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吉田正雄君 いまの
説明を聞いておっても、これからの
原子炉の
故障を防ぐというあれは何も出てきていないと思いますね。というのは、もう今日、軽水型
原子炉というものが、これは
日本に限らずアメリカでもヨーロッパでもちょっと救いがたい本質的なやっぱり材料力学的な欠陥というものを持っておるということですから、単なる外圧による
故障であるとか何とかというものではない、本質的なやっぱり欠陥を持っているということが最近非常に明らかになりつつあるわけですね。そういう点で、私はいまおっしゃったような楽観的な方向にはいかなくて、むしろますます、いまや軽水型
原子炉というものは悲観的な方向に向かいつつあるということを言いたいと思うのです。非常にきょうは開会の時間もおくれたりして、聞きたいことがたくさんあるものですから、もう
一つだけは、これは回答は要りませんが、このことだけ申し上げておいて、次回にお聞きをしたいと思っているんです。
この原発推進の理由はいろいろありますけれ
ども、電力会社やいろんな
関係機関が推進した理由としては、火力発電に比べて非常に
経済的である。これはいまのお話のように、現状では少なくとも
経済的でないという事実から、これは違うわけです。その後、今度は
建設費や燃料費も、これはまあ、イエローケーキにしろ、濃縮費あるいは再処理費等が急騰してきているということもあって、たとえば電気事業連合会なんかの資料等を見ましても、今後とも
経済的に見て絶対有利であるとは言いがたい面もありますというふうにこれは変わってきているわけですね。この電力コストというものを見た場合に、
原子力のいわゆる貨幣コストですね、こういうものを単純に電力事業界であるとか電力会社は出しておりますけれ
ども、これには耐用年数であるとか、あるいは最も重大な死の灰、いわゆる廃棄物質というものをどのようにして保管をしていくのかというふうな非常に肝心な点が抜けておるわけですね。約二分の一程度で済むとか、いろんな言い方がされておりますし、その辺の資料を見ても、これは何ら根拠のない資料になっている。納得させ得る根拠にはなっていないわけです。消費者連盟の方で調べたものを見ましても、これはアメリカの方でも
発表されておるものですが、火力と
原子力による発電コストというものを比較いたしますというと、約一キロワットアワー当たりで、石炭火力の場合ですというと、大体四セント台でもっておさまっているわけです。ところが、加圧水型も沸騰水型もいずれも五セント台を記録をいたしておりますし、場合によっては六セント台になっている。
日本の場合を見ましても、たとえば
日本原子力発電の売電単価というものを見ますというと、東海
発電所の一
号炉、これは設備
利用率が六〇%台くらいになっているんですが、七六年度で九円五十四銭、六九・五%の場合には八円五銭。七七年度になりますというと、十円台に入っておるわけですね。
敦賀発電所の場合は、この六〇%台の設備
利用率で、七六年度が六〇%のときに七円十八銭、六八・五%で六円二十銭。ところが本年度に入りますというと、六〇%台では七円四十四銭、七〇%で六円五十九銭と、こうなっているわけですね。ところが、今度は東京都が東京電力へ売っている売電単価というものを見ますというと、多摩川
発電所では五円五十五銭、それから都の清掃工場では、火力ですが、これは三円ということで売っているわけですね。だから、単に幾らですという簡単な、単純な
建設単価が、たとえば火力発電の場合には坪当たり十二、三万円だと。
原子力発電の場合には坪単価二十五万円から三十万ですという、あるいは燃料費が幾らですと、こういう単純な数字からはじき出してきた貨幣コストですね、これではもう全然お話にならぬわけですね。一時期新聞にも報道されましたけれ
ども、
原子力の
エネルギーコストというものを考えた場合、
一体どうなるのかということが言われているわけですね。実はきょう、皆さん方の方で、その分析があったら聞きたいと思っておったんです。
日本ではこの
エネルギーコストの分析が、率直に言ってなされていないんですよ。あったらお聞きをしたいですけれ
どもね。いままで少なくとも私はその資料の入手をいたしておりません。
日本で報道されたのは、アメリカのテネシー州のオークリッジにある
エネルギー分析研究所での分析結果というものが新聞等でも報道されたわけですね。こういうものを見ましても、一番大切なことは、何よりも使用済み核燃料というものをどのようにして保管をしていくのか、これに要する
エネルギーというものは大変な量を要するわけですし、あるいは先ほどありましたように点検修理、いまちょっとした修理でも数十億という膨大な金がかかるわけです。そういう点で、点検だとか
故障修理などの経常的な
エネルギーコストというものをどのように見ていくのか、あるいは耐用年数が三十年となっておりますけれ
ども、この三十年もつかどうかも疑問です、まだ始まって間もない
原子力発電ですから。しかし、これが廃物になった場合は、これは一大放射能源になるわけですから、そういう点で
一体それを外界とどのように隔離をしてくのか、大変な
エネルギーというものを要するということで、これらの単価というものを
石油エネルギーでもって換算をした場合、どんなことになるのかという
エネルギー分析がなされているわけですね。この結果を見ますというと、結局
原子力発電というものは、
石油というものを一次元
エネルギーとする、その転換にしかすぎない。むしろ
原子力発電というものは膨大な
石油エネルギーというものを消費をするのだということが今日盛んに叫ばれるようになってきて、
エネルギー不足の救世主であるというふうなことにはならないということが言われているわけです。時間がありませんので、そういう点を
指摘をして、この問題は次回にも続けてまいりたいと思いますから、
エネルギーコストの分析についてのいままでの分析結果がありましたならば、ぜひ資料として提出をしていただきたい、こう思うわけです。
で、私はきょうはもう
一つ緊急の問題として、きわめて重要な問題について、これは
原子力行政の基本的な
あり方にかかわる問題なんですが、その
原子力行政の基本的な
あり方の問題点については、さらにまた次回に回すことにいたしまして、御
承知のようにこの九月一日、内閣
総理大臣が柏崎・刈羽の
原子力発電の
建設について
許可をいたしたわけです。これに対しまして、現地の皆さん方や新潟県の広範な
住民によりまして、この
許可に対して行政不服
審査法に基づく異議申し立てというものが行われたことは
大臣も御
承知のとおりなんですね。で、その不服申し立ての理由は多面にわたっておりますが、私はこれも時間の
関係もありまして、きょうやれない
部分については、さらに次回お聞きをいたしたいと思っておりますけれ
ども、きょう時間の許す限りこの異議申し立ての内容に沿って
幾つかの点について
指摘をして、御返事なりまた
見解等もお聞きをいたしたいというふうに思っておるわけです。この異議申し立て書については、科学技術庁の方に安全局を通じて
総理大臣に出してありますから、これはお持ちだと思います。そこで、ただ、
委員の皆さん方、ちょっとこの資料がございませんので、こういう
論議が、どういう内容なのかというのはちょっとおわかりづらい点があろうかと思いますけれ
ども、要点だけ私が申し述べながら、当局側の回答をいただきたいというふうに思っておるわけです。
今回の
許可というものがきわめて不当であり、違法な
許可だということが、これがまずこの異議申し立ての根底にあるわけです。
その
一つとして、
審査日程が示す
審査のでたらめさをここでは一点として言っているわけです。その内容というのは、
原子力委員会第百二十部会、これは柏崎部会です。安全
審査委員会の中の柏崎部会は、二年三ヵ月にも及ぶ
長期慎重
審査で、
原子炉の安全が確認できたとしている。慎重
審査のそのでたらめな実態というものは、
調査日程から明らかなんだということで、二点を
指摘しているわけですね。
その第一点として、ことしの七月十二日に東京電力から
総理大臣あてに提出をされた追加資料、この追加資料の内容というのは現地の
反対者によって今日までの東京電力のいわゆる申請書の内容にはきわめて不備なものがあり、事実と違っている点があるんじゃないかという
指摘がいろいろなされてきたわけです。たとえて言いますというと、東電のボーリングは、興和地下
建設あるいは日サク新潟支店などが請負ってきたわけですし、さらにこれらの企業はまた下請にこの仕事というものをおろしたわけです。その人
たちの、具体的に作業に従事をした人
たちの話によりますと、とても原発を
建設できるような地盤ではない、土質ではない、地質ではないということを言っているわけですね。ところが、ここでとられた資料というものが東京のダイヤコンサルタントに送られて分析をされる、さらに電力中央研究所に送られてこのデータが整理をされているわけです。これらの段階で手直しがなされたと言われておるんですね。そういう点で、こういううわさが流れるだけでも、東電から出された資料について、安全
審査委員会というものは十分その辺の真偽をただしてから
審査に乗り出す必要があるわけですけれ
ども、
一体、
審査委員会としてはそういうものについてどのような手段を講じたかという点が聞きたいんですが、実はこの点に関して、八月十八日に現地の皆さん方が科学技術庁を訪れまして、第百二十部会、つまり柏崎部会の主査であります村主進主任
審査委員以下事務当局にお会いをしたわけですね。そのときに現地側からはその点について
指摘が行われたわけですが、そのときにこの村主氏は、東電の提出した資料の中には作為のものがあると聞いているということをそこではっきりと、そういうことがあったということを聞いておるということははっきり言っておるわけですね。そしてそれに対してそういうものは信用できないではないかという追及に対して、事務当局の担当者が、東京電力の申請書をもとにして
審査をしてきた、申請書を疑ったら
審査ができないではないか、こういうことを答えて現地の皆さんの憤激を買ったわけですね。このことは課長も御存じだろうと思うんですよね。そういう点で、この東電から出された資料についてはいろいろ作為が行われている、また
発表された
数値と現地での
調査の数字にこれは食い違いがあるわけですよ。そういう点で、そのようなきわめて信頼性の置けない資料をもとにして
審査を行った、安全
審査委員会の
審査結果に
一体信頼が置けるのかどうなのか、そういううわさを聞いたと言っておる安全
審査委員会は
一体どのような措置をとったのか、まず聞きたいと思います。