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1977-11-18 第82回国会 参議院 運輸委員会、大蔵委員会、物価問題等に関する特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月十八日(金曜日)    午前十時十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。    運輸委員会     委員長         内田 善利君     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君     委 員                 井上 吉夫君                 伊江 朝雄君                 石破 二朗君                 江藤  智君                 衛藤征士郎君                 高平 公友君                 平井 卓志君                 青木 薪次君                 穐山  篤君                目黒今朝次郎君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君    大蔵委員会     委員長         嶋崎  均君     理 事                 上條 勝久君                 細川 護煕君                 塩出 啓典君     委 員                 岩動 道行君                 糸山英太郎君                 梶木 又三君                 戸塚 進也君                 中西 一郎君                 桧垣徳太郎君                 藤井 裕久君                 宮田  輝君                 大木 正吾君                 鈴木 一弘君                 佐藤 昭夫君                 市川 房枝君                 野末 陳平君    物価等対策特別委員会     委員長         斎藤栄三郎君     理 事                 山東 昭子君                 西村 尚治君                 福間 知之君                 渋谷 邦彦君                 木島 則夫君     委 員                 下条進一郎君                 鈴木 正一君                 真鍋 賢二君                 大森  昭君                 高杉 廸忠君                 渡部 通子君                 神谷信之助君    衆議院議員        修正案提出者   加藤 六月君    国務大臣        大 蔵 大 臣  坊  秀男君        運 輸 大 臣  田村  元君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       倉成  正君    政府委員        経済企画庁調整        局長       宮崎  勇君        経済企画庁物価        局長       藤井 直樹君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        大槻 章雄君        大蔵省主計局次        長        松下 康雄君        大蔵省理財局長  田中  敬君        運輸大臣官房長  山上 孝史君        運輸大臣官房審        議官       真島  健君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        自治省財政局長  山本  悟君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君        常任委員会専門        員        杉本 金馬君        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        日本専売公社総        裁        泉 美之松君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      高橋 浩二君        日本国有鉄道常        務理事      馬渡 一真君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案(第八十回国会内閣提出、第八十  二回国会衆議院送付)     —————————————   〔運輸委員長内田善利委員長席に着く〕
  2. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会大蔵委員会物価等対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例により、私が連合審査会会議を主宰いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は、お手元に配付いたしましたとおりでございますので、御了承のほどをお願いいたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 戸塚進也

    戸塚進也君 連日、新聞で報道されております今日のこの経済の中で一番大きな問題の円高、この問題と国鉄経営、これにつきまして最初に国鉄総裁に若干お尋ねしたいんでありますけれども円高によりましていろいろ日本経済の秩序が混乱する、こういうことによって貨物そのほか、もちろんこれは旅客もそうでございましょうけれども、いろんな影響が考えられると思います。この問題について、総裁のひとつ御見解を承っておきたい。
  4. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現在のところ、この円高による影響というものが国鉄経営に出ておるという現象は余り感じておりません。ただ全般的に、いつの場合でもそうでございますけれども為替変動といいますか、円価値変動は、ある期間を置いていろいろ影響が出てまいるだろうと思います。  まず、経費の面でございますけれども、私どもの方は購入資材その他につきましても外国製品に依存するということはもうほとんど皆無でございまして、その意味では余り大きな影響がすぐ出てくるということは考えられないと思いますが、全体としてどうしてもいわば景気低迷といいますか、デフレ基調といいますか、そういうことになってまいりましょうから、やはりどうしても日本経済全体の活動の何といいますか低調をもたらす、それが私ども経営活動といいますか、それに影響してくる。言ってみれば、収入の方にだんだんと影響が出てくるのではないかという心配をいたしておるわけでございます。  昨年の値上げの時期が余り適当でなかったといいますか、ちょうど不況のときに当たりました関係もありまして、昨年五割値上げさしていただいて三七%の収入増を見込んだわけでございますけれども、現実には貨物旅客を通じまして大体三割ぐらいの増収になっておるわけでございまして、その意味でいま経営上いろいろ影響がある。ただ、少しこの辺持ち直しといいますか、ここ数カ月旅客につきましても貨物につきましても動きが活発なような感じが、ごくわずかでございますけれどもしておるところでございまして、将来に向かって希望を持ち始めたところにこういう状態になりましたので、その影響が出てきて、せっかく勢いがつきかかったところがまた沈滞の方に入っていくということになりますと、非常に何しろいま収入の伸びが悪いということが経営圧迫原因になっておりますので、そういう意味影響をじわじわと受けてくるのではないかということで心配をいたしておるわけでございます。
  5. 戸塚進也

    戸塚進也君 大蔵大臣、お聞きのとおりです。きょうは国鉄の問題の審査でございますから逸脱はいたしませんが、大蔵大臣も大変毎日頭痛めておられるようですね。きのうも円の問題で緊急な措置をとられた、こういう状態ですね。ひとつ私は、この問題やはり内需の拡大の問題を含めて、よほどしっかりした施策というものをやっていただかぬと、私はかなりこれは深刻になってくるんじゃないかと。それから予算委員会で私も指摘いたしましたけれども、これは対国際的な問題でありますから、アメリカあたりはもうどんどん日本へも飛び込んできていろんなことをやっているでしょう。やはりこの際、日本側も対アメリカ、また通貨問題でございますから対国際的なやはりもう少し動きというものをなさって、円問題に対応されていく必要があるんじゃないかと思うけれども、その点だけ、一点だけひとつ承っておきたい。
  6. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 御指摘のように、円高の問題につきましては政府もこれに対する対処策を懸命に考えております。対外経済対策といったようなものも、これもできるだけ速やかに効果を発生せしめるために、緊急対策といたしまして、東京ラウンドを待たずして関税を引き下げていくといったようなものだとか、その他一連のものを鋭意やっておるわけでございますが、なおそれでもなかなか効果も上がっていないというようなことで、ただいま仰せられました緊急に短期国債の公募を一時停止するとか、あるいは自由円預金については預金準備率を増額の部分に対して大幅に引き上げるとかといったような努力を重ねておるというのが現状でございます。
  7. 戸塚進也

    戸塚進也君 大蔵大臣は円問題で一分でもお忙しいようでございますから、大臣にだけ先に御質問して、私の時間はもうそれで結構ですから。  そこで、国鉄の問題ですね、大蔵大臣、今回の審議いたしておりますこの法律が今国会成立しないんだというようなことになった場合、なかなか大蔵省としては非常に厳しい態度であるというように承っておるんでございますけれども、ひとつ大蔵省としての、大蔵大臣としての御見解、これを承っておきたい。
  8. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) お答え申し上げます。  今国会法案成立しないようなことは私は実は考えないんです。そういうようなわけでお答えに窮するところでございます。しかしながら、万一そのような事態となった場合には、国鉄を初めとして、政府としてもきわめて苦しい立場に追い込まれることとなりますので、ぜひとも法案成立について御理解をいただきたいと思います。  この法案は、国鉄再建のための基盤であるところから、法案が未成立というような事態に相なりますと、五十三年度予算編成に予定しておる新たな国鉄再建対策の樹立が不可能となりまして、ひいては再建のめどもないまま五十三年度国鉄予算を編成することはきわめて困難となる次第でございます。私といたしましては、このような事態を避けるため、この法案が今国会において成立することを強く期待しておる次第でございます。  以上です。
  9. 戸塚進也

    戸塚進也君 大蔵大臣にもう一問だけ伺っておきますけれども大蔵省がいろいろ国鉄自主再建、そういった努力というものを期待している、いままでの経過の中でもよくわかります。わかりますけど、私はもう一歩大蔵省として、非常に国鉄運輸省も大変苦労している。ですから、やはり大蔵省としても、たとえば、ただ案を持っていらっしゃい、これではだめというだけじゃなくて、やはり大蔵省側でも、坊大蔵大臣を見れば非常にやさしい顔をしていらっしゃる。そういうやさしいお顔をしていらっしゃる大蔵省なんですから、せめて大蔵省の方からも、こういう形ならば国鉄再建案としてどうやというような形でのやさしい御指導といいますか——大蔵省というのは何となく予算を持っていったり、案を持っていってこれを切られるところが大蔵省というようなそんな印象が一般にありますが、もう少しやはり大蔵省側からも育成、指導と、こういうような方向に歩んでいただけると大変ありがたいと思っているんでありますが、大臣、いかがでございましょうか。
  10. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 私事でございますけれども、御観察のとおり私は大変やさしく生まれついた人間でございます。ただしかし、いま国の財政を預かっておるという立場から考えますと、持って生まれたやさしさはやさしいのでございますけれども、なかなかそのやさしさに流れていくというわけにはまいらないというその立場も、ひとつ戸塚さん御了解を願いたいと思います。  そこで、そういうような立場から、国民の方々の税金をお預かりしている財政当局立場から申し上げますと、国鉄再建のためには、まず第一に国鉄自身経営合理化が徹底して行われることであり、次いで利用者負担適正化が十分図られるのであれば、これらに対応して財政事情も勘案しながら所要財政援助を行ってまいる所存でございます。したがって、このような前提条件を欠きまして、そして国鉄再建の目途もないままに財政助成を無原則でございますか、その場ふさぎでございますか、に拡充するということは、とうていこれは国民が納得をしてくれるものではないというふうに私は考えます。  この意味におきましては、わが国の交通体系の中で国鉄役割りをどのように考えるか、その中で国鉄がいかに経営合理化に努めるか等、運輸省国鉄自身が具体的な見通しと対策を立てることがまた何よりもこれは私は大事なことであると思いますが、今回各党間で取りまとめられました「国鉄再建基本方向」は、これらの点についてまことに重要な御示唆を含むものであると理解しております。法案成立した段階で、この「基本方向」の趣旨を踏まえまして、今後の国鉄再建対策について関係省庁と慎重に検討してまいりたいと、これが財政当局考え方でございます。  以上でございます。
  11. 戸塚進也

    戸塚進也君 委員長、私は大蔵大臣もう結構でございます。  そこで、国鉄総裁にお尋ねをいたしますけれども、少し後戻りするようでございますが、現時点における国鉄財政とか経営状況でございますが、これはよく世間一般的には民間企業にたとえれば破産と、こういったような状態であると、こういうことをよく聞きます。総裁が特に財政方面の御専門家として今回国鉄総裁に御就任になり、国鉄の中をいろいろお調べになった結果、世間でよく言われているようなこういう状態と言えるのでございましょうか。また、もしそれが事実であるとするならば、その最たる原因、病気で言えばがん、こういうものは一体何であるか、そしてそのがんというものは大手術をやるということによって治癒でき得るというように総裁は御診断いただいておるのか、御覚悟を固めておられるのか、その辺を承ります。
  12. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 一般企業と全く同じだというふうな立場で考えますと、御存じのようにいわば破産状態ということではないかと思います。むしろ私どもが大変弱っておりますのは、普通の私企業と違いまして、いわば破産状態になりましても破産することができない。たとえば制度の上におきましても破産法であるとか会社更生法であるとかいうのは私どもには適用されないわけでございまして、言ってみれば、私どもとしては破産することを許されない企業であるということでございます。  それはある意味で、国鉄というものが企業であると同時に、公共的な役割りを帯びておるからだと思うわけでございますが、法律のたてまえからも、それから国民の皆さんからごらんになっておる通念からいいましても、国鉄は一面企業であると同時に公共企業だということになっておりますが、果たしてどういう程度に、またどういうところについては私企業的であるべきかと——私企業という言葉は適当でございません、企業的であるべきか。それからどういう部分は公共的なものを負うべきか。  そして、それは過去におきましては非常に輸送サービスの中で国鉄サービスが図抜けて質のいいものでございましたから、かなりのお値段で乗っていただけた、品物を運ばしていただけたわけでございますけど、いまや自動車でございますとか、飛行機でございますとか、そういう新しい輸送手段、時間の点につきましても、もろもろのサービスにつきましても、むしろ国鉄にまさるようなサービスを提供できる新しい交通機関ができてまいりましたから、そうなりますと、公共的使命を果たすために赤字でもやむを得ない、部分的に見て赤字でもやむを得ないから公共的使命を果たすという、そして他の収益性のある部分でその穴埋めをするという形で全体として独立採算でやってまいったわけでございますが、それが十年前からそういうことができなくなってきたわけでございます。  そうしますと、公共的な役割りを果たす部分についてはやはり相応の財政助成をいただかなければやっていかれないということになってきているんですが、その場合にどこまでが公共的なものか、どこまでが本来の企業的なものかと、その境目をどこに求め、そしてその場合に公共的な部分についてどの程度援助を仰ぐべきかというあたりルールがまだまだ確立をしてないわけでございまして、そのルールが確立するということがかなりはっきりしてまいりますと職員の方もやる気が出てくる。何となく赤字赤字だと朝から晩まで言われておりますと、どうもさっぱり景気が、気合いが乗ってこないというような感じでございまして、次第次第にそこらを明らかにしていただきながら、そして働く者も、わが企業がどういう性格のものであり、どこに目標を置いて仕事をしたらいいのかということをもう少しはっきりするような事態にしていただきたいなと思うわけでございます。  また一方、職員がいろいろ労働運動その他を通じて能率が上がらないという御批判を受けておるわけでございますけれども、この点につきましても、私どもとしましては、職員諸君にもう少し経営についての関心を持つような空気を育成することによりまして、職員集団としても単に労働運動として活躍をするとか動くとかいうことでなくて、やはり企業の一員として企業経営を考えながら行動するような雰囲気をつくってまいりたい。さすれば私は再建というようなことも決して不可能ではない。しかるべき御援助をいただきながら、中は中で一生懸命やっていくという以外には再建の方法はないのではないかというふうに考えております。
  13. 戸塚進也

    戸塚進也君 そこで、運輸大臣に伺いますが、先ほど大蔵大臣からも、衆議院における「国鉄再建基本方向」、これについては非常に注目しておるというお話もございました。私も内容をつぶさに拝見いたしましたが、非常に与野党よく勉強しておると思います。まさにこの中に国鉄の将来の再建という問題についてのかなり具体的な対策が出ておると思いますが、この線に沿って政府としてはできるだけの努力をする。まあこれ当然のことでございましょうけれども、その御決意、ひとつこの国会の「国鉄再建基本方向」という一つ考え方の評価、こういう点を大臣から承っておきたいと思います。
  14. 田村元

    国務大臣田村元君) おっしゃるとおり、この基本方向というのは非常によくできておると、私も同感であります。私どもは、この法案成立をいたしましたならば、五十三年度予算編成のときに、基本方向を踏まえて国鉄再建対策要綱を新しくつくりたいと、そして「基本方向」が示す方向再建にいそしみたいと、このように考えております。
  15. 戸塚進也

    戸塚進也君 よくわかりました。  大臣、この「再建方向」の四項の中に、この再建については五十三、五十四年度中に所要対策を確立するということが明記されておりますが、いまの大臣お話を承りますと、しっかりした再建の目安といいますか、そういうものは五十四年度中には確立するんだと、こういうことで政府は鋭意努力すると、このように解釈してよろしゅうございますか。
  16. 田村元

    国務大臣田村元君) この「基本方向」を踏まえて再建対策要綱をつくっていくということは、いま申し上げたとおりであります。  そこで、五十三年度、五十四年度、この両年度国鉄赤字要因というものを徹底的に洗い出して、それに対するあらゆる対策を講じていく、これは国鉄経営努力ということを中心にいたしておりますが、もちろん、本来国鉄負担する限界を超えた負担というものもあるわけです。こういう公共性の非常に強い、本来の国鉄負担限界を超えたものについては、政府はやはり手厚く助成もしなければなりません。また、適正な運賃というものも定めていかなければなりません。  ただ、適正な運賃とは何ぞやと、これは物価等変動率というものを中心にして、今度の修正案ではある上限を定めて、それ以下でなければならぬということになっておりますが、やはり国民のことを思えばそれは上限値であってはならぬということは言えましょう。つまり、上限からどれだけ下げるかということは、これは国鉄経営努力にかかるわけです。このように五十三年、五十四年度の両年度でいろんなものを洗い出して、そしてそれに対する諸施策を十分つくって、五十五年度から新しい一つの、たんたんとしたという言葉が当たるかどうかは別にして、レールに乗っける、そしてなるべく早い機会収支均衡が図られるようにする。こういう実はスケジュールというわけであります。
  17. 戸塚進也

    戸塚進也君 そこで運輸大臣、この法案が通過したと仮定いたしました場合に、では、国鉄さんが何回これから運賃を値上げするのかな、毎年かな、それとも二年に一回かなと。やはり国民の側で言えば、毎年毎年そうどんどんどんどん国鉄が上がるということはもちろんうれしくない。私どもだってそれは賛成はできませんね。さりとて、しかしいままでのように抑えてきたけれども、値上げしてみたら三割、五割ぱっと上がりましたと、このやはり負担感というものは大変なものだと思うんです。  ですから、この法律ができたからといって、安易に上げていただくということはもちろんならぬわけですけれども、さりとて、抑えに抑えてきたから五割も上がったというような線は決して私はよくない。まあそこらのバランスが非常に大事ではなかろうか、タイミングが大事ではなかろうかと思うんですが、大臣、その点、将来のこの国鉄運賃のあり方といいますか、これについてどんなふうにお考えになっていらっしゃるか、ちょっと伺いたい。
  18. 田村元

    国務大臣田村元君) まあ毎年物価等変動率基礎とした改定率というもので上げていくか、あるいは二年に一遍にするのか、それはそのときの情勢にもよると思います。それから物価等変動率は、五十一年度は一〇%強でございましたか。私は、五十一年度物価等変動率は、これはかつての狂乱物価のやはり後遺症が残っておると思う。将来心ず一けたになると、それでなきゃまた困ったことになる。でございますから、とにかく国鉄の非常にしっかりした経営努力というものと相まって、ある程度低く抑えることが将来必ず可能だと私はそう信じております。  でございますから、毎年若干上げるのか、あるいは二年に一遍上げるのか、それは国民に迷惑をかける可能性もありますが、逆に。それは他の競争する交通機関との兼ね合いも見なければならぬ。たとえばタクシーなんか二年目ローテーションということになっておりますが、他の交通機関との兼ね合いも考えなきゃなりませんが、まあ一応毎年この程度を上げていくんだという考え方基礎の上に立って再建対策というものは考えていかなきゃならぬだろうと、このように考えます。
  19. 戸塚進也

    戸塚進也君 大臣、そこで今度の法案が通った場合ですね、国会国鉄問題という問題を突き詰めて審議していく機会がちょっと少なくなるんじゃないかとか、いろいろそういうことも言われておりますけれども、しかし、まあこの法案が通ったから、じゃあもう国鉄の問題は余り国会で論議しないでというのじゃなくて、やはり国会というものに十分この国鉄経営の状況なり、あるいはまた運賃の問題なりにつきましても絶えず相談をされるといいますか、いろいろ資料そのほかも公表されて、ともどもやはりこの国鉄再建に向かう、こういう姿勢であっていただきたいと願うわけですが、その点いかがでしょう。
  20. 田村元

    国務大臣田村元君) それはもう当然のことであります。私、昨日も参議院運輸委員会で御答弁申し上げたんですけれども、この法定制が緩和されるということになりますと、従来厳しい法定制で国会で審議して議決したというものが、急にぱっと解放されるということについては私自身が若干の抵抗を感じているんですよ。そこで、まず国鉄総裁の諮問機関としてひとつチェックする委員会をつくります。それから運審ですね、運輸審議会に広く利用者あるいは有識者等の意見を聞く何らかの機関をつくるべきだと。そして運審は、運審の委員は、まあ省令になりますか何になりますか、いずれにしてもある程度の裏づけのあるそういう機関の意見を聞かねばならぬというようなそういうダブルチェックの制度をつくりたいと、こう考えております。  これは必ずつくりたいと思っておりますが、この機関においては少なくとも国鉄運賃については御審議を願わなきゃならぬ。そして運審の委員各位に自分たちの意見を述べていただく、それも私は各党の推薦の人をどんどん入れていいと思うんですよ。そのようにしてダブルチェックをする、その上で運輸大臣が認可をする。やはり国民生活に非常に深い関係があるんですから、そこまで考えておく必要があるであろうと、このように考えております。
  21. 戸塚進也

    戸塚進也君 時間がもう十五分ぐらいしかありませんから、国鉄当局に簡単に伺います。  現在の国鉄運賃というのは、国際的な比較では一体どのくらいの地位にございますか。また、諸外国、特に欧米諸国で国鉄財政援助といいますか、それぞれの国の国鉄財政援助というようなもので特にユニークな方法等がありまして、将来日本でもこんな方法ならいいなと思われるような方法がありましたら、御研究でございましたら、ちょっとお聞かせください。これ、簡単にお願いします。
  22. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) お答えいたします。  諸外国の運賃の水準は、いずれも日本の場合に比べまして比較的高いという水準にございます。で、為替レートの関係もございますので一九七五年の年首のレートで比較いたしてみますと、当時国鉄は五円七十一銭でございましたが、イギリスが十円六銭、それからドイツ連邦鉄道十九円二十四銭、フランス国鉄十円ということでございまして、いずれも倍に近い、もしくは倍以上ということでございます。貨物も大体同しようなレベルでございます。  なお、運賃改定状況は、各国とも大体毎年一回ずつ、一番低いところで五%、一番高いところで二〇%、平均して一〇%程度毎年上がっているようでございます。  それから諸外国の援助の例は、いろいろ研究してございますが、これにつきましては、私どもとして日本国鉄に合ったような実情でお願いを申し上げたいという気持ちでおります。
  23. 戸塚進也

    戸塚進也君 それでは、運輸大臣に伺いますが、国鉄一つの将来圧迫材料になるおそれのあるこの新線の建設という問題でございますが、これはもちろん私も自分の地元に新線の建設の要望があっておりながらこういうことを申し上げるのは何でございますが、しかし、この工事の進捗が非常に最近著しくおくれる、これは予算の点でやむを得ぬことですね。しかし、これはおくれ過ぎてしまって、もう地元住民には三年後か五年後か十五年後かしらぬが、いつか汽車が走るだろうといって、ペンペン草がずっと生えている、こういう状態をいつまでも放置しておくということはどうもうまくないんじゃないか。  だからむしろ、どうしてももう国鉄経営上、どっちみちこういう新線をやっても相当赤字を覚悟じゃなきゃできないようなところが多いと思うんです。私は、全部やめちゃえじゃないんですよ、必要なものはやらなきゃならないとしても、やはりそこで取捨選択をされて、早いうちにこれをバスならバスに切りかえて、一刻も早くそのペンペン草が生えて土盛りしてあるものを道路に直して、早く地域住民の要望にこたえてやるということもひとつこれは合理化の方法ではないかと思いますが、その点、いかがでございましょうか。
  24. 田村元

    国務大臣田村元君) いますでにもうでき上がっております俗に言う赤字ローカル線、この問題をどう扱うかということをいま運政審に御審議願っておる最中であります。先般中間報告が出ましたが、遠からず答申があるものと思います。この地方新線の建設につきましても、運政審の答申を踏まえて今後どうするかということを赤字ローカル線とともに検討をいたしたい。でありますから、いま直ちにここでどうこうするということは、せっかく御審議願っておる運政審に対する礼を失しますから、これは御遠慮しなきゃなりませんが、その意味で、わずか三百何十億と、三百三十億でしたか、ことしは。それで御不満の点もあろうかと思いますけれども、一応最終的な結論を出すわけにいかない。  そこで、これを極端に少なくすることもいかがなものであろうか、しかし、従来のようにどんどんどんどんやっていくこともいかがなものであろうかということで、前年並みのような程度でいま抑えておる。答申あり次第、当然取捨選択も出るでしょうし、いろいろな方向が出るでしょう。それを見きわめて検討をしていろいろとやっていきたいと、こう考えます。
  25. 戸塚進也

    戸塚進也君 総裁にお伺いいたしますが、赤字解消の一環として遊休地の処分とか、国鉄さんがかなり真剣にこれと取り組んでおられるようです。そういった現況、それから総裁が、さらにひとつやっぱり国鉄もある程度もうけていかにゃいかぬじゃないかというようなことで、いろいろ国鉄の御商売みたいなものをお考えのようでございます。  もちろんこれも一つの何といいますか、国鉄に関連する仕事としてやって、計画していただくことは一向に私は差し支えないと思いますが、しかし、反面においてそういうことがそれぞれ地域の中小企業者、現在もういろいろ仕事をやっている零細中小業者に何か国鉄さんの新しいそうした事業で影響が出てくるというようなことになると大変でございまして、そこら辺は賢明な総裁でございますから、お考えいただいた上でお進めいただいていると思いますが、それについての御構想を簡単に承りたいと思います。
  26. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 従来はレール専業であったわけでございますけれども、御指摘のようにいろいろ遊休地があるではないかというような声が高まってまいりましたので、私参りましてから、御指摘のようにかなりそうした遊休地の活用というようなことを中心にして、多少とも収益を上げる努力をするようにいたしてまいりたいと思っております。ただ、本来そういう面についてはふなれでございますので、だんだんまずその体制を整備するというようなところから始めなければならないわけでございまして、すぐに年々何億、何十億、あるいは何百億という収益を上げるほど仕事を広げていくほどには実は内部の体制が整っておりませんので、それほど急激にそれを進めるということには現実にはならない現状でございます。  なお、その際、その仕事ぶりが民業圧迫になってはいけないということは、これはもう心すべきことでございますが、どっちかといいますと、いままで逆に余りそれに気をとられて、そういう御批判を受けてはいかないということに気をとられて、むしろ遠慮がちであった面もあるわけでございまして、その辺の何といいますか、やり方、締めぐあい緩めぐあい、なかなかむずかしいところでございますが、いまでも何かちょっと仕事をしようとしますと、それぞれの地域でそういう反対があってなかなかできないというようなこともありますので、私はかなり元気よくやるつもりでおりましても、結果としてなかなか民業圧迫になるほどには仕事ができないということになるのではないかと思います。その辺の兼ね合いは非常にむずかしいところでございますが、十分心得てやってまいりたいと思っております。
  27. 戸塚進也

    戸塚進也君 運輸大臣に新幹線の問題についてお尋ねいたしますけれども、整備五路線といいますか、いわゆる北陸新幹線、そのほかこれから国として御計画はあるというものでございますが、私は東海道新幹線にいつも乗っておりますけれども、しかし、私は北陸の方々などのお気持ちというようなものを感じましても、それは一つの例でございますが、整備五路線についての期待、国民的な地域住民の期待というのは物すごく大きなものがあると思うのです。  ある一県の知事のごときは、ほかの不景気対策なんか全然やってくれなくてもいい、全部県知事がやるけど、この新幹線だけは何とかしてくれというようなそのくらいの要望で、不承気だと言ったら、予算がなけりゃ国有地だけでも、トンネルの穴だけでもつけてくれりゃみんな気持ちがよくなると、こういうくらいに期待をしている、これが実態じゃないでしょうか。  したがって、やや新幹線の計画がいろいろ財政上の問題、あるいはまた、つくった後の運用の問題等で少し後ろ向きになっているということは私は残念でならないので、やはりこの全国新幹線網というものができてこそ本当に日本列島の全体、どこに住んでいる国民も同じような環境で生活ができる、ひとしく福祉豊かな国民生活ができるということになるのじゃなかろうかと思うのです。  ですから、ぜひ大臣にも前向きに取り組んでいただきたいと思うんですが、その場合に、ただ前向きに取り組めと言ってもこれは問題があるので、やはりその財源とか、ちょうど国鉄あたりが駅舎なんかをつくる場合に、それぞれ地域で鉄道債というようなものを持ってもらうわけなんですが、やはり地域のそれぞれの期待している方々に対しても、その財政状況もお考えいただいて、たとえば新幹線債とか、何かこういう財源というようなものをそれぞれ国民的に協力をしてもらいながら、かつ前向きに進めるというような方法はないものかと、いろいろない知恵をしぼるんですが、大臣いかがでございましょうか。
  28. 田村元

    国務大臣田村元君) この整備五線につきましては、いまおっしゃったように投資効率というものも考えなきゃなりません。でありますから、その意味においては慎重に考えるべきでございましょう。私は、それもそうですけれども、整備五線は目下事業実施計画を策定中でございますけれども、後ろ向きになっておるわけじゃないんです。われわれは新しく新幹線をつくる場合に、やはり地域住民とのコンセンサスを得なきゃこれは絶対できない。率直に言いまして既設の新幹線においてもいろいろと問題がございました。私どもは成田空港におきましても貴重な、しかも非常に肝に銘ずるような体験もいたしました。でありますから、地域住民とのコンセンサスというもののない大プロジェクトというものがいかにむずかしいかということを悟りました。  たとえば、新幹線の性格上、駅から駅まで距離はうんとあるわけです。在来線のようにどんどん駅をつくったら新幹線の価値はなくなる。じゃあ途中置いてけぼりを食らったその地域の人々はどのようにこれを受けとめるであろうか。あるいは新幹線公害とも言われることもありましょう。やはり徹底した環境アセスメントをやらなきゃならぬ。この環境アセスメントをやって、そしてその結果は、可能な限り公表して住民の理解を得なきやならぬ。私はこのように考えるときに、整備五線をつくることについての意欲は何人にも劣るものではありませんけれども、しかし、いままでのいろいろな経験に徴しても、急がば回れというこの民主主義の手続だけは十分にとっていきたいと、このように考えております。  財源問題としては、いまの御意見も一つの貴重な御意見として検討の一つの資料にいたしたいと思っておりますが、いずれにしても、地方にどのように御負担いただくのか。聞くところによると、まだ完全に非公式の、一部の方だけのお話し合いのようでございますからこういう席で申し上げるのがどうかと思いますけれども、自由民主党の中で、議員連盟の方で建設国債でやったらどうだという御意見もあるようでございます。建設国債でやって、ただで国鉄にくださるんなら——だからといって、ただでもらっても後また運用面で赤字が出ることも想定されますけれども、ただでくださるならこれにこしたことはないんですけれども、だからといって、まだ公式の議論になっておりませんから、ここで論評することはできませんけれども、いろいろな財源問題も考えていかにやならぬと、このように思っております。
  29. 戸塚進也

    戸塚進也君 最後に、国鉄総裁にお尋ねいたしますが、やはり国鉄サービスの向上ということがこれは国民的に非常に要望されております。礼儀正しい車掌さんもおります。りっぱな駅員さんもおりますが、中にはやはり切符を一つ買うにも何かおっかないような、何となく一日が暗くなるような、そういう方も中にはあることは事実です。やはり、総裁ひとつ、国鉄が愛される国鉄になるために、総裁がまず率先して、ひとつ国鉄職員の方々が笑顔であいさつする、あるいはまたお客様にも感謝の気持ちで接する、こういったような御指導というものをさらに続けて重点的にやっていただく必要があるんじゃないか。あわせて、時折汽車にビラが張られていたり、あるいは何か書きなぐられていますと、どうも暗い気持ちになります。こういうことはやはり総裁と、または働いておられる職員の方々とが本当の穏やかな対話の中で、ひとつそういうことはやはり慎んでいただくべきだということで絶えずの努力をしていただきたい、こう思っておりますが、この二点、いかがでございましょうか。
  30. 高木文雄

    説明員高木文雄君) その点が一番大事なことだと思います。何といいましても、サービス業で輸送業でございますから、そういう面でそういう意識をまずだんだんと植えつけていくことが重要ではないかと思います。再建には運賃を直さしていただくということ、財政援助をいただくということが必要ではございますけど、それについて御理解をいただくためには、やはり私ども自身のサービスといいますか、執務態度、仕事の態度といいますか、そういうものが御理解をいただけるもとになるものと思いますので、いま御指摘のような点は全力を挙げて直していく努力を重ねてまいりたいと思います。
  31. 戸塚進也

    戸塚進也君 終わります。
  32. 大木正吾

    ○大木正吾君 私、連合審査、大蔵委員の立場でちょっと質問いたしたいんですが、かつて国鉄は四十四年と四十八年に再建計画を出したことがございますけれども、この再建計画がなぜ軌道に乗らなかったか、これについてまず伺っておきたいんです。
  33. 田村元

    国務大臣田村元君) 事情はいろいろございます。ございますが、重立ったものを一、二拾い上げてみますと、まずオイルショック以降景気の回復が予想に反しておくれたということもございました。また、当然再建計画の算定基礎になっておりました運賃の値上げというものが、適時適切に行うことがこれはちょっとできなかったというようなことで根底から数字が狂ったということもございました。その他、まあいろいろと事情がございましたが、大きな問題としてはそういうことが言えるかと思います。
  34. 大木正吾

    ○大木正吾君 いま大臣、オイルショックとおっしゃったわけなんですけれども、現在のこの日本経済の局面を考えて、まあ再建策に取り組む大臣の気持ちはわかるんですけれども円高問題、そして成長の政府見込みの達成も困難という状態ですから、さっき総裁もおっしゃったんですけれども、一番心配なことはこの景気が回復しない、こうおっしゃったですね。そうしますと、このオイルショックが、これは恐らく四十八年計画をおっしゃっていると思いますけれども、そのことが成功しなかったことと、現在の円高に揺れる国際経済あるいは国内の不況問題、このこととの深刻さ、どちらが深刻とお考えになりますか。
  35. 田村元

    国務大臣田村元君) まさに兄たりがたく弟たりがたいということでございましょうけれども、しかし、オイルショックというのはやはり大きな影響がありましたね。もちろん円高も早く正常化してもらわないと困ります。その意味において、両方とも大きな問題であろうと存じます。
  36. 大木正吾

    ○大木正吾君 どうもお答えがすっきりしないんですけれども、企画庁長官もお見えになりましたので伺いたいんですけれども、最近のこの円高動向、もちろんアメリカのやり方もけしからぬと私思いますけれども、とにかく六・七%の成長自身が危ないということは最近経済学者みんなおっしゃっていますね。下手をすると五%前後と、こういうふうに考えられる。景気刺激の来年度予算を組みましてもなかなかそう簡単には連動してきませんからね。そういうことと関係しまして、本年の経済成長の達成見込みはどうなるとお考えか、あるいは、もしも五%台に落ち込んだら来年は七%ぐらいにしなければならぬわけですけれども、その辺について企画庁はどうお考えですか。
  37. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 今年度経済の見通しにつきましては、円高によってどういう影響を受けるかということは、もう少し情勢を見きわめる必要があるんじゃなかろうかと思います。もちろん名目的に下がりましても物価が安定いたしますから、実質経済成長にはそう響かないということも出てくるでありましょうし、輸出の鈍化が出てくるのは来年度の方が影響が大きいんじゃなかろうかと思います。私はむしろ、そういうマクロの問題よりもミクロに問題があるんじゃなかろうか、やはり個々の企業にとって急激な変化が非常に大きな影響を及ぼすわけでありますから、そういう点について格段の配慮が必要である、そう考えておる次第でございます。
  38. 大木正吾

    ○大木正吾君 景気動向問題についてはまた別途議論してもいいわけでございますけれども、やっぱり国鉄のこの上再建計画自身がそのことときわめて密接に関係いたしますから、事例として申し上げますと、国鉄離れという話も盛んに言われますし、同時にグリーン車のお客さんが大変少のうございますからね、また、値上げしたものを下げるということもやったわけですが、そういったこと等を考えたときに、この計画自身非常に心配なんです、私自身が。何とかしたいという気持ちはわかるんですけれども、実際には三七%増収がなかなかいっていないということがございますね。そうしますと、現在の五〇%値上げいたしまして三七%増収を期待しながら、一二〇から三〇のところをうろついている状態ですから。  そういった中でこの計画で心配な面が二つ出てきますね。それは、田村大臣おっしゃったんですが、ダブルチェックしながらなるべく値上げ幅を抑えて、こういう気持ちもおっしゃったんですね。それから同時に、下手をしますとローリングしていきまずから上げ過ぎてお客が減ってしまう、こういうことも考えられるわけですね。そういう点に絡んで、総裁どうでしょうか、現在の状態、五〇%上げたって相当な数字なんですけれども、グリーン車の経験にちなみまして、お客さんの動きがどういうふうにこれ変化していく、あるいは減るかふえるか、その辺について、経済動向と絡んで総裁見解を伺いたいんです。
  39. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 戦後一度鉄道が全く荒廃をいたしまして、その復興をいたしましたり、さらには新しい技術で新幹線をつくるというようなことがございまして、戦後三十年の間、旅客につきましては毎年必ずお客さんがふえるという状態が続いてきたわけでございます。それが昭和五十一年に停滞をした、あるいはむしろ減少したということは、私どもにとりましてはある意味では大変ショックであるわけでございまして、戦後以来今日まで続いてまいりました、とにかく少しずつ列車本数をふやせば収入がふえるといった傾向が、今度初めてどうも様相が変わってきたということでございます。貨物の方は御案内のとおり、昭和四十五年から運びますところの量が減ってきた、お客さんが減ってきたということでございまして、戦後の長い歴史の中において、いま私どもはかなり折れ曲がりといいますか、どうも非常に様相が変わってきたという時代に直面をいたしておるわけでございます。  このことは、御指摘のようになかなか今後はそう簡単に運賃改定をしてはならぬということを意味するわけでございますけれども、しかし、いろんな面で見ますと、まだまだ原価から比べましても、それから他の輸送手段の輸送料金から比べましても、低い部分がかなり残っておるわけでございますので、従来のような形ではなかなか簡単にはいかないと思いますが、それでは運賃改定もう限度に来ているのかと、もう天井についてしまったのかというと、そうではないと思っております。したがいまして、今度の修正案で大体お示しになりましたような人件費、物件費の増高に伴うコストの増に見合う程度のものはやはり改定をさしていただかざるを得ないし、そしてその中においてそう急激な国鉄離れを起こさないでやっていけるというふうに考えております。
  40. 大木正吾

    ○大木正吾君 どうもお答えがすっきりのみ込めないんですけれども、もう一遍経企庁長官に伺いますが、来年度予算は刺激型と、こういう話が出ていますけれども、大体そういう刺激型予算をつくらざるを得ないと、こう考えています。そういう考えでよろしゅうございますか。
  41. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 総需要を構成するものといたしましては、個人消費、あるいは設備投資、あるいは住宅投資、また財政、その他海外経済余剰、そういうものがございますけれども、なかなか設備投資等が非常に冷え切っている状況、また輸出もこれからそう大きく期待することはむずかしいということになってまいりますと、やはり財政役割りが明年度においてかなり大きなウエートを占めてくるであろうということは御指摘のとおりでございます。
  42. 大木正吾

    ○大木正吾君 そこで、先ほど総裁なり田村さんもおっしゃったんですけれども、内需の拡大ということは決定的なやっぱり国鉄のこの再建計面に影響することは間違いないですね。ところが、この公共事業を中心というウエートの置き方であるか、あるいは個人消費型の拡大かどうかということが分かれるわけですけれども、減税とかあるいは失業者の救済とか、年金問題で中高年者を救うとか、そういった諸種のことを含めて、個人消費の拡大にウエートがかかりますと、高木総裁期待するようなお客さんもふえるし、貨物の方は総シェアのうちの一二%ですから、これは個人消費とは直接つながらぬと思うんですけれども、お客さんの離れていく問題は、これはやっぱり企画庁と運輸大臣なり相当詰めたことを考えておきませんと、やっぱり国鉄再建案を仮に認めたとしましてもなかなかむずかしい。こういうふうに考えるんですが、内需拡大の中身をもし長官の構想ございましたら少し伺いたいんです。
  43. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 来年度の見通しにつきましては、いま鋭意いろいろな指標を集めまして検討いたしているところでございます。個人消費は、御案内のとおり、勤労者の個人消費支出を考えますと五十一年度は非常に落ち込みました。その五十一年度が低いこともございましたけれども、五十二年度は五十一年度に比較いたしまして着実に回復をしているというのがいまの実情でございます。したがって、物価が安定するということと相まちまして、個人消費というのがやっぱり大きな下支えになっているということは疑いのない事実でございます。  したがって、どの程度のものを考えるかということは、また経済見通し全体の中でわれわれが考えるべきでなかろうかと思います。確かにふところぐあいが悪いと、どうも国鉄に乗るお客さんの数も少なくなるではないかという論理はそのとおりでございますけれども、むしろ私は、現在のふところぐあいの中で、他の交通機関との競合というような問題、いろいろなそういう問題が大きな要素にもなるんじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  44. 大木正吾

    ○大木正吾君 いま長官、個人消費が着実に拡大しておるとおっしゃったんですけれども、これは少し数字的な面でお示しいただけませんか。
  45. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 個人消費でございますけれども、ことしの七月、八月、四−六月をとってまいりますと、全所帯の実質の消費支出は前年同期に比較いたしまして二・二と伸びておるわけでございます。それから七月は一・八、それから八月は〇・九と、実質の消費支出でございます。農家の方は四−六月が前年同月比三・八、七月が一・九、八月は、昨年がちょっと低かったということもございまして、五・八というふうに伸びておるわけでございます。そのほか単身所帯の伸びというのがございまして、これはやはりかなり高い伸びでございます。
  46. 大木正吾

    ○大木正吾君 これは見解の違いになると思うんですけれども、いま長官がおっしゃったことは、マクロのこの経済成長との関係から考えてまいりますと、いずれも、農家所得の伸びをとりましてもまあ実成長水準には行っていないですね、結局。ですから、これは少し比較の指標が違うかもしれませんけれども、やっぱり目標値六・七程度の実成長、こういったことをおっしゃっており、同時に実際には五%まで行ってない状態だと思うんですけれども、そういった中で個人消費が二・二やら一・八、農家所得が三・八と、こういうお話があったんですけれども、どうもそれは表の比較の対象によって違いますからこれ以上聞きませんけれども、やっぱり私の心配として残りますことは、こういうような国家全体の経済計画の伸びを下回る個人消費ということは、高木さん期待しても、お客さんふえないということを深刻に考えざるを得ないというように考えておりまして、このことはこの程度で打ち切っておきますが、次の問題に入らせていただきたいと思います。
  47. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) ちょっと一言。  個人消費支出——国民経済計算で申しますのは、ただいま申しました消費支出のほかに家計外のいろんな支出が計算されるわけでございます。したがって、このままの数字と全体の国民経済計算の数字と比較することはできないわけでございますので、その点は十分御承知で御質問と思いますのでつけ加えておきます。
  48. 大木正吾

    ○大木正吾君 時間の関係ございますから、田村大臣に伺いたいんでございますけれども国鉄赤字、説明を伺いますと建設投資の借金ですね、同時にこれに絡む金利負担問題、さらには大分貨物のシェアは減ってきてしまっているわけですね。同時に、過疎地の赤字の問題とか、あるいは公共割引の問題、そういったことは個別に余り——大きな流れとしますればモータリゼーション、要するにお客さんなり貨物を輸送する手段の競争関係ですね。こういったことなどが具体的に御指摘されているわけでございますけれども、この案を見ていきますと、どうも企業性、独立採算ですか、運賃の法定制の撤廃ですからね、そして人件費などを中心としました上昇分プラス一五%、上限ですが。  ですから、そういうふうに考えていきますと、結果的には、やっぱり中心的には問題の赤字の発生しました原因と、努力方向というか再建する方向が、運賃利用者負担の方にずっと寄ってきている、こういう感じが否めないんですけれども、それについて大臣、所管としまして矛盾を感じませんか。
  49. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は、その一五%、五%というのはすでに衆議院で修正されておりますので、修正案にのっとって私どもは御審議を願っておるわけでございますが、率直に言いまして、企業というものは独立採算制を指向することは当然でございます。ただ、国鉄という非常に公共性の高い、特殊な、しかも政府関係機関ということから考えますと、やはりすべてを国鉄にしょわせるということはこれは酷だと思います。でございますから、本来国鉄負担する限界を超えると思われるもの、一種の構造的欠損といいましょうか、そういうものにつきましては政府がやはり助成をして、国鉄に過重な負担をかけないようにしていくというような方途を講じていかなければなりませんし、今日までもそういう思想はずっと続いてきたわけでございます。しかし、この法律成立いたしましたならば、もちろん国鉄当局はやりやすくもなりましょうが、国鉄当局の責任も重くなる。と同時に、政府の責任もまた非常に重くなるということが言えると思います。
  50. 大木正吾

    ○大木正吾君 この改正法案の中で、二つ目に、関連業務の拡大というふうなのがございますけれども、これを読んでいきますと、すっと頭に浮かんできますのは、たとえばこの近くでございますと三島、当初三島の駅は、あれは「こだま」はとまらなかったのですね。修善非、伊豆長岡、古奈等の旅館業界から私も実は陳情を受けまして、私は、国鉄出身でもございませんから余り関係ないと思っておったんですけれども、労働界におりまして陳情を受けたことがあるわけなんですね。その後も、話を聞きますと、お客さんも相当ふえている、こういうことも現実の姿、あるわけですね。  それから最近の例ですと、下関の駅が新しくできまして、そして地元の方に伺いますと、私も国土庁等の具体的な資料をきょうは持っておりませんから何倍ということまではっきり申し上げられないのですけれども、新しい駅の周辺の土地を結局買い取っておったですね、デベロッパー等が。相当なやっぱり土地値上がりの益を、含み益という、間接益というか、国鉄の方はこう新幹線を通しまして、そうして国民の金なりそういったものを含めて開設していくんですけれども、絡んで周辺の土地が二倍、三倍上がっている。もっとたくさん上がってんですがね。そういったことで、開発に伴うところの、間接的というか、直接的というか、メリットですね、そういったものについて、実はこれを読んでいてすっと頭をよぎったのですが、そういう点について、大臣は何かお感じにならなかったですかね。
  51. 田村元

    国務大臣田村元君) この法案成立いたしますと、関連事業についての、つまり開発も含めましてですね、国鉄の当事者能力は非常に強まります。でございますから、ほぼ私鉄並みというところまでいけるかと思います。ただ、国鉄という性格上、私鉄のようにあらかじめ土地を買い占めておいて、そこに線路を敷くというようなことはこれは避けた方がよいというので、法の適用を受けないことになっておりますけれども、非常にやりやすくなるのではないか。それからまた、関連事業という点においては都市再開発もございましょう。土地の高度利用、あるいは第三セクターによる民間との共同の仕事、いろいろなことがございましょうが、このメリットは相当私は大きい。もちろん発足してすぐにどんどんとその効果が出てくるわけではないかもしれません。投資効果というのは、やはりその施設が完成してからのことでございますから。けれども、私は長い目で見れば、この投資効果というものは非常に大きいというふうに信じております。
  52. 大木正吾

    ○大木正吾君 私鉄並みという話も飛び出しているんですけれども、実は賃金とかあるいはいろいろ工事関係の諸費用を考えていきますと、やっぱり成長期の段階ですと、インフレーション、物価上昇でもいいんですね、こういったものが結局支出としてはどうしてもかさんでくるわけですね。そうして、いま申し上げたような土地の事例を引きますと、土地値上がりもそういったことと連動しまして、インフレーションメカニズムによって上がっていくわけですね。で、その部分の、本当ならば、これが私鉄の場合でしたら、あらかじめ土地を買い占めて駅をつくる、こんなばかなことを私鉄もやっているとは思いませんけれども、とにかく不動産経営なり、あるいはデパート経営、ゴルフ場経営ですね、そういったことをしながら、会社は別かもしれませんけれども、株式を持ち合いをしながら、いわば軌道部分赤字も私鉄経営の中ではある程度調整されていっている、こういう姿が民鉄の姿、こう考えているわけですね。  で、今度の場合には、そこまで、これはもちろん公共事業ですからいかれないわけです。とすると、国が一体この問題について、ここまで関連事業の拡大、土地の利用と、こうおっしゃったわけですから、その辺について私は、第三セクター論には、そうしてみても余りかわりばえがせぬという気持ちがございますので賛成でないのですけれども、そういった民鉄と国鉄を比べた場合に、日本の資源制約の中における土地問題、きわめて大事な問題ですから、そういったことに対して国鉄に何らかの赤字補てん財源というものを還元させるといいましょうか、そういったことはお考えにならなかったですか。
  53. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 今回の改正に関連いたしまして、ただいまお触れになっております開発利益がある程度国鉄の方にはね返ってくるようなことを考えるかどうかということを大分議論をいたしました。私鉄と比べて一番まずい点は、やはり多角的な経営ができないということと、レールを敷けばその周辺の地域の土地が値上がりすることを中心にして開発利益がいろいろな方に及ぶわけでございますけど、その開発利益の一部が私鉄の場合には私鉄にはね返るようにそういう経営を私鉄ではやっておられる。うちは公共事業だということもあって、開発利益は全く私どもの方にははね返ってこないということが非常に大きな差異でございます。  そういう面からいいますと、何かそこが工夫を要するんじゃないかという御意見も多々あるわけでございますけれども、開発利益という概念にもいろいろなことがございましょうけれども、少なくとも土地の値上がり利益というものを何かの形で、回り回って国鉄に及ぶようにするということは、どうも国民感情からいっても、まだとても許される雰囲気ではないのではないかというふうに受けとめておりまして、今回いろいろ事業が拡張できるようにお願いはいたしておりますけれども、新線をつくることとの関連において開発利益を国鉄の方に吸収するようなことをやるということはいまのところ考えていません。これは事情の変化といいますか、国民の皆さんのお受け取り方が変わってくればまた別でございますが、現状においては土地の価格の変化に伴うところの利益というものを私ども経営の方に及ぼすということは、まあ一つの考えではございますけれども、どうもやはりいまのところ国民感情的にそれは余り受け入れられないのではないかというふうに考えております。
  54. 大木正吾

    ○大木正吾君 国民感情的に総裁受け入れられないとおっしゃったんでございますけれども、私鉄というものが現実に日本の列島の中にあるわけでございまして、ですから、私鉄のように国鉄不動産会社というわけにはこれはいきませんですから。ですから、そこのところをもう少しやっぱり突っ込んで議論していきますと、国鉄を国有鉄道とし、同時にさっきお話がありました逆の面で、じゃ運賃だけの方にこうしわ寄せしますとまた国鉄離れが起きますわね。しかし、実際には開発してメリットなりあるいは受益が起きてくるものは、むしろその周辺に土地持ちのデベロッパー等が大きい。こういうふうになってきますと、このことはまた運賃の方ばっかりにしわ寄せしてきて、開発のメリットを受けている人は涼しい顔をしている。これも国民感情として私はなかなか納得しがたいものがあろうと思うんですね。  ですから、その辺のところをもう一工夫しながら、やっぱり国鉄自身は私は調査、追跡ですね、そういったことも必要であろうし、大蔵大臣おりませんけれども大蔵省に対して赤字のたな上げをしてもらうといったとき、そういったことがやっぱり考えられて裏づけされてませんと、まあ国鉄の働く仲間が何かふまじめであるとか、あるいは事故を起こすとか、そういったことばかり責任が転嫁される、そうなってしまうと思うんですね。ですから、そういうことについての追跡調査、これは簡単にもうできるわけです。下関の駅の計画をいつつくったか、いつ新幹線の駅が開いたのか、そしてその後に、その間の土地のここ十年間追跡調査すればすぐわかることなんですね。そういったことをしながら国鉄赤字を国の方でめんどうを見ることは当然だというこういった立証を私はしないと、総裁と逆の面が、さっき申し上げましたけれども、むしろ国鉄離れがますます拡大するということを憂えるものですから、あえてもう一遍聞きたいんです。
  55. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいまのような御意見はかなり大ぜいの方が持っておられる御意見でございます。まあ幾つかの具体的な例につきましても、私の方が十年がかり、十五年がかりでレールを敷きまして、最初は人口が非常に少ないということで大変赤字が出ます。だんだんそれは人口がふえ、お客さんがふえると少しずつは消えていきます。しかし、それにしてもやはりかなりの赤字が残るようなことになります。その場合に、私鉄の場合にはある程度開発利益によって、レールでは損が出るが不動産扱いを通じて益が出るというようなことになってまいるわけで、そこに、ある種の経済合理性というものが働いておるわけでございます。  私の方はどうもレール専業である。国鉄とはどういうものかということの基本に、やはり何としても百年にわたってレール専業であるという観念が基本にありますので、他のたとえば不動産事業に手を出すというようなことになりますと、まず民業圧迫だとかそういう声が聞こえてくるわけでございまして、それらをどう受け取られるかということについては、やはりこれは国鉄自体の問題というよりは、国民一般の方々の受け取りがどうであるかということによって左右されてくる問題ではないか。いまのような御意見が一席広まってまいりましたならば、その時点においてわれわれも考えさしていただきたいと思いますけれども、どうも私はいま現時点ではまだそうした、どんどん不動産業をやって、そうしてそれによって利益を吸収して赤字を埋めていけというお考え方一般的であるとは言えないのではないかと思っておるわけでございます。その辺は一般のお受け取り方の変化に応じていろいろ仕事のやり方を変えていくべきではないかと思う次第でございます。
  56. 大木正吾

    ○大木正吾君 大臣にも伺いたいのですけれども、これ、非常に大事な問題で、結局モータリゼーションの社会の中で貨物のシェアが減り、グリーン車を値上げしますとお客さんが減っていくわけですね。ですから、値上げをしたけれども再建策がなかなか実らないという心配が、私自身は今後の日本経済のローリング状態というのは激動状態、あるいは本当にそれこそ国全体の経済国鉄だけじゃないです、大変にやはり激動する中におきまして、この不安を通してもやはりだめかということになりかねないと思うものですから、ですから、このことをしつこく聞いているのでございますけれども、やはり追跡調査などをしながら、いま持っている土地なんかを利用することは大いに結構なんですけれども、しながら、たとえばたな上げしました二兆五千四百何がしの金がございますけれども、そういったものを国民的に肩がわりをしましたと、本当に民間経営ならばこれは当然不動産会社、関連の会社でもって収益を上げ、軌道の赤字はそこで埋めていくんだけれども国鉄はそれはできませんという、こういう問題のアプローチがなければ、やはりたな上げ問題についても国鉄総裁以下職員の方々は大変なぼくは気の毒な立場に立っていると思うのです。やはり高成長のメカニズム、そうなっていますからね。  そこで大臣に、たな上げ問題に絡んで大臣、この案が通れば自信を持ってやると、こうおっしゃっていますけれども、本当にやれるんでしょうか。私はどうもやはりモータリゼーションなり、あるいは確かに新宿と小田原ですか、その運賃国鉄と小田急を比べて、いまでも国鉄は高いですわね。まさか値上げするときに新宿と小田原間だけは現状据え置きというわけにいかぬでしょう。そういう目に見えたこともございますので、その辺のことについて大臣のお考え方があったら聞きたいんです。あくまでも民間との競争状態とかそういった中での問題として、公共の枠の中の問題と、同時に国鉄の開発した、いわばそれに関連しました間接的なメリットについてはこの再建策の中に考えとして入れなくていいのかどうなのか、そこのところを聞きたいのですが。
  57. 田村元

    国務大臣田村元君) いまの新線を建設した場合の駅周辺の地価の高騰というものをどのように国鉄赤字対策で吸い上げていくか、これは大変大きな問題でございまして、恐らく税制問題になるのではないかと思いますが、ちょっと私個人で、運輸大臣という立場で直ちにお答えできる問題ではないと、むしろこれは内閣自体の将来の検討事項であり、どのように方向づけるかというような問題であろうと思うのです。恐らくそう簡単にすぐに結論が出せるものでもなければ、方向づけを示すこともなかなかむずかしいだろうと存じます。  問題は、私も個人的にいま伺っておっておもしろいアイデアだとは思うんですけれども、さてこれをやるとなるとなかなか厄介だぞというような感じで実は先ほどの質疑を承っておりました。  そういうことでございますが、ただ再建対策というものについてのいまのちょっと関連した御質問もありましたから申し上げますならば、従来の再建対策要綱というものは短絡的に運賃というものと結びつけてしまったわけですね。そうして非常に長い期間を設定して失敗し、短い期間を設定して失敗した。それはゴールをきわめて明確に設定したところに問題があったと思うんです。でございますから、今度は「基本方向」を踏まえまして、二年間でとにかくあらゆる赤字要因を洗い出して、そうしてその上に立って政府の果たすべき役割りも必要でございましょう。そういうものを、あらゆるものを設定して、そして準備をして五十五年度から正規のレールに乗っけて、なるべく早い機会収支均衡を図ろう、こういうことでございますから、私は従来の再建要綱から見ればはるかに柔軟だ、それだけに狂いは少ないというふうに考えております。どうぞひとつその趣旨を御理解いただきたいと思うのであります。
  58. 大木正吾

    ○大木正吾君 いまの問題、これは確かに基本にかかわる問題でございますから、やりとりしましても恐らく時間がたつばかりでしょうから質問の趣旨を変えてまいりますけれども大蔵省の方お見えでしょうか。いられますか。——今度肩がわりしました二兆五千四百億の負債に絡みましてなんでありますが、この中には、はっきり借金あるいは国鉄債ですね、そういうものの債務あるいは利子ですね、そういった要素が入っているかどうか、それを伺っておきたいんですが。
  59. 松下康雄

    政府委員(松下康雄君) お尋ねの二兆五千四百億円の肩がわり債務の内容でございますけれども、これは昭和五十年度末に国鉄が持っておりました長期の債務があるわけでありますけれども、その長期の債務の中で昭和五十年度末の繰越欠損に見合う金額、これが三兆一千億円余りあったわけでございます。その三兆一千億円に対しまして、国鉄の再評価積立金の一部を取り崩しまして繰越欠損の一部を補てんをいたしましたので、それでなお残りました二兆五千四百億円に当たる国鉄の債務を政府が肩がわりをするということに決めたわけでございますので、肩がわり前の状態では、国鉄が資金運用部等に対して持っておりました借入金なりのこれは債務でございます。それを返済をいたします際に、年々元利を補給してまいりますので、補給いたします都度、元本の方は一般会計から国鉄に対する無利子の貸付金に変わってまいるわけでございます。
  60. 大木正吾

    ○大木正吾君 もう一遍お答えいただきたいんですけれども、二兆五千四百四億ですか、この中に国鉄債の元本もしくは利子が何%かでも含まれているかどうか、このことを私伺っているんですが、これは総合経理ですからはっきり出てこないのかもしれませんが。
  61. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま大蔵省から御説明ありましたように、五十年度末の三兆一千億の赤字の中には利子が相当入っているわけでございます。いわゆる赤字運転資金と言われておりますものは鉄道債券でカバーしているというようなたてまえになっておりますので、相当量の鉄道債券に伴う利子が三兆一千億の中には含まれているというふうに御理解いただいていいと思うんです。
  62. 大木正吾

    ○大木正吾君 大蔵省に重ねて伺いたいのですが、俗論というとそれまでですが、赤字公債と国鉄債、電電債、電力債ですね。そういうどこで分けたらいいかわかりませんけれども国鉄のこの赤字状態からしますと、国鉄債そのものは不良国鉄債というか、あるいは不良債券というか、そういうことになりますので、これは来年度予算の編成等なり、今後の国鉄再建に絡んで、先ほど田村大臣からの——私じゃありませんが、前の方の質問に対する答弁があったのですけれども、要するに今後の債券の発行、これに関しまして大蔵省赤字公債の枠は三〇%の枠を超えない、こういうふうに一般で言っていますね。  そして債券の発行というものを、建設債だからいいか悪いかという議論があるわけですけれども国鉄の今度のこの赤字のたな上げ問題に絡みまして、その辺の感触について、ここの債券は発行させない、将来必ず赤字になって返ってくる、こういう問題等につきまして、私の考えでは、どうも赤字公債、赤字国債とを——建設債というものについて余り何というか、建設債の方はどんどん出してもいいのだけれども赤字国債はいけない、こういう区分はなかなかできないというふうに考えているのですけれども、その点、大蔵省見解を伺いたい。
  63. 松下康雄

    政府委員(松下康雄君) 一般会計の発行いたします国債につきましては財政法四条、いわゆる建設公債の部分と、特例法によります特例債の部分とこれはあるわけでございますけれども、いずれも国の一般会計が発行しております国債でございますから、これを最終的に償還を担保いたしますものは将来の税収ということに相なるわけでございます。ただ国鉄の場合に、国鉄が発行いたします鉄道債券は、これは企業体としましての国鉄がみずからの必要な資金を調達をいたしまして、その返済は将来の鉄道事業の収益あるいは関連事業の収入というようなものからこれを返していくというたてまえであるわけでございます。  したがいまして、国鉄の発行する債券でございましても、それが投資の財源に当たるものでございましても、全体としての国鉄経営が非常に困難であるから、それは建設的なものであっても内容は健全であるのかどうかという御質問であると存じますけれども、私ども立場といたしましては、そのように国鉄が発行してまいります鉄道債券の信用を将来にわたって維持して、円滑な資金調達ができてまいりますようにということも非常に考えながら、ぜひとも国鉄再建を軌道に乗せていきたい。国鉄再建をなしていくことによって鉄道の債券、国鉄債券の健全性が担保されるものだというふうに考えているわけでございます。
  64. 大木正吾

    ○大木正吾君 大臣に伺いたいのですが、これはいまの大蔵省の答弁、確かに理論的にはそうだと思うのですが、問題は、国民から見ますと、自身が今度の再建案を仮に軌道に乗っけたとしたとき、その時点なりその後の段階で、国鉄債券返済ということも考えながら、出す方向に行くと考えておいた方がいいのですか、これは。それともそういうことは当面考えないと、こういうふうに考えていいのでしょうか。質問がはっきりしなかったのかもしれませんけれども、新しい建設工事、新幹線その他、そういうことにつきまして資金の調達をするときに、国鉄債券というものを今後出すとした場合——出すのか出さないのか、出す場合に、一応この計画自身が軌道に乗ってから出すのか、あるいはその途中で出すのか、そういったことを伺いたいんです。
  65. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国鉄は現在八千億を超えるような工事を毎年やっているわけでございます。その調達資金は大蔵省からの借入金と、それから国鉄自体の鉄道債券の発行と二つあるわけでございます。今後工事を進めます場合に、採算がとれる工事であるかどうかということが非常に重要ではないかと思います。一般企業の場合でも借入金で設備拡張等をいたしておりますが、そういう設備拡張によりまして借入金を返済し利子を払っているというのが現状でございます。したがいまして、問題は今後国鉄がやります工事の性格によると思います。その点につきまして、私どもといたしましては「国鉄再建基本方向」の中に示されておりますように、今後建設のやり方について投資採算というものを考えながら基準をつくっていきたいと考えているわけでございます。  したがって、国鉄が自分の営業上の必要でやらなきゃいかぬというようなものについては国鉄の責任でやっていただく。しかし、どうしても国の政策面あるいは地方振興というような、国鉄としては本来やりたくないけれども社会的要請でやらなきゃいかぬというようなものについては、やはりその投資が十分採算に乗るかどうかということを見きわめて、国鉄負担にならないような方向で措置をしなきゃいかぬ。したがって、そういう場合に従来のように借入金だけでやっていいかどうかということについては問題があろうかと思います。
  66. 大木正吾

    ○大木正吾君 本問題につきまして、これはいずれ来年度予算の編成問題とか、あるいは今後の国鉄再建の成り行き等を見ながら、さらにまたただしてみたいと思いますので、時間がありませんので次の問題に移ります。  大臣、この計画の中で五万人という雇用合理化問題が出ているわけでございますけれども、中身を伺いますと、実際は一万五千人前後と、こういう話もあるんですが、六十万人おりました国鉄が現在四十三万人、すべてではありませんが、線区なりあるいは過密ダイヤ等を見ていきますと非常に危険なところもあるわけですね。私は、実はこれ以上余り人減らしということをしてほしくないという気持ちを持っているのですが、この再建に絡んで人員を縮減する、一万五千人ぐらいはどうしても減らしたい、こういうお考えがあるようですけれども、それについてどうしてもやることになりましょうか、どうでしょうか。
  67. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 問題は二つございまして、現在四十三万人という非常に大ぜいの職員でございます。うちの総コスト中の人件費割合が七割ぐらいになっております。今後ともやはり福祉の向上との関連において人件費はある程度上がっていくことが国民的にも望ましいことだと考えますと、私ども経営にとりまして、やはり何としても人件費ウエートが高いということが非常に経営困難の一つの理由になりますし、やはり資源配分の観点からいいましても、なるべく少ない人で同じだけの仕事ができるように心すべきものではないかと思います。しかし、いまのところ、全体として将来に向かってどういうふうにするのかという十分の目標を持っておりません。ただ、当面この五カ年の間には現在の仕事について五万人ぐらい少ない人で何とかやれるようにできないか。しかし、また新しい仕事がふえてまいりますから、その新しい仕事に充てるためには三万五千人ぐらいの人がどうしても必要であろうということで、この五年間ではネットで一万五千人ぐらいの少ない数の人で何とかやっていけるように仕組むべきではないかというふうに考えております。  それは、ただではできないわけでございまして、いろいろやり方を変えなければいけない。いま四十三万人でやっている仕事をいまのままでただ一万五千人に減らすということを考えているわけではないわけでございまして、いろいろと仕事の仕方を切りかえる。一例を挙げますと、切符を販売する場合に、このごろはだんだんと自動販売機というようなものを使うようになってまいりましたから、そうしたことはごく一例でございますけれども、そういうことを通じまして、必ずしも人力に依存しなくてもよろしいものをだんだん切りかえていく。あるいは必ずしも直営でやらなくてもよろしいものを民間に委託するというような形でやっていくというようなことを通じて、この五年間にその程度のいわば要員合理化をいたしてみたいということで研究努力をいたしておるわけでございまして、これはしかし、そうだからといって、いたずらに労働過重になるとかそういうことにはならないように、負担をふやさないで仕組みを切りかえることによって少ない数に減らしていきたいというのが現在進めている計画の内容でございます。
  68. 田村元

    国務大臣田村元君) ちょっと誤解があるといけませんから申し上げておきたいのですが、公共企業体等基本問題会議における国鉄総裁の意見陳述という中にもございますが、構造的欠損、その三番目に、「戦中戦後、国の機関として国策遂行上生じた要員構成の歪みによる負担」というような項目がございます。で、首を切るという意味じゃないんです。要するに、向こう十年間で二十万人余りの人が自然にやめていくであろう。こういうことが言われておりますが、そういうものを土台にしての計算でございますから、いわゆる俗に言われる首を切るとか生首を切るというようなことではございませんので、その点の誤解のないようにお願いをしたいと思います。
  69. 大木正吾

    ○大木正吾君 大臣の答弁の補足がございまして、これ以上この話はいたしませんけれども、やっぱりいまの製造業の惨たんたる状態からいたしまして、三次産業の持つウエート、国鉄なり電電等はそういった意味では大きな部門ですから、ただ、田舎の小さな駅における仕事の縮小など絡んできますと、土地つきの方が多いですから、そういった方は、大臣のお言葉ではございますけれども、どうしても転勤ができないということも起こるかもしれませんので、いまのお言葉をぜひ今後の運用の問題の中でも十分にうまくやっていただきたい、こういうように考えているんです。  さて、最後になりますけれども、私自身、いまの経済情勢の問題で、冒頭、オイルショックですね、一つは。同時に、円高という最近における大変な国際的な圧力の問題に絡みまして、この計画自身が本当に大臣のおっしゃるように、また総裁のおっしゃるようにうまくいくかどうか非常に心配している一人なんですが、今度失敗しますと、これは決定的な国鉄再建というものはむずかしいことにもなるわけですね。ですから、そういうことに絡んで一つだけ伺いたいんですが、大臣はあれでしょうか、日鉄法にあります、三十九条の三ですか、たとえば予算総則とか債務負担行為などございますけれども、こういった問題について国鉄当局の自主性というものにつきまして、これを緩和するといいますか、大蔵省は非常に厳しいですけれども、それについて自主性をもっと認めて拡大していく、こういった方向についてお考えになっていただけますか。
  70. 田村元

    国務大臣田村元君) 三十九条の三ですね、この面につきましては、いまのところ特にこれをいじくるというつもりはございません。
  71. 大木正吾

    ○大木正吾君 運賃法定主義という相当大きな問題を手がけておるわけでございますから、弾力性ということもずいぶん経済動向に絡んで大臣もおっしゃったわけですからね。やっぱり国鉄内部の運営につきましては、相当程度私は同じような仕事をしてきた労働団体とかあるいは公社の生活経験からしまして、この辺の問題がどうも今度の法定制緩和の問題と関連しまして、やっぱり国鉄の自主性なり主体性というものが、いまの現状でいくというんだったら私はどうもその中身においては余り意味がないといいますか、そぐわない、こういう感じがするんですが、どうしてもここは変えるわけにはいかぬですか。
  72. 田村元

    国務大臣田村元君) 私がいまこの問題をいじくる考えはございませんと申しましたのは、ちょっと具体的に申しますと、現在基本問題会議国鉄の当事者能力という点について御審議をいただいておりますから、でございますから、私からとかくいま論評する時期ではないという趣旨で申し上げたのでございまして、基本問題会議がどのような方向を打ち出しますか、それを受けて対応したいと、このように考えております。
  73. 大木正吾

    ○大木正吾君 時間が来ましたのでぼちぼち終わりにいたしますけれども、再度大臣に伺いますが、さっき申し上げた経済の客観的なこの国鉄周辺の問題ですね。国鉄の周辺を取り巻く経済条件の悪さといいましょうか、ローリングが非常に激しいわけですよ。そういったことと同時に、国鉄の開発に絡みまして、そして実際には国鉄は軌道を中心としました非常に採算のとりにくい仕事を押しつけられている。同時に、その問題が結果的には運賃の問題に、いわば利用者負担という言葉がございますけれども、その方に最大にしわ寄せになっている。  私、総合して追ってみますと、やっぱり最近の国鉄離れあるいはグリーン車のお客の減ったこともございますけれども、そういったことにどうしても本計画自身がいく、あるいはいかざるを得ない、三回目の失敗ということになる危険を非常に感じておりますので、この辺のことについては、大臣の所感があったら伺いたいんですけれども国鉄自身はそういった仕事の制約もございますから、むしろ企業ですから、確かにこの財政問題なりそういった採算問題等明らかにすることは必要ですけれども独立採算という形の中でもって問題の解決を図ることは非常にむずかしいんじゃないか、こういったことを心配しておりまして、法定制を撤廃する、あるいは緩和する、こういった問題については、いまの質疑の関連からいたしましても賛成しかねる一人でございまして、もし大臣、所感がありましたら最後に伺いたいんです。
  74. 田村元

    国務大臣田村元君) これはぜひ御賛成をいただきたいんです。といいますのは、何回目の失敗といまおっしゃいましたけれども、実は今度は第一回目の試みなんです。従来は、率直に言って運賃値上げというものに短絡的に期待をした。ところが、今度は国鉄当局に相当な当事者能力を与える。それは運賃の緩和問題もあります。また、投資範囲の拡大ということもございます。いずれにしても、ある程度の当事者能力を国鉄は回復をしたわけでございます。しかも従来の再建計画と違いまして、これから国鉄がやってまいりますのは、とにかく五十三年度、五十四年度に先ほど申し上げたようにあらゆる赤字要因を洗い出して、そしてそれに対応する方策を全部決めていく。もちろん国が大いに協力をしなきゃならぬことは申すまでもございません。従来にも増して協力をしなきゃならぬ、これは当然のことでございます。  そのようにして、しかも五十五年度収支均衡年度として定めるのではないのです。五十五年度には少なくとも収支均衡に向かって正規のスタートをさせようと。従来の感覚からいえば非常にゆとりのあることであり、しかも二年間の準備期間を置いたということは、一つには景気の動向等も方向が定まってくるであろうということもございます。  でございますから、これは初めての試みといってもいいわけでございます。私はこれは成功すると思っておりますし、またさせなければならない。国民に対する責任からいってもさせなければならぬ。言うなれば、環境が全然違って、従来の国鉄の生活環境といいますか営業環境と、これと全然変わった環境下においてやるのでございますから、とにかく国鉄に一遍やらしてやってほしいのです。政府もその責任の重大さを痛感しております。可能な限り政府助成等において協力をしていきたい。本来国鉄負担限界を超える分についてはということをおざなりに考えないで、真剣に受けとめていきたい、このように考えておりますので、総評で元来聡明な事務局長としてその敏腕をうたわれた大木さんでありますから、恐らくそういう展望はすでにお持ちでございましょうが、何分とも労働界の大重鎮でありますので、御賛同を賜うてひとつこの法案成立へのムードづくりの一翼を担っていただきたいと心からお願いをする次第でございます。
  75. 大木正吾

    ○大木正吾君 大臣から最後の方は少しおだてられた形になってしまったのでありますけれども、私が国鉄総裁ならば、短兵急にというと失礼に当たりますが、五十五年、非常に国際経済、国内経済がローリングしておりますからね。一般消費税問題などの導入のチャンスもなかなか大蔵省もつかみにくいと思うんですね。そういったこと等を総合して考えますとね、高木総裁、こういうものでもっていま再建策をやって、そしてもしお客が減ったらどうするのだ、そういうことなどを考えていきますと、どうしてもこの法案というものは、確かに新しいアイデアが相当入っています。入っていますけれども、自分が総裁であったらどうしようかということを考えますと、五十五年までに云々というお話がありましたけれども、ちょっと時期がそぐわない。こういう感じがいたしますので、私はこの法案についてはもう少し時期を見て再度御提出あった方がいい、こういうふうに考えていますので、最後にこのことを申し上げて終わらしていただきます。
  76. 大森昭

    ○大森昭君 大木さんから大分質問がありまして答弁がありましたから、簡潔に御質問をしたいと思いますが、お話を聞いていますと、国鉄再建のとにかくも基盤になるし、新しい国鉄としてどうしてもこの法案を通してもらいたいという運輸大臣お話がありますが、ただ私は、物特という立場で申し上げますと、せんだっても斎藤委員長にお供いたしまして沖繩に行ってまいりましたけれども、沖繩でいろいろ問題がありますけれども、戦後処理の問題もありまして多くの問題がありますが、いずれにいたしましても、この物価の問題を調査いたしますと、何といっても離島という関係がありますから、運送料といいますかね、それが大きく物価に影響しているということがわかるわけです。  もちろんこの沖繩の離島という状態をストレートに国内に当てはめる——国内といいますか、本土に当てはめるということは少し無理があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、運賃の問題をとりますと、何といっても国民生活に重大な影響を及ぼすわけであります。ですから、そういう意味からいって、国鉄再建の基盤になるということはよく理解できますが、一体今日のインフレと物価高の中で、この運賃の問題がどのぐらい消費者物価に対してのウエートを占めているのか。同時に、多くの産業の中でこの運賃というものがどういう形で物価にはね返っているのかということについてどういうふうに把握をしているか、冒頭、回答していただきたいと思うわけであります。
  77. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) 消費者物価の中に占めます国鉄運賃のウエートは、五十年の家計調査によりますと一万分の九十ということになっております。したがいまして、仮に昨年の運賃の引き上げが五〇%あったわけですけれども、その場合にはおおよそ〇・五程度の消費者物価への影響が出たというふうに私どもは考えております。
  78. 大森昭

    ○大森昭君 昨年の五〇%の値上げを含めてのいま答弁ですか。
  79. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) 消費者物価全般の影響をとるときに、一万分の九十というウエートに対して何%上がって、それがCPIにどのぐらい響くかということになるわけですが、たまたま昨年の引き上げの例がございましたので、五〇%上げた場合に消費者物価には〇・五%影響したということを申し上げたわけでございます。
  80. 大森昭

    ○大森昭君 いや、その〇・五%というのはやむを得ないものだというふうに判断をしていますか。
  81. 藤井直樹

    政府委員藤井直樹君) 各公共企業体の料金をどうするかということにつきましては、やはりその企業経営の状況がどうかということから来るわけでございますが、そういう企業赤字が生じた場合の負担について、それがストレートに利用者負担に来るということであるかどうかということは各企業の性格によるわけでございますが、国鉄の場合は一方で公的助成の問題も出ておりますし、また経営合理化努力もなされているということから、利用者負担の問題として見ますと、まことに消費者物価に対する影響から見まして、影響が出てまいるという点については私どもとしても非常に懸念をいたしたわけでございますけれども、全体として本年度の物価目標を立て、その物価目標を達成していく過程におきましてはこの程度の引き上げはやむを得ないのではないかというふうに判断をいたしたわけでございます。
  82. 大森昭

    ○大森昭君 数字が好きですから、〇・五%という数字で判断をして答弁なさったんだろうと思うんですが、実際に国鉄運賃が五〇%も値上げされれば多くのものがどのぐらいの物価高になるかということは、〇・五%なんていうのは数字の問題じゃないと思うんですね。特に、この運賃が値上がることによってのその心理的波及効果というのは大きなものがありますよ。ですから、そういう意味からいきますと、先ほど総裁の御答弁でいきますと、今度の法案が通った暁には人件費と多少の物価高みたいなものだけが、というような答弁が先ほどありましたけれども、もう少し、衆議院における修正案もあるわけでありますが、どうも一説によりますと、三〇%近くもやろうと思えば値上げができるんじゃないかという話も聞いておるんですけれども、具体的にはどういうことになるわけですか、この数字でいきますと。
  83. 田村元

    国務大臣田村元君) それは物価等変動率がどういうふうになるかということが大きな算定基準になります。でございますから、昭和五十一年度物価等変動率を仮に一〇%としてとるとするならばという先般も運輸委員会で問答があったんでございますが、この値上げのパーセンテージというものはあくまでも上限でございます。上限でございますからその範囲内でということになります。仮に一〇%をとった場合に、おおむね上限が十三%ということになれば当然二年たてば二六%ということになりましょうけれども、現実には経営努力その他いろいろなものも加わってまいります。でございますから、そういうような数値をとって国鉄総裁運輸大臣に申請をしてくるということはあり得ない。しかも将来を考えれば、必ず物価等変動率は下がっていくであろう。先ほども御答弁申し上げましたように、狂乱物価の余波を、まだ幾らか後遺症を受けておる五十一年度物価等変動率というものと、これから物価が安定していくであろうところの物価等変動率というものとを一概にイコールで並べて論ずることは避けなければならぬ。私はそういう考え方からいって、運賃値上げ幅というものはそう大きなものにはならぬというふうに考えております。
  84. 大森昭

    ○大森昭君 話は抽象的にはわかるのですがね、大臣。たとえば五十一年度の例でいくと、五十二年度運賃は当時の運賃からどのぐらい、たとえば一〇%、八%、七%、一五%ということで計算をすると上がりますよという数字を具体的に説明しないとね。話はよくわかるのですよ、でも具体的に数字で示してもらいたいと思うのですがね。
  85. 田村元

    国務大臣田村元君) 前年の運賃値上げとは全然意味が違いますから、実質イコール名目にしなければならぬのでありますから、その意味で仮定の計算とはいえども、前年のことを基礎にして数字を出すことは私は妥当でないと、このように考えます。
  86. 大森昭

    ○大森昭君 どうも数字も明らかにされませんし、それから先ほど大臣の御答弁からいきますと、運賃を決める委員会の構成も、各党でいい方があったら御推薦してくださいなんていう話もありますけれどもね、どういう形でこの運賃が決められていくかというこの段取りも明確にならないわけですね。これでは少なくとも国鉄再建の基盤であるから何とかこの法案を通してもらいたいといっても、それは私ども実際問題としてこの法案が通ればどういう形で運賃が上がっていくのか、そしてどういう人たちのもとでこの運賃が審議をされていくのかということが明らかにならなければ、さようでございますかと言うわけにいかないんじゃないですか。
  87. 田村元

    国務大臣田村元君) ちょっといまの御質問を私が趣旨を取り違えた御答弁になるかもしれませんが、物価等変動率なんかを基礎にしましてそして上限を定める。前年の経費と上限を定める。そしてそれ以内で実質と名目をイコールにしていくための経営努力をうんとやるということがまず大前提でございます。同時に、元来国鉄負担すべき限界を超えておるものという公共性の強い面については、国が適切な助成をしていくことも一方においてしていかなきゃならぬ。そのようにしまして、ですから、いわゆる算定されましたその年の上限というものよりはかなり低い線になって、名目、実質がイコールでという形で出してくる。それをまず出す前に、国鉄の内部において国鉄総裁の諮問機関である委員会が十分にチェックもするでしょう。そしてわれわれ受けますと運輸審議会に御審議を願う。  私が昨日運輸委員会でちょっと御説明申し上げましたことは、運審で御審議願えれば、運審の方は非常に人格識見ともにりっぱな方であり専門家でありますから、それでいいんではございましょうけれども、しかし、法定制から一気に緩和という大きな変貌をさせるわけでございますから、運審の中においてもダブルチェックをしていくことを考えなきゃならぬ。それにはまあ学識経験者にも入っていただく、あるいは利用者の方、その辺のいつも利用しておられるサラリーマンにも入っていただき、主婦に入っていただくことも結構でございましょう。そういう方々によって構成される委員会といいますか、調査会といいますか、そういうものを運審の中に入れまして、国鉄運賃についてはその人々の、その機関の意見を運審の委員たちは全体会議で十分聞かなきゃならぬとか、あるいは地方において公聴会で、そういう人たちがどんどんと行って公聴会の意見も聞かなきゃならぬとか、たとえて言うなれば、そのような形の機関をひとつつくりたい。  それは任意につくらせるんでなくして、せめて省令ぐらいでしっかりしたものでつくりたい、そこでどんどん意見を言ってそれを聞かなきゃならぬ。その意見を聞いた運輸審議会が適切な判断を下し運輸大臣のもとに答申をしてくる、運輸大臣はそれを基礎にして判断をして決裁をするという手順になるということをきのうは申し上げた次第でございます。
  88. 大森昭

    ○大森昭君 いまの運輸審議会委員というのはここに名簿あるんですが、七名の方でしょう、いまですね、そうでしょう。この七名の方は非常に優秀であるけれども、これでは多く各界の意見が十分じゃないからいま大臣が言われたようなものをつくるというわけでしょう。ですから、確かにそのとおりでありまして、どなたがどうとは申し上げませんが、少なくともこの七名の方々だけでこれは運賃が決められるというか、答申が出るなんていうんでは、正直申し上げまして、それぞれ各界ではこれはもう学識経験優秀な方でありますけれども、しかし、今日国鉄を利用するんだって若い人が多数いるわけでしょう。そうなってきますと、いま大臣が言われた内容でいいんでありますけれども、その考え方を大体いつごろまでに、きのう答弁されたというので、まだきょうは具体的なものをお持ち合わせないと思うんですが、いつごろまでにいまの中身を成案するんですか。
  89. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は、私はちょっとせっかちでございますので、昨日御答弁申し上げて直ちに官房長を運審に派遣いたしました。ちょうど運審は全部そろっておられたようであります。そこで私の構想を御説明申し上げたというような急ぎ方をしたわけでありますが、これはきわめて早い機会に結論を出したいと、このように思います。
  90. 大森昭

    ○大森昭君 ちょっとこれは関連してなんですけれども国鉄運賃のありようについてそういう新しい発想ですね、立てられましたけれども、そのほかにいろいろありますね、公共料金ね。そういうものについては政府の統一見解としてもう少し——たとえば郵政審議会もあるし、NHKに経営委員会があるし、いろいろ多様にありますけれども、おおむね政府としては、そういう公共料金を定めるに当たって、今日いろんな形になっているけれども、より多くの意見を聞き適正にという意味合いでの議論はまだないわけですか。
  91. 田村元

    国務大臣田村元君) 実はNHKのことまでちょっと私もわかりませんが、何か総評では国鉄をNHKのようになさるようなお考えもあるようですけれども、ちょっとこれ私には何とも申し上げようがございません。ただ、現在の運輸省所管に関して申し上げますならば、運輸省の中では各局が縦割りなんです。でございますから、てんでんばらばらで運賃を決定していく。でございますから、グリーン料金が飛行機より高くなったりするというような、言うなれば運輸省の各局というのは、下世話で申せば商売がたきがそろっておるというようなところがあるんです。でございますから、まず総合交通体系というもの、これは昭和四十六年答申、四十六年の閣議了解等がございまして、その方向はまだおおむね妥当だと思いますが、この総合交通体系はいずれにしても大きな手直しをしなければなりますまい。そこで、この総合交通体系というものにそぐった行政機構を改めなきゃならぬ、私はそう思うんです。  そして、これは仮称でございますが、たとえば運輸省に運輸政策局のようなものをつくる、そしてその運輸政策局なら運輸政策局に各局は自分たちの所管の運賃値上げについては——運賃値上げといいますか、運賃政策についてはすべて相談をしなきゃならぬ。つまり、一種の共管でございますね。しかも運輸政策局長というのは次官補と言ってもいいような高い身分にし、強い権限を与えるというふうにして調整役を果たさせる。このようにして、言うなれば総合運賃政策のようなものを樹立していくということは考えていかなきゃならぬと思うんです。私がいまひそかに想を練っております行政機構改革においては、そういう考え方を強く持った案というものを用意しておるということでございます。
  92. 大森昭

    ○大森昭君 いずれにいたしましても、運賃というのは個々の家庭の生活の中にも大変影響がありますし、もう日本国全体の産業にも影響がありますので適正にやっていただくわけでありますが、そこで朝から質疑を聞いておりまして、言葉ではいろいろよくわかるんでありますが、しかし、具体的にどうもしっくりいきませんのは、今回のこの法案の改正によって国鉄再建の基盤を図ると幾つか言われましたけれども、公共事業か企業かという議論なども総裁から言われましたですけれども、一体徹底した経営の改善を行うとかいろいろ言われてますが、やはり公共事業というのはそう勝手に徹底した企業改善なんというわけには、民間企業のようなわけにはいかないですね。  一つのものを行うに当たりましても住民の皆さん方の同意を得なきゃいかぬし、それから少なくともそこに働く——先ほど大臣、首を切らないという話がありましたけれども、当然近代社会の中でそうやたらに首が切られるようなことがあっちゃいけないわけでありますから、しかし、首を切らなくても、十分労使関係の中でお互いの理解をさして、その計画をやっていくということになるんだと思うんですが、先ほど自動販売機の問題、五万人合理化の問題を言われましたけれども、具体的に国鉄として五十五年を目指してというさっき運輸大臣の話がありましたけれども、こういうことと、こういうことと、こういうことを国鉄当局としてはやっていきたいという具体的な計画があるんですか。
  93. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 昨年の法律改正で、私ども経営改善計画を立てまして運輸大臣に提出するということが法制上決められたことは御存じのとおりだと思います。  そこで、まずその第一回といたしまして、この四月に当面の経営改善計画を作成をいたしまして運輸大臣に御提出したものがございます。で、そう一挙にいろいろな問題を取り上げるだけの時間的余裕もございませんでしたので、必ずしも十分なものとは思っておりませんけれども、順次内容を整備してまいりたいと思いますが、この春御提出申し上げました経営改善計画においては、とりあえず貨物輸送をどういうふうに切りかえていくかということにかなりウエートを置いて考えております。そのほかに自動車輸送、あるいは荷物輸送もかなりの赤字要因でございますので、これをどういうふうに変えていったらよろしいか、いわばシステムを変えることによって、より効率的な輸送方法を見出すことによって経営を建て直していきたいということでございました。  特に貨物は、現在直接貨物の仕事に従事しております職員諸君の数が七万人になっております関係もありまして、この効率化をいたしますればかなり経費を節減することができるんではないかということで具体案を作成いたしました。一般の方々にもことしの八月十八日にそれを明らかにいたしたわけでございまして、いま労使間でもその問題をかなりウエートを置いて話をいたしておりますし、これは非常に国民生活に影響がありますので、地域の方々あるいは荷主の方々、また直接この駅を廃止するということになりますと、生活にも影響することが起こりかねません通運業者の方々という皆さんとお話し合いをいま始めておるところでございまして、そうしたことは、いまやや具体的に進んでおりますのは貨物でございますが、貨物以外にもいろいろな面におきまして進めてまいりたいと思います。ただ、あれやこれや一挙に手をつけるわけにもまいりませんので、現在のところは主としていま貨物中心に進めておるところでございまして、貨物のやり方をどう変えるかということにつきましては、先般来委員会におきましてもいろいろお尋ねを受け、御説明してきたところでございます。
  94. 大森昭

    ○大森昭君 どうも国鉄再建のやはり原点といいますか、国鉄が責任を持ってやる範囲と、それから国が財政上の助成をしてやる範囲、これが非常に不明確でありますと、いろんなことをうまいこと言われますけれども、全部これ運賃に来ますので、ここのところがやはり運賃を決める最大のポイントだと私は思うのですよ。先ほども外国の例で何か回答がありまして、諸外国の例等は日本的にという御答弁がありましたけれども、大体どこの国でもなかなか航空機関が発達をする、いろんな私鉄が発足するということになれば、これはどのような方法をとっても国鉄離れというのが大なり小なり起きるんですよ。  しかし、国鉄離れが起きても、国鉄の利用が多少減ってもなぜ国鉄を残していくかというのは、これはもう御案内のように、私が言うまでもなく、公共的な立場国鉄のあり方があるわけでありますから、ですから諸外国の例を見ても、今日日本国有鉄道が国から受けている援助がどのぐらい少ないかというのははっきりしているわけでしょう。ですから、そういうところは日本的だなんて言うのじゃなくて、もう少し具体的に諸外国の例と比較をして、国有鉄道が国の助成についてかくあるべきだという見解が、国有鉄道の国鉄にないんですか。
  95. 田村元

    国務大臣田村元君) 国の助成の問題でございますから運輸省の方からお答えをいたしたいと思います。  私は、日本政府日本国鉄に対する助成をしておるその助成の内容というものは、世界ではやはり超一流だと思うのです。そうして特に輸送効率というものを基本に考えたならば、これだけのお客さんがあって、本来ならヨーロッパなんかから比べればお客さんははるかに多いんですね。それとの比較論からいえば、やはり世界では有数の助成をしておるというふうに私はお答えしてもいいんじゃないかと思うのです。運輸委員会の方々には御説明申し上げましたけれども、非常にいい機会でございますから、鉄道監督局長からその点具体的にお答えをいたさせますから、ぜひお聞きをいただきたいとお願いを申し上げます。
  96. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 外国の例でございますけれど、各国によって合理化の進展の度合いは違っております。たとえば一番合理化が進んでおりますのはイギリスでございまして、合理化といいますか、イギリスは国有化をした当時は三万八千キロぐらい営業しておったわけでございますけれど、現在は一万八千キロ、半分以下に減っております。もちろん当然要員の方も当時は六十何万という人数でございますが、現在は二十数万というような状況でございます。また、フランス等でも六九年から七四年の四年間に国と国鉄との間で契約をやりまして、一万キロを廃止するというような契約のもとに国が助成をするということで大体八千キロぐらいの営業線の廃止をいたしております。  また、同じようにドイツでもそういうような方向でいろいろ経営改善をやっております。最近ドイツの国鉄総裁が言っているわけでございますけれども、将来の鉄道は現在の鉄道ではあり得ないのだということを言っております。そういうことでヨーロッパもいろいろ努力をいたしております。同時に、やはりヨーロッパも相当国の助成をやっております。この助成は、イギリス等は、絶対額で言いますと日本よりも少ない。社会保障制度の違いがありますので、フランスと日本とは額では比較しにくいわけですけれども、大体そういう社会保障制度の問題を除きますと大体同じぐらいと見ていいのではないか。ドイツが非常に多いわけでございますけれども、これはやはり営業線の廃止等が余り進んでいないということではないかと思います。  先ほど大臣が申し上げましたのは、日本国鉄というのは非常にたくさんのお客さんを運んでおります。お客さんが多ければ助成は少なくて済むわけでございます。現に新幹線は一年間で一億数千万人の人間を運んでおります。大体新幹線約千キロで運んでおりますお客さんの延べのいわゆる人キロと、先ほど申し上げましたイギリス、一万八千キロで運んだお客さんの延べ営業人キロと同じでございまして、したがって、そういうようにお客さんが多ければ新幹線のように利益を出している、上げているわけでございます。大体日本国鉄の営業密度というのはイギリスの十倍、ドイツ、フランスの十数倍ということでございますので非常にお客さんが多い。お客さんが多ければ助成の額はむしろ反比例して減っていいわけでございますので、そういう点を考慮いたしますと、日本助成というのはイギリス、ドイツ、フランスよりもはるかに多いということが言えるのではないかと思います。
  97. 大森昭

    ○大森昭君 どうも合理化の問題だとか、お客の多い話だとか、少し話をはぐらかしては困るんでありますが、私の持っておるここにある資料によれば、いわゆる外国のその例と比較をして、国がどのくらいの割合で助成をしているかという資料でいけば、合理化の問題だとか、乗客が多いとか少ないとかという問題を言っているのではないのです、私は。イギリスにおける場合には収入に対して四〇・九%を国が助成をしておる。ドイツは四六・七%、フランスは五五・六%、日本は一二・一%と、こういう数字をもとにして、少なくともあなたの言い方というのは、もう少したとえば国鉄に対して合理化をどんどん進めなさいとか、乗客が多いんだから割合が少なくていいんだという答弁の仕方ですけれどもね。そういうことじゃなくて、収入の割合に対して諸外国はこのように国鉄に対してそれぞれの助成をしているじゃないかという質問をしているのですよ、私は。
  98. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 収入が少ないということは、お客さんが少ないから収入が少ないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、新幹線のようにお客さんが多いために収入が多いというところでは赤字が出ないわけでございます。それに対して、同じお客さんを新幹線なら千キロでございますけれども、一万八千キロというような大きな営業網で運んでおれば、これは当然収入が営業一キロ当たりでは少なくなるわけでございますので、どうしても赤字が出てくるということでございますので、やはり収入というものを前提にお客さんが多いかどうかということで考えませんと、単に収入額と助成ということでは正確な判断はできないんで、やはり収入基礎になるお客さんが多いかどうかということが、国が助成する場合の一つの基準ではないかと思います。
  99. 大森昭

    ○大森昭君 いま国鉄というのは、先ほどの議論もありましたけれども、倒産するのかしないのかという議論があって大変なんでしょう、違うんですか。お客が多ければ赤字は少ないなんて、どこの国の話をしているんですか。いまここで議論しているのは、現に国鉄再建を図るのに、そうでしょう、昨年一年だけでも九千億ですか、と言われている状態の中で、一体どうするかという問題を取り上げて話しているのですからね、いま。そうでしょう。そうなってくると、それはお客が多ければ赤字が少なくなるという理屈はわかりますよ。しかし、今日国鉄が持っておる財政的な危機的な状況をどうするかという議論なんですからね。  そうすれば、運輸大臣が先ほど言われましたように、従来は運賃だけだったと、しかし今度は少し変えたんだと、もっと大きな環境づくりから視点を変えて国鉄再建を図るのだと言われたわけです。そうなってきますと、後でまた労使のあり方などについても質問いたしますが、問題は国鉄経営のあり方がどうなのか、そしてまた国の助成のあり方がどうなのかという形にいくわけですわね。そうしますと、それはいろいろな事情があるでしょうけれども、諸外国の例から見ればやはり日本における助成金というのは数字の上では少ないということなんでしょう。
  100. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 私どもとして考えておりますのは、先ほど外国と日本と比較してどうかということで申し上げたわけでございますけれど、外国と比較しても意味がないんで、むしろ日本国鉄については、日本国鉄の現状から助成の必要性を判断すればいいのではないか。したがって、今回の「国鉄再建基本方向」の中で、やはり国鉄企業として経営できるものとそうでないものと分けて、構造的欠損と見られるものについては国が助成しろということを言っているわけでございます。  そのほかに公共負担の問題もございましょうし、現在出ております赤字、これが五十三年、五十四年とさらに累積赤字がたまってくると思います。そういうものをどういうふうに解決するか。この累積赤字国鉄の現在の経営能力ではとても解消できない分野でございますので、そういうものについては必要な手当てをしなきゃいかぬと思いますし、国鉄経営の現状を十分分析した上で、国としてめんどうを見るべきものはめんどうを見ていくということを考えているわけでございまして、外国との比較を単純にしても意味がない。多いか少ないかという御議論でございましたのでそういうことを申し上げたわけでございますけれど、やはり私どもとしては国鉄をどうしたらいいかと。これ、日本国鉄の置かれている現状の中で、今後五十三年、五十四年、二年間かけて十分分析して答えを出していきたいというように考えているわけでございます。
  101. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は、諸外国と比べて日本助成が少ないではないかということでございましたからああいうことを申し上げたわけです。私どもやはりヨーロッパ諸国に比べてもそう遜色はないというふうに実は考えております。しかし、これは実は比較する方が無理ということも言えるんです。ということは、日本の場合は旅客中心が置かれております。旅客は何といっても三〇%からのシェアを持っているんですね。貨物の方はもう一二%台にまで転落だと。ところが、ヨーロッパは、貨物でもっているんですね。お客はほとんどないわけです、旅客は。しかもその貨物の大きな基盤になっておるのは、石炭とかいわゆる鉱石関係ですね、そういうものになっておる。そこで、日本と比較のしょうがないわけです。  ですから、私はよく言うんですけれども、諸外国の特にヨーロッパのイギリス、ドイツ、フランス等の国鉄のあり方について私もいろいろと文献をあさってみましたけれども、結論として言えることは、参考にならぬということなんです。日本日本なりにやっていかなきゃならぬ。そうして政府としても可能な限りの助成をして国鉄を苦しめないことだというのが実は私が得た結論でございます。そういう趣旨でございますので、先ほどちょっと諸外国との単純比較でございましたからああいうことを申し上げましたが、さような意味であるということを御理解いただきたいとお願いをする次第でございます。
  102. 大森昭

    ○大森昭君 ですから、それはなかなかそれぞれの国の事情がありますから単純にはいかないでしょうけれども、私どもから見れば、いままさに、どなたもいまの国鉄再建するという気持ちにこれは違った意見を持っている人はいないんですよ。ただ実際に、こういう法案の一部改正だけで果たして国鉄再建できるかどうなのか。そしてまた、その基本となる問題というのは、何といっても運賃がこれはどうなるかという問題が国民生活に影響するわけですから、ですから再建をするという気持ちには変わりはない。そしてまた、国民生活に影響を及ぼす運賃をなるたけ上げないで国鉄再建ができる方法はないかということになると、やはり外国の例は、国情が違っても、何とかひとつ国の方でこの危機的な状態の中で少しでも多く援助をできないかという立場で質問しているんでありまして、まるきり意味がないとか、そういうことではやはり国民感情が許しませんよ、あなた。国会の中の答弁ではそれで済みますけれども国民全体というのは、いかにこの運賃の値上げがそれぞれの生活に影響するかということで注目しているんですよ。  次に、いろいろ財政の問題もあるし経営のあり方もある。高木総裁の別に答弁の揚げ足を取るわけじゃないんですけれども、労働組合がどうだとか、労働者に経営的な視点を持ってもらいたいとか言われましたですけど、一部にあるという話ですけれども、近代社会の中で労働組合を相手にしないで経営をやっていこうなんというところはもうないんでありまして、それからまた労働者がみずからの企業に対して無責任に、関係なく働いている労働者というのはいないんですよ。  私はそういう視点に立ちますと、少なくとも今日、国鉄の労働組合に対して言われることがあるとすれば、組合がどうと、労働者がどうと言う以前に、経営者の立場として何か不足をしているがゆえに今日の労使関係が不安定になっているんじゃないかと思うんであります。ですから、少し視点を変えて、国鉄経営者が一体どうあらねばならないかということについてのお考えはあるんですか。具体的に申し上げれば五十年の十月にスト権問題、いま大きな問題になっていますが、藤井総裁は、条件つきであるけれどもスト権を与えた方がいいぞという国会で御答弁がありましたけれども高木総裁はその問題は藤井総裁と同意見でありますか。
  103. 高木文雄

    説明員高木文雄君) この問題は大変むずかしい問題だと思っております。私ども職員集団は、先ほどからお話ございますように四十三万人という多くの職員集団でございます。したがって、わが国の労働運動といいますか、その中において非常に高いウエートを占めておるわけでございます。一方、われわれの職場は非常に分業の進んだ職場でございます。運転なり、あるいは駅務なり、あるいは線路保守なりという分野はそれぞれ非常に細かく分業になっております。そうしてまた、地域的にも北から南まで非常に広がりを持っておるわけでございまして、その意味におきましても、数が多いばかりでなくて非常に特殊な職員集団として構成されておるわけでございます。そうしたことを考えました場合に、そしてまたさらに公共目的を負わされておるということを考えました場合に、一体どういうふうな規制のもとにおいて労使間が調整されていくべきかということについては、これはいろんな考え方があると思います。  藤井さんは、長い間の経過を踏まえ、そして三十年以上国鉄にお勤めになった御経験を踏まえて御意見を示されたわけでございまして、これは一つの十分見識として考えられるものと思っております。しかし、現状のような状態において、これは経営の面からいいましても、あるいは労使関係からいいましても、その他あらゆる面から考えまして、いま三十年来続いてきたルールをその面だけ変えることがいいかどうかということについては相当問題があるわけでございまして、いまむしろ基本的に経営形態を変えたらどうだと、民営にしたらどうだとか、分割にしたらどうだとかいう御意見さえ出ている現状でございまして、いまつぶさに考えまして、私どもはいま少なくとも経営形態を変えることについては賛成できない、民営にすることも賛成できませんし、公企体のままで分割をするということにも賛成をできないという意見を先般申し上げたわけでございます。  さらに進んで、いまのお触れになりましたスト権の問題になりますと、これはやはり経営形態の問題にも関連しましょうし、また現状、実際問題として国鉄の置かれているこういう九千億の赤字を毎年続けているという経営状態も考えなければなりませんでしょうし、私もいま藤井さんがそうだからといって、私自身としてこのスト権問題についてどういうようにすることがよろしいのかという考えをまとめ切れない状態でおるわけでございます。その辺は非常に重要な問題であるから、経営責任者としては当然何か一つ見解を持つべきだという意見もございますけれども藤井さんはどういう——長年それはお勤めでございますから一つ見解をお持ちでございましょうけれども、私としてはいまにわかにこれについて何らかの見解を明らかにするというほどの権威ある意見を申し上げるだけのまだ経験も積んでおりませんし、見識を持つに至っていない。おしかりを受けるかもしれませんが、私の心境はそういうことでございます。
  104. 大森昭

    ○大森昭君 まあ総裁ね、企業が危機的状態の中にあってお互いにどうするかという問題を議論しているわけですからね。当然労使関係の信頼感がなきゃこれは再建なんかできませんよ、幾らいろんなことを言われても。そういう段階の中でお互いに信頼関係を持ち合いながら——スト権奪還というのは少し間違えている人がいましてね、ストライキ権を与えたらしょっちゅうストライキができるんじゃないかと言う人がいます。そういうことじゃないんでありまして、やはり労働者の権利を与えて、しかし、ストライキはなるたけやってもらわないようにするという状態をつくり上げるという意味なんでありまして、どうも少し、スト権を与えたら、めたらやたらストライキばっかりやっているんじゃないかと言う方がいるようですけれども、そうじゃなくて、やはり労使の関係の信頼関係が一番この国鉄再建にも重要だということになれば、きょうの答弁はやむを得ませんが、総裁、それではお互いに一致団結をして再建を図ろうなんということになりませんよ、それは。  同時にきょう、いま御答弁がありませんでしたけれども、やはり国鉄内部におけるみずからの官僚制の問題についても、一体どういうことになっておるのかということを事業の経営改善と同時に見直していただきませんと、働いている人たちが何か悪いんだとか、労働組合があって、スト権があって、ストライキやってなんということばかりやっていたってこれはだめなんでありましてね、どうかひとつ国鉄再建の基盤にしてという議論をする限り、労使関係について、もう少し労使のお互いの信頼感を回復して正常に事業の運営を図っていくという視点では検討を要望しておきます。
  105. 田村元

    国務大臣田村元君) スト権の問題につきましては、基本問題会議で御審議中でございますから、私からとかく申し上げるわけにはまいりませんが、私特に、別に国鉄の労使をかばうつもりはありませんけれども、一言だけ私の口から申し上げたいことは、最近、大森さんも十分御承知と思いますが、国鉄の労使双方の考え方、態度等に、あるいは関係に微妙な変化が起こってきておることはこれは評価してよいと思うんです。私はその意味においても、経営陣についても、また組合そのものについても、いささか評価をしておるという一員でございますが、そういう労使が前向きになってきておる、国鉄のこの危機的状況に対して非常に真剣に労使が考え出しておるというこの微妙な変化というものはどうぞ御認識願いたいとお願いを申し上げる次第でございます。
  106. 大森昭

    ○大森昭君 財政のあり方の問題、さらには労使関係の問題、いずれにしても国鉄再建には難問題がたくさん控えているわけでありますが、いずれにいたしましても、国鉄再建という視点でとらえて御提案になっている限り、もう少し私は、いま言った、質問した内容だけじゃなくて、多くの視点に立って国鉄再建を図らなければならないというふうに感じます。  そこで、いずれにいたしましても、引き続き審議が行われるのだと思いますが、どうかひとつ、きょうは時間がありませんからこれで打ち切りますけれども、従来の考え方国鉄再建をやるといってもきわめて私は困難だと思います。ですから、少し視点を変えまして国鉄再建を図るという立場で、そうしてまた先ほどから私が言っていますように、いずれにいたしましても、運賃というのはもう今日の物価高、そしてまた各家庭の生活に直接影響しますから、したがいまして、そういう意味合いでよりひとつ検討を深めていただいてやっていただきたいと思います。  先ほど大木委員からわが党の結論がありましたから重ねて申し上げませんが、どうかひとつ慎重に審議を進めていただくことをお願いして終わりたいと思います。
  107. 内田善利

    委員長内田善利君) 午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時四十四分休憩      —————・—————    午後一時四十五分開会
  108. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会大蔵委員会物価等対策特別委員会連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  109. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 どうも国鉄のことは余りよくわからないんですけれども、若干お伺いをいたしたいと思います。  伝えられるところによりますと、国鉄は本年度においても予想以上の歳入不足になると、こういう話を承っているわけですが、それは一体事実かどうか、また、その金額はどのぐらい予想されているのか、教えていただきたいと思います。
  110. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 当初予算では、旅客貨物合わせまして二兆五千八百十億の収入を見込んでおったわけでございますけれども、先般御審議いただき成立をいたしました補正予算では二兆三千五十八億ということで、差し引き二千七百五十二億の収入減を見込まざるを得なかったわけでございます。で、この二千七百五十二億円の内訳は、当初九月一日から名目で一九%の値上げをお願いするということになっておりましたが、実際問題として法案の通過成立がおくれております関係で、補正予算の段階では、一月一日に値上げをさしていただくならばという前提で補正予算が組み立てられましたわけでございますが、その運賃改定の時期が四カ月おくれましたことによります減収が千七十四億円でございます。そのほかに当初予算もしくは補正予算で予定いたしました運賃改定と関係ない減収が千六百七十八億円でございまして、合わせて二千七百五十二億円の減収を見込んだ収入を補正として出しております。  この千六百七十八億円の減収は、これは昨年の十二月ごろに五十二年度予算を事務的に編成いたします際に見込みました当時の収入と見込みとの減でございまして、これがさらに二つに分けることができるわけでございまして、一般的に景気の低迷によりましてお客さんあるいは貨物が減っておるという部分と、それから先般、昨年の十一月から約五割の値上げをやらしていただきまして、実収として三七%程度の増収を見込んだわけでございますが、それがまあそこまでいかないで三一、二%のところにとどまっておりますが、そのことによる減収と合わせまして千六百七十八億円見込んだわけでございまし、ざっと見まして三千億近い減収を見込まざるを得ない。  なお先般の、ただいま御審議いただいております法案の修正によりまして、施行期日を三月三十一日に改めよということでございますので、もしそれによりますと、補正予算との間でギャップがなお八百五億出るということが見込まれております。
  111. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま千六百七十八億円の収入の不足についての内訳の話があったのですけれども、いわゆる大幅な値上げによる国鉄離れ、これがずいぶん言われているわけですね。これは国鉄離れという現象といまの景気低迷という、何だか円高が悪いみたいな感じの答弁があったのですけれども、どのぐらいの状況だというふうにお考えですか。
  112. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ちょっといま詳しい数字はわかりませんが、千六百七十八億の一般減収だと申しましたが、それをさらに区分けいたしますと、旅客系統で千二百六十五億、貨物系統で四百十三億ということになっております。それで、大体月に百億余りが、つまり三七%の実収増を見込みましたのと、実績が三〇%にとどまりましたのとの差が大体百億ぐらいでございますから、概して申しますと、この千六百七十八億のうち五百億強が、要するに運賃改定による見込み増収が食い違ったという分だと考えていただいてよろしゅうございましょうから、大体千六百七十八億のうち三分の二が一般的な景気低迷といいますか、そういう感じでございますし、三分の一、五百億強前後が運賃改定分が思うとおりにならなかったという結果だと見てよろしいかと思います。
  113. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの答弁からいわゆる国鉄離れによるものがかなり出てきている、貨物の中にも離れたのがあると思いますから、必ずしも景気だけとは言えないと思いますので、そうすると今後どうなるか。今回もしも不幸なことにこの運賃法が成立した場合に、またもし今後値上げが行われた場合には、さらに国鉄離れということを起こすのじゃないかという心配があります。  現在でもこれはよく言われておりますが、新宿−小田原間の運賃、これは一番の比較にされておりますが、国鉄六百八十円に対して私鉄が四百円、また大阪−京都間、大阪−三ノ宮間、いずれにしても国鉄の方が私鉄料金を大幅に上回っている、こういう点から国鉄と私鉄の運賃の比較並びにこれの政策をどう持っていこうかということになってくると思うんです。また、上げるとなると、私鉄を追っかけるのか、それとも旅客は離れても結構だということで値上げを策していくのか、その点についての、そういうことになると見込みをさらにひどくして減収欠陥ということになりますので、減収して収入欠陥が起きてくるわけですから、その点はどういうように対処していこうと絵をかいているのか、ちょっと伺いたいと思います。
  114. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 過去におきましても、何度か運賃改定をお願いをいたしたわけでございまして、その都度多少ともお客さんが他の輸送機関を選ぶとかあるいは自家用車で通う、通勤するなんとかいう現象が出ておったわけでございますが、やはり過去のいかなる経験に徴しましても、今回の場合が一番何といいますか、お客さんの減った程度がひどいわけでございます。  それはやっぱり一つには、私どもだけではなくて、全体として貨物につきましても旅客につきましても最近は輸送量の伸びがとまっておるわけでございまして、その影響と、それから運賃改定の影響とがダブったということによるものが多いと思います。今後におきましては、私ども率直に申しまして一気に大幅な値上げということは考えておりませんし、国鉄の独占力が失われて競争産業になってまいりましたから、十分運賃改定に当たりましても他の輸送手段との競争を考えていかねばならぬと思いますので、昨年からことしにかけて経験いたしましたようなことは起こしてはなりませんし、また、それでは経営改善のために消費者に、利用者にお願いしても意味がないことでございますので、そういう形はとらないようにしてまいらねばならぬと思います。  ただいま一例としてお挙げになりました東京周辺の通勤地帯の問題、あるいは阪神間の通勤地帯の問題でございますけれども、よく例に引かれます新宿−小田原の問題は、これは実は現実にかなり違った地域を線路が走っておりまして、利用者が違うお客さんでございます関係で、確かに現在でも新宿−小田原間で見ますとかなりの金額差が出ておりますけれども、これはほとんど競合といいますか、競争関係は起こっていないと申し上げて、ほとんどそう言い切れる状態にあるかと思います。ただ、関西の方は非常に深刻でございまして、これはほとんど並行路線になっている地域が非常に多いわけでございますので、やっぱり多少御不便でも安い方に乗るかという方もいろいろあるわけでございまして、そういう意味で関西の状況はかなりむずかしくなってきております。  そこで、日本ではいままで余り採用していないわけでございますけれども、そろそろ単なる距離別運賃ということだけではうまく処理がつかないのではないか。私どもは全国を相手にいたしておるわけでございまして、地域によりましてはかなりの程度国鉄の方が安いという地域も出ておるわけでございますが、そういう現状でありましてもキロ別運賃ということでやってきておりまして、ごく特別の場合を除いてはそれ以外の立て方をしていないわけでございますが、かなり民間と国鉄との間の競争関係が切迫した状態になってまいります場合には、何か運賃の立て方についても工夫を要するのではないか。  たとえば地帯別に何か工夫を要するのではないかというようなことを研究を開始をいたしているところでございますが、まだそれは現状では研究の域を出ておりませんので、仮に本法案通過後最初のときの値上げというようなことを考えましても、そういったごく近い機会にそこまで入っていくことになるかどうかということは何ともまだ申し上げられるほどの研究結果に至っておりません。しかし、いまのままだけではうまくいかないという認識は十分持っておるところでございます。
  115. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次に、これは国鉄が建設省や各自治体に対して、国鉄用地が国道とか都道府県道とか市町村道になっている、そういうことについて、いままで無料で使われていたのを買い取ってもらいたいというような申し入れをしたという話があるんですけれども、もしありましたら、その内容と結果は反応があったろうと思いますが、その結果はいかがであったか、両方伺いたいと思います。
  116. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現在私どもが持っております所有地で道路敷地等として地方公共団体に使っていただいておる、まあ駅の周辺が多いわけでございますけれども、たとえば東京駅の前の広場というようなものは私どもの所有地でございますが、これはずいぶん長い間にわたりまして東京都に無償で提供しておるわけでございます。そういうものが全部完全に網羅しているかどうかわかりませんけれども、五十一年三月末現在で件数にして四百九十一件、広さにして八十六万五千平米のものがございます。しかもこれはかなり都会地、いま東京駅の例を申しましたが、大阪の駅前もかなりの面積のものを私どもが大阪市に無償で提供をいたしておるわけでございます。  そこで、これらの道路敷地になっておりますところの権利関係をまあ正常化してまいりたい。それによって多少とも国鉄財政再建の一助にしたいという考えでことしの七月二十七日、五十二年七月二十七日付をもちまして私どもの方の副総裁名義で建設省道路局長あてに、ひとつ買い取りについて何とかごあっせん願いたい、道路予算関係の問題になりますので御協力を道路局長にお願いをしておるところでございます。と同時に、まあそれぞれ出先の鉄道管理局長から国、地方公共団体の道路管理者に買い取り方をお願いしておるわけでございます。  これは相手は国道であれば国でございますし、地方の場合には地方公共団体でございますが、いずれにいたしましても、しかし都道府県、市町村の財政状態が現在のような状態でございますので、筋道はわからぬではないけれども、現実問題として金がないといいますか、対応につきましてもすぐにわかったというわけにもいかないということで先方も大変苦慮しておられる。しかし、それぞれ事実関係の確定とかということも含めまして国あるいは各地方公共団体からお知らせをいただくという段取りになろうかと思います。その後これをどう進めてまいりますか、しかとまだ見通しを持っていない状況でございます。
  117. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そのことですが、大体帳簿価額で聞いてもしようがないんですが、一体どのぐらい見込めるものなんですか、金額では。それが一つと、いま一つは、恐らくこれは無償で貸すにしても契約がされていると思います。その契約を一方的にといいますか、こちらからやらなきやならない。内容を見てないからわからないんですけれども、何らかの国鉄側の方が縛られる条件もあるんじゃないか、契約の中に。思うんですけれども、そういうものはないのかどうか。一方的にそういうことがやれて、しかもわかりましたということで簡単にいけるものなのかどうか、その辺二つをお伺いしたいんですが。
  118. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) お答え申し上げます。  ただいま道路に私どもの土地を使用していただいて——これは国鉄公共企業体になる以前からの、ほとんど全部が以前からの問題でございまして、当時からその点については、国でございましたので相互に使用するということで現在に至っております。ただいま数量でございますが、私どもの土地で国道敷で使用をされておりますものが、先ほど総裁が申し上げたうち六万九千平方メートルほどございます。私の方の、時価で推定いたしますと、これが約百億円ぐらいではないかというふうに予想をいたしておりますが、これはごく概算でございますけれども、約百億円ぐらいじゃないかというふうに想定をいたしております。別に契約というようなものはなくて、非常に昔から、実は初めは国道敷の認定になる前にすでに人道——人が通る、あるいはそういうふうに道路として使用されておりました。それがその後の時点でおのおの国道敷あるいは県道敷等に道路認定になっております。別に契約というものじゃなくて使用されているのが実態でございます。
  119. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 最近の分もそういうことになるんですか。これは前からの分がそうなんですか、現在ではどういうふうな扱いをするんですか。
  120. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 最近ではそういうことはございませんで、私の方で道路敷を使う場合にはそれを買い取って使う、あるいは私どもの土地を道路敷に使う場合にはそれを道路側に買い取っていただいておのおのが使用しているというのが現在の状況でございます。
  121. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そうすると、契約がない、しかし事実上無償でずっと使われていたという、権利が向こうにはあるわけですね。そういった問題なんかは御研究はなさっているんですか。
  122. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いま申し上げたような事態が以前のやつもございますので、先ほど総裁申し上げました建設省に対しての申し入れも、相互の権利関係及び面積等を確定しようじゃないか、その決めた上でどういうふうに取り扱うかについては相互に相談をしようということで、ただいままず権利関係の確定ということでお話し合いをしている状況でございます。
  123. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 次に、特定債務の問題で伺いたいと思います。  国鉄の負債について五十一年度において長期借入金のうち二兆五千四百四億円、これについて特定債務整理特別勘定へ移しかえたということになっておりますが、この特定債務の返済は、特定長期借入金については償還期限二十年、財政再建借入金については三年据え置き二十五年返済ということになっておりますけれども、現実には返済の金額を国が負担するということになるんじゃないんですかね。この点は大蔵省でしょうかね。
  124. 松下康雄

    政府委員(松下康雄君) 特定債務の勘定で整理をいたしております一般会計からの貸付金でございますけれども、運用部に対する国鉄の借入金は一般会計貸し付けによって肩がわりをいたしましたわけでございますが、この一般会計からの次は無利子の——貸付金につきましては実際上無利子でございますし、かつ相当に長い返済期間を考えておりまして、非常に緩やかな条件になっております。この肩がわりの措置を講じましたときに、従来これは国鉄にとりましても国にとりましても前例のない思い切った措置でございましたから、一般会計からの貸付金をいたすに当たりまして、その償還については大丈夫であるかどうかという点につきまして、国鉄とも運輸省当局とも再三再四議論をいたしたところでございますが、申し上げましたように緩やかな償還期間でございますし、また国鉄といたしましても速やかに再建を達成した上は、これは運輸収入と申しますよりも運輸事業外の関連事業等に大いに力を入れて増収の努力を図る、そのことによって長期にわたって必ず返済してまいるということで踏み切った次第でございます。したがいまして、私どもとしてはこの返済につきましては確信を持っておる次第でございます。
  125. 高木文雄

    説明員高木文雄君) お借りしますときにそういうお約束でございまして、私どもとしましてもかなり長期でございます関係で、一年一年の返済額はそう大きなものになりませんものですから、レールによる収入でなしに事業収入といいますか、そういうもので返済をするという腹づもりをいたしておりますし、計算上も十分その程度のものは事業収入から上げ得ると考えております。
  126. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 まあこういう措置について、いまの大蔵省の答弁で大体わかったんですけれども、長い期間にわたりますと、私が思うのは、一つには、これから先、いまの答弁のように国鉄再建の見通しが明らかであるという確信のもとで、それでこういう措置がされた、これはわかるんです。しかし、再建が成った、そういうときにはやっぱり同じ条件でずっと特定債務の扱いはしていくのかどうか、その辺の見通しはなしでいくのかどうか、そのところはちょっとどうなんでしょうか。条件が変わらないかということです。
  127. 松下康雄

    政府委員(松下康雄君) これは、私ども将来を見通しまして、関係者間で取り決めました貸し付けの条件でございます。正式のものでございますので、今後の国鉄経営状態が現在よりもさらに好転をいたしました場合でも、この条件についてさらに見直しをするということにはなっておりません。当初の約定のように契約の履行をしていただくという考えでございます。
  128. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 わかりました。しかし、事実はまあ逆に、私は好転よりもこれから容易じゃないだろうと思います。で、不幸にしてもし国鉄再建の見通しが立たず、そうして現状から考えてみても一年、二年先には再度この特定債務勘定へ移しかえをしなきゃならない、そういうようなこと、あるいは結局特定債務勘定を増加するというような事態もないということはあり得ないんじゃないかということを考えているんですけれども、本当に全くあり得ないというふうに思っていらっしゃるんでしょうか、どうですか。これは大蔵大臣いかがですか。
  129. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いまたな上げていただいております二兆五千億の赤字というものは、五十年度末のものでございます。その後また五十一年、五十二年と赤字が発色しているわけでございますが、この赤字の処理の問題につきましては、先般来の五十二年の一月二十日の閣議了解におきましても、それからまたこの法案の修正に関連をいたしまして、衆議院段階で各党の間でお話し合いいただきました基本的な考え方というものにつきましても、再建のめどがつきまして、収支均衡の見通しがつきました段階で処理を考えていただくことになっているわけでございまして、その処理の仕方は恐らくその時点において決まるのではなかろうかと思うわけでございます。  現時点では私どもとしては、とりあえず五十年度末の分についてたな上げしていただいた分のこの返済だけは確実にしなければならぬということで、いわば別勘定のようにして考えていくということにしておりますが、これからの問題については、新しく収支均衡の見通しがついた時点でどのように処理していただくか、政府側にお願いをしなきゃならないことになろうかと思います。
  130. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その辺が一つのすばらしいばら色の仮定の上に立ったお話、答弁というふうに伺わざるを得ないんですけれども、現在、年一兆円近い赤字というような感じです。そういうことになると、これ、移しかえが増加することは全くあり得ないなんということは考えられない。こういうことになったときに大蔵省としてどう受けていくのか。先ほどは思い切ったいままでにないことを、思い切った措置をということをとったんだと、再建のためにと習われた。しかし、もう一度しなきゃならない場合も出てくるかもわからない。  ないという、収支均衡をとれた時点でというふうにいまおっしゃっておられた、それは私は本当にわかります。そのとおりでしょう。また、そう努力していただきたいと思いますけれども、そうならないことだってある。情勢のことでございますから、先のことですからわからないんですからね。そういう場合にこれは額の増加は当然考えなければならないことになってくると思うんですが、どうお考えですか、その辺の。いまそういうことを言えといっても、そのときまで大蔵大臣やってないからと言うかもしれませんけれども、これは本当に考えなければならないことだと思いますけれども、いかがでございますか。
  131. 松下康雄

    政府委員(松下康雄君) 先ほども申し上げましたように、全体といたしますと緩やかな償還条件でございます。もしも将来このような緩やかな償還条件でさえも履行に困難が生ずるというような事態が仮にありますれば、それは企業体の経営として非常な窮況に陥るということでございます。私どもとしましては五十一年度相当に思い切った対策を講じたつもりでございましたけれども、その後の情勢等も考えまして、この法案成立いたしましたならば、その後各党の申し合わせの趣旨によってさらに進んで再建を具体化するためにどういう対策を講じるかということの詰めをやってまいりたい、引き続いて再建を軌道に乗せてまいるために協力をして努力をしていきたい、そのことによってただいま御指摘のような事態が起こらないように努めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  132. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私は、税金でもって補っていく、まあ国有鉄道ですから、ある程度のことは仕方がないことだと思いますけれども、その点でひとつちょっと伺いたいんですけれども、国有鉄道といいますか公社ということになると、日本とイギリスとかということになってまいりますが、納税者一人当たりいわゆるその鉄道を支えていくための財政支出の金額はどういうふうになっているのか、ここ二、三年ので結構ですから教えていただきたいと思います。
  133. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いまお尋ねの納税者一人当たりという数字はちょっと私の方で把握いたしておりませんので、ちょっとお答えできないわけでございますけれども、各国の助成額を人口で割るというような計算でよければ一つの計算として出るかと思います。日本の場合には、五十一年度で一人当たり四千五百十九円、五十二年度では四千八百円を超していると思います。
  134. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 日本の場合だけでなくて、ほかの国のも教えていただきたいと申し上げたと思うんですが。
  135. 住田正二

    政府委員(住田正二君) これも単純に外国の助成額と人口を割ったというだけの計算でございますけれども、イギリスで五千二百円……
  136. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 年度は。
  137. 住田正二

    政府委員(住田正二君) これは五十一年でございます。西ドイツで二万八百円、フランスで一万五千三百円ということになっております。
  138. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは西ドイツ、フランス、イギリス——日本は国有鉄道ですけれども、この三つの国はどういうのですか。国有ですか、国営ですか。
  139. 住田正二

    政府委員(住田正二君) イギリスの場合には日本と同じような制度でございます。フランスの場合には完全に国有ではございませんで、若干地方公共団体とかほかの資本が入っております。西ドイツの場合にはちょっと性格がはっきりしませんが、まあ日本並みとお考えいただいていいのではないかと思います。
  140. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 例でもう一つですが、国民所得に対してはどういうふうな計算になりますか。
  141. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま手元に計算した数字がございません。
  142. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは後でいただければ結構です。  いまのことから見ても、これは大蔵大臣、先ほどのではいろいろな答弁があったんですけれども、一人当たりの財政支出、人口当たりで、納税者当たりでもそう大きな何というんですか、ほかの国との比較で大きな差は出ないと思いますが、日本の場合はイギリスより少ない、五十一年で。日本が四千五百十九円に対してイギリスが五千二百円、同じ国有公社形態です。西ドイツの場合は約五倍の二万八百円。フランスの場合は半国有で半分は地方自治体等の資本が入っているというけれども、三倍に近い一万五千三百円ということですね。  こういうことから見ると、先ほどの答弁は答弁として、当然均衡のとれた国鉄再建をしなきゃならないとわかりますけれども、先ほど申し上げたように、これから先どんどん赤字がふえてくるようであれば、やはり特定債務の勘定繰り入れというようなことは本気になって考えなくちゃいけないんじゃないかというふうに言わざるを得ないんですが、その点はどうですか。
  143. 松下康雄

    政府委員(松下康雄君) 日本国鉄助成とヨーロッパの国鉄助成の比較につきましては、それぞれの国の鉄道の歴史等も違っておりますので、必ずしもこの金額の比較だけというわけにもまいらないかと存じます。それはたとえば国民の一人当たりの税負担、あるいは税負担と社会保険料負担というものを比較いたしましても、日本と外国の場合に通常相当の差があるわけでございまして、それは財政全体の規模の大きさとか、そういう問題にもかかわりのあることだと考えております。それから、なお日本の場合には、比較的最近まで鉄道は非常に強力な輸送機関として実際に機能しておりましたわけでございまして、その点では自動車化というものが非常に早くから行き渡っておりまして、それだけに鉄道のいわば斜陽化も非常に早かった欧米の国と多少この沿革的な違いもあるかと思います。  私どもとしましては、それぞれの差はございましょうけれども、わが国の国鉄に対しましてはよくその特殊性を見きわめました上で、財政事情の許す限り、また税負担によってこれを負担するということの必要性が十分説明のつきます限り、これを助成をしてまいるということに努めてまいったわけでございまして、今後におきましてもそのような考え方でこの問題には対処してまいりたいと存じております。
  144. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 財政問題のことですからちょっと伺っておきたいんですけれども国鉄からいただいた長期債務にかかわる年度別借り入れ、発行、償還利子及び償還期間という表をいただいたんですけれども、この中の鉄道債券の政府保証債、シンジケート団が引き受けております。で、五十一年度が発行が千九百十億円、償還に使われたのは八百七十六億、利子として支払われたのは四百十七億円とあるんですけれども、この発行先、引受先ですね、シンジケートというまとまりじゃなくて、シンジケート団となれば中は銀行であるだろうと思いますし、短期債券だと思いますので、これは引き受けたところはわかるだろうと思いますが、その発行の相手先別の、一体どういうふうになっているのか教えていただきたい。  それからいま一つは、自己調達債——鉄道が自分で調達したのが四千八百二十四億円の発行額に上っておりますが、地方公共団体とか関連会社とか国鉄共済組合、金融機関等が引き受けたんだと、こうなっておりますが、この細かい内容について教えていただきたいと思うんです。  それからいま一つ、これに関連してですが、四十二年度のを見ましても鉄道債券が三千百八十九億円発行されている。となれば、七年から十年が償還の期間となれば、これはもう当然残っているのは借りかえをしていかなければならないということになるわけでしょうね。借りかえをしていけばこれは雪だるま式にふえていかざるを得ないわけですけれども、そういう実態はどういうように今後扱っていくのか、その二点についてちょっとお伺いしたいんですが。
  145. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) まず、鉄道債券のうちの政府保証債でございますが、これはシンジケート団に一括してお引き受けを願っております関係上、ただいまのところ個々の個所に対して幾らというのは実はわかりかねております。で、実はシンジケート団を構成しております内容につきましては、都市銀行十六行全部と、地方銀行六行と、信託銀行一社、相互銀行三社、信用組合、これが二社、そのほか農中、四大証券というふうに聞いております。その幹事銀行としては興銀が当たられている。ただ、政府保証債のことでございますので、国鉄ばかりでなくて各企業体も同じような扱い方になっておるというふうに聞いております。  それから自己調達債、五十一年度発行高が四千八百二十四億でございますが、そのうち地方公共団体にお引き受けを願いました利用横面四十五億、それから国鉄の関連会社に引き受けてもらいましたへ号債八百六億、それから共済組合に引き受けてもらいましたち号債、り号債合わせて二百八十億、それからと号債といたしまして都市銀行その他に引き受けてもらいました金額が三千五百九十三億でございまして、そのうち都市銀行にお引き受けいただきましたのが千六百二十億、その他地方銀行、これは信託、相互、生命保険、証券会社、農林中央金庫等でございますが千九百七十三億という内訳になっております。  それからもう一つお尋ねございました返還についてでございますが、毎年毎年返還のまいりますものについては銘柄別にはっきりいたしておりますので、あらかじめ予算に計上いたしまして、その分の返還をこちらから予算を出します際にお願いをいたしまして、実際上の運用といたしましては自己の資金がそちらの資本勘定の方へ回ってまいりませんだけに、実際上は政府の方と、あるいは私ども自己調達というかっこうでいま申し上げましたような債券も発行いたしておりますので、その中で優先的に返還に充てておるというのが実際の姿でございます。
  146. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 一括だから政府保証債についてはわかりかねると言う、シンジケート団が引き受けたというのですが、興銀が幹事ならば興銀に聞けば全部わかるはずでしょう、こんなの、実際は。それだったら、国債を引き受けたところはどこだかわからない、シンジケートで受けたからというみたいなそういう答弁と同じことになってしまいますね。わからないわけはないと思うんですがね、これは。調べてくれませんか。
  147. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) ただいままで一度もその点を調べたことがございませんでしたけれども、いまのようなことでございますので、努力をいたしまして、結果について先生に御報告申し上げます。
  148. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そうすると、先ほどの答弁で四千八百二十四億円、こういうふうになっておりますが、こういうのについては、答弁でちょっとはっきり、私が聞き間違ったのかしれませんけれども、扱いとしては全部、全額を返済、期限の来たもののについて。たとえばそういうものは全部返すということになっているけれども、事実上は借りかえということになるんじゃないかとぼくは思うんですが、四千八百二十四億のうち、そういう扱いになるものはどのぐらいあったんですか、五十一年度のうち。
  149. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ちょっと私もしかとあれでございますけれども、普通の借りかえのような概念はとっていないと思います。償還期限の来たものについては、それはいわばそれなりに返済をしてまいりますし、それによって所要資金が要る分は他の所要資金と一緒にしてまた新しく借り入れを起こすという形で、いわゆるよく言われます借りかえのような形の形式のものはいままだ起こっていないと思います。
  150. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 しかし、返すのが少なくて借りるのが多い、こういうことでしょう、言えばね。間違いないことだと思うんです。  それから、時間がもういっぱい来ていますので一つだけ伺いたいんですけれども、ことしの政府関係機関予算予算総則の十一条に、「国有鉄道法第三十九条の八第二項の規定により昭和五十二年度において災害復旧その他緊急の心要がある場合に国有鉄道が債務を負担する行為の限度額は、十億円とする。」というのがあるんです。災害その他緊急の必要があるときに十億円という債務負担行為ができるようになっている。これはわかるんですけれども、どうも先ほどちょっと国鉄の方に伺ったときには、災害等があった場合にはほかの丁号の国庫債務負担行為でやってしまうんで問題がないということなんです。それではこういうのが発動されたことが一度もないのかどうかということですね、始まって以来。どうなんですか。
  151. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 昭和三十二年までは、その項目を使って最初に災害復旧の方の債務負担行為を充て、その後足りない場合に一般の丁号の方を使っておりましたけれども、それ以後におきましては、運用上丁号の方の分と一緒にいたしまして考えておりまして、実際上はそこまで債務負担行為を全額消化することがございませんものですから、特に災害の分までを使うという姿でなくて間に合っておるという意味でございます。
  152. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 予算書を見ても、丁号の債務負担行為、これの中の工事勘定あたりは物すごい金額になってますから、恐らくもうそれで間に合っちゃうんだろうという感じがするんですね。そうすると、実際上必要のないものを毎回毎回こんな予算書へ載っけて、印刷費だけでも損しちゃう感じがするんですけれどもね。これは改めるべきじゃないんでしょうか、この辺は。国有鉄道法を改める必要がある、それでここへ載せないようにするべきじゃないか。実際使わないものを毎回毎回これは限度額にするという——使う必要があった場合にはと、こうあるけれども、実際はほかの方の債務負担行為で全部間に合って、しかもお金が余っているというんで、かっこうだけつけて十億円のものをつけたというだけのことですよ、これはね。非常に会計上おかしい感じがするんです。これは鉄道法を改めるべきじゃないんですかね。どうでしょうか。
  153. 松下康雄

    政府委員(松下康雄君) ただいまの御答弁のように、実際問題としてこの何年間にわたりまして発動した例はないわけでございますけれども、では、制度的に全くそれは今後とも要らないものかどうかという点は、それぞれの年の建設費の予算と、それに伴います債務負担の限度額のいわば伸びぐあいと申しますか、その規模によって違いがあるのではなかろうか。将来にわたってその点は十分に建設費の中での債務負担が引き当てられるのでこの項目は要らないといま決め切れるかどうかという点につきましては、国鉄だけでなくて、恐らく他の公社等にも同様の規定が入っていると思いますので、それら共通の制度の問題として考えてみる必要があると思います。ただいまの御指摘でございますから、私もその辺の必要性のありなしにつきましては検討させていただきますけれども、他の公社までのことを考え、また将来の問題を考えますれば、制度としては残しておく必要があるものではなかろうかというふうに考えます。
  154. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 せっかくの答弁ですから、そのとおりひとつ研究してください。まあ二十年間も使わないようなものを残しといたってしょうがないという感じですから、これは本当に検討をお願いいたしたいと思います。  じゃ譲りますから。
  155. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 ただいま議題に供されておりますこの件に関しましては、もうすでに衆参両院の当該委員会においてもさまざまな角度から論議が展開されてきた経過があろうと思います。ただ、われわれ物特に所属する者としては、その詳細つまびらかにいたしておりません。したがいまして、多分に重複する面もあろうかと思いますが、それは十分お含みの上、再確認という立場からも若干お尋ねをしてみたい、このように思うわけでございます。  この国鉄再建計画というのは大変古い歴史があると思います。しかし、古くても常に新しい話題を提供している、ここに今日の抜き差しならない国鉄の病弊とも言うべき問題点があったろうと、このように理解をしているわけでございます。  ただ、われわれとしては、わが国の経済の大動脈と言われるこの国鉄、やはり健全な運営ということを国民だれしもが考えておる問題だろうと思います。ただ、今回の法定制緩和によって果たしてその弊害というものが除去できるのかどうなのかということは、素朴な庶民の立場に立ってみた場合に、これは鋭敏にやはり反応が出てくるだろう。昨年の国鉄の著しい値上げに伴う問題にいたしましても、庶民の生活にさまざまな波紋をやはり描くわけでございます。従来国鉄というと、われわれ子供のころから安い、正確だ、安心だ、こういう印象が非常に強かったと思うんですね。ただ、いま車の発展ということも伴いまして逆転するような方向に来つつある、残念と言えば非常に残念だと思うんです。  しかし、この狭い国土においてますますこれから車もはんらんするであろうし、一体日本のこの交通体系というものを根本的に考え直さないで、ただ法定制緩和によって運賃を上げる、それによって国鉄を健全な体制に立て直すんだというにしては余りにも底が浅いようなそういう感じがします。恐らく運輸省にしても国鉄当局にしても、今日まで何回も何回もこうした議論を通しまして国鉄の今後のあるべき姿というものは十分検討もされてきたと思うんです。ところが、運輸大臣がかわるたびごとにそれがどこへ一体結論が行ってしまうのかという印象は否めない。  私はいま田村さんに、総合交通体系というものをこれからの展望に立ってどういうふうに進めていくのか。少なくとも、昭和四十六年に総理府において計画されましたですね、それを手直しをしながら今後の新しい総合交通体系というものを組み直す必要があるというお考えをお持ちのようだと伺っておりますが、具体的に将来の展望、いろいろこうだと一口に言えない大変複雑な要素が絡み合っておりますので一概になかなか言えない問題があろうと思いますが、これから人口はふえこそすれ減ることはない、車もそれに伴って激増するでしょう。狭い道路をどう一体走るのか。また、物資の輸送についても、船はどうするのか、あるいは貨車はどうするのか、一体車はどうするのか。こういったことがもう全然秩序が混乱したままに現在放置されているのではなかろうかというのが実態であろうと、こう思います。  その点について、やはりこの基本的な問題から改革を果たしていかないで、ただ法定制緩和ということだけですりかえるということは、余りにも庶民に対して深刻なむしろ不安を与えていくことになりはしまいか。この点について総合的に簡潔にひとつお答えをいただきたい。
  156. 田村元

    国務大臣田村元君) 総合的に簡潔にという非常にむずかしい御説明になりますが、少しお聞きをいただきたいと思います。  従来、国鉄運賃を決めます基準は、国鉄再建を求めるその基準は運賃の改定ということに短絡的に結びついておったということが言えると思います。今度はこういうふうに物価等変動率を経費に掛けてそれを収入で割る、そのようにして上限値を出そう、その上限値以下で決定をしていこう。それも国鉄の当事者能力をもう少し強めて、そしてうんと国鉄にかせいでもらう、合理化もしてもらう、要するに経営努力をうんとしてもらう。合理化ということは首を切るという意味ではございません。そういう意味ではございませんが、経営努力をしてもらう。そのようにして五十三年度、五十四年度、二年間であらゆる赤字要因を洗い出して、それに対する対策を十分に講じて五十五年度から収支均衡を目指したノーマルなレールに乗っけていこう、こういう考え方でございます。ですから、非常に革命的な変革ということが言えると思います。  ただそれだけでは私は国鉄再建はできない。もちろん本来国鉄負担すべき限界を超えておる分については公共性の強いものですから、それは十分に政府助成の道を講じていかなきゃならぬ。それには従来的な考え方であっちゃいかぬ。私がいまひそかに模索いたしておりますことは、何とか交通特別会計のようなものをつくって、国鉄だけにしぼるわけにはいかぬかもしれませんが、特定財源というものをつかみたいものだと、こう考えまして、いま関係筋と内々の話し合いもしておりますが、そういうこともしなきゃならぬ。  ところが、それだけでもいけない。要するに、そこでいま渋谷さんがおっしゃった総合交通体系に論を進めていかなければならぬと思います。総合交通体系というのはどういうものか。それはあらゆる交通機関が果たしていく役割りというものを位置づけていく。それは産業面、経済面からも、あるいは省エネルギーの面からも、あらゆる面から考えていかなきゃならぬでしょう。たとえば、国鉄旅客の問題においては大都市圏の輸送とか、都市間の輸送とか、あるいは中長距離の大量輸送とか、貨物においては中長距離の大量定形輸送とかいろんなことを考えなきゃなりません。そういうような国鉄には分担分野があるわけであります。これを海運はこう、自動車はこう、トラックはこうで、ハイタクはこう、バスはこう、航空機はこう、あらゆる交通機関の分野を位置づけていくということをしなきゃならぬ。  いま御指摘のように昭和四十六年答申、四十六年の閣議了解事項、これは一つの総合交通体系であろうと思います。その基本的な面においては私は大きな狂いはないと思いますが、あれからすでに六年、世の中大きく変わりました。これを手直ししなきゃいけない。ところが、総合交通体系というものは言うべくしてなかなか行いがたい面があります。といいますのは、これを憲法のように決めつけてしまいますと、今度はこれは官僚統制につながっていくという面で私どもは警戒しなきゃならぬ。私どもということは、運輸大臣という立場でなしに政党人として、自由主義経済という面からいっても、あるいは民主主義という面からいっても考えなきゃならぬ。さりとてほうっておくわけにいかない。そこで、相当強い権威を持ったガイドラインというような点で位置づけていかなきゃならぬと思うんですが、それしもつくっただけで置いておいてはなかなか守らないんです。  といいますのは、いまの運輸省の行政機構に問題があるんです。自動車局、航空局、鉄道監督局、海運局、それぞれに縦割り行政でしかも一つ一つがみんな商売がたきでございます。でございますから、運輸省の中にこの総合交通体系にそぐうような、そして運賃でも総合交通運賃体系を立てていけるようなそういう機関をつくって、それにうんと力を持たしてそして調整をさせる必要があろう、私は名づけて運輸政策局と言っておるんですけれども、その運輸政策局長というものは、これは次官補に匹敵する高い地位を持ち、そして力を持つ、これが各局のさばき役になる、このようにしていく。そのようにしてやっていけば、飛行機よりグリーン車の方が高くなるなんということはあり得なかったと思うんですね。そういうことも考えまして、総合交通体系をわれわれは指向しながら、しかもこれを整備しながら、行政機構をそれにそぐうように改革していくということによって将来の交通整理をしていくということをしなければならぬと、このように考えます。  たくさんもっとお答えをしなきゃならぬのでしょうが、総合的に簡潔にということでございましたので、そういうことをお答えしておきたいと思います。
  157. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いまお述べになりましたのは、午前中の御答弁を伺っておりましても繰り返しということになります。私は、もっと具体的に将来の五年先、十年先の展望に立って、どういういまビジョンをお持ちになっているかという、そういう基本的なことを実は伺いたかったわけです。それは、いま具体的に行政改革の一環として運輸政策局をおつくりになる、それも結構だと思います、それは次善の策として。しかし、もっと展望を持ちませんと、もう戦後三十何年たってなおかつゆがめられたままで、しかも手直しも何にもされなかったという過去の経過を考えてみた場合に、果たしてこれから一体できるのかという疑問が、やはり不信感が底流にどうしてもぬぐい切れないものがある。これはいたし方のない問題だと思うのですね。やはり将来のビジョンはこうなんだと、その一環として運輸省なら運輸省に政策局をつくるというなら、これは論理的にも明確だと私は思うのです。  もう時間ありませんので、私はこれ以上詰めた論議ができないことを大変残念に思いますけれども、それはぜひ一つの次善の策として強力に推進をしていただきたいと思いますし、田村さんがおかわりになっても、これは必ず実行させると、運輸省の基本政策であるというふうにぜひ貫いていただきたいと、こう思うわけでございます。  先ほど国鉄の答弁の中に、毎年新規の事業が八千億あると伺っておりました。で、このお金の手当てについては大蔵省からの偏り入れと国鉄債券で賄うと、これは将来ともに続けるのかどうなのか。もしそうだとするならば、また赤字がどんどん、収入の少ないところへ持ってきて借り入れがどんどんふえていく。このバランスを一体どういうふうに考えてこれからそういう計画を推進されていくおつもりなのか、どうなのか。  これは何にも知らない人が聞いても、そんなことやって大丈夫なのかなと、それは地域によっては願望抑えがたく、あるいは赤字覚悟で路線を設定しなきゃならぬ場合もあるでしょう。けれども、いま国鉄の置かれた立場というものを考えた場合に、果たしてそういうような平均的な年間八千億も使わなきゃならぬ——それはその必要性もございましょう。けれども、もっとそれを集約しながら検討して立て直す必要がないのかどうなのか。あるいは私の答弁の聞き違いかどうかわかりませんけれども、その点お答えをいただければよろしいかと存じます。
  158. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現在、工事と申しますか、新規投資と申しますか、そういうものの規模はほぼ八千億強ということになっております。で、その中には新幹線の建設のようなものもございますし、あるいは在来線の複線化とか電化とかいうものもありますし、あるいは本来の意味の建設といいますか、設備拡張とはいささか異なりますところの電車、列車の車両の取りかえというようなものも全部突っつくるんででございます。これらの原資をどのような方式によるかということについては、本来ならば、ある部分はやはり採算に乗らないものもございますから、一般会計から出資なり投資をしていただいて調達をするというのが望ましい姿ではないかと思います。  しかし、現在私どもの方は経常費の赤字が非常に大きくなっておりまして、あるいは過去債務の処理というような問題がございます。何もかも一般会計にお願いするわけにはいかないということで、ここ数年は借入金によって新規投資あるいは取りかえ投資を賄っておるという現状でございます。おっしゃるように、これらを借入金に依存するということは問題を後に残すという意味でございますので決して好ましいことではないと思いますが、さりとて、出していただくのについて、何もかも一般会計に依存するということになりますと、これまた現実的でないということから、まあ私どもも次善の策であるということで、次善といいますか、やむを得ない措置ということで、いまのところは借入金に依存をいたしておるということで、本来的にそれがよろしいことだとも考えていないわけでございます。
  159. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 もう持ち時間がとっくに過ぎているんですが、もう一問だけ、せっかく倉成さんお出かけいただいておりますので。  従来からも国鉄運賃の値上げもしくは米の値段の値上げ、これが他の物価上昇を誘発するということが常識とされているわけですね。一般消費者はもとよりでございますけれども、九九・六%という非常に大きな割合を占める中小零細企業にとってみますと、特に貨物運賃が値上げをした場合に必ずその原材料輸送に伴うコストアップというものは当然考えられるわけでございます。そういったことを、非常に不況の環境の中で中小零細企業は、また上がったのかと、われわれの首を絞めるようなものだという声は恐らく皆さん方もお聞きになっていらっしゃるはずだと思うんです。  先ほど物価局長の答弁を聞いておりますと、去年五〇%の値上げに伴う消費者物価に影響したその割合は〇・五%だと伺いました。これは平均値でございまして、これが生鮮食料品であるとかあるいは原材料というものを考えた場合に、これはやはり相当の幅の値上げということが考えられましょうし、やはりこの庶民の暮らしに重大な影響を与えずにはおかない、これがいままでの経過であったろうと思うんです。こうしたことが、今回法定制緩和によって上限衆議院の答弁によりますと三七%、あるいは三七%上がるかもしれない。これは影響は非常に甚大だと私どもは受けとめざるを得ないわけですね、率直に申し上げまして。  その辺がこれからの経済情勢の推移というものはどういうアクシデントが起こるかわかりません。昭和四十八年のオイルパニックが再び起きないという保証は何もありません。いま円高でもう大変苦しんでおる。形を変えた一つのパニックであります。こうしたことがこう累積されて、しかもここにまた運賃値上げという、またそれに伴う便乗値上げ——政府は常に便乗値上げに対しては厳重なチェックをすると。チェックされたためしがないんです、いままで。もう野放しです、どちらかといいますと。特にわれわれ東海圏に住む人間としては、中小企業が多い地域でございます。やはり深刻な訴えを出されます。こうした中小零細企業が、この安易な法定制緩和によって伴う運賃値上げ、あるいは勘ぐれば一年間に二回ぐらい値上げをするような可能性もないわけではないわけです、はっきり申し上げて。その当時の物価指数を考えて運賃というものを想定していくわけでございましょうから。  そうしたようなことが今後庶民の暮らしに重大な影響を与えるんじゃないかということを大変心配いたしますので、その辺を整理をしていただきまして、そういう影響が必ず私どもは出るはずであると。いや、それほど庶民の暮らしに重大な影響はないと思う、いろんな答えの仕方があろうかと思いますが、そうした今後の経済情勢の推移と相まって、いま申し上げたことについての総合的なひとつ御判断をお聞かせいただきたい。   〔委員長退席、運輸委員会理事瀬谷英行君着席〕
  160. 倉成正

    国務大臣(倉成正君) 問題は二つあると思います。第一は、今回の法案による運賃改定は上限を示しております。したがって、この運賃改定に当たりましては、国鉄当局は最大限の経営合理化をして、できるだけ低く運賃改定を抑えるべきであると考えておりますし、また同時に、他の交通機関との競争関係もございますから、なかなかそう簡単に上限があるからこれいっぱいというわけにもいかないであろうと思います。また、経済企画庁も相談を受けました場合には、いろいろそういう問題について十分、内部の問題についてどういう要素があるかということを厳正に対処してまいりたいと思うわけでございます。  第二の問題は、運賃改定は消費者物価指数の中の一万分の九十と。したがって、五〇%の値上げの場合が〇・五程度というのが指数上は出てまいりますけれども、現実には御案内のとおり、遠隔地からいろんな農産物や何かを送っているこの運賃に響くんじゃないかという点は御指摘のとおりでございます。したがって、これらの運賃改定の問題について厳正な対処をしていくと同時に、間接的ないろいろな便乗値上げ等が起こらないようにいろいろな点でこれは配慮をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  161. 神谷信之助

    神谷信之助君 それでは、まず修正案の提案者にお尋ねをします。  修正案の提案者が自民党、民社党、新自由クラブの三会派でありますので、その提案者それぞれ三名の御出席をお願いをしておったわけですが、代表してお一人お見えになりましたが、まず最初に、民社党、新自由クラブの意見を含めてお答えをいただくという状況になっているのかどうか、その点、まずちょっと確認をしておきたいと思います。
  162. 加藤六月

    衆議院議員(加藤六月君) 三党で意見を完全にまとめたわけでありますから、そのまとめた内容についての御質疑でございましたら、民社党、新自由クラブ、自民党一緒の意見であると、こうお取りいただいていいと思います。
  163. 神谷信之助

    神谷信之助君 それでは、そういう前提でお伺いをいたしますからよろしくお願いします。  修正案基礎として国鉄再建に関する基本方向、これは三党で御相談になって、そして加藤委員の方から修正案衆議院運輸委員会の採決後に朗読をされて、そして要請をされました。そういう議事録を拝見いたしましたが、したがって、この「基本方向」なるものと三党の修正案の内容というもの、これは一つのもの、あるいは連動するもの、ワンパッケージであるというように考えるわけですが、その点はいかがですか。
  164. 加藤六月

    衆議院議員(加藤六月君) いま衆議院運輸委員会における議事録でそのとおりの結果になっております。ただ、「基本方向」を議論いたしました場合は大前提がございます。われわれの修正案が通過いたしたならば、こういう基本方向政府にぜひやらせようということが一つございます。そしてその「基本方向」につきましては、衆議院運輸委員会理事会において各党の先生方等とも相当激しい議論その他をやって、最終的に自民党、民社党、新自由クラブでまとまったわけでございますが、各党の先生方もその経過、中身、方法等については十分御存じでございます。  そして、修正案と「基本方向」とどういう関係かとおっしゃいますが、先ほど申し上げましたように、あの修正案を議論する過程におきまして、ことしの通常国会等におきまして、各党の先生方が政府に対しいろいろ御意見あるいは具体的献策、そういうものをおっしゃっておられました。そういう過程を経ていろいろ項目別に拾い出しまして、その拾い出した中身の中からまとまるものをつくり上げようではないかというのが「基本方向」でございます。したがいまして、あの「基本方向」をつくっていく過程におきましては、たとえば国鉄の主たる任務というものは何だろう、あるいはもう少し国が助成しなければ幾らたっても国鉄再建できないじゃないか、あるいは国鉄の構造的欠損とはそもそも何だ、あるいは公共負担とは一体何だと、こいった問題がいままで衆議院運輸委員会等でも熱心に議論せられておる。  そういう項目を一つずつ拾い上げまして、国鉄がやるべき任務、国がやるべき任務、そして国民皆さん方に、あるいは労使にお願いするものは何なんだと、こういうことをずっと拾い上げていったわけでございます。したがいまして、法案が通過したならば、あの「基本方向」というものをどうしても私たちは政府にやってもらいたいということでございますから、ある面では密接不可分という気持ちで臨んでおります。
  165. 神谷信之助

    神谷信之助君 いまのお答えの中で、もう少しちょっと確認をしておきたいのですが、この「国鉄再建基本方向」は、法律案審査の中でいろいろ質疑をなされたその中からつくられたものということでありますが、いわゆる自民党、民社党、新自由クラブの三会派、三党の合意に基づくものなのか、それともさらにその他の公明党あるいは社会党、共産党、これらも同意をした内容としておっしゃっておるのか、その辺がちょっと明確ではありませんが、いかがですか。
  166. 加藤六月

    衆議院議員(加藤六月君) 私が取り上げた問題は、各党が通常国会において御質問されたり、御意見を開陳せられた中身を取り上げたわけでありますが、最終的に「基本方向」がまとまり、合意がまとまったのは自民党と民社党と新自由クラブでございます。
  167. 神谷信之助

    神谷信之助君 それでは、その他の党はどういう態度をとられたのか、この「基本方向」について。これはどういう状況でしたか。
  168. 加藤六月

    衆議院議員(加藤六月君) 個々の、各党の理事の先生方が理事会あるいは個別折衝でどういうことを申されたかということは、いまの御質問にはいろいろ含みがあると思うんですが、私は少なくとも国鉄問題を勉強し、議論し、国鉄再建のために一生懸命勉強していただいておる各党の諸先生方にもある面で評価はしていただいておると、こう思っております。
  169. 神谷信之助

    神谷信之助君 質問に対してちょっと明確な答えがないんですがね。少なくともわが党は反対であります。これは明確にしておきます。  そこで、その次に、内容についてちょっとお尋ねをいたしますが、一の「国鉄経営のあり方」の第二項、「その他の特に効率性の低い分野については、」という部分がありますが、冒頭ですね。この「特に効率性の低い分野」という内容ですね、これはいわゆる地方ローカル線、これを含んでおられるのかどうか、この点ちょっと確認をしたいと思います。
  170. 加藤六月

    衆議院議員(加藤六月君) 「国鉄経営のあり方」の(二)の「その他の特に効率性の低い分野については、」というところにローカル線を含んでおります。
  171. 神谷信之助

    神谷信之助君 その次にお尋ねをしたいのは、いまの(二)の項の終わりの部分に、「公的助成を含む所要対策を講ずる。」とありますが、この「公的助成」というのは、その中身は何でしょうか。
  172. 加藤六月

    衆議院議員(加藤六月君) まさに公的助成そのものでありまして、「公的」、これには上がかかるわけでございまして、「国鉄経営上の負担限界を超えると認められる構造的欠損について、国民経済的観点を考慮して、公的助成を含む所要」、しかも後に「公的助成を含む所要対策を講ずる」、こういうようにいたしております。私たちはこの案をまとめるときに、先ほど申し上げましたように、国鉄が本来どんなに苦しくても歯を食いしばってやってもらわなくてはならない分野というもの、これが国民経済的にもいろいろな分野からある。しかし、幾らやっても赤字になる、どうしても採算が成り立たないという分野もある、その分野を一体どうしたらいいんだと。  もちろん国鉄自身にも徹底した合理化をやってもらわなくちゃいけない、さらにそれでもいけない点については公的な助成を考えよう。公的助成という場合には、実は衆議院の委員会でもこの「公的助成」というのはどういう内容かということで福田総理の答弁、もう共産党から御質問あったんでお読みいただいておると思いますが、あるいは田村運輸大臣等からもその問題についてはお答えがあったと思います。  端的に言うと、国家助成、さらには地方公共団体の助成というもの等も出てくると思いますが、ただ、地方公共団体の場合には簡単にできないいろいろな法律の制約もあるし、あるいは地方財政負担という問題もあります。したがって、この問題は今後政府においてどういう方法で、どのぐらい、いつからやってもらうかということについては検討してもらわなくてはならない問題でございますが、うたった趣旨というのは、構造的欠損に対しては公的助成を行えという気持ちでございます。
  173. 神谷信之助

    神谷信之助君 これ、従来国鉄再建の問題、衆参運輸委員会中心に議論を重ねられてきております。国鉄自身経営努力、これも強調されてまいりましたし、しかし、おっしゃるようにいわゆる構造的欠損の部分と——構造的欠損の部分ですね。これは国鉄だけではどうにもならない欠損とか収入減とかというものは当然あるわけです。したがって、それに対する国の助成、これも強調されてきております。特に、昨年の当院の運輸委員会の審議の中で附帯決議が行われました。そこでも「地方交通線等の赤字に対しては、一段と助成を強化し、国の責任において解決するよう努力する。」という問題が各党一致で決まっているんです、各党一致で。  それで、今度の基本計画の特徴は幾つかありますけれども、いままでと違った新しい提案というのが幾つかあります。しかし、その中で、今度その一つとして「公的助成」ということで、いままでは地方団体の負担を考えるというそういう発想はなかったわけですね。初めて「公的助成」という表現でこの「再建基本方向」の中にあらわれてきている、私はこの点が非常に重大ではないか。  いまの御答弁を聞いていますと、具体的にそれを実施するには一体どうするのかという点はまだまだ多くの問題があると、だからこれはまあ検討するんだとおっしゃるが、検討する内容に、衆議院の自民党、それから民社党、新自由クラブの三会派の意見として合意を見た中に、初めて地方団体の助成が顔を出してきたという点に私はきわめて重大な問題を感ずるんですが、この点についてはどういうようにお考えですか。やっぱりこうなれば地方自治体にも負担をお願いしなきゃならぬということで、あえていままでの国の責任で解決をするというような立場からさらに一歩広げたという点が一つの目玉というか、ねらい、そういうことになっているのかどうか、この辺ひとつ率直にお答えいただきたい。
  174. 加藤六月

    衆議院議員(加藤六月君) 初めて地方公共団体の助成するという影らしいものが出てきたと、こうおっしゃるわけでございますが、実は四十七年のときにもずいぶんこの問題議論しました。また、最近の新幹線建設、新幹線の建設網という法律には、たしか私いまここで初めて御質問を承ったんで忘れましたが、十一条か十二条に地方公共団体が新幹線建設に対しては応援するという法律が入っております。しかし、今日新幹線を建設するときに、それなら地方公共団体が応援してくれておるか、まあ精神的やあるいは債券その他では応援してくれておりますが、直接な助成ということでは何ら応援されてないわけです。  それから、この公的負担ということでいろいろな議論がありますが、私たちが特にその問題を公的負担という表現にいたしましたのは、地方交通線問題については政府の方でいま審議会を開いて地方交通線をどういうようにするかと、ことしの一月に中間答申が出ました。まだ本答申は出ておりません。その答申というものも一度じっくり出た後に、まだ出てない、出た後にじっくり見なくてはならないというような経過があります。ただ、地方公共団体に負担を強要するんだというような、自民党と民社党と新自由クラブがそういう意図を持っておると、こう言われてははなはだ困る。いま申し上げましたような地方交通線そのものに対する、ことし中間答申は出たけれども、まだこの後本答申がどういうかっこうでどうやって出てくるかということがわかっていないときにおいてという気持ちもあったという点を御理解いただきたいと、こう思うわけです。
  175. 神谷信之助

    神谷信之助君 確かに四十六年ごろですか、そのころはそういう議論もあったと、それが昨年の参議院の運輸委員会の審議を通じて、地方自治体に対する負担は消して、消えて、そうじゃなしに、国の責任において解決するよう努力するということを、これは共産党だけじゃないですよ、自民党、民社党含めまして全会一致で決めているわけだ。だから、自民党、民社党は昨年の参議院運輸委員会の審議の段階では、地方自治体の負担を考えるということはなかったわけだ。国の責任で一段と助成をふやして解決するんだと。だから、それからこの一年の間に自民党と民社党はそういう政策を変更して、これから地方自治体の負担も考えるんだと、そういうことに変更されたということですか。
  176. 加藤六月

    衆議院議員(加藤六月君) そういう政策の変更はいたしておりません。現実に昭和五十二年度国鉄に対する助成で地方交通線問題、私自身、大蔵省に三回も四回も押しかけていき、朝の二時、三時までかかって地方交通線に対する助成を約三倍に一気に昭和五十二年度予算で引き上げました。これはここで簡単に申し上げるようなものでございません。非常に激しい厳しい交渉をやって、四百七十億ぐらいでしたか、一遍に三倍にやった。赤字国債発行三〇%呼応でやるんだから許してほしいと、国の予算全体が一五%伸びるんだから、地方交通線に対する助成も国の予算全体の伸びの一五%、百何十億掛ける十何%でがまんしてほしいと言う。冗談じゃないと、参議院の決議もあるじゃないかと、それからわれわれの考え方もそうだということで、国の助成が一遍に三倍以上伸びたというのは、私はそういうところにあるという点で御理解いただきたい、こう思います。
  177. 神谷信之助

    神谷信之助君 五十一年度予算額が百七十二億で、今年度は四百九十億、だから二倍強ですね。御努力いただいたお話は承りましたが、しかし、これでやってみてローカル線に対する国の助成措置というのはなかなか困難だ。だから、国の責任において解決するよう努力するという方向でやってみたけれども、これ以上はなかなか無理だから、今度は地方自治体の負担もふやそうと、考えなきゃならぬという意味で「公的助成」という表現が入ったんじゃないですか、「公的助成」。  いままでの、昨年の参議院の運輸委員会の段階で自民党なり民社党がお考えになっていた、われわれとも一致をした政策内容というのは、国の責任で解決すると。ですから、それであれば「基本方向」の中にも、これら構造的欠損の部分については国の施策も含めて対処するとかどうとかいうならばわかります。所要対策を講ずるというならばですよ。あえて「公的助成」という文言を入れたこの意図というのは一体どこにあるのか、この点が私はどうしても納得できない。
  178. 加藤六月

    衆議院議員(加藤六月君) 意図はどこにあるかと申されますと、先ほど御答弁申し上げたとおりで他意はないと。それから中間答申は地方交通線その他についてあったけれども、本答申をまだいただいておりません。そういう点等を考慮して言っただけでありまして、また、その間における政策的に自民党や民社党や新自由クラブが——新自由クラブはおられなかったわけですが、変化があったとは私は考えておりません。
  179. 神谷信之助

    神谷信之助君 変化がなかったとおっしゃっても、文言でははっきり変化していますから……。  そこで、運輸大臣にちょっとお伺いしますが、運輸省としてはこの「基本方向」を尊重するといいますか、これを実行、約束をされておるわけですが、この「公的助成」について地方自治体を含めて考えておられるのかどうか、この点まずお伺いしたいと思う。
  180. 田村元

    国務大臣田村元君) 「公的助成」という言葉は、これは地方自治体も含むと思います。ただ、「公的助成」の中における国の責任というものは従来明白になっておる。そこで、地方公共団体による助成という意味の公的助成をこれからどうするか、それは十分相談しなきゃなりませんし、特に関係省庁とも相談しなきゃならぬと思いますが、まあ「公的助成」と書いてある以上はやはり双方を含むものという解釈でございます。
  181. 神谷信之助

    神谷信之助君 ところで、運輸省の方では、地方自治体の負担という点についてもそれは必要だと、また当然であるというようなお考えがあるんじゃないですか。
  182. 田村元

    国務大臣田村元君) 必要だとか当然であるとかという考え方を持ったことはありません。それよりも、持っていただきたいなあという願望はございます。それは国鉄財政を考えるときにそういう願望はございます。こういうことを言っていいかどうかわかりませんが、もし私の言葉が失言であればどうぞお責めを願いとうございますが、たとえば地方で、これは赤字ローカル線の問題ではないんですが、国鉄がやりたくない新線建設についても知事さん初め皆さん大変御熱心で、非常な運動を展開される。私個人の気持ちからいいますと、そこまで無理に国鉄に押しつけるんなら自分らも少々持ったらどうかいという気持ち、実はあるんです、正直なこと言いまして。この言葉がもし失言であったらどうぞお責めを願いとうございますが、私本当にそう思うんです。でございますから、願望としてはございますけれども、いまどういうふうに地方の公的助成をとるかということまではまだ考えを及ぼしておりません。
  183. 神谷信之助

    神谷信之助君 鉄道監督局長にちょっとお伺いしますがね、昨年の十月二十八日の参議院の運輸委員会の記録を見ますと、住田局長が、やはり地方公共団体も当然負担をしていいんではないかというように私どもは考えているわけで、そういう点を含めて検討しておるという趣旨の答弁がありますがね。ですから大臣は、いまそういう必然性、当然だとかどうとかいうところまでは来てないというお話ですが、鉄道監督局の内部では、これは当然自治体も負担をすべきではないかという御意思があったように受け取るのですが、いかがですか。
  184. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほどもお話が出ておりますが、運輸政策審議会の中間答申がことしの初めに出たわけでございます。で、その間に委員からいろいろな話が出ております。あの答申の中に公的助成という言葉が使われておりまして、そういう言葉を使うことについての反対をされた委員の方もおられます。しかし、大半の委員の方は、地方ローカル線、あるいはいま大臣が申されましたAB線のようなものについては、地域住民に非常に利害関係がある問題であるから、やはり地方もそれなりの負担をすべきではないかという意見が大勢を占めて中間答申としてまとまったものでございます。  また、これは公の話ではございませんけれども、私どものところにはよく地方公共団体の責任者の方が来られて陳情をされますけれども、そういう際に私どもとしては、赤字がわかっておって、そういうものを国鉄に押しつけるわけにはなかなかいかないんだと、やはり赤字が出ないように地方公共団体の方にもいろいろお考えをしていただかないとなかなかこういうものの建設は進みませんよということを申し上げている段階で、いや、われわれもそれなりの負担はいたしますというような御意見も、これはプライベートでありますけれどもいただいておるわけでございますので、やはりAB線を将来つくる、しかもそれが国鉄負担にならないようにということを配慮してAB線の建設をするとすれば、やはりそれなりのことはお考えいただかないとなかなかできないのではないかと、そういう感じのことを含めて御答弁申し上げたわけでございます。
  185. 神谷信之助

    神谷信之助君 衆議院の段階で、十月の段階でそういうことで自治体負担の問題が議論になっているということも反映をして、その後の参議院の運輸委員会ではそれをぴちゃっと切って、国の責任において解決するという点で各党一致をしたわけです。  そこで、もう一度ちょっと提案者にお伺いしますが、このいわゆる自治体負担を含む公的助成という問題について、自民党あるいは民社党の中で、特に地方行政関係の担当の皆さんの御意見はお聞きになっておったわけでしょうか。あるいはまた自治省の意見、これはお聞きになっておったんでしょうか。
  186. 加藤六月

    衆議院議員(加藤六月君) 先ほど来御答弁申し上げておるような経過でございますから、自治省の意見は聞いておりません。ただ、自民党内部の地方行政部会関係者も一部この公的助成ということで何か意見をいろいろ言ってこられた先生方並びに地方行政関係の先生方はおられます。そこで、先ほど来御答弁申し上げましたような説明をじゅんじゅんといたしましたら理解していただきました。
  187. 神谷信之助

    神谷信之助君 先生の方は理解をしていただいたということですが、これは参議院の地方行政委員会で十月の二十七日でしたか、私が初めて衆議院の審議状況を知って、そして問題提起をしたら、自治省も、それから自民党の委員さんも、そういう事実は全く寝耳に水で一大事だということで先生のところに行かれたわけですよ。で、その後聞きましたが、御理解をいただいているとおっしゃいますが、そうではないようですね。  そこで、次に自治省の方にお伺いしますが、この点について十一日の本会議で内藤議員が質問をいたしました。また、先般の一日の地方行政委員会でも私が質問をいたしまして、大臣は、今日の自治体の財政状態からいっても当然負担はできない。したがって反対をするという趣旨の答弁をなさっていますが、自治省としてはこの自治体負担の問題について検討されておるのか。それから、どういうお考えをお持ちか、その点についてお答えいただきたい。
  188. 山本悟

    政府委員(山本悟君) ただいま御質問の点でございますが、すでに自治大臣から本会議及び地方行政委員会において御答弁申し上げましたように、国鉄赤字ローカル線に関します地方団体の財政負担という問題につきましては、国の企業でございます国鉄の性格、それから御存じのとおりの非常に厳しい現在の地方財政の状況と、両面から勘案をいたしましても、とてもできないことではないかというぐあいにわれわれとしては思っているわけでございます。したがいまして、今後事実上の財政問題といたしましてさようなお話がありました際には、ただいま申し上げましたような立場で自治省としては主張申し上げたいと、こう存じております。
  189. 神谷信之助

    神谷信之助君 今度は大蔵大臣にお聞きしますが、仮に自治体が国鉄財政負担をするといたしましても、特に構造的欠損の多いそういう部門の路線といえば大体へんぴなところ、旅客の少ないところ、こうなってきますわね。したがって、過疎市町村なんかを中心にして走っている路線というのが当然一番先に対象になってくる。そういうところが自治体負担だということで負担をするとしても財政力はない。仮に負担を無理をしてすれば、それはいずれにしても結局国の一般会計からそれに対しては何らかの形で補てんをしないことには、これは自治体自身の仕事ができなくなってくる、こういった関係になってきますわね。  そうすると、自治体負担をさすといっても、実際は国からその裏づけをせにゃいかぬ。今日、三年間二兆円を超える財源不足が続いている。来年度もこのままいきますと、現状のままですと二兆円を超える財源不足が生ずるであろう、こういうふうに自治省も言っておりますが、そういう実態の中で仮に自治体負担ということになれば、は国の一般会計でその裏を打たなきゃならぬ。それじゃ結局同じことじゃないかというように思うのですが、こういった点からいってこの自治体に対する負担方向、そういう発想、これについてのひとつ大臣の御見解を承りたいと、こう思うんですが。
  190. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) 国鉄経営ということにつきまして非常に大事なことが一つある。それはやっぱり受益者が応分の負担をするということが一つの私は原則であろうと思います。そういうようなところから考えてまいりますと、国鉄でございまするから、無論その応分の負担というものは大変な負担ということではないと思いますけれども、そういったようなことから、やはりこれは個人個人にとりましても受益者の負担ということは考えなければ、むろん受益者負担しておるわけでございますけれども、地方という地域的なところにつきましても、これやっぱり考えていかなければならないということでございまして、そこで、そういったようなことをどういうふうにこれ実現をしていこうかということが大変なこれはむずかしい問題であろうと思います。  ただいま御指摘になりましたような大変な寒村とか山の奥の方だとかというようなところでは、これは国としてはぜひつけたいというところもありましょうし、またそういったところの住民の方々はもっともな話でございますけれども、やはりそろばんも何にも合わなくても、そして国の助成によってつけてもらいたいというような、いろいろ千差万別とまではいきませんけれども、実態、実情等にはこれはそれぞれの複雑な態様があろうと思いますが、そういったようなことをこれよく考えまして、そうしてこれはいかに処置をするかということを考えていくべきことだと、かように考えます。
  191. 神谷信之助

    神谷信之助君 受益者負担の原則からいってもとおっしゃいますがね、そういうようにいま大臣おっしゃっているんですがね。しかし、私はどうもそれは納得いかぬわけです。だから、国鉄を利用するその人は運賃を払うわけです。それから同時に、自治体の方もそういう点で住民の利益、利便になっているという点を考慮して、たとえば固定資産税は免除して納付金、交付金ですか、そういうことにしているでしょう。これは実際固定資産税の二分の一ですけれども、実際の今日の評価で見たらもっと少ないわけですよ。ちゃんと評価をしてやれば、いま恐らく固定資産税の四分の一程度のお金しか国鉄は出してもらってない。だから、ちゃんと自治体もすでに負担をしているんですよ。そのほかありますが、細かく言いませんがね。だから、そういう負担を片一方はしている。  それからもう一つは、先ほどの「基本方向」でいきますと、第一項はいわゆる都市間旅客輸送とか大都市圏旅客輸送、もう一つ貨物輸送の分野、これをまあ中心にやって企業経営を行っていくんだとおっしゃっている。こういう都市間輸送の場合でも、たとえば大阪の環状線なら環状線、これも採算が合っているのかというと赤字だと、こういう状況ですね。しかし、これは国鉄として企業努力でやっていくと、だから大阪市に自治体負担をやるとかという問題はない。しかし、第二項のそういう地方ローカル線が走っているような、そしてそれで線路をめくってしまえばさらに過疎が一層進化するであろうというようなところに対しては走らしてほしかったら負担をせいと言わんばかりの問題が出てくる、この点でも不合理が起こるでしょう。いろいろ考えればたくさんの面で不合理があるわけです。  そういうことが昨年も論議をされて、ですから負担を自治体にしわ寄せをするんでなしに、国の責任において解決するよう努力をするという決議で各党が一致をしたわけですよ。だから、この点からいいますと、私は大臣の答弁というのは非常に歯切れが悪いんですよ、歯切れが悪いんです。先ほども話がありましたが、ローカル線に対する助成を四百九十億にことしはふやしたと、また来年もふやさにゃいかぬと。これは何とかたまったものじゃないから少しぐらいは自治体に持ってもらえぬかという、そういう腹があるから歯切れの悪い答弁が出てきているんだと思うんですが、実際にすでに自治体自身の国鉄に対する一定の負担というのは年々ずっと続けられてきているし、無人の信号機を一つつける場合でも全部自治体から金を取っていますよ、国鉄だけじゃなしに、必ず。  だから、そういうことで現実にそういう負担というのがつくられているのに、地方のローカル線についてより厳しい負担を、あるいは特別の負担を考慮するというのは、これは自治体にとっても大変じゃないかと、こう思うんですね。この間の福岡で行われた公聴会でも、福岡県の副知事、それから出席をされた町長さんもこれは絶対に反対だということを強調されておったようですが、こういう点についてもう一度ひとつ大臣、お答えいただきたい。
  192. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) お説のようなこともありますから、私は一概に申し上げておるんではございません。だから、そういったような鉄道を地方につけるところは、先ほど千態万様の態様があると——千態万様は多過ぎますけれどもね、そこらの環境とか事情とかいうものをよくこれを検討いたしまして、そして原則としては、私は受益者負担ということを無視はできませんけれども、そういったような態様がございますから、十分そこらのところを関係者において相談をして、そうして実際問題を片づけていく、こういうことを申し上げたのであって、一概に申しておるのではございません。
  193. 神谷信之助

    神谷信之助君 どうも歯切れが悪いですね。だから、こういう形でローカル線の構造的欠損の部分について自治体負担を考慮するのは考慮するというんですか、それとも考慮する気持ちもない、その点はどうですか。
  194. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) だから、そこの実情に応じまして処理をしていこうと、こういうことです。
  195. 神谷信之助

    神谷信之助君 自治体に負担能力がない場合には負担を求めない、逆に言えば。実情とおっしゃるのはそういう意味で解していいですか。
  196. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) いま申し上げておりますことは、諸般の事情がありますから、そういったような事情もすべて含めまして検討して歳いる。
  197. 神谷信之助

    神谷信之助君 先ほどもありましたが、かつて自治体に対する負担を求める動きがずっと起こってまいりまして、そして各自治体の責任者はこれは非常に心配をしておったわけですよ。それが、昨年の参議院のこの運輸委員会の決議が生まれてその心配が解消した途端に、ことしまた「公的助成」というのが入ってきた。ですから、町村長会を初め各自治体は、自治体負担はどうしてもやめてくれ、反対だと、こういう声がずっと強くなってきているんですよね。これはひとつ公聴会でもその点ははっきり出ておったと思うんです。まあ大蔵大臣、そこで言質を取られると、後また来年度予算にもなるからなかなか言わぬだろうと思いますから、もうこれ以上聞きませんがね。  そこで運輸大臣、自治大臣は、先ほどからお聞きのように、また本会議でもお聞きになったように反対という態度を明確にされています。それは国鉄という性格と、それからもう一つは自治体の財政の現状、この二つの点から自治大臣は反対の態度を明らかにされているんですが、運輸大臣はこの問題についてこれから恐らく検討されるんだろうし、   〔委員長代理瀬谷英行君退席、委員長着席〕 いわゆる答申が出る前に、しかもこういう形で出ましたから、私はこれはきわめて答申に対する一定の影響を与えるであろうし、重要だと思うんですが、そういう点も踏まえた上で実際のそういう不安、心配、これに対して、そういう心配は要らぬというのを自治大臣は明確にしていますけれども運輸大臣も明確にしてもらうと非常に安心をするわけなんだけれども、この点は運輸大臣いかがですか。
  198. 田村元

    国務大臣田村元君) 自治大臣はまあ立場上反対をされるのでありましょう。この地方自治体の負担という件については、まだ具体的に何に何というふうに詰めたわけでもございませんし、それから第一、地方自治体のその財源の裏づけをどうするかということも相談しなきゃならぬ問題でございます。先ほどから歯切れが悪いとおっしゃいますけれども、歯切れが悪いぐらいがいいんじゃないでしょうか。実際問題として、これから詰める問題でございますから。  しかも自治大臣も反対と言った、そこまで自治省が強く言っておられるんですから、これなかなかまだ難攻不落というところもありましょうし、でございますから、私どもは率直に言って自治体に負担してほしいんです。まあ中間答申だけを盾にとって言うんじゃありません。  それはほかに、さっきもちょっと言いましたようにいろいろな意味で、先般も実は次官をやめた前の松浦君がまだ次官の当時に私言ったことがあるんですよ、これは全くプライベートな話ですけれども。地方自治体も少し持たしてくれやと、それは絶対反対だと言うから、それならせめても、あの負担はせぬわ、AB線はつくれわと言ってどんどんどんどん陳情に来るのを、ひとつ運輸省の入り口に自治省の役人が来て整理してくれやと言って私はひやかしたことがありますけれども、率直に言いまして自治体にも負担してほしゅうございます。ほしゅうございますけれども、相手のあること、なかなかこれは簡単なものじゃございません。でございますから、大蔵大臣もそこいらで歯切れの悪い答弁をしたんだと思いますが、まあこれはむしろ歯切れの悪いのでいいんじゃないでしょうか。
  199. 神谷信之助

    神谷信之助君 参議院の決議がされたときはそれで尊重すると言って、そうしてまた今度は「公的助成」が入ると、また尊重するということになるわけでしょう。私は、その辺がいま自治体にとって非常に重大な不安になっています。そういう自治体に負担を押しつけるということになれば、これは自治大臣も反対だと言っておりますが、それぞれの自治体にとっても重大な問題ですから、なかなかこれは恐らく私も、大臣も難攻不落とおっしゃいましたけれども、実現は困難だろうと思いますが、こういうことはすべきではないということを申し上げて、時間がありませんから一言だけあとちょっと済みませんが、お願いしたいと思います。  専売公社にお越しをいただいておりますが、見えてますね。十一月の一日ですね、総理府で開かれた公企体等の基本問題会議経営形態懇談会ですかの専売公社部会で、たばこの価格法定制度、これの緩和も必要であるという趣旨の御意見をお話になったというようですが、この点についてちょっと確認をしたいと思うんですが。
  200. 泉美之松

    説明員(泉美之松君) お答え申し上げます。  私が申し上げましたのは、現状のままで製造たばこの価格の法定制度を弾力化してくれというのではないのでありまして、昭和五十年の定価改定の際に国会で論議されまして、現在のように、たばこに対して本来消費税がかかっておるのでありますけれども、専売納付金という形になっておりますと、利益があって初めて納付することになりますので、決算が出て初めて国民に幾らの税金がかかっておったんだということがわかるのでありまして、それでは国民に対して不親切だから、現在の専売納付金制度をたばこ消費税制度に改めたらどうかと、こういう御意見があったのであります。  で、私どももその後、そういう消費税制度についていろいろ検討いたしておるわけでございますが、もし消費税制度が設けられるならば、現在租税法定主義の担保として、たばこについて製造たばこ定価法によって法制されておるわけでありますが、その製造たばこ定価法の内容は、そういう消費税ができると変わったものになっていくのではないか。現在のような形である必要はないので、消費税が払えるような形で定価改定が弾力的にできるような措置を考えていただきたいと、こういうことを申し上げたのであります。
  201. 神谷信之助

    神谷信之助君 大蔵大臣はそれについてどういうお考えですか。
  202. 坊秀男

    国務大臣坊秀男君) たばこ料金の法定制のあり方につきましては、ただいま総裁から詳細お答えをいたしましたが、この問題は現在公共企業体等基本間砥会議で慎重に検討をしてもらっておる問題でございまして、これは今後とも慎重に検討をいたしていくべき問題だと、かように考えます。
  203. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは内藤議員の本会議での質問に対して、福田総理は考えていないと、そういうことは。そういう答弁がありますが、それは大臣と大分食い違っています。これは時間が来ましたからこれで終わりますが、本会議における福田総理の答弁といまの答弁は食い違っているということだけ指摘をして、私の質問を終わります。
  204. 木島則夫

    ○木島則夫君 国鉄再建対策につながる数点についてお尋ねをしたいと思います。  国鉄が置かれている現状についての厳しい認識はもうるる述べられたところでありまして、その原因を求めればこれは多岐にわたり、また非常に時間を要する問題でありますけれど、思うに国鉄が本当に再建する時期というものは今日をおいてないというそういう意味で、この法案の持つ意味というものは私は非常に大きいと思うわけです。したがって、今回の法改正を機に政府並びに国鉄の責任分担の関係を明らかにしながら、一刻も早い国鉄再建を期待するものとして、貨物の問題についてお伺いをしてみたいと思います。  五十年度の鉄道の客貨別経営成績の赤字額の約六〇%が貨物で占められており、貨物輸送の問題を抜きにしては国鉄再建はあり得ないという問題、非常に重要な問題でありながら、なぜ政府は抜本的な貨物の増加策をとって国鉄援助してこなかったのか、この辺から伺いたいと思います。
  205. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国鉄貨物が、御指摘のように国内の輸送量の中で占める比率は毎年減ってきております。で、その原因がいろいろあるわけでございますけれど、やはり一番大きな原因日本経済構造が変わってきたということではないかと思います。本来、国鉄貨物輸送の特性というのは大量定形貨物を運ぶ点にあるわけでございます。そういう国鉄が最も得意とする大量定形貨物というものが経済構造の変化によって減ってきた、そういうことが大きな原因になっているわけでございまして、したがって、大勢としては国鉄貨物は他の交通機関と競争できない、しかし、個々の問題としてはやはりできるだけ国鉄の得意である大量定形貨物が確保されるように、総合的な立場で誘導的な行政をやるということが必要であろうと思いますけれど、具体的な施策としてこれまで十分なものがなかったという点は認めざるを得ないと思いますけれど、先ほど大臣が申し上げましたような総合交通体系という立場から強力な指導が必要かと思っております。
  206. 木島則夫

    ○木島則夫君 省エネルギーの問題、それから道路の混雑緩和とか、そういう観点からしますと、現在国鉄が持っております設備、施設というものをこれはもうフルに使っていく。これは国の経済上から見てこんなにプラスなことはないと思うんでありますけれど、政府においていままでその対策を怠ってきた事実はお認めになった。であるならば、これから国鉄再建をしていく上で貨物にかける比重、そしてこれ、どのようにふやしていくのか、このくらいのことはひとつ具体的に聞かしていただきたいと思います。
  207. 田村元

    国務大臣田村元君) おっしゃるとおりでございますが、貨物をこれからどのように維持していくか、これは両面から言えることだと思います。その一面は、従来果たして国鉄当局が貨物のお客様に対して企業活動をしたであろうか、企業努力をしたであろうかという問題がございます。イギリスの国鉄総裁は、何かみずから大量定形輸送のできるような貨物を出し得る会社を歴訪して頭を下げて客引きをやられたそうです。それから貨物が逃げていった大きな理由の一つは、そればかりが理由ではありませんが、大きな理由の一つは、的確に先方に着かなくなったときには、つまりストライキなんかで客が逃げていったということも多分にあったと思います。そういうような一面があります。  いま一面においては、いまおっしゃったような総合交通体系の面から見たいろんな諸施策で欠くるものがあった。ですから、たとえばトラックとの連携ですね。それから海運との連携、そういうことをこれから活発にやらなきゃいけない。たとえば新しい大きな港湾プロジェクトのときにはもう必ず引き込み線を、これも国の手厚い助成でつくるとかというふうにしまして、貨物を振興せしめるということにしていったらいかがであろうか。  私は、たくさんございますが、大まかにいってそのようなことを考えております。また、そういう方向努力をするように指示もいたしておるところでございます。
  208. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま大臣のお答えの中にもありました、国鉄総裁にお伺いをいたします。  つまり、民間企業であるならば社長みずからが飛び回って荷集めをする、いまあなたにそれをすぐおやりなさいと私は言っているんじゃない。つまり、セールス精神に欠けたところがあったんじゃないだろうかというこの御指摘、私もまさにそのとおりだったと思います。私の知る範囲、私もこの問題については素人でありますからあるいは暴論を申し上げるかもしれません。いままでは貨物集めを余りにも日通に頼り過ぎていたきらいはないだろうかということですね。したがって、総裁として積極的にこの荷集めをこれからどうやってやるのか、ひとつ教えていただきたい。
  209. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私どもの方でお客さんに対応する姿勢の問題でございますけれど、私も素人でまだよくわかりませんが、いわば貨物陣営と旅客陣営というのは大分体質が違いまして、旅客陣営の方は全体としていろいろ、それこそ「ディスカバージャパン」であるとか「一枚のキップから」というような姿勢で、どうやってお客を集めるかということにかなり関心を持ちいろいろやっておりますが、貨物の方は戦前から、どっちかといいますと、お客さんが貨車を取り合ったというようなことの長い歴史がありまして、待っていても荷物を乗せてもらえるという、歴史が長く続いたように思います。四十五年をピークとしましてお客さんがどんどん減ってまいりました。  しかも最近のように不況になってまいりますと、他のトラックであるとか、船であるとかというところは、標準運賃を下回るような価格で営業割引に次ぐ営業割引でお客の取り合いが行われておる。そこで、われわれの方はいままでの体質からいいましても、そういう営業的精神といいますか、人の領域まで侵してでもとってくるというほどの勢いはどうもないわけでございまして、この体質を変えていくことが非常に必要ではないかと思います。  最近に至りまして、まず安定輸送が必要だということで、貨物輸送を国鉄の中で大事にしていかなくてはとてもこれはいかぬぞという空気も少しずつは生まれてきているわけでございますし、トラック業界と提携を密にしていかなきゃならない。いずれにしても、われわれは戸口から戸口へという輸送はできないわけでございまして、輸送の両端は専用線のあるようなところを除きましてはやはりトラックにお願いしなきゃならないわけでございますから、通運を初めとしたトラック業者と提携をしながらお客さんの確保に努めるということをしなければならないと思います。  また、お客さんに接触している部面は通運業者自体が接触している面が非常に多いわけでございますので、どこまで私ども自身が先に出てお客さんと接触をしていくかどうかということにつきましてはなかなかむずかしい面もあります。通運は通運でいままでの領域もありますし、また熱心に通運自身がお客さんを集めてくれているという努力もしてくださっておるわけでございますので、私どもがどの程度前に出て行ったらいいのかということはなかなかむずかしい問題でございまして、その点私もまだわかりませんが、通運業者といろいろとお話をしてみたり、あるいは荷主さんとお話ししてみたりいまいたしているところでございます。  一面、輸送体制をいろいろ変えまして、たとえばいま貨物駅の整理などをやることを計画をいたしておりますが、これは一面においてサービスが駅のそばにおられる方にとってはマイナスになるかもしれませんけれども、全体としてはスピードも上がってくるわけでございますので、そういうサービス内容の改善と、それからどういう形でお客さんを集めるということに努力をするか、鋭意やっておるところでございますので、何とかいま減少傾向にあります傾向をこれによってまずまずつなぎとめていかなければいかぬと思っております。
  210. 木島則夫

    ○木島則夫君 一つだけ確認をしておきます。減少傾向にある貨物をこのまま成り行きにしてしまうのか、それともサービスそのほかの面でもっと貨物をよけいに国鉄に預けてくださるように上向き、つまり向上を図っていくのか、果たしてその能力があるのかどうか、ここのところをはっきりしてください。
  211. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 一番最盛期に比べましていま三割お客さんが減っているわけでございます。それから去年からことしに向けましても一割近く落ち込んでおるわけでございます。これは一つの大きな流れの中でそういう傾向を示しておるわけでございますから、私どもの力だけでどこまでできますかわかりませんが、私どもの物の考え方としては、まず現状から減るようなことがあってはならないということに最大の努力をいたしますと同時に、時間はかかりますけれども、いろいろやり方を変えていきまして、そして五十四、五年までにはまずいまの極度の赤字体質を、貨物のフィールドにおける極度な赤字体質から脱却をしたい。さらには、そう大きなものは期待できませんけれども、増送の計画に持っていきたいというふうに考えております。
  212. 田村元

    国務大臣田村元君) 三全総は横ばいを考えておるようでございますが、私は貨物はふやさなければならぬと思うんですよ、またふやし得ると。さっきも申しましたように、ふやし得ると。もちろん施設をつくるのに、たとえば港湾プロジェクトを新しい大きいものをつくるという場合に、国鉄予算を使わないで港湾予算でつくったっていいと思うんですよ。港湾予算というのは埋め立てなんかでずいぶん反対食らって全額消費できないようなこともあり得るんです。これを使っていいと思うんです。  いずれにしましても合理化も必要です。合理化も必要でございますけれども貨物をふやす、お客様をふやすということはそれ以上に必要なんです。私は国鉄にその能力はある。なまくらな受験生のようなことをされては困る、はっきり言って。とにかく必死にやってもらいたい、毎日毎日の闘いである。また、それだけの努力をしてこそ、たとえば貨物においてでもその努力をしてこそ総合的な努力につながることであって、再建へつながる道だというふうに考えております。
  213. 木島則夫

    ○木島則夫君 先ほど大臣のお答えの中でもちょっと触れられておりましたけれど、やっぱり荷離れというのは大きな流れで一抱えにしてその問題を取り上げる、これももちろん結構ですね。しかし、私は、昔は正確の代名詞が国鉄であったわけですね、安くて、安全に、確実にという。悪いけれど、いまは、国鉄の方には大変失礼だけれど、当てにならない代名詞が国鉄と、まことに私は情けないと思います。で、いまそういうことをとやかく言っても仕方がないんであって、貨物をもっともっと国鉄の方に目を向けさせ、お客さんに来てもらうために絶対必要なものはやっぱり確実ですね。つまり、失われた信頼度というものがなかったらこれはもうできっこないですよ。国鉄総裁、そこのところどういうふうに考えていますか。信頼度をどうやって取り戻すかということ、そこが一番ポイントですよ。
  214. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 荷離れの原因の中に、いまの確実に予定のとおりに荷物が着かないということによるものが非常に多いと思います。まあごく一部の方のお話かもしれません、あるいは私に対するいわばお世辞のような意味でおっしゃっているのかもしれませんが、ややいま回復を取り戻しつつあるということが言えると思います。たとえば、非常に残念でございますけれども、ストが行われるというような場合におきましても、最近では、貨物ではその後への影響が非常に大きいよというようなことは組合の諸君の間でもきさやかれるようになってきておるわけでございます。  ただ残念なことは、昨年の冬は非常に異常降雪がございまして、青函連絡船が非常に長期にとまるというようなことがありました。それがために北海道向けの荷物が予定どおり着かないというようなことがまた重なりまして、そうしたことが順繰りになりまして、なおまだ十分荷主さんの信頼を回復するには至っておりません。しかし、旅客ももちろんでございますけれども貨物につきましても安定輸送ということが一番大事なことだと思いますし、それらにつきましても職員諸君の理解を次第に深めていっていることと思います。その点、御指摘のように最も重要なポイントであると考えております。
  215. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま一部の荷物については何日に到着をするということを御指定になっているようでありますけれど、それをもう少し確実に、何日に着くということをもっと広く、何というか荷主に指示をする、提示をするということはできないんでしょうかね、それからもっと時間を短縮をするとか。私は素人でありますから、まあそのくらいしか頭に浮かんでこないんでありますけれど、まだまだ改善の余地というものは私はありそうな気がいたします。どうなんでしょう。
  216. 高木文雄

    説明員高木文雄君) すぐにでもできることもないわけでないと思いますが、やはり一番重要なのは、現在貨物を輸送します場合に中継が多過ぎるということでございます。たとえば大阪から北海道まで荷物を運びます場合でも、ずいぶん多くのヤードに貨車が入りまして、そこでまず一遍一つの編成の貨物列車を切り離しまして、それをまた仕向け地向けにつないでいく、次のヤードまで持っていって切り離してつないでいくという形で解結組成を繰り返しているわけでございまして、これを確実にしますためには解結組成の回数を減らさなきゃいけない、それがためにはヤードの数を減らさなければいけないというようなことでございます。  現在計画しておりますいわゆる合理化案というのは、必ずしも単に人手を減らすとかいうことだけでなくて、解結組成システムを変えるといいますか簡素化することを考えているわけでございます。そうしたことで、やや時間もかかりますけれども、全体としての輸送サービスレベルは上がっていくと思います。いまいろいろな方策は、外からごらんになりますと、あるいは私自身から見ましても、いささか手ぬるい点はありますけれども、長い目で見ましては、そういう方向に向かって基本的な組み直しということを進めておるところでございます。
  217. 木島則夫

    ○木島則夫君 電話と鉄道を一緒にするというのはこれはまあむちゃな話ですけれど、電話の場合でも総裁ね、不必要な中継がいままで多過ぎたんですよ、はっきり申し上げて。だんだんだんだんそういうものが取っ払われてダイレクトにつながるといういまの時代ですから、私はその辺は決してできないことじゃないと思いますね。そしてそれが働く方々にしわ寄せにならないようにという配慮も、これも私はできないことじゃないと思います。  私はなちみに少し数字を拾ってみたんです。いま大臣貨物の増加ははっきりできるとおっしゃったから、次の質問はあるいは不要になるかと思います。しかし、おっしゃられたそのことが一〇〇%実現できない場合のやっぱり対策としてはこういうこともお伺いをしなきゃならぬという意味で伺っておきます。  つまりこういうことです。もし鉄道の貨物輸送の大幅な増加策がないとすれば、他の対応策は、現実の輸送量に見合う輸送体制へと縮小をせざるを得ないんじゃないかということであります。資料によりますと、昭和四十五年ごろのピーク時のダイヤ量は、列車本数で五千七百本、列車キロ数で約五十六万キロ、このときの貨物量が六百二十四億トンキロ。これが現在では、貨物量がピーク時の七三%の四百五十五億トンキロに減っております。にもかかわらず列車キロ数ではわずかに二万キロしか減っていない。また、貨車の保有量を見てみましても、ピーク時四十四年の十六万九千両に対して五十一年が十三万五千両と、これまた輸送量に対応をしておりませんですね。  もっともこれは一気に廃棄処分にすることもできないでしょうし、またさっき大臣がおっしゃったように、輸送量が増加をしたときの対応策としてやっぱりある意味では保管、保持をしておかなければいけないという御配慮があったかもしれないけれど、私が見るところでは、ピーク時から今日まで約十年間あるんですよね、その間に何のなすすべもなく、あれよあれよ、ずるずるという今日的などろ沼に来てしまったんじゃないだろうか。私はこういうことをはっきり言いたい。で、なぜいままでもっと効率的な輸送ができなかったのか、また今後はどうやっていくんだろうか。たとえば私の素人考えでも、ピーク時の貨物量から減りに減って減少の一途をたどってきた、いま言ったように今日までその間十年間もあるんですね。ですから、現実に対応したダイヤの編成ぐらいできたんじゃないだろうか。まあダイヤの編成も大変だということも聞いております。長いものになると二年ぐらいかかるそうでありますけれど、十年の歳月を、しばらく経過をどうなるか見守っていく十年にしようというような悠長なことを、いまの状況に置かれている国鉄が言っていられるかどうか。その辺も含めてひとつお答えをいただきたいと思うんです。
  218. 田村元

    国務大臣田村元君) 過去において企業努力に欠けておったことは、これは私も認めざるを得ないと思うんです。国鉄も恐らく認めておると思います。でございますから、いまおっしゃったような点の御指摘、ただただもう頭を下げる以外にありません。ただ、だからといって、これからでもやらなきゃならぬ。私は先ほど貨物はまだふやし得るということを申しました。もちろん合理化を否定するものではありません。合理化はしなきゃいけません。しなきゃいけませんが、貨物をふやし得る——一遍にぱっといきなりふえるわけじゃありませんから、ぜい肉も取りながらふやしていかなきゃならぬことでしょうけれども、その基本はやはり私は労使の協調だと思うんですよ。結局労使の協調だと思う。  たとえばいまの国鉄貨物をふやそうと思ったら、客を逃すまいとしたら、大企業であろうと中小企業であろうと、もうなりふり構わずに客をとりにいく以外にないと思うんです、率直なことを言いまして。それに対していろいろな施設を適合さしていかなきゃならぬだろうと、このように思うんです。そういう意味で先ほど申し上げたことでございます。いろいろといままではイデオロギーその他もあったんでしょうけれども貨物の取り扱いの問題について、荷扱いの問題についても議論がございました。もうこの期に及んではどうか労使一体となってがんばってもらいたい、こういうことでございます。
  219. 木島則夫

    ○木島則夫君 これね、論じたら切りがありませんし、私もただただふえると言われても、急激に何か魔法使いが物をふやすようなわけじゃありませんから、私はいま短絡的にそこまで一気に大臣のお言葉を、はいそうですかとどうも信ずるわけにはいかないんでありますけれど、その努力目標はひとつお忘れにならぬようにしていただきたいと思いますね。  まあこれは余談ですけれど、高度成長華やかなりしころからレジャーに対する、たとえば「ディスカバージャパン」というようなきれいなポスターが駅の構内、階段のところにたくさんあってレジャーを誘発をしてくださる、もちろん結構ですよ、私も。その表のそういうきれいなところだけではなくて、やっぱり一番大きな問題になっている、ウエートのかかっているこういった貨物輸送の面でも、私はやっぱりセールス精神というか、いわゆる公共機関でありますから、何でもかんでも売ればいいと、なりふり構わずというのは、おっしゃったきっと精神的な意味だろうと私は思います。そこには一つのけじめというものはあってしかるべきだと思いますけれど、やっぱりいままで座ってて何でも用が足せたというそういう親方日の丸、はっきり申し上げると。やっぱりそういう体質を払拭していく。一にかかって私はそこから出発をしていかなきゃいけないんだろうという意味でいま蛇足を申し上げたわけでございます。  それから職員構成と人件費の問題ですけれど、いろんな事情があるにいたしましても、職員の年齢構成と収入、いわゆる収入に占める人件費の割合などやっぱり大変重要です。このことも再建対策の中で大いに論じていかなければならない問題だろうと思います。そこで、職員の退職金の支給総額でございますけれど、現行の退職制度では、本年度以降十年間の退職予定者が約二十二万人、毎年の単価アップ率、これは八・五%といたしました場合の退職金の額が四兆九千億ですかね、単純計算をしても。四兆九千億という試算が出るわけであります。こういった莫大な額は現行の運賃体系の中でどう処理ができるのかということですね。こういうものを支払うためにそれじゃ上げてもいいんだろうといって、まだ法案は通っておりませんけれど、そういうものが逆用されないだろうかという心配もここから起こってくる一番心配なところであります。
  220. 田村元

    国務大臣田村元君) おっしゃるとおり非常に頭の痛い問題でございます。この約二十一万人の退職金の問題、それから当然それで派生する共済年金の問題、この問題は安易な考え方でこれを国鉄会計の中に織り込んでいくということでなしに、特段の工夫というものを講じていかなきゃならぬだろうというふうに考えております。
  221. 木島則夫

    ○木島則夫君 この辺はひとつ慎重にお願いをしたいと思います。  もう私の持ち時間もございませんので、最後に一つだけ。  要するに、国鉄再建といっても、要は国鉄においでになる皆さんがやる気を出すか出さないかということにつながると思います。事の重大性の認識はどなたもおありになると思います。ただ、問題が余りにも多岐にわたり過ぎて、一体どこに向かって走っていいか、その目的、目標というものがいままではっきりしていなかった。それは国鉄の当事者能力という問題からも起こっているでしょうし、政府のこれに対する援助額が少なかったというような問題にも私は起こっていると思います。  したがって、最後に、その職員の年齢構成から、たとえば職員のいわゆる昇進ですかね、などにもむずかしい問題が生じているんじゃないだろうか。現場一筋に働いているたとえば五十歳代の方が十万人近くもいらっしゃるんだそうであります。幾ら昇進だけがその人の評価じゃないと言いましても、現場一筋に一生懸命やってらしたその方が駅長、助役すらにもなれないというようなことでありますれば、これはやっぱりやる気は起こさないと思いますね、起きないと思います。そういう点もひとつ考慮に入れながら再建対策をしっかりやっていかなきゃいけない、やっていただきたい。最後に、私の結びでもございますけれど、大臣のお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  222. 田村元

    国務大臣田村元君) おっしゃるとおりでございまして、国鉄当局と十分相談をして、働く意欲がより一層強まるような体制づくりを目指して進みたいと思います。先ほど私は貨物問題でも相当きついことを言いましたが、要は大きな目標を掲げてもなおそれより下回ることがあり得るわけです、実績で。つまり、木島さんの御質問に対する答弁というよき機会を利用さしていただいたということで、実は国鉄に対して親方日の丸であっちゃいかぬよと、うんと働くんだと、セールスもやるんだということを実は申したわけでございます。  大変示唆に富んだ御忠告をいただいてお礼を申し上げます。
  223. 内田善利

    委員長内田善利君) 他に御発言もなければ、本連合審査会は、これにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  224. 内田善利

    委員長内田善利君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後四時十六分散会