○
国務大臣(
坊秀男君) この一般消費税につきましては、税制
調査会が将来の
日本の国の
財政を
考え、また
日本は、これから国家が福祉サービスなどというものについて
充実していくということになりますと、五十三
年度とはあえて申しておりませんけれ
ども、中期において何とか租税負担の増高というものを
考えなければならぬ。その租税負担の増高を
考えると、まあ、税の中には一般に一番ポピュラーなものは所得税だと思います。その他のものも、法人税だとか、あるいはその他、個々の間接税といったようなものがありますけれ
ども、将来
財政需要を満たしてそうして健全
財政に持っていくと、そのためには相当の額の租税負担を頼りにしなければならぬと、そのときに、いまの現行税制の中では、所得税を除いてそれほど大きな税金を期待するということはできないと、それじゃひとつ所得税にしわを寄せるということも
——もっとも所得税は、世界のいろんな国の税に比べまして
日本は低いと言われておりますけれ
ども、しかしわれわれは、じゃ所得税に大きな重みをかけていくということはこれは必ずしも適当じゃないんじゃないかと、それならどうすりゃいいかということで税制
調査会が
考えられたのがこの一般消費税と。
日本の国におきましては、消費に対して、ほかの国々に比べましてあんまり負担をかけていないというようなこともあり、そこでひとつこの一般消費税を、これを
考えまして、一体所得税を増税するか、あるいはこの一般消費税に重荷をかけるか、これはひとつ厳正に選択をしなければならないと。その選択は、
国会なりあるいは
国民の皆さんなりにひとつしてもらおうというようなこと。
それともう
一つは、これは何も来年これをやっていこうと、しかし、来年断念すると、やらないということには決まっておりません。そこで、中期の税制
調査会が答申によって提言しました、きわめて広範なる税につきましては、五十三
年度以降、各
年度における
日本の国の
経済の実情、また
財政の内情といったようなもの、これを
考えましてそうしてこれを実施する、実施に移していきたいと、こういうふうに言っておるわけでございます。
そこで、これに対しまして、いまおっしゃられました逆進性をどうするんだと、こういう御
意見でございます。なるほど租税の中では、所得税というのは、御案内のとおり、高額所得者には累進の税率がかけられておるということに比べまして、消費税は、これはもう非常に負担力の弱い者も負担力の強い者ももう一律に比例税率でもってかけていくと、こういうことになっておるからこれは非常な逆進性じゃないかと、こういうふうに言われておりますけれ
ども、それは租税体系の中で一番理想的なものは私は所得税だと思いますよ。だけれ
ども、その所得税だけ増税をいたしまして
財政需要を満たすわけにはいかないというので、まあ非常にやっかいなことでございますけれ
ども、
日本の国の税体系は大変複雑でございまして、あるいは法人税だとかあるいは物品税だとか、あるいはその他の種々雑多の税がございます。これはやっぱり所得税だけでもってやっていけないから、これを補完するためにそういったような税があるんだと、かように私は
考えております。
そこで、いまの逆進性による不公平ということは、これらの税が総合的に作用してそうしてそのいわゆる逆進性であるということだとこれは
考えなければなりませんけれ
ども、租税の公平性ということは、そういったようないろいろな税体系におきまして総合的に
考えて逆進性がそれほど逆進性ではないと、総合的な姿において私は
考えるべきものであるといかように
考えますので、ことにまた、もし一般消費税につきまして何から何まで拾い上げてこれに課税をするということではなくて、食料品その他のわれわれ生活のために基礎的な商品といったようなものについては、これは一般消費税の課税対象に取り上げるというようなことは
考えておりません。さような意味におきまして、これは逆進性があるから絶対にいけないんだということは、少し私は税としてそこまでこれを攻撃するのはいかがなものかと、かように
考えます。ただし、いつやるかということにつきましては、これはやがてまた税制
調査会が開かれますが、そこで検討をしていただきまして決めてまいりたいと、かように
考えております。