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政府委員(武田康君)
先生のお話のとおり、これからの
日本経済あるいは
国民生活を
考えまして年率六%前後程度の安定成長を今後十年、十五年続けていくということが雇用の面でも、その他の面でもきわめて必要だというようなことでございます。
そういう前提に立ちまして、実はエネルギーの
関係でいろいろ勉強していただいている
審議会がございまして、これは総合エネルギー調査会でございますけれ
ども、そこでことしの初め以来、いろいろこれから将来十年、十五年先のエネルギーの
見通しがどうなるか、それに対してどんな政策を立てたらいいかということを調べていただいている段階でございまして、この八月に中間的な報告が出て、来年までかけまして最終のまとめをしていただくということでございます。
その中間的な報告によりますと、これは昭和六十年度及び六十五年度を目標といたします暫定的なエネルギー
見通し——暫定
見通しと言っておりますけれ
ども、先ほどのような
経済成長の達成がぜひとも必要であるという前提のもとで、昭和六十年度には、従来のような進め方あるいはエネルギーの需要の伸びを前提といたしまして、大体、現在の八割増しの七億四千万キロリッター、油に換算してでございますが、そのぐらいのものが必要であり、昭和六十五年度には九億をちょっと超す九億二千万キロリッター相当ぐらいが必要であるということでございます。
で、油の供給増加によりましてそれを賄っていけるかどうかというのにつきましては、いろんな見方がございますが、多数の専門家の方々は、これから十年、十五年というような時点を
考えますと油の増産余力がなくなってしまうんではないだろうか、その時期を越えますとむしろ世界的な
意味で油の供給か逓減
——山を越えて下がってしまうおそれがある。そういった実態を
考えますと、最大限に油にかわるべきエネルギーの
開発をする。同時に、全需要を賄うことがなかなかむずかしいものでございますから、省エネルギー
努力を、これは産業面も民生面もでございますが、最大限一生懸命やる。かたがた、そういたしましてもやはり油に相当部分を頼りますので、油の取得と確保というものも一生懸命やる。
こういうようなことで
見通しを立てたものでございますが、その数字の要約を申し上げますと、昭和六十年度につきましては、先ほど総需要が七億四千万キロリッター相当と申し上げましたが、そのうちの一割ちょっとをエネルギーの効率的な利用あるいは節約ということでカバーいたしまして、現実の需給バランスに出てくる需要の総額を約六億六千万キロリッターに抑える。それから、たとえば
原子力を、なかなか立地難等もございますけれ
ども、その時点までに総設備出力が三千三百万キロワット、現在八百万キロワットでございますから、これから二千五百万キロワット新たな設備を完成させなければいけないわけでございますが、そういう
努力をする。そのほかにLNGの輸入あるいは石炭も一般炭の輸入を
考え、国内のものも小さなものも全部積み上げるということをいたしまして、輸入の石油以外のもので約二億三千万キロリッター相当のものを賄う。残りが石油輸入になりますが、これが差し引き算をいたしまして四億三千万キロリッター相当が必要である。で四億三千万キロリッター程度までであれば、世界のいろんなバランス、あるいはOECDなりIEAでいろいろ将来に向かいましての世界のバランスあるいは需要というようなものを想定したり、あるいは専門家がいろいろ見ておりますけれ
ども、
努力すれば可能な範囲内であるというようなのが昭和六十年度の
努力目標の
見通しでございます。これを対策促進計数と言っているわけでございます。
で、あともしいままでやってきたようなことを続ければどうなるかというのもございまして、その場合には、先ほど油の量が四億三千万キロリッターと申し上げましたが、その
努力の程度が従来程度であれば五億キロリッターぐらいの油を輸入しなければいけない。これは実行上、現実問題としてその達成がきわめて困難で、結果としては供給がショートするかもしれない。したがいまして官民の総力を挙げて、先ほど申し上げました省エネルギーあるいは
原子力の
開発そのほかのものにも取り組みまして、先ほど申し上げましたような六十年度の対策促進計数を達成するように
努力したい、あるいは
努力すべきである。その裏づけになりますお金であるとか、あるいは
国民的なパブリックアクセプタンスであるとか、そういうものを達成すべく、さらに具体的な対策を詰めていこうというようなのが暫定
見通しでございます。
なお、十五年先、昭和六十五年度についても同様な数値を描いておりまして、
原子力だけについて申し上げますと、昭和六十五年度の達成目標値は、設備の容量にいたしまして六千万キロワットということでございます。