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1977-11-16 第82回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十六日(水曜日)    午前十時三十八分開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月四日     辞任         補欠選任      上田耕一郎君     沓脱タケ子君  十一月七日     辞任         補欠選任      前田佳都男君     北  修二君  十一月十四日     辞任         補欠選任      石本  茂君     岩上 妙子君  十一月十五日     辞任         補欠選任      瀬谷 英行君     野田  哲君      宮之原貞光君     矢田部 理君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長        茜ケ久保重光君     理 事                 遠藤  要君                 坂元 親男君                 寺下 岩蔵君                 大塚  喬君                 和泉 照雄君                 田代富士男君     委 員                 伊江 朝雄君                 岩崎 純三君                 河本嘉久蔵君                 北  修二君                 世耕 政隆君                 藤井 丙午君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 案納  勝君                 坂倉 藤吾君                 野田  哲君                 丸谷 金保君                 矢田部 理君                 沓脱タケ子君                 安武 洋子君                 和田 春生君                 下村  泰君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  坊  秀男君    政府委員        大蔵大臣官房審        議官       米里  恕君        大蔵省主計局次        長        山口 光秀君        大蔵省理財局次        長        川崎 昭典君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        国税庁長官    磯邊 律男君        国税庁税部長  水口  昭君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省河川局長  栂野 康行君         ―――――        会計検査院長   佐藤 三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        警察庁刑事局保        安部保安課長   柳館  栄君        経済企画庁国民        生活局消費者行        政第一課長    吉岡 博之君        法務省民事局参        事官       青山 正明君        法務省刑事局刑        事課長      佐藤 道夫君        厚生省医務局総        務課長      森  幸男君        会計検査院事務        総局次長     柴崎 敏郎君        会計検査院事務        総局第三局長   松尾恭一郎君        日本専売公社総        裁        泉 美之松君    参考人        国民金融公庫総        裁        佐竹  浩君        日本開発銀行総        裁        吉岡 英一君        日本輸出入銀行        理事       藤岡眞佐夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和四十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十九  年度政府関係機関決算書(第七十七回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十七回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十七回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月四日、上田耕一郎君が委員辞任され、その補欠として沓脱タケ子君が選任され、また、十一月七日、前田佳都男君が委員辞任され、その補欠として北修二君が選任され、また、十一月十四日、石本茂君が委員辞任され、その補欠として岩上妙子君が選任され、また、昨十五日、瀬谷英行君、宮之原貞光君が委員辞任され、その補欠として野田哲君、矢田部理君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和四十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、大蔵省と、それに関連する日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 質疑通告のない泉日本専売公社総裁佐竹国民金融公庫総裁吉岡日本開発銀行総裁藤岡日本輸出入銀行理事は退席して結構でございます。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 野田哲

    野田哲君 まず、大蔵大臣に伺いたいと思いますが、各省予算の中で開発費という費目が計上されることがあるわけであります。開発費については、かつては昭和四十七年にかなりの巨額な開発費で木造の飛行機がつくられて、そのまま廃棄されたというような例もあるわけでありますが、この開発費というのは、その開発費を使って開発をされた機械類と、これについては当然見込みをつけて予算大蔵省としても査定をして計上するというふうに考えるんですが、この開発費というのは、開発した結果、試験研究の結果は幾ら巨額な金額であっても役に立たなければすぐ廃棄をする、そういう性格として取り扱ってもいいんですか。この点をまず伺いたいと思うんです。
  7. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 事務当局からお答えさせます。
  8. 山口光秀

    政府委員山口光秀君) 開発費ということで予算を計上する例がございますが、開発の結果が必ずしも成功するとばかりは限らないわけでございます。で、仮に成功いたしますれば、それを民間開発した場合には、民間から今度は調達いたします場合に開発費割り掛けが製品の価格に反映されるわけでございますけれども、国が開発したという場合にはそういうことがないんで割り安になるわけでございますから、そういう効果はあろうかと思います。ただ、開発が失敗するということも当然あるわけでございまして、そういう場合には効果が出なかったということになるわけかと思います。
  9. 野田哲

    野田哲君 ある年度開発費を計上して、国の機関である機械開発をしたと、それが役に立つか立たないかという判断、あるいはこれはもう役に立たないからスクラップにしてしまうという判断、これはどういう手続でなされるんですか。これは各省ごとに独自の判断で行われるわけですか。
  10. 山口光秀

    政府委員山口光秀君) お尋ねの点は予算執行の問題になろうかと思いますんで、それは各省各庁の判断になろうかと思います。ただ、そういう開発費執行によってその事柄が成功しているとかあるいはどういう状況にあるかということは、翌年度以降の予算編成の際の参考として当然各省からも説明があるだろうと思います。
  11. 野田哲

    野田哲君 開発費によってある機械開発をしたと、それが廃棄処分にされる、役に立たないから廃棄処分にされる、こういう場合には、会計検査院としてはこの点については事後、検査対象になるわけですが、協議を受けるという――廃棄処分をする場合に協議を受けるという経過、あるいは特にそれが一定額金額以上のものであった場合にはこの検査対象にする、こういう手続あるいは判断を持っておられるわけですか。
  12. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 処分の際にあらかじめ私どもの方に協議を受けるということはこれはございません。これは処分庁における判断の問題、まさに予算執行の問題ということでございますので、あらかじめ協議を受けるということはございません。また、その開発されたものの処分というものが妥当であるかどうかということにつきましては、当然私どもの方の検査内容対象といたしまして、その開発の計画からそれが処分に至るまでの経緯というものについてつぶさに当たってその当否を判断をしていくと、かようなことになるわけでございます。
  13. 野田哲

    野田哲君 建設省見えておりますか。
  14. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) はい。
  15. 野田哲

    野田哲君 昭和四十七年に建設省中部地方建設局中部技術事務所、ここで無人潜函掘削機というのを開発をされているわけでありますけれども、この開発に直接間接費含めて幾らの経費がかかったか、いまわかりますか。
  16. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) いまのお話は、潜函用掘削装置でございましょうか。
  17. 野田哲

    野田哲君 そうです。
  18. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 開発費について幾らかかったかということにつきましては、いま資料を持ち合わせておりません。後刻調査をいたしまして御報告申し上げます。
  19. 野田哲

    野田哲君 これは私の一時間半の中で調べて答えていただきたいと思うんですが、私の調査をしたところでは、直接の本体だけで約七千万円かかっております。それから、途中で修理をしたり、あるいは実地試験をやるところへ運搬をしたりするなどして、かれこれ八千万円ぐらいかかっていると思うんです。この無人潜函掘削装置については、「中部地建だより」という建設省の発行している中部地建機関紙によりますと、昭和四十七年六月十五日号で、非常に有効な開発をしたということで全建準賞という表彰を受けておられるわけですが、その事実は御存じですか。官房長
  20. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) この問題につきましては、けさ新聞を見まして、事実関係だけできる限り調査をいたしたわけでございますが、いま先生最初お話ございました開発費ということが購入費ということでございますれば、私の手元にある資料におきましては七千四百五万円というふうになっております。  それから、いまお尋ねの全建準賞の話でございますが、この機械購入をいたしまして四十五年に運搬据えつけをいたしまして、四十五年から性能試験をやっておるわけでございます。この機械はいわゆる潜函工事でございまして、橋梁下部工等で橋脚を据えつけるために掘削をいたします。その際に、高圧の空気を入れまして水の流入を排除をいたしまして、従来は人力でもって掘削をして、その掘削につれてまたおりてくるというようなそういう装置でございますが、人力をもって掘削をいたしますために、潜水病等人身事故も多いものでございますから、これを何らか人力によらず機械によってオートマチックにやることはできないかというようなことで考えられた装置のようでございます。そのいまの全建準賞でございますが、先ほど申し上げましたように、四十五年から四十六年にかけて性能試験をやっております。その性能試験の結果につきまして、昭和四十六年に全日本建設技術協会から調査研究部門の全建準賞を受けておると聞いております。
  21. 野田哲

    野田哲君 それがその後どういう形で実際に使われたか、官房長御存じですか。
  22. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) これも事実関係調査だけでございまして、事実だけを申し上げたいと思いますが、いま申し上げましたように、性能試験を四十五年から四十六年十月にかけまして約三百時間ほど性能試験をやりまして、あと河川工事におきまして試験施工を四百四十五時間をやり、さらに約千五十六時間の橋梁掘削工事のために使用をしたということを聞いております。
  23. 野田哲

    野田哲君 私の調査したところによると、昭和四十六年度において、十二月から三月まで、岐阜県笠松町において、白石基礎工事株式会社、そこで約四カ月貸与されて使われております。それから、四十七年度においては、中部技術事務所に五月から十一月までそのまま放置をされておる。そして四十七年の十二月から四十八年の三月まで四カ月間、大成建設に貸与されて木曾川の工事に使われておる。結局七千数百万円で開発されて全建準賞まで受けていた機械が、延べにして八カ月ぐらいしか実用に供されていない。それから以降のこの機械履歴簿を見ると、四十八年度は全部休止ということで、中部技術事務所放置をされている。四十九年度も一年間まるまる放置をされている。五十年度も全然手をつけられずに一年間放置をされている。五十一年度も同様、そして五十二年の九月に百四十八万円でスクラップとして廃棄処分にされている。こういう状態になっているわけですが、御承知ですか、官房長は。
  24. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) けさ早速事実関係だけを調べましたところ、おおむね先生の御指摘のとおりではないかと思います。
  25. 野田哲

    野田哲君 四十八年、四十九年、五十年、五十一年、そして五十二年の八月までということで、約四年半、この七千数百万円で開発された機械が、延べにして八カ月ばかり使われた後は全く手もつけられずに、修理をされるわけでもない、何にも手を加えられないままに中部地建技術事務所の中で放置をされていた。そして百四十八万円でスクラップ業者廃棄処分処分されている。この開発をして表彰を受けた――これは「中部地建だより」に麗々しくここに、大蔵大臣建設省自身機関紙にこういうふうに報道されているんですよ。それがこの直後から四年半放置をされて百四十八万円でスクラップにされる。この手続は一体、いま先ほど、開発された機械処分についてはそれぞれの省庁手続にゆだねているというお話大蔵省の方であったわけですが、建設省ではこれはどういう手続でこういうずさんな処理がされているんですか。
  26. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) なお詳細につきましては調査をいたしたいと存じますが、手元にあります事実関係だけによりますと、五十年の十二月三日に不用決定地方建設局長の承認でいたしまして、以後売り払いに関します入札を三回にわたって行いまして、五十二年の九月二十六日に先生指摘の百四十八万円で東邦金属興業に払い下げたということになっております。
  27. 野田哲

    野田哲君 いや、そういう入札経過などはいいんですよ。こういう場合には、七千数百万円で開発をした機械、これは国民税金が使われているんですよ。それを百四十八万円のスクラップにするという判断はどこでするのですかと、どういう手続でどこがやるのですかと、こういうふうに聞いているのです。
  28. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 不用決定につきましては、機械を保有をいたしております中部技術事務所判断をいたしまして、地方建設局に上げまして、地方建設局委員会を開いて不用決定をいたすものと考えております。なお、先ほど申し上げましたように、どういうような手続で、局内手続で、どういう判断でしたのか、そういう点につきましては今後よく調査をしてみたいと考えております。
  29. 野田哲

    野田哲君 中部地方建設局中部技術事務所で四十九年の四月に、これは年度は四十八年でありますけれども、「潜函基礎工事機械化に関する調査試験報告書」というのが冊子として出されております。これを一読をいたしますと、つまり四十七年の六月には、全建準賞を受けたということで大変誇らしげに機関紙で発表しておるものが、その翌年になると、翌年度にこの中部地建中部技術事務所で、結局あれはだめだったと、こういう報告書を出しておられるわけなんです。これが私はこの不用処分にする基礎になったと思うんです。そういうふうに私は解釈をせざるを得ないと思うんですが、四十七年の六月には晴れがましくこういうふうな新聞で発表したものを、なぜ今度は、その翌年には性能検査のための報告書技術者で出さなければならない、そうして結局だめだったよと、こういう報告書が出る、こういうことになるのでしょうか。少しこの扱いというのはずさん過ぎはしないでしょうか。どうですか、官房長
  30. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) その判断に至ります経緯やまた判断の根拠につきまして、私いまのところ存じておりませんので的確なお答えを申し上げかねますが、感想を言わせていただければ、何か工事をやって直ちにだめだったというような判断を下したことについては若干抵抗を感じます。なお調査をしてみたいと思います。
  31. 野田哲

    野田哲君 問題は、だめならだめという判断を下して手続をとるにしても、四十八年度でだめですよというこの報告書が出て、それから四年間も野天に放置をされているという扱い、これも私は問題があると思うんです。だめならだめで、これは処理の仕方はあると思うんですがね。四年間も野ざらしにされている。国民財産ですよ、これは、幾ら七千万円といっても。これがそういう扱いがされるということは私はどうしても納得できないので、これはこの一連の建設省としての処理の稟議書等あると思うので、この写しをぜひ資料として出していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  32. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) ただいまの資料要求は、この意思決定に至るまでの伺い決裁決裁書類とかそういうことでございましょうか。それならば調査をいたしまして、ございますれば提出をいたします。
  33. 野田哲

    野田哲君 調査をしてございますればじゃないんだ。これは当然あると思うんです。これだけの金額処理をしているんですから、しかも今年度でやっているんですから、これはもうあることは間違いないと思うんだから、これはそういうことでなくて、ぜひ出してもらいたいと思うんです。  そこで大蔵大臣に伺いたいと思うんですが、いまの経過を聞いていて、大蔵大臣としては、一つの例としてこの開発費財政責任者として適正に運営されているというふうに認識をお持ちになりますか、いかがですか。
  34. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 開発費でございますので、開発した機材を購入いたしまして、そしてこれを使用するという場合には、それが機能を発揮してそして十分効果を上げるということは期待されております。しかしながら、開発でございますので百発百中というわけには私はまいらないと、これが成功する場合も不幸にして成功しないといったような場合もあろうと思います。そういったような場合に、これは御指摘のとおり、国民税金収入でもってこれを購入して使うということでございますので、その期待が成功しなかったということにつきましては、特にこの財政当局といたしましてまことに遺憾でございます。ただしかし、こういったような開発機械使用するということにつきましては、これは当該の各省庁に、まあ実際執行するという面でございまするので任してあるということでございます。しかし、そういったようなことが、その面につきまして大蔵省が一々それを執行中にこれに対して指導、監督するというような立場にはございませんが、そういったような事実が招来されたということにつきましては、これは十分大蔵省といたしましてはこれをよく腹の中へ入れまして、そして今後の予算編成等に際しまして、これは非常に警戒をしていかなければならぬ問題であろうと、かように考えております。  建設当局からただいま御答弁がございましたが、そこいらのところについての内部のいきさつ等についてはこれからよく調査してと、こういうお話でございますので、そこいらのところも予算編成立場から今後よく事情を承ってみたいと、かように考えます。
  35. 野田哲

    野田哲君 開発費ですから、開発をして成功する場合もあるし、成功しない場合もあるでしょう、それは。それから国の大方針が、あのPXLのようにかなり進んでいても、大方針が変更されてオシャカになる場合もそれはあるでしょう。あるんですが、そういう例だって、国民は決してこれを釈然と了解をするという立場にはないと思うんですよ。この場合は、開発だから成功する場合もあるし失敗する場合もあるだろうと、こう言われていますけれども、これは建設省自身が、成功して表彰を受けたということで、成功したと、こう言っているわけですよ。全建準賞というのは、これは全日本建設技術者協会という団体表彰を受けているんですが、これはどういう性格のものなんですか。これは建設省技術者も含めて官民建設技術者の組織で、これは日本ではかなり建設技術については権威のある団体だと私は理解しているんですが、これはそういうことでしょう。
  36. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) いまお話ございましたように、官民を問わず建設技術者技術向上を図るために構成をされました社団法人でございまして、技術向上を目指すということのために設立したものでございますから、相当技術的には権威のあるものと考えております。
  37. 野田哲

    野田哲君 ですから、この経過を見ると、この建設技術者協会表彰を受けるほどこの開発は成功したと、そして能率的にも、そして労働者安全保障の上からも非常に効果があったということをここに建設省自身機関紙でPRしているのです。だから、不成功に終わったからスクラップにしたのじゃないのですよ。成功したという判断をしているのです。それがなぜその後四年間も赤さびのままで野ざらしにされているのか。そこが一番問題なんです。  そこで、会計検査院に伺いますけれども会計検査院中部地建についてかなりあちらこちら会計検査をやられているのですが、この私がいま指摘をした問題については会計検査を行った経過がありますか。
  38. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) 中部技術事務所につきましては、毎年大体六月に検査を行っております。検査日数は一日でございます。検査人員は二名のときもありますし、四名のときもありますが、五十一年の検査は二名でございます。それから五十二年の検査は本年六月二十八日、二名で行っております。
  39. 野田哲

    野田哲君 私の聞いたことにちゃんと答えてくださいよ。この無人潜函掘削機というのを開発をして、それからその後野ざらしにして、そしてこれは処分をしたのはごく最近ですからまだ検査対象になっていないと思うのですが、この無人潜函掘削装置という問題について会計検査を実施をしたことがありますかどうかと、こう聞いているのです。
  40. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) けさ新聞承知しまして、早速担当の課に聞いたのでございますけれども、まだ詳細は把握しておりませんが、取得費七千万円の大きな金額を使った機械でございますので、その機械の保管あるいは管理、使用状況につきましては当然検査しているものと考えております。
  41. 野田哲

    野田哲君 どういう検査をやったか、その内容承知をされておりませんか。
  42. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) まだ承知しておりません。検査に行きました各人につきまして、各年の調査官につきまして聴取したいと思っておりましたが、ちょっとまだ時間がございませんでした。
  43. 野田哲

    野田哲君 けさ新聞を見ると、これは建設省官房長に伺いますが、こういう処理をされたことについて、中部のこの技術事務所長は、民間とはわけが違うと、こういう開き直った談話が出ておりましたが、大体建設省としては、あの中部技術事務所長談話のような形で、民間とはわけが違う、こういう認識を持っておられるのですか。
  44. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 私どもは、この問題につきましては、先ほど来申し上げましたように、現在稼働時間が千時間余でございますけれども、それでもって開発的な役割りを果たしたのかどうか、なぜその後使用するに至らなかったのかどうか、さらに不用決定に至る手続において適正であったかどうか、その辺についてはなお調査をするつもりでございますが、技術事務所長談話はともかくといたしまして、私どもといたしましては、いやしくも国費をもって開発をしたものでございますから、これが粗末に扱われ、国民に御迷惑をおかけするということはないようにというふうに考えております。
  45. 野田哲

    野田哲君 会計検査院に伺いますが、あなた方の方で会計検査を実施をする場合には、たとえばこの中部地建あるいは中国地建、建設省だけではなくて、各機関検査されるに当たって、会計検査対象にどこの工事とかあるいはどこの国の事務所とか、こういう検査個所を決めるのは、これはどこが決めているんですか。これは検査をするあなた方の方で決めているんですか、それとも、中部地建管内を検査をするということになれば、その検査対象個所あるいは対象工事というのは中部地建の方で選択をして決めているんですか。そこのところはどういう仕組みになっているんですか。
  46. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) 検査に当たりましては、検査個所、その検査の個所のうちのまたいろいろ場所がございますが、すべて検査院の方で決めております。
  47. 野田哲

    野田哲君 いろいろ私は、ここに資料があるし、きのうも建設委員会で同僚の矢田部委員が質問をしたわけですが、大蔵省の方に伺いますけれども、いろいろ飲み食いの費用が、建設省の場合で言えば――これはまあ各省共通だろうと思うんですか――調査費という費目あるいは会議費という費目から支出をされているんですが、調査費というのはそういう飲み食いの費用を含めていい、こういう扱いになっているんですか。たとえば、交通量調査、道路の交通量調査調査費からかなり多額の飲食費が出されている。これは道路の交通量を調査したというよりも、料飲店への交通量を調査したような結果に皮肉に言えばなるんですが、調査費というのはそういうものを初めから見込んでいるわけですか。
  48. 山口光秀

    政府委員山口光秀君) いまお話しの道路事業調査費でございますが、これは、何と申しますか、事業をとらえている経費でございまして、公共事業でございますので、普通の役所で申します、さらにその目の段階の話になりますと、それをまた目の細分ということで分けておるわけでございまして、その中にはまた調査費という目の細分があるわけです。その調査費というのは、普通の役所で申しますと庁費に当たるわけでございますから、会議費等に充てることは可能である。具体的にその道路事業調査費の中の調査費、目の細分の調査費がどう執行されるかという点につきましては、これは各省各庁の良識にまつということでございますんで、会議費に使うこと自身はあり得ることだと思いますが、その使い方等につきましてはやはり各省各庁の御判断であろうかと思います。
  49. 野田哲

    野田哲君 建設省官房長に伺いますが、建設省関係の問題がいま話題になっているんですが、私の手元にある――まあここにこれだけ資料がありますがね。大体飲食関係の費用の支出の書類なんですが、これを調査をしてみると、大体飲食関係はほとんど調査費から出されているわけですが、ほぼ平均して昼飯代が大体五千円、晩飯代が九千円から一万円、こういう平均になっているんです、共通して。大体そういう単価を建設省としては各事業所ごとに統一的に考えているんですか。それとも偶然の一致なんですか、これは。
  50. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) そういうものにつきまして、統一的な基準を設けていることはございません。
  51. 野田哲

    野田哲君 大蔵省に重ねて伺いますが、いろいろ調査をしてみると、東京から公務員の人が地方へ出張していろいろ業務に携わっている。まあざっくばらんに言って、会計検査院の人も含め、あるいは建設省の本省の方も含めて、地方に行っている。そこで、先ほど私が言ったような、昼飯で言えば五千円ぐらい、夕食で言えば大体一万円ぐらいの飲食をされて、その上にかなりみやげ物が出ています。あるいはもっと、まあみみっちいようですけれども、やはり国民の非常に注目をしておる税金の使い方でありますからあえて言わしてもらえば、いろいろ行った先の名所古跡等の見物料、観光地の入場料みたいなものが含まれている。私は、地方へ行ったときに二時間とか三時間とか、せっかく行ったんだから、日本ラインをそれは下るなとは言いませんよ。そういうものまで国費で出すということは一体いかがなものでしょうか。これは金額は大したことはないんですけれども、規律の問題として伺っておきたいと思うんです。
  52. 山口光秀

    政府委員山口光秀君) 先ほども申し上げましたように、結局は各省が適切に御判断いただく事柄かと思いますけれども、その適切な範囲内での支出を超えるようなことは、大変一般論で恐縮でございますけれども、適当じゃないんじゃないかということかと思います。
  53. 野田哲

    野田哲君 その適切な範囲というのをもっと歯切れよく、こういうのが適切でこういうのは不適切だと、こういうふうに答えてもらいたいんですが。私がそれじゃ言いますけれども、観光地の拝観料とか入場料、こういうものとか――あなたがそういうふうにあいまいに答えられれば、私はあえて、非常にみみっちいようですけれども言わざるを得ないんです。週刊誌をかなりの金額で買って提供されておる。恐らくこれは宿舎でお読みください、車中でお読みくださいと、こういうことだろうと思うんです。あるいはつくだ煮とかハチみつとか拝観料、その他いろいろみやげ物をその都度提供されておるし、滞在中の週刊誌、たばこ、こういうふうにもう至れり尽くせりに提供されておるわけですが、そういうのが、非常にみみっちいようなことですけれども、規律の問題として、これは適当な支出なのかどうか、これははっきり明快に答えてもらいたいと思うんです。
  54. 山口光秀

    政府委員山口光秀君) 予算執行の個々の問題について私どもが一々口を差しはさむような立場にないものでございますから、大変申し上げにくいわけでございまして、ただいまいろいろ例を挙げておっしゃられましたことも、それぞれいろいろ具体的な事情のもとでそういうことがなされたのであろうかと思いますので、その具体的事情について私ども承知していないわけでございますので、一般論しか申し上げられませんということでございまして、そこは健全な社会常識と申しますか、そういう範囲内でやっていただきたいというのが私どもの、一般論でございますが、感じでございます。
  55. 野田哲

    野田哲君 私、例を挙げて質問したのに対して健全な社会常識ということなんですが、それじゃ支出した方の側の官房長に伺いますが、いまのような例は健全な社会常識というふうに考えておられますか。あなたは支出をした方の官房長ですから。
  56. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 私どもも今回調査をしてみまして、そういう事実があったことがわかったわけでございますが、適当でないものと考えます。
  57. 野田哲

    野田哲君 いろいろ調べてみると、会計検査を受けるときに、いろいろ会合で飲食費が支出をされているわけですが、細かく調べてみると、検査官、会計検査調査官が帰られた後で検査を受けた方の側が二次会をやっていますね、二次会を。それが会計検査の費用として処理されている。これはいかがなものですか。
  58. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 今回、私どもが十三日以来調査した範囲内では、そのことは聞いておりませんが、もしあったとすれば非常に問題なことであると考えます。
  59. 野田哲

    野田哲君 会計検査を行う立場について、私は責任者の方に伺いたいと思うんですが、この中にいろいろ資料がありますが、会計検査が行われるということで通知が行くと。ここに具体的に示せばいろいろ個人名が挙がりますから私は示しませんが、どういう形が出先で行われているかといいますと、まず、部内で会計検査の受け入れについてということで会議が行われて、そして来られる検査官の人物評を部内へ紹介しているわけですよ。何々調査官、どこそこ出身で、こういう性格の人だと、何々調査官はどこそこの出身で、これは非常に厳しい人であるとか、何々調査官は非常にシャープな人であるとか、趣味、嗜好まで全部言いた人物評を印刷にして部内の関係者に配付しているんです、会計検査の受け入れのためにという会議に。それから、東京の例をとると、自宅の地図か配付をされて――いいですか、東京の場合、自宅の地図が配付をされて、そこへ運転手はだれということで、全部乗用車で迎えに行く手配がされています。そして、検査官が着かれると、そこへスケジュールを示してあります。そのスケジュールを見ると、事務所での説明、打ち合わせが何時から何時まで、昼食はどこそこで、それから実地検査は何時までと、それから夜のコースまで全部スケジュールを印刷して示されているわけです。そして、現に資料によるとそのとおりに行動されているわけです。初めから着いたとたんにスケジュールを示されて、そして夜の宴会の場所まで示されるということでは、私は適正な監査はできないと思うんです。そういうことを示されたときは、やはりもっと私は会計検査院調査官は主体性を持ってやってもらわなければ適正さを欠くんじゃないか。先ほどあなた方の方では、検査個所は独自に判断をして会計検査院の方で決めますと、こういうふうにおっしゃっていたけれども、そうなっていないですよ、これは。私どもここに資料がありますよ、現に。個人名がありますから、私は具体的な例は示しませんがね。そうなっていますよ。そしてそのスケジュール表たるや、まさにこれは天皇陛下の行幸と同じですよ。何時何分何々駅着、自動車で出迎えて、庁舎着が何時何分、出迎えはだれとだれとだれと、こういうふうに分刻みのスケジュールが組まれて、そして女子職員は必ず局で支給したユニホームを着用しなさい、必ずネクタイは着けておきなさい、ドアは大きな音をたててあけてはいけませんと、こういうところまで念を入れてあるわけです。会計検査院が独自の主体性を持って検査をする余地は――もしなんでしたら私は見せてあげますけれども――あり得ないですよ、これは。そういうやり方に対してはもっと会計検査院独自で判断をされるべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  60. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 検査の受検官署側におきます準備について非常に詳細にいま御披、露いただいたわけでございますが、私ども検査は必ずしも抜き打ち検査というわけではございませんで、検査の計画をあらかじめ立てまして、今回のような工事事務所の検査の場合でございますと、非常に検査しなければならない工事数はたくさんあるわけですが、その中から重要なものあるいは検査上着目しなければならないような工事というものをあらかじめ選定いたします。そういう計画段階があるわけでございます。この選定は、先ほど局長から申し上げましたとおり、当然私どもの方で主体性を持って選定をするわけでございますが、その場合に、その工事に関連いたします受検官署側の関係者という方々が非常に多うございます。そういうこともございまして、短時日の間に検査を施行していくという検査の効率の問題もございますので、あらかじめ受検官署側に、本件の場合でございますと工事事務所側に、今回はこういう個所を検査するということを連絡いたしまして検査の協力を要請すると、こういうことになるわけでございます。それに基づいて受検官署側では、きょうは何カ所の工事をやると、その場合にはどういうルートで回ったら一番効率的に回れるかというようなことなどを配慮されまして、スケジュールを、先ほど先生お話しなさいましたような日程表をおつくりになるのだと思います。その日程表に、たとえば夜の宿泊あるいは昼の問題といったようなことが書かれている。それが私どもの出張官にまで示されますかどうかということについては、私いますぐにはお答えできませんけれども、そういうことで、建設省工事事務所側におきましても、私ども検査に協力してくださるという立場からそのような日程表がつくられると、このように考えております。しかし、その日程表の中のどういう個所を私どもでその当日検査するかということの選定は、くどいようでございますが、先ほど局長が申し述べましたとおり、私どもの方ですべて主体性を持って選定をすると、こういうことでございます。  それからまあ私ども検査は、そういうことで受検官署側の御理解と御協力がございませんとできません。警察とか検察庁のような、強制捜査権を持って乗り込んでいってやるという性質の検査ではございませんので、そういう意味合いにおきまして、受検官署側の方がいろいろと意を配ってくださると、こういうことであろうと思いますけれども、お示しいただいた、あるいは今回のような非常に度を失したこういう目に余るような接待の問題、これについては私どもは非常に今後の問題として反省をしているわけでございます。
  61. 野田哲

    野田哲君 検査個所はあなたの方で示されるとしても、検査は、あなた方がやられて、早く終わる場合もあるだろうし、念を入れなければならない場合もあるでしょう。ところが、ここに一つの日程があるわけですが、木曾川上流工事事務所というところをやったときの日程があるわけですが、六月二十一日からずっと、終わるまで分刻みの、何時何分事務所発、何時何分現地着とかいうふうに、ずっと分刻みの日程を受け入れ側がつくっているわけです。そういう形で、向こうのダイヤに合わせて、本当に検査の実が上がりますか。どうですか、その点は。
  62. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) いまお話のございました分刻みのという、これはまあこの程度で回れば一日中に何カ所こなせるというようなことで、受検官署側でおつくりいただいたものであろうと思いますが、往々にして、私ども検査は必ずしもそう円滑にいくわけではございませんで、一カ所の工事個所について、そこで問題があればとことんやらなくてはなりませんので、とかくそこで時間を超過するということになります。で、従来も往々にしてございましたことですけれども、そのために、なおその日のあらかじめ定められた検査個所を全部こなすために夜遅くまでに及ぶというようなことも往々にしてございましたけれども、これもいろいろと問題がございますので、そこら辺については適当と思われる時間で切り上げる、その結果によりましては、当日予定しました検査個所が翌日に変わるというようなこともあるわけでございますので、その分刻みの枠の中で、すべてそれに縛られて私ども検査をしているということではございません。
  63. 野田哲

    野田哲君 このスケジュールを見ると、正直でいいと思うんですけれども、初めからこのスケジュールの中へ宴会の日程まで入っているわけですね。こういうのは、これはやっぱり示されたときに、協力を得なければということで、検査の実を上げるためには協力を得なければならないでしょうが、お互い公務員同士なんですから、宴会に臨まなければ実が上がらないということではないと思うんですよ、これは。これはやはり、こういう問題が出たときですから、けじめを私はつけなければいけないんじゃないかと思うんです。まして、これもささいなことではありますけれども、東京でやる場合に、私は検査を受ける方の側に自宅を教えて地図まで用意をすると、こういうようなことは、これはやはり度を過ごしているんじゃないか、モラルの問題として。こういうふうに考えるわけです。  それから、建設省官房長ね、会計検査を受けるときに、あなた方の方では、検査に来られる調査官の身上調査をやったような印刷物を配るなんというのは、これは私は少し穏当を欠いておるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  64. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 私も、いままでそういうことをうかつにして知りませんでしたが、そういう必要はないと考えております。  それから、会計検査院に対する受検側の態度といたしましては、まあやはり厳正な検査を受けるわけですから、われわれといたしましても厳正な気分で臨むということで、礼儀を尽くすという基本的な姿勢はある程度は必要ではないかと思います。もちろん接待等は論外でございます。
  65. 野田哲

    野田哲君 名前は一々言えませんが、ここに会計検査実地検査日程表、これは建設省のある個所でつくられたわけです。そこにこういうものが配付をされているわけです、だれそれ、ということ。会計検査院のいわゆる役名を書いて、年齢、それからどこそこの出身。プロフィルっていうのがありますよ。何年に検査院に入って、それからどういうところをずっと担当してきたか、性格は江戸っ子そのもので淡泊だと、誠実で紳士的だと評判もよいと、趣味はスポーツであるとか、そういう形で来られる検査官の人物評をずっと部内へ配っているんですが、これは会計検査院の院長としてはどういうお感じをお持ちになりますか、そういう形が受検個所でやられるとしたら。
  66. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) そういう問題が間々あるやに私も聞いておりましたけれども、その問題はやはりこう考えるべきじゃないかと思うんですね。それが接待につながるような関係で流されると、こいつはいけないことだと思うんです。ただ、人間関係をスムーズにするという、これは必要なことでございます。たとえば、われわれが議員さんに会う場合にも、議員さんの身元を調べましてそして一応出向くというのと同じことでございまして、これは接待関係がなければそういうことをやってもいいことじゃないかと。ただ、それが接待につながった場合には、これは弊害が出るのでいけないことと、こういうふうになるんじゃなかろうかと私考えるんです。
  67. 野田哲

    野田哲君 私たちはね、天下に自分の経歴から何から全部、選挙を受ける身ですから、さらけ出しておるんですからね。あなた方の方が、私たちが質問を通告をすれば、国会要覧でどういうふうにそれをひねくり回して検討されようと、それは承知の上ですよ。しかし、会計検査をやる立場と受ける立場関係に立って――じゃ、官房長の方に聞きますが、そこまでやらなければいけませんか。これはプライバシーの問題にも及ぶようなことになりませんか、いかがですか。趣味、嗜好までね。接待につながるかつながらないかは別にして、検査に来られる調査官の学歴から出身地から、性格から趣味、嗜好まで全部、この受検個所の職員の間へ配られるというのは、これは少し、プライバシーの問題としても度を過ごしちゃいませんか、これは。
  68. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 私もまだその実物を見たわけではございませんが、まあその特定人について個別的に調査をしたわけではなくて、恐らく何らかの雑誌とかあるいは年鑑等に記載をされているものをそのまま印刷をして回したのではないかというふうに考えます。いま院長からお話しのように、接待につながるものであれば論外でございます。ただ、お話がございましたように、検査院の検査官の人柄を一応熟知をしていく、そして、検査に当たりまして検査の円滑化を図るという面もあろうかと思いますが、しかし、今後はそういうものは私は必要がないというふうに考えております。
  69. 野田哲

    野田哲君 会計検査院に伺いますが、東京で、会計検査院の記録を見ると、共同溝というのを建設省工事関係ではかなりあっちこっち対象にされております。  そこで伺うわけですけれども、共同溝などというような工事をやっていく場合には、東京のような交通過密の状態のところでは住民との間にかなりトラブルが起こった例があるわけです。騒音とか振動とかいう問題で住民の反対運動が起こって、いろいろぎくしゃくした経過をたどっている例があるわけですが、どうも私が見たところでは、そういう住民との間でトラブルがあったところは意識的に避けているんじゃないかというような感じがするんですが、そういう考えはありませんか。
  70. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) 特に意識的にそういうところを避けているという事態はございません。
  71. 野田哲

    野田哲君 大蔵大臣、もうあと時間もそうありませんから見解を伺いたいと思うんですが、数日来建設省の問題を中心にして非常に話題になっているわけですが、私たちの調査建設省の答えられたこと、ほとんど間違いなく事実経過については一致して、その中に相当額の飲食あるいはみやげ等の接待費が支出をされている、こういう事態が明らかにされたわけでありますけれども、こういう実情について、そして各省予算を査定をする立場に立つ大蔵大臣として、現在私ども調査、あるいは建設委員会やきょうの決算委員会で具体的な事実を挙げて指摘したこういう経過について、大蔵大臣としてはどういう感想をお持ちですか。
  72. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) お答え申し上げます。  予算執行は、これはその所管の各省庁の責任ということになっておりまして、これらの責任者は法令や、あるいは予算の定めるところによりまして適正なる執行をしてもらうということが、これはもう何よりも大事なことでありまして、財政当局といたしましてもこれを期待をいたしております。  そこで大蔵省といたしましては、先ほども申し上げましたとおり、国民から徴収いたしました税金、それを預かっておるのが大蔵省でございますので、当然各省庁におかれましては予算の目的、内容に従って適正な経理をしてもらうことが、これは何よりも期待をいたしておるところでございますが、財政当局といたしましては、今回の事件に関し建設省からとりあえず説明を承りましたが、その接遇に行き過ぎがあったということでありますので、まことにこの点遺憾に存じております。今回のこの事例を機といたしまして、予算の適正かつ効果的な執行についてより一層各省庁に対しまして厳正にやっていただくということをこれは要請してまいりたいと思っております。  予算編成事務に当たりましては、各省から決算報告に基づきましてその実績等を個々の具体的査定作業に、これからの今後の査定作業に反映をさしていくべく努めてまいりたいと思います。また、会計検査院検査結果についても、これを重視いたしまして、会計検査院との連絡会議も開催して指摘事項について詳細な検討を行うなど、毎年度予算編成にこういったようなことを反映さして参考としてまいりたいと、かように考えます。
  73. 野田哲

    野田哲君 予算を担当される大蔵省として、今回指摘したことを頂門の一針にして、具体的な改善策を各省庁あるいは会計検査院協議をして、国民の少なくとも疑惑を受けるような予算執行が行われないような改善策を提示をされる用意がありますか。
  74. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 財政当局としては、毎年予算編成につきましては、申すまでもございませんけれども非常に厳正を期してやっておりますが、その執行に当たりましていやしくも適正を欠くというようなことがあるということは、私どもといたしましても非常に遺憾なことは先ほど申し上げたとおりでございますが、今回のこの事例というものは私どもといたしましては深くこれを腹の中に置きまして、そして、今後の査定に際しましてかかるようなことを再び起こさないように万全の注意をしてまいりたいと、かように考えます。
  75. 野田哲

    野田哲君 問題は、調査費とか会議費というところをもっと厳密にしていかなければいけないと思うんです。実情を見ると、会計検査が行われるということが決まると、今度の会計検査でどれだけの金を使うという計画書ができて、そして大体百万円使うと、こういう計画書ができると、それによってほぼ百万円ぐらい消費をされているわけですよ。そして事後処理として、あっちの会議費から幾ら、こっちの調査費から幾らということで寄せ集めてその百万円を落としているわけですよ。こういうやり方が建設省の例で言えばあるわけです。今回のこの十一カ所だけだというふうに言われておりますけれども各省の問題について私はまだまだ手元資料が来ておりますが、時間の関係できょうはこの程度にとどめますけれども、これは行政機関全般にわたるというふうに私は見てもいいんじゃないかと思うんです。そういうことから考えていけば、やはり一定の、大蔵省が査定をする中の調査費とか会議費とかいう運用について規律を持たなければ、これはやはりけじめはついていかない、こういうふうに思います。  それから、会計検査院の方の問題ですけれども、東京の例で言えば、相手方に自宅を知らして自宅から送り迎えをされるとか、あるいは受検側の方と一緒になって受検側が設営をした旅館へ泊まるというようなことは、検査をやる立場のモラルとして、私はやはり一定のけじめをつけなければいけないんじゃないかと思うんですよ。同時に、やはりそういうことをしなくても済むように、職員に対しては、それなりの旅費とかあるいは滞在中の食費とかについては、受検側にお世話にならなくても検査院で支出された旅費で処理ができると、こういうやはりけじめをつけてもらいたいし、職員の方の側に対してはそれなりの配慮をなさってしかるべきじゃないかと、こういうふうに思うんですが、総括的な見解を承りたいと思うんです。
  76. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 今回の事態はまことに遺憾に存じておりまして、こういうことを契機に、今後、おっしゃるような送迎を初めとして非常に細かい点まできちっと考慮したような抜本対策を立てて、そして御期待に沿いたいと、こう考えております。
  77. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 午前中の審査は、この程度にとどめ、午後一時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ―――――・―――――    午後一時十四分開会
  78. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、大蔵省とそれに関係する日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算を一括して議題とし、審査を行います。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  79. 矢田部理

    矢田部理君 昨日に引き続き、本日は決算委員会で、建設省会計検査院の癒着や腐敗の実態についてさらにただしていきたいと考えています。  最初に、建設大臣に伺いたかったわけでありますが、お見えになりませんので官房長に伺っておきたいと思います。昨日、閣議後の記者会見で、建設大臣は会計検査院等との関係について触れられているようでありますが、報道によりますと、「会計検査院検査官と食事をするのは、昔からやっていたことで、検査の結果を聞いたり、次の検査方法などを打ち合わせするためのものだ。それが過度にわたったかどうかが問題だ。」という趣旨のことを述べておられるようですが、官房長も同席をしておられたと思われますので、その辺は一体どうだったのか。この報道が事実とすれば、つまり酒食の提供なり、食事をともにすることは肯定をされている。きのうも論議をしたわけでありますが、会計検査院立場は昼のそば一杯だって受けちゃならぬのだ。ところが、建設省の態度は依然として、いやあ飯を食うぐらいは昔からやっておったことだ、つまり程度問題だという立場を記者会見で堂々と述べておられる。したがって、今般問題になっている件も、つまり昔からの問題だということで、事実上昔から会食をしたり酒食を提供したりすることを肯定的にとらえておられた事実がいみじくもここで明らかになっておるわけでありますが、記者会見と過去の事実関係についてどう認識しておられるのか、その点を伺っておきたい。
  80. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 大臣の記者会見には、ちょっと私も先生の質問準備等のため終わりごろしか出ておりませんので、正確に大臣の発言は把握をいたしておりません。ただ、閣議後の記者会見はきのう参議院建設委員会先生が御質問になる前の時間でございます。昨日、私もちょっと最初先生に申し上げましたように、建設省は、会計検査院検査に当たりましては、接待等は自粛をすべきであるという基本的な方針は従来から維持しておったところでございます。ただ、昨日も申し上げましたように、会計検査は現地でボーリングその他の検査もやられまして、夜遅くなることもある。また検査が終了した段階におきまして講評等を承り、また設計、工法、施工等については建設省としても技術的な見解を持っておりますので、その辺についてのこちらの意見を申し上げながら、総合的に実地検査についての評価を行うための会議は従来はある程度やむを得ないと。これももちろん過度にわたることではございませんで、最小限のものであるという考えでいっておったわけでございますが、今回いろいろこういう問題が起きましたし、先生昨日御指摘になりましたので、会計検査院からも今後はそば一杯食べない、受けないというお話もあり、建設大臣も今後一切そういうことはいたしませんと、こう申しておりますので、大臣のその発言が大臣の真意でございます。
  81. 矢田部理

    矢田部理君 もう一点、記者会見で気になりますのは、金額幾らかが限度だとは決められないが、各省庁統一した方向でやらないと仕方がない。つまり省庁間にばらつきがあっちゃいかぬという発言の裏側の意味としては、どうも各省庁も――きのう会計検査院長は、ほかの省庁はないものと確信しているとか、絶対にありませんとかという趣旨のことを述べられましたけれども、程度問題はあるけれども、少なくとも会食程度はやっているということが前提になければ統一論は出てこないわけであります。各省庁がゼロならば、酒食の提供をやりほうだいにやった建設省がゼロにすれば統一できるのであって、ゼロでないから統一論が出てくるのじゃありませんか。その意味では検査院長の発言にも大変な疑念がわくし、建設大臣それ自体がそれを否定しているともとれる発言があるわけでありますが、各省庁統一論、じゃどういうことですか。
  82. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 先ほど申し上げましたように、それは昨日の参議院建設委員会の御質疑の前の段階でございます。先ほど先生からもお話のあるように、大臣は、あるいは私が申しました最低限という意味を含めて限度を超えるものについては問題があるという認識のもとにそういう発言をしたと思います。ただ、その限度とは何かということになりますと、金額でもってそれを一概に表示することはむずかしく、やはり質的な問題であろうと思います。で、質的な問題といたしまして、私は先ほど一応申し述べたようなことがその段階においては基準と考えておったわけでございますが、先ほども申し上げましたように、昨日の先生の御質疑を通じて、今後は一切行わないということを大臣が明言をいたしておりますので、その方針で今後は処理いたします。その際に、その前の段階でございますから、やはりこれは各省庁で何らかの申し合わせをする必要があるのではないかという意味も含めて大臣が発言したものと考えております。
  83. 矢田部理

    矢田部理君 会計検査院長に伺いますが、昨日、他の省庁にはないと、絶対にないと言ったか、ないと確信していると言ったか知りませんが、余りにも実態を知らなさ過ぎるのではないでしょうか。率直に申し上げて、けさ、名前を言わない方がいいと思いますが、自民党の議員さんに会いました。いや、どこの省庁でも最低一回は会食しているよと、一緒に飯を食ったり酒を飲んだりしているのは、これはもう常識だよと、こう言っているのですよ。事実、きのうあたりから私のところにいろんな電話が入ってきております。ここでも飲んでおる、ここでも飯を食っておった、ほかの省庁ですよ。建設省のやったことはもう御承知のとおりひど過ぎる。しかし、程度の問題はあっても、あなたはそば一杯もけしからぬ、昼食を出されても食べない、どうしても近所に食事をする場所がなくて食べるときにはお金を出していただくんだと。そんなこととは全然別に、程度の問題はあってもやっているんですよ。確信持ってほかにはないんだということを断言できますか。
  84. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) たとえ儀礼にわたるようなことでも検査上非常に誤解を招くので、そういうことは絶対やるなという方針で従来とも指導してまいりました。しかし、今回のような事態が出ましてはなはだ遺憾に存じておる次第でございます。  それで、ほかの省庁はどうかということでございますが、これは私、ほかの省庁はないものと、こういうふうに思ってはおるわけですが、なお、先般申し上げましたように、自分で自分を顧みる必要があるということで、内部で調べてみたいと、こういうふうに申し上げた次第でございます。   〔委員長退席、理事大塚喬君着席〕
  85. 矢田部理

    矢田部理君 建設省に今度はまたお尋ねをしたいと思いますが、昨日問題になっておりました十一件については、八百万円余の費用が飲食等のために支出をされたおおむね事実関係を認められたわけでありますが、ほかにはないという立場に立っておられるのか、あるいは従前はどうだったのか、その辺についてはどう考えておられるのか。加えて、ほかの件、あるいは過去にさかのぼって今後どういう実態把握をされようとしているのか、その点含めてお答えをいただきたい。
  86. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 十一事務所につきましては、昨日も申し上げましたように、十三日より調査を開始をいたしまして、すべての証票書類を含めまして点検をいたしました結果、総額で八百二十三万二千六百七十八円という数字が出たわけでございますので、私はこれがすべてであるというふうに考えております。  また、他の事務所についてどうかいう点につきましては、これから調査をしてみなければわからないと思います。  それから過去にさかのぼってのお話でございますが、先生が昨日も参議院建設委員会で過去五年間に関しての資料要求があったわけでございますが、昨日の理事会におきましてその辺が御審議がございまして、私はその理事会の席におきまして、非常に困難な問題もございますが、せっかく努力をいたしますという答弁をいたしておきました。
  87. 矢田部理

    矢田部理君 私どももぜひ過去五年間にわたる関係資料を全部国会に出すべし、これは建設委員会のみならず、決算委にとっても非常に重要だと思いますので、いま審議中の年度決算に当たってもぜひ建設省及び会計検査院にそれをお願いしたいと思いますが、当委員会にも出していただけますか。
  88. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 非常に分析困難な問題もございますが、努力をして提出するようにいたします。
  89. 矢田部理

    矢田部理君 そこで私どもはこう受けとめているんですよ。昨日建設省がまとめられたように、十一件、あれだけじゃない、もうほとんど例外なしに検査を受けたところは全体にまたがっている。多少の程度の差はあるかもしれません。それからことしだけではない。ずっと過去にさかのぼって同じようなことかやられてきた。だから、改善策とか、責任問題とかということはもうちょっとおいておきましょう。まず、建設省がやってきた全貌を明らかにすることがポイントでなければならぬ。そのために、建設省も同時に検査院も積極的に実態解明のためにやっぱり努力をする。国会にも資料提出を協力するし、みずからもやっぱり姿勢を正す前提として事実関係を詰めてみる。同種の書類は会計検査院にも挙がっているわけでありますから、それを建設省なり会計検査院は約束をし、かつ国会にその実態を速やかに報告をすべきだというふうにも思われますが、いかがでしょうか、認識と対策です。
  90. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 先ほど申し上げたとおりでございまして、過去にそういうことがあったかないか、私いま断言できませんけれども、先ほどのお約束に従いまして、非常な困難な問題はございますが、努力をいたします。
  91. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 昨日も建設委員会でうちの事務総長が申し上げましたように、私どもの証拠書類だけではその実態がわからないのでございまして、ただ、料理屋なら料理屋の領収書はございます。ところが、これはだれを招待したかというようなことが内部資料でないとわかりません。そういう関係で、建設省と協力して御趣旨に沿うようにしたいと思います。
  92. 矢田部理

    矢田部理君 やっぱり会計検査院もみずから汚れちゃいかぬのです。だから、その汚れをきちっとするためにもみずからを検査しなきゃならぬ。そのために、より積極的でなければまたぞろ同じような問題をやっぱり繰り返す危険性を持っているわけですから、その点厳重にお願いをしておきたいと思います。  引き続き、建設省にお伺いをいたしますが、十  一件についてまとめられました、領収書等の資料も検討されていると思うんでありますが、その裏づけとして出されている請求書なり領収書なりというのは、真正に成立したものだという確信を持っていますか。その点の吟味はされていますか。
  93. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) まず実態を把握するということでございまして、回数、場所、出席者、支払い金額、その把握にまず全力を傾注をしたわけでございます。同時に、証票書類の提出も地建を通じて求めたわけでございますが、その証票書類の一枚一枚についてはまだ検討いたしておりません。
  94. 矢田部理

    矢田部理君 かなり膨大な数、飲食代の請求書が出ておりますが、これは、請求書というのはだれが書くものでしょうか。
  95. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 当該業者でございます。
  96. 矢田部理

    矢田部理君 業者の手によって書かれない請求書が相当数あることは、まだ把握しておりませんか。
  97. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 把握しておりません。
  98. 矢田部理

    矢田部理君 請求書なり領収書なりの裏づけをもってきのう全額を十一件については発表されましたけれども、その中には相当数業者の手によって書かれていない請求書がある。私は、具体的に例を示してもいいと思います。大阪の国道事務所の検査に当たって一番飲み食いをした大阪の料亭  「宝家」というところの領収書がございます。これによると、二日間にわたって、御承知のように、二十三万と三十二万、四十五万前後の飲み食いがなされているわけでありますが、これは「宝家」の人たちの手によって書かれたものでしょうか。御存じありませんか。
  99. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 存じません。
  100. 矢田部理

    矢田部理君 私の調査によれば、飲んだ後になってから、判こだけを押して内容白地の請求書を二枚欲しいと言うので建設省の方に渡しました、だから、内容はそちらの方で書いたのではないでしょうか、こういう事実が明らかになっているんです。どうしてそんなことをするんでしょうか。
  101. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) いまお話しの件は、私も初めて承知をいたしたわけでございます。そういうことがありとすれば非常にゆゆしいことでございますから、厳重調査をいたします。
  102. 矢田部理

    矢田部理君 請求書の原本はどこで保管をしておりますか。
  103. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 領収書は、発給されまして一カ月間は当該工事事務所にございますが、一カ月後に原本を会計検査院に送付をいたしまして、写しを工事事務所に保管をいたしております。
  104. 矢田部理

    矢田部理君 じゃ、会計検査院に伺います。  会計検査院で原本を受け取ったのはいつごろでしょうか。
  105. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) 原則としましては支出のあった二カ月後でございますので、本件は五月の二十八日の一応検査に係るものと思いますので、七月か八月ごろ受け取っております。が、現在はっきりした日にちにつきましては調べておりません。
  106. 矢田部理

    矢田部理君 その「宝家」の請求書の原本には請求した日を記載する欄がございますが、日付が入っておりますでしょうか。
  107. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) 「宝家」の二十三日の回送にかかる領収書には日付が入っておりません。――請求書でございます。請求書には日付か入っておりません。
  108. 矢田部理

    矢田部理君 原本にですよ。
  109. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) はい。
  110. 矢田部理

    矢田部理君 原本そのものを見せていただくわけにはいかぬでしょうか。
  111. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) 一応原本につきましてもう一回調査いたしたいと思いますが、ここに来ている、私の持参しております請求書には日付は入っておりません。これは、建設省側から提出いただきまして、原本に基づきましてわれわれチェックしたのでございますが、その際、請求書の日付につきましてチェックしたかどうか、いま担当者がちょっと不確かになりましたので、一応これでチェックしてみたいと思っております。
  112. 矢田部理

    矢田部理君 それならそれで正確に答えてくださいよ。  日付が記入されているかいないかが一つ問題になるわけでありますから、原本には入っておりませんなどと言われたんじゃ困るんですよ。持っていないんですか、そこに。至急取り寄せて、それに答えてくれませんか。
  113. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) 至急取り寄せたいと思います。
  114. 矢田部理

    矢田部理君 この請求書を見ると、それぞれ、サービス料というのがございます。二十三万の方については三万五千円強、それから二十二万の請求書の方には三万三千円強。このサービス料というのはどういう内容のものでしょうか、お調べになっていますか。
  115. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 先ほど申し上げましたように、私どもが実態調査の目的といたしましたのは、いつ、どこで、何人出席、だれが出席して、幾らかかったかということでございまして、明細書の一々サービス料の内容は何かということまでは調べておりません。
  116. 矢田部理

    矢田部理君 七名の宿泊者があったようでありますが、この請求書によれば、たしか当日検査院として調査に赴いたのは五名だったと思います。あと二名はどなただったのでしょうか。
  117. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) いま突然のお尋ねでお答えできません。
  118. 矢田部理

    矢田部理君 いろいろ不明な点がございます。疑問の点もございます。調べてないということであればまたいずれ質問は留保しておきたいと思うし、会計検査院の方も、原本と照合して日付その他を明らかにしてほしいわけでありますが、したがって、この問題に対する質問はここで留保をしておきます。  内容白地の請求書はこれだけに限らないんですね。もう一つ、じゃ東京の例を指摘しておきたいと思います。これは金額はそう多くはございませんが、「東寿司」というすし屋さんがあります。その請求書を見ますと、八月三十日、上ずし二人前、単価五千円で一万円。それから、おつまみ二千円。翌九月一日も同じような記載になっております。ところが、このおすし屋さんを調べてみましたら、一人前五千円なんというすしはないというのです。いいですか、上ずしというのは八百円から千二百円まで、特上が二千円だという。いや、二千五百円でしたか、二千五百円が最高だ。ところが上ずしが五千円と書いてある。これはどういうわけですか。
  119. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 何ともいまのところはお答えできません。
  120. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、どうしてこんな記載が出たのだろうか。これも調べてみましたら、内容白地のまま請求書を二つ出してほしい。方々でこんなこと建設省やっているんじゃありませんか。ほかにもありますよ、幾つかその種のやつは。どうなっちゃっているんですか。
  121. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) いまのおすし屋の件ですが、何か盛り合わせでというような話もあるようでございますが、一遍よく調べてみます。  まあいずれにいたしましても、こういうことが常例であるとは毛頭考えておりません。
  122. 矢田部理

    矢田部理君 酒食の提供なり使い方に大変問題があっただけでなくて、使ったお金の中にもまたまた疑惑が出るということになれば、二重、三重のやっぱり不祥事になるんですよ。国民の本当にやっぱり大事な税金でしょう。これがこんなでたらめに使われたのじゃかなったものじゃない。しかもその使い方の中にも操作が入っている。  もう一つだけ指摘しておきましょうか。これは東京の請求書を見ると、かなりの部分にそれが出てくるわけでありますが、請求書にあて名を書く欄があります。そのあて名を書く欄には全部判こが押されているんですね。経理課長丑久保隆男様と書いてある。請求書というのは業者が書くわけでしょう。上様とか建設省様と書くのが常識。ところが、請求書のあて名の欄には――まさか、すし屋さんがどんなにお得意か知りませんが、建設省のあて名を彫って判こを持っているとは思えない。いろいろ調べてみたらみんなそうなっている。建設省が判こを請求書に押している。これはどういうことですか。東京の請求書を見たらかなりの量になります。ずいぶん摩詞不思議な話だと思う。これはどういうわけでしょうか。
  123. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) よく調査をしてみたいと思います。
  124. 矢田部理

    矢田部理君 調査をするまでもなく、見ればわかるでしょう、これ。そこにあるでしょう。こういう判こが請求書にはべたべた押されている。これは建設省の判こでしょう。関東地方建設局東京国道工事事務所経理課長云々。これは請求書をよく見てごらんなさい。みんなそういうのが押されている。
  125. 大塚喬

    理事(大塚喬君) 矢田部君、発言は着席のままでお願いします。
  126. 矢田部理

    矢田部理君 したがって、十一件の問題につきましても、きのうある程度まとめられて記者会見などもされたようでありますが、もう少しく厳しく中身に立ち至って吟味検討する必要がある。加えて、先ほど申し上げましたように、事は十一件に限らないのであります。  二、三の問題点を指摘しておきますならば、たとえば木曾川上流工事事務所、これはことしも十一件の中で問題になりました。これは五十一年の飲み食いです。五十一年には八十万一千六百九十一円、検査に当たって会食その他飲食費、大部分は飲食費に使われています。あるいはまた、木曾川だけではありません。これは名古屋国道事務所であります。五十一年度に四十八万一千百八十六円、これまた飲み食いしている。さらに五十年には、同じ名古屋の工事事務所が五十七万九千七百八十六円飲み食いをしている。三年連続やっているわけです。  このような事実に徴して全体を考えるならば、ことし十一の工事事務所がたまたま数十万から百万を超える酒食の提供をやっただけではなくて、全体的に、建設大臣も記者会見で認めておりますように、ずっと昔からこういうことをやってきたのは建設省だったんじゃありませんか。それを受けてきたのが会計検査院だった。だから、十一件で始末をつけようなどという考え方は断じて間違いでありまして、事の真相、とりわけ全体像を明らかにして、この際大切開をしなければならぬと思います。その中でまた政治上の責任、究極的に私は大臣にも大きな責任があると思う。行政責任、刑事責任も含めて検討しなきゃならぬと思います。その前提として全体像を明らかにしていく、この作業をやっぱり急いでもらいたいし、積極的にやるべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  127. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 先ほどもお答え申し上げましたように、非常に分析困難な問題もございますが、極力努力をいたします。
  128. 矢田部理

    矢田部理君 大阪の例でちょっとつけ加えておきたいと思うんでありますが、大阪国道工事事務所は、ことし、御承知のように百三十万強と一番多額の接待費を費消したわけでありますが、その支出費目が交通量常時観測調査費ということになっています。これは大阪の工事事務所で幾らぐらい持っているものですか。
  129. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 現在資料を持っておりませんのでお答えできませんが、調べます。
  130. 矢田部理

    矢田部理君 こんなところから百三十万余の金を飲食費のために支出をしている、その全体との位置づけがひとつ問題にされなけりゃなりませんが、大蔵大臣にちょっと考え方を承っておきたいと思います。こんな、会計検査用の接待費を十一工事事務所で八百万余ということを、先ほど私が申しましたように、過去にさかのぼって推計をしたい。ことしの検査個所に当てはめて考えてみまするならば、年間数千万から一億近い。過去五年間にさかのぼっても億単位の接待費が費消をされている。財政を預かる大蔵大臣として、これだけ財政が窮乏している、そんな接待費まで予算に組まれたんじゃかなったものじゃないという気持ちもあるだろうと思いますが、逆に、それを組んでしまってそれだけの余力を現場に置いているということになれば、大蔵省のめがねも甘かったんじゃないかとそれは思うわけでありますが、いかがお考えでしょうか。
  131. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 申すまでもなく、予算執行というものはこれは適正なものでなければならない、さような意味から申しまして、御指摘のとおり、租税収入を預かっております大蔵省といたしましては、今度の事例につきましてはまことに遺憾のきわみでございます。そこで、この事例を機といたしまして、これから今後の予算編成の上においてもこの事例というものを深く頭に置いて予算編成査定をやっていかなければならないし、また予算執行に際しましても、再びこういったようなことの繰り返しがないようにひとつ強く要請をしてまいりたいと、かように考えます。
  132. 矢田部理

    矢田部理君 会計検査院に伺っておきますが、建設省以外の省庁でも、会計検査に当たって支出した費用あるいは接待した場合には、その請求書なり領収書なりは検査院に上がってきておりますか。
  133. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) すべてそういうたぐいの請求書なり領収書は、私どもの方に計算書の証拠書類として提出されております。
  134. 矢田部理

    矢田部理君 その証拠といいますか、証票書類といいますかというものをしさいに検討すれば、最終的にはその省庁の稟議書みたいなものも参照して結論は出さなきゃならぬかもしれません。他の省庁でも、建設省ほどではあるいはないかもしらぬが、酒食の提供や、会議と称して飲み食いをした事実関係は相当程度詰められますね。
  135. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 必ずしもその会議がどういうことで主催されたかという具体的な内容まではあるいはつかめないかもしれませんが、そういうたぐいの会議等に、どのように、どの程度の支出が行われているかということはつかめます。
  136. 矢田部理

    矢田部理君 とりわけあなた方の方の調査に赴いた方々が参加をしておるわけですね。だから、みずから部内の規律を正すということであるなら、上がってきた飲食店等の領収書、その時期、かかわった調査官等々について事情を徴すれば、あるいは総合的に検討をすれば相当程度自力でも内容の解明は可能なのではないでしょうか。あるいはどうしてもわからない場合であっても、建設省が現にこういう問題になってから会計検査院と密接な連絡をとって状況の確認をやっているように思われますが、他の省庁についても十分できるんじゃないでしょうか。検査院長のように先走って、他の省庁にはないものと思うのではなくて、まさに建設省の問題を他山の石として徹底的にこの際他の省庁についても同じような手法で事実関係を詰めるべきです。そうでなければ、過去にも何度か検査院をめぐる不祥事はなかったわけではありません。そのたびごとに綱紀粛正の通達を出したり、きのうも事務総長からお話がありましたように、口ではそば一杯食べちゃいかぬよと常々注意しておると言っても、これだけ膨大な飲食の提供について見逃してきた前科があるだけに、私たちは、はい、それではそれで結構ですと言うわけにはいきにくいわけです。その点今後、建設省はもちろんでありますが、他の省庁についてもどのような調査、問題点の煮詰め、事実関係の洗い直しをやるか、具体的にその方針を明らかにしてほしいと思います。
  137. 柴崎敏郎

    説明員柴崎敏郎君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、今回のこの事件にかんがみまして、私どもも大変これはびっくりもいたしましたし、非常に残念にも思い、深く反省しているところでありまして、当然のこととしていままで私どもは相当自信を持っておりましたけれども、こういったことがありますと、ほかにもこういうことがあるかないか、ここら辺についてはやはり心配でございますし、そこら辺をやはり点検をしてみるということは当然のことでございますので、これを今後早急にやっていきたいと思っております。ただ、まあ私ども検査の出張官は国の金の流れている各分野に及んでおりますし、その出張回数も非常に多いというようなことから、総点検と申しましても、これをいつまでにやるとか、そういうことについては必ずしも自信はございませんけれども、気持ちといたしましてはそういうことで努力をして、とにかくほかの方は大丈夫だという心証を得るまで点検をやっていきたいと、このように考えております。
  138. 矢田部理

    矢田部理君 あのね、いつまでにやるとも決めずに、心づもりとしてやっていく程度では事態の認識が甘いんじゃありませんか。いま世間から問われているのは建設省の姿勢だけじゃありませんよ。どんな事情があれ、検査院の調査スタッフがこんな飲み食いを昼間からしている。こんなことは断じて許せないというのは物すごい強い怒りですよ。ほかの省庁検査をする前にみずからを正し、みずからを検査すべきじゃありませんか。少なくとも全部やらないまでにも、相当程度の抽出検査をして事実関係を明らかにし、とりわけ決算委員会としてはその資料なり報告をやっぱり緊急に求めると。私は率直に言えば、二週間もあれば相当程度の内容がわかるはずだと、少なくとも一つの傾向なり問題点はわかるはずだと、これはあるんですから。どうしてもわからないなら、私がどこどこでいつどういうところに泊まってどう飲んだかという話までしてきてもいいですよ、それは。現にもう幾つか挙がってきています。さしあたり建設省を中心にしていますからきょうは挙げませんけれども、あなた方自身もその解明のために日にちを区切ってやっぱり努力をすべきではないんですか。今月いっぱいぐらいに、あるいは来月上旬までぐらいには少なくともそれを約束すべきだと私は思いますが、いかがでしょう。
  139. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 私どもといたしましてはそういうふうに積極的に取り組まなければならぬ事態と考えておりますので、これは先ほど来申し上げておりますように、作業の内容として相当困難なものがございますが、ともかく誠心誠意、委員のおっしゃる線でやりたいと思っております。
  140. 矢田部理

    矢田部理君 建設省のやつは、私ども指摘したこともあって、日曜日に問題が出されて、もう月曜日の夕方には、建設省も積極的になったがゆえにほとんど全部明らかになったんですよ。二日ないし三日で事実をそのとおりだと認めざるを得なかったんですよ。そういう状況に徴してみるならは、問題は姿勢の問題です。一週間か十日もあれば他の省庁の問題点についても相当解明できるはずなんです。したがって、日限を区切ってここてやっぱり約束していただきたいと思います。
  141. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) 日時を切ることは簡単でございますけれども、どの範囲をやるかということがむしろ問題だろうと思います。それで、たとえばこの一カ月以内に調べただけでいいとおっしゃるんならそれはそれでもできます。ただ、私自信がないのは、日時と範囲を決められますと、先般来申し上げておりますように、私どもの証拠書類は非常に不十分でございますので、その不十分ななりに報告してくれというなら、それはそれでも結構でございますけれども、そういう事情で申し上げております。できるだけやりまして御期待に沿いたいと、こう申し上げておるところでございます。
  142. 矢田部理

    矢田部理君 これは委員長なり理事会にお願いをしたいわけでありますが、それは何月何日と厳密に区切るかどうかは別として、ただ何となく会計検査院が努力をする、やりますということにお任せするのではなくて、十二月上旬なら上旬、一定の日限を区切って、もちろんそれは全部がそれでできるというふうには私も必ずしも思いませんけれども、できたところまではまず中間報告でも何でもさせるというぐらいのひとつ重大な決意を委員会として御相談をいただきたい。またその向きで会計検査院にきちっとやはり要請をしてほしいと思いますが、いかがでございましょう。
  143. 大塚喬

    理事(大塚喬君) いまお聞きのような提案があったわけですが、会計検査院長として重ねていまの提案に対して発言があればひとつ出していただいて、後刻この問題を理事会で諮り、決定をいたしたいと思いますので、重ねて会計検査院長からただいまの提案に対しての意見を求めたいと思います。
  144. 佐藤三郎

    会計検査院長佐藤三郎君) ごもっともな御意見でございますので、私どもも積極的にこれをやりたいと、もちろんこれはみずからえりを正す意味で当然なことでございます。もう先生におっしゃられなくても当然なことでございます。それで、先般来この案件調査するということを申し上げておったわけでございますが、それで今回は、いつまでに何をという問題でございます。したがって、もういつまでに何をというのはこれはむしろ委員会の方の御意向に――全部と言われますとこれまた非常に期限がむずかしいですし、そこら辺はひとつ委員長の方で適当に御裁量願いたいと思うんですが。
  145. 大塚喬

    理事(大塚喬君) ただいま矢田部委員の提案にかかわる調査結果の報告については、後刻理事会に諮って当委員会としての態度を決定いたしたいと存じます。さよう御了承願います。
  146. 矢田部理

    矢田部理君 ぜひそう諮っていただきたいと思いますが、私の希望だけを申しておきますと、ちょっと論議の中でも出ましたように、建設省関係検査をするに当たって、使った費用の請求審とか領収書は建設省自身が保管しているだけではなく、原本はむしろ会計検査院の方に上がっているわけですね。ですから、それがどういう状況で使われたのか、割り振り、位置づけ等については多少会計検査院だけではわかりにくい部分があります。つまり、各省内に稟議書というのがありまして、その稟議書の中で相当の概算要求とか何かいろいろな割り振りが行われますから、ですから、これは一つは会計検査院がやろうと思えばできるということと、それから各省庁にもぜひ会計検査院のその種の調査に対して当委員会としても協力を求めていただいて、ぜひ早急にお運びいただくよう理事会にお願いしておきたいと思います。
  147. 大塚喬

    理事(大塚喬君) あわせて理事会で諮りたいと思います。
  148. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、会計検査院に伺いますが、先ほどの原本は届きましたでしょうか。
  149. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) ただいまちょうど到着いたしまして、いま原本を調べております。
  150. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっと見せていただきたい。――ただいま原本を拝見いたしました。  建設省が最近会計検査院に出されたコピーには日付が入っておりません。ところが、その前に出されたと思われる原本には、会計検査院の先ほどの答弁とは違って日付が記入されているんです。これはどういうことなんでしょうか。
  151. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 何分現地の話でございますので、私いま直ちに御答弁はできませんが、調査をいたします。
  152. 矢田部理

    矢田部理君 私の問題意識は、つまりこれは料亭「宝家」で中身を書いたものではなく、あなた方の方でつくった有力な証拠の一つと、とりわけこの日付の入れ方が問題なんだ。これは何か、この日付を入れる、日付印というのがありますね。それで記載されているんですね。原本に記載されていて、あなたが持っている手持ちには記載されていない。そのほかいろいろな疑問を私は持っているんですが、これは大変不思議な現象の一つであります。
  153. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 私が持っておりますのは原本ではございませんが、確かに日付の欄は、下の中欄に何か五月二十三日というのが書いてございまして、請求書の「建設省殿」というところの日付が入っておりません。ただ、ここには、サービス料とか料飲税、いわゆる地方税の金額まできちんと書いてございますので、これはやはり専門家である料亭で書いたものではないかと推定をいたしますが、先生の御疑問もございますので調査をいたします。
  154. 矢田部理

    矢田部理君 官房長、さっきからわからないと言って変な推定をしてもらっちゃ困るんだね。旅館や料理屋でなけりゃ飲食税の金額を書けないというわけじゃないですよ。それは、事実は調査すると言っているんだから、調査してごらんなさいよ。なぜあなた方が出した原本には日付が入っており、あなた方が持っている手持ちには日付が入っていないのか、同じ内容の領収書で。だれが見たって不思議と思うでしょう、少なくとも、あなたはいま明確な答弁はできないわけでありますから。このほか取り上げると、請求書なりその他についてもいろいろな疑問が起こるわけであります。ひとつ全面的にこれをこの際調べ直してほしい、点検してほしいということを最後に申し上げておきたいと思います。  それから、あと一、二、資料の要求でありますが、先ほど建設省は、最近五年間の検査を受けた地区についてのそれぞれの関係資料をできるだけ当委員会に出すということでありましたから、その作業をやっぱり理事会としても日程その他を緊急に決めていただいて、建設省に緊急に出すというように要請をしていただきたいし、それからもう一つ建設省にお願いをしたいのは、この種飲食費の支出費目が各地区ばらばらなんですね。とりわけ、そのばらばらという意味は、流用の問題もあるし不正不当の支出の問題もあるかもしらぬという内容的な問題のほかに、あるところは款項目のうち項でだけ記載をして細目区分が書かれていない、あるところは目の細目だけが記入されていて上の方がわからない、これは流用したかしないかにかかわらずこの不正は正さなければなりませんが、同時にこの予算の使い方としても非常に問題が残っているわけでありますから、これが具体的にどういう費目で支出をされたのか、これを全面的に明らかにする責任があると思いますので、あわせてその関係資料もぜひ出してほしいと思います。  以上、委員会の方でもよろしくお取り計らいをお願いして、終わります。
  155. 大塚喬

    理事(大塚喬君) 委員会でもということの発言でしたが、先ほど官房長から、ただいま要求のあった資料については提出をすると、こういう答弁があったのですが、具体的な期日関係等についてここで一応のめどでも述べていただくと大変……。
  156. 矢田部理

    矢田部理君 建設省は出すと言っているわけですから、ただそのめどをある程度そちらで出されてもいいです。
  157. 大塚喬

    理事(大塚喬君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  158. 大塚喬

    理事(大塚喬君) 速記を起こして。
  159. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 最後に御要望のございました支出費目についてはできる限り早目にやりたいと思っております。日にちまでちょっといまの段階で申し上げられませんが、なるべく早く準備をいたしたいと思います。
  160. 矢田部理

    矢田部理君 最初の方、ほかの事件個所についての関係資料については……。
  161. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) これは先ほども申し上げましたように、非常に困難な事情がございますということを申し上げました。と申しますのは、今回私ども調査いたしましたものにつきましては、会議の伺い書というものが残っておりまして、これは会計検査院なら会計検査院の方を何名、それからわが方から何名という具体的なその会議の開催の目的なり出席者が明らかになっておるわけでございますが、過去のものにつきましてはその会議伺いがあるかどうか、恐らく債務負担行為、いわゆる支出契約の契約書と支出の書類のみが証票書類として保管されておるのではないかと思いまして、一々この会議費がだれのために使われたのかということを分析するのに非常に困難であるという前提で、先ほど非常にむずかしい問題がございますが努力をいたしますと申し上げたわけでございまして、ちょっと日にちの問題についてはここで即答はできかねるわけでございます。
  162. 大塚喬

    理事(大塚喬君) 委員長席から重ねて建設省に要望をいたしますが、質問の趣旨を十分把握をいただいて、敏速に誠意を持って、先ほど提出を約束された資料については本委員会資料提出を求めたいと思います。
  163. 粟屋敏信

    政府委員粟屋敏信君) 委員長の御趣旨に沿って努力をいたします。
  164. 田代富士男

    田代富士男君 私は、最近問題化しておりますサラリーマン金融のことについてお尋ねをしたいと思います。ここで、誤解を招かないためにも一言申し上げておきたいことは、庶民金融業者のすべてが悪いということではございません。もちろん良心的な業者がいらっしゃることも承知いたしております。良心的な業者は、たとえば夫婦そろって借りに来れば利率を下げてあげると、また夫または妻、妻または夫が借りに来ても今後一切貸さないでくださいと、電話一本でも申し出があった場合には、その店だけでなくして関連の多いところにも連絡がとられ、一切貸さないと良心的な姿勢で臨んでおります。また借り手の生活態度、経済状況を考慮いたしまして貸さない、また利率を下げる努力をしていると、こういうような良心的な庶民金融業者がいらっしゃるのも忘れてはなりません。  しかし、問題はこのような良心的な業者から見まして、同業者として恥じ入るような迷惑な悪徳業者がいることもこれは事実でございます。問題はこのことでございますが、御承知であるかと思いますが、全国で初めてと言われますサラ金被害者の会がこのほど大阪で結成されました。サラ金の取り立ての厳しさというものは経験した者でなければ考えられない。その被害者の会の発会式で体験発表がされまして明るみに出されております。親子心中寸前まで追い込まれたケース、身につまされる話ばかりでありまして、夜中まで取り立てに業者が押しかけて来る、また、電気、ガス、電話をとめられたり、職場に業者があらわれて返済を迫ったために退職せざるを得なかった羽目になったと、もめごとはふえる一方でございます。  こういうところから、このサラ金被害者の会は三つの目標を打ち出しております。一つは泣き寝入りしない、二つ目めには悪徳業者の追放、三つ目には業者を規制する法律をつくる。まあ、いみじくもこの三点というものは現在の業界の抱えている問題点をそのまま反映した問題ではないでしょうか。それと同時に、大阪では若手弁護士のグループがサラ金に泣かないためのとらの巻というものを作成したりしております。  こういうような背景には矛盾した法体系や腰の重い行政管庁の姿勢というものが問題視されておりますけれども、まずこういうような現在社会問題化しているサラ金問題について大蔵大臣はどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。
  165. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) サラ金業を含めまして庶民金融というものは、これはわが国経済の一番、何と申しますか底辺にある金融でございまして、これはそのいろんな状態というものをそのまま放置しておけないような事態もときたま起こっておるということは承知いたしております。そういうようなことに対しましては、でき得る限りの手段、措置を講じて、中央、地方を通じてだんだんとそれに対する対策というものを整備いたしておるのでございますが、細部にわたりましては事務当局からお答えをさせます。
  166. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) お答え申し上げます。  いわゆるサラ金業者を中心といたしました貸金業者につきましては、先生指摘のように非常に優良な業者もあるわけでございますけれども、問題のある業者もあるわけでございます。ただ、先生承知のように、このサラ金業者あるいは貸金業の問題につきましては、確かに資金の融通を行っているわけでございまして、その点におきましては金融を業としているわけでございますけれども先生指摘のように、いろいろ問題になっておりますのは、この資金の融通面におけるいわゆる金融の問題としてよりも、むしろ高金利事犯であるとかあるいは暴力事犯であるとか、そのような反社会的行為に対して、社会的秩序の維持の点からどのように消費者を守るかと、こういう問題であろうかと思います。したがいまして、この問題につきましては単に金融の面だけではございません。現実にこのような取り締まりをどのようにするか、またその取り締まりを行うのに行政的にどのような能力があるかと、そういう広くいろんな問題を含めて検討をする必要があるわけでございます。したがいまして、この点につきまして、本年の九月に関係省庁、これは総理府、経済企画庁、警察庁、大蔵省、法務省、自治省の間におきまして、この貸金業に関する連絡会ができまして、この会議において、いろいろこれからの先生指摘のような問題を踏まえまして、規制のことを含め、どのように貸金業の業務運営を適正にするかということをこれから検討することになりまして、現在鋭意検討を行っているわけでございます。またこのほかに、先生承知のとおり、貸金業につきましては、貸金業者の自主規制の助長に関する法律が制定されておりまして、全国各地に庶民金融業協会ができておりまして、自主的に貸金業の運営の適正化あるいは不正金融の防止についていろいろ努力をしているわけでございまして、このような業界の自主的な動きにもこれから大いに期待したいと、このように考えております。
  167. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまもお話がありましたが、いろいろな問題点が起きております。そこで、このサラ金によります社会的な事件が起きておりますが、どういうものが起きているか、警察庁から代表的な事件の報告をお願いしたいと思います。数もいろいろありますけれども、まとめてお答えをいただきます。
  168. 柳館栄

    説明員柳館栄君) 貸金業をめぐります具体的な事案につきましてお尋ねでございますので、一、二代表的なものを申し上げてみたいと思います。  最初に自殺に追い込まれた事例でございますけれども、これは愛知県警で検挙した事例です。貸金業者が個人タクシー運転手三人に、それぞれ相保証人として法定利率の二倍から三倍の高利で貸し付けをしまして、返済がおくれますと借りた人の自宅に押しかけ、タクシーを担保としてとるとおどしたり、あるいは客待ちをしているタクシーに乗り込んで当日の売り上げ金を全部取り上げてしまうというようなことで、これが再三続くということから、借りた二人のタクシーの運転手さんでございますけれども、これが排ガスの自殺をしたというような例がございます。また、これは愛知の例でございますけれども、夫にないしょで貸金業者から自宅を担保にしまして金を借りたわけでございますけれども、これもまた厳しい取り立てに遭いまして、それで娘さん一歳になるのを殺しまして、それで自分も自殺をしたというようなものでございます。  ほかに暴力ざたのような例を一つ申し上げてみたいと思いますけれども、これは宮崎県が検挙したものでございます。暴力常習者の貸金業者が、主婦などを対象にやはり法定の二倍の高金利を貸し付けまして、返済のおくれた主婦などを事務所に呼び出して脅迫し、また監禁し、殴る、けるというようなことをしたほか、千枚通しを腹に突きつけておどす、あるいは沸騰しているやかんを頭の上にやって、ぶっかけてやるぞというようなことを行って取り立てを行ったというような事例等々がございます。
  169. 田代富士男

    田代富士男君 いま代表的な、具体的な、本当に聞きしにまさるいろいろな事件でございますが、この出資等取り締まり法違反などによる検挙数、これは警察庁の方から。それから、検察庁が立件した件数はどのくらいあるのか、また、最近どのような傾向になっているのか、簡単に両方から御説明願います。
  170. 柳館栄

    説明員柳館栄君) 貸金業者の違反状況でございますけれども昭和五十一年中に出資法違反で千二百八十三件、千二百九十九人を検挙いたしております。これは五年前の昭和四十七年に比較しますと、件数で二・八八倍、人員で三・三五倍ということになっております。五十一年の検挙を態様別に申し上げますと、高金利が九百四十一件、七三・三%、割合が高金利が一番多いわけでございます。それから無届けが二百五十一件、一九・五%、預かり金が四十二件、その他四十九件といったような状況でございます。
  171. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 御報告申し上げます。  全国検察庁におきまして過去三年間に処理いたしました出資法五条違反、俗に高金利違反と呼んでおりますが、出資法五条違反の受理処理状況でございますが、昭和四十九年は四百三十九名、昭和五十年七百九十名、五十一年千百二十八名、ほぼ暦年ごとにかなりな増加を示しております。このうち、起訴件数につきまして御報告申し上げますが、昭和四十九年は二百六十二名、五十年は五百七十七名、五十一年は六百七十六名と、こういう数字になっておりますが、先ほどなお警察庁の方から御報告がございました、取り立てに当たって暴力行為を使うというふうな累計につきましては、それぞれ所要の刑法あるいは暴力行為等処罰ニ関スル法律等を活用いたしまして必要な処置がなされておると、こういうことでございます。
  172. 田代富士男

    田代富士男君 次には、大蔵省に尋ねたいと思いますが、貸金業者数の推移と、各県には庶民金融業協会がありますけれども、協会加盟の業者はどのくらいになっているか、御説明願いたいと思います。
  173. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 貸金業者の推移でございますが、四十五年には個人、法人合わせまして八万九千七百四十二ございました。これが四十七、八年ごろになって急増いたしまして、四十九年には十二万七千十七になっております。それから五十二年、これは六月末でございますが、十五万七千四百六十八と、このような数字になっております。それから庶民金融業協会に所属している人数でございますが、五十一年度末で申し上げますと一万三千二百五でございます。
  174. 田代富士男

    田代富士男君 いま数字をお聞きいたしましたけれども、届け出業者と加盟業者とはずいぶんの違いがありますが、これはどういうことですか。
  175. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 御指摘のとおり、届け出業者に対しまして加盟業者は大体九%程度でございますが、ただ、この届け出業者の中に休止しておりますものが一万ほどございます。それから、休止していなくても、事実上営業を行っていないものも相当件数に上がると思いますので、実際の比率は九%よりかなり高いと考えられます。しかし、それにいたしましても加盟者数はかなり比率としては少ないわけでございます。これは、庶民金融業協会に入りますと、一応融資につきましていろいろ適正化ということで、これは自主規制でございますけれども、金利その他について制約もございますし、また、ごくわずかではございますが会費も取られるというようなこともございまして、なかなか加入数が思うように上がってこないというのが実情でございます。
  176. 田代富士男

    田代富士男君 いま実情を御説明いただきましたけれども、この全国庶民金融業協会連合会というものは大蔵大臣の認可の公益法人ではないかと思いますが、その指導監督をすべき立場にありながらいまのような実態であるわけなんです。具体的な問題といたしまして、このような連合会を認可しておきながら、連合会加盟の各県の協会に加入している業者に対しましてどういう指導をいままでやっておいでになられたのか、また、実際現実にどういうことが行われているのか、掌握をしていらっしゃるならば御説明願いたいと思うんです。
  177. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 御指摘のとおり、全国庶民金融業協会連合会は民法第三十四条に基づき設立されました公益法人でございまして、これに対しまして大蔵省としても、規制を、いろいろ監督をしているわけでございます。この主務大臣は自主規制法第十六条により大蔵大臣がなっておるわけでございます。これに対しましては、自主規制法に定める目的である事業を適正に行っているかどうかにつきまして監督するために、毎年度事業報告書を徴取し、また業務、財産状況を把握しておるわけでございますが、しかしながら、何分にも現実に活動しておりますのは各県の庶民金融業協会でございまして、各県の庶民金融業協会は各都道府県の監督下に属しているわけでございます。したがいまして、大蔵省といたしましても、この全金連を通じて間接的に監督しているわけでございますので、いま一つその点は現場に密着するという点では、制度上問題があるわけでございます。  なお、この全金連の最近の事業内容でございますが、項目的に申し上げますと、庶民金融運営の啓発調整ということでいろいろなPR活動をしております。それから金融防犯対策並びに啓蒙普及という点でもいろいろな活動をしております。それから庶民金融業務の近代化対策の連絡調整ということで、しばしば都道府県間の連絡会議等を開きまして、各都道府県の金融業協会に対して指導を行っているわけでございます。そのほか、庶民金融業協会に入っていなければ、庶民金融業者としての名前が使えないわけでございますが、そういうものを乱用しているものがないかどうかということにつきましても常時指導を行っているわけでございまして、このような面の活動をいま行っております。
  178. 田代富士男

    田代富士男君 いまいろいろな具体的な活動を御説明いただきましたが、具体的な問題点をひとつ御説明いたしますと、契約をした場合に、契約書にお互いにいろいろこれは認め合うわけなんですが、そのときに契約書に白紙の部分が非常に多い。ここにその具体的な証拠を持ってきておりますが、そちらへ持ってまいりませんけれども、これを見ましても、契約書のところに未記入の金額、また利息等のそういうものも記入されていないわけなんです。こういうようなことが本当の契約ということが言えるでしょうか。  また、今度は利息の支払い、あるいは元金の返済には領収証というものが必要でありますけれども、領収証が発行されてない。これは御承知のとおりに、民法七から見ましても妥当性に欠けるのではないかと。これが一つや二つくらいならいいですけれども、連帯借用証書の場合にも金額も利息のあれも全然ありません、これ。私がちょっと持っているだけでもこれだけ、ここに持ってこれないくらいたくさんありますけれども、こういうような契約のもとになされている。しかし、いま局長は、いろいろ指導監督をしているけれども、直接そういうところをやることができないというような御答弁ですけれども、認可した以上は大蔵省に指導監督していく責任があるのではないでしょうか。こういうところにいま社会問題を起こす一つの要因があるのではないかと思いますが、大臣どうですか。これはそちらへ持ってまいりませんけれども、どうですか、大臣。大臣にお尋ねします。
  179. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先にお答えします。  先生指摘の点が、もし庶民金融業協会に属している業者についてそういうことが起こったということでございますと、一応この自主規制の助長に関する法律の第四条には、その法令を遵守し適正な業務を運営するというような項目もございまして、一応この法令に違反することになるわけでございますが、ただ、この法令は強行規定ではございません。訓示規定でございまして、その意味では指導的な効果しか持ち得ないわけでございますけれども、しかし、庶民金融業協会に属し、庶民金融業としての名称を使うことが認められている以上、それは決して好ましいことではございませんので、そういうことのないように都道府県を通じて指導を行いたいと思います。
  180. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御指摘のような、金額の明示もないし、その他重要事項を規定していないと、書き込んでいないといったようなものは、これは明らかに完全なる契約というわけにはまいるまいと私は思います。さような意味におきまして、そういうようなことが行われておりまするならば、これは全金連を通じましてその地方の金融業協会、それに対してできるだけ警告をし、かつ指導をしていくということでなければならないと思います。
  181. 田代富士男

    田代富士男君 こういうことが起きているために、警察庁といたしましては、何とかしなくてはならないという立場から、五十一年の十二月十七日に、大蔵省に対しまして口頭で、高金利の被害を予防するため何らかの規制を検討をする必要がある旨の連絡をされたと聞いております。そのときに、警察庁は大蔵省にどういう処置を期待されたのか、また、大蔵省はこれに対してどう対応されたのか、明確に御答弁願いたいと思います。
  182. 柳館栄

    説明員柳館栄君) その申し上げ方は、いま先生がおっしゃったような申し上げ方をしたわけでございますけれども、その際に私の頭にありましたことは三点あったわけでございます。  第一点は、営業開始をする場合に、許可制にするなりあるいは届け出制にするにしても、欠格条項を設けるという制度が望ましいというのが第一点でございます。  それから第二点には、業者の遵守事項を明確にすると、たとえば先ほど先生から、契約書の中に金額が全然書き込まれていないというようなお話等もございましたのですけれども、そういうことをはっきりと契約書の中に明確に義務づけをして、それに違反した者は一定の処罰を受けるというようなこと等を含む意味での業者の遵守事項をはっきりと明確にすると。  それから第三番目といたしまして、許可制、あるいは届け出制にいたしましても、そういうことになった場合には、そういう違法行為が業者に起こってまいりますと、それに対して行政処分を加えていくことができるというようなことをいたしますれば結構ではないかということが、大蔵省の担当官とお話ししたときに私の頭の中にあった事項でございます。
  183. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 警察庁の方からいまお話のありましたような連絡がございまして、課長レベルで話し合いが行われたわけでございます。警察庁の指摘されたようなことは、今後貸金業の運営の適正化を図るためには一つの方向かとも考えられますが、ただ、現実の問題として、これの実施が適当であるかあるいはその方法が適当であるか、さらに、これについて行政的な処理能力が伴うものであるか、というようなことについてはいろいろ問題がございますので、しかも、これは大蔵省限りで、あるいは大蔵省と警察庁限りで処理できる問題ではございませんので、先ほど申し上げましたように、こういうことを踏まえまして、ことしの九月に六省庁の間でこの問題を処理するための連絡会ができたわけでございまして、今後こういう問題についてこの連絡会で検討を積極的に行っていきたいと、このように考えております。
  184. 田代富士男

    田代富士男君 いまお話がありましたとおりに、こういう問題を検討するために六省庁の連絡会議が開かれたということでございますけれども、そういう連絡会議をやっと開くところまで来たけれども、その間に次から次と事故が起きてきております。特にこれは大蔵省が明確に責任を持って処すべき内容のものではないかと思いますが、いまの局長の答弁を聞いておりますと、責任があるようで責任がないみたいな答弁、あいまいな答弁であります。こういうところにも、こういう事件をあいまいに放置しているという姿としてあらわれてきているのではないかと思うんです。そういう意味から、私は大蔵省の、これはもっと責任あるそういう指導監督をやっていかなくちゃならない点が端的に出てきているんじゃないかと思う。警察庁からもこういう申し出があったと、それにはこういう具体的な警察庁から事件が起きている内容も発表されましたけれども、これをもっと早く、六省庁じゃなくして、いろいろなところから情報交換するなどして対処すべきではないかと私は思いますが、これは大蔵省として責任問題ではないかと思いますが、大臣いかがですか。
  185. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先生指摘のとおり、貸金業者に関してはサラ金問題を主体として現実にいろいろな問題が起こっているわけでございます。したがって、これに対する対応を急ぐ必要があるわけでございますが、これは先ほど申し上げましたように、現実の行為といたしましては資金の融通を行っているわけでございますけれども、しかしながら、そこから起こってきた問題点としては、資金の融通に関するという金融的な問題よりも、むしろ暴力事犯であるとか、あるいは高金利事犯であるとか、そのような反社会的な行為、それに対して消費者をどのように保護するかという問題でございますので、こういう問題の処理につきましては、これは大蔵省としてのキャパシティーを越えている問題でございます。したがいまして、各省に関連してこの問題は処理を要することかと考えられます。  現実に、先ほど申し上げました六省庁の連絡会議におきましても、問題を分担することになっておりまして、たとえば犯罪の防止取り締まり上につきましては警察庁であるとか、あるいは消費者保護の観点からは経企庁、高金利の規制等処罰につきましては法務省と、それから金融行政上は大蔵省、行政上の処理能力は自治省と、このように分担して問題を詰めていくと、こういうことで今後検討を急ぎたいと思っております。
  186. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 先ほど私は、庶民金融業は底辺の金融だと、こういうふうに申し上げましたが、なるほどそういうふうに思っておりますけれども、それの役割りというものにつきましては、大きな銀行とか大きな金融というものは、これは金融の問題として片づけていく問題が大部分だと思います。  しかし、これは庶民金融というものは、一件当たりの金額は大変それに比べては小さいものでございますが、それだけに、これに関連するいろんな事項は、これはいま銀行局長が申し上げましたとおり、いろんな問題が、雑然と言うと悪うございますけれども、複雑に絡み合ってくるというようなことでございますので、これを金融一本として大蔵省処理、解決、指導していくということは、事柄の性質上非常に私はむずかしい問題だと、かように考えます。  そういうようなことで、この金融業者は、これは先ほど局長が申し上げましたとおり、数がきわめてたくさんございますし、それがまた主として各地各地における個人の業者がたくさんあるというようなことでございまするので、大蔵省が金融の対象としてのみこれを指導監督していくということはなかなかむずかしいのでございまして、そこで、いまのように六省庁ですか、そういったようなところが、これが一つになって総合的にこれの指導監督等をやっていかなければどうもうまくいかぬというようなことでこういうことに相なっておるのでございますけれども、金融の立場においては、その面においてこれはまあ大蔵省か――むろんこれは地方の貸金業者というものは各地方地方にたくさんございまするから、直接大蔵省がこれにタッチしていくということはなかなかむずかしゅうございますけれども、まあ、この業というものも非常に大事な仕事であるということは私ども承知しておりまするので、何といたしましてもこれがうまくいくようにひとつ持っていきたいと、かように考えております。
  187. 田代富士男

    田代富士男君 いま局長も、六省庁の連絡会議をやって、それぞれのもちはもち屋で責任を持ってやっていこうと話し合いをしているというお話でございましたのですけれども、これは警察白書の中に指摘されていることでございますが、借り主の被害者についての総計によりますれば、中小企業者というものが相当数これが指摘されております。そういう意味からいたしますと、銀行局長のそういうそれぞれの立場立場でそういうことを対策をしていこうというならば、こういう連絡会議に中小企業庁も参加さすべきではないか。また、これは法務省は刑事局が参加していらっしゃるということでございますが、サラ金事件の著しい増加傾向を見てみますと、これは利息についての問題が多いんですから、法務省の機構から言ったら、これは民事局の関係に、まあどちらにも係りますが、どちらかと言えば民事局の比重が適当ではないかと思うわけなんです。そういう意味から、私は民事局の人も、これはこれだけの大きな問題点、いまさきの立件数等も聞きましたけれども、これは対処すべきだと思うわけなんです、法務省民事局として。それらを考えまして、大臣は、これは普通の銀行と違って庶民金融であって、ささやかなそういう庶民の皆さんたちとの取引が主体であるということで、一番大事なことは、やはり消費者保護の立場からこれをどう守っていくかということが一番の問題ではないかと思うわけなんです。そうした場合に、やはり消費者保護の立場から言うならば、経企庁としてこれは対策を講じていかなくちゃならないと思うんです。そういう意味から、大蔵省は認可をしました指導すべき監督官庁であります。いま大臣が、金融面だけであるならばいろいろ指導監督できるけれどもとおっしゃった。こういうようなところのあいまいさ、そういうようなあいまいさのところに問題が起きておりますから、大蔵省は呼びかけていくべき立場じゃないかと思うんです。中小企業庁もやるべきだと思うんですが、また法務省あるいは経企庁の立場から、それぞれ三省の立場からこの問題に対してはどういうお考えでしょう。
  188. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) ただいまの御指摘の点は必ずしも大蔵省だけでお答えできる問題ではないと思いますけれども、御指摘のありましたことにつきましては、関係省庁の連絡会に諮りまして検討してまいりたいと、このように考えております。
  189. 青山正明

    説明員(青山正明君) 御指摘のように、この貸金業の問題は、高金利事犯の取り締まりという観点から刑事上の問題もございますが、同時に利息の問題でもございますので、私ども民事局も決して関係がないと考えているわけではございませんで、さしあたりは法務省を代表して刑事局が参加しておりますが、将来利息の私法上の効力の問題その他が検討される機会には私どもも参加していきたい、かように考えております。
  190. 吉岡博之

    説明員吉岡博之君) 消費者保護の立場ということでございますが、サラリーマン金融の利用者の中には、消費者のみでなく先生指摘のように中小企業者も入っておるわけでございますが、まあ利用者が増加するとともに悪質な業者も出ているということで、消費者がそういった被害に遭わないよう、われわれといたしましては被害事例を紹介する等――まあ幸い経済企画庁には、特殊法人で国民生活センターというのがございまして、そこでいろいろなテレビとかラジオとか、そういう広報媒体を持っております。そういう場を利用して消費者に対してはそういう被害に遭わないようにPRしていきたい、そういうふうに考えております。
  191. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、大蔵大臣お尋ねいたしますが、御承知のとおりに、利息制限法と出資法とで制限される利息が違っておりますけれども、その理由をまずお尋ねしたいと思います。これは法務省にお尋ねいたしますが、それで、出資法で計算いたしますと、御承知のとおりに、金利は平年で一〇九・五%、うるう年で一〇九・八%、これを超す契約をした者は「三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処」せられまして、または「併科する。」とありますけれども、立法趣旨は何なのか。それと、また一方、利息制限法では最高二〇%までとしてありますが、これを超える利息は無効と言っている、これはなぜなのか。このように考えてみますと、利息制限法では無効とされておりますが、出資法で処罰はされない、そういう利息が存在することになるわけなんです。この利息のあり方について大蔵大臣はどのようにお考えになっておるのか。最初に法務省からお尋ねをして、大蔵大臣に最後お聞きしたいと思います。
  192. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お答え申し上げます。  金銭の貸借と申しますのは、御承知のとおり、借り主と貸し主との間の金銭消費貸借契約ということで、契約関係でございます。この契約関係につきましては、私がここでちょうちょうするまでもなく、契約自由の原則という大原則がございまして、これは一口に申し上げれば私的自治の分野であるということで、これに対する罰則の介入ということは必要最小限度にとどめられるべきであるという一つの鉄則がございます。したがいまして、この金銭消費貸借関係につきまして罰則が介入していくのはどういう場合かということを一つの例として申し上げますと、まず第一に、金融秩序を著しく乱すような場合がその一つであろうと。それからその二といたしまして、借り主、借りた側の窮状につけ込んで著しい暴利を上げる、暴利をむさぼると、こういうふうな場合につきまして初めて刑罰が介入して処置をしていくということでございます。  一方、これに対しまして民事上の利息制限法というのは、あくまでも私的自治の範囲内におきまして、それに違反する場合におきましては民事上の救済措置を設けないといいましょうか、裁判に訴えて取り立てることを許さないと、こういう考えでございまして、片一方は言うならば刑事罰の世界であると、片一方は民事上の世界であるということで、その間に若干のギャップがございますことはただいま御指摘のとおりでございますが、しかしながら、民事上のたとえば公序良俗に反しますような行為、これは民法上無効であるというふうに民法九十条で宣言されております。しかしながら、民事上の無効な行為が、公序良俗に反します行為がすべて刑罰の対象になっておるかと言いますれば、そうではないわけで、やはり刑罰の謙抑性という点から、刑罰が介入できる限界というのはおのずとあるわけでございまして、そういう私人間の行為すべてに刑罰が介入していくということにつきましては、私、多少個人的な見解にもなりますが、賛成いたしかねると、こういうことでございます。
  193. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 大変専門的なことでございますので、ひとつ銀行局長からお答えさせます。
  194. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先生指摘のとおり、確かに利息制限法では元本十万円未満は二〇%までという制限がございまして、一方、出資の受け入れ等の法律につきましては一〇九・五%ということになっておりまして、この間がいわばグレーゾーン、灰色の領域になっておるわけでございます。このような制度になっております法律的な、法的な面の御説明は先ほど法務省からあったとおりでございます。  ただ、少し角度を変えまして実態面から御説明申し上げますと、これは、この当時立法が行われたときの立法者の解説等を見ますと、これは戦後のまだ混乱必ずしもおさまらない時期でございましたんですが、当時は経済統制法規がいろいろございまして、その経済統制法規が現実とかなりかけ離れたところで厳しく抑えておりまして、そのためにいろいろなやみの行為が出てきている。そういうことで、経済統制法規と現実の経済の実態とが合わないことからいろいろな矛盾が出てきていたわけでございます。したがいまして、この法令をつくるに際して、そのような矛盾を繰り返したくないということで、したがいまして、まあ消費者と申しますか、借り手の利益を守るという点からはこのぐらいの金利が望ましいんだという金利を一応利息制限法で決めまして、しかしながら、現実にはそれよりかなり高い金利が実際に行われていたわけでございますから、したがって、それを踏まえた上でなおかつこれより超えたものは、これはもうとてもけしからぬと、社会的に認められないから罰則を課するということで、今度は出資の受け入れ法でもう少し高いところで制限を加えたと、こういうことで現実面との調和を図ったと、このように聞いております。
  195. 田代富士男

    田代富士男君 いま、局長は現実面の調和を図ったと言われますけれども、そんな簡単な言葉でこの問題は解決されるべき問題じゃないと思いますよ。そういうところに、大蔵省が監督をしていかなくてはならないにもかかわらず、そういう調和を図るためにこういうことをやったという、そこの問題が、いまサラリーマン金融が社会的問題になっているのと違いますか。調和を図るためだとおっしゃる。しかし今度は、大蔵省でなくして、そういうことを受ける方の立場から具体的な問題を一つ申し上げますと、行政当局の窓口に至っては二本立ての法律についての認識度というものが非常に怪しいものがあります。これは、たとえば大阪府の金融家、ここでは二つの法律の関係についてこういうようなことを言っておりますね。サラ金業者に適用されるのが出資法、市中銀行や相互銀行、信用金庫に適用されるのが利息制限法。利息制限法を超えた利息は返還請求できるという判例があるといっても、あくまで裁判上のことでありましてというようなことが報道されております。こういうことが言われております。これでは、良心的な業者はまじめにやっておりますが、いま問題に供しているのは悪徳業者なんです。そういうような悪徳業者の取り締まりやそういう指導というものは、こういうようなことでどのように理解してよいか。受ける方からするならばどのように理解してよいか。それで、これは調和をとるためでありましてと、こういうようなことであったらばどうすればよいんですか。少なくともこれは、大蔵省が責任を持ちまして明確にこのようにするという、それを出さないために起きている混乱じゃないですか。出先の窓口でこういうことが行われている。大蔵大臣、これはむずかしいことでありますけれどもとおっしゃるけれども、実際出先がこういうことをやっている。一サラリーマン金融を受けなくちゃならない立場の人は、この問題をどう受け取るでしょうか。大臣どうですか。
  196. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) この利息制限法と出資受け入れ法との関係につきましては、法的な問題は法務省から御説明になったとおりでございまして、そういう現実が、立法の当時に、利息制限法のところまでいくような高い金利が実際に行われたという現実があったということを踏まえて立法が行われたかと考えておりますが、しかしながら、本来その消費者保護と申しますか、取引者の保護の点から言えば、この利息制限法に規定する上限に金利がおさまることが望ましいわけでございます。したがいまして、庶民金融業協会に対する指導におきましても、これは大蔵省の通達でございますが、実際に庶民金融業協会で行われている金利の限度が利息制限法に規定する利率を上回っている場合においては、同法の趣旨に照らし、将来当該利率以下の水準まで引き下げられるよう指導することが必要であると、こういう線をはっきり出しているわけでございまして、方向としては利息制限法の中におさまる、これが取引者の利益の擁護という点から望ましいと、このように考えております。
  197. 田代富士男

    田代富士男君 そうしたらこれはちょっと法務省にお尋ねいたしますが、との金銭消費貸借につきまして二つの法律があること自身がおかしなことではないか。これは解決しなくちゃならない問題点だと思うんです。  そういう意味から、法務省で、四十三年十一月十三日、最高裁の判決が行われました元本完済後の過払い利息の返還請求権につきましてちょっと御説明を願えないでしょうか。
  198. 青山正明

    説明員(青山正明君) 借り主が利息制限法の制限を超える利息損害金を任意に支払いました場合に、この利息制限法の制限を超える超過部分は当然に元本に充当されるというのが昭和三十九年の大法廷判決以来の確定した判例でございます。そこで、利息制限法超過の利息の支払いを続けていきまして、超過部分を順次元本に充当してまいりますと、一定の時期で計算上元本が完済されるという時期が参りますが、そのように計算上元本が完済された後に債務者が債務が存在しないということを知らないで支払った部分、これは不当利得として借り主から返還を受けることができると、返還請求をすることができるというのが、御指摘昭和四十三年十一月十三日の最高裁判所大法廷判決の趣旨でございます。
  199. 田代富士男

    田代富士男君 いま大蔵大臣お聞きになられたと思いますが、四十三年から五十二年まで約九年間経過をしております。これが、いまさっき各省庁の連絡をとっているとかいろいろおっしゃったけれども、九年前にこれだけの明確なるものが出されているわけなんですが、いままで整備をされなかったということは、大蔵省にとりましてもこれは責任があると思うんですが、大臣どうですか、大臣からお願いします。
  200. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 大蔵省といたしましても、銀行局長がお答え申し上げましたとおり、利息制限法を超えないようにすることを、これを通達によって指導いたしておりますが、それが実施されないということにつきましては、なお一層そういったような通達が履行されるように努めてまいりたいと思います。
  201. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、これは御承知のとおりに一番庶民の人たちの大きな問題点でございますから、これは大蔵省という高い立場からでなくして、もっと庶民の立場に立ってこれは対処すべきではないでしょうか。そういう意味からこのサラ金の問題を取り上げますれば、無担保の貸し金について政府は、現在のサラリーマンなどの生活の実態やあるいは中小零細企業者の実態、こういうところから金利について何ら私は対策を立てずに今日まできたのではないかと、このように思うんです。それは一方的なとり方だと言われるかもしれませんけれども、九年間放置されてきておる。それと同時に、サラ金の金利が高い理由に、無担保によるリスクが伴っていることもありますけれども、業者自身が他の金融機関から金を借りているという、利息を払っているという、こういうこともいろいろ検討しなくちゃならない問題、こういう一つ一つを取り上げていきますと、解決しなくてはならない問題がたくさんございます。そういう意味から、金融業者自身の体質改善というものも必要ではないかと思うんです。そういう立場から、大蔵省は責任あるようで責任がないと、明確なる責任をとるという姿勢が一貫して出ておりません。あくまで大蔵省がこういうような指導監督をやっていく責任官庁としてこれは明確に対処していくべきだと思うんですけれども、どうでしょう。
  202. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 金融業者の体質改善ということでございますが、これは先ほど申し上げましたように、金融業者は全国で十五万ございますし、いずれも零細、小口あるいは個人が主体でございまして、現実面の監督となりますとこれは都道府県で実際に行っているわけでございますけれども、行政処理能力の点から言っても非常にむずかしいかと考えます。したがいまして、こういう意味で個々の貸金業者について現実にその体質改善というところまで指導するのは非常にむずかしいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、庶民金融業協会という自主的な自主規制の組織がございますので、この制度をこれからも活用してまいりたいと、このように考えております。  また一方、このようなサラ金業者が盛んにあるということは普通の一般の金融機関、相互銀行、信用金庫等の消費者ローンに対する対応にも関連してくるわけでございまして、この点につきましては最近信用金庫あるいは相互銀行におきまして個人消費者ローンを対象とする業界を一括した保証会社もできておりますので、こういう面の正規の金融のルートに乗った消費者ローンにつきましてこれから大いに推進してまいりたいと、このように考えております。
  203. 田代富士男

    田代富士男君 いま銀行局長は体質改善というのはなかなかむずかしいと、いま大蔵省立場としてむずかしいということを申されましたけれども、たとえば金融業者が届け出だけでこれを業として営むことができるようになっております。これはどういう理由でそういうことをされたのか。いまも申しますとおりに、庶民の小口金融といいましても、これは金銭にかかわることであります。そういうことから厳正な態度で臨むべきではないでしょうか。たとえば貸金業に必要な法的知識経験の有無はどうなのか、あるいはその人に前科があるのかないのか、成年者であるとか未成年者であるとか、そういういろいろな重要な事柄も何も問われてないわけなんです。ここに大きな欠陥があるんではないかと思うんです。こういうようなことも、体質改善としてこれすらもできないという、大蔵省が認可するその大蔵省がこれすらもできないようであったら、この大きな社会問題になっているサラ金問題を解決はできませんよ、これは。体質改善はできないです。その一点からいろいろな問題点が起きているじゃありませんか。大臣どうですか、これは。
  204. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先生指摘のとおり、貸金業者の業務の適正化につきましては、現在届け出制であって自由に営業できるというところに一つの大きな問題点があると思います。また、この点がこれからの六省庁の連絡会でも議題の大きなものの一つになるわけでございますけれども、ただ現実の問題といたしまして、実は昭和二十四年に立法されました貸金業等の取締に関する法律におきましては、いまのような事後の届け出ではなくて、事前の届け出制をとっていたわけでございます。ところが、その届け出数が非常にふえてまいりまして、個々に監督をし、あるいは内容を精査することが非常にむずかしくなってきたと同時に、事前届け出制をとったことによって、これが大蔵省公認であるというようなことをうたうような業者もございまして、かえってそのための弊害もございますので、出資の受け入れ等の取り締まりに関する法律の際に事後届け出制にしたわけでございます。したがいまして、これをもとの前のように事前の届け出制に戻すこと、あるいは許可制、認可制にするということにつきましては、行政上非常に問題点が多いのではないかと、このように考えております。しかし、いずれにしてもこういう問題を踏まえて今後とも検討を続けてまいりたいと思っております。
  205. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御指摘のようないろんな問題があるということを、これをよくその事実を踏まえまして、できるだけこれを制度なり運用なりというものを改善していくために関係各省相談をして鋭意努力を続けたいと、かように考えます。
  206. 田代富士男

    田代富士男君 いまは届け出の問題をお尋ねいたしましたけれども、簡単にはいかないということでございますが、これすらも簡単にいかなかったら、ほかのことは進みませんよ、これは。だから、私は何回もここで念を押しておりますが、大蔵省の指導監督という、ここに責任問題があるということを重ねて私はもう一度申し上げておきたいんです。  そこで、あわせて検討していただくならば、庶民金融業には実にいろいろな問題がほかにもあります。そういう意味で大蔵省の指導監督の立場からは、社会秩序を守りまして、そうして庶民生活を安定させ、サラ金地獄から救うためには良心的な業者というものは育てていかねばなりません。そういうような立場から金利のあり方を検討するために、ひとつこれは無担保金融という問題についてもう一度検討すべきではなかろうか。  それから業法の制定、業者の登録、ただいまも問題になりました登録など業法の制定などについて前向きに取り組むべきではないでしょうか。大蔵省が消極的であるために、こういう問題が社会的な大きな問題になっております。業者からも法規制というそういう声も出てきております。また、公明党は貸金業法という案も提案をしておりますけれども、サラ金の実情から早急に貸金業法の制定、いまも申します金利等について検討をすべきではないかと、私はこのように社会問題を解決するために提言したいと思うんですが、どうでしょうか。
  207. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 先生指摘の点については、今後とも各省庁の連絡会で検討してまいりたいと思います。ただ、業法の制定につきましては、先ほども申し上げましたように、これがいろいろないまのような届け出制でない制度をとりますと、十五万もある業者でございますから、完全に監督ができないのを、いかにもほかの金融機関と同じように厳重な監督を受けているようなことを一般の庶民が誤解をいたしますと、いろいろな弊害も逆にそこから出てくることも考えられますので、そういうこともいろいろあわせ考えながら今後とも検討していきたいと考えております。
  208. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ大臣、いまるる申し上げました。私時間の関係もありますけれども局長はいまの業法の問題一つについてもまだ消極的な姿勢です。これでは、このままではいま社会問題になっているサラ金金融というのは解決できないと思いますが、このまま放置してよろしいですか、大臣。いまのままではこれは解決できませんよ。大蔵省が責任官庁としてやるべきだと思うんですが、大蔵大臣の決意を最後にお尋ねいたします。
  209. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 先ほど来も申し上げましたとおり、むろん大蔵省は、この問題は私が最初申し上げましたとおり、金融の問題でありますが、金融だけの問題としてだけではなかなか片のつかないいろんな問題がございます。各省関係のところとよく相談をいたしまして、できるだけ改善をしていくということをやってまいりたいと、かように思います。
  210. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、次の税制調査会の問題に移りますから、法務省、経企庁、警察庁の方は結構でございます。どうもありがとうございました。  じゃ、税制調査会の問題についてお尋ねをいたしますが、税制調査会が中期税制答申を出されまして、いろいろな不満の声が高まっております。こういうわけで税制調査会の存在すらいろいろな批判が出ておりますけれども、これに対して大蔵大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、まず、時間もありませんから簡単にお尋ねしたいと思います。
  211. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 税制調査会は、内閣総理大臣の諮問に応じて租税制度の基本的事項を調査審議することを目的といたす機関でございます。これは、政府が税制改正案の立案をするに当たりまして、それを政府の行政組織、つまり大蔵省とか自治省の中だけで判断をするということではなく、広く各層の学識経験者の意見や考え方をも参考として決めていくことを趣旨とするものと理解をいたしております。
  212. 田代富士男

    田代富士男君 それで、いま税制調査会が批判されておる中の一つに、税制調査会におきます議事が非公開でありますが、この非公開になっている法的な根拠というものは何もないわけなんです。非公開にすべき理由は何なのか、それがありましたならばまずお尋ねしたいと思うんですが。
  213. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 現在の税制調査会の議事が非公開になっておりますのは、税制調査会の議事規則、これは会長がお決めになるものでございますが、その中で会議は非公開をするということが定められてございます。で、非公開になっております理由は、各委員先生方がいずれもいろいろな社会的な諸関係を持っていらっしゃるわけですが、そういった社会的な諸関係に拘束されることなく、個別的な立場、個人的な立場で広く国民的な観点から御審議願いたい、自由な御発言をいただきたいということを期待しているものだというふうに考えております。  なお、税制調査会の審議につきましては、審議の都度必要のある部分につきましては適宜新聞発表を行っておりますし、さらにまた必要に応じまして中間的な取りまとめのようなものを公表しているというようなこともございます。さらにはまた、答申の段階で、答申をいただきますと、これは広く国民の方に読んでいただくというようなことになりまして、個別にどういう御発言があったかということは先ほど申しました理由で発表しておりませんけれども、どういう御意見があったかということにつきましてはその都度発表さしていただいておる、こういうことになっております。
  214. 田代富士男

    田代富士男君 それは、個人的な立場を考慮してそういうことをされておりますけれども、税制調査会でいろいろ議事が検討されるわけなんですけれども、その場所に膨大な資料が提供されるわけなんです。そして、約二時間ぐらいでその会議が終わるそうでございますが、一時間半ぐらいはその資料大蔵省主税局からの説明とかで、分厚い資料がなされるわけなんですが、そしてあと三十分ぐらいはいろいろな質疑応答がされる。で、そういう税制に経験のある専門家でしたならば、そういう問題点というものは見てもおわかりかわかりませんが、調査会のメンバーの中には、一度に出されてもむずかしい専門用語やあるいは数字等はなかなか理解できません。そういうわけで、その資料をせめてその委員の人は持って帰って次のために勉強したいと思っても全部回収されるという。こういうことは、はなはだ委員として、委員を信用できないのかという不満の声がありますけれども、これはこういう姿勢というものは改めていかなければ、こういうところに非公開のいろいろな批判が出ているんではないかと思いますけれども、こういう点は大臣改めていくべきでないでしょうか。どうですか。
  215. 米里恕

    政府委員(米里恕君) いまお話がございましたように、いろいろ技術的、専門的にわたる税制の問題が多いものでございますから、そういった関係でいろいろ事務当局資料提出いたしましてそれの御説明、これは主として委員の方の御要望によるものでございますが、そういったような資料の御説明をするということはございます。  ただ、いまお話のございましたように、資料を全部持ち帰っていただかないというようなことはございませんで、原則としてすべての資料は持ち帰っていただくということにいたしております。なおその資料は、原則として同日の新聞にも発表するということをいたしておりますので、決して全部取り上げてしまうというような状態ではございません。
  216. 田代富士男

    田代富士男君 しかし、そういう声が聞かれますから、そういうあれであるならばこれは明らかにしていただきたいと思います。私はひとつ代弁して申し上げておきます。  そこで問題は、この委員の人選でありますけれども委員三十名で組織されております。内閣総理大臣の任命でございますけれども、どういう考え方でこういう任命をされているのか。  それから、委員の人選の中でございますが、国民の各層、学識経験者を選んでいらっしゃいますが、その中に元官僚が七人いらっしゃる。各省の次官クラス、大蔵省の次官、国税庁長官、こういうようなところから、これはいまも言われるとおりに、マスコミにおきましては大蔵省主税局臨時税制調査室だと、こういうような陰口を言われるような、こういうことがあるので、こういう構成メンバーの中には、思い切って、こういうような少なくとも税制に強い大蔵省や自治省のOBなんかはこれは検討すべきではなかろうか、そして中立的な財政学者をもっとふやすべきではないか、そして庶民の声が反映できるような、そういうような人を選んでこれはやるべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
  217. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 税制調査会は、先ほども申しましたとおり、租税制度に関する基本的な事項を審議するために置かれておるものでありまして、その委員につきましては、問題を広く国民立場に立って審議していただく趣旨から各階各層の学識経験者の方々に就任をお願いいたしまして、内閣総理大臣が任命をするというところになっておりますが、今回も内閣の人選につきましては大蔵省は自治省とともに協力したわけでありますが、考え方といたしましては、現時点において先ほど申し上げましたところのこの税制調査会の趣旨が最も生かされるようにという方針のもとに、各委員に就任をお願いをしたような次第でございます。
  218. 田代富士男

    田代富士男君 まあ大臣は申されましたけれども、いろいろ批判が高まっておりますが、時間があれば細かいことをお聞きしたいと思いましたが、私の持ち時間がもうありませんから、最後にお尋ねしたいと思いますが、いま私は、この税制調査会が大蔵省主税局の臨時税制調査室と、こういう陰口を言われているということを申し上げましたけれども、こういういきさつになった理由はいろいろあるでしょう。一つは、四十九年度において巨額の歳入欠陥が生ずることになって、そしてわが国の財政がその後赤字財政に転落したことは御承知のとおりでありますけれども、そこで昭和五十年から五十一年にかけては、大蔵省ではいかにしてこの財源を確保しようかと必死になられた時期ではなかったでしょうか。そこで税制調査会が中期税制について検討を始められたのもこの時期ではないかと思うわけでございますが、このことから大蔵省が税制調査会をして何とか大蔵省の考え方に沿った答申を出させるように意図して動いた、そういう面が多々見られます。いま人選のところでも時間があればもっとお聞きをしたかったんですが、時間がありませんが、こういう官僚が、高級官僚七名です。  で、これは税制調査会は八月の末ぐらいから毎週一回ぐらい会合を開かれてまいりまして、会合を持たれるわけなんですが、まあこのときに意見を発表される委員、発表されない委員はあるでしょう。それで、いま申したとおり、二時間の会合というのは小倉会長のこれは趣旨だそうでございますが、その二時間のうちの質問時間は三十分と。三十人の委員だと一人一分しゃべれば三十人だと、そういうようなところで満足な意見を出せるわけがありません。それである程度この意見が煮詰まってきたところに小委員会が結成されまして意見集約の作業に入るわけなんです。このときに、いまさっき申し上げました大蔵省、そういう自治省関係のOBの皆さん方によってこれが作文されるわけなんです。それが答申として出てくると、こういうところに大蔵省主計局臨時税制調査室と批判されるべきそういうものがあるのではないかと思うわけなんです。そういう点に対しまして、第三者の声が生かされるようなそういうものにすべきではないかと思うんですが、大臣、改めてどうでしょうか。
  219. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御指摘のように、昭和四十九年十月に前回の税制調査会が発足いたしまして、それから今日に至るまで石油ショックなど大きな問題がございました。いろんな経緯をたどっておりますので、そこでこれにつきましては事務当局からお答えをさせます。
  220. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 最初に、重ねて御指摘のございました二時間のうちに一時間半は資料説明で、あと三十分しか討論の時間がないという点でございますが、実は税制調査会二時間ということになっておりますけれども、いつも必ず大幅に時間を延長いたして実施しております。ちょうど二時間で終わったということはほとんどございませんで、これは委員の方が非常にそれぞれ御熱心に御発言願いまして、それぞれ御都合もあるでしょうけれども、やむなく時間を延長して熱心な御討議が続くという状況であるということを申し上げます。  それから、官庁のOBの委員が非常に多いという御指摘もございましたが、内閣総理大臣が発令されました今回の税調の新委員のメンバーを拝見いたしますと、官庁のOBの方は減少しておるというような結果になっております。  で、税制調査会につきましては、御承知の、御指摘ございましたとおり、四十九年の十月に前回の税制調査会が発足いたしまして、内閣総理大臣から、社会経済の進展に即応する税制のあり方についての諮問を受けまして、以後石油ショックというような非常に内外の激動の時期に当たりまして、新しい経済社会における税制のあり方、国税、地方税を通じまして御熱心に討議をいただいたわけでございます。ただいまも御指摘ございましたように、特に最後の段階になりましては八月、九月、九月は週二回のペースで熱心に御討議いただきまして、今回の答申をいただいたわけでございますが、今回の答申は、御承知のように、今後の財政による公共サービスその他のサービスを確保しながら、いかにして財政のバランスを図っていくかということで、一般的な増税が必要であるというような答申をいただいたわけでございます。そういう経緯になっております。
  221. 田代富士男

    田代富士男君 最後に、これは大臣にお尋ねいたしますが、税制調査会から答申されました増税答申でございますけれども、その今回の答申の中に一般消費税の導入が含められております。国民に増税の必要を迫ったものでございますが、この増税問題には慎重に取り組まねばならないと思うわけでございます。そういう意味から、こういうような国民に増税の必要を迫る前に、大蔵省として、政府として絶対やらねばならない問題があります。それは歳出の節減、また合理化、税の不公平の是正等でございます。そういう意味から行政改革の断行、大企業優遇をねらいとした租税特別措置法等、このような改正に当たるべきではないかと思うんですけれども、時間もまいりましたから、これらの問題に対する大蔵大臣の決意をお聞きいたしまして質問を終わりたいと思います。
  222. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) ただいま税制調査会から受けておりまする中期の税制についての御提言でございますが、これは政府といたしましても尊重してまいりたいと、まずさように考えております。しかし、その中できわめて広般なる御提言をいただいておりますが、その御提言の中で何を取り入れて、どういったような租税体系をつくるかということでございますが、それは五十三年以降各年度における日本の国の経済の実勢、それからまた財政の事情といったようなものをこれを踏んまえまして、つまり、ことしならば来年の経済見通しというものをこれを踏んまえまして、これが固まり次第決めてまいりたい、かように考えておりますが、しかし、いずれにいたしましても、中期においては、日本の国の財政需要を満たしていくためには、相当国民の方々に対しまして税を通じて負担の増大ということを、これを覚悟していただかなければならない。しかし、そういうふうに国民に負担を課していくというためには、御指摘のとおり、今日までの歳出面における、何と申しますか、極力これを節減いたしまして、そうしてスクラップ・アンド・ビルドの精神に徹して歳出を見直していくということと、もう一つは歳入面における税制を、これをやっぱり全力を挙げて見直していくということをやりまして、そうして歳入、歳出ともにこれを新たにひとつ、新たなる構想でもって考えていくということをやらなければいけない。その歳入における最初のやっていかなければならないことは、何と申しましても不公正な税制の是正、これをやっていかなければならないということを考えておる次第でございますが、そういったような場合には、何と申しましても大蔵省大蔵大臣だけの力でもってこれはやれることではない。最もむずかしい仕事であろうと思いますので、何と申しましても国民の力、すなわち国会の御協力によりましてでなければ実現をできないということを重々と感じておりますので、どうぞひとつその点をよく御理解をいただきまして御協力のほどを切にお願い申し上げます。
  223. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは最初に税務行政についてお伺いをいたします。  国税庁御発行の「税務運営方針」によりますと、税務行政というものは公正でなければならないというふうな文言というのが随所に出ております。で、公正というのは、いかなる個人、いかなる団体に対しても差別扱いをしない。そういうことが最低の条件であろうと考えますが、税務行政、そのように行われておりますか。まず最初にそれをお聞きしたいと思います。
  224. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) お答え申します。  税務行政は、税制というものは、これは国民に負担をお願いすることなんです。負担をお願いすることである以上は、税制というものは、制度の面におきましてもあるいは執行の面におきましても、これは公正であるということをよく理解をしていただかなければなかなかそういう負担はかけられない。かような意味におきまして、私どもは、税というものは国家の収入をこれいただくということがこれは基本の目的でございますけれども、その目的を達成するためには、これは何といたしましても公平でなければならないというような基本的な考え方をもって税制をつくり、かつまた執行をやっていこうと、こういうふうな覚悟、決意をいたしております。
  225. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 国税庁では前々から「民主商工会-その姿と動き」というようなものが印刷して発行されております。しかも、この文書は「取扱注意」というふうに書かれておりますが、こういうものが毎年出ているようでございますが、他の団体の分もこういうものはございますか。
  226. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 調べてみればあるいはあるかもしれませんが、いま直ちに思い当たるものはございません。
  227. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは御調査をいただきまして、他の団体のものがあればそれも、それから「民主商工会-その姿と動き」というような資料ですね、何年前からでも結構でございますから、お手元にある分を資料としていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  228. 水口昭

    政府委員(水口昭君) これはただいま先生お話しのように、取り扱い注意の文書でございますから、提出できるかどうか検討してみたいと思います。
  229. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ委員長にお願いをいたしますが、これひとつ理事会でお諮りをいただいて、私は税の公正な運営ということの大原則でやっていると大臣がおっしゃっておられるたてまえから言いましても、これはそういうものを各団体についてお調べになって御発行になっているのかどうかということを非常に重大な問題だと思いますので、ひとつ理事会でお諮りをいただいて御提出をお願いを申し上げたいと思います。いかがですか。
  230. 大塚喬

    理事(大塚喬君) ただいまの申し出については、後刻理事会で諮って態度を決定いたしたいと存じます。御了承願います。
  231. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は中身についてとやかく言おうといま思っていないんです。そういうものの調査をしておられるということがわかりましたので、それで、そういうことがあればひとつ御参考にぜひ資料としていただきたいと、そういうことでございます。  それから、もう一つお伺いをいたしますが、これは「関東信越国税局・税務署」と書いてあるんですが、こういうパンフレットですね。これは関東信越国税局と書いてあるんですよ。それからもう一つは、これは福岡国税局です。この中身を拝見いたしますと、「正しい自主申告とは」というふうな、自主申告の意味を正しく理解しましょうというふうなことをお書きになって、それでその幾つか、三ページ目からは「川崎民商S所得税法違反事件」、あるいは「荒川民商H所得税法違反事件」、「南民商S所得税」云々と、こういうふうにずっと名前が書き並べられているんです。両方とも、引用している文は同じ文もあれば違う文もあるというふうなことなのですけれども、これは御承知ですか。
  232. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 承知いたしております。いまお示しのような文書は全国税局で配布をしておるわけではございませんが、関東信越国税局その他一部の国税局におきまして、民主商工会の会員のところへ調査に参りました際にそれを置いて帰ることもあるようでございます。
  233. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ、これは国税庁方針でやってらっしゃるんですか。
  234. 水口昭

    政府委員(水口昭君) そういう文書を配布しておる国税局もあり、配布してない国税局もあるわけでございますから、それぞれの国税局の方針でございます。
  235. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そうしますと、これは、だから黙認をしておられるということは、やってもよろしいということで国税庁がお認めになっていると。で、この使い方ですね、使い方はどうなさるんですか。
  236. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 国税庁といたしましても、特に不適当なこととは思っておりません。
  237. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 国税庁としては認めておられるんでしょう。で、どういうふうに使わせているのか。
  238. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 使わせているということではございませんで、先ほど申しましたような一部の国税局におきましては、そういう文書を民主商工会の会員のところに調査に行きました際に置いてまいる、配布してまいるということがあるようでございます。
  239. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 民主商工会の会員さんのところへこういうものを理解を深めるためにということで渡しているということなんですね。そういうことですね。
  240. 水口昭

    政府委員(水口昭君) さようでございます。
  241. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは認識不足ですよ。これはたまたま私の手元に来ている資料では、個人のところに封書で送りつけている。それから、同様の文書ですが、これも福岡国税局ですわ。これは新聞折り込みをしている。これはチラシを不特定多数にまいている。こういうやり方というのはいいんですか。
  242. 水口昭

    政府委員(水口昭君) その文書を私直接見ておりませんのであれでございますが、一つは、先ほど申しましたように、民主商工会の会員のお宅に調査に行きました際に置いてまいるという文書もございます。それから、確定申告の時期等になりますと、民主商工会の方でいろいろ税務行政に対して誹謗その他の宣伝をされることもございまして、それに対応いたしまして、国税局なりあるいは税務署の方で正しい税務の理解のためにPRをすることもございます。
  243. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、まあお見せしてもいいんですよ、みんな、資料だから。あなたの方は知っているはずですがね、どれかわからぬというだけでしょう。それはどれもみんなこのチラシという分は全く不特定多数にまいているんですよ。これにも民主商工会についての、たとえばこれは「久留米民主商工会の宣伝に惑わされることなく久留米税務署に御協力をお願いいたします」と、民主商工会の名前が出ているんですよ。この新聞折り込みもやはりこれは福岡国税局ですが、やっぱり民主商工会はチラシで云々というようなことで名前を出しているんですね。それで、いまあなたがおっしゃった会員のところへ行ったときに御理解を深めるためにと言うたやつは郵送されている。会員じゃないですよ、これ。こういうことをやられているということについてどういうふうにお考えになりますか。
  244. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 先ほどお答え申し上げましたように、民主商工会の方が税務行政等に関しましていろいろ誤解に基づく宣伝をされておりますので、それに対応いたしまして、税に対する正しい認識を深めるために国税当局としてもいろいろPRをいたしておるわけでございます。
  245. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは何をやってもいいということですか。たとえば、私これを見て驚いたんだけれども、たとえば荒川民商、川崎民商、昭和民商、南民商と書いて名前を書いておられるんですがね、これはそれぞれの出しておられるところの国税局で御都合のよろしい判例をわざわざ印刷物にされて、そして特定のそれぞれの民主商工会の名指しで、これはその一つの問題を用いて民主商工会の姿をゆがめたり中傷したり、あるいは名誉棄損、名誉を著しく傷つけるというふうな形になっておるんですけれども、こういうことは先ほど大臣もおっしゃった税務の執行については公正、公平を基本としているという点から言いましてきわめて疑問に感じるんです。御見解聞きたい。
  246. 水口昭

    政府委員(水口昭君) ただいまお話しの判決には二種類あると思います。一つは民事の判決でございます。これにつきましては民主商工会の方のところへ調査に参りました際に、いろいろたとえば調査の事前通知であるとか、調査事由の開示であるとか、そういった点に関しまして法律論争を吹っかけられるわけでございます。民主商工会の方で独自のいろいろ見解を仰せられるものですから、それに対しまして税務署の見解を申し上げておるわけですが、その点に対する民事判決であろうと思います。  それから、いま一つは刑事の判決でございますが、民主商工会の一部の方々の中に、いろいろ所得税法違反であるとか、公務執行妨害であるとか、傷害罪であるとか、そういったようなことに該当いたしまして判決が確定したものがございますから、そういうものを御紹介しているのであろうと思います。
  247. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私、ちょっと時間の都合があるので、それを細かくやろうという気はないんですけれども、きょうは。たとえばそんなことおっしゃると、調査方法等の――あなたのところの「税務運営方針」ですよ。これの十七ページの「調査方法等の改善」というところでは、たとえば「一般の調査においては、事前通知の励行に努め、また、現況調査は必要最少限度にとどめ、反面調査は客観的にみてやむを得ないと認められる場合に限って行うこととする。」と書いてある。そういうことをたとえば民主商工会の人たちが御主張になって、そういうふうにあんたのところの方針もそうなっているやないかというふうなことを言っておるということについて、これは私納税者として当然主張すると思うんですよ。これを一々あげつらって、いやこういうふうな判例がありますよということを、これをわざわざ送りつけたり、特定、不特定多数にまいたり、そういうやり方というのは、これは非常に公正を欠くやり方だと、特定の団体に対して特殊な扱いをするという点で公正を欠くやり方だと思うんですよ。その点どうですか。
  248. 水口昭

    政府委員(水口昭君) ただいまお話しのように、確かに「税務運営方針」におきましては仰せのようなことが書いてございます。しかし、それはあくまで一般論であり、原則論でございます。民主商工会の場合には、たとえば事前通知をいたしますと、しばしば大ぜいの民商の事務局の方とか、あるいは民商の会員の方とか、立ち会いと称しておいでになりまして、なかなか税務の調査がスムーズにまいらないということもございます。また、いろいろその納税者に調査内容をお伺いしましてもそれに協力いただけないものですから、したがって、やむを得ず反面調査にかかるということもございます。そういうふうな特殊事情があるわけでございます。
  249. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 特殊事情かどうかということについてはまた別の機会にやりたいと思います。  もう一つ聞きたいんですが、たとえば各地で民主商工会に対してはこういうかっこうで、ごく一、二の例を出してもわかりますように、いろいろな形で中傷や誹謗、あげくの果てには脱会工作というのがやられているんですね。それで、私これ一般論として聞きたいんですが、国の機関である、政府機関である国税庁が民主商工会に対してたとえば組織的に脱会工作をやるというふうなことは、これは憲法違反になりませんか。結社の自由侵害になりませんか。
  250. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 国税当局の姿勢といたしましては、あくまで公正でなければなりませんので、国民の方がある特定のグループに加入されるとかされないとか、そういうことには関与するつもりは毛頭ございません。
  251. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、関与するつもりがあったら困るんです。しかし、たとえばあったとしたらどうですかと聞いている。だから一般論で、組織的に脱会工作をやるということはあってはならぬですから、ないだろうと思いますよ。しかし、そんなことをやったら憲法違反になりませんかと、結社の自由違反になりませんかと言うんです。
  252. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 仰せのような脱会工作等をもしやったとすれば、それは適当でないと思います。
  253. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ところが、現実には非常にいろいろやられている、これは。私、時間の都合があるんで細かく言いませんが、脱会工作というのは後を絶たないですよ。その証拠と思えるんですが、たとえば脱会が何ぼあって、その脱会の動機は何だと、そのうち、脱会の動機の中で本人に対する説得五二%だと、そのうち統括官によるものが二六%だと、こういうことまであなたの方では調査をし追跡をしておられるというふうな事例があるわけです。これはたまたま私の手元に入った資料なんですが、これは大阪国税局の便せんに書いてあるんですよ。こういうことがやられているというのは、やったらぐあい悪いという憲法違反をしでかしていると言わざるを得ない。  たとえばこれは私のおります大阪の事例ではこうですよ。大阪の大淀税務署ですわ。十月の二十六日、わざわざ税務署に呼び出された納税者、安藤さんという人ですが、その弟二人が民主商工会の会員なんだそうです。その弟二人を連れて税務署へ来いと言われたので、二人を連れて三人で出向いた。ところが、民商への会費は共産党へ流れるだけだから、高い会費を払わなくてもよい、納税協会もあるぜと、こう言うて脱会工作をやっているわけですね。それはやった人は一般の署員です。しかし、そのときにその人の上司がそばに座って、物は言わなかったけれども一緒にやっているというふうな事実があります。こういう憲法違反に類するようなことはやるべきでないと思う。どうですか。長官、どうです。こんなばかげた話ないですよ。
  254. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) 先生指摘のように、税務の執行というものは公平でなければならない。それはただいま大臣の方から御答弁しましたし、事務的に直税部長の方からも御説明申したとおりであります。私たちは、納税者というのはすべて一様である、その人が、相手方によって税金の公平、不公平があってはならないということはもう中心に考えております。大方の納税者の方は非常に誠実な申告をなさいます。税務の調査に対しても御協力をいただきます。しかし、非常に残念なことには、民主商工会の中には、調査に行きましても、それに対して非常な、調査そのものに入ることに対して妨害をされる、あるいは調査内容そのものについてもいろいろと法律論争等によって調査を妨害されるという事例、これはここで細かく申しませんけれども、それは非常に多いわけでございます。私たちとしては……
  255. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私の聞いていることに答えてください。
  256. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) ですから、これから申し上げようと思います。  それで、私たちとしてはとにかく公平な税制、それからまじめな納税者というものを一人でも多くを獲得するために、第一線の税務署におきましては、まじめな納税者になってくださいと、誠実な申告をしてくださいということで納税者に説得するわけでございます。ですから私は、決してこれは結社の自由を害するとかなんとかということでなしに、そういった一部のきわめて意図的な過少申告をされる方、あるいは調査の妨害をされる方、そういった方に対しては、そういったことをなさらずにまじめに申告を、誠実な申告をしてくださいということを説得する、そういったことだと私は考えております。
  257. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私の質問の答弁になっちゃいないです。  具体的なもう一例を申し上げたい。これは千葉の東税務署の例です。これは千葉市みつわ台四丁目の三十五の二、そこにおられる、クリーニング店を営んでおられる瀬川さんというところで起こった事件ですが、千葉東税務所の小野さんという調査官、それから陳野原さんという二人が行って、大変なことを言っておられるのですね。実はたまたま証拠物件としてテープがありまして、それを私拝聴し、またテープを起こしたものも持っておりますが、どんなことを言うてるかというたら、ひどいんですね。時間の都合がありますから、いきさつを抜きますが、十月のこれも二十六日、その小野さんと陳野原さんという二人の方が瀬川さんのお宅へ事後調査にあらわれた。それで瀬川さんのお宅へ着くなり、調査とは無関係のことについて二十分余りお話があった。それで、そういう中で、いま脱会工作とも思える発言も出ているのですよ。青色申告会というのは皆さん方に大変有益なところなんだ、しかし民商は目的が全然違いますと。言うてることの中身をちょっとピックアップしますと、共産党の下部組織のような形になっているからね、それに会費を取っても、その会費はどこへいくかというと、共産党の方へ回っているのですね、週刊誌にも載っているけれども、上納金という形で、千五百円会費を払ったら三百円は共産党の方へ流れているのですよ、彼らはそのためにやっているんで、資金集めや選挙の票集めのためにやっているんです、だから、瀬川さんの経理よりもその目的の方がウエートが高いんですよ、こういうことを言っている。こういう事実がある。どう考えますか。
  258. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) その事実につきましては、私たちも東京国税局を通じて調査したところでございます。ただ、そういった、いま先生指摘になりましたそのことを、それがずばり本人が言ったかどうかの問題につきましては若干疑義がございますけれども調査に参りましたそもそものいきさつで、非常にここで調査に対する抵抗を受けたように聞いております。かなり大ぜいの方が来られて調査そのものができなかった。それで、そのときにいろいろと雑談をしていて、そのときに某週刊誌にこういったことが書いてあったね、ということを雑談的に言ったということを聞いておりますけれども、やはりその部分だけをとらえて先生おっしゃいますけれども調査に行きまして、いかにわれわれ税務職員というものが悪口雑言をつかれ、それから非常ないやがらせ、それからまた妨害を受けるかという、そういった事実の背景も御理解いただきたいと思うのであります。  私は、せっかくの機会でございますから、ぜひお願いいたしたいと思いますのは、やはり調査に対しましては御協力をいただきまして、税務に対する御理解、それからわれわれの仕事に対する御理解を民主商工会の方もいただきたいと思うのでございます。
  259. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私が申し上げたのが、全部言うたかどうかわからぬとおっしゃるんだったらかけましょうか。全部その言うたとおりですよ、これ、その言葉。調査してないんですか。私が申し上げたとおりなんです。こんなことを、この方が暴力的だとか、協力しなかったとかおっしゃっておられるのはおかしいと思うのですよ。  それをおっしゃるならやむなく経過を申し上げますが、こういうことなんですよ。言いますと、これは八月の二十三日に突然にお二人が所得確認をしたいと言ってお店にあらわれた。しかし御主人が、クリーニングの仕事なもんだから、外交に出ていっておるので、妊娠で出産前の奥さんなので、再度来てくださいと言うて頼んだ。その後毎日毎日ほど電話がかかって、ときには一日に二回ぐらい電話がかかってくる。たまりかねて――御主人がほとんど外交なものだから奥さんが電話に出るわけです。で、出産前後というのは、これはもう皆さん御承知だと思いますけれども、婦人の精神状態というのが一番不安定になるときです。そういうことで、もう税務署からの電話で恐怖症になって気分が悪くなった。そこで、そういうことなんで、せめて出産が済んで気分が落ち着くまで待ってくださいと、もうすぐ出産なんだからということでお話し合いをして、それで九月の十四日にお産をされたわけなんです。その後も何回か御催促があったそうですけれども、そういう中で十月の二十六日に合意の上で来ていただいているわけですよ。そういう中で、民主商工会はあれは共産党の下部組織みたいなもんだからねとか。だから本人はびっくりしているわけですわ。私は商売をしていて、知ったときは何にも知らなんだと、しかし、税の問題について民主商工会に入っていろいろ勉強もさしていただき、よくわかって非常にありがたいと思っているのですがねと本人さんはおっしゃっている。ところが、これでもか、これでもかと言うて、あげくの果てに、あんたたちの千五百円の会費の三百円も共産党へ流れているのだというようなところまでやっているというようなことは、これは雑談でとおっしゃいますけれども、明確に事後調査ということで打ち合わせ済みのときに来ておってそれを言うているのですよ。こんなこと許されますか、国家公務員に。どうですか。
  260. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) お言葉を返すようで非常に恐縮でございますけれども先生いま御指摘になりましたように、最初調査にお伺いしたいと言いましたのが八月とおっしゃいまして、それから実際に調査に参りましたのが十月とおっしゃいましたけれども、通常の場合に、私たちが調査に参りたいといって二カ月後にやっと調査に行ける、しかもその調査に入りますときに大ぜいの方が来られて取り囲まれるというふうな調査のやり方というのは、通常の場合には見られない事例でございます。ですから、そういったことのやりとりになるように至りましたその背景ということも十分ごしんしゃくお願いいたしたいと考えております。
  261. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 背景だとかなんだとかおっしゃるのは、あんた一般論で背景なんておっしゃっては困りますよ。このお方の場合にはどうだったかということがわからずに、民主商工会の会員だからというて一口にそういうふうにおっしゃるのだけれども、そこが問題だ。民主商工会の人やったら何を言うてもいいのかというのです。  だから冒頭に聞いたじゃないですか。税の執行については公正公平でなければならないとあなたのところはちゃんと言うているけれども、ちゃんとやっていますかと言ったら、大臣、それはもう厳重にやっていますと言うておる。こんなことが、何があんた、厳重に公正公平な立場ですか。おかしいじゃないですか。少なくともわが党に対してもこれは誹謗ですよ、重大な。黙って見過ごすわけにいけない程度の、種類の問題ですよ。こんなのをどうするのですか。背景だとかというようなことを聞いていない。こういう事実についてあなたはどうなさいますかというのです。
  262. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) 民主商工会の会員の方に対してすべてそういったトラブルが起こったと私は考えておりません。民主商工会の会員の方でも調査をお受けになって、そしてその調査にきわめて協力される方も多いわけであります。しかし、中にはそういった方がおられる。そういったところにやはり第一線の職員との間のトラブルが起こったり、それからまたそういったいま先生の御指摘を受けるようなことまで第一線の諸君が話したりするというようなことに追い込まれるわけでありまして、ですから基本的には、やはり税務の調査に対して御協力いただくということでこれはすべて解決になると私は考えております。
  263. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私の質問にちっとも答えないんだ。私はこういうことを国家公務員が税務行政の中でやるということは、現実に具体的な事実だから、こういうことは一体どうなんだと、明確に憲法違反だし、国家公務員法違反じゃないか、どうするのですかと言っている。
  264. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) もちろん、その憲法違反あるいは国家公務員法違反というふうなそしりを受けたり、あるいはそういった疑いのあるということは行き過ぎでありますから、そういう点については厳重に注意いたします。
  265. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは、私はこの機会ですので、これは納税者との関係で話し合いをし、理解を深めていただくというふうなことについての御努力は大変御苦労だと思います。しかし、それを本当に公正に公平にやってこそ国民の信頼も得られるんであって、そのことはきわめて大事だと思うんです。ですから、この際に申し上げておきたいんですけれども、こういう特定の団体や特定の個人ですね、この一切の中傷や誹謗、それから民主商工会員に対して脱会工作、こういうことは今後一切やらない。こういうあげくの果てには憲法違反や国家公務員法違反まで犯す、こういうことは一切やらないということを約束できますか。
  266. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) 先ほどお答えいたしましたように、憲法違反あるいは国家公務員法違反といったような疑いのあるような行き過ぎは、これは厳に注意しなければならないと思いますけれども、しかし同時に税務行政に対するいわれなき誹謗あるいは非協力、それからまた誤った宣伝、そういったことに対しましては私どもも正しい税務に対する認識をいただく。それから税務の調査に対して御協力いただき、それによって円滑な税務行政、公平な税務の執行というものができるように私たちは繰り返しお願いをするということだろうと思います。
  267. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは考えますけれどもとおっしゃっているんだけれども、これはあれでしょう、憲法違反、もう細かく言いませんけれども、憲法十五条の二項では、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」ということも明確ですよね。それから、国家公務員法九十六条の一項にもそのことは明確にうたわれておりますし、九十七条では、「政令の定めるところにより、服務の宣誓をしなければならない」。宣誓の文言一遍読んでみましようか。    宣誓書   私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の職務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います。  と、こういって宣誓しているんです。にもかかわらず、これに抵触するような言動というのが千葉だけではない、大阪でも出てきている。こういうことが起こってくるというのは、これは私は非常に重大だと思うんです。下部の職員が、下部職制の人たちがあえて憲法違反やあるいは国家公務員法違反等を犯すというようなことは、これは一人の責任でできた話じゃないと思うんです。明らかに国税庁方針だからそういうことをやっているんでしょう。そうとしか思えないじゃないですか。どうなんですか。
  268. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) 私たちは、すべての納税者に公平に税務の申告をしていただき、納税していただくように努めておるわけでありまして、一部のためにする過少申告であるとか、調査妨害をされる方に対しましては、繰り返し公平な税務の執行のためにそういったことはやめてくださいということをお願いしておるわけでございます。
  269. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 最後に、大蔵大臣、まあ私が申し上げたようなことがちょっと聞いてもあるわけです。こういうことはやっぱりなくしてもらわなきゃ困りますよ。これは下級職制の方だとか、あるいは末端の署員の方々が、明確にこれは憲法違反であり、国家公務員法違反を平気でやっているんですよ。こんなことがまかり通るというふうな税務行政というのは、公正、公平というふうになかなか理解ができません。これは一切なくしていただきたいと思いますが、大臣の見解を聞きたい。
  270. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) お答え申し上げます。  最初に申し上げましたとおり、税というものはこれは公平で公正でなければならないということ、この前提に立ちます。そこで、その公平ということは、日本国民に対してある団体と他とをこれ区別するというようなことは、これは公平でないと思います。だから、税務署なり税務当局のやっておることは、いまおっしゃられたように、これは民主商工会なるがゆえにそういったようなことをやったというふうに私は考えません、それは民主商工会であろうとあるいは他の団体、他の個人であろうとも、税務の執行に対しましてただいままあいろいろ申されましたが、私はその事実は見たわけじゃありませんけれども、税務の執行に対しまして、あるいは調査あるいはその他の執行に対しまして、何かこれに対して抵抗をするといいますか、妨害をするといいますか、そういったようなことに対しましては、税務出局は、やっぱりそういうことをなさらずにひとつその税務の執行に協力をしていただきたい、協力をお願いするということが、また私はその税務官吏の仕事であろうと思います。そういうようなことをお願いし、協力してもらうために、それは暴力を加えたり、そういうことをやっちゃもちろんいけませんけれども、そうでなくて、ひとつ協力をお願いしたい、いろいろな方法を講ずると。これがその行動自身が違法であったり不法であったりすることは許されません。しかしながら、そういったいろいろな許されるべき範囲においてお願いをするということが、これがまた税務官吏の与えられたる義務を履行することであるというふうに私は考えます。さような意味におきまして、民主商工会をこれを差別的に特別に扱うというようなことではなかったであろうと、かように考えますが、さような意味において今後も税務の執行に、徴税の執行に際しましては、やはり税務官吏は良識をもってそうして御協力をお願いするというような態度に出なければ私は義務を履行できないと。これは憲法違反とかというようなことではなかろうと思います。  ただし、そういったような過度なことがあるということであるならば、これはやっぱり国税庁長官ももちろんそうでございますが、その責任者は財務当局の大蔵大臣でございますから、これは十分私はさようなことのないように、過度の振る舞いのないように注意をしてまいりたいと、かように考えます。
  271. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃまあ大臣、公正、公平にやられていると、またやらなきゃならぬとおっしゃっておられるんですし、いまのお答えのとおり、ひとつ行き過ぎだとか、まあ言えば憲法違反や国家公務員法違反に当たるようなものについては一切やめるようにひとつ進めていただきたい、そのことをお願いをしておきます。  時間がありませんので、あと信濃川河川敷の問題についてお聞きをしたいと思います。  御承知のように、田中金脈の疑惑をめぐりまして国会論議が沸騰しましたし、特に十一月の一日に長谷川建設大臣が問題の信濃川河川敷の廃川敷処分を行ったわけでございます。昨日の参議院建設委員会の論議を聞いておりましても、建設大臣は疑惑は晴れたと、だから告示したと言っておりますけれども、昨日の質疑経過から見まして、これはわが党の上田委員の質問におきましても疑惑は晴れていない。行管の御意見も、これは疑惑は晴れたというんじゃなしに、あれは未解決のままだというふうに言っておられる。こういう中で長谷川建設大臣が、かつての三木総理の言明、また前建設大臣の言明に反して、長谷川建設大臣の御一存で専決処分をされた。しかも国会の意思だとか決議も踏みにじる国会無視の専断ということで、これはマスコミだとか国民の疑惑や不信というのが急速に広がっているのは御承知のとおりです。特に私はきょうこの席上で取り上げておきたいと思いますのは、特に本決算委員会というのは、警告決議を行ったり、異例の委員長申し入れを行ったというふうな過去の経緯がございます。そういう点で、どうしてもこの点では国民の疑惑を晴らし、コンセンサスの得られるような解決を望みたいという立場でお聞きをしたいと思います。  で、最初にお聞きをしたいんですけれども大蔵大臣、この信濃川河川敷、問題のところに大蔵大臣が将来管理処分の権限を持たれる国有地があるということを御存じですか。
  272. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 存じております。
  273. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはどういうものですか、個所とか面積。
  274. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 現在、建設省が管理されておりますので、具体的に私どもの方で調査をいたしておりませんので、面積あるいは具体的な場所まではわかっておりません。
  275. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 じゃ建設省、来ておられますね、ちょっと。
  276. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) お答えいたしたいと思います。  まず、第一点でございますけれども、先ほど先生が、先ほどの建設委員会におきまして、行管の意見を聞くと疑惑は未解決であると、晴れてないということをおっしゃいました。
  277. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはよろしいわ。
  278. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) いや、それにつきまして……
  279. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私の聞いたことを言うてください。
  280. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) お答えいたします。これは非常に重要な問題だと思うわけでございます。一言簡単に御説明いたしたいと思います。
  281. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いやいや、わかっている、わかっている、もうそれは。質問に答えてくれたらよろしい、時間がないんだから。
  282. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) けさ新聞でもこの問題が大きく取り上げられておりますので、一言だけお答えさせていただきたいと思います。
  283. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはまた後で聞くことにしましよう。
  284. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) いえ、これは本当に私基本的な問題だと思うんです。
  285. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 難儀やな。ちょっと委員長、はっきりしてください。こんなあんた、聞きもせぬことを言うてもらったら困るよ。
  286. 大塚喬

    理事(大塚喬君) 質問者の答弁に答えていただくようにお願いをいたします。
  287. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) はい。じゃお答えいたします。  信濃川の蓮潟地区におきますいわゆる所有形態でございます。国有地でございますけれども、河川法の規定によって管理しております土地は四十四ヘクタールでございます。そのうち三十五・六ヘクタールというものがいわゆる九条地と言われておる土地でございます。また、このほかに水路敷地〇・二ヘクタール、それから里道、これが〇・七ヘクタール、さらに道路敷地、これが〇・一ヘクタールでございます。そのほかに大蔵省と農林省がそれぞれ所管しております土地が〇・四ヘクタールでございます。
  288. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、はっきりどこがどうやら、図面でないとわからぬですけれども、私どもが理解をしておるのは、こういうことでしょう。ちょっとようわからへんから教えてもらう意味も含めて図面をこう見ますとね、これ、こっちが下流ですわ。そうすると、こっちの方が九条地ですね。それでこっちが民有地ですね。このうちの国有地で、国有地として将来処分される条件のあるというのはこれですね、旧堤ですね。旧堤とそれから民有地の中にある里道だとかそれから水路ですね、そういうものですね。
  289. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) そういうのも含まれております。
  290. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで、私ちょっと不思議だなと思ったのは、これはこの間の委員会で安武委員の質問のときに河川局長が一生懸命に読まれた、あの「信濃川河川敷用地の利用計画及び譲渡に関する覚書」というのを読まれましたね。あれを拝見いたしましてひょいと不思議やなと思ったのは、お持ちじゃないですか、これの一ページのところに「なお、「当該土地」とは、甲が今後国及び県から払下げを受けることを希望している旧堤敷、道路、水路等を含む河川敷用地全体の土地をいうものとする。」とこう書いてある。甲というのは長岡市でしょう。それで不思議だなと思ったのは、この土地払い下げの申請あるいは陳情ですか、そういうものは長岡市だけが出ているんですか。室町産業からは出てないですか。
  291. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 室町産業からは出ておりません。
  292. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それで私、不思議だなと思ったのは、これはいま全体が室町産業の所有地ですね。いまはこれ全体は室町産業の所有地ですね、おおむね。それでこれによると、半分ずつ分けて、半分は長岡市が公共の用に供すると、こう言っているんですね。で、調査の細かい図面を見せてもらいますと、民有地の中に、いわゆる室町産業の所有権に属するところで、里道だとかあるいは水路だとかというような、飛び飛びにどこでもあるもんですわな、そういうのがあるわけですね。そうすると、これ廃川敷になって用途に供するということになりますと、飛び地でいっぱいある国有地というのが散在していると、これは物の役に立たぬわけですね。十分有効利用しようと思えば、点在する国有地というのは払い下げを受けざるを得ないということになると思うんですよ。これはもう常識的にそうですわね。そうしたら、当然隣接地主――いまの国有財産法の観点から言えば、隣接地主どころやなしに、自分のところの土地で取り囲んでいるようなところ、あるいは旧堤の隣接地主というふうなものが、何で払い下げ申請あるいは陳情というのが出ていないのかちょっと不思議な気がするんですが、それどうなんですか。
  293. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 現在も払い下げておりませんし、そういうことで希望が出ておらないと、また交換する場合におきましては、国有地でございますので公共的なものに使うということで、現在のところ市としましては希望しておるだけでございまして、そういうふうな払い下げ云々は今後の問題になるわけでございます。
  294. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、私ね、本来なら所有権者が国有地の払い下げを申請するというのが、あるいは陳情をするというのが通常のケースだと。それを長岡市か――「甲か」と書いてある、これね。甲が今後国及び県から払い下げを受けることを希望している旧堤敷、道路、水路を含む河川敷と書いてある。それで非常にこれは不思議だなと、何でそないおかしなことするんかなと、飛び地で市有地があったらどないもならぬのになというふうに思うんですが、御存じないでしょうね、大蔵省は。まだ移管されてないから。
  295. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) 移管されておりませんので、本地については知りませんですけれども先生おっしゃっております里道がいろいろ散らばっておると、そういったような状況のものは、一般的には、改まって公の事業が実施されます場合には、新しい道路ができる、また新しい水路ができるといういわゆる代替施設ができるわけでございまして、そういうものと交換をするというのがおおよそのやり方でございます。
  296. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 まあ問題になってないところなら大体常識的にそうかなという気もするんですよ。しかし、これだけ国会でも国民の中でも問題になった場所だから、だから、室町産業でまたこれ国有地払い下げといって申請したらまたその機会に問題になるということも、これはだれでも考えてもわかりますわね。だから、室町隠しで長岡市がこれまとめて請求しているんかなと、言うたらいま室町の土地以外長岡市の土地はあらへんですね。そうでしょう。隣接も何もあらへん。   〔理事大塚喬君退席、委員長着席〕 これもなかなか疑惑が晴れぬという問題と絡んでまいりまして、そういうことまで感じますけれども、どうですか。
  297. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 室町の方からは全然そういう希望も聞いたこともございませんし、こういうものは先ほど大蔵省の方からお答えしたとおりでございます。
  298. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間がありませんのであと一問、本当に簡単に済ませますので、ちょっと済みません。  大蔵大臣、これは大蔵大臣にお聞きをしたいんですが、これは当決算委員会でも、きのうの建設委員会でも出ていたんですけれども、園田官房長官も、それから長谷川建設大臣もいろいろ言われておるので、少なくともこの半分を民有地として室町産業に渡すというんではなくて、全体の土地を公共用地として利用できるようにという前向きで検討したいということの御意見というのは出ておるわけですね。そういう立場建設省調査団を御派遣になっているんですね。大蔵大臣としても、これだけ問題になったところとしては、私は本来もとの農民に返すのが筋だと思いますけれども、今日ただいまの状況になれば、次善の策として、全体として公共用地に供するということの方が次善の策としてよいと思いますが、大蔵大臣どうですか、その点は。いまは半分長岡市、半分は室町。
  299. 川崎昭典

    政府委員(川崎昭典君) おっしゃるお話は、この河川敷をいわば国土利用的な観点からどういうふうにやるのかということと思いますが、大蔵大臣としましては、ここに持っておるいわゆる大蔵省財産というものについては、一般原則で公用、公共用優先ということで考えたいと思いますけれども、全般についてどう考えるかということについては考えを持っていないわけでございます。
  300. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、官房長官も言い、建設大臣も、もうこれだけごじゃごじゃ問題になるんなら、あとの半分も公共用地として県でも市でも買うてもらえないかどうかというふうなことも含めて調査に行っているわけです。そういう状況ですから、私は国民の疑惑を解くという点では、廃川敷告示をしたということでこれは疑惑が晴れたと建設省はおっしゃるけれども国民の側は疑惑が晴れたと思ってない。これを無理やりにまたやると国民の不信を買うだけだと思うんですよ。そういう点では、全体の土地を少なくとも次善の策として公共の用に供するということはきわめて大事だと、しかも検討されていると言うんですから、大蔵大臣に特に聞きたいと思います。――ちょっとしまいまで聞いてください。そういう問題になっている折ですから、間もなくあなたの方に移管されて処分をされるべき国有地の処分について、これは軽々にやらないようにすると、してもらいたい。国民的な感惑が晴れるまで、あるいはいま問題になっているところの、国民の中でも国会でも追及をされて問題になっておる疑惑が晴れるまで、軽率に国有地の払い下げというものはやらないということをぜひやるべきだと思うんですけれども、大臣の御見解を聞きたいと思います。
  301. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) この問題、大変重要な問題でございますので、慎重にひとつ、そういうことで検討してもらって、その結果ということにしたいと思います。
  302. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 軽率にやらぬということですな。慎重に検討するということですな。そういう意味ですね。
  303. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) そのとおりでございます。
  304. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 もう一問だけ、済みません。  お許しを得ましたので、一問だけ聞きたいんですが、これは建設省にお聞きをしたいんですが、これは後日当委員会調査報告を伺うということになっているんですが、私は一つだけ聞いておきたいんですね。わざわざ長岡市長や、あるいは新潟県副知事と調査団がお会いになって昨日お帰りになったという状況でございますから、詳しい報告を聞こうと思ってないんですよ。その中で一番問題になっている、残り半分は長岡市が買いましょうということになったのか、あるいはいや県でもそれなら何とかしましようということになったのか、その結果はどうですか。
  305. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 長岡市におきましては、二分の一で十分である、しかし、国からお尋ねがありますので、十分検討して速やかに回答したいということでございます。県も、県としましては、いわゆる長岡が利用する土地に県立高校とかいろいろあるもんで、県としては利用する計画はない、しかしながら、やはりなお検討の上速やかに回答したいということでございます。
  306. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 最後ですが、私ちょっと委員長にお願いをいたしたい。  残り半分の土地処分について、長岡市、県とも色よい返事はいただいておらない。したがって、次善の策としての公共用地としての利用をするということになれば、当然国が参加しなければならないというふうなことが日程に上がってくると思うんです。そういう点を含めまして、これは内閣総理大臣の御出席をいただいての集中審議をぜひ早急にやっていただきたい、そのことを御要望申し上げまして、大変済みませんでした。終わります。
  307. 下村泰

    ○下村泰君 けさほどからいろいろと当委員会で諸先生方の質問を聞かせていただきまして、皆様方のお答えも伺っておりました。どうもしかし、建設省けさほどのあのお話のむだ遣いといい、毎年毎年十二月になりますと各省庁のむだ遣いを発表してくださるところの会計検査院、あの会計検査院からの各省庁の浪費ぶりの数字を見させていただくたびに、さすが会計検査院である、Gメンの役目をしているなと思っておりましたところが、あにはからんやこの会計検査院なるものも建設省からの過分の供応に接していたと、こういうことになりますとね、これが新聞の活字になりまして、庶民一般が新聞を読みますと、納税の意識が物すごく薄れてくるのは事実だと私は思いますが、国税庁はどういうふうにお感じになりますか。
  308. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) そのとおりだと思います。
  309. 下村泰

    ○下村泰君 そのとおりだとお思いになっても、納税者から取るものは取るわけですわね。いかがですか。
  310. 磯邊律男

    政府委員磯邊律男君) 先生指摘のように、私たち徴税の任に当たる者としましては、やはり予算というものが適正に使用されている、それによって納税者の方々の税に対する御認識とそれから御協力をいただきたいというふうに考えておるわけであります。そういった意味におきまして、私たちは絶えず税についての正しい知識、それから予算についての正しい御認識というものに対してPRしておるわけでございますが、それと同時に、やはり私たちは税務官吏でありますから、税法に定められたところに従いまして適正、公平な申告をお願いし、課税していくということになるわけでございます。
  311. 下村泰

    ○下村泰君 私もかつて芸能人として現役にありましたときに、昭和二十八年でございましたか、それまでは食うや食わずだったんですが、いきなり税務署の方から、当時品川税務署からでしたが、二百八十万円の年収があったと。私あのとき自を白黒したんです。と申しますのは、大してそのころ収入がございませんでしたので、たんすもなければ洋服だんすもない。したがいまして、リンゴ箱を重ねて、そこに千代紙を張りまして、小さい釘を打ってカーテンをして、これを洋服だんすとか、あるいは茶だんすがわりに使っておりました。いきなり二百八十万、あなたは取ってますよ、税金をお払いくださいと。それで品川税務署へ参りました。税に対する知識がございませんから、税務署員の言うなりの手続をいたしましたところが、二百八十万円に対してたしか四十万近い税額を納めてくれということになりました。とても一遍には払えません。みんな品物にかわって現金がございませんから、何とか分割払いにしてもらいたいと。いいでしょうと。じゃあちらで手続をとってください。そして、私がその手続をしに参りましたら、私を呼びつけたその税務署員の方が、あなたは余りにも正直過ぎる、芸能人としてどのくらいの必要経費があったのか、どのくらいの物入りがあったのか、それをひとつ正直に言うてくださいと言われまして、その場でいろいろその署員の方が計算してくれたら、何と三万円で済みました。そのときに、なるほど税金というのは払う意識さえあって正直に申告をすればこういうことになるんだなと、しみじみ税金を払う義務感を感じたことがあったんです。それから私は、もうテレビ、ラジオで、必ず納税期が来るとむしろ国税庁の味方のごとく、国税庁から幾らか宣伝費をもらっているんじゃないかと思われるくらい、テレビその他で納税の義務を叫んでまいりました。  しかし、私がきょうお尋ねしたいのは、サラリーマンの方々の持っている納税意識、これは頭から天引きですからね、一言の文句も言えない。このサラリーマンのいわゆる税額の控除額といいますか、これはどういうような算定になっているんですか。どういうことを基準にしてはじき出したんですか。これちょっと聞かせていただきたいんですが。
  312. 米里恕

    政府委員(米里恕君) サラリーマンの税額計算に至ります過程は、通常の場合に比較いたしまして、給与所得控除というものが入っているという点が違います。給与限得控除と申しますのは一種の経費の概算控除でございまして、なぜそういった概算控除制度を設けておるかと申しますと、サラリーマンの場合には非常に経費――何が仕事に必要な経費であるかという判定に困難さが伴います。たとえて申しますと、洋服あるいはくつというものがどの程度勤務に必要なものであるか、あるいはまた生活に必要なものであるかという区分が困難でございますし、あるいはまた交際費というようなものにつきましても、どこまでが仕事に必要であるかということについては判定が非常に困難でございます。そういったような意味で、これを実額控除ということにいたしますと、非常に立証技術、立証するのがうまいか下手かというようなことによってかえって不公平の原因になるというようなことから、一律概算控除という制度で給与所得控除――給与所得控除という名前になっておりますが、これはいわば性格的には経費の控除でございますが、そういったようなものを差し引きまして計算するというようなことになっております。  この給与所得控除は現在ではかなり高い水準まで認められておりまして、たとえて申しますと、年収三百万円のサラリーマンの方であれば百五万円は控除されておると、控除割合三五%というようなことで、経費相当分としてかなりの水準のものが認められていると私どもは思っております。
  313. 下村泰

    ○下村泰君 いま、たまたま年収三百万の方が出ました。そして何か控除割合が三五%だそうで、三百万円の年間収入のパーセンテージからいきますと百五万を引いてもらえると、最初からこれはもう控除額になっているわけですね。そして、三百万円から百九十五万円に対して、いわゆるこれで生活なさいと、こういうことなんですね、一般サラリーマンの場合には。  ただ問題なのは、一千万円以上あるいは二千万というような収入の方々、この方々とそれは控除額はそれぞれ変わりますね、これは私も仕組みはわかっております。けれども、この年収三百万の人の食べるラーメンと――細かく参ります、一千万円以上の人のラーメンが果たして違うかどうかというと、ほとんど同じじゃないかと思います。ときによっては、一千万円以上の収入のある方はそれだけ身分に合うた、あるいは収入に合った食べ方をするかもわかりません。けれども、この年収三百万と一千万という方はそれぞれそれほど私は変わらないと思いますよ。着ている物、身につけている物、あるいは使用する物、そうは異なってこないと思うんですよ。そうしますと、上からどんどん取るのは構いませんけれども、この下の方の所得額の方をこれで大変厚くしているというような言い方はできないんじゃないかと思うんです。  それからいまのその一律ということですね。もちろんそれはその方の申告の仕方、あるいは私のような口のうまい、人をごまかすのは平気でしゃべってごまかす男にしてみればあるいは国税庁ごまかすのはわけないと思いますけれども、そうでない人はじゃ正直に取られ、口先のうまいやつは得をするというような解釈の仕方、これもちょっと間違えているのじゃないかと思うんですよ。たとえば内勤と外勤でそれぞれ違うと思う。セールスマンと事務とは違うと思います。そういたしますと、実際に仕事に携わっていて、洋服も傷む、履く物も傷むという方々と、ただ単に傷まない方と――ブルーカラーの方みたいに作業衣というものは会社から支給されていて、通勤するだけの物を着ればいいという方々もいる。そうしますと、それを一律というようなやり方というのは私はちょっとうなずけないんですけれども、そこのところはどういうふうに御解釈なさいますか。
  314. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 最初の御質問でございますが、年収三百万の者と年収千万の者と経費がそう変わらないんじゃないかという御質問でございますが、まあ確かに収入がふえただけそれだけ概算的な経費もふえるというふうに見ているわけではございませんで、だんだん金額が上がりますに従って控除率も逓減してまいるというようなことにいたしております。ただ、いかなる年間収入の高い方でも、それだけの収入を得るためには何がしかの費用はかかるであろう、あるいはまたそういった高額の給与所得者の方と同じだけの額を取っておられる資産所得の方、あるいは事業所得の方、そういう方とのバランスという問題もございまして、高くなっても何がしかの経費は見ていく、しかし、その率は逓減していくという制度をとっているわけでございます。  それからブルーカラー、ホワイトカラー、いろいろおられる中で一律というのはおかしいじゃないかという御質問でございますが、これは先ほど申しましたように、そもそも何が経費であるかということについての客観的な基準が非常にむずかしいわけでございます。そういった意味で、果たしてブルーカラーの方とホワイトカラーの方とその経費の見方によってどちらが高いか低いかということも必ずしも客観的には明らかでないというような点がございますので、一律の概算控除制度という制度をとっておるという次第でございます。
  315. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、これもう一回見直してみるというお気持ちはございませんか。もうこのままで永久にいこうと、もう少し細かく調査して何とかしようという気はございますか、それとも、このままですか。
  316. 米里恕

    政府委員(米里恕君) もちろん私どもは、この制度が完全に今後ともに変わらないものであるというようなことではないのではないかと思いますけれども、現状におきましては現在の制度は適当なものであるというように考えております。
  317. 下村泰

    ○下村泰君 そうしますと、このまま当分いくということですね。
  318. 米里恕

    政府委員(米里恕君) 特に現状を変更する必要があるとは思っておりません。
  319. 下村泰

    ○下村泰君 それは、取る方はそうでしょうけれども、取られる方は大変なことで、いずれにいたしましても世の中というのはもう変わってくるんですから、少しは取られる方の身になってお考え願う時期がくるんじゃないかと思いますけれども、そのときはよろしくひとつお願いします。  それから芸能人の税金のことでちょっと伺いますけれども、芸能人のいわゆる基礎控除のパーセンテージですけれども、いろいろ種目によって、いわゆる演芸種目によって変わっていると思いますが、国税庁がどういうふうにはじき出していますか、お聞かせください。
  320. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 芸能人の所得の計算でございますが、芸能人の場合にも、原則といたしましては、芸能人の所得というものは所得税法上で申しますと事業所得に該当いたします。したがって、その総収人金額から必要経費を控除して個々に計算をする。できれば青色申告でもしていただいて、帳簿にちゃんとつけていただいて個々に計算すると、これが一番正しい、望ましい姿かと思います。ところが、御承知のように、芸能人の方は必ずしも中には帳簿をつけたりすることになれていないという方もおいでになります。そこで、まあ現在のところ青色申告の割合というのはせいぜい芸能人の場合十数%ぐらいのところでございます。残りはそれではどうするかということでございますが、その場合に、先生いま御指摘のようないわゆる所得標準率というものが国税庁の内部にあるわけでございますけれども、いろいろサンプル調査等をいたしまして、およそのところを計算し、御相談があった場合にはその標準率に基づいて処理をするといったようなものも便宜定めてございます。
  321. 下村泰

    ○下村泰君 青色申告その他のことはもちろん皆々それぞれやらなきゃいけないことなんですけれども、芸能人というのは仕事の種類というものが必ずしも来年まで決まっているというものじゃありません。忙しい人はめったやたらに忙しくなる。二十四時間フルに動いて、中にはどうも不心得のやつがおりまして新聞紙上をにぎわす者もおりますけれども、しかしまじめに向上心のある者はそれなりに努めておりますけれども、一定した時間枠あるいは一定した期限内にこれだけの仕事の量があるという確定はありません。ですからどうしても、医療費じゃありませんけれども出来高でいかなきゃなりません。その仕事の量で、決められた期間のいわゆる一月から十二月の間にこれだけの仕事をしましたということに対して、たしか国税庁の方にはマル秘の判この押さったあれがございましたな。それぞれの歌手、浪曲、落語、講談、漫才、奇術、漫談、曲芸、ボーイズ、こういう種目に対しましてたしかパーセンテージがあったと思いますけれども、それをちょっともし発表できるものでしたら発表していただきたいと思います。
  322. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 恐縮でございますが、先ほど申し上げたように、国税庁では個々に帳簿をつけて計算をしていただくということを原則としておりまして、いわば標準率と申しますのは内部基準のようなものでございますから、個々の数字は申し上げないことにしておりますが、芸能関係につきましては、御承知のように最近では四十八年分につきまして見直しをいたしまして、現在もいろいろ見直しについて検討をしているところでございます。
  323. 下村泰

    ○下村泰君 私の記憶はもう古いもので、四十八年以前ですから、私のは。大体三〇%から三五%ぐらいが原則的に決められている額だと思います。ところが、その中に非常に不思議なところがありまして、座長というところがある。その座長格の人は四〇ないし五〇ぐらい認められることがあるんです。ところが、これ漫才とか、曲芸とか、漫談とか、講談とか、こういうものになると座長制というのがない。浪曲の方にはあるかもわかりません。その他一座を組んで旅をしている方々の劇団、こういうもので座長があります。ところが漫才でも落語でも、その席の一番最高責任者として看板を上げた場合には、座長格も同然であり、出費もそれだけかさむ。そういうところは国税庁認識しておりますかどうか。
  324. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 座長につきましては、ただいまちょっと詳細は存じませんが、一口に芸能人と申しましてもいろいろの方々があることはよく承知しておりますので、そのいろいろの種目に適合したような率を計算するように努力しておるところでございます。
  325. 下村泰

    ○下村泰君 中にはもっとも芸能人のわれわれの仲間の中でも大変頭のいいやつがおりまして、上手にやって還付金なんというのをせじめているばかもおるんです。これはまことにどうも申しわけのないことで、いいものも悪いものもごっちゃにして――これははっきり区別して申し上げますけれども、しかし善良に申告をしていて、そして自分はこれこれこういうふうなこんな位置にあるんだと、こんな位置にあるんだからこういうことは認めてもらいたいと正直に申し上げていった場合に、意外と窓口が、これを、いま国税庁側からおっしゃったような認識がないために逆にやられるんですよ、申告しに行った者が。そのために大変税金を納める意識がなくなりまして、それじゃ仕事をしない方がよかろうと、仕事をするときには表金より裏金の方がいいとこういうことになって、たとえば三十万で高座を勤めるところを二十万、十万安くするから税金をかけないでくれと、こういう方法もあるんです。そうすることによって税金を納めたくなくなるような意識を持たせるということですね。これは非常に私は国税庁にとって大きな損失じゃないかと思いますよ。もう少し窓口にいる人間が、いまの国税庁のおっしゃったことを意識して事に当たってくださればそういうこともなくなるんじゃないかと思うのです。そういうところはどうですか。
  326. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 仰せのように、芸能人関係の方には必ずしも所得計算とか税金に明るくない方もいらっしゃると思いますので、税務署に御相談に見えましたときには親切に指導するように努めたいと思います。
  327. 下村泰

    ○下村泰君 実は大蔵大臣、これからの話は別にどうのこうのというわけじゃありませんけれども、大変頭の中、おつむの中がお疲れでしょうから聞いていただきたいと思いますが、日本という国は余りにも芸能文化に携わっている人たちを軽視し過ぎているのではないかと思うのです。いわゆる国というものが応援するような、わが国に伝わったり伝統的な文化に対しては大変目を見開いていらっしゃるところもあります。しかし、私がこれから挙げるこの方は、いわゆる日本という国がこういう分野に対して目を向けていないがために不幸な最期に終わったという方なんですが、恐らく大臣も御存じでしょうけれども榎本健一という大変な喜劇役者がおりました。かつて日本にチャーリー・チャップリンが来たときに、この榎本健一の演技を見て、あなたがもしアメリカで生まれたならば恐らく世界的な喜劇王になるだろうと激賞したと言われる方なんです。この方がたまたまこういう納税という意識の低い方ですから、昔の方ですからね、低い方なんです。そして、ここにいた北村というもと榎本健一一座の役者だった方がマネージャーについたわけです。この方も役者の出身ですから、納税事務などということは余り意識がなかったわけです。そのためにちょっと税金を滞納したんです。しかし、その滞納した原因が何かと申しますと、脱疽という病気に見舞われまして、前年度は働いていたんですが、次の支払うへき明くる耳になって――働いているその年の末、そのときにこれが発病いたしまして、そして明くる年にわたったために、もちろんそれは収入を始末しなかったのはおまえらが悪いんだと言われればそれまでのことですけれども、いまも申し上げましたように、大変そういうことに対しては意識の低い方々が周りにいたものですから、手続上の不備がたたりまして明くる年には納税ができなくなった。しかも、片方は闘病生活をしているわけです。そして、この病気がどんどん進みまして、ついには足の甲の半分を切断して、たびとかくつ下とかいうようなものに特殊な物を前に詰め物をしまして、そして舞台を勤めていた方なんです。このときにもし税務署の方が親切に相談に乗ってくれれば、後で疲労から健康を害して死に至るというようなことはなかったと思うのです。  たまたまこのときに榎本健一という方が喜劇人協会の会長をやっておりました。涙を流しながら、おれは協会の会長をやめたい、なぜやめたいんですか、おれは喜劇をやっているんじゃない、税金を納めるために喜劇をやっているんだ、税金に追っかけられて右も左も顔向けできない、喜劇人協会の会長やめたいよ、こういうことをおっしゃったことがある。この話を当時の山村新治郎行管庁長官なさっていました、いまの方のお父さんですね。そうしまして、長官にいろいろと調べてもらったんですが、やはり事務上の手続はエノケンさんの方が悪かったんです。悪いんだけれどもそこを何とかしてもらえないか、こんな人は何百年のうちに何人も出てくる人ではないということを申し上げました。たまたまそのときに衆参両院議員の諸先生方が超党派で榎本健一を激励する会というのを東京会館でやってくださったことがありました。けれども、それでじゃ税金の方は軽くなったかというと軽くなったわけじゃありません。  そのうちに税金を、働くためにたびやなんかに詰め物をしながら舞台を勤めてきましたが、それが原因で今度はついに片足切断ということになりました。そして、税金もついに払うこともできずに、長年住みなれた大田区の雪谷にあったお家を売り払って、そして税金を納めたんです。その後それが原因で過労からついにこの世とお別れになった方なんですけれども、文化の面から見たらこんな日本にとって大きな損失はないんですよ。チャーリー・チャップリンをして、あなたがもしアメリカに生まれたならば世界一の喜劇王になるだろうと、もしこの方がそういう育ち方をしていったら、これは日本というものの喜劇というものが世界に喧伝されて、日本人というのは大したもんだと言われるようなことになったかもわかりません。もし国税庁がそのときに、その任に当たった方が、いま少し温かいお心があってこの榎本健一という者を解釈してくださったならば、こんな大きな損害をこうむらなくても済んだんではないかといま私は思うわけです。  こういったように行政の面というものが一人の大きな国家の損失に――国家の損失といってこれが果たして本当の言葉かどうかわかりませんけれども、われわれ芸能人から言わしむれば、これほど大きな宝はなかったんだ、これを少しでも生き延びさせることができたと私は解釈しておるんですよ。そういう意味で大蔵大臣、どうぞひとつこれからもこういうことのないように、こういうちょっとした冷たい行為が大きな損失にならないようにひとつお願いをいたしまして私の質問は終わらせていただきます。
  328. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 榎本健一さんは私もよく存じ上げております。話も聞いたことがあります。そういうようなことで、いまのお話は私のこの胸の中にじんとくるものがあります。そういうことにつきましてもこれから十分注意をしてまいりたいと、かように考えます。
  329. 野末陳平

    ○野末陳平君 医療費控除についてお伺いします。  大体納税者の間にこの医療費控除もかなりPRが行き渡ってきたように思います。そんなわけで、恐らくお医者さんの領収書が出ないの出るのということが最近新聞などに出ているんだと思うんですけれども、とりあえず、国税庁立場でもって、この医療費控除を受ける場合にはやはり医師の、開業医その他ですけれども、この医師の領収書がなければだめだということですか。
  330. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 先生のおっしゃるとおりでございます。所得税法上で医療費控除を受けようと思いますと、これは政令に規定があるわけでございますが、領収書を確定申告書に添付するか、または申告書を提出する際に領収書を提示しなければならないと明記されておるわけでございます。これがあくまで大原則でございます。しかしながら、現実の問題といたしまして、領収書をどうしても入手できないという方もおいでになるわけでございまして、その場合にはその医療を受けた患者さんの名前、それから支払い年月日、支払い先、支払い金額などの明細を明らかにした申告があり、納税者の説明によりまして事実関係の心証を得られるというふうな場合には医療費控除を認めている例も例外的にはございますが、原則はあくまで領収書が必要であると、こういうことでございます。
  331. 野末陳平

    ○野末陳平君 その例外的に認めてもらえた人は非常にいいわけですね。しかし、あくまでそうなると例外ですから、領収書以外でもってその控除が認められるというのは少ないんだろうと思うんですね。そうすると、主観というわけじゃないですけれども、持っていった資料によって結局うまくいったりいかなかったりすると、この辺に不公平があるんですけれども、この場合領収書が第一であるのはわかるんですけれども、その他の資料があればという場合、これはっきりしないんですね、いまの説明でもね。じゃ家計簿を持っていけばいいのか、メモでいいのか、あるいは事実関係をはっきりさしておけばいいのか、これが非常にわからないんですが、この辺が、領収書にかわるべきものとしてどの程度までのものがというのは全然言えないですか、やはり。
  332. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 先ほどちょっと説明で申し上げましたように、領収書はもらえない、しかし確かにお医者さんにかかったんだと、だれがかかったか、それからいつ支払ったのか、どこへ支払ったのか、幾ら支払ったのか、そういうふうなことの申告があり、しかもそれが税務署の担当者が確かに本当のことを言っておられるというふうな心証を得られるというふうな場合には認めてよろしいということでございますが、確かに先生おっしゃるように、そういうことでございますとなかなか手数的にも煩わしいし、ある程度主観によって左右される場合もなきにしもあらずということでございますので、われわれ国税当局といたしましては必ずその領収書を添付していただくということが非常に望ましいというふうに考えておるわけでございます。
  333. 野末陳平

    ○野末陳平君 ええ、よくわかっています。ですから、国税庁のPRにも、領収書はお忘れなくと、こうなっているわけですね、特に税を知る週間ですか、いま出ている印刷物に。そうすると、今度は領収書がもらえた場合はいいですけれども、もらえないと言ってくる苦情もないとは言えないわけなんで、厚生省の方ではこれはもうそんなはずはないんだと、お医者さんの領収書というのは請求すれば必ず発行しているはずなんだというような大体認識でしょうか。
  334. 森幸男

    説明員(森幸男君) お答え申し上げます。  領収書に関しましては、医療に限らず一般的に民法の規定がございまして、支払いをした者は領収書を請求できるということになっておりますので、必要な場合には一般的には領収書が発行されているというふうに私ども考えております。ただ、私どももすべてについて特に調査をしたということもございませんので、その辺の実態は必ずしも明らかではございませんが、一般的にはいま申しました領収書が発行されているのじゃないかというふうに考えております。
  335. 野末陳平

    ○野末陳平君 ただし、領収書をお医者さんに行ってもらうというのは、こういう習慣は定着していませんからね。最近医療費控除が大体PRがかなり行き渡ったために、お医者で領収書をくれという患者がふえたんだろうと思うんですね。また国税庁の窓口でも、どうなんでしょうか、医療費控除の申告者が毎年ふえつつあるんではないかと、そう思いますが、それは。
  336. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 仰せのように、PRが行き届きまして、毎年ふえつつある現状でございます。
  337. 野末陳平

    ○野末陳平君 それだからなおのこと、領収書がもらえなかったという苦情が、これが本当であればやはり非常にかわいそうだというか、そういうことがないようにしなきゃいけないと思うんですね。厚生省のお答えですが、一般的にはということですが、しかし現実にはどうも苦情があるわけですね。ここでいま実態はわからないというお答えで、ぼくの方ももちろん実態なんてわからないんで、耳に入ってくるのは苦情ぐらいしかありません。その苦情もどこまで本当かどうか一々確認できないわけですね。そこでたとえば、特に医者が領収書をくれないという投書などが新聞にも出たりしている。これはひとつ厚生省の方で、昔通産省でちょっと前にやってたけれども、目安箱じゃないけれども、もし本当に領収書をもらえないと、請求したけれども全然くれなくて医療費控除が受けられなかったんだという実例があるんなら、そこへどうでしょう、投書でもしてもらうというか、実態の把握に少し努める方がいいんじゃないかと思うんですよ。実態はよくわかりません、一般的には民法の規定で出ているでしょうと言われても、ほんの少数ではあっても現実にもらえないケースがあればやはりそれは問題でしょう。だからそんなことでやって実態をつかむのに少し努力されるのはどうでしょうかね。
  338. 森幸男

    説明員(森幸男君) 領収書の発行されておる実態ということにつきましては、先ほど申しましたように現在調査を特に行っているということはございませんけれども、私どもの所管しております国立の病院、診療所等におきましてはこれは必ず領収書を出しておるというようなことになっておりますし、また歯科の場合におきましても、日本歯科医師会が自主的に領収書を出すような指導をしておりますので、そういうような事態はかなり改善をしてきておるんではないかというふうに私どもは考えております。
  339. 野末陳平

    ○野末陳平君 こういうのが多いようなんですよ。開業医の場合ですね。いま言った大きい病院や、国立、公営とか、そういうのは領収書を出してますけれども、開業医の場合でこういう例が一番多いように思ったんですが、二、三あるんですけれども、要するに治療を全部終わってから領収書の請求をするんですよ。これ、そんなにおかしくないと思うんですね、こういうのは。そういう場合に、お医者さんの方が、領収書が必要なら初診のときに言ってくれなければ困るんだと、終わってから言われても出せないという答をして、結局、患者も遠慮がちですから、こんなことでもらい損なっちゃったというケース、結果的に確定申告に行けなかったと、控除のことは知ってたけど行けなかったというこんなケースはどうです。厚生省の方でも少しは――少しあるのは御存じじゃないかと思うのですが、こんなときにどうしたらいいんです。やっぱり何でもかまわないから民法だと言って請求すりゃそれはもらえるかもしれませんがね。どんなもんですかね、請求できますかね、患者として。
  340. 森幸男

    説明員(森幸男君) 先ほど申し上げましたように、厚生省としてすべての実態を現在承知しているわけではございませんが、あるいは例外的に御指摘のようなそういうケースもあろうかと思いますが、そのようなことは好ましくないんではないかというふうに考えております。  そこで、そういうような場合にどんなふうに厚生省として対処していくべきかというような御指摘かと思いますが、先ほど先生お話ございましたように、領収書につきましては、まあこれは一時的には当事者間の民事上の問題として処理するべき問題ではないかというふうに考えております。ただ、いたお話しのようなことで、それであってもやはり領収書をもらうことがなかなかむつかしいというようなことでありますならば、いろいろ問題もございますので、まあ私どもといたしましても領収書が何が出やすいような条件というようなものは行政の立場でも何か考えていかなければいけないんじゃないかというふうには考えております。
  341. 野末陳平

    ○野末陳平君 ほんとにそうなってほしいと思いますね。  国税庁についでに伺いますがね。やはり領収書をもらい損なうケースとして、こういうのもあるんですね。お医者さんに――これは患者の方もちょっとおくれちゃうんですよね、確定申告の時期になって去年の分をってもらいにいくわけですから、医者にも言い分があるのはわかりますがね。もううちの方は申告終わっちゃっているんだと、もらいに行ったら医者がそう言うわけですよね。申告終わっちゃったんだから、もうそれは無理なんだから、いまごろ来られても困るといって、これも門前払いといいますか、もらえないと。こういうことは医者としてこれはやっぱり言えるんですかね。申告終わっても、あっちはあっちでこちらの申告は終わってないわけですからね。そういう断り方をする医者が結構多いんですよね。だからそんなので何か突っ返されちゃ損だなと思いますがね、どうなんでしょうか。
  342. 水口昭

    政府委員(水口昭君) お医者さんの申告が終わりましても、それが正しい申告をされておるならば領収書は出せないということはないように思います。
  343. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこが結局、この医者と患者の間では普通の商売あるいは物の売買と違って、領収書が習慣的になっていないからこんなことが起きるんだろうと思うのです。  そこで大臣、こういうことじゃないかと思うのですよ。やはり医者の領収書は医療控除を受けるためには絶対に必要であると、必要なんだけれども、なかなかもらいにくい場合もあるし、それから請求しても医者の都合で出してくれない場合もきっとあるだろうと。やはりこれは患者の方が請求しやすい雰囲気というか、気やすく請求すれば医者は必ず書いてくれるんだという、こういうPRがやっぱり行き渡ってないと思うのですよ。医療費控除は行き渡っていても、領収書をとるという、ここら辺がまだ連結してないように思うんです、現実は。そこで両方からの援助が必要だと思うのですがね。まず大蔵大臣にちょっとお願いしたいと思うんですが、税を知る週間で、週刊誌に大分出してるでしょう。あそこに、領収書はお忘れなくというのがキャッチフレーズですよね、いま各週刊誌、新聞も。その場合、ずっと書いてあるけれど、要するに領収書を持ってこいとまでは書いてあるのね。これは国税庁立場、当然だと思う。ところが、ぼくたちは患者の気持ちになってみると、そんなことを言ったってくれない医者もいるよとか、いやもらいにくいよということはあると思うのです。ちょっと括孤して、大臣ね、領収書は請求すればお医者さんは必ずくれますと、これぐらいにもう一歩PRが進んでいれば、ちょっとこの辺は患者が病院へ行った場合でももらいやすくなるんじゃないか。そこまでもしほんとに医療費控除の権利を、もらえたもらえないというような運不運みたいなことで区別がついちゃいけないですから、どうですか、せっかくPR、あれだけ金を使って出しているんだから、もう一言あればなおいいんじゃないかと、その辺まで積極的にはいけないものかどうか、行き過ぎかどうか、その辺の御意見をちょっと伺いたいですな。
  344. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 仰せのように、週刊誌その他にいろいろ医療費控除のPRをいたしてございます。そこで仰せではございますけれども、お医者さんの中には必ずしも領収書をお出しにならない方もあるようでございます。そこで、これはやはり第一義的にはお医者さんと患者さんとの間の問題でございまして、税法の問題ではない。しかしながら、医療費控除を通じまして税金とも深く関連をしてまいる問題でございますから、税務署といたしましては、中には現地の、地元の医師会等に対しまして、領収書を必ず出していただくようにという要望をいたしておるところもあるのでございます。
  345. 野末陳平

    ○野末陳平君 ですから、医師会に要望するのももちろんいいんですが、あくまで医師の方でしょう。それは厚生省も医師会に通達を出しているんだもの。患者が請求したら出しなさいよとこう出している。ところが、請求したらって、そこら辺がまだ定着してないんですよ。だから、いまのお答えですけれども、税務署に聞くとやっぱりそういうお願いをしているところもあるし、それから領収書がないといって泣きついてきて、ああこうやってこうでとある程度資料を出す、その場合に税務署が、親切というか、まあサービス過剰というか、それは知りませんけれども、結果的にはいいですけれども、お医者さんに電話かけて何かちょっと確めてくれるとか、何かそんなことをやっているような話も聞きましたよ。だから、そういう税務署としての立場でやっていただくのはいいんですが、いま言ったように、何と言ったってこれは患者の問題で、医者にばかり頼むだけじゃだめだと思うんですよ。そこでぼくが言ったように、PRの広告を出すなら、患者向けにPRを出しているんですから、納税者向けに。どうですか、そこら辺。一行つけ加えることはそれは無理かという具体的な提案に対する御意見ですよ、大臣。
  346. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) おっしゃるように、これはうまくスムーズにいくと一番よろしいと思うのですね。とにかく医療費を控除してもらおうと思えば何とかしてその領収書があるということがこれは絶対の決め手でございます。それでいろいろ挙証することによって医療費を控除してもらうというような場合には、それじゃ信憑力はないぞと言われるような場合もあるいはあるかもしれない、それで領収書があれば一発でございまするから、そういうふうにぜひ持っていきたいと私も思います。  ただまあそういったような場合に、お医者さんと患者という立場ですね、これを考えてみますと、お医者さんは非常に優位な立場にあり、それで体を任しておるその患者としては大変弱い立場にあるというようなときに、無理に――無理にというほどじゃない、物の売り買いしたときには領収書出すのはこれは日本の商取引――商取引と言うとしかられますけれども、サービスにしても取引にしても、領収書を出すのはあたりまえのことでございますけれども、とにかくお医者さんの方では大変忙しい。いろいろな保険の医療費についての請求をしたり何かする事務が一ぱいあって忙しいといったような場合には、あるいは私はお医者さん迷惑だと決して思っておりません。そういうような場合には、あるいは患者の要望する領収書を出すのはちょっと待ってくれとか何とかいうようなことになろうと思いますが、できるだけ出してもらえるように、いまおっしゃられたようなことも一つの私は方法だと思います。何とかして領収書をできるだけ出してもらうというような方向にこれ持っていかなければならないと。ただし、必ず税務署がまたお医者さんに対しまして、いわゆるこういう人が来ているが領収書を持ってきていない、ひとつ領収書を出してやってもらいたいということを税務署から必ずこれをやらせるということもこれなかなかそう簡単にはまいらないと思います。しかし御提言は非常に大事なことだと思います。
  347. 野末陳平

    ○野末陳平君 あと、だからお医者さんの問題も当然あるわけですが、来年の確定申告にやはり不便を感じないようにいまからいろんな手を打った方がいいと思うんですね。で、さっきちょっと話が出ましたけれども、厚生省の方としてどこまでこの医者の領収書問題について踏み込めるのかということが一番関心があるんですけれども、何か義務づけをしろとか、制度化がどうとかという声も出ていますが、これに対しては厚生省としては全然あれなんでしょう、無理だということで初めからノーコメントなんでしょう。
  348. 森幸男

    説明員(森幸男君) 一律に義務化するということにつきましては若干問題があるんじゃないかというふうに考えてございます。
  349. 野末陳平

    ○野末陳平君 確かに義務となると大分ニュアンスが違ってきますしね。それから三百円も五百円も千円も十万円も同じ義務の中で領収書というのは、現場ではいろいろ問題が起きると思うんです。ただ要するに、いままでも厚生省は指導されたと思いますけど、一片の通達でこれはもうできるとは思えないんですよ。お医者さんに、請求があったら出しなさいよと、こんなのは常識で、だけどもなかなか出してくれない場合もあったりするんで、今度そちらがどういうふうな具体的な指導内容というか、助言というんですか、具体的にはどういうことをされるおつもりなんですか。
  350. 森幸男

    説明員(森幸男君) この医療費控除を受けるために領収書が必要であるというような確かに御要請があるかと思いますので、そういう患者サービスの点からできるだけそういう趣旨を生かすような方向で何か適当な方法がないかどうか、現在検討をしているところでございます。
  351. 野末陳平

    ○野末陳平君 ぼくは検討しても、結局強制はできないんですから、結局通達みたいなことで終わっちゃうのかもしれませんが、それじゃまた物足りないんですが、やはりお医者さんが出すようにするなんという通達は意味ないと思うんですよ。もっと患者とお医者の間を結びつけるような方法が必要なんで、たとえば待合室かなんかに張り紙をする。大蔵省関係で言えば、架空名義の預金はだめだという通達を出すという場合に、銀行だけにあれは通達を出したってだめなんで、やはり銀行にちゃんと一応、形式的になっているかもしれないけれども張ってあるわけですね。ですから、そこで金融機関と預金者とを結んだ線上で通達が一応生かされるわけですから、厚生省にもたとえばこういうことはどうかと思うんですよ。待合室に、患者の見えるところに張り紙をして、いわゆるポスターと言いますか、そこでもって領収書が必要な方は請求してくれ、当院は必ず領収書を出してますというような、患者が請求しやすい雰囲気をつくるということを病院がやってくれれば今度はえらく違うと思うんですね。ただその場合、百円、二百円を欲しがる人はいないと思うんですよ。これじゃ控除の対象になりませんからね。だけれども、少額だからといえども欲しいと言われたらこれはまあやむを得ないんで、その場合にしいてあれをつけるなら、まあ千円以下は事務が繁雑だから勘弁してくれとか、まあ何でもいいですよ。少なくも患者が病院に行って、この病院は気安く領収書を確実に請求すれば書いてくれるんだということをPRすることの方が大事じゃないか。医師会への通達をするならば、そこまでやはり要望して医師会の良識でやってもらった方がいいと思うんです。じゃないと、結局は苦情とかトラブル、こういうのは絶えないと思うんですよ。患者と医者がうまくいっていればいいけれども、うまくいってない場合だってあるしね。それから患者の中には大げさな人も中にはいるからね。ですから、一つか二つの例がいかにも医者が全部出してないということになってもかえってそれで迷う納税者もいるし、それから本当に出してもらえなくて控除を受けられなかった納税者がいたらそれはやはり不公平になるし、ぼくはそんな意味で医師会への厚生省の指導というのは相当具体的にやってほしい。で、一例は、患者に見えるところにやはりそういう意思表示をするということが一番いいんではないかなというふうに思うんで、請求があったらいつでも出しなさいよ、出しますよというのではやはりちょっと足りないと、こう思いますよ。どうでしょう。いま言った待合室にそういう張り紙を張るというところまでいけますか。
  352. 森幸男

    説明員(森幸男君) この問題、先生も先ほどちょっとお話ございましたが、なかなかむつかしい問題でございます。それからまた私ども厚生省とそれから国税庁の方とも双方にまたがる問題であろうかと思いますが、いずれにいたしましても、領収書が出るようなそういう雰囲気と申しましょうか、環境をつくっていくことは必要であろうかと思います。そういう意味で、いま先生の御指摘のございましたようなそういう御提案も、一つの貴重な御意見といたしまして私どもこれから十分検討してまいるというふうなことにいたしたいと思います。
  353. 野末陳平

    ○野末陳平君 ひとつこれは両方にまたがる問題というより、医療費控除を受けるために領収書が必要なんであって、それがなければ領収書を必要とする人は余りいないと思うんですね。ですから、これは国税庁、厚生省両方にまたがるというよりも、両方が協力して、こんなことで領収書を出した出さないでトラブルが起きるなんていうことはおかしいわけですから、何とか今後スムーズに納税者の要求が満たされるような方向を検討してほしいと思うんです、大臣。ひとつよろしくお願いします。  終わります。
  354. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 他に御発言もないようですから、大蔵省とそれに関係する日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算につきましてはこの程度といたします。  次回の委員会は、来る十八日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十六分散会      ―――――・―――――