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1977-10-28 第82回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十八日(金曜日)    午前十時五十分開会     —————————————    委員異動  十月二十七日     辞任         補欠選任      松前 達郎君     久保  亘君  十月二十八日     辞任         補欠選任      久保  亘君     松前 達郎君      塩出 啓典君     和泉 照雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤原 房雄君     理 事                 源田  実君                 藤川 一秋君                 森下 昭司君                 塩出 啓典君                 佐藤 昭夫君     委 員                 亀井 久興君                 望月 邦夫君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 赤桐  操君                 栗原 俊夫君                 久保  亘君                 吉田 正雄君                 和泉 照雄君                 中村 利次君                 柿沢 弘治君    国務大臣        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       宇野 宗佑君    政府委員        科学技術政務次        官        大島 友治君        科学技術庁計画        局長       大澤 弘之君        科学技術庁振興        局長       杉浦  博君        科学技術庁原子        力局長      山野 正登君        科学技術庁原子        力安全局長    牧村 信之君        科学技術庁原子        力安全局次長   佐藤 兼二君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        武田  康君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君    事務局側        常任委員会専門        員        町田 正利君        常任委員会専門        員        瀧  嘉衛君    説明員        科学技術庁長官        官房参事官    佐伯 宗治君        科学技術庁原子        力安全局原子炉        規制課長     松田  泰君        文部省大学局大        学課長      瀧澤 博三君        文部省学術国際        局学術課長    植木  浩君        文部省学術国際        局研究機関課長  齋藤 諦淳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (原子力行政に関する件)  (原子力発電安全性に関する件) ○派遣委員報告に関する件     —————————————
  2. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十七日、松前達郎君が委員辞任され、その補欠として久保亘君が選任されました。     —————————————
  3. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 吉田正雄

    吉田正雄君 御承知のように、現在日本が直面をいたしております、あるいは抱えております最大課題は、何といっても食糧問題とエネルギー問題であるわけです。このエネルギー問題をどのようにとらえていくかというとらえ方によって、私は問題の解決の仕方というものが根本的に変わってくるんではないかというふうに思っているわけです。  御承知のように、一九七二年、例のローマクラブリポート発表いたしましたけれども、これは「成長限界」と名づけられておりまして、皆さんも御承知のように、有限の資源環境の中で成長が無限であり得ない、いずれは限界に逢着をするということを言い、成長限界はこのまま進むならば百年以内に来るんではないかというふうな警告を行っているわけです。しかし、このローマクラブリポートの中で私どもが重視をしなければいけないのは、限界点に急速に近づく場合は人口や産業に破局的な影響が出る。しかし適切な対策を講じながら徐々に限界点に近づいていく場合は安定的な定常軌道に乗ることができるんだということを言っておりますし、もう一つは、適切な対策を講ずることが早ければ早いほど成功の確率も多くなるということが指摘をされておるわけです。で、御承知のようにこのローマクラブリポートの出される前、七〇年、そして七三年と御承知のように中東の政治情勢軍事情勢というものを背景にして、いわゆるOPECの石油攻勢というものが云々をされまして、石油の値上がりというものが急激に高まったわけです。で、このいわゆる石油ショックというものを受けまして、わが国におきましてもこのエネルギー問題、とりわけ石油供給問題等をめぐりまして論議がかまびすしくなってきたわけです。しかし私は今日までのこの論議あり方を見ていささか心配な点があるわけです。それはなぜかと申しますと、どなたも日本で必要以上にこの石油不足エネルギー枯渇宣伝されているんじゃないかという心配もあるわけです。そして経済界産業界政府一体となって日本経済を混乱と打撃から救い、経済成長率を何%にするためには石油供給、つまり需給も含めましてですが、その伸びというものを〇〇%にしなければならないと、これが達成されないと不況対策、雇用問題も十分解決することができない、しかし石油資源には限界があり、不足分はクリーンで安価な原子力発電を積極的に開発をする必要があるという趣旨の宣伝が非常に行われておるわけです。  私はこの宣伝が本当の意味でのエネルギー対策観点から出されておるとは言いがたいと思うんです。今日の不況というものが必ずしも経済成長率に直接責任を負っていないということは言えると思うんですね。構造不況業種という、何で構造不況という言葉が出てきたかつまびらかではありませんけれども、たとえて言うならば、繊維にしろ機械、金属にしろ、今日のこれらの産業不況最大原因というのは日本の海外に対する資本進出の結果として、たとえば新潟県等でも地場産業としての繊維業界がたくさんあるわけですけれども、見附、栃尾、五泉等、多くの倒産が出ておるわけですけれども、これは成長率には関係がない、成長率が伸びている段階でもどんどん倒産が起きているわけです。これは韓国東南アジア等から非常に安い繊維製品や半製品というものが輸入をされているわけですね。たとえば、通産省発表では、和装品等昭和四十九年から五十年にかけて一年間で大体六百億円ぐらい輸入しておるということを言っておりますけれども、実は韓国側の商社の発表で千二百億円を超えているわけですね。こういうものがいわゆる国内のこれらの産業打撃を与えておるわけです。ただし輸入業者は別なんですね。したがって、これが経済成長率がこれらの産業打撃を与えておる不況最大原因だということにはならぬと思うんです。  そういう点で、このエネルギー問題あるいは石油問題を論ずる場合に、すぐ経済成長率とそれに要するエネルギー需給というところに直ちに結びつけていく、またそのための不況宣伝というものがあるいは雇用問題というものがそれに結びつけて大きく取り上げられておるところに私は何か本質から離れたものがあるんではないかというふうに思うわけです。しかし、資源いわゆる化石燃料を含めてですが、これらの化石燃料というものが有限であって、いずれは枯渇するという点についてはどなたも異議はないと思うんですね。そういう点でこの省エネルギー努力とあわせて、安定的なこの化石燃料をどのように確保していくのかということと、新エネルギー開発利用促進ということが今日最大課題になっておるわけです。この点については、通産省エネルギー問題等についてあるいはいろんな団体、機関でこれらの問題についての提言もなされておるわけです。しかし、その提言の中で、とりわけ電力あるいは政府の提案の中に、新エネルギーとして直ちにこの原子力開発に直結をしておる、代替エネルギー開発があたかも原子力発電をもってすべて事足りるというふうな、そういう原子力行政というものが今日進められているんではないかというふうに思うわけです。  わが社会党でも中期エネルギー政策というものを発表いたしまして、一九八五年までの間、あるいはそれよりもう少しの期間、原子力を用いなくてもエネルギーを供給できるんではないかという中期政策発表いたしておるわけです。そういう点で、賛成反対いずれの立場にしろ、私はこのエネルギー問題というものは、正しい視点観点から論議をしていかないと大変なことになるんじゃないかというふうに思っているわけです。特に国民はむずかしい原子力について科学的な知識というものをほとんど持ち合わせていないわけです。そういう点で私はこれらのエネルギー問題の討議というものが、この国会では私は初めてでありますけれども、単に賛成反対という立場でのすれ違いの論議でなくて、本当にかみ合った論議をやっていくべきではないかという気がいたすわけです。そういう観点から、たとえて言うならば、ここにいろんな、今日までもいろんな証人等も喚問されて見解が聞かれたというふうなこともあると思うんですけれども学術会議等でたとえばそれぞれの学者の意見というものを公開の場で闘わせていくとか、そういうことが十分やっぱり保証されていかなけりゃならないんじゃないかと、その努力が少し欠けておったんじゃないかという気がするわけです。そういう点で、今後のこの討論のあり方として、広く国民の前に実態とそれから論議あり方なり焦点というものについて知らしていく努力政府として必要だと思うんですね。この点についてまず最初に大臣見解をお聞きをいたしたいと思います。
  5. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 仰せのとおり、エネルギーに関しましては、イデオロギーのいかんを問わず、一つ土俵をもってお互いがかみ合う議論を展開していく、そうして極力国民のためにコンセンサスを得ていく、これは私は一番大切なことだろうと、こういうふうに考えております。  二番目には経済成長率エネルギー関係でございますが、本年度の経済成長率は御承知のとおり六・七%、こういうふうなことで、国民総生産百九十兆円というものを組みまして、そして財政の収支を明らかにした次第でございますが、総理予算委員会等々においてお答えになりましたとおり、今後は安定成長とは申し条、経済成長率が高いことをもってたっとしとしないと、私はそのように考えております。したがいまして、経済成長率はたとえば四%でもよい、あるいは五%でもよい、そういうふうなことの方がむしろ安定するんではなかろうかとさえ考えております。しかし、今日まで二けたでばく進をしてまいりました日本経済ですから、それを軌道修正いたしまして安定成長路線を得たわけでありまするが、ことしの不況、なるほど構造不況等々、いろんな問題はございましょうけれども、やはり六・七%の成長率確保できるや否やということにおいて私たち論議を進めてまいったような次第でございますから、そうしたことを考えますと、急激に、たとえ六よりも四がいい、三がいいと申しましても、そこへ落ち込むことは非常なリスクを伴うわけでございます。そう考えてまいりますと、なだらかなカーブを描きながらやがては低成長の方がよかろうというふうな論議は成り立つかもしれませんが、今日といたしましては不況と対処しなくちゃならない、景気を刺激しなくちゃならない、そういうふうな命題がありとすれば、やはりここ当分は安定成長とはおおむね六%台の成長率を求めることであろうと、こういうふうな答えが返ってまいりますると、勢い長期需給計画に関しましても、昭和五十年を起点といたしまして、政府が一億キロワットの発電量が五十年度であるならば十年先の一九八五年、昭和六十年には二億キロワットの発電量というものをわれわれは確保しなくちゃならぬ、そういうふうな計画を立てたことも私はもっともだろうと思うのであります。  ただし、そうしたことにおきましてはその後うんと事情が変わっております。したがいまして、現在その長期需給見通しに関しましても、御承知のとおり手直しをいたしているわけで、私自身といたしましても、第一次のあの需給計画どおり石油が入るだろうか、特に代替エネルギーとしての原子力開発も思うように進んでおりませんから、そういうふうなできないような数値を求めて国民にそれを示して、こういうふうな計画で進めようといってもこれは無理だから、ひとつ可能な、実行性を伴うところの数値を検討しようではないかというので、先般さような意味合いの見通しが出されたわけでありますが、確たる数字は明年夏を目指しましていろいろと審議体等においてこれの結論を出していきたいと考えております。  そうしたことから考えますると、仰せのとおり、やはり資源小国日本といたしましては、新エネルギー開発と、もう一つはやはり省エネルギーであります。省エネルギーは偉大なる開発につながると、こういうわけでございますから、この面もおろそかにしてはならないと思いますが、なかんずく新エネルギーとは何ぞやということを考えました場合に、やはり実用化できるエネルギーと将来の夢として実用化を期さなければならないエネルギーと、こういうふうに大ざっぱに二つに分かれるのではないだろうかと思います。したがいまして、石油は恐らく非常にむずかしい状態がくるんだろうが、そのときもしも順調にわが国経済が立ち直って進んで、しこうして二億キロワット近い発電量を必要とするときにはその石油では賄えないではないかということを考えたときに、新エネルギー利用がいまから準備されなければならないわけであります。しかし、新エネルギーの中におきましても、率直に申し上げまして、私はやはり今日石油にかわり得る一番大きなウエートを占め得るものは原子力であると、こういうふうに信じておりますし、また、その他の非核エネルギー開発も進めたいと思いますが、地熱にいたしましても、太陽熱にいたしましても、あるいは石炭のガス化、液化というふうな重大な問題もございましょう。波のエネルギー幾つもございます。これらがこの巨大なる日本産業経済生活、これを支えるに足るだけのウエートを占め得るかと申しますと、やはりこれは一九九五年以降の問題である。言うならば二十一世紀の問題である。こういうふうなことをきちっと仕分けをいたしまして、仕分けをいたしますと、いま危ない原子力はやめちまって太陽熱に頼れよというふうな議論たちどころに今日ただいまとしては私は通用しないと思うのでございます。しかしながら、太陽熱に関しましても努力をしよう、こういうふうな私たちは決意を忘れてはならないと存じます。そうした面を私たちもやはり国民にでき得ること、可能性のある問題ただいまとそして将来、幾つかの分析をいたしまして、国民に示しながらそういう大きな土俵の上で今後かみ合う議論を展開することにいたしたい、こういうふうにわれわれは考えまして、今日鋭意その方向で努力をいたしておるところでございます。
  6. 吉田正雄

    吉田正雄君 去る十月三日の福田総理のこの参議院における所信演説の中で、こういうことが言われているわけです。わが国にとって、資源エネルギー及び食糧の確保は、長い将来にわたってわが国経済及び国民生活の基盤にかかわるきわめて重要な問題である。長期的視点から基本対策を確立し、国民合意のもとに、早急にその実施に努めなければならないと考える。——ずっとまあ以下あるわけなんです。また、周到な環境安全対策を徹底しながら、発電所備蓄施設などエネルギー関係施設の整備の促進をしてまいる所存である。その際、石油代替エネルギーの最も重要な柱として、原子力開発利用促進することが一つの大きな目標である。政府は、核不拡散と原子力平和利用の両立を図ることを大前提とし、安全確保に万全を期しつつ、核燃料サイクルの確立など原子力政策を推し進めていくと、こういうふうに述べているわけなんですが、エネルギー政策については時間の関係もあって、私は、直ちに原子力問題に入っていきたいと思うんですけれども、この原子力開発利用について、ここで首相が言っておりますように、国民合意のもとに進めていくんだと、これが前提になっているわけですね。ところが、今日までの各地の原発設置に当たっては、いずれの地域においても住民の非常に大きな反対運動が起きているわけです。字義どおり国民合意のもとにこの原子力開発が進められておるということにはなっていない、まさに反対の状況というものが出ておるわけなんですね。  そういう点で、一体大臣はどのようにこれをとらえておいでになりますか。賛成のもとにあるいは合意のもとに進められてきておると理解をされておるのか、やはり地域住民の大きな反対運動の中だけれども仕方なく進めてきておると、どういうふうに理解をされておりますか。
  7. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) いま原子力行政を推進するに当たりまして一番大きな問題は、立地難という問題でございます。したがいまして、その立地難はどういうことが一番大きなウエートを占めるかと申し上げれば、やはり原子力安全性に対する疑惑、そうしたものにつきまして地方住民方々がまだ完全に了解をしていただいておらないということも大きなウエートを占めておるのではなかろうかと思います。また、政府がそうしたことに対しまして十二分に説明がいままでできておらなかったということも私はあるやに考えております。また、そうした地域にいろいろと問題がございましょうが、そうしたことに対しましても、言うならば還元制度等々が充実していなかったということ等も考えられると思います。そうしたことをあわせまして、私どもといたしましては、今日国内原子力政策におきましては、安全確保開発、これを同じウエートで進めていきたい、安全というヘッドライトをつけて開発を進めていきたい、こういうふうに私たちは念じておるものでございまして、従来からもそのように安全をまず第一義として、原子力委員会は、設置のときにその設計から建設から運営からすべての問題に関しまして、安全を第一義としていろいろと判断をしてきたと考える次第でございます。  したがいまして、さような意味におきましてはいろいろとまだ住民各位の完全なる理解を得られるに至っておらない面があるかもしれませんが、しかし、われわれから考えますと、中には従来どおり原子力発電は原爆だというふうな単純な考え方から反対していらっしゃる方も私は決してなきにしもあらずであろうと、こういうふうに考えます。しかし、それに対しましても、政府としては、一人でも多くの国民方々が、そうじゃないんだ、これは平和利用であって安全なんだということを確認していただくように、努力は今後もしなければならないと存ずる次第でございます。したがいまして、今日までは、言うならば原子力委員会がすべての責任を持ちましてそうした原子力発電所設置に関しましては安全を確認をし、そうしてその設置を認め、総理大臣が最終的な許可をするという段取りを踏んでまいっておりますので、私は一応最大公約数としての合意というものは成立を得ながら進めてまいっておると存ずる次第でございます。しかしながら、総理大臣は、今後もこういう問題は重大だから、さらに安全に関してはもっともっと政府努力をいたしましょうと、そういうことをお述べになったものだろうと私は考えております。
  8. 吉田正雄

    吉田正雄君 私は、この国民合意が必ずしも得られてないという原因の大きなものとして、総理が言っておるように、安全確保に万全を期しつつとなっているのですけれども、期してでないのですね、期しつつということですから、同時並行的に事態が進行しておるというふうなことであって、私はこういう点で、この表現どおり、今日の日本原子力開発というものが不十分な安全対策の中で進められてきておることに地元住民合意が得られない大きなやはり原因があると思うのですね。  たとえて言いますと、美浜一、二号炉、あるいは高浜の三号炉等において、蒸気発生器の腐食というものが進行いたしておりますし、燃料棒の破損という事故も起きているわけです。あるいは福島敦賀、浜岡における冷却水の再循環パイプ、あるいは緊急炉心冷却装置、これらの相次ぐひび割れ発生ですね。あるいは福島でも島根でも敦賀でも、原子炉本体ノズル部に深刻なひび割れ発生をしておる。こういう日本原子力発電所設置されて以来今日まで、ほとんどの原子炉にいろんな意味故障が生じておると、さらには被曝の問題も出てきておるということで、これはもう隠し得ない事実になっておりますし、これらの故障なり事故というものは、これはもう日本だけでなくて、先進国でありますアメリカやイギリス等においてもそれらの事故というものが発生をしていることは御承知のとおりなんです。そういう点で今日までの——時間もありませんから簡単でいいんですけれども、最も重大と思われるようなこれらの事故がどのようにして発生をしてきたのか、あるいはその対策について今日までどのような対策が講ぜられてきたのか。私は、これは安全審査会が安全だと言って審査をしたはずの原子炉に次から次へと故障が生じてきておるわけです。一体安全審査会は何を審査をしてきたのか。しかも、十三基のこの原子炉を一挙に審査をしたわけでなくて、一号一号やってまいったわけですね。そしていずれも安全だということで、この建設許可をした。その後で故障が見つかる、故障が生ずると、こういう事態を今日まで繰り返してきているわけですね。これでは住民原子力は安全だと幾ら当局宣伝をしても、これはもう住民が納得しないのは当然であるわけですね。そういう点で、私は原子力行政あるいは審査委員会あり方等とも関連しますが、一体どういう対策というものを講じてこられたのか。特に材料工学的にいろんな部分材質問題等について一体どのような検討というものが今日まで加えられてきておるのか。そういう点について時間ありませんから簡単でいいですが、今日までの対策等について簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  9. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) ただいま先生の御質問がございましたが、原子力発電所におきましての機器等故障につきまして、規制法に基づきまして報告を受けたものがここ最近どのくらいあるかというのをまず御報告いたします。  四千八年度に五件、四十九年度に十三件、五十年度に八件、五十一年度に二十三件ございます。それから本年に入りましてからそういうような報告を受けているものは十七件ございます。この十七件の内訳を簡単に申し上げますと、先生ただいま御指摘のありました配管等ひび割れの現象、これが十件でございます。それから誤操作等による原子炉停止、これは誤操作と申しますと、違った信号が入ったというようなときに安全サイドに働くために安全サイド停止することがあります。原子炉停止報告が行われることになっておるわけでございますが、それが三件。  それからこれは原子力安全性には全く関係ございませんが、工事中に人がけがをされたとか、人が死亡されたというような件が三件ございます。これらの故障の大部分は、通産省の指示で行っております定期検査等のときに発見し、それを修理するという対策がとられておるわけでございますけれども、現在までのところ出てきておりますこれらの故障等は非常に小規模なものでございまして、放射線が漏れて一般住民あるいは従業員に被曝を与えたと、問題になる被曝を与えたというようなものは一件もございません。  それで、安全審査との関係でございますけれども、当然原子力発電所安全性確保はきわめて重要でございますので、できるだけこういう故障といえども少なくしていく必要があるわけでございますが、現在の体制におきまする安全審査は、先生も御存じのように、基本設計の段階で、この申請を受けた原子炉が運転中に十分安全に運転できる設計になっておるかどうかと、たとえば原子炉の中にはいろいろな機器類があるわけでございますが、これらの機器がトラブルを起こしました際に十分修復が可能であるかどうかというようなことも含めまして、原子炉の基本的な安全性について審査をしておるわけでございます。したがいまして、ただいま御説明申し上げました機器類のトラブル、ひび割れ現象などにつきましては、当然通産省の行います定期検査等の時期に修理をすれば、その修理の終わった後は安全性に何ら差し支えがないというような故障でございまして、それらにつきましては事業者並びに通産省等から報告を受けておりまして、安全審査をやっております安全専門審査会の方で確認をしつつ事に対処しておるというのが実態でございます。  なお、もう一つ申し上げておきたいのでございますがこれらの故障等起きておりますけれども、さらに確認申し上げたいのは、周辺の住民にこれが影響が及んだというような事故日本におきましても一件もございませんし、外国においても商業用の発電所においてはこういう事故は生じていないということでございます。
  10. 吉田正雄

    吉田正雄君 この場で、時間の関係もありますし、一々どこの発電所でどういう事故が起きたんではないかという指摘も実はやりたいのです。やりたいのですけれどもそれはまた別の機会に譲りたいと思うのですが、もう一つ故障から重大な事故につながるということはこれは当然予想もされるわけですけれども、それにしても大したことはないという言い方の中で、各発電所の稼働率なり、あるいは施設利用率というものを見ますと、たとえばこの東電の福島第一における三号機までの各利用率等を見ますと、一号機で五十年度が一六・三%、それから五十一年度が二四・八%。二号機は同じく五十年度が一六・五%、それから五十一年度四七・七%。三号機は昨年度は思ったよりもいい利用率で七二%ということがあったんですが、この三つの三号機とも現在は長期の修理中、こういうことになっておるわけですね。したがって、この施設利用率というものを見ますと、当局が盛んに宣伝をしておるような、とてもエネルギー危機の救世主になり得るような状況にはなっていないと、むしろ原発に頼ることによってエネルギー危機というものを逆に招来するんじゃないかという、そういう不安もあるわけなんですね。こういう利用率というものについてどのように一体お考えになっておるのか。私は、最近皆さん方の目にも触れると思うのですけれども、選挙のポスターではありませんけれども、その辺に男女のこう何かこれは抱き合ったのか何をしているのかわかりませんけれども、ちょっとそばまで行って見ないとわからないようなポスターでもって原子力宣伝を行っているというふうなことまで行われているわけですけれども、そういう点から見て、これは今後の原子力エネルギー源として原発が一体それに耐え得る性格なものなのかどうか。むしろ割り高になるんじゃないかという、そういう面からしても、この施設の稼働率なり利用率について一体こんなに低いのは、単に定期検診中だということでは済まされないと思うのですね。また定期検診だけで毎回これだけの施設利用しか行えないということであるならば、当初から原発というのはこのエネルギー危機を救い得る代替エネルギーとしての機能を有していないということになると思うんですね、一体どちらがどうなのか、そこのところだけ簡潔でいいからお聞かせ願いたいと思います。
  11. 武田康

    政府委員(武田康君) いま先生指摘原子力発電所の稼働率でございますけれども、先ほど福島昭和五十年度の例をおっしゃいましたけれども福島の一号機、二号機、いずれも設備利用率としては一六%ぐらい、それから、ただ実際には電力系統の負荷がふらふらしたりいたしまして、原子力発電所を動かし得る状態にあるけれども、出力がフルには出していないというような状況もございまして、どれだけの時間動いたかというような方が原子力発電所の能力としてはより適切かと思いますが、その能力の方で見ますと、昭和五十年度福島一号機につきまして二一・八%、二号機につきまして二〇・九%というような状況でございます。同年次の日本全国の各発電所の平均時間稼働率を見ますと、四八・四%という状況でございまして、いままでの毎年の経過の中ではその年が最低でございました。翌年、昭和五十一年度にはやや回復いたしまして、全国平均でまいりますと六〇・四%、こういう数字でございます。  なお、これをブレークダウンいたしますと、美浜の発電所の一号機が両年を通じてストップいたしておりまして、つまり利用率ゼロと、これは先ほど先生事故の一例として御指摘なさったことでございますけれども蒸気発生器のトラブル等々の原因によるものでございますが、一方、一番いい稼働率のものは、五十年度につきまして九〇%あるいは五十一年度、これはできたばかりのものでございましたが、一〇〇%フルに動いたものもございます。そういったような平均が五〇%弱とか六〇%とかなっておりまして、実は残念ながら本年昭和五十二年度まだ済んでおりませんけれども、昨年並みの六〇%の達成はどうも無理なようでございます。  さて、そういう稼働率あるいは利用率が実は原子力発電所五年前十年前に考えておりましたのは年間七〇%稼働とか、あるいはそこまでいかなくても六五%稼働というようなことでございまして、私どもが期待し、予期していたものに比べて、昨年回復したとは言いながらなお低い、本年も低い、こういう状況でございます。  非常に残念なことでございますが、その実体的中身は、実は先ほど原子力安全局長の方からお話がございましたが、原子力安全確保は基本設計の段階から運転の段階までにわたって設計のチェックをし、それからチェック体制をし、それから防護体制をしというようなことの総合でございまして、その一環といたしまして一年運転いたしますと三、四ヵ月、スケジュールとしては三、四ヵ月の定期検査をする、何分たくさんのパーツがある発電所でございますので、しかも蒸気を使い、圧力があり、温度がかかる、それがいろいろ圧力が下がったり上がったり、あるいは温度についても同様なことが運転中にいろんなパーツで起こるわけでございます。そういったものでいろいろ鉄、その他の材料を使っておりますけれども、そういった各パーツが弱くなるところがある、そういうことがもともとある程度予期されておりますので、毎年一年運転いたしますと、三、四ヵ月とめて、各部の点検をして手直しをする、これが原子力発電所始めて以来日本のプラクティスでもございますし、諸外国のプラクティスでもございます。同時に、明治以来やっております火力発電所につきましても、これまた似たような蒸気条件のものでございますので、同様なプラクティスをやっております。そういうことをそういう慎重な検査をいたしまして手直しをするということによって事故、トラブルが、先生指摘のような大きな問題に発展しないようにというチェックをし、現在までの実績ではそういうことで小規模のうちにすべての原因を除去してきたわけでございますが、残念ながら手直しをいたしますためには、放射線が何がしか出る場所での手直しでございますので、その手直し作業は非常に慎重にしなければいけません。そのために一ヵ所ここを直さなければいけないという場所が起きますと、一つの手直しに一月、二月かかってしまうというようなことがございまして、定期検査は三ヵ月なり四ヵ月というのが、私ども五年前、十年前に考えておりました目標でございますけれども、現実問題といたしましては、それが半年に延びる、あるいは発電所または原子炉によりましては一年ぐらいかかってしまう。先ほど御指摘福島原子力発電所の例でございますと、福島一号機は一年近く定期検査並びに手直しでとまらざるを得ないというようなのが起こっておるわけでございます。  ただ、現在まで起こっております、あるいはすでに私どもが気がつきまして、これはこういうことで手直しをしなければいけないというふうに考えておりますPWRの方の蒸気発生器の細管のひび割れ問題あるいはリークの問題、それから沸騰水型原子炉の各種配管のひび割れ、あるいはにじみが出るという問題、それから先ほど御指摘がございましたけれども、ノズルのひび割れの問題等々、いずれもいままでのところは比較的問題がない段階で、定期検査なりあるいは外国で起こった情報をもとにしてとめて調べたというようなことで発見いたしまして、それぞれ原因は材質的な問題なり、それからいろいろ軽水炉の温度差の問題なり、あるいは水の水質の問題なりという、こういう組み合わせでございますが、私どもの方でお願いしている顧問の先生方にあるいは同時にいろいろデータを御説明いたしまして、安全審査会先生方等々とお話し合いをし、こういう対策を立てればいい、ある場合はその分を取りかえますし、ある場合には削るものもございますし、肉盛りする場合もあればまたはちょっとしたシステムを変更する場合もある、こういうような措置をとってきております。したがいまして今後につきましては、同種の発電所につきまして、同じ原子炉につきまして全く同じ種類のトラブル、事故発生するプロバビリティーは減っていくと思いますし、また一方私ども改良標準化というような作業を進めておりまして、これは何かトラブルがありましたときの手直しをさしずめはもう少し楽にできるような、それから第二段でもう少し時間がかかりますけれども、これはそういったものがあらかじめわかっているものにつきましては起こらないような材料を使い、デザインにしというような手直し、それが改良標準化でございますが、こういった作業をまた別途並行して進めております。したがいまして、ことしはどうも残念ながら余りいい成績にはならぬと思いますけれども、来年、再来年それから三年先、五年先には、私どもが当初目標としておりました七〇%稼働はちょっと無理かとも思いますが、六〇%台のものに持っていけるのではないかと思っておるわけでございます。  そういう観点で申しますと、稼働率が非常に低くて、せっかく原子力発電所をつくっても動かない。それではエネルギーの危機にもなるし、あるいは電力供給の面から見ればピークバランスに合わせるような供給力にもならぬというのは、瞬間的に特定の発電所をつかまえますとまさに御指摘のとおりでございますが、マクロに、ただいま私どもが申し上げましたようなことで原子力発電所全部をつかまえて考えますと、これは十分役に立つものであり、それで十分期待にこたえ得るものである。ただこたえ方が十年前に考えていたものに比べますとちょっと落ちるかもしれないという段階でございまして、かたがた経済性につきましても同様なことで、十分石油火力等々に対抗でき得るものというふうに認識していいのではなかろうかと思っている次第でございます。
  12. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまの説明を聞いておっても、これからの原子炉故障を防ぐというあれは何も出てきていないと思いますね。というのは、もう今日、軽水型原子炉というものが、これは日本に限らずアメリカでもヨーロッパでもちょっと救いがたい本質的なやっぱり材料力学的な欠陥というものを持っておるということですから、単なる外圧による故障であるとか何とかというものではない、本質的なやっぱり欠陥を持っているということが最近非常に明らかになりつつあるわけですね。そういう点で、私はいまおっしゃったような楽観的な方向にはいかなくて、むしろますます、いまや軽水型原子炉というものは悲観的な方向に向かいつつあるということを言いたいと思うのです。非常にきょうは開会の時間もおくれたりして、聞きたいことがたくさんあるものですから、もう一つだけは、これは回答は要りませんが、このことだけ申し上げておいて、次回にお聞きをしたいと思っているんです。  この原発推進の理由はいろいろありますけれども、電力会社やいろんな関係機関が推進した理由としては、火力発電に比べて非常に経済的である。これはいまのお話のように、現状では少なくとも経済的でないという事実から、これは違うわけです。その後、今度は建設費や燃料費も、これはまあ、イエローケーキにしろ、濃縮費あるいは再処理費等が急騰してきているということもあって、たとえば電気事業連合会なんかの資料等を見ましても、今後とも経済的に見て絶対有利であるとは言いがたい面もありますというふうにこれは変わってきているわけですね。この電力コストというものを見た場合に、原子力のいわゆる貨幣コストですね、こういうものを単純に電力事業界であるとか電力会社は出しておりますけれども、これには耐用年数であるとか、あるいは最も重大な死の灰、いわゆる廃棄物質というものをどのようにして保管をしていくのかというふうな非常に肝心な点が抜けておるわけですね。約二分の一程度で済むとか、いろんな言い方がされておりますし、その辺の資料を見ても、これは何ら根拠のない資料になっている。納得させ得る根拠にはなっていないわけです。消費者連盟の方で調べたものを見ましても、これはアメリカの方でも発表されておるものですが、火力と原子力による発電コストというものを比較いたしますというと、約一キロワットアワー当たりで、石炭火力の場合ですというと、大体四セント台でもっておさまっているわけです。ところが、加圧水型も沸騰水型もいずれも五セント台を記録をいたしておりますし、場合によっては六セント台になっている。日本の場合を見ましても、たとえば日本原子力発電の売電単価というものを見ますというと、東海発電所の一号炉、これは設備利用率が六〇%台くらいになっているんですが、七六年度で九円五十四銭、六九・五%の場合には八円五銭。七七年度になりますというと、十円台に入っておるわけですね。敦賀発電所の場合は、この六〇%台の設備利用率で、七六年度が六〇%のときに七円十八銭、六八・五%で六円二十銭。ところが本年度に入りますというと、六〇%台では七円四十四銭、七〇%で六円五十九銭と、こうなっているわけですね。ところが、今度は東京都が東京電力へ売っている売電単価というものを見ますというと、多摩川発電所では五円五十五銭、それから都の清掃工場では、火力ですが、これは三円ということで売っているわけですね。だから、単に幾らですという簡単な、単純な建設単価が、たとえば火力発電の場合には坪当たり十二、三万円だと。原子力発電の場合には坪単価二十五万円から三十万ですという、あるいは燃料費が幾らですと、こういう単純な数字からはじき出してきた貨幣コストですね、これではもう全然お話にならぬわけですね。一時期新聞にも報道されましたけれども原子力エネルギーコストというものを考えた場合、一体どうなるのかということが言われているわけですね。実はきょう、皆さん方の方で、その分析があったら聞きたいと思っておったんです。日本ではこのエネルギーコストの分析が、率直に言ってなされていないんですよ。あったらお聞きをしたいですけれどもね。いままで少なくとも私はその資料の入手をいたしておりません。  日本で報道されたのは、アメリカのテネシー州のオークリッジにあるエネルギー分析研究所での分析結果というものが新聞等でも報道されたわけですね。こういうものを見ましても、一番大切なことは、何よりも使用済み核燃料というものをどのようにして保管をしていくのか、これに要するエネルギーというものは大変な量を要するわけですし、あるいは先ほどありましたように点検修理、いまちょっとした修理でも数十億という膨大な金がかかるわけです。そういう点で、点検だとか故障修理などの経常的なエネルギーコストというものをどのように見ていくのか、あるいは耐用年数が三十年となっておりますけれども、この三十年もつかどうかも疑問です、まだ始まって間もない原子力発電ですから。しかし、これが廃物になった場合は、これは一大放射能源になるわけですから、そういう点で一体それを外界とどのように隔離をしてくのか、大変なエネルギーというものを要するということで、これらの単価というものを石油エネルギーでもって換算をした場合、どんなことになるのかというエネルギー分析がなされているわけですね。この結果を見ますというと、結局原子力発電というものは、石油というものを一次元エネルギーとする、その転換にしかすぎない。むしろ原子力発電というものは膨大な石油エネルギーというものを消費をするのだということが今日盛んに叫ばれるようになってきて、エネルギー不足の救世主であるというふうなことにはならないということが言われているわけです。時間がありませんので、そういう点を指摘をして、この問題は次回にも続けてまいりたいと思いますから、エネルギーコストの分析についてのいままでの分析結果がありましたならば、ぜひ資料として提出をしていただきたい、こう思うわけです。  で、私はきょうはもう一つ緊急の問題として、きわめて重要な問題について、これは原子力行政の基本的なあり方にかかわる問題なんですが、その原子力行政の基本的なあり方の問題点については、さらにまた次回に回すことにいたしまして、御承知のようにこの九月一日、内閣総理大臣が柏崎・刈羽の原子力発電建設について許可をいたしたわけです。これに対しまして、現地の皆さん方や新潟県の広範な住民によりまして、この許可に対して行政不服審査法に基づく異議申し立てというものが行われたことは大臣も御承知のとおりなんですね。で、その不服申し立ての理由は多面にわたっておりますが、私はこれも時間の関係もありまして、きょうやれない部分については、さらに次回お聞きをいたしたいと思っておりますけれども、きょう時間の許す限りこの異議申し立ての内容に沿って幾つかの点について指摘をして、御返事なりまた見解等もお聞きをいたしたいというふうに思っておるわけです。この異議申し立て書については、科学技術庁の方に安全局を通じて総理大臣に出してありますから、これはお持ちだと思います。そこで、ただ、委員の皆さん方、ちょっとこの資料がございませんので、こういう論議が、どういう内容なのかというのはちょっとおわかりづらい点があろうかと思いますけれども、要点だけ私が申し述べながら、当局側の回答をいただきたいというふうに思っておるわけです。  今回の許可というものがきわめて不当であり、違法な許可だということが、これがまずこの異議申し立ての根底にあるわけです。  その一つとして、審査日程が示す審査のでたらめさをここでは一点として言っているわけです。その内容というのは、原子力委員会第百二十部会、これは柏崎部会です。安全審査委員会の中の柏崎部会は、二年三ヵ月にも及ぶ長期慎重審査で、原子炉の安全が確認できたとしている。慎重審査のそのでたらめな実態というものは、調査日程から明らかなんだということで、二点を指摘しているわけですね。  その第一点として、ことしの七月十二日に東京電力から総理大臣あてに提出をされた追加資料、この追加資料の内容というのは現地の反対者によって今日までの東京電力のいわゆる申請書の内容にはきわめて不備なものがあり、事実と違っている点があるんじゃないかという指摘がいろいろなされてきたわけです。たとえて言いますというと、東電のボーリングは、興和地下建設あるいは日サク新潟支店などが請負ってきたわけですし、さらにこれらの企業はまた下請にこの仕事というものをおろしたわけです。その人たちの、具体的に作業に従事をした人たちの話によりますと、とても原発を建設できるような地盤ではない、土質ではない、地質ではないということを言っているわけですね。ところが、ここでとられた資料というものが東京のダイヤコンサルタントに送られて分析をされる、さらに電力中央研究所に送られてこのデータが整理をされているわけです。これらの段階で手直しがなされたと言われておるんですね。そういう点で、こういううわさが流れるだけでも、東電から出された資料について、安全審査委員会というものは十分その辺の真偽をただしてから審査に乗り出す必要があるわけですけれども一体審査委員会としてはそういうものについてどのような手段を講じたかという点が聞きたいんですが、実はこの点に関して、八月十八日に現地の皆さん方が科学技術庁を訪れまして、第百二十部会、つまり柏崎部会の主査であります村主進主任審査委員以下事務当局にお会いをしたわけですね。そのときに現地側からはその点について指摘が行われたわけですが、そのときにこの村主氏は、東電の提出した資料の中には作為のものがあると聞いているということをそこではっきりと、そういうことがあったということを聞いておるということははっきり言っておるわけですね。そしてそれに対してそういうものは信用できないではないかという追及に対して、事務当局の担当者が、東京電力の申請書をもとにして審査をしてきた、申請書を疑ったら審査ができないではないか、こういうことを答えて現地の皆さんの憤激を買ったわけですね。このことは課長も御存じだろうと思うんですよね。そういう点で、この東電から出された資料についてはいろいろ作為が行われている、また発表された数値と現地での調査の数字にこれは食い違いがあるわけですよ。そういう点で、そのようなきわめて信頼性の置けない資料をもとにして審査を行った、安全審査委員会審査結果に一体信頼が置けるのかどうなのか、そういううわさを聞いたと言っておる安全審査委員会一体どのような措置をとったのか、まず聞きたいと思います。
  13. 松田泰

    説明員(松田泰君) 柏崎の審査は、先生御存じのように、非常に長期間にわたりまして地盤関係委員を強化して行ったものでございますが、私どもは、地盤というものは客観的に存在するものでございますから、うわさがあるないに関係なしに、あるいは申請者がどういう申請をしているかということは、もちろん一つの前提になるわけですが、できるだけ客観的な地盤の状態をつかみたいということで審査努力をしているわけでございます。もちろん、申請者の出しましたいろんな分析のデータといいますものは、これは技術的なデータでございますから、少々の作為というようなことはそう簡単にはできないものでございますが、細かい点を議論しますよりは、われわれは現地調査というものを審査会にお願いしておりまして、審査会の先生は試掘抗に入って直接目でその辺の地盤を確かめられるわけでございます。いま御指摘のような、地盤の性状につきますデータにつきましても、一応目で確かめられた地盤があれば、専門家の先生方にとってみますと、それがおのずからどのような性状のものであるか、数字自身は目で見ただけではわかりませんけれども、こういう土質であれば、あるいはこういう岩質であれば大体こういうふうな性状を持っているということがわかるわけでございまして、そういう一つの知見に基づきましてデータを見ますと、非常に合理的な範囲でデータがおさまっている、あるいは当初申請がありましたときにいろいろうわさが流れたデータにつきましては、後でいろいろと追加の調査を加えております。そういうデータと前のデータと比べてみてそこに一つの合理的な分布というものが見られるというふうなことを見ますと、おのずからある専門家による判断ができるわけでございまして、そういう技術的な合理性を頭に置きながら、あるいは現地調査あるいはいろいろな文献等を見ながら申請者の提出文書以外のデータも十分使いまして総合的に判断をしているというものでございます。
  14. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまこの追加資料も提出をさせた、それと比較をしてというふうなことをおっしゃったんですが、追加資料が出されたのが七月十二日なんですよね、いいですか。その後安全審査会として柏崎部会が開かれたかどうか。それからグループ会議が開かれたかどうか。そして、さらに安全審査会として検討したかどうか。そしてさらにつけ加えて言うならば、そこの炉の問題と関連をして追加申請に基づく現地調査をやったかどうか。そういう点で審査委員会あるいは部会、現地調査の日程を出していただきたいと思うんですが、資料、それはいいでしょう。どうですか。
  15. 松田泰

    説明員(松田泰君) ただいまの御質問、ちょっとまあもっともな誤解を生じせしめるようなものがわれわれの発表にあるわけですが、追加の調査した申請書の内容といいますのは、おっしゃいますとおり、非常に審査の終了に近いころにまとめられて正式に申請の手続を踏んでいるわけでございます。これは実際上の審査の便宜を考えまして、どこの地点でもどこの申請の案件でも行っているやり方でございますが、審査の途上におきまして審査側と申請者側とでいろいろな討議が行われ、あるいは質問が出る、それについて申請者側が自分たち見解を新たに追加したり、あるいは調査を行うというデータは審査の途上でずっと出ているわけでございますが、それを公式の資料として申請書の補充あるいは補正という形で出しますのは審査がかなり終わりに近づきました段階でまとめて公式の文書として出すという手続を便宜上やっているわけでございます。これを外から見ますと、いま先生御質問になりましたように、終わりごろになって申請書が出てきて、その出た後、その出た申請書について審査していないんじゃないかというふうに御指摘があるのはある程度もっともだと思いますが、これはそういう実態ではございませんで、まあ便宜上そういう運用をやっているというものでございます。
  16. 吉田正雄

    吉田正雄君 多分そういう回答をされるだろうと思ったんですよね。日程を出してくださいよ、審査委員会の日程を。そして何がそこで論議をされたか。単にいつ部会が開かれてだれが出席したというだけでなくて、その部会なり審査委員会では何がそこで論議をされたのか、内容も付して資料として次回までに、きょう間に合わぬでしょうから、次回までに提出をしていただきたい。私どもの少なくとも入手している範囲内においては、この追加資料についての審議は行われておらないし、それから現地からいろんな問題点を指摘をして、その指摘に応じて追加書類が追加をされた部分というものがあるわけですけれども、それについてはその後現地調査が行われておらないということもはっきりしておるわけです。そういう点でその一覧表を出してください。それはよろしいですね。次回までにひとつ出してください。これは自主、民主、公開の原則ですから、秘密にすべきものがありますか。
  17. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 提出するようにいたしたいと思います。
  18. 吉田正雄

    吉田正雄君 いたしますとなるのが普通じゃないですか、あなた。いまの原子力基本法からしたって自主、民主、公開の原則で——安全審査委員会は秘密の部会ですか、そうじゃないでしょう。当然、皆さん請求されたら出すべきでしょう。よろしいですね、それ。
  19. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) ただいまの審査会でどういうスケジュールでやられたかということについて、提出するようにいたします。
  20. 吉田正雄

    吉田正雄君 次に、余りにも問題が多くて、ちょっと私の方で戸惑うくらいなんですが、それでは、もう少し具体的な問題についてお聞きをしたいと思うんですが、この地盤・地質問題で一番問題になった点は、まあ委員の皆さん方初めてお聞きになる方も多いと思うんですが、あの地区には真殿坂断層というものがあるんです。この点について審査委員会はいろんなことを言っておりますけれども、この真殿坂断層があるかないかによって、地震が発生をする、あるいは発生した場合の建築物に及ぼす影響、こういう点から活断層というものがあるかないかということは、これは原子力発電所建設する場合に非常に大きな問題になってくるわけです。そういう点で、現地の調査では、この真殿坂断層というものが炉心近くを通っておるという主張をしておるんですけれども、これに対して安全審査委員会は、空中写真によってリニアメントが認められないので、第四紀後半の活動性は無視できると、こういうふうに言っております。ところが、この根拠というものが一体どこから出てきておるのかということなんですね。現地の調査では、真殿坂断層上では道路の陥没やケルンコルが線状に連なっておりますし、谷地も認められるわけです。これの指摘に対して事務当局は、これは別山川の自然堤防の背後湿地であるというふうな説明をいたしておりますけれども、これは全然地質学的に言っても成り立たない論拠であり、現地の実態を知らない人が言っておるにすぎないわけです。わずか数メートル離れたところで、一つのボーリングは四十メートルまでずぶずぶともぐってまいりますし、一本は七メートルで岩盤に突き当たっているということで、その一つをとってみても大きなそこに断層があるということははっきりいたしておりますが、さらに資料といたしましても、これは権威のあるものなんですけれども、朝倉書店から出ております「日本地方地質誌 中部地方改訂版」、七五年の一月です。これには真殿坂断層が柏崎市内にまで延びておる図が載っておるわけです。これは一体どこから資料が出てきたかということですけれども、これは「新潟県中部における油田生成に関する研究」という石油技術協会誌、一九六二年ですね、ここのところに出ておるわけです。さらに東京書籍の「新訂地学I」にも真殿坂断層が記載をされているわけですね、これは学校の教科書です。さらに帝国石油調査でも真殿坂断層の存在が明らかになっているわけです。そして、帝石の従来の長い調査結果、帝石がつくったこの地図の上にもこの真殿坂断層というものが記入をされているわけです。そういう点で、空中写真でリニアメント——リニアメントというのは筋と言ったらいいんでしょうか、線がすうっと走っているということなんで、断層に見られる一つの地形の言い方なんですけれども、これを単に空中写真で見られないから真殿坂断層というものがそこまで行っていないという言い方では、これはきわめて学問的とは言えないわけですね。さらに、現地での地質学者や和光大学の生越忠教授の現地調査によっても、真殿坂断層の存在というものが、現地の人が指摘をしている、そういう提起をしている形で存在をしているということが確認をされておるんですね。ですから、もし安全審査委員会が本当に独自の立場で、主体的な判断でどちらが正しいかということを判断をするということになれば、両者の言い分に食い違いがあるならば、当然独自調査をやらなきゃいかぬですね。しかも、東電側の言っている言い方というのは、今日の地質学上まさに珍説であり新説ですよ。今日までのいろんな記録なり文献というものは全部この真殿坂断層の存在というものを肯定をしてる記録なんです。一体、そういう点で、どこからこれを否定する根拠を出されるか、その根拠というものを明らかにしてもらいたいですね。
  21. 松田泰

    説明員(松田泰君) 真殿坂断層につきましては、いろいろな観点からこれを検討したわけでございますが、まあ時間もありませんので、いま先生が御指摘になりました過去の石油探鉱関係の文献も一つございます。審査会といたしましても、この文献はまあ手に入る限り見たわけでございますが、そういう調査をいたしますと、確かに石油探鉱関係の文献には、おっしゃいましたように、真殿坂断層が推定されているわけでございます。真殿坂断層を直接確かめられたという文献はございませんで、各種のいろいろな地層からこの辺に断層があるかもしらないという推定をやっておられるわけでございます。しかも、その断層は必ずしも全部つながっている断層ではございませんで、短い断層がいろいろと推定されておりまして、それをまあ、ある人はつなげる、ある人は離しているというようなことがいろいろな文献に載ってるわけでございます。そういった過去の地質関係の、まあ石油探鉱関係を契機にしてやられました文献についても十分われわれとしては調査いたしまして、その調査一つの判断材料にして、真殿坂断層が確かにあるということはなかなか言えないという気持ちを持っているわけでございます。しかし、だからといって、これを全くないというところまでも言えないということから、一応あるものと推定いたしまして、その活動性というものがそれじゃどのように評価されるかということについていろいろ審査会の議論をした結果、その活動性は非常に低いというふうに判断されたものでございます。
  22. 吉田正雄

    吉田正雄君 いまの活動性の問題について言うならば、空中写真によってリニアメントは認められないから、第四紀後期の活動性は無視できるといまおっしゃったですね。そのとおりなんです、これは東電が言ってるそのとおりのことなんですね。ところが、これはまさに非科学的、非学問的なんですよ。なぜかというと、活断層というのは、もう今日では、第四紀または特にその後期に活動した断層というのが地質学者のこれは通説になっているわけですね。アメリカにおいてはもっと活断層の定義は詳しいんですけれども、今日、日本ではそういう定義になってるわけです。そして、活断層の活動度というのは、一年間における平均変位速度が一ないし十ミリメートルをA、それから〇・一ミリメートルから一ミリメートルをB、〇・一ミリメートル以下をCと呼んでるんですね。ところが、明治以降、地震断層を出現させた内陸地震のうち半数は、実はこの最も活動度の低いC級の活断層なんです。このことは、活動度の低い確認のむずかしい活断層が数多く存在をしているということを物語っておるんですね。したがって、いま言ったように、第四紀後期の活動性が無視できるというその言い方は、これはもう今日、いま申し上げた点からして全くの独断なんですね、現実を無視しているんですよ。一体、無視できるという根拠はどこから出てくるんですか。戦後あるいは戦前の長い日本の地震の現実起きたその状況というものを見ても、いま言ったように、事前にはC級活動で、ほとんどこの活動が認められなかったというC級活断層に多く地震が発生をしていると、約半数がC級活動度の活断層から起きておるというこの事実ですよね。だから活動性がないなんという、無視できるなんという、そういう危険な断定をやっていること自体この安全審査には非常に問題がありますよ。この点、一体どういうふうにお考えになっているんですか。無視できるなんていうものじゃないですよ、いつどういう地震が出てくるか。現に長岡地震が起き、いろんな地震があの周辺に起きているんですよ。無視できるなんというものではないということなんです。
  23. 松田泰

    説明員(松田泰君) 活断層の定義といいますよりは、これはいろんな立場で行われます関係上、審査会が自分の立場で定義しているわけではございませんが、要するに耐震設計上あるいは安全審査の必要上その断層の活動性をどう評価するかということに尽きるわけでございますけれども、いま先生おっしゃいましたように、非常に活動性のわかりにくい断層が原因となって地震を起こしている例も幾つかあると思います。しかし、だからといって、わからない断層は全部活動性があるというふうに、いわば余り内容的な、専門家の判断を入れないような仮定に置きかえることはいささか問題がございまして、そこは審査会の地質関係の専門家が十分議論しました結果、いろいろな立場からの検討を加えて、要するになかなか活動性の証拠がない場合のことでございますから、それについてはいろいろな見解を総合的に検討されまして、皆さんの一致した意見として活動性を考えなくていいということになったわけでございます。
  24. 吉田正雄

    吉田正雄君 答弁になっていませんよ、それは。いろんなあれを検討したなんと言ったって、いろんなと言ったってどの文献がありますか、そういうことを言っている文献が。何もないじゃないですか。だから、あの決断は全く独断ですよ。東電が出した資料を要約したのが安全審査会報告書になっている。  それではもう一つ、もっと具体的に言うならば、気比宮断層を皆さん万は非常に過小に評価をされておるんですね。地震との関連でこれも重要なんですが、気比宮断層は十七・五キロメートルだというふうに皆さんはおっしゃっているわけですね。ところが現地の調査、これはもう本当に確認をされております。それから、いいですか、審査委員の一人である東大の地震研の松田助教授が、松田助教授自身の今日までの研究の成果として、この気比宮の断層の長さというのは三十キロメートル以上と言っているんですよ。いいですか、それは審査委員ですよ。そしてその三十キロ以上という指摘をされている点について、現地では全部それが当たって、現実にその断層というものを確認をしているわけです。これは写真もあります。時間ありませんから……。そういう点で、この十七・五という数字も一体何を根拠にして出されたのか。審査委員の一人、しかも、この松田助教授の日本における活断層という、これは今日ではいまや最高のやっぱり権威といいますか、それがほぼそうだろうということで確認をされてきているわけですよね。それが何らの現地調査もなく、何を根拠にして一体十七・五キロというその数字が出たのか。私は、これは逆算をされたんじゃないかと思う。つまりこの十七・五キロメートルで地震を計算をするとマグニチュードが六・九というふうに皆さん方は計算をされるわけですね、そうでしょう。これは金井清さんの式を用いて皆さん方は計算されている。十七・五キロというと六・九というマグニチュード、そして、その場合の最大加速度というのが二百二十ガルになるとおっしゃっているわけです。二百二十ガルになるから安全を見積もって三百ガルに耐え得る耐震建物をつくればいいというのが、そこから逆算をして十七・五というふうに気比宮断層の長さを私は言われたと思うのです。それは全然誤りですよ。そうではなくて、やはりこれは三十キロメートルあります。もし、うそだと思うんなら、いつでも皆さん方と現地に一緒に行って確認をしますよ、ちゃんとあるのですよ。それが一ヵ所や二ヵ所じゃない、ずっとあるわけです。これでもって計算をすると、マグニチュードは七・三になるのですよ。いいですか、七・三。そして七・三になった場合の最大加速度が一体何百ガルになるかということなんです。これは確かに単純な計算式では出てこないでしょうけれども、少なくとも二百二十を超えることは確かですよ。そして戦後あるいは今日までの日本の地震の状況というものを見ますと、たとえば福井地震の場合でも五百ガルを超えておる。さらに濃尾地震では、部分によっては千ガルを超えておる。もう脅威的な数字が実は幾らでもごろごろしてきているのですね。だから、これは戦後の地震の実態というものを皆さん方調べていただければよくわかることです。もうあの福井周辺から日本じゅう至るところで五百ガル、四百ガル、三百ガルという地震が現実にどんどん起きているわけです。ですから、十勝沖地震にしても、二百キロ離れておる地震でありながら二百ガルを超えておりますから、あの耐震建物ではだめで、つくったばっかりの病院だの大学がすぐつぶれてしまった。えびの地震におけるホテルの倒壊もしかりですよ。これはいま言ったように、経済性上、土木学者なり土建業者というものは、とかくそういうものを低く見積もる、経済性の面から低く見積もりがちなもんです。ところが、事、原子力発電ですよね。そういう点でこれは何ら根拠がないと言えるのですね。全く今日認められておる三十キロメートルの長さを、だれが、いつ、どこで、どういう審査をやったのかしらぬけれども、十七・五という小さいものに縮めてしまって、そして最大加速度が二百二十ガルだというふうな、きわめて危険と言わなきゃならないのですよ。一体、確認をされたんですか。私ども指摘をしているのですよ。皆さん方が言われておる雲出から十七・五キロだというのに対して、私どもはさらに雲出の先ですね、宮本、大積あるいは山屋と、ずっと断層があるということを指摘をしているのです。その点、その指摘に対して皆さん方は安全審査委員会立場で独自に調査をされたかどうか。調査をされたかどうかだけ聞かしてください。
  25. 松田泰

    説明員(松田泰君) 審査会の現地調査で気比宮断層も行なっておるということです。ですから、現地調査の実態、私自身よくいま知らないんですけれども、気比宮についても現地調査をしております。
  26. 吉田正雄

    吉田正雄君 指摘をした土地へ行ったかどうかと聞いているのですよ。気比宮は調査したかじゃないですよ。いまわれわれが指摘をした地点にまで行って調査をされましたかと聞いているのです。その辺はっきりしないじゃ困るじゃないですか。
  27. 松田泰

    説明員(松田泰君) 先生がいま指摘された地点とおっしゃっておりますが、審査会に気比宮断層につきまして、この辺、この辺がまだ断層としてあるという指摘を受けたということについて、私は実は記憶がございませんが……
  28. 吉田正雄

    吉田正雄君 じゃ、やってないということじゃないですか。
  29. 松田泰

    説明員(松田泰君) いや、ですから、気比宮断層につきまして現地調査をしているというふうに申し上げたわけです。
  30. 吉田正雄

    吉田正雄君 いやいや、だから、十七・五キロから先のことはやってないでしょう。
  31. 松田泰

    説明員(松田泰君) それで、なお念のためにいまの御質問に対してお答えいたしますが、確かに気比宮断層の周辺をお調べになりますと、ある地層が非常に傾斜が急になっているところがいろいろあると思います。これは褶曲構造がありますれば、特にあの辺は褶曲活動がたくさんありますので、褶曲構造があれば、地層の傾斜が急になっているところはいろいろあると思います。で、御指摘になっているのはそういうところかどうか私にはわかりませんけれども、私どもは、断層の活動性を見ます場合に、あるいは存在を見ます場合に、単なる地層の傾斜だけで判断しているわけじゃございません。したがいまして、露頭に見られます地層傾斜も一つの判断要素ではございますけれども、それだけで……
  32. 吉田正雄

    吉田正雄君 聞いたことに真っすぐ答えぬといかぬじゃないか、何言ってる。
  33. 松田泰

    説明員(松田泰君) それだけで判断しているわけではございません。
  34. 吉田正雄

    吉田正雄君 じゃ、松田助教授の三十キロメートルというのは、あれは誤りだということですか、どうなんですか。松田助教授自身が審査委員ですよ、それに納得されましたか、そういう十七・五キロメートルというその結論にですよ。自分の今日までの学問が土台が崩れることになるじゃないですか、自分の研究結果というものが。
  35. 松田泰

    説明員(松田泰君) 東大の松田助教授は、いま先生おっしゃいましたように、この審査会のメンバーでございます。この松田助教授も含めました結論としまして、この気比宮断層の活動性を考える範囲は十七・五キロであるというふうに判定されたものでございます。
  36. 吉田正雄

    吉田正雄君 それは答弁になっていません。皆さん方、現地調査は行われていないわけですね。十七・五キロのしかやってない。もう時間がありませんから、きょうはこれで質疑を打ち切りますけれども、先ほど言われたような資料、それからさらに異議申し立てについての残された部分について、次回いつ開かれますかわかりませんが、その際さらに皆さん方にその点を問いただしてまいりたい。  これは、私が当初言いましたように、あちらの立場、こちらの立場ということでなくて、皆さんもおっしゃったように、事きわめて客観的、科学的な事実認識に基づいた上で決断、結論というものが下されないと、大変な事故、災害というものが起こりますよね。特に予想事故であるとか重大事故というものが地震によって発生をする、その場合の放射能汚染ですね。原子炉の崩壊、それに伴う放射能汚染なんていうことが出たら、それこそあの地域何十キロ、何百キロにわたる、広島級原爆の何百倍もの放射能汚染が出るだろうと言われているんですよ。それをいまのようなあいまいな、現地調査もやらない、東電の資料をうのみにしたような形でのそういう審査結果でもって原発をつくろうなんということは、これは大変な話ですよ。しかも、一号炉以下皆さん方八号炉までつくろうということでしょう。こんなずさんな審査によってこんな危険な原子力発電所を柏崎につくるなんということは、現地の皆さん、これは反対されるのはあたりまえですよ。そういう原子力行政で、納得させ得ない審査だから、本当に反対反対ということになってくるんですよ。現地の皆さんは何と言っておりますか。安全性が確認されれば問題ありませんと言っているじゃありませんか。ちっとも安全性が確認されてないですよね。そういう点で、信頼できる、信用される安全審査委員会原子力委員会でなきゃならぬと思うんですよ。そういう点で、言い逃れの答弁でなくて、本当に事実、真実というものを追求をする、そういう立場での皆さん方の態度であってほしいことをここで要望して、きょうの質疑を終わらしていただきます。
  37. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 午前中の質疑はこの程度にいたしまして、午後三時三十分まで休憩いたします。    午後零時十三分休憩      —————・—————    午後三時三十二分開会   〔理事塩出啓典委員長席に着く〕
  38. 塩出啓典

    ○理事(塩出啓典君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。  午前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  39. 久保亘

    久保亘君 時間が短いですから、ひとつ率直に短いお答えで御回答いただきたいと思います。  最初に、十月十七日に行われた原子炉安全専門審査会における川内の原子力発電所に関する審議の経過と結果を簡略に御報告いただきたいと思います。
  40. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) お答えいたします。  十七日に安全審査会が行われたわけでございますが、その当日は、この川内の原子力発電所審査を担当しております百二十三部会と私ども申しておりますが、そこでの取りまとめました報告書の原案を審議いたしております。  その際、科学技術庁の方から地元の関係者からいただきましたボーリングコアについての疑惑があるという御指摘にかかわります指摘されましたボーリングの位置を示す番号等を御報告いたしまして、この点も含めて審議を行っていただいたわけでございます。当日の審議では、この地盤関係以外の報告案件についてもなお若干の積み残しがございましたほか、地質・地盤関係につきましては、百二十三部会の方から審査会としてさらに追加して調査をいたしたいというような要請もございまして、なお慎重な検討を要するということで審査が中断した、中断したと申しますか、終わっております。したがいまして、十月十七日の審査は、全部の審査が済まずに引き続き検討をするということで終了いたしております。
  41. 久保亘

    久保亘君 長官も、九月に記者会見の中で、川内原発については早急に結論を出すというようなことを述べられておるようでありますが、いまのような経過からいたしますと、なお、川内原発に、関する安全審査会の結論は、かなりな日時を必要とするというふうに理解してよろしゅうございますか。
  42. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 過般も申し述べましたが、一応最終段階に来ておることは確かだろうと思います。しかしながら、御指摘の点等もございますから、そうしたこと等も含めまして慎重に対処していきたいというのが私の気持ちでございます。
  43. 久保亘

    久保亘君 それでは、この川内の原発の安全審査の中でなお慎重な検討を要する問題の一つにボーリングコアの疑惑の指摘があるということでありましたけれども昭和四十二年から四十九年にかけて行われた川内原発立地のための地質調査において、百六十九本のボーリングを行っておりますが、この百六十九本のボーリングのうち、かなりの本数についてコアの差しかえ及びデータの捏造が行われた疑いについて、地元の住民から具体的な指摘をして訴えがあっております。これは五十一年の二月以降今日まで何回かそのことについて提起があっているわけでありまして、これらの問題について、安全審査に当たって事実確認がこれまで行われてきたのかどうか、この点について行われてきたのかどうかについてだけお答えいただきたい。
  44. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) この事実確認につきまして、そういう御指摘がございましたので、局長名をもちまして、地元の方にどうぞ教えていただきたいということをお願いしておったわけでございます。その結果が九月の初旬でございますが、約十七本のボーリングコアについて疑いをお持ちだということの御指摘をいただきましたので、直ちにそのボーリングコアの持っておる技術的な意味づけを含めて安全審査会の方に検討をお願いしたという次第でございます。
  45. 久保亘

    久保亘君 そうなりますと、安全審査会において必要とする事実確認や再調査などが行われなければ、少なくとも地質面からする安全審査会の結論は出しにくい、こういうことで理解してよろしゅうございますか。
  46. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 地質・地盤の調査につきましては、確かにボーリングの結果が一つの大きな判断資料でございますけれども、特に安全審査で問題になります点は、炉心中心部の地盤の問題が一番重要なところでございます。この地元の方々によりますデータの不信というものにつきましては、かねてから御指摘があったわけでございますけれども、その中身については、われわれはなかなか教えていただけなかったというようなこともございまして、また、もう一点は、九州電力が事前に行いましたボーリングコアの技術的な意味合いというものに、若干ボーリングコア、ボーリング技術の不適切さというようなものも認められていた個所もございますので、安全審査会といたしましては、特に指定いたしまして追加のボーリング調査も行っておるところでございます。したがいまして、安全審査上、地質・地盤の問題につきましては、そのほか炉心部の下の方に試掘坑を掘るというようなこと等も行っておりまして、審査会では、審査先生方が現地を調査し、現実にその地盤を見るというような調査も行っていただいておるわけでございますので、必ずしもこの疑惑が提出されたからといってこの安全性審査に重大な影響を及ぼすとは考えておりませんけれども、これは先生方がそういうふうな御見解でございますが、なお慎重を期する必要があるということで、再度現地の調査を行い、また、指摘されたコア以外のものにも、重要な地点のコアにつきましても調査を進め、結論を出すというふうな御方針をおとりになっておる段階でございます。
  47. 久保亘

    久保亘君 私は、長官に基本的な考え方としてお聞きしておきたいんでありますが、「むつ」の放射線漏れがありました際に、「むつ」放射線漏れ問題調査委員会の報告書は、行政上の責任という立場で、非常に重要なことを提言をしているわけであります。「今後、ことにあたる責任者が地元の住民とも責任をもって話合いをし、情報を正確に伝え、理解を得る努力をすべきことである。この努力を怠るようでは、地元住民の不信感をつのらせ、一層混乱を深刻にし、広範囲に悪影響を及ぼすものであって、今後の原子力開発の推進をになうことはできない」、これがその調査会が出した結論の一つであります。このことについて、私は、五十年の五月に決算委員会で、当時の佐々木長官に対してお尋ねをいたしまして、佐々木長官は、この調査委員会の結論については、全く自分たちとしてはそのことが重要なことであり、尊重すべきものと考えておる、こう言われておるんでありますが、この点については、原子力発電の問題についても同じことが言えると思うんでありますが、この精神については、長官は、前の長官がお考えになりましたように、原子力開発の推進に当たっては尊重すべきものであるとお考えになっておりますか。
  48. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 当然尊重すべきものだと考えております。そしてまた、そのように政府もその後対処してまいりました。
  49. 久保亘

    久保亘君 そういうことになってまいりますと、今回のこの川内原発における九州電力のボーリングコア差しかえについて、地元住民から科学技術庁に対して提出されております書類及び十月の七日に代表が上京いたしまして、局長、課長に説明をいたしました内容は、住民開発を進める側との間の信頼関係という意味において非常に重要な意味を持つものであると私は考えております。したがって、十七本の追加ボーリングが行われたということによって問題が解決するのではありません。十七本の追加ボーリングは五十一年八月に命令されて行われたものであって、これはデータの追認の必要上行われたにすぎないのでありまして、その差しかえが行われたかどうかということについての確認を行うためのものではなかったのであります。私は、住民が、原発をつくろうとする企業並びにこの企業を監督している政府に対して信頼できるかどうかということについては、差しかえがあったと訴えている住民に対して、その事実の有無を明確にするということがなければいけないと思うのであります。それは同じところにボーリングを行って、そして九電が提出しているデータが果たしてその差しかえが行われていたものであるかどうかということについて、住民立ち会いの上で確認しなければこの問題は解決せぬのであります。そのことについて、その後科学技術庁は住民側の要請に対して全然お答えになっておらない。予算がないからそういうものはできないとか、そういう回答だけをやられているようでありますが、これは大変私は大きな問題だと考えております。  そこで、長官にお尋ねしたいのは、地質調査に当たって、コアの差しかえ、データの捏造の事実が明らかになった場合に、その責任一体どうなるのか。一つは、安全審査のため科学技術庁に捏造した資料を提出した企業の責任はどのように追及されるのか。もう一つは、そのことを住民側が訴えているにもかかわらず、あえてそれを退けて、安全審査会に対して九電の提出した資料を審査の材料として提出をした科学技術庁の行政上の責任はどうなるのか。このことについて住民が納得のいくような御回答をいただきたいのであります。
  50. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先ほども若干御説明いたしましたけれども設置許可に際しましての安全審査は、確かに申請書に記載してある資料を基本にいたしまして審査が進められておりますけれども、ただそれだけではございませんで、その他の文献、資料、あるいは地質関係でございますと、現地調査あるいは専門の審査委員の知見等に基づきまして、科学技術的に諸先生の意見を取りまとめていただきまして、独自の立場審査が行われておるわけでございます。したがいまして、幸いにして地元の関係者の方から疑惑をお持ちになっておられるボーリングのコアの場所を示すデータをいただくことができました。したがいまして、それの持つ科学技術的な——コアが現在保存されておりますので、その持つ科学的な意味を十分専門的な目で見ていただき、それが審査にどう反映されるべきであるかということを専門審査会の先生方に御判断をお願いしておるところでございます。したがいまして、私ども審査会の審査と申しますのは、あくまでも科学技術的な知見に基づいて行うべきものであると考えておりまして、審査会の立場としては、そういうような方向で運営されることが最も正しいものであるというふうに考えておる次第でございます。
  51. 久保亘

    久保亘君 長官答えてください。私はそんなことを聞いておらぬのです。その差しかえが行われたということを、当時このボーリングに当たったボーリングの機長やそこで働いた人たちが証言しているわけです。断層粘土層というのですか、そういうもののために水に溶けてしまって、コアは採取できなかった。できなかったら、ほかのところで上がったコアを割ってその箱の中に並べた、あるいはコアを引き伸ばしたりした。そういうことを証言しているのです。それをやらされたと言っている。必要があるならば、公式の場に出て証言してもよろしいと言っている人たちもおるのですよ。だから、そんなことがあったとすれば、私は、あそこの地質が適するかどうかという問題の前に、企業が監督官庁と安全審査会をだましたということになるでしょう。その結果が、たとえそういう差しかえが行われ、データが捏造されておってもなお大丈夫であったという結論がたとえ出ようとも、企業がだましたというその結果は消えないでしょう、その事実は。そんならば、企業がだました責任、だまされたと知りながらそれで安全審査会を終えようとしたあなた方の責任は、どこでどういうふうにしてとられるのですかと聞いているのです。
  52. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先ほども説明いたしましたように、安全審査会では、科学技術的なデータに基づきまして御審査をお願いしておるわけでございます。したがいまして、私どもは、地元の方々がかねてからそういう御不信を抱いておられた、それを教えてくださいとお願いして指摘をいただいておるわけでございます。これを御判断願うのは、当然安全審査を担当しております安全審査会の事務局である安全局としては、それを先生方に科学技術的に判断していただくことが最も重要であると考えたわけでございます。  なお、その企業の責任その他につきましては、当然、先生方もおっしゃられるように、九州電力にもいろいろな企業的な責任はあろうかと思いますが、先ほども申し上げましたように、安全審査会が必要とする科学技術データが得られたかどうか、これが私どもの最も大事にしておるところであるということでございます。
  53. 久保亘

    久保亘君 それでは私は科学技術庁の責任は果たせないと思うのですよ。先ほど長官は原子力開発に当たっては安全灯をつけながら開発を進めていくんだという説明をされたけれども、あなた方のそういうやり方だったら、原子力安全局などというのは、住民の安全を守るためにあるんじゃなくて、企業にいかにサービスするかということになって、あなた方のつけている安全灯というのは住民の目をくらますためのものにしかならぬじゃありませんか。それじゃだめなんですよ。そうじゃなくて、企業がたとえ一本のボーリングであっても、インチキをやってね、インチキをやって資料をつくって安全審査を求めたということならば、そういう企業は、こういう重要な問題の開発に当たって、原子力というまだ未知の世界にいどんでいくような危険性の多いこういう開発に当たって、住民の信頼は絶対に得られないんだと、そういうことをやっちゃいかぬと、だからその差しかえとかデータの捏造とかいうような事実があったのかなかったのかということに対してきちんと結論を出し、その結論に基づいて、事実があったら責任を明確にする、企業も行政府責任を明確にするということを終えずに、安全審査会がどのような結論を出しても、地元の住民を納得させて開発を進めるということはできないでしょう、私はこう言っているわけです。長官、どうお考えになりますか——あなたじゃない、長官に聞いているんです。こういうのは政治的な責任としても私は答えてもらいたい。局長のは答弁になっていないよ。まともに答えろよ、まともに。全然なっていない。何回同じことを聞かれているんだよ。
  54. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 地元の方からいただきました内容、そのコアの差しかえの内容の概要でございますけれども、これは、ボーリングコアの採取のためにボーリング会社の作業に従事しておられた作業員の方からのお話が大部分で、その参加された方からいただいたものをお聞きしたわけでございますが、その大部分は、ボーリングコアの採取の状況が悪い、コアの採取率が悪いというところで、それを収納箱に入れるわけでございますが……
  55. 久保亘

    久保亘君 そんなことはいいんですよ、時間がないんだからね。あんた聞いとらぬことをくだくだ答えて、時間つぶしてもらっちゃ困る。
  56. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 採取率の悪いための処置についてのお話と、一部コアの、別の石を入れたという御指摘でございますが、そういう点を含めましてそのコアの御指摘をいただきましたので、現物の確認を専門の先生にお願いしておるという段階でございます。
  57. 久保亘

    久保亘君 繰り返しになりますから、私余り持ち時間がありませんから、きちっと答えてください。  そうすると、そのコアの差しかえとか資料の捏造が行われたという地元の証言、地元の住民の疑惑があるんですから、その問題について疑惑を解消する科学的な事実確認を終えなければ、先ほど長官が、それは当然尊重すべきことですと言われた、原子力開発における住民との信頼関係、こういうものはできてこないじゃありませんかと私は言っているんで、だから、この事実確認をきちんとやるまでは、安全審査会が、いやそれは大丈夫なんですよと言って一方的にそう言われたって、住民はそう思わぬのだから。だから。安全審査会の結論というのは、少なくともこの事実確認を終えるまではやるべきではないじゃないかと私は申し上げておるわけです。その点については長官いかがでしょう。
  58. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 先ほどから局長、もたもた答えていますが、はっきり申し上げますと、現物が残っておるんだから、したがって、果たしてそういうことがあったのかなかったのかも含めて確認させなさいと、私こう言っているんですよ。だから、いまそうした意味において安全審査を進めておると、こう思っていますから、その結論はどうなるか、私もまだ聞いておりません。現在進めておるところであると、こういうことでございます。
  59. 久保亘

    久保亘君 そうすると、その問題について一つの、それで安全審査を進めろということになっておるのであれば、その結論が出るまでは安全審査会がこの川内原発についてゴーの結論を出すというようなことは考えられない、こう思ってよろしいですね。
  60. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 科学的技術的にきちっと安全審査というものはやっておるわけでございますから、それを的確に進める、その上でその答えが出る、こういうことでございます。
  61. 久保亘

    久保亘君 そして、先ほど私が申しましたように、もしもそのコアの差しかえやそのデータの捏造が行われたという事実が確認された場合には、当然そのことに対する責任は明確にされなければならぬと、こう思いますが、その点についても長官御同意いただけますか。
  62. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 当然、そういうことが意図的に行われたということであれば、これはゆゆしきことですから、われわれといたしましてもそれに対しましてはそれ相応の対処をしなければならないと、こういうふうに思っております。
  63. 久保亘

    久保亘君 それから、これは委員長に私はお願いしたいのでありますが、きょうは時間がございませんので、このボーリングによるコアの差しかえ、データの捏造について、現地でこの仕事に携わった者の間に、その証言をいつでもやれるという人たちがおられるようであります。したがって、当委員会としてもこれらの人たちを証人として出席を求めて、その事実関係について委員会としても私は審査をする必要があるのではなかろうかと考えております。  なお、一方的になってはいけませんので、当然、その場合に九電の調査に携わった者もおいでいただいて結構だと考えております。また、その施工業者もおいでいただけばよいのではないかと考えておりますが、その点について、ぜひ理事会で御配慮をいただきたいと思うのでありますが、よろしゅうございますか。
  64. 塩出啓典

    ○理事(塩出啓典君) 久保君の御発言については理事会で協議をさしていただきます。
  65. 久保亘

    久保亘君 それではその機会に、ここに地元から提出されましたボーリングコア差しかえについての訴えや、それに回答をされました原子力安全局長牧村さんの回答書やら一切そろっております。その際にまたこれらの問題について私は意見を申し上げたり、事実の確認を行ったりしたいと考えております。  ただ、いま長官が言われましたように、これは非常に重大な責任を伴う問題でありますから、この問題の事実確認は原子力開発行政の基本にかかわる問題としてきちんとやっていただきたい、そしてこの問題について納得のいく結論を得ないうちに、安全審査会が、われわれの資料によれば大丈夫だなどという、開発の側に立った思い上がった姿勢で結論を出すというようなことにならないように、慎重な御配慮をお願いを申し上げておきます。  なお、この機会に、原子力船「むつ」の問題についてもお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、宇野長官は、九月の二十一日に福岡市において記者会見をされましてその際に、「むつ」総点検・改修技術検討委員会の結論を自民党でいま検討しており、早急に結論を出したい、新母港は複数となろう、こういうことを言われたと聞いておりますが、この新母港は複数となろうということまで含めて、長官、そのように発言をされたということは間違いございませんか。
  66. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 母港複数論は、すでに去る通常国会におきまして、国会で私がそのことを明言いたしております。それは、将来の原子力船時代を迎えるためには単数というようなことではいけないと、したがいまして複数、そうした母港が必要であるということをはっきり申し上げた次第でございます。だから、さようなことをしばしば会見におきましても問われましたら、同様の答えをしておるということでございます。ただし、まだどこだということは決めておりませんから、御了解賜りたいと思います。
  67. 久保亘

    久保亘君 それはね、将来原子力船が実際にその活動を開始するような時代がもしやってきた場合の遠い将来の想定として母港複数論というのがもし語られたとするならば、それは、いま私どもが「むつ」の問題として考えていることとは、ちょっと次元が違うんじゃないでしょうか。  で、原子力船「むつ」の定係港に関して、「むつ」の放射線漏れがありましたときに、四十九年十月十四日に、政府代表・自由民主党総務会長の鈴木さんと青森県の漁連の会長、青森県知事、むつ市長の四者の協定が締結されております。この協定に基づいて十二億程度の国の予算がこの問題の解決に使われたのであります。その後、「むつ」の定係港はこれを撤去する、二年六ヵ月以内にはそれを完了するということに、この協定はなっておったんでありますが、今日この協定は事実上履行されない状態でとまっておりますが、「むつ」の、むつ市の母港撤去についてはこの協定の方針に従って今日も進められておる、このように考えてよろしゅうございますか。
  68. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 先ほどの、まず母港の件ですが、遠き将来を見通しての話でもあり、また今日「むつ」そのものに関する母港という意味もございます。なぜかならば、私たちは、修繕に三年間はどうしてもかかるであろう、こういうことでございますから、できましたならばその三年の間にはやはり母港というものが少なくとも確定されなければならない。そうでなければ、修繕を終えた「むつ」がどこへ行くんだということになりますから、さような意味も含めておるということをひとつ御了解賜りたいと存じます。  なおかつ、四者協定は、現在私は、はなはだ残念でございますが、四月十四日の期限が守れなかったことは、しばしば国会で、私の非力のいたすところというので、おわびを申し上げております。これはもう御承知だろうと思いますが、出口、入り口の問題で、入り口の長崎がいろいろと慎重に事を運んでいただきまして、最終的には答えが出ましたが、しかしながら、御承知のとおり、県の方では核燃料体を抜いて来いと、こういうふうな条件が加味されておりますので、そのこと自体につきましても検討を必要とするというふうなことで、いまなおかつ、むつに「むつ」がつながれておるという状態でございまして、しかしながら、私は非常にそのことを遺憾とし、おわびを申し上げておりますが、四者協定そのもの官体は現在も生きておる。そして私はそれを尊重したい、こういう気持ちでございます。
  69. 久保亘

    久保亘君 そういたしますと、「むつ」の現在つながれておりますむつ市の母港は、この協定が生きておるわけでありますから、できるだけ早く撤去されなければならない。すでに撤去の仕事はこの協定が締結されると同時に始まり、燃料プールなどの埋め立てなどはその直後に行われたと私どもは聞いております。そういうことで作業が進んでおりますならば、当然、もしこの「むつ」を廃船にしないのであれば、新母港をどこかへ設定しなければならない。五十年の四月には政府部内において、すでにどこかに内定をされたこともあるんであります。しかし、この内定をされました母港は、統一地方選挙への配慮などから、公表されないでいるうちにいろいろ問題が起きて、そして統一地方選挙が終わりましたら、その後の選挙、政治情勢、その他を配慮しながら、これは立ち消えになっていったと。そのことは私がつくり上げて言っているんじゃなくて、ここに昭和五十年五月二十八日、決算委員会の会議録があります。この中で佐々木長官がそのように述べられておるのであります。「むつ」の新母港の決定に当たっては、その地域政治情勢とか住民の意向とか、そういうものを非常に尊重しなければならぬ、それから、何はともあれ、どこかに母港の話を持っていこうとするならば、まずその地元選出の国会議員に対してその話をすることから始めるのでありますということを言われておるんです。これは前の長官の話ですよ。そういうようなことでやられてきたまま、ついに「むつ」の新母港はいろいろな情勢から今日まで確定することなく進んでまいっております。  ところが、私の選挙区であります鹿児島県の奄美大島の瀬戸内町で、つい最近、むつ市を視察をされた上で、町議会が、「むつ」新母港の誘致に関して採決をいたしました。十三対七で「むつ」の母港誘致を決定したという報道がある。このことについて、鹿児島県の瀬戸内町と政府、科学技術庁あるいは関係の運輸省とか、そういうところ、あるいはその中間に、佐々木長官が言われてきたように、いわゆる政治家を通してこの新母港の瀬戸内町への誘致運動について何らかの接触があったのかどうか、その点は御承知になっておりましたら、ひとつ率直にお答えいただきたいと思うのであります。
  70. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 過去の経緯につきまして私から御説明申し上げますが、かつて、本年の二月でございますが、瀬戸内町の議会に設置されております瀬戸内町総合開発調査特別委員会という委員会のメンバーの方々から成る調査団の御一行が、原船事業団のむつの事業所と、それから東海村にございます原子力関係施設の視察に行かれたのでございますが、その帰りに科学技術庁に立ち寄られまして、これに当庁の職員が応対をしております。また、七月にも同じようなことがございました。その際、先方の質問に応じまして「むつ」問題の現状につきましていろいろ私どもの方から御説明を申し上げたという事実がございます。本件以外に特に定係港問題で私どもと瀬戸内町の方々が折衝を持ったといったふうな事実はございません。
  71. 久保亘

    久保亘君 いま、そうすると、新母港として瀬戸内町は、科学技術庁、運輸省などで検討の対象となっているのかどうか、それはどうなんですか。
  72. 山野正登

    政府委員(山野正登君) まず結論を先に申し上げますと、現在、新定係港につきましては候補先というのは一切白紙でございます。これは、四十九年の放射線漏れの後、先ほど先生指摘の四者協定に従いまして早速政府部内におきまして新定係港の候補地の選定に入ったわけでございますが、当時、図上の調査等で、ある程度の選定を進めまして、五十年の五月に一つの候補地を内定したのでございますが、これも御指摘のような事情で白紙に還元しまして、五十年の十二月に至りまして、まず、定係港を先に探すよりも、現在遮蔽において不良個所のございました「むつ」を先に修理をいたしまして、その修理の後で定係港を探すという手順の方がよいのではないかということが「むつ」の対策閣僚会議で決定されましたので、それ以降はその線に沿って修理港をまず決めるという作業を進めております。そういう次第でございまして、現時点におきましては定係港は白紙でございまして、修理港決定次第至急に選定作業に入りたいというふうに考えております。
  73. 久保亘

    久保亘君 その場合、新定係港の選定をされる場合に、当然、過疎に悩んでいる地元などに何か恩恵があるかのような幻想を抱かせながら地元の誘致運動にうまく便乗するというようなことでは、私は問題が大きいと思うのであります。それで、鹿児島県の甑島が一時対馬と並んでうわさに上がりましたときに、地元の鹿児島県知事はこれに対して反対の意向を表明されております。それはなぜかというと、原子力船の安全が確認されていないから、こういうことなんであります。私は、そういう場合には、地元の行政の責任者とか地元の町などにおいて反対の意向が存在する場合に、新母港をそこへ持ち込んでいくということは、むつ市における混乱を他へ移すに過ぎない、こういうことだと思うのでありまして、いま瀬戸内町については全然まだ候補地として挙げているわけではなく、全く新母港は白紙であるということを言われておりますが、現に地元の方はあなた方と接触したという感じを持っているんだろうと思うんです、先ほどの経過からしてですね。だから、そういう点についてはひとつ慎重に事を運んでいただきたいと考えております。それで、もし新母港についてどこかの候補地を検討の対象にされる場合には、当然にその地元の県なりに対しては事前にそのことを明らかにして検討に入られる、こういうことが私どもは必要だと考えるんでありますが、その点については、あなた方の方もそういう方針で臨まれると考えてよろしゅうございますか。
  74. 山野正登

    政府委員(山野正登君) 先生指摘のように、定係港の選定に当たりましては地元の意向を十分に確認する、意思の疎通を図る必要があるというのは、まさに御指摘のとおりだと思いますし、また、メリットにつきまして誇大な妄想を抱かせるような言動というのは、もちろん私ども厳に慎むつもりでおるわけでございます。今後選定作業に入りました際に、まず県当局に通知をするかどうかといったふうな手順につきましては、ただいまの先生の御指摘も頭に置きながら、今後慎重に検討いたしたいと、こういうふうに考えております。
  75. 久保亘

    久保亘君 最後に、瀬戸内町の場合も、結局、過疎からの脱却ということで、いろいろと地元の方もお考えなんでありますが、この町の決定というのは地元をやはり二分する論争を巻き起こす非常に重要な問題となろうと私は思うのであります。だから、これらの問題については、科学技術庁は何か地元から一つの声が上がってくるのを待ち受けるようなかっこうで、うまくそれに乗ろうというような、ずるいやり方じゃなくて、やっぱり、新母港の条件としてこういうところが望ましいということなら、その検討対象になるところにはオープンに明らかにしておいて、地元の意向を聞いていくということでなければならぬだろうと思います。現在はすべてが白紙で、瀬戸内町などを検討の対象にしていることは全くないと、こういうことでありますから、これは単なる地元の一つのそういうような意向表明があったにすぎないものと私は理解いたしますので、いまお話しになりましたように、ひとつ慎重に対処されるようにお願いして、私の質問を終わります。
  76. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 最初に、少し前置き的に述べておきたいと思うんですけれども、きょうの当委員会でのお二人の質疑によって指摘もされておりますが、科学技術庁発足して二十一年を迎えますけれども、この間の行政上の重点は、いわゆる原子力問題に多くのエネルギーが注がれてきた。その間、政府は、この原子力をいわば事実上完成された技術、こういう考え方に立って、本来自主的な開発に必要な日本独自の基礎的、系統的な研究を非常に軽視をして、開発をぐいぐいと推し進めてきた。こういうやり方が、実はきょうのお二人の中でも指摘をされておりますし、それを待つまでもなく、いろんな諸論文にも紹介をされておるような今日の全国各地一連の原子力発電所事故として露呈をしておる。しかも、その内容が、政府側はいろいろ強弁をしていますが、単にそれは軽い故障だということでは済まない、いわゆる初期故障、そういうことでは済まない、本来の安全性が疑われるような重大な問題が露呈をしているということだと思うのです。  それと、もう一つの問題は、過日来のいわゆる核燃料の再処理問題をめぐっての一連の日米交渉、その中に露呈をしておりますように、わが国原子力行政というのが非常に深くアメリカの政策に振り回されている、こういう事態が露呈をしてきておると思います。   〔理事塩出啓典君退席、委員長着席〕 そういう点で、冒頭に私は提唱をしておきたいわけでありますけれども、今日の本当に国民が願っておる安全な原子力行政をどういうふうにつくり上げていくかということで、いま一度原点に立ち返って、もっと学者、研究者の意見に耳を傾けていく、そのために、今日まで原子力行政に携わってきた、そういう人たちだけではなくて、たとえば日本学術会議などに、そこに参加をしていられる専門学者の広範な意見をひとつ徹底してくみ上げる、そういう審議会をぜひとも設置をする必要があるということを提唱するわけですけれども、ここらの問題については、次の委員会でいろんな角度から私の意見を申し上げてみたいというふうに思いますので、この点についての答弁はあえて求めません。ただ、こうしたわが国原子力行政を進めていくに当たっての科学技術庁の基本姿勢にかかわる問題として、科学技術行政のわが国の基本姿勢にかかわる問題について、きょうは特に一般質疑ということでもありますので、少し角度を変えていろいろ質問をしてみたいと思います。  言うまでもありませんが、昭和三十四年以来、科学技術会議、これが総理府の付属機関として発足をしてきているわけですけれども、国の長期、短期の科学技術政策を樹立をするいわば重要な任務を負って機能しているということだと思いますが、そこで、私もいろいろ調べてみたんですけれども、この科学技術会議に政策立案の重要な役を負う専門委員二十人ほど、たとえば総合部会専門委員としておられるわけですけれども、その顔ぶれを見ますと、財界ないしは財界の研究機関を代表するようなメンバーというのが半分近い。経済政策や産業政策をいろいろ審議をする、検討するような審議会のようなものならばいざ知らず、科学技術会議の専門委員がそういう構成になっておるというのは、私はこれはやはり当を得ないやり方ではないかというふうに思いますが、次のこの専門委員の改選の時期に向けて、こういう科学技術会議のまず機構上の問題のあり方について改善を加える意思はあるのかないのか、それから、学者や研究者の代表の方も相当数入っておられますが、これは総理府なり科技庁の指名に基づくものなのか、関係をする学界の推薦を求めておるものなのか、まずその点をお尋ねします。
  77. 大澤弘之

    政府委員(大澤弘之君) お答えをいたします。  財界と申しますか、産業界の偏りが多いというふうなお話でございましたが、総合部会のことをいま先生おっしゃられましたけれども、科学技術会議には五つの部会がございまして、いまお話がございました総合部会、それから研究目標部会、それからライフサイエンス部会、エネルギー部会、日本学術会議連絡部会という、この五つの部会から構成をされております。それで、現在専門委員の数は全体を通じまして百二十九名でございます。そのうち、内訳を調べてみますと、研究者が七十八名、研究者以外の者、おっしゃいますような産業界の……
  78. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いやいや、私は総合部会のことで聞いているんですから、そこに焦点を合わして答えてください。
  79. 大澤弘之

    政府委員(大澤弘之君) 会社の社長とか、そういう方々が五十一名でございます。したがいまして、私ども審議をいたしていきます場合には、研究者の方々を十分に採用しておるもの、こういうふうに思っておる次第でございます。  なお、ただいまのお話でございましたけれども、私どもの科学技術会議のところでは官学民あわせての日本の科学技術の政策を立案すると、こういうことでございますので、官界からも、学界からも、産業界からも参加を求めて審議を進めてきておるというのが当初からのいきさつでございます。
  80. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ちょっと問題をばくっと広げ過ぎて、答えになっておりませんが、私が言ったのは、総合部会の専門委員、これについてどうか。それから特にお尋ねしているのは、学者、研究者の代表を関係学界のそこに問うて、そこの推薦を求めて決定をしているのか、そういう点どうですか。
  81. 大澤弘之

    政府委員(大澤弘之君) 私ども学界からの推薦を受けて専門委員を定めるということはいたしておりません。
  82. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ことしの五月の二十五日に諮問六号に応じての六号答申、「長期的展望に立った総合的科学技術政策の基本について」という答申がこの総合部会の検討を経て科学技術会議として決定をされておる。いわば、これからの中期的なわが国の科学技術政策の基本をここで打ち出したということになっているわけですけれども、たとえば、この答申について、さっき専門委員は学界の推薦によって決めたわけではないということが学者についてははっきりしたわけですけれども、たとえば、今日日本の学界の結集体と言いますか、政府も公認をしておる機関としてのいわば日本の頭脳、英知の結集体とも言うべき日本学術会議というのがあると思うんですが、この学術会議の意見を十分くみ上げてこの六号答申というのがつくられたのかどうか、その点はどうですか。
  83. 大澤弘之

    政府委員(大澤弘之君) 六号答申の作成の過程におきましては、学術会議との間には二回ばかり非公式の会合を持ちまして、当方での作業の進みぐあい、内容についてお話をし、意見を承りながらやってまいったわけでございます。
  84. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 非公式の会合を持ったという——何で非公式にしなくちゃならぬのか、そこがよく理解ができませんが。学術会議が学術会議月報というのを出しておるのは御存じだと思いますけれども、ここの七月号、八月号の学術会議としての報告リポート、この中で、非常に事が拙速に運ばれた、学術会議として一遍正式に意見聴取を行ってもらいたいということをかねがね申し入れをしてきたわけだけれども、それがついに行われないままこの六号答申の決定に至ったということを記述をしていますが、そのことは御存じですか。
  85. 大澤弘之

    政府委員(大澤弘之君) 承知をいたしております。科学技術会議の議員には日本学術会議の会長が議員として参加をされておりますので、学術会議の意向につきましても科学技術会議で議長から御意見が述べられております。
  86. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それは形式上の問題で、学術会議の会長が参加をしているからそこで意見がくみ上げられたというのであれば、あえて学術会議の月報にそういう苦情が載るはずがない。そういう点で、これは長官にお尋ねをしたいんですけれども、本当に日本の英知とも言うべき学者、研究者の意見をくみ上げていくという上で、この今日の科学技術会議の運営について改善をすべき点がない、ある、どうお考えですか。
  87. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 現在のところは、私は、いまのままの組織でわれわれは十分将来に向かって責任を負い得る体制ですべての問題を審議しておる、こういうふうに考えております。
  88. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 重ねて聞きますけれども、現在の形でというのは、あなたは、学術会議の会長が科学技術会議の議員として加わっているからそれでくみ上げ得るという、そういうことかと思うんですけれども、あえて学者の結集団体である学術会議の月報にこういうことが記載をされるという、そのことについて何の反省もしないのですか。
  89. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) そういう必要があれば、やはり学術会議の会長から私にも相当な要請があろうかと思いますが、まだいままでかつてそういう要請を私自身が直接受けたことはございません。
  90. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それなら、角度を変えて聞きますけれども、学術会議は、ちょうどきょうまで三日間、本年度の総会を開かれておるわけですけれども、いままで何回か学術会議としてわが国の科学技術の政策についてのあり方、またその具体化について勧告を行ってきているんですけれども、どういうふうに科学技術庁としてこれを受けとめ、具体化を図ってきているか、簡単でいいですから……。
  91. 大澤弘之

    政府委員(大澤弘之君) 学術会議の勧告につきましては科学技術庁が窓口ということになっております。しかし、勧告は、社会科学、人文科学あるいは自然科学、その他各省庁の所掌にかかわっておるものが多うございますので、科学技術庁では、関係省庁連絡会議を招集いたしまして、その連絡会議におきましてそれぞれの勧告に従った処理省庁を決めまして、その処理省庁において処理をしていただく、こういう形をとっております。
  92. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 昨年の総会で、この学術会議が「再び科学研究基本法の制定について」という、あえて「再び」というまくら言葉がついているわけですが、こういう勧告を行っているのは御承知だと思うんですけれども、これの具体化についてはいまどう進行していますか。
  93. 大澤弘之

    政府委員(大澤弘之君) 科学研究基本法につきましては、先ほど御答弁申し上げました各省庁連絡会議で、十六省庁が関係をしておるというようなことで、十六省庁が処理省庁ということになっております。これは具体的には、各省庁に所属する国立試験研究機関がある等々のことでございますが、なかんずく科学技術庁と文部省の関連が多うございますので、科学技術庁と文部省におきまして、この勧告の処理につきましては具体的に非常にいろいろの問題が多うございますので検討をすると、こういうことで、両、文部省と科学技術庁に連絡会を設けまして、その連絡会におきまして現在この勧告の処理につきまして検討をしておると、こういう段階でございます。
  94. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 時間がないので話を進めますけれども、この五月二十五日の六号答申とほぼ時を同じくして、新たに七号答申というものの諮問が出ている。その内容については、エネルギー開発研究、これを中心にしたそういう諮問の骨子になっているというふうに聞いているわけですけれども、別に新しい情勢が五月末の段階で忽然と生まれたわけではない。にもかかわらず、この六号答申自身中期方針でありますから、そういう点で、この七号答申というものを新たにつくっていくどういう事情があるのか。むしろ、今日時点で国民が期待をしておるのは、たとえば地震対策を初めとする防災の問題だとか、依然として後を絶たない公害対策の問題だとか、こういう問題も含めて——エネルギー開発原子力開発、ここにだけ重みがかかっていくような、そういう今日の行政についての批判が生まれていると思うんですけれども、この点について答えてください。
  95. 大澤弘之

    政府委員(大澤弘之君) お答え申し上げます。  エネルギーにつきましては、いま五月の時点というお話がございましたけれども、先ほど申しました科学技術会議の中にエネルギー部会というのが設けられておりまして、その時点まですでに二年間エネルギーの研究開発につきましては調査を進めてまいりまして、部会の報告書というようなものについてもとりまとめができております。そういう情勢下にありまして六号答申が出されたわけでございますが、この六号答申では、いろいろな分野につきまして研究開発計画的に進めていくことの必要性を述べております。その一つの手段といたしまして、各分野ごとに研究開発の基本計画を作成していくべきであろう、こういう提言をしております。その提言の最初のものといたしまして、現下、資源エネルギー問題が大変大事なときでございますので、エネルギーの研究開発についての基本計画をいかに定めていったらいいか、こういう諮問が第七号で出たわけでございます。そのほかに、お話がございました防災あるいは安全等の問題につきましては、まだ基本計画というところまでには至っていないのでございますけれども、実はこれにつきましては科学技術会議としてもすでに作業をいたしておりまして、五十一年の二月の本会議に「国民生活に密着した研究開発目標に関する意見」という科学技術会議の意見が出ております。この中では、安全の確保ということにつきまして、環境の保全あるいは事故災害の防止ということにつきまして詳細な研究開発の目標を掲げて、その進め方を提言をいたしておる次第でございます。
  96. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 答弁が要領を得ませんけれども、さらに話を進めたいと思いますが、先ほど来申し上げておるような、そういう方向で、今日までの積年にわたるわが国の科学技術行政が、原子力の問題なんかを初めとして、宇宙開発、海洋開発等々、いわゆる大型プロジェクトを中心にして推進をされておるということで本来、長い将来——あすから目に見えてどうなるかということにならないにしても、長い将来を見渡して、本当に科学技術の発展、ひいては国民生活の豊かな発展、この基礎となる文字どおりの基礎的な科学研究、これが重要であるというのはこれはもう論を待たないと思うわけですけれども、そういう点で、私が理解する限りでは、字面の上ではその点が五号答申に比べて六号答申はかなり強調をされてきているというふうに思うわけですけれども、問題は、それをどういうふうに実施に移していくか、ここが問題の核心だと思います。  そういう点で、たとえば科学技術行政全体を見ての五十三年度概算要求が、せっかくあなたたちが誇らしげに言っている六号答申でありますから、科学技術会議の答申でありますから、これを基礎にしてどういう前進方向をつくってきているのか、その点はどうですか。
  97. 佐伯宗治

    説明員(佐伯宗治君) 御説明いたします。  大学関係の基礎研究につきましては文部省の方から御説明があると思いますが、国立試験研究機関におきます基礎研究につきましては、主として現在研究員当積算庁費と特殊経費というものによって実施されております。この研究員当積算庁費につきましては、調整によりまして昭和五十三年度におきましては単価の一律八万円増額ということを行いまして、その結果、総額につきましては現在百十八億円、対前年度一一%増という概算要求を行っております。また一方、特殊経費につきましては、五十三年度の概算要求総額は百二十億円、対前年度二六・七%増ということになっておりまして、今後ともこういったことを、見積もり方針の調整作業を通じましてこれらの基礎研究費の増額を図ってまいりたいと考えております。
  98. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 いまわずかの数字の説明であったわけですけれども、いまの数字の説明でも明らかだと思いますが、もっとここ数年の年次別対比をして見れば明らかだと思います。これは、国立大学についても、各種国立の研究機関についても、あるいは科技庁管轄のもとの研究関係の予算について見ても、いわゆる大型プロジェクト研究には相当の金を注ぎ込むけれども、基礎研究、経常研究、ここの部分の比重が非常に低いということは、あなたたちが作成をされております科学技術白書の数字としてもそこにきちっと記載をされておると思うのです。あるいは、研究費の伸びに比べて実際にその研究を担っていく研究者の数がふえていかない、こういう事実になっておるということも明らかだと思うのですが、この点はお認めになりますね。
  99. 大澤弘之

    政府委員(大澤弘之君) 数字の面におきまして、ただいまお話がございました点については、そういうことになっております。
  100. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、本当に未来の豊かな発展の基礎になる基礎研究をどう重視をしていくか、そういう点で、あの六号答申も書いておりますし、科学技術白書の中でも強調をしておる、いわゆる人材開発という、そういう呼び名でその問題を強調をしているわけですけれども、いま一連の大学で、オーバードクターというのが、これが非常に大きな問題になってきておるというのは御存じのとおりだと思うのです。せっかくドクター課程まで卒業をしながら、職がないということで、収入もなしに研究活動に従事をしておるということですけれども、いわば、こういう有能な頭脳、有能な人材がむだにされておるということだと思うのですが、片一方、基礎研究、これを本当に実りあるものとしていくために、各国立の研究機関あるいは大学、こういう分野にそれの担い手としての人員を、研究員をどうふやしていくか、このことが同時にまたオーバードクター問題の解決にもなるということで、自明の問題だと思うのですけれども、この点での積極的施策は、いま当局はお持ちになっていないんですか。
  101. 瀧澤博三

    説明員(瀧澤博三君) いわゆるオーバードクターと申しますのは正確な定義が必ずしもあるわけではございませんが、博士課程を修了して学位を得、あるいは学位を得ないまでも所定の単位を修了して大学博士課程をまあ退学した者ということを言ってよろしいかと思いますが、そういうもので現在特定の定職についていない者ということになろうかと思いますが、その数が、お話のように、このところ毎年千名を超えるような状況であるということは大変な問題であるという意識を持っておるわけでございます。これは、基本的には研究者に対する需給のバランスということもあろうかと思います。博士課程の拡充につきましては、その辺に十分配慮もしているわけでございますが、同時に、博士課程の内容につきまして、全く狭い分野の研究者の養成という観点だけではなくて、民間の企業も含めまして広い分野に進出し得るような人材の養成をねらった、そういう方向で博士課程のあり方を考えていかなければならないという問題もあろうかと思います。そういう観点で、現在関係者といろいろ議論も進め、対策も考えているという状況でございますが、また、お話しのように、国立大学の研究者の定員の増でございますが、これは、公務員の定員増が全体として大変にいま苦しい状況ではございますが、それにいたしましても、国立大学につきましては基礎的な研究の担当者ということで毎年相当数の増員は果たしているところでございますし、今後そういう面で十分力を注いでまいりたいと考えておる次第でございます。
  102. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 抽象的には、前向きで考えようという、そういう見解の表明であるように理解はするんですけれども、たとえば五十三年度に向けて、本当に未来に向けての科学技術の豊かな発展、その基礎である基礎研究をどうやって強化をしていくかという、この点で、各機関における研究機関、大学、一連のそういう分野における研究者養成、人材の拡充、この問題についての積極施策はないんですか。
  103. 植木浩

    説明員(植木浩君) お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がありましたのにそのままお答えするほどの積極策と言えるかどうかわかりませんが、私どもの方では、研究者の確保のための奨励研究員制度というものを従来から実施いたしておりまして、これは、大学院の博士課程修了者などで、将来の研究者としてすぐれた資質を有する者に対しまして、大学などでの研究機関で採用されるまでの間、研究奨励金というものを支給いたしまして、研究を奨励、継続させて研究者の確保を図る、こういう制度がございます。私どもとしては、及ばずながら、こういう制度の拡充によりましてそういった研究者の確保ということに努力をいたしております。年々人数等をふやしてきておるわけでございます。
  104. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 なお、最後に重ねてお尋ねをいたしますけれども、冒頭に、わが国の科学技術行政の、本当の国民合意のもとに科学技術の豊かな発展をどうつくり出すかという点で、もっと実際に、その専門家である学者、研究者の英知をしっかりくみ上げていくような科技庁の運営をしなくちゃならぬということも強調をしたわけであります。また、実際にそれを担っていく科学者の人材開発、また、せっかくの英知をむだなく有効に使っていく国の施策を充実強化をする、こういう点で、問題は、文部省だけでもなく科技庁だけでもない、共通をする問題だと思うのですけれども、最後に、もう時間が参りましたので、科学技術庁長官にお尋ねをしますが、何も私はあなたを非難するために言っているんではないと思うのです。日本の未来に向けての本当の発展のためにどうすべきか、ごく一部分だけに重点的に予算を注ぎ込むという、そういうやり方で本当の豊かな発展がつくり出せるのか、こういう意味で、私は、科学技術庁長官として文部大臣ともよく協力をし合って、どうやってそういう前進を図るかということをぜひ期待をするわけですけれども、最後にあなたの御見解を聞きたい。
  105. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) 本年度の予算編成に当たりましても、予算というのは単年度編成で、なるほどことしは経済の年だからそうしたものを政策として取り入れた予算が組まれるかしらないが、しかし、民族の将来のことを考えた場合には、五年、十年、あるいは二十年という中長期にわたるところの大きな太い棒のようなものが予算を貫いていなくちゃならぬ。それは、いま仰せのような、一つエネルギー一つは食糧、そしてそれらをはぐくむであろう教育であるということを私は申し上げまして、科学技術庁といたしましては、その面におきまして本年度の予算はわれわれの主張がかなり取り入れられたと考えておるわけでございます。  また、先ほどおっしゃいましたが、エネルギー、なかんずく原子力だけに力が入れられておるんではないか、基礎的な科学、そうしたものも必要ではないか——私はもっともだと存じます。この点に関しましても、局長から答弁すればいいわけでございますが、御承知のとおり、本年度の政府の予算を見ていただきますと、いわゆる各官庁関係の予算で研究費と称するものが四千五百億あります。そしてそれに大学を足しますと、おおむね九千億。その四千五百億の中で科学技術庁の予算は二千二百億であります。こういうふうに考えていただきますのならば、決して一つに偏っておるのではなくして、やはり大学において基礎研究がほとんどなされておるという現状を踏まえまして、われわれといたしましても鋭意努力をいたしております。  また、それらの研究費が、では世界的に考えて小さいか大きいかという問題になりましょうが、われわれといたしましては、アメリカ十兆、ソ連六兆、それに対して日本は二兆六千億であります。ドイツが大体肩を並べている程度であります。米ソには巨大なる軍事というものがあるということを考えますと、また、人口等々も勘案いたしますと、われわれといたしましては、世界第三番目か四番目というところで、非常に努力をしておるのではないだろうかと考えます。  ただ、私が申し上げたいのは、そうした研究費の中におきましても民間の比率の方が多いというのが日本の特色でございまして、大体官民の比率は七対三ということに相なっておりますから、せめてこれをもう少しわれわれといたしましても国家が努力する必要がないものであろうか、当然努力をしなくちゃならぬ、こうした方針で進んでまいっておるわけでございます。先ほど局長がそれらを包含して申しておりますが、伸び率に関しましても現在の認識を申したまででありまして、総合的に科学技術、教育、それらの研究費等々をとらまえますと、かなりの水準にわれわれはあると存じますが、決してそれで満足するものではございません。今後とも努力をしてまいりたいと存じます。     —————————————
  106. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 委員異動について御報告いたします。  本日、塩出啓典君が委員辞任され、その補欠として和泉照雄君が選任されました。     —————————————
  107. 中村利次

    ○中村利次君 私は、短い質問時間、たった三十分しかございませんから、その短い質問時間でただしたいことがあったんですが、その前に、けさからの質疑、それに対する政府のお答えを聞いておりますと、何としてもやっぱり政府に抗議をして、そして要望をしなければならない感じが非常に強くなってまいりましたから、ただしたいことよりも、まずその方から申し上げたいと思います。  原子力平和利用安全性についで、いままでもいろいろ議論があった。本特別委員会でも、これはもうたくさんの議論がありました。ノズル、パイプの亀裂あるいは水漏れ、ピンホール、あるいは具体的には敦賀の被曝と称する事件、いろいろあったんですが、私はその都度それに対して私の意見なり、あるいは質疑もやってまいりましたけれども、この点については、これは政府答弁にもありましたけれどもひび割れやピンホール、水漏れ等について地域住民の生命健康にいささかでも影響のあるようなことは一回もなかった。ないですよ、それは。関係ないんだ、こんなことは。ところが、政府の答弁を聞いていますと、どうもこれは声が小さいんだな。会議録を精査、よく見てみなければわかりませんが、質問者の声がでかくて政府の答弁が小さいから、生で聞いていると何か歯切れが悪いように聞こえるのかどうか知りませんよ。これは国民の信頼がかかっているのですから、しっかりしてもらわなければ困るんですよ。水漏れの問題だって、あの当時あなた、どれほど騒ぎ回ったか。私は調査に行きましたよ。文句のある者があったらどこでも私は文句をつけてきてもらいたいんだけれども、人間が裸になって漏れたその水で泳いでも何ら健康に関係のないような水漏れが、いかにも大事故であって人間の健康生命に影響のあるような騒ぎ方をしたんです、現実に。国会でも取り上げてやったんです。あるいは敦賀の被曝事故と称する件については、一ミリレムですよ、それが問題になって質問された。政府はどう答えたか。報告はあっておりません、あわてふためいて、調査をいたします——冗談じゃありませんよ、あなた。一ミリレムの被曝があったということが何で政府報告を受けなければいけないんだ。そういう姿勢が、いかにもやっぱりこれは大変だという認識を国民に与えるのであって、一ミリレムの被曝は報告の義務はないんです。必要ないんだ、それは。ただ、質問があったから、そのことでそれが皮膚炎につながったのかどうか、こういうやっぱり調査は必要でしょう。朝日新聞だったと思いますけれども、幻の被曝と言われるぐらい、これは法廷にまで持ち込まれたんだけれども、幻の被曝というのは何だと言ったら、作業をして、それから一週間ばかりして山口病院という市井の皮膚科に行ったときには、ひじで、ちゃんとカルテはある。カルテはある。ところが、そいつが被曝問題に入ったときには、ひざになっている。むしろ、これは事件を起こした方から言われているようなインチキである、電力の申請や資料はインチキである、あるいはこのインチキを、逆にそれを丸のみにしているのかどうだか、そんなことも政府はしっかりしてくれなきゃ困るのですよ。電力会社から申請があった、資料がついてきた、それを安全審査会はやっぱり資料も精査するだろうけれども、みずからが必要があれば調査をし、そして原子炉設置に適当であるという答えを出すんでしょう。出すんだったら、おかしいではないかと言われたら、おかしくありませんよという答弁がなきゃ、やっぱりこれはおかしいんですよ、本当に責任があるとは言えないんだ。だから、どこを取り上げたってそうですよ、はっきりしてもらわなきゃ困る。  あるいは「むつ」の問題もきょうのこの委員会で問題になっておりますけれども、「むつ」なんか私も本特別委員会で質問をしましたけれども、むつ湾で原子力船「むつ」の原子炉を試運転であろうと何であろうと、あなた、あすこで運転したという事実は全くないんです。外洋に出てやって、これもお粗末千万だったけれども、遮蔽物のあれで二ミリレムですか、二ミリレントゲンの放射線漏れがあった。これは言いわけできませんよ、ミスですから。しかし、そのことか何であなたむつ湾のホタテの養殖全部壊滅したという議論につながり、どうして、危ないから、危険だから母港を撤去しなきゃならないというものにつながるのですか、そういう答えに。それを政府でもない、専門家でもない与党の総務会長が行って、何ら科学的根拠に基づかない政治的な妥協をして、そして四者協定を結んで、あそこの母港撤去を決めてきた。こんなだらしないことをするから、だからやっぱり原子力行政に対して国民の信頼がなかなかできないんだと私は言い続けてきたのですよ。きょうも聞いていますと、何ともこれはもう——まああんまり憎まれ口ばかりたたくつもりはありませんけれども、もっとしっかりしてくれなきゃ、これはやっぱり原子力行政というのはおかしくなりますよ。私は本当にこれで二、三時間ぐらいの質疑時間があったら一々そういう課題についてやりたい。たとえば柏崎・刈羽の問題にしても、やっぱり原子力の安全利用だって一つのテーブルについて、そしていかにあるべきかということを議論をするといっても、おれは反対であるという立場になれば、あすこには断層があって危険であるという、そういうものから発しているんですよ。ところが、その断層が大事故につながるかどうかということは安全審査でちゃんとやっているんでしょう。そうして、それにつながらないというんだったら、つながらないというやっぱりはっきりしたあれを政府も出してくれなきゃ、私はこの議論だけだって、特別委員会なんか本当に自由討論でもやって、時間に制約をつけないで、国会の議論としてまじめにやるべきだと思うんだが、残念ながら国会というところは頭数が多ければ質問時間が長くって、頭数が少なきゃ質問時間少ないですから、幾ら切歯扼腕してみたってそういうことをやる時間がなかなかない。ですから、私は責任があり、答弁の立場に立つ政府がもっとやっぱりあなた歯切れよく明快にやってもらわなければ、聞いていてとてもじゃないけれども本当にかっかしますよ。しっかりしていただきたいと思いますよ。  こんなこと言って何もやらないとやっぱりあれですから……。通産省おいでになっていらっしゃいますか。——やっぱりエネルギー問題は、これはもうだれしもがいま世界の課題である。特に日本の場合にはもう決定的な国民課題であり、政治課題です。そこで、原子力の問題が本委員会のあれなんですけれども、このエネルギー問題をどうするかというので、原子力はだめである、しかし代替エネルギーをどうするんだといえば、あるいは石炭火力なんという主張がありますがね、石炭だって、やっぱり石炭をたけばSOxも出ればNOxも出るんです。あるいはじんあいも出るんです。あるいは放射線も発するんだ。石炭をたくことによって発生する放射線と原子炉設置することによって同じ出力の発電所でどうなんだという議論なんか全くないんだ、これは。そして、いかにも原子力から出る放射線は危険であるという議論ばかりが先走っておるようですけれども、油をたこうと石炭をたこうと、これはセットして本来なら議論をすべきことだと私は思う。しかし、まあここではエネルギー対策として伺っておきたいと思うんですが、原子力の場合には、昭和六十年に電調審で六千万キロから四千九百万キロにダウンしたんですか、それが、あれは六月でしたかな、エネ調の長期暫定見通しで二千六百万ないし三千三百万というぐらいにダウンをしましたね。これは現状維持ケースあるいは対策促進ケースというものになっておりますけれども、これは政府としてはどれをとっていこうとお考えになっておるのか、並行してやるおつもりか、あるいはこういう対策促進ケースあるいは現状維持ケース、こういう二つをお出しになって、どれを大体目指していかれるのか。
  108. 武田康

    政府委員(武田康君) ただいま先生指摘のとおり、本年の六月に総合エネルギー調査需給部会で、これから十年——十五年の長期エネルギー需給バランスの暫定見通し、こういうのをまとめていただいたわけでございます。で、その暫定見通しによりますと、これから十年、六%台の成長を維持するというようなことを前提にいたしまして省エネルギー努力を一生懸命やると、それから石油代替エネルギー、各種各様のものがございますけれども、いずれも一生懸命やると、それで同時に石油確保にも鋭意努力するというような前提でございますけれども原子力につきましては現状維持ケース二千六百万キロワット程度、で、現在、これまで昨年までやってまいりました対策をそのまま継続的に推進していく場合には昭和六十年度で二千六百万キロワット程度にとどまると、こういうような意味でございますが、それが対策現状維持ケース、それでいままでの対策に加えまして官民挙げて最大限の努力をすると、そして協力を得ながらやっていくというようなことで三千三百万キロワットという対策促進ケースの目標を掲げたわけでございます。で、原子力発電は、先生指摘のとおり、各種の石油代替エネルギーがございますけれども、その中で将来最も期待されるものの一つ、これは十年−十五年というようなタームを考えた場合でございますが、そこでわが国としてもその開発を極力推進すべきものというふうに考えておりまして、それで実は三千三百万キロワットの達成というのはなかなかむずかしいことではございますけれども、目標としてできるだけこれを達成していくというのが私どものポジションでございます。その際、もちろん国民的な合意の形成を図りつつということでございますし、同時に従来いろいろ言われておりますようなことで安全の確保というのがもちろん前定条件になっているわけでございます。したがいまして、そういう目標に向かいまして鋭意官民挙げての最大限の努力のもとで進んでいきたいと、こういうことでございます。  なお、政府におきます総合エネルギー政策の検討は、総合エネルギー調査会から中間的な報告を八月末にいただきましたけれども、検討そのものとしましては来年にかけてさらに続けていくというようなことでございます。
  109. 中村利次

    ○中村利次君 改めて安全の確保を前提としてということは必要ないんです。安全の確保にもし憂いがあればやるべきじゃないんです、これは。私昔からははっきりそう言っているんだ。安全の確保は前提なのはこれはあたりまえです。政府があんた一つや二つつぶれたって安全上いいかげんだったら、政府がつぶれる、責任がとれないで問題は済まないんですよ。ですから、そんなのはあたりまえ。そうなりますと、これは私はまだまだいろいろ聞きたいんですけれども、たとえば六%前後の実質経済成長率を続けていくということにして、昭和六十年、六十五年にはどれほどの石油換算のエネルギーが要るのか、これは私も精密に試算をしてみましたから。いかがですか、それはどれくらい。
  110. 武田康

    政府委員(武田康君) 今後六%前後の実質成長というようなことを達成していくという前提のもとで、昭和六十年度に必要なエネルギー供給量といいますか、エネルギーを使う量は、省エネルギーを相当やるという前提のもとで油に換算いたしまして約六億六千万キロになるということでございます。
  111. 中村利次

    ○中村利次君 ぼくはそれはどういう数字をひねくられたか知りませんが、六%のそれじゃ実質経済成長というのは名目にするとどれくらいになりますか。これは物価の変動の見通し等で若干の誤差はあるにしても名目成長どれくらいに見ているんですか。
  112. 武田康

    政府委員(武田康君) 名目につきまして、今後の物価の上昇率につきまして、今後、十年間にわたります明確な数字が出ておりません。ただ、現在経済計画としましては五十年度前半五十五年までの経済計画が出ております。したがいまして、六十年までにつきまして何%になるのかというお答えには残念ながらちょっと私の知識ではあれでございますが、仮に長期の物価上昇率が五、六%といたしますと、六%に五、六%を足したものが大ざっぱな意味の名目の成長率成長率といいますか、名目の比率になろうかと思います。
  113. 中村利次

    ○中村利次君 税制調査会が一般消費税等のことも考えなきゃなるまいという、そういう前提になっているのは名目成長一三%だそうですよ。これは私に言わせると非常に名目成長経済企画庁の言うような何かこの物価も、ある程度物価対策成長するという、そういう前提に立った数字で、むしろこれはかなりその数字でエネルギー計算をするのは危険性があるんではないかと思われるぐらいに見て、それでも六十年に五%の省エネルギーに成功したとしても、七億キロを割るような六億キロリッター台の私は原油換算のエネルギー量ではないと思うんですが、しかしこんなことを言って議論をしていると時間もあと十分しかないわけですからね。それはまたいずれかの機会にお尋ねをいたしますけれども、そうなりますと、やっぱり——まあいいでしょう。三千三百万キロワットの昭和六十年実現を目指して努力をいたしますということを前提としてやったとして、現在運転中、それから建設中、それから電調審ですでに認可済みというのはトータルでどれくらいになりますか。
  114. 武田康

    政府委員(武田康君) 現在運転中のものは十四基、八百万キロワットでございます。それから現在建設中のものは十基、九百十万キロワット程度でございます。それから電調審——電源開発調整審議会決定済みで建設の準備をしている、こういうものが約四百八十万キロワット、五基でございます。したがいまして、合計は二十九基、二千二百万キロワットでございます。
  115. 中村利次

    ○中村利次君 二千二百万キロワット程度ですね、これが順調にいったとして。ところが、そうなりますと一千一百万キロワット、もうこれはやっぱり足りないという、目標達成できないということになるんですけれども、この中にはあれでしょう、総合エネルギー対策推進閣僚会議で重要電源地点として決めた、これは公表、未公表ありますけれども、その分が入っているのですか、入っていますね。入っているとすれば、それを含めて計算をすると、どれくらいまだ足りないということになりますか。
  116. 武田康

    政府委員(武田康君) 先生指摘のとおり、三千三百万キロワットの目標達成のためには、約一千百万キロワットがすでに電源開発調整審議会決定済みのものに加えて必要でございます。ユニットがいろいろございますので、断定的には申し上げかねますが、たとえば十二基、これから新しく電源開発調整審議会を通し、しかも六十年までに建設工事を進めていくというようなことが必要になるわけでございます。ところで御指摘の閣僚会議でお決めいただきました十五地点、これは現在時点におきまして特にてこ入れの必要な地点をカバーしておるものでございまして、千百万キロワット全部をカバーしているわけではございません。それで実は千百万キロワットはすでに電気事業者が土地、環境調査に着手しているとかあるいは用地の大半あるいは全部を取得しているとかいうような地点で、しかも五十二年、五十三年の間に電源開発調整審議会の上程を計画していると、もちろん新規開発可能性のある場所といううちから拾っているものでございまして、そのうち特に重要電源として、きょう現在てこ入れをしなければいけないものが閣僚会議でお決めいただいているわけでございます。残りの部分で、千百万キロワットの中にございますけれども、これらにつきましては、それがそういうてこ入れ、政府ベースでてこ入れをし、さらに都道府県との連携を強め、促進していくということが必要な時点で、必要であれば十五電源に追加していく、いわば地元の情勢を見守りつつ、必要に応じ、要対策電源へ追加をしていくと、そして促進を図っていきたいと、こういうことでございます。
  117. 中村利次

    ○中村利次君 それはそうおっしゃるんですけれども、たとえば何というんですか、この中には女川だとか柏崎・刈羽あるいは川内、きょうもいろいろ対象になっているところもあるわけですよね。そしていままでの実績を見ますと、たとえば私は予算委員会でも取り上げたように、北海道の伊達は発電所は全部あれは原子力じゃなくて火力だけれども、でき上がっちゃっているんだ、私は行ってみたけれども。ところがパイプラインで運転に入れない。ところが去年は異常渇水で北海道は電力規制をやった。ところが、たとえば農地転用だとかあるいは道路使用の許可申請、そういうものは去年の九月、十月ごろ出ているのを、ことしの四月になっても、半年以上たっても、大変だからやるんだやるんだというかけ声はつくり、閣僚協議会までもつくって何にもやってなかったんです。そして、どうなんですかと言えば、これは政府責任ではありません、北海道で知事の手元にそいつがとまっていたんだ。だから、私はそういうものを含めて、地方自治体の行政指導も含めてやるというからには、そういうことをやっぱり進めていくのが国の責任じゃないか。六月になってやっと政府が動き出した、そういう、やっぱりこれは抽象論じゃないんです。観念論じゃないんです。現実にそういうことがあったということになれば、やっぱりいま審議官がお答えになったようなものが果たして実現できるのかどうか。それから、私はこんなものを何もかっかなって言う必要はない、足りなくなりゃ大口から規制すればそれでいいんだろう、そういう議論もありますよ。しかし、いまあなた、景気の回復と雇用不安をどう解消するか、政府が言っておる六・七%が達成できるのかどうか、六%前後の経済成長率で雇用不安がなくなるのか、操業度が何とかなるのかという議論をやっておるんですよ。ところが、片方でそれに対応できるエネルギーの問題なんてものは、全くこれと連動をしてその体制ができてない。だから、私はかっかなってこう聞くんですが、いまの答弁でもやっぱり三千三百キロの営業運転に昭和六十年に入れるという裏づけなんてものは全くないんです。いかがですか。
  118. 武田康

    政府委員(武田康君) 先ほどお答えの中でちょっと申し上げ、かたがた、いま先生からも御指摘ございましたが、三千三百万キロワットの目標の達成、政策促進ケースでございますか、これはなかなかむずかしいことでございます。しかし、先生指摘のとおり、雇用を維持し、それから不況問題等々を回避し、それで福祉水準を上げ、というようなことに必要な経済成長率、実質経済成長率を考えますと、各種の石油代替エネルギー源を、いろんなものを一生懸命やるということを考え、なおかつ原子力につきましてはできるだけ三千三百万キロワットの政策促進ケースが達成できるように、官民挙げての努力が必要であり、その努力をしなければいけないと、こういうことでございまして、先ほど火力の点で御指摘でございましたけれども、閣僚会議でお決めいただきました十五地点、この中に原子力が入っておりますが、そこにつきましては政府内部ももちろんでございますし、都道府県等々との連絡もそうでございますが、そういった個別の立地地点の実情に応じましたきめ細かい地元対応策というのを、鋭意閣僚会議の御指導のもとに進めさしていただいておるところでございまして、そういう努力を積み上げまして目標の達成に努めていきたいということでございます。
  119. 中村利次

    ○中村利次君 たったこれだけの質疑でも三十分たっちゃうわけです。そこで、もうしようがありませんから、これは大臣に最後にお伺いをしますけれども、いまのあれみたいに、日本のやはり景気を回復して、操業度を上げて雇用不安をなくして国民生活を安定するというには、これはたとえば昭和六十年という、もう七、八年先ですよ、その中期計画からしても、果たしてそれを裏づけるようなエネルギー確保できるのかどうか。もし確保できなければ、エネルギーの面から操業度も高まらない、雇用不安も解消できない、国民生活もえらいことになるというこれは行方なんですよ。そういうことがあるのに、なかなか原子力の問題についても、これはけさほどからの議論によってもスムーズにいかない。大体順調にいけば八年ぐらいでできるはずのやつが、十年以上たってもなおかつこれから先どうなるかわからないというのが現状ですからね。こんなことを大臣にお尋ねするのは酷かもしれませんが、どこに原因があり、そしてこれにどう対応しなきゃいかぬのか。これは一福田内閣、あるいほこれは失礼な話ですが、一宇野科学技術庁長官の問題ではなくて、国民課題として私はお伺いをして、これは質問を終わりにしなけりゃしょうがありませんから、終わります。
  120. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) もうエネルギー問題は先生仰せのとおり、やはり一つ土俵の上でお互いが真剣に論じ合わなくちゃならない問題でございます。しこうして、経済成長率エネルギーという問題におきましても、これは一つの物の考え方ではありましょうが、現在としてはやはり切っても切れない関係にございますから、したがいまして、エネルギー確保することができなかったならば成長率が落ち込む、この予想も私たちは重大な問題として受けとめておかなくちゃなりません。だから結局、エネルギー確保に努めること、これが一番焦眉の急であろうと存じます。ところが、率直に申し上げまして、やはり原子力行政におきましてもまだまだ国民に御理解を仰ぐことができなかったことが多かったかとも存じます。私は、やはり自信を持って強力にその行政を進めることが必要でございましょうと、私といたしましては、冒頭にも申し上げましたけれども、安全と開発というものは同じウエートで進むべきである、そうしたことは常に申し上げております。なおかつ、地元対策に対しましてもそれ相応の、もっとパンチの効く対策を立てるべきであると、こういうふうに考えまして、実は電源三法、まだまだこれだけで十分でないかもしれませんが、その内容の充実を期したいと思いますし、なおかつ、最近におきましては一つ原子力発電所を設けるのにまあ八年から十年かかるというふうな態勢でございますが、私はこの間調べさしますと、これに関係する法律が大体三十本ございます。そしてこれの認許可が各省庁にまたがる。さらには中央、地方にまたがりまして四十四もございます。私はそういうふうな体制もやはり行政の中においてわれわれといたしましては早急に合理化、それを進めなかったならばとうていできませんよと、こういうふうに私はみずからにも言い聞かしておるような次第でございますので、仰せのとおりのようなことで、今後もそうした意味で、まず政府がもっと責任を持って、また自信を持って進めていくべきではないだろうかと思います。  しかし、残念にいたしまして、やはり唯一の被爆国ですから、その辺のことに関しましてもわれわれといたしましては細心の注意というものを怠ってはならない。また、今日までの行政は余りにもむずかしい言葉を使い過ぎでございまして、私はむしろ畑違いの場所に入ったものでございますから、よけいそのことを痛感いたしております。それだけに、原子力白書におきましても分厚いものは必要じゃないから、国民方々にわかりやすいミニ白書、そうしたものを来年はぜひとも出すべきである、そうしたことも考えてもっともっとそういう面におきましてはPRも政府みずからしなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  121. 中村利次

    ○中村利次君 はい、終わりました。
  122. 和泉照雄

    和泉照雄君 私は川内の原発について、私自身も鹿児島県の出身でございますので、ぜひひとつお伺いしておきたいと思います。この原子力、川内の原発の問題はたしか昭和五十年の十二月ごろから、地質調査図が捏造されたとか、あるいはまたボーリングのコアの差しかえがなされておったとかというようなことが問題になりまして、たしか衆議院では九回ぐらい同じような質問が繰り返されてきたように記憶しておるわけでございますが、どうも私の感じでは、これは専門的な技術的な問題でございますけれども、技術的な問題ですから、真実をきちっとおっしゃればある程度の知識を持った方々は納得するんじゃないか。どうもいままでそういう設問に対して科学技術庁の方の答弁が何か歯切れが悪いから住民方々が、反対のための反対という人は別にして、やはり疑問を持っておる方がああそれはそういうことだったのかと納得するような要するに答弁がなされなかったような感じがするんですけれども、そこらあたりは、この二点についてどういうような答弁が過去なされたか知れませんけれども、この席で地質図の問題はこういうことなんですよと、それからコアの差しかえというのは専門的にはこういうことがありましたよというようなことをやはり住民方々にわかりやすいように説明されることが私は大事じゃないか、反対のための反対は別ですよ、これは。ただもう、地域の人たちがそういうことなんですか、ここはこういうふうに岩盤が固いんですかというようなことがわかるような説明がいままで余りなされなかったように私は鹿児島県人として感ずるわけですが、そこらあたりはいかがですか。
  123. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) ただいまおっしゃられますように、私どもの方の仕事として安全審査会安全性審査しておりまして、その結論を待って、審査中の段階ではなかなかそういう事実を、先生方の御判断を言うわけにはいきませんが、今後、実は川内の原子力発電所につきましては、地元の市当局からも安全審査の結論については十分に説明してほしいというような御要望もございますので、できるだけ御要請にこたえたいと思います。  なお、その前に御指摘のボーリングコアの差しかえの問題でございますが、これはかねてからそういう御指摘をなさっておったわけでございますが、過般私どもの方からお願いいたしまして、どういう事実があるか教えていただきたいということを地元の方にお願いしたわけでございますが、幸い約十七本のボーリングコアにつきましてその作業に当たった方々が、こういうような作業のやり方をしておった、したがって、この作業のやり方では不十分でないか、あるいはよその石をその中に加えた、あるいはせっかくとれたボーリングコアを採取率をよく見せるためにかいたというような指摘もいただいたわけでございます。で、この問題、非常に安全審査をやっております立場として、そういう御指摘を幸い受けたわけでございますので、従前の単なるうわさということでなくて御指摘を受けましたので、直ちに審査会に報告いたしまして、現在現物を確認するための調査を専門の先生方にお願いいたしましてその調査を実施中でございます。安全審査会といたしましては、ボーリングコアのデータだけで原子炉炉心の地盤の確認をするわけではございませんで、そのほかの調査等を加味していたすわけでございますが、この現場の確認の調査の結果を含めて結論を出したいということでございます。で、現物の確認と申しますのは、とられましたボーリングコアが現地にございますので、現地にすでに先生方がいらしていただいて調査をしておる段階でございます。  それから、川内の原子力発電所の周辺には川内川に沿いまして断層があると、あるいはないという話がございます。予想されておるわけでございますが、いろいろな機関調査の中にそれが消えたり、なくなったりしておるというようなことで、いろいろ地元の方の御心配をいただいておるわけでございますが、これにつきましては、これも安全審査会で十分調査をいたしております。また、ボーリング——東電が行っておりましたボーリングを含めまして、追加いたしましてその断層の状況どういうものかということもやっておりまして、現地調査等のあれを含めて先生方の結論を待って対処したいということでございます。この点はいまなお審査中でございますので、結論を申し上げるわけにはいきませんが、その結論に十分その辺の疑惑に対する解明がなされるものと期待しておる次第でございます。
  124. 和泉照雄

    和泉照雄君 やはり真実ぐらい強いものはないので、ひとつ御自信がおありだと思いますから、そういうところをはっきり説明をされることがそういう疑惑を払拭する大事な点じゃないかと、こういうように思います。  それから、十月の七日に確かに反対方々の代表団の方々がたしか六名ぐらいお見えになっていろいろ会談があったようでございますが、そのときの模様というのが、本当に作業した、その人たちが言う証人の人たちが来て、私はこうやりました、こうやりましたという話をされたのか、そこらあたりはどうなんですか。
  125. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) そういうことではございません。地域住民の代表の方が来られましてそういう事実についてお話を承ったということ、したがいまして、そういう方からいろいろお聞きになったことを伝えられたということでございます。
  126. 和泉照雄

    和泉照雄君 そうなりますと、また聞きをした人が来て、そうしてあなた方に話をしたことでということになりますと、やはりそこらあたりが私は非常にまずいんじゃないか。対応されることは一応いいにしましても、やはりその証人とあなた方の専門の人がお会いになって、誤解をしておる場合があるかもしれませんし、また、聞き違いという場合も人間ですからないとも限りませんので、やはり証人が何人かいらっしゃるというんですから、そういうような方、本当に専門的な知識をお持ちの方なのか、あるいは単なる作業員なのか、それで普通の一般常識でいろいろなことを言い出したのか、そこらあたりの判定も早急に私はやるべきじゃないかと、人のまた聞きでどうだこうだということよりは、そういう勇気を持って飛び込んで、真実を話し、真実を吸収するという、そういう態度が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  127. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 現在、先ほども説明いたしましたように、どういう作業の状況においてこういうことがあった、これが疑わしいということをいただいておりまして、安全審査会先生方、地質の専門家に現物を現地で見てもらっております。それを踏まえまして安全審査会では慎重に結論を出していただくということでございますが、必要とございましたら、われわれとしては審査の結論を十分御説明するというようなことで納得していただきたいとは思っておりますけれども先生指摘の点については検討させていただきたいと思います。
  128. 和泉照雄

    和泉照雄君 ですから、その人のまた聞きで飛んでいって調べるよりは、そういう人をちゃんと来さしといて、そうして真実を踏まえて、そうして調べなければ、それはまた聞きだったというようなことで、そこらあたりがまた大変な論議の時間を費やすわけでございますから、そういうふうに、証人がいらっしゃるんだったら、証人も将来の仕事のこととか、いろんなことで心配だからなかなかその覆面を脱がないというようなこともあろうかと思いますから、隠密裏でもいいから、国の将来の大事な行政でございますから、そういうような思い切ったことをおやりにならないと、この問題やっぱりどろなわみたいになっていくんじゃないかと思いますが、その点はどうでしょう。
  129. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 私ども幸いにしてどの場所のボーリングコアが疑惑があるよと言っていただきましたので、これは技術的に判断できるわけでございます。したがいまして、その結論を待ちたいというふうに考えております。その結論と申しますのは、安全審査会先生方の御判断を待ちたいということでございます。
  130. 和泉照雄

    和泉照雄君 その六人の方の代表の方が、証人の人たちがこう言いましたというようなお話を口頭でされて、それに今度テープレコーダー、言われた人たちのテープレコーダーでも持ってきてそういうような話のあれがあったわけでしょうか。
  131. 松田泰

    説明員(松田泰君) 当日私が立ち会いましたので御説明申し上げますが、当日はテープレコーダー等による証人の生の声というものはなくて、代表の方がお聞きになったことを間接的に聞いただけでございます。なお、その内容をわれわれはよく聞きましたところ、大体ボーリング作業をやるときに、たとえばボーリング業者の下請の方がある場合にはそういうことをするかもしれないと思われるような事実がたくさんあったわけでございます。で、その指摘されたボーリングコアの写真を見まして、そうしますと、要するに採取率が非常に悪いボーリングでございますから、なるほどそういうことがあったかなと思われるような内容がちょっとあるわけでございます。しかし、これは、それを見た限りにおきましては何か地質を捏造しようというように思われるような内容であるよりは、作業のときに、いわば作業の進捗率をちょっと上げるときにやるかもしらぬというふうな、そういうふうな内容の話が非常に多かったわけでございます。いま局長が申し上げましたように、そういう個々の作業そのものは、これは実は言ってこられた方もまだほかにもあるかもしらぬ、あるというふうなこともおっしゃっていましたので、一つ一つを全部洗うことはこれはなかなか大変だと思います。しかし、どういう場所、どういう作業状況のときにこういうようなことが疑惑として持たれているかということは大体つかめておりますので、それならばそういうデータをもとに安全審査をするときに、この辺のデータはどのくらい価値があるのかないのかということはかなりはっきりできますので、それをいまお願いしている、そういう状況でございます。
  132. 和泉照雄

    和泉照雄君 一つは、絶対反対という頭にある人は、一つの話を聞いてもそっちの方にやる傾向はなきにしもあらずなんですよね。だから今度はあなたたちの方でその証人とかいう人を、その代表の方が会わしてくれるようにあっせんをしてもらったら、直接その話を聞いてみれば、あなた方も専門家だからああこれはこうだなと、たとえばこういうような地下水をボーリングするためにとったやつまでコアだと思っておるというような、そういうようなことが起こるかもしれない、こういうふうに私は思うわけですよ。だから早くその証人という人と会うことがこの問題の私は糸をはぐらかす非常に大きな問題じゃないかと思います。そういう点でやはりお会いになった方がいいと思いますが、いかがですか。
  133. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) 先生の御趣旨十分検討さしていただきたいと思います。
  134. 和泉照雄

    和泉照雄君 それからもう一点私は申し上げておきたいことは、たしか、私も地質調査所の羽島の五万分の一のあの地図を見ますと、太田良平さんという方はこれは地質調査所の技官だと思うんですが、やはり断層があそこのところにあるということ——川内川のやつは推定ですよね。ところが、これは断定して断層があるというところになっておるようでございます。それが一つですね。そしてまた昭和四十三年ごろ、当時朝日新聞のほとんどの記事、それからローカルの南日本新聞の記事によりますと、まあ取材源はどこか知れませんが、より正確な取材だと思います。九電あたりがやっぱりこういうことを言っておるんですよね。昭和四十三年五月の十一日の記事によりますと、川内地区は断層が多く安全性を必要とする原子炉を置くにはまだ不安がある、こういうような認定をやっておるわけです。で、四十三年のころ太田良平さんが断層があるというちゃんと指摘をされておるわけですよ。九電は断層があるというふうにやっておるわけですね。それから同じく四十三年の五月の二十一日に同じ新聞で、川内地区には小断層があるなどなお調査が必要である、断層がやっぱりあると、こういう認識なんですね。六月の四日になりますと、川内市久見崎、寄田地区については地質面で今後一年程度の調査が必要である、それから地元の南日本新聞では、川内地区の地盤がそのままでは原子炉の炉心部を設置できない斜断層があることがわかったと、こういうような記事もあるわけです。そして六月二十九日に、川内市で調査が進められているが、断層があり、建設費が割り高になりそうなのが難点、こういうようなこと等があって玄海の方が先に決定をされて手がつけられたと。だんだんだんだん時日がたってくると今度は玄海よりはいい地盤であると、こういうような言いかえをしておるところに住民が非常に捏造しておるように感ずるわけですよ。そしていま一つは、九電がまだ設置許可もおりないのに、用地の買収は終えても、第二原子炉のその漁業補償まで含めて十九億というのを漁業補償をやっておるわけですよ。だからもう地区の住民はこれだけの金をやっておるから何とかごまかしてでもやらぬとならぬという、そういう態度だという九電に対するものすごい不信があるんですよ。それを皆さん方は認識をされて、それを払拭をする努力をしないと、この問題はいつまでも私は尾を引いていくんじゃないかと、こういうふうに思うんですが、そこらあたりはどういうふうに——九電も本当にその当時は正直に言ったとは言いながら、これに対して、住民に対する対応ということがおろそかになって、ただ後はもう安全審査会の決定が下りゃもう強硬にやるんだという、こういう姿勢では、私はこの鹿児島県全部もこれはまた大問題になってくるんじゃないかと思います。そこらあたりはどうお考えですか。
  135. 牧村信之

    政府委員牧村信之君) ただいまのお話の中で、確かに断層については、川内川沿いのことについては先ほど御説明いたしましたが、敷地内にも小さな断層がございます。それでこれもなお含めて地盤についての安全審査が行われておるわけでございます。先生指摘のように、川内とこっちというふうな立場で、どちらがいいとかいうのが審査ではございませんで、この川内の敷地の中に原子炉を置いたときに安全かどうか、地質については原子炉を置くに適した地盤を持った安全に置ける地盤であるかどうかということを科学技術的に審査しておるわけでございまして、その辺の、川内よりもどうのこうのということではございません。それから審査をするに当たりましては、申請書に書かれておること以外にいろいろな文献類も参考にいたしましたり現地調査を十分行うというようなことをいたしまして、地盤の安定性あるいは地震に耐える耐震の問題等を検討しているところでございます。
  136. 和泉照雄

    和泉照雄君 長官にお尋ねをしておきますが、川内というところは鹿児島の中でも一風違った気質の人たちの多いところなんですよ。世間で言いますが、かっぱというのがおりますね、川内という大きな水路の中に、川内がらっぱと言うんです、鹿児島語では。それで非常に気質の激しいそういうような地域であることは、これはもうその方言でですね、鹿児島では川内がらっぱと言っておりますから、非常にやかましい人が多いところです。そういうところにこういう非常に未知な、安全性が非常にとやかく言われておる原子炉をほかと同じようなことで設置をされるということではやはり問題が起こるんじゃないかと、こういうふうに思うんですよ。私も鹿児島県人としてこれをやはり住民の人たちの誤解を解くためには、皆さんが中にお入りになって、おのずから反対のためのイデオロギー的な反対というのはわかりますから、そうじゃなくて本当に住民の人たちに安心できる説明をし、また、するための努力として、その証人が何人かおるというようなことで、ある人たちに、四人なら四人の人に何とかだれか会わせて、隠密裏に、いろんな社会的なこともあるでしょうから、会わせてあげていろいろ聞いてみるという問題と、もう最後はやはりさっき申し上げたとおり十九億も使っておるんだから、もう何もかんも無理強いにやるんだというあれがありますから、九電のことは本当に疑っておるわけですよ、いろんなことをやっても。ですから、追加調査をおやりになったということも、なに、またでたらめやっておるんだと、こういうあれがあるわけですよ。ですから、ここらあたりで思い切って国が向こうと話をして、国の段階で責任を持ってやりますわと言って一遍やってみて、このとおりだというようなことをやった方が私は早いんじゃないかと思います。そういうことでこの二点ですね、証人の問題と、国の段階でひとつやる腹を、もう審査会あたりと腹を決めておやりになった方がいいんじゃないか。日本エネルギーのためにもですね、私たちもあそこで不安な状態でやられるということになりますと、やっぱりどうしても問題が残りますので、その点についてお答え願いたいと思います。
  137. 宇野宗佑

    国務大臣宇野宗佑君) この問題はすでに衆議院におきましても、また参議院におきましても予算委員会で出まして、そのとき私も次のように答えております。つまり、御指摘の点に関しまして、やはりはっきりと安全審査をしなくちゃなりませんから、すでにそうしたメンバーが現地に行っております。そして今日まで、あれからずいぶん日はたったわけでございますが、いよいよ最終段階を迎えておるということだけは事実でございます。しかしながら、いろいろお話を承りまして、私といたしましても、局長のアドバイザーとして、お聞きいたしておきたいと思います。
  138. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) ほかに御発言がなければ、本日の質疑はこの程度にとどめます。
  139. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) この際、派遣委員報告に関する件についてお諮りいたします。  前国会閉会中、当委員会が行いました委員派遣については、派遣委員から報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 藤原房雄

    委員長藤原房雄君) 異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十二分散会      —————・—————