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1977-11-18 第82回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十八日(金曜日)    午前十時七分開会     —————————————    委員異動  十一月十八日     辞任         補欠選任      源田  実君     中村 太郎君      後藤 正夫君     金丸 三郎君      成相 善十君     高平 公友君      永野 嚴雄君     伊江 朝雄君      玉置 和郎君     北  修二君      松前 達郎君     寺田 熊雄君      栗原 俊夫君     穐山  篤君      向井 長年君     三治 重信君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 房雄君     理 事                 藤川 一秋君                 森下 昭司君                 塩出 啓典君                 佐藤 昭夫君     委 員                 伊江 朝雄君                 金丸 三郎君                 亀井 久興君                 北  修二君                 後藤 正夫君                 鈴木 正一君                 高平 公友君                 田代由紀男君                 中村 太郎君                 望月 邦夫君                 赤桐  操君                 穐山  篤君                 栗原 俊夫君                 寺田 熊雄君                 吉田 正雄君                 三治 重信君                 向井 長年君                 柿沢 弘治君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       宇野 宗佑君    政府委員        内閣法制局第三        部長       前田 正道君        科学技術政務次        官        大島 友治君        科学技術庁長官        官房長      半澤 治雄君        科学技術庁計画        局長       大澤 弘之君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        科学技術庁原子        力安全局長    牧村 信之君        科学技術庁原子        力安全局次長   佐藤 兼二君        運輸政務次官   石井  一君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君    説明員        科学技術庁原子        力安全局原子炉        規制課長     松田  泰君        科学技術庁原子        力安全局核燃料        規制課長     石塚  貢君        科学技術庁原子        力安全局保障措        置課長      栗原 弘善君        運輸省大臣官房        参事官      沼越 達也君        運輸省船舶局検        査測度課長    辻  栄一君        運輸省船舶局首        席船舶検査官   赤岩 昭滋君    参考人        日本原子力船開        発事業団理事長  島居辰次郎君        日本原子力船開        発事業団専務理        事        倉本 昌昭君     —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法  律案(第八十回国会内閣提出、第八十二回国会  衆議院送付) ○核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関  する法律の一部を改正する法律案(第八十回国  会内閣提出、第八十二回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、源田実君が委員を辞任され、その補欠として中村太郎君が選任されました。     —————————————
  3. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興対策樹立に関する調査のうち原子力発電立地問題等に関する件について、来る二十一日午後二時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 御異議ないと認めます。  なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案並びに核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 赤桐操

    赤桐操君 今回提案になっております核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部改正案につきましては、大別すると保障措置関係と再処理関係二つに分かれていると思うのであります。こういう二つ部分から構成されている法案であると考えます。私は、本来この二つ性格というものは、いまこの種、核ないしは原子力関係の諸問題を扱っていく場合のこれは大きな課題であると思うわけであります。   〔委員長退席理事森下昭司着席〕 したがって、この保障措置がこの案の中で見ますると、いわゆる規制法的な側面を持っている。それから再処理関係部分については促進法的な色彩を持っていると、こういうことが言えると思います。こういう異質なものでありまするだけに、これはやはり本来なれば二つに分けて扱うべきものであると、こういうふうに考えるのでありますけれども、この点まず一つ伺いたいと思います。
  8. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 確かに先生指摘のように、規制的なものと、再処理民営化を認めるというお話、これは促進法ではございますけれども、本来わが国原子力開発を考えました場合には、核燃料サイクルの確立ということが長期のエネルギー政策上もきわめて重要であるということ、並びに核燃料使用済み燃料の再処理ということは、国際的にもわが国がこれを実施していくということにつきましてはきわめて重要なものでございまして、保障措置とは、まあ言ってみますれば、非常に平和利用担保を考えつつこの再処理を行うという車の両輪的なものであるというふうなことをも考えまして、個別といいますか、一本でお願いしたわけでございますけれども衆議院段階の御審議におきまして、再処理につきましてはなお審議に十分な時間がとれなかったということで、この部分を落として保障措置関係法案をお願いしておるわけでございます。  私どもといたしましては、この再処理につきまして、衆議院段階で落としておりますけれども、その必要性がないということで修正したというふうには考えておりませんので、できるだけ早い機会にこの再処理法案につきましても御審議をお願いしたいというふうに考えておる次第でございます。
  9. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 提案された法案の、法案そのものの法的な性格からくる同一性ということを申し上げたいと思います。  御案内のように、規制法そのもの目的が何をねらいとしているかと申しますと、平和目的、それから計画的利用の確保、それから災害防止、そういうものに関する規制をねらいとする法律だったわけでございます。御案内のように、保障措置関係の問題は国際約束担保に関する規制ということで、これは当然従来の器に入るわけでございますし、それから、御提案しました再処理民営化そのものも、決してその内容はこれを促進するというような内容法案でございませんで、再処理民営化された場合における規制をいかにするかというものがその法案内容でございますので、当然これまた現在の規制法の器の中に入って、現在あります再処理に関する諸規定の変更ということの内容になるわけでございます。そういう意味で、規制に関することということで同一のものであるということが言えると思います。
  10. 赤桐操

    赤桐操君 私は開発規制というものは同一じゃないと思うんですよ、扱いの上においては。それで、今回の規制法をめぐる問題の中でも一番大きな問題として国民の間から求められているものは安全面強化であると思うんです。これが唯一の問題だろうと思います。それで、いままでの進められてきたあり方といいますか、体制といいますか、そういうものを見るというと、強力な権限を持った、いわゆる現行原子力委員会と同じような力を持ち、あるいは比重を持った安全委員会というものの設置が、少なくとも本来のたてまえからするならば、あってしかるべきじゃないか、私はそう思うんです。これは諸外国における例においてもやはり、きわめて安全と開発というものは、規制開発というものは相対峙した形でもって取り扱われてきているわけですね。そういう面について、わが国の場合におきましては残念ながらこれが明確でない、こう言えるわけでありまして、一つのところで開発規制を両方やるなんということはできるものでないのであって、どうもそういう明確な姿勢というものが今回の法案の中にもやはり私は求められてくるものではないだろうか。そういう形で考えられるならば、少なくともこの二つの問題を分けて、相対峙した形でもってこれは論議をさるべきものであろう、こういうように実は考える。そういう意味合いから、一歩進めて、この現行原子力委員会とは異なった、言うなれば、安全委員会といいますか、そうしたものが本来これから設定されていくべきものだろうと考えるんですが、この点についてはどうですか。
  11. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) ただいまの先生の、安全委員会のような、規制を担当する強力な権限を持った機関ということが必要であるという御指摘でございますが、これは実は今国会原子力関係関係法令として三つの法令審議をお願いしておるわけでございますが、その中で原子力基本法改正をお願いしております。これはまだ衆議院段階で御審議をいただいておるわけでございますが、その中に、先生ただいまおっしゃられました安全委員会を新設するという案件が提出されております。これは、現在の原子力委員会が、先生おっしゃいますように推進と規制をあわせて行っておるということにつきましての反省でございまして、原子力委員会の所掌のうちから安全規制を所掌する分を取り除きまして、新たに安全委員会設置いたしたいという法案の御審議をお願いしておるわけでございます。  なお、あわせて同時に、現在の法体系関係行政機関、たとえば発電炉におきますと科学技術庁と通産省、あるいは船で原子力船の場合には科学技術庁運輸省関係一貫化されていないというふうな問題等の御批判にもこたえまして、規制一貫化ということをあわせてつけ加えました法案の御審議をお願いしておるところでございます。
  12. 赤桐操

    赤桐操君 この再処理民営化の問題については、衆議院の方で一応の措置がとられておりますので、これは将来に譲りたいと思いますが、安全問題をめぐりまして幾つかの問題について少し触れたいと思います。  最近の週刊誌に掲載されている内容の中で大分長官PR努力されているようでありますが、少し長官真意を伺っておく必要があるだろうと感じている面が一、二ございます。時間の関係がありますので、そのうち主なものだけひとつ伺いたいと思うんですが、原子力船むつ」の放射線が漏れた場所に一年間ぐらい座り続けておっても、全身に浴びる放射線量というのはわずかに千五百ミリレムだと。したがって、胃のレントゲン撮影等で浴びる放射線の場合におけるものと比較しても、これはそう大した問題じゃないんだ。一方は一年間、レントゲンの場合にはただの一回だと。こういう表現の中で、こういう事実を正しく理解してもらえば、まあ原子力船むつ」のような騒動には発展しなかっただろう。こういうことが、安全性を正しく理解してもらいたいという小見出しの中で長官の言として取り上げられておるようでありますね。これは御承知だと思います。  これは、一見大変気さくに長官PRされているように思うんですけれども、私はここに相当大きな問題があるように思うんですけれども、一応ひとつ長官真意を伺っておきたいと思うわけです。
  13. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 安全性の問題に関しまして、私は今日まで原子炉において人身傷害事故が一件もなかったこと、これは幸せなことでございますから、常にそのことを申し上げております。だから、今後もないように努力をしなくちゃならぬということを申し上げております。  そして、いま一つの例といたしまして、たとえば安全性に関しても政府のいままでの努力が足りなかった。足りなかったから、言うならばいろいろな面において非常に不信を買った面が多かった。  〔理事森下昭司退席委員長着席〕 たとえば「むつ」においても、千五百ミリレムでございますから、これはちょうど胃のレントゲンの一回の被曝線量に値すると。そういうふうなことが、もしももっと政府努力をして国民方々PRが行き届いておれば、あるいはそのようなこともなかったかもしれぬが、当時としてはそのようなPRも行き届かず、またいろいろ政府にも落ち度があったんだという話の一環として申し上げておりますので、その点は決してそこだけを強調しておるというんじゃなくして、やはり反省を加えながら、また安全性については、たとえばこのようなことであったということを申しておりますので、御了解を賜りたいと存じます。
  14. 赤桐操

    赤桐操君 余りこうした対談の問題を取り上げる気ではないんですけれども、どうも今度の一連の、関連している改正案の中身をずっと見てまいりますと、いささか長官の言明ともかかわり合いがあるような感じがするので、あえて冒頭お尋ねしたんですけれども科学技術庁は、そうすると基本的には従来のこの放射能に対する——医学的にもあるいはいろいろの社会的に今日まで考えられ、また各種法規規制された基本的な考え方を変えるということはないんですね。
  15. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 全く今日までの安全性規制に関しましては、強化をこそ願っておれ、それをゆるめるとか、そのような気持ちはございません。  たとえば、われわれといたしましては、国際放射線防護委員会環境に与える放射線量はこれだけ、あるいはまた従事者はこれだけと、こういうような線が示してございますが、環境に対しましては五百ミリレムでよいと言ってておりましても、みずからその百分の一の五ミリレムでわれわれは規制しようと、こういうふうにして今日までずっと安全いちずにやっておりますから、私どもといたしましては、そうしたことを少しも変える気持ちはございません。  さらに、住民方々がもっともっと要求されるのならば、さらに細かいことも検討して、極力国民の、さらには地域住民の御理解を得るように努めようではないか、こういうふうな、私といたしましては就任以来前向きの姿勢をとり続けておりますので、御理解願いたいと存じます。
  16. 赤桐操

    赤桐操君 この問題をそう大きく私も論議をする気はありませんが、しかし、そうしたものと、いまの長官対談の中で出てきている数字等の比較をすると、少し従来の考え方を変えたのではないか、こういう誤解も与えかねない内容であるということを私はひとつ申し上げておきたいと思います。  次に、原子力発電所周辺放射能汚染が大分進行している。十一月六日に京都大学農学部遺伝学研究室で活動しておられまする市川助手の二年間に及ぶ調査の結果が最近明らかにされております。これは関西電力高浜原発の場合の例でありまして、ムラサキツユクサという草の突然変異を利用して調べた内容のようであります。このムラサキツユクサというのは、細胞レベルではわれわれ人類の場合と同程度放射能感受性を持っていると、こう言われているわけでありますが、今回の市川さんの報告の例では、遺伝学的に将来障害が起こることが大変憂慮される。さらにまた放射能障害がいわば緩慢な殺人であり、さらにまたその汚染に対する強化対策というものが、これは非常に重大な問題になってきていると思うんですが、この問題についてのひとつ考え方を伺っておきたいと思います。
  17. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 高浜原発周辺におけるムラサキツユクサ報告につきましては、これは新聞で報道された以上の資料を現在私ども持ち合わしておりませんけれども新聞の報道によりますと、ただいま先生がおっしゃいましたようなこの原発周辺でそういう影響が出ておるというふうな記事が出ておるわけでございますが、このムラサキツユクサおしべの毛の細胞放射線に対しても、非常にセンシティビティーを持っておりますが、そのほか温度であるとか、湿度であるとか、日照度あるいは降雨量、それから大気の中にございます化学物質、塩分、こういうものによって非常に変動する。したがいまして、自然環境——放射線以外の自然環境によりまして、非常に変動する感受性の強いものでございます。したがいまして、このような発表があったわけでございますけれども、本来、学問的にはこれらの一般的な自然環境条件の要因を詳細に分析しなければ、放射線影響と断定することはできないものだろうと思っております。  また、こういうような自然界に発生する異変の中で微量放射線影響があったかどうかということは、非常に多量の試料を用いまして、先ほど申し上げましたようなその他の環境の変化を排除するような研究の手法によってやらなければ、なかなか判定がつかないというものであるというふうにわれわれは理解しております。  それから、細胞レベルにおいては人間細胞と同じであるということではございますけれども人間微量放射線を受けました場合に、その影響につきましては回復の状況等いろいろ生体としての反応が違うわけでございます。直ちにそういうようなことを人間に適用するということは、現在の研究水準では非常に困難であろうと考えております。  なお、この発電所周辺線量は、ただいま大臣も御説明申し上げましたように、安全審査時に非常に厳しく審査しておりまして、現実のレベルは、先ほど大臣が五ミリレムということを申し上げましたけれども、それよりもさらに低いレベル管理しておりまして、したがいまして、人間に対する影響は全くないというふうに考えております。
  18. 赤桐操

    赤桐操君 これも新聞で報道する内容なんですが、その中でこういうことが出ているのです。「突然変異による赤色変色おしべ毛が千八百七十一件あり、自然現象変異率と比べ約一七%増だった。高浜周辺の四地点は舞鶴市よりも異変率は高く、七月十一日のこれは神野浦が目立って高かった。」とこう出ているんですね。要するに、他の地域でも自然現象的な影響を受けるのは当然でありまして、そういうところにおけるこの同一の植物の変異のぐあいと、この高浜地区におけるところの変異ぐあいとでは大分大きな差があるということを主張しているわけですね。そのことを私はいまお尋ねしたわけなんです。  それで、もちろんいま言われたとおり、この高浜原発は加圧水型であって非常に大気中への放射性気体が少ないということについては、これはいろいろ管理その他の中で明らかにされているところでありますが、それにもかかわらずこういう現象が生じたということは、これは大変考えなきゃならない問題ではないだろうか。こういうことであるわけですが、この点はいかがですか。
  19. 松田泰

    説明員松田泰君) 先生いま御指摘になりましたような、具体的な、たとえば自然発生率をどのようにして測定されているのか、あるいは場所を違えまして原発周辺とそれからはるか遠いところというものを比較いたしまして多分測定されているだろうと思うわけですが、その場所によって、いま安全局長が申し上げましたような温度とか湿度といったような条件が本当にどれくらい違っていたのかというようなことは、実は詳細にそのデータを見ないとわれわれとしても判断できないわけでございます。市川先生のその発表が、ある講演会でなされたというふうにわれわれも聞いておりまして、その辺のデータというのが正式にまだ発表されていないと思いますので、われわれとしては細かいコメントはできない状態でございますが、しかし、私どもの方でももちろんそういうことを念頭に置いて、いろいろな放射線管理を行っているわけでございまして、それによりますと、現在の放出状況ではそのようなことによって影響が出るようなレベルにもなっていないと私どもは考えております。
  20. 赤桐操

    赤桐操君 次に、福島原発埠頭で最近コバルト60とマンガン54が検出されたということが報道されています。これが原発の所在地は大体海津でありますから、実はこれからそれではほかではどうなんだろうかということをすぐ連想するんでありますが、まずその前にひとつ福島原発の場合における海底汚染状況について御説明願いたいと思うのです。
  21. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) これは原子力発電所におきましては、設置者並びに地方自治体で原子力施設から出る微量放射線につきましてモニタリングをやっておるわけでございますが、この発表は、福島県と東京電力がそれぞれ行いました環境モニタリングの結果を発表した中にあるわけでございますけれども、確かに福島原発の港湾の中に微量コバルトであるとかマンガン海底沈着物試料の中から発見されたということでございます。その量は採取しました土、乾燥した土の重量を一キログラム当たりで、取水口の近くで採取しました試料ではコバルト60が六十四ピコキュリー、これは十のマイナス十二乗キュリーでございます。それからマンガンで二十五ピコキュリー、これは県の調査の方でございます。それから取水口の近辺でのものがコバルト60で百三十六ピコキュリーマンガンで六十六ピコキュリー、これは東電の調査でございます。これにつきまして見解福島県で発表しておりますけれども、同時に測定を行った海水であるとか海洋生物には現時点で何らコバルト60、マンガンは検出されていない。それからこの検出された量が非常に少ないこと、それから海底土のものでございますので、人間に対する被曝評価上直接結びつくものではないということから、環境安全評価上、問題になるものではないという見解を県の方でもおとりになりまして、しかしながら、こういう核種が測定されましたので、今後の調査の中でさらに監視をしていきたいというふうに御見解発表されておられます。当庁もこの報告を受けましていろいろ検討さしていただいておりますけれども福島県の見解が妥当なものと判断しております。  ちなみに福島第一発電所からの最近一年間の放射性廃棄物放出状況を見てみますと、コバルト60は過去一年間に十のマイナス九乗ないしは十一乗マイクロキュリー・パー立方センチメートルという程度でございまして、これは法令に基づきます基準の値の十万分の一程度レベルになっております。したがいまして、われわれといたしましてもこれが環境に及ぼす影響というものは全くないというふうに判断しておる次第でございます。
  22. 赤桐操

    赤桐操君 これを機会にひとつ、各それぞれの埠頭などでいろいろこれからこの種のものが発生する可能性もあることだし、科学技術庁としてもこれらに対する調査なり検討なりをしておくべきだろうと思うんです。それで、新聞その他で一応報道はされておりますが、こうしたものに対するひとつ——現在ただいまでは私どもほかにはないだろうと思いますけれども、ほかの実情等も調べてひとつ御報告を願いたいと思います。
  23. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 現在、こういうような放出の量等につきましては、設置者報告することになっておりまして、私どもそれを集計して近く、これからは年に一遍とか半期に一遍、これはまだ決めておりませんけれども、公表したいということで計画しておりまして、第一回は近く来月には発表できるというふうに考えております。こういうことで、住民方々の御理解を賜るような努力をしていきたいというふうに考えております。
  24. 赤桐操

    赤桐操君 次に、原子炉の安全関係の問題に移りますが、これまた最近いろいろ報道されて気になる問題なんでありますが、ちょうど十一月七日の報道でありますが、原子炉の安全装置を作動させる電気回路が案外火災に弱いということが報道されております。危急の場合には働かなくなる場合も出てくるのではないか、こういう見出しで出ておったわけでありますが、これは実態は日本の場合ではなくて、アメリカ原子力規制委員会の実験記録として明らかになったものであります、これは御承知だろうと思いますが。日本の国の場合におきましては、この種の実験がなされておるのかどうなのか。アメリカと異って原子炉の電気回路については火災に対してわが国の場合はどういう状態にあるのか、これらについてひとつ明確にされたいと思います。
  25. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先生、ただいまおっしゃられた新聞発表でございますけれども、この詳細は実は私どもまだ残念ながらつかんでいないわけでございます。ただその発表の中に「憂慮する科学者連合」というのがアメリカにございまして、そこが、この火災に弱いということで、現在建設中の原子炉をとめろ、建設を中止し、既存の原子炉は運転をとめるべきだということをアメリカの当局に提出したやに出ております。それに対するアメリカ規制局の担当官のコメントが入ってきておりますけれども、どうもこの陳情の主体になりました火災実験というものの内容についてその「憂慮する科学者連合」の方ではその実験の内容を取り違えておるというような見解でございまして、安全性の意味を取り違えているというようなことのようでございまして、したがいまして、NRCとしてはこのような行為は必要でないと考えるという見解を直ちに発表しておるようでございます。なお、しかしながらこの火災実験の結果がどういうものであったかということはわれわれとしても非常に関心があるところでございますので、直ちに外務省を通じましてNRCからその実情を教えてほしいということをお願いしておりまして、近くそれが入手できるものというふうに考えております。  なお、わが国のこれらに対する対応でございますけれども、これはアメリカがこういう実験を行いましたのは、ちょっと年代は忘れましたけれども、一九七五年に、ブラウンズフェリーという原子炉がございますが、ここで定期検査中に作業員が誤ってろうそくの火をこのケーブル、電気回路につけてしまって、これが燃えたという事故があったわけでございます。これを受けてアメリカでいろいろな実験が行われたものだというふうに予想されるわけでございますけれどもわが国におきましてはこのブラウンズフェリーの火災事故を非常に貴重な経験といたしまして、直ちに原子力施設の防火対策というものを強化するという線で、安全審査におきましても火災に対する注意すべき基準を直ちに整備いたしました。また、建設、運転を担当いたします通産省の方におきましても、電気事業法に基づく規則で火災防止のための必要な措置を定めまして、技術基準を定めまして、既存のものあるいはこれからつくるものについて守らせていくというふうなことで処置しておりますので、火災に対する安全性というものは一段と強化されたものというふうに考えております。
  26. 赤桐操

    赤桐操君 続いて、これまた外電による内容であるんでありますが、決して人ごとではないと思うんですけれども、これまたNRCの研究員がアメリカの上院の環境・公共事業委員会で核物質が盗まれたことを証言しておるわけでありますね。この委員会における証言内容については、むろん環境庁の方では大体承知しておられると思うんでありますけれども、この事実関係というものがどういう背景にあったものであるか。あるいはまた、一体、日本の場合にこれを置きかえたときに、これからこの種のものがいろいろと発生する可能性があるんではないだろうか。私も二、三の発電所ども見せてもらいましたけれども、工場への入退出をめぐる状況管理体制、こうしたものでいろいろ現在行われているやり方でいいのかどうなのか、こういう点を若干考えなきゃならないでしょうし、あるいは続いて被曝関係の問題につきましても、いわゆる管理という面からするならばもっと被爆問題について真剣に出入りの者に対する対策が行われるべきじゃないだろうか、こういうものを痛感したことがありますが、いわゆる核の盗難の問題ですね、これもまた安全上大変な問題なんですが、これについてはいかがですか。
  27. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) お答えいたします。  アメリカにおける核物質の盗難という御質問でございましたが、私どもがこれまでアメリカの原子力規制委員会及び昔のERDAでございますエネルギー研究開発庁、最近エネルギー省になりましたが、そちらの方から聞いております限りにおきましても、これまで核物質の盗難があったという証拠は存在していないということでございます。ただし、これは保障措置の方で行うことでございますが、核物質を測定します場合にその測定の誤差というのが当然出てくるわけでございまして、その在庫量を調べる場合にはその核物質の誤差というのを報告することになっております。これは測定誤差に基づくものでございまして、これがときどきよく巷間不明物質量という言葉で呼んでおりますものでございますから、不明物質量というものはこれは核物質がなくなったんだというふうによくおとりになられて、言葉で非常に誤解を招く筋がございます。それで、最近アメリカにおきましては、この不明物質量という言葉を、ちょっと英語を使って申しわけないんですが、インベントリー・ディファレンス——在庫の差異というふうに呼ぶようになっております。したがいまして、これまでのエネルギー省及びNRCの報告によりますと、そのような在庫の差異というものはございましたが、核物質が盗難に遭ったということを裏づける証拠はこれまでないというのが正式の見解でございます。
  28. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 御指摘の後段の、今後の日本における核防護関係をどういうふうに対応していこうというのかという御質問にお答えいたしたいと思います。  御案内のように、昨今の核防護に関しましてはきわめて各国とも重大な関心を示し、特にアメリカ等はその最たるものだと思います。そういう意味で、原子力問題に関する今後のきわめて重要な問題領域を占めるものだろうというふうにわれわれは認識するわけでございます。で、こういうような背景のもとに、実は御案内のように国際原子力機関等におきましても、各国に実は各国の核的防護はこういう程度に防護されたらいいんじゃないだろうかというような勧告をしたことがございます。それは、昭和五十年のころにあったわけでございます。こういうような背景をとらえまして、原子力委員会におきましても五十一年の四月に専門の部会を設けまして、こういうような勧告をどう受けとめるか。それから、さらに今後の防護に関する基本的な対応はどうすべきかというようなテーマを二つ掲げまして、一年間鋭意検討されたわけでございます。それで、ことしの九月御案内のような第一次レポートというものが提出されたわけでございます。その結果、そのIAEAの勧告する内容との対比におきましては、現在、御案内のように原子炉規制法におきまして所要の措置は講じておられます。その内容から見ますと、おおむねIAEAの指摘しているようなガイドラインを日本は満たしておる。ただし、それをより的確にやるようなもろもろの法令整備の神経を使うような措置は、やはり十分に追加すべきだろうというような点が一つ指摘があったわけですが、それにさらに加えまして、要するに核防護はそのときの社会情勢の状況とか、それから原子力開発の利用の度合いとの相関的な関係にあるわけですから、日本の今後を考えた場合、社会情勢の状況の推移とそれから日本の開発状況の進展とを見比べて、万遺漏なきような対応をすべきだろうというような指摘が実はなされておるわけです。したがいまして、私たちもそういうような具体的な指摘のもとに具体的な施策を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。     —————————————
  29. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 委員異動について御報告いたします。  本日松前達郎君が委員を辞任され、その補欠として寺田熊雄君が選任されました。     —————————————
  30. 赤桐操

    赤桐操君 続いてそれでは核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の中の六十一条の十八、秘密保持義務の項について若干お伺いいたしたいと思うのでありますが、この中の指定情報処理機関というのはどんな仕事を具体的にやるんですか。
  31. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 御案内のように、核不拡散条約の批准に伴いまして、来る十二月四日以降新たな保障措置協定を日本は具体的にIAEAと締結し、そのもとで新たな保障措置体制をとらなくちゃいかぬということになっておるわけでございます。その場合の具体的内容としまして、保障措置そのものは一口に申しますと核物質を使用する者の使用の状況に関しまして、受け払い状況それから在庫の変動状況というものを正確に把握し、これまた実地検認しまして、それでいわゆる軍事面への転用がないかどうかというものを確認することがその内容になるわけでございます。それで、具体的な手立てとしましては、やはり当該事業者からある一定の記録をさせ、その結果をまず報告を国で求めて、これにある一定のある方法に基づきます解析、そのときは現地確認の査察等も行った結果をも入れての解析を行いまして、これをIAEAに報告するというのが一連の操作になろうかと思います。  それでこの指定機関における業務といいますのは、国の業務といたしまして、したがって、大きく二つあろうかと思います。一つは一連の操作に関連しまして、そのデータ処理というか情報の整理という業務が一つカテゴリーとしてはございます。それからもう一つは、単なる記録に基づくデータということでなしに、現にこの目で現物を確認するという仕事がある片側の分野にございます。それで、前の方の情報の処理関係につきましては、その内容がきわめて定型的であり実務的な業務でございますので、これを他の特定の専門的な機関に委託するという方が行政効率を上げる面においてしかるべきであろうという判断に基づきまして、その情報処理に関する分野のみをその指定情報機関に委託するというような見地に立って、その指定機関制度というものを今回設けたわけでございます。
  32. 赤桐操

    赤桐操君 私がお伺いする範囲では、秘密を保持しなきゃならない理由はむしろこういう形でなさるべきではないと、軍事面への転用があるかないかをその基本とするということであるならば、こういうものはなおさら必要がないんじゃないかと、こういうように思うんであります。それで、仮にこれができまするというと、罰則が伴うことになるのですね、罰則が。この罰則を見ますと、これはいろいろ見てみたんですが、自衛隊関係、公務員関係いろいろありますけれども、これらの守秘義務との関係を見ますると、自衛隊の場合の秘密を守る義務よりもこの方が重くなっていますね。
  33. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 御指摘のような負荷した義務との見合いで、それが履行されなかった場合のペナルティーとその罰則の度合いつきましては、私どものこの案では一年以下の懲役、三万円以下の罰金、それから御指摘のような自衛隊の関係につきましては、一年以下の懲役、三万円以下の罰金と——失礼しました。私どもの場合は三十万円以下の罰金となっているわけでございますが、このような罰則を設定するに当たりましては、法務省とも十分協議しまして、関連の他のもろもろの罰則規定との関連も見まして、そこのバランスをとりまして合理的にこれは設定されておるというふうに考えております。
  34. 赤桐操

    赤桐操君 重ねて伺うんですけれども、これほかと比較してそんなに合理的なんですか。
  35. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 御参考までに私どもの調べている範囲内でも申し上げますと、これとやや類似するような、国からの委託された指定機関としまして輸出品デザイン法による認定機関があるわけでございますが、これは一年以下の懲役、三万円以下の罰金とありますが、それから以下いろいろの例はあるわけでございますが、いずれも懲役の面につきましては一年以下の懲役ということになっておりまして、ただし罰金の問題だけはその機関に係る法律の設定時における経済事情等々を勘案されて、その背景のもとで、具体的なその罰金のベースの問題は、それとの勘案で設定されておるということであろうと思います。で、その辺のバランスの問題はそれなりに保持されておるというふうに考えております。
  36. 赤桐操

    赤桐操君 いずれにしましても、この問題は大きく考えてみるとこれは原発をいま開発しようという考え方長官がしばしば述べておられる趣旨等もまあいろいろ私たちも伺っておるんですが、それはあくまでもわが国におけるエネルギー政策全体の中の一環だと思うんですね。これはそれ以外の何物でもないということをしばしば言明されておるわけですよ。これが軍事に転用されるということはこれはあり得ないわけだし、あってはならないとされておるはずなんですね。だから、言ってみればあくまでもこれは他のそういうエネルギー政策上の中の事業にすぎないわけですよ、いかに原子力発電所といえども。もちろんその中にもいろいろ核関係の燃料、原料の物質を扱うわけでありますけれども、それはあくまでもわが国に関する限りは平和利用わが国エネルギー政策の中の、事業の中の一環にすぎないと、こういう位置づけだと思うんですね。そうだとするならば、なぜこんなにまで秘密保持の義務をここに持ってこなけりゃならないか。しかもこういう形でひとつここに取り入れられていくということになると、やがてこれは私は将来にこの種秘密保持の形というものが拡大をされ、あるいはまた深められていく可能性が出てくるんではないかと。心配されることは、もちろん国際関係でありまするからして、国によってはこれを軍事機密として扱うところもあると思います。現実にそういう関連性を持った国もあると思いますが、私どもの日本の場合はそれは関係ないわけでありまして、一昨日の答弁の中でも、これは国際関係との関連ではないと、わが国の自発的な立場だということも言っておられるわけなんで、そういう点からするならば、ここにあえて秘密保持の義務条項を入れる必要はないのではないかと、私はそう考えるんですがね。
  37. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) ただいまの御指摘にもありましたように、ここで御提案申し上げております協定の実施に係る保障措置関係の国内法の措置は、きわめて協定との一体的な関連を持つものであると私は考えております。したがいましてその関連から見まして、一体守秘の義務を課す場合においても、そもそも協定のべースではどういうようなぐあいになされておるかということをもよく勘案して、それとの関連においても国内法の面の整備をする必要が内容的にあるんだろうと思います。そういうものを担保しなければやはり国際的な関連制度でもありますし、それからこの制度そのものの内容等から考えますと、そういう面を通じてのやはり信頼性ということも十分に確保しなければ目的は達し得ないんだろうというふうに考えるわけでございます。で、ちなみにこの協定の方でも、六条で、御案内のように、そういう守秘義務に関しましては、国際原子力機関は、この協定の実施に当たって知るに至った商業上及び産業上の秘密並びに他の秘密の情報を保護するためのすべての措置をとるというような基本的ラインに立ってやっておるということは、基本的な問題であろうと思いますので、その辺とのバランスも考えながらこの条文というものを実は設定したわけでございます。
  38. 赤桐操

    赤桐操君 どうも最近私はいろいろ感ずるものがあるんですが、こうした原子力関係の基本をなす各種法規の中に、やっぱり私はこの種のものを入れるべきでないというふうに考えるんです。なぜならば、いずれまたこの問題は明らかになる時期もあると思いますが、私はどうもこれがやがて拡大をされ、原子力発電所周辺には人も立ち入ることができなくなる、あるいはまた非常に聖域化されていく一つの道筋に入ってきているのではないかと。たとえば写真機を持って、カメラでこれをPR館などで写真を撮ったりあるいはまた記念にと思って、きわめて単純な気持ちで撮ったりしていても、かなり大きくこれを受けとめられていく。何かやはり将来、どうもかつての軍国時代における要塞地帯のような形に、これがだんだんと発展していく可能性を持つんではないだろうかということを実は私は最近憂慮しております。  衆議院を一部修正で通過した直後のことであろうと思うんですが、やはり私は企業の側の姿勢も官憲の姿勢も変わってきているんではないだろうか、この種のものに対する扱い方が。そういうことを最近私は感じているんですが、科学技術庁の方ではそういう点についての感じはございませんか。
  39. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) この条文を設定した趣旨は、先ほども申し上げましたように国際的な約束を履行するために、国内的制度としてはそれなりの十分な信頼性を持ったものでなければならないという認識のもとで、その信頼性を確保する観点から、いま申しましたよう守秘条項というのは必要不可欠なものという判断に立って設定したわけでございます。なお御懸念のように、これには所要の罰則もありというような問題もありまして、その運用いかんによってはいろいろ予期せざる弊害等も誘発するかもしれませんというような御指摘があったと思うのでございますが、その点に関しましては、やはりわれわれといたしましては、今後の運営問題といたしまして十分心得て、そういうことのないように対処していきたいというふうに考えております。
  40. 赤桐操

    赤桐操君 自衛隊の秘密漏洩よりも重い罰則ということ、これは私は大変重大だと思うのです。そしてこの原子力発電所をめぐる雰囲気がだんだんと変わっていくんではないかということを、こうしたことを私自身もはだで最近感ずるものがあります。だから私は執拗に、現実的な私のはだに感ずるものから言っているわけなんだけれども、しかも衆議院を通過したその前後からやっぱり変わっとるんですよ、現実には。そういう面からして、どうも国際的な信義の関係であるとか、担保であるとかいう一つの名分のもとに、何か軍事機密化していく一つの投影が感ぜられる、こういうように私はどうも憂慮されるのです。
  41. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) そういうふうなお考え方も私はあろうかと存じますが、しかし、経緯を申し述べますと次のような判断に私たちは立ったわけでございます。  それはまず、NPT条約に入ったときに、何と申し上げましても最初いろいろ議論がございましたのは、核保有国と非保有国との間に差別があるじゃないか、これが第一点。第二点は、同じ非保有国であってもヨーロッパ勢と日本とはこれまた差別があるじゃないか、いわゆるヨーロッパ勢はユーラトムとして相当な恩典を与えられておる、ところが日本には全くそれがないじゃないか、こういうふうなことが両院におきまして十分議論し、私自身もそうした差別があることを非常に遺憾とした者の一人でございます。しかしながら、外交当局の努力によりましてユーラトム並みになったわけでございます。なったということは、日本も十二分に自主的に核燃料物質管理する資格ありと、言うならば。そういうふうなことで、お互いの信頼関係が確認されたものでございますので、言うならば今日のこうした規制法の対内的な措置を改めるに至ったということが第一点でございます。だからまず、やはりIAEAとの関係ということを私たちは無視することができないのがこれが一つのこういうふうな規定をつくったゆえんでございます。  第二番目には、過般の日米交渉におきましても一番問題になりましたのは、先生御承知のとおり、混合抽出あるいは混合貯蔵ということでありまして、私はしばしば申し上げましたから重複は避けますが、それに対しましていかにも日本には核燃料物質に対するところのPP体制、つまり防護体制が弱い、そのように感ずるところあって、だから混合貯蔵せよ、抽出せよというふうな背景があったわけでございます。これに対しまして、私どもといたしましては日本には幾つも法律があって、アメリカさんのように国民がピストルを持っておるという国と違うんだから、そこはわれわれとしても十二分に自信を持ってやっておるということを申し述べまして、了解に達したわけでございますが、しかしやはりこうしたPP体制に対しましては今後も世界が注意をしなくちゃならぬ、つまり国家が核に転用することはないであろう、これは核不拡散で十二分に今後やっていかなくちゃなりませんが、もしも核ジャック等々の対象になったらどうするんだというふうな危惧の念はしばしば表明されております。今日の原子力施設に対しまして、東海村におきましても年間何方というふうな児単音が来ているように私承っておりまして、私も何回も行っておりますが、そうやって公開いたしております。そうした中においてついこの間、赤軍がまじっておったという事態もあったわけでありまして、そうしたことがやはり外国等々からながめられました場合に、ほんとに日本、大丈夫かいと、したがいまして、やはり核の存在するということ自体が、日本に対しましては、アメリカ大統領初め皆が何か日本にはそれはさせちゃならないんだという初め空気があったかもしれませんが、国家的な誤解は解きましたけれども、しかし核ジャック等々が果たしてそれに対して十二分に防護されておるかという問題に関しましては、より安全な方法をわれわれもやはり国際的にも示しておかなければなりません。さようなことでございますので、われわれといたしましてはどこにどのような核物質がどれだけあるんだということをこのセンターがコンピューターによって統計をとるわけでございますので、それが万一あそこにはこれだけ、ここにはこれだけというふうなことがわかれば、これは世界から考えたって何をしているんだというふうなことになりまして、いやしくもユーラトム並みに日本を扱ったその日本が、国際的にも信頼を失うような結果になりかねないというふうなことでございますので、こういうふうな条項が入ったということもひとつ御了解を賜りたいと存じます。なおかつ原子力施設に関しましては、私たちはあくまでも国民方々に一人でも多く見ていただきたい、見ていただいてそして御理解を深めたい、こういうふうに思いますので、決してその地帯が何か特殊なエリアとしてだんだん黒いベールに包まれると、そんなことは私たちはしたくはございません。むしろ進んで見ていただくような措置を今後もとり、「原子力の日」なんかにはどんどん見学をしてくださいと私みずから申し入れておるというふうなことでございますので、御心配の向きは当然われわれといたしましても今後必ずそのようなことのないように守っていきたいと存じますので、御理解を賜りたいと存じます。
  42. 赤桐操

    赤桐操君 具体的な事実をもって私はきょうは指摘する立場にありませんので、いずれ次回を期してこの問題についてはやらなきゃならぬ時期が来ると思うのですけれども、やっぱり変わっとるんですよ。いまの長官の言明されているものとは違うんですよ、現実は。だから私はやかましく言っとるんです。ベールに包まれ始まっとるんです。したがって、私は具体的事実をきょうは指摘の上に立っていろいろ長官の責任を求めたいと思ったけれども、残念ながらきょうはその時期ではないんです、まだ私自身としても。だからこれは次回に譲らなきゃなりませんが、そういう動きの上に立っての私の考え方であることについて一応ひとつ申し上げておきたいと思うのです。  次に、この規制法案につきましては、今回ずっと一通りいろいろ説明を伺ったし、検討も加えて見たんでありますが、大変重大な問題が一つ欠落しているのじゃないかと思うのです。それはかつて私はもう大分前になりますが、この科学技術特別委員会で、東海村から伊方に通ずる陸上輸送の問題について指摘をしたことがありました。この問題の中で核原料物質等についての輸送については、どうも一たん事故が発生した場合にはどこが主体になるのかわからないではないのか、事態収拾のための対策をどこがとるのかわからないではないか、科学技術庁はもちろん大きな責任があるでしょうけれども運輸省とかあるいは消防庁であるとか通産も関係があるようでありますし、地方自治体にも関係がある。警察、こうした関係のところには一通り連絡もするし通報はなされているようでありますけれども、一朝問題が発生したときには、どこが主体で、何をどうするのだという対策がない、そういう状態の中で輸送が現実に行われているということについては問題じゃないかという指摘をいたしましたところが、前長官はこれに対する対策をとるということを言明されたわけですね。そのときに私の考え方を申し述べているのですが、それはかつて石油コンビナート法を制定されるに至った例の瀬戸内海における油の流出問題であります。このときにやっぱりそうだったのですね、流れた物質については陸上から流れてきたものでありますから、海上保安庁の責任じゃないんです。責任でないというのはどうか知りませんが、仕事でないと、予算もなければ何もないというんです。それから、もちろんそれに対する船とか、そういうような対処するための施設は持ち合わせていない。あの広い瀬戸内海をひしゃくで取っておったんですね。これは皆さん御承知のとおりだと思うんです。それから、現地を視察して驚いたのでありますが、消防庁の方としては、これはもう当然海に流れてしまったものでありますから、これは消防庁の方で手の出しようがないんだ、おかにおけるところの対策だけはとりましたと、こう言っているわけですね。いろいろ各省間にわたったこの問題、対策をどうするんだということになって、そのときにこの参議院の地方行政委員会で私の方から提案したのは、もっと各省間をコントロールできる総合的な法規が必要ではないのかと。たとえば第二、第三のこの種の事件が発生するだろう、その場合のことを想定するときには、コンビナート法というようなものが必要じゃないのかと、こういうことを具体的に、これは私が提案したんです。これを受けて約一年半後にコンビナート法が成立をいたしております。これは参議院発議でやっておるはずです。私はそれを一応例に引きながら、少なくともこの核問題についての原料物質の輸送については、きわめて総合的な観点に立った輸送体制をつくる必要があるだろう、そういう考え方に立ってこの問題についてはひとつ抜本的な、これから海上を含めた法体系をつくるべきじゃないかと、こういうことを主張をいたしたわけでありますが、出てきたものはどうもこれにはそういうものが中に入っていないわけです。私は、当然入ると思っとったんです。これは前田長官の言明とちょっと違うんですよ、出てきたものは。これについてひとつ核原料物質核燃料物質、こういうものについての運搬、輸送についての考え方、これをひとつ伺いたいと思うんです。
  43. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先生のおっしゃいます非常に一元的な改正ではございませんが、それぞれの各省庁ですでに大筋の輸送に対する規制の体系ができかかっておるわけでございます。したがいまして、私ども関係各省庁といろいろ検討を加えました結果、一応一元的に責任体制を明確にした法案改正を実はこの規制法改正でただいまお願いしておる改正の方ではございませんで、先ほどもちょっと申し上げました基本法の改正法律案の方に責任体制の一貫化ということに関連させまして、輸送の関係法律案の修正を現在国会に提出して御審議をお願いしておるわけでございます。  その中身を若干御説明さしていただきますと、各省庁の責任分担を明確化するということでございます。まず第一点は、原子炉施設の中はそれぞれの主務大臣が責任を持つということでございます。それから、公の道路あるいは海上等につきましては、運搬物、容器であるとか、中に入っております核燃料規制については科学技術庁が一元的に責任を持つ。それから、運搬方法につきましては運輸省に一元化するという大筋の考え方で基本法の改正をお願いしておるわけでございます。  で、やや細かくなりますが、安全基準等につきまして、現行制度では確認制度がございませんので、この点につきましても確認制度の措置を新設するということ、あるいは都道府県あるいは公安委員会に届け出の制度の新設、こういうものを図りまして、ほぼ一元化された形におきまして従来よりも非常に強化された、整備された体制ができるものと考えておりまして、この点につきまして基本法改正の御審議の中に含めてお願いしておるわけでございます。
  44. 赤桐操

    赤桐操君 それではだんだん伺わなければなりませんが、来年の一月になりますと具体的な輸送が始まりますね。それで私は、そういう具体的な現実的な輸送問題をあわせて裏づけながらこれからお尋ねしてまいりたいと思うんです。  いままでの陸上輸送の場合においては、確かに大きな問題は現実には発生していないんです。しかし、何分にも運んでいる物が物でありますから、これは私はかなり将来に対するあらゆる場合を想定した対策が必要だろうと、こういうことでいままでいろいろ科学技術庁にそのことを求めてきたわけでありますが、たとえばこの前、柏で起きた問題について、私が科学技術特別委員会で指摘をするまで科学技術庁ではこのことについて知らなかったのですね。これは安全局長御承知だろうと思うんですけれども、私に指摘されて初めてしばらく前のことがわかったという事態であったはずであります。これはやっぱり私は、いままでの基本的な姿勢にあったと思うんです。千葉県あたりからもいろいろ問い合わせがあったようでありますが、きわめて安易な形で説明をされている。一般の物資の輸送、大根か菜っぱを輸送するのと同じような軽い気持ちで扱われてきたことは事実でありまして、それがそのまま地方にも反映しておったと、こういう状況のようであります。そういう中で、この事実が明らかになるというと、沿道の住民から大変な実は反発が出てきた、こういう事態が発生したわけでありますが、そういう意味合いから、韓国における爆弾の破裂事件ではありませんが、そうなってからでは間に合わないわけなんで、そのための対策というものが必要であるわけでありまして、そういう意味から、ひとつ以下いろいろお尋ねをしていきたいと思います。  来年の一月から福島原発を初め各原発の港から東海村に使用済み燃料が移動することになるだろうと思うのでありますが、これらをめぐりまして少し御説明願いたいと思います。
  45. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) ただいま東海村の再処理施設におきまして再処理のホット試験を実施しておるわけでございますが、そのホット試験中に関電の美浜二号炉並びに先生ただいまお話しの福島原子力発電所からの使用済み燃料を輸送する予定になっておるわけでございます。これはまだはっきりした、いつごろから運搬を開始するかは決定しておりませんが、近く電力会社並びに運送業者の方で実際の専用船日の浦丸というのをつくっておりますが、その日の浦丸を使いまして輸送の試験をまず行う予定になっていると聞いております。それが終わりまして、地元の茨城県等との話し合いがつきました段階で、来年に入りまして運送を開始するというふうなことで計画が進められております。
  46. 赤桐操

    赤桐操君 私どもの方で仄聞するところでは、大体来年の一月に四・七トン、さらにその次が二月に約九トン、その後美浜の方から続いて輸送が開始される、こういうように聞いておりますが、そうではないんですか。
  47. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) お答えいたします。  現在再処理工場はホット試験に入っておるわけでございますが、御指摘のとおり、原子力発電所からの運搬は来年の一月から開始されます。最初は福島から運ぶわけでございますが、まず最初は一月−現在のこれは予定でございますけれども、一月の中旬、それから二月の上旬にかけまして、福島原発から二回にわたりましてキャスクが六個搬入されます。その後二月から九月にかけてPWR用の燃料の搬入が美浜の方から開始されますが、この間、キャスクの数で合計八個の予定になっております。
  48. 赤桐操

    赤桐操君 美浜の方は何個ですか。
  49. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 美浜から搬入いたします使用済みの燃料のトン数は、十六トンででございます。
  50. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、五十三年の一月からこれが実施されるということになりますというと、これからの海上輸送はどういう基準に基づいてこれを管理し、輸送をさせるんですか。
  51. 赤岩昭滋

    説明員(赤岩昭滋君) 明年一月から海上輸送が開始されるということになるわけですが、この輸送の安全対策につきましては、一般的な安全対策と、それからこれは日の浦丸が使われるということになっておりますので、日の浦丸につきましての安全対策という二通りで御説明した方がわかりいいかと思います。  一般的な安全対策といたしましては、放射性物質の海上輸送の安全の確保につきましては、従来から危険物船舶運送及び貯蔵規則によりまして実施してきたところであります。ありますけれども、動燃の国内再処理問題の開始に伴いまして、放射性物質の海上輸送が多くなるということが予想されることから、なお一層万全を期するというために、科学技術庁、それから運輸省の航空局、自動車局が歩調を合わせまして、放射線審議会にも諮問の上、それぞれ所掌の府令、省令の全面的な改正を行うことといたしまして、この改正の規則が昨日公布されたわけでございまして、一月一日からこれが施行になるということになっております。  この改正規則におきましては、輸送時に必要な安全基準につきまして詳細かつ具体的に規定するとともに、使用済み核燃料放射線レベルの商い輸送物につきましては、事前に輸送物が安全に作成されていることを確認するということはもちろんでございます。運送計画書も輸送前に作成させて、その計画がこの規則の基準に適合しているかどうかということにつきまして、運輸大臣の確認を受けなければならないということにしておるわけでございます。また、実際に輸送物を船積みするに当たりましては、従前から安全に積み込まれているかどうか確認するため検査を実施しておりますが、そういうこともやって万全を期していきたいと考えております。  これが一般的な安全対策でございますが、日の浦丸につきましての安全対策といたしましては、この使用済み核燃料を運搬します専用船の構造、設備ということにつきまして、運輸省に、学識経験者、それから専門家等から成ります検討会を四十九年に設けまして、安全基準を作成したわけでございます。  その内容は、この種の再用船は耐衝突構造にする、それから一定の区画に浸水した場合でも沈没しないような構造にするというようないろいろな規制を要求しておりまして、国際的な規制基準よりも一層高い基準となっておるわけでございまして、日の浦丸につきましては、この基準に適合することの審査につきまして、海上段階ですでに完了しているわけでございます。  それから日の浦丸の運送計画の確認申請につきましては、これから提出されるということになるわけでございます。これにつきましても、学識経験者の意見を聞きながら審査に万全を期していきたいというふうに考えております。
  52. 赤桐操

    赤桐操君 どうも私は、先ほどから申し上げているとおり、この海上輸送が始まるということ、それは言いかえてみれば、使用済み燃料の移動なんですね。陸上輸送の段階からさらに海上輸送ということになってくるというと、これは大変な問題になりますよ。だから本格的な論議を経る必要があるだろうということを前提にして、もっと総合的な輸送体制の確立を裏づけた法律案の提案をすべきじゃないかと、こういうことを主張してきたのでありますが、そうすると昨日公布された省令によって行われるわけですね。こうなってきますと、その内容国民に明らかにされないうちに一方的に行われるということになるのです。したがって、いまこれから一つ一つ伺わなければならないですが、私もきのう実はようやくそのことを知りまして、率直に言うと、官報でようやく私もこれを見た程度なんです。  この内容は、この核燃料物質や原料物質の移動に関する基本的な問題なんであるから、本来なら当然ここであわせて論議さるべきものじゃないかと思うのですよ。これはまずほおかぶりの形の中でもう来年の一月から実施に移される、こういうことになるわけです。  そこでひとつ伺いたいと思うのですが、輸送規則の具体的な内容なんですがね。これは今度はいわゆる核原料物質としてではなくて、燃料関係のやつですから、使用済み燃料が中心になるわけなんで、こうなった場合には、これはいわゆる使用前の燃料棒とは違うわけでありますから、そこには新しい物質が入ってくるわけです。こうしたものに対する規制、こうしたものに対する対策、こういうものが輸送途上どのようになされているのか、この点ひとつ説明してください。
  53. 沼越達也

    説明員(沼越達也君) 今回の規則改正の要点を御説明するということになろうかと思いますが、これは国際原子力機関の定めた最新の国際的な基準の内容に沿っておるものでございます。  それで、新しい輸送基準の内容について概略御説明しますと、まず第一に、従来の規則は、容器の基準について漠然とした規定しか置いておらなかったわけでございますけれども、今回は放射性の輸送物について、放射線被曝防止及び臨界の防止という観点からそれを区分いたしまして、陸海空について統一された詳細な基準を規定したという中身が第一でございます。  それから第二は、従来ばらばらでございました輸送物にかかわる標識をIAEAの基準に合わせたという点が第二でございます。  それから第三に、従来の規則にない、何といいますか、輸送総量といいますか、輸送指数といいますか、そういった概念を導入することによりまして、たとえば船舶の一つの区画あるいは自動車の一つの車両という単位ごとに積載し得る放射性輸送物の限度が把握されることになりましたので、これによって放射性物質のより安全かつ円滑な輸送が可能となることになると思います。  それから第四に、先ほど船舶局の方から御説明がございましたが、船舶輸送等につきましては、危険性の高い一定の放射性輸送物につきましては、輸送物及び輸送計画ということについて運輸大臣の確認の制度というものが設けられたわけでございます。やはりこれはすべて輸送物の性格に応じての規制でございます。
  54. 赤桐操

    赤桐操君 この官報の中で明らかになっております改正されたものによりますと、このL型輸送物、A型輸送物、BU型輸送物、BU型輸送物と分かれておりますね。これはそれぞれの物質によって分けてあると思うんですよ。で、まあその共通して言えることは、このキャスクの「表面から一メートル離れた位置における最大放射線量率が毎時一〇〇〇ミリレムを超えないこと。」となっておるんですね。これはBM型輸送の場合もBU型輸送の場合も同様の条項が入っておりますね。千ミリレム毎時というのは大変大きな数字だと思うんですけれども、これひとつちょっと御説明願いたいと思うんですがね。
  55. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) お答えいたします。  ただいま先生指摘のそれは、運輸省令の関係法令をごらんになっていらっしゃるのじゃないかと思いますけれども科学技術庁も同じような内容でこれの改正作業が進められてまいりまして、これは十月の十五日付で公布されております。現在そのBM型あるいはBU型の表面から一メーターの距離におきます放射線量率が千ミリレムという御指摘でございますが、これは平常時一般に使用されております状態での条件ではございません。これは仮に事故が起きた場合に、設計士としては外部放射線量としてはそこまで一応許容できるようなそういう条件を定めたものでございまして、これはあくまで事故時の許容のレベルでございます。
  56. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、お伺いしなきゃならないんだ。原子炉等の規制といういままでの条項の中では、五十九条に総理府令で出ておりますね。この中で、核燃料物質使用等規則、これの中の第五条の七項には、「運搬する核燃料物質を封入した容器の表面の放射線量率は二〇〇ミリレム毎時をこえないようにし、かつ、容器の表面から一メートルの距離において放射線量率が一〇ミリレム毎時をこえないようにすること。」と、こうなっておるんですよ。これはもう御承知のとおりですよ、いままでやっているやつなんですから。  で、十月十五日施行のものとあわせてひとつ伺いたいと思うんですけれども、この基本的な数字と大分違いますね。これは私は、千ミリレムというのは大変な数字だと思うんですけれども、いま言われたような、どうしてそれじゃ事故時のときに千ミリレムでいいのかと、このことについてひとつ御答弁願いたいと思うんですがね。
  57. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 先ほどから御説明申し上げましたが、この事故時におきます線量率を決めました根拠は、これは国際原子力機関——IAEAにおきまして専門家が種々検討した結果、国際的に定められたこれは条件でございます。これを、国際間を移動するキャスクの基準でございますので、一応わが国の基準におきましてもこの国際基準を採用したというのが経緯でございますけれども、まず、事故時におきましては、いろいろなまあ後処理というものをいたすわけでございますが、そういった後処理の時間等を考えまして、この程度の外部放射線以内であるならば安全な修理作業、そういったものが可能であろうというような国際機関における専門家の結論だったというふうに聞いております。
  58. 赤桐操

    赤桐操君 大分国際的な取り決めを表面に出しての御答弁ですが、この職業人の場合でも、許容量というのは、これはこんなじゃないと思うんですよ。これは幾らでしたかな。
  59. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 従業員の場合は三ヵ月で五レムというふうに決められております。
  60. 赤桐操

    赤桐操君 三ヵ月で三レムでしょう。
  61. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 失礼いたしました。三レムでございます。
  62. 赤桐操

    赤桐操君 三レムでしょう。職業人の場合でも、三ヵ月で三レム。これは三千ミリレムですよね。  国際放射線防護委員会の勧告というものは、先ほど長官も言っておられましたけれども、これに基づいて極力その精神を踏まえてやるんだと言っておるわけですけれども、ちょっとこれはそれとは相反するように思うのですね。いまたとえばどこの原子力発電所の中で働いている労働者、従業員と会社側との協約の中でも、私はそんなに高い協約を結んでいるところはないと思う。職業人の場合、そこに働いている従業員の場合でも三ヵ月で三レムというのですよ。これ事故の処理の仕方によっては、時間によってはまた大変なことになるんじゃないですか。毎時千ミリレムですね、毎時千ミリレムですから。三時間やったら三レム入っちゃうんですから。この問題はちょっと重大な問題じゃないかと思う。わが国におけるところの今日までやってきたいろいろの規制経過とは基本的にここで違ってきている、これを国際的なそういう一つの慣例、各国でやっている状態と比較して、わが国の場合においてもこれはもう正しいという物の青い方、これは私はいただけないと思うのですよ。この点どうですか。
  63. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) これは、平常時は先ほどから御指摘のとおり、表面から一メーターの距離で十ミリレムという低い線量に抑えられておりますが、ただいまのお話はあくまで事故時の条件ということでございます。それで私先ほど職業人の許容被曝線量三ヵ月三レムというふうに申し上げましたが、これもこの平常時という範疇の許容線量でございまして、このキャスクが事故に遭遇するというのは、原子炉施設におきましても緊急時の事態に相当するものであるというふうに考えられるわけでございますが、現在、法令では、緊急時作業といたしまして許されております許容線量は、十二レムというふうに定められております。
  64. 赤桐操

    赤桐操君 この輸送関係の中には緊急時とは書いてありませんね。どこかこれは出ていますか。
  65. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 規則の書き方が大変複雑でございますので、大変読みにくいので申しわけないんでございますが、通常時の表面線量率につきましては、まずBM型の場合には、その前に九十条に定めてありますA型輸送物——ただいま私「危険物船舶運送及び貯蔵規則」の御説明を申しておりますが、そこの基準がまず適用されることになっております。九十条の第一号を見ますと、「表面の最大放射線量率が毎時二〇〇ミリレムを超えず、かつ、表面から一メートル離れた位置における最大放射線量率が毎時一〇ミリレムを超えないこと。」と書いてございまして、この基準はBM型輸送物にも適用されることになっております。したがいまして、平常時のBM型輸送時の表面線量率は、従来どおり十ミリレムを超えないということが原則になっております。先ほどのBM型輸送物、すなわち第九十一条の関係につきましては、まず一号の方で、これは平常時の条件でございまして、二号の場合、告示で定める条件下に置くこととした場合、これが事故時の条件でございまして、この告示につきましては、同時に交付されました官報にも記載されてございます、別記第二という欄に記載されている幾つかの条件が書いてあるわけでございまして、これは長時間火災に照射された後、あるいは非常に高いところから落下して、その物体に損傷が生じたときというような場合に、その場合であっても表面線量率が千ミリレムを超えないということになっております。これらの基準は、先ほど科学技術庁から御説明いただきましたように、国際原子力機関IAEAが定めました安全基準のとおりの基準を採用しているわけでございます。
  66. 赤桐操

    赤桐操君 現実に作業をする場合において、放射線をこれだけのものを浴びるということは、私はこの問題はやっぱり重大な問題だと思うんです。事故時の場合といえども、少なくとも一メートル離れているか五十センチのところに行くかによっては大分違ってくるわけなんで、事故時におけるところの問題については、私はもっと本格的な立場で検討すべきものである、こういうように考えます。この法令に基づいて、一月から具体化していくわけでありますが、本来、やはり私は、もっとこれを公開して討論の場に供すべきであったと、こういうように思うんです。このことをひとつ私は考え方として申し述べておきたいと思います。  それから次に、東京電力の場合には、福島原発から来年の一月、使用済み燃料の輸送が始まるわけでありますが、来年一ヵ年間における各原発のところのこの種の輸送についての計画等についてわかっておりましたら、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  67. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 御質問の御趣旨は、福島、つまりホット試験、来年の一月からの予定でございますけれども、いまの予定では、これは計画でございますけれども、まず第一回目は、一月の十七日に原電港に到着するというふうに聞いております。このときにはキャスクは二基運んでくるということでございます。さらに二回目の予定といたしましては、二月の十日に原電港に到着の予定でございまして、この場合にはキャスクが四基積まれてくるというふうに聞いております。
  68. 赤桐操

    赤桐操君 日の浦丸という輸送船で来年はとりあえずやるようでありますが、大体この輸送船というのは、本来本格的に建造されるべきものなんだと思うんですけれども、この日の浦丸と専用船の建造との関係、これについてひとつお答え願いたいと思います。
  69. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 口の浦丸につきましては、先生指摘のとおり改造船ではございますが、この改造につきましては、ほとんど新造に近いような大改造を行っているわけでございまして、先ほど首席船舶検査官から御説明申し上げましたように、わが国は使用済み核燃料の専用船につきまして、世界に類例のないシビアな基準を設けまして、船体を二重構造にするとか、あるいはほかの船と衝突しても損傷が内部に至らないというような防御措置を講じたシビアな基準をつくっているわけでございますが、この基準に十分適合するようにということで、非常に大幅な改造が加えられまして、改造工事が行われたわけでございまして、この構造の審査につきましては、私どもの中に学識経験者に御出席いただいた小さな委員会をつくっております。そこで慎重に検討いたしまして、この基準に適合していることが間違いないということを、もちろん私どももチェックいたしましたし、先生方のチェックもいただきまして、建造の許可をいたしました。また、これらの改造につきましては厳重な検査を行いまして、これに合格しておるというような次第でございます。
  70. 赤桐操

    赤桐操君 総トン数は幾らですか。
  71. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 総トン数は千九百八十九トン九五となっております。
  72. 赤桐操

    赤桐操君 この船はどのくらいのものを量として積載できるのですか。
  73. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 正確な数字はただいま持ち合わせておりませんが、一般貨物を積載するとした場合ですと、大体千二百総トン程度の貨物船でございますと、ほぼ二千トン以上の貨物を搭載することができるほどの船舶でございます。
  74. 赤桐操

    赤桐操君 輸送の中で大変もう一つ重大な問題は、事故時をどうするかということだと思うのです。この核燃料の物質輸送の中で、いろいろの場合をこれは想定しておかなければならぬと思うのでありますが、いま科学技術庁ないしは運輸当局として予想される事故はどういうものになっておりますか。
  75. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 使用済み燃料等の輸送容器を製作いたしますときには、先ほどからも御説明しておりますが、その容器の技術基準を明確に今回いたしましたと申し上げておりますが、その中で検査をする項目がございます。で、その検査項目が、ある意味では想定される事故を予想したものであろうかと思うわけでございます。  まず第一点は、落下事故でございます。これは検査の方では、特に重要な容器につきましては、たしか九メートルの高さから、非常にシビアな条件で、縦の条件で落ちるというような検査を行うはずでございます。それから火災による実験検査がございます。これはたしか八百度三十分間加熱するというような過酷な試験を引き続き実施いたします。それから引き続きまして十五メートル、八時間水中につけるということを行いまして、さらに一メートルの高さより棒の上に、棒状のところへ落下させると、こういう一連の試験を行う条件が付されております。  で、ここで考えますように、車両等に載せたときの落下、あるいは船で運搬いたしますときに、港湾での作業ミス等によります落下事故、あるいは運搬中に火災の危険に遭うというようなことを想定した火災事故、それからキャスクが水中に落ちましたときにどのくらいの水密性があるか、そういうような実験がなされておるわけでございます。
  76. 赤桐操

    赤桐操君 私は一通りこれもちょっと見たんでありますが、いまのまた説明を伺っている範囲におきましても感ぜられることは、熱に対しては大体外からの熱で八百度くらいは耐え得る、こう言っておるんですけれども、事故というものは私はいろいろな場合があると思うんですね。それで、一部学者の中でも大変このことを心配して言われているんですが、衝突であるとか落下であるとか、あるいはいまの程度の火災であるとか、こういうもののほかにもっと基本的な一つ問題があるんではないかと。まあ冷却系の装置なり、そういう基本的なものに支障ができて、内部からの過熱の問題が発生する可能性はないのか、こういう点について大分いま学者の間でもこれは論議をされ始まってきております。  ここで一つ私は——西ドイツ政府がケルンにある原子炉安全研究所に対して、再処理工場と原子力発電所に対する大事故の影響評価を二、三年前に依頼をいたしまして、昨年の八月にこれが報告書として提出をされた。ところが、その内容を見て、さすがの西ドイツ政府も非常に驚いて、これをしばらく発表を差し控えたということが最近明らかになってきております。この内容を見ますると、大変な実はこれは事故だなと、事故発生というものはこういうようになるのかなということを想像するんでありますが、なるほどこれは核燃料のいわゆる再処理工場と原子力発電所の問題でありますけれども、その事故発生における一つの段階が明らかにされています。その内容にまで実は目を通すと、ちょうどわが国の場合の使用済み燃料輸送との関係が考えられるわけでありますが、ドイツの状態を申し上げるというと、西ドイツで計画されている大規模再処理工場で、使用済み燃料貯蔵プール及び高レベル放射性廃液貯槽の冷却系に事故が起こると、大量の放射性物質が環境中に放出をされる。その程度は実に百キロメートルーの遠方でも住民は致死量の十倍に至る、ないしは二百倍に上る放射線被曝を受ける、風向きによっては死者三千万人に達するであろう、こういう実はショッキングな報道であったと思うんですね。これは科学技術庁の方でも御存じになっていると思うんでありますが。もちろんこれはいろんな対策やなんか何もないということで想定された内容だと思いますが、実際にはもっといろいろの対策がこの間にとられると思いますけれども、この中でいろいろの段階に分けられておるのでありますが、ケースとして貯蔵プールの中でいわゆる水がなくなってしまう場合、それから水はあるけれども冷却系装置に異常を来した場合、こう二つあります。この輸送途上の中で一つ問題になるのは、ちょうどこの大前提になっておるのは、冷却期間二百日、平均的な燃料の燃焼度を三万四千〔Mwd/t〕といっておりますから、これは大体日本の場合の平均が二万八千ないし三万だそうでありますから、日本の場合とよく似ていると思うんでありますけれども、この条件の中で発生を一応予想したわけであります。そうするというと、船に乗せて移動する場合において何かそういう問題が発生することはあり得ないのか。発生したときには、ちょうどこの場合のプールの中に貯蔵してあった例ではこれはありませんけれども、プールの外に出してあった場合の、プールの水がなくなってしまった場合の状態とこれは大体同じ状態になるのではないか、こういうように実は考えられるわけでありまして、この場合には大変な実は被害が出てくるわけであります。こういう報道を聞いて私も大変驚いたわけでありますが、この点について科学技術庁の方では承知しておられると思いますが、見解をひとつ伺いたいと思います。
  77. 石塚貢

    説明員(石塚貢君) 先生最初に御指摘の、西ドイツにおきます再処理の事故評価に関する西ドイツの報道でございますが、本件は西独の内務掛がこういった想定事故に関します委託研究を外部にお願いいたしました結果の中身かと思います。本件につきましては、これを発表いたしましたのは西ドイツの自然保護市民連盟というところが発表したというふうに聞いておりますけれども、その研究報告の委託者である内務省でございますが、内務省の方では、この研究報告内容の結論といいますか、そういったところを正しく伝えていない、これは非常に非現実的な部分をつなぎ合わせたものであるということを内務省は指摘いたしております。さらにこれを受託いたしました原子炉安全協会、ここがこの研究を行った機関でございますけれども、ここの機関自身、前記の発表報告書の一部を適宜つなぎ合わせた非現実的なものであるということを公にいたしておりまして、現在では西独の国内ではそういうふうに受け取られているというふうにわれわれは聞いております。  なお、動燃の再処理工場におきましては、もちろんそのような冷却系が全部故障いたしました結果、プールの水がどんどん温度が上昇いたしましてそれが蒸発してしまう、蒸発してしまうには相当の時間がかかるわけでございますけれども、その間全然冷却水が補給されない、それで使用済み燃料が露出して全部溶けてしまう、溶けたものが全部外へ出る、こういったものは十重二十重に厳重に計画されております安全装置、これが全部働かないという非常に非現実的な仮定であるというふうにわれわれも考えざるを得ないと思います。  それから、これがそれでは使用済み燃料の輸送容器で同様なことが起きるかどうかという御指摘でございますが、使用済み燃料を運びますキャスクにはいろいろのタイプがございます。現在舶来のもので使っておりますエクセロックスというのがございますが、これは空冷でございますので、冷却系の故障というものは本来あり得ません。しかしながら、中には水冷式のものもございますが、こういったキャスクにおきましてもこの冷却装置が仮に故障いたしましてもその中で燃料は溶融しないというふうにわれわれは解析をいたしております。それから、仮にこの容器が、輸送途上何らかの事故で冷却水が外に漏れてしまうというような事態、こういう事態におきましては、それには相当な時間もかかりますし、溶融に至るまでの時間があるわけでございますので、全然人のいないというところで輸送されているわけでもございませんし、そういった事故の際には十分この冷却水をまた中に補給するという手当てが施されておるということでございます。
  78. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 船の設備面についての若干補足説明をさせていただきます。  ただいまの冷却の問題については、ただいま石塚課長から御説明のとおりでございますが、船舶の方の日の浦丸に装備しています設備といたしましては、別にキャスクの冷却設備を設けているわけでございます。この冷却設備の基準は、計画大気温度が三十八度C、それから計画の海水温度が三十度Cと仮定いたしまして、そういう条件のもとでキャスクの周辺温度を三十八度以下に、キャスクの正面温度を八十二度C以下に保つことができるという基準で設計されておりまして、これはポンプによる放水及びファンによる空気冷却、この両方の設備を含んでおるわけでございます。なお、排水設備につきましては、仮に排水に放射能があった場合を想定いたしまして船内に貯留タンクを設備しておりまして、これが不用意に船外に漏れることがないような設備になっております。さらに船の設備といたしましては、キャスクを積載するホールドの中に火災が発生したということを想定いたしまして、その場合には一般の消防設備のほかに船内を水で満水させてしまうという設備を非常時濃水装置ということにいたしておりますが、それをやっていく、しかもこの船は二重船殻でございますから、艙内にそのように水を濃水いたしましても船が沈没したり転覆したりしないように浮力と復元性を持たせるという設計になっております。
  79. 赤桐操

    赤桐操君 そうすると、それは内部的な面からの熱の問題については心配がないと、こういうことなんですか。
  80. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) ただいま御説明いたしましたように、われわれは十分そういうふうに考えておりますし、検査に当たりましても厳重な検査を行って、あるいは設計の審査を行いましてその安全を確保するというふうにいたしたいというふうに考えております。
  81. 赤桐操

    赤桐操君 一応、少なくともこれだけの物質を運ぶんでありますから、当然船の装置にしてもキャスクの装備にいたしましても、あらゆる角度から検討をされていることは事実だろうと思いますが、問題は、やはり港を出る場合におけるチェックあるいはまた管理——船の中の管理、チェック、着いた場合の同様の処置、すべてそういう作業が必要だろうと思うんですね。これは、やはり私は、従来の陸上輸送のようなああいう程度の形では済まされないのではないか。もっと本格的な体制、言うなれば発電所のプールの中から使用済み燃料を移動させる、発電所のプールごとその物質を移動しているようなものでありますから、それだけの私は体制をつくる必要があるだろう。ちょうど発電炉やこういうものに対しての原子炉の審査を行い管理をすると同様の少なくともチェックの体制、管理の体制というものが必要なのではないだろうかと、こういうように思うんですけれども、いまの現行——想定される、一月一日から施行に移されるところのこの規則の改正、この改正に基づいてそれだけの体制というものは裏づけられるんだろうか、こういうことについてお伺いしたいと思うんですが。
  82. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 先生指摘被曝管理の面につきましては、実はこの規則全体がその被曝管理目的としていると言っても過言ではないかと思いますけれども、船内における個々の被曝管理の規定につきましては、この規則の九十一条の十七あるいは九十一条の十八において規定しているところでございます。  なお、荷役等の際の管理につきましては、先ほど申し上げましたように、運送人から運送計画書を提出させる。その中にいろいろなこの辺の安全対策措置というものをすべて記載されることになっておりまして、それらの記載事項を慎重にチェックいたしまして、その安全を十分に図っておられるかどうかということをチェックすることにしております。  また船の貨物の積み込みにつきましては、積み込み検査を実施するということでそれらの安全確保を図っていきたいというふうに考えております。
  83. 赤桐操

    赤桐操君 最後に、長官に私はひとつ真意を伺いたいと思うんですが、少なくとも今日までのいろいろの経過を見ていると、各部門に分かれてのチェックやそういうものは行われていると思うんです。今回の場合も、いろいろの説明を伺うというと、陸上輸送よりはさすがに海上輸送の方は大変きめの細かい体制をつくりつつあるように思います。しかし、全体を管理し統轄をし、きちっと責任ある形でもってこれを遂行していく体制的な面から見ると、果たして総合的にこれが成り立っているのかどうだろうか、こういうことを実は私は非常に心配するんですね。それは過去の例がそうだからなんです。過去の問題も大変上手な御説明をいただいているんです。だけど、そういう問題が出ているわけですね。今度の場合はちょっと陸上輸送の物質とは違うわけなんです、今度の海上輸送の物は。それだけに実は私は、これはいままでの延長路線上における——考え方は大分細かくなってきているかもしれぬが、体制にすぎないのではないか。その体制の中でこれだけのものが、言われるような形で成果を挙げ得るものかどうか。数少ないであろうけれども事故時の場合も含めて、こうしたものを考えるときに非常に実は考えなければならぬものがあるように思うんです。もちろん、いまの各原子力発電所についても、原子力委員会がきわめて厳重な査定を行って検査をした上でこれは許可していると思うんです。それにもかかわらず、最近の新聞でも報道されているように、非常に稼働率が下がってきている。次々と事故が発生している。これだけ厳しい、原子力委員会のいろいろチェックの中で許可されたその発電所でも、大変な実はいろいろ——これを事故と言うかどうか知りませんが、とにかく私どもに言わせれば事故につながるものであるし、事故の一部であろうと思うんですが、そうしたものが発生をしている。このことは、言ってみれば原子力委員会のような強力な機能を持つものであってもその程度しかできないということなんですね。ましてや体制化されない中で、各省に分かれたかっこうの中のチェックをして、そうしたものでこれが果たして推進し得るだろうか。私は、やはりどうも、いまの説明を伺っているというと、もう一つ足りないのじゃないか。その上に原子力委員会に準ずるような厳しい総合的な最終的に責任を負う機関が必要じゃないのか、こういうように思うんですが、長官、どうお考えになりますか。
  84. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) いろいろと貴重な御意見を拝聴してまいりました。仰せのとおり、安全に関しましては、やはり私も現在の原子力委員会も十分にその職務を務めてまいりましたが、しかし、さらに一段と安全を期せんがためには、同等の能力を持ったところの安全委員会、これをもう一つこしらえることが必要であるというのが、かねて私が当委員会におきましても申し上げておるところでございまして、そうした安全委員会によりスタッフを強化する、そして、やはりさらに安全に関しましては、基準等々に関しましてもシビアな体制のもとに、それぞれの関係する各省庁がその規制に関しては当然一貫化を図っていく、こういうふうな体制を、私といたしましても就任以来推し進めてまいっておる次第でございます。しかし、それをせんがためにはやはり法も必要でございましょうから、改正案を提出いたしまして、ただいま衆議院でいろいろと御審議を煩わしておるというふうなことでございまして、その間におきましては、やはりそれにかわるべき何らかの措置を講じていかなくちゃならないというので、それぞれ各省庁におきましても慎重を期しておるような次第でございます。  特に本日、その質問の主たる内容でございました、いよいよ使用済み核燃料を再処理工場に運ぶこと等に関しましては非常に重大な時期を迎えておりますので、さらに私たちといたしましても、安全を旨といたしまして慎重を期してやっていきたいと思います。しかし、やはりそうした面におきましては、何かこう一本貫く太い線が必要だということに対しては、私も重々そのことは、今後もより一層積極的に取り組んでまいらなきゃならない問題であろうと、こういうふうに考えております。
  85. 赤桐操

    赤桐操君 質問終わります。
  86. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 両案についての午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十分休憩      —————・—————    午後一時十五分開会
  87. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、後藤正夫君が委員を辞任され、その補欠として金丸三郎君が選任されました。     —————————————
  88. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 休憩前に引き続き、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案並びに核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 このたびの改正法の第六十一条の十八、指定情報処理機関の役職員の秘密保持の規定、この規定につきましては、過日吉田委員からもお尋ねをしたようです。本日も赤桐委員からの御質問がありまして、承っておりますと、安全局次長は、これは措置協定の方から来ているという御説明があったようですね。長官の方では、管理体制の整備の必要、その所在と量を秘密にしておく必要がある、核ジャックのおそれがあるというような御説明があったようです。私が職員の方に来ていただいて承ったところと同じ面もあり違う面もあるので、この際、この条文の立法趣旨を明確にお答えいただきたいと思います。
  90. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 御案内のように、御提案申し上げていますこの法案は、国際約束、つまり保障協定の実施に伴う国内の担保措置法でございまして、したがいまして、この法案の制定に当たりましては、十分この関連します協定との絡みを勘案しつつ策定してきたものでございます。その観点から申しまして、この秘密の保持に関しまして一体IAEAではこの協定上どういうような考え方を持っておるのかということが一つのやはりわれわれが考慮すべき大きなファクターであったわけでございます。その状況につきましては、具体的に協定第六条にございまして、この協定の実施に当たって知るに至った商業上及び産業上の秘密並びに他の秘密の情報をこれを保護する、そのためすべての措置をとるという一つの規定を置き、かつ具体的に、公表の扱い方、それからIAEAの機関から他への入手した情報の通報に関する制限的な規定、かつまた、得られた情報に関する公表ぶりというものが実は規定されて、そういうような一連の体制をもって情報の保護ということがなされておるわけでございます。それとの見合いからまいりますと、国内的な体制の問題といたしましても、六十一条の十八のような規定ぶりが適当であり、かつまた、具体的な内容から申しましても、国が規制法のべースにおいて徴収した、国の得た情報を委託するというようなことから考えますと、その得た情報に関します守秘の度合いというものは、われわれ公務員が直接委託しないでやる場合と、委託してやって受託者側の職員がこれを守るといった行為においては、何ら格差はないはずだろうと思います。したがいまして、この規定ぶりも公務員法でいうところの守秘の関係条項と全く同等に内容的にも表現はなっておるわけでございます。   〔委員長退席理事森下昭司着席
  91. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうといたしますと、私は大変、協定の規定、文言、趣旨を曲解しておられるとしか考えられないのであります。  まず第一に、本法が保障措置協定の実施法だということをおっしゃった。それはまさにそのとおりなんですが、ことにいま次長のおっしゃったこの保障措置協定の第六条を根拠とするように言われたのですが、第六条は、明らかにこれは機関の側の義務を規定したものなんですね。この協定をよくお読みになると、常に日本国側と機関とを対置させているわけですね。それは協定ですから、日本側と機関とがそれぞれ当事者として相対立しているわけですね。その間に合意がある。そして一方に権利を与える場合もあり、一方に義務を与える場合もある。それは協定の性質から当然ですが、あなたのおっしゃる第六条は、明らかに機関に対して与えられた義務なんですね。これを根拠にして日本国側の義務を根拠づけようとするということは、およそナンセンスなんですね。これはどう思われます。
  92. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 根拠というふうにお話しいただきますと六条ではないんで、むしろ、たって根拠というならば、第三条だと思います。で、私が申し上げましたように、国内の体制の規制法改正をする際は、協定と一体的な関連性を持つわけでございます。それで、御指摘のように、協定そのものは日本国政府とIAEAとの関係の権利義務関係を規定したものであることは御指摘のとおりでございます。問題は、その間においてIAEAは秘密情報に関してどういうような対処ぶりをするかというものを勘案する必要があるだろうというふうに私は言っておるわけでございます。それで、それを受けながら、肝心かなめの国内的な体制を法令面でどうするかということは、まさに第三条で、日本国政府は制度を維持すると、こう言っているわけですから、その維持をする制度の中身は、われわれが自主的に日本国政府が決めるべきものであります。その際、六条に規定されておるような日本国政府とIAEAとの間において約束したその情報の保護ぶりというものを念頭に置いて、それを勘案して国内法は決められるべきだ、こういうことを申し上げておるわけであります。
  93. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そういうことであってはますます困るわけですよ。あなたは前の赤桐委員のときにも第六条が根拠のごとくおっしゃって、私の最初の質問に対しても第六条を特におっしゃったわけなんです。それがいまは六条ではない、強いて言えば三条であると。これは、こういう重要な法律の規定について、その根拠をにわかに変更したことになります。それから後承っておると、今度は、この全体を見ると機関の意思をそんたくするんだとおっしゃる。そういうことだから間違うわけですよ。機関の意思をそんたくするといっても、この措置協定には、日本国政府に対して長官のおっしゃったようなものについて秘密を守れというような要求は一言もないんです、この協定は。あるならば御指摘ください。どこに日本に対して秘密を要求しているか。あなたは第三条とおっしゃったが、第三条のどこに日本に対して秘密を守るように要求していますか。
  94. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 御指摘のとおり、三条では、いわゆる日本の自主査察体制というものが認められる制度内容でございますから、そのときにはしかるべき日本において国内制度が確立してなくちゃいかぬ、かつまた、それが維持されてないといかぬということをこれは明定したものだろうと思います。問題は、そういう国際的な約束をやった日本国政府として国内的の体制はどうするかということになりますと、これはまさに、その内容を決めることは日本政府の独自の自主的な判断であると思います。その自主的な判断を決定する際に、私の申し上げたいのは、日本国政府とIAEAとに関係して、秘密の保持に関する関連の条項についてはどういうようなことが行われているかということは、一貫した、関連制度の一貫性ということを考えた場合、当然、その内容は六条の内容というものをそんたくされるべきじゃなかろうか、こういうことを申し上げた。決して六条に書かれていることがイコール国内法にそのまま並行移動してつくられなきゃ絶対だめだということを申し上げておるわけじゃございません。
  95. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いやいや、私がお尋ねしたのは、あなたはつまり協定によってIAEAの意思をそんたくすれば秘密を守らなければならないとおっしゃるから。しかし、その前は第六条とおっしゃり、また三条とおっしゃる。だから、この協定のどこに日本国政府に対して秘密を守れと……。ことに、公知の事実である核の所在とか量について秘密を守れなどというような、私どもから言いますと全くたわけたことなんですが、それを要求している条文の根拠がどこにありますか、それをおっしゃっていただきたい。
  96. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 守れという根拠はございません。
  97. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そういたしますと、あなたが最初赤桐委員におっしゃった、この保障措置協定の実施法であるからこの協定からこの守秘義務は来ておりますという御答弁は取り消されますか。
  98. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 私の御説明ぶりが不十分だったのかとは思いますが、私の申しますのは、日本国政府とIAEAとの関係、それから日本国が国内的な体制というものを考えた場合、その両者はきわめて相関連する一体的なものだろうという認識に立つわけでございます。したがって、そういう関連のあることであるから、国とIAEAとの関係のものを十分念頭に入れてわれわれの国内体制も整備されるべきだろうということの趣旨を私は一貫して申し上げているわけでございます。で、かつまた、加えて申しますと、この協定そのものには、何もわれわれの庭の中の問題に関する、かくあるべしということはないのは当然だろうと思っています。
  99. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうすると、あなたのおっしゃる根拠というものはこの協定からは来ているんじゃなくて、一に何をそんたくするとおっしゃるんですか。つまり、原子力機関、IAEAの意思をあなたが主観的にそんたくしたことということになりますか。根拠がないんだから。その根拠をおっしゃってごらんなさい。
  100. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) この協定そのものは、日本国当事者それからIAEA相互において交渉された結果、これは実は生まれたわけでございます。したがって、六条が単純に突如出たというものじゃございませんで、これが約五年前、IAEAとそれから各関係国がモデル協定をつくって、そのとき日本も参加しまして、それで一連の協定のひな形をつくったわけです。そのとき、日本もこれに参加いたしまして、かつまた、この具体的な協定の締結に関してもIAEAと交渉しまして、少なくとも保障措置体制というものを国際的なベースにおける体制として考えた場合、当該国とIAEAとの間における情報の保護に関してはこのようなことは当然考えられるべきであろうということを十分主張した結果生まれたのが、この内容でございます。したがって、われわれの考え方としましては、一貫して考えられる保障措置体制というものは、やはり秘密保護に関しては六条に掲げているような精神でもって対処されるべきであるということは基本に持っておるわけでございます。
  101. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 あなたは、六条は根拠ではないとおっしゃり、また、六条のようなものということをおっしゃり、相矛盾していらっしゃるんでしょう、おっしゃることが。六条だとおっしゃり、次は六条ではないとおっしゃり、三条だとおっしゃり、また六条に戻って、六条のような精神とおっしゃる。そう法律の立法趣旨が転々と移るようなことでは困りますよ。あなたは、この協定によっては少しも日本に対して秘密保持義務は要求せられていないということもおっしゃった。なぜ、要求せられていないことを、あなたは日本だけ特に何人に忠実ならんとしてそういう規定を置かれたんでしょうね。置く理由がないでしょう。保障措置協定の実施法だということもあなたはお認めになる。しかし、その保障措置協定には要求していないとおっしゃる。そのことも是認なさりながら、何人のためにこういう秘密義務を特に刑罰をもってまで課せられたんでしょうね。合理的根拠がないじゃありませんか。
  102. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 繰り返すようになりますが、三条の体制を維持するという、その体制の中身の整備の仕方としまして、情報の保護に関しましては六条に規定される、かつまた、六条を策定するがための交渉したと同じようなわれわれの考え方、それから結果的に出たこの六条というものの考え方を受けて国内法の体制整備もされるべきだろうという自主的な政策的な判断をやったがために、この国内法というものに、その政策的な判断のもとでこの六十一条の十八というものを策定されたわけです。
  103. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 もしもIAEAが、日本国政府がこのような秘密保持義務を必要とするという判断であれば、そしてそれを要求するものならば、当然この保障措置協定にそれが盛られてなければいけないわけですよ。ところが、IAEAはそれを日本に要求していない。したがって、この協定の中には全くその要求の片りんだにない。これは自分の方はありますよ。これは性質からいってもインターナショナルな団体ですから、各国のいろいろな事業体の秘密というものを握るのに、これをほかの国に漏らしてはいけないということは当然考えられる。だから、インターナショナルな団体で、そういう各国の利害関係が対立する場合に、これはやはり日本の秘密をたとえばイギリスに漏らしていけない場合もあるでしょう。だから、それはインターナショナルな機関としての当然の義務なんですよ。何も日本がそんたくして、インターナショナルな機関がそうだから私の方もそうでしょうというようなことで、そんな不見識なことはありません。これは長官いかがでしょう。これはもう次長に何ぼ聞いても同じ答えになる。
  104. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 次長から詳しく御説明申し上げたとおりでございますが、IAEAにも、先生御承知のとおり、やはり各国のそうした機密を守らなきゃならない、こういうふうな使命があるわけでございます。したがいまして、やはりそうした関連において、そのIAEAとわが国とが今回協定を結ぶ以上は、当然、平仄を合わすと申しましょうか、わが国内においてもこれだけ、自主的査察とは申せ、やはり機密に関しては十二分に配慮をいたしておりますよということが、すなわち国際的なお互いの信頼の確立のゆえんになるのではなかろうか、こういうことでございます。したがいまして、その辺をひとつ篤と御了解賜わりたいと存じます。   〔理事森下昭司退席委員長着席
  105. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 長官も御承知のように、この保障措置協定は、機関に対して要求すべきことの規定はいろいろあるんですよ。そのいまの秘密保持は機関に対して要求しています。同時に、機関は、日本国政府に対してこういうことをやるべきであるという義務づけを要求し、たとえば報告をしてほしいとか、査察に対して便宜を与えてほしいとか、いろいろな要求があるんです。一連の要求があるんですよ。その要求は保障措置協定の中に盛られておるわけです。だが、秘密保持については要求してないんですよ、機関は。それは事柄として、こういうような、要するにこの一連の条約、それから協定、それから本法、この立法の趣旨というものをお考えください。これは、核物質が軍事的転用をされることを防止するということにあるわけなんですよ。そのためには一体そういうようなことを秘密にする必要があるかといいますと、オープンにすることの方がかえってそういう、あるいは国家が隠れて核物質を軍事的転用するというようなおそれをなくすることなんですよ。だから原子力基本法第二条で特に公開の原則を規定しているわけです。それをあなた方が何で突如として秘密にしようとするのか。これは条約と協定の精神にも反するし、有害なんです、これは。長官、もう一度いかがですか。
  106. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) NPTには、もちろん核不拡散という大きな使命がありますと同時に、この条約に参加した国には何ら差別はなし。特に原子力の平和利用という方途に関しては、言うならば、その国のそれぞれの計画を妨害するものでもないという御承知の四条があるわけであります。だから、われわれといたしましては、いやしくもNPTに参加した以上は、核不拡散と同時に原子力の平和利用というものが両立される立場でなくちゃならぬ。そうでなければこの条約そのものが空洞化するということを今日まで国際的に申し述べてまいった次第でございます。したがって、IAEAはそういうふうな立場において今日それぞれの加盟国といろんな協定を結んでおるわけで、しかも、その協定に際しましては日本もいち早く参加をして、大体のモデル的な文案をつくったその中に参加をしておるわけでございます。そうした立場から総合的な関連性を申し上げますと、やはり国際的にも二つのものは両立するし、特に日本といたしましても原子力の平和利用と不拡散というものは両立さす体制でなくちゃならぬ。そういう体制が、特に規制の面におきましてわれわれが今日御提案申し上げておるような内容となっておる、こういうふうにひとつお考え賜りたいと思うのであります。
  107. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いや、お答えになっていないんですよ。つまり、あなたのおっしゃるその秘密にしようとすることの方が、かえって、一番軍事的に転用のおそれのあるのはやっぱり国家なんですよね。それはあなたのおっしゃるように、何人かが核ジャックしてつくるというようなことも、それは考えられないではないけれども、いまの現実の世界史の中では、国家がやはり核を軍事的転用をするおそれというのが一番大きいわけですから、そういうことがあってはいけない。したがって、そうしたことがないように、原子力基本法で自主、民主、公開の原則というのを掲げてあるわけですね。だから、あなたがおっしゃるその秘密にしなければならない合理的理由というのは、それじゃ長官としてはどんなふうにお考えなんですか。なぜ秘密になさらなければいかぬ。——いや長官のお考えを。あんたはもう同じ答えをおっしゃる。
  108. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) それは、先ほど来も申し上げておりまするとおり、やはり国家としてこれだけ核の管理に関しては細大漏らさず最大の注意を払ってやっておるんだということでございまして、その結果はIAEAにお互いに通報し合うということになっておりますから、IAEAにおきましては、それによってわが国がこれはもうもちろん軍事転用するような国でないということぐらいわかっておるでございましょう。そうした意味ならば先生むしろ何もかもあけすけにした方がいいんじゃないかと、こういうふうにおっしゃると思いますが、しかし、先ほども私がお答えいたしましたとおり、わが国が国家として核を拡散するというような意図のない国家であることは、もうこれはずいぶんと世界じゅうが知ってくれたと、私はこういうふうに思うのでございます。しかしながら、きのうもある議員の方にお答えいたしておきましたが、アメリカの世論等々を考えてみましても、政府政府はそういうふうな姿でございましても、ひょっとすると日本は将来核武装するんじゃなかろうかということについて相当な数の国民が疑惑を抱いておる。時と場合にはそれが五〇%、六〇%だということがございますから、しばしば私たちは、今日の査察に関しましては、その点は日本はいち早くIAEAの査察を一番に受けた国だ、世界で最初に受けている、本当に三週間に一回、今日も多くの査察員が来て、わが国核燃料物質、原料物質に関しても十二分に査察をしてもらっておるんだということを申し述べております。  だから、国家的には、日本がもうすでにしてそのような国でないということは十分知っていてくれるであろうと思います。しかしながら、単にそれだけではなくして、その、ほかにも企業機密あるいはまた産業機密もございましょう。わが国といたしましても、NPTに参加するときには、果たして私たちのノーハウというものが将来あるならば、これを日本だけがあからさまにされちまって、そしてユーラトムとかあるいは核保有国はその面に関しては依然として強い保護政策のもとに自分のノーハウを守っておるじゃないか、これでいいのかということを私たちもよく言ったものでございます。そうした点に関しましても今回はユーラトム並みだというので、われわれは決して差別を受けておらないということが保障されたわけでございますから、それだけに国家的には私はそうした面は保障されたと存ずるのであります。  しかしながら、世界で、ユーラトム等々を通じましても、原子力のいろんな問題に関しましてまだまだ、成果に関しましては公開されている面もございますが、しかし、アイ・エヌ・ジーの部分に関しましてはいまなおかつ国家的にすべてがすべて公開されておらない面もたくさんあるわけでございます。そういうふうな意味で、恐らくIAEAといたしましても、そのような機密を保持していきましょうと、こういうことを言っておるわけでございますから、われわれといたしましても一歩翻って国内のことを考えれば、国際的にも私たちはお互いに信頼し合いますが、国内においても、より一層こうした点におきまして私たちは機密の保持を十分に果たしております、したがいまして、われわれとユーラトムとの間におきましても、お互いに今後相互間の信頼を深めようじゃございませんか、そういうものが私はIAEAの精神ではなかろうかと、かように存ずる次第でございます。  特に日本は、はっきり申し上げまして、先ほど私はアクセントを置き過ぎたかもしれませんけれども、日本のPPは大丈夫だということは、七月にやって参りました日米合同調査会、これは日本からも調査員を出しました。そして、アメリカからも来ました。そのアメリカの調査員の何人かが日本のいろんな施設を見て回ったときに、日本は武装しておらぬ、簡単にそういうふうな批判を加えたことは事実であります。これに対しまして私たちは、もうすでに何度も報告をいたしておりまするが、それ相応の理由があって私たちは武装の必要を認めない、われわれは平和国家なんだから何もアメリカさんやほかのように武装してまで守ろうとは思っておらぬ、現状で大丈夫だ、こういうことを私たちは言い切っておるわけでございます。言い切っておりまするが、しかし、やはり一抹の不安というものは、諸外国から見れば、日本は赤軍の製造国だなんと言っておるわけでありまするから、そういう面におきましてもやはり一抹の不安を日本に対して抱いているかもしれないのでございます。そんなことをあれこれ考えました場合には、やはりわれわれといたしましても、IAEAにおきましてもさような意味で秘密保持がなされておるのならば、当然その平仄を合わすという意味におきましても、われわれは国内においてもそれだけの措置をとろうと、こういうことでございますので、ひとつ御了解賜りたいと思います。
  109. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 長官のお気持ちはよくわかるんです。長官が善意に対応していらっしゃることもわかるんですが、いま長官のおっしゃったことを要約いたしますと、わが国が核に対して適切な管理体制を持っていないとこれはちょっと信頼されないということをおっしゃった。それはまさにそうだと思います。この保障措置協定も、管理体制をしっかりしてほしいと、これはそういう一念で貫かれていることは事実です。条文にもはっきり出ているわけですね。それと秘密にするということは別なんですよ。つまり、いつも適切な調査をし、指導監督をして、日本の国内のどこにどういう核物質があるかということを国が的確に把握してなきゃいかぬ。まずそれが一番大切な管理体制ですよ。そして、その計量制度を完備しろということも言っているわけですね。それはもう、これだけなくなっちゃったといって、どこかへ持っていっちゃ困るから、それがどういう根拠でなくなったかという計量制度ですね、いまそれで幾ら残っているというような、これは的確にしていかなきゃいけない。そして、それが本当かどうかを査察しなきゃいかぬ。そして、その把握というものが実態に合わなきゃいかぬ。それはおっしゃるとおり。それと秘密にするということとは別問題ですね。なぜ秘密にしなければ的確な管理体制ができないんです。  いま長官は、後でノーハウのことをおっしゃった。まさに国際原子力機関の方はノーハウに着目しているわけですよ。コマーシャルな、インダストリアルな秘密を守るということはひょいひょい出てきます。これは憲章にも出てきます。しかし、それといま長官のおっしゃるこの条文の秘密保持義務とは一緒なのかどうか。もしそれが協定の欲するところであれば、当然日本国政府に対してその義務づけがなきゃいかぬけれども、義務づけがないことは先ほど長官もお聞きになったでしょう。ないんですよ、全く。IAEAの方にはあるんですよね。日本国政府の方にはないんです、この協定には。ところが、そんたくとおっしゃった。次長もそんたくしてとおっしゃった。だから、何かかげろうにおびえて、こういうことをやらないと信頼されないんじゃないかというような憶測でこういう条文が生まれたと私ども見ている。  そこで長官、あなたの御認識の誤りを私は指摘したいと思いますが、長官は一体それじゃ何を秘密と見ていらっしゃるのでしょうか。つまり、秘密だから保持しなきゃいけないんですね。秘密を守らなきゃいかぬ。じゃ、その長官が守らんとお考えになっている秘密は何ですか。それおっしゃっていただきたい。私は、事務当局の方にお伺いするのではない、長官に、これはどういう御認識かをお伺いしているわけです。
  110. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 国家がすべてを管理していることは、もう現在も——これからこの規定がお認め願えれば、そういう形になるわけであって、現在もそれはしております、現在も。それに対しまして、現在はIAEAが来てますが、これからみずからの職員をもって査察するということになりますから、したがいまして、一グラムといえども、現在どこにあるか、どこへ行ったか、現在輸送中であるかということ等に関連しましても、これはあくまでも国が管理をするわけでございます。ただ言うならば、統計をどういうふうにするかという問題に関しまして、本来ならば国家でやったらいいじゃないかというふうな御意見もございますが、しかし、たとえそれが国家でした方がよいといたしましても、これは定型的な仕事でございますからコンピューターを使う。したがって、私は、国家でした方がいい、した方がいいということで各部面でどんどんふえることが行政のぜい肉だから、極力ぜい肉というものはあらかじめ発生しないようにしておくのが今後のチープガバメントであろうということを考えました場合に、能力ある民間にこのことを任すのも当然のことである、こういうことで民間に任す。ただし、やはり国家のそれだけ管理をしたものの計算をしてもらうのだから、指定機関として、それだけの能力を与えると同時に、それだけの義務を負ってもらわなくちゃならない。これが国家と指定機関との間でございます。  では何を守るかということになりますると、もちろん、わが国にも、いまや御承知のとおりどんどんと原子炉は国産化が進んでおりますから、日本といたしましても貴重なノーハウもございます。あるいはまた、核融合という問題に関しましても、これまた相当な世界的なレベルに達せんとするところの現在も相当能力がございます。あるいは濃縮技術一つにいたしましても、日本の遠心分離法というものがいかに優秀であるのかというので非常に国際的な話題を呼んでおります。そういうふうな原子力施設に対しましていわゆる核燃料物質なり原料物質が送られるわけですから、そういう面におきましてもやはり国家としては十分守っていかなければならない問題もございます。私は、そういう意味で、その計算をさすわけですから、国家が守るものを計算さすわけですから、当然そこにはそうしたような義務があってしかるべきであると、こういうふうに存じておる次第であります。それは、IAEAにおいても、言うならば世界的に同じような考え方で進んでおるということでございます。
  111. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 長官のお気持ちはわかりましたが、大変誤解していらっしゃるのですよ。  そこでまたお尋ねするわけですが、それでは長官ね、そのノーハウというのはどこが持っているのですか。たとえば、いま原子炉が、とおっしゃいましたね。それはいま日本で持っているのはきわめて限られたものです。これは御承知のように、国家が持っている機関もあります。それから、これは特に総理大臣の許可が要りますからね、許可された業者があります。これは九電力などもそうでしょう、実際原子力発電をしておるところの。そのノーハウというのはね、たとえばどういう様式の原子炉を持っているかということは、これはみんな知っていますよ。新聞にも出ています。つまり、秘密というのは非公然性がなければ秘密にならないわけですよ。みんなが知っている秘密というのはないのですよ。あなたのおっしゃる、どういう様式の原子炉を用いているか、そんなことは秘密は何にもないのですよ。だれの、どの機関が持っているノーハウなんでしょう。それをおっしゃってください。
  112. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) ちょっと舌足らずであったかもしれませんが、国が集めた情報を保護する、こういうことでございます。その情勢の中には、いま申しますような幾多のノーハウがある。それは民間の場合もございましょうし、あるいは、たとえば動燃のごとく、事業団のやつもやはり大きなノーハウであります。原研にもノーハウがあります。しかしながら、そうしたものを国が集めた情報、これを保護する、そのために一つの義務を課すと、こういうことでございます。
  113. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうしますとね。日本の原子力研究所、動燃、それから御承知の電力会社、それから原研もありましょう。そのどういう炉でもって燃やしているかということは皆知っておることでね。これ、秘密ということはないわけですわね。それからまた長官は、国がいまの指定情報機関に与えるデータですね、これはどういうものを与えるか、御存じですか。どういう規則によって何を与えるか、御存じですか。——これは長官の御認識を伺っている。
  114. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 事務的なことですから、前もって事務官の方からまず御説明いたさせます。
  115. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 長官の御認識を伺っているんだから。いや、事務的なことなんですよ、これは。ただ長官が、秘密だ、指定情報機関に国が渡すその情報が秘密だ秘密だとおっしゃるから、一体何をその指定情報機関に渡すのか、長官は知っておっしゃっているのかどうか。長官の御認識を問うているわけですよ。その客観的事実を問うているんじゃないです。長官の御認識を問うている。
  116. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 核を扱っております機関、電力会社もありますし、大学もありますし、政府研究機関もございます。そうしたところにおけるところの核燃料物質等々の出入りを計算さすわけです。その計量はやはり国の機関においてきちきちやっていくわけですが、どういうふうな出入りがあったかということを、簡単に言えばデータによって処理するわけです。
  117. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 長官、それならいいんです。そうなんだと思います、私も。ところが、それならば、いま言った、どんな炉を使って、その炉にノーハウがあるかというような問題は出てこないんです。それは核物質の所在と量が問題になってくるだけで、ノーハウは問題にならぬでしょう。いかがですか。
  118. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 私の考えによれば、たとえばウラン濃縮施設において日本が遠心分離機の方法をとっておると、そしてその濃縮は現在いろいろと非常に技術を必要としますが、一体全体何台だろうかと言うこと自体においてすべてがわかると言われているほどであります。したがいまして、その能力がわかると言われております。もちろん、わが国はそうしたことに関しましてはIAEAには報告するんでございますが、さらに詳細をきわめんとするのならば、台数から、その台数の薄板をつくっております薄板の厚さがどれだけであろうかということすらについて各国が非常に関心を持っておるということもございます。現在はこれは動燃がやっておりますが、やはり動燃が実験用の十二分な試験をやりまして、そのうちに実用化するという方向へ持っていくわけでございますが、やはり現在そうしたこと一つに対しましても、まだまだ、完成された技術ならば公表されておりまするけれども、先ほど申し上げました試験研究最中のやつは全部が全部、そうした意味合いにおいて、現在、その機密がそれぞれ守られておるというのが世界の大体の傾向でございます。だから、濃縮施設における燃料の出し入れだけで大体の規模がわかる。これはもうあたりまえのことでございますが、それがガス拡散とまた遠心分離機によるのとでは大きな差がある。いろいろそうした微細な点にわたりまして差がある。こういうふうに言われております。だから、率直に申しまして、ことしの予算査定のときにも、では濃縮施設のモデルプラントをことし建設するんだけれども、その台数なり建屋に関してはあくまでも数字を公表しないでほしいという面すらあったわけであります。このごろは日本は非常にオープンでございますから、それが四千台とか、はっきり申し上げますと、言われておりますが、しかし最終的にはどれだけかということは私たちまだ公表いたしておりません。そういうふうに考えてまいりますると、やはりいま私がお答え申しましたとおり、天然ウランの出入りだけ、そうした面におきましてもすでにノーハウというものはついて回っておるという意味で私は申し上げたのでございます。
  119. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これは大変なことですね。一体いま日本が平和利用しておるそういう濃縮施設の台数までも秘密にするというような、そういう秘密主義の御意図だったら、これは原子基本法の精神に真っ向から抵触するんですよ。じゃ、この条文はもうあれですか、日本の国家機関が持っているような遠心分離機なるものも台数までも全部秘密にすると。そこから濃縮ウランをどれだけ消費するかというような、そんなことも全部われわれ国会にも、それから国民にも秘密になさる、そういう御意図でこの条文をおつくりになったんでしょうか。
  120. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 決してさようじゃございません。原子力基本法にあくまでも公開の原則も書かれておりまして、この公開は何もかも、じゃ公開かと申し上げれば、過般来申し上げておりまするように、研究の成果については公開いたしますよと。しかし、その途中においてはやはり公開できない面もあるわけでございますね。これは将来にわたりましてナショナルインタレストになるというふうな考え方もあるわけでございます。だから、いま申し上げました、一例でありますが、遠心分離機に関しましても、それほど各国の関心が深いということを私申し上げておるんです。それ以上申し上げたいこともいっぱいありますけれども、それほど関心が深い。しかも、まだこれは動燃といたしましては本当に開発途上でございまするから、そうした予算面からいたしましても、技術の結果に関しては当然公開して、それがわが国の第二再処理施設としてそうした動き方の一つの一環としてやがては全部が国家より民営に移されることもございましょうけれども、しかしながら、その間においてはやはりそれだけのものがいっぱいあるわけであります。私はそういうことを申し上げておるわけで、決して何もかも秘密、警察国家じゃないんですから、日本は。このこともアメリカも十分了解してくれたんでございますから、いま私は、ノーハウとは何ぞやということがございましたから、たとえばそういうようなノーハウもございますと。それは燃料の出し入れによっても当然計算されてくるでございましょうと、こういうように申し上げておるわけでございますので、だから、決してわが国においてはただ出入りだけの数量だというわけにはまいらない。いろんな意味合いにおけるところの将来におけるノーハウもある。そうした情報を政府が収集するわけでございますから、率直に政府に出すわけですから、そしてわが国の国家職員がそれを査察するわけでございますから、その集めたやつをあなたのところで計算しなさい、こういうふうに出すわけですから、当然そこにはやはり守ってもらわなければならない情報も多々ある、こういうわけであります。
  121. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 大分後退なさったようですけれども、このNPTや保障措置協定の精神は、これは平和利用に限ると。したがって、平和利用に関する限りはできるだけ情報はオープンにして、国際原子力機関にも通報すると。各国ができるだけお互いにそういう平和的な研究というものを進めるということが理想になっているわけですよ。未開発開発途上国に対してもその開発を援助する、そういう義務づけがあるわけです。なるほど軍事的用途は、これは秘密にするんでしょう。これは絶対に秘密にしなければいかぬと。しかし、平和的な利用に関しては、できるだけ情報を交換し、その進歩を図り、他国を援助していくということが条約や協定やなんかの精神なんですよ。だから、ノーハウとおっしゃるけれども、何も日本は営業のためにやっているんじゃないんで、日本の国家機関が別段ノーハウを守っていかなければならぬ必要はないんですよ。また九電力にしたって、これは独占事業であって、その地域に関しては独占的な形態であって、ノーハウを守らなければ競争で倒れてしまうというような存在じゃないんですよ、長官。あなたのおっしゃることは、非常に何かかげろうにおびえて秘密だ秘密だと言っているんで、秘密じゃないです、それは。お考えください。これは次長でもよろしい。
  122. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) お話に誤解があるといけませんので、若干補足させていただきたいと思います。  計量管理規定を制度的に考えた場合、簡単に事業者から、その使用にかかわる受け払い状況、在庫の状況が数字が出てきて、簡単にまたIAEAにつなげばいいという問題ではございません。この計量管理制度というのは、いかにして的確に効率よく実行性を確保しながらそういうような計量の方法を確保していくかということは、いぼまでも苦労してきた問題でありますが、今後とものやっぱり課題になっております。計量的によくデータと申しますのは、端的に申しまして、受け払いに関する量、それから在庫の変動の量と言った方が端的な表現だと思いますが、それは単に、受け払いがなされた、在庫が出たというだけの問題じゃなくて、その間に在庫の変動があるためには、ある一つの加工工場なら加工工場を見た場合でも、そこにおいて生産工程というものがあって、物の変化も行われるし、それなりの原材料の消費というものもあって、それで在庫が出る。したがって、また受け払いとの間のギャップが出る等々の数字現象が出てくるんだと思います。そのためには、そういう数字が生まれてくるところのべースとなるような施設的な概要、それから施設の動かし方、使い方ということがベースにあって、その上でそういうものがあって、どういう物の動きがその上でなされていくかというところまで複合的に合わせて初めて生きたデータとしてまとまって、これがIAEAにいくわけでございます。単なる算術計算、そういう操作の問題ではございません。したがいまして、大臣もお話しになられましたように、そこには、データとしてわれわれがセンターに仮に委託するということ、指定機関に委託するということになりますと、単なる毎月の数字をころころやるというようなものではございません。そういうものをやはり処理させるためには、べースになる情報というものも与えなくちゃいかぬというふうなことで、その委託される先につきます事柄は、物によってはきわめてはっきりと保護されなければ、その日本の行う国内体制に対する批判も出てきます。それから、受けるIAEAからのやはり信頼性というものも問題になるだろうと思います。そういうきわめて内容のあることであるということを申し上げたいと思います。
  123. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いま長官にもお尋ねした、長官はノーハウだと言い、それから今度は量だと言い、転々とされるけれども、それでは次長、事務当局としては、この守るべき秘密というものは何なのか、それを簡潔におっしゃっていただきたい。指定情報処理機関に渡すのは、規則に従ってあなた方がおとりになったそういう報告書、これが全部渡るんだと思うけれども報告書の書式を読んでみても、秘密に当たるものは全くない、何が秘密なのか、端的におっしゃってください。
  124. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) きわめて率直に申しますと、その情報が流れれば、公開されれば、その制度そのものの円滑な運営に支障を来すもの、これは保護されるべきものというふうに考えております。  なお、具体的のお尋ねですから申し上げますと、先ほど申しましたように、IAEAに対するわれわれの通告内容も、それから情報の処理されるべき機関に渡されるべき情報も、べースとなるまず施設設計に関する情報等も提出するわけでございます。それなしには、先ほど申しましたように、常時流れる、フローとしてのデータの計量管理ということも的確に計算され得ないわけですから、そういう内容を見ますと、物によっては、ある特定の者の計量に関する方法、あるいは施設の使用方法等々も当然情報の内容に含むわけですから、そのことがある特定の者にとって絶対企業秘密にもならぬとか、漏らされては困るということは絶対ないということはあり得ないんだろうと思います。
  125. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 的確におっしゃって……。時間がたつから。
  126. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) それから、また協定の方を出すようなことで申しわけございませんが、御案内のように、いかにしてまとめられたデータをオープンにするかということに関しましては、六条の末項にありますように、それは全部まとめられたかっこうで、「情報の概要」と、こう言っております。「サマライズド・インフォメーション」、これはまさに思想的には、個々の生のデータは原則的に出し得ないだろうという前提があるんだろうと思います。事ほどさように、この関連の情報に関しましては、やはり相当の神経を使わなければこのセーフガードシステムというのは的確に運用されないおそれがあるということが前提にあると思います。
  127. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それが世間に流れれば制度の趣旨が損なわれるようなもの、そんな抽象的なことじゃいけませんよ。いまあなたは、施設設計とか計量の方法とかということもおっしゃったけれども、それじゃ、さっき言った核物質の所在と量というものはおっしゃられなかった。だから、その一つ一つ秘密というものをおっしゃってください。それを伺っているわけです。
  128. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 先ほど申しましたのは一例でございます。それは、計量管理制度の中でべースになる施設情報というものもありますので、そういう点を例示的に挙げれば先ほど申しましたような例もあり得るということと、それから、その量的なものという御指摘でございますが、これは受け払い量があるわけです。これは例のインベントリー・リポートを出す場合のべースになる払い出し、受け払いの量を書くわけでございますが、今回考えております調査表、それをごらんいただくとおわかりになりますが、ある特定の事業者がいつ何どきどういう相手方からどういう量のものを、しかもその量というのは、今回の制度になりますと、相当微細なものを単位にしながら的確にやっていくというような考え方から、相当密な内容のものを、どういう相手方からどういう量をいつ、こういうものをとるわけでございます。そういうものが常時出されるデータにはあるわけです。で、そのことをつかまえても、ある特定の事業者にとってはそれは全然オープンにされても支障はないというケースもあるかもしれませんが、ある特定企業にとっては非常に支障を来すということはないと言えないわけでございます。これも一つの例でございます。
  129. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 そうすると、あなたの御説明によると、この条文によって守ろうとするのはやっぱり企業秘密ですね。ある企業にとってはそれが秘密であるということもあると言うが、つまり、秘密には国家的な見地から秘匿を要するものがあるわけですね。それが国家公務員法の百条一項のこれは守秘義務の根拠にあるんです。それと企業秘密的なものとは違うんです。さっき長官も、これは何かノーハウだとかいうような、それでは国が何かノーハウを守る必要があるのかというと、今度は企業の方に転嫁していく。あなたはいま、企業によってはとおっしゃった。企業秘密かな。
  130. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 誤解があるといけませんので……。大臣も先ほどお話しになられたように、事業者から国が法律によって入手した情報、これが指定情報処理機関に参るわけです。で、私たちの守ろうとする対象は、まさに国が一たんこれを手にした、法律に基づいたある目的を持った情報というものを指定機関に渡した、そのものをいかにして保護するかというのを心配しているわけです。それで申し上げたいのは、それが仮に何かの不都合等々の問題で公開されたということになれば、実体的な影響としては企業の秘密的なものにも及ぶものがあると、こういうことでございます。
  131. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 たとえば、企業ではいま主要な企業というのは電力会社でしょう、日本では。ほかにどういう企業がありますか、動燃は別として。そして、めがね屋がこれを使うとか、陶器に使うとかいうふうなことは、これはウランを何グラム使ったとかいうふうなことを言ったって、何もその事業に影響があるものでもない。そんなことまで罰則によって守ろうとするのか。これは国家秘密でさえも、判例によれば、かなり実質的な秘密を指すのであって、単に官庁が秘とするものが秘密になるんじゃないことなんですね。つまり、非公然性があって、そして秘匿性があって、国家的見地から秘密とするのを必要とするという要件があるんですよ。あなたのおっしゃるのでは、非常にその秘密なるものがあいまいなんだけれども、どこの会社の秘密を守ろうとするんですか。
  132. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) まさに国の秘密でございます。だから、それが漏洩した場合において、結果的な影響として、先ほど申しましたような一部企業の秘密にわたることも結果的にはあるだろうということだけです。われわれが守りたいのは、国がこの法律に基づいて国の責任において徴収した情報、それは目的があるわけです。IAEAに対するつなぎの問題、それが目的ですから、その目的にこれが利用されて十分その役目を果たすというためには、やはりそれなりの情報は国でとった情報という角度で、かつ、それを委託したという角度で、やはり情報は正当に保護されるべきだろう、こういうことを申し上げているわけです。
  133. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 だから、それはわかるんですよ。だから、国が守らなければならない秘密という、その秘匿性というものは、何を根拠にして秘匿せんとするんです。たとえば、あなたも御存じでしょうけれども、これは四十七年の内閣官房内閣参事官室首席内閣参事官の発した文書、これは四十四年の事務次官会議で、国家機関における各種の秘密の基準というのがあって、これはすべて秘密にする理由というものが明らかになっているわけですね。それじゃあなたが、データが集まってくる、それは秘密だとするのは何がゆえに秘密なんです。その秘密の理由をおっしゃってごらんなさい。
  134. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) それが不当に漏洩した場合は、この制度に対する信頼性を喪失すると言った方がいいかもしれません。
  135. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 いままでの答弁は答弁になっていないんですよ。いいですか。IAEAのこの協定が発効するためにこのような国内法というものを制定をしなきゃならない義務を負っているのかという質問に対しては、全然義務を負っておりませんということをあなたははっきり答弁をしているんですね。そして、追い詰められると、IAEAに対する信頼度から必要だと、こういうまた言い方で循環をしているわけです。秘密の具体的な内容を言いなさいと言えば、たとえばというふうな話で、転々として、国家機密になったり、企業秘密になったり、一体何が守らなければならない秘密なのか、秘密の性格、範囲、それを具体的に言いなさいと言うと、ちっとも具体的になっていないんですよ。そして、最終的には、精神規定的な面でこれを設けることがIAEAに対する望ましいことだから入れたというところにまた戻っている。私が前にあなたに尋ねたときに、これがなきゃいかぬということではありませんということをはっきり言っている。協定との間には直接これは関係ありませんということをあなたは答えているわけです。それから、国家は核燃料物質それから核原料物質というものがどれだけあるかというのは常に公表しているのであって、その内容自体はちっとも秘密でないということを言っているわけですよね。今日、どの発電所、どこの大学にどのような原子炉設置をされておるか、その原子炉の性能がどういうものであるか、これは皆明らかにされていることなんですよ。そのことがまた原子力基本法によって明らかにすべきことになっているんですよね、これ。だから、そういう点で国家機密ということにはならないわけです、これは。だから、その点は、長官も最初は何か国家機密がないような言い方から、ちょっとおっしゃって、また、そうでないという言い方になっている。ですから、長官の認識の度合いというものも、事務当局の説明も常に変わるんですよ。もうちょっと詳しく言いますと、この前そこのところを私は言い方が常に変わるということを申し上げたんですが、きょうは——寺田先生、おっしゃったでしょうかね、言い方が変わったということを。常に変わる。  そういう点で、ぼくは、委員長、私はこの前も、これは佐藤委員もおっしゃったと思うんですけれども、秘密の内容は何だということを明確にひとつ出してくださいということを言ってあるんですよ。ところが、皆さん方からきのういただいたこの資料には、最も大事な、秘密とは何ぞや、その性格なり範囲、具体的には何ですかというものについては、いただいたこの資料の中には書いてないんですよ、これが。書けるわけがないから書けないんです、これは、はっきり言って。これ何か別にまた資料を出されましたか、佐藤さんの方の要求に対して。出ていないでしょう。書けるわけないんでしょう。そういう点で、こういう答弁では答弁になっていないんですよ、これは。もう長官の言い方と事務当局の言い方にも非常に差がある。問題にならぬですよ。あんたはとにかく、何か言われれば、くるくると言い方が変わっていっている。  もうちょっと正確な言い方をするならば、あなたがいろいろ説明された説明の内容というものもずいぶん変わっているんですよ。たとえば、当初これを企業秘密の保持や安全性の確保のため必要な規定であるという言い方をなされた、企業秘密という言い方もあった。核ジャック防止のために必要であるとか、いろいろ説明もあり、次いで、国家公務員には秘密を守る義務がある、したがって、それを情報処理機関に委託をするんであるから、委託を受けたものにそれがなくては困る、つまり、国家公務員法に準じた考え方、その考え方で必要だ、こう言うんですね。受託者がそれらの情報を勝手に発表されたりしては困る、こういう説明がある。それに対していろいろこちら側の反論が行われる。それに対して、たとえば情報処理機関が国から委託され、交付された行事業体の科学技術庁に対する届け出書類は内容的に別段刑罰をもって守るほどの秘密性——企業的にも、国家的にも——を持つものではないではないか、また、公開した方が、安全性はもちろん、軍事転用防止にも役立つではないか、こういういろんな反論に対しては、最後には、原子力行政が国と情報処理機関とによって処理せられており、国家公務員や情報処理機関の役職員に対してこのような厳格な秘密保持の義務が課せられているということ、それがIAEAによって、日本の原子力行政、ひいては条約や協定の遵守に関する信頼をかち得る条件であるというふうに、最後は、IAEAとの間の信頼関係というそこのところに最終的にはまた帰着をしている。それ以外には何ら理由がない。反論すれば常に変わっていくということなんですね。説明にはなってないんですよ、これは。また、最終的には、さっきはまた企業秘密だというふうな、こういうこともおっしゃる。これは転々として変わっているんですよ。これは答弁になってないんですよ。
  136. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 これは、この条文によって守らんとする秘密というものは一体何なのかということが政府側の答弁でははっきりいたしませんし、転々としておるんでありますね。午前中は、長官のお言葉ですが、やはり管理体制を整備することがIAEAに対する信頼につながる、たとえば、ハイジャックされた場合に困るじゃないかというような御説明もありました。いま今度はまたノーハウという問題も出てきました。じゃ、ノーハウの所有者はだれか、原子炉を持っているもの、あるいは再処理施設を持っているものというのは、日本にそうたくさんあるわけではありませんので、一体この守らんとするノーハウを持っているものは何人であるか、また、いかなるノーハウなのであるか、そうすると、この条文は国家秘密を守らんとするのか、企業秘密を守らんとするのか、そういう点を当委員会に対して明確にすることを要求いたしたいと思います。これは答弁ではあいまいなので、文書をもって当委員会に提出するようにお取り計らいをいただきたいと思います。
  137. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  138. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後二時十九分休憩      —————・—————    午後二時二十八分開会
  139. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) ただいまから委員会を再開いたします。
  140. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、現在核防条約の批准国は何ヵ国であるのか、また、核防条約第三条第一項及び第四項により、批准後十八ヵ月以内にIAEAとの保障措置協定を締結せねばならないとあるわけですが、批准国のうち十八ヵ月以内に協定を結んだのは大体何ヵ国ぐらいでございますか。
  141. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 条約締結国は百一、それから非核兵器国締約国は九十八でございます。それから、御指摘保障措置協定をそのうち現に締結したもの、それは期限内が十五、以上でございます。
  142. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、十八ヵ月たってもまだ協定が結ばれていない国は何ヵ国か、また、十八ヵ月過ぎてすでに締結している国は何ヵ国ですか。
  143. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 期限が切れてから締結したというものが五十三でございます。
  144. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 十八ヵ月たってもまだ協定を結んでいない国はありませんか。
  145. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 三十でございます。
  146. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 非常に多くの国が期限には間に合ってないわけでありますが、わずか十八ヵ国が期限内に核防条約の規定どおりやっておるわけでありますが、そこで、わが国は、御存じのように、今回提出された原子炉規制法改正案を、衆議院における大手術をして何とか期限に間に合わせようと、このようになっておるわけでありますが、もし間に合わなかった場合、どういう影響があるのか、政府はどういう認識をしておりますか。ほかの国も大部分間に合ってないんだから、そうあわてる必要もないんじゃないか、こういう意見もあるわけですが。
  147. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 御案内のように、日本が自主査察体制のべースにIAEAとの話で了解がついたのは、まさに五年の交渉の経過を経たわけであります。それも、日本の従来の二国間協定に基づきます保障措置の実施に関します日本の実行性といいますか、そういうものに対する信頼、期待感というものが十分評価された結果のことでございまして、そういうことならば今後自主体制ということが恐らく期待どおりやれるだろうという期待感がありますので、それに対して十分こたえ得ないということで、きわめて国際的な信頼性の問題に対して支障があるんじゃないかというふうに考えられます。
  148. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 十八ヵ月以内に締結したならばどういう評価を受けますか。
  149. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 自主査察体制ベースはユーラトムと日本ということでございまして、これはやはりIAEA自身の手をまたないで自分みずからが自分の国内の保障措置を実施し、それをIAEAにつなごうというようなきわめて主体性のある、かつ自発的な姿勢なわけですから、それに対する信頼性というものがやはり一番問題になるんだろうと思います。
  150. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 現在当委員会で審議をしております法律案は、いわゆる外務委員会において審議をしておりますIAEAとの協定とペアになるものでありますが、この二つは一体のものであるわけであります。そこで、この協定がもし国会で成立をした場合、これがどういう事務処理で協定が効力を生ずるのか、そのためにはどれぐらいの時間が必要であるのか、それはどういうことのためにそういう時間が必要であるのか、これを承っておきたいと思います。
  151. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 協定によりますと、日本国政府が国内の諸手続を済ました上で通告することによって効力を発生するということになります。
  152. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 若干補足させていただきます。  協定によりますと、日本国政府からIAEAに協定を発効されたいという書類を通報いたしまして、それがIAEAにおいて受理されたときに効力は発生するということになっております。
  153. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、この期限までに間に合わせるためには、書類はIAEAまで航空便で送るのか知りませんけれども、大体何日ぐらいあれば着くわけなんですか。
  154. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 保障措置協定につきましては、これは通告させるという日本国政府からのIAEAに対する通知でございますが、これは具体的に申し上げますと外務省の分野になると思いますが、私が承っている限りでございますれば、日本国政府の方からオーストリアにございます在墺日本大使館に連絡をいたしまして、在墺日本大使館において日本国政府代表という形で大使から発出することになっております。大使からIAEAの事務総長に書類を発出し、それが届いたときをもって発効することになっております。
  155. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、十二月三日でございますか——三日は何か土曜日だそうで、まあ十二月二日までに間に合わせるためには、少なくとも国会でこの法案が通過しなければならないタイムリミットはいつになりますか。
  156. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) その手続の方は私の方は余り詳しくございませんが、外務省の方にやはり確認してみないといかぬと思います。
  157. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 しかし、どうなんでしょうか、そういう点は、外務省の問題じゃなしに、科学技術庁としても、もとよりこの協定をやはり時間内に間に合わすためにわれわれも連日審議しているわけですから、そういう点で、もちろん国会はいまの状態では二十五日に終わるわけで、タイムリミットが今月末だといっても、現実には二十五日になるわけですけれどもね。しかし、そういう点も考えて、国会の会期というものを別にして考えた場合に、タイムリミットはいつかということは、それはわかるでしょう。
  158. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 三十一日の本会議というのがぎりぎりの線じゃないかというふうに考えております。
  159. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 どうもただいまのは、政治的なあれに聞こえますね。と申しますのは、ただウィーンの日本大使館に打電をして、そして向こうへいくわけでしょう。そのためには電報はそんなに一週間もかかりませんよ。一日で行くわけですから。極端に言えば、あれでしょう、たとえば十一月三十日でももし国会があるとすれば、十一月三十日にやっても期限には間に合うと、私たちそう理解をしておるわけなんですが、それでいいんですか。これは簡単にひとつ答えてください。
  160. 半澤治雄

    政府委員(半澤治雄君) ちょっと復習になりますが、二日までに発効を通告しなきゃなりませんですね。そういたしますと、協定の実行を担保するためには、国内法の整理が、国内法の施行が十二月二日に行われておらなければならないわけでございます。施行のためには公布の手続が要ります。公布のためには閣議決定が要ります。通常でございますと次官会議、閣議という手順を経て公布の手続をとりますが、公布の閣議が終わりまして直ちに公布になるのではございません。御案内のように、閣議で内容が確定いたしますと、それを官報に掲載しなきゃいけません。官報に掲載するための期間がある程度要ります。これは公布のために要する期間でございます。それから公布になれば直ちに施行していいかといいますと、これは周知の期間がある程度要ります。公布即日施行ということではなくて、数日間の周知のための期間を置くのが通例でございまして、そういうことから逆算をいたしますと、いま政治的と申されましたが、二十一日でもかなり苦しい手続でございます。しかし間に合わぬことはないという意味で二十一日と申し上げておるわけでございます。
  161. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わかりました。  そうしますと、十二月二日に公布を終わればいいのか、あるいは公布の後周知があって、それから実施というのがあるわけなんですか、それを。
  162. 半澤治雄

    政府委員(半澤治雄君) それは、施行されておりませんと法律が効果を持ちませんから、施行が必要でございます。
  163. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、当然公布というものは施行の何日か前に公布をしなければならない。そして、公布をして、この十二月二日現在にはもうすでにこの法律は発効しておると、こういう状態になるのが、一応核防条約をきちっと遵守をしたと、こういうことになると判断していいわけですね。
  164. 半澤治雄

    政府委員(半澤治雄君) お説のとおりでございます。
  165. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わかりました。  私たちも、もとより国際的な日本に対する信頼を守るために、わが委員会もこのように連日審議をしておるわけでありまして、願わくは一〇〇%の段階で問に合うことを切に望んでおるわけでありますが、それにしても、先ほどの政府の答弁は余りにも統一性を欠いて、これでは余りにもちょっとお粗末過ぎると思うんですね。そういう点を私は強く反省を求めたいと思います。  そこで、答弁はできるだけもう簡潔に、いろいろ聞くことはたくさんあるんですから簡単で結構でございますので……。  まず、国際規制物資とはいま何でございますか。何と何が国際規制物資か。これは総理大臣の告示がなされているように聞いておるわけでありますが。
  166. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 協定上は、原料物質、それから特殊核分裂性物質というふうになっておりまして、やや内容的に申し上げますと、天然ウラン、トリウム、それから特殊核物質、分裂性物質といたしましては、代表的な例といたしましては、濃縮ウラン、プルトニウム、それからウラン郷、また、そのおのおのの化合物、それが内容でございます。
  167. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それは、総理大臣の告示ですべての品名が示されておると判断していいわけですね。
  168. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) そういうことでございます。
  169. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それは後、資料として提出をしてください。
  170. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) かしこまりました。
  171. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから「国際規制物資使用者等」とありますが、これは恐らく原子力発電所の会社等も含めて、大体これは日本では何ぼぐらいの数になりますか、全体の数。おおよその数で結構ですけれども
  172. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 約五百でございます。
  173. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、これはたとえば、放射性同位元素を使うところとか、もちろん病院なんかでもそういうものを使っているところがあると思うんですが、そういうものも全部これは含まれておると、こう判断していいわけですか。
  174. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) アイソトープは入っておりません。
  175. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 入ってないですね。
  176. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) はあ。
  177. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ、この五百の使用者のもとにおける国際規制物資の動きというものが当然管理の対象になると、こう判断していいわけですね。
  178. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) さようでございます。
  179. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで、計量管理規定は、もしこの法律改正案が成立した場合、いつまでに国際規制物資使用者は総理大臣の認可を受けなければならないのか。これはどうなりますか。
  180. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 施行後三十日以内というかっこうになります。
  181. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 これは、三十日以内というのはこの中にあるんですか、法律の中に。
  182. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 法案の附則に書いてございます。
  183. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで、計量管理規定のモデル規定はございますか。というのは、五百の国際規制物資使用者が実際に初めて出された計量管理規定というものをつくるということは非常にむずかしいわけで、しかも、それが総理大臣から見て、これは当然科学技術庁が審査をするわけですけれども、その本来の目的に合ったものでなくちゃならぬわけで、そのためには当然一つのモデル規定というものはなくちゃならぬと思うんです。それはもうできておりますか。
  184. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) これが御案内のように事業者に対する規制の決め手になるわけでございますから、現在そのひな形をつくりまして、これは府令のかっこうで公布すべく準備しております。
  185. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それは資料としていただけますか。
  186. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 準備してございますので、お届けいたしたいと思います。
  187. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、私のこの質問の終わるまでに届けてもらいたいんですけれどもね。  ぜひこれは政府側に要望いたしますが、法案審議の場合に、よく政令とか、いろいろな言葉が出てくるわけで、願わくは、当然政令は法案審議の対象にはなりませんけれども審議をより能率よく進めるためには、そういう付随をしたものは事前に今後出すように努力をしてもらいたい。このことを私は要望したいと思います。  それで、計量管理規定を定めた意図というものは、やはり今後わが国の自主査察をしていく上において、そのポイント、ポイントをつかむことができやすいように、各事業者にそのポイント、ポイントのデータの記録を義務づけるとか、そういうような意図で計量管理規定というものの作成が義務づけられたのであると、そのように私は認識しておるわけでありますが、それで間違いないかどうか。
  188. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) お話のとおりでございまして、それで、そういうものをべースにして各自業者は記録を、所定どおり記録し、報告すべきものはそのべースに従って報告する、こういうかっこうになるわけでございます。
  189. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いままではIAEAの査察、これからまあ自主査察ということになるようでありますが、いままでのIAEAの査察官はどの程度であったのか。また、わが国の五百の事業所に対する査察官の立ち入り状況というものは大体どのような状況であったのか。そうして、今後わが国が自主査察に移った場合は、わが国の体制はそれに対応してどういう状況であるのか。
  190. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) まず、IAEAの査察官でございますが、IAEAの査察官は、全世界に対しまして、ただいまのところ七、八十人と記憶しております。そのうち日本向けに指名された——これは、協定によりまして、日本担当の査察官になるためには、それぞれ指名をし、政府の了承が要るわけでございますが、そのように指名をし、了承された者は現在十七名でございます。ただし、この十七名と申しますのは、この査察官がすべて日本に対する者だけではございませんで、日本に来ることもできるということでございまして、ほかの国にも査察に行っているわけでございます。  それから、日本にこれまでどのぐらいの査察をIAEAが実施してきたかというお尋ねでございますが、暦年で申し上げさしていただきますが、昭和五十年につきましては——これは計算の方法が人・日という形でございまして、査察官が、たとえば二人で一日施設へ立ち入った場合は二と、そういう形で人・日の計算でございますが、昭和五十年においては二百九十三、それから昭和五十一年においては四百四、これまで統計をとっておりますと、大体三百以上というのがかなり多うございます。  それからその次のお尋ねは、日本の今後の国内査察体制がNPT下に対して十分かというお尋ねのように承りましたが、そのお尋ねに対しまして申し上げさしていただきます。  査察官の数でございますが、これは日本が自主査察体制に移行するということでございまして、本年度におきまして査察官十四名、これは日本の保障措置のための査察を専門にやるわけでございます。立入検査と申しますと、先生御承知のとおり、安全性からの検査というものもございますが、この十四名の査察官は保障措置の査察のみを実施する男でございます。これは昨年に比べましてかなり増強さしていただいたわけでございます。  それからさらに、今後この法律をお通し願った場合には、通産省及び運輸省の職員も一部査察のために使わせていただけるということになっておりまして、そのマンパワーも使えることになっております。  以上でございます。
  191. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、いままでIAEAの場合は三百人・日ですね、三百人の人が一日来たのと同等のことになるわけですが、実際は五百事業所があるわけですね。一日に二ヵ所、三ヵ所回れば行けるわけですけれども、大体一つの事業所に対してIAEAの場合は年間に二回通りとか、あるいは大きなやつは三回で小さいやつは一回通りとか、そのあたりはどうなっているんですか。
  192. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) これまでの実績でございますが、IAEAの査察の実施の仕方につきましては、この査察と申しましょうか、保障措置目的が核物質の軍事転用防止という点からまいりますと、日本の国内にございます、五百ぐらい施設があると申しましたが、そのうち非常に多い施設につきましては、これはたとえば天然ウランを一キログラム持っているとか、そういう施設がかなり多うございます。したがいまして、そういうところに対するIAEAの査察というのは、これは二年か三年に一回ぐらい来るという頻度でございました。それに対しまして、たとえば軽水炉用の燃料を加工している工場でございますが、こういうところに対します査察というのはかなり頻度が多うございます。たとえば三週間に一回来て、まあ二日ないし三日検査するということもございますし、それから一日で済むという場合もございます。したがいまして、施設の種類によってかなり頻度は違っておりました。
  193. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、現在もIAEAの査察は続いておるわけで、したがって、わが国のこの法律が施行した日を期してわが国の自主査察体制に移ると、そう判断していいわけですか。
  194. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) はい、仰せのとおりでございまして、これまでのIAEAの査察は、先生案内のとおり、二国間協定に基づいて実施してきた査察でございます。この二国間協定に基づく保障措置と申しますのは、NPTの保障措置に移行した場合に停止することになっております。したがいまして、NPT保障措置体制に移行しました後は自主査察が中心になるという形をとるわけでございます。
  195. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、アメリカ、カナダ、イギリス等と別個にIAEAと結んでいる協定はもう自然に消滅をすると、こう判断していいわけですね。
  196. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 協定の話は正確には外務省であろうと思いますが、私どもで了解しています範囲では、次のとおりでございます。  二国間協定に基づいてそのいろいろな権利義務が約束されておりますが、保障措置に関する部分はそのうちの一部でございまして、その保障措置に関する部分は停止することになっております。しかしながら、協定そのものは生きておりまして、たとえば情報交換とか専門家の交換とか、協力協定のその他の部分については生きております。
  197. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わが国の自主査察体制の技術、そういうものは心配ないのかどうかですね。心配あるとは答弁はないかもしれませんけれども、その点率直に、どうなんでしょうか。
  198. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) この保障措置に関します技術の問題でございますが、先生から率直にと申されましたので率直に申し上げさしていただきますが、四、五年前までは日本の保障措置の技術というのは、確かに世界に比べるとかなり劣っておったということは自認せざるを得ないと思っております。しかしながら、昭和四十五年でございますか、日本がNPTの、これは批准ではございませんで、政府が調印した時点でございますが、これを特に契機と言うとちょっと言葉が悪いわけでございますが、その時分から日本におきましても保障措置に関する技術開発に力を入れてきたわけでございます。そうしまして、政府の投資額といたしましても、たとえば本年度におきましては、保障措置の技術開発のために三億二千二百万投資しているわけでございますが、このようなことによりまして、保障措置に関しては技術開発は最近は非常に高度のレベルに達しているんではないかと思います。  ちょっと長くなっては申しわけないんで、二つばかり実例を挙げさしていただきたいと思うのでございますが、いま私ども査察官がこれから査察のために使おうと思っております計器類がございますが、ポータブルな計器とか、そういうものでございますが、このうちの一部は私どもの日本におきまして自主的に開発したものでございます。これにつきましてはIAEAも同じような機器を持っておるわけでございますけれども、日本の方が、これは自画自賛になりますけれども、非常にすぐれているんではないかと思っております。さらに、測定とか、その方につきましても日本は従来高レベルでございましたので、この辺は、まあ私どもといたしましては、少なくともIAEA、アメリカ、ヨーロッパに肩を並べているのではないかというふうに思っているわけでございます。
  199. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、これからいわゆる試料のこれは収去というのですか、余り学校で習わないような言葉ですけれども試料の収去ができると。当然これは分析をやるための試料じゃないかと思うのですけれども、分析はどこでやるのか。それともう一つは、いままではIAEAが試料の収去をやっておったように理解をしているわけですが、これはどこで分析していたのか。それと、大体IAEAは年間どれぐらい収去しておったのか。また、わが国の自主査察体制ではどういうところから試料をとる予定なのか。これは先ほどの計量管理規定等が出れば具体的にわかるんでしょうけれども、できる範囲で簡単に説明してもらいたい。
  200. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) お答えいたします。  まず、IAEAの方からお答えさせていただきます。IAEAにつきましては、これまでサンブル——試料でございますが、この試料と申しますのは主としてウランでございますが、ウランの数グラムというのをサンプルとしてとったわけでございます。これを、IAEAの場合でございますと、IAEAの付属機関でございますが、ウィーンの郊外に自分のところの研究所を持っております。その研究所と申しましょうか、保障措置に関する分析実験室があるわけでございますが、ここへ送りまして分析をしておりました。サンプルをとります頻度でございますが、これはIAEAの場合でもかなり一定しておりませんで、かなりケース・バイ・ケースであると思っておりますが、主としてサンプルをとっていたところにつきましては、核燃料物質を加工しております加工工場というのが圧倒的に多うございます。御承知のとおり、原子力発電所に査察に行った場合には、こんな大きな燃料集合体でございますし、あれの一部をサンプルとしてとるということは実質上不可能でございますから、これはサンプルはとる必要はないということになっております。  それから、わが国でございますが、これにつきましては、分析自体につきましては、これはサンプルをとってまいりますのは国の査察官がとってまいるわけでございます。それの分析につきましては、現在建設中でございますが、財団法人核物質管理センターというところへ委託することを考えております。しかしながら、この財団法人核物質管理センターは現在分析所を建設中でございまして、この発効には間に合いませんので、IAEAとお話をいたしまして、私どもの国のシステムとしては、暫定的に日本原子力研究所及び動力炉・核燃料開発事業団に分析を依頼することにしております。  それで、分析のサンプルをどこからとるかというお尋ねでございますが、これは、先ほど申し上げましたように、私どもとして、原子力発電所は、前に申し上げたのと全く同じ理由によりましてサンプルをとることが不可能でございますので、これはサンプルをとりません。それで、核燃料物質の加工工場が主たるサンプルをとるべきところでございます。
  201. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 再処理工場はどうなりますか。
  202. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 失礼いたしました。再処理工場につきましてもサンプルをとることにしております。
  203. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 この核物質管理センターは現在建設中で、これがいわゆる指定情報処理機関になるように私は理解をしておるわけでありますが、それでよろしいのかどうか。
  204. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) はい。この核物質管理センターは財団法人でございます。私がただいま建設中と申し上げましたのは、分析所を建設中ということでございまして、財団法人核物質管理センターは、昭和四十七年に成立して、すでにある組織でございます。
  205. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、七十四条の二の2ですか、通産省、運輸省の人がいわゆる査察官の補助として立ち入ることができるというのですが、これはどういう意図でございますか。「政令で定めるところにより」とありますが、政令とはどういう内容のものですか。
  206. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) この意図でございますが、まずこの意図は、私どもとしましてはマンパワーの効率的な利用ということを考えたわけでございます。先ほど申し上げましたように、査察官というのは現在におきましては科学技術庁に十四名おるわけでございますが、原子力施設というのは国内に先ほど申し上げましたように五百ぐらいございます。しかしながら、この査察業務の中には——特に原子力発電所における査察でございますが、この中には、査察の中でもかなり定型的な業務がございます。したがいまして、通産省の方におきましても電気事業法に基づきまして原子力発電所に立入検査に行っておる職員がかなり多うございますので、この職員の方に一部査察の業務も行わさしていただきたいということで、このような規定をつくったわけでございます。それから運輸省も書いてございますが、これは、原子力船に関連いたしまして、やはり原子船の原子炉の査察というときに、マンパワーの効率的利用ということでお願いしたようなわけでございます。  それから政令ということでございますが、この政令につきましては、職員に行わせることができる範囲と、そのための手続、つまり、科学技術庁——内閣総理大臣と書いてございますが、内閣総理大臣と通商産業省または運輸省との事前の同意というような手続について政令で定めております。
  207. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 その政令も資料として出していただきたいと思うのですけれども原子力発電所に電気事業法で行く人が査察もやるというのは非常にいいようですけれども、査察というのはそんなことでいいんですか。査察官の資格というか、いろいろな条件があると思うんですが、そういう点はどうなんですか。
  208. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 先ほどちょっと答弁が漏れましたので申しわけございませんですが、保障措置の制度と申しますのは、たとえば集中管理が必要であるというように、国として一つの統一がとれたシステムということが必要であることは、これは当然だと思います。その意味におきまして、ここでたとえば通商産業省及び運輸省の職員に査察の一部をお願いするわけでございますが、その場合に、それではその査察計画、それから実際の査察のマニュアル、それから査察を行った後の報告、これは、科学技術庁と申しましょうか、私どもの方で査察計画を立て、それからどのようにしてくださいという査察マニュアルをつくり、そのマニュアルどおりやっていただくことをお願いし、そして報告は私どもの方に送っていただくことになっております。そのようなことでシステムの一元化ということを図らせていただいております。それからさらに、この通産省及び運輸省の職員でございますが、これはだれでもいいというわけにはやはりいきませんで、原子力発電所に立入検査を行う、原子力に関する知識を有している者をお願いしたいと思っておりますが、それだけではいけませんと思いますので、私どもも、たとえば、トレーニングと申すとちょっとあれでございますが、保障措置についての内容の説明をし、そして実態を理解していただいてやっていただきたいと思っております。  なお、そういうようなことで査察という重要な業務ができるかというお尋ねのように承ったわけでございますが、査察の中にも、たとえば先生が先ほど言及されました再処理施設に対する査察というのは、これはやはりかなりむずかしいと申しましょうか、大変な作業であろうと私どもは自認しております。しかしながら、原子力発電所というのは保障措置の方で申し上げますとそれほどむずかしいものではない。と申しますのは、燃料集合体という形で物がはっきり確定しているわけでございます。これが再処理工場とか加工工場でございますと、処理をしますので、その処理に伴って、たとえば測定のときに誤差が出てきたり、ロスが出てきたりいたします。そうしますと、核物質量を同定するというのが非常にむずかしくなってまいりますが、原子力発電所の場合には、これは封じ込められた物の中でございますので、査察官のやることと申しますと非常に限られてまいります。したがいまして、私どもとしては、このような職員に事前教育——教育と申すのはちょっと申しわけないんですが、その事前教育の上お願いしても大丈夫であると判断をしたわけでございます。
  209. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わかりました。  それから六十八条の四項に、IAEAの指定する者は国際約束で定める範囲内で日本の査察官と一緒に立ち入ることができるようになっているわけでありますが、「国際約束」とは何と何をここで言っておるのか、また、「国際約束で定める範囲」というのはどの程度であるのか、これがどうもはっきりしないんですけれどもね。
  210. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 六十八条の四項でございますが、これにつきましては、国際原子力機関の指定する者等の立ち入りのところでございます。ここにおきまして「国際約束で定める範囲内」ということでございますが、これは、まさにここで申します「国際約束」と申しますのは、この場合でございますと、現在IAEAとの間の保障措置協定を指しているわけでございます。したがいまして、保障措置協定の中にいろいろ、たとえば立ち入りの範囲とか、それから立ち入りして何をやるかというようないろいろな条項がございますが、それをここでは「国際約束で定める範囲」ということで引いております。
  211. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから協定の第八条に「機関に対する情報の提供」という義務があるわけですが、これは、わが国政府がIAEAにいろんな情報を提供しなければならない、この具体的な内容あるいは回数、そういうものはどうなっておりますか。何か規定はあるんですか。
  212. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 第八条に申します「機関に対する情報の提供」でございますが、これにつきましては具体的には二つございまして、施設に関します設計情報と申しましょうか、設計の概要を提供するというのが第一でございます。この施設と申しますのは、日本の国内にございます原子力施設でございます。それから第二といたしまして、核物質の計量に関する——計量と申しましょうか、核物質の出入りとか、そういうものに関する報告、これが第二の情報の提供でございます。
  213. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 回数は。
  214. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) まず、設計情報の方でございますが、これは、一原子力施設当たり一回というのは変な言い方でございますが、一回でございます。つまり、新しい原子力施設ができます前に提供するということでございます。  それから計量報告の方でございますが、この計量報告には基本的に二種類ございます。それで、これは協定の後ろの方の報告のところで細かく出てくるわけでございますが、一つは在庫変動報告と申しております。この在庫変動報告と申しますのは、その施設に核物質が入ったり、または施設から核物質が出たりというような、その核物質の変動があった場合に報告するわけでございますが、これはその変動の都度報告するということになっております。ただし、変動が、たとえば非常に大規模な原子力施設でございまして、毎日毎日たとえば核物質が入ってきたり出ていったりするという場合に、毎日毎日報告を送るというのは非常に手間がかかるわけでございますので、そのような場合には、毎日毎日の分につきましては、一枚の紙にまとめまして、そのまとめたものを一月に一回送ればよろしいという規定になっております。  それから第二の種類の核物質の計量に関する報告と申しますのがございますが、これは物質収支報告と申しております。この物質収支報告は、施設において年に一回とか二回、定められたときにたな卸しを行いまして、その特定時点における核物質がどのぐらいあるかということをチェックすることになっておるわけでございますが、そのチェックした後に報告をすることになっております。したがいまして、これは通常年に一回ないし二回ということでございます。
  215. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いまのは物質収支報告ですか。
  216. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) さようでございます。英語で申し上げますと「マテリアル・バランス・レポート」でございます。「バランス」を「収支」と訳しましたので、物質の収支——出入りという意味の収支でございます。
  217. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 わかりました。それは、いままでわが国は二国間協定によってIIAEAへの報告をしなければならなかったと思うんですが、そういう内容とどう変わるのかですね。
  218. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 基本的な枠組みにおいては変わっておりません。在庫変動に関する報告を送るということと、それから物質収支に関する報告を送るということはございます。ただし、どういうものを送るかという内容についてはいろいろ変わった点はございます。
  219. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 いままではIAEAの査察官が来て、その人たちがつかんで帰っておったわけでしょう。だから、それを今回は日本の政府が自主査察をする、日本政府からIAEAに送ると、そういうような変更はあったけれども、いわゆる内容についてはそれほど変更はないと、そう考えていいわけですか。
  220. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) ちょっと私どもの御説明の仕方が悪かったと思いますが、現在の保障措置、二国間協定に基づきます保障措置の制度におきましても、報告をする義務とそれから査察を受ける義務と両方ございました。これからのNPTになりまして、新しい制度になりましても同じく報告をする義務と査察を受ける義務はございます。しかしながら、NPT下におきましては、いままでの二国間協定に基づく査察と申しますのがIAEAの一方的な立ち入りと申しましょうか、非常に大きな施設については、それこそよく言われますが、いつでも、どこでも入れるという査察であったのに対しまして、今後のNPT下の査察と申しますのは、基本的には自主査察というのを一義的に認め、その自主査察が有効に——有効にと申しましょうか、効果的に行われているということを検認するためにというか、観察するためにやってくるというような自主査察主体というふうに変わったわけでございます。したがいまして、現在においても、IAEAの査察を受けること以外に、日本国政府がやはり報告をしていなければならないということについてはあったわけでございまして、この点についての枠組みが変わったわけではございません。
  221. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで、具体的なわが国の自主査察体側ですけれどもね、   〔委員長退席理事森下昭司着席〕 たとえば、原子力発電所の場合はどうなるのか、再処理工場の場合はどうなるのか、燃料加工工場の場合はどうなるのか。それから、海外へ送る場合ですね、いわゆる使用済み燃料をね。しかも、これはイギリスのように核防条約に入った国もあれば、フランスのように入っていない国もあるわけですけれども、そういう場合はどういう点でどういうデータをとるのかですね。できるだけ簡潔にポイントを教えてもらいたいんですがね。
  222. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) お尋ねは査察ということでよろしゅうございましょうか。査察についてのそれぞれの施設におけるやり方ということでよろしければ、そのように申し上げます。
  223. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 はい。
  224. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 原子力発電所につきましては、先ほど申し上げましたように、査察というのは非常に簡単であると申しましたが、基本的には、新燃料貯蔵庫とか、それからプールでございますね、その使用済み燃料の入っているプールとか、そういうところに燃料集合体が置いてあるということを確認し、それからアイデンティフィケーションと申しておりまして、同定番号と申しますが、それぞれ燃料体には番号がついておりますので、その番号を確認するということ。それから、さらに監視、封じ込めのための補助的な手段として何かシールをつけるとか、そういうことをやる場合もございます。それで、頻度につきましては、これは現在IAEAと交渉中でございますが、きわめて少ないだろうと思っております。これに比較いたしますと、再処理工場における査察と申しますのは、先ほどちょっと申し上げさしていただいたんですが、ややむずかしいと思います。したがいまして、査察の頻度というのもかなり高いであろうと思っております。この場合には核物質の流れを検定するわけでございまして、核物質の流れの中で、私ども主要測定点と申しておりますが、これがキーポイントになるというところをあらかじめ設定いたします。この設定は計量管理規定において行うことになっております。そのようにして行われました点におきまして、たとえば査察官が測定をしたり、サンプルをとってきたり、または施設が行います計量器のための較正などがございますが、ゼロ点測定とか、そういう較正をチェックしたり、そのような作業をさしていただくということになっております。加工工場についても原則的には再処理工場と同じような仕事でございます。  さらに、輸出でございますが、これにつきましては、大量の輸出をする場合にはIAEAに事前の報告を送ることになっております。事前の報告の中身につきましては、いつどういうものがどこの国へ送られるか、何キログラムないし何トンの何が——たとえばウランとかプルトニウムでございますが、どこの国へ送られるかということを報告いたします。それで、これは国際輸送に伴います査察のやり方でございますが、これはわが国としてはやはりわが国の領域内のものについては確認を行うわけでございますが、その後は相手国における査察ということになります。それで核兵器国、先生がちょっとおっしゃられましたイギリスとかフランスとか、アメリカとか、そういうところについては、これはNPTに基づく保障措置の義務というのはないわけでございますが、しかしながら、イギリスとアメリカについては、御承知と思いますが、自主的に平和利用に関する部分は査察ということで、IAEAの査察を受けるということもございますので、そのような枠組みができております。できておりますと申しますか、日本では発効はしておりませんが、そのような協定のドラフトはすでにIAEAとそれぞれの国の間において締結されております。したがいまして、それが発効された場合にはアメリカなりイギリスから受け入れ報告というのが出てまいりますので、チェックはできると思います。  フランスにつきましては、先生指摘のように、NPT国ではございません。したがいまして、この場合にはNPTに基づく報告の義務というのはないわけでございます。したがいまして、IAEAとしては、そのチェックというのはできないということになります。ただし、日本の場合には、先生御承知のとおり、日仏原子力協力協定というのがございまして、これによって相互主義に基づいて、それぞれたとえば日本からフランスへ移転した核物質、またはフランスから日本へ移転した核物質についてはIAEAの保障措置をかけることになっております。それで、フランスから日本に入りました核物質については、本来は日仏協定に基づく保障措置でございますが、これがただいま申し上げましたように、NPT下になりますと停止をされますので、NPT下の保障措置になります。しかしながら、日本からフランスへ移転しましたものについては、依然として日仏協定に基づくIAEAの査察がかかりますので、実体的な問題といたしましては、そのことに関する報告はIAEAに参るということでございます。
  225. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それから、国際規制物資の使用の状況に関する情報は、これは国に報告される情報はどういう内容のものか。そして、これはどのようにしてだれから報告されるのかですね。というのは、各工場から科学技術庁に来るのか、あるいは査察官が行って聞いて査察官が国へ持ってくるのか、そのあたりはどうですか。
  226. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 報告でございますが、これにつきましては事業者の方から政府の方に報告をいただくことになっておりまして、報告を査察官が査察に行ったときに得た情報で持ってくるということではございません。各事業者からそれぞれ報告が来るわけでございます。  報告内容につきましては、私ども先ほど日本からIAEAに三種類の報告を出すというふうに申し上げましたが、それと全く似たようなことでございまして、核物質の在庫変動に関する報告と、それからもう一つ物質収支でございますか、たな卸しをやりました後のその物質収支に関する報告をお送りいただく、これは政府に直接事業者からお送りいただくということになっております。
  227. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 先ほどIAEAの報告には設計情報が入っておりましたですね。日本の場合は、政府は当然設計情報はそれを設置する段階に入っておるから必要ないわけで、しかし、いずれにしても、そういう点は同じであると考えていいわけですね。
  228. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) そのとおりでございます。
  229. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、この情報がいわゆる問題になっています指定情報処理機関に行くわけですね。その場合に、政府は指定情報処理機関には、設計情報、それからあとの二つ報告ですね、それを全部渡すのか、そのあたりはどうなりますか。
  230. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 報告でございますが、これにつきましては、在庫変動報告と物質収支報告と両方ともコンピューターによって処理をしないと、かなり膨大なものでございますのでまずいと思いますので、報告内容はお渡しすることになると思います。設計情報につきましては、これは設計情報とは申しますが、まあ何と申しましょうか、そのうち計量管理業務、つまり統計的業務の解析に必要な部分のみを渡すということになっておりまして、設計情報で得られたデータをすべてお渡しするということではございません。
  231. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますとね、いま政府から指定情報処理機関に渡す設計情報あるいは在庫変動報告、それから物質収支報告、そういうようなデータの中には、いわゆる企業秘密に関係するようなものがあるのかどうか。ということは、そのデータを見れば、そのデータを通してその会社の持っている企業秘密が侵されるような心配のあるものがあるのかどうか。
  232. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 先ほども次長の方から御説明さしていただいたと思いますが、その情報の中には結果的には企業の秘密にかかわるものがあるんではないかと私ども判断しております。
  233. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それはどちらにあるんですか、設計情報にありますか。それとも、いまさっきおっしゃいました在庫変動報告あるいは物質収支報告の中にあるのか。これは大体皆さん専門家でしょう、ある程度。専門家じゃないかもしれませんが、途中から専門家になった人もいるでしょうけれども、いずれにしても、大体その程度の専門家であっても、こういうデータがあらわれれば、これは企業秘密に影響があるかないかということははっきり言えると思うのですが、その点どうなんですか。
  234. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) まことに申しわけございませんのですが、両方にあると私ども思っております。両方と申しますのは、設計情報とそれから報告の方、報告と申しますか、物質収支、在庫変動の報告でございます。
  235. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 現在、原子炉設置する場合は、当然原子力委員会に申請をして、そうして原子炉安全専門審査会において審査をするわけですね。ところが、その審査資料というものは全部公開されておるわけですね。ただ非公開の部分が幾らかまだ残っております。政府もこの数年非常に精力的にやって、ほとんどの資料は公開をしておるわけで、そこで公開されてないのは、いわゆる実験データなんですね。いろいろ炉の特性の試験をしたというデータ、そういうものがいわゆる企業秘密として、われわれにもこれは見せてもらえないわけですよ。したがって、そういう企業秘密の情報が指定情報処理機関まで行く必要があるのかどうかという点について私は判断がいたしかねるんです。したがって、設計情報というものを政府が指定情報処理機関に送るものは、企業秘密を除いたやはり安全専門審査委員会ですでにもうその後に公開されている資料、そういう中のものに違いない。その点はどうですか。
  236. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 大変むずかしいお話でございますけれども、先ほどから指定情報機関核燃料物質の変動あるいは在庫の数値を使いまして、それを統計的処理する、並びに設計情報も加味いたしまして核燃料の不明物質量の解析をするという三つの仕事を御説明しておるわけでございますが、たとえばこの物質不明量の解析と申しますのを企業側から見てみますと、われわれはそういう見方をするわけではございませんが、企業側から見たといたしますと、これはその工場の生産の歩どまりであるとか生産工程の性能であるとか、そういうものを非常に端的にあらわした資料ともなり得るものでございます。したがいまして、そういうような観点からは企業的な秘密が当然入っておると考えざるを得ない。ましてや、そういう核物質の計量管理に必要なところの設計情報と突き合わせるわけでございますので、そういうものがどうしても出てきてしまうということでございます。また、そういうふうにいたしませんと、正確な核燃料物質の流れ並びに不明解析、そういうようなものを打ち出していけない。またそれをIAEAに報告し得ないというような結果になるんではないか。したがいまして、私どもは、そういうようなものも含まれておるということで、この情報を法律によって報告を集める、この制度を確保したいということで、その生の情報は公開されたくないんだと、指定機関から個別に出ていってもらっては困るんだと、そういう考え方、それが結局はIAEAとの国際的な信頼関係を結ぶ上でも非常に重要であるので、こういう指定機関の守秘義務を課したというようなことで申し上げておるつもりなんでございます。
  237. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私の質問の要点だけ答えていただいて、ほかは結構でございます。順次そこへいくわけですから。  私がいま聞いたのは、設計情報、いわゆる政府が指定情報処理機関に提供する設計情報の中に企業秘密があるのかどうか、その点はありますか。
  238. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 当然あると思います。
  239. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 ということは、私たちは、いままで安全審査の資料を公開しろということを言ってきておるわけですね。したがって、いまこの原子力委員会で、安全専門審査委員会で企業秘密になっている資料というのは、もう二つか三つなんですよ、一つの炉の審査で。しかも、それは何かといったら、それは実験データなんですよ。何の実験データかといいますと、やっぱり炉の安全性についての実験データなんです。ところが、この指定情報処理機関が必要とする設計情報というものは、そういうものとは通うわけですね。当然この工程というものがどういうようになってきているんだと、だから、ここで何%あるということがどういう意味を持っているのか。そういうために必要な設計情報なんですから、私は、そういう中に企業秘密が入るわけは絶対ないと思うんですよ。その点をお聞きします。  で、私は、いま局長の言われたように、いわゆる物質不明量ですか、そういうものがわかっちゃうと企業の歩どまりがわかっちゃうわけですからね。そういう意味で、ここに一つの企業秘密がある。これはその企業秘密を守るべきか守らざるべきかということは、論議は別として、企業側として知られたくないものがここにあることは認めるんですけれどもね。設計情報については、そういう企業秘密があるということはちょっと納得できませんね。具体的に言ってくださいよ。もう一般論じゃなしに、もうここまできているんですから。もうこの法律が通れば十日か十五日後には実施に移すときに来ているわけなんですからね。
  240. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 実全審査等に使う基本的な設計だけが設計情報でないことはおわかりいただけると思うのでございますけれども、この査察におきましては、核燃料の流れというものをつかまえるに必要な設計情報というのが中心になってくると思うのでございます。たとえば核燃料工場のようなところを考えた場合に、その工程のある部分、たとえば民間の人が、その企業の人がちょっとこう発明をいたしまして、あるいは改善を加えたというのを守りたいと思っている会社もあるかもしれないと思います。こういうものがその情報の中に入り込む。入らないとまた計量管理ができないというようなものもあり得るわけでございます。私どもは、これだと言っているのではございませんけれども、そういうものがいろいろ入っておる情報を国が集める。これは統計を集めるときにもそうでございますけれども、統計のシステムでは個々の統計資料は外へ出さないように大抵なっておりますが、私どもは、そういうような気持ちでいるわけでございます。したがいまして、先生が全然ないではないかとおっしゃいますけれども、そういうのは当然考えられるわけでございます。こういうのは、個々の企業に対しては国としてもできるだけ守ってやらなくちゃいけないというふうに考えておる次第でございます。
  241. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、もちろん、いろんな場合があるわけで、私は、設計情報には余り企業秘密はないであろうという感じですけれどもね。どうやって核物質の流れをチェックするか。そういう機械そのものが企業秘密の場合もあるでしょうし、ならば、企業秘密が秘密なのか、全体が秘密なのか、それはどうなんですか。この条文では、いわゆる六十一条の十八では、秘密を守らなければならぬと。知り得た情報を漏らしちゃいかぬというんじゃなしに、秘密を漏らしてはいかぬということですから。だから、そういう企業秘密は漏らしてはいけない、そういう意味なら私は理解できるんですが、そうとっていいわけなんですか。ちょっと言い方がまずかったかもしれませんが、秘密は企業秘密、ほかの秘密もあるでしょうけれども、指定情報処理機関が知り得た情報すべてが秘密ではなしに、その中におのずから秘密にしなければならない情報、その中には企業秘密も含まれるわけですけれども、そういう意味にとっていいんでしょうか。
  242. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 全く御指摘のとおりだと思います。指定機関が得た情報でも、よそですでに公開されているようなものは、たってここで秘密ということで扱いをする必要はないというようなこともその一例だと思います。
  243. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 だから、後の一例がよけいで、つけ加えるからよくないんだよ。前のところでちょっとやめてもらえばいいんだけれども、いつもあなたの答弁は一言後が多いわけですね。それでどうしても前へ進めなくなるわけですね。  この問題はそのままにしまして、もう一つは、いわゆる国家公安上の秘密があるかどうか、その情報の中に。これは安全局長、それから佐藤次長等はいまだ余り言ったことはないんですけれども宇野長官は、いわゆるPP体制と申しますか、やはりプルトニウムがどこにあるかというようなことがわかれば、それは核ジャックにねらわれる、そういう意味で、プルトニウムの量は言っても——量も場合によっては言っちゃいけない場合があるかもしれませんね。所在場所等はやっぱり国家公安の上から機密にしなければならない、そういうことであれば、私たちも、ある程度その必要性も要るんじゃないかなという気もするわけですけれども、そういう企業秘密ではなしに、国家公安的立場から機密にすべき情報がこの指定情報処理機関には提供されるのかどうか。現在じゃなくても、将来再処理工場で酸化プルトニウムがどんどんできた、そういうような段階でもいいですね、それはどうなんでしょうか。
  244. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先生ただいま御指摘のように、核物質の防護ということにつきましては、国際的な動き等もございまして、非常に近時重要視されてきておるわけでございます。それで、これらの各施設から報告を受けます個々の報告の中には、たとえばプルトニウムがこの施設のどこにあるとか、それからいつどこへ行ったというような詳細なものが個票の中には当然含まれるわけでございます。それらのものにつきましても、量にももちろんよるわけでございますけれども、国の観点からすれば、トータルでは発表しても、それは構わないと思いますし、その他発表の仕方はいろいろあるとは思いますけれども、個々の、どの辺にあるということまでわかってしまいますと、核物質防護上は、非常に工程の中でも弱いところと強いところ、そういうのが防護上は当然あるわけでございます。   〔理事森下昭司退席委員長着席〕 そういうようなことが明らかにされるのは余り望ましくないことだというふうには私ども考えております。絶対にあってはならないと考えております。
  245. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 長官、おとつい、きのう、きょう、ずっと質問がこの秘密のところで大分集中したわけですね。先ほどの答弁を続けておりますと三日も四日もかかるわけで、皆さん方も大分徹夜もしている人もいらっしゃるようだし、これ以上余り続けることは、本当に不毛の論争のような気がするんですが、私は、やはり一つは企業秘密、これはある程度認めてもいいんじゃないかと、これは先般の当委員会で私は宇野長官とも論議をしました。その前の佐々木長官とも論議をし、私は、企業秘密は認めるべきでないと、それはいま採用しているのにある企業秘密は、これは国家権力でオープンにはできないけれども、これから採用する技術は、企業秘密を持つような技術はもう国が採用しないと、だから本当に採用されたいんだったら、特許を出すなり、あるいはそういう処置を講じて採用してもらうか、あるいは企業秘密を認めているようなほかの国に採用してもらうか、そうすべきだと、こういう主張なんですね。その方が私はむしろ原子力行政の発展のために、国民のコンセンサスを得るためにはいいんじゃないか。しかし、この私の考えに対して政府は、やはり原子力基本法第二条にいう公開の原則というものは、いわゆる成果の公開だから、研究途上の技術というものは公開する必要はないと、それと、やはり企業秘密というものは、これは公開しなくてもよろしいと、こういう統一見解をたしか五十年の春出していると思うんですね。だから、そこまでを崩すということはちょっとむずかしいと思いますので、だから、この指定情報処理機関が守らなければならない秘密というものは、一つは企業秘密である。それともう一つは、さっき申しましたように、国家公安の立場からどうしても守らなければならない、そういうものは私は当然やはり必要じゃないかと思うんですね。その二点を中心に、それに類似して必要な秘密もあるでしょうけれども、そういう必要性のあるものに関してのみ守秘義務があると、それ以外のIAEAとの云々というようなことは全く私は必要性を認めないわけですけれどもね。だから、政府としても、いま統一見解を考えてもらっていますが、そういう意味の統一見解を出してくれるならば非常に私としては理解ができると思うんですけれども、その点はどうですか、そのように思い切れませんか。
  246. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) いま大体示唆していただきましたような線で、われわれといたしましても、それを守りたいと、かように存じております。
  247. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで、これは法制局の方にお伺いしたいわけでありますが、国のいわゆる付属機関ですね、今回の指定情報処理機関のようなそういう機関の中で、いま審議しております六十一条の十八と同じような守秘義務を定めた機関と定めてない機関があるように私は理解しておるんでありますが、この点はどうなっておりますか。
  248. 前田正道

    政府委員(前田正道君) ただいまの、国の事務を委任します場合に、守秘義務の規定を置いてないという例はないのではないかというふうに私は考えております。あるいは指定機関という名称を用いた機関につきまして、ない規定が、たとえば電気事業法の「指定調査機関」というのがございますけれども、この場合には、言ってみますれば、一般電気事業者の事務を委託するということでございますので、直接に本件のように国の事務そのものを委任するという場合には当たらないんじゃないかと、そういう意味におきまして、全部調べたわけではございませんけれども、少なくとも国の事務を委任します場合におきまして、その委任します事務の内容につきまして守秘義務を要するという場合については、守秘義務の規定を置いているのが一般ではなかろうかと、こういうふうに考えます。
  249. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうしますと、いままでの論議の中でこの指定情報処理機関は国の仕事の延長だから、したがって、国家公務員法第百条に準じて守秘義務を定めておるんだと、こういう答弁もあったわけですけれども、そういう論点から言うならば、国の仕事を請け食っておる者は全部そうならなければならないわけですけれども、しかし、守るべき秘密のないような国の機関には守秘義務を定めていないものもあると、こう理解していいわけですか。
  250. 前田正道

    政府委員(前田正道君) 従前におきましては、国の事務は国ですべて行わなければならないという考え方が強うございましたけれども、最近に至りましては、行政需要の増大ということもございまして、合理的な理由があれば国の事務を他の機関に委任してもよろしいと、こういう考え方に変わってきているように考えます。その場合に一番大事なことは、国がその責任を担保すると申しますか、ということと思います。そういう意味におきまして、守秘義務の規定を設けておりますのもその一環としての措置であると、このように考えておるわけでございます。そういう意味から申しまして、少なくとも国の公権力的な義務といいますか、そういう国の一般行政事務を委任しますような場合におきまして、守秘義務を要するというような事務であります場合には守秘義務に関する規定を置いているのが一般ではなかろうかというふうに思いまして、私も調べてみましたわけでございますが、守秘義務を置いてない方の例を国の事務につきましてちょっと申し上げかねますので、その点はお許しいただきたいと思います。
  251. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 実は科学技術庁の今日までの私たちに出していただいた資料の中には、輸出品デザイン法、これに基づいて「認定機関」、これに守秘義務を課せられておる。それから船舶職員法に基づいて試験を行う機関、これには職員に守秘義務が課せられておる。これは当然デザインの登録も一つの特許ですからね、あるいは試験を行う試験官が問題をばらしたのではだめですから、これは当然やはり守秘義務があっても不慮然でないと思うんですね。ところが、たとえば食品衛生法の製品検査の業務に従事する「指定検査機関」あるいは道路運送車両法等に基づくいろいろ検査機関等は、いわゆる公務員のみなし規定というのがあるわけですね、公務員のみなし規定。これはたとえば「製品検査の業務に従事する指定検査機関の役員又は職員は、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」と、こう書いているわけですね。だから、守秘義務を課している場合と、いわゆる公務員とみなすという、こういう場合と二つあるように思うんですけれども、この違いが立法上にはどういう意味で違いがあるのか、これをちょっとお尋ねしたいと思うんです。
  252. 前田正道

    政府委員(前田正道君) 御指摘の食品衛生法十九条の十一でございますか、にございますいわゆるみなし公務員の規定、これはその機関の役職員につきまして贈収賄が行われないようにという見地から設けられた場合の規定でございまして、その他の罰則と申しますのは、「経済関係罰則ノ整備二関スル法律」というものがその対象でございます。
  253. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それからこの指定情報処理機関にIAEAの査察官が来た場合、これは守秘義務はどうなりますか。
  254. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 指定情報処理機関は、規制法に基づきまして、各事業所から入手した資料、データを国がその集計業務等を委託するわけでございますので、この指定情報機関の情報管理をやっておる仕事にIAEAの査察官が来ることはまずあり得ないというふうに考えます。査察のために来ることはあり得ない。
  255. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで、私は、国家公務員法第百条にも「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」、こういう規定があることはやはりやむを得ないと思うんですね。ただ、いままで往々にしてそれを盾にとって、都合の悪い情報まで全部秘密にしていた。いま建設委員会や決算委員会等で、会計検査院の調査官が地方の建設局の工事事務所に検査に行ってそれで飲み食いに使っていると、こういう領収書等は恐らくその人たちにとってはあらわしたくない、これは人間の人情として秘密の名のもとにこれは口外したくない、こういう気持ちが当然働くと思うんですね。しかし、それではやはりいけないんじゃないか。特に原子力基本法第二条に、やはり成果の公開ということがうたわれたということは、やはり日本の国はできるだけ秘密をなくし、わが国は核は軍事には使ってないんだ、そういうことを世界に示し、また、国民の信頼感も得る、こういうことでこの公開もあると思うんです。したがって、問題はこの秘密の範囲をどうしていくか、これについて各省とも、いろいろ秘密の文書の扱いとか、そういう規定がやはりあると思うんですね。それで、科学技術庁としては大体そういう秘密というものについては、どれぐらいの段階をおいてどういう内容になっておるのか、これを簡単に説明してもらいたいんです。
  256. 半澤治雄

    政府委員(半澤治雄君) 各省ほぼ同じかと思いますが、秘密文書の取り扱いは、文書取扱規程の中で秘密文書という規定を設けまして、秘密文書の取り扱いに関する態様を規定しておるわけでございます。  お手元に資料があるかもしれませんが、秘密文書をまず区分いたします。秘密文書の中には極秘文書——特に秘密の度合いの高いものについては極秘文書、それから秘文書。科学技術庁の場合には二つに文書を分けてございます。極秘文書の場合と秘文書の扱いにつきましては、それぞれ軽重を異にしてございます。極秘文書の場合にはまず極秘にする内容について局長が指定をする、秘文書の場合には主管課長が指定をする。指定をされた秘密文書につきましては、秘密のそれぞれ表示をいたしまして、その取り扱い、保管あるいは写しの作成等につきましてそれぞれ取り扱いの内容を定めておるわけでございます。
  257. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 したがって、長官にこの際お願いしておきたいことは、やはりわが国の原子力行政の今日までの歴史から考えても、秘密は最小限にすべきである、そのように努力をすべきであると、そう思います。その点はどうですか。
  258. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 基本法に公開の原則がはっきりとうたわれておるわけでございますから、今回のこういうことに関しましても、私は、やはり極力公開の方針で臨んでいきたいと、こういうふうな気持ちでございます。
  259. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 もちろん、この指定処理機関に提供されたデータは、政府法律に基づいて企業からとったデータです。それはいわゆる原子力委員会安全審査委員会が安全審査のために企業からとった資料と同じだと思うんですね。けれども、いま安全審査の場合は、やっぱり国民の信頼を得るためにほとんど公開されておるわけですから、私は、それが時代の流れだと思うんですよ。だから、指定処理機関からとったデータ、これは国が一つ法律に基づいて出したデータであって、それは狭い意味から考えれば、その企業秘密を守るということは、これはある意味では必要だと思うんです。あるいはIAEAから見た場合にはそういうのがいいかもしれません。しかし、わが国の査察体制がいいかどうかという評価は、IAEAから見た信頼、あるいはその査察される方の電気事業者、そういう国際管理物質を管理している人から見ての信頼、それもあると思うんですよ。私、それ以上に大事なことは、国民の目から見た信頼じゃないかと思うんですよ。この国民の目から見た信頼というものを怠ってきたところに今日の原子力行政の一つの大きな行き詰まりがあったと思うんです。きのうも参考人の人も言っておりました。幾ら中央で——長崎の漁民の代表でしたけれども、中央での安全性の論理は現地には通用しないんだという、そういうことじゃないかと思うんです。したがって、IAEAから見た信頼性、そのことを何回も聞きましたけれども、私はそういう必要は認めない。もちろん、企業の側から見た国内査察体制の信頼性を考えれば、できるだけこうしたいでしょうけれども、それ以上に国民の側から見た信頼性というものをやはり最も大事にして、しかし、そこにおのずから企業秘密あるいは公安上の見地からどこまでもというわけにはいかない。そこにはおのずから限度はあると思うんですけれども、そういう点を踏まえて、この秘密とすべき範囲というものは、これは行政である科学技術庁長官あるいは各局長の判断によってこれが行われていくわけですから、そういう点はひとつその精神で対処してもらいたい。この点どうですか、長官。ちょっと先ほどと繰り返しのようですけれども
  260. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) いろいろと貴重な御意見を拝聴いたしました。私といたしましても、先ほどの御質問にありましたとおり、機密は企業機密並びに公安上の機密、この二点にしぼりまして、しかも、その範囲も極力国民から見ていただいてもなるほどとうなずける範囲にしぼっていきたい。したがいまして、他の問題につきましては、やはり公開の原則に照らしまして、極力公開することもまた原子力行政に対する国民の信頼を受けるゆえんでございますから、そういうふうな精神で臨んでいきたいと存ずる次第であります。
  261. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは、次に、余り時間はございませんが、実は昨日六人の参考人の人に来ていただきまして、当面する諸問題についての率直な御意見を承ったわけでありますが、いろいろの立場、相反する立場の人が集まったわけですけれども、私たち委員一同非常に感じたことは、やはり立場は違っても、それぞれの話はまことに納得できる考え方であったと、そういう率直な感じでございました。その人たちが一番多く言っていたのは、やはり政府の原子力行政への不信。それがどこにあるかと申しますと、やはり政府が約束を守ってほしいと。まあ四者協定にいたしましても、政府の方から言い出して、六ヵ月というのも、最初は鈴木さんは三ヵ月と言ったけれども、むしろ菊池さんは、三ヵ月なんかでできるわけはないからというので、六ヵ月にしたらどうですかと言って六ヵ月になった。それも全然守られない。こういうことが不信の大きな原因だったわけですね。だから、私は、今後の原子力行政において大事なことは、政府は約束したことは何としても守らなくちゃいかぬ、また約束できないようなものは断固として軽々しく約束をしたり、目先のことにとらわれて妥協したりすることがあってはならない、私はそのように政府に要望したいんですけれども、その点はどうですか。
  262. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) その点も、仰せのとおりだと思います。特に四月十四日という期限が守られておりません。これに対しましては、もうしばしば繰り返しておりまするとおり、われわれといたしましては責任を痛感いたしておる次第でございます。しかし、やはりその四者協定が今日も厳然として存在する以上、私たちは、それを尊重しながら何とかその線でまとまるように努力をしたい、現在努力をしておる最中でございます。もちろん、賛成、反対いろいろございますが、私も賛成の方々の御意見も承っております。また反対の方々の御意見も承っております。それぞれやはりいま仰せのとおり、政府がもっとしゃんとしてくれたならばというお声だとか、あるいはもっとわかりやすい原子力行政をすべきであるとか、そういうふうな話もございますが、要は、約束したことは政府として守ってほしいということが一番大きなことではないだろうかと私も痛感をいたしておるような次第でございまして、そうしたことを旨といたしまして、今後とも行政の拡充に努めていきたいと思います。
  263. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 まあ四者協定の問題ですけれどもね、いままでこの委員会の論議を通しまして、長官は、四者協定を守ると、そういうことをおっしゃってますけれども、恐らく心の中には、あそこまで設備もつくったんだから早く何とかむつを母港にという、そういう気持ちもあるような、そういう答弁に感じました。私も、率直に言って、そういうことを思ったこともあったんですけれども、しかし、四者協定というものを結んだ以上、これをやはり履行するところから原子力の平和利用へのための信頼を取り戻す一歩が始まるわけですから、私は、もうむつに母港を持つような、そういう助平根性は持つべきじゃない、ともかく四者協定を実施したしかる後に白紙に返って、そこから出直していかなくちゃいけないんじゃないかなと、そういうことを感じました。これは答弁を求める必要はないと思いますので、私は意見としてそのことを申し上げたいと思います。  そういうことで、私たちもきのうの参考人の意見を聞いて、原子力行政というものは決して国民のコンセンサスの得られないものではない、やはり相反する人の立場も、ともに共通する話があるわけでありまして、それをもっと話し合いをし、政府がまじめに取り組んでいくならば、必ずそこにおのずから一つの線が出ると思うんですよ。それがいままではこっちへ行って火をつけ、こっちへ行って火をつけると、こういうようなことで終わってきたんじゃないかと思うんですね。そういう点から、私は、この「むつ」事業団法を研究所法にしていくと、こういう点については、二人の学者の方も、安藤先生と服部先生お二人の方も、どちらも大賛成でありましたし、だから、この原子力行政の漂流とも言われるこの「むつ」問題に決着をつけて、そして新しい出発をしていくためにもこの原子力船事業団法を必ず研究所法にしていく、そして恒久的な、しかも研究所の人が本当にいろんな基礎研究も続けていけるような、そういう研究所法にしていくことが原子力行政の信頼を取り戻す第一歩ではないか。大蔵省あるいは行政管理庁等、いろいろな立場からこの問題については反対もあると思うんですけれども、私は、長官にはぜひこれを実現するためにがんばってもらいたい。私たちももちろんがんばっていかなくちゃいけませんし、長官がもし科学技術庁長官を去った後でもさらに、まあ大蔵大臣なり総理大臣になってもらえりゃなおいいわけですけれども、どの立場にあってもこれは必ず実現をする、こういうようにひとつ努力してもらいたい。このことを要望いたします。長官のこの研究所法に対する決意をお伺いをしておきたいと思います。
  264. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 衆議院において研究所に衣がえするための措置としての修正、これは過般来申し上げておりますとおり、私といたしましても、非常に新しい決意を要する問題であるだけに、この修正に対しましては心から新しい決意をいたしたい、かように存ずる次第であります。特に、いろいろ政府部内あるいは党内にも問題ありますが、これはやはり議会の御意思であるから、何としてもこれに沿わなくちゃならないというかたい意思を私も決めておりますので、さような意味で、すでに関係者にはこの修正の趣旨を私みずからも説明をし、そして、このことは三年内に必ず政府としてもやらなければならない措置であるということを申し述べておるような次第でございます。万難を排しまして国会の御修正の趣旨に沿うべく今後も努力する所存でございます。
  265. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 じゃ、私の質問はこれで終わりますが、ちょっと先ほどの資料の提出、守秘義務の範囲についての統一見解ですね、その問題についてのみ、もしその資料が出ましたら、場合によっては質問さしていただいて、それ以外は質問を終わります。
  266. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 速記ちょっととめて。   〔速記中止〕
  267. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) じゃ、速記を起こしてください。
  268. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私も規制法の問題に関係をして守秘義務の問題で質問を用意をしているんですけれども、統一見解の文書が出る模様ですので、それが出てからやった方が不毛の議論にもならぬかと思いますので、事業団法の問題から質問をいたしたいと思います。  まず、「むつ」問題の経過に立ち返って幾つかの問題で御質問をいたしたいと思いますが、その第一は、いわゆる船種決定をめぐる問題。この問題は、言うまでもありませんが、当初気象観測船として入札に付したが、これに応ずる会社がなかったということで随意契約に切りかえる、この段階で所要額が非常に大幅にふくれて、そこから経費をできるだけ節減をするためにという立場からの、いわば大蔵省のツルの一声とも言うべきそういう力が加わって、いわゆる貨物船に船種が切りかわったという経過をたどっておるわけですけれども、大筋はこういうことですね。
  269. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 当時の判断といたしまして、基本的な実験船という性格は変えないままで、二次的な目的としまして海洋観測船を特殊貨物船に変えたという経緯につきましては、あらまし先生が御指摘になった経緯であろうかと存じます。
  270. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 この貨物船に船穂が切りかわったということで、観測船に比べて貨物をできるだけ収容できる容量をふやすという立場から、いわゆる原子炉部分の容量を当初計画より縮小する、コンパクトにするという問題が出てきたわけですけれども、こうした原子炉部分を圧縮をする、容量を圧縮をするということがその後高速中性子漏れの事件を惹起する一つの要因になったということ、そのとおりですね。
  271. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 若干補足的に御説明申し上げますと、搭載いたします原子炉につきましては、先生先ほどおっしゃいましたように、昭和三十八年に原子力第一船の開発基本計画を決定しました時点では、六千トンの海洋観測船であったわけでございますが、その後入札の不調等によりまして、原子力委員会の中に原子力船懇談会というものを設けましていろいろ検討しました結果、四十一年の七月に至りまして一つの決定をしておるわけでございますが、これは搭載いたします原子炉を国産炉にするか、あるいは輸入炉にするかという点についての決定でございます。この四十一年の七月に国内技術を主体とした国産炉を搭載するという方向が確認されております。それ以降に、いま御指摘の六千トンのものを八千トンにして、しかも船種を海洋観測船から特殊貨物船にするという決定をしておるわけでございまして、四十一年の七月に国産炉を搭載するということを決めました以降、炉型についての変更というのはやっていないわけでございます。したがいまして、海洋観測船から特殊貨物船に変わったことによりまして、搭載の原子炉を小さくしたといったふうなことはなかろうかと存じます。
  272. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いずれにしても、当初原子力委員会としては、観測船ということでの安全性もそれなりに検討をされて船穂決定をやっておった。それが財政的理由が先行をして、それが理由になって船種変更が行われた、こういう経緯をたどっておるというわけですけれども、問題は、そういう原子力船安全性の上で重大な設計変更がある。一つは財政的堺田による政府の判断、これによって変更をされる。さらにそれを原子力委員会が事後追認をするというこの経過をたどっていく、ここが実は重大な問題だと思うんですけれども、そこで、まずお尋ねしたいと思いますのは、こういう経過に照らして、これほど今日「むつ」の安全性をめぐって大きな議論を呼んでいるわけですけれども、こうした経過が本当に正しかったのか、本当に安全な船をつくり上げていくという上で、財政的理由だけで船種変更を行ったということが今日正しかったのか間違っていたのか、そこをどのように今日時点での総括的な見解を持っておられるのかという問題と、それが事故を惹起をする原因になったわけですから、そこの責任は一体どこにあるのか。政府あるいは事業団、原子力委員会、あるいは欠陥原子炉をつくった企業責任、こういった点についてどのように考えておられるのか、見解をひとつ述べていただきます。
  273. 山野正登

    政府委員(山野正登君) この船穂変更をしました当時、私ども並びに運輸省あるいは原子力委員会等におきまして、恐らく費用対効果、つまり所要の資金とこれによって達成し得る開発の成果といったふうなものをいろいろ勘案された結果、あのような決定をされたものだと私は理解いたしておりますけれども、しかし、そのような際に財政上の制約というのが最優先に考えられて、本来の開発目的を損なうといったふうなことがあるとすれば、これはゆゆしき問題でございまして、そういったふうなことは今後ともあってはならないと考えております。御指摘の点は、一つは船穂の変更によって安全性が損なわれはしなかったかという点は、これは安全性の確認という点におきましては、全く別の安全規制系列で監視をしておる問題でございまして、船穂の変更によって直ちに安全性が損なわれたというふうには考えておりません。  それから責任の問題でございますが、これは当時科学技術庁並びに運輸省としましても、いろいろ財政当局と折衝をしまして、その結果このような結論に至っておりますし、また、原子力委員会におきましても、原子力船懇談会におきましていろいろ検討された結果、こういうふうな決定になっておるわけでございますので、そういう決定をしたという意味におきまして、その決定そのものには政府委員会も責任があると存じます。ただ、これが間違っておったか正しかったかと、まあ、クロかシロかという、このどちらかの色に色分けするということは、いまとしては非常にむずかしい問題でございますので、間違っておった、あるいは正しかったと、にわかに私は断定はできないと存じますけれども、しかし、今後同じような開発目的を考えました場合に、その内容が安易に財政事情だけによって左右されるといったふうなことがあってはならないという点は、先生と同意見でございます。
  274. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 船種変更がこの安全性にゆゆしい影響を与えたのではないかというそこの問題の見解は少し違う模様ですけれども、その点はまた後から舶用炉の安全性にかかわって、直径の大きさをどうするかという、ここらの問題でもお尋ねをいたしますし、後に譲りまして、いずれにしても、今後さまざまな事業があるわけですから、財政的理由で安全性が軽視をされていくという行政であってはならぬということは、いまも御確認になっているわけですし、その点を確認をして先へ進みたいと思います。
  275. 山野正登

    政府委員(山野正登君) ただいま財政上の事情によって安全性を犠牲にするという表現をなさいましたが、私の申し上げておるのは、安全性を財政事情によって犠牲にされたというふうに理解するわけではないわけでございまして、船種の変更ということは直ちに安全性のいかんには結びついていないということが一つと、それからいま一つは、船穂の変更という際には、いろいろ判断の基準としてあるわけでございますが、その際に財政事情だけによってすべてを判断してはいけないという趣旨でございまして、財政事情は全く考慮するに足らないということを申し上げておるわけではないわけでございますので、その点は御理解いただきたいと存じます。
  276. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 少し見解違いますけれども、次の問題に進みたいと思います。  次は、欠陥原子炉をつくった企業側の企業責任の問題についてですけれども、この問題は前回も少し質問をしましたので、繰り返しになる部分はできるだけ省略をしたいと思いますが、いずれにしても、私の理解では、ああいう出力上昇試験も完了をしない以前において、一定の月数経過をすれば企業側の原子炉の製作上の責任が免責になる、ああいう契約自体というのが実は大問題だというふうに思うんですけれども、百歩譲って、仮に企業の側は、もちろん経営があるということで、製作に伴う支払いは行うにしても、しかし、その炉が安全かどうかという、ここの証明に基づく、確認に基づく製作上の責任は別途残るという立場での契約にすべきではないかというふうに思うんですけれども、その点についての見解はどうですか。
  277. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 契約の中の性能保証条項と工事保証条項の問題かと存じます。今回の契約におきましては、残念ながら性能保証期間並びに工専保証期間の間にこれを確認するに至り得なかったわけでございますけれども、事業団は、できるだけこの契約の条項に従って、期限内にこれら性能並びに工事を確認すべく、一たんは契約請負業者と話し合いをしまして、その延期に成功したわけでございますが、その延期した期日内にも果たし得なかったということで、再度請負者側と再延期を話し合ったわけでございます。しかしながら、これが会社側の事情による延期というよりも、いわば事業団側の事情による延期でございましたために、請負業者側の理解を得るに至らないで再延長はできなかったといったふうな事情にあるわけでございまして、契約上はやはり支払い期日に応じて支払いをせざるを得なかったといったふうな事情にあるかと存じます。  それから、あのときの契約をさらに性能保証あるいは工事保証が確認されるまで延期をもともとしたような契約にすべきではないかと、違う言葉で申し上げれば、性能保証期間と工事保証期間をさらに長いものにしておくべきではなかったかという御指摘かと存じますが、これは危険負担と契約の高の大小の問題でございまして、契約の高を大きくすれば保証期間は当然に長くし得ますし、また契約の高を小さくすれば性能保証並びに工事保証の期間というものはおのずから制限があるわけでございまして、どちらがリスクを負担するかという問題であろうかと存じまして、にわかにいずれがすぐれておるかということは断定しがたいかと存じます。     —————————————
  278. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として三治重信君が選任されました。     —————————————
  279. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いずれにしても貴重な国費を使って契約をやってるわけでありますし、そういう点で、私は、この「むつ」に際して行われたような契約方式、あれは、国費を預かる政府、またその委託を受けておるこの事業団として、本当に適切なやり方であったかどうかということは大いに問題だろうと思うんですが、ならば、お尋ねしますけれども、たとえば原子力研究所——原研ですね、ここもいろいろ最近余り例がないかと思いますけれども原子炉等の工事発注を行う、この場合の契約方式はどうなっておるか。あるいは最近飛んでおります気象衛星、飛ばしてみたら少し画像がゆがんで映るということが発見されているわけですけれども、ここらの企業側の製造責任、そこの契約方式はどうなっておるんですか。「むつ」の場合と同じようなんですか。
  280. 山野正登

    政府委員(山野正登君) まず、この開発に使われておりますのが国費でございますので、できるだけこれを節約するように、国益を最優先に考えるべきであるという点は先生と全く同感でございますが、ただいまの気象衛星の契約の実態あるいは原研における契約の実態というのは、後ほど資料を取り寄せまして御答弁申し上げます。
  281. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは、さらにお尋ねしますが、「むつ」の建造のために今日まで支払ってきた総額ですね、これは幾らになりますか。
  282. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 細かい数字は後ほど御説明申し上げますが、私の記憶で申し上げますと、原子力船むつ」の本体で約七十億円、それから青森県の「むつ」の定係港の建設費で約二十六億円、それから、それ以外に事業団の職員の給与、それから経常研究費等々ございますが、そういったふうなものが約七十億円、締めて百七十億円ばかりかと存じます。
  283. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 これから政府、事業団の計画として遮蔽改修を中心とした改修をやっていくんだということになっておるわけですけれども、これによってどれくらいの経費が必要ともくろんでおりますか。設計の計画もありましょうし、実際の改修工事もありましょうし、そういったもの全部含めて。
  284. 山野正登

    政府委員(山野正登君) ただいま基本設計に着手した段階でございまして、これから改修の詳細設計に入りますし、それから総点検につきましては、まだ機器の総点検には着手いたしておりませんで、今後機器の総点検をする、その結果ふぐあい等があれば改修設計を行って、この遮蔽改修と総点検改修の双方につきまして、要すれば安全審査を受けた後工事に入るということでございますが、これらの工事の内容というものは、いま申し上げましたような事情で現在まで固まっていない状況でございます。したがいまして、まだ、いまのところ金額の見積もりはつくっておりません。
  285. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 全くつくってないわけですか。私、いずれにしても相当の額になるということは明らかだと思うんですけれども、それで、遮蔽改修を中心としたそういう改修を行っていくこの経費について、欠陥原子炉をつくった企業側に対してその何がしかを請求をすると。もちろん、あの契約自身がさっきから議論になっておるような契約ですので、いわば民法上の請求権はなくとも、いままでたびたび宇野長官も、企業側の社会的道義的責任は、それは必然あるでしょうというふうにおっしゃってきたわけですから、民法上の請求権ということにはならなくても、いわば示談形式による話し合いによる何がしかの分担請求をする、こういうことは幾らでも方途はあろうと思うんですけれども、そこをどうするお考えなのか、御提示願いたいと思います。
  286. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 三菱原子力工業に道義的な責任があるという点は御指摘のとおりでございますが、今後三菱原子力工業が道義的責任をどのような形で果たしていくかという点につきましては、たとえば、いま御指摘のように、今後の契約におきまして、直ちに減額をしてこれに応ずるといったふうなことには、なかなかなり得ないのではないかというふうに私は考えております。むしろ今後、たとえば従来三菱原子力工業は事業団の方に優秀な人材をどんどん協力に提供しておるといったふうな話も聞いておりますけれども、今後どういう形で三菱原子力工業が事業団に協力してまいるかということは、事業団と原子力工業とが今後十分に話し合いをして決めていくべき問題かと存じます。
  287. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 お尋ねをしているのは、そういう評論的——こういうことが考えられるでしょうという、そういう評論をお尋ねをしているんじゃなくて、政府ないし事業団として、欠陥原子炉をつくった企業に対して、せめてこんなことはやはりこの責任の一翼を担ってもらおうということで何か具体的な話をしているかどうか、話を開始をしておるかどうかということをお尋ねをしているのです。
  288. 山野正登

    政府委員(山野正登君) ただいま事業団の行っております各種の作業に対して三菱原子力工業はすでに優秀な人材を事業団に送りまして、派遣しまして、これに協力しておるということのようでございますが、恐らく今後事業団が遮蔽の改修あるいは総点検の所要の改修工事といったふうなものをやります場合には、かねてこの船の開発に参画しておりました三菱原子力工業の技術力というものは当然活用することになるであろうと私は考えるわけでございますが、そういう際に三菱原子力工業から役務の提供を求めて、できるだけ経費の節減を図るという方向で事業団は三菱原子力工業に交渉するであろうというふうに私は考えております。
  289. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 依然として最後の言葉の末尾が、だろうという、クエスチョンマークでついているわけですけれども、ここまで話が詰まってますと、技術者の出向という問題も、果たしてそれは賃金すべて企業側の持ちで出向するということなのかどうかという問題もあるわけですしね。ですから、せめてまず最低ここまでをということで何か企業側と話が進行しておる問題はあるのか。それがありませんと、いろいろ努力はしましたけれども結局無理でしたということで、すべて企業の責任は免責にされて、国費がますますそのことのために過大に使われていくという結果だけが残るわけですから、その点を特に尋ねておるわけです。
  290. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 私は直接契約の衝に当たっております事業団に対する監督の立場にある者としまして、私どもの希望と期待を申し上げておるわけでございまして、違う言葉で申し上げれば、先ほど申し述べましたような方向で事業団を指導してまいりたい、こういう趣旨でございます。
  291. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それなら事業団、どうですか。
  292. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) 放射線漏れの責任につきましては、先ほど来お話もございましたし、また大山委員会の御指摘もございまして、一義的にはこの開発を担当してまいりました主体である事業団の責任であることは言うまでもございません。しかしながら、この設計、製造というものを分担、担当をいたしました三菱原子力工業におきましても当然この責任があるところでございますが、三菱と私どもの間におきまして、この放射線漏れが起こりましてから、再々この件についてもいろいろ話し合いをいたしてまいりました。それに対しまして三菱の方といたしましても、この責任は非常に痛感しており、この改修のための解析あるいは設計等を行うに当たって優秀なる人物を私どもの方に出向をさせて、現在私どもの方の作業に従事をいたしておるわけでございます。
  293. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それは何人ですか。
  294. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) 現在出向職員として来ておりますのは二名ほどございます。それからさらに、現在この遮蔽の改修、基本設計の方に従事すべく、これは協力員という形で十五名ほどの者を一応用意をしてくれておるわけでございます。さらに、こういった出向者、協力員の派遣以外に、この遮蔽改修の問題、またそれに関連をいたしました解析あるいは資料作成等の分野において、人的協力と申しますか、マンパワーでの協力、これは、先ほどお話しいたしました出向者、協力員につきましては、私どもの方で給与あるいは協力費等を支払っておりますが、これ以外に、私どもの方で三菱とお話をいたしまして、この資料作成あるいは解析等についての協力をいたしてもらっております。
  295. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いまの御説明で、この出向職員二人というのは、これは人件費は会社側が持ったまま常駐をしてきているという意味ですね。
  296. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) この出向者は私どもの方の職員として、一応向こうは休職という形で、給与は私どもの方で持つ……
  297. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 給与は事業団。
  298. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) はい。
  299. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 協力員は。
  300. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) 協力員の方は、これは各専門分野に応じまして、専門的な作業をしていただくのに適当な人ということで、これは各経験年数に応じまして私どもの方で定めました協力費、これは低額でございますが、これを支払っておるわけでございます。
  301. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いまの内容をお聞きをすれば、さほど企業側に責任の一翼を分担をさせていく、そういう毅然たる措置をとっているということにはなっていないということは、いまの説明で明らかだと思うんですけれども、この種社会的相互責任の問題については、みずからに厳しくするということと事故、欠陥を引き起こした他者に対しても厳しくする、この問題は表裏の関係だと思う。他になまぬるいことは自分の責任に対してもあいまいにするという相互の関係になると思うわけであります。そういう点で、少なくとも私は、こういう事業団法延長の法案という形で、いよいよ「むつ」の改修に進んでまいりたいということであれば、こういう改修作業に入っていく、ついては、さかのぼってこういう事態を生んだ原因がどこにあったか、一遍きちっと反省、総括をして、責任をとるべきところはきちっととらせていくということが一体の内容として提示をされてこそ、本当に科学技術庁なり事業団が新しい決意でこの問題に取り組むのかどうかという、そこが国民がながめる一つのバロメーターになると思うんです。ところが、そういう問題があいまいにされたまま、とにかく事業団の延長、「むつ」の改修をと、こういう提示になっている。この点はどうしても再度改めてもらう必要があるだろうというふうに思います。  もう一つお尋ねをしますが、安全審査の問題で、かかる欠陥「むつ」を生んだ原因の一つ原子力委員会安全審査体制に問題があったということは、大山委員会の報告でも触れられておりますし、また当局側もたびたびそのことは発言の中で触れられている問題だということであるわけですけれども、その後もずっと一連の各地の原発が審査、承認をされておるわけですけれども、さほどその後科技庁の側における安全審査の体制についての大きな改善が加えられておるというふうには私は見られないわけですけれども、今回、いま問題になっていますこの二つ法案とあわせて原子力基本法が同時に衆議院の側に対しては提示をされておるということでありますけれども、いままでのこの委員会の審議でもたびたびそういう安全審査体制の改革については一体どうするのかという話が出ますと、いや、実はあの基本法改正というものも実は提案をしておるところなんですという話がたびたび出たと思うんですけれども、私としては、あの基本法改正ではまだまだ不十分だし、根本にメスが入っていないという見解を持つんですけれども、その問題はきょうの中心議論でないのでさておいて、本来、手続的にどうなんでしょうかね、当局の皆さん方がみずから自画自賛をしておられる原子力基本法の問題をまず先議をして、どうやって安全審査体制をもっと万全のものにしていくかという、このことをまずつくり上げて、この上で「むつ」改修、必要な総点検、こういう作業に入っていくのが至当な道順じゃないかというふうに思うんですけれども、この点はどうですか。
  302. 山野正登

    政府委員(山野正登君) ただいま御審議をお願いしております事業団の延長法案は、先生御承知のように、五十一年三月末日をもって廃止するものとするということになっておるわけでございまして、それ以降は、法的に有効とは言いながら、立法府で存置するや否やという御決心をされないままに今日に至っているわけでございまして、こういうふうな状況でございますと、事業団といたしましても、なかなか今後の「むつ」の開発に力が入りませんし、職員の士気にも大きな影響があるわけでございます。そういう意味で、早く立法府の方でこの事業団の法的な存置をするや否やというところをお決めいただきたいというのが改正法をお願いしておる趣旨でございまして、一方、基本法の方でお願いいたしております安全規制体制の強化拡充という問題とは次元の異なる問題かと存じております。
  303. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 次元の異なる問題だということは、何も言っていただかなくてもよくわかっているわけで、全然性質の違う問題ですけれども、事業団法が期限切れに来ているというのは、何もきょう、あすの話ではないんで、もう昨年から切れているわけですから。問題は、本当にこれからこの「むつ」改修、総点検をやっていくということをあなたたちは打ち出しているわけでしょう。その問題について、いままでの安全審査体制に欠陥があったからああいう「むつ」の事故が惹起したわけでしょう。だから、これから新しく遮蔽改修、総点検をやっていく、その場合に、今度こそは安全審査にミスが起こらないように安全審査体制の万全な改革をやるということをまず第一に置いて、こういうふうにできました、ついては今度はいろいろこれから改修工事をやっていきますけれども、今度の安全審査体制は万全にいきますと、国民の皆さん方御安心くださいと、手順としてはこういう手順が至当なんじゃないかということを申し上げておるので、その点についての見解長官にお聞きしたい。
  304. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) いま法案の順序を申されたことに対して、私は決して否定するものじゃございませんが、幾つかルールもございまして、やはり衆議院では肝心かなめのこの事業団法が継続案件としてずっと残っておったということも一つの重要な要素でございました。また、安全審査について、基本法の改正におきましては、われわれの方で内部の意見を調節するために、非常に真剣になって完全な姿を整えようというので、法案作成におきましていささか他の二法よりもおくれたと、したがって、国会に提出するのがそれだけ遅くなったという面もございます。そんなことで今日まで順序がずっといま御審議願っておるような形で衆議院ではなされたわけであります。これが一つの原因。二つ目は、この間もお答えいたしたと思いますが、やはり原子力船むつ」そのもの自体に命を与えてやっていただいて、張り切っておりまする従業員の人たちに自分の使命を私は完遂させてやりたいんであります。もちろん、それと並行して、われわれといたしましては、安全委員会設置等々そのほかの安全体制も、これもまた「むつ」の事故から出た貴重な体験に基づくところの立法措置であるから、よろしくお願い申し上げると、こういうふうにフランクに申し上げてまいったわけでございますので、今日ただいまといたしましては、やはり私としましては、衆議院の御審議の順序もこれあり、また、いまやその「むつ」に関しましても十二分のいろいろと質疑が繰り返されておることに対し、私たちの考え方も十二分にお話し申し上げたと、かように思っておりますので、その辺の事情をひとつお含み賜りたいと存じます。
  305. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 まだ納得できませんけれども、これは言うまでもがなのお話ですけれども、改めて私ども共産党の見解を一遍ちょっと申し上げておいた方が、なぜこういう質問をしているかということについての御理解もいただけるかと思うんですけれども、私ども共産党としては、この原子力船開発あるいは事業団の事業、これに機械的に反対をしているわけではないんです。絶対反対というような機械的な態度をとっているものではないわけです。二度とあのような「むつ」問題が起こらないような体制を事前につくって、いよいよ作業にどう入るかということが必要だという意味で、一遍原点に立ち戻って、どこが問題だったかということをよく洗い出して、それに対して全部打つべき手だてを打って再出発と、こういう手順をとるべきだと。あるいは後から触れますけれども、四者協定、約束した約束事は守って、約束事を果たして再出発をする、あるいは工学上、技術上の安全性について全面的な総点検をして新しく出発をする、こういうことがみんな納得できるような形できちっとやられれば、私ども共産党としても、「むつ」を初めとする原子力船開発事業に何も反対するものじゃないということで、いろいろこういう点はどうですかということでお尋ねをしているわけですから、いまの安全審査体制の早期確立の問題もそういう角度から申し上げておる問題でありますので、ひとつ趣旨を理解をしてほしいと思うわけです。  四者協定をめぐる問題について、これもいろいろ触れてきましたけれども、もう少し角度を変えてお尋ねをしたいと思いますが、きのう、六名の参考人の方に来ていただいて、いろいろ質疑をしまして、その中で前むつ市長の菊池さんが出席をされて、菊池さんの方から、昭和五十年の三月二十七日、八戸のパークホテルですか、そこで片山政務次官、それから例の鈴木さん以下青森県知事、むつ市長、漁連会長、こういう面々がお集まりになって、そして、いよいよあの事故以後六ヵ月後の期限切れ、そこを直前にして話し合いがあったということで、もう新母港は、あしたにでも発表できるというところへ煮詰まっているんだけれども、統一地方選挙の間際なので、統一地方選挙が終わるまで待ってほしい、もうあしたにも発表できるところへ煮詰まっていますという問題やら、それから具体的に昭和五十年度、こういうふうにして新母港確定の実際の工事の作業も進めますということで、文書にしたものが三枚、それからスケジュール表をつけて、こういうことでやっていきますと。その中には新定係港の基本設計、安全審査、港湾モデル実験、サイト調査、それから遮蔽研究やら原子力船むつ」の設計の再解析等々一連の内容を文書にしたものが提示をされた。統一地方選挙後、それは約束と違うじゃないか、やっぱり約束はちゃんと六ヵ月ということで守ってもらわぬといかぬという応答があったけれども、最終的にやむを得ない、しかし、この約束は必ず果たしてくださいよということで、責任を持ちますということでの三月二十七日の会談があったということですけれども、このことは御確認になりますね。
  306. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 五十年の三月二十七日に八戸市におきまして御指摘のような会合があり、その際、片山科学技術政務次官から、ただいま先生がお話しになりましたような内容の説明をしたということは、そのとおりでございます。  それから、文書の点でございますが、昨日の菊池参考人のお話もございましたので、この五十年三月当時、政務次官に同行した者の意見も聞き、また部内並びに事業団の文書も調査したのでございますが、当日文書を配付した形跡がいまのところ見当たらないわけでございまして、引き続き調査中でございます。
  307. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、当日配付をされたというふうに理解をしているんですけれども、当局側がそういうふうに言われておりますので、それはそれで私も調べたんですけれども、そこは余り大したことではない。いずれにしても、あすにでも新母港を発表できますと、ここまで明言されたということと、それから、こういうふうにしてドックをつくる作業から何から非常に具体的な内容を示して、ここまでもう準備できていますと、裏切ることはいたしませんと、こういう約束をなさったということは、その大筋がいろんな新聞なんかにも書いてありますので、宇野長官ももう事務引き継ぎ等を通して大筋は御理解になっておることと思います。私が合点いきませんのは、あすにでも発表できますと、ここまで言われながら、なぜそれがその後実施をされないのか。そして、いつの間にか何となく新定係港の話よりは修理港の方の話にすり変わっていくという、ここはどうしても合点できないということなんで、この理由、それが履行をされてない理由、修理港にすり変わった理由、長い説明要りませんけれども、これを端的に。
  308. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 当日の政務次官の説明ぶりは、先生指摘のとおりでございまして、近々のうちに新定係港の候補地を選出し、決定し得るという説明を申し上げておったようでございますけれども、実はその時点では頭の中に候補地点があったわけでございますが、その後、長崎県下の一候補地点につきまして話し合いを進めていく矢先におきまして、地元長崎県知事の方から白紙に還元してほしいという話がございまして、これを白紙に還元した経緯がございます。そういうことで、五十年の三月二十七日にお話しした時点とかなり状況が変わりまして、六ヵ月の期限でございます同年の四月十四日までに決定するに至り得なかったということでございます。それから、引き続きもちろん定係港を選定する作業を続ける姿勢でいたわけでございますが、その後、「むつ関係関係閣僚三人が御相談になりまして、なかなか当時の状況から判断しまして、「むつ」を改修しないままに新定係港を探す作業を続けるということは実行性がないのではないかということで、まず修理港を探して「むつ」を修理をいたしまして、できるだけ安全性の確認をしました上で新定係港を探す方がよろしかろうということで、五十年の暮れにそういうふうな方向に路線を変更したわけでございます。それが三月に政務次官が間もなく決まると申し上げながら決め得なかったこと、また定係港に先行して修理港をまず決定するという路線を変更した経緯でございます。
  309. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 その三月二十七日の場では、あすにでも決まる、発表できるという表現を使いながら、実際統一選挙を終わってしばらくすると、そういう実現可能性、ここも考慮に入れないで、全く頭の中だけのプランをそのときに提示をしたとすれば、これは無責任な話で、しかも、片山政務次官という学科技術庁政務次官が出席をされたわけですから、非常にこれは無責任な話だと思うのです。とにかく、その場を取りつくろうために、約束の六ヵ月の期限間近に迫ってきたから、何とか取りつくろわなければならぬからということでそういう言い方をしたんだということであれば、これは本当に無責任な話だ。少なくとも、片山政務次官が出席をしてそういう約束をしてきておるという経緯ですから、この約束については、長官はその後御交代なさっていますけれども、しかし、官庁としての科学技術庁としては、この五十年三月二十七日のこの約束、これは今日も責任を持たなくちゃならないということは、行政上当然のことですね。長官、どうですか。
  310. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 片山政務次官は、一時を取りつくろうためにそのようなことを申し上げたわけではなくて、恐らく当時としましては、いろいろな観点から検討しました結果、その判断としましてそのようなことを申し上げたと思うんでございます。しかし、いま御指摘のように、結果的にはこれが実現し得なかった。まあ、結果としましては、そのときの判断に誤りがあったという点は、これは率直に私ども認めざるを得ないと考えております。
  311. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 長官に重ねてお尋ねしますけれども長官は交代なさったから、昔そんなことがあったということは私は知らぬわなということでは済まない、やはり行政は継続性があるわけですから。そういう点で、現科学技術庁長官としてそのことについては責任があるということは当然ですね。この四者協定を今後とも守っていくんですということは、たびたび宇野長官が、本会議でも、この席でも、もう繰り返し言明をされてきたわけですけれども長官御就任なさったのが昨年でしたけれども、四者協定未履行事項について、長官が御就任なさって以降、何かやられたことがありますか。
  312. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 未履行事項と言えば、結局、早く出ていく、そして「むつ」の母港を撤去するということが未履行でございますから、そのためには修繕港として佐世保に前内閣がお願いしておるわけで、そのことをまず長崎県自体が認めていただかなくちゃなりませんので、私といたしましては、まず入口の佐世保並びに長崎、この議会の方々並びに市長及び知事、しばしば出会いまして、四月十四日という期限がある、これまでにひとつ態度を決定していただきたい、私たちは、現在は燃料体はもうすでに冷え切っておるので、そのままでも大丈夫だろうと思うから、ひとつそうした点において御了解賜りたいということをしばしばお願いをしたわけでございます。ところが、佐世保が決定されましたのも、たしか四月十四日もぎりぎりのころであったろうと思いますし、長崎県会の方は四月十四日を越えてから決定された。この間の事情に関しましては、もちろん、青森県の知事あるいはまた市長にも、さらには漁連にも申し上げてあります。そうしたことでは、なるほどそれは入口の方が議会の関係もあろう、そうやっておくれている以上私たちはやむを得ないが、しかしながら、といって四月十四日が守り切れておらないことに対して、われわれはやはり速やかにその履行を迫るからと、こういうことで、ずっとやってまいったわけであります。その結果、御承知のとおり、長崎県の結論、佐世保の結論が出まして、長崎の「抜け」という話に対しまして、私としては、さらに安全を期するために、私並びに運輸大臣の諮問機関である安藤委員会にそのことの是非を諮問したわけであります。それが出てまいりましたのが夏のころでございました。その結果に基づいて、では、抜くか抜かないか、抜くならばどこであろうかということで今日まで推移しておる。その間に、先般もお尋ねのありましたむつの市長選もありました。そういうふうな経緯がございます。
  313. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 入口の話になると、すぐ修理港を佐世保というこの話に行くんですけれども、本来の入口の話は新母港、新定係港だと思うんです。四者協定の約束事項はそういうことですね。出口むつ、入口新母港、新定係港、ここの基本がとにかく修理港の話にすりかわっていくという点は、そのことをもって、修理港の問題について一生懸命やっていますから、四者協定を守る具体的実践の姿がそれでございますと言っても、少し話は横へ外れておるというふうに思うんですが、それならお尋ねしますけれども、ことしの四月、本来新定係港を決定をすべきタイムリミットが来たんですが、まだ決まっていないということで、長官むつへ出向いて、約束の四者協定が守れてないけれども、申しわけないということで釈明に行かれましたか、御自身。
  314. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 諸種の事情によりまして、それが残念ながら実行できておりません。
  315. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ですから、私は、長官が何回口では本会議や委員会で四者協定は守りますというふふうにおっしゃっても、実施未履行部分について、未履行項目について、何か一つでもやったということがあるかと言えば、そうでもない。あるいは約束のタイムリミットが来たというときに、そのタイムリミットが守れてないということについて釈明にも現地へ出向いてない。こういう事実を挙げれば、本当にこの四者協定を守るということで誠心誠意やっているんだろうかという不信が長官に向けて起こるのは、これはやむを得ないじゃないですか。そういうむつの人たち、青森の人たちが、本気になってやっているんだろうかということで、そういう疑問が起こるというのは当然のことだろう。というときに、この前も言いましたけれども、十月二十一日の毎日新聞青森版に、河野新市長の公約実現に私としては協力をしていく、こういうのがたまたま新聞に出たということで、これは長官にお尋ねをするんですけれども、あのときも、どうともとれるような表現を使っておられましたけれども、片や新市長を中心にして存置運動がありますね。これに対して協力をしていくということは、少なくとも、これは論理上は四者協定と相対立をする問題だと思うんです。四者協定を守るということと、それから存置運動に協力をするということと一緒だということではない。違う内容だ、対立をする内容だ。そこで、長官の本当のお考えはどっちなのか。何も私はいま悪い答えを求めておるものでもさらさらないわけですけれども、ああいう新聞に出た記事というのは誤報だと、宇野科学技術庁長官の心は一日も早くこのむつ市から「むつ」を撤去する、新定係港を一日も早く決める、これが長官の考えだということで、私はもう一回ここで一遍きちっと整理をしてほしいと思うんですけれども、その点どうですか。
  316. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) まず先に、私が青森へ行かなかったことは残念ですが、それは諸種の事情があることぐらいは御了解ください。行って理解を得ることもあるし、行ったがために理解されなかったこともあるというふうな、いろいろ事情があるわけです。恐らく反対派の人は旗を立ててわっしょいわっしょいやられるかもしれない。そうすると、やはり理解をしている面におきまして、いま延びておると、母港をやがて政府も考えておるのだということに対しましても、かえって現場におけるところの賛否両論に火をつけて、お互いの市民同士がいがみ合いをするというふうな幕を私はつくりたくない、そういうふうな配慮もございますし、当然わが党の代議士諸公もそうしたことに対しまして十分いろんな情報を私に送ってくれました。だから、そういうようなことで行っておりませんが、しかしながら、事務次官は、四月十二日、五月十六日、私の名代といたしまして行っております。  第二番目に、新聞記者会児のことですが、この間も何度も申し上げていますね。ちょうど、これは「河野市長が上京するといっているが、どう対応するか。」という質問に対して「河野市長のスローガンは理解しているつもりだが、上京された際に市長から正式に聞いたうえで青森県、漁連とどういうように話しをするか考えたい。」、こう言っておるんです。私としては、当然、母港という問題は前々内閣からの問題でございますから、したがいまして、そのときはむつが母港であり、それを撤去するということが一つのテーマであった。その後長崎、対馬に母港を頼むと言ったところが、いろんな事情でついにそれは実現しなかった、こういう事情もございます。だから、現在はやはり速やかに青森から「むつ」を出すことに全力を挙げるべきだということに立ちますと、やはり長崎衆の御意向、これを無視するわけにはまいりません。そうしたときに、修繕港と母港がまたごちゃまぜになっていろんな紛争の種をまき散ららすことは決して好ましいことではございません。そういうふうな考え方から、将来の原子力船に備えまして、私は、去る国会におきましても当委員会ではっきり申しておりますが、母港は従来まで幾つとは言われておらない、しかし、単数というふうな考え方が中にもあったかもしれぬが、私は複数にしたいということを申し上げたわけでございますから、さような意味で、あちらこちらに原子力船時代を迎うるに際しまして、母港に対して手を挙げていただいておるということは非常に私としてはうれしい話である。特にむつの市長さんもそういうことを言われたということについてどうかと、これは私はそのスローガンがそうであるということを認識しておる。しかし、選挙そのものについては、科学技術庁としてはあくまでも中立を保ったつもりである。そして、一般論から申せば、母権賛成論者がふえたということ、これはうれしいことだ。しかしながら、青森には四者協定があるのだから、私だけが喜んでみたり、むつ市長さんだけで四者協定が全部変わるわけじゃないんだよと、このことを私ははっきり申し上げたわけなんですね。だから、このように、ここにメモがございますが、「青森県、漁連とどういうように話しをするか考えたい。」、それをまあ記者諸君がいろいろのお立場からお考えになったと思います。私は、さようにとっていただきたいと思います。二番目には、「政府としても折衝を始めたいと脅えているが、地元代議士の意見を聞くことが大事と考えている。」、それに対しまして「地元代議士との会合を開いたか。」と、「会合は開いていないが、院内で随時問いている。政務次官にも聞いてもらっている。又、根本委員会では、ほとんどの地元代議士の意見を聞いたようだ。」。三番目に「今後の手順をどうするか。」と、「関係閣僚会議を開くような段階ではない。」、こういうふうに言っておりますので、この間からしばしばお答えいたしておりまするように、きちっと私も整理をして、決して——四者協定と、いまおっしゃったとおり、むつの市長との母港をそのまま残したいというのは、言うならば、かみ合わない話でございますから、それを私が、この非常に慎重を要するときに、それだけで四者協定をやめちまうんだというような、ここから先のニュアンスも私は出したつもりがないのでございます。
  317. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 長官、いまお読みになったその記者会児のときにおける長官の発言要旨ですね、それ資料としていただけますでしょうか。
  318. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) はい、どうぞ。
  319. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで、再度いまのような見解を表明していただいたわけですけれども、もう一つ重ねて聞きますけれども、そうすれば、このむつ市については、もう「むつ」の撤去以外にあり得ない、母港、新母港はもちろんのこと、修理港についてもこれをむつに持っていくということはあり得ないことだ、他で探すということなんだということではっきり確認をしていいわけですね。
  320. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) むつの市長が市民の支援を得られて当選なさったことは厳粛なる事実でございます。この事実を漁連がいかに受けとめ、知事さんがいかに受けとめられて、そして青森の三者がどういう判断をなさるかということはまた別な話であります。したがいまして、私としては……
  321. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで変わる。
  322. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) そこで変わらないのです。別な話です。市長さん、あなた、そう言うけれども、だめだよという答えをなさるかもしれませんし、そこまで市長さんがおっしゃったらわれわれ考えるかなと、こんなところを私が推測すること自体が間違いです、ここでそういうことを。だから全くその点に関しましては白紙なんです。この間から申しましたとおり白紙だ、こういうふうに言っております。だから、私といたしましては、一人の市長さんが当選なさったからそのようになるものでもございますまい、したがいまして、知事さんや漁連がそのことについてどのようにお考えなのか、このことも聞きたいと思っておる、こういうふうに申し上げたまででございますから、現在といたしましては、きちっと分けまして、四者協定は現存し、尊重しておりますと、こういうことでございますから、そこをごちゃまぜにしないようにひとつお願いします。
  323. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 何回も四者協定は守る、一日も早くこの実現に努めますということを何回も言われる。そう言われながら、ああいうむつの市長選挙の結果が出ましたという事実の上に立って、あの四者協定というものはいつかの時期に変わるかもわかりませんという意味のことを言っておられるわけでしょう、いま。そういう意味じゃないですか、言っているのは。
  324. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) そういうことを私がここで推測して申し上げること自体が行き過ぎだと先ほど申しました。そういうふうに、そうじゃないかと、こう言われるから、そういう意味を推測して言うこと自体が行き過ぎだと、だから白紙ですと。私は四者協定を守りたい、そのためには長崎の条件をどこで満たすかという重大な話がございますね。早く出て行け、入っちゃいかぬでは「むつ」は漂流してしまうんです。そのためにはやはり出口入り口をお互いにお願いせにゃならぬことも今後ございますよ。四者協定を守ろうとすれば、やはりそれだけで青森にもいろんな意味合いにおいて、まだ守り切れないが、ごしんぼう賜りたいと言いながらお願いせにゃならぬこともございましょうし、あるいはまた、抜かずに入るんだということになれば改めて長崎にお願いしなくちゃならぬこともございましょうから、私は、出口入り口の問題だから、いま四者協定を守ります、尊重しますと言うが、では、それについてどうすればいいかと、このことに関しましては、もうすでに学術的な諮問機関の諮問を私は得たわけですが、それにつきまして、党にも特別委員会がございますから、その特別委員会でも地元の代議士さんの意見、これは青森も長崎も含めての話です、それを聞いて、党は党としての結論を出そう、そのときには政府政府としての腹も聞かしてほしい、また党の結論に従えということは従え、こういうかっこうでいまいろいろと話し合いをしておると、こういう段階でございますから、余り決めつけて、ここでこう言え、ああ言えということは、私といたしましては、それは白紙でひとつお願いをしたい、こう言っておるわけです。
  325. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いろいろな言葉を使って、しかしそういう問題の焦点をぼかすような言い方をしてはならぬですよ。むつ市の今後については白紙だということはあり得ないじゃないですか、四者協定を守るということを言うんだったら。方向は決まっているじゃないですか。それを白紙にするというその表現自体が問題ですよ。四者協定を守るというんであれば、とにかくむつ市から「むつ」を撤去をしていく道筋は一本以外しかあり得ない。  角度を変えて聞きますけれども、仮にむつ市を新母港にするというこういうことになった場合、母港の備える条件として当然修理なんかもやらなければならぬですね。修理機能を含む母港の条件が必要ですね。そういう条件むつ市にありますか、どうですか。
  326. 山野正登

    政府委員(山野正登君) ただいま修理港問題、鋭意長崎県と詰めております段階で、違う地点につきまして修理が永久に可能かどうかといったふうな議論を私どもがするのは非常に誤解を招く際でもございますので、その点は御答弁を御遠慮させていただきたいと思います。
  327. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 何でそこの答弁は避けるんです。なら聞きます。母港には修理機能は必要でしょう。
  328. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 母港の機能と申しますのは、これは要するに広い意味での補給基地でございまして、船の修理機能をすべて持つ必要はないわけでございます。現に、現在の「むつ」の定係港の地上設備と申しますのは、岸壁以外は燃料の交換施設でございますとか、あるいは新燃料並びに使用済み燃料貯蔵施設とか、あるいは廃棄物の保管施設といったふうなものでございまして、特に船の修理施設というものは置いていないわけでございます。
  329. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 とんでもないことを言いなさんな。それ科学技術庁の統一見解ですか、修理機能を持たない母港もあり得るというのが。母港といったら修理機能をあわせ持っておるというのが当然じゃないですか。統一見解ですか。
  330. 山野正登

    政府委員(山野正登君) いま先生の言っておられるその修理ということの定義にもよると存じますけれども、現在私どもが考えております遮蔽改修あるいは安全性の総点検といったふうなことにつきまして、たとえばドックが要るとか、あるいは所要の工具が要るとか、そういったふうなことが必要かと存じますけれども、そういうもののあるところとしまして私どもは造船所のある場所を選んで交渉をいましておるわけでございます。  そこで、たとえばいまの先生のおっしゃられる修理という意味がそういうふうな意味での修理であれば、これはしかるべき補強をしなければいまの定係港ではできないということになろうかと存じます。
  331. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 だから、そういう意味で聞いておるわけです。ですから、いまの「むつ」の現状でそういういわゆる新母港にはなり得ないということははっきりしている。そういう技術上の観点から言ったって、また何回となく政府として約束をしてきたという政治的経過から言ったって問題は明白なんで、これはもう何ぼこの問題だけで押し問答しておってもしようがないですから、宇野長官に重ねて申し上げますけれども、白紙だという表現は、どこか第三者の人が言うんだったら許される言葉です。しかし、現地の人たちと四者協定結んで何回となく約束をしてきた主務官庁である科学技術庁長官としては、白紙だという表現は許されないということで、そういう白紙という言葉は撤回をしていただきたい。四者協定をできるだけ早く履行のために努力をするというこの表現以外にあり得ないというふうに私は思いますので、その点を主張をして次の問題に移ります、時間どんどんたちますので。  それと、ちょっと運輸省にもせっかく来ていただいておるので、少し質問しておかぬと失礼になりますのでお聞きをしておきますけれども、すりかわった修理港佐世保の問題がいろいろ議論に出ているわけですけれども、仮にですよ、——幾つかの長崎県のああいう条件なんかもついているわけで、これはもう全く仮定の話ですけれどもむつから佐世保まで持っていくに当たってどのコースを通るのか、日本海か、瀬戸内海か、四国沖か、何かもうすでにそういうプランがあるのか、それから現在の「むつ」の補助エンジンで途中の停泊なしに一気に行けるのか、それから現在の「むつ」は船としての登録はしていますけれども、しかし製造が完了をしたという、すなわち法的に確認をされた船ではない、これが海の上をずうっとかなり長距離にわたって行くということは法的に見て一体どういうことになるのか、どこかもう一つの船が漂流物を引っ張っていくというんだったらいざ知らず、「むつ」自体がエンジンを動かして走っていくということは法的にどうなのかという問題と、それから「むつ」が動きますと原子炉が移動をするわけですから、原子炉の移動に伴う新たな安全審査が必要になってくるんだけれども、その点についてはどうかという、この種の問題を検討なさっているかどうかですね、ちょっとお尋ねします。
  332. 赤岩昭滋

    説明員(赤岩昭滋君) 「むつ」がどの航路を通るかにつきましては、これは事業団で検討されている事項だと思いますので、事業団から答えていただきたいと思います。  それから、補助ボイラーで航行できるかどうかということになりますと、補助ボイラーで走りますと約十ノットの速力で航海できるとなっておりまして、大体燃料油を燃料タンクにいっぱい積みますと約三十日間航行できるということでございますので、十分、日本国内でのどこかの港には入港できるというふうに考えております。  それから、要するに検査証書を持っていないのに船を動かすについての法律的な根拠はどうかということかと思いますが、先生おっしゃいますように、「むつ」は現在、船舶安全法に基づきます第一回の定期検査の受検中でございます。検査はまだ終了していないという段階であるわけで、検査は中断しているわけでございます。そういう船を動かすということになりますと、これは船舶安全法の第五条に、船舶検査証書を持っていない船を臨時に航行させる場合には臨時航行の検査を受けなければならないということになっておりまして、同じ法律の第九条の第二項に、臨時航行検査に合格した船舶につきましては、臨時航行許可証を交付するということになっております。それから、臨時航行の検査はどういう場合にやるかということが施行規則の十九条の二の二号にございまして、「船舶を改造し、整備し、若しくは解撤するため、又は法による検査若しくは検定若しくは船舶法」「による積量の測度」「を受けるため、これを改造、整備若しくは解撤する場所又は法による検査若しくは検定若しくは船舶法による積量の測度を受ける場所に回航するとき。」ということがございます。「むつ」が炉の改修、総点検のために港に回航するという場合にはこの条項に該当するということになりまして、臨時航行の検査が原子力船事業団の方から出されて、われわれの方で「むつ」が補助ボイラーを使って航行できるかということについて念入りな検査を行う。それで検査を行った結果合格すれば、臨時航行の許可証が発給されてそれで回航ができるということになっております。
  333. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) 「むつ」を現在のむつから佐世保へ回航いたします場合には、航路といたしましては日本海経由と太平洋経由と二つの航路が考えられるわけでございます。日本海経由でございますと約八百三十海里ほどでございますので、「むつ」補助エンジンで約十ノットで航行いたしますと大体四日程度で回航ができる。また、太平洋経由でございますと約千二百海里ちょっとございますが、この場合には約六日ほどかかるかと思います。またなお、この航路の選定等につきましては、冬場は日本海の方は荒れますので、そういったときには太平洋を選ぶとか、これは気象、海象の状況を判断の上でございます。  それから、先ほど運輸省の方から御答弁がございましたように、補助エンジンで参りますと約十ノット出るわけでございまして、燃料油をタンクにいっぱいにいたしますと約三十月近く、約五千海里程度は航行できます。     —————————————
  334. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 委員異動について御報告いたします。  本日、永野嚴雄君及び成相善十君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として伊江朝雄君及び高平公友君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  335. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは、「むつ」の総点検に関する問題について幾つか御質問をしますが、せんだっての十一月十二日の日に、きのう参考人として御出席なさった服部学先生初め学者グループの皆さん方の「むつ」問題研究会の総点検についての提言というのが発表されておりますけれども、それは御存じですね。
  336. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 存じております。
  337. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それではお尋ねをしますけれども、大山委員会の報告あるいはこの事業団計画、その中にも一応言葉としては総点検という言葉が使われておりますけれども、しかし、実際しさいに内容を見れば、いわゆる遮蔽構造の改修を行うという、このことが中心であって、いま学者、研究者の皆さん方が指摘をしているような、炉の構造自体も含めての全面的な点検を加えていこう、こういうことにはなっていない、総点検というのは言葉だけにとどまっているという感を強くするわけですけれども、そこでまず第一にお聞きをしますのは、大山委員会の報告の基礎にもなりました点ですけれども、核の容器ないしは圧力容器の内部に放射線漏れが起こっておる、その問題についての一定の点検をしたということになっていますが、その点検の方法とその点検の結果ですね、それはどうなったのか。簡単に答えてください。
  338. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) この放射線漏れに関しましては、放射線漏れがどういう原因で起こったかということにつきまして、これは当初「むつ」本船上におきまして乗組員の手によって測定をされましたデータ、また放射線漏れの直後に遮蔽の関係の専門家を洋上におきます本船に派遣をいたしまして測定をいたしましたデータ等をべースにいたしまして、原研及び船舶技術研究所におきまして検討をいたし、またこの解析をしたわけでございます。それで、その結果、この放射線漏れの原因は、圧力容器と一次遮蔽体との間からの上下方向における比較的エネルギーの速い中性子のストリーミングによるものであるということがはっきりわかったわけでございます。なおまた、その後、この改修設計に関します基本計画を行うに先立ちまして、遮蔽改修の考え方に基づく実物大の模型をつくりまして、その模型を、原子力研究所のJRR4という遮蔽実験用の原子炉を用いまして、事業団、それから原子力研究所及び運輸省の船舶技術研究所の三者の共同研究という形で実験を行いデータをとったわけでございます。
  339. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 できるだけ簡単にやってください。
  340. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) それで、そのデータの解析に当たりましても、その前に行われました実測をいたしましたデータの解析に用いましたコードと同じものを使用いたしましてこの解析を行いました。その結果、当初に行いました解析とそれから実験において確かめましたものとの間にほとんど差がないということで、この解析は間違っていなかったということが確認されたわけでございます。これは遮蔽の問題でございまして、先生がただいま御指摘になりました安全性の総点検につきましては、遮蔽の問題とまた別個に、これは放射線漏れという問題を契機にいたしまして、原子炉の他の部分原子炉の各プラントの部門につきまして欠陥がないか、また、陸上の発電炉等におきましても、「むつ」の炉が設計されました以降においていろいろ問題も出てきております、また、安全基準等もシビアになってきておりますので、こういった点からの炉の設計の見直しあるいは機器の点検等を行う必要があるということでこの総点検の計画を一応立案をいたしました。それで、この総点検の考え方といたしましては、現在現存しておりますプラント機器の健全性及び安全性の点検、これは……
  341. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこはいいですわ、わかっていますから。
  342. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) はい。それからあと、設計の再検討につきましても、その解析を進めてまいっております。またなお、事故解析等についても、これも現在ECCSあるいは蒸気発生器の細管破断事故解析等につきまして、昨年来、解析評価を現在行っておるところでございます。したがいまして、決して遮蔽のみにとらわれておるということではございません。
  343. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 前段いろいろ長いこと説明があったわけですけれども、結局あれでしょう、一次冷却水についていろいろ点検を行ったということですね、そうですね。
  344. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) ただいまお話のございました一次冷却水の検討と申しますのは、これは燃料の健全性についての検討をいたしたわけでございます。これは現在……
  345. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 だから一次冷却水を調べたわけでしょう。
  346. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) これは調査いたしました。
  347. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでなぜあの事故以降、たとえばイオン交換樹脂筒内に付着している放射性物質、これがどの程度になっているのかという文字どおり原子燃料の健全性の検討をやらないんですか、新たな工事設計は何一つ必要としない、そんなに莫大な費用がかかるわけではない、なぜこの検討をやらないのですか、その理由。
  348. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) 核燃料体の健全性につきましては、この燃料の製造の過程から原子炉装荷までの間におきまして、逐次工程管理、品質管理をやってきておるわけでございます。また、この……
  349. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いいです。いや、もういいです、そういう説明だったら。
  350. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) それから、この一時冷却水の水質につきましては、これは定期的に水を抜きまして、その分析を私どもの方はいたしておるわけでございます。その点から見て現在の燃料の健全性の確認は、一時冷却水の分析、核種分析の結果から見て十分確保されていると考えております。したがいまして、イオン交換樹脂のサンプリングによる検討は必要ないということでございます。
  351. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 燃料体の健全性は、そもそもの製造過程で入念に点検、検査をやってきているから改めてやらなくても大丈夫ですというふうに言い切れますか。そういう言い方でずっと来て、あの遮蔽構造からの漏れが起こったんじゃないですか。念には念を入れるということで、莫大な費用がかかるわけじゃない、機械を壊して工事変更をやる必要何にもない。いまのままでやろうと思えばやれる。国民が不安を持っておる問題にこたえてなぜやらない。  それならもう一つ聞きますけれども、あの原子炉の炉心の、さっき前段ちょっと触れました、炉心の直径を大きくするのが安全なのか、遮蔽の壁を分厚うするのが安全なのか、遮蔽の壁を大きくしたら当然重さがふえるわけです。重量が重くなる、したがって重心も変わる、新たな工学上の問題も発生をするという、そういった問題も含めながら、常識的に考えてみたって壁はいろんなことでひびなんかも入るわけですし、この直径を大きくするというやり方の方が簡単に言って安全だということも言えるわけですけれども、そこらの相互比較ということをなぜやらないんですか。
  352. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) 炉心の問題でございますけれども原子炉の設計に当たりましては、燃料の濃縮度でございますとか、あるいは燃料の燃焼度あるいは出力密度、また、これにつきましての冷却条件といいましたところから炉の寸法というものが決まってまいるわけでございます。これはもちろんその設計の上からのバランスの問題ということが当然考えられるわけでございます。それで、それと遮蔽の問題というものは直接の関係はございませんので、その炉は炉としての一つの設計のやり方というのがございまして、それに対してそこから出てまいります放射線をどのように設計するかというのを、これを一次遮蔽また二次遮蔽、またこれらを合わせた総合的な遮蔽体としての設計を行うということで進めてまいるわけでございます。その点での再検討という面から現在の原子炉の設計は現在のままで適当であるという結論に一応達して、それに基づいて威厳の改修を行うという考え方でございます。
  353. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 さらにお尋ねしますけれども、燃料体の被覆材ですね、これをステンレスからジルカロイにかえる、これはもう最近の原発では安全性から見てそういう方向が常識だということになっているんですけれども、そういう問題は検討する計画に入っているのかどうか、あるいは燃料交換用のクレーン、西ドイツの「オット・ハーン号」では船上にクレーンを設置をして交換をやった方が安全にいくという見地からそういうことになっておるわけですけれども、「むつ」についてもそういうことを検討項目に今後の総点検の中に入れる考えがあるのかどうか、こういう点どうですか。
  354. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) 燃料の被覆材でございますが、このステンレスとジルカロイの問題につきましては、ジルカロイの方がだんだん多くなってまいりましたのは、むしろ安全性といいますよりも燃料経済の面、まあ中性子経済と申しますか、ということで、むしろ経済性の面からジルカロイの使用が多くなってきておるわけでございます。したがいまして、「オット・ハーン」におきましても一次炉心はステンレスでやってまいったわけでございますけれども、将来の簡船用に使います場合には経済性という面がやはり考慮されなければならないということで、二次炉心以降はこのジルカロイというものを使うことになってきておるわけであります。したがいまして、私どもとしてもこの「むつ」の計画がさらに開発を続けられるということであれば、第二次炉心以降においてはジルカロイ炉心というようなものも一応経済性の向上という点から進めてまいりたいと、かように希望をいたしております。
  355. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 その「むつ」は十三年前の古い材料、また設計の計画に基づく船であるわけですけれども、通常常識的に大体この船の寿命ですね、この健全な寿命、これはもう十五年内外だというふうにも言われておる。そういう点から言って、いま一度工学的な見地から「むつ」の船体構造について検討を加えるという問題は計画に入っていますか。
  356. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) 船舶の場合には船体自身の寿命と機関の寿命とあるわけでございますけれども、これはまあ主として経済性の面が非常に多いかと思います。この「むつ」の場合には最初の船でもございますので、船体構造自体につきましては非常に安全サイドの設計がとられております。したがいまして、この後まだ十五年あるいは二十年使用しようと思えば十分使用できる、かように考えております。
  357. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いずれにしても、その学者グループの「むつ」問題研究会の専門家の方たちが指摘をされておる幾つかの問題を挙げて、そういう専門家、学者の立場からの「むつ」の将来についての不安、この問題はどうなのかということをただしても、たとえば問題に幾つか挙げましたけれども、その中にはそれほど経費がかかるわけではなし、抜本的な工事変更をやらなければならぬというわけじゃない、いまの状況のもとでもこのテストがやれるという問題さえ一顧だにしないという、そういう態度だと思うんです。しかし、これさっきも言いましたけれども、そういう態度で押し切っていって、もしも——遮蔽構造直したわ、出力上昇試験を始めたわ、一・四%にとどまらず、もっとハイパワーのところへ上がっていった段階で、ほかのところでもし事故が起こったらどうなるか、あなたそのことについて責任が持てるかと。それほど経費がかかる問題じゃないから、よく耳を傾けてそういう問題も総点検の内容に加えてやったらどうかと。もしそういうことをやらなくって後で大変な事故が起こったら、これこそ私は国費の乱費になると、膨大な予算を投じてこの遮蔽構造の改修に突っ込んでいく、後でさあ大変ということになったらまさに国費の乱費になるということで、私の意見は、せっかく熱心にこの問題に注目をしていろいろ出されておる学者、専門家の意見を十分取り入れて総点検計画を練り直すという問題を真剣に考えるべきではないかというふうに思うんですけれども、その点、長官どうですか。もう時間が来ましたので、私その点、最後に尋ねて——ちょっと守秘義務の問題聞きたかったんですけれども、もう時間なくなったんで、政府側の統一文書が出るそうですから、もし必要があったらそのときに少し質問をさせていただきます。
  358. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 「むつ」の修繕に関しましては、いまおっしゃったようなことが二度とないように慎重に、しかも適確にやっていきたいと思います。当然総点検もやはりやらなければなりません。その点はわれわれといたしましても、すでに乙の法案衆議院で修正されました趣旨に沿ってやっていきたいと存ずる次第でございますので、どうか参議院におきましてもよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  359. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 委員異動について御報告いたします。  本日、玉置和郎君が委員を辞任され、その補欠として北修二君が選任されました。
  360. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 それでは、二法についてはいろいろとすでに審議が行われ、政府側からの御説明もいただいておりますので、最小限の御質問だけをしたいと思います。  昨日、参考人からいろいろと意見を伺いました。六人の参考人の御意見を総合しますと、原子力船研究開発の意義というものはほぼ全員が認めていらっしゃいました。その意味で私はやはりこの研究の継続をすべきだというふうに考えますけれども、ただ同時に、ほとんどの方がおっしゃっておられましたのは、過去の政府、事業団の不手際というものがいろいろな意味で原子力船開発にトラブルを起こし、現在長い間開発が中断されているという事態になっていることは大変残念に思います。まあ今後開発を進めるに当たって、政府及び事業団はそうした過去のいろいろなまあ過ちといいますか、そういうものを反省し、真剣にこれに取り組む必要があると思いますけれども政府並びに事業団の決意をお伺いしたいと思います。
  361. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 原子力船むつ」の過去の経緯に関しましては、政府はそれだけの責任を痛感し、二度とそのような過ちを犯さないように、今後は慎重に事を運びたいと存じております。私から言うならば、この成否は一にかかってやはりわが国の原子力政策そのものの成否にもかかっておる、それほどの重大なことである、こういう認識のもとに進んでまいりたいと存じます。
  362. 倉本昌昭

    参考人(倉本昌昭君) 事業団といたしましても、この「むつ放射線漏れ問題を引き起こしました責任、また、その過去におきますいろいろな経緯等を率直に反省をいたしまして、今後再びこのような事態が起こらないよう、また事業団一同一丸となって、将来の日本の原子力船開発のためにがんばってまいりたい、かように考えております。
  363. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 昨日、佐世保の市議会議長さんが、受け入れを決めてから八ヵ月、政府から何の音さたもないということについて不満を述べておられました。この点については、政府としてどうお考えになりますか。
  364. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) その間の、非常によくやっていただいたことに対しましては、特使を派遣いたしましてお礼も申し上げ、また、その後長崎県においては佐世保市と別の決議をされたものですから、それに対する政府としての善後措置、いかなることを講じたか、こうしたことも逐一御連絡は申しております。ただ残念なことは、いつ入りますということだけがやはり言えないということに対する御不満であろうと。このことにつきましても、やはりあれだけ政府の要望を熱意をもって解決していただきました佐世保市に対しましては、われわれといたしましても本当に責任を痛感しておるというのが現状でございます。
  365. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 それから、佐世保市は核燃料棒つき受け入れ可ということでございますし、長崎県は核抜きということで、意見が分かれている、その調整は政府に任されているというふうに聞いておりますが、その点について政府はどのような努力をされてきたんでしょうか。
  366. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) これは両者に、もう一度二人で話してくれと、そういうふうな無責任なことはかつて申し上げたことはないので、やはり政府みずからが、言うならば、二つの意見が出たが、どちらがいいだろうと、これに対しましてやはり判定をしなくちゃなりません。判定と言うとちょっと行き過ぎかもしれませんが、やはり政府がそれにお答えする態度を決めなくちゃなりません。そういう意味におきまして、過般来申し上げておりましたとおりに、もう一度安全性に関する確認をしたい、こういうことで、私と運輸大臣の諮問機関である安藤委員会にそのことを諮って、そして抜かなくてもよいが、抜くのならば洋上以外だったらば大丈夫だ、言うならばそういうふうなお墨つきをちょうだいしたわけでございます。  さて、では抜くとすればどこで抜くかというふうな問題もございます。そうしたことでじんぜんと今日まで日がたったようでございますが、しかし、私たちといたしましては極力その間におきましてもいろんな立場において調査もし、またいろんな方面とも接触もしておるということは事実でございます。ただそれが、一々ああしたこうしたと言うこと自体が果たしていいか悪いかということになりますと、非常にデリケートな面もございますので、十二分に佐世保、長崎の両者の意見を尊重しながら、いざといったときには腹を決めなくちゃならない時期が来るであろう、そのことに対しては政府ももちろん腹を決めなくちゃなりませんが、やはり党にも特別委員会がございますから、この特別委員会にお諮りをいたしまして、長崎並びに青森両県選出の与党でございますが、国会議員の方々の御意見も伺っておるというところでございます。
  367. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 その点になりますと、再三長官からは、政府・与党の話し合いにというような、与党の話し合いにお任せするというような御答弁があるわけですけれども、どうもそれを聞いておりますと、また例の鈴木総務会長の主導による四者協定のもう一度出現、ああいう形の政治的な解決というところへ行きそうな懸念があるわけでございまして、それは一番問題のある解決策なんじゃないだろうか。先般来私もお願いをして申し上げてまいりましたように、やはり科学技術庁なり政府が主導的に動いていただかないと、どうも政党べースの話になってくると、やれつかみ金だとか、選挙の前だからもう少し延ばそうというようなことが話題になって、いつになっても解決をしない。そうした自由民主党の党内事情でいろいろな形で制約をきれ、原子力行政がゆがめられたり中断が長期化したりするということでは、私は困ると思うんです。もっと科学技術庁長官が主導権を持って、この問題解決をしていただくべきだと思いますけれども、その点はそうお考えになりませんでしょうか。
  368. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 内閣にはこの問題に関しまして、私と運輸大臣官房長官、三名がいわゆる関係閣僚連絡会議なるものを構成いたしております。その主宰者が私でございます。したがいまして、いま仰せのところは十分心得ているつもりでございます。  政党との関係はどうかということになりますが、やはり私たちは政党内閣でございますから、与党との間の意見も十二分に調整するということが必要でございます。だからその点は、私は内閣の一員としてのお話は当然与党に常に報告申し上げ、また考え方もはっきり申し上げておるつもりでございます。したがいまして、いま見返りの恐らくお話であろうと思いますが、まあそうしたことは、今回はわれわれは、時にそうしたことによって解決をしたいというふうなことは毛頭考えておりません。
  369. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 きのうの話でも、地元が、もう「むつ」は出ていくんだから、どうも十三億円もらうのは気がひけると言ったのに、鈴木総務会長が取っておけと言ったというような非常識きわまりない解決のやり方を今度もまた繰り返すようになっては、これは私は国民の不信を買うことになることは必然だと思います。これから新母港を決める、修理港を決定する、そうした過程で、そうしたことは一切やりません、ごね得、もしくはそうしたつかみ金による政治解決は一切しないということはお約束していただけますでしょうか。  それから、科学技術庁長官が党の調査会に意見を申し入れている、意見は常に伝えているとおっしゃいますけれども、私は、どうもその党と政府関係が逆なんじゃないか、党の意見を科学技術庁長官がお受けになって行動されるというのが本来の筋のはずです。それを、意見を述べているから、私は責任を果たしているということでは、行政府の長としての責任を十分果たしているとは覆えないと考えますけれども、いかがでございましょうか。
  370. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) いま見返りの問題に関しましてごね得、ごて得というふうなお言葉もございましたが、過去の「むつ」におきましては、私はそうしたことはなかった、こういうように確信いたしております。決して地元の方々が要求された問題でないということは、私は関係者にしばしば出会っておりまするから十分存じております。  第二番目には、さようなことでございますから、言うならば、いわゆる広い意味の見返り、そうしたことでこの問題を解決すべきでないということは、私はしばしば申し述べておりますので、今日もその決意に変わりはございません。また与党との間でございますから、政党内閣の場合には、確かにいまおっしゃるとおりで、私の意見というのは求められたときに述べておるということでありますし、また政府でなければわかり得ない情報もある、また考え方もあるといったことを含めてのお話でございます。したがいまして、十分与党のお話は聞きながら、私は私としての決断をしていく時期をいまうかがっておるという段階であります。
  371. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 長官のお考えを聞いて安心したわけですが、政府が与党に意見を申し述べて、与党が折衝するということでは困るのでございまして、与党の意見を十分伺いながら、やはり行政府の長としての科学技術庁長官が先頭に立って地元と折衝していただくということでなければ、私は政党内閣、議会制民主主義の制度として、やはり政党主導と言われてもやむを得ないと思います。そうした政党主導になったときに、つかみ金的な解決のやり方が出てくるわけでございますから、その点はぜひやはり政府主導でお願いをしたいというふうに思います。  それから、まあどこかで核を抜かなければならないわけですが、長崎の県漁連の核抜きという、核燃料棒つきでは入港を認めないという反対の理由というのは何なんでしょうか。これはもう核が入ってくること一切ノーだと覆うのか、それとも核がついたまま長期滞在をする、その間に、修理をしている間に事故が起こると困るということなんでしょうか。どちらなんでしょう。
  372. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 修理港に入港するに先立って核燃料棒を抜いてこいという趣旨であろうかと存じます。
  373. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 そうすると、たとえば燃料棒つきで佐世保に入港して、核抜きの作業だけそこでやらせてもらうというような妥協案といいますか、解決案というものは一切考えられないというふうに思ってよろしゅうございますか。
  374. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 率直に申し上げて、ただいま先生の御指摘の方向というのは相当むずかしい線ではないかというふうに考えております。
  375. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 そうしますと、きのう服部参考人と私ども若干議論をしたんですが、抜くとすれば外洋で抜くということは可能でございましょうか。
  376. 山野正登

    政府委員(山野正登君) ただいま私ども事務的にいろいろな場合を想定しまして、燃料棒を技術的にいかなる条件下で抜き得るかという調査検討はいたしておりますが、外洋で抜くということは、一般的に申し上げましてきわめて困難でございます。
  377. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 佐世保で核抜きの作業をやるということは困難だ、外洋が困難だ、残ったのはむつしかないわけですが、そう考えてよろしゅうございますね。
  378. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 残った候補地は一つだけということではございませんで、私どもは複数についていろいろ検討を進めております。
  379. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 いまの複数というのはどこか教えていただきたいと思います。つまり、これも前回むつの二年半の期限が切れるころ、いろいろと母港の候補地を選定している、探していると言いながら、実は何も中身がなかったという、それが不信を買っているというのと同じような種類の答弁ではありませんか。
  380. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 具体的に地名を挙げまして、実際に検討しておるということを確信していただきたいとは存ずるのでございますが、具体的に名前を挙げるということは、また地元関係非常に微妙な問題でもございますので、その点は何分御容赦願いたいと存じます。
  381. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 どうもいまの御答弁では私は納得できないんですけれども、そう考えてまいりますと、事業団法は通った、さて修理にかかる体制は法的には整備された、しかしいまの原子力船むつ」の凍結状態は一切変わらないという事態が長く続くような心配が出てまいります。そういうことでは、この時期に審議をして事業団法の改正をする私たちの努力はむなしくなるわけでございますが、そういうことになるおそれはないでしょうか。
  382. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 法案と「むつ」の動きの関係でございますが、私も鋭意諸方面と話し合いをしておりますし、その間に必ず出てまいりますのが、やはり事業団法はどうなるでしょうかということがその関係者の偽らざるところの第一問でございます。だから、まず私たちは事業団法の成立、これに全力を挙げておりますから、また国会もそのことを御理解いただくだろうと思いますからというので実はやってまいっております。具体的に申し上げるならば、たとえば衆議院におきまして修正はされましたが、通ったということは非常に大きな意味を持っておると、私はかように存じております。したがいまして、具体的にどうだこうだとかいうことは申しませんが、私の感触といたしましては、「むつ」そのものの修繕に関しましていろいろと事態は決して膠着状態ではないのではないだろうか、漠然とではございまするけれども、明るい兆しが見えつつあるということでございますから、どうかひとつこの事業団法だけは速やかに御審議を終了していただきますようにお願い申し上げるものであります。
  383. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 いまの長官のお言葉を信じていきたいわけでございますが、きのうの菊池参考人の話もありましたように、むつに再入港するときには三ヵ月たったら出港させる、三ヵ月たったら新しい母港を決めるということを鈴木善幸総務会長はおっしゃった、むつ市の市長の方がびっくりして、いやそんなに簡単には決まらないだろうと言って六ヵ月に延ばしたというくらい安受け合いをずっとし続けてきたわけでございます。そうして、あっという間に二年たち三年たちしてしまっておる。またそれが繰り返されるようでは、やはりますます原子力船むつ」の上に不信のほこりだけがこう積もっていくということになってしまうわけでございますので、その点ぜひいまのお言葉をたがえないように政府としても科学技術庁としても御努力をされることをお願いをいたしておきます。  それから次に、原子炉規制法について二つだけ御質問をしたいと思いますが、一つは、最近保障措置と並んでPP条約——フィジカルプロテクション条約の締結の動きが起こってきたり、国際的にもいろんな意味でこの面での要請が高まってきておりますが、PP条約の締結等について日本政府としてはいかなる方針でお臨みになるつもりか。
  384. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 御案内のように、核防につきましては昨今の原子力における一つの大きな問題というふうになっておるわけでございます。で、従来は国際原子力機関が中心になりまして、各国がどのようなガードをする方が望ましいかというような勧告をいたしたことが実は約五年前にございます。昨今はそれだけじゃとてもだめなんで、もっと国際的なベースにおいてさらに各国がどのようにガードをするかという前回の勧告をさらに改定するということが一つと、それから現に国際間における核物質の移動というのが相当あるわけでございますから、国際間移動に関しますガード問題をどうするか、これが二番目の問題、加えまして不法行為者に対する措置というものをいかに考えるか、その三点につきまして、できるならば国際間の合意を見て何がしか条約を締結したい、こういうような動向にございます。したがいまして、日本といたしましても問題の性格を考えまして積極的に国際協力の線に従って参加しようというのが基本的態度でございます。
  385. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 前回も申しましたように、いまの核不拡散条約では核問題、核の軍事的な利用、もしくは武器としての使用というものに対して必ずしも十分な保護はされていないという判断、考え方を私ども持っておりますので、その意味でさらに一層核のそうした非平和的な利用に対して、使用に対してできるだけの保護をしていくといいますか保障措置を高めていくために、日本は原子力の平和利用に徹するということを主張しているわけですから、日本がひとつリーダーシップをとってその面で国際的な呼びかけをしていただく必要があるのではないかと思いますが、科学技術庁長官、その点についてのお考えを伺わしてください。
  386. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 仰せの点はもっともな御意見だと存じます。したがいまして、いままで原子力と申しますと何かおんぶだっこというのが日本の立場であったかもしれませんが、すでにして相当な年月を経まして、苦しい時期ではございますが、いろいろと関係者は努力して今日の日本の地位を築きつつある、私はかように存ずる次第でございます。したがいまして、特に日本は唯一の被爆国でございますから、この点をあらゆる機会に宣明しなくちゃなりません。われわれといたしましても、米ソに対しましてやはり速やかに核は廃絶すべしと、そのためには第一段階として軍縮をしなさい、あるいは生産を停止しなさいと、こういうことはしばしば申し上げておるわけでございます。そうしたことを言う以上はみずからもやはりそのことを誓わなければならないというので、もうすでに幾多の足かせ手かせをみずからはめたわけでありまするが、今年度夏私は原子力委員長といたしましても核不拡散をもう一度国民方々及び内外にそのことを訴えまして、そして核はあくまでもわれわれは両刃の剣であるということを忘れちゃいかぬ、だから一方においてはその不拡散をかたく誓い、同時に一方においてはよき面を伸ばして平和利用をなすべきである、こういうことを申しました。これはもう世界で初めて日本が言ったと思うんでございます。そうした意味で今回行われましたINFCEにおきましても日本の主張は多くの国々に本当に共感を呼んでおります。だから、さような面で今後われわれはその両立のもとに二つの問題を解決をしていきたい、あくまでも世界に対しましては核不拡散を主張し、国内においては安全と開発、これの両立を図っていくべきである、こういう決意でございます。
  387. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 宇野長官の格調の高い御答弁がありましたので、この辺で締めくくりたいんですけれども、最後に一つだけ伺っておきます。  たしか核防条約での期限が十二月の六日だったと思いますが、これで、その意味でこの原子炉規制法の修正改正案の成立がいま急がれているわけですが、この国会で成立した場合、その期限内に国内の法令の整備、その他さまざまな体制の整備というものはできるというふうにお考えでございましょうか。そのための準備は進んでいると考えてよろしゅうございますか。
  388. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 実施に移行する場合には、準備といたしまして大きく二つございます。一つは組織体制上の準備ということでございます。これにつきましては本年すでに原子力安全局に保障措置課というものが特設されまして、かつまた必要な査察員も、従来八名ございましたものが六名増加というようなぐあいに、人的体制も加えまして整備は進んでおります。  なお、御指摘のこの法令関係の整備でございますが、付帯します政令それから府令、これもあわせてその実施時期に合うように準備は進められつつあります。
  389. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 これで終わります。
  390. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 先刻の寺田君の質疑に対し、秘密保持について政府から統一見解に関する発言を求められております。この際、これを許します。牧村原子力安全局長
  391. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 「秘密保持の内容」につきまして、ただいまお配りしてございますが、先刻来るる保障措置制度に対する信頼性の問題での秘密保持の考え方等につきまして、このようにまとめましたので、お読みしつつ御説明をいたしたいと思います。  「国が法律に基づいて収集した情報であって、それを公開することが、保障措置制度の運営に支障を及ぼす恐れのあるもの」、ただいまわれわれが考えておりますのは、「(1)研究開発途上の技術等産業上、商業上の秘密」、(2)番目といたしまして、「核物質防護上の秘密」でございます。で、これらの情報を、秘密を保持することによりまして保障措置制度に対します内外の信頼性の確保を図れるということで、これは外国、IAEAに対しあるいは国際的な信頼に対しあるいは国内の保障措置制度に対する信頼に共通するものであると考えております。  それで、具体的な内容でございますが、指定機関に送り込まれます情報は大きく分けまして次のようなものが送られるわけでございます。1から3のような情報を法律に基づきまして国が施設者からとりまして、それを指定情報機関に渡すわけでございます。1が、「核物質の受入れ、払出しの状況」、これは量的なものあるいは形状、組成、品質的なものも含まれております。それから受け入れ、払い出しの時期、相手方等が記載されたものでございます。それから2番目は「核物質の保有量、保有場所」、これは工程中のどこにどういうものがあるというようなものが含まれたものでございます。それから3番目は、特に4番目の「不明物質量」を指定機関に解析評価させる予定になっておりますが、その際に必要な「計量技術」、これは計量の精度等が関連するものでございます。それから施設ごとの「設計情報」でございます。  以上、「これらの中に秘密を要する情報が含まれる可能性がある。」ということでございますが、一、二例示的に簡単に申し上げさせていただきたいと思います。  たとえば1につきましては、先般来余り秘密はないんではないかという御指摘もあったと思いますが、たとえば濃縮プラントを考えてみますと、入った量と出た量、しかもどのくらいの濃縮度のものが出てきたかということだけでもこのプラントの性能が判断されるということでございますが、これに設計情報あるいは計量技術が加わりますと、技術上の秘密にもなるわけでございます。それから、2の保有量、保有場所、これはこの保持したい核物質防護上の秘密にも通ずるものでございます。それから、設計状況あるいは不明瞭の解析に当たりましては製造技術につながるものが含まれるというふうに希えておるわけでございます。  以上、簡単でございますが、御説明を終わります。
  392. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 ただいま政府の方から秘密の内容につきまして御説明があったわけですけれども、時間が短いのでこれから御質問する点、ぜひひとつ簡にして要を得たように御答弁をお願いしたいと思います。  まず第一は、当初政府側の御答弁にありましたこういう秘密保持義務が保障措置協定に由来しているという点は、これはそうでないことは、現段階ではお認めになるんでしょうね。
  393. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) そのとおりでございます。
  394. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 保障措置制度の目的をよくお考えいただきたいと思うんですが、これは保障措置協定の第一条にもございますように、この保障措置協定を受諾しました目的は、「原子力活動に係るすべての原料物質及び特殊核分裂性物質につき、その物質が核兵器その他の核爆発装置に転用されていないことを確認することのみを目的として、」これを受諾したのだということになっておるのであります。それから第二条も同じように、「その物質」——これは核物質ですが、「その物質が核兵器その他の核爆発装置に転用されていないことを確認することのみを目的として、」この保障措置が適用されるように確保する権利義務を機関が持っているということの規定であります。したがって、このような「研究開発途上の技術等産業上、商業上の秘密」であるとか、あるいは「核物質防護上の秘密」であるとか、こういうふうなことに薄口をしてこれらを秘密にするのでなくして、国に要求されているのは、単にそれらの所在であるとか、量であるとかいうことを適確に把握して、そしてそれが軍事的用途に使われていないということを確認すれば足るわけなんですね。それ以上の何物もこの保障措置というものは要求しているわけではないので、したがって、この保障措置協定が要求していない、また保障措置制度そのものの目的にも別段添うものでないこの秘密保持義務というものをあえて刑罰をもってしてまで規定せんとしておられる、それはどういう趣旨に出るのでしょうかね。
  395. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) まことに申しわけございませんが、最後のところを、ちょっと、もう一度お繰り返しいただきたいと思います。
  396. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 時間がたつからね。  結局、保障措置協定は別段そうした秘密の保護を求めているわけではないのでね、それはもう次長、御確認になりました。それから、保障措置制度の目的というのは、要するに核の所在とか量とかいうものを的確に把握する、単にそれが軍事的用途に転用されていないということを確認することのみを目的とするものだというのであって、その目的からすれば、別段そんなにあえて刑罰をもって秘密をどうこうというような、そうした必要はないんじゃないか。なぜ、あえてそういう刑罰をもってしてまで国民を縛るような厳しい規定を置こうとしたのかということです。
  397. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 国家公務員並みの守秘義務を課する、期待するという趣旨でございます。
  398. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 ただ国家公務員の秘密と言いましても、これは役人が秘というものを押しただけでは秘密にはならないんです。それは、まず第一に非公然性がなくてはいけません、第二に、それは秘匿すべき、刑罰をもってしてもなおかつ秘匿を要するような必要がなきゃいけませんということが従来裁判例で出ているわけですね。ところが、従来政府は、原子力基本法の大原則である公開の原則によりまして、核物質を防護するということの最も必要な、つまり軍事的転用の危険性が最も強いのはプルトニウムですが、プルトニウムについてもどこに何グラムあるかというようなことを秘密にしていないわけですよね、従来その方針で。たとえば、ことしの九月二十二日に動燃の再処理工場が稼働しましたでしょう。そのときに、十一月初めにはそこにプルトニウムが九百何十グラムあるということをもう発表しているわけですわね。これは新聞紙上に出ているわけですよね。つまり公開の原則を政府は従来非常に守ってきて、そして一番転用の危険性のあるプルトニウムでも何グラムどこにあるかということを発表しておられるわけね。それが、にわかに、このときになりまして防護の秘密などと称してこの法律の規定を設けようとするのは、これは原子力基本法の公開の原則を踏みにじるものでもあります。なぜ、そんな必要があるんでしょう。
  399. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) ただいま先生がおっしゃいましたように、たとえば動燃再処理工場でプルトニウムがどれだけ出ましたということを発表をしておることは事実でございます。しかし、今回のお願いしております規定で法律に基づいて取った報告は、どの場所にどのくらいというものが施設ごとにわかるようになっております。したがいまして、その辺が全体で発表します場合とあるいは個々に本来秘密にしたいと思っておったものがぱっと出るのと非常に違うと思うんでございます。それで、核物質防護上から申し上げますとそういうようなことでございます。施設のどこにというようなことでございますので、そういう情報が含まれておるということでございます。
  400. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 この動燃の再処理工場でも、これはやっぱし工場の大体の構造というものは発表されていますからね。ですから、その中にあることは個々の事業体の中のプルトニウムの量ですから、かなり個別的なものでしょうね。しかも、構造が大体発表されておるので、もしも本当にそれを核ジャックをしようとするような者ならば、これは容易に実行に踏み切ることができると思うんですよ。ですから、一番大きなところを公表して公開の原則を守っておきながら、そのほかの小さなものについてはこれは秘密なんだということの矛盾ですよね、それがおかしくないか。しかも、それはいままで取りきたった公開の原則というものを結局無視するに等しいではないかということなんです。
  401. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) ただいま再処理工場のお話でございますが、動燃事業団のそういうような貯蔵庫につきまして、どこに——大体わかっております。しかし、現段階におきましてはそのPP上もございまして、詳細な、どういう設計になって、どういうふうに貯蔵してあるかということは必ずしも発表しておりません。しかし、安全上の構造とか、そういうのは発表しておりますけれども、そういうような状況になっております。また、単にこの、たとえばプルトニウムをとりますけれども場所によりまして非常に防護上安全な場合もあるわけです。しかし、それがある工程に移るときとか、あるいは次の需要者に輸送するとか、この辺のデータが受け払いのあれで出てくるわけで、この辺が場合によりまして非常に核物質防護上も問題になるというようなものが含まれるということにもなり得るわけでございます。
  402. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) ちょっと補足して説明さしていただきます。  先生指摘のとおり、NPTないしその保障措置協定上では、軍事利用の転用防止ということはまさに御指摘のとおりでございます。そのための方法といたしまして、先ほど読み上げました統一見解で申しました手段を講じます必要がございまして、かつ、これらの個別企業にわたります具体的な内容のそれぞれにつきましては、その場合には保護すべき情報というのも含まれている可能性もございますので、この法案において規定を設けたわけでございます。もちろんこれまでにも、核物質がたとえばどこにどのぐらいあって——どこにと申しますのは施設でございますけれども、施設においてどのぐらい保有しているかという保有状況については公表してきたわけでございますが、これについては従前どおり公表する予定でございます。
  403. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 核物質防護上の秘密ということをおっしゃるわけだけれども、これは発表すれば盗まれるという何か短絡的な発想がそこにあるわけですね。ちょうど私どもが、宝石店にはダイヤモンドがある、それから日本銀行にはお金が、お札がたくさんある、それは公然の秘密なんだけれども、何人も疑わないんだけれども、すぐそれが盗まれるということにはつながらないんで、この保障措置協定というものは結局その所在を国家が確認するということを求めて、それだけが目的なんで、そしてプルトニウムを盗まれないようにせよということを別段要求しているわけではない。だから、盗まれるおそれがあるから発表するなということを要求しているわけではない。すべて保障措置協定で要求していないものを何かあなた方の短絡的な発想で一生懸命に守ろう守ろうとしている。それはおかしいんじゃないかな、どうでしょうか。
  404. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 関連して。  いまの、この「核物質防護上の秘密」という点で、何か核ジャックというものをどこかで想定をして、そして必死になって秘密を要すると、保有量、保有場所について秘密を要するという言い方ですけれども、いま寺田先生からも話がありましたように、あるということはわかっているんです。したがって核ジャックを防止するという観点になってくると、これは警備上の問題でして、この保障協定に基づく明らかにするという趣旨とは全く異質の、次元の違う問題なんですね。この防護上核ジャックを防止するというのは。その点がごっちゃになっているんですよね、説明を聞いておりますと。一体この「防護上」という意味はどういう意味ですか、これ。そして下の「各施設ごとの」、「保有量、保有場所」、まあ1234とありますけれども、「これらの中に秘密を要する情報が含まれる可能性がある。」、「可能性」というのは一体何を指しているんですかね。そうなりますと、可能性という言い方になるとますます範囲が広がっていくんですよ。限定をされない。先ほど来論議をされておったのは、秘密保持の具体的な内容というものを限定せよということだったんですね。ところが、可能性なんていう言い方になってきたら、あらゆるものが可能性の中に含まれてくるんですよね。限定どころかますます範囲が広がったと。しかも、きわめて抽象的になったということなんでして、これじゃ秘密の内容の限定にはならないんですよね。これはまるっきり逆になったんじゃないですか。
  405. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 核物質防護ということでございますが、これにつきましては、たとえば国際原子力機関で核物質防護のための勧告というのが最近出ているわけでございますが、それにも核物質防護というものはどういう要件が要るかということをいろいろ書いているわけでございます。その中に不必要な情報の拡散はなるべく防止すべきであるということも一つ書いてございます。  それから、「具体的内容」で、この「可能性」の問題を先生おっしゃられましたが、実はこれはここに書いてございます「各施設ごとの」1234というのが、これがすべて上で申します1の「研究開発途上の技術等産業上、商業上の秘密」とか、「核物質防護上の秘密」とかに核当するという意味ではございませんで、この中に核当するものが入っていると、こういう趣旨で響いたわけでございますので、御了解願えればと思うのですが。
  406. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 いま課長のおっしゃった不必要な情報はなるべく出すなという、それがこの原子力の平和利用ということをうんと促進しろということになりますと、この「具体的内容」の4に不明物質などの量とありますね、これも秘密が含まれる可能性があると言うんですが、できるだけどこに何が、濃縮ウランが何グラムありましたと、それがいまは何グラムに減っちゃって、どうも不明なものが何グラムありますと、それはおかしいと、それが軍事的用途に転用される危険性がないことを確認するという、この協定の趣旨から申しますと、できるだけそれを発表して国民の前に示して、それをみんなで公開の場で討論するようなこと、公明な態度こそそれが軍事的な転用の危険というものを防止するゆえんなんで、ますます隠しちゃったら、一層それが秘密にどこかに流れたり、あるいは軍事的な転用をされるおそれがあるということになるのじゃないでしょうかね。  それからもう一つは、平和利用に関する情報というものはできるだけこれを勧奨する、勧めるということが国際原子力憲章の中にうたわれているわけですね。国際原子力憲章の条項を見ますと、これは一国は他国に有益な情報を与える、ときには施設も与えると、そして原子力の平和的な研究開発というものを奨励していく、それからIAEAはそれを手助けをする、それをまた勧奨していくと。だから、そういう原子力機関憲章の条項にかんがみますと、情報を秘密にしようとすることの方がむしろ逆行した態度なんで、軍事的なものはそれは軍事国家としては秘密にするでしょうが、平和利用の立場に立てば、できるだけその平和利用研究開発のためにはかえって公表すべきなんですよね、どうでしょうか。
  407. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 日本国政府とIAEAとの間におきますこの協定の実施に関しましても、六条の末項にあります、その得られた情報に関する公表につきましては、日本国政府の同意を求め、かつまた、理事会の決定に基づいてこれを公表すると、ただし、それもその概要についての扱いであると、こういうふうに規定してありまして、その具体的扱いは、協定発効後の今後の問題ということでわれわれもそういう点は十分検討して対処していきたいというふうに考えております。
  408. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 また第六条に戻ったんですが、次長の大好きな第六条に。この第六条を云々されるからまたもめたんで、第六条は機関の秘密遵守の規定で、日本国政府に課せられたものでないということは、あなたはお認めになったわけでしょう。だから、機関がどうしようと、この日本国政府の態度を云々することはできないわけですよ。日本国政府に課せられた義務の履行ならば、次長がおっしゃったようにわれわれも受けましょう。しかし、機関に対して課せられた義務で、そしてそれをわれわれの態度というふうに合理化することは許されないわけでしょう。だから、あなた方の御主張はそういうふうにすべて矛盾があります。  それからもう一つお尋ねしたいことは、原子力委員会委員ですね、これはずいぶんいろんな高度の秘密を持つと思うんですが、いかがですか。
  409. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) おっしゃるとおりだと思います。
  410. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 高度の秘密を業務上知り得る原子力委員は、当然秘密を守る義務を法御上課せられておるわけですね。課せられておるけれども罰則はないんですよ。だからつまり、指定情報機関などよりもはるかに高度な秘密を知り得る原子力委員に対しても刑罰をもって臨んでいないんですよ、法律は。それよりなおかつ下の秘密しか知り得ない非常に限られた——まああなた方のおっしゃることを是認しても、非常に限られた部門の秘密しか持たない指定情報処理機関の役職員に対してはかなり重い、国家公務員以上の刑罰をもって臨むと。その不均衡はどういうふうに御説明になりますか。
  411. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 一連詳しく調べたわけでございませんが、特別職については一般に罰則はついていないということでございますが、なお、先ほど申しましたように、私どもとしての罰則規定につきましては国家公務員並みの措置をしたいということで罰則をつけておるわけでございます。
  412. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 それは説明にならぬでしょう。だからつまり、特別職であろうと何であろうと、高度な秘密を持っておる者が罰則はないと。それじゃこれはどうでしょう。IAEAの職員も秘密の保持の義務があるんですね。これは憲章にあります。しかし罰則はないでしょう。いかがですか。
  413. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 別途職員の職務規程というのがございまして、そこに罰則が一連書いてございます。
  414. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 じゃ、どういう罰則ですか。言ってごらんなさい。
  415. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) IAEAの職員規則でございますが、IAEAの職員規則によりますと、IAEAの職員規則一の〇六という項目でございますが、IAEAの職員については「守秘義務をもっとともに、個人の利益に利用することを禁ずる。」と書いていてございます。そして同じくIAEAの職員ルール、SRの一一の〇一という項目がございますが、ここに「事務局長は職員を退職させ得る。」と、それから同じく職員ルール、SRの一一の〇一の一というところでございますが、ここに処分内容といたしまして次のものができると書いてございまして、一番が「文書による責譴」、二番が「無給の停職」、三番が「降等」でございますが、それから四番が「解雇」というようなものがございます。
  416. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 ですから、私がお話ししているのは、刑罰をもって臨んでいるようなものはないでしょうと申し上げたんですよ。つまり、本件の場合でも、もしも指定情報処理機関がけしからぬことをしましたら国は委託契約を解除すればいいので、また、その職員が就業規則に違反するようなことがあれば、いま課長のおっしゃったように解雇すればいいので、刑罰をもって臨むような必要はないんじゃないかということをお尋ねしたわけです。つまり、非常に高度な義務を課せられているいろいろな職が原子力の分野にはございます。しかし、それらはいずれも刑罰をもって臨まれていないわけですよ。この指定情報処理機関だけ何でこんなに厳しい刑罰でもって臨んだか、それははなはだしい、つまり均衡を失した不当な立法ではないかというのが私のお尋ねなんです。不均衡なことは認められますか。まず、その均衡、不均衡についてお答えください。
  417. 佐藤兼二

    政府委員佐藤兼二君) 先ほど申しましたように、私どもが直接やる場合と、それからそれを受託先に委託した場合、その受託されたところの職員がやる場合と、全く国が得た情報に関する取り扱いに関する責務としては同等であると、格差がないということで、先ほど申しましたように公務員法並みの措置をしてあるということを申し上げておるわけであります。
  418. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 これはもう全然納得できないですよ、その答弁は。いいですか。IAEAの職員に対する処罰というのは国家機関が科する刑事罰ではないですよ。それは私が、皆さんが説明に参ったときに、政府と委託業者との間に契約を結んで、その契約を結ぶ際に、もし秘密を漏らした職員が出たならば、いまそこに書かれておるような職務規程とか業務規程の中で行政処分に付するようなそういう規則を盛れば十分に足りるではないかということを申し上げたんですよ。だから、いまここで提案をされておるような刑事罰とIAEAの内部制裁としての行政措置とは全然異質のものですよね。それを混同して、IAEAの職員についてもこういう罰則規定があります、それはまさに行政処分ですよ。刑事処分ではないですよ。しかも、国家が科するものではない。それはあくまでもその機関でしょう。ですから、今度の場合には、委託したら、その委託機関機関として採用しておる自己の職員に対する行政処分を課するというなら、それは均衡のとれた同次元の処分規定になるんですよ。全然違うんですよ、その点は。答弁になってないでしょう、それは。
  419. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) IAEAは、先生御承知のとおり国際機関でございまして、国際機関の場合には、国際機関の性質上刑罰規定というのはないというふうに聞いております。
  420. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 刑事処分でないでしょう。いいですか。機関性格が国際機関ぐらいのことはわかっておりますよ。しかし、皆さんがそこまでおっしゃって、どうしても刑事罰を科することを必要だとするならば、国際機関であっても国籍を持っておるんですから、その国籍を有する国家が、そうであるならば、必要とするならば、なぜその国の法律の中でその処分を検討しないかということなんですよ。必要がないからやらないんですよ、それを。しかも、先ほど来何回も皆さん方が当初から説明をされているように、IAEAがこの協定を結ぶに当たって、日本の国内法の中で刑事罰を科さなきゃならぬという、そういう拘束は一切ない、関係ないということを繰り返しおっしゃっているわけでしょう。ところが、最後になるとまたIAEAの信用とかいろんなことでまたそこへ返っていって、ここに出された、せっかく文章化して出されたものとまた違ったものが説明としてはね返ってくるんですよ。何のためにこれ限定するということで出されたのか、全然違う。ますます拡大をされる。可能性なんという言葉はますますあれですよ、可能性というのはだれが判断するんですか。判断の主体はだれです、これは。いかようにでも解釈できるんですね。そういうことを私は指摘をして、それに対する何かあったら答えてください。それだけ答えてください、それで質問やめますから。
  421. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 非常にこう答弁聞いておりまして、IAEAのときの答弁をしておったわけですから、ここに書いておりますとおり、これが日本国政府が今回法律案を出さしていただいた統一見解でございます。そういうふうに御解釈賜りたい。IAEAの話はIAEA、なるほど比べていただけば、国際機関とそして国内機関とは差があるのは当然でありましょう。だから、それを混同していろいろおっしゃいますと、気の弱い役人はぐらぐらしますから、私からひとつその点を申し上げますので、よろしく御了解のほどをお願いいたします。
  422. 寺田熊雄

    寺田熊雄君 たくさんあるんですが、時間ですからこれでやめます。
  423. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それでは最後に確認をしておきたいのでありますが、六十一条の十八の秘密保持義務における「情報処理業務に関して知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」、これはこの職員が、あるいはかつて職員であった者が知ることのできたすべての情報が秘密ということではないと、これは間違いないですね。
  424. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 先生のおっしゃったとおりでございます。
  425. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そこで、ここにある一つの情報がある。これが秘密である、これは秘密でない。秘密の情報をもし漏らしたとすればこの罰則が適用されるわけですが、これが秘密であるか秘密でないかという判定をするのは、これはだれになりますか。まあこれは一応の場合と再応の場合とあると思うんです。一応の場合はやはり科学技術庁が判断をすると、そしてそこの職員を指導するんではないかと、そのように判断してよろしいでしょうか。
  426. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、一番初めは科学技術庁でございますが、最終的には裁判所が判断することになると思います。
  427. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 もちろん、最終的にこれが係争になっていけば裁判所が判断するわけでありますが……。まあ、したがって、秘密というものは、やはり原子力基本法の公開の精神、あるいは国民から見てわかりやすくするためにも、やはり秘密にするだけの客観的な、また合理的な、ある程度国民のコンセンサスを縛られるものでなければならない、私はそのように思うわけでありますが、この点、秘密の範囲を決めるのは長官でございます、最終的には。御意見承っておきたいと思います。
  428. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 統一見解で、原則と具体的な内容を明らかにいたしました。そして、具体的な内容の中においては、この中で秘密を要する情報が含まれる可能性ありと、こう書きましたので、いまおっしゃるとおり、われわれといたしましては極力公開の原則というものを尊重しながら、そうして国家にとって何が秘密であったかということは、極力この中で具体的にさらに詰めて、そしてそのことを指定機関の職員に十分伝えるつもりでございます。そして、そうしたことが、一般的にながめていただきましても、この原則に何か反しておるようなことであったり、あるいはそこまでしなくてもいいじゃないかというふうな問題もございましょうが、そうした点におきましても、私は指定機関の役員あるいは職員のそうした行動を本当に必要以上に拘束することのないように考えていきたいと、かように存じております。
  429. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そういうような趣旨で往々にして都合の悪い情報を今日まで秘密という名のもとに国民の目から遠ざけるような例が多々あったわけでありますが、そういうことのないように政府努力をしていただきたい。必要最小限度にしていただきたい。私たちもいまいただきました、いま発表のありました秘密保持の必要性のある具体的な内容についても一つ一つ検討してみれば、まあ現在のいきさつから考えて大半が、もうほとんどすべて秘密にすべきものは現在のところはないと。将来、プルトニウムが、粉末のプルトニウム等ができるとか、そういうような場合になれば、あるいはそういうのも出てくる可能性は十分考えられるわけですよね。現在のところはそういう秘密にすべきようなものはほとんどない。したがって、必要以上なひとつ秘密をつくらないように、その点を強く要望しておきます。  それから最後に、当然政府は指定情報処理機関に委託をして、そしてわが国の核物質、核原料、核燃料の査察をしたその結果を政府の責任のもとにおいて当然国民PRをしていく責任があると思うんですね。したがって、今後政府としてはどういう形で国民PRをしようと考えているのか。私の意見としては、国民が安心してわが国の自主査察による体制は本当に安心だと、こう言えるようにやっていただきたい、このことを要望しておきます。これはどういう形で発表するのかということについて局長さんの答弁をいただき、最後に長官の決意を伺って、質問を終わります。
  430. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) ただいままでも保障措置の結果と申しますか、わが国核燃料の保有量等については発表しておったところでございますが、この新しい体制のもとへ移行するに当たりまして、ただいま先生がおっしゃられたように、国として可能な限りの情報を発表いたしまして、国民の不信感につながらないように、御理解をいただけるような線で公表に努力したいと考えます。
  431. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 原子力行政はあくまで私は基本法に示されております自主、公開、民主ということを基本として推し進めていきたいと存じます。特に秘密事項等々の重要な問題もこうした法律の中に加わったわけでございますので、それによっていやしくも原子力行政が暗い印象の行政だというふうなことはこれはもう極力私といたしましては避け、なおかつ未然に防止をしなくちゃならない。あくまでも将来のエネルギーのことを考えましたとき、原子力行政を国民とともどもに理解し合って、そしてお互いにむしろ激励し合って進み得るような行政に持っていきたい、そういう決意でございます。したがいまして、いろんなデータに関しましても今後は極力国民の目の前で判断を仰ぐようにいたしたい、かように存じております。     —————————————
  432. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 委員異動について御報告いたします。  本日、栗原俊夫君が委員を辞任され、その補欠として穐山篤君が委員に選任されました。     —————————————
  433. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私ども共産党のこの問題についての基本的見解は、いままでの何回かの質疑の中で触れてきましたように、核物質の情報処理ないしは計量管理というそういう仕事、その中には立入査察という方法によって核物質のサンプルを収去をして、それの分析を行う、核種分析といったような非常に重要な内容も含まれておるこれらの仕事を、民間機関に委託をするというそのこと自体が適切ではないという、こういう一つの基本的な考え方を持っておるわけです。そういう上で、しかも委託をする民間機関関係者に刑事罰を含む秘密保持義務を課するということは、言うなら二重の誤りであるという見解を持っておるということですけれども、そういうことを前提に置いた上で、この秘密保持の問題について私も少し質問をしておきたいと思うんですが、最初にちょっとごく、何といいますか、部分的といいますか、文体上の質問ですけれど、ひとつちょっと意味の内容ですが、1「原則」のところの2「核物質防護上の秘密」というこの「防護」の意味は、先ほど来出ております協定またそれに伴う今回の法案、これが核物質の軍事転用防止を唯一の目的とするというこの核物質の軍事転用防止ないしは核拡散防止、これと同じ意味なのか、別の意味が加わって法案にはあんまり出てこない防護上という言葉が新しく出てきてますので、何か新しい意味が加わっているのかということをひとつ。  それから2の「具体的内容」のところの3の「計量技術、設計情報」と書いていますが、これは計量管理の仕事を行っていく技術についての情報及び計量管理を行う機器についての設計の情報、こういう意味なのか、情報が後にかかっているのか、ちょっとそこらのところ。  それから「不明物質量」、こう書いていますけれども、これはいわば不明となった物質量という意味かという、ちょっと細かいことですけれども、それをお聞きしておきたい。  それから——それだけちょっと聞かせていただきたい。
  434. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 先生の一番初めの御質問の「核物質防護」という意味でございますが、ここで使っておりますのは核物質、先生がおっしゃいましたいわゆる核不拡散と核拡散防止という意味とは違います。核拡散防止つまりその軍事転用防止というのは通常核不拡散とか、保障措置とか申しておりますが、この「核物質防護」と申しますのは核物質が不法な用途に転用されないというためのいろいろなハードウエアについての措置をとるということでございます。御説明が余りうまくいかないと思いますが。  それから——ちょっと後で補足させていただきます。  それから第二点でございますが、「計量技術、設計情報」、この読み方でございますが、「計量技術」と申しますのは、先生おっしゃいましたように、核物質を計量するための種々の技術でございます。計量管理規定という中に入ってくる計量技術でございます。それから「設計情報」と申しますのは確かに計量管理のために用います、測定のために用います機器に関する情報も入ってまいりますが、それと同時に、施設全体についての、たとえば配置の問題と、どういつだ機器がどこに配置されているかというような情報というのもこの設計情報の中には入ってございます。それから三番目に、「不明物質量」ということでございますが、これにつきましては、何と申しましょうか、核物質が完全に行方不明になったという意味ではございませんで、言葉の定義といたしましては、これは帳簿上の在庫量というのがあるわけでございますが、それと実際に測定してみたときの在庫量というのとが差があることがございます。その差を不明物質量と申しております。なお、この不明物質量の中身が何かということでございますが、これにはいろいろな可能性がございまして、一つは確かに、もしも悪い意味で転用しようと思う場合には、不明物質量の中にその転用された物というのは入ってくる可能性はございます。ただし、通常の場合に不明物質量があると申しましたのは、そういうものではございませんで、核物質の場合には、これは測定をしないと一体この物の中にウランが何キログラムあるかというのがわからないわけでございまして、測定をして、その測定の結果在庫量が幾らあるというのがわかるわけでございますが、そのときに測定の精度、誤差と申しましょうか、当然測定技術についてまいります誤差プラス・マイナス幾らというのが入ってまいります。そういうものも不明物質量の一部でございます。
  435. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 第一点の質問の「防護上」の意味が、何か漠としたこの概念が拡大をしてどうもよくわからぬのですけれども。  さらに次の質問ですが、この全体の文章、1「原則」、2「具体的内容」と、こうなっていますが、1「原則」というのは、いわば秘密保持の内容の、何といいますか、基本的考え方というのか理念を書いたものではないかというふうに思うんですが、ここにあんまりあれやこれや書き過ぎるから議論を一層混乱を呼んでおる、あなた方が委員の側じゃないんですから。ここ最初の二行だけにとどめて、あとの四行を削ってしまう、こういうことになると政府側の提示に重大な狂いが起こるのか、強いて言えば二行目のまくら言葉に、それを公開することがこの核物質の軍事転用防止を目的とすると、こう入れてもいいですし、法に定めると入れてもいいんですが、要するに三行目以下こんな要らぬことが出てくることから混乱をする。  それから、二番目の「具体的内容」のさっき吉田委員指摘になっていた「可能性」云々という、こういう表現が出てくるんですけども、この1234、これで終わりと、こうしたらあなた方の提案に重大な狂いが起こるということなのかどうか、私の意見ありますよ、ありますけど、まずそこをお聞きしたい。
  436. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先ほども大臣が御説明いたしましたように、これが私ども見解でございます。
  437. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私の質問、狂いが起こるのかという、狂いが起こるという意味ですね、私、質問したんです。私が言ったように、要らざる理解の混乱を生む部分は全部削ってしまうと、1の「原則」のところは上の二行だけ、それから2の「具体的内容」は4のところで、もうそこでとどめる、終わりと、こうしたら政府提案に重大な狂いが起こるのかと。
  438. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) ただいままでのいろいろな御意見にこたえましてつくられたものでございますので、これをただいま先生が御指摘したように取ってしまうということになりますと、またこれでは何が何だかわからないというふうな御意見を賜ろうかと思いまして、大変失礼な言い方かもしれませんけれども、これが私ども見解でございます。
  439. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 できるだけこういう秘密保持の内容は何かということについては簡明にしておいた方がいいんですよ。要らぬことをごたごた書くとよけい混乱をするということで私は言っているんですけれども、もう最後の質問ですが、「具体的内容」の3の「計量技術、設計情報」、こういうものはまさしく原子力研究の公開制の問題と、あなた方が言っている秘密保持の非常にきわどい接点になるわけですね。私は、核物質の計量の技術の問題とか、あるいはそれを測定をする機器の設計に関する知識情報、こういうのは核拡散防止、核物質の軍事転用防止、これを本当にしっかり進めていこうと思えば、そういうものはどんどん公開をして、もっとこういう技術にした方がよろしい、こういう測定機器にした方がよろしいという内外の意見を求めて、どんどんそれを精緻なものにして有効かつ厳格な管理が行われるようにしていくということがむしろ必要ではないかと思うんですが、その点の見解を最後に尋ねて終わります。
  440. 栗原弘善

    説明員栗原弘善君) 3の「計量技術、設計情報」ということでございますが、これはたとえば各施設における分析測定の技術上のレベルの問題が入ってまいります。こういうものにつきましては、これに対しましては品質管理能力とか品質自体というものが推定が可能でございまして、これについては未公開のノーハウというものが入る可能性があるということから、私どもとしては計量技術、設計情報も一応「具体的内容」の中に入れたわけでございます。
  441. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 速記を中止してください。   〔午後七時二分速記中止〕   〔午後七時四十二分速記開始〕
  442. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 速記を起こしてください。  ほかに御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  443. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  444. 森下昭司

    森下昭司君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題に供されました日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案に対し、原案に反対の意を表明し、討論を行うものであります。  去る昭和四十九年、原子力船むつ」の出力試験に失敗し、その際結ばれたいわゆる四者協定が履行されていないのであります。「むつ」の強行出港、放射能漏れによる事故が起き、国民政府の原子力行政に不信を呼んだことは否定できません。にもかかわらず、その際の協定すら実施されないことは、さらに不信に輪をかけていることは遺憾なことであります。新定係港を六ヵ月以内に決めると言いながら、いつしか修理港の要請へと方向の転換をし、その修理港さえ決定できず、欠陥船「むつ」は定係港で野ざらしになっているのであります。しかも、搭載されておりまする原子炉は、現在の技術からして、修理して果たして機能を完全に回復することが可能かどうか、明確な保証はありません。実用船としての将来を見ると、一九八〇年代後半に原子力船時代が到来するものと言われているものの、時期を明言できる者はいないのであります。いわば期待感であるのであります。現に「むつ」の原子炉は、たとえ修理しても、旧型となり、その目的を達したとは言えないと思われるので、原子力船むつ」は廃船にすべきだと私どもは考えているのであります。  また、政府提案の原案を修正した実質三年延長も、修理港での「むつ」の修理期限を明確にしたものでなく、「廃止するものとする。」との規定で、とりあえず最小限の期限を定めたものであり、事業団法の目的に沿ったものではないのであります。また、日本原子力船開発事業団が設立された当時は技術陣の充実などに万全でないにもかかわらず、技術的能力があり、かつ、原子炉の運転を遂行するに足る技術的能力があると判断をいたしまして原子炉設置を認めた政府の責任は免れることができ得ない事実であります。  以上の理由で私どもは反対の意を表明するものであります。
  445. 藤川一秋

    ○藤川一秋君 私は、自由民主党を代表して、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案に賛成討論をいたすものであります。  その理由を簡単に申し述べます。  資源小国たるわが国が、将来にわたってエネルギーの安定確保を図るため、エネルギー源の多様化を図ることは国家的課題となっており、原子力開発利用の推進はきわめて重要となっております。その一環として原子力船開発を推進することは、わが国にとってエネルギー対策のみならず、造船、海運の観点からもきわめて重要となっておるのであります。  世界の先進諸国においては、昭和三十四年世界最初の原子力船「レーニン号」が就航して以来、相次いで原子力船が建造され、運航の実績が積み重ねられております。原子力船の実用化時代が昭和六十年代に到来するとの見通しのもとに、着実に研究開発を推進しております。  世界の造船・海運界の主導的立場にあるわが国としても、将来の原子力船実用化時代に備え、昭和三十八年日本原子力船開発事業団を設立し、自主技術による原子力船むつ」の開発を進めてまいりましたが、昭和四十九年秋「むつ」の出力上昇試験中における放射線漏れのため、一時停滞のやむなきに至っております。  近年、エネルギー危機が強く叫ばれ、船舶用エネルギーの多様化の一環として原子力船への期待がますます強まっております。かかる状況において、わが国としても早期に先進諸国との技術格差を克服し、原子力船建造、運航の技術基盤を確立すべく格段の努力が必要となっており、原子力船開発を強力に推進することが緊急の課題となっております。  「むつ」の開発については、放射線漏れ以降、学識経験者等より成る委員会において検討が行われ、適切な改善によって所期の目的を十分達成し得るとの結論が提出されております。  わが国としては、これらの貴重な経験を今後に生かしつつ、引き続き日本原子力船開発事業団を中核として原子力船開発に当たり、原子力船建造の経験を得るとともに、原子力船安全性、信頼性を確保するための技術を蓄積することが重要と考えられます。  以上の立場から、わが党は衆議院における本改正法案の修正の趣旨が、日本原子力船開発事業団が原子力船についての研究開発機関に移行するための必要な措置であることに留意し、本改正法案に対して賛成するものであります。
  446. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。  本事業団法は、本来、原子力船むつ」が完成するための期間を推定して、昭和三十八年時限立法として立法されたものであります。その後、計画がおくれ、昭和四十六年に五年間延長しましたが、原子力船むつ」の放射線漏れ事故を起こし、政府の計画はさらに大幅におくれ、ここに再々延長をしようというものであります。  今日までの政府の原子力行政は場当たり的であり、政府の方から提案して、地方自治体等と結んだ約束も守らず、国民の大きな不信を招き、一方、最も重要な安全に対する甘い取り組みから、「むつ」をめぐるトラブルを惹起しました。まさに「むつ」をめぐる事故は起こるべくして起こったものであることは、「むつ放射線漏れ問題調査委員会、いわゆる大山委員会の報告書が詳細に指摘しているとおりであります。このような原子力行政の本質的な欠陥を改めることなく、再々延長しようとする本法律案にはとうてい賛成しがたいことを明言いたします。  その理由の第一は、今日までの経過が示すように、時限立法という不安定な状況では、そこで働く研究者の身分が安定せず、すぐれた人材がじっくりと研究に専念できる体制でないからであります。  第二に、原子力船開発のために必要な基礎的研究等を一歩一歩積み上げていく体制ができていないからであります。石油の枯渇が叫ばれている現在、先進工業国であり、海運国、造船国のわが国が舶用炉等の研究開発をおろそかにすることは、無責任のそしりを免れないと思います。衆議院において修正がなされた趣旨、また本委員会の審議の過程を踏まえ、原子力船事業団を原子力船研究所に本質的に生まれ変わるよう、政府の一段の御努力を強く要望して反対討論を終わります。
  447. 三治重信

    三治重信君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となりました日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案に賛成の討論をいたすものであります。  資源の乏しいわが国にとってエネルギー問題は緊要の課題であり、特に遠からずやってくるエネルギー危機にいまから対処するため、一刻も早く原子力の現実的な開発を進めていかなければならないと考えています。  一方、四面を海に囲まれ、資源のほとんどを海外に依存しているわが国において、船舶が国の繁栄と国の存立にとって必要不可欠であることは申すまでもございません。省資源時代への対応が迫られている現在、石油を大量に消費する船舶が原子力船へと移行せざるを得ないことは、時代の必然であると言わざるを得ません。原子力船が船舶用エネルギーの多様化に貢献するところは大であり、その開発は国のセキュリティー上きわめて重要となっております。かかる状況を踏まえるとき、原子力船研究開発を強力に推進することが必要であると確信いたします。  安全性の確保を前提として原子力開発利用を推進すべきであるとの立場に立っておりますわが民社党といたしましては、以上述べました観点から、研究法案の早期成立を前提といたしまして、本改正法案に賛成するものであります。  以上で討論を終わります。
  448. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、原子力船開発事業団法の今後三年延長を内容とする一部改正案に反対の討論を行います。  本案の審議で明らかになったことは、三年延長の間に政府は遮蔽改修を行い、その後は事業団の実態をそのままにして名前だけ研究所に衣がえし、「むつ」運航の既定方針を貫くということであります。しかし、「むつ」の欠陥性は、政府の「むつ放射線漏れ問題調査委員会、いわゆる大山委員会も指摘しているように、単なる遮蔽設計の初歩的ミスだけではなく、「むつ」全体に及んでいる疑いがきわめて強いものであります。したがって、さきに原子力船むつ」問題研究会の三宅泰雄日本学術会議原子力特別委員委員長など学者グループが指摘しておられるように、改修以前に「むつ」の総点検を行うことは、「むつ」の欠陥性を全面的に明らかにする上で不可欠であります。にもかかわらず、「むつ」の総点検なしに遮蔽改修だけを急ぐ政府のやり方は、「むつ」の欠陥性を取り除く保証はなく、結果として「むつ」の欠陥隠しになり、国民を斯くものであります。これが第一の、反対理由であります。  第二に、本法案は、事業団を研究所に切りかえることを前提としていますが、これは単なる看板のかけかえにすぎず、現状では欠陥隠しの固定化にならざるを得ないものであります。政府研究所に切りかえるねらいは、世論の糾弾で不可能となった事業団の十一年延長案を、装いを新たに小出しにして復活させたものにほかなりません。もともと研究設置に当たっては、学者、研究者の検討に基づくのが通例であり、当然のことですが、今度の研究所構想は、学者、研究者の検討さえ得ていないもので、その内容、手続においてきわめて重大な問題を持っているものであります。  第三に重要なことは、「むつ」問題が欠陥原子力船を書面審査だけで安全と判定した安全審査体制のあり方、寄り合い世帯の事業団方式による無責任な開発体制など、わが国の原子力行政の根本的な欠陥を示しているにもかかわらず、その後の政府の対応策はここから何の教訓も引き出さず、国民の原子力行政への不信を一層増幅していることであります。  また、政府は、四者協定で青森県民に母港撤去をみずから約束しましたが、これを何ら実行しませんでした。しかも、参考人質疑で明らかにされたように、政府は、四者協定の地元関係者にその実行スケジュールを示し、あたかも誠意を持って事の処理に当たっているかのように見せかけることさえ行ったのであります。  以上述べたように、「むつ」問題は、日本の原子力行政の根本にかかわる問題を持ち、将来に重大な問題を投げかけるものであります。また、「むつ」自身の今後についても、欠陥原子炉をつくった三菱原子力工業の企業責任問題、あるいは原子力商船時代がやってくると鳴り物入りで宣伝して原子力船開発方針を決めた原子力委員会の責任問題など、「むつ」建造の全過程についても究明されなければならない問題は山積しております。これらの内容を明らかにしないまま、いたずらに改修を急ぐことは、日本の原子力行政に重大な困難と混乱を現に持ち込んでおり、また、将来に重大な禍根を残すことにならざるを得ません。  日本共産党は、政府みずからが約束した四者協定を完全履行すること、また、国が責任を持って職員の身分の保障を行うこととあわせて、「むつ」問題の処理を初め、原子力船開発研究のあり方についても、造船技術者を初め、原子力船に携わる専門家、学者、研究者、漁業・水産関係者の意見と英知を結集する審議会を速やかに設置し、全面的な再検討を行い、一日も早く「むつ」問題の解決を図ることを強く要求するものであります。こうすることこそが「むつ」問題の解決の早道であり、国民の期待に沿うものであります。  以上の点を強く指摘し、私の反対討論を終わります。
  449. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 私は、新自由クラブを代表して、ただいま議題となりました日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案に賛成の討論をいたすものであります。  わが国原子力船開発については、昭和四十九年九月に発生した「むつ」の放射線漏れのため一時停滞のやむなきに至っており、「むつ」は原子炉を停止したまま、大湊港の岸壁に係留されております。  原子力船は、将来のエネルギー危機の時代に備えて新しい船舶用エネルギーを開発しなければならないという時代的要請にこたえるものとして、その実用化が強く期待されているものであり、諸外国においても米国、ソ連、西独、英国、フランスなどその開発に努めているところであります。  このような状況において、世界をリードする造船・海運国であるわが国が、このまま原子力船開発を停滞させ、各国におくれをとることになれば、後世に大きな悔いを残すこととなりかねないのであります。したがって、わが国としては、このような事態を踏まえ、長期的展望に立脚し、原子力船開発を積極的に推進することが急務であります。  以上の立場から、わが新自由クラブといたしましては、日本原子力船開発事業団が原子力船についての研究開発機関に移行するために必要な当面の措置として本改正法案に対し賛成するものでありますが、原子力船研究開発を実効あらしめるためには、何よりも政府の原子力行政のしっかりした姿勢と官民の緊密な協力が必要と考えられますので、政府及び関係者においては、この趣旨にのっとり一層の努力をされることを希望いたします。  以上で賛成討論を終わります。
  450. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) ほかに御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  451. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————
  452. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 次に、核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案について吉田君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。  この際、本修正案を議題といたします。吉田君から修正案の趣旨説明を願います。吉田君。
  453. 吉田正雄

    ○吉田正雄君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  修正内容は、改正規定中第六十一条の十八の秘密保持義務の規定と、同条にかかわる罰則規定(第七十八条の二)を削除しようとするものであります。  修正理由は、第一に、本改正案が核防保障措置協定の実施法という性格からすれば、指定情報処理機関の役職員の秘密保持義務は、協定によるも何ら義務づけられたものではないこと。  第二に、指定情報処理機関の扱う情報は、原子力基本法の民主、自主、公開の基本方針並びにこれに基づき政府が従来とってきた処理方針に照らしても、とうてい秘密に属する内容性格のものとは考えられないこと。  第三に、核物質の軍事的目的への転用を防止せんとする核兵器不拡散条約及び核防保障措置協定の目的よりすれば、核物質の所在や量を秘匿することはかえってこの目的の達成にとって有害であること。  第四に、原子力委員会委員にも守秘義務はあるが、罰則はないこと。まして、指定情報処理機関の役職員を在職中及び退職後にわたって罰則をもって担保された守秘義務によって拘束しようとすることは、憲法で保障された基本的人権の侵害にもつながり適当でないこと。  以上、修正案の提案理由の説明でありますが、よろしく御賛同のほどお願い申し上げます。
  454. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  455. 森下昭司

    森下昭司君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題に供されました核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案の原案に反対し、日本社会党提出の修正案に賛成の意を表明し、討論を行うものであります。  衆議院の修正の前提になりましたものは、米国のカーター政権の核不拡散の政策によって日米間の交渉が行われました結果、使用済み核燃料の再処理事業について問題が提起をきれ、東海村再処理事業についての規制及びプルトニウム転換工場の建設の見送りなどから民間再処理事業の困難さなどから修正されたものであります。その限りにおきましては問題はないのでありますが、本改正案の情報処理業務を国際協定に基づく保障措置の実施に伴い情報処理業者に委託し、行わせようとしているのであります。本来、国際協定に基づくものであり、核の平和利用に徹する立場からも政府、行政機関で直接担当するのが妥当だと思うのであります。しかも、業務委託を行う団体として財団法人核物質管理センターが予定されているようでありますが、同センターの会長は駒井日立製作所取締役会長であり、理事六名のうち、新関、向坊両原子力委員、村田日本原子力研究所副理事長、瀬川動燃事業団副理事長、宇田電気事業連合会常任理事であり、査察を受ける施設の関係者が役員のほとんどを占めているのであり、委託をするには妥当性を欠くと言わざるを得ないのであります。  さらに、わが党が修正案を提出いたしました理由は先ほど述べたとおりでありますが、特に秘密保持義務を公務員にあらざる者に対し刑罰を含め課することは過酷に失するものであります。国際原子力機関IAEAの職員でさえも行政罰のみであり、刑事罰が科せられていないことも明らかであります。秘密とは一体何を指すのか、今日の委員審議を通じましても具体的に何ら明らかにされていないのであります。法が成立をすれば拡大解釈をされることは戦前の治安維持法のとおり、あるいは最近の刑法改正に見られまするように、暴力団しか適用しないと国会で約束をしながら、学生運動や労働運動の弾圧に利用されました凶器準備集合罪に見られるように明らかであります。したがって、私どもはこのような理由によりまして社会党修正案に賛成し、原案に反対をする次第であります。
  456. 亀井久興

    ○亀井久興君 私は、自由民主党を代表して、核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その、原案に賛成の討論を行います。  この改正法案は、昨年六月わが国が批准した核兵器の不拡散に関する条約に基づき、国際原子力機関との間に締結することとなっている保障措置協定の実施のためのものであります。  この保障措置協定の実施は、原子力の平和利用と核不拡散に徹するわが国の基本姿勢を世界に示す意味を持つとともに、国内的には従来米国等との二国間協定によって義務づけられていた査察制度等を改善し、少なくともこれをユーラトム並みの合理化された姿とする意義を持つものであります。このことは、わが国のエネルギー対策上不可欠である原子力開発利用にとって大きな前進であると考えられます。  以上述べましたように、わが党は、この改正法案の有する意義は大きく、かつ、緊急にその成立を図るべきであると考え、本法律案の原案について賛成するものでありますが、日本社会党提出の修正案につきましては、本法第六十一条の十八の秘密保持義務の規定及びこれに伴う罰則規定は、国が法律に基づいて収集した情報の中でこれを公開することがわが国保障措置制度の運営に支障を及ぼすおそれがあるものを保護するための規定であって、本改正法の性格上不可欠のものであり、これらの規定を削除することは当を得た措置とは考えられませんので、これに反対するものであります。  以上をもちまして討論を終わります。
  457. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、原子炉規制法一部改正案に反対の討論を行います。  この改正案は、衆議院においてわが日本共産党・革新共同を除く各党派によって修正され、当初入っておりました再処理の民間移行部分が削除されて、保障措置協定関係だけをその内容とされました。すでに本会議での代表質問でも明らかにしておきましたが、この改正案は、わが党が反対した核拡散防止条約の具体化であり、そのかなめに当たる重要な部分です。その条約が核拡散防止の有効な措置とならないことは、核兵器開発競争の起動力である当のアメリカの大統領であるカーターも事実上認めているところであります。核拡散防止条約があろうとなかろうと、わが国において核物質の軍事的転用及び原子力の軍事利用を防止する上で、また国民の平和と安全を守る上で厳重な核物質管理は不可欠であると言わなければなりません。しかるに政府案では、核物質管理の中心的役割りを持つ情報管理、解析の総合的検討、データの蓄積もないままに、しかもこれを民間に委託する、あるいは資料の分析を民間に委託するなど、年間わずか数千万円の安上がりの仕事で済まそうとするものであります。これは分析化研事件の教訓を何ら生かしていないものであり、国民の希求する厳格な核物質管理体制とはほど遠いものであります。  また、この改正案は、核物質を取り扱う事業所、施設に計量管理規定を設けることを定めています。しかし、政府はこれも効率性を云々して粗雑なもので済まそうとしております。また、核物質が企業所有となっている現状においては、企業秘密の理由などでひそかに軍事的転用を図る危険性はぬぐい去れません。まして、情報管理を行う指定情報機関と予定されている核物質管理センターの役員が被査察事業所や大企業の代表で構成され、その資金を電力会社などに依存していることは一層の不安感を国民に与えるものであります。また一方で、指定機関の役職員に刑事罰を伴う守秘義務を課していることは二重の危険を持つものであり、原子力の公開の原則からも承服しがたいものであります。  以上の理由をもって、日本共産党はかかる改正案に強く反対するとともに、社会党提出の修正案については、原案の反国民性格が基本的には修正されるものではなく、保留の態度をとることを表明をして、私の反対討論を終わります。
  458. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は公明党を代表して、ただいま議題となりました核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案に賛成し、社会党提案の修正案に反対の立場で討論するものであります。  わが国が核拡散防止条約に署名して以来、六年間の慎重な論議を経た後、昭和五十一年五月、この条約を批准をいたしました。そのことは、悲惨な二度にわたる被爆体験を持つわが国が永遠に核の兵器転用を行わないという世界に向かっての大宣言であり、同時に世界の核兵器なき平和実現への第一歩を踏み出すことになったのであります。  政府提案の本法律案は、この核防条約の第三条一項及び四項に基づいて近く締約されようとしている日本国政府と国際原子力機関との間の協定に対応して国内措置を定めようとするものであります。  賛成理由の第一は、核防条約の加盟によるわが国の平和宣言をさらに信頼あるものにするために必要な内容のものであるからであります。  第二の理由は、その内容はほぼ妥当なものであると認め、核防条約を遵守するための期限を目前に控え、一刻も早い成立が国際的信義の上からも必要と考えるからであります。  第三に、本法律案第六十一条第十八項における指定情報処理機関に秘密保持義務を課している点については、核ジャック防護体制をより強固にするため、将来プルトニウムの所在を秘密にする必要性も生じると考え、そのような意味で守秘義務の必要性を認めるからであります。したがって、社会党提案の修正案に賛成できない理由もここにあります。しかし、わが国原子力基本法第二条の公開の原則からも、またわが国の自主査察に対する国民の信頼性を高めるためにも、秘密の範囲は最小限にとどめ、十分国民の理解を得られるものに限るべきを強く政府に要望するものであります。  過去において往々にして見られたごとく、政府に都合の悪いことを何でも秘密という名のもとに国民の目の届かないところに置くことは、議会民主主義の立場から断じて許されないことを明言し、原案賛成、修正案反対の討論を終わります。
  459. 三治重信

    三治重信君 私は、民社党を代表して、核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その原案に賛成の討論を行います。  この改正法案は、昨年六月わが国が批准した核兵器の不拡散に関する条約に基づき、国際原子力機関との間に締結することとなっている保障措置協定の実施のためのものであります。この協定の実施は、原子力の平和利用と核不拡散に徹するわが国の基本姿勢を世界に示す意味を持つものであり、わが国のエネルギー対策上不可欠である原子力開発利用にとって大きな前進であると考えられます。  わが党は、この改正法案の有する意義は大きく、かつ、緊急にその成立を図るべきであると考えるものであります。  以上の理由から本法律案の原案について賛成するものでありますが、日本社会党提出の修正案につきましては、本法第六十一条の十八に規定する守秘義務、及び、これに伴う第七十八条の二の罰則は、わが国保障措置制度について内外からの信頼を確保するために不可欠のものであり、これらを削除することは当を得た措置とは考えられませんので、これに反対するものであります。  以上をもちまして討論を終わります。
  460. 柿澤弘治

    ○柿沢弘治君 私は、新自由クラブを代表し、核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案の原案について賛成の討論を行います。  近時、核不拡散をめぐる国際情勢は、米国カーター大統領の原子力政策、カナダ、オーストラリア等の原子力政策に見られるごとく、まことに厳しいものがあります。このことは、さきに行われた東海村の再処理工場についての日米原子力交渉においても如実にあらわれております。  このような情勢下にあって、資源に乏しいわが国が今後円滑に原子力の平和利用を推進していくためには、すでに批准した核兵器の不拡散に関する条約に基づく保障措置協定を条約で約束した期限内に発効させることは不可欠であります。また、この協定の実施により、国内的には、従来米国等との二国間協定によって義務づけられていた査察制度が改善され、少なくともユーラトム並みに合理化されたものになることも一つの前進であります。  以上の理由から、保障措置協定実施のための本法律案の原案について、早期に成立させることが必要であり、これに賛成するものでありますが、本協定の実施がわが国における原子力平和利用を阻害することのないよう、政府に対し強く要望いたします。  なお、日本社会党提出の修正案につきましては、本法第六十一条の十八に規定する守秘義務等は、わが国保障措置制度の円滑な運営を確保するために必要なものであり、これを削除することは当を得た措置とは考えられませんので、これに反対するものであります。  以上、討論を終わります。
  461. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、吉田君提出の修正案を問題に供します。吉田君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  462. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 少数と認めます。よって、吉田君提出の修正案は否決されました。  それでは次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  463. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  464. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    牛後八時二十二分散会      —————・—————