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1977-10-25 第82回国会 参議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十五日(火曜日)    午前十時一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小谷  守君     理 事                 古賀雷四郎君                 坂野 重信君                 土屋 義彦君                 赤桐  操君     委 員                 遠藤  要君                 寺下 岩蔵君                 中村 禎二君                 降矢 敬義君                 堀内 俊夫君                 増岡 康治君                 片山 甚市君                 太田 淳夫君                 桑名 義治君                 二宮 文造君                 上田耕一郎君                 栗林 卓司君                 森田 重郎君    国務大臣        建 設 大 臣  長谷川四郎君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  田澤 吉郎君    政府委員        国土庁長官官房        長        河野 正三君        国土庁計画・調        整局長      下河辺 淳君        国土庁土地局長  松本 作衛君        運輸省航空局次        長        松本  操君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省計画局長  大富  宏君        建設省都市局長  中村  清君        建設省河川局長  栂野 康行君        建設省道路局長  浅井新一郎君        建設省住宅局長  山岡 一男君    事務局側        常任委員会専門        員        森  一衞君    説明員        環境庁企画調整        局環境管理課長  望月 美之君        資源エネルギー        庁長官官房総務        課長       真野  温君    参考人        住宅金融公庫総        裁        大津留 温君        住宅金融公庫理        事        高橋  明君        日本住宅公団総        裁        澤田  悌君        日本住宅公団理        事        沢田 光英君        日本住宅公団理        事        有賀虎之進君        日本住宅公団理        事        櫟原 利嗣君        日本道路公団理        事        大塚 勝美君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (第八次道路整備五か年計画構想に関する件)  (成田新国際空港開港に伴う交通アクセスに関  する件)  (土地税制に関する件)  (団地建設に伴う公共関連施設整備に関する件)  (日本住宅公団家賃値上げに関する件)  (第三次全国総合開発計画に関する件)     —————————————
  2. 小谷守

    委員長小谷守君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日の委員会参考人として住宅金融公庫日本住宅公団及び日本道路公団役職員出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小谷守

    委員長小谷守君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 小谷守

    委員長小谷守君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 赤桐操

    赤桐操君 建設省が今回策定されておりまする第八次の道路整備五カ年計画について、以下御質問をしてまいりたいと思います。  この第八次の五カ年計画に入りまする前に、今日までやってまいりました第七次の道路整備五カ年計画をめぐりまして報告がいろいろとなされております。最初にこの点から伺ってまいりたいと思いますが、この五年間におけるところの道路整備達成率については名目で約八〇%、実質ではその達成率は約六〇%という報告になっております。これは大変大幅な積み残しを生じているわけでありますが、この理由は一体どういうところから来ているのか、この点をひとつ伺いたいと思うのであります。進捗率が低迷してきたということについてはいろいろと理由もあると思うのでありますが、ひとつ総合的な立場でこの五年間の問題点報告を願いたいと思います。
  6. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 先生指摘のように、第七次の道路整備五カ年計画は本年度で終わることになっておりまして、その達成率は、ことしの昨日決まりました補正追加を含めまして八五・四%という姿になるわけでございまして、八割をちょっと出たようなところに名目でなったわけでございます。実質で見ますと、御指摘のように六割がらみの数字でございまして、非常に当初の計画に対して不十分な達成率に終わったわけでございますが、この原因理由は概括してみますと、やはり何といいましても昭和四十八年、この五カ年計画が発足した年にいわゆる石油ショックがございまして、その後の総需要抑制策によりまして公共事業全般が抑制されたわけですが、その中でも道路投資が最も厳しく抑制されたわけでございまして、他の公共事業伸びに対しまして、ここ四、五年、毎年四、五%平均を割る伸びで来たわけでございまして、その結果、五カ年計画発足前大体建設省道路事業の中で四十数%を占めておりましたシェアが、いまや三分の一に落ち込んだというような事情がございまして、そういうようなことから、道路事業全体が抑制された結果こういうような伸び率にとどまったということでございます。また、実質的に六〇%に終わったということの最大の理由は、四十八年以降の急激な建設費高騰原因であったというふうに、この二点が主要な原因というふうに考えておるわけでございます。
  7. 赤桐操

    赤桐操君 総需要抑制策と、さらにまた建設費高騰ということがいま回答として出されているわけでありますが、主なるものは確かにその二つの問題点であろうと思います。しかし、いろいろと各計画されている道路進捗状況を見ますと、実際にはその他にもまだ原因があるんではないだろうか。かなり厳しい住民反対等運動がこのごろ随所に見られるのではないかと思うのですが、特に大都市圏周辺におきましては、大変どこの地域でもこの問題が大きく盛り上がってきている。こういう関係から相当の影響が出てきているのではないかと私ども考えるのでありますが、そういう点についてはどういう状況であったでしょうか。
  8. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 先生指摘のように、確かに幹線道路、特に大都市周辺で一部については道路整備についての強い具体的な反対運動等もございます。しかし、全国的に見まして、この反対運動につきましてはごく局所的なものでございまして、たとえて申し上げますと、直轄国道がいま五十年から五十二年までで陳情件数にしまして私ども受け取りましたのは千八百六十五件ありますが、その陳情件数のうちの反対陳情というものはわずかの二十八件ということでございまして、あとの千数百件というものはこれはすべて道路事業直轄事業についての促進陳情でございます。それから、いま現在着工しております四車線のバイパスが三百三十カ所ございますが、この三百三十カ所のうち道路建設に対する反対運動が特に強いものは、静岡の国道一号線の静清バイパス等の十二カ所ということでございまして、そのほかの三百何十カ所というバイパスについては、現時点でもいま用地買収が進まないのは、やっぱり予算的な理由でなかなか進まないというような状況でございまして、これは第七次の五カ年計画達成率が不十分であった理由は、こういった反対運動のためということではございません。まあ八次の五カ年計画につきましてはそういうことも部分的にありますので、影響調査をやったり沿道環境保全を図ることを十分盛り込みまして、地元の御理解と御協力を得ながら道路整備促進を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  9. 赤桐操

    赤桐操君 確かに件数の面からいけばそういうことが言えると思うのですが、私もしばしば建設委員会でも指摘をしてきた経過もございますが、やはり中には少ない件数の中で大変重要な問題を持っておるそういう運動もかなりあるように思います。これからいろいろ第八次の中に入っていく上に当たりまして、こういうことは特に住民協力の中で理解を得ながらこの種のものは進められていくべきものでありまして、これが強引に一方的に押し切られていくというそういうことは極力これは避けていかなければならぬわけでありまして、私はやはりそういう観点に立って考えてみまするというと、いわば現在の諸法規の中で、進め方の中で、いろいろ前段における住民理解を得るという手続の段階でなお多くの検討すべきものがあるのではないか。こういうことを実は最近感じておるんでありますが、こうした問題点についてはいかがですか。
  10. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 先生指摘のように、確かに一部ではございますけれども、かなり強い住民反対の意向が出ているというような道路建設が具体的にございます。確かにわれわれも、最近は特に住民理解を得ながら道路整備を進めていくという大前提に立って仕事を進めていかなきゃならぬという考え方からいろんな対応を考えておりますが、例の環境アセスメントにつきましてもわれわれ独自の立場で現在いろいろ手法、それから具体的な手続等考えております。こういうようなアセスメント手法を具体的に現地に適用しながら、幹線道路については、道路必要性についてやはり現場の御理解沿道住民の御理解を得た上で仕事を進めていくという姿勢で今後ともやっていきたいというふうに考えているわけでございます。
  11. 赤桐操

    赤桐操君 いままでの第七次の問題点につきましてはその程度にとどめまして、これから入る第八次の五カ年計画の策定について伺っていきたいと思いますが、これが策定されて出されてきておりますが、大変内容的にも膨大なものであるし、これは非常に注目されている内容であろうと思います。これを策定するに当たりまして主要な考え方、あるいはまた五カ年間を展望する実効性の問題、こうした点について伺っておきたいと思います。
  12. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) ただいま局長から御答弁申し上げましたように、沿道環境保全、こういうような点で、もう思ったよりも防音装置とかいろいろな面で多額な費用がかかっているということと、用地買収にもたくさんかかるというような事態を迎えておりますので、その点に十分配慮しながら第八次道路整備を行ってまいりたいと、こういうふうに考えておるわけであります。申し上げるまでもなく、わが国の道路整備昭和二十九年から始まりまして今日に至っておるのでございますけれども、なかなか思うような進み方がしないといったのはいまのような理由でございますが、それから以来二十年間、また全国津々浦々に多くの問題が山積しておりますので、その立ちおくれている現状等を十分観察いたしまして、その上に立って今後の県、国道のその目的を達していかなきゃならぬと、こういうことでございます。国、県道の総延長が約十六万キロメートルのうち、大型車が現在満足にすれ違えない道路がまだほぼ半分であると、八万キロあるというようなことでございまして、住宅やダム、下水道など各種の公共事業を生かすための関連事業として大量の道路整備を緊急に実施する必要が生じていること。それなどは一例にすぎませんけれども、このような現状を打開して道路整備のおくれの回復を図りながら国民の強い要望におこたえ申し上げていきたい、このように考えておるわけであります。  第八次の道路整備五カ年計画では、防災、震災対策や歩道の整備道路交通安全確保とか、あるいはバス路線整備交通不能区間解消などの生活基盤整備を行ってまいりたい。したがって、環境対策緑化対策交通渋滞等区間解消などの生活環境の改善もあわせて行ってまいりたい。そのほかに高速道路国道など国土発展基盤整備も当然行っていかなければならない問題であり、路面の補修とか、あるいは清掃あるいは適切な交通管理や情報の提供などの維持管理の充実も図ってまいりたい。こういうような考えのもとで計画的に道路整備を図る考えでありますが、総額は御承知のように二十八兆五千億の投資規模考えておるのでございます。その投資規模は、道路整備のおくれの回復を申し上げたように図って、国民道路整備に関する強い要請におこたえ申し上げたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  13. 赤桐操

    赤桐操君 第八次の道路整備五カ年計画は、いまもお話がありましたように総投資額で二十八兆五千億に及ぶ大変なビッグプロジェクトである、こう言えるわけでありますが、公共投資というものについてはそれなりに一定の景気刺激効果というものをもたらしていくものでありまするけれども、建設省サイドとして、この刺激効果をどの程度考えておられるか、これをひとつお答え願いたいと思うんです。
  14. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 御指摘のように二十八兆五千億、非常に大きな額でございます。この二十八兆五千億の投資規模は、現在決定されております五十年代前期経済計画の百兆円の公共投資の中の道路十九兆五千億という投資枠を前提にしまして決めたものでございまして、この規模をちょっと申し上げますと、第七次の五カ年計画投資規模に比べまして名目で一・五倍というふうになっておりますが、貨幣価値変動等考えますと、第七次五カ年計画は五十二年度価格で三十四兆円になるわけでございまして、その三十四兆円から比べますとちょうど八四%ということで、七次の五カ年計画規模実質では八四%に圧縮した姿になっておるわけでございます。  それから、たとえば高速国道につきましても、五カ年間で、第七次の五カ年計画では二千百二十六キロやる予定でございました。それが実績では約半分近い千二百二十八キロしか供用できなかったわけでございますが、これに対しまして第八次の五カ年計画では、一応予定しておりますのは千二百八十八キロの整備予定いたしておるわけでございまして、先ほどの七次の計画に比べますとちょうど六一%しかできない延長でございます。また、七次の実績に対して比べましても一・〇五倍ということで、約七次の実績に近いものしかできないというような見込み方で、必要最小限のものというふうにわれわれは考えているわけでございます。  高速道路に限らず一般道路につきましても、たとえば国道から市町村道までの道路の改良について、七次では計画で三万九百キロやる予定でございましたが、実績ではこれが一万七千六百キロにとどまりました。一県当たりにしますと三百七十キロぐらいの延長をやったことになるわけでございますが、これに比べまして八次の計画では二万百キロをやる予定にいたしておりまして、一県当たりで四百三十キロぐらいの実施延長になるわけでございます。したがいまして、七次と比較してみますと、七次の計画に対して〇・六五倍、六五%、計画に対しては六五%の圧縮した形になりまして、実績に対して見ましても一・一四倍ということで、わずかに一四%の伸びしかできないというような実態でございます。  そういうようなことで、道路事業農山漁村から大都市に至るまで全国津々浦々に及ぶ仕事でございまして、もともと金がかかるわけでございますが、道路整備現状考えますと、第八次計画投資規模必要最小限のものというふうに私どもは考えているわけでございまして、新しい事業をこれによって大幅に取り込むということよりも、むしろすでに着工した事業を着実に完成させるというようなことで道路整備のおくれの回復を図る計画内容になっておるわけでございまして、この事業を実施することによりまして、これは全国津々浦々の仕事でございますので、景気刺激効果は非常に大きいわけでございまして、またその全国に及ぶと同時に、その事業内容が非常に多種多様、交通安全から国道バイパスあるいは維持管理仕事、それから鉄道高架化というように非常に多様な仕事でございますので、全国にわたって景気刺激効果というものは相当大きいものではないかというふうに考えておるわけでございます。道路につきましては、用地費のことについてもいろいろ心配されるわけでございますが、これは大体平均いたしまして二五、六%ぐらいの事業費の中で占める割合でございまして、これも二次的な景気刺激波及効果は一応あるわけでございます。そういうようなことで、波及効果についても、この二十八兆五千億は相当広範囲に大きな効果を発揮するものというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  15. 赤桐操

    赤桐操君 いま道路財源状況について見まするというと、道路局長からは、第八次は第七次に比べて必要最低限のものだと、こういう考え方が明らかにされているわけでありますが、そういうものであるといたしましても大変その規模は大きい。それで、事業別事業費内訳の中を見て、有料道路事業関係、これの財投の関係が五兆七千三百億に上っておりますが、一応これを全体の中から差し引きまして、いわゆる国費ないしは地方費、こういったようなものの総計を国民一人当たりに換算してみますると、これはこの五カ年計画で使われるものは実に一人当たりに対して二十万七千円に相当するものです。したがって、これを五年間ですから一年に直せば四万円を超えるものであって、大変大きいものだと私は考えるんですね。また、これは赤ちゃんまで含めた数字でありまして、納税人口からこれを置きかえて考えるならば十万円を超えるようなものでありまして、年間一人に対するところのその負担というものはかなり大きなものに上っている。やはりいろんなものを比較してみましても、公共投資やらいろんな面を考えてみて、あるいは人間の家庭生活の中における比重等から考えてみても大変な比重を持つものだろうと、こういうように実は考えるんですが、こうした国民一人に対する負担の点についてのお考えはどのように持っておられますか。
  16. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 先生指摘のような、一人当たりの金額にこの二十八兆五千億を割りますと、そういうような数字になろうかと思いますが、道路事業をやる場合の財源といたしましては、御承知のようにこれはガソリン税が大部分でございます。それに対して重量税の国分の八割を国費として投入しておるというようなことでございまして、この道路をよくするための財源負担は、ほとんどすべてが道路を使う人の負担によって賄われているということでございまして、直接の生活費からの負担というような形での負担ではないわけでございまして、これはやはり納税者は、道路利用者税金を納めているということで、やはり納税者はそれによって道路がよくなる、車が通りやすくなるという理解のもとにこの税金を納めているというようなことで、やはり道路事業は先ほども申し上げましたように非常に津々浦々に及ぶ仕事で、全国三千何市町村道路事業をやってない市町村はまずないわけで、しかも日本はこういう国土の地形でございまして、非常に急峻な山地部国土の八割を占めているというような状況でございまして、こういう山地部を越えながら都市、農村を結んでいくのが道路網でございまして、もともと非常にコストがかかるというのはやむを得ないわけでございまして、しかもまたその道路用地なんかは、むしろ下水道だとかそういうものに提供しているような状況でございます。  その中でそういう事業がまた別に行われているというようなことで、道路基盤整備としてもともと非常に金のかかる仕事でありまして、GNPに対しましても大体普通欧米では二%台の投資をしておった。西ドイツでも石油ショック前に二・四%の対GNP役資をいたしております。それが現状では、ああいった進んだ国が二・四%投資をしているのに対しまして、こういうふうにまだその二分の一にも達しないような日本において、五十二年度のGNP投資の比率は二%を割りまして一・九五%というような事情でございまして、非常にGNP投資に対しても低い数字になっておるわけでございまして、今度の五カ年計画では、これを二%台に乗っけて道路整備を図っていきたいというふうに考えておるわけでございまして、まあ額そのものは、確かに割りますとかなりな額になりますが、そういう事情で、道路整備をよくするという道路利用者の願望のもとに道路整備を進めてまいっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  17. 赤桐操

    赤桐操君 そこで、この五カ年計画全体に比較いたしまして、他の事業いろいろ検討もしてみる必要があると思うんです。治水事業関係の五カ年計画を見ると、第五次の五カ年計画が七兆六千億になっておりますね。それから第四次の下水道整備五カ年計画は七兆五千億です。また、都市公園整備五カ年計画、これは第二次になりますが、これが一兆六千五百億円になっておるわけです。こういう状況が他の五カ年計画事業計画規模でございますね。  そこで、さらに加えて五十二年度における部門別行政投資ですね、建設関係の。これを見まするというと、これはやはり三十年代等と比較いたしまして、さらに四十年代等と比較すると、大分ダウンはしてきているんですけれども、やはり依然としてこれは道路関係がその五三%を占めておりますね、五十二年度の状態を見ましても。河川とか海岸関係費用は一三・七、下水関係が一二・八、公園が三・三、住宅は若干伸びましたけれども一七・二ぐらいの程度であるでしょう。この中で断然群を抜いているのがやっぱり道路なんですね。こういう点をいろいろ比較してみるというと、やはりかなり道路に偏っているのではないか。  全体として高度経済成長時代がすでに終わって低成長時代になってきている。総理の演説にも出ておりましたとおり、もう再びそういう高度成長時代というものはつくってはならないし、あってはならないと、こう言っておるわけだし、いまの大臣の御答弁を見ましても、これからは生活基盤投資に向けるんだと。これは言いかえてみれば福祉への大きな転換を考えておられると思うわけですね。そういう全体から見たときに、この流れは、私はやはりいままでの建設省予算の組み方、事業内容延長線上をたどっているものではないだろうかと、こういうように思うんですが、この点はいかがですか。
  18. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 先ほど申し上げましたように、道路事業シェアは、石油ショック前に四二、三%の建設省の中の事業シェアを持っておりましたものが、その後、五カ年間大体低落傾向をたどりまして、現在では三分の一に落ち込んでいるという実情は、先生が言われましたような数字とは若干違った傾向を示しているんではないかというふうにわれわれは認識しておるわけでございます。その結果、現在道路事業各地バイパス事業等、ほとんどいままで五年でできる予定であったものが、十年かかってもまだ見通しが立たないというような状況各地に出現しているような状況でございます。道路事業が単純に額が大きい小さいという議論は、なかなか一概には比較できないものでございまして、もともと下水公園というような仕事は、都市あるいはその周辺に限られる仕事でございまして、これは国土のせいぜい二割ぐらいの範囲で行われる仕事になっているわけであります。それに対して道路は、これは全国津々浦々道路のないところはないわけでございまして、しかもこれだけの急峻の山岳地を越えてトンネルを抜き、橋をかけてつくらなければならない道路事業でございまして、もともと事業費がかかるというのはやむを得ないわけでございまして、先ほどGNP投資の対比で申し上げましたが、欧米諸国でもGNP投資に対して二%台の投資をやっておるわけでございます。そういうことでずっと続けてきて、道路施設が、かなり日本と比べると違うようなゆとりのある道路をつくっておるというようなことでございます。  そういうようなことで、額そのものは非常に違うわけでございますが、先ほど言いました計画の中身といたしましては、生活基盤ということでございました。大臣からも生活基盤というようなお話ございましたが、道路整備はまさに生活基盤のための整備というふうにわれわれは考えておるわけでございまして、さらにこの道路整備内容をいろいろ細かく分けてまいりますと、先ほど大臣からお話し申し上げました五項目の整備を五カ年計画内容としているということでございましたが、その五項目のうちの生活基盤整備と目される事業、これは全体の二六・五%のシェアを占めておるわけでございます。中身といたしましては、たとえば橋だとか、渡船の解消だとか、それから交通不能区間解消、それからバス路線整備、それから狭隘道路解消住宅その他関連公共事業としての道路整備、それから過疎対策、凍雪害事業、そういうような生活に直接響く事業だけを分けてみますと、二六・五%のシェアになっております。  それから五つの分類のうちの、いわゆる発展基盤整備ということでくくった事業につきましては、中身としましては、これは高速自動車国道建設だとか、あるいは本四の架橋だとか、都市高速の整備とか、あるいは特殊の幹線道路というような大きな事業、これは産業関連というふうに一般に言われるわけでございますが、そういう事業シェアはちょうど一九・九%ということでございまして、そのほかが、たとえば生活環境整備のための事業が一三・五%、それから車の安全確保のための事業、交通安全だとか、防災対策だとか、あるいは踏切の改良だとか、そういった交通の安全を確保するために直接必要な事業については、これは二六・五%のシェアというふうに、シェアで分けて考えてみますと、決していわゆる発展基盤整備に重点を置いたという姿には必ずしもなっておらないわけで、先ほど申し上げましたような高速国道建設も、従来の七次の計画よりも大幅にスローダウンせざるを得なくなったというような実情でございます。
  19. 赤桐操

    赤桐操君 それでは、一応全体の考え方については以上で終わることにいたしますが、次に特定財源問題をめぐりまして以下若干お尋ねしてまいりたいと思います。  道路整備五カ年計画、今日まで現行第七次にわたっておりますが、これは道路整備計画という七次にわたった内容をずっと見まするというと、それは同時にまた財源の、言うなればどのように確保していくかということが大きな問題点であったと思いますし、言うなれば財源の拡充強化の歴史であったと言っても過言ではないと思うのでありますが、第一次から第七次に及ぶところの道路整備計画遂行の中で財源上のいろいろ問題が非常にあったと私は思いますが、これを遂行してきた経過の中で、ここでひとつ締めくくり的に考えたいと思うのですが、どういう点が問題であったのか、それからまた、これから八次以降遂行していくに当たって、財源上どういう点に道路関係については一つの方向を持たなければならないか、こういうことについてひとつ明らかにしておいてもらいたいと思うのですがね。
  20. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) お答えいたします。  道路財源につきましては、御承知のように第一次の道路整備五カ年計画昭和二十九年に発足いたしまして、その時点からガソリン税を特定財源として使うということで、ガソリン税をそれ以来大事に使いながらここまで道路整備を伸ばしてまいってきたわけでございます。その間にガソリン税も数次にわたるアップをいたしておりまして、これまでの道路財源の中心財源ガソリン税であったわけでございます。当初は、このガソリン税に対して同額の一般財源を入れるという姿が主張されたわけでございますが、その後ガソリン税伸びとともに一般財源の投入額はだんだん減ってまいりまして、その後財源不足を補うためにいわゆる重量税の制度が考えられまして、重量税につきましては、国分の八割を——国に大体四分の三入れるわけでございますが、そのうちの八割を道路に使うという形でこれまで補ってこられたわけでございます。車の伸びが非常に大きかったためにガソリン消費量も非常に上がった、そのために財源的にもこれまでは比較的大きく伸びて、これが支えとなって道路整備がここまで進んでまいったわけでございます。その結果、二十年前と比べますと道路はかなり改善されたわけでございます。  しかしながら、日本道路は、二十年前はストックとしてはほとんどゼロの状態であったわけでございまして、諸外国はそれよりさらに三十年前から車に対する道路整備というものを始めておったわけで、歴史的にスタートの点ですでに三十年の差がある。非常に大きなストックの差があったところへ、ここ二十年間ガソリン税によってかなり改善されたということでございますので、まだまだ大きな格差が残っておるわけでございまして、われわれの認識では、諸外国の水準に対して大体二分の一程度に達したか、あるいは達してないというような状況ではないかというふうにわれわれは考えているわけでございまして、今後も道路整備を、この途中段階の道路整備を進めるためには、このガソリン税を大事に使いながら、昭和六十五年ぐらいまでに一応おくれた道路整備を立て直し、この間に緊急を要するたとえば防災対策、あるいは交通安全対策、歩道の整備、自転車道の整備、それからバス路線整備というようなものを十分この期間に概成するような方向で道路整備を進めてまいりたい。この場合の中心財源は、何と申しましてもガソリン税ということでございます。そういうような考え方で進めてまいりたいというふうに考えております。
  21. 赤桐操

    赤桐操君 そこで、この道路特定財源制度というものをつくり上げているものは、これは道路整備緊急措置法によってつくられているものでありますが、これは来年の三月で切れることになっていますね。四十八年から五カ年間ということで第三条では決められておりますけれども、いま御説明のようなわけで、大変この制度が歴史的にもこれを推進してきた力であったし、少なくとも昭和六十五年ごろまではこれを中心とした展望を描いていると、こういうように承ったのですけれども、大変安定した制度であろうと思うのですね。これは、そうすると、どういうようにこの扱いをなさいますか。
  22. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) ただいま局長が申し上げましたように、道路整備は非常におくれてはおりますけれども、今日過疎地帯が従前と同様とは申し上げられませんけれども、だんだん回復をしてきたという実情というものは、道路が完全整備ができておらなくても道路というものが完成してきた、整備されてきた、そういうような点からとらえて過疎地帯というものが少なくなってきたというような考え方も持っておるわけでございます。さらに申し上げたように、何としても道路というものは国民生活に最も重要な関連を持つものでございますものですから、お話の道路の特定財源というものは何としても道路整備に充ててまいりたい。したがって、これらは、道路整備率は一般国道及び都道府県道でようやく四三%というような状況でありますので、いまお話しのような歩道の整備あるいは道路延長という、また道路延長を、四万六千四百キロメートルでありますが、これは緊急にやはり歩道というような面も整備しなければならないし、道路延長十万キロメートルの半分にも満たない状況ではあるけれども、わが国の道路は今後一層の整備というものが必要である、こういうような考え方の上に立って揮発油税等の特定財源に、そして一般財源もこの中に投入をいたしまして、なるべく早く道路の特定財源とあわせてこの問題の解決をつけていきたいという考え方で来年度の五カ年計画を新たに樹立していきたい、こういうふうに考えております。
  23. 赤桐操

    赤桐操君 第八次の道路整備五カ年計画の場合には、その財源構成として大体国費が十兆九千億、地方費十兆円、あと残る七兆五、六千億というのが借入金ということになっております。しかし、大体将来を数年間展望する中で、この特定財源そのものもやはりいろいろ増減があると思うんですね。それで、あるいはまた計画等々から見ていって、全体の予定するような収入にならないような場合もあり得るんじゃないか、こう思うんですが、それらの点についてはどんなふうに考えておられますか。
  24. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) ガソリン税につきましては、若干鈍化の傾向にあるわけでございますが、一応現時点の税率でそのまま見込みを立ててみますと、先ほど言いました国費十兆八千億ばかりのうち、特定財源ガソリン税で賄えますのは六兆六千百億というふうにわれわれは試算いたしております。したがって、一般財源としては四兆二千億ばかりのものが必要になるわけでございますが、このうち重量税もやはり同じような税率で試算しますと一兆三千億ばかりが見込まれますので、残りとしては三兆円弱というのが純一般財源として投入しなければならない一応計算になるわけでございます。先ほど申した特定財源ガソリン税六兆六千億は、いままでの税率をずっとそのままにしまして、ガソリン消費量の自然増を見込みましてやったものでございますが、これにつきましては、大体それほど大きな誤差は出てこないということは過去の事例からも一応考えられますし、五カ年ぐらいの推計ではそう大きな差は出てこないんではないか。したがいまして、こういった数字を前提として三兆円弱の純一般財源に対する手当てを必要とするわけでございますが、これにつきましてはいろいろな考え方があろうかと思います。
  25. 赤桐操

    赤桐操君 これは通産省関係から出ているものなんですが、ここに「エネルギー政策の推進のために」ということで、通産省のエネルギー庁の方から出ている資料がございます。  いまいろいろ御答弁をいただきながら進めてきた中では、道路整備緊急措置法がいよいよ期限切れになる、その中で大臣初め皆さんの御意向としては、さらにこれをひとつ続けていきたい、こういうことが強く表明されていると思うのであります。一方、通産省のエネルギー庁なんかの考え方は、大分これとは逆の方向が打ち出されているのじゃないか。この「エネルギー政策の推進のために」というパンフレットは「昭和52年10月」と、なっていますから、ついこの間、今月出たと思うのです。その中を見ますると、揮発油税は一兆円余の税収があって、その全額が道路の特定財源に定められているけれども、石油がなくてはガソリンもないし、道路とて石油不足時代には無用の長物になる、道路といっても。今日のエネルギー問題の緊急性にかんがみ、揮発油税の一部を石油政策にも充当し得るよう、その使途の再検討が必要ではないか、こういう問題を提起しているようでございます。  そこで、これはエネルギー庁の銘が打ってあるから間違いないと思うのですが、これはエネルギー庁から出ているものですか。
  26. 真野温

    説明員(真野温君) 私どもの作成した資料でございます。
  27. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、エネルギー庁の出版物として間違いないと、皆さんの方から出されたものであるということであれば。この最後のところに出ている、いま私が読み上げた内容のところでありますが、これはその真意はどういうことですか。
  28. 真野温

    説明員(真野温君) 先生の御指摘になりました資料につきましては、私ども内部の検討過程にできた資料でございます。ただ前提として、私どものエネルギー政策につきましては、現在総合エネルギー調査会におきまして財源問題全体を検討中でございまして、私どもの方も最終的な検討結果を出したものではないということでございます。
  29. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、これは部内の検討資料の段階だ、こういうように理解していいんですね。あなた方の方でまとまった考えではないのだということですか。
  30. 真野温

    説明員(真野温君) 総合エネルギー調査会の方におきまして、ことしの春から財源問題を含めまして総合エネルギー政策全部について検討を進めてまいりました。それで、今年の八月の終わりに中間取りまとめというかっこうで、私どもの総合エネルギー政策に関する幾つかの基本的な考え方を取りまとめた段階でございます。それを受けましてさらに資金問題、財源問題その他の問題につきまして、さらに引き続いて総合エネルギー調査会、各部会、分科会で現在検討中でございまして、私どもの方でそれについて最終的な結論は、総合エネルギー調査会の討議と相まって考えをまとめておるところの段階でございます。
  31. 赤桐操

    赤桐操君 まだまとまった結論ではないというように答弁されているようでありますが、いずれにしても政府筋から一応こういうものが出されておるわけでありまして、こういうものがもとになって最近の新聞等でもいろいろ出ているようなわけでありますから、やはりこれは建設省考え方と——通産省の内部的な動きとは言いながら一つの新しい動きが政府部内にもあるのではないか、こういうふうに私たちは判断せざるを得ない。そこで、建設省考え方はどういうことですか。
  32. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) エネルギー問題は、非常に重要な問題だというふうにわれわれも認識いたしております。ガソリンが今後非常に窮迫するということもやはり考えていかなければならないというふうに考えております。しかし、ガソリンが窮迫したからといって道路が要らなくなるという議論は非常に飛躍した議論でございまして、ガソリンが一滴もなくなっても、やはり道路は人間が生活していく以上、車を何とか転がして物を運んだり、移動したり、人が動いたりするということは絶対必要になる、最後まで必要になることだと思います。その際にエネルギーとして何があるかということになりますが、やはり電気とか、これも水力発電による電気とか、あるいは原子力による電気とか、そういうものに頼った電気自動車というものを考えて車を転がしながら物を運ぶという形をとっていかなきゃならない。その際にやはり道路というものは車を転がしていくためには最後まで必要な施設でありまして、ガソリンが一滴もなくなるという議論をする場合には、これはもう原始社会に戻るよりしようがないというふうな考え方になるわけでございますが、そういう極端な何といいますかヒステリックな議論でこういうものを考えるのはどうかというふうにわれわれは考えているわけでございまして、やはりエネルギー対策としての財源も非常に大切であるし、何か考えなきゃいけないというふうに考えておりますが、道路事業についての財源については、先ほど申し上げましたような事情で、まだ五カ年計画、最小限の計画として考えても三兆円の純一般財源の投入を必要とするというような形でございますので、やはりこの問題は慎重に考えていかなきゃならないし、われわれの立場では、特定財源であるガソリン税を他に回すというようなことはまず考えられないというふうに考えておる次第でございます。
  33. 赤桐操

    赤桐操君 通産省と建設省考え方に大分違いがぼつぼつ出てきているように思うんでありますが、政府部内でもこれはぼつぼつ時期を見て意見調整をする必要があるだろうと思うし、長谷川大臣も特にその点はひとつお考えおきをいただく必要があるんじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
  34. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 特定財源の問題は、まだ決定を見たわけではございませんが、いずれにしても一ただいまお話がございましたように、エネルギーというものがいかに人間生活に重要なものであるかというのはもう議論の余地がございません。しかし、だからといって、国の命令によって貯留しようという意見があるとするならば、国の命だとするならば、国が国費をもってそれを行うということは当然のことだと、私はそういうふうに考えております。したがって、この問題に対して、まだ浮き上がってきたばかりでございまして、決定するわけではございませんが、私の考え方は、道路財源として特定財源を認めてある以上はこれを保持すべきである。また、道路が完成した暁には、またこれは別個の考え方を持たなければならない問題だと、こういうふうに私は考えます。
  35. 赤桐操

    赤桐操君 この論争はひとつ政府の中でやっていただかなきゃなりませんが、ともかくこれが通産省の考えているような形で方向がつけられれば、この五カ年計画そのものについても考え直さなきゃならぬ時期も来るだろうし、抜本的な問題をひとつやらなきゃならぬ、こういうことになりますから、提案されている五カ年計画そのものの根本問題だろうと思いますので、その辺はひとつ大臣の言われたことでいかれるならいかれるように、きちんとした姿勢をとっていただくべきだろうと思います。  次に、私は今回の計画されておりまする第八次の五カ年計画全体を見まして、少しく内容的な問題について伺ってまいりたいと思います。事業別のいろいろ内容を見まするというと、また先ほど来の御説明等で大分この内容が、性格がはっきりしてきているわけでありますが、特に私が伺いたいと思うことは、全体の面から見て、いわゆる生活道路と称するものですね。これが私は第七次までの間に大変なおくれを来してきたんじゃないかと思うんですね。それは舗装率に見ましても、あるいはまた改良率から見ましても大変差があるんではないか。まだ二〇%台ですね、いずれにしましてもそういう現実を踏まえて、この生活道路というのを一体どうするんだ、こういうように実は考えるんでありますが、この点についてひとつお考え方を明らかにしてもらいたいと思います。
  36. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 生活道路というものの定義が非常にむずかしいと思います。いわゆる市町村道あるいは県道あたりまでを生活道路というふうに考えますならば、確かに舗装率あるいは改良率からいいますと、パーセンテージは国道なんかに比べますとかなり低いわけでございます。しかし、道路は大体すべてが生活に関連するものであるというふうにわれわれは考えておるわけでございまして、道路整備考え方は、あたかも大樹の幹から大枝、小枝あるいは枝葉に至るまでの姿に似て、そういう形で全体をバランスよく整備していくということではなかろうか。したがいまして、道路幹線道路は生活道路じゃないと申しますが、幹線道路は、大体全国で百七万キロある道路のうち、ちょうど一五%に相当します十六万四千キロが県道以上の道路で、わずかに一五%が幹線道路なんですが、その幹線道路全国の交通量の七二%をこれで賄っているというような状況でございまして、これが生活を支えているという実態ではなかろうかと思います。したがいまして、幹線道の整備というものもおろそかにできないわけでございます。しかしながら、末端の市町村道整備というものも確かに先生おっしゃるようにいままでおくれていたというようなこともございます。ですから、今度の五カ年計画ではそういうものをすべてを含めまして、全体をバランスよく整備をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。具体的には、そういうバランスの数字として、市町村道等の整備はほかのものの整備伸び率よりはかなり高く一応見ております。そういうようなことで、たとえて申し上げますと、市町村道整備につきましては、第七次の五カ年計画に比べまして八次の五カ年計画では二・五倍の規模のものを一応見込んでおりますが、事業全体としては、一般道路では一・五七倍ということで、一・五七倍に対して二・五倍というような非常に大きな市町村道伸びを見ておりますが、市町村道全体が、申し上げましたように全道路網の八五%も占めるわけでございますので、これだけ伸ばしましても、その改良率、舗装率というものはそれほど大きく上がるわけではございませんが、中身としましては、伸び率としてはそういう形で重点を置いているというようなことでございます。
  37. 赤桐操

    赤桐操君 私どもは、大体産業道路に立っておりまして、ごらんいただいているとわかりますが、大体十台のうち七台はトラックですよ。これはもう東京でも千葉でもそうですよ。それで、要するに産業基盤と生活基盤と、こういうことはいろいろの今日までの政治的な面でも経済的な面でも一つの定義づけが出てきていると思うのですね。いわば生活道路というのは生活基盤を支えるものが生活道路だと思うのですね、私は。そういう意味で、私どもが日常の自分たちの生活をしていくに必要な場合の周辺道路というものは、これはおのずからもう決まってくると思うのですね。  ひとつ伺いたいと思うんですけれども、その中の代表的なものとしてここに特に挙げられておりまするのは、生活基盤整備というところでバス路線整備というものが出ておりますね。これは大変大事なことだと思うんです。いろいろ私は市町村道から各それぞれの道路整備の問題を提起していきたいと思っておりますが、バス路線と称するこの道路というのはまあ相当大きいと思うんですけれども、ここではどの程度までこれは入ることになるんですか、具体的に言いますというと。
  38. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) バス路線は全体で十三万三千キロの延長になるわけでございまして、これにはバスの交通の頻度がいろいろ違いますが、いわゆるバス路線と目される路線は十三万三千キロというふうにわれわれは考えております。
  39. 赤桐操

    赤桐操君 大変突っ込んだ質問になるんですけれども、たとえばこういう首都圏地域とか、まあ大都市圏なんかの周辺にはたくさんの団地がつくられておりますね。そういう中にもバス路線が大分入っているわけですけれども、こういうのはどういうことになるんですか。
  40. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) そういうものも全部入れまして、そういう数字になるわけでございます。
  41. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、十三万三千キロというこの路線というのは、ハスの認可がなされている、そしてバスが通っている路線なんですね。そうすると、いまの団地内の道路、そういうものも含まれてくることになるわけですね。
  42. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 団地内の道路と申しましても、まあ大体いわゆる道路法上の道路ということで、市町村道以上に認定されている道路についてのバス路線ということでございまして、団地の中まで、私道まで入るようなものは考えておりません。
  43. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、開発認可の中で、バス路線としてメーンの道路をつくらなければならぬ、こういう指導が行われるわけですね。その場合に当然これは事前にバス会社は事前申請をして手続をとっておりますね。で、路線の特定の認可をもらうわけですね。まあバスが走る走らないはそれからの話になるわけです、団地ができなければ走りませんから。いずれにしても、その路線というのはバス会社、決まるんですよ。そういうものは対象になるのかならないのか、こういうことなんです。
  44. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) これはまあ大体すでに免許を取ってバス運行をしておる路線という考え方でございます。
  45. 赤桐操

    赤桐操君 団地がつくられる場合においては、大体バスが先に動き出せばバス路線ということに決まると思うんですけれども、いまのお話によるというと、免許を取って運行されている路線をバス路線とこう言われるということなんですが、そうすると、でき上がらないけれども、実はもうそのバスが通ることになっているんだという、こういう路線は含まれないという解釈になりそうですね。
  46. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 今後まあ団地がいろいろ造成されて、そういう開発が進みますと、バス路線は逐次ふえていくものというふうに考えられます。そういった場合には十三万三千キロのバス路線は今後ともふえていくわけでございますが、これはふえていった状況に合わせて、道路整備をそれに合わせてやっていきたいというふうに考えているわけであります。
  47. 赤桐操

    赤桐操君 これはひとつ私実例で伺いたいと思うんですけれども、団地の造成というのは、先にその事業主体が団地造成をやりまして、道路から何からみんなつくるわけですね。したがって、どうもちょっといまの局長の御答弁によりますと、その段階はまだ入らないという解釈のように思うんです。  実例があるんですけれども、千葉県におけるところの団地がたくさんありますが、その中で私が一番その内容をよく知っているものを一つ例として申し上げたいと思うんですけれども、木更津市に八万台ニュータウンという団地がある。これは協同組合と県の供給公社の共同開発によって行われているものでありまして、全体は三十三万坪、百ヘクタールに及んでいるものです。これは今日大体造成が完了いたしまして、逐次家が建てられて、大体五百戸ぐらい、もう間もなく千戸になる。そして学校その他の公的施設も全部いま整備されようとしている。バスも走っております。  この中で、いろいろとつくられてきた経過の中で集約して申し上げますというと、国道からこの団地に至るまでの県道部分があるんです。これは幅員十二メートルですね。それから、中に入ってからメーンが十二メートルなんです。これはいずれもバス路線で、いまバスが通っております。しかし、このバス路線と称するものは全部この事業主体が賄っているわけなんです。具体的に申し上げれば、入居する人たちがこれは負担することになってるんですね。それで、数字でちょっと申し上げますというと、この県道部分が実は認可になりまして、県道というものができ上がりまして、県道から——もとは県道でなかったんですが、県道に昇格しまして、これは六メートルの幅員だったけど、これは団地ができるということになると十二メートルの幅員にしなきゃいかぬと、こういうことになりまして、開発認可の条件になって、これが十二メートルと、こういうことになったわけですね。したがって、六メートルふやさなきゃならない、幅員の拡張をやらなきゃいかぬ。それで、この事業主体は共同開発でありますが、どうしてもやらなきゃならぬだろうということになりまして、延長実に二千六百三十メートルのこの県道の幅員拡張をやらざるを得なくなった。この用地費は実に一億九千八百八十六万円、全体で二億になっておるんですね。これは利子を含めますと三億に及ぶものなんです。さらにまた工事費が相当膨大なものでありまして、これが大体三億九千七百万円、四億近いものです。もちろんこれは当時の知事が非常に配慮いたしまして、これは県道でもあるということでここに約一億四、五千万近いものを投じてくれたはずでありますが、いずれにいたしましても、その用地費と工事費の大部分はここの入居者の負担と、こういうことに残念ながら結果的になっているわけです。それから、中に入って幹線道路十二メートル、これはいまバスが通っていますが、この道路は、三十三万坪ですからかなりの、実は道路延長も長いんでありますが、延長実にこれは二千九百五メートル、幅員は十二メートル、面積が三万四千八百六十平方メートル。これに必要であった用地費と利息を申し上げますが、これは用地費で五千五百六十七万円、利息が一億一千五百万円、こういうことになっておるんですね。で、工事費がそのほか入りますから、四億百七十六万円の工事費が入る。こうなってきますると、いまの県道の部分と中の幹線の部分を合計いたしますと、バスが通っているこの路線というのは全部で十二億七千万円を超えるものになるんです、ただいま現在で。ここは二千七百戸の戸数ですから、やがて二千七百戸の方々がこれを負担することになる。一戸当たり大体五十万円近いものになるんですね。  こういう結果になるんですけれども、さらにこの中では九メートル、六メートル、それから緑道と称して歩道という形でつくられておる四メートル道路、買い物道路と言われていますが、そういうものができ上がっていますが、そういう幹線以外のものはともかくといたしまして、少なくともこの十二メートルの幅員を持ち、バスが、公共交通機関が通るというこういう状態のところが、これだけの住民の犠牲で、負担で賄われなきゃならないという、これがいつまでもこのまま続けられていくべきものであるかどうか。で、生活基盤の確立整備という中でバス路線整備という形で出ておりますが、私はやはりこういったものが、少なくともこの程度のものはこの第八次の中で織り込まれているのではないだろうかと思って実はお尋ねしたんですけれども、どうも局長の御答弁では明確にそれが出されてきておらないんですけれども、この点ひとつ重ねて伺いたいと思うんですがね。
  48. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) ちょっと私の説明が舌足らずだったと思いますが、バス路線整備というのは、確かに現状バス路線を対象にしてこれをもっと幅員も大型車がすれ違えるようにし、それから山間部で防災対策等を十分にやると同時に、必要なところの待避場をつくったりなんかしながらバスを通りやすくするという関係事業でございまして、これは五カ年計画の中の最重点としてやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  先生の御指摘住宅関連、団地関連等の道路につきましては、これはまた、これとは別途に五カ年計画の中では一つの大きな目玉としまして住宅だとかダムとかいう関連道路整備を進めていきたいということで、この関係事業費を八次の五カ年計画では四千五百億一応見込んでございます。これは第七次の規模と比較しますと、大体二・六五倍という非常に大きな規模になっておりまして、この関係は従来道路の予算がだんだん小さくなってきたために、ほかのダムだとか住宅だとかいろんな関連事業が進むのに、それに見合う道路整備がとても追いつかないでいたという実態がだんだん出てまいってきておりまして、そういう反省から、こういうものの整備を進めることによって他の公共事業が効率的に働くように持っていくというようなことの事業を別途考えておりまして、その関係で、先生指摘のような事情のところにつきましては、アクセス道路としての整備を十分進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、その際の具体的な例でお話のございました県道と幹線道路との関係は、一応道路整備立場からいきますと、道路法上決められた道路までということになりまして県道までを一応の対象とするわけでございますが、団地の立地条件等によりましては、県道をさらに延ばすなり市町村道を新しく認定するなりして公共道路として位置づけた上で、そのアクセス道路を確保していくということは可能かと思いますが、団地関連道路につきましては、住宅公団関係事業あるいは民間のいろんな事業というふうにいろんな事情に差があると思います。立地のときのいろんな条件からいろいろ費用負担の問題も現実には出てきているかと思いますが、われわれとしましては、できるだけそういう団地については公共事業遂行の立場から積極的に足を確保するための整備を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  49. 赤桐操

    赤桐操君 さらにもう一つの例を申し上げますと、八千代市に、これは千葉県の例でありますが、米本団地というのがございます。これは日本住宅公団と地元の協同組合が開発したものです。これは完成しております。これもやっぱり中身は同じなんです。いま申し上げたような中身になっておるんです。これはもちろん八千代市に中の道路は全部採納になっている。そうすると、いわゆる十二メートルのメーンと称するそのバスの通る路線、こういうものは市道になっておるんです。県道ではないわけですね。そこに一つ問題点があると思います。  それから、もう一つつけ加えて私はこの際だから申し上げておきたいと思うんですけれども、国道十六号線にこの米本団地というのは沿うている団地なんです。総坪数で十五万坪、現在三千五百世帯が入っておる大変大きな団地でありますが、十六号線に沿うてできているこの団地は、大変勤め人も多いわけでありますし、東京へ出る方々がたくさんおりますが、自家用車も相当出入りが激しいところであります。そこで、十六号線から団地に入る道路の入り口に必然的にこれは両方に待避線をつくらなきゃならぬわけですね、交通の安全、またさばくために。この待避線は相当実は両方切り払いましてかなり大きなものをつくらざるを得なかった。これは国道事務所の指導で行ったはずであります。これは住宅公団側も協同組合側の方も、これはやっぱり全部中に入る人たちの負担でやらざるを得なくなっているんですね。十六号線というこの国道ですね、これとの関連の中の待避線まで、これは十六号線に所属するものですよ、率直に言えば。こういうものまでやはり中の住民負担をしていると、こういう事実が今日まであります。  いま申し上げてきたようなわけで、これは一つの例として申し上げたんですけれども、この種のものは、木更津における例、八千代における例にとどまらないんです。これは全国大体皆そうじゃないんですか、率直に申し上げますと。こういうぐあいでは、いま問題になっておりまする日本住宅公団の基本的な問題の解決もこれはなかなかっかないし、また、いま政府が声を大にして住宅需要を増進させようということでいろいろ考えているようでありますが、私は残念ながらこれはいかに笛吹いてもそういう状態が出てこないだろうと思うんですね。大変これは不行き届きな状態だろうと思うんですよ。そして冷たいやり方だと思うんです。私はフランス、ドイツの最近の社会住宅建設状況を久しぶりに行って見てまいりました、今回見る機会がございましたので。まことに雲泥の差が実は感ぜられました。このことはいま申し上げる時間ではありませんので……。  要するに、そういうわけでありまして、私が指摘したいことは、生活基盤の確立ということはこういうところまで入るんじゃないのか、こういうことを親切にきちっと受けとめていくことなくして生活基盤の確立ということは考えられないんじゃないか。三千五百世帯と一万二千人の人が入っている、その隣の村上団地というのは七千人の人間が入る、こういう大きな団地が続々としてつくられておるわけですね。それが十二メートルの、ないしはそれ以上の幅員を持ち、しかもバス道路なんだけれども、それは全部受益者負担でやられる、しかも最後は市道として採納するんだと。そのときに市は点検をしまして、道路に不備な点があれば全部直さして、その費用はまた住民負担ですよ。そしてでき上がったものを採納させる、こういう形になっているんですね。これは民間デベロッパーであればその利潤の中から出せということもあるかもしれぬけれども、公的な、ないしはこれに準ずる団体がやっている仕事に私は限度があると思うんです。それは全部あとは受益者負担になると思うんですね。住民負担になる。受益者じゃなくて住民負担だ。こういう実は事実を私はきょうは指摘をして、少なくとも生活基盤整備とここに打ち出して、大臣の先ほどの考え方の表明にもございましたけれども、第八次の道路予算を貫く思想としては、経済成長型の路線ではなくて、思い切って発想の転換をして、福祉型の道路予算への転換を意図するんだと、こういうように私どもは実は受けとめているわけですけれども、それならばもう一歩進めて、この辺までひとつきちっとした姿勢を出すべきではないんだろうか。地方道やあるいは生活道路と称するもの、いま申し上げてきたように非常におくれているわけでありまするから、この際ひとつ思い切ってその辺まで打ち出していくべき段階ではないだろうか。ここまで住宅問題が前進する、こういう事態がこなくては、これは道路問題が前進するところまでこなくては、住宅問題や都市問題の解決という問題についてもなかなか前進しないんではないだろうかと、こういうように思いますので、この点ひとつ考え方をもう一遍伺っておきたいと思うんですがね。
  50. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 十六号線の沿道の団地の実態につきましては十分調査してみたいと思います。具体的な負担関係の事例はともかく、私どもの姿勢としましては、先生のおっしゃるとおり、われわれは住宅関連の足元の道路整備というものは、この五カ年計画を通じて積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  51. 赤桐操

    赤桐操君 先ほど局長からお話がありました団地関連道路の問題、この問題は、せっかくこういうかっこうでお考えになっているとするならば、もう一歩この問題について取り組んでいただくようにこの際ひとつ私は要請しておきたいと思います。
  52. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) そういうつもりで十分取り組みたいというふうに考えております。
  53. 赤桐操

    赤桐操君 それでは続いて、環境対策にかかわって以下数点御質問申し上げていきたいと思います。  建設省の明らかにしておりまするところによりますれば、道路整備の基本目標として、先ほどもお話ありましたが、道路交通の安全の確保、生活基盤整備生活環境の改善、国土発展基盤整備維持管理の充実を掲げておるわけです。この中で、特にこの生活環境の改善という項が一つ入っておりますが、これはいわゆる環境保全対策の強化ということで受け取ってよろしいのかどうなのか、さらにまた、建設省として環境対策について今後どういう考え方で臨むのか、この点をつまびらかにしていただきたいと思います。
  54. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 先ほどの五つの柱のうちの生活環境の改善という関係事業につきましては、第八次の五カ年計画で三兆八千四百億を見込んでおるわけでございます。このうち大きなものはいわゆる都市あるいはコミュニティーの環境の改善ということで、現状はああいった通過交通が都市内に入り込むことによって、細街路等でもいろいろな公害をまき散らしているような実態でございますので、そのためには何と申しましても、通過交通を別途さばく方法が必要であるわけでございまして、このためにはやはりバイパス建設をやっていかなきゃならないというふうに考えるわけでございまして、このためのバイパス建設整備環境の改善に大きく資するわけでございます。そのほかに直接的な環境対策ということで、緑化事業だとか、従来やっておりました環境施設帯の整備とか、あるいは沿道の望ましい土地利用を誘導するための環境整備区域の整備とか、そういうものに充てる事業費といたしましては、ここでは、八次の五カ年計画では二千八百億ばかり見込んでおりますが、これは七次の計画から比べますと四・六七倍というふうに大きく伸ばしておるわけでございまして、まあそういうような事業を通じて道路、特に幹線道路周辺でのいろいろ環境問題を改善してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  55. 赤桐操

    赤桐操君 環境保全対策の強化については、これはもう大変国民の皆さん方も期待をしているところでございます。そこで、私は端的に伺いたいと思うんですが、いわゆる環境アセスメント法案をめぐりまして非常にいろいろの動きが今日までありました。残念ながら、これは日の目を見ない状態で今日に至っているわけでございまするけれども、建設省サイドとしての見解はどのようにこれに対して持っておられるか、伺いたいと思います。
  56. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 公共事業を推進する際に環境保全との調整を図る、調和を図るということは、今日においては至上命題でございます。四十六年七月の閣議了解事項に基づきまして建設省におきましてもすでに二万件近くのアセスメントを実施しているわけでございますが、この環境アセスメントについては前向きで取り組むという姿勢でございます。ただ、前回環境庁提案の問題につきましては、技術指針に関する問題と、それから建設省が所管いたしておりますところの既存の制度、特に都市計画法との調整ということで交渉が未調に終わったということでございます。今後とも環境庁とは十分に協議折衝を進めたいと思っております。
  57. 赤桐操

    赤桐操君 次に、環境庁の方に伺いたいと思うんですが、来ていますか。——五十一年の六月に七省庁協議会というのを発足させて以来いろいろとやってきたわけだと思うんですけれども、大体この法案は残念ながら二度も流産をしている。今日未成立でありますけれども、環境庁の立場としてなぜこれを成立せしめることができないのか、いろいろな要因があると思うんですけれども、問題点をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  58. 望月美之

    説明員(望月美之君) お答え申し上げます。  先生指摘のように、この環境アセスメントの制度化ということ、重要な課題であることとして受けとめてきたところでございますけれども、ただ、これが各種の開発事業に共通して行われるべき事柄というふうなこともございまして、非常に関係省庁が多岐にわたって、その所管の事業にもまた非常な深いかかわりがあるわけでございます。また、既存の諸制度というふうな面との調整もまた十分に図ってまいりませんと、やはり実効のある制度というふうなことにもなかなかいかないというふうなこともございまして、先般の八十回国会の際もさらに調整を図るべき点もございまして見送らざるを得なかったと、このような経過にあると考える次第でございます。
  59. 赤桐操

    赤桐操君 これから前向きで実現に取り組む意欲なんですか、それとも、なるべくこれはつくらないという方針でいかれるんですか、その辺少しはっきりしてもらいたいと思うんですが。
  60. 望月美之

    説明員(望月美之君) これまでの調整の経緯ということもまた踏まえまして、私どもさらに鋭意検討を行い、また関係省庁とも調整を行いまして、この提案ということに至りますように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  61. 赤桐操

    赤桐操君 見通しを伺いたいと思います。
  62. 望月美之

    説明員(望月美之君) ただいま鋭意検討の過程でございますが、次の通常国会には何とか提案できますように努力をしてまいりたいという考え方でおるところでございます。
  63. 赤桐操

    赤桐操君 いま環境アセスメント法は残念ながら未成立でありますけれども、次の通常国会あたりにはひとつ提出していきたいと、大変意欲的な態度が出ているわけでありますが、建設省としても、これはやはり道路整備やそれから第八次の五カ年計画を遂行していく上に当たって、もうこれからはこれは避けて通ることのできない問題だと思うんですね。それで、冒頭私は手続上の問題等についてもいろんな問題はなかったかということを伺ったわけでありますが、やはり私はそうした総合的なものが準備されていかなきゃならぬ時期にもう来ていると、こう判断をいたしております。  そこで、大変これはまた身近な例で一つ二つ伺いたいと思うんですけれども、いま建設省が全力を挙げてやっておりまする、あるいはまた道路公団ですか、やっておりまする湾岸道路あるいはまた東京外環道路等について、一体この環境アセスメント問題についてはどのように考えておられるのか、具体的に少し伺いたいと思うんです。
  64. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 建設省といたしましては、ただいまもお話ございましたように、従来とも幹線道路の新設、改築に際しましては、自動車交通に起因する騒音、大気汚染等の自動車交通公害の軽減を図るために、環境に及ぼす影響につきましては事前に調査いたしまして、必要に応じて遮音壁だとか、あるいは環境施設帯の設置、あるいは道路構造の改善といったようなことで沿道環境対策を講じてきてまいっておるわけでございますが、こういう姿勢で御指摘の東京湾津道路あるいは外環道路についてもやっておるわけでございます。たとえば千葉県の、御指摘の湾岸道路のうちの船橋市の若松町地区でいろいろ住民の方々の反対がございます。そういうようなこともありまして、湾岸道路十四車線を完成した場合におきます自動車騒音の予測とか、あるいは環境対策につきましてはいろいろ議論になりましたので、七月にこの対策を取りまとめまして県、市にこれを提示いたしまして、最近また地元にもこれを提示したところでございます。引き続き環境汚染につきましても、バックグラウンドの汚染も含めまして影響予測を行う準備をいたしておる段階でございます。  それから外郭環状道路につきましては、特に市川地区でいろいろ問題が起きているわけでございますが、これも相当重交通の通る幹線でございます。十分自動車騒音の予測等は行っておりまして、その結果に基づきまして、掘り割り方式のいろんな形をいま検討いたして構造上の改善策を進めておるわけでございます。まあいずれにいたしましても、この問題は、広域的な大気汚染に関しましては、道路構造の改善といった局所的な対策だけではなかなか防止できないわけでございまして、発生源対策あるいは交通規制、土地利用の適正化等総合的な施策を含めまして、総合的に対処していくということで当たってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  65. 赤桐操

    赤桐操君 この東京外環道路そのものだけを私は論議しようと思っておりませんが、これは未着工で現在おるわけでありますけれども、地元市川が反対している理由というのは、大変これは私は大きな問題をやはり提起していると思うんです。それで、この環境上のいろいろな点を比較してみましても、これは私たちもなるほどと思うんでありますが、あの町を二つに分断してしまって、しかも大変な交通量がそこに殺到してくる。いまでさえも、NOですね、この調査を見まするというと、市川市の評価でいきまするというと、これは〇・〇二ppm以下の日数、こういうものを比較してみるというと、調べてみまするというと、市川市では、四十九年度では、三百三十六日のうち、わずかに七十八日しかないですね。それで、いろいろの対策をとっているが、実際にはもうほとんど問題にならない、こういう状況であります。ですから、そういうような状況の中で、そこへさらに外環道路が入ってきて、あの広い大きな道路がずばりと都市の真ん中を貫くということになれば、これは市川市としてはもう問題にならなくなってしまうということで市を挙げての反対になっていると思うんですね。これをなおかつ今日、県の方でもこれに対しては県議会で了承をしておるわけであるし、これは私ども社会党関係の議員だけではなくて、出身の保守党の関係の議員の皆さん方もほとんど全部地元の皆さんには約束をしておられると思うんですよ。紹介もしておるわけですね、請願の。そういう点から見ていって、なおかっこれを強行しようということにはならないんじゃないかとわれわれは考えるんですが、なお、これをひとつ、局長の話によるというと、いろいろの方法でいま考えているんだと、こう言われているわけでありますが、私どもには理解できないんですが、その真意をもうひとつ明確に明らかにしてもらいたいと思うんですがね。
  66. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 東京外郭環状道路は、御承知のように東京に向かって数本の高速道路が流入してくるものを東京の外郭部でこれを受けとめて、通過交通をよけいなところを通さないでスムーズに目的地に行けるように持っていくためのどうしても必要な施設というふうにわれわれは考えているわけでございまして、これによって、かなりまた車の流れがスムーズになることが、逆にいま渋帯でいろいろ大きなかえって公害を及ぼしている向きには、部分的にはまたメリットとして効いてくることもあるんではないかというふうに考えられます。まあそういった公害、環境関係のメリット以外に、最も交通の流れを、一応こういった、現状ああいうような状況でございますので、これをスムーズに解決するためのぜひ必要な施設であるわけでございます。たまたま市川市内を分断するような形で入ることになるわけでございますが、その入り方につきましては、十分掘り割り構造、あるいは部分的にはトンネルみたいな形にしても、やはりどうしてもつくっていかなければならないというふうに考えておりまして、これについては、そういった考え方について十分いろんな案を提示して、住民の皆さんの御理解を得ながら進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  67. 赤桐操

    赤桐操君 さらにまた、この湾岸道路関係でありますが、これもでき上がると大変なものになると思うんですね。それで、騒音対策、大気汚染、こういうものが成田空港問題と絡まって、海から陸から実は攻められることになるわけでありますが 問題は、特にこのSOxの方は千葉県の場合においてもある程度の成果を上げておると思うんです。かなりの成果を上げておると思うんです。しかし、このNOxについては、これは県の調査においてもバンザイだと、こういうことになっておるように思います。いまここに、私の手元に県の調査資料がございますので、これは五十二年の八月に出しておるものでありますが、千葉県環境部大気保全課の明らかにしたものでありますが、これで見まするというと、四十七年度から五十一年度までの報告がなされてますが、二酸化窒素環境基準適合状況、全県下では四十七年度では測定個所は六カ所、適合点数はゼロ。四十八年度においては、さらに測定点数を拡大いたしまして十六点、これは適合点数はゼロ。四十九年になりまするというと、四十一カ所で測定をいたしまして、そのうち一カ所だけ適合をされております。五十年度になりまするというと、六十カ所で調べたと、これはゼロでありました。適合率ゼロ。五十一年度になりまして七十六カ所にふやして調べてみた。その結果は、適合状態はゼロであったと、こういう報告が千葉県の大気保全課から明確に出ているわけですね。  市川では、いま申し上げたとおり、大変実は深刻な状態にあるんでありますが、こういう状況のところへもっていって、また次々といろんな交通量がふえてくることになります。要するに、この移動発生源のところが問題なんでありますけれども、まあこの五十一年規制や五十三年規制で自動車の規制が強くなってきているとは言いながら、いかに薄めてみても、量が、絶対数がふえてくればこれは総体的にはどうにもならない数字に発展するわけです。ですから、いかにこれはその努力をしても、なかなかこれはうまくいかない結果になるだろうと思うんですが、この発生源対策、こういうものについていろいろ考え方を持っておられると思いますが、建設省考え方をひとつ伺いたいと思います。
  68. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) まあ確かに先生がおっしゃるように、バックグラウンドの汚染を含めまして千葉県下の沿道状況はそういったようなことだと思いますが、現状をこういうふうに道路整備をほうっておきますとますます渋滞、そういうものが激しくなりまして、この渋滞の繰り返しによります、大気汚染というものはこれは非常に大きなものでございまして、やはり道路整備を、たとえば湾岸道路をつくることによって車の流れが非常にスムーズになれば、かなりまたそういう面の改善も考えられる。しかし、絶対量が非常にふえてくればまた全体としては多くなるというようないろんな考え方があるわけでございますが、しかし、現状を放置すれば車の流れ、物の輸送という面で非常に大きな隘路ができるだけじゃなくて、環境対策にも非常に今後大きなマイナスを生じるというような点を考えまして、やはり湾岸道路整備を進めていかなければならないという考え方でいまやっておるわけでございますが、いずれにしましても、大気汚染につきましては道路の局所的な対応ではなかなか対応し切れない面がございまして、やはり何といいましても発生源である車の改善というものがまず前提になければいけないのではないかというふうに考えております。その上で、どうしても環境対策上車をとめてもやむを得ないという方向が出ますれば、これは交通規制というような方法もやはり考えなければならないだろう。しかし、そういういろんな手段をとるにいたしましても、現状の幹線網ではとても東京−千葉間は足りないというふうに考えておるわけでございまして、そういう視点から湾岸道路建設を推進してまいっておるわけでございます。
  69. 赤桐操

    赤桐操君 運輸省はどう考えておられますか。運輸省いませんか。——じゃ結構です。  それじゃ続いて、それでは、要するに環境アセスメント、この問題は私はNO2の問題についてももう極限まで来ておる、こういうふうに理解しなければならぬと思うんです。ですから、SO2を総合規制してここまで成果を上げてきていると同じように、この問題に対しても、やはり私は自動車の個々に対する規制とかそういう問題だけでなくて、交通体系とか交通方式とか基本的な問題にまで発展させて考えなければならない大きな問題点にぶつかってきているように思うんです。道路をいかに大きくしてみても、それは車の走りをよくしたって、やっぱりまた車がふえれば殺到するわけですから、同じことを繰り返すことであって、もっと私は基本的な交通対策そのものの次元を変えたところから考えていかなければこれはできないだろうと思うんですね。そういう意味で、特に環境アセスメント法、この問題の成立、それと並行した努力をひとつお願いしたいと思います。  それから次に、私は最後にこの湾岸道路関係や、いま京葉道路関係、これらをめぐりまして成田空港の開港時との関係が非常に論議され、やかましくなってきております。この問題についてあと一つ伺ってまいりたいと思いますが、成田空港の開港はこの年度内でどうしてもひとつ開港する、こういうことが総理の方からも明らかにされているようであります。問題は、それぞれの各関係市町村団体、県も含めていろんな要望を出しておりますが、残念ながらそういうものはいま顧みられないままで見切り発車の段階にあるのではなかろうか、こういうことで県民や多くの関係住民が不信感を持ってきている、こういうことがひとつ言えると思います。特にまた交通状況等については、これは交通問題については率直に申し上げて私たちも理解になかなか苦しむ状態にあるように思うんです。いま成田空港とのかかわり合いで想定されるところの交通対策、これについてひとつ運輸省並びに建設省の見解を詳細に明らかにしていただきたいと思います。
  70. 松本操

    政府委員松本操君) 空港問題そのものの関連性でございますので、最初私の方からお答え申し上げるのがしかるべきかと存じます。  成田空港の開港に当たりまして、都心と空港間に新たに発生するであろう輸送需要がどのくらいあるかということでございますが、これは私ども羽田空港におけるケーススタディー、それに対しまして道路整備のありよう、あるいは鉄道の整備のありよう等及び成田空港が都心から六十数キロも離れておるというふうな立地条件等をも勘案いたしまして種々の試算を重ねてまいったわけでございますが、現在のところ一日片道約三万四千人の需要が発生するのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。この三万四千人の需要をどういう形で空港−都心間に往復させるのか、こういうことでございますが、大体私どもの現時点の見積もりといたしましては、約四五%ちょっと、四五%程度、半分ちょっと足らずぐらいを鉄道に乗せる、それから五五%足らず、つまり半分より少し多いぐらい、これを道路輸送にゆだねるというふうなことで従来考え方を進めてまいってきておるわけでございます。  鉄道輸送といたしましては、御案内のように上野駅から出ております京成電鉄、これが大体七十分で空港の中のターミナルを経由いたしまして空港自身の旅客ターミナルまで入る。これはスカイライナーという特別な車両を持っておりますので、これを走らせることによって約七十分で行くだろう。それから国鉄の場合、国鉄の場合には東京駅の地下からでございますが、東京駅の地下から総武線の快速あるいは特急、こういったようなものを走らせることによりまして、快速の場合にはおおむね百分、特急の場合にはおおむね九十分という形で、これは成田駅経由  成田駅からバス輸送でこれが二十ないし二十五分かかるかと思いますが、これらを含めまして成田駅経由、バス輸送によって旅客ターミナルまで運ぶことができるのではないか、このように考えております。  次に、先ほど申し上げました半分を少し超えます道路輸送に頼ろうとする人たちに対する対応の仕方でございますが、これを二つに分けまして、バスに依存するものと乗用車に依存するものとに分けて考えます。なるべくならばバスによって総合的に運ぶということに重点を置きたいのでございますけれども、現在まで私どもが計画し、あるいはまた具体的な免許申請の動き等を通じて承知しております限りにおきましては、箱崎にできておりますシティーターミナル、ここにチェックインをいたしまして、これはフライトミート方式と呼ばれるのだそうでございますが、一定の時刻にチェックインをいたしますと、そのお客が着かなければ飛行機は出ない。安心してバスに任せておけばようしいという形で首都高速、京葉道路、東関東自動車道、こういう形で空港まで入る。逆も、その逆をたどってシティーターミナルで、それから先はそれぞれの家なり何なりへ帰っていく、こういう形を考えております。残る部分が乗用車に依存する部分でございます。大体これが三八%、一万三千足らず、三八%程度が乗用車によって動くのではないだろうか、このように考えておりますが、これはやはり首都高速七号から京葉道路を経由して、東関東自動車道を通って成田空港の旅客ターミナルまで入っていく、こういうふうなことになるのではないか。  ここで、鉄道輸送につきましては、先ほど申し上げましたように、上野から出ました場合、京成が約七十分、東京駅の地下から出ました場合、国鉄が九十分程度、快速で行きますと、あと十分、百分ぐらいかかるかと思います。高速、バス等で行った場合にどうなるかということでございます。これは時間帯によっていろいろ差があろうかと思います。建設省の方でもいろいろと御配慮いただいておりますので、私ども建設省の方から承っておりますところによりますれば、大体都心部−施工港間七十分程度で運べるのではないか、こういうふうに聞いております。  そこで、問題は、従前からございますラッシュと空港のラッシュとが重畳いたしますと非常に問題が起こってくるということでございますが、幸いにして鉄道輸送の場合には、朝は出発便が多いわけでございます。それに対して、鉄道輸送の朝のピークというのは千葉方面から上りの方が込むわけでございますので、この点については私どもは特段の問題は生じないのではないか、このように考えております。それから午後におきましては、夕刻退庁時の下りのピークというのが鉄道に生じてくるわけでございます。これに対して、やはり国際線でございますので、夕刻をさらに通り過ぎまして、まあ夜の初めの方と申しましょうか、あたりのところまで空港旅客のピークというものがあるわけでございますが、これは鉄道自身のキャパシティーというのは非常に大きなものでございます。現在の通勤通学の旅客を妨げるようなことにはならないで済むのではないか、このように考えておるわけでございます。  道路交通の方そのものにつきましては、建設省の方の助言をいただきながら、いろいろなことの計画を練っておる次第でございますので、詳細につきましては建設省の方からお答え申し上げた方がよろしいかと思います。
  71. 赤桐操

    赤桐操君 時間がありませんから端的にひとつお答えを願いたいと思うんですが、いまの御説明の中の数値は、昭和五十三年の開港時の想定ですか。
  72. 松本操

    政府委員松本操君) 開港時当面六百五十万人の旅客が出入するということを前提に置きまして出した数字でございます。
  73. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、一年間六百五十万人という乗降客ということですか、あるいは関係の……。
  74. 松本操

    政府委員松本操君) 六百五十万人の旅客というものをベースにいたしまして、さらにそのほかに送迎者、見学者、従業員及び商用によって当該空港に出入する者、これらを全部想定して足し上げたものが一日当たり片道三万四千人ということでございます。
  75. 赤桐操

    赤桐操君 ちょっと伺いますが、三万四千人というのは年間一千万人でしょう、その数値は。この数字昭和四十六年当時の想定じゃないですか。
  76. 松本操

    政府委員松本操君) 実は三万四千人と想定いたしました中で、航空旅客として現在私どもがはじいている数字は九千三百人でございます。で、三万四千人の中の主流を占めておりますのが、送迎者一万三千人という見積もりがございます。果たして成田空港まで一日一万三千人の人間が送迎のために行き帰りをするのかどうかという点については疑問なしといたしませんけれども、しかし、この数字を現時点においていじくりますということは、三万四千人の需要想定そのものをこの際において修正するということになりますので、ましてやこれを減らすということは諸般の事情からいかがかということもございまして、そのまま使用しておる。多少のゆとりはあると思います。
  77. 赤桐操

    赤桐操君 ここに「成田空港」という清水馨八郎先生、これは有名な千葉大学の理学博士でいらっしゃいますが、この方が「成田空港」という本を出しておりますね。この基礎資料というものは当然あると思うんです、この基礎資料というものは。これは公団がお持ちになっているはずなんです。大体私も承知しております、それは。  それで、問題は、いまお話しになっているのは古い数字ですよ、それは。現実に本当に公団が想定されているところの資料というものは私はもっと大きな数字だと思うんです。この論争をいまあなたとやっても時間がありませんからできませんけれども、少なくとも五十一年から五十三年にかけての来港者、これは一千万人という数字ではないはずです。一千四、五百万から六百万くらいの数字を想定しているはずです。そうすると、いまのお話で人員だけでも六割の増になる、五割以上の増になる、こういうふうに私たちは判断をする。自動車の台数にいたしましても、これは恐らく私はもう少しふえるんではないだろうか、こういうふうに考えるわけであります。  要するに、その人員その他についてのことはともかくといたしまして、次に続いて伺いたいと思うのは、建設省関係のこれは道路局ですか、それとも道路公団に伺った方がいいかわかりませんが、どちらでも結構でありますけれども、湾岸道路ができ上がって、京葉道路との関連の中で、一体その自動車の台数のさばき方といいますか、交通量というものはどんなふうになるのか、この点ひとつ明らかにしてもらいたいと思うんです。
  78. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) ただいま御説明ありましたように、空港の開港時に発生する自動車交通量は一日平均往復一万台というふうに一応考えておりますが、この一万台の交通がいま現在流れております東関東自動車道、京葉道路、首都高速七号線を経由して都心に入ってくるわけでございます。そういうことになりますと、現在推定しております交通量としましては、その時点では、いまやっております湾岸道路が、五十三年一月末までに国道の三百五十七号線、それから首都高速の湾岸二期線、浦安−江東・夢の島間を全部四車線ないしは部分的には六車線で結ぶような姿のルートができますので、そのルートを介して千葉方面からの従来船橋から乗り込んでいた交通が大部分そっちの方に流れてまいりますので、京葉道路ないし首都高速の七号線は、その分の負担が減るわけでございますので、そうしますと、かなり通りやすくなるということで、現時点の想定では東関東自動車道は一日約三万台、京葉道路は八万台ないし十二万台、それから首都高速七号線が九万台流れるものというふうに考えておりまして、もう一方、別ルートの湾岸道路は三万台ないし四万台の交通がさばけるという姿で、一応空港関連道路の通りますルートにつきましては、現状よりやや楽になる程度の形になるのではないかというふうにわれわれは考えております。
  79. 赤桐操

    赤桐操君 ここで私は、湾岸道路、湾岸道路とおっしゃるけれども、これは四車線なんですね、片道二車線。これは中速部、高速部というのがまだできないわけですね。低速部だけをとりあえずつくろうとしているわけです。この低速部というのは、千葉県においても、東京都においても、大体時速四十キロですよ、これは。こういう制限の中で自動車の交通が行われるだろうと思うんですね。  そこで、これは千葉県の環境部が最近出している数字でありますけれども、この湾岸道路の低速部を走る自動車の台数はちょっと違うんですよ。三万台、四万台じゃないですよ、いま。これは大体ピーク時においては一時間当たり四千八百台、それはピーク時というよりも、時間的なものだけではなくて、いろいろピークの時期を言うだろうと思うんでありますが、それが大体一日の量が十万台を超えるという想定の場合もあり得るというのですね。そうなってくると、京葉道路の方から三万台ないし四万台入るどころじゃなくて、これができたら逆にあふれるだろうという感じさえもするわけです。成田というところは、これは一年を通じましていろいろな行事がある。お正月がある、二月がある、節分がある。そうかと思うと今度は正・五・九と言いまして、いろんなお参りがたくさん出てくる。そういう人たちもかなり自動車を使っている。あるいはまたいまの空港の関係ですけれども、空港関係の航空局の説明によればいまのような数字でありますが、私どもはこの数字は大変違っていると思う。実際には五割から六割ふえるだろう。そうなると自動車も同じくふえてくる。それが現在京葉道路はあの状態になっている。しかも湾岸道路は成田空港のためにつくる考えで想定したものではないですから、湾岸道路をいまつくって京葉道路とのバランスをとろうという目的であるはずです。そこへ成田空港の問題が入るのですから、これは私は大変なものになるだろう、こういうふうに考えております。したがって、いま言われているような状況とはちょっと違う状況が現出するであろう、こういうように考えるわけでありますけれども、この点についてはどのように認識をされておりますか。
  80. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 空港関連道路も含めまして、関連交通も含めましてあの周辺道路事情を改善する抜本策としましては、この湾岸道路に高速部分を持ち込んで全部高速道路でつなげるという姿にするのが最終的な姿で、早くそういう形に持っていかなければならないというふうに考えておりますが、これは現時点では昭和五十六年末までかかると思いますので、それまでの応急的な対策としましては、先ほど言いましたような四車ルートでさばくという形をとっておるわけでございますが、この四車ルートに流れる交通量の推計は先ほど三万ないし四万と申し上げましたが、あるいはもう少し流れるかもわかりませんが、また時間的なピーク、あるいはいろんな催し物に関連して、あそこに競馬とかいろいろありますので、そういうものに関連しての対応と、いろいろありますが、そういう対応につきましては、京葉道路に出入する交通の規制といいますか、あるいはいろんな情報板によります情報の伝達、あるいは幕張インターチェンジ、花輪インターチェンジでの流入規制というようなことを含めまして、交通規制で対応していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  81. 赤桐操

    赤桐操君 最後に一つだけ。  銚子のボルタックの問題でひとつ伺っておきたいと思いますけれども、銚子市は挙げて反対の態度を表明しています。これは運輸省からの説明に基づいて銚子市はまじめにそれに取り組んでいる、協力をしたはずだ。ところが、当初の説明とは変わった形が出てきているので、これは市民全体として納得できないということで銚子市民の大きな実は反対が出てきていると思うんです。市議会も挙げて反対、市長以下反対、こういうことで動いているわけなんだ。単なる反対運動ではなくて、これは運輸省側に大きな責任があると思いますが、これからの進め方について市側の了承を得ないままでも見切り発車をなさいますか。この点ひとつ伺っておきます。
  82. 松本操

    政府委員松本操君) この問題はまさに先生指摘のとおりの経緯があるわけでございますので、私ども八月から二回にわたって御説明に上がり、さらにせんだっては次官が千葉県知事の仲裁あっせんを得て三たび銚子にお邪魔をして、まずおわびを申し上げ、御説明申し上げ、御了解を願っておるところでございますが、本日時点においてまだ完全な解決に至っておりません。まことに残念に思っております。今後私どもとしては誠心誠意をもって銚子市の御要望にこたえるべく最大の努力をしてまいりますし、それと同時に、問題の発生の原因がこのようなことでございますので、したがいまして、先生おっしゃいますような乱暴な方法に訴えるというふうなことは、ゆめ考えておりませんことを申し上げておきます。
  83. 小谷守

    委員長小谷守君) 本件に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  84. 小谷守

    委員長小谷守君) ただいまから委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  85. 遠藤要

    ○遠藤要君 建設行政について二、三お尋ねをいたしたいと、こう思いますが、まず今度の国会は、御承知のとおり景気浮揚策だと、浮揚の国会だと、こう言われておりますけれども、その景気浮揚のかぎを握っていると言われている公共事業その他に対して建設省としての責任が非常に重大だと、こう信じております。そこで大臣、五十二年のすでに決定されている予算の消化の状況が一体どういうふうになっているかをまずお聞かせ願いたいと思います。
  86. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 大体今日までの進捗率を見ますと、七四・一%という、当初目的の七一・三%をはるかに超えて一応行われているという現状でございます。
  87. 遠藤要

    ○遠藤要君 先ほど赤桐委員からも御発言がございましたが、その予算の中において特に私は特定財源を持っている道路、この特定財源道路予算との比率が一体どういうふうになっているか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  88. 浅井新一郎

    政府委員浅井新一郎君) 道路整備の特定財源の比率は、中身はガソリン税重量税の国分の八割、それから一般財源というふうにあるわけでございますが、五十二年度事業につきましては、そのた部分がガソリン税でございまして、重量税につきましては、八割相当額を入れるべきところを約四割というような形が投入されておるわけでございます。
  89. 遠藤要

    ○遠藤要君 この点について大臣にお伺いしたいんですがね。特定財源をつくる場合に、ガソリン税と言い、重量税と言い、道路整備の立ちおくれとして、いかに道路の必要さということが強調されてこういうふうな特定財源が出たと、こう私は信じておるんです。当時の大臣からの説明や何かにも、そのようにお話があったように理解をしておりますが、ところが私は、そういうふうな重要な道路整備、それに一般財源にプラス特定財源というのを含まれて道路整備を急速に進めていく、これが私は大切なことだと、こう思うんです。先ほどの委員の御質問にもございましたが、特定財源の期間が間近に迫っていると。そのようなときに、道路整備進捗状況が先ほど御答弁があったようでございますが、そういうふうな状態で一体特定財源の性格を失わせているのはむしろ建設省ではないかと、こういうふうに私は疑義を持っておるんです。私はそういうふうな点で、納税者なり国民に自慢をして税を取って、そして道路整備は遅々として進まぬと。大臣承知のとおり、建設省内部においても各局の予算の進捗比率を見ますと、道路予算というのはここ数年オイルショック以来ダウンしております。そういうふうな点が私どもとして感じられますけれども、大臣としての見解はどうでしょうか。
  90. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 御承知のように、道路財源も、なぜ特定のような財源を出さなけりゃならないかという理由は、日本という国が道路という面につきましては他国に比較してもそのおくれがはなはだしい。そこで、三十六年以降何とかこれを整備しなければならない、こういうような観点に立ちまして道路整備にかかったわけで、いよいよ来年度は第八回の整備五カ年計画を行っていこう、こういうわけでございまして、建設省の方がおくれているんじゃないか、やる気がなかったんじゃないかというようなお説でございますけれども、私の方は何といっても、現在御承知のように、やるにいたしましても膨大な金のようでございますけれども、用地の買収だとか、また道路をつくれば環境問題、住民問題が併発してくる。これに万全を期していくということになりますと、いままでの予定よりもはるかに倍の費用がかかっていくというわけでございまして、そういうような面も国民全体の負担というわけにはなかなかまいりません。国民は一応何とか道路をつくってくれ、道路をつくれという騒ぎはやるけれども、さてつくることになるとまた住民反対があり、また御承知のように、たとえば地方では道路をつくったんだから道路税よこせなんというまた話も出てくる。こういうようなことでございますので、でき得る限りの精力を込めて道路問題と取り組んでおるのでございますけれども、そういうような実際の上に立ってやっておりますから、おくれている面をなるべく早く取り返して世界並みの道路整備をしていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  91. 遠藤要

    ○遠藤要君 大臣の言われるような個所もあるかもしれませんけれども、そうではない、建設省道路局長のところに再三陳情に来ている地域もたくさんあるんです。そういうふうな点なども三階から目薬と言っていいかどうかわかりませんけれども、幾らかは予算がまたついたというような状態ではなかなか進捗が進まぬと。そういうふうな点もございますし、私としては、特定財源を持ちながら、一般財源にアルファ特定財源という道路予算の獲得に精力を注ぐべきではないかと。それをむしろ特定財源をよその方にばらまいているような感じすら持っておるので、そういうふうな点について建設省自体の道路に対する意欲、私はこの特定財源のやはり創設したあの意義というのを建設省道路局なり何かがもっと感じてもらわないと困る、そういうふうな点で私はお尋ねをしているんですが、大臣どうですか。
  92. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) もう、私から御返事を申し上げるまでもなく、道路問題と取り組みまして、何とか一日も早くその整備を望むと、こういうことで本当に懸命に道路問題とは取り組んでおるつもりでございます。また、道路問題ばかりではなくて、いま現在なかなか道路とあわせて上水道、下水道の問題また公園等のまだまだ問題も新たに発生をしております。こういう面を努めて早目に整備をしてまいりたい、国の方からも十分な予算を獲得すべく大いに努力をして御期待に沿いたいと存じます。
  93. 遠藤要

    ○遠藤要君 さらに、別な面ですが、今度は防災関係について簡単にお尋ねしたいと思います。防災に対するこれは完全防災ということになりますると相当の金額になります。一部私どもの同志間においては、防災国債を設定して防災の急速な完備をすべきじゃないかなどという声も出ておりますけれども、それに対する大臣としての所感をお尋ねいたしておきたいと思います。
  94. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) もうでき得るならば、ぜひそういうふうにしていただきたいということを望んでおります。
  95. 遠藤要

    ○遠藤要君 もしそういうふうな場合には、ガソリンなり重量税のように、よそにちらかさないようにひとつ大臣協力を願いたいと、こういうようなことを私の方からもお願申し上げて、次の質問に進みたいと思います。  きょうは住宅政策について二、三お尋ねいたしたいのでございますが、先ほどもいろいろな点で直接間接先輩委員より御質疑がございましたが、できるだけ重複を避けてお尋ね申し上げたいと思います。建設行政の中において一番私はおくれているのは住宅問題じゃないかと、こういうふうに思われるわけでございます。先般の総理の施政方針の中においても、住宅対策については真剣に取り組んでいかなければならぬというようなことを述べておりますが、第三期住宅建設の五カ年計画の第二年度としてすでに半年も経過している現在、民間の自力による建設に対し公営住宅を初めとする公的賃貸住宅は非常におくれているような感をいたしておりますが、この住宅政策を遂行するために、そのおくれている原因はどこにあるのかというような点についてお尋ねをいたしたいのでございます。
  96. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) どうも住宅政策がおくれているというお話ですが、私はおくれていると思っておらないのです。なぜかと言いますと、現在、日本の全世帯数と住宅とを合わせてみて比較をしてみたときには、恐らく二百万戸ぐらいのものが過剰だろう、こう思っております。おくれているという意味ではなくて、経済の実態に相違が出てきた、こういうことで今度は希望する、好む住居というものが得られないと、こういうところにあるわけでございまして、でありますから、私の方は現在のただ数だけを言うのじゃなくて、要はもっと質を向上することを考えなきゃならぬ、こういうような核家族にまで及ぶようなものに今度は重きを置かなきゃならぬ、こういうようなことで住宅問題の解決をつけていきたい、こう考えておるのでございます。でありますから、かつて住宅が不足だった時代住宅不足というものといまとは全く異なっているんだと、こういうふうに私は考えております。ですから、現在の国民が好む住宅を、なるべく質のよい、そして間数の多い、そういう面を今後はたくさんつくっていくように考えようじゃないか、数だけは何ぼできたっても国民が好まなけりゃ何にもならぬ、こういうような考え方によって質の向上を図ってまいりたいと、こう考えております。
  97. 遠藤要

    ○遠藤要君 そのような趣旨だろうと思いますけれども、大臣として、新しいアイデアとして、国民の意見を取り入れるために住宅提案箱をつくって、これからの希望者のいろいろの提案などを聞き、それを住宅政策に取り入れたいというようなアイデアをお考えになったようでございますが、その提案箱の内容の中において五十三年度の概算要求に取り入れたものがございましたならば、簡単に御説明願いたいと思います。
  98. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 去る四月でございますか、五月に入りまして、まあ長年建設省及び関係の、たとえばきょうも総裁もおいでになっておりますけれども、いろいろな意見は持っているだろう、その体験もあるだろう、しかし衣食住という面で、衣食足りた今日において住をどのように好んできているかということは、われわれの判断の上に立って考えるべきものでなくて、実際どういう御希望を持っておりますかというお知恵を拝借しようじゃないかと、そのお知恵は大衆の希望をひとつ募ろうじゃないか、そういうようなことで住宅に対するお知恵拝借ということでその提案箱というものをつくったのでございまして、まあ今月いっぱいでこれは打ち切ることになりますけれども、その中でいろいろな提案が、まことにもう本当にりっぱな御提案だと思うのがございまして、三百五十二通ございます。いろいろその内容は広範囲にわたっておりますけれども、その中には、駅構内の線路を使えとか、河川敷の上に空間を利用して高層住宅建設をしろとか、あるいは遊休地及び大学の地方移転跡地における住宅建設をやれとか、あるいは公的木造住宅の中高層への建てかえをやれとか、また公的住宅の新旧家賃の平均化を図れとか、こういうようなことと、持ち家促進のための低利融資をやれとか、公的住宅の単身への開放をやれと、こういうような御意見が大体多うございまして、こういうような面をさらに十分検討を加えまして、今月末にこれらの御希望に沿うような方向づけをしてまいりたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  99. 遠藤要

    ○遠藤要君 住宅局長にお尋ねしておきたいんですが、住宅政策を強力に推し進めるに当たって、現入居者の住宅需要実態調査を行われたようでございますが、そのいろいろの問題点がございましたらお聞かせ願いたいと、こういうふうなことが一つと、それから住宅問題を解決するに当たって、住宅の需要実態調査をぜひとも必要とするためのその計画が、もうこれからの計画というのをお持ちかどうかということをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  100. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先生指摘のとおり、住宅政策を進めるに当たりまして、住宅需要の実態を把握するということは一番大切なことだと思っております。で、五カ年計画等作成いたします際に、総理府で客観的な住宅需要をつかむという意味で住宅統計調査というのをやっております。それから建設省では、いま先生おっしゃいました住宅需要実態調査というのをやっております。これはいずれも五年ごとにやることになっております。前回は昭和四十八年にやりましたが、第三期五カ年計画の基礎としたわけでございますが、そのときの住宅需要実態調査の中身で申しますと、国民の皆さんが世帯の約三分の一、一千万世帯の方々につきまして、家が狭い、古い、設備が悪いというようなことを中心に住宅に対する不満が非常に多かった。したがいまして、それらを反省して、第三期五カ年計画では質の向上に重点を置くようにしたという経過がございます。で、五年ごとにやる住宅需要実態調査、たまたま来年度が住宅需要実態調査調査年でございまして、現在も予算を要求いたしておりますが、十分りっぱな需要実態調査をやりたいという計画を持っているわけでございます。
  101. 遠藤要

    ○遠藤要君 次に、建設省国土庁と両方にお尋ねいたしたいんですが、土地の税制問題についてです。今回、政府の土地税制の見直しが話題になっておりますけれども、法人の土地譲渡益の重課制度、特別土地保有税の問題について緩和されるやの話題も出ておりますけれども、企業の宅地供給の意欲を増進せしめるためにも、住宅の不足というよりもむしろ宅地の不足の解消ができるというような点で税制改正ができるかどうか、見通しがどうか。私は特にこの景気浮揚とも相まつわけでございますけれども、企業を擁護するということではなく、むしろ企業の持っている土地を早く開放せしめる、そしてまあできるならば、むしろ土地を、宅地を各社が争って売り出すというくらいの方途を講じたならば土地価格というのも相当安くなってくるのではないか。こういうふうな点を考えると、やはりいまの税制であると、なかなか土地を手放すという意欲が持てない、そういうような点も考えられますので、それに対する緩和の方法を考えられているかどうかということをお尋ねしておきたいと思います。
  102. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 宅地建設促進の前提として、やはり宅地の供給の確保ということが第一に考えられるわけでありまして、その施策の一環として、土地税制についても地価の高騰、こういうふうな面もあり、投機的取引の抑制の枠組みを堅持しながら、その改善について関係省庁と検討をしていることは事実であります。したがって、検討をしている内容といたしましては、法人の土地の譲渡益重課税につきまして、重課の適用除外要件のうちの二七%の利益要件というものがあります。これは国土利用計画法に価格審査というものがありますので、この点は廃止したらどうなんだろう、二重にある必要はないじゃないかというような考えが一つと、特別の土地保有税はすでに土地の有効利用がされているが、貸しビルについての非課税をしたらどうなんだろう、こういう点が、二点が挙げられております。ただいま各省と鋭意この問題についていろいろ検討を加えておるところでございます。
  103. 遠藤要

    ○遠藤要君 さらに、お尋ねをいたしておきたいのは、開発規制の見直しでございますが、この面についてかように考えられておるかというような点についてでございます。特に市街化区域の中において、調整区域の中において、時には情勢といったらいいか、その周辺の状態が変わっているという場合も、現在の線引きはそのまま当分堅持するのかどうかという点についてお尋ねしておきたいと思います。  なお、税制の問題について国土庁からもひとつ考えをお聞かせ願っておきたいと思います。
  104. 松本作衛

    政府委員松本作衛君) それでは、税制の問題につきまして継続でございますから国土庁の考え方を申し上げます。  ただいま建設大臣からお話がございました考え方と全く同様でございまして、国土庁といたしましても、地価の安定を図りながら優良宅地の供給、国土利用の促進というようなものをどのように図っていくかということで、現行税制についての見直しを行っておる段階でございます。内容につきましては、先ほど建設大臣からお話がございましたような内容につきましてお話し合いをしておりますほか、特に特別土地保有税につきましては、国土利用の促進という点から申しまして、現在森林の施業計画を立てた森林につきましては特別土地保有税が免除されておりますけれども、森林の管理の内容がこの施業計画を樹立した場合と同様に適正に管理されておるような場合につきましても非課税の範囲を拡大し、これによって国土の利用を増進するというような点についても検討したらいかがということがございますが、大筋におきまして建設省とお話し合いをいたしまして、先ほど建設大臣からお話がございましたような線で関係各省と話し合いをしておるところでございます。
  105. 中村清

    政府委員中村清君) お答えいたします。  ただいま線引きの見直しのお話が出ましたので、ちょっと現在進めております作業につきまして御説明申し上げますが、実は御存じのように都市計画区域につきましては一定の、特にこれは大都市周辺の地域でございますが、大都市周辺都市計画区域につきましては市街化区域とそれから市街化調整区域を決める、こういうことになっておりまして、現在約三百ぐらいの都市につきまして市街化区域、調整区域の線引きをいたしております。そこで、現行の都市計画法によりますと、大体五年ごとに都市計画の基礎調査をいたします、情勢が大いに変わってきたという場合には速やかに見直しをしなければいかぬ、こういうことになっておりまして、大体五年ごとといいますと、四十六年度以前にいわゆる線引きをした区域、これが現在約二百八十ございます。これにつきまして現在都道府県におきまして線引きの見直しをやっておるような段階でございますが、大体二百八十あります区域のうち、現在までに二十八の区域につきまして線引きが終わっております。大体線引きの際に新しく市街化区域に入ってまいりますものとしましては、計画的あるいは優先的に開発をしなきゃいかぬ、こういった地域が主に入っておるのが現在の状態であります。
  106. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 開発許可のお話でございます。御承知のように、都市計画法改正によりまして都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に線引きいたしまして、開発・許可の制度をとったわけでございますが、この趣旨は、市街化区域の中の乱開発を防止し、都市施設を計画的に整備するという目的でございますので、市街化区域につきましては、原則として千平方メートル以上については開発許可になっておるわけであります。しかし、調整区域は市街化を抑制するというところでございますので、原則として許可をしない、一定の要件を満足するものだけ開発を許可する、こういう仕組みになっております。したがいまして、開発許可制度の運用といたしましては、原則といたしまして市街化区域の中の開発許可を優先して行っていく。なお、調整区域につきましては、市街化区域の計画的な開発に支障のない範囲において行うということで、現在年間大体八千ヘクタールくらいの開発許可を行っておりますが、その七〇%近いものが市街化区域の開発許可でございます。したがって、調整区域につきましても、一定の要件を満足し、宅地供給する際に計画的な市街化区域の開発に支障がないというものについては開発する、こういう指導で行っております。
  107. 遠藤要

    ○遠藤要君 後ほど住宅公団のときにもお話し申し上げたいと思うんですが、住宅公団も大分手持ちの土地をたくさん持っていて、それで不良資産とは言葉が悪うございますが、いま何と言うんですね、あれは。睡眠土地と申しましょうか、そういうような土地をたくさん抱えている。そういうふうなのをもっとやはり開放して、多少なりとも地価の低下を図っていくといいましょうか、そういうふうな方法が私は必要だと思いますけれども、これは住宅公団のときに改めてお尋ねしたいと、こう思います。  次に、公庫融資についてお尋ねをしておきたいんですが、これは住宅局長さんの方が御答弁があれだと思うんですが、公庫の性格については改めて私から申し上げるまでもございませんけれども、現行の融資枠、貸付限度額、利率、償還期間並びに標準の建設費等の単価と実勢価格が大分差が出ている。今後改定する意向があるかどうかということでございまして、五十三年度の概算要求の中にそれが計上されているかどうかということをお尋ね申し上げたいと、こう思います。  さらに、それからいま一つは、民間の団地の分譲住宅建設資金並びに高層住宅購入資金融資対策の区域の拡大がどうかというような点、さらにいま住宅建設費とあわせて土地取得費を融資する制度を創設してはどうかというような点と、それからいまローンで悩んでいる住宅ローンに対する減税、それから住宅取得に対する控除制度の拡充と中古住宅のローンの償還金の控除制度の創設と、それから登録免許税の軽減と、それから不動産の取得税の軽減というような点について建設省はどういうふうにお考えになっておられるか。また、五十三年度にそれを織り込んだのがあったならばその点をお聞かせ願いたいと、こう思います。
  108. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 住宅金融公庫の融資に対しまする国民の皆さんの強い要望がございます。融資枠の拡大につきましては毎年度予算等でも努力しておりますが、来年度も十分努力したいと考えております。それから借入金の負担を軽減するために貸付限度額の引き上げ、それから償還期間及び標準建設費の単価の引き上げ等につきましても前向きに検討いたしております。ただ、先生おっしゃいました金利の引き下げというのがちょっとあったと思いますけれども、基本となります五分五厘の法定金利につきましては、従来資金運用部資金が八%になったときも据え置いて五分五厘を堅持してまいりました。将来六分五厘の資金運用部資金の金利が下がりましたときは別でございますが、現在のところでは、金利につきましては、来年度引き下げの要求を公庫の基本的金利についてはいたしておらないというのが現状でございます。それ以外につきましては、戸数枠の拡大、限度額の引き上げ、償還期間の延長、貸付単価の引き上げ等々、いずれも相当前向きな要求をいたしておる次第でございます。それから分譲住宅、高層住宅等の対象区域の拡大でございますが、これにつきましては現在要望が大分出ておりまして検討いたしておるところでございます。それから土地融資の制度につきましては、従来までは優良な土地をお買いになる方にのみ特貸しということで貸すという制度をとっておりました。やはりそういう思想は変えないわけでございますけれども、一般の土地購入につきましても、将来たとえば百四十平米以上でなきゃいけないとか、住居専用地域にあるものを優先するとか、いろんな条件は考えたいと思いますけれども、一般の土地融資の枠も広げたいということで来年度予算要求をいたしております。それからローン減税、これにつきましても、それから取得控除減税額の引き上げ、それから中古住宅の各種減税等につきましても、いつでも前向きに検討いたして要求を出しておる次第でございます。
  109. 遠藤要

    ○遠藤要君 そうすると局長さん、五十三年度には一応要求はしていると、こう理解していいんですか、いまのお話、検討は別として。
  110. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先ほども申し上げました最低金利の引き下げ以外は、全部要求いたしております。
  111. 遠藤要

    ○遠藤要君 次に、先般もこの国会で補正予算の問題から各党間でいろいろ話があり、その金利の問題でいま住宅局長からお話があったようでございますけれども、何といいましょうか、二十万の方の限定以下の入居希望者と言ったらいいか、融資希望者が今日まで抽せんで漏れておったのが、十月以降は——十月に漏れた以降ですか、それはまあ全面的に取り上げるというようなお話になったようですが、その処置はどういうふうになっておるんですか。いま少し具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  112. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 今回の補正予算の最終に至りまして、四党間で申し合わせができまして、われわれの方にも指示がおりてまいっております。申し合わせの中身といたしましては、来年度の公庫融資の改善については、貸付総枠並びに貸付限度額の増額等を含め前向きに検討する。これは来年、度予算に関してでございます。  それから二番目といたしまして、今年度の追加の措置といたしまして、追加十万戸における低所得者向け貸し付けについて、無抽せんによる優先貸し付けを行うということが入っております。これにつきましては、この低所得者というところの範囲を、大体第一種の公営住宅の中堅どころの入居の資格といいますか、所得が大体二百六十三万ということでございまして、丸くいたしまして二百六十五万以下の方々ということを対象にいたしております。で、本年の十月、すでに募集を現在開始してございますけれども、この際落選なさった方には、一月募集については必ずお貸しをするようにするということでございます。  それから低所得者向け貸し付けの限度額につきましては、規定の枠内で割り増し、これは二十万円をめどということになっておりますが、行うように努力するということでございまして、規定の枠内でこれについても実行できるように十分検討してまいりたい、また実行いたしたいと考えたわけでございます。
  113. 遠藤要

    ○遠藤要君 その点で、まあ公庫として、これらの今回だけの優遇処置にどう対応するのか、公庫としての考えをお聞かせ願いたいと思います。
  114. 大津留温

    参考人(大津留温君) ただいま住宅局長が御説明いたしました線に沿いまして、住宅金融公庫としましては、ただいま十月十七日から二十九日まで受け付けのいま最中でございます。これが受け付けを締め切りまして、その中で抽せんを行います。その抽せんに漏れた方々が、来年の一月に予定しております次の申し込みの際にお申し込みがあれば、これらの方々は無抽せんで貸し付けをいたすという扱いにしております。  それから、ただいま受け付け中の申し込みの方で当選された方の中で、ただいま住宅局長が申し上げました二百六十五万、これは世帯の方々の収入の総合計ですが、それ以下の方々が二十万の——まあ二十万という金額はまだ確定していませんが、そういう割り増しを御希望になればその割り増しの貸し付けを行います。  それから来年の一月に予定しております申し込みで、先ほど言いました無抽せんの方、それから新たに申し込みをされて当選された方、それでいまの二百六十五万以下の方々につきまして、御希望があれば割り増しの貸し付けをすると、こういうことでいま事務的に進めております。
  115. 遠藤要

    ○遠藤要君 それで、総裁、まあこれは今度だけだということになるわけですか、無抽せんは。
  116. 大津留温

    参考人(大津留温君) この扱いは、先ほど住宅局長が御説明になりましたように、この国会に当たりまして各党間で申し合わせがされまして、本年度限りということで申し合わせがなされておるように承っておりますので、来年度以降につきましては、そういう措置はいまのところは予定しておりません。
  117. 遠藤要

    ○遠藤要君 大臣、いま公庫の総裁なり住宅局長からお話しのような状態なんですが、どうも今度の補正予算を上げる条件だから今度だけというのもちょっと国民に変な印象を与えると思うのですが、今後このような制度をやはり持続する努力といいましょうか、お考えを持っておられるかどうかお尋ねをしておきたいと思います。
  118. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 今回の処置は各党間のお話の上でいま御報告申し上げたものが決められたわけでありまして、私といたしましては来年度もぜひその方向に向かっていきたいと思っております。したがって、これから十分その点については予算折衝の中において遺憾なきを期してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  119. 遠藤要

    ○遠藤要君 それから公庫にお尋ねしたいのですが、五十一年度にいろいろマンションや何かに対する融資が行われたのが、宮城県の場合にそれが完成せず、しかも途中で施主が倒産したために連鎖的にそれを請け負った施工者まで倒産しているというようなことが出ておって、大変市民感情としては、そういうふうなのに一体……、公庫がずいぶん希望者の多い中において厳選に厳選を重ねて貸し付けるということになったので、業者としては安心して工事をとったというようなことにいったらしいのですけれども、それがそのような結果になったと、こう聞いておるのですが、総裁はその点御承知ですか。
  120. 大津留温

    参考人(大津留温君) ただいま御指摘の案件、二件ございます。従来、住宅金融公庫が貸し付けましたマンション融資、あるいはただいまの土地担保賃貸というような貸し付けに際しまして、その建設途中で事業主が倒産したというような例は実はないんです。たまたま五十年度に一件、五十一年度に一件、それもどういうわけか全国で仙台市においてだけ発生したという——偶然でございますが、これはきわめてまれな例でございます。しかし、御指摘のように住宅金融公庫がそういうものに貸し付けを決定するに当たりましては、事業計画なり資金計画なりいろいろ検討いたしまして慎重に審査した上で決定するわけでございますから、私どもとしても大変これは遺憾な事態だと思っております。これらにつきましては、その事後措置等もいろいろ慎重に対処したいと考えております。
  121. 遠藤要

    ○遠藤要君 まあ各党間で話し合って、やっと無抽せんで今度だけ融資をしようというような枠の中において、そういうふうな問題が出るということは非常に残念なことだと、こう思うんですが、ただ総裁ね、実質は二つだけじゃないんですよ、御承知になっているかどうかわかりませんけれども。その一つを建設業者が請け負って、それが倒産したために、やはり公庫の融資で別なの二つが工事保証人になっておった人がやむを得ずそれを仕上げたというような状態で、非常にそこに私どもとしては公庫融資のずさんさと言ったらいいか、何の間違いかどうかわかりませんが、たまたま私が見ると、工事の請負者の言葉を信用して融資をしたのじゃないかなあと、こう思われるんです。その請負者の口のかかったのだけが倒産しておる。それが請け負ったものだけが倒産したというような状態でございますので、私はそういうふうな点で、このように公庫資金というのが国民から渇望されておるときでございますので、十分ひとつ今後も配慮してほしいと。しかし、それかといって萎縮して、仙台にはもう貸し付けはやらぬというような姿勢をとられては困りますので、その点もひとつこの際十分のみ込んでおいてほしいと、こう思いますが、その点どうですか。
  122. 大津留温

    参考人(大津留温君) 御指摘のように、こういう事態が生じましたのは私どもとしましても大変申しわけないというふうに考えております。これからはそういう点をさらに慎重に審査いたしましてやりますけれども、また逆に、御指摘のように国民の待望の強い融資でございますから、いたずらに萎縮して、あるいは審査に手間取ってというようなことも同時に十分注意しなきゃいかぬと、こういうふうに考えております。
  123. 遠藤要

    ○遠藤要君 次に、団地の建設に伴うところの関連の公共公益施設の負担の問題についてお尋ねしたいのですが、これはいろいろやっぱり住みよい環境と言ったらいいか、住みよい環境づくりをするということになると、いろいろの公共施設をやらなければならぬことは当然なことだと思います。その負担が場合によっては入居者といいましょうか購入者に負担がかかり、場合によっては地元の市町村負担がかかる。そういうふうな点で、いろいろこれからの団地というのに対しては地方公共団体は逃げ腰でおるやに私は仄聞しておるんですが、そういうふうなことはないでしょうか、お尋ねしておきたいと思います。
  124. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘のとおり、住宅団地を開発する、建設する場合に関連公共公益施設の整備に要する負担というのが一つのネックになっていることは御指摘のとおりでございます。私どもの調べによりましても、公的開発でもやはり造成原価に占める開発者の負担額の割合というのが四五%、民間の場合でも三五、六%を占める大変大きいウエートでございます。もともとこういう団地開発するに必要な道路にいたしましても、上水道にしても、公園にしても、下水道にいたしましても、こういう公益施設というのは本来公物管理法に従いまして地方公共団体が設置し管理するのが筋でございます。ただ、これを設置する場合に、補助金を得たり、あるいはみずから単独でやったり、あるいは原因負担というようなことで原因者に持たせまして後で救済をする、こういうような違いはあろうと思いますけれども、少なくとも根幹的な公共施設あるいは学校等の公益施設というものは、本来の管理者が私は負担すべきものだと、こう思うわけでございます。しかし、わが国の場合、本当に先祖伝来住んでいる既成市街地の社会資本整備でも、実質計画的にこの整備に取り組んだというのは僅々この二十年来ぐらいの話でございまして、既成市街地ですらまだ十分に整備されていない。したがって、補助金が来てもほとんど新市街地の方に回る分がない、こういう状況でございます。しかし一方、団地を開発するサイドにとりましては、入居までには少なくともこういった学校から道路から下水道から公園からといった公共公益施設は整備しておかなければならないという緊急性もあるわけです。で、それに見合うところの地方財政がない。そういうようなことで、現在は御承知のような開発指導要綱と称する行政指導によって開発者が負担をさせられている現状でございます。  ただ、これがひいては宅地価格にはね返り、家賃にはね返るという問題もございますので、私どもは現在、開発者において緊急やむを得ない場合立てかえをしておく、そして後、財源措置ができた場合に償還をしていただく制度とか、あるいは地方債に対して利子補給をするとか、あるいは補助率をアップするというような制度をやってきているわけでございます。基本はやはり地方財政の問題でございますので、なるべくひとつ補助事業に採択していくという方法も考えながら、地方財政の負担を軽減しつつ開発者に余り負担がかからないようにしていきたい、このように考えております。
  125. 遠藤要

    ○遠藤要君 時間もなくなったので余り……、この点で話をもっと申し上げたいと思うんですが、いま一つだけお尋ねしておきたいと思うんです。  開発者の負担の一つの要因になっていますが、地方財政の現況から、そのための軽減策として、御承知のとおり四十二年に大蔵、文部、厚生、自治、建設と五省協定が成立して、住宅公団あるいは民間でも大規模の開発には立てかえ施行の制度が整備されていると承知をいたしておりますが、開発者負担は減少するどころか高まる傾向にあるときに、問題とされているこの制度が必ずしも十分な効果を発揮していないではないか、この制度の実績はどういうふうになっているか。また、開発件数のどの程度の割合にこの制度が乗っているかを明らかにしてほしいのであります。
  126. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 御指摘のとおり、この関連公共公益施設の整備につきましては、四十二年の六月に五省協定というのが取り交わされまして、当面開発者がこれを負担する、後から補助が追いかけていくという立てかえ制度の道が開かれたわけでございまして、それ以降四十七年には衆議院の建設委員会におきましても、この制度を少し充実せいという議決もございまして、逐年内容が改善されて今日に至っているわけでございます。四十二年当初、住宅公団に例をとりますと、この立てかえ額が十五億五千六百万円、住宅金融公庫におきましても四億一千万円程度あったわけでございますが、昭和五十一年度段階では住宅公団の立てかえ額というのは六百二十五億に及んでいるわけです。金融公庫につきましても立てかえ融資額は百二十六億という膨大な数字になっております。五省協定によって一つの方向が出てきたわけでございますが、大変私は大きい貢献をいたしていると思うわけでございます。ただ、御指摘のとおり、団地を建設する場合に必要な公共施設あるいは公益施設の整備負担総額から見ると、まだまだこれは大した額ではございません。もっと大きい額になるわけでございます。それをそれぞれ開発者が負担するというようなかっこうになっているわけではございますけれども、私どもはいま申し上げましたとおり、この立てかえ制度の内容をさらに充実いたしまして、地方公共団体に対するひとつしわ寄せを極力軽減していくような方向に持っていきたいと思っております。
  127. 遠藤要

    ○遠藤要君 宅地の開発、関連公共公益施設の整備の推進のために、五十三年度で建設省の予算概算要求には住宅団地建設促進臨時特別税を創設して、それを財源として公共施設の整備促進していきたいというように聞いておりますけれども、その具体的な内容をお聞かせ願えればと、こう思っております。  さらに、その新税によってその整備の構想は、地元負担額を軽減するための補助率をアップすることかどうかということと、現在の立てかえ施行制度があっても地元が団地を敬遠しているということは、立てかえ制度ではいずれ地元負担は残るという点があるので、補助率が実質上一歩前進できるかどうかということが期待できるかどうかということであります。この構想の対象は、公的開発だけではなく、民間開発も含まれているかどうかということをお尋ねしておきたいのであります。
  128. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 税制の要求、それから来年度の概算要求につきましては、いずれ政府部内で調整をいたしまして国会の御審議を賜るということになるのでございますが、要求をしておることは事実でございます。  その中身を簡単に御報告いたしますと、まず発想のもとでございますけれども、大都市圏に非常に住宅難世帯が集中いたしております。特にその大都市にそういうふうな住宅難の人が多いというものの一番大きい原因は、企業と人口が大都市に集中したということでございます。三十五年から五十年までの十五カ年にふえました千七百万人の人口のうち九割が三大都市圏に集まっております。したがいまして、そういうふうな住宅難の人がふえたわけでございますが、同時に、大都市圏におきます住宅立地の状況を見ますと、だんだん広域化をいたしまして、東京都二十三区を例にとりますと、周辺の千葉県、埼玉県、神奈川県、三多摩という方面にどんどん立地が進んでまいっております。そういうところにつきまして、やはり地元の市町村の方では、そういう関連公共公益施設の負担が大変だということで団地お断りという姿勢がきわめて明確に出てまいっております。そのために先ほど来申し上げております立てかえ施行制度だとか、起債とともに行う利子補給だとかいう制度を進めてまいりましたけれども、最近の状況で申しますと、先ほど先生お話し申されましたとおり、周辺の人口急増市町村におきましては借金の累増がだんだんたまっておりまして、最近では投資的経費の決算額を上回るというのが常でございます。  したがいまして、従来のように負担を容易にするということだけではどうも足らない、さらに軽減をするというところまで一歩踏み出す必要があるのではないかというのがこの発想のもとでございます。したがいまして、原因者であって、かつ比較的に負担のしやすいような企業に一応力をかしていただきたいということでございまして、大都市事業所税に大体準拠いたしておりますけれども、一年間に一億円の人件費をお払いになった企業はその〇・二五%の二十五万円を税金に出してもらいたい、四億円お払いになったところは〇・二五%の百万円を出してもらいたいということでございます。そういうものを集めまして国税として徴収をさしていただいて、それを周辺市町村住宅団地が建設されるに伴いまして戸当たりごとに単価をはじきまして、一つはメニュー的な補助に、一つは補助裏の利子の軽減等に充てるというようなことで、市町村に対しまして、官民を問わずひとつそういうような団地開発が行われます際に、それぞれの戸数に応じて配分してまいろうという考え方でございます。その際、先ほど申し上げましたとおり、公的開発のみならず民間開発も含んでいるわけでございますが、先ほど申し上げましたような使途を考えておりますので、直接いろんな公共事業の補助率のアップにつながるということではございません。
  129. 遠藤要

    ○遠藤要君 もっとお尋ねしたいところがあるんだが、どうも……。  それじゃ、公団の方にお尋ねしておきたいと思うんですが、公団にはいわゆる未入居住宅といいましょうか、それが約三万戸あると、こう言われており、睡眠土地が千六百ヘクタールと、こう承知をいたしておるんですが、これの解決策についていかような方法を講じられているかという点をお尋ねいたしたいと思います。  さらに、時間がないので重ねて一括して御答弁願いたいと思いますが、そのような土地なり未入居住宅を持っておる反面、いま話題になっているのは、いま家賃のプール制云々も叫ばれておるようでございますけれども、そういうふうな点で、そのしわ寄せが家賃に来るのかどうか、重なるのか、こういうふうな点をまずお尋ねしたいと思います。
  130. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) いまお話しのように、いわゆる長期保有土地というのは約千六百へクタールございます。これは大問題でございまして、これに対する対応策を真剣に行っておるわけでございますが、この市街化区域への編入、あるいは関連公共公益施設の整備というような、その他いろいろ隘路がございますが、こういう隘路を打開することがまず最も大事でございまして、先ほど来お話がございましたとおりでございます。鋭意地方公共団体等関係機関と協議を重ねておるところでございます。また、建設省におきましてもいろいろ御検討いただきまして、まあ二十二地区と言われておるこういう長期保有地区のうち、半分ぐらいの地区につきましては大体基本的な方向づけができる見込みでございます。残りの地区を含めまして今後一層施策を進めてまいりたいと存じます。  具体的な方法としましては、いま申しましたように市街化区域に入らないということが非常なネックでございますし、と同時に、道路あるいは上下水道その他公共施設の事業促進が必要であることは申すまでもないのであります。さらには公団住宅用以外に活用するということも必要かと思います。そういう具体策につきましては一つ一つの地区について具体的に考えていかなきゃなりません。それを取り進めてまいりたいと存じます。  それから、こういうものの金利等が結局住宅の家賃等に響かないかという問題でございますが、その数字につきましては、ちょっと担当の理事から申させていただきたいと思います。
  131. 沢田光英

    参考人(沢田光英君) 長期保有土地二十二地区にかかります金利相当額は、合計で五十二年三月末までの現在で二百七十五億でございます。これは御存じのとおり、住宅建設部門という住宅を建ててお貸ししたり売ったりする部門と宅地を供給する部門とございますけれども、それに分けますと百四十九億、百二十六億、かようなかっこうになります。住宅の家賃に関しますものは、先の方に申しました百四十九億でございまして、これが原価に入りまして、それが家賃額に響く。その額は原価家賃で三千六百円程度でございます。
  132. 遠藤要

    ○遠藤要君 これは、総裁がまだ新しい総裁ですので、古いことを聞いてもどうかと思うんですけれども、役所の形態としてやはり総裁に尋ねるよりほかないと思いますが、そのような遊休——遊休と言うとおかしい、長期保有土地を抱えなければならなかった状態、それから未入居住宅が三万戸もあると。なぜ途中でこれを早くもっと、やはりスケジュールが進めば入ろうが入らなかろうがつくっていかなければならぬという役所的なシステムでやっておられるんですかどうか、お尋ねしたいと思います。
  133. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 御指摘のような未入居住宅あるいは保守管理住宅、合計で三万戸以上もある、あるいは千六百ヘクタールに及ぶ長期未利用地があるというような結果が生じましたことは、まことに遺憾なことでございます。公団としましても、これを大問題として受けとめて鋭意努力をしておるのでありますが、その原因をいろいろ考えてみますと、例の土地ブームのときに、公団というのは土地がなければ何の事業もできないということで、急いで買い焦ったというようなことがいろいろ積み重なった問題ではないかと思いますし、住宅につきましては、だんだんと住宅が数の上では充足してきたけれども、質の点において国民のニーズに大きい変化があらわれてきておる、そういうことの変化に対する即応する姿勢がおくれていたということではないかと深く反省をいたしておるところでございまして、そういう反省のもとに、この問題の解決に全力を尽くしてまいる所存でございます。
  134. 遠藤要

    ○遠藤要君 やはり、怠慢とは言いませんけれども、公団自体のいま勉強不足がそのような長期保有の土地、そして未入居住宅というのを抱え込んでいるということは、やはり現在入居されている人、特にこれから入る人、家賃の問題、いろいろのまた譲渡を受ける人などにも不安を与えているという点もありますので、新総裁として十分今後の運営について配慮を願いたいと思います。  さらに私は、非常に不思議なことに、お役所でやる、公団でやった場合にはそういうふうな三万戸の未入居というような住宅が出ますが、民間等の特約の分譲賃貸住宅の場合にはほとんどが満配しているというような点をあわせて考えますると、大分民間とは、考えがお役所的なんだなと、こういうふうな感じを持ちますので、そういうふうな点を十分ひとつ今後の住宅政策には配慮していただきたい、こう思います。  さらにまた、公団にお伺いしておきたいのは、先ほど大臣からも、景気浮揚のためにも今年は七四・六というような予算の消化率を図っていると、こういうふうな話もございますけれども、公団のそういうふうな特定賃貸マンションやなんかの場合には、恐らく五十一年度のはまだ完成されておらないのではないか、こう思うんです。五十二年度の場合にも、総裁御承知かどうか、公団で受付締め切りは五月なんです。そうして大体その審査の発表するのが十月、工事着工が一月ということになりますると、年度内には完成ということはとうてい不可能だと、そういうふうな状態でございますので、私はいま少しこれをスピーディーに、国自体が挙げて景気の浮揚だ、住宅対策だというときに、公団のみが五月に締め切ったのが十月まで決定ができないということに私は相当疑問があるわけなんです。もっとスピーディーにできないものかどうかということをお尋ねしておきたいと思います。
  135. 沢田光英

    参考人(沢田光英君) まず、私から事務的なお答えをいたします。  先生のおっしゃっておられる件は賃貸用特定分譲住宅、いわゆる地主さんが自分で賃貸住宅を経営するものに住宅公団が建物を建てて長期割賦で分譲する、かような制度のお話だと思います。先生がおっしゃいますようなことでございまして、大体譲受人が申込書を提出をいたします。それからいわゆる承認の通知まで平均二、三カ月かかってございます。さらに承認が出てから工事着工まで三、四カ月通常かかってございます。合計でいたしますと五カ月ないし七カ月というのが実態でございます。これはやはり譲受人の申し込みにつきまして敷地の調査をしたり、あるいはこれは公団が建設をする場合には地元の公共団体に意向聴取をしなければいけません。こういう手続をやります。あるいは経営上の信用調査その他も全部やります。そういうことで承認まで二、三カ月かかるというふうなかっこうになっております。さらには、それから後工事にかかるわけでございますが、建築基準法上の手続その他をやります。そのほかに実は周りの条件がいろいろございまして、日照問題等ございますれば、それの説得というふうなことにもかなり時間をかけられております。そういうふうなことでおっしゃるようなことが起こっております。しかし、いずれにいたしましても、そういうものはできるだけ短くしてやろうということで詰めておりますけれども、ただいまのところ平均五カ月ないし七カ月かかっておるというのが実情でございます。
  136. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 事務的、技術的にはただいま申し上げたようなことでございますが、御指摘の御趣旨につきましては重々承りまして努力をしてまいりたいと存じます。
  137. 遠藤要

    ○遠藤要君 いまいろいろ事務的にお話をちょうだいいたしたんですが、私はこの審査の中に、いろいろ設計なり何か審査の場合に、日照なりいろいろの問題は、一体許可を与えてから隣接地や何かとの了解やなんかをとるのかと。そうじゃないんでしょう。最初にそういうふうなのが条件に具備されてなければならぬと思うのです。そうなったら私はもっとスピーディーに、五月のが十月までかかるというようなことでなく、もっとスピーディーにできないかどうかと、こういうようなことなんですよ。その点について重ねていま一度お尋ねしておきたいと思います。
  138. 沢田光英

    参考人(沢田光英君) 日照問題等あります場合には、これはまあ地主さんの方も先にやりましょうが、いよいよ着工してから出てくるという事例が非常に多うございます。しかし、これは特殊ケースでございますので、一般的には先生のおっしゃるように、できるだけスピーディーな事務手続ということを今後改善してまいりたいと思います。
  139. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、日本住宅公団関係について家賃値上げの問題あるいは傾斜家賃制度、それから未入居住宅、未利用土地、こういった問題についてお伺いをしていきたいと思います。この問題は、現在、時の問題として大変な反対運動が起こっておるわけでございますが、果たしていま住宅公団の考えているいわゆる家賃のプール制というものが適正なものであるかどうか、これを検討する必要がある。こういうふうに考えておる次第でございますし、さらに加えて申し上げますと、住宅公団は第二の国鉄ではないかと、また第二の国鉄になるんではないか、こういうことがちまたではささやかれているわけでございますし、こういった問題を含めてひとつ御答弁を願いたいと思うのであります。  まず最初に、建設省日本住宅公団は、四十八年以前に建設された公団住宅の家賃を値上げする動きがあるわけでございますが、その必要性と、今回初めてプール制を導入した理由をつまびらかにしていただきたいと思います。   〔委員長退席、理事赤桐操君着席〕
  140. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 公団の賃貸住宅につきましては、供給後相当な期間を経過した住宅が当初の低水準の家賃のままに据え置かれているという事情が一つございます。そのために新旧住宅の家賃の水準の間に相当の不均衡が生じてまいっております。必要な維持管理経費も償えないような住宅も出ているというのが現状でございます。それから他方、一方では新規供給住宅の家賃がノンプロフィットでございますので相当努力をいたしておりますけれども、最近とみに高額化する傾向になっております。このような問題を解決するためには、供給後相当の期間を経過しました住宅の家賃につきましては不均衡の是正をまず行う。そうしますと、やはり不均衡の是正によりまして財源は浮いてまいります。浮いた財源を活用するに当たりまして、これをいわゆるプール的というふうに方々に申されたわけでございますけれども、維持管理経費とそれから最近の新しい住宅の家賃の引き下げの財源に使うというふうなことを検討してまいっているわけでございまして、ただいま行おうとしております措置は、不均衡の是正によって得た財源を活用して、結果として維持管理費、もしくは新規家賃の減に使おうということでございまして、いわゆるプール制をやろうということではないわけでございます。
  141. 桑名義治

    ○桑名義治君 要するに、今回の値上げの理由は大きく分けて三つあると、いわゆる家賃の格差是正と老朽した住宅についての補修、あるいは今後建築される家賃の高騰を防ぐと、大体大きな柱としては三つを挙げられたと私は理解をします。  そこで、事務的な質問をまず最初にしておきたいわけですが、今回の値上げ戸数、それから家賃の値上げ額、いわゆる改定の内容をお知らせ願いたいと同時に、このことによってどの程度の増収が見込まれるのか、その点について伺っておきたいと思います。
  142. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 担当の理事から数字を申し上げます。
  143. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 今回値上げを考えております対象は、建設後五年を経過したものということで、昭和四十一年度以前に供給開始したものを対象といたしております。大体四十三万戸程度になります。  それからお尋ねの、どのくらいになるかということでございますが、この値上げの方式は公営住宅において行われております公営限度額方式、これを用いまして、さらに激変緩和等を考慮いたしましてやるわけでございますが、現在具体的な団地につきまして詳細な積み上げ作業を行っている最中でございます。それからまた事務的にもいろいろと詰める点がございまして、現在検討中でございまして、詳細な数字はまだ出ておりません。しかしながら、大体私どもの何と申しますか、推計と申しますか、おおよその見当をつけますと、大体一戸当たり五千円程度ということで、五十三年度には大体二百億円程度の増収が図れるのではないか、こういうふうに考えております。
  144. 桑名義治

    ○桑名義治君 この五千円程度という積算の基礎は大体どこから出たんですか。
  145. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 先ほども申し上げましたように、実際に額を算定あるいは値上げの額を決める場合には、団地ごとに詳細な資料を積み上げまして、平米当たりの単価を出しまして、古さとか、そういった事情等も考慮しなければいけませんので、具体的にはその後でございますけれども、先ほど、ことしの夏ごろこういう方針を決める際に、大体のおおよその見当をつけなきゃならぬということでもって、現在ありますところの私どもの住宅のそれぞれ年度の平均の家賃がございますので、それらをもとにしまして、いま申し上げましたような方式でもって、何といいますか勘定したわけでございます。そういったことでございます。
  146. 桑名義治

    ○桑名義治君 いまの事務的なお話ではございましたが、いまのお話の中では、要するに老朽のいわゆる住宅に対する改修、あるいは家賃の格差是正という面では一応理解ができるわけです、その場合は。しかし、そういう面に充てるだけであって、いわゆる家賃の高騰を防ぐというその積算はどこにあるんですか。
  147. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) いわゆるプール制、御指摘のプール制という言葉、どうも誤解を招くようでございまして、私は実は余りプール制という言葉を使わないのでございますが、とにかく非常に不均衡、不公平になっております家賃は引き上げなければいけない。当然それによって増収になるわけでございますが、一つの企業体といたしまして、その増収分を緊要度に従って支出に充てるということもまた経理上当然のことでございます。したがいまして、補修修理を要する住宅に対して充てられましょうし、それからその金額の動きによりましては新しい家賃の高騰を防ぐために充てられる分も出て差し支えないはずでございます。そういうふうな一つの企業体の経理として考えていいのではないか。ただ、その配分等につきましては、ただいま申し上げましたように、まだ実は詰めていないわけでございます。どのぐらい増収になるのかということも、平均五千円と申しまして、大ざっぱに四十何万戸で二百億円という腹づもりでございます。これを具体的に考え、どういう配分、使用がいいのかというのは、これからの詰めにかかっておる点を御理解いただければ幸せでございます。
  148. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、増収分はいわゆる補修に回すというふうに言われますけれども、では、いままではいわゆるこの補修費はどういうふうなことで支出をされておったか、どういうふうに組まれておったのか、その点について伺っておきたいと思います。
  149. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 担当の理事から……。
  150. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 現在まで補修費は、家賃の中に占める補修費といいますのは、大体工事費の百分の一・二、こういうことで算定いたしまして、家賃として徴収されております。
  151. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、この補修はいままでの百分の一・二ではもうおぼつかないような老朽化してきたと、こういうことにも理解をしていいですか。
  152. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 修繕につきましては、どういうものから優先してやるか、あるいはどういうものを重点的にやるかというふうなことについてはいろいろむずかしい問題がございますけれども、現在までのところ、先ほど来申しましたように、計算いたしました修繕費を家賃の中でいただいておりますので、それらのものをもちまして、一応私どもといたしましては、居住者に危険があるおそれのあるものとか、あるいはやっぱり居住性から見て非常に機能的に見て問題があるところとか、あるいは直さなければならぬというようなところとか、そういったものを最重点にいたしまして必要な修繕を行ってきているわけでございます。
  153. 桑名義治

    ○桑名義治君 だから、先ほどから申し上げておりますように、百分の一・二の修繕費では、いまは老朽化が非常にひどくて、これだけでは完全な赤字なんだと、こういうことですかと聞いているんです。
  154. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 私どもといたしましては、現在、先ほど申しましたような住宅としての機能を果たす上で必要な限度の修繕はいたしてきております。しかしながら、修繕の程度につきましてはどの程度がいいかということはなかなかむずかしい問題でございますけれども、現在までのところでは、一応いままでの収入の費用をもって一応の機能を果たしてきたというふうに思っております。しかし、当然のことながら古い住宅の家賃は非常に低いわけでございますから、このまま非常に続いていきますれば、当然のことながら順次足りなくなってくるところも出てくるだろうということで、今回の家賃の改定に伴いまして出てきました増収分につきましては、修繕にまず充てまして、そしてさらにその余の財源をもちまして抑制にも回していきたい、こういうふうに考えております。
  155. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、おたくの方で現在補修をする上における予算、予算額、大体どのくらい見込んでいるんですか。いま早急にやらなければいけないという予算額、補修の予算額、どのくらい見込まれているわけですか。
  156. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 五十一年度でやりました費用は大体二百六十五億円程度でございます。五十二年度では、いまこれからでございますけれども、最終的な額といたしまして三百二、三十億は要るのではないかと思っております。  それから先ほど、これが足りなくなったらというお話でございましたけれども、私ども現在までのところ、五十一年度で見ますと、修繕費で、家賃の中に占める修繕費というものだけを取り出しまして検討してみますと、約二十九億、三十億程度の不足が生じております。しかし、これは積立金等がございますので、これをもって賄っていきたいと、こういうような現状でございます。
  157. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、値上げの理由が非常に薄弱になってきたような気がするわけでございます。  そこで、ちょっと観点を変えますけれども、いわゆる今回の、私たちはプール制というふうに言わざるを得ないわけでございますけれども、内容から見て、プール制の家賃値上げは、公団の創立以来、家賃というものは一つの団地単位でいわゆる建設原価方式を採用しておるわけでございますが、今回の値上げの方向から見た場合に、いわゆるこの原価制が放棄されたのかどうかと、こういう方向が変更されたのだろうかと、こういうふうな疑いを持っているわけでございますが、その点はどうなんですか。
  158. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 先ほど申し上げましたように、この家賃相互間、あるいは世間一般の家賃水準等と比較いたしまして、こういう公的な国家資金による援助によって供給しておる住宅でございますから、もともと一般とは比較して安くても差し支えないわけでありますが、その安さが程度を失しては非常に不公正になるし、不均衡になる。と同時に、公団内部の住宅においても不公正になるということが基本的な値上げの理由でございまして、それでその増収分をもって補修費の不足を補い、それでゆとりがあればほかの緊要な、これはもちろん新しく供給する住宅の家賃の高騰を防ぐために使われる部分も予想されるわけでありますが、全体として緊要度に応じて支出を配慮するという考え方で、したがいまして、家賃決定の方式自体が決して変わったわけではございません。それははっきりいたしております。
  159. 桑名義治

    ○桑名義治君 日本住宅公団法施行規則九条には、個々の団地建設についてのいわゆる個別原価主義を述べていますけれども、そう述べていますけれども、今回の値上げの方式を考えると、これから逸脱したというふうにわれわれにはどうしても思われるわけですよ。今回のこのプール制の導入については、どうも私は規則に矛盾するような気がするんですが、公団総裁はそうではないとおっしゃいますけれども、そう思えてならないんですが、どうですか。
  160. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 私は、施行規則第九条と第十条と一体として読んでおりまして、家賃の改定のできる場合のことがそれぞれ規定してあるわけでございます。そういうことでございますので、御指摘のような方式自体を変更するということではないと存じております。先ほどプール制という言葉が誤解を生ずると申し上げましたのは、実はもう非常に平たく申しまして、Aという人から家賃を高く取ってBという人の家賃を下げるというような、そういうプールという感じをどうも持たれておるのではないかと、俗にでございますが、というようなことを感じますので、企業の総合経理としてのことを先ほど申し上げて、そういう誤解は避けたいと、こう申したのでございます。
  161. 桑名義治

    ○桑名義治君 企業の総合経理という立場からというふうに言われましたけれども、それは当然そうでしょう。そういう一面もあるでしょう。だけれども、今回の値上げの方向づけから考えた場合には、われわれはプール制としかどうしても見れない。一般の公団に入居していらっしゃる方々も恐らくそういう眼で見ていらっしゃるのではないかと私は思います。そこで、今度はこのプール家賃の値上げによって高い家賃を抑制するのもその一つの理由であるというふうに言われましたけれども、最近高家賃で入居した人々の家賃はこのことによって多少でも下がるのですか、どうですか。
  162. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) これをどういうふうに最近の家賃の抑制に使うかという具体的方法等はまだ細かく詰めてないわけでございますけれども、当然できるだけ新しい家賃の高騰を防ぐということも配慮に入るものと考えております。
  163. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうすると、いま入っていらっしゃる高家賃、最近入られた高家賃の方々のいわゆる家賃についてはまだわからないということですか。ただ、今後建っていくいわゆる公団の家賃についてはある程度頭を抑えることはできると、これは約束ができるけれども、ということですか。
  164. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 実はまだ細目につきまして公団とわれわれの中でも協議中でございまして、余り細目のお話を公団としてできないかと思いますが、現在検討いたしておりますのは、五十年、五十一年、五十二年供給のものにつきましては、すでに十年間の傾斜家賃で出発いたしております。それを適当なところで傾斜を打ち切るということは一つ考えております。それから高額のものにつきまして、現在既入居の分も含めまして実は値下げを検討いたしております。その点の値下げがどこまでできるかにつきまして、公団もまだ言及できない点がございまして申し上げておりませんが、方向といたしましては、既入居の高額家賃についても一部は下げる、それから傾斜の打ち切りも行う、それから新しく供給する今後の住宅につきましては、プール家賃の計算方法も変えるというようなことを考えております。特に家賃の初年度につきましてはやはり適正負担率の範囲内で家賃を定めていきたい、こういうことを検討いたしております。  しかし、いずれも今回値上げのために検討いたしております不均衡是正の計算のやり方でございますけれども、これは公営住宅の限度額方式というのを採用することにいたしております。公営住宅の限度額方式と申しますのは、公営住宅の家賃の値上げに当たりましては、これは公聴会もしくは建設大臣の認可が要るというたてまえになっておるわけでございますけれども、この範囲まではよろしいというのを住宅審議会の意見を聞きまして大臣が告示をすることになっております。その告示をいたしました率の範囲のさらに二分の一という範囲で個別に検討したいといま考えておるわけでございます。したがいまして、そういうふうな個別の積み上げをやってみませんと、先ほど確かに二百億と申し上げましたけれども、二百十億になるのか百九十億になるのかも定かでございません。その範囲内におきまして最終の歳出分につきましてまだ確定できない状況でございますので、まあ余りはっきりと申し上げておりませんけれども、われわれの考え方といたしましては、既存の入居者のものも下げる、傾斜も打ち切る、将来についても傾斜を改める、さらに適正な負担率で入居してもらうように家賃の引き下げを行うという考えでおります。
  165. 桑名義治

    ○桑名義治君 それで、大体の説明はわかったわけでございますが、新聞紙上によりますと、傾斜はいままでの十年が五年で打ち切るというふうに新聞紙上では載っかっているわけです。これはどうなんですか、やはり五年という構想がいま検討されているわけですか。
  166. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) これも現在まだ予算要求中の話でございまして、確定いたしましてから御審議を願うことになります。  それから、公団ともさらに細目の詰めを現在行っているところでございますけれども、やはり最近のように所得が余り伸びなくなりますと、従来の十年でございますと、十年たちますと、六分何厘の傾斜で現在やっておりますけれども、倍ぐらいになります。それではやはり先行き不安で、皆さんの方にもなかなかぐあい悪い。傾斜五年ぐらいで、五%ぐらいでひとつやったらどうかということを公団と現在検討しているのは事実でございます。
  167. 桑名義治

    ○桑名義治君 大体説明はよくわかったんですが、そこでこのことによってこれからの建設分がある程度頭を抑えることができるかどうかということと、これは確認の意味を含めているわけですが、さらにこのいわゆる値上げによりまして、以前と比べた場合にはどの程度の家賃が下がる計算を大体見積っておられるのか、そのところをちょっとお聞きしておきたいと思うんですが。
  168. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) その点につきましては、先ほど申し上げましたとおり現在公団と細目の詰めを行っておりまして、まだ申し上げられる段階ではございません。傾斜を五年で打ち切るのか、七年で打ち切るのか、そのために必要な財源はどれぐらいか。それから傾斜を五%にして、供給戸数がどれぐらいあれば、どれぐらいのものができるのかというような点につきましての詰めは、これはもう少し時間をかけさしていただきたいと思っております。実施の段階も来年の七月ごろと目標を立てておりまして、先日、九月の終わりに現在の公営住宅の新しい方式の数字を示したばかりでございますので、やっとその計算に入ったというところでございまして、まだまだ大まかな数字でも申し上げる段階ではないと思っております。
  169. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこで、新旧の家賃の格差是正、これが今回の家賃値上げの最大の理由になっているんではないかというふうに考えるわけですが、古い三十一年に入居した当時の家賃の負担率、これはおたくの説明からしますと大体一七%、それから今回の家賃の負担率は上がったところで一六%ぐらいだと、こういうふうに言われているわけですが、しかし、三十一年ということになれば相当な老朽化、さらに設備が現在の場合と比較した場合には非常な格差がある、それから非常に狭い、こういう古い団地の住宅水準の低さから考えまして、現在の家賃の格差だけでいわゆる値上げ問題を云々するのはどうだろうかというふうに私たちは思うわけでございますが、その点の配慮はどのようになさっておられるわけですか。
  170. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 昭和三十一、二年当時の入居者の方々の負担率が一七%、これはおっしゃるとおり、その程度であったわけでございますが、大体その程度負担率を維持しようというのが公団の一貫した方針でございまして、現在では一六%前後になっていると思われるのであります。ですから、その負担率が著しく違ったということではないのでありますが、その後の公団住宅の家賃を見ますと、空き家になって、そこへ改めて新しくお入りになった方は相当値上げになっておりますが、一貫してお入りの方々の家賃はそのまま据え置きでございますから、負担率というふうな点から申しますと、二%を割るというような例も出始めておるわけでございます。先ほども申しましたように、公団住宅のような公的援助によりまして供給される施策住宅でございますので、入居者の方々にも適当な負担をしていただくというのが私は妥当であると思うのでありますが、御指摘のように質的な問題、古くなっておるというようなこと、そういうものは十分考慮して今度の家賃改定はそれぞれ格差を設けて行いたいと考えている次第でございます。
  171. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、敷金の問題に移っていきたいと思いますが、東京・赤羽北二丁目団地の傾斜家賃、三DKの場合でございますが、十年後の六十二年の家賃が十二万六千六百円。三カ月分で約三十八万円が基準となるわけです。一般の入居者にとりましてこの三十万円以上の敷金負担というものは大変なものだろうと思います。この敷金について検討し直し、また軽減を図るという御意向はおありですか。
  172. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 敷金につきましては、国会におかれましてもいろいろ御意見のあったところでございまして、私どもこの改定を実はいたしたいと考えておるわけでございます。現在は御承知のように傾斜の最終家賃の三カ月ということになっておりますが、これを入居の最初の家賃の三カ月分を納めていただく、それで一年ごとに傾斜で上がります分はそれに含めましていただいてはどうか、こういうような案を実は考えておるわけでございます。
  173. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、傾斜のいわゆる最終家賃の敷金というのは、それが基礎になっているというところに不合理を感じるわけです。民間住宅だったら、最終的にこういうふうに上げたいのだと契約を結んだとします。!最終家賃で敷金くれと言ってくれますか。これ、くれないと思うのですよ。やはり入居するときの家賃の何倍ということで初めて敷金なりあるいは権利金というのはここではじかれているのが民間の通例ではないかと思う。それを最終家賃の三カ月分というのは、これはちょっと民間のいわゆる住宅から考えた場合どうしても私たちは納得できないのですが、この点はどういうことを考えているのですか。
  174. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 実は私申し上げたのは同じことなんで、従来は最終家賃——予想される最終家賃で三カ月取っておる。今度改定するのは入居時の家賃でお願いする、こういうことを申し上げたわけでございます。
  175. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 一言補足さしていただきたいと思いますが、公団の傾斜家賃の最終家賃が実は現在は正しい家賃なわけでございます。それで、むしろ傾斜と申しますのは、その間をまけておるという考え方だったわけでございます。したがいまして、どうしても従来はその契約家賃の三倍ということでやってきたわけでございますが、おっしゃるとおり大変われわれも不合理だと思っております。したがいまして、来年度予算と言わないまでも本年度中でも是正できないかということで、現在大蔵省と鋭意折衝中であることを申し添えさしていただきます。
  176. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、もう一点問題が起こるわけです。というのは、この傾斜家賃で敷金を払って入居している方々、こういった方々がいらっしゃるわけですが、傾斜を五年で切るということになれば、当然これを切るということにすれば、仮定ですね、まだ。すれば、この敷金の返済をしなければならなくなるわけですね。その敷金の返済も考えていらっしゃるのですか。
  177. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) その辺が現在詰めておる細目でございます。
  178. 桑名義治

    ○桑名義治君 大事なところになってくると、すぐ検討中でございます、検討中でございますで、せっかく全貌が明らかになろうとすると腰を折られちゃうわけですが。
  179. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) では、桑名さん、ぼくが一言。  これは本当のところ、今度政府が幾ら出してくれるんだ、折衝もしなくちゃならないでしょう。まだその段階までいっていないのですよ。これの方が、その新聞報道の方が早くって、実際われわれがそこまで考えていないうちに先にもう発表しちゃったものだから、いろいろ言われているが、全くまだ何も、どういうふうに持っていってどこまでやるのだという、本当に実際のところ原案はまだできておりません。だから、そこが決まってきて、これが決まってきてないと、元が決まって、親が決まって子ができてくるようなものだから、親がまだできないんだな。だから、親がまだ結婚したはかりのときに——初めがおかしい、親の下話が出て、子ができたらどうするんだろうと、そればかり言われているので、さっぱりこっちで答弁も、総裁としても答弁ができない理由はそこにあるのです、はっきり。その元ができてきてないんだから、それを言われているんだけれども、いろいろ皆さんのおっしゃることは参考になってきて、これからいろいろやりますけれども、きっちり攻められると、どこもまだ元ができてないんだから、親がまだ結婚してないんだから、話だけだから、結婚させようじゃないか、どうだくれるか、嫁に出すか出さないかの話のうちなんですから、それをひとつ決めなければ、桑名さんのおっしゃることは全くごもっとものことなんだけれども、なかなかお答えができないという理由がそこにあるわけなんです。ですから、そういう面も十分お話を承りまして、そしてさきの提案箱じゃないけどお知恵を拝借して、十分その点についてはこれから折衝をいたして御期待に沿うような方向づけをしていきたい、こういう考え方でございます。
  180. 桑名義治

    ○桑名義治君 傾斜家賃の場合でございますけれども、高度成長時代から低成長時代に入ってきたと、それから給料も御存じのように七%アップするかどうか、非常に行く先不安な状況の中に入っているわけですから、そういった一切の経済情勢もさらに一枚勘案しながらこの問題には十二分な検討をしていただきたい、このことを申し添えておきたいと思います。  さらに、先ほどちょっと出ておりましたが、未入居住宅と保守管理住宅の数をお知らせ願いたいと思います。
  181. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) いわゆる未入居住宅の戸数は約一万七千戸でございます。それから保守管理住宅の戸数は一万八千戸と相なっております。
  182. 桑名義治

    ○桑名義治君 未入居住宅も一万六千九百二十六戸ですね。まあ非常に大きな数を示しておるわけでございますが、公団はこの対策を講ずると約束をしているわけです。五十二年の二月十二日のわが党の正木委員の質問にも答えておられるわけでございますけれども、今日までにどのようないわゆる努力をしてきたか、それから完全入居までの見通しはあるのかどうか、この点について伺っておきます。
  183. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) この問題は、去る通常国会以来先生方の非常な御指摘を受けたところでございまして、公団としても全力を挙げてこれに対応しておるわけでございます。  まず、応急対策と基本的な対策に分けまして、応急対策としましては、建設省の御意向も受けまして、住宅需要に即応した魅力のある住宅への改造をする。要するに、需要のつかない住宅はつくらないということがまず第一でありますが、つくってしまったものは需要がつくように改造なりその他の施策を講じようじゃないかということが一つ。それから入居基準を緩和する。独身者もいいであろう、あるいは場合によっては複数の住宅を提供することもあり得る。その他の基準の緩和と、それから広報活動の強化によりまして公団住宅について御理解をいただくというようないろんな応急策を実施いたしまして、未入居住宅解消に努めておるのであります。例は省略いたしますが、たとえば二戸を一戸に合わせて分譲住宅に改めるというようなことが若干の効果を示し始めておるのであります。  また、基本的方策といたしましては、これも建設省委員会の御意向を受けまして、まず需要調査の徹底、国民のニーズがどこにあるかということを徹底的に調査することがまず第一だと思うので、その努力をしておるわけであります。それから住宅立地の改善。どういう立地がいいか、住宅規模等の見直しが必要であります。それから、あらゆる方策を講じて住宅価格の引き下げに努力する。そして家賃、譲渡価格の算定方法の改善、これは今後の問題にもなりますが、これを考えてまいりたいということで、公団の中にも経営改善推進本部というのを設けまして、総合的に公団を挙げて問題解決に努力をいたしておるわけでございます。  いつごろ、どうなるかという趣旨の御質問がございましたが、何せこれ住宅という商品はすぐかえるというわけにもまいりません。と同時に、たくさんの未入居なり保守管理の問題があるわけでございます。いまどの時期にどのぐらいと申し上げることの実はできる用意がないことははなはだ申しわけないのでありますが、全力を挙げて早期解決に努力する、こういうことでございます。
  184. 桑名義治

    ○桑名義治君 私がいま御質問申し上げたのは未入居住宅の問題でございましたが、保守管理住宅もそのような方向で考えているというふうに考えていいわけですか。
  185. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 同様に考えてまいりたいと思います。
  186. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、保守管理住宅の問題はまた別の問題だと思うんですよ。というのは、おたくの方で、でき上がっているけれども、これは募集してないやつでしょう。募集してないというのは可能性がないということです。可能性がないということは、これ恐らく三悪と言われているその一つ、いわゆる遠過ぎるということが一番問題になっているんじゃないかと思うんですよ。これはどんなに改良したって、なかなかこれまた募集が非常に困難な事柄ではなかろうかと、これにはもう一工夫必要ではなかろうか、こういうふうに私は思う。それと同時に、保守管理住宅の問題として、その損失分、それからその金利はどのくらいになっているのか、そしてこの損失分あるいはこの金利はいま入居していらっしゃる人にどのくらいの負担でかかっているのか、いわゆる家賃にですね、その点を伺っておきます。
  187. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) さきに保守管理住宅も同様と申し上げましたのは、先ほど立地の改善とか規模の見直しとか価格の引き下げ、そういうような基本線においては同様であると、こういう趣旨で申し上げたわけでございまして、まだ募集してないものでございますから、それは未入居住宅よりも一工夫よけい要るということはお説のとおりであります。  いまの数字につきましては、担当理事から申し上げます。
  188. 沢田光英

    参考人(沢田光英君) 総裁からお答え申し上げました八月末の保守管理戸数は一万八千四百七十五戸でございます。この戸数につきまして五十二年八月末までの金利は四十三億でございます。これが原価にそれぞれ入りまして家賃計算をされるわけでございますが、これが入った新しく募集される住宅につきましての家賃は、月額で約千百円、その分が入ることになります。
  189. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、物価が上がったからとか、土地の購入が大変だから値上げをしなければならないとか、いろいろな理由があるようではございますけれども、こういった一連のいわゆるずさんな経営が——まだいまから先また土地の問題も入っていくわけですが、ずさんな経営が家賃の値上げ幅を大きくしたのではないか、こういうふうに私たちは考えざるを得ないわけです。先ほどからお話がありましたが、いわゆる公団は政府の資金が、公的資金が入っているので云々というお言葉がございましたけれども、それならば、こういったずさんな経営そのものがこういうふうに家賃の高騰につながっていくということは、これは国民として許されない、こういうふうに考えざるを得ないわけですが、その点どうですか。
  190. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 御趣旨はまことにごもっともでございます。公的資金を投入し、それが果実を生まない状態において停滞しておるということは、工夫が足りなかったということはもう明瞭であります。さればこそ、私どもその解消、流動化のために目下全力を挙げておるような次第でございまして、御理解を願えればありがたい次第でございます。
  191. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題は、まあ全力挙げてということですが、後で具体的にまたお聞きをしたいと思うんですが、これは土地と絡まして話が進んでいかなければ、この問題だけではございませんので、この論議はここで一応とめておきますが、いずれにしましても大きな問題を抱えているわけです。  まあいままでの論議の中から考えられることは、こういうふうな未入居住宅あるいは保守管理住宅、これに莫大な金、いわゆる利子がそれぞれの家賃にかかっておる。国鉄が赤字だから運賃を値上げする、全く同じ方式なんです。このままの状態でずるずる行くならば、ただ単に家賃を上げることによってその一部を糊塗するというような解決方法では、これは病膏肓に至る、こういうふうな警告をせざるを得ないわけであります。  そこで、団地によりましては公共負担分が家賃の中に二万円以上を超えていると、こういうふうに聞いているわけですが、関連公共施設負担分が家賃にどのように影響しているか、これを金額でお示し願いたいと思います。
  192. 沢田光英

    参考人(沢田光英君) 数字でございますので、私からお答えいたします。  五十一年、五十年、この両方で発注をいたしました一般買収の団地系住宅の一戸当たりおおむね関連公共負担は百三十七万円となっております。これを原価家賃に換算いたしますと、一戸当たり八千二百円、月にふえる、かようなかっこうになっております。
  193. 桑名義治

    ○桑名義治君 この関連公共公益施設負担に対する公団の基本的な考え方、それから建設省としての、建設大臣としてのいわゆる基本的な考え方、このことについてお伺いをしておきたいと思います。
  194. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) いままでのあり方というのは、私はずさんではなかったかと言われてもやむを得ない点もあるだろうと思います。したがって、これからの関連公共施設というものは、国で持てるものはなるべく国で持つようにしていかなければいかぬ。申し上げたように、たとえば関連の道路だとか、先ほどお話があったような道路の問題、あるいはこれから流れ出てくる下水道の問題、上水道の問題等々幾つもあるわけでございますから、なるべく国で持てる範囲を広げて、そして負担の軽減を図っていくようにやっていかなければいけない、そういうふうにわれわれは指導しているものであります。先ほど総裁からもお話があったように、私が入りまして、二月の十四日でございましたかと思いますけれども、公団というものはこのまま放置しておいたのではだめではないか、もっと公団に住む人が喜んで住んでもらえるような方途をとらなければいかぬじゃないかというようなお話も申し上げまして、そして先ほど申し上げた需要調査の徹底だとか、需要というものが、どの辺にどういうふうに需要要求というものを一般利用者が考えているんだろう、それにおこたえするような方法をとらなきゃならぬじゃないかというようなことで幾つか、先ほど総裁が申し上げた五項目につきまして、つい最近こういうような面を改善すべきであるということでもって公団との話し合いを進めておるところでございまして、これも二月の十九日だかに私の方からお話を申し上げまして、次官を長といたしまして、これに関連する方々にみんな委員となってもらって、これに対しては十分に徹底した協議を重ねてまいったところでございます。その中にある、やっぱりいまお話しの公共施設の件につきましても、なるべく公団を御利用していただく方々には御迷惑のかからないように、でき得る限り国で負担ということに今後重点を置いていこうじゃないか、こういうような話ができまして、いませっかくその方向づけをしているところでございます。
  195. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) ただいま大臣からのお話のとおりでありますが、公団といたしましても、こうした関連公共公益施設についての負担につきましては、その根幹的なものはどうしてもやはり管理者であります地方公共団体が負担するのが筋ではないかということで、関係官庁その他いろいろお願いいたしますと同時に、それがいわゆる未利用地の流動化にも重大な影響がございます。地方公共団体にも鋭意折衝をし、理解を得ることに努めておる次第でございます。先ほども理事から申しましたように、一戸当たり百三十七万円、家賃にして八千円以上の負担になるのでありまして、これは私ども重大関心事の一つでございますので、政府にもいろいろお願いを申しておる次第でございます。
  196. 桑名義治

    ○桑名義治君 関連公共公益施設の負担については、これはでき得る限り国の資金云々というお話が、そういう方向で検討なさっているというお話でございますが、これは非常に大きいわけですね、金額として。いわゆる大型の団地になれば小学校も建てなきゃならぬ、中学も建てなきゃならぬ、水道も、病院からとにかく保育園からいろいろな要求事項、あるいはまたこれに関連した道路下水道ということで大変に大きないわゆる負担になるわけでございますが、これはこれだけこういった特殊な大型の団地を建設する場合には、こういう公益施設について具体的にどういう方向にすればいいだろうかというふうなめどみたいなもの、素案みたいなものをお持ちですか。
  197. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) その具体策としましては、現在やっておるようなたとえば公的宅地の開発事業に対する長期の低利資金を考えるとか、あるいはまた民間の優良な宅地開発事業に対する政策金融の拡充をやるとか、あるいはまた関連公共公益施設の整備につきまして立てかえ施行制度等によって助成の促進措置を講じておる、こういうようなことを現在行っておるところでございます。
  198. 桑名義治

    ○桑名義治君 現在行われておる扱いを聞いているわけではなくて、こういうふうに非常に大きな負担になっているために、これをさらに解消するためにいま大臣はいろいろと検討しているというふうなお話がございました。したがって、もう実際に考えてみますと、普通の人々が家を借りた、その場合に学校の負担金は出さないですよ。下水道負担金も出さないですよ。そんなに家賃に上積みされている部分はないですよね。ところが、こういった公団のいわゆる大型の団地に入ったがゆえにそういう一切のものを含めて家賃として支払いをしなければならないという、非常に理屈としては、道理としては合わない負担分を十二分に抱えているというわけですから、したがって、そこをどういうふうに、国の施設として建てた以上は少しでも市民の負担を軽くしていくという方向を模索し対策を立てていくのが国としての大きな役目ではなかろうか、こういうふうに思うんです。各地方自治体にしましても、いま地方自治体の財政困窮の折からでもございますし、それと同時に、中にはそんな大きな公団住宅を建ててもらっては困る、こういうような論議になり、あるいは実態があるわけです。それは先ほどから論議を呼んでいる事柄ですけれども、そういった中で建った住宅でございますので、地方自治団体にも大きな負担をかけることはこれは大きな禁物でもございますし、またすでに住んでいらっしゃる住民の方々の大きな不満を呼ぶこともこれまた事実でございます。もともと自分たちが納めた税金が新しく入った人々に全部転化されてしまう、全部そこに支払いされてしまう。そうすると、おれたちの既成の市街地の改修はどうなんだと、こういうような事柄が、町田にしましても、千葉の都に近い周辺の市長さんはみんなそういう不満を持っているわけです。私も全部回ってみたことございますけれども、そういうことを解消するためには、いわゆる国の施設として建てる以上は、これはそこら辺までは国がめんどうを見るべきだろうというふうに思うわけですが、その積極的な施策を、具体的に素案があればというふうにお聞きしているわけですから……。
  199. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 現在、関連公共公益施設が団地立地その他に対しまして非常に大きな障害になっているということが先ほどから問題になりましたけれども、先ほどから大臣も申されましたように、まず国なり地方公共団体なりが管理をすべきものは、原則としてそこが責任を持つべきだというのが基本の考え方でございます。したがいまして、建設省といたしましては、たとえば補助事業も含めまして、建設省関係ございます団地開発等につきましては、省内に技監を長といたします予算の配分のための連絡会議を設けております。したがいまして、たとえば住宅公団からの街路、公園下水道等所管内のものにつきましては、そこへ持ち出しまして連絡調整をいたして個所づけをするという措置をいたしております。それから関係各省にわたるものがございます。そういうものにつきましては、先ほど申し上げました立てかえ施行制度、五省協定によって進めてまいっておるわけでございます。これは単なる立てかえでございますので、これは家賃なり分譲代価にははね返りません。  それからさらに、今後の問題といたしまして努力いたしておりますのは、先ほど申し上げました周辺市町村が、そういうふうなことはわかっておるけれども、背に腹はかえられず公団等に負担をかけておる、それが公団を例に申しますと、百三十七万円一戸当たりかかっておるということでございますが、そういうものをできるだけ軽減をするという趣旨で新しい市町村への補助金、それはまあやっぱり地方交付税でございますと全国の配分の取りかえにすぎませんので、パイをふやすという意味で新税もつけて強く要求いたしておりますが、そういうものの推進を図りたい。それから特に住宅公団等につきましてはそういう問題が波及しております。したがいまして、これも来年度予算要求中の話でございますので今後の問題でございますけれども、初年度といたしまして、とりあえず五十億円のそういうものに充てる費用を要求いたしておるというようなことがそのための前向きの対策の一つかと考えております。
  200. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題ばっかりやっておるとほかのができなくなりますので、ここらで次に移りたいと思いますが、先ほどからこれも問題になっておった未利用地でございますが、いわゆる長期保有土地、いわゆる遊休土地といいますか、これは面積はどのくらいあるか、それから地区数はどのくらいになっているのか、最も長く保有している土地はいつごろの購入なのか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  201. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) いわゆる長期保有土地でございますが、これは昭和五十年度の会計検査院の決算報告におきまして指摘されたものでございます。それによりますと、二十二地区、約千五百八十九ヘクタールでございます。そのうち最も長期であると思われるものは大阪府の高槻にございます阿武山地区、これは三十九年度取得開始したものでございます。ここまででよろしゅうございますか。
  202. 桑名義治

    ○桑名義治君 これらの土地はもう利用できないんですか。それとも、この利用についてはどういうふうにお考えになり、どういうふうな手を打たれましたか。
  203. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) これらの土地が長期にわたって利用できない理由でございますが、これは一般に申しますと、市街化調整区域に入っておるということで手がつけられないというのがかなり多いのであります。それから農用地等の公法上の開発規制を受けておるものがございます。それから上水の確保に問題があるというようなことで工事に着手できないもの、あるいは河川下水道等の排水処理施設に問題がある。それから鉄道、バス等の交通手段の確保に問題がある。それから道路とか公園、学校等の関連公共施設の整備につきまして地方公共団体の財政を圧迫するというような理由で話し合いがつかないというように、理由はいろいろあるわけでございまして、ですから、これを流動化するためには一つ一つについてその理由をつぶしていかなきゃなりません。現在、住宅建設部門で十四地区ありますが、そのうち九地区ぐらいは少しずつ問題が解けてきそうである、この中の二地区ぐらいは来年度ぐらいには何とか考えられないだろうかというような模様になってきておるのでありますが、なかなか当分手がつきそうもないというのもあるわけでございます。
  204. 桑名義治

    ○桑名義治君 いま理由をお聞きしますと、これは購入の当初からわかっていることなんですね。購入の当初から、そういういわゆる欠陥土地でありながらこういう膨大な長期保有土地を持っているということ、ここに大きなやっぱり問題がまた一つあるわけです。いわゆる未入居住宅の問題や保守管理住宅の問題あるいは長期保有土地の問題、こういったことをずうっと列挙していけば、果たして今回の家賃の値上げが適正であろうかどうかというところには大きな疑問を生ずるのが、現在入居していらっしゃる方々の正当な私は疑問だろうと思います。当然なる疑問だろうと思います。そこで、ただ単に家賃を値上げしただけでこの公団の経営が健全になるということは私は考えられない、こう断ぜざるを得ないのでありますが、そこで、この二十二地区の土地の購入による金額と金利の支払いはどのくらいになっているのか、それから公団住宅問題対策委員会が基本的な対策を打ち出しておるわけでございますが、公団としてはこれにどういうふうに対処をされようとしておられるのか、その点を伺っておきたいと思います。   〔理事赤桐操君退席、委員長着席〕
  205. 沢田光英

    参考人(沢田光英君) まず、金額の点からお答えをいたします。  取得金額は、先ほど申しました地区数、すなわち二十二地区、住宅建設部門が十四地区でございますが、これが五百六十七億でございます。それから宅地開発部門が四百二十億でございまして、おおむね九百九十億ということになっております。これに対する金利でございますが、合計で、五十二年三月末現在で二百七十五億でございます。住宅建設部門が百四十九億でございまして、これが家賃に関係するということになります。宅地開発部門は百二十六億でございます。
  206. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) これに対する対策でございますが、先ほど申しましたような、これが未利用のまま保有されておることに至った理由を一つ一つの地区について解決していく。市街化区域への編入をお願いするとか、あるいは道路、上下水道の関連公共施設の整備等の隘路の打開を図るというようなことを一つ一つの地区について全力を挙げてやっていきたいと思うのであります。このために建設省の公団住宅問題対策委員会あるいは私の方の経営改善推進本部を中心といたしまして、公団の全力を挙げて積極的に立ち向かう目標の一つとして努力をいたしておるわけでございます。
  207. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、これは家賃にどのくらいはね返っていますか。
  208. 沢田光英

    参考人(沢田光英君) 一戸当たりで、先ほどの金額から家賃計算に出てまいりますのが、平均で三千六百円でございます。
  209. 桑名義治

    ○桑名義治君 そうしますと、未入居住宅あるいは保守管理住宅、これが八千百円、それから今回のこの土地の場合を換算すると、これが三千六百円、そうすると一万一千七百円という、この家賃の負担分が重なるわけでしょう。いいんですか、これで。
  210. 沢田光英

    参考人(沢田光英君) 八千百円は関連公共でございます。
  211. 桑名義治

    ○桑名義治君 関連公共か。まあ関連公共にしましても、こういうように関連公共から未入居住宅あるいはこの土地の問題、こういうものをやりますと二万円近いものがいわゆる家賃に上乗せになっておるわけですよ。そうなりますと、やっぱりただ単に、先ほどからたびたび申し上げておりますように、今回の五千円の家賃の値上げというものは果たして適正であるかどうかということは、これは大いに考えなければならない問題だと思うし、これは公団としては抜本的に考えていかなければならない問題があると思う。こういう深部にいわゆる介在している問題点をえぐり出して改善することによって、公団が公団の適正な運営なりあるいは適正な家賃というものが確保できるのではないかと、こういうふうに思うわけですが、こういった実態にかんがみまして、建設大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  212. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) お説ごもっともなんで、私の方は近いうちにこの未利用の土地、これは整理させてしまう考え方でございます。したがって、そういう面も整理をいたしまして、そして本然の姿に返って先ほど申し上げたような点について今後の経営に当たっていくべきである、こういうものはもう全部処理しちゃえ、損は、損だったら損でそれでよろしい、そういうふうなことに——金利が損なら損でやむを得なかったということで処理すべきだ、必要のないものは取っておいたって仕方がないというふうに私は考えております。そういうふうな処置をさしていく考えでございます。
  213. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣ね、損は損でいいと言われますけれども、その損が家賃にかぶせられているところに私は一番問題があるというふうに提起しているんですよ。損は損でいい、それを次のことを考えろ、その次のことを考えているその次のことの考えが家賃にかぶせられているというところに私たちは問題があると、こう言うわけですよ。
  214. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) そういう面について、そういう損があったような面について、先ほども申し上げたような、これを国の方からも幾らか援助してもらえないかと、そういう面をいま次の予算でもって折衝していく考え方でございます。だから、なるべくいま利用していただいている人に迷惑のかからないような措置をどうしてとるかという、そういうことを考えて、まだそれが決まらないもんだからはっきり申し上げられないということなんでございます。
  215. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣の御答弁いただきましたが、いずれにしましても、公的資金が入っているとは言いながらも、出資金が一%、利子補給が一・一%、政府借入金が六二・五%、民間借入金が三五・四%、こういうふうに考えてみますと、政府から出しているのは、実際に政府が現実に運営上に出しているお金といえば利子補給程度にすぎないわけで、あとは仮受金ということになっているわけですが、民間の借入金が多くなれば多くなるほど利子が非常にかさんでくるということでございますし、それと同時に、いままでいろいろと指摘しましたように、いろいろな問題をまだ含んでいるわけでございますから、大臣の言われたように政府資金を投入し、一日も早く正常な姿で、そしていわゆる安い適正な家賃でこの公団の全体の運営をされることを私は望んでやまないわけでございます。それについての最終的にもう一度大臣の御決意を伺って、この問題は終わりとしたいと思います。
  216. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) ぜひお話のような方向に向かって何とか早急に処理して、そして公団の本然の姿に返ってその運営に当たらせるようにいたしていきたいということを申し上げたいと思います。
  217. 桑名義治

    ○桑名義治君 次に、土地税制の緩和の問題についてお伺いをしておきたいと思います。  国土庁、建設省土地税制の緩和を目指していると、先ほどからの質問のときにも御答弁をなさっておったわけでございますが、その理由は何かお聞かせ願いたいと思います。
  218. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 住宅対策が非常に緊要な課題になっているわけでございますが、住宅を建てるために必要なのは宅地でございます。現在宅地供給が四十七年をピークといたしまして非常に減少いたしております。ことに宅地供給につきましては、区画整理まで入れますと民間デベロッパーが約八割近くのシェアを占めているわけでございますが、民間の宅地供給が非常に減少しておる。そこで、民間の宅地供給意欲を促進する一つのねらいといたしまして、四十八年税制当時、地価の暴騰あるいは投機的な土地取引を抑制するという方針で税制をやってきたわけでございますが、この四十八年税制の枠組みは堅持しつつ宅地供給促進の観点から税制を見直したらどうだということで、現在税務当局と相談している段階でございます。  その内容といたしましては二つございまして、一つは法人の土地譲渡益の重課の改善でございますが、これは御承知のように法人税のほかに二〇%の加重がなされるわけでございますが、宅地供給の促進という観点からこの加重の適用除外要件が三つございます。一つは、適正利益率二七%の範囲において供給するということ。それからもう一つは、開発許可を得ているということであります。もう一つは、でき上がりました土地を公募して譲渡するという三つの条件が基本になっているわけでございます。しかし、この税制ができて以降に国土利用計画法ができまして、二千平方メートル以上につきましては土地の取引の適正価格審査をやっているわけでございますので、現在の二七%の適正利益率の審査と二重チェックになっているわけでございます。したがいまして、国土利用計画法が適用になりましてもう相当の実績を持っているわけでございますので、この適正利益率を適正価格審査に変えるというのが内容の一つでございます。  それともう一つは、公募という条件でございますけれども、デベロッパーからホームビルダーにこれを譲渡する。ホームビルダーはこれは公募でやるわけでございますから、そういうものにつきましては、デベロッパーからホームビルダーにいくものについては公募条件をひとつ緩和したらどうかということが一つでございます。  それからもう一つは、地方税でございますところの特別土地保有税でございますが、これにつきましては、優良宅地につきましては五十二年の自治省の通達でもちまして徴収猶予の道が図られております。そこで、今回要求いたしましたのは、すでに貸しビル等で有効に利用されているものについては特別土地保有税を非課税にしたらどうかというこの二点が主な内容でございます。
  219. 松本作衛

    政府委員松本作衛君) 国土庁といたしましても、ただいま建設省計画局長から御説明した考え方と同様でございますが、いま建設省からお話がありましたほかに、特別土地保有税につきましては、国土利用の促進というような観点で、現在は山林につきまして施業計画を立てましたものについて非課税措置が講ぜられておりますが、施業計画を樹立したと同様の適正な管理をしておるものというふうに都道府県が認定したような場合については非課税範囲を拡大する、そのことによって山林の適正な管理を促進するということを検討したらいかがかということも考えておるわけでございます。  それ以外につきましては、ただいま建設省から考え方は説明されたと同様でございます。
  220. 桑名義治

    ○桑名義治君 内容についてよく理解できますが、そこで果たして今回のこういった土地税制の緩和というこの措置が、手直しだけで宅地の供給が本当に促進できるかどうかと、こういう疑問が残るわけです。実際に企業保有の土地で、宅地として開発できるいわゆる市街化区域というのはわずかに二〇%というふうに言われておるわけですが、税制の緩和がそのまま宅地供給につながると考えるのは余りにも私は短絡的ではなかろうかというふうに考えるわけですが、その点についてはどのようにお考えですか。
  221. 大富宏

    政府委員(大富宏君) 先ほども申し上げましたように、民間の計画的な宅地供給というのは、非常に四十七年をピークにしてダウンしていることを申し上げたわけでございますが、この理由といたしましては一税制だけではございませんで、先ほど来議論になっておりますところの関連公共公益施設の負担の問題とか、あるいは金融の問題、その他幾らもあるわけでございまして、やはり計画的な宅地供給を促進するという施策では、そういった意味の総合施策というものの整合性がとれなければ非常に困難だと思いますが、税制改正というものはその一環ということで私どもは考えております。
  222. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、今回のこの措置はかえって地価の高騰を促すんではないかと、こういうふうに考えるわけです。現在の様相を見てみますと、いわゆる地価の動向というものは非常に強含みでございますし、それから現在ほどいわゆる低金利の時代はないわけでございます。それと同時に、ドルが非常にここ下がったということで、いわゆる過剰流動性の金がうんとできているんではないか。こうなってきますと、当然この緩和措置によりまして今後土地の投機を再燃させてしまうのではなかろうか。それと同時に、土地保有者に宅地を抱き込ませて、むしろ宅地供給にマイナスの効果を生ずるのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。  戦後何回か土地政策については手を打たれたわけでございますけれども、現在の土地税制につきましては、ある一定限度の地価を抑制をする効果は私はあったと思います。それを撤廃することによって逆の効果が私は出てくるのじゃないかと、こういうふうに考えるわけです。もしそういったいわゆる逆の効果が出た場合には、いままでのように土地は非常にもうかるんだというこの迷信がそのまままた生き続けていく。こうなってしまえば、日本の場合を考えた場合には、土地に対する適正な価格というものはもう生み出せないと、こういうふうな危険性まではらんでいるいまは時期ではなかろうか。それよりもむしろまだ強い課税をしまして、そしてもう抱きかかえることができない、吐き出そうと、そういった姿でもって土地の供給が図られたとするならば、現在の日本の土地に対する物の考え方が全面的に変わってくるんではないかと、こういうふうに考えるわけでございますが、その点どうですか、大臣
  223. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど建設省計画局長あるいは私の方の土地局長からすでに答弁されておりますけれども、土地税制そのものは最終的には大蔵大臣あるいは自治大臣の所管になりまずけれど、土地政策を担当するという立場からお答え申し上げますならば、御案内のように昭和四十七年、八年にこの税ができ上がりまして、その後、土地利用計画法とともに土地の投機的取引を抑制いたしまして地価の安定に非常に貢献をしたということは先ほど報告したとおりでございます。ですから、その関係で過去三年間の地価というものは安定的な推移をたどっているわけでございます。御案内のように昭和四十八年には地価が三〇%アップしたわけでございまして、その後四十九年には九・二%の下落になったわけでございますね。それから五十年には〇・五%のアップになりました。五十二年で一・五%のアップでございますから、まあ安定的推移をたどっていると言って差し支えないと思うのでございます。これはいずれも私は土地税制の結果であろうと思いますので、大きい枠組みについて私たちは手を染めようとは思いません。  ただ、先ほど来お話がございましたように、土地政策の面から考えまして、一つには、やはり土地の投機的取引を抑制して、そうして地価を安定するということは一つでございますが、もう一つは、やはり有効な土地の利用という面を考えてまいりますというと、先ほど来お話がございましたように、住宅建設促進のためにはどうしても宅地が必要であると。その宅地を造成するためには、単に素地の土地を放出しても意味はございませんので、先ほど来お話の公共公益施設の整備された優良宅地を提供するということが必要なんでございます。そういう意味からいきますというと、その優良宅地がいま一番不足しておるものでございますので、これについてはやはり遊休地を活用するとか、あるいは市町村で進めておりますいわゆる宅地の転換計画に対する助成をするとかいろいろな施策を進めておりますけれども、もう一つ土地税制の面で何か考えることはできないだろうかということでいま検討を進めておるのでございまして、決して地価の騰貴を招くようなことがあってはならないということは、私たちは十分関心を持ち、注意をして今後進めてまいりたいと思うんでございます。土地税制をこういうようにある程度考えられたのは、何としても地価がある程度安定的な推移をたどっているということが基本でございますので、その基本をやはり崩してはならないということだけは御理解いただきたいと思うのでございます。
  224. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣の言うことは理解できないわけではないわけですよ。だけども、そういう一面も側面もありますし、さらに先ほどから申し上げておりますように、土地というものはいまちょっと強含みですから、そういう要素もある。さらにもう戦後最低のいわゆる金利の時代でもある。それと同時に、いま先ほどからたびたび申し上げておりますように、いわゆる過剰流動性、これを生み出している素地がある、こういうときに焦点を合わせながら税の緩和をすることは最も適当ではないのではないか。今回は、先ほどから御答弁がありましたように、昭和四十八年からずっと土地はじりじり下がり始めたわけです、実際には。他の物価と比較した場合には、これは下がっていることと同じなんです。せっかくこういう素地を生みながら、ここに来てわざわざいわゆる税を緩和する必要はないではないか、もう少し踏ん張る必要があるんじゃないか、こういうことなんですよ。先ほど申し上げておりますように、確かに値上がりした土地を大量に買い込んだんですよ。大企業が非常に遊休地を抱えてその負担に苦しんでいる、いわゆる金利負担に苦しんでいることはよくわかります。だけども、この二十万ヘクタールにも上るその遊休地を軸に、政府は今回の最後のいわゆる挑戦を試みるべきではなかろうか。ぐっといまこそ踏ん張って、そして半永久的に土地が投機のために売買がされないというそういう状況、完全な素地を生み出していくことの方が私はむしろ優先するんではなかろうか、こういうふうに考えるんですが、どうでしょうか。
  225. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 確かに日本のいわゆる土地の歴史的な背景がやはり投機的取引の対象にしているわけです。ですから私は、土地問題の基本は、土地は投機的取引の対象にしないという土地の哲学が完成しないと、ただいまお話しのように過剰流動性の非常に激しい現状においてやはり注意をしてまいらなければならない、そのために私たちは国土利用計画法を策定いたしたわけでございます。ですから、国土利用計画法と土地税制とダブって、先ほど申し上げました、お話のございますいわゆる住宅建設のためにマイナスの要素が仮にあるとしたならば、その点は解消しようということなのでございまして、土地政策そのものはあくまでも投機的取引の対象にしてはならないという原則は私たちは貫いていこう、こう思っておりますので御理解を願いたいと思うのでございます。
  226. 桑名義治

    ○桑名義治君 そこら辺がおかしいわけですよ。そういう原則を貫いていく、投機的対象にならないという原則を貫いていくためにはここで踏ん張る必要があるということを私は申し上げている。それを踏まえながら、税制は税制として私たちはいま緩和するんだ、こういうふうに言うなら論理の矛盾があるわけですよ、私たちに言わせれば。いまこそ踏ん張ってあなたがおっしゃったように、大臣の言われるように、投機的な対象にはならないと、もうここでだめだと、これ以上踏ん張りがつかないから売りましょうと、こうなればやはり安い値段で吐き出してしまいます。そこで、待てと。そうすると、投機的対象にならないという哲学がここで確立するということを私は申し上げている。どうですか。
  227. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 私は、やはり国土利用計画法によって土地の投機的取引を抑制すると。それで土地税制の、昭和四十七、八年のいわゆる土地買い占めのペナルティーに対しては、やはりこれは譲る必要がない、ペナルティーに対しては譲る必要がない。ただ、住宅建設のために非常に優良宅地が不足をしておると、これに対して何らかの措置を講ずるということは土地の有効な利用につながるわけなんですよ。ですから、この両面を私たちは土地政策として取り上げたとすれば、一方だけ規制だけをして、あと全然土地の有効利用というものに目をふさいでは土地政策にならないものですから、両面を考えながら、しかも基本的には常に土地は投機的取引の対象にしないという哲学を踏まえて今後も進んでまいりたいと、こう考えておりますので、御理解をいただきたいということでございます。
  228. 桑名義治

    ○桑名義治君 まあ大臣といまここでやり合っても一時間、二時間になると思います、平行線ですからね。この問題についてはまた他の機会に譲りたいと思います。しかしながら、いままでの土地政策というものがそういうような事柄であいまいもこになってきたところに問題があった。ところが、この四十八年のときはこういう税制ができたために一応沈滞したわけですから、低下したわけですから、地価が。だから、このいい傾向をもう一歩踏ん張るということが私は大事だと、こういうことを申し上げてこの問題については終わりたいと思います。  まだちょっとこれは消化し切れないようでございますが、第三次全国総合開発計画、この政府案が来月一日に国土総合開発審議会にかけられ、四日にも閣議決定の方針と、こういうふうにきょう報道されているわけでございますが、試案作成までの国土庁の作業はどのような経過を踏まれたか、概要について説明願いたいと思います。
  229. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 御案内のように、昭和四十四年に策定されました新全国総合開発計画の見直し作業と、それから五十年の十二月に閣議決定されました新全国総合開発概案、いわゆる長期展望という作業を基礎にいたしまして今日までずっと作業を進めてまいったわけでございまして、今回国土庁の試案ができましたものですから、国土総合開発審議会にその案を説明いたしまして、七月の末から今日までいろいろ議論をしていただいておるのでございます。最終段階を迎えまして、ただいまお話しのように十一月一日に最終の審議会を開いて私の方から政府案を諮問したい、答申をいただけますならばできるだけ早い機会に閣議決定いたしたい、こう考えておるのでございます。  そこで、御案内のように三全総は期間としてはおおむね十カ年といたしてございます。それから経済の前提は、五十年代前期経済計画に沿うて、昭和五十年代を平均の六%成長ということを基本にして、六十年代にはそれよりも低い成長を前提といたしてございます。それで、開発方式でございますけれども、第一次開発計画は御案内のように拠点開発方式だったんです。第二回目は大規模プロジェクト方式だったわけでございまして、今回は社会経済情勢の推移に合わせて定住構想を開発の方式といたしてございます。それで、これは大体全国で二百ないし三百の定住圏をつくろうという構想でございまして、これを実現するためには五つの課題を与えてございます。それで、定住構想を実現するためには、御案内のように人間居住の総合的環境を図るというのが定住構想でございますから、それをつくるためには、まず雇用の場を与えるということ、それからもう一つは住宅生活環境整備するということ、さらに教育、文化、医療等の水準を高めるということが基本目標でございます。さらに人口を定住するためにはどうしても幹線交通体系を整備してまいらなければなりません。さらに工業開発を促進してまいらなければならないわけでございますので、それらの点を五つの課題として取り上げておるわけでございます。  これを実施するためには、これまで進めてまいりましたいわゆる北海道開発計画だとか、沖繩開発計画だとか、首都圏、近畿圏、中部圏等の地方開発計画を三全総ができた後、さらにこれを基礎にして組みかえをいたしまして進めてまいりたい。さらに、何としても地方財政が健全でなければなりませんものですから、どうしても地方財政の健全化というものは当然伴うわけでございます。さらに、この三全総の二十一世紀の課題として、二百海里時代を迎えた今日でございますから、海洋開発についての宿題を与えてございます。もう一つは、非常に大都市が過密化いたしておりますので、これに対してやっぱり首都の機能を移転する問題等についても二十一世紀の課題として提示をしているというのが三全総の全貌でございます。
  230. 桑名義治

    ○桑名義治君 いろいろと御構想を承ったわけでございますが、いわゆる定住圏構想について特に力点を置かれたわけでございますし、また今回の三全総の中核的施策であろうと思います。そこで、従来から進められてきましたいわゆる自治省の三百二十九地域の広域市町村計画、それから建設省の百六十八地区の地方生活圏計画とどういうふうな関連を今後持たしていくのか、それから水系を中心とする定住圏構想は従来の広域圏計画とどのように異なるのか、また、従来の広域圏行政とどのように調整をされるのか、その点について伺っておきたいと思います。
  231. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) この点については、まず地方公共団体がやはり主体になりまして、いままでつくられました広域生活圏だとか、あるいは広域市町村圏というものを基礎にいたして、そうして新しい生活環境あるいは地域開発を中心にして進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。しかも定住圏はただいま御指摘のように水系を中心とした定住構想でございまして、これは災害だとかあるいは資源等の面から水系による流域圏というものを取り入れたわけでございまして、そういう点ではこれまでの単に生活だとかあるいは交通だとかというような、あるいは学校だとかというような面だけを考えたものじゃないということだけは御理解願いたい。もっと有機的ないわゆる自然環境、あるいは生活環境、あるいは生産環境を融和した一つの構想であるということをひとつ御理解いただきたいと思うのでございます。
  232. 桑名義治

    ○桑名義治君 非常にお話だけ聞いているとばら色みたいな感じがするわけでございますけれども、具体性何にもないわけです、いまのお答えの中には。いまのお答えの中には具体性、具体的なお話が何もない。また、お話の中に、三全総を推し進めていくためにはいわゆる地方自治体の自主性とそれから財政の確立が大切だと、これが非常に大きな問題になるわけです、今後。現在も問題だし、今後も問題になるわけです。そういうふうに考えますと、従来のいわゆる地方広域圏行政を振り返ってみても、この財政問題で大きな壁にぶち当たっていることは事実なんです。そうしますと、いま大臣が言われたような、ばら色の構想でありましょうとも、この壁は旧態依然としてあるわけですから、この壁をどういうふうに解決をしていこうとお考えになっていらっしゃるのか。いわゆる定住圏構想の中でこの問題をどういうように取り扱われようとお考えになっていらっしゃるのか、その点を伺っておきたいと思います。
  233. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) ただいま申し上げました定住構想を実現するためには、お話のように地方財源をやはり確保するという措置を講じなきゃなりません。もう一つは、いま国土庁で進めておりますいわゆる農村総合モデル事業のような選択的投資というものが可能なような財政措置等もしてまいらなければなりません。いずれにしましても、先ほど来申し上げましたように、地方公共団体が積極的な姿勢をとっていただく、それを踏まえて政府がいわゆる関係省庁と連絡をとりながらもろもろの措置を年次的に実現をしていくということでございます。
  234. 桑名義治

    ○桑名義治君 もう時間がなくなりましたので、これで終わりにしますが、いまの大臣の御答弁では地方財政の強化についての具体的な施策が何もありません。ただ、地方自治体が積極的にこの問題に取り組んでいく、そこから始まるんだというお話だけであって、地方財政をどういうふうに強化していくというお話は何もないわけですよ。それはこういう構想、三全総のこの構想を出さなくても、あるいは定住構想を出さなくても、地方自治体は、長はあるいは議員はみんな一丸になって何とかがんばろうといってがんばっておるんですよ、現在でも。だけども、その中で広域行政をやりながら個々の問題でも財政という問題にかかって、どうしても前に突き進むことができないというのが現状なんですよ。そうすると、いま大臣のおっしゃっているいわゆる今回の三全総のこの計画ですよね、定住圏構想、これは多岐にわたっているわけです。多岐にわたるというのは莫大な予算が必要だということになるわけです。つながるわけです。そのいわゆる解決なくして三全総、こういうばら色の夢を打ち出しても私は実効が非常に危ぶまれる、こういうふうに言わざるを得ないわけですが、最後に大臣の御答弁を願って終わりにします。
  235. 田澤吉郎

    国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど申し上げましたように、この三全総は審議会の答申をいただきますならば閣議決定されます。閣議決定いたしますというと、これは国の最高の決定でございますので、関係省庁が三全総の目標に向かってそれらもろもろの政策を進めていただかなければならないと思います。そういう点で、それは地方財政の面でも非常に厳しいものがございましょうけれども、各関係省庁が積極的に十年間をこの目標に向かって進むならば私は可能であると、かように考えます。
  236. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私も住宅問題について質問したいと思います。  まず最初に、補正予算と総合経済対策の問題ですが、この中で住宅金融公庫が十万戸の追加がされましたが、もちろん公庫住宅に対する国民の要望もありますし、景気対策としても一定の効果がありますが、公営、公団住宅建設促進については何の措置もとられるどころか、逆に財投で公団一万戸削減ということになりました。私は三月二十二日にこの委員会で質問をして、公共住宅のおくれを取り上げたら、建設大臣は、今後とも建設促進のために諸施策を推進して五カ年計画の目的達成に何としてもこぎつけたいと、そう答弁されました。ところが、せっかくの補正予算、総合経済対策、何もしてない。来年度のしかも概算要求では公営一万五千戸、公団住宅二万戸の計画減にしてしまっているわけで、これでは答弁と違って第三期五カ年計画達成できないと思いますが、その点、大臣いかがでしょう。
  237. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 今回の総合景気対策におきまして、公営、公団につきましては確かに追加をいたしておりません。先生おっしゃいますとおり、特に公団につきましては五百億円の財投の減をいたしております。この公営、公団につきまして今回追加をいたさなかったのは、本年度の施行につきましても本当言いますと精いっぱいというところが実情でございます。したがいまして、現実に景気回復効果をねらうために直ちに効果があるような施策というところでは不適当だったということが一つございます。それから公団で五百億円減をいたしましたのは、そういうふうな先ほど来お話出ておりますような事情でございまして、公団が仕掛かり品、それから本年度の発注予定であったもの等につきまして厳重な見直し作業を現在やっております。したがいまして、本年度の発注が、事業計画そのものはさっきおっしゃいましたように一万戸削減決めたわけではまだございません。予定どおりやる予定でおりますけれども、現実の資金の支払いといたしましては、たとえば上物で二百億、宅地の方で三百億ぐらいは余裕はありそうだということでございまして、それはやはり公庫の財投資金の不足の方の財源へ回すという意味もございまして、今回減をしたものでございます。  特に、来年度におきまして確かに公営住宅一万五千戸減をいたしております。この公営住宅を一万五千戸減をいたしました理由でございますけれども、これは従来公営住宅のここ数年来の実施状況を見てまいりますと、毎年し残しをつくりまして相当額を繰り越しております。これは従来の公営住宅の補助様式が、現実の問題といたしまして、上物も下物も同時にやるというようなたてまえになっております。したがいまして、補助金を交付いたします年度におきまして用地を買い、用地整備を行い、上物をつくるということでございまして、他の事業のように次年度以降用地という制度が現在のところございませんでした。したがいまして、そういうような事態になったということでございまして、毎年そういうものを要求してまいったわけでございますけれども、なかなか成功いたしませんでした。来年はひとつ想を新たにいたしまして、別途敷地整備事業というのを新しく起こそう。これは戸数も一万五千戸要求いたしておりますけれども、本来の主体工事と切り離しまして、敷地整備、それから道路、排水等の屋外付帯工事、こういうものを主体工事と切り離しまして交付決定しようということでございます。事実上の次年度以降用地プラス造成費という考えでございます。さらに、地方財政資金の中からも、起債といたしまして、次年度以降用地等一年間分の利子を含む補助金というものを要求いたしまして、実行可能なような予算を組みたいというのが現在の考えでございます。  公団につきましては二万戸減にいたしておりますけれども、これも先ほど来申し上げましたとおり仕掛かり品の住宅が十数万戸ございます。そういうものについて徹底的な見直しをやりまして、十月、十一月までに全部の見直しを終わるということで、公団が鋭意建設を進めておりますけれども、それらのものを全部見比べますと、やはり需要調査を徹底しながら供給していくには、来年度は四万戸がほどほどだというふうに判断をしたということでございます。
  238. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どうも公共住宅重視から持ち家主義への転換がひそかに始まりつつあるという危険を感ずるわけで、概算要求で公団二万戸減の中で、特に賃貸住宅が一万七千戸減ということになっている。最近、公団の建設の中で分譲の方が比重を大きくしているということもあります。今度のこの金融公庫は、どうも建設省考えていたよりも、十万戸といってばかっとこう大きくなるという状況で、やはり持ち家主義という方向に切りかわりつつあるのではないかというように見られます。ある報道によりますと、五十四年度以降も公共住宅の減少分を公庫融資の増額で補っていくと、そういう方向が進むらしいと書いてありますけれども、今後こういう傾向をずっと続けるつもりですか。
  239. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 持ち家、借家という基本的な考え方につきましては、従来から申し上げておりますとおり、国民の皆さんの需要動向に即して施策の方向を定めるべきだというふうに考えております。で、五カ年計画を振り返ってみますと、第一期の五カ年計画では五〇対五〇ということでございまして、第二期は五五対四五、第三期は六〇対四〇、確かにおっしゃいますとおり、全体の五カ年計画の推移といたしましては持ち家のウエートが高まっております。これはいわゆる民間の皆さんのおつくりになる住宅等も含めた全体の話でございまして、その中に公共住宅、いわゆる公共住宅と申しますか直接供給する住宅がございます。それにつきましては、一期、二期、三期を通じておおむね七割の線を踏襲してまいっております。今回も、第三期におきましても大体七割一分ぐらいが借家、それから三割ぐらいがまあ持ち家というようなぐあいでやっておりますけれども、今回の十万戸追加につきましては、先ほど申し上げましたとおり、直ちに即効を上げるということをねらったものでございまして、その中でも、特に賃貸住宅の中でも直ちに即効が上がるものというものには土地担保賃貸がございます。これについてはずいぶん申し込みもございまして、直ちに枠を追加をすれば賃貸住宅がふえるということでございまして、そういうものも五千戸加味しております。全体といたしまして、そういうような五カ年計画の総体の枠組みにつきましては、大体いままでの住宅統計調査、それから需要実態調査の実態を踏まえてまあ積み上げたつもりでおりますので、そういうふうな大綱は踏み外さない方向で進めてまいりたいと今後も考えております。
  240. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ところが、第二期五カ年計画達成率を見ますと、公営は七四%、公団は六二%です。公庫は一二一・五%というので、うんと多いわけですね。その結果、全体で八一・四%と。しかし、公団はわずか六割しかできていないんですよ。今度発足した第三期を見ますと、もう公団は削減、公庫はふやすというので、二年の進捗率を見ても公営、公団は三〇%前後でしょうね。ところが、公庫の方は早くも四四・一ということになっている。こういう傾向をずっと進みつつある感じがするんですね。で、大臣、この問題で今後日本の世帯数の三分の一に及ぶ一千万の住宅困窮世帯があるわけですから、その人たちが最も望んでいる公共の賃貸住宅、この点についてやっぱり重視をしていく方針には変わりはないということを確認いただけるかどうか、はっきりお答えしてください。
  241. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 国民の需要の動向によって先ほどもお話があったように決められたものであって、あえて公団住宅だけを少なくしていこうという考え方はありません。したがって、現在でも公団住宅は先ほどお話のとおりまだたくさん未利用な、余っておるのでございまして、これらの面に対しましても——があるから公団住宅をふやさないという意味ではないのであって、これらもあわせて現在の希望するような住宅に直しながら、そして今回のいろいろ皆さん方に御心配を煩わせる点等とあわせて、そしてお気に召すようなつまり住宅にしていきたいと、こういうことでありまして、私たちがお約束を申し上げた点につきましては、何としてもまだ四月までございますから、できるだけの住宅建設には十分努力をしてまいりたいと思います。
  242. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 住宅政策が逆行しないように要望しておきたいのですが、いま大臣の言われた公団そのものが、きょうの委員会でも大きな問題になっているように、第二の国鉄化しているという危険があるわけです。  特に、新しく就任された総裁に決意をお伺いしたいのは、一部に、もう住宅公団というのはあんなになっちゃったので新規住宅建設しなくてもいいと、住宅の管理だけしていればいいという管理公団にしようという考え方や圧力が実際にやっぱりかかっているとわれわれ聞いている。新総裁に、そういう曲がり角、危機にある公団に対してどうやっていこうとしているのか、特に管理公団にしようというような動きがあるときには断固反対する態度をとるかどうか、この点決意をまずお伺いしたいと思います。
  243. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 住宅公団を管理公団にしたらどうかというふうな御意見が一部にあるやに伺っておりますが、私、全然圧力等は受けておりません。と同時に、私の考えでは、まだまだ住宅公団法第一条に掲げられました目的達成のために公団の使命は残されておる。しかし、それは同時にいろいろ御指摘のような問題を生じておることを十分反省して、国民のニーズがどこにあるか、時世はどう変わっておるかということを十分把握した上でそれに対応することが前提であります。そうすれば、国の住宅政策の一環を、一翼を担いまして、新たな住宅供給の面においても十分存在理由があるのであって、その任務は今後も重大であると。管理公団にするというような御意見は、私の個人の考えから申しますと、性急に過ぎると、かように考えておるわけでございます。
  244. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 プール制家賃問題に入りたいと思いますけれども、私ども公団自治協の申し入れを受けまして、九月十四日にこの問題で東京と関西で調査をいたしました。私、王子五丁目団地、それから高島平、蓮根団地と三つ行ったんですが、高島平、王子では、一六%、一七%と言われるけれども、若夫婦の場合なんかでは家賃が二分の一になっている、三分の一というケースも何人もありまして、本当に高家賃で大変だと。あの一六%、一七%というのはボーナス込みの計算ですから、実際の手取りでは三分の一、二分の一になっておる人が非常に多い。ですから、早くも公団離れが始まっていまして、今度五千円以上値上げになるのだったら、しようがないから、そんなに高い家賃払うならマンションを探すか建て売りを探すとかいうので、早くも出ようという気構えになりつつあるという実態もいろいろわかりました。傾斜家賃もぜひ凍結してほしいという声もありましたが、家賃問題の前にちょっと幾つか三つの団地の具体的な住民要求をまず取り上げたいと思います。  王子五丁目団地では、衆議院の建設委員会でも瀬崎議員が取り上げたことがありますけれども、騒音問題ですね、これがやっぱり非常に大変です。北本通りに面する二号棟の騒音、われわれも聞いてみましたが、なかなか大変でして、一番四階の端のおたくなどでは七十八歳のお母さんが頭痛がひどくなって、診断書も出て、移転せざるを得ない。親戚ももう寄りつかないと、だれも泊まってくれぬという状況です。どこでも閉めっ放しで、夏はクーラーをつけっ放しと、しかし、お金がないのでクーラーを買えませんというので、赤ちゃんが暑がって困るという主婦もありました。そういう状況なんですね。公団の調査でも、騒音の要請基準にもかつかつと、環境基準には中央値でもオーバーしているというデータも出ているわけで、実際に騒音を見てみますと、やはり要求が強いのはわれわれ非常に納得ができるんです。恐らくあれは設計ミスもあるんじゃないか。ああいうところに、ああいう通りにすぐ面して、しかも窓を北本通りに向けて建ててしまったということがあるわけで、あれ全部建て直すということも無理でしょうけれども、やはり住民の要望を少しでもかなえるべきだとそう思うのです。まず、環境基準に合致するものを、今後ああいう場合には要請基準だけじゃなくて環境基準に合致するというものを建設すべきだと思いますけれども、公団の基本的態度をお伺いしたいと思います。
  245. 沢田光英

    参考人(沢田光英君) 本団地につきましては、御指摘のように騒音規制法に基づく要請基準に基づきまして、調査の結果、設計されておるわけでございます。その結果、防音サッシを使うというふうなことで基準以下におさめたという経過がございます。さようなことでございますが、今後のお話といたしましては、いずれにいたしましても、都市の中心部といいますか連権の地区で、しかも交通その他の激しいところ、騒音の激しいところ、これでなかなか環境基準の方からくるやつを基準をとるというのは、大変家賃問題もございまして困難だと思います。いまのところはこの騒音基準に従いまして、もちろん表棟と裏棟では違いますけれども、やっていきたい。そうしませんと、また建設費高騰、こういうふうなものが出てまいりますので、その辺のバランスだというふうに思います。
  246. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 現実の問題として、あの騒音をカットするためにはやはり住民の人が要望しているように二重窓——アルミサッシを二重構造ということにする必要があるんじゃないかということが一つ。もう一つは、閉め切っているわけですので、クーラー購入などについて特別のやはり援助、補助こういうものができないかという点をお伺いします。
  247. 沢田光英

    参考人(沢田光英君) まず、二重窓の方でございますけれども、通常のサッシの二重窓を使うか、あるいは防音サッシを使うか、この比較でございますが、防音サッシは通常のアルミサッシの二重窓を使うものとほとんど効力が同一でございます。そのために生まれてきた製品なんでございまして、したがいまして、いまのところは防音サッシということで対処をしていくというかっこうになると思います。
  248. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 クーラーの補助はどうですか、検討できませんか。
  249. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 実は、この団地につきましては、そういう大きな通りに面しておりまして騒音が要請基準の範囲内でございますけれども相当程度あるということで、私どもといたしましては、何といいますか、募集の際に、こういう騒音がございますということを一応パンフレットに書きまして、そういう条件で募集したところでございまして、現在何といいますか、直ちにクーラーの補助をするとかそういうようなことはいま考えておりません。ただ、先ほど先生のお話の中にもございましたように、衆議院の方の建設委員会でも前国会ございまして、音に対して非常に弱いとかそういった方もございますので、医師の診断書、そういったものがあれば裏の方の静かな方、これの方があいた場合には優先的に扱うというふうなことをいたしたい、こう言ってまいったわけでございますけれども、現在まででも相当の数の方々に、そういった事情の方には静かな方に移っていただいておるというようなことでもってやっておる次第でございます。
  250. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 言ってましたよ。募集のときに騒音があると聞いて来たけれども、こんなにひどいとは思ってなかったといういうことなんでね。それで、やはりこういう問題についてさらに積極的な検討と対策を施してほしいと思います。  それから高島平団地では多くの問題がやはりありますが、一番問題になっているのは、小中学校、保育所、幼稚園の不足です。計画段階では児童発生率を一世帯〇・四五人、中学生〇・二二人、これは文部省基準、これでつくったと。ところが、実際には実態が大きくかけ離れていて、現在五歳児以下が約一万人いるんですね。だから、小学校の数をふやしているけれどもどうにも足りないと、もう計画と実態が非常に大きくかけ離れているということであります。こういう問題について、公団としてはどういう教訓を引き出し、具体的にどういう手を打とうとしておりますか。
  251. 櫟原利嗣

    参考人(櫟原利嗣君) お答え申し上げます。  高島平団地の児童発生率につきましては、いま御指摘のございましたとおり、戸当たり〇・四五人で計画をいたしまして、それに必要な小学校用地として五校分を処分いたしたのでありますけれども、その後児童の急増傾向というものによりまして、近い将来小学校の不足等が懸念されるという状況になっておりますことから、同団地内にあります未処分の土地につきまして、地元の公共団体、板橋区からも学校用地の収得面からして御要望を承っておるところでございます。  そこで、当公団といたしましては、当該土地の利用に関しましては、その当該団地だけではなくて周辺の地域をも含めて、必要な施設用地といたしまして今後地域住民の方々の最もお役に立つ、こういう用地として活用してまいりたい、このように考えておりますので、ただいま申し上げました、またお話のございました学校用地に関する地元の公共団体からの御要望に対する取り扱いをも含めまして、今後関係公共団体と十分に協議を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  252. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 高島平団地の近くに蓮根団地があります。ここは東京でも非常に古い団地ですが、行ってみて本当に驚きました。いま平均五千円の値上げが問題になっておりますけれども、実際、庭に面している戸、あれも木枠なんですね。だから、雨が降ると敷居からどんどん雨が漏ってくるというような状況で、非常に雨漏りもひどかったし、大変な団地で、ああいうところが安いからいまのところと格差を是正するというのはなかなか住民も納得いかぬというのは、われわれもよく理解できる状況でした。この雨漏りその他も大変ひどくて、外壁ももうひび割れ状況なんですが、自治会の人たちと話し合ったところによると、補修問題で交渉に行くと、この団地の補修費はもう予算ゼロだと、全部使い切っていると、だから命にかかわるもの以外は補修できないというような返事を営業所長がするというわけなんですね。一体どういう基準で補修を行っているのか、それからこの蓮根団地の補修についてはどういう措置をとっているのか、この点まずお伺いします。
  253. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) ただいま蓮根団地について直接どういう措置をとっているか、ちょっと手元に資料がございませんが、一般的に申しますと、修繕といいますのはきわめて広範囲で多様にわたっておるわけでございます。また、先ほど桑名先生のときに御答弁申し上げましたように、修繕費の状況現状におきましては必ずしも全部相当豊富にあるというわけではございませんので、私どもとしましては重点的に行っていっておるわけでございます。確かにどの部分からやっていくかというのは大変むずかしいことでございますけれども、直接、いまもお話ちょっとございましたけれども、居住者の危険になるというようなおそれがある場合が最優先でございますけれども、そのほか、そういう居住する上におきまして著しく支障を来すとか、あるいは法律どおりに直さにゃいかぬというようなもの、こういったものを重点的に行って、それをまず行いまして、その余分をもちまして修繕等についても生活上支障がないように一応は私どもとしましてはやっておる、こういう次第でございます。
  254. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう一つ、蓮根団地にはこれは古い団地なんで集会所が一つしかないんですね。で、一DKと二DKだけで狭い、そのために集会所の利用度が非常に高くてパンク状態。六十五歳以上のお年寄りが七十二人ここにいらっしゃるんですね。一DK、二DKなので本当になかなかいるところもないというので集会所を使いたいんだが、集会所は一つしかない。そこで、老人施設がどうしても欲しいという要望が強いんですね。せめて集会所を二階建てにして、お年寄りの方々もそこで憩いの場にできるようなそういう措置というよう要望もありますが、この程度のことをぜひやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  255. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 具体の問題でございますので私から答弁さしていただきますと、蓮根団地につきましては、この当団地の集会所の床面積でございますけれども、私どもそれぞれの団地につきまして世帯の数に応じましていろんな設置の基準をつくっております。その基準からいたしますと、蓮根団地の場合は一応基準の面積を上回っておるわけでございます。したがいまして、他の団地との均衡上もございまして、いま直ちに増設するというふうなことは考えていない次第でございます。ただ、まあだんだんいろんな生活の様式といいますか、いろんなことも変わってまいりまして、この集会所の設置基準、こういったものにつきまして現行の基準で十分かどうかという点につきましてはなお研究の余地があるということで、現在見直しのために調査研究をいたしております。したがいまして、その結果が出ましたならば時期を見まして改定していきたいと、こういうふうに思っております。
  256. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私、いま三つの団地の問題を取り上げましたが、これはたまたま九月十四日に調査したのがその三つなので、その要求のまたほんの一部をいま挙げたんですね。ところが、その要求を出しても、なかなか調査研究とかいろいろ基準があるとかということで、はかばかしい答えがやっぱり出ないわけですね。こういう要求はこの三つの団地だけでもまだまだありますし、全国の団地にもどこにも生身の人間が住んでいるんですからどんどん問題が起きているんですね。その責任を持つ大家さんが住宅公団だということをよく考えて、こういう住民の要求に対して積極的にこたえていただきたいと思うんです。空き家だけで頭を悩ますんじゃなくて、住んでいる人たちの問題ですね、これをまずやっぱり頭を悩ましていただきたい。  ところが、そういう住んでいる人たちのことよりも、公団の破産状態の方にどうも頭がいっているということにいまなりつつあるわけで、その一番の問題が、きょうもこの委員会で取り上げられておりますプール制家賃の問題だと思うんです。先日私は本会議でこの問題を質問したら、建設大臣が、ちょっと考えが違うと、プール制じゃないんだという意味のことを言われました。それから先ほど公団総裁は、プール制家賃という言葉はやっぱり誤解を招くので使いたくないんだと、そう言われました。建設省の方ももう家賃のプール制という言葉は誤解があるので使いたくないというお考えですか。
  257. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 実は記者クラブ等でいろいろ聞かれた場合もございますが、私はプール制ということは一回も言っておりません。私の方もプール制というのではなくて——本来のプール制と申しますのは、イギリスの公営住宅などが現在やっておりますけれども、本当の意味の総括原価ということだろうと思います。で、総括原価をはじきまして、その原価を、住宅の新しい、古い、大きい、小さい、便利だ、不便利だ、いろいろな点に配分をいたしまして家賃を決めるという方式でございます。今回の場合、全く不均衡是正というのがまず第一の柱でございまして、維持修繕費の赤字を埋めるという点もございますけれども、そういう点から申しますと、まずそういうふうな家賃の変更がまずあって、その分を使う際にそういうふうなプール的な考え方を使いまして、やっぱり古いものと新しいものとの間でいろんな家賃の値上げ等の差もつける、それから新しいものの方にもその財源を回す、その考え方がどうもプール制に似ているなということでいわゆるプール制と言われているわけでございます。
  258. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 八月二十四日発表の公団住宅問題対策委員会の「日本住宅公団の未入居住宅問題対策」、これは政府が責任を持っているわけなので、この中に書いてあるものは即建設省の見解と受け取っていいんですか。
  259. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) さようでございます。
  260. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうしますと、この四ページに「今後、公団住宅の家賃について、いわゆるプール方式の考え方を取り入れて定期的な見直しを行う必要がある。」と、そう書いてある。局長は先ほどプール制という言葉は使ったことはないと言われたけれども、ちゃんとプール方式は書いてある。プール方式はいいんですか。
  261. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) そこが苦心の作でございまして、プール制と言わないで「いわゆるプール方式」と言ったのは、私が先ほど申し上げた意味でございます。
  262. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 なるほど、じゃわれわれもプール方式反対というようにスローガンを若干訂正しなきゃならぬかもしれませんけれども、実は同じことなんですよ、プール方式もプール制も。多少意味の厳密さの違い、用語の定義の仕方があるかもしれませんけれども、一方から取ったもののある部分をある部分に回すということではね。そこに問題の本質があるわけなので、そう変わりはないと、そう私は思います。  それで、この対策の中には、「いわゆるプール方式の考え方を取り入れて定期的な見直しを行う必要がある。」と書いてある。この「定期的な見直し」というのは具体的にどういうことを意味しているんですか。
  263. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) これはもと住宅宅地審議会の答申の中にもある言葉でございますが、やはり家賃というものは勤労者の生活にとりまして非常に重要な要素であること等から非常に慎重を要するわけでございます。したがいまして、定期的な見直しということは今後必要だと思いますけれども、それを今後の経済情勢の変化等を勘案しながら、どういう時期に定期というふうに言うのかというような点につきましては、現在なお公団あたりとも相談しておりますけれども、あえて申し上げるといたしますと、三年とか五年とかいう刻みでございまして、毎年見直すというような意味ではございません。
  264. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 三年か五年に一度見直すということですね。  この間、私、高島平団地の人々の陳情を各党受けましたが、そのとき川崎会長がこう言っていました。われわれはそれまで民間住宅に入っていて、定期的に大家さんと家賃値上げの問題でかけ合いをやってもう大変だったと、公団に当たって入って、もうこれで大家さんとの家賃のかけ合いは一生縁がないと安心していたところが、今度のプール方式の家賃値上げで三年に一度、今度はもっと大きな大家さんの公団と家賃値上げのかけ合いを始めなきゃならぬという大変な問題にぶつかっているんだと、そう言っておりましたけれども、そうすると、大体じゃ三年、五年に一度ずつ、これは値下げをするわけじゃないんでしょうから、値上げをしていくと。こうなりますと、際限のない家賃の値上げが続いていくものということになりますが、そう理解していいですか。
  265. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) その場の状況によると思います。見直しをしてみた結果、もう不均衡是正が必要ないということであれば、そういうことはやらないわけでございます。
  266. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 福田内閣のインフレ政策、われわれも国民もそう信をおいていないので、自民党内閣が続く限りインフレが続いていくと、三年、五年に一度、その場の状況は値上げを必要とする状況になるであろうということが予測されます。  先ほどの答弁でも平均五千円と、限度額方式の二分の一ということですが、最低引き上げ額、最高引き上げ額、これは大体どのぐらいになりますか、めどはついていますか。
  267. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) これは先刻も御答弁申し上げましたけれども、現実の問題といたしまして九月の終わりに新しい公営住宅の値上げ基準と申しますか、それを示しました。それを平米当たりに換算をいたしまして個別に計算をするわけでございますので、おおむね平均では五千円程度ということを、めどがないとわれわれも方々にPRできませんし、御理解いただけませんので申し上げておりますが、最高、最低等につきましてはまだ現実にははじいておりません。
  268. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、もうあれだけたっているんですからね、なかなか有能な方がそろっておられますから大体のところはわかると思うんですけれども、一万円を超える値上げ額も発生する可能性がありますか。
  269. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 実は公営住宅の値上げ方式と申しますのは、従来、新しくつくりました家の建築費と、それから古い分の推定再建築費でございますが、古い分を推定再建築費を出しまして、それと当時の原価との差を出しまして、その差の三分の一だけをもとの原価に足しまして、それでもとの原価で割ると、こういう比率を出しております。公団はさらにそれの二分の一を掛けるわけでございます。したがいまして、まあまあ公営住宅の最近の値上げの状況から判断いたしますと、公営住宅では大きいものは一万五千円、小さいものは二千円程度の値上げをやっております。いずれもその半分程度は普通ならば出てくるはずだというような気がいたしますけれども、現在のところ、先ほど申し上げましたとおり、平均的な話でしか公団とも現在数字は扱っておりませんので、最高、最低の幅は御容赦いただきたいと思います。
  270. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほどの対策に、このプール方式を採用する理由として「新旧家賃の不均衡を是正し」と、これが一です。二が「高額化した新規供給住宅の家賃の適正化を図る」、つまり高い家賃を若干引き下げるということですね、これが二。「あわせて空家解消等に資するために」と、空家解消が三。三つの目的を書いてあります。初年度二百億円の増収になると言われましたけれども、この増収分をこの三つの目的にどのぐらいに配分する推計ですか。
  271. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) これも実際申しますと、現在のところ全体の数字がまだ出ておりませんし、先ほど大臣が申されましたとおり、われわれは、こういうふうに公団が三十一年以来初めてやる仕事でございますので、国の方からも相当額の援助をしてほしいということを強く要求いたしております。それらのものが全部予定どおり入ったというようなことを想定した上でないと本当の数字が出てこないわけでございますけれども、私は、まあ私の感じでございまして、今後公団とまた詰めなければなりませんが、大体維持管理費的なものに最初の年には七割ぐらい回るんじゃあるまいかと……
  272. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 七割。
  273. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) ぐらいと、私は自分の感じできようは申し上げておきます。この点はまた後で公団と打ち合わせまして現実問題がもう少し前後するかもわかりませんが、その点は御容赦願いたいと思います。
  274. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 公団自治協と山岡住宅局長の八月二十五日の交渉では、山岡さんは五〇対五〇と言ったというふうにわれわれは聞いておりますが、その後二割ふえられたということですね。それから九月でしたか、NHKのテレビで救仁郷参事官が八割大体維持管理費に回るということを発言されました。どうやら七割、八割ぐらいになりそうですが、いま初年度とおっしゃった、次年度は増収額はどのぐらいになり、次年度以降はこの維持管理費にどのぐらい回るというふうに、あなたの感じで結構ですが、答えてください。
  275. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 公団の皆さんとお会いしましたときに、私よく覚えておりませんが、五割以上は回るだろうと申し上げた気がいたします。五割以上と言ったつもりでおります。それから救仁郷参事官も、これも試算が大変得意でございまして、自分でいろいろやりまして大体八割程度かなあと申しております。これはその程度の精度でございまして、私が七割と言い、救仁郷君が八割と言い、皆さんには五割以上と申し上げる程度の話でございます。  それから二年度以降の増収分等につきましては、これも推算でございますけれども、平年度化いたしますと、七月から上げた分が平年度化するわけでございます。その分で大体二百七、八十億というふうに踏めるんじゃあるまいかと思っております。  それから……
  276. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それから次年度以降の維持管理費に回す比率です、これは初年度と違いますから。
  277. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) 先ほど局長からお話がございましたように、目の子勘定で申しまして増収額の方は二百七、八十億ということが言われると思いますけれども、実はその維持管理費にどのくらい回して、その余の財源を抑制の方にどのくらい回すかということにつきましては、修繕につきましては非常に周期的に来るものもございまして、具体的に来年度あたりあるいは再来年度あたりこういったものにどういうようなものが周期的に計画的にやらなければならぬものが来るかということを詰めないと、年々ある程度多少変わりまして、そういう意味で平均的に五十三年度が幾らだったから大体五十四年度もその程度伸びていくだろう、こういうもんじゃございません。したがいまして、具体的に五十三年度に来るものはどういうもの、五十四年度に来るものはどういうものと、こういうふうなものを具体的に詰めませんと、いま先生のお尋ねの、じゃ次年度以降あるいは五十四年度は幾らになるかというふうなことは、ちょっとただいまのところ申し上げられない状況でございます。
  278. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それで、先ほど総裁は緊要度に応じてと言われたわけですね。  さて、先ほど私、三つの目的が書いてあると言いましたが、二番目の目的の新規供給住宅の家賃の適正化ですね。これは先ほど答弁がありましたが、傾斜家賃の改善、このことだけを意味するのですか、山岡局長
  279. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先ほど申し上げましたとおり、増収分のぐあいによって緊要度が変わってくるわけでございます。しかし、私ども強くお願いしておりますのは、たとえば先ほどお話が出ました王子とか、たとえば初年度家賃が六万九千円、最高十二万円というのは、前回の委員会でも上田先生の御質問に対しまして私は高いと思うという答弁をしたと覚えております。したがいまして、傾斜の上限を減すということと同時に、やはり初年度分も減してほしいというふうに強く公団にお願いし、検討していただくというところでございます。ただ、その辺、公団の方でもまだ将来のいろんな検討がございますので、公団の立場として直ちにそれができるかできないかという話について御確答ができないというのが現状でございます。気持ちといたしましては、既存のものについて初年度家賃も一部のものについては引下げるということを行いたいと思っているわけでございます。
  280. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大分わかってきました。これから建てる分については傾斜を十年を五年にし、七%を五%にしたいと、それから初年度分についても額そのものを少し引き下げたいというのが、建設省側のこのプール方式の家賃制度での引き下げ率についての計画であることがわかりました。それについてはどのくらいの金額が必要だと概算しておりますか。
  281. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 来年度増収分が一応二百億と見込んでおります。そのほかに政府の方からも少し出していただく。それらを全部合算をいたしまして、大体そういうようなことが来年度以降できるんじゃないかというふうに考えております。
  282. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だから、総額大体どのくらいになりますか。政府には五十億要求しているんでしょう。
  283. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 政府に来年度要求いたしておりますのは、そういうふうな値上げ措置に伴います特別な交付金として百億円、それから将来公団のいろんな賃貸、分譲住宅のコストを下げるために必要な関連公共公益施設的なものに対する交付金五十億円、百五十億円を要求いたしております。
  284. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 三つ目の目的のこの空き家の解消に資すると、空き家解消にも二百億の増収分からどのくらい回すつもりですか。
  285. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) これもまだ公団と細目をこれから詰めるところでございますけれども、やはり非常に空き家の中で、理由の中に、遠い、それから狭いということのほかに高いというのがございます。そういうふうなものにつきまして周囲の需要実態調査等を行いまして、現実に引き下げた方が空き家が埋まるというようなものにつきましては、現実の空き家につきましてケース・バイ・ケースで公団の方と協議をいたしまして、単価を下げていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  286. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ですから、やっぱり本質はプール制度なんですよ。つまり、皆さんから平均五千円上げて、どうも一番高いところは七千五百円ぐらいになりそうですけれども、上げて、その中から一部分を高いところの家賃の引き下げに使い、それから空き家のどうしても入るところのないところの家賃の引き下げに使おうと、だからこれ回すんだから、やっぱりこれがプール方式でプール制度なんですね。まあその点の言葉の争いはやめますけれども、しかし、いままでの三つの目的に使うということがだんだんわかってきましたが、どうも一番多いのは、家賃の不均衡の是正ということを言われながら、修繕費ですね、これに特に初年度は七割から八割回すというお話でした。で、修繕費の問題についてお伺いしますが、補修費の赤字はいまどのくらい出ておりますか。
  287. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 昭和五十一年度の単年度収支におきまして約二十五億円の不足を生じておりました。これは積立金を取り崩して補てん処理をいたしております。ちなみに、修繕引当金の残額は五十五億円ほどでございますが、こういう状態が続きますと、もう一両年で全く底をつくという状況に相なっておるわけでございます。
  288. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほどは五十一年度は二十九億円と言われましたね。
  289. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 二十九億円です。
  290. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 二十九億円ですね。二十九億円の赤字が出ていると。ところが、ここで話が合わなくなるんですな。二百億円増収するんでしょう。救仁郷さんは八割、山岡さんは七割という計算でしょう。八割だと百六十億ですよ。七割だと百五十億円。二十九億円しか赤字出ていないと言うんだから、五十一年度で。何でそんなに使うんですか。大分余るじゃないですか。
  291. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) これもやはり公団の立場ではなかなか言いにくいことかと思いますけれども、やはり来年度特別交付金などを考えております。そういうものを全部引っくるめてそういうものを考えるわけでございます。総裁がおっしゃいますように、緊要度に応じて配分をするということでございまして、やはり何年に一遍のことをやるわけでございますから、たまたま先ほどお話が出ましたような集会所をつくるというようなことが本当に団地の皆さんのためにいいことであって、それが初年度の修繕費の範囲内であれば、そういうものをして差し上げたらどうかというようなことも考えた上のことでございます。
  292. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大体昭和四十七年度以前に建てた団地の人々から平均五千円取る、主にその人たちの足りない分の補修費に使うというお話でしたね。二百億円のうち七割から八割をその人たちの団地の補修に使うという答弁だった。そうしますと、百五十億から百六十億円使うということにならざるを得ないのに、全体が赤字で二十九億円しか出ていないわけでしょう。どうも話がこれおかしいんだな。  それで、改めてお伺いします。値上げ対象になっている昭和三十一年から四十七年建設住宅の補修費の赤字が幾らか、それから本来修繕を必要としていながら、お金が足りないとか、いろんなことで修繕を繰り延べている分、その事業費は幾らか。この二つを合わせて百六十億ぐらいにならなければ、今度の値上げというのはまことにインチキなことになるんですが、はっきり数字を出してほしいと思います。
  293. 有賀虎之進

    参考人有賀虎之進君) ちょっと御説明さしていただきますけれども、今回の家賃の値上げといいますか改定、これは先ほど来申し上げておりますように不均衡を是正する、不均衡の額がどのくらいであるかということでもって家賃の値上げの額を決めているわけでございます。したがいまして、幾ら修繕費が足りないからと、その修繕費を補うために幾らの値上げをすると、こういうふうな考え方ではございません。したがって、修繕費の額が幾ら足りないから、その部分に対しては値上げの額が大きいというふうなお話もございましたけれども、そういう修繕費の額から値上げの額をはじいているわけではございませんので、御理解願いたいと思います。  それから、先ほどお尋ねの、いままでやってきたもので繰り延べているものはどうだというふうなお話がございましたけれども、先ほども御説明申し上げましたけれども、賃貸住宅の家賃に含まれております修繕費、これは理論的に申しますと、将来の修繕に備えまして積み立てて、そして計画的に支出していくと、こういうものでございます。しかし、どの程度の修繕を行うのがいいか、あるいは修繕の中で何を一番先に優先していけばいいかというふうなことについては大変むずかしい問題でございまして、逐年の物価の上昇あるいは当初予測していなかった修繕の項目が出てきたり、こういうふうないろんなことから、修繕が、何といいますか今後どれだけあればいいか、あるいはいままでし残した修繕はどのくらいかというふうなことは、なかなか金額的にも一概に申し上げるのはむずかしい問題であると、こういうように思っております。
  294. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 非常に重大な有賀さんの答弁ですね。修繕費が足りないから今度のプール制、プール方式家賃やったんじゃないと言われる。ところが、この対策にははっきり書いてあります。「1 供給後相当の期間を経過した住宅が当初の低水準の家賃のまま据え置かれているため、新旧住宅の家賃水準の間に著しい不均衡が生じているほか、必要な維持管理経費をも償えない住宅が増大しつつある。」というのが第一の一番大きな理由ですよ。いままでも公団側はとにかく修繕費まで出ないと、赤字だ赤字だということを盛んにPRに使っていたのに、どうもいまの答弁では、修繕費が赤字だから、足りないから値上げしなきゃならぬというものではないということを言われた、ただ不均衡是正のためだと。不均衡是正と言ったって、これはいままで住まわれてきた団地の方々は、ちゃんと決まったとおり全部払ってきたんですから、当初の一七%というのは非常に負担が重かったと。五千円、六千円でも、月給が一万円ちょっとしかない時代ですからね。奥さんと合わせてようやく一七%になったというような人ばかりなんですね。それを一生懸命払って、ようやく少し楽になったというときに上げられようとしているわけですから、それも修繕費は足りなくないと、それが理由じゃないと、単なる不均衡是正のためと。建設大臣住宅局長、そういう理由でいいんですか。
  295. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) やはり、理由といたしましては、有賀理事も修繕費の必要は申し上げたわけでございます。修繕費、それから不均衡是正というのは原因でございますけれども、そのために積算はしなかったということでございまして、本来そういうものを積み上げてやるならばもっといろんなものが出ると思います。ただ、今回は激変緩和ということが一つの大きな柱にしております。したがいまして、やはり世間の御納得いただける程度でまずやらなきゃなるまい、したがって、その激変緩和の限度は何かということによりまして、公営住宅方式の半分という線を考えました。したがいまして、そこから上がってくるといいますか、増収額はわかっております。それに加えまして国からも特別の交付金をこの際出していただいて、それらのものをどううまく使っていこうかというのが今後のわれわれの課題になっておるわけでございます。
  296. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 きょうは、とにかく非常に重大な答弁が次々出てくるんですけれども、やっぱり反対運動や世論の批判が強くなったためにいろんなことを皆さん方言い始めている。たとえば公団総裁は、先ほどプール制という言葉は誤解が生じるので使わないと、企業体の経理の問題だと、二百億円増収して、それをどこに使うかは公団という経理の、一企業体の経理の問題だと、それをどっちに使おうが、これは緊要度に応じてやるというふうに言われたですね。これは大問題ですよ。これは先ほどの対策にも私は三つ理由を挙げた。企業体の経理の問題だったら、この三つ以外にだって使えることになるじゃないですか、緊要の問題だったら。有賀理事が先ほど言われましたが、きょう問題になった長期保有土地ですね。あれ、千六百ヘクタールあると、このために二百七十五億円もいままで金利を払ってきた。そのうち百四十九億円が住宅部分だと、家賃に三千六百円かかっていると言われたでしょう。これも緊急な問題でしょう。一企業体の経理の問題として二百億円入ってきたと、こういうものにも使いかねないじゃないですか、一企業体の経理の問題。だから、このプール制方式の家賃値上げで、もう本当にあなた方は理由がなかなかくっつけられないんで、プール制とは言わない、プール方式と言うというようなことを言い出したり、修繕費、修繕費、これが足りないからだと言っていたのに、修繕費の赤字が原因じゃないということを言い出したり、一企業体の経理の問題だと、何にでも使えるかのような——値上げの根拠は全くないじゃないですか。はっきり答えてください。
  297. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 一企業の経理の問題だと言うと非常に不謹慎なようにお受け取りのようですけれども、そうじゃございません。
  298. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなた、そう言われたじゃないですか。
  299. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 企業の経営者は全責任を負っております。その総収入をどういう緊要度に応じて使うかということについては、これはもう最も大事なことでありまして、その緊要度の判定を誤り、あるいはむだな使い方をすれば、それこそ十分なる御批判をいただきたいと思う問題でありまして、私どもはあの方針等にもありますように、保守管理費、修繕費、あるいはその割合はいろいろございますが、新旧家賃の不均衡の是正等、そういうものを緊要だと考えておるわけでありまして、その誤解を避けるようにと申しましたのは、この人から取ったものをこの人に渡すといったような、そういう短絡的な御解釈はひとつ御容赦願いたい、全体の問題なんですと、総収入をいかに緊要なものに使うかと、こういう問題でございますと申し上げたわけでございまして、その辺を十分御理解を願いたいと存ずるわけでございます。
  300. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あなたは正確に企業体の経理の問題だと先ほど言われたんですよ、今度議事録が出りゃわかりますけれども。その住宅公団という企業体は、あなたは今度総裁になったばかりだから案外責任ないと思われているかもしれないけれども、千六百ヘクタール未利用地があって、そのうち千二百ヘクタールというのはもう皆目使えないと。大臣はこんなもの整理しろというふうに怒っておられるようなあれでしょう。三万五千戸もの空き家並びに空き家予備軍が生まれてしまった、そういう企業体ですよ。その企業体の経理の緊急の問題を今度住民にかぶせて、それを緊急度に応じて使おうというわけでしょう。そういうめちゃくちゃな経営の責任を住んでいる住民、しかもいままでちゃんときちんとみんな皆さん家賃を払っているんだから、決められたとおり、契約どおり。その人たちにかぶせようというのがこのプール制家賃じゃありませんか。全くそうじゃありませんか。
  301. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 委員長委員長
  302. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まあいいです。いいです。あなたの弁明をもう聞いてもしようがない。そういうことであるという本質をよく考えていただきたい。で、われわれ共産党は何も一銭も家賃値上げするなとかいうことを言っているんじゃないんですよ。そうじゃなくて、補修費の赤字の問題というのはこれは確かに重要な問題だと、インフレが物すごいんだから。これはだから切り離してやれと言うんです。企業体の経理の問題だとか、あるいは新規住宅の値下げの問題だとか、空き家の問題とかを切り離して、補修費の問題については、これは別途に公団自治協ときちんと協議して、民主的に決めなさいと言うんです。これは個々の団地ごとにきちんと計算して、ここの団地にはこれだけ補修しなきゃならぬのにこれだけ足りないと、その点についてはこれだけひとつ公団側としては提案をするというふうに、こういうプール制家賃の問題と切り離して、補修費の問題は自治協と相談しろというわれわれ建設的提案をやっている。この提案、建設大臣いかがでしょうか。
  303. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 御理解いただいたと思ってお礼を言おうと思っていたらば、今度違うようですな、少し。いや、民主的にというお話でございますが、当然もう御相談を申し上げることはもちろんやぶさかではございませんし、そうしなきゃならない問題だ、十分御相談だけは申し上げて、そして決定していきたいと、こう考えております。  いまのプール制の問題におきましても、私はプール制ではないという理由がある。それはただ単に下が安いから上へ持っていってこれを平均するんだ、こういう意味ではない。したがって、国からも出そうじゃないか、そして修理をしようじゃないかということになってくるんですから、私は、プール制とは違うじゃありませんか、プール制ならその中で解決つくのがプール制であって、国から幾らでも出そうと言うんなら、そんならプール制じゃないじゃないか、私はそういう意見を持っているからプール制ではございませんと申し上げているのでございまして、いずれにいたしましても、そんなことで議論をすることはございません。いずれにいたしましても、この問題も、もう申し上げたように、納得ができる範囲内までお話し申し上げたと思うのですけれども、まだおわかりにならないようなんですから、十分この点は御審議を願いたいと思います。十分御意見として承って、また上田さんの御意見のいい部分があるなら十分取り入れて今後対策をしていきたいと、こう考えております。
  304. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大臣、私は補修費問題というのはひとつ切り離して、自治協と民主的に協議せよと言ったんですけれども、そこを大臣、ちょっとお聞き漏らしになったようですけれども、いずれにせよ自治協と民主的にこの問題で協議すると、プール制家賃問題で。民主的に協議して決めるということを大臣、いいんですね、いまそう言われた。
  305. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 入居者の方と、御利用いただいている方とは十分お話し合いをするのは当然のことだと、大家ですから。大家がまた家賃を上げる、ただ上げるぞだけではもう通らない。昔の八つあんや熊さんの時代とは違うんでございますから、ですから十分にお話を申し上げて御理解を賜るようにいたしたい、こう考えております。
  306. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私、そろそろ時間が来てしまってもうあんまりできないんですけれども、残念なんですが、先ほど私は修繕費問題について、公団側に三十七年度以前の団地の補修に必要な費用がどのぐらいか、それから必要なもので繰り延べられている修繕費はどのくらいかということを聞きました。有賀理事はまだ積算ができていないと言われましたけれども、大体の額でいいから、私ぜひその点を提出してほしいと思うのです。私この質問を保留したいと思います。二十七日に私、もう一回この建設委員会ありまして、質問がありますので、そのときまでに補修費の費用ですね、大体のところを出していただきたいと思います。  それから公団総裁にもう一つお願いしたいのは、先ほど大臣は自治協の人々、それから住んでいる入居者と民主的に話し合うのは当然だというふうに言われたんですが、公団側は、これは私ども「赤旗」で公団の資料を報道しまして、来年一月に家賃改定を通じて、そのときに国会対策、居住者対策、訴訟準備をやるということがありまして、スケジュールになっている。このことをこの間総裁に話し合ったところ、前総裁ですね、そういう強権的な手段、訴訟その他の手段で強権的なやり方はとらないということを約束されましたが、新しい総裁としても、たとえば反対運動が起きるとか家賃の不払いが起きる、あるいは供託が起きると、そういう入居者の方々との運動が起きた際、強権的な訴訟、そういう強権的手段はとらないということをお約束できるかどうか、この点お答え願いたいと思います。
  307. 澤田悌

    参考人(澤田悌君) 先ほど大臣お答えになりましたように、入居者の方々とは極力御理解をいただくような趣旨の話がございました。私もいろんな方法で入居者の方々に値上げの御理解をいただいて実行をいたしたいと思っております。あるいは御承知にならないような方が出てまいることも懸念されますけれども、私も極力強権的なやり方は避けたいと考えております。
  308. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 あと一、二分ありますので、もう一、二問だけ。  先ほど建設大臣、国に五十億、それから百億、こういうものを要求して、概算要求で、新築住宅の家賃を引き下げるように努力をしていきたいと、こう言われましたが、この点の努力をぜひお願いしたいと思うんですが、例の家賃の資金コストの引き下げですね。これも非常に大きな問題だと思うんです。昭和五十年度の公団の家賃の構成割合を見ますと、いわゆる金利分と、それから地代相当分の金利分ですね、これ合わせて五六%になります。ところが、昭和五十一年ですと、これを両方合わせると六五・七%、六六%もつまり金利が家賃の中に入っているわけですね。六六%というと物すごい数字ですよ。あの高家賃の中の七割近くが金利だということですね。だから、こういう高家賃になっている。この問題は真剣に取り組む必要があるわけで、私は三月二十九日の予算委員会でも金利一%下げれば九千三百円下がるということを言いました。これだけのコストを占めているわけですから、金利問題というのは非常に大事であります。今度、今年度のたとえば財投の金利も当初七・五%が六・五%になったわけなので、現行は団地中層が五%、それから団地高層市街地住宅が四・五%で、その上の分を利子補給しているわけですが、この財投金利も下がり、公定歩合も下がり、下げちゃいけない郵貯の利子まで下げたわけですから、当然公団のこの金利も下げられるはずですけれども、この点についてどういう努力をされるつもりか、建設省考えをお伺いしたいと思います。
  309. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 住宅公団は事業自体が全部利子つきの金で事業をいたしております。したがいまして、いろんなものにつきまして利子のコストが高まるということは間々あるわけでございます。現在のただその借入コストと、それから実際に賃貸いたしますコストと、その間にやっぱり利子補給というのがございます。その利子補給金というのは国民の皆さんの税金であるわけでございますけれども、このコストにつきましては七十年にわたって累増するものでございます。したがいまして、コストの引き下げはなかなか軽々に行えない。将来の累増を考えればやはり相当な決意がないとできないというのが一つの問題点であろうかと思います。ただ、たとえば分譲住宅等につきまして、これは家賃でございますといろんなことがございますけれども、分譲住宅等につきましてはやはりどうしてもコストを下げるというようなことが必要でございますので、来年度もコストの引き下げについては十分前向きに努力をしたいと考えている次第でございます。
  310. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほど少し家賃を下げると言われたけれども、空き家住宅などは本当に一万円ぐらい下げなければとうてい入らないと思います。だから、その程度の焼け石に水の千円か二千円程度の引き下げじゃこの問題解決できないし、どうしても抜本的な手を打たなければならないところに来ているということをよく御認識いただきたい。それを住んでいる人たちにかぶせてというようなやり方では絶対解決できない。もう空き家に入らないわけじゃない。いま入っている人たちまで出て自分たちで探さなければならない、探そうという気になり始めていますから、国民の国鉄離れに引き続いて、国民住宅公団離れがやっぱり起きざるを得ないことになるだろうと私ども思います。この問題も非常に重要で、一般の家賃にも響きますし、世論も大きく取り上げております。もうすでに地方議会でも取り上げられておりまして、千葉の県議会あるいは神奈川県議会などは独自の意見書も提出している。東京でも東久留米、国立、立川、日野、町田、小平、板橋区など、住民からの請願を可決して、公団家賃値上げ抑制に関する意見書や請願が通過するという事態も生まれているわけです。  きょう私、時間の関係で全部質問できませんでしたけれども、きょうの審議の中でもいわゆるプール制家賃の問題に非常に多くの問題がはらまれている。理論的にも筋が通らない問題が多く出たと思うんです。ですから、私どもは、重ねて申しますが、修繕費問題は切り離して民主的に協議して解決する。そうしてプール制家賃、プール方式の今度の家賃値上げそのものを白紙撤回するということを強く要求して、質問を終わりたいと思います。
  311. 小谷守

    委員長小谷守君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回の委員会は明後二十七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会      —————・—————