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1977-11-22 第82回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二十二日(火曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————    委員異動  十一月十八日     辞任         補欠選任      増岡 康治君     井上 吉夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         内田 善利君     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君     委 員                 井上 吉夫君                 伊江 朝雄君                 石破 二朗君                 江藤  智君                 衛藤征士郎君                 佐藤 信二君                 高平 公友君                 平井 卓志君                 青木 薪次君                 穐山  篤君                目黒今朝次郎君                 田代富士男君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君    衆議院議員        修正案提出者   加藤 六月君    国務大臣        運 輸 大 臣  田村  元君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     吉岡 孝行君        運輸政務次官   石井  一君        運輸大臣官房長  山上 孝史君        運輸大臣官房審        議官       真島  健君        運輸省港湾局長  大久保喜市君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        労働省労働基準        局安全衛生部長  野原 石松君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        警察庁刑事局捜        査第二課長    加藤  晶君        法務省刑事局刑        事課長      佐藤 道夫君        法務省人権擁護        局調査課長    中津川 彰君        文部省大学局学        生課長      浪貝 一良君        厚生省社会局更        生課長      金瀬 忠夫君        労働省労働基準        局労働衛生課長  宮野 美宏君        会計検査院第三        局長       松尾恭一郎君        会計検査院第五        局長       東島 駿治君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道副        総裁       天坂 昌司君        日本国有鉄道常        務理事      田口 通夫君        日本国有鉄道常        務理事      小林 正興君        日本国有鉄道常        務理事      高橋 浩二君        日本国有鉄道常        務理事      馬渡 一真君        日本国有鉄道常        務理事      橘高 弘昌君        日本国有鉄道常        務理事      吉武 秀夫君        日本電信電話公        社総務理事    山本 正司君    参考人        日本鉄道建設公        団理事      平岡 治郎君        日本鉄道建設公        団理事      大平 拓也君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改  正する法律案(第八十回国会内閣提出、第八十  二回国会衆議院送付) ○派遣委員報告に関する件     —————————————
  2. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十八日、増岡康治君が委員を辞任され、その補欠として井上吉夫君が選任されました。     —————————————
  3. 内田善利

    委員長内田善利君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、派遣委員報告に関する件についてお諮りいたします。  当委員会は、法案審査に資するため、去る十六日、福岡県に委員派遣を行い、いわゆる福岡地方公聴会を開会し、現地における意見を聴取してまいりました。  また、去る十九日、静岡県に委員を派遣し、つぶさに現地の実情を調査してまいりました。  つきましては、派遣委員からそれぞれ委員長の手元に報告書が提出されておりますが、口頭報告は省略し、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 内田善利

    委員長内田善利君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  5. 内田善利

    委員長内田善利君) この際、田村運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村運輸大臣
  6. 田村元

    国務大臣田村元君) 先般来の御質疑の中で、もし仮にこの法案が成立した場合に、法定制から運輸大臣認可へと大きく審議の形態が変わるわけだが、それに対して厳しくチェックをするということの点で疑義がある、これはどうするつもりか、こういう意味の御質問がございました。それに対して私は、運輸審議会に何かダブルチェックをするような機関を設けてはどうかとこのように考えます、それを検討しております、こういうことをお答えいたしました。  非常にまだ大ざっぱでございますが、一応成案を得まして、運審の方とも、非公式ではございますが折衝をいたしました案、これを今日持参いたしましたので、これからの御審議の御参考の糧としてお聞きをいただければ幸いと存じます。  「国鉄運賃法定制緩和にあたり、これについての運輸審議会における審議改善するため次のような制度改正を行う。」  一つ、「運輸審議会は、利用者代表を含め各界を代表する方々専門調査員に委嘱し、その意見を直接に求め、又は公聴会において公述していただくこととする」。つまり、専門調査員を委嘱いたしまして、直接その意見を求める、あるいは公聴会で公述をしていただくということになりますが、この場合各党推薦というような措置を講じることが望ましいと考えております。  それから、これだけではいかがなものかということで、二番目には、「専門調査員国鉄とは、公聴会において相互に質問することができるものとする」ということを一つ入れました。これによって専門調査員発言の機会とウエートが重くなるということでございます。  それから三番目には、公聴会は、当然のこととして、運輸審議会がみずから主宰して開くものでございますが、こうした制度を設けますのに、いいかげんなことでは困りますので、運輸省設置法第十八条第二項の規定に基づきまして、運輸審議会からの勧告を受けて運輸審議会一般規則、これは運輸省令でございます。これを改正する必要があると存じます。つまり省令改正によって専門調査員というものを委嘱する、このようにいたしたいということでございまして、すでに運輸審議会に検討をお願いして、いま申し上げたような点につきましては、おおむね御了承を得たところでございます。  以上でございますが、きょうからの御審議にいささかでも御参考になればと、私なりに精いっぱいのことをいたしてみました。  以上御報告申し上げます。(「文書で出してくださいよ、文書で配ってもらいたいな」と呼ぶ者あり)
  7. 内田善利

    委員長内田善利君) 運輸大臣文書で出していただけますか。
  8. 田村元

    国務大臣田村元君) なお、これはいま直ちに文書でお配りをいたします。ただ、コピーする時間だけはいただきとうございます。
  9. 内田善利

    委員長内田善利君) これより本案の質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 田代富士男

    田代富士男君 日本国有鉄道再建対策につきまして、種々議論がされておりますが、その議論の中で、国鉄再建するにはどうすればよいか。端的に申し上げるならば、三点に集約されるのではないかと思います。  第一点は、当事者であります国鉄自身企業努力をどのようにしていくかという点でございます。第二点は、それに対する国の助成をどうしていくかという問題点であります。第三点は、国民協力をどのようにして得ていくかという三点ではないかと思うのであります。  ところが、第一点、第二点、この議論を通じましても明確にされておりません。第三点の、国民協力をさせる、してもらう、こういう法定制緩和というものがいま議論されておりますが、原案によりますれば、試算いたしますれば、二五%から上限では——計算の仕方によっても違いますが、三七%というように運輸大臣の認可できる範囲というものが決められておりましたが、それも修正案によりましてその限度額というものがずいぶん下げられております。  このように考えていきますと、国鉄再建というものは果たしてできるのであるか。やはり一番の国鉄自身企業努力、二番目の国の助成をどうするかと、ここに国鉄再建一つのかぎがかかっているのではないかと思いますが、国民値上げをお願いする前に、国鉄当事者として、いままで企業努力をどのようにしておいでになられたのか、ひとつ総裁からお答え願いたいと思います。
  11. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 国鉄現状は、非常にいろいろな要素が重なり合いまして、結果として経営的あるいは財政的に非常に困難な状態になっているわけでございまして、原因がいろいろございますだけに、一口になかなか経営努力をどういうふうにしてやっていくかということについて申し上げにくいわけでございますが、まず何よりも第一に考えますことは、何分現在の鉄道、特に国鉄の場合には非常に大ぜいの職員の手によって列車あるいは貨車が動いておる、大変人手を要する仕事であるということでございますので、その意味におきまして、やはり何と申しましてもいわば労使協調と申しますか、四十万人を超える職員がまなじりを決してこの状態に取り組むという空気が出てくることが第一と思っております。何しろ、戦後六十万人の職員がおりました当時から今日まで、それなり努力はされてきたことでありますけれども、その間におきましていろいろどうしても摩擦が生じまして——企業の場合には、どの企業でもやはり縮小過程を歩むということは非常に骨の折れることでございまして、大変摩擦を生じまして、そのことがいろいろな意味で今日も、いわゆる企業努力を積み重ねていく上において障害になっておるわけでございますが、しかし、事ここに至りました現状では、やはり過去は過去のこととして、相互理解を深めつつ協力して、能率的な運営に向かって歩んでいくということが必要であろうと思っております。  その場合に、具体的にどういうふうに進めるかということについては、この四月に、まず十分なものではございませんけれども、改善計画ということで大体のいま考えております案をお示しをいたしたわけでございますが、これは御存じのように、貨物あるいは荷物、自動車というような分野について、いささか能率経営に移していくための一つの提案をいたしておるわけでございますけれども、それ以外にも多々これから取り組んでいかなければならない問題があるわけでございまして、今後ともそういうことをいろいろ考え、また労使間でも話し合いを積み重ねてまいりまして、何か一つの案でずばりとうまい案はないと思っております。細々したことを積み重ねていく以外にないと思っております。したがって、そうしたものをだんだんと積み上げていきたい。  その中で、やはり一つ大きな問題は地方ローカル線の問題でございますが、これらにつきましては、しかし、やはりその地域地域においてきわめて重要な役割りを果たしております。経営的には非常に困るわけでございますけれども、やはりそれなり地方地方において役割りが果たされておりますから、地域住民方々がどう考えられるかということを中心にして考えていかなければなりませんし、なお非常に多くのものはこれは残していかざるを得ないわけでございますから、現在もお願いをしておりますが、政府助成をお願いせざるを得ないわけでございますけれども、そのことについても、しかしまた納税者の皆さんの御理解を得られるようなことをいろいろと考えていきたいと思っております。  他にいろいろございますが、いま短時間で申しますならば、そのようなことが私どもが考えておるところでございます。
  12. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、いま総裁は、いまからの再建問題等も申されまして、努力はしてきたとおっしゃいますが、私はいまお話がありました、過去のことは過去のこととしてやっていかねばならないとおっしゃいますが、過去にどういう企業努力をしてこられたのか、こういうような姿勢であってよいかという一つの例を申し上げますと、国鉄の北海道、あるいは四国総局及び釧路ほか二十六の鉄道管理局におきまして、特別急行券特別車両券寝台券等乗車券類のうち、料金関係のものの保有数量というものが著しく過大であったがために、料金改定に対する処置がまた適切でなかったために、大量の特急券を破棄した、こういう事態があります。  これは、国鉄が五十年十一月二十日から特急料金改定を実施した折に、駅において保有していたところの旧券というものは、料金改定の印を押すなどいたしまして過渡的には当分の間使用できますけれども、その大部分、概数一億二千三百一万余枚、これは製作費にいたしますと二億三千百七十一万余円になりますけれども、これが総局等で取りまとめて廃棄処分にされた。こういうことが、特急料金値上げをお願いします、このように値上げをしているその陰にありまして、国民に負担を課す陰にあって、このような事態が生じている。  これは、駅等に対して管理する総局等が、乗車券類保有及び請求の適否につきまして指導、監督を適切にしてなかった、また料金改定時におきまして、請求及び印刷数量調整など適時適切な処置を怠っていたがために、こういう枚数にして一億二千三百一万余枚、金額にして二億三千百七十一万余円が国民の前にさらされずに処理されてしまっている。こういうような企業努力であって、国民運賃値上げをお願いしますという——これでも企業努力されたのでしょうか。総裁、どうでしょうか。
  13. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) ただいま先生指摘のように、会計検査院から昭和五十一年の十一月二十六日に、総裁あてに書面が来ておりまして、御指摘のようなことでわれわれ承知しておって、これの改善についてでございますが、もともとこの辺の経過を調べてみますと、確かに局でのチェックというものが十分でなかった点があるということが一つあるわけでございます。それから、当時、四十九年ごろまで、運賃改定がわれわれが考えておった日に必ず実施するという形でありませんで、かなり延び延びになったりしたような事態がありまして、現場で古い券を持って売っておるのが、だんだん手持ちが少なくなって、窓口で非常にお客さんとの間で手持ちが少ないためにいろんな職員が困るような事態があるということで、その辺がだんだん多く持つようになったことではないかと思いますが、非常に過大ではないかという御指摘を受けまして、翌五十二年の一月二十日に経理局長旅客局長の両局長名で各鉄道管理局長に対して注意をいたしております。  で、鉄道管理局におきましても、こういう事態を踏まえまして、いろんな経路をもう少し厳しくするとか、あるいは審査チェックする、あるいは五十一年の料金改定に際しましては、これに対して事前にチェックをいたしまして、旧券の印刷をとめてしまうというようなことで、かなりストックを減らしてまいりました。いろいろ措置しました結果、最近の実態では、五十二年の八月末現在の乗車券保有数量は八千五百万枚ということで、ここに書いております七千五百万枚より少し多いわけなんですが、かなりこれに近づいておるという実態でございます。で、昭和五十年の九月末と比較しまして四七%減少しております。それから、五十一年度会計検査院による実地検査を受けて以来、いろいろ推進してきまして、五十年の料金改定の当時の一億二千三百万枚に比較しまして、昨年の運賃改定のときには四千六百万枚ということで、三七%にとどめるような努力をしてまいったわけでございます。
  14. 田代富士男

    田代富士男君 いまお話を聞いておりますと、運賃改定の時期が明確でなかったためにそういうような残数が出たというような御説明でございまして、現在はそのようなことがないように努めているとおっしゃいますが、五十年九月現在において——承知のとおりに、この保有数量の所定の数量は、それぞれの基準というものがあることは御承知のとおりだと思うのです。それで、運賃改定がされる予定の時期前に調べられた時点におきましても、御承知のとおりにこの基準規程に基づいた適正な数の二・三倍の保有がされているじゃありませんか。そうでしょう。まして今度は運賃改定か五十年十一月——九月の十六日に運輸大臣に申請されている、だから、これは近々そういう特急料金改定があると、これは通達が行っている。にもかかわらず、十月度にさらに旧券を発注している。十月以後に旧券を発注している。その枚数が千五百十八万余枚あるじゃないですか。いまの説明と違いますよ。  こういうような実態を知らずして、改めましたと言う。そういう企業努力をやらなくして、国民運賃値上げをしてくれと言う。これでは許されるものではないというのです。こういう姿勢を改めなければ、運賃値上げをお願いしますということも言えないじゃないですか。総裁、どうですか。簡単にお願いいたします。
  15. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いま切符のことにお触れになりましたけれども、やはりいろいろといま御指摘のような意味での経費の効率的使用について、まだまだ十分及ばない点があろうかと思っております。ちょうど切符印刷がよけいなされておったという問題について検査院からいろいろ御注意がありましたことは、われわれの経営にとりましても非常に頂門の一針になっているわけでございまして、ほかにもいろいろ問題がございます。それらについても今後十分気を配って、むだな金を使わないような配慮をいたさせたいと思っております。
  16. 田代富士男

    田代富士男君 それと同じように、いまは切符改定の時期にこういう問題が処理されているということは許されるものではありませんが、ふだん、じゃどういうことが行われているかといえば、工事関係準備のためにいろいろ物品購入がされます。これのために、四十九年度車両改造工事、あるいは踏切保安設備電気関係工事等特定工事資材でございますが、これが購入をされました。購入金額は五百八十七億千三百六十五万余円でございます。このような購入がされておりますけれども、驚くことなかれ、これだけの物品購入しながら、四十九年度末までに使用に至らず翌年度に繰り越されたものが百六十八億千五百六十九万円相当見受けられております。  このような工事用品購入というものは準備要求、あるいは中には見込み準備によるあれもあるでしょうけれども、その年度使用するものでございます。それが翌年度にこれだけも回されて、さらにそのうちの五十一億千九百二十八万余円は五十年、翌年度の九月現在に至ってもなお使用見込みが立っていない、こういうようなずさんな購入状況。で、購入をされたそういう品物というものは、これらの大部分は、それぞれの工事に限って使用される特定用品であるために、他の工事には一切転用することができない。そのまま保有されている状態である。国民運賃値上げをお願いしながら、購入するものは購入して使わずに、そのまま保管しておくと、こういうようなことは許されてよいもんでしょうか、どうでしょうか。
  17. 小林正興

    説明員小林正興君) ただいま先生からお話のございました、国鉄資材購入をいたしまして、そのうち五十年九月末で五十一億円の繰り越し物品があるという御指摘につきましては、検査院検査の結果指摘されたわけでございます。それぞれの資材によって、その理由その他いろいろ違うと思いますが、これらにつきまして何とか早急に貯蔵品を消化するというようなことで、たとえば他の場所で転用するというようなこととかを中心にいたしまして、これを促進いたしました結果五十年九月末では五十一億が十八億になりまして、その後さらに五十一年度年度末では三億七千万というところまで、使用を促進した結果なったわけでございます。  で、この五十一億に対しましては直ちにそういう措置をいたしたわけでございますが、そのもとをなす原因につきましては、先ほどの乗車券その他全般的に資材準備をいたします場合に、使用個所としては、やはりやや多い目に安全策をとって準備要求をするというようなこともございましょうが、今後はそういった点については使用必要最小限度のものに十分査定をして、そして購入するという新しい措置、つまりそういった準備要求部局資材購入部局との連絡、調整というようなものを強化いたすように心をいたしております。  それから、部内だけでなくて、たとえば踏切警報機というように、現地でなかなか、資材はもうすでに整ったけれども、まだ設置するにはいろいろ関係個所との協議が残っているというようなものもございます。また物によりましては、部内においてまだ十分な了解がつかないというために、繰り越し物品になっているというものもございますが、こういった点につきましては、たとえば工事用資材については、工事進捗模様というようなものを資材の側からもよくその後の状況を見ながら準備——準備といいますか、調達をしていくというようなことを現在やっておりまして、先般検査院から指摘されましたような五十一億円の繰り越しというような膨大な金額繰り越しが起こらないように、今後の問題については努めてまいるつもりでございます。
  18. 田代富士男

    田代富士男君 いま、用品については他に転用するとおっしゃいましたけれども、転用されないものがあるじゃありませんか。だから、ひとつ品物ごとに申し上げますと、車両改造工事用資材として冷房装置、車上電気機器等工事用品を二十七億五千七百七十二万余円購入をされておりますが、これが購入したけれども、結局そのうちの十五億五千四百二十八万余円は四十九年度使用に至らず、しかも、そのうちの四億四百三十二万余円相当は、五十年九月もまだこれは使用見込みが立ってない。  また、今度は踏切整備工事用資材、これは遮断機等でございますけれども、このような用品を四十一億六千二百八十五万余円購入をしております。ところが、このように購入しているうちの十一億三千五百八万余円相当額は四十九年度中に使用に至ってないし、そのうちの五億三千四百五万余円というものは、五十年九月現在工事施行に至ってない。これはいろいろこの関係者との間の成立がされてないというような理由もありますけれども、このような状態になっております。  また、乗車券印刷機器三十六台が東京建築工事局購入されている。これは二億八千六十六万円でございます。これは四十九年度購入しながら、業者に保管さしたままになっている。また、仙台鉄道管理局等購入しました乗車券印刷発行機械五十二台、四億四千八百四十二万円、あるいは群管理券売装置等六十六台、二億二千七百十一万円購入しておりますけれども、これもいま申し上げたとおりに、五十年九月現在、工事施行について関係部局との協議が整わないために、四十八年度購入分を含め、乗車券印刷発行機七十五台、六億二千二百六万円及び群管理券売装置五十七台、一億九千四百十一万円は今後の使用見込みが明確にされてないという。  まあ、あといろいろありますけれども、このように、私は最初乗車券の問題も言いましたが、物品購入というものが、まあ世間的な言葉で申し上げますならばずさんと言う以外にない。このような姿勢であって、国鉄部内がこういうような処理をされておりまして、いま大臣からも運賃値上げのことを種々説明されておりますけれども、運輸大臣、どうでしょうか、こういうような国鉄であってよろしいでしょうか。いま私は数字をずっと申し上げました。ずうっと聞いていただいた。これはどうでしょう、大臣。
  19. 田村元

    国務大臣田村元君) 率直に言いまして、国鉄経営努力というものを私どもが厳しく求めていきます場合に、国鉄自体の経営のあり方、それから国鉄と関連会社との契約のあり方、それから国鉄と出入り会社との契約のあり方、またその流通経路、こういう問題については相当厳しいやはり改革を求めていかなければならないんじゃないか。それでなければ国民の皆様の御了承を得ることはできないんじゃないか、このように思います。で、そういうことも、いわゆる赤字要因を洗い出してその対策を講じるという、五十三、五十四年度の両年度で徹底的に洗い出して、その改革を図るつもりでございます。
  20. 田代富士男

    田代富士男君 次にお尋ねしたいと思いますが、今回の建設省による会計検査院接待と同様のことを港湾建設局の工事事務所もやっているのではないかということが言われておりますけれども、この問題に対してはどうでしょうか。
  21. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) お答えいたします。  港湾建設局の検査につきましては、短期間に多くの現場に足を運びまして、種々さまざまな調査をしていただいておるわけでございます。そういうようなことで、検査院方々にはその整理等のために、通常の執務時間以外の時間までもやはり宿舎でいろいろと調べをするというようなことも必要になってきている状況でございまして、これは検査院の方からもかねがね、検査の厳正を期するために宿舎等の選択その他については、いろいろと御指示もちょうだいしております。それで、華美にわたらないようにいたしますために、国家公務員共済組合等の宿舎、そういうような施設のない場合におきましても、できるだけいまの仕事に支障のないような範囲において、低廉な宿舎の手配をいたすようにしておりまして、それで宿舎の宿泊費につきましては各人に御負担いただいておるという状況でございます。  それで、先ほど申しましたように、受検する側の方で御説明申し上げる時間が結局夜分にまで及ぶような場合、こういうような場合、夕食を御一緒することがございますけれども、いずれにいたしましてもそれはもう社会通念上の儀礼の範囲内にとどめる、こういうようなところでやるように私どもも各建設局に指導しておりますし、各建設局もその点をよく注意してやっているように私は承知しております。
  22. 田代富士男

    田代富士男君 そういう場合に、本省からの立会人という者は何人ぐらい出るのか、あるいはまた、その任務というものはどういうものであるのか、これもお聞かせいただきたい。また、ただいまもお話がありましたが、検査官の昼食というものはどうしているのか。あるいは夜の接待というもの、話ありましたけれども、これはどうしているのか。また重ねての質問でございます。それから宿泊費というものは一体どのようになっているのかですね。また、おみやげの問題等もいまいろいろ出ておりますけれども、おみやげ等の問題はどうなっているのか。重ねてお尋ねいたします。まとめて。
  23. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) 港湾の現地検査におきましては、港湾工事の特殊性から、全国的な観点からする調整、こういうことも必要になってまいりますことが多いわけでございます。そういうような事情がございますので、本省から通常一名立会させるというように心がけております。それで、港湾建設局でやっておりますのは、港湾工事とそれから空港の工事がございます関係上、場合によりますと、港湾関係で一名、空港関係で一名という、二名になるケースもごくまれではございますが、生ずることがございます。また、日程の都合等によりまして立会官を派遣しないというケースもございます。そういうようなことで、大体通常一名というふうに御理解いただければと思っております。  それで、御質問の昼食でございますが、昼食等につきましては、やはり時間の制約、それから先ほど申しましたようないわゆる行き過ぎないようにするというような観点から、できるだけ事務所の、あるいは本局の、要するに検査場所の建物の中に出前弁当をとりましてそれでお食事をしていただくというようなことでやっております。  それから夜分の点につきましては、先ほどもちょっと触れましたように、どうしても仕事が夜分にも及ぶというようなことがございます。そういう場合に、受検する方の側の必要最小の人員が同席さしていただいて一緒に会食をするというようなことも、これはそういう事実もあることは事実でございます。しかし、その際におきましても、先ほど申しましたように、いわゆる社会通念上疑惑を生ずるようなことのないようによく心得さしておりますし、それで、検査の内容等からいたしますと非常に多岐にわたるものですから、関係者も多いわけでございますが、いま言いましたような配慮から、極力検査にお見えになった方の数を超えないように人員をしぼって、必要最小限の者にとどめるように配慮している次第でございます。  それから宿泊費につきましては、これは先ほども触れましたように、各人に御負担願っておるというのが事実でございます。  それからいま一つの御質問の、おみやげの点でございますが、これは一切いたしておりません。
  24. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、いまいろいろ問題になっていることは、経費の支出というものがどうなっているかということが非常な大きな問題点になっております。ついては、この前参議院の法務委員会等でも問題になりましたけれども、請求書の処理の問題、こういう問題はどのようにされているのか。これはひとつ詳しく御説明を願いたいと思います。
  25. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) 経費の支出につきましては、一般会計の場合におきましては、項「港湾建設局」目「庁費」、あるいは項「港湾等事業指導監督費」目「庁費」で支出しておりまして、それから港湾整備特別会計の場合にありましては、項「港湾事業等工事諸費」の目「庁費」等で支出しております。  それから請求書及び支払いにつきましては、会計法令等に定められておりますところの正規の手続により処理いたしております、それで、その請求書のあて先でございますが、実は、たとえば出前弁当を出す方の会社とか、そういうようなところでは、いわゆる正規の支出官の職名ということについて十分御存じないというケースが多いわけでございます。そういうことからやむを得ず「上様」という形で請求が出てくる場合がございます。そういう場合には、処理上それではぐあいが悪いものでございますので、やはり支出をできる担当官のゴム印をその上に押すというようなことも、やはり証憑書類の後の整理の不都合の生じないためにやることはございます。それで、過般建設省のケースで報道されておりましたような内容の白紙とか、そういうようなことはございません。
  26. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、これは工事事務所等へ受検に行ったときの態度ですね、こういうような指導方針というものはどのようにされているのか。やはりこういうところの指導というものが大きな問題になるのではないかと思いますけれどもどのようにされているのか。そこらあたりちょっと御説明願いたいと思います。
  27. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) 会計検査院検査につきましては、大蔵大臣から協力等の通知もございます。私どもといたしましては、これは当然国民の税金を使って事業を実施する、それで法律に従った適正な処理をしなければならない、またこれが事業が効率的になされなければならないということで常々心がけているわけではございますが、やはり当事者はややともすると気がつかないこともございます。そういうようなこともございますので、会計検査院検査というのは、私ども仕事を執行する上での非常にありがたい御忠告でもあるわけでございますので、積極的に協力するとともに、調査依頼とかあるいは資料提出等の要請につきましても、できる限りこれにおこたえするよう常々指導しているところでございます。  また先ほど来触れておりますように、いわゆる世間の疑惑を招くことのないよう、検査院側の方におかれましても、調査官の各位によく指導していただいております。私どもといたしましても、受検に先立ちましてその点を毎年注意を喚起している状況でございます。それから私どもが経験しておるところによりますというと、検査にお見えになる方々も非常にその点につきましては気を使って、絶対華美にならないようにということで、食事等もどんぶり飯で結構だというようなことまで言っていただいております。そういうようにして受検する方も検査される方も、私どもといたしましては受験態度を厳正に保持することに心がけているつもりでございます。
  28. 田代富士男

    田代富士男君 一部の報道機関の報道によりますと、一部の港湾事務所におきまして、会計検査に際しまして検査官の接待に問題があるということが載っております。この新聞でございますが、こういう事実関係があったのかどうか、どうであったのか。またこういう事実があっては、これはいま大きな問題になっておりますようにけしからぬことでありますけれども、運輸大臣の所感をお伺いしたいと思います。
  29. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は私もけさその新聞を読みました。たしか午前六時十分ごろであったと思いますが、港湾局長に電話をかけて、こういう記事が出ておるが、一体どうであるのか直ちに調査をしなさい、こういうことを命じました。それで、本年新潟港工事事務所、それから博多港工事事務所等につきまして会計検査を受けましたことは、これは事実でございます。ただ、報道されましたような事実の内容につきましては、これは相当具体的に金額まで出ておりましたけれども、十分調査しませんと、ただ新聞に、一部の新聞に金額まで出たということだけでもって、そういうことが事実であるという認定を所管の大臣がするということもちょっと先走りになりますので、とにかく徹底的に調査をしろ、こういうことを命じた次第でございます。  なお、御参考までにちょっと申し上げますと、他省のことを言って恐縮でありますが、建設省との問題が出ましたたしか翌日でございましたか、十五日であったと思いますが、私が言いましたのは、建設省の問題が出ましたのを新聞で読みまして直ちに事務次官と官房長を呼びまして、わが方ではこういうことはないだろうな、十分調査しなさい、それから綱紀の粛正は徹底してやりなさい、綱紀の粛正というのは単に贈収賄だけではない、会計検査についても同じことが言える、場合によったら会計検査で過度な供応があったとするならば、これは明らかに贈収賄になるということから、徹底して調査をしろということを命じました。それから十五日に、官房長が官房会計課長に命じまして官房会計課長名で、これはしきたりがそういうことになっておるようでございますが、会計課長名で各部局の長あてにこういうことについての厳正方を指示いたさせました。そうして各原局から公団等に対してこれを申し渡すと、こういう処置をとったところでございます。  いずれにいたしましても、そのような疑惑の記事が出て具体的に数字まで出ました以上、これをゆるがせにするわけにはまいりません。徹底的に調査をして、もしさような事実がなければこれは結構でございますが、さような事実があるとするならば、私自身厳しい態度で臨むつもりでございます。
  30. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣が、この問題について調査をして厳しい態度で臨んでいくということでございますから、ひとつそのような姿勢を崩さずに最後までやっていただきたいと、これは私の希望でございます。  そこで、いまさきから私は国鉄姿勢の問題、企業努力の問題で種々質問をしてまいりました。これ以外にも当然現場の状況を掌握しておるならばもっと適切な処置がとられた、あるいは指導されたけれども、その指導が徹底されていない、また不行き届きの面があったといういま問題点を私二、三挙げましたけれども、会計検査院の立場からいろいろ指摘されている面があります。これは多くの問題になりますけれども、会計検査院の立場から、国鉄に対しましてどういう問題点があったのか、概要を御説明願いたいと思います。
  31. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) いま先生お話の、私どもとして国鉄に対して指摘しましたことを、一応四十九年度と五十年度について簡単に申し上げたいと思います。  四十九年度におきましては、不当事項四件、意見を表示しまたは処置を要求した事項二件、私どもの注意によりまして当局において処置を講じていただいたものが三件でございます。  まず、不当事項について申し上げますと、四十九年度検査報告の七九号でございますが、これは大阪工事局の岡山工事事務所ほか三局所におきまして、新幹線の騒音防止対策の一環として、山陽新幹線八幡地区逆L型防音壁新設工事ほか三十九工事を施行するに当たりまして、工事が夜間施工となるというところから、電力会社から臨時電力の供給を受けるために照明設備を設置して工重を施工することとして計画されました。これに必要な費用を積算しております。しかし、新幹線には軌道の保守作業を夜間施工するための照明設備として、保守用低圧回線が別途に設備されておりまして、所定の区間ごとにコンセントが設けられておりますので、この別途の保守用低圧回線を電源とすれば、新たに照明設備を設置する必要はないということで、私ども指摘いたしたものでございます。  次の……
  32. 田代富士男

    田代富士男君 時間の関係もありますから、簡単で結構でございますから。
  33. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 次の八〇号は、事業用水設備改良工事の施行に当たりまして、給水管の布設費の積算が適切でなかったという問題でございますが、これは給水管をつなぎますジョイントの工事費につきまして、非常に経済的な継ぎ手があるのにかかわらず、依然として旧式の高い継ぎ手を使うような積算をしておられたので、非常に工事費が高くなっているという問題でございます。  次の八一号は、山陽新幹線の下関の工事局におきまして、道路や水路のつけかえ工事のすでにでき上がった部分に対する代価の支払いが適当でなかったという問題でございまして、実際の施工が設計と違っているのにそのまま支払ったという、そういう問題と、あとは計算を誤って過払いになったという、そういう問題でございます。  次は、構内旅客営業料金の収受につきまして収受額が不足していたという問題でございまして、これは駅構内等におきまして旅客を対象として行います店舗や列車食堂、立ち売り等の営業を構内営業料金として収受しておりますが、この中で収受する料金の算定を誤りまして、本来ならもっとたくさん収納できるのにこれが不足しておったという問題でございます。  次は、意見を表示し、処置を要求した問題でございますが、国鉄の各現場で排水処理施設をいたしますが、これが非常に平面的に、また非常に不経済に配置されている。しかし、最近の設計の方法によりますと、これを集約化して、しかも立体化するということができるように、通常そういう設計になっておりますので、そういう設計にすれば工事費が節約できるじゃないかということで処置を要求したものでございます。  それからあと、工事用品準備要求につきましては、先ほど先生がおっしゃったとおりでございます。  あと、私どもの注意によりまして当局で直していただいた問題が三件ばかりございまして、その一つは、急行形の食堂の付随車でございますが、これはもうダイヤによって食堂車が使われてないのに、依然として食堂車をつないで運行している、こういうのはもったいないから連結しないようにしたらどうかということを指摘いたしましたところ、早速そのとおりやっていただいたという問題でございます。  あとは新幹線の変電所の工事の土工費でございますが、これの積算におきまして変電所が、非常に新幹線用の変電所というものは大型になっておりますのに、依然として在来線の小さな変電所の工事をやると同じ積算基準を使っておられたので、これから新幹線工事もどんどんやりますので、それに合った積算要領をつくるように御注意しましたところ、当局ではその積算基準をつくっていただいた。  それから最後は、橋梁の防音工事における工場加工費の積算でございますが、これも積算基準が十分でなかったので、これを実情に合った歩掛りをつくるように注意しましたところ、私どもの申すとおりの積算基準をつくっていただいた、こういう問題が四十九年度でございます。  五十年度も……。
  34. 田代富士男

    田代富士男君 概略で結構です。
  35. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 五十年度は、不当事項としまして三件、意見を表示し、処置を要求したもので二件、私どもの注意によって改善していただいたのは一件ございます。  まず第一番目の七四号でございますが、これは新幹線の路盤ののり面を点検する通路をつくることになりまして、これの施行に当たりまして土どめ板を両側に置くわけでございますが、その土どめ板の裏表を間違えたために非常に強度の低い施工がされているという問題でございます。  次は、旅客車の給水作業を請け負わせるに当たりまして、契約方法が適当でなかったという問題でございまして、これは各旅客車の水タンクに給水を各運転所構内でやるわけでございますが、このときの人員が、実際、列車ダイヤのとおりの列車が入ってきた場合に、それに対して人数が多過ぎるんじゃないか。特に、列車が来ないのにそのために人員を張りつけているというような事態がございましたので、そういう点を指摘したわけでございます。  次は、先ほど申し上げましたと同じように、構内営業料金の収受に当たりまして計算間違いをしたという問題でございまして、これは青森駅、福島駅、郡山駅等でございますが、前年度中の売上総収入を区分して料率を決めておりますが、その料率を誤って、収納額が著しく不足になったという問題、あるいは、暫定的に店舗を臨時承認しておりましたが、もうすでに相当期間たって、暫定的ではないので、もっと高価な営業料金を収納できるのにそのままにしておられたというような問題でございます。  次は、貨物車とかその他についております緩急車というものがございますが、車掌が乗る車でございますが、これに暖房用の燃料を積み込む作業を部外に請け負わしておりますが、これの積み方と申しますか、各操車場ごとに、少しずつ次の操車場までの分しか積まないという方法で外注にしておりましたが、その車掌車には大きなタンクがありますので、タンクいっぱい詰めれば、そんなに一々各操車場ごとに燃料を積まなくてよいし、そのための人数も不必要になるじゃないかということで処置を要求しましたところ、これにつきましては、ダイヤ改定の関係もございますが、順次東京付近の管理局から改善しておられるような状況でございます。  次は、特急券準備につきましては、先ほど先生おっしゃったとおりてございます。  それから、テレビジョンの受信障害対策工事でございますが、これは、新幹線によりましてテレビジョンの受信が非常に障害を受けるということで、これの対策工事をやっておられますが、この歩掛りが非常に高い歩掛かりを使っておられる。ところが、これはNHK等でも前にやった実例がありますので、そういうものを使えばもっと安く上がったのではないかということを注意しましたところ、当局で直ちにこれは是正していただきましたので、処置済みということで計上してございます。  以上が国鉄に対する注意でございます。
  36. 田代富士男

    田代富士男君 いまいろいろ会計検査院からも御説明をいただきましたが、やはり再建をしようと思うならば、国鉄自身努力というものが国民の目にもはっきり明確にしなければ納得できるものでありません。構内営業所からもらうべき収入ももらわない、単位違いによってもらい損ないをする、また支払いすべきものもそのようなむだな支払いをするという、こういうところから改めていかなければ再建策は立たないと思うのでございます。  そこで、私は過日参議院の本会議におきましてもお尋ねをいたしましたが、法案の中に盛り込まれております「当分の間」といいますか、「当分の間」の問題がまだ明確にされておりません。ここでもう一度私はお尋ねをしたいと思いますが、法案にも明記されておりますが、これは特別勘定に移管された長期債務相当額の二兆五千四百四億円以下に繰越欠損金がなったとき大臣認可によって運賃は決定できなくなる、そのときを「当分の間」と言うことを確認してよろしゅうございましょうか。
  37. 住田正二

    政府委員(住田正二君) そのとおりでございます。
  38. 田代富士男

    田代富士男君 そうなりますと、昭和五十一年度末までの累積欠損額九千七百四十二億円と、昭和五十二年度予算による赤字七千三百五十億円の合計一兆七千九十二億円を、昭和五十三年度以降大臣認可の運賃値上げ等による単年度黒字によって消していくことになるわけなんです。このようにしていかなくちゃならないと、そういうことを意味しているわけなんですね。まあそういうように消していかなくちゃならないと、そういうふうに私は理解しておりますが、そこで、運賃値上げ幅というものが問題になりますけれども、この値上げ幅の問題も、この委員会でも大まかのことだけであって明確にされておりません、これも。  そこで、新たな賃率等による収入の増加見込み額というものは、常に実施年度の経費の増加見込み額と同じだけの見込みをつけて収入を得ようとするならば、それは新たな賃率等の実施は四月一日にすることが、増収を願う国鉄とするならば理想的ではないかと思うわけなんです。そういたしますと、毎年四月一日に値上げをする以外には、たとえば一ヵ月あるいは二ヵ月でも、そのときのいろいろな政治的な動き、そういうものの動きによりましておくれたとするならば、いわば得べかりし収入、それが得られないことになる。そういたしますと、常に経費の増加の見込み額の方が多くなることを意味しているのではないかと思うわけなんです。  そこで、その他の収入ということも言われておりますが、その他の収入が新運賃の実施がおくれたことによって失った収入の増加見込み額を超えるか、あるいはその他の収入プラス収入の増加見込み額の算定や、経費の増加見込み額の算定の大きな見込み違いによる増加がない限り、永久に単年度黒字に転ずることはないと思うんです。そのように考えていきますと、あとは運賃値上げには限度がある。そういう意味で政府の助成しかないと。  私は、一番最初に再建計画は三つの柱があると。一つ企業努力、国の助成国民協力ということでありましたけれども、このように運賃値上げにもう限度がある。そういう意味から、国の助成しかないと思うんですけれども、この点どうでしょう。
  39. 田村元

    国務大臣田村元君) 三本柱と申しますが、今度の修正案によりますと、三本柱というものがすべて平等の柱であるとは言えないと思います。まず一番大切な問題は、もちろん理屈抜きに経営努力でございましょう。それには労使協調という裏づけがなければいろいろなことができないと思います。要するに、労使が真剣になって、イデオロギー以前の努力をやってくださる、改善のための努力をやってくださるということがまず第一でございましょう。  そうして、それに呼応して政府助成を可能な限り手厚くしていく。公共的な面、いわゆる構造欠損とでも言いますか、そういう面について可能な限り政府が助成を拾い上げていく。この二本柱が中心になるのでございまして、運賃値上げというものは、これは物価変動に見合うものでございますから、それを支えるということになろうかと存じます。でございますから、従来私どもが原案で考えておりました累積赤字をも吸収していくような運賃算定ということではございませんから、もう物価変動に見合うものということで、これ以上損を、要するに自然増の分だけをこれ以上はふやさないというだけの支えでございますから、当然運賃には限界もございます。算定上の限界もございますが、現実上の限界もございます。他の交通機関との兼ね合いもございましょうから、そのように私どもは理解して事を運んでまいりたいと考えております。
  40. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣の御説明がありましたけれども、収入にはその他の収入等もありますが、その他の収入には、自動車あるいはパイプラインの事業による収入その他雑収入があるのでしょう。いまも会計検査院から指摘されたいろいろな収入があるわけなんですが、それはせいぜい全体から見るならば三%あたりでしょうか。まだ細かい数字は私ははじき出しておりませんけれども、国鉄全体の運賃の収入というものは、決算報告書の中から計算しますと大体九六%ぐらいの数字が出ておるわけなんですが、こういうことを考えますと、国鉄収入の九六%に相当する運賃によってその収入増加見込み額が経費の増加額を超えないとする以上、あとは国鉄に対する政府の助成がなくちゃならぬと私は言いました。  そういたしますと、まあ大臣はいま物価変動率だけであるというようなことをおっしゃったけれども、しかし「当分の間」、そういうことを考えていきますと「当分の間」ということ、私は過日の本会議でも言いましたけれども「当分の間」ということは、またいま私は当初に規定を聞きましたけれども、これとあわせて考えていきますと、どうしても納得できない。「当分の間」ということは当分の間でなくて、永久にこれは続くことになる。  これが法定制緩和ということで法案に盛られてありますけれども、私は法定制緩和ではない、法定制放棄であると、このような新しい言葉を申し上げたいと思います。「当分の間」ということは当分の間にならない、永久に続いていくなら、名前は「当分の間」であってもこれは緩和でなくて放棄である。「当分の間」という言葉は幻であると思うんですが、どうですか。
  41. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほどの御質問の中にもあったわけでございますけれども、今回の国鉄再建の基本的な考え方といたしまして、収支均衡時までにたまりました赤字は、収支均衡の時点で国の援助であるとか、あるいは国鉄の将来の経営努力、これは資産処分とかいろいろあると思いますけれども、そういうもので処理をいたすことになっております。  したがいまして、そういうことで収支均衡時において何年たったら、後、国鉄経営努力で残った赤字が解消できるかというようなことを十分勘案いたしまして、収支均衡時から常識的な年限で国鉄が一生懸命やれば残るであろうという程度の赤字だけをとどめまして、あとは国の援助、あるいは資産処分等で解消するというようなことを考えておりますので、収支均衡時以降、常識的な年限でこの法律は使命を終わるというように考えております。  ただし、収支均衡時がいつまでたっても期待できないということになりますと、これはまあ累積赤字はもう膨大なものになってしまいまして、国鉄自体がもたないということでございますので、私どもといたしましては、いま大臣が申し上げましたように、経費の増加額は利用者に負担していただく。現在の赤字体質は国鉄努力と政府の助成で解消していって、収支均衡時において累積赤字についての処理方針を決めて、その後常識的な年限で累積赤字を解消するということで、この法律の使命をできるだけ短い期間に置きたいというように考えているわけでございます。
  42. 田代富士男

    田代富士男君 局長、いまお話は、そうおっしゃらざるを得ないでしょうけれども、私は納得できません、それは。もう何ぼこれは詰めても、この委員会でも何ぼ詰めても、これ平行線をたどるだけでしょう。だから、私はそれよりも、本当に実質的に再建できるにはどうすればよいかということに問題を移したいと思います。いまのあれじゃ納得できません。  だから、国鉄の赤字を解消するには。いま申したとおりに運賃改定だけでは限度があります。いまも申しているとおりに、これを解決するには、資本費に対する国の補助というものが一番大事ではないかと思うわけです。その内容にも、一つ工事費に対する補助、一つは過去債務のたな上げ、この二つの点が大きな問題点になってくると思うんです、債務の大きな原因というものは、建設費の利子が積もり積もり、借金が積もり重なりましてできたことであるわけなんですから、その重荷を取る以外にない。これが過去債務のたな上げでありますけれども、こういう意味から、将来国鉄自身が借金に依存せず再建して、運営していくことができるには、私は何といいましても資本費の中にありましても、工事費に対する全面的な補助が必要ではないかと思うんですが、これはどうでございましょうか。
  43. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 現在でも工事費につきましては、利率について三分五厘までの助成をいたしております。で、工事費に対する助成が必要であるかどうかというのは、今後行われます工事の性格によるものではないかと思います。単に工事をやるから、それが当然借入金で補われるから助成が要るということではなくて、今後やります工事国鉄経営にどういうような影響を与えるかということによって決まってくるのではないかと思います。  同じ公社でございます電電公社の例をとりますと、電電公社では資本費、いわゆる償却費と金利が約一兆二千億ぐらいになっております。電電公社は二兆五千億ぐらいの収入を上げておりますので、約半分が事業費になっているわけです。しかし、それでも一応黒字経営をやっているわけでございます。これはまあ電電の事業が十分採算がとれるということで、そういうような資本費の負担に耐えられるのではないかと考えているわけでございます。  したがいまして、国鉄は今後やる工事の性格によって今後の助成は考えなければいけないんじゃないか。その点につきましては、衆議院の段階で示されております「国鉄再建の基本方向」の中で、今後の建設について投資採算というものを十分考えて投資基準をつくれということが言われております。私どもといたしましては、やはり国鉄が自分の商売、営業のために当然やらなければいけない工事と、それから国の政策といいますか、国土の総合開発とか、あるいは地方の開発、その他国の政策的な意味から国鉄にどうしてもやってもらわなきゃならない工事というものがあるわけでございまして、そういうものが採算上すでに問題があって、国鉄経営の圧迫になるというものについては適切な助成をしなければいけないのではないか。  現に昨年の参議院の附帯決議もありまして、大都市交通については国でめんどう見ろということで、建設費あるいは公団の貸付料について三〇%の助成をいたしております。今後、先ほど申し上げましたような建設についての基準が決まります際に、国としてもしかるべき助成というものを検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  44. 田代富士男

    田代富士男君 いま、私は工事費に対する補助を全面的にやれとなぜ申したかと申し上げますと、安全を担保とする国鉄といたしまして、この安全対策が最近どのようになっているのか。これは総裁初め全部御存じだと思いますが、これが一つのあらわれといたしまして、古いものを新しいものにするために減価償却の制度がございますけれども、この減価償却比率というものが落ちてきている。近代化設備投資の比率というものも落ちてきている。  これは国鉄自身が資力があるならば、安全を担保とする国鉄です、いま局長が申されましたとおりに、国鉄経営のために工事はやるんですから、まして安全を担保とする国鉄じゃないですか。この安全対策というものが、それに対する安全投資というものがおくれている。こういうのを、このような数字の上からどのようにとらえていらっしゃるのか、御説明願いたいと思います。
  45. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 最近の実績で申しますと、いまおっしゃいましたような減価償却費に見合いますものは取りかえ等という工事に当たるかと思いますけれども、ここ数年の比率で申しますれば、大体取りかえ等というものが二六%ぐらいに、全体の工事費の枠の中でその程度の規模のものを投じております。  それから、なお採算に乗っけるまでに非常に時間がかかり、もしくはなかなかむずかしいと言われておりますものの中に通勤対策というのがございます。これは大体いままで主として大都市圏を中心にして投資をしてまいりましたけれども、それらのものが全体の工事費の約一〇%でございます。それらを二つ合わせますと、約三七%ぐらいのものが、どちらかというと、つまりプラスではないけれども、やらなければならない工事だという、ふうな見方ができようかと思っております。
  46. 田代富士男

    田代富士男君 私は重ねて申し上げますけれども、安全を担保とする国鉄といたしまして、この安全投資がおくれているということは、現在、運輸大臣総裁初め全部承知されておりますとおりに、在来線のがけ崩れ、あるいはその他の事故というものが非常に多過ぎておりますし、端的に目立つのが老朽施設というものが放置されたままになっている。まして世界に誇る新幹線でさえも最近は事故が続出しておる。こういうことで安全を担保とする国鉄としてよいのかと、私はこれをあえて言いたいわけです。  それを解決するには国鉄自身の資力にはもう限界があります。そういう意味から、国の助成がなければこういうような事故の続発というものは永続的にこれは解決できないものであると思います。そういう意味から、資本費に対する国の大幅助成というものが必要でありますけれども、国鉄総裁の立場として、総裁どうでございましょう。
  47. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いま御指摘いただきましたように、安全ということが私どもの仕事の上で最も最優先に考えられるべきことでございます。最近非常にその点について御心配をおかけするような事態が間々出ておりますが、このことについてはもうすでに数年前から気がついておりまして、最近はかなり安全関係の投資をふやしてきているわけでございます。これはお言葉ではございますけれども、金利がかかるとか、あるいは経営上負担になるとかいうことが仮にありましても、安全に関する投資だけは最小限はやってまいらなければならぬというつもりでおります。  お客様には大変御迷惑をかけておりますが、たとえば新幹線を年に何回か半日休むということをしながらやっていくというようなことも、その見地から決断をして進めているわけでございます。また在来線につきましても、実は最近列車のスピードがだんだん上がってまいりましたものですから、それとの相対関係で路盤、架線が弱いということで、路盤関係あるいは架線関係の事故がちょいちょい出てきております。これらにつきましては今後とも、一挙にはできませんけれども、新幹線に次ぎまして、いま在来線の中の、いわば本線というべきものについて相当力を入れておりまして、これまた東北線等におきまして一部急行、特急等の列車に臨時的運休をいたしまして、それで安全工事を進めております。  で、安全工事がなぜおくれてきたかという理由につきましては、やはりこの工事をやりますと、その間、あるいは列車をとめなければならぬというようなことがございまして、営業サイドではそれは余りやりたくないということで、なるべく夜間等にやりたい、やってほしいということであったわけでございますが、最近は夜間に工事をいたしますことは職員の問題からいたしましても、あるいはまた住民サイドから、騒音の問題で反対が出るというようなことがありまして、どうもおくれがちでございますが、この際は思い切って、多少営業面でマイナスが起こりましても安全工事を進めていきたいと思っております。  安全工事がおくれぎみであります理由は資金の面もあります。御指摘のような面もございます。しかし同時に、他の面でネックがあっておくれている点もございましたので、私はいまのところは漸次他の面の犠牲もやむなしという前提で安全工事を進めていきたいというふうに考えております、もちろん資金面でもいろいろ御援助いただければそれにこしたことはないわけでございますけれども、しかし現状におきましても、いまよりは少しずつよくするということは可能であるのではないかと。結果として採算面でマイナスになるかもしれませんけれども、仮にそうなりましてもやっていきたいというふうに思っております。
  48. 田代富士男

    田代富士男君 そこで私は、ここで国鉄再建するに当たりまして、いろいろありますけれども、これを分けまして、過去の問題はどうすればよいか。現在の問題はどうすればいいか。未来の問題はどうすればいいか。このように過去、現在、未来の三つの立場から国鉄再建をするには端的にどうすればよいか。これを提案したいと思うのです。  第一番目には、やはり過ぎ去ったことは言ってもしようがありません。将来はどうあるべきかということにつきまして申し上げたいことは、いまも私はるる申し上げましたとおりに、建設工事については、鉄道の基盤施設については全額国がまず負担すべきではないか、将来を中心に考えた場合。この点運輸大臣、いかがでございましょう。
  49. 田村元

    国務大臣田村元君) 全額国が負担をするということの是非論はとにかくとして、「基本方向」でも示されておりますように、今後の建設はこれはもう効率というものを計算に入れて選定をしていく以外にないと、このように考えます。  それからいま一つは、現在国から国鉄自体に約四千五百億円の助成があるわけでありますが、私はいまのこの助成体系は、基本としてはこれを続けながら、なおいろいろな面で、特にこれを工事費とか何とかということでいま申し上げるわけじゃありません。もう少し漠然とお聞き願いたいのですが、いろいろな面においてやはり特定財源を模索していく以外にない、このように実は考えております。言うなれば交通特会のようなものを立て、て特定財源をつくっていく。そして、その特定財源をある程度の額を確保して、これを国鉄再建の強い支えにしていくということ以外にないんじゃないか。このように考えまして、現にすでに内々では関係省庁とも私は話し合いを始めておりますが、このようにしてやっていく。  もちろん、だからといって経営努力はうんとしてもらわなければなりません。国鉄の合理化は一人の首を切る必要もないのであります。むしろこれからやめていく方々に対して、非常に高い平均年齢でありますから、これからやめていくであろう人々に対する退職金やあるいは共済年金の方がむしろ心配でありまして、首を切る必要は一人もない。そのような考え方の上に立っても、なお合理化も進めていかなきゃならぬと思います。いろんな面で私は総合的に考えて、いまのような対策を講じていく。  また一部には、整備五線等については、新幹線の財源は建設国債でこれを賄えという意見もあるようでございますが、これは確かに一考に値するというより、むしろ何考にも値する問題でもあろうかというふうに考えております。ただ、自由民主党の中の一部でまだ言われております構想でありますだけに、自由民主党の公式な意見ではありませんし、私どもが公式にこの意見を述べられたというわけでもありませんけれども、そういう意見が非常に根強く出てきたということについては非常な強い関心を抱いておると、こういうことでございます。
  50. 田代富士男

    田代富士男君 いま運輸大臣としてのお立場もわかりますが、ヨーロッパにおきましては、こういうような鉄道の基盤施設に対しては国が全額持っているところがあります。これを質問しますと、いつも当局からの答弁は、日本の国鉄とヨーロッパの国鉄は機構が違うんだと、運営が。向こうには法定制緩和だとか、そういうものはないわけなんですから、そういう違いはあるにしろ、このような一つ姿勢といいますか、国鉄再建をやっていこうというこの姿勢の違いというものは、私はこれは明確に指摘せざるを得ないと思うのです。  だから、現在は工事費に借金をする、その借金の利子の一部を補助している。直接補助ではないわけなんです。そういう意味から、私はやはり過去、現在、未来、三つの立場からと最初に申し上げましたけれども、将来再建をやろうと思うならば、これは資本費、中でも工事費につきましては私は国が全額これを負担すべきではないか。これは私の意見として申し上げておきたいと思います。  第二番目には、過去を中心として申し上げるならば、政府関係債務の全額をたな上げすべきではないか。やはり荷物を軽くして、そうして国鉄としての使命を果たすべきではないか。その政府関係債務の金額が五十二年度末で資金運用部資金が二兆九千八百二億円、簡易保険の関係が四千三百五十億円、合計三兆四千百五十二億円。五十年度の積み残し額と、新しい五十一年、五十二年に発表したものを合計したものでございますけれども、こういうものも本当に将来性と過去とを解決してこそ再建することができると思うんですけれども、恐らくこれに対する大臣は、全部はできません、すぐにはできませんとおっしゃるかわかりませんけれども、そのぐらいの抜本的な再建策を講じなくちゃならないと思いますが、どうですか。
  51. 田村元

    国務大臣田村元君) 私の答弁を先にお答えいただいたわけですが、私はいまの御意見に対してはすぐれた見識として受けとめていきたいと思います。  ただ、現在の日本の財政状況というものからこれをながめますならば、余りにも額が膨大過ぎるというところに悩みがあるわけでございます。むしろこのような悪化した財政状況、国家財政の悪化した状況において、いまこれを直ちの論として取り上げるよりも、確かに過去のことではございますけれども、今後の未来の問題としてこれと取り組んでいかなければ仕方がない。そのような情けないことでございますが、今日の国家財政の状況でございます。  ただ、ここで私が明快に田代さんに対してお答えできないことは申しわけありませんけれども、冒頭申しましたように、非常にすぐれた見識としてこの御意見を傾聴いたしておきたいと思います。
  52. 田代富士男

    田代富士男君 それはお願いをしたいと思いますが、今度は過去、現在、未来の現在でございます。  現在どうすべきかという問題ですが、日本国有鉄道法第一条には国鉄の目的というものが規定されております。一言で言うならば、ナショナルミニマムの立場でということでございますけれども、そういう立場から地方交通線の維持ということは不可欠であります。しかし、その赤字分をどうするかということでございますが、これも国が負担すべきではないかと思うわけであります。  現在、地方交通線に対しまして、地方交通線特別交付金が五十一年度百七十二億円しか出されておりません。しかし、現実に赤字は五十一年度で二千三百億円出ております。こういうようなことでは、鉄道法第一条の目的にこのようにうたわれておりますけれども、余りにもこれはひど過ぎやしませんか。もっとこれは引き上げるべきではないか。運輸大臣に将来の問題、あるいは過去の清算の問題は、いま歯切れの悪い返事でありましたけれども、現在のこの問題に対しては歯切れの悪い返事じゃなくして、もっとこの現実は、大臣としてできる権限持っていらっしゃるんですから、これに対してどのようにお答えになりますか。
  53. 田村元

    国務大臣田村元君) いまの百七十億というお話でございましたが、これは四百九十億でございますけれども、率直に言いまして、運輸政策審議会でいま御審議をいただいておる、そのときに私が国会で見解を先走って申し上げるということはやはり避けなければならぬ問題だと思います。これはいわゆる、俗に言う逃げの答弁ではございません。審議会に対する当然の儀礼でございましょう。遠からず審議会の答申が出ると思いますが、その上で赤字ローカル線、AB線等も含めまして抜本的に検討する必要があろうかと存じております。
  54. 田代富士男

    田代富士男君 私はいま、政府助成の問題を一貫して質疑してまいりましたけれども、それにつきましてもどういう内容であるか、どの程度やろかということはまだ明確にされておりませんけれども、そのためには国鉄に課せられるべき条件としてはどういうものが考えられるのか。まして条件を課せられる以上は、国鉄経営権の拡大と経営責任の明確化こそが大事ではないかと思うわけなんです。そういう意味から、国有鉄道法第三条あるいは第六条を拡大するとともに、総裁並びに役員の責任をもっと明確にすべきだと思いますけれども、総裁、いかがでございましょうか。
  55. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 現在の国鉄制度的にいろいろの面で制限を受けておるわけでございます。その意味で、私どもとしてもう少し権限を与えていただきたい。同時に、責任を負ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  その場合にいろいろな面がございますけれども、やはり運賃の問題もその一つとして考えられるわけでございまして、私どもといたしましては私どもの商品とでも申しましょうか、収入の源泉でありますところの運賃、料金につきまして、ぜひ自主的な立場をお与えいただきたいという意味で、今回の法案についても、そのただいまお触れになりました経営責任、経営権の拡大というものの第一歩として大変ありがたく思っておるわけでございまして、そのほかいろいろまたお願いしたいこともないわけでございませんけども、まずもって私どもの商品の値段をある程度私どもの責任において決めることにつきましてひとつ御理解をいただきたい。そして、その余の問題は、また漸次自後の問題としてお願いをいたしてまいりたいと思っております。
  56. 田代富士男

    田代富士男君 次に、大事なことは何といっても国鉄再建するには、国鉄において働いていらっしゃる皆さんたちを大事にしていくことではないかと思うわけなんです。そういう意味から職員のみなさんの労働災害についてお尋ねをしたいと思います。  まず、列車乗車中また工事作業中、工場での作業中などに分類しまして、過去十年間の職員の労働災害についての推移を説明をしていただきたいと思います。簡単に概要を説明してください。
  57. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ただいま御指摘の業務上の傷害事故でございますが、ごく大ざっぱに言いまして、私どものところは大変多くの職種がございますので、大きくくくりまして運輸、運転、施設、電気、工場というふうに分けて御説明いたしたいと思いますが、過去十年の実績、各年の一々を追及いたしますと時間もかかりますので、十年のトータルの平均で見てみますると、一日以上を私ども有給傷害と申しておりますが、そういうケースは運輸関係で四百四件、運転関係では二百六十六件、施設関係では二百三十件、電気関係では五十六件、工場では二百十九件。これは母体の数字が違いますので、この数だけでは判断できませんが、これを千人率に直して見ますると、運輸関係が二・三運転関係が二・三、施設関係が五・一、電気関係が〇・九、工場関係が五・五、そういう数字になっております。
  58. 田代富士男

    田代富士男君 私が運輸当局からいただいた数字と、ちょっと数字等違いがありますけれども、大勢はそれでわかりますから、それは出した基準等によって違いがあるかもわかりませんけれども、業務上死傷者の数の中で特に多いのが保線区等で働いている人、あるいは工場で働いている人の数というものが多く出ております。私がいただきました保線区等では二三〇・三人、工場等では二一〇・五人という数字をいただいております。このように見ますと、両方大体同じような数字ではないかと思いますが、この多い二つの中をさらに検討しますと、死亡者の数というものはどうなっているかと言えば、保線区等では昭和五十一年には一人、四十九年には四人を除いたならば、大体年に十人から二十人発生しております。  これは十年間の平均でも九・九人、工場の場合は〇・七人、こういうような数が出ておりまして、この保線区関係で働いている職員の労働災害というものが非常に多い。労働条件の悪い保線区関係の労働問題に対しては、これは温かく見守ってやるべきではなかろうか。まして安全を担保とする国鉄の縁の下の支えをやっている人は保線区関係で働いている人ではないでしょうか。こういう人こそ温かい手を差し伸べてやるべきではないかと思いますが、大臣、どうでございましょうか。
  59. 田村元

    国務大臣田村元君) 全く同感でございます。
  60. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、ひとつ具体的な問題をお尋ねしたいと思いますが、安全を担保とする国鉄のために昼、夜だれも知らないところで働いている皆さん、特にトンネルの中での仕事ということは大変だそうですが、トンネル内の待避ごうの問題でございますが、このトンネル内待避ごうについての国鉄の資料の中に出てきます設置間隔等を満足していない個所とはどういう待避ごうなのか、また何ヵ所ぐらいあるのか、これをまず御説明を願いたいと思います。
  61. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) トンネルには、トンネルの中で作業をいたしている場合に列車が入ってまいりますと、作業員が待避をしなければなりません。したがいまして、トンネルの中で作業員が待避できますように、ある一定の間隔ごとに待避所を設けるという基準になっております。しかしながら、国鉄の歴史は非常に古うございまして、最近そういう基準をつくって逐次整備をしておりますけれども、非常に古いトンネル等では断面も小さく、なおかつこの待避所の設置がただいま設けております基準に達していないところがございます。  一応私の方で、トンネル総延長の中で必要な待避個所数というのは、予定いたしておりますのは三万九千ヵ所の待避所が必要であろうかというふうに考えておりますけれども、ただいま現在、待避所のございます数は三万三千ヵ所ございます。したがいまして、その意味では六千ヵ所ほど待避所が足らないということになっておりますけれども、非常に短いトンネル、あるいは断面の大きなトンネル、そういうものについてはまあ緊急ということではございませんので、逆に断面の小さい、あるいは非常に長いトンネル等に、そういうところに待避所をつくるべく努力をして、職員の安全を図るべくやりたいというふうに考えております。
  62. 田代富士男

    田代富士男君 いまお話がありましたとおりに、これは生命というものは、この前のハイジャック事件のときに福田首相も言われた、地球よりもとうといんだと、人間の命というものは。このように言われたとおりに、保線区関係で働いている皆さんの命というものもこれは大事であります。トンネル内というところは逃げ場所がないですから、待避ごうがなかったら大変な問題です。私は実際その待避ごうへ入られた皆さんの話を聞きましたが、いま国鉄の歴史は古いと、古いためにそういうトンネル自身も小さいけれども、待避ごうも小さいところがある。そういうところへ入るときには、座ったままで入れない場所がある、斜めになってやっと入れるんだと。ところが、すごいスピードでいって、支えていなかったらその風に巻き込まれていくんだと。こう入り込んだこの辺を列車が通っていくんだと。  これはそこへ入った人でなくてはわからないでしょう。恐らくここにお座りになっていらっしゃる皆さんはそういうところへお入りになった経験はないと思います。その実感はないではないかと思いますが、その当局として必要だと認められたのが三万九千ヵ所、そして現在は三万三千ヵ所、あと六千ヵ所が不足であると、逐次改善を進めていくということでございますが、これは改善は逐次ということで表現されるかもわかりませんが、事命に及ぶ問題です。よその車両の交換だとか、設備の交換だとか、そういうものではありません。命にかかわる問題です。これは逐次というわけにはまいりません。やはり総裁が、国鉄経営として投資をすべきところには投資をいたしますと、こういう国鉄状況であってもやりますということを申されたけれども、これは全面的に早急に解決をしていただきたい。これが第一点でございます。  第二点は、今度はトンネル内で仕事をするときの照明でありますけれども、軌道の保線作業をやるときに必要な照明については、昭和四十八年十二月二十一日付基発第七一五号によりまして、国鉄が照明設備の整備を進めていくところであると思いますけれども、実情はどうなっているのか。また五十二年度中に達成というのは可能であるのか。もしそれもできない場合は、そういうような悪い環境で働いている労働者の皆さんにどう説明をするのか。これが第二番目。  第三点は、今度はトンネルでなくして橋梁です。この橋側歩道の設置でございますが、橋側歩道の設置の状況はどうなっているのか。五メーター以上の鉄橋に橋側歩道がついてない橋梁の総延長が二百二十キロメーターもあるということを聞いておりますけれども、保線作業員の日ごろの労苦を考えると、やはり歩きにくい、疲れているときには足が一つ間違えば落ち込んでしまいます。こういうような安全を担保とする縁の下の力持ちになっている皆さんたちに対する態度というものは、少なくとも二百二十キロもまだそういうものがない、これはやろうとすればできないことはありません。  やはりそういうような軽視しているというか、知らないというか——知らないと許せませんけれども、これが当然であるというような、そういう冷たいような経営者の心では、こういうような安全を担保とする国鉄というものの安全は保たれないと思うんですよ。これが第三点。  第四点は、線路保守工事の通過列車に対する安全対策でありますけれども、百キロ以上のスピードで通過する列車に対しまして、人の注意力や簡単な警報用具だけで対処しようとしておりますけれども、こういうものではできません。私も過日、夜の十一時半ごろから午前四時までの深夜、私は新幹線の線路上、在来線の線路上、新幹線鳥飼基地、大阪駅周辺のあの深夜に線路上に立った経験があります。そのときに深夜の列車がそばを通る場所におりましたけれども、警報機ぐらいではこれは大変であるというだれよりも実感を持っております。  恐らくそちらに座っていらっしゃる皆さんが深夜の一時、二時、三時に線路に立たれたお方いらっしゃらないでしょう。私は立ってきました。立ってこの実感はだれよりも知っております。だから、人命尊重を唱えるならば、こういうところこそ、ほかのものは差しおいても対策を講ずべきであると思いますが、まず最初にこの四点についての御答弁を願います。
  63. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 最初に、作業のための照明の関係でございますが、これはいま先生の御指摘のとおり、四十八年に労働省からもいろいろ勧告がございました。私の方も作業をする場所につけるのでなくて、実際に作業をするときに持っていくまず照明器具、それからトンネルの中等では照明器具を置く場所が非常に狭いので、照明器具をかける設備をする、そういうことをこの五十二年度末を目標に整備をするというふうに考えて、逐次整備をしてまいっておりますが、いまの照明器具等については、まずいろんな技術開発等の進みぐあいを見ながら実は進めてまいりました。明るくて軽いというようなものがなかなかうまくできませんので、ただいまのところまでに一部その整備を行ったところでございます。  しかし、これは作業が夜間作業になる場合にはぜひ必要な器具でございますので、本年度末にはちょっと無理でございますけれども、来年度中に必要な器具類については整備をしたいというふうに考えております。  それから第二点で申された橋梁の上に橋側歩道、これは保線作業員が橋梁の上を渡るときに歩く、あるいは作業中に待避するという目的で橋梁の上に橋側歩道というものが設けられておるところはたくさんございます。現在、在来線につきましては橋梁が四万一千ヵ所ほどございまして、その延長は約九百キロメートルの橋梁を抱えております。そのうち、ただいま先生が申されましたように、まだ橋側歩道が必要だけれどもつけられてないという延長が二百二十キロメートルございまして、これについてはいままでも逐次整備を図っておりますけれども、非常に大きなお金がかかりますので、まず橋梁の非常に高いところ、あるいは橋梁の非常に長いところ、あるいは列車回数が非常に多くて作業が非常に頻繁に行われるところ、そういうものから逐次整備をしてまいっております。そういうようなことで、これも逐次整備をしていきたいと思っております。  それから第三点に申されました、線路の保守工事中に通過列車が参ります。それに対して非常に安心感がないといいますか、安全度が低いんではないかという御指摘でございますけれども、従来のやはり小集団の作業というものを、できるだけ見張り員をつけた集団の大きな作業隊に編成するというようなことを第一方針といたしまして、それにいま先生も申されましたけれども、列車接近警報装置とか、あるいは安全さく、安全ロープといったような設備をして安全の確保に努めておるところでございます。この列車接近警報装置も、これもなかなか技術開発がうまくまいりません。現実にはございますけれども、非常に携帯に重いという欠点がございまして、作業員がなかなかそういう点では非常に使用しにくいという欠陥がございますので、この点もひとつ技術開発をして、軽くてしかも使いやすいといったような列車接近警報装置を技術開発して、これがうまくまいりますれば、こういう点も大いに整備をしていきたいというふうに考えております。  先ほどから先生は、非常に列車の速いところで夜間立った者がいないんじゃないかという御指摘ございましたけれども、私どももよく夜間作業に立ち会いまして、その実態はよく把握しておるつもりでございます。御指摘の点を十分踏まえまして逐次整備を図って、安全という点については最大の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  64. 田代富士男

    田代富士男君 トンネルの待避ごうのことについて。
  65. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) それは先ほども申し上げましたけれども、やはりこれも非常に数が多うございます。しかもトンネルの中で待避ごうをつくるという、新しくしかも拡大するということは、列車の運転の間合い中で行う作業でございますので、非常に仕事がやりにくいためになかなかこの待避ごうを大きくするということは困難でございますけれども、これも逐次進めてまいりますけれども、安全の問題でございますので、いまも先生が申されたように、非常に小さくて中に入れない、あるいは本当に横にかがむだけだというようなものについては、それに沿いまして、これも先生からも御指摘がございますけれども、まあ手すりのようなもので安全に身が待避できるといったような、そういう設備をやりながら職員の安全確保には努力していきたいというふうに考えております。
  66. 田代富士男

    田代富士男君 次に、そういう線路上で働いていらっしゃる皆さんが一番人に言えなくてむなしさを感じている問題が黄害の問題ではないでしょうか。これは直接その被害を受けた人でなければその気持ちはわからないと思うんです。そういう直接被害を受けた者に対しまして、人権擁護上看過できないものではないかと思うんです。そればかりか、公衆衛生上の見地からもこれは放置できないと思いますが、これは大きな問題であります。この問題に対しまして法務省といたしましてどういう見解をお持ちであるか、御説明願いたいと思います。
  67. 中津川彰

    説明員(中津川彰君) 御指摘の、列車の黄害については、昭和四十八年に大宮保線区保線職員から浦和地方法務局及び八王子保線区保線職員から東京法務局にそれぞれ人権侵犯事件として申告がありました。  同地方法務局等において調査した結果、人権侵犯の事実が認められたので、国鉄総裁に対し昭和四十九年四月十二日に勧告、同年五月三十一日に接受としてそれぞれ処理しております。
  68. 田代富士男

    田代富士男君 いま法務省からの四十九年四月十二日の通達も出ておりますけれども、そういう意味で私は憲法第二十五条の精神あるいは憲法第二十七条の精神、そして労働安全衛生法第一条、こういうところからその目的というものを、私はこれはただ単なる規定されたものでなくして、これを実践し、それを生かしていかねばならないと思うわけなんです。  たとえば夜間作業場の照明であるならば、労働安全衛生規則第五百五十五条にその基準がありますし、黄害の問題は清掃法の中に説かれてありますけれども、私は本当にむなしさを感ずると思うんですね。そういう面におきまして、この問題に対しましては、これは労働環境の問題といたしまして対処していかなくてはならないと思いますけれども、運輸大臣、この問題、いかがでございましょう。
  69. 田村元

    国務大臣田村元君) 実はこの列車黄害の問題につきましては、私も心を痛めておる一員であります。先般、実はこういうことをいま申し上げていいのかどうかちょっと疑問でございますけれども、あえて率直に申し上げますならば、ここにおります高橋常務理事に黄害問題は早く解決しなきゃいかぬ、そこで施設としての解決を直ちにできない、つまり直ちにということは、きょうあすぱっとできない、こういう場合にはせめてもそれに対応して対策を講じたらどうか。たとえばこの労働者の人々はさぞかし他の労働者よりもクリーニング代も高くつくだろう、あるいはふろ銭も高くつくだろう、そういうような問題を勘案してあげたらどうかということを実は指示いたしました。  それからいま一つは、施設の問題につきましても、これは国鉄がすべてをやるという必要はないわけです。たとえば下水道工事に便乗するというようなこともできるわけですね。下水道工事の受益者負担金、これは御承知と思いますが、東京とか名古屋とか大阪とかという大都会ではとっておりませんけれども、中小都市では皆とっておるわけです。ですから、国鉄が下水道施工者に対して受益者負担金を払ってパイプをつながしてもらうということにすれば、下水道工事をやっておるところでは、あるいはすでにやり終えたところでは施設がスムーズにいくではないか、そういういろんなことを考えてみたらどうかということを指示したばかりでございますが——ばかりといいますか、もう大分前に指示をしたわけでありますが、いずれにしても私はこの問題はまさにおっしゃったとおり人権問題そのものである。でありますから、国鉄が適切なる処置を速やかにとられんことを望むものであります。
  70. 田代富士男

    田代富士男君 午前中の時間がそろそろまいったようでございますから、黄害問題につきましてはまたこれは改めてお尋ねをしたいと思います。  こういうような施設労働者の皆さんが、安全を担保とする国鉄の縁の下の力持ちとして働いていらっしゃる。こういう皆さんが、口には出したくないでしょう、恐らく。私もこういう言葉はあえて言うならば聞きたくありませんが、しかし生の声でありますからあえて私申し上げますならば、国鉄の従業員の中に、こういう言葉を使うということもどうかと思いますが、声でありますから声を代弁いたしますと、劣勢集団と優勢集団とあるんだと。  私は最初聞いたときに奇異に感じました。それは何ですかと。いや、国鉄の従業員の中に劣勢集団と優勢集団とありますよ。言いたくはないけれども、私たちは言わざるを得ないと。それはどういうことか。優勢集団というのは、収入を得る場所で働いている人たちがどうもそういうことらしいですね。また、私は従業員でないからわかりませんが、それで、お金を使う立場で働いている施設労働者の皆さん、こういう人たちが劣勢集団と言われているんだと。私は、こういう差別があってはよくない。それから、私は、じゃどういうことかということを一つ一つ具体的に聞きましたら、労働者の皆さんが、使いたくはないけれども使わざるを得ないなあという、私自身がそういうような感じになりました。  その具体的な例を挙げますと、労働環境といたしまして、建物でいきますと、まあ言葉遣いはどうかと思いますが、劣勢集団、優勢集団という立場で対比して申し上げますと、優勢集団の皆さんは普通の建物の中におる。冷暖房が完備している。防音が完備したところが多い。機能別で衛生的な部屋が多い。ところが、そういうような施設労働者の皆さんたちは現場の詰め所である。現場の軌道検査班の詰め所は全国的に老朽化しており、新築計画もない。これは私自身がその現場をこの足で歩いて見てきております。老朽化している。そのとおりと私は申し上げたい。私がこの目で見ております。新築でも冷暖房が不完全である。防音も不完全である。それから点呼、会議、食堂、一般事務兼用の部屋である。機能別に分かれてない。優勢集団の場合は機能別に分かれている。建物だけでもこれだけの違いがある。  作業現場でいくならば、こういう施設労働者の皆さんは、雨に遭ったり雪に遭ったり、雨風に遭って仕事をしている。それから寒さ暑さをまともに受けてしまう職場である。ただいま申し上げました列車黄害の問題等もいまだに放置されている。これは人権問題である、大臣も申されたけれども非人間的である。まして、作業する場所が過密ダイヤで、秒単位の仕事をしなくてはならない。また、いま申し上げましたトンネルの避難ごうの設備が劣悪である。私も、これも聞いてびっくりしました。橋梁あるいは橋側歩道が不十分である。いま私が指摘したとおりであります。高所作業あるいは列車近接の作業等が完璧にいってない。安全を担保とする国鉄の縁の下の力持ちとしてやっている人たちに対する配慮が少ない。災害復旧作業というものがまともにかぶさってくる。  仕事だから仕方がないと言いながらも、騒音激動作業、そのために白ろう病になる人が多い。また、重量物作業をする場合が多いから、ほかの職場に比べて腰の痛みを訴える人が多い。そういうものが積み重なって、ほかの職場における年齢層の人に比べるならば老け込む率が早いということです。それから綿密な作業、あのレールの作業というものは縁の下の力持ち、ミリではなくてそれ以下の作業に取り組んでいる。災害警備というものが完璧に保障されていない。こういう作業現場である。しかし優勢集団の場合は職業病というようなものも見当たらない。こういう差別がある。  また、道路一つとりましても、こういう優勢集団の皆さんが仕事をしているところは通路が設置されている、普通の通路である。しかし、施設労働者の皆さんは線路上の作業通路もないというのです。また、こういうようなのり面に対する昇降階段もない。高架に対する昇降階段もない。建築限界の保持された橋側歩道もない。ないじゃなくてこれは少ないといいますかね。通路の照明もないところが多い。こういうような通路の状況である。照明一つにいたしましても現行基準は満足をしておりません。優勢集団の皆さんが仕事をしているところは一応は満足したような形になっております。このような労働環境一つとりましてもこういう違いがある。  労働災害に至りましては、列車に触れる率、施設労働者の皆さんは殉職者が非常に多いのです。最近では、国鉄職員はもとより、合理化によりまして請負作業員にも多くこの問題が出ております。こういうことから考えれば、直接列車と関係のないところで仕事をしている人たちは少ない。こういう労働災害の問題も指摘されます。また賃金の問題につきましても、こういう施設労働者の皆さん方は平均賃金は満たないものが多い。賃金というものは他の職種に比べまして約四千円程度劣っていると。そして、他職と比べまして第一、第二職群の皆さんが多い。しかし優勢集団の皆さんは運転、営業、最低職業は三職群から立ち上がっていくわけなんです。最低職群が高いために昇格が早い。こういうような、賃金一つ見ましても差別がある。  安全を担保とする国鉄が、一番安全の縁の下の力持ちとして働いている施設労働者の皆さんに対して、いままでの国鉄姿勢というものは人間的ではない面もありました。私はあえてこの事実を申し上げましたけれども、これに対して人間的な立場から、総裁、どのように対処される気持ちでありましょうか。お願いいたします。
  71. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 黄害の問題を中心といたしまして、施設の職員諸君の環境問題というのは非常に深刻な問題になってきております。いまそれぞれの面からお触れになりましたが、私どもも労使間の話し合いを通じてそういう問題が切実な問題として提案されておることを承知いたしております。なかなか多面多様にわたりますし、それから広い範囲の問題でございますので、対策をとるにも結局は金の問題ということになってまいりまして、思うように進んでないのが現状でございます。また、地域によりましては、いろいろな過去からの関係で差が出てきておるわけでございます。私どもといたしましては、非常に世の中一般が変わっておるわけでございますので、施設を担当する職員、あるいは架線の仕事をする職員のように、いわば日の当たらないところで一生懸命やってくれている諸君の職場、それが毎日レール上を安全に車が動く根源でございますので、本来非常に重要であるにかかわらず、どうも目につかないといいますか、日が当たらないといいますか、そういう環境になっていることについては心を痛めているわけでございます。  いま詳細に御指摘になりましたが、それぞれ私もかねてから承知はいたしておりますけれども、まだ私自身がもう一つ取り組むというところまで至っていないわけでございまして、いま大変いい、ある意味でのアドバイスをいただきましたので、今後しかと取り組みを進めてまいりたいというふうに考えます。
  72. 田代富士男

    田代富士男君 午前中、これで終わります。
  73. 内田善利

    委員長内田善利君) 午後一時五十分まで休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      —————・—————    午後一時五十八分開会
  74. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  75. 田代富士男

    田代富士男君 午前中の質問に引き続きまして、私は午後は、現在の国鉄の赤字の根本原因一つになっております貨物の問題についてお尋ねをしたいと思います。  五十二年八月に国鉄は、昭和五十五年までに二万人合理化のために、国鉄貨物輸送運行距離の減少を初め、貨物取扱駅の廃止、ヤードの廃止等を行う計画を、駅名を挙げましてこれを発表をしております。午前中から質疑してまいりました国鉄再建と関連しまして、総合交通政策の立場から見直しが最も必要なのがこの貨物ではないかと思うのです。ただいま申しましたとおりに、営業係数一つとりましても、旅客の営業係数は在来線の場合は一六四、新幹線の場合は六二、貨物の場合は実に三一二という営業係数が出ております。そういう意味から、この国鉄再建と貨物の関係というものは切っても切れない関係にありますし、この貨物の問題を解決せずして国鉄再建はおぼつかないと言っても過言ではないと思うのであります。  そういう立場から、この貨物の問題をどうするかと考えた場合に、現在国鉄貨物輸送の市場占有率というものが毎年度逐次これ下降線をたどっております。これは、産業構造の変化やあるいは交通革命に対しまして十分に対応することのできなかった運輸行政、あるいは国鉄の適切な指導というものがされなかった施策に大きな問題点があるかと思うわけなんですが、国鉄貨物が、現在及び将来にわたりまして、わが国の物流に重要な位置を占めていることは当然であります。そういうような状態であったとしても当然でありますが、このまま衰退するに任せることはできないと思うわけでございます。そういう意味から、国鉄貨物の適正な運営を維持さすために示されました合理化案を、最初に要領よく御説明を願いたいと思います。
  76. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) ただいま御指摘の合理化案につきまして申し上げます。  趣旨は二つございまして、一つは、やはり今後競争関係にある程度耐え、勝ち抜いていかなくちゃなりませんので、これの貨物輸送の体質を基本的に変えていくということが第一点でございます。第二点は、やはりそうかといって、営業をしっかりして荷主を確保し、荷物を確保するということも必要でございますし、営業活動を積極的にやっていく、こういう大きな二本の柱がございます。  第一点の問題につきまして申し上げますと、昭和四十年代に入りまして一番貨物が多かったのが四十五年度でございまして約二億トン、一億九千八百万トン送っております、年度で。そのときの列車キロが一日五十五万五千キロ走っておりました。現在はどうかと申しますと、すでに御承知いただいておりますが、五十一年度で一億四千百万トン。列車は幾ら走っておりますかといいますと、五十三万五千キロ、こういうことで、二万キロしか減っておりませんが、実際の貨物は三割落ちである、こういう状態に追い込まれておるわけでございます。  そこで、適正な輸送力を設定いたしまして、そして体質改善をする、効率のいい輸送体系をつくろうということで、すでに御存じのとおり、貨物列車は非常に複雑ないろいろの列車が走っておりますが、これをできるだけ単純にいたしまして、単純にいたしますことによって構内作業も単純になりますし、全体としての要員もそれだけ浮いてくるということでございまして、それに見合う形で、現在約千六百弱の駅を千駅程度にして本当に効率のいい鉄道をつくりたい、こういうことが主眼でございます。  簡単に数字を申し上げますと、駅数はいま申し上げましたとおりでございますが、五十五年度までに、やはり約二割五分ぐらいの列車キロを切りたい、整理をしたい。しかし、列車効率は現在のように空気を運ばない、千トン牽引なら千トンという列車を効率よく走らせたい、これは体質改善でございます。そういたしますと、機関車も当然減ってまいりますし、それから貨車は現在国鉄所有の貨車が十二万両ございますが、これを二万両、二割落とすという形で整理をしていきますと、貨車修繕のやはりある程度の統合あるいは機関車職場、いまこれは検討中でございますが、これも統合するというような形の合理化計画でございます。  それから営業活動に対しましては、大ざっぱに申し上げまして、セメントとか石灰石とかというような大量貨物については、国鉄がもう伝統的に直販体制をとっております。しかしながらその他の貨物につきましては、やはり通運の集貨力というもので、通運業者という集貨力を持っておりますので、それの集貨力と国鉄の営業センター、これは約七百人ほどおりますが、これで積極的に開発をする。しかしながら、御指摘のとおり、なかなか現在経済状況は非常に苦しゅうございまして、四苦八苦をいたしておる、しかしながら何とかこれも活発にできるだけの努力、最大の努力をやっていきたい、こういうことでございます。
  77. 田代富士男

    田代富士男君 いまのお話を聞いておりますと、今回の国鉄貨物の取扱廃止等の一連の計画というものは、国鉄経営面の見直しの中から出てきた措置ではないかと思うわけなんです。まあ一日にして二万キロ減である、取扱量については三割減であると。これをさらに効率的な面から走らすためにということで、またさらにこれを減らしていきたいというようなこういう意向であります。効率的ということは言葉はよいですけれども、私はこういう見方もあると思いますが、それよりももう一つ、総合交通政策樹立の立場から、大きい立場からもこれは見ていかねばならないと思うんです。これは国鉄だけでなくして、運輸省の立場からもそういう立場を指導し、高所から与えていかなくちゃならないと思うんですね。そういうわけで、こういう中に総合交通政策樹立の上から運輸省として検討されたのか、お尋ねをしたいと思います。
  78. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国鉄の方で計画いたしております合理化案につきましては、総合交通体系の面から見ても、やはり望ましい方向ではないかというように受け取っております。といいますのは、総合交通体系の基本的な考え方は、各交通機関の特性を発揮させるということにあるわけでございまして、やはり国鉄の貨物輸送というのは大量定形輸送にその特徴があるわけでございますので、今回の国鉄の合理化計画というのは、そういう方向に沿って計画されたものであるというふうに考えておるわけであります。
  79. 田代富士男

    田代富士男君 これは私の考えでありますけれども、いまからでもこういう貨物部門というものは、国鉄の置かれた立場と、けさからも何回も鉄道法の第一条の問題を取り出しておりますけれども、そういう目的から言いましても、この部門に対していまどんどんどんどんとキロ数も扱い数量も下がってきたというのは、これは企業努力といいますか、そういうものがなされてなかった、そこに対する投資が行われてなかったというそれもあるわけなんです。そういう意味から、なぜ投資をもっとやってこなかったのか。私はまだまだ鉄道の持つ使命というものは十分に回復できる立場にあるんではないかと思いますが、運輸省の立場として、指導する立場としてどうですか。
  80. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 貨物の問題、現在国鉄がやっております貨物というのは、非常に広い範囲でやっているわけでございます。大量定形輸送の分野もあれば、非常に小口の輸送もやっているわけでございます。やはり国鉄の長所というのは、先ほど申し上げましたように、大量定形輸送ということにあるわけでございますので、国鉄の特徴を生かすような方向でやっていきませんと、国鉄の貨物の赤字解消というのはむずかしいのではないかと考えているわけでございます。  国鉄の貨物は、先ほど御指摘のように、国鉄の赤字の相当大きな、まあ大半と言ってもいいぐらいな大きな分野を占めております。国鉄の赤字をそれじゃだれが負担すべきかということになりますと、これは旅客に負担させるわけにはいかぬ。旅客に負担させられないということになれば、やはり国鉄自体で合理化しなきゃいかぬと。もちろんシビルミニマムとか、どうしても、国民の生活上維持しなきゃならないような分野があれば別でありますけれども、国民の税金に依存するわけにいかぬということになりますと、やはり国鉄自体が合理化をして、その赤字をよそに負担させないような措置を講ずる必要があるんじゃないか。  したがって、やはり総合交通体系の面から言っても、小量輸送というのはトラックの分野でございますので、適当な輸送はトラックの方にお願いする。任務を交代するということで、国鉄が特徴を発揮できるような大量輸送の分野に今後特化していって、国鉄の貨物の体質改善を図ってできるだけ赤字を生じさせない。貨物部門だけで十分採算がとれるような方向に持っていくのが今後の国鉄のあり方ではないかというように考えておるわけでございます。
  81. 田代富士男

    田代富士男君 大都市間の大量輸送ということは私も理解をいたしますけれども、その中にありましても、現在国鉄から国鉄以外の輸送の方向に流れていっているものがあるわけなんです。そういうものをどのように認識していらっしゃるのか。また、そういう鉄道以外に流れている貨物を鉄道に再び引き戻す、そういうような施策というものを打たないで、いま効率的に、あるいは交通総合体制の上からと言いながら、施設あるいは人員の削減等に力を注ぐんでなくして、いま言うように、そういう鉄道以外に流れている貨物、そういうものを取り戻すための施策にも力を入れなくてはならないのではないかと思いますが、これは運輸省というよりも国鉄当局の、朝から私は指摘してまいりました企業努力というものがこの辺にされねばならないと思いますが、当局のお立場としてどうですか。
  82. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 確かにここ四、五年、四十八年度以降急激に毎年一割ずつ減少いたしておりますが、これをごらんいただきますと、やはりいろいろ国鉄貨物輸送の欠陥もございます。確かにその欠陥というのは、安定輸送がなかなかできなかったという——災害等もございましたけれども、スト等もございまして、安定輸送ということができなかったということも大きな原因だと思いますし、それからもう一つは、やはり通運と国鉄との関係というものがしっくりいってなかったことも事実でございます。そこで、私どもは将来、全力を挙げて労使間でよくこの点については理解し合いまして、安定輸送の確保という手を打つとともに、通運に対しましても十分今後話をいたしまして、相互の販売力というものを極力合理的に組み合わせまして努力をしていきたいと思います。  先般来、西ドイツの総裁は各荷主を歩いて相当貨物を獲得したという大臣のお話でございましたけれども、わが国鉄総裁も、通運業界あるいはトラック業界、あるいはセメント業界あるいは何々業界といってしょっちゅう各トップと会っていただきまして、国鉄現状をよくお話しを申し上げると同時に、各業界の実態についてもお伺いをいたしまして、極力要望にこたえるようということでわれわれも努力をいたしております。
  83. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、いまこの新しい合理化を示されまして、それを実施されようとしております。これが実施された暁には、一応のめどといたしまして、昭和五十五年度に固有経費で収支均衡を目指すということになっておりますけれども、じゃ、五十三年度実施では収支はどうなるのか、五十五年度では収支はどうなるのか、そこらあたりを御説明願いたい。
  84. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 具体的に五十三年度はどうなるのかという御質問に対しましては、ぴしっと計算をしたわけではございませんけれども、おおむね五十五年度というものを考えましてまず固有経費を賄う。固有経費と申しますのは、貨物をやっておるだけで発生する経費は貨物で負担をしたいという形でございまして、これにつきましては、一方経費の節減ということで、先ほど申し上げました効率化と同時に、一方経費を節減いたしまして、また増収につきましては極力努力をして、少なくともこれからの五十五年度までに減らないように絶対に努力をしていくと同時に、トラック等につきましても、二年周期の運賃値上げもございますし、それらを勘案しながら適時適切な値上げをしていくということで、五十五年度は固有経費でほぼ収支が賄えるのじゃないか、非常に苦しゅうございますが、あとは努力だと思います。
  85. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、各年度ごとに定年の退職者と配置転換が行われることになっておりますけれども、その数を示していただきたい。  それと同時に、配置転換の計画の内容を概略説明をしていただきたいと思いますし、それと同時に、それは果たして実現が可能なものであるのか。そのために発生する摩擦といいますか、言葉の表現がちょっとむずかしゅうございますが、それをどう考えているのか。無理やり押し通してやるつもりなのか。そこらあたりの問題をお聞かせいただきたいと思います。
  86. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ただいま貨物の問題に関連しての御質問でございましょうか。——退職者の数は、職員全体の数はとっておりますけれども、たとえば運輸部門でも約十五万人おりまして、そのうち駅関係が十二万、そのうちまた貨物が四万ということで、貨物部門だけ取り上げてということになると数字がございませんが、御存じのとおり大変四十五歳から五十五歳までの人間が多うございまして、五十六、七年には二万人も退職するというような状況下にありますが、五十三年−五十五年時点では、まだ二万人には至らないという数字でございますが、現実に配置転換の問題はそういう問題ではございませんで、たとえば百人でやっておる仕事を八十人でできるように仕事の仕組みを変えていくという場合にその二十人をどうするかということで、やり方としてはその年に退職していく人、つまり定年でやめていく人がおれば、その二十人のうちの何人かはそれを待って解消する、それからあるいはその以前に、合理化をする前に、何と申しますか、欠員というわけではありませんけれども、なるべく人を効率的に使いまして、私どもそれだけ欠員状態にしておくと申しますが、まあ臨時雇用員その他で使っておきまして、そうして合理化ができたときにその臨時雇用員を外す。  もしくはまたその同じところでも業務量増加がございますので、それに充てるというような方法でやっておりまして、そうしてどうにもその地区で処理できないものは他地区に配転する、あるいは他系統に配転するというようなことで、これは今日まで大変困難かつ複雑な問題を抱えておりまして、御指摘のように今日までこの問題に苦労をしてまいってきております。ただしかし、四十三年以降今日まで十一万人に及ぶ配置転換を行っております。先ほど御説明しましたように、この十一万のうち大体六割が先ほど申しましたような形の自駅区で何とか処理できるもの、それから四割が異系統、あるいは盛岡から東京とか、広域にわたる配置転換をやって処理してきたもの、そういうものでございまして、この間におきましては、家庭の事情その他いろいろの問題がございまして、希望を募り、それをいろいろと説得しまして配転に応じてもらうということには、御指摘のように大変苦労いたしておるわけでございます。
  87. 田代富士男

    田代富士男君 いまも、こういう配置転換の中には、いろいろな異系統への配置転換とまた地域の配置転換とで苦労が多いということでございますが、配置転換者の中には、いま計画されております上越新幹線あるいは東北新幹線、成田新幹線の開業の要員もいるということを私は聞いております。問題は、貨物の合理化計画に伴いますところの配置転換の時期と、いま申し上げましたあの各新幹線の開業の予定時期とがかみ合った場合にはこれはうまくいくかわかりませんが、かみ合わなかった場合にはどうなるんですか、そのように考えていても、合理化をするという、だから私は、これは摩擦が起きはしないかと心配するのはこの点なんですけれども、これに対してはどのようにお考えになっていらっしゃいますか、ここらあたりどうですか。
  88. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 新幹線の開業と、貨物なり何なり合理化をした要員の配置転換との関係はどうかということであろうかと思いますが、これはまだ今後の問題といたしまして、十分にそごを来さないように検討してまいりたいと思いますが、かつて新幹線が山陽新幹線で博多まで延びましたときに、同じくやはり五千人ほどの大配転を行っておりまして、そのときも、現在線の方から四千二百名、あるいは新幹線総局内部でも千名近い配置転換を行いました。この際は相当数の者が広域配転、たとえば東京から大阪へ行く、大阪から博多へ行くというような大作業と申しますか、大事業をやり遂げたわけでございまして、今後の新幹線開業に関連する配置転換等につきましても、労働組合の協力も得まして、何とかそごを来さないように努力してまいりたいと思っております。
  89. 田代富士男

    田代富士男君 では、そういう問題が起きないように配慮をしていただきたいと思います。  それと同時に、今度は、先日発表されました国鉄貨物の取扱駅の廃止の問題でございますが、どういう基準でこの取扱駅の廃止がされたのか、これは管理局ごとに違うのか、全国一律であるのか。こういう取扱駅の廃止の決定に当たりましては、当該地域の特殊性を十分配慮いたしまして、国鉄経営上からであると思いますけれども、こういう画一的な基準のみで行うべきではないと思うわけなんですが、この点はどうでしょうか、これは大事な問題ですが。
  90. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 駅の集約につきまして、実は全国的一律の物差しがあるかという御質問だと思いますが、この点につきましては全国一律の物差しはございませんで、現在すでに十数年前から貨物の駅の集約をやってまいりました経験と実績に基づきまして、各管理局で、その駅の背後にある経済状態あるいは統合をする駅までの道路状態、あるいは荷主関係、あるいは通運業者はどういう形になっているかということ、さらには国鉄部内の問題といたしまして、この駅を廃止することによってどれだけのメリットが出てくるかということ、こういう点を各管理局ごとに検討いたしまして決定をしたものでございまして、全国どれもこれも同じであるということではございませんが、たとえば北海道のように非常に集約のおくれておるところ、あるいは大分県のように集約のおくれておるところ、そういうところと、非常にたとえば千葉県のように進んでおりますところ、いろいろと違っておる状態でございまして、全国画一でやったものではございません。
  91. 田代富士男

    田代富士男君 この問題は非常にむずかしい問題も加味していることは私も承知をしておりますけれども、この問題にはいろいろな問題が絡んでいるわけなんですね。一つは、貨物駅の廃止は、荷主から荷物を頼まれまして国鉄貨車に積み込む仕事をしている通運業者にとりましては、仕事の基盤を奪われることになるわけでございます。そういう意味から、全国通運連盟の水野専務理事はこういうことを言っております。全国の通運業者千人の業者のうち一般荷物を扱う四百人の業者が影響を受けると。大半が、国鉄の歴史とともに長い間駅とともに商売をしてきた中小業者でありますが、その駅がなくなりますと商売ができないことも出てくると心配されているわけなんです。こういう問題も配慮されたのか。  また、地域によっては、そういう廃止に伴いまして国鉄のサービスの低下、国鉄のサービスの低下ということは、これは長い目で見た場合には国鉄離れということを促進するおそれが含まれております。そういうふうに、集約化によりまして国鉄離れがさらに進行するおそれというものがないというわけにはいかないと思うわけなんです。こういう点は配慮しなくちゃならない。そういう意味から、集約化による影響をどのように当局として受けとめていらっしゃるのか。また、商売をやめなければならないそういうような通運業者に対してはどのような対処をするつもりであるのか。そこらあたり御説明願いたいと思います。
  92. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) まず、通運業者に対する考え方でございますけれども、実は昭和四十六年の三月二十二日に運輸省の通達が出ておりまして、集約対象駅における事業者の既得権の尊重——通運業者の既得権でございますね、これの尊重、それから免許申請手続を簡素化することを内容としたものでございまして、たとえばA駅がなくなりまして、取り扱いをやめましてB駅に移る。その場合はB駅の免許をできるだけ既得権を尊重いたします、それから免許の申請手続も簡素化いたしますという通達が出ておりまして、私どもこの精神にのっとりまして、たとえば既得免許業者に対しましては新しい駅における免許について積極的に働きかけるというようなことをいたしております。  それから、サービスの低下、なるほど確かに御指摘のとおり、従来扱っておった駅がなくなるということは不便でございましょうし、いろいろと支障も起こってくることはもう免れないと思いますけれども、長い目で見ていただきまして、統合駅でいろいろと設備をいたしまして、たとえば上屋の設備とかあるいは舗装をするとか、あるいは貨物のホームの低床化をしてコンクリート敷にするとか、いろいろとその統合駅の設備改良をやりますと同時に、列車体系を見直しまして、できるだけ確実に定時刻に着けるように努力をするということで、荷主さんに対しましてもサービスを落とさないようにしていきたいというふうに考えております。
  93. 田代富士男

    田代富士男君 いま業者の人の、A駅からB駅へ移った場合でも既得権を尊重するとかいろいろ申されましたけれども、業者だけでなくして、これは地元の産業あるいは地元の住民に与える影響というものも非常に大きいわけなんです。サービスの低下をしないように努力するとおっしゃるけれども、現実に廃止させたところはサービスの低下につながるわけなんです。  そこで問題ですけれども、貨物取扱駅は昭和三十五年には約三千五百ありましたけれども、五十一年の三月には千五百六十九駅まで減らしてきた。これをさらに千二百九十六駅に減らす考えでありますけれども、私はこれは関係者から聞いた話でございますが、運輸省の内部ではさらにこれを六百八十駅までに減らしたいと主張している者がいらっしゃるそうでございますが、こうなりますと、鉄道法第一条の規定に示された目標といいますか、住民に対するこの国鉄姿勢というものを果たしてどう考えていらっしゃるのか。  私はこの千二百九十六を半分の六百八十駅まで減らすというようなこういう考え方で今回の貨物の合理化なんかやっていたならば、これは大変なことである。これ総裁、どうですか、こういうことが運輸省内部で——私もここではいいかげんな発言はしておりません。関係者の間から明確に聞いておりますけれども、こういうような計画でこの合理化案をやっていたならば大変だと思うんですが、総裁、どうですか。
  94. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私どもといたしましては、どうやったらば効率的な運用ができるか。確かに駅の数が減りますことは、その近所でいろいろ仕事をしていらっしゃる産業界の方々や、あるいは住民の方々には御迷惑をかけることになります。しかし駅数を減らすということになりますと、ヤードの作業を簡素化することができますし、たとえば十ヵ所の駅向けに送ります荷物を十台の貨車に積んでおりますのを、七ヵ所に送ればいいということになれば七つの貨車に積めばよろしいということになりますから、各貨車ごとにいわば部分的に空気を運んでおるような状態から逃れてまいりますし、ヤードにおきます解結作業も簡素になりますということを通じまして、いままでよりも速いサービスといいますか、短い時間で物を送ることができるということになりますので、一面、直接この廃止駅につながる皆さんには大変御迷惑になりますけれども、他の駅の扱いとしては従来よりは格段とサービスが上がってくるわけでございまして、そういう意味で、まあ全体としてどういう程度に効率が上げられるかということを考えながらやっていかねばならぬと思っております。  その場合に、現在の千五百駅をどの程度に減らすことが望ましいかということについては、にわかに判断を下しがたい点もございますけれども、やはりたとえばある一定の数がよろしいといたしましても、あるいは理論的に、あるいは評論家的な立場でそういうことが言えるといたしましても、私ども現実に輸送の仕事をいたします立場からは、白紙に絵をかく場合とはやっぱり違うわけでございますので、そう理想的な姿に一挙に持っていくことはできないということで、いまのところは五十五年までに約三分の一、つまり五百駅を縮小いたしたいと考えておるわけでございます。  なぜ五百でなきゃいけないのか、なぜ四百ではだめか、あるいは六百減らさないのかということにつきましては、そう決定的に理論的にこういうのが望ましいという答えは出るわけではないわけでございますけれども、田代委員よく御存じのとおり、現在一番最盛期に比べまして荷物の量が七割に減っておる、つまり三割余り荷物が減っておりますので、全体としての輸送体系を三割ぐらい減らす、せめて四十五年、四十六年、四十七年当時の効率に持っていきたいということから、非常に漠としたあるいは大ざっぱな見方でございますけれども、三割荷物が減りましたので、三割いろいろなものを——編成につきましても、ヤードにつきましても、駅につきましても減らしていきましょうかという大見当をつけましていま作業中でございます。  しかし、現地にはそれぞれの御事情がおありでございますから、そう簡単にはいかないかもしれません。しかし、現段階ではそういう感じでございまして、いまお尋ねのように、運輸省その他であるいはもっと思い切ったことをやれというお考えもあるかもしれませんけれども、現実の仕事をしております私どもの立場といたしましては、大変達観的でございますが、いま言ったような判断から三割というめどを立てておるわけでございまして、これを五十五年までにやりますこともなかなか摩擦が多い仕事でございますので、何とかその目標に近づきたいとは思っておりますが、それ以上はいまのところはちょっと現実問題としては考えられないのが今日の段階での私の判断でございます。
  95. 田代富士男

    田代富士男君 五十五年度を迎えますと収支均衡になるというようなことが予測されておりますが、五十五年度に収支均衡になった場合に所期の目的が達成したことになるわけなんですが、それを六百八十駅までさらに半分にした場合は、いまも申したとおりに国民へのサービスに欠けると同時に、国鉄が持つ公共的な使命というものができなくなるわけなんです。このように考えていくならば、合理化合理化とか、効率的にというような名前のもとに、国鉄の方は貨物の安楽死を考えているのではないかと、このように思われても仕方がないわけなんです。だから、こういう点につきましてはひとつよくお考えいただきたいと思います。あえてこれは答弁を求めません。  それと同時に、ヤードの廃止が行われることになっておりますけれども、その跡地についてはどうするつもりであるのか、具体策を御説明いただきたいと思います。
  96. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 現在このヤードについてはどうするこうするという計画はございませんが、どのヤードがいつ廃止になったときにはどういうことにしようという調査を現在やっておりまして、あるいはその事業局の方の所管として開発される場合もございましょうし、あるいは業務用に使われる場合もございましょうし、あるいは通運業者がぜひこれは国鉄貨物輸送のためにひとつ荷さばき所に貸してくれというような場合もございましょうし、その辺については現在調査中でございます。
  97. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、大臣はいまお帰りになったところでございますが、午前中に引き続きまして私は貸物の問題、これは御承知のとおりに国鉄経営の中で営業係数は三一二という、国鉄再建していく上においては貨物の問題を切り離して考えられない、これが最も一番の問題点であるということでその合理化案等の質疑をしてまいりましたけれども、いま申したとおりに、貨物取扱駅をどんどんどんどん減らしてきて六百八十までにもするというような、公共使命を忘れるような、こういうような一面が見受けられます。  これは朝から私は一貫して申し上げております日本国有鉄道法第一条の目的といいますか、こういう規定された目的から逸脱する一面もあります。そういう意味から、貨物輸送の使命というものを忘れかけるのではないかという私は危惧を持つわけなんですが、そういう意味におきまして、再建対策と赤字の根本の貨物とは切っても切り離せない関係ですけれども、これに対する取り組みの決意を運輸大臣にお尋ねしたいと思います。
  98. 田村元

    国務大臣田村元君) 貨物の合理化は、合理化そのものがよくないということは言えないと思います。能率的な発展を図るという元来の考え方にある意味においては即応しておるということは言えるかもしれません。ただ、これをどのようにするか、具体的な方法論につきましては、国鉄みずからが判断をして営業努力の中でこれを解決していくものと、このように思います。実は貨物駅の廃止の問題につきましても、率直に言いまして国鉄から事前に私どもに相談はございませんでした。国鉄がみずからの責任においてやったのでございましょう。そればそれでよいと思います。  ただ、一部に言われるような貨物安楽死論という説に対しては、私は断じて承服いたしがたい。合理化は必要でございましょうけれども、合理化以上に必要なものは、私はやはり貨物をより多くとってくるということだと思うんです。いわゆる発展をせしめることだと思います。大変むずかしいことでございましょう。先般も連合審査で申し上げたように、イギリスあたりは国鉄総裁が貨物のお客様のところへみずから足を運んでセールスをやっておるというようなことを、私、何かの本で読んだのでありますが、まあ何も高木総裁に毎日カバン持って保険の外交員のように歩けとまでは言いませんけれども、それくらいの意気込みでもって営業と取り組んでいただかなきゃならぬ。同時にまた政府として、国鉄と相談をして、国鉄が求めるわれわれに対する協力、われわれがして差し上げる協力があればそれは協力するにやぶさかでない。しかし、いずれにいたしましても営業努力の中の一環でございますから、国鉄自体が経営者として判断をしていくものとこのように思います。
  99. 田代富士男

    田代富士男君 午前中の質問で私は黄害の質問をした折に一つだけ抜かしておりましたから、ここで労働省にお尋ねをしたいと思いますが、黄害の問題につきまして、田村運輸大臣も人権問題である、解決しなくちゃならないというようなこういう姿勢をお聞きいたしました。こういうわけで、労働者の労働安全衛生上一日も早くこれは解決しなくてはならない問題ではないかと思うわけなんです。そういう意味から、労働安全衛生法の第一条には、「労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な」とあります。「快適な作業環境の形成を促進することを目的とする。」ということがうたわれておりますが、この施設労働者の皆さんが悪い労働環境のもとに仕事をしていらっしゃる、この問題に対しまして、何らか明確なるものをこれはやるべきではないかと思うんです。  ということは、なぜかと言えば、たとえば夜間作業の照明等におきましては、労働安全衛生法の規則第五百五十五条によってその基準が決められておるわけなんです。黄害の問題は、清掃法等にもありますけれども、もっと明確にこれは何らかの形でこれを取り上げるべきではないかと思いますけれども、労働省として黄害の問題等についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねいたします。
  100. 宮野美宏

    説明員(宮野美宏君) 御指摘のとおり、黄害につきましては、保線作業従事労働者に対しまして労働衛生上大変好ましくないというふうに考えております。そのため、労働省といたしましては、かねてからこの黄害の防止という観点から、国鉄当局に対しまして車両等の改善を要望いたしますとともに、作業員の洗身設備等の設置を指導しておるところでございます。これは労働安全衛生規則におきましても、六百二十五条という条文の中で、清潔の関係での「洗浄設備等」ということがございまして、その点を強く御指導申し上げているところでございます。
  101. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、労働省の方、どうもすみませんでした。結構でございます。  次に、私は防災対策についてお尋ねをしたいと思います。  毎年冬になりますと、裏日本は豪雪に見舞われますし、雨季になりますと全国至るところ線路がずたずたに壊されます。そして、列車不通で国民の皆さんが困るわけなんです。台風襲来によりましてもまた同じことが起きておりますが、過去における防災関係の予算、またそういうような防災に対して要った費用等、概略を御説明いただきたいと思います。
  102. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 防災という中には、私どもの対策も含めていろいろございますけれども、含めまして、要するに線路に落石をしてくる、あるいは雪が降りまして線路を支障する、そういうことを防ぐためにいろんな設備をいたすためのお金が、いま先生毎年とおっしゃいましたけれども、四十九年に百五十五億、五十年に二百三十五億、五十一年度に二百五十六億ということで、年々若干ずつではございますけれども予算をふやしながら設備をいたしております。なお五十二年度ではおよそ三百億の予定をもってそういう施設をいたしたいというふうに考えております。
  103. 田代富士男

    田代富士男君 がけ崩れによりましていろんな事故が起きておりますが、がけ崩れだけ、過去十年間にどういうがけ崩れがあったのか。死傷者の数はどうなっておりますか。
  104. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 私の方では、がけ崩れと先生おっしゃいましたけれども、一応落石という、そういうとり方で調べております。落石によりまして列車が支障いたします。列車に何らかの運転上の影響を与えるという件数が、過去十年間の平均で一年間に直しまして五十二件の列車を支障——支障というのは、列車の運行を妨げているというのが年間五十二件ということになっております。そのうち約二十分の一のチャンスで列車の乗り上げ、いわゆる脱線ということがございました。いま死傷者とおっしゃいましたけれども、最近はことしの三月に上越線で落石によりまして急行列車が脱線をいたしました。そのときの旅客の死者があるだけでございまして、最近その他の旅客の死者はございません。
  105. 田代富士男

    田代富士男君 いま上越線の急行佐渡三号のお話がございましたが、五十一年六月二十五日、予土線で同じく落石事故が起きておりますし、同じく五十一年六月二十三日、予土線で築堤崩壊事故が起きておりますけれども、概要を簡単に御説明ください。
  106. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 六月二十五日に起こりました落石は、この二、三日前に雨が大分降りましたけれども、当日はそれほどの雨ではございませんでした。約四十トンぐらいの一つのかたまりの石が、約百メーターほど線路から離れたこれは民地にありました石でございますが、それが落ちてまいりまして、ちょうどその落ちた下が私の方の橋梁でございましたので、橋梁の橋脚にそれが当たりまして橋脚に亀裂が生じました。その結果約三ヵ月にわたりまして列車を不通にするという、そういう事故でございます。  それから二日前の六月二十三日の件は、これは非常な大きな雨が降りまして、線路に並行した川の増水によりまして線路の築堤を保護いたしております護岸が流されまして、非常に大きな築堤が流れたという事故でございます。これは非常に内容が大きかったために、復旧するのに少し時間がかかりまして、およそ半年間ぐらいの不通をいたしたという事故でございます。
  107. 田代富士男

    田代富士男君 いま予土線の五十一年六月二十三日、二十五日の事故の報告をしていただきまして、三ヵ月ないし半年不通になったという、こういうことでございます。この線路というものは鉄建公団においてこれは建設されたものであると思うわけなんです。そういたしますと、鉄建公団が鉄道建設をされるときに、専門家の立場の人が言われるには、危険個所であるということはわかっていながら鉄建公団はその鉄道を施設した、それを国鉄へ引き渡すだけである、その後でこのような防災対策は国鉄の手においてなさなくちゃならないと、こういうところあたりに未然に災害を防ぐということはできないものか。私は鉄建公団の任務というものも理解いたしますけれども、鉄建公団の、鉄道国鉄に渡す側として、この予土線の事故に対してどのようにお考えになっていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  108. 平岡治郎

    参考人(平岡治郎君) この予土線のうち、鉄道建設公団が建設いたしましたのは、窪江線という建設線名で江川崎から川奥の間三十九キロの間でございます。で、昭和三十八年に工事に着手いたしまして竣工いたしましたのが昭和四十九年の三月でございますが、建設期間中におきまして、のり面の落石のおそれのある個所というのが多数見受けられまして、そういう個所につきまして、約百二十ヵ所でございますが、この百二十ヵ所につきまして、土どめ壁の上部に落石防止さくといいますか、線路の中に落石が落ちてこないようなさくを施工いたしたわけでございます。しかしながら、開業後その沿線の地形、地質の特質から非常に落石のおそれのあるところがまた生じてまいりまして、このことにつきましては、現在災害復旧の一環といたしまして、その対策につきまして国鉄と協議中でございます。
  109. 田代富士男

    田代富士男君 いまの予土線関係だけでも危険個所が百二十ヵ所あったということでございますが、そういたしますと、これは国鉄全体と見まして、現時点におきましてがけ崩れ、これは落石ということだそうでございますけれども、この防止策を講じなくてはならない必要個所というものは何ヵ所ぐらいであるのか、またその対策はどのようにとろうとされているのか、御説明願いたいと思います。
  110. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 先般の上越線の落石事故以後、国会等でもいろいろこれに対する緊急的な対策、あるいは緊急的な点検というものについて御決議いただきました。私どもの方も従来から慎重にいろいろ対処しておりましたけれども、新たに総点検をいたしました。いま落石のおそれのあるといいますか、落石を一応対策あるいは警戒々しなくちゃならないという個所は全国で二千二百三十一ヵ所というふうに把握をいたしております。で、これを設備で補うためにはおよそ三百五十億円ぐらいの予算が必要ではないかというふうに判断をいたしております。
  111. 田代富士男

    田代富士男君 いま国鉄自体の調査におきましても、安全を担保とする国鉄国民の皆さんは事故のないことを信頼して乗っているわけなんです。しかし、現実には二千二百三十一ヵ所も危険個所があるということは、いまがけ崩れがあってもおかしくない場所、これが二千二百三十一ヵ所ある。こういうところは安全を担保とする国鉄といたしまして、高木総裁が、こういう赤字の状態であるけれども、国鉄経営といたしましてやるべきところにはやるんだという午前中の答弁がありましたけれども、これは国鉄としてやらねばならない。しかし、国鉄としてやらねばならないことはわかっていても、このような三百五十億円の金というものはなかなか現在の国鉄から生み出すわけにはいかない。経営の根本である安全対策ということはやらなくちゃならないけれども、いかんせんそれだけの金がない。  こういうことから、私は午前中から一貫して質問してまいりましたことは、資本費、こういうような工事費に対しましては、やはり国が補助を抜本的に考え直して出すべきだということを私は一貫して主張してきたのはこのことなんです。二千二百三十一ヵ所、これはいつ事故が起きてもあたりまえという個所があるということが指摘された。こういうような状態と、再建に当たっての、いま私が午前中から申し上げたことに対して運輸大臣いかがでございましょうか。
  112. 田村元

    国務大臣田村元君) 工事費につきましては三分五厘に抑えるための利子補給が行われておるわけでありますが、それはそれといたしまして、先ほど来の午前中からの質疑を承っておって、やはり一考に値する御意見であるというように私自身は受けとめております。まあ、そういう工事費をどうするかということはとにかくとして、午前中にもお答えいたしましたように、やはり現在やっておる国の助成体系はそれはそれとして、それ以外に特定財源というものをやはり求めて、交通特別会計のようなもので、国鉄の言うなれば穴とでもいいますか、問題点とでもいいますか、そういうものに対処していかなければならないだろう。私は特定財源探しにいま必死になっておりますが、いよいよその任の重きを痛感いたしておる次第でございます。
  113. 田代富士男

    田代富士男君 いまは防災の対策について申し上げましたが、今度は、上から落ちてくるんでなくして地盤沈下の対策について質問したいと思います。  国鉄の、滋賀県の琵琶湖のそばを走っている湖西線ですが、これは鉄建公団で建設されましたが、いつごろ建設されたんでしょうか。鉄建公団の方から……。
  114. 平岡治郎

    参考人(平岡治郎君) 完成いたしましたのは、昭和四十九年の七月の二十日でございます。建設に約七ヵ年ほどかかっておりますんで、実際に工事を始めましたのは四十二年ごろから始めておると思います。
  115. 田代富士男

    田代富士男君 湖西線が建設されたわけなんです。これは全国の新線にも当てはまるかと思いますが、湖西線の問題を主に取り上げていきたいと思いますが、新線における初期沈下対策に対しまして、ここ五年間にいかなることを実施されてこられたのか。これは国鉄の方から御答弁願いたいと思います。
  116. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 路盤と申しますか、線路の沈下には、基礎となる路盤の沈下と、それから軌道を支えております、まあバラストの沈下といいますか、したがって、軌道の沈下と両面から沈下があるわけでございます。で、この路盤の方は、これはその土質あるいは施工時の施工のやり方等によっていろいろ違いますので一概に申せませんけれども、まあ建設してから五年間ぐらいには年間数センチの沈下が出るというのが一般でございます。  それから線路の沈下は、これは列車の走行の回数、あるいは列車の速度その他によっていろいろ変化いたしますけれども、これもやはり、まだ建設当時ではバラスト自体が路盤の中にめり込む量もあり、あるいはバラスト自体が崩れていくというものもございまして、年間に三十ミリないし五十ミリ程度の沈下があるというのが一般ではなかろうかというふうに考えております。
  117. 田代富士男

    田代富士男君 湖西線で去る六月の十九日に電気機関車EF81がホームと接触した事故が起きておりますが、概略御説明願いたいと思います。
  118. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 去る六月の十九日に、私の方の列車が西大津駅構内を通過いたしたときに、列車の乗務員から異常感知の報告がございました。で、調べましたところ、西大津駅のホームの端から十一メーター内側に入ったところのホームの上をかすかに列車がかすったという痕跡がございました。そこで直ちに修復応急処置をして、その後の列車の走行に支障のないように処置をいたした、そういう事故でございます。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
  119. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、最初にお尋ねしました不等沈下対策を行ってきたとするならば、このいまの六月十九日の電気機関車がホームと接触事故を起こしたということは不可解な事件と言わざるを得ません。これは初期沈下の限界の測定や予測についてはどのようになっておるのか。やってきたのか。そこらあたりちょっと説明してください。
  120. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 建設して間もないということで、ここにつきましては年に一回、いわゆる構造物の沈下がどうなっているかという調査及び建築限界との関係がどうなっているかという調査を実施いたしております。一番新しく実施いたしましたのは西大津の駅では五十一年六月に実施いたしておりまして、ちょうど一年間たったわけでございますが、その間若干線路自体が下がったということで、車両の一番端がホームをすったということになったのではないかというふうに考えております。
  121. 田代富士男

    田代富士男君 車両の一番端がホームのところをかすった程度だという、そういうお答えですけれども、事実はそうじゃないでしょう。私はここで明確に言いたくないけれども、この事故は私が調査をして質問するまでには隠されていた事故でしょう。出されてなかった事故です。それがホームのところをちょっとばかりかすった事故なんです——そういう事故じゃないでしょう、はっきり申し上げますと。言いにくいことを言いますと。そうしますと、事故の原因はホーム側にあったのか、あるいは電気機関車のローラーストッパー側にあったのか、どちらなんです。
  122. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 車の方は車両限界内にこれは入っていると思います。車両限界と建築限界のそのすき間が非常にホームのところではわずかしか、約五十ミリの差でございますが、五十ミリの差しかとってないということで、これは軌道が一部下がり、あるいはホームの上のクリーンタイル等が一部膨張したといいますか、若干上がった、そういうことの重なりでこれがすったのではないかというふうに想定をされております。
  123. 田代富士男

    田代富士男君 あえて私は細かくは追及しませんけれども、最初に私が国鉄にお願いしていただいた資料と、またこの前説明を聞きました資料とも説明が違うわけなんです。このローラーストッパーとホームとの間の間隔があると言われる。百十三ミリの間隔があるべきところが接触をしていると。タイルが二十ミリ上がったんだと。熱のためにタイルが浮き上がったからだと。二十ミリ浮き上がったとしても、百十三ミリの間隔がなおかつある。そこにローラーストッパーが接触したということは、それだけ地盤沈下したということではないでしょうか。ところが、いま私が尋ねてきたら、不等沈下対策というものはやってきていたと。にもかかわらず、こういうような事故が起きたというところに大きな問題があるわけなんです。これはどうなんですか。
  124. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 正確に路盤がどういうふうに下がったか、実は私いま正確なデータは持っておりませんが、報告によりますと、路盤が下がった部分、それからいまのホームが若干クリーンタイルが変形した、両方の競合だということでこの機関車とホームがすったのだというふうに私どもの方は報告を受けておるわけでございます。路般の対策というのは、盛り土の区間ですと非常に急速に雨が降ったようなときに一時的に下がるところもございます。  ただし、線路の砂利自体はもともとあれは三十センチぐらいの厚さでございますので、それ自体が急速に下がるということはございません。したがって、盛り土がある時期に急速に下がるということは考えられると思いますが、本件については軌道の下がりとホームの若干の変状、それから、もともとホーム自体も初めから数センチも狂いがないほどぴしっと正確に施工されていたかどうかということについては、その辺にも若干原因があるんじゃないかというふうに考えております。
  125. 田代富士男

    田代富士男君 いま、ホーム自身が完璧につくられていたかどうかということにも、その辺に若干の問題点があるということでございますが、つくられたのは鉄建公団です。どうですか。
  126. 平岡治郎

    参考人(平岡治郎君) これは竣工いたしまして国鉄に開業で引き渡しますときに、竣工検査、開業監査、これは公団、国鉄立ち会いで行うわけでございまして、そのときには検測車を通しておりますので、その時点ではホームの高さは正規の高さがあったものと思います。
  127. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、つくった方の鉄建公団は、レールからホームの高さは千百ミリ、これだけあったということでございますけれども、いまの国鉄の当局の考え方とちょっと違いがありますけれども、鉄建公団は渡すときはちゃんとありましたよと。それはどうでございますか、そこに問題があったと思うんですけれども。
  128. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 竣工いたしましたときに、いまの百十ミリという差でなくて、恐らく建築限界車が通るか通らないかという検査をして、いわゆる建築限界に当たるか当たらないかという検査をいたしておりますので、最初に、当初できたときに、本当の正確な位置との関係というものはいまのところちょっとわかりません。しかし、その百十ミリも急速に下がるということはちょっと考えられませんので、建築限界車が支障なく建設の当時通ったということは事実だというふうに考えております。
  129. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、それだけの地盤沈下は考えられないといっても、現実には電気機関車がそういうような接触をした事実があるということは、理屈がどうであれ、それだけの地盤沈下したということを認めざるを得ないと思いますが、どうですか。
  130. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 相対的にはそのとおりだと思います。
  131. 田代富士男

    田代富士男君 そういたしますと、この接触していったところのクリーンタイルが原因であるようなことも言われまして、そのクリーンタイルを張りかえたんだ、それで修復したんだということでございますが、これは目先の一時的な応急処置であって完全な処置ではないと思うんですが、この点どうですか。
  132. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) その点は先生のおっしゃるとおりだと思います。応急処置として、線路を上げることはちょっと時間がかかりますので、とりあえずクリーンタイルの方をはがして、その間隔をとって、逐次軌道の方をこれから工事をして正規の位置へ持っていって、相対関係をよくするという処置がこれからの処置だというふうに考えております。
  133. 田代富士男

    田代富士男君 そこで湖西線は、あれちょっと駅の名前はど忘れいたしましたが、盛り土とそれから高架とが真ん中で連結した上に駅ができ上がっておりますが、そこの柱だとかそういうものが非常なゆがみが起きている駅があります。私はこういうところも考えますと、この湖西線自身の建設工事をやった鉄建公団はどういう工事をやられたのであろうか。駅の名前ちょっと忘れたんですが、そういう駅があります。説明してください。
  134. 平岡治郎

    参考人(平岡治郎君) 私ちょっとその事実につきまして報告を受けておりませんが、よく調べまして御報告いたしたいと思います。
  135. 田代富士男

    田代富士男君 私の部屋にその写真があります。このタイル張りにしたのも全部証拠写真があるわけなんですが、そのような事態になっております。  これだけではありません、湖西線の問題は。たとえば雪害対策についても湖西線はほとんど配慮されておりません。特に今津駅付近におきます除雪作業ということはできません。あれだけ雪の深いところの湖西線におきまして、こういうような雪害対策も考えてなくして、こういうような鉄道建設をするということはどうであろうかと思いますが、どうですか。
  136. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 私の方からお答えいたします。  この今津駅付近の例年の積雪量というのは、当初建設公団で予想いたしておりましたのは、十年平均ということで五十センチないし六十センチということを想定していたようでございます。たまたまことしの冬の雪はちょうどこれの二倍ほどの大雪でございましたが、ここにも一メーターほどの積雪があったということでございまして、その点から考えますと、この設計自体が、先生のおっしゃいますように、いわゆる雪の対策ということについては不十分であったというふうに私どもの方も考えております。
  137. 田代富士男

    田代富士男君 それで私、またこれは私自身調査に行きたいということを国鉄の方に連絡をいたしましたら、調査に来るのを一時見合わしてくださいと、とめられたいきさつがあるんです。そのくらいの問題を含んだところでありますが、いま言うとおりに、このようなEF81の電気機関車が接触するはずがないのに接触しているということは、これは大きな事故につながることであります。こういうような防災対策あるいは地盤対策とか、こういうような安全を担保とする国鉄といたしまして、当然何はさておいて、これは最優先でやるべき仕事ではないかと思うわけなんです。そういう意味で、国鉄経営の立場からやるべきものはやると、朝、総裁は御発言されましたけれども、いま私は具体的な例を申し上げました。詳細は、私の会館の部屋に来ていただきましたら、写真から何から全部そろっております。だから、こういうものに対して総裁としてどのように取り組まれるのか、その総裁の決意をお聞きいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  138. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 非常に国鉄は延長の長い線路、しかも山間部もたくさんございます。あるいは軟弱地盤等に走っている線路もたくさんございます。それぞれにつきまして、現地の保線関係員は絶えず検査をし、またそれに対する手当てをいたしまして、列車の安全を確保いたしておりますけれども、ただいま先生が御指摘になったようないろんな問題が、ただ人力だけではなかなか解決しない問題もございますので、そういう点も、御指摘の点も含めまして、防災上の安全について万全を期すべく努力をしていきたいというふうに、かように考えております。
  139. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 恐縮でございますが、湖西線のことは、実は私自身は余り詳しく承知をいたしておりませんでしたので、よく勉強してみたいと思います。  全体としての安全問題、防災問題については、午前中にもお答えいたしたとおりでございまして、今後とも、経営の問題がございますけれども、それなりにまた経営の問題は経営の問題として、安全の問題はそれとは必ずしも直接関係なく、第一次優先ということで処理をしてまいりたいと思います。
  140. 内藤功

    ○内藤功君 運賃法案法定制緩和という名目のもとに、前の質問者も言われましたように、緩和どころじゃなくて、実際は法定制そのものを骨抜きにする、いわば財政民主主義の根幹を脅かすそういう法案であると言わざるを得ません。また、いまの不況、インフレ、あるいは円高という経済状況の中で非常に苦しんでいる国民、勤労者の方々の生活を、物価高の契機となることによって一層強めるだろうと思います。  それから何よりも、その国鉄をどのように再建するか、また、政府が国鉄をどのように真剣に国民の足になるように助成をしていくかという決意が、本日までの質疑討論の中でも十分伺えない段階で、ひたすらこの運賃値上げを自由にするという法案を早く通してくれ、早く通してくれと、これのみを要望し続けているということは非常に私は問題だと思うんです。本委員会ではさらに徹底的な審議が尽くされて、問題点がはっきりし、そうしてこのような法案は、これはもう国民の意思に反するもの、憲法、財政民主主義にも反するものとして、これは政府は断念された方が私はよろしかろうと思っておる次第なんです。  私は、きょう時間をいただきましたので、法案につきましての質問は後刻、後の方でいたしまして、その前に、法案審議の前提となる若干の問題について政府、国鉄当局に御質問をしたいというふうに思っております。と申しますのは、私はかねがねこの法案が、大きな問題点を含んでおりまするのに、かくも実に早く参議院にやってくるということは予想のほかであったのであります。特にこういう値上げ国民に要求する、値上げの自由化を国民に対して要求する、国民にそういうことを要求する立場にある政府あるいは国鉄当局というものは、みずからなすべきこと、みずから国民に反省すべきこと、あるいはみずから国民に陳謝すべきことはまずきちんと国民の前にわびて、清算をして、そうしてくるのが私は順序だと思うのです。  まず、私は先般の本会議でも問題にしましたが、いわゆる国鉄の組織機構を使った違法選挙行為が行われて、そして多くの検挙者、起訴者、犠牲者を出しているという問題。私はこれをある特定の何人かの人を非難攻撃するためにこの質問を行うものではない。これは国鉄経営姿勢、これからどういう姿勢国民の足と言うべき国鉄を運営し監督していくかという、この根本の姿勢が間違っておった場合には、幾ら運賃を上げて収入をたくさんふやしたって少しも国鉄経営はよくならないと思うんです。この根本姿勢がどうかということがまず国民の前に、国会の前に明らかにされなくちゃいかぬという観点から私は問いたいと思うのである。  そこで、まず私は、いわゆる国鉄におけるぐるみ選挙というものが言われた、国鉄の組織機構を使って選挙が行われ、多くの違反行為が出たこの問題ですね。まず私は、非常に多くの検挙者、取り調べを受けた人がたくさん出てきたと思うんですね。警察庁にお聞きしたいんですけれども、大体国鉄はこの選挙違反でどのくらいの人が検挙されたのか、どのくらいの人が取り調べを受け事情聴取を受けたのか、これを警察庁にまず伺いたいと思います。
  141. 加藤晶

    説明員加藤晶君) お尋ねの今回行われました参院選での選挙違反の件でございますけれども、全国でどのくらいの者が事情聴取を受けたのかと、こういう参考人につきましては、当庁ではその数などを取りまとめておりませんので、参考人がどのくらいであるかということについてはちょっと判明いたしておりません。  そこで、検挙ということでございますけれども、当庁に報告のございましたものについて申し上げますと、本件につきましては、逮捕者三十二名を含めまして検挙者の総数は二百十八名ということになっております。
  142. 内藤功

    ○内藤功君 この検挙されあるいは取り調べを受けた者のうち、国鉄の各鉄道管理局の部長以上、それから本社の課長以上というような役職にある人がかなりいて、私はこれは国鉄の幹部のあり方として非常に国鉄経営の面からも問題だと思うのでありますけれども、国鉄総裁あるいは国鉄の担当の常務で結構ですが、これはどのぐらいの数占めておりますか。
  143. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 事情聴取を受けた者のうち各鉄道管理局の部長以上、それから本社の課長以上は何人であるかというお尋ねでございますが、まず結論から申し上げますと十八名でございます。内訳といたしまして、大阪鉄道管理局八名、福知山管理局七名、金沢管理局二名、本社一名でございます。
  144. 内藤功

    ○内藤功君 さらに、この国鉄の職場、国民の足であり、公共機関である職場が捜査当局の手によって捜索を受けるという事態も生じて、広く報道機関にも報道されたような例があるけれども、こういう捜索を受けた個所は鉄道管理局においてどのぐらいあり、また本社の中においてどのぐらいあるか、この点を国鉄にお伺いします。
  145. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 捜索を受けました鉄道管理局別個所数といたしましては十一局、三十七ヵ所でございます。本社の捜索は受けておりません。
  146. 内藤功

    ○内藤功君 私は、今国会が間もなく終わろうとしておる。こういう問題は公職選挙委員会なり法務委員会でもさらに問題になるべき問題ですが、いまだにこれは十分な機会がないので、国鉄経営姿勢の問題と関連をしてもう一つお聞きしておきたい。  法務省にお伺いしたいのですが、検察庁としての処分の内訳、正式の公判請求と略式に分けて、そうして起訴された者は大要どういうような要旨の公訴事実で起訴をされたのか。私は具体的な人名などはここで述べなくてもいいです。どういうような行為であるのか、どういう目的で、どういう意図で、どういう態様で、どういう結果をもたらした行為なのか、そして罪名は何であるのかという点を明らかにしてもらいたいと思います。
  147. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お答え申し上げます。  全国の検察庁でいろいろ取り調べをしまして、法務省の刑事局の方に報告のありました件数は、この関係の選挙違反につきましての件数でございますが、合計二百六十四名ということになっております。その内訳は、起訴が七十一名、さらに起訴の内訳といたしまして公判請求が九名、略式請求が六十二名、その他が不起訴ということになっております。この数値はいずれにいたしましても当局において把握しておるものでございますので、必ずしも実態と正確に見合っておるかどうかは疑問でございますが、一応そういう数値になっております。  それから、主要な公訴事実でございますが、罪名は公職選挙法違反ということでございまして、公職選挙法の百三十六条の二、公務員の地位利用それから法定外文書の領布、その他事前運動等の罪名ということでございまして、主たる公訴事実といたしましては、今回の選挙に関しまして後援会に加入するように部下職員等に働きかけたと、そのことがまた同時に事前運動であり、あるいはまた文書を領布して勧誘したということで文書頒布罪に問われておると、こういうことでございます。
  148. 内藤功

    ○内藤功君 ことしの四月の五日に、予算委員会で近藤議員がこの問題を取り上げたんです。そしてそのとき、後援会の申込書が国鉄の職場で、しかも勤務時間中に職制を通じて渡され、後援会員を勧誘するよう上司から部下に命令をされているという、こういう事実を近藤忠孝委員指摘をして質問いたしましたのに対し、国鉄総裁旅客局長二人ともこれを否定をされた。そうしてまた、幾つかのその答えは私もいま覚えていますが、そういうことはないと確信しているという答弁。この確信しているという答弁ぐらい後でひっくり返るものはないのです。私は後でもう一つの例を出しますが、そう否定している。そしてまた幾つかの事例を挙げての指摘に対して、国鉄総裁総裁は、事実であれば地位利用である、よく調べてただすと答弁された。このとおりになったんですね。  まずその一つ国鉄関東地方資材部の係長二人が、部長代理と言って勤務時間中に資材納入業者を回って後援会の加入を要請したという件。これは当時予算委員会で私も聞いておりましたが、これを調査すると約束された。この調査の結果はどのようになったのか、また調査の結果、どのようにこの案件について国鉄当局として、本社として対処をなされたのか、この点を伺いたい。
  149. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 近藤忠孝先生指摘内容といたしまして、日時は本年の三月、場所は国鉄資材納入会社、当局者は関東地方資材部石塚営業係長、企画係長、二名。相手方が社長。行為は部長代理と称し、後援会入会申込書を大量に持ち込み、会員の拡大を要請したという御指摘に対しまして、調査をいたしましたところ、日時、場所、当局者、相手方は御指摘のとおりでございますが、行為は部長代理とは申しておりません。それから、中小企業の最近の実情を勉強のためにいろいろと勉強しに訪問をいたしたのでございます。たまたま持っておりました——大量に持ち込みと言っておられますが、たまたま持っておりました後援会加入申込書を十部程度、よろしければ応援してくださいと軽い気持ちで置いてきたというのが実態でございます。しかし、四月八日に、これはまさに李下に冠を正さずと申しますとおり、四月八日に秘書課長より関東地方資材部長に対し厳重に注意をいたしております。
  150. 内藤功

    ○内藤功君 もう一つの事例は、これも同じ予算委員会ですが、三月の九日、長野県の飯山線の沿線の観光連盟というのがあります。この幹事会が飯山市の旅館で開かれたときに、国鉄の飯山線管理室の岩崎次長が後援会申込用紙を配付して加入を求めたと、この件について近藤議員が質問をしたと思います、この点についての調査と、それからこれに対応する対処の仕方はどうなっておりましたか。
  151. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 御指摘は、日時は本年三月九日、場所は飯山市ほてい旅館、会合名は長野県飯山線沿線観光連盟幹事会後の飯山線管理室長新任歓迎会、当局者は管理室長付専任次長岩崎淑明、相手方は幹事会出席者。行為といたしまして御指摘になりましたのは、岩崎が後援会申込用紙を配り、その加入を求めたということでございます。これに対して事実関係を調査いたしましたところ、日時、場所、会合名、当局者、相手方はいずれも御指摘のとおりでございますが、行為は、後援会加入申込書の配付はしていない、後援会加入を求めた事実はない。ただ、伊江さんのことを紹介したようでございます。これに対しましても、やはり李下に冠を正さずと申しますので、四月上旬、同じく秘書課長より長野鉄道管理局長に厳重に注意をさせております。
  152. 内藤功

    ○内藤功君 いままでの答弁でも明らかになりましたように、非常にこういう件数が国鉄の職場、経営の中で多かった。中でも大阪鉄道管理局では、事情聴取の取り調べが二百人を上回る、かように言われておりまして、逮捕者も全国三十二名と言われている中で、十四名占めておる、こういう状況であります。この大鉄局の特に人数の多い選挙違反の問題、大鉄局長の責任もさることながら、本社の方ではこの大鉄局の問題についてどのようにいま考えておられ、どのように対応されたか、この点を伺いたい。
  153. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 御指摘のように、大鉄局の問題については非常に残念だと考えておりますし、私ども常々、三回にわたって選挙以前にいろいろと国鉄職員の立場等について連絡をしてまいりましたが、あるいは指示をしてまいりましたが、やはりこういう結果が出たということに関しまして非常に残念でございます。それと同時に、少々やはり私どもの通達その他が形式に少し堕しておったのではないかという反省をいたしておりまして、今後はさらに十分徹底するような指導をしていきたいというふうに考えております。
  154. 内藤功

    ○内藤功君 やはりこの本社の責任というものを私は明らかにしておきたいと思うんですが、この国鉄の大きな組織を利用して全国的に展開されたわけですね。そうして、本社の七階にある国鉄機構の一つである共済事務局、ここで公示前からいろんな細かい計画が立てられて、そして本社の課長クラスが全国各地に出張派遣されているということは、もう公然の秘密になっているわけです。そして、その指令系統は、国鉄本社を頂点にして各鉄道管理局の総務部長、企画課を通じて、各運輸長、駅長という現場長クラスまで指令をされた。そして、出入りの旅行業者——さっき中小企業者の勉強にと言いましたけれども、旅行業者、弁当業者、工事請負業者、こういう人を、ある意味でこれは利益誘導的に動かして展開されたのであります。  こうした各地の違反行為の中に、何らかの形で国鉄本社からの関与が見られるのであります。たとえば、本社幹部による現地視察というものがずっと行われておる。たとえば副総裁ですね、この副総裁が去年の十一月ごろからことしの七月の参議院選挙が終わるまで、非常にこれが、私の国鉄からいただいた資料で見ても出張が多いのです、これは。また、この副総裁は事情聴取をされておる。一体この出張の回数の多いことをどのように本社では説明をされるかを承りたいと思います。それから事情聴取はどの件での事情聴取をされたのであるのか。この点を、やはり国鉄国民に対して責任を明らかにされるという面から明らかにしてほしいと思います。  先に言いますが、副総裁をこの委員会においで願って、副総裁御自身からお話をいただきたいとお願い申し上げておきましたが、どうなりましたですか。
  155. 天坂昌司

    説明員(天坂昌司君) ただいまのお話で、去年の十月から非常に出張が多いということで、その点に関しましてお疑いがあるようでございますが、この際私からその出張の趣旨につきまして御説明を申し上げたいと存じます。  副総裁に就任いたしましたのは昨年の三月でございますが、これは当然就任後時を置かずに現場を巡視をして歩くということが通常でございますし、私といたしましても、ぜひ各地の事情を視察し、また私の考え方を知ってもらいたいということを考えておったわけでございますが、昨年度国鉄自体が、御存じのとおり春から秋にかけまして国鉄始まって以来という危機を迎えたわけでございます。夏にはボーナスの遅配というようなこともございまして、地方を回ることにつきましては意に任せなかったわけでございますが、たまたま十一月に時間を見つけまして、これは全国の中でも拠点というべき総局とかそういうところだけ大急ぎで回りました。この際は総局なり、そこに所在する局のほぼ部長以上にお集まりいただきまして懇談をいたしたわけでございます。  その懇談の内容でございますが、多少くどくなるかもしれませんが、国鉄は毎日定められたとおり列車を運行するということが使命でございまして、より正確に、より列車を多く、スピードを上げて、国民の足たる仕事、使命を果たしているわけでございますし、そのために設備の近代化も相当進めておりますが、しょせん汽車を動かしておりますのは人でございます。職員がその気になって汽車を動かしてくれなければ、定められたとおりの輸送はできないわけでございます。そういった、職場の人が胸を張って仕事ができる、そういう精神的な環境を早くつくり上げたい、そのためにも地方の幹部、特に現場長、現場の管理者の方々お話も伺い、またそれをもとにして計画を立てたいということを念願いたしておったわけでございますが、昨年度は果たせませんでした。そういうことで、今年に入りましてから、私から見まして時間の都合をつけまして、時間のある間に各局を回りまして、各局では現場長さんにお集まりいただきまして、私の考えていることも申しましたし、具体的にはこの点を、具体的に個々の点をどうすればいいんだろうという、むしろ相談をしながら回って歩いた次第でございます。  私といたしましても、選挙に関連いたしましていろいろ疑われておりますことは非常に心外でございまして、私の本当に回りました趣旨は、簡単ではございますが、ただいま以上申し上げたようなことでございますので、御了承いただきたいと存じます。
  156. 内藤功

    ○内藤功君 一つの弁解として承りましたが、ならばですね、副総裁御自身が事情聴取を受けられたと李下に冠を正さずという言葉がさっき答弁者から出ましたが、この点についてはいかがお考えなのですか。
  157. 天坂昌司

    説明員(天坂昌司君) 参考人として事情を聴取されたということでございまして、先ほどからいろいろお疑いを持ってお話がございましたけれども、私自身はそういうことはございませんし、事情聴取に対してはあるがままをお話をしたつもりでございます。
  158. 内藤功

    ○内藤功君 私の質問はなかなかストレートにお答えになりにくいかもしれないけれども、答えが出ないとちょっと先へ進めないものですからもう一回聞きます。あなたが事情聴取をされたのはどうしてなんですか。どういう件ですか。
  159. 天坂昌司

    説明員(天坂昌司君) 私が大阪の管理局と福知山の管理局を回った際に、いまお話が種々出ておりましたような疑いがあった模様でございまして、いろいろその点につきまして聞かれたわけでございますが、そういう事実もございませんし、私としましては、先ほど申しましたようにあるがままにお答えしたわけでございます。ただ、この一連のことにつきまして世の中をお騒がせしたということにつきまして、国鉄の責任者としまして、はなはだ遺憾に存じておる次第でございます。
  160. 内藤功

    ○内藤功君 私はいまこれ以上、おまえの言うことは信用するしないということをここで言う気持ちはありません。また、それに時間を使うつもりもありませんが、現場ではこの本社の幹部の出張をそのように単純には受けとめていない。列車が毎日毎日動くように、経営努力をやるように、副総裁がよくお出ましになったとかいうふうに必ずしも単純には受けとめていないということを、私は一つの手紙で示したいと思うんです。  失礼ですが、これ総裁に見ていただこうか。  総裁、この手紙は直接ごらんになりましたか。あるいはあなたのところに行く前にどこかで見て、あなたの目には入らなかったかな。この手紙はどうです。「拝啓 国鉄総裁殿」と題する手紙です。
  161. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 見ておりません。
  162. 内藤功

    ○内藤功君 これは国鉄総裁あてに、最後の「國鉄O・B管理者65才」、国鉄の、いまはOBですが、管理者をやった人からの、現場のこういう選挙運動の中に心ならずも巻き込まれていった人の気持ちが書いてあるんですよ。私はこれ全部後でゆっくり総裁に読んでもらいたいと思うけれども、一枚目の左から八行目のところにこう書いてあるんですね。  「現場管理者にとって三年に一度の参院選は全く身の細まる思いをしたものです。言葉のあやこそあれ「仕事は二の次営業活動(選挙)第一」」営業活動というのは選挙のことです。「第一」は当局がいかに否定しても現場管理者としては厳粛な事実として受取めなければならないのです。この期間中は営業活動と称し親戚、知人、業務上の関係者等々を対象に集票、その時により暗号は異なりましたが、(一票を一トン、として毎週運ユ長に報告したことも事実でした。)「選挙期間中現場長は机に居るな」が原則。局の上司に事務室におるのを見つかれば「営業活動はどうした」と電話で叱られたこともありました。」「その結果今日のように違反者が出れば逮捕されるのは現場管理者という小者ばかりです」ということが書いてあります。  そうして「元車掌区長の死は」——二ページ目の真ん中のところ、「田中角榮氏の運転士にも似た悲劇です。」ということも書いてある。  最後の三ページ、結論のところに「国鉄総裁殿、申し上げればきりがありませんが、三年に一度の現場シゴキはもうおしまいにして下さい。やるなら雲上人も地上に降りて堂々とおやり下さい。それなら立派です。」と書いてある。  これは深いいろんな意味が私はあると思う。読む者それぞれにそれぞれの感じを持つものだと思うけれども、国鉄総裁初めて見られたとおっしゃったが、現場ではこういう受けとめ方をしておるということですね。三年に一度の現場のしごきというものはやめてくれという、こういう声がある。これはやっぱり知らなくちゃいかぬと思うんですね。私は国鉄総裁御自身から、この問題について多くの違反者、逮捕者、検挙者、起訴者、そうして自殺者まで出したということについて、いま一番国鉄は大事なときであって、こういう本当の営業活動はやらなくちゃいけない。貨物をどうして集めるかなんという営業活動はやらなくちゃいけないが、この営業活動は選挙のことを営業活動、一票を一トンと称してそういう選挙活動をやっておる。もうこりごりだと言っている。  私はこれについて、先般運輸大臣は本会議の席上で陳謝の趣旨のお話をされたが、国鉄総裁から、やはりこの国鉄問題の審議に入る前に、きちっとこの点についてのあなたのお考えを、お気持ちを聞いておきたいと思うんです。それでなければ私はこれから先の質問をやる筋が立たぬと思うんです。まず、どうですか。
  163. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 今回の違反事件に関連いたしまして、広く国鉄の、何といいますか、いまもお触れになりましたように、イメージダウンにつながるような結果を招来したことはまことに残念でございます。  私も率直に申しまして、何といいますか、選挙があれば責任者といたしまして選挙違反というような問題が起こらないように、起こってはならぬ、またそういう疑いを受けてはならぬということで相当注意をいたしておったつもりでございます。ただいまお挙げになりましたような、今年の予算委員会におきますお尋ねがございました際にも、直後に担当の者に命じまして実情を調査したわけでございます。何かそういうニュースがありました場合には、小まめに対応の処置をとってきたつもりでございます。  ところが、終わりましてその後で、結局かなりのというか、大変大ぜいの職員の諸君が取り調べを受けるということになりました。非常にびっくりいたしたわけでございまして、また、おっしゃるように、ある意味でやはり国鉄の体質というものがそこにあらわれているということを否定できないわけでございます。確かに、長年私どもと同じ職場で奮励された方が志を立てて選挙に臨まれるというので、個人としてこれを何か心から声援をしたいという気持ちがあったことは私としてもわかるわけでございますけれども、捜査当局にいろいろお調べをいただくというようなことになりましたことは、やはりこれは法に触れておる疑いありということでお調べを受けたわけでございますから、このことについて深く反省をいたしておるわけでございます。  今後とも、このことはもちろんでございますけれども、およそ法に触れることがあってはならないということで、一層督励指導をいたしてまいりたいと思います。いまから考えますと、私の指導なり監督なりに不十分な点があったということを率直に認める次第でございますと同時に、今後こういうことが起こりませんように、より一層私自身が積極的に指導に当たっていくということをお約束いたしたいと思います。
  164. 内藤功

    ○内藤功君 総裁が法に違反しないようにやらなくてはいかぬという反省は、私はそれなりにいま承りました。私の質問は、法に違反しないというだけじゃだめなんです。公共交通機関であり、国民に奉仕すべき国鉄というものは、——それはりっぱな人がいたら応援するのはいいですよ。りっぱだと思う人をみんな応援するのはこれはもう自由であります。しかし、国鉄という組織、機構を利用して、特に上下の関係や組織関係を利用して、まさに地位利用ですね、だから違法なんですが、地位を利用してやるようなそういう運動、これを今後またやるのか、三年に一遍またこういうのが来るのかという問題です。これは国鉄が左うちわで黒字がどんどんどんどんふえるのならいいです。  私がこういう三年に一遍と言うと、ここでお差しさわりがあったら私は御免こうむりたい、失礼したいんですけれども、しかしそういう問題じゃないんです。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 国鉄はいま大変な経営危機である、破産に瀕している状態、こういう状況下で、営業活動と称して勤務時間中に運動を上下の関係でやる。こういう運動を今後も、国鉄の中から、あるいは国鉄に関係のある人がいたらば、国鉄としてもう放任して、見放していくという考えなのか、むしろ奨励するという考えなのか。あるいは、もうこういうものは総裁として、間違いのもとだからして、この際こういう時期にこれは今後やめるという決意は聞かれないものかと、私は心底そういうふうに思いましてあなたに聞いたわけなんです。私の言うのは憲法違反じゃない。選挙運動全部を禁止するたら憲法違反です。そうじゃない。中で国鉄の組織を使ったものはやめにするということがなぜあなたの口から言えないかと、私はそう思って聞いたんですが、もう一遍お考えを承りたい。
  165. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これは、それぞれの人間がそれぞれの判断に応じて選挙の仕事に関するということは当然のことであると思います。ただ、先ほど申しましたように、私ども公社の場合には、公社の職員は公職選挙法上地位を利用して行動してはならぬということが決められているわけでございまして、当然公社の職員として、法に従って、法の範囲を逸脱して行動してはならぬわけでございます。これは公務員といいますか、そういう者の立場として、そこは普通の方々の場合とは、自由が許されておりませんわけでございますので、その意味で、あくまで法に従って行動するように指導してまいりたいと申し上げているわけでございます。
  166. 内藤功

    ○内藤功君 こういうような事犯が、国鉄の中において、また関連する業者の関係において再び起こらないようにするにはどういうふうにされるおつもりですか。ただ一場の精神訓辞、精神訓話的な訓辞をやって、それで再発が防止できるものじゃない。どういうふうにされるおつもりか。その再発防止策とでもいうべきものを総裁に承りたい。なお、その後についでに大臣にも承りたい。
  167. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 事、何事に関しましても、何分大変大きな世帯でございますので、なかなか意思を徹底する、指導していくのはむずかしいわけでございますが、しかし今回のこういうこともありますので、特に選挙に関連いたします問題につきましては、繰り返し繰り返し、そういうことがあってはならぬということで呼びかけていく以外には道がないのではないか、それ以外に名案はないのではないかと私は思っております。
  168. 田村元

    国務大臣田村元君) 結論から申せば、自然発生的に一つの組織なり社会から敬愛される、ほうっておいても投票される、そういう人が立候補するのが一番望ましいのじゃないかと思いますが、いずれにいたしましても、組織を利用するということだけは断じて避けていかなければならないと思います。
  169. 内藤功

    ○内藤功君 ですから、その保証をどういうふうにされるかと。起きない保証を制度的に機構的にどういうふうにされるというお考えなのかと聞いているのです。
  170. 田村元

    国務大臣田村元君) いまの法律を十分守るということじゃないか、遵法精神の問題じゃないでしょうか。
  171. 内藤功

    ○内藤功君 そういうことだけではなくて、これからこういう、李下に冠を正さずという話があったけれども、こういう地位利用、組織利用のやり方というものは一切しないという保証をどのように大臣なり総裁なりはお立てになるお考えかと聞いておるのです。わかりませんか。
  172. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 繰り返して申し上げておりますとおり、法律に違反したということでお取り調べを受けた、あるいは起訴をされたということでございます。そういうことがあった。それがあったということは、これは私は厳粛な事実として受けとめざるを得ないわけでございまして、よもやそういうことはあり得まいと思っておったわけでございますが、結果としてそういうことがあったわけでございます。したがって、繰り返しになりますけれども、そういうことをしてはならぬということで私どもの地位、身分が位置づけられておりますから、あくまでその法の精神と条文とを職員諸君が理解をして、そのもとに行動するように指導する以外にないと思うわけでございます。
  173. 内藤功

    ○内藤功君 では、次の問題に移ります。  私は、本法案の内容についての質問に入る前にもう一つ聞いておきたいことは、昨年の十一月の四日でございますが、本院運輸委員会におきまして附帯決議が七項目つけられました。これは、当時五〇%に上る運賃値上げ法案が上程されてきて、参議院で議決をする直前に、この七項目が参議院運輸委員会理事会の討議で全会一致でつくられたものであります。  私は、この運輸委員会の附帯決議というのは、当時の運輸大臣石田博英氏がこれを守ることをここではっきり約束をされた、答弁をきちんとされた、そういう非常に政府にとって拘束力のある権威のあるものだと私は思うんです。ところが、今度一年たっていまわれわれの前に出てきております運賃法の改正法を見るとき、それから政府が守ると言っておるいわゆる自民党などの共同の作成にかかわる「基本方向」なる文書を見るときに、これは一体この運輸委員会七項目の附帯決議というものを本当に尊重していないどころか、これをむしろ逆の方向に持ってきている部分が私は見られるのです。これは後で具体的に指摘をします。  そこで、まずこの七項目がどのように実行されてきたのか、この一年間、参議院運輸委員会が全会一致で決めた七項目をどのようにされてきたのか、それから今度の法案と、それから政府がこれを守ると言っておる、守るために努力すると言っておる三党のいわゆる「基本方向」なる文書はこれに沿うものじゃない、逆の方向じゃないかと私は思うんですがね。この一項目、一項目についてどういうふうにいままでやってきたのか、これをお答え願いたいのです。
  174. 田村元

    国務大臣田村元君) まず、後段の「基本方向」というものはこの附帯決議に違反するものではないという私は考えであります。  それから、この附帯決議に対しましてはどのような対策を講じたかということでございますが、本年度予算におきまして、国鉄の五十一年度の赤字の一部に見合う過去債務二千八百四十八億円の支払い利子にかかわる臨時の補給金を計上いたしました。地方交通線の運営費に対する助成措置を前年度の三倍に近い額にまで拡充強化をいたしました。通勤、通学輸送の改善を図るために、特に混雑度の高い大都市交通施設の整備費等についての国庫補助制度を新設することにいたしました。  なお、これの二番目でございますが、「国家的政策にもとづく国鉄の公共負担は、それぞれの政策実行部門が負担するよう努力する」、この点については私は閣議でも強く発言をし、また事務当局同士の話し合いもさしております。それから、「昭和五十一年度末の赤字については政府が責任をもって処理する」、この項につきましては、当然収支均衡の時点において、国鉄経営努力とあわせて政府が責任を持って処理すると、このように考えておる次第でございます。
  175. 内藤功

    ○内藤功君 まず伺いたいのは、この中に書いてある、「国家的政策にもとづく国鉄の公共負担は、それぞれの政策実行部門が負担するよう努力する」と、こういう一項目が入っておりますね。この附帯決議ができる前の去年の参議院運輸委員会、私も質疑に参加をさせていただいたけれども、この中でたとえば出たのは、いま赤字で苦しんでいる国鉄に負担させるんじゃなくて、それぞれの政策担当部門で財政的負担をすべきじゃないか。その例として出されたものは、たとえばぼくの覚えているのではいわゆる学生の割引、通学の定期ですね。それから身障者の方の割引の問題、それから内部疾患、腎臓病で透析を受けなきゃならないというような病気のお方の割引の問題、これは遠くの透析をやることのできる病院に汽車に乗って行かなきゃならないという人に対する割引の問題、いろいろ出されました。こういう問題について今後一生懸命関係の役所と相談をして決めますということを、運輸大臣の当時の石田さんも言うし、総理大臣の当時三木さんも来て言うし、答弁をして、それで附帯決議に織り込んだ。  ところがどうですか。一年の間に、この点は附帯決議を誠実に実行すると言っておりますけれども、どういう前進があったですか。この間本会議で質問したときに、これはほかの党の方々も質問されましたが、文部大臣はたしか、いまこの点については交渉中であると、検討中であるというようなことを言って平然としてみずから恥じるような御様子がない。私はできないなら少し恥ずかしい様子をしてしかるべきだと思うが、そういう様子もない。私はこの一点だけから見ても、参議院の運輸委員会の決議を非常に軽く見ているんだという感じがしたんであります。附帯決議というのはそんなものなんだろうか、そう思うんですよ。まずこの公共負担の問題についてはどうですか。
  176. 田村元

    国務大臣田村元君) とにかく私は関係省庁に対して、あるいは閣僚に対して、何とかこれは解決をしてもらいたいということをしばしば、しかも強く要請をしております。国鉄は危機的な状況下にある政府関係機関であります。でありますから、どのみち最後は国鉄のお世話はこれは政府に全部しわが寄ってくるということになれば、政策部門においてそれを助成する、負担をする、あるいは国鉄の全体の救済策として負担する、日本国政府にとってはどのみち同じなんです。ですから、私は国鉄を苦しめることなく政策部門としてこれをとにかく処置してもらいたい、予算化してもらいたいということをきわめて強く今日まで要求してまいりました。  内藤さん御承知と思いますが、これはもう行政の一つの悪い面でもありましょうけれども、やはり現実というものがあります、それは行政はやはり縦割りであります。でありますから、私どもが強く要求してもやはり話し合いというものが必要であるし、相手とのコンセンサスを得るには時間がかかります。しかし、私はこの附帯決議を前大臣から引き継ぎまして、前大臣に劣らないように私も一生懸命に今日まで努力してきた。率直に言ってニュアンスの問題でございますけれども、これは相手がどういうことを言ってという具体的な速記録をとったわけじゃありませんけれども、ニュアンスの問題として言えば、相当私の攻めは効き目があったと、こういうような感じでございます。
  177. 内藤功

    ○内藤功君 効き目があったと言うけれども、これは目に見えたもの、紙に書いたものは何にもないんですから、まああなたのお話を、そうですかと言って私は聞き流すしかないんです、失礼ですけれどもそれだけでは。  私はついでに、ついでにと言っては失礼でありますが、この相手になっておる厚生省と文部省にきょうおいで願ったが、まず文部省、次いで厚生省はどのような、この点についての、公的負担についての運輸委員会決議実行についての努力を関係部局でされておるか、これを御説明願いたい。
  178. 浪貝一良

    説明員浪貝一良君) 学生の運賃割引制度と申しますものは、明治時代から実施されたと聞いておりますが、その後長い間、父兄負担の軽減という面から学校教育の振興に非常に寄与してまいったのでございます。今後ともこのような制度の存続が望ましいものと考えておりますが、御質問の公共負担のあり方につきましては、文部省といたしましては、他国の状況など資料の収集を行いまして、そしてまた民間鉄道との関連などを含めまして検討をいたしております。しかし、他の公共割引を含めて総合的に検討されるべきものだと考えております。
  179. 内藤功

    ○内藤功君 厚生省はどうですか。
  180. 金瀬忠夫

    説明員金瀬忠夫君) 国鉄運賃の身体障害者に対する割引につきましては、ただいま文部省からも御説明がございましたけれども、運輸事業の公共性ということから、独自の立場と負担に応じて現在まて実施されてきたものでございまして、長い歴史を実は持っておるということはございません。これを直ちにどうこうという議論になりますといろんな困難な問題も出てまいるわけでございますので、私どもといたしましてはまだ少し慎重に検討しなきゃならない問題であるというふうに考えております。
  181. 内藤功

    ○内藤功君 いまのように、この参議院の運輸委員会の附帯決議の第二項でしたかね、この公共負担の問題。全く顧みられるところがないと言っても私は過言じゃないと思う。こういう状況です。これがどういう意味を持つかは後でまた論じます。また質問をいたします。  さて、もう一つこういう条項がある、「通勤、通学輸送の改善と在来線の輸送力強化を促進する。」というのがある。二つのことが入っているわけですが、その前半の「通勤、通学輸送の改善」というところですね。この「通勤、通学輸送の改善」というのは、この一年間にどのように改善されたか。  私はときに、朝八時のラッジュの時間帯で山手線に乗っていますが、物すごいものですね。荷物を持っていた場合は、荷物はあさっての方に持っていかれる。背広はもうまともに着ていられません。破損がひどい。それからやはり後で背中やなんかが痛くなってくる。もうなれない人間はそうです。毎日乗っている人はもっと大変だろうと私は思うんですね。この通勤、通学の状況、私はこの状況がどのようにことし一年改善されたかという点を伺いたいことと、それから、いま時期外れな質問のように思うかもしれないが、実はいまやっておかないと間に合わない問題として、冬に夏場の話をするというのは私はこれなかなか大事なことだと思うんであえて言いますが、国電の通勤電車の冷房問題、これまた五、六月になってやったって、何だかんだと言って延ばされる危険もあるからいま言っておくんです。冷房問題、これは一年間、参議院運輸委員会の附帯決議の精神に沿ってどういうふうに改善したんですか。
  182. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まず通勤でございますけど、これは御存じのように非常に混雑で御迷惑をかけております。それがためには輸送力をふやす以外にないわけでございまして、現在の山手線なり中央線は、御存じのように通勤、通学時間帯には三分前後のヘッドで走っておりますので、これ以上フリクエンシーを上げるというということは非常にむずかしいわけでございますし、編成の長さも非常に長いものになっております。そこで、結局は設備を増強して逐次広げていかなきゃならないわけでございますが、ごく最近で多少ともやっと完成しましてお客さんにサービスすることができましたのは総武線でございまして、御存じのように東京駅からさらに品川まで通ずるようになりました。それから総武線の今度は千葉方の方は、現在御存じのように複線化工事を進捗さしており言ます。  それからこの周辺で非常に困っておりますのは、湘南電車と横須賀線が一緒になりまして大船から横浜ないし品川の間が非常に混んでいるわけでございますが、この対策といたしましては、湘南電車とそれから横須賀線を別のレールを走らせるようにしようということで、もうすでに十年も前からいわゆる別線と私ども申しておりますが工事をいたしておりまして、これによりまして改善したいと思っておりますが、ただ一ヵ所だけ住民の方が反対をしておられまして、ほんの百メートル、二百メートルぐらいのところでございますが、反対を受けておりまして、現在神奈川県の収用委員会で処理をお願いしておりますが、これがなかなか進まないということのために、他は全部準備ができておりますが進んでおりません。  それから中央線につきましては、現在三鷹から八王子までの間を増強すべく関係の市町村と話し合いをいたしております。土地を譲っていただきますのには、ただ個人とお話し合いをしているだけではうまくいきませんので、市において、ある程度並行的に都市計画をお願いしなきゃならぬということで、各市に呼びかけをいたしておるわけでございます。  もう一つ混んでおりますのが赤羽から大宮、さらに大宮から高崎方あるいは宇都宮方でございます。例の上尾事件のようなことが起こりましたのは、やはりあすこが大変ふだんからサービスが悪いために起こっているわけでございます。これは対策といたしましては、いまのところは新幹線——東北新幹線と上越新幹線言ができました場合に、青森、仙台から入ってまいります特急、急行と、それから上越、信越から入ってまいります特急、急行はほとんど新幹線の方に移りますので、それが移りましたならば、現在の通勤電車、いわゆる中電と呼んでおりますが、中距離区間の電車の本数をふやすことができると思っておりますけれども、それを待つ以外にいまのところ篤とめどが立たない状況でございます。  関西地区あるいは名古屋地区等の地帯等におきましても、いろいろ計画はぼつぼつ進めておりますけれども、なかなか都市部は用地問題等で進行していないのが事実でございまして、しかしまた、広島とか仙台とかいう地方、あるいは札幌というようなところにつきましては、最近急激に人口もふえておりますし、通勤、通学者の数もふえておりますのでありますが、これは車両を若干取りかえるとか、あるいは駅の設備を若干長くするとかいうことでございまして、昨年当委員会におきまして先生から詳細に御指摘がありました仙台の通勤の問題につきましては、いま五十二年度工事計画をもちまして新しい車両をつくっておるところでございまして、なかなかそう一挙にというわけにはまいりませんけれども、来春からある程度フリクエンシーを上げる、あるいは事故が起きませんように工夫をするというようなのを御指摘がございましたけれども、来年の春からできるかと思います。  車両につきましては、五十二年の車両新製計画におきましてもかなり、一々いま私記憶いたしておりませんけれども、通勤のための車両の整備ということに相当の力を入れておりますので、これができてまいりますればまただんだん来年からよくなると思います。ただいま御指摘のように、私どもの仕事は大変時間がかかりますので、前もって処置してまいられなければなりませんわけでございまして、そういう点は何といいますか、お気持ちに十分沿い得たかどうかは別といたしまして、かなり車両あるいは設備、線路というようなことについてやっておるわけでございます。  冷房につきましても、特に混んでおります地帯につきましては、夏非常に御迷惑でありますから冷房化率を漸次上げてきておるわけでございまして、五十一年よりは五十二年、二十二年よりは五十三年と冷房化率を高めることができてきておりますし、来年もできると思います。その進行状況につきましては担当の方から補足で説明をいたさせます。
  183. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 首都圏の冷房化につきましては、昨年の夏全体として二七%であったものが、ことしの夏では三八%というふうに上がっておりまして、線区別に見ても、たとえば常磐線の快速はゼロであったのが一三%というふうに、なるべくゼロのところをなくしていこうというような方向で進めておるわけでございます。
  184. 内藤功

    ○内藤功君 総裁の答弁を聞いていると、これまたさっきの厚生省、文部省の場合と同じように、計画はいろいろお述べになった。しかし、目に見えて東京都民、首都圏に住んでいる人、利用者の体に触れ目に触れるものが少ないということを批評せざるを得ないです。  特に私はこの中で一つ評価をしていいのは、仙台と名取の間の問題である。これとても運輸委員会の附帯決議ができる前だったから一生懸命やったんじゃないのか。これは人の悪い言い方かもしれませんよ。しかし、附帯決議ができた後一生懸命やったというよりも、附帯決議のできる前に私が時間をかけて質問をした問題であります。それでやっていただいた。やっていただいたことに文句を言うんじゃないが、その後、自発的に住民の利益を考えてやったということは私はそう多くないと思うんですね。  冷房の問題伺いますけれども、冷房の問題はいま、昨年二七%というお話があったんですが、これはやはり計画的にやってるんですか、計画的に。こういうことはいいことなんであって、予算もそうかかるものじゃないんだから、一定の期間、中期計画でいいから立ててやれば実現できるものじゃないの、これは。ぼくはそう思うんですね。そういう計画もなしにやると、運賃法が上程されたときに言われるとやるというのですか。これはそういう中期計画をいままで立ててやったことはないのかどうか。あるのかないのか、あるとすれば達成率はどんなふうになっているのか。ただ去年が何%でことしは何%という答えを、ぼくはそれだけを求めているんじゃないんです。そういう点どうです。
  185. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 二つお答えいたします。  先ほどの仙台以外はおまえは何もやってないということでございますけれども、そうではないわけでございまして、ずいぶん一生懸命やっているんですが、現在は以前と違いまして非常に住民の方々にいろいろな問題がある。たとえば中央線にいたしましても、三鷹−八王子、八王子より遠い方の方は非常に勢心に希望しておられますけれども、三鷹周辺の方は余りメリットが多くない。つまり通過地域の方は反対、利用される方は賛成ということでございまして、なかなか通過地域の方の賛成を得にくいわけでございます。どうかひとつ、私どもも一生懸命走り回りますので、全体の利益のためにこの住民問題について御理解を賜りますようにお願いをいたしたいと思います。  それから、冷房化率は計画的にはやりたいわけでございますけれども、なかなかそれができないわけでございます。これは毎年、大体現在私どもが工事経費として予算でお認めいただいております全体額が七千億から八千億でございます。その中で車両の新製費及び改良費に充てております金が大体ここのところ千億ぐらいでございます。その千億を毎年どう使うかということでございまして、たとえば現在では新幹線の古くつくりました車両がだんだん腐朽、腐ってまいりましたので、新幹線の取りかえをやっております。それからまた、上越に向けて走っております「とき」のタイプの列車がどうも雪に弱いというようなことで、冬運休を大分出しましたものですから、これを緊急に取ひかえようということの車両計画などもやっております。非常に窮屈でございまして、率直に申しまして、いま千億程度の車両費では不足ぎみでございまして、各地域からの御要請に応じられないと、非常にもうはるかに耐用年数を過ぎました車両をだましだまし使っておるような現状でございますので、その合間合間といいますか、そういうものと並べながらやっておるわけでございます。  ただ確実に申し上げられることは、そのテンポのよしあしは別といたしまして、冷房化もかなりウエートを置いてやっておる仕事でございまして、たとえば京浜東北線でございますと、五十一年度一八%のものが五二%までこの夏上がりましたし、常磐線がゼロから一三%になりましたほか、湘南電車は五三%から八七%まで上がりましたしというようなことで、かなり上がってきております。それで現在、つい最近私どもの手元で、来年の夏に間に合いますような車両計画をいま発注をいたしたばかりでございますが、そこにおきましても、先ほど担当常務から御説明いたしましたように、首都圏では二七%からこの夏に三八に上がりましたが、これが四十数%に上がるように製造発注をいたしておるわけでございまして、その場合の進め方としては、南武線であるとか、中央線の各駅停車の電車であるとか、横浜線であるとか、青梅線であるとかいうふうに、現在ほとんど冷房が入っていないものを冷房化に着手をいたしたいというふうに考えます。  これはまあ各線とも非常に御要望が強いわけでございますけれども、やはり現在ありますところの冷房化率を上げますことと、東京周辺の通勤電車に全くいま冷房車が入っていませんものを初めて入れますものと、どういう順序でいたすべきか苦慮いたしておりますが、来年の夏に向けましては、主としていま言いました南武線、中央線各駅停車横浜線といったような、いま冷房が全く入ってない地域で乗車効率の高いところから冷房を入れていきたいというふうに考えております。
  186. 内藤功

    ○内藤功君 首都圏でいま冷房化率ゼロの南武線などをぜひやっていただくということは結構で、これは大いに推進してもらいたい。  同時に、いま冷房化率が、私の国鉄からいただいた資料で見るとたとえば山手線は去年三九%でいま四一%、中央線の快速が二一%で二三%にしか上がっていない。こういうふうなところもありますから、いまふえたところだけをずっとおっしゃったし、また首都圏全体で言われましたが、こういうところはやっぱり通勤難の非常にひどいところですから考えてもらいたいと思う。  ところで聞きたいのは、私が中期計画を立てるべきだと言ったのについて余り真っ当なお答えがないんですが、お聞きしますが、昭和四十四年に国鉄財政再建計画というのが出されたと思いますが、これはまあ五十三年度末までの長期目標によると、通勤車両の冷房化率を五十三年度末までの目標として一〇〇%ということを決めているはずですね。これはどうですか。これは間違いないですね。
  187. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 昭和四十三年の再建計画では十年間ということで——四十四年てすか、十年間の計画の中にいろんな計画がございまして、冷房化もありますし、それから線増その他もありますが、全般的に線増あたりも用地買収その他でおくれておりまして、工事費の高騰その他で若干ペースがスローダウンしていることは確かでございまして、私どもは、そういうこともありますけれども、できるだけ早い機会に冷房化率をもっと上げたいということでがんばっておるわけでございます。
  188. 内藤功

    ○内藤功君 ですから、こういうことですよ。昭和四十四年度から十ヵ年計画、五十三年度末で冷房化を一〇〇%するという計画は、いま東京近辺で見ても三七%、三八%までしかいってない。一方、山陽新幹線の岡山の開業だ、博多の開業だということは、新幹線の方は次々実現してきている。私はやっぱり庶民の足を守っていく上で最も密接な通勤者のための冷房車、これもやっぱり客離れを防ぎ、そしてお客さんを国鉄に心でもってつなぎとめる方法だと思いますよ、これは。私はこういうものをやはりいろんな条件の中でも努力をしていただく必要があると思うんですね。この点について総裁の再度お考え——国鉄経営全体の中で小さな問題じゃないです。この実現についてのお考えを伺いたいんです。
  189. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 御指摘のとおりでございます。私どもとしては、やはり最近は遠距離のお客さんというのについては、たとえば東京−札幌間とか、あるいは大阪−鹿児島・宮崎といったような非常に遠距離のものにつきましては、大変われわれの方の利用率が下がって、飛行機の利用率が上がっております。こうした面はやはり新しい交通手段が時間的にも便利であるということでありますれば、しゃにむに競争してもなかなかうまくいかないわけでございまして、むしろ、いま言われますような点には今後ともウエートを置いていきたいと思っております。  ただ、先ほど四十四年ないし四十三年ころの計画から見て大変おくれているではないかという御指摘でございましたが、これはこの面だけではなくて、全体としておくれているわけでございまして、やはり何といいましてもオイルショック前後の物価の騰貴が大きかったということやら、その当時、十年前に予定いたしました再建計画が順調に進んでいないということで、冷房問題だけじゃなくて、全体として、かなり当時持ちました夢が実現できないでおるわけでございます。  たとえば東北新幹線なんかも、もうとっくにできていなければならないのが、まだまだとても半分もいかないという現状になって申しわけなく思っているわけでございまして、決してこの通勤線に関する問題だけが当時の予定よりもおくれておるということでなくて、全体としてどうもおくれておるということでございます。しかし、繰り返しますが、今後は私どもも、通勤、通学といいますか、この都市圏——東京に限りませず、都市圏の問題にはかなりのウエートを志向してまいりたいという気持ちを持っております。
  190. 内藤功

    ○内藤功君 大臣、お休みのところから帰ってこられてすぐで恐縮ですが、いま国鉄総裁から通勤電車の冷房化について全力を上げるという前向きの決意が表明されましたが、これは幾ら国鉄総裁だけががんばってもできない問題です。私は応援団に立つわけじゃないけれども、運輸大臣に対して通勤電車の冷房化、軽い問題じゃないですよ、大きな問題です。国鉄の客離れを防ぐ上でも非常に大事な問題です。これについてのお考えをお伺いしたいと思います。
  191. 田村元

    国務大臣田村元君) これは私も協力する側と応援団になりたいと思います。工事費の中でどうせさばくんでしょうから、予算編成のときにこの問題に特に意を用いて国鉄と相談をいたしたいと思います。
  192. 内藤功

    ○内藤功君 では、次の問題に入りたいと思うんです。国鉄をどのようにして再建をしていくかという問題について、二、三お聞きをしたいと思います。これは大問題ですから、きょう全部が質問し尽くせるかどうかはわかりませんが、その中の幾つかの問題について、政府のお考え、国鉄当局のお考えを伺いたい。  私ばまず、このような運賃値上げ自由化法案というものが出されてくる前に、当然、国鉄当局からはこのように経営改善してがんばりますという案が出るとともに、政府の側から詳細な、個条書きというんじゃなくて、詳細に、このようにして国鉄再建さしていきますという、政府の責任を持った文書がやはり出されるべきだったと思うんですよ。そういうものが現在出されているか。  五十年の十二月の再建要綱、五十二年の一月の再建要綱、いずれも異常な客離れその他の要因によって見通しの誤りがもうはっきりしてきた。こういう国鉄再建についての政府の提案が出、国鉄当局の提案が出、そして各党もそれぞれ再建案を持っているからそれを出し、それから国鉄に働く労働者、きのうも富塚三夫氏が来て公述人として話されたが、国鉄労働者のつくっている国労その他の労働組合の案もあると思うんです。こういうものも出して、そうしてここで論議をして、その上に立って運賃はどうあるべきか、このまま据え置くのかどうするのかという問題を論議する。いわんや、国会にかけるかかけないかという問題はその次の問題なんです。  ところがこの国会では、先に、運賃値上げを国会審議から外すという、これだけがひとり歩きをして出てきているというところに私は大きな問題があると思うんです。私の方の党も、十一月一日付で「五つの転換こそ急務」と題する党の見解を国会議員団名で発表いたしました。これは当委員会の理事会でも私が理事諸先生にお配りをし、政府側にも差し上げ、御検討をお願いしておるところであります。私はこういう論議が行われないまま、運賃値上げ法案というものが非常に急いで通せ通せと言っている動きがあるということは非常に不思議なことだと、遺憾なことだと実は思っているわけなんです。  そこで私は、この私どもの考え方に沿って若干の質問を行うものでありますが、まず、この客離れという問題、これがやはり今日及び将来の日本の国鉄の運命を悪い方向に決していくんじゃないか、こういう憂いがあります。何としても防止するいろんなことを考えなくちゃいかぬと思う。いままでは貨物離れだったんだが、今度は大幅値上げによる予想外の客離れが起きている。  そしてこの間の監査報告書でも、「運賃改定後の状況からみて、将来の運賃改定による収入の増加についてもおのずから限度があると考えられるに至った。」と言わざるを得なくなっております。私は、もう運賃値上げ政策というものが破綻してきたということがこの監査報告書でもはっきり示されてきておると思うんですね。これは会社にたとえると、サービスあるいは商品を提供しても利用されない、買ってもらえないということであって、普通の会社で言うならば、生産した商品が値段が高過ぎて買ってもらえない、サービスが悪くて買ってもらえないという実にいま深刻な問題に逢着をしていると思うんです。で、いままで稼働してきた設備など国鉄の抱えている輸送能力の一部が、こういう客離れが進んでいくというと遊んでしまうということになってくる。まさに私は国鉄経営基盤が揺らいでいるという問題だと思うのであります。国民のための公共事業である国鉄に対して、このような事態を招いた責任というのは非常に重いと思います。民間の企業ならば、経堂者は株主総会でこれはもうつるし上げられるようなことをしたのであります。  それなのに政府と国鉄経営者は、いまだに責任をとるどころか、逆に株主であるところの国民に対していろんな負担を要求し、そうして、いままでのこの経営の破綻についての陳謝というものが、いままで国鉄当局の書いたいろんな再建についての文書や政府の再建要綱には、こういうところに至ったのはあたかも適時適切に運賃値上げできなかったからだと、あるいは適時適切に運賃値上げすることについて反対する人がいたんだと、あるいは国会が非能率的だと、あるいは新幹線なり事業について非協力の住民がいたからだというところに問題を持っていくような傾向はないのか。みずから自分たちの経営の破綻というものについて、国民に対して責任を感じ、陳謝をするというまず姿勢に立たないと、国民は高い運賃値上げ、料金の値上げ協力してやるという気持ちにはなりませんよ。これはもう去年もぼくは言った。いつでもぼくは言うつもりなんですが、こういうまず姿勢ですね。質問の最初でありますから、この点をまず聞いておきたいと思うんであります。
  193. 田村元

    国務大臣田村元君) まず最初に、これは言葉のあやでございましょうから特に私から申し上げる必要はないかもしれませんが、いま国民は株主だとおっしゃった、そのとおりでございます。で、その株主が負担をするものが助成であります。そうして利用者が、言うなれば品物を買うという立場でございます。その点だけは明確にしておきたいと存じます。  それから、確かに今日まで再建計画は幾たびか破綻をいたしました。まことに申しわけございません。国民の皆様に深くおわびを申し上げる次第であります。しかしながら、それはそれとして、なぜ破綻をしたのだろうか。これはいままでの再建計画が短絡的に運賃とだけ結びついていったというところに大きな破綻の原因があったと私は思います。そういう運賃に短絡的に結びついていく、運賃のみに依存していくというようなやり方で計算をいたしました再建対策というものは、適時適切の運賃値上げができないときにこれは根本的に崩れ去る、これはもう当然のことである。その経過をたどったわけであります。  今度は過去のそのような形式を一変せしめまして、運賃にのみ頼る再建計画を立てない。先ほど内藤さんは、運賃緩和法案だけを先に出してきて、いろいろなもろもろの総合対策を出さないというのは逆じゃないかとおっしゃいました。それも一つの考えでございましょう。けれども、私ども政府並びに国鉄としては、現実に再建対策をするのに数字を積算していかなければならぬのであります。でありますから、やはり運賃についても一つの見通しと想定を持って、それも一つの要素として積算をしていかなきゃならぬのでありますから、この法案が先へ先行するということは、ある意味においては再建対策をつくるのに当然の一つの手順かもしれません。私はそのように思います。  そこで、それはそれとして、今度は全然形式を変えたわけでございます。従来の運賃オンリーの依存政策から、運賃を一歩後へ下げて、今度の修正案はとりわけそうでございますが、運賃を一歩後へ下げて、そしてまず国鉄経営努力というものを一番前面に出しました。それでもなお、国鉄が本来負担すべき限界を超えておるという、そのような公共性の高いものについては国も大いに負担をしていこう、こういうふうにまず国鉄経営努力と政府の助成というものを組み合わせました。なお、毎年高くなっていくであろう物価変動率、いわゆる経費の自然増というものについて——まあ自然増という言葉か適切かどうかわかりませんが、物価が上がる、人件費が上がる、そのようなものについてはこれは利用者に御負担をいただこう。これは今度の修正案から見れば運賃改定は支えであります。国鉄再建努力の二本の大きな柱はあくまでも経営努力助成であります。  このような方法に全然変えてしまった、こういうことでございますので、従来の再建対策の崩壊というのは、失敗というものは、これからつくっていく再建対策には無縁であります。基本的に考え方が違う、方式が違うわけでございますから、今度は新しい試みということが言えるわけでございます。私はこのような考え方の上に立って、五十三年度、五十四年度と両年度で徹底して赤字要因を洗い出して、それに対する対策を講じる、財源もいろいろな角度から検討する、そうして五十五年度から収支均衡への正常なレールに乗っけていくことは可能であると、このように考えます。  しかし、可能とはいえども並み大抵のことではございません。これは国鉄にも、俗に言う血へどを吐く思いでがんばってもらわなければなりませんし、労使も仲よくしてもらわなければなりません。みんなで今日の危機的な国鉄の姿というものを、いわゆる国鉄一家の気持ちで、和をもってたっとしとなすの気持ちで認識してもらわなければなりません。政府もまたそういう国鉄に対して対応をしていかなきゃなりません。私はその意味において、国鉄再建というものについてはまだあきらめておるという一員ではありません。いわゆる安楽死論、貨物にしても安楽死論等について、そのような考え方にくみする者ではございません。
  194. 内藤功

    ○内藤功君 いまのお話は、大臣がいままで何回も言われてきましたことを繰り返したお話であると承りましたが、私はずばり言って、運賃だけに頼らないやり方を今度出したんだと、国鉄の責任を前面に出したんだと、そして運賃のみに頼らないという新しいやり方というお話ですが、ここで一つ欠けているのは政府の責任です。なるほどいま国家財政は三〇%の国債をしょっている状況でありましょう。しかし、この中で国鉄当局の責任を前面に出し、そして運賃値上げを自由にするやり方を立てつつ、政府の責任というのは一体どういうふうになるのか。ただ、いままで申しわけないと思っているというだけではなくて、どのように具体的に政府が国鉄に対する援助の手、助成の手を差し伸べていくかということの決意が私は足りないように思いました。  それからもう一つは、運賃のみに頼らないと言いますが、しかし、この法案を見てごらんなさい。これが通ったら運賃のみに安易に頼るようになりますよ、これは。いまはとにかく国会の審議にかかって——一部の人は国会は専門的な論議はできないと言うけれども、私は失礼だけれどもここでお見受けするところ、与野党ともこの問題のやはり専門家が国民から選ばれておられると思うんです。私は、まだ私自身は勉強は足りませんけれども、専門家がたくさんいるわけです。いままで専門的な経験はなくても、勉強すれば専門家になれる。しかも権限がある、国会として。やっぱり国鉄運賃を論議するというのは、私は国会こそが一番民主的なコントロールのできるところだと思うんですね。運賃問題だけじゃない。国の財政、税制、産業、労使関係、総合的に運賃を決めることができる。ただ運賃という狭い視野を微視的に見ていく専門家よりも、よっぽど大所高所の判断のできるところが国会だと思うんですよ。  そういうところから外した場合どうなりますか。安易にこれはやるようになると私は思うんです、ずばり言って。安易という言葉が悪ければ、国会の監督が、直接の質疑討論の対象にされないためにやっぱり安易になると思うんですよ。これはよく田村大臣の言われるお役所というのはそういうもんじゃないんですかね、お役人の仕事というのは、悪い意味の役人の仕事というのは。私はそうなると思うのです。それはいけない。それは国会の監督がなくでも、国会の論議にさらされたくても、さらされていると同じように、みずから国会の質疑にさらされているような気持ちでやれば一番いいんです。役所というのはそう甘いものじゃ私はないと思う。私はですから、これは運賃のみに頼らないというんじゃなくて、言葉じりをとらえるわけじゃないが、運賃に安易に頼るように逆になっていくのではないか。私はそういうふうに思います。はっきりそう思います。そういうような点から、私はいまの二点について、大臣、さらにどうお考えになるか、お聞きしておきます。
  195. 田村元

    国務大臣田村元君) 私が先ほど申し上げましたのは、政府の責任というものを強く申し上げたのであります。いま内藤さんは、国鉄の責任と運賃のみにとおっしゃいましたが、私はそう申しておりません。国鉄経営努力という責任と、政府の助成が相まって事を進めるのだけれども、物価変動等によって経費がかさむであろう。そういう面においては運賃によってこれを支えるということであって、運賃そのものを二義的に考えたということを申し上げたのであります。でありますから、その点どうぞ誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。  それから、このようにすればまた国鉄運賃にだけ頼る、それが役所というものじゃないのかという御懸念でございます。率直に言って私もその危険はあると思うんです。率直に言ってその危険はありましょう。ありましょうけれども、しかし、過去にあらゆる手段を講じたんです。先ほど申し上げましたように国家助成もふやした、もっとふやさなきゃならぬかもしれません。しかし、国民は内藤さんの言葉をかりて言えば株主であります。そうして利用者は言うなれば買い手であります。株主にのみ大きく依存するということは、負担をかけるということはやはりわれわれは考えなきゃならないことです。株主である一般国民大衆が納める税金に多く、過度の依存をするということは、内藤さんのお言葉じゃないが気をつけなきゃいけないことだと私は思うんです。  でございますから、まず受益者の負担、いわゆる利用者の負担というものも適正な範囲内においてやっていただく。同時に、その適正な範囲内を決めていくのに一応法定制緩和するということをさしてみたらどうだろうか。それだけ国鉄当局の当事者能力が強まるのでありますから、一遍従来と異なった方法をやらしてみたらどうだろうか。それだと、それでまた固定するではないか、こういう御懸念もあるようでありますが、私はそうは思いません。  私は国務大臣である前に国会議員であります。国会は国権の最高機関であります。もしこのような運賃法定制緩和することによって仮に安易に流れるようであれば、国会はその権能を取り上げて再びもとの法定制に戻すだけの権力を持っております。私はそのように考えるときに、どうかひとつこのような試みを一度やらしてみてやってくださいと、こういうことをお願い申し上げるのであります。どうぞ誤解のないようにお願いをいたします。
  196. 内藤功

    ○内藤功君 田村大臣の答えの中で、わりと率直に、お役所というものはそういう危険があるという部分は、私はその部分だけは賛成ですよ。確かにそうなんです。確かにそういう危険があるならば、寸時といえども国会の大事な権能は私は渡しちゃならぬと思うのです。ただ、この議論は先の方で少し私はまとめてしたいので、ちょっと質問を変えます。  それは、今度の運賃法定制緩和法というものを、私は緩和法じゃなくて運賃法定制の骨抜き法、あるいは実質的な否定法だと思いますが、この法律が通った場合、これから客離れというものと値上げとの関係をどういうふうに考えていくかという基本問題、これも何回も議論されましたけれども、私の聞きたいのは、いままでのように——いままでというのは現在の、現行法のように、六百キロまでは七円九十銭、六百キロを超えれば三円九十銭というふうな一律賃率あるいは一律運賃ではなくて、取れるところから取る。この距離、この線区からはうんと取る、取れるから。この線区からはあんまり取るとお客が逃げちゃうからあんまり取らないというふうな、これ理論上、学問上は何というのかぼくは知りませんが、こういうようなシステム、制度を入れようとすればできるのだね、これ運賃法定制というものをなくせばやりやすくなる。そういう心配がある、多くの国民は。現にそうととれるような発言が雑誌で出たり新聞で出たりするもんだから私は聞くんです。これを称してきめ細かな運賃値上げなどと言う人もおるらしい。そういう考え方はないのかどうか。
  197. 田村元

    国務大臣田村元君) 最終的に運賃をどのように立てていくかということは国鉄が決めることでございまして、私の方は認可をする立場でございますので、国鉄の方からお答えがあると思います。
  198. 高木文雄

    説明員高木文雄君) だんだん競争が激しくなってまいりますと、そういったことも考慮しなければならないのではないかということは私も別の場所で申したことがございます。ただしかし、現在政府から御提案になっております案ではそういう考え方はとられていないわけでございまして、運賃法の基本である統一運賃制というものは、その条文はそのまま残っておるわけでございますので、いま御審議願っておる法案に関する限りは、いわゆる緩和されましても、そこの基本のところは変えることはできないということになっておるわけでございます。  将来の問題としてどうしたらいいかということについては、いろいろな問題もございますけれども、しかし、われわれの方もまだそこのところは勉強が十分できておりませんので、先々どういうふうにしたらよろしいのかということについて確たる一つの自信を持った答弁はできないわけでございまして、そうしたことが問題になります時期にはまた法案の御審議をお願いしなくちゃならぬということになろうかと思います。
  199. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、総裁、いま私の紹介したような考え方は全然お持ちになっていない、将来もそういうことは絶対にとらないというお答えなんですか、そうじゃないんですか。
  200. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 将来にわたってどうしたらいいかということは、まだ確たるあれを持っておりません。ただこの法律、今回改正をされましても、統一運賃制という観念は、運賃法の基本がそのまま残っておりますから、それはそれを前提として私どもは案を立てざるを得ないわけでございまして、この法律が通りましたからといって、おっしゃるように何か統一運賃法を変えてしまうということはできないわけでございます。法律上できないわけでございます。ですから、いまのこの御審議いただいておりますものが通りましても、統一運賃制というものを変えることの自由をわれわれ持っていないということでございます。
  201. 内藤功

    ○内藤功君 同様の点について鉄監局長どうですか。
  202. 住田正二

    政府委員(住田正二君) この法律が通りましてから、運用の問題につきましてはまだ十分検討がなされてないわけでございますし、運賃法の中には、第一条で基本原則が決まっております。したがって、その範囲内でどういう扱いをするかということになると思いますけれど、先ほど大臣から申し上げましたように、今後運賃をどのように上げるかというのは、国鉄総裁が決めて運輸省に出してくるわけでございますので、国鉄総裁が出してまいりました運賃、料金が公正妥当なものであるかどうか、十分審議した上で判断をいたしたいと思います。
  203. 内藤功

    ○内藤功君 ずばり、いま国鉄総裁が言った法解釈は同じかどうかという点。
  204. 住田正二

    政府委員(住田正二君) どういう点で総裁が統一的な運賃ということを言われたのかよくわかりませんが、現在でもある段階で、六百キロで、先ほどお話しのように運賃に差をつけております。そういうような、一律に全国的に差をつけるということは、当然今後あり得ることではないかと思います。ただし、どのような方法で、どういう差をつけるかということは国鉄総裁の判断ではないかと思います。たとえば、六百キロというような一つの段階を、さらに三百キロにもう一つ区切りをつけるというようなことも法律的には可能であろうと思います。
  205. 内藤功

    ○内藤功君 鉄監局長、六百キロまではキロ七円九十銭か、いま。六百キロを超えると一キロごとに三円九十銭、いまこうですね、たしか。そうすると、これを三百キロにするとか、あるいは逆に七百キロにするとかというような分け方と、いろいろ線区を分けて、たとえば幹線区とそれから地方線区というふうに分けるとかいうふうな分け方もあり得ると思う。そういうこともこの法律が通るとやれるようになるんじゃないかという素朴な疑問があるものだから聞いている。総裁はそれは絶対ないと言ったんで、あなたもそうかと、こう聞いている。
  206. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 地方ローカル線の問題につきましては、この前もこの委員会で答弁さしていただいたと思いますけれど、いろいろ対策を講じていかなきゃいかぬと思います。現在運輸政策審議会の中間答申の中にも、特別運賃制を導入したらどうかというような意見も出ておりますので、地方ローカル線につきましては、そういう問題を含めて今後対策を講じまして、必要があれば法的措置をして国会の御審議をいただくということになろうかと思いますが、まだ最終答申も出ておりませんので、その段階で最終的な処理方針を決めたいと思っております。
  207. 内藤功

    ○内藤功君 あなたの理解している特別運賃制というのはどんなものです。
  208. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 御承知のように、国鉄運賃は全国一律運賃でございますけれど、中小私鉄運賃になりますと、地方によって運賃が違っているわけでございます。ある田舎の方では一キロ当たり二十五円ぐらいであるとか、あるいは二十円であるとか、十八円であるとか、いろいろ中小私鉄の企業体ごとに運賃の免許が違っております。そういうような運賃制度を導入したらどうかというのが運政審の中間答申の考え方ではないかと思いますので、そういうことを導入するかどうかを含めまして検討さしていただきたいと思っているわけです。
  209. 内藤功

    ○内藤功君 食い違っているじゃないですか、国鉄総裁の答弁と鉄監局長の答弁と。その理解が違っている。同じ法律の解釈が、運賃を決める国鉄総裁と鉄監局長と違っているじゃないですか。
  210. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私の答弁、ちょっと不正確でございましたから訂正させていただきます。  従来は確かに六百キロ以下と六百キロ以上で段階をつけて、それぞれの賃率を決めることになっておりましたが、今回の改正法によりまして、この考え方は必ずしも六百キロのところに刻みを設けるという考え方に拘束されないというふうに解釈すべきものでございまして、私の説明ちょっと不十分でございました。  ただ、現実の問題として私どもがいま考えております考え方として、当面のところでは、そういまの賃率の体系というものを一挙に変えるということは、何といいますか、革命的にそれを変えるというか、基本的に変えるというか、そういう考え方は持っておりませんので、いまのところは従来の考え方で、先ほど大臣おっしゃいましたように、国鉄がどういう案を持ってくるかなということでございましたから、そういう意味では、私どもとしては大体従来の線に沿った考え方で組み立てていきたいと考えているわけでございまして、そう基本的にいままでのやり方を変えるということは現在の段階では考えておりません。
  211. 内藤功

    ○内藤功君 食い違っているね。
  212. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま総裁申し上げましたように、従来の六百キロというような区分を変えるということは、法律上可能であるわけでございます。ただ、総裁の方として、従来のようなやり方でやるか、若干修正するか、いずれにしてもそう大きな修正が出るとは予想されませんけれど、私どもの方といたしましては、総裁が決めました運賃を十分検討さしていただきたい。
  213. 内藤功

    ○内藤功君 そういうことはわかっているんだよ。考え方だ、解釈。
  214. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 考え方といたしまして、従来のように六百キロで切らなきゃいかぬということではないので、三百キロで区切りをつける、あるいは千キロで区切りをつけるということは、法律的には可能であろうと考えております。
  215. 内藤功

    ○内藤功君 違うんですよ、言っていることがね。同じ法律の解釈がね。総裁の方は、運賃法の本文を残しているから、本体を残しているからね、この法律は。奇妙な法律なんですよ。私は、法律の形式の問題は後でこれ問題にしますけれども、運賃法の本文を残しているんだ。ですからあなたのような答弁が出てくる。統一賃率制は残っています、だから守っていきますと。それから政策的には、いままでのとったやり方をそう変えられません、こういう答弁が出てくる。  局長の方は——ちょっと待って。ぼくは食い違いをいまここで明らかにする。あなたの方はそうじゃない。六百キロが量的に三百になったり千になったりということはある、なお特別運賃法なども含めて検討する。特別運賃法とはどのようなものと理解するぞと聞けば、答えていわく。それは地域別の運賃理解するという答弁だ。これ、違うじゃありませんか。同じ法律の解釈がそのように違っていていいものですか、これ。私の言うのはおかしいかね。
  216. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私の最初の答弁は、いま内藤委員がおっしゃいましたような感じで答弁をいたしたんで、その点訂正いたします。
  217. 内藤功

    ○内藤功君 訂正するというのは、じゃ訂正した答弁を言ってください。どういうふうに訂正するんです。
  218. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 従来は三百キロあるいは六百キロで刻んで、そこは統一運賃ということがこの三条に明らかでございますけれども、今度の衆議院の修正を前提とした、ただいま御審議になっております法律では、そのキロ刻みをそこに置くというこの三条は働かないというのが法律解釈として正しいものと思います。
  219. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いま総裁が衆議院の修正でと申し上げたわけですけれども、政府原案においても、いま総裁がお答えしたようなことになっているわけでございます。
  220. 内藤功

    ○内藤功君 まだ食い違ってるね。
  221. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いまの点は、政府原案におきましても修正案におきましても、考え方が変わっているわけではございませんで、今回附則によりまして、本法の方の適用を一時、当分の間でございますけれど、適用を排除いたしておりますので、六百キロという区分に拘束される必要はないと。ただし、だからといってどんな区分でもできるかということになれば、これは当然一条の問題もございますし、先ほど国鉄総裁が、将来の運用方針として現在のやり方をできるだけ変えたくないということを言っておられますので、そういう意味では現行法とそう大きな差が出てくることにはならないというように考えておるわけでございます。
  222. 高木文雄

    説明員高木文雄君) どうも済みません。たびたび恐縮でございますが、法解釈はこれは運輸省の方のお仕事でございますので、運輸省が公定的な解釈権限をお持ちでございます。政府原案におきましても、それから修正案におきましても、三条の規定には拘束されないという解釈に私ども従います。
  223. 田村元

    国務大臣田村元君) 実はちょっと総裁の答弁がこんがらかったようですが、「当分の間、鉄道の普通旅客運賃の賃率、航路の普通旅客運賃又は車扱貨物運賃の賃率は、第三条第一項、第四条又は第七条第二項の規定にかかわらず、運輸大臣の認可を受けて日本国有鉄道が定める賃率又は運賃による。」と、非常に明確になっておるわけでございます。
  224. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、いまの論戦は結局、初め国鉄総裁が行われた答弁を訂正され、その訂正された答弁はどういうものかということでお聞きしたら、それもはっきりしなかったが、結局は、法律の解釈は運輸省の専門であるのでこれに従うとこういうことですか、しっかりしてくださいよ。またそういう細かい議論は私やりませんけれども、やっぱりスタッフもおられるし、しかも国会は法律を論議するところですからね。  法律的な見解の食い違いというのが最初出てきたのは本音だろうと思うんですよ、私は。それくらいこれは、私は高木さんを余り責める気になれないのはそれほどむずかしい法律だってことなんです。わかりにくい法律なんです。どなたがつくったかわからぬが、わかりにくい法律なんです。だから高木さんのような人だって間違うんです。私はむしろ同情の気持ちが半分ある。いわんや国民の一般の方々は、これからどのくらい運賃が上がるのか、賃率が上がるのか、この法律をぽいと出されたってわかりにくいですよ。わかりにくいです。  総裁はこの法律の修正案の立案過程には参加されなかったんですか。
  225. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これは議院修正でございますから、衆議院の各委員の間で御議論いただいたわけでございます。私どもは参画いたしておりません。
  226. 内藤功

    ○内藤功君 鉄監局長に伺いますが、「かかわらず」というのはどういう意味でありますか。
  227. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 三条の規定の適用を排除するということでございます。
  228. 内藤功

    ○内藤功君 排除するというのは、この条文はどうなるんでありますか、三条一項は。
  229. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、当分の間適用はないわけでございまして、附則に書いておりますような条件が成就いたしますと、また本法の方へ戻るということになるわけでございます。戻るというか、その際に新しく運賃を定めるというような場合には、当然三条の改正を行う必要があるわけでございます。
  230. 内藤功

    ○内藤功君 しかし、条文には残っているわけです、活字としては。だから、さっき高木総裁のように素直な見方だと思うんです。条文に残っているから、ああこれは残っているなと、本体は残っているからこれに従うんじゃないかと、ちょっとそう読める人だっているわけだ。法律学の知識というのは、そんなに普及しているものじゃないんだから、国民にそう読むなと言ったって無理なんです。そう読む人が出てきたってちっとも不思議じゃない。そういうわかりにくい条文をつくるということは私はいかぬと思う。わかりにくくするのは役所や国会の権威を高めることにならぬ。むずかしいことを言って、国鉄総裁も間違うような、失礼ですけれども国鉄総裁まで解釈を誤らせるような条文をだれがつくった、これは。三党ですね、これは。三党だけど運輸省責任持っているでしょう、これは。何かありますか。
  231. 田村元

    国務大臣田村元君) これは三党じゃありません。政府原案にすでに入っております。
  232. 内藤功

    ○内藤功君 なおいけない、それは。
  233. 田村元

    国務大臣田村元君) そこで、これそんなにむずかしいですか。私はこんな簡単なことはないと思います。「規定にかかわらず」というんですからね。「かかわらず」というのは、それがあるにもかかわらずという意味なんですから、ですから、これを間違えたのはむずかしいから総裁が間違えたんでなくって、総裁が頼りないから間違えた、それだけのことです。
  234. 内藤功

    ○内藤功君 そういうことを言っちゃいかぬ。それで、私はこれは大変総裁に失礼な言い方だと思いますよ。これは間違うのが自然なんです。こういう条文をつくっておいて、総裁に対してそういうことを言うのはあなたちょっと行き過ぎじゃありませんか。それはお取り消しになったらいかがですか。
  235. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は取り消す意思ありません。こんな簡単なことを総裁がそもそも間違うということは頼りないと言われたってしょうがないでしょう、非常に簡単なことです。ただ、だからといって人間には間違うということもありますよ。でございますから、私だって、「イロハ」をうっかり「イハロ」と読むことだってありますよ、それは。でございますから、そういうことであって、そんなに他意があってやったものではないという意味で申し上げたので、この条文はきわめて簡単明瞭に書かれておるということを私は申し上げたわけです。
  236. 内藤功

    ○内藤功君 それならば、この第三条というものをここにこう書いてある。そして一般の国民鉄道六法をこう見ますよ。鉄道六法を見る人が一億人の中に何人いるかわからないけども見ると、次のページをめくるというと附則になっている。もう附則ときたら読みませんな、普通は。附則というのは何月何日から施行するというようなことが書いてあるんですから、読まない。そういう附則の中に実は三条一項、四条、七条二項というものをは取り去るような条文が入っている。こういう立法形態はどうなんですか。一番大事な立法、法律というものを十条の二、三に入れた理由をまず伺いたいと思います。
  237. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 今回の修正、これは政府原案、衆議院の修正含めましてあくまで暫定的な措置でございます。いわゆる本法として、本則として将来にわたってこういう考え方をとるということではなくて、「当分の間」こういう措置をとるという法律でございますので、附則の方で手当てをしたということでございます。
  238. 内藤功

    ○内藤功君 私の言っているのはね、「かかわらず」というのは、それは田村大臣はそこの条文だけをじっと読んでいるから、「かかわらず」というのははっきりわかるじゃないかと、こう言うんだけれどもね。条文全体を見た場合、三条というのはちゃんと残っているんだ。六百キロメートルまでは七円九十銭と、こう書いてある。だから、そこだけ見れば統一賃率で行くように見える。ところが、ずっとこれで行くんだなと思ったら十条二のところにきて、そうして「かかわらず」と書いてある。非常にわかりにくい条文だと言うんですよ、わかりにくい法律だと。これ以上ぼくは議論しないです。わかりやすいと言っている人もいるんだから、わかりにくいと言ったって、これは議論になるばかり。ただ、こういう問題があるんです。ただ、なぜ私が言うかというと、そのようにお二人で初め食い違ったでしょう。このこと自体が証明なんです、それの。  次に私は伺いたいのは、総合運賃政策という問題であります。これもいままでいろいろの議論がありましたが、「国鉄再建の基本方向」というところに総合運賃政策というものが入ってくる。まず、その総合運賃政策というものの出された意図について私はお伺いしたいと思うんです。
  239. 田村元

    国務大臣田村元君) これは国会の方でおつくりいただいたんで、意図はそちらの方へお聞きいただかんと、私どもの方はこういう非常にいい案をちょうだいした立場でございますから、解釈はできましょうけれども、私なりに、運輸省なりにも、国鉄なりにも解釈はできましょうけれども、意図ということになりますと、どういうような発想の起源で、どのように意図を持つか、これはちょっと私にはわかりかねるんでございます。
  240. 内藤功

    ○内藤功君 ですから、私はまあ提案者をこの委員会においで願って、そしてその提案者も三人おられるんだから、三人にずっとお聞きしたら最もよいと、ベストだと思ったんですが、いろんな都合できょう顔が見えない。意図がわからないならば、そういう意図のわからないものはもう関係ないんだと、それは三党がつくったもんで政府は関係ないと、こう言うんですか。
  241. 田村元

    国務大臣田村元君) そういうわけじゃございません。大体の想像はつきますけれども、意図を私がここで御答弁申し上げる立場にないわけです。私がもしここで御答弁申し上げるということは、仮に申し上げれば、この「基本方向」というものを私も中へ入ってつくったことになってしまうじゃありませんか。また新たな悶着が起こってしまいます。私はこれ、中へ入ってないんです。でございますから、おおよその想像、見当はつきますけれども、意図を何とかと言われたってちょっと私が直接に関係がありませんから、その間でちょっと糸が切れておりますから、ちょっと私もお答えにくいと、そういうことでございます。
  242. 内藤功

    ○内藤功君 だれか意図のわかる人はおらぬのですか。——おらぬね。  こういうことがあると思ったので、私は提案者の三人に出てもらいたい、しかし三人はとても無理だというので、それじゃ代表でやむを得ないから加藤六月さんに出てきてもらいたいと、こういう要求を出しておいたんですが、どうなりましたですか。
  243. 内田善利

    委員長内田善利君) 加藤六月議員が六時に入ることになっております。それまでお待ち願いたいと思います。
  244. 田村元

    国務大臣田村元君) これは加藤君に聞いていただくとして、従来当委員会におきましても、私は総合運賃体系ということを訴えてまいりました。私が訴えた総合運賃体系、これは総合交通体系の中の一環として考えたわけでありますが、各交通機関はそれぞれどのように原価主義をとるか、あるいはどのようなサービスを提供するか、いろんな問題がございましょう。原価主張をとることだけは間違いないでしょうけれども、サービスの提供度が違います。飛行機は速い、汽車は大量輸送ができる、自動車は小回りがきく、いろんなことがございましょう。船もまた大量輸送ができましょう。違いますから、これを一律に論ずることはできない。けれども、そのようなサービスの提供度等を勘案して、総合交通体系の一環として運賃というものをおおよそのランクづけをしていったらどうだろうかということを私は申しました。  だからといって、国鉄運賃の御審議を願っておる席でこういうことを言うことはあるいは不謹慎になるかもしれませんけれども、国鉄を基本にして運賃を決めていくことには私は反対であります。国鉄を上げるために航空運賃を上げる、船の運賃あるいはバスの運賃を上げるということには反対でございます。でございますから、総合交通運賃体系というものを設定していくには時間がかかります。相当な時間をかけてこれをならしていかなければならないと思います。というようなことを私今日まで申し上げてきた。私が考えた、そういうこととよく似たことじゃないだろうかと思いますが、御参考までに申し上げて、あとは加藤君からお聞きをいただいて、また別の御質問でもいただければ幸いと存じます。
  245. 内藤功

    ○内藤功君 何時ごろ見えるんですか、加藤議員は。
  246. 内田善利

    委員長内田善利君) 六時に見えます。
  247. 内藤功

    ○内藤功君 いま言われたのは、結局今度の「基本方向」の総合運賃政策というものの意図という質問の答えにはなっていないわけです。大臣がいままで考えていたところを言われたわけですね。
  248. 田村元

    国務大臣田村元君) そういうことです。
  249. 内藤功

    ○内藤功君 私は、やっぱりこの「基本方向」で出されている総合運賃政策というものの意図を聞きたいと思うので、これは加藤さんが来てから聞くようにいたします。  そうすると、ちょっといま質問の順序が狂ってきて、どういうふうにやったらよいのかしばし迷って考えていたわけなんでありますが……。
  250. 内田善利

    委員長内田善利君) 加藤君以外の質問できませんか。
  251. 内藤功

    ○内藤功君 それはありますが、ちょっと木に竹を接いだような質問になってもはなはだ恐縮だと思いますが。——それでは電電公社の方かお待ちだと思いますからお伺いします。  運賃法定制と、それからして電信電話公社の料金、それから郵便料金、専売たばこ料金というものは、財政法でも、財政特例法でも、国民生活に重要なる関係がある国の事業の料金であるということで、二十九年来、法定制をずっと続けて、国会の審議というものの対象としていままでやってきているわけです。そうして、やはり反対の意見もあったけれども、おおむね可決をされてきた事例が私は多いと思うんですね。  そういう中で、この国鉄運賃改正案がまさに参議院に送付をされた直後、電電公社の幹部の方が、十一月の四日ですか、政府の公共企業体等基本問題会議におきまして、現行の料金法定制度を再検討すべきだと、こういうお話があったということを、私はこれ、十一月五日の日経新聞と読売新聞でありますが、この新聞で読みました。これは私も予想をしていた、こういうことがあるんじゃないかと実は心配し、予想しておった問題であるのです。しかるがゆえに、先般の参議院本会議でも、特に総理に、この法定制国鉄に続いて、国鉄法定制を撤廃すると、これに連関をして電電公社等の料金法定制というものが廃止をされていくという機運を助長することになるんじゃないかということを私は指摘をした。  まあ答弁は、さようなことはいま考えておらぬという総理の答弁がありましたけれども、私はきょうこの点について、なお総理はそう言うけれども、やはり国鉄運賃というものが、法定制緩和をされた場合、撤廃をされた場合、緩められた場合は、これを契機に、これをよい機会にして電電公社——たまたまあなたかおられるから電電公社の例を言いますが、電電公社などの法定制度撤廃という意見がずっと強まってくると思う。  これにはいろんな背景がぼくはあると思うんです。そういうふうに思うんですよ。私の質問は、十一月五日の新聞の記事に私は見ましたので、直接電電公社の方からこの談話の真否、真意というのをお聞きをしたい、かように思うわけです。
  252. 山本正司

    説明員(山本正司君) ただいまお話しの電信電話料金の法定制緩和の問題は、きわめて高度な立法政策の問題でございますが、御指摘のように、政府に設けられました公共企業体等基本問題会議におきましてずっと審議を重ねてこられまして、この十一月の二日と四日の両日にわたって、企業体から直接経営形態、それから当事者能力に関する当局の意見を聞きたい、こういうスケジュールに基づきまして、電電公社として考えております見解を表明いたしたわけでございます。  そこで、当事者能力強化の一環として、電信電話料金の法定制緩和についての見解を申し上げたわけでございますが、この見解は何も今回が初めてではなくて、一昨年でございましたですか、例の労働基本権問題に関する閣僚協議会の専門委員懇談会におきましても同じように意見を求められた場がございまして、そこの場におきましても、今回表明しました見解と全く同じものを申し上げておるわけでございます。  そこで、電信電話のサービスにつきましては、公社が独占的に事業を運営しておりますために、そのサービスの対価である料金について何らかの公的な規制を受けなければいけないということは私は当然だと思うんでありますが、片一方、電信電話のサービスは非常に技術的要素が多い。また、技術革新によるサービスの種類だとか内容というものがきわめて急激に影響してまいりまして、サービスの種類、内容に非常に大きな急激な変化を与えるというような特質があるわけでございます。  そこで、料金につきましては、そういった急激な変化に対応するために、もう少し弾力的な運用ができないかということで、いろいろ諸外国の事例等も検討いたしまして考えましたのが、料金の決定原則といったようなものは法定をされる、しかし、個々の料金体系だとか、あるいは個々のサービスに対する多岐にわたる料金額の主要なものにつきましては、専門委員会等の審議を経まして政府で決定していただく、そのことによって事業内容、あるいはサービス内容の変化に弾力的に対応できるようにしていただくというのが、公社設立の目的である企業的な事業運営に一番ふさわしいのじゃないか、こういう意見、希望を申し上げたわけでございます。  しかし、事柄は非常に重要な問題でございまして、また、公共企業体のあり方等にも関係いたすものでございますので、最終的にどういうふうになるかは、これは国の方でひとつお決めいただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  253. 内藤功

    ○内藤功君 私は、やはり電電公社の持っているいろんな複雑な環境、情勢はそれなりにあると思うけれども、やはり今度の国鉄運賃法定制緩和というものがこれが一つの機運となって、ほかの電電公社や郵便や、そういう法定制を外すという動きに一つのはずみというか、これは論理では言えない問題なんだけれども、はずみというものを少なくともつけることは私はもう間違いないと思うんです。非常にこの点を、私らは国民の立場で、国民の暮らしという面から、いろんな料金が上がっていくという面を非常に心配しておるわけです、いまの御答弁は、私はそれ以上に、きょうは電電公社の問題じゃないからお聞きしておくにとどめますけれども、非常に私は心配しておる。  で、国民の暮らしはこれはもう東京都の生計分析調査、「昭和五十一年「都民のくらしむき」の概況」というのが四、五日前に発表されまして、私これを入手していま検討してみましたが、やはりこの一年間で、食料費が前年より実質で五・一%減少しておるんですね。食べ物をやっぱりこれだけ切り詰めている。そして反面、公共料金の支出は前年より一八・八%負担率で上回っている。こういう現象が東京都の都民の生活調査に出ておりますよ。私は、やはり福田さんがいろいろ経済の安定基調ということを言われたり、物価の見通しを楽観的に言われるけれども、現実はやっぱり非常に庶民に厳しくなっている状況下、ほかの料金や全体の物価に対する影響ということも、私はきょうは経企庁がいませんからその点は突っ込みませんけれども、非常に重大な影響があると思います。そういう私はおそれのある法案だと思います。  そこで、私は加藤さんもお見えになりますが、次の問題に移りたいと思うんです。  これは会計検査院に絡む問題でありますが、同時に運輸省、国鉄当局にもそれ以上に重大な関係のある問題であります。  この月に入りまして以来、まことに遺憾なことながら、憲法及び財政法に基づいて、国の財政、決算というものを独立した権限を持って検査する重大なる責任と、また独立した地位を与えられております会計検査院に絡んで、まことに残念ないろんな事実が国会のこの論議の上にも上されてきております。世間はやっぱりこのことで一番関心を持っております。私がいろいろな方のところに行きましても、話題のやはり中心国鉄値上げ問題とこの会計検査院の問題であります。昔のロシアの小説「検察官」を地でいくようなものだということを言った人もおります。私は、これはいま国会を中心とした政治の大問題としても、制度の問題としても、運輸省や国鉄のあり方の問題としても、公務員のいろんな待遇の問題としても、あらゆる角度からまじめにこれは論議し、あいまいな点が残らないような論議を国会としてあらゆる機会を通して尽くすべきだと思っております。  私どももこの問題を考えるときには、単にこれはその接待を受けた、あるいはこの提供を受けた検査院の調査官なり職員なりの、個人的な思考や腐敗の問題でもありますが、もちろんそれもありますが、それだけではないと、その追及、暴露だけの問題じゃないと思うのです。この背景には、いまの政治の機構、特に行政機構のあり方、本当に国民の方に目を向けて誠実な公平な政治をやるというこの政治姿勢がやはり上から下まで欠けている点がないか、会計検査院とそれから行政庁、それから一部業者の癒着というものがないか、こういう点はしっかりとやはり解明をしなくちゃいけない問題だろうと思います。  私は、そういう観点でこの質問をしたいのでありますが、まず最初に、国鉄にお聞きをしておきたいんですが、この今度の国鉄運賃法の修正案だと、前年度の経費に物価等変動率を乗じたものから前年度の経費相当額を控除したものを超えないように運賃収入を図らなければいけないと、こういう条文の骨組みであると理解をいたしますが、ここで言う「経費」の中には、こういうたとえば会計検査院職員の方に接待をしたり、食べさしたり、過分のことをいたされたというようなものもこれは当然「経費」に入ってくるのか、それとも会計検査院の人に社会的不相応なことをやった場合にはこれを控除するのかどうか、この点まず聞いておきたいと思います。
  254. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 国鉄の経費の中には、会議費等あるいは工事調査費等が含まれるわけでございますが、一般に私どもが運賃の申請があった場合の策定の作業をする場合に、ひとしく経費であっても不適当なものは査定の段階で除外するというような措置をとっております。まあ具体的な申請が国鉄から出てきているわけではございませんので、いまの段階でどうこう申し上げられませんが、一般的に申し上げますと、申請のあった経費をすべてそのまま認めるというような扱いはいたしておりません。
  255. 内藤功

    ○内藤功君 経費に入るという答弁と承りました。  それで、建設省の関係で次々に接待の事実というものが出されております。この建設省だけか、それともすべての省庁にこれはまたがっておるのか、ほかの省庁でもあるのかという問題。二十一日のある新聞の夕刊にはこう書いてあるんですね。運輸省では、「「いやあ、関係ない関係ない、今度は関係ないよ。うちは建設省さんほどカネもなけりゃ、派手でもないんだから。そりゃ、地味なもんですよ、会計調査官との接触は」とあわてて手を振りながら〃今度ばかりは潔白〃と、山上同省官房長は強調する。」ということなんです。それから、「かつて建設省の〃身内〃だった港湾局をも抱え」「公共事業部門が、ずらりそろっているから」だというのも記事として書いてある。もう一つ御紹介申し上げると、「「大丈夫だろうな。もしあったら表へ出る前に処分だ」という田村運輸相の指示もあってさっそく調査が行われた」、田村さんのことも出ておりました、新聞に。  私は伺いたいんですが、運輸省としては建設省の問題が起きてから、これどういうふうに、そういうことがないだろうなというんですが、ないだろうかどうだろうかということをどういうふうに調査をしたのか。運輸省にはもう絶対にないと、そういうようなことは運輸省にも国鉄にも絶対ないということを確言できるかどうかということです。
  256. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は、他省のことを言うのも恐縮ですが、建設省の問題が新聞に出ましてすぐに官房長に命じまして、徹底的に検査をしろと、そうして、それが他人の手によってあばかれる前に、みずからの手によってあばき、これを厳罰に処する、こういうことを実は申し渡しました、まあちょっと表現が悪いかもしれませんが。そうして官房長は、十五日の日に官房会計課長に命じまして、これは会計課長から通達をするのがしきたりのようでございますので、会計課長が各部局長あてに厳正に行うようにということを通達をいたしました。調査にももちろん入っております。それから各原局から、公団等——国鉄も含みますが、公団等に対して厳しくこれを言い渡せ、また可能な限り調査をせい、こういうことを申し渡しました。  私の方で絶対にないと断言できるか。私は絶対にないと信じたいです、率直に言っていまの私の心境は。信じたいです。ああいうばかなことがあって、単なる汚職と意味が違います。会計検査院の役人をごちそうしたり、警官をごちそうしたり、検事にごちそうしたり、判事にごちそうしたりというようなたぐいのことは断じて許されることじゃありません。でありますから、この点についてはだれよりも厳正に臨んでまいったつもりでありますが、絶対にないかと言われりゃ、ないと信じたいということしか言えません。なぜならば、ないかもしれない、あるいは若干あるかもしれない、これは私にわかりません。でありますから、しばらく猶予をいただいて徹底的に調べたいと、このように考えております。
  257. 内藤功

    ○内藤功君 国鉄総裁、あなたは国鉄についてはこのようなことが絶対にないと、こう確信持って言えますか。
  258. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まあ国鉄の体質としてはじみなところでございますから、ないと思いますけれども、何分非常にたくさんの現場がございます。検査院の方にもずいぶん広く見ていただいております。したがいまして、いまの大臣と同じでございまして、そういうことがないだろうなと思っておりますけれども、絶対ないと、ここでお約束するとか、何か自分で調べておりませんので、そこまでは申しかねるという現状でございます。
  259. 内藤功

    ○内藤功君 官房長の山上さん、おられますか。こういう記事があるんですがね。絶対にないと、検査官との関係はじみなものだと書いてありますが、あなたのお言葉として書いてありますが、これは確信を持ってのお話かどうか。
  260. 山上孝史

    政府委員(山上孝史君) この新聞の記事による私の発言につきましては、私は正確に覚えておりませんので断言できませんが、私がたぶん申したという真意は、会計検査の受検の場合には、受検の態度を厳正に保持するように、私どもといたしましては機会あるごとに注意を喚起しておりますので、当省におきましては伝えられるようなことは万々ないというその確信を言ったものでございます。
  261. 内藤功

    ○内藤功君 けさ、公明党の田代さんの質問に、運輸省港湾局長は、現場では社会的儀礼の範囲内でやっておる、おみやげは一切やっていない、過度の供応があってはならないということを言っておる。昼飯は庁舎内で出前弁当などで済ましておる、夜の食事は、仕事の説明が昼間から続く場合もあるので、その場合に一緒にやる、こういう場合に、人数が検査院の方の人と著しく超えないように配慮をする、こういうことである。問題は、果たしてそうかということを私は事実を具体的に指摘します。遺憾ながら運輸省の幾つかの地方港湾建設局関係で、いままでのお話と相反するようなことがあります。  まず、私が具体的に指摘をしたいのは、ことしの七月二十日過ぎから第三港湾建設局——神戸であります。ここで約一週間の日程で会計検査実地検査があった、この事実であります。この事実があったかどうか。そして何名くらいの検査院職員がそこに派遣をされたかどうか。その仕事はどういう仕事であったか、この点をまず伺いたい。
  262. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) ただいま御指摘の、第三港湾建設局を中心にしましての検査が七月二十日ごろから行われたということは事実でございます。それで、いま私の手元には、実はけさほどこういう事実があるということを御指摘いただいたものですから、至急調査を進めている状況でございますが、現在手元に、調査官の方々が正確に何人であったかということをいまちょっと持ち合わせておりません。まことに申しわけございません。
  263. 内藤功

    ○内藤功君 これは早急に調査をしていただきたいと思いますが、七名の職員が、この第三港湾建設局に実地検査に来ておるはずであります。私は、検査院の「検査情報」というもので確かめました。そうして、ここでの接待の問題は、先ほどあなたがけさここで御説明になったのとは大分違っております。これはもちろんこれからお調べになると思いますが、どうですか、いま調べてありますか、その点は。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
  264. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) 現在のところでは、まだ詳しい行動等について調べがついておりません。実は、非常に、私もまあけさほど大臣からの御連絡によりまして愕然としたわけでございます。それで、直ちに事実関係がどうであるかということを、電話で問い合わせをしたわけでございますが、何分にも、大ぜいの関係者がございますし、個所数も非常に多うございます。それでまた、事実関係を調べるとなりますというと、まあ証憑書類等まで調べなければならないというようなことで、けさから至急問い合わせをやっておるわけでございますが、申しわけございませんが、現在の時点でまだ調査がついておりませんし、それから先ほど大臣から御答弁ございましたように、これをやはり徹底的に調べろという強い御指示もございます。まあ私どもも国民の疑惑を買うようなことが生じたことは非常に残念に思いますので、私といたしましても徹底的に事実関係を調べたいと考えておりますので、いましばらく時間の猶予をいただきたいと存ずる次第でございます。
  265. 内藤功

    ○内藤功君 会計検査院おられますか。——この点について、この日時と派遣職員の数、目的等についてはおわかりですか。
  266. 松尾恭一郎

    説明員松尾恭一郎君) 第三港湾建設局関係につきましては、先ほど御質問の御予定を聞きまして調べたわけでございますが、五十二年の——ことしの七月の二十八日から八月の四日まで八日間、人数は七名というお話でしたが、あるいは八名かもしれませんが、会計検査のために出張しております。内容は、港湾建設局のほかに、神戸港工事事務所その他の工事事務所を見ております。  以上でございます。
  267. 内藤功

    ○内藤功君 私は、問題はこの接待費の内容、その会計処理の問題、この二つに非常に大きな点があるので、お二人を中心にぜひ調べていただきたいと思います。  一つは飲食費の問題です。これは神戸港の検査のときに、ここに金額が大体ありますが、一流ホテルの食事、連日ですね。具体的に名前を言ってもいいですが神戸の一流ホテルの食事、「オリエンタルホテル」です。それから一流のすし屋、名前はこれ省きますが。それから神戸で有名な焼き鳥店。そうして、検査に行った調査官プラス立ち会いの課長三人で行くというふうな、詳しい金額も私はここに手元に持っております。検査期間の中に土曜日曜が含まれたわけですが、土曜は半日、日曜日は検査は休みでありますが、この土、日に、公用車と運転手がついて一日半、いわゆる観光旅行ということを行っております。費用は大体概算で七日ないし八日間、七人ないし八人の検査官で約五十三万円。ほかに現場工事事務所の方でも金が出ておるようですが、五十三万円。しっかりつかめたものでこれだけです。そして、庁費として立案書類決済の上支出をされております。証憑書類は、現在でもこれは三建のしかるべきところに保管をされているということは間違いないと思います。この点をお調べ願いたい。  それからおみやげの件ですが、これは、先ほどおみやげは絶対に渡しておりませんとあなた言われたものですから、私はここまで触れたくなかったけれども出します。おみやげの中身は、神戸の名物を一人三種類、袋に入れて職員に渡している。絶対に渡さないということはこの場合全く違っております。その他、このおみやげの費用だけでも約三千円ぐらい相当の物であろうと思います。これは物の値段の高い低いは人によっていろいろあるのかもしれませんが、いまの国家の会計検査院というものの仕事の内容などを考えて見た場合、私たちはこの点についてはやはりきちんと疑問に答えてもらいたいと思います。問題が具体的に出た以上は答えてもらいたいと思います。そして、なるべく速やかに答えてもらいたいと思います。この点再度要求しておきますが、よろしいですか。
  268. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) 私ども存じておる範囲におきましては、けさほど御答弁申し上げましたように、みやげは一切ないというふうに信じておったわけでございますが、いま先生からの具体的な御指摘もございます。私どもといたしましては、こういうことはよもやないと思っておったわけでございますが、もしそういうことがございまするとするならば、やはり大変私は申しわけない答弁をしたことになります。そういうことでもございますので、この点につきましては厳正に調査をいたしまして、取りまとめて大臣に御報告いたしたいと思っております。  ただ、このようなことでございますと、やはり当時の関係者に一々確認をし、行動の状況等も調べなければならないと考えますので、ちょっと私どもといたしましては、できるだけ急ぎますけれども、短かい時間ではちょっと無理ではないかという感じがいたします。私どもといたしましては、必要に応じまして、これは本来からいいますと第三港湾建設局の手によって報告を受けて済むことではございますけれども、こういうような事態に立ち至りました以上、私どもといたしましてはこれから至急検討いたすわけでございますが、必要に応じましてしかるべき者を派遣してでも調べたいと考えておる次第でございますので、ひとつ御了解いただきたいと思います。
  269. 内藤功

    ○内藤功君 さらに指摘をしておきたいのは、私は一々細かくどこで幾らということは、私は個人的には余り趣味には合いませんけれども、しかしこれは申し上げておかなきゃいけない。昼飯ですね、昼食は先ほど庁舎の中で弁当をとってやるとこういうふうに運輸省の港湾局長答弁された。しかし、そう言われるので私は出すわけなんですが、昼食で、立食パーティーで七名で八万六千八百八十円を使っている。これは昼食としてはお弁当の域をはるかに超えておるということも申し上げておきたい。あなたがはっきりと断言されるものですから、私はこういった点もいずれ出てくるでしょうからお調べ願いたい。  それから、いままで私が言ったのは第三港湾建設局、本局の関係でありましたが、もう一つ神戸港の事務所、三建の神戸港事務所、ここではさらに三、四人の職員が三日間にわたって入りましたが、ここでたとえば三、四人の職員ですが、さっき昼飯はお弁当程度と、細かい話になるかも知れませんが、そして一緒に行く人は検査員の数を上回らないというお話があったが、三十人分の食事をとっております。三十人の一万八千円という弁当をとっております。こういった点もあなたの先ほどの答弁と違う点だけをいま指摘します。この私の数字はここにありますから、全部ここで一々読み上げませんけれども、こういう点を指摘しておきたいと思うんですね。  それから、港湾建設局はどうもここだけじゃないんだね。遺憾ながら鹿児島、博多などの例も報告されております。たとえば、博多では五月の九日から十二日までの間、検査員五名で、総額で申しまして二十六万八千五百三十円という数字が出ております。私どもの把握しただけで、さっきの神戸の二ヵ所、それから博多など合わせただけで百万近くの金額になっております。これはかなりの問題であります。私は、そういった点を留意をされてお調べになるように。これだけじゃないでしょうけれども、具体的なまず事実として指摘をしておきたいと思うんです。運輸大臣どうですか。こういうような事実がやはり出てきております。
  270. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は、けさ私は起きがけに新聞を読んでおりましてそういうことが出ておるのを発見しました。そこで、午前六時十分ごろだったと思うんですが、私は朝早いものですから、港湾局長を電話でたたき起こしたわけですが、そうして、こういうことが出ておるが君はまだ新聞読んでいないか、読んでおりませんと。それではこういうことだから新聞をすぐ読んでみろ、君はこの間私に絶対ないと言ったじゃないか。実は、港湾局長に私がまさかないだろうなということを聞きましたら、港湾局に関してそういうことは絶対にないと思いますと、こういう答えを先般私にしたわけです。でありますから、君はそういうことを言ったじゃないか、とにかく徹底的に調べろ、こう言って命令したといいますか、指示をいたしたわけでございます。こういうことは内藤さんに申されるまでもなく、私自身も許すことはできません。徹底調査をし厳正な対処をいたすつもりでございます。
  271. 内藤功

    ○内藤功君 国鉄総裁に伺いますが、国鉄実地検査の問題をひとつ私は指摘しておきたいと思うんです。  その前に会計検査院、一月の十九日から一月の二十八日の間、東京の北、南、西の鉄道管理局、それから東京建築工事局、電気工事局、こういった各局に対して国鉄に対する実地検査を行われた事実はありますか。
  272. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 都内検査としてこの五ヵ所を検査いたしました。
  273. 内藤功

    ○内藤功君 その派遣された人数、人員数は何名ですか。
  274. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 東京南局は五名でございます。それから東京電気工事局はやはり五名でございます。北局はやはり五名でございます。東京建築工事局も五名でございます。それから東京西局も五名でございます。全部五名でございます。
  275. 内藤功

    ○内藤功君 そのうち北鉄道管理局、これはずうっと東北本線のたしか白河ぐらいまで管轄でしたか。
  276. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 北局の管轄は宇都宮のちょっと北の方だと、こういうふうに存じております。
  277. 内藤功

    ○内藤功君 その北鉄道管理局に入った五名の職員が調査をした個所、これはどういう個所ですか。
  278. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 北局の管内でどれだけの工事をやったかということは、ちょっと現在手元に資料がございませんが、いま早急に調べたいと思います。
  279. 内藤功

    ○内藤功君 途中ですが、加藤議員が忙しい中来ておられますが、ちょっとお待ちください。後で——後ですぐあなたに質問をしたい。
  280. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) 時間が余りないですから……。
  281. 内藤功

    ○内藤功君 わかってます。  ちょっと——宇都宮の平出架道橋、入ってますか、この中に。それから、ちょっと言います。白河近辺ののり面土木工事——いいですね。それから利根川の橋梁下部工事、この三つは入っておりますか。
  282. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 入っております。
  283. 内藤功

    ○内藤功君 これらの工事については、会計検査院側から何か意見なり措置なりというものはなされ、またはなされる可能性がありますか。
  284. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) けさほど御連絡ございまして、実際行った者に聞きましたところ、いろいろ歩掛かりの面とか、あるいは擁壁の基礎の根掘りのところがちょっと設計と違っているとか、それからボルトの締めつけ用のコンプレッサーの運転作業員の張りつけ人数が少し多いじゃないかというような点もございましたが、それぞれ金額が非常に小さかったので、現在特に検査報告として掲記することにはなっておりません。
  285. 内藤功

    ○内藤功君 国鉄当局にお伺いしますが、いま私が指摘をした三つの工事、とりあえずこの三つの工事、いずれも列車の安全、人命に非常に関係のある重大な工事だと思いますが、その点はどうですか。
  286. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) いまここで橋梁の名前をお聞きしたので、私直接この現地を見ておりませんが、少なくとも利根川橋梁については私よく存じておりますので、いまの先生の御指摘は橋梁のり面ということでございますので、恐らく線路に直接関係する区間の工事だというふうに考えております。非常に関係があると思います。
  287. 内藤功

    ○内藤功君 総裁にぜひ調査をお願いしたい。それから検査院にも調査をお願いしたい。  この参加をした会計検査院職員の方に対して、同じような接待というものが行われている事実があります。われわれはその具体的な資料を持っております。しかしこの点は、いま非常に重要な問題でありますから、まずこういう事実の有無と、それからこの工事というものが一体どのように安全性に絡むものであるか、工事に欠陥がなかったかどうか、この二点について、まず早急な調査を検査院にお願いをしたい。
  288. 東島駿治

    説明員(東島駿治君) 早速調査いたします。
  289. 内藤功

    ○内藤功君 これは早急に調査をしてもらいたい。  それから国鉄当局にもこの点を、重要な問題がありますので、調査をお願いしたい。総裁にお願いしたい。
  290. 高橋浩二

    説明員(高橋浩二君) 早速調査いたします。
  291. 内藤功

    ○内藤功君 私は以上、運輸省には絶対にないとか、大したことはないとか、国鉄にはないとかいうことではなくて、残念ながら、私はあえて残念ながらと申しますが、かような事実を調査をお願いせざるを得ないわけです。この調査は近く報告がなされると思いますが、これは私だけじゃなくて、当運輸委員会全体の問題としてもやはり大きな関心を持たざるを得ない問題だと思いますが、この調査の結果を待って、この点についての質問はさらに引き続いて後日に行いたいと思います。調査を得た上でこの点についての質問を行いたいと思います。  そこで、加藤六月議員が来ておられるのであなたに。  お待たせいたしました。さっき大臣に聞いたんですが、大臣が、自分じゃわからぬと、「基本方向」をおつくりになった加藤議員でないとわからぬと言われますので、あなたにお聞きします。  自民党など三党のつくったいわゆる「基本方向」ですね、「国鉄再建の基本方向」、この問題について、その中に総合運賃制度というものが出ています。その総合運賃制度というのは、国鉄運賃というものをやはり基盤にして、国鉄運賃をこれから上げていく。そのときに飛行機やバスの、私鉄の運賃が低いということでは困る、これも国鉄運賃値上げに照応して値上げができる、こういうシステムをお考えになっているというふうに私どもは思うわけなんですよ。その総合運賃制度というものを「基本方向」の中にお書きになったあなたの意図というものをお伺いしたいと思います。
  292. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) 「国鉄再建の基本方向」の三の「政府の援助」の「(一)総合運賃政策の導入」というこの言葉をおっしゃっておられるのではないかと思います。「総合運賃政策の導入」という言葉は、ずいぶん議論した上で生まれてきたわけであります。  まず冒頭考えましたのは、昭和四十九年の石油ショック以来、わが国における省資源——資源をどうやって節約するか、あるいは熱効率——いかなる交通機関が一番熱効率においてすぐれておるか、人キロ、トンキロにおける熱を消費する消費量、こういう問題は、バスとか、タクシーとか、フェリーとか、航空機とか、鉄道とか、いろいろな問題をひっ提げて検討し、資源小国、そして世界的エネルギー危機が言われておるわが国の交通政策において、いかなる交通機関、いかなる交通手段が一番エネルギー効率的に考えていいのか、あるいはまた省資源的に考えてこれからの日本が生きていくのがいいのかという点を考慮したのが一点であります。  それから第二点としては、日本の地形、日本のいわゆる姿、形、こういうものから考えた場合に、何が一番これからの狭い日本の領土内に日本人が生活をし、そしてより豊かな暮らしを求めていく場合にいいのか、こういったような議論等を積み重ねまして、ただいま御質問のありました総合運賃政策というものを政府がぜひ考えてもらわなくてはならないという意味で総合運賃政策の導入という言葉を使ったわけであります。  ただ、総合運賃政策の導入で、いま御質問のように、国鉄運賃に他の交通機関をそろえろというような見方もありますけれども、実はそうではございません。たとえば地方に行った過疎バスはいろいろ問題があるわけでございますが、鉄道と並行して走っておるバス運賃の場合は、国鉄の一・八倍から二・八倍という運賃がずいぶんたくさんあります。逆にそういった問題については、バス会社が国鉄に対してもう少し運賃を上げてくれという陳情等もずいぶんたくさん来ておるわけであります。そういう問題等を考えた場合に、私、いま御質問の趣旨のような、国鉄運賃に他の交通機関、交通手段の運賃をそろえるというような意味でなくて、さきに申し上げました省資源、エネルギー効率、こういうものを考えた政府は運賃政策をやれよという趣旨の総合運賃政策の導入、そして後へ続いておりますトラック対策の強化など総合交通政策上の具体的な施策を講じなさいということでおわかりいただけるんではないか、こう思っておるわけであります。
  293. 内藤功

    ○内藤功君 そうしますと、加藤さんにお伺いいたしますが、飛行機なり、民鉄なり、バスなり、国鉄なり、それぞれの交通機関ごとに原価主義という、料金についての原価主義ですな、この原則はそれぞれ保っていくということなんでしょうか。
  294. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) 原価主義を原則として守っていくのは、これは当然のことであります。ただ、その場合考えなくてはならないのは、国民のニーズ、要求というものがどういうようになっていくかという点等は考えてもらわなくてはならぬのではないだろうかという意味が若干含まれております。
  295. 内藤功

    ○内藤功君 それはどういうことでしょう。もう少し御説明願いたい。
  296. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) サービスという問題が交通機関にはあります。まず安全が第一という大原則があります。安全第一を忘れた人や物を運ぶ交通機関というものは考えられません。安全が第一であります。その次はサービスであります。サービスのよしあしということが非常に大きな要因を持ってきます。そして、国民生活の向上とともに国民のニーズというものがいろいろ変化してきます。行動圏がレジャーあるいは生活を求めてやる場合に、一日五十キロの生活行動圏であったものが一日百キロになり、一日百五十キロになるといったいろいろの問題が出てくると思います。そういう点を考慮していくという意味であります。
  297. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、まあ原価主義はもう当然の原則だと……
  298. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) そうです。
  299. 内藤功

    ○内藤功君 ということ。そうすると、総合運賃制度というものの特色というのは、さっきやっぱりあなたが言ったようにエネルギー問題というところに尽きちゃうわけですか。何か余り新味がないように思うんで聞いたんですけれども。
  300. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) 総合運賃制度ではなくて運賃政策です。
  301. 内藤功

    ○内藤功君 政策……
  302. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) 政策でございますので、いま私が御説明申し上げましたようないろいろな要素、先ほどから御答弁申し上げましたようないろいろな要素を勘案して総合運賃政策という言葉を使ったわけであります。
  303. 内藤功

    ○内藤功君 次の問題ですが、衆議院の運輸委員会でも問題になりましたが、一体この修正案で、何%までいわゆる上限というものが計算し、設定し得るのか、政策上そこまで上げないか上げるかという問題じゃなくて、これは昭和五十一年度の決算を基礎にした場合五十二年度はできない。と、五十三年度でもってどのぐらいの値上げ幅が可能なのかという点について、衆議院では住田鉄監局長が三七%という答弁をして、これをめぐってほかからは、いや、そんなに上がらぬという意見も出たり、それからまた二六%という意見が出たり、算定方式が出たりいろいろですが、加藤議員のお考えを伺います。
  304. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) 衆議院の修正は、言うならば、ある面で簡明率直に言わせていただきますならば、政府の案に対する不信任案に近いぐらいの決意で大修正をやりました。これが率直な気持ちであります。あの修正案をつくる過程におきましては、政府原案であった一五%、五%というものを、一体何%に値切ろうか、削ろうかというところから作業に入りました。そして、修正案の中身というのを、いろいろあの案を持っていくまでにつきましては三案ほど考えました。いま申し上げました政府案を、赤字の場合の何%、黒字の場合の何%、一五%、五%とあったのをどの程度に抑えたらいいかということを最初考えました。しかし、それでは抜本的な、いま申し上げましたような大修正にはならないということ、それからあとは、物価変動率に政令で定める修正率という点でいったらどうだろうかということ等を考え、最終的に、いま衆議院を通過しまして参議院へ送付いたしておりますあの修正案にいたしたわけでございます。  住田鉄監局長が衆議院の運輸委員会におきまして、いま先生がおっしゃったような幅のことを、想定の想定として、一時ちょっと申したことがあるのは事実でございます。しかし、私たちが考えました場合に、運賃法の全条は残っておるわけであります。公正妥当であるという大原則はあくまでも残っておる。それから、今日国鉄のシェアというものを考えたときに、旅客で三〇%、貨物で一〇%ということを考えたときに、昨年暮れのような運賃値上げが果たしてできるか、できない、また、してはならない、こういった感じ。あるいはまた、先ほどちょっと触れましたが、他の交通機関との激烈な競争という点等を考えてみた場合に、この修正をした場合に、ぎりぎり幾らできるかという数字は計算してみました。しかし、それはあくまでも想定の上の想定であって、現実、いま申し上げましたようなところから考えまして、私は、そう鉄監局長が申し上げたような値上げは行うべきでなし、また、それは逆に国鉄を破滅に導くもんである、このように考えております。
  305. 田村元

    国務大臣田村元君) ちょっと重要な問題でございますから、私から明確にしておきたいことがございます。  それは、改定の上限、これを鉄監局長が衆議院で三七%という数字を出した、こういうことを前提としたいまのお話でございましたが、この三七%という数字を出しましたのは、修正案以前の考え方で、実収入に対して利用減というものを見込んだ名目はどれぐらいになるかという御質問でございました。そこで、従来的な考え方から計算からすれば、名目三七%ということになる、こういう答えをいたしたのであります。しかし、修正案によりまして、実質イコール名目ということにきわめて明確になっておりますから、三七%という数字は全然はじくことができません。あくまでも名目は実質と同率でございます。  でありますから、私は衆議院で申したんでありますが、物の考え方の基本を戦前と戦後と同じような考え方でやるのと同じようなもので、全然環境が変わってしまった、基礎条件が変わってしまったのでありますから、このいまの住田鉄監局長の答弁は、たとえ仮定の上に立った答弁とあるけれども、これは私は全面的に否定をいたします。こういう実は趣旨の答弁を申し上げたのであります。でありますから、三七%という数字は、これはあくまでもそのような趣旨であるということから、今回の審議の対象にされては大変迷惑でございます。
  306. 内藤功

    ○内藤功君 加藤議員に伺いますが、五十一年度の決算を基礎にして五十二年度値上げはまあしない、五十三年度にまとめて二年分をやるというふうにしました場合に、加藤議員は修正案の立案者でありますから、当然御計算になっていると思いますが、どのくらいをはじき出されましたか。
  307. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) 五十一年度の決算はすでに出ております。ただ、五十二年度の決算は出ておりません。そこで、いまの御質問の五十二年度の場合にどういう決算が出るかということは、これは想定でしか物が言えないわけであります。五十二年度の決算いつごろ出るのかといって運輸省、国鉄にずいぶんせっかちに質問してみましたが、来年の六月末ごろじゃないだろうかというお話です。  そこで私は、五十二年度国鉄の補正予算に盛られておる数字というものを持ってきまして、一応検討はしてみました。しかし、鉄監局長が想定の想定で、ただいま運輸大臣が戦前戦後という言葉をお使いになりましたが、戦前戦後という言葉があったにしても、やってみましたら、鉄監局長が申し上げました数字よりか十数%低い数字が出ております。
  308. 内藤功

    ○内藤功君 加藤議員がおられる間に、あなたにもう一つお聞きしておきたいのです。  附則の十条の二と三という形で修正案はできておりますが、この附則の十条の二というのは、鉄道運賃法の「第三条第一項、第四条又は第七条第二項の規定にかかわらず」、国鉄総裁運賃を決めて、運輸大臣が認可をするということになっておりますね。これはこういう大事なものを、本法を残しながら、附則、十条の二というもので変えていくというやり方は、これはどうしてこうなったのかという経過を伺いたい。
  309. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) 先ほどちょっと触れましたが、まず附則でやったというのは、いわゆる法定主義というもので、国会というものと政府、運輸大臣が、国有鉄道総裁の申請を受けた場合にどの程度やるかという授権の問題だと考えました。その場合に、この運賃法の第一条、先ほどちょっと触れましたが、第一条二項の一号「公正妥当なものであること」、こういう精神はぜひ生かしておかなくてはならないという点が一つありまして、そして、法定主義というものを生かしながら、その授権の範囲をなるべく小さくして、なるべく国会の権威を保つ方式を考えながらやらなくてはならない、こういう点で、いま御質問のありました三条一項、四条、七条二項というものはそのままにしたわけであります。  そこで、十条の二に書いてありますこのもろもろの問題は——「当分の間」といたしましたのは、これは実は政府案と同じであります。十条の二、これは政府原案をいろわずにそのままやったわけでありますが、ただ、私の案では、この十条の二の最後のところに、「賃率又は運賃による」というところで、政府原案は「賃率等」としてあるのを、「賃率又は運賃による」とはっきりしたわけでありまして、十条の二の「当分の間」というのは政府原案と全く同じであります。
  310. 内藤功

    ○内藤功君 この十条の二に、三条一項、四条、七条二項にかかわらずと書いてあるものですから、一般の国民がこれを見た場合に、三条はそのまま生きておると、四条も生きておる、法定主義は生きておる、しかるに十条の二でもって「かかわらず」になっている、これは非常にわかりにくい条文ではないかという点はどうお考えになりますか。  それから三条が条文では残っておっても、十条の二で「かかわらず」になっていますから、実際は運賃法定主義が否定されたということになりませんか。
  311. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) そこの問題は、政府にお尋ねいただく方がよろしいと思うわけでありますが、運賃法定主義は否定いたしておりません。これは、先ほど申し上げましたように、「当分の間」ということ、先生自身が御質問になりましたが、暫定措置、緊急避難的措置であります。そういう意味で、「当分の間」は残したわけでありますが、運賃法定主義をどうやって貫いていくかという精神のもとに私の修正案は考えたわけでありますが、ただいまの御質問は、政府原案と同じにいたしておりますから、政府の方にお尋ねいただいてしかるべしと、こう思っております。
  312. 内藤功

    ○内藤功君 その「当分の間」というものが入れば法定主義に反しないという理由は何ですか。
  313. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) 先ほどからたびたび申し上げておりますように、政府案そのままでございますから、私にお尋ねになるよりか、政府にお尋ねになるのが至当であると思います。
  314. 内藤功

    ○内藤功君 政府にも聞きますが、加藤議員の御見解もあわせて承りたいと思います。
  315. 加藤六月

    衆議院議員加藤六月君) 私たちがこの修正案を考えた場合に、法定主義に反しないため、あるいは財政法に反しないため、いろいろな勉強をやり、衆議院法制局、内閣法制局、その他とずいぶん激しい議論をいたしました。そして、先ほど申し上げましたように、政府原案よりかずいぶん大修正をやって、授権の範囲というものを政府原案よりかさらに狭めたわけであります。  一五%とか五%という数字があり、政府原案というものを素直に読んでいき、考えていきますと、政府原案の場合には、率直に申し上げまして、若干、国鉄が出る赤字だけではなしに、収支均衡をねらっている案である。一五%さらに黒字のときの五%という数字がありましたから、赤字の範囲にとどめずに収支均衡をねらう案である、こういうように私は政府原案に対しては思っております。  そこで、私はその収支均衡をねらう案を大修正しまして、やむを得ないとき、物件費人件費が上がったぎりぎりの経費のいわゆる増加額という表現をいたしておりますが、その分だけをひとつ国鉄総裁運輸大臣の権限でやる緊急避難的なものにすべきじゃないだろうか。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕  したがって、私の修正案というのは、われわれの修正案というのは、政府案と基本的に違うのは実はそこにあるわけで、この案でいきますと、国鉄の赤字を毎年毎年これ以上にふやさないことにしようじゃないか、そしてその中での物件費人件費の上がった分だけをひとつ運輸大臣国鉄総裁の範囲内でやろうということで、すべての国鉄再建の基礎はこれ以上赤字を出さないというところからスタートすべきだ。  繰り返して申し上げますが、政府原案の中には、率直に申し上げまして一五%、五%と、黒字の場合でも五%になるということは、赤字の解消だけでなしに、収支均衡そのものをねらっておるものがあるんじゃないだろうか、したがって、政府原案の方が国会に対して授権してくれという幅が広かった。私はその幅を、先ほど政府案不信任に近いつもりで大修正しましたというのは、その幅を思い切って小さくしましてやった。しかし、それでも「当分の間」という言葉はある。したがって繰り返して申し上げますが、もう理屈は申し上げませんが、運賃法定主義の原則を崩さない立場というものをどうやって守るかというのが、この案をつくり上げる過程において一番苦労した点であります。
  316. 内藤功

    ○内藤功君 御見識は承りましたが、当分の間は運賃法定主義が、これが撤廃されるわけですね、否定されるわけです、当分の間は。そうじゃないですか。
  317. 田村元

    国務大臣田村元君) 「当分の間」ということで、法定制を否定するということはあり得ません。最近国鉄の独占性は非常に薄れました。そういう現在の国鉄の独占度の程度等から見まして、国鉄運賃の決定方式につきましては、運賃の決定原則が法定されていること、それから金額の決定について、合理的な基準による限度が設けられていること、公正な審議会による審議を経た上で認可制による等、運賃の決定について手続的制約が付されていること、この三要件を充足するような内容であれば、財政法第三条の要請を満たすものである、財政法はこれを許容するものである、このような考え方でございますから、「当分の間」ということよりも、むしろいま言った三要件が充足されておるかどうかという問題が、法定制に関するいわゆる法理論の論議の対象になるものと考えます。
  318. 内藤功

    ○内藤功君 「当分の間」は、三条一項、四条、七条二項のまさに賃率を法律で決めるという条項にかかわらないとさっきあなたは言われた。かかわらないのだが、「当分の間」の間、それは何年かという議論は別ですよ。「当分の間」の間は、運賃法定主義が否定される、そうじゃないですか。
  319. 田村元

    国務大臣田村元君) その「当分の間」は、運賃法定制ではあるけれども、その手続上の面においてこれが緩和される、こういうことでございます。
  320. 内藤功

    ○内藤功君 しかし、国会にかけないで大臣が認可をして、国鉄総裁が決める。その範囲では、これはもう運賃法定制の否定じゃないですか。
  321. 田村元

    国務大臣田村元君) 先ほども申し上げましたように、運賃の決定原則が法定されておることによって、私は法定制は生きておると思います。
  322. 内藤功

    ○内藤功君 運賃法定主義が法定されているというのは、三条、四条、七条の条文が文字として残っている、物理的に残っている、もうそれだけなんですね。たとえは悪いけれども、首の皮が一つ残っているというだけなんですよ、それだけですよ、実体のないものです、これは。
  323. 田村元

    国務大臣田村元君) そうじゃございません。運賃の決定方式というものが、決定原則が、このようにするのだよということが法律で決められているということによって法定主義は貫かれておる、ただそれは手続上の緩和があるということであろうと思います。
  324. 内藤功

    ○内藤功君 賃率と運賃というものを法律で決めているのが運賃法定主義なんです。ところが、賃率と運賃というものは国鉄総裁が決めると、当分の間は。それは運賃法定主義の否定ですよ、期限を限った否定ですよ、これは。
  325. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は、法律は厳密な何円何十銭というものまでも決めることを求めておるものとは思っておりません。
  326. 内藤功

    ○内藤功君 どこからそういうことが出てきますか。
  327. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 財政法三条では、法律に基づいてと言っているわけでございまして、法律の中に賃率を書けということを言っているわけでございません。したがいまして、法律に基づいて、先ほど大臣が申し上げたような要件を充足しておれば、財政法の要請は満足できるんだと、そういう意味法定制度は守られているというふうに考えているわけでございます。
  328. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、何でももとに法律があれば、賃率の決め方は政令に任せると、そういう法律があればもういいんですか。
  329. 住田正二

    政府委員(住田正二君) この点も先ほど大臣から御答弁申し上げたと思いますが、国鉄の置かれている状況、特に独占の状態が現在なくなってきているわけでございまして、そういうような状況を勘案した上で、先ほど大臣が申し上げましたような三つの要件が守られておれば、財政法三条の法律に基づいてという要請を満足させるものであるというように考えているわけでございます。
  330. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、法律によって、政令によってこれを定めるというだけではこれはいけないんですね。これは認めますね、前提は。
  331. 田村元

    国務大臣田村元君) 財政法の第三条を読みます。「租税を除く外、国が国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」と、こういうことが書かれておるわけでございまして、国鉄の現在の独占度というものがきわめて薄れておるということによって許容されると、このように考えております。
  332. 内藤功

    ○内藤功君 そこが問題なんです。そこが問題なんです。いいですか。独占性が薄れてきているというのと、独占性がなくなったのと、あなたはどっちを主張するんですか。
  333. 田村元

    国務大臣田村元君) 独占性が薄れておるということです。
  334. 内藤功

    ○内藤功君 独占性がなくなったというんじゃないんですね。
  335. 田村元

    国務大臣田村元君) 独占性というものが目方ではかれるものじゃありませんが、きわめて薄れておるということでございましょう。
  336. 内藤功

    ○内藤功君 独占性が薄れてきた場合にも、財政法三条、同三条特例法は適用がありますね、独占性があれば。
  337. 田村元

    国務大臣田村元君) これは内閣法制局の見解として、現時点の、現在の国鉄の独占性の薄れから見て、財政法三条はこのような法定制緩和を許容するものであるという見解を承っております。
  338. 内藤功

    ○内藤功君 その法制局の見解はいつ出たものですか。
  339. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 今回の政府原案をつくる際に、財政法との関係について十分検討をいたしたわけでございます。その結果、先ほど来大臣から御答弁申し上げるような考え方をとっているわけでございます。
  340. 内藤功

    ○内藤功君 独占性が薄れただけでは財政法三条は外されませんよ、これは。財政法三条は独占性がなくなれば外れるかもしれない。財政法三条を外すには法改正が必要でしょう。
  341. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど来、財政法三条から外れているということは大臣も私も一言も申し上げてなくて、財政法三条に言っております法律に基づいてという基づき方にいろいろな基づき方があるわけでございます。国鉄の現在の独占の状態からいって、先ほど大臣が申し上げましたような三つの条件を今回法律の中に規定されているわけでございまして、そういう規定があれば財政法三条の、法律に基づいてという要請は充足されるというように考えているわけでございます。
  342. 内藤功

    ○内藤功君 その三つの要件というのをもう一遍言ってみてください。何と何と何ですか。
  343. 住田正二

    政府委員(住田正二君) まず第一に、運賃の決定原則が決められている。これは運賃法第一条でございます。それから二番目に、金額の決定につきまして合理的な基準が決められている。この基準は、先ほど来加藤委員からお話し申し上げましたように、政府原案の基準よりも今回修正によりましてさらに厳格になったわけでございますが、そういう合理的な基準が決められているということと、それから運賃を決めます場合に、運輸審議会にかける、あるいはその上で運輸大臣が認可するというような手続的な制約が規定されておると、そういう三つの要件があれば、財政法三条の要請は充足されているというふうに解釈をいたしているわけでございます。
  344. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、いままで、昭和二十一年以来ずっと続いてきた、運賃と賃率を法律の条文で決めるこのやり方は財政法違反なんですか。
  345. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど申し上げましたように、財政法三条の、法律に基づいてという基づき方にはいろいろな基づき方があるわけでございます。従来のような規定のやり方も財政法三条の、法律に基づいてでございますし、今回のような修正案を含めました改正案の内容も法律に基づいてということになると思います。  で、どういうふうにしてその差が出るかということは、やはり先ほど来申し上げておりますような、国鉄の置かれている環境が変わってきている。独占性が非常に薄れてきているという点を勘案いたしまして、いま申し上げましたような考え方をとっているわけでございます。
  346. 内藤功

    ○内藤功君 財政法の三条というものが、憲法八十三条なり八十四条の精神に基づいてできているということは認めるんですか。
  347. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 憲法は租税について規定をいたしておりますが、国鉄運賃あるいは料金のようにサービスの対価というものは租税であるとは考えておりません。
  348. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、憲法八十三条の精神に基づいているものだということは認めるんですか。
  349. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 憲法八十三条は財政民主主義の原則でございます。私どもはこれまでの運賃法、今回の修正案を含めまして、これは財政法三条の規定に基づいていろいろな措置を講じている。財政法三条からの問題であるというように考えております。
  350. 内藤功

    ○内藤功君 その財政法三条ですよ。その財政法三条が憲法八十三条、あなたは四条を否定したから後で言いますけれども、八十三条の精神に基づいてできた法律だということは認めるんですか。
  351. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 八十三条の精神という意味がよくわからないのでございますけれど……
  352. 内藤功

    ○内藤功君 そういうこと言うなら、八十三条でもいいですよ。
  353. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 八十三条の精神とおっしゃる意味がよくわからないわけでございますけれど、運賃法の根拠法規といいますか、運賃法をつくっておりますもとは、財政法三条から出ているというように理解いたしております。
  354. 内藤功

    ○内藤功君 幾ら聞いても答えが出てこないですね。私の聞いているのは、あなたのその根拠にしている財政法三条というものは、憲法の精神、あるいは憲法に基づいてつくられた法律だということは認めるんですか、認めるんですねということ。それとも、もう憲法とは異質のものだと思っているのかという質問です。
  355. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 憲法八十三条は財政民主主義の原則を定めている規定で、それに従って八十四条以下の規定が出ているわけでございますが、先ほど申し上げておりますように、国鉄運賃というものは租税と同じものであるというようには理解することはできませんので、したがって、運賃法を定めておるのは八十四条から出ているものではなくて、財政法三条に基づくものだというような説明を申し上げているわけでございます。
  356. 内藤功

    ○内藤功君 では、加藤議員は一応三十分ということだそうなので、私はもっと聞きたいんだけれども結構です。  じゃいいですか、局長ね、ここが大事な問題なんですよ。私はこういう憲法上の問題があいまいに私の前を法律が通っていくことは許しません、これは。いいですか。八十三条は、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」、八十四条は、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」、こうありますね。それで、八十四条を否定されたから、八十三条に基づくんだなと、こう聞いているんです、財政法は。
  357. 住田正二

    政府委員(住田正二君) この八十三条は財政民主主義を定めた規定であり、それを受けて八十四条以下の規定があるわけでございます。そういうような趣旨を受けて、立法政策上財政法三条ができているという意味では、八十三条とかかわりを持つと思います。これはあくまで立法政策上の配慮であり、その配慮の裏には八十三条、八十四条の規定を尊重してつくってあるということでございまして、その精神というのが直接基づいてというような意味であれば直接八十四条からできている、あるいは八十三条はこれは精神的な規定の意味が非常に強いと思いますから、そういう意味から言えば、そういうものを尊重して立法政策上財政法三条があるということも言えるわけでございまして、そういう点から言えばかかわりを持つと言っても間違いではないと思います。
  358. 内藤功

    ○内藤功君 あなたの、憲法八十三条の趣旨に基づいて、基づいて、そこで切れて、立法政策によってつくられた、この二つはつながるんですか。それとも、憲法の趣旨に基づいてとはまた別に、立法上の政策として財政法ができたというふうにとるんですか。そこのところ大事なところなんで、どうなんです。あいまいなんだ。
  359. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 憲法八十三条というのは財政民主主義の規定でございますから、そういうような趣旨を体して立法政策上の配慮を行って財政法三条をつくったというふうに理解してもいいと思います。
  360. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、憲法の精神に基づいてできた法律だということは認めるんですか、認めないんですか。
  361. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 憲法に基づいてというか、その基づき方の意味でございますけれど、先ほど申し上げましたように、八十三条を受けて八十四条以下の規定があるわけでございますが、八十四条の租税の一つであるというような意味運賃法が決められているものではない。しかし、財政民主主義の原則を十分尊重いたしまして、立法政策上の配慮から財政法の規定ができておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  362. 内藤功

    ○内藤功君 ちょっと済みません。そうすると、いよいよ大詰めになりましたが、憲法の八十三条に基づいてつくられた法律であるということは認めるんですか、認めないんですか。
  363. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 先ほど来、基づいてということであれば、結局八十三条から八十四条以下の規定になるわけですから、八十四条の租税の中に運賃が入るということであれば基づいてということになると思いますけれど、八十三条の財政民主主義の精神を尊重して、その趣旨を尊重して財政法三条がつくられ、それに基づいて国鉄運賃法ができておるというふうに理解しておるわけでございます。ですから、基づいてという意味がどういう意味でお使いいただいているかわかりませんけれど、八十四条の租税と同じような意味でということであれば基づいてはいない、しかし、八十三条の趣旨は尊重をしているということでございます。
  364. 内藤功

    ○内藤功君 ぼくの意見と少し違うけれども、あなたの言っている意味は、いまの問答であれだけ時間使ったんで理解できた。そうすると、今度は財政法の解釈になるんですね、財政法の。財政法をつくるときの議事録がここにありますが、読んだですか。これには、はっきり憲法の精神に基づいてつくったということをちゃんと述べていますよ、二十二年。(「時代が違うよ」と呼ぶ者あり)時代が違うと言ったってこれができたときの提案説明だ、何を言っているか。  委員長、これで何か休憩というお話が理事からありましたので。食事のための休憩ですか。
  365. 内田善利

    委員長内田善利君) まだ決めてません。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  366. 内田善利

    委員長内田善利君) 速記を起こして。  午後七時三十分まで休憩いたします。    午後七時七分休憩      —————・—————    午後七時三十五分開会
  367. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  368. 内藤功

    ○内藤功君 鉄建公団をお待たせしておりましたので、どうも済みませんでした。一応、鉄建公団の質問を先に行いたいと思います。  質問は、上越新幹線の工事に関しまして、谷川の水がれ問題と湯圧の低下、減量、この問題なんです。私どもの調査によりますと、十一月の五日の日に、水上町当局が鉄道建設公団と折衝した際に、今日のこの水がれ問題は、現在鉄建公団が行っております上越新幹線工事に関するトンネル工事による被害だと、こういうことを町側は強く主張しておりますし、また公団側は、町議会に対して、調査の上、十二月の中旬ごろまでに調査結果を報告するということを言っておるようでありますが、公団としてはいつごろまでにこの調査結果を報告されるか、またいまの調査の状況はどうなっておりますか。
  369. 大平拓也

    参考人(大平拓也君) 鉄道公団の新幹線を担当いたしております大平でございます。  御指摘の、水上町におきます渇水並びに湯圧の減量の現況につきまして御報告いたします。  現在、大清水トンネルを水上口と湯沢口の両方から掘り進んでおるわけでございますが、この大清水トンネルは延長が二十二・二キロでございまして、現在のところ両方から掘っておるわけでございますが、湯沢側の方は完成しておりまして、水上口の方からの約一・四キロメートルを残すだけの現況になっております。  それで、本年の九月の中旬におきまして、水上側の坑口から約五・六キロメートルの地点で、いわゆるトンネルの切り羽から毎分十五トンないし十六トンの湧水が発生いたしました。一方、水上町の人口は、現在約八千六百名でございまして、このうち約七割の住民が谷川という川の水を利用をしているわけでございます。本年十月の中旬ごろから、この水源としております谷川の水が減少し始めまして、生活用水に不足を来して困窮されておるということが始まったわけでございます。  そこで公団は、こういうことで、トンネル掘進の湧水と、この谷川の渇水とにおきます因果関係が、一応はっきりしないわけでございますが、ほっておくわけにもまいりませんので、直ちにトンネルの湧水を浄化いたしまして、町の、その取水口にあります導水管に供給するという応急処置を講じて、現在地元の方々の生活には一応支障を来していないというのが現状でございます。  なお、谷川の渇水ということにつきましては、本年の九月以降相当の好天が続いたというようなこと、それから、最近におきまして、数度の降水によりまして、谷川の水がまた元に戻るというような徴候も見えておるというようなことでございまして、トンネルのこの坑口の切り羽の山深く入りましたところの湧水と、この谷川の渇水というものとの因果関係が、現在のところ調査中でございますが、判然としておりません。ただ、今後ともこの調査は続けまして、恒久対策といたしましても、地元の方々の御迷惑になるようなことのないように万全の処置を講ずる考えでおります。現在この調査は継続しておりますが、的確なるその因果関係の判定を下すというわけにはなかなか時間がかかると思いますので、トンネル掘進によりまして地元に迷惑のかからないようなことは、万全を期して処置をしたいと考えております。
  370. 内藤功

    ○内藤功君 過去に、在来線の水上駅近くのトンネルで同様の枯水事故が起きていますが、このときはどういうふうに措置をされましたか。簡単で結構です。
  371. 大平拓也

    参考人(大平拓也君) 在来線の水上におきましての渇水事故は、私、鉄道建設公団でございますので、当時の国鉄工事にも関係しておりませんのでちょっとお答えできません。
  372. 内藤功

    ○内藤功君 水上町の住民の水は、従来から谷川の水を一〇〇%上水道に利用してきたと思います。また、これまでの谷川の取水口は高低差を利用して、いわゆる自然流下式で水道を使用さしていますが、今後下流に恒久取水口をつくると、ポンプで一度高い地域まで揚水するということになって、現在ゼロに近い電気代金が一ヵ月百五十万くらいかかるようになる、こう言われております。揚水ポンプ等に使う維持費は、私は当然公団がこれは補助してあげるべきだというふうに思うのですが、この点どうか。これは町当局の強い要望でもあります。この点あわせて運輸大臣にもお伺いをしたいと思います。
  373. 大平拓也

    参考人(大平拓也君) 現在のところの応急処置といたしましては、万全を期して御迷惑のかからないようにやっておるわけでございますが、この調査の結果によりまして、因果関係のはっきりいたしました場合におきまして、そのような処置をとらなければならないということになりましたら、そういう施設並びに電気代金その他は、公団が持たざるを得ないと考えております。
  374. 内藤功

    ○内藤功君 最後に、このトンネルによる被害は、飲料水と同時に、水上温泉の一部として谷川温泉は重要な部分を占めておりますが、この地域では一番大きな旅館や東京大学の保養所を初め、多くの旅館や保養所で湯の量が減って温度が上がったり、また逆に湯の量が減って温度が下がったりと、こういう被害が現実に出ております。十一月七日に、県当局も実態を重視して現地測量等を行っているようであります。水圧も下がって、平均して湯の量で二割減、温度で二割ぐらい高くなっている。業者も非常に心配しているわけですが、今後の対策につきましてお伺いしたいと思うのです。
  375. 大平拓也

    参考人(大平拓也君) 湯の湯圧並びに湯の温度といいますのが、いわゆる湯でない自然水の方の圧力、その他量に若干関係があるのではないかというふうに考えられますので、その点も調査いたす考えでおります。  ただ、こういうことにつきましては、その調査結果を待たなければ的確なるその因果関係ははっきりいたしませんが、一応あれだけのトンネルを掘っておるわけでございますので、いろいろの面で最大の手当てだけは講じたいと、このように考えております。
  376. 内藤功

    ○内藤功君 休憩前の質疑の中で、財政法と憲法の関係、この問題であと一点だけ鉄監局長の見解を問いただしておきたい。  これは、大臣も鉄監局長も、財政法三条というものは、別に賃率や運賃を決めなきゃならぬというもんではないんだと言いますが、この見解は、たとえば、運賃についてですよ、運賃の賃率について法律で決めなくてもいいという見解は、私は実は初めて承ったわけです。法制局もまたそういう見解を持っているということも初めて伺った。というのは、運賃法定主義というのは、三十年の間、とにかく運賃と賃率は法律で決めるという形で、これがもう憲法の要請であり精神だという形でずっと行われてきたのであります。  たとえば、財政法ができるときの「財政法逐条解説」という本があります。これは大蔵省主計局の平井さんという当時の主計官、財政法をつくるときに担当した人の解説書であります。当時の立法趣旨が出ておりますが、これには、そういう運賃や賃率というのは、必ずこれは法律で決めるべきものだということがこの中に書いてあります。私、ここに本持っていますけれどもね、そういう見解であります。  法律にゆだねていいというのは、これは税法のあしきやり方、通達や政令、省令に多くの部分を委任しているものがたまたまありますが、そういうものを運賃、賃率法定主義の方にまで不当に広げて拡大する見解だとぼくは思うんですね。やはり運賃、賃率については、運賃と賃率を法律で決めるということはもう例外を許さない原則だ。たとえば、租税法定主義で、法律以外のものにゆだねてもいいというのは関税、これは条約との関係があるから関税、それから条例、地方公共団体の条例、こういうものが、これはごくごく例外であるけれども、運賃、賃率については例外は許されないもんだという考え方を私は持っておるんです。  私は、この点は大きな内閣の憲法解釈の問題でもあると思うので、さっき法制局長官が言っておったということを聞いて非常に驚いているんです。憲法のいままでの、たとえば学者ですね、主な学説、論文というものの中でも、こういう考え方が果たしてあるんだろうか。もしあるんなら、私は教えてもらいたいと思うんですね。非常にこれは特異な見解だ。私は、強いて言えば、今度のこの問題で、憲法の見解が変わったんじゃないか、八十三条、財政法三条の考え方が。変化したんじゃないか。憲法上の見解、財政法上の見解の変化だと私は思うわけなんですよ。ちょっと長く私の意見を、私見を述べさしていただいたのですけれども、私は憲法上非常に疑義があるというのが私の意見であります。この点、何かありましたら……。
  377. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 憲法の解釈については、憲法制定以来いろいろな学説があることは、いま先生の御指摘のように、われわれも承知いたしております。  ただ、この運賃法の問題について、憲法との関係について、これまた正式に政府としてこういう考え方であるということを申し述べたことはないと思います。先ほど、財政法をつくったときに大蔵省の立案者の方が、解釈といいますか、注釈書をお出しになったという話がありましたけれど、恐らくその当時の国鉄状態は、きのうも中島参考人からの話がありましたように、国鉄は、旅客の面でも、貨物の面でも、独占に近い状態にあったわけでございまして、そういうような前提のもとにそういう解説書をお書きになったのではないかと思います。  その後、国鉄の独占状態というものは著しく変化をいたしているわけでございまして、そういう前提で、財政法三条の法律に基づいてという規定を考えた場合に、直接賃率を書かなくても、先ほど申し上げましたような三つの条件を満足させるような規定があれば、財政法三条の要請にこたえられるというように解釈しているわけでございまして、その点、憲法との関係、あるいは財政法の解釈が変わったということではないわけでございます。国鉄状態が変わるということで、いま申し上げましたような扱い方が変わってきたというように御理解いただきたいと思います。
  378. 内藤功

    ○内藤功君 いずれにしても、内閣法制局としては初めての見解なんですね、これは。
  379. 住田正二

    政府委員(住田正二君) いままで、こういう点について法制局としての正式な見解はないと思いますので、いま申し上げました考え方は初めて——初めてといいますか、従来の考え方を変えたという意味でなくて、運賃法と財政法どの関係について、国鉄状態が変わったという前提のもとに、いま申し上げたような説明の仕方は、今度法律出したわけですから、今回初めてということになるわけですけれど、それは別に従来の解釈を変えたということではございません。
  380. 内藤功

    ○内藤功君 私は、そういうことであれば、ぜひ内閣法制局長官を、きょうは呼べないから、この次の委員会の日に私は呼びたい気持ちがありますよ。呼びたいと思う。法制局長官がいままでの憲法の解釈、これは通説に反すると思うんです、通説に。やっぱり国の憲法解釈というのは、政府に都合のいいように幾らでもつくられたんじゃたまったもんじゃないんです、これは。憲法というのは一定のやはり学問的な研究があって、学説があって固められていますから、私は、私なりに調べてここに持ってきました。法制局長官という専門家が入っているということを聞いたので、これは次回の委員会に私は呼んでこれを質問するということをここで申し上げておきたい。  それから最後に、きょうの最後です。  私は、運輸大臣国鉄総裁に、さっき局長からいろいろ運輸省港湾局の問題、それから国鉄の土木工事の問題、これについて会計検査院との接点についての非常に深刻な問題について、調査をして回答をするということがありましたが、これは次の通常国会なんかになったら大変ですから、速やかに提出してもらいたいという希望を最後に申し述べておきたい。その点については私の質問を留保したいと思うんです。お二人にちょっとそれについての御努力を。
  381. 田村元

    国務大臣田村元君) いまの調査につきましては、なるべく早く御報告をいたしたいと思います。  それから、先ほどの法制局長官の発言でございますが、これはこの前の国会のときに予算委員会等で法制局長官がきわめて明確に財政法三条との絡みを申しておりますので、速記録をお読みいただいたらはっきりわかるかと思います。
  382. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 大至急調査して御報告申し上げます。
  383. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、法制局長官の答弁は、衆議院予算委員会で速記録があるから見たらどうかというお話ですが、そうはいかない。私自身は質問をぜひやって、きょう言った細かいいろいろな問題はやっぱり自分で質問して確かめたい。そういう意味で申し上げたのです。
  384. 田村元

    国務大臣田村元君) いや、私は見たらどうかと言っておるのじゃなくて、ごらんになったらよくわかるでしょうと申し上げただけで、ここで内藤さんがおやりになるならぬは、これは委員会がお決めになることで、私がとやかく指図すべき筋のものではございません。
  385. 内藤功

    ○内藤功君 終わりました。
  386. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私は最初に、いままでの審議経過に立って若干見解を表明して、それから内容に入りたいと思います。  で、何を言いたいかといいますことは、国鉄を今日のような事態にまで追い込んでしまった責任はだれが負うんですか。それは私は国鉄自身であり、そして政府であり、同時にまた国会もその責任を負うべきだと思うんです。そういう認識に立たなければ、私は再建なんかできないんじゃないかと。その認識に立てば、そのときに初めてお互いに反省もするだろうし、反省の中から、じゃ、どうやって取り組んでいくかというようなことになるのであって、再建ができるのかできないのかじゃなくて、再建することが私はもう至上命題だと思うんです。その点はっきりと私は皆さん方が認識しているのかというところが気になるんです。  これはもう大臣の答弁はいままでもずっと聞いておりまして、大変やっぱり実力者大臣で、私も大変感銘を受ける答弁何回も聞きました。それから高木総裁の答弁というものも、大変言葉はやさしいですけれども、それなりに一本筋が通ったという、そういう答弁を私も聞いているんです。ただ、それ以下のいわゆる常務理事の皆さん方がそこへ出てきて答弁なさるのを私は聞いておって、はなはだ残念ですけれども、これで、この人たちでもっていまの国鉄再建ができるんだろうかという、そういう疑惑を持ちました。再建をしようという気魄なんかみじんも私は感じられないんです。ですから、それを三木先生がこの前のときも大分御立腹して怒りましたけれども、私もあのときは聞いておりまして、三木先生が怒るのが無理ないなと思いました。  それで重役の皆さん方に私は言いたいんだけれども、いまの国鉄というのは、私に言わしたならば、台風が襲ってきたわが家のようなものだと思うんですよ。そういうときに、風速五十メーターでもって吹きまくられているときに、計算機を持ち出してきて、そうして風速五十メーターでもって風がぶち当たったらわが家の雨戸は何ミリだからそれでもつのかもたないのかという、そういう計算をしているようなものだと思うんです。自分の家だったら、飛び出していって台風にやられたいように何らかのことやると思うんですよ、ずぶぬれになろうが何であろうが。その気魄が私には、いままでここでもっていろいろずっと御答弁なさるのを聞いていて感じられないんです。  いまの国鉄再建するに、私はだれがやったって百点満点のとれるような再建案の答案は書けるはずがないんです。じゃその百点満点がとれるような再建案をつくるまでにとやっておったならば、それは二年なり三年の間、果たしてその間持ちこたえられるかどうかと言ったら、私は疑問だと思うんです。百点満点にはいかなくても、八十点であっても七十点であっても、何としてでもみんなが一緒になって再建しなきゃならぬというその気持ちの一致をさせて、どこからでもやっぱり入れるところから入っていくというその気持ちというか、気魄をお持ちをいただかなければ、数字の組み合わせにばかり頭を突っ込んでいるようなことでは、いまの国鉄再建はできないんじゃないでしょうか。言葉でなくて態度でもってもっと、おれたちはこの国鉄再建をするんですと、だからこれを認めていただきたいという、そういうものを私は皆さん方から受け取りたいと思うんです。  そういうことを冒頭に申し上げまして内容に入っていきたいんだけれども、第一に、国鉄企業体の基礎的な点で幾つかの点、一々私、聞いてまいりたいんですけれども、資本金は幾らなんですか。
  387. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 五十一年度末で四千五百六十億円でございます。五十二年度では政府出資が計上がございませんので、五十二年度末も同額の予定でございます。
  388. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 じゃ、借入金は幾らあるんですか、長短含めて、全部をひっくるめて。
  389. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 五十一年度末の長期債務の残高、一般勘定五兆四千五百八十二億、それから特定債務整理特別勘定二兆五千四百四億、合計七兆九千九百八十六億円でございます。  これは長期でございまして、短期につきましては、資金の流動に合わせまして短期の借り入れをいたしておりますが、年度内に償還をするというたてまえでございますので、短期の残はございません。
  390. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それの内訳、大口のところでいいですから。
  391. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 長期の借入金、これは一般勘定の五兆四千五百八十二億の内訳でございますが、長期の借入金が二兆六千五百七十五億円、それから鉄道債券二兆八千七億円の、内訳でございます。
  392. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 その借入金全部の金利はどのくらい支払っているのですか。
  393. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 五十一年度で申し上げます。  利子負担額は、一般勘定、これは三千五百九十一億円。これの内訳でございますが、損益勘定で三千百六十億、工事勘定で四百三十一億円という内訳でございます。そのほかに特定債務整理特別勘定で千八百五十億円、合計五千四百四十一億円の支払いをいたしております。
  394. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 じゃあ次にお聞きしたいのは、減価償却のやり方はどういうやり方をしているのか、それからあわせて償却率がどの辺までいっているんですか。
  395. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) ただいまの国鉄の減価償却制度が発足いたしましたのは昭和二十三年でございまして、発生主義原則に基づきまして、企業会計制度の採用とともに実施に移されてまいりました。その後数次の改正を経まして現行のものに至ったわけでございますが、現行のものは、基本的な事項につきましては国有鉄道法第四十三条を受けまして、国有鉄道会計規程を制定しております。  そのうちの基本的な事項は運輸大臣の認可を受けておりますけれども、それによって決めておりますが、一応一般的に申しまして企業会計原則にのっとり、そして法人税法に準処しておるということでございます。現在、法人税法に定めてあるものをほとんどそのまま採用してございますけれども、たとえば新幹線の車両のようなものはほかにございませんので、国鉄で特別に償却制度をつくりまして、その耐用年数につきましては十年ということに新幹線の電車はなっております。これは一般の電車は十三年でございます。そのような特別なものを除きまして、一般の原則に準処して定められております。  で、どのようなやり方をしておるかという点でございますが、定率法を採用しておりますものは、種類といたしましては車両、船舶、自動車、それから機器は定率法を採用いたしております。それから定額法によっておりますもの、それは建物、橋梁、トンネル、それから線路設備、電線路、工作物、停車場設備のようなもの、これは定額法によっております。それから取りかえ法によって、取りかえ資産につきましては半額の取りかえをいたしておりますもの、これが線路設備と電線路の先ほど申し上げましたもののうち軌道及び軌道回路に限るということで、先ほど申し上げましたものはそれを除いたものが定額法に入っております。それから電線路の場合も送電線路を除くということでございまして、それ以外のものは先ほどの定額法の方に入っております。  それで、耐用年数の決め方は先ほど申しましたとおりでございまして、現在これで幾らの金額に毎年計上されておるかというのを、五十一年度で例をとって申し上げますと、二千五百六十四億円が計上されております。
  396. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 償却率。
  397. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 償却進捗率は三八・六%でございます。
  398. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 定率、定額はわかったからあれだけれども、もうちょっと聞きたいのは、どういうやり方をしているかと言っているのは、赤字だろうが黒字だろうが、そういうこと関係なしにこれを見ると償却しているように思うんだけれども、そういうことについてのなには何も関係なしで、もう赤になろうが何であろうが、これ償却しているのかどうか。
  399. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 償却の計算は赤、黒関係なくやっています。ただ、昭和四十四、五年であったと思いますが、国鉄が赤字になりましたのは昭和三十九年からでございますけれども、三十九年当時は、償却をします前には黒字でございますけれども、償却計算をしたら赤字になるという過程もございました。昭和四十六年からはすでに償却前で赤字になったわけでございまして、現在、たとえば五十一年度決算で九千百四十一億円の赤字と申しておりますけれども、この九千百四十一億円の赤字は、償却前の赤字プラス償却赤字、合計したものが九千百四十一億円、こういうかっこうになっておるわけでございまして、総額として損益上毎年赤字が幾らありますかというときは、正常に償却したという前提の上に立っての赤字額ということになります。
  400. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 その償却前で赤になっておって、それで償却するということの意味はどういうことになるんですか。
  401. 高木文雄

    説明員高木文雄君) これは企業会計の考え方でございますけれども、民間企業の場合もおおむねそうやっておられると思いますが、要するに償却を全部し切ってとんとんになったときに初めてわが経営は収支が償っているということでございまして、単年度では仮に黒字でございましても償却し切れないということは、要するに過去の蓄積をそれだけタコの足のように食っているというかっこうになるわけでございますので、やはり償却を完全にやったところで幾ら赤になるのかということを見た上で経営成績を見ていただくのが普通の正常なやり方ではないかという意味で、償却まで含んで赤を表示しているわけでございます。
  402. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 じゃ次に、資産が総額で幾らあろかということ、簿価と時価と両方言ってください。
  403. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 昭和五十一年度末の固定資産の原簿価額は八兆三千百九十一億円でございます。で、ただいまおっしゃいました時価でございますが、これにつきましては、現在特別にそのような点の時価の換算をしてみておりませんので、先生の御質問がございました後で、この点について仮に全国土地価格指数並びに国内の総資本形成によるマクロ的にラフな推定計算をいたしたわけでございますが、それによりますと、時価はいまの簿価の約一・九倍、十五兆円程度ではないかというふうに推定されます。
  404. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 余りそこのところはこだわる気はないんだけれども、簿価の一・九倍というのはどこから出てくるの。そんなものではないと思うんだけれども、もう簿価の方はかなり昔の再評価したままでおるはずなんで、そういう点からいくとかなり十倍とか何倍とかいうのになるんじゃないですか、時価は。
  405. 馬渡一真

    説明員(馬渡一真君) 先生のおっしゃるような非常に高くなっている部分も確かにあろうかと思いますけれども、国鉄の資産のうち、特に土地の場合はほとんどが線路敷でございまして、そのようなものは、逆に言えば普通の価格に置き直すのがむしろおかしいというぐらい一般には使われないところでございますので、そういう意味で私どもいまの全国土地価格指数というかっこうで、駅前広場のようなものであるとか、そういうところの場合は先生おっしゃるような計算もあり得るかと思いますけれども。
  406. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そういう頭だからやっぱり国鉄がこういうことになっちゃうと思うんですよ。  それで総裁、私はなぜこれ、あれしたかということは、結局簿価であってでもいま八兆円からの資産を持っているわけですね。そして、資本金が四千五百六十億だということ。持っている財産から見ていかに資本金が少ないか。この資本金を仮に簿価全部と言わないまでも、五兆円なら五兆円の資本金にということをいままでやってきたならば、そのことによって四千億か何がしか、かなりのものの借金の金利を払わないで済んできた。そして、この三十九年から赤字になってきたんだけれど、その辺のところはさておいても、先ほどもお話があったように、四十六年から償却前の赤字に入っていった。少なくとも償却前でもう赤字になるということになったこの四十六年のときに、もう少しそういうことに気がついて、そして資本金をふやして、言うならば借金は減らして金利を少なくしていく形をとってきたならば、あれだけの膨大な赤字を背負わなくてもよかったんではないだろうか。  そうしてくるならば、そちらから出されたこの資料から私言っているんだけれども、この四十七年以降の、何といいますか、二兆七千億ぐらい金利と、それから減価償却にしてもそうだけれども、先ほど言ったように、こういうやり方でやっているならば、減価償却をやっている意味がないんですよ、これは何も。単なる赤字をふやしているだけなんです。赤字のところへ持っていってふやして、そして累積赤字を膨大な数字にはじき出してこんなに赤字になりましたということを言うか、それとも、いまの国鉄現状からいくならば、減価償却をやれる状態にないから、これは数年間はもう少し健全財政になるまで一時この減価償却を中断をするかという、どちらをとるかというと、結果は同じなんです。  ただ、こういうやり方をすれば、そういう形で膨大な赤字が出てきて、こんなに赤字があるんだということになるだけであって、ですからそういう点からいくならば、私は資本金をもっとふやして、五兆円なら五兆円に資本金の金額を上げて、そして出てくる膨大な赤字のそういうものをつぶしていくことをおやりになることが、私はいまの国鉄を健全化するまず第一の道だと思うんですけれども、その辺はどうかとお聞きしたいわけです。
  407. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いま先生のおっしゃるのは普通の企業の場合の正論であると思います。赤字になりました場合に、親会社なり何なりから助けてもらってそして出資を求める、それで利子負担を軽くしていくと。親会社等から出資その他を受けて、そしてあるいは増資をして資本金をふやして銀行に金を返すというのが普通の赤字会社の建て直しのときの一つの常識的手法だと思うわけでございます。私、定かには当時のことを思い出しませんのですけれども、いま記録を見ますと、私どもが出資をしてもらいましたのが四十六年に三十五億、四十七年に六百五十六億、四十八年にはさらにふえまして千九百五十億、四十九年に千百三十億、五十年に七百億というように政府から出資をしてもらっております。  当時の再建要綱でもそういうことがありまして、政府から出資を受けて再建をやっていくんだということになっておったわけでございますが、初めのうちはまあ償却前で赤字があった、次いでは償却もできなくなったと言っているうちに、あれよあれよということで赤字の額が単年度でふえていったものでございますから、出資をしてもらいましても——出資をしておらうという場合に、たとえば二千億なり千億なり出資をしてもらうよりは、とりあえず借入金で泳いで利子を補助してもらうというようなことにでもしないと回らなくなってきた。いまでございますと、赤字を消すためには、極論しますと五千億も六千億も出資を求めなければいけない、こういうことになりますので、やはり財政の方の都合もあったからでございましょう。むしろ逆に赤字が大きくなりましてから出資が減りまして、そして、ほかの赤字補助といいますか、利子補給というようなことでつないできた。  これはちょうど国鉄の財政状態が悪くなりましたのと一般会計の財政状態が悪くなりましたのと、ちょうどオイルショックのあたりから両方とも一挙に悪くなりましたものですから、一般会計の方にも金がないということで出資が事実上できなくなってしまって、こちらもやむを得ず借入金と利子補給でつないでいるという経営状態になっておるわけでございます。  それから、これがいいか悪いかということでございますけど、これはいま御指摘のように、本来ならば赤字に見合うような出資をしてもらうというのが筋でございましょうけども、それができない場合に、今度はどなたかほかの方に——というのは、政府以外の人に出資をしてもらうかという考え方もないわけではないわけでございます。ございますけれども、どうもこういう状態で、全く配当の可能性もなければ株に含みを持つような可能性もないということから、いまのところ、私はちょっと政府以外に別のところへ出資を求めてやっていくというやり方があり得るかどうかということについては、率直に申し上げて結論的に悲観的でございます。
  408. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いや、総裁ね、国鉄だから私言うんですよ。民間の場合だったら、そんな配当もないところへ増資をと言ったって、だれもそんなもの出資をしてくれないんですから。  大臣ね、いまお帰りになったんだから、いまこうやっているところをなんだけれども、かいつまんで言いますと、いまの国鉄の資本金というのは、お聞きしましたら四千五百六十億だ。それから借金が約八兆円ですね、全部合わせて。それで金利の負担が五千四百四十一億から出ている。それで資産の総額というものが帳簿価額で八兆三千百九十一億だというお話を聞いたわけなんです。  私が言いたいのは、何で政府がもっと出資をして、簿価で八兆円からの財産があるんならば、せめて資本金を五兆円ぐらいにして、そうすることによって借金が減って、言うならば借金の金利として払うのがそれだけでも四千億ぐらい減るでしょう。しかも減価償却も、これ、やっておっても、いまの国鉄状態で減価償却なんかやれる状態ではないんであって、それをこうやって減価償却をしましたと言って、それが結局赤字になって、それで今年度もこれだけ赤字が出ましたと言って、赤字が膨大になってそれが累積赤字になっているだけでしょう。  それだったら、これだけのいま非常な経営が危機なんだから、もう少し健全になるまでもう償却はストップする。一時中断をする。そして、借入金ばかりふやすんではなくて、そういう政府が出資をしてやって、資本金が五兆円なら五兆円にすることによって、また、そうするならば借金の方もそれが減るわけであって、何でそういう道をおとりにならなかったんだと言っていま総裁にお聞きをしておったわけなんです。  だから大臣には、政府の方でも、何でこれだけの財産があるのに、そういう形でもって出資をして、そして、言うならば身を軽くというか、借金を膨大に背負うんではなくて、資本金で出してやることによって、言うならばこんなに膨大な累積赤字をしょわないで済んだはずだ。言うならば、もうこれだけ四十八年の最悪の事態になったころからは、減価償却にしても何らかの手を打てばあんな膨大な赤字が出ないで済んだのに、どうしてやってくれなかったんですかということなんです。そういう点について、政府として出資を多くして借金を減らすという、そういうことをやるお考えはありませんかということをお聞きしますです。
  409. 田村元

    国務大臣田村元君) いまの御意見は、やはり一つの御意見だと思うんです。ただ、自己資本比率が国鉄の場合約二〇%でございますか、私鉄が一一、二%、全産業の平均が大体一五%程度ということになりますので、その点で特に国鉄の資本金が過小に過ぎるということは一概に言えないかもしれません。  しかし、いずれにいたしましても、どのみち国鉄問題はこの法律が成立いたしますことが第一歩でございます。この法律が成立いたしますと、あらゆる角度から国鉄問題、やはりすべての面にメスを入れなきゃならぬと思うのです。でございますから、そういう点で検討の対象にはなろうかと思いますけれども、いまここで、過去のことはいざ知らず、今後のことについて一概に過小資本と、恐らく柳澤さんは過小資本という角度から論じておられるんじゃないと思いますけれども、むしろ資本金というものを大きくして、それによってうまく賄えという御趣旨だと思いますけれども、これはその意味も加えまして検討の対象にはなろうかと思います。
  410. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣いま言われたそのとおりなんです、私が言っているのも。だから、仮にいま私が言ったように、資本金を五兆円にしたということになれば、資本金が五兆円で年の収入が二兆円を切るようなことでは、これはどうしようもないんですから、そういう点からいくと、そんな五兆円の資本金なんて大きいということになるけれども、ただ私が言いたいのは、借金で数字を挙げておくのか、資本金でこっちへ挙げておくのかという、その数字の移動だけのことであって、それがあるならば、こういう膨大な借金を抱えて、いま国鉄がアップアップやっているような状態に置くんではなくて、もう少し身を軽くして、そして国鉄が、高木総裁以下みんながもうちょっと胸を張って、まだ大丈夫だといって、自信を持って再建をやれるようにしてあげたらよかったんじゃないんですか。ですから、そういう点でもって考えてやっていただきたいということです。  次には、国鉄の体質改善というか、そういう点で少しお聞きしたいんだけれど、この法案がこの国会でもって成立しないということになったら、どういう影響が出るんですか。
  411. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まず当面の問題を申し上げますと、現在、ついせんだって衆参を通過いたしました補正予算では、いささかつじつま合わせの感があるわけでございますけれども、一月一日から一九%の値上げをするということが前提になっておりまして、その収入が八百億でございます。それからそれ以外に、昨年の運賃改定以後、いろいろ不況の関係もありまして収入が予算どおり上がっておりません。その金額がどのぐらいになりますかわかりませんが、やはり大ざっぱに言って千億前後になるのじゃないかと思っております。そこで、当会計年度におきまして、私どもの方は予算上は歳出権がございますけれども、資金上は資金不足が発生いたします。いまの数字を合計しますと、大体二千億前後の資金不足が発生をいたします。  で、資金不足に対応する措置としては、とりあえず借入金をもって泳ぐということをいたすのが通常の常識でございます。ところが、借入金をいたしますにつきましても、先般の補正予算で鉄道債券による資金調達額を相当ふやしておりますので、民間から二千億の資金を調達することは不可能ではないかと思っております。そこで当面のところでは、二千億ほどのかなりの金額のものを政府から借りなければならない、そうしないと年度が越せないという問題が起こるわけでございます。これは予算の支出権の問題としてではなしに、資金繰りの問題としてそういう問題が起こります。  しかし、昨年の六月から十月にかけても同様なことを経験いたしましたが、返済の当てのないものは貸せないということで、そう言われますと、われわれとしても政府に金を借りにいくわけにもなかなかいかないという状態でございます。  法律が通りましても、施行期日が三月三十一日になっておりますから、本年度内に何かお客様から収入をふやしていただくという道はございません。ございませんが、まあしかし、ある程度私どもの当事者能力が回復するといいますか、運賃制度についての当事者能力が回復すれば、来年度に、五十三年度に入りました後ではございますけれども、いずれかの時期には運賃改定をさしていただけるだろうという予測ができますので、それを担保にして私が手形を出して政府から金を借りてくるかということをいま考えておるわけでございますが、法律が通りませんでしたら、一体これからいつ収入をどういうふうに調達できるのかというめどがつきませんので、私といたしましても手形の出しようがないというかっこうになってまいります。  したがいまして、もしこれがどうしてもだめだと、ことしじゅうには通していただけないということになりますと、ことしというのは今年内にこれはとてもだめだということになりますと、十二月以降、いろんな形で支払いをとめるとか、契約を落とすとかいうことをいたしませんと、いわば当初の予算どおりいろいろの仕事を進めていきますと、民間の言葉で言う不渡り手形を出すことになりますので、いまだかつて不渡り手形を出したことがございませんので、何とか不渡り手形を出さないようにやっていかなきゃならないということになりますと、もろもろの歳出あるいは契約、そういったものを抑制していかなければならないと思います。  私どもの歳出は年間で三兆円でございます、大体。三兆円のところで二千億ということになりますとかなり高い率のものでございますし、しかも、もう四月から約八ヵ月、こういうことになるとは全く想像せずに普通に契約を進めてまいりましたから、これから急にそういうことをやるということになりましても、現実にはなかなかやりにくいということで、率直なところ、どうやってこれ回していくか、まことに頭の痛いわけでございまして、余り頭が痛いもんですから、余りそれを考えずにぜひとも通していただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  412. 田村元

    国務大臣田村元君) 運輸省の立場で一言申し上げたいと思います。  この法律が通りませんと、実は私どもちょっとまた、いまの総裁の話は総裁の話として、困ったことが起こるなあということで非常に憂慮いたしております。と申しますのは、予算編成時に再建対策をつくらなけりゃならぬ、それの算定基礎がもう全然わからなくなってしまう、再建のめどが立たないというような状態での予算編成が非常に困難になるというような点で、先般もこの委員会で申し上げたんですが、仮に通らなくても、全会一致でここで次に通すよという御決議でもあれば話は別でしょうけれども、そんなことはできるもんじゃないということになりますと、これまあ困ったことになるなあというんで、非常に憂慮いたしております。
  413. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 じゃ次に、法定主義を緩和をするのが今度の法案の大きな目玉になるわけだけれども、その法定主義緩和ということをするに二つの目的があると思うんです。一つは、もう前から言われているように、国鉄運賃を自分でもって決めて、運輸大臣の認可を得るんだというやり方だと思うんです。それからもう一つは、当事者能力が国鉄に与えられる、この二つの目的があると思うんです。この点でお聞きしたいんだけれども、運賃決定について、これはもう何回も出て、きょうも出てきたんですから、もう一回私は念のために聞いておきたいんだけれど、物価変動によるコスト増が上限だという、それ以上は絶対ないんだと。以下はあっても以上は絶対ないんだと。その点だけ、もう細かいことはいいですから、大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
  414. 田村元

    国務大臣田村元君) まさにそのとおりでございます。従来の考え方とは全然違いますから、上限ということはまずあり得ない、上限より下である。しかも、実質イコール名目であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  415. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それからもう一つ、これはけさもいわゆるダブルチェック——運賃決めるのに運輸審議会だけじゃなくて、その中へもう一つ持ってやるんだ、ダブルチェックをすると言ってけさも大臣の方からありましたんで、もうこれはこれでよろしいと思うんだけれども、ただ、この中に、もう一回念のためにお聞きをするんだけれども、各界の代表という中には、家庭の主婦の代表とか、あるいは労働組合の代表だとか、あるいは農村のいわゆるお米やなんか輸送するわけですから、そういう農民の代表だとかいう、そういう人たちも入るという意味での各界の代表と言っているのかどうか、そこのところをひとつ。
  416. 田村元

    国務大臣田村元君) 実はこれは、これから運審と詰めなきゃなりませんが、私は、もちろん学識経験者も要るでしょうけれども、いまおっしゃったまさにそれ、その家庭の主婦とか、あるいはOLとか、サラリーマンとか、あるいは、場合によったら学生だっていいじゃありませんか。あるいは労働組合の方も、消費者団体の方でもいいでしょう。まあ要するに国鉄をいつも使っていらっしゃる方、そういう方々中心にした人選ということが好ましいというふうに考えております。
  417. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 わかりました。ともかくできるだけ広範な、そういういろいろの層の人たちを入れて、そうして運賃を上げるときには十分そういう人たちの意見を聞いてやるという形で、心配というか、不安がなくなるようなことだけはしてやっていただきたい。  それから次に、当事者能力の関係で私が聞きたいのは、責任体制の確立ということがこれに伴って、言うなら当事者能力が付与されたんだけれども、それを受け入れてきちんとおやりになれるんだろうかどうだろうか。管理職の信賞必罰ということはいままでもおやりになっていたんですかということをまずお聞きしたいんです、これは国鉄総裁の方に。
  418. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まあ率直に申し上げて、いろんな意味での信賞必罰が、特に賞の方につきましては余り実際実行されておらないという実態ではないかと思います。どうも全体として公社というものは、官庁のいいところと民間のいいところを取り合わしてうまくやろうというのが公社の基本的概念であろうと思いますが、現状はどうも残念ながら、ある意味ではいまおっしゃったような点について、いろんな運営が非常に官庁的といいますか、役所的といいますか、そういうにおいが強いわけでございまして、そういう意味で、たとえば給与の面におきましても、あるいはその他の待遇の面等におきましても、必ずしも信賞必罰という形になっていないきらいがあると私は見ております。
  419. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それじゃ余り立ち入って言うつもりもございません。しかし、当事者能力が与えられたら、与えられたというよりかも、私はそれはいままでの状態にあってでも、組織として、特に中間管理職のそういう信賞必罰をきちんとして組織体系を持っていくということはできたことだと思うんです、これは。  それが、いままで私が見ておった限りにおいては大変そういう点がルーズというか、ずさんであったんで、その辺の点を、これは総裁の方からきちんとしていただかなければ、せっかく今度は当事者能力をもらったからといっても、もとのもくあみになってしまうので、せっかくもらった当事者能力が生かされて、そして対労働組合との関係においてもいい労使関係ができるという上について、その点はぜひともお考えをいただきたいと、これは希望を申し上げておきます。  次に私が申し上げたい点は、「構造的欠損」、この「基本方向」の中の。これも、もう何回もいままでの質疑の中で出されておりますので、もう私は時間も遅いですからくどくど言いません。それで、総裁の方からも、この地方のローカル線というか、地方交通線による負担と、過去債務による負担と、それから終戦時に引き受けた人たちの処理というか、そういうものなんですよという点でそれがもう明らかになったんで、ただ一つだけ聞いておきたい点は、その地方交通線というものがどの線とどの線をというふうな、そういう点についてのもうチェックがなされているのかどうか。  私は、ローカル線といっても、その地域によっては、それは収支係数は悪いかしらぬけれども、そんなにひどくなくて、一応ある程度、ちゃんと採算に乗るまでいかないけれどもやれているのもあるだろうし、あるいは全く収支係数は何百どころじゃなくて、二〇〇〇とか三〇〇〇とかというふうになっても、収支係数がいかに悪くても、この鉄道は外せないというところもあると思う。また場所によるならば、もうあんまりお客さんもいないし、隣を一緒に、同じところに道路があってバスが走っているし、土地のその地域の住民さえ了解してくれるならば、その鉄道はむしろ廃止をしてバスでなにした方がいいんだという点もあると思うんですが、そういうことのチェックか何かして、それで、そういう再建を通じて、このところはどうする、これはどうするということをおやりになっているかいないか、その点だけお聞きしたいんです。
  420. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 一言で言いますと、やっておりません。十年ほど前から、大分ローカル線のうちの、たしか二千四百キロの部分についてそういうチェックをいたしまして、ここは外させていただきたいという感じで対処したわけでございますけれども、結局それは全部で八十三線区、二千四百キロというものをその対象として検討したのは十年前のことでございますが、結果としては十一線区で百十キロぐらいを外しただけでございまして、あとは住民の反対もあり、できなかったわけでございます。  そこで、これからどうするかということでございまして、新たな発想に基づきまして、余り前回のようなやり方ではなくて、つまり盛んに外す外すということでやったわけでございますけれども、とてもその外すと言っても通用いたしませんので、いまちょっとお触れになりましたように、バスに切りかえる方法とか、その他のいろんな方法を考えなければいけないわけでございます。で、いまのところは、例の運政審の答申の関係もこれあり、いまそちらの方の答申待ちというような感じでもございますが、私どもといたしましても内々は何か幾つかのプランを立てまして、Aのスタイル、Bのスタイル、Cのスタイルというようなことを研究を詰めていかなければならないと思っておりますが、まだでき切れておりません。  この春に、特別にごく少人数の組織でございますけれども、地方交通線対策室というようなものを置きまして、ごくわずかの人間でございますが、いまその研究をやらしておりますけど、なかなかむずかしくて、まだそのグループからも私のところに名案が出てきていない状況でございます。しかし、これはしょせんこのまま放置はできませんので、いまおっしゃいましたような方向も一つの方向として、いろいろな具体策を線区別に考えていかなければならない、それを急がなければならないというふうには思っております。
  421. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それは、私はぜひ再建する以上やっていただきたいと思うんですね。そして、それは何もこの収支係数が悪いから廃止をしろという意味じゃなしに、何かの資料を私、見ておって思ったんですけれども、ワーストテンだとかいって収支係数の悪いのから並べて安易に書き上げているんですけれども、私に言わせたらあれがどういう意味を持つんだろうかと。収支係数がたとえ三〇〇〇であろうが、その地域にもうそれ以外に交通機関がないなら、三〇〇〇だろうが幾らだろうがそれは輸送をやらにゃいかぬと。収支係数がそのかわり二〇〇ぐらいであったって、そこのところには必要がないんだということになるならばそれは別なことを考えなきゃいけないし、そういう観点からどうするかと考えていかないと、私は再建の問題も成り立たないと思うんです。ですから、そういう点でそれはぜひそういう点お取り組みをいただきたいという希望を申し上げて次に進みます。  次に私が取り上げてお聞きしたいことは労使関係です。労使関係というのは、国鉄当局と労働組合の関係です。しかし、それは言うならば、その国鉄の中で働いている職員の人たちが安心して働けるようにすることだと思うんです。安心して働けるようなルールをつくることだと思うんです。そういう点に立ったときに、私が非常にいろいろの点で理解に苦しむことがあるんだけれども、たとえば中央の労使があることについて協定をして物事を決めた。そのことが下へおりていって、Aの職場においてはそれがそのとおり守られて履行されているけれどもBの職場ではそれが守られない。そのときに、当局の皆さん方のところは、そういう守られないということになったときにそれに対してどういう処置をとられているかです。
  422. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ただいま御指摘のような現状は、現実に各所に、というといささかオーバーでありますけれどもございます。国鉄は御存じのように四十三万の職員がいまして、現場それ自体も四千以上を超えるという大変大規模かつ複雑多岐な内容にわたりまして、かつ専門的な職種で構成されておるというような特殊性がございまして、中央で決めますことはその基準になるようなことを決めておりまして、大体中央で決めました場合には、細部事項については地方で協議するというようなことで、管理段階でさらにその交渉を持つようなことになっております。  現実に先生が御指摘のような点はむしろ現場段階でのことであろうかと思いますが、現場にそれが適用される場合には、協約、協定できちんとしておりましても、現実の問題として、毎日毎日の出入りの作業ダイヤその他におきまして具体的にどうやっていくかということは、現場長の判断と申しますか、そこでの労使の間でいろいろとある意味で力関係もありまして、俗に言う悪慣行等も出てまいりまして、そういう面でいろいろと是正すべき問題が出てきておることは確かでございまして、現在、先ほど御指摘でもございましたが、管理者がしっかりしなくてはいけないではないかという御指摘もございましたが、まさにそのとおりでございまして、この点は中央で決める協約、協定、管理局で決める協約、協定、そういうものとまた別の段階の事実問題としての問題があるということで、これについては全力を挙げて何とかいい方向に持っていきたいと思っております。
  423. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それも、余りそれ以上言いませんけれども、そういう国鉄が四十三万いて複雑多岐にわたるという、その一言をしゃべることがあなた自身の私に言わせるならば責任放棄なんだよ。そのことは言えないはずなんだよ。それだったら、いまの国鉄はもう分割でもして幾つかにするしか方法かないんであって——いや、待って、それ以上のことは。次のことを聞きたいから……。  解雇した人を再雇用していますよね。どういう背景というか理由というか、で、そういうことが起きてきたのか、少し詳しく聞かせてください。
  424. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) 再採用問題と申しますか、俗に和解問題と申しますか、内容は若干種類の違ったものがございまして、一つは非常に古い事件でございまして、たとえば昭和二十年代の仲裁裁定不履行に対する闘争とか、あるいは志免閉山に対する闘争とか、そういう二十年以上も古い事件のものがございます。これが俗にわれわれ民六事件と申しまして、東京地裁の民事六部にかかりました事件が八件、解雇いたしました数が百二十二名でございました。これは非常に古いということから、民事六部でも、この問題の処理について十年以上も審理が行われないというようなことから、裁判長の方からもこの問題の処理につきまして、率直に申しまして強い和解勧告が出ておりました。  私どもはこれを受けるにつきましては、やはり公労法を空洞化するということでは困るということで、やはり解雇という事実を認めてもらわなければこれに応じることはできないというようなことで、何回か和解勧告がございましたけれども、そういう状態のまままた何年かが過ぎていきましたけれども、そういう中で、相手側も解雇を認めるという基本的な問題について前進を見てまいりました。そうなりますると、この事件について、当方としても何らかの対応措置をというようなことで、百二十二名全員についての解雇を認めると同時に、そのうちの八件につきましては再採用を認めざるを得ないという判断をいたしまして、この和解に応じたわけでございます。  それ以外に、若干前後いたしますけれども、地方事案として各所にありました問題につきまして、たとえば新鶴見機関区の暴力事件等につきまして、その他また各地にいろいろな問題がございました事件につきまして、地方でいろいろとこの事案の解決につきまして、裁判所を仲に立てまして解決の機運が出ておったわけでございますけれども、これらについて、中央に対しましてこういう方向で処理したいがということで出てまいりました。  私どもいろいろとこういう問題について、和解に応ずることの影響その他社会的にも大きな問題になるというようなことも考えまして、判断をするにつきましてはいろいろな角度から検討してまいりましたけれども、結局、最終的には労使関係の改善、あるいは職場の安定というものにどれだけ貢献するかというようなことにつきましていろいろ悩みましたけれども、最終的には地方から出てまいりましたそういう声に対しまして、地方のその方向についてオーケーの判断を与えたと申しますか、それでやってよろしいという指示を与えたような事件が六件、原告は十九、解雇免職いたしました数は十九名でございますが、そのうち十一名を再採用するというようなことで処理いたしております。  その後さらにことしの六月ごろ、昭和四十六年の五・二〇事件を主とする春闘事件の和解につきまして六件、これは解雇いたしましたのが三十一名でございまして、そのうち十一名を再採用するという事案がございます。
  425. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ちょっと補足さしていただきます。  この和解問題につきましていろいろ御批判をいただいておるわけでございますが、私の気持ちといたしまして、私もかなり詳細に事案の内容を見まして、最終的には私の責任で判断をいたしたものでございます。私の考え方の一つは、裁判長の意見を重く見たいということでございます。二十年も前の事件で記録もなかなか十分整っていないと申しますか、証拠その他もはっきりしていないということで、裁判長の方から何とか結論を避けた方がよくはないか、和解で処理した方がよくはないかということがありました場合には、なるべく私はそういうことに従ってまいりたい。  それから第二は、弁護士の意見でございました。この種の事件はほとんど全部弁護士に委嘱をして、一件ごとに依頼をしてやっております。そこで弁護士が長年案件を扱いまして、その結果として両当事者の弁護士が、もうこの辺で和解をした方がいいんじゃないかということがありましたので、その場合にはやはり法律専門家の意見、特に委嘱をして、ほとんど全面的にお願いをしている関係でございますので、その弁護士さんの見識を尊重すべきじゃないかという考え方が一つございます。  それから三番目には、やはり確かに何かトラブルがありまして、けしからぬということで、要するに何らかの意味での処分が行われたわけでございますけれども、それがある一定の時間を経過いたしました場合には、やはりとにかくうちの職員でございますので、まあある程度のところで反省といいますか、若いときにあるトラブルを起こした諸君が現在もう中年になっておりまして、ということで時間もたっておりますし、それからまた反省も十分しておりますという場合には、何といいましても、もともとうちの職員でございますから、いわば罪を憎んで人を憎まずというような気持ちで処理をしたらどうかということでございます。特に労働上の、労使上の問題もそれは無視できませんですけれども、いささかやっぱり処分というものの性格上、そうした司法的感覚といいますか、そういった意味で処理できるものは処理したらよろしかろうではなかろうかというのが私の考え方でございましたので、もちろん事務案に乗っておるわけでございますけれども、最終的には私はそういう判断をいたしました。  そういう次第でございまして、大変その後何か私どもが労使関係について基本的に態度を変えてきたというふうに、労働問題としてはそういう評価を受けておるわけでございますが、それにはいろいろ御議論があるところでございますけれども、私の気持ちは、いささか労使問題ということもありますけれども、また担当常務はそういう方からいま説明をいたしましたけれども、私の気持ちはちょっと違う点があるということをつけ加えさしていただきます。
  426. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 和解することを私それほどとやかく言うつもりはないんですね。これはいろいろあり得ることなんです。ただ、それがまた国鉄の職場に入ってくるという、そういうことについて、労使関係の上からも、いまあなたは労使関係の改善へと言うのだけれど、それは全く逆になるんです。職場の中も安定と言うけれどもそうではありません。だから、ついこの間の先々の日曜日ですか、また暴力事件が起きているんです。暴力事件を起こして、そうして処分食って裁判になった。それはある段階にきて、もうそのいまの総裁お話のように、だいぶ長くなったし、もう昔のことだから、そんないつまでもなにしてなくてもいいじゃないか、もうこの辺でお互いに争うのやめて手を打とうという、それはいいです。その辺のところが、やはり国鉄の皆さん方のこの労使関係のやり方というものを、私は外から見ている方ですからなんだけれども、絶えずばんそうこう張りのようなことばかりやっているから、いろいろそういう点について本当にこの長期の安定した労使関係というものが確立がされない、安定をしていかない。  ですから、そのことは引き続いてスト権問題も私はお聞きしたいんだけれども、それはもうきのうも公聴会のときにも言いましたように、やはり国鉄労働者にもスト権を与えられるということが早くならなくちゃいけない、私もそう思うのです。しかし、現実にいまスト権が与えられていないというこれも事実。そういう段階でもってストライキにというときに、皆さん方がどういうことをおやりになっているかということをお聞きしたい。
  427. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ストライキは公労法で禁止されておりまして、あくまでも違法であることは言うまでもありません。したがいまして、私どもはこれを何とかして防止しようといたしました観点から所要の措置をとっておるわけでございます。不幸にしてストライキが行われた場合には処分を行う、もちろん行われる前には、違法な争議行為を行わないように事あるごとに厳重に申し入れ、また説得もいたしておるような次第でございます。
  428. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そんな形式的なことでなくて、もっと端的に言うならば、当局の皆さん方でもってストダイヤをお組みになっているんじゃないですかと言いたいんですよ。その点どうですか。
  429. 橘高弘昌

    説明員(橘高弘昌君) ストダイヤとおっしゃる意味がよくわかりませんけれども、恐らくストライキが行われた場合に、何と申しましょうか、ある一定の混乱を避けるために当局の手で輸送計画を練る、つくるということを言われておるのかと思いますが、現実にストライキが行われた場合に、三十年代では、まあいまと違いましてかなり当局の手、あるいは組合の中のいろいろな人の——組合もいろいろございますし、また組合の中にもストに参加しない人もあったというようなことから、現実にはかなりな数の列車が動きまして、そういう必要もなかったわけでございますけれども、現在の状況を率直に申し上げれば、まあストライキの状態になりますれば列車がほとんどとまっちゃうというような、これは事実問題としてそういう状況になります。そうしますと、私どもとしてはやはりトータルとして、いかにしてより多くの列車を動かせるかということが最大のポイントになってまいります。  そうしますと、やはりそこで当局として考えますことは、どういう方法をとればつまりそこで、たとえば東京なら東京、名古屋なら名古屋という地点をとりますと、そこに入ってくる車両と、出てくる車両が折り返し運用になってくる場合に、片一方がつぶれている場合には出したくてもその車が来ませんから出ないというようなこと、それから乗務員も、それぞれの所属組合も違いますし、それから基地も違います。そういう複雑な内容を持っておりますので、その辺を一々事前に計画して対処しないと列車が動かない、動かしても途中でとまっちゃうというようなことになりますので、その辺複雑な作業が要ります。  そういう意味で、いかに多くの列車を動かすかということを中心に、当局がその辺を考えてやらないと列車がめためたになってしまうというようなこともありまして、ある程度の予測を立てて、そうした中で列車を極力たくさん動かすということをやる。それがまあ計画的にやりますものですから、先生おっしゃるようにストダイヤというふうに言われるかもしれません。それは、ストライキが行われた場合に、その後の立ち上がりをいかにきれいにやっていくかというような面からの要請もあるわけでございまして、御指摘のストダイヤを組むのは何だとこういう意味が、私の答えがいささか筋違いかもしれませんけれども、その辺がちょっとわかりませんが、私ども率直な感じを申し上げればいま言ったようなことでございます。
  430. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ちょっと補足さしていただきます。  率直に言いまして、私も国鉄に入ります前は、何か労使が一緒になってやっているんじゃないかというような印象を持っておりました。しかし、中で見てみますと、決してそうではないということを確信を持って申し上げられます。どうしても一部の組合ではストをやる、片っ方の組合はストをやらぬということで、それぞれの運動方針もありますし、思想もありますし、哲学があっていろいろになります。  ところがそれが、たとえば一例を申しますと、東京から博多まで走ります夜行寝台「あさかぜ」のような場合には、運転士、運転の担当者は、東京から博多までに九人交代をするわけでございます。そこで九人のうちで、違法であるがどうしてもストをやるという方の人と、それから自分は運転するという人がこうおりまして、自分は運転するという人が東京駅からスタートしましても、途中へ行って今度は自分は動かさぬという人にバトンタッチをする時間割になっておりますと、その汽車が途中でもまっちまうということになるものですから、お客さんに大変迷惑をおかけしたり、それからいろいろ混乱が起こってしまうということのために、逆に、全部通る見込みがない列車は休みにせざるを得ないという実情は、レールというものの特色からどうしても出てくるもののように思われます。  トラックでございますと追い越しがきくわけでございますけれども、レールというのは全く追い越しがききませんから、いまのような長い列車でなくて、ある区間だけの場合でも、Aの電車は走りますけれども、途中でどれかが一つとまりますと、後ろの車を運転しようとすることの熱意を持っている人がおりましても、そこで詰まっちまうということになりますので、どうもこの問題は、ちょっとほかの労働問題ではなかなか他に例を見ないレールというものの性質からくる問題ではないかということで、さればこそやはり全体として、各組合を通じて何とかして理解を高めていかなければならないのであって、なかなかせっかく一部の職員が、自分たちはどうしても動かしますよという人がおりましても、全体としてかえって混乱が起こってしまうために、逆に当局側でダイヤを組み直すということになるのは、どうもここ一年半ほど見てまいりましたけれどもやむを得ない、これよりほかに道がないことじゃないかと思っておる次第でございまして、その点だけは私も最初入った感じと現在と全く違っておりますので、何とかこの点についてはひとつ御理解をいただきたいということを私からもお願いをしておきたいと思います。
  431. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 まだいろいろあれですけれども、時間もなんだし、それから余り遅くまでやっているのもいけませんし、かなりはしょっていろいろ聞いてきたんですけれども、いまのお話の点ももう少し私は詰めたい点があるんですけれども、ただ組合が幾つもあって、そして労使関係が非常にむずかしくなっているということはこれは私もわかるんです。そういう点は、幾つも相手にしてそちらもおやりになるんだし、むずかしさもある。何とかしてやっぱり労使関係をいい関係にしていってこれはおやりにならなければいけないんですから、その努力はしていただきたいし、そして何といっても労使関係が安定しなければ再建なんかできやせぬのですから、そういう点に立っては一段と御努力もしていただきたいという希望だけ申し上げます。  最後に、いろいろ運賃を上げたりいろいろこれをやって、国民の皆さん方にも協力を得なくちゃいけないので、サービスの面でいろいろのことを、やれないことをやれと言ってもこれは無理なことだけれども、私はやっていただきたいと思うんです。たとえば新幹線の場合でも、初めのころは、特急券でもグリーン券でもそうだけれど、何というんですか、時間に乗りおくれても、その日のうちのだったら次のに乗れたのですね、すぐ交換をして。それが二、三年前か何かのときにそういうこともやめてしまって、乗りおくれるともう全部パアになってしまう、そういう形になっている。  それから特急券なんかでも、何というんですか、東京−大阪を三時間十分で運ぶから、あの高い特急券をとっておいたと思う。だから一時間おくれれば全部払い戻しをする。それがだんだん延びていった関係はあるかもわからぬけれども、いまは二時間だけだ。三時間十分で大阪まで運ぶから、高い特急券払いなさいと言っておった、それが今度は二時間というと、五時間になっても払い戻しにならないという。ですから、いまの財政が大変だと思うけれども、いろいろ国民の側にも国鉄としてサービスをして、そして国民の側にも理解をしていただけるという、そういう面なんかについて、やれることは私は、ぜひこの際やっていただきたい。  私はこのことはあえてお答えを聞こうと思いませんけれども、そういうことだけ希望を申し上げて私の質問を終わります。
  432. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いまの御趣旨は篤と承ります。  ただ一点だけ。ある列車がお乗りいただけなかったというときに、次の列車に乗られた場合の扱いでございますが、いまお尋ねのように、前はわりあいに自由にしておりまして、一時その後少し厳格といいますか、口やかましい時代がありました。いままたもとへ戻っておりますので、その点だけ御認識いただきたいと思います。いまはもうよろしいようになりましたですから、また最近……。
  433. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 ああそうですか。  委員長、終わります。
  434. 内田善利

    委員長内田善利君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後九時五分散会      —————・—————