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1977-11-02 第82回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二日(水曜日)    午後一時八分開会     —————————————    委員異動  十一月一日     辞任         補欠選任      田中寿美子君     広田 幸一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岡田  広君     理 事                 稲嶺 一郎君                 志村 愛子君                 対馬 孝且君                 相沢 武彦君     委 員                 大鷹 淑子君                 北  修二君                 高橋 誉冨君                 堀江 正夫君                 川村 清一君                 広田 幸一君                 二宮 文造君                 下田 京子君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       藤田 正明君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     吉岡 孝行君        防衛施設庁施設        部長       高島 正一君        沖繩開発庁総務        局長       亀谷 禮次君        沖繩開発庁振興        局長       美野輪俊三君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        外務省欧亜局外        務参事官     加藤 吉弥君        農林省構造改善        局建設部長    岡部 三郎君        農林省農蚕園芸        局植物防疫課長  本宮 義一君        水産庁海洋漁業        部長       松浦  昭君        労働大臣官房参        事官       鹿野  茂君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (沖繩県における失業問題、金融問題、農業問  題、ホテル業問題等に関する件)  (地籍明確化作業に関する件)  (沖繩国際海洋博覧会会場跡地利用に関する  件)  (交通方法変更に関する件)  (北方領土問題及び北方水域における漁業問題  に関する件)  (沖繩県における基地爆音公害に関する件)     —————————————
  2. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨一日、田中寿美子君が委員を辞任され、その補欠として広田幸一君が選任されました。     —————————————
  3. 岡田広

    委員長岡田広君) この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、理事が一名欠員になっておりますので、ただいまから補欠選任を行います。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岡田広

    委員長岡田広君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事対馬孝且君を指名いたします。     —————————————
  5. 岡田広

    委員長岡田広君) 沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 広田幸一

    広田幸一君 私は、二つの項目について、開発庁とそれから労働省お尋ねをします。  まず一つは、最近、不況に伴って失業者が増大しておるわけですが、特に沖繩状態というのは本土に比べまして相当厳しいものがあります。私も、数日前、沖繩現地に行ったのですが、現地の住民の人たちは、あの復帰のときのような情熱が全く見られない。非常に失望といいますか、不安に駆られておるというのが実態であります。私はそういうふうに見て帰ったんですが、そういう点を重点にしまして沖繩における失業対策の問題に開発庁としてあるいは労働省としてはどういうふうに取り組んでおるのかということに視点をしぼって御質問申し上げるわけですが、まず最初に、沖繩における失業状態雇用状態概要お聞かせをいただきたいと思います。
  7. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) お答え申し上げます。  失業の問題直接につきましては労働省所管であろうと思いますが、一般的な問題も踏まえての御質問でございますので、開発庁の方から冒頭お答えを申し上げておきたいと存じます。  先生も御指摘のように、沖繩失業率は、本年の四月以降におきましては七%台で推移をしております。これは、御指摘のように、本土の現在の不況に伴う失業率高率化に比べましても異常に高いと、こういうふうに率直に申し上げざるを得ないと思います。これにはいろいろな原因があろうかと思いますけれども、一般的に私ども理解をしております点といたしましては、やはり沖繩における失業者構造と申しますか、年齢別の構成を見ますと、非常に本土と異なりまして、県内就職を望む新規学卒の方の県内における受け入れが少ない、こういうことも反映をいたしておるかと思いますが、三十歳未満のいわゆる生産年齢人口として若い方の失業者が非常に多い、こういうことが特徴のように考えております。いま申し上げましたように、沖繩振興開発計画に基づく各種事業施行しておるところでございますが、昨今の不況を反映いたしまして、それだけのものを県内で支えるだけの雇用の場の増加新規学卒者増加に対して総体的に少ない、こういうことが一番大きな原因になっておると理解をしております。  なお、そのほか、最近におきますところの不況による倒産あるいは事業規模縮小等によるところの解雇者の滞留の問題もございましょうし、しばしば御指摘を受けますようないわゆる基地関連をいたしました駐留軍の方の離職、これらの人人の新規の職場の開拓が思うようにいかない、こういったことが相乗的に働きまして、冒頭お答えしましたような失業率が高いという結果にあらわれておるように理解をいたしております。  もちろん、開発庁といたしましても、私どものお役所だけで沖繩雇用問題全般が解決できるということでもございませんけれども冒頭申し上げましたような沖繩における振興開発計画というものに基づきまして、何といいましても基本的には県内におきますところの産業振興する、こういうことが絶対の目標でございますので、地場産業としての農業、あるいは当面地場産業考えられますところの伝統工芸産業等、できるだけ地場産業を起こすということを重点考えますとともに、労働省初め関係省庁にもお願いをいたしまして、できる限り広域職業紹介を推進していただく。あわせまして開発庁所管関連公共事業によりますところの財政投融資拡大することによるところの雇用の推進も図る、こういう各般にわたる施策を進めておるところでございますが、今後、なお、そういった方針で取り組んでいくという考えでございます。
  8. 広田幸一

    広田幸一君 概要いま聞いたわけですが、私が先般行きましたときに、失業率——これは総理府統計局ですかが発表した数字でありますが、失業率が七%で、まあ本土の三・五倍ぐらいになるわけですが、現在、失業者が三万人おるわけです。で、三万人のうち一万八千人というものは職業安定所の窓口に行って、何らかの雇用失業制度を受けていらっしゃる方でありますが、あと残りの一万二千人の人たちがどういうふうになっておるかというところの実態を、県としても開発庁としても局としてもよく掌握していなかったわけですが、この点について、私どもとしては、いま局長のお話があったわけですが、努力をしておると言いながら、そういう実態が今日調査をされていないというのは少し力が入っていないではないかというふうに思うわけでありますが、まず、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  9. 鹿野茂

    説明員鹿野茂君) 確かに、先生指摘のとおり、現在、沖繩三万人失業者の方で安定所に登録されておる方は約一万七、八千程度でございます。したがいまして、あと一万二、三千の方が果たしてどういうような状態にあり、どういうような求職活動をされているかということにつきましては、御指摘のとおり、実態等がまだ把握されていないところでございます。  ただ、基本的に私ども考えておりますのは、やはり安定所求職の申し込みをし、あるいはまだされてない方も含めまして、いかにしてその雇用機会を確保するかということが第一点必要であろうかと思うわけでございます。そういう意味で、先ほど開発庁の方からもお答え申し上げましたように、公共事業等を活用いたしまして、できる限りの雇用基盤を確立してまいりたいと思うわけでございます。しかしながら、やはり安定所利用していただくということが求職者の再就職のためにはどうしても必要でございます。安定所利用いたしますと、それなりにきめの細かい指導も実施することも可能でございますので、非常にまだ脆弱ではございますけれども、本年度から特に民間の方に職業相談員というようなものを設けまして、安定所とそういう方の橋渡しというような役割りをさせていただいておるわけでございます。こういうような制度をさらに充実しながら、できる限り安定所利用を図っていただくというふうに推進してまいりたいと思うわけでございます。
  10. 広田幸一

    広田幸一君 いま開発庁の方からおっしゃった中に、確かに現地に行きまして二十九歳以下の非常に若い人たち失業者が多いと。しかも、その中身を見ますと、ここ数年Uターンですね、本土から帰ってきておる人たちが二千五、六百名もいる、そういうので確かに特徴があるわけですね。  そこで、いま開発庁がおっしゃったように、農業の見直しといいますか、私は向こうに行って数字を見まして、復帰前の農村人口は急速に海洋博をピークにしまして非常に減っているわけですね。ですから、今度土地返還等もありますし、遊休地が九千ヘクタールあるように聞いたんですけれども、そういう農村に若い人たちが帰っていくという、そういう魅力ある農業にこれから開発をしていくというようなことは、私どもそう思ったんですけれども、実際、そういうことについて具体的に開発庁がどこまで取り組んでおられるかということも聞きたいわけです。  それから、いまおっしゃった中小零細企業に対する育成強化、特に地場産業、おっしゃった伝統工芸品ですか、あれなんかも五十一年はわずか三十億しか実績を上げていない。指定種類が四種類ぐらいありますにもかかわらず、そういうところはいってないというように、言葉ではそうおっしゃるんですけれども、非常にむずかしい面があることは私たち現地に行ってわかったわけでありますが、そういう農業中小零細企業、それからいまおっしゃった公共事業拡大をしていくという、いま三つの柱でいわゆる求職の場、雇用の場を求めていくということでありますが、もう少し、私は、具体的にどうしようとしておるのか、開発庁としての具体的な計画をお聞かせいただきたいと思います。
  11. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 先生の御指摘のように、開発庁といたしましては、四十七年に県と相談をいたしまして策定をしました十ヵ年の振興計画があるわけでございます。この振興計画におきましては、計画期間である十ヵ年間に復帰時点におきます沖繩県民生産をおおむね三倍程度に実質で上げまして、本土との県民所得の乖離を八割程度縮小する、こういう計画で、内容といたしましては、第一次、第二次及び第三次産業の間の均衡のある発展を図る、こういうことで出発をしておるわけでございます。当然、その内容といたしましては、二十七年間の空白によりますところの各種産業基盤整備のおくれということをなるべく早い期間に取り戻し、本土との格差を是正する必要がございますので、御指摘農業の問題につきましても、基本的に基盤整備がおくれておるわけでございますから、土地改良中心にしました各種構造改善事業あるいは水利用手当て等、この数ヵ年間におきまして、先生も御案内のとおりであろうと思いますが、本土公共事業、特に農業基盤整備中心としました本土各県の基盤整備事業に対しまして、例年四〇%ないし五〇%という急激な伸びをもって公共事業施行を現在図っておるところでございます。おおむねこの五年間に名目では農業所得も二倍程度伸びておると私は理解をしておりますが、計画中身としましては、当然先生にも御理解いただけると思いますが、沖繩における農業生産性というものは復帰前はかなり低いものでございますので、これの生産性を向上する上におきましては、生産基盤拡大に合わせてやはり農業人口といたしましてはある程度調整が図られる、こういう計画に自体なっておったわけでございます。  同時に、御指摘のように、第二次産業を興こすということにつきましても、なかなか昨今の本土経済情勢を含めまして、沖繩におきます現時点における期待性から申し上げますと、新たな企業本土から踵を接して立地できるという状況でも必ずしもございません。そういう点も考えまして、やはり第一次産業関連企業、ないしは先生指摘のような地場伝統工芸産業等、できるものからビルドインをしていくということにやはり着実にレベルアップをせざるを得ない、こういうことで沖繩における財政投融資、特に中小企業対策としましての融資面につきましても各般措置を講じてきておるところでございます。やはり何と申しましても戦後における基盤整備の投資のおくれもございまして、一朝一夕には効果がすぐには上がらないという悩みもございますけれども、この数年間続けてまいりましたそういった産業基盤社会資本整備の投下が、今後、逐次成果をあらわしてくるものと私ども期待を持っておるわけでございます。
  12. 広田幸一

    広田幸一君 そういう方針はよくわかりました。最近、畜産がかなり伸びておるようでありますし、野菜もかなり伸びておるようでありますが、問題は、本土とかなり離れておるというような距離的な問題もありましていろいろと苦労されているようでありますが、いまの農業政策、若い人たち農村吸収できるようなそういう努力は一層やられるべきであるというふうに思いました。その方向で一層の努力要請をしておきます。  それから公共事業の問題でありますが、確かにいまここで資料をいただきまして見ますと、本土における伸び率とそれから沖繩におけるところの伸び率はもう数倍の伸び率になっておるわけでありますが、経済はそれほど伸びないというのが実情なんでありまして、そこで私も調べてみましたところが、昨年、五十一年で公共事業によって吸収された人員が千八百ぐらいであったと思うのですけれども、一年間かかって公共事業吸収された人員が千八百であったと思いますが、先般、開発庁に行きましたときには、五十三年度公共事業によって五千人ぐらい吸収できますと、こうおっしゃったんですけれども、私がその後調べてみますと五十一年で千八百ほどの吸収しかないわけですから、何を根拠にして五千人と言われたのか、五十三年度はもっとすばらしい公共事業予算が組んであるのかどうか、そこのところの食い違いが私あるように思うのです。さて、明年は、公共事業現地でもとにかく公共事業を伸ばしてもらいたいというのが県の要請でもありましたし、地元の皆さんの要求でもあったわけですが、公共事業による今後の失業者吸収ですね、どのようにお考えになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  13. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 先生指摘のように、沖繩失業対策としましては、基本的には先ほど総務局長からお答えいたしましたように、各種産業振興による雇用機会の造出、これがまず基本であろうと思います。当面の失業率が非常に高いという状況を踏まえまして、一つには労働省サイドによる広域紹介というような、労働省サイド各般施策にまつということと同時に、私どもといたしましても、公共事業によります失業者吸収ということにも十分意を用いてやってきておるところでございます。  で、先ほど先生指摘ございましたように、五十二年度で約千八百名の雇用吸収しかないんじゃないかと、これは五十一年度から五十二年度に対して伸びております予算上増額された分につきまして、常用労働者平均賃金、それから給与のアップ、そういったものを一応見込みまして、で公共事業費の中で大体人件費が三〇%を占めるものということで推計をいたした数字でございまして、それによりますと五十一年から五十二年で約千八百名ほど伸びました。で公共事業全体では五十二年度約三万名ほど直接に雇用期待できているはずであると、このように考えております。  また、お尋ねの来年度要求でございますが、これにつきましては、本年度千三百四十七億の振興開発事業費に対しまして、来年度千六百二十八億ほどの要求をいたしてございます。これはまだ概算要求でございますので、最終的にどういう金額になるかということはまだわかりませんが、またもう一つ沖繩開発金融公庫による融資等がございます。これによります公庫住宅融資、これを同様に見込みまして推計をいたしますと、全体で約三万三千四百名ほどの直接の雇用が見込まれるんじゃなかろうか。で来年度ふえます分についてはどうかと、こういうことになりますと、先ほど先生指摘こざいましたように、本年度予算総額と来年度予算要求額との差額から推計いたしますと、約五千名ほどの雇用増が見込まれるんではなかろうか、このように推計をいたしております。
  14. 広田幸一

    広田幸一君 次は、軍離職者対策ですけれども、これは開発庁の方も数字を持っておられるわけですが、復帰した時点では約二万名おったわけですね。それが五年間のうちに約一万一千人ぐらい減って、私の調べでは、昨年の暮れが八千五百八十五人という数字になっておるわけです。これは一致しておると思いますけれども、私、現地に行ってみまして、復帰した時点から離職者がだんだんと出てくるであろう、解雇が出てくるであろうということは、私は、開発庁としては握っておられたのではなかろうかと思うんです。そうなればそういった五年間のうちに一万二千人がやめるわけですから、しかも中身は四十歳前後、中高年者が多いわけですね。そういった軍関係離職者対策に対してもっと積極的な、計画的なものがなされておったならば、もう少し軍離職者人たちは何らかの就職の道を見つけておったというふうに考えるわけでありますが、現状と、これから特にこういった軍離職者対策について、開発庁としては特別にお考え方を持っていないかどうか、お聞かせいただきたい。
  15. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) お答え申し上げます。  駐留軍離職者の方の事後対策と申しますものは、開発庁だけでこれを一元的に処理をするということにつきましては非常に問題があるわけでございますが、先生に申し上げるのは大変恐縮でございますが、沖繩復帰しました時点で、沖繩振興開発特別措置法の中に、今後発生するであろういろいろな各般のそういう離職の方、これにつきましても含めまして各般措置がとられているところでございますが、駐留軍離職者の方につきましては、先生も御案内のように、駐留軍離職者臨時措置法によりますところの、いわゆる雇用安定の見通しがつきますまでの間の待機手当と申しますか、就職促進手当が交付されておるところでございますが、あわせて、労働省の御所管でございますけれども現地に二ヵ所のいわゆる総合職業訓練所も設置をされておりまして、これは一般的な労働雇用職業訓練対策でもございますけれども、特に政府といたしましては、復帰後におきますところの基地縮小に伴う中高年齢の方の職業の安定的な措置、こういうことにも配意をいたしまして、そういった施設建設をしたと理解をしております。  そのほか、各般就職あっせん、その他措置が講ぜられているところでございますけれども開発庁だけで特にこの駐留軍離職の方を一元的に扱うということにもまいりかねるわけでございまして、冒頭お答え申し上げておりますような、何といいましても、やはり現地に即応した新規雇用吸収の場の創出ということが何にも増して必要なことでございますので、お答え申し上げておるような公共事業施行あるいは生業資金等を含めました転廃のための、新たな自営のための低利の資金あっせんその他、開発庁としてとり得る施策を網羅的に現在とらせていただいておる、こういうわけでございます。
  16. 広田幸一

    広田幸一君 現地に行ってみまして、軍の離職者人たちが言っておりましたのは、確かにむずかしい問題がたくさんあるわけですが、いまおっしゃったように、そういう特別措置法制度もあるわけですし、総合職業安定所も設置していろいろと努力されておることもわかるわけですが、それでも、ここに数字いただいておりますけれども、なかなか実際の効果は上がっていない、こういうような現状であります。  現地でそういった軍関係離職者人たち一つ事業団をつくって自分たちでいろんな事業をやって、そしてみずからの努力によって開拓をしていこうというような考え方もあるようであります。その場合にはもちろん基金は国の方から出してもらう、こういうような構想を持っていて、あるいはいままでにそういったことが開発庁とか、あるいは県の方に話し合いがなされたかどうかわかりませんが、こういう構想を立てて、県としても協力してやるというようなことは見通しとしてむずかしいことであろうかと、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 先生のただいまの御質問内容につきましては、先ほども申し上げましたように、実を申し上げますと、防衛施設所管のいわゆる基地解雇方々処遇対策の問題でございます。  私も、先生指摘のように、現地におきまして、駐留軍離職者処遇のためのそういった各般施策の一環としまして、地元におきましてそういった雇用促進のための事業団というものを設立したらどうかと、こういうふうな御意見がかなりあるということも直接伺っておりますし、県もその問題について関心を抱いておられるということも聞いております。ただ、この問題につきましては、私も直接の所管ではございませんので明確な権限のあるものとしてのお答えは申し上げかねますが、防衛施設庁あるいは労働省におかれて、これらの問題を含めて、本土駐留軍離職者の問題もあるように聞いておりますが、一つ問題点として検討をされておるというふうに理解をしておるわけでございます。
  18. 広田幸一

    広田幸一君 労働省、これどうです、どういうふうに受けとめていますか。
  19. 鹿野茂

    説明員鹿野茂君) 確かに軍関係離職者の方は、先生指摘のように、中高年齢の方が多くなっているわけでございます。若い方でございますと、本島への広域紹介等が進められる中で就職も推進するわけでございますが、先ほど申し上げましたように、こういう中高年齢の方でございますと、一つ方法として自営、自立ということも一つ方法かと思うわけでございます。そういう観点から、軍関係離職者方々基金あるいは事業団という構想をお持ちになるという考え方については十分理解ができるわけでございますが、ただ、現在、先ほど開発庁の方からも御説明申し上げましたように、駐留軍離職者臨時措置法に基づきましていろいろの援護措置も講じているわけでございますので、そういう援護措置との調整等をどうするかというようなことについて検討を進める必要があろうかと思いますので、今後、関係各省十分協議を進めてまいりたいと思います。
  20. 広田幸一

    広田幸一君 現在、いろいろ問題があるので、関係庁と検討しておると、こういうことでありますね、そうですか。
  21. 鹿野茂

    説明員鹿野茂君) そうです。関係各省と協議を進めてまいりたいというふうに思っております。
  22. 広田幸一

    広田幸一君 次は、今後の問題ですが、観光関連産業育成強化ということでありますが、いろいろと現地に行って聞きまして、海洋博を頂点にして、年間あのときは千五百億ですか、そのぐらいの観光客の収入があったということでありますが、それから後、落ちて、また五十一年は一千億ぐらいに上がったというふうなことなんで、いろいろ地場産業育成強化であるとか、農業開発であるとか振興であるとか、いろいろ言われるけれども、なかなか時間のかかることであると。一番手っ取り早いのは観光行政だと言っているんですね。ですから、観光客をとにかく入れてもらうと、そういうことをとにかく国にも県にも各界にも強くお願いをしておるということを経営者協会の会長さんが非常に切々と訴えておられましたのが私は印象として残っておるわけです。  観光関連産業ですね、これは先ほどもお話がありましたように、伝統工芸品についてもわずか三十一億円。観光でしたらいろいろと波及の面があるわけですけれども、年間もう一千億あるいは一千二百億というようなあれがあるわけですから、現地としてはこれを沖繩における立地条件を生かした基幹産業としてもう取り組まなきゃならぬと、現にそういう方向に行っておるかと思いますけれども、こういう観光関連産業に対して、開発庁としては、これからどういうふうに力を入ていこうとお考えになっておるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  23. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 先生も御指摘のように、一昨年の海洋博覧会におきまして沖繩を訪れました域外の方が約百五十五万名でございます。昨年は海洋博後の落ち込みということもございまして八十万名程度になったわけでございますが、今年は、幸いと申しますか、沖繩海洋博における認識も作用させていただけたと思いますけれども、非常に沖繩に行かれる観光の方がふえまして、九月の時点ですでに八十万名を超えておるというふうに聞いております。ということで、恐らく今年中の入域観光者は海洋博のピーク時の八割程度までは回復をするのではないか、こういうふうに推定をいたしております。  先生も御指摘のように、何といいましてもこの観光客が落とされます域内におけるお金は、単一の産業数字から申しますと、いまや基地収入を除きまして最高の収入源である、こういうこともございますし、また、御指摘のように、他の産業基盤整備に伴う生産所得のレベルアップよりも、いわば非常に早く入手できる財源でもございます。そういったことで、開発庁としても、観光そのものの企業に直接関与するわけにはまいりませんが、各般措置、たとえば観光に関連しました港湾でございますとか、空港、道路、その他社会資本整備はもちろんのこと、先ほど御指摘にございましたような観光客に買って帰っていただくような地場の伝統工芸産業、こういったものに対しますきめ細かな施策も必要であろうと存じ、現在、離島振興とあわせまして、各主要離島に、先生案内のように沖繩は非常につむぎを中心にしました織物が盛んなところでございますが、そういった共同利用施設の設置を初め、沖繩金融公庫を通じましての地場伝統工芸産業に対します生業資金の貸与でございますとか、いろいろと措置を現在講じておるところでございますが、明年度以降も、なおいろいろな面で、少しでも沖繩への観光客の誘致あるいは所得の向上に資するように工夫をこらしたい、かように考えておるところでございます。
  24. 広田幸一

    広田幸一君 次は、金融関係についてお尋ねをするんですけれども、私は、先般、沖繩開発金融公庫に参りました。理事長さん、副理事長さんもお見えになりまして、熱心にいろいろとお話をいただきました。私は、沖繩開発金融公庫が国の施策としてあるわけですけれども、もっと基金を増額するとか、こういう公庫はできたんだけれども中身がどうも薄いような感じがするわけです。  そこで、そういった観点から私はお尋ねをするわけですけれども、四十七年の五月十五日に、沖繩復帰と同時に公庫が設立されておるわけですけれども、現在の出資金は幾らですか。
  25. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 正確な端数はちょっと控えておりませんが、概数で申し上げますと、設立時から現在まで出資総額では約百四十七億円と記憶しております。
  26. 広田幸一

    広田幸一君 私が現地に行って聞いた数字とはかなり違いますね、これは。出資金という意味がどうかと思うんですけれども、当時の琉球開発金融公社からの引き継ぎで二百十五億円、それから設立の当初の一般会計から三十億、合計二百四十五億というふうになっておって、現在も、この数字は変わっていない。五年間たってこの数字が変わっていないように聞いておるんですが、私の数字が間違いでしょうか。
  27. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 私の手元にちょうどいまその資料を持ち合わせておらないものですから、至急調査をしまして、もし違っておりましたら訂正させていただきたいと存じます。
  28. 広田幸一

    広田幸一君 これは言っておったんですけれどもね、この金融関係のことについても質問するというふうに言っておいたんですが、それはいいでしょう、調べてみてください。  私が特に金融関係で申し上げたいというのは、現地に行ってみましてもいろんな施設がある。たとえばホテルにしましても、旅館にしましても、いろんな小さい施設にしましても、海洋博をやるんだと、こういうことで国も県もとにかく金は出してやる、とにかく設置をしなさい、こういうことで奨励をした。ところが、過当競争になって思うように客が来なかったとか、もちろんこれは石油ショック等の関係もあるでしょうが、現地はこの借りた金の返済に非常に困っておるわけですね。片一方では国がどんどん奨励をしながら、実態はもうそういうようなことで行き詰まって倒産寸前というところがかなりあるわけです。私は、これは確かに国の責任、県の責任でもあるというふうに思っておるわけですが、そういう意味で、私はこの金融関係は五年間にもっと手厚い手当というものがなされてしかるべきではなかったかと、こういう観点から申し上げるわけでございまして、私が言いましたのは、四十七年の創立のときに二百四十五億円で、現在も余り変わっていないということなんでございます。  それから、もう一つは、金利の問題でございますが、本土沖繩と金利がどのように違うか、これもお聞かせいただきたいと思います。
  29. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) ただいま参考資料を取り寄せまして調査しましたところ、私が先ほど申し上げました数字は違っておりまして、先生指摘のとおり二百四十五億円の出資額でございました。訂正さしていただきます。  全般的に、先生が御指摘になりましたように、沖繩におきますところの当沖繩開発金融公庫の占めるウエートは非常に高いものでございまして、五十一年度末におきまして、復帰後からの貸し付けの総累計を見ますと、沖繩における地場の金融機関を含めましてほぼ三〇%のシェアに達しておるということで、非常に影響が大きくなっておるわけでございます。そういったことも踏まえながら、なおかつ、冒頭からしばしば申し上げておりますように、中小企業振興を初め各種生産基盤整備に必要な資金を必要にして十分なだけ供給するよう、今後も、その本来の使命を達成するように努めてまいる所存でございます。  なお、先生指摘の、公庫の経営の健全化とあわせて、低利長期の融資を供給するためには、沖繩公庫自身の資本の増加が必要ではないかということでございますが、この点につきましては、後段のお尋ね沖繩中小企業対策としてより低利の資金供給が望まれるという点とあわせてお答えをさせていただきたいと思います。  先生も御案内のように、本年度春以来、政府は、国の不況対策の一環として四回にわたる金利の改定を行ってまいっております。この中で沖繩公庫におきましても、本土の所要金利の改定と連動しまして今回までに大幅な金利の改定を行ってきておりまして、現在、具体的な事例で申しますと、中小企業資金の基準レートでございますが、ことしの春、中小企業資金基準レートが八・二%でございましたけれども、これを現在七%に下げておるわけでございます。もちろん、この基準金利は本土の基準金利に対しまして〇・六%の特利ということで、なお低い金利を設定をしておるところでございます。その他、生業環境衛生資金を初め各中小企業対策的な資金は、一応、そういった特殊金利ということで現在運用しておるわけでございまして、当然、これが原資のコストとの逆ざやを生じます。そういうことで今年度におきましても五十億円余の赤字補給を一般会計から繰り入れておるわけでございます。  いずれにしましても、先生指摘のように、沖繩現地におきます企業の経営安定化のための資金が有効に活用されるような手当てとしましては、あるいは一面において資金の積み増しも必要ではございましょうが、いま申し上げましたように、所要資金の金利につきましては、少なくとも一般会計からの赤字補給というシステムによりまして、必要にして十分なだけ手当てをしておると、こういうふうに申し上げておきたいと存じます。
  30. 広田幸一

    広田幸一君 いまの局長お答えによりますと、中小企業の場合の金利は八・二%を七・〇%にしたということでありますが、本土はこれは幾らですか。
  31. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 基準金利だけ比べますと、本土が七・六%でございます。
  32. 広田幸一

    広田幸一君 産業開発資金は幾らになっています、本土との比較は。
  33. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 産業開発資金は、本土が七・六%に対しまして、沖繩が七・二%でございます。
  34. 広田幸一

    広田幸一君 確かに、この数字を見ますと、産業開発資金本土が七・六、沖繩が七・二ですから、〇・四%低いわけです。中小企業の場合は七・六と七・〇ですから、〇・六低いわけでありますが、一般の民間の金融機関から借りる場合の金利差というものは、本土と比べてどのようになっておりますか。
  35. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) だだいま細かい計数の資料を、私、持ち合わせておりませんので、的確な御報告ができない点をお許しいただきたいと思いますが、概括的に申しますと、先生も御案内のように、沖繩復帰する以前におきましては、沖繩における市中金融は琉球銀行といういわばメーンの銀行に集中化されておりまして、沖繩が現金決済経済であったという理由にもよるかと思いますが、長期資金はおおむねこの市中金融に頼っておったということもございますのと、やっぱり需要との関係もございまして、おおむね本土の地方金融機関に比べまして貸出金利がやや割り高であったというふうに申し上げられるかと思います。細かい比較ができない点をお許しいただきたいと思います。
  36. 広田幸一

    広田幸一君 これも、先般、総合事務局に行って聞いたんですが、その書類に金融対策の問題が出ておるわけです。私もこれは持って帰っていろいろ勉強してみまして、これにはこう書いてあるわけです。私もそう専門じゃございませんが、「貸出約定平均金利(地銀)は公定歩合、預金金利の引き下げ等の影響から引下げ幅が拡大し、六月末には八・五〇四%(全国地銀七・八一四%)」と、こうなっておるわけですね。これから見ますと、これは本土とそれから沖繩を比較せしめまして、民間の金融機関が主体でありますが、これから言いますと〇・七%高いわけです。本土よりも立地条件が悪いのにもってきて、一般機関、地銀からのこの利子が高いということですね。  いま局長は公庫が〇・六と、それから〇・四安いとおっしゃったけれども、一般の市中銀行は高いわけです。しかも条件は悪いわけです、企業は浅いわけですからね。ですから、確かにこの数字からおっしゃると、そういうことが言えますけれども、実際の地銀を使っておるこれから見ると、本土に比べて少し高い金利を使っておるということが言えるんじゃないでしょうか、その点どうです。
  37. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 沖繩公庫が四十七年に設立されました時点で、沖繩現地におきます当時ございました琉球開発金融公社あるいは琉球政府所属の大衆公庫等を一元的に引き継ぎまして、現在の公庫が設立されたわけでございます。この公庫の設立は、冒頭からお答えしておりますような沖繩振興開発計画の遂行の一環としての公庫でございますので、沖繩企業に必要な資金を必要にして十分供与するために置かれたことは申すまでもございません。  そういったことで、金利につきましても特段の配慮を払っておるつもりでございますが、基準金利で申し上げましたけれども、個別の金利の中では、具体的にすべてを申し上げるわけにはまいりませんが、たとえば産業の基盤的な事業であります電力でございますとかガスでございますとか海運等、所要の基盤資金につきましては特殊金利を使っておりまして、個別に一つ一つは申し上げかねますけれども、私ども政府サイドで申し上げますと、相当本土に比べまして特殊低金利を施行しておる、こういうふうに考えておるところでございます。   〔委員長退席、理事稲嶺一郎君着席〕
  38. 広田幸一

    広田幸一君 いずれにしましても、沖繩本土に比べてはるかに条件が悪いわけですから、金利なんかはやはり安くしてあげるべきだと思っておるわけです、数字はこうなっておるわけですから。  この間、公庫に行きましたときに、理事長に金利の引き下げについてはどうなんですかと質問しましたら、私もそこまで調査をしてないんですけれども、何か九%ぐらいの高い金を貸しておった時期があるようでございます、そういう段はこういう情勢であるので、引き下げるように、開発庁の方に、上の方に連絡をとっていきたいと、こういうふうなお話がありました。私は、沖繩というのは、さっきからずっと言っておりますように、普通の状態でやったってこれはいけないと思います。特別なやっぱりかさ上げをしていかなければ、沖繩現状というものは救えないのでありますが、どうでございましょうか、総務長官もおいでになっておるわけでございますが、後で一括質問をしたいと思いますけれども、いま沖繩にとって元金の返済や金利は非常に経営上重大な問題になっておるわけですね。ですから、もっと思い切った金利政策、長期にしかも低利な金を貸せると、こういう点について思い切ったことをやってあげるべきであるというふうに考えます。そのことについて、長官、お答え願いたいと思います。  それから、もう一つ、私が先ほど言いました、四十七年五月十五日に公庫ができましたときのいわゆる二百四十五億円、これが現在もなおこういう数字になっておるように聞いておるわけでありますが、そうなのかということですね。まずそれを局長の方から先に聞いて、総務長官の方の答弁をいただきたいと思います。
  39. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 公庫の出資金につきましては、訂正御報告いたしましたように、御質問にありました資本金は四十七年に二百四十五億円で発足をして以来、変わっておりません。  なお、長官からも御答弁があろうかと思いますが、沖繩公庫の金利につきましては、繰り返し申し上げましたように、非常にきめ細かく金利体系を施行しておると存じておりますが、先生指摘のように、一般市中の金利が必ずしも本土と比べて安くないということも十分理解をしておりまして、開発庁サイドだけでは問題はございますけれども、過去のそういう高金利の市中民間のものにつきましても、いわゆる海洋博後の経済落ち込み等も十分勘案しまして、ケース・バイ・ケースで関係機関とも協議をして、個別にそれらの問題の解決を図るということをやっておる次第でございます。
  40. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) ただいまおっしゃいましたように、沖繩振興開発金融公庫の方は、本土の比較すべき公庫類の金利に比べれば確かに安くなっておりますし、金融公庫始まって以来、現在が最低の金利水準になっていると思います。  ただ、市中銀行の方は、これはそれぞれ特有の事情がございますから、まあこれは民間企業でもございます。鋭意、われわれといたしましては、行政指導といいますか、大蔵省とともに行政指導をいたして、現地の実情に照らして金利を低めさせるということには努力をいたしますけれども、しかし、これを幾ら幾らにせいというふうなことは民間の銀行でございますので強制するということはなかなかむずかしい、しかし、行政指導という形で大いに努力をいたしたい、かように存じます。
  41. 広田幸一

    広田幸一君 そこで、いろいろと質問をしましたが、今後の問題として私はお尋ねをしたいのでありますが、   〔理事稲嶺一郎君退席、委員長着席〕 私は、いまのこの特に失業者本土に比べて三倍も高い、こういう失業者対策のために緊急な対策をしなきゃならぬ、そういうことと、もう一つは、恒久的な対策、こういう二面に分けて質問をいたしたいと思います。  まず、緊急対策としましては、先ほどもちょっとお話がありましたが、いまの失業雇用制度があるわけでございますが、これをもっと内容を改善するということですね。個別に申し上げますと、これは労働省の方に関係しますか、軍離職者の方の三年間の期限が過ぎた場合、もう効力を失うわけでありますが、先ほどお話がありましたように、それぞれ本人たちも、あるいは県も国も努力をして、なおかつほとんどが就職の場がないという現状であります。これが特に沖繩における特色でありますから、この期限を延長するというような問題はいかがなものだろうかと思います。  それから、これは開発庁の方に関係をしましようか、現地に行ってみまして、これは中小企業の団体の代表の皆さんとお話ししたんですけれども雇用保険法に入っていない、これが二四%あるわけです。なぜ入っていないかというと、やはり本土と違いまして非常に抱えておる人員が少ないわけであります。そういう点もあるわけですが、しかし、雇用保険に入っていないと失業保険もらえぬわけですから、これはやはり雇用保険に入るように行政の面でどうしても努力してもらわなきゃならぬ。そのために金がないということならば国が出すとか、あるいは自治体がやるとか、何としても二四%しか雇用保険に入っていないというようなことでは、いまの失業問題は本当により深刻になってくると思うんでありますが、雇用保険に全事業所が加入するように、ひとつ開発庁として、国として、運輸省として努力はできぬものか。その場合の資金の裏づけは、できないものについては国が考えるというような方策であります。  それから、昨日、離職者対策の法律が衆議院を通過したわけでありますが、これの活用について、これは労働省の方はすでにつかんでいらっしゃると思いますし、開発庁の方も、特にこれは沖繩失業問題があるわけですから、つかんでいらっしゃると思うんですけれども、この昨日衆議院を通りました特定不況業種離職者臨時措置法に関する特別決議というのがゆうべ決議されておるわけですが、その中の一つに「特定不況業種の指定に当たっては、法の趣旨を生かし、経済の実情に即応して弾力的に行う」ということになっているわけです。結局、これは現地職業安定所の方がいろいろ資料をとって職安の審議会を通して大臣に申請するという手続になっておりますが、私は、この特別決議による一項は特に沖繩の場合に適用してあげなければならない、こういうふうに思うわけですが、このことについての労働省考え方。  次は、二番目に「就職促進手当、訓練手当等の給付金の給付水準の改善について、来年度予算の実施を期し、今後とも一層努力する」というふうになっているわけです。これはこの法律の内容から言いますと、いわゆる企業が困ったときに一つ人員整理をする、人員整理という正式な名前にはなっておりませんが、いわゆるそういった意味の計画をつくって職安に出して、職安がこれを認定して、これを上の方に積み上げるということになっているわけでありますが、その場合に、この法律によりますと三十人以上ということになっておるわけですね、そうですね。それが沖繩の場合には、実際私たちが行ってみまして、もう五人以下の事業所がほとんどのような感じがするわけです。ですから、これは、当然、沖繩の場合は三十人以上ということではなくて、こういった法律ができた趣旨を生かして、沖繩の場合には特別にこういった適用を受けさせる、こういうようなことについてぜひ考えてもらいたい。  以上の点について、関係省庁の答弁を願います。
  42. 鹿野茂

    説明員鹿野茂君) まず、軍関係離職者の問題でございます。先ほど申し上げましたように、軍関係離職者につきましては、駐留軍臨時措置法あるいは沖繩開発特別措置法によりまして、三年間にわたりまして一定の就職促進のための手当が支給されることになっておるわけでございます。この三年間という期限は、労働者としての資質というものを損なわない、維持するというぎりぎりの線ではないかと思うわけでございます。したがいまして私どもはこの三年間の間にできる限り再就職に努めさせる、こういうふうに考えてまいりたいというふうに思うわけでございます。  それから、二番目の雇用保険の適用の問題でございますが、御承知かと思いますが、雇用保険法の制定と同時に、全面適用、すべての事業所が適用対象になることになったわけでございます。ただ、残念ながら、先生指摘のように、沖繩事業所におきます適用率というのはきわめて低いということでございます。私ども、できる限り沖繩の労働者がこの雇用保険の適用になりますように、今後、一層、その全面適用について努力をさせていただきたいと思うわけでございます。  それから、第三番目の特定不況業種離職者臨時措置法の問題でございます。この法案は、現在、国会で審議をいただいている過程でございまして、この法案が成立いたしました場合につきましては、先生から御指摘ございましたように、業種の指定なり、あるいは再就職計画の認定等に当たりましては、沖繩県雇用失業情勢の実態を踏まえまして、特に配慮した運用をさしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  43. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) 先ほどの特定不況業種の離職者対策に関する件でございますが、確かに沖繩には特有の事情がございますから、これはこの法案成立以降労働省とよく相談をいたします。
  44. 広田幸一

    広田幸一君 大臣の方からきわめて積極的な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。そういったことで、本当に先ほど来からるる申し上げておりますように、特殊な条件にある沖繩失業者問題については、より一層御努力をいただきたいと思います。  これは非常にむずかしい問題ですが、私が現地に行っていろいろ各界の皆さんから聞いた重立ったことを申し上げておきますので、何か将来の対策の参考にしていただきたい、こういうふうに思います。  それは先ほど申し上げました観光の関連事業の問題でございますが、これは基幹産業としてやっていきたいということでございましたが、那覇空港を国際空港に格上げしてもらいたいと。いま私も中身はよくわかりませんが、現在は、東南アジア方面に旅行する観光客が沖繩を素通りして台港の空港を経由して行っている。こういうようなことなんで、ひとつ那覇空港を拡大してもらうと非常によくなる。それにはわれわれの計算で約一千億円かかる。しかし、これは成田空港や大阪空港に比べれば微々たる金である。とにかく一番手っ取り早いのは、沖繩は、先ほど申し上げましたように、観光の関連事業から来る収益が本当に莫大なものだ、こういうふうな意見もありました。そうなってくると、この空港の周辺にもいろいろ施設ができるだろう、そのことが長い目で見ると労働力の吸収の場にもなる、こういう切なる話もありました。  それから、あるいは長官の耳に入っておるかもしれませんが、この沖繩の立地条件を生かした亜熱帯の大植物公園のようなものを将来考えてみたらどうかということも、かなり真剣な声として出ておりました。これも観光に関連することであろうと思います。  それから、太陽熱の開発、最近は、エネルギー問題が出ておるわけでありますが、沖繩には太陽熱の開発の条件があるので、こういうところにも力を入れてもらいたいということを言っておりました。  それから、特に建設関係になるわけでありますが、ずっと海洋博を頂点にしてかなりの公共事業があったわけでありますが、本土から大手企業が来て、そしていいところは食ってしまう、地元建設業者関連企業は余り潤っていない。資材も、県内からつくれる資材を買ってくれればいいんですけれども、それは本土から持ってくるというようなことを強調しておりまして、今後、公共事業をそれぞれ発注するときは県内を優先にやってもらいたい、そういう強い声がありました。これにはいろいろと企業の力の関係がありますから、本島が全部そういうものを受けてできるかどうかという問題があるようでありますけれども、そういう考え方が現実には非常に強いということをお話をしておきたいと思います。  私は、実は、最後に総務長官に申し上げたいと思っておったんですが、私も沖繩に行きましたのは初めてでございますし、本当に短い期間であったんでございまして、私が申し上げたようなことが全部沖繩県民の声であったかどうかということはわかりませんが、それでも私たち企業経営者の団体、それから金融関係、それから中小零細企業の団体、それから労働団体、できるだけ各階層の代表の皆さんの現状を聞いたんですけれども、もうおっしゃることは、異口同音に、いま沖繩復帰したことが本当によかったのかどうなのかと。われわれが復帰したことを喜んでおるのは三分の二ぐらいは本当は楽にならなければいけない、しかし、現状は逆である。そういうように県民がいまの沖繩経済について、また将来の推移について、非常に真剣に、しかも、不安に受けとめておるという感じがしたわけであります。  これは長官もその方の担当でございますからよく御承知と思いますけれども、私も行ってみまして、二十七年間、アメリカの軍政下にあって、ほとんどいかにして基地をりっぱにするかということが二十七年間の向こうのいわゆる産業経済の基盤であったと思います。それが変わったわけでありますから、そういうふうな二十七年間もいわゆる国策的な意味の犠牲を経済的には国民が受けておるわけですから、そういう点を本当によく考えていただきまして、公共事業は確かに本土よりも四倍も五倍も使っておると、だからということではなくて、それでもまだ足らないと、それでも本土失業者の数の三・五倍以上もあるわけですから、そういう現実の上に立って、今後、一層の沖繩に対する対策を私は進めていただきたい、こういうふうに思っておりますが、長官に、もう一度、ひとつお気持ちを今後の対策としてお聞かせをいただきたいと思います。
  45. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) おっしゃいましたように、戦後、長年の間、異国の行政下にあって、沖繩県民方々は大変御苦労をなさった、この気持ちは痛いほどよくわかるのでございます。  それで、復帰後、五年半でございますけれども、その間に、日本の施政下に返ってきてかえって不幸であったんではないかというふうなお話も間々あるやに聞きますけれども、しかし、実際には、空港といい、漁港といい、道路といい、下水といい、あるいは学校といい、これはもう本土との格差をほぼ縮めております。道路の整備、舗装のごとき、それから空港の整備、こういうものはもう本土以上の水準に達しております。学校にしても中学校浪人が多いと言われます、そういうことも五十三年、四年には全部本土並みには達すると思うんであります。いろいろ数字を集めてみますと、まだまだ足りない点はございますが、しかし、急激に本土との格差を縮めてきておることは確かでございます。  ただ、長年の沖繩県というもののならわしといいますか、たとえば農業にしてもパイナップルと砂糖に偏っている。これは水のないせいかと思います。そういう農業にしても一つに固まっていますし、あるいは地場産業というものがなかなか芽一生えてこない、こういうふうな実情もございます。  沖繩振興開発計画十ヵ年、これが昭和四十六、七年に組まれてきたわけでございますが、これは高度経済成長の中において組まれてきたということもございまして、実際には、この内容に関しましては多少、何と申しますか、実情と離れている面があるように思うんです。最終的には第三次産業が六五%、第二次産業が三〇%、第一次産業五%、こういう線でございますけれども、こういう線はそれなりに曲げなくてもいいと、こういうことでいこうというふうに考えておりますから、あえて十ヵ年計画を修正することはしませんでした。しませんでしたけれども、その内容におきましては、これは大いに考えざるを得ない、かようにいま思っておる次第でございまして、先ほど開発庁局長の方から申し上げたかと思いますが、どうしても第一次産業、第二次産業をじみちに興していかなきゃならぬ。第三次産業だけに偏り過ぎることは将来の沖繩にとっては堅実な発展の道ではない、かように思いますので、まず水をつくっていこう、この水不足がいま一番の沖繩のそういう面における欠陥かと思います。現在も断水をしている状態でございます。ですから、人間の皆様方が使う水すら不足している。一次産業、二次産業に回す水はもうごく限られてしまっている。こういうことでございますから、いまあらゆる地点における既設のダムはかさ上げをいたします、それからまた地下ダムもつくります。それから第二次の水の利用考えます。とにかく水をつくって着実に第一次産業を多角化していこう。それから第二次産業地場産業として引き上げ、振興さしていこうと、これを長期的に考えておる次第でございます。  しかし、短期的にはなかなかそれらが早くは進みませんから、短期的には観光事業に頼らざるを得ないし、そしてまた伝統工芸品、御承知と思いますが、大島つむぎのごときは年間出荷額が三百億であります。にかかわらず、沖繩のあれほどりっぱな漆器類だとか布類がございますけれども、そういうものが年間三十億ぐらいの出荷高しかない。これは一つけたが違うわけです。これらはどうしてそうなったか、こういう点も大いに研究をいたしている次第でございまして、これも大島つむぎのように早く三百億台に達しようと、こういうぐあいにいま計画をし、沖繩開発を近距離と長距離と考えながら進んでおる状況でございます。
  46. 広田幸一

    広田幸一君 次は、八十通常国会で問題になりまして最終的には決まったんですけれども、地籍明確化法という法律、これについて返還地の利用がどういうふうになっておるか。  特に私の聞きたいのは、これから返還地をそれぞれ区画整理なり土地改良事業をやるわけでありますが、そのときの負担はどうなるか、このことについてお尋ねをしたいと思いますが、これだけもめた法律であったわけでありますが、その後、どういうふうになっておるかということをお尋ねをしたいと思います。
  47. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 先般の通常国会におきまして、沖繩の地籍不明地の問題につきましては明確化のための法律が制定されたわけでございます。  自来、防衛施設庁を初め関係機関及び現地県とも鋭意協議、検討を重ねてまいりまして、先生の御案内のとおり、この法律では五ヵ年をめどに沖繩の地籍不明地の明確化作業をおおむね完了することを目的としまして各般措置が講ぜられておるわけでございますが、基本的には防衛施設庁と私ども、県共同のいわゆる民地等の地域の指定を現在急いでおるところでございまして、防衛施設区域及び民地を含めまして早急に県との協議を終え、地域の指定を速やかに行う予定でございます。この作業が終わりますと、五ヵ年計画を策定しまして直ちに今年度事業の再開に踏み切りたいと、こういうふうに考えております。現在、県及び関係市町村ども鋭意折衝を重ねておりまして、おおむねそういった作業は順調に進んでおる、こういうふうに考えております。
  48. 広田幸一

    広田幸一君 この法律は、ことしの五月十八日、法律第四十号として出たんですが、九月八日の日に政令が出ておるわけですが、この十九条に「(返還地の利用促進のための措置)」というのがございます。で法律としてはこれは決まっておるわけですし、政令が今度出たわけでありますから、この十九条によるところの具体的なことがこの施行令の中に入っておってしかるべきであるというふうに思うのですが、その点どうでございましょうか。時間がありませんから簡単にひとつ御答弁を願います。
  49. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 十九条の措置に関しましては、法律に明定されておりますので、特に政令で補完をする必要がない、こういうことで政令には特段の明記はしてございません。
  50. 広田幸一

    広田幸一君 将来の日程でございますが、いま局長の方からお話があったんですが、この五年後に着工するという、関係各省あるいは地主、そういった人たちとの話し合いがつけば、いつでもこれはできるわけですね。もともとはそういう法律だというふうに理解しているわけですね。そこで、なぜこの話がおくれておるのかという、この理由をちょっとお伺いしたい。
  51. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) 御案内のように、法律は五月に制定されたわけでございますが、その後、防衛施設庁及び県との間におきまして地域の確定作業の準備に若干手間取りましたのと、もう一つは、この法律で国が責任を持ってこの事業を行うけれども、現場の作業の一部については県にもこの委任ができる、こういう法律になっておるわけでございまして、それらの事務の配分の問題につきまして若干県との協議に時間を要した点。なお、先生から御指摘のございましたように、率直に申し上げまして、この十九条の地域が明確化になりました後におきます土地改良を初めとする各般公共事業につきまして、国が所要の財政措置を講ずるという法律の規定につきまして、県からいろいろと御要請、御要求がございまして、これらの調整で若干の時間を要したと、こういうことでございます。
  52. 広田幸一

    広田幸一君 そこで、そういった事業を行う場合の負担の問題でございますが、国としては負担割合をどのようにお考えになっておりますか。
  53. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) いまも申し上げましたように、この明確化法の十九条は、御案内のとおり、返還地域のうち境界不明地域内の各土地の位置境界が明らかになった場合に、これらの利用を促進するために、土地区画整理法もしくは土地改良法による事業、またはこれに類する事業を現行制度の運用によって行うという趣旨だと考えておりますので、あくまで現行の制度のもとに、それらの事業の必要なものについては優先採択等極力活用を図りながらやっていく、こういうことでございますので、沖繩振興開発特別措置法に基づきますところの特例措置をそのまま適用するということでございます。
  54. 広田幸一

    広田幸一君 この特例措置施行令、沖繩振興開発特別措置法施行令第二条は一般の土地の場合のことですね。いま私が前段申し上げておりますのは、いわゆる軍用地の返還をされた土地の問題を言っているわけですから、この特別措置法施行令第二条によりますと、一般の土地事業の場合のことが書いてあるわけですね。そういうことです。  それで、これによりますと、本土よりも有利な——地元負担というか、土地を持っておる人にとってはより負担がかからない、国が見る、こういうふうな内容になっているわけですね。たとえば畑を開発する場合の開畑の国庫の負担、または補助金の割合は十分の七・五から八というふうに、本土に比べましてかなりいいわけですね。ですから、一般の場合の土地においてそうでございますから、軍用地の場合においては、これよりももっといい条件、地元負担といいますか、地主負担の面からいうと、これよりももっといい条件になるのがしかるべきだと思いますが、この点どうでございますか。
  55. 亀谷禮次

    政府委員亀谷禮次君) ただいまもお答えいたしましたように、沖繩におきます公共事業の中で、いわゆる生産基盤整備に類します土地改良事業あるいは個人の土地の区画の造成に関連しました土地区画整理事業、これらの事業につきましては、先生指摘のごとく、本土に比べまして非常に高率の補助、いわゆる地元負担が極端に軽減される措置をとっております。御指摘のとおり、土地改良事業におきましては、本土がおおむね二分の一でございますが、沖繩におきましては十分の七・五、土地区画整理事業につきましても、本土がおおむね二分の一でございますが、沖繩は十分の九、こういう高率の補助に相なっております。これは沖繩が、大臣がお答えしましたように、戦後、二十七年間本土と隔絶しまして、そういった社会資本整備がおくれておる、こういうことに着目をした特例法だと私は理解をしております。  しかしながら、いわゆる基地でございましたところがこれから返還になり、境界が明らかになった場合の事業について、先生の御指摘の御趣旨は、極力負担の軽減と申しますと、たとえば土地改良土地区画整理におきましては、あと一割の負担でございますから、全額国庫ということにも極端に言えば相なろうかと思いますが、こういったことはいろいろ論議があろうかとは思いますが、冒頭申し上げましたように、今通常国会におきまして、いろんな論議の中で、議員立法ではございましたけれども、ああいう経緯で法律が成立しましたし、十九条は、御案内のごとく、現行の土地区画整理法もしくは土地改良法に基づく事業施行する、その場合に政府として必要な財政置措を講ずるという法律の事項でございまして、あの法律からは、現在の沖繩振興開発特別措置法の法律の規定にかかわらず、他の特別の補助率を明定するという法律の趣旨にはなっておらないわけでございます。  と同時に、御案内と思いますが、これらの返還軍用地につきましては、当然、防衛施設庁におきまして、これが原状に回復するためにとらるべき必要な補償金と申しますか、いわゆる復元補償費も支払われておる。これらのものをもろもろ勘案いたしますと、特にこの返還軍用地につきまして、現在の高率の沖繩振興開発特別措置法よりさらに特別の手当てを別にするということには必ずしも相ならないのではないか。  もちろん、冒頭お答えをしましたように、この法律の趣旨に照らしまして、当然、各種事業を優先的に採択いたしますとか、あるいは他の各般制度を総合的に活用することによりまして、可能な限り地元関係団体あるいは個人の負担が軽減されるよう、開発庁としても極力今後ともその運用の面では配慮していくということでございます。
  56. 広田幸一

    広田幸一君 いま局長のおっしゃった言葉は、私はちょっと問題があると思うんですよ。これは一般の土地の場合は、いわゆる特別措置法によっていいわけです、地元負担を優遇しておるわけですね。ですから、それよりよくしなければならない。それは長い間軍用地に使用されたわけですし、かなり土地も傷んでおると思いますしね、しかも、それによって土地を持っておる人はいろいろな損害をこうむっておるわけですから、ですから沖繩の場合には本土の場合よりも一般の場合でもこれだけの優遇措置がしてあるわけですから、軍用地の場合は、何ぼするかは別として、私は地元負担をより軽減をするということは当然あってしかるべきだと思うんですけれども、いま局長のは、それは負担をより少なくするという必要はない、同等であると、こういうようにおっしゃったんですが、その点はちょっと私も理解できませんから、時間がありませんから、長官に。
  57. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) 軍用地は、借り上げられているときには、その賃借料をもちろん払っておりますし、また返されたときには復元補償費というものも払われておるわけでございます。しかし、この第十九条が一番地元と問題になったことは確かなんです。  それで、われわれといたしましては、先ほど来申し上げましたように、区画整理については十分の九、そして土地改良については三分の二というふうな特例措置があります。ありますが、なおかつ、その住民負担を軽減するように、あらゆる現行法を動員して負担をなくするように努めますということを地元の方には申し上げている次第でございます。これはもう防衛庁も一緒になりまして、このことは約束をいたしておる次第でございます。
  58. 広田幸一

    広田幸一君 時間がございませんから、私もこの法律が国会を通ったときの議事録も読んでおりませんからよくわかりませんが、まとめとして申し上げるならば、この返還地の原状回復ということは、この法律の二十三条のこれを見れば、もう国がその土地を所有者に原状を回復すると、こういうことがうたってあるわけですね。ですから、私は、この法律の精神から言いますと、全額国が負担すべきである、こういうふうに理解しておるわけでございます。  で、長官は、できるだけそういう方向でこれから防衛庁等とも協力してやっていくと、こういうことでございますから、私の認識としましては、この法律が通ってきたいろんな経過、あるいはできた法律の精神からしまして、全額国が負担すべきである、そういう立場で、長官も、これから予算要求の場合は当たっていただきたい、こういうふうに締めくくって終わりたいと思いますが、長官の方から、再度、それを確認するような御答弁がいただければ、まことに幸いでございます。
  59. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) 私は、全額負担とは申していないんです。いまのような特例措置の上に、防衛庁とももうすでに相談をいたしました。そして基地周辺整備法というものも防衛庁は持っておるわけでございますから、それらにも予算を盛っておるわけですから、そういうあらゆる現行法を政府は動員して地元の負担をほとんどなくしていこう、こういう考え方のもとにやっておるということを申し上げましたので、全額を政府が負担するということは申しておりません。
  60. 岡田広

    委員長岡田広君) 以上で広田幸一君の質疑は終了いたしました。次に稲嶺君。
  61. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 私は、沖繩のいま当面いたしておりまする諸問題、つまり農業基盤の問題、それから農業における病害虫の問題、ホテル問題、それから海洋博跡の利用の問題、それから交通区分の問題について質問をいたしたいと存じます。  ただ、私に与えられている時間が三十分でございまして余りありませんので、ぜひ政府の御答弁は簡単にお願いいたしたいと存じます。  実は、去る十月二十八日に、サトウキビの値段が確定いたしました。これは一万八千三百七十円でございますが、奨励費を入れますと一万八千九百七十円というふうになっております。現在の砂糖の国際相場の問題等いろいろ勘案をいたしますと、やむを得ざるところの値段だと思うのでございまするが、しかし、去年度生産費が一万九千三十円ということになっておりまして、今度の値段に対しての批判も相当新聞等においては見受ける次第でございます。それで今度さらに決めましたことは、来年度からパリティ方式でいこうというふうに決定をいたしました。そういたしますと、今後、農家の収入を引き上げたり、あるいはまた安定させるためには、どうしても基盤整備重点を置かなきゃならないという事情があるんじゃないかと思っております。  実は、私どもが最初に国会議員になって参りましたときに、どうしても構造改善事業が大事だというんで、まず最初にひとつどこでやろうかというので、宮古の上野村で、あの当時ドルでございましたが、三十万ドルをかけてやったわけなんです。そうしましたところが、去年度の報告によりますと、一般の平均の反収が六トンでございますが、宮古の上野村におきましては十四トンになっておりまして、二倍以上になっております。それから、御存じと思いますが、久米島の方におきましても構造改善事業をやりまして、その結果、一番多いのが約二十トンだというところまできております。これから見ますと、沖繩における構造改善事業がいかに農家にプラスになっておるかということは私自明の理だと思っております。  そういう点から考えまして、政府が、過去五年間、この構造改善事業基盤整備の方にずいぶん力を入れていただいたと思いますが、この五年間の成果はどういうふうになっておりますか、ひとつお知らせを願います。
  62. 岡部三郎

    説明員(岡部三郎君) 沖繩県における農業基盤整備事業につきましては、土地改良長期計画に沿って積極的に現在推進をいたしておるわけでございます。  復帰後、四十七年から四十九年までの間におきましては、沖繩事業の仕組みが本土の仕組みと必ずしも直ちになじまない、あるいは実施体制が十分整わなかったというふうなこともありまして、なかなか伸びなかったわけでございますが、五十年以降、非常に急激に伸びてまいっておりまして、たとえば五十年度は対前年比にいたしまして一四五・四、五十一年度は一五四・八、五十二年度は一五二・五というふうな急激な予算伸びを見ました。現在、長期計画で決めております千七百億、これは内訳として、算出基礎として出ているものでございますが、これの二三・五%を五十二年までに消化をいたしておるわけでございます。
  63. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 私が調査したところによりますと、大体、過去五年間で土地改良事業基盤整備が大体二三・五%に達成率がなっている。振興開発計画の十ヵ年計画から考えますと、大体十ヵ年の間に本土並みに格差を是正するということが趣旨でございまして、その点から見ると、この達成率が低いように思われるわけです。あと五年しか残っておりませんが、五年ではなかなか実行不可能じゃないかという感じがいたすのでございますが、これについてはいかがお考えですか。
  64. 岡部三郎

    説明員(岡部三郎君) 先生も御指摘のとおりに、五年間に二三・五%でございまして、この間に本土におきます基盤整備の達成率は三三・五%、一〇%の差があるわけでございます。この理由につきましては、先ほど御説明しましたように、初めなかなか実施体制が整わなかったということが主たる原因であると思います。したがいまして五十二年におきましては、すでに単年度としては長期計画に定めております全国のシェアを上回る予算の消化を見ておりますので、五十二年度以降、全体の基盤整備予算を上回る伸び率予算を獲得することによりまして、十分に長期計画事業費をこなすことは可能であるというふうに考えております。
  65. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 ただいまの御報告によりますと、五十二年度においては相当の伸び率である、いまのような情勢でいけば大体規模は達成できるんじゃないかというお話でございますが、私が見るところ、沖繩の場合は、大体所有面積は五反歩以下でございまして、その上になかなか土地がかたいという悪い面もございまして、また五反ぐらいしかないもんだから、土地改良事業をやっている問、土地は全然収穫がない。そのため政府の政策に従ってやればいいということはわかっていても、なかなか踏み切りにくいという面も出てくるんじゃないかというふうに思われます。  そういうことをよく聞くわけでございますが、その点については、私といたしましては、政府におかれても沖繩の場合は特別の配慮をする必要があるんじゃないか、この点についてお考えをお伺いいたしたいと存じます。
  66. 岡部三郎

    説明員(岡部三郎君) 先生案内のとおり、農業基盤整備事業は申請事業でございますので、農家からの申請がないと事業が実施できないという仕組みになっておることは御案内のとおりでございますが、ことし五十二年度の執行状況を見ましても一五〇%というような非常に急激な伸びではございますけれども、現在のところ、ほとんど繰り越しもなく執行できる見通しでございます。来年以降も、十分実施体制は整っておるんではないかというふうに考えております。  さらに、地元負担の点につきましては、沖繩につきましては、本土とは補助率その他も大幅に違っておりまして、地元負担につきましては極力少なくするような処置があらゆる面でとられております。これも増加所得との比較におきましても十分負担可能ではないかというふうに考えております。
  67. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 ただいまの御答弁を了解したわけでございますが、十分に沖繩現状を把握されまして、なお格段の御尽力あらんことを希望する次第でございます。  なお、次に、農業用水の問題でございますが、この水の問題につきましては、長官からも先ほどお話がありました。また、福田総理におかれても、沖繩の水の問題の解決には格段の御尽力をされるというお話を伺っているのでございますが、何分にもいま飲用水の方でも大分欠乏しているという状態でございまして、その点から考えますと、いまのような開発のスピードにおいては農業に回るところの水がどうも危なくなってくるんじゃないかというふうに考えます。  それで、この点については、ただいま八重山においては政府が約三百億円以上の金をかけましてやっておられるし、あるいは宮古の問題も考えておられる、あるいはまた羽地の大川ですか、向こうについても考えている、いろいろとあるのでございますが、ただ、沖繩の場合は、非常に雨量は多い、ところが、たまる水は少ないというのでございますので、この降る雨を流さないようにしてこれを利用するという方法をひとつ独特に考えていただきたい。たとえば私ども沖繩をずっと旅行してみますと、ずいぶん海の方に水が流れておりまして、これを集水することによって非常に大きな水になるかというふうに考えられます。地下水もございますので、どうか、従来のダムをつくったらいいんだということでなしに、沖繩の場合においては別の方法において考える。たとえば塩屋湾なんかの場合におきましても、あれを淡水化するという思い切った措置考えてもいいんじゃないか。だから、政府におかれても抜本的にひとつ考えていただきたい、水の問題については。ひとつ頼みます。
  68. 岡部三郎

    説明員(岡部三郎君) 農業用水の問題でございますが、御指摘のとおり、沖繩は小さな島が多く集まっておりまして、主要な水源である河川が比較的少ない。また河川があってもその流域が少なく、渇水時には枯渇をする。それからまた、御指摘のとおり、ダムをつくりたくても、適切なダムサイトが少ないというふうなこともございまして、小規模なため池をつくる、あるいは地下水を利用する。特に宮古等におきましては、御指摘のように地下にダムをつくりまして、地下水がそのまま海に流れ出すのを貯留をいたしまして、これをくみ上げて利用するというふうな調査もいろいろやっております。また淡水湖の開発等、あらゆる水源を開発しまして農業用水に利用すべくきめの細かい検討を現在いたしておるところでございます。  復帰直後の四十七年度から、水資源開発の基礎資料を得るために、河川流量の観測を二十七河川について行うとともに、ただいま申しましたような地下ダムを初めとする地下水開発あるいは淡水湖開発等の必要な調査を行いまして、事業化の見通しを得たものから逐次着工いたしておる次第でございまして、御指摘のように、五十年度からは石垣島の宮良川の国営事業を始めております。また、同じ石垣島の名蔵川、あるいは宮古西部、あるいは本島北部の羽地大川といったようなところにつきましても、直轄調査をいたしておる次第でございます。
  69. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 水の問題については、沖繩は非常に水が実際においては多いんだが、なかなか取水がむずかしいということでございますので、いまお伺いいたしまして、政府としても、いろんな面から考え措置を講じておられるということを聞きまして大変喜んでおります。この上とも、ひとつ万遺憾のないような政策の実施に当たられんことを希望する次第でございます。  なお、病害虫の問題についてお尋ねいたしますが、私ども熱帯におきましては、病害虫問題は非常に大きな問題になる。沖繩の場合は、ウリをつくっても、なかなか薫蒸しなけりゃ本土に持ってこられない。戦前においては、すぐそのまま持ってこられたのでございますが、現在は、そういう関係で、ミカンをつくっても、やっぱり薫蒸をしなければここに持ってこられないということがございますが、しかし、八重山の熱帯研究所において研究をされた結果、独特の手法を研究されまして、これを久米島の方で実験したところが完全に成功した、この報告を聞きまして、私どもとしては、沖繩のために非常に明るいニュースだというふうに考えております。  それで、久米島のような小さいところはいいんですが、沖繩全体となりますと、なかなか容易じゃない。沖繩の方としては、沖繩農業生産を盛んにするためにはどうしてもこの病害虫問題の解決をなるべく早くやらなきゃならない。政府としては、何ヵ年計画沖繩の病害虫を駆除しようとしておるか、ひとつ具体的にお話をお伺いしたいと思います。
  70. 本宮義一

    説明員(本宮義一君) 沖繩群島に、先生が御指摘になられましたような、農作物に重大な被害を与えますミカンコミバエとかウリミバエ、またマリモドキゾウムシとかアフリカマイマイといったような害虫が生息しております。しかも、これらの害虫は本土では発生していないということで、植物防疫法によりまして、これらの害虫が寄生いたします植物の移動を規制しているのでございます。こういう措置をとりますことは、一つには、沖繩群島におきます農業振興上の大きな支障にもなるということ、並びに、これらの害虫を放任しておりますとこれが未発生地域に蔓延、拡大してくるというような危険もございますので、現在、特別防除対策を講じておるのでございます。  そこで、いまお述べになられました害虫の中のウリミバエという害虫でございますが、これは昔から沖繩の南の地域のごく一部に生息しておりましたけれども、これが近年ずうっと分布地域を北上させてまいりまして、現在、奄美にまで広がってまいってきておるわけでございます。そこで、この虫を何とか抑え切ってしまいたいということで、沖繩の県の試験場の大変な御努力によりまして、いま、久米島という沖繩本島から西の方に百五十キロぐらい離れた小さい島がございますけれども、そこに、石垣島で大量増殖いたしまして本島の県試験場でこれ不妊化処理——コバルト60を照射いたしますと、照射されたこのウリミバエは雄の精細胞が破壊されると申しますか、交尾はするし受精はするのでありまするけれども、これが完全ないわゆる受精をしない、早く言えば子供が産まれないといったような不妊化処理をいたしまして、これを久米島で放したということでございます。それでこれは五十年の二月から開始いたしまして、大量増殖の技術がなかなかむずかしいことでございますので、これは二ヵ年半ほどのいろいろな試行錯誤を重ねながら、現在のところでは、週四百万頭の大量飼育をやりまして、これを久米島で放すというような形で、現在、久米島におきますいわゆる健全なウリミバエの発生というものを根絶したと言い得る段階まで持ってまいりました。  そこで、こういうような方式をほかの地域にも拡大してまいるわけでございますが、ことしの八月いっぱいまで久米島でこの事業を実施いたしましてすでにここで撲滅したと目される段階になりましたので、今後、再度侵入することのないような措置を十分県、地元にとっていただくということで、新たな不妊中の放飼を久米島と、沖繩本島の間に点在しております慶良間諸島並びに粟国、それから伊江島の地域にこの不妊虫を放飼しようという計画に現在進めてまいってきております。そういうことで、今後、この事業拡大して実施するわけでございますけれども、問題は、非常に地域が大きい場合、現在、四百万頭の人工大量飼育は技術的に可能になったんでございますけれども、これを大量に飼うことによりまして、虫のいわゆる野性化が衰えると申しますか、非常に力がなくなるといったような問題等もございまして、大量飼育には新たな技術的な検討が必要であるということで、これも農林省も今年度からそういったような試験に取り組みまして、県と一緒になってそういうような大量飼育の技術を開発していくということにいま取り組んでまいったのでございます。  そういうことで、現段階においては、久米島から慶良間諸島にこの不妊化対策拡大してまいりまして、一方においては、いま申し上げました試験研究の成果を踏まえながら、これをほかの地域にこういう不妊化対策、放飼対策事業を進めてまいりたいということで、何年目標かという御質問でございますけれども、いま現在取り組んでおります試験研究の成果を見ながら、その成果を活用することによってできるだけ早い機会にこのウリミバエの撲滅を図ってまいるというような計画をしているという段階でございます。
  71. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 私は、この病害虫の駆除の問題については、政府施策を一番高く評価しているものでございますが、さらにこれの予算ももっとふやされて、ただいま四百万という話をされたんですが、これをさらに何千万、何億というところまで広げて、できるだけ早く沖繩の害虫の駆除に当たられるよう希望いたします。  それから、あとこれに関連してでございますが、この前、私、インドネシアへ行ったんですが、そのとき、向こうでもなかなか病害虫の問題は深刻な問題だと。だから八重山の熱帯農業試験場を活用することによって東南アジアの方にも恩恵を与えるというぐらいのひとつ気魄を持って、わが農林省が当たられんことを希望いたします。  次に、宿泊施設の問題に移りますが、この問題につきましては、政府においてはすでに御承知でございまして、いろんな施策を、時間がないから私も余り詳しくは申し上げませんが、金融措置の問題、それからいま向こうの宿泊施設というものがわれわれから考えて必要以上に膨大なものになっている。私は海洋博の初期から関係いたしたのでございますが、そのときに政府並びに海洋博関係の皆さんが言われるのには、どうも宿泊施設が足りない、もっとたくさんつくれつくれということで金融機関の方も奨励をいたしまして現在のような非常な、実際われわれから考えると余りに多過ぎる宿泊施設ということが感じられますので、これについては政府も十分な責任を持ってこれに当たるべきじゃないか。金融機関におかれましてもいまのような情勢ではなかなか元金やら利子も払えないという状態でございますので、これについてもひとつ措置を願うとともに、さらにまた宿泊施設が非常に多いのでございますので、これにつきましても、ホテルとして将来成り立っていくものはホテルにする、他の施設の方はいまでも病院等に変わっているのもございますが、政府がこれに力を与えられまして一緒になってこの問題の解決にひとつ当たっていただくように希望する次第でございます。これについての総務長官の御意見を承りたいと存じます。
  72. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) 稲嶺先生がおっしゃいましたように、確かにいま過剰になっております。また、おっしゃいましたように、地元の金融機関等と緊密な連絡をとりまして、返済期間の猶予とか、運転資金の融資とかいろいろやっておる次第でございますし、また、過剰と目されるものにつきましてはその転用を図っておることもこれは事実でございまして、ただ、そういうふうな防御、維持といいますか、そういう面とともに、もっと積極的に産業としての観光、第三次産業、これをやはりやっていくことが積極面であると思うんです。  御承知と思いますが、五十年に百五十五万という観光客が来たわけです。五十一年はそれが八十三万に減りましたが、本年の見込みは百十五万というふうに、約八割弱ではありますが、回復をしつつあります。これを百五十万、百六十万の観光客を持ってくるならば、いまの宿泊設備は過剰とは言えないのであります。このように百五十万、百六十万の観光客を持ってくるようにひとつ大いに努力しなきゃならぬ。地元の観光協会とも積極的に連絡をとり合い、県ともとり合って、われわれ開発庁としてもそれをやっていくつもりであります。  それとともに、現在の百十五万のうちのほとんどが大ホテルに吸収されていっている、それで中小のホテルにお客が行かないというふうな現実がございますから、これらもどうやって直していくか。中小の業者のホテルの方々が、中小のその特性を生かしたアットホームなもてなしをするとか、中小であるがゆえにできる、大ホテルではできない待遇をするとか、そういうこともひとつ自己努力をぜひともお願いをいたしたい、かように思ってその方面の指導も進めておるような次第でございますが、いま言った維持、防御という面とあわせて積極的な、この過剰設備といいますか、これの利用、観光客の増大、これを大いに考えたい、かように思っております。
  73. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 長官が沖繩の現在のホテルの状況について十分に把握しておられることを御答弁の方からおうかがいいたしました。  私ども、いままで非常にたくさんの観光客が来ておった、ところが、これは大口の方に吸収されて、中小の方から私どもの方に非常に不平がきている。これについても長官が十分に御認識しておられることを知りまして、この点、これから長官の方針に従っていけば大丈夫じゃないかというふうに考えるわけでございますが、現実においても、いま一日の新聞によりますとホテルサンが五十九億の負債を抱えて倒産をしたという事実もあります。今後、こういう事態が起こらないように、ひとつ開発庁においても十分な対策を立ててもらいたい。また、公庫においても、その点十分な対策を立ててもらうようにひとつ希望いたす次第でございます。  それから、海洋博の跡利用の問題でございますが、この点につきましては、私ども海洋博を開催する前に県並びに政府の方とも話をしたのでございますが、ひとつ国際交流の場にしょうじゃないかということで話をしました。その点については開発庁の皆さんともずいぶん意見を交換したのでございますが、その点について意見の一致を見たのでございます。ところが、余りこの点についてはその後進んでいないように考えます。  それで、私は、この前、インドネシアに参ります前に、この点について総理ともお話をし、それからインドネシアにおいても首脳部の方と話をいたしまして、また、そのときに総務長官にもお会いをいたしまして私の意見を申し述べておいたのでございますが、ASEANの留学生が日本に来る、その前に一年ぐらい沖繩でひとつオリエンテーションをやったらどうか。これについて私はASEAN側の識者の意見を聞いたのでございますが、沖繩というのは自分らとしてはまことに身近に感じる、だから沖繩にそういう施設ができれば、われわれはこれに喜んで賛意を表する、こういうことでございましたので、いままで長官にもこの前お話し申し上げたのでございますが、これが実現のためにひとつ格段の御尽力をお願いいたしたいと存じます。長官の御答弁をお願いします。
  74. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) 確かに稲嶺先生からそのお話を伺いまして、そしてまた稲嶺先生はそのためにインドネシアその他の国々に行かれたことも存じ上げております。おっしゃるとおりに、国際交流の場にするのにはまことにふさわしいところだと思います。  県の方にも、また県の経済界の方にも跡地利用のための委員会というふうなものもございますし、私たちの一存ではもちろんまいらないわけでございますから、その県の関係者の方々と御相談の上で稲嶺構想を進めていきたい、かようには考えております。いま特段にすぐ予算を取ってということをいたしておりませんけれども現地とよく相談の上で順次それは進めてまいりたい、かように考えております。
  75. 稲嶺一郎

    ○稲嶺一郎君 この問題についての長官の前向きの御答弁を得まして、大変うれしく存じます。  次に、交通区分の問題でございますが、実は、私ども復帰特別措置法をわれわれが策定をするときにずいぶん時間をかけてやった。ところが、そのときにどうももっと問題がありそうだというんで県の方にもいろいろ話をいたしました。やったところが、それで大蔵省とも話をして二ヵ月延ばした、それでもなお積み残しが後になるとあった。この積み残し問題というものはやっぱり政府においても十分によく御研究を願いまして、この交通区分の問題については積み残しのないようにお願いいたしたい。  ということは、いまこれらについての沖繩県民の大体の考え方といたしましては、これは沖繩県民が好んでこの問題をやったんじゃない。これは政府のお考えによってこの交通区分は変更するんだ。われわれはいまのままでも結構だという考え方をいまでも持っておる人がいる。だから、その意味におきまして、ぜひこの問題については、政府においても、積み残しのないように十分の御配慮を賜るようにひとつ希望いたしまして、私の時間が若干過ぎたのでございますが、これで終わります。
  76. 岡田広

    委員長岡田広君) 稲嶺一郎君の質疑は終了いたしました。相沢君。
  77. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 最初に、外務省にお尋ねをしたいと思いますが、十月三十一日の新聞報道によりますと、福田首相がようやく日中平和友好条約の締結に向けて決断を下したことによって、外務省は、対ソ外交方針を従来と切りかえて、対ソ外交をあくまで日中関係とは切り離して進める。このために日ソ間が一時冷却し、ソ連側の対日姿勢が硬化したとしても、それにとらわれないで日中条約は促進するんだ、こういう腹を固めたんだと、こういうことです。日中後の対ソ外交、特に北方領土問題の解決を含む日ソ平和条約の締結に対する取り組みの展望をひとつ御説明いただきたい。
  78. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 中国及びソ連は日本にとって非常に大切な隣国でございまして、おのおのとの関係をできる限り良好に発展させるということがわが外交の重要な使命であることは改めて申すまでもございません。ただいま先生指摘の日中条約につきましては、これはあくまで日中問の平和友好関係を増進するためのものであり、第三国とは関係がないという立場を私どもは維持しておりますし、この点はかねてからソ連に繰り返し説明してあるところでございます。  日中関係の増進と並んで、日ソ関係をどう進めていくか、大局的なビジョンはいかがかという御質問でございますけれども、私どもとしては、日ソ関係の一番大きなわだかまり、一番大きな懸案というのはやはり北方領土の問題である、したがってこの問題を解決して四島の一括返還を実現することによって初めて日ソ関係は安定的な基礎に置かれる、こういう基本原則を今後ともあくまで粘り強く貫き通していきたいと考えております。そのための具体的な方法といたしましては、外相の定期協議、こういう機会を活用することがまず第一でございますが、同時に、各界各層のレベルにおける人事交流を促進して相互理解を少しずつでも増進させていくこと、これが唯一の方法であると考えております。
  79. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 これまで、ともすると、日本政府としては領土問題を前面に押し出し過ぎると、ソ連との漁業や経済問題の話し合いにはね返ることが心配だと、その余りにどうしても消極的にならざるを得なかったと、こういうことなんですが、ここで一気に北方領土返還に対する強い姿勢を打ち出してきた背景になっていることは、一体、どういうことがあったのか、その辺の事情について御説明をいただきたいことと、それから今回のこの姿勢は、ちょっとでもまたソ連から強いはね返りがあると、崩れてしまうというようなことがあるのかないのか、本当に不退転の決意でこの対ソ方針というものを外務省としては固めて、政府首脳とも決意を固めて臨んでいるのか、その辺のところはいかがですか。
  80. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 最近のソ連の対日姿勢の強硬化と申しますか、それについての背景という御質問でございますが、これはなかなかむずかしいことであろうかと思っております。昨年には、御記憶のとおり、ミグ事件等不幸な事件がございましたし、その後を受けまして二百海里新時代への対応ということで漁業交渉が行われ、かつ、その際、領土問題が好むと好まざるとにかかわらず若干討議の対象になったことは事実でございます。恐らくこういう一連の事件が背景にあって、ソ連の現在の態度というのが浮かび上がったのではないかと考えております。  このようなソ連の態度にもかかわらず、日本政府といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、あくまでも北方四島一括返還というものを実現して、それをもって日ソ関係の安定的な基礎づくりにしたい、これが政府全体を通じての不退転の決意であると、かようにお答えしたいと思います。
  81. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 確認をしておきたいことがあるんですが、三十一日の新聞報道では、園田長官が北方領土返還要求国民大会の代表の方たちに対して、福田首相と鳩山外務大臣が根室市に現地視察をするように検討をしているということを明らかにされておるということなんですが、これは外務省の事務レベルでかなり煮詰めて相談もあり、そういうまた現実日程等も検討した上で園田長官がおっしゃったものなんですか、その辺どうなんですか。
  82. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 総理及び外務大臣が北方領土の現地を視察されて直接住民の声を聞かれるということは、きわめて有意義かつ重要なことと私ども考えております。しかし、現実に、総理及び外相の北方領土返還の具体的計画というのはまだ私どもとしては固めておりません。ただいま先生指摘の園田官房長官の御発言につきましても、特に具体的な措置をとっておりません。
  83. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 そうすると、あらかじめ予測はしてなかったということなんですか、この発言は。
  84. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 昨年の九月、当時の宮澤外務大臣がわが国の外務大臣としては初めて北方領土を現実に視察されました。このときの経験もございますし、その他政府要人の方々の相次ぐ御訪問ということももちろん私ども承知しておりますので、そういう事態が起こるという可能性は当然予測はしておりました。ただ、具体的にいつどういう形でどなたが視察をされるかということについては、私ども、事務当局としてはまだ明確な指令をいただいておりません。
  85. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 そうしますと、このニュースを見て、地元人たちも北方領土返還要求国民大会の代表の方たちがわざわざ陳情に見えたんだから、その陳情者の人に対するサービス精神を発揮して発言をされたものやら、あるいは何かの思惑があって単なる政治的発言でされたものなのか、あるいはこういう発言をすることによってソ連の今後の出方を見るためにアドバルーンを上げるということで発言をされたのか、いろいろと取りざたしているわけなんですね。  ここに園田長官をお呼びしてないんであれなんですけれども、外務省の事務レベルとしては、あれですか、北方領土返還のための国民世論を起こすために一日も早く総理が根室の現地へ行って、そこで決意を披瀝する、あるいは住民の生の声を聞く、それを足がかりとして大きく全国的なまた国民世論の盛り上げにすることが好ましい、このような判断に立たれるか、それとも慎重に構えた方がいい、こういうような部内の意見なのか、その辺はどうなっていますか。
  86. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 北方領土が歴史的にも法的にもわが国固有の領土であるという主張は、私も先ほどから申し上げておるとおり、不退転の決意であると同時に、変更しがたい立場でございます。国の政治指導者が自国の領土を見ることについて他国からとやかく言われるいわれはないというのが私どもの立場でございます。同時に、北方四島の返還という問題は、単なる外務事務当局だけの問題ではなくて、やはり国民挙げての世論の支持、御理解というものが背景に立たない限り前進が不可能であることも、これまた自明の理でございます。  このような観点から、私ども事務当局としては、総理、外相あるいは他の関係閣僚、政府首脳が現地を視察されることを強く希望する次第でございます。
  87. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 宮澤外務大臣の訪ソ、地元側の総理、それから現職の外務大臣の現地視察ということは非常に前から強く望んでいたわけでして、私も予算委員会あるいはこの沖繩・北方問題特別委員会で何回となくこのことは強く要請をしてまいりました。それで宮澤外務大臣がついに現職大臣としては初めて行かれたわけですが、その後、間もなく内閣改造があっておやめになった。ですから、せっかく来られたんだけれども、外務大臣が何だかおやめになる前にちょっと見に来ただけで終わったみたいな感じで、地元としてはその後意気が上がっていない。そういうことですから、戦後沖繩復帰が行われましたけれども、まだ北方の四島が返ってきてない。この北方の四島が返らない問は戦後は終わってない、私たちはそういう認識で北方領土返還の活動を進めているわけですけれども、ぜひ不退転の決意で全国民の熱意と、それからまた国際世論に訴えて、この北方領土返還をぜひとも実現をさせたいと思っているわけです。  それで、いま外務省の事務当局としては、一日も早くこれが実現されることが望ましい、また希望すると、こういうお話ですが、総理それから外相の視察、この時期とすれば、来年一月に予測をされている鳩山外相とグロムイコソ連外相の日ソ外相定期協議会の前ぐらいではないのか、こういう予測もあるんですが、この点についてはどんな見通しを持っていますか。
  88. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 先般、九月に国連の場におきまして鳩山大臣とグロムイコ外務大臣とが会いましたときに、懸案になっております鳩山外務大臣の訪ソの時期についても話し合われました。その際、グロムイコ外相は来年のできるだけ早い時期ということを言っております。これを受けまして、目下、事務当局としてはソ連側と具体的な日取りを決めるべく折衝を開始したところでございます。したがって鳩山外相の訪ソの時期がまだ未確定でございますので、それに関連する一連の外交日程等についての日取りはいまだ決定しておりません。
  89. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 今回のわが国のとる外交の姿勢、これによってソ連側の態度硬化、その中には一つには日ソ外相定期協議会の再度延期ということも考えられるのですが、もし総理、外相が根室へ視察をするということを決心した場合に、そしてまたこの日ソ外相の定期協議会というものが不幸にして延期をされるような情勢の場合、延期に伴ってその前あたりに視察を延ばす方が有利と考えるのか、それとも、それはそれとして一たん対ソ外交交渉というものに対する腹を固めて踏み切った以上、一日も早くやはり現地へ行って日本政府の北方領土返還に対する強い意思というものを表示する方がいいと考えるのか、その辺は外務省の事務当局としてはどういうふうな御判断をしますか。
  90. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 定期協議の日取りの点につきましては、お互いに相手があることでございまして、相手の都合と合わせた上で決めなければならない問題であろうかと思っております。北方領土視察と関連づけてあえて考えるといたしますと、その前がいいか後がいいかという御質問でございますけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、私ども考え方は、自国の領土を視察するのに他国の顔色を見る必要はないのではないか、そういうことを一々気にして行動するいわれはないのではないか。もちろん外交には非常に慎重な態度が必要でございます。何か事を決めるに当たってどのような反応が関係国から起こるかということは事前に細大漏らさず検討を進めなければならないことは申すまでもございません。しかし、最終的には、先ほど申し上げたとおり、北方領土は固有の領土であるという立場で、わが国独自の判断で決めるべきものと考えております。以上でございます。
  91. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 大体、言おうとされておることはわかりますので、ぜひ外務省当局としての一本筋の入った年来の主張といいますか、決意というものはもう強くやはり上層部に進言をしていただきたい。本当ならば、昨年ですね、いまの福田総理が総理就任して初めての年ぐらいに、現地へ赴いて、戦後三十年を振り返って今後日本政府の北方領土返還に対する決意表明を現地でやっていただきたいというのが、特に北方四島返還に対して熱意を持って運動している私たち北海道の住民のひとしく願っていた決意でございます。どうかそういったことで外務省当局としてもその意思を強く反映をさせていただきたいと思います。  それから、今後考えられることとして、ソ連が北方領土問題を避けるために日ソ善隣協力条約の締結を前面に持ち出してきた場合に、対ソ外交はどのように対応していくように考えているか。
  92. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 隣国であるソ連との間に友好なる善隣関係を結びたい、それを発展させていきたいということがわが国の外交の方針であることは先ほど申し上げたとおりでございます。しかしながら、ソ連側が提唱しているいわゆる善隣協力条約なるものは、恐らく領土問題というのをたな上げにして、それ以外の面で両国間の協力関係を固めようと、こういう意図に出ているものではないかと考えております。わが国といたしましては、何はさておいても、まず日ソ間の年来のわだかまりであり、かつ最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約を締結するということがまず第一の先決条件である、これなくしては善隣友好その他の問題には討議に応じられないという態度でございまして、この趣旨はすでに繰り返しソ連側に説明してございます。現段階におきましても、外務省といたしましては、北方領土問題ないし平和条約というものをたな上げにして、善隣協力条約に進むというような意図は毛頭持ち合わせておりません。
  93. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 ぜひ、みじんも従来の方針を覆すことのないように、強い態度で臨んでいただきたいと思います。  次に、総務長官にお尋ねをしたいと思いますが、ことしの六月、七月にかけて現閣僚の中では藤田総務長官、それから小川北海道開発庁長官が相次いで現地へ視察に行かれたわけですが、特に藤田長官は、この根室に行った際、北方領土返還運動を支えるために返還運動の経費が非常に地元としてかかっている、その経費の補助の問題、それから地元経済振興策というものに対して十分講じていくという意向を明らかにされたんでございますが、その内容や規模について、その後もう三ヵ月たったわけなんですが、現況はどのように詰めがなされているのか、具体的にひとつお示しをいただきたい。
  94. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) 私が参りましたのは七月の二十一日、二十二日だったと思うんです。そのときに現地に参りまして地元方々にたくさんお目にかかりまして、いろいろとお話を伺いました。  その中で根室支庁管内の経済的地盤沈下、特に二百海里が発動されてから非常に困るし、将来ともまことに不安である、こういうふうなお話を伺いました。他面、考えてみますと、この返還運動の実現がそう一年、二年でできるものではない、これは相当長期間腰を据えてやるべき問題である、決しておりるべき問題ではない、日本としては正当な主張でございますから、決してこれはおりるべき問題ではないけれども、相当な年月がかかることも確かである。これを両者一緒にして考えますと、この運動の原点である根室、そしてまたその支庁管内の経済的地盤沈下、これはこの運動の原点であるところを弱めるおそれがある、かような理解をいたしまして、私は、経済的な振興、これを大いに図ろうではないかという約束をした次第でございます。  いろいろ問題ございましたが、第一に貝殻島にかわるべきコンブ漁場をつくってほしい。それから花咲港を重要港湾にしてほしい、こういうふうな具体的問題がございました。これらの二つの問題もひっ提げまして帰りまして、総理に早速報告をいたしました。私の立場としては総理にまず報告すべき立場でございます。総理は、早速、運輸大臣と農林大臣にそれを私の方から話すようにという指示がございましたので、運輸大臣と農林大臣にその話を申し上げて、コンブ漁場の方につきましては、この補正予算ですでに農林省の方が着手をいたすということになっております。それから花咲港の重要港湾指定も運輸省の方は前向きに検討いたされまして、来年度は指定になろうかと思います。まだこれは決定いたしておりませんからはっきり申し上げられませんけれども、なろうかと思います。  それから、もう一点は、根室市の財政が非常にこの戦後何十年間の返還運動によっていろいろと費用も使われ、また窮迫もされておる、かようなことも伺いましたので、直接に総理府の方からこれをお助けするわけにはまいりませんが、根室市が発行されますところのいろいろなパンフレットとか刊行物とか、そういうものはわれわれの方でひとつお助けいたしましょう、こういうことで何らか根室市の財政の支えもしていかなきゃならぬ、この返還運動のために減じていった財政をわれわれとしては補助していかなきゃならぬ、こういう考えで、来年度予算にもすでに組んでおるところでございます。
  95. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 花咲港の重要港湾指定は来年になってみないとはっきりしないわけですが、貝殻島の人工島の造成、これは若干着手を、研究段階に入っているというんですね。  長官も行って地元人たちからいろいろと話を聞いて十分御理解をされていると思うのですけれども、確かに戦後三十年間の地元人たちの苦労というのは筆や口に言いあらわせない大変な苦労があったと思うのですね。だんだん島からの引き揚げ者、老齢の方はお亡くなりになる方もいるし、分散をしていくし、そういったことで、特にあの四島にかかわりのない新しい漁業者もいるし、そういった人たちにすれば、何も四島一括返還でなくてもいいじゃないかと、これ以上われわれが犠牲になって政府の四島一括返還に協力する必要も限界が来たというようなことで、一時は二島分離返還論まで地元でも起きてきていたことも事実であります。  そういうわけで、住民が今後団結して日本古来の領土である父祖伝来築いた四島の一括返還の政府方針を支えるためには、それなりのやはり将来に対する希望、あるいは現実に厳しい生活を生き抜くための手だてというものが政府方針のもとにはっきりと証拠づけられなければ、やはり決心というものは鈍ってしまう、脱落者も出てくる。せっかくこれから国民世論をさらに強大に巻き起こしてというような外務省の方針を固めてやろうというときに、地元が脱落するんじゃどうにもなりませんので、そういった点で、特に財政援助として自治省等に対する特別交付税の別枠の設定、こういったものもぜひとも恒久措置としてきちっとした確約というものをいただきたいわけです。それができませんと、長官が地元で発言をされた、返らざりし四島によって失われた利益を回復する策こそが地元に起きている二島分離返還論を防ぐ有効な方法だと強調されたことも、結局は水のあわになってしまうということなので、お帰りになってから早速総理に報告し、また関係の運輸大臣等にも折衝されたようでありますけれども、どうかこれが実現するまで、また大臣からも強力に推進、協力をしていただくように、再度、ここで決意と努力の表明をいただきたいと思います。
  96. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) 相沢委員がおっしゃいますように、運動の原点でございますから、どうしてもこの経済的な地盤沈下は防がなければならぬと思います。腰を据えてこの返還運動は行わねばならぬ、長期間かかるものであるという覚悟をいたしておりますので、おっしゃるとおりに、今後とも地元経済振興については特別に留意していきたい、かように思います。
  97. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 小川開発庁長官は、六月の参院選直前という際どい時期だったんですが、現地へ行かれまして、海の畑づくりということで大パイロット事業を推進するということをお約束をされてきたようなんですが、その後、帰ってから、開発庁部内においての調整、それはどのようになっていますか、具体的にどこまで作業が進んでいますか。
  98. 吉岡孝行

    政府委員(吉岡孝行君) 六月に、小川長官が根室を訪問された際御発言になりました沿岸漁業振興のための構想についての御質問ですが、御承知のように北海道はわが国における主要な漁業生産区域であるわけでございますし、海洋二百海里時代ということで、国民のたん白食糧の確保という点から、従来のとる漁業からつくる漁業という方向で沿岸漁業の積極的な開発を図るということが急務になっておるわけでございます。小川長官の根室における発言もこのような趣旨から出ているものであります。  われわれとしましては、小川長官の意を体しまして、先ほども総務長官の方からお答えがありましたが、いろいろ関係省庁とも協議しまして、当面、緊要となっている貝殻島にかわるコンブ漁場としての新貝殻島の建設については、すでに本年度の補正予算に所要経費を計上して、その早期完成を図るための措置を講じている次第であります。  それから、五十一年度から計画的に実施しております沿岸漁場整備開発事業というのがありますが、これにつきましては明年度予算において大幅に保進することとして、現在、予算要求を行っているところであります。さらに長期的に考えて、いわゆる北海道の海岸につきましては、その約七割というものはいろいろ砂浜地帯であるとか、いわゆる磯焼地帯であるとか、漁場として末開発の地域が非常に膨大に上っているわけであります。われわれとしまして、このような広大な末開発の沿岸海域において、大規模かつ総合的な栽培漁業の新たな展開を図っていく可能性を探っていく必要があるということで、明年度予算にそのための所要の調査費を要求しているという次第でございます。
  99. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 特に遠洋漁業等が先細りになっていく今日、未開発の沿岸栽培漁業の開発というのは急務です。ただ、小川開発庁長官が打ち出されたこの大パイロット事業なんですが、きわめて前例のない海の事業というようなことになって、水産土木あるいは水産技術、生態学、こういったものを十分に考えて手をつけなければならないということで、非常に技術的にまだまだ未開の部分もあるし、むずかしい事業だと、こういうふうな声も直接技術者の方たちもおっしゃっているようなんで、相当これは調査費等もかけてやっていかなければならないと思うんで、せっかくの発言が先細りにならないように、ひとつ当局としても熱意を込めて取り組んでいただきたいということを御要望申し上げておきます。  それから、水産庁にお尋ねしますが、根室沿岸漁業振興対策について、いまお話のあった人工貝殻島計画について水産庁としてはどのような見通しを持っていらっしゃいますか。
  100. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) お答えいたします。  根室海峡の特に貝殻島におきまして、日ソの民間コンブ協定によりまして長年の間この水域で漁業を行ってまいりました漁民の方々が、今回の日ソの交渉におきまして、残念ながらあそこの水域の漁労ができなくなったという状態になりましたことはまことにお気の毒であったというふうに考えるわけでございます。  このような貝殻島の周辺のコンブ漁につきましての状況にかんがみまして、水産庁といたしましては、本年度から三ヵ年計画をもちまして沿岸漁場整備開発事業の一環といたしまして、貝殻島にかわりますところのコンブの漁場造成事業を実施するということで、すでに補正予算におきましてこの御要求を申し上げたわけでございます。  この事業につきましては、地元方々の非常な熱意がございまして、その方々の御意向を十分にくみ上げまして計画を編成したつもりでございまして、最終年次におきましては五十三ヘクタールの新しい島ができ上がるわけでございます。で、ことしは、当面、冬場でございますので、非常に短期間事業施行しかできませんですが、とりあえず七・五ヘクタール分をまず実施するということにいたしまして、事業費も約二億、そのうち国費一億四千万ということで、きわめて高い補助率でこれを実施するというつもりでございまして、三ヵ年間でぜひこの事業を完成したいというふうに考えておる次第でございます。
  101. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 事業費は国と道の共同で二十億から三十億ぐらいかかるようですね。  それから、五十四年六月には操業される見通しというような報道も一部されているんですけれども、実際、作業上からの工程から見て、この五十四年六月操業見通しというのは可能性があるんでしょうか。
  102. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) ことし着工いたします分は、この冬場に種がつくわけでございまして、二年間で採取できるようなコンブができますので、おっしゃられるような時期にはこれが可能な状態になるというふうに考えておる次第でございます。
  103. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 それから、沿岸漁業の問題点一つとして、沖底船等の大型漁船対策なんですが、沿岸の中小零細漁業者を保護する立場で大型漁船と沿岸漁業の調整、これをよほどしっかりやらなきやならないわけですが、特に根室周辺はこれまでもいろいろと問題のたくさん起きてきたところなんで、適切な指導が必要と考えますが、この点について水産庁はどういうような対処をされていますか。
  104. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) お答えを申し上げます。  御案内のように、いわゆる沖合い漁業の中核となっております、特に北海道におきましては沖底船と申しておる船がございますが、大体百二十四トン型あるいは九十六トン型の船が中心でございますけれども、この船が主としてソ連海域で操業いたしておりましたものが、その操業海域を失いまして、かなりUターンの現象を起こすんじゃないかということが言われておりました。特に沿岸漁業との問のトラブルが発生するということが非常に恐れられたわけでございます。私どもも特に北海道庁に仲に入ってもらいまして、沿岸漁業と沖合い漁業との調整ということを図ってまいったわけでございます。根室の海域につきましては、最近の時点では、ほとんど問題は起こっていないというふうに聞いておりますけれども、今後とも、やはりそういうトラブルの起こる可能性がございますので、道庁を通じまして私どもも仲に入りまして、十分にその調整を図ってまいりたいと思います。  一言申しあげておきますと、このようなソ連海域でかなりの操業海域を失ったという実態から、御案内のように、漁業者につきましては救済対策をお願いいたしまして、この実現ができたわけでございまして、特に沖底船を中心にいたしまして相当な減船をいたした次第でございますから、沿岸漁業に対する圧力というものはかなり減ってきているというふうに考えるわけでございます。したがいまして、そのような現状を踏まえました上での両者の調整というものは十分注意して今後ともやっていきたいというふうに考えている次第でございます。
  105. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 水産庁も、いま日ソ、ソ日協定の方の忙しい作業の最中なんで人が足りない、また漁業調整というむずかしい問題は一番地元に精通している地元の道に任せるのが一番無難であろうということで、かなり任せているような立場だと思うんですけれども、現場に行きますと、いろいろとむずかしい問題があってお手上げ状態というようなケースもずいぶんあるわけですので、よく道の水産部の意見とか実情等の聴取もして、水産庁の方もぜひ強力な手助けをするようにしていただくように特にこれは要望しておきます。  それから、北方領土の元居住者に対する援護対策として旧漁業権に対する補償問題なんですが、これは特別措置法で融資事業を行われていますけれども、これの融資の枠の拡大、それから短期融資についても現行は市中銀行並みの金利になっていますが、短期融資についてももっともっと低利の融資にならないのか、こういう要請が繰り返し現地から来ているわけなんですが、この際、旧漁業権補償に対する実質的向上というものにもっともっと政府も積極的な取り組みをするべきじゃないかと思いますが、この辺の見直しをやる意思がないのかどうか。
  106. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 北方四島の旧漁業権者に対しまして、これらの方々が置かれている特殊な地位等にかんがみまして、漁業経営あるいは生活の安定を図るという観点から低利資金の融通を図っていることは先生おっしゃられるとおりでございます。  融資枠につきましても、御案内のように、従来四億円でございましたものを五十一年度から六億円に拡大したということもございますし、また貸付金利につきましても、資金種類に応じてではございますが、生活資金などは無利子でやっております。また運転資金も七・五%ということで系統資金よりもかなり安い金利になっているということは事実であろうと思います。先生お話しの貸付条件につきましてはいろいろな御要望もあるわけでございますが、今後ともよく実態を把握いたしまして、また他の融資とのバランス等も十分考えて、今後、検討いたしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  107. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 今後、ソ連の対日姿勢が硬化すると仮定した場合に、いま非常に北方の海でソ連の拿捕、罰金攻勢が続いているわけなんですが、ぜひこれがそういうことのないような方向へ行ってほしいと願っているわけですけれども、今後、外交問題は外交問題として、領土問題と漁業問題とを切り離しながらむずかしい交渉をしていかなきゃならないと、このように思いますけれども、特に水産庁としては、この日ソ漁業協力の推進、この点で当面漁業協力としてのサケ・マス共同事業、これは常に課題になっているんですけれども、これについてどういうふうに進めていくのか、現在、具体的に事務レベルでの準備がどこまで進んでいるのか、御説明いただきたいと思います。
  108. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 先生お話しのように、日ソの漁業関係につきましては今後とも協力を中心にいたしまして、特にサケ・マスの問題等につきまして解決をしていかなければならないという問題が多々あるわけでございます。  従来までも、御案内のように 二十年間の問、日ソ漁業条約のもとにおきまして、あるいは技術協力条約のもとにおいて協力関係を保持してまいりました。これが両国の漁業関係の促進あるいは友好関係の増進ということに裨益してまいったとわれわれは考えております。二百海里の時代になりましてからも、御案内のように、ことしの春約九十日間の非常に長期にわたる交渉をいたしまして、特に鈴木農林大臣が大変御苦労なさいまして、領土の問題については、これは将来の日本の平和条約の交渉にいささかの誤りもないように、一方において北洋で操業する漁民の方々の御心配がないようにということで、非常にむずかしい交渉をやってまいったわけでございますが、幸いにして日ソ及びソ日の両漁業協定が、暫定協定ではございますが、でき上がりまして、また、今般、モスコーで交渉いたしました結果、この暫定協定の一年延長ということが実質的に合意をされたわけでございます。  そこで、実は、この暫定協定の中身を詰めなければならない交渉が控えております。来る十四日からになると思いますが、また恐らくモスコーで日ソ双方の関係者が集まりまして交渉を開始するわけでございます。その際に、一つは暫定協定の一年延長に伴いまして、明年のクォータをどうするか、あるいは漁業水域をどうするかといったような交渉をいたさなければなりません。これと同時に、われわれはいわゆる漁業協力の面、あるいは現在の日ソ漁業委員会、これは長い問非常に有効に活用されてまいったわけでございますが、これをさらに将来に向かって発展させていく。さらに加えまして、このような体制のもとにおいてサケ・マス漁業というものをどうするかということで、いわゆる協力協定交渉というものも同時にスタートさせるというつもりでおるわけでございます。  その中の協力の一つの大きな柱が、ただいま先生おっしゃいましたサケ・マスの増殖でございまして、われわれとしては、ぜひこの増殖事業を、長年の懸案でございましたので、軌道に乗せたいと考えておるわけでございます。特に、いま問題になっておりますのは、日ソ間で話し合いを行いました最近の時点においては、樺太のピオネル川という川で増殖ができるんじゃないかということで双方の専門家が集まったわけでございますが、残念ながら水質その他の点で問題がございまして、この川が使えるか使えないかいま問題なわけでございます。そこで、われわれといたしましては、今後、これに代替するようないい河川があるかどうか、増殖事業に適した河川があるかどうか、また、その施設等はどの程度まで充実させるべきかどうかというようなことを詰めておるわけでございまして、来るべき交渉におきましては、このような話も出してみたいというふうに考えておる次第でございます。
  109. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 これから行われる両国の漁業協力についての新協定交渉なんですけれども、これまでと同じように、いわゆる母川国主義を主張するソ連とここから対立してしまうというようなことでは困るんでして、ぜひとも、今後、ソ連と日本が競争者でなくてパートナーを組んで、さらに漁業資源をふやし、また、それをともに共有し、活用していくという方向で話し合いが進んでいくように、ぜひともその実現を願っているわけです。  それでサケ・マスの養殖技術は、わが国は世界で最も誇ると、こういうふうに自負をされていると思うんですけれども、従来も、あれですか、日本のサケ・マス養殖の技術について、ソ連側としては、ぜひともその技術の協力あるいは輸出をしてほしいということを、向こう側から積極的に呼びかけがあったのか、あるいはこちらが呼びかけても向こうがいろいろな政治的な背景があってそれを拒否してきたのか、その辺説明をちょっと願いたい。
  110. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 実は、この日ソのサケ・マスの増養殖事業というのは、かなり前から話がございまして、これはイシコフ大臣もそのような考え方を持っておりましたし、またわが方も赤城農林大臣あるいはそのほかの歴代の大臣がこのような考え方をお持ちになりまして、双方とも、サケ・マスの増養殖事業を進めていこうじゃないかという考え方は基本的にあったわけでございます。  ただ、専門家同士で話し合いますと、なかなか具体的な条件が折り合わない、あるいは先ほど申しましたような河川が適当な状況にはなかったというようなことで進まなかったわけでございますが、先生おっしゃられますように、母川国主義というものが非常に強くなっておりまして、海洋法会議等におきましてもそのような主張をソ連がやっております。したがいまして、やはり将来のサケ・マス漁業を北洋において存続させる一つの大きなキーと申しますか、かぎは、おっしゃられるとおり、双方が資源を増大して、そうして双方がこれをとり合うという形でなければならないというふうに考えておりますので、今後の交渉におきましては、いままで以上にこの話を進めていくということで努力をいたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  111. 相沢武彦

    ○相沢武彦君 じゃ結構です。
  112. 岡田広

    委員長岡田広君) 相沢武彦君の質疑は終了いたしました。下田京子君。
  113. 下田京子

    ○下田京子君 二百海里の日ソ間の漁業の線引き問題と、領土絡みで非常に困っている貝殻島のコンブ漁民の問題を中心にして、まず最初にお伺いしたいわけですが、   〔委員長退席、理事稲嶺一郎君着席〕 せんだって、歯舞の漁協の皆さんやそれからコンブ漁民の皆さんと私もお話し合いをしてまいりました。その中で言っていることは、まさか十五年間以上も貝殻島のコンブ漁をやってきて、日ソ交渉の中であそこのコンブがとれなくなるとは思わなかったということが率直な意見でしたし、ことし一年間とれなかったことによって大変な打撃を受け、同時に、前浜の漁もふるわなかったということで、いろいろあるけれども、とにかく貝殻島のコンブ漁ができるようにというのがまず第一の願いでありました。  そして、その中で具体的に出されていたのは、貝殻島のコンブというのは実は一般の天然コンブと違って、潮の流れの関係か、とってもやわらかい棹前コンブと言うんだそうですね。それで、これは二十キログラムですと、一般のコンブに比べましても三千円から高値だということで、本当に損失というのが大きい。そしてこれで生活できなくなった皆さんが沖合の方に船に乗って出かけていって実は四十代、五十代の働き盛りの人が命を奪われているという悲惨な事故も聞いてまいりましたし、その留守家族がいまどんな思いで暮しているかという切々と訴えられた婦人の声も聞いてまいりました。それから、だんなさんが漁に、奥さんが近所に通勤出かせぎということで、子供たちは本当に両親の手がかけられない状況の中で、いろいろ家族ぐるみ困っているというふうなお話が出されまして、私も胸いっぱいで聞いてきたわけなんですけれども、こうした歯舞のコンブ漁民の切実な声を具体的に解決していく上で、幾つか具体的に対策をお伺いしたいわけです。  まず第一に、ことし二月当り八十万円前後になるというお金を借りたということですけれども政府として六ヵ月の期間で四億円からの緊急融資というものをやったけれども、ひとつこれを長期にしてもらいたいという要望があるわけですけれども、この点いかがでしょうか。
  114. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 先ほど申し上げましたように、今回の日ソ交渉におきまして、貝殻島周辺水域に出漁なすっておられた漁民の皆さんが残念ながらそこでの操業ができなくなったということは大変お気の毒であるというふうに考えておる次第でございます。  いまお尋ねの、貝殻島の関係漁民に対しまして貸し付けをいたしました四億円のいわゆる北洋漁業緊急対策特別資金でございますが、この資金につきましては、漁業経営の収支の状況から見て償還が困難であるという場合に、この償還期限を六ヵ月間延長しようということでございまして、実は、ことしの六月二十一日に閣議了解がございましたその御方針に沿いまして、十月の二十七日に農林事務次官依命通達ですでに六ヵ月の延長措置を講じた次第でございます。
  115. 下田京子

    ○下田京子君 六ヵ月延長の手続をいまとっているところだというお話でしたが、実際にそれだけでも本当にまた来年とれるかどうかという保証がないわけで、これまた六ヵ月延長しただけで解決ができるかというと、そうでない問題も多いかと思うんですね。  ですから、六ヵ月の延長という措置はもちろんのこと、今後のさらに長期的なことも含めてひとつお願いしたいということと、あわせまして、同時に、生活資金として八十万円からの緊急融資を受けたけれども、いままでの借金を収入がないわけですから払えないわけですよね。その焦げつき負債等について新たな金融措置等がないものかというお話もございましたんですが、いかがでしょうか。
  116. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 実は、その十月の二十七日に六ヵ月の延長措置を講じたばかりでございまして、もうすでに講ずることに決定したわけでございます。したがいまして、まず延長措置を講じまして、その後どういう事態が起こるかということは、これは先でまた検討さしていただきたいと思います。  それから、これはすでにお借りになった方々に対する償還延期の措置でございますが、新たにまたどうしても資金が要るというお話もございまして、実は明年度漁業経営対策資金といたしまして百三十億の資金の貸し付けというものを考えまして、現在、予算要求をいたそうかということで検討いたしている次第でございまして、その中に貝殻島の関係漁民も含めて検討したいというふうに考えております。
  117. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、いまのお話しのとおり、漁業経営安定資金ですか、対策のための百三十億ということは、新たな焦げつきの分も含めて、特定の枠を決めないでそれぞれ自由に借りられるという内容だというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  118. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 私の申し上げましたのは、すでにお借りになった分の償還延期の措置、この措置につきましてはすでに決定をいたしたということでございますが、これからまたお借りになるという分につきましては、これは当然明年度予算措置になりますので、その予算措置の一環として、目下、検討中であるということであります。
  119. 下田京子

    ○下田京子君 検討中ということですが、ぜひ満額取られるように再度私からもお願いしたいと思います。  同時に、いまいろいろ融資で対処しているというお話を承りましたけれども、実際にはお金を借りたものは返さなければなりませんから、二百海里時代において日ソ協定との中で出てきた問題であるだけに、同じような減船補償のように、休漁補償分という形でぱっとこうお金が出せないものかというふうな要求もございましたが、この点はどうでしょうか。   〔理事稲嶺一郎君退席、委員長着席〕
  120. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) ただいまお話しの、他の船と同じような休漁補償をしたらどうかというお話でございますが、この点につきましては、私ども地元方々の御意見も十分承りまして、先ほど相沢先生の方からもお話がございましたが、いわゆるコンブ漁場の造成ということが地元としての一番強い御意向だというふうに承りました。その地元のお考えも十分くみ取りまして、その上で先ほど申し上げましたような大規模コンブ漁場の造成ということを考えた次第でございます。その際には、国と道が一体になりまして、地元負担をかけないという前提で漁民の生計及び経営の安定ということを図ってまいりたいと考えておりますので、この措置をぜひ強力に実施していきたいということで、特段、現在のところ、国が補償を行うという考えは持っておりません。
  121. 下田京子

    ○下田京子君 必要な問題が起きてきた時点では、現地方々ともさらに話をして、ひとつ考えていただきたい、休漁補償についてはですね、再度要望し、いま出された人工コンブ礁の問題ですけれども、これに移りたいと思いますが、先ほどの御質問、御答弁にもございましたけれども、沿岸開発整備事業ということで今後三年間の計画でやられていくというお話でございました。そして実際にはことし一億九千八百七十五万円ですか、予算措置もとったということでありますけれども、確実にこれだけの事業量がやられるように、まあ総面積五十三ヘクタールというお話でしたけれども、まず確実にそれだけの事業量と、そのための予算措置をつけていただかないことには何といっても計画倒れになるわけでして、その点は再度強く要望しておきたいと思います。  同時に、次の問題なんですけれども、コンブの胞子がつくのはさっきの説明でも二年ぐらいかかるというお話でした。となりますと、やっぱり最終五十四年度に全部完成した後でも、聞くところによりますと、この人口コンブ礁というのは、例の歯舞島のコンブに比べると全体の中での八割ぐらいを見込んでいるんだというお話も承っているわけですけれども、これが果たして可能なのかどうかという心配も出ているわけです。それだけの胞子がつき、それだけとれるのかどうか、生態研究も含めて、一体、確約できるかどうかという話なんですが、いかがでしょう。
  122. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) このコンブ漁場の代替漁場造成というのは非常に地元の熱意から出てきた事業でございまして、これはぜひわれわれとしても完成をしなければならぬという強い気持ちを持っております。  ことしは、補正予算によりまして当面一三%の施行率ということでまず実施をいたしたわけでございますが、昭和五十四年までにこの事業を完成いたしまして、約七百六十トンのコンブをとろうというふうに考えております。これは大体いままでとっておりましたコンブの八割に相当するわけでございまして、いままでこの周辺水域に出ておられましてコンブをとっておられた方々の約二割の方々が他に職を転換なさるということを聞いておりますので、八割の造成をすれば従来の漁場に代替するということは確実でございます。もとより明年度以降の予算の確保ということが非常に重要なわけでございますが、これはわれわれは全責任を持って当たりたいと考えております。  なお、技術の点でございますが、この点につきましては、コンブの漁場造成につきましては、北海道の水産試験場の方々の知恵を全部集めましてやった事業でございまして、いままでの経験の蓄積もございますし、また将来この事業を完成するということの目安を十分つけまして、このような事業をいたしたわけでございますから、私どもといたしましては、この漁業関係、特にコンブの関係の技術者のデータあるいはその識見というものを信じまして、この事業の完成をさせたいというふうに考えている次第でございます。
  123. 下田京子

    ○下田京子君 ただいま御答弁いただきました方向でもって、一方で確実にこたえられるようにさらに努力をいただきたいということを要望しますと同時に、しかし、そうはいいましても、人口コンブ礁に頼るというだけじゃなくって、基本的には貝殻島のコンブ漁が続けられるようにということが歯舞のコンブ漁民の皆さん方の強い強い願いでありますので、そのためにも、どうしても民間協定がまとまるように政府も責任を持っていろいろ取り組んでいただきたい、こう思うわけです。  それに当たりまして、具体的に三つのことについて大臣の責任ある決意、答弁をいただきたいわけなんです。  一つは、大日本水産会の会長が訪ソする際に話し合いをするというお話を聞いておりますけれども、この点はどういうふうな状況になっているかということ。それから二番目に、日本におけるソ連大使館に対しても、民間交渉の窓口を政府として責任持って申し入れていくことが必要じゃないか。それから第三番目には、暫定協定の一年延長ということで、長期協定の交渉の際に、ぜひ貝殻島のコンブ採取ができるようにということを必ず入れていただきたいというふうに思うわけなんですけれども、いかがでしょう。
  124. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 貝殻島周辺におきますところのコンブ漁は、御案内のように、一九六三年以来、民間協定でやってまいったわけでございますが、この基礎にあります考え方は、どうしても領土の問題がございまして政府間ではこのような協定を結べない、したがって高碕達之助先生が人道的な見地からひとつ民間で協定をつくろうじゃないかということで、ようやくこの協定ができ上がったという経緯があることは御存じのとおりでございます。したがいまして、このような経緯から考えますと、今後におきましても、政府間でこれを取り決めるということは、領土の問題が解決しない限りは、きわめて困難であるということは申し上げざるを得ないわけでございます。したがいまして長期協定は政府間協定でございますから、その政府間協定の中でこの問題を解決するということはきわめてむずかしいというふうに申さざるを得ないと思います。  そこで、問題は、この間鈴木大臣からの御答弁もありましたわけでございますけれども、民間協定をもう一度結ぶことができないかということが今後の問題となるわけでございます。そこで、この問題につきましては、われわれといたしまして、民間の話し合いによって操業が確保できるように政府としても可能な限りの助力を行っていきたいということを大臣から申し上げたはずでございまして、まだ、相手方のある話でございますから、具体的な日程その他は詰まっておりませんけれども、さような機運が譲成されてまいりました場合には、民間ベースでの話し合いが進みますように、政府としても可能な限りの助力はしたいというふうに考えている次第でございます。
  125. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) いまの貝殻島のことに関しましては、農林省から申し上げたとおりでございます。これはもう領土問題がやはり絡んでおりますから、民間協定の中でやっていくべきだ、かように思います。  それから、ソ連大使館への窓口、こういうことも御質問なさいましたが、これはおっしゃるとおりでございまして、ソ連大使館に対してもやはり国内からいろいろと交渉するということも必要であろうと思います。これはそのように心がけてまいります。  それから、暫定協定云々ということでございましたが、暫定協定といいましてもこれは政府間の協定でございますので、先ほど申し上げましたように、貝殻島に関しましては民間協定という形でやっていくべきだ、かように考えております。
  126. 下田京子

    ○下田京子君 いまのお答えの中で一つ大きなことがあるわけですが、すなわち、いままでは民間協定でやってきたし、民間協定が結ばれることをと願っているわけですけれども、同時に、問題となっているのは、領土が絡んでいるわけですから、そのことに何にも触れずに民間協定だけに任せておいて政府が責任をとらないというところに、問題が解決できないでいるところの一つ原因もあるんじゃないかと思うわけです。  貝殻島のコンブ漁がやれるようにということで、地元の皆さん方は、政府がきちんとそのことについて主張すべきは主張しなさい、してほしい、こう言われているわけなんです。そのことをきちんと解決していく上で、貝殻島のコンブのことも、それから羅臼の根室海峡の問題につきましても、基本的に大事なことは、漁業問題と領土問題を正しく切り離して、そういう中でもって、わが党がいままで一貫して主張してまいりましたけれども、漁業資源の共同管理区域、そういうようなものを主張する気がないかということなんですが、いかがですか。
  127. 松浦昭

    説明員(松浦昭君) 共同管理水域という考え方につきましては、いろんな概念がございまして、必ずしも先生のおっしゃることを完全に理解しているかどうか私わからないわけでございますが、いわゆる共同管理水域という概念は、双方の国の主権がオーバーラップした形でもってある海域に行使されている状態というふうに考えるわけでございます。さような地域というものは世界に従来まであったということも事実でございます。  しかしながら、現在の海洋秩序というのは、沿岸国の排他的な管轄権というものを認めていくという考え方でございまして、このような方向で全世界の大勢が海洋法を中心に動いているわけでございまして、ソ連が一応彼らのたてまえ上から言いますと自国の領土であると言っております千島周辺水域というものを、共同管理水域ということで交渉いたすことは非常にむずかしい状態にあるというふうに私ども思っております。と申しますよりも、むしろ、われわれは、この北方四島の水域というものは、本来、北方四島がわが国の固有の領土であるというたてまえ、また、それを堅持しておるわけでございますので、このようなわが国の基本的な立場というものは、いささかも害してはいけないというのがわれわれの基本的な考え方でございます。  したがいまして、この領土の問題というものは、当然、平和条約の交渉において解決さるべきであり、その交渉においていささかも漁業の問題からこれを傷つけるといったようなことがないようにということで非常にわれわれも苦心をしたわけでございます。また、同時に、関係漁民の最大の利益ということも確保するという立場から今後の交渉に臨んでいく、そういう態度で水産庁としても外務省と協力して交渉していきたいというふうに考える次第でございます。
  128. 下田京子

    ○下田京子君 いろいろできないという理由はお話しになったわけなんですが、昨年の十二月四日でしたか、わが党の官本委員長が福田首相との党首会談の折にもこの問題は提起しているわけなんです。そのときは、福田総理は、重要な問題提起なので今後よく研究したいというようなお話もございましたんで、再度、長期交渉の中で、とにかくこういう実情を訴えて主張するお考えがないか、外務省にお尋ねします。
  129. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 日ソの暫定漁業交渉で、北方領土についての線引きがあいまいであったというような御指摘かと思いますけれども、御記憶のとおり、この交渉で決めたことは次のようなことでございます。  残念ながら、漁業の規制は北方四島においてはソ連側が行っている、こういう現実から出発いたしまして、わが方の漁民の操業の安全を確保し、かつ漁業利益を守るという出発点からこの交渉を進め、結果として線引きを認めたとしても、それはあくまでも漁業に関するものである。協定の八条でございますけれども、領土問題に関する日本の立場はこれによって侵されないという趣旨の留保をしているわけでございます。したがって、私どもとしては、魚の問題と領土の問題とは明確に切り離し、かつ領土に対するわが方の主張はいささかもソ連側に譲っていないと、こういう見解をとっているわけでございます。
  130. 下田京子

    ○下田京子君 そういう主張をとられていても、現に実際にはもう線引きされて、漁ができなくなっているわけでしょう。だから主張していることと現実が違うわけですよ。ですから、本当に現実に合ったそこの地域の皆さんのことを考え、それに正しく対処していくということならば、かねてから私たちが言っておりますように、やっぱりこの領土問題に対しての正しい解決を迫ると同時に、漁業問題で主張すべきは主張すべきだと、こういうふうに思います。  また、そういう点からして、いま大きな問題になっております領土のことにつきまして、共産党がかねてから主張しておりますように、千島全体ですね、すなわち歯舞、色丹はもちろん、国後、択捉、南千島を含む全千島の返還と領有権、これをまずはっきり主張すべきだ。そういう点から見れば、サンフランシスコ条約の第二条(C)項の千島放棄の条項を関係国に廃棄通告して、そしてこの千島列島全体の領有権をはっきりと主張すべきであるというふうな態度をとっておりますし、さらに歯舞、色丹の問題につきましても、このことについては本当に日本側が国後、択捉の南千島一括返還でなきゃだめだと、こう言っているし、一方、ソビエトは、安保条約がある間は、米軍基地がある問はだめだと、こういうことで双方が相譲らないというような状況の中で、これはやっぱり本当に安保条約破棄まで待つというんじゃなくて、北海道の一部である歯舞、色丹については即刻返還するよう、そういう主張をすべきではないかというふうな主張をし、そのことについては、ソ連も、平和条約を結べば返す、あるいは沖繩が返還されたら返すと過去言ってきたこともあるわけでして、こういうふうな共産党の主張について知っているかどうかということが一つ。  それから同時に、この主張に基づきながら、過去一九五九年一月のことですけれども、ソ連共産党の第二十一回臨時大会に、当時の共産党の書記長である宮本現委員長が団長で日本共産党の代表団が行ってこの話をしておりますし、さらに一九七一年の三月にも再度共産党の代表団、交渉団が行っておるわけです。さらには、ことしの春に超党派国会議員団として参加したわが党の津川衆議院議員、小笠原参議院議員が領土問題についてもきちっと主張すべきは主張してきたということ。そしてまた、ことしの五月の二十七日には、先ほどの主張に基づいてソ連への公開書簡を送っているというようなこと、こういうことについてまず知っているかどうかということをお尋ねしたいわけです。
  131. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) いろいろな点がございましたけれども、まず、最後に共産党の主張について私どもが知っているかどうかという御質問に対してお答えいたします。  もちろん、共産党がどういう態度をとっているかということはよく存じております。しかし、宮本書記長その他共産党の関係者の方々がソ連当局とお話ししておられる内容の全貌を、私どもは全部承知しているわけではございません。
  132. 下田京子

    ○下田京子君 確認の意味で質問しますけれども、共産党の主張についてはよくわかる、知っていると、しかし、過去、宮本委員長初め代表団がソビエトに行ったことはわかるけれども、その内容の全貌については知らないという答弁でしょうか。
  133. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) もちろん、宮本書記長初め共産党の方々がソ連側と話をされたことが新聞紙上その他に公開の文書として伝えられているものについては、承知しております。そういう趣旨でございます。
  134. 下田京子

    ○下田京子君 新聞紙上だけでなくて、まあ事実関係も含めて、これは調べればわかることですよね。それが一つ確認しておきたいところです。  で次にちょっと移りたいんですけれども、この「われらの北方領土」という冊子ですけれども、これは外務省の情報文化局国内広報課でお出しになっていることに間違いございませんね。
  135. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 間違いございません。
  136. 下田京子

    ○下田京子君 これは全国に何万部ぐらいの部数が出ておるのか、それから、どういったところに出されているのか、それから何が目的で出されたのか、三点一緒にお聞きします。
  137. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 発行部数の正確な数字はいま持ち合わせておりませんので、後ほど調べて先生の方にお伝えいたします。  このパンフレットの目的は、北方四島の問題に関する政府の立場をできるだけ客観的かつ公平に国民に理解してもらうという趣旨からつくられたものでございます。したがって、配布先といたしましては、特に限定はいたしませんが、地方都道府県、それから学校、公共図書館、そういうところに広く配布してございます。
  138. 下田京子

    ○下田京子君 部数はわからないけれども、学校だとか都道府県あるいは公立図書館等に、政府の四島返還の趣旨を客観的に伝えるために、これを発行したというお話でございますけれども、この客観的に、本当に主観的にじゃなくて客観的に広報活動としてまとめたこの冊子の中に問題点があるわけですよね。問題点というよりも、政治的な意図が含まれているんじゃないかと思われることなんです。  その一つは、一番最後の年表でございます。「日ソ国交回復以後の日ソ関係主要事項年表」というこの年表の中に、これは政府の日ソ間のあれこれを書いているだけじゃなくって、各党の皆さん方の訪ソも具体的に期日まで入っているわけです。ところが、わが日本共産党のこの問題については、何らも触れられていないわけです。他党の皆さん方の、社会党使節団ももちろんです、個人的なところもそうですし、池田創価学会会長の問題も全部入っております。全部入っていますけれども、共産党だけ触れられていない。これは明らかに政治的な意図があると思うんです。  こういうふうな形で出したということは、共産党だけが本当に千島問題の解決、そして歯舞、色丹はもちろん、国後、択捉を含めた全千島の返還問題、領土問題解決のために、非常に何というか、何らやってないというか、むしろ後引きのような態度に見られるような部分があると思うんですけれども、このことについて訂正をする気はございませんでしょうか。
  139. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 先生指摘の部分は、最後の年表の部分でございます。御指摘のとおり、いろいろな日ソ間の交流の歴史を年表として書いてございます。その中に共産党の先方との交流が抜けておるという御指摘、これは事実としてまことにそのとおりでございます。先ほど申し上げましたとおり、客観的かつ公正な資料としてつくったこのような文書の中で、そういう客観的な事実が抜けていたことは私どもの間違いでございます。深くおわびいたしますと同時に、今後、このパンフレットを改訂する際には、御指摘の点を組み入れて正確な年表にいたしたいと思っております。  ただ、一言申し上げておきたいのは、これは全く事務的なミスでございまして、先生のおっしゃるような政治的な意図からわざと落としたというようなことは全くございませんので、その点は御了承いただきたいと思います。
  140. 下田京子

    ○下田京子君 確認の意味ですけれども一つは、客観的な資料としてつくったという点から見て、この共産党に対する交渉の過程が抜けていたということ、このことについて深くおわびしたいということが一つと、それから、このミスはあくまでミスであって政治的な問題じゃないというお話ですけれども、本当に客観的な資料を政府・外務省が客観的な立場からの国民的な運動としての資料として発行する上では、少なくとも現在の各党なりいろんな動きをまず調べてみればおわかりだと思うんで、私は、事務的なミスではなくて、やはり政治的な意図が隠されているんじゃないか、こういうふうに思うわけなんですけれども、どうでしょうか。
  141. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 同じことを私もう一遍繰り返して申し上げることになるんじゃないかと思いますけれども、この資料は、あくまでも政府としての立場から公正、客観的な理解を国民の皆様にしていただくためにつくったものでございます。そうして年表の中で共産党関係の言及が抜けていたのは、これは事務的な誤りであり、これについてはいま申し上げたとおり、おわび申し上げると同時に、今後の改訂のときには、その点を注意しようということでございます。政治的な意図はもとより、その他の他意は全くございません。
  142. 下田京子

    ○下田京子君 あくまでも政治的な意図はないということですから、だとしますと、千島問題について正しく各党の立場なり、あるいは国民的な願いなりをまとめ、そうして本当に民族的な立場でもって領土問題の解決はもちろん漁業問題の解決のために、この最後に「本資料について、ご意見、ご希望がございましたら、下記のところまで連絡ください。」云々ということまで書き添えてあるわけですから、先ほどの答弁にございましたように、即刻、訂正の新たなパンフをつくられて、それぞれの機関に送付されますことを希望いたします。
  143. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 何分にも予算その他を伴うことでございますし、即刻改訂しろという点につきましては、今後、関係各当局とも相談して検討しなければならない問題だと思います。  ただ、私が申し上げましたとおり、最後の年表についての事実関係の誤りは、できるだけ早い時期に改訂するよう努めるという点をどうぞ御信用くださるようにお願いいたします。
  144. 下田京子

    ○下田京子君 確認いたします。新たなパンフをつくるかどうかということは、各関係の皆さんと相談の上考えていきたいということと、同時に、年表の落ちている部分については速やかに手を打つという理解でよろしいでしょうか。
  145. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 私が申し上げたのは、年表だけをすぐ変えるという趣旨ではございませんで、このパンフレット全体を改訂する機会に、いまの点も含めて改正しようという、こういう趣旨で申し上げたつもりでございます。
  146. 下田京子

    ○下田京子君 それでは、最後に言った部分が違うんじゃないですか。その年表の部分についてだったら、せめても物事には誤りがあったら、誤りだったというのは正すのがより客観的な態度じゃありませんか。加除訂正という方法もございますでしょうし、少くとも外務省の広報活動として正しく国民の理解を得るというものだったら、その資料なるものが誤りであったら正しい理解は得られないわけです。しかも、問題はあれこれと混乱させる問題になるわけです。私はかつて教師をしておりましたけれども、正しい事実そのものが出されていないところで正しい理解というものはないと思うので、少なくともこうした事実関係についてだけの、配布したところへ訂正の文書等を配布するとか、それなりの手を打っていただきたいというふうに思います。
  147. 加藤吉弥

    説明員(加藤吉弥君) 年表だけを改正すると申しましても、このパンフレット全体をもう一遍刷り直さなければならないとか、とじ直さなければならないという技術的な問題があろうかと思われます。ただし、先生の御指摘のとおり、またかつ私が御説明したとおり、この点は事務的なミスであるということから、あるいは正誤表というような形で追補ができるかどうか、持ち帰りまして至急検討したいと思います。
  148. 下田京子

    ○下田京子君 最後に言われた正誤表云々ということも含めて、速やかに訂正できるように再度お願いをいたしまして、同時に、私は、貝殻島のコンブ漁民のお話とそれから領土問題とを絡めながら質問したわけですけれども、これらがさらに正しく解決できるような方向でもって、関係する皆さん方にさらに奮闘いただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。
  149. 岡田広

    委員長岡田広君) 下田京子君の質疑は終了いたしました。喜屋武君。
  150. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、初めに開発庁長官に確かめておきたいことがございます。  それは先ほど稲嶺委員からも御要望がありました沖繩の交通規則の変更についてであります。来年の七月末を期して変更になる、このことについて沖繩はそれぞれの立場において非常に心配いたしております。そこで、問題はここにあると私は受けとめておりますが、来年の七月末というともう期間が間もない。これは時間的にも県民要求をすべて吸い上げるということは私は不可能であるとこう見ておる。ところで、五十三年度予算に計上される、このことについては、この前二宮議員も述べておられましたが、決して国の態度を全面的に了承してそれを肯定したのではなく、予算計上とその問題点の解明とは必ずしも一致しておらない、その推移の中で判断していきたいというのが県民要求であると思います。  そこで、結論を申し上げますと、七月末までにやっていただく過程の中で積み残した場合に、それを継続事業として継続するか、そうしてそれの予算の裏づけは継続事業の十分の十の予算をもってそれが完成するまでつないでいく、こういう態度を明確にしていただかないというと、非常に不安がそれぞれの立場であるわけなんです。七月以降、これらの積み残しが別法によって処理された場合には、これは負担の上から大変なことになると、こういう不安がいっぱいあるわけなんです。その点、継続事業にする、そうして完成するまでは予算の裏づけも十分の十にする、このことをひとつ明確にしていただきたい。
  151. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 先生の御質問内容は、主として道路の施設等に中心的に絡むかと思いますので、私の方から御答弁させていただきたいと思います。  交通方法の変更に伴う道路施設の変更等につきましては、先生御承知のように、本年当初二十七億予算化いたしまして、さらに各市町村等からも.追加要望もございまして、これにつきましては、そのうち一定の期間、工期等を要するものにつきましては、これが来年の七月の交通方法変更のために必要な事業であるということから、急遽、本年の補正予算におきまして約十七億、これを予算化いただいたわけでございます。で交通方法のこの事業の性格からいたしまして、私どもといたしましては、今後、県、市町村あるいは県民の皆さんの御協力をいただきまして、来年の交通方法変更の期日までには、これらの工事が実施、完成できるものと、こういうふうに期待をいたしておるわけでございますし、また、私どもとしてできる限りの努力は今後ともいたしたい、このように考えている次第でございます。
  152. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 どうしても私は大臣の御返事を、これは道路だけじゃありません、私は全部を含めて申しておりますから、全部を含めて、問題を積み残した場合にそれは継続事業としていく、そうして予算の裏づけも十分の十やる、こういうことを一言おっしゃれば、私の質問は一応これでいいわけなんです、大臣、いかがですか。
  153. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) この問も、この特別委員会で御答弁申し上げましたように、原則的に国の負担で全部やるべきものだと、この道路交通区分変更に対します諸事業は、そういうふうに考えております。  そこで、積み残しということでございますが、積み残せるようなことがあってはならぬと思うんです。で、これは特別事業のお話ならば、これは話は別でございますけれども、特別事業の要望が三つ出ておりますが、この話は別といたしまして、そのほかはもう積み残すようなことがあっては交通安全に支障を来すわけでございますから、これは完全にやってしまわなきゃならぬ、来年の七月三十一日に間に合うようにやってしまわなきゃならぬ、かように思っております。
  154. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 じゃ次に移ります。  次は、爆音の問題についてお尋ねいたしたいと思います。  この沖繩で爆音に県民が悩まされておる、特に基地周辺の県民が悩まされておるということは、これはいま始まったことではありません、復帰前から。ところが、復帰後は非常にこの爆音が激しくなっておる。しかも、七月以降、最近はさらに激しくなっておる。このことを防衛施設庁は認められますかどうですか、まずお聞きします。
  155. 高島正一

    政府委員(高島正一君) お答えいたします。  御指摘のように、六月から九月にかけて特にキャンプ・シュワブの周辺において爆音が付近の方方にいろいろな障害を与えているということは十分承知しております。
  156. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その騒音が人間の健康に大きな影響を及ぼす、害があるということは認められますか。
  157. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 防衛施設庁といたしましては、この航空機の騒音をいかに軽減防止するかというのがわれわれにいま課せられておる当面の一番大きな課題でございます。これが人体にどのような障害を与えるか等についても、過去数年来、研究を重ねてきておるところでございます。なかなかそれがどの程度人体に影響を与えるかということについての調査結論は得ておらないわけでございますけれども、私どもとしては、周辺の住民の方々の御協力を得られない基地というものは、これは非常に意味が薄れるわけでございますので、その点は今後とも十分勉強を重ね、地域住民の方々の御協力が得られるよう配慮してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  158. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 健康に影響があるということはもう当然それを肯定した前提に立ってもらわぬと、あるかないかわからぬというような、こういうあいまいな受けとめ方ではいけないと思います。  それでは、その騒音が人間の寿命に影響があるということは認めますか。
  159. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、この点については従来学者先生も入れましていろいろ調査研究を重ねてきたところでございますが、現在のところ、寿命に完全に影響があるというふうな科学的な根拠をまだ得ておる段階にはございません。
  160. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ここに資料がございますから、これをお上げしますから、ぜひ検討してもらいたい。人間の寿命を縮めるという、こういうデータが公表されております。ここに資料があります。このように、爆音というのは、いままでは非常に軽くその弊害を考えがちであったのではないか。たとえば鶏の産卵率の問題とか、あるいは養豚業の産率の問題とか、あるいは乳牛のお乳の出方の問題とか、こういう形でデータがあった。ところが、人間の健康にいかに影響を及ぼすか、人間の寿命にいかに影響を及ぼすか、そういうデータが出ております。  それで、私が特に最近と申し上げましたのは、いままで余り問題にならなかった那覇空港における騒音も最近非常に周辺から声が上がっております。それから普天間飛行場の周辺も声が上がっております。それから嘉手納飛行場、これはもういまさら申し上げるまでもない。いままで一貫して嘉手納基地中心として砂辺の側からも嘉手納町の側からも、それから最近北谷高校の学校からも、このように私は月別に資料をずっとまとめて持っておりますが、大変なものであります。  そこで、私は、いままでは那覇空港とか普天間とか嘉手納を中心に、機会あるごとにその騒音の問題を追及してきましたが、特に最近、七月以降ですね、久辺、キャンプ・シュワブを中心として、爆音がもうがまんならない、もうがままんにも限度がある、こういう怒りを込めて、名護市長を初め名護市議会、それから周辺代表なりが怒りを込めておる現状は先ほどもありましたので御存じだと思いますが、私は、十月の十五日に、久辺小学校、久辺中学校、久辺保育園、久辺幼稚園、ちょうど隣合わせでこの四つの学校、園があります。たまたまそこを中心にこの爆音問題が爆発しておるわけでありますが、だから結論を先に言うと、もう人命にかかわる、健康にかかわる、直ちに中止してほしい、こういう強い怒りを込めた声があることを御存じですか。そしてそれに対してどう対処されたか。
  161. 高島正一

    政府委員(高島正一君) お答えいたします。  ただいま先生指摘の点については十分承知しております。  そこで、主としてこれはハリアの訓練が主であった。もちろん百ミリのりゅう弾砲もございました、戦車砲もございました。しかしながら、いま先生指摘のように、小学校あるいは幼稚園の方々に非常な御迷惑をかけておるというふうな事実が判明いたしましたので、那覇防衛施設局から直ちに米側に中止並びに演習の延期方等を申し入れたわけでございます。それによりまして、米側も十分それにこたえて、その後は、演習を中止しておるというふうに承知しておる次第でございます。
  162. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 爆音源、具体的に言うと飛行場と住民との距離、いわゆる基地の中に沖繩があるとよく言うわけであります。この爆音源と住民との距離の接近、このような状態の府県が日本じゅうにありますかどうか。そして世界に沖繩のような状況がありますかどうか、どう判断されますか。
  163. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 日本の国内におきましては、たとえば厚木、横田、三沢等が該当するのではないかと思います。もちろん岩国もそれに該当するのじゃないかと思います。諸外国の例となりますと、何分にも諸外国における基地の所在地が、いわば日本流で言いますと過疎地帯にあるといいますか、非常に周辺が広うございますので、一概には論ぜられないというふうに思うわけでございます。しかしながら、先生指摘のように、沖繩はそのうちでやはり最たるものであろうということは申し上げられると思います。
  164. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま沖繩状態にある本土の三つの例を挙げられましたが、これは質が違うと思います、私は当たらないと思います。沖繩状態のものは全国に例がない、もちろん世界的にも例がないと私は思いますよ。  そうしますと、重ねて聞きますが、これも安保と地位協定によって提供する義務があるので、がまんしなければいけない、やむを得ないと、そうお考えですか、どうですか。
  165. 高島正一

    政府委員(高島正一君) やはり米軍に使用を許しております基地というものは、安保条約に基づきまして日本の国の防衛上必要であるということを政府が判断し、国会の御承認も得て使用を許しておるということでございますので、私どもといたしましては、その基地が円滑に維持運営されなければならない、そういう立場に立っておるのでございます。しかしながら、先ほども申しましたように、その基地が地域住民の方々の支持を得られないということであっては困るということから、御指摘の騒音対策等についてはできる限りの努力を傾けておるというところでございます。
  166. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 実情は、安保地位協定があるから、ある程度やむを得ぬと、この域を超しておりますよ。まさに人道問題、人権問題ですよ。安保地位協定があるからやむを得ぬという形で、どうして沖繩県民だけこのような犠牲を強いられる必要があるか、こう私は開き直りたいのですよ。一般論で片づけられると、この現実を——これは人道問題ですよ、人権問題ですよ。  それで、事実、ここにデータがある。七月二日から十月十一日まで、その間夏休み期間は抜けますが、毎日、朝の八時から午後の四時までずっと追跡記録が出ております。これを見て、もう驚かない人はどうかしている。そして手を打ってもらわなければ、どうにかしておりますよ。一分ないし三分、長くて三十分置きに、間断なく飛んでおりますよ。いまお話しのありました実弾射撃もある。それからAV8Aのハリアの垂直離着陸——しかもハリアには大型のヘリコプターが二機ついていますね。だから三機編隊で飛んでいる。しかも住民のおる地域の上や中学校、保育園幼稚園、小学校の上を三分間ごとに立ってはおり、立ってはおり、その間にときにはまた廃弾の処理の爆発音がある。こういう戦場さながらということは、そのまま子供たちの感想、反応が、原文のままです、保育園それから小学校、それから中学校、ずっと生の声が挙げられております。これを一々読み上げる時間がありませんので、これはお上げします、資料としてお上げしますから……。  この深刻な現状をよそごとというようなお気持ちで解釈されたんじゃたまったものじゃない。一、二申し上げますというと、授業中断、ほとんど授業中断です。この記録がずっとあります、授業中断。それから教室を飛び出す子供たちがおる。それから耳を押さえる者。それから保育園の子供たちなんかはショック的に泣く子がおる。もう声も詰まって泣かない子もおる。そうして教師に恐怖心に襲われてしがみつく。学校全体がもう恐怖感に包まれておるという、これが実情なんですよ。これをよそごとだとお考えになったんじゃ、ばちがあたりますよ、ばちが。  そして、いままで嘉手納基地中心でしたが、それが北部に移っている。そうしてこの旋回も、これがハリアの飛び立つ場所でありますが(資料を示す)、ここから飛び立って住民の住んでおる上をわざわざ音の爆弾をまち散らしている。せめて飛ぶなら、この保育園、小学校校、中学校、あるいは住民がおるその上は避けてくれ、飛ぶならば軍の施設の上をと、こういうところまで追い込められているんですよ。いまABCの三ヵ所のこの旋回の場所があるようでありますが、もうたまらぬから、あっちに飛んでくれという、こういうことなんです。これも見てください(資料を示す)。こことここを飛んで、これが施設です。これが騒音で寿命を縮めるという資料です。それから、これがデータです、ずっと。これが子供たちの率直な声です。  私も、その先生方やあるいは子供たちに何と話をしていいかわからないぐらいで、絶句したわけでありますが、このような状態が——しかも、たまにならいいんですよ、たまになら。まあいいですよと言って、たまでもいけないんですけれども。もう連続的に一分ないし三分。しかも大型ヘリが上空に続いて、しかも低空飛行らしいんです。こういうことが実際許されていいものかということなんですね。  もし私の訴えに疑問をお持ちになるなら、ぜひひとつ関係者は調査に行ってもらいたい。その調査はいままでなされたと思いますが、私がいま話したようなことを現地から連絡を受けておられますかどうか。
  167. 高島正一

    政府委員(高島正一君) 先ほども一部お答え申し上げたつもりでございますが、先生指摘の点は十分承知いたしております。また、そのような事実があったということも承知いたしております。  そこで、那覇施設局といたしましては、直ちに米側の責任者に対しまして厳重な注意を喚起いたしました。御指摘のように、住宅地区の上空は飛ばないようにということを厳重に申し入れまして、それが是正されておるものというふうに私どもは承知しておるところでございます。最近においては、そのような飛行はしていない、あるいはそのような爆音は出しておらないというふうに承知しております。  しかしながら、なお、今後とも、先生指摘のようなことがあってはならないという方針のもとに、われわれは米側と強く交渉を続け、なお監視を続けてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  168. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間も参りましたので結びたいと思いますが、本当に日本国民として、憲法のもとにひとしく生命、財産、人権が守られるべきである沖繩県民が、何でこのような形で阻害されなければいけないかという、このことを私は追及したいのです。よろしいですね。それじゃ、厳重にとおっしゃったが、その厳重さがどのように結果にあらわれてくるか、私はその反響によってまた今後の態度を決めてまいりたいと思います。その場逃れのすりかえでは絶対に私は承服いたしません。  最後に、たとえば廃弾処理のこの爆風で屋根のしっくいが——沖繩は赤がわらにしっくいを持っております。そのしっくいがとれたというこの事実も写真で確認いたしました。それから、その音ごとに学校の壁にかけてある額縁が爆風によって落ちた、この具体的な事実も聞きました。それから保育所のガラスがその爆風によって、こう閉まっておる玄関のが逆に中の方にこう押し込まれて、そしてガラスが割れております。そういうことも直接見てまいりました。それから廃弾処理による爆風によってたんすの上の荷物がころげ落ちて、そしてけがをした。これは床屋の婦人でありますが、床屋の婦人がたんすの上から落ちた器物によって頭にけがをしておる事実もございます。絶えずもう爆音公害に悩まされておる、こういう深刻な訴えを私はじかに訴えられまして、これはもう一刻も容赦できぬ、こういう気持ちできょうは訴えたわけであります。  このこと自体をひとつ問題として、長官も沖繩担当長官とされまして、ぜひひとつ真剣に調査し、対処してもらいたい、こういうことを強く要望いたしまして、もし御決意のほどがありましたらお聞かせ願って、終わりたいと思います。
  169. 藤田正明

    ○国務大臣(藤田正明君) ただいまの問題につきましては、防衛施設庁並びに防衛庁長官とよく協議をいたしまして、その対処をいたしていきたいと思います。
  170. 岡田広

    委員長岡田広君) 喜屋武眞榮君の質疑は終了いたしました。  本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時六分散会