○内藤功君 では、次の問題に入りたいと思うんです。
国鉄をどのようにして
再建をしていくかという問題について、二、三お聞きをしたいと思います。これは大問題ですから、きょう全部が質問し尽くせるかどうかはわかりませんが、その中の幾つかの問題について、政府のお考え、
国鉄当局のお考えを伺いたい。
私ばまず、このような
運賃の
値上げ自由化
法案というものが出されてくる前に、当然、
国鉄当局からはこのように
経営を
改善してがんばりますという案が出るとともに、政府の側から詳細な、個条書きというんじゃなくて、詳細に、このようにして
国鉄を
再建さしていきますという、政府の責任を持った
文書がやはり出されるべきだったと思うんですよ。そういうものが現在出されているか。
五十年の十二月の
再建要綱、五十二年の一月の
再建要綱、いずれも異常な客離れその他の要因によって見通しの誤りがもうはっきりしてきた。こういう
国鉄再建についての政府の提案が出、
国鉄当局の提案が出、そして各党もそれぞれ
再建案を持っているからそれを出し、それから
国鉄に働く労働者、きのうも富塚三夫氏が来て公述人として話されたが、
国鉄労働者のつくっている国労その他の労働組合の案もあると思うんです。こういうものも出して、そうしてここで論議をして、その上に立って
運賃はどうあるべきか、このまま据え置くのかどうするのかという問題を論議する。いわんや、国会にかけるかかけないかという問題はその次の問題なんです。
ところがこの国会では、先に、
運賃の
値上げを国会
審議から外すという、これだけがひとり歩きをして出てきているというところに私は大きな問題があると思うんです。私の方の党も、十一月一日付で「五つの転換こそ急務」と題する党の見解を国
会議員団名で発表いたしました。これは当
委員会の理事会でも私が理事諸
先生にお配りをし、政府側にも差し上げ、御検討をお願いしておるところであります。私はこういう論議が行われないまま、
運賃値上げ法案というものが非常に急いで通せ通せと言っている動きがあるということは非常に不思議なことだと、遺憾なことだと実は思っているわけなんです。
そこで私は、この私どもの考え方に沿って若干の質問を行うものでありますが、まず、この客離れという問題、これがやはり今日及び将来の日本の
国鉄の運命を悪い方向に決していくんじゃないか、こういう憂いがあります。何としても防止するいろんなことを考えなくちゃいかぬと思う。いままでは貨物離れだったんだが、今度は大幅
値上げによる予想外の客離れが起きている。
そしてこの間の監査
報告書でも、「
運賃改定後の
状況からみて、将来の
運賃改定による収入の増加についてもおのずから限度があると考えられるに至った。」と言わざるを得なくなっております。私は、もう
運賃値上げ政策というものが破綻してきたということがこの監査
報告書でもはっきり示されてきておると思うんですね。これは会社にたとえると、サービスあるいは商品を提供しても利用されない、買ってもらえないということであって、普通の会社で言うならば、生産した商品が値段が高過ぎて買ってもらえない、サービスが悪くて買ってもらえないという実にいま深刻な問題に逢着をしていると思うんです。で、いままで稼働してきた設備など
国鉄の抱えている輸送能力の一部が、こういう客離れが進んでいくというと遊んでしまうということになってくる。まさに私は
国鉄の
経営基盤が揺らいでいるという問題だと思うのであります。
国民のための公共事業である
国鉄に対して、このような
事態を招いた責任というのは非常に重いと思います。民間の
企業ならば、経堂者は株主総会でこれはもうつるし上げられるようなことをしたのであります。
それなのに政府と
国鉄経営者は、いまだに責任をとるどころか、逆に株主であるところの
国民に対していろんな負担を要求し、そうして、いままでのこの
経営の破綻についての陳謝というものが、いままで
国鉄当局の書いたいろんな
再建についての
文書や政府の
再建要綱には、こういうところに至ったのはあたかも適時適切に
運賃が
値上げできなかったからだと、あるいは適時適切に
運賃値上げすることについて反対する人がいたんだと、あるいは国会が非能率的だと、あるいは新幹線なり事業について非
協力の住民がいたからだというところに問題を持っていくような傾向はないのか。みずから自分たちの
経営の破綻というものについて、
国民に対して責任を感じ、陳謝をするというまず
姿勢に立たないと、
国民は高い
運賃値上げ、料金の
値上げで
協力してやるという気持ちにはなりませんよ。これはもう去年もぼくは言った。いつでもぼくは言うつもりなんですが、こういうまず
姿勢ですね。質問の最初でありますから、この点をまず聞いておきたいと思うんであります。