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1977-11-24 第82回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二十四日(木曜日)    午前十時四十一分開会     ―――――――――――――    委員異動  十一月二十二日     辞任         補欠選任      田代富士男君     桑名 義治君  十一月二十四日     辞任         補欠選任      井上 吉夫君     岩崎 純三君      衛藤征士郎君     長谷川 信君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         内田 善利君     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君     委 員                 伊江 朝雄君                 石破 二朗君                 岩崎 純三君                 江藤  智君                 衛藤征士郎君                 佐藤 信二君                 高平 公友君                 長谷川 信君                 平井 卓志君                 青木 薪次君                 穐山  篤君                目黒今朝次郎君                 桑名 義治君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  田村  元君    政府委員        経済企画庁総合        計画局長     喜多村治雄君        運輸大臣官房審        議官       真島  健君        運輸省港湾局長  大久保喜市君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省自動車局        長        中村 四郎君        運輸省航空局次        長        松本  操君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        国土庁長官官房        審議官      宇都宮 寛君        国土庁長官官房        震災対策課長   城野 好樹君        大蔵省主計局主        計官       角谷 正彦君        農林省構造改善        局建設部開発課        長        岡本 克己君        林野庁指導部治        山課長      江藤 素彦君        林野庁指導部林        道課長      人見 啓治君        建設省道路局国        道第一課長    住友 栄吉君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      田口 通夫君        日本国有鉄道常        務理事      小林 正興君        日本国有鉄道常        務理事      高橋 浩二君        日本国有鉄道常        務理事      篠原  治君        日本国有鉄道常        務理事      尾関 雅則君        日本国有鉄道常        務理事      馬渡 一真君        日本国有鉄道常        務理事      吉武 秀夫君    参考人        日本道路公団理        事        平野 和男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案(第八十回国会内閣提出、第八十  二回国会衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十二日、田代富士男君が委員辞任され、その補欠として桑名義治君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 内田善利

    委員長内田善利君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日の委員会に、日本道路公団理事平野和男君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 内田善利

    委員長内田善利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 内田善利

    委員長内田善利君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山田勇

    山田勇君 昭和五十一年度の国鉄監査報告を見していただきました。五十一年度が新しい国鉄再建の初年度で、運賃改正財政措置などによって純損失を四千九百四十億に圧縮することに予定していたのが九千百四十一億になったということですが、当初の予想の二倍近い損失を計上しているということになっておりますが、これはどういうことでこの二倍近くの損失というものが計上になったのか、総裁からお話を伺いたいと思います。
  7. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいまお挙げになりましたように、当初に比べまして約四千億ほど赤字がふえたわけでございます。その中でそごが起こりましたのは、経費の方ではなくて収入の方でそごが起こったわけでございます。経費の方は予算で予定されておりましたものと比べまして節減その他に努めました結果、ごくわずかでございますけれども、最初の見込みよりは減っておるわけでございます。収入が約四千億余り予定そごをいたしましたが、そのうち約二千五百億が運賃改定時期にかかわるものでございます。当初の予算では六月一日から運賃改定を見込ましていただいておりました。大体月額で五百三十億の増収というように見込んでおりましたが、六、七、八、九、十と五カ月おくれを見ましたから、五百三十億の五カ月で約二千六百億のそごが出ております。  そのほかに千数百億そごを来しましたが、それは運賃改定前の時期からすでに若干お客さんが減っておりまして、予算を編成いたしますのは五十年の十月、十一月、十二月あたりの状態を前提にして伸びを見ておったわけでございますけれども、実際には五十年の春ぐらいからもうほとんど伸びがなくなりましたことと、もう一つは、三七%の増収を見込みましたのが三〇%台でとまりましたということによるものでございます。その両者によりまして大体千四、五百億の減収となりました。よってもって四千億余りそごが出ましたということでございます。
  8. 山田勇

    山田勇君 五十一年十一月の平均旅客は五〇%、貨物は五四%もの運賃改正をすれば、これはもう旅客貨物が減るのは私は当然のことだと思います。しかし、年度当初に予定していたより五千億の減収ということですが、いろんな社会的、経済的な理由はあったにせよ、もう少しわれわれ国民が納得のできるような経営ができなかったのかどうかということについて非常に私は疑問に思います。  そこで、運輸省としては、総合交通体系の中で国鉄の位置づけをどう考えておられるのでしょうか。すなわち交通安全、環境保全省エネルギーといった面で国鉄を重く評価するならば、当然将来に向かっての助成措置としても鉄道優先考え方を推進していくのが正しいと思いますが、三全総では道路重点主義になっているようですが、この点について大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  9. 田村元

    国務大臣田村元君) 総合交通体系は、御承知のように四十六年答申、それから同じく四十六年十二月の閣議了解というものが一応の総合交通体系と言われております。その志向するところはおおむね妥当であろうと思いますけれども、その後社会経済環境が大きく変わりました。でありますから、近い将来これを相当大幅に見直さなければならぬと思います。私は、先般も御答弁申し上げたように、行政機構そのもの総合交通体系にそぐうようなものに変えなきゃだめだと、いまのような縦割り行政だけではだめだ、調整機能が要る、その調整機能も相当強い権限を持った調整機能が要る、これは私の持論でございまして、現にそのような内案をつくりつつあるところでございます。  国鉄が、まあ国鉄といいますか、鉄道がといいますか、まあ国鉄ですね。国鉄が担当する分野、これは御承知のように都市間交通とか、あるいは大都市圏旅客輸送とか、あるいは中長距離大量輸送とか、いろいろございます。そういうような国鉄の果たしていく役割りというものについては、これはやはりその効率をうんと高めるように努力をしていかなければなりませんし、おっしゃるように、省エネルギーという観点からこれは確かに国鉄見直し論――いまエネルギー問題で石炭見直し論が出ておるように、国鉄見直し論というものが台頭してこなければうそであります。ただ、エネルギー効率といいましても、これは国鉄に人が乗らない、あるいは荷物が載らなければ、かえって省エネルギーどころかエネルギー浪費になる。やはり積載効率やあるいは乗車効率というものとの絡みがなければ一概に言えぬでしょう。地方のローカル線の場合なんかはあるいはバスの方がエネルギー効率が高いかもしれません。  そういうこともありますけれども、まあ各論はとにかくとして、一般論から言えば国鉄省エネルギー役割りを果たすことは非常に大きな意義がある、またそういうふうにでき上がった公共輸送機関である、このように思います。三全総におきまして道路重点といういま御意見でございましたが、私は必ずしもそうとは見ておりません。将来の全国幹線交通体系を形成する高速鉄道網として約七千キロメートルの新幹線ネットワークを挙げております。そういう点で決して鉄道がおろそかにされたとは思っておりませんけれども、いずれにいたしましても道路輸送、つまり自動車をも含めました総合交通体系というガイドラインを設けていく、そのための大きな見直しをしていくことは必要であろう、このように考えております。
  10. 山田勇

    山田勇君 新幹線の問題が出ましたので、新幹線を初めとする問題は後ほど聞きますが、まず新幹線を初めとする国鉄全体の輸送量減少傾向はぼくは運賃面からだけではなく時間的価値、すなわち速く目的地に着くといったことも関連していると思うのですが、運輸省としては国鉄とほかの競合する運輸事業との調整をどう考えておられるのか。新幹線より飛行機、貨車よりトラックというふうに非常に推移が変わっておりますが、そういう点について国鉄サイドはどういうふうに考えておられるのでしょうか。
  11. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 旅客関係で申しますと、従来はどっちかといいますと自動車、特に自家用車との競争関係がだんだん厳しいものになってまいってきておったわけでございますが、最近非常に痛感をいたしておりますのは、いまおっしゃいました飛行機との関係でございます。国民といいますか、一般の方々のニードといたしましては次第に時間的価値を大切にするということになってまいりましたから、値段のこともございますけれども、それよりも時間を中心としたサービス内容ということで、私ども飛行機との間でなかなか競争しかねる面が出てきております。  現在、たとえば東京と札幌との間の旅客の流動ではすでに九割方が飛行機の方に移っておるということでございますし、大阪と宮崎、鹿児島の間でも八割近く、七割から八割ぐらいの間でお客さんが飛行機の方に移っておるという現状でございます。こうした面についてはやはりなかなか競争いたしかねる、むしろ他のフィールドで需要が非常に強いので、そちらの方にだんだん重点を向けていきたい。トラックとの関係につきましてはやはり長距離のもの、中距離のものは私どもにある程度競争力があると思っております。近間のものはとにかくとして、トラックの方はなおなお、トラック貨物関係ではもう少しわれわれが知恵を出すことによってお客を取り戻してまいりたいというふうに考えております。
  12. 山田勇

    山田勇君 まあ飛行機国鉄といえば、これはもうスピードにおいても距離的においてもこれは負けるのは技術的に見れば明らかですが、国鉄の中で、これからの飛行機に対する国鉄飛行機というより、その飛行機から出されてくる乗客との関連というふうな形で、何か国鉄が考えておられる飛行場新幹線なり一般国鉄鉄道との関連、たとえばこの間視察さしていただきました北海道なんかでは千歳から札幌市内まで入る鉄道を引く。ぼくはそれを聞いたときにああなるほどと、国鉄の行き方はまだあるんだと。これからますます大型化されてくる。  また、もっと地球が狭くなり飛行機利用が多くなってくる。飛行機から出されてくる乗客国鉄が一気に引き受けるんだというふうな形の中で、何かそういう新しい構想千歳-札幌市内の間はわかっておりますが、たとえばこれから問題になってきます、話題にもなるでしょうし、関西空港の問題ございます。それと国鉄との関連、何か違う事業団を組んで関西空港国鉄を持っていく。前々回の委員会大臣はおっしゃっていましたように、第三セクトを組んだような形のものでやろうというふうなことの発想もあるようですから、それに関連する何か飛行場国鉄の新しくこれから始まろうとする事業なり、こういう構想があるというようなことがあればお聞かせ願いたいと思います。
  13. 高木文雄

    説明員高木文雄君) やや具体的にいま内々考えておりますのは、いま御指摘千歳空港札幌関係でございまして、もう少し千歳札幌の間の――現在電化をいたしておりませんので、これを電化の方に持っていくか、あるいはフリクエンシーを上げるとか、さらに国鉄千歳の駅とそれから千歳飛行場との関係をもう少しスムーズにする方法はないかというようなこともいま研究中でございます。他の地域についてはまだ具体化いたしておりません。しかし、まあいまの北海道を一遍試験的というか、第一の例として進めてまいりたい。それによっていろいろな点を勉強いたしましたり、あるいはどれだけ具体的にメリットがあるかということを考えました上で他の地域にもそういう考え方をもたらしてみたい、そういう意味テストプランという意味も含めてぜひ北海道をまず進めてみたいというのが現状でございます。
  14. 山田勇

    山田勇君 これはちょっと単純な物の考え方かもしれませんが、国鉄再建の三本柱のうち、利用者負担と国の財政援助ということははっきりと形の上、すなわち金額的にあらわれるものですが、問題は一番大切なのは国鉄自身経営努力というものが非常につかみどころのないものになっているように思うんです。この十八日の連合審査の席で坊大蔵大臣は、この法案が万一成立しない場合は国鉄政府ともきわめて苦しい立場に追い込まれる、税金を預かる大蔵大臣立場から言うと、国鉄経営合理化の徹底、また利用者負担、すなわち運賃値上げの適正を図り、その上で財政事情を勘案し所要の対策を立てる方針だというふうに言っておられました。  要するに国が助成するのには、いわゆる国鉄合理化利用者負担が決まらなければ金の出しようがないということでしょうが、大蔵省立場としてはこれは当然かもしれません。そこで、私は過去何度かの国鉄再建計画が立てられてきたのを見まして、それが一度も達成されたことがないということは、もちろん実施もされてもう早々と改正されていくというのを見まして、基本的に考え方を変えなければならないんではないか。すなわちこの再建計画がうまくいかなくてもだれも責任をとろうとしない、どこに一体責任があるのかそれがわからない。こんなことではいつまでたっても再建はできないんではないかと考えるのです。  そこで結局は、当事者である国鉄がもっともっと積極的に責任を持って再建に当たらなければならない。もっとどしどしと国に向かって、国民に向かって自信を持って発言をすることが大切ではないか。すなわち国民に向かってはこれだけ運賃を上げてほしい。国に向かってはこれこれの助成は絶対に必要だ。そのあとは国鉄自身経営努力でりっぱに再建してみせます。こういったことが本当に当事者能力を発揮するということになろうかと思います。運賃法定制緩和というような目先の小細工だけではなく、もっと当事者としての国鉄職員がこれなら責任を持って達成できるという努力目標をはっきりと国鉄自身が立てるべきではないでしょうか。そして、その責任体制をはっきりさせることが大切だと思いますが、いかがでしょう。
  15. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まさにただいまの御指摘、御叱正のとおりだと思っております。この四月に経営改善計画というものをつくりまして御提出いたしておりますが、これはごく一部の貨物とか自動車とかいうものについての考え方が示されているだけでございまして、まだ全体像が浮かび上がるということにはなってないと思うわけでございます。しかしながら、経営努力と申しますか、経営改善のやり方につきましては一般的に、たとえば労使協調というようなことがきわめて重要でございますと同時に、個別個別に、部門別具体案を詰めていくことが必要だと思っておるわけでございまして、この四月に御提出いたしましたものは、そのいわば第一回目のもので、内容的にはまだまだ貧弱でございます。これから部門別あるいは地域別にいろいろ考えまして具体案を立てていきたい。何か再建の妙案があるわけではないわけでございまして、個々のいろんな問題を具体的に積み上げていく以外にございませんので、それをこれから五十三、五十四と向けて積み上げてまいりたい、そして御期待に沿えるようにいたしたいと思います。
  16. 山田勇

    山田勇君 国鉄再建に関するいろんな文章、多くの識者の提言の中には必ずといってよいほど出てくるのがあります。いろんな難問を乗り切るのには国鉄労使一体となってとか、すべての職員が国の基幹的輸送機関の一翼を担っていることを自覚してとか、労使協調を強くうたっておりますが、これは裏を返せば、いかに国鉄内部労使関係が乱れているかというふうにとられるんですが、どんな組織でも団体でも、それは内部混乱をしては目的はぼくは絶対に達することはできないというふうに思います。そういうことになりますと、非常にお互いが苦労するのはあたりまえのことです。  私は考えますのに、国鉄労使関係がうまくいかないのは、管理者側は政治的には保守系につながる。一方、従業員側はいわば革新系につながる。使用者側政府・与党の意向を忠実に実行しようとする。労働者側は、それは搾取、弾圧とまでは考えないにしても、労働者の権利を抑えようとしていると受けとめる。全くの利害が相反した立場で対峙しております。こんな状態ではいかに企業努力とかなんとか言っても実効が上がらないのは私はあたりまえではないかと思います。本当に国鉄を愛し、国鉄国民のものとして守るという気持ちがあれば、思想とか政治的立場を超えていま国鉄再建に取り組まなければなりません。  ちょっと話が大げさになりますが、先日のエジプトのサダト大統領は、敵地イスラエルに乗り込んでまで平和を見つけるそのための努力を惜しまなかった。恩讐を越えて国民のための国鉄を守る努力はいまほど必要なときはないと私は思います。いま逃せば国鉄再建は不可能ではないでしょうか。国民国鉄離れはどんどんと進んでいるようですが、このまま進めば、恐らく近い将来国鉄不要論国鉄をつぶせ、国鉄民間移行論というような声も出てくるんではないでしょうか。もっと能率のよい、もっと乗りよい別の交通システム国会でも真剣に考えなければならないというようなことになりはしないか。国鉄当局並びに運輸省の積極的な再建努力を強く望むわけですが、この労使関係について、総裁の御意見を聞かしていただきたいと思います。
  17. 田村元

    国務大臣田村元君) その前に、私の方がむしろ客観的に物が言えるかもしれませんから、私から労使関係について若干の、過去一年間の私の在任を通じての感想を述べたいと思います。  国鉄労使は、その関係がぎくしゃくしておった、これは事実でございます。残念ながら認めざるを得ない。ところが、最近労使とも国鉄危機的状況というものに対してこれを直視するようになってまいりました。そうして労使間の考え方に微妙な変化が生じてきたことはこれは認めてよいと思うのであります。  特に私は高木君が総裁におなりになってから――過去がどうであったか、いままでの総裁がどうだったかということは抜きます。抜きますが、いまの総裁になってから、総裁労働側に対してその距離を縮めようと必死になって友愛の手を差し伸べておることは、これは私ははだで感じております。同時に、組合側もその意識というものが微妙に変化しておりまして、この総裁のもとにわれわれも可能な限り協力をしようという、そういう姿をやはり私は強く感じ取ることができます。そういう意味で、過去の国鉄労使関係から見れば、やはり微妙ではありますけれども、微妙ということは大きく前進したとは言えないかもしれない。けれども、まあ下世話で言ういい線をいっているというような感じが実はいたしてまいりました。  きょうもまことに残念ながらストライキが行われたようでありますが、これについて私は、これを認めるものではありません。不法なストイラキに対しては、やはり毅然たる態度でこれを批判し、臨まなきゃならぬ。これは当然でございますけれども、しかしそれはそれとして、確かに微妙な変化がきておる。労使関係を改善するのは、これはやはり時間がかかります。労使関係は、先ほど山田さんおっしゃったように、その不信感からきておる面とイデオロギーからきておる面があります。イデオロギーを変えろと、これは無理でございましょう、率直に言って。けれども高木君は組合に対し、組合総裁に対して信頼感を取り戻そうと双方が非常な努力をしておることは、これはひとつ評価をしてやっていただきたい。  しかし、だからといって非常に正常な労使関係になるにはまだ時間かかりましょうけれども、私は運輸大臣として過去一年ながめておりまして、徐々に前進しておることはいいことだというような感想を抱くに至りました。ちょっと私の感想だけ申し上げておきたいと思います。
  18. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 二つだけ申し上げさせていただきたいと思いますが、国鉄職員は終戦直後六十万人を超えておったわけでございます。現在まだ大変大きな組織でございますが、四十三万人ということでございまして、その間一貫して、どうやって少ない人数で同じだけのサービスを上げていくかという努力をやってきたということが言えると思います。何と申しましても人を減らさなければならない。これはいわゆる首が飛ぶとかなんとかいう事態は、二十四、五年の、例の下山事件が起こりましたあの前後を除きましてはないわけでございますけれども、しかし、勤務場所が変わるとか、職種が変わるとか、同じ職種の中でも蒸気機関車を運転していた人がいまは電車を運転するというふうに仕事の内容が変わるとかいうことで、しょっちゅう勤務条件の変更に追われていたわけでございまして、そういうことの繰り返しが続きました結果、労使間がぎすぎすしたというのもまた一つの悲劇として認めていただきたいと思うわけでございます。  今後の問題といたしましては、過去のそういういろいろな思い出といいますか、あるいは紛争といいますか、あるいは不信感といいますか、そういうものをたくさん相互に持ち合わしておるわけでございますが、いまここまでまいりました現状におきましては、過去は過去、現在は現在ということでもう少しフランクにいろいろの物事が進められるようにしていきたいと、私はそういった環境づくりをしてまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、もう一点申し上げておきたいと思いますけれども、いま山田委員がおっしゃいますように、当方の職員はそれぞれのやれ国労、やれ動労、やれ鉄労と、その他、まあ組合組合員でございますけれども、その前にまず国鉄職員でございますから、もう少し一人の人間として組合員意識と職員意識とを本来あるべき姿に戻っていかなければならぬのではないかと、そういう指導がいささか不十分であったのではないかと。まず国鉄職員であるということのもとに常に行動してもらうという雰囲気をもうちょっと高めてまいりたいと思っております。  鋭意今後努力してまいりますが、どうかひとつ広く国民の皆さんに国鉄の内情をよく理解をしていただいて、その上でいろいろ御批判を賜りたいと、それによって当然国鉄も社会環境の変化とともに変わってまいると思いますので御批判を受けたいと、それがためには広く御理解をいただきたいと、こういうふうに思う次第でございます。
  19. 山田勇

    山田勇君 これは少し内部的な話になって恐縮ですが、先日静岡の方に地方調査ということで運輸の委員会で派遣して静岡鉄道管理局へ行ってまいりました。そのときにいろんな貨物のヤードとか、そういったところを視察さしていただきました節に、恐らく組合の方が書かれたと思います。参議院運輸委員会御一行様歓迎と書かれてありました。その下に、国民に愛される鉄道づくりを目指すというふうな言葉が書かれてありました。  これは地元選出の青木先生のやはり指導的なものがあったにせよ、いわゆる非常にそういう明るい、いつもだったら、はっきり言えば健保、国鉄二法案反対と、こう書いてあるのが、運輸一行様歓迎、国民に愛される鉄道を目指しますというふうに書かれてある。これはやはり青木先生が何らかの形で、むき出しにしちゃいかぬと、委員会の先生方がこうした形で視察しているんだと、そういうものをぶつけちゃいかぬというふうな指導があったかどうか私はわかりませんが、しかし、そういう姿勢こそ労使協調の最も大切なものですし、組合の方も一生懸命話し合えば十分理解してもらえるものがあるんではないかというふうに受けとめ、大変気持ちよく視察を終わらしてもらったようなわけでございます。  先ほど大臣言われました、けさもストが行われました。ぼくはこれは権利闘争として、私としてはまあこれは別に反対するものではありませんが、やはり時代的背景、そういうものをよく把握して組合も闘争を進めなければならないように私は思います。近ごろのストを見ておりますと、まあ私だけじゃなく、国民労働者が果たしていまの組合闘争に仲間意識を持っているだろうかとまでいかなくても、共感を持っているだろうか、そういう闘争というものに支援をしているだろうか。  先日公述人にお見えになった富塚さんに、ああいう席でしたので深くお尋ねはしませんでしたが、組合のストのやり方にも百年一日がごときいわゆる闘争的なものがないんではないかというふうな疑問が若干あったわけです。たとえば具体的に、これは先生方におしかりあるかもわかりませんが、もう国電に大きな字を書いてそれを消した跡を汚く国電が走る、ビラを張ったまま国電が走る。果たして自分の所属しているその電車があれほど傷つけてまで闘争をしなければいけないのか。もっとスマートな条件闘争的な運動方法はないものだろうかというふうに思います。  私はヨーロッパとか、カナダへ行ったときもたまたまCPのストなんかにぶち当たるのですが、ゼッケンをつけてわれわれの要求している事項をこう書いて、発車する列車のところに百人ぐらいがずらっと並んでわれわれに手を振っている。そして要求をゼッケンに書いている。看板を持っている。そして、ほかは全部乗客にその組合のこの闘争を、ストライキをなぜしているかというようなことをこんな大きな文書にたくさん書いて渡しているという、そういうふうなものができないのだろうかというふうに考えるわけですが、その中にはやはり指導者であります総裁組合の皆さん方と何度も何度も会見をし、会合を進めていくということですが、総裁先ほど御決意を述べられたようですが、仮にこの法案が通ったとして、すぐに組合の幹部の皆さんとこの再建という問題について語る機会をお持ちですかどうか、お聞きいたします。
  20. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 昨年の六月でございましたけれども、私どもの方から労使の対立問題であります給与問題でございますとか、待遇問題でございますとかいうことは全く別に、国鉄経営ということについて非公式にでもいいからいろいろ話をしようではないかということを提案をいたしました。まだ十分いっておりません。私どもとそれから各組合の指導者との間では余り回数は多くありませんけれども、会ってそういった問題を中心に話をする雰囲気はできてきておりますけれども、たとえば地方で各地域の、私ども責任者と各地方の組合の指導者とがひざを突き合わせてそういう話をするというところまでいかないといけないと思っておるわけでございますが、まだそこまではなかなかいっておりません。  ただ本年の夏の組合の大会におきましても、組合の運動方針として、組合自身も経営の問題に積極的に物を言おうではないかということが運動方針にもあらわれてきておりますが、これは従来の組合考え方から言えばかなり飛躍的なものでございます。これが現実にどういうふうに実りますか、こういう赤字の状態でございますから、要は急ぐわけでございまして、基本的にはそういう考え方であってもそれが実らないと、現実の問題にならないというのでは何にもならないわけでございまして、ぜひ組合側にも大臣から先ほど御指摘がありましたように、組合側の姿勢もすっかりといいますか、ある程度変わってきておりますので、それが現実の行動としてもあらわれますように推し進めてまいりたいと思っておる次第でございます。  なお、いま車両にいたずら書きをするとか、落書きをするとかという御指摘がございますけれども、これは全く遺憾なことでございます。ただ、いまの組合一つの問題は、新しいゼネレーションの諸君と古いゼネレーションの諸君との間にいろいろギャップも出てきておりまして、ある意味では組合の指導が全体に行き渡らないという悩みを持っておるのでございまして、決して組合がその方針として運動の中で、アピール活動の中の一つとして車体にいろいろないたずら書きをすることを認めておるわけではないわけでございますけれども、その統制が行き届いてないというようなことから起こってきており、われわれも監視を続けておりますけれども、なかなか目の届かないところでああいうことになるということでございます。  これが幾らか回数は減ってまいりましたが、現実にそういう行動がもしなくなるということになりますれば、これは全体の変化、移り変わりを示すことになろうかと思いますので、そういったいかにも国民の皆さんにあれは何だといってまあさげすまれるような行動を少しでも減らしてまいりたい。そういうことができましたときに、皆さんの前にある程度だんだん変わってまいりましたということを申し上げられる時期が来るんではなかろうかと、その時期が一日も早く参りますように努力を続けてまいりたいと思っております。
  21. 山田勇

    山田勇君 まあ商品にたとえれば大変おしかりあるかもわかりませんが、やはり国鉄の皆さん、職員にとっては、あの走っている電車というのは一つの商品であります。その商品をみずから傷をつけてしまうということに問題があるんではないかというふうに思います。これは単に私だけの私見で言っているんじゃなく、ある番組を通じまして、大阪は片町線という電車に乗りましてアンケートを、私はデンスケというものを持って、一般の人にあの電車に書いてある字、また後の消した字に対する感想を七十四人を対象にした場合、ほとんどの人が汚いということの結果です。その闘争のあり方とかそういうことじゃなく、余り戦術としてスマートでないということですので、そういうことをひとつ反省をして、総裁の方からもひとつ、そうしてそういうものを書かなくてもいいような労働条件づくりということを考えていっていただきたいと思います。  そこで、ついでですが、この生産性教育、すなわちこのマル生運動についてちょっとお尋ねをいたします。マル生運動は四十六年の十月に中断されたままになっておりますが、これはまあ失敗だったということでしょうか。
  22. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まあ生産性を向上するということは企業として当然のことだと思いますし、そこで働く人たちも生産性の向上に最大限の関心を持つべきだと思うわけでございまして、その意味で生産性向上運動そのものについては間違っていなかったと思います。ただ、結果といたしましていささかやり方が性急であったということと、進める方の態度に十分の心構えができていなかったということのために、いささか組合に対する干渉になるような結果になりましたことから、要らざる紛争がそこで起こったわけでございまして、その意味においてやはり失敗であったと言わざるを得ないと思うわけでございます。  マル生運動という名前で、組合側からそういう名前をつけて言われておりますけれども、そのことと本来の生産性向上運動とは区別していかなければならない。そうして、マル生という言葉が非常に悪い印象として残っておりますので、いまはそういう名前を使わないで、別の形で組合と申しますか、職員諸君と経営の問題について話をすると、意見を交換するということを通じて、実質その目的を漸次達するようなことを進めてまいりたいと思っております。
  23. 山田勇

    山田勇君 鉄道労働組合の方は、この教育は再開すべきだと申し入れ書を提出したそうですが、総裁はこれに対して再開する考えのないことを表明しておられますが、いま先ほどの御答弁にありましたように、違う形の生産性向上というふうな形で進めていきたいということですが、まあいろいろな問題はあるにしても、生産性を国鉄再建ということから考えていくと必要なことなんで、こういう問題も一つ一つ、ひとつ総裁の決断によって解決をしていっていただきたいというふうに私は思います。  そこで、まあ具体的な質問に移りますが、先ほど申し上げましたとおり、新幹線のちょっと関係についてお聞きしたいと思います。  三全総が策定されましたが、その中で新幹線というものがどのような位置づけをされているのか。また上越・東北新幹線に続いて計画されている五つの新幹線の着工順位はどうなっているのか。またどんなメリットを考えて着工順をお決めになっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  24. 田村元

    国務大臣田村元君) 先ほども申し上げましたように、三全総計画におきましては、将来の全国幹線交通体系を形成する高速鉄道網として約七千キロメートルの新幹線ネットワークを挙げております。また計画期間中におきます新幹線の整備につきましては、東北、上越等工事中の新幹線の完成をやることと、それから整備計画五線につきましては、いま実施計画を策定中でございますが、徹底的な調査をしようということにしております。といいますのは、もう新幹線とか空港といいますのは、つくってくれ、ほいきたよろしいというようなぐあいにはもういかぬ時代になったんですね。私どもは他の新幹線、すでにでき上っておる新幹線、いまつくっておる新幹線、あるいは成田を初め飛行場等で非常に貴重な体験、苦い経験もなめました。  そこで大きな、こういう国民地域住民の利害に関係の深いプロジェクトを進めるには、やはり徹底した環境アセスメントをやるべきだ、そうしてその結果をもちろん地方自治体を通じてということになりましょうけどれも、可能な限り国民の、地域住民の前にさらけ出すことだと、そうしてその上で協力を得るための努力をしてコンセンサスに持っていくというふうにすべきであろう。そのためには整備五線につきましても徹底した調査を行う。  それからまた国鉄財政がこういう状況でございますから、やみくもに結構でごさいますと――あれは実は五兆五千億かかると言われております。実際にはもう以前の計算でございますから、これからつくる段階になりますれば、あるいは七兆になるか十兆になるか、相当ふくらんでいくということになりますと、これは大変なことでございますから、この投資効率というものも考えなければなりませんでしょう。  それから第一、全部それじゃその金国鉄にしょわすんか。鉄建公団で従来どおりのパターンでやれというのか。私それは酷な話だと思うんですね。ですから、その財源をどうするのか。先般本ちょっとお触れしたんですが、何か自民党の議員連盟の中で非公式に建設国債でやったらどうかという意見も出ておるようです。それは将来の子孫に対してりっぱな施設を残していくんだから、将来の子孫も共にわれわれ現代の人間と共にその負担をしていくことは、これは当然であろうという考え方から、建設国債を発行してそれでやって、そうして国鉄に無料といいますか、基礎施設を渡したらどうかというような御意見もあるようでございます。  もちろん公式の場で述べられた意見ではありませんし、私がそれを特に申し込まれたというわけでもありませんから論評の余地はありませんけれども、まあいずれにしてもわれわれはこういう大きなプロジェクトを図るためには財源も真剣に争えなきゃならぬ、このように思います。そういう考え方の上に立ちまして私どもは今後のこの整備五線には対応すると。すでに着工しておるものは、これは急がなきゃならぬ、こういう考えでございます。
  25. 山田勇

    山田勇君 いま大臣おっしゃったように、建設国債といいますか、鉄道国債といいますか、鉄道債といいますか、そういうのは大臣個人としては賛成なのですか。
  26. 田村元

    国務大臣田村元君) 国鉄が発行する債券ということであれば、結局国鉄がその荷物をしょわなきやならぬことになりますね。建設国債でございますと、国の責任でこれをいわゆる公共事業としてやって、つくり上げたものを――つくり上げるといいますか、その金を国鉄でさあおやりなさいということになるわけでございます。言うなれば、できたものは国鉄はいただけるということになるわけです。  ですから、国鉄が出す債券については、国鉄の債務に直接つながっていくことになりますから慎重にならざるを得ませんけれども、それは従来的な考え方になりましょうけれども、建設国債ということが実現するなら、もうまさにウエルカムそのものでありまして、私は双手を挙げてこれには賛成いたしますけれども、しかし、いかにも金額が大きうございますから、果たしてそれが短期間に政府が賄える力があるかどうか。現実問題を考えれば、なかなかむずかしい問題はあろうと思いますが、大筋においてそういうことが実現するとすれば、もうあくまでもこれは仮定の問題でございますけれども、私は結構なことだと、このように考えます。
  27. 山田勇

    山田勇君 新幹線が時折全面運休して補修工事を行います。近々行うように聞いておりますが、これは定期的なものでしょうか。
  28. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 新幹線のうちで、東京から大阪までの間は十年前につくられたということが一つと、もう一つは、当時非常に日本全体の財政事情余り十分ではございませんでしたし、国鉄自体といえども、そう余裕のある状態でございませんでしたので、構造上かなり無理をしてつくったものでございます。そこで、新大阪から西の方はいろいろ設計基準その他からいいましても十分といいますか、いま余り問題ございませんけれども、新大阪から東京方の方はいわば少しくたびれてきておるという状態でございます。  そこで、緊急的対策といたしまして、現在レールを交換する、あるいはポイントを、分岐器のところを直す、それからさらにその下の路盤の弱いところを直すというようなことが必要になってまいりましたが、この工事をいたしますためにはやはりちょっと時間をかけなければなりません。夜はいま走っておりませんけれども、夜だけではそれだけの工事ができませんものですから、夜から朝方、昼にかけてでございますと、大体十二時間ぐらいの工事ができますので、そこで全面運休をいたしまして、そういった工事をやらしていただいているわけでございまして、現在五十一年度、五十二年度ではそれぞれ七回あるいは八回、一年のうちで午前中休ましてやらしていただいております。  現在の計画が完成いたしますのは、五十五年あるいは五十六年までいまの程度の定期運休をやらしていただきますれば、いま申しましたレールでありますとか、道床でありますとか、あるいは分岐器でありますとかいうものの取りかえを行いまして、まずまず満足すべき状態になるのではないかというふうに考えておりますので、現在のところは五十六年度までの臨時の措置ということで御理解をいただきたいと思います。なお、一部橋げたとか、トンネルとかいうものについて問題があると言われておりますけれども、まだまだそちらの方面は十分修理をやっていけば現在のところは大丈夫だという状態でございますので、それはもう少し先の問題として、また後日考えていきたいと思っております。
  29. 山田勇

    山田勇君 こういう補修工事が行われますと、乗客にいろいろと不便を与えるんですが、いま総裁の御答弁ですと、大体計画を持って、まあ定期的なものというふうに受けとめられるんですが、何かわれわれ乗客にすれば、突然何か発表されるように思うんですが、これに対するPRとかそういうものはどういう形で国民乗客の皆さんにお知らせしているのか、これに対する苦情などはないかをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  30. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 大体年度の初めに一年間の予定を発表いたしておるわけでございまして、かつその実際に運休いたします数日前に新聞、テレビ、ラジオ等を通じて知っていただく、あるいは駅頭に掲示をするというようなことをいたしております。確かにお客様の方から、自分は知らなかったということで苦情は参っておりますけれども、これを始めましたのが五十年度の昭和五十一年の二月と三月にいたしたわけでございまして、それからすでに回を重ねること十数回に及びましたので、おかげさまでお客さんの方も大体そういうことになれてきておられます。  なお、やはり緊急に御旅行の必要がある方があるわけでございますから、東海道の在来線を使いまして夜行の急行をそのときには臨時に走らせましたり、あるいは昼間も急行を出しましたり、さらに東名、名神の高速ハイウェイバスをその日に限って緊急増便をいたして対処をいたしておるわけでございます。  大変御迷惑はおかけいたしておりますが、そしてまた苦情も参っておりますけれども、だんだん利用者の方々もなれてきてくださったということで、そういう苦情も量的にも減っておるという最近の現状でございます。
  31. 山田勇

    山田勇君 たしか私は前回の運輸委員会で一応質疑したことがあります。昭和四十八年だったと思います。そのときに当初計画された、たとえば橋げたの問題でも、建てられるときに耐久年数というものをやっぱり持って建てられた。その耐久年数をどのぐらい思ったより下回ってこの補修を続けなければいけないんですか。橋げた一本建てられたときは、大体何年は補修しなくて済むという一つの形で計画を立てて建てられたと思うんですが、それをどのぐらい下回って補修を加えなければいけませんかどうか。
  32. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ただいま総裁が申し上げましたのは、レールの関係を申し上げました。これは当初から予定をいたしておりましたより列車の頻度が多くなったということで、当初予定よりは列車の頻度が多くなった分だけは早く更換をしなくちゃならないということになっております。  それから橋げたにつきましては、基本的には約五十年程度は耐えられるということで設計をいたしておりますが、当時新幹線の高速運転による繰り返し荷重と、それの衝撃関係が十分には把握されておりませんでした。したがって、ただいま橋げたで手直しをしなくちゃならないというのは、鉄の繰り返し荷重に対する疲労という問題が出てまいります。しかし、これは橋梁の主げたといいますか、一番重要な主げたの部分ではなくて、主げたからあとレールを直接支えておるところの部分に繰り返し疲労というものが部分的に発生をしております。これは常時点検をいたしまして、その点についての補修を行っているということでございまして、これは当初の設計から見て早く疲労が来たということもございますし、設計上不十分な点もあったということでこういう事態が発生したかと思っております。
  33. 山田勇

    山田勇君 その橋げたでいま一番危険度が高い、早急に補修を精力的にやらなければいけないという橋げたがあるように聞いておるんですが、それはどこですか。
  34. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 橋の名前じゃなくて、いま申しました主げたと線路を直接支えておるクロスビームというのがございまして、主げたとクロスビームのジョイントのところ、ここがいわゆる繰り返し疲労によりまして一部亀裂が出たところがございます。これは直ちに修復をいたしておりますので、ただいまのところは、すべて橋げたについては点検と修復をいたしまして、ただいますぐ更換しなくちゃならないというものは一つもございません。
  35. 山田勇

    山田勇君 ということは、技術的なことですが、その主げたというのは一番土台の部分になると思います。いわゆる河川に一番直面して立つているものだというふうに理解しますが、河川の状況によってもずいぶん違いましょうし、川の水によっても違いましょうし、増水にも関連ありますし、上からのいろんな振動によってその主げたが亀裂を起こしているというふうな個所はありませか。
  36. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いま申し上げましたように、主げた自体じゃなくて、主げたと主げたがある中を列車が通っております。この列車が通るために支えるもう一つ横げたというのがあります。主げたと横げたとをすぐ接続する部分の繰り返し部分でございまして、主げたの亀裂はございません。
  37. 山田勇

    山田勇君 新幹線環境保全対策、いわゆる騒音、振動などの防止対策にどのぐらいの費用がかかっておりますか。
  38. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 東京-大阪間が、先ほど総裁申し上げましたように十分な騒音対策ができないまま開業したということで、主としてただいまお金をかけておりますのは東京-大阪間が主でございまして、大阪から西につきましては、建設当時から防音工等を施工いたしております。したがって、開業までにもそういう対策をやっておりますけれども、開業後今日までいわゆる騒音をできるだけ少なくするという音源対策、音源を小さくするという意味対策を施しておるのが約四百億円ほどやりました。  その内容は、一番お金がかかったのは防音壁をつくること、それから及び東京-大阪間には鉄げたがたくさん使われておりましたので、その鉄、げたに、われわれは、はかまと申しておりますけれども、下の方から覆いをいたしまして、鉄げたから発生する音をなるべく小さくするという、そういう鉄げたの覆いの工事をやるというのが内容の主たるものでございます。約四百億ほどかけております。
  39. 山田勇

    山田勇君 当初の東京-大阪間の新幹線、それから新大阪から博多の線について、山陽新幹線のどう言うんですか、高架の支柱と最初の新大阪-東京間の支柱との違いがあるはずです。それはもう経験からいかれましていろいろ研究なさったことがあると思いますが、それはどこがどう違いますか。
  40. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いま支柱と申されたのは、恐らく高架橋の柱のことだと思いますけれども、まず東京-大阪間をつくりましたときの高架橋の標準のスパンといいますか、支柱と支柱の柱の間隔、これは原則的に五ないし六メーターという非常に細かい間隔でございます。それから大阪から西に設計いたしましたときには、その後道路等が非常に多く横断をいたしておりますので、そういうことと及び都市との調和ということを考えまして、柱と柱との間隔を大きくいたしまして、今度は八メーター程度を標準とした高架橋にいたしております。  したがって、スパンが違いますので、スパンが大きくなりますと、柱の太さも太くするということでございますが、したがって、列車の荷重に対する強度というのは、どちらも同じ安全率を用いて設計をいたしております。ただ柱の間隔を大きくする、すなわちスパンを広くすると柱が太くなる。太くなることにした方が全体の重量が重くなりますので、騒音に対しましても振動に対しましても重くした方が効果がよろしいということで、今度東北新幹線等ではもう少し広げたスパンで全体の重量を重くして、騒音、振動対策等を施行いたしております。
  41. 山田勇

    山田勇君 新幹線の冬期、冬ですね。特に現在の岐阜羽島-京都間の豪雪地帯は、これは毎年困っているわけですが、ことしは何か新幹線そのものの技術改良等によります、いわゆる豪雪対策というようなものはありますか。
  42. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 関ケ原を中心といたします雪害で、大変昨年の冬に御迷惑をおかけいたしました。昨年の列車の遅延状況は、開業以来一番悪い状態でございましたので、これに対する対策といたしまして、現在米原地区を中心に多くの方が御存じと思いますが、スプリンクラーを設置いたしまして、レールの上に降りました粉雪が列車に巻き上がらないような対策をとっておりますが、このスプリンクラーが完全につながっておりませんで、いろいろな事情で断絶をいたしておりますために十分の効果を出しておりません。そこで、この冬と来年にかけまして、岐阜羽島の少し先から米原の少し先までの間、全部で七十キロメートルにわたりましてスプリンクラーを完全整備いたしたいと思っております。で、この工事が完了いたしますのは、申しわけございませんが、来年の冬の前になります。ことしだけではできかねるわけでございます。今年度といたしましては、最も主要な部分七キロだけを増設をいたすことによって昨年よりはかなり改善をされるはずでございます。  なお、あの地区は徐行いたします際には、時速七十キロでいま走っておるわけでございますが、そこまで落とす必要もございませんので、いま設備を変えまして百十キロ程度にスローダウンすることによって対処したい。これによって遅延時分も相当短くなるということをいたすことになっておりまして、これはこの冬から対応ができます。  それからもう一カ所、車両の下に雪が巻き上がりまして、それが氷のようになりまして、暖かいところに出てきますときにそれがはねまして、車両の下の部分の機器を破損をいたしますので、現在下りにつきましては大阪の駅、上りにつきましては名古屋の駅で、人力による雪落としをやっておるわけでございますが、この雪落としをやる個所をふやした方がその雪落としのための時間が短縮できますので、岐阜羽島の駅を若干整備いたしまして、そこで雪落としをすることによって時間短縮を図りたいと思っておりますが、雪落としのための羽島駅の整備は来年の夏くらいまでかかりますので、これによります遅延時分の圧縮は来年の冬にならないと実施に至らないということでございます。  なお、この冬から思い切って約一割強列車の本数を冬の時点だけ減らすことにいたしました。それはなぜかと申しますと、列車がおくれますと東京駅に折り返しで非常に詰まりまして、その折り返しの混乱のためにまた遅延が起こっておりますので、その遅延を回避するために閑散期に列車本数を約一割余りであったと思いますが、たしか一月の十日から二月末日まで七%列車本数を間引くということによって、折り返しによる遅延を避けたいと思っております。昨年のような異常降雪は、そもそも余り予測したくはないわけでございますけれども、仮に昨年のような事態になりましても、昨年とこの冬とでは格段と御迷惑を減らすことができるというふうに考えております。
  43. 山田勇

    山田勇君 あのね総裁、いまの在来線ですと、その程度で多少はそういう雪の災害ということは避けられましょうが、上越、東北というふうな豪雪地帯を走っていく新幹線となりますと、車両構造そのものを変えていかなければいけない。ぼくらは素人考えですが、雪の多い国でありますスイッツランドとか、ああいう方で走っておる、北欧で走っているボルボという車があります。これは全部下に鉄板を張って雪が入らないようにしてありますし、向こうは道路を解かすために塩分を含んだ化学的なものをまきますが、それをまき上げると自動車の機械が全部さびてしまうということで、特殊な鉄板を車の下に張ってありますが、車両構造の改革というか、改良といいますか、新しい豪雪地帯を走る新幹線についての研究といいますか、そういうものはどの程度まで進んでおられますか。
  44. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 東北と上越ではまた雪の質並びに雪の量もいろいろ違っております。まず地上につきましては、東北新幹線については、これは米原付近と盛岡までですとほとんど雪の量は同じでございます。質はむしろ気温が低いためにさらさらしているということでございます。したがって、まず構造物の方では線路のある、レールのある位置と高架橋の面とをもう少し差をつけまして、その下に雪がたまるような、そういうまず構造にひとつ考えております。それから、上越新幹線につきましては大雪でございますので、これは水をくみ上げまして、若干温めまして高架橋の上を流して、まず雪がたまらないようにという設備を考えております。  なお、いま先生のおっしゃいましたのは、車両自体でもっと改良すべきじゃないかということでございますので、車両につきましてももう少し下を覆う、いわゆる私どもはボデーマウントと称しておりますけれども、そういうものの開発をいま研究をいたしております。ただ、下の方に鉄板を張ったりして覆いますと、車両の検査、点検、その他にも非常に厄介になってくる点もありますので、両方から攻めまして、この東北、上越の新幹線に対する対策を両面からいま検討しておるところでございます。
  45. 山田勇

    山田勇君 新幹線が将来ますます長距離化になればなるほど問題になるのが座席のことですが、大阪-東京間三時間十分でも相当疲れると思うわけです。これはグリーン車の話じゃありませんが。普通車のシートは人間工学的に言ってちょっと問題があるんではないかと思うんですが、改善するお考えはありますか。
  46. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 御指摘のとおり、新幹線は当初東京-大阪間三時間余りの運転時分を設定してあの座席が設計されております。それですから、新幹線の運転区間が延びまして四時間、五時間と乗っていただく場合には、やはり基本的にもう一回考え直さなくてはいけないんじゃないかということで、そのような検討をただいま始めておるところでございます。
  47. 山田勇

    山田勇君 これはぼくは昭和四十九年度の運輸委員会で人間工学的に、あれはたしか東大の先生、教授の方の資料などを提出して改良方を強く要望したことがあるんですが、これ座席、いつ改良できますか。
  48. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) ただいま、いつまでにということをここでお約束することはできませんけれども、一、二年先に新幹線の輸送計画そのものも相当考え直す時期がくるだろうということで、現在そのような時期までにせめて試作でもできればというようなつもりで検討を進めておる段階でございます。
  49. 山田勇

    山田勇君 食堂車の問題をちょっと聞きますが、食堂車一車両というんですかね。あの厨房関係入れてあれは一車両と見ていいんですか。
  50. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) そのとおりでございます。
  51. 山田勇

    山田勇君 食堂車あれ一車両では、客席のキャパシティーをとって厨房を入れると非常にぼくは狭いと思います。食事というのは御承知のとおり一時に集中するもんですし、少し暇ですと、アナウンス入れると不思議なもんでざあっと食堂車に集まります。そうなりますと、ずいぶん長く待たなければいけませんし、そういうことで食堂車の改良ということはお考えになっておられませんか。
  52. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 食堂車の改良も含めまして、ただいま先ほどの座席の問題、食堂車の問題全部含めて新しい列車ということを生み出すためにいろいろ考えておるわけでございます。
  53. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 多少補足して御説明しておきたいと思いますが、いまの車両の中のシートの状況でございます。現在普通車が五人がけで二十列で百人ということになっております。グリーン車が四人がけの十六で六十四人ということになっておりますが、これでよろしいかどうかということはそろそろ研究を始めなくちゃならぬということで、内部で専門家に集まってもらって研究会を開始をいたしております。  ただ非常に不便でございますのは、窓の位置が初めから決まっております関係で途中で、たとえば二十列を十八列にするとかなんとかということはできないということでございまして、一方車両の寿命は十年ほどございますので、なかなか急にかえられないということでございまして、いま山田委員のお尋ねからいいますと、研究をして二年なり三年なりの間でかえるかどうかというようなことを頭に置いてお尋ねと思いますが、なかなかどうも車両の寿命が十年もありますもんですから、研究はしておりますし、ぼつぼつ新しい形の車両に切りかえなきゃならぬかなとは考えておりますけれども、いますぐといいますか、わりあい最近のうちにかえるということはなかなか御期待に沿い得ないかと思います。  それからもう一つ、食堂車の方は、あれ全部同じタイプになっておりますんですけども、ちょうど食事時間に走るとは限らないもんでございますから、おっしゃるように食事時間には大変混んでおりますが、今度は別の時間帯には大変あいておるということになりまして、食堂会社の営業も最近非常に困難になってきておるわけでございます。したがいまして、いろんな意味サービスを変えるために列車の車両のつくり方を変えることは研究はいたしておりますが、食堂車については経営との関係で食堂車の面積を広げるということは、結局乗っていただく席の数が減りますので、営業収入にも影響がありますというふうなこともございまして、多少雰囲気を変えるようなことは考えたいと思いますが、収容席数をふやすことはなかなか困難ではないかというのが現在の私ども考え方でございます。
  54. 山田勇

    山田勇君 これは技術者の方に聞いた方がいいと思うんですが、食堂車二階建て、中二階建て的なことはちょっと無理ですか。
  55. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 現在の検討ではなかなかむずかしいんではないかと思っております。
  56. 山田勇

    山田勇君 これはまたいやなニュースなんですが、新幹線のビュッフェがゴキブリでいっぱいだと。これはまあちょっと少しオーバーな書き方であったかもわかりませんが、十一月八日の各紙に載っておりましたが、読んでみますと、想像以上の不衛生さに驚いているんですが、「事前に検査を知って、清掃した形跡があったのに、飲料水の冷却ストッカーやクーラーの裏など、見えない部分が汚れていた」、「ジュースなどに入れる氷にビールビンが突っ込んで」あったとか、いろいろな不衛生な面が指摘されておりましたが、国鉄当局としましては食堂車の検査など、今回のように自治体の衛生部に指摘されるまでもなく指導なさっておられるとは思うんですが、今後このようなことがあってはいけません。  そこで、国鉄当局としてのこれからの、そういう食堂車だけじゃなく、客車含めての衛生状況というのをわかれば教えていただきたいと思います。
  57. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 先生御指摘のとおり、新幹線の食堂車で非常に申しわけない状態がございまして、大変遺憾に存じております。何しろ車両の掃除をし、消毒をする時間が限られておるということ、それから最近数が非常にふえてきた上、人手の問題でどうも十分にいかないというようなこともございまして、こんなような状態があったのであろうと思っておりますが、今後は一層徹底して食堂の営業をされる方々を指導、監督をいたしまして、このような状況にならないように努めてまいりたいと考えております。
  58. 山田勇

    山田勇君 サービス関係についてちょっとお尋ねいたしますが、クリーン運動というのが行われているそうですが、これはどういう内容のものですか。
  59. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) クリーン運動というのは、駅をきれいにするというきっかけづくりとして昭和五十年の七月に渋谷駅で始めたものでございまして、乗客の皆さん方、あるいは地元とか、そういったところの協力を得て駅を全体にきれいにしようというようなつもりで始めたわけでございます。
  60. 山田勇

    山田勇君 これは乗降客に与える効果はどうだったですか。
  61. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) これは非常に評判がよろしいようでございまして、渋谷駅で始めたわけですが、その後たとえば首都圏、東京付近で二十八カ所とか、あるいは大阪付近で十九カ所というふうに次第に広がってきておりまして、地方都市におきましてもやはり駅を改造するとか、そういった時期をとらえまして若干やっておるところもあるようでございます。
  62. 山田勇

    山田勇君 国鉄のモデル駅というんでしょうかね。何かそういうものをもっともっとふやす気持ちはございませんか。
  63. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 非常に効果もありますので、われわれとしては気持ちとしてもっとふやしたいというのがありますが、上からどことどこでやれと言いますよりは、若干自然発生的に状況を見ながらやるというものに対してサポートしていくという形でふやしていきたいと思っております。
  64. 高木文雄

    説明員高木文雄君) この種のサービスの改善につきましては、やはり現場におります駅長以下の管理者、あるいはそこの職員諸君の間でそういう気持ちが盛り上がってきませんと、なかなか長続きがしないわけでございまして、したがいまして、これは非常にいいことでございますから、どんどんやってほしいわけでございますが、さりとて本社なりあるいは管理局がやれというふうな命令的な形でやるのでなしに、職場でお互いに駅長以下が話し合って大いにやろうではないかということで進めていく方が効果が上がるし、持続性があるというふうに考えております。  ただ、現にいまお示しございましたように、渋谷の駅で始まりましたものが隣の駅でも、うちでもやろうじゃないかということで広がっていっておるわけでございますので、この雰囲気がさらに一段と進んでまいることを期待をいたしますと同時に、われわれとしてはむしろそれをそのために多少経費がかかりますとか、あるいは設備改良が要りますということがありますときにむしろそれを積極的にサポートするということで、漸次各駅のレベルを次第に上げていきたいというやり方をいまいたしておるわけでございます。
  65. 山田勇

    山田勇君 車内禁煙が全国各線に広がっているようですが、喫煙者にとってはちょっとつらい面もあると思います。欧米などは相当厳しい規制をされているようですが、けさの新聞にも航空機、旅客機の中ではパイプたばこと葉巻の喫煙は全面的禁止というふうなことになっておりますが、これはもう国鉄当局としては公衆衛生上の面から実施しているのですが、専売公社から怒られませんか。
  66. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 特にお申し入れがあったことはございません。
  67. 山田勇

    山田勇君 グリーン車のA寝台の値下げが実施されたわけですが、一たん上げたものを下げるというのは、これはなかなか勇気の要ることです。その後、この利用状況、またこれは増収につながっているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  68. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) グリーン車の値下げをいたしましたのは九月の二十日でございますので、約二月ぐらいたっておるわけでございますが、これは確定した数字というのは別といたしまして、大体の傾向から見ますとかなり伸びておるというふうな印象を持っております。ちょっと数字的に見ますと、グリーン車の場合に、新幹線で見ますと、改定一週間前の状態を一〇〇といたしまして、ごく最近では一七二ということで七割ぐらい、普通車とグリーン車と合わせました数字が二六%増ですから、グリーン車の伸びの方がいいということでございます。  在来線についてももう少し差は違いますが、大体一割程度といったことで、普通とグリーンと合わせておるよりは伸びております。各車両の乗車効率といいますか、定員に対する乗りぐあいを見てみましても、改定前と比べて新幹線の場合「ひかり」をとってみますと、大体効率で二〇%ぐらいお客さんがふえておるということで、在来線におきましても、各線区によって事情が違いますが、やはり一〇%から二〇%というふうな伸びを示しております。
  69. 山田勇

    山田勇君 大臣、よろしいですか。この今回の法定運賃の枠の緩和ということですが、この委員会で聞く限り、一度だけ大臣が、これは上限の問題、いろんな問題がありますが、これができると値下げも可能だということを一回だけ言われたことがあるのですが、これは上げる話ばっかりですが、こういうふうにして、ぼくはこういうことを申し上げると、ちょっと国鉄の皆さんのおしかりあるかもわかりませんが、一たん官僚が決めたもの、これを下げるというのは、これは簡単に言いますが、なかなかできないものです。いままでぼくはまずこういうことはもう少なかったのじゃないかと思います。  でも総裁一つの決断によって、悪い言葉で言えばもうなりふり構わず増収を図るために、一たん上げたものを下げてもいい。これはもうメンツ丸つぶれということになるわけです、はっきりと言えば。しかしそういうものを顧みず、いいことは、下げることは下げるのだという決断を持ってやられたということになりますと、今回、運賃を上げる話ばっかりで、悪い結果は結果の話ですが、ちょっとここで楽観的に大臣としまして、値上げの法案出てきても、これを下回るというか、値を途中でまた下げるということを指示する権限というのは大臣におありですか。
  70. 田村元

    国務大臣田村元君) 私が申しましたのは、これは物価変動率というものが上がることばっかり想定しておるわけですね。ところが、現実はとにかくとして、理論的には下がることもあり得るわけですね。物価変動率というものを上がることばかり考える必要はない。現に戦前は物価変動率が上がったり下がったりしておったわけです。ですから、理論上から言えば――現実にはそういうことはまあまあないだろうけれども、理論上から言えば物価変動率が大幅に下がったときには、まあ国鉄が値下げを持ってくることもあり得る。もちろんほかとのいろんな絡みがありますよ。ありますけれども、これを持ってくることはあり得る。まあ実際にそういうことはなかなか、そんなうまいぐあいにいきゃいいんですけれども、現実にはむずかしいこと。しかし、理論上はあり得る、仮定の問題ですが。  それから、まあ要するにこの算定方式でやった上限、これはいつも言いますように、上限を決めるわけですから、これ以下でなければいけませんよということですから、ですから一番上を持ってくるということはまずございません。といいますのは、運賃法にも一条だったかに明示してありますが、他の物価との絡みもあります、一つには。それから従来は三〇%かせぎたいけれども、三〇%かせぐのには、国鉄離れや客離れもあろうから、まあちょっとサバ読んで五〇%にしておこうと、値上げは。ということで、名目と実質に分けたわけです。ところが、今度は名目、実質に分けない。国鉄経営努力というものを徹底的にやってもらおう。  先ほど来山田さんが非常に示唆に富んだ、まああなた御自身が車にお乗りになって、鉄道にお乗りになって感じられた経験談からいろいろと質問されましたね。むだも多いわけですよ、率直に言いましてね。たとえば広告なんかの場合でも、広告会社と国鉄との間の契約というものが私鉄と広告会社の契約とは内容が大分違いますね。これはあなた関西ですから、申し上げれば近鉄の方ががめついですよ、ずっとがめつい。たとえばそういうことがあります。  それから、国鉄関連会社あるいは出入り会社等との契約だってずさんな面ありますね。ということは、国鉄のOBがそういうところへ入っておれば、その連中食わすために上積みする、たとえば――そういうことがあるかどうかは別ですよ。あるかどうかは別として、家具とかあるいは文房具とか、あるいは事務器具とかいうものを製造元から直接買えば安いですね。ところが、それが国鉄関連会社の商事会社のようなものを一つ経由してくれば、そこでマージン抜かれますね。ということは、国民はそれだけ余分な金を使わされるわけですね。まあそういうことはないと思いますよ。ないと思いますけれども、たとえばという話で、これを盾にとられると困るけれども、そういうことありますね。  それから、国鉄直接じゃありませんけれども、私は実は駅弁マニアなんですよ。先ほど食堂車のことをお話しになったが、私、新幹線の食堂車って一遍も入ったことないんです。私は駅弁マニアなんです。ですから、北海道から九州まで、もうあちらこちらの駅弁食ってるんです。ところが、最近汽車の窓開けて「おーい」って言って、走ってくるやつを買って、汽車が走り出す、それと一緒に弁当屋さんが走って、金払って受け取る、もうあの光景はなくなりましたね。  そうすると、汽車の中で駅弁売りに来るわけです。あるいはアイスクリーム売りに来る、プリン売りに来る。で、人間ていうのは妙なものでして、売りに来るやつを買うのに、けちじゃないんだが、瞬時ためらうんですよ、考えるんです。ところがね、売りにくる女の子、まあ男でもおるでしょうけどね、買おうかなと思うとるうちに行っちまって、いないんですよ。私はいつも買いそびれる、それで。私ね、けちん坊で言うんじゃないけども。待てよ、プリンを買おうかなあと思うでしょう。そうすると、腰かけてる向かい側から来たやつはね、まず買い落としませんよ、買いますよ。後ろから来たやつはまず買い漏らします。売りながら走っていくんですもの、中を。そういうことだってむだですね。で、そういうようなまあいろいろなことを考えれば、国鉄経営努力というものは、大きな問題からいま言ったような小さな問題までたくさんあるわけです。で、これを徹底的にやってもらう。同時に、政府助成も可能な限りこれはやっぱりやらなきゃうそですよ。ですから、たとえば政府助成というものを、従来のような考え方じゃいけません。それは国鉄はやりたくない仕事たくさんやらされてるんですから、かわいそうに。  それは国鉄は、あんな線路本当はつくりたくないがなあと考えておる、あるいはあんなところ複線にしたくない、あそこを複々線にしたくない、あの新線つくりたくないと、こう考えておっても、まあ賢明、聡明な国会議員が先頭に立つことはあり得ないでしょうけれども、まあひとつこれをやってくれいといって、別に与党だ野党だという意味じゃありませんよ。そういうことじゃないけれども、まあ頼みに来て、損するに決まっておる、たとえば百円もうけるのに千円も金のかかるようなものまでやらされてるわけですね。  ですから、そういう点で、国鉄が本来やりたくない仕事で、またやらなきゃならぬという義務もない仕事で、そしてやらされる仕事なんかは、まあ言うなら「構造的欠損」という言葉がこの間から盛んに使われておりますが、そういうようなものに対して私はやはりいままでのように政府助成金というものを恵んでやる的な考え方であっちゃいかぬと思うんです。政府が、これだけのことは政府責任を持つから、おまえさんの方も経営努力は徹底的にやんなさいよと。  たとえば、仮にですね、総裁が何の車に乗っておるか知らぬが、それこそ先ほどの山田さんのお話によれば、まあ私もその、専売公社じゃないが、トヨタや日産からしかられるかもしれませんけれども、まあプレジデントに乗っておるんなら、セドリックの普通車に乗りなさい、これも経営努力ですよ、本当のことを言って。そのようにして、まあとにかく徹底した経営努力をやる。で、政府助成に対しては国民に対する務めという観念をもって徹底的にやる。  そうしてね、この二つを組み合わせましてね、それでもなお毎年こうじりじり上がっていきますね、経費というものは。これはしようがありません、経費というものは。まあそれはさっき下がるという話をお互いにしたわけですが、上がりますね。その経費の自然増の部分だけは、これは物価変動率という、まあ言うなれば消費者物価指数や人件費の値上がりやいろんなもので一それは運賃値上げするなといっても、それじゃあ給料も値上げせぬぞというわけにいかぬのですね。これはまあ一種の連れ高ですよ。ですから、そういうような面で自然に経費がかさむ点だけは物価変動率の範囲内でこれは運賃値上げをしてもいいけれども、それにしても上限はこれだけだよと、それ以下でなければならぬよと、名目と実質は同じでなければならぬよと、このようにこの修正案というものは縛りつけておるわけです。  でございますから、私は大変お恥ずかしい話でございますけれども、私個人としては――政府原案を提出した私は責任者でございます。責任者でございますが、こういうことを言うと舌鍋事件になるかもしれませんが、まあそれはお許し願うとして、私、原案よりいいと思っているんです、これはっきり言って、一個の国会議員として見て。原案よりこの方がいいと、修正案の方がよいと。これならばやみくもな値上げということで国民を苦しめることはあるまいと、そして国鉄に対する支えにもなろう。しかし、運賃値上げはあくまでも支えのつえであって、実際のしっかり立ち上がって歩く両足は一つには経営努力であり、一つは国の助成であると、こういう考え方に徹し切るべきだと、こういう考え方を持っておる。ちょっと長くなりましたが、私の意見はこういうふうでございますと申し述べた次第でございます。
  71. 山田勇

    山田勇君 大変大臣の熱意ある、誠心誠意ある御答弁、本当に感銘いたします。  大臣お立ちになりましたので、もう一点ちょっとついでに聞いておきますが、大臣にいただきました「国鉄運賃に関する運輸審議会の議事運営の改善について」ということですが、これに書かれてありますとおり、運輸審議会は利用者代表を含めるということ、これは大変いいことだと思います。この中で「各界を代表する」ということになっておりますが、この中には労働組合の代表者的な者も含まれておりますかどうか。
  72. 田村元

    国務大臣田村元君) 実を言うと、そこまで具体的にまだ詰めてないんです。私が言い出したのも最近でございますから、この国会が終わりますまでに私の手で、私あと三年大臣するか五年するかそれはわかりませんよ。これはわかりませんけれども、少なくともこの国会の終わるまでに私の手で、私が皆さんにいままで申し上げてきたことを実現しておこうと、こういうことで官房長を運審へ走らして私の意向を持たしてやって詰めさしたと、こういうことでございます。  でございますから、具体的なことはまだ詰めておりませんけれども、しかし「各界」といいますのは、これは普通使う言葉なんですね、各界各層というのは、これはもう普通使う言葉で、言うなれば一つのまくら言葉。いろんな階級という意味に考えていただいていいんじゃないでしょうかね。そこで、当然労働組合も入るでしょうよ。私は、各政党の推薦を入れろということを実は注文つけているんです。まあいろんな人が入る。しかし、それにしてもあなたの先ほどのお話は基礎理論より現実の鉄道に乗った体験から出たお話ですね。これが運賃に一番必要なんですよ、運賃問題について。ですから、利用者を中心にした方がいいんじゃないでしょうか。  まだ具体的に詰めたわけじゃございませんけれども、まあ骨子だけは私の手でまとめておきたいと、こういうことで大急ぎで――これはただしもう運審の了解も得てある内容ですけれども。そういうことでございますので、いまお詰めになる御質問になると私もあいまいなことを言わなきゃならぬのですが、私の考え方としてあえて速記録に残すならば、利用者を中心として、そうして各界各層ということがいいだろうと。この利用者あるいは各界各層の中には評論家も入るかもしれぬし、組合も入るかもしれぬし、私はなるべく現実問題を論じ合うことのできるような人がよいという考え方でございます。
  73. 山田勇

    山田勇君 ぜひ大臣のいまおっしゃったことは実現するように御努力をいただきたいと思います。特に、利用者代表をこういう運審の中に入れていくという画期的なお考えを持っている大臣に期待をいたしておきます。  午前中あと五分ほどあります。ちょっとピッチ上げます。  国鉄の観光バスの営業状況はいま現在どうなっておりますか。
  74. 小林正興

    説明員(小林正興君) 国鉄がやっております脚光バスにもいろいろございますが、いわゆる定期観光バスということで、路線の途中で下車して見学をするというような形の路線が五路線ございます。それから、一般の生活路線と一緒にやっておりますが、路線の性格上非常に観光入り込みのお客が多い、たとえば十和田線というようなバスもございますが、こういった線まで含めますと二十一路線ございます。それ以外に団体で観光貸し切りバスというような形でも観光バスを運営いたしております。そのいずれも五路線のトータルで収入の規模は十六、七億。それから、二十一路線で見ましても四十一億程度。それから、貸し切りは六億程度の収入の規模でございますが、経費関係はその営業所の経費を路線ごとに割賦いたさなければならぬものですから、一応の推定でございますが、おおむねそのいずれをとりましても収支ほぼとんとんというような状況でございます。
  75. 山田勇

    山田勇君 収支とんとんということですが、民営の観光バスと比べますと、どうですか。
  76. 小林正興

    説明員(小林正興君) ちょっと運輸省の方から  でないと正確にはわかりませんが、民間と比べてさして差はないと思います。
  77. 山田勇

    山田勇君 SLブームなどということで、古いものへの郷愁といいますか、レジャーの面でも新しいものばかりでなく、落ちついたものも喜ばれる時代ですが、国鉄もいろいろとアイデアを出しているようですが、在来線に観光列車のようなものを走らしてはどうでしょうか。できるかできないか、ひとつ。
  78. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 基本的には営業的精神で仕事をやるという面から申しますと、いま御指摘のような観光列車をもっと活発にやるべきであるというふうに考えられるのでございますが、全体的に見まして非常に現在線路容量は詰まっております、それが一つ。もう一つは、御存じのように非常にダイヤを中心として列車が毎日動いておりまして、窮屈であると申しますか、応用がなかなかきかないということで、ある日特例的に特例的な列車を走らすということについては、国鉄の体質は非常に苦手でございます。  そういう関係で、いまのところごく例外的に観光列車みたいなものが走ってはおりますけれども、臨時に。しかし、きわめてそれは何といいますか、幅が狭いといいますか、営業活動を一生懸命やっている者からはもっと臨時に走らしてほしいと言いますけれども、今度実際運転の方に当たっている者の方からは、なるべく定期列車を使って団体客を募集するようにしてほしいというようなことで、部内でも営業をやっている方は列車を仕立ててでもお客さんを乗せて収益につなぐようにしたらどうかという空気が強いんでございますけれども、一方運転に当たっている方から言うと、余りしょっちゅう臨時のものを編成されても困るというようなことがありまして、気持ちでは動かす気持ちはございましても、なかなか現実にそこに結びつかないというのが現状でございます。  この辺もしかし商売主義といいますか、営業主義といいますか、そういう点から見れば、時間をかけてではございますが、だんだん変えていくことができれば望ましいのではないかと思っておりますが、いまのところ、たとえば来年の十月に大きなダイヤ改正がございますけれども、その大きなダイヤ改正の中にそれを織り込むというところまでは具体化いたしておらないという実態でございます。
  79. 山田勇

    山田勇君 京都の梅小路の機関区にたくさんのこういう古いSLの機関車があります。これ総裁、どうですか。万博の跡地へこれを誘致して走らす分、見せる分、国鉄会館といいますか、総裁大蔵省の出身でありますし、大蔵省の所管になっておりますんで、そういう形で広く、梅小路という限られた機関区の中ではなく、お見せするというか、そういうものを誘致していくというお考えはないですか。  これで午前中のぼくの質問を終わらしていただきます。
  80. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 万博協会が管理しておりますあそこの跡地の公園は一つの適地ではないかということを考えまして、非公式な形で万博協会の方と話をしてみたことがございますが、どうもSLというのは非常に困りますのは、きわめて保安基準が厳格でございます関係で検査、検修に非常に金がかかるのでございます。そこで、とてもあそこのように人がよく集まるところでやりましても、お客さんにというか、遊びに来られた方に乗っていただいてという計算をしましても、やっぱり何億という赤字になりそうだということで、いま協会の方もちょっと積極的には取り組みがたいという御返事をいただいております。  そのほか各地で静態保存でなしに、動態保存と申しまして、走らせながらSLを保存することをわが地域でやってみたいがという御提案が何カ所からか出てきておりますんですけれども、どうも私の方もそれがためにさらにまた何億かの赤字を生みますことはちょっと耐えがたいことでございますし、観光客も集まるんでしょうから、少しお金をよけい取って地元でやっていただけませんかというふうに申し上げておりますけれども、そろばんはじいてみてどうもこれはいかぬなということで、まだ一カ所も具体化していない。たまたま私鉄の大井川鉄道で土曜、日曜日だけやっておられるというのが現状でございまして、このSL保存は単なる郷愁ということでなくて、科学技術の進歩の一つの材料としても、科学技術供給の面からもメリットがあるんじゃないかというようなことで、内々そちらの方の方にも御相談しておりますが、まだ具体化いたしておりません。  どうも梅小路はそういつまでもあの状態で続けていくわけにもまいりませんので、当初の計画ではそろそろクローズしなくちゃならない時期に来ておりますので、梅小路の後始末の問題も考えながら、また何かいい方法ないか模索をいたしておりますが、何しろ金がかかるということでうまく進んでいないというのが現状でございます。
  81. 内田善利

    委員長内田善利君) 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十五分開会
  82. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、井上吉夫君が委員辞任され、その補欠として岩崎純三君が選任されました。     ―――――――――――――
  83. 内田善利

    委員長内田善利君) 休憩前に引き続き、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  84. 山田勇

    山田勇君 国鉄高架の賃貸問題について三点お伺いいたしますので、御一緒に御答弁いただければ幸いです。  五十一年度の高架使用――東京、大阪だけで結構です――の収入と、この賃貸するのにはどういう基準があるのか。これは何年契約か、契約制をとっているのか、まあその他の条件、管理状態はいま現在どうなっているか。こういう三点について御答弁いただきたいと思います。
  85. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ただいま国鉄には高架橋が五百六十万平方メートルございまして、そのうち約三二%に相当する部分が高架下の一般貸し付けということで貸し付けをいたしております。それ以外に約二二%ぐらいは私の方の駅関係あるいはそういう業務施設等で利用いたしておりまして、残りの四六%ぐらいが高架下でございますけれども、山間部あるいは田舎の中で利用できないというのが現状でございます。  ただいま先生、東京、大阪だけの収入と申されましたけれども、大部分が東京、大阪でございますけれども、いま詳しく私の方は分析をしてここに手持ち資料ございませんけれども、高架下全体の収入は五十一年度で約二十二億三千万ほど私の方の収入でございます。で、貸し付けの状況は、昭和三十九年ごろまでは国鉄と借り主との間で直接契約で、いわゆる一般貸しと称するものでございますけれども、件数で約二千七百件ぐらいの一般貸しをいたしております。  ところが、新幹線が三十九年に開業されまして高架橋が非常に多くなってまいり、なおかつ、それまでにいろいろ直接貸しいたしますと、事務が繁雑であるほかに、各借り主の方々がてんでんばらばらに高架橋の下に造作をされるということで、都市美観上、あるいは私どもの管理上非常に不都合が生じてまいりました。なおかつ、私の方の手間が非常に大変でございますので、三十九年以降はすべて直接貸しでなくて間接管理方式ということで、全国、逐次間接管理会社はふえてまいりますけれども、ただいまのところ六ヵ所、地域別に六つに分けまして管理会社が間接的に管理をしているというのが実態でございます。
  86. 山田勇

    山田勇君 それで、この高架は又貸しをしてはいけないという条件が賃貸条件の中に入っていますか。
  87. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 直接貸しになっておりますのは――最近は直接貸しいたしておりませんけれども、戦前からいろいろないきさつがございましたけれども、原則的には又貸しを禁じた契約になっております。
  88. 山田勇

    山田勇君 大阪と東京で少し調べてみたんですが、相当又貸しの状態が出ているということは明らかですし、一つの例を申し上げますと、資料ありますが、一万円でAは国鉄から借りている、Bに又貸ししている時点では驚くなかれ十万円の家賃を取っているという例があります。なぜそういうことがわかるのかと言えば、国鉄の管理者の方は純粋な方が多いようですから、直接その家に家賃の請求書を入れている。たまたまそれを見ると一万円である、しかし自分が払っているのは十万円払っている。これは一つの例ですが、そういう例はどことどこかと指摘をしてくれと言えば、後ほど、私資料を持ち合わせありますから申し上げます。  ですから、そういう問題をいま言うんではなく、少なくとも高架賃貸に対してもう一度総点検する必要があるんじゃないか。それがいま国鉄財政の困難なときに総点検することによって、少なくともこれは一万円のものを十万円、だから全部が十倍とは申せませんが、平均をとるとやはり相当なロスが出てくるんじゃないか。だから、その分だけ増収につながることですから、ひとつその総点検をしてみるということ。  賃貸条件の中に――読ましてもらいましたが、又貸しはやってはいけないというふうになっているはずですから、それを盾に少し整理をなさったらいかがですか。大阪の方は二十七件、私が調べた時点で大きな又貸しの状況がありましたが、鋭意大阪鉄道管理局がその後十六件に減らしております。そういう資料もいただいております。だから、それによって増収につながることならばどしどしとそういうのを摘発して、もう一編総点検をする必要があるんではないかと思います。  そこで、いろいろと理論的に矛盾した質問も多多あったかと思いますが、独占的で黒字が当然の経営ができた時代は過去のものになってしまったわけですから、ほかの民間運輸事業はこの不況下で死にもの狂いになって国鉄と競合しているんですから、まず国鉄職員国鉄官僚というような言葉を返上して、ひとつ企業意識に燃えて国鉄再建に取り組む以外に道はないと思います。健全な財政を確立することがとりもなおさず国民の福祉につながる道だと信じております。  どうぞ、皆さん方のこれからの再建に対する熱意、決意というものを聞かしていただきまして、私の質問を終わらしていただきます。
  89. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 先ほど来お尋ねにお答えしてまいりましたとおり、何としてもこの経営努力ということが基本になると思っております。その経営努力は、一つは基本的に職場の空気を変えていくということであろうかと思います。別の表現をとれば労使間の問題であろうかと思います。あとは本来の鉄道業務、レールの仕事についてより一層のお客様を中心としたサービスの提供ということに全力を尽くすべきでございましょうし、それからいままでとはやや違って、もう少し商売人根性と申しますか、そういう意味で営業の精神に徹していかなければならないと思っております。何分大世帯でございますし、歴史もございますので、そう思うように変わるということはなかなか進まないのでございますけれども、今日置かれました状況は時間との戦いでもございますので、その点を篤と心得まして進めてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いをいたします。
  90. 青木薪次

    ○青木薪次君 国鉄財政再建につきましては、今回政府案並びに修正案の提案を見たわけでありますけれども、法定主義とそれから事業範囲の拡大と、この二つから成っているわけでありますけれども、私は端的に申し上げまして、ヨーロッパの実情やアメリカの実情等についても検討いたしました。したがって、今日の輸送構造の変化というような問題、そのほか客観的な諸条件の変化によりまして、この二法案によってはとうてい国鉄の財政再建は無理ではないかというように考えているところであります。今回の修正案は、昭和五十三年度と昭和五十四年度の二年間に政府助成を強化しながら、しかもまた国鉄内部努力を通じて、そして赤字体質をなくしていくというところにその根幹があるというように言われているわけであります。  そこで、大臣にお伺いいたしたいと思いますけれども、赤字体質部分は助成すると言われているわけでありまするけれども、ここでこの助成の見込み額――これは大蔵省の角谷主計官見えてますね。助成額の見込み額ぐらいはひとつ出してもらいたい。それから五十三年度予算では四千五百七十七億と記憶いたしておりますけれども、これを相当上回らなきゃならぬというように考えているわけでありますが、この点に対する御所見をお伺いいたしたいと思います。
  91. 田村元

    国務大臣田村元君) 具体的な数字に関しましては主計官の方からお答えをすると存じます。  五十三年度の予算でございますが、いま青木さんおっしゃいましたように五十三年度、五十四年度の両年度で赤字要因を徹底的に洗い出してその対策を十分講ずる、こういうふうにしております。そして、収支均衡するまでに生じた累積赤字は、収支均衡時点においてこれは政府責任を持って、国鉄のもちろん経営努力も必要でございますけれども、これを処理する、こういうたてまえでございますが、そういうことで五十三年度、五十四年度とにかく「基本方向」を踏まえて徹底的に洗い出す。でございますから、五十三年度予算そのものにきめ細かい新機軸の助成を盛るということはこれは技術的にちょっと不可能でございます。まあそういうことではございますけれども、本格的に予算の面において政府助成のきめ細かい対策が稼働いたしますのは五十五年度予算ということになるんでございましょうけれども、だからといってこれを放置するわけではない、とりあえずの問題としても可能な限りの対策は講じたいと、こう考えておる次第でございます。
  92. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) いま運輸大臣が申されたとおりでございまして、赤字要因を五十三、五十四年度中に徹底的に洗い直す。そこで、国鉄経営努力でございますとか、あるいは国としての総合的な交通政策確立、そういったことに応じまして大蔵省といたしましてもその助成のあり方について検討していきたいというふうに考えているわけでございます。  そこで、五十三年度の具体的な姿というお話でございますが、いま運輸大臣もお話がございましたように、まず大蔵省立場といたしましても五十三年度予算編成の前提となりますところの経済見通しその他の予算フレームが決まっておりません。それに国鉄予算自体の問題といたしましても、現段階におきまして、御審議いただいております法案が成立いたしまして国鉄再建のめどがつくということを私どもとしましても強く望んでいるところでございますが、そういった再建のめどがつくことが財政助成あるいは財政融資といったことの一つの非常に大きな要件になるわけでございまして、そういったふうな事情もございますので現段階で具体的なことは申し上げにくいわけでございます。  そういった意味で、われわれといたしましては法案が成立いたしまして国鉄再建のめどができた段階で、衆議院段階でお取りまとめいただきました「国鉄再建の基本方向」といった趣旨に沿いまして、これはもちろん国の財政事情も勘案しなければなりませんけれども、そういったふうなことを踏まえながら、いま申し上げたような基本方向に沿いまして今後国鉄助成のあり方、充実といったものを検討してまいりたいと考えております。
  93. 田村元

    国務大臣田村元君) いまちょっと私大まかなことを申し上げたんですが、五十三年度、五十四年度両年度で徹底して赤字要因を洗い出してその対策を講ずる。そこで、五十三年度、五十四年度に生ずるであろうところの赤字ですね、これは政府責任を持って処理すると、こういうことをつけ加えて申し上げておきたいと思います。
  94. 青木薪次

    ○青木薪次君 私は、所管大臣である運輸大臣のただいまのお話と、そして大蔵省の財布を持っている方の角谷主計官の話とはニュアンスが若干違うわけです。これをいま一番心配しているし、そういう点で私どももこれから詰めてまいりたいと考えているわけでありますが、角谷主計官の言われたのは、この再建のめどがついたら助成を強化すると、これは私は反対だと思うんです、再建のめどがつくというのは。助成を強化する、いま大臣の言われたように赤字部分、五十三、五十四年度に生じた――もちろんこれは努力もあるでしょう、そういうものと相まって、生じたものに対するこの赤字の問題については政府が負担するという大原則は立てなきゃいかぬというように考えているわけでありますが、再建できたら助成するというのは、もうひとり歩きできたから助成は御免だよということに裏返ししてできるわけですから、そういう点についてどうも主計官はいまからまたまた牽制をし始めたと、そういう発言に受け取れるわけでありますが、もう一度答弁していただきたいと思います。
  95. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 私ども再建のめどがついたと申し上げたのは、ちょっと誤解があったかと存じますけれども、やはり私どもといたしましては、この法案が成立いたしまして一つ再建のめどがつくということが――めどがつくといいますのはそういう意味で申し上げたわけでございまして、何といいますか、やはり私ども国民の税金をお預かりしている立場から申しますと、そういった意味一つ国鉄再建につきまして、国も政府もいろんな意味で相協力してやっていくという姿勢の一環の中で助成のあり方を検討していきたいと、こういう意味でございます。
  96. 青木薪次

    ○青木薪次君 この辺は非常に重要な問題ですから、くどいようですがもう一度申し上げますと、再建という問題はいろんな努力が要る。しかし、今回出された問題というものは、運賃部分については法定緩和という問題はありますよ。ありますけれども政府は何とかして法案を通したい。通したいという提案者側のお気持ちというのは、それはわからぬわけじゃないけれども、しかし、そのことが再建の重要なかなめではない、一部分だというように考えていかないと、今日の国鉄をめぐる財政再建というものは非常に困難になる。だから、サボっているということじゃありません。そういうことと両々相まって、この法案が通らなきゃまた助成もしないよという問題ではなくて、やはり法案の問題と助成の問題というのは、これはまた別問題として解釈すべきというのが、これは平面解釈かもしれませんけれども、そういうように理解しなきゃいかぬというように考えているわけです。  そこで、大臣経営努力は不足していると思いますか、思いませんか。
  97. 田村元

    国務大臣田村元君) 率直に言って経営努力が十分であるとは思っておりません。
  98. 青木薪次

    ○青木薪次君 その経営努力というのは、もちろん増収対策と、それから経費の節約と、それからいろいろ言われているこの合理化問題、そういったことを指しているんですか。
  99. 田村元

    国務大臣田村元君) これは本来国鉄努力をする経営努力でございますから国鉄が決めるべきことでございましょう。お答えも国鉄がすべきでございましょうが、私どもからいえば、とにかくでき得る限りあらゆる経営努力をしていただきたい、それに政府助成をもって報いようと、こういうことでございます。その経営努力でやってもなお国鉄自体がどうにもしようがないことがございましょう。それは政府助成でやっていこうと、こういうことでございます。
  100. 青木薪次

    ○青木薪次君 そこで、政府による助成強化はどの部門を強化することが必要か。ただ何となく助成するんだ、また何となく経営努力が足らないような気がするということだけではやはり問題は別だと思うんでありますが、私は鉄監局長にいまの問題について答弁をしてもらいたいと思います。
  101. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国の助成についての基本的な考え方につきましては、これまでこの委員会大臣から御答弁申し上げているわけでございますけれど、やはり国鉄が自分の力でやれるものとやれないものとあるわけでございます。どこまでやれるかということについての認識については今後議論をする必要があろうかと思いますけれど、基本的には国鉄が幾ら努力してもやっていけないということについては政府がめんどうを見ざるを得ないのではないかというのが基本的な考え方でございます。
  102. 青木薪次

    ○青木薪次君 いま鉄監局長の、国鉄だけで努力してもできないこと、努力すればできることと、この二つに分けられたということについては後で詰めてまいりたいと思っております。  私は本会議でも質問したんでありますけれども昭和四十四年に第一次の十カ年計画が策定されました。当時の佐藤総理は、国鉄は輸送構造の変化によって競争力が低下し続けているんだ、特に貨物輸送量が全く伸び悩んでいる、特に借金による投資額の増大が国鉄財政を圧迫しているので、国と企業と受益者の三者で再建を推進する、こう言われたのであります。このことはそっくり今日に適用しても私は当てはまる言葉だと思うのであります。  第二次国鉄再建の十カ年計画で、昭和四十七年に提案されましたけれども、四十八年の時点で田中総理は、国鉄に対しては総合交通体系の中の国鉄の位置づけというものを定かにいたしてまいりたい。公共的使命が果たせるように国と国鉄の負担割合を決めていきたいということを参議院本会議で答弁をいたしているのであります。  第三次国鉄再建の新計画がまた昭和五十年に提案されて、今度は短期決戦型として提案をされたわけでありまするけれども、長期債務の全額たな上げと工事費の助成、地方交通線の欠損助成という問題について、三木総理大臣は本委員会におきまして五十一年十一月に答弁いたしておりますけれども、昨年の十一月の当初だと思いましたけれども、五〇%値上げをやればもう絶対大丈夫だ、昭和五十一年と五十二年の二年度で必ず収支均衡を達成いたしますということを一国の内閣総理大臣が言明をいたしているのであります。しかし、今日に見られたとおり、まさにこの状態であります。私は、三木さんがしゃべったときには率直に言って自信がないなと、隣に座っておった石田運輸大臣の顔を見ながら、一言一言聞いてはしゃべっておったからこれは危ないなと、こう思いましたけれども、まさにそのとおりであります。  そこで私は、「国鉄再建の基本方向」という問題について、運輸大臣は非常に積極的な意欲を持って提案し答弁をしていることについては認めます。認めますけれども、必ず国鉄財政再建は達成できるということを三木委員の質問に対して断言をされました。その根拠についてもう一度私は答弁願いたいと思います。
  103. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は、国鉄再建は必ずできるということを確信いたしておる一員でございます。三木さんに対して御答弁申し上げたとおりでございます。と申しますのは、従来の再建対策というのは、いつも私が申しますように短絡的に運賃値上げにのみ頼っておった。でありますから、適時適切な運賃値上げができないということによって狂いもしたでしょうし、また一気に大幅な運賃値上げをしたことによる客離れということもございましたでしょう。でありますから、そのようなやり方じゃだめだと。  問題は、国鉄というものを一遍言うなれば解剖をして――解剖ということはばらばらにするという意味じゃありませんが、あらゆる赤字要因、つまり経営コンサルタントがやるような徹底した赤字要因の洗い出しをして、そして経営努力でカバーできるもの、あるいは「構造的欠損」という言葉がこの間から盛んに使われておるわけですが、構造的欠損と言われるもの、いろんな面で仕分けをする。そうしてこれに対して国が五十一年――現在は五十二年度ですが、現在までの考え方とは思いを新たにした助成方針というものを立てて、五十五年度から手厚い保護政策も加える。そのためには金も要りましょう。でありますから、そのために交通特別会計のようなものも立てて、言うなれば特定財源も求めてやっていく。国鉄にももう徹底的に経営努力もしてもらうということをすれば私、これはできる。  まあできると言うが、おまえそれは主観じゃないかと言われりゃそれまでなんですけれども、必ずできる。私は自信を持っておるんです。何か天の暗示のようなものを受けたようなそんな感じでおります。ただし、それは運輸省が監督官庁として国鉄に対して叱吃勉励をするだけではできません、はっきり言って。これは絶対できません。政府自体がそれなりの責任を果たしていくということをしなければならないと、私はこう思っております。労使関係もよき方向に向かいつつあります。私はその意味において、三木さんに対してそういうことを踏まえまして申し上げたというわけでございます。
  104. 青木薪次

    ○青木薪次君 この法案が成立いたしますと、昭和五十三年度以降いつでも値上げができるということになるわけです。来年度予算に値上げを見込んだ収入を立てることになるというこの反面解釈なんでありますけれども、この点について何ゆえに五十三年三月三十一日という日を選んだのかという点についても若干実は気になるわけであります。そういう点を含めて大臣大蔵省にお伺いいたしたいと思います。
  105. 田村元

    国務大臣田村元君) 三月三十一日というのはこれは修正案でございますので、私から何がゆえにということをお答えすることははばからなきやならぬと思うんです。まあ衆議院段階での修正。それから五十三年度に値上げを含むかどうか、これはたしか国鉄予算要求は予算編成の直前に行われるということでございますから、いまのところ恐らく白紙だろうと思います。でございますから、五十三年度予算にそれを盛り込むかどうかは一にかかって国鉄のそのときの判断ということになる。それをわれわれが査定といいますか、それを受けて予算編成と取り組むということになろうかと思います。
  106. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まあ法案を通していただきました暁において、どういうふうに私どもが案を立て、運輸省にお願いをし、政府でお扱いになるかというのは今後の問題になると思うわけでございます。  それで、現在置かれております状況は、予算では、先般の補正予算政府側が当初の案を変更されまして、一月から一九%名目ということで改定をするという前提で補正予算が提案され御審議がありましたんですけれども、その後、衆議院の段階で本年度内は値上げはだめだと、よろしくないと、こういうことで修正案ができておるわけでございますから、私ども国会のそうしたお考えを十分織り込みまして、その上に立って、もう予算の編成は迫っておりますけれども、その短い間でございますけれども、その間に決断をいたしてお願いをするということになろうかと思います。  ただ、いま非常に私どもとして、私ども責任のウエートが非常に高まってまいりますと、国会の方からある程度政府国鉄にお任せいただくという形になりますと、ますますわれわれの責任は重くなるわけでございまして、まだどうも客足がうまく伸びないとか、貨物輸送量が若干減りぎみであるとかいう実態でございますので、そうした営業上の動向というものをよほどよく織り込んだ上でないといけないかと思いますけれども、しかし一方、予算編成の時期が迫っておりますから、それらを総合的に見た上で一つの決断といいますか、判断のもとに、どういうふうに来年度私どもの仕事を運営していくかという基本の考えとあわせて案を立ててお願いをするということになろうかと思います。
  107. 青木薪次

    ○青木薪次君 値上げの問題については、私は後で問題をひとつ討議いたしてまいりたいと思っておりますけれども、ただ、五十二年度が値上げが見送られた、そういたしますと、五十一年度と五十二年度の二カ年間を修正案によりますと値上げされるという勘定に実はなるわけなんですが、この点に対する点については、ひとつ簡単でありますけれども答弁を願いたいということと、それから総裁が、大臣もけさほど言われましたけれども、名目値上げ率とそれから実質値上げ率を同一にするんだということを責任者のお二方から言われました。これは気持ちはわかるけれども実際には不可能なことだと思うんです。  そのことを強調すると、値上げの幅というものが二%か三%だったらこれは達成できるかもしれない、しかし、現実に五〇%の名目値上げをして三七%の実質値上げを大体見込むと言ったのが三〇%になった。そうすると、先日の目黒議員の質問にもありましたように、たとえば現在の物価の状態等を勘案した場合に一三・一%になるだろう、それからこういうような場合に、一年値上げが見送られた場合においては二六・六%が現状の段階では上限となるというように答弁をされたわけでありますが、そういたしてまいりますと、上限まで届いた場合、また上限からいま大臣のお話のように相当下げられた場合、そういう場合であっても三十七分の三十といったいわゆる利用減というものは私は伴うものであるというようにどうしても考えるわけでありますが、その点いかがですか。
  108. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 先般もお答えをいたしましたが、従来の計算方式あるいは説明方式は、ある年度に運賃の改定をお願いいたします場合には、前の年度の算定――予算要求をいたします時期までのお客さんの乗りぐあい、それに基づきます収入ぐあいを見まして、それを実績の数字でつかみまして、それから過去の経験値から収入がふえる、いわば自然増収といいますか、現行の運賃水準のもとにおきましても収入がふえるという傾向がございますので、その傾向率を掛けまして基礎的な収入水準を出してまいります。  それから仮に二割なり三割なりの運賃改定をお願いするとすれば、その収入が二割ふえるか三割ふえるかということになりますと、つまりこの二割とか三割とかいうのが名目改定率でございますけれども、実際の収入としてはそこまではいかない。やはり値が上がりますれば当然のこととしてお客さんが、あるいは長期的にあるいは短期的に減るわけでございますので、その減る率を何%か経験的に見込みまして、そして結果的に前年実収と翌年度実収との差額というものを実質の増収率ということで算定をいたしておったわけでございます。  ところが、今回の場合には、いままでとは多分にこの考え方が変わってまいりまして、運賃の改定で私どもがこの経営の改善を図る限度は経費の増加の限度ですよということで思想が全く変わってまいりましたわけでございますので、タリフに基づいて、そのタリフのどこの部分を何ぼ上げてどうやって計算するかという考え方よりは、むしろ全体として幾ら上げさしていただけるかということを限度として見まして、それから今度は、実際問題としてそんなには上げられませんでしょうということで考えるわけでございますから、現実に独占性を失った現状においてどのぐらい上げることができましょうかという上げ率というものをまず頭に置くわけでございます。  したがって、まずタリフの上げ率を出して、そういうところから計算をして、それからいわゆるお客さんが減ります、余りいい言葉ではございませんが、逸走率というような言葉を使っておりますが、逸走率を掛けてというような思考過程をたどって物事を考えるのではなくて、これからはどのぐらいまで上げてもまあまあお客様にがまんしていただけるか。そして、がまんしていただけるかという意味は、お客さんが減らないで乗っていただけるかというところを見つけるということになるわけでございますので、従来のように名目改定率と実収率というような二つの相異なる概念を出して、そしてその開きが幾らという考え方をとるのではなくて、どの程度上げさしていただけるか、どの程度実収を上げさしていただけるかということで率を考えましていくということになります。  ですから、いろいろな言葉の表現の中に名目改定率と実収率との差が出ないようにいたしますという表現がしばしば使われておりますけれども、私はむしろこれからはそういう二つの概念があるのではなくて、一つのものとして考えられる可能性があるのではないか。そこに幾らかでも理論的に仮に二つの概念に差があるという考え方をとるといたしましても、それはきわめてわずかな率のものになってくるのではないか、またそうでなければ、この独占性を失いましたわれわれの状態のもとにおける価格のあり方というのは成り立ち得ないのではないかというふうに考えておるわけでございまして、青木先生の御疑問はごもっともでございますけれども、私はそこの乖離を今後非常に大きな問題として取り上げていただくほどの大きな乖離差というものは生まれてこないということで作業ができるのではないかといま考えております。  まだそろばんを持っておりませんですから、ちょっと説明の仕方が非常に抽象的でございますし、またおわかりにくい点もあろうかと思いますが、多分といいますか、十中八、九そういう計算方式で今後御説明するようなことになるのではないかというふうに思っているわけでございます。
  109. 青木薪次

    ○青木薪次君 総裁、それは非常に言われていることは、気持ちはわかりますけれども、実際には名目改定率とそれから実収率というものは厳として存在するんですよ。それは幅を狭めるという議論ならわかりますよ。値上げのこの間を五〇%と三七%、実際は三〇%だというような問題については、値上げを二%か三%としたら、恐らくこれはよくわかるだろうからひとつ乗ってやろうということになると思うのです。  それから運賃の立て方なんかについても、たとえば線区別に乗客者の集会を開くとか、いろいろな各界各層の皆さんの御意見を聞きながら、こういうわけでわれわれの意見も盛ってもらったんだから、ひとつこのためには乗ろうじゃないかというような世論喚起の盛り上がる意見等が出てくるというようなことでも裏打ちされなければ私は絶対にあり得ないというように考えているわけであります。  だから、公式の委員会ですから、本音とたてまえということがあるけれども、今日の場合には本音とたてまえということは、いままで本音はこれぐらいだけれども、実際たてまえはこれぐらい上げてもらいたいというようなことを言ってきたわけだけれども、これからは本音とたてまえを一緒にするということについてはなかなか困難であるということについて、率直に私はこれからも出てくる話でありますから、総裁、いままでの話についてはこれは間違いであった、自信がないというぐらいのことはこれは言う必要があると思うのですが、いかがですか。
  110. 高木文雄

    説明員高木文雄君) そこのところは、私も率直に申しまして、しかといままではこうでありましたが、こういうふうに一〇〇%変わりますと言うところまで自信はないんでございます。おっしゃるように、実収率とそれから名目率というような概念が今後も生き残っていくかもわかりません。しかし、そこはいまも申しておりますように、五割も三割もというような大きな値上げになりますと、確かにそういう概念で整理して御説明しなくちゃならないようなことになるかもしれませんけれども、とてもいまそういう高い率の改定ということは考えておりませんし、そういう高い率の改定ではこれからやっていけませんですから、もっと低い水準の改定ということが頭に上ってくると思います。  その場合に、いままでのように運賃を変えなくても、前年よりは二%なり三%なりお客さんが乗っていただけますよという計算を一遍そこで置きまして、その上で名目改定率を何ぼと置きまして、さてそこからまた減りますと、こういう論理を追って物事を考えていかなくてもよろしいんではないか。去年の実収は幾らですよ、その次の実収は幾らですよ、これをやるためにはこういう上げ幅ということで作業するようなことになろうかと思いますので、どうもいままでは私どもの作業過程を率直に申し上げて、それとの関係で名目改定率、実収改定率ということが表へ非常に強く説明段階において出てきたわけでございますけれども、少なくともあるいは概念としては両方今後ともあり得るかもしれませんが、説明の順序といいますか、皆様に理解していただく順序としてその二つのものを厳然と分けて、過去の経験値で率を掛けてというような形には少なくともならないということで、そこはそう心配をしていないというのが私の考えでございます。
  111. 青木薪次

    ○青木薪次君 まあ運賃改定の問題は、後で法案の問題ともあわせて議論してみたいと思っております。  そこで、大臣、五十二年の一月二十日の閣議了解がございますね。それから今度の「国鉄再建の基本方向」というのが衆議院で決められました。これは運輸省としてもこの「方向」については了解するという立場だと思うんでありますけれども内容に大きな違いが実はあると思うんです。どの点とどの点が違っているか、一応大まかでもいいから説明をしていただきたい、こう思います。
  112. 田村元

    国務大臣田村元君) 大まかに申しますと、いままでの再建対策要綱は三本柱ということで、国鉄経営努力運賃の改正ということを受けて、政府国鉄助成していくというような思想があったと思うんです。ところが、今度の修正案によりまして基本的に考え方が変わりました。と申しますのは、まず国鉄の徹底した経営努力というものと、政府助成というものが一番大きな柱になる。そうして経費上昇分というものだけを単純にといいますか、運賃によって支えるということでございますから、従来の考え方とは基本的に変わってしまった。そこいらが一番大きな違いではないだろうか、このように私は理解をしております。
  113. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、私は、先ほど大臣が午前中に言われたように、この国鉄再建に対する「基本方向」というものは、これは舌禍事件を起こすかもしれぬけれども、実は政府の提案よりもいいくらいだということを言われたことについて、私は非常に端的な表明として好感を持っております。問題は、この「基本方向」が衆議院運輸委員会で決まって、政府もこれについてはわかったと、非常にいい内容だということであるならば、参議院運輸委員会に提案する前に、非常に閣議了解の好きな政府でございますから、これも閣議了解をして、そしてひとつ行政府としては立法府に対してこれくらいの努力をしたよ、だから立法府の方としても真剣にひとつ議論してくれよというようなことを言うのが私は筋だというように考えているわけでありますが、その点いかがですか。
  114. 田村元

    国務大臣田村元君) この法案が通りますと――通りますとというと大変失礼な言い方かもしれません。成立いたしますと、五十三年度の予算編成のときに再建対策要綱を新たにつくらなければなりません。これは当然閣議了解ということになりましょう。その再建対策要綱をつくりますのに、この「基本方向」を十分に踏まえてつくっていくということになろうかと、このように考えます。
  115. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、「基本方向」を踏まえて再建対策要綱をつくると。そうすると、この「基本方向」というものは閣議了解されたと同じくらいの背景がある、力があるというように理解してよろしゅうございますか。
  116. 田村元

    国務大臣田村元君) 現時点ではまだ法案が成立しておりませんし、何とも私としては言いようはありませんが、この法律が成立いたしましたその時点において、「基本方向」を踏まえた再建対策要綱づくりにいそしむことになりますから、閣議了解事項に匹敵するほどのウエートというものはやはり置かなきゃならぬ。しかし、「基本方向」自体を閣議了解するわけではございませんから、これを踏まえての閣議了解再建対策要綱、こういうことになりますけれども、それはそれとして非常に重みが出るということは言えると思います。
  117. 青木薪次

    ○青木薪次君 そうしますと、これは憲法のようなものだと、そしてこれから再建対策要綱というこの憲法に準拠した法律をつくってくれるものだと、こんなぐあいに理解してもよろしゅうございますね。
  118. 田村元

    国務大臣田村元君) 憲法というのはちょっと私にも表現困るんでありますが、私が受けとめております受けとめ方は、この「基本方向」というものを若干あるいは手直しというのでなくして、つけ加える問題もあるかもしれませんけれども、金科玉条としてこれを考えていく、受けとめていくということは当然のことであろうというふうに思います。
  119. 青木薪次

    ○青木薪次君 「基本方向」を踏まえてやっていくということでわかりました。  もう一度確認いたしたいと思いますのは、「国鉄再建の基本方向」に言う「構造的欠損」というものについては、大臣はどういうように理解されておりますか。
  120. 田村元

    国務大臣田村元君) この「基本方向」で述べられております「構造的欠損」といいますのは、赤字ローカル線とか地方バスなど、まあこれは一つの例でございますが、国鉄経営分野のうち特に効率性の低い分野で、そして他の輸送機関との関連において効率的な輸送体系を形成するための施策を講じるなど、あらゆる経営改善を行ってもなお国鉄経営上どうにもならない、その負担の限界を超えておる、そしてその限界を超えた輸送サービスを提供せざるを得ないというところに国鉄が追い込まれる、そういう場合に発生する欠損というものを「構造的欠損」というふうに受けとめております。
  121. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、「国鉄経営上の負担の限界を超えると認められる」ということであるわけでありますが、これは、「認められる」というのは、もう一度後でいろいろ問題になっちゃいけませんから、どういうことなのか、どういう意味なのか、答弁していただきたいと思います。
  122. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 本年の三月でございましたか、国鉄経営改善計画をつくっております。これはまあ今後の経営改善の基本的な方向を示しているわけでございますが、さらにいま大臣から申し上げましたような分野についていろいろ経営改善の具体的な計画が示されてくることになっております。その段階で、やはりどうしても国鉄としてこれ以上のことはできないんだということであれば、そのときが構造的欠損になるというように理解をいたしております。したがいまして、この問題については五十二年、五十四年の二カ年間で十分国鉄と私どもとの間でいろいろ検討いたしまして、どの範囲のもの、いかなる範囲のどの部分が構造的欠損であるかということをはっきりさせていきたいと考えております。
  123. 青木薪次

    ○青木薪次君 監督局長、余談のようだけれども、声が小さいから、ぼくが耳が遠いかどうか知らぬけれども、恐らく傍聴の皆さんを含めて聞き取れないと思いますから、もっと大きい声で言ってくださいよ。肝心かなめのところになると小さい声になる可能性がある。  この「認められる」という点については、五十三、五十四年度になると、その間に徹底的に洗い直すんだ、赤字体質というものについて洗い直すんだということを言われているわけでありますが、この「認められる」という部分については、一体だれが認めるのか、運輸省が認めるのか、あるいはまた国鉄総裁が認めるのかという点については非常に不明確なんです。だから、私たちはこの「基本方向」を議論しているわけでありますから、認められる部分について国会で議論しよう、運輸委員会で議論しようということについてはいかがですか。これは大臣ですな、大臣
  124. 田村元

    国務大臣田村元君) 形式的には運輸省がそういうことを認めるということになりましょうけれども、その認めるということの尺度は、社会通念で何人が見てもそのようなことを認めざるを得ないというようなことを踏まえて運輸省がそれを認めていく、そのような尺度で認めていくということになろうかと、このように思います。つまり、官僚の主観だけで決めるべきものでないと、こういう意味でございます。
  125. 青木薪次

    ○青木薪次君 わかりました。それでは、私は言ったとか言わないとか、まあ会議録もございますけれども、どうも歴代の政府は、この運輸委員会でこれは絶対大丈夫だと言ったことも、後になるとなかなか、そういう条件になかったとか、こういう理由があったからできなかったとか言いわけに終始している。私は、田村運輸大臣は、その点については民間の出身であり、非常に短い期間だけれども勉強されて思い切った提案もされている。その努力を私は多といたしておりますから、ひとつ大臣、私はこの「認められる」という問題について、いまここで一つ一つ確認をしたいと思うんです。  赤字ローカル線については、これは負担の限界を超える状態であると、こういうようにお考えになりますか。
  126. 田村元

    国務大臣田村元君) 「基本方向」は、赤字ローカル線のような効率性の低いものでも、とにかくまあ国鉄は一生懸命にやってみろと、経営努力をしてみろと、しかし、それでもなおどうにもしようがないというときには、これは構造的欠損として処理すべしというような趣旨で方向づけておると私は思うんです。でございますから、そういうようなまくら言葉は一応つけますけれども、ずばり言いまして、国鉄というのは、総裁に申しわけありませんけれども、徹底した経営努力を、何にでもこう絡めていかぬことにはしないんですよ。素直に政府がよろしいと、こう言いやあ親方日の丸になってしまうおそれがある。そこで、とにかくこれはこうだけれども、それには経営努力が前提だよ、絶対条件だよということを言わないとなかなかむずかしいということでございますが、ここで国鉄に手の内をさらして言うのもおかしいのですけれども、私は地方ローカル線は構造的欠損の一番大きな要因の一つだと、このように思います。
  127. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいまの点で、私どもの方から見た場合の考え方をちょっと補足さしていただきますと、幹線と地方ローカル線とを分けると、どういうふうに地方ローカル線の赤字がありますかということで、五十一年度の決算では二千三百億の赤字が出ております。ところが、別の面で見まして、旅客貨物とを分けますと、貨物は幾ら出ますかとか、あるいは荷物ではどういう赤がありますかとかいう角度で、また別の面でお豆腐を縦に切ったり横に切ったりするような形であっちこっちから見ていろいろな数字が出ております。  そこで、赤字ローカル線は現在二千三百億でございますけれども、この二千三百億がすなわちローカル線に伴うところの構造的欠損であるかどうかというと、そうではないわけでございまして、この春にお出ししておりますいろいろの経営改善計画の中で、貨物を少し効率的に運用いたしますということをお約束いたしておりますし、荷物等につきましても少しやり方を変えてまいりますというふうに申し上げてございますから、そういう貨物、荷物、またその他の面での経営努力を重ねますならば、ローカル線の赤字もその部分に関する限りは少なくとも減っていかなくちゃならぬはずでございます。  また、その他いろいろローカル線についても経費その他の少しでも少ない経費でやっていこう、また少しでも収入を上げていこうという努力を今後やってまいりますから、いま二千三百億の赤字が出ておりますけれども、これすなわちローカル線についての構造赤字のすべてではないわけでございまして、これらのうちでいろいろ企業努力をやって減っていくものがあるはずでございまして、またそうしなければならないと思っております。  しかし、そういう努力をいろいろ積み重ねましても、なおかつどうにもならぬという部分がございますので、この部分はローカル線についての構造的欠損という意味運輸省にお願いをいたしたい。そういうふうにローカル線の中のどうにもならない部分が構造的欠損という表現であるものと私どもは受けとめ、そういう前提のもとにこれからその赤字を少なくいたしますけれども、なおどうにもならぬものだけはお願いをいたしますというつもりでおるわけでございます。
  128. 青木薪次

    ○青木薪次君 別に大臣が、経営努力してないから、また、しないということを言わないと努力しないからということまで言ったからといって、そんなに一々遠慮した答弁しなくたって総裁いいですよ。大臣が先ほど言われたように、赤字ローカル線については厳然として負担の限界を超えるものである。これはもう九州の添田線を言うまでもなく、私ども運輸委員会で清水の臨港線に乗りましたけれども、あのような海岸線であって六百幾つかの営業係数があるんです。百円もうけるために六百円使っているわけですから、そういう点でひとつその中の貨物部分とか小荷物部分とかいうのは、これはやらなきゃならぬでしょう。やらなきやならぬけれども、全体として九千二百キロというものについては赤字ローカル線である、こういうように私たちは考えているわけです。ですから、経営努力の問題とはこれは別の問題だというように解釈をせなきゃならぬと思うんです。  その次に、政策決定によって赤字新線、先ほど国鉄はいやだと思っても政府や議員からやれと言われたらやらなきゃならぬといういわゆる新線建設、このことと、それから新幹線の建設でも、かの九州の鹿児島県から来たり、長崎県から来たり、あるいはまた東北地方からいろいろ陳情要請が来るわけでありますが、こういうものによって、いわゆる政策決定によってつくらされるものに対する投資の関係と、投資は借金によってやるわけでありますから、それに伴う利子の問題、これらについては負担の限界を超えると思うのでありますけれども大臣いかがですか。
  129. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いまお話がございました国鉄の投資の中にはいろいろな投資があると思います。国鉄が当然やらなきゃいけない投資もあれば、政策的な意味国鉄がやっている投資、いろいろあると思います。そういうものについて「基本方向」では、今後投資採算というものを基準に投資のやり方について方針をはっきりさせろということを言っておりますので、そういう方向に従いまして、今後どういうものについて国がめんどうを見ればいいかを決めていきたいと思っております。現在の投資につきましても、昨年の本委員会の附帯決議もありまして、大都市通勤についてはやはり国鉄の負担があるということで、五十二年度予算から三〇%の建設助成をやっておりますし、また公団の借料についても三〇%国が負担するという措置をとっておりますが、そういう考え方と同じような考え方を今後投資についていろいろ検討して、その上で結論を出していきたい、さように考えているわけでございます。
  130. 青木薪次

    ○青木薪次君 鉄監局長、三〇%の補助の関係については、これはやらないよりやった方がいいと思うけれども、たとえばこの前の通勤輸送等の関係等について、後で少し出てくると思うのでありますけれども、たとえば東京、大阪だけでもって国鉄が七百五十億前後のものを投資する、そうすると政府はそれに二百五十億補助するということが三分の一ということだと思うのでありますけれども、こういうものは、それは補助をしたということになるかもしれぬけれども、しかし、このほかに新線建設等の問題については、まあ特にAB線の関係、CD線の関係もあるけれども、そういう関係についてはこれは当然いま申し上げた、たとえば長崎新幹線をつくる、東北新幹線ももっと延長する、九州新幹線をつくる、北海道新幹線をつくるといったような問題や、いま現に本四架橋の関係では二本が、道路を自動車を通すその上ですか、新幹線が通るといったような問題等についても、これはやっぱり一つは構造不況に対して何とか――不況対策のこともあってみたり、あるいは地方のどっかの政治家が、非常に実力者がおって引っ張ったというような問題もあるし、政府としても、何としても負担の限界を超えると思うけれども、ひとつこの辺新線建設やろうじゃないかという点があると思うんです。  ですから、そういうことをたとえて言っているんですから、聞かないことを何もあなたがしゃべる必要ないと思う。これは大臣がしゃべればいいことであって、あなたは何とかして一本取られまいとすることだけ前に出て、私の言うことを聞いていないと思うんだが、いかがですか。
  131. 田村元

    国務大臣田村元君) 新幹線につきましては、従来すでにもうやっておりますやつは、これはもう大急ぎで、まあやつはと言うのは悪いのですが、やっておるのは大急ぎでこれを従来方式でやっていかなきゃならぬのでしょうが、整備五線につきましては、これは私は慎重にならざるを得ないんです。過去の概算によっても五兆五千億、大変な金でございます。これを単に融資だ、あるいは利子補給だというような程度では私、新幹線絶対できないと思うんですよ。やはり抜本的な、もう抜本的ということは根本的にいままでと考え方を変えまして財源模索をする必要がある、このように思います。  それから、ひとつ先ほどの御質問にもありましたが、AB線なんかは全額国が建設費を出してやっておりますが、これができ上がりますと当然赤字ローカル線の中へまた入っていって構造的欠損の対象になるということになるんでしょうけれども、運政審の答申待ちということは大変形式的な答弁で恐縮でございますが、そういうことでいずれにしても救っていかなきゃならぬということであろうと存じます。
  132. 青木薪次

    ○青木薪次君 わかりました。そういう意味でひとつこのことも将来再建対策要綱の中でやはりまじめに議論してもらわなきゃ困るわけですからね、それで私は聞いているわけですから、そのようにお答えをいただきたいと思います。  昭和五十一年度の決算では、累積債務は五兆四千億と聞いておりますけれども昭和五十二年度を見通して大体幾らになりますか。
  133. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 五十二年度末で、累積債務が例の二兆五千四百億の特別勘定を除きまして六兆八千三百九億というのが、先般お願いをいたしました補正予算を執行した後の見通しの累積債務でございます。
  134. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、この累積債務の年間の利子は七分といたしますと約四千三、四百億円になると勘定いたしますけれども、いかがですか。
  135. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 五十二年度補正予算のとおり執行されました場合の五十二年度の一般勘定の利子負担が四千七百二十三億、うち損益勘定が四千九十八億、工事勘定が六百二十五億というふうに見込んでおります。
  136. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、これらも設備投資するために借金で金を借りてきたというものが多いと思うんですよ。そういうものについても、これやっぱり四千七百億も利子を負担している。このことをまたお客さんの運賃で幾らこの経費負担分を出すにしてもやはり問題があると思うんですけれども、この点も負担の限界を超えるというように私は考えておりますけれども大臣いかがですか。
  137. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ちょっとただいまの数字で説明が不十分でございますから補足をいたしておきますが、これは歳出面といいますか、支出面での支出額が四千七百二十三億でございまして、ちょっといま金額がはっきりすぐに申し上げられませんが、このうち工事勘定に見合うものの一部について――全部についてと言った方がよろしいと思いますが、全部について利子負担が三分五厘で済みますように利子補給をいま一般会計からいただいておりますが、これは利子補給をいただいて差し引きする前の数字でございますので、その点だけ一言つけ加えておきます。
  138. 田村元

    国務大臣田村元君) これは大変機微に触れた御質問でございますので、あえて私は鉄道監督局長大蔵省のおります前ではっきり申し上げておきます。当然、構造的欠損になるのかどうかということを五十三年度、五十四年度の洗い出しの対象にすべきであると、このように考えます。
  139. 青木薪次

    ○青木薪次君 角谷主計官、私もいま大臣の言ったように思うのでありますけれども、あなたも財布の立場からどう思いますか、端的に言ってください。
  140. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) ただいまの累積赤字でございますが、六兆八千億と見込まれますうち、いわば固定資産等に見合う分も五兆一千億程度あるのではないかと思います。そういう意味では、いわば本当の意味での赤字といいますか、それに対応するのがL3、累積債務でございますが、失礼しました、一兆七千億ぐらいじゃないかと思うわけです。そういった意味でその繰り越し、累積赤字に対応する部分の債務に関するものにつきましては、これは「基本方向」におきましても収支均衡に適切に処置するということになっておるわけでございます。  なお、先ほど国鉄総裁から言われましたように、損益勘定の五十二年補正後の数字で、損益勘定における利子負担は千九十八億でございますが、そのうち工事費補助金といたしまして千百二億、それから過去の赤字に見合います一部の利子補給といたしまして百七十七億、締めて千二百七十九億ということで、四千九十八億に対します関係では約三割程度の利子補給補助を行っております。こういったこと等につきまして今後どう扱いますかという点につきましては、先ほど運輸大臣からもお話ございましたように、今後の「基本方向」の肉づけの段階でなお検討していきたいと考えております。
  141. 青木薪次

    ○青木薪次君 累積債務のうちでは、先般五十一年度ですか、二兆五千四百四億円、これを削減したわけです。これはいわゆる累積赤字と言われる中において資産に見合うものを除いてこれだけ軽減したということなんですけれども、累積債務の方はこれらを全体を含めた中で、ことしの昭和五十二年度の見通しの中においては六兆八千億を計算されるということになるわけです。工事費の場合においては三%ですか、三%を超える部分については負担をしてやろうという部分もあることも知っています。知っていますけれども、少なくともこれに伴う、たとえば資産に見合うとしても、その資産は不良資産であって借金だらけだという累積債務があるわけです。幾ら資産があっても少しも金をかせがない、鶏が卵を産まない、そういうような資産もあるわけですから、その不良資産というものについては、これはやはりいろいろ資産の裏づけのあるもの、ないものという中で控除すべきものであるというように考えますけれども、これいかがですか。
  142. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) いわば固定資産等に見合っております部分の債務といいますのは、基本的には国鉄自身も公共企業体でございますので、そういった意味では、そういった利子負担、これは当然先ほどから申し上げましたように工事勘定につきましては三・五%を超える部分の利子補給といったものを行っておるわけでございますが、そういう範囲内におきまして、原則として企業的に償還していくという見通しを立てた上で投資が行われているべきものではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、先ほどからお話がございますように、今後の投資といったものにつきましては、そういった投資基準を作成するといった形で、不採算投資にならないような形で、なるたけその投資効率を高めていくといった意味での投資が必要ではないかと思っているわけでございまして、そういった点を踏まえまして今後も検討を続けてまいりたいと考えておるわけでございます。
  143. 青木薪次

    ○青木薪次君 ことしの助成が四千四百五十七億円であると。しかし、この二兆五千四百四億円に見合う分の三年据え置きの二十二年返済というものについては、これは二千四百四十一億円の無利子貸付金というものがあるわけですね。だから、それを入れたものが四千四百五十七億円ですから、実際に助成した助成したと言うけれども、それはもうしがらみというのか、そういった表現が適切な言葉のように、実際に助成したと言われるものは、貸付金のようなものとか起債とかというものを含めて二千億だというように考えますけれども、この点いかがですか。
  144. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 御指摘のように、五十一年度末の累積債務を対象にいたしまして二兆五千四百四億円でございますか、毎年元利合わせまして二千四百四十一億円の補給を行っております。したがいまして、ことしの助成額をそれから仮に差し引きますと約二千億円強ということに相なろうかと思いますが、この金額自体は実は五十一年度予算に比べまして二四%、さらにこの累積債務の利子補給を行いました段階での五十一年度対五十年度の伸び率は三四%ということでございますので、国鉄につきましては相当程度大幅な助成増を図ってきているというふうに御理解いただきたいと存じます。
  145. 青木薪次

    ○青木薪次君 昨年の十一月の四日だと思いましたけれども運輸委員会で当時の大平大蔵大臣は私どもの質問に対して、二兆五千四百四億円というものと、それからもう一つ国鉄の積立金をこの際ひとつばらしてよろしいというものを合わせてですね、累積債務の関係等についてはこれはいわゆる白になったというように理解いたしておるわけです。そのときにすでに相当な累積債務があったわけですから、そのものについて、じゃどうするんだ、こう聞いたところが、これは資産の内容というものをよく検討して、これから政府においてこれを負担の軽減をしていくように努力いたしますということを大平大蔵大臣は言ったわけですけれども、この点を確認しますか。
  146. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) たしか五十一年度の再建対策要綱におきまして示されておりますように、そのときの国鉄再建考え方は、過去のいわば赤字に見合う累積債務は国において全額たな上げして、そして身を軽くする、これからのその後に発生いたしますところのいろいろな経営上の問題については主として国鉄責任においてやっていただく、こういうふうな考え方で二兆五千四百四億円という債務、これに実は再評価積立金取り崩し五千六百億円を含めました約三兆一千億円といったその累積赤字見合いの相当額をたな上げしたわけでございます。  しかしながら、その中におきましても今後のやはり投資採算といったものを考えまして、工事費補助金といったものは引き続きこれを継続するといったふうな措置をとりまして、さらに五十二年度におきましては、国鉄のいわば先ほどから御指摘あります構造的欠損といいますか、そういった面に見合うものといたしまして、地方交通線の特別交付金でございますとか、地方バスの交付金でございますとか、あるいは大都市交通のための特別のいろいろな施設あるいは運営費の補助と、こういったものをつけ加えながら漸次補助の拡充を図ってきたわけでございます。
  147. 青木薪次

    ○青木薪次君 各項目において、臨時補給金とか、赤字ローカル線の交付金だとか、地方バスの関係だとか、大都市の交通対策とか、工事費の補助金とかいろいろ柱は立てております。立てておりますけれども、それはおやじが子供に小遣いくれるように、ちぎっては投げ、ちぎっては投げということだけでは本質的な解決にならぬと私は言うわけです。そこに今回の構造的欠損――私は先ほど大臣に一々聞いているというのは、こういう論争というものを再びいつもいつも毎回の運輸委員会のように繰り返したくない。  確かに、与党の皆さんがいますけれども、与党もあるいはまた政府も、運輸省もそうでありますけれども、もう国鉄の財政再建ということは全く耳がつんぼになるくらい私どもは聞いてきたわけです。まるで真夏にセミが鳴くように、ミンミン鳴いている、そのぐらいしか国民に受け取られないとしたならば私は非常に不幸なことだというように考えますので、くどいようだけれども、一々私はこういうものについて本委員会としてもやはり確認をしておく必要があるという立場に立って議論いたしているわけでありますから、そういう意味で、一つ確認を迫ると少し後退をする、それから関係ないときには前へどうっと出てくる、こういうようなやり方では私は問題の解決にならぬ、こう思いますので、そういう点で詰めているということであります。  公共負担の関係については、先般の本会議での私の質問で海部文部大臣が、今後必要度を認める、各省と話し合いたい、こう言っておりましたけれども、この点は大臣、確認してよろしゅうございますか。
  148. 田村元

    国務大臣田村元君) 公共割引のことですね、これは解決しなきゃならぬ問題ですよ。まあ関係省庁がたくさんあるわけでございますけれども、この間も私、答弁を聞いておってつくづく感じたんですけれども、何十年という長い長い慣例であるからという言葉がありました。長い長い慣例であるからというような答弁ではいかぬのであって、それだけの間ほうっておった、幸いにして国鉄がその間黒字で、逆に政府へ貢いでおる立場だったからこれは問題にならなかったというだけのことなんですね。でございますから、これはやはり政策部門において政策予算として計上していただかなければ困ります。  で、私はいままで閣議でずいぶんこれはがんばってまいりました。もし必要とあらばこの問題に関する関係閣僚会議を設置してもらいたい、それは考えております。まあ各省庁なかなか関係省庁が頑強であれば、私はそこまで進めてよいのではないかというように強い決意を持っておる次第でございます。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
  149. 青木薪次

    ○青木薪次君 公共割引を含めて公共負担というのは、これは学生割引とそれから障害者の皆さんに負担している福祉割引、それから通勤割引、それからそのほかいろいろあると思うのでありますが、新聞社の新聞輸送もこれも負担しているということでございまして、率直に申し上げて、その必要性があるならばその官庁で、政策担当の官庁で負担するというのは、これは私はあたりまえだと思う。しかも国鉄に固定資産税を負担させていると思うのでありますが、総裁、この固定資産税はことし幾らで、来年幾らになりますか。
  150. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 五十二年度百九十二億円でございます。
  151. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういうものも私は非常に不合理だと思うんです。聞くところによれば、国鉄のこの固定資産税を市町村に納付するために、これをまた上げてくれという陳情が来ているということを聞いているわけです。こういうようなことは、これは幾ら地方財政の硬直化といえども、むしろ地方ローカル線を地方公共団体との間にどういうようにひとつ運営していくかというようなことまで議論されているときに、私はやはりこういう税制こそ不公平税制のこれまた典型的なものであるというように考えているわけでありますが、大臣、不公平税制の一つであるというようにお考えになりませんか。
  152. 田村元

    国務大臣田村元君) 不公平税制であるかどうか、いまとっさにお答えいたしかねますが、この前連合審査のときでございましたか、ちょっと私は申し上げたんでありましたが、もしこれが言い過ぎならばどうかこの田村を御処分願いたいと、こう言って私はお答えをしたことがありましたが、つい最近。  一方においてつくれ、つくれ、つくれでどんどんやってくる、じゃ負担をしてくれるかと言うと、負担は真っ平御免であると。自治省の役人までが絶対に反対でありますなんというような、アクセントを強めて物を言う。しかも一方では、固定資産税よこせと言う。私は不公平税制であるかどうかはわかりませんが、矛盾税制だと、このように思います。思いますから、私は何も固定資産税は国税ではないんですから、固定資産税を出すことに反対ではありません。地方に対して出すべきものは出していいでしょう。けれども、それならば地方自治体もまた国鉄に対してしかるべき対応を他の部分においてすべきである、このように考えております。
  153. 青木薪次

    ○青木薪次君 戦前戦後を通じて軍人、軍属の押しつけがあると言われました。戦争中に一体戦争目的のために何人採用したのか、またこれらを外地に向けてどれだけ出したのか、そして、その帰ってきたときにどれだけ採用したのか、そのときに何人に国鉄はふくれ上がったのか、その後現在どれくらい減らしたのか、このことについてお答え願いたいと思うんです。
  154. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) ただいま手元に詳細な資料を持ち合わせておりませんけれども昭和二十年の戦後になります直前に、外地に兵隊に行っておられました一番多い時期で十六万人、外地にわが社の身分をもちまして兵役に服しておった方がおられます。帰ってこられました後、そのほかに外地の鉄道関係に従事しておられました満鉄、それから朝鮮鉄道等全部含めまして約一万五千人ほどの外地からの引き揚げの方も合わせまして、終戦後全部これらが国鉄に入られたわけでございます。当時女性の方が――実は戦後直ちに一度おやめいただいて、約十万人の方が、そのときに女性がほとんどでございましたがおやめになりまして、なおそれで六十一万人余りという最高の数になりましたのは、戦後、例の二十四年までの間におきましてもう一つの理由といたしましては、労働基準法の施行がございましたこともございまして、それだけの数になっておったわけでございます。  その後は御承知のとおりでございまして、それ以降ただいまの四十三万人弱までの経過をたどっております。ただいま、それらの方々の中でまだ現職でおられます者がいまの段階では約十万人ぐらい国鉄の中におられると思っております。
  155. 青木薪次

    ○青木薪次君 私の知り合いの人も、当時の内閣の命令によって、外地におった軍人、軍属の人たちはとりあえず国鉄へ雇え、社会不安をなくするために雇えという命令がおりたことを私は記憶いたしているわけでありますけれども、当時命令は出たんですか。
  156. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私も実はほかの仕事の関係でおぼろげながらそういうことがあったように記憶をいたしておりまして、ここ一年ほどの間いろいろいま総理府、内閣筋の書類を調べさせているんでございますが、たとえば閣議決定とか閣議了解とか、各省申し合わせとかいう形で、つまり次官会議の申し合わせというような形で文書で残っているものはどうもないようでございます。ただ現実問題として、少なくとも兵隊に行かれて帰ってこられた方は、これは籍があるわけでございますから当然でございますけれども、そのほかに満鉄、朝鮮鉄道、台湾鉄道等の方は優先的に国鉄で引き受けるようにということであったやに聞いておるわけでございまして、どうも書面上の確認がまだとれないでおるところでございます。
  157. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういうようなことをなぜ聞いているかと言えば、今日退職される人の退職金や年金等について非常に問題になっているわけであります。  それからもう一つは、いまもお話に出ましたように、四十五歳以上から五十五歳までの十年間で、今日戦争中に、そういう方々が十万人残っていることを含めて、二十万人はやめなきゃならぬということになってくると、なおさらこのことを裏打ちするということになると思うのでありますので、そういう点について大臣、これも私は負担の限界を超えることだと思うのでありますけれども、いかがお考えになりますか。
  158. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は、この負担の限界を超えるということ、あるいは構造的欠損ということ、これは極端なしゃくし定規で考える必要はない、もちろん原則はあります。原則はありますが、現実というものを踏まえませんと、なかなかそうしゃくし定規に決めつけるべきものじゃないというふうに思うんです。その意味において、いま青木さんがおっしゃったように負担の限界を超えるもの、あるいは構造的欠損というものは、国鉄の現在の現実、将来の展望を踏まえて、柔軟に拾い上げることが可能な限り拾い上げていく、そしてこれを政府がお世話をしていくというような方法をとらないと、もう一ミリ、一センチでもだめだというような考え方でこれをとらまえたら国鉄再建はむずかしいぞというような感じでございます。
  159. 青木薪次

    ○青木薪次君 先般の公聴会のときにも、法定緩和だけがひとり歩きをして、それからいわゆるいまの構造的欠損の問題や、あるいはまた負担の限界を超えるというようなものについて、あれだけ「基本方向」についていろいろ話をしているにもかかわらず、これらがまあまあひとつその問題は、いまの大臣の言葉を揚げ足を取るわけじゃないけれども、一遍にこれを解決するということじゃなくて、だんだんとやっていこうということになりますと、これは昭和五十三年度、四年度で徹底的に洗い出すという姿勢と私は違ってくるのじゃないか。したがって、そういう意味一つ一つをやっぱり洗い出していかないと問題のポイントがわからぬというように考えますので、そういう点でいまの大臣は、先ほどの答弁と違いやせぬか、こう思うんでありますけれども、いかがですか。
  160. 田村元

    国務大臣田村元君) 青木さん、私が申し上げたことをちょっとお取り違いがあるんじゃないか。そうじゃない、逆なんです、私が申し上げたのは。五十三年度、四年度で構造的欠損あるいは負担の限界を超えるものということについて厳しい査定をしてはならぬ、現実を踏まえて拾い上げるだけ拾い上げてこれを政府助成の対象にすべきである、こういうことを申し上げたんで、これは大蔵省もおりますから私あえて言うんですけれども、とにかく厳しい厳しい査定をしましても、しょせん答えは出てくるんですよ。だめなものはだめ、いいものはいいと答えが出てくるんです。ですから、五十三、四年度で、両年度でとにかく徹底して洗い出すんなら、もう温情主義と言うとおかしいんですけれども国鉄というものを助けるために、再建させるために、もうぎくしゃくしたことを言わないで、これも構造的欠損かもしれない、これも拾えばいいじゃないかというぐらいの努力をしなければ、なかなかむずかしゅうござんすよということを申し上げたんで、私は青木さんと同じことを言っているんです。
  161. 青木薪次

    ○青木薪次君 大臣がね、三年も四年もやっているならいいけれども大臣はこれからどういう事態になろうともやるんだ――それは留任を私も希望しておりますよ。こういう前向きの意見で、官僚的でない大臣は私も歓迎しますよ。しかし監督局長、あなたが、たとえばここでどこの局長になるか次官になるか、あるいはまたバッジをつけるようになるか、そういうことはわかりません。わかりませんけれども、あなたもやっぱり一つのいわゆる官僚機構の頂点にいるわけだよ。さっきから聞いておれば、ひとつそれこそ政府でもって引き受けなきゃならぬような問題点を何とか軽減したいというようにきゅうきゅうとしているやに聞こえる、思うし、それから主計官もいずれは主計局長になっていく人なんだから、だから、ここで言ったことを私は決して逃がさないという立場において、いま大臣の言われたことについて確認しますか。
  162. 田村元

    国務大臣田村元君) その前に私からちょっと申し上げておきたいと思います。  おっしゃるように、私はいつまで大臣するかそれはわかりません。しかし、私はまだ五十三歳でございます。それから、私の取り柄はほとんどありませんけれども、私の取り柄が二つ、三つあるとすれば、まあここ三年や五年は選挙に落ちないだろうということです。いま一つは、大臣しておれば大変な紳士、君子でございますけれども大臣やめたら、うるさいことは自民党で一といって二と下らぬという方でございます。でございますから、それは冗談はさておきましても、私が大臣をやめた後で私の言葉を覆すような官僚の行動があったら許しません、これは、断じて私は。この私の性格はこの中で御承知の方多かろうと思います。  でございますから、まあ住田君だっていま鉄道監督局長、次は次官になるかどうか際どいところでございましょう、本当のことを言いまして。角谷君も、そういうことを言っちゃ悪いけれども、まだまだ一主計官にすぎません。主計官というものは、主計局長が各次長に枠を与え、その次長がまた主計官に小さな枠を与えて、この中でやりくり算段せいと言われて作業をする作業要員にすぎませんから、でございますから、私がここでいま申し上げたように、私は国務大臣としてお答えをいたしますだけに、私のこのお答えに対して、もし住田君あるいは角谷君の後から引き継いでいく人といえども違った行動をとったならば許しません。  私はこれが一番青木さんに対するいいお答えになるだろうと思いまして、あえて自分の長所だか欠点だかわからないようなことを申し上げたわけでございますが、そのときには私も野党の皆さんとともに闘います。これだけはっきり申し上げておきます。
  163. 青木薪次

    ○青木薪次君 私は政治家としていまの大臣の言葉を評価いたします。したがって、二人の現段階における答弁は要らないということを申し上げます。  それから「公的助成を含む所要の対策」というやつがあるのですね。「公的助成」ということはいままでいろいろ話をしてきました。「所要の対策」ということは一体何であるのかということになりますと、これは行政的な役割りというように私は考えているわけでありますけれども、どういうようにお考えになりますか。
  164. 田村元

    国務大臣田村元君) 「公的助成」というのは読んで字のごとしでございますが、「所要の対策」と申しますのは、行政上あるいはその他の援助措置というふうに御理解いただいていいんじゃないでしょうか。たとえば仮に、青木さんがよくおっしゃる、私と全く同感で、二人がいつも意気投合しておる例の貨物の集約センターでも、あるいは臨港鉄道とか引き込み線のような問題でも、これに対して助成という方法もありますね。同時に、それをつくるための援助措置がありますね。でございますから、たとえば例を引けばそのようなことだというふうにお考えいただいたらいかがでしょうか。
  165. 青木薪次

    ○青木薪次君 わかりました。  そこで、日本国有鉄道法の五十四条に「経営改善計画の円滑な実施その他その経営の健全性の確立のため必要があると認めるときは、財政上の措置その他の措置を講ずるよう特別の配慮をする」とあるわけでありますが、財政上の措置以外のどのような措置が今日まで行われてきたのか。いま大臣の答弁で大体わかりますけれども、これは鉄監局長に聞いた方がいいと思うんですけれども、答弁願います。
  166. 住田正二

    政府委員(住田正二君) この規定は、いまお話がございましたように、助成の問題だけではなくて、いろいろ政府全体としてできる措置を含めて国鉄再建に役に立つように措置をとれということだと思います。運輸省がやるべきもの、あるいはほかの省でやっていただく問題、いろいろあると思いますが、先般来ここでいろいろ議論が出ております自動車問題、トラック問題、あるいは白ナンバーのトラック問題、そういうものに対する輸送秩序の維持であるとか、あるいは今後の地方ローカル線の処理に関連いたしまして、仮に道路に、道路運送に持っていった方がいいんじゃないかとか、去年白棚線ですか、ごらんいただいて、むしろバスの方が便利だというような御印象を受けたというふうに聞いておりますけれども、まあ国鉄の線路敷を道路に直すとか、あるいは並行している道路で非常に不便なものがあれば、それは建設省にお願いしてバスが便利に通るように直していただくとか、そういうような政府全体として、いろいろ国鉄がやる場合にそれを支援するための行政上の措置を含めた意味に考えております。
  167. 青木薪次

    ○青木薪次君 構造的欠損というのは、国鉄が交、通における独占的位置を失って激しい競争関係に立たされているにもかかわらず、独占時代と同じような法律的や行政的、あるいはまた政策的、政治的に独占時代と同じような考え方でやってきたというところにいろんな問題点があったし、むしろ種々の制約をそういう意味で課してきたというところに私は一番問題点がある、すなわち国鉄当局にもあるいはまた国鉄組合にも全くかかわりのない部分というやつがここで浮き彫りにされてきたと思うのであります。  もちろんその点について責任を感じないというわけじゃございません。そうじゃございませんけれども、この点を政府は今日まで放置して、赤字の原因をあくまでも国鉄労使責任だというようにすりかえてきているところに私は基本的に問題点があると思うのでありまして、この労使関係の改善も、総裁がこの間、基本問題会議で意見を述べておりますように、これをやはり先ほど言ったように、しがらみという言葉で実は言われているわけでありますが、ここで本当に総裁として、今日この問題についてどういうように考えているのか、私は総裁からひとつこの際御意見を聞きたいと思います。総裁は演説うまいけれども余り長くしないように。
  168. 高木文雄

    説明員高木文雄君) この基本問題について私どもが見解を取りまとめ申し述べました構造的欠損というのは、先般来お答えいたしておりますように、衆議院の申し合わせの構造的欠損とは少し意味が違うわけでございまして、いろいろ私ども努力を重ねてまいりますけれども、現段階で見通しましても、ちょっと私どもの負担に耐えかねると申しますか、過去からの重荷であると考えております点を述べましたわけでございまして、これで全部を言い尽くしているとは思えませんが、地方交通線の赤字、過去債務、そして要員構成上のゆがみによる負担というものは、率直に申し上げて、今後いかに努力をしてみましても、どうしても残るものであるという意味でここに触れたわけでございます。
  169. 青木薪次

    ○青木薪次君 私はひとつ輸送の分担関係についてちょっと申し上げたいと思うんでありますが、たとえば成田空港がある。成田空港は用地百八十五億円、施設建設八百九十二億円、それから旅客貨物の取扱施設が二百三十九億円、給油施設が百六十一億円の、騒音対策百十五億円、管理費等に八百七十五億円使って二千四百六十七億円。建設資金の内訳としては政府出資が五百二十六億円、二丁三%、財政投融資で借りておるのが千二百八十七億円、五二・二%、自己資金が六百五十四億円、これが二六・五%、こういうことで、その内訳は特別債五百三十二億円、その他が百二十二億円、合計二千四百六十七億円ということになっているわけでありますが、航空局はこのことを確認しますか。
  170. 松本操

    政府委員(松本操君) いま先生おっしゃいました数字は、そのとおりでございます。
  171. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、五百二十六億円の二一・三%、それからこの数字でいきますと、いまの国鉄にこれを当てはめてまいりますと、政府出資金としては幾らになるか、国鉄当局、答弁してください。
  172. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 五十二年度の工事経費が大体八千億でございますから、二五%としますと二千億ほどになろうかと思います。
  173. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、これをいまの総裁の言われたのを年々積み上げていくということになりますね。
  174. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ちょっとお答えしにくいのでございますが、と申しますのは、約八千億のいまの工事費、年々の工事費でございますけれども、たとえばこの中には車両費のようなものも含んでおるわけでございますし、それからレールの取りかえのようなものも含んでおるわけでございまして、成田空港のように本当の意味におけるイニシアルインベストメントといいますか、初度投資的なものだけではございませんので、ちょっと私どもの年間工事経費八千億と成田空港の投資額とは必ずしも性質的に合いませんのでL3。なお厳密に申しますれば、あるいは八千億の中身をいろいろ分解した上で初度投資的なものだけを抜き出して申し上げなければいけませんかもしれません。いまちょっとすぐに計算ができませんので、その点は御勘弁を願いたいと思います。
  175. 青木薪次

    ○青木薪次君 いま総裁の言われたことはわからぬわけじゃないわけです。この成田空港だけの問題をとらえて、ここで政府出資はいかにあるべきかということを短絡的に物事を考えるということでなくて、この間の柳澤質問にもありましたように、資産がいま八兆円あるということになれば、これに対する今度は見合いの出資金というものをどういうようにしたらいいのかということもある。資産との見合いもあるし、いろいろこの管理費等を加えた中における、いわゆる一般の損益勘定の中においてどうするかという見合いもあるだろうということになれば、これは将来五十三、五十四年度に、先ほど大臣が言われたように徹底的に洗い出して、そうして出資の状態というのはどうあるべきか、資本金の占める率はどうあるべきかというような問題点もここに出てくると思うのでありますけれども、鉄監局長、これどういうふうに考えますか。
  176. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 一般論でございますけれど、公共企業体の資本金についていろいろな議論がございまして、出資は要らないという極端な議論から、アクセス施設については出資しろという議論、いろいろあるわけでございます。そこら辺は私どもとして非常に結論の出しにくい問題でございますが、現在国鉄の資本金は積立金を入れますと一兆二千億ぐらいですか、かなりの金額になるわけでございますけれども、一方五十一年度に九千億以上の赤字を出しておりますから、実質的にはすでにもう四千億を割るような状態になっております。したがって、そういう面からいうと、一般の企業と比較して資本金が少ないんじゃないかという議論も当然あり得ると思います。私どもは、資本金の議論もさることながら、先ほど申し上げておりますように、やはり今後つくります国鉄の施設のための資金調達をどうすべきかという点に問題があるんではないか。  先ほど大臣からお答え申し上げましたように、私どもはもう今後五つの新幹線を従来のような形でつくれと言われても、とってもそれは責任を負えません。国鉄再建責任は負えないということを申し上げざるを得ないわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように投資基準というものをはっきりして、投資基準に合わないものもつくれというんであれば、それは出資なりあるいは建設の助成になるかわかりませんけれど、何らかの助成をしてもらわなければとても私ども立場としては請け負いかねる、また逆に国鉄の方にやってくれと言うわけにはいかぬというように考えているわけでございまして、資本金の問題で考えた方がいいのか、投資の助成で考えた方がいいのか、今後の検討問題ではないかと考えております。
  177. 青木薪次

    ○青木薪次君 この問題で詰めようとは思いませんけれども、今度は資本及び工事勘定と、それから一般費を合わせて五兆円の財政規模だと思うのですね。そういたしますと、それらの関係の中でいまの資本金では少な過ぎる。資本金というやつは利子はつかないわけですから、借金で借りてきたわけじゃございませんので、いまの資本の内容からいきましてね。したがって、この辺の関係等については、出資金をふやすことと、もう一つ助成と、どっちかという問題じゃないと思いますので、その点もひとつ検討していただきたい、こう思います。  それから成田の関係では、東京からのアクセスの問題と、それから燃料輸送等について、松本次長どう考えていますか。
  178. 松本操

    政府委員(松本操君) まず、アクセス問題につきましては、これはもちろん空港が都心から六十何キロ離れておりますので何らかのアクセスが必要なことは当然でございますが、アクセスの手段を建設するのに要する経費そのものを空港建設事業の中に含ましめるということは、これはちょっと議論が別ではなかろうか。したがって、御案内のように現在でき上がっております首都高速にいたしましても、京葉道路にいたしましても、あるいは目下建設中の湾岸道路にいたしましても、これは別途の勘定になっておるわけでございます。  燃料輸送の問題につきましては、これはいろんな考え方があろうかと思いますけれども、基本的には千葉港頭のタンクからパイプラインをもって港内のタンクに油を流し、そこからハイドライントで飛行機のそばまで持っていくという一貫の流れとして扱おう、こういう基本的な考え方がございましたので、パイプラインにかかる一切の建設費についてはこれは公団の建設勘定の中に入れる、こういうことになっておるわけでございます。  ただ、これも先生御承知のように、本格パイプラインの建設の途中におきましていろいろと問題がございまして、とりあえず現時点におきましては三年間の暫定輸送と、こういう考え方になっておるわけでございますので、この三年間の暫定輸送にかかる分につきましては、本来的に鉄道の輸送自身に含ましめてもよろしいもの、これについては鉄道の方で考えていただいてしかるべきかと考えておりますが、ただ、三年間という期間を限ったその短い期間の間にだけ必要になる施設等であるとか、あるいは三年間に限った暫定燃料輸送という問題に付随して直接的に起こってくる問題とか、こういうふうな問題につきましては、公団の方から所要の経費について分担をする、こういう考え方で作業を進めておる段階でございます。
  179. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 関連質問ですが、もう成田空港の問題についても、国会が終われば開港の時期を決定するという報道もありますから、あすで国会終わりですから、二、三成田空港の問題について考え方を教えてもらいたいと思うんです。  まず、航空局次長ね、あなたはいまそういう答弁をされて、十一月一日に同じことを私に答弁されて、その内容についてわかり得る範囲で早急に私に、国鉄が負担する分、公団が負担する分、あるいは両方が共管する分を含めて、具体的な項目と金額の予想について提出をいたしますということを約束したんですが、きょうはもう十一月の二十四日、いつになったら一体その資料を私に提出するんですか。私は議論できません、遺憾ながら。
  180. 松本操

    政府委員(松本操君) 確かに先生おっしゃるとおり私お答えを申し上げまして、国鉄に関する経費が非常に多うございますので、その部分につきましては早速国鉄の方に話をいたしまして、国鉄からしかるべき御説明があったかと思っておりましたので、直接先生に御返事をするのが大変おくれております点はおわびを申し上げます。  暫定輸送に関連いたします経費、正確な端数まで私いま記憶しておりませんが、約十一億程度と考えております。そのうちの七億五千万ばかりが国鉄関係経費としていま勘定に入れて詳細を詰めておる、こういう段階の数字でございます。
  181. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それは、事項別に数字で後ほど出してください。  国鉄側にお伺いしますが、この燃料輸送をするために地盤の整備なりあるいは路盤の整備、レールの補強、踏切等があると思いますが、国鉄側としては現在どういう考えでおるんですか。
  182. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 先ほど松本次長が話をされましたように、七億五千万円をちょうだいすることになっておりまして、この金でもちまして、具体的に申し上げますと、佐倉機関区洗浄設備の改良とか、あるいは幕張駅の列車折り返し設備とか、あるいは北鹿島駅の乗務員宿泊所とか、あるいは香取から幕張までの線路増強、そういうものに金を使っていくつもりでございます。
  183. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それから、この前も提案した燃料輸送の安全設備等については、どこまで現在進行しておるんですか。
  184. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 燃料輸送につきましては、実際に列車が走ります北鹿島-香取間、あるいは香取-成田間、あるいは佐倉-成田間、あるいは蘇我-千葉間、佐倉-幕張間というところに列車を運行することになりますが、現在やっておりますのはまず軌道強化でございまして、五十キロレール化を約九キロメーター実施中でございます。逐次やりつつあります。それから道床厚の増加分も現在百五十ミリのところを二百ミリぐらいに増強いたしまして、これの区間が三十四キロメートルということでございまして、従来からも当該線区の軌道強化につきましては、将来の輸送力増加を予想いたしまして、逐次五十キロレール化をやっておりましたが、この機会にさらに、暫定輸送いたしますので九キロメートル、あるいは三十四キロメートルと、それぞれ軌道と道床厚につきまして工事をいたすつもりでございます。  それから、安全のもう一つの方向として、踏切につきましても関係市町村の要望を踏まえまして、五十一年度には一種化は一カ所を完了いたしますし、五十二年度には二カ所を完了するよう予定しておりますし、また三種化につきましても五十一年度一カ所を完成いたしまして、五十二年度二カ所を予定して現在踏切整備を進めていく方向でございます。
  185. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃあ、三年はタンク輸送になるわけですが、新宿のタンク車爆発事件の経験からかんがみますと、現在のタンク車では私は非常に私の経験上からも危険だと、こう思うんですが、今回のジェット燃料輸送に当たっては特別のタンク車を使うのか使わないのか。使うとすればどういう構造になっているのか。詳しいことを知りたいですけれども、要点だけで結構ですから、たとえばいまのタンク車は、こうタンクがあって、両側に台枠がある。それを台枠で全部つないで衝動を防止するとか、あるいはバウンドを強くするとか、そういういろんな構造上、組合側なりとあるいは議論された点があるわけでありますが、そのタンク車自体について安全設備をどう考えているのか聞かせてもらいたいと、こう思うんです。
  186. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) いま明快に御指摘されましたようにタンク車につきましては、新しいタキ四〇〇〇〇というタンク車の準備を進めつつございます。このタンク車は、まずタンクの鉄の厚さ、従来のタンク車は六ミリでございますが、これを八ミリといたしまして、またタンクの中に骨になりますリンクでございますが、これが従来のタンク車は五本であったのを八本ということで非常な強度を増しておりますし、先ほど御指摘ありましたように、台枠につきましても従来は両側だけがございまして、あとはタンクの胴ということになっておりましたが、台枠を前後にずばっと通して強化を図っております。  さらに緩衝の長さを増加いたしまして、これによって、たとえ激突いたしましても、それだけの余裕がございますので、直接タンク同士がぶつかることがないというようなこと、さらには安全弁あるいは吐き出し弁を従来は外に出ておりますものを内蔵化いたしまして、しかもその上にプロテクターをつけて、たとえば車両が横転した、あるいはひっくり返ったというような場合におきましても、安全弁等を十分保護できるというような形でタンク車の安全を強めておる次第でございます。
  187. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それからもう一つ、この前申し上げた韓国における爆発の点などを見ますと、場合によっては火薬を背中にしょって走っている、こういうような危険性が非常にあるわけです。それだけにタンク車を輸送する場合の警戒態勢であるとか、あるいは前後に機関車をつないでおくとか、そういう警戒とか列車の編成とかというものについて配慮する必要があると思うんですが、その点はどの程度準備が進んでおりますか。
  188. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 今度輸送いたします燃料はジェットAでございまして、これはほとんど灯油と同じ燃焼度でございますし、特に爆発物というような形では、タンク車を強化することによって私どもはある程度十分じゃないかと――ある程度と申しますより十分じゃないかということでございます。  ただ、成田空港の燃料輸送の警備体制につきましては、これはもちろん非常に大事な問題でございまして、たとえば諸般の情勢を踏まえて鉄道公安官を十分に配置をするとか、場合によりましてはそれぞれの列車に添乗をするとか、あるいは折り返し駅において警備を強化するとかという国鉄としては万遺憾なきを期したいと思っておりますが、さらにこれは関係の警察機関と緊密な連絡をとりまして、警備体制については万全の体制をとりたいというふうに考えております。
  189. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 最後に、大臣にお伺いしますすが、いま航空局なり国鉄側から一連の現在の経過について話がありました。しかし、それはあくまでも現在の経過であって、いまから労使関係でどうするか、踏切の問題、車両の問題、警備の問題、編成の問題、あるいは軌道強化の問題などなどについて労使に提案されて議論される、こういう段階を迎えると思うんです。  しかし、この問題は長い三里塚の問題もありまして、現地の住民を含めて大変な問題を抱えておるわけでありますから、三月末とある程度予定しても大変な問題を抱えている、こう思うわけでありますから、私は組合側に提案する段階で、やっぱり国鉄労使にだけこの問題の処理のげたを預けるのではなくて、県なり市なり入ったわけでありますから、必要によっては大臣が直接組合側に会って問題点についてよく聞く、あるいは問題解決に当たる、そういう政治姿勢がないと、端的にこの問題は国鉄労使だけでは私は問題が大き過ぎる、このように考えますので、この問題に対する将来の、いつどの時点でどうするかという点は今後の情勢によりますが、大臣組合側に対する協力要請の基本的な態度についてお考えを聞かしてもらって、本問題の質問を終わります。
  190. 田村元

    国務大臣田村元君) 過去の経緯をいまとかく論じてもせん方ないことでありますが、本格パイプラインの面について本当に悔やまれてなりません。しかしながら、現実は現実でございますから、暫定輸送でお願いをすることになるわけでございますが、これは国鉄の方も労使ともにさぞかし御迷惑なことだと思います、率直に言って。  そこで、私はきわめて近い将来検査合格通知をいたしたい。手順としては、検査合格通知をいたし、その直後に関係閣僚会議を開いて開港の日取りを決める、そうして告示をする、そしてノータム、こういうような手順になるのでございましょうが、私はまず最初の検査合格通知を出した直後に国鉄当局に直接お願いを申し上げたいと思っております。それから、国鉄当局にお目にかかった直後に、国鉄の労働組合に対して私自身が手をついてお願いを申し上げたい。そしていろいろとまた組合の方に物申される、俗に言う言い分というものがあれば耳を傾けてこれを聞きたい、そして、でき得べくんば組合にも気持ちよく御協力を賜るように私自身が努力をしたい。このように考えておりますので、当然のスケジュールとして、これもちょっと不穏当な言葉になるかもしれませんが、私の在任中に国鉄当局並びに関係労働組合に私は儀礼を尽くすつもりでございます。
  191. 青木薪次

    ○青木薪次君 法定緩和の問題について、先ほど衆議院における修正案の関係について詰めたいということを申し上げました。幾つかのまだ不明な点がございます。各委員がずっとこうやってきたわけでありますけれども、まだ不明確な点がありますので、その不明確な点について国民にわかるように答弁をしていただきたいというようにお願いいたしたいと思います。  政府からもらった修正案の十条の三の三項、これによりますと、物価変動率は「日本国有鉄道経費の変動に影響する物価及び賃金の変動を示す指標として、政令で定めるところにより、」とあるのであります。これは具体的にどういうように政令で定めるつもりでいるんですか。
  192. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国鉄経費の中には人件費、物件費、いろいろあるわけでございます。その中には賃金指数に連動するといいますか、関連する性格の強いものがあれば、あるいは卸売物価指数に関係して上がっていく経費もあり、あるいは消費物価指数に関連する経費いろいろあるわけでございまして、そういう経費をいま申し上げましたような基準で洗ってその占める比率を出していく。これも単年度ではなくて、まあこれから決めるわけでございますけれども、二年ないし三年の平均によりまして、卸売物価指数に連動するものが一〇%であるとか、あるいは賃金に連動するものが八〇%であるとか、消費物価指数に連動するものが何%であるというように経費の率を出していく、そういう出し方を政令で決めるという趣旨でございます。
  193. 青木薪次

    ○青木薪次君 そうすると、いま鉄監局長の説明でありましたように、人件費部分はどれだけ、卸売物価部分はどれだけ、消費者物価部分はどれだけということにこれを算定するわけですね。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕
  194. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 人件費はもちろんこれは賃金指数に連動します。しかしそのほかに、たとえば修繕費なんかも大体賃金指数に連動する性格が強いんではないかと思います、いまはっきり申し上げるわけにはいかないんですけれど。そういう経費ごとに洗っていきますと、大体賃金指数に連動するものが何十%になるか、まあ八〇なら八〇とか、消費物価指数に連動するものが一〇、あるいは卸売物価指数に連動するものが一〇というような比率を出していくという考え方です。だから、賃金に連動するものが人件費だけということではなくて、ほかの経費の中にも賃金に連動するものがあるわけでございますので、そういう点は十分分析して決めていきたいと考えております。
  195. 青木薪次

    ○青木薪次君 そうしますと、賃金指数、小売物価指数、それから卸売物価指数、その中におけるいわゆる構成の比率があるんですね。これは大体どれぐらいありますか。
  196. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、五十一年度だけの数字で見ますと、不正確といいますか、単年度のいろんな要因が入ってくる場合がありますので、五十年度、四十九年度、まあ三年ぐらいを平均して見たらいいんではないかというように考えているわけでございますが、一番大きなのは何といいましても賃金指数に連動する分野が大きいわけでございます。
  197. 青木薪次

    ○青木薪次君 賃金指数に影響するというものは、たとえば国鉄職員の賃金と、それから下請やその他に出している人たちの下請の労働者の賃金とか、あるいはまた、そのほか臨時に雇う人の賃金とかこういったものですね。  それから、そうしますと、これの影響する部分について四十九年、五十年、五十一年と、それからまた五十三年度のいわゆる賃率を決めるなんというときには五十二年度も決めなきゃならぬということになりますと、これは年度を越えてくると大変な経費負担部分というやつが多くなると思うんですけれども、その点はいかがですか。
  198. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 物価等変動率を決めろ場合には、仮に五十二年度、本年度で値上げする場合の物価変動率というものがあるわけで、その場合に五十二、五十三という先の話ではなくて、過去の経費について先ほど申し上げましたようなシェアを出し、それぞれの物価変動率を掛けて加重平均して一〇%なら一〇%という数字が出るわけでございますので、五十二、五十三という数字は関係ないわけでございます。過去の数字でございます。
  199. 青木薪次

    ○青木薪次君 いままでの説明によりますと、人件費部分というか、賃金指数部分と言った方がいいでしょう。賃金指数部分、卸売とか消費者物価とかというものに対してその構成の割合があると思うんですけれども、たとえば五十年度でもいいし、五十一年度でもいいんですけれども、五十年度に対する五十一年度と言った方がいいでしょう、この負担割合を説明してください、構成比というのかね。
  200. 住田正二

    政府委員(住田正二君) これ、全く仮定ということでお話を申し上げたいと思うんですが、四十八年から五十年度までの国鉄経費の平均から出しますと、卸売物価指数にリンクする分が一一%、消費物価指数にリンクする分が四%、賃金指数にリンクする分が八五%でございます。
  201. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、五十一年度の分について、じゃこれの関係の大体アップ率というのか、それは一体幾らになったですか。
  202. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 上限の意味ではないかと思いますけれども、上限を決める場合には経費上昇額と収入見込み額というものが決まらないと出てこないわけでございます。したがって、いまそこら辺の計算を仮定で申し上げると非常に問題もあろうかと思いますので、この前の委員会以来、目黒委員からの御提案で一〇%ということで申し上げていたわけでございますけれどL3。
  203. 青木薪次

    ○青木薪次君 鉄監局長、その場合に収入見込み額というものを、物価変動率を出す場合に必要ないじゃないですか。たとえば賃金が幾ら上がったって、さっきあなた言ったでしょう。そのことと、それから卸売物価が、たとえば電力がこれ卸売に入るじゃないですか、そういうものとか、それから鉛筆買ったとかいろんなものあるでしょう、これは小売の部分でしょう。そういうものについてはどれくらい上がったんだと、昭和五十一年度において、そのことを聞いているんですよ。
  204. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 物価変動率の率だけ申し上げますと一一・九%になると思います。
  205. 青木薪次

    ○青木薪次君 小売と卸はどうですか。
  206. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま申し上げたのは物価等変動率を合成しての結果の数字でございます。卸売物価指数について最近の数字でございますけれど、たとえば卸売物価指数は最近は二・二%ぐらいの上昇ではないかとか、あるいは消費物価指数は八・四%、賃金指数は九・一%というような数字が最近の数字として出ております。
  207. 青木薪次

    ○青木薪次君 五十二年のことを言われたんじゃないかと思うんですけれども、これはまあベースアップの額が八%台に落ち込んだということでしょう。そう思いますけれども、きのう運輸省から対象経費の試算というのをもらいました。営業経費と営業外経費、合計して五十一年度の決算額が二兆九千百九十三億円、これ、確認してよろしゅうございますか。
  208. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いまおっしゃったのは五十一年度決算の数字だと思いますが、対象経費が二兆八千五百六十九億円でございます。
  209. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、いま一一・九%と言われていましたね。その一一・九%というのは物価変動率である、それから対象経費が二兆九千百九十三億円。そうすると、これと物価変動率を掛け合わして、そうしてその結果また対象経費を引くということになるんですか、どうなるんですか。
  210. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 計算の仕方でございますけれど、物価変動率を一〇とか一一%だけ掛ければそれだけでいいわけですけれど、増加率を一一〇%と掛けた場合には一〇〇%引かないと残りが出ませんので、掛け方によって異なってくると思います。
  211. 青木薪次

    ○青木薪次君 ですから、いま私の言ったのは、あなたのいま言った答弁のことを先に言ったんですよ。そういたしますと、そのことによって、結局いままで言われてきたのはそれらの部分を政令で定める、これは十条の三の三項に定められたものが、いま議論されたものであると解していいんですか。
  212. 住田正二

    政府委員(住田正二君) そのとおりでございます。
  213. 青木薪次

    ○青木薪次君 もう一つおたくでもらった中に、十条の三の三項にあるわけでありますが、「前事業年度の日本国有鉄道経費の額」、すなわち括弧いたしまして、「前事業年度において実施された新たな賃率等がなかった場合又はこれに準ずるものとして政令で定める場合は、」とあるけれども、「政令で定める場合」とはどういうことを言うのですか。
  214. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国鉄運賃、料金というのは、いろんなサービスをやっておりますのでいろんな運賃、料金があるわけでございます。五十二年度、本年度は運賃値上げをしていないと一般に言われておりますけれど、しかし、たとえば新聞、雑誌なんかの料金については、新聞、雑誌協会と何年かに一遍ずつ話し合いをするとか、そういう非常に額は少ないわけでございますけれど、若干の料金値上げが毎年行われているわけでございます。したがって、前事業年度において新たな賃率等の改定がなかった場合ということだけでは、そういうほんの一億とか――ことしの場合は一億程度でございますけれど、一億程度の値上げが入った場合も除かれてしまうということになりますので、そういうわずかなといいますか、そう金額的に大きくない料率の改定であれば、なかったものとみなすという基準を政令で書きたいと思っているわけでございます。  この政令の基準といたしましていま考えておりますのは、運賃値上げを本年度見送ったという場合には、当然赤字運転資金で始末をしなければいけない。赤字運転資金の金利がやはりかかるわけでございますので、金利の範囲内程度のものであれば新たな運賃値上げがなかったと考えていいんではないかという考え方で政令をつくりたいと考えているわけでございます。
  215. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、運賃値上げがなかったと、しかし借入金が、何か借りてきたと、それに対する利子の負担があったよと、あるいはまた、たとえば料金改定が小刻みにあった――いつだかやりましたね、二年前ですか、そういったようなものがこれに含まれるんだよという意味ですか。
  216. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 一昨年やりましたような大きな金額の場合には、これは新たな賃率等の改正があったということでございまして、この適用は受けないことになると思います。それで、考えておりますのは、先ほど申し上げましたような、ことし行った新聞、雑誌の値上げでたしか一億円程度の増収ではなかったかと記憶いたしておりますが、そういうものを予想しているわけでございます。
  217. 青木薪次

    ○青木薪次君 時間がありませんから前に進みますけれども……
  218. 田村元

    国務大臣田村元君) ちょっとそれじゃ、いいですか。  先ほど鉄監局長が五十一年度の物価等変動率は一一・九%と申しました。そのとおりでございます。そう聞きますと非常に大きく聞こえるわけでございます。ところが、修正案は五十三年三月末まで凍結をいたしておりますから、この一一・九%という物価変動率はもはや使う余地がないわけでございます。過去の遺物になってしまった。幻の数字になっておる。でございますので、その点誤解のないようにお願いを申し上げておきたいと思って、ちょっと蛇足ながらつけ加えさせていただきました。
  219. 青木薪次

    ○青木薪次君 ただ大臣、その場合に私どもが心配いたしておりますのは、五十一年度は一一・九%だったと、五十二年度は運賃値上げがなかったわけですから、結局その五十一年度の分が五十二年度の分として、五十三年度を計算する場合には五十一と五十二年とをまとめて経費負担分というのはぐっと上がるわけですよ。そういう点について大臣はお考えになっておられないんじゃないかと思うんで、その点をお聞きしたい。
  220. 田村元

    国務大臣田村元君) その場合におきましても、新しい五十二年度の物価変動率を使いますから、これは一月になると具体的に出てまいると思いますが、あれは何と言うんですか、年度でなくて暦年でいきますから、一月になるとこの答えが出てまいります。五十二年度の物価変動率からスタートいたしますから、五十一年度の物価変動率は全然無縁でございます。
  221. 青木薪次

    ○青木薪次君 たとえば、それじゃ暦年でもいいんですけれども、じゃ前年に運賃改正がなかったと、そうすると今度は前々年のいわゆる――まあ私は事業年度でいくと思うんですけれども、そういう暦年と言われれば暦年でもいいんですけれども経費を差し引いた額ですね、そういうように書いてあるわけですけれども、そういたしますと二年分の運賃改正を見込まなきゃならぬということになるわけですけれども、これを一気にやるつもりなのかどうなのか。この点がいろいろ、なぜ住田鉄監局長が三七%論というのを言ったのかどうかという点はこの辺にあるんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  222. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 二年分という前提で上限をはじいて、しかもその上限を従来のような考え方で計算したらどうなるかという想定で衆議院でお答えをいたしたわけでございますけれど、この委員会でたびたび大臣、私から御答弁申し上げておりますように、まあ来年の二年間の上限というのは二六%程度でございまして、そういうような大幅な値上げが可能であるとは考えてないわけでございます。
  223. 青木薪次

    ○青木薪次君 まあ利用減をどうするかというような問題も、さっきは余りそういうことはないんだというような話、たてまえと本音ということを言ったんですけれども、それは一緒なんだということで尽きるわけですけれども、それでは修正案の第十条の三の四項にですね、経費国鉄法「第三条第一項第一号及び第二号に掲げる業務並びにこれらの業務に係る同項第五号に掲げる業務に係る日本国有鉄道経費に限るものとする。」ということを書いてあるわけですね。  そういたしますと、たとえばこの間もどなたか言いましたように東北新幹線で開業する、開業したときは、これはまだ決算が出てないわけですから当然経費は出すことはできない。ところが、翌年には出すことになるわけでしょう。そういたしますと、その経費部分という、利子とか人件費とか、あるいはまた物件費とか償却費まで含めて、これを運賃で回収するということにこの条文からはいくわけですけれども、その点いかがですか。
  224. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 経費変動率というのは、先ほど申し上げましたようなやり方で出すわけでございます。したがいまして、新幹線経費ということと、経費がうんとふえたという上昇率と無関係な数字でございます。物価変動率というものは、先ほど申し上げましたようなことでつくられる数字でございます。いま先生の御指摘経費がふえる、ある年度で経費が非常にふえるではないかと、率として二〇%程度という率を使うわけではなくて、あくまで何といいますか客観的な数字というような意味で物価等変動率を使っておりますので直接の関係はないわけでございます。
  225. 青木薪次

    ○青木薪次君 しかし、あなたの方で言われた対象経費の試算の中には、この中にはすべて利子及び債務取扱諸費、その前に人件費、動力費、修繕費、業務費、ずっとあるわけですから、その点はこれはやはり対象経費が増大する。開業した年にはこれは出てこないけれども、その翌年にずっと膨大な額になって出てくるという可能性というものは常に存しているわけですけれども、この点はいかがですか。
  226. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いまお話しのように、経費としてはもちろん入りますから、その経費に物価等変動率を掛けるという意味では一年のタイムラグはありますけれど、経費がふえれば当然物価変動率もそれに掛けるわけで、その経費を翌年カバーすることになるわけでございますけれど、東北新幹線、上越新幹線ができましたら、同時に収入増も期待できるわけでございまして、その収入増が幾らになるかということで、経費増を収入増でカバーするということができれば物価変動率に近いもので済むということになろうかと思います。
  227. 青木薪次

    ○青木薪次君 あなたの答弁はやっぱり苦しいと思うんですよね。収入でカバーできるだろうということが一番の裏づけになっているわけです。現行の賃金指数、卸売物価指数その他が五十一年度は一一・九%だと出た。今度のこれからどうなるかという点については、下がるだろうという予測はそれはつかないでもない。つかないでもないけれども、少なくとも今日消費者物価は上がっているわけですね。それから賃金だって、これは景気回復のためには賃金の上昇は必要なことなんです。そういう意味ではこれは上がると見なければいかぬ。  そうなれば、この関係における物価等変動率と、それから経費の分野についてもぐっと上がるということになれば、非常にその意味運賃で回収を求めるというこの額がふえてくるということになるんですけれども、それがある年は少なかったけれども、今度は次の年へいったら二倍にぼっと上がるということが、極端な例として言えるというように考えているわけですけれども、これは上限を抑えてそれ以下だよという精神条項はあるかもしれませんけれども、しかし、それだけじゃやっぱり国民は納得しないというように思うんですけれども、いかがですか。
  228. 住田正二

    政府委員(住田正二君) この法律に、修正案によります運賃値上げの上昇限度が幾らになるかという点は、この前三木委員の御質問にもお答えしたわけでございますけれど、物価等変動率と国鉄の赤字体質とが相関するわけでございますので、今後国鉄の赤字体質がいまより悪くなっていくということであれば、これは上昇限度は上がらざるを得ないと思います。私どもといたしましては、今後経済も安定しますので物価変動率は当然下がってくるであろう、また国鉄経営努力等によりまして赤字体質も解消されていくということで、趨勢としては上昇の限度というものは下がってくると思いますけれど、いま御指摘の例で、仮に新しい線が開業して赤字体質が前より悪くなったというような場合には上昇限度が上がるということも当然あり得るわけでございますが、まあそういうことのないように、赤字体質が悪くならないように努力するというのが、やはり今後再建をやる上におきまして一番重要なことではないかというように考えているわけでございます。
  229. 青木薪次

    ○青木薪次君 私の心配している点については、鉄管局長よくわかるでしょう。その点を考慮して、政令その他で定める場合、あるいはまたこの条文で、もう一回この三月三十一日ということがなぜ出てきたかという意見も詰めたいんですが、時間がございませんのでこの辺にしておきますけれども、ひとつその点を留意して、政令を定める場合においては検討の素材にしてもらいたい、こう思います。  それから、経企庁おりますかな。
  230. 喜多村治雄

    政府委員喜多村治雄君) はい。
  231. 青木薪次

    ○青木薪次君 経企庁にお伺いいたしたいと思うんでありますが、おたくでつくられた昭和五十年代前期経済計画でございますね。
  232. 喜多村治雄

    政府委員喜多村治雄君) はい。
  233. 青木薪次

    ○青木薪次君 この中で、幾つかの「安定」の項の「具体的政策」の「競争政策」の項です。「高度成長から安定成長への移行に伴い価格が市場メカニズムを通じて適正に形成されることが従来にも増して重要となる。このため、独占禁止政策の適切な展開を図る。」ということを言いながら、しかもこの「構造政策」の中で、「なお、流通部門については、個別企業の合理化のみでなく、流通機能全体にわたっての総合的効率化を図る。このためチェーン化の推進、輸送の共同化、物流拠点の整備、低温流通体系の推進等の流通システム化のための施策を一層促進する。」とあるわけであります。  そのほか生鮮食料品の価格安定対策についても大体同じようなことなんでありまするけれども、今日経企庁もごらんのように、円高問題で、約四年前にはドル三百六十円の為替レートであったことを伺っておる。その後フロートに移行しましたけれども、やはり固定相場は三百八円になってももたない。そこで、だんだん今日円高になってなって二百四十円を割るという重大事態になった。そうすると、たとえば今日外国から輸入されてくる重油の関係、あるいは肉とか穀類、これらは三百六十分の二百四十になるはずなんです。ところが、なぜならない。  おたくの政策の中にもありますように、集積地とか生産地において冷蔵庫とか低温の倉庫とかたくさんつくる。それから今度は消費地においてもそういうものをつくる。一番問題になるのはその真ん中の流通過程を案外軽視している。そして今日まさにトラック輸送等におきましては、これはもう荷主のニーズにこたえるかどうか知らぬけれども北海道から九州までたった一人の運転手で走らせる。しかも早く着きたいから、ろくに睡眠もとらずオーバーワーク、過積みでやっているというような問題が発生しているわけであります。  私は、先ほど大臣も言われたんでありますけれども、輸送の結節点ということをなぜ考えないか、もっと流通問題についてなぜ考えないのかという点について、今日公共的輸送という問題についてはもう少し政府が誘導政策その他をとりながら、この「国鉄再建の基本方向」にもありますように、トラック対策等についても考えるというけれども、恐らく運輸省は考えていないと思うんです、言っただけの話でね。あなたどう考えますか、担当官庁。
  234. 喜多村治雄

    政府委員喜多村治雄君) 前期経済計画のことでございますけれども、確かに先生仰せになりました項では、物価対策のことでございますために、そこにあります、自由経済を前提として、まあ独禁政策等の競争政策を推進するということのほかに、産地及び消費地におきますところの施設ということだけしか書いてないという御指摘かと思います。  確かに先生の御指摘はそのとおりでございまして、実は私どもがただ単にその末端部分での施設を言っているだけではございませんで、この計画をつくりました過程におきまして、実は施設整備の不足によりまして生鮮価格等の乱高下があったということでございましたために、まあこういう書き方が非常に強く打ち出されておるわけでございますけれども、反面、先ほど仰せになりましたように、倉庫等ターミナルの整備がかえって価格上昇のまあ助けになるのではないか、あるいはそういうおそれがあるのではないかという懸念は非常に私どもも強く持っておりまして、その面につきましては、当該物資整備を個別的企業の問題として扱うのではなくて、むしろもっとトータルコストとしての観点が必要であるということが、その後ろの方に書いてあるわけでございます。  そしてしかも、かつ全体のトータルとして安定した価格形成を行わせるためには、そういった施設の運営にかかわりますところの問題が必要であり、それはその施設を運営する場合の有効競争とそういうものの条件をつくり出す指導ということが、先生仰せになりますように必要であるということを考えておりまして、実はそのずっと後のくだりのところになりますけれども、流通政策の推進というところがございます。そこでは、いままさに先生が仰せになりましたように、流通対策としてトータルとしての真ん中のその輸送を含めてどうしたらいいかということの物流関係について触れております。  これを長々と申し上げるわけにはまいりませんけれども、いずれにいたしましても、その品質、価格、サービス等に関しまして非常に価値観が多様化しておる中で、また省資源、省エネルギーも進めなければなりませんときの物流の効率化と申しますか、それは海路でありますとか、海でございますが、そういった利用の促進でありますとか、物流拠点の施設の整備でありますとか、都市内物流の合理化等、あるいは一貫輸送の体制の推進とか、こういったことを挙げておるわけでございまして、これは確かに各交通機関がそれぞれの分に応じましてそれぞれの分担をするということでございますけれども、これは先ほど運輸大臣もお答えになりましたように、余り厳格にこういうものを考えていくような内容ではないかと思いますので、まあ競争政策というものを重視しながらも分担関係を明記してこれをやっていく必要があると思います。トラックにつきましてもそういう中で考えていくべきものであると、こういうように考えております。
  235. 青木薪次

    ○青木薪次君 計画局長は、「国鉄再建の基本方向」というのを読みましたか。
  236. 喜多村治雄

    政府委員喜多村治雄君) はい。私は前に物価局長もいたしましたし、総合交通もやりました関係もありまして、国鉄問題の再建については非常に興味を持っておりますし、また関心を持っておりますので、拝見させていただきました。
  237. 青木薪次

    ○青木薪次君 この貨物輸送の関係は、昭和四十八年度の下期に始まったこの不況で、その規模と性質においては戦後かつてない深刻なものであったのでありまして、四十七年度までの十年間実質一〇%の成長を遂げたのでありまするけれども国民生産は四十九年度にはマイナス〇・二%に転落し、五十年度に三・一%も上がり、五十一年度に五・七%という形でその回復ははかばかしくない。ことしもまあ七・六%とかいろいろ言われているけれども、このごろ本会議における福田総理の答弁を聞いても、七%ちょっと危ないんじゃないかというようなことであります。  特に四十九年、五十年度の鉱工業生産が出荷ともにマイナスで、その影響はもろに輸送産業に直撃をしたと思うのでありますが、私はいまここで「東京港及び本牧ふ頭貨物出入量(昭和五十年)」を見たわけでありますが、東京港の場合におきましては、外貿、内貿含めて四千九百八十八万六千トン、本牧埠頭においては千二百十六万九千トン。東京港及び本牧埠頭の関連貨物貨物の発着トン数は、必ずしもここから揚がったものばっかりじゃないと思うけれども、大体の概算が二百五十五万七千トン、それが本牧埠頭の関係では四十九万三千トンという形になっているわけであります。  そういう関係でまいりますると、東京港から移出する場合、また移入する場合とありまして、移出する場合が九百十七万三千トン、移入する場合が二千九百二十一万三千トンというような関係で、本牧埠頭の移出の関係が百八万九千トンで、移入が十三万トンという形でありまして、この関係で、全く国鉄貨物と無縁の関係になっているわけです。しかも私の属する静岡県の御前崎港の昭和六十年度を想定いたしますと、七百六万九千トンというのが大体想定されておりますけれども、これらの関係でまいりまするならば、恐らくこのときに八十一万トンですか、全くもってけた外れの数字になってくるんじゃないか。海上コンテナの取り扱いの関係では、昭和五十年度の東京港の扱いが四百七十一万トンであります。その中で国鉄の取扱量がたった七千トン。それから本牧埠頭の関係が四百四十七万一千トンで、たった一万トンであります。  こういう関係というのは、私はやっぱり国鉄のこの問題に対する積極さの欠けておることももちろんでありますけれども政府やあるいはまた特に運輸省が、大臣がしばしば言われておりますように、競争関係にある事業等が一緒に集まっているというような関係もあるかもしらぬ。しかし、私どもは公共交通という問題に対して国家投資をする場合におけるそれの結節点というのを余りにも考えなさ過ぎるんじゃないかというように考えておるわけでありますけれども、この点について、大臣いかがですか。
  238. 田村元

    国務大臣田村元君) おっしゃるとおりでありまして、私はこれから総合交通体系というものを論じる場合にも、また現実を論じる場合にも、競争関係を野放しに競争させるということより、その守備範囲をガイドラインで示しながら、しかも政府の行政指導によっていかにうまく接続さしていくかというむしろリレーションの方が大切じゃないか。たとえば港湾、埠頭等における貨物の引き込み線の場合でもそれがその一環ということは言えるわけでございますが、そのようにしてむしろ調整をしていく。お互いが競争だけするんじゃなくて、お互いが接続し合って助け合っていく。こういうような交通体系を整えていくことが未来展望でなきゃならぬ、それをいまから実施していかなきゃならぬ、このように思います。
  239. 青木薪次

    ○青木薪次君 自動車局長見えてますね。――去年の暮れだったと思うんでありますが、名神高速道路において大型トラックが乗用車に衝突して、そしてこの乗用車が全く無残な形でつぶれて、それに乗っていた四人が死んだという事故を聞いたんでありますけれども、そのことを簡単にひとつ説明してください。
  240. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 先生、昨年の暮れとおっしゃっておったんですが、私記憶いたしておりますのは、昨年の九月に北海道から九州への区域トラック運行の帰り、愛知県の一宮で乗用車と衝突いたしまして四人の方の死亡者を発生さしたという事件を記憶いたしております。
  241. 青木薪次

    ○青木薪次君 このことは、私はやはりこういう北海道から九州へ一人の運転手が乗って、そうしてろくに休息もとらずに走って歩いて、運賃のダンピング、過積み、労働時間の延長というようなことでやっていくこと自体の私は監督的責任があると思うんでありまするけれども、その点いかがですか。
  242. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私ども昨年この事故が発生いたしまして、そのことについては非常に事態を重要なものとして認識いたしまして、したがいまして、全トラック事業者に対しまして長距離運行の場合の大型トラック事故防止ということで、もちろん運転手の長距離連続運行につきましては労働省からも通達が出ております。それの遵守、また運行管理の徹底ということをきつく申しましてその改善をいたしました。また、当該会社に対しては運行管理者の解任と、それから事業の改善ということを促す意味で事業停止を、輸送施設使用停止を命じたわけであります。
  243. 青木薪次

    ○青木薪次君 自動車局長は、公共輸送部門とそれから自動車輸送、内航海運もそうでありますけれども、各交通機関の分担関係というものを明確にする必要性というものについてどうお考えですか。
  244. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私どもといたしましても、各種の輸送機関がその特性を発揮しながら適合分野で活動するということが望ましい姿だという認識で考えておるわけであります。
  245. 青木薪次

    ○青木薪次君 レーバー・プランというのを御存じですね。このレーバー・プランは、西ドイツでやっぱり日本と同じような条件下にあった中において交通相のレーバーという人が、いわゆるある意味の犠牲的な立場に立った公共交通と自動車交通との関係を、夜間の大型トラックの通行を禁止するとかいろんなことをやりまして、そしてこの分担関係を明確にしていったわけでありますが、これはいろいろあんまり無理をしたために、国家的に政策で強制的手段に出たために後で問題が起きたわけです。しかし、起きたけれども、後に、もとへ戻していくにしても非常に柔軟な関係でお互いに努力をしながらいい競争関係に入っているということを聞いているわけです。わが国の場合においてはその点が全くの野放しで、しかも自動車は三千万台、まあこれ全部貨物自動車じゃございませんけれども、そういう中で将来の資源エネルギー問題を考えてみても、その辺における分担関係というものについて、ある意味の誘導政策をつくるということについて自動車局長はどう考えますか。
  246. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私どもトラックの特性としては、やはり戸口から戸口への輸送ということと、非常に機動性に富んでおるということでございますので、それに対応した分担関係を使命として果たしていくという認識を持っておりますし、また私どももいま先生御指摘のレーバー・プランなり、それからそのレーバー・プランの行方と申しますか、そういうことについても勉強いたしておるわけであります。で、この魅力のある鉄道輸送というものを前提にいたしまして、私どもの方といたしましても分担関係に基づくガイドラインにできるだけ沿う誘導と申しますか、そういうことを考えておるわけでありまして、たとえば先般の路線トラックなり区域トラック運賃の場合にも、長距離距離帯の運賃と近距離距離帯の運賃等についてもそういった見地からの配慮をいたしたわけでありまして、今後もそういった見地の配慮あるいは誘導と申しますか、そういうことを考慮していきたいというふうに思っております。
  247. 青木薪次

    ○青木薪次君 たとえば、先ほど例に申し上げましたけれども、九州から東京へ来る、北海道から九州へ行くといったような関係等については余り無理をしないような方向である意味の誘導政策をとっていく、ある場合においては規制的意味も含めなきゃならぬ場合もこれはあり得るというように私は考えておりますけれども、その辺について、局長いかがですか。
  248. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私ども国鉄輸送に適合しておる貨物トラックがこれを奪うと申しますか、そのようなことで輸送するというのは好ましくないことでございますので、私は機会あるごとに事業者団体、あるいはそれに集まってくるトラック事業者に対しては、いま先生御指摘の趣旨についてはよく話をし、そういう方向へ持っていくつもりでおります。
  249. 青木薪次

    ○青木薪次君 港湾局長お見えですね。――この間もちょっとあなたに質問したわけでありますけれども、これは運輸大臣も深い理解を示しているわけでありますが、いま東京港に埋立地がございます。で、これはトラックの流通ターミナルとトラックターミナルとある、その隣に国鉄貨物ターミナルがある、その隣にまだ空き地が幾つもある、そこのところに外貿埠頭がある、海を隔てた向こう側に内貿埠頭がある。先ほど貨物の発着の関係等については私は数字をもって説明を申し上げたわけでありますけれども、ここに国鉄の用地があるわけです。これはもう京葉線を湾岸鉄道としてつくるようになっているけれども国鉄がそれをやらない、港湾局は鉄道の方は見て見ぬふりをしているという関係で、大臣があなたに対して言った言葉は、この席上で話し合いをすることを命じると前回の運輸委員会で言ったわけです。  で、あなたは、私のところへ連絡があって、地方港湾の管理者とそれから鉄道管理局と話し合いをさせると言ったけれども、そんなのはだめですよ。現地でもって話し合ったって、やっぱりちゃんと責任を持った人が話を、指示をしなかったら、そんな輸送の結節というのはできるものじゃない。私は、この付近はこれはもう全くトラックで輸送しなかったら、先ほど戸口から戸口へと自動車局長言われたけれどもそういう輸送はできない。  ところが、こういう関係で、たとえば東海道本線でこれをおろす、東北本線で上らせるというような関係等については、ここを鉄道でつくって、いままでの計画を推進してここを複合ターミナルとしたならば、経企庁の局長が見えていたけれども、東京都民を初め、どれだけ安い食料品、雑貨等を享受できるかという点については、私ははかり知れないものが実はあると思うんであります。この点について港湾局長、どう考えますか。
  250. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) 過般この委員会におきまして先生から御指摘いただきましたことを中心にいたしまして、鉄道監督局の方とも御相談申し上げたわけでございますが、いま具体的な例として御指摘ございました東京港の問題に入りますに先立ちまして、一般論として、鉄道輸送と港湾との関係につきましては、それぞれの港湾によってその性格がやはり異なっておりますので一概には言いかねるわけでございますが、大量定形輸送という鉄道輸送の特性が十分発揮できるケースにつきましては、鉄道は重要な役割りを担うことになるわけでございます。  したがいまして、このような見地から、国鉄、荷主、港湾管理者との間で、具体的なプロジェクトに応じて鉄道の活用、導入方策につきまして今後とも連絡を密にして適切な協力を行うことが重要であると考えておりまして、このため運輸省といたしましては、鉄道管理局それから港湾管理者に対して相互に密接な連携を保つよう今後とも指導してまいる所存でございますが、この具体的な東京港の例につきましては、実は東京の大井埠頭の計画を具体化する過程におきまして、これは大分もう古い話でございますが、その時分に新幹線のヤード用地がない、それから貨物のヤードの用地もない、こういうような議論が国鉄のサイドの方にございまして、それで先生御指摘のように、まさに港湾というのは大きな流通ターミナルでございます。複合ターミナル的な色彩を持つ空間でございます。  そういう点で、片やいわゆるトラックターミナル構想は片一方に出ていたわけでございますが、これと相呼応する形で大井埠頭のこの広大な土地の中にやはり国鉄の使用する空間というものを用意すべく、国鉄と港湾管理者との関係を当時運輸省の方が中に入りましていろいろ調整をいたしまして、それで港湾管理者の立てますところの東京港の計画にこの空間の計画を位置づけたわけでございます。それから当時やはり貨物線の問題として、京葉線と申しますか、東京湾湾岸鉄道構想もございまして、これにつきましても国鉄の方で具体の路線の検討がなされたわけでございますが、港湾計画におきましても、この具体の計画ルートを港湾の空間に確保すべく港湾管理者の方でも配慮して今日に至っている状況でございます。  それで、御指摘貨物ヤードとコンテナバースとの間の空間、若干現状においては空間があるように見えるわけでございますが、何分にも東京港もまだいまの大井埠頭が全部完成という段階ではございません。やはり岸壁等埠頭施設に関連いたしまして港湾関連施設用地の不足というものが実は東京港の非常に隘路の一つになっております。そのために東京-横浜間の道路交通の混雑も招来しているという現実もございます。これらのことを踏えまして、現在あいている土地等の利用も含めまして、現在港湾管理者が適切なこの空間利用について具体の当て込みという作業をしているように私は聞いておる状況でございますが、先生御指摘の京葉線の方につきましてどうもなかなか工事がはかばかしくないということも事実でございます。  それで、港湾地帯における鉄道の整備の仕組みとしまして、いわゆる国鉄がみずからの営業線として整備するケースと、それから国鉄が出資して臨海鉄道として整備するケースと、それから港湾管理者が港湾の機能の確保という見地から公共臨港線ということで港湾法に基づく国の補助を受けて施設を整備し、それをしかるべき適当な者に運営していただくというそういう公共臨港線システム、この三通りあるわけでございます。それで現在、過去につくられておりますところの埠頭地帯の中の公共臨港線というものが約二万四千メーター、深川線とか晴海線とか芝浦線、日の出線、こういうようなものがございまして、これにつきましては東京ポートサービス協会が運営をいたしておりますが、ただいま先生御指摘の京葉線につきましては、現在整備主体が鉄建公団になっておるわけでございます。それで、鉄建公団の事業といたしまして私ども承知しておるところでは、現在その完成目標年次が未定でございますが、何分にも京葉線のうち千葉県寄りの方の部分がひとつ急がれているというような形で、千葉の方から整備が進められているように私は聞いておる次第でございます。  なお、大井埠頭の方とそれから神奈川県側の方を結ぶルートにつきましては、先生御承知のようにすでに着々と整備が進められている現状でございますので、今後の促進につきましても、先ほど私申し上げましたように国鉄と港湾管理者、それからいまの場合で言いますと、鉄建公団がかかわってくるわけでございますが、私ども鉄道監督局の方ともよく御相談しながら、社会的な需要にマッチした整備がなされますよう指導、あるいは協力、助力してまいる所存でございます。
  251. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういう受け入れ体制があるにもかかわらず、国鉄総裁、いまの当然線路を敷設すべきところを敷設してない、非常にこの面について、たとえば貨車においても、コンテナにしても十トン貨車しかない、つくりかけてはいるようだけれども、三十トンのシーバースに着くこの貨車はコンテナがないというような関係とか、そういう便利さを売り物にする国鉄として受け入れ体制が余りにも少ないじゃないかというように考えますけれども、この点についてはいかがですか。
  252. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 貨物につきましては、どうもおっしゃるように新しくヤードを設けましたり、港に設備をつくりましたりということが消極的であったように思います。いろいろと物流の形態が変わってくるについて、やはりいささか私ども責任分野が縮小してまいりますにつけましても、新しい体制に応ずる新しい投資ということはちゅうちょしてはならないわけでございますけれども、私ども自体の皆さんへの協力方、お願いの仕方が少し不十分であったように思っております。近来、大変輸送の形態が変わってまいりました。また、海外からの輸入される物の荷姿がすっかり変わってきておるわけでございますので、これに対応した処置をもう一段研究してみたいと、取り組んでいきたいというふうに考えております。
  253. 青木薪次

    ○青木薪次君 たとえば、先ほど経済企画庁の計画局長の言われたように流通の時代だと、公共輸送というものについては何としてもこれを活用する段階にもう到達したというような趣旨について、私も全くそのように思うんでありますが、交通機構の輸送の分担関係も含めて、この地域にやはり投資をしなきゃいかぬというように思うんでありますが、大蔵省の主計官、どう思いますか。
  254. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ちょっとその前に申し上げておきたいんですが、いま一つ困っております問題は、大きなコンテナで海外から入ってくる場合に、港のところで受け込んで、これをわれわれのレールの方に乗せるのはある種の設備をすれば可能なんでございますけれども、今度それを荷主さんのところへ持っていっておろすという場合に、いろいろなまた施設が要るということがありまして、大変この荷姿が大きくなってきたことに対して、うちの方として、港での受け入れと、それから内陸での荷おろしというような問題のちょっと新しい何か技術といいますか、アイデアが要るんではないかと思っておるわけでございまして、従来これらのものについて、われわれの方が新しい投資プランを立てて、運輸省なり大蔵省なりにお願いをするということは実は余りやってなかったわけでございまして、これをもう少しうまく効率的にいくかどうかよく研究した上で、御指摘の点を少し新しい見方で見直してみたいというふうに思っておる次第でございます。
  255. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 国鉄の投資計画自体は国鉄がおつくりになるものでございますし、それからいま国鉄総裁がおっしゃいましたように、いろいろな問題もあろうかと思いますので、具体的な工事の問題については、あらかじめここでくちばしを入れるようなことは申し上げたいとは思いませんけれども、ただ一般論といたしまして、先ほどからいろいろお話を伺っておりますと、各種の交通機関がやはりそれぞれの輸送特性を発揮するような形で分担関係を整えていくということはやっぱり望ましいことじゃないだろうかと考えておるわけでございます。  国鉄につきましては、その採算性も考慮しながら、またさっきからいろいろ議論も出ております経営改善計画に即しまして省力化、近代化を図りながら、そのような形での輸送の分担関係を整えていくというふうな施策を推進するというふうな場合におきまして、国鉄から全体工事計画の策定その他の場面におきましていろいろ御相談がありました場合には、大蔵省としても御相談に応じて検討してまいりたいと考えております。
  256. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は、いまも総裁の答弁の間に主計官とちょっとこのことで相談をしておったんですけれども、主計官に、これは前向きに取り組みなさいと、こう言って話をしておる。主計官も、当然考慮すべきことでございましょうねと、こういうことでございました。  そこで、私この機会に、これは答弁という形をかりて国鉄にも言っておかなきゃならぬのですけれども貨物一つ見ましても、合理化合理化と言いながら、時代おくれの施設を継続工事でまだ手をつけておるところだってあるわけですよね。もう取捨選択の時代が来たんじゃないかとぼくは思うんです。  たとえば一般工事費につきましても国鉄は、いままで私は国鉄をかばってきましたけれども、私は実は大臣になりましたときは、国鉄に対し親方日の丸で身構えがあって、取り組んでおるうちに国鉄に愛情がわいたということでありまして、国鉄労使ともに私は非常に親しくつき合っておる、友情的につき合っておるということでございますけれども、いろいろ私も国鉄をかばいましたけれども、工事費においても実は国鉄やっぱり過大な要求をしてくるんですよ、率直なことを言って。本来国鉄がやりたくない工事を云々と言ってかばってもおりますけれども、一兆円も工事費よこせとか何とか言うんですよ。ですから、これは国鉄がやっぱりそういう点はえりを正して、そして、やるなとは言わない、大いにやりゃいい、けれども、仕事の効率を高めるということを考えてやらなきゃいかぬと。  それから、いまの総裁のお話でございますけれども、ぼくは別に反論するわけでも何でもありませんけれども、たとえば港湾埠頭にこのような施設をつくって、そして流通経路をうまくこう接合させなさいと、こういう話をすると、もうまるまる船からおりる物はみんな国鉄に引き受けるから、だから今度はおろすときの施設が厄介でと。何も、とりあえず国鉄のいまの施設で役に立つ品物だけでもどんどんもらって、そして運べやいいんで、そしてそのぐあいを見て、これは大きいやつもいけるぞというんならまたその施設を増強すりいいのであって、私は施設をつくったら何もかも船ごと国鉄へ積んでしまうなどと、それはね、何万トン、何十万トンの船を国鉄に積めるはずはありませんよ、実際問題。ですから、そこいらはもうちょっと現実的にうまくさばいたらいかがだろうかというふうにもさっき感じたのでありますけれども、私はそのように考えれば考えるほど流通経路の整合性といいますか、連絡というものはおっしゃるとおり急がなきゃいかぬと、こう思うんです。  港湾局長から先ほどずいぶん長い御説明があって、あんな長いこと言わなくたって、最後に一言、最後のところだけ、努力をいたしますだけ言っておきゃわけはなかったと思うんですけれども、まあそれはそれとして、これは私が中に入りまして、鉄監、自動車、港湾、国鉄、場合によったら鉄建と、必ずこれは調整をいたさせます。これだけはここで私ははっきり申し上げておきたいと思います。
  257. 青木薪次

    ○青木薪次君 いま北九州やその他視察して歩きますと、非常にスクラップされた施設というもの、貨物の取り扱いを禁止したところ、いろんな施設があるわけですよ。これをほったらかして草も生え、ぼうぼうにしておく。あるいはまた、さびたものにしておく。貨車が余った、この貨車も五十両の牽引定数とするならば、半分は空車を置くところがないから線路を走っているなんという状態をそのまま放置しておくことはできないと思う。それから専用線に突っ込んでおくとか、そういうようなことというのは、いま大臣の言われたようなことと私符合すると思うんです。  たとえば先ほど経済企画庁の言われた、これから新しいいわゆる消費者のニーズに合ったものを輸送するという場合には、保冷車といったようなものが必要になってくるだろうということで、たとえば海上コンテナというようなものの置き場所がないというなら、それを、じゃいま大臣の言われたように確保するとかといったような前向きの努力をして――私の言うのはやっぱり東北から北海道、関東を含めて東海道や近畿、中国、九州に至るまで、これを必ず、有機的な流れというものを公共輸送機関としての国鉄は受け持つべきだ。また、そのために前向きの努力をすべきだ。そのために投資が必要であるとするならば、先ほど角谷主計官に聞いたようにやるべきだ。  そこで、いま大臣から前向きの答弁がありましたので、この点については将来公共の埠頭、港湾の建設をした場合に、必要とあるならば国鉄は専用線を引きなさいというような義務づけをひとつ運輸省として考えるといったような点についてはいかがですが。
  258. 田村元

    国務大臣田村元君) 私も全く同感であります。  そこで、いま角谷主計官にもちょと私は言ったんですが、たとえば港湾予算をいかにうまく使うかということも考えてみたらどうだと。何でもかんでも国鉄の負担、これじゃ国鉄はたまったものじゃありませんから、港湾予算をうまく使ってみたらどうか。その点について運輸省の内部も調整はするが、まず宍倉公共担当主計官と角谷運輸担当主計官との間で話を詰めてみろ、こういうことを実は申したのであります。  といいますと、大蔵大臣ぶって大変いばった話になるんですけれども、実は宍倉公共担当主計官は前の運輸担当主計官であり、そしていまの主計官よりははるかに詳しいのであります。それからこの主計官は、実は私の郷里の男でございまして、私の弟の親友でもあるし、私の県で総務部長もしておったんです。ですから、気心も知れておりますし、何でもあごをしゃくって物を言えるものですから、そういうような指示をしておったところでございますが、これは本格的に取り組ましたいと思います。  それは、一つには、これからつくっていく大きな港湾プロジェクトというものにはそういう点を、もちろん鉄道のないところでは困りますけれども、これを義務づけていくとか、あるいはすでにでき上がっておる港湾、先ほどいみじくも港湾局長が言いました総合流通ターミナルとも言うべき港湾でございますから、すでにでき上がっておる港湾については、これはケース・バイ・ケースで考えていくというようにしてぜひやりたい。ただ、どの予算をどのように使うか、どこから先にこれと取り組むか、それは行政上の問題としてお預けをいただきとうございますけれども、ぜひこれは前向きに進めていきたいと考えております。
  259. 内田善利

    委員長内田善利君) 午後六時まで休憩いたします。    午後四時五十五分休憩      ―――――・―――――    午後六時四分開会
  260. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  261. 青木薪次

    ○青木薪次君 地震と国鉄について質問をいたしたいと思うのでありますが、静岡県は環太平洋地帯に位置いたしまして、わが国はもちろんのこと、世界でも有数な地震多発圏内にあるわけであります。  私の出身の静岡県あたりでは昭和四十九年の五月に伊豆半島沖の地震がありました。昭和五十一年八月の河津地震、相次いで被害が発生いたしておりますが、私は事あるごとに地震の発生時におきましても、あるいはまた発生後の調査等につきましても現地に赴いたわけでありますが、このごろ東海地震説の発表によりまして、県民の地震に対する関心は異常なものがあるのでありまして、このごろ人口と産業の都市集中化に伴いまして、交通機関も鉄道も道路もその空間が全く狭められているわけでありまして、ダイヤも稠密、しかも高速さを増してきている今日の中におきまして、国鉄新幹線も一度に静岡県内に上下合わせ二十本が集中しているということであります。一個列車に千人乗り込みますと、二万人の人の命が失われてしまうということになるわけでありまして、こういう問題について国鉄当局はどういうような惨状を想定して地震対策を立てているか、お伺いいたしたいと思います。
  262. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 新幹線のまず地震に対する設計でごさいますけれども、これは構造物――構造物と申しますのは橋梁だとか、高架橋だとか、あるいはトンネル、こういう構造物につきましては東京-大阪間に限らず、大阪-博多間もいずれも同じように大体関東地震程度-関東地震と申しますのは、震度階で申し上げますと六ないし七の震度階でございますが、関東地震程度の地震に対して十分耐え得るようにという設計で施工がなされております。  もうちょっと具体的に申し上げますと、重力に対しまして、それの二割方の水平力がかかっても壊れないという設計で設計されております。ところが、地震に対しまして一番その設計上の基準というものがはっきりしておりませんのは、路盤の上に土を盛ってつくったいわゆる盛り土高架と申しますか、これにつきましては通常の地盤の場合ですと、これは十分安全でございますけれども、東京-大阪間に比較的地盤のやわらかい区間がございまして、そのやわらかい区間に土を盛ってつくったそのいわゆる路盤というものが、これが地震のときにどうなるかということが必ずしも明確でございません。東京-大阪間に約三十キロぐらいの区間に比較的やわらかい地盤のところに土を盛った区間がございます。  これにつきましては、年数がたつに従いまして路盤が落ちついて全体的に安定はしてまいりますけれども、関東地震程度の地震が起きた場合にある程度の沈下が出るんではないかというようなことも考えられますので、どういう状況になるだろうかということについてただいま鋭意部外の先生方も含めまして、いろいろお知恵をかりて研究をしているところでございます。
  263. 青木薪次

    ○青木薪次君 震度四と五と六、この辺の関係について施設の関係は、いまの高橋常務の話によりますと関東大震災並みの地震に耐え得ると、こう言われますけれども、大体震度四から建物が揺れて壊れる状態になってくるわけでありますが、いまのこの盛り土区間、しかものり面、落橋、これらの関係等を想定いたしました場合に、完全に大丈夫かということが指摘できると思うのでありますが、新幹線は地震に対しては相当完璧なまでにつくられているということは聞いておりますけれども、私はやはりこの新幹線とて例外ではないと思うのであります。特に、現在線の関係等についてはましておいてをやだと言わなければなりません。その点について、現在線関係についてはいかがですか。
  264. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 現在線につきましては、すでに少なくともいま先生のおっしゃいます静岡県関係といいますと、主として東海道本線でございますけれども、これはもうすでに相当長期間の年数もたっておりまして、これまでも関東大震災も経験しております。あるいは東海地震等も経験しておりまして、震度階四程度のものはすでにほとんどの地域が経験をいたしております。震度階四ですと、いま先生のおっしゃいますように、建物といいますか、普通の木造あるいは鉄筋コンクリートの建物の中におりますと相当な激しい揺れを感じます。そういうものに対してもすでに経験をいたしておりまして、なおかつただいま申し上げましたように、構造物については、これは大正時代からすでに現在と同じような水平震動に対する設計に取り入れておりますので、一応構造物自体は大丈夫だ。  ただ過去の経験によりますと、単純げたと申しますか、橋脚の上に普通の――専門的にはシンプルビームと申しておりますけれども、単純なけたがただ乗っているだけの構造がございます。高架橋等はラーメン構造を主としておりますのでつながっております。したがって、そういう単純げたが乗っている橋梁というものは、これはある地震の大きさになりますと、そのけたが落ちるということが実は過去にも経験しております。したがいまして、そういうことのないように単純げたは極力けた自体を相互に連結をするというようなことも考えながらやっておりますけれども、震度階四、五ぐらいまでなら絶対に大丈夫だというふうに確信をいたしております。
  265. 青木薪次

    ○青木薪次君 静岡県に満水というところがあるわけです。これは新幹線は申すに及ばず現在線等におきましても、私も現地を視察いたしておりますけれども、全くのヘドロ地帯という表現が適切だと思うんでありますが、これらの関係の個所においてもいまあなたの答弁のとおりに了解していいのかどうか、その点をお伺いしたい。
  266. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 先ほど新幹線のときにも申し上げましたけれども、非常に軟弱の地盤に土を盛ったところ、これは震度階六以上の地震が起きますと、過去にもその路盤自体が地震の瞬間に、まあ多いところでは数十センチ、場合によったら一メーター以上も沈下をしたということはございます。たまたま国鉄ではそういう大きな沈下の経験、沈下自体による列車の脱線ということはございませんで、いままでの地震ではむしろ路盤よりもなだれ的なものが落ちてきていろいろ脱線したということはございますけれども、まあ軟弱地盤自体による直接の影響はございませんけれども、いま先生のおっしゃいますように、地盤のやわらかいところでは路盤が沈下するというおそれを多分に持っているということが一つの問題点かというふうには考えております。
  267. 青木薪次

    ○青木薪次君 水平型ならまだいいけれども、直下型が来た場合においては非常に私は問題が多いと思うんであります。  国土庁の震災対策課長いますか。――マグニチュードと震度がいろいろ混同されるわけでありますが、今日、震度四と五と六、この関係におけるよく地震が来るわけでありますが、いま国土庁としては、震災対策について諸省庁に対してどういう指導、連絡をやっていられるか、ちょっと御説明願いたいと思うんです。
  268. 城野好樹

    説明員(城野好樹君) 政府の震災対策は先生よく御存じのように、昭和四十六年に中央防災会議で決定されました大都市震災対策推進要綱に基づいて行われておるわけでございます。特に、昭和五十年の中央防災会議で当面の基本方針としまして、都市防災化の推進であるとか、都市防災体制の強化、防災意識の高揚、地震予知の推進ということに重点を置いて推進をいたしておるところでございます。震災対策と申しますのは、その内容が非常に広範囲にわたりますし、多くの行政分野に関係をいたしますので、関係十八省庁から成ります大都市震災対策連絡会議というのを設置いたしておりまして、その会議におきましてそれぞれ都市防災、防災体制、避難対策、救護対策、それぞれの各省庁間の連絡をとり、各省庁でおつくりになる防災に関する計画の調整を行っているところでございます。
  269. 青木薪次

    ○青木薪次君 建設省におきましては、この震災対策に対する予算としては幾らお考えなんですか。
  270. 住友栄吉

    説明員(住友栄吉君) 震災対策に対しましては、昭和四十六年から現在実施しておりまして、見直しをしておるわけでございますが、五十一年度までに入れましたお金が四十六年から五十一年までの間に千六百六十四カ所で千四百四十一億円でございますが、昭和五十一年度にもう一度いわゆる耐震設計とかという指針が変わりましたり、都市化が進んでまいりましたので、橋梁、トンネル、横断歩道橋に全部総点検をいたしまして、現在総点検の個所が三万八百カ所いたしましたが、七千六百カ所程度が何らかの対策が必要であるというようなことになっておりまして、それで緊急対策といたしましては二千三十カ所が必要であるということが判明いたしましたので、第八次第五カ年計画ではその五カ年の間にその大半のものを実施しようというふうに考えておりまして、その七千六百カ所の予算といたしましては四千六百二十億円程度の計上を考えております。なお、五カ年のうちではその九二%を計上したいというふうに考えておる次第であります。
  271. 青木薪次

    ○青木薪次君 国鉄はいまの建設省の国道課長の言われた予算の説明に沿って言うならば幾らになりますか。
  272. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いま建設省からのお話のような分類は、実はそういう考え方でなくて、私の方は線路全体、地震だけじゃなくて、線路自体が年数がたつと弱ってまいります。したがって、弱ってまいりましたときに、新しく取りかえていく、これがいわゆる防災費の一部で取りかえております。新しいものに取りかえますと、橋脚自体の強度がまた強くなるというような、そういう防災費全体の中でのり面対策をやり、あるいは地震対策をやり、そういうことで防災費全体の中で処置をしておりますので、特に地震について幾らということにはなりませんけれども、おおよそ年間三百億円ぐらいの防災費というものを入れてその中の三分の二ぐらいが同時に地震に対しても強くなるというような金の投入の仕方をいたしております。
  273. 青木薪次

    ○青木薪次君 それはちょっとポイントを外した答弁です。防災ということは地震ばかりじゃない、確かにそうですよ。それから線路は年がたつに従って悪くなる。道路だって悪くなりますよ。だからそういうことでなくて、全体計画としていまの説明によるならば、昭和五十一年から六十年までに七千六百カ所の四千六百二十一億円を地震に使うという、こういう立場で考えた場合に、いま高橋常務の説明はこの問題のポイントをはぐらかした答弁というように考えますけれども、どうですか。
  274. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 問題のポイントを外したんじゃなくて、実は地震対策費だけというのは非常にはっきり把握をしていない。私の方は在来線につきましては、非常に長い年数たっておりますので、構造物等については、その都度十分な対策をとっていますけれども、先ほどから申し上げますように、軟弱地盤対策というものが非常に従来も技術的にどうしていいのかわからないということで不明確な点がございました。  たとえば最近では新幹線等が特に高速でございますので、新幹線の軟弱地盤対策というようなことがこれは非常に重要なテーマじゃないかということで、これについても最近になっていろいろ検討を始めております。たとえば東海道新幹線の東京-大阪間について言いますと、先ほど先生からも御指摘のありましたように、非常に軟弱地盤、特に静岡付近の直下地震対策というようなこともございまして、東京から大阪間にいわゆる軟弱な地盤というのが約三十キロほどございます。これを一応いまの技術でまず大丈夫だというふうにするには、大体一キロメートル当たり七、八億から十億の予算がかかりますので、三十キロございますと二百億から三百億円ぐらいの路盤対策というものが必要かというふうに考えております。
  275. 青木薪次

    ○青木薪次君 道路公団では建設省と大体符合した形の予算を立てておりますか。
  276. 平野和男

    参考人平野和男君) 道路公団の高速道路につきましては、震災対策といたしまして橋梁の下部工の補強、それからけたの連結、それからのり面対策等を含めまして五十二年度、今年度約三十億円、それから次年度以降五カ年計画で約百三十二億円の震災対策を考えております。
  277. 青木薪次

    ○青木薪次君 農林省の関係で、林野庁を含めて農林省のいわゆる一般関係の農道その他の関係における震災対策費、それから林野庁の震災対策費の現状について説明してください。
  278. 岡本克己

    説明員(岡本克己君) 農林省で直轄で実施しています農道はないわけでございますが、御承知のように、都道府県営あるいは団体営等で助成によりまして農道を実施しております。これの構造基準でございますが、日本道路協会で制定されております道路橋の設計指針、これに従いまして実施しておりますし、実施に際しましては、その線路をまたぐ管理者である鉄道側と十分設計協議もいたしますし、施工に際しましては、原則として委託をして向こうで実施をお願いしておると、こういうことでございまして、特段に取り上げまして防災、地震に対する対策費を計上しておることはございません。
  279. 人見啓治

    説明員(人見啓治君) 鉄道線路の上を通ります林道橋につきましては、鉄道管理者と設計協議を行いまして、耐震性、荷重等を満足するような構造決定をいたしまして実施しているところでございます。
  280. 江藤素彦

    説明員江藤素彦君) お答え申し上げます。  林野庁といたしましては、震災に限りませず、人家とか公共施設等に対しまする山地に起因いたしまする災害を未然に防止いたしますためには、一定の採択基準によりまして緊急を要する個所から計画的に治山事業を実施しておるところでございます。鉄道線路につきましても、国道とかあるいは都道府県道などと同様でございまして、治山事業の対象となる重要な公共施設でございますので、山地に起因いたしまする災害を未然に防止いたしますために、緊要の個所から計画的に復旧治山事業とか、あるいは予防治山事業、あるいは地すべり防止事業等を実施いたしまして防災対策を講じているところでございます。特に本年につきましては、たまたま新しい時代的要請によりまして策定されました第五次の治山事業五カ年計画の初年度でもございますので、今後ともこの五カ年計画に基づきまして治山事業の積極的な推進を図る中で、より一層の防災対策を講じてまいりたい、このように考えております。  なおまた、近年御指摘のようないろいろな地震対策とかその他の関係で、また気象災等、台風等の事故にもよりまして、国鉄あるいは一般国道等におきまして相次いで事故が発生しているというようなことにかんがみまして、関係省庁等とともに林野庁も加わりまして協議の上で、各都道府県知事に対しまして本年七月三十日付で「道路または鉄道への落石等による交通事故の防止対策について」というような文書をもちまして通知いたしまして、本庁段階を初め、また各都道府県段階におきましても、密接な連絡のもとに対策を講ずることとしておると、こういうような実情でございます。
  281. 青木薪次

    ○青木薪次君 車両の運転中に地震を感知するというのは大体どの程度からですか。震度四とか五とかあると思うんでありますが、説明してもらいたいと思うんです。
  282. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 国鉄では、在来線に関しまして全国に二面六十一カ所の個所に地震計を据えつけてございます。で、通常震度階で申し上げますと、一応線区によっていろいろ決め方が違いますけれども、震度三のときに通常重点個所というのを決めておりましてそこの警戒に当たる。度四になりますと一応列車を徐行させる。震度階五になりますと全面的に列車をとめまして点検をする。大体そういう基準で、線区によって若干違いますが、そういう基準を設けまして地震の監視体制を実施いたしております。
  283. 青木薪次

    ○青木薪次君 四十ガル以上になったら変電所に備えつけてある地震計によってATSが作動するということでよろしゅうございますね。
  284. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いま先生のおっしゃいます四十ガルというのは震度階三程度だと思いますけれども新幹線は四十ガルになりますと変電所付近に全部連結されておりまして、変電所の電気が自動的にとまります。したがって、四十ガルの地震が起きますと列車を一たん停止させ、そして徐行で後開通する。八十ガル以上の地震が参りますと、これは当然列車はとまるんですけれども、とまった後全面的に線路を点検した上で列車を発車させる、そういうシステムになっております。これは新幹線だけでございます。
  285. 青木薪次

    ○青木薪次君 現在線はどうですか。
  286. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 現在線の方は、直接にすべてが電化区間じゃございませんので、変電所とリンクさせているのではなくて、先ほど申し上げましたように、二百六十一カ所の地震計とそれを管理しております、主として保線区でございますけれども、保線区とのリンクになっておりまして、そこで駅とも連絡をとって停止の手配あるいは監視の手配という、そういうシステムになっております。
  287. 青木薪次

    ○青木薪次君 ATSの装置されているのは現在線ではどういった車両ですか。
  288. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) ATSは国鉄の全車両に装備をされております。動力車は全部ATSの設備を持っております。
  289. 青木薪次

    ○青木薪次君 気動車は動力車だけれども、私はないと思うんですけれども、どうですか。
  290. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 気動車には各運転台に全部ATSが設備されております。
  291. 青木薪次

    ○青木薪次君 そういたしますと、今度はそういった現在線の場合にはまさにこの運転の乗務員の感度によって、とめるとかとめないとかということが要求されるという場面が非常に多いと思うんですけれども、その点はいかがですか。
  292. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 走行中やはり人間が地震を感ずるというのは、非常に地上におる場合と違いましてなかなか感じにくくなります。それで、第一義的には地上でその地震計を見て駅でとめるというのを主体にしておりますが、乗務員に対しましては、たとえば架線の揺れ方とか、付近の樹木の揺れ方とか、そういう目で見て地震を感知してとめるような指導をしております。
  293. 青木薪次

    ○青木薪次君 この項目別に、先ほど高橋常務の説明によりますと、地震対策だけじゃないんだ、いわゆる施設その他設備の取りかえをすることが震災対策だと、こういう話があったわけでありまするけれども、建設省の考え方と私はちょっと違うんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  294. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 非常に高速で走らしております新幹線につきましては、項目別に、たとえば橋梁の落橋対策に幾ら、それから路盤対策に幾らというふうに、新幹線についてはそういう予定というか、調査をいたしております。  ただ、在来線は全国的な問題でございますので、しかも非常に年数もかかっておりますので、また列車の規制措置ということで従来は対応をしておりますので、地震だけの対策ということでは挙げないで、先ほど申し上げましたように、橋梁の取りかえ、のり面の強化、そういうふうないわゆる防災対策という面で全体的な処置をしておる。その中の、強いて言えば、先ほど申し上げましたように、一年間に大体三百億円から三百五十億円の防災設備費の中で地震対策関連をしているのはそのうちの約三分の二、すなわち百五十億から二百億円台のものはすべて同時に地震対策にもなっているというふうに申し上げたのであります。
  295. 青木薪次

    ○青木薪次君 車両の取りかえの関係ですでに償却が済んで取りかえなきゃならぬというものについても、あるいはまた修繕回帰キロの場合でもいいし、非常にそれを超して使っているというような車両はありますか。
  296. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 車両の取りかえといいますと、全般検査あるいは要部検査の都度、部分的に取りかえて、いわゆる会計法上の耐用年数を超えて使っておるものはございますけれども、検査の都度安全には支障のないように修繕、補修をして使っておるのがございます。
  297. 青木薪次

    ○青木薪次君 その点で、大体においてもう取りかえるべきだという車両が相当あると思うんでありますけれども、その点に対する、いま資金の関係その他からいってなかなか取りかえられないといったようなものはありませんか。
  298. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) たとえばローカル線の気動車のようなものについては相当、先生御指摘のようなことがございますけれども、順次取りかえの計画を立てて取りかえることを検討をしております。
  299. 青木薪次

    ○青木薪次君 私はやはりこの高速で走る列車の関係でありますので、その点については特に老朽車の取りかえの関係等についてランクごとにA、B、Cとあって、そうしてどうしても取りかえなきゃならならぬという老朽化、陳腐化が進んでいるもの、あるいはまた最近の新性能車に比べて性能上全く取り扱い上劣っている、いい面では試作車その他の関係で終えたものについては、体質改善工事をしないもの等についてはどんどん取りかえているという面もあるわけでありますが、その点で非常にサービスの面からも車両が悪いためにお客さんに非常に不快な気持ちを持たせているというものが、私はここに数字持っておりますけれども、どういうように理解しておりますか。
  300. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) ただいま詳しい資料は手元にございませんので、正確には申し上げられませんけれども国鉄の動力近代化の進め方によりまして、同じものを取りかえるか、あるいはその近代化にあわせて車両の配転計画を考えて取りかえるかというようなことの関係がございまして、先生のおっしゃるようなことも優等列車についても出ております。しかし、安全の限界を超したもの、あるいはサービスが著しく故障を起こしてダウンをしておるもの等については、その都度取りかえ計画を立てて対処をしておるところでございます。
  301. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ちょっと補足いたします。車両が少し古くなっているということで御指摘でございますが、まあ満足できるといいますか、この辺ならがまんできるという状態から比べて平均的に少し古くなってきております。その結果、二つの問題がありまして、一つはどうも修繕費がかかってぐあいが悪いという問題が一つあります。で、もう一つは、やっぱりどうしてもサービスに欠けるものがあるという点がございます。何とか少しずつでも水準を上げていきたいと思っておりますけれども、どうもなかなかそこまで手が回りません。  現状は去年とことしと比べたらどうだと、ことしとおととしと比べたらどうだといいますと、まあまあ少し不満足な状態で横ばいというような感じでございまして、五十一年、五十二年度にもかなり力を入れておりますので、少し上向きかげんとは思いますけれども、まあまあ余り目立つような改善にはなっておりません。それが現在の車両の何といいますか、寿命との関係での問題点でございます。私どもも、もし機会があればもう少し車両の改善の方に力を入れていきたいと思っておりますが、なかなか意に任せないというのが現状でございます。
  302. 青木薪次

    ○青木薪次君 いま指摘できるのは、DCの関係が四千九百七十、約五千両の中で半分はまだいいけれども、あとの半分はもう取りかえなければならぬというところへきているわけですな。これに対して、まだこの数字から見れば必ずしもいま当局の言ったような状態になっていない、こう思うんでありますけれども、いかがですか。
  303. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私もそのように聞いております。で、まあ車両の取りかえは工事予算の方でございますし、修繕は経常費の方でございます。長い目で見ますと、もう少し取りかえを促進して修繕のための経費を節した方がより全体としてはプラスじゃないかという感じを私も持つし、いまもうちょっと車両の取りかえ計画を促進をしたいなという感じでございますけれども、工事費も実は東北新幹線関係で巨額のものをその方に回しておりますので、在来線の複線化にしましても、電化にしましても、あるいは保安の方にしましても、または防音、騒音対策等もいっぱいいっぱいなものですから、どうもちょっといま車両の方に回しかねるという状態で、過去において少しおくれております車両取りかえをここで取り戻すだけの余裕がないというところでお客様にも迷惑をかけておるわけでございます。機会を見てもう少し車両の改善を進めていきたいと思っております。
  304. 青木薪次

    ○青木薪次君 私は、運転保安という関係は地震ばかりじゃございませんけれども、やはり老朽車両ということは、これは震災の関係もそうでありますけれどもお客さんのサービス関係ですしね、相当将来問題になるだろう、現になっているわけでありますから、その点でひとつ早急な車両の取りかえについて要請したいと思います。  それから地震対策関係は、込みでもろて幾らというような形でなくて、やはり建設省は私はその点非常に進んでいると思うんでありますけれども、地震対策というような関係で、たとえば静岡県の由比の町のあたりは土砂が二百五十万立米もいま排除しなければならぬ。まだ伏流水対策でやっておりますけれども、これがもしも東海道線を襲ったなら、もうたちどころにやられてしまう。しかし、一回地震が関東大震災並みのものが来たら、私は大変なことになると実は思っているわけであります。  大蔵省の角谷主計官いますか。主計官に後で話を聞きますので、地震対策として総合的な突っ込んでこれだということでなくて、地震対策という関係でもう少し、建設省とは月とスッポンの状態にあるということでありますので、主計官、国鉄の――私が質問しているからこっちを向いていてくれ。国鉄の震災対策は全く私はなってないと思うんです。ですから、それらの点について主計官としてはもうあす来ても、いま直ちに来ても不思議でないこの状態の中で、今日の予算ではまことに少な過ぎると思うんでありますけれども、この点いかがですか。
  305. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ちょっとその前に私の方からお答えをいたします。  私も大蔵省予算を担当しておりました関係で見ますと、建設省、農林省あるいは運輸省の港湾、道路というようなところはそういう角度で、地震なら地震ということになりますと、それぞれの御担当と御相談をし、主計官がしかるべくバランスをとりながら地震対策を計上するということになるわけでございますけれども、私の方は、まず率直に言って総枠で工事費を抑えられるという関係になっておりまして、その中で地震の問題もあれば環境対策の問題もありますし、さらにはレールの取りかえというような、うち自体の問題もありますし、またいまの車両のような問題もありますし、新幹線もありまして、全部で八千億何がしということで、こうお金をいただいて、主として私の方でバランスを考えて配分をして運輸省に持っていって、大蔵省に持っていって判断を求める、こういう過程を経ております。  それで、なかなか地震で幾ら、騒音で幾ら、環境対策で幾らというわけにはいきかねますので、先ほど高橋担当理事が御答弁申し上げましたように、一石二鳥にも三鳥にもなるように金を使う工夫をいろいろいたしておりますので、おっしゃるような点では他の公共事業のやり方と大分投資のやり方が変わっておるわけでございまして、この辺については今後この方式でいいのかどうか。しかもそれが全部借入金でございますから、道路とか、あるいは建設省のいろいろな予算のように補助金なり何なり無利息の金ではございませんので、私の方は全部それ借入金でございまして利子がついてきます。総額で三分五厘まで援助してもらっているという関係でございますので、ちょっと仕組みが変わっておりますので、その点御不審をお持ちになるのもごもっともであろうかと思いますが、しかし、少なくとも地震に関する限りは私どもも一番心配の種の一つでございますので、最近はかなり重点を置いているつもりでございますが、あるいはまだ見劣りがしているかもしれないという現状でございます。
  306. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 国鉄の地震対策につきましては、先ほどからいろいろ御議論があったわけでございますけれども、私ども伺っておるところによりますと、国鉄は関東大震災の根府川でございますか、非常に大きな事故もあったということもございまして、すでに昭和の初めから耐震設計でいろいろ橋梁でございますとか、そういうものを設計されているというふうに聞いているわけでございまして、ある意味ではほかよりも一歩進んだ内容になっているんじゃないかというふうに考えているわけでございます。  ただ、のり面、そういった点につきましては先ほどからもお話ございましたように、若干いろいろ問題があるような面もあろうかと思います。そういった点につきましては、ただいま総裁からもお話がございましたように、国鉄の方からいろいろそういったところに重点的に工事枠を配分したいというような御相談ございました場合には、大蔵省といたしましてもその御判断を尊重して対処してまいりたい、このように考えております。
  307. 青木薪次

    ○青木薪次君 落橋対策とか、のり面対策とか、そういったような問題についていま高速ですから、新幹線は二百十キロ、在来線でも百二、三十キロというものを出して走っているわけでありますから、そういう立場に立って震災対策については、これは従来よりもひとつ大きく飛躍して考えてもらわなきゃならぬというように考えておるところであります。込みの予算でやるというんじゃなくて、やはり地震は地震という形でひとつ対策を立てるように、いま総裁が八千三百億ということを言われましたけれども、これは在来線が五千六百五十、東北新幹線二千六百五十、今度またまた再び補正でふやしているけれども、これは新幹線とかその他、地震には余り関係のないところをふやしているということで、考慮をしていただきたいというように考えておるところであります。  このごろ線路の状況が非常に悪くて乗り心地が悪い、穐山委員も質問いたしましたけれども、一級から四級線まであって、いまの線路の保守状況、きわめて悪いということを聞いているんですけれども、いかがですか。
  308. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 線路のいい悪いの判断、非常に数字的にはむずかしいんですけれども一つの目安といたしまして、私の方もそのいい悪いを判断する指数というものを考え出しまして、それでいろいろ年次的にどうなっているかという調査は、これは重要線区については年に四回、あるいは支線区においても年に一、二回の調査を絶えず実施いたしております。そのデータによりますと確かに、悪いという表現が当たるかどうかわかりませんけれども、線路で、最近お乗りになったお客様からも揺れが非常に多いと、非常に振動が激しいではないかという御意見を承っております。  確かに数字的に見ましても余りよくないということで、鋭意この点については、一つは材料を投入いたしまして、レールを太くしたり、あるいはまくら木をコンクリートにしたり、そういうことで軌道全体を強くするということには努力をいたしております。しかし、最近の保守のやり方自体が昔は非常にきめ細かく人間の手でやっておりましたけれども、最近は機械力で行うということで、全体がそういう意味では少し荒い保守方式ということで、そういう意味で振動が激しいというような御批判を承りますけれども、線路全体が危ないとか、そういうことではなくて、乗り心地が悪い、あるいは指数から見ても必ずしもよくないというのが実態でございます。
  309. 青木薪次

    ○青木薪次君 軌道狂いの指数をP値といたしますと、全国平均から非常に悪いのが三級線、四級線ということで、この根本的な原因というものは、これは金を投資しない、田舎の線路とか赤字ローカル線には金を投じない。しかもそういうことだから、だんだん安かろう悪かろうになっていくということだと思うんですけれども、その点いかがですか。
  310. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 年々列車の速度が速くなってきたのがこれまでの傾向でございます。その列車の速度が速くなりますと、速度がはっきりいたしませんけれども、速度が二倍になれば軌道に対する破壊というのが四倍、大体自乗に比例するというふうに言われております。したがって、速度が少しずつでも上がってまいりますと、同じ保守をしていただけでは軌道状態は悪くなるというのが一つの原因かと思います。またもう一つは、先ほど申し上げましたけれども、従来は非常にきめ細かく人間の手でやっておりましたのが、最近は機械力でやるということで、比較的荒いというとちょっと語弊がありますけれども、大きな軌道更新とかそういうことで、軌道を直していくということで、そういう目から見ますと、いま先生のおっしゃいました軌道狂い指数というものの数字から見ますと、三級線、四級線は一、二級線に比べてはるかに指数が大きいといいますか、悪いということは事実でございます。
  311. 青木薪次

    ○青木薪次君 五十三年十月に一大ダイヤ改正をするようでありますけれども、たとえば作業間合いというものがほとんどとれないというような点があるのじゃないかと思うんですけれども、この点については五十三年に抜本的にこれを検討するという気持ちはあるんですか。
  312. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 線路を保守するためには、列車と列車の間の間合いがある時間ないとなかなか保守がしにくい。従来のように人力できめ細かくやる場合には、必ずしも長い間合いがなくてもちょこちょことこういうふうに軌道を直しておりましたけれども、最近は機械でやりますので、どうしても一時間単位の列車の間合いというものがないと機械を持ち込めないということでございます。そこで、山陽新幹線が開通いたしました五十年のダイヤ改正のときには、たとえば山陽本線等にありました特急、急行群を減らして新幹線の方へ振り向けましたので、東京から西といいますか、新幹線が平行して走っている東京-博多間では、昼間の時間帯に一時間の間合い、またその他の区間でも夜間に二時間の間合い、比較的長い間合いがとれております。  ところが、東京から北に向かって、たとえば東北本線等ではただいまのところではまとまって昼間に三十分以上もとれるという間合いはほとんどございません。そこで、早く東北新幹線等を完成させて間合いをとりたいんですけれども、なかなかとれないというのが実態でございます。そこで、来年の十月に東北方面についても列車の増発等は一部いたしますけれども、極力その保守間合いをとるために、列車のダイヤが少しお客さんには昼間不便な時間帯になりますけれども、昼間に一時間まとまった間合いがとれるようにダイヤをつくり直したいということで、そういう方針のもとに来年の十月のダイヤ改正は考えております。そういたしますと、機械が比較的よく使えるようになってまいりますので、それによって線路の状況をいま以上に早くよくして乗り心地のいい線路に仕上げたいというふうに考えております。
  313. 青木薪次

    ○青木薪次君 いまの機関車とか貨車とかを、それをだんだんとスクラップしていく。特に貨車の関係については十二万両のうち二万両を削減するということのようでありますけれども、これはもう廃車計画というのははっきりしているんですか。
  314. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 十二万両のうち二万両の廃車計画をつくって順次廃車をしていくつもりでおります。ただ、廃車をするための能力といいますか、場所といいますか、そういうものに制限がございまして、若干時間がかかるというふうに考えております。
  315. 青木薪次

    ○青木薪次君 これは廃車するだけではなくて、先ほどの休憩前の国鉄のいわゆるサービスというのか、利用することができる輸送を提供するというのか、そういう点で、たとえば物資別適合の車両の新製をつくる、いわゆる保冷車とかなんとかというようなものをどんどんつくっていくというような形における努力が非常に足りないというふうに私は思っているわけでありますが、荷主のニーズに合ったようなものを片方で――スクラップすることばっかりが能じゃないんですから、片一方でやはりそういうような車両をつくっていくということについてはやっているんですか。
  316. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 二万両廃車いたしましても、この四、五年のうちに寿命のくるものはまだたくさんございますので、先生御指摘のようなニーズに合った新車を毎年計画的につくっていくということも考えております。
  317. 青木薪次

    ○青木薪次君 休車扱いになって、そして車両が腐っていく、あるいはまたさびついていく、あるいはまた塩のために塩害に遭うというような状態が続いているようでありますけれども、この状況についてどう説明されますか。
  318. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) いま荷物の動きが少なくて、貨車を置く場所も相当問題がございますので、古い、どうせ廃車をしなきゃいけないことに近々なるような貨車を選びまして、余り利用されない構内へ休車の状態で留置しておるというのはございます。これは廃車する能力といいますか、スクラップする能力がつき次第、廃車計画に組み入れていくというふうに考えております。
  319. 青木薪次

    ○青木薪次君 総裁に伺いたいと思いますけれども、いま貨物が非常に少なくなった。そのために駅をどんどん減らしていく。そのためにお客さんが非常に怒るというようなことで、ただ、貨物の集約輸送だけでなくて、現在まで相当減らしたわけでありますから、これが非常に評判悪い。そこへもっていって五〇%の運賃値上げということでダブルパンチで問題が各所に発生しているわけでありますけれども、これらの点については、当局が貨物取り扱いを廃止するといったらどんなことをしても、てこでも動かぬということでなくて、やはりいろいろ問題点等を摘出しながら、貨物合理化をすることばかりが再建じゃないわけでありますから、ひとつ積極的な荷主、顧客を誘致するとか、あるいはまた新規開発の仕事をするとかということで、これらの貨物取り扱いの廃止の問題については弾力的立場をある面においては持ってもらいたいと、こう思うんですけれども、いかがですか。
  320. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 御指摘の点は十分考えたいと思います。別に私ども計画を立てましたならばてこでも動かないということではないわけでございます。ただ、どうも私どもの御説明が非常にまずいために、何かいまの貨物合理化計画は全般としてサービスが落ちるんだというふうに理解されておりますけれども、それは実は私どもの説明がまずいからでございまして、これによりましてサービスが上がる部分が相当あるわけでございます。何しろたくさんの駅に一両ずつ切り離して置いていくということになりますと、大変時間がかかるわけでございますが、駅を三分の二に減らして置いていく場所を三分の二残しますれば、あちこち順番に置いていく必要がありませんから、スピードが上がるわけでございまして、確かにその廃止を予定している駅の集荷地域、もしくは受け地域のところのお客様には直接御不便をおかけすることになることは間違いありませんけれども、全体としては相当サービスが上がるわけでございます。  そして、この合理化の案というのは決してその全体として見た場合にサービスダウンになるわけでなくて、むしろサービスアップになる場合もあるわけでございますので、その辺の御説明が十分行き届いておりませんので、関係地域の方にも抵抗感を与えているわけでございますが、私はむしろこれは決して単にサービスダウンじゃなくてサービス向上にもつながることだと思います。  また職員にとりましても、ヤードにおきます貨車の解結作業というのは、うちの職場のあらゆる職種の中でも最も苦労の多い、また安全度の点からいっても問題がある職場でございまして、なるべく貨車の解結作業を減らすということは、本来は職員全体としては喜んでもらえるはずのものでございますけれども、どうもまだその辺の理解がなかなか届かないということでありますので、何はともあれ決して無理に強行するということではなしに、荷主の皆さんとも、通運の皆さんとも、またうちの職員諸君ともよくその辺を話し合った上でやりたいと思います。特に私どもの計画の中で、あるいは私どもが気がついてない点があって、それは無理だという場合もあるかもしれませんから、何が何でもしゃにむに押し切ってしまうということでなく、よく話し合いの上でやってまいりたいと思っております。
  321. 青木薪次

    ○青木薪次君 最後になりますけれども、国有鉄道法六条改正の問題について積極的意欲を示していることは、ある意味において私は大臣じゃないけれども、非常に評価できる点だと思います。ただ、国鉄を私鉄並みの事業にと、事業拡大にと、こういうことを言ってみてもやっぱり地元の商店との関係もあるし、しかも法的には大型店舗法の関係等もあるわけでありますから、そういう点については非常に地元との整合性を図りつつやってもらわなきゃ困るということになるわけであります。事業収入については大体どれくらいを見積もっているのか。それと同時に、これからどういうような、大体この資本等についての考え方というものをお聞きいたしたいと思います。
  322. 篠原治

    説明員(篠原治君) お答え申し上げます。  最近駅ビルの開発に努力いたしてまいりまして、昭和四十六年以降現在まで二十三カ所の駅ビルを開発いたしまして――ただいま御指摘がございましたように、地域との問題がございます。大規模店舗がございましていろんな規制を受けております。私どもはいままでやってまいりました過程におきましては、特に地域との関係に特段の注意を払ってまいったつもりでございます。地元の商店会はもちろん、商工会議所あるいは市、県等とも十分御相談をいたしてまいりました。会社を設立いたしますに当たりましては、地元の資本も御参加いただいて、あるいは経営陣にも地元の方方の御参加をいただいているというようなわけでございまして、いままで開発いたしてまいりました二十三カ所につきましては、そういう問題はゼロではございませんけれども、すべて円満に解決してまいりました。かように考えております。  なお今後いろいろ開発いたしていくわけでございますけれども、駅ビルの開発によって得られますところの収入は、いまのところそう大きいものは目下考えていない。ただ、今度六条の改正が実現いたしました暁におきましては、駅ビルだけではございませんので、各般の開発に努力をいたしたいと、かように考えているわけでございます。
  323. 青木薪次

    ○青木薪次君 この間運輸委員会におきまして、静岡の高架工事を視察いたしました。非常に三万五千坪も空地ができるわけでありますが、この空地はまた非常にある意味では地元の商店の皆さんにサービスできる、テナントとして入ってもらうというにはかっこうの場所だと思うんでありまして、こういう点については国鉄当局だけが一人で入ってしまうんじゃなくて、われわれ国会議員はもちろんのこと、やはり地元の皆さんともよくひとつ話をして、この問題に対する対策を進めてもらいたいと思います。  これは要望でありますけれども、最後に私は、運輸大臣に先ほどから国鉄財政の再建計画、「国鉄再建の基本方向」あるいはまたそのほかいわゆる国鉄総裁が、言うならばしがらみと言われる分野等について逐一いろいろと討論いたしてまいりましたし、運輸大臣も積極的な前向きの答弁をいたしました。また運輸省もあるいはまた大蔵省もそうでありましたけれども、このことを単なる演説でないという証拠を運輸大臣、私たちに先ほど答弁の中で特に力を入れて答弁をされたわけであります。この運輸大臣の答弁を中心といたしまして、私どもはひとつこれを確認して、そうして一日も早く国鉄の財政再建ができるように積極的な努力を要請いたしまして、私の非常に長かったけれども、質問を終わります。  以上です。     ―――――――――――――
  324. 内田善利

    委員長内田善利君) 委員異動について御報告いたします。  ただいま衛藤征士郎君が委員辞任され、その補欠として長谷川信君が選任されました。     ―――――――――――――
  325. 桑名義治

    桑名義治君 国土庁見えていますか。お願いします。  今回の国有鉄道運賃法の一部改正でございますが、すなわち基本的には今後国鉄をどういうふうに再建をしていくかというその一環のあらわれでもありますし、そういった立場から考えますと、今回発表になりましたいわゆる三全総との関連がどうしても黙視するわけにはいかないわけでございます。そういった意味で、三全総から見たいわゆる交通体系の整備、こういった観点から少し討論を進めてみたいと思います。  今後十年間のわが国の国土開発の基本となるいわゆる「第三次全国総合開発計画」が十一月の初めに閣議決定されたわけでございます。この計画における幹線交通施設整備の基本的な考え方をまず国土庁から説明願いたいと思います。
  326. 宇都宮寛

    説明員(宇都宮寛君) 「第三次全国総合開発計画」は、幹線交通体系の整備につきまして、新全総における幹線交通体系の総点検、都道府県知事、市区町村長の意向調査等の結果を踏まえまして、国土資源の有限性を前提としながら、長期にわたりまして人と国土との安定したかかわり合いを実現し、国土利用の均衡を図るために、従来の東京一点集中型の体系を改めまして、これまでに整備された交通施設の活用を図りながら、新しい全国幹線交通体系を再構築することが必要であるとの基本的な考え方に立っておる次第でございます。  このため、幹線交通のサービスを全国にわたりまして均衡化するということを長期的な基本目標といたしました。交通需要の見通し、交通機関の特性とその有機的結合、あるいは資源とか、エネルギーとか、外的制約条件や地域の条件などの諸事情を考慮いたしまして順次その整備を進める、長期にわたって新しい幹線交通体系の形成を図る必要があるとの観点から策定をいたしております。
  327. 桑名義治

    桑名義治君 この三全総のいわゆる幹線交通施設整備の基本的な考え方に対しまして、運輸省はどういうふうに基本的には考えられておられますか。
  328. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま国土庁から御説明がありましたような考え方を私どもも聞いたわけでございます。ただ、私どもといたしまして非常に残念であったわけでございますけれども、現在の国鉄の財政状況からいいまして、このような構想にこたえるためには、まず国鉄再建しないとその任務が果たせないんじゃないか。そういう点からあるいは後ほど御指摘もあるかと思いますけれども、若干そのシュリンクしたといいますか、どうも鉄道として積極的な態度がとり得なかったということについて非常に残念に思っているわけでございますけれども、そのためにもぜひ国鉄を一日も早く再建して、こういうような構想の中で十分役割りが果たし得るように持っていく必要があるということを痛感いたしている次第でございます。
  329. 桑名義治

    桑名義治君 運輸省側の答弁としましては、いわゆる今回のこの三全総に対する考え方の中で、国鉄再建がなされなければ全体としての意見が言えないと、そういう立場にあって非常に消極的であったというような、そういうような意味合いのお話であったわけですが、そういう事柄で果たして国鉄の、また逆に言うならば、裏を返して言うならば再建ができるだろうかというふうに思えるわけです。これは順次項を追ってまたこの質疑を進めていきたいと思います。  そこで、この計画では、計画目標時の昭和六十五年の交通量をどの程度見込んでいるか、また自動車鉄道、海運、航空の各機関のシェアはどのようになると見込んでいるのか。これは国土庁の方に御答弁を願いたいと思います。
  330. 宇都宮寛

    説明員(宇都宮寛君) 旅客につきましては輸送人キロ、貨物につきましては輸送トンキロで申し上げますが、昭和六十年度では旅客は約一兆人キロでございます。各輸送機関ごとの分担率を申し上げますと、自動車が五七%、鉄道が三八、海運が一、航空が四ということになっております。貨物の輸送トンキロでございますけれども昭和六十年度に六千三百億トンキロでございまして、自動車のシェアが三九%、鉄道が七、海運が五四、こういう想定をいたしております。
  331. 桑名義治

    桑名義治君 そうしますと、これは六十年ですか、想定は。
  332. 宇都宮寛

    説明員(宇都宮寛君) そうでございます。
  333. 桑名義治

    桑名義治君 六十五年度の想定はしていないわけですか。
  334. 宇都宮寛

    説明員(宇都宮寛君) 六十五年度もやっておりまして、輸送人キロにつきましては一兆一千七百億人キロでございまして、シェアといたしましては自動車が五五、鉄道が六十年度と同じく三八、海運も変わりませんで一、航空が六というシェアを想定をしてございます。輸送トンキロにつきましては、六十五年度には七千六百億トンキロを考えておりまして、自動車が三八、鉄道が七、海運が五五、こういうシェアを考えております。
  335. 桑名義治

    桑名義治君 そうしますと、昭和六十五年における自動車保有量は大体どの程度を見込んでおりますか。
  336. 宇都宮寛

    説明員(宇都宮寛君) 六十年度におきましては、乗用車の保有台数でございますけれども、二千三百五十万台から二千五百八十万台を想定をいたしております。
  337. 桑名義治

    桑名義治君 この計画では、今後の交通施設の整備の方向といたしまして、いわゆる「エネルギー資源、労働力、空間、環境等の外的制約条件に適合した輸送構造への転換を進め、交通機関の特性を生かしつつ、それらの有機的結合を図り、かつ地域の条件に適合した適切な交通手段を選択し、順次その整備を進める」と、こういうふうに述べてあるわけでございますが、これを今後の国鉄のあり方との関連でどのように理解すればいいのか。また、この計画の実施に当たって、先ほど読み上げましたけれども、この記述的内容を実現するために運輸省としてはどのような具体的な政策を用意をしているのか、説明を願いたいと思います。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
  338. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 三全総の中では、いま先生の御指摘のように、エネルギー問題等を考慮して効率的な交通体系の形成が必要であるということを言っているわけでございますが、一般的に言いまして、自動車よりも鉄道の方がエネルギー面から言って効率的であることは明らかでございまして、ただ、これは一般論でございまして、私ども考え方といたしましては、鉄道の特性である大量輸送長距離輸送の面でやはりそういうエネルギー面の効率性が強く発揮されるのではないか。  先ほど大臣からも申し上げましたけれど、地方の方へ行きますと、お客さんが余りいないという場合にはむしろバスの方がエネルギー面で有利であるという場合もあるわけでございまして、やはり今後国鉄再建の基本方向としては大量輸送、中長距離輸送に向けてこのシェアを伸ばしていくという方向に努力をするわけでございますが、それが同時に、エネルギー面でも十分効率的な効果を生むというように考えておるわけでございまして、私ども再建考え方と三全総の考え方とは方向として一致するというふうに考えているわけでございます。
  339. 桑名義治

    桑名義治君 いまの説明はどうも奥歯に物のはさまったような説明ではっきりしないんですがね、釈然としないんですよ。もう少しこのいわゆる三全総にうたっている事柄を国鉄としてどうどんと受けるか、運輸省としてどうどんと受けるかという、そのビジョン的なものをもう少し示してもらわなければ全然これは合わないですよ。三全総の交通体系というものを一応三全総でうたい上げている。ところが、受けて立つ運輸省の方としては非常にあいまいもことしている。こういうことでは、この三全総はもともと最初から破綻がきていると言わざるを得ないわけですが、その点はどうなんですか。
  340. 田村元

    国務大臣田村元君) この三全総が示しております内容は、まさに総合交通体系というものを志向しておるということであろうと思います。でありますから、私ども総合交通体系を再整備しなきゃいけない。四十六年答申とか、あるいは四十六年末の閣議了解というもので一応総合交通体系というものが名づけられておるわけでありますけれども、その示しておる方向はそう大きい狂いはいまも出てないかと思いますけれども、経済社会条件の環境の変化ということからやはり大きく手直しをしなければなりません。  で、いま局長が申しましたように、エネルギー効率とは何ぞやということになりますと、これは一般論としては私は鉄道というものは省エネルギーのチャンピオンだと思います。けれども、先ほども申し上げましたように、これはあくまでも乗車効率積載効率というものが満たされない限りにおいてはちょっと言えないことであるということでございますから、総合交通体系が、やはり国鉄はこういうところを主に担当しなさい、こういう分野を担当しなさい、バスはこういう分野を担当しなさい、航空はこのようなサービス、非常にスピードが速い、こういうサービスがあってこういう分野を担当しなさい、いろいろのことを示しておるわけでございますが、これを具体的にどのように行政として生かしていくかということになりますと、これは私は総合交通体系というものをいわゆる運輸行政の憲法にしてしまいますと、自由経済に逆行することにもなるし、また率直に言って官僚統制というところへ結びつくおそれも多分にある。鉄道トラック関係、あるいはバスとの関係、ハイタクとの関係、いろんな問題があって、官僚統制ということになって、暗い産業経済の世相というものをつくり出すおそれもある。しかし、だからといって総合交通体系は必要である。つまり強い、権威があるガイドラインとしてこれを必要とする。  そこで、これはいまの運輸省というのは、いつも私は言うのですけれども縦割り行政で商売がたきがそろっております。鉄道監督局の中にも国鉄部と民鉄部というのは完全な商売がたき。地域によっては、特に私どもの出身の近畿地方におきましては、関西においてはもう完全な商売がたき、国鉄があわれにも惨敗しておるというようなことでございます。また、自動車局あるいは海運局、航空局、それぞれに皆商売がたきでございます。でありますから、同じ一つの省でありながら総合交通体系というものを行政の面で生かしていくことが非常にむずかしい。  そこで、行政機構というものを改革しなければならぬ。その改革というものをどのようにするか。私の私案でありますけれども、たとえば運輸政策局――仮称でありますが、そういう局をつくって、その局長を筆頭局長にして、事実上の次官補にして、そうして各局に対してあらゆる面で話し合いをしていく、調整役をしていく。そうすれば、総合交通体系そのものが生かされていく、と同時に運賃体系もそこでだんだん整備されていく、時間かかりましょうけれども。グリーン車の方が飛行機より高いなんというばかなことがなくなってしまうということでございますから、そういうようなところからこういう三全総の志向する面を受けて立っていく、こういうことになろうかと存じます。  ただ問題は、三全総が示しております高速幹線鉄道網というものにつきましては、これは大変な莫大な金がかかります。かかりますから、たとえば整備五線を初めとしてかかりますから、その財源等につきましては、単なる指標型でなくしてその裏づけを十分に真剣に考えていかなければならぬというような感じでございます。私のいま申し上げたことが果たして御答弁になりましたかどうか、なんでございますが、住田鉄監局長が申しましたことについて、補足でもありませんけれども、私の意見を述べてみた次第でございます。
  341. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、国土庁の方にお聞きしますが、今回の三全総について、この計画を策定する段階で総合交通政策上の配慮をどの程度行ったのか、どういうふうな方向で行ったのか、これをまず御説明願いたいと思います。
  342. 宇都宮寛

    説明員(宇都宮寛君) 幹線交通体系は、「人と国土の安定したかかわり合いを実現し、国土利用の均衡を図る」という観点から、「国土を縦貫する骨格路線と横断する肋骨路線による陸上のネットワークと、海路、空路のネットワークを総合的に組み合わせる」という考え方で形成するという考え方を基本にいたしております。このような観点から、高規格の幹線道路網、高速鉄道網、幹線航路網、航空路線網の将来構想とか整備計画を明らかにしている次第でございます。
  343. 桑名義治

    桑名義治君 非常に抽象的なお話があったわけでございますが、そこで運輸省の方にお聞きをするんですが、この計画の策定に当たりまして、総合交通体系実現のために運輸省としては具体的などういう要求を示し、どういうふうなかっこうで参画をしたのか、またそれが計画の中にどういうふうに生かされているのか、その点について伺っておきたいと思います。
  344. 真島健

    政府委員(真島健君) 三全総の国土庁におけるいろいろな作業の過程におきまして、私どもこれまでもたびたび当委員会等で大臣からも御説明しておりますが、総合的な交通網の整備という点で、私ども考え方といたしましては、やはり各交通機関がその特性を十分に生かし、国民の需要にマッチするような、そういうような形で海陸空それぞれのネットワーク、これを総合的に必要としておるんだ。さらに現状におきまして新幹線鉄道あるいは幹線航路、航空路線その他これらのものの整備に非常に大きな金額を要するいろんな施設整備の問題があるわけでございます。こういうような問題につきましては、当然また国土庁の方におきまして、全国的なフレームワークの中で許される枠というようなことを考慮して、私どもの要求を大体受けとめていただいた、このように考えております。
  345. 桑名義治

    桑名義治君 これまた非常に抽象的な御答弁で、何が何だかさっぱりわからないのでございますけれども、実際にこの計画の中で昭和六十五年度における交通量、これはもちろん鉄道でございますが、その分担量は、先ほど御説明がありましたように、旅客で三八%、貨物で七%、こう見込んでおられるわけです。これは旅客では現状維持、それから貨物では現在の約半分にシェアが低下をするということを示しておるわけでございますが、こういった立場から考えますと、いわゆる国鉄の将来に何ら明るい展望というものを見出し得ない、こういうふうに考えられるわけでございますが、計画策定に当たりまして、総合交通政策上の配慮を全く行っていないのじゃないか、こういうふうに私は思うわけでございますが、これに対する運輸大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  346. 田村元

    国務大臣田村元君) 三全総といえども一つの推定でございます。推定でございますから、従来の国鉄の実績、現状等について、やはりそれはいかにコンピューターにかけたといっても、やはり悲観的な主観もある程度まじったのじゃないか、率直に言ってそういう感じがいたします。私は、三全総はもちろん非常にオーソリティーでありますけれども、だからといって鉄道のシェアが旅客は三八%、それから貨物が七%。国鉄の場合は私は三全総が志向しておる数値よりむしろ楽観的に見ていいんじゃないかというように考えております。それは三全総の作業、これは相当長い時間かかったはずでございますが、三全総の作業をしておるときの状況と、それからこれから国鉄が進んでいく状況とは若干条件が違っておるという感じでございます。ただし、運輸部内で役人たちが話をしている内容は若干違って、もうちょっと悲観的でございますけれども、私はそういうふうに考えておるというわけでございます。
  347. 桑名義治

    桑名義治君 今回の三全総のいわゆる計画の中で、いまも大臣から御答弁ございましたけれども、これは国鉄貨物の将来は明るいとか、あるいはまた業務の縮小にはつながらないような意味のお話でございますけれども、しかし三全総というのは国土庁としては責任を持って国民の前に示した将来計画でしょう。その将来計画を頭から否定をなさるようでは、運輸省としてはこのいわゆる計画にどういうふうに参画したのか大変に疑わしくなるわけです。  結局、われわれはこの三全総は国鉄のシェアというのは後退を見込んでこの絵を描いた、こういうふうに言わざるを得ないわけでございますし、それに対して、この計画案に対して運輸大臣がそのような発言をなさるということは、政府部内の不統一というふうにわれわれは考えなければならないわけでございますが、この点、大臣あるいは国鉄総裁、どのようにお考えですか。
  348. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は政府部内の不統一とは思いません。と申しますのは、三全総というものが発表された時点、特に作業をされた時点、それと今日御審議願っておるこの法律が成立をして国鉄が再生の第一歩を踏み出す時点とでは相当大きな条件の違いがあると思うんです。でございますから、その点で私は決して閣内不統一とは思っておりません。むしろ、鉄監局が三全総に非常によく似た考え方を持っておること自体がおかしいぐらいの気持ちが私にはございますけれども、私は野人でございますから、あえて率直に申し上げます。そのような気持ちでおる次第でございます。
  349. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 三全総は政府でお決めになるわけでございます。国土庁なり運輸省なりでお決めいただくわけでございまして、まあいわば私どもはそれを受けて、その計画に基づいていろいろ仕事をしていく立場でございます。ただ、この計画について私どもとして非常に不満であれば、いろいろな機会にいろいろな場所でいろいろもっと主張をいたしただろうと思います。  ただ、いま現在率直に申しまして非常に足腰が弱い体質になっておりますので、大いに将来に向けてもう少しわれわれのシェアを認めていただくには、私は率直に言って、私ども自体の持っております足腰を整備してかからなければならない。最も典型的なのは貨物の場合でございますけれども、この場合には何はともあれもう少し、エネルギーの面では胸を張って物が言えますけれども、コストの面ではなかなか物を言えない立場にございまして、先般来、特にきょうの御審議にもございましたように、どうも少し貨物輸送の輸送の仕方と申しますか、システムを少し変えることをやりませんと、他の輸送手段に向かってわれわれの持っておるメリットを主張することができにくいんじゃないか。  旅客の方は新幹線を初めといたしまして、ずいぶん長い間、前に向かって前進をしてまいりましたが、貨物はどうもいままでのところいささか新しいシステムへの転換がおくれておりますので、そうした面をもう少し整備して、単にエネルギーの面だけじゃなくて、コストの面での力ということをつけましてから大いにわれわれの存在意義を主張したいというような気持ちで、しばし政府サイドの作業が進むのを見守っておったというのが私どもの態度でございまして、残念ながらいまはその程度までしかできないというふうな感じでおります。
  350. 桑名義治

    桑名義治君 国土庁の審議官にお尋ねしますが、この三全総出たばかりなんです、十一月に。ところが、いま運輸大臣の御答弁を伺うと、これ指数が違うというわけですよ、どうですか。
  351. 宇都宮寛

    説明員(宇都宮寛君) 先ほどから議論になっておりますのはシェアのお話でございますけれども、絶対量の方をごらんいただきたいと思います。旅客につきましては現在鉄道で三千二百億人キロ運んでおるものを六十年度には三千八百億、六十五年度には四千四百億人キロにまで拡大をするわけでございますから、その辺をひとつ御理解をいただきたい。  また、貨物につきましては、これはまあ現在の趨勢から見ますと、趨勢的に伸ばしますと相当落ちるわけでございますけれども、大体六十年度で若干の、ごくわずかの低下でありまして、六十五年度にはいまよりは多くするというふうな計画でございますので、常識的に考えますと、これはかなり思い切った計画ではなかろうかと思います。  それから、ちょっと先生のお話を裏返して申し上げますと、道路輸送のウエートが高くなり過ぎるのじゃないかと、こういうお話になろうかと思いますけれども、過去十年間の道路輸送の、自動車輸送の伸び率と、今後の十年間あるいは十五年間の伸び率を考えますと、大分低い数字を旅客貨物ともに考えておりまして、したがいまして、総旅客人キロ、総貨物トンキロに占める自動車輸送の人キロ、トンキロを満たす、つまり弾性値を見ますと、従来の十年間よりは大分低い数字になるというふうなことを考えますと、私は妥当な数字であろうと思います。
  352. 桑名義治

    桑名義治君 その議論はまた後の方でしますが、次に幹線交通体系の整備におけるいわゆる高速道路と新幹線との関係でございますが、計画では高速道路については基本計画が決定をされておる七千六百キロメートルに新たにいわゆる日本海縦貫、それから東九州縦貫、四国循環道路、こういった道路を加えて約一万キロを整備する、こういうふうにうたわれているわけであります。  そこで、新幹線については基本計画は決まっている七千キロについても、国鉄財政の再建状況あるいはまた経済社会情勢の推移を見きわめつつ対処する、こうしながら実質四千五百キロメートル程度の整備しか見込んでいない状況なのであります。そこで、財政難は十分承知してはおりますけれども新幹線をどんどんどんどんつくれというわけではございませんが、この計画だけを見るといかにも道路偏重の計画と、こう言われてみても仕方がないのではないかと、こういうふうに思うわけでございますが、立案者にその理由と基本的な考え方をもう一度伺っておきたいと思います。
  353. 宇都宮寛

    説明員(宇都宮寛君) 新幹線の整備につきましては先ほどからお話がございますように、新全総の総点検の中でも示しましたように、土地価格の高騰とか環境対策費の増大等によりまして建設単価が非常に高くなっております。また、一方ではわが国経済の安定成長への移行に伴いまして公共投資の財源の確保に非常な制約が出てきておるという状況がございます。したがいまして、今後の経済社会情勢の推移等を見きわめながら慎重に対処していく必要があるわけでございます。  また、新幹線の整備は国鉄財政を抜きにしては考えられません。このために国鉄財政再建の成果を見きわめながら対処する必要があるというふうに述べたところでございます。先ほど四千五百という先生のお話がございましたけれども、計画では、あくまで構想といたしましては七千キロでございまして、ただその対処の仕方が国鉄財政再建の成果とか、経済社会情勢の推移等を見きわめながら対処するという考え方でございます。
  354. 桑名義治

    桑名義治君 この問題について運輸省としてはどういうようにお考えですか。
  355. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど冒頭にも申し上げたわけでございますけれど、新幹線の建設には大変な金がかかります。で、そのための財源問題について先ほど大臣からもお話がございましたが、そういう問題の解決がない現状において、現在の国鉄余り大きな計画を押しつけるということはいかがであろうかということで、若干トーンが低調であるということは認めざるを得ないと思いますけれど、しかし先ほど大臣からお話がありましたように、今後国鉄再建が軌道に乗れば計画期間中の五新幹線についても財源問題あわせて前向きな対処も可能になってまいりますし、将来構想についても目鼻がついてくるのではないかと思います。  まあ私どもといたしまして、先ほど来シェアの問題もございますが、これまでの再建計画では高度成長ということもあって、非常に高い目標を国鉄に与えて、そのために計画にそごを来したということで、まあこの委員会でもたびたび御指摘をいただいているわけでございますが、そういう点からいって余り大きなシェアといいますか、負担を国鉄にいまの現状で与えることがどうかというような考え方がこの三全総について国土庁と御相談するときに強く出たということでございます。
  356. 桑名義治

    桑名義治君 この新幹線問題については今後国鉄再建問題、いろいろな問題が絡んでおると思いますが、要するに今回のこのいわゆる三全総そのものが、大臣からもいみじくもお話がございましたように、一つのビジョンなんですね。かいた絵だ。だから、推定の上に立ってこういうふうないわゆる絵が描かれたんだと、計画が立てられたんだと、こういうお話があったわけです。そういった意味でこの新幹線問題もいまから確定的ないわゆる論議をすることはきょうは避けたいと思いますけれども、いずれにしましても非常に国鉄に対しては消極的な立場でこの計画が策定をされていると、こう言わざるを得ないわけであります。  そこで、道路と鉄道に対する投資関係を見ますと、道路が五十三年度から総事業費二十八兆円の第八次道路整備五カ年計画がスタートするのに比べまして、国鉄の建設投資は本年度約八千億にすぎません。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 本年並みの投資を続けるならば五年間で四兆円となります。道路投資と鉄道投資の比率は七対一になるわけです。これでは幾ら国鉄企業努力して営業力を強化しても自動車には勝てない。また道路と鉄道に対する投資の極端なアンバランスを放置すれば、国鉄赤字はますます増加するばかりではなかろうかという心配を持つわけでありますが、この点どのようにお考えでありますか。
  357. 宇都宮寛

    説明員(宇都宮寛君) 先生の御提示になりました数字は、そういう比較ができるものかどうか、ちょっと私もいま聞いたお話でございますのでよくわかりませんけれども、三全総におきましては、先ほど申し上げましたような観点から交通体系の整備について基本的方針を明らかにいたしておりまして、さらに計画の実施の中で公共投資の配分につきまして今後十年間の国内総固定資本形成の中で公共投資がどのくらいになるのかというふうなマクロな見方でやっておりまして、いま御指摘のような二十八兆円だとか、四兆円だとかいう数字を触れておるわけではございません。
  358. 桑名義治

    桑名義治君 いずれにしましてもこういう数字が上がってくるわけですよね。そして、結局国鉄の整備と、いわゆる道路事業というものがこういうふうな金額の上で比較した場合には、こういうふうなアンバランスな状態になっている、こういうことを申し上げたわけであって、そうなりますと、今後ますますいわゆるモータリゼーションが非常に加速的に進んでいくのではないか、こういう懸念もある。それは環境の破壊にもつながるわけですよ。公害にもつながるわけですよ。  だから、ここでやっぱりいわゆる国鉄とのバランス、こういうものも考えなければならない。そうなってくると予算の問題が出てくるわけです。したがいまして、いわゆる仮称――仮称ではございますが、交通特別会計的なものを設けて、そして投資バランスをとる必要があるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、大臣どうですか。
  359. 田村元

    国務大臣田村元君) 私はある程度そういうふうにしていかなければならぬと思っております。  それから、先ほど私ちょっと三全総のことで鉄道の将来に対して楽観的なことを申し上げましたが、私は運輸大臣でございますので、国鉄に対する鼓舞激励、身びいきということもございますので、その点はひとつお許しを願いとうございますが、いまおっしゃったことは私は一般論として当然のことだと自分では思っております。
  360. 桑名義治

    桑名義治君 いまちょっと御提言申し上げたわけですがね。現在は自動車重量税の四分の三が道路整備の一般財源に充てられているわけでございます。これを仮称交通特別会計という一つの財源にして、そして適正な配分をする、こういう案でございますが、大臣はどうでしょうか。
  361. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は私は、いま特定財源を探しておるということを何回も当委員会においても申し上げました。自動車重量税、これは現在全体で約四千億。そのうち一千億が地方へ行っておる。それから千二百億程度が大体道路へ行っておる。そして別の千二百億ですが、これは道路が主計局に対して一般財源で貸しておるというような形でございます。私は特定財源探しを重量税だけにしぼっておるというわけではございませんので、誤解のないようにお聞きをいただきたいんでありますけれども、重量税という名前が出ましたので、あえて申し上げますならば、これは実は運輸省の陸運事務所が集めておる金なんです。徴収しておる金なんです。ですから、陸運事務所は長良川のウのようなもので、くわえるだけはくわえるけれども、すぐ、くわっと吐き出させられてしまうというようなことはまたこれ事実なんです。でございますから、重量税についてはやはり考える余地があるというような感じでございます。ただ、余り具体的に申しますと、また差しさわりにも出ますので、この程度の表現でお許しをいただきたいと思います。
  362. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、国土幹線高速自動車道の整備がどんどん進むに連れまして、いわゆる高速自動車道を利用した物流システムの整備が図られております。その拠点となるいわゆるトラックターミナルの整備が全国的な規模でどんどん進められているわけでございますが、現在すでに熊本、郡山等で営業を開始しております。道路公団あるいは日本自動車ターミナル会社、地元業界の共同出資によるいわゆる高速自動車道路ターミナル会社の設立、そういう状況であるわけでございますが、そのトラックターミナル施設の整備計画をまず明らかにしていただきたい。  また、このような大規模なターミナルが高速道路のインターチェンジ付近に設置され、高速自動車道による物流システムが完成すれば、ますます貨物国鉄離れが著しくなるんではないか、こういうふうに思うわけでございますが、運輸省としてはこの点はどのようにお考えでございますか。
  363. 田村元

    国務大臣田村元君) この物流機関、つまり交通機関、輸送機関というものは総合交通体系というものでその位置づけを図っていかなければならないと同時に、反面市場原理というものを無視することはできませんし、また一般お客様のニーズというものを無視することもできません。でございますから、むしろ私は自動車がこういうこと、トラックがこういうことをすることは鉄道を圧迫するものだという考え方より、どのようにして各輸送機関間をうまく連係せしめていくか、そしてその輸送機関が将来活躍する分野という、その分野における働きというものを助長していくかということに尽きるのではないか、このように思います。  トラックといえども、私の所管でございまして、そのトラックを目のかたきにするわけにもまいりませんが、ただトラックにつきましては規制すべき点は多々ございます、率直に言って。多々ございますが、市場原理というものを無視することもできないと、こういうような気持ちでおります。
  364. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、やっぱり問題になるのが、いわゆる高速自動車道路の整備によってこういうふうな貨物輸送の体系というものががらっと今後変わってくるんじゃないか、急速に変わってくるんじゃないか。そういったときに、国鉄貨物輸送とどのような関連をとっていくか、いわゆる国鉄貨物輸送をどのように位置づけていくか、これもやっぱり対応として考えておかなければならない問題だろうと思うんですが、その点についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  365. 田村元

    国務大臣田村元君) 具体的には政府委員の方から御答弁いたさせますが、一言にして言えば、中長距離定形大量輸送という分野で国鉄貨物は活躍をせしめるというふうに考えております。
  366. 真島健

    政府委員(真島健君) ただいまの御質問でございますが、トラックターミナル、物流拠点としての整備、確かに先生のおっしゃるように、道路公団あるいは日本自動車ターミナル会社というようなところでぼちぼちと進めておることは承知いたしておりますが、このトラックターミナルは、もちろんトラックの輸送の効率化を目指しておりますけれども、また他面、都市内で大きなトラックががたがた動いて公害その他が起こるというようなことを避けるために、できるだけ郊外と申しますか、過密な地帯を離れたところにそういう結節点を設けまして、そういう面の効果も図りたい、こういうことが非常にまた大きな目的となっておるかと思います。  私どもトラック関係鉄道関係のドッキングと申しますか、協同関係と申しますか、これはどのような輸送でも鉄道を使って、その先に必ずトラック輸送がついてくるというようなことがございますので、鉄道にはその特性ができるだけ発揮できるような大量定形の貨物の輸送に全力を尽くしていただくとともに、トラックはその鉄道輸送と協調いたしまして、鉄道からその先をできるだけ効率的にやる、いわば協同一貫輸送的な姿でこれからの鉄道自動車の協調を図るべきではないか、このように考えております。
  367. 桑名義治

    桑名義治君 いまの御答弁は全く苦しい御答弁でしてね、実際に本当の意味の位置づけという回答にはなってないと思うんですよ。それと、先ほどからいろいろと御質問申し上げたわけでございますが、いずれにしましても今回のこの三全総における総合交通体系というものは、これは完全に確立していない、こう私は判断せざるを得ないわけです。  それはいみじくも国土総合開発審議会は、この「第三次全国総合開発計画」を答申するに当たりまして、七項目の附帯意見をつけております。その一つに総合交通政策の確立を求めている、こういった立場を踏まえて、政府はこの計画の実施に当たりまして、いわゆる具体的な総合交通体系を確立していく必要があるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、運輸大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  368. 田村元

    国務大臣田村元君) 先ほども申し上げましたように、総合交通政策というものは絶対に必要でございます。ただ、これは絶対的な金科玉条としてしまっては、先ほど申し上げたように、官僚統制というようないやらしい面も出てまいります。しかしながら必要である。でございますから、まず運輸省の機構を変えて、そして自然に総合交通政策が行えるような、そのような形にしなければならぬ、このように考えております。申すまでもなく、私どもはこれからの運輸行政の一つの大きな問題、むしろ一番大きな問題、これは総合交通政策の確立にある、このように考えております。
  369. 桑名義治

    桑名義治君 次に進みたいと思いますが、ことしの四月の四日に日本国有鉄道から「経営改善計画案」というものが出ております。  そこで、まず冒頭にお尋ねしたいことは、国鉄のいわゆる再建計画に当たりましては、昭和四十四年、それから昭和四十八年、まあ二度にわたりまして財政再建に関する基本方針を決定をしているわけであります。そしてまた、五十年には「日本国有鉄道再建対策要綱」、これが発表をされているわけであります。こういうように過去におきましてもたびたび国鉄再建の問題につきましてはこういうふうに発表をされているわけでございますが、ことごとく失敗に終わっていると言っても決して過言ではないと思います。  そこで、今回のまたこういった再建計画が出されたわけでございますけれども、過去のそういった再建計画が失敗に終わった最大の原因はどこにあるのか、この反省なくして本当の意味再建はあり得ない、こういうふうに思うわけであります。この計画案の中にも「現状認識」という冒頭の項でいろいろな事柄が書いてございますけれども、それと同時に、先ほどから申し上げておりますように、過去の再建案、いわゆるその失敗の原因がどこにあったかということの分析と反省と、それから認識の上に立った計画案でなければならないと思うわけでございます。そういった立場に立って、その分析をされた内容なり、反省なりをお聞かせ願いたいと思います。
  370. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 四十四年の九月に閣議決定されたのが最初のものでございますけれども、そのときに立てました先の見通し、これは途中の四十七年のところでやめになったわけでございますけれども、そこまでの見通しと実績との狂いを見ますと、大体収入で千七百億のそごが四カ年で出ております。それから事業費で支出の方で千七百億円のそごが出ておりまして、双方で大体三千億余りのそこになっておるわけでございます。これをいまから見ますと、私、実はこのことには関与しておりませんでした関係もありまして、比較的冷静にその当時の計画と結果とを見ますと、大体当時の計画は収入の見方が少し甘かった、それから経費の見方が少し甘かったということで、ちょうどその最初の計画のどこがまずかったかといいますと、収入経費の両方が半々ぐらいの狂いになっております。  それから次に四十八年の二月二日に、当時運賃値上げ国会にお願いをいたしましたときに立てた計画がございますが、それが五十年にまた一年変更になりましたから、その変更になる前までの三年間の結果を見てみますと、やはりこれが収入で三年間で四千三百億食い違いが出てきております。ところが、経費の方では実に七千七百億の計画の狂いが出てきております。この収入の方の計画の狂いはどうして起こったかというと、国会の御承認がおくれたことによるのが大部分でございます。このときには非常におくれましたので、二年余りおくれましたものですから、それが大部分でございます。輸送量はほとんど見通しと変わっておりません。ただ貨物は四十七年から落ち始めましたので、収入のダウンの中で貨物の予測違いが出まして、いまの運賃改定貨物との関係で四千三百億ほど食い違っておりますが、経費の方は七千七百億に至っております。  なぜそんなに経費が食い違ったかと申しますと、給与は一二%の上昇率で見ておりましたが、結果は四十八年が一六・三、四十九年が二七.六、五十年が十三・三ということで大幅に狂っております。もっとひどいのは物価でございまして、物価の方は消費者物価で四・九で見ておりましたのが、四十八年で一五・四、四十九年が二〇・七、五十年が一〇%何がしでございすま。卸売物価の狂いがもっと大きくて、見ておりましたのが、二・三%年率で見ておりましたところ、結果は四十八年が二二・六、四十九年が二三・四、五十年が二%強ということでございますから、何と申しましても、この後の方の四十八年から五十年の再建を目指して四十八年二月二日に閣議了解されましたものとの狂いは、経費の方が大きくなっておるわけでございます。  こうやって見てまいりますと、何といいますか、まあ国鉄経営自体にも甘い点はいろいろあったと御批判を受けてもやむを得ない点もございますけれども、何といいましてもやはり社会経済情勢の変化によって物の値段の見通しが狂ってまいりました。しかも収入の方は当時の計画以下にとまっております。ということでございますので、私はどうも諸先輩が積み上げてこられたことをあえて擁護するというか、弁護するつもりもございませんけれども、かなり計画自体は、それ自体としてはそう間違っていなかったが、大変見通しで間違ったということであろうかと思うわけでございます。  さすれば、今後の問題を考えます場合におきましても、今後もし物価なり人件費なりが異常に見通しと狂った状態になりますと、これまた何とも言えないわけでございますけれども輸送量とか経費構成についての見通しというのは、過去の国鉄の諸君が積み上げてきたやり方というのは、そう大きく間違っていないんではないかというふうに見られるわけでございまして、しばしばもう再建計画を何度もつくったのに全部外れちゃったじゃないかという御批判あるわけでございますけれども、これは確かにそのとおりではございますが、同時に、さりとて私どもがいま頭の中に置いておりますもろもろの計画というものが、また先に行ってそう狂うものであろうかと、まことに当てのないものであろうかと、あるいは幻のものであろうかというと、必ずしも私はそう心配しなくてもいいんではないか。  ただ願わくば、世界的にも国内的にも経済情勢が非常に変動的でございますので、またもや物価が異常な姿をたどるとか、人件費が異常な姿をたどるとかいうことがないことをこいねがうわけでございまして、それさえなければ、私も頭に置いております再建の歩みというものは、決して過去十年間に失敗したからといってこれからもまた全然当てにならぬものだということにはならぬというふうな感じを私は持っているわけでございます。
  371. 桑名義治

    桑名義治君 ただいまの総裁の御説明の中では、いわゆる収入経費の見込み違い、それから給与の上昇率、あるいは卸売物価の上昇率、こういった問題が、外的要件がいわゆるこの再建計画を狂わしたのだと、こういうお話でございますが、しかしこの計画書を拝見をさしていただきますと、そういった事柄はほとんどうたい込んでいないわけです。要するに、国鉄内部の問題に関しては全然いま御説明がないわけですよね。そういうことでは何度再建計画つくったところで、数字のごろ合わせにすぎないのじゃないか、こういうふうに私は思わざるを得ないわけですが、その点国鉄総裁はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  372. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 一番大きく違いが出ておりますのは、いわば合理化といいますか、職員数を減らしますというお約束といいますか、前提が四十八年のときに出ておりますが、この点は一番大きく変更されておるわけでございます。で、それがまたどうして起こったかということでございますけれども、主としてその後におきますところの何と申しましょうか、ローカル線を初めとしたもろもろの合理化計画が進んでおりませんということが一つと、それから労働条件が変更になりまして、勤務時間が短縮になりましたというようなことがございまして、これは直接には人件費総額には、単価には響いてないようでございますけれども、先ほど申しました予想外の人件費単価の上昇のほかに、勤務時間が長くなりますから、それによって実質的に単価の上昇を来しておるわけでございまして、この点が一番大きな狂いではないかというふうに思っております。  同時に、御存じのような四十五年、六年、七年というときに大変な労働上の混乱状態が起こりました。それが今日も尾を引いていることは、先ほど来のお尋ねにもお答えをしてまいったわけでございますが、そういう混乱状態を起こしたことは、今日考えますと非常に残念なことである。何としてもこれはもう少しスムーズに進められなかったものかという反省をいたしておるわけでございます。その他経営合理化につきましても、なおまだ足りない点はあったと思いますけれども内容は細々したことは別といたしまして、やはり労使関係がスムーズにいってなかったということが大きな原因に、内部的な欠陥になっておる、予想外のことになっておるということが言えると思います。
  373. 桑名義治

    桑名義治君 この問題に対して、大臣はどのような認識の上に立たれておりますか。
  374. 田村元

    国務大臣田村元君) 総裁が申したとおりでございましょう。ただ、私はちょっと評論家的な言い方になるかもしれませんけれども、過去において何回も失敗したのは、現象面では景気の変動があったり、あるいは回復がおくれたり、あるいは適時適切の運賃値上げができなかったりというようなことがございましたでしょうけれども、過去の再建計画余りにも短絡的に運賃値上げに依存し過ぎたのじゃないか、私はそう思うんです。しかも運賃の値上げをする、その運賃の値上げに依存する算術が最善の場合を想定しまして、そしてそれにあわせて再建計画を練っていった。ですから、ちょっとした狂いでも狂うのだから大きな狂いでかさんでいくというようなことであったと思うんです。  でございますから、過去の再建計画の失敗というものに対する責任は当然運輸大臣にもありましょうし、当時の国鉄総裁にもありましょうけれども、それはそれとして、そういうような点を考慮して今度つくろうとする再建計画は、まあもっとも余り自慢のできた話じゃないんですが、衆議院で修正されてかえってよくなったというような内容でございますから、余り大みえは切れませんけれども、従来の運賃オンリーの依存から、運賃は単なる経費増の支えということで、経営努力と国家助成というものが大きな二本の柱で、そのように根本的に性格が変わって、しかも過去の場合、たとえば私も大臣になりたてのころで余り当時何も知らなかった。いまでも余り知りませんが、当時余り知らなかったものですから、私の責任で五十四年度収支均衡ということをしたわけでありますけれども、非常にそこに無理があったんですね。  ですから、今度はそのような無理をしないで、そして五十三年度、五十四年度、両年度で徹底して赤字要因を洗い出して、それに対して政府対策を十分考えていく、そのようにして五十五年度から収支均衡へのノーマルなレールに乗っけていこうと、このような、どちらかというと非常に深く掘り下げて、かつゆとりある再建計画ということになっていきましょうから、従来の再建計画とはもう考え方の基礎が全然違うということを申し上げたいと思うのであります。
  375. 桑名義治

    桑名義治君 そこで、いまから先の経費増のその重要な大きな役割りを示すのは、先ほど総裁からもお話がございましたが、いわゆる人件費の問題が非常に大きいと、それと同時に、鉄道投資がこれは非常に大きな経費になっておる。そういった意味で、この計画の中には、「適切な国の助成と相まって、その投資効果を十分に見極めつつ、設備投資の重点化、効率化に徹することとする」、こういうふうにうたい上げてあるわけでございますが、過去の事例から東京-大阪、それから大阪-岡山、岡山-福岡間、このいわゆる新幹線建設当時、いわゆる当初予算と完成の時点でどのぐらいの経費がかかったか、その差額はどのくらいか、これを明快にまずしていただきたいと思います。
  376. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) まず東京-新大阪間でございますが、これは昭和三十四年に着工いたしまして、完成いたしたのは三十九年でございます。当初予算は、工事費は、車両費を含みませんが、建設費でございますが、千六百二十五億でございましたのが最終的には三千三百十億、すなわち当初に比べまして二〇四%ということで最終的に完成をいたしております。同様なことで新大阪-岡山につきましては、当初金額は千七百二十億、最終金額が二千二百五億、一二八%でございます。それから岡山-博多間は当初が四千八百億、最終が六千九百五億、増加額が一四四%ということでございます。  これの原因でございますけれども、まず東京-大阪間の新幹線では当初の計画が、これは三十四年に着手いたしましたけれども、実際に予算を組みましたのは、その二年ほど前から実は計画をつくっておりました。その間これを着手するかしないか、借入金の関係はどうするんだといういろんなことがございまして着手は三十四年ということになる。三十二年に計画をつくったものから、でき上がったのが三十九年でございます。このうちの大部分は物価騰貴によって増額をいたしました。  それ以外に工法の変更といいますか、これは対外協議の関係で、当初盛り土等で計画をしておりましたところが、実際に工事にかかりましたところが、いわゆる町の中あるいは遊水地のようなところは盛り土ではどうもうまくいかない、これはぜひ高架にしてほしいという非常に強いそういう対外協議の関係で盛り土を高架にした、そういうような対外協議による工法の変更ということでも増額になっております。したがって、特に東海道新幹線については、期間が長かったということと、そういうふうな計画上の問題で大幅な増額にならざるを得なかった。  新大阪-岡山あるいは岡山-博多間につきましては、いま申し上げましたように期間も比較的短かったせいでございまして、一二八%あるいは一四四%という程度の増額で済みました。この内容も、この期間の中の主に物価騰貴と、それから岡山-博多間については公害対策等が非常に厳しくやらなくちゃならないということもございまして、そういう公害対策費用その他含めまして増額ということに相なった次第でございます。
  377. 桑名義治

    桑名義治君 いま御説明がございましたように、いわゆる東京-新大阪間、あるいは新大阪-岡山間、岡山-博多間、この新幹線の建設に関しまして、この一事を見ましてもこういうような大きな見込み違いが起こっている。これもやっぱり「投資効果を十分に見極めつつ、設備投資の重点化、効率化に徹すること」、これはやっぱり今後の国鉄のいわゆる経営の健全化については大きく検討していかなければならない事項だろう。こういう外的要因があったからやむを得なかったんだというそういう姿勢そのものが私は現在の状態を招いたんではないか、こういうふうに思うわけです。  それと同時に、全国的に見ますと、たとえば福岡県に油須原線というのがございますけれども、この油須原線も土地の購入、いわゆる買収は終わっております。そしてある一面においては路床もでき上がっているわけです。ところが、線路が敷かれていないというようなところがたくさんあちこちに散在をしているわけですね。そういうことをいろいろと考えてみますと、こういったいわゆる投資効果、これを十二分に考えながら投資をしていかなければ、ずさんな経営内容であったならば、必ずまたこのような状況に追い込まれることは火を見るよりも明らかであるし、今回の再建計画もまたいわゆる絵にかいたぼたもちになってしまうのではないか、こういうふうに思うわけでございます。  そういった意味からも、鉄道投資につきましては十二分な配慮とそれから検討が必要であろう、こういうふうに思うわけでございますが、この点 はどういうふうな認識の上に立っておられるのか、御答弁を願いたいと思います。
  378. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現在いろいろな仕事をいたしておるわけでございますけれども、全体として本年度で申しまして八千六百五十億円の仕事をやらせていただくわけでございますが、そのうち三千億円をいま東北新幹線の方に振り向けております。東北新幹線につきましては、先ほどの東京-博多間の場合よりも建設キロ当たり単価がはるかに高いものになっております。でございますけれども、いまの私どもの収支見込みでは、大体開業後十年前後でそろばんがとれるということになるのではないかというふうに見ておるわけでございます。  現在御存じのように、東海道新幹線につきましては、東海道線、山陽線の在来線を含めまして収支が合っておるわけでございまして、そういう意味からいいまして、東北新幹線につきましても、ちょっと時間はかかりますが、いずれ収支は合うという見込みを立てております。これはやはり人口の多いところを走ります関係上、大量輸送のメリットが発揮できるわけでございまして、この辺までは十分いけると思っております。  ただ、その後のいわゆる整備五線というものになりますと、もともと人口の少ないところを走りますんですが、建設費の方はそう変わるわけではございませんから、なかなか投資の回収が困難ではなかろうか。したがって、この投資についての利子負担なり、あるいは償却を前提としてそろばんがとれるということにはなかなかならぬのではなかろうかと思っております。  あと、八千六百五十億円のうちのいまの新幹線を除きました五千六百五十億円でございますけれども、この中で約半分、三千億円は、防音、震動対策というような保安、取りかえ、公害投資というものに向けておるのが半分でございまして、したがって、全体の三分の一ぐらいでございまして、これは確実に安全に車を走らすための投資でございますので、多少サービスの向上にはなりますけれども、この投資は必ずしも収入増加につながらない性格を持っておるわけでございまして、これを今後どう考えていったらいいかというのは一つの問題点でございます。  現在、利子負担が三分五厘で済みますように利子補給を受けておるわけでございますけれども、しかし、それは十年間利子補給を受けるわけでございまして、恒久的に利子補給を受けるわけでないということを考えますと、この種の投資については現在各線とも赤字であるという前提で考えますと、どう考えたらよろしいのか。衆議院の段階で「基本方向」でお示しのように、投資効率の問題との関係でどうしていいのか。さりとてこれはやめるわけにいかない。安全のため、それからいまの仕事を続けていくためにはやめるわけにはいかないものでございますので、どういうふうに考えたらいいかということを少し詰めてみなければいけないと思っております。  そのほかは、いろいろなものがございますが、むしろシステムを合理化するための投資等がございますが、これが千四百億円ぐらいになっておりますが、この方はこの投資をいたしますれば、人件費その他のランニングコストが減るわけでございますので、ある程度やっていかれるんではないかというふうに考えたりいたしておるわけでございまして、御指摘のように、いささか今日までの物の考え方は、内部では相当計算はしておりますけれども、基本的腹構えとして投資の必要性とその効果の吟味が十分でなかったと言えるわけでございます。  こういう経済、財政状態でございますから、その辺をもう少し詰めていって、つまり負担になってやっていかれないものについては、いろいろな援助をお願いするというようなことも考えながらでないと、投資を漫然としていくわけにもいかないと、こういうふうに考えておりまして、一口に投資と言われますが、全部の八千六百億の投資の中でもいろんな種類のものがございますので、それを分類分析してまいりたいというふうに考えております。
  379. 桑名義治

    桑名義治君 いずれにしましても、この計画書の中にも書いてございますように、いわゆる鉄道投資というものは非常に膨大なお金がかかることでもございますし、ここの記述の中には「設備投資から生じる資本費が経営の負担となる度合は極めて大きい。」と、こういう一つの認識の上に立っておられるわけでございますから、この点十二分な配慮の上に立って今後の運営をしていただきたいと、こういうふうに思います。  そこで、総論から今度は「具体的方策」という方向でお話を伺っておきたいと思いますが、まず第一に「旅客営業の改善」の中で、これ、一つ一つ御質問すると、これは大変な時間になりますので、輸送サービスという面だけを取り上げてみたいと思います。  先ほどお話がございましたが、いわゆる新幹線の中にゴキブリが云々というお話がありました。この食堂車の衛生管理についてはどこが担当していらっしゃるわけですか。私が非常に疑問に思ったのは、静岡の衛生部が立入検査をしたというこの事柄なんです。これが非常に私としては疑問に思ったわけです。  したがいまして、このときに大臣の御答弁にもございましたけれども乗客立場に立ってというお言葉があったわけですが、そういった立場から考えますと、この食堂車のいわゆる衛生管理というものは非常に重要になってくるわけです。こういった食堂車にゴキブリがたくさんいるとか、私も新幹線にたびたび乗るわけですが、客席にも小さなゴキブリがうじょうじょ出てくるわけです。そういった立場で衛生管理がどういうふうになされているのか、この点を伺っておきたいと思います。
  380. 尾関雅則

    説明員(尾関雅則君) 御指摘のようなことを起こしまして申しわけないと思っておりますが、新幹線のみならず現在線もさようでございますけれども、列車の中の衛生管理は国鉄責任で行っておるわけでございます。部内の担当は車によりまして、たとえば食堂車ですと、食堂を営業しております人に直接の作業をやってもらっておりますので、そちらの人が第一次的な責任は持っていただいているんですけれども、車両を整備しております運転所あるいは運転関係の区というところが監督責任を持って、そこで決められた周期で掃除をし、消毒をし、殺虫をするということをやっておりますが、何しろ非常に滞泊の時間が短うございますし、また人手も十分でないというようなことで、御指摘のようなことに立ち至りましたのははなはだ遺憾に思っております。今後は十分に督励をいたしまして、できるだけ早急にそのようなことを起こさないようにしてまいりたいと考えております。
  381. 桑名義治

    桑名義治君 「旅客営業の改善」についてはいろんな事柄がここに書いてございます。要するに、理論的な方策やあるいは機械化によるサービス向上という面についてはこれはもうお金のかかることですが、それと同時に、こういうふうな目に見えるいわゆる人的なサービス、こういったものが非常に重要な問題になってくるのではないか、こういうふうに思うわけですが、そこで静岡県の衛生部が立入検査をした、その結果がいろいろと報道されているわけですが、その後国鉄としてはどういう対策をとりましたか。
  382. 篠原治

    説明員(篠原治君) 一般的な車両の整備につきましては、ただいま尾関常務が御説明申し上げたとおりでございます。静岡県の衛生部の立入検査は食品衛生法に基づくところの検査でございまして、わが方といたしましては、それとは別にやっておりまして、国鉄では新幹線の車両の整備の基準というものが定められておるわけでございます。実は私どももああいうふうな事態が起こりますことは非常に遺憾でございます。ただ、私どもがいままで実は長年苦しんでまいったところでございます。ゴキブリが発生いたしましたのがかなり以前からでございます。  ゴキブリの駆除につきましては、国鉄といたしましてはかなりの経験と苦労を重ねてまいった実績を持っておるわけでございます。何分にもゴキブリは、いろいろ調べてまいったところでございますけれども、その生態あるいは生命力、繁殖力その他、まことに強靱なものがございます。薬品もいろいろ調べてまいりました。大変苦労いたしてまいりまして調べてまいりましたけれども、薬品にもその限界があるようでございます。卵である限りにおいてはどうも殺虫の方法がないということもございますし、あるいはまた車両の清掃、いろいろの方法ございますけれども、一番徹底いたします方法は、やはり相当時間――数時間ないし十時間、車の中をいぶしましてやるというのが一番効果があるようでございますが、これもなかなか車の運用上そう頻繁にやることができないというようなことでございます。  さような状態でございますけれども、いまお話しのような事態が起こりましたので、新幹線の方と相談いたしまして、食堂営業者と新幹線総局、その道の専門家と相談いたしまして、根絶ということはなかなかむずかしいわけでございますけれども対策について目下検討いたしておるところでございます。
  383. 桑名義治

    桑名義治君 次に、「収入の確保」の欄でございますが、「新幹線、在来線特急等を活用して旅行態様に即応した企画商品を大量に設定する」、こういうふうにうたわれているわけでございますが、この「企画商品」というのは大体どういうことを意味しているわけですか。
  384. 吉武秀夫

    説明員(吉武秀夫君) 「企画商品」と申しますのは、国鉄の切符とそれから国鉄以外の輸送機関、まあバスであるとか、船であるとか、そういったものでありますとか、あるいは旅館等を組み合わせました、つまり言ってみれば総合旅行商品といいますか、そういったものをわれわれは「企画商品」と言っているわけでございます。
  385. 桑名義治

    桑名義治君 それと同時に、「他運輸機関との関係等を勘案した合理的かつ弾力的な運賃料金体系への移行に努め」、そして増送、増収を図る、こういうふうに載っているわけでございますが、ここの「他運輸機関との関係等を勘案した合理的かつ弾力的な運賃料金体系」というのは、すなわち私鉄との運賃の協定的なものを指しているわけですか、それとも独自の何か考え方があるわけですか。
  386. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これは御存じのように、私どもの方はキロ程によります均一統一的な運賃体系ということになっております。それで、他の交通機関は各交通機関別に原価主義で算定されるというたてまえになっておりますから、地域によりまして非常に私の方が安い場合と私の方が高い場合、いろんな関係になってきておるわけでございます。そこで、今後の問題といたしましては、やはり国鉄運賃というのは、他の輸送機関の運賃に非常に影響をいたしてまいりますので、ある基準的なもの、標準的なものになる可能性がございますから、弾力的にと申しましてもそう自由濶達にというわけにはいかないのでございますけれども、もう少し地域ごとに何か工夫する方法がないか。  たとえば、かつては東京と大阪では、私鉄との関係で比較的大阪の方が私鉄の運賃が安いということがございました。東京における運賃体系と大阪における運賃体系を現行法の許される範囲内で多少変えておった時期もあるわけでございますが、現在はかなり徹底した全国統一運賃になっております。私鉄との競合関係を見ましても、私鉄の運賃水準が東京と大阪では違うという実態があるわけでございまして、これはたとえば関東のある会社だけが高いとか安いとかいうことじゃなくて、関東の水準と関西の水準に違いがあるわけでございますので、そういう違いがあるのに当方は日本じゅう一本ということでいけるかどうかということについては相当考えなければいけないということでいま研究さしております。  ただ、ここに「移行に努め」という表現は少し強過ぎた表現でございまして、まだ何といいますか、勉強の段階というか、検討の段階でございまして、いままで余りそういうことに関心がなかったものでございますから、それをむしろ私が少しそういう提案をいたしまして中で検討さしておることでございまして、今後の問題として、これを実現すべきかどうかはまだ決めておりませんですけれども、そういった角度で物を考える。つまり、収入についてももう少し従来よりは営業的な気持ちといいますか、そういうものを織り込んでいくという気持ちをあらわしたものでございます。
  387. 桑名義治

    桑名義治君 いまの総裁の御説明では、かつては大阪といわゆる東京の私鉄の運賃体系が違うから、したがって、そういうのを勘案した時期があたようなお話がございましたが、それをどういうふうに今回のこの国鉄運賃体系へ持っていくかという、そこら辺の御説明がどうもあいまいもことしてはっきりわからないわけですが、簡単に言いますとどういうことですか。
  388. 高木文雄

    説明員高木文雄君) やはり地域ごとにいろいろ事情があって、そうしてその事情を反映して他の運輸機関のコストがあらわれてきて、そのコストが反映してその地域ごとの運賃体系がいまの運輸省の原価主義での御指導のもとにおいては実現しておるわけでございます。それがいいか悪いかということは一つ問題があると思いますけれども、私どもの方は今度は国鉄というものを全部を一つで見た形でやられておるわけでございまして、相互に競争している関係で、計算単位が違っておるということではなかなか私どもも競争しにくいということでございますので、今後運輸省とも御相談して、私鉄についての物の考え方もだんだんいまのままでいいかどうか御検討願わなきゃいけませんし、私どもの方もまた現在そういう体系でできておりますから、それを前提としていままでよりはバラエティーに富んだものにしなければいけないかどうか、それを検討していきたいという意味でございます。
  389. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ちょっと関連で。  総裁、弾力的な運賃の問題はですね、これは法改正しなければできないでしょう。いまの現実の運賃体系ではできない。したがって、それを地帯別の運賃にするとかいろいろな方途をいま検討しているわけでありますけれども、これは総裁、前向きに検討をしていっているわけでしょう。そうして、まあいつまでと限定するわけにいきませんけれども、いずれこれ料金が上がってきますと、私鉄との間が大きな差が出てくると思うんですね。これがやはり国鉄増収あるいは名目と実収との違いというもののここで大きな差になってくるんじゃないかという点が私は考えられると思うんですよ。したがって、これは詰めるための、地域別運賃とかそういう方向に踏み出していくという前提のもとに検討委員会をつくっているわけですか。
  390. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現在は全くそういうことを検討しておりませんけれども、これから私ども内部で十分検討したいと思っております。ただ、それを採用するかどうかは非常に問題ありますので、よほど慎重に考えないといけないというふうに考えておるわけでございまして、まず勉強してみようというような程度の感じでございまして、いまそれを実施に移すかどうかということについては、まだまだなかなかよほどいろいろな角度から考え直していかなきゃいけないというふうに考えております。
  391. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 運輸省はどういう考えですか、具体的に。鉄監局長でいいです。
  392. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま総裁が申し上げたのは、関西の方面で国鉄運賃と私鉄運賃と比べまして国鉄運賃が高いので、その調整の必要があるじゃないかというお話だと思うんですが、私どもの方は国鉄運賃が高いから私鉄運賃を上げるという気は毛頭ないわけでございます。逆に下げることが可能かどうかという問題だろうと思うんですけれど、関西方面で非常に短い距離であれば下げることも可能だと思いますけれど、東海道とか山陽線は長距離お客さんも同時に通っているわけでございますので、まあ技術的には非常にむずかしいんじゃないだろうか。下げることができるんであれば下げて調整ということもしてみる必要があるかなという感じは持っているんですが、近距離のお客さんだけは安い運賃で、長距離お客さんは高い運賃でいくというのもそう簡単にはできないんじゃないかと思いますが、今後の研究課題として検討さしていただきたいと思います。
  393. 桑名義治

    桑名義治君 いまの御説明にありましたように、私はこれを見て非常に疑問に思ったわけですよ。実際にこういうことができるのかなと思った。実際に今回のこの法案ではその値上げの限度額というものが示されているわけですね、枠をはめて。これまではという枠がはめられた。しかし、時代の趨勢から考えると、これだけは値上げできますよということなんですね。そういうことになってこういうふうな項目がこの計画の中にうたわれていますと、たとえば福岡から大牟田に行く場合、西鉄の方が国鉄よりずいぶん安い、時間も早い、そうして回数も本数も全然問題にならない、こういう状況がもう実際には生まれているわけですね。  そういうふうな状況の中で、「他運輸機関との関係等を勘案した合理的かつ弾力的な運賃料金体系への移行に努め」、それが増収につながる、こういうふうなことをうたい上げれば、こういうことを実施すれば増収よりむしろ減収につながるという面がぽっと出てくる場合もあり得るわけですよ。実際にこれはできるんだろうかというふうに私は疑問を持ちました、実際に。ところが、いま総裁の話では、「移行に努め」、これは言葉が強過ぎた。そうすると、「増収の実をあげる」、これ断定しておるわけですね。ということは、こういう計画があるということでしょう。そういう計画の上にのっとっていわゆるいま検討を進めているということになるわけですが、実際これできるんですか。
  394. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 実は、この経営改善計画というのは、今後私どもが勉強してこういうことでやっていきましょうということでございますと同時に、それがためにそっちの方向へ近づきましょうという意味があるわけで、ちょっと文章整理が十分できておりませんが、どの部分をつきましても現状とはちょっと違いまして、これからこういう方向で進んでいこうかどうしようかと、こういう感じでございまして、それを書きますと各段落全部そういう方向で研究するとか検討するとかということになってきわめて頼りないものになりますものですから、文章整理の段階でそこらは全部切ってしまったものですから、今後数カ年にわたる、これからどういう方向で進めようかという気持ちをあらわしたものでございますので、各パラグラフには検討、研究という用語は使っておりませんのですけれども、そこらはやりたいができるというものと、やりたいができないというものが混在をいたしておりますので、そういう意味で明確を欠いたと思います。  少なくともこの部分は相当研究をいたしませんと、すぐに実現できるかどうかということは疑問な点でございまして、しかし現状、関東でも関西でも通勤電車につきましては私鉄と国鉄の立て方がまるで違っておりまして、いま西鉄の例をお挙げでございますが、これも各地域の私鉄とも距離によって非常に――私鉄の短い距離の中での遠距離逓減を非常によくきかしているものですから、なかなかこちらの仕事としてはやりにくい状態になっておりまして、もうちょっとそこらをよく、私鉄の料金の立て方あたりをわれわれが主要線区ごとに勉強をもっとしてみませんと、ちょっとなかなか結論には至りがたいかと思います。表現が不十分であることはお断り、おわびいたさなければならぬと思います。
  395. 桑名義治

    桑名義治君 四月の四日にこういうふうに国会に提出したこういった資料が、できないことを書かれたんじゃ困っちゃうんですね。いわゆる再建計画にならないですよ。そして運輸省側としては、こういう料金体系というのはむずかしゅうございますといういま答弁があったんです。これ全体をもう一遍この計画は見直してみなければならないという、そういう疑いだって持たざるを得ないわけです。本日の審議というのは、これは運賃の審議なんです。そしてこれが運賃のところは、項目は、全く実現不可能な、ほぼ不可能な――不可能とは私は断定しませんが、ほぼ不可能ないわゆる事柄が列記されている。これは問題じゃないですか。大臣どうですか。
  396. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まあお言葉を返すようでございますけれども、こういう気持ちの一つのあらわれとしてグリーン料金の値下げもいたしたわけでございまして、全然何といいますか、いままでですと、そういうものの値下げというようなことも余り考え方の中にはなかったんじゃないかと思うんですけれども、そこらはやっぱり飛行機が東京-大阪間で一万六百円でしたか、四百円でしたか、当方のグリーンは一万四千円だと。四千円もうちの方は高いというんではやっぱりどうもぐあいが悪いんではないかということも頭にあり、東京-熱海間のグリーン車が二千円になってしまったのを今度千円に下げたわけでございますが、これは小田急とかなんとか考えましても、どうもちょっとぐあいが悪いということで下げたわけでございまして、そういう意味では多少こうした気持ちをむしろ部内によく徹底をして、もう少し弾力的にやっていきたいという気持ちを出せということで、私がむしろ主導的な形でこういう表現をとったわけでございます。  しかし、いま言われてみますと、確かに少し表現が断定的であり過ぎるということはそのとおりでございまして、それはおわびをいたしますが、少しそういう点について物事を弾力的に考えるということは今後とも進めていきたいということで書きましたことでお許しをいただきたいと思います。
  397. 田村元

    国務大臣田村元君) 運賃の問題でございますから、これは私どもの方は認可をする立場でございますから、国鉄がいろんな苦労をすることはいいことだと思います。めったに断定しないのがたまに断定すれば失敗するようなことでございますけれども、これは一つの私は作文として最初読みました。しかし、書いた以上はそれなりの苦労をしていい知恵を出すんだろう。それをどのようにこちらが認定するかということはそのときの問題ということで、こういう問題については、国鉄責任で一遍検討してみろというような気持ちでございます。
  398. 桑名義治

    桑名義治君 もうこれ以上この問題は追及したくないと思いますけれども、しかし、先ほどから申し上げておるように、この委員会鉄道運賃をどうするかといういわゆる委員会なんですよ。その委員会でいま審議中にこういう改善計画が出ているわけですから、この運賃のところはやっぱりきちっとした施策と計画の上に立ってこういうものを出してもらわなきゃ困る。実際に局長そう言っているでしょう、ほとんど無理だと言っているでしょう。ほとんど無理な問題を、気持ちとして出したとは言いながら、ちょっとこれは問題じゃなかろうか、こういうふうに私は思う。  そこで、次の問題として、「輸送の効率化、近代化」の中にコンテナ輸送あるいは物資別適合輸送という問題が掲げてございます。コンテナ輸送は一時期は非常に脚光を浴びて登場したものでございますけれども、現在は大変な下火になっておるようでございます。そこで、現在までのコンテナ輸送の推移というものはどういうふうになっているのか、お伺いしたいと思います。
  399. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) コンテナ輸送を始めましたのは昭和三十四年でございまして、当時、東京、大阪を中心にたから号というコンテナ列車を初めて走らしたわけでございますが、その後次第に順調に伸びまして、特に四十年代に入りました四十四年からは、先ほどトラックとのいろいろ問題が議論されておりましたが、トラック業者みずからが、要するに鉄道を動く道路として利用するという形で、みずから使用コンテナ、十トンコンテナをつくりまして、国鉄との協同一貫輸送であるフレートライナー方式を実施するということによりまして、実に四十八年には千三百八十万トンというかなりのシェアまでいったわけでございます。  その間、東京、大阪のみならず、九州その他各地方に百五十一の基地を設置いたしまして、ルートも三千六百ルートということで、四十八年には先ほど申し上げました千三百八十万トンに達したわけでございますけれども、四十八年の秋の石油ショック以来やはり輸送量が減少いたしまして、五十一年度には四十八年度のピークから一七%減の千百五十万トンというところになっております。  以上でよろしゅうございますかL3。
  400. 桑名義治

    桑名義治君 今後のいわゆるコンテナ輸送の動向についてはどのように把握されていますか。
  401. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 一応なぜ減ったかということを基調にして今後考えておるわけでございますけれども、コンテナの主体はやはり雑貨でございまして、雑貨と申し上げますと不況期には非常に弱い貨物でございまして、トラック業界の間でも物すごく取り合いがございますし、また、鉄道トラックとの間でも相当の競争もございます。その間に残念なことには、国鉄貨物の安定輸送といいますか、五十年度には八日間のスト権スト等ありましたし、また、いろいろと北には雪害等もありまして貨物がとまったというようなことで、荷主の信頼性を失ったことも大きな減ってきた原因であると思います。  その背景にはもちろん不況というのがございまして、これがますます競争を激化させておるというような事態であったと思いますが、今後はやはり私どもはコンテナの場合には動く道路として利用していただく、これは通運業者のみならずトラック業者にも利用していただく、現在たとえば九州の例で申し上げますと、宮崎、大分、別府等の雑貨を浜小倉に集約いたしまして、これはトラックで集約いたしまして、そして十トンコンテナで関東、関西に送っているという例もございますように、幹線を動く道路として利用していただくというような施策を大いに進めていくと同時に、やはり利用運送の主体でありますトラック業界あるいは通運業界と並行いたしまして、私どもも営業センター要員として七百人の人間を抱えておりますが、これらに十分具体的な市場調査をさせると同時に、やはり荷主の獲得、貨物の獲得に努力をさせていくということで、少なくともさしあたってこの競争の激しいのが直ちに伸びるというふうには考えておりませんが、ここしばらくは減らさないでがんばりたい、五十五年度ぐらいまでは横ばい程度で必死にがんばってみたい、こういうふうに考えております。
  402. 桑名義治

    桑名義治君 言葉のあやからいいますと、これは言葉のあやを使って申しわけないのですが、ここでは「着実な推進を図り、」と書いてありますね。ところが、いまの御説明では横ばいでがんばろう、こういうことで、どうもこの計画はところどころ妙なところがあるわけです。いずれにしましても、現在の国鉄の置かれておる立場というのは非常に厳しい立場に置かれているわけですから、コンテナの輸送についても最大の努力を払っていただきたいと思います。  次に、「地方交通線の改善」の問題についてお尋ねしておきたいと思いますが、これをずっと読んでみますと、いわゆる赤字の原因はこの地方交通線を持っているからだ、そのためにはまず合理化をやらなければならぬ。その合理化の中身は、まず無人駅をつくる、それと同時に、貨物の駅については集約駅をつくる、それと同時に、いよいよだめなところはやめたいと、こういう大体方向づけになっておるわけです。これ、やめたいとは書いてございませんけれども。だから、そういう立場から踏まえたときに、この地方交通線の改善の問題については、ただ単なるそういう廃止の方向、あるいは無人駅の方向、こういうサービスの面からいきますと大変に低下する方向、言うならば後退することによってその収支をあがなおう、こういう方向づけになっているんではないかと私は思うんです。  そこで私は、この地方交通線というのは営業上の面から、観点からいうと理解できないわけはないわけです。しかし、国鉄のいわゆる立っている基盤、それを考えたときに果たしてこういったいわゆる経営上の問題からのみ論じてよいものだろうか。この地方交通線の問題については、これは非常な公共性も当然この国鉄として持っていかなければなりませんし、歴史的な経過も勘案しなければなりませんし、地理的ないわゆる条件やあるいは交通体系というものも考慮する、その上に立ってのいわゆる改善策を考えなければならない。後退することばかり考えないで、それをどう生かすかというそういう前向きの方向で考えてこそ最も国鉄の置かれている立場が鮮明になってくるのではないだろうか、こういうふうに思うわけでございますが、その点はどのようにお考えですか。
  403. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これは、私どもとしましてもなかなかそう簡単に地方交通線について撤退作戦をとることはできないと思っております。実はもうこれ十年ぐらいやってきたわけでございまして、よく御存じのとおり、八十三線区二千六百キロについて何か対策を考えるんだということを言い出してから十年近くなるわけでございますけれども、結論としては十一線区百二十一キロしか改善といいますか、まあうちの方の立場からいって、やめさしていただくなり何なりの方法での改善という方法はできなかったわけでございます。そのことがいかに地元の方々にとって愛してもらっているというか、重要なものとして理解していただいているかということがわかるわけでございます。  そうかといいまして、ここに書いてございますように営業キロで四割を占めておる、しかし収入は三%だということではどうやってもうまくいきません。また、そこで働いている職員につきましても、運転をするにも非常に短い車を引っ張るということになりますし、車掌さんもわずかのお客さんを扱うということになりますし、駅員も一日の乗降人員がきわめて少ないところで、一日のうち何本か走ってくる車のために仕事をしなきゃならぬ、十分に働こうにも働けない、こういう状態になっているわけでございまして、これをどうしたらいいかということでございます。  と同時に、今回の衆議院でのお話し合いの中の「基本方向」でも明らかになっておりますように、率直に申しまして私どもとしては相当政府に援助をしてもらいたいわけでございまして、五十一年度、五十二年度と漸次政府の援助が飛躍的にふえてはきておりますが、二千億の赤字に比べれば非常にまだ少ないお金しかいただけない状態でございます。しかしここでは、この経営改善計画では部内でどういう努力をするかということでございますので、ここにはほかの部面でも助けていただきたい、援助していただきたいということは書いてないわけでございまして、自分で何をやりますかということを書いている部面でございますので、そのことは書いてないわけでございます。  さて、その援助を願うにしましても、自分たちでどこまで赤字を減らしていくかということはやっぱり必死に考えなければいけないということになりますと、この運輸政策審議会の審議の方向というのを早く出していただきたいという気持ちもありますし、同時に、地元の方々のひとつ御理解を得たいということもありますし、国鉄がこちら側の都合だけで何か仕事をしようとしましてもうまくいかないわけでございますので、何とかひとつ皆さんにいろいろ考えていただきたい。それを御相談しながら何か経費の軽減を図りたいということでございます。これはまあ難問中の難問でございまして、これからもなかなか容易でありませんし、大変時間もかかるし苦労の多い仕事でございますけど、しかし、もうあきらめたというわけにもいかない大事な問題だと考えているということで、そうした気持ちで全体を書いたつもりでございます。
  404. 田村元

    国務大臣田村元君) ちょっと私から政府立場でこのことに触れたいと思います。  運政審の答申が出ましたならば、可能な限り国鉄において地方交通線についてこれを整理する、これはまあ当然のことだと思います。しかし、いま桑名さんがおっしゃった地域の特性とか歴史的な経緯とか、確かにそのとおりだと思うんです。でありますから、運政審の答申に基づいて可能な限り整理するが、それでもなおいろいろな観点からこれは残すべきだというようなことで残った地方交通線に対しては、政府政府責任においてこれを保護していくということでございましょう。まあ構造欠損ということにつながりましょうから、これは政府責任において保護をしていくということになろうかと思います。
  405. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それについて関連。  この審議を通して一応ローカル線の問題は非常にこれは大きな問題なんです。まあ最終的に五十三年、五十四年の運政審、私の質問のときにも、運政審運政審でもう避けているわけですよ、極端に言えばね。で、運政審がどの声を聞いて――運政審だけの頭で判断することはどうかという問題が非常に私たちは疑問なんですよね、正直言って。われわれの委員のいろんな地方交通線に対する感覚というものを運政審がどうキャッチしていくかということは非常に私は重要な問題だと思うんですね。  したがって、運政審の考え方、確かにいろいろ広範な考え方を持っていると思いますけれども、われわれは、これだけ論議をしたこの地方ローカル線に対する考え方というものが反映できるような私たち委員会で場をつくりたいと思っていますけれども、これはやっぱりつくらなきゃならないと私は思うんです。ただもう運政審の考え方だけで一辺倒に抱えてしまうんでは、国民の声、あるいは国民の声を本当に聞いているわれわれ委員の声というものが、ある意味じゃこのローカル線対策に対して反映しないんじゃないかというまあ一縷の危惧を持つわけです。こういう問題について運輸大臣はどう考えるか。
  406. 田村元

    国務大臣田村元君) 運政審と言ってまあ逃げているというわけではないと思うんです。ただ、運輸政策審議会というれっきとした審議会に御審議をいただいておるときに、その最終答申が出ない間に先走って運輸省なり国鉄なりが断定的に物を言うことは避けなければならぬ。これは審議会に対する儀礼として当然のことだと思います。  でございますから、まあ運政審運政審と申すわけでございますけれども、さはさりながら、そのように言いながらも地方交通線、いわゆる赤字ローカル線というものはこれは構造的欠損の中に入りましょう。それに対して政府責任においてこれを処理いたしましょうと――いたしましょうじゃない、いたしますと。このように実は方向づけもいたしておるわけでございます。でございますから、要するにある程度の赤字ローカル線はやはり整理をしなきゃならぬことは、これまた事実。その整理の仕方ということについては運政審の最終答申が出るまでは、われわれは革命的な言辞を弄することはできない。  しかし、いま言ったように政府責任においてこれは必ず処理します。処理するということは国鉄が処理するのと政府が処理するのとは意味が違うんで、国鉄は整理をしたり、それからまたさっきの桑名さんのお話じゃないけれども、残すべきものは残すという判断をするでございましょう。残ったものについては構造的欠損、こういうことで非常に明確に私ども方向づけを当委員会においても明示しておるわけでございますから、この委員会の審議は、三木委員初め各委員の皆さんの御発言あるいは私のお答え等は、運政審に対して速やかにはね返っていくであろうというふうに思います。
  407. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう一点だけ。  それでは、地方ローカル線のこの廃止の問題でも、あるいはこれを継続するにしましても、いろいろな問題点があると思いますけれども、九千二百キロ、いま話題になっているわけです。この九千二百キロのうちの一番経営効率の悪い方は案外余り赤字になってないわけですね。根っこの方が、三分の一の根っこの方がこれは赤字が大きいわけですよ。こういう問題を具体的に国鉄に残して、残りの三分の二の負担が少ない方、これは政府が整理するという考え方にもし立ったならば、これはもう何にも構造的欠損というものは処理されないで終わってしまうという結果になってくるわけですね。  したがって、この九千二百キロなら九千二百キロ、この根っこの方の大事な国鉄に課せられた、大きな負担になっている部分の方をこれをどうするかということをまず真剣に考えなければ私はならない問題だと思う。こちらの簡単な方だけ食い逃げして、根っこの方の負担の大きい方だけを残してしまうというようなやり方は、これは私は運政審が結論を出したならば、構造的欠損はさらに解決が手間取るような問題になってくる、こういう点を私は強く要望しておきたい。これは要望で、結構です。
  408. 桑名義治

    桑名義治君 ここにうたっておるいわゆる「抜本的対策の策定と推進」、これ、意味がさっぱりわからぬわけですよ。結論が全然出てないんですね。先ほどから御答弁があるように、運政審の方向に沿ってだとか、地域の選択を尊重して適切な処置をとるとか、あるいはまた協議会の設置に努め基本的措置の決定及び具体化を推進するとか、結論的なものは何もないわけですよ。みんなどこかで頼っているという感じでこれを策定されているわけですね。  先ほどからお話があっておりますように、いわゆるこの地方ローカル線というものが完全に後退から後退を重ねて、そしてこの問題を解決しようという方向にあるわけですが、こういった立場から考えますと、今後はいわゆるローカル線の新設というものはほとんどあり得ないと、こういうふうに考えていいわけですか。
  409. 田村元

    国務大臣田村元君) また運政審と言っておしかりを受けるかもしれませんけれども、結局新線建設につきましても、赤字ローカル線と同じような感覚でこれを処理していかなきゃならぬだろう。でございますから、別に逃げるわけでも何でもないので、運政審のそれこそ最終答申を得ましたならば、AB線等につきましても同じ感覚で対処したいと、このように考えております。
  410. 桑名義治

    桑名義治君 私は、この地方ローカル線については、部分的にはやはり漸進的な立場をとりながら全体の赤字を少しでも薄めていくという、積極的な方針をとって薄めていくというそういう地域的な施策も必要ではないかと、こういうふうに思っておるわけですよ。  と申しますのは、これはまあまことに私の地元の福岡県の問題で恐縮でございますけれども、油須原線の計画がございます。この油須原線の計画は全長がいわゆる二十七キロだったわけですね。現在できているのが十七キロがもう開業しているわけです。あと残っているのは十キロなんですね。この十キロの場合も路床はでき上がっておるわけです。しかも油須原線とは申しますけれども、これ地域的な要素を含んでいるように思われるかもしれませんが、この十キロがつながれば行橋方面から博多にぱあっと一発で抜けるわけです。そして、その途中で後藤寺線ともつながるし、漆生線ともつながるし、ワーストナンバーワンの添田線ともつながる、こういういわゆる循環路線というものが完全にでき上がるわけです。  しかもその行橋というのは、これ苅田には日産が進出をしてきておりますから、この周辺の土地にはたくさんの小さな下請企業がずっと張りついてきたわけです。今後いわゆる産炭地の振興という立場から考えた場合には、この十キロの路床完了のところに線路を敷くということは非常に重大な地域の振興を意味するわけです。そうすると、漆生線も生きてくるし、添田線も生きてくるし、後藤寺線も生きてくる、しかもまた日豊線も生きてくる。こういうことにもなりますし、それから通産省が五十二年の十一月十二日出しておる産炭地振興の問題については、産業基盤の整備の中に鉄道の油須原線の建設ということもこれもうたい上げている。  こういういわゆる客観情勢のあるところは、私はむしろ後退に後退を重ねるよりも、積極的姿勢をとって全体の融和と効率的効果をねらった方がむしろベターじゃないか、こういうところがまだ他にもあるのではないか、それに対してどういうふうな見解を持っているかということはこれは重大な問題だと思う。だから、後退することばっかり考えないで、ちょっと手を加えればこれだけのいわゆる効率的な運営ができる。そうして全部を生かすことができるという面については、私はむしろ少し投資することによって赤字を薄めることができる、こういうふうに思う。そしてしかも地域の振興にも役立つし、地域の人々にも喜ばれるし、こういうことは非常にいいことだと思うんですが、その点どうですか。
  411. 田村元

    国務大臣田村元君) ケース・バイ・ケースだと思いますよ、結局。ケース・バイ・ケース。まあその線がどういう線か私は土地勘がないんですけれども、いまこうおっしゃったのを勘定してますと、一石五鳥ぐらいになるわけですね。ですから、まあ調べてみてそういういいことがあれば、そういうのはつくりゃいいでしょうし、まあたとえばこれは私の選挙区でも何でもありませんけれども、損をするに決まっておってもつくらなきゃならぬ線だってあると思うんですね。  まあ九州が出ましたから、お隣の四国を例にとりますとね、阿佐線なんというのは、あれは私やっぱり考えてやった方がいいと思うんですよ。ということは、四国の循環があれによってでき上がるわけですね。あれができないと、それこそ阿波池田なんというところへ途中で縦断していかなきゃならぬというようなことですね。もっとも、これ私詳しいのは、私のじいさんが土佐の出身なものですから幾らか詳しいんですが、いま何の利害関係もありませんけれども。  まあそういうことでございますから、やはりケース・バイ・ケースと。ですから、後退するばかりが能ではないので、整理するものは思い切って整理する。その整理はもちろん運政審の中間報告によれば、これは地域の選択であると。ですから地域の選択によって整理するものは整理する。これは新線建設においても同じことが言えましょう。けれども、つくった方がよいという認定をすりゃ、これは積極的につくっていくということじゃないでしょうか。いまのような一石五鳥とまでは言わないでも、三鳥ぐらいでもなりそうなものだったらつくりゃいいと。私は新線を、赤字になる可能性が強いからすべてつくるなという意見ではございません。  それともう一つは、これはまあ役人的発想じゃなくて、まあ私もこれ大臣という肩書き抜きゃ一個の国会議員でございます。そうしますとね、地域住民が、おれのところは鉄道の恩恵すら受けないのか、こう言って泣いておる地域たくさんあるんですよ。そういうことに対して、やはり人情味豊かな政治、行政が行われてもよいと思うんです。そういうこともあります。ありますから、まあここいらはぎくしゃくした考え方でなしに少し幅を持たして、人に大いに涙あり、情けありということの考え方もしてもいいんじゃないでしょうか。ただ、それに流されてしまうと、結局何にもならなくなるということがありますから、まあ智に働けば角が立つ、情けにさお差せば流されると言いますけれども、まあ情けにさお差して流されない程度に、また智が働き過ぎてぎくしゃくしない程度にこういう問題は処理していくべきものというふうに思います。
  412. 桑名義治

    桑名義治君 私は、これは私の選挙区内の問題を例に出したわけですけれども、別に陳情しているわけじゃないわけですよ。後退をすることを考えるよりも、一つの事例として、こういうふうにもうわずか十キロ、もう路床もできているわけですから、買収も全部終わっている。地域の人たち、もうかんかんになって怒っているわけですよ。もう鉄道をつくるから土地を提供せい提供せい言われながら提供したら、いつまでもつくらぬ。毎年毎年予算化されておるにもかかわらず全然仕事をせぬ。こういうことで怒っているわけです。  しかし、その怒っているとか怒ってないとかいうことは別問題にして、きょうはどうすれば国鉄再建できるかという話ですから、だからこういうふうな、わずかながら十キロ、路床もでき上がっているところへ線路を敷くだけでこういう有機的な鉄道網ができ上がる。そしてしかも非常にいまから先――産炭地は北九州、それから苅田、行橋、こっちの方面と博多とのその中間点にあるものですから、だから今後こういった路線ができ上がってくると大きく人間が張りつく可能性があるわけですよ。そうなってくると、ワーストナンバーワンの添田線だってまた生きてくると思いますしね、先ほど申し上げたように後藤寺線、漆生線も全部生きてくる。こういうことで私はこの問題をひとつ提起したわけです。  積極的方向で、どうすればいわゆる赤字を軽減することができるか、なくすことが――これができたことによってなくなるとは申し上げません。軽減することは少なくともできると、私はこういうふうな意味合いを持ってこれを一つの事例に取り上げたわけでございます。  そうすると、大臣考え方としては、そういう効率的なところ、あるいはまた赤字とわかっておってもローカル線を新設する場合もあり得ると、こういう認識に立っているということ、そう理解してよろしゅうございますか。
  413. 田村元

    国務大臣田村元君) そういう御理解いただいて結構です。ケース・バイ・ケース、こういうことでやらなきゃならぬが、しかし、大勢としては整理をしなければならぬものは整理をするという前提に立ちませんと再建に水を差してしまいますから、その大原則は曲げられないけれども、後退ばかりするものではないというふうに御認識いただきたいと思います。
  414. 桑名義治

    桑名義治君 次に、「連絡船輸送の改善」の問題でございますが、青函トンネル、本四架橋、こういった「建設工事の進行状況を勘案しつつ、今後検討を進める」と、こういうふうにこれはうたわれているわけでございますが、十五ページになっておるわけですが、これは今後どういう方向で検討するのかということが重大になってくると思うんです。たとえば、これもまた私の地元の問題を例に挙げて申しわけないんですが、一番よく知っているもんですから。関門連絡船が、これ民営で運航しております。これは大臣の方にも出したことがございます。ところが、この会社が関門トンネルができ、それから九州と本州との間の橋ができ、関門大橋ができ、ほとんどいわゆる破産状況まで追い込まれているわけです。  そういうことを考えますと、青函トンネルあるいは本四架橋の建設ができた場合には、これは相当連絡船の営業状況が悪くなるんじゃないか、こういうことが考えられるわけですが、そういった立場からもこの問題はやはり積極的にこれは計画を立て、そして検討する必要がある、こういうふうに思うわけですが、この点についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  415. 田村元

    国務大臣田村元君) これはおっしゃるとおりで、たとえば連絡船で働く労働者諸君のことを考えても、いいかげんにできないことでございます。まあ関門の場合は、すでにこれはでき上がったのが昔のことになりましたけれども、青函がやがて同じような経過をたどることになります。でございますから、これは本来国鉄がお答えすべきことでございますけれども国鉄において十分の対策を立てられることを望みますし、私どももそのように指導、監督をいたしたいというふうに思います。
  416. 桑名義治

    桑名義治君 国鉄の御意見はどうですか。
  417. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現在、青函とそれから四国の宇野-高松間、これだけが主要な私どもの連絡船の仕事として残っております。職員が大体二千人ぐらい従事しております。この問題については、将来青函トンネルをどういうふうに使うことになるか、それから本四架橋のときにどういう――御存じのように真ん中のルートは新幹線と在来線と両方走れるような構造でこれから建築を開始することになっております。  そうなりましたときに、まあお役目を果たすような形になる可能性があるわけでございますが、それまでにはまだ相当長い期間があるわけでございまして、その間にもたとえば船が少し老朽してきたとか、取りかえ時期が来たとかいういろんな問題があるわけでございますので、まだ青函トンネルなり本四架橋が現実的に動くようになりますには大分時間があるわけでございますけれども、いまからその落ちつく先についてだんだん見当をつけながらでございませんと、たとえば船の取りかえをやるとか、発着をいたしますところの護岸の整備をするとかしないとか、そういう問題がいろいろありまして実は相当弱っておるところでございます。  これらにつきましては政府当局とよく御相談をいたしまして、まずその前に青函トンネルの使い方をどうするのか、本四架橋の使い方をどうするのかということを詰めませんと、現在の船の仕事に従事している職員をどういうふうに今後遇していったらいいかということが決まらないというので、率直に申しまして「今後検討」というのは、まことに弱ったという意味での表現なんでございますけれども、そうかといって、ほうっておけない問題でございますので、先のことは先のこととしながら、その絵をひとつがきまして、それに向かってどういうふうに歩いていくかを決めておきませんと、従事している職員諸君に非常に不安を起こしますので、そのことをいろいろ考えたいという意味でございますが、それにつきましても、もう少し使い方の検討の前に、いまも申しましたように、青函トンネルと本四架橋のレール部分の使い方をまず先に検討してからそこへ入っていきたいというふうに思っております。
  418. 桑名義治

    桑名義治君 この問題も、間際になってこうしたいということになれば必ず混乱が起こると思うのです。したがいまして、これ重大な問題ですから、事前によく検討した上で方針をしっかり立てて、そしてその方向へと努力をしていく、こういうことにしていただきたいと、こういうように思います。  次に、「業務運営の能率化」の問題でございますが、ここでは「装置産業化した省力的運送機関への脱皮を図る。」と、こういうふうに書かれているわけでございます。この中身をずっと見てみますと、もうほとんど省力化、装置産業化した省力的いわゆる輸送機関への脱皮という、これは機械化ということですね、一口で言えば。ということは、非常にいわゆるお金がかかるということなんです。全体から見ましても、どの項目を見ましても、お金のかかる話がたくさん載っかっているわけですよ。いわゆるお金をかけて、そして省力化をする。こういう大体全体の展望になっているわけでございますけれども、これも先ほどちょっと大臣もお話がございましたけれども、むやみやたらに一遍で通してしまうと、これまた新たな赤字を生み出してしまうというおそれだって十二分にあるわけです。  そこで私は、現状の中で、こういった省力化に対する投資に対するいわゆるバランスシートをどこに置くか、どのようなバランスシートのもとに省力化を進めていくか、ここら辺が非常に大事なことだろうと思うのです。そうしないと、せっかく赤字対策ということで省力化を進め、投資したところが、かえってそのことによって財政が悪化してしまったという事態を招来することは、これはもうわかり切ったことですから、そのバランスシートをどこに置くかということが非常に大事なことだろうと思う。そういった意味で、そのバランスシートを全体の予算の中の何%、どの程度に抑え、どの程度に置いてこれを進めていくか、このことをお尋ねしておきたいと思います。
  419. 高木文雄

    説明員高木文雄君) この輸送のやり方を近代化するということは、二つの面で非常に有意義ではないかと思っております。  一つは、どうも非常に古い形の作業をやっておるわけでございまして、最近の若い職員諸君にはどうもなじまない、いまやそんな単純労務はいやだというような仕事がたくさん残ってしまっておるわけでございまして、その一つの典型は、貨物ヤードにおきます貨車の解結のために旗を振りましたり、それから貨車に飛び乗って連結をしましたりというような単純な業務は、はなはだ安全の面から見ても問題でございますし、それからきわめて単純な仕事でございますので、そういう仕事はもう御免だという傾向がだんだん強くて、そこへ職員が入ってまいりましても職員の定着率が非常に悪いわけでございまして、すぐやめてしまうというようなことが起こります。  したがって、なるべくそういう単純繰り返し作業でやるような仕事は減らしたいと、機械でできるものは機械でやりたいということでございまして、最近貨物ヤードの機械化、電子計算化というものを進めておるわけでございます。そういう面だけから見ますと、実は金目から見まして人でやるのと機械でやるのとどっちがよろしいかという計算だけでなかなかできにくい、たとえ採算的には必ずしも、人手でやった方がいいかもしれないという場合がありましても、だんだんもうそこへ働いてくれる人がいなくなってくるものでございますから、そういう意味で変えていかなきゃならぬという面もございます。  しかし、われわれの方はそういう問題の中でどうしてもやはり採算が合うものだけを取り上げてやっていくという考え方でございまして、たとえば、あるところに十億なら十億お金をかけまして、それで何人人手を機械力にかえられるかという計算をいたしまして、たとえば何年分の人件費と、それからその投資が見合うか見合わぬかというようなことでプロジェクトごとに計算をするということでやってきておるわけでございまして、その結果、先ほども御説明いたしましたように、八千六百五十億円の投資の中で千億以上のものをこういった方面に向けるということでかなり力を入れてやっております。  その計算は、千億という額をまず決めてからやっておるわけではないわけでございまして、プロジェクトごとに、どこのヤードを合理化するために幾らかかる、あるいは踏切等につきましても何とか新しくしまして踏切警手というようなああいう仕事を減らしていきたい、また保線の仕事にしましても、もういまや、つるはしでもって突き固めるということはどこでもやっておりませんけれど、手動の機械でこうやりますのも腱鞘炎の問題とかいろいろな問題がありますので、もっと大きな機械を入れて突き固めをやるようにするというようなことを考えておるわけでございまして、これはぜひとも今後の労務対策の上からも進めていかなきゃならぬことであると考えております。  決してこれは人手をただ減らせばいいということじゃなくて、そうした労務を需給面から見てもどうしてもやらざるを得ないというふうに考えておりますが、しかし、投資効率はどうしても見なきゃいけないわけでございますので、ちょっといま手元に詳しい数字はございませんが、一々のプロジェクトごとに、ここの投資はこの程度の金額であれば、何人の人手を機械力にかえられるのであれば投資効率が合うかどうかということは、これは大ぜいの人が寄って審議してやっておりますので、この点だけは効率面では相当いい結果が出ていると思います。  ただ問題は、人手がなくなるといいましても、逆に申しますと、そのことのために転勤が起こりますので、一人一人の人間にとってはやはり従来の仕事を続けた方がいいという人もおりますしというようなことで、なかなかここは機械化した方がいいとわかっていましても全部はやれないということで順々に端からやっておるということでございます。
  420. 桑名義治

    桑名義治君 私もこれ全面的にだめだと言っているわけじゃなくて、やらなきゃならないだろうと。しかし、いわゆる財政のバランスシートを崩すようなことがあってはならないと、このことを申し上げているだけの話であって、次に進みたいと思います。  次に、「関連事業収入等の確保」ということが十八ページに載っておるわけでございますが、いわゆるこの投資範囲、増収計画、これは現在できているわけですか。できてないとするならば、いつごろまでにこの問題は解決なさるのでしょうか。
  421. 高木文雄

    説明員高木文雄君) この問題は、ごく最近各方面から御指摘を受け始めた問題でございまして、まだほんの緒についたばかりでございます。この四行目に書いてございますように、資産活用懇談会を設けましたり、部外の知識を吸収しましたりということで、いわば始めたばかりでございます。で、この十月から三局か四局に開発を担当する部をつくりまして、来年の二月からまたそれを広げるというふうなことで、まずそれを担当する機構から整備を始めております。それと同時に、ここに六万七千ヘクタールと書いてございますけれども、このうちの一応未利用地が約二千ヘクタールで、一応利用見込みのあるものが約一千ヘクタールとありますけれども、これも全部一遍洗い直してみませんといけません、いままでそういう角度で物を見ておりませんから。帳簿はありますけれども、運用が可能かどうかというような角度の再認識が必要でございます。  そこで、こういうものを徹底的にリストアップすることと、それからどういうふうに使ったらよろしいかということについてブレーンストーミングをやるということが現在の段階でございまして、それによって何年間にどのぐらいの活用利益につながってくるかというところが浮き上がってまいりますには、なおしばらく時間をかしていただきたいと思います。いずれはそれを明らかにできると思いますけれども、現在の段階ではまだ毎年何百億、何千億になりますというところまで、それはいつまでになりますというところまでは明らかにすることまでの用意ができていないわけでございます。
  422. 桑名義治

    桑名義治君 そうしますと、「関連事業収入等の確保」についての投資範囲、あるいは増収計画、こういう計画はまだできてないと。いつごろまでにつくるという計画もありませんか、大体めどとして。
  423. 篠原治

    説明員(篠原治君) ただいま総裁から御答弁申し上げましたが、いま総裁が申し上げましたのは、これから新たに開発する分についての御説明でございます。ただいま国会で御審議いただいておりますところの第六条の改正が実現いたしました暁におきまして、新たにわが方で開発していく分について、どういうような開発をし、いかほどの収入があるかということが未定であるということを申し上げたわけでございます。関連事業は在来からもやっているわけでございまして、その分についての計画はもちろん持ち合わせております。ただいま総裁が申し上げましたのは、いまお願いいたしております新たなる発想に基づいて新たなる展開を試みようとする分については目下検討中であるが、在来から継続いたしてやっておりますところの分については計画は持っております。  御説明申し上げますと、昨年度の関連事業収入の実績は三百七十四億でございます。本年度の見込みが四百六十億でございます。私どもがいま考えております計画では、五十年代の終わりには一千億になるであろうという程度の計画は立てております。
  424. 桑名義治

    桑名義治君 その中で現在、いまお話がございましたけれども、いわゆる遊休地を有効に活用する、まあこれも一項目入っているわけでございますが、この遊休地のいわゆる活用についての基本的な考え方はどういうふうな考え方に立っているわけですか。
  425. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 遊休地の中で、現在は遊休地でございますけれども、いずれは複線化とか複々線化でレールとして使いたいという部分がございます。それからもう一つは、現在、将来にわたって不用であるわけだが、どうも周囲の状況からいっていますぐ恒久計画を立てにくいという部分がございます。そういうものについては、とりあえず暫定利用的なことで、たとえば駐車場であるとか、そうしたことで暫定的に使っていくことにしたいと思います。  それをやりながら、同時に都市側にお願いをいたしまして、周辺都市計画等を進めていただいて、その地域にマッチした計画を立てていきたい。これは私どもやはり公共的な役割りを持っておりますので、ぜひ都市側で都市開発あるいは区画整理、そういったものにこの土地を使うことに協力してもらいたいという御要望のところが山とございますので、その場合には、ただ売ってしまえばいいということでなしに、そういう方面に使っていったらどうかというふうなことを考えております。  それからここに、十九ページのところに汐留、梅田というような問題もありますが、これは汐留につきましても、梅田につきましても、東京都、大阪市にとりまして残された非常に重要な町の真ん真ん中の広い土地であるということでありますので、こういった問題はやはり都市側との相談を十分いたしました上での総合開発を進めていきたいと思います。  その他の土地がいろいろの種類ございますが、これらについては、あるものは売ります、あるものはそれを活用していろいろな、たとえばビルを建てるとかいうようなことを考えますというようなことで、個別にいま考えさしておるわけでございまして、それの具体案を立てるために、先ほども申しましたように各地方管理局に開発部を置きまして、その開発部に人を集めてきまして、これからやろうという段階でございます。
  426. 桑名義治

    桑名義治君 土地の高度利用、遊休地の高度利用ということでございますが、国鉄の用地管理についてこれは問題があるというふうによく言われているわけです。戦後三十年以上経た現在でもいまだに登記がなされていない用地がある、あるいは国鉄用地の権益を守るためには国鉄の土地であることをここで明快にしておかないと、次のいわゆる利用の段階でいろいろなトラブルが起こる可能性が十分あるんじゃないか、こういうように思っているわけでございますが、現在こういうふうにいわゆる登記手続がなされていない土地が何筆あってどのくらいあるんですか。
  427. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 登記がなされていないが四十五万七千筆ございまして、これは数が非常に筆としては多いように思いますけれども、全体の量からいえばそれほど大きな量ではございませんけれども、それで、ただいまそれ以外に、先生のおっしゃいますように、用地の境界標がなくなっているとか、あるいは用地図面が戦災で焼けてない、あるいは昔の古い用地図面のためにいまのメートル寸法でない、そういったようなものがたくさんございまして、これは五十年に行政管理庁からも御指摘を受けまして、私どもの方では、まず用地の境界、用地図の作成及び保存登記のされてないものについては登記、これはまあ昔、運輸省時代に大蔵省の土地だとか、そういうことで登記されていないものがたくさんございました。そういうものも整理をしていこうということで、一応十年計画でこれはやっていこうということで、一応毎年約四億程度のお金をかけましてこれを整備していくという計画を立てております。
  428. 桑名義治

    桑名義治君 こういうように膨大ないわゆる土地が無登記のままに置いてあるということ、これは一般的な常識から考えたら、考えられないことなんですね。考えられないことがこういうふうに存在しているというところにやっぱり大きないままでの国鉄の問題の一点があったんじゃないか、こういうふうに考えなければならないと思うのです。これ、十年計画で実際にこの膨大な未登記の部分は終わるんですか。
  429. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 五十一年から始めておりまして、五十一年度の実績は五万四千筆の登記がえ、保存登記をいたしております。したがって、この推移からいけば四十五万でございますから十年で一応できるというふうにいま考えて、そういうことで進めておりますけれども、山間部その他あるいは線路敷等で測量の非常にしにくいところの用地がたくさんございます。そういうしにくいところが、これからだんだんやりにくいところがございまして、その点がいまの実績ほどにはこれから進まないかと思いますけれども、主としてこれはいわゆる民地というよりも、大蔵省その他、あるいは建設省等とも、あるいは導水路等のそういうものが大部分でございますので、その点はいま先生がおっしゃいますほどずさんな管理をしているということではないということを一言申し上げたいと思います。
  430. 桑名義治

    桑名義治君 私はその考え方がずさんだと言うんです。厳然としてこれだけの未登記の部分があるんですから、いまだかつて過去にできなかったなら、いまどうしてできるんですか、やらなかったから残ったんでしょう。そして、やろうとすればできているんですよ、現実に。そういう答弁は不謹慎ですよ。一般の会社だったらこれは重大問題ですよ。そういう考え方は改めてもらわなければならない。運輸大臣どうですか、いまの答弁は。
  431. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これは私、前に大蔵省におりましたのでおわびをいたしますが、実は国有財産の登記につきましては従来から少しルーズになっております。これは軍用地その他全体を通じまして、要するに登記の手間ということとにらみ合わして全体の指導、監督が非常にルーズになっておったわけでございます。恐らく明治の時代からずっと今日までにかけまして、鉄道省時代から処理が必ずしもついていなかったんだと思います。それではいけないということはいま御指摘のとおりでございますので、鋭意始めたところでございますので、ひとつこれは十年でいいかどうかは私も少し考えてみたいと思いますが、過去の過ちを正していきたいということでお許しをいただきたいと思います。
  432. 桑名義治

    桑名義治君 先ほど申し上げましたように、総裁がそのように言われますので、もうここでその問題は触れませんけれども、しかし、実際にこんな膨大な未登記の土地がありながら、やらなければならないということで、一年に五万四千も一遍にできるんですから、できるということは過去サボっていたということになるんじゃないですか。それは困難なことはわかります。困難なことはわかるけれども、いまやろうと思ったらできているんですから、現実には。そして十年計画でできるとあなたはおっしゃっているんでしょう。じゃ、過去どうしてできなかったんですか。そういう姿勢から私はまず改めてもらわなければならない、こういうふうに思います。  それと同時に、この利用計画の中にも、改善計画の中にもございますように、その遊休地についてはいまから効率的に使うということになっておるわけですから、そうしますと必ず問題が、トラブルを起こす原因になるわけですから、いまのうちにすっきりした姿にこの際戻す必要がある、こういうふうに私は申し上げているわけです。  そこで、この再建計画の一環としてこういう姿勢を示しましたところが、住宅公団から土地を売却してくれとか、あるいはまた東京周辺におきましては、民間企業からいわゆる国鉄との共同開発を強く要望しているところが出てきておるわけでございますが、こういった問題に対する具体化したところがありますか。それと同時に、こういった問題に対して今後どういう対応を示していこうと考えられておるのか、そこを御説明願いたいと思います。
  433. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 遊休地とは言えませんけれども、宿舎用地で木造平家建てで使用効率の悪いところがたくさんございます。それをいま少し効率的に使おうではないか。一つには土地の利用ということもございますけれども一つには非常にいま宿舎が老朽化しておる関係もございまして、しかし、宿舎に回す金がとても余裕がないということもあっておくれておりますので、その意味も含めてそういうことを進めておるところでございますが、きわめて具体化いたしかかっておりますのは北海道札幌の事例でございます。  ただ、これは初めてのことでございますので、住宅公団もああいう特殊な機関でございますから、十分いろいろなルールに従わなければなりませんので、どういうふうにしたらよろしいかということでいささか手間取っております。ただ、これも一つ例をつくりますれば右へならえでやっていけることになると思いますから、そういう意味テストプランという意味で有意義ではないか。まだ最終的に住宅公団との話し合いは詰まっておりません。  それから、東京の周辺の過去に貨物駅でありましたところ等につきましては、民間のデベロッパーの方々等から、自分らならばこういうふうに使うんだがといういろいろお知恵の提案がいま出てきておるところでございます。ごく一部、蒲田の駅で自動車の共同販売所に提供した場所があるなんということで、まだ数えられるほどしか成功しておりません。しかし、それはいずれも、こういうことを始めまして、そういうことが世の中にだんだん伝わりまして、この七月なり八月なりからどんどん出てきておりまして、いまうちの方の、それをどうしたらよろしかろうかというこの御提案を読み取るだけの能力を持った人間が数だけそろってないという現状でございますので、まずそういう陣容を整備していきまして、そして対案を立てていきたいと思います。来年はちょっとまだどうかと思いますが、再来年ぐらいになりますれば、かなりのテンポでそういう案が具体化していくのではないかというふうに考えております。
  434. 桑名義治

    桑名義治君 この問題につきましては、大臣としてはどういうふうにお考えになられますか。
  435. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は、基本的な考え方としては、用地はなるべく日銭の入るような形で高度利用すべきだろうという考えを実は私個人は持っているんです。でありますから、まあたとえば都市再開発とか、住宅公団等も入れまして再開発とかいろいろなことをやるのがいいんじゃないかと思いますけれども、しかし、土地を売らなきゃならぬときにはやっぱり売った方がよいだろう。ただ問題は、別に大蔵省に対する不信感でも何でもないんで、さらりとお聞きを願いたいんですが、大きな土地を売って相当莫大な金が入った、そうすると、これだけ金が入ったから来年の助成はこれぐらいでいいだろうというようなことになったらこれは売り損になりますよ。でありますから、そこいらはきちっとしたルールをつくってやるべきじゃないだろうか。  国鉄の用地を売るとすれば、時価で売るとしても一般時価よりはずっと安いでしょう。でありますから、住宅公団なんかもいいところ、いい場所にいい土地を安く買うことができればそれだけ入居者にとってもプラスになるんですからこれはいいことでございますけれども、いまそういったようなちょっと懸念がございますから、そこいらのルールはむしろ運輸省が中に入ってきちっとけじめをつけておいてやるということの、それ、ぐらいの注意はしておいた方がいいだろうと思います。
  436. 桑名義治

    桑名義治君 登記がなされてない土地のほかに、余りにも放置しておったためにかえって地域住民に大変な迷惑をかけているという土地もあるわけですね。  これまた地元の問題を申し上げて申しわけございませんが、福岡の国鉄志免炭鉱の跡地の問題でございます。これは町の発展を物すごく阻害しているわけなんです。それと同時に非常に膨大な土地でございます。いわゆる現在は五十六・三ヘクタールが残っているわけですね。ボタ山部分を除く二十四・七ヘクタール、これだけの土地が残っている。ボタ山ももちろん邪魔になりますけれども、いわゆる余りにも広大な土地が全部草がぼうぼうに生えているわけです。そして国鉄はこの草を除去するために年間どのぐらいの投資をしていますか。
  437. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いままでははっきりした統計ございませんけれども、年間恐らく百万円ぐらいの程度しか除草費はかけておりません。そこで、これはこの前も衆議院でも御指摘をいただきました。一応この年度末までに、ボ夕山は別としまして一般の市街化の中にある土地については除草をしたい。なお、ここは昔の木造の一棟二戸建ての住宅で約四百二十九戸の私の方の宿舎がございます。そのうち百九十八一尺約半分近くがあいたままになっているために非常に荒れほうだいに荒れております。  そこで、いろいろ御指摘受けましたので、私の方もこの土地全体については関係四カ町並びにその関係する方々に、これ一括して処理したいので具体的な計画をお互いに立てようということで御提示を申し上げておりますけれども、それには若干時間がかかると思いますので、いま除草をするほかに、ただいまの入ってない家の壊し得る建物については、この年度末までに除却をしてきれいにしてしまいたいということでとりあえず進めてまいります。  なお、あと将来、町といろいろ打ち合わせをするためには早目早目にこの木造宿舎を整理しまして、私の方で鉄筋コンクリートの高層にするならば、それをつくっていかないと木造全体が壊し得ませんので、そういう計画もこの年度末から進めていきたいということでただいま対処を、計画をいたしております。
  438. 桑名義治

    桑名義治君 いまあなたのおっしゃったように、膨大な平地に草がぼうぼう生えておる。しかも炭住がほとんど、いわゆる半分以上があきっ放しになっておる。そういうことでいわゆる不良化の温床になっているわけですね。あそこの青少年対策委員会が調査をしましたところが、その空き家にはコンドームから汚物が散乱しているというんです。しかもこれだけの二十四・七ヘクタールの除草をするのに年間百万円で大体どのくらいの草が取れると思いますか、端っこ、ちょぼっとですよ。どこ取ったんですかというぐらいしか取れていません。  かえってこういった遊休地が遊んでいるために地域の発展を阻害し、地域住民に多大な迷惑をかける、こういう事例もこういうふうにあるわけですから、これは早急に国鉄としてもやはり地元との話し合いをさらに進めて解決の方向へ手を打っていかなきゃいけない、こういうふうに思うわけでございます。この点についていま御答弁がございましたが、総裁の御意見を伺っておきたいと思います。
  439. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 昨年の国会でこの問題が問題になりまして、私の方でもかねがね苦慮いたしておったわけでございますが、これは早く進めなければいけないということで一七月でしたか八月でしたか、本社から常務を差し出しまして、ここの処理問題について全体として、いま高橋常務が説明いたしましたように、関係市町村の方と、さらに県にも途中入っていただいて、いま処理方針について精力的に話を詰めております。  同時に、いまのとりあえずの問題として、この廃墟化しておるところの除去、清掃を至急にやるということにいたさしておるわけでございまして、なかなかボタ山問題の処理がむずかしい問題になりますので、どうやってお話し合いをしたらよろしいかということで二、三まだ詰まってないところもございますが、十年近くもこれ懸案になっておったわけでございますけれども、解決までに長い時間を要したのと比べますと、比較的短い期間内に何とか解決方法を見出し得るというふうにいま報告を受けておるところでございます。
  440. 桑名義治

    桑名義治君 最後にお尋ねをしておきたいことは、いわゆる「既存関連事業の効率化」という点でございます。それと同時に、今度国鉄がこういった未利用地等のいわゆる利用計画、利用する計画があるんだということで、第一弾として蒲田駅の貨物跡地二千八百平方メートルを中古車販売売り場として貸し出しているという話を聞いておるわけですが、この貸し付けの条件、これをお尋ねをしたいと思いますし、それから国鉄鉄道弘済会の子会社である弘済建物に貸したところが、また日本自動車販売に又貸しするということになっているという話が上がってきているわけですが、この点はどういうふうになっているのですか。
  441. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 蒲田の土地につきましては弘済建物株式会社にまず貸しました。弘済建物株式会社が日本自動車販売株式会社にまた貸しているというかっこうで、ただいま暫定的に利用したいということで、暫定利用ということで、ついこの間利用することにしたわけでございます。  私の方は、いまのところはいわゆる通常の土地代として弘済建物から私の方は納めてもらっておりますけれども、いずれこれは販売台数に比例させて、販売台数が多くなるに従ってよけいの収入が入る、そういう方式も来年度以降については加味した姿で収入を上げたいということでございますが、最初の一年間はどういう状況になるかわかりませんので一応土地代を基準にしてお貸しをしております。これにはそれ以外の目的に使わないということと、かたい建物をつくらない、そういうような条件で、半年契約で更新をしないということで貸しておるのが実態でございます。
  442. 桑名義治

    桑名義治君 それは、蒲田の分だけでしょう。
  443. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) ええ、蒲田のです。
  444. 桑名義治

    桑名義治君 弘済建物とこれ同一ですか。日本自動車販売に出しているというものと一緒ですか、場所は。
  445. 篠原治

    説明員(篠原治君) 弘済建物に国鉄が貸しまして、自動車販売に弘済建物が貸す。なぜかと申し上げますと、先ほど総裁が御答弁申し上げたのとちょっと違いますけれども、これは永久的な使用とわが方では考えておりません。蒲田のこの土地は、将来におきましてはもっと本格的な使用方法も当然あり得るという考えでございます。したがいまして暫定的な利用である。  と申し上げましても、いざ立ち退きということになりますと、往々にしてそういうお約束でスタートいたしましてもトラブルが起こることもございますので、弘済会の系列の弘済建物、これはわが方から申し上げるのもどうかと思いますけれども国鉄との関係は非常に密接でございますし、信頼感におきましては他の会社とはかなり違うわけです。わが方はそこを一つのクッションと申しますか、弘済建物に貸すと、弘済建物の責任において、わが方で本格的な使用という問題が起こりました場合には、責任を持って明け渡してもらう、こういうことを考えましたがゆえに弘済建物というところをワンクッションに置いたということでございます。
  446. 桑名義治

    桑名義治君 じゃ、一つのそういう事例が出た場合、又貸ししてもいいということですか。弘済建物とわが方と、国鉄の間に親密な関係があるから又貸ししてもよろしいということになれば、それは考え方によったら変な癒着があるというふうに考えられますよ。それはまたおかしいですよ。そうしたら、おれのところだって又貸ししていいはずだということで、いまのそういった立場にある、借りているところはもう全部又貸ししちゃうですよ。阻止できませんよ。そこら辺がずさんだと言うんですよ、要するに。
  447. 高木文雄

    説明員高木文雄君) それは、いまの説明が悪いからそういう感じでお受け取りいただいたわけでございまして、何年でございましたか、国鉄の土地、高架下の貸し方について行政管理庁ですか、検査院ですか、行政管理庁から指摘を受けまして、三十九年か四十年でございます。そこで国鉄は、その後は自分で直接土地を貸す、高架下を貸すという方式を一切やめました。そしてそういう管理に当たる高架下会社というようなものをつくりました。  何しろ細々した仕事でございますので、現場の事情を知ってる人がよく見ていませんといけません。役所で直接やりますと、人事異動で人がかわったりなんかしている間におかしくなるものですから、そういう会社に貸して、そこが管理しながら貸していくという方式の方がよろしい、直接管理方式よりも間接管理方式のがよろしいということになりまして、三十九年以降はそういう子会社といいますか、そういう会社に一括渡しましてそこから貸す、こういう方式にしております。それでないとなかなか行き届かないわけでございまして、いわゆる又貸しの概念ではないわけでございます。  今回の場合にも、実は率直に申しまして、そういうことに使うんだということの方が、つまり駐車場なり自動車販売場として使うんだという方が先に決まりまして、それらは国鉄の方の本社の初めてのケースでもございますので、本社の担当者がそれで全部プランを立てました。しかし、いよいよそれを実施するについては、直接貸すよりも管理会社的なものに貸した方がいいということで、東京には幾つかの管理会社がございますが、そのうちの一つである弘済建物に貸して、それからまた貸すようにしたということでございまして、実は又貸しではなしに、そこに貸すことの方がいわば先に決まっておって、管理、マネージメントのために、間におまえ入ってやってくれと、こういうかっこうにしたものでございます。
  448. 桑名義治

    桑名義治君 いずれにしましても、いまから先こういった、いわゆる悪い言葉でいえば利権というものが生まれやすい温床が再びここででき上がるわけです。この事業そのものについては私反対しているわけじゃありません。賛成しているわけですが、しかし、悪い言葉でいえばそういう利権というものが、新しい利権というものが生まれてくる。そこにまた忌まわしい問題が起こってくれば、せっかくのこういった再建計画にもどろがつくし、そしてまた、いままでのこういったいろいろな事業を行っている面もあるわけですから、そういう面も一切合財洗い直して、新しい再建への出発をするような最大の努力をしていただきたいと思います。  以上で終わります。
  449. 内田善利

    委員長内田善利君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後九時五十六分散会      ―――――・―――――