないかどうかということへの警戒心というのは十分必要であるという認識に立っておりますので、余裕を持ちながらも警戒心を必要とするという前提で名古屋圏の整備の方向を求めております。
  61. 片山甚市

    片山甚市君 東京都の首都としての機能分散さしたい、こういうふうにおっしゃった。東京における機能的ないわゆる生活上の問題ですが、この行き詰まりの主なるもの、たとえば住宅であるとか水であるとかということで、六十年に向けて最も困難なものは何で、そういうために分都とか遷都とか、いわゆる首都を移すとかいうことになっておるのでしょうから、その問題点を挙げてください。
  62. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) それは非常に広範なお答えをしなきゃならないと思います。特に首都機能の移転という問題は、国土庁の国土行政の側の問題だけではなくて、やはり国会の機能であるとか、あるいは国、地方を通ずる行政の機能の問題まで含むでありましょうから、そこまで私どもとしてはお答えする能力を持ちませんが、私どもの業務の範囲で思いますことは、首都機能の移転を伴わない場合の三全総計画として、一都三県の東京圏人口が現在二千七百万を超えてまいりましたが、三千五百万人に達する可能性を持っているというふうに思われますので、三千五百万ということを前提にして東京圏土地問題、水問題、あるいはエネルギー問題、あるいはごみ処理問題などを考えた場合に、やはりちょっと解決困難という状況に陥るのではないかということを心配しております。
  63. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、東京、大阪にはそれぞれのやり方の違いはあっても、方法はあっても、これ以上人口が増加する、あるいは都市機能集積する、人口が集中するということがないような具体的な施策を三全総が進める、そしてそこで快適な生活が行われるようにせなきゃならない、こういうことが大体中心になりましょうか。
  64. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 御指摘のとおりだと思いますが、東京におきましても大阪におきましても、いままでの十年あるいは十五年の増加は社会増によってもたらされましたけれども、これからの十年、十五年の増加は自然増によってもたらされて、むしろ社会増は大阪などの場合マイナスに転ずるという状況になってきているわけでありますので、自然増加による人口増はなかなか機能分散によって効果をすぐに上げるというわけにいかないという側面を持っておりますが、長期的な視点ではやはり首都機能の移転などによって関連人口の移転を促進するということは三全総にとって一つの大きな課題だと考えます。
  65. 片山甚市

    片山甚市君 日本経済を支えてまいった工業地帯は、いま申された京浜、京葉、中京、瀬戸内海のうちの大阪を中心とする阪神だと思っています。そこで、大阪府がこういうふうに言っておるんですが、「安定成長期においては、巨大都市のもつ既存資本ストックの活用とそのシステム化を通じて、経済社会の維持発展が図られるべきものである。従って、巨大都市の活力を減退させることなく、巨大都市都市機能の維持更新、都市開発等の方策を示す必要がある。さらに、大都市環境整備都市機能の維持更新のための大都市財源の確保、国家資金の積極的投入等、行財政制度の改革方策を示す必要がある。」というように言われておるんですが、国土庁はこのことは御承知で、これについては御所見ございましょうか。
  66. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 全国都道府県から意見をいただいておりますので、大阪府からいただいた意見もよく存じております。そして先ほど申しましたように、大阪については巨大都市ではあっても東京圏とは事情を異にしております関係で、東京圏の首都移転というようなことについて課題を持っているのとは違って、大阪圏の場合にはいまおっしゃられたような都市機能の一部、逆に強化ということも重要な課題になっているというふうに考えています。
  67. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、昭和六十年、六十五年、七十五年に向けて東京中心とする首都圏あるいは大阪圏ではそれぞれ人口が増加することになっておるが、どのぐらいの数になりますか、推測。
  68. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 東京圏昭和五十年に二千七百万ですが、昭和六十五年約三千二百五十万。大阪圏は現在千五百六十九万人でありますが、これが昭和六十五年では千七百八十万ということで計画しております。
  69. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、東京における昼間人口と夜間人口はどのような状態で、また大阪がわかっておれば大阪もどういうことになっておるか。
  70. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) ちょっと恐縮ですが、資料を持ってきておりますので探しますからちょっと……
  71. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、昼間人口と夜間人口ということになると大体相当の開きがあるんですが、これは御承知と思いますが、職住が離れておる、これからの都市機能としては、職住密接方法を具体的にとっていくことによって社会的なスプロール、いわゆる荒廃を防ぐことにならないだろうか、こういう考えがありますから、昼間におるのは都民税や市民税を払っておりませんが、それは費用だけ出す、こういうことですから、昼間人口と夜間人口との差についてお聞きするのはそこであります。
  72. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 東京区部におきます昼夜間人口でございますが、昭和五十年昼夜間人口の比は、夜間を一〇〇といたしまして昼間人口が一二四・三ということでございます。大阪市部においては、昭和五十年夜間人口一〇〇といたしまして昼間人口は一三五・三ということでございまして、大阪市については周辺市町村からの通勤人口が大きくて、東京よりも大阪市部の方が昼夜間人口の比は大きいという状況でございますが、こういう状況でいまお尋ねございましたように、通勤距離が非常に遠距離化してきており、しかもかなりの程度限界まで遠融化してきているというようなことから、やはり都心部におきます夜間人口の増加ということには三全総としては非常に大きな関心を持っておりまして、都心部の住宅建設ということはぜひ建設省その他にお考えいただかなければならないというふうに考えております。
  73. 片山甚市

    片山甚市君 東京都の試算によると、都全域の昼間人口は年間十万人増加するとして、これに伴って追加的に必要となる公共サービスの費用を試算してみると、いわゆる鉄道、道路、上下水道等主なるものを限って約二千八百八十八億円となる。都が租税収入をもって負担すべきものは初年度百九十億円、起債償還など後年度負担を含めると実に六百十六億円という巨額に達する。この数字を昭和四十五年から六十年までの昼間人口の増加分百五十万人に掛けると、九千二百四十億円という巨大な財政負担となって都の財政にのしかかってくる、こういうような説明をしておるのでありますが、これはおおむね妥当な判断でしょうか。
  74. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 東京都につきましては、東京の各区の区長さん方との意見の交換をいたしまして、そのときに各区の区長さんから、むしろ東京の都心部にあっては従来と比べて夜間人口が非常に激減したために社会資本が非常に過剰になってきておって、むしろ夜間人口という角度からだけいえば、過密対策を講じていただくよりは過疎対策を講じていただきたいという考え方がある。つまり、小中学校についてもかなり教室が形成できないというところまで児童数が減ってきているというような要素もあり、たばこ屋さんから八百屋さんから魚屋さんまでお客が減ってきて困っているというような実態もあって、やはり夜間人口の増加ということにかなり大きな区長さん方の関心があるということも伺ったわけでありまして、そういう意味では社会資本をさらに追加して整備することがいま御指摘のように必要でもありましょうが、一方ではアイドルになっている社会資本があることを活用できるという便宜もあるのではないかということで、遠融地に住宅団地を総合的につくるということも量的にやはりせざるを得ませんけれども、都心部の居住環境整備ということは一つの大きな課題ではないかというふうに思います。
  75. 片山甚市

    片山甚市君 昭和六十年以降の東京大阪圏中心とする生産年齢人口が急速に伸びると仮定しますが、それはどのぐらいになりますか。
  76. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 恐縮ですが、生産年齢人口と言いますと……。
  77. 片山甚市

    片山甚市君 十四歳から六十五歳になりましょうか、あなたの方、大体それは調べていませんか、十四歳から六十歳まで。
  78. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 十五歳から二十四歳は、東京圏の場合には、昭和五十年四百四十万に対して六十五年では五百六十七万人ということで予測しております。
  79. 片山甚市

    片山甚市君 私の方で見ると、生産年齢人口は六十年で九十一万人ほどふえることになる。こういうふうに見ておるのですが、地方においては老齢化が進んで生産年齢人口は大変減少することになるのですが、そのように見てよろしゅうございますか。
  80. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 人口の総数についてまず推計をいたしました後、労働力人口がどれだけになるかという予測を立てておりますが、労働力人口を立てます際に一つの推計上の困難な問題としては、老齢化人口がどれだけ就業化するかという問題が一つございます。私どもとしては労働省とも相談をいたしまして、いままでの人口の年齢に伴う労働力率がある程度上がってくるということを予測を立てて年齢別の労働力人口の推計をしておりますが、確かに地方におきまして老齢化した労働力の増加が出てまいります。
  81. 片山甚市

    片山甚市君 大都市では労働力年齢のいわゆる十五歳から六十歳、六十五歳までの人はふえるんでありますけれども地域においては大変なゆがみをしてそれが少なくなる、こういうことで、地域に適当なそういう生産、雇用の機会が与えられるように定住圏構想というものをつくられた。いわゆる働きの場所ということは、その場所に労働力年齢の人たちが定着をする、こういうように考えるんですが、いかがでしょうか。
  82. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) もちろん御指摘のとおりに、年齢によりまして就業の構造あるいは労働の形態を異にしていくということは肉体的関係から当然かと思われますけれども、一方で工業あるいは中枢管理機能にいたしましても、年齢の弱点を解決するだけの軽労働への技術開発ということも伴うでありましょうから、私からそこをいま明快にお答えすることができませんけれども一般論としては、年齢構成に合った就業構造をつくり上げるという必要は定住構想にとって重要であるというふうに思います。
  83. 片山甚市

    片山甚市君 実は、労働力の世代間再生産は、もっぱら三大都市圏にこれから六十年まで行われて、地方圏は完全にさびれるんでないか、いまのままいったら。こういう立場に立ちますから、過疎というよりも地域社会の崩壊を招かないだろうか。それをなくするために、いわゆる地方が活気のある社会にするためにこの定住圏構想を出されたものだと思う。たとえば工場地方分散をいたします。しかし、寡占体制のもとでの下請型の企業が来て、また雇用労働者といっても、何回もいろいろなところで議論をしている婦人労働者、女子労働者を中心とするものであって、普通の男子の労働者が働けるような場所がない。今度の三全総というのはいわゆる男女を問いませんけれども、生産年齢、労働力年齢の方々が定着して、企業も定着して、そこにおる人も定着して働けるという条件をつくることではないのか。いわゆる先ほどのむつ小川原とかあるいは苫小牧東部、秋田、志布志湾、こういうところについて工場をつくるというのは、方法であっても、最終的に最大にねらいとするのは、地方圏にあるところの職場を安定させるための方策を求めておる、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
  84. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) まさにそのとおりであるというふうに私は思います。ただし、特に注目をしておかなければいけないのは、十五歳から二十四歳という年齢層で見た場合に、全国的な話ですけれども昭和五十年は八百四十四万人であります。しかし、昭和七十五年では七百九十一万人ということで、十五歳から二十四歳の年齢層だけは絶対量が減るわけであります。そのために、この若年層がどこの地域定住するであろうかということが、活力ある社会をつくるときのかなり決定的な要素ではないかというふうに思っています。そのときに、十五歳から二十四歳という年齢は、お気づきのように、大学進学率が五割に達してくるという過程の中で、やはり大学進学者たちによってこの年齢が占められていくということになりますから、大学進学を希望した十五歳から二十四歳が依然として大都市の大学へ就学するということを継続する限りにおいては地方の活力ある年齢構成を形成することができないという観点に立って、大学の移転ということを地方の活力ある年齢構成の再現への道の一つであるということを三全総としては考えています。
  85. 片山甚市

    片山甚市君 いわゆる首都圏の、東京圏じゃない首都圏では六十年に七千九百九十万人になり、六十五年には八千六百三十万人、それから七十五年には九千七百九十万人になるとあなたの方で推計をやって出ておるのでありますが、いまおっしゃるように人口が、いわゆる増加率が大都市では低下をいたしましても、自然増として、いわゆる社会増でなくてふえることになる。これに対しての就業の機会、その生活の保障というものは大変大きいと思っております。確かに私が申し上げるように、地方圏における雇用の機会もこれはもとより大変大切でありますが、すでに大都市に定着をして、そして労働人口が再生産されていくという過程の人たちの対策というのは緊急なことだと思いますので、それについてのお考えを聞きたい。
  86. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) おっしゃるとおりでありまして、ただ、東京などの人口増加の内容を見てまいりますと、ここ十年ぐらいあるいは五年ぐらいの人口増加の中心は、戦後ベビーブームの方方の出生に伴うものというのが、性格上一番大きいというふうに考えておりまして、戦後のベビーブームの方々は、全国でベビーブームでありましたけれども、この方々高度成長期にかなり過半の方が大都市へ移住して大学を出て、そして就業なさって現在結婚なさるという状態になって、現在大都市の周辺市町村の地域における人口急増地域中心としてその出生が非常に大きくなってきているということを反映して自然増加がありまして、したがって、この自然増加が、小学校に入り中学校に入り高等学校へ入り、大学に入りということで、ここ十年、十五年というものを推移していくということを通じて、やはり生活環境整備が重要な課題でありますけれども、その後におきまして、その第二ベビーブームの方々が就業なさる段階で、果たして大都市でそれだけの年齢が就業できるかどうかということに対しては、私ども昭和七十五年の予測としてはなかなか就業し切れないで地方へ就業していただくということになっていくということではないだろうかというふうに思っています。
  87. 片山甚市

    片山甚市君 そういうことに立ちますと、建設省は第三期の五カ年計画住宅昭和六十年に千七百五尺昭和六十五年に二千四百七十二万戸ということでつくられる。いわゆる地域的に、いまの三全総にふさわしい配置地域別にどのようにつくられようとしておるか、まずお聞きしたい。
  88. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 第三次の全国総合開発計画の案におきましては、住宅につきまして今後の世帯増による新規住宅需要、それから居住水準の向上等によります建てかえ需要等を考慮されまして、長期的な展望に立って住宅供給の全国目標として、いま先生がおっしゃいました昭和六十年までに約一千七百万、それから昭和六十五年までに約二千五百万という提案がされております。  一方、私どもの所管しておりました第三期住宅建設五カ年計画におきましては、目標年次を五十五年に置いております。その間に五カ年間で八百六十万戸の住宅建設をいたしたいと言っておるわけでございます。で、第三次建設五カ年計画はすでに第二年度を迎えておりまして、しかしながら、その背景となりました住宅対策を進めるための基本的方向、それから達成したいと思っております住宅の居住水準、それから住宅建設戸数の見込み等につきましては、いずれもこの五カ年計画と三全総とは整合のとれたものだと思っております。したがいまして、建設省といたしましては、この全体の計画といたしましての五カ年計画のマクロの計画としては十分整合のとれたものと思って考えておりますので、五カ年計画を着実に実施をするということによりましてこの三全総目標が達成できるのではないかと考えております。ただし、最初に申し上げましたように、五十五年までの計画でございますけれども、六十年の一応の長期の見通しは持っております。その分が先ほど整合しておると申し上げたわけでございますが、五十六年から始まります第四期の五カ年計画につきましても三全総と整合をとりながら施策を進めてまいったならば十分目標が達成できるというふうに考えておる次第でございます。
  89. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、いま地域別に三全総の試案としては北海道東北、各ブロックごとに出されておるんですが、それは満たされることになりましょうか。特に公的な住宅というのは、その割合は、その場合の策定をされたときにはどのような状態でしょうか。
  90. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 三全総地域区分によりますと、この東京圏等におきまして六十年までには約五百万、六十五年までには七百万、大阪が六十年までには二百万、六十五年までには三百万の戸数が必要だ、その他の地域におきまして、人口集中地区等で六十年まで一千万、六十五年まで一千四百万というふうに諸元が示されております。  実は、三全総地方ブロック別の地域計画と、それから私どもの所管しております三期五カ年計画との地方区分とが、実は歴史的な因果もございまして、必ずしも整合いたしておりません。さらに、先ほど申し上げましたとおり、三全総では計画目標が六十年、それから六十五年になっております。第三期五計は五十五年を目標にいたしております。さらに、第三期五計が発足後こういうふうな地方ブロックの計画が出てまいっております。したがいまして、全国レベルではほぼ整合はとれておりますけれども、小ブロック別の計画につきまして、個々細目につきましては全部必ずしも現在のもので直ちに比較できるというものではございません。ただし、全体の計画がそろっております以上、こういうふうなものの実行に関しましては十分調整を進める余地はございます。さらに、第三期の五カ年計画に基づきます地方計画等は、定住圏構想等の定着を待ちまして、十分それに整合するように調整、変更することもできるというふうに考えておる次第でございます。
  91. 片山甚市

    片山甚市君 公的住宅をどの割合で考えておりますか。
  92. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 第三期住宅建設五カ年計画では全体の四一%、三百五十万戸を公的の施策の対象と考えております。
  93. 片山甚市

    片山甚市君 私が聞いておるのは、さらに住宅問題の解決なくして定住圏構想というものはない。定住というのは家に住むんじゃないですか。ですから、住宅がどのように確保される政策がまずあるのか、それでその中で仕事はどのように確保されるようになるのか、そういうようなところで働くためには子弟に対しても、含めて、教育文化医療というものはどうあるのか、こういうことでなかろうか。どちらが先とは言いませんが、最も重要なことが建設省といわゆる各ブロックとの間に、各県との間に話がついておらぬということは、この三全総はいろいろ言っておるけれども、巨大開発をするための手段ということにならないかという心配をするんですが、建設大臣、これはどうしても住宅については進めてもらわなきゃならぬ。道路もよろしいし、新幹線も熱心でありますが、それはいろいろやっておるようでありますが、私はこの住宅問題が今日の国民の精神を安定さしていく、何を投資するかといっても、やはり住まいほどわれわれの気持ちを変えるものはない。不安定というのは、いわゆるそういうことでありませんか。ピアノを弾いておるからといって、かっときて殺した。その人が殺された殺されないという問題が起こる。それは一つの現象でありますが、私は今日建設省が非常な力を入れてやらなきゃならぬことは、住宅をどのように、低廉というか、その収入に見合った形で、とにかく払えるような政策にするのかということが問われておると思いますが、大臣の所信を聞きたい。
  94. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 最初に五カ年計画の考え方について、もう少し補足をさしていただきます。  五カ年計画は、全国的ないわゆるマクロの計画としての八百六十万戸という全体計画、その中でいまの四一%が公的施策住宅というふうに考えておりますけれども、それと同時に、やはり住宅宅地審議会の議を経まして地方別のブロック計画をつくっております。先ほど申し上げましたのは、その地方別の九ブロックに分けたブロック計画でございますが、ブロックの分け方そのものが三全総と若干食い違っておるのでということを申し上げました。さらにもう一つは、都道府県計画というのがございます。都道府県計画と申しますのは、第三期五計の中の一番ミクロな計画でございますけれども地方公共団体がそれぞれの地方公共団体の内部におきます将来のいろんな開発計画その他を下敷きにいたしまして、いろんなものを提出をしていただいております。それを全体計画、ブロック計画の中でレビューを何度も繰り重ねまして都道府県ごとに計画をつくっておるものでございます。したがいまして、その都道府県計画、それから地方ブロック計画等が今後の定住圏構想のあり方と非常に密接な関係があるというわけでございますけれども、それは先ほど申し上げましたように、マクロの考え方ではそれで整合いたしておりますので、ミクロの実行につきましてはどちらが先かよく私わかりませんけれども定住圏構想の定着を待ちまして十分整合がとれるような施策を進めてまいりたいという次第でございます。
  95. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) ただいま数字にわたっては局長お話し申し上げたとおりでございまして、建設省といたしましても三全総定住圏構想、これによって新たなる構想を立てなきゃならぬところは構想を立て、また都市周辺というような面につきましても特にその意を用いて、それに万全を期していく考え方でございます。
  96. 片山甚市

    片山甚市君 先ほど東京都の首都圏の話も出ましたが、大変むつかしい問題があるんですが、住宅のいわゆる需給というか状況、いわゆる過不足の問題については都市圏とその他ではどういうことになっていますか。
  97. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 実は統計的な数字で申しますと、来年度が五年に一遍やります住宅統計調査年に当たっておりまして、現在のところ第三期五計をつくりましたもとになりました四十八年の住宅統計調査が一番正確なものと考えております。その後そう余り変わらないかっこうで推移をしておるんではないかと思いますけれども、そのときの四十八年の住宅のストックの状況を申し上げますと、全国住宅総戸数が三千百五万九千戸でございます。そのうちで大都市圏、これは関東、東海、近畿でございますが、約六一%を占めておりまして千八百九十四万四千戸ございます。その他の地域に三九%の千二百十一万五千戸が配置をされておったというのが過去のストックの状況でございます。
  98. 片山甚市

    片山甚市君 それで、住宅は不足をしておる、足りないという率はどういうことですか。
  99. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) やはり、住宅がその当時の状況で申しますと、全国で世帯の数に比べまして百四十万八千戸余剰でございます。その余剰の状況は全都道府県におきまして住宅の戸数が世帯の数を上回っておるというのが実情でございまして、したがいまして、わが国の住宅事情はいずれの地域におきましても量的には一応オーバーしているということは言えます。しかし、私ども同時に住宅需要実態調査というのをやりまして、住宅に困っていらっしゃる方々調査もいたしております。昭和四十八年に同じくやっておりますけれども、われわれはむしろ最近におきます住宅不足ということにつきましては、良質な住宅が足らないというのが不足だろうというふうに考えております。そういう意味で申しますと、住宅の質的水準について見ますと、三期五計では閣議決定の中で六十年までに達成をしたい居住水準目標を示しております。これは三全総とも整合しておるものでございますけれども、その場合の三期五計に定めております最低の居住水準以下の世帯というのをとってみますと、全国では三三・七%、約九百八十万世帯がその第三期五計で見ます最低居住水準以下でございます。そのうちその平均を上回るところは関東地区が四〇・三%、それから近畿地区が三八・五%ということでございまして、先ほど申し上げましたような数の不足というのではなくて、生活水準の不足ということから申しますと、東京、大阪にそれぞれ全世帯の約四割がそういう意味の不足を訴えておられるということでございまして、現在の住宅不足はどこかと言われますと、現状では東京、大阪にウエートがあるというふうに申し上げざるを得ないと思います。
  100. 片山甚市

    片山甚市君 そういう意味で、首都圏あるいは近畿圏東京、大阪についての格段の都市の問題に取り組むことが国民生活、民生を安定させる道になろうし、定住圏構想ということをやるとすれば大変気の遠くなるような大切なことをやらなきゃならぬと思います。そういう点ではひとつ十分に心組みをしていただきたい。  実は、都市から大学と工場分散させる、この機会に分散させたい、こういうことを言われておるんでありますが、しかし、その場合に公害型の工場地方分散させるということになれば地域住民が受け入れることはできない。そうすると、工場分散させたいといってもできないのですが、そのようなことについて、逆に言いますと、公害型の企業でない低公害の企業を地方に出すということになれば、大都市には多公害のいわゆる重化学工業しか残らない、こういうことになるのですが、今度のいわゆる三全総ではどのような方法でその問題を解決されるのですか。
  101. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) いまおっしゃられたように、この工業とか、この業種は公害型である、あるいはこれは低公害型であるというふうに私ども実は感じておりませんで、公害問題というのは、著しく個別企業あるいは個別の地域というケース・バイ・ケースの特定の課題として十分検討いたしませんと、やはり問題があるんではないかというふうに考えています。そして特に都市の再開発に当たっては、やはり周りの人口の密度が異常に高い地域におります工場などについては、振動その他の点でいろいろな意味での環境への影響を持っているわけでありますから、そういう工場については、企業の希望も入れながら移転を促進して都市の再開発をしていくということになるのであって、公害型であるかどうかということの尺度ということから私ども考えておりません。具体的には、通産省におきます工業配置法に基づく仕事として業務を具体的に進めてまいりたいというふうに思っています。
  102. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、立地公害局の方に聞くのですが、日本の国は公害型企業とか産業とかいうものはない、こういうように理解してよろしゅうございますか。
  103. 有岡恭助

    説明員(有岡恭助君) ただいまの御質問でございますが、国土庁の方で御答弁なりましたように、正確に公害型であるとか非公害型であるというような区別はないかと存じますが、それは公害問題が、公害対策上の要請を必要とするような企業というようなものは存在するんではないかと考えております。
  104. 片山甚市

    片山甚市君 それはどういうものですか。
  105. 有岡恭助

    説明員(有岡恭助君) 私ども実は工業配置計画というのを本年七月に決めたわけでございますが、この工業配置計画におきまして移転促進地域、つまり大都市圏から移転を促進すべき対象工場といたしましては、防災あるいは交通への影響、都市計画への要請の強いものというものと並びまして、環境保全上、過密に対して負荷の大きいものを優先させるということを考えておりますが、ただいままでの移転動向を調査いたしてみましたところ、移転いたしました企業、工場の移転理由のうち一番大きいもの、つまり四割程度は公害防止対策に協力するために移転せざるを得ないというのがございます。  それから現実に移転しました工場の種類を見ましても、公害防止対策を講ずる必要から移転いたしましたものが非常に多うございまして、こういったものは、先ほど申し上げました公害問題を発生しやすい種類の企業かと思いますが、こういうものにつきましても、過去の例を見ますと、きわめて多数移転をしているということが言えるのではないかと考えております。
  106. 片山甚市

    片山甚市君 具体的に工場の名前を言ってください。
  107. 有岡恭助

    説明員(有岡恭助君) 具体的な工場の名前はただいま手元に持っておりませんが、先ほども申し上げましたように、一応公害対策上移転を必要とすると考えられますような種類の企業といたしましては、たとえば鋳鍛造品関係であるとか、あるいは紙パルプ関係であるとか、あるいは非鉄製錬関係であるとか、こういったものがあると思いますが、こういった企業につきましてもかなりの移転が行われております。
  108. 片山甚市

    片山甚市君 これは公害企業であるか低公害企業であるかということは、まだ明確にあなたの方はそれぞれの仕事についてやれなくて、複合的にいろいろなものを計算されるようでありますから、きょうはこれぐらいにしておきますけれども、とにかく巨大開発が断られておる理由は、公害が発生する、環境のアセスメントを必要とする、こういうことでありますから、単に一つの企業だけではありませんけれども、群をなしたいわゆる工場をつくるときには、人体あるいは生活環境、こういうことに支障があることは明らかなんですから、これは大変なことだと思う。これについては環境庁として環境アセスメント法をいつ制定されるのか、どういう手続でどういうふうにやられるのか明確にお答え願いたい。
  109. 望月美之

    説明員(望月美之君) お答えいたします。  先生御指摘開発事業などによります環境汚染を未然に防止するということにつきましては、四十七年の六月の閣議了解によりまして、各種公共事業でございますが、その保全対策が行われ、また四十八年にも公有水面埋立法の一部改正などがなされたわけでございます。お尋ねのその後制度化ということにつきましては、一昨年、五十年の十二月でございましたが、中央公害対策審議会の防止計画部会の専門委員会におきまして、環境影響評価制度のあり方の検討結果のまとめがございまして、その内容につきまして私ども鋭意検討しておる状況でございます。また、関係省庁多うございますけれども調整を進めまして何とか制度化に、法案化できるように努力いたしたいというのが現在の状況でございます。  手続ということでございますが、先ほど触れましたまとめの中で御紹介申し上げますと、一つは、やはり開発行為の実施の前に、これに伴います環境影響についての調査をまず行いまして、それで予測調査を行うということ。二つ目としては、その結果を公表をしていくということ。三つ目としては、その環境影響を受けます地域住民等の意見を求めるというふうなこと。そしてそれらの環境保全につきましても、先ほど冒頭申し上げましたように予測調査の結果に反映させていく。こういうことを手続として認識しているところでございます。
  110. 片山甚市

    片山甚市君 環境庁が事前の調査あるいは公表される、住民の参加等について一つの問題を立てたことに対しては敬意を払いますが、いまの環境庁では、住民の方から言ってくれば、立地公害局の方の顔を立てるためにアセスメントには余り熱心でないという一般の風評があるから、環境庁というのは国民を守る立場からきちんとやってもらいたい。風評でありますが、あなたの長官は、大体そういうような一般的には余り国民のことは考えないで好きなことを言う人だと、こういうように思われているのですから、何を言っても、思われているということは思われぬようにせなければいかぬ。環境庁長官のかわらない限り世の中はよくならないのじゃないかという心配をしておりますから、お帰りになったらよくお伝え願いたい。  そこで、苫小牧東部についてでありますが、これは五十一年六月に至り、環境庁は北海道がなされたアセスメントを認めたようであります。五十一年の七月に着工されたようですが、なぜ着工式をせずにやられたのか、それで現在どのようになっているか、これが一つ。  もう一つは、五十三年度以降のアセスメントはまだございませんし、やる計画は未確定である。  三つ目には、マスタープランはそのとおりやられる見込みなのか。これは北海道開発庁になるかと思いますが、まずお聞きをし、そして最後に、環境庁として苫小牧東部の複合汚染の問題について情報があれば私の方に報告してもらいたい。
  111. 大西昭一

    説明員(大西昭一君) 苫小牧東部開発につきましては、四十五年に閣議決定をいたしました第三期北海道総合開発計画の中で、北海道の発展を先導するプロジェクトとして位置づけをしたわけでございますけれども、翌年の四十六年の八月、北海道開発審議会の了承を得まして、いま先生が御指摘になりました苫小牧東部開発の六十年代にわたるマスタープランを審議会で了承を得たわけであります。実はそのマスタープランができましたので、すぐできるだけ早くこれを着工したいというふうなことで考えておりましたけれども、先ほど環境庁からのお話がございました四十七年の閣議了解に基づきまして、十分公共事業の実施について、環境問題について全般的な配慮をする必要があるというふうなことがございましたものですから、改めて東部開発につきましてマスタープランに対する、いまの言葉で言えばアセスメントでございますが、環境影響評価に取りかかったわけでございます。何分当時といたしましてはまだ環境予測についての、影響評価についての手法が十分確立しておりませんで、私どもとしては、道を中心といたしましてあらゆる角度からいろんな検討を加えたわけであります。  その結果、四十八年の秋になりまして一応の環境アセスメントらしきものを道庁が作成いたしまして、地元に公開いたしまして、大体地元の了解を得た上で、マスタープラン全体ではなくて、そのうちの第一段階としまして、五十三年を目標とする第一段階計画を地元が議決をいたしまして、それに対します環境アセスメントをやりまして、実は港湾審議会に港湾管理者から提案をしたわけでございます。その際、いわば第一段階の問題につきましては、第一段階の問題は結局マスタープランを下敷きにして将来それを進めるんだろうというふうなことからいろんな意味で、地元で議決はいたしましたけれども、地元住民全体の理解を得るという段階までに実は至っておらなかったわけでございます。  一方、そういう環境問題というか、地元の了解が得られないという問題が一つございましたけれども、もう一つ苫小牧東部の前提になりますのは、かなり広範なところに大規模の港湾をつくりますので、漁業補償の問題が四十七年から進められておりました。漁業補償の問題が解決しない限りはなかなか着工ができないというふうなことでございまして、両方からいろんな意味で地元としては努力を続けてまいりまして、ようやく昨年の五月に至りまして漁業補償の問題が解決する、それから前年、五十年の十一月に至りまして、環境アセスメントについて環境庁の指導を受けながらかなり詳細な、恐らくあの種の開発としては初めてのアセスメントじゃないかと思いますけれども、かなり膨大な時間と経費等をかけたアセスメントをいたしまして、半年ばかり関係省庁のいろんな意味での御検討をいただいたわけでございます。昨年の六月に至りましてようやく関係省庁の間で苫小牧東部基地開発の事業に着手するということについて了解に達しましたので、昨年の七月に運輸大臣の施行命令が出まして港湾に着手したわけでございます。  それから起工式につきましては、現在やっております事業は港湾事業と区画整理事業、この二つでございますけれども、それぞれ施工主体が中心になりまして、工事の安全を祈願するという意味で着工式を行っておりますが、あの種の総合的な事業でございますので、本来でありますれば、もう少しきちっとした形で着工式をやりたいというふうにわれわれ考えておりますけれども、それは実は地元が主体になってやる着工式でございますので、私どもが旗を振って着工式をやろうというふうなことはいま考えておりません。時節柄でもございますので、そういう機が熟して着工式をやる方が地元として非常にいいのだというふうな時期が来れば、私どもとしては総合的な着工式をやることに決してやぶさかではないというふうに考えております。着工式そのものにつきましては、いまお尋ねがございましたが、それぞれ事業主体が中心になりまして、安全を祈願するという意味の着工式はいたしております。
  112. 望月美之

    説明員(望月美之君) 先ほど苫小牧東部につきましての汚染の発生についての情報を何か聞き及んでおるかというお尋ねをいただいたかと思いますけれども、ただいまのところ、そんな確実な情報には接しておりません。
  113. 片山甚市

    片山甚市君 大体機が熟していないから起工式もできなかった、うさん臭いということは言うまでもないのです。これは御承知のように六千五百億円ぐらいの事業です。マスタープランはそのまま引き継ぐのかと言ったら、あなた答えませんでしたようですが、私はこのような日本でも最大の工業地帯、一万ヘクタールでしょう、それについてお祝いもできないけれども、こそこそと夜逃げみたいにやっておるということだけは覚えておいてほしい。第三セクターから金を出しておるのです。事業主体はありますが、第三セクターで国が、北海道の道もお金を出してやっておる仕事でしょう、これはね、この仕事は。でもお祝いができない、知事も行けない、何もできない、こういうものだということだけ言っておきます。反論はしなくてよろしい。そんないいかげんなことは言うたらいかぬ、きのう言うたのだから。ちゃんと答えなければならぬです。私は親切にあなたに言うたのです、そんないいかげんなことはやめておきます。大体だめだということです。これはインチキだ、起工式もできない程度のものです。  次、むつ小川原ですが、小川原湖が今度せきとめられるとすれば、その生態系は変化するのですが、これはどういうことになりましょうか。  それから土地収用について、これは北海道の方、聞いても仕方がありません、そのぐらいのところですから。いわゆる東北開発の方で国土庁になりましょうか、建設省……。これは明確にしてもらいたいのですが、この土地収用をどれだけやられたのか。そしてそのお金はどれだけ要って、今日どれだけの金利を払っておるのか、これを明確にしてください。
  114. 林亨

    説明員(林亨君) お尋ねの第一点目についてお答え申し上げます。  先生御承知のように、小川原湖を河口ぜきで締め切りますので、現在の小川原湖は汽水性の湖でございますから、締め切り以後だんだんと徐々に淡水化されまして、それに伴いまして小川原湖におきます生物層も徐々に淡水系のものに変わると考えられます。  なお、若干補足いたしますと、植物プランクトンというようなものにつきましては、現在も主たる種類がほとんど淡水性のものでございますので、植物性プランクトンにつきましてはそう変わらないだろう。それからその次に、動物性プランクトンにつきましては、すぐそばに鷹架沼とか内沼という塩分濃度のさらに低い湖がございますが、そこの状況を見ながら判断いたしますと、動物性プランクトンにつきましては、淡水化後もすぐには変わらないだろう。少なくとも五ないし十年はかかるのじゃないか、急激な変化はないということでございます。あと魚類とか水性植物につきましては、やはりこれも淡水化後徐々に当然のことではございますが淡水性のものに変わるであろう。したがって、むつ小川原湖の利水につきましては、私どもむつ小川原開発会議におきましても漁業等への影響は極力少なくするように、そして現在も生産量の半数以上は淡水系の漁獲量がございます。そういったものの振興といいますか量産につきましては、青森県あるいは関係市町村と十分連絡をとりながら指導してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  115. 土屋佳照

    政府委員土屋佳照君) 工業開発地域内に民有地が約三千三百ヘクタールぐらいございますが、いま大体その九三%、三千五十ヘクタールぐらい買収をいたしております。ただ、お尋ねの土地収用という形ではございませんで、すべて交渉で、契約で進めていくということにいたしております。
  116. 片山甚市

    片山甚市君 お金は幾ら。
  117. 土屋佳照

    政府委員土屋佳照君) 買収に要した費用は三百七億円でございます。
  118. 片山甚市

    片山甚市君 実は第三セクターで苫小牧東部及びむつ小川原をやっておるのですが、この状態はどういうことになっていますか。いわゆる行き詰まるということで財界は新しい方向をとりたいなどと言っていますけれども、政府としては重い金利負担については解除したいと、こういうようなことを言っておるのですが、私の手元にあるものを見ると、三百億円程度の金利を年間に東部とむつ小川原で払わなきゃならぬ、こういうふうに書かれていますが、むつ小川原では年間に金利支払いは幾ら、そしてもう一つ東部の方は幾ら、こういうことで苫東の方もお答え願いたいと思います。
  119. 土屋佳照

    政府委員土屋佳照君) むつ小川原関係について先にお答えを申し上げますと、先ほど土地買収費が三百七億円でございましたが、それ以外のいろいろな経費がございますので、現在までに要した事業費は大体四百七十四億円でございます。そのための資金調達は、北海道東北開発公庫あるいは民間金融機関から借り入れによって行っておるわけでございますので、これに対する支払い利子はかなり膨大なものになっておりまして、累計では約百三億円程度ということになっておるわけでございます。
  120. 片山甚市

  121. 大西昭一

    説明員(大西昭一君) 苫小牧東部開発、いわゆる第三セクターの現在の五十二年三月末、来年の見込でございますが——失礼しました、五十一年三月でございます。の借り入れ残高が五百十六億円でございます。そのうち二十一億円を償還いたしておりますので、約五百億が借り入れ残となっております。いままでの支払い金利が総額で約百億円であります。ちなみに五十一年度だけの支払い金利が四十二億円というふうなことでございます。
  122. 片山甚市

    片山甚市君 そういたしますと、志布志、秋田というようなところでは第三セクター方式をとられることになるのかどうか、それについての考え方をお聞かせ願いたい。
  123. 土屋佳照

    政府委員土屋佳照君) 御承知のように、志布志開発については、県の計画のまだ案の段階でございまして詳しいことは承知をいたしておりませんが、この開発方式としてどのような形でやるかは、まだ未定のようでございます。ただ、私どもが聞いておるところによりますと、第三セクター方式というのは、むしろ余り検討されてないように聞いておりますが、すべて今後の問題だというふうに心得えております。秋田についても、今後のやり方についてはまだ計画段階でございますので明確なことは聞いておりません。
  124. 片山甚市

    片山甚市君 第三セクターとしての問題点は何でしょうか。
  125. 土屋佳照

    政府委員土屋佳照君) 御承知のように、非常に企業がプロジェクトが大規模化いたしまして、また長期化いたしておりますので、公共部門だけではどうであろうかということで、民間部門の参加も願いまして第三セクターをつくってやっておるわけでございますが、その効率的なところと申しますと、むしろ民間資金が導入できる、あるいは効率的運営ができるといったようなことを期待しておるわけでございます。ただ、だんだん事業が進行いたしまして長期化してまいります。特にいまのように土地をまだ分譲するような段階に至ってないというようなことになりますと、なかなか運営は厳しいわけでございますが、さりとて、そういったような形のものがすべていまそういう第三セクターをとったから特にこの点で困っておるとったようなことは現在のところはまだ見受けられない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  126. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、志布志の場合、この開発について問題として提案されておるのは何でしょうか。私が特にお聞きしたいのは、この志布志開発に伴っては国定公園の指定の解除をしなければいわゆる十全なというか円満な開発ができない、こういうふうに聞いておるんですが、いかがでしょうか。
  127. 土屋佳照

    政府委員土屋佳照君) 仰せのとおり、私どもが聞いておりますところでも、日南海岸国定公園の一部に入っておるわけでございまして、いまお話しのございましたような解除なりあるいは許可方式がとられないと大規模工業開発ということは進められないだろうと思っております。ただ、三全総でも触れてございますように、いろいろ問題になっております環境影響評価、そういったことを進めながら関係方面と調整がついた上で実施にかかっていくということになろうかと思いますが、まだいまのところ、先ほど申しましたように県の計画案という段階でございますので、そこまで私どもとして突っ込んだ話まではいたしていないところでございます。
  128. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、宮崎県寄りの方に大変もらい公害ということで反対があるんですが、宮崎県との協議はどういうことになるんでしょう。
  129. 土屋佳照

    政府委員土屋佳照君) ただいま鹿児島県といたしましては、いろいろと大気、水質その他についての調査をしておられるようでございますが、そういったものを通じまして、いずれは計画案の案がとれた計画というかっこうになってくると思います。ただ、お話のございましたように宮崎県と隣接をいたしておりますので、特に石油関係等もあるということでいろいろな御心配が宮崎にございます。鹿児島県においてもそういったことを承知をいたしておりまして、いまの調査段階では、たとえば宮崎県の方からの推薦していただいた先生方にも入ってもらって検討しておるということもございますが、なお環境影響評価はこれからでございます。そういったものを踏まえて進めていかなければならないわけでございますので、調査検討を見て、また隣県、宮崎県との調整を十分とった上で適切に対処されることを私どもとしても希望しておるわけでございます。
  130. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、志布志開発については宮崎県の同意というか、協力というか、理解というか、あらゆる方法でとにかくなければ、鹿児島県だけの都合で決めるというようなことは考えていないかどうか。
  131. 土屋佳照

    政府委員土屋佳照君) 私どもといたしましては、県は違いましても隣接した地域でございますから、その点は十分調整をとって進めていただきたいということでお話もいたしております。
  132. 片山甚市

    片山甚市君 一方的に鹿児島県が議決をする、国が議決をするということでゴーというサインを出したということにならなくて、宮崎県の同意は当然得られたものとしてやられるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  133. 土屋佳照

    政府委員土屋佳照君) 同意という意味でございますけれども、向こうのコンセンサスを、法的なという意味ではなくても、とにかく一緒にそれは結構でございますというような形が生まれてこないと、非常に反対の強い中で強行するというようなことは望ましくないし、私どもとしてもその点は十分注意してまいりたいと思っております。
  134. 片山甚市

    片山甚市君 いま申しましたように、志布志あるいはむつ小川原苫小牧東部についてもそれぞれ大変な問題をはらんでおるだけに、これが開発のために急がれるということは大変目的を達成することにならないだろう。こういうことで住民の意見をよく聞き、アセスメントを正しく使って納得のできる方法をしなければならない。これについての反対をする意見を無視して、議会の多数だというようなことでお決めにならないようにひとつ要望は申し上げておきます。  さて、この十五年間に人口の増が絶対的に千五百万人ぐらいふえるのですが、それについてのいわゆる生産の場あるいは労働の場というものを大体どのように三全総はアレンジをしていくのか、ひとつ御提示を願います。
  135. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 人口がやはり今後もふえまして、昭和六十五年では一億二千八百二十七万人になるという予測をしておりますが、その中でいろいろ計算をしておりまして、六千百万人程度の方が職を求めるのではないかということを予想をしておりまして、約六千百万人の方々の職をどのように考えていったらよいかということを議論をしたわけでございますが、現在私どもが考えておりますのは、一次産業、二次産業、三次産業に分けまして議論を詰めておりますけれども、第一次産業昭和六十五年で四百三十万、第二次産業が二千二百万ないし二千三百万、第三次産業が三千四百ないし三千三百万程度を予想して計画を立てております。
  136. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、大都市へのいわゆる人口の集中というのを抑えて、全国に二百ないし三百のいわゆる生活圏をつくるということになります。そのときには、大規模工業基地工場分散をされるとすれば、大体どのような形で分散がされていくのか、再配置の問題、そういうことをお聞きします。
  137. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) いままで御審議いただいております苫小牧とか、むつ小川原とか、志布志というような地区については、主に私どもとしてはエネルギー基地ということを前提にして、もちろんその地域等の実情に応じてどう進めるかは先ほどから御指示いただきましたように慎重でなければなりませんけれども、考え方としては一応エネルギー基地として考えておりますので、その定住圏人口定住のためには、エネルギー基地だけで人口定住を図ることは困難でありまして、内陸工業中心として工業の再配置計画を第三全総の中で計画してつくっているところであります。
  138. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、今回のいわゆる計画を実施するのにはどれだけの投資を計画されていますか。
  139. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 仮に六%成長というその三全総の前提といたしますれば、今後おおむね十カ年間に社会資本形成として、政府固定資本形成ベースでありますけれども、約二百四十兆円の投資を必要とするというふうに考えております。
  140. 片山甚市

    片山甚市君 そういうことになりますと、大体民間ベースを入れるとどのぐらいの経費を必要とすると、今度の計画で。
  141. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 実はここ十年間ぐらいのところの計算は、社会資本だけ計算しておるわけでございますが、官民を合わせたものとしては昭和六十年までと、六十五年までという計算をしておりまして、そのときに官民合わせて約六百六十兆円というふうに考えております。
  142. 片山甚市

    片山甚市君 六十五年は。
  143. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 累積額が昭和五十年価格でありますが、十カ年間で六百六十兆円、それから十五カ年で千百五十兆円程度と考えております。
  144. 片山甚市

    片山甚市君 そういうことで、工業配置ということは、これからの定住圏構想教育の問題、文化の問題、そういうこととあわせて、職ということで大変な意味があるんですが、そこで人口定住化を実現させるためには、雇用の安定のための工場定住化が不可欠だと思います。それを前提にするとなれば、やはり工業の再配置というものはいままでのように市場のメカニズムに依存するだけでなくて、行政の直接介入を含めた計画的な、いまの答えで市場経済方式というのを導入してでもある程度やらなきゃならぬ。任しておくというわけにいかないように思いますが、そういうつもりで再配置は考えておりますか。
  145. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 本来わが国においては企業の活動は自由を原則としておりますし、財政がそれに機能することが必ずしも健全であるとは思いませんけれども国土計画という角度からいえば、やはり再配置を行政が介入して指導しながら誘導していくという行政がどうしても強化されなければ達成できないというふうに考えています。
  146. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、今回できます定住圏については、いわゆるいままで出てきました広域市町村圏あるいは建設省の地方生活圏、こういうものといわゆる定住圏、これはどのような位置づけになりましょうか。定住圏なるものが優先をされて、その下敷きの中にいままである建設省あるいは自治省のものが包摂されると、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  147. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 定住圏という第三次全国総合開発計画に書いてあるものは、非常に大ざっぱなラフな言い方になりますけれども、ある意味で、ひとつ将来に向かっての第三次全国総合開発計画立場からの提案であるというふうにお受け取りいただきたいというふうに考えておりまして、これを計画決定後に関係省庁都道府県、市町村ともよく相談して内容を充実していきたいという出発点とお読み取りいただきたいわけでありますが、関係各省等、特に建設省で地方生活圏をやっておられますし、自治省は広域市町村圏をやっておられますので、それらもともどもやはり定住圏構想という形でまとめていっていただきたいというふうに思いますし、地方公共団体からも特に御注意もあって、余り朝令暮改的にいろんな構想が出て混乱することはまことに好ましくないということはまさにそのとおりでありますので、できるだけ従来やっておられる建設省や自治省の広域行政を十分土台にしながら内容を深めていきたいというふうに考えております。
  148. 片山甚市

    片山甚市君 それはいつごろまでに調整ができますか。
  149. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 実は三千三百の市町村長と一度いろいろとお話し合いをするといいますか、アンケートをするという機会を得ていろいろ感触をつかみつつありますが、単に四十七都道府県だけではなくて三千三百の市町村長さん方とやるのには、やはりある程度の時間をむしろ拝借をして拙速でない方がよろしいのではないかというふうに考えています。
  150. 片山甚市

    片山甚市君 定住圏構想を実行に移すためにはどうしても財政的な問題、制度について大幅な改定をしなければ、先ほどの公共的な投資の問題を含めてもそうでございますが、むずかしい。特にこの定住圏構想というのは国が補助的な立場を、調整的な役割りをとりながら地方自治体が主としてやるものだと思いますが、いかがですか。
  151. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) お話のとおりだと思います。それだけに私どもとしては定住圏構想をなるべく早く内容あるものに固めたいということをいま考えておりまして、その内容を固めるということは、つまり一方ではいま御指摘いただいたように、行財政にわたって国、地方との事務の配分なりあるいは補助金制度なりについていろいろと検討をして適正なものにしていくという条件を伴っていくだろうと思われますけれども、制度から先につくるということではなくて、私ども立場としては、定住圏の内容をまず固めていくということから始めさしていただきたいというふうに思っております。
  152. 片山甚市

    片山甚市君 そうすると、大蔵省は、いま私が申し上げた行財政、特に財政の配分についてこれだけの大きなことをやらなければならぬですが、このことについてはどうでしょうか。  自治省については、いままでの広域市町村圏がありますが、それを下敷きにしながらも、先ほど言った主体になるような要求を受け、こたえられる、それについてお答え願いたい。
  153. 公文宏

    説明員(公文宏君) 計画の試案の中によりますと、地方公共団体の役割りが一層期待されることになるので、地方財源の確保、安定について適切な措置を講ずること、及び選択的投資を可能とするような財政措置などについて検討を進める必要があるというふうに書かれてございまして、この点につきましては大蔵省も全く同じ考え方でございます。その考え方に従いまして、計画の趣旨が生かされるように自治省初め関係省庁と協議を尽くしてまいりたいというのが基本的な考え方でございます。
  154. 片山甚市

    片山甚市君 自治省。
  155. 丸山高満

    説明員(丸山高満君) 定住圏の問題でございますけれども、ただいま御発言がございましたように、私ども定住構想を実現いたしますための計画途上の一つの考え方というふうに理解をいたしておりまして、現実の広域行政を展開いたしますものには、すでに四十四年以来広域市町村圏が定着をいたしておりまして、かなりの実績も上げております。こういうものを基礎にいたしまして、さらに発展させる方向で、このための考え方ということで定住圏を位置づけていきたいということで合意を得ておりますところでございます。
  156. 片山甚市

    片山甚市君 最後ですが、実は定住圏構想地方公共団体、なかんずく自治体が積極的にこれを進めていこうということがなければできない。そのためにはやっぱり行政の問題、財政の問題について国がきちんと受けとめて、各省のなわ張りというより前にその住民のために果たしてもらいたい。きょうは本来的に言いますと、定住圏構想の具体的な内容に入らなきゃならぬのですが、膨大な案でありまして、皆さんが何年もかかったものでありますから、ほんのわずかの部分を私流のいわゆる質問であります。これはもうほんのわずかの部分でありまして全部じゃありません。しかし、私が申し上げたのは三大経済圏、いわゆる巨大都市にできておる問題について具体的なメスを入れなければ、国に暴動が起こったり治安が乱れたりするのはこの大都市からでありますから、田舎からは絶対起きません、健全です。そこには温かい手を差し伸べるけれども大都市におけるところの先ほどお話がありました住宅の問題、交通の問題、どの一つをとってみても緊急不可欠だ、こういうふうに思いますから、定住圏構想を実施する段階にはそれぞれ重点的な施策として、雇用の機会といえばやはりそういうように集中した、人口の半分が集まってくる、わずかに日本の国土の七・二%程度の東京や大阪の圏に人口が半分ほど集まってくるという異常な状態を解決していただかなければならぬ。そこを、ある工場が、公害がないと言ったらあなたは反対するかもわかりませんが、低公害だ、行っても大丈夫だという工場を、モデルをつくって移してもらいたい。  もうそんなことはあなたたちは大きらいだからしないでしょうけれども、とにかくいままでこれだけ悪いんだと言ったけど、これほどいいじゃないかと言ってこれを持っていく。いままで反対しておった者が反対できないようにするのが定住圏構想だと思う。まだ反対をそのままにしておいて、アセスメントをつくり上げて、で、いまの環境庁ですから私は信用しませんから、何を血迷うて判を押すかわからぬ、こういうようなことでは大変だと思う。言葉は慎しみますけど、大変危ない人が環境庁長官をしておるから、これは十分に国土庁長官、全体をまとめておる立場からひとつつくってもらいたい。で、局長には、これは第一次、第二次、第三次とやられたんですから、ハムレットにならぬように、計画だけ一人歩きをしないように、あなたのライフワークでしょう、ですから、もう少しそういう点では激励をしたいと思う。というのは、定住圏構想を実らせるというならば——巨大開発を急ぐというなら別であります。しかし、それぞれに石油基地が要るとかなんとかいうことについてはよくわかっておる。それだけど、われわれは何でそんな被害を受けなきゃならぬのだ、こういう気持ちがあることは国民固有の権利です。踏みにじってまでやったら、成田の飛行場と同じように、十年もかかってばかなことになりますから、十年もむだな金を使わぬようにするためにはしっかりと受けとめてもらいたい。  私の意見を述べまして、長い質問でありましたが、これで終わります。委員長、ありがとうございました。
  157. 小谷守

    委員長小谷守君) 本件に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      —————・—————    午後一時二十分開会
  158. 小谷守

    委員長小谷守君) ただいまから委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  159. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、私は当面する課題につきまして若干質問したいと思います。  問題点は、一つは公的宅地開発のあり方について、第二点は民間の宅地開発事業に伴う公共負担のあり方について、三点は住宅金融公庫の個人向け融資にかかわる取得制限について、四点は共同住宅、いわゆるマンションの管理体制のあり方について、五点は自転車駐車場の設置について、以上御質問したいと思います。  最初に、公的宅地開発のあり方についてでございますが、せんだって当委員会でも視察をいたしました東京都が目下進めております多摩ニュターウン計画ですね。この計画が金利負担の圧迫で先行き赤信号がつき始めた、こう言われておりますが、その実情についてどのように把握されておりますか。
  160. 大富宏

    政府委員(大富宏君) まず、多摩ニュータウンの計画概要について御説明いたしますと、御案内のとおり、多摩ニュータウンは多摩市、八王子市、稲城市の三市にまたがる三千二十ヘクタールの大規模開発でございまして、この計画は新住宅市街地開発法に基づく新住事業と土地区画整理事業の両手法で行われているわけでございます。   〔委員長退席、理事赤桐操君着席〕 施行者は、新住宅市街地開発事業につきましては日本住宅公団東京都及び東京都の住宅供給公社の三者で執行しておりまして、区画整理事業につきましては東京都が実行いたしております。都市計画決定は、四十年の十二月に都市計画が決定しておりまして、この事業の執行年度は住宅公団、東京都、東京住宅供給公社、三者ともに四十一年度からスタートいたしまして、当初は四十六、七年度で終わるという予定であったわけでございますが、最近事業計画を変更いたしまして、住宅公団におきましては五十九年度まで、東京都は六十年度まで、東京都の住宅供給公社は五十七年度までというぐあいに執行年度を延期いたしております。計画人口は当初四十一万人、十一万戸建設という予定だったわけでございますが、これも縮小いたしまして、現在では居住人口三十三万人に変更いたしました。人口計画の削減に伴いまして住宅建設戸数も八万八千戸に変更いたしております。現在の進捗状況は、用地買収はほぼ九八%まで完了いたしております。宅地造成が三〇・八%の進捗であり、建設済みの戸数は一万五千戸となっております。区画整理事業につきましては、現在、仮換地の指定を急いでいるわけでございますが、仮換地の指定済み面積は現在二六%というのが計画概要並びに進捗状況でございます。
  161. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 五十二年度の新住宅市街地開発会計予算、これを見ますと、公庫の資金が六十一億五千万円、縁故債が五十一億二千四百万円、総額百十二億七千四百万円、こうなっておりますけれども、そのうち金利の返済が三十六億九千万円と、約三分の一を占めておる状態ですが、この過去三年間の金利負担を見てみましても、五十年度が約二十億円、五十一年度が約三十億円、五十二年度が約三十七億円と年々増加し続けております。五十三年度以降も毎年十億円の赤字は確実にふえていく、金利負担がふえていく、こういうふうに予想されておりますけれども、こうした状況に追い込まれました要因というものはどういうふうに分析されておりましょうか。
  162. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 先ほども御説明いたしましたように、多摩ニュータウンというのは四十一年に事業を着手いたしまして、当初は四十七年完了ということでスタートしたわけでございますが、その後計画の変更を行いまして、東京都の分につきましては最終年度を六十年という目標で立てておるわけでございます。お述べになりましたとおり、最初から都の施行地区七百四十二ヘクタールにつきましては総事業費が二千八百三十七億円、このうち金利が八百九十二億三千万円見込んでおりまして、これは総事業費に占める割合は三一・五%ということになっているわけでございます。五十二年度の予算は、お述べになりましたとおり総額約百五十二億に対しまして金利が三十六億九千万円ということで、これも二四%、五十年度、五十一年度、いまお述べになりましたとおり非常に金利負担が大きいわけでございます。これの一番決定的な理由は事業建設計画が非常に遅延したというのが私どもは決定的な理由だと思っておるわけでございますが、この多摩につきましては四十六年に地元多摩市からいわゆる四条件というのが示されまして、この四条件が解決を見ない限りは建設ストップという声がかかったわけでございます。  御案内だと思いますけれども、この四条件といいますのは、一つは、多摩市と町田市の行政境を変更するということが一つ。第二点は、人口をひとつ削減するということに伴いまして計画変更が要るわけでございますが、それとやはり大変な公共公益施設をやることになるものでございますから、地元の負担が非常に加重される、この地元財政について軽減策を示せということが第二点。それから第三番目は、足の確保の問題といたしまして小田急と京王の両新線の開設計画を示せというようなこと。それから第四番目は病院の建設。こういう四条件の要請がございまして、この解決のために四十七年から四十九年の十二月までまる三カ年建設をストップいたしたわけでございます。まあそのほかにも河川改修なり下水道なり区画整理事業といったものがおくれたわけでございますが、やはり大変な大規模な事業なものでございますから、東京都がやる計画ではございますけれども、地元の多摩市との協議に大変時間を要したということが、いま申し上げられるように大変な大きい金利負担にもなった原因ではないかと思っております。
  163. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまいろいろお話しになりましたけれども、地元市町村との調整の問題、住民要望の多様化、そういう問題もあろうかと思いますが、そのほかに事業費に占める住宅金融公庫の資金の割合が、これは法律的には八〇%になっているのに対して、五十二年度の例ですと、これが実際には五五%と低くなっている、また非常に金利の高い縁故債に多く依存している、こういう点もあると思いますし、また第二としては、公庫の年利率七・三%の金利が財政投融資資金の金利などに比べて高水準にある、そういうことも理由のうちに入るんじゃないかと思うんですが、その点いかがでしょう。
  164. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 計画的な宅地開発を進めるに当たりまして、幸い地価が横ばいになったわけでございますが、その他の難点がいろいろあるわけでございます。関連公共公益施設の負担の加重というのも最も大きい理由の一つでございますが、先生が御指摘になりました資金コストの問題も一つの大きいネックでございます。いまお述べになりましたように、この五十二年度当初は住宅金融公庫の宅造融資の金利というのは八・三%だったわけでございますけれども、公定歩合の引き下げにつれましてこの十月一日現在の公庫の金利は七・三%になっております。私どもまだまだやはりこういった公的開発の役割りという意味から見まして、こういう地価横ばいの現段階においてはなるべく低コストの資金を導入するということが非常に重要だと思っておるわけでございます。いま申し上げましたとおり現在まだ七・三%でございますが、なるべくひとつ財投原資に近い金利を確保したいというぐあいに考えておるわけでございます。  それともう一つは、やはり金融公庫が公的宅地開発の融資をいたしておるわけでございますが、この融資率、現在法的には八〇%ということでございますけれども、融資対象事業費の計算その他で実質はなかなか八〇%にいかないということでございます。極力この融資率を高めるということもさることながら、法定の融資率どおりに実質融資をするということが私は非常に大きい問題だと思って鋭意これも努力いたしておるわけでございます。いま御指摘になりました多摩ニュータウンの東京都の分につきましては、住宅金融公庫から融資を受けているわけでございますが、私どもの計算によりますと、実質融資率は、東京都の場合は宅造費につきましては七六・七%、それから関公費につきましては法に定めておりますように九〇%まるまるいっておりまして、ほぼ法定の融資率に近いところまでいっているというぐあいに計算いたしております。
  165. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 当然テンポがおくれてきますと、それによって負担の増加というのが出てくるわけです、工事のですね。そういったものがすべて処分価格に上乗せということになってくると思いますが、その点どうでしょう。
  166. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 宅地開発事業というのは、公共事業と異なりまして利子のついた事業資金を使っているわけでございます。したがいまして、宅地開発事業で認可されるところのいわゆる処分価格、民間でしたら販売価格という言葉になりましょうが、その中身というのは、土地代、用地買収費と造成費と関公費と金利とそれから事務経費、そういうものの合計になるわけでございまして、事業期間が長くなり、したがって、それに金利がかさむということでございますと、やはりこういう金利分というものが処分価格に上乗せされる、処分価格の構成要素になるということはやむを得ないわけでございます。極力、この部分がなるべく小さい割合になりますように、私先ほど申し上げましたように低コストの資金を確保するということが非常に重要な問題だと認識いたしております。
  167. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 特に現在基本計画策定作業が進められております西部地区、この西部地区の今後の状況としましては、こうした金利負担に加えて、今度は緑などのオープンスペースの拡大、そういうものが加わってきますので、かなりこれは処分価格が高くなって入居募集に支障が出るのはこれは必至だと思われます。いままでやはり、昨日の委員会でも問題になりましたけれども、そういう住宅や宅地の購入者に負担の増加のすべてを負わせるような方式というのは問題じゃないかと思うんですね。ここで従来の方式の見直しを図るべきだと思いますけれども、今後こうした公的機関による宅地開発におきます大幅な金利軽減措置と事業の能率化についてどう対処されるお考えか、大臣にちょっとお聞きしたいと思います。
  168. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 宅地開発に伴って必要となる、開発者にその負担を求めるというのがいまお話しのように実情でございますけれども、これらの負担が過大にならないようにするためには、関連公共事業の積極的な補助採択あるいはまたは住宅金融公庫の融資条件の改善等をさらに図ってまいらなければならぬ、こういうような考え方を持って今後さらにこの面につきましての指導を行って事業の促進に努めてまいりたいと考えております。
  169. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、ちょっと関連してですけれども、宅地開発公団が発足しまして、現在茨城県の竜ヶ崎市で事業に取りかかっておりますけれども、ほとんど事業らしい事業はこれは行われていないと、われわれそう思います。この竜ケ崎の事業も完成までに十年近くかかると、こう言われておりますけれども、ですから、当面する宅地不足の解消には間に合いませんし、また公団発足時の坪十万円の公約も破綻しております。こうした状況を踏まえて、宅地開発公団の業務を全面的に洗い直すべきだと思いますけれども大臣の所見はいかがでしょう。
  170. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御案内のとおり、宅地開発公団というのは、大都市において優良な宅地、大量な宅地を供給するとともに、良好な市街地を建設するという目的で五十年の九月に設立されたばかりでございます。ことしの九月でちょうどまる二年ということでございますが、設立いたしましてから、五十一年の四月に、日本住宅公団が買収いたして仕事を進める準備をいたしておりました竜ケ崎につきまして、住宅公団から引き継ぎを受けまして、面積で六百七十ヘクタールでございますが、計画人口七万五千人という新しいニュータウンの計画でございますが、これを引き継ぎまして区画整理事業の大臣認可をことしの九月にとったばかりでございます。もう早速区画整理事業の実施に入っているわけでございます。早ければひとつ五十六年には宅地開発公団による第一号の造成宅地を供給したいということで、いま鋭意仕事に努めているわけでございます。それから第二号といたしまして、現在千葉県と折衝しておりまするけれども、御案内のとおり千葉県が四十年当初から仕事を始めておりましたところの北千葉ニュータウン、これは大体多摩ニュータウンに匹敵するぐらいの三千ヘクタール級の大きい仕事でございますけれども、なかなか千葉県の事情がございまして事業が進捗してない。都心から二十五キロぐらいの非常に至近なところにあるにもかかわらず、なかなか思うようにいってない。ここに宅地開発公団が御協力を申し上げたい。千葉県と一緒に共同でこれを開発していく、良好な市街地の形成をやっていきたいということで、千葉県その他と御相談いたしまして、ほぼ大体合意に近づきつつありますが、大体年内には私は実現するんじゃないかと思いますが、そうしますと、いわゆる宅地開発公団の第二号のプロジェクトが実現するわけでございます。そのほかにも関東、関西で有力なプロジェクトを数カ所持っているわけでございます。御案内のとおり、宅地開発公団というのは三百ヘクタール以上の大規模宅地を手がけるということになってございますので、大変事業規模が大きいだけに、これを始めるに事業準備に相当の時間が要るわけでございます。いま申し上げましたとおり、発足してからちょうど二年でございまして、ひとつもう少し長い目で宅地開発公団の将来を見ていただきたいと思っているわけでございます。  それから、お述べになりましたように、宅地開発公団は坪十万円で宅地を供給するというお話でございました。これは宅地開発公団法の審議の過程におきまして、当時住宅公団等の供給している宅地の値段というのはほぼ坪十万円という実例もございましたものですから、坪十万円というのをひとつ宅地開発公団も努力目標にいたしますということでお答えした経緯もあるわけでございまして、こういう宅地開発に基づくところの宅地の処分価格というものは、その立地条件とかあるいは関連公共公益施設の事業費の内容とか造成費の内容とかいうことによって画一的にその処分価格を決めるわけにはまいらぬわけでございますけれども、宅地開発公団創立の精神に基づきまして、極力ひとつ低廉でしかも良質な宅地を供給するように努力いたしたいと思っておる次第でございます。
  171. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま局長からいろいろとお話がありましたけれども、やはりこの公団の発足につきましては国会でいろいろ審議もされましたが、低廉な宅地の提供ということを大きな目標としてこれはスタートしているわけですから、二年間たって、これからの事業計画いろいろと発表はなりましたけれども、やはり大臣としての今後の国民の期待にこたえる開発公団のあり方について、大臣しっかりと答弁していただきたい。
  172. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) ただいまお話局長からもございましたように、誕生してから二年目でございます。したがって、二年目だからいいじゃないかというわけにはまいりませんので、あとのいま千葉の方の事業も、それからまた関西の方からのいろいろな問い合わせといいましょうか、打ち合わせというか、ほぼ決定した面もございますので、いましばらくの間これを見守っていただいて、そしていろいろな御意見等をこの中に取りまぜて推進してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  173. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、民間の宅地開発事業に伴う公共負担のあり方について質問したいと思いますが、いまいろんなそういう宅地開発事業を進める場合に、各市町村では開発要綱を策定しております。これに基づいて開発行為に伴う公共施設等の整備基準、開発事業者負担、それぞれ定めているわけですけれども、この開発要綱というのは、それ自体強制力は持たないのですけれども、現実の運用においては、これは開発行為を行う場合に地元市町村の同意を得る必要がありますし、そのために開発事業者はこれを遵守させられているのが現状です。そこで、先ごろ不動産協会が、協会の会員社が五十年に供給した団地を対象に行った宅地造成実態調査、こういうのを発表いたしましたのですが、それは御存じですか。
  174. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 承知いたしております。
  175. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それによりますと、販売費、一般管理費、あるいは金利を除く直接原価、いわゆる総事業費に占める区画道路、都市計画道路、教育施設などの用地費、造成施工工事に公共負担金を加えたいわゆる関連公共公益施設整備費、この比率が年々増大しております。四十六年には三六・一%であったものが、四十七年から四十八年には四〇%台になりまして、四十九年には四八・九%となって、ついに五十年には五一・五%になったと。特に三十ヘクタール以上の大規模団地では五八・六%に達していると、こういう発表がありました。また、団地総面積に対する住宅敷地の割合、すなわち有効宅地率で見ますと、四十六年に六二・六%であったのが、五十年には五三・八%に低下していますし、中でも三十ヘクタール以上の団地では五〇%と、これはさらに厳しくなっています。近畿圏の場合ですと、これが四一・二%と、こうなっていると、こういう結果が出ておりますけれども、この実態調査の結果については、どう建設省では受けとめていますか。
  176. 大富宏

    政府委員(大富宏君) お述べになりましたとおり、最近計画的宅地開発の最大のネックの一つが、この関公の負担の負担費の増大ということになっているわけでございます。民間の不動産協会の実態調査の結果もいま御指摘のようにそういうことになっておりますし、私ども調査いたしました金融公庫の融資の際の調査でも、民間のみならず公的開発にもやはりそういった関公負担の増大の傾向が見えるわけでございます。これは御指摘になりましたように、逐年大きくなっているとともに、規模が大きくなればなるほど大きくなっておる、こういう傾向でございます。基本的には私はこの宅地開発に伴う関連の公共公益施設の負担費というものは、それぞれの道路なら道路、義務教育施設なら義務教育施設、それぞれの管理者が公物管理法に基づいて、その責任において負担して、これを整備するというのが私はたてまえだろうと思うわけでございます。悲しいかな、まだなかなかこの先祖伝来住んでいる既成市街地における社会資本整備も十分に進んでいない。したがって、公共事業費増大でもらうところの補助金というのは、もう既成市街地につぎ込んでなお足りないというこういう状況なものですから、新市街地の方にはなかなかまいらない、公的機関のみならずという状況でございます。  したがって、勢い開発指導要綱に基づきまして、地方公共団体はこういった関連公共公益施設の負担の増、しかもこれは一時にやはり入居までに間に合わせなければいけないというような状況もございますものですから、行政指導というかっこうで、やむを得ざる措置といたしまして開発者にこれを負担させているというのが実情でございます。私ども、ある程度これは現在の地方財政の状況、やむを得ざる措置だというぐあいに思いますけれども、最近の開発指導要綱の中身を見ますと、少し行き過ぎではないか、過大ではないかと思う節もないではないわけでございます。いまお述べになりましたように、余りにも厳し過ぎるという開発指導要綱については、自治省その他関係省庁とも相談いたしまして、行き過ぎをぜひ是正していきたいと思っておりますが、お述べになりましたとおり、関公の負担をどう国あるいは地方公共団体がこれを、現在かかっている負担を軽減して、でき上がりの価格がなるべく安いように、低廉なしかも良質な宅地になるようにするかということが、私どもに課せられた一つの大きい課題だと思っております。
  177. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国としてもこのような実態調査は現在行っているわけですね。
  178. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 私どものところにおきましても四十七年、それから国土庁でも五十一年にやった事例がございますし、それから先ほど申し上げましたが、ことしに入りましても金融公庫の貸出融資をもとに調査したことがございます。それから御指摘になりました業界の団体、不動産協会、都市開発協会と、こういった業界団体の調査結果も十分重視しながら仕事の上の参考にいたしております。
  179. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 また、この不動産協会の実態調査によりますと、三大都市圏の場合ですと、一区画百八十三平方メートル当たり一千七十九万円の総事業費に対して、公共事業費は五百六十五万円で、総事業費の五二・四%と、このようになっている。これを見ますと、やはりもう民間の宅地開発に伴う公共負担というのは限度に来ているんじゃないかと、こう思います。大臣としては、この適正な負担率というのはどの程度が妥当だとお考えでしょうか。
  180. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 若干数字的な問題もございますので、私から答えさしていただきたいと思いますが、御指摘になりました五二・四%というのは、いわゆる造成原価——造成原価というのは、用地買収費と造成費、それから関連公共の負担費、これを造成原価と言いまして、その造成原価に占める比率になるわけでございます。で、これの適正負担率はどの程度が適当かと、こういう話になりますが、この造成原価というのは、やはり関連公共公益施設の負担費が非常に大きいという話になりますと、その比率が高くなればやはり用地買収費の方が比率が軽くなる。いわば私はよく申し上げておるわけでございますが、関公負担を相当かけなければならないというのは社会資本整備が非常に貧弱なところでございますから、そういうところは土地代が本来安いはずだということでございます。したがって、その造成原価に占める割合ということでございますので、安いところの土地立地をした場合には関公費がおのずから高くなるということの関連性もございまして、まあ立地条件、その当該地方社会資本整備状況、そういうものによって、あるいは地方公共団体の財政状況もあろうかと思いますが、一概には言えないんではないかと、こう思うわけでございます。しかし、いま申し上げるように、その社会資本整備の貧弱なところは土地代が安い、こういうのは公式論でございまして、いまはすっかり何にも整備されてないところの土地代も高くなっている、高くなった素地を買って、しかも関公費も高い、こういうことなものですから、二重に非常に宅地開発がやりにくい状況になっているのは私ども十分承知いたしているわけでございますが、まあ適正負担率というのは、何も民間のみならず公的機関におきましても四八%、四〇%という比率の高いものが随所にあるわけでございます。一概には申し上げられないんじゃないかと思います。
  181. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この開発要綱の問題ですけども、いま各自治体でこの指導要綱を決めておりますけれども、その指導要綱につきましては、その自治体の財政力に応じていろいろな差がいまあります。実際に茨城県の利根町の方では、開発をしたところで大体一件当たり五十万ぐらいの負担が増加になるんじゃないか、あるいは南関東の方では一件当たり百万ぐらいの負担増加になるんじゃないかと、それぞれいろんな差が出ております。この宅地開発に伴う指導要綱がそれぞれ各自治体任せになっている点がやはりそういう問題を生じているんじゃないかと思うのですが、そして自治体間の中で公共負担のあり方に大きな差異を生じているわけですけれども、やはりここで各自治体の指導要綱について検討を加えて、一定の基準を設ける必要があるんじゃないか。関連公共公益施設の負担の基準については一定の基準を定めて、この範囲だというふうに決めて、それ以上のものについては国が自治体に対して援助していく、そういうやはり基準をいま設けるべきじゃないかと思うのですが、その点どうでしょう。
  182. 大富宏

    政府委員(大富宏君) お述べになりましたとおり、現在各市町村のつくっておりますところの開発指導要綱というのは、大都市周辺を中心といたしまして三百六十五市町村がつくっておるわけです。これの一番原始的な最初につくったのは関西の川西市で、四十二年です。当時はほとんど都市計画法に基づくところの技術基準であったわけでございますが、最近はほとんど関公の負担を開発者に求める一つのガイドブックになっているような感がするわけでございます。  お述べになりましたとおり、そもそも関公というのは、本来それぞれの管理者がその責任において、その負担においてやるべきものが、地方財政の状況その他によって、やむを得ざる措置として開発者に負担をさせているというのが現状でございますから、当該地方公共団体の財政状況あるいは社会資本の整備状況、それから整備すべき公共施設の規模機能、あるいは公益施設の規模、そういうものによっても負担の割合がおのずから変わってくるわけでございます。本来私は、こういう一定の基準をつくって、ここまではひとつ地方公共団体が持つべし、ここまでは民間が持つべしというものじゃなくて、むしろ公共公益施設という以上は、本来それは地方公共団体、管理者が持つべきものなんでございますから、こういう負担がなくなるのが一番理想でございます。ここまではひとつ開発者が持てというような一定の基準を国から示すわけにはまいらない。それぞれの地方公共団体の実情によっておのずから変わるし、しかもこれは本質におきましてやむを得ざる措置だ。したがって、ある一定の正常のノーマルな状況になれば、こういう負担を求めること自身がそもそもおかしいと私どもは考えているわけでございまして、これに国が指導をいたしまして一定の基準をつくるということは考えておりません。ただ、明らかに地方財政その他を見まして、行き過ぎだというようなものについてはどしどし指導をいたしたいと思っております。
  183. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 じゃ、次に入りますが、住宅金融公庫の個人向け融資にかかわる所得制限について質問いたします。  この所得制限限度額をめぐって、いま大蔵省との間にいろいろと話し合いが詰められているという話ですが、その点いかがでしょうか。
  184. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 昭和五十一年に住宅金融公庫法を改正していただきまして、新種の融資をつくりました。その中で、従来の五分五厘にかえまして、国民の皆さんの貯金の金利を基準として決まる資金運用部資金の金利をそのまま融資の金利とするという新しい道を開いていただいたわけでございますが、その中の規模が比較的大きいものにつきましては、すでに政令を定めまして実行いたしております。  いま先生のお話のございました、所得が高いものについての制限はどうかということでございますけれども、これにつきましては、これも御案内のとおり法律改正に当たりまして附則改正がついております。それによりますと、そういうふうな新しい新種の融通の範囲については、毎年度予算の個人住宅融資戸数の一割以内という制限がついております。したがいまして、制限を高く決めるというのか、ある程度低く決めるというのか、両方にそれぞれ問題がございますが、余り高く決めますと、はみ出しがふえますし、低く決めますと余り意味がないということでございまして、大変むずかしい問題がございます。先ほど申し上げました予算の枠のこともございますので、実はわれわれまだ政令案等につきましても基本的な検討は終わっておりません。現在検討中というところでございます。
  185. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 報道によりますと、この所得制限額につきましては、東京都の住宅建設資金融資のあっせんの場合の年収限度額の八百万円をとる案とか、あるいは東京都の公営住宅の高額所得者の明け渡し基準である六百二万円をとる案とか、さらに全国の公営住宅の高額所得者の明け渡し基準である四百八十五万円をとる案とか、そういうふうな案がいろいろと検討されておると報道されておりましたけれども、八百万円案が有力だと言われていますが、その点どうでしょう。
  186. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 検討の中に、確かに先生がおっしゃいましたようなものも今後検討に値すると思います。思いますけれども、現在そういうものを実は事務的な面でも一切議題にしたことはございません。
  187. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうすると、いまお話では、検討はされたけれども議題にはなっていない一もう一遍ちょっと答弁してください、お願いします。
  188. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) と申しますのは、担当課等で事務的な検討はしておると思いますが、私はまだその検討案等につきまして一切聞いておりません。
  189. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 わかりました。じゃ、次へ移ります。  次は共同住宅、いわゆるマンションの管理体制のあり方についてお伺いしたいと思います。これはマンションの建設がいま盛んに進められておりますけれども、このマンション建設が進むにつれまして、欠陥問題と並んで共用部分の所有権のあり方、あるいは管理費の引き上げの問題、あるいは将来の修繕費の積み立てのあり方、そういったさまざまな保守管理の問題が大きな課題になりつつありますが、この種の問題の現状をどのように認識していますか、また、その管理体制についてどのように考えてみえるか、先にお願いします。
  190. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 現在、マンションというのが非常にはやっているわけでございますが、この管理についての根拠法規というのは、三十七年にできました建物の区分所有等に関する法律だけでございます。この法律では、共用部分の管理なり、あるいは管理規約、管理者の選任、議決機関としての集会、管理に関する基本的な事項というものが定められております。それ以外はそれぞれの規約によって定めるというたてまえになっているわけでございます。  お述べになりましたように、マンション分譲に伴いまして、マンション業者と分譲を受けた区分所有者との間にいろいろなトラブルがあっているということも私ども十分承知いたしているわけでございますが、一体その原因は何だということになりますと、私どもが考えておりますのは、マンションの分譲の際に分譲業者があらかじめ管理体制を定める、そのとおりにやっていただくような仕組みになっている。しかもその共用部分の使用収益について分譲を受けたいわゆる区分所有者に十分周知徹底がなされていない、こういうところに問題があるのじゃないかと思うわけでございます。したがって、よくトラブルになっておりますテーマというのは、管理業務の委託、共用部分の使用収益、管理費、そういったところに集中いたしているような状況でございます。  本来、マンションの管理というのは、この区分所有者と管理業者等において自主的にこれは処理されるべき問題だと私は思うわけでございます。そして自分の持ち物でございますから、良好な住環境の維持確保、紛争の未然防止を図るということが一番大事でございまして、マンションの区分所有者の自主的な合意に基づく適正な管理、これは規約によって定めることになると思いますが、そういうのが一番いい方法だと思うわけで、私どもとしてはそういうような方向で業者も指導してまいりたいと思っております。
  191. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 去る九月八日に雨宮弘明氏を会長とする「マンション問題を考える会」、これのアンケート調査によります住宅管理組合の設置状況を発表しましたけれども、それは御承知されていますか。
  192. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 承知いたしております。
  193. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その調査によりますと、住宅管理組合があると回答した人は半分の五〇・九%、こういうふうに低くなっているわけです。それも販売業者主導型で設立されたものが多くなっておりますし、会計がずさんなところも少なくないようですけれども、国としてもこのような実態調査を行うべきだと思いますが、この点どうでしょうか。   〔理事赤桐操君退席、委員長着席〕
  194. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 四十八年ごろ住宅局でこういうマンションの実態調査したことがございます。しかし、それ以降非常にマンションの分譲も増大いたしておりますし、それに伴うところのいろいろな管理問題等も続発いたしておりますので、私どもも十分そういうような実態調査も進めて、こういう問題を検討いたしたいと思っております。
  195. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 住宅公団の長期特別分譲住宅の譲渡の場合には、この住宅管理組合の設置が義務づけられているんですか、そのとおりですか。
  196. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘のとおり、住宅公団の長期特別分譲住宅につきましては、譲渡契約書におきまして、譲り受け人が譲渡契約締結後、速やかに他の住宅等所有者全員とともにこの住宅管理組合を結成し、建物の区分所有等に関する法律に基づく規約を定めなければならない、こういう譲渡契約書がございます。それに基づいて管理組合を設立して管理しておるということでございます。
  197. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 民間の場合には、この住宅管理組合の設置というものは義務づけられていませんけれども、なぜこれ義務づけられないままに今日まで至ったのか、その理由はどうでしょうか。
  198. 大富宏

    政府委員(大富宏君) これは先ほど冒頭にも申し上げました、建物の区分所有等に関する法律の立法趣旨にもさかのぼらなければならない問題だろうと思いますが、この法律の趣旨というのは、あくまでもマンションの共用部分というものは各区分所有者共有に属するわけでございますから、それをどう管理するかというのは区分所有者の私的自治に任せるべきだという法理があるようでございます。そういうことで、民間の分譲マンションにつきまして管理組合をつくるべしという義務づけの法律をつくるのがいいかどうか、これは私どもの所管でなくて法務省あたりとも十分相談しなければいけない問題と思いますけれども、業界団体では、これは大手からできておりますところの高層住宅協会あたりでございますが、これなんかはやはりその指導要綱といたしまして管理組合をつくりなさいということを指導いたしております。ですから、最近分譲されるマンションにつきましては管理組合というものができつつあるように思っております。
  199. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 現在、マンションの購入に当たりましては、マンションそのものを買うよりも管理があれば買う、こういうように言われているが、したがいまして、管理体制というのはうまくいきませんと建物の老朽化が急速に進んでしまいます。今後大きなこれは課題になることは必至だと思います。したがって、私たちとしましては住宅管理組合の設置を義務づける方向でやはりいくべきじゃないか、あるいは管理組合のあり方についても立法化すべきじゃないか、このように考えているわけですが、その点、再度御答弁いただきたいと思います。
  200. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 先ほども申し上げましたとおり、やはりこれは私的自治にゆだねるべき問題であろうかと思いますが、余りに私的自治に放任していくと、取り返しのつかないいろいろトラブルが起きたり社会問題が起きるという観点からの立法政策上の問題はあろうかと思います。その点につきましては十分所管省とも相談を進めていきたいと思いますけれども、実行段階といたしまして、いま申し上げるように、こういった業界団体に極力ひとつ管理組合を設立するような行政指導もやっていきたいと思っております。
  201. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この問題につきましては、「マンション問題を考える会」から建設大臣あてにも三月ですか、書類が、陳情が提出されてきているようではありますが、大臣はそれをごらんになってどのようにお考えでありますか。
  202. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) そういうのが来ているそうでございまして、私はまだ目を通さなかったけれどもお話を承っていると私も必要性があるというように考えます。将来のことのみならず、現にそういうような点が多々あるものですから、こういうような面については管理組合のみにゆだねるというわけにはいかないので、一つの法的基礎をもってこれを運営させるということが一番いい方法だろうと、こういうふうに考えます。
  203. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、自転車駐車場の設置の問題について伺いますが、最近人口急増地域におきましては駅周辺に自転車の問題がいま社会問題になっております。駅周辺の自転車の駐車場が整備されていないために自転車が放置されて、商店街、駅前等いろいろな問題が発生しているわけでありますが、その問題についてどのように掌握されておりますか。
  204. 中村清

    政府委員中村清君) お答え申し上げます。  駅の周辺の自転車の放置といいますか、私ども承知しております限りでは、自転車の駐車需要は全国的に約四十八万五千台ほどあるようでございます。そういたしまして、いま何らかの駐車施設ができておるというのは十七万台ほどございますので、全国的に見ますと差し引き約三十一万五千台、これは宙ぶらりんで行くところがない、こういったかっこうになっております。東京都について見ますと、東京都内全域で約八万台ほど放置されておる、こういう状況でございます。御指摘のように、交通安全上からいいましても非常に問題がございます。それから道路交通の確保といった点からいっても好ましくない。あるいは都市の美観といった観点からも非常に問題がございますので、いまできるだけ早急に整備を図るべきであるというふうに考えております。
  205. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま総理府を中心にしましてつくられております自転車駐車対策について、これがありますけれども、これはいかなる対応策を考えておりますか。  じゃ、建設省では、第八次道路整備五カ年計画、これで自転車の駐車場の新しい制度として市町村道債利子補給事業、これを考えているようですけれども、これで本当に解決されるでしょうか、どうでしょう。
  206. 中村清

    政府委員中村清君) ただいま御指摘がございました、第八次道路整備五カ年計画で利子補給を考えていくというお話でございますが、駅周辺の駐車場が大いに問題になると思いますので、便宜私からお答えを申し上げたいと思います。  御承知のように、駅の周辺で非常に自転車の駐車が多くて困っておるという問題があるのは先ほど御指摘のとおりでございます。ところで、こういう駐車場をどういう方向で整備するか、いろいろな方法がございます。たとえば都市計画事業で駅前広場の整備をやっております。こういう段階で駐車需要に応じて駐車施設をつくるということも方法でございますし、それから実はこれは五十二年度から実施をいたしておりますが、総合都市交通施設整備事業、名前はちょっとややこしいのでございますが、たとえば駅の周辺とか町の中心で非常に込んでおるというふうなところで、街路事業はばらばら、あるいは交通規制もばらばら、いろいろな施策をばらばらにやっておったのでは非常に効果が上がらぬじゃないかということで、各関係機関が一緒になりましてそういう施策を総合的にやろうということで、実はそういう制度を今年度からスタートいたしております。その中で、街路事業として考えられますことは、当然駐車場の整備も入っております。それから歩行者専用道路をつくるといった問題も考えられます。こういった問題がございます。  そこで、先ほど御指摘がございましたいわゆる利子補給の問題でございますけれども、これは一定の要件に該当いたします駐車施設、これは市町村が単独で事業を施行する場合に、大体二百台以上ぐらい駐車しておって駐車場に非常に問題があるということと、それからいま一点は、余り小さいものにまで手を広げますと、全体の制約がございますので、一カ所の事業費を大体千五百万ぐらいにしぼっておりますけれども、そうした条件に該当するところについて市町村が駐車施設を単独事業でおやりになるという場合に地方債を認める、地方債の利子補給を考えるということで、実は来年度予算の要求をいたしておる次第でございます。
  207. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この利子補給事業、国道、県道、都道はこれは含まれていませんけれども、これは含めて対策を講じなきゃならないんじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。
  208. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 問題が起きるのは大体駅前が現在中心でございますけれども、そういうところに国道、県道等が付近に入ってくる場合には、国道、県道の事業としてもやれるたてまえになっております。これは現状に即してやってまいりたいというふうに考えております。
  209. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 さらに、この問題につきましては鉄道事業者ですね、運輸省の方お見えになっていますが、この協力体制が必要なわけですけれども、運輸省としてはどのようにお考えですか。
  210. 植村香苗

    説明員(植村香苗君) 運輸省といたしましては、四十八年以来でございますけれども、鉄道事業者が各地方公共団体あるいは道路管理者から協力要請がありました場合には、鉄道敷地で遊休地があります場合には、これについて有償で貸し付けなり譲渡するなりして協力するようにという指導はしておるわけでございまして、現在、ちょっとデータが古うございますけれども、国鉄について申し上げますと、五十二年一月末現在で六百二十五駅につきまして用地の貸し付けなり譲渡をやっておる。それから民鉄でございますけれども、民鉄につきましては、五十一年三月現在で三百一十八駅につきましての何らかの用地の協力をしておる。それから地下鉄につきましては、五十一年十一月現在でございますけれども、四十六駅につきまして用地の確保につきまして何らかの協力をいたしておるという状況になっておるわけでございます。
  211. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 総理府を中心にしていまいろいろ検討されておりますけれども、そこでいろいろ参考人の意見等では、やはりいまは国鉄ですね、自転車を利用された方々が自転車を置いていかれるところが駅の周辺が非常に多いわけです。いまいろいろと国鉄六百三十五駅というお話もありましたけれども、現状まだ非常に混雑をしておるところが非常に多いわけです。そういうところの要望が非常に大きいわけですけれども、さらに運輸省として、国鉄として、協力体制をもっと強烈に行っていただきたい、こう思うわけです。その点もう一度お伺いします。
  212. 植村香苗

    説明員(植村香苗君) 先ほど申し上げましたように、われわれとしましては四十八年以来協力をするようにという指導をしておりまして、有償で貸し付けなりあるいは譲渡するなりということで、道路管理者あるいは地方公共団体に御協力申し上げるようにわれわれとしては強力に指導しておりますし、今後ともやっていくつもりでございますが、やはりもともと鉄軌道用地でございますので、そのすべてが使えるかどうかというのはかなり問題でございますし、鉄軌道用地の計画があるという場合もございますし、それからまた現在国鉄の再建対策をやってもございまして、やはり赤字解消のために土地の有効活用ということも考えておりますので、そういった問題点とも調整を図りつつ、できるだけ御協力できるように指導さしていただきたい、かように考えております。
  213. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私はきょう信濃川河川敷問題と、鳥取、島根両県に行われた委員派遣に関連する問題、それから前回積み残しのプール制家賃問題について質問したいと思います。時間が一時間ですので、問題が多いので答弁する側もなるべく簡潔に答弁いただいて、お願いしたいと思います。  まず、信濃川河川敷問題です。私はこの問題、建設委員会でも何回も取り上げて、特に建設大臣がかわるたびごとにこの問題についての態度をただしてきて、歴代の建設大臣は疑惑の晴れない限り軽々に措置はとらぬと何回も述べられました。三月二十四日のこの委員会でも私は、前大臣の中馬さんが約束したとおり、疑惑がある限り廃川敷処分をやるようなことはしないという態度を長谷川さんもとるかどうかをただしました。あなたは「前大臣から引き継ぎを受けておることは当然でありまして、でありますから、前大臣の御意見も私の意見も同じでございます。」と答えられましたが、その態度はいまも変わらないでしょうか。
  214. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 信濃川の河川敷の問題も、私はお引き受けしたときにもやはりそのとおりでございますけれども、そのときの状況と現在の状況とが大いに変わってきているというような点、したがって、現在河川敷をどう処分するかという問題、そういう問題はある程度の疑惑であった点と、それからまた市のこれに対する態度、こういうようなものがそろってまいりまして、現今に至りましては私は当然その河川敷処分は行うべきものと判断をしております。
  215. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたは九月二十九日、小林長岡市長の陳情を受けて、廃川敷処分を検討すると約束して、翌三十日の記者会見でもそう発表しましたが、一体疑惑は晴れたのですか、晴れないのですか。
  216. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私は、市長が提出してきた物件一切につきましては、疑惑は何ら持つ必要はないという判断をいたします。
  217. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 市長が提起してきたのは、あの信濃川河川敷の室町産業が買った全体ですからね。これに対して疑惑が晴れたというと、信濃川河川敷に対する問題のすべての疑惑が晴れたということになりますが、あなたはそう思っていますか。——大臣に聞いているのですから。詳しいことじゃなくて、大臣に聞いているのですから。
  218. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私は晴れたと思っております。
  219. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それでは、一体どういう疑惑がここにかけられていたか、晴れたか晴れないかはその疑惑を知っていなければ判断できないはずなので、簡潔にあの問題についてどういう疑惑がかけられていたかを、あなたの認識を述べてください。
  220. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) これはもうさかのぼっていろいろな問題が起こっておったことでございますから、そういう一切の問題がその疑惑を晴らすだけの条件が整えられた、こういうふうに判断をいたします。
  221. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あの信濃川河川敷問題の広さ、何ヘクタールだと御存じですか。——大臣に聞いているのですから。大臣の認識を聞いているのですから。
  222. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 大体七十町ぐらいあるという話でございますから。
  223. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 河川局長から耳打ちされて七十町と、七十三ヘクタールで、このうち国有地が十ヘクタールありますから、室町産業が買い占めたのは六十三ヘクタールです。もう一々詳しく聞きませんけれども、大体広さについても隣から耳打ちされなければお答えできないというのは、あなたのこの問題についての認識がきわめてあいまいだということだと思います。ぜひこの問題についてのこれまでの国会での議事録その他、大臣としてはっきりもう一度読んでいただきたい。大体疑惑そのものもろくに知らないで、疑惑が晴れたという非常に無責任な答弁をあなたはされたのだと思うんです。この問題では大井正則、長谷川昭一という二人の農民を初めとして民事裁判がいま行われておりまして、九月二十八日の先日の裁判では実地調査の提起もされ、それから田中角榮、佐藤昭、入内島金一、それから私、上田耕一郎も入っていますけれども、十七人の証人申請が行われました。いよいよ疑惑は深まるばかりで、私も証人申請が通過しましたら裁判に出て私の持っている疑惑のすべてをここに述べたいと思っておりますけれども、疑惑は晴れるどころか依然として深まっている。ところが、その疑惑について建設大臣はどうやらほとんど御存じないということだと思うのです。これがまず第一点です。  第二点、内閣のこの問題についての方針は変わったのかどうか。当時、事件が起きたとき三木首相も繰り返し約束しました。参議院予算委員会での私の質問に対しても、「これだけ国会においても問題になった処置がうやむやのうちに処理することはできません。」と、こう答えております。また、衆議院予算委員会でも、「徹底的に小委員会で検討していただいて、それまでの間は処分はいたさせません」と、こう三木首相は述べました。内閣の方針は一体変わったのかどうか、改めてお伺いします。
  224. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 内閣の方針というものが、疑惑があるという点についてはそういうふうな判断が出るでしょう。疑惑がなくなった以上は判断が晴れる以外にもう私はないと思います、私はそういうふうな疑惑を持っておりませんから。
  225. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 疑惑が晴れたと、担当する建設大臣が疑惑を持ってないと言ったことは非常に重大です。これは内閣の方針が完全に切りかえられたのではないかという非常に重大な問題を私は感じる。これは国会に対する国会軽視にほかなりません。中馬大臣は十月十九日、私の質問に対してこう述べている。「本来行政庁が専決処分すべき問題、また専決処分できる問題を衆議院の予算委員会にわざわざ小委員会を設けられた、また参議院におきましても、決算委員会が満場一致、新建設大臣に対して慎重に対処せられたいという文書による申し込みを受けておるわけであります。」、だから事はきわめて重大で、軽々には処理できないと、こう答えている。建設大臣、この衆議院予算委員会、ここに述べられている小委員会が設けられたと、これのけりがついているかどうか御存じですか。
  226. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) あなたのおっしゃるのは昨年の十月ですか。私は、もう現在十月終わるんですよ。一カ年もたっている。その間にそれだけのものがその当時と同じ状態でおるとは私は考えてはおらない。
  227. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、三木首相もそれから中馬大臣も衆議院の予算委員会委員会の徹底的な検討が、結論が出ない限り処分しないと答えている。この予算委員会委員会、いつ開かれてどういう結論が出て、文書で報告が出たかどうか御存じですか。
  228. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 小委員会から文書をもって解決ができましたという話は聞いておりません。
  229. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 予算小委員会は、五十一年六月三日、ただ一回開かれております。何らの文書もまだ採択されていないし、結論出ておりません。予算委員会に対する報告も届けられておりません。そういう小委員会で徹底的に検討が出て、結論が出ない以上、この問題はけりをつけないということを首相も建設大臣も言っているんですよ。あなた、出てないのにやるつもりですか。
  230. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私は各般の事情が一切そろえばやるつもりでおります。
  231. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 条件がそろえばということですね。
  232. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) はい。
  233. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それではもう一つ。この参議院の決算委員会で内閣に対するこの問題での警告が採択され、参議院の本会議でも採択されていると、このことを御存じですか。
  234. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私はそういう話を伺っておりますから、先日も委員長にはこの問題の解決を、いろいろお話がありましたけれども、お世話になったけれども、この問題は解決をいたしますからという話だけは口で伝えておきました。
  235. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたはそのときに、国会方面と連絡の上と答えたと言いますけれども、国会方面というのはどこのことを考えたんですか。
  236. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 衆議院の予算委員長にその旨を伝えて了承を得ておきました。
  237. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 予算委員長はどういう返事をしましたか。
  238. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 結構でございますと言いました。
  239. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これも重大です。衆議院の予算委員長がそういうことを言う権限はない。小委員会から何らの結論も報告も出ていないんです。  それからもう一つ、参議院の本会議、先ほど申しましたが、ここでは決算委員会の内閣に対する警告、「信濃川河川敷等をめぐって、疑いをもたれているような行為については、各行政機関において、十分調査を行うとともに、行政管理庁の行う行政監察の結果等をもふまえ、その事後処理に、遺漏のないよう、妥当な行政措置を講ずべきである。」と、これは参議院の決算委員会の満場一致の決議であり、本会議に提案されて満場一致承認された内閣に対する警告です。この警告に対してどういう態度を……、いまのような態度、困るじゃないですか。だから、衆議院の予算委員会に言うだけじゃなくて、参議院の本会議、参議院の各党全体に対してこの警告のとおりやっているということを言わなきゃならない、そういう責任があると思いませんか。
  240. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私はそういうような条件、いろいろなその当時のお話と、現在ここまで進捗した状態というものと状態が変わってきている。その上に立って行政の面に私が判断をするわけでありますから、私は行政上この判断は当然だというふうに考えております。
  241. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたが進んでいるというのは、こういう疑惑についての解明が進んでいるのじゃなくて、室町産業と長岡市との間での交渉が進んでいるというだけなんです。ここで結ばれたこの譲渡に関する覚書では、あの田中金脈の幽霊会社の室町産業に約半分の土地を渡そうという覚書なんです。あと半分を長岡市が使おうというわけです。それが進んだだけなんです。あの六十三ヘクタールの土地というのは、いま時価に直して三百億円とか、あるいは造成前の時価で百五十億円とか、かなりの額のものなんで、その半分としても、やっぱり七、八十億の土地がわずか一億三、四千万円で買った田中金脈の幽霊会社の手に入ろうという大問題なんで、ですから、これだけの疑惑が参議院の本会議でも承認され、衆議院でも、国会でもこれだけ問題になって、歴代の首相並びに歴代の建設大臣がこの問題について疑惑が起きるようなことはしないと言っている。あなたはそういう疑惑が解明されていないのに、室町産業と長岡市長との間で交渉が進んだことを理由として、疑惑が晴れたといってこの幽霊会社に何十億円ものぼろもうけをさせる最初の建設大臣になると、そういうことを避けるべきじゃないですか。
  242. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私は金もうけをさせようという考え方も持っておりません。妥当であるとの判断の上に立って私は処分しようと考えておるのであります。
  243. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 最後に、あなたは先ほど国会とのいろいろそういう問題はした上ということを言われました。予算小委員会の結論、それから参議院本会議での内閣に対する警告、こういうものをきちんと踏まえた上でこの問題について処置をするという点で、内閣の基本方針変わらない、建設省としての方針も変わらないということをお答えいただけますか。
  244. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) もう一回言ってみてください。
  245. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもおわかりにならないようなんで、もう一つ言いますと、建設省はこの問題について非常に大きな責任を持っているのです。なぜなら一級河川で起きた事件です。それから霞堤が三百五十メートルの締め切りをやって本堤になったというのも建設省であるからであります。この本堤計画が、これがなければ田中角榮のこの問題に対するねらいは失敗したんです。それを霞堤を本堤にしたからこそ起きているのです。本堤にする打ち合わせがいつ行われたかというと、昭和三十七年です。このときの長岡工事事務所の所長松野氏はその後日本電建に就職している。それから昭和四十一年、国会で橋本建設大臣は、霞堤というのは見えるか見えないか低い堤だと、本堤にする計画はないというまことに知識のない、しかし、そういう答弁をされた。その答弁後、二年たって四十三年七月に締め切り計画が立てられた。しかし、そのときの工事計画書の一番上のかがみがなくなっちゃった。かがみがないという紛失問題で衆議院の予算委員会で小委員会まで開かれてこれが追及されている。全部建設省の大きな責任がかかっている問題なんですよ。だからこそ建設省としてはこの問題で簡単に廃川敷処分をすべきでないんです、疑惑が明らかになるまで。予算小委員会の結論、報告もいまだに出ていない。参議院の決算委員会も本会議も内閣に対する重大な警告をしている。首相並びに建設大臣もそれについて疑惑の起きるようなことはしないということを明言している。あなたは、ところが、疑惑は何ら晴れていないのに、室町産業と市との話し合いが進んでいるからということで疑惑が晴れたと言っているわけですね。だから、いままで追及されている疑惑が晴れない限り軽々たる処分はしないという内閣の基本方針、建設省の基本方針が変わりはないということを改めて明言できるかどうかということを私は聞いている。
  246. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 問題が起こったその当時と現在では、大変な相違のあることは御認識でしょうね。
  247. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、何も変わってないです。
  248. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) ですから、現在になってすべてのものが解決をしてきて、またその処分が妥当であるという上に立って私は処分をしようという考え方でございますから、いまはさかのぼった、その事件が起こったその当時何年前かの条件が全然違っているということをひとつ知ってもらわなきゃ……。
  249. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この問題で押し問答しててもしようがありません。建設委員会でも何度も問題になったことなので、疑惑が晴れたなら晴れたと、どういう問題が提起されて、どういう問題についてはこういうふうに疑惑が晴れたと、だからこういう処分をするという文書を建設委員会に提供してほしい。このことを委員長にお願いいたします。
  250. 小谷守

    委員長小谷守君) ただいまの上田君御要求の文書を出せますか。
  251. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私の方からそういう疑惑の晴れた理由を出せと言うならば出します。
  252. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 じゃ、文書を出すということを大臣がお答えになったので、その文書を、どういうものが出てくるか、出た上で検討したいと思います。じゃ、理事会でもいまの答弁があったということを検討の上結論出していただきたい。  次に私は、鳥取、島根両県に対する建設委員会の委員派遣に参加したので、この問題に関連して二、三の問題取り上げたいと思います。今度の実情調査については建設委員会調査室の方々、また建設省側の方々に大変御苦労いただきましたし、両県並びに関係自治体の方々から大変な協力や熱心な陳情も受けました。感謝を改めて表明したいと思います。  私は、今度初めてこの委員派遣に参加しまして、裏日本の典型と言われるこの両県で最も強い印象を受けたのは、いわゆる交通問題、特に表日本と結ぶ南北の横断道路を初めとする道路建設に対する県民の要望、自治体側の要望が非常に強いということを強く印象を受けました。先日、この十月の七日に当委員会で各党一致の調査報告も行われまして、その際土屋委員が、建設省側もこういう報告を聞きっ放しでなくて、積極的に取り組んでほしいという要望を最後に述べられました。国権の最高機関としての国会が日にちも使い、それから費用も使ってあれだけのエネルギーを出して視察し、それから現地でもあれだけの協力をしたことについて積極的に建設省側でも取り組んでいただきたいと私は強く思います。この点について、あの二つの報告書の最後に述べられている要望事項、これに積極的に取り組んでいくということについての建設大臣の責任ある態度をまずお伺いしたいと思います。
  253. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 国会からの御要望をわれわれは十分尊重して、その責を負うつもりでございます。
  254. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 具体的な問題を二つ取り上げたいんです。まず、鳥取県の問題で私、現地で陳情を受けたんですが、これは美保湾の埋め立て問題です、竹内地区の。これはずっと長い経過がありまして、昨年の十月一日に運輸大臣が申請を受理して審査を進めてきた。ところが、十月十九日に環境庁に対して運輸省としては意見を求めたと聞いておりますが、まず運輸省における審査の検討経過、簡単に述べていただきたいと思います。
  255. 石月昭二

    説明員石月昭二君) お答え申し上げます。  境港の竹内地区の埋め立て事業の免許の出願は、公有水面埋立法に基づく鳥取県から免許庁である境港港湾管理者の長あてに昭和五十一年二月二日に提出され、免許庁では免許願書に対する審査を終了し、昭和五十一年十月一日に運輸大臣あてに免許申請がなされております。運輸大臣といたしましては、公有水面埋立法に基づきまして出願の内容、いわゆる書類の形式審査その他でございます。並びにその実質的な内容につきまして慎重に審査を進めてまいりましたが、審査を進めました結果、おおむね認可し得ると判断いたしましたので、昭和五十二年十月十八日付をもって環境保全上の観点よりする環境庁長官の意見を求めているところでございます。
  256. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この問題は、五十一年の五月二十一日、衆議院の公害特別委員会計画中止の請願が出て、満場一致で請願が採択され、政府に送付されました。このときのこの計画については十分検討を加える必要があるものと認めるという吉田法晴委員長の名前で政府に送付されているわけであります。大久保港湾局長は、現地の弓ケ浜の自然を守る会の方々の六月のこの問題での交渉の際に、地域開発は地元住民理解合意が大前提だ、美保湾埋め立てについては地元住民は多くの疑問を持ち、不満が大きいことがわかったと、現状のままでは認可することができない、そう回答し、また県に対しても行政指導すると言っているというのですけれども、こういう問題点、どのようにして解決されたのですか。
  257. 石月昭二

    説明員石月昭二君) 本件につきましては、ただいま先生から御指摘がございましたように、環境保全上から問題があるということで、五十一年の五月に衆議院の公害環境特別委員会で請願が採択されております。その後また五十二年の四月、八十国会におきましてまた賛成反対の両請願がございまして、これは保留になっております。そのほか多数の陳情書、意見等が出ておるところでございます。私どもといたしましては、このように国会でのそういう請願が採択されたということもあったという事実も十分に考えまして、慎重に審査を進めてきたわけでございます。それからまた、県に対しましても、できるだけ地域の方と話し合いをするように、理解を深めるように指導してきたところでございます。
  258. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私ども視察しまして非常に矛盾を感じたんですね、弓ケ浜半島の根元にある皆生海岸、あそこは流砂による浸食でどんどん海岸がなくなっちゃうと、それでテトラポットを埋めて離岸堤をつくってトンボロというのができて、ようやく砂浜が生まれていると、そういうことを一生懸命やっておるわけですね。ところが、先の方の、弓ケ浜の先ではきれいな美保湾の中に一キロ平方の埋め立てをやって、ぽんと突き出してしまうと、一体同じ浜でこっちでは浜をつくり、片方では浜をつぶすというようなのは非常に環境上も大問題だということを現地を見て感じました。現にこの問題では一遍県が出したものが非常にずさんで取り下げがある、その次に出したものに対しては二万数千名の反対署名意見書が出まして、これは有権者の過半数を超える数字が出ているわけですね。  それで、あそこの一キロ平方の埋め立てをどうやってやるかというと、北側の昭和地区にある港湾を五万トン岸壁にする、そこから生まれる土砂をあそこに持っていって埋めていくのが一番有利だというので始まったというのがどうも一番の原因なんですね。最も粗雑な安易なやり方で、港湾をつくる土砂できれいな浜を埋め立ててやってしまう。どこを何を引っ張ってくるかというと、境港市の公害企業だというんです。ところが、この公害企業のどこを持ってくるかということについても、県はまだまだ明らかにすることができないんですね。現に自然を守る会の人々が、移る企業について、一々本当に移る気があるのかといって調べてみると、いま不況でもあるし、全く移るつもりはないという、ある窯業会社などは、いまもう炉が休んでいるから進出どころじゃないという返事でしてね、だから計画そのものが非常にずさんだというように考えられるわけです。現地の弓ケ浜の自然を守る会の人々は、埋め立てとそれから工場排水による水質汚濁、潮流の変化による災害のおそれ、水産資源への影響、背後地の地下水位の上昇、また入浜権がこのごろ問題になっておりますが、海水浴のできる浜、いま海水浴しておりませんけれども、そういう美しい浜をどうしても守りたいと、そういうさまざまな問題を挙げているわけです。ところが、運輸省はそういう大体オーケーという返事をどうやら出したようなんですが、六月に住民に対して現状のまま認可することできないと港湾局長が約束された。この約束に反して、現状のままでも認可するという態度に変わったわけですか。
  259. 石月昭二

    説明員石月昭二君) 港湾局長がそのような約束をしたかどうかにつきましては私聞いておりませんが、陳情がございまして、そのときに反対の方々から幾つかの疑問点が出されまして、その疑問点について返事をしてくださいという約束をしたという話はちょっと聞いております。その点につきましては、先国会におきまして、予算分科会で野坂先生の質問の中で、その際、住民方々から質問がありましたのと同じ質問がございましたので、大体それにつきましてのこちらの考え方は、反対の住民方々もおわかりいただいているんじゃないかと私ども考えている次第でございます。  先生いまいろいろおっしゃいました、指摘されました事実につきまして、潮流の問題であるとか、地下水の問題であるとか、いろいろ問題があるわけでございまして、その問題につきまして私ども慎重に検討を続けていき、県に対しましては、疑問の点につきましては補足説明を求めるということを繰り返してきたわけでございますが、その結果、潮流の問題等につきましても、先生が第一番目に御指摘になりましたように、この計画をつくった場合には若干海岸浸食のおそれもあろうかということも出ておりますが、その点につきましては、護岸堤をつくれば大した影響はないという結果も、シミュレーションその他をやりました結果、確信を得ております。  そのほか、移転する企業がきわめて確実性が低いんじゃないかという御指摘でございますけれども、鳥取県といたしましては、御承知のように市内に魚の加工業というような臭気を発する公害企業を多数抱えておる。また、川筋の方に造船所がございまして、これがまた船舶交通の安全を阻害しているというような問題。そのほか窯業その他でセメントの二次加工をやるような事業でございますけれども、ここに進出したいという希望のある企業もあるようでございまして、そういうものをここに一カ所に集めることによりまして、より近代的、合理的な形で企業の育成強化にも資することができるんではないかというような考え方から、この埋立地に移転することを決めたわけでございます。  いずれにしましても、工事が五年もかかる問題でございますから、現時点におきまして、どの企業がどこにという具体的に確定はしてはおりませんけれども、県といたしましては、どの企業を——たとえば実例を挙げて申し上げますと、都市計画法上の不適格建築物である、いわゆる住居地帯にあるような工場をそこに移すとか、そういう形を個々別々にいろいろ調査いたしまして、そういうものに対して近代化資金であるとかいろいろそういう金融、財政上の助成援助策も講じまして、そこに移すという形で考えておりますので、私どもといたしましても、その計画の実現性につきましては一応確信を持っておる、了解をしたということでございます。
  260. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この認可方針について、請願を採択した衆議院の公害対策特別委員長に対して文書で報告は行いましたか。
  261. 石月昭二

    説明員石月昭二君) いたしておりません。
  262. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それをするようにひとつお願いいたします。
  263. 石月昭二

    説明員石月昭二君) はい。
  264. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 環境庁は、この問題について今後どういう調査をする方針ですか。
  265. 大塩敏樹

    説明員(大塩敏樹君) 環境庁といたしましては、先ほどお話ございましたように、十八日付で書類をいただき、これについての環境庁の見解をこれからまとめるところでございます。この問題につきましては、一昨年来環境庁に対しまして再三にわたる地元からの陳情、要望がございまして、その際、必要に応じて現地において調査、確認をするとともに、地域住民の意向を踏まえて判断するという見解を出しておりますので、そうした方針に基づいて慎重に審査したいと考えております。
  266. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 有権者の半数にのぼる者の非常な関心を集めておる、半数が反対するという大問題ですので、現地調査も必ず行って、慎重に環境庁としての結論を出していただきたい。どうも環境庁長官は、経済調和条項を、あれは魔女狩りだなどというような方針のようですが、余りそういう方針に影響されないで、国民立場に立ってこの問題やっていただきたいと思います。  その次に、今度は島根の中海の干拓問題について質問したいと思います。  これは、中海干拓問題は、現地で現在進められている国営干拓事業八地区でありますが、その中でも最大規模のものです。二千八百ヘクタール。総事業費五百十五億円の巨額にのぼるもので、これまでの投資額、五十年度まで二百二十億円、ちょうどいま半分ぐらい進んだところです。われわれも現地を視察いたしまして、いろいろ感ずるところがありました。共産党としては、この中海干拓問題について最初から問題点を指摘してきたのですが、私、現地を見て改めて問題点がきわめて大きいことを痛感いたしました。  それは、この事業が発足したのは昭和三十八年着工、立案されたのは昭和三十年で、いまから二十二年前です。四十三年十二月から本格的に工事開始。ところが、工事を立案し、着工したいまから十数年前、二十年前と比べますと、その後非常に大きな変化が起きているわけです。第一の大きな変化は日本の農業事情の変化です。これは八郎潟干拓などにも学んで、ほとんど水田、それから酪農、これを中心に考えたのですけれども、その後昭和四十五年から減反ということになってしまっている。われわれ聞くところによると、水田はこの干拓ではもうどうもゼロにするらしいというような話も聞いたのですが、この事業計画はいまどうなっておりますか、農林省にお伺いします。
  267. 岡本克己

    説明員(岡本克己君) 確かに、いま先生おっしゃいましたように、四十三年度に本格的に工事に着工いたしましてから、その直後に、四十三年、四年ごろから米の過剰基調が非常に顕著になりました。その際農林省としまして、全国で実施しておりました継続中の干拓あるいは農用地開発等、開田にかかるものについては今後このまま進めるわけにいかないということで見直しをいたしまして、いわゆる開田抑制措置が四十五年の二月にとられることになりました。当初は中海干拓におきましては、田畑輪換——一部畑がございます。田畑輪換を中心とした開田計画でございました。これを開畑計画、畑だけに変える。こういうことで、これにつきましては、当初の計画と変わるわけでございますので、両県とも十分協議の上、そういうことで事業をやろうということで現在まで事業を進めてきております。
  268. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 水田が畑になるというのは、この中海干拓の一番中心のかなめが変わるということなんですね。水田にしてここに入植させよう。水田だから水が要るから、あそこの中海の水を淡水化して、その水を使おうというのだった。これが畑になっちゃったのですから、水田の水ももう要らなくなっちゃうということで、これは大きな問題です。しかも非常に大きな大規模農家をやる。いま兼業が非常に大部分を占めているところで、畑だけの大農家に、つまり酪農だとか、花卉だとか、野菜だとかでしょう。これで一体入植希望者があるだろうかというのが現地の非常な不安なんですね。  私、この間行って県知事にこの問題を質問したら、これは農林省のことでと言って、県知事はわりにのん気な顔をしていましたがね。幾ら農林省が頭しぼっても、いまの農業危機のときに入植者を本当にあそこに入れられるのか。いま出されている計画でも、五年、十年後ようやくこれだけの収益だというのでしょう。これはぼくは非常に大変で、この間から問題になっている、住宅公団が空き家ばっかりでだれも入らぬというけれども、今度は干拓地にだれも入らぬという空き干拓地ができかねないというようなことだと思うのですよ。その点自信がありますか。
  269. 穂積良行

    説明員(穂積良行君) 先生御指摘のように、最近の農業を取り巻きます事情からしますと、この干拓地におきましての営農計画といたしまして、どのような将来像を私ども持てるかということにつきましては、いろいろと私ども十分検討しなければならない課題があると考えております。ただいまのところ、この地域におきましての予定は、およそ九十数戸につきましては酪農経営を専業的に経営します高能率の農業経営ということで入植を考え、またその他のところでは、酪農あるいは先生お話しのような花とか野菜等の生産を行いますことを目的としての増反ということで、地域の農業の発展ということを考えた干陸後の営農というものの検討をしているところでございます。米以外の作物によりましてのその地域での営農が本当にうまくいきますように、どのような経営内容やら、あるいは必要な土壌、それから排水等の必要な工事等を予定するかというようなことにつきましてもいろいろと検討を進めておるところでございます。
  270. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり、いま検討中なんですよ。確定した事業計画というのは水稲中心、水田中心のでしょう。まだ本格的に畑に変えてからの事業計画というのは決まっていない。正式に採択されていない、そういうことですね。つまり、これは大変なことだと思うんですね。とにかく発足をして、二百二十億円の金をつぎ込んで、肝心の水田開拓計画が全部がらっと変わっちゃて、あと営農計画をどうしようかというのをいま検討中だというんですから。どうするか、いま悩んでいるところだというんですね。しかし、畑をつくるのに二百二十億円もつぎ込む必要ないんですよ、畑をつくるだけだったら。共産党は数年前に、わずか五十億円でこの十倍の畑ならつくれると、そんな海を干拓しないでも、という計画を発表したことがある。まことにとんでもない計画になっちゃった。これは私は決定的な問題だと思うんです。これが第一です。  第二番目は、その後の大きな変化としては、やっぱり自然を守るという世論、運動、これが公害環境問題として、この計画が立てられたとき以後非常に大きく盛り上がってきたことですね。これが非常に大きな変化です。私ども視察に行きまして、枕木山に登ってみました。あのときは曇っていて大山が見えなかったんですが、向こうに大山が見えて、この下に中海が広がって、大根島が見えて、すばらしい景観だという説明を受けたんですけれども、その大根島の手前が全部これ畑になっちゃうんだから、まず景観はつぶれてしまうと思うんですね。あのふるさとを守ろうという声、これももう無視できないほど大きくなっているんですね。これが第二番目の大きな変化です。日本じゅうの海津がどんなにつぶされたか。いま海岸をつぶさないで守ろう、釣りのできる、それから泳ぐことのできる、入浜権を守ろうという動きが非常に高まっている。これは先ほどの弓ケ浜についても同じです。  三番目の大きな変化は二百海里時代。二百海里時代になって、沿岸、沖合い漁業、育てる漁業、これに日本の漁業政策を転換しなければならぬというのは鈴木農林大臣も何度も言われた。あなた方農林省も、農業だけじゃなくて農林水産省にしようとまで言っているんだから、この二百海里時代を迎えてどうやってその水産業を発展させるかということを考えておられると思うんですね。中海というのは非常に大事な漁場なんですよ。そこをとにかく水田だと思ってつぶしちゃったわけですね。つぶそうという計画なんです。ところが、水田は変わってくる。いま漁民は——行ってごらんなさい、私ども今回も私の秘書が行って調査してきましたけれども、漁民はもらった漁業補償も返してもいい、漁業をやりたいと言っているんです。あそこは浜名湖よりも広いんですね。それで、水産試験場もウナギの養殖もできるという。カキの養殖なんかいまでもやっていますよ、カキとか貝とかウナギとか。だから、われわれは、淡水化するんじゃなくて、むしろ塩分をふやして、あそこを本当に漁場として発展させるということができるんじゃないか、やらなきゃならぬのじゃないかというように思うんです。  私、いま三つの問題を挙げた。減反問題、農業情勢の大きな根本的変化、それから自然を守る運動、世論、国の政策の変化、三番目に二百海里時代、沿岸、沖合い漁業を、育てる漁業をどうやってやっていくかということがいま国国的課題。この三つの課題にいま直面しているとき、もうすでに決まっているからというので、いままで二百二十億、あと五百億まで、このままとにかく決めたレールだけ走ろうというのは、私はこれはやっぱり官僚行政の典型じゃないかと思うんです。とにかく進んじゃって、水門もかなりできていまして、あれをつぶすわけにいかないし、これまで進んだところで、しかし、そういう変化に応じて、どうやってこの最もいまの日本の国情に合い、国民的課題に合う計画に見直していくかということは、私は検討すべき価値があると思うんですね。これは、反対していたのは共産党その他だから、いまさら見直すことは困るというようなけちな根性でなくて、やっぱり超党派でこの問題を、国民の税金をむだ遣いしない、国の資源をむだ遣いしないという見地で、当然やはり見直すべきところに来ているというように私どもは視察の結果思ったんですけれども、農林省あるいは建設省もこの問題についてどうお考えになるか、見直す決意、これがあるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  271. 穂積良行

    説明員(穂積良行君) 御指摘のようなこの計画、特に将来の営農計画としてどのように考えるべきかという点などを含めまして、現在私どもの出先の中国四国農政局と、それから鳥取、島根両県の農政担当部局といろいろと検討をした成果を私どものところに寄せてきております。これにつきまして、さらに出先それから両県と検討をいたしまして、将来この干陸後の干拓地にりっぱな営農が成り立つような工夫をさらに加えまして、基本計画ということで進んでいきたいと思っております。
  272. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、営農だけじゃなくて漁場の問題ですね、そういう問題も含め、それからあそこの観光問題、美観の問題、それら全体を含めて見直す決意があるかないかということを聞いている。農林大臣じゃないんで、あなた、お答えできないかもしれぬけれども、私はこれは一つのやっぱりテストケースだと思うんです。いま進めております国営干拓事業の中で最大規模のものなんですから、それがいろいろな状況が変わってきたときに、日本の行政機構として、この変化に応じて対応する敏速なそういう態度の転換や見直しや、それができるかどうかという問題なんで、とにかくもう決まって予算がついて進んでいるんだから、どうなろうとレールを走るだけだというんじゃやっぱり国民の期待にこたえられないと思うんです。そういう期待にこたえるべく努力を要請したいということです。いかがですか。大臣のことは考えないで、あなたの考えを言ってください。
  273. 穂積良行

    説明員(穂積良行君) 全体の計画としまして、農林省サイドの基本計画というものがございます。これは土地改良法上、国の直轄工事ということで大臣がかつて決めて進んできておるわけでございますが、その後、先ほど申し上げました米の需給の問題等から、おのずからこの内容に再検討を加えなければならないという意味で、そうした再検討を現在やっており、基本計画の改定作業をやっているところでございます。その上で、予定としまして五十七年完了でございますから、五十五年、六年ごろの干陸計画土地配分計画等、今度の改定作業に基づく計画に沿ったものとして適正に、先生御指摘のような点をも踏まえまして、進めてまいりたいと思っております。
  274. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 基本計画の改定作業が進んでおり、私の述べた点も踏まえて作業を進めるという答弁でしたので、確認して、ぜひこの計画がほんとに実のあるものになり、県民、国民の要望にこたえられる事業に進めるよう関係各省の努力を要望して、次に進みたいと思います。  最後に、私はおとといに引き続いて公団住宅の家賃問題についてお伺いしたいと思います。  おとといの局長の答弁で、この家賃抑制として、新規住宅については当初家賃を引き下げる、それから傾斜家賃を十年を五年、七%を五%くらいにしたい、それから既存の空き家住宅にも同じようにするという内容を言われて、これは局長の案のように言われましたけれども一般の新聞にも同じような内容を報道されておりますし、建設省、住宅公団に説明を受けたときも、大体同じようなことが言われておりますので、ほぼこれは関係部門でおおむね統一された見解だと受け取ります。  改めてお伺いしますが、来年度の新規供給二万戸と空き家一万七千戸を対象にして、これだけの家賃抑制をすると、どのくらいの資金が必要になりますか。
  275. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 現在、各個の改定額につきましては、具体的に団地ごとに詳細にくみ上げている最中でございまして、その結果を待たないと増収額というのが決定しないわけでございます。したがいまして、家賃の抑制に幾ら資金が必要になってくるかというお話でございましたけれども、この増収額の使途につきましても事務的にこれからまた詰めることが相当ございまして、まだ関係機関となお詰めていかなきゃならぬというような問題もございます。そんな問題がございまして、現在では額が幾らに結果的になったのかというような点についてはまだ何といいますか、未定といいますか、そんな状況でございます。
  276. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 局長いかがですか。大体のめどとして、あなた個人の感触で結構ですが。
  277. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 現在まで、いま公団が申しましたように、総額の内訳につきまして鋭意検討中でございます。私も感触としてでもきょうまだ申し上げる段階ではないという気がいたします。
  278. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 なかなか慎重なようですが、先日もちっと問題になりましたが、国も今度金を出すというわけですね。来年度の概算要求で家賃抑制に使われると思われる新規施策というのは、住環境施設整備交付金の五十億円だと思うんですが、もしこの五十億円を新規住宅の家賃抑制、先ほどのような方式につぎ込むことができるとすれば、どの程度安くなりますか。
  279. 沢田光英

    参考人(沢田光英君) ただいまのお話は概算要求でございまして、これから後いろいろと御審議を仰ぐわけでございますけれども、対象を大体二万戸といたしまして五十億円を要求いたしております。したがいまして、一戸当たり交付金は二十五万円でございます。これを原価家賃に換算をいたしますれば月当たり千五百円の減額になる、これを使えば千五百円の減額になる、かようになっております。
  280. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 千五百円の減額ではなかなか空き家はなくならないと思いますけれども、公団側も建設省側もなかなかまだ感触もつかめないと、いま計算中だということなんですけれども、しかし、どうも私はそれはおかしいと思うんです。「赤旗」で報道しました家賃改定スケジュールという住宅公団の資料があります。これは前の南部総裁も住宅公団のものだということを認められました。これを見ますと、ことしの十月、いまですよ、きょう二十七日ですから、もうそろそろ終わるんですけれども、家賃改定額本社調整の時期と書いてある。もうそろそろ終わるわけです。十一月中に大臣承認をとる計画になっておる。来年の一月から家賃改定通知をやる。それと同時に国会対策、居住者対策、訴訟準備、こうなっているんですね。来年の一月にはもう各家庭に家賃改定を通知するスケジュールなんですから、これをやらなければ七月一日からの値上げはできない。十月に家賃改定額本社調整の時期で、いまもう十月が終わろうとしているので、現在までに何の試算もない、ほぼ感触もつかめないというようなことは私は全くあり得ないと思うんですが、いかがですか。
  281. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) やはり、事をなす場合にスケジュールをつくるのは恒例でございます。したがって、そういうスケジュールを内々につくった時期は確かにあると思います。しかし、そのとおりやっているかどうかは別でございまして、私も先回申し上げましたように、九月の終わりにやっと率を示したわけでございます。したがいまして、それを個別のものに落としますには相当時間がかかるということでございまして、私どもまだその集計結果等についても聞いておらない、聞いた上でよく相談をしようという段階でございます。
  282. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうすると、大分スケジュールおくれておるようですが、じゃ七月一日の一斉値上げ、これもスケジュールおくれているんですか。
  283. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) スケジュールというものは相当余裕を持ってつくるものでございます。したがいまして、私、相当安全が見てあると思いますので、予定の七月には実施をしたいと考えております。
  284. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうもゴールだけは決まっているようですね。先ほど五十億円の交付金では千五百円しか下がらないということが明らかになって、そうしますと、よく建設大臣は、国も金をこんなに出しているんだから居住者も値上げに協力してください、共産党も協力してくださいということをよく言われますけれども、しかし、この千五百円ぐらいではなるほど協力したいと思うような額ではないと思うんですね。局長も公団も傾斜家賃をああいうふうにするのにどのぐらいの額が要るかということを結局言われないけれども、十年を五年にし、七%を五%に下げる、このためにも恐らくこの五十億円じゃ足りないと。そうすると、この古い団地の値上げ額、初年度二百億円、次の年から約二百八十億円ですか、これのかなりの額を傾斜家賃の改善のためにやはりつぎ込まなければならなくなると思いますけれども、その点いかがでしょう。
  285. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 大臣が非常にがんばって国からも金を出そうと努力していただいておりますけれども、その額の中には先ほどの先生おっしゃった五十億のほかに百億の特別交付金があるわけでございます。もちろん百億の特別交付金の使途につきましては、来年度予算要求のスタイルといたしましては、やはり特別修繕というようなかっこうで要求いたしております。しかし、金に色目はないわけでございまして、やはりどうしても全体のスケジュールとしてできるだけスムーズにやりたいということから、国も一臂の力をかしていただきたいということでございまして、それらを含めまして国の援助をいたしたいと考えておるわけでございます。  それから金額についてなかなか出ないということでございますが、この前も私、若干慎重でございましたけれども、傾斜の打ち切りにつきましても五年ないし七年と申し上げたつもりでございます。これはやはりそういうものがどの程度本当に値上げの額がかたまり、どの程度国からの額が出るかということを確定しませんと、公団といたしましても決めかねるところだと存じます。そういう意味で五年ないし七年、私どもできるだけ五年にしたいとお願いしておりますけれども、これもやっぱり今後の成否にかかっておるということでございます。したがいまして、全体の額について公団がいま直ちにごうごうと申し上げる段階では私はまだないだろうと思っております。
  286. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 新規建設住宅の家賃引き下げのためには、われわれもずっと申しておりますように、やっぱり国の補助を強化すること、それから政府出資金を復活させることですね。それから利子補給、金利を下げさせること等々やる必要がある。特にこの間もこの関連公共施設費の問題も大きく取り上げられました。おとといの委員会では公共施設の負担金が五十年、五十一年建設一般団地の実績として一戸当たり百三十七万円、原価家賃で八千二百円という答弁があったわけです。そこで、住宅公団などの委託によって昭和四十五年に住宅団地関連公共施設整備に関する研究というのが出ましたね。この意見書が提出されています。この意見書をつくった人の中には建設省住宅局長建設省計画局長建設省都市局長住宅公団副総裁、また建設省の課長さん初め建設省もかなりこの意見書には参加されてつくられた意見書です。その点は皆さん御存じだと思います。これには関連公共施設費の負担は一般的財政負担が原則だ、これが当然だということを確認した上で、受益者負担、つまり公団だとか入居者が負担するのは、これはやむを得ず加味せざるを得ないものだというふうに意見書では書いてある。それで、この受益者負担というのは一種の寄付だと、そう考えるべきだと書いているんですね。われわれもいままでこれは二重の税金払いだということを言っていましたけれども、税金はみんな一遍払っているんだから、その上にこういうものをやるのは国と自治体に対して居住者が寄付していることだと考えるということが、建設省の局長さん、課長さん、住宅公団の副総裁、あるいは大蔵省主計局長も参加した意見書にはっきり書いてあるんですね。だから寄付なんですよ。五十年、五十一年度の方は原価家賃で八千二百円家賃を払うたびに国と地方自治体に寄付していることになるわけです。  この「ジュリスト」の特集号に住宅公団の参事の方が論文を書いております。これはこの中で、何回も国会でも取り上げられましたけれども、関連公共施設費が現在建設中のある地区では負担額が家賃の中で二万六千円を占める例がある。関連公共施設費の家賃はね返り額が二万六千円、家賃の中でですね、こういう例が出ておるわけです。そうすると、これ計算しますと、一年間に十二掛けると三十万円を超えるんですね。そうすると、一年間に三十万、この建設中の団地の人は国と自治体に寄付しなきゃならぬ、一年に三十万円。その上に今度五万円の、平均五千円の家賃の上乗せを、これは新規の場合ですけれども、将来もそういうことになってしまうわけで、値上げというのを押しつけられるというのは非常に私は問題だと思うんですね。この問題を議論をしていくと大変ですけれども、これはやっぱり一種の寄付と考えるべき性質のものだという点が建設省の局長の方の参加したところで出ていると、こういう性格のもので、当然関連公共施設費の負担は国と自治体、一般財源で負担すべきだと思う。こういうことを改めて確認して、今後これの軽減のために努力していただきたい。その方向で高額家賃は引き下げるのがまことに当然だと思います。  最後に、私はこの間質問しかけました補修費の問題について続けたいと思います。同じ質問になりますが、明確に答えていただきたい。  今回の値上げ対象とされている昭和三十一年から四十七年建設住宅について、補修費の収入と支出実績との見合いは一体どういうふうになっているのか。本来は修繕を必要としていながら修繕を繰り延べしている分の工事事業費はどのぐらいあるかという問題です。
  287. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 公団の住宅管理の経理制度と申しますのは、公団住宅全体につきまして費用の収支を経理しているわけでございまして、したがいまして、原則としまして年度別の個別団地別の当時の費用収支というふうなものは決算するような仕組みになっておりません。したがいまして、修繕費の支出につきまして個別団地をとらえたり、また特定の年度までの団地をとらえたりするということは大変困難なことでございます。しかしながら、そういうような四十七年度以前のものにつきましてどのくらいの収支の状況かというふうなことが、昨日御注文もございましたので、私どもとりあえず試みに昭和四十七年度までに管理開始いたしました住宅の修繕費の収支を最近のこの三年分についでだけ推計してみました。その推計に当たりましては、収入の方は比較的平均の家賃等もございまして、家賃の高低ということもありますので比較的容易にできますけれども、支出の方はいま申し上げたようにそれぞれの各年度別、団地別というのはつまびらかになっておりませんので、私どもの経験に照らしまして推計したわけでございます。そうしてみますと、数字を申し上げますと、四十九年度から五十一年度まで、この三年でございますが、収入の方は変わっておりませんので大体一定でございます。四十九年、五十年、五十一年とそれぞれ八十八億円。それに対しまして支出の方は、いま申し上げたような推計をいたしまして見ますと、四十九年度は百十五億円で二十七億円の不足、昭和五十年度は百三十八億円で五十億円の不足、それから五十一年度は百五十八億円ということで七十億円の不足ということになっております。  それから、いまお尋ねの、いろいろおくれおくれになっているようなものがどのくらいあるかというお話でございますけれども、これにつきましては先日も御説明申し上げましたように、修繕費というのはそのときそのときに具体に、団地あるいは住居を見まして判断してやるものでございまして、一応現在まで住宅機能としての機能を損なわないようにというふうな点につきましては配慮しながら修繕してまいったわけでございまして、現在までにおくれおくれになったものはどのくらいかということでございますけれども、これにつきましては、具体的にどのくらいというふうなことは数字的には出ないわけでございます。
  288. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 何回も要求しまして、ようやくこの三年度分の資料が出てきました。これを見ますと、修繕費の赤字が四十九年度二十七億円、五十年度五十億円、五十一年度七十億円、累計この三年度で百四十七億円。これを見ますと、恐らく四十八年度から前は、石油ショックの前でもありますし、そう多くないだろうと思いますね。そうすると、いままで累積している修繕費、大体多く見積もって百六十億円ぐらいじゃないかと思うんですね。この間の委員会の質問で、初年度二百億のうち七割から八割修繕費に回すと言われた。その七割で百四十億、八割で百六十億。そうすると、初年度の平均五千円の値上げだけで修繕費の累積赤字は全部なくなっちゃうということがもう明らかになったと思うんですね。もうこれで終わりですよ。初年度五千円ずつ平均いただけば、赤字は全部これでけりがつくというのがきょう出された資料で明らかになったと思う。そうすると、じゃあ二年度分からどうなるのか。二年度から二百八十億円入ると、修繕費の赤字は恐らくここに出ている七十億がちょっとふえて八十億か九十億ぐらいになるでしょう。そうすると、二百億円以上余っちゃうですよ、それを一体どこに使うのか。これをじゃあ新規住宅の傾斜家賃の改善あるいは空き家住宅の引き下げに使うのなら、局長非常にいやがられたプール制ですよ、あるいは緩和してプール方式、まさにプール方式だということになると思うのですね。  それで、私はもう時間が参りましたので最後に申したいと思うのですけれども、おとといときょうの質問で大体公団側が考えられている輪郭が出てきました。総裁はプール制というのは誤解がある、増収分は公企業体として総合経理の面から見て緊要度に応じて使用すればよいと、そう述べられた、私はこれを批判しました。有賀理事は、不均衡是正のための家賃変更で、補修費が赤字だからどの程度の値上げを行うという性格のものじゃないと、こう答弁した。そうしますと、この論理から言うと、値上げをする経済的な理由はないということです、値上げをする経済的理由は。家賃是正と不均衡是正という何か政治的、精神的な理由で今度のプール制、プール方式が取り上げられるということになったと思うのです。これは三年ないし五年の見直しと局長返事されましたね。際限のない家賃値上げのレールが敷かれることですよ。普通公共料金の値上げというのは、国鉄でもどこでも大いに計算して、こんなに赤字だと、だから値上げすると出るんでしょう。今度は経済的理由はないのです。ただ、不均衡是正のためだという理由のために、公団が始まって以来二十一年ですか、初めての一斉値上げでこれだけ全国的な大問題が起きているということですね。私はこれは非常に不幸な大問題だと、こう考える。安過ぎるからと言われますけれども、やっぱり安くて良質の勤労者のための住宅というのは、これが公共住宅なんですから安くていいんですよ、高くなきゃならぬという原則はどこにもない。これは住宅公団法にもちゃんとそう書いてある。だから、そういう点で、私は今度のこのプール制家賃の値上げ問題、プール方式の家賃値上げは、どうしてもやっぱり白紙撤回してほしいと思うのです。私、前回述べましたように、ひとつ修繕費の問題についてはこれを切り離して、全国の公団自治協とよく討議すると、大臣も民主的に話し合いたいと言われました。総裁もそう言われた。この問題は切り離して民主的に話し合って、各団地ごとに本当に住民要求を満足させるためにはどれだけの修繕費の赤字があり、どれだけ取ればいけるかということを詰めればいいのです。それをやれば、あなた方がどうしてもやりたいというこの格差是正もある程度実現できるということにもなるわけです。だから、修繕費問題は第一に切り離して扱うということであります。  それから新規住宅の家賃値上げ問題については、先ほど申し述べましたように国の責任として関連公共施設費の問題、政府出資の復活の問題、金利の引き下げの問題等々幾らでも打つ手がある。今度概算要求で合わせて百五十億要求したと言われるわけですね。それで、ある計算によりますと、家賃を二〇%下げるためには二百億あればいいという論文があります。で、道路のためには五カ年計画で八兆円出そうというわけでしょう。すると、毎年二百億程度、家賃を二〇%下げるために国費がなぜ出せないか、出せない理由はないですよ。建設省も百五十億今度要求だというわけでしょう。こういう努力をどんどんやっていただくと、われわれ政党もみんなこれはこぞって要求できると思うのですね。そうしますと、あと残るのはプール方式による際限のない家賃の引き上げのレールですが、これをやりますと、三年、五年ごとに今度のような大闘争が起きるのですよ、これ起きざるを得ない。家賃のかけ合いですね、全国的に。今度の問題でも大きな問題になるわけです。こういうことをやっぱり避けて、問題をどう解決するかということに政府も建設省もわれわれ建設委員会も、それから公団の居住者の方も公団自治協もみんなで努力しようということが出されているわけで、この努力をわれわれやっぱりやらなきゃならぬと思うのです。だから、もう決まったレールをこれから突っ走って、大きな家賃値上げ反対闘争、それに対する拒否闘争等々というようなことをしないで、やっぱり理性的に問題解決するために努力したい。われわれ共産党もただ反対するだけじゃなくて、建設的な提案もするし、この話し合いについてはあっせんも協力も幾らでもわれわれも努力する用意があります。その点で建設大臣と公団総裁の御意見を最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  289. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) どうもお話を聞いていると、書いてあるんだからという話で、書いてあるんなら二年ごとに経済の上昇と合わせて家賃を値上げしなきゃならぬ、それを今日まで黙っていたということ、だから二年ごと二年ごとにこうやってくれば、いまこれは大ごとにしなくてもよかったんだけれども、書いてあるんだということになるとそうなってくる。無制限に、無限にこれ高くなるでないかと。無限に高くなれないんです、これは公団は営利会社じゃないんですから。こういった物価と物とのそのバランスの上に立った、その上に立っていかなけりゃ値上げはできないんですから、それはもう無限に値上げするなんということはできないんです。それで、あなたの方は自分のいいことばかり言っているけれども、こっちは、値上げをした、高い方の引き下げるのはちっとも言ってくれないんだけれども、これはどうなんですか。そういう面もひとつ考えておいてもらわなきゃならぬ。高い方は引き下げますと言っているんですから、その面もめんどうを見て、その方の人の肩を幾らか持って、どうせ肩を持ってやるんなら、その方の人の肩も持ってやってくださいよ、もう少し。下ばかりそれを言ってないで、その高くなったものを下げる方の肩も持ってやってくれなきゃ、平均ひとつやっぱりとって、代表にしてしゃべってやってくださいよ。  まあいずれにしても、私の方はそういうようなことでなく、まずまずお話のように、もう本当に国からも出して、それを何とかカバーしていこうじゃないか。それじゃそれだけのものになって二百億余るじゃないかと。余れば、余るなんてことは幸いなことで、そうなればそうなったように家賃の引き下げはできるんじゃないですか、また。これ、営利会社じゃないんですから、実態が。ですから、そういうことも考えてもらいたい。だから、上げなけりゃならない実態のときには、幾らか見てもらうということもこれは当然。それは、その人ばかりで見てもらったんじゃ気の毒だから、国からも何とかさせようじゃないかと、せっかく努力もしているところなんですから、そのかわり高くなった、新しくできた高い方は高い高いと言われるから、その分は引き下げてやったらどうなんだと、その方は引き下げさせようと、こうやっているんですから、その辺も十分少しひとつ考えてみてもらわないと、一方的に高い高いとばかりじゃなくて、その点もひとつ御考慮に入れて、してもらいたい。われわれの方はまずバランスのとれた、そしてお互いが住宅を、利用者に本当によかったというような方向づけをして今後まいりたいと、こう考えておるものでございます。
  290. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 上田先生のお話伺いましたが、理性的に事を処理しようというお話、もう全面的に同感でございまして、私どももこの問題を理性的に解決していきたいと存じておる次第でございます。ただ私、経済人としてちょっと意見が違いますところは、この問題は私は一〇〇%経済問題だと思って考えております。経済人として見ますと、二十年間も家賃を全然改定しないというのは、これはちょっと常識的ではないのでございまして、その間に不均衡、不公正、差別的でさえある結果も生じております。これはぜひ幾分でも是正したい。とても一〇〇%是正なんということは無理でございます。幾分でも是正して、しかも一方、低廉で良質な勤労者の住宅を提供するという公団の根本目的を達成するためには資金はたくさん要るわけでございます。そういう意味におきまして、公団といたしましては合理的に増収を図り、それを最善の道に使うと、こういう体制を一歩でも進めたいということで努力をいたしますので、何とぞ御理解の上、この家賃改定が実現いたしますように切にお願いを申し上げる次第でございます。
  291. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まだ論争したい点ありますが、もう時間を過ぎましたので終わります。
  292. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 住宅問題を中心にして、幾つ基本的な問題をお尋ねしたいと思います。  第三期住宅建設五カ年計画でありますけれども、内容を拝見しますと、住宅の居住水準の質について目標を立てながら大いにがんばっていきたいということが書いてあるわけでありまして、あわせて、提供する公共住宅については、家賃負担限度率というものをおおむね世帯収入の一五%ぐらいに踏みながら、これもまた相含めて努力目標としてがんばっていこう、まあこういうことが書いてあるわけでありますけれども、この努力目標意味というのはどの程度の強さを持ってお感じ取りなんでしょうか、建設大臣にお尋ねをしたいと思います。
  293. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先生おっしゃいましたとおり、第三期住宅建設五カ年計画では、第一期、二期と異なりまして、閣議の決定で、六十年にこれ以下はなくしたいという最低居住水準、それから国民の皆さんの半分には確保してもらいたいという望ましい平均居住水準を決定いたしております。それをやはりくみ上げます際に、先生おっしゃいましたように、賃貸住宅を考えます際には、やはりたとえば所得分位で申します第一分位、公営住宅入居階層の方でございますが、そういう方々の中の夫婦二人子供二人、いわゆる標準家庭の方々、そういう方々については収入の大体一五%以下でそういう水準が保てるようにしたい。それから持ち家をお持ちの方々につきましては、やはり所得の分位で申しますと第三分位、大体中間でございますが、そういう方々の所得の二五%ぐらいを毎月返済に当てられたら家が持てるというふうにしたいということで各種の積み上げを行いました。その結果といたしまして、いまの全体で八百六十万戸、これは別途の要求で戸数を積み上げたわけでございますが、その中で、恐らくそのサラリーなりいろんな家賃の値上がりなり、そんなものを見まして、自分の力でおできになるという方々を除きまして、その他の方々に対しては約四一%、三百五十万につきまして国の応援をいたすということにいたしております。したがって、目下のところでは、公的な住宅につきましては着実にその内容を高めております。それから民間の方々につきましては、当然そういうふうな積算の中においては見込んでおりますので、自力でできると確信をいたしておりますけれども、さらに減税なり融資なりというようなものにつきまして応援をさしたりして差し上げまして、そういうようなものを達成したいというふうに考えている次第でございます。
  294. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 家賃負担限度率の一五%という兼ね合いの感じですけれども、これは公営住宅だけではなくて公団住宅、賃貸用の。これについても考え方としてはそのとおり踏襲をしているということですね。
  295. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 住宅宅地審議会の答申によりますと、第一分位の方々については標準世帯で一五%、それを基準に調整をするということになっております。それから持ち家の場合も第三分位、中位の方々については二五%が限度、それの前後で調整をするということになっております。したがいまして、もちろんこれは上限でございますので、実際上はもっと低い場合もあると思いますし、それからさらに第二分位の方が公営住宅にお入りになるという場合には、一五%を超える場合もあるということでございます。
  296. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そうしますと、住宅公団の場合を中心にお尋ねするわけですけれども、公営住宅の家賃負担限度率一五%を基準にしながら考えてまいりますと、おおむねきょう現在で判断をすると、家賃というのは幾らぐらいになると考えておられるわけですか。
  297. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先ほど申し上げましたように、公営一種階層一五%ということでやりますと、実際の所得階層のスライドからまいりますと、二二、三%が限界であろうかと思っております。しかし、実際にはそれは上限でございまして、公団は先ほど来申し上げておりますように、高いときでも一八%、少ない場合には一五、六%というところの範囲内でやっぱり初年度家賃を決めるということでずっと踏襲をしてまいってきております。
  298. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いや、いま私お尋ねしているのは、先ほど来、高い家賃ができてしまって困ったものだという話題が出ているわけですから、最近の話題になっている家賃というのは、恐らくいまお話しのものを突き出ているんだろうと……。
  299. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) これは平均で申しますと、たとえば四万四百円というのが大体五十二年度の家賃であろうかと思いますが、これはやはり第三分位と申しますか、公団入居階層の方々の対象から考えましてやはり一六、七%になっております。そういうことで考えております。ただ、あくまでこれは平均の話でございまして、現実のケース・バイ・ケースでは、先ほど来お話が出ておりましたような王子のようなものも出てまいるわけでございます。したがいまして、そういう点について、平均の点についての家賃の設定等につきましての考慮をいたしておりますが、ケース・バイ・ケースの問題では明らかに上回るものがあるというのが現実でございます。
  300. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 それで、私がお尋ねしたいのは、出てしまったものは仕方がないんですけれども、第三期住宅建設五カ年計画目標を示しながら、家賃の負担限度というのはこんな考え方でいきたいという努力目標をどの程度の強さでお感じになっているんですかという質問を最初にしたんですが、その意味というのは、日本住宅公団が仕事をしていく場合に、その努力目標というものをどの程度の重みで受けとめたらいいんだろうかという角度で素朴に伺っているんで、この点ではいかがですか。
  301. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) まず、最初に申し上げました負担基準等につきましては、最初の答申の目標は、第三期五カ年計画策定の際のめどということでつくったわけでございます。しかしながら、当然五カ年計画のめどというだけではなくて、そういう方向に沿っていろいろな策を講じていくべきだとわれわれ考えております。したがいまして、相当われわれといたしましては強い覚悟でそういうものを実行に移したいような気がいたしておるわけでございます。
  302. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そうしますと、住宅公団の総裁にお伺いしたいんですけれども、とにかくいま申し上げたような前提があるわけですね。実際に公団住宅つくらなければいけない。どう計算してみたって、これはいまの条件には入ってこない。でも、なおかつ量の確保という形でつくっていかなければいけないのか。現状ではどう考えてもこれはあかぬというんで建設計画を取りやめるのか、どちらかの選択をやはり迫られるのじゃないか。その場合にはどういう御判断で今後臨まれるわけです。
  303. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 私、まだ非常に一番ポイントを残しておるものでございまして、勉強中の点でもございますので、一般論的なことになるかもしれませんが、ニーズに合わないものはつくらない、できてしまったものは、ニーズが、需要がつくように工夫をするというのが現在私どものとっておる応急策でございます。ところが、反面、たとえば古い団地の空き家に対する需要を見ますと、便利なところは非常に希望者が殺到いたします。それで、それを一般住宅の家賃等を勘案して、かなり値上げしてお貸しするわけでございます。そういう場合でも、その需要は非常にあるわけでございますから、需要がある面、そういう面の開拓というのは私はまだまだ大事であり、それこそ本当の勤労者に対するそういうニーズを発見しての住宅供給の道ではないかと思っておるわけでございまして、一方、応急対策をすると同時に、新しいニーズに対しては急速に対応策をとって供給姿勢をとる。その場合に、ニーズに合うような条件、いわゆる三つの難点として指摘されているものについて極力それを改善していくと。一般論としてはこういう姿勢をとっていくべきではないかというようなことを現在考えておる次第でございます。
  304. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 質問をちょっと変えてお尋ねしますけれども、第三期計画で三十一万戸の公団住宅建設計画としては見込んでいるわけですけれども、三十一万戸については、目標の居住水準を満足しながら、なおかつ対象としている中堅勤労者の所得に対して一五ないし一六、七、現状程度の平均的な意味ですけれども、負担で建設し得る、そういう見通しをお立てになって三十一万戸をはじいたわけですか。
  305. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 五計の基礎はそういう計算になっております。ただ、現実の問題といたしまして、個々具体のケースで先生おっしゃいますように高いのが出てまいっております。その一環といたしましても、来年度からの値下げはぜひともやりたいと現在考えておるわけでございます。そういうふうな個別の場所におきまして、従来個別原価主義をとっておりますので、そういうふうなもとの計算と違ういろいろな事態があわせてあらわれてまいっております。したがいまして、来年度以降の公団の家賃政策につきまして、前回も入居者の階層を考えて適正な家賃に決めたいということを申し上げたつもりでございますが、来年度以降のそういう家賃の決定に当たって、第三期五カ年計画の本来の精神に返るような家賃を定めていただくようにお願いしたいと考えておるわけでございます。
  306. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私がお尋ねしている理由は、なかなか石油危機以降を考えますと、しかもこれで石油価格も落ちついたわけじゃないし、これから新しく宅地を求めて公団住宅をつくるというのは、相当にコストのかさむ問題ではないかと思うんです。で、計画とすると、三十一万戸はそんなことで考えたけれども、どうも無理らしいんで、高い家賃は下げていきたい。簡単に言うと、原価主義ではなくて政策家賃という角度で取り組んでいきたいというお話だと思うんですが、そうなってくると、幾らかかったかということは、今度は住宅公団の方は何をめどにつくるかつくらないかを考えたらいいんでしょうか。
  307. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 現在、公団にお願いしておりますのは、最近の空き家等の発生の状況を見まして、周辺の需要調査を検討しながら、やはり政策家賃と言いながら、政策家賃であっても、なおかつ近傍と比べまして著しく高いところであれば差し控えるというようなことまで含めて、周辺の需要調査等もしっかりやりまして、その中で、国民の皆さんが喜んでお入りいただけるようなところを選んでつくっていくということが今後公団のやり方になろうかと思います。
  308. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そうしますと、公団住宅のつくる方針というのは、求められている必要な限度にとどめる。日本住宅公団というものをつくったから、この際は一生懸命住宅をつくらなきゃいかぬと、こういうことではなくて、量的にはとにもかくにも世帯数を超えたわけですから、求められる範囲内において必要な仕事をする。しかもそれにはコストの面でも当然のことながら条件がつく。それは現在でどうしてもむずかしいということであれば無理な仕事はせぬといてもよろしい、ほかにも対応策がある、こういうことでございますか。
  309. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 第三期の五カ年計画におきましては、特に一期、二期と異なりまして、やはり閣議の御決定の中に、経済情勢に合わせてということのほかに、事業の進捗状況等も勘案しながら弾力的に行えというのを一カ条閣議決定の中へ入れていただいております。したがいまして、公団は、いまはこういう状況でございますけれども、私どもは家賃制度も改め、それから不均衡の是正をし、それから市場調査もしっかりやってみますれば、従来にも増した需要その他にこたえられると思っておるわけでございます。したがいまして、その期間につきまして一時屈することはやむを得ない。全体としての三十一万戸達成できるかどうか。これについても私どもは最終的にはこだわっておりません。できる範囲内でしっかりやっていただくということが五カ年計画達成の中でも十分のみ込める。さらに、それにかわるものといたしまして公社もございます。それから民間の賃貸住宅もございます。いろんな意味でそういうものを兼ね合わせながら弾力的に運用してまいりたい。しかしながら、一応目標として定めました三十一万戸というものにつきましては、ある程度のめどでございますから、できる限りそれにふさわしいように、後年、まだ三年ございます。いろんな意味で、そういう現在の状況を立て直しまして完成していただくのが本当はねらいでございます。
  310. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いまのお答えで感じはわかったんですけれども、あと一言だけつけ加えてお尋ねしたいんですけれども、そうは言いながら、所々求められている三百五十万戸の中で三十一万戸、公団住宅に割り振ったわけですね。で、内訳とすると、持ち家分が十二万一尺貸す分が十九五尺足して三十一万戸と、こうなるんだけど、これをはじいた背景というのは、従来の実績もこれありということで、横並びではじいてしまったのか。求められて、いろんな将来の需要を考えると、この際住宅公団には三十一万戸、持ち家とすると十二万戸で、貸す分は十九万戸だというはじき方をされたのか、その辺はどうなんですか。
  311. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 日本住宅公団の供給いたします住宅は、大都市周辺におきまして、特に一番のメリットと申しますか、広域的な需要にこたえるということでございます。行政区域を超えました需要に対して公団はこたえていく、それぞれの地方行政区域の中でつくるものと違いまして、どなたでもお入りいただくという趣旨でございます。その場合に、住宅に困窮されます勤労者の方を対象としまして、やっぱり低コスト、長期の割賦支払いによる分譲住宅の供給、それから低利資金を利用しまして、適正な負担での入居可能な賃貸借の供給ということが必要でございます。その点につきまして、やはり五カ年計画作成に当たりましては、先ほど申し上げましたように、皆さんの将来の所得を推計いたしまして、自分でできる方はおきまして、中をいろいろと分けていくわけでございます。その場合に地方公共団体からの公的住宅の積み上げ等もやっております。第三期五計をつくりますときの地方公共団体の公団に対します要望の積み上げは三十五、六万戸でございました。しかしながら、私どもといたしましては、やはりその他の公社、公営等との間配り等も考えまして、地方公共団体ともレビューをしながら、なお公団の三期五計における施工の能力等も勘案いたしまして、三十一万戸は供給していただきたいということで計画をつくったものでございます。
  312. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 では、この問題は後でまた続けて伺いますけれども、一応確認のために申し上げたいのは、これは建設省でおつくりになった「日本の住宅と建築」の中で、住宅公団に触れながら、最大の課題として新築空き家の発生をいかに防止するか、それはよくわかります。次に、勤労者の需要をいかにして取り戻すか。この取り戻すかということが私大変気になりまして、担当の気持ちはわかるんだけれども、先ほどのお話のように、必要にして十分な仕事をきちっとしていくということが私はやはり住宅公団の任務じゃないか。いかに取り戻すかというぐあいにやるのはむしろ民間に任せて、それができない部分をどうやって補うかということじゃないかと思って、気になったものですから伺いました。わかりました。  じゃ、第三期計画についてもう一点だけつけ加えてお尋ねしたいんですけれども、四十八年に現存していた最低居住水準以下の住宅、おおむね九百八十万世帯あるんだそうですけれども、これを五十五年までに半分の四百九十万世帯に減らしたい、これも努力目標だと思います。ただ、これを達成していくための当然の前提というのは、これから新築をする家については、求められている居住水準を満足しなければいけない。今回三全総で書かれているのは、標準世帯でせめて百平方メートルあってもらいたいということになりますと、これからつくる家というのは、その百平方メートルが合っているかどうかは別にして、平均の八十八平方メートルでも結構でありますけれども、それ以上の住宅をつくってもらわないと、最低居住水準以下の住宅はいつも後追いで追っかけていくしかない。現在九百八十万世帯あるものを五十五年までに四百九十万世帯に減らしたいということは当然のこととして、これからつくる住宅については求められている居住水準を満たしたものである、こういう話になると思いますけれども、いかがですか。
  313. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 三全総で、四十八年の住宅の平均規模七十七・一平米と書いてあると思いますが、これは併存住宅の面積も入っております。ネットの住宅だけで申しますと、四十八年のストックにおきます三千百六万戸の住宅の平均規模は七十・二平方メートルでございます。四十九年から、これは四十八年調査をもとにいたしておりますので、六十年までの滅失戸数と申しますか、建てかえ等を含めまして、千百二十六万戸がなくなると見ております。それから、あと世帯の増等をかみ加えますと、四十九年から六十年までに二千五十万戸の家を新しくつくる必要がある。その場合には先生おっしゃるように大きゅうしなければなりません。いずれもストックの話でございますので、ストックの平均で八十三・九平方メートルぐらいのものをつくらなきゃなりません。そういたしますと、結果といたしまして、六十年のストックが四千八十万戸になって、そして平均の規模が八十・二平方メートルになります。そうなりますと、そのときの国民の世帯の数の推計から見まして、最低居住水準以下はなくなり、二分の一は平均居住水準を満たすということになるわけでございます。一応そういう積算をいたしておりますけれども、現在のところ、たとえば公庫融資の対象等を見ますと、現在でも百六平方メートルが平均でございます。したがいまして、でき上がっております新設住宅は、大きいものはそういうふうな個人戸建てから、小さいものでは民借の五十平米ぐらいまでございますが、平均といたしましては、われわれのねらっております八十三ないし四平米ぐらいというところへだんだん上がってまいっております。こういうものを全部蓄積してまいってきますと、やはり六十年にはそういうふうな蓄積ができるだろうということを考えているわけでございます。
  314. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 平均だと、そういう話になるんでしょうけれども、そうしますと、最低居住水準という言い方をすると、これは民間の借家の低いものも含めて、当然それ以上でなければいけない。平均を満たすとともに、最低は今度個々に満たさなければいけないわけですから、当然それはそうなると思います。  そこで、私がお尋ねしたいのは、その目的を達成するのにどういう具体的な政策建設省としてお持ちになっているのか。現在の建築基準法だけではとても無理だと。むしろ安全とかそういった面のチェックはいまの建築基準法にありますけれども、いわば個々の住宅の広さということを中心にした社会的なストックとしての基準、これはいまの基準法には入ってないんですけれども、本当はそれも含めていかないと、最低基準において全世帯がそれを上回るということが言えなくなると思うんですが、この点はどうなんでしょう。
  315. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 全くおっしゃるとおりでございます。したがいまして、まずその目標達成のためには、公的直接供給と申しますか、公営住宅、それから公団住宅等がございます。そういうものにつきましては逐年規模を上げてまいっております。特にこの五カ年の間には、公営住宅におきましては平均規模を十二・一平方メートル、公団の中層賃貸を例に挙げますれば十七・二平方メートル、必ず上げるということを前提に五カ年計画を組み、五十年代前期の経済計画とも整合させてございます。現に着実にそのように毎年規模を上げてまいっております。したがって、そういうふうに公的住宅につきましてはまずみずからやるということでございます。  それから、まだ既設の公営、公団住宅のうちにも実は最低水準以下のものがございます。これはまあ一たん住んだけれども人数がふえたというようなことでございます。そういう方々につきましては新設住宅への住みかえを大いにしていただく。そういたしますと、住みかえによりましても居住水準の向上はできるわけでございます。それからそのほかに、さらに既設住宅の建てかえによりましてそういうものをつくっていく、それから一間増築を行うというようなことを公的住宅ではやってまいっております。民間住宅につきましては、良質のものの建設を促進するという意味で、一定規模以上のものにつきまして融資をする。それから税制上の優遇措置を講ずる。逆に、小さいものについては税制上の優遇措置を講じないという逆のまあ規制もいたしております。そういうようなものを兼ね合わせましてやってまいりますと、近時の着工新設住宅規模の推移等から見ますと、われわれ十分五カ年計画水準確保は弾着距離以内に入っているというふうに考えております。
  316. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いまの誘導政策だけではなくて、この基準を満たさない住宅というのはつくらせないんだ、そういう意味の新しい取り組みが当然必要になるんじゃないんだろうか。居住水準については、一人世帯、二人世帯、三人世帯、それぞれ基準がありますね。で、そのときの使用目的に従って当然それは変わるんでしょうけれども、ただ、住宅というのは長年持っている社会的なストックなんだということになると、あんまり将来ストックとして役に立たない狭い住宅を建てられても困る、しかも資源を使っていくわけでありますから、だから、つくるんだったら最低この規模は満足しなければいけないという居住水準、居住基準という意味での新しい基準をつくって、それを満足したら当然税の減免もいたしましょう、あるいは保険の面での配慮もいたしましょう。それ以下であったら、税の減免をしないというんじゃなくて、住宅建設そのものを認めるわけにはいきません。そこのところをやっぱりきっぱりとしていかないとだめなんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  317. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 大変むずかしい問題でございますけれども住宅需要実態調査をいたしてました。その結果を見ますと、われわれは明らかに住宅に困っておられるだろうと思う皆さんも、困っていないということにお書きの場合がございます。これはやはり住宅の居住水準を考えるのは中にお入りになる方々のお考えも相当ございます。われわれがねらっております五カ年計画の達成と申しますのは、持ち家であろうと賃貸住宅であろうと、自分たちの家族に合わせまして適正な負担で選ぼうと思えばいつでも入れる、そういうストックをつくり、そういうものをつくるということが五カ年計画等をやってまいります最終の目的でございます。個々の家庭をとらまえまして、あなたはここへ住みなさい、あなたはここへかわりなさいというところまでなかなかの強制はできないだろうと。実はわれわれ住居法とかそういうふうな何か建物の制限、建築する場合の大きさの制限、入る方々の人数の制限等についての組み合わせ等も内々の検討はしたことございますけれども、大変むずかしい問題がございます。最初に申し上げましたように、望めばそういうふうなことになるというストックをこの中につくるということがわれわれまず第一だろうということで政策を進めておるわけでございます。
  318. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 実際一番お困りになっているのは木賃アパートではあるまいかと思います。居住水準をどうやって上げていこうかということになりますとね、一戸建ての場合、あるいは公営住宅、公共住宅の場合には、おっしゃったようにほぼほぼ満足する条件の中でこれは推移をしてきている。   〔委員長退席、理事赤桐操君着席〕 木賃住宅というのはおおむね四百万戸近いストックがあるんだろうと思います。これが都市内を含めて今日もなおどんどんふえている。それを一体どうしようかというと、それだけの都市空間は占拠するわけだし、資材は使っていくわけだし、じゃ、どうするかというと、なかなかいい名案も出てこない。そうすると、どんどん出てしまう。それよりも、基準を決めて、そういった基準を決めると住宅の供給がなかなか及びつかないから、よほど思い切った財政処置を講じていかないと提供ができない、よってもってこの際財政はという取り組みの方が私は本筋じゃないかと思うんですが、いかがですか。
  319. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 確かに木造賃貸住宅の問題がございます。ただし、木造賃貸住宅の中でもわれわれが問題としておるのは設備共用のものでございます。ふろ場も便所も全部共用、炊事場も共用、そういうところに世帯が住まわれるということについてはまことに困る。そういう方々に対しましては、やはり所得に応じまして公営なり、公団なりそういうところに移り住んでいただくというのが第一だと思います。それからさらに、現在のところでは、たとえばいろんな施策といたしましては、そういうものを対象にいたしまして転がし事業というのを始めておりますが、時間はかかりましても、そういうものをだんだん征伐をしていくということを考えております。ただ、木造賃貸住宅の中でも設備専用のものもございまして、四百万戸の中にはそういうものも大分入っているわけでございまして、そういうものについてはわれわれ結構だと思っております。   〔理事赤桐操君退席、委員長着席〕  それから木造賃貸アパートの中でも、実はまことに低い水準で恐縮でございますけれども、最低居住水準の中に設備ということも決めております。その中に、原則としてすべての世帯に専用の便所及び洗面所を確保する、それから単身世帯を除き、原則として専用の浴室を確保するということになっておりまして、ふろ場だけは別のものは、単身者世帯としては、木賃の中でもまあまあ単独の場合では最低の基準に入るだろうという程度の低い最低基準を現在決めております。最近の木造賃貸住宅の中にお住みになっている方々を見ますと、だんだん単身者がふえておりまして、世帯の数が相当減ってまいっております。これはわれわれが提唱いたしております住みかえ、その他公庫の融資等によります他への転出等が行われてきつつある証拠であろうと思います。空き家が全国で四十八年百七十二万戸ございました。現在ではさらにふえておると思います。来年度の住宅統計調査の結果を実は私どもわくわくして待っておるわけでございます。恐らく相当な改善が行われておるだろう。私も五十三年度の結果を見て、もう一遍この委員会に出たいと思っておりますけれども、それぐらいの水準向上をいまやっておるつもりでございます。
  320. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 わかりました。  では、第三期計画を進めるとして、宅地の供給可能性があるかどうかの点について一言お尋ねをしたいと思うんですけれども、第三期五カ年計画ですと、住宅用地として六万六千ヘクタール、五十一年から五十五年までの五年間で予定されておりました。では、話を具体的にするために三大都市圏に限って考えますと、三大都市圏では三万三千五百ヘクタール、一年当たりに直しますと、おおむね六千七百ヘクタール平均して取得をしていかないと五年間で三万三千五百ヘクタールになりません。で、最近の実績を見ますと、昭和五十年の場合、三大都市圏住宅用地完成面積としてできたものが四千ヘクタール、四十九年に比べますと三三%落ち込んでおりまして、四十八年に比べても四八%落ち込んでおる。ここにきて宅地の供給が激減をしているのが御案内のとおり特徴だと思います。五十年の実績を見ても四千ヘクタール、三大都市圏で。で、第三期住宅計画で想定されているのが一年にならしますと六千七百ヘクタール、果たして宅地供給の面で達成可能なんだろうか、この点はいかがですか。
  321. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘のとおり、第三期住宅五カ年計画を達成するために必要な宅地の必要量六万六千ヘクタール、これ五で割れば一年間の必要数が出てくるわけでございますが、だんだんと宅地の供給量が最近少なくなってきております。四十七年をピークといたしまして非常に減ってきて、御指摘のように三大都市圏につきましては大体第三期住宅五カ年計画で三万四千ヘクタールを見込んでおるわけでございますが、ことに三大都市圏の宅地の供給量というのは非常に心配でございます。ことにこのダウン傾向の中で心配なのは、宅地供給量の中で相当のシェアを占めておりますところの民間の落ち込みが非常に大きいことでございます。第二期住宅五カ年計画は、公的、民間、区画整理を合わせまして六万五千九百ヘクタールを供給いたしたわけでございますが、第三期につきましては、そういう民間は非常に今後宅地供給むずかしかろうという配慮で公的のシェアを少し高め、ずっと引き続いて上昇カーブにある区画整理についても相当のシェア、三割ぐらい見ておるわけでございます。ことに公的部分につきましては、三大都市圏を対象にしますところの宅地開発公団というものが新しい戦力として今後出てくるわけでございますが、いずれにいたしましても、いまのような状況ではなかなか最初予定いたしていた宅地の供給量がむずかしかろうということで、私どもといたしましては公的宅地開発、ことに区画整理というものについての助成策を進めるとともに、やはり大きいシェアを占めなければならない、がんばってもらわなけりゃいけない民間の宅地開発につきましていろいろな施策を講じなきゃならない。その中のやはり大きい問題は、まあ土地税制もありましょうけれども、やはり問題は関連公共公益施設の負担の問題でもございますので、そういうところに施策の重点を置きまして必要量はぜひ確保してまいりたいと思っております。
  322. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 三大都市圏で五年間に三万三千五百ヘクタール確保できるかどうか。まあ六十年まで延ばして一体どうなんだろうか。この辺の見通し国土庁の方にお尋ねしたいんですけれども、現在の案を拝見しますと、なかなかにむずかしい見方をされておるようですけれども見通しはどんなものでしょうか。
  323. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 第三次全国総合開発計画の中で、大都市圏におきます宅地の必要量は一応算定しておりまして、物理的にはこの程度の面積を確保することが可能であるということで計画しておりますけれども、現実問題として宅地化していくということについては、先ほど建設省から御答弁があったように、なかなか困難な仕事であるという考え方に立っています。
  324. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 困難なのは本当断らなくてもみんなが痛感していることなんですけれども、こういう問題について国土白書を見ますと、書いてあるのは、「計画開発をめぐる厳しい環境が持続するとすれば、優良な住宅地の供給が不足し、スプロール等が進行するおそれがある」、そのとおりだと思うんです。で、非常に急ぐ問題ではないかと思うんですけれども、この問題について問題点ははっきりしているわけですけれども、どういう案をお持ちになりながら解決をしていこうとされているのか、お尋ねします。
  325. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 今度の三全総におきましても、三大都市圏につきましては六十年までに六万一千ヘクタール、六十五年までに九万一千ヘクタールという大体見通しでございまして、大体私どももほぼそういう数字になろうかと思うわけでございますが、これに見合うところの宅地、土地というものは現在の市街化区域の中にも現在あるわけでございます。百二十四万ヘクタールの市街化区域の中で、まだ三大都市圏の中にも農地及び山林を入れますと十五万ヘクタールぐらいのものがあるわけでございます。全国でいけば二十五万ヘクタールぐらいの農地があるわけです。これをすべて宅地化するというわけにはまいりませんけれども、ある程度の都市空間、生産緑地といったものを確保しつつ良好な市街地を形成していかなければならないということで、現在、大都市地域における住宅地等の供給の促進に関する特別措置法という非常に長ったらしい法律でございますけれども、五十年の七月に成立した法律でございますが、それに基づきまして、いわゆるA、B、Cのうち、市街化区域の中に残されておりますところの宅地適地というものを計画的に市街地化する手法、もっぱら区画整理手法でございますけれども、特定土地区画整理事業をやるとか、あるいは住宅街区整備事業をやるという仕組みでこの法律はできているわけでございますが、なかなか思うようには進んでおりません、現在すでに三十四地区につきまして約二千七百ヘクタールぐらいの事業進捗を示しておりますけれども、まず何はともあれ現在の市街化区域に残されておりますところの宅地適地というものを計画的に整備いたしまして、新市街化区域の中の計画的な宅地整備をすると同時に、現在の既成市街地につきましてもミニ開発等が言われておりますけれども、ここにもやはり本格的な再開発を整々としてやっていくということが非常に大事なことだろうと思うわけでございます。  先ほど説明をちょっと落としましたけれども、今度の第三期住宅五カ年計画における必要量の宅地量をはじく基本といたしまして、戸当たりのミディアムグロスというものをはじいておりますけれども、この六万六千ヘクタールあるいは三大都市圏における三万四千ヘクタールの積み上げの基本になったものといたしまして戸建てと共同化住宅の比率があるわけでございますが、第二期住宅と変わりまして、やはり第三期住宅五カ年計画の中で必要量の宅地というものは、戸建てというよりもむしろ共同化率を上げていくという方向で施行しなければならないだろうということで、この六万六千ヘクタールないし三万四千ヘクタールの数字をはじいているわけでございます。やはり新市街地においては計画的な宅地開発を推進するとともに、既成市街地においては再開発を行っていくという、両々相まって必要量を確保しなければならないだろうと思っております。
  326. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 昭和五十年度の住宅地完成面積を見ますと、三大都市圏で四千ヘクタール、そのうちで農業用地から転用した分がどれぐらいかというと大むね三千ヘクタール、ほとんどが農用地からの転用でこの四千ヘクタールを調達をした。農用地からの転換がどうかといいますと、五十年というのは四十六年のもう半分になっている。これが今後ふえるということはなかなか考えられない。見方を変えて、未利用地がどれぐらいあるかと見てみますと、市街化区域でいま一万二千ヘクタール、そのうちの九割が法人所有になっている。どういう法人かは別として、そのほか都市計画区域に九万千ヘクタール。そう見てまいりますと、努力のしようによってはあるいは調達の方法が可能かもしれない。ただ、そこで従来の宅地供給を見てみますと、一団地として供給しているのが三大都市圏の場合大むね八割。個々のばらばらの供給というのが大むね二割弱。こう考えてみますと、なかなかにその住宅の供給がむずかしいということを踏まえて考えると、民間部門の努力もさることながら、公的部門の宅地開発に対する努力というのは相当強く求められるんじゃないか。  そこで、先ほどの三十一万戸に戻るんですけれども、三十一万戸という建物も大切なんだけれども、これからは日本住宅公団にしても、都市における宅地開発ということを相当中心に考えながら努力をしていくのが当面差し迫った課題になっているんじゃないか。三十一万戸が二十九万戸になってもこれは構わぬわけですけれども、三大都市圏における住宅用地をどうやって確保するか、そちらの方に大きな力点がどうもかかってきそうな気がしますけれども、この点いかがですか。
  327. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 現在、住宅公団には宅地部というのがございます。現在、土地区画整理の手法等によりまして相当の規格品を持っております。そういうものの成果を活用していくということが一つございます。それから、やはり毎年度用地の買い進めをいたしております。しかし、先生のおっしゃいましたように、最近の状況から見ましても大都市周辺では国民の皆さんのニーズも相当変わってまいっております。今後従来のような大団地主義だけではなくて、やはり都心に近いところでもいろんな住宅の用地の買い進めを進めていくというような点につきましては大いに今後活躍をしていきたい。それからさらに、先ほども申し上げましたけれども、転がし手法というのを最近始めております。東京都も本年度数カ所始めることにいたしておりまして、新小岩あたりで間もなく成果が上がってくると思いますけれども、問題は、種地をつくりまして、そこへ新しい住宅をつくって、周りのそれこそ木賃アパート等の入居者の方々を優先的に入れて、その後公園なりその他また住宅に転がしていく、こういうような政策でございますが、そういうものについても積極的に取り組んでいくというのが今後の公団の姿勢であるというふうに考えております。
  328. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 では、最後に一つだけお尋ねをしておきたいと思いますけれども、先ほど来議題になっておりました、話題になっておりました公団住宅の家賃格差の問題ですけれども、ひとつ考え方の問題としてお尋ねをしたいのは、以前に公団住宅に入居した人の家賃が安い、現在が高い、したがって大変不公平ではないかと、これはわかる気はするんですけれども、これほど大きく違ってきた理由というのは、石油危機に伴う物価の水準の大きな変動があったと思います。ちょうど四十七年から四十八年を比べてみますと、公団住宅の場合、中に入っている人の格差がどうかという議論でありますけれども、家を持っている人と持ってない人、これが四十七年から四十八年にどういう差が開いたかといいますと、白書のある試算によると、この一年間だけでならしてみると、土地価格、住宅価格は評価が上がったわけですから、それを含めて計算すると、持ち家の世帯というのはこの一年間で約四百万の所得の増である。ところが、家を持っていない層はどうかというと約二百万の増にとどまる。その間で、この一年間あれほどの大きな物価水準の差によって、持ち家であるかないかによって二百万もの実は所得の差が出てしまった。この生まれた不均衡をどうやって解消していりたらいいかという大きな不均衡の中の一つの絵が公団住宅における家賃の不均衡という問題だと思うのです。  したがって、本当はもっと大きく、あの石油ショックというような所得分配の面でどういう不均衡を及ぼしたのかということを踏まえながら、では公団住宅の家賃もどうしようかという議論になってこないと本当は説得力がないんじゃないんだろうか。したがって、入居されている方々が何でわれわれだけという気持ちになるのは私は大変よくわかる。したがって、公営、公共住宅だけを政府として所管しているのではなくて、政策とすると民間の持ち家も含めて見ているわけでありますから、あの石油危機というのが持ち家であるかないかによって実質所得においてまあ二対一の差が出てしまう。それを考えると、公団住宅の家賃が前といまとではずいぶんと見かけが違っているということがあったにしても、そこだけに目くじらを立てるというのは、政策としていささか公平を失するのではないかと、こう思いますけれども、この点はいかがですか。
  329. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 大変むずかしい問題だと思いますが、いまのたとえば民間におきましても、公営住宅におきましても、公社住宅におきましても、これはやっぱり賃貸住宅、公的なものであろうと、民間であろうと、やっぱり借家法その他の範囲内におきまして、そういう事情変更によっての家賃の変更はいずれも行われております。ただひとり公団のみがいままでやっていなかったという点は、やはり不均衡が生じた場合に是正をすべきであるというふうなことについてはひとつ当然のことだろうと思って考えております。先生がおっしゃいますように、たとえば住宅公団の分譲住宅を例にとりましても、おっしゃるとおりでございます。昔売ったものは安くて、最近のものは高いという点はございます。したがいまして、昔買ったものの方がもうかったんじゃないか、その間の不均衡はどうするんだという話は確かに話としてはあろうかと思います。しかし、分譲住宅につきましては、やはり譲渡のときに所有権を移転をするということがもちろん当然のことでございまして、その後の利益または危険負担も全部所有権に帰属をする。それから修繕なりいろんな管理費なり公租公課なりはすべて買われた方がお払いになっている。そのようなこともございますし、これはいまの世間の常識から見ましてお話にならないので、本当は申し上げるべきではないと思いますけれども、たとえば高くなると思って買ったものが安くなるという場合も現実にはあるわけでございます。したがいまして、そういう意味からいいますと、分譲住宅とそれから賃貸住宅というものはおのずから本性が違うという点でございまして、分譲住宅について格差が生じたから賃貸住宅の方は不均衡是正をやらぬでもいいということにはわれわれならないだろうと考えている次第でございます。
  330. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いろんな営繕等で幾らかかったかという話は抜きにしまして、それは当然実費の分はそれぞれ御負担をいただくというのが筋道でありますけれども、見かげの家賃が大きく違ったから、そこだけを問題にして格差を縮めていくという議論をもしなさるのなら、周りに生まれた持ち家か、そうではないかの不公平のことも一緒に議論をしていかないと、かえって公平を失するんじゃないかということで意見を交えて申し上げたんです。もう少し言いますと、冒頭伺ったように、いま非常に高くなってしまった家賃との兼ね合いで言われたことですけれども、やはり求められている水準との兼ね合いで政策的に決めていかざるを得ない、それが公団家賃なんだと言われました。したがって、本当は政策との兼ね合いで家賃というのはどうであったかという議論をしていただいた方がもっとわれわれはわかりやすいんじゃないか。  二つお尋ねするんですけれども、公営住宅はこれは別としまして、公団住宅がつくっているストックというのは何のためにつくるんだろうか。建設省と同じ意見なら結構でありますが、国土庁の御見解も私伺っておきたい気がしますのは、普通世帯がふえてくる、よってもって住宅ストックをふやさなければいかぬということとあわせて社会的な流動化に対してある程度のストックを持っていなきゃいかぬ。これが今後は、いまもそうですけれども、大きな必要性があるんじゃないか。そこで、私はどう考えてみても、公団住宅というのは社会的な流動化に対応した住宅ストックを常に供給をしていく、そういう機能を持っているんじゃないか。特に三全総を拝見しますと、ライフステージに対応した住みかえということをおっしゃっております。私は全く同感でありました。その住みかえのときに一つのつなぎになるのは何かというと、やっぱり公営住宅、公共住宅、それはいまの公営住宅ではなくて、住宅公団が提供する公団住宅ではないかというプロジェクトに対して、中に入っている人が全体として幾ら負担したらいいだろうかという仕組みの問題ではないかという気がしてならないんです。そうすると、ライフステージによって住みかえをするということになりますと、公団住宅に住みながら、財形貯蓄の一つも大いにがんばりながら、やがては自分で家を持ちたいということになるわけですから、原価主義の家賃制というのは当然できない。かつて安い時期につくったから安い家賃でいいという理屈も当然立たない。これは間違いなく応能家賃の議論を真剣にしていかなければいけない分野だと思います。なぜその議論が先に出てこないのか。もう片方では三十一万戸なぜ要るんですかと伺ったんですが、三全総拝見している限り私が感じたのは、やはり普通世帯増に見合うと同時に、人口の社会的流動に見合った住宅ストックが必要になる。それは空き家があっていい、むしろ空き家があることが社会的なメリットにつながる。そういうものとして政策的につくっていくんだし、よってもって一般会計から相当な援助があってしかるべきだと、こういう議論が私は立つんじゃないかと思いますので、それぞれの御見解を伺います。
  331. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 全く先生のおっしゃるとおりであると思います。住宅公団の使命は大都市圏等におきまして大都市勤労者の皆さんのためによりストックをたくさん残すということだと思います。そのストックの中には賃貸もあれば分譲もあってしかるべきだと思います。  それから家賃の点でございますけれども、確かに応能家賃というのはわれわれ考えます政策家賃の中では最終のねらいでございます。これは住宅宅地審議会からもそのような答申をいただいて、現に鋭意小委員会等を設け検討はいたしております。しかし、越えなければならないハードルはずいぶんたくさんあるようでございます。したがいまして、たとえば今回公団が行います不均衡の是正等につきましても、これは審議会等におきましても、そういう応能に至る一段階としての地ならし的意味としてもある程度の効果はあるんじゃないかというような評価を受けておったことも一言つけ加えさしていただきます。
  332. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) 第三次総合開発計画におきましても、住宅建設戸数を計算する前提といたしまして住宅のストックを計算しておりますが、昭和六十五年あるいは六十年の目標に対して、普通世帯数に対して七、八%の余裕を持つストックを持つ必要があるということを前提に計算の作業をしておりまして、これは当然定住構想の中で地域的な流動性に対する弾力性を持たなければいけないという要素と世帯人員の構成の変化が当然あるわけでございますので、その二つの要素を加味してストックに余裕を持ちたいという計画にしております。
  333. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 ちょっとすみません。もう一つつけ加えて伺いたいのは、住宅整備の方向としまして大変簡潔に三つに整理されているものですから、いまのお答えにあわせてお尋ねしておきたいんですけれども一つは、劣悪な住宅に滞留する低所得層、これは一定水準住宅を供給する。恐らくは公営住宅が主として担う分野かと思います。二番目として、中堅勤労者を対象にした住宅供給をどうする。これは経済的、社会的条件整備すること。大変正確な言葉の使い方で私は全く同感でありました。むしろそれぞれの各自の努力に対してどういう援助のフレームをつくっていくのか、これが私はこの辺の政策中心課題だ。よってもって政府みずからが住宅をつくるというんではなくて、住宅金融を中心にした、あるいは財形を含めた制度的な環境をどう整備するかが中心だと思います。どこに住宅公社が出てくるかというと、三番目の社会流動層に対する賃貸住宅の供給という意味で鋭くその目的意識をお持ちになっていたんじゃないかと思いましたので、重ねて確認の意味で伺います。
  334. 下河辺淳

    政府委員下河辺淳君) まさにおっしゃるとおりで、ライフステージとして考えます際に、結婚して育児から小中学校ぐらいまでの世帯というものは年齢層からいってもかなり所得水準の低い層になってきて、そのとき一番世帯の大きさが大きいときであるということに着目しまして、やはり先生がいま御指摘いただいたというようなことを意識いたしまして三段階に分けて書いたつもりでございます。
  335. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 終わります。また次の機会にします。
  336. 小谷守

    委員長小谷守君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十五分散