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1977-10-28 第82回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十八日(金曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————    委員異動  十月二十七日     辞任         補欠選任      下村  泰君     喜屋武眞榮君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        茜ケ久保重光君     理 事                 遠藤  要君                 坂元 親男君                 寺下 岩蔵君                 大塚  喬君                 和泉 照雄君                 田代富士男君     委 員                 伊江 朝雄君                 岩崎 純三君                 河本嘉久蔵君                 世耕 政隆君                 永野 嚴雄君                 長谷川 信君                 降矢 敬義君                 増岡 康治君                 案納  勝君                 坂倉 藤吾君                 瀬谷 英行君                 丸谷 金保君                 沓脱タケ子君                 安武 洋子君                 和田 春生君                 喜屋武眞榮君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  坊  秀男君        建 設 大 臣  長谷川四郎君        自 治 大 臣  小川 平二君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       藤田 正明君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       倉成  正君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  石原慎太郎君    政府委員        内閣総理大臣官        房同和対策室長  黒川  弘君        防衛施設庁施設        部長       高島 正一君        経済企画庁調整        局長       宮崎  勇君        経済企画庁国民        生活局長     井川  博君        経済企画庁調査        局長       岩田 幸基君        科学技術庁研究        調整局長     園山 重道君        環境庁水質保全        局長       二瓶  博君        沖繩開発庁総務        局長       亀谷 礼次君        沖繩開発庁振興        局長       美野輪俊三君        外務省経済局長  本野 盛幸君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        大槻 章雄君        大蔵大臣官房審        議官       米里  恕君        大蔵省主計局次        長        山口 光秀君        大蔵省銀行局長  徳田 博美君        大蔵省国際金融        局長       旦  弘昌君        国税庁直税部長  水口  昭君        農林大臣官房審        議官       渡邊 文雄君        農林省構造改善        局長       森  整治君        農林省畜産局長  大場 敏彦君        農林省食品流通        局長       杉山 克己君        通商産業大臣官        房審議官     山口 和男君        通商産業大臣官        房審議官     松村 克之君        通商産業省生活        産業局長     藤原 一郎君        資源エネルギー        庁石油部長    古田 徳昌君        建設省都市局長  中村  清君        建設省河川局長  栂野 康行君        自治省財政局長  山本  悟君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        公正取引委員会        事務局取引部取        引課長      樋口 嘉重君        厚生省保険局医        療課長      三浦 大助君        会計検査院事務        総局第一局長   前田 泰男君        会計検査院事務        総局第三局長   松尾恭一郎君        会計検査院事務        総局第四局長   阿部 一夫君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十九年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和四十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十九  年度政府関係機関決算書(第七十七回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十七回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十七回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十七日、下村泰君が委員を辞任され、その補欠として喜屋武眞榮君が選任されました。     —————————————
  3. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 次に、昭和四十九年度決算外二件を議題とし、本日は総括質疑第一回を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 大塚喬

    大塚喬君 四十九年度決算総括審査に当たり、私は大蔵大臣、それから経済企画庁長官中心関係機関皆さん方質問をいたしたいと存じます。  初めに、政府財政運営基本姿勢についてお尋ねをいたします。  最近のアメリカ中央情報局——CIA調査は、日本政府日本巨大企業十三社との直接的結びつき——ダイレクトリンクを検出し、日本企業世界市場競争相手をしのぐ安売りをすることを可能にしていること、並びにその十三企業の八百の子会社を通じて、日本経済のほとんど全分野を支配するこれら十三社の巨大企業に対して、研究開発委託費や税の優遇措置による援助をしばしば与えている、こういうことが解明されていると、米誌ニューズウイークにこのことが報道されたわけであります。政府財政運営の大企業偏向性指摘する声は、いまやアメリカのこのニューズウイーク指摘にとどまらず、国際的規模に拡大しておることの証拠であろうと思うわけであります。政府財政運営基本姿勢は、過去の実績から判断して大企業に偏向しているのではないか。率直に私はこの問題について大蔵大臣の見解を承りたいのであります。
  5. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) わが国政府わが国会社企業と、これはわが国会社企業でございまするから、これに対していろんな指導をしたりしておるということはこれは当然のことでございますけれども、何かそれに対しまして偏向的なやり方をとっておるというようなことは、私はさようなことはないということを申し上げます。
  6. 大塚喬

    大塚喬君 大蔵大臣立場からすれば、そう簡単にこの問題についてそうだと、こういう御返事はまあこういう席で大変むずかしいものであることは承知をいたしております。しかし、この問題はこのまま単に見過ごすということのできる問題ではないだろうと思います。  で、この報告書は、ホワイトハウス、それから財務省、商務省及び労働省のアメリカ政府機関提出されたと報道されておるわけであります。当然日本政府としてもしかるべき筋を通じてその原本入手すべきであろうと考えるわけでありますが、入手済みなのか否か、大蔵大臣から答弁をいただきたいと思います。
  7. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) ニューズウイークは公刊されておる雑誌でございましょうから、日本へはそれは来ておると思います。しかし、私はまだそれを手にしておりませんが、これは公刊されておりますから、恐らくはアメリカのいまおっしゃられた各諸官省へこれはいっておるし、その他へもいっておる、これは想像されますが、私はいま仰せられた記事についてまだ見ておりません。
  8. 大塚喬

    大塚喬君 その報道されたそういう記事そのものでなくて、報告書原本がやはり問題であろうと思うわけであります。もうこの報道された期日から若干の期日が経過をいたしておるわけでありますので、一体、この問題についていままで大蔵省が手をこまねいておったということにどうも疑問を感じます。どうしてその入手をするそういう手続、努力をされないのか、その辺のところは大蔵大臣としてどうお考えになっておりますか。
  9. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いま申し上げましたことは、ニューズウイーク記事CIA秘密報告としていま仰せられた各諸官省へこれを納めておるということのようでございますが、そういう秘密報告でございまするから、私どもにはそれを入手するということはできないことでございます。
  10. 大塚喬

    大塚喬君 報道関係にも表面化いたしておる問題であります。少なくとも日本の重大な国際的な信用にかかわる問題でありますので、あらゆる努力を重ねる、こういう立場大蔵大臣立場としてしかるべきだろう、こう考えるわけでありますが、そういう努力をされるお考えはありませんか。  それからさらに、ぜひひとつこの報告入手をされて本委員会にも提出をいただきたい、こう要求するわけでありますが、この点についても大蔵大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  11. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) これはニューズウイークという民間雑誌に出たことでございまして、その事実が本当にどうだか、これは、そこの点につきましても大変いぶかしい点もございます。秘密報告ならこれはちょっと日本入手するということがなかなか困難であろうと思いますが、まあ私はいまのお話によりまして私の一つ関心事項ということで胸に入れておきます。
  12. 大塚喬

    大塚喬君 私ども日本新聞に転載された、転載と申しますか、そういうものを読んだわけでありますので、できればひとつこのニューズウイーク原本を、訳本を添えて本委員会提出をされますよう、それから当局としてもこの秘密報告について格段の努力をいただいて、その報告を当委員会提出をされるよう強く要望をいたすものであります。  次に、いま大変うわさ中心になっております金炯旭韓国中央情報部の元部長、この人が十月の二十一日、アメリカ下院公的行動規範委員会通称倫理委員会で、韓国政府による外国政治家買収は、日本でも対韓経済協力の拡大を代償として行っていると、こういう発言をされたことについて、大蔵大臣お聞き及びですか。
  13. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御指摘証言につきましては、報道等で私も承知しております。しかし、さような事実は、証言の事実は、これは私はもう全然さようなことは存じません。
  14. 大塚喬

    大塚喬君 大蔵大臣、同じように福田総理もこの翌日、二十二日の記者団質問に答えて、「本当にいいかげんなことを言うものだ」と、こう記者団に語っておるようであります。そして、「買収工作疑惑を強く否定した」と、こう報道されておるわけでありますが、この金炯旭氏の発言、これは当日の朝日新聞報道記者福田総理の会見の中で、そのように述べておるわけでありますが、この金氏の証言は、対韓経済協力について内外世論指摘している日韓政財界の癒着の疑惑を再確認した、まあこうとれるわけであります。で、これを財政との関連で言えば、結局政府財政運営の大企業偏向、こういうことをやっぱり物語っておると、こう考えるわけであります。  私は、この問題について、単に問題がないと、こういうことでなしに、少なくともこういう報道がされたならば、そのことに関する捜査をする。そして、少なくとも事実無根発言であったならば、これは何らかの、そういうことが日本の国際的な信用にかかわる問題でありますので、当然政府としてもしかるべき措置をとることが当然であり、そのことをなさらないままで事実無根だと、こういうことを言うことは、そのこと自体、やはりきわめてこちらの立場を弱くし、疑惑を深めるものに私はつながるものだと、こう考えるわけであります。政府は、単にこの疑惑を口先だけで否定するのではなくて、対韓経済協力に関する買収工作証拠の提示を金炯旭氏に、及びここで出てくる関係工作者、こういう方に即座買収工作証拠提出を求めるべきであろうと、こう考えるわけでありますが、大蔵大臣、この点についてそういう措置をとられるお考えかどうか、お尋ねをするわけであります。
  15. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) そういったような事実につきまして、これは調べる——物事を調べるとか、捜査するとかということは、これはやっぱり相当の心証というものがなければできないことでございますが、私は金炯旭氏がいろんなことを言っておることは新聞報道等によって承知はいたしておりますけれども政府財政運営に当たりまして、大きな会社等に対しまして偏向的な、不当なる恩恵を与えるとか、さようなことは断じてやっておりませんから、そこで、そういったようなことを財政当局としてこれを調べてみようというような考えは持っておりません。それより以前に、さようなことはやっていないということについては、自信を持って申し上げます。
  16. 大塚喬

    大塚喬君 大蔵大臣買収工作をやっておりませんと、こうおっしゃるわけでありますが、そう言うだけでなくて、現に買収工作をやっていると、こういう指摘をされておるわけですから、当然このことに関して、買収工作をやっておらぬとあなたがそういう発言をされるならば、これに伴う証拠提出してもらいたいと、そのことをやらないでほうっておくということは、国民感情としては、政府もこういうことを言われて、あるいは火のないところに煙は立たないということで、こういう感じになって国民疑惑を深めるだけだと、こう思うわけであります。なぜ政府が、これだけはっきりと買収工作が行われておると、こういう発言に対して、即座に外交的な手段を通じてなり、これらに対応する措置をおとりにならないのか。このことをやらない限り、この対韓経済協力に、先ほど私が申し上げたような政府財政運営の大企業偏向政財界関連しておるんだと、こういうことを言っておるのに、日本政府が手をこまねいておったならば、政府みずからがこれを証明することになるのではないですか。大蔵大臣、いかがです。
  17. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) そう思わないですね。物事がないっていうことについての証拠というものは、これはなかなか、あるっていうことについての証拠——私はないと信じておるんです。ないということについての証拠っていうのは、それはなかなか出せるものじゃないんですよ、これは。
  18. 大塚喬

    大塚喬君 大蔵大臣日本側証拠提出しろと、私はそう言っておるのではありません。そういう発言をした当事者がいるわけです。その人に対して日本政府がこれを黙って見過ごす。買収工作をしたと言うならその証拠を出してもらいたいと、これはだれでも当然の話じゃないですか。それをやらないというところにやっぱり国民疑惑を深めると、私はこういうことを日本政府福田内閣の名誉のために——私は自民党ではありませんが、そういうことを心配して申し上げたわけなんです。いかがですか、大蔵大臣
  19. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) まあ私もこれつまびらかにしないところでございますが、金さんが証言をしておるわというふうに私は報道で知っておりますが、その金さんが何か証拠を出しておるんですか、これ。私はそこらのことについてはつまびらかにいたしておりませんけれども、金さんが何か証拠を出して、かくのごとくこの関係があるんだということをお出しになっているんですか、それじゃ。
  20. 大塚喬

    大塚喬君 質問趣旨がどうも受け取っていただけないので。相手は、日本政府が、政財界買収工作を受けておると、こういうことを言っているんですから、あなたがそういうことを発言されるならばその証拠を出してくださいと、名誉を棄損された者が言うのは当然じゃないですか、そういう要求をするのは。それをやらないでおるところに疑惑は深まりますよと、私はこう申し上げておるんです。ひとつ質問趣旨を十分御理解いただいて御答弁を願いたいと思います。
  21. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) まあその金炯旭という人がそれを証言しておるということについて、これは私はその人に対して、あなたの言うとることは——私はもともと、先ほどから申しましたとおり、基本的にはさようなことはないということを、まあ財政にいま当たっておりますが、そういうことのないということを確信しておりますが、そこで金炯旭さんを問うなり、あるいは何らかの方法でもって、そういうことに対してどうですかというようなことを聞いたりするというような気持ちはいま持っておりません。
  22. 大塚喬

    大塚喬君 そういうことが私は疑惑を解くことができない、当然そういう努力をすべきだと、こういうことを申し上げておりますので、その秘密書類入手することに努力をしない、こういうことを言われても抗議もしない、その証拠提出要求もしない、こういうことになること自体が、私は政府がこの問題に対して国民の信を失う、こういうことを恐れるがゆえに私は重ね重ね発言をいたしておるところであります。  関連をして質問を次に進めます。  次に、財政運営効果について大蔵大臣、それから経済企画庁長官質問をいたします。この問題も、政府の大企業偏向運営姿勢、それと国民生活との関連において質問をいたしたいと思うわけであります。  本年度予算景気対策及び去る九月三日、経済対策閣僚会議で決定されました総合経済対策効果について、各方面から期待が次々に裏切られ、将来もこれが満たされることが疑問視されておる、こういう指摘国会内外を問わず現在盛んに行われておるわけであります。しかし、本年度財政運営効果を論ずるのには、過年度の問題にさかのぼってこれを見直してみる必要があるだろうと思うわけであります。  そこでまず、いま議題になっております昭和四十九年度決算に、いまの景気の問題はこの問題になっております昭和四十九年度にさかのぼらなければこれの解明はできないと、私はこう考えますがゆえに、初めにこの問題に質問の焦点を当てたいと思うわけであります。昭和四十九年度日本経済について、戦後この年は初めてマイナスの成長を記録いたしました。高度成長の諸条件は一切消滅し、日本経済の奇跡は終わったと、こうも言われておるわけであります。高度成長から低成長安定成長とも言われるわけでありますが、このときから転換点、これに差しかかって以降、安定成長、低成長というのが続いておると、こう言われておるわけであります。昭和三十年から四十年代のような高度成長の時代は昭和四十九年以降再び来ないか、こういう問題については、最近ある外国の学者は、日本経済にとってエネルギーや環境問題は制約にならないから成長率をもっと高めよと、こういう意見が出されておるわけでありますが、この民間研究機関、これは国民経済研究協会でありますが、そこでは日本経済中期予測、こういうことで実質成長率は七%になるとしておるわけであります。こういうことを新聞報道等に述べておるわけでありますが、政府経済成長率状況によっては今後次第に高める方針を持っておるのではないかと、まあこういう感じを最近受けるわけでありますが、大蔵大臣、それから経済企画庁長官、それぞれから、ひとつこの問題について、今後日本経済成長率を高めるのだと、こういうお考え方針なのかどうか、ひとつ率直なところをお聞かせいただきたいと思います。
  23. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 成長率の問題でございますから、私からお答えいたしたいと思います。  私どもは、いま前期経済の五ヵ年計画を持っております。これは御承知のとおり、昭和五十一年から五十五年に至る計画でございます。この計画の中で、私ども平均実質成長率を六%強にする、そうして、五十五年の時点におきましては、ある程度の社会資本充実社会保障充実、さらに消費者物価を六%以下に抑え、そうして完全失業率を一・三%程度にしたい。また、その際には、国際収支の面では基礎収支で均衡をしたい、こういう姿を描いておりまして、御案内のとおり、不況から脱出する段階においていろいろな需給がギャップが出ておりますから、全般において高目成長をしたいというようなことがわれわれの基本的な考えでございます。先ほど先生がおっしゃいました、国民経済研究協会でいろいろ言われているということでございますが、私はその内容をつぶさに承知しておりませんけれどもエネルギーが全然成長制約にならないというようなことは言っていないと思います。もうそういうことを言うはずはございません。恐らく過去の成長から申しますと、少なくとも経済成長するためにはエネルギーは一%以上のやはり増加がなければなりませんでした。しかし、だんだん省エネルギーということになってまいりまして、この弾性値が一以下になりつつあることは事実でございます。しかし、エネルギーがなくて経済成長ができないということは明らかでございますので、したがって、短期の見通しとして、多少エネルギーというのは確保できるという見通しについての意見はあるかもしれませんけれども、中長期的に見る限りにおいて、エネルギーの問題というのは経済成長に大きな制約要件になるということはこれはもう常識でございます。
  24. 大塚喬

    大塚喬君 長官、率直に長官は、日本の適正な経済成長率は何%、中期的に見て今後どういうところがよいか、こういうことをお聞かせいただきたいと思います。
  25. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私ども政府部内で合意している成長率は、先ほど申し上げましたように、前期五ヵ年計画の中で年平均六%強、こういう成長率を、エネルギーの面、その他の経済のバランスの面から雇用その他を考えまして想定いたしておるわけでございます。昭和五十五年以降の問題についてはまだ政府で最終的な見通しと申しますか、何%ということは決定をいたしておりません。しかし、エネルギーの問題その他を勘案しながらその範囲でできるだけ高い成長が望ましい、そう考えておるわけでございます。
  26. 大塚喬

    大塚喬君 次に、昭和四十九年一月二十一日、私がいま問題にしておりますのは、いまの景気の諸問題というのは四十九年からすべてが——すべてと申しますか、大きな要因をはらんで現在に至っている、こういうことからお尋ねするわけでありますが、福田総理が当時大蔵大臣だったときでありますが、四十九年一月二十一日、スタグフレーション下財政演説で、福田さんは昭和四十九年度予算案の一つの特色として公共投資抑制を挙げ、前年度に引き続いて四十九年度においても総需要抑制政策が実施をされたわけであります。四十九年度は総需要抑制の目的をどのように設定したか。政府政府の発表、これは五十年度経済白書によるわけでありますが、「今回の不況は戦後最大」と規定しつつ、「インフレーション不況を呼んだのであり、またその反面で、社会的不公正を生んだのである。」と、同じくこのことは五十年度経済白書に述べられておるところであります。こういう認識のもとに政府は、「インフレーションが呼んだ不況は、インフレーションをなくさない限り回復することはできない。また、社会的不公正を改めることもできない」と、この経済白書の中に同じように述べておるわけであります。  で、私が特に指摘したいことは、「インフレーションが呼んだ不況は、インフレーションをなくさない限り回復することはできない。また、社会的不公正を改めることもできない」、このことが目標として設定されたものであると、こう考えるわけでありますが、いま経済白書に述べられておりますこのインフレーションが呼んだインフレーションはこれをおさめなければ回復することができないし、社会的な不公正も是正することができないと、こう述べておりますこと、経済企画庁長官、この点について企画庁長官の見解をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  27. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 結論から申しますと、ただいま先生がお述べになったとおり、また経済白書指摘いたしましたとおり私も考えております。現在でもそう考えております。
  28. 大塚喬

    大塚喬君 じゃ、引き続いて質問をいたします。  総需要抑制を実施した結果について、福田経済企画庁長官、この後企画庁長官になられたわけでありますが、その福田経済企画庁長官のもとでつくられた経済白書は、「今回の総需要抑制策は、結果的には成功であった」、こういうことがこの五十年度経済白書に述べられております。この「成功であった」と、この成功の内容について、経済企画庁長官の説明を、どういう点で成功であったのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  29. 倉成正

    国務大臣倉成正君) まず端的に申しますと、御案内のとおり、あの当時の昭和四十八年から四十九年にかけては狂乱物価と言われた時期でございます。このインフレを収束させるということが政治の最大の課題でございました。したがいまして、このために政府といたしましては、全力を注いで総需要管理政策、財政金融政策を引き締める。財政の面でも、予算の執行についても、ことしと反対に公共事業の執行等も少し控えぎみにやる、あるいは公定歩合を引き上げる等、各般の政策を実行いたしまして、御案内のとおり、卸売物価、済費者物価等も二〇%、三〇%に近い上昇率であったわけでございますけれども、これが一五%になり、一〇%になり、今日発表のありましたような東京都の消費者物価は七・八%というところに落ちついてまいりました。まず物価が安定してまいったということが評価してしかるべきではなかろうかと思うわけでございます。  それから、恐らく先生の第二の問題意識としてありますインフレによる社会的不公正と。インフレになるとどうしてもやはり強い者がもうかり、弱い者が非常に困った立場に置かれるという性格がございます。したがって、この面についてこの狂乱物価時にいろいろそういう現象があらわれたことは事実でございます。したがって、これをだんだん解消いたしてまいって、その傾向が顕著に出てきておると、そういうふうに考えておる次第でございます。
  30. 大塚喬

    大塚喬君 まあ成功であったということ、これはまだ私は依然としていまのお答えでは納得できません。  この経済白書の中には、総需要抑制策について政府の反省すべき点として、「いったんインフレーションが起こると、それがもたらすさまざまなひずみや不公正は容易に消えない」、こういうことも述べておるわけであります。インフレがもたらしたひずみ、不公正、あるいは社会的不公正と。一体長官は、その中身は内容は何を意味しておるとお考えになっておりますか。ひとつ重ねて説明をいただきたいと思います。
  31. 倉成正

    国務大臣倉成正君) まず、最初の成功の点で先生と多少御意見が違っておったようでございますけれども一つ御理解いただきたいのは、やはり国際的にごらんいただくことが必要でないかと思うのです。あの狂乱物価、オイルショックの後の状況で今日の世界を見てまいりますと、物価の問題についても、西ドイツを除きますと、大体日本が非常に落ちついておるわけでございまして、成長率あるいは国際収支と、そういう面から考えましても、他の国の経済効率から見ますとすぐれている、そういう意識がございます。決して自画自賛するわけでございませんし、まだ不十分だと思っておりますが、国際的な点から見ますと日本は比較的うまくいっているのではないかと、そういう考え方を持っておりますのでつけ加えさせていただきたいと思います。  なお、インフレにおきます社会的な公正という点から申しますと、やはり四十九年度におきましては、勤労者の可処分所得におきまして五分位の所得階層の可処分所得、それから第一分位の可処分所得ということを見てまいりますと、どうしても平均に比較いたしまして、四十九年におきましては五分位の所得の高い層の可処分所得が非常に高く出てくる。しかし、第一分位の非常に低い所得の人たちの可処分所得が平均に比して低くなる、こういう傾向が出てまいっておりました。これはインフレによってそういう結果が出たわけでございますけれども、これが五十年、五十一年、五十二年と、だんだん年を経るに従いまして、第一分位の所得の低い層の方々の平均に対する比率、所得格差というのがだんだん解消してまいっておるというのが現状でございます。
  32. 大塚喬

    大塚喬君 いまの長官の御答弁で、国際収支という点は、確かによその国に比べて日本が成績を上げたということは私も率直に認めるものであります。ただ、インフレがもたらした社会的不公正、この問題については、五十年度末現在、この経済白書が公表されました当時、明らかに解消されておらないと私は判断をいたしますし、これは後ほど数字を挙げて申し上げますが、いま現在でも、その不公正のそういう後遺症というか、そういうものは現存しておると私ははっきり指摘をするものであります。今回のこの経済白書に載せてありますように、総需要抑政策は成功であったという評価はずいぶんいい気なもんだなと、そういう感じが率直にいたします。  具体的な数字を挙げて申し上げます。主要企業のインフレ利得、これは債務者利得プラス在庫付加益であります。これをプラスしたものは、昭和四十七年度上期は六千四百億円であります。同年下期にはこれが一挙に一兆五千億円にはね上がっております。四十八年度上期は二兆三千五百億円、同下期には四兆八千四百億円、このときがピークでありますが、そして四十九年度上期に三兆八千六百億円、同下期に二兆二千二百億円、五十年度上期に二兆一千五百億円、同下期に一兆八千百億円、減少はしてきておりますが、いずれも一兆円、二兆円、三兆円、四兆円という、こういうインフレ利得が大企業には継続されておるわけであります。このインフレが起きる直前の四十七年度の上期の六千四百億円に比べれば、もうけた外れの膨大な利益を大企業が継続して上げておる。こういうときに、総需要抑制策は成功であった、こういうことをおっしゃられても、確かに国際収支の面ではよかったかもしれませんが、社会的不公正、こういう問題に関しては、依然としてこの経済白書は、福田総理経済企画庁長官であった時代に述べられたこの経済白書は、明らかに政府の言っておることは事実に相違する、こう考えるわけであります。このことは、反面において、庶民の預貯金の目減り、このことが巨額であったことを物語るものであります。これは五十一年度経済白書の中に経済企画庁もはっきりそのことはお述べになっておるわけであります。これでも——いま四十九年度決算審議をやっておるから、私はこの問題について取り上げるわけでありますが、インフレがもたらした社会的な不公正、これは現在このことが成功であった、是正された、こういうふうに長官はお考えになっておるわけでありますか。
  33. 倉成正

    国務大臣倉成正君) 私も実は先生の御質問があるということで、五十年の年次経済報告書を見せていただいて、細かく見ておりますし、ここをよくごらんいただけばおわかりになりますように、当時の狂乱物価、そしてああいう状況の中で何を一番最初にやらなければならないかということでございますけれども、火が非常に燃え盛っているときに、まず火を消すということで、本当に大変な決意をもって総需要抑制政策をやりまして、そしてインフレの火を消しとめた、そういうことをまあ成功であったと評価をいたしておるわけでございまして、先生のおっしゃった社会的な公正の面で、また土地取得、土地を持てたり——あの当時は御案内のとおり土地が非常に値上がりいたしまして、長者番付が、どうも土地を持っている人たちが長者番付の上からずらっと並ぶ、こういう時代がございまして、そういう面から見て、社会的な不公正がまだ残ったんじゃなかろうかというお話でございますれば、その点は確かにまだ五十年の段階ではそういう段階があったと思うのでございます。しかし、これは、御案内のとおり、だんだん土地の規制も厳しくなってまいりまして、そして今日の段階に及んでおるということで、成功であったということを万事何でも満点であったと、そういうふうに思い上がった書き方はいたしておりません。これはよくごらんをいただけばおわかりになると思いますし、インフレの火を消しとめたという点で成功であったというふうに申し上げておるわけでございます。  それからもう一つ日本経済一つの特色は、やはり世界各国の問題は御案内のとおり失業の問題で悩んでおるわけでございますね。アメリカでは七%以上の失業率、西ドイツで四・六%、イギリスで六%というふうに、日本の二倍、三倍の失業率で、特に若年の失業者で悩んでおるという状況考えますと、私はやっぱり国際的に見る限りにおいては比較的うまくいっているんじゃなかろうかと、そう評価していただいてもおかしくないんじゃないかと考えておるわけでございます。
  34. 大塚喬

    大塚喬君 まあ自画自賛と申しますか、そういうことで、私もおっしゃることを全部否定するものではありません。ただ、社会的不公正という問題に関しては、依然としてやっぱりこの問題については大きな憤り、そういうものを感ずるわけでありますので、先ほど長官からお話の出ました可処分所得について少しくまた関連して質問をいたします。  この可処分所得、これを五分位階層別に見ますと、第一分位、一番の低所得層でありますが、四十八年度の実質可処分所得が前年度よりこのときは八・八%伸びております。四十九年度には、これがマイナス五・五%になっております。五十年度前半、ここでやっと四・五%に復活をいたしましたが、まだまだ四十七年度の五・八%には及ばない状態であります。この点についても、四十九年度の社会的不公正是正はその後の財政運営経済運営のもとで解消をされたか、こう問い詰めれば、私は、解消されておらないじゃないかと、こういう結論を持つわけであります。  このように、主要企業が巨大なインフレ利得を取得しておる。この一方で、対照的に低所得層が、低所得層になればなるほど可処分所得の伸びが少ない、こういう実情はその後現在どうなっておるのか、こういうことについて長官からひとつ詳細な報告をお答えいただきたいと思います。
  35. 倉成正

    国務大臣倉成正君) ただいま御指摘のように、可処分所得を一分位から五分位に分けて見てまいりますと、昭和四十八年におきまして平均一九・一伸びた場合に、第一分位は二一・七伸びておりまして、このときの第五分位が一八・六でございまして、一分位の方がよけい伸びておったわけですけれども、いま先生の御指摘のように、四十九年は平均二六・八伸びたにかかわらず第一分位は一七・八、第五分位、所得の高い層が三〇・五と非常に伸びたわけでございまして、ここに大きな社会的な不公正が出てきたという点はまさに先生が御指摘になったとおりでございますし、また経済白書でも分析いたしているところでございます。  五十年がどうなったかと申しますと、平均が一一・九、このときの第一分位が一四・四、第五分位が一三・〇ということで、五十年度からようやく平均を第一分位が上回ってまいりまして、そして五十一年度に至りますと、平均が八・三、これに対して第五分位は五・七の伸びですが、第一分位は九・五ということでございます。ことしの五十二年度に入りまして、これを四−六月をとりますと、平均が一一・〇、第五分位が一一・二、第一分位は一二・〇ということでございまして、一番の最新時点の八月をとりますと、平均の一一・九に対しまして第一分位は一七・五というふうに、だんだん第一分位の伸び率が平均を上回るのみならず、第五分位と比較しましてもかなり伸び率が高いと、そういう情勢でございます。この傾向はこれからも若干続いていくんじゃなかろうかと思っておる次第でございます。
  36. 大塚喬

    大塚喬君 次に、総需要抑制効果について、企業の対応の実態、こういう面からひとつとらえて質問をいたしたいと思います。  福田総理は、最近の日本経済を説明する際に、他の先進諸国に比べて、マクロよりもむしろミクロに問題があると、こういうことを再三述べておることを承知いたしております。企業は過剰な従業員を抱えて、経済の荒波をどう乗り切るかに問題があると、こうも述べておるわけであります。実際に各企業は、総需要抑制策の実施下において減量経営という新しい経営形態をつくることによってこれに対応してきました。その減量経営というものの内容は、率直に言って人員削減、これによる合理化であり、結果として実質賃金の切り下げをもたらすものであり、別な面からこれをとらえれば、下請企業、小企業、これの整理淘汰であり、こういう内容を持つものと受けとめておるわけであります。まさにこのことは、独占体制の強化であると、こうも言えるわけであります。これによって各企業は最小限の売り上げに耐えられるよう、こういう採算条件の構築と同時に、かなりの程度の生産性の増加を基本的には同じ体制で賄える、こういうシステムを確立しておると、こう言われておるわけであります。  で、この減量経営のシステムの確立を正確に把握するかいなかが以後の景気対策のあり方を決める重要な要因になると私は判断をするものであります。これを正確に評価しない場合、正確に把握するかどうか、こういうことが今日の景気対策、このことの、企業運営を公共事業中心に自立をしても、減量経営ということの内容を十分に把握しない限り、効果が余り期待できないのではないか、こう考えておるわけであります。  このことに関して少し突っ込んで御質問をいたしたいと思うわけでありますが、むしろ所得税減税など、個人消費、これを助成する国民本位の景気対策への転換が必要であろうと考えるわけであります。  ことに政府は、当然このことには気づいておったはずであります。大蔵大臣としても当然そのことについてはもうお気づきのことであろうと思うわけでありますが、今日の財政運営の実態から判断しますと、減量経営システム、このとらえ方が政府としても十分でなかったのではないかと、こう考えるわけでありますが、この点について大蔵大臣、どのようにお考えになっておりますか。お答えをお聞かせいただきたいと思います。
  37. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 石油ショックを契機といたしまして、わが国経済を取り巻く諸条件が大きく変化をしておることは御案内のとおりでございます。経済の各面における構造変化に適応しつつ安定成長経済へ円滑に移行していくのが当面の課題となっております。  最近における企業経営については、いわゆる減量経営といった姿勢があらわれているのは御指摘のとおりでございます。これは基本的には、高度成長経済から安定成長経済へ移行するに当たって、経済主体としての企業の行動様式の変化であるということを申さなければなりません。  政府といたしましては、このような状況を踏まえながら、先般の総合経済対策においても、総需要の追加を図るとともに、構造対策をきめ細かく講ずるということをいたしておりますが、これによって景気の着実な回復と安定成長路線への定着を実現してまいる所存でございますが、かかる事態におきまして、ひとつ所得税を減税したらどうかとこういうお話でございますが、私も所得税というものを払っておる人間でございますので、何とかして所得税を軽減をしたいという気持ちが非常に強くあります。しかしながら、こういったような経済の非常に困難なる状態に遭遇いたしまして、一方、財政をながめてみますと、これからは私はやっぱり社会福祉を中心とした国の施策、これを非常に尊重していかなければならない。そういったようなときには、やっぱりそういう国の大事な施策を講じていくためには、他面におきまして国の歳入というものを、これを何としてでもふやしていかなければ目的を達成することができない。いろいろな施策をやるためにはお金が要るということは御存じのとおりでございます。さらにはまた、そういったようなことをやるのはこれは財政の使命でございますが、いまの日本の国の財政をながめてみますと、自然増収をもってしてはとうていこの要請に応じがたい。いわんや減税をしてまいるということは、これはなかなかそういったような施策を充実していくということとは逆行していくというようなことから考えてみますと、本当に私は所得税は減税しとうございますけれども、何とかして歳入の増大を、増高を期していかなければならないというときでございます。  私は、いまのこの事態におきまして所得税を減税していくということは非常に困難なことであり、もう一つは、いまの日本経済安定成長の路線に持っていく、そのためには、まず何といたしましても、これはやっぱり日本の国の国内におけるいろんな施策、ことに景気を浮揚さしていくような施策が必要であると。そういうようなことを考えますと、その一番有効な手段は、これはやっぱり公共事業をこれを尊重していくということが、これは所得税の減税ということよりも効果が大きいというふうに考えますので、いろいろな観点から見まして、所得税を減税していくということは、大変望ましいことではございますけれども、今日の事態におきましてはまことにむずかしい困難なことであろうと思います。
  38. 大塚喬

    大塚喬君 ただいまの答弁大蔵大臣は、政府の総需要抑制策実施以来、企業の対応の仕方が減量経営になったと、こういうお認めをいただいたわけでありますが、このような企業の対応の仕方に変化があった場合に、いまの公共事業中心のいわゆる景気対策、しかもそれが企業本位の公共事業中心景気対策と、こういうことになった場合に、その効果大蔵大臣としてどうとられておりますのか。そういうことでその景気対策というものが十分に可能なのかどうか。問題は、やっぱり私はいまの答弁をお聞きしても、所得税減税ということをやらない限り、この景気対策というものはすべて十分な成果を上げることはできないと、こう考えるわけでありますが、重ねて大蔵大臣答弁を求めるものであります。
  39. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 公共事業を、これを尊重して実施していくということが私は企業本位の行き方だとは考えていないんです。つまり公共事業をやっていくということは、一面におきましては国内のいろんな公共事業に伴う資材等をこれを消費していくということであり、そういうようなことから、公共事業そのものに伴う、またそういったような資材等は、いままだタイムラグ等があってそれほど効果が出ておりませんけれども、そういったようなものが活発に生産されるということに結びつくことはこれ間違いないと思います。  そういったようなことから、私はこれは雇用の問題にきわめて大きな影響を、好影響を及ぼすものである。つまり日本経済に対する、いろんな意味において需要に対する波及効果が一番私は公共事業が大きいものであるというふうな観点に立ちまして五十二年度の当初予算をつくりましたが、それの実行につきましても、計画を立てまして、契約ベースにおきましては契約どおりいっております、そこで、八、九月ころになりますと大分その効き目が数字の上であらわれてきておるということでございますが、さらに、この問決めました総合経済対策でもってこれにドライブをかけ、また皆さん方の御賛成を得まして補正予算というものを成立させてもらいましたが、そういったような一連の政策をこれからできるだけ速やかにこれを実施していくと、こういうふうな考えに立ちまして、そういうことはつまり大企業本位の政策であるというふうにおっしゃられますけれども、私は何もそうではないというふうに考えておりまして、この政策を着実に実行をしてまいりたいと、かように考えております。
  40. 大塚喬

    大塚喬君 大蔵大臣答弁は、やっぱりお聞きして、減量経営という総需要抑制策をとった以降の企業の対応、その対応したその姿に対しての御認識が私はどうも十分でないと、こう受けとめるわけであります。先ほど申し上げましたように、総需要抑制、こういうことの中で、大企業はいち早く人員整理や合理化や小企業あるいは下請企業をみんな断ち切って、全くもう身軽というか、そういう構えになって、その政府のやる公共事業中心、このことをいま大型プロジェクトというようなことでいろいろの事業をやっておるわけでありますが、いまの企業の姿から言えば、そういうものは広い階層にまでその恩典が及ぶ、そういう体制には大企業はもうそんな古い姿のあれはとっておらない、こういうことで、どうも大蔵大臣答弁については納得できかねます。また重ねて後でこの問題に触れることにいたしまして、ここで総需要抑制策、これと地方自治の問題、昭和四十九年度決算でありますので、この点について少しく触れてみたいと思うわけであります。  四十八年、四十九年の総需要抑制策の実施は、わが国特有の行政指導を媒介として上意下達的に地方レベルへおろされその浸透が図られるのは地方財政の自立性という点から見て大いに問題である、こういう意見も出ておるわけであります。公共事業、この公共事業というのは、その大宗を占める内容はいわゆる補助事業であります。この補助事業が国の総需要抑制政策の直接の影響を受けた、こういうことからこれらの意見が出されておるものと考えるわけでありますが、政府は総需要抑制策の効果を徹底させる、こういう立場から、公共事業の補助事業は、このときにこれを除外すると、こういうことができなかったわけであります。このことは国の行政そして地方の行政、このことと重大な影響と申しますか干渉と申しますか、そういう関連がこの中に必然的に出てきたわけでありますが、憲法の第八章などを見れば明らかなように、地方自治や地方財政の自主権を保障した法規、これに照らしてみても問題は残るだろうと思うわけでありますが、大蔵大臣としてはこの四十九年度措置についてどう受けとめておられますか。大蔵大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  41. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 総需要抑制をいたしましたのは、これは国が総需要抑制をした、しかしながら、国と地方というものはこれは別ものではございません。日本の国を構成しておる、さような意味におきまして、やはりいろんなことについては国と軌を一にしてもらわなければならないというようなことで、国において総需要を抑制した、地方はそれをしないということでは政策がこれは一貫しない。そこで、地方に対しましても総需要を抑制をするということをこれを要請をする。つまり、国と地方とは歩調をそろえてそのときの政策、この実現に努めていくということをするのは私はこれは間違えたことではないと。さようなことで、したがいまして、国とともに地方もその総需要が減ってきたということでございまして、そこのところはしんぼうをしてもらわなければこれはならない。しかし、そのときの後遺症というものは、これはもう全然なくなってしまっておるということではなかろうと思いますが、その後におきまして、地方に対しましては、国は非常に御承知のとおり苦しい財政ではございますけれども、非常に苦しい目に遭わないように、地方に、できるだけこれに対しまして、こういったような事態に対しまして、地方の事情も理解して、そうして、これに対するでき得る限りの対策を国としてもとってまいっておるというのが現状でございます。
  42. 大塚喬

    大塚喬君 大蔵大臣の大変単純な地方自治と国の行政との関係についてのお答えをいただいたんですが、果たしてそれでそのように明快に、地方自治というものと国の行政というものが関連し、連動——これは当然無関係ではないことは承知いたしておりますが、割り切ってよいものやら、これは相当論議のあるところだろうと思うわけであります。ちょっと疑問を持ったものですからその点についてお尋ねをいたしましたが、この四十九年度のいわゆる総需要抑制、こういうことに関連をして、現在の景気対策昭和五十二年度の予算、この景気対策効果について突っ込んでひとつお尋ねをいたしたいと思います。  それは、五十二年度予算は公共事業の契約前倒しによる不況対策が中心になっておることは論をまたないところであります。一般会計の公共事業費の対前年度伸び率は二一・四%でありますが、一般会計全体の対前年度伸び率は一七・四%、これを大幅に上回る、このことは、公共事業による不況対策、このことが重点に置かれておるものと、こう考えるわけでありますが、しかるにかかわらず、その効果が現在疑問視されておる、あるいはその反対の評価を受けておるわけでありますが、その理由は、一つは公共事業の約四分の一が土地代、いわゆるこの四分の一が実需に、実際需要につながらない、こういう部分があると、こう指摘されておるわけであります。土地代は現時点で政府の公共事業の中でどれだけ支出をされておるのか、ひとつ明細にしていただきたいと思います。公共事業費の中で実需——需要が伴わない土地代というのはどれだけかという、こういう質問であります。
  43. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御指摘の、公共事業をやるに当たりましての土地代——土地に対する費用というものは、総額に対しまして大体二割という計算になっておりますが、その公共投資につきましては、政府固定資本形成として直接需要に結びつき、さらに波及効果を生ずる。他の需要項目を増加——波及いたしまして他の需要効果を、需要を増加させるというような作用を持っておることは、これは御案内のとおりでございますが、五十二年度におきましては、公共投資のこのような経済効果にかんがみまして、公共事業費の早期執行を図るとともに、先般の総合経済対策において約一兆円の事業費の追加、これを含めまして約二兆円の事業規模の追加を行ったところでございますが、政府といたしましては、これらの措置が所期の効果を上げるように今後とも公共事業等の効率的な執行に努める所存でございます。  公共事業等の早期執行の実態、経済面への浸透については、公共事業等については契約から資材の使用までにタイムラグがありますが、関連業界においては過剰在庫が存在しておること等の関係でやや目立たないところがございますが、このところ建設の雇用状況等から徐々にその効果があらわれてきておることが目につきます。先般の対策によりまして、上期に引き続き下期にも高水準の公共投資が行われることとなったわけでありまして、在庫調整の進展と相まって公共投資効果は逐次生産や雇用の面に浸透していくものと期待しております。  先般、私はこの公共投資の契約について詳細にこれ調べてみましたけれども、前倒しですね、九月末までに七三%というこの目標が、完全に七五%というところまで契約が完了いたしております。さらに、これに加えまして、今度の総合経済対策というものを加えまして、これを本年度内に完全にひとつ消化をしていこうと、かように考えております。私は、目に見えてこの効果があらわれてくるということを期待いたしておる次第でございます。
  44. 大塚喬

    大塚喬君 質問に対して、ひとつずばり御答弁をいただけますようにお願いいたします。  昭和四十九年二月十五日、衆議院の予算委員会理事会に出された資料によりますと、四十九年度当初、上場会社の、これは大企業の転用可能地、これは六万六千ヘクタール、この六万六千ヘクタールという数字は横浜市の一・五倍、こういう膨大な土地が上場会社によって転用可能な土地として所有されておるということが明らかになっております。で、この公共事業契約前倒しによって、上場会社の転用可能地のうちでどれだけその対象になったのか、数字をひとつお聞かせいただきたい。
  45. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) その数字は、その中でどれだけ使ったか、あるいは使うかということについての調べはいまのところこちらに持っておりません。いずれ調べまして……。いまのところ、ちょっといまはわかりかねますけれども。ちょっと調査の期間を置いていただきたいと思います。
  46. 大塚喬

    大塚喬君 私が言っております景気対策、これが大企業中心効果か上がらない、大企業偏向景気対策だと、こういうことの中で、お尋ねしておるわけですから、いまのお答えがいただけないのは大変遺憾であります。具体的な数字は速やかにひとつ本委員会に資料として提出をされるよう委員長としてお諮りをいただきたいと思います。
  47. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) この数字につきましては、これは大蔵省だけでわかることではございません。すべての関係各省庁あるいは地方団体といったようなところからやはり調査、集計をしなければなりませんので、非常に速やかにこれを集計をしてお出しするということについてはしばらく御猶予を願いたいと思います。
  48. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 大蔵大臣、いまの大塚先生がおっしゃったそのことは大事なことですから、いまおっしゃったようにいろいろありましょうけれども、なるべく早くお調べいただいてひとつ御報告願いたいと、こう思いますが、そういうことを委員長からも特に御要望申し上げておきます。
  49. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 実施官庁によくお聞きしましてそして調査をしたいと、かように思います。
  50. 大塚喬

    大塚喬君 続いて、五十二年度景気対策効果、この疑問についてもう一点お尋ねをいたしたいと思います。それは、公共事業による不況対策が、従来型の、先ほどもちょっと論議に出てまいりましたが、従来型のものであると、こういうことであるわけです。  その第一は、その景気対策のウエートが、既定の重化学工業中心の発展構造ないしはその方向に見合った、その意味でいわゆる産業基盤中心の投資であるということ、これに置かれておるということであります。  それから第二は、その投資の推進軸を大規模プロジェクトの展開、ここに置いておるわけであります。したがって、その発注先も大企業へ集中する点が指摘をされておるわけであります。  このように企業がそれ自体の合理化と下請機関の合理化の線上で好況、不況に通用する減量生産システムを確立しておる現況においては、五十二年度不況対策の効果は主として大企業に限定される、中小企業にはこの恩典は波及、均てんをしないと、こう考えるわけでありますが、大蔵大臣、この五十二年度景気対策、これについてどうお考えになっておりますか、率直にお聞かせをいただきたいと思います。
  51. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 今度の公共事業そのものが、産業中心主義ということでなくして、生活環境、社会の生活環境というものに重点を置きまして、そしてそういった公共事業を重大視してやっておるということでございますが、さらに、そういったような仕事に従事をしてもらうということについては何も大企業中心としてやっておるわけではございません。たとえば地方の仕事につきましては、地方の大企業でない中小企業といったような土建業あるいは資材屋さんといったようなものに対しまして、できるだけそういう方面にひとつ公共事業がこれが均てんしていくようにということを指導をしてまいっておるのでございまして、事業そのものを生活環境を中心にこれを重点視する、また、工事につきましてもそういったようなことに留意をいたしましてこれの執行をしておる次第でございます。
  52. 大塚喬

    大塚喬君 やっぱり五十二年度景気対策という問題は、四十九年度のいわゆる総需要抑制と、その後とった大企業の減量経営ということに対する御認識がまだ十分でないというところから、やっぱり依然として私と大臣との論議がかみ合わないと、こういう感じを強くするわけでありますが、この公共事業の前倒し効果、これは率直に言って効果は十分でないという見方が強いわけであります。このことは、やっぱり政府自体の四十九年度の総需要抑制策の効果、これに関する的確な評価が欠けておったのではないかと、私は重ねてそのことを指摘するものでありますが、大蔵大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。
  53. 岩田幸基

    政府委員(岩田幸基君) 五十二年度財政による景気効果でございますが、私どもは、マクロ的な効果とそれからミクロ的な効果と両方あると思います。  まず、マクロ的な効果で申しますと、御案内のように、今年度四月から六月にかけましての実質GNP、これは御承知のように前期比で一・九%伸びておりますけれども、そのうちの〇・九%は財政支出によって伸びておるわけであります。そういう意味では、総需要を追加をする、総需要をふくらましていくという意味での効果がマクロ的に一つ出ております。  それからもう一点は、先ほど大蔵大臣も御指摘になりましたように、ことしに入りましてからの日本経済は、基礎資材を中心にいたしまして非常に過剰な在庫を抱えておりまして、そのために四月から六月にかけては生産者在庫は大体毎月一・三%ぐらいふえていたわけでございます。それがこの財政の需要の追加によりまして徐々に減ってまいりまして、七月にはマイナス〇・二になる、八月には〇・一と横ばいになる、九月にはまたマイナスになるというように、在庫調整がかなり進展をしてきている、こういう効果もあったと思っております。  なお、ミクロ的な効果でございますが、これも基礎資材の在庫が非常に多かったものですから、従来に比べて確かに需要がつきましても、それが具体的なミクロの生産、出荷に結びつく間にはややタイムラグが大きくなったという点はあったと思いますけれども、最近、七月ごろ以来徐々にこういう効果が出ておりまして、たとえばセメントの出荷等は七月から八月にかけまして四・九%前年に比べてふえる、九月はさらに六%以上ふえるというような状態になってまいりました。また、小型棒鋼等も八月には、前月比でございますが二〇%もふえる、その他道路用コンクリート材なども前年に比べて一割以上ふえるというように、建設資材を中心にして出荷が徐々に伸びてきております。  それからまたもう一つは、先生御指摘の減量経営とも関係いたしますけれども、雇用効果の点でございますけれども、建設業の新規求人の数が六月ごろから徐々にふえてまいりまして、八月には四万七千七百人、前年に比べまして二〇%もふえるというような状態になっておりまして、いまのところはまだ建設業を中心にした効果しかあらわれておりませんけれども、恐らく、これがセメントとか棒鋼とかいろんなものに波及をしてまいりますと、そういう業種でも徐々に雇用効果があらわれてくるというようなことで、減量経営によって一方では雇用の削減というものが行われておりますけれども財政支出によりましてその雇用を吸収していく、こういう効果が徐々にあらわれてきているというように判断をしております。
  54. 大塚喬

    大塚喬君 大臣や局長の重ね重ねの答弁にもかかわらず、じゃ、こういう問題は一体どうとらえられておりますか。五十二年度景気対策に対して、所得税減税による個人消費支出を増大させる景気対策をとるべしと、こういう意見日本商工会議所や、それから関西経済連合会、これはまあどういう立場の方かおわかりいただけると思うわけですが、そういう人からも、所得税減税で個人消費の拡大を図り景気の回得を図るべしと、こういう強い意見が出されておるわけであります。で、政府のいわゆる公共事業中心、大企業中心のいわゆる景気対策ということでは景気はよくならないと、こういう立場の人まで言っているわけですから、大臣や局長答弁でその景気対策が大変成果を上げておると、こういうような事実はそうではないということを明らかにしておるものと考えるわけでありますが、これらの人たちの、こういう立場の人たちの所得税減税、こういうことに対して大蔵大臣はどのようにこれを評価をされますか、見解をお聞かせいただきたいと思います。
  55. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 景気を着実に回復するのに、私は減税をするということも決してそれは間違ったことではないと、これも非常な有効なことであろうと思います。だけれども、いろんなことを比較検討いたしてみますと、それよりも公共事業を、これをやっていくという方が波及効果が大きいということが数字の上にあらわれてきておるわけでございますが、その数字については私はいまここに覚えておりません。そこで、そういったようなことにつきまして企画庁からひとつお答えを願いたいと思います。
  56. 岩田幸基

    政府委員(岩田幸基君) 財政の波及効果についての数字でございますけれども、もちろんこれはモデルとかによりまして若干数字は、人によって、計算方法によって違ってまいりますけれども、ごく大ざっぱな数字で申しますと、一つは需要をふやす効果、乗数効果でございますが、これは個人消費の減税による場合は〇・七ぐらいと言われております。つまり〇・二ぐらいは貯蓄に回ってしまうわけでございます。それに対しまして、財政の場合はそれの二倍程度というのが一般的な数字でございます。  それからなお、もう一つは、生産力効果と言っておりますが、つまり生産をふやす効果でございますが、現在の不況は、御承知のように主として生産財部門——鉄とか化学とか、そういう部門の不況が著しいわけでございますけれども財政投資の場合はそうした部門を中心に生産をふやす効果が二・一以上と言われております。それに対しまして個人消費の場合は、御承知のように、繊維とかサービスとかというものに回る部分が多いために、生産力をふやす効果は一・五程度であろうということで、まあ生産力効果から見ましても需要効果から見ましても、財政投資の方が今日の段階では効果が大きいということかと思います。
  57. 大塚喬

    大塚喬君 福田総理も衆議院の予算委員会、これは十月の十七日でありますが、五十三年度予算編成、これに当たって景気のてこ入れが必要である、そしてその内容は、依然としていまお答えいただいた答弁と同じように、所得税減税よりは公共事業の方が効果があると、こういう言明をされておるわけであります。しかし、この財政運営の姿勢は、政府が相変わらずこの四十九年度以降の大企業の対応、そしてこれに対する御認識がどうも十分でない、そしてその内容というのは大企業べったりと、こういう景気回復策、そしてそのことが財界の皆さん方からも効果が上がらないという、こういう指摘にもかかわらず、私は依然として政府がそういう従来型の景気回復策を続けると、こういうことに大変憤りを持ち、遺憾に存ずるものであります。少なくとも五十三年度は従来の経過から十分にこれを検討をいただければ、所得税減税あるいは個人消費の拡大、国民本位の景気対策財政運営の方向を百八十度転換すべきであると、こう考えるわけであります。  そのことに関連をして、また突っ込んで、いわゆる中期税制改正の問題について質問を続けたいと思います。  この税制調査会の答申、この中で一つ大きな問題点は、一般消費税の創設についてであります。この一般消費税の問題について作業部会が設置されたのは八月の末であったと思います。この作業を続けられておりますときに、答申提出の直前、九月三十日に、福田総理は首相官邸で開かれた国民生活審議会の席上、五十三年度の一般消費税導入の見送りを示唆したわけであります。一体これはどういうことなんだろうと本気になって考えたわけでありますが、これは一般消費税の導入を前提とし、さらにこれを見送ると、こういう意味がこの中に入っておると、率直にそのまま受けとめたわけでありますが、税制調査会の答申以前に福田総理が一般消費税の導入を独断で表明したり、こういうことについて、税の新設については税制調査会を無視した総理の独断は一体これでいいのか、許されるのかと、こういうことを考えるわけでありますが、この事実関係について大蔵大臣からひとつ説明をいただきたいと思います。
  58. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) この間の税制調査会における中期税制についての答申でございますが、これより先に福田総理が、一般消費税については断念をしたというようにお受け取りになっておるようでございますけれども、そういうことでなくて、この一般消費税についてはタイミングをよく考えて、そしてこれをやっぱり前向きに考えていくと、こういう話をされたことであって、これはやめるんだと言ったようには私は受け取っておりません。それをやめたというふうにお考えになるのはちょっと私とは違うんです。よろしゅうございますか。
  59. 大塚喬

    大塚喬君 私は、答申が十月四日に出されておるわけですね。その前に、答申が出る前に、幾ら総理大臣だからといって、九月三十日にそういう入れるのか、入れないのか——いま大蔵大臣のあれでは、導入を断念したと、こういうことではないという説明でしたが、期日を追っていきますというと、そういう事実関係が出てくるものですから、幾ら総理大臣でもと、こういう感じがしたものですから、初めにお尋ねをいたしました。  それで、一般消費税の問題についてお尋ねをいたしますが、一般消費税ということになりますと、製造業者から卸業者、小売業者、こういう手を経て消費者に商品が渡るまでの間に次々に課税をされていく、そうして、結局はそれが消費者に転嫁される、こうなろうと思うわけであります。で、去る九月三日策定されました総合経済対策の物価安定条項、これと一般消費税の導入というのは矛盾はしませんか。矛盾するのではないですか。大蔵大臣いかがですか。
  60. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 一般に消費税と申しますと、いまおっしゃられたような一般消費税、これはどうやらEC型の付加価値税を意味されておろうかと思います。消費税と申しますと、ある卸売なら卸売、あるいは小売なら小売、そこの単段階において課税をするというような方式だとか、いまのEC型の方式だとか、それからまた、税に税がかかる、ある物品について税をかける、それが転々としていくときにこれが税込みのそういったような価格に対して税がかかる、これは税に税がかかるということでございますね。こういうのを累積課税と言うんだな、そういったようなものだとか、いろいろの方式がこれあるわけでございますが、そういったようなことにつきましては、目下のところ最もいい方式でもって、もしやるということに相なりますればこれを実行しようと、こういうことに考えておりますが、いまおっしゃられたような私はEC型の付加価値税というものを、これを否定しようというつもりも何にもありませんけれども、どういったような方式でいくかというところまではいまのところ決まっていないと。やるといたしましてもですね。  それから、そういうことは物価に非常な関係があるじゃないかと。それは確かに消費税というものは、結局はこれは消費者に転嫁していくべきものでございますので、これは創設いたしましたときには確かにその税分が物価を上げるというような作用をいたしますけれども、普通、物価が上がるということは、去年もこれだけ上がった、来年もこれだけ上がったというふうに物価が上がるということでございますが、いまこの一般消費税による物価の上がりということを言われますけれども、これは一回きりそのときに上がるということで、他の物価の上がるということとは大分趣を異にしております。しかし、全然物価に関係はないというものではございません。
  61. 大塚喬

    大塚喬君 いまの答弁で、一般消費税の導入、その方式は幾つかあるだろうと思うわけですが、この消費税の導入ということは、逆進性ということについてはこれは重大な問題が残るわけであります。つまり、高所得者もそれから低所得者も同じ負担をする、こういうことになって、低所得者に不利な税制になることは間違いないわけであります。で、この点がやっぱり一般消費税の導入ということで国民生活に、物価が上がる、それから逆進性の税制を導入すると、こういうことで悪影響、悪評判、こういうものは、この一般消費税の導入ということではどうしても避けられません。いまの大臣のお答えを聞きますと、どうもやや導入という、その意図が強いようにお聞きをしたわけでありますが、これは五十三年度どうするお考えですか。導入するお考えですか、導入を断念するお考えですか、どうですか。
  62. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) この一般消費税につきましては、税制調査会が将来の日本の国の財政考え、また日本は、これから国家が福祉サービスなどというものについて充実していくということになりますと、五十三年度とはあえて申しておりませんけれども、中期において何とか租税負担の増高というものを考えなければならぬ。その租税負担の増高を考えると、まあ、税の中には一般に一番ポピュラーなものは所得税だと思います。その他のものも、法人税だとか、あるいはその他、個々の間接税といったようなものがありますけれども、将来財政需要を満たしてそうして健全財政に持っていくと、そのためには相当の額の租税負担を頼りにしなければならぬと、そのときに、いまの現行税制の中では、所得税を除いてそれほど大きな税金を期待するということはできないと、それじゃひとつ所得税にしわを寄せるということも——もっとも所得税は、世界のいろんな国の税に比べまして日本は低いと言われておりますけれども、しかしわれわれは、じゃ所得税に大きな重みをかけていくということはこれは必ずしも適当じゃないんじゃないかと、それならどうすりゃいいかということで税制調査会が考えられたのがこの一般消費税と。日本の国におきましては、消費に対して、ほかの国々に比べましてあんまり負担をかけていないというようなこともあり、そこでひとつこの一般消費税を、これを考えまして、一体所得税を増税するか、あるいはこの一般消費税に重荷をかけるか、これはひとつ厳正に選択をしなければならないと。その選択は、国会なりあるいは国民の皆さんなりにひとつしてもらおうというようなこと。  それともう一つは、これは何も来年これをやっていこうと、しかし、来年断念すると、やらないということには決まっておりません。そこで、中期の税制調査会が答申によって提言しました、きわめて広範なる税につきましては、五十三年度以降、各年度における日本の国の経済の実情、また財政の内情といったようなもの、これを考えましてそうしてこれを実施する、実施に移していきたいと、こういうふうに言っておるわけでございます。  そこで、これに対しまして、いまおっしゃられました逆進性をどうするんだと、こういう御意見でございます。なるほど租税の中では、所得税というのは、御案内のとおり、高額所得者には累進の税率がかけられておるということに比べまして、消費税は、これはもう非常に負担力の弱い者も負担力の強い者ももう一律に比例税率でもってかけていくと、こういうことになっておるからこれは非常な逆進性じゃないかと、こういうふうに言われておりますけれども、それは租税体系の中で一番理想的なものは私は所得税だと思いますよ。だけれども、その所得税だけ増税をいたしまして財政需要を満たすわけにはいかないというので、まあ非常にやっかいなことでございますけれども日本の国の税体系は大変複雑でございまして、あるいは法人税だとかあるいは物品税だとか、あるいはその他の種々雑多の税がございます。これはやっぱり所得税だけでもってやっていけないから、これを補完するためにそういったような税があるんだと、かように私は考えております。  そこで、いまの逆進性による不公平ということは、これらの税が総合的に作用してそうしてそのいわゆる逆進性であるということだとこれは考えなければなりませんけれども、租税の公平性ということは、そういったようないろいろな税体系におきまして総合的に考えて逆進性がそれほど逆進性ではないと、総合的な姿において私は考えるべきものであるといかように考えますので、ことにまた、もし一般消費税につきまして何から何まで拾い上げてこれに課税をするということではなくて、食料品その他のわれわれ生活のために基礎的な商品といったようなものについては、これは一般消費税の課税対象に取り上げるというようなことは考えておりません。さような意味におきまして、これは逆進性があるから絶対にいけないんだということは、少し私は税としてそこまでこれを攻撃するのはいかがなものかと、かように考えます。ただし、いつやるかということにつきましては、これはやがてまた税制調査会が開かれますが、そこで検討をしていただきまして決めてまいりたいと、かように考えております。
  63. 大塚喬

    大塚喬君 言葉のあやで消費税導入ということがごまかされるというか、もうあれされては私は大変困ると思います。  いまも話が出ました中期税制改正の税制調査会の答申、この提出の際に、一般消費税の導入に当たっては国民に十分な理解を求めることが必要であると、こういうことも述べられておるわけです。いまのような答弁でこの消費税の導入ということに国民の十分な理解が得られるとお考えになるのかどうか。  それから、これを実施するためには、医師優遇税制など不公正税制の是正や歳出の節減合理化が必要であると、こういうことも指摘されておるわけであります。国民の声として、一般消費税の創設、そういうことよりは不公正税制是正の方が先だと、優先させるべきだと、こういう声が圧倒的に強いわけであります。この問題について、政府は不公正税制の実態、これをどのようにとらえてどのように是正をする方針であるのか、大蔵大臣から答弁をいただきたいと思います。
  64. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) まず第一点の、一般消費税を実施するに当たっては国民の了解を求めなければならないと、私はそのとおりに考えております。だから、一番国民の了解ということは、国会の議事におきまして審議をしてもらって、そしてこれに対して賛否の御意見を闘わしていただくということが、まあいまの日本の国家体制におきましてはこれが国民に対する御理解をということでございますが、それとは別に、大蔵省といたしましては税務署その他の機関もございますし、そういうようなところを、また中央からも全国に動員をいたしまして、そしてこの一般消費税というものについての御理解を求める。一体、所得税と一般消費税とどっちがいいかというようなことについても参考のために御意見を伺うと、まあこういうことをやっております。  それから、そういうことをやる先にどうしたって不公平税制の是正をやるのが先決じゃないかと、こういう御意見でございますけれども、私もそれに対しては全面的に御同意を申し上げる次第です。税は国民に負担をかける仕事でございまするから、何と申しましてもそれが不公平であるというようなことでは、国民が、喜んでというわけじゃありませんが、その負担に応じてくれないということはおっしゃるとおりであります。さような意味におきましてどうしても不公平な税制というものは是正していかなければならない。  ただ、不公平税制というのはどんなものだろうということについては、必ずしも意見が統一されていないということもございます。そこで、不公平税制というものはどんなものかということを、これを私どもも一生懸命に考えてみたんです。御案内のとおり、税制には、税というものはそもそも国民に負担をかけて、そうして税金を納めてもらうものでございますけれども、しかしながら、それをやっていくために、まあそれで結構でございますが、国の政策というものが別にあるわけなんです。ある政策をひとつこの際実行しようと、こういうような場合に、非常にその政策がそのときにおいて、その時点においてどうしてもこれが大事な政策である、何とかしてこれを実施したいというような場合には、その税にちょっと遠慮をしてもらいまして、税が国民からの負担を徴収するということをちょっと妥協してもらって、遠慮をしてもらって、この政策は大事なんだと、この政策を遂行するためには、それに関する税を、これを少し軽減するというような意味におきまして、いわゆる政策減税というものが行われておるわけなんです。これが世に言う私は租税特別措置だと思います。  ところが、一たんそういうような措置をとりますと、もうすでに政策目的というものは達成してしまった後々までも、この妥協と申しますか、その納税者は、そういったような租税特別措置を長く続けてもらいたいという要望がございます。で、私どもは今日までもそういうことをしさいに点検いたしまして、もうすでに役割りが終わったといったような租税特別措置に対しましては、もうこれは全力を挙げまして整理をしてまいったのでございますけれども、さらにいまやそれが非常に大事なことであるということになっておりますので、どうしてもそういったような税——租税特別措置という名において非常に不当な得をしておるという税が、いまの租税体系にはないことはございません、これはあります、それは。非常にそれに対して国民の怨嗟の的になっておるような税制が必ずしも私はないとは思いません。そういったようなものにつきましては、これはどうしても是正をしていくということが大事なことでございまして、全く御意見と同感でございます。
  65. 大塚喬

    大塚喬君 その不公正税制の是正と、それから消費税導入、これはまだ論議か尽くされておらないという感じもいたしますが、この問題は近く大蔵委員会に戻ってひとつ十分に論議をさせていただくと、こういうことで、ひとつ大臣に消費税導入を断念していただくように、あるいは無期限にこの導入を延期していただくように強く要望して質問を次に進めたいと思います。  それでは総合経済対策効果についてお尋ねをいたします。総合経済対策は、去る九月三日の経済対策閣僚会議で決定をされ、その財源である五十二年度補正予算が成立しない時点で、すなわち去る九月二十四日ワシントンで開かれた第九回IMF暫定委員会において、早くも総合経済対策効果に疑問が持たれ、日本に対する不満が強いものであったということを承知いたしております。これについて政府は、大蔵大臣はどのように受けとめておるか。率直に、簡単で結構ですから、ひとつお聞かせいただきたい。
  66. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私も先般のIMFの会議には出席をいたしたものでございますが、日本総合経済対策につきましては、これは非常に評価をしてもらいました。日本が一生懸命にやっておるということについては評価をしてもらったんです。しかし、その総合経済対策によって十分目的が達成できるかどうかということについてはそれはいろいろと御意見がありましたが、私も、この対策によって日本が、かつて福田総理がロンドン・サミットで申し上げました六・七%というものはこれは実施できるように考えておりますということを申し上げましたが、やはりそれに対しましてはいろいろ疑点等については私は批判を受けたということを率直に申し上げます。
  67. 大塚喬

    大塚喬君 円高の問題ですが、ことしになって都合四回円高を経験しておるわけであります。で、少なくとも今回の異常な円高、これはアメリカの対日経済戦略の中で生じたものであると、大方の見方がこのように一致をしておるわけでありますが、と申しますことは、米国としては円切り上げを要求したことなどは全くないと、市場の実勢だと、こういう言葉もあるわけでありますが、今回の円高がブルメンソール財務長官発言、米国の大手市中銀行、すなわちモルガン・ギャランティー・トラストの円の選択的切り上げ、これの提唱をきっかけにして始まったわけであります。で、毎日の円相場が例外なくニューヨーク、ロンドン、東京、こういう順に高くなってきておるわけであります。これは明らかにニューヨーク市場の主導の円切り上げである、このことは大蔵大臣お認めになりますか。
  68. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) この円高の問題でございますが、最近のこの円高というものが大変に目に見えて円高になっておるということは、これはもう皆さんがごらんになっておるとおりでございます。だけれども、その基本を考えてみますと、これはそれまでに九月に世界の市況が円高を示しておりましたが、その後一進一退をたどりながら今日までやってきたわけなんです。その間におきまして、まあいまおっしゃられたような、これはやっぱり相場の形成でございまするから思惑もあったでしょう。それからブルメンソール長官のあの不用意な言葉も影響したでしょう。影響したでしょうが、その基調はやはり日本のこの輸出と申しますか、それが非常に勢力が強いと、これに対しまして、半面におきましてアメリカの将来の輸入超過といったようなことに基づくドル安というようなことが予想されておりました。そういうことからついに今日のこの円高ということになったのでございまして、アメリカが主導して、そして各国が手をつないで戦略的に日本の円を追い上げておるというようなことは私はないと思います。
  69. 大塚喬

    大塚喬君 そういうとらえ方でいいものかどうか疑問です。で、このことは、アメリカ政府アメリカの金融機関と密接な連携プレーで円の単独切り上げを演出していると、こう見ることが正しいんじゃないですか。それから米国の対日経済戦略の目的は、日本の大幅な経常収支黒字を圧縮させることで、内需拡大と各種輸入制限の緩和撤廃による輸入増大、それから集中豪雨的な輸出の抑制及び円レートの実質切り上げを柱としておる、こういう見方があるわけですが、ここらのところは大蔵大臣としてももう少しやっぱりそのものずばり事態の正視をいただいて、その認識が誤られると大変なことになるのではないかと、こう考えるわけですが、大蔵大臣いかがですか。
  70. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いずれにいたしましても、これは円が非常に高いと、ますます黒字がたまるということにつきましては、私どもといたしましてはこれは本当に注目しながら警戒していかにゃならぬということは考えております。さればこそ総合経済対策だあるいは対外対策だといったようなものを樹立すると、そして国内における需要を刺激していくと、国内から外に対する輸出圧力というものをこれを減殺していくということを考え、かつまた今日、東京ラウンドに先立ちまして、ひとつ日本の輸入関税というものをこれを下げていこうというようなことを考えておりまして、これに対する対処方法は精いっぱいのことは考えておるわけでございますが、これがどうもアメリカからの連携作戦によってこういうことになったというふうには私は考えておりません。
  71. 大塚喬

    大塚喬君 そうすると、円高については、大蔵大臣としてはこの円の選択的調整にアメリカ当局は関与をしておらないと、こうはっきり断定をされるわけですか。どうなんですここは。
  72. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いまの円高に対しまして、これは円を追い上げるというようなことについてアメリカが介入と申しますか、関与と申しますか、さようなことはしていないというふうに考えております。
  73. 大塚喬

    大塚喬君 言葉でなくて真実そうなんですか。円高の原因をどのようにそれでは大蔵大臣としてはとらえられておるんですか。多国籍企業の関与、こういうことだけでこの円高というのは現在招来されておるのか、アメリカ政府当局がこれに関与しておるとお考えになるのか、率直にひとつここのところはお聞かせいただきたいと思います。
  74. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 基本的には、先ほど申し上げましたとおり、やっぱり日本の輸出の強調、強いこと、アメリカの赤字がだんだんふえていくということによるものでございますけれども、これに対しましてやっぱり相場の形成でございまするから、そこであるいは投機だとか思惑だとかといったようなものがないとは私は考えません。しかし、それをやっておるのはアメリカの政治がやっておる、政治の指示によってやっておる、そういうことはないと私は思います。
  75. 大塚喬

    大塚喬君 しかし、現実には円高傾向はますます強くなって、昨日は二百五十円と、こういう事態が起きております。ドルの全面安、こういう見方も出てくるわけでありますが、このまま推移しますと、ごく近いうちに二百四十円、こういう時代も来るのではないかとまあ考えるわけでありますが、これについて日銀が円買い投機に積極的に介入をしておると、こういう報道をしばしば見かけるわけであります。政府としてこの措置を現在どうとっておって、その具体的な内容は、額も含めていただいてぜひお願いしたいんですが、今年度になって四回の円高という事態にどう対処をされてきたのか、ひとつ率直にお聞かせをいただきたいと思います。
  76. 旦弘昌

    政府委員(旦弘昌君) 数字のことでもございますので答弁さしていただきますが、昨日は、先生おっしゃいましたとおり、一ドル二百五十円八十五銭で引けたわけでございます。けさの寄りつきは二百四十九円八十銭で寄りつきましたけれども、先ほど前場が閉じたところでは、再び二百五十円を上回って終わり値になっております。  ただいま介入のことにつきまして御質問ございましたけれども、従来とも政府方針といたしましては、基本的には為替レートは市場の実勢に任せる、しかし、市場の相場に乱高下がありましたときにはこれに介入をもって対処するという方針でまいっておるところであります。年初来幾ら何回介入したかということにつきましては、これは各国ともそういうようなことを発表いたしておりませんし、またそういうことを発表いたしますことによって為替相場に悪い影響も考えられますので、その点は御容赦いただきたいと思います。
  77. 大塚喬

    大塚喬君 結局ツケはどこかへ回ってこなくちゃなりませんね。そういうことでしょう。そうすると、こういうことを放置しておいて、円買い投機に対して大蔵大臣としてほうっておく、——速やかに外交措置をとるなりして、これらの問題に対する適切な措置があってしかるべきだと、まあこう考えるわけでありますし、円為替相場の安定を一体大蔵大臣としてどのようにするお考えなのか、そこらのところもひとつお聞かせいただきたいと思います。
  78. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いまのこの円相場につきましておまえ放置しておくのか、こういうお話でございますか、直接相場形成に対しましては、フロート下の相場形成に対しましては、これは普通、介入は線を引いてそこの線で保とうとか、あるいはその線に近づけようとかといったようなことは考えません。しかし、先ほども申しましたとおり、対外経済政策だとかいろんな手段を講じまして、そうしてこれを安定さしていこうということは考えますけれども、フロート下の相場形成に対して直接介入をしていこうということは考えておりません。だからおまえ放置しておくのかい、こういうようなことのお話でございますが、これは日本の政策としていろんなことを考えておるということを申し上げておきます。
  79. 大塚喬

    大塚喬君 時間がなくなりましたので、最後に質問をいたしますが、いわゆる総合経済対策で、円高ドル安ということに関連をして、物価安定、物価引き下げというこういう立場から、何としても納得できない問題があります。  一つは輸入牛肉について、これらの利ざやが大変国民にはその取り扱いが憤激を引き起こしておるわけであります。輸入牛肉については七月二十五日以後七・四%の値下げを徹底させると、こういうことになっておりますが、特に九月以降の円高、こういうことになりますと、この七・四%自体も問題があります。まことにこの取り扱いについては不徹底であると言わざるを得ません。値下げ率の増加や販売日の日常化、それからこの利がやの五団体に対する大変な、まあ不当と私は考えるわけでありますが、これらを徹底をして正す、こういうことについて、経済企画庁長官と、それから農林大臣がおいでになっておりませんからその代理から、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。どうするのか。  それからチルドビーフに関しても、どうもいろいろ問題があります。  それからもう一つは、めがねフレームの問題、円高差益の典型とも言われるめがねフレームの問題、五千二円で輸入をして、そしてそれが五十一年から五十二年六月にかけて、調査によりますと下がっておる、にもかかわらず、小売価格が同じ期間三万七千四百九十円、これは明らかに七倍以上の価格で売られておるわけであります。検眼料とか何かそういうこともあるということも聞いておりますが、これらの問題は、政府の物価対策に対する無関心、こういうことにもつながる問題でありますし、この円高という問題に対してとるべき措置としてはもう一考も二考も三考もする、こういう問題であろうと思うものですから、これらに関連して関係の省庁から、それぞれひとつ御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  80. 大場敏彦

    政府委員(大場敏彦君) 牛肉の問題につきまして私からお答えいたします。  この問題については、畜産物価格安定法に基づきまして、輸入牛肉は、国内の価格安定帯というものをつくっているわけでありますが、それとリンクして輸入牛肉の放出を取り扱っているということであります。具体的に申し上げますれば、事業団が輸入牛肉のほとんどを取り扱っておりますが、それを海外で、いわば一言で言いますれば相場で買ってきて、そしてそれを国内の安定帯の中の時価で流り渡す、こういった方式をとっております。  フローズン牛肉とチルド牛肉とあるわけでありますけれども、フローズン牛肉につきましてはそういった形で売っておりますから、その結果、内外の価格差が調整金という形で事業団に保留される。それを生産振興あるいは流通の合理化、消費の増進という形で使っているわけであります。しかし、御指摘になりましたチルド牛肉につきましては、いわばなまものでございまして、事業団が一たん買って、そしてしばらく保管しておいてそれを放出すると、こういった形がとれませんので、あらかじめ輸入業者と国内の事業者との間に物の流れが決まっている、その間に事業団が介在いたしまして、固定的な形で、調整金をオンした形で販売する、こういった形であります。いわばフローズンが結果として調整金の額が決まる、フロートするというような調整金に対しまして、随意契約で取引をせざるを得ないチルド牛肉につきましては固定的な形で対応している。その関係で、一たん決めました後現地価格が下がったり、あるいは為替相場の変動によりましてわれわれが見込んでおりますものよりも変動が出てくるということは、これは否定できない事実であります。そういった場合に、私どもといたしましては、事業団の売り渡し価格が下がりますから、売り渡し価格に従って小売価格も下げなさいと、こういった指導をしております。  それから同時に、さらに激しくやはり海外の相場が下がり、あるいは円高がこれに相乗されるという場合には、事業団の目安価格——目安価格をつくっておりますから、末端の目安価格を。その目安価格を下げるというような措置も講じて末端の価格の引き下げを図っております。しかし、余りにその格差というものがひどい場合には、これはやはり一物二価という原則は働きませんから、プライベートなセクターで利権物資として利ざやがかせがれてしまうということにもなりかねません。また、そういう批判も非常に強いわけであります。そういう意味で、それは調整金の改定という措置をとるという形もあるわけであります。そういう意味で、先ごろ七月末に七・四%の末端価格の引き下げということを図ったわけでありますけれども、その後さらに円高効果が出てきているということで、今後どうするかにつきましてはさらに検討いたしたいと思います。思いますが、円高の落ちつきぐあいがどうなるかということと、それから一方、現地価格が最近少し上がってきております。そういったことをにらみ合わせながらもうしばらく検討していきたい。いずれにいたしましても、小売の目安価格につきましては固定的に考える必要はありません。随時やはり海外の相場の変動に応じて見直しはしていきたい、かように思っておるわけであります。
  81. 藤原一郎

    政府委員(藤原一郎君) めがねフレームにつきましてお答え申し上げます。  めがねフレームにつきましては、六月時点での企画庁の調査におきましては、西ドイツ製品がマルク建てでありましたこと、またこの間にマルク建て輸入価格の値上げが行われたというふうなことから、CIFの価格の値下がりが約二・九%程度でございました。この時点で小売価格は据え置かれたわけでございますが、マルクの相場の先行きが不明でありましたこと、あるいは先ほど先生お示しのように、小売価格には加工料とかいわゆる検眼料というふうなものが含まれているというふうなことのために、小売価格に占めますところの輸入価格の割合が小さいと。あるいは輸入品につきましては非常に高級品が多くて、国産品との競合というものが少ないというふうないろいろな事情によるものと思われるわけでございます。  その後、九月、十月時点でさらに円高になったことの影響につきましては、目下のところ調査をまだいたしておりませんが、輸入の約三分の二は西ドイツ製でございまして、その大部分はマルク建てであると推定されますので、輸入価格の低下率というものは余り大きくないものと考えられます。でございますが、企画庁調査の結果も踏まえまして、すでに流通業者の団体に対しましては、輸入品価格低下の効果を国内消費者価格に反映するため適切な措置をとるよう要請を行っているところでございまして、今後とも必要に応じ適正な対応を図ってまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
  82. 大塚喬

    大塚喬君 質問ではなくて要望を申し上げます。  円高ということの事態の中で、その利益が国民生活に還元されるように、そして、このことが物価安定にやっぱり効果が出ますように、関係機関で最大のひとつ努力をお願いいたしたい。いろいろ質問がたくさんあるんですが、時間の関係でここで終わりにいたしますが、ひとつ私の要望を速やかにとっていただけますようお願いをして、私の質問を終わります。
  83. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) それでは、午後三時三十分に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩      —————・—————    午後三時三十五分開会   〔理事大塚喬委員長席に着く〕
  84. 大塚喬

    ○理事(大塚喬君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十九年度決算外二件を議題とし、総括質問を続けます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  85. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 大蔵大臣お尋ねをいたしますが、   〔理事大塚喬君退席、委員長着席〕 私は、拘束預金の問題についてお伺いをいたします。  不況下で資金繰りが厳しい中小零細企業は、毎月約千五百件を数える倒産が後を絶たない状態のようであります。本来ならば銀行や信用金庫などの金融機関は、不況克服のために真っ先に政府の意向を受けて、安い金利で運転資金を提供して、企業活動の活発化を後押ししなければならない立場でありますのに、現実には、不況で資金繰りが厳しい中で困っている中小零細企業の弱い立場につけ込んで、歩積み両建て、にらみ預金などの拘束預金を強要をして、零細企業から暴利を吸い上げるという強い批判の声が起こっているのは事実でございます。これら金融機関の横暴は、大蔵省昭和三十九年以来の数多い通達にもかかわらず一向に改まらず、中小零細企業の経営はますますピンチに追い込まれているのが実情でございます。なぜ大蔵省の威令が行われないでこの通達が守られないのか。そしてまた、拘束預金の実態をどのように大臣は把握していらっしゃるのか、お答え願いたいと思います。
  86. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 金融機関が、その借り手に対しまして、自分の優位なる地位を利用いたしまして不当に預金をさせたりするということは、これは許されることではないと思います。このため大蔵省といたしましては、そういったようなことに対しまして厳重なる警告をし、また抜き打ちの検査をすると。また、そういうようなことのあった場合には、銀行の責任者に対して、係のところまでこれに対して責任をとらせるというような方法をとってまいっておりますが、現在そういったような歩積み両建てとかあるいはにらみ預金とかいったようなものはどういったような現状にあるかということにつきましては、事務当局から御説明をいたさせます。
  87. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、現在のような不況下にありまして、中小企業に対しまして意に反して預金を拘束するということはまことに遺憾なことでございまして、大蔵省としても、先生の御指摘のとおり、これに厳しく指導を重ねておるところでございます。  その現状でございますが、先生御承知のとおり、このいわゆる両建て歩積み預金には、狭義の拘束預金と、広義、広い意味での拘束預金と両方あるわけでございます。この狭い意味での拘束預金は、銀行が正式の手続をとりまして預金を担保に取っている預金、あるいは、正式に担保を取らないまでも担保を取るのに必要な手続を全部そろえてある預金、これを指すわけでございますが、この狭義の拘束性預金は比較的整理の状況が良好でございまして、貸し出しに対する比率は、三十九年五月におきましては二二・三%にあったわけでございますけれども、ことしの五月におきましては三・九%にまで低下しているわけでございます。  しかしながら、問題はもう一つの広義の拘束預金でございます。これはいま申し上げましたように、銀行が正式の手続をとっていない、つまり、銀行側から言わせれば形の上では拘束していませんという預金でありながら、借り手の中小企業の側から見るとこれを引き出すことができないと思っている預金でございます。これはいわゆるにらみ預金と称するものでございますけれども、先ほど申し上げました狭義の、狭い意味での拘束性預金は金利措置をとっておりまして、それに見合う貸し出しはほとんど金利差がなくなっているわけでございます。そういう意味で実質金利は高くなっていないわけでございますけれども、このいわゆるにらみ預金につきましては金利措置がとっていないわけでございまして、これに見合う貸し出しは預金をかなり上回る金利をとっているわけでございます。この意味で、ある意味では狭義の拘束預金よりも好ましくないわけでございます。これの比率が現在一〇%ないし一五%あるわけでございまして、現在はこのいわゆるにらみ預金をいかに整理するかということに全力を注いでいるわけでございます。
  88. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いま大臣の方で抜き打ち検査というようなお話がありましたが、私たちが聞くところによりますと、その抜き打ちが本当の意味の抜き打ちになっていないような検査の実態であるようであります。そういうことではこういうような広い意味の拘束預金の把握というのは非常に困難ではないかと、こういうふうに思われてならないわけでございますが、現在、公正取引委員会の方で昭和四十一年から、五月期と十一月期に年二回、定期のこういうような拘束預金のことに関しまして調査をしていらっしゃるようでございますが、その調査結果はどのような状態になっておるのか。そして最近の拘束預金の潜行状態といいますか、手口が相当知能的になっておるそうでございますが、その傾向等についてお伺いしたいと思います。
  89. 樋口嘉重

    説明員(樋口嘉重君) お答えいたします。  公正取引委員会では、ただいま先生昭和四十一年と仰せられましたけれども、実は昭和三十九年以来、毎年二回、中小企業者を対象にいたしましてアンケート調査の方法によりまして拘束預金の実態の把握に努めている次第でございます。毎年二回と申しますのは、調査時点は五月末と十一月末ということでございますので、いささか古くなりますが、いまのところまとまっておりますのは昨年の十一月末現在のものでございます。その調査結果を申し上げますと、借入金の総合計額に対します拘束預金の総合計額の比率、これを私ども拘束預金比率と申しておりますが、それを明確な手続をとった拘束預金、狭義の拘束預金と言っております。その比率は、昨年の十一月末現在二・五%と非常に低い数字になっております。それからにらみ預金と申しますか、事実上の拘束預金の比率は一三・九%という数字でございます。その両者を合わせました広義の拘束預金と申しますのは一六・四%ということになっております。これをそれぞれ過去の調査時点のものと比較いたしますと、狭義の拘束預金はこの調査を開始して以来ずっと低下の傾向にございます。事実上の拘束預金につきましては、この数年間ほぼ横ばいと、こういうような状況にございます。そして広義の拘束預金はその両者の和でございますが、大体少しずつではありますが減少するというような傾向になっております。  私どものアンケート調査の結果は大体以上のとおりでございますが、先生のお尋ねのございました、最近拘束預金の手口か巧妙化しているのではないかというようなお話でございましたが、拘束預金のそういうような実態につきましては、まことに恐縮でございますが、現在のところ個々にそういうことを把握しておりません。そういうようなことで、ここではちょっとお答えしかねるということでございますので、何とぞ御了承いただきたいと思います。
  90. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 公取まで最近の状態が把握しかねておるというようなことで、非常に頼りないような感じがいたしますが、最近私の方の党の関係で、広島県の方と鹿児島県の方の傾向を若干参考までに申し上げておきたいと思いますが、広島県議会の方で問題になりましたのでは、これは独自の調査をいたしまして、広島県下の三百六十二社のうち、中小零細企業の中で無作為に抽出をして拘束預金の実態を調査したわけでございますが、借り入れのある企業は三百六十二社のうちに九〇・三%の三百二十七社になると。そのうちで歩積み預金、両建て預金、にらみ預金などの広義の意味で預金を拘束されている企業が二百四社、六二・四%もあったという事実が判明をしております。特に零細企業が取引先としておる信用組合あるいは信用金庫にこの傾向が非常に多いという事実も指摘をされておるわけでございます。この拘束預金は金融機関が当然視しておるということが地方の方では非常な傾向のようでございます。ですから、大蔵省の自粛通達というのも私は無視をされておる傾向があって実効が上がってないんじゃないかと。当然拘束をするのがあたりまえだというような感じを大分こういうような信用組合とか信用金庫の幹部の方々はお持ちのようでございます。  鹿児島県でも、最近相談を受けたことは、拘束預金をこの不況下にされて非常に困っていると。われわれが文句を言えば金を貸してくれないので泣き寝入りをさせざるを得ないと。だから表立っていろいろと申し上げることはできないので非常に困っておるけれども、これは何とかしてもらわないと困ると、こういうようなことがございました。  一例を申し上げますと、五百万円の手形の割引を頼んだところが、約三百万円の歩積みを強要されたとか、あるいは七百五十万円借りて三百万円の定期の両建てをさせられたとか、五百五十万円借りて三百七十万円の定期両建てをさせられたとか、こういうような例があったようであります。中には信用保証協会の保証を取りつけておるにかかわらず、なおこういうような金融機関が、債権の保全のためというようなそういうような感じを持つわけでございますが、やはり拘束預金を強要したという、そういう実例もあるわけでございますが、こういうような金融機関の、特に中央ではなくて地方の方の状態を大蔵大臣は多分私は実態を把握してないんじゃないかと、こういうふうに思われてならないわけでございますが、いまここに私が持っておるこの紙片には、ある金庫の正式の文書でございますが、「拘束性預金に関するご通知」というのが来ております。あなたのところはこれだけは拘束をしてあるんですからと、こういうような文書まで出しておるというところは、私は当然というふうな考え方をこういう金融機関が持っておるんじゃないか。そういうふうに借りた方の企業の方々もおっしゃっております。こういう点について大臣はどういう御所見をお持ちになり、そして地方の方のこういうような信用組合とか、信用金庫とか、こういうようなところの拘束預金のあり方についての是正ですね、どういうふうに処置をされようとされますか。お答え願いたいと思います。
  91. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 拘束預金につきましては、私はただいま財政当局でございますが、仮に私がそういうことでない、ただの第三者というような立場に立ちましても、これはきわめて不愉快なことであり、かつまたそういうことはあってはならない、こういうふうに考えます。いわんや無理に拘束預金をさせられるという人の立場に立ってみますと、とにかくお金を借りたい、借りたいから非常に立場が弱い、そこにつけ込んでそういったようなことをあえてやるということにつきましては、これは当局といたしましては、でき得る限りさようなことのないように指導もし、監督もしということで、今後ともきめ細かいこれに対する対策を立てて、それを実施してまいりたい、かように考えております。
  92. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 先ほどもちょっと触れたんですが、大臣が抜き打ち検査をやっておる、こういうようにおっしゃいましたけれども、聞くところによりますと、先ほども申し上げたとおり、いつ行くぞとか、そういうことを事前に連絡をするようなそういうようなやり方が多いように聞いております。そういうことでは抜き打ちにならないわけでございますので、特にいま私が御指摘申し上げた、こういうようなところはひとつ実質抜き打ちに、いまおっしゃったとおりきめの細かいそういうようなことをやっていただいて、非常な貧乏県でございますから、鹿児島というところは。ひとつちゃんとした手を打っていただくようにお願いしたいと思いますが、その点の決意をひとつお伺いしたいと思います。
  93. 徳田博美

    政府委員(徳田博美君) 大臣の御答弁の前に、事務的にちょっと御説明申し上げたいと思いますが、両建て歩積みの検査につきましては、従来、五月と十一月に金融機関から報告をとっておりましたので、その報告の内容が真実であるかどうかということを検査する意味で従来臨店検査をしていたわけでございます。その場合には、報告がすでにとってあるわけでございますから、したがって、これについてのバックデータを用意しておけという意味で事前に通告して検査しておったわけでございますけれども、今度の八月以後実施しております検査は、そのような事前の通告の検査と違いまして、本当の抜き打ち検査でございまして、全く事前の予告なしに各支店に行きまして、もちろん任意検査ではございますけれども、場合によっては行員その他の机の引き出しの中まで洗いまして検査をしているわけでございます。  それからもう一つの点、先ほど先生の御指摘になりました拘束預金の通知でございますが、これは先ほど御説明申し上げましたにらみ預金的なものをむしろなくすための一つの手当てでございまして、はっきり手続をとって、あなたの預金のうち拘束しているのはこれだけでございますと、したがって、これ以外の預金は自由にお使いになって結構でございますということを念のために通知しているわけでございまして、むしろそれ以外の預金は自由にお使いになっていただいて結構でございます、そちらの方に重点があるわけでございます。
  94. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 あなた、善意にそのように解釈をしておりますけれども、当事者たちはにらみ預金のことを言っておるわけですから、そこらあたりは的確にひとつ把握していただかないと、こういうような拘束預金の是正は私はできないと思いますので、その点はひとつしっかりやっていただかないとならぬと思います。  次は、公益法人の問題について、まず総理府総務長官にお尋ねをしておきますか、いままで公益法人のあり方についてということで、過去、予算委員会とかあるいは決算委員会で、いろいろ組織とか運営の面で何回も問題になったようでありますけれども、依然として改善された跡が見えないようであることは非常に残念でございます。  そこで、まず長官お尋ねしたいことは、公益法人の設立の目的、それから法人設立の許可基準、そして公益法人の公益性ということについて、基本的な考え方についてお伺いをいたしたいと思います。
  95. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 過去の経違からまず申し上げますと、昭和四十六年十二月に、行政管理庁の方から「公益法人の指導監督に関する行政監察結果に基づく勧告」、こういうのが出てまいりました。その勧告に基づきまして、各省庁が共同いたしまして公益法人監督事務連絡協議会というものを昭和四十六年につくりました。この処務は総理府が担当をいたしております。この協議会におきまして、昭和四十八年に公益法人の設立許可審査基準等について申し合わせを行ったわけでありますが、この基準では、公益法人の設立は積極的に不特定多数のものの利益の実現を目的とするものでなければ許可しないということにいたしております。各主務官庁は、この線に沿って設立審査を行っておるところでございます。  なお、公益法人の公益性につきましては、一般的にも営利を目的とせず、また特定のものの利益を図るものではない、社会全般の利益、すなわち不特定多数のものの利益を図る、このように解されております。
  96. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 時間の関係もございますので、端的に質問をいたしますが、これは科学技術庁にお尋ねをいたします。  社団法人海洋開発技術研究所という法人がございますが、これはどういう法人なのか、その設立の由来と、初代からの代表者、事業内容についてお聞かせを願いたいと思います。
  97. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 先生御質問の社団法人海洋開発技術研究所でございますが、これは当初昭和四十四年七月に水中技術振興協会という名前で社団法人として設立されたものでございます。で、その後昭和四十八年に海洋開発技術研究所と名称を変更いたしまして今日に至っております。その目的といたしましては、海洋開発技術の振興あるいは海洋技術の普及ということで海洋開発に寄与することということでございますが、当初そういった普及あるいは振興ということで発足いたしまして、途中で海洋学校の事業をあわせ行いまして今日に至っておるわけでございますが、昨年不渡りを出しまして、銀行取引停止というようなことで財政的に行き詰まりまして今日に至っておるところでございます。  また、先生御質問の役員でございますが、当初設立されました水中技術振興協会は、会長としまして小宮山重四郎先生が会長をしておられました。その後、先ほど申し上げました四十八年八月、海洋開発技術研究所と名前を変えましたときに小宮山重四郎先生は名誉会長に引かれまして、猿渡理事長という方が理事長を務めておられます。その後理事がいろいろ変化いたして交代いたしておりますが、名誉会長であられました小宮山先生は、昨年五十一年の一月でございましたか、辞任をしておられまして、現在の役員は理事長が高瀬氏、副理事長が秋根氏、専務理事尾野氏、事務局長松野氏、常務理事天田氏、ほか十九名、監事は今井氏、関氏ということでございます。
  98. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 この水中技術振興協会というのは、たしかいま局長昭和四十四年の七月に結成されたと、こういうふうにおっしゃっていますが、この海洋開発技術研究所の概要という説明書には四十六年七月となっておりますが、そこらあたりはどうなっておりますか。
  99. 園山重道

    政府委員(園山重道君) これは四十六年七月、確かにこのパンフレットに四十六年七月となっておりますが、これは間違いでございまして、四十四年七月に水中技術振興協会ということで設立されております。
  100. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そうしますと、四十四、四十五、四十六、四十七年のこの四ヵ年の会長は小宮山重四郎さんという方だったというわけですね。
  101. 園山重道

    政府委員(園山重道君) そのとおりでございます。
  102. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 これは、同姓同名ということがございますので確認をしておきますが、この小宮山重四郎さんという方は、いまの郵政大臣のこの方と名前が一緒ですが、関係はどうなんでしょうか。
  103. 園山重道

    政府委員(園山重道君) いまの小宮山先生だということでございます。
  104. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 じゃ、いまの郵政大臣の小宮山さんが、四十四年から設立当時の会長で、責任者であって、そして約四年間会長をお務めになって、それから四十八年の八月に名誉会長におなりになって、四年目の五十一年の二月におやめになったと、こういうふうに確認をしていいですか。
  105. 園山重道

    政府委員(園山重道君) そのとおりでございます。
  106. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 では、この法人の海洋開発技術研究所とさっきおっしゃったこの研究所が海洋開発技術学校を経営しておりますけれども、この学校は専門学校の認可を受けておるんでしょうか。
  107. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 認可を受けているものではないと理解しております。
  108. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いまおっしゃったとおり、私も聞くところによりますと、専門学校の資格はなかったようで、また資格をとるために鹿児島県に申請を出したらしいんですが、県では、施設の内容、教授陣の陣容とか、あるいはカリキュラム等のあらゆる面で不適格であり、問題にならない、資格の対象にもならないと突っ返したとも言われております。この学校の内容について、どういうような船舶を持って、職員は幾らで、何人ぐらいの生徒をどういうような内容で教育をするのか、お知らせ願いたいと思います。
  109. 園山重道

    政府委員(園山重道君) この御質問の学校の授業につきましては、当初この法人とは別に日本海洋技術という組織がございまして、ここが学校を経営しておったと聞いております。これが昭和四十八年でございますが、それまで深海潜水学校と称しておりましたのが海洋開発技術学校と名称を変更いたしまして甑島に移転をしたと聞いておりますが、その後、学校の経営が行き詰まりまして、その甑島における学校運営が五十年度にはできなくなっておりまして、これをこの社団法人の海洋開発技術研究所が昭和五十年に編入いたしまして、昭和五十一年度一年間につきましては甑島でこの学校を運営したと聞いております。この五十一年度におきまして、私の聞いておりますところでは、約十名の学生を卒業させたということで、その後五十二年度につきましても継続の意思がございましたが、当初申し上げましたように、五十一年度途中で財政的に行き詰まりまして、現在は学校授業は行っていないと、このように承知いたしております。
  110. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 この海洋開発技術学校の校長と、それから海洋開発技術研究所との役員の関係といいますか、私が承知しておる中では、そこの研究所の役員が校長になっていらっしゃるように承知しておりますが、まあ、言いますと、一体不離な状態の学校と研究所の関係であったように聞いておりますが、その点はいかがでしょうか。
  111. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 先ほど申し上げましたように、五十年八月にこの社団法人がこの海洋開発技術学校を編入いたしております。で、現在その校長は、社団法人の秋根副理事長が担当いたしておる、こう聞いております。
  112. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 あなたは昭和五十年とおっしゃいますけれども、五十一年でしたか。昭和四十八年ごろすでに鹿児島県の桜島でオーシャンパークという施設を開いておりますが、そのときの看板を見ても、社団法人海洋開発技術研究所、そうして、その下の方に海洋開発技術学校と、こういうふうに掲載をされて、一体のものであると、こういうふうに認識を与え、また役員の方々も、たしかその当時の猿渡さんは理事長のはずでありますが、その点はいかがですか。
  113. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 確かに御指摘のように、その当時猿渡理事長か、この学校の方をやっておりますところの日本海洋技術株式会社であるとか、これの代表取締役をやっておったと承知しております。
  114. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そうなりますと、先ほど申されたことはちょっと舌足らずといいますか、調査不十分とか、そういう感じを受けるわけでございますが、そこでお聞きしますが、じゃ、この学校はどういうような募集の要領で、入学金とか、そういうような内容は把握していらっしゃるか。
  115. 園山重道

    政府委員(園山重道君) ただいま手元にございますのは五十年度及び五十一年度に使ったパンフレットでございますが、海洋開発技術学校ということで、募集につきましては、入学金十三万円、授業料につきましては年間十万円、月額一万円、実習費十五万円、寮費十万円ということで、年間合計四十八万円というようなことで募集をいたしておるパンフレットを入手しております。
  116. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 あなたが確かにお手にお持ちのものは私も持っておりますが、これは同じパンフレットをずっとよけい刷っておって、そうして中身を張りかえて年度使っておるような入学の案内でございますが、本当に甑島に行って実態を見てと、この入学案内を見ての所感としては、もう天地雲泥の差でございます。一ページをあけてみますと、この下の方には物すごいりっぱな校舎が出ておりますが、これは将来の完成予定図とも何とも書いてないのですよ。こんな学校があるように載せてあるわけですね。そうしてまた上の方には、これが本当の実態のやつで、小屋が一つあるだけです。これが海洋開発技術学校の全貌でございますが、下の方に、入学者に希望を与えるような、こういうような夢みたいな図が載せられてある。そうして、あらゆる写真等が載せられて、非常に青少年はこれによって希望をふくらませて受験をしておるわけでございますが、この中で、ここに海洋実習船春風丸百四十七トンとありますが、これは本当に海洋技術学校の所有なのか、あるいはまた研究所の所有なのか、どこの所有なのか、船籍はどこなのか、そういう点はどういうふうになっていますか。
  117. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 先生御指摘のように、非常に将来の理想のような絵がかいてございまして、実態が非常に追いついてないと申しますか、実態はむしろ失敗したと申しますか、という現状であることは確かであると私ども考えております。  また、先生御質問の春風丸につきましては、私どもも最近いろいろ調べてみたわけでございますが、その船籍は、先ほど申し上げました日本海洋技術株式会社というところの船籍になっておる、こう理解しております。
  118. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いまちょっとお話し申し上げてもわかるとおり、この入学案内は非常に誇大宣伝といいますかね、そして先ほどお話がありました郵政大臣の顔写真まで載っておるんですから。こういうようなことで青少年を惑わかして志願をさして、そしていまでは廃校同然である。行ってみたところが、この絵にかいたような学校はなくて、プレハブの、屋根はスレートの、そういうやつでふいた本当に小屋みたいな、物置みたいなものがぽつんとあるだけ、こういうことで生徒は大変に失望をして、そしてこんなところにおったって将来の希望を持てないといって途中で退学して、大体この計画によりますと、五十名定員になっておるようでございますけれども、十数名しか残らない。学校の生徒に教える先生というのは、去年生徒だった人が先生をやる。ああいうような潜水具という、ちょっと失敗したらもう事生命に関するような器材の扱いも、本当に習熟しておるかどうかわからぬような方が、先生の、そういうような資格でやっておる。こういうことで生徒はほとんど逃げ帰ったような状態になっております。そしてまた、この実習船というのもこの学校の所有ではなくて、いま言われた日本海洋開発技術株式会社の船籍であるのをまるで自分のところみたいにこういうふうに載せる、こういうふうなことがだんだんわかりまして、いまではこの小屋も全部建設業者とか債権者に差し押さえ仮処分をされておるというふうに聞いております。潜水具の実習のこういう器具も全部売却をされておるということを聞いておりますけれども、ここらあたりの事実関係はどのようなふうに把握していらっしゃいますか。
  119. 園山重道

    政府委員(園山重道君) ただいま御指摘のとおり、五十一年度におきまして、先ほど十名と申しましたが、十五名でございますが、卒業生を出しまして、さらに五十二年度につきましてもその募集を行うというような動きでございました。私どもといたしましては、昨年来財政事情か行き詰まっておりますし、ただいま御指摘のようないろいろな問題もございますので、学校に対する生徒の募集につきましてはこれを見合わせるようにということを四月に文書で指導いたしております。  いま御指摘の現在の甑島の施設でございますが、先生御指摘のように若干の建物がございます。またいろいろ器材等も買ったようでございますが、先ほど申し上げました昨年の九月でございましたか、不渡りを出しまして、それ以来いろいろ立ち行かなくなりまして、器材等について債権者に返すとか、あるいは債権者が持っていくというような事態になっておる、こう聞いております。
  120. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 いままでのいろんな質問の中から、結局あなたのところで的確に把握をしていらっしゃれば、生徒さん方も、ほとんどが民間会社に勤めておったりして、こういう特殊な技術を身につけていこうということでそういうところも退社をして、やめて、なけなしの金を入学金として払い込んで入学をされた方々がこういうような始末に遭わされたということはこれは大変なことだと思います。いまもって就職ができないで困っていらっしゃる方々もいらっしゃるというふうに聞いております。あなたのところはたしか法人関係は六十ぐらい所管をしていらっしゃると思いますが、まあほかのところからしますと、六十といいますと数的には非常に少ないんじゃないかと思いますが、ちょっと皆さん方が監督指導しておられたら、五十年、五十一年度で、こういうような実体がない、器具から学校のいろんなそういうことからないものを、なぜこういうりっぱな、不動産じゃありませんが、誇大宣伝をして日本全国から募集をするようなことを許しておったか、こういうことに私はなろうと思いますが、監督官庁としての科学技術庁はどういうふうにお考えですか。
  121. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 確かに先生御指摘のように、科技庁は、この法人の監督官庁といたしましてこういう事態になっておりますことまことに遺憾なことであると考えております。この法人が学校を吸収いたしまして、学校の経営に対しての意欲というものは相当程度前向きのものがあったという気がいたしますけれども、何分にもこの法人全体の運営につきましてきわめて経営が放漫、ずさんなところがあってこのような事態に立ち至ったと理解をいたしておりますので、今後十分にこういった法人の監督につきましては気をつけていかなければならないと思っておるところでございます。
  122. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 六十ぐらいの本当に行政監察局が監察をした公益法人の月報がありますけれども、ここでいろいろ指摘をし、また申し合わせになっておる事項では、やはり監督指導の専任者を置くべきであるという所感もあるようでございます。あるいはまた抜き打ちの検査をすべきであるというそういう指摘もございますけれども、そういうことがやられてなかったことによってこういうような問題が私は起こってきたと思います。その点については今後どのような対処をされるおつもりか、お聞かせ願いたいと思います。
  123. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 御指摘のように、科学技術庁といたしましては現在五十九の公益法人の監督の立場にあるわけでございます。公益法人につきましての監督につきましては、立入検査を含めまして毎年各種の事業報告、収支決算等の詳細な検討といったことを中心に行っているわけでございます。私どもといたしましても、昨年来特にこの法人がただいま御指摘のような問題を起こしておるということで、これを一つの契機といたしまして、将来におきましてもこの法人の監督の対応につきましていろいろ改善を図っておるところでございます。今後ともこの立入検査を定期的に行うということをきちんと励行いたしますとともに、あるいは関係法令に基づきます指導監督の強化ということを各広い範囲で検討いたしまして、今後の監督体制の整備に遺憾のないようにしてい・きたいと考えております。
  124. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 まあ局長はそういうふうにおっしゃいますけれども、あなた方が本当に真剣に——この問題は後からまた展開していきますが、上甑村の農地だった干拓地をいろんなことで農地を勝手に売り飛ばし、四ヘクタールですよ、そしてそこを埋め立てをして、休耕田の補償をもらっておりながら、それを雑種地というようなことで地目を変えまして売買をさして、そこにこの学校を誘致をしておるわけでございますけれども、まあ本当に農家の方々もだまされた、生徒さん方もだまされた、こういうようなことで非常に公益という面からは問題のある社団法人でございますが、これがいまあなたがおっしゃったとおりのことが本当に強い指導がしてあれば、私はこういうことは言わないと思うんですが、というのは、十月の十七日にこの公益法人の海洋開発技術研究所の東京本社に私は電話をしてみました。そうしましたら、甑島の方では廃校も同然、もう廃校を仮処分をされて器具も何もないと、そういうような状態で、ただ家屋だけがぽつんと建っておるような状態でございまして、生徒も全然おらないと、そういう状態で失敗しておりながら、来年は——来年ですよ、神奈川県の三浦半島で開校いたしますと言うんですよ。そういうことになりますと、あなた方のその強烈な指導というのは、まあ平易な言葉で言うと、なめられておるということ以外私は言えないと思いますが、その点はどうお考えですか。またこういうようなことを神奈川県の三浦半島でやったら、もう今度はあらゆる地域の方々がまた犠牲になるわけでございますが、この点について、こういう開校するという意思があるということを把握をされたことはないと思いますけれども、その点も含めて御答弁願いたいと思います。
  125. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 確かにこの公益法人の監督のやり方につきましては、民法に基づいた監督になるわけでございますけれども、役員の任免等にタッチできないという限界がございます。したがいまして、一つの限界はございますけれども、私どもはこの法人が昨年不渡りを出しまして財政的に行き詰まり、なかなか再建ができないという事態を重視いたしまして、昨年の秋以来十回にわたりまして文書をもって厳しい指導をいたしておるところでございますし、また最近に至りましては、なかなか再建のめども立たないという状態等を考えまして、民法に定められておりますところの破産宣告の申請をするようにということを厳しく求めておるところでございます。したがいまして、先生御質問のような、三浦半島で開校するというようなことは私ども全然聞いたことはございませんし、またそのようなことができる状態ではないのではないかと、こう思っておるところでございます。
  126. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私も、後でわかることでございますが、相当何億という負債を持ったこういうような法人が、またできやせぬと思いますけれども、誇大広告をする習癖のある法人でございますから、またそういうようなことで、まあ過去にもあなた方の科学技術庁の下の外郭みたいなことを言っていろいろ惑わかしたというような、そういうこともあるやに聞いておりますから、そういう点からすると相当御注意をされぬと私はいかぬと思いますので、その点も触れたわけでございます。  今度は、学校からその母体である研究所の方にまた移しましてお聞きをいたしますが、この法人の事業報告というのを私は四十七年、四十八、四十九、五十年、この年のやつを見せていただきましたが、その中で収支決算書とともに、相当民間企業から受託事業というものを受けておるようでございます。特殊な技術にしましても、余りにも収益率が高過ぎるということで非常に驚いておるわけでございますが、この受託事業はどのようになっているのか。そしてまた、このような公益法人というものが、こういう主たる事業を——ほかにはほとんどございませんが、この事業で莫大な利益を得ているということは、これは設置基準から逸脱をしておるんじゃないか。公益法人という民法上の収益を得ないということがございますので、そこらあたりはどういうふうにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  127. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 御指摘のように五十年度でございますが、事業報告におきまして四件、総額約二千七百万円の受託があったという旨が記載されておりますけれども、私どもが問題発生いたしましてからことしの春以降二回にわたりまして立入検査をいたしまして調査いたしましたところ、どうもこの記載は真実でないというふうに考えられますので、研究所に対しまして訂正をするよう強く求めておるところでございます。  なお、この立入検査の際、本件だけでなく、いろいろと書類が不備でございますので、全般的にこの事業報告等についての訂正をいま求めておるところでございます。  また、御質問の収益を——まあただいま申し上げましたように、この受託につきましてはその内容がどうもあやふやでございますけれども、収益を上げるということ自体につきましては、必ずしもこの公益法人は全く収益を上げてはいけないということではないと思っておりますが、その態様、並びに全体の事業の中でのどのくらいの収益的な事業が比率を占めるかという問題であるかと考えております。
  128. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そうなりますと、いままでのこの公益法人海洋開発技術研究所の収支決算報告と事業報告というのは偽りの報告であったということが最近わかったということに確認してよろしいですか。
  129. 園山重道

    政府委員(園山重道君) そのとおりでございます。
  130. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 まあ、そのとおりだとおっしゃって、私も後こうあいた口がふさがらないような思いがしますが、こういうような、皆さん方のところにも虚偽の報告をするような——報告を義務づけられておりながら、そういう受託事業のそれこそ細かい数字まで入れておるわけでございますけれども、やっておるということは、受託した人も大変に迷惑でございます、してもないことを。これはもう本当に厳しく指導をし、後からいろんな処置もお願いをしたいと思います。  次は、桜島の方にオーシャンパーク、海洋開発普及センターというのを昭和四十九年につくっておるようでございますが、もう桜島というところはこれは観光施設の一端としてつくっておるところでございまして、しかし、あの収支報告を見ますと、いまうそだとおっしゃいましたのでもう信頼ができないわけでございますが、物すごい多額な入場料が上がっておるわけでございますけれども、この四十九年、五十年、五十一年度、入場料、乗船料、雑収入、どれだけオーシャンパークの方であったのか、それもまたうそなのか、そこらあたりをはっきりさしていただきたいと思います。
  131. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 御指摘のように、四十九年、五十年に、四十九年には約三百五十七万円、五十年度には一千五十六万円の入場料金収入があったということが書かれてございますが、先ほど申し上げましたような状態にかんがみまして、これにつきましても十分調査をして再度正確な数字を出すように求めておるところでございます。
  132. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 この次の問題も、これはまた質問をする価値がないような感じがしますが、やはり根拠はこの事業報告と収支決算報告で私はやるわけでございますけれども、このオーシャンパークが、昭和五十年事業報告並びに決算書、これから見ますと、施設、設備、営業権というのを昭和五十年十二月二十日に日本海洋技術株式会社に一億三千五百万円で売買をしておりますけれども、オーシャンパークというのを見ても、これは土地は桜島農協でございます。で、建物は桜島町の所有でございますし、あそこの中を見て、一億三千五百万円に相当するような価値のあるものはないようでありますけれども、これは町の土地とか建物をまさか売ったんじゃないと思うんですが、そこらあたりはどうなっておるのか。また、桜島町にこの収支決算報告をする——一億三千五百万のものを、日本海洋技術株式会社にオーシャンパークから売りましたということは町の人たちは全然知らないわけでございますが、どうして町の了解なんかもとらなかったものか、そういうところを押さえておられるかどうか。また日本海洋技術株式会社というのは一体どんな会社なのか、科学技術庁はどのように把握をしていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。
  133. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 私どもも先生御指摘のようなことが記載されておることを承知いたしておりますけれども、これにつきましても裏づけとなる資料帳簿等がきわめて不備でございますので、この辺について十分正確な報告をするように求めているところでございます。  なお、日本海洋技術株式会社でございますが、これは代表といたしまして高橋、尾野、松野、久野という人たちが名を連ねておりまして、業務内容といたしまして、ただいまの桜島海洋開発普及センターの運営、サルベージ等ということでございますが、事実上倒産と申しますか、休眠しているというふうに理解しております。
  134. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 私が調査をしたところでは、この日本海洋技術株式会社というのは、最近研究所の本社は三、四月ごろ移っておりますけれども、それまでは中央区の京橋相互ビルの七階の同じところにあった同会社と言えばいいような会社であるようでございます。で、登記簿を見てみても、海洋開発技術研究所の副理事長、専務、常務理事、こういう方々が全部役員でございます。ということになりますと、これは公益法人の税制上の特典を利用し、またこれを隠れみのとしたトンネル会社をつくっている。オーシャンパークという桜島支所の財産をこのトンネル会社に売ったようなかっこうでつじつまを合わして、実態は何をしておったかわからぬような、そういうような収支決算があなたのところに出されておると、このように疑惑を持たざるを得ないわけでありますが、その点はいかがでしょうか。
  135. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 確かに先生御指摘のような可能性と申しますか、がございますので、私どもは、先ほど申し上げましたように、いろいろ帳簿資料等によりまして調査をいたすべく指導しておるところでございます。  ただ、この海洋技術株式会社となりますと、これはいわゆる一般の株式会社でございますので、公益法人ということではございませんので、ここに私どもの監督権限を及ぼすということは直接的にはできないということでございます。
  136. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 桜島町にオーシャンパークを開設をするときに、このオーシャンパークの開設の準備作業に、実習名目ということで海洋開発技術学校の生徒を営利目的にこの研究所は使ったということで、鹿児島労働基準局が調査をした事実があるように聞いておるんですが、それは真実ですか。
  137. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 私も当時の新聞記事におきまして、先生御指摘のような調査が行われた、あるいは行われるという記事を読みましたが、これにつきましては、調べましたが調査は行われていないということに理解しております。
  138. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 また、公益法人海洋開発技術研究所は多額な債務を抱えて昭和五十一年十月には不渡りを出した。現在銀行の借り入れ、当座取引も停止処分を受けている、従業員の給与も不払いまで起きているということを聞いておりますか、それは事実なのかどうか。聞くところによると、相当な負債を背負っておるという話を聞いておりますが、あなたの方の調査の範囲で結構でございますが、大体どういう内容になっておるか、お聞かせを願いたいと思います。
  139. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 先生御指摘のとおり、昨年の五十一年の九月に不渡り手形を出しまして、十月に銀行取引停止ということになっております。私どもは、先ほど申し上げましたように、その後二回の立入検査を含めまして厳重にその内容、実体の調査並びにこれに対しての法人側の考え方等をただしておるわけでございますが、私どもの把握しておるところでは、不渡り事故発生当時の負債額は約二億六千万、これは社団側の申しておるところでございますけれども、なお社団側はその後この物品での返済等で減っておる、二億六千万から減っておるということを申しておりますが、何分にも、先ほどから申し上げておりますように、帳簿類その他がきわめて不備でございますので、正確にはその金額を把握できないでいるところでございます。なお、御質問の職員の給料等につきましても、昨年十月以降ほとんど支払われていないというように聞いております。
  140. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そのほかに、桜島町のオーシャンパークの土地代、建物の賃借料も払っていかなければならないわけでございますが、これの支払いも二ヵ年度滞納されておるという話も聞いております。それから上甑の村の方にも土地の賃借料と、いうのが滞納になっておるように聞いておりますが、それは事実ですか。
  141. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 御指摘のとおりでございます。
  142. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 また仄聞するところ、ある不動産会社にこの研究所は告発をされておるという話も聞いておりますが、その点はいかがでしょうか。
  143. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 不動産会社から告発しているという話は聞いておりますが、正確なところは把握いたしておりません。
  144. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 先ほどからいろいろ質疑の中で申し上げましたとおり、この学校と研究所というのが、結局生徒数を見ても、この学校は学校の実体をなしておりませんし、またオーシャンパークにしましても、いろいろな点で日本海洋技術株式会社というトンネル会社の問題、こういうことも含めまして、これは何らかを目的にして、本当に海洋開発ということを、私は大事なそういう仕事だと思いますが、これが正当に育成され発展をしていけばこれはもう大変な力になると思いますけれども、こういうような大事な仕事が何らかの目的に使われておるような疑惑がどうしても払拭できないわけでございます。聞くところによると、不良手形も二億円以上   〔委員長退席、理事大塚喬君着席〕 抱え込んでおるという話も聞いておりますが、その点はいかがでしょうか。
  145. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 確かに相当な手形が出されているように見えるわけでございます。正確には、前々申し上げますように、帳簿等が整備されておりませんので把握しかねているところでございます。  なお私どもも、きわめてこの公益法人としてまことに異例な事態でございますし、これが先生御指摘のような、いかなる理由によってあるいはまた何らの意図によってこういう事態に達したかということがきわめて理解できないところで、鋭意立入検査等を含めまして調べておるところでございますが、一向にこれが、いわゆる経営の放漫というところはまことに明瞭なんでございますが、何のためにとかいうことが特段に浮かんできているということではございません。
  146. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 次は、この用地の関係で農林省の方にちょっとお伺いをしますが、この海洋開発技術研究所の学校、海洋開発技術学校のある建物が現在建設されているところは、鹿児島県薩摩郡上甑村瀬上浦底というところの土地でありますが、この土地はたしか干拓田で、昭和四十六年、四十七年には米の生産調整休耕奨励金の交付を受けている水田であったはずでございますが、事実でございますでしょうか。事実とすれば、その休耕田の補償金というのは四十六年は幾ら、四十七年は幾らと、それについてお聞かせ願いたいと思います。
  147. 森整治

    政府委員(森整治君) 御指摘のように、県の報告によりますと、四十六年度と四十七年度の二ヵ年にわたりまして、米生産調整休耕奨励金が支払われておると聞いております。四十六年度は三百アールを対象といたしまして五十七万一千二百円、四十七年度も同様の額が支払われておるというふうに聞いております。
  148. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そうなりますと、これはたんぼであったというふうに確認してよろしいですか。
  149. 森整治

    政府委員(森整治君) 当然たんぼであって、そこで休耕の奨励金が支払われたというふうに理解をいたしております。
  150. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 そうなりますと、村も、また村の農業委員会も、県も国も、農地であり、水田であると言う。広さはいまお話があったとおりたしか三ヘクタール、休耕田の対象としてはもらっておるようでありますが、本当の実面積は四ヘクタールでございますので、そうなりますと、農地転用ということになりますと農林大臣の許可が必要でございますが、この許可は出ておりますでしょうか。
  151. 森整治

    政府委員(森整治君) 転用の許可が出ておるかどうかという御質問でございますが、恐らく出ているというふうな理解はしておりません。まあ土地が現況農地でありますれば、当然許可の対象になるということでございますが、ただ問題は、四十六年、七年、休耕奨励金が出ておる。その後は、その次の年は出ていないようでございます。ですから、いつの時点で農地の転用があったのかというところあたりが、実は私ども詳細に承知をしておらないというのが現状でございます。
  152. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 これは農地転用の申請は出ておりません。そういう転用されないで、地目を雑種地ということで登録をしてしまってそうして売買をしたという、そういう経緯になっておるようでございまして、問題はここで——もう時間かございませんので、いつか法務省にはこの問題を徹底的にたださなければならないと思いますが、この地目の設定に非常に不可解な問題があったということだけはこの委員会指摘をしておきたいと思います。  そこでもう最後になりますか、結局この社団法人海洋開発技術研究所が、そういうような地目の設定までごまかしてと私たちは言いたいそういう状態で売買がなぜされたかと言いますと、この技術開発研究所が、先ほどもありましたとおり、誇大広告の習癖がある社会法人であったと思いますが、この上甑という過疎の村に、大学、四年制の課程の学校を持ってくる、六百名ぐらいの生徒が来るんだと、学校の施設は約十六億を投入するんだと、こういうことがございましたので、過疎に悩む村当局も飛びついて、そして今日のこういういろんな問題が起こってきたわけでございます。いまになりますと、村民と村長との間で告訴問題にまで発展をしておりますが、いま村長も村民の側に立って、研究所の方に土地をもとに原形復旧して返せと、こういう状態になっておりますが、村議会のある議員なんかは、もう六百名も人口がふえると、魚も売れる、野菜も売れる、大変な有利な点が出てくるんだからというようなことで、あらゆるところに説得をして、無理やりに売買をさせるようなかっこうをとって、そしていろんな点で捏造した書類等で地目の設定がなされたというふうで、土地改良区の土地を戻してくれと、大半の方々はそういうふうに言っておるわけでございます。ところがいま質問の過程でわかったとおり、もう全然インチキで、廃校同然で生徒はおらない、こういうような状態になってしまったわけでございますが、そこで土地を戻すという、いま告訴の状態になってしまっておるわけでございますけれども、この問題についてやはり因果関係からしますと、その社団法人は確かに悪いわけでございますが、監督官庁の科学技術庁がしっかりしておれば、こういうようなことは起こさなかったと思います。しかも、南の一番貧乏県の鹿児島の桜島町と上甑村に、敷地料も払わなければ、そして生徒さんたちにも大変な被害を与えるというようなこの社団法人の監督不行き届きという、そして皆さんはインチキなそういう事業報告を、報告を受けて一年有余しなければわからないというようなスローモーな状態ではもうどうもならぬと思いますが、科学技術庁の方にお聞きしますが、五十一年度の事業報告とか収支決算書は出ていますか。
  153. 園山重道

    政府委員(園山重道君) まだ提出されておりません。
  154. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 まだ提出されておりませんとあなたはおっしゃいますが、先ほども厳重にやるとか、いろいろおっしゃっていますけれども、もうすでに出ておらにゃならぬのでしょう、時期的には。いかがですか。
  155. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 御指摘のとおりでございます。私どもはことしの四月でございましたか、二回の立入検査をいたしまして、きわめて帳簿その他が不備であるということから、先ほど御説明申し上げましたような、従前のものにつきましてもいろいろ疑問がございますので、根本的にこの経営のやり方あるいは必要な書類その他の整備ということを命じておるわけでございまして、したがいまして、そういったものが整備され、さかのぼっての検討調査がなされ、その上で出てこなければ収支報告、事業報告等も無意味なものだと思っておりますので、むしろ、確かに規定上収支報告等が出されるべき時期を過ぎておりますけれども、より本質的にこの法人についての指導をいたしておるところでございます。
  156. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 まあ虚偽の報告を幾らやっても仕方のないことでございますけれども、それをおとりになっても価値のないことだと思いますが、あなた方がいままでいろいろと指導された中で一番何か障害があると思うんですが、長いことこの問題でいろいろ苦労されておることも知っておりますけれども、何が一番その障害になっておるのか、総会は行われたのか、理事会もまた行われたのか、そこらあたりをお知らせ願いたいと思います。
  157. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 確かに昨年の秋以来、私どもは非常に多くの時間と手数をかけましてこの法人に対する指導検査等を行っておるわけでございますが、残念ながらはかばかしい対応、進展というものが見られない現状にございます。私どもはやはり昨年不渡り手形を出したということで、相当な債権者がおられるわけでございますので、この債権者のことを考えますと、当初、やはり財政的に再建できていくことが一番望ましいと思って見守っておったわけでございますが、現在でも理事者たちはこの再建のための努力を重ねておるということで、一向に地道な帳簿の整理その他が進んでいないということに私どもも非常に困却しておるところでございます。
  158. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 もう時間が来ましたので、あと若干お聞きいたしますが、私の聞いたところでは、やっぱり役員の中のある方が非常にがんこな人で、いまでも、私たちも聞いた中では、役員会も理事会もやってないのに、いま理事長がいらっしゃるのに、またほかの人をあっちこっち連れて回って、この人が今度理事長になりましたとか、そういうような話も聞いております。ですから、やはりこの際、所管主務官庁ですから、あなたの方できちっとした腹を持ってやはり対処されなければ、この問題はいつまでも私は片がつかぬのじゃないかと。そこで、民法の第七十条に破産の宣告、あるいはまた第七十一条に設立許可の取り消しということがございますので、そのどちらか選択をして、この公益を害するようなこと、地方自治体に損害を与え、村民に村を二分するようなそういうような争いを起こさせ、生徒に大変な迷惑を与える、そして誇大な宣伝をやっていると。こんな本も出しておるんですよ。金は持ってないくせして、こういうような「海と技術」というすばらしい本なんかを出していろいろやっておるところを見ますと、やはりここらあたりでとどめを刺しておかないと公害をまき散らすんじゃないかと、私はこういうふうに思われてならないわけでございますが、これに対処する決意はいかがですか。
  159. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 先ほどもお答え申し上げましたように、現在すでに民法の規定によりまして、理事者みずからこの破産宣告の申請を行うように、文書をもって強く求めておるところでございます。なお、先生御指摘のように、この破産宣告には、債権者による破産宣告あるいは裁判所の職権による破産宣告といった道もございます。そういったことで、先ほど申し上げましたように、債権者の動きということも見なければなりませんので、全体の推移をいま見ておるところでございますが、もう一つの取り消しということにつきましても、これが可能かどうかというようなことにつきまして法務省とも御相談をしておるところでございます。
  160. 和泉照雄

    ○和泉照雄君 最後にお聞きしておきますが、先ほどちょっと申し上げましたとおり、昭和十七年から営々と人力で干潟を干拓をしてきた土地改良区の人たちが、要するに誇大広告のこの法人にだまされて、村もだまされたようなかっこうで、土地を、農地法に違反してたんぼを埋め立てをしてしまって貸してしまったと、こういうことでいま訴訟を起こしておるわけで、農地を、たんぼを返せというようなことになっておりまして、いま争っておるわけでございます。そういうことで、これはまた、またの機会に法務省の方の地目の設定の問題と農林省の問題をいろいろと質問をしていきたいと思いますけれども、要は、起こったことは、主務官庁のあなたのところで、農林省と法務省の方のそういう問題等をねじれた糸をほどいて、そうして地域住民の農民の方々のささやかな農地を返せという、この問題を何とか解決をしていただく努力をしてもらわぬとならぬと思いますが、科学技術庁の御見解を最後にお聞かせ願いたいと思います。
  161. 園山重道

    政府委員(園山重道君) 確かに、この上甑島の方々とこの法人との間で、土地に関してのいろいろ問題が起きているということを私どもも聞きまして、この法人に対しましては、やはり公益法人たるものがまた学校というような事業を行いますときに、当然地元と十分な理解のもとに進めるべきであり、これが問題を生ずるということはまことに遺憾なことでございますので、その点については十分地元と話し合って解決をするようにということを、これまた文書による指導も含めまして行っておるところでございます。  なお、今後につきましても、先生御指摘のようないろいろな点につきまして、監督官庁といたしまして十分な努力をいたしていきたいと思っております。
  162. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、まず最近に信濃川の河川敷の問題についてお伺いいたします。  昨日の建設委員会で、建設大臣は信濃川のあの河川敷については疑惑は晴れた、こういうことで廃川敷処分の方向、これを打ち出されましたけれども、私は非常に重大な問題だというふうに思います。この問題については、衆議院の予算委員会で小委員会まで設置をいたしております。当時の三木首相も、五十年六月の十二日の参議院の予算委員会、さらには五十年十月二十九日の衆議院の予算委員会でお約束もなさっていらっしゃる問題で、問題がまだ残されているわけです。大臣はきのう、衆議院の予算委員長から了承を得ている、こう御答弁なさっていらっしゃいますけれども、小委員会の結論は出ていないはずでございます。委員会での報告書も採択もされておりません。問題は決して片づいておりませんし、当時の三木総理も、徹底的に小委員会で検討していただいて、それまでの間は処分しません、五十年の十月の二十九日の衆議院予算委員会の中で、こういうお約束をなさっていらっしゃいますけれども、このお約束とも違うはずなんです。また、この決算委員会でも、この問題、かなり徹底的に論議をされております。しかも、五十年の六月の六日には内閣に対する警告決議、これも採択いたしております。全会派一致です。そして当日の本会議でもこれが全会派一致で採択されているわけです。この委員会の理事会決定に基づいて五十一年の九月の二十四日に総理と建設大臣に申し入れ書まで出しております。こういう事実を一体建設大臣はどうお考えなのか。当時の決算委員会の審議決定を全く踏みにじっていらっしゃいますし、国会軽視も私ははなはだしいと思うわけです。当委員会の意思決定、この無視の態度、大臣は改められる、そういう態度はございませんでしょうか。そして、この決算委員会の警告申し入れ、こういうものに対してどういう態度をおとりになるおつもりでしょうか、お伺いいたします。
  163. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 六月の三日の小委員会で決議され、その後十分に審議されたと私は判断をしております。したがいまして、廃川処分は、河川区域としては存置すべきかどうかと判断して行う行政上の問題でございまして、五十年の六月の六日、決算委員会及び本会議において決議もあったので、現在まで処分を控えてきたものでございます。   〔理事大塚喬君退席、委員長着席〕 しかしながら、工事完了後六年以上を経過をし、かつ、今回地元市長から、市の発展のために公共的に利用したいので、早急に廃川処分してほしいという旨の届け出がありました。その申し出があった趣旨も十分に理解できますので、現在廃川処分にいたそうと、いま手続をせっかく進めておるところでございます。
  164. 安武洋子

    ○安武洋子君 小委員会の結論は出たんでしょうか。そして小委員会での委員会報告書も採択はされておりませんが、いかがでしょうか。
  165. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私は、小委員会がその後開かれておりませんし、今日まで長く待っておりましたが、小委員会も開かれておりませんが、十分審議を尽くされましたので、済んだことと私は解釈をいたしております。なお、この問題につきまして局長から一言申し上げたいことがありますから、ちょっとお聞き取りいただきたい。
  166. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 先ほど大臣が、長岡市長からこの利用計画について申し入れがあったと、それは十分納得できるというその内容について御説明したいと思います。  まず、その内容の正確さを期するために、長岡市と室町産業との間に交わされました覚書を朗読さしていただきたいと思います。
  167. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) ちょっと、途中だけれども局長、まだ大分長いの。
  168. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) いや、もう少しです。
  169. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 質問者から質問事項じゃないということを言っておられるから。
  170. 安武洋子

    ○安武洋子君 そんなこと質問してないのに、答弁要りませんですよ。
  171. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 経過でございますから、ポイントでございます。
  172. 安武洋子

    ○安武洋子君 いや、そんな経過聞いていません。私はそういう経過なんか一言も質問してません。
  173. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 引渡し及び……
  174. 安武洋子

    ○安武洋子君 やめてください。
  175. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 所有権移転に関する手続等ほ、別に定めるものとする。  すなわち、要点を申し上げますと、当該……
  176. 安武洋子

    ○安武洋子君 もういいです。
  177. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 当該土地……
  178. 安武洋子

    ○安武洋子君 やめてください。もういいです。
  179. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) ちょっと、ここポイントでございますから。
  180. 安武洋子

    ○安武洋子君 あなたがポイントでも、私聞いてないんですから。
  181. 栂野康行

    政府委員(栂野康行君) 当該土地の使用につきましては、いわゆる長岡市の発展のために使うという精神が第一条にうたわれておるわけでございます。それから、その土地の半分につきましては長岡市に譲渡すると。その土地代金につきましては、いわゆる室町産業が買い上げた土地代金にその後の税金等を入れた実費原価で譲り渡す。残った二分の一の土地につきましては、その利用計画については事前に長岡市長の了解を得ないと使えないという覚書を締結されて、大臣に申し入れがあった次第でございます。
  182. 安武洋子

    ○安武洋子君 私が質問もしないことに御答弁を私は要らないと思います。私はそんなことをちっとも問題にいたしておりません。私はいままでこの決算委員会の中でやられたことを申し上げて、こういうことを無視なさっていらっしゃる、国会軽視ではないか、なぜこういうことをなさるんだ、決算委員会にどうお答えになるんだということを大臣に私はお尋ねいたしております。ですから、小委員会の中で時間が経過したから審議が尽くせたと。時間が長かったら審議が尽くせたというものでないんです。決議がされていない、採択されていない、そのことにどうでしょうかということを私はお尋ねいたしました。当決算委員会についても、警告申し入れ、これをどう受けとめられるんですか。決算委員会にどう返事なさるんですか。要点だけお答えください。
  183. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 当委員会が、各種ある委員会の中でも、予算というものと相関連し、より以上の重要な性格を持っておることはよく知っております。したがいまして、当委員会の決議を決して無視はいたしておりません。
  184. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃ無視なさらないなら、少なくとも当委員会に対して正式の報告を出されるべきだと、こういうふうに思いますが、報告書をお出しになりますか。
  185. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 当委員会において、理事会がその必要性を認めて必要であるとするならば、私の方は提出をいたします。
  186. 安武洋子

    ○安武洋子君 いままでの経過の中で、この決算委員会として決算委員会の意思で警告を出しているわけです。全会派一致なんです。ですから、当委員会に対してお答えになる、で、私も、報告書をお出し願いたい、こういうことを言っているわけです。お出し願えますか。
  187. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) でございますから、当委員会の最高の機関である理事会が決定をしてそれを要求されるなら、当然出さなければならないと信じております。
  188. 安武洋子

    ○安武洋子君 委員会の決議を無視なさるんですか。私も委員の一人ですけれども、私がお出し願うのが当然でなかろうかということに対して、なぜ理事会が最高機関なんですか。委員会が最高機関ですよ。
  189. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私が申し上げているのは、委員会が必要であるというのならば委員会提出をいたします。それを決定するのは理事会でございます。でありますから、理事会が決定したものに従って、私の方は要求どおりいたします。
  190. 安武洋子

    ○安武洋子君 委員会の運営にまで大臣は口をお出しになる必要はないと思います。私はお出し願いたいと思いますし、ここで委員長にお願いをいたします。そういう文書を出すように委員会としても私は要請をしていただきたい。そして文書が出てきた時点において、この決算委員会でもこの問題についてやはり集中審議なりして意思決定が行えるように、そういうふうにお取り計らいを願いたいと思います。
  191. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 後刻の理事会で検討して処置します。
  192. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 私は決して無視しているんでも何でもございませんので、きょうも委員会でお呼びになるから私が出かけてきている。安武先生がお呼びになったんでは私は来られない。しかし、委員会というものを尊重するから本日出てきておるのであって、あなた個人が私を呼んだのでは私は出てきません。ですから、委員会中心で私は申し上げておるのでございます。
  193. 安武洋子

    ○安武洋子君 そんなこと何の関係があるんですか。  質問を変えます。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、こういう法律があるわけですけれども、この法律の目的の中には、「補助金等の交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用の防止その他補助金等に係る予算の執行並びに補助金等の交付の決定の適正化を図ることを目的とする。」と、こういうふうになっております。補助金というのは、第六条によっても、補助金の交付の申請があったときは、「補助事業等の目的及び内容が適正であるかどうか、金額の算定に誤がないかどうか等を調査し、補助金等を交付すべきものと認めたときは、すみやかに補助金等の交付の決定」を行うというふうになっているわけなんです。そこで、補助金の申請があったときは、もちろん私は補助事業の目的及び内容が適正であるかどうかという調査をやられると思いますけれども、建設大臣、いかがなんでしょうか。
  194. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) よく話はわかりまして、そのように感じております。
  195. 安武洋子

    ○安武洋子君 通産省にお伺いいたします。  産業排水の処理というのはどのように行われるべきものなんでしょうか。
  196. 松村克之

    政府委員(松村克之君) お答えいたします。  産業排水の処理につきましては、これは関係の法令によって取り締まりが行われるわけでございますけれども、通産省に関連するところを申し上げますと、一般的に申しまして、汚染者負担の原則に基づきまして、汚染者みずからがこの排水処理を行うということが原則となっておりまして、事業者の責任で水質汚濁防止法の排水基準に対応し得るよう必要な処理施設を設置するということになっております。
  197. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、産業排水の処理のみを目的として公共下水道施設を建設することがあるのかどうか、これが第一点です。それに補助金を出すようなケースが全国的にあるのかないのか、これが第二点です。そのような補助金申請が出たときに、法に基づいて目的及び内容が適切であるかどうか調査することになっておりますけれども、産業排水の処理のみを目的とした公共下水道施設に補助金を出すことは適当なのかどうか、こういう点についてお伺いいたします。
  198. 中村清

    政府委員(中村清君) お答えいたします。  産業排水の処理のみを目的とする下水道はございません。
  199. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、そういうような補助金を出すということももちろんないわけで、そしてそういう補助金申請が出るというふうなこともないと、こういうふうに承ってよろしゅうございますね。
  200. 中村清

    政府委員(中村清君) 産業排水のみの排出を目的とする下水道については補助金を出しておりません。
  201. 安武洋子

    ○安武洋子君 ところが、いま兵庫県の太子町、これは皮革排水のみを目的として公共下水道の施設が設置をされ、これに対して十八億三千三百万円の補助金が出ているわけです。兵庫県で、現在九ヵ所の皮革排水の処理のために下水施設が建設されて、一部完成して稼働して他は建設中なんです。皮革汚水のためになぜ下水道施設を設置したのか、補助金申請が出てきたときにそれを適正だと認めた根拠は何なのか。これは建設省が建設なさっていらっしゃいますので建設大臣にお伺いいたします。
  202. 中村清

    政府委員(中村清君) 事務的なことでございますから、私からお答えを申し上げます。  ただいま御指摘がございましたように、太子町の問題につきましては、確かに公共下水道ということで事業認可をいたしまして補助金を出しております。事業の具体的な中身を申し上げますと、皮革工場から出す排水、汚水ですか、これの処理もその中に含まれていることは御指摘のとおりでございますが、公共下水道全体としましては、それのみではございません。一般の家庭排水、こういったものも含めて全体で公共下水道を形づくるという仕掛けになっておるわけでございます。
  203. 安武洋子

    ○安武洋子君 太子町の太子のこの設置目的というのは、皮革排水処理、完全に皮革排水処理だけでございます。兵庫のほかの分につきましては、皮革排水、家庭下水処理とはなっておりますけれども、いま稼働中のもの、これは皮革排水、こういうふうになっているわけです。特に問題にしているのは、私が太子町のこの太子の皮革排水処理だけになぜ公共の下水道施設を設置なさったのか。これは建設省が設置をなさっていらっしゃるので、その適切と認められた根拠は何なのかを建設大臣にお伺いいたします。建設大臣、お答えください。
  204. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 技術的な面がありますから局長答弁をさせます。
  205. 安武洋子

    ○安武洋子君 いや、根本的な問題なんです。
  206. 中村清

    政府委員(中村清君) 太子町の公共下水道につきましては、御指摘になりました太子の前処理施設についてはまさにそのとおりでございますが、太子町全般の公共下水道、これは当然家庭排水の処理といった問題も考えられますので、私どもはそういう全般的な判断に立って補助をいたしております。
  207. 安武洋子

    ○安武洋子君 現在太子町に、では公共下水道が入っておりますか。
  208. 中村清

    政府委員(中村清君) 現在でき上がっておりますのは皮革の処理施設だけであるというふうに理解をしております。
  209. 安武洋子

    ○安武洋子君 太子町、龍野市、公共下水道は一メートルもございません。そこに皮革処理のみのために公共下水道の施設が設置をされている。だから特に皮革排水処理だけを目的にして——設置目的です、太子町になぜこういうものが設立されたのか、それが補助金申請が出てきたときに、それをなぜ適当と認められたのかということを、建設大臣に重ねてお伺いいたします。
  210. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 下水道の施設を行うという申請でございまして、それのみで出てきたわけではございません。そういう点について、私の方はこれに対して認可もし、そして補助もいたしました。
  211. 安武洋子

    ○安武洋子君 何度も申し上げておりますけれども、太子は皮革排水処理だけですよ、設置目的。で、いま大きく問題になっている龍野市にも太子町にも、公共下水道は一メートルも入っていないわけです。この皮革排水処理のみで公共の下水施設が出てきたのに、なぜ補助金対象になさったのか、適切と認められた根拠は何なのかを、重ねて建設大臣にお伺いいたします。
  212. 中村清

    政府委員(中村清君) 再度申し上げますが、太子町の公共下水道につきましては、四十九年の十二月に都市計画決定をいたしまして、下水道事業の認可は五十年二月にしております。この中身としましては、処理区域の面積は百二十四・三ヘクタールございまして、事業費は全部で百二十三億九千五百万ということでございますが、御指摘になっておられます太子の前処理施設、これは施設の規模としましては、全体計画では二十三億程度であるというふうに私ども理解しておりまして、先ほど申し上げました太子町公共下水道全体が百二十三億という中の一部であるということで補助金を出して現在事業を進めておる、こういうことでございます。
  213. 安武洋子

    ○安武洋子君 じゃ伺いますけれども、龍野の松原地区の前処理場、これは五十年度に完成をいたしております。これは兵庫県の県議会の予算委員会の中でも、完成して九月から動かしたいんだというふうに言っておりますけれども、現在さびついて全然動いていない。その横をこの皮革排水の濁流が流れている。しかも龍野には公共下水道なんて一メートルもない。しかも、いまこの松原地区の前処理場は、現在出る皮革汚水、この処理ができない、もう皮革汚水の方が上回っている、こういうふうになっているわけです。なぜこれが公共下水道として適切であるというふうにお認めになったんですか。
  214. 中村清

    政府委員(中村清君) まず全体の計画がございまして、そのうちの一部の施設が先行しておるというふうに御理解をいただければ結構じゃないかと思います。
  215. 安武洋子

    ○安武洋子君 それは詭弁というものです。じゃ公共下水道の計画お出しになりますか。龍野全部、太子全部のお出しになれますか。一メートルもない、そういう計画も全然ないと市当局も町当局もそう言っているわけです。これは完全に皮革汚水処理を目的として設置をされている。そして、それの補助金をお出しになっているということはどうおっしゃろうと歴然としているじゃありませんか。私はそういう詭弁を弄されるのはだめだと思います。  そして、私は聞きますけれども、じゃ完成されたのになぜ動かしにならないんですか、この松原地区は。
  216. 中村清

    政府委員(中村清君) 済みません、もう一度ちょっと。いま聞きとれなかったものですから。
  217. 安武洋子

    ○安武洋子君 松原地区は完成しているのになぜ動かされないのか。いまさびついていると。このさび落としだけでも三千万円はかかると、こう言われているんです。動かせばあの濁流、皮革汚水、あれが処理できる。上回っておりますけれども、しかしできる。なぜ動かさないんですか。補助金四十五億かかっています。
  218. 中村清

    政府委員(中村清君) 私ども直接は伺っておりませんが、間接的に聞いておりますところでは、この処理施設を動かすと非常に維持管理費がかかると。町にはなかなかその維持管理費を出すだけの財源がないということで、せっかく施設はできたんだけれどもまだ稼働ができないんだという状況であるというふうに聞いております。
  219. 安武洋子

    ○安武洋子君 一番最初に、公共下水道として適切だということで補助金をお出しになる、建った時点で全然動かす——それはもちろんそうですわね。受益者負担なんです、下水道になると。こういう小さな町に七軒の業者のためにこういう下水道処理をつくられて動くなんということは常識で考えられない。最初からわかっていることなんです。それになぜ四十五億もお出しになって、そして現在でき上がっているのをさびつかせて動かせないんですか。原因は、いまおっしゃったように、なるほど、この龍野市の中には松原、それから誉田、沢田、こういうところがあります。こういうところの管理維持費を合計しますと計八億円なんです。これに公債元利償還金年六億三千六百万円。ここの龍野市の一年間の市税収入というのが十三億円から十四億円。こんなことは当初確実に予想できていたはずなんです。なぜこういうことになったのか。一体これを動かす気が国としておありなのかどうなのか。これに対して補助金が投じられているわけですけれども、こういうことについてどうお考えなんでしょうか。
  220. 中村清

    政府委員(中村清君) 御指摘のように、施設がせっかくでき上がってまだ稼働していないという事態につきましては、まあ事情はともあれ私どもは非常に残念なことであるというふうに考えております。先ほど申し上げたような事情で施設が動かないというふうなことであるとすれば、できるだけ早く施設が稼働するように、これは兵庫県あるいは龍野市あるいは太子町、この辺によく指導したいというふうに考えております。
  221. 安武洋子

    ○安武洋子君 県と市と町とかを指導なさって動くというふうな御認識なんでしょうか。太子町の場合には、これはとってもひどいです。業者七軒。しかも、皮革汚水処理のためだけですからね。これに補助金が十八億投じられているわけですよ。この運転資金というのが一億五千万円必要なんです。これは一般会計二十億の一割に当たります。業者一社にこれを割り当てをいたしますと二千百万円。しかもこの業者といいますのは零細業者なんです。この業者が負担できるはずがない。市でも負担できない。県は県会の中で応分の負担はしたいと言っておりますけれども、県でこれだけの財政支出できるわけないわけです。指導するだけではこれ動かないじゃありませんか。下水道として設置なさったら、受益者負担というのはこれは原則になるはずなんです。受益者負担がわかっている。受益者では動かせない。県、市を指導する。県市に指導しても町にこういう財政はありません。で、県でも応分の負担をしたいと言っていても、県でもこれたけの多額のもの——太子もそうですし、龍野もそうなんです——出せるわけがない、こういうふうな状態なんです。単に指導ということでは絶対に動かないということだけははっきりいたしております。  私はここで会計検査院にお伺いいたしたいんですけれども、こういうふうな補助金の運用のされ方について会計検査院としてはどういう見解をお持ちでございましょうか。
  222. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) 公共下水施設につきましては私どもも重点的に検査を実施しているところでありますけれども、検査の対象が非常に多いという事情もありまして、兵庫県下の先生の御指摘のような現状につきましては現在十分把握しておりません。しかしながら、先生が御指摘のような事実がありますと、補助金の効果が全く発生しないという事態になりますので大変問題もあろうかと考えております。この種の問題につきましては、その原因を追求しまして今後とも十分注意して検査を進めたいと考えております。
  223. 安武洋子

    ○安武洋子君 自治省にお伺いをいたします。  こういうことを、起債を許可なさるときに承知をなさっていらっしゃいましたでしょうか。
  224. 小川平二

    国務大臣(小川平二君) これは、公共下水道の主管省でありまする建設省が補助金を決定いたしました段階で都道府県に枠で配分をしております。その枠の範囲内で知事の権限で認めたわけでございます。
  225. 安武洋子

    ○安武洋子君 ですから、知事の権限ですけれども、一応自治省としては、自治体はこういう問題を抱えるというふうなことをこのときに御承知なさっていらっしゃいましたでしょうか。
  226. 小川平二

    国務大臣(小川平二君) これは枠で配分をいたすわけでございまするから、これは枠の範囲内で都道府県が自主的に決定すべきものでございますから、その段階で恐らく自治省は承知していなかったろうと存じますが、念のため政府委員から答弁申し上げさせます。
  227. 山本悟

    政府委員(山本悟君) ただいま大臣が御答弁申し上げましたように、公共下水道関係の起債は枠配分——県単位の市町村全部合わせまして枠配分ということをいたしておりまして、建設省の補助金の決定に伴いまして知事の方において許可をするというシステムになっておりますため、一件審査じゃございませんので、個々の経営まで当時において自治省といたしましては把握いたしてない、かような状況であると存じます。
  228. 安武洋子

    ○安武洋子君 この問題は最初の出だしから間違っているわけです。しかし、いま施設が建っている。緊急にこの施設を動かして解決をしなければならないんです。  で、この一つの皮革汚染されている林田川、私も行って見てまいりましたけれども、すさまじい川です。ここは皮革の廃棄物、これを河川敷で焼いております。御存じのようにクロムを使います。六価クロムになります。その黄色いのがまる出しで、それを川の水が洗って流れているわけです。ここの林田川の皮革汚水の排出量は一日約三万トンです。普通の下水道を流れている汚水のBODでさえ一五〇から二〇〇PPmなんです。ところが、皮革排水というのは一〇〇〇PPmから一四〇〇PPm。排水口では四〇〇〇PPmなんです。SSにしては一二〇〇PPm、こういうふうなことが許されてよいものかどうか。林田川の真砂橋というところでBODは一六八・五PPmもあります。林田川と合流する揖保川の王子橋、ここは、公害基本法の第九条に基づく生活環境保全に関する環境基準のBの類型、こうされているところなんです。ここですら一五・五PPmもある。硫化水素が発生しております。この汚染河川というのは林田川だけではなくて、西播各地に及んでいるわけです。ですから、河川流域の数万人の人たちが甚大な被害を受けているんです。  これは、太子町に例をとりますと、全耕地面積の二分の一の七十町歩、これが林田川から水を引いております。だから、これは田畑が臭いというふうなことだけではなくて、窒素分が多くて茎が伸び過ぎて稲が倒伏する、こういうことにもなります。さらに揖保川に行きますと、川口の漁獲量はもう減少してしまう。八家川では船のスクリューが腐る、網のロープが半年ももたない、それからお魚、貝がいなくなって、たまに魚がとれても臭くて食べられない。学校も幼稚園も移転しているのは御存じのことと思います。住民は目ものどもだめになる。夏、ほとんどの人が気分が悪くなる。この健康調査もしております。トタン屋根はトタンがぼろぼろになる。そのなる前にペンキを塗れば、今度はせっかくペンキを塗っても屋根裏が腐ってしまう。テレビ、冷蔵庫は半年ももたないわけなんです。しかも、こういう汚濁河川が瀬戸内海を目指して流れ込んでいるわけなんです。瀬戸内海の汚染の大きな原因になっていることだけはこれは確かなんです。  で、これをどうするか。いま建設されている前処理場を動かさない限りこれは浄化はできないわけなんです。環境庁長官は、私この問題を五十二年五月二十五日に取り上げましたけれども、そのときには、「それだけの環境汚染があり、しかもそれを防止する施設がありながら、財政的な問題で動かない、汚染がずっと続いてそれだけの被害が出ているということになりましたならば、まことにこれ、ばかばかしい話でありますから、県側とも相談いたしまして、とにかく何らかの方法で、すでにでき上がっている施設が動くように鋭意検討し、努力をするつもりでございます。」と、こういう御答弁をいただきました。その後どういうふうな御努力をしていただきましたか、お伺いいたします。
  229. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) その後早速兵庫県に連絡をとりまして、打開の具体策を立てるように非常に強く要請をいたしましたが、県において皮革産業の実態把握、そしてまた事業者負担についての話し合いを進めると同時に、各種の当局と協議をその後重ねているとのことでございます。  環境庁としましては、今後もその県や市、町、その他の地元の関係者の努力によって、とにかくすでにあります施設が一刻も早く動き、少しでも汚染が軽減されることを期待しておるわけでございます。
  230. 安武洋子

    ○安武洋子君 環境庁に重ねてお伺いいたします。  水質汚濁防止法の三条一項に基づく排出基準が昭和五十一年六月に見直されたときに、皮革関係、でん粉、水産加工、マンガン工業、こういうものが暫定基準を五年延長されております。だから、延長は五十六年六月まで。だが、同時に五十四年六月までの許容限度も決められて、三年、五年、この二段階で排出基準を達成するように決められているわけなんです。皮革汚水が許容限度を達成するためには、現在計画されている前処理場、この稼働が絶対に欠かせない条件ではないか、こういうふうに思いますけれども長官、いかがお考えでございますか。
  231. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 専門的なことでございますので、担当の局長から答えさせていただきます。
  232. 二瓶博

    政府委員(二瓶博君) ただいま先生からお話ございましたように、水質汚濁防止法によります排水基準につきまして、四十六年の六月、この法律か施行されました際に一挙に一律基準によれない業種等につきましては、暫定基準というものを最大五年間ということで設定をしたわけでございます。そこで、ただいま先生からお話ございましたように、五十一年の六月、この五年間が参りましたので、その際に、大部分の業種につきましては一般基準に移行したわけでございますが、先生お話しのとおり、皮革産業その他でん粉製造業等八業種につきまして、いまだに暫定という基準になっておるわけでございます。それで、この暫定になっておりますものは、三年もございますけれども、五年というのが最長でございまして、皮革産業につきましても一応五年というところまで考えておるわけでございます。  そこで問題は、五十六年の六月が参りますと一般基準に移行をすると、こういうたてまえになっておりますので、それを移行するためにはやはり林田川等の浄化対策、これを徹底してやらなければならぬ。県の方もその辺を認識をいたしておりまして、前々から前処理場をつくる、あるいは最後的には終末処理場をつくるというような計画で進んでおるわけでございますけれども、現実にはいろいろ財政事情あるいは企業負担、そういう費用負担の問題等もございまして、一部施設ができたがまだ動いていないという実態になっておるのが現状でございます。
  233. 安武洋子

    ○安武洋子君 いろいろの問題があるからいま私は問題にしておりますので、そのいろいろの問題に合わせて、五十四年六月になってもこの許容限度の達成、それから、五十六年六月になっても暫定基準の達成ができがたいというふうなことになって、これを延長しようというふうなことでは困るわけなんです。  ここでひとつ環境庁長官にお約束願いたいんですけれども、五十四年六月には許容限度の達成、この延長はしない、五十六年の六月暫定基準、これを延長することはしないと、こういうことを御確答願いたいと思います。
  234. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 基本的には延期をしないということで、県なりあるいは関係省庁の協力を積極的に取りつけるよう努力いたします。
  235. 安武洋子

    ○安武洋子君 まずこの問題といいますのは、皮革汚水処理なのに公共下水道施設を建設した、で、公共下水道なら受益者負担だ、こういうことになる。業者負担ではこれは稼働できないことは明白である。そうして同対事業として補助金を出した、こういうところにそもそもの問題の発生があるわけです。各省庁とも、いままで私、交渉もいたしましたけれども、自分のところに責任がある、こういうふうにおっしゃる各省庁ないわけなんですけれども、責任をとり切っていただく、これは政府全体としてとり切っていただく、このことがなければおかしいと思います。いままでにつぎ込まれた補助金というのは実に膨大なわけで、こういう補助金の使い方については先ほど検査院からも意見も出ておりました。ですから、私は政府の施策の一つの誤りが公害を野放しにしている、地域住民にいま大きな被害を与えている、政府としても私は放置できない問題だというふうに思うわけです。いたずらに県、市、町、業者、こういうところに責任をおっかぶせるというふうなことは、事の出だしから考えてもおかしいわけです。そして、市、町、業者、県も応分の負担をしようと、こういう姿勢を県もこれは先日の県会の中で出しておりますけれども、こういう応分の負担をしようという回答を出している。  それなら、あと残されているのは国がどう援助をするかという個々の問題だけなんです。私は建設省はまず補助金事業として建設したものを動かす、こういう責任を絶対にとるべきだというふうに思います。もう建てたあとは知らないと、こういうことでは私は補助金をこれはむだに投げ捨てている、税金のむだ遣いだと、こういうふうに思います。それから、通産省としても、産業汚水処理の問題として責任を感じていただきたい。それから、環境庁としても、このひどい公害をなくすために、私は公害野放しでなく、ぜひ努力をしていただかなければならないというふうに思いますし、自治省としても、地方自治体の立ち行かない困難な問題が個々にあるわけです。どう動かすか、こういうことを考えてもいただきたい。  で、私はこれはいまこそ政治的な解決が求められている問題であって、各省庁間が自分のところの問題でないと、筋の問題ばかりを論議している段階はとっくに過ぎたと思うのです。ですから、ここで政治的な解決をするために、各省庁どういう御努力を払っていただけるか。いま申し上げました自治省、環境庁、通産省、それから建設省、一番の大もとは建設省でございますが、こういうところの皆さん方の御意見一つずつ承りたいと思います。
  236. 小川平二

    国務大臣(小川平二君) 特定排水の前処理施設にかかわる維持管理費、これは排出者責任の原則によりまして、筋を申しますればこういう原則で当然対処すべきものだと存じます。しかし、実際問題として、排水者がその負担にたえないという事実があるわけでございます。しかし、これを財政力の乏しい地方公共団体がまるまる肩がわりするというわけにはまいらない。これはやはり関係省が協議していただいて、何か知恵を出していただいて、問題はここまで来てしまっているんですから、動かすことができるようにしていただくほかないと、こう考えております。
  237. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 町が主体となって県に提出して、県が審議をして私の方へ下水道の要求をしてきた、こういう経路もあります。しかしながら、いまでも、先生も御承知のように、維持管理については当然市町村費がこれを賄うということは基本原則であります。しかし、お話しのような点もあるようでございますので、十分努力をいたしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  238. 松村克之

    政府委員(松村克之君) お答えいたします。  通産省といたしましては、産業排水の処理につきましては、事業者責任のほか、国としても技術開発等について努力をいたしてきたわけでございますが、この問題につきましても、そういった一般的な問題としての処理のほか、中小企業対策の一環といたしまして今後検討して努力してまいりたいと存じております。
  239. 石原慎太郎

    国務大臣石原慎太郎君) 先ほども申しましたが、環境庁としてはこの汚染の状況を見逃しにするわけにはいかない非常に厳しい現実があるわけでございます。でございますから、先ほど申しましたように、県並びにこれに関係しております省庁に積極的に動いていただきまして、稼働すべきものは一劾も早く稼働し、とにかくこの汚染というものが少しでも軽減されるように共同した作業を迅速に行っていただくよう強く要請したいと思っております。
  240. 安武洋子

    ○安武洋子君 総理府に私お伺いいたしますけれども、本施設のほとんどというのは、これは同和対策事業として行われているわけです。また、皮革産業というのは、同和地区における私は重要な産業の一つでもあると思うわけです。ですから、政府としても各省庁間の意見の調整、これが非常にまあ必要なわけですから、総理府としてもこの問題を早期に解決するために努力をしていただきたい、このことを御要請いたしますが、いかがでございましようか。
  241. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) 総理府といたしましても、各省間の連絡調整に努めるとともに、県、市の御協力をいただきまして、この問題を早急に片づけるように努力をいたします。
  242. 安武洋子

    ○安武洋子君 これは兵庫県の皮革汚水のために投じられました補助金といいますのが、現在百二十一億六千五百万円が投入されております。それでありながら稼働しないということは、これは許されないことだと思うわけです。で、私は稼働のめどをいま立てなければならない。それはもう動かそうと思えば、予算編成の時期から見てもこれはタイムリミットなんです。しかも、非常に住民が大きな公害をこうむっている、こういうことでございますので、私はこの稼働のめどを早急に立てていただきたい、こういうことをお願いいたしとうございますが、総理府に、私はこの各省庁間の連絡を早くとってこういうめどをつけるという役割りを果たしていただきたい、このことをお願いいたします。いかがでございますか。
  243. 藤田正明

    国務大臣(藤田正明君) できるだけ一生懸命にやってみます。
  244. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、もう建設されておりますので、直ちに動くようにということで努力をしていただきたい、このことを強く申し添えまして、私の質問を終わります。
  245. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、沖繩の抱えておる問題、そして常識では考えられないようなことがいっぱいございます。戦後三十余年、復帰して六年目になりますけれども、いまだに処理されていない、あるいは掘り起こされておらない、こういうたくさんの問題がございます。  その中で、まず初めに事務的な面から具体的にお尋ねします。その第一点は、戦後処理がまだなされておらない。それに対して補償要求が件数にして十二万余件、金額にして一千二百万余。第一次、第二次、第三次と、三回に分けて要請されております。その窓口が最近決まったのが開発庁だと。そこで開発庁としては、それらの請求書類がどのようにいま処理されつつあるか、作業段階を報告してもらいたい。
  246. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) お答え申し上げます。  先生の御質問にございましたいわゆる放棄請求権に関連した事案でございますけれども御案内のように、復帰の時点におきまして、政府といたしましても、これらの事案の実態をよく調査の上で必要な措置を講ずるという復帰に際しましての閣議決定に基づきまして、自来、開発庁あるいは防衛施設庁等、関係省庁におきまして、鋭意、調査を続行してきておるわけでございます。  これらの事案につきましては、先生から御質問にございましたように、非常に膨大な件数でありますのと、内容が非常に複雑多岐にわたっておるわけでございますが、一昨年来、これらの事案の中で特にいわゆる海上の事案、具体的に申しますと、戦後復帰までの間におきます、沖繩地区におきます海上の区域についての漁業の制限に伴う補償に関連した請求、こういう事案につきましては、内容がやや具体的な事案としてかなり捕捉調査が可能でありましたのと、防衛施設庁を初めとする関係機関におきまして、関係当事者との話し合いがかなり進められてきたという経緯もございまして、過般来、地元側の方から全体の調査に先立って、解決できる事案からできるだけ早く解決の促進を図ってもらいたいと、こういう御要望もございまして、内閣審議室を初め、関係機関で協議をいたしまして、特にそういった具体的な事案としての捕捉が可能と推定されますいわゆる漁業関係の事案につきまして、陸上部分に先立ちましてこれの解決を図ろうと、こういうことに相なりまして、現在、防衛施設庁が窓口となって具体的ないわゆる内容の詰めの作業をいただいておりますが、これを前提としまして一応政府の窓口という職掌を持っております開発庁におきまして、このうちの一部を明年度のいわゆる予算概算要求に十億円ほど要求額として大蔵省に提示をさせていただいております。  その他陸上の事案につきましては、冒頭申し上げましたように、何分にも十数万件にわたる事案でございますし、内容的になお詰める必要のある問題もございますが、私どもは、明年度におきましては関係行政機関を網羅した正式の行政会議を設置いたしまして、随時、地元の県当局等も列席をいただいて御意見を聞きながら、なるべく早急に政府としてのこれらの事案の基本的な方針を決めたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  247. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 三十余年にわたる焦げつき、これはよっぽど精力的に誠意を持ってやっていただかないというと簡単には処理できないと、こう思いますので、ひとつがんばってもらいたい。同時に、なぜこのように三十余年も焦げついたかということは、結論は結局国の怠慢、誠意を私は疑いたい、まあこう一応指摘するわけです。それで、現在の開発庁の方々には当たらぬかもしれませんが、一貫してこのように長期にわたってそれが不問に付されたということ自体、国の責任、こう思うんです。  次に、地籍の明確化、そのことについて、責任の所在ですね、責任の所在からこれまた複雑でありまして、復帰前の返還土地は開発庁、復帰後の返還土地は防衛施設庁、そして、現在米軍基地に接収されておる地域は、そのフェンスの基地の中は防衛施設庁、基地の外は開発庁、こういうややこしい形で、この地籍を一日も早く明確にしなければいかぬ、こういうことになっておるわけなんです。そこで、五十二年七月二十日の記者会見だと思いますが、亘理防衛施設庁新長官は就任の記者会見のお言葉の中で、延長法規は五年、五年といわず三年でやってみせると、地籍は三年で明確にすると、こう明言しておられる。私はこれを信じております。  そこで一点、地籍明確化の作業計画、これが第一点。第二点、予算の裏づけ。第三点、作業の現段階、この三つの点から報告願いたい。
  248. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) 先生のお尋ねの位置境界明確化でございますが、御案内のように、今春五月の国会におきまして位置境界明確化のための法律が成立を見たわけでございます。自来、防衛施設庁及び関係地元県を初め、機関と十分御協議の上、関連の政令の公布を行い、自来、所要の手続を現在とりつつあるわけでございます。御案内のように、この明確化の法律は、いわゆる国の責任ということを明確にしつつ、なお所管の分担につきましては、先生御指摘のように、復帰後あるいは防衛施設区域内につきましては防衛施設庁、それから復帰前の民地につきましては開発庁及び県が国の責任ということを明確にしつつ共同してこの処理に当たると、こういうたてまえに相なっておることは御案内のとおりでございます。  この法律の主眼となっておりますのは、御案内のように、沖繩における不明確な地域の明確化作業が沖繩の経済に及ぼす影響の甚大なことにかんがみ、できるだけ速やかにこの明確化作業を終わるということをうたっておりまして、五ヵ年をめどにいわゆる施設区域内と外とを問わずこれを明らかにするように努めることを義務づけておりますのと、あわせましてこれらの対象となる区域につきましては、国が地元の地方公共団体と協議の上でその地域を明確に指定をすることに相なっておることも御案内のとおりでございます。  なお、これらの明確になった地域につきましては、この五ヵ年をめどにしました期間内に、できるだけ速やかに地元におきまして原則的な集団和解を行うことによって明確化が図られると、このために必要な所要の財源を国が用意をすると、こういうことでございまして、現在までのところ、政令が公布されましてから、開発庁及び防衛施設庁におきましてはまず県を中心に地元におきます対象区域の指定の作業に入っております。実質的にすでに県及び関係市町村とも対象区域の範囲について御協議を行っておるところでございまして、近いうちに正式の協議、確定ということに相なろうかと思っております。  なお、これに続きまして、この指定区域を前提にしました五ヵ年の計画をつくるわけでございますが、防衛施設庁と十分協議の上、私ども開発庁所管の分につきましても御案内のように現年度、五十二年度におきましては、当初予算ですでに当初一億三千万円余の国庫補助が計上されておりましたけれども、この法律の施行に伴いまして新たに予備費を三千八百万円余追加をいたしまして、合計一億六千八百万円の委託費に組みかえまして、すでにこの事業を進めるための措置を完了したところでございます。  そういうことでございますと同時に、私ども国におきましても、先生が御指摘のような国の責任ということもございますので、これに取り組む組織の強化ということもございまして、現地総合事務局にも、すでに境界明確化のための対策室を設け、県の関係機関と協力をしながら、なおかつ十二分に国の責任ということに配意しつつ今後もこの作業に取り組むと、こういうことにいたしておるわけでございます。
  249. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 県民要求は、その作業の主体窓口は一本化すべきであるという、こういう強い要求があったわけですが、一応結果的には開発庁と防衛施設庁になったわけです。  ところで、いまのお話のとおり、前向きでできるだけ速やかに解決していきたいと、こういう姿勢を述べていただいたし、また亘理長官は五年といわず三年で解決して見せると、この姿勢とこの談話によもやうそはあるまじ、こう信じて見守っていきたいと思いますが、亘理長官いかがですか。
  250. 高島正一

    政府委員(高島正一君) お答えいたします。  ただいま、亘理長官から、防衛施設庁としては五年といわず三年で完了したいというお話があったという御指摘でございますが、そのとおりでございます。ただ、詳しく申しますと、三年で見直してみる、そうして、どんなことがあっても五年で完了するというのが大臣の言明を受けたわれわれの使命といま心得ておるところでございます。  そこで、御指摘の現況について少しく御説明させていただきますが、この地籍明確化法に基づいて調査を必要とする防衛施設は現在八十一施設ございますが、そのうち三十六施設がその該当施設でございます。その調査対象面積は約百十七平方キロメートルと推定されておるところでございます。  これを具体的に現況がどうなっておるかというふうに申し上げますと、すでに復元測量も終え、近く簿冊等を閲覧に供する予定のものが五施設、三十平方キロございます。また、現在復元測量を実施中または準備中のものが十一施設、約十一平方キロメートルございます。それから地図編さん作業終了または実施中のものが七施設、約三十八平方キロでございます。それから地図編さんの基礎作業が終了のものが九施設、約三十平方キロございます。それから昭和五十三年度以降基礎作業から開始されるものが七施設、約八平方キロメートルございます。  それから、見通しでございますが、防衛施設庁といたしましては、この明確化作業には多くの困難が伴うということは十分承知しておるところでございますが、まず主要な施設の明確化作業の早期取り組みを図りまして、すべての施設の明確化が五年間で確実に達成できるという基本的な考え方に立ちまして、いま申し上げました三十六施設のうち、琉政時代におきまして実施された土地調査において手を触れられなかった二十九の施設につきましては、昭和四十九年度から作業に着手しておりまして、これらはできるだけ早期に完成させたい残る施設につきましても、最も困難と思われる地図の編さん作業、これはぜひ三ヵ年以内に終了させたい。これを終了させることによって、その時点で見直しの上五年間には絶対に完了してみせるという意気込みで取り組んでおる次第でございます。
  251. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 三年をめどにいかなることがあっても五年にはと、こういうことなんですね。少し何か後退したような気もいたしますが、三年ではやってみせると、こういうことは完了してみせると、こういうことだと思っておったがそうじゃないんですね。いや、わかりました。それじゃその意気込みでやってもらいたい、三年をめどにですな。私も見守っておきますから。  じゃ開発庁に。いま地籍問題で一番問題を抱えておるのが与那原町であります。ところが与那原町の地籍明確化はその気になればすぐ解決できると、こういう見方もあるわけなんです。なぜかと申しますと、大体戦争で公簿、公図がないということが一番困難のもと、地形が全部変わってきたという、こういう状況があるわけですが、幸いに与那原町では明治三十六年七月の沖繩県土地整理局で戦前の地図が、これはコピーでありますが、あるわけなんであります。そしてこのように一筆一筆ずっともう攻めてきている。ここはもう解決。ところがその南の方にこう続くわけなんですが、ここがまだなんですね。ここだけにもう迫っておるんであります、ここだけに。だから、ここをその気になってやってもらえばすぐ解決できるというのが町当局の自信に満ちた私への連絡であり、また私も聞いてなるほどと思ったんです。それじゃどこに問題点があるかということも私はっきりいたしました。政府はこれまで、個人の所有の土地に介入することはこれは憲法違反であると、費用は幾らでも出すとこう述べておられるが、ところがその解決する手段を集団和解にゆだねておられる。ところが現地沖繩からすると、集団和解で、あらゆる手を尽くし手を変え品を変えて集団和解をして、先ほど申し上げました与那原町の例を引くならもう九〇%以上解決してきたわけなんです。あるいは場所によっては、村によっては九九%、そのあと一%、なお具体的に言うと一人ないし二人の合意を得ないためにそこまでいま引っ張ってきておる。そこで集団和解ではもうどうにもならないから、国も前向きで積極的に応じてくれよと、積極的介入といいますか、こういうことが現地の要求なんですね。  そこで、私は要望したい。土地所有者とそれから現に使用しておる者、地主と現に使用しておる者との食い違いもあるわけなんです。そして自治体代表それから政府代表、これが一緒になって話し合えば、私の見通しとしては解決ができると、こう思っております。それを政府は、いやこれは個人の所有権の侵害になる、政府としてこうせよああせよと言えないと、こういま逃げ腰である。それが問題をせっかくそこまで和解で進めてきておるのに、それならばやってやろう、立ち会っていこうと、こういう気持ちで積極的に参加してくださるならば、私は問題はほとんど解決できると思う。それでも解決できぬならば、その後にくるのが法廷裁判問題になるのであって、それをなさずしてすぐ法廷闘争、裁判問題ということは私はいけないと思う。なお、急ぐ理由は、もう戦前のころの指導者がほとんど七十、八十、お年寄りになっておられる。その生き証人がおられる間にそれを解決しないというといけない。こういう実情を私訴えられて、また私もそう思っておるわけなんですが、地方自治体としても一つの問題があるのは、終戦直後、自分の屋敷に入れぬものだから、一応、字として、村として割り当て土地を五十坪ないし六十坪、いわゆる屋敷にといって割り当てた。それも今日困難になっておる問題になっておるわけなんだから、それがいわゆる地主と、現におる、そこに住居を構えておる人との食い違いであるわけなんだ。いわゆる地上権の使用権者との調整この調整をどうするかという、こういうことから、先の国会では法定賃借権の法律立法化も強く主張したわけですが、それは政府が応じなかった。だから、こういう具体的な事実をどうしても国も一緒になって考えてあげるのでなければこの沖繩の地籍問題は解決しない、こういうことなんです。  それで、いま与那原の町の問題を具体的に話しましたが、これに対して積極的に政府は、いわゆる命令するしないは別として、いま私が申し上げました四者が一緒になって話し合って、誠意をもって努力すれば必ず解決できると私は思うんですが、いかがでしょうか。
  252. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) ただいま先生から与那原の事例を中心に各般の観点の御意見、御質疑をいただいたわけでございますが、地籍明確化法につきましては、冒頭お答えしましたように、基本的に国の責任を明確にした上で、沖繩の産業経済に及ぼす影響の大きなことにかんがみ、五ヵ年をめどになるべく速やかにこの解決を図るということに法律の主眼点が置かれているわけであります。そういうことを前提に冒頭申し上げましたような各般の措置を講ずるわけでございますが、政府といたしましても、県と十分協力をとりまして、この五ヵ年の間にできるだけ解決を図るわけでございまして、そのための措置としまして、いろいろ御議論は国会を通じてございましたけれども、円満ないわゆる話し合いで、話し合いで決定ができない場合には現地に防衛施設庁及び私どもの役所におきまして法律上の勧告権を持った審議会も設置をすることになっております。そういったところで、できるだけ学識経験者の方の有益な御意見も徴しながら、話し合いがつかない際には勧告をさしていただく。なお、先生が御指摘のような割り当て土地その他、いろいろな過去の経緯におきまして地上の占有がふくそうしておるわけでございますが、こういったものがこのたびのこの調整によりまして境界がある程度調整される際、従前の位置との紛議が起こりますものについても、これらにつきましてはたとえば土地、建物等の買い取りのための資金の融通、あるいは交換あっせん等をすることによりまして、明確化された後の土地の所有者、占有者との食い違いができるだけ調整できるように配慮をするつもりでございます。  なお、与那原の事例につきましては、われわれも町長を初め、関係者の方から十分御意見も聞いておるところでございます。御案内のように、開発庁所管、県所管の民地につきましても、関係にわたる市町村が約十数町村ございます。これらの町村全般につきまして、法律で明定されておりますおおむね五ヵ年をめどにこれから解決を図るわけでございますので、県とも十分に相談をいたしました上で、与那原町の事案についても早急に解決が図れるよう検討さしていただきたいと、こういうふうに考えております。
  253. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間ですので一言大蔵大臣に要望いたします。  沖繩のいろんな問題は技術的にも非常に困難な問題がもう伏在しておる。それを掘り起こせば起こすほど、もう本当にショッキングな問題がいろいろ起こってくる、連鎖反応的に。ところが、結局裏づけるものは予算の配慮ですね。それを裏づけてもらわぬというと、ただ観念的に、技術的にどうにもならない面があるわけなんです。それで、特に沖繩の諸問題解決に当たりましては、特段の予算の面からの御配慮がなければいけないと、こういうふうに思っておるんです。それで、大蔵大臣のひとつ御所信をお聞きしまして、時間ですので終わりたいと思います。
  254. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 沖繩につきましては、御指摘のような数々の特殊事情があることは私も承知いたしております。その特殊事情を尊重いたしまして、復帰以来今日まで財政金融上のいろんな措置を講じてまいってきておりますが、それは沖繩振興開発特別措置法に基づく各種の国の負担または通助の割合の特例措置、それから沖繩振興開発計画に基づく振興開発事業の推進、それから地域振興のために特に設けられた沖繩振興開発金融公庫による金融上の優遇措置など特別の措置を講じてきてきておりますが、五十三年度の予算編成においてもこれらの特別措置を通じて引き続き配慮を払ってまいる所存でございます。
  255. 野末陳平

    ○野末陳平君 きのうの大蔵委員会に引き続きまして、いわゆる保険診療のお医者さんの優遇税制に関することを続けてまたきょうも質問したいと思います。  きのうのおさらいをちょっとしておきますと、大ざっぱに言いまして、社会保険医の収入が、この特例が創設された当時と比べましてサラリーマンの収入の約四・六倍になっていて、それから所得の伸びを言うと、サラリーマンが当時と現在を比べて八倍なのに、お医者さんの方は二十四倍以上あって、それから五十二年度の予算ベースで言いますと、一人の開業医への減税額が地方税も含めて税額で二百八十六万円とか、そういうようなことがきのう出まして、大蔵大臣は明らかにこれは優遇であるということをお答えになったわけです。そして特例措置で七二%の必要経費を認めていますが、大蔵当局の方は五二%あたりがほぼ実態に近い必要経費率ではないかというようなことをきのうは答えていただいたわけです。しかし、この診療報酬とこの特例の関係は非常に微妙であることはぼくもわかりまして、ですからいままで非常にむずかしかったんだろうと思うんです。この診療報酬とこの特例は切り離せないものだと、両者を絡めて考えるべきだという意見がまだ一方にあって、医者側はそうだと思うんですが、大臣としては、きのうの話のように時代が大きく変わったわけでして、当時といまは実情が全く違うわけですから、税制で保険医の所得に配慮を加えるという根拠はもうなくなっていると、そうぼくは思うんですね。ですから、税制と診療報酬の問題、これは切り離して実現に踏み切るべきではないかと、この切り離しの点できのうちょっと最後に質問を落としましたから、まずそれをお聞きしておきます。
  256. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) お答え申します。  いわゆる医師課税の特例の是正については、二十四年間、この長い間何らの手をつけていないわけなんです。こういうようなことから考えまして、この際できる限り早期に医師課税の特例について適切な措置を講じたいというのが私の心境でございます。どうぞ御理解を願いたいと思います。とにかく今日まで何ら手をつけていない。これはやっぱり何とかして適切なる措置を講じたいと、かように考えます。
  257. 野末陳平

    ○野末陳平君 非常にその辺がむずかしそうなという感触が大分ありますが、じゃ、別の面でもう少し聞いてほしいんですが、きのうは時間がなくて荒っぽく厚生省と話になってしまいましたので、改めて厚生省に細かくお聞きしますが、日本医師会の方では、厚生省も御存じだと思うんですけれども、現在七二%の必要経費を認めてもらうのは当然である、もちろん自由診療は別にしてですよ。七二%認めてもらうのは当然である、その内訳は薬品代が四〇から四五%、それから人件費その他で三〇%と、こういうふうに言っているんですが、この場合の医師会が言う薬品代というのは何を指しているんでしょうか、正確には。
  258. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 薬品代と申しますのは、薬価基準に基づきます購入費でございますが、それの費用でございます。薬価基準に基づいて計算いたしました費用だと思います、医師会のことですからわかりませんが。
  259. 野末陳平

    ○野末陳平君 ぼくもお医者さんに聞いたらばそうだと。つまり、ここでわれわれが言う薬品代は薬価基準ベースのもので、いわゆる請求するときのこれが薬品代であると、こういうふうに説明しておりましたから間違いないと思うのです。そこで今度は、お医者さんでなくて国の基金から払うというここの部分で見ますと、きのうもお聞きしましたけれども、診療報酬支払いの全額の中で薬代が比率どのくらい占めているかという、今度はこちらからの話、きのうは三七・三でしたね、あれをもう一度ちょっと。
  260. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 医療費の中に占めます薬品代につきましては社会医療調査というのがございまして、昭和五十年の社会医療調査によりますと医療費の中に占めます薬品代と申しますのは三七・三%でございます。
  261. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしますと、医師会は四〇から四五%だと言っていると、正確に医師会のことはわかりませんから。ところが今度は厚生省の方から見ると医療費の中に占める薬が三七・三%だというので、これを比較するのじゃなくて、まずその三七・三%という数字にこだわって言うと、これは保険収入千円、仮に千円とすれば薬代は三百七十三円分と、こういうふうに見ていいわけですね。——はい。そうすると、この三百七十三円の薬代というのは、あなたがおっしゃったように、あくまで請求する薬価基準のベースで、お医者さんが問屋から仕入れる仕入れ額ではないということですね。そういう見ていいですね。
  262. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 薬価と申しますのは、中央社会保険医療協議会で決められました九〇%バルクラインによって計算されておるわけでございまして、医療機関が買う場合には、一応九〇%バルクラインで決められている以上、地域的な差もございます、それから包装の問題もございます、そういう問題もございまして、若干安いところがあるのは、それは事実でございます。
  263. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで、きのうもそれが出たわけで、つまり、実際買うのと薬価基準との間に差があると、安く買う人が若干どのくらいというので、その若干の差ですね、これをきのう三〇というお話だったけれども、どうもそうじゃないのがわかりました——わかりましたというのは変ですが、ぼくはそう思いますので、一応バルクライン九〇でいきますと当然安く買えると。で、安く買う人にとってはこの薬価基準との差はどのくらいか、平均してどのくらいかと、それが三〇%であると、こうお答えになったわけですよね。
  264. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 医療機関におきまして、薬剤によります収入と薬剤購入費の差益を示す正式な薬価の差益率につきましての具体的な調査というのは現在までございません。ございませんが、昭和四十五年に医療経済実態調査というのがやられておるわけでございます。で、このときのものから推計いたしますと約三〇%あるんじゃないだろうかと。しかし、その後薬価の大改正がございまして、三回にわたって薬価が引き下げられておるわけでございまして、その後どうなったかということは五十一年の医療経済実態調査の結果を見ませんとはっきりしたことは申し上げられませんが、ともかく昭和四十五年の段階で三〇%という数字をきのう申し上げたわけでございます。
  265. 野末陳平

    ○野末陳平君 わかりました。  そこで、じゃその三〇%は昭和四十五年だということにしてそのまま計算さしてもらいますと、そうすると国で決めたこの薬価基準よりも昭和四十五年ごろに約三割安く仕入れることは可能だということになりますよね。そうすると、さっきの千円に対して三百七十三円の割りでまず薬価基準か決まって——薬価基準じゃないや、支払いね、基金からの支払いがありましたね。で、それより三割安く仕入れられるわけですから、三百七十三円の三割安で約二百六十円と。実際の仕入れはですよ、ぼくの言っているのは、お医者さんが、医療機関が実際に町で仕入れる、これは二百六十円見当。しかし、薬価基準ベースではあなたがいまお答えになった三百七十六円と、昭和四十五年ごろは。大ざっぱに言えばこういうことが言えると、それでいいわけですね。大ざっぱな言い方ですよ。
  266. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 三七・三%と申しますのは昭和五十年の社会医療調査の結果でございます。昭和五十年の社会医療調査の結果、総医療費に占めます薬剤費の割合というのは三七・三%と申し上げたわけでございます。
  267. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃ、五十年で三七・三%で、それから差益が四十五年だから、同列に比較するということはできないということでしたね。そうしたら四十五年の率はどうですか。
  268. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 四十五年の社会医療調査によります総医療費に占めます薬剤費の比率は四四・八%でございました。
  269. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、今度はそれの三割安ということになりますとどのくらいになります。計算するとちょっとしか違わないんじゃないですか。
  270. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 一三・四%ということになります。
  271. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、ここでもってやはり差益があると、つまり仕入れと薬価基準でもらう額に差がかなりあるわけですね。  ここで国税庁にお聞きしたいんですが、いわゆる請求ベースでもらう金とそれから仕入れてくる額、これをどっちが一体経費と言うべきなのかと。もちろん、社会保険の診療報酬ですから、これは租税特別措置があって、頭からばっちり七二%というふうに決まっていますよ。決まっていますから、この際、薬の値段とか差益とか、そういうのは関係ありませんが、この租税特別措置がなくて、もし経費という言葉を使うならば、この仕入れ価格とそれから保険でもらってくる薬代と、これはどっちが経費なんでしょうか。
  272. 水口昭

    政府委員(水口昭君) お医者さんの所得というものは、所得税法上の事業所得でございます。事業所得というものは、収入金額から必要経費を引くと。お医者さんの場合に主な必要経費として薬があるわけでございますが、その場合の薬代というものは、必要経費として引かれる薬代は、一般論としては言うまでもなく実際の仕入れ価格による薬の値段でございます。
  273. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、税の上では仕入れ価格が経費であるということになりますね。——そうですね。
  274. 水口昭

    政府委員(水口昭君) 一般論としてはそうでございます。したがって、自由診療分についてはそのとおりになっておりますが、社会保険については、先生御承知のとおりであります。
  275. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで、いまの差益が三〇%とかいう古い数字を出しても、これ始まらないと思うんですよ。いままでかなり仕入れと薬価基準でもらう額の差があったということだけを踏まえまして、現在——現在は薬価基準とそれからいわゆる仕入れ、市場のいろんな値段がありますけれども、この差益を、同じように考えてどのくらいと推定されますか。まだ、ほら、五十一年は出ていないからはっきりしたあれはないでしょうが、厚生省では薬価調査を常にやるわけで、今度も見直しやっているわけですね。ですから、薬価基準と現在の流通してお医者さん、医療機関が買う場合のおよそがわかるわけで、これも大ざっぱな話になりますよ、個々の薬品じゃないですから。でも、大ざっぱにこの差益をどのくらいと見ますか。
  276. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 先ほど申し上げましたように、昭和四十五年の医療経済実態調査の後で三回にわたります引き下げを行っておりますが、したがいまして、現在ちょっと、私どもどのくらいと言われましても見当がわかりません。
  277. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうしたら、ぼくの方はもう自分のところが薬をお医者さんに入れている商売で、それから身内がお医者で、両方やっているもので実態がわかり過ぎて困っちゃうんですけれども、だからと言って、そういう感触で言ったんじゃ話が余り大ざっぱになるから、あえてお聞きするんで、ひとつ厚生省にお願いしておきますが、一体薬の仕入れ額というのは、薬価基準とどのくらいいま乖離して、大ざっぱにこの差益がどのくらい出ているのか、医師会に、武見さん、何でも知ってると思うんで、ちょっと確かめて、それをぼくに報告してほしいんですよ。医者はわかってるんですよ。でも、役所はなかなかそれはいま言ったいろいろな事情があって簡単にはわからないし、言えないと思うんです。医師会にこれを聞いてほしい。なぜなら、この差益というものがどのくらいあるかというのも、ひとつその税の上からは参考にしたいと思うんです。
  278. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 医師会の方にお聞きして後ほど御報告申し上げます。
  279. 野末陳平

    ○野末陳平君 まあその結果が、ぼくの周辺の医者の実際と大体合うかどうか、興味を持ってお待ちしていますから。  ところで、会計検査院にお聞きするんですが、会計検査院はこれについて知ってますか。要するに、薬価基準と実勢の仕入れとのこれがどのくらい差があるかというのを。だって、いろいろお調べになってるんでしょう、この医師の特例に関するもろもろを。
  280. 前田泰男

    説明員(前田泰男君) ことしの一月から、いろいろな話もございましたので、一応本院といたしましても、自由診療収入を含めまして、所得一千万円以上、これは実は証拠書類その他の関係がございまして、会計検査院としての制約でございますが、一千万円以上のお医者さん約五千三百人を対象といたしまして、それで結局その中で約千五百五十三人はこれは七二%を上回るということで、これは適用を受けてなかったわけでございますが、残りのお医者さんのうち、青色申告その他で収支明細が明らかになりました約千七百名、これにつきまして徹底的に経費分析をやったわけでございます。その結果は、まだわれわれその結論めいたことを申し上げるのは、まだ最終判断をいたしておりませんので御勘弁を願いたいのでございますけれども、計数の点だけ申し上げますと、実際の経費率というのは、われわれの計算によりますと、平均、きのう大蔵省からお話がございました大体五二%という線が出ております。
  281. 野末陳平

    ○野末陳平君 平均で……。
  282. 前田泰男

    説明員(前田泰男君) 平均の、実際の平均経費。
  283. 野末陳平

    ○野末陳平君 適用を受けているお医者さんだけの平均で。
  284. 前田泰男

    説明員(前田泰男君) はい、適用を受けているお医者さんだけでございます。したがって、七二%を超しました方はこれはもう計算の中に入っておりません。五二%でございまして、四八%分がお医者さんの実質所得と考えますと、その残りの五二%分の構成は、これも一応われわれの計算でございますと——これはどこまでも平均で出しております、これはまあ薬代なんかになりますと、内科とか、あるいは眼科とか、その点でいろいろ違ってまいります。これを全部平均で出しますと、この五二%のうちの一九%が薬価であると、薬価原価であると。これはお医者さんの申告されました、資料からとったものでございます。
  285. 野末陳平

    ○野末陳平君 そうすると、いまちょっと興味のあることをお聞きしたわけで、検査院がこの医師の特例という租税特別措置がどういうふうに政策効果を発揮しているかということから恐らく医師の実態をお調べになったわけでしょう。その結果、必要経費がこの特例の適用を受けているお医者については平均で五二%である、必要経費。きのう大蔵省がお答えになった五二%と会計検査院が五二%で、これぴったり合っているんだけれども、これはどういうことなんですかね。
  286. 前田泰男

    説明員(前田泰男君) これは、こういう問題の調査につきましては、いろんな資料の調査の仕方があるかと存じます。しかし、大蔵省は恐らく国税庁の資料でおやりになったろうと思いますし、会計検査院も一応青色申告書に出てまいります数字をとって検査いたしましたので、これは調査は全然独自に行っておりますが、結論は一致したと、こういうことでございます。
  287. 野末陳平

    ○野末陳平君 そこで、いま五二%の必要経費のうちで薬代一九%というような検査院の調査、ぼくはいまの、たとえば今週のデータですけれども、抗生物質——お医者さんが一番抗生物質を患者にくれたがるわけですよ。ですから、抗生物質を例にとって調べたんですが、薬価で二百九十四円のやつがありますね。最近はお医者さんこれが高いもので好きらしいんですが、この二百九十四円というのは、正規の問屋で買うと一カプセル二百六十四円で買えるんですね。これは正規で買う人はお医者さんの場合いないんですが、これで現金問屋で一番安く買えると百二十五円で買えるんですよ、一カプセル、今週は。で、百二十五円で仕入れて、一カプセル患者に渡してこれが二百九十四円の薬価基準というのも、これはいろいろ医療行政の上から問題あるでしょうが、大体百七十円ぐらいがまずまずの線じゃないかと判断するんですね。そうすると、抗生物質一つとってみても、薬価基準の、そうですね、半分とまでは言いませんけれども、これはまだこの薬はかなり率が上の方ですよ。こういうのがあるんですよ。それからもっとひどいのは、ひどいと言っては変だけれども、クロマイで、これも通称ぞろぞろ薬品というやつですけれども、一錠当たり薬価基準が三十二円なんですよね。これは四円から五円ですよ、一錠、現金問屋へ行くと。さすがに、これはこれからはもう使わせないということになるんじゃないかと思いますけれども、こういうのをいろいろ調べた結果、非常に薬価基準と実勢の医療機関が仕入れるこの幅が差益という、課長は差益という言葉を使ったけれども、これが四十五年が三〇といっても、その後何回も改定したにもかかわらず物すごい差なんですよ。こういう事実があるのはご存じでしょう、課長だってもう薬価のこういうぼくのいまお話しした事実は。
  288. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 現在の薬価と申しますのは、中医協で九〇%バルクラインで計算するということになっておるわけでございますので、こういう計算方式がある以上は当然購入量にも関係しますし、先ほど申し上げました包装の単位にも関係いたします。地域的にももちろん問題はございますが、安いのもあるわけでございます。要するに、九〇%バルクラインと申しますのは、安い方から九割までが買える値段ということでございますので、そういう差はあろうかと思います。
  289. 野末陳平

    ○野末陳平君 それで、その差が大体いまぼくが調べ、そしてお医者さんたちの話を総合すると、彼らは自分に不利なことになっちゃうんですけれども、実態は実態ですから。大体あなたが昭和四十五年ごろは三〇%の差益とおっしゃったが、いまどうも五〇%ぐらいと見れるんですね。だから、それをあなたの方がきちっと裏づけてそれは違うと言えばいいわけで、ぼくは実勢に基づいてそれを言うんで、で、五〇で計算しますと、いまあなた一番最初おっしゃった三七・三%が薬代でしたね、医療費の中の。で、これの三七・三、これは薬価基準ベース。これの五〇%ダウン、こうなると大体十八、九%になっちゃうんですよ、薬の仕入れというのが。だから、疑問があるならあなたの方はちゃんと数字出さなきゃだめだと思いますよね。ですから、ぼくは大体きつく言えば仕入れというのが非常に安く買える、薬価基準が実情に合わないくらい高いんだから。その辺のことをかれこれ言うんじゃありませんが、千円の保険収入があったら、診療報酬があったら薬代は百九十円ぐらいのものだと、極端に言えば。でも、それは相当安く買った場合であって、それ以上もあるわけだし、そんなこと簡単にこれが正しいと言っているわけじゃありませんよ。そういう見方ができるというので、医師会が出している薬品代四〇、四五%というのはあくまでも薬価基準ベースを言っているので、これが必要経費ですよとこう言うけれども、租税特別措置、そういうのがなくなれば、これは必要経費はとんでもないので、これがぐっと下がってこなければおかしいと。四〇、四五なんというのは二〇ぐらいにぼくは下がる、いまは。しかし、薬価の洗い直しをやった結果また違った数字になるでしょう。いまは少なくも薬品代は医師会が言う四〇から四五%かかるなんというのはとんでもないんで、二〇%ぐらいと見ていいと。  そこで、さっきの医師会の人件費その他が三〇%、薬代の経費が、仕入れが経費ということからしたら五〇%そこそこですね。検査院が五二、大蔵省が五二、ぼくは五〇だと思うんですよ。というのは、お医者さんはそういう実感を持っていると思うんです。ただし、それはぼくだってそんなむちゃを言うわけじゃない。どこの国者もみんながそれでがぼがぼもうけているなんて言っているわけじゃない。仕入れのやり方あるいはお医者さんの繁盛の度合いその他で非常にきついところもあるし、楽なところもあるので、だから一律に何でもかんでもやれというのじゃないが、少なくも医師会が言っている必要経費七二%当然だという数字は非常にずさんで、うそつき数字だと、実勢に合っていない、こう考えているんですが、厚生省はどうですか。
  290. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) ただいまクロマイの例が出されたわけでございますけれども、中にはぞろぞろ品目と言いまして、たくさん同じようなものがある場合には競争が激しくて下がる場合もございますが、また中には、原料が非常に値上がりしてむしろ赤字になるというようなものも中にはあるわけでございまして、私は一概に全部が全部そんなに安く売られているとは思っておりません。
  291. 野末陳平

    ○野末陳平君 じゃあと一、二問。  そこで、じゃお聞きしたいんだけど、中に赤字のやつがいまの全品目のうち何%あって、それから大体差益が三〇の七割ぐらいがどのくらいあって、五〇ぐらいのがどのくらいってわかりますか。ぼくがお医者さんに聞いたら、確かに薬価基準に近いものもあると言いましたよ。だけれどもそれはほとんど使わないと、少ないというのですよ。全品目の何%にも満たないと言っていますよ。だから、あなたのように、そういう特例をもって、ほかにあるけれどもこっちかと言われると、またそれは実態をゆがめることになりますよ。だから、もしあなたが、そういうふうにぼくのぞろぞろは特別だと、普通は違うんだと言うなら、全品目分けてくださいよ、できますか、いま。できますか。
  292. 三浦大助

    説明員(三浦大助君) 膨大な資料ですので、いまここですぐにはできませんですが、近く薬価基準の告示がございますので、いま集計中でございますけれども、今度の新しい薬価基準の告示が出ますと、値上がりした品目がどのくらい、値下がりした品目がどのくらいという結果が出てまいりますので、それは後ほどまた先生の方に御報告いたします。
  293. 野末陳平

    ○野末陳平君 ですから、厚生省の方がちゃんとした資料があるような、ないような、これはむずかしいんだと思いますから、税の上からだけ言ってもなかなか話が合わないと思うので、少なくもぼくの言いたいのは、税の上では七二%必要経費当然だと、こう医師会は言っている、お医者さんは言っている。しかし、薬の仕入れが相当安いんだから、仕入れがすなわち経費であるという物差しではかったらば、七二%経費なんてとんでもない、かかってないわけですよ。それなのに、この租税特別措置があるおかげで、何でもかんでも七二%というこの線が認められている。実態のいかんにかかわらずこの経費を認めてもらっているというのは、これは税制によってもうけさしてもらっているんだ。もうかり過ぎているわけですよ。  そこで、恐らく大蔵省、それから会計検査院の数字なんぞも出たと思うので、ぼくは大臣に、もう最後ですから、時間が過ぎて申しわけありませんが、大蔵大臣、最初うやむやこうありましたけれども、やっぱり優遇の度が過ぎる。ただ優遇じゃない、いろいろな点で優遇の度が過ぎるのですよ、この特例のあるおかげで。だから、これはもう来年度とにかく実現してもらわなければ困るのですよ。それが第一で、第二が、果たしてどういう実現の仕方を段階的にどうやるかという、これはまた大蔵委員会でお伺いしますがね。何でもとにかく来年度診療報酬と切り離して、医療行政は医療行政で別にする段階に来ていると、そういうふうに思うのですが、いかがですか、最後にお願いします。
  294. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いまおっしゃられましたこの差額ですね、実際の計算になった差額、それとその七二というものの差が、これが単純に考えまして優遇分であるということが私は言えるであろうと思います。  で、いまおっしゃられたように、これは長い間、税制調査会でも何とかしてこれを適当に是正をするようにとか、この医師課税の特例を是正するようにという答申は受けておるわけなんです。で、私は今度の答申でもこのことが強く要請されておるということでございまするので、この答申を尊重いたしまして、そうしてできるだけ早くこういったような不公平な措置は、これは是正をしていかなければならない、そう思っていきたいと、かように考えております。
  295. 野末陳平

    ○野末陳平君 来年は……。
  296. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) できるだけ速かにいたします。
  297. 茜ケ久保重光

    委員長茜ケ久保重光君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回の委員会は、来たる十一月二日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十五分散会