運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-11-01 第82回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月一日(火曜日)    午前十一時一分開会     —————————————    委員異動  十月二十八日     辞任         補欠選任      吉田忠三郎君    目黒朝次郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         内田 善利君     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君     委 員                 井上 吉夫君                 伊江 朝雄君                 石破 二朗君                 江藤  智君                 佐藤 信二君                 高平 公友君                 平井 卓志君                 村田 秀三君                目黒朝次郎君                 田代富士男君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  田村  元君    政府委員        運輸省海運局長  後藤 茂也君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君        運輸省船員局長  高橋 英雄君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省自動車局        長        中村 四郎君        運輸省自動車局        整備部長     犬丸 令門君        運輸省航空局次        長        松本  操君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        法務省入国管理        局入国審査課長  山野 勝由君        気象庁予報部長  窪田 正八君        日本国有鉄道常        務理事      高橋 浩二君        日本国有鉄道常        務理事      尾関 雅則君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (欠陥バス問題に関する件)  (国鉄落石事故防止対策に関する件)  (北海道における欠陥車輌に関する件)  (成田空港の燃料暫定輸送に関する件)  (船員雇用対策に関する件)  (台風九号進路予報に関する件)  (自動車検査及び整備に関する件)  (東北新幹線建設に関する件)  (船舶によるベトナム難民救助に関する件)  (近海船問題に関する件)  (雇用促進センター構想に関する件)     —————————————
  2. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十月二十八日、吉田忠三郎君が委員を辞任され、その補欠として目黒朝次郎君が選任されました。     —————————————
  3. 内田善利

    委員長内田善利君) 運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 けさの朝日新聞を見て、私ちょっとびっくりしたんですが、いすゞ自動車製定期路線バス欠陥がある。それで、昭和四十七年に第一回の事故が起きて、その後も起こって三回目の事故で初めて欠陥車だということがわかって、きのうですか、運輸省報告があった、こういう記事が載っているんですが、一回目、二回目、三回目と同じ事故が起きておるのに三回目でやっとわかったということは非常に、この問題に対する人身傷害が出ておるにかかわらず、会社側運輸省も怠慢じゃないかという点が新聞紙上に載っているんですが、どんな事情だったんでしょうか。
  5. 犬丸令門

    政府委員犬丸令門君) いすゞバス車両欠陥によりまして昨日リコールを出しました。その内容について御報告申し上げます。  この対象バスは、昭和三十八年の三月から四十六年の五月までに製作されました自動車でございまして、その対象自動車数は六千六百四十七台でございます。このバスについてリコールがなされたわけでございますが、その欠陥内容を申し上げますと、エンジンから動力伝達装置——エンジントランスミッション、この部分を接続いたしますクラッチカバーが破損してエンジンの、自動車の車体の外へ飛び出し、それによって自動車運行不能になるとともに、その飛び出した事故三件によりまして歩行者等が負傷を受けたという事故でございます。  そして、この内容といたしましては、クラッチカバーというものはフライホイール、これに取りつけられておりますわけですが、このクラッチカバー欠陥といたしましては強度が低かった、この厚さが十ミリであった。強度が低かったために、疲労によりまして多年使用中に疲労破壊によりクラッチカバーが割れて飛散した、こういう事故でございます。四十六年の五月以降のものにつきましては、クラッチカバーの厚さをふやしまして対策いたしておりますので、その後のものについてはその事故はございません。で、今回の事故におきましてフライホイールに取りついておりますクラッチカバー、これを対策前十ミリのものを厚さ十三ミリのクラッチカバーに交換するというリコールでございます。  四十七年に神戸市交通局バスで起こっておりますわけでございますが、この事件につきまして運輸省にも報告がございまして、この時点でこれが車両欠陥に該当するものでないかどうか、これを十分調査するようにメーカーに、いすず自動車指示いたしまして、メーカーはこれについて試験をやったのでございますが、必ずしもクラッチカバーの材質不良、強度不足というふうには考えられないということで、そのままに放置いたしましたわけでございます。で、その後本年一月になって再び同様の事故が起こり、この点についてさらに指示をいたしまして、リコールに該当するのではないかというふうに固まってきておりました時点において、九月にさらに事故が発生した、したがいまして今回のリコールを行った、こういう状況でございます。
  6. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これはわれわれも技術屋の端くれだけれども、三回起きなければ欠陥でないというのは、材質の点検をやるにはちょっと怠慢じゃないですか、これは。私はそう思いますよ。しかも、けが人まで出ているのでしょう。それは私はできれば参考までに、いつですか、四十七年十一月二十七日と、五十二年の一月二十二日と、今回と、その都度会社検査をした内容報告書があったら、ぜひ今後のために取り寄せてもらいたいと要請します。六千六百四十七台は現に走っているというのですがね。これは走行キロとの関係でいろいろなってくるのだろうけれども、これをどういうふうに、どんな手順で点検をして、再びこういう事故のために死傷事故などが起きないように手配しようとしているのか、この新聞だけではわかりませんから、どういう点検手配でやろうとしているのか、これを教えてください。
  7. 犬丸令門

    政府委員犬丸令門君) この六千六百両、これはいずれも路線バスでございます。全国百五十余の路線バス事業者使用いたしておりますわけでございまして、これにつきましていすゞ自動車メーカーから当該自動車使用者に、すぐにダイレクトメールで、こういったような欠陥があるのでリコールを行うように連絡かいくわけでございますが、路線バスでございまして、こういったバスがなお回収されない状態のままで走行するということは非常に危険でございますので、運輸省といたしましては直ちにいすゞ自動車とは別に、別途バス事業者に対して点検指示をいたしまして、これは点検すれば亀裂の発生はわかると考えられますので、亀裂のあったものは走行させないようにという対策をとりたいと考えております。本日早速行うつもりでおります。
  8. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 どのくらいかかるのですか、六千何台ですね、百五十四路線ですか。どのくらいかかるのですか、これ。それを調査している間に同じ事故がまた繰り返されてだれかけがしたとなったら、これは行政責任が大変ですからね。やはり路線バスであっても一時運行をストップさせて全車点検して、そのために、いすゞ社自分がつくったバスですからね、いすゞ社は仕事を休んでもその関係全車自分からぜひ点検するというぐらいの私は積極性があってほしいと、こう思うんですが、どうなんでしょうか。
  9. 犬丸令門

    政府委員犬丸令門君) 六千六百台余りでございますが、百五十何社でございますので、一社にいたしますとそう多くはないかと思います。したがって、早急に、たとえば今週中にでも点検は終わるものと考えられます。したがって、点検を行って亀裂があったもの等については、これは予備車等と振りかえて運行することにより、当該車両運行を中止して早急に部品の手配をして交換すると、こういう措置をとらせるようにいたしたいと思います。
  10. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いすゞ会社そのものにも私は責任があると思うんですよ。そういう場合のやっぱり欠陥車をつくった会社運輸行政に対する協力体制という点はきちっとすべきだと、こう思うんですが、いかがですかね。何も会社の顔を立てる必要はないと思うんですがね、こういう場合には。
  11. 犬丸令門

    政府委員犬丸令門君) 当該欠陥を生じましたいすゞ自動車につきましては、これは全く私ども弁護する考えはございませんで、できるだけ早急に、できるだけの手当てをするよう指示いたしておりますところでございます。
  12. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、それはひとつ要請して、四たび起こらないように配慮してください。  それから運輸大臣にちょっとお伺いしますが、私はこの運輸委員会なりあるいは交通安全委員会で、上越線の水上なり湯檜曽の落石事故、それから日豊線落石事故、それから中央線の水窪というところがあります。あそこの国鉄バスに対する落石事故などなどの際に、その都度これは国鉄だけではどうにもならぬと。たとえば国有林もあれば民有林もあれば、あるいは道路管理者関係もあると。そういう点で、運輸大臣責任で何とか総合的なものをやってほしいという点を再三私は質問をしておったんですが、大臣はその都度、前の石田運輸大臣も含めて、可能な限り、総理府に本部でも置いて、国鉄だけとか、道路管理者だけにかからないように総合的な政策を立てますという点を再三答弁しておると思っておるのですが、その実態はどうなっておるのですか。
  13. 田村元

    国務大臣田村元君) 具体的なことは局長答弁をいたさせますが、実はこの問題について幾たびか御質問もあり、御意見を伺う機会がありました。それで、関係省庁に対して協議を申し込みまして、七月の末に緊密な連絡のもとに対策を強力に推進をするということに決めました。  大まかな内容を申しますと、防護施設整備強化促進監視体制整備連絡協力活動強化道路区域または鉄道用地外からの落石等に関する措置防護施設整備に関する技術研究等であります。  運輸省といたしましては、この決定された対策に基づきまして、国鉄に対して落石等防止対策の一層の促進を図るように指導しております。  いまおっしゃったように、各省庁にその対策をきめ細かく求めなければなりませんので、そういう協議をしたということでありますが、具体的なことにつきまして御要望があれば鉄監局長からお答えをさせたいと、このように思います。
  14. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いま大臣答弁は、私はそうありたいと思うのですが、私はちょっと、これはいつだったか、十月二十八日の業界紙交通新聞というのがあるんですが、この交通新聞を見てびっくりしたんですよ。大臣は何回も私に約束したから、当然林野庁とか建設省などについては十分浸透しておるものと、こう期待しておった私がこの記事を読んでみると、国鉄の呼びかけで林野庁建設省が呼ばれた、十四日。ところが、林野庁でも建設省でも落石の問題だけを取り上げて云々ということについては非常に消極的な発言記事に載っているんですね。  ですから、国鉄側にお伺いしますが、十月十四日のこの連絡会では、いま大臣答弁したようなことが十分に反映された林野庁なり建設省意思表示であったのか、初めて呼ばれたような意思表示であったのか、どうもこの記事を読んでみますと、初めて呼ばれて、いま落石問題云々と言われたってそうはなかなかいきませんよというきわめて後ろ向きの発言のようにとれるのですが、この新聞記事が。その点は、十月十四日のこの実態は、反応はどうだったんでしょうか。いままで国鉄が求めておったより以上に、林野庁とか建設省協力して総合的にやりましょうと、そういう姿勢であったのかどうか、国鉄側の感触をひとつ教えてもらいたい。
  15. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 十月二十八日付の交通新聞に載っておりました防災対策連絡会内容でございますけれども、国土保全におきます防災の実を挙げるためには、地域全体のバランスを考えた総合的な対策をやる必要がございまして、そのために建設省林野庁国鉄の間で打合会を持ちまして、今般総合的に積極的に斜面の対策というものを推進してまいるということを協議をいたしました。その結果、関東では関東地建、群馬県、前橋の営林局、あるいは高崎の鉄道管理局、それから中部では中部地建、岐阜県、名古屋営林局名古屋鉄道管理局というような機関が会合しまして連絡会を行うということによって具体的に対策推進するということが決まりまして、前向きに推進をしていくことになっております。
  16. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いまの常務の答弁と、この新聞記事林野庁発言建設省発言はちょっとタイミングが合わないような気がするのですが、しかし、そういう連絡会を持って総合的にやろうという点は、大臣努力も含めて一歩前進だと思うのです。ただ、私はこれを見て、私有地それから公有地がありますけれども、県とか市とかそういう関係者が入っていないなと思ったのですけれども、そういう関係者も当然入れないと片手落ちになるんじゃなかろうか、こう思うんですが、いかがでしょうか。これは自治省が入るのか、どこか知りませんがね。
  17. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) このような対策というのは、やはり地方段階で具体的な問題として取り上げませんとなかなか進みませんので、地方段階では地権者、あるいは市町村というようなケース・バイ・ケースに御協力をいただいております。
  18. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この前のいろいろな事故調査に行ったとき、現実にあの山は何のたれべえの山で入ると怒られると、こっちの山はどこどこ県の所有地で怒られる。その点はなかなか国鉄としても営林署としても入れませんという苦情が現地調査からあったんですよ。そういうことのないように、中央で総合的に必要だなと言って私が提起したんですよ。ですから、地方の問題ではなくて、そういうものをどこの官庁でコントロールして、それで地方の問題と調整しながらやるのかと、それをやらないと、そういうところだけ断層になってしまう。たまたま断層のところにまた集中的な事故が起きる、道路も線路もですね。ですから、私はやっぱり私有地とか公有地、こういうことの関係について要望しておきます。ここで答えは要りませんから。そういうものも抜かりないようにひとつ配慮してほしいということを要望します。  それから次の問題は、もうきょうから十一月なんですけれども、これは昨年は大変雪関係欠陥車関係北海道新幹線を含めて大変国鉄評判が悪かったのですが、私も国会で取り上げて、ぜひこの問題については十分な対策を立ててほしいと、こういうふうに要望しておったわけですが、昨年どのくらい雪害とか欠陥車とか、車両故障列車を切ったのか、ここで改めて当時の状況を認識するために国鉄側から説明してほしいと、こう思うんです。
  19. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 昨年北海道におきまして、たくさんの雪害による列車運休欠車等を出しました。北海道の数を、十二月から三月までまとめてございますので申し上げますと、運休の本数は旅客列車で千八百六十三本、貨物列車で四千八百本でございました。これは旅客では一・二%、貨物列車で八・四%ということになります。それから運休キロメーターでございますが、旅客が八万五千九百六十九キロメーター貨物が七十九万四千二百二十七キロメーター。これは設定に対しますパーセンテージで申しますと、旅客列車が〇・七%、それから貨物列車が一一・九%でございます。  また、故障によりまして欠車になりました車両の数を申しますと、電車延べ百十七両、一日平均に直しますと約一両でございます。それから、これの欠車パーセンテージが一日平均で約一・四%。それから気動車でございますが、これは延べ四千五百五十八両、一日平均三十七・六両、欠車率で申しますと六%に相当をしております。
  20. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 北海道DC中心ですから、いま言ったとおり一日三七・六%という点は、これは大変な私は道民の皆さんに迷惑かけたと、こう思うんです。私も現地に行って大分やられまして苦労したことを思い出すのですが、これについて具体的に、もう十一月ですから、この冬どういう対策を立てておるのか、それを聞かせてもらいたいと思うんです。
  21. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 昨年の冬の実態を反省いたしまして、従来から行っておりました地上設備、あるいは車両対策を強力に推進するとともに、除雪体制強化推進することにいたしております。また、列車ダイヤ車両運用等輸送対策の面からも対策を考えております。  具体的に申し上げますと、除雪設備といたしまして、函館本線中心除雪車両九両、除雪機械二十七両を増備いたしまして、ポイントヒーターを四百五十組増強したいと考えております。また、車両の方では「いしかり」用の四八五系という非常に——特急に使っております電車凍結防止対策強化いたしまして、また酷寒地に適合した車両として気動車の四〇形式というものを新たにつくって投入する計画でございます。なお、電車は非常に評判のよろしい七一一系というものをモデルにしました新しい形式、七八一形式というのをことし試作をすることにしております。  それから、車両検修設備関係でございますけれども、苗穂機関区の仕業洗浄庫の新設、それから除雪車両検修収容設備、これは小樽築港とか岩見沢の第二、長万部、旭川五稜郭の各機関区でそういう設備をいたしたいと。それから修繕庫としまして、札幌運転区の修繕庫強化したいと思っております。  また、工場関係では、旅客車検修設備——苗穂工場旅客車検修設備、あるいは釧路車両管理所旭川車両センターの台車の検修設備、それから電気機器検修設備五稜郭センター強化をする、あるいは苗穂工場釧路車両管理所ディーゼル機関車整備室を増強いたします。また、苗穂工場臨修設備も増強をする計画でございます。  また、輸送対策の方では、輸送の安定を図るため、札幌旭川間の電車特急「いしかり」七往復中三往復を五十二年の十二月の初めから二月いっぱい、お正月の多客期を除きまして計画的に運休をしたい。また、「おおぞら」、「北海」、「北斗」、「オホーツク」などの気動車特急につきましては減車を行いまして予備車を確保する対策をとりたいと思っております。急行及びローカル旅客列車につきましても旅客需要動向列車使命等を勘案いたしまして、計画的に一部列車運休あるいは編成減車を行う計画でございます。多雪線区における気動車列車の一両で運転する単車運転を解消し、また、一部貨物列車牽引定数を減らすというようなことなど、列車が途中でとまるということのないような対策、あるいは構内作業の緩和による列車遅延防止対策等を考えておる次第でございます。
  22. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 北海道は、簡単にいえば本州で使った古い車をちょっとお化粧して北海道へ回すと、そういうのがあるものですから、この耐寒設備がほとんど不十分な車が多い、そういう私は欠陥があるのではなかろうかと。ですから、まあ雪に弱い新幹線じゃありませんが、厳寒地に耐雪力のある車両を開発をして、それを重点的に北海道に入れる、そういう基本的な政策の転換をしないと、使い古しの車を北海道へ回すという方式では私はまた同じことを繰り返す、こう思うんです。いま答弁のあった、この七八一型六両試作というのは、これは、じゃ試験車ですね。それからもう一つキハ四〇型もこれは試験車ですが、耐寒用につくってあるのですか。
  23. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 七八一系は特急用電車で、寒地向けに新しく設計をいたしまして、試作をして、来年の冬になりますが、様子を見て、その後調子がよければ量産して取りかえるという計画を持っております。それからキハ四〇型は新しい型式でございますけれども、試験という意味ではございませんで、もうこれで十分やれるというふうに考えて、漸次これを投入していく計画にしております。
  24. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、電車七八一型を試験車につくって、これでよければ現在この電車関係をこれに振りかえていくと。何年ぐらいかかるんですか、これを入れていくということになりますと。
  25. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 予算等関係もございますので、ここで何年でできますということは正確に、しかと申し上げられませんけれども、調子がよければできるだけ早い機会に取りかえを完了するように考えてまいりたいと思っております。
  26. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは大臣要望ですがね、いま言ったとおり、古い車を向こうへやっているんですよ。だから、耐雪用の性能が非常に弱いので、できればこの六両の試作がうまく成功すれば、早い機会運輸省の方でも努力をしてもらって、大蔵省と折衝して、やはり北海道皆さんに、酷寒地に安心して乗れる列車が走ると。そういう、今回の冬は列車を切るんですからね、この列車の切るやつを一日も早く原状回復できるように、大臣の方でもひとつ最大の努力をしてもらいたいと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  27. 田村元

    国務大臣田村元君) 当然のことと思います。努力いたします。
  28. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、それはひとつ要請します。  国鉄側試算をしてみて、予定どおり大臣の方で予算を見てくれると仮定すれば、このくらいの年内に、三年なら三年、二年なら二年内に試作が成功して取りかえられると、そういう試算ぐらいはやっぱりやって、運輸省なりあるいは大蔵省要請をするという私は積極性があってほしいと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  29. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 先生のおっしゃるように努力をしたいと思っております。
  30. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それからDCキハ四〇というのは、これはもう気動車も投入してから大分古いので、大分がた気動車もあちこち走っているんですけれども、これは全国どのくらいあるんですか。
  31. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) ディーゼルカーは、北海道に現在特急用としまして百五十八両、急行用が二百四十八両、一般ローカル列車用が三百九十七両で、合計八百三両ディーゼルを持っております。
  32. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これも私は要望ですが、やっぱりこのDC型も大分古くなっているし、特に裏日本雪地帯も含めて、もう真冬にビュービュー雪が入ってくるという相当古い電車も走っていますから、これもひとつこの機会に、運転保安という点から、先ほど言った何ですか、ECの七八一型と同じような着想と構想大臣要請をお願いしたいし、あるいは国鉄の方の対応の仕方もそういう積極性を欲しいと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  33. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) お説のように努力をしてまいりたいと考えております。
  34. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それじゃ、それはお願いします。  それからもう一つ北海道は零下三十度あるいは四十度——四十度はちょっと置戸あたりではありませんが、大体旭川へ行くと三十度ぐらいになるんです。それが屋外にDCが投げっぱなしであるとそれが凍ってしまって電気関係故障の原因になる、あるいは雪をかんで欠陥車になってしまう、そういうことがありますから、やっぱり私は屋内停留と屋内作業と、そういう点を重点的に北海道とか青森対策で考えてやらないと、どんないい車両をつくっても、またそういう自然の力でやられてしまうという環境にあると私は思うんですよ。  ですから、そういう酷寒の経験を踏まえて、やはり車両の屋内停留と屋内作業場、先ほどの説明聞きますと二、三ヵ所、どこですか、苗穂機関区、札幌運転区、小樽築港、旭川云々と、こうつくるようですが、これも予算関係もあるでしょうけれども、やはり酷寒の、寒い方から逐次整備するような努力をぜひ私は国鉄側にも大臣にもお願いしたいです。そうしないと、根本的な欠陥車対策なり冬の対策はできないと、こう思うので、その辺の考えを聞かせてもらいたいと思います。
  35. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) お説のとおり、非常に寒いところで長時間列車を滞泊させますために起きる事故というのも相当数ございますので、そのように整備をしてまいりたいと考えておりますが、何せ非常に老朽の設備がたくさんございますので、まず最初に重点的に取り上げたいのは検査をする、検修をする場所をまず屋内に早急に持っていきたい。それに伴いまして順次整備が進めば滞泊ということに及ぼしてまいりたいというように考えております。
  36. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、これは大臣も含めてひとつそういう努力要請します。  それから新幹線相当切るんですね、今回。新幹線も。北海道じゃなくて。ですから、新幹線も切ることはこの前新聞に発表になっていますが、これは原状に回復するにはどのくらいの時間がかかるんですか、新幹線は。
  37. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 新幹線雪害と申しますのは、北海道、東北の北の方とは若干様相が違いまして、関ケ原の前後で雪がくっつくわけでございます。それを途中で落とす。それによっておくれがだんだん累積をしてくるというところが新幹線のおくれの根本問題でございまして、そのために、一時間に現在では非常に密度の高い区間は九本ぐらいの列車が入っておりますけれども、これを冬の間だけは最大六本に抑えようと、そういうことによりまして、東京駅で折り返すことによるおくれの増加、増幅が食いとめられるということでダイヤを切るわけでございます。  そこで、抜本的な方策といたしまして東京駅のホーム、線路の増設ということを今回計画をいたしまして、これが三年ほど工事がかかりますが、そのような時期になれば、もう少し冬も、ほかの対策と相まちまして、そんなに運休をしなくてもいけるようになろうかと考えております。
  38. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、逆算すると、現行の新幹線が走っている列車量に冬季間回復するには約三年ぐらいかかるということですね。三年間ぐらいはいまのような、この前新聞に発表した形で調整をしていくと、こういうように受け取っていいんですか。
  39. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) そのように考えていただいて結構でございます。
  40. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 成田空港問題で簡単にちょっとお伺いしますが、九月の十四日、運輸事務次官の中村さんと千葉市長、それから千葉県知事で協定書を結んだようでありますが、この内容についてまず御説明願いたいと思うんです。
  41. 松本操

    政府委員(松本操君) 御説明申し上げます。  協定書の内容は、新東京国際空港への航空燃料の暫定輸送に関連いたしまして政府の考え方をはっきりし、それによって千葉市に対する協力を求めるという形が基本でございます。そこで国と、それから県と、それから千葉市、この三者の間の協定書という形をとっております。したがいまして、事務次官と、それから千葉の市長、それから千葉県知事、この三名が署名、捺印をした、こういう形になっております。  まず第一条として、「国は、暫定輸送関係機関が十分な安全対策を実施するよう必要な措置を講ずるよう努める」、これか第一条で基本原則でございます。  第二条に、国及び県の責務といたしまして、国鉄総武本線の原踏切及び外房線の今井町の踏切、これの立体交差化計画について検討し、その整備促進に努める、暫定輸送にかかる安全対策の具体的な問題をここに触れたわけでございます。  第三番に、「国は、国鉄総武本線の旅客利便の向上について、旅客需要の動向を勘案して対処するよう努める」。これは表現はやや抽象化されておりますけれども、具体的には暫定輸送ということとの関係におきまして総武本線の旅客利便の増強を図る。つまり増便のようなものを積極的に取り上げて考えていこう、こういう趣旨でございます。  第四条といたしまして、国は、国鉄西千葉気動車区跡地について、千葉市長の意向を勘案しつつ、有効利用ができるよう国鉄に対して指導する。これは、御案内のように千葉気動車区が引っ越しました跡地がございますが、この跡地を千葉市といたしましては積極的に市の用に供したい、こういうことでございまして、しかも、これをなるべく安い形で、できれば無償でというふうな御希望がございます。  これに対して、国鉄の現財政状況等を勘案すれば、右から左に無償でというわけにはなかなかまいらないと考えられますけれども、可能な限りの手段、方法を工夫することによりまして、千葉市の意向に沿って有効利用ができるように、その方途について、方策について国鉄が十分積極的にかつ敏速に検討して結論を出すようにと、こういうことでございます。  以上の四ヵ条を決めまして、これを協定書という形で、冒頭申し上げましたような三者の間で調印をしたと、こういう形になっております。
  42. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この協定の進行に当たって、鉄監局長としても直接これに対して参画して、同じような趣旨のオーケーを鉄監局としては与えて調印したんでしょうか。
  43. 住田正二

    政府委員(住田正二君) この問題につきましては、航空局の方から十分御相談をいただきまして、私どもの方もとの内容で了解をいたしたわけでございます。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 国鉄側に話をして、国鉄側と話がついてやったというふうに理解していいんですか。
  45. 住田正二

    政府委員(住田正二君) もちろん国鉄の方と十分話し合いをいたしております。
  46. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 たとえば、じゃ、暫定輸送機関の安全対策でジェット燃料の輸送の問題については、私の知る範囲では、国鉄労使の問題は全然まだ一回も交渉されていない。交渉されていないものについて国鉄はオーケーを与えたんですか。
  47. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 省からお話のありました方向に向かって一生懸命いま話し合いをすべく努力をしておるところでございます。
  48. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 努力をしているというのと、話ついたのと大分ずれがあるんですが、私の知る範囲では全然——たとえばこの暫定輸送の問題については千葉の労使間においても、あるいは中央の労使間においても、国労、動労とも、あるいは全施労も含めて組合側との話、安全輸送に対する問題点整理がどうあるべきかという問題についてはまだ話し合いか進んでいない、むしろ一回も交渉が行われていない、こういうふうに聞いているんですが、これはいつごろ、じゃ、組合側に話をすることなんですか。
  49. 尾関雅則

    説明員尾関雅則君) 時期については、私、詳細にしておりませんけれども、現在空港の開港に間に合わせるべく、鋭意各界各層で努力をしておるように聞いております。
  50. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 この前、これは私は交通安全委員会で、当時だれ常務だったかね、千葉の総武線の——千葉までは大分線路がいいんだけどもね、総武線から向こうの方は大分路盤から、カーブから、踏切から、いろんな面で問題がありますよ。そういうものについていつやるんですかと、こういう話をして、誠意を持ってやりますということになってるんですが、さっぱり進んでいないと、こう思うんで、これは聞いてわからぬというからそれ以上言いません。  ただ、私はひとつこれは航空局になるのかね、鉄監局になるかもしれぬけれども、いろいろ国鉄のことを書いてあるんですがね、ほとんど国鉄のことです、これ見てみると。そうすると、赤字の国鉄に対してこれだけの三者で話をして、判こを押して、具体的な工事をする際には、もうこれは全部お金がかかるわけですね。このお金については、負担区分は成田空港開港に伴う暫定措置ですから、これは成田空港整備に対する関連の経費ということで、国鉄は原則として負担をする必要ないと思うんですが、これは航空局、調印者どうですか。結局航空局なり、あるいは営団の方で負担をして、国鉄は原則的に負担しない、こういうふうに解釈されると思うのですが、いかがですか。
  51. 松本操

    政府委員(松本操君) いま御指摘のございました経費の負担をどのようにするかという点につきましては、国鉄としてもいろいろとやらなければならないこと、つまりそれに対して経費を投入いたしますことが国鉄自身の、たとえば線路の増強につながるとか、こういったような問題については、繰り上げて支出が行われたという理解もあるいは成り立つかと思います。したがいまして、そういうものについては国鉄にも応分の支出をお願いし、お引き受けいただくようなお話し合いをしておるわけでございますが、ただ特段に暫定輸送のためにのみ必要な経費というふうなものもございますし、また別途そういったような事業をいたします場合に、こういったルールで金をお互いにどことどことが出し合う、こういうふうなものができておる例もございます。  先ほど私がお答えいたしましたたとえば原踏切の立体交差化、こういうふうなものにつきましては、千葉市の都市計画の中においてとらえられる形になっておるわけでございますが、約八億程度かかるのではないかと、こう言われておりますけれども、そのほとんどすべてが道路側でございます。恐らく七億七、八千万の方は建設省の経費で、当然これは都市計画の中で立体交差化さるべき踏切、こういうふうに位置づけられておりますので、その部分についてはほとんどが建設省の経費で、国鉄はそのルールに基づいて国鉄の分担分だけを払えばよろしい、こういうことでございますし、それからまた、別に特に暫定輸送のためにだけ必要な施設というふうなものが当然考えられるわけでございますか、こういうふうなものにつきましては、公団の方において経費分担の算出方法をどうするかという点についてはいろいろと方式があるようでございますので、国鉄との間にお話し合いをしておるわけでございますが、そのルールに従いまして公団の方が主としてこれを分担する、こういうふうな形で国鉄の方に付加的に多額の経費を、しかも将来にわたって余り国鉄のプラスにならないような金を分担してもらうというふうなことは避けてまいるようにしておる次第でございます。
  52. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間がありませんからね、それ、この協定に基づく具体的なおたくの考え方と、国鉄と話した考え方、まとまったのを資料として出してください。それを見て、これはいいとか、これは不当だとか、これはこう修正せえと、こういうおたくの考え方のネタをもらってから話したいと思いますから、そのネタをひとつお願いしたいと思います。  ただ私は、気動車区の跡などは、いま国鉄赤字でさんざん、いじめられている真っ最中に、こんないい土地を、むしろ航空営団が買い上げて千葉市にくれるというなら、それは国鉄の再建にもつながるけれども、こんな上等地を国鉄値切れ値切れといって、また財政負担をかけるんでは、これは大臣の趣旨にも反すると思うんですよ。やっぱり空港営団が伴うものであれば、これはきちっと営団で買い上げて、どうするかというような措置をしてもらいたい。そのこともひとつ検討してもらう。  それから旅客の需要云々という三条、これは私は、現在の総武線の複線の問題をどのように受けとめて協定を結んだのか、いままでいろいろな経緯があったから私はわかりません、この三番は。ですから、三番は何を意味しているのか、これも後ほど文書で私にください。おたくの考えを見てから私の方で検討しますから。私は非常にこれは酷な条文だと思いますよ、総武線のこの問題については。答えは要りません。後でネタさえもらえば。ネタを出してくれるかどうか。
  53. 松本操

    政府委員(松本操君) 簡単にお答えいたします。  分担の仕方等についてはなお議論が続いておるものもございますので、固まり次第お知らせすることができると思います。  三条につきましては、先生のおっしゃるのとちょっと意味が違いますが、これはまた資料を持って御説明に上がります。
  54. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 文書でやってください。  それから、一つだけ大臣に聞きたいんですが、この成田空港問題は、大分まだ解決すべき問題もいろいろあると思うんですよ。いま安全対策国鉄労使の問題、いまから始まるというんですからね。大臣自身としては一体最終的にいつごろの時期に、いつから開港するというような判断をする展望があるのか。もう時間がありませんから、それだけちょっと大臣聞かしてください。
  55. 田村元

    国務大臣田村元君) 私自身としては、年度内に開港をしたいというふうに考えております。
  56. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 その判断はいつころ……。
  57. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は、まだいささか詰めなければならぬ問題がございますから、御承知と思いますが。いつごろということをいまここで具体的に申し上げる段階ではないと思うんです。私自身にもまだ具体的に確信はありません。けれども、まあ地方自治体との話し合い等は、大筋において大体見通しも明るくなってまいりました。それから飛行経路の問題等、若干問題は残っておりますけれども、わりあいに早い時期に開港期日を決断できるんじゃないかというふうに考えております。
  58. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ最後に、これは大臣に、予算委員会では大分私も社会党から預けられて雇用問題をやったんですが、時間がないために海上の雇用問題については触れる機会がなかったんで、海上の雇用の安定と向上という問題について、福田内閣の運輸大臣としてどういう考えを持っておるか、この際基本的な考えを聞かしてもらいたいと思います。
  59. 田村元

    国務大臣田村元君) 御承知のような海運の状況でございますから、われわれはいま全力を挙げてこれと取り組んでおります。運輸省というと、すぐに国鉄だ、成田だというふうにとられますが、あるいはそれ以上に重要な問題かもしれません。  で、海運、造船等の問題で必死になっておりますが、たとえば職業転換給付金、それから雇用促進手当その他の面、それからいわゆる失業対策、それから、たとえば日本の海運界がいろいろな事情で非常に競争力が弱まってきておる。これを強めなきゃならぬというような面から、マルシップとか便宜置籍船とか妙なシステムのようなものか出てきておる。ところが、これが第三国の低賃金の船員たちを雇用することによってメリットを上げようとしておる、これでは困るのであります。でありますから、いま私どもはそういう船についても、とにかく日本の船員を乗っけてくれ、少なくとも混乗せしめてくれと、こう言って強く海運会社要請しておる。いろいろなそういう手を打っておるところでございます。
  60. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 日本人船員の有効求人倍率を、昭和四十七年ころからことしの、五十二年の一番新しいのまで具体的に数字で教えてください。
  61. 田村元

    国務大臣田村元君) いま調べておる間に、ちょっと一言つけ加えておきたいんです。  実はどういうふうになるか、まだ私ども自身の見通しはついておりませんが、たとえば石油備蓄とか、農産物の備蓄に船を使うというような場合においては、船員込みでぜひお願いしたいというようなことも強く要請しております。ちょっとつけ加えておきます。
  62. 高橋英雄

    政府委員高橋英雄君) 四十七年ごろからの有効求人倍率でございますが、四十七年当時は年間の平均としましては一・四七、それが四十八年が一・五一、四十九年が一・六一、それから五十年から一を割りまして〇・四四、五十一年は〇・二三、ごく最近の、五十二年の七月では〇・三〇というふうなことになっております。
  63. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 一般の労働市場の有効求人倍率は幾らか御存じですか。
  64. 高橋英雄

    政府委員高橋英雄君) 詳しい数字はちょっと手に持っておりませんですけれども、陸上産業の場合には、有効求人倍率が、最近の動きとしましては〇・五ないしは〇・六ぐらいというふうに聞いております。
  65. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 〇・五七ですね、この前予算委員会で使われたのは。そうすると、海上の市場はこれは陸上の倍以上厳しいということです。外人船員の数はふえているんですか、減っているんですか。私、ここにちょっと各会社と外国船員の傾向図を持っているんですがね、四十五年から五十一年まで。日本人はどんどんどっと下がってきているけれども、外人は四十五度、727が上るぐらいの速さでがっとなっているんですね。それから、日本の運賃収入はずっと横ばいか若干上上がりと。そうしますと、不況とかいろいろな問題はあるけれども、結局船は動いている、荷物は動いている、不況はあるけれども前年度並み程度の収入を上げている。ですから船は動いている、若干の収入を上げている、減っているのは日本の船員だけなんです。何でこんなに日本の船員が減るんですか、その理由は。
  66. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) お答え申し上げます。  いまお示しになりましたのは、四十五年以来の日本商船隊の中の外国船の比率のことであろうかと思います。四十五年前後は、約二〇%が外国用船であり、残りの八割は日本船であった。現在、五十一年の数字では、外国船が四五%、日本船が五五%、大体そのようなふうに、日本の船会社が動かしておるけれども、実は外国籍の船を用船した船というものの比率が非常に御指摘のように多く、その比率が高くなってきております。  これは、たびたび御説明申し上げておりまするように、一つは、日本の高度成長を反映いたしまして、日本の平均的な賃金レベルが高まり、また、古くから日本固有の船員制度というものをそのままにしておりますこともございましょうが、船舶の運航費において、日本船員を乗せた船舶の運航費と、同じような型であるけれども外国船、それとも開発途上国の賃金の安い人を乗せた場合の船舶の運航費の差が、非常に日本側に不利。つまり、日本側に高く、差が出てきて、競争力がだんだん衰えてきたことの一つのあらわれではないかとわれわれは承知しております。
  67. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは八十国会でも、衆参両院の運輸委員会で、わが党の久保先生初めいろいろな問題を提起して、具体的には、もう先ほど大臣も言ったとおり、第三国が賃金が安いからそれは乗せているのだと、そういうことを大臣いみじくも一言で表現したんですがね。それを直すために船員局長であるとか海運局長が、具体的な指導をしますということを前向きに答弁しておったんですね。ことしの四月の議事録を読んでみますと。ところが、結局は、ここでは答弁をしたとしても、ほとんど現地ではその答弁が生かされていない、こういうのが実態だと、こう思うんです。  たとえばここに、私はこれをもらいました。ことしの十月十日発行したもので、朝日新聞の日野明という記者が、大臣答弁の後、あるいは各局長答弁の後、具体的にどういうことだろうといって、ずっともぐって取材をしたと。その結果の報告が書いてあるんですね、ここに。この結果の報告を見てみると、たとえば五月の日勢海運それから日興海運と船舶通信士組合の紛争がありましたね。こういう際の、いわゆる横浜地裁の仮処分の問題であるとか、その前後をめぐるいわゆる行政当局の指導であるとか、そういう点はほとんど従来と変わらない、むしろ放任状態に置かれてある、そういうことを物語っておるんですよ。私もこの前、五月三十日、船舶組合の大会に行って、生の声を聞かされてまいりました。  そういう点で、ここではふっと答弁するけれども、実際現場へ行くと、ちっともそれが生かされてこない、こういう点は、非常に私は国会乗り切りの答弁としか思えない、こう思うんですが、具体的にこういう問題についてどういう考えを持っておるのですか、このマルシップの問題の解決について。
  68. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 御指摘の、前国会におきまして、マルシップの問題がたびたび論議の対象にされました。そのたびに、運輸省といたしまして考えておりますことをお述べ申し上げたわけでございます。マルシップといい、あるいは仕組み船といい、あるいはチャーターバック船といい、これらすべては、つまり、昔は日本籍の船に日本人が乗って、日本の船会社が荷物を運ぶというのが、ほぼ九割がそうであったという時代が、そうできなくなった。そういうことから、いま申し上げたようなものがだんだん、望ましくない状態だと思いますけれどもふえてきておるんだと、このように私どもは理解をしております。  したがいまして、どうしてそうなったか。現存の制度のままで日本の人が乗っておる日本の船というもののコストが他国の船に比べて高いと状態をそのままにしておいて、ただ一方的にマルシップをたとえば規制するとか、そういったようなことは私どもとしてはやりません。ただ基本的に、日本の人が乗っておる日本の船というものが日本の貿易の大多数を運べるような状態にするためには、もう一度問題の根元に立ち戻って、日本船の競争力をいかにして他国に耐え得るものにするか、あるいは日本の海運の重点をどこに置くか、こういったことから考え直さなければならない。また、その方面の対策を鋭意進めてまいりたい、このように御説明申し上げております。  で、マルシップがいまたまたま問題になっておりますけれども、たとえば、よく世に言われますところの脱日本人政策、船主がそういう政策をとっておるというふうに言われておりますけれども、そういった、望ましくないと思いますけれども、こういうものがだんだん減っていくようにするためには、日本人を乗せても他国と比べて競争できる船というものをいかにして持たせるかということにわれわれの苦心が存するところでございます。
  69. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 もう時間がなくなったんで残念ですがね。けさのNHKのニュースを聞いておったとき、企業の行動白書というものを通産省がきょうだかきのう発表したそうですね。その中で、企業の社会性ということの問題の際に、やはり会社はそこに働いている労働者、あるいはその系列につながる労働者の雇用の拡大と安定という点が絶対の社会的責任だということを言っていました。  ですから、いま局長が東南アジアとか第三国の皆さんと日本の賃金水準を比較した際に、日本の水準がいいことは決まっているんですよ、これは。そんなことを原因にして、いま外国船を使うということは、私は日本の企業としてはとるべきじゃないと、こう思うんですよ。ですから、具体的にやっぱり日本の船は日本人を使う、そういうことを海運行政の根本に据えて全体を見直す、それにひっかかる法律などについてはやっぱりその原則で改正をする、そういう方向性の追求をしない限り、私はこの求人倍率が陸の倍ですか、陸の倍ですね、〇・三の〇・六ですから。この関係は私は立ち直れない。同時に二百海里問題で、この前予算委員会で八千名から一万名程度のまた海の労働者がほうり出されるということを言ってましたね、労働大臣。ますます条件は厳しいんですよ。  ですから私は、このマルシップとか便宜船とか、そういうものを含めて、やはり根本的にこの際思い切って日本人船員を使う、そういう方向を運輸行政の大前提にして取り組むべきだと。そして、そのための私らもいろんなネタを持っていますから、このネタを具体的に直すために法律の改正をする。このマルシップでも、船員職員法ですか、これは除外されているんですね。やっぱりこの除外をとって適用させるとか、そういう具体的な手を立法府なり行政府でやるべきだと、こう思うんですが、大臣、いかがでしょう。
  70. 田村元

    国務大臣田村元君) 私も基本的には大体同意見であります。ただ問題は、チャーターバック船にしても、マルシップにしても、これが日本の海運界の国際競争力という点においては、妙なものであってやはり貢献しておるということも、現実問題としては否めない事実である。しかし、海運行政を担当する者としては非常に困る。特に労働問題でもう頭の痛い事態になっておる。でありますので、先ほどもちょっと触れましたが、とりあえずは海運界の競争力を弱めてしまってもいけないから、まず根性ということに力点を置いて海運会社に対して強く要請していく。そして、日本の海運界の競争力がついてきたその時点で、抜本的な一遍考え方を求めるべきではないか、このように実は考えておるところでございます。  おっしゃるとおりでありますけれども、やはり国際海運界の現実というものを考えるときに、こういうものがときに必要悪のような面も持っておりますので、そこいらのむずかしさがある。しかし、基本的な考え方として、私も考え方の方向としては目黒さんとほぼよく似た考え方を特っております。
  71. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 最後に、時間が来たようですから、このマルシップをしている船が百七十とか二百とか、あるいは業界によっては三百だとか、こういろいろ言われているんですか、ぜひ、いろいろな問題を研究するために、引き続き次の委員会で私はやりたいと思いますが、マルシップをやっている船名と、それに乗っている日本人、外国人、いつまで貸しているのか。その三つの問題をぜひ資料として私の方に出しておらいたい。どれが本当の数字かわかりませんから、海運局なり運輸省がつかんでいるマルシップの具体的な船名、それに乗っている日本人、外国人、大体賃金の水準、それから期間。この四つに分けてぜひ私の方に資料の提示をお願いをしたい。それを見てさらに、いまの大臣答弁では私はまだ不満足ですから、それを見て、今後具体的に次の委員会で引き続き追及していきたい、こう思うんですから資料の要求をお願いします。いいですか。
  72. 内田善利

    委員長内田善利君) いいですね、資料。
  73. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) ただいま御要請の資料につきましては、恐らくその御要請のとおりの資料をつくるには相当に時間かかかると思いますが、鋭意つくるように努力してみます。
  74. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そんな時間は私はかからないと思う。  あなたたちが裸貸し船をつくるときは全部届けてあるでしょう。どこの船、船名と、それからどこの会社と、相手がどこかということは、運輸省でチェックすれば全部わかるんですから。それから船員手帳を、船員法を適用するということをこの前国会でやって、五十年の九月ですか、やったんですから、その船員法を適用するんですから、船員手帳を渡すときに、あるいは雇用する際に、日本人と外国人がどう乗っているかというの十分わかって初めて公認しているんでしょう。事務的に毎日行政をやっていることが何でかかるんですか。即刻出してもらいたい、こう思うんです。いいですか。そんな、毎日行政をやっていることだろう。いいですか。
  75. 高橋英雄

    政府委員高橋英雄君) 海運局長からお答えしましたように、まず、その船について、裸で貸し渡した船かすべてマルシップかどうかという点もきわめて疑問がございますし……
  76. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そんなことは私の方でチェックするよ。そんなの心配する必要ないよ。お前らやっているのを出せばいいんだよ。
  77. 高橋英雄

    政府委員高橋英雄君) それを把握するについてはやはり相当な時間がかかるというふうに私どもも考えております。
  78. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 時間があればこういう入っている録音メモもみんな読みたいんだけれども、何で行政はそんなに逃げるんですか。マルシップかどうだか、こっちでチェックしますと言うんですよ。あなたの方が海上運送法でやっているチェックのやつを、毎日やっているのだから、そのネタをずっと一年分くらいもらえばいいんですよ。わかるでしょう、そんなこと。自分が判こをぽんぽん押しているんだもの。判こを押して海員手帳でやっているんでしょう。就業規則、どういう船主にそれをやったか、それをちゃんと確認してチェックをやっているでしょう、労務官が。それをやっていないんですか。出ないということは、やっていないということになりますよ、結局は。それがないからこのマルシップの問題はどうももやもやしている。点検はこっちでやりますから、おたくで許可した、あるいは公認したものを出してくださいと言うんですよ。船名、相手方、日本人とそれから外人船員、期間。この四つ。いいですか。
  79. 高橋英雄

    政府委員高橋英雄君) いま先生がおっしゃいましたものについては、できるだけ早くできると思います。
  80. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それを見てからまたやります。  じゃ、私は終わります。
  81. 田代富士男

    田代富士男君 私は、五十二年の九月七日、フィリピンの東方海上に発生しました台風九号の問題につきまして質問をしたいと思います。  この台風九号の中心気圧は九百五ミリバールという大型台風になりまして、九州に接近する旨の気象台の予報が出されました。その進路について予報を信じまして、黄海に出漁しておりました漁船は操業を打ち切りまして、中国の上海港向けに緊急避難をすべく航行したのでございますが、台風の進路は予想とは余りにも異なりまして、緊急避難したその漁船が台風の進路のど真ん中に突入するというきわめて危険な状態になりまして、大きな被害を起こしております。  どうしてこのような予報の違いが生じたのか、そしてその被害の状況等どのように掌握されておるのか、まず概況の説明をお願いしたいと思います。
  82. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) まず、きょうは長官が参るはずでございましたが、現在病でございまして、予報部長が主として技術の立場として御返事申し上げたいと思います。  いま先生が御指摘になりました台風の進路の予想の違いにつきましては、これは一つは観測という問題がございます。もう一つは、予報の技術そのものの扱いという問題がございました。いずれにいたしましても、われわれとして予報を誤って、漁船あるいは漁民の方々に非常に御迷惑をかけたことをおわびしたいと思います。  現地に、実はこのことがございましたときに、海員組合の方あるいは漁業の方たちが、初めは長崎気象台、それから福岡管区、それから私も本庁でいろいろお話ないし抗議を伺いました。  その一つのポイントは、いま申し上げましたように、技術の問題もございますけれども、一つは、漁船の方から資料を送ったにかかわらず、その対応が気象庁としては鈍いんではなかったかという点が一つございます。それからもう一つは、情報の種類についても、必ずしも漁船あるいは漁業の関連の方が希望しているような資料になっていないんではないかといったような点のお話を伺いました。  われわれとしましては、私がその話を伺った後、もう少し現実のいろいろの問題を承知いたしたいと思いまして、長崎に赴きまして、本当にいろいろな災害を受けられたそういう方たちのお話を伺ってまいりました。  以上が大体のお話の推移でございます。  概況といいますのは、気象上の概況でございますか。
  83. 田代富士男

    田代富士男君 被害の……。
  84. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) 被害につきましては、いま申し上げましたように、実際台風から二百キロぐらいか、あるいは百キロぐらいのところにおられましたものですから、その対応として大変いろいろなことがあったというふうに伺いました。  もし、少し話の筋が違っているようでしたら、改めてまた御返事申し上げたいと思います。
  85. 田代富士男

    田代富士男君 質問の時間に制限がありますから、被害の状況も細かいことをお聞きしたいと思いますが、いま予報の技術の扱い、こういう点に間違いがあったというような御答弁がございましたが、これを簡単にこの台風九号を追ってみますと、台風九号が宮古、石垣両島に接近しました八日の午後から、上海の東南東二百五十キロ付近でイカ、グチ、カニ等のそういう出漁していた福岡、長崎の漁船百八十隻が、台風から逃れるために北上をし始めたわけなんです。その中で、特に福岡市の川添漁業所属の第五十二寿丸、これは八日の夜から北上いたしまして、十日の午前九時には、八日夜の場所から約二百キロ北にありました。気象台が発表しました同九時の台風の位置というものは、福江の南西三百十キロで、北東への進路を予想したために、これ以上北上すれば危険である、そういう意味から、これは逆に南下を始めました。その周囲におりました他の漁船も同じく、南下の同じ行動をとったわけでございます。  しかし、実際には、台風九号は北東に進まず、西へ進んでいた。しかも、台風の中心の位置決定につきましても、十日の午前九時、同じく正午の位置を、同日の午後四時過ぎになりまして、約五十キロから百キロ南へ訂正発表を気象庁によってされた。気象庁の予報の混乱というものが続いたわけなんです。この結果、南下をしていた船団は台風に向かっていたことになります。  そういう意味から、第五十二寿丸は、約百キロ南下した十日午後五時過ぎに、台風九号と出会い頭にぶつかった形になりまして、台風の直撃を受けて船は傾斜し、船内は水浸しになりまして、他の船も危険にさらされた。無線装置は壊され、アンテナも折られ、そしてレーダー室の窓が吹き飛んだり、漁網もこわされたり、いろいろな危険が起きております。こういう意味から、無電が通ずる漁船からは、気象庁の誤った情報で死ぬ目に遭った、強く抗議をする、こういう電報も入っております。  こういう意味から考えまして、各漁船というものは、ラジオやあるいは漁業無線を通じまして入る気象庁の発表を、各漁船は天気図用紙というものを持っておりまして、御承知のとおりにそういうものを記入いたしまして、台風の位置あるいは進路の予想から避難方向を決めております。そのように気象庁の発表を頼りにしておりましたが、こういう結果になりました。台風の直撃を受けるまでに、台風の位置あるいは進路予想も実際の場所と違っていた。この憤りというものは余りに大きいものでございます。  きょうは責任者の立場のお方が見えておりませんけれども、運輸大臣、そういう責任者の一人として、私はいま具体的な台風の食い違いのコース、漁船かどのように動いて、台風の来る方向へ来る方向へと、気象庁の発表を信じたればこそこういう事故を起こした。これに対してどのようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  86. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は、私は気象庁が担当しております予報問題につきまして専門的な知識はありません。非常にむずかしい科学の問題でございましょう。しかし、いずれにいたしましても、どのような事情があったにせよ、それが迷走のような台風であったのか、私はしっかりわかりませんけれども、どのような事情があったにしろ、間違った予報を繰り返したということは、やはり大きな失敗であったと存じます。気象庁を所管する国務大臣として、まことに申しわけのないことという気持ちでいっぱいであります。
  87. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、これも私はいろいろこの問題の話を聞きまして調査をいたしましたところが、台風の予想をいろいろ検討される気象庁のコンピューターにおきましては、台風九号の進路というものは実際に進む方向が出てくるわけなんですが、この資料に基づきますれば、西向きの方向へのデータが出されていたということを聞いております。その西向きに進んでいくと出されていたデータに基づいて気象庁が討議をいたしまして、逆に東向きの方向へ予報を出した。これは一体どういうことでしょうか。そういう予報のためにコンピューターを使っていらっしゃいますけれども、東向きに出された。その結果が大きな被害が出ている。これ、気象庁、どうでございましょうか。
  88. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) お答えを申し上げます。  気象庁で予報を出します場合には、予報官の判断というのが最終でございますが、その前に、いま先生御指摘のような、これは電子計算機で計算いたします数値予報あるいはそのほかの統計的な方法、さまざまございます。いま御指摘いただきました方法につきましては、実は低緯度——低緯度と申しますと、いまのところ北緯二十度より以南でございますが、その位置にあるときからすでに西を指しておりました。したがいまして、これは多少想像にわたりますが、予報官といたしましては、初めに結果が非常に悪かったので、使うのにちゅうちょしたということがあるのではないかというふうに思います。いまは西の方が当たるというその段階は、実は沖永良部を越した後の段階でございまして、それより以前の予報がその方法で北を指しておりますということになりますと、これはかなり問題でございますが、その辺のことを予報官としては非常に使いにくかったというふうに想定いたします。
  89. 田代富士男

    田代富士男君 それで、まあ予報官が状況をつかみにくかった面もあった。しかし、西を向いていたのは事実でございます。私は、この気象庁の問題にいろいろ検討していらっしゃることに対しては、まだ専門家ではございませんが、この事件を通じまして私なりにどのように検討をされておるのかということを調べてみました。  これはもう御存じだと思いますが、予報課で台風進路を担当するには、短期予報チームというものが四人一組で約六班ぐらいつくられるということを聞いております。そして、ベテランの予報官が参加される。この四人組が十二時間担当して次の班と交代するシステムになっているそうでございますが、その四人組の仕事の分担が、一人はキャップの仕事をし、一人は進路の予想、また三人目は位置の決定、四人目の人は各気象台に指示報を出したり、そういう仕事の分担をされながら予報を出されるそうでございますが、台風九号の場合、宮古島のはるか南で、大型で非常に強い勢力になっているときに、台風九号の班が予報課内に編成されたということを聞いております。  台風予報官はそういう立場から、まず、いま申されるとおりに資料の検討をされる。資料を検討されるにはいろいろありましょうが、私が聞いた範囲内では、まず一番最初に、コンピューターが出すそういう数字というものを予報資料として検討される。二つ目には、各種の天気図、三つ目には、米軍の飛行機観測データ、四番目には、台風近くを航行する船舶による観測データなどを集めまして、十二時間後、あるいは二十四時間後の台風進路の予想を扇形で六十度以内であらわされる。これがいろいろ新聞等にも発表されるわけなんですが、そのようにして発表される仕組みになっている。  今回はどうであったかと、そういうようないろいろ検討を通じられまして、八日の午後六時の進路予報から大きくはずれ出した。宮古島から沖繩本島へと九号が東へ首を振り続けるたびに扇形がこの九号の後を追いかけたと、こういうような状況になって食い違いが起きております。で、決定的な食い違いというか、はずれか出たのは九日の午後九時と十日の午前零時、この予報でございます。扇形がぐっと狭まって、九州直撃確実という予報が出されました。しかし、予報はそのように出されましたけれども、予報を笑うかのように台風九号は西へ動き出しまして、その後は予報官の北へ向かうという期待を裏切って西へ西へと走り続けた、こういう食い違いが出ております。  そこで、私はいまさっきもお尋ねいたしましたが、こういう予報官は、漁船よりの資料提供による対策等もやっているというお話がございましたけれども、特に東シナ海海域では毎日数隻の漁船が気圧、風力、風向などの気象情報を気象庁あてに集めているわけです。データ集めに協力をしておりますが、今度の場合も、これらの漁船から刻々データが送られておりまして、そして台風の位置、進路決定に生かされていたはずでありますが、こういうことを、台風の被害が起きましたその後に報道関係皆さんから、そういうデータを送ってきていたのかという質問がされたときに、洋上船よりの気象資料がなかったために予知できなかった、こういうような、報道関係質問に逃げた答弁がされております。だから、毎日このような気圧、風向あるいは風力等を定時に報告をされているわけです。これを無視した結果が重大な責任を犯したと言わざるを得ないのではないかと思うわけです。また、まして電算機によりまして、この西の方向へ進むというようなことも出ておりましたから、少なくともこういうところに対する細かい配慮がありますならば、今回のような大きな事故が起きていないと思うのですけれども、この点に対してはどうですか。大臣と気象庁と両方の方からお尋ねしたいと思います。
  90. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) お答え申し上げます。  まず、漁船の資料のことでございますが、私が現地に参りまして非常にはっきりいたしましたことは、長崎の漁船の無線局に、漁船から打ち込まれた資料が会社に実は行っております。これは恐らく営業の問題とか業務の問題があるというふうに推察できますが、その会社でそれぞれ当番が決まっておりまして取捨選択をして送る。あるいは気象の観測に必要だと思ったらそれを送る。あるいは業務の電報とかえる。そんなようなことをしていらっしゃるということで、多少われわれの手元に入る、つまり、長崎気象台に入る場合には時間のおくれがございます。現在われわれとしてもそういう資料を生かすということで、現実にはあの場合に位置の変更をやっておりますが、それは漁船からの非常に貴重な観測資料をいただきましたので、それで確認をしたということと、それから中国の資料、これも実は日中の協定以前の問題でございましたので、少しおくれて入っておるという事情がございます。それをかみ合わせて位置決定をしております。これからはそういうことのないような措置をとらなければいけないというふうに思っております。  それから予報の問題でございますが、確かに西に行くという予報について、それをどういう形で取り上げていくか、それぞれ道具をどういうようにしたらいいかということは、やはりわれわれとしても技術のもう一回再評価をしていくべきではないか。たとえば、こういう状態のときには使ってはならないような技術がございましたら、その辺ももう少しはっきりさせていく。つまり、予報官の総合をしていく場合の人間の働きと、それから道具の持っている特質等をもう少しはっきりさせていく必要があるというふうに考えております。
  91. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は先ほど申し上げましたように、気象庁の問題につきましては、非常に専門的なことが多いわけでございまして、私も科学論、技術論になりますと、まことにお恥ずかしい話でございますが、これをつまびらかにいたしておりません。早速きょうの御質問の御趣旨に基づいて、気象庁から詳しく後ほど報告を受けてみたいと、このように考えます。
  92. 田代富士男

    田代富士男君 じゃあ、いまいろいろ御説明されましたが、台風九号の進路予想がいろいろ検討されたけれども、そのように食い違いを生じたいろいろな原因はありましょうけれども、最も大きな原因となったのは何ですか。
  93. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) 多少想像にわたりますが、予報官が予報を出します場合には、やはり大きな空気の流れに従って台風は流れる、これは天気図から判定する場合には、そういう結果をもとにいたしますと、大体気象庁の出したような予報になる。したがいまして、そのほか計算機械が出しました資料とか、そのほかの資料に多少重点を置かな過ぎたという感じはいたします。
  94. 田代富士男

    田代富士男君 いま、私、時間があればもっとそういうところもお聞きしたいのですが、時間が余りありませんけれども、大きな空気の流れによって台風の流れも変わってくるということでございますが、私がいただきました気象庁からの資料によりますと、今回の台風九号の進路予想が食い違った一つの原因と見られるものの中には、太平洋高気圧の急速な張り出しが予想できなかったためと、こういうことも指摘されております。  こういうことがどうして指摘されなかったのかといろいろ聞いてみましたならば、こういう高気圧の勢力などを探るところの高層観測施設というものが少ない、特に太平洋上にはそれが少ないんだと。何か聞くところによれば、南鳥島だけにしかないという、こういう観測体制の弱さというものを指摘せざるを得ないのではないかと思います。災害が起きてからたくさんのそういう災害対策費を出すならば、災害を未然に防ぐために、こういう大事な問題に対して、わかっているならばどうしてこれをいままでに放置してきたか、こういう問題に対していかがでございましょう。お答え願います。
  95. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) お答え申し上げます。  鳥島と同じような高層観測をつくるということになりますと、それだけで新しい気象庁をつくらなければいけないといったような規模の人員及び経費の問題になろうかと思います。同じような海洋全体の観測の問題につきましては、世界的にもそういう方向はとらないということになっておりまして、それをカバーするのはどういう考えかということを申し上げますと、一つは気象衛星がございます。これは現在の「ひまわり」というのではございませんで軌道衛星、地球の周りをぐるぐる回っておる衛星がございます。これで気温そのほかの資料の垂直方向の分布を観測していくというのが一つございます。  日本でも気象庁で予算要求をいたしまして、現在それを十分に利用できる、そういう体制をとろうとしております。それからもう一つ、北半球あるいは小笠原高気圧の動きの判定が非常に悪かったという問題でございますが、これは一日、あるいは二日先ということになりますと、南半球の方の状態も非常に影響してまいります。これにつきましても、われわれとしては、幸いアメリカから資料が届くようになりましたので、その利用について検討を進めておる段階でございます。
  96. 田代富士男

    田代富士男君 そうすれば、この高層観測施設はなくてもそういうような軌道衛星からのデータによって賄われる、そういう施設はつくる必要はないという考えなんですか。どうなんですか。いまのお話だったら現状の話であって、そういう立場であるならば、いまのままで結構というならば、今回の予想が狂ったのは何であるかと私は聞きたいんです。そういうような太平洋高気圧の急速な張り出しが予想できなかったためにこんな大きな事故が起きている。だから、そういうような施設が少ないものであるならば完備すべきではないかと、私はこう思いますが、いまの説明聞きますとちゃんと完備しておりますと、そういう言い方なんですけれども、どうでございますか、そこらあたり。
  97. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) お答え申し上げます。  完備の必要はございます。その完備の方向が現在やっておりません軌道衛星からの資料によって高層の観測をしていきたいということでございます。  参考までに申し上げますと、現在回っております軌道衛星では実はそれができません。明後年あたりにそれができる軌道衛星にかわろうとしております。
  98. 田代富士男

    田代富士男君 一つ一つ問題を解決していかなければ事故は解決しないと思うんです。  もう一つの問題は、台風の位置の決定が特に何か東シナ海に入った場合には狂いが生じやすいということが今回の事故の問題から指摘されております。これはもう米軍の飛行機観測によってデータをもらう以外にない。しかし、米軍機も領空侵犯等を避けるためにそういう収集したい資料があってもそういう点がはばかられている。そうすると、いま国内のレーダー網は、台風銀座と言われる沖繩から九州にかけては石垣、宮古島、奄美大島、種子島、福岡県と佐賀県との県境にあります背振山、ここにレーダーがありますけれども、なかなか掌握はできない。  そういう意味から、先日気象庁の長官が中国との間に気象通信回線を正式に設置したいということで協定に中国へ赴かれたと思いますけれども、こういう問題点について解決するには、これは願ってもないことでございますが、どういう話し合いになったのか、そうして、今回の教訓を生かすためにこれがどういう反映をしてくるのか、ここらあたりをお聞かせ願いたいと思います。
  99. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) お答え申し上げます。  実はレーダーの情報につきましては、私たちも大変期待をしておりましたか、中国の実情でいただけないことになりました。それはこういうことでございます。中国の場合にはレーダーの施設がございますが、そのレーダーの情報はそこ限りということで、日本のようにレーダーの観測した結果を通信線に乗せて東京に持っていく、あるいはそのほかのところに配るというような機能がないということでございます。したがいまして、それをいただくわけにはいかないということでございますが、まあ長官がなおその問題について折衝した結果、レーダーの情報を使って台風の警報のようなものが出せたらそれは送りますということで、それでも結構でございますからお願いしますということになっております。  参考までに申し上げますと、この情報については、われわれとしては中国の資料をそのままを信用するわけにはいかない。つまり警報といいますと、かなり位置とか、そのほかの情報のつくりかえをやりますので、日本でもこのたびいろいろ間違いをして御迷惑をかけましたように、中国でも必ずしも正しいというわけではございません。それをどういう形で漁民の方たちに役立てていただきたいかということは、これは現地に赴いた場合に、一般には公表しなくても、漁船だけにでももらえたら、それはそういうふうな使い方をするというお話もございますので、そういう使い方では考えましょうということになっております。  それから、そのほかの中国の資料でございますが、これは大体一般の資料をいただけるようになりました。それで回線数も五つになりましたし、それから速度も七十五ボーという速度でございますので、かなりの資料がいままでのようなおくれでなくて、速度が早まっていただけるというふうに考えております。
  100. 田代富士男

    田代富士男君 中国の資料もいただけるようになったといいましても、なかなかすぐに間に合うものと間に合わないものとありますが、そういたしますれば、特に東シナ海なんか観測の資料が集めにくいとなった場合には、やはり漁船からのいろいろ定期的に送られるデータというものが一応大事でありますが、これが出されても、漁船からは提供しているけれども、これ生かされてない。  いま長崎あるいは福岡へ行かれたときに、そういう漁船関係者の方からも、提出しているにもかかわらずこれに対応してくれなかったということかいみじくも指摘されておりますが、それに対して、なぜこれが生かされなかったのかという、そういう理由づけといたしまして、漁船からはまずその漁業組合所属のそういう無線局にこれが送られて、それが地方気象台へ集められて、そして気象庁へ来る、時間がかかり過ぎる、そのために生かされてこなかったということがいま説明がありましたか、送る方は送っているわけです。しかしこれが生かされていない、生かしてもらっていたならば未然に防げたじゃないかという、これも大きな事故を解決する一つの要因ではないかと思います。  これが報道関係者質問に対して、漁船からのそういう提供はなかったと気象庁自身が逃げております。これは気象庁としても大きな責任ではないかと思うわけなんですが、ここまでわかった以上、これをどのように、今後いままでのとおりのパターンでデータを収集するのか、これをこのようにいたしますということを検討されたのか、あるいは検討せずにいまのままの状態でいくのか、これも問題を解決する一つになると思いますが、どういうお考えでございますか。
  101. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) お答え申し上げます。  まず中国の資料は十二月の早々われわれの手元に協定どおりに来るということになっております。  それから漁船の資料の問題でございますが、新聞情報は私が長崎県に参ります以前の情報でございますが、長崎に参りましてお話を申し上げましたのは次のようなことでございます。マリアナの台風という教訓もございまして、国会のいろいろの御検討いただいた結果、われわれとしてはこういう問題については、無線局とそれから気象台の間をテレックスで結んで、そして情報をなるべく早く伝えるという予算をいただいて運営しているわけでございます。  今度の場合にはそれが、理由はよくわれわれとしては存じ上げませんでしたが、無線局からそれぞれの会社に行って、それから気象台に来ているという形でございますので、希望としてはテレックスで無線局から長崎気象台に打ち込むようにしていただけないかというお話を申し上げるのが趣旨でございました。これは十分検討して、われわれとしても使われていない資料がもしあるとしたら非常に重大と考えるので、検討いたしますというお話で、あとは長崎気象台と、それから長崎の底びきの関係の方との話し合いを詰めていただくということで現在進行中でございます。  参考までに申し上げますと、十一月でございますから、今月の十一日に第一回の打合会をやる、長崎とそれから長崎漁業関係の長崎支部の方との中で打ち合わせをやるということになっております。
  102. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、これは早急にこの問題点も解決していただきたいことを要望をしておきたいと思います。  それでもう一つは、太平洋高気圧等を新しい軌道衛星によってデータを集めたい、こういうお考えの模様でございますが、あの新聞やテレビでも報道されました静止衛星「ひまわり」についてでございますが、科学評論家の村野さんも大変これを評価されておりますが、国民の私たちも新聞あるいはテレビを見まして、「ひまわり」の威力に大きな期待を持っております。これにはたくさんの予算もつけられておりますが、まだこれという成果をわれわれは聞いておりませんが、今回の台風九号におきまして「ひまわり」の写真が実際に使われたようでありますけれども、私も素人なりにその写真を見さしていただきましたけれども、効果が上がったのかどうか、そこらあたりはどうでしょうか。
  103. 窪田正八

    説明員(窪田正八君) お答え申し上げます。  九号の場合には使っておりません。理由を申し上げますと、たしか、ちょっと日は失念いたしましたが、第一回の受信をして皆様の、あるいは報道関係の方にお配りしたあの図は、ただ撮ったということでございまして、それが通信上どういう問題があるかというようなことはまだはっきりしておりませんでした。したがいまして、その辺の検討をやっておるというのは、あの段階で実際の作業の中では生きておりません。実際の作業の中で生きてまいりましたのは、その教訓を生かして科学技術庁の協力もいただいて十一号から使わしていただいたというのが実情でございます。
  104. 田代富士男

    田代富士男君 もう時間もありませんからまとめて大臣にお尋ねいたしますが、いまもお話がありましたとおりに、台風九号の今回の事故は、幸いにも人命に及ぶ事故はありませんでしたが、大変な事故が起きております。ところが、昭和四十年には台風の誤った予報から二百九名の死傷者あるいは行方不明を出しましたマリアナ海難が起きております。この二の舞になるところでございましたが、いまいろいろ質疑を通じて大臣もお聞きになっていたかと思いますが、ことしの天気予報につきまして、気象庁の発表というものは台風九号だけではございません。東京におきます夏の長い雨のときの予報の食い違い、また台風十一号においても進路変更等が何回も予報されております。これ、台風九号だけではございません。こういう点をどのように今後指導監督されていくのか。また、いま気象庁の基本的な改革問題が大きく浮き上がってくると思います。  私はまとめて申し上げますと、まず第一点に、いつの台風の場合でも、陸上中心防災予報は徹底されまして、海上における人命、財産の防災というものが軽視されている。今回もコンピューターでは西へ進むと出ているならば、そういう方面に対する配慮があればそういう間違ったことは起きてはおりません。陸上中心である。ここらあたりを改革しなくちゃならない。  第二番目には、科学計器の発達した気象観測体制でありながら、これを完全に使用せずに、旧態依然とした台風探知予報法が重視されている。たとえば気象衛星「ひまわり」、これはあれだけ新聞テレビでPRされておりますが、私も写真を見たというのは撮っただけの写真だ。利用されていない。旧態依然たる方法でやっている。これどういうことなのか。ここらあたりを解決すべきじゃないでしょうか。  第三点には、気象情報班の人事体制にも問題があるのではなかろうか。責めるだけではありません。事故が起きるよりも、未然にこれ、対処するというところに、大臣として力を入れなくちゃならぬ。人員不足であるならば、これを大きく大臣の立場から取り上げていただきまして、現体制において、科学的なそういう気象観測というものが十二分に掌握できるような体制をつくるべきではないかと思いますが、この点、どうでございましょう。
  105. 田村元

    国務大臣田村元君) いずれにしましても、予報が大きく外れて、しかも何回かそういうことになって大変御迷惑をおかけした、いまのお話のように、生命に犠牲がなかったのがせめてもの幸いであったということでありますが、私、実は気象庁の仕事は最近非常に正確になったということを喜んでおったのです。そのやさきにこのような、言うなれば不始末といいますか、結果論から言えば不始末をしでかしたわけでありますが、一度気象庁の幹部を呼びまして、実際にどのように自分たちは今後しょうとしておるのか、また大臣である私にどのようにして欲しいと考えておるのか、予算等の問題を。赤裸々に一遍言ってみろ、こう言って、対話の機会を早急に持ちたいと思っております。  御承知のように、ちょっと差しさわりがあったら御勘弁を願いたいのですが、官僚はとにかく積極性に欠けるところがあります。予算要求にいたしましても、非常に必要なものについても前年との比較とか、全体との調和とか、いろんなことで胸に秘めてしまうというようなところもございます。でありますから、勇気を持って私に物を申してみろ、そのような機会を持ちたい、それが先ほど対話の機会を持ちたいと申し上げた趣旨でございますが、きょうの御質問、率直に言って私にはちょっとむずかしい面もありましたが、非常に私にとって勉険になりました。いま申し上げたような対策をまずとりあえずとってみたい、こう考えております。
  106. 内田善利

    委員長内田善利君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後二時再開することとし、休憩いたします。    午後零時五十分休憩      —————・—————    午後二時四分開会
  107. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  108. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは、自動車行政の問題について二、三お伺いしたいと思うんです。  まず最初に、自動車整備事業の問題でありますけれども、漸増する自動車の増加に伴って、自動車整備事業という問題が将来どのように展開されていくのか、この点についてのまず考え方を伺っておきたいと思います。
  109. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 自動車数の増加に伴いまして、その安全性の確保ということで、その重要な一翼を担っております整備事業につきまして、私どもとしてもこれを健全な発達を図るという方向で基本的に取り組んでおるわけであります。現在、指定整備事業大体一万四千三百ほど、認証工場が七万三千六百ということでございまして、認証工場につきましては非常に数も多うございますし、また規模も中小と申しますか、零細なものでございます。そこで、私どもとしましては、これについて中小企業近代化促進法に基づきまして第一種構造改善計画、現在第二種計画に入っておるわけでありますが、そういった計画を通じましてこれの協業化、共同化を図って体力をつけて、そして、自動車整備というものを確実に実施できる体制に持っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  110. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、たとえば昭和六十年を想定した場合、大体自動車の台数がどのぐらいに予定をされるのか、それに対して運輸省としてどれぐらいの指定整備業者を持てばいいのか、その点についての考え方を伺っておきます。
  111. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 自動車数の将来想定につきましてはいろいろな見方があるわけでありますが、私どもといたしましては、昨年の八月に三千万台を超えまして、本年三千二百万台程度に達しておる。従来のような自動車数の増加傾向で今後も伸びていくというふうには見ておりませんが、一応六十年になった場合にこれが四千万台を超えていくんじゃなかろうかというふうに思っておるわけであります。  そこで、この安全性の確保につきまして、検査体制整備という一翼といたしまして、指定整備事業の育成強化ということを考えておるわけでありまして、年々その指定整備率と申しますか、これの向上を図ってきておりまして、現在五四%台になったわけでありますが、六十年を目標といたしました場合にはこれを七〇%程度に持っていきたい、こういう考えでおるわけでございます。
  112. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 初めの構造改善事業で七〇%ぐらいまで民間の指定整備事業を持ってくるという当初の計画であったわけですね。これは完成できなかった。したがって、国の車検場の方が地域によっては非常に混雑をしているという、こういうふうな問題があるわけですね。その点について、当面この民間車検場の整備問題が、果たしていま描いているような方向に進んでいくかどうかという問題が私は非常に疑問だと思うんですね。この点について伺います。
  113. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 先生御指摘のように、これをいま私が申し上げた程度に伸ばしていくということには非常にむずかしい問題がございますが、私どもとしてはぜひ実現したいということで今後真剣に取り組んでいきたいというふうに思うわけでございます。  そこで、小規模事業者の共同化、協業化、それから適正規模化いたしまして指定整備工場数の増加を図る。また、整備内容の合理化と整備作業の生産性を向上いたしまして、一工場当たり、一つの工場で扱うところの件数をふやしてまいろう。また、指定整備工場の人材養成と申しますか、自動車検査員の養成にも力を用いまして、いま申し上げました指定整備率の大幅な向上に向かっていきたい、かように思っております。
  114. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 五十年度までの計画、あれは五十一年度でしたか、これまでの計画のときもそういういろんな回答をされてきたわけですよ。しかしながら、現に七万三千の民間認証工場から現在一万四千ですか、もうなるべき人は、やるべき人は大体指定工場になったという、こういうような感じで受け取れるのではないかと思うんですけれども、この点いかがですか。
  115. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私どもといたしましては、現在の認証工場の中からこれを指定整備工場化していくという場合に、たとえば一つの指標であります従業員規模等を見ますと、大体三割程度がそれになじむ規模になっておるわけであります。したがって、これにつきましては物的施設なり、先ほど申し上げました人材面の養成というものに力を尽くしますならば、指定整備工場化の方向へ向かえるんじゃないかという考えを持っておるわけでございます。
  116. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 その指定工場の方へ向かう条件ですね。大体財力があり、あるいはやれる人は、私はこれはまだいろいろ訓練の仕方があるでしょうけれども、あるいは指導していく方法はいろいろあるかもしれませんけれどもね、実際に民間車検場にこれからなろうとする人たちに対して、もうすでに構造改善事業は終わったわけですね。したがって、新しい何か運輸省としての方策を講じていかなければ、やはり新しい民間車検場を取ろうというような考え方はなかなか出てこないんじゃないか。そのための対策というものを、運輸省として明確につくっていく必要があるんじゃないかと、こう考えるんですけれども、この点について。
  117. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 先生御指摘のように、私どもといたしましては、四十六年から五年間で第一種構造改善計画を実施したわけでございます。それで終わりということでなしに、現在五十一年からの第二種構造改善計画というものの推進をいたしておるわけであります。これを大体五十六年まで実施していくわけでありますが、その実施していく中におきまして、所期の目的から見てこれでは足らないんじゃないかというような問題が出てまいった場合には、これを掘り下げまして対応策を考えていきたい、こういうふうに思っております。
  118. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 第二種構造改善事業は、具体的に、じゃ、現在の認証工場の人たちがそういう方向にいかれる条件にはなっているんですか、どうですか。
  119. 犬丸令門

    政府委員犬丸令門君) 第二種構造改善は、知識集約化事業と言われておりますわけでございまして、その内容といたしましては、要員の教育研修、それから第二番目には作業の標準化、合理化等によりますところの生産性の向上、それから経営管理の近代化、電算システム等によって計数管理を行わせるという経営管理の近代化、それに顧客管理の近代化、大体この四点がその内容になるわけでございます。  したがいまして、中央においてこれらのベースになりますシステムの開発を行いまして、これを知識集約化事業によりまして全国各地に教育機関、研究修機関等を設けまして、そこで人的養成を行っていくということでございます。したがいまして、これは企業集約から再び個々の企業の近代化、合理化に返るわけでございますが、そういった意味におきましては個々の整備事業がすべて参加していただきまして、それぞれの工場の生産性の向上を図っていく、こういう計画でございます。すべての工場が対象になり得ると考えております。
  120. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 その精神はよくわかるんですけれども、生産性の向上を図ることは私はベターだと思うんですよ。しかし、それが昭和六十年に四千万台に一応想定される、この車検の体制が、国は恐らくもう人員をふやすことはできないわけでしょう。車検場をまた多くつくっていくというようなことは恐らく不可能でしょう。この中で民間車検場も余り伸びない、こうなったときに、この自動車整備という問題をどうするかということは、私は非常に大きな問題だと思うんですね。確かに生産性が向上を図る、あるいは民間車検工場を台数を多くできるような形にするという、数字上はつじつまは合うと思うんですよ。しかし、現実にこの整備工場でそれだけのものが整備できるかどうかとなると、私はやはり民間車検場をもう少しやりやすいような、あるいは希望するような方向、あるいは財政的ないろんな第一種構造改善事業でやったような方法を、あるいは協業化の方法でもう少しできるような方途を見出していかなければ、これは六十年代には車検場は間に合わないんじゃないかと、こういう私は危惧を抱いているわけです。  現にもう東京でも——東京は比較的またスムーズにいっている方かもしれませんけれども、北海道にしたって、あるいは愛知県にしたって、大阪にしたって、自動車の多い都道府県は、月末が来るとなかなか車検整備ができない、あるいは国の車検場はもう満杯で一週間も予約しなければ実際に車検のテストをしてもらえない、こういうことで業者は非常に悲鳴を上げている各都道府県があるわけですね。こういう点はもっとメスを入れていかなければ、最近一、二のいろんな事件が起こっている。不正問題で疑惑を招かれるようないろんな問題点が、手抜き工事というか、手抜き車検というか、そういう問題が起こってくる可能性があるんじゃないか。こういう点を私は非常に心配をするんです。  そういうためにやはり精神的な、生産性向上だけの問題ではなしに、もう少し業態の規模が大きくなっていかれるようないろいろ構造改善事業といいますか、第一種でやったそういう性格的なものをしっかりやらなければ、六十年までのこの民間車検の増加ということは私は不可能ではないかと、こう考えるわけでありますけれども、いかがですか。
  121. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私どもいま申し上げましたように、現在第二種構造改善計画に入っておりますが、これで共同化、協業化の仕事は終わりであって、あとは生産性向上に邁進していくんだという考えのみでおるわけでございません。いま先生御指摘のように、基本はやはり整備事業の基盤の強化ということにあると思います。したがいまして、私どもといたしましては、従来からの共同化、協業化の線はこれに乗って対策を立て、推進していきたい、かように思っております。
  122. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それからもう一つ、国の車検場はもう恐らくふやすことはできないと私は考えているわけでありますけれども、現状から言ってですね。運輸省の方は何か国の車検場を全国どこかでふやすという計画は持っているわけですか。
  123. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私どもといたしましては、自動車数の増加に対応いたしまして、できる限り指定整備工場制度の活用を図ってまいるわけでありますが、他方、国の検査施設につきまして、これは現在検査コースの自動化とかいろいろな合理化をやっておりますが、最近の傾向といたしまして、やはり地域的な行政サービスのバランスと申しますか、そういった要請というものが強く出てまいっておるわけであります。したがって、そういった点を念頭に置いた国の検査施設の整備ということについては、私やはり今後も考慮していかなけりゃならぬというふうに思っておる次第でございます。
  124. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、たとえばこれは早急に解決してもらいたいのだけれども、愛知県の小牧の車検場の問題を私はいろいろ耳にするわけですよ。車検場として二年ぐらい前にでき上がったらしいんですね。しかし、新規登録の方の問題が小牧ではできない。聞くところによると、小牧ナンバーと尾張ナンバーをどっちにするかということで二年間ぐらい論争しているというような話が何かあるわけです。ところが、現地の人たちは非常にこの支所の昇格、新規登録がここで、小牧で早くできるように希望を持っておるわけですよ。  しかし、こういう問題一つがなかなか行われないという問題、私はいろいろ事情があろうと思うのですけれども、こういうナンバーの名前の違いだけでせっかくできた施設、あるいは支所に昇格しなければならぬ運輸省の施設がこんなおくれているというのは私は問題ではないかと、こう考えるのですけれども、ここをつくったいろいろな経過、現時点でどういうふうに考えているのか、この点についてお伺いしたい。
  125. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 小牧の車検場の支所の問題につきましては、私どもといたしましても非常に残念に思っておるわけでありまして、当初考えておりましたように、一日も早くこの車検のみならず、登録の面の仕事も実施できるようにしたい、かように考えておるわけであります。  いま先生申されましたように、地元の方で非常に登録ナンバーの表示の問題で相対立と申しますか、なかなか意見が一致しないと、こういう事情がございまして、すでに県の規則で支所の根拠はあるのでございますが、知事が告示で指定する日から実施ということで、できる限りこの話し合いをつけようということで、県知事にも調停をいたしまして私どもの方、また出先の名古屋陸運局が地元の方々に大乗的見地と申しますか、できる限りそういった表示問題について意見の合致を見るように努力をいたしておるわけでありまして、今後も県当局とも緊密に連絡とりまして、当省として円満解決を目指して推進していきたいというふうに思っておるわけでございます。
  126. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 円満解決、これは大臣に、私はこういう問題は行政サービスとしても早くやるべきだと思うんですよ。確かに地元の事情は言えば切りがないと思うんですよ。小牧ナンバーにするか、尾張ナンバーにするか、これは業者にしてみれば、あるいは県民にしてみればそれほどの影響があるものではないと思うんですよ。聞くところによると、名前争いを絡んでやっているような話がいろいろあるわけですね。せっかく使える機能がそういう状態でおくれておるということ自体は、私は地元民に対して非常に不便を醸し出していると思うんですね。こういう問題は早急に解決すべき問題じゃないかと思うんです。それが一年も二年もかかっているという。せっかくいい登録施設ができて、それがともかく名古屋の方まで通わなければならない、こういう不便なことをしていること自体が私は運輸省行政として余りほめられたものじゃないと思うんです。確かに地元の意見もあるでしょう。しかし、こういうものは早く片づける、これは行政としての立場じゃないかと思うんですけれども、運輸大臣、どうですか、これは。
  127. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は私、この問題について具体的に存じておるわけじゃありませんが、いまのお話を承っておって、確かにおっしゃるとおりだと思いますよ。やはり行政というものは、時に厄介なことは回り道していくというようなところもなきにしもあらずでありまして、こういう問題の解決はやはり意欲的にやっていった方がいいじゃないか。だからといって官僚的に、官僚的といいますか、権力的に押さえつけることはどうかと思いますけれども、やはり急ぐべきだと思います。
  128. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これ実務的に局長、大体見通しはいつぐらいまでに運輸省としては解決する方策なんですか、これまだ一年も二年もやるつもり私ないと思うけれども、そんなつまらないと言ったらおかしいですけれども、ナンバーの名前ぐらいのことで登録業務が渋滞するような、こういうふうな行政指導ができないんでは、運輸行政もはなはだ迷惑だと思うんですね。その点、局長の実務的に処理できる見通しはどういうふうに考えているのかですね。
  129. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私も先生と同感でございまして、ナンバープレートの表示という問題についてそれほど私はこだわっておりませんし、それに、それほどの重要な価値というものは見てないわけでありますが、しかしながら、やはり地元の方にとりますと、地方自動車のユーザーとしましては早くこれが実現して、登録も車検も同じところでできるようにしたい、こういう感情は強いわけでありますけれども、一方、地方公共団体といたしてみますと、一地点に限局された表示と、それから広域的な表示との意見の分かれと申しますか、そういうことがあるわけでありまして、これ私どもいろいろと地方公共団体の方、そこの責任の方の意見も聞き、またお願いもしておるわけでありますけれども、何分これは県の規則でその実施を決めるということになっておりますので、私どもとしてもさらに精力的に県知事にその点御相談申し上げ、一日も早く実現したいと、こう思っておるばかりでございます。
  130. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私は、日にちは切りませんけれども、そんなものは、県はやれば早くできる問題ですよ。やっぱり運輸省として、新規登録に対する地元民の声がまだ本気になってわかってないんですよね。非常に名古屋の方で登録業務が渋滞して大変だと、そういうふうな中で、せっかく施設ができておって一年も二年もやらないということ自体は、これはいろんな理由があるにしても理由にはならないと思うんですね。言いわけ程度の問題だと思うんですよ。したがって、これはもう早急に解決するように私は強く要請しておきたいと思うんです。  それから次に、認証工場の認証基準を何か近く改正されるという話を伺っているわけでありますけれども、これはいつごろ改正する予定なんですか。
  131. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私どもの方といたしましては、この改正につきましては、現在の情勢から見まして整備技術の向上を図っていく、また、公害規制に対応した測定機器の備えつけ、また、大型自動車に対しましての適正な作業面積の確保、こういった三点につきまして最近の動向から認証基準を整備していきたいということでございまして、しかしながら、これが実際に受け入れられ、そして、われわれが考えておる目的が果たせられるというために整備事業者、あるいは整備事業者の団体ともよく意見交換をしておるところでございます。したがって、いますぐこれが実施するというわけじゃありませんが、できる限り早い時期に実施に移したいとしていま作業中でございます。
  132. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは七万三千の工場の認証基準を変更するわけでしょう。私はこれは非常に慎重にやってもらいたいと思うんです。したがって、各業界のいろいろな業者の言い分なり要望なりは、十分私はくみ取っていろいろ検討を加えてもらいたいと思うんです。役所の省令一本でぱっと変わってしまって、ある意味ではむだがあったり、あるいは一番零細な、あるいは中小の整備業者が、その基準のために認証工場が取り消されるようなことがあっては、せっかくいままで営々と築いてきたものがどうにもならないと思うんです。  その点で、一点だけ伺っておきたいのは、HCのテスターの設置の法定化の問題がいまいろいろ論議されているわけです。私は公害問題としてこういう問題やることは賛成です。しかしながら、こういうものを義務づけなければならない理由の中に、やはりちょっと根拠が薄いような感じもするわけなんですね。認証工場七万三千軒に全部、七十万か八十万か知りませんけれども、HCのテスターを全部設置させなければならないという、一片の法律で決めるということ、義務づけるということ自体は、私はちょっと乱暴な考え方じゃないかと、こう思うんですけれども、この点については。
  133. 犬丸令門

    政府委員犬丸令門君) 公害防止対策強化されてまいりまして、国の検査場におきましてはCO——一酸化炭素、それからHC——炭化水素のチェックをいたしております。  それとは別に、現在だんだん低公害自動車がふえてまいってきておりますわけでございまして、これらの自動車エンジンの調整、もしくは六ヵ月、十二ヵ月といったような定期点検、この時点におきましてはエンジンの調整も当然行うわけでございますが、このときにCOメーターもしくはHCメーターを使って整備をいたしませんと、エンジンの状態が正規の排ガスが少なく出るような状態にしてあるわけでございますが、それが狂うわけでございます。  したがって、これらのメーターにつきましては、現在COメーターか認証工場のうちの九〇%、それからHCメーターが三四%の普及率になっておりますか、一日も早く各すべての認証工場にこれらを設置してもらって、せっかくつくった低公害自動車が本来の機能を発揮する形で整備をし、走ってもらいたい、こういう観点から、COメーター並びにHCメーターの義務づけを行いたいと考えておりますものでございます。
  134. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 このHC、あるいはCOの測定の問題も、五十三年からの排出規制との問題で低公害車に、いろいろ調べてみるとHCも非常に少なくなっているという、あるいは構造上非常に性能がよくなって、整備業者では調整不可能じゃないか、こういうふうなこと自体も言っているわけです。そこまで落としているわけですかち、もう低公害車になっているわけですから、それを整備業者が自動的にやれるということは非常に不可能じゃないかというようなことは自動車メーカーですら言っているわけです。そういう問題の意見がいろいろ出ているわけです。  それからもう一つは、やはり業務提携なり、民間車検場をつくろう、あるいは協業化をしよう、こういうような形にいま運輸省としては進めているわけでしょう。それを認証工場を七万三千軒に全部HCをぱっと決めた省令からすぐに設置をさせなきゃならないという、それほどのスピードが必要かどうかという問題があるわけですね。あるいは、場合によっては業務提携をしながら、あるいは民間車検場で測定してもらうなり、国の車検場で測定したもらうなり、これは私はできるんじゃないか。  こういう方法について省令で義務づけてしまうというような、こういうやり方、過去に四十五年ですか、業者等に言わしてみれば、いろんなむだな公害器具を買わされたという不満が非常にあるわけですよ。一片の省令で何だこんなものは、という意見すらあるわけですね。そういう点について、私はきょうはHCのテスターの議論はしませんけれども、こういう問題の設置義務化についても運輸省は業者の意見もよく聞いて、あるいは自動車メーカー等の意見もよく聞いた上で、このHCのテスターの設置義務化を考慮してもらいたいと思うんです。この点についてはいかがですか。
  135. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) いまテスターについての備えつけの御指摘があったわけでありますが、私どもこういったものにつきまして、その備えつけの実効性が上がるということを前提にいたすわけでございますので、いま御指摘のようなメーカーなり、あるいは整備団体なり、そういった実際に取り扱って効果が上がるということにつきましての意見も十分拝聴して検討していきたいと思います。
  136. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それからもう一つ、認証工場に今度は二名の検査員ですか、を設置しなければならないようになってくるわけですね。現在一名のところが今度二名。そうすると、約二万社ぐらいのところはいま一人の検査員でやっているわけですね。したがって、認証基準に合致するためには二万人を早急に養成しなければならない、検査員に。この問題が果たして一年や二年でできるかどうか、小さな整備工場に。やはり三人か四人しかいない中で、あるいは二人か三人しかやっていないような田舎の小さな整備工場に二名ずつ義務づけるということは、教育をしっかりやっていけば私は設置することは賛成です。  しかし、教育を一年なりあるいは半年なりでそういうものができるかどうか、その期間をどのぐらい認めるか。あるいは教育期間を長くして、そしてその人たちに免許を取らせるような教育を運輸省責任を持ってやっていく、こういう立場なら私はいいと思うんですけれども、ただ一片の通達で二人ずつ設置だ、それが認証基準だというのでは、これはいままで整備業界で一生懸命がんばってきた人たちに対する考え方はちょっと大変だと思うんです。この点についてはいかがですか。
  137. 犬丸令門

    政府委員犬丸令門君) ただいま私ども認証基準の改正について検討いたしておりますが、そのことの中で一番大きな問題と考えておりますのは、ただいま先生御指摘になりました人の養成の問題でございます。確かに一部の工場において整備士がまだ確保されていないというものが、先生御指摘のようにあるわけでございます。この人たちを、よそから人を持ってきて賄うというわけにはまいりませんので、いかんとしても、現在の事業者の中で持っていない人の整備士の資格を取ってもらうということを前提に考えております。  したがいまして、整備士の技能検定試験が年に約四回ぐらいあるわけでございますが、何回でも受ければいいというわけではなくて、実質的に十分な教育研修、これをやって、そして整備士の試験が受かるように養成していかなければならないということで、現時点において認証基準の改正云々はともかくとして、整備士の早期養成ということで、整備振興会等を通じまして、そしてまた運輸省自身におきましてもその養成計画を現在立てておりますところでございます。それから、その辺の自信が持てるかどうかというあたりを前提として、この基準の適用の猶予期間というものを考えていかなければならないと考えております。
  138. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは慎重にひとつ考えていただきたいと思うのです。  それからもう一つ、これは非常に建築法等の問題ですけれども、認証基準の建築の基準が一般で言う建物を建てるところの建築法とはかり方が違っているわけですね。これは非常に省令でいろいろ定められている運輸省運輸省の意見、建設省建設省の意見があると思うのですけれども、建設省ではかる一間というのは、たとえば外からはかるわけですね。運輸省の場合はやっぱり車庫にしなければなりませんので内からはかるわけです。したがって、新しく工場を建てかえる、あるいは二代目、三代目になってきて工場を建てかえるところは大分出てきているわけですね。  ところが、建築の基準が非常に違っているわけです。運輸省の省令と、建築法でいうところの間数とのはかり方が違っておるので非常に業者の人たちは困っている、こういう問題があるわけです。現地の方の局の方々も非常に検査のために具体的には苦しんでいるのではないかと思うのです。やはりこの点は省令を改正しなければだめじゃないかと、こう考えるのですけれども、いかがでしょう。
  139. 犬丸令門

    政府委員犬丸令門君) 確かに先生御指摘のとおり、建築基準法と、私ども車両法における認証基準の解釈に当たりましての認証工場の間口、奥行きの測定方法とは同じではない現状でございます。で、私ども認証基準の場合には、認証基準は非常に最低の基準を決めておりますので、車両を十分に格納いたしまして、そこで整備ができるという前提にいたしております。  したがいまして、有効寸法がどうしても必要になってまいりますわけでございますので、最近の建物の高層化等の現状から見ますと、同じ建築基準法で申しますならば同じになるわけでございましても、柱が太ければその分だけ間口が狭まって車の出入りが非常にむずかしくなる。もしくは作業をしながら作業員が出入りする場合に、非常に作業がやりにくいといったような形も出てまいるかと思います。まあそういった意味におきまして、私どもといたしましては、いわば内のり寸法を適用いたしておりますわけでございますが、今後ともそういった点についての混乱が起こらないように、誤解を生じないように十分陸運局等を通じまして認証工場もしくは申請者に指導してまいりたいと考えております。
  140. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もうあと二、三分しか時間がないのですけれども、あと個人タクシーの問題で一、二点伺っておきたいのですけれども、現在東京都内の個人タクシーの営業範囲の問題が二十三区並びに三多摩、三鷹、武蔵野市と、こうなっているわけです。ところが、最近の住宅事情等も考えますと、都内で新しく住宅を持って、そして車庫を兼用に持つというようなことは非常に不可能な、非常にまた費用も金もかかるということで、住宅問題で非常に困るわけですね。したがって、もう少し営業範囲の拡大はできないかという強い要請が実はあるわけです。  こういう問題について、陸運局としては、特に自動車局として、やはり営業範囲の拡大を図った方がいいのか、あるいはその地域に特別な個人タクシーの住宅というんですか、そういう車庫とかそういうものを協業化でできるような方向に進めていった方がいいのか、ここらの将来の見通しを私は明確にしておく必要があるのではないか、こう考えるわけですけれども、この点についての局長の考え方を伺いたいと思います。
  141. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 個人タクシーにつきましては、特に東京におきまして昭和三十四年に新風を業界に送るのだということで生まれたわけでありまして、私どもといたしましても個人タクシーの魅力と申しますか、これは今後も伸ばしていきたいと思っておるわけであります。いま先生御指摘の個人タクシー事業者の住居ないし営業所、この問題につきましては、私どもとしてはこれらが当該営業の範囲でありますところの事業区域内にある必要があるということも実施しておるわけであります。しかし他方、御指摘のようなたとえば二重生活とか、あるいは住宅事情というような社会問題と申しますか、そういう事態が出てまいっておるわけであります。  そこで、営業範囲の拡大という場合には、他の区域におきましても長年営業をやっておる事業者もおるわけであります。したがって、そういった営業範囲の拡大を単純に実施できない事情もありますし、他方車庫問題について、いま申し上げましたような社会的な事情もある。そこで、この両者の問題をどうやって解決していくかということになるわけでありまして、その場合に私どもとしては、やはり輸送秩序の維持の上から慎重な取り扱いをしていきたい。したがって、今後、いまの御指摘の点につきましては、個人タクシー事業者の実情を十分勘案しながら検討を進めていきたい、こういうふうに思います。
  142. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 じゃ、もう一点だけ。個人タクシーの譲渡、譲受の問題について。やはりある年齢が来て個人タクシーをやめなきゃならないと、こういった場合の譲渡、譲受の問題について、いま非常に問題になっているわけですね。これについて運輸省としてはどういう考え方を持っているのか。やはり私は年齢が来て、個人タクシーを廃業する、こういう場合に、相続人なり、あるいはまた別の人が譲渡したいと、あるいはやりたいと、譲り受けたいと、こういう問題については、的確な方法で譲渡、譲受が可能になる方向を見出すべきではないか、こう考えているわけでありますけれども、この問題についての回答を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  143. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私ども、個人タクシーの譲渡につきましては、法律的には新規免許申請者と同様に、譲り受け人についても同じ資格が要求されておるわけでありまして、私どもいま先生申されたような相続とか、あるいは縁故者にこれを譲り渡していく、いつまでも老齢になって続けられているわけじゃない、そういった実態というものについては深くしんしゃくしながら、いまの譲渡、譲り受けの事案というものに対応していきたいというふうに思います。
  144. 内藤功

    ○内藤功君 国鉄の東北新幹線に関連して御質問を申し上げたいと思います。  最初に、まず東北新幹線の工事の現在の進捗状況ですね、これは後で詳細には資料をもらいたいと思うんですが、現在の工事進捗状況の概要を、これ簡単で結構ですからお尋ねしたいと思います。
  145. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) ただいま東京から盛岡まで東北新幹線用地買収している区間、あるいは工事を実施いたしております区間、いろいろございます。ただいま私のところ、手元に持っております資料では、全体の延長四百九十六キロございますけれども、そのうちの延長にしまして約三百四十キロ、約七〇%の延長に当たりましてただいま工事を実施中でございます。残りの三〇%については用地買収がすでにそのうちできたところもございますし、まだできてないところもございまして、全体としてお金で申し上げますと約四〇%の進捗状況でございます。
  146. 内藤功

    ○内藤功君 これは私、詳しい質問通告を出していなかったので、後で結構ですから進捗状況を文書で、資料で出してください。
  147. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 提出いたします。
  148. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、新幹線問題、全体もこれ大問題なんですが、これはまた別に時間をゆっくりいただいて他の機会にやることにしまして、まず、東北新幹線が東京都内の北区ですね、上野から考えを進めてみると、上野からずっと在来線に沿って計画が進められている。そして北区内、おおむね赤羽の近所から北、北区内に入ってからの東北新幹線路線計画はどういうふうになっていますか。
  149. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 北区内は、日暮里付近から北区内だと思いますが、いま先生の御質問は、日暮里付近から赤羽付近まではほぼ従来の東北本線沿いに路線計画をいたしておりまして、赤羽から北に向かいまして、在来の線からはずれまして、方向で言いますと東北、少し東の北の方へほぼ荒川沿いに参りまして、約三キロほど参りましたところで荒川を横断いたしまして大宮の方へ向かって進んでまいると、そういうルートで計画をいたしております。
  150. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、在来線に沿っておおむね北、やや西よりですが、おおむね北に在来線に沿って向かっていって、赤羽から北へずっと行って、そして荒川を渡って大宮の方向に向かって在来線に沿って進むと、こういう路線計画は現在持っているんですか、どうなんですか。この点確かめたい。
  151. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) ちょっと、先ほど私お答え申した中に、東側と申し上げたのはちょっと誤りでございまして、赤羽から西北の方に分かれまして大宮に行くというふうに訂正させていただきたいと思います。  ただいまの御質問は、在来線の東北本線沿い付近に、赤羽から先でございますね、東北本線沿いに大宮の方へ行く、そういう計画があるかという御質問かと思いますが、ただいまの東北本線沿いに東北新幹線をつくるという計画は持っておりません。持っておらないという意味は、当初いろいろルートを選びます前にいろんな比較検討をいたしておりますけれども、その際に検討はいたしておりますが、ただいま私が最初に申し上げた、予定しておるルートの方が一番よろしいという判断で、そういうルートを計画いたしておるわけでございます。
  152. 内藤功

    ○内藤功君 私、手元に昭和四十八年三月に国鉄側から御提案になった新計画という、そういう図を持っているんですが、これによりますと、ab二つの線があって、b線というのはおおむね東北本線の在来線に沿ってずっと北に進んで大宮に向かう、こういう線が図示されているんですが、そうすると、この計画は現在ないということは、変わったんですか。変わったとすれば、いつ変わったのか、その点ちょっと。
  153. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) いま先生がお示しになりました新幹線a、新幹線bという、そのbというルートは東北本線沿いにその絵は書いてございます。確かにそうてございますね。——それで、ただ大宮と東京の間はただいまのところ新幹線は一本あれば上越新幹線も東北新幹線も一応受けられるという考え方で、ただいまのところは新幹線ルートは一本だけしか計画はございません。で、遠い将来のことを考えますと、もっと新幹線北海道に延びたり、その他の新幹線がつくられていくということで輸送量か多くなってまいりますと、東京−大阪間にはもう一本の新幹線が必要ではないかというのが当時の考え方でございました。その場合には、将来の姿として現在の東北本線沿いに新幹線計画をしたらどうだということでございますが、そのルートというのは、ただいま東北本線沿いに在来線が三つの複線になっておりまして、そのうちの一本を新幹線に代替をしたらどうだということでございます。そういう計画を将来考えたらどうかというのが先生のお示しになったその図面のルートでございます。
  154. 内藤功

    ○内藤功君 私の質問一つだけまだ答えないんですが、そういうbルートというのを、図面だけ示しながら現在持っていらっしゃらないという。そうすると、いっこのルートを断念されたのか、その理由は何かということです。
  155. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) いま申し上げましたように、何年か先、将来そういうことが必要になった時点には、いま使っております在来線のルートに新幹線を乗せたらという、そういうことでございますので、新しく用地買収をして、特に用地買収をして構造物をつくっていくという、そういうルートではないということを申し上げておるわけです。
  156. 内藤功

    ○内藤功君 そうすると、この新幹線bルートというのは、この計画は将来ともあると、ないんじゃなくてあると、こういうことですか。
  157. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 計画と申し上げましても、決まりました計画と、それから私の方が構想として描く計画と二つございます。そういう意味で当時、それは五、六年前だと思いますが、将来そういうことも考えられるなということを構想として持っておりました。しかし、それは在来線をつぶさないとできないルートでございます。
  158. 内藤功

    ○内藤功君 いま常務理事が言ったようなものは、構想としてはいまもあるんですか。
  159. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) その後、輸送の需要が当時ほどただいま伸びておりません。当時非常に輸送需要が強く伸びておりまして、なおかつ全国新幹線網というものも当時の議論としてはもっと多く必要ではないかというときにそういう構想を持っていたということでございます。
  160. 内藤功

    ○内藤功君 いまはあるんですか。
  161. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) ただいまのところは、その構想すぐやるという計画はございません。
  162. 内藤功

    ○内藤功君 次に、あなたがさっき言われた赤羽から地図で言うと左の方ですね、西北に曲がっていくこの予定路線、あなた方の構想している路線ですが、この路線昭和四十八年の三月にわれわれ一般国民、住民には公表されたわけです。その前、四十六年十月の認可から、四十八年の三月までの間は、この付近の住民の方や一般の国民は、もっと、もう少し荒川土手に近い方を通ると、口で言うとなかなか言いにくいけれども、もっと荒川土手に近いところを走るという計画で、それを前提に反対だ、あるいは何だと言ってきたわけですよ。そういう予定路線が四十八年三月に変更されたずばり理由ですね、これを御説明願いたい。
  163. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 当時四十八年に、いま公表されたと言われましたけれども、公表ではございませんが、私の方の計画としてはおっしゃるとおりのルートでいわゆる北区等にお示しをいたしておりました。その後変更した理由といま申されますけれども、北区内で通勤線の建設というものが非常に強く御要望がございました。私の方も、通勤線の問題については、これは一北区だけの問題ではなくて、埼玉県、あるいは場合によってはもう少し北の方々も含めまして通勤線の問題についてはいろいろ検討しなくちゃならないということで、ごく最近までいろんな点で検討を進めておりました。昨年の暮れ近くになって公式にただいまお示ししたルートを北区に御提示申し上げ、北区を通じまして関係の方々にお知らせをしているというのが今日の状況でございます。
  164. 内藤功

    ○内藤功君 その最初に、四十六年の認可直後に示された荒川土手に近い線と、いま皆さん方が計画として北区に示しているいまの都道補助百五十七号線沿いのルートですね。これを比べますと、変わった路線の沿線の方か、病院あり——後でまた言いますが、病院あり学校あり保育園あり、それから昔からの神社あり、住民の被害の影響というのは大きいんですね、ぐっと。密集地域なんですね。それは通勤線の問題あるかもしれないけれども、新幹線の及ぼす被害という面から見ればずっと大きいんですね。これをなぜ変えたのかということは、再度伺いますが、住民の要求だけなんですか。住民の要求というのに大分御忠実のようなんで聞くんですが、たとえば運輸省からの指示とか指導というのはどうだったんですか。
  165. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 細部のルートにつきましては、運輸省と特に御相談申し上げて決めるべき問題でなくて、私の方の国鉄がいろいろの地域の状況あるいは道路状況、その他を勘案をいたしまして技術的に私の方で決めさせていただいております。  いま申し上げた新しいルートは、通勤線のことを考えますと、荒川沿いでは通勤の利用が非常に御不便だということで、荒川から五、六百メーター内側に入れたルート、しかも予定しておりますルートの大部分というんですか、半分ぐらいの長さに補助百五十七号線という道路計画されておりまして、その道路と平行させた位置につくるのがこの付近としては一番住宅その他に影響が少ないのではないか、なおかつ御利用いただく面からよろしいんじゃないかという判断で私の方でルートを決めさしていただいております。
  166. 内藤功

    ○内藤功君 それならばお伺いしたいわけですが、いま国鉄が北区に示しているこの路線でいきますと、大体壊される家、この計画をもし——できるかできないか大問題で、恐らく非常にむずかしいと思うんですけれども、やった場合に、破壊される家屋というのは、世帯数でどのくらいと見込んでいらっしゃいますか。
  167. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) いま問題になっている区間だけではちょっとわかりませんけれども、北区全体といたしまして、赤羽よりもう少し南、東京寄りの方から北区全体で、通勤線及び新幹線、両方の線路に支障する建物は約五百戸ぐらいだと推定をいたしております。
  168. 内藤功

    ○内藤功君 もう少し限定をしまして、この赤羽駅から、八幡神社というところから赤羽台団地の地下を通って、あの星美学園という、四千人ぐらい生徒さんがいるそうですね、幼稚園から短大生である学校、その地下を通って、そして袋小学校の横をかすめて浮間橋渡って、そしてずうっと真っすぐ行って荒川の土手まで行くでしょう。その途中の保育園や何か一つ壊しますよ。スーパーの建設中のやつも壊しますよね。こういうふうにして進むいわゆる浮間地区ですね、この地域でどのくらいの家が破壊されることになるか、これはおわかりですか。
  169. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) ただいま申し上げた北区五百戸のうちの約六割がいま先生のおっしゃった赤羽から荒川を渡る橋梁の付近までの戸数かと推定をいたしております。
  170. 内藤功

    ○内藤功君 私の方で調べたところではそれよりもっと多くて、破壊される建物は、いいですか、店と事務所が大体六十五、住宅が七十四、アパート四十五、工場十四、金融機関一つ、保育園一つ、医院——病院ですね、これか四つ、それから一型スーパーでいま建設途上にあるのが一つ、それから世帯数で言うと大体四百九十九世帯、こういうような計算を私どもはしておりますがね。いかがですか、大体これに近い数字だろうと思うんですが。この浮間区域ですね。
  171. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 私の方、まだそういう詳細な調査に入れない状況でございますので、世帯数についてははっきりいたしません。私が申し上げましたのは、図面の上で見た家の戸数と申しますか、それが先ほど申し上げた五百戸のうちの約六割、約三百余りではないかというふうに推定をいたしておるというふうに申し上げました。
  172. 内藤功

    ○内藤功君 あなた方の推測よりもやはり大きな被害ですね。これは東北新幹線の農村地帯と違って、この一キロメートルというのは、私は東北の、たとえば岩手の農村地帯の何百キロぐらいに相当するんだろうと思います。人口が密集していまして、上にも下にも地下にも人が住んで、そこで昔からの生活を営んでいるわけですから、そういう大きなものかあるんですよ。  それから、もう一つ認識として国鉄にお伺いしたいんです。この計画を実行した場合の文教施設に対する影響、これはどのように見ておられますか。
  173. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 文教というのは恐らく学校を主としておっしゃられると思いますが、一番私の方で大きく取り上げられておりますのが、先生も先ほど申し上げられた星美学園、それ以外に学校が関係するのが二校ほどあるのではないかというふうに考えております。
  174. 内藤功

    ○内藤功君 その星美学園なりその他二校のこれによる影響、子供たちの学業に及ぼす影響、それから、学校がそのまま続けられるのかどうか、どういうふうな対策を、いままだ具体的な測量なんかに入ったばかりの段階だと聞いていますけれども、いまの段階でどういうふうにこれを考えてこの構想計画を持っているのか、その点を伺いたいんですがね。
  175. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 個々の学校については詳しくは構想が固まっておりません。従来一般に、学校じかに当たる場合と、学校の校庭付近を、端の方を通る場合と、いろいろケースがございまして、特に学校の施設については、区御当局等と十分お打ち合わせをしないと具体的な答えが出ないというのが従来の通例でございますので、そういう点をよく御協議申し上げて、学校等についていろいろ移転問題、あるいは改築の問題その他を含めまして、今後御協議を申し上げることになろうかと思います。
  176. 内藤功

    ○内藤功君 非常に学校の多い地域なんですね、この町並みをずうっと見ますと、東京の中でもやっぱり密集しているところなんですよ。星美学園というのは、これは私立のミッションスクールですね。女の人の学校ですけれども、もう地下をばっちりこれは通るわけですね。地元の人は、こういう何というか、無神経なやり方というものも批判していますし、同時に、この付近を通る場合に、大体私どもの調べでは学校が五つ、非常に至近距離を通るんです。  ちょっとこれを調べて答えてもらいたいんですが、まず、星美学園のほかに、浮間四丁目にある浮間中学校、西浮間小学校、それからあと幼稚園では浮間幼稚園、明日香幼稚園、こういう四つの小中学校、幼稚園が、本当にもう目と鼻の先を通るような関係になりますね。ここらあたりの配慮はどういう構想を持っているのか、この点を伺いたい。
  177. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) このような都会地を通ります場合は、いま先生の申された小学校あるいは保育園、幼稚園等がいずれの地区ともございます。ただ、どういう方々が利用されているかというところまで、どういう付近の方々がここにあるたとえば保育園に通われているか、そういうところまでただいまのところはよくわかりません。従来のいろいろな例では、そういうことをよくお話し合いの上、移転をするのか、あるいはその場で改築をするのか、いろいろケース・バイ・ケースに応じて御協議を申し上げておるというのが実態でございます。
  178. 内藤功

    ○内藤功君 これは、国鉄計画はえてしてそういうのが多いんですが、一応計画をつくって、あとは何とかなるだろうという形の計画が非常に多いんです。常務理事自身がいまの程度の御認識だというので、私は非常にこれは遺憾なことだと思うんですね。  ゆうべも実は私はあるテレビを見ておりましたが、民放のテレビですが、ちょうどこの北区の浮間の問題やっていましたよ。この地域に住んでいる住民の電気屋さんの方が、本当に、ほかのところを調べてきて、国鉄当局は、トンネルをつくるというときに、上から掘っていって穴を開けた、しかし後ふたをしない、放置しているところがあると、こういうことを言っておりますね。これは上越新幹線を見に行った人がそう言っている。それから、一人の非常に老婦人ですが、きのうのテレビを見ておりましたら、自分としてはもう人にどんなに言われてもここを立ち退くことはできない、ということを言ってます。みんなが小さいときからつくり上げてきた、そういう町並みなんですね。大体いままで鉄道が通っているところの人じゃないんですね。鉄道の音から遠く外れたところに住んできた人ですから、この環境破壊に対する抵抗というか、怒りというか、批判は非常に強いということを私は申し上げておきたいんですよ。  私はさらに申しますけれども、一たん昭和四十六年の認可直後に、この荒川の土手に近いところをずっと通る計画構想を持っていながら、その後四十八年になって変わった。さっきのお話だと、これは通勤新線の関係だと言うけれども、私は、やはりそこのところにいろんな状況、いろんな話があったということを聞いております。これはきょうここでは私はあえて言いません。言いませんが、非常にこの点を住民の人たちは、なぜここを通らなければならぬのか、これほど人口が密集し、医者も多く、学校も多く、そうして幼稚園、保育園、一番密集したところをなぜ通らなければならぬのかということは納得がいかないという状況であります。これは、私はもう路線の変更そのものを含めて考えなきゃならぬ状態に来ていると思うんですよ。  私は常務理事に伺いたいが、五十二年、ことしの二月から三月にかけて、区議会主催でこの地域で七ヵ所にわたって懇談会が開かれたことは御存じですか。
  179. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 承知いたしております。
  180. 内藤功

    ○内藤功君 これには、国鉄側からはどなたも出なかったんですね。
  181. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 出席をいたしておりません。
  182. 内藤功

    ○内藤功君 この中で出た住民の意見というものは当然調べておられると思いますが、どのように国鉄当局は承知されておりますか。
  183. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 区議会が七地区に分けて説明会をするということで、私の方も出席をしたいというふうに申し上げたんですけれども、国鉄は出席するに及ばずということで、区議会の主催で行われたのでございます。いろいろな意見があって、非常に反対という意見もございましたけれども、その意見を集約されて、その後区議会でいろいろ御議論があったというふうに伺っておりますが、個々の声については反対が非常にあったということは聞いておりますが、また声なき声の賛成もあったというふうにも伺っております。
  184. 内藤功

    ○内藤功君 それは私のところにも当時の懇談会の記録が一部ありますけれども、いつでもお見せしてもいいですけれども、声なき声というのは表に出てきてないんです。ここにあらわれた声というのは、圧倒的多数がこの浮間の生活、商業というものを破壊していくということに対する反対論のように私は聞いております。この点はよく調べて、そしてその住民の意思というものをしっかり確認していくということが私は大事だろうと思う。これを無視していけば、反対の意見をさらに助長して、新幹線はおくれてきますよ。ですから地元の人は、いま新幹線をおくれさしているのは国鉄じゃないか、つまり西北に回っていくこの路線を固執するその国鉄がおくらしているんだということを、まああなた方はお腹立ちかもしれないけれども、そういうことを言われておることを申し上げておきたいと思うんですね。  それで、次に環境基準を守るという問題についてひとつ聞いておきたい。去年の、五十一年の十一月十一日付の国鉄の回答によると、いわゆる騒音についての環境庁長官告示と、それから振動についての長官勧告を遵守をするというのが載っておりますが、これはあたりまえのことであって、書いてあってもなくても、環境庁長官が新幹線について下した告示と通達、指針というものを守るのはあたりまえだと私は思うんですけれどもね。この七十ホン、七十五ホンというこの騒音の環境庁長官の基準自体、私どもはこれでもまだ不十分なものと思っているんですよ。この七十、七十五ホンというものについて遵守をするとありますけれども、これは現状においてどのように守っていく保証があるのかという点を伺いたい。
  185. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 環境基準を遵守するためには、まず音源対策と周辺対策と両方あわせて環境基準を守るというのがお示しを受けた指針の内容でございますか、私の方ではただいま山陽新幹線等でいろんなテストをいたしております。その結果、この地区では音源対策でほぼ指針値が守れるんではないかという自信を持っておりますけれども、なお、これの実際の設計、施工を進める段階には、ただいま小山地区でもいろんな試験をこの一年間実はやりたいというふうに考えておりまして、それらの成果を入れた上で環境基準を守るように努めたい。ただいまのところは環境基準を守る自信を持っております。
  186. 内藤功

    ○内藤功君 この七十、七十五という数字自身が、非常にいま専門家の中から問題にされているわけですね。たとえばここに私持っているんですが、東北大学の工学部教授で、騒音制御工学会の副会長の二村さんという方が、ある新聞にお出しになった論説を私ずっと読んでいまして非常に問題だと思ったのは、この国鉄のいま守ると言っている七十、七十五という数字自体が、睡眠妨害とか聴取妨害という生活環境について、百人のうち二十人から三十人が不満を訴える値である。そして、国際標準化機構——ISOの評価からいっても理想的な値とは言えない。行政目標値としてはまあまあの値であっても、環境という立場からは不十分であると言わなきゃならぬ。  そして、しかもいままでたとえば五十ぐらいの自然音しかなかったところに、日に数十回、回数によると七十回そういうものがくれば、不満が出てくるのは当然だということを、この人は科学者としての立場からでしょうね、この指摘をしているわけです。私はやはりこれを守るからと言っただけではこれは問題解決しないのであって、もっとこの七十、七十五という値自体を引き下げるという、そういう努力の考え方は国鉄にあるのかないのか。そういう点をひとつ伺っておきたいと思うんです。どうですか。
  187. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) ただいまの技術水準で、音源対策でこの数値を守るということは非常に技術的に困難なことでございます。七十、七十五ホンというのを音源で守ることは非常にむずかしいのがただいまの技術水準の実態でございます。したがって、行政値としての目標値として与えられましたことに向かって私らがいま一生懸命努力をしているところでございます。いま先生のおっしゃった二村教授については、私の方も十分よくお打ち合わせをしたり、御意見を伺ったりしておりますので、御意見はよく理解をいたしております。  先生のおっしゃいますように、七十ホン、七十五ホンでは睡眠が侵されるという方がまだ何割か残るんだということも承知をいたしておりますけれども、私の方はいま、新幹線につきましては、深夜の運行というものはただいまのところ考えておりません。そういうことも含め、あるいは列車の本数等も考え、またこの付近の並行して走ります道路等から発生する暗騒音、これは私らがいま考えている七十、七十五ホン以上の暗騒音がこれらの道路から発生いたします。したがいまして、国鉄から出る音源対策だけじゃなくて、将来そういう道路その他とよく御協力をしながら、周辺対策の環境整備ということをあわせていくのが将来の姿かというふうに考えて、そういう方向で努力をしたいというふうに考えております。
  188. 内藤功

    ○内藤功君 きのう実は、国鉄の当局の方に来ていただきまして、私、きょうの質問内容についても大綱は申し上げて、そして国鉄当局側のお考えをいろいろ承ったわけですが、その折に、荒川の土手に近いところを走る予定の構想を、現在の補助百五十七号線沿いに変えたというときに、当時の運輸省の政府次官から特に御指導があったということのお話があったのですが、いかがですか。
  189. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 運輸政務次官からというよりも、当時非常に地元の方々が通勤線を強く御要望になったという事実はございます。そこで、国鉄は一体通勤線についてどういうふうに考えているんだという御下問があったことも事実でございます。私の方は、この地域自体の通勤並びに埼玉県南及び県北あわせた全体の通勤ということを考えれば、通勤線等はぜひ近い将来これはつくるのが全体の輸送から見てもよろしいのじゃないかというような御意見を申し上げたことはございます。ただ、路線自体のどこを通るかということにつきましては、これは国鉄の自主的、技術的な判断で決めさせていただいております。
  190. 内藤功

    ○内藤功君 そういう過程の一つとして、いわゆる御下問があったということはいまわかりました。  そこで、最後に大臣に二、三点伺いたいんですが、まず大臣は、いまの国鉄新幹線計画それ自体、非常にこの高度成長期に政府並びに国鉄当局が、何というか、功を焦るというか、そういうことで勢いに乗って、住民の環境とか、それからもちろん国家の財政、国鉄の財政というものはどうでもいいと、とにかく勢いに乗って功を焦ってやったというような反省はお持ちですか。
  191. 田村元

    国務大臣田村元君) 功を焦ったという表現が正しいのかどうか私にはわかりませんが、高度成長に即応すべく作業を急いだであろうとは思います。
  192. 内藤功

    ○内藤功君 私は、そういうことの一つのひずみが、この東京都のいま話をしていた北区の問題に出てきていると思うんですね。さっき私が聞いたように、在来線に沿って行く構想があったのです、いままで。いまも捨ててはいない。いまのところは、この在来線に沿って大宮に行く計画を、いまやる気持ちはないが、捨てたとは常務理事言わなかったわけです、ついに。このコースがあるんですよ。ところが、赤羽まではずうっと在来線に沿って行って、赤羽のところから、私もずっと何回も見ましたけれども、左に曲がって北西の方向にずうっと行っている。これが浮間の、星美学園という四千人ぐらいの学校、それから高等学校あり、保育所あり、病院あり、これを全部横断して行くわけですね。この都会の中を本当に生々しくえぐり取っていくという感じがしますね。  私はこの計画は、路線を変更しないでこのままいけば、住民の方は祖先伝来の土地だということで争うということになると、徹底的な抗争状態になるということを非常に恐れるわけです。私は決して新幹線をつぶそうという気持ちはない。新幹線を生かすためには、この路線計画のこのコースがいいかどうかを含めて、やっぱり大きな立場で見直しをいま迫られている状況だと思うのですね。大臣は、この全体の計画、それから都市の真ん中を通るという計画についてどういうふうにお考えになるか。これは国鉄当局に言っただけではあかぬのです。最終的な認可権、指示権を持っているあなたの方にやっぱり大きな政治判断を待たなきゃならぬですね。そこらあたりのお考えを伺っておきたいんですがね。
  193. 田村元

    国務大臣田村元君) 私のときに認可をしたものなら相当はっきりと物が言えるかもしれませんけれども、私自身は、この仕事を国鉄がずっと続けておるということの報告を引き続いて受けていったという立場でございます。新幹線のみならず、空港でも何でもそうでございますが、地元の迷惑ははかり知れないものがある、それは私はよくわかります。ただ現在、国鉄がとにもかくにも地元といろいろ折衝をしておる。聞くところによりますと、通勤線を併設するというようなことも議会に提案をしたと、その了承はまだ得られないようでありますが、そういうような経過が昨年来あるということでありますから、いま私がここで右せんか、左せんかというはっきりと言葉の表現をすることは、これは私はやっぱり妥当でないんじゃないかという感じがいたします。  いずれにいたしましても、おくれておることは間違いのないことでございます。地元の迷惑も間違いのないことでございます。でありますから、国鉄当局が引き続き環境基準等の問題に十分留意しながら、鋭意誠意を持って折衝を続けて早期着工ができるように努力をしていくということを願う以外に、いまのところ私自身からとかく申し上げる段階ではないというような感じでございます。
  194. 内藤功

    ○内藤功君 残念ながら時間がちょうど来ましたので、私は最後に、これはどうしても人口密集地帯のいまの路線を固執している限りは、新幹線を早く着工したいと大臣が幾ら考えていても、この地点でもって恐らく不可能に近くなってくるだろうと思います。私ははっきり断言してはばからないですよ。ですから、この路線の変更も含めた新幹線計画の再検討、これは私はもう答えは要りません。大臣の答えは要求しませんが、大臣国鉄当局に強く要求して私の質問を終わります。
  195. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 私は、最初にお聞きしたいことは、日本船に救助をされたベトナム難民の問題なんです。  まず、いま日本に来ている難民がどのぐらいいるんですか。数を知りたいんです。
  196. 山野勝由

    説明員(山野勝由君) お答えいたします。  昭和五十年五月、最初に救助が行われましてから、現在までわが国に上陸いたしましたベトナム人の数は千二百六名、このほかに本邦に一時滞在中出生した者二十名。合計千二百二十六名に達しております。
  197. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それのめんどうはだれが見ているんですか。せれからそれのいろいろかかる費用ですね、その辺はどこから出ているんですか。
  198. 山野勝由

    説明員(山野勝由君) これは国連に難民高等弁務官事務所というのがございまして、こういった人たちの世話を行っておりますか、本邦滞在中の経費につきましては、国連の難民高等弁務官事務所が負担しております。  それから、滞在中の世話につきましても、この難民高等弁務官事務所が行っており、現在東京に、この事務所の東京駐在所というのがございまして、その駐在所が直接難民の世話に当たっております。ただし、実際には東京駐在所の調整のもとに民間施設がこういった人たちを収容しておりまして、実際の世話は、この民間の施設で国連の調整のもとに行われております。
  199. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 かなりの数だと思うんですね。いま千二百からの人が来ておる。ですから、それだけの人たちが救助されてくるというのは相当な船があったと思うんです。で、日本船がそうやって航海中にベトナム難民を見つけて、助けてくれと言うから救ってやる。そういうときにはどういうことをせいという指示は政府が出しておるんですか、何か。そのときの、そういう場合の取り扱い方。
  200. 山野勝由

    説明員(山野勝由君) 法務省の入国管理局といたしましては、関係の船が本邦に入港いたしまして、その後のこういった人たちの上陸手続を行うことにしております。それで、その上陸手続を行うに必要な情報というものを関係の、特に代理店でございますけれども、通じまして連絡を受けております。
  201. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 日本に来て、入国のときだけでなくて——これは法務省だからそういう答弁になると思うんです。きのうも私は官房長官に答弁求めまして、そうして日本政府としてどうしようとしているのかということをお聞きしたいと思ったんです。  具体的に申し上げますけれども、この二週間ほど前に伊藤船舶所有のこれは五百トンのタグボート、何か一万トンぐらいの、恐らくスクラップにするんだと思うんだが、廃船を引っ張って、そうして走っているときに、難民が白旗を振ってやってきたので、それはしようがないから収容した。五百トンのタグボートですから、そこに乗っていた乗組員というのは十三名、そのとき収容した難民がどのくらいかというと七十名だと言う。  それで、いまお話もありましたように、国連の方の難民救済高等弁務官の方と会社を通じて連絡をとって、とてもそんな大ぜいの人をどうにもならないから、近くの香港に上陸させて収容させた。だから、定員十三名の船にそれだけ収容したら、食糧から、水から、大変なことになるんですね。そういうことを政府の方が、どういうふうにそういう場合に扱えということを指示をしているというか、決めているのか、その辺を明らかにお聞きをしたいんです。
  202. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) ただいま御指摘のケースは、ベトナムの難民でございますけれども、船が航海中に海上で遭難をしている人を見つけた場合に、これを救助して最善の措置をとるということは、いわば船乗りとしては当然の義務であるというふうに考えられてもおりますし、また日本の船員法で船長の義務としてまた規定しているものでもございます。したがいまして、現実にただいま行われておりますベトナム沖で漂流している難民の人を、日本の船の船員の人が救助するという場合には、ただいま申し上げました一般的な物の考え方、これに基づいて行われているわけでございまして、たとえば、私どもの方の役所から船主の皆様、あるいは船員の方々に特別の指示めいたものを出しておるという事実はございません。
  203. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いや、海運局長、もう少しはっきり言ってくださいよ。  それでもう一つ、ここにも、これは三幸丸という船の船長の航海日誌の写しなんです。この船は二千九百九十八トン、定員が十九名しか乗っていないんですね。それで、この九月の十一日に香港からシンガポールに向かって——これは私は全部読んだんですが、そうしたら、シンガポールに向かって航行中に、やっぱり小さな七トンの漁船です。白旗を振りながらやってきたので、それではというので救助をしたんですけれども、その遭難者が三十四名おったと。ともかく相当疲労もしているから、おかゆをつくって食べさしたり、健康状態も調べたり、そういうことをやって、それで翌日船長さんがよくまた巡視をしていったら、頭数が三十五名おるというんです。どういうか、なにしてみたら、生後四十日の赤ん坊もいたんだというんです。それで、それはもう、ですからその母親なんか疲労し切っているんで、ビタミン剤なにしてやったり、特別の乳をつくって飲ませるようにしたり、それからほかの遭難者にはたばこを何百本もやったりというめんどうを見ながら、それからがずっと始まるんですね。  それで、これ見ておりますと、それから結局シンガポールまで行って、シンガポールへ九月の十四日着いて、すぐ翌日十五日そこは出ちゃって、十七日にインドネシアのジャカルタへ入るんです。それで、そのジャカルタでもってそれを上げてくれるかくれないかって、こういろいろ何やかんややって、結局日本の大使館に行きまして、日本の大使館から一等書記官沼田さんという方がおいでになって、それがインドネシアの外務省と折衝をして、結果的にはそのまま日本に連れて帰ると、そこで上げないで。それで結局、ですから、それからまたさらにパレンバンまで行って、日本のあそこの四国の坂出へ入ったのが十月の十六日。それから今度いろいろこちらの方のそういう手続を経て、十七日に上陸が許されて、もちろん行き先は宮崎県のあちらの社会福祉、そういう団体のところに引き取られたということになっているんです。  その間の事細かに船長がずうっと記録を書いているんですけれども、一ヵ月以上にわたって自分たちの定員よりかもはるかに多い人たちのめんどうを見ながら、そういう航海をしていくということの食糧の問題水の問題、それから何だかんだ自分会社なり、あるいは日本の関係なりと電報で連絡をし合わなければいけない、そういうものの経費、小さい会社だと、もう何というんですか、つぶれちゃうというんですね、とてもじゃないけれども、それだけのことをやっていこうとしていたら。ですから、その辺のところが、やはりもう少し政府でもってきちんと、そういう場合の扱いをどうするんだと。それで、そういう形でかかったならば、その経費なら経費は、それは政府なら政府で補償するなりなんなり、その辺のことをきちんとお決めになってやっていただかなければならないし、その辺をどうお考えになっているかです。
  204. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) ただいま例にお挙げになりましたように、いわば人道上の問題として船長以下船員さんがそういう難民を自分の船に救助した後で、結果的にいろいろと船の方で苦労をしておるという事実は私どももいろいろと伺っております。ただ、いま経費の問題についてお触れになりました。その経費の問題については、以下私、現在の取り扱いというものにつきまして御説明を申し上げます。そもそもこういうふうになるということ、日本の船が外国の港に難民を連れて行った場合にどういうふうな取り扱いをするか云々という問題につきましては、また改めて別の担当官庁から御説明をする機会があろうかと思います。  経費の問題でございますけれども、これは通常の海難救助の場合と同じような取り扱いを普通船主としてはしておりまして、すなわちいわゆるPI保険でございますけれども、船主責任相互保険組合、船主は大体すべてそういう保険に加入しておりまして、いろんな思わざる支出というものをこの保険でカバーしております。この保険によりまして、救助に関連して通常以外に支出をいたしました金額について補てんを受けておるということがいまの実情でございます。たとえばお話しございました、もちろん乗せた人たちの食糧の問題、あるいは先ほどおっしゃいましたこのことに要する各地との通信のお金、あるいは予想外の人を乗せたために航路をデビエイトしたために要したお金とか、そういったようなものにつきましては、通常このPI保険でもって補てんを受けている。それは結果的にはちょうど海難救助を行った場合の救助船舶がやっておると同じようなやり方を現在はしておるというのが実情でございます。
  205. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 時間がないので、もうちょっと聞きたいけれど。ただ海運局長ね、これも私、海運局長にお聞きすることも若干無理だと思うんだけれども、何か局長が御答弁だということを聞きましたので、もう余りそれ以上無理なことを言っても仕方がない。ただ、福田総理だって、人命は、地球よりも重いと言ってハイジャックの問題のときにああいう措置をなさったわけなんでしょう。ですから、そういう点からいくならば、いまもそれは局長か人道上の立場に立ってというお言葉を言われたんだけれど、そういう立場に立って、そしてやっぱりもう少し愛情のあるというか、本当にそういうことやってきた船なり船会社なり、そういう人たちの、乗組員たちなんかにも、もうちょっと感謝の気持ちを持って、それは御苦労さんだったという、そういう気持ちを持って取り扱うようにしてあげていただきたいと思うんです。それで、いろいろ細かいことはまたやっておると時間がございませんからそのくらいにして、その要望だけ申し上げておきます。  それから二つ目には、近海問題です。これはまず——これもお聞きしていくんだけれど、日本船であったものを外国に貸し渡しをしたり、あるいはチャーターバック船にしたりというの、昭和五十年当時は百二十隻というように聞いているんだけれど、現在はどのくらいあるんですか。
  206. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) チャーターバック船、いま私が手元に持っております資料では、正確に全体としてどのくらいいまあるというデータを、申しわけございませんがいま手元に持っておりません。ただ、何がチャーターバック船であるかが非常に一つ一つを若干つかまえにくい点もございますので、ただそれを御説明する別の手段といたしまして、インドネシアと日本の間に木材を輸送するために日本の船会社が南洋材輸送協定という一種のカルテルをつくっておりまして、登録船制度というものをつくっております。  これに、ここの協定で登録をした四百隻以上何がしかの船というものがこの協定に基づいて南洋材を運ぶというふうなことが行われておるわけでございますけれども、この登録船、名前がぴちっとわかっておりますけれども、この登録船が昭和五十年一年間に十七隻、いわゆるチャーターバック船として新たに登録されたものがある。その次、昭和五十一年一年間に、さらにその十七隻に加えまして九隻新たにチャーターバック船として登録されたものがある。今年、五十二年、ただいままでにまたさらに十四隻新たに登録されたチャーターバック船と思われる船がある。つまり、この船は全体として登録船が四百隻前後でございますけれども、それに対しまして、いま申し上げましたように、毎年、この部分について申し上げれば、十七隻ないし十九隻一年間にそれがふえておる、こういうのか実情でございます。
  207. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 いまの数字はチャーターバック船だけを取り上げたと思うんですね。しかも、それも南洋材を運んでいる。そうでなくて、これはおっしゃるとおり、非常にむずかしい内訳をするといっても、しかしながら、およそのところで、海運局長、私がつかんでおるところからいくなら概数約三百隻あるはずですよ、いま。問題は、昭和五十年のときに近海船の就航船腹が約五百十万デッドウエートトンであって、日本船が二百三十万デッドウエートトン、外国船が二百八十万デッドウェートトン。五百十万トンもあるんだけれど、いまのラワン材を運んだりなんかするのの適正な船腹量というなら三百万トンだ、二百万トンが多過ぎるといって、その過剰船腹を減らすために日本では建造規制をなさったはずでしょう、運輸省の御指導で。そうやって建造規制もやってきたんだけれども、現実にいまどのくらいになっているかというと、その五百十万デッドウエートトンというのが六百万トンあるというじゃないですか。  それで日本船の方は五十年のときに二百三十万トンデッドウエートンあったのがいまはもう百八十万台に減っちゃっている。だから日本だけがそうやって、言うならば船腹過剰だから減らさにゃいかぬといって近海船航路に走っているのを二百三十万トンから百八十万トンに減らした。新しい船をつくるのも規制をして当分やめようじゃないかといってやめさした。ところが、実際にそこへ外国からそうやってやってきて走り回っている船は逆にふえちゃって、そしてそれが、いまの日本の船会社そのものの、言うならば企業基盤を危うくしてきているんだし、結局船員も大変な苦しい状態に追い込まれているんだし、その辺をどうお考えになっておりますか。
  208. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 御指摘のように、近海船が、近海区域の船腹が過剰であるということで、昭和四十七年以来御指摘のように建造規制というのをやっております。これは、御説明の便宜に申し上げますと、日本の船主の建造につきましては、通常の近海を就航する一般型の貨物船の建造は原則としてさせない。それから外国籍の、つまり輸出船でございますけれども、これはナショナルラインであるとか、そういうようなものは若干の例外ございますけれども、日本へのトレードには参加しないということをはっきりさせてもらったものについてだけ日本の造船所で建造することを許可する……
  209. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 もうちょっとはっきり言ってください、最後のところを。
  210. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 日本へのトレードには参加しないということをはっきりあらかじめさせた船に限って、それは建造を許可するけれども、日本へのトレードに参加するということをしないよということがはっきり言えない船については、いわゆる外国籍の輸出船であってもそういうものの建造はさせない、こういう方法で近海型の船の建造規制をやってまいって、一時ちょっとこれは中断をいたしましたけれども、今日なおその方針を堅持しております。
  211. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それはわかっているの。私が聞きたいのは、日本の国はそういうことをきちんとやって、そしてその船腹過剰なのも少し減らさにゃいかぬから、新しくつくるのも規制したりなんかしているんだけれども、現実に就航している船はどんどんふえてきているでしょうと、日本から海外に売った船なんかがそこへどんどんやってきているんだけれども、それをどう考えているんですかと言うんですよ。
  212. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 御説明を続けさしていただきます。  いま私が御説明申し上げましたような建造規制というものを、もちろん日本の造船所で建造される船に関連してだけ、もちろんそうでございますけれども、したわけでございまして、その結果、やはり近海の荷物の総量と、それから日本近海——東南アジア近辺でございますけれども、ここに就航している総船腹量、正確に私どもが把握しているわけではございませんけれども、恐らくは相当に船腹の過剰状態の改善には私どもは役立ったというふうに判断しております。  ただ、日本の造船所だけをコントロールすれば、日本のいわば国外である東南アジア水域全体の船腹が何とか供給の調整ができるというふうに考えるところにもともと多少の無理がございます。無理があるどころか、最近においては近海船に就航するタイプの船、これを建造する能力は日本以外の造船所にどんどんどんどんふえてまいっております。したがいまして、いま申し上げましたような、日本国がとっておりますような建造規制によって、東南アジア水域の船腹過剰状態というものを、それのみをもって調整しようとする努力にはどうしても限界があると私どもはかくのごとく考えております。  ただ、先ほども例に挙げました南洋材協定、これは非常に数字がとりやすいものですから、いつもこれを例に挙げるわけでございますけれども、南洋材協定の登録船全体の数は、この期間を通じまして、全体としては四百二十五隻から四百九隻に減っております。この間、木材の日本向け輸送量もふえたり減ったり、またふえたりしておりまして相前後しておりますけれども、この南洋材協定のワークしておりますインドネシア材木の日本向けの輸出ということにつきましては、この船腹の過剰状態というものが相当に改善されまして、結果的にこの南洋材の運賃が一時暴落しておりましたけれども、最近大体一番ひどかったときの倍近い値段であるところの十七ドルであるとか十八ドルであるとかいうふうにいま改善されておるのは、きわめて限界があり、やりにくいことであるけれども、日本において現在やっております船腹の調整ということの一つのあらわれではないかというふうに考えております。
  213. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 それじゃ念書船はいまどうなっているの。それで、五十年の六月ですか、海運局長通達をお出しになったのは。あれ以降の違反したのというのはどのくらいあるんですか。
  214. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 念書船でございますが、私どもがいま承知しているところで、四十七年の六月以来その建造規制をやりました。したがって、その規制をやりましたから、念書をもらって建造を許可した船ができております。このとき以来今日まで私どもの記録では二百二十五隻、約百八十万重量トンの船がいわゆる念書船として日本の造船所で建造され、外国に輸出されております。この二百二十五隻の船は、先ほど申し上げましたように、日本へのトレードには参加しませんよということを一札入れているわけでございますけれども、私どもが調査しておりますもので、そのような断りというものにいわば逆らって日本へのトレードに、つまり日本の港にまた荷物を積んで入ってくるというケースは残念ながらございます。  いま私どもが承知しておるところでは、昭和五十年一月−八月、八ヵ月の間で延べ十件そのようなケースがございます。それから昭和五十一年、このときは調査をいたしましたのが九月−十二月、この期間に十件ございます。今年四月−七月の間で十五件ございます。つまりいま世界全体で二百二十五隻の船が、帳簿の上でそういう船が動いているわけでございますけれども、調査いたしますと、この程度にどうもそういう念書を入れておるけれども日本へのトレードに参加しておるものがある、残念ながら事実でございます。これらのものについてはいろいろと後追いの調査をして、してはなりませんぞというふうな警告をしておるということでございます。
  215. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 年間三、四十隻が約束を守らないでやっぱり日本に入ってきているというふうに見たらいいわけですね、いまのあれからいくならば。四ヵ月間で十件だとか十五件とかというんだから。
  216. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 八ヵ月です、実際。
  217. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そうすると、八ヵ月で二十五件ならば三十件か四十件あることになるんじゃないですか。  それからもう一つ、あと大臣が来てからまた何したいと思うんだけれども、結局さっきのような建造規制をして、新しい船をつくらなくしたためにいま老朽船化しちゃったでしょう、みんな。それで修繕費も高いし、今度は修理をするったってかなりお金がかかって、言うなら経済性からもうだんだんだんだん、いわゆる競争力が落ちていくわけです。そういう点からいきますと、いま船腹過剰という関係もあるけれども、あんまりぼろになっちゃった、そういう経済性がもうなくなっちゃったという点からいけば、新しくここでもって代替船の建造ということも考えなくちゃいけないんだけれども、その辺はどうお考えになっておりますか。
  218. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 御指摘のとおり、四十七年以来日本の船主の近海船につきまして建造を規制してまいりましたものですから、平均的に日本の船主がいまだに持ち続けておる船の船齢はずっと古くなってまいりました。いわば老朽化してまいりました。御指摘のように、何とかこの日本近海商船隊の、物としての近代化というものを図る方策を考えていかなければならぬかとわれわれは思っております。ただ、午前中にもたびたび御説明申し上げましたように、コストが高いものですから、競争力のある新しい船というものをいかにしてつくらせるか、また全体としての船腹過剰傾向をどうやって抑えるかということについてはさらに検討を加えまして、何がしか秩序のある、  いわばスクラップ・アンド・ビルドといったようなことを将来の近海船については考える必要があると痛感しております。
  219. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 次に、運輸省の方でも雇用促進センターというのを何か構想をお持ちのように聞いたんですが、船員の。これは、外航の船主団体というのは御存じのように大きなのが二つありますですね。その船主団体に加盟をしてない中小労協に加盟をしている非系列の船主二十二社、言うなら九十三隻、船員が三千六百五十八名いるんですけれども、このいわゆる非系列の二十二社のうちの十六社が、十月の十三日に一つの意向として提示しているのがあるんですけれども、そこで何と言っているかというと、一つは賃金、労働時間、休暇など労働条件の全面引き下げ、二つ目には退職金を含め船員債権の清算を図り、専属雇用制度を改めたい。どういう意味かはもうおわかりだと思うんです。  この二十二社のうち、もうすでに会社が閉鎖になったり会社更生法適用になったのが五社ある。さらに中小造船所を親会社に持っている船会社、で、いわば中小造船所がもうあっぷあっぷしてますので、そういう関係からも、もうどうにもならなくなっているのがさらに四社。その辺のところが、いま企業存立そのものが危機に瀕しているわけなんですよ。そういうような、言うならば中小の、特に非系列のそういう会社が大変な危険な状態にあるわけだけれども、運輸省の方で雇用促進センターなんかお考えになっているんだけれども、そういうものとの絡みで、弱小船主の育成ということについても含めて何かお考えがあるのかどうか、お聞きしたいのです。
  220. 高橋英雄

    政府委員高橋英雄君) 最近の非常に船員の雇用情勢の厳しい情勢に対処いたしまして、船員雇用の促進及び安定のために、外国船にも日本の船員を乗せていこう、職域を外国船にも広げていこうというふうなことで、船員雇用促進センターというふうな構想について現在検討を進めておるところでございますけれども、当面は外航の二船主団体——外航労務協会というのと、それから外航中小船主労務協会というのがございますが、この加盟の七十五社を当面は対象としてこういった構想を行っていこうということでございますが、ただいま先生御指摘の二十二社というのは、この外航中小船主労務協会の中に含まれておりまして、したがいまして、現在の時点ではそういった社も対象として含めて、構想について検討中ということでございます。
  221. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 時間もないので……。  大臣お戻りになったので、いままで海運局長とお話をやりとりしておったのをお聞きになっていないんですから申しわけないんですけれども、私の方からお聞きをいただきたいことは、五十年の六月の二十七日に、運輸省の海運局から衆議院の運輸委員会に「近海海運問題について」というものが提出されているんです。それで、この近海海運という、いわゆる東南アジアを走り回っている船の関係のことなんですが、先ほども海運局長の方に申し上げたんだけれども、適正船腹が三百万トンぐらいでいいところを、日本船、外国船含めて五百万トンも走り回っている。これじゃ、とてもじゃないけれども、船腹過剰でいけないから何とかしなけりゃいけない、そういう点で日本の国は新しい船をつくるのも規制をしてやめた、そういう形でやってきたんだけれども、外国の船はどんどんふえてきてしまって、依然としてそういう形で状況かよくない。  で、そういう中からいろいろこの対策を海運局でお決めになって、念書船とか、そういうこともやったんだけれども、私がいまこの五十年六月出されたのをずっと見まして、現状を見ましても、端的に言うならば、このときお決めになった対策がなかなか思うように守られてない。守られてないと言ったって、これは多少無理もあるんですよね。日本の船会社だけを規制しようとするなら、それはおまえらけしからぬじゃないかと言えば済むけれども、外国の船が日本の者の、運輸省の言うこと聞くわけないんだから。しかし、そういう状態の中にあって、じゃ仕方がないと言っているわけにはいかないのであって、そういう点から、いま日本の海運産業が大変な苦しい状態に追い込まれているんです。特に外航船腹もそうだけれども、東南アジア近辺を走り回っているそういう中小の船会社というものか大変な状態にあって、結局そこへ乗っている乗組員が、もう賃金の遅欠配とか、そういうところまで出てきちゃっている。さらには雇用そのものが危うくなって、現在でも、もう五千名からの船員の雇用不安が起きてきているという状態があるわけなんです。  で、この日本海運がいままで日本経済の中で果たしてきた役割りは、これはもう私が言わなくたって、そんなこと大臣おわかりのとおりなんですから、そういう点から言って、海運産業の企業を安定させて、それでそこに乗り組んでいる船員の生活というものも安定させていかなきゃならないし、そういうことを考えたら、もう一度、何というんですか、この実態調査していただいて、それに適切にどういうことをいま考えてやったらいいのかということをぜひともおやりをいただきたいと思うんです。それで、いまあれこれここで私が注文をつけて何ですから、そういう形でまず御調査をしていただきたい。で、御調査をやっていただければかなり、こんなにひどくなっているかということがおわかりいただけると思う。それだったら、そこで少なくともこれから日本の海運産業をどうしなければいけないかといって、いろいろそこに対策が出てくると思うので、そういう点から、ぜひともそういうことをおやりいただきたいとお願いをいたします。  それからもう一つは、いまもお話ししたように船員の雇用促進センター。これも運輸省の方でも計画をお持ちなんですから、そういう点でもって、いまの非常に雇用不安を醸しておるときに、このセンターが有効に役立っていくように、いろいろそういう点でもって当局で御配慮をいただきたい。その点について、大臣何かお考えがあれば聞かしていただいて、特に私の方からお願いをしておきますから。
  222. 田村元

    国務大臣田村元君) いままでの質疑の経過を存じませんので——大変失礼しました。実は先生のお許しを得て海員組合の方とお目にかかっていたもんですから申しわけありませんでした。  私のちょっとした感想を申し述べたいと思います。  内航海運の場合は、これはたかだか八十万トン程度の余剰ということで、しかも、俗に言う外敵というのがありません。ですから、この場合はまだ計画も立てやすいし、もちろん大変なことではございますけれども、やりやすい面もございます。外航海運は、それが近海海運でありましても、とにかくこちらが撤退すると向こうがわあっと攻めてくるというようなことでございますので、やはり対抗してがんばる以外にない。もうすでに局長から十分御説明申し上げたと思います。融資の問題、雇用対策、その他やってまいりましたが、結局は労使関係の正常化ということが中心になるんではございましょうし、そういう点で、私どももできるだけの御協力を申し上げたいと考えておりますけれども、いまお話のありました点につきましては、早速、私自身も非常にこの問題については関心を持っておりますので、調査を、それも相当精密な調査をいたさせたいと思います。  それから外航海運でございますから、その対策が一足す一は二というふうになかなかいかない、そういう非常にむずかしさがございます。でありますから、単に定義的な、定義づけるような対策じゃなかなかいけない。こういったときにはああ、ああいったときにははこうといういろんな対策が必要かと思います。そういう点で、なおも海運局を督励いたしたい、このように考えております。  それから、船員雇用センターにつきましても、御趣旨のほどを体して検討して進めていきたいと、このように考えております。
  223. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 終わります。
  224. 内田善利

    委員長内田善利君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三分散会      —————・—————