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1977-10-27 第82回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十七日(木曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————    委員異動  十月二十七日     辞任         補欠選任      目黒朝次郎君    吉田忠三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         内田 善利君     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君     委 員                 井上 吉夫君                 伊江 朝雄君                 江藤  智君                 木村 睦男君                 高平 公友君                 平井 卓志君                 青木 薪次君                 村田 秀三君                 田代富士男君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 園田  直君        運 輸 大 臣  田村  元君    政府委員        内閣官房内閣審        議室長      清水  汪君        運輸省海運局長  後藤 茂也君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君        運輸省港湾局長  大久保喜市君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省自動車局        長        中村 四郎君        運輸省自動車整        備部長      犬丸 令門君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        運輸省航空局次        長        松本  操君        海上保安庁次長  向井  清君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        内閣官房内閣参        事官       豊藏  一君        警察庁長官官房        会計課長     大高 時男君        警察庁警備局参        事官       近藤 恭二君        経済企画庁総合        計画局計画官   御巫 清泰君        法務大臣官房会        計課長      枇杷田泰助君        外務大臣官房領        事移住部長    賀陽 治憲君        外務大臣官房領        事移住部領事第        一課長      高瀬 秀一君        外務省国際連合        局外務参事官   小林 俊二君        通商産業省基礎        産業局化学製品        課長       平河喜美男君        郵政省電波監理        局放送部業務課        長        志村 伸彦君        日本国有鉄道常        務理事      田口 通夫君        日本国有鉄道常        務理事      高橋 浩二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (日航機乗っ取り事件に関する件)  (港湾整備の問題に関する件)  (造船不況対策に関する件)  (欠陥タイヤ問題に関する件)  (国鉄中央線高架化による電波障害対策等に関  する件)     —————————————
  2. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、目黒朝次郎君が委員を辞任され、その補欠として吉田忠三郎君が選任されました。     —————————————
  3. 内田善利

    委員長内田善利君) 運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 官房長官に対する質問と、運輸大臣に対する質問とが午前、午後に切り離されてしまったんでちょっとやりにくいのですが、とりあえず運輸大臣に対して質問したいと思います。  この間のハイジャック、大変なことだったと思うんですが、西ドイツの場合はああいうかっこうで処理をされる。日本の場合は、犯人みんな持っていかれて、身のしろ金まで持っていかれると、こういう結果になりました。そこで、身のしろ金なんというのは、これは犯人にむざむざ渡してしまうということは、どう考えてみても不愉快な話なんですけれども、これは官房長官質問に入るかどうかわかりませんが、ああいうものはせめて身のしろ金だけでも渡さないといったような外交交渉政府としてはできなかったのかどうか。その後、この問題についてアルジェリアとどういうふうな交渉が行われているのか、あの金は一体どういうふうになってしまったのか、その点、わかっていたらお答えいただきたいと思います。
  5. 田村元

    国務大臣田村元君) 率直に申しまして、これは私のちょっと立場で取り扱う問題ではございません。官房長官が後ほど出席するそうでございますから、詳しくお尋ねを願いたいと思います。
  6. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 しかし、政府としてはどのように閣議報告をされているのか、その点、わかりましたらお聞かせいただきたいと思います。
  7. 田村元

    国務大臣田村元君) 閣議のやりとりは、御承知のように部外秘になっております。でありますから、公式の場で私からどうこうということを、所管の立場でもありませんから申し上げるわけにはまいりませんが、対策本部は、国務大臣としては対策本部長官房長官、それに私と法務大臣国家公安委員長、三国務大臣がメンバーでおりまして、それに総理も入っておられる。そのときには、一応アルジェリア対応ぶりに緊急を要するというので無条件で応じたと、しかしその後で、閣議における議論もこれあり、また対策本部における議論もございました。そういうことから、でき得べくんば犯人、とりわけあの釈放犯の中でも、完全な純粋の刑事犯二名については引き渡してもらいたい、それから身のしろ金もでき得れば返してもらいたいが、もしそれが不可能であれば、せめても彼らの軍資金にならないように没収するとか何かで渡さないように願いたいという願望といいますか、お願いはしたようでございます。そういう議論対策本部でなされたことは事実でございます。
  8. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 その辺の話は、じゃ、官房長官に対する質問のときまたやることにいたしまして、航空政策として率直に大臣にお伺いしますけれども、ハイジャックについて、われわれもパイロットの話も聞きました。いろいろ聞きましたが、乗り込まれてやられてしまったらもう手はないというわけですよ。犠牲を出さずに済むためには犯人の言うことを聞く以外にないというわけですね。そうすると、結局ハイジャック対策としてはどこに重点を置いたらいいのかということになってくると思う。問題はやはり航空政策ということになってくると思うんですけれども、乗り込まれた後のうまい対策というのはあるのかどうか。それから、乗り込ませないための対策重点を置いていくという方が私は正しいと思うんだけれども、そのための行政指導というものをどのように今回の教訓からおやりになるつもりなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  9. 田村元

    国務大臣田村元君) いろいろな具体的な問題につきましては、航空局を連れてきておりますからお聞きをいただきたいと思いますが、基本的な問題として申せば、結局詰まるところ水際作戦だと思います。そういうことから、たとえば金属探知器、あるいはエックス線装置、あるいはボデーチェック等をもっと徹底してやる。まあ国内の場合は率直に言ってやりやすうございます。スペースの問題ありますから、そこいらの工夫は相当必要と思いますけれども、まあ国内の問題はやりやすうございましょうが、国外、この問題につきましては、やはりダブルチェックをするという場合においては各航空会社日本で言えばJALが、主権国である向こうの飛行場を持っておる国家政府に対して話し合いをしてやっていくというのが、筋から言えばそういうことだと思います。けれども、なかなかむずかしい面もございましょうから、やはり外交交渉ということになるのではないかと、このように思うのであります。  で、現在、どの国ということを具体的に私ここでデータ持っておりませんから、間違いがあるといけませんので具体的なことはちょっとはばかりますけれども、ヨーロッパなんかはボデーチェック警察がやっておるようでございます。それからアメリカなんかでは各航空会社の責任でやっておるというようなことも聞いております。まあその国によって厳重なところもあり、案外そうでもないところもあるようでございますけれども、いずれにいたしましても、日本の場合もっと厳しくやらないと、何といっても一番ねらわれておるエアラインでございますから、そういう点で航空局に、あるいはJALに対して、厳しくこれをやっていくようにいま検討を命じておるといいますか、もうどんどんと実は成果といいますか、試案が出てまいっております。  で、最初に言われた、起こってからどうだという問題でございますけれども、たとえば航空保安官を乗り込ませるというような問題につきましては、お客さんでない、いわゆる従業員といいますか、搭乗員の方で若干難色もあるようでございます。そういうこともちょっと聞いておりますが、これも起こってからというとなかなかむずかしい問題がある。先般も、結局人命尊重ということに集中してああいう処置になったということでございますので、水際作戦ということで、いまいろんな点から徹底して洗い出しております。で、ここにございますけれども、具体的にもし必要でございましたら松本君、航空局次長からでも御説明をさしたいと思います。
  10. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 余り時間もありませんから端的に申し上げますけどね、国によってはボデーチェック等もいいかげんなところがある。それからチップをはずんだりするとますますいいかげんになる、こういうところが、まあ暖かいところでは多いようにわれわれは聞いてるわけです。私自身もそういう国々を体験いたしました。そういうところでは、たとえばヨーロッパ日本で幾ら厳重にやってみたところで、途中でそういうすき間があれば何にもならぬわけです。だから、今回の場合も率直に言ってそういう点があったんじゃないのか、犯人はそこに目をつけたんじゃないかと、こういう気がするんです。それは事実として指摘できることじゃないんですか、その点はどうでしょう。
  11. 田村元

    国務大臣田村元君) まあそういうことをよく聞きます。ただ、私がここで断定するわけにはまいりませんがよく聞きます。いま私ちょっと申し上げたことでつけ加えて申しますならば、ボンベイから乗ったのがおかしいとかなんとか言われておりますけれども、実情をもうちょっと詳しく調べないと何とも言えませんけれども、飛行場に従事しておる従業員ですね、これが非常に多いんです。たとえば羽田で一万何千人ですかね、ライセンスを持った者が。というようなこともございまして、これをどのようにするかと。それから持ち込み手荷物ですね、これをやはり相当厳重に制限しなきゃならぬだろうということで、航空約款をやはり変更しなきゃならぬのじゃないかという感じもいたします。ただ、手荷物の場合も、中にはもう手荷物なしで厳しくやれという意見も強うございますけれども、まさか女性からハンドバッグを取り上げるわけにもいかないし、せめて洗面道具、ちょっと身の回りの物ぐらいは、ということにもなりましょうし、あるいはカメラまで持ち込んじゃいかぬともなかなか言いにくいというようなことはございますけれども、これは非常に厳しくやりたい、このように考えております。
  12. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私は、やはり厳しくやってみてもね、このボデーチェックといったって、そう徹底はできぬと思うんですよ。われわれが体験をした範囲では、ちょっとこうさわる程度ですよね。また、それ以上はできないと思うんですな、やたらとさわれない場所だってあるわけだし。そうなると、どうしても形だけになるということにならざるを得ぬと思うんですな。それ考えてみると、やっぱり徹底してやるためには、極端に言えば、乗客を裸にして乗せてしまうというぐらいの思い切った勇断がないと、これは今後のハイジャック防止をするということはできないんじゃないかという気がするんです。で、まさか裸にするわけにもいかないとすれば、たとえば持ち物は一切禁止すると、ハンドバッグであろうと何であろうとですよ。カメラであろうとハンドバッグであろうと、ともかく持ち物は一切禁止する、このぐらいのことをやらぬと徹底はできないんじゃないかと思います。そのくらいのことががまんできない人は、じゃ、船に乗ってもらう、ゆっくり行ってもらう、こういうふうに政策を根本的に考え直す必要があるんじゃないか。航空約款の問題は、むしろそういう根本に触れて考えてみるべきじゃないかと思うんですが、どうですか。
  13. 田村元

    国務大臣田村元君) おっしゃるお気持ちはよくわかるんです。私も個人として同じような意見でございます。ただ問題は、だからといって女性ハンドバッグまで持ち込んじゃいかぬと言えるのかどうか、そこいらの問題ございますから、開披をして中がさっと見れるような程度のものに限定してしまうということであれば、まず持ち物については、持ち込み品については徹底するんじゃないだろうかという感じがするんです。で、エックス線金属探知器ボデーチェック、それに開披検査というものを重ねていけばまずまず防げるんじゃないかという感じはいたします。そこへもう一つは、外国ではJAL自体検査をさしていただくということでやれるんじゃないかという感じがするんです。  そこで、いい機会でございますのでちょっと各国の模様を申し上げてみたいと思います。  例の四七二便の乗り入れ空港検査実施状況でございます。もし御必要でございましたら後で皆様方にこれをコピー撮ってごらんいただいても結構なんですが、パリは、検査方式各社別分散でございます。それから手荷物検査エックス線装置一式開披検査と、乗客検査金属探知器一式、それからボデーチェック検査実施者は警官でございます。それからアテネは、全社集中でございます。エックス線装置もございます。金属探知器は二式ございます。警察官八名、これは空港警察。カイロは、各社別分散エックス線装置一式金属探知器一式警察官。それからカラチは、全社集中、ここはエックス線装置機器がございません。それから開披検査をやっております。それから金属探知器一式。それから検査実施者航空局職員ボンベイは、全社集中。それから手荷物検査エックス線装置はございません。開披検査。それから金属探知器機器もございません。ボデーチェックだけである。これを警察官がやっておる。  こういう状況でございますので、日本としてできるだけのことをしていくと同時に、JALにもさせると同時に、やはり国際機関でこういう規格をきちっとしてもらうということに、日本西ドイツはひどい目にあったんですから、意欲的にこれを大いに運動していくということも必要なことだろうというふうにも考えたりしております。
  14. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ただいまのような資料はひとつ全員にお配りをいただきたいと、こう思います。  それから、国々によってやり方が違うようでありますけれども、ハイジャック対策についてやかましくやろうとしている国と、それから余り協力的でない国とあるわけですね、率直に言って。そういう場合には、これは外交問題にもなってきますけれども、航空政策として、ハイジャックに対してすきを見せているというか、余り協力をしないという国に対しては、たとえば飛ばない、そういう国はもう日本飛行機は飛ばせないといったような方法も考える必要があるんじゃないかと思います。これからだって西ドイツなり日本飛行機がねらわれると思うんです。西ドイツの場合はまかり間違うと殺されるけれども、日本の場合は大変気前のいいところを見せてしまったわけです。そうすると、西ドイツよりも日本の方がねらわれる可能性はあるような気もするんです。毎回毎回こういうことを繰り返していたんじゃしょうがない。犯人の要求はエスカレートするばっかりです。何を要求するかわからぬですからね。  それを考えると、やり方として各国いろいろ違いがあってもこれは仕方がないと思うけれども、根本的には、もう徹底してハイジャック防止に全神経を使うかどうかということになってくると思う。いまお聞きをすると、まことに国によってはいいかげんなところがあるわけです。そういういいかげんなところに対して、日本国内問題じゃないから日本運輸大臣行政指導は及ばないわけですから、果たして一体どういう手を打ったらいいのか、これは。これはほったらかしておくわけにいかぬと思うんですが、これらの国々に対する日本政府の方針というものをはっきりさせていく必要はないか、こう思うんですが、どうでしょうか、その点は。
  15. 田村元

    国務大臣田村元君) とりあえずは、担当する者を派遣いたしまして各空港実情調査いたしたいと思っております。これは急いでやりたいと思っております。まあ、いいかげんな国があるといって、目で見た、あるいは伝聞という程度できめつけるわけにもまいりません、外交問題ございますから。でありますから、具体的に現場へやって調査をさせる。それからさっき申しましたように、JAL自体ダブルチェックをやるようにしていきたい。それが若干むずかしければ外交交渉をやる。それからもう一つは、すべての国々条約にやはり入ってもらう、そしてハイジャック防止についての世界の統一見解に服してもらうということをやらなきゃならぬだろう。いまのところそういうような問題について検討の域をもうほとんど過ぎまして実施段階にきておりますので、早急にこれを実施していきたい、このように考えております。
  16. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 条約加盟しない国々はたとえばどんな国があるのか、それから、そういう加盟しない国々に対して日本政府としては一体どういう対策を講ずるのか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  17. 田村元

    国務大臣田村元君) 加盟していない国々のデータ、いま私持っておりません。航空局次長から御説明させますが、将来、それも近い将来、加盟してくれない国といいますか、どうしても加盟しない、これから慫慂しても加盟しない国というのがあれば、やはりわれわれは国会の場で国民的コンセンサスを得て対策を講じなきゃならぬのじゃないか。まあどういうことをというところまで私がここで明言することははばかりますが、先ほど来瀬谷さんがおっしゃったようなニュアンスで対策を講じなきゃならぬのじゃないか、このように思います。  いずれにいたしましても、どういう国が加盟していないか、松本君から御説明させます。
  18. 松本操

    政府委員松本操君) 御説明申し上げます。  ハイジャック関係条約が三つございまして、第一が東京条約でございますが、これに対して加盟しております国が八十五でございます。現在国連下部機構民間航空機構——ICAOと言っておりますが、これに入っておる国がたしか百四十二であったと私記憶しておりますので、およそ飛行機関係があるとみなされる国が百四十二といたしますと、八十五でございますからまだ数十カ国残っておる。  それから次がヘーグ条約でございまして、これはハイジャックについて重罰を科し、あるいはいずれの国でも裁判権設定義務を負うという条約でございますが、これが七十八カ国でございますので、これがまだ六十何カ国が入っておりません。  それからモントリオール条約、これはハイジャックじゃございませんが航空機の破壊、こういったようなものを国際的に犯罪としようと、これに対して加盟している国が七十カ国でございます。したがいまして、数十カ国が現に加盟しておりませんので、列挙すると時間が大変かかりますが、これに対してどのように加盟させるかという点につきましては、すでに国連の場においてその決議を行おうという動きが出ておりますし、ICAOにおきましてはすでに、せんだって行われました、ついこの九月に行われました総会で早急な加盟決議というのをしております。そこで、いま外務省と私どもとの間で検討をいたしておりますけれども、ICAO理事会というものを緊急に開いてもらって、そこでこの決議を速やかに実施に移す、つまり非加盟国に対して速やかに加盟を慫慂し、また加盟できないなら、その理由はどうなっているのかというふうなことを追跡調査していくというふうなことをも含めて、ICAOの場で緊急理事会を開いてこの問題を議論してもらおうではないか、こういうふうなことをいま考えておる段階でございます。
  19. 青木薪次

    青木薪次君 まず大臣にちょっと質問いたしたいと思いますけれども、私は港湾問題を中心としてちょっと触れてみたいと思いますが、港湾法の第一条に、「この法律は、交通の発達及び国土の適正な利用と均衝ある発展に資するため、港湾の秩序ある整備と適正な運営を図るとともに、航路を開発し、及び保全することを目的とする。」とあるのであります。港湾は、交通産業並びに国民生涯を支える重要な基盤でありますから、その整備の推進が国民生活の向上にとって必要不可欠であることは御案内のとおりであります。今度第五次五カ年計画が三兆一千億で決定をいたしました。従来まで、昭和三十六年でしたか、それ以降今日まで、昭和五十一年度を初年度とする第五次五カ年計画までの間の港湾整備計画とは、今回の第五次計画というものは違っていると思いますけれども、その違っている特徴について運輸大臣からちょっと説明いただきたいと思います。基本的な問題だから大臣から。
  20. 田村元

    国務大臣田村元君) 非常に莫然としたお答えになるかもしれませんが、以前の港湾事業と最近の港湾事業は、そのやり方あるいは環境について相当変化がございます。御承知のように、港湾事業を進めようとすれば沿岸漁民のいろんな批判を受ける、あるいは反対を受ける場合もあります。それからいわゆる環境保全の問題がございます。でございますので、そういう点を非常に重視して港湾計画を立てたということを港湾局長から私は報告を受けております。
  21. 青木薪次

    青木薪次君 一応従来の計画と今日の計画というものはいわゆる高度成長から低成長安定成長の時代に入った。その中ではやはり重要港湾特定重要港湾等中心とする港湾計画から今度は地方の港湾、そしてまた、沖縄を含む離島の港湾というようなものについても配慮を加えていかなければいけない。それから港湾へ行ったら鉄とコンクリートで固まっておったというようなイメージというものが国民の中にある。しかも非常に沖合いまで——沖合いというよりも浜はすべて埋め立ててしまって、いま港湾と化している。そういうところへ行きますと、もう何か国民市民が非常に殺戮と現在しているわけであります。その付近は、いままで海水浴場だったところが屎尿処理場と化している。あるいはまたテトラポットが並んで、海が、外が見えないというような状態のもとで、今度はこれに変わるに港湾公園のようなものをつくって、そうして市民にひとときの憩いの場を提供するようなスペースを少しは与えていこうじゃないかというような問題と、あるいはまた係留施設その他についても、従来とは違った形でイメージを転換させていきたいという配慮があると思うのでありますけれども、いま大臣の言われたことだけで問題は片づかないと思うんです。その点、いかがですか。
  22. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は、いまの御提案はそのとおりだと思うのです。そういう意味で、単なる縦割り行政でなしに、いろいろなものをミックスさしていくということは必要であろうと思います。たとえて言いますならば、下水道の処理場をつくるという場合に公園緑地を組み合わせたり、あるいは市民の憩いの場のグラウンドを一緒につくったり、いろんなことをいまやってもおりますし、計画もされております。港湾とて同じことであろうと存じます。でありますから、リアス式の海岸でありますれば、港湾をつくるのは、金は少したくさんかかるかもしれませんが簡単でございますけれども、白砂青松の場に港湾をつくるというのは、いまおっしゃったような利点もありますがまた弊害もございます。  でありますから、私は港湾局長によく申すのでありますが、とにかく港湾をつくることだけに君たちは専念するということより、どのようにして港湾をつくることによってその地域の、あるいは国民のニーズにこたえ、しかも自然環境を破壊しないで最小限にこれをとどめて、そしてその地域の方々に対してメリットを受け取ってもらうかということまで考えなければだめだということを申しております。そういう意味におきましては、いまの青木さんの御提言について私は全く同感でございます。
  23. 青木薪次

    青木薪次君 いまの大臣の考え方について、港湾局長も同感ですね。
  24. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) ただいま大臣がお答えになられましたように、大臣から港湾整備に当たりましての基本的に考えなければならない点、よく御指示をちょうだいしておりますし、私も、先生先ほどおっしゃられましたような点につきまして、まあ在来の高度成長時代はともかく港湾の機能を確保しなければ隘路化するということに追いかけられてきたきらいがございます。その点を深く反省いたしまして、今回の計画におきましては、先ほど大臣からお答えございましたように環境対策、安全対策に十分配慮するということを主眼にいたしてございます。  それから、先生から御指摘ございましたいわゆる特定重要港湾とか、地方港湾とか、そういうような港湾の格に対する配慮、この点につきましてもいわゆる港格に対する配慮というよりは、やはりこれまで東京湾とか大阪湾とかいうそういう先進地域への集中が非常に進んでしまった。それで地方において産業の振興、民生の安定、こういうようなことをもっと考えなければいけないというようなことも配慮いたしまして、この地域配分と申しますか、そういう点につきましても、どちらかと申しまするならば沖縄、奄美、離島、北海道、そういうようなところ、それから、内地で言いましても地方の港湾重点を置くというような計画内容にくみ上げられております。
  25. 青木薪次

    青木薪次君 第五次五カ年計画の予算は御案内のように三兆一千億でありまして、国がこの費用を実質に負担するのは出資あるいは無利子の貸し付け等や、あるいはまた負担、補助を含めて二兆二千八百億円であるということについては確認してよろしゅうございますね。
  26. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) 三兆一千億というのは地方単独とか、そういうものも入ってございますので、先生御指摘のように国が費用の一部を負担、出資、補助等、何らかの形で入りますものは先生の御指摘のとおりでございます。
  27. 青木薪次

    青木薪次君 じゃ、その二兆二千八百億円のうち、今度はそのうちの地方の負担する分は大体率でどれくらいになりますか。
  28. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) 二兆二千八百億のうち、具体的にどこそこの港というふうに張りついているものと、調整項目として具体的にはりついていないものとございます。そういう関係がございますので、厳格な意味でその率を申し上げることは非常に困難な状況にございますが、現在のところいわゆる港ごとといいますか、わりに確定した形のものが二兆二千八百億のうち二兆五百億でございます。その二兆五百億に対しまして国費は五三・五%、港湾管理者が三八・六%ということに一応予定してございます。
  29. 青木薪次

    青木薪次君 重要港湾において港湾管理者の負担区分が三八・六%ということを聞きました。そういたしますと、水域の施設とか、外郭施設とか、係留施設の建設または改良の重要な工事をする場合には、その工事に要する費用について、港格ごとに国と港湾管理者がそれぞれ率によって負担するということになると思うんでありますけれども、国と港湾管理者がそれぞれ十分の五を負担するいわゆる重要港湾が、これらのいま申し上げた工事の関係では多いのでありますが、私は港湾法を見てまいりまして、これは若干問題があるなと思うんでありますけれども、その中で、私の資料によりますと、港湾整備五カ年計画地域別進捗状況表というのがあります。これの中で、いま港湾局長の言われた二兆五百億のうちで、内地が三〇・七%、北海道が三二・四、それから離島が三一・四、沖縄が二九・一、合計三〇・八となっておりますけれども、これを五十三年度のいま大蔵省と予算上のヒアリングをやっていると思うんでありますが、この計画でいくと何%になりますか。
  30. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) 先生のいま挙げられました数字は、五カ年計画に対して五十一年度と五十二年度の進捗率と存じます。それで、ちょっといま五十三年度の要求している姿の港格別のものは手元に用意してまいってございませんでしたんですが、五十三年度の予算要求におきましても、いわゆる進捗率の面で申しますと、非常におくれておりますところの奄美、沖縄、それから離島、こういうところの進捗率を高め、それから北海道におきましても、総体的には進捗を伸ばすというような投資配分を考えて予算折衝をしておる状況でございます。
  31. 青木薪次

    青木薪次君 私が申し上げますのは、十分の五の国費の負担では少な過ぎる、地方財政は、もちろん国からの交付税の税率の点もいま問題になっております。それから地方自体の財源の点で非常に問題になっているわけですよ。そういう点から、いま北海道、離島、沖縄の関係等については進捗率を高めたいという話があったわけでありますが、私の所属する静岡県の清水港の、これは特定重要港湾です。四十三億一千九百万円の外港の直轄工事の中で、五十一年度事業費が二億六百万円使っておる。それから五十二年度の事業費で八億三千万円使っておる。それから五十三年度の要求で八億六千六百万円要求をしているんです。だから、この中で両方合わせて十八億九千六百万円。しかし実際には、これは五分の三ここの段階では消化しておらなきゃならぬのを十八億九千六百万円。ところが、予算上は四十三億一千九百万あるわけですよ。同じく袖師第一埠頭の関係では、おたくの直轄の関係等については、これはもう十億八千八百万円ということで満杯になるわけです、もうすでにね。  それから、特に補助事業と言われるものについてはきわめて進捗率が悪いわけです。これは何を意味しているかということになりますと、いま私が申し上げました、いわゆる国と港湾管理者との工事に要する負担割合区分の問題、この点に問題があるわけですけれども、この点どう理解しておりますか。
  32. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) 清水港を例にとって申し上げますというと、何分にも、まず最外郭の防波堤、これの整備をいたしませんことには、中の係留施設その他の施設の整備を進めましても、非常に利用の面で問題が出てまいります。そういう関係上、これまでのところ最外郭の防波堤、いわゆる外港防波堤というところに相当の力を入れてやってきた次第でございます。  それで、先生御指摘のように、外港の防波堤が五カ年計画におきましても四十三億というようなものを計上してございます。それで、もちろん現実に輸送需要に対応するため、また、先ほど触れました港湾環境整備のための事業、これにつきましても補助事業として計画、計上しておる状況でございます。  それで、全体といたしましては、まず五カ年計画の総額の中では、大体三分の一がいわゆる外港の防波堤という形になっておる状況でございます。それで、しかも五十三年度の要求の中で、その十四億何がしに対して外港の防波堤が八億六千万、非常にウエートが高いのも、いま申しましたように、まず外郭の防波堤を整備するということを第一に重点を置かざるを得ないということが一つございます。  なお、一つ申し添えさせていただきますというと、特定重要港湾でございます清水港におきましては、いわゆる外国貿易のために非常に重要な港湾の外郭施設につきましては、国の負担率は六割になってございます。それから、そのほかのものにつきましては、重要港湾ということで五割になっております。このことをつけ加えさせていただきたいと思います。
  33. 青木薪次

    青木薪次君 袖師第一埠頭は、十億八千八百万円の予算のうち、これは十億八千八百万円が、いま言われました岸壁、それからその他泊地の関係で使っているわけです。すべてこれは完了です、三年間でね。それから、その別の今度は岸壁、これは補助事業でありますけれども、十億一千一百万円あるうちの補助事業の方は、たった三年間で四億しか使ってない。こういうことを考えてみると、確かに防波堤を沖合いに出して、波を静めて仕事をするというのはわかりますよ、わかりますけれども、こういう点が不つり合いじゃございませんか。
  34. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) ただいま先生の御指摘の点、私もちょっと取り違えておりまして、直轄の岸壁、埠頭と補助の埠頭とのこの進捗のアンバランスということが御指摘の点だということがいまわかったわけでございますが、この点につきましては、実は埠頭一つ一つまとめて次に移るという全体としての施工計画の観点が一つと、それから、実は県の補助事業——補助を受けて港湾管理者がやります事業は埠頭だけでございませんで、臨港道路とか、いろいろ他の補助事業等もございます。そういうようなこともございますので、やはり実施部隊の仕事の能力といいますか、段取りといいますか、そういうようなことも勘案いたしまして、計画的に着手順序、それから進捗順序を考えておる状況でございます。  それからいま一つ、そうは言いましても、現実に差し迫って供用開始の迫られているものにつきましては、これはまず重点を置かざるを得ない。こういうようなことで、現状におきましては、御承知のようにいわゆる袖師の第一埠頭の直轄の部分は、外国貿易の大型の船を着ける施設でございます。十二メーター岸壁でございます。そういうことでございますので、これはそういう大型のを早く整備したいというそういう港湾管理者の強い意向もございまして、補助でやっておりますところの七メーター五十の岸壁よりも先行して重点投資しているということも一つございます。そういう事情にございますので御了承賜りたいと思います。
  35. 青木薪次

    青木薪次君 私は、御前崎港の整備計画のときに、これは重要港湾です、現地へ行っていろんな埋め立て工事反対運動がありました。私はその中に入って、住民側の立場に立ちつつ、しかも運動そのものがやっぱり整合性を持たなきゃいかぬということで、非常に問題点のある個所については港湾局と話しました。県とも話しました。そして、今日その関係等についてはおたくの計画等についても一部変更してもらって、地元住民等との関係については比較的うまくやってきていると思っております。  その中で、今日御前崎港なんかについては、遠渡地区等においては、これは早急にひとつ計画を立てなきゃならぬというようなことが、今度はまた変わって女岩地区等に重点がかかってきたというような点があり、しかも、九十億三千百万円の予算のうちで、五カ年計画の三年を経過した中では五十四億一千九百万円本当はかかるべきのを、進捗率は二十六億六千五百万円ということであるわけであります。  この点はなぜかと言えば、私は地方の管理者が負担をし切れなくなって、何とかひとつ国費の負担部分というのを多くしてもらいたいということを、港湾の建設の関係の責任者である港湾局長のところへもいっていると思います。運輸大臣のところへもいっていると思いますけれども、私どものところへも何回も来ているわけであります。あなたは作業上の関係でこうなっているんだと言われるけれども、私は、地元の負担がぎりぎりのところまで来ている。しかも、港湾管理者である県知事、それから市町村長、それから企業の側というそれぞれの地方の負担者の関係の中におきまして、その事情が非常に顕著にあらわれていると思うんでありますけれども、どういう認識を持っておられますか。
  36. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) 先生御指摘のように、最近地方公共団体の財政状況も非常に厳しい事情にございますので、地方公共団体としては、国の負担率、補助率を引き上げてほしいという強い要請があるのは事実でございます。ただ現実の問題といたしまして、実は港湾の予算そのものがなかなか伸び悩んでおる事情にございまして、御前崎を例にとりますというと、実は五十一年度は五億六千五百万。これに対しまして五十二年度は八億と相当に伸ばしたわけでございますが、全国的な港湾予算の伸びはわずか十数%という状況でございますために、そちらの方の予算の総枠との制約がありまして、実は九十億の五カ年計画の規模に対しまして、それに対する達成率は、先生御指摘のように、正直なところを申して十分とは言いかねる面があったということは否めない事実でございます。しかし、私どもといたしましては、やはり極力港湾管理者の財政の問題も考えながら、一方、国の予算の投資配分におきましても、港湾整備に対してより多く振り向けていただくようにいま関係方面と折衝いたしまして、何とか五カ年計画に一歩でも近づけるように努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  37. 青木薪次

    青木薪次君 いま重要港湾の話をしたわけでありますけれども、特定重要港湾の場合には、水域施設または外郭施設については港湾管理者が工事費の十分の十になっています。それから係留施設については工事費の十分の七・五になっているわけですね、港湾法上。今度は、東京港の場合には水域施設、外郭施設の場合に、現実に十分の五の負担となっているけれども、法律に言う十分の十とは少し違いがあり過ぎると思うんだけれども、その点、いかがですか。
  38. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) 法律に定めております国の負担率でございますが、これにつきましては、特定重要港湾の水域・外郭施設については十分の五ないし十分の七・五ということになっておる次第でございます。にもかかわらず、特定重要港湾である東京港の外郭施設が十分の五ということに対する御指摘と理解するわけでございますが、実は、この特定重要港湾に対する高率の適用につきましては、本来特定重要港湾というのは、外国貿易上特に重要な港湾というものを重要港湾の中で定めたものを特定重要港湾と言っておる経緯がございます。それで、その特定重要港湾として高率の適用をしておりましたのが横浜、神戸、門司等でございました。  しかし、東京港も大体コンテナライナーが入るようになりましたころから、やはり外航ライナーポートとして重要な意味合いを持つということで、十分の五ないし十分の七・五という枠の中で、ごくわずかでございますけれども、少し上げまして十分の六を適用するということについて財政当局と合意されたわけでございます。しかしながら、現実の問題といたしまして十分の六の国の負担率でありますところの外郭施設は、東京港の最外郭の防波堤でございますが、これは一応現在までのところ工事が終わっておりまして、四十八年度以降今日まで、その対象事業になる最外郭の防波堤の工事が存在しておりません。そういう関係で十分の五という数字しか上がっておらないというのが実情でございますので、御了解いただきたいと思います。
  39. 青木薪次

    青木薪次君 やはり法律に定めておったら、おれの方はおまえの方に補助してやるとか、あるいはまた、その負担をしているんだから余り文句を言うなというやり方というのはこれはまずいですよ。東京の場合は、いま局長がおっしゃったように相当ライナー基地ができている。しかし、実際問題としては、東京の財政状態というのは非常に厳しいわけでありますから、その点は将来にわたっての一つの課題として私は宿題を投げかけておきたいと思う。これ以上追及しませんが、大臣、その点についていかがですか。法律は守らなければいかぬからね。
  40. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は、一般論として申せば、港湾というのはその特定地域のみが利益を受けるというものではない。言うなれば一般的な産業基盤であります。でありますから、漁港とは若干趣を異にしております。私は、実は運輸大臣になります前、港湾とか漁港を担当してまいりました。常日ごろ私が感じておりましたことは、どうも港湾の補助率というものが低過ぎるんじゃないかという感じがしてなりませんでした。特に、いま御質問の御趣旨に反するかもしれませんが、地方港湾の場合には漁港なのか港湾なのかわからないような使途といいますか、使い道ということになっておるところもたくさんございます。私の地元でもございます。でありますから、そういう点で再検討する時期が来ておるんじゃないか。私はもっと早くから再検討しろという持論だったんですけれども。  そういうふうに感じておる一員でございますが、実は私は港湾局長にも、こういう財政の厳しいときだから、補助率を上げることはなかなかむずかしかろう、財政当局との話し合いもなかなかむずかしかろうけれども、これは一遍抜本的に考えてみる必要があるんじゃないか。また同時に、たとえて言うならば、都道府県単位で裏負担といいますか、負担をしていくのならまだいいんだけれども、それを多くの都道府県——まあ府県といいますかは、市町村にそれをしょわせる。市町村は大変ですからそれを地域にまたしょわせるという、漁港なんかの場合特にそうでございますが、そういうようなこともある。ですから、この地方の負担についても、もちろんその地域の事業者に持たせる、あるいは入港料を取るというようなことをいま奨励しておるわけでございますけれども、一遍そういうこともひっくるめて抜本的に検討をしてみろということを実は指示しておるところでございます。
  41. 青木薪次

    青木薪次君 これからは、日本の経済も安定成長が軌道に乗るか乗らないかという点については、非常にいま暗中模索の点だと思うんです。で、従来の高度成長型の経済の方式によれば、これはもう重要港湾、特定重要港湾にどんどんお金をかければいい。ところが、これからは調和のとれた、しかも心の通った経済の総合的発展をもたらすという段階においては、これは離島港湾、地方港湾というものを重視しなければならぬということになったわけです。ですから、そういう関係で金が一カ所にどかんと落ちることについては、いま大臣のおっしゃったように若干問題点はあると思います。あると思いますが、必要があってそう今日の時代に適合している港湾だとするならば、金をかけてもいいんじゃないかというように考えているわけでありますから、その辺で、海岸が非常に広い、その中に漁港がある、建設省の海岸がある、あるいはまた港湾局——しかし、港湾局の主導のもとに行われているわけでありますから、海岸整備事業そのものもね。したがって、そういう点からひとつこの負担の割合というものについては、しかも法律にも書いてあるんですから、そういう点でひとつ検討をお願いしたいと思います。  それから避難港があるんですね。その避難港というのは国が十分の七・五を確かに持っております。私どもの静岡県においても妻良港というのがあるわけであります。これは外国船も入るし、それから一般の船もいろいろ入るわけですよ。だから、こういうところは、これは管理者が県知事である場合と、それから市町村長、この場合には町長なんですね。そうすると、全くもって負担のもう限界を超しているわけです。しかし、そういうところについては、これは国が十分の十持っていいじゃないかというように考えるんですけど、この点はいかがですか。
  42. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) 先生のおっしゃられる点、私も非常にわかるような気もするわけでございますが、実は港湾そのものが、先ほどの重要港湾で五割というようなことで、避難港につきましては、地元の稗益ということよりは、沿岸航行船に対する安全対策という国策上の施策として、だから高率であってしかるべきだという論議がなされた結果、現在の港湾法では避難港の水域外郭施設は七割五分という負担率になっておりまして、実はこの点につきましては、四十八年の港湾法改正の際にも特段にそこの点についての議論もなされておらなかったという現実からいたしまして、現状におきまして私はどうも、先生の御指摘の点はわかるんですが、やはりそれを超えてというところについては相当問題が出てくるのではないかと考える次第でございます。  実は私ども省エネルギー時代、経済的な物の輸送のためには沿岸の水路を運河のように使う、そのためには避難港のネットワークが形成されるということが大事だと思いますので、私ども避難港の整備、それは重要港湾と避難港とでネットワークを形成してやるということで、何とかこの七割五分のいまの制度を精いっぱい活用して必要な安全対策を推進したいと考えておる次第でございます。
  43. 青木薪次

    青木薪次君 それから廃棄物の埋め立て護岸ですね、この関係に対する補助率は十分の二・五ということになっておりますね。東京のいわゆるごみ戦争、東京都清掃局がごみを集める、それを埋め立てるのはこれは東京都港湾局と。しかもおたくの京浜外貿事業団ですか、こういったようないわゆる事業団があって、このごみ処理に実は手を焼いているわけですね。こういう点については、これも財政を圧迫していると思うんですけれども、この点については簡単でいいですけれどもお答え願いたいと思います。
  44. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) それではできるだけ簡単にお答えいたしたいと思いますが、廃棄物の捨て場につきましては、どうしても最終処分地を海に求めざるを得ないという都市地域の状況からいたしまして、どうしてもその捨て場が港湾区域内に求められるということが多いわけでございまして、まして東京のようなところにおいては、御指摘のようなごみ戦争も起こったという経緯もございます。そういうことで、そうは言っても港湾の区域内が無秩序な利用がなされるということであれば禍根を残しますので、港湾管理者が中心になってその捨てる場所を計画的にセットするように制度をつくっていただいたわけでございます。これが四十八年の港湾法の改正の一つのポイントであったと理解しておりますが、それでそのときに、港湾管理者もやはり地方財政の負担も厳しいことでございますので、全然国からの補助なしにはだめだということで十分の二・五の国の補助率ということで動いているのが現状でございます。  それで、いまそういうことで現に東京港についても四分の一の補助率で廃棄物の捨て場の護岸の整備をやっておるわけでございますが、さらに長期的に見ますというと、どうもそれだけでは不十分である。それからいま一つ、十分の二・五ということでは、十分の七・五を地方公共団体が負担する、これがまた大変であるからその補助率を引き上げてほしいという地方公共団体の要請も非常にございます。そういうようなことから、何かいい知恵がないものかということで考えておりますのが、現在これはまだ財政当局と折衝中のことでございますが、外貿埠頭公団によって外郭施設をつくる、東京湾のようなところは東京港の地先だけではどうにもならない、広域的にこの計画も考えなきゃならぬであろうから、その外貿埠頭公団が広域的な配慮計画し、その囲いをつくるということをやりたい。外貿埠頭公団でございますれば、財投資金の導入等によりまして資金調達をして、実際に捨て込む人に対して捨て込み料ということで財投資金を返していくというような仕組みをすれば、当座の膨大な資金負担は解消できるんではないかという、そういう配慮でいま予算折衝中のことでございます。
  45. 青木薪次

    青木薪次君 港湾局長、それは財投資金といっても借金ですから、いずれは返さなければならぬということになるんで、これは後でまた申し上げたいと思いますが、昭和五十五年度の交通需要は、昭和五十年代前期経済計画によれば、四十九年度の実績に比べて旅客が三割、貨物が四割の増加が見込まれているわけであります。交通施設については、需要増に対して隘路となる部分の施設の強化をする、あるいはまたいろんなことをやりながら交通環境の改善を図るとともに、エネルギーや空間等の有限性が強まってくることを考慮すれば、交通密度が高くて、かつ代替可能な分野において、大量公共交通機関へ誘導するには、その経営基盤の確立や施設改善を図るとともに、利用者に信頼される運行確保への努力が必要である、と書いてある。  そうなってくると、この点について新しく資源エネルギー時代を迎えた、交通空間の有限性が強まってくることを考慮すれば、この港湾の問題というのは、これは海に向けても内陸に向けても非常にすばらしい空間を持っていると思うのでありますが、この点と、私がよくいままで申し上げてきた陸上輸送との関係の、いわゆるターミナルとしてどういう接点を求めたらいいのか、このためのいわゆる社会資本、国家資本等を投入することについて、私はいまこそ必要だと思うんでありますが、この点、大臣いかがでございますか。
  46. 田村元

    国務大臣田村元君) おっしゃるとおりで、港湾というのは鉄道、自動車等との競争相手でもある、と同時に有機的に連携していかなきゃならぬし、またお互いに補完し合わなきゃならぬ、そういう、言うなれば連動的な関係にもあるということから、特に総合交通体系等が組まれて、現在もうすでに四六答申というのがございますけれども、その方向そのものが間違っておるとは思いませんが、これは相当手直ししていかなければならぬでしょうが、そういう観点から言って、いまおっしゃったようなことはやはり検討していかなきゃならぬ、このように考えております。
  47. 青木薪次

    青木薪次君 鉄監局長、どうお考えになりますか。
  48. 住田正二

    政府委員(住田正二君) 港湾は海上運送と陸上運送の結節点、ターミナルであるわけでございます。その港湾の機能から言いますと、いろんな機能があるわけでございまして、公共埠頭で貨物を処理する場合もあれば、あるいは臨海工場というようなところで貨物を処理するという場合もございます。いろんな形で海上輸送から陸上輸送、あるいは逆に陸上輸送から海上輸送へ貨物が流れるわけでございます。鉄道輸送はその中の一つでございまして、やはり鉄道輸送の貨物を確保するためにはそういう面での配慮が必要ではないかと考えておりますが、しかし、いま申し上げましたような港湾の機能から言って、鉄道輸送は大量輸送に向いているところでございますので、大量輸送が確保できるような形で港湾の機能と鉄道輸送とを結びつける、そういうような配慮が必要ではなかろうかと考えております。
  49. 青木薪次

    青木薪次君 港湾機能とそれから鉄道輸送との関係をちょっと申し上げたいと思うんでありますが、昭和四十五年に国鉄貨物約二億トン輸送しておりましたね。これは国鉄の田口常務、いいですね。それから昭和五十一年度には減って減って、三割減って一億四千百万トンになったということも事実ですね。で、公共臨港線の関係の発着トン数は昭和四十五年と五十一年ではどんな数字ですか。
  50. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 公共臨港線につきましての四十五年度の発着トン数で申し上げますと、ラウンドナンバーで九百六十万トンでございます。それで、五十一年度は同じく発着で七百四十万トンで約一七、八%減になっております。
  51. 青木薪次

    青木薪次君 私の調べたのでは九百六十七万三千トン、昭和五十一年度七百四十一万二千トン、八八%になっておりますが、ちょっとあなたの数字と違っているんですけれども、その点、いかがですか。
  52. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 私の数字が間違いで、確かに一二%でございました。
  53. 青木薪次

    青木薪次君 そうしますと、一般貨物の二億トンから一億四千百万トンに減ったのは三割、公共臨港線の関係で減ったのが一二%ということについて確認しますか。
  54. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 御指摘のとおりでございます。
  55. 青木薪次

    青木薪次君 私が以前、七十八回国会で大久保港湾局長質問した内容は、流通拠点港湾というものは、背後地への円滑な輸送というものが確保されなきゃならない、それは鉄道であり道路である。そして、これは一体的整備がされなければならない。それには総合交通体系が見直されなければならないし、運政審に諮問すべきときだと思う。諮問するにしても、事務当局としてどこが問題になっているかを整理して、そうしてその資料を提供するのが前提である、前段階で事務的な連絡を急いでいるという答弁がされましたけれども、確認しますか。
  56. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) その時点で、いま先生の御指摘のような答弁をさしていただいたことは事実でございます。
  57. 青木薪次

    青木薪次君 そういたしますと、私は同じような質問をこれで三回、仏の顔も二度三度と言うけれども、国鉄と、それから運輸省との関係で、こういう問題等について相談をしたことは何回ありますか。
  58. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) まことに申しわけない次第でございますが、この問題につきまして官房の政策部門が中心になりまして問題を詰めることになっておったわけでございますが、何と申しますか、最近の景気の動向やその他、前提になる条件が非常に変わってきておりまして、私どもといたしましても事務的な対応が非常にむずかしい状態になった。それで現在、御承知と思いますが、第三次全国総合開発計画の作業が国土庁を中心にして進められておりますんですが、それとの作業とのからみ合い等も見なければならない、そういうことで、実はあの時点以降におきまして作業の進展が図れなかったという事情でございまして、現在のところ、その後の進展がなされておらない点、まことに申しわけないと存ずる次第でございます。
  59. 青木薪次

    青木薪次君 国鉄の田口常務理事はどんなふうに考えておりますか。
  60. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 私の方も港湾輸送についてはいろいろ考えておりますけれども、現実問題としてやはり建設——レールをいかに引いていただくか、港湾臨港線の軌道をいかに整備していただくかという問題にかかっておりますので、やはりこの点について十分やっていただきますれば、輸送につきましては極力努力をしたいというふうに考えております。
  61. 青木薪次

    青木薪次君 あなた方は、運輸委員会のここで審議されて、しかも確認したことについて何と考えているんですか。余りにも軽視をしているとお思いになりませんか。大体におきまして、いま見えないけれども木村運輸大臣のとき、それから前石田大臣のとき、それで私は今日、田村運輸大臣中心として質問をしているわけです。その点について事情が変わったと言うけれども、この問題で質問いたしましたのが去年の十月ですよ。いま十月ですよ。一年たっているじゃありませんか。その中で、安定成長を志向するという方針を出したのは、四十九年と五十年と五十一年の三カ年間で経済の安定成長の軌道に乗せる。しかし、これができないで一年たった。しかし、安定の軌道に乗りつつあるということを総理大臣は発言している。  そういう中で、特に今日物流時代を迎えている。物流時代というものは何か。これは五十年代の経済の前期経済計画の中にありますように、ちゃんと生産地と消費地との関係をどうするか、それからその中間の輸送をどうするか、すべての輸送空間というものをお互いにフルに使おうじゃないかということが今日叫ばれていると思うんです。それを、何も一回も話をしないなんということは何事ですか。大体において委員会を軽視し過ぎると思うんだけれども、運輸大臣、どう考えますか。
  62. 田村元

    国務大臣田村元君) ちょっとトイレに行っておったんで、どういうことですか。
  63. 青木薪次

    青木薪次君 輸送の結節点として港湾の果たす機能というものは非常に多い。ある場合には内航海運である。陸上との、背後地との関係を考えれば、これは鉄道輸送でありトラック輸送であるという点について、ひとつ具体的に、たとえば臨港線で貨物を輸送するのは昭和四十五年と五十一年では三割国鉄の貨物は減っているんですよ。ところが臨港線の場合におきましては、運賃を値上げしても一二%減でとどまっているわけです。しかし、後で申し上げるけれども、まだ非常に輸送需要が高まっているという現状の中で、ひとつ具体的に、木村運輸大臣いま見えないけれども元運輸大臣や、石田労働大臣運輸大臣のときと、それから、きょうあなたに初めてその質問しているわけだけれども、三回目なんですよ。  もう具体的に相談してくれるということも何回も——もちろん第一回目のときには竹内港湾局長だった。しかし、一回も相談してないということについて——具体的に相談しますよ、資料を提供しますよ、それとまた資料を準備しますよということを具体的に港湾局長も答弁しているし、前回は住田鉄監局長もその点に対しては口添えはあったわけです。きょうは国鉄の田口常務もおるという中で、一回もやっていないということについては本院の審議、審査についてどう考えるか。これは権威の点から言ってもただならぬと、こう思うんでありますけれども、どう考えますか。
  64. 田村元

    国務大臣田村元君) 国会で答弁をして、後ほうりっ放しにしておったとは思いませんが、そういう話し合いの場を持っていなかったということはけしからぬことでありますから、国会軽視というおしかりを受けても仕方がありません。私、いまちょっとトイレへ立っておりましたので、具体的なお話の内容を完全に掌握はしておりませんけれども、一たび国会の場で答弁をしたことを、やってみたけれどもむずかしかったというんならわからぬでもないけれども、まだその実行の着手にも移っていないということは、これはおっしゃるとおりであります。早速話し合いをさせます。早速話し合いをさせますのも直ちにさせます。私は、この場をかりて港湾局長に申し渡しておきますが、話し合いをした結果を再来週までに持ってこいということをこの場で命じておきます。この発言をもって私の港湾局長に対する命令にいたしておきます。
  65. 青木薪次

    青木薪次君 私は、物流ターミナルという関係で大井地区の視察をいたしました。ここでは大阪港から東京港へ海上輸送してきて、そこからトラックに積みかえてやっているんですけれども、時間的長さもあり、それから、単品が多いものですから積みかえをしなければならぬということから、非常にコストも高くなって採算上思わしくないので、料金高いけれども東名突っ走ってくるんだという話でありました。ここへ一つ鉄道が、いま汐留を起点として東海道本線と連結されているし、芝浦まで分岐した線が来ているんだ。特に東の方では小名木川駅が晴海を経て江東区に入って総武線や常磐線、東北線につながるように計画があるようだし、それから京葉線を、東京の海の外周りを回って、そうして沈埋トンネルをつくる計画があるわけですよ。そうしてこの大井のターミナルに来る。  しかもあそこに国鉄が、この地図でありますけれども、ここに「大井ふ頭その1」——京浜2区のところです。その隣に、大井の緑道公園地帯というのが、これまた広大な埋立地があるわけでありますが、ここへも東海道本線から分岐された線が入ってきているし、現に東京貨物ターミナル駅ができているし、新幹線東京第一運転所大井支所があるというようなところについて、その隣のいま申し上げた大井緑道公園地帯というものについて、これは倉庫地帯ということでまだ眠っているんですよ。これらの関係について経営主体がどこにあるか。とにかくそういう方面で使ってくれればいいんだけれども、実はこれを頼みたいと言ってくるところがない。国鉄あたり言ってくるだろうと思って待っていたんだけれども、いまもって言ってこない、一体何を考えているのかということなんです。  この隣にはトラックターミナルがあり、それから流通センターもあり、一大物流ターミナルとなっているわけでありますが、こういうような点について条件が整備されても見向きもしない、一体この姿勢は何か。しかも京葉線の関係等については十年この方、計画はあるんだけれども遅々として進まない。こういう点なんかについても、さっき私が質問したものと全くうってつけの議論の対象になるべきところじゃないか、こう思うんでありますけれども、われわれ議員が言うのは全く法外なきらいさえあるくらい問題が非常に煮詰まっていると思うのでありますけれども、その点についてどう考えておられますか。
  66. 大久保喜市

    政府委員大久保喜市君) ただいま御指摘の東京港の大井埠頭及び京浜2区、この周辺の地域の土地利用につきましては、これは港湾管理者である東京都がここの空間の利用計画を、先生お持ちの図面にありますようなごく大まかな利用区分によって土地利用をする、それによって、この大きな流通拠点としての機能を果たすための所要の用地を確保するという計画をしておるわけでございます。それで、まずコンテナバース等に関連いたしましてのコンテナ・フレート・ステーションとか、そういうようなものが着々整備されておりますし、それから国鉄関係の問題につきましては、大井地区に国鉄関係のヤード用地を相当確保しまして、これは国鉄の方でおやりになっておられます。  それで、そのほかに流通業務用地というようなところが色塗りされてございますが、ここいらのところは、たとえばいわゆる梱包作業をやる企業だとか、あるいは倉庫の企業とか、いろいろ各種の企業が入ることが予定されているわけでございますが、東京都におきましてもやはり建設途上の段階、工事中の段階につきましてはまだ分譲というような、あるいは貸し付けというような、そういうような段階まで到達しないという事情がありまして、部分的に空地のままに現在見えているところも相当ございます。しかしながら、実は食品関係の施設とか、計画のセットしたものから、また建設工事との競合のないところから逐次港湾管理者の方で用地の処分をしているというふうに聞いております。
  67. 青木薪次

    青木薪次君 経企庁見えますか。——経企庁でまとめたこの昭和五十年代前期経済計画によれば、この二十二ページの、「物価の安定と完全雇用の確保」という中の「物価の安定」の中で、「高度成長から安定成長への移行に伴い価格が市場メカニズムを通じて適正に形成されることが従来にも増して重要となる。このため、独占禁止政策の適切な展開を図る。」とあり、しかも末尾の方に、「なお、流通部門については、個別企業の合理化のみでなく、流通機能全体にわたっての総合的効率化を図る。このためチェーン化の推進、輸送の共同化、物流拠点の整備、低温流通体系の推進等の流通システム化のための施策を一層促進する。」とあるわけです。  これは市場メカニズムを通じて、いわゆる自由な商売をやれと、そして、価格が適正にその中で形成されてくることが必要だと、こう書いてあって、最後の方を見れば、物流拠点の整備から低温流通体系の推進やチェーン化の促進、輸送の共同化ということを通じて生産地、集散地と消費地との関係は大型の冷蔵庫とか、低温の倉庫とか、そういうものをつくって、そしてそこへしまい込んでおけということに実はなっているわけですよ。  そういうことは、真ん中の輸送の関係というものを非常に無視して——無視してというよりも軽視していく傾向がある。逆に言えば、生産地と消費地の関係に巨大な倉庫や低温の倉庫をつくれば、ここで一つの、一定のかえって価格が上昇された中でどんどん出してくるということにも通ずる。真ん中の問題を余り考えていなさ過ぎるということを私たちは考えているわけでありますけれども、その点、いかがですか。
  68. 御巫清泰

    説明員(御巫清泰君) 生産地と消費地の両端におけるストックの問題が考えられていて、真ん中の部分の流通、あるいは物流に関する部門に考慮が足りないのではないかというような御指摘ではないかと思いますが、経済計画の中におきましても、幹線の交通ネットワーク、こういうものの着実な整備ということと同時に、都市内の物流の大宗を占めるトラック輸送、こういうようなものに関連いたしましてトラックターミナル、倉庫、あるいは卸団地等の機能を有機的に結合した物流拠点を適正に配合して整備しなきゃいかぬと、こういうふうに着実な整備を進めることを計画の中でうたっておるわけでございます。
  69. 青木薪次

    青木薪次君 そうしますと、私がいま申し上げてきたような点については経企庁としてはどう考えますか。いままで聞いておったでしょう。
  70. 御巫清泰

    説明員(御巫清泰君) いままでずっと先生御指摘の議論、私よくわかりました。確かにいろいろな流通の関係、いろんな施設——交通施設、輸送施設ございますが、そういうものの間で整合性のとれた、流通に支障のないような施設整備が着実に図られなければならない、こういうことは確かだろうと思います。それは経済計画の中でもうたってございますし、それから四十六年の臨時総合交通問題閣僚協議会、これで決定されました「総合交通体系について」という中におきましてもそれがうたわれているところであると思います。
  71. 青木薪次

    青木薪次君 時間がありませんのでもう簡単に申し上げますが、臨海鉄道は、こういう条件下においても、五十年度に対して五十一年度は貨物輸送一一〇%の伸びをしているんですよ、対前年度。このことは何かといったら、便利さと採算の点で荷主の好感を私は買っていると思うんです。だから、そういう点から考えてくれば、住田鉄監局長あたりは国鉄貨物安楽死論の先鋒かもしれないけれども、大体において全くそういうあなたとか、角本さんとかというような人の考えとは対照的に伸びているわけです。こういうことを考えたときに、私はやはりこの辺は、ある意味では非常に国民性にかなっている、企業の立場から考えて見ても、産業全体の立場から見ても、いわゆる物流の原則に合っている、こう思うんでありまするけれども、したがって、港湾は物流ターミナルとして、しかもトラック輸送はもちろんだけれども、鉄道輸送というものについて、さらにきょうの委員会を契機としてひとつ真剣に、従来の措置を反省しながら進めていくような誘導政策もひとつ考えていただきたい、こういうように考えております。これは要望です。  それから、港湾の建設にあたりましては私はこういう陳情を受けました。海岸の工事なもんだから、非常に特殊工法によるものが多くて、大企業の技術によらなければならぬ。そこで、地元の中小零細の業者は何にも使ってもらえない。国の直轄工事なんか特にそうだ。そうなると、静岡県も本年七月、負債一千万円以上で倒産した企業が六十五件ありました。そのうちに中小土建関係が二十七件、全くもって四割の倒産が中小土建なんです。まことに私は気の毒だと思うんでありますが、業界代表の意見等もまたひとつ聞いて、中小企業の事業機会の確保について法律も通ったことだし、ひとつ管理者並びに大手企業の指導に当たっていただきたいという、この二点について最後に御答弁願って私の質問を終わります。
  72. 田村元

    国務大臣田村元君) これはむしろ私から御答弁申し上げた方がよいかもしれませんから私からお答えをいたします。  港湾建設といいますのは、確かに特殊な機械、特殊な技術というものを必要とするという点で、他の土木事業と性格を異にする面もございます。しかしながら、だからといって港湾建設事業というものがすべてそうであるとは言えないのでありまして、当然地元業者、俗に言う県内業者が重点的に用いられてもよい場合が多いと私は思うんです。またジョイントベンチャーということも考えられましょう。直轄だから大手でなきゃならぬ、中手でなきゃならぬということは私は言えないと思います。その意味で、私自身もこの問題、実は気がついておったものでありますから、港湾局長に対して厳しく注意を与えました。つい先ごろこれは私は注意を与えました。  いま一つつけ加えて言うなれば、どうも港湾建設業者は下請に対して厳し過ぎるのではないか。その点も十分一遍実情調査してみろということも申しました。  いずれにいたしましても、御指摘のようなことが現実にあるかどうかは別として、私自身疑わしく思っておる一員でございますので、この点、港湾局長に対して調査もさせ、改善もさせたい、このように考えております。
  73. 青木薪次

    青木薪次君 これで終わりますけれども、いまの大臣の答弁、私は了といたします。さすがに実力大臣だけあって歯切れがいいし、いまの現状を私は理解している、こう思いますので、大臣のこれからの御健闘をひとつお祈りして、終わります。
  74. 内田善利

    委員長内田善利君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。    午後零時十一分休憩      —————・—————    午後一時四分開会
  75. 内田善利

    委員長内田善利君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事業等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  76. 高平公友

    ○高平公友君 私は、午前中瀬谷委員も言われましたけれども、ハイジャックの問題について、一昨日参考人のいろいろの証言などもありましたが、政府の方々にひとつこの機会に御意見を伺いたいと思う次第であります。  このテロリストが、やっぱり自分たちの目的を達するためには何としてもたくさんの人間の命、それからまた重要な人、こういう者を一つの大きな対象にしまして、そして不法要求を、無法な要求をするわけでありますけれども、どうもそれらに対する備えのない今日の日本におきましては、結局何といっても人の命は地球より重い、これは総理がおっしゃいますけれども人命尊重、これを第一主義にしておりますたてまえから、結局は超実定法的措置、こういうことにならざるを得ないんじゃないか、そして犯人の要求に全部屈服しなければならない、このことはクアラルンプールのあの事件から今度の事件を通じて私はそのとおりに行われておる、こういうぐあいに思うものであります。  私は、今後この種の事件がないものとすれば、ただいままでの措置というのは非常に人命に影響のない、西ドイツ式な強硬措置、人の命に影響をもたらすような措置と対比してこれは大いに高く評価さるべきものである、こういうぐあいに思うわけですけれども、しかし、やっぱり国家が存立していくだめには、法律というものは一つの基本である。これはこういう無法な連中がいつも大きな要求をひっ提げてくるごとに超実定法的措置、こういう措置ばかりをとっておっては、私は国民の信を失うだろう、今度の事件の解決におきましても苦汁をのんだような、何とも言えないいやな感じが、私は国民の中にほとんどの人がそういう考えを持っておいでになる、こういうぐあいに考えるわけであります。  さて、今度の事件を通じて六百万ドルという軍資金をひとつ彼らは得て、さらに有力な六名の戦力を確保しまして、そして、常日ごろ言っております、われわれから思いますと、およそ荒唐無稽な議論であると思いますけれども、狂信的な一つの思想の中で、今度はさらに私は大きな事件を引き起こしてくるんじゃないか、そういうことが当然予想されるわけでありますけれども、これらについて、いま政府におきましては対策本部をつくる、そして積極的にこれらに対峙されようといたしております。きょうはこの後官房長官がおいでになるようであります。本部長がおいでになるようでありますが、いま官房長官どうもお忙しいということで審議室の方から室長さんがお見えになったわけでありますが、いかがでありますか、さらに引き続いて、彼らはもう一つ大きなことをもくろんで再度やってくるというお考えをお持ちですかどうですか。その点、まず一つお聞かせ願いたいと思います。
  77. 清水汪

    政府委員(清水汪君) ただいまの御指摘の問題につきまして、私どもといたしましても今回の出来事はまことに残念であったと思います。したがいまして、直ちに今後の再発防止対策、これに全力を傾注すべきであるという決心のもとに、防止対策本部を設置いたしましていま真剣に取り組んでいるところでございます。二度とこのようなことがあってはならないという決意で、そのためには防止に万全を期すことが何よりも必要である。ただいままでにも直ちに行政ベースで実施できる措置につきましては幾つかの項目を決定し、実施に移せるものから極力その実現化を図るように努力をしているわけでございます。御指摘のように、きわめて重大な問題であるという認識のもとに、万全の対策をとにかく努力したいという決心で取り組んでいるところでございます。
  78. 高平公友

    ○高平公友君 一昨日、実は参考人の意見の証言がありましたけれども、その機会、関川参考人の言われるように、ハイジャックの事件なんかは、これは一航空会社だけでとても処理できるものでないのだ。これは絶対に国の責任である。第一責任は国の責任である、こういうことを言うておられるわけでありまして、いまのお話でもありますが、もう一つ重ねて私から決意のほどを伺いたいわけであります。絶対にやってくるという想定の中で、そして、もう国が全責任を持ってこれに対処する、そういう決心で対策本部を進められるわけですか。その点ひとつ、もう一言お聞かせを願いたいと思います。
  79. 清水汪

    政府委員(清水汪君) まあ来ないという保証はないわけでございますので、これに対して万全の備えをいたさなければならないということだと思っております。国の責任という問題、もちろん大きな責任はあるかと思いますが、たとえば例示的に申しますと、いま私どもの対策本部で打ち出しました対策の柱といたしまして、一つは赤軍そのものの根源を絶つこと、それからさらに国際協力を強めまして、世界的にハイジャックに対しての抑制力を高めていくというようなこと。それからさらに三番目は、安全検査等を含めました具体的な体制の整備ということかと思いますが、国の責任でなすべきことが多々あると思います。しかしながら、航空会社自身の御努力にも大いに今後もまた待たねばならないところもあろうかと思いますが、しかし、その点につきましても関係省庁とよく立体的な連携をとりまして、具体的ないろいろな対策を進めていかなければならない、かように思います。
  80. 高平公友

    ○高平公友君 午前中の実は運輸大臣瀬谷委員に対する御答弁の中で、すべての国がハイジャック防止条約加盟にぜひ入ってもらうように努力したいと、こういうような御発言でありました。全くそのとおりだと思います。しかし、こんなことはそれぞれの国情の違いがありまして、それはわれわれ常識的に考えましてもなかなか簡単にできるものではない、相当私は期間がかかるんではないか、努力をせねばならぬと思うわけでありますし、また、もう一つ考えてみますと、このハイジャック事件ばかりではありませんで、クアラルンプール事件のように在外公館を襲撃することがあるかもしれぬ、大きな商社を襲撃して人質をとることがあるかもしれぬ、われわれの常識で考えることができない彼らは一つのいままでやり方を持っております。  そういうことから考えますと、私はいま先ほども申し上げましたけれども、この次も相変わらずどうもならぬで、超実定法的措置をとったというても国民はなかなか納得しないと思うんですよ。その点はひとつ私は肝に命じて、対策本部というのは本当に真剣に取り組んでいただきたいと思います。  一昨日の参考人の供述された機会に官房長官おいでになりまして、さきのクアラルンプール事件の直後にやはり対策本部をつくったと、しかしながら、いまから考えてみて、あれは非常にどういいますか、熱が入っていなくてまことに足りぬところがあったと、官房長官自身のこれは証言であるわけでありますから、今度はひとつそれと違った形でがんばってもらわにゃならぬ。  そこで、私は時間がありませんので、もう一項ひとつ御質問したいと思います。そこでひとつ申し上げますけれども、私はこれから項目四つに分けて御質問しますから、並べますからお答えをいただきたい。  政府の職員を各国空港へ常駐させる、運輸大臣は先ほど担当職員を空港調査にやると言っておられましたけれども、対策本部としては積極的にひとつ空港に常駐させて万全の警備体制を指揮するということに、お考えはどうかと。  それから、これはまあいろいろ議論があるところでありますが、警備員といいますか、保安員といいますか、それを飛行機に警乗させることについての考え方をひとつ述べていただきたいと思います。  三番目に、事件が起こった場合は、西ドイツがとりましたような、あんなぐあいにいつもいかぬだろう、一回やったことはもうその次は役に立たぬと思うんです。しかしながら、私は特別警察官、彼らの国境警備隊のような、そういう制度をつくって訓練しておいて、われわれにもこういう手があるよという一つの体制を示すことによって、ハイジャック犯人がモガジシオ空港で出て行くときに、おい日本と違うんだぞと、ぼさぼさしておると射殺されると、こういう言葉を吐かせることのないように、私はやっぱりわれわれにも備えがあるというところを示しておくのがこの際大切ではないかと。  それから、いま外務省からおいでになりましたが、海外の公館へ、これは対策本部で私は方針をお決めになって外務省と御相談なさる方がいい上思いますけれども、赤軍のああいう手合いの一体どういうふうに動いていくかという情報がなかなかつかめていなかったというのがいまの実態ではないか。ソマリアから出てベイルートを通って、どこかだんだんこっちの方へ、シリアの方から下ってくるというような、何か新聞で一面そんなことを見ましたけれども、そういう情報あたりは的確に把握するということが大切じゃないかと思いますが、以上の四点につきまして簡単にひとつ御答弁いただきたいと思います。
  81. 清水汪

    政府委員(清水汪君) 問題が大変具体的かつ重要な問題でございまして、私の立場で全部お答えできるかどうか疑問でございますけれども、各省にわたることではございますが、現在私のところが対策本部の取りまとめをいたしておりますので、その立場におきまして簡単にお答えをさしていただきたいと思います。  第一の、政府の職員を海外の空港——日航の寄港地だろうと思いますが、そこへ常駐させる問題はどうかという問題、あるいは第二の、警備員を実際に搭乗させるという考え方はどうかと、この辺につきましては、考え方の基本といたしましては、実は海外におけるチェックがきわめて大事であるということが今回の事件の反省としても浮かび上がっておるわけでございまして、その点に対する現在の手当てといたしましては、外国当局が行っておる検閲、チェックの体制に加えまして、わが方の手によるダブルチェックの問題を何とか実現をさせたいという線で考えておるわけでございますが、この場合にも大事なことは、そのダブルチェックに当たる人間を十分養成し、それを派遣するということが必要でございますが、現在その辺につきましては、日航を中心にしまして運輸省の御指導のもとに、そうした面の具体化の促進について努力をしているというところでございます。ただ、直接警備員を搭乗させるという問題につきましてはまだ議論が残っておりまして、いまここで具体的にお答え申し上げることは困難かと思います。  それから、万一起きた場合の警察の行動のあり方の問題につきましては、これはもう一つ問題が根本的な問題になろうかと思いますが、このことにつきましては、ただいま先生のお言葉の中にもありましたように、いずれにしましても、われわれとしてはあらゆる備えを持つことが大事だという御趣旨の御指摘につきましては全く同感でございますが、事の性質上具体的にどうかという点につきまして、いまここでは答えを控えさしていただきたいと思います。  それから最後の、赤軍の動向をつかむと、あるいはそれに機敏に対応するという問題、これはやはりきわめて大事な点だと思っておりますが、この点につきましても、先ほど申しました対策に臨む第一の柱である赤軍の根源を断つということの一環といたしまして、これは外務省のみならず、警察当局みずからも十分に今後のその面の情報の収集なり、その対策ということについては、特に体制をつくって力を入れていこうという考え方で取り組むことにいたしております。
  82. 高平公友

    ○高平公友君 ありがとうございました。  それでは、いまのハイジャックの問題はこれでもって終わりまして、もう一つ、運輸、通産省にお伺いしたいわけですけれども、それは欠陥タイヤのことであります。業界から言いますとふぐあいタイヤ。まあふぐあいにしましても、ぐあいが悪いということは結局欠陥に通ずるわけだと思うんですが、最近横浜ゴムのスチールラジアルの届け出がありましたし、過去にも五十一年にブリヂストンのこの届け出があったわけであります。  最近このタイヤの欠陥というのは事故が大変目立っておるのではないかと私は思うわけでありますが、いまのこの高速道をどんどんつくりましてそしてスピードアップされる中で、タイヤの欠陥というのは直接これは人命に及ぶ。前輪が、少なくも百キロもしくは百十キロぐらいで飛ばしておってパンクした場合は、前が吹っ飛ぶことはこれは確実であります。そういう意味におきまして、このタイヤというものをもう一遍われわれは見直さねばならぬのではないか。特にいま輸出産業の花形、自動車産業でありまして、これにくっつくのはタイヤでありますから、そういう意味からしましても、この際は、これらを機会にひとつ見直す時期に来ておるのではないかと私は思うわけであります。  そこで、運輸省におかれて、今度の横浜ゴムの欠陥タイヤにつきまして、一連の関係業界へ通達を出して、そして保安の体制強化の指示をしておいでになりますけれども、しかし、どうもこの基本から言いますと、一体空気入りゴムタイヤの基準というものを何によって求めておるか、こうなりますと、私はこの道路運送車両法ですか、これの第九条というこの条文によってこれは大体示しておるわけでありますが、摩耗度とか、そういう面においてきわめてどうもいまの高速交通体系の中で、この条文一つ読んでみましても、これはもう、たとえばタイヤの基準には「亀裂、コード層の露出等著しい破損のないものであること」、まことにぼやっとしたもので、それはもう表から見て亀裂あったり何かすればそれは一遍でぐあいの悪いタイヤだということが一目わかるわけであります。こういうタイヤの保安基準というものをどういうぐあいに考えておいでになるか、自動車局長ですか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  83. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 先生御指摘のように、自動車にとりまして走行装置の重要な要素であるタイヤ、これにつきましての安全性の確保ということは非常に重要な問題でありまして、われわれも強く認識しておるわけであります。そこでタイヤにつきましては、私ども型式審査なり、継続検査の際にこれをチェックいたしておりますが、それは日本工業標準規格、いわゆるJISによってタイヤというものの品質、強度が担保されて生産される、そのタイヤを車両に組みつける、その車両とタイヤとの関係におきまして車両組みつけ時の負荷荷重なり接地圧、こういうものを審査しておるわけでありますし、先ほど先生お読みになりましたように、空気入りゴムタイヤにつきましては亀裂、コード層の露出等の破損のないもの、接地部のすべりどめを施したもの、こういうものを使うことを確保しようというふうに実施いたしておるわけであります。  そこで、JISによって生産されてきたタイヤというものにつきまして、私どももその規格の策定については参画いたしておりますが、今後の場合におきましては特に品質基準、その中の耐久性の評価試験というものにつきまして検討いたした結果の基準をはっきり決めまして、それによってタイヤの安全性の担保というのをさらに強めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  84. 高平公友

    ○高平公友君 局長さん、いろいろお述べになりましたけれども、この法律ですか、この道路運送車両法これ自体を少しやっぱり改正する必要があるんじゃないですか、いまおっしゃった中で、どうですか、その点は。
  85. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 私ども保安基準一般につきまして、できるだけ抽象的な表現を避けて、具体的と申しますか、定量的に評価できるものはそういった基準として策定していきたいということで、いま運輸技術審議会にも諮問をいたしまして全般的な見直しもいたしておるわけでありますが、その中におきまして、タイヤ関係についてもそういった基準の明確化と申しますか、そういうことをいたしたいと思っております。
  86. 高平公友

    ○高平公友君 検査の方法等につきましては、結局タイヤを生産してもなかなか検査ができない。自動車にくっついておるから自動車の車両検査、この車体検査は二年に一回あるわけであります。あとはもう六カ月ごとにユーザーで調べるということになっていますが、実質はやっておりませんで、ほとんどやってないと申し上げていいんじゃないかと思う。そうしますと、やっぱりこういうタイヤがぐあいが悪いとか、そんなことを調べる方法がないわけなんですね。そして、これをつくっても、たくさんな何百万本とタイヤが生産されるわけでありますが、やっぱり追跡調査あたりをやっていない。だから、いま横浜ゴムなんか百八十万本ですか、大変な私は被害だと思うんですけれども、調査機構というものをもっと早く、そしてまた上手にできるような態勢をやっておいたならば、さっとこれはどうもおもしろくないと、人間のつくったものですからあるいは間違いあっても仕方がないと思うのです。  しかし、これはまた人命にも及ぶことですからそんなもの早く調べて、そして早く適切な方法を講ずる。届け出させるのもよし、まあリースさせるのもよし、いろんなそういう方法があろうかと思うのですけれども、どうもいろいろ調べてみますと、その辺はまことにうまくいかない。通産省はこのJISの規格によって品物をつくることをこれはやっておいでになる。検査はどうかというと、業界自身に任して、抜き取り検査ということでしっかりした検査がとり行われていない。それから運輸省は、車についた場合は運輸省の保安という立場で調べておいでになる。結局、通産と運輸と両方にまたがっておる。私は、これはタイヤというものは自動車の生命であって、人間に大きな影響を与える。これからますますこの産業というのは大きくなっていくだろうと思いますけれども、この機会に私は一考されるべき時期に来ておるのではないかと思いますが、局長のお考えを承りたいと思います。
  87. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) やはり品質、強度等において、それがりっぱなものであるものとして生産されるということが第一であろうと思います。これを今度使う場合のユーザーにおきましても、仕業点検なり、あるいは定期点検の際に、その外観面が主となりますが、チェックしていただく。それから、私どもの方としましても、その安全性の担保といたしまして、いま先生おっしゃっいました追跡調査と申しますか、そういったこと。それから、さらにクレーム情報につきましても、これの情報の把握についてその精度を上げていく、こういうことも考えて総合的に安全性を担保していきたい、かように思います。
  88. 高平公友

    ○高平公友君 通産省の方もおいでになっておると思いますが、ひとつ伺いたいわけですけれども、通産ではやっぱりつくること、JIS規格、これに基づきまして全部つくって、どういう形でどの程度ということで、これは製品として認めておいでになるわけでありますが、通産省の指導によって日本自動車タイヤ協会というものがあります。ここが自主的にいろいろなクレームのついたもの、いろいろの欠陥に対する申し出あたりにつきまして調査検討しておるわけなんです。私も実はそこへ行って検討してもらったことがあるのです。ところが、構成はやっぱりタイヤの製造会社とか、あるいはまた自動車のメーカー、それはいいわけですけれども、通産と運輸から一人ずつ皆さん出ておいでになります。三十一名の構成です。  どうもああいうような機能で一切民間任せでやりますと、仮にちょっと悪いといいましても、それは同業者の中ですからね、これはおまえのところのタイヤだめだと言うと、この次自分のところへくるとどういうこと言われるだろうと、これは人間の人情のしからしむるところで、お互いに余り言いたくない、しっかりした機能が発揮できないという感じがあるんではなかろうか。私の検査を受けた、まあ最後の検定報告書などももらいましたけれども、まことにどう言いますか、当たりさわりのない御意見の開陳であった。そういうことが積み重なって、ああいうような大量の製品に対するもう一遍引き取りだとかそういうことになったのだ。こういうものは、やっぱり適切な指導というものが私は大切だと思いますが、この点について、ひとつ運輸省とどこか一元化して、何かこの辺やっていってもらった方がいいと思いますが、これはあとで大臣に最後にお答えいただくことにしまして、通産省の方の考え方を承りたいと思います。
  89. 平河喜美男

    説明員平河喜美男君) 先生の御指摘のございました追跡調査について、日本自動車タイヤ協会で行っております処理の問題でございますが、ただいま御指摘のとおり、この評価する場合に第三者の委員も加える、そういうことを含めまして強化措置を指示してございます。
  90. 高平公友

    ○高平公友君 以上申し上げたわけでありますが、ちょうど大臣おいでになりましたので、タイヤの問題につきまして私が申し上げたこと大臣どういうぐあいにお考えになりますか、この際ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  91. 田村元

    国務大臣田村元君) タイヤの問題は、大変これは恐ろしい問題でもあります。私自身がたまに運転することがありますが、痛切に感じております。その所管をどちらかに詰めろという御意見のようでございますけれども、いま直ちに私が独断でどうこうと申し上げることもちょっとはばからなけりゃなりませんが、安全性、耐久性等について両省、両局が一層緊密に連携をとり合って万遺憾なきを期してもらうように、私からも強く自動車局長にも申しますし、きょうの御質疑の模様を、御趣旨を通産大臣に私からも直接お伝えをいたしましょう。
  92. 高平公友

    ○高平公友君 どうもありがとうございました。
  93. 田代富士男

    田代富士男君 私は、造船不況対策ハイジャック問題について質問をしたいと思います。  最初に、造船不況対策についてでございますが、最近の造船業界は、繊維業界と同じように、造船王国日本に戦後最大の不況の嵐が吹きつけているのが現状でないでしょうか。御承知のとおりに海運市況の低迷、タンカーの船腹過剰等によりまして新造船建造需要が著しく減退をしておりまして、需給の不均衡が生じておりまして、造船業は世界的にも不況を招いており、わが国においても例外ではございません。特にわが国は、今日までタンカーを主体として世界に誇る造船国として伸びてきたのでございますが、工事量の減少、不況というものはどん底にあるといってもよいのではないでしょうか。こういう深刻な造船不況に対処するために、いま各造船会社は努力しておりますし、政府もその対処をしておるかと思いますが、この問題につきまして逐次お尋ねをしてまいりたいと思います。  そこで最初にお尋ねしたいのは、世界の造船業の現状について、また世界の外航船建造の需要量の推移について最切に御説明を願いたいと思います。
  94. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 世界の造船業の現状につきましては、先生からお話をいただいたとおりでございまして、四十八年の石油ショックを契機といたしまして、海運市況の低迷、タンカー過剰ということで建造需要が激減をしております。こういう状態の中で、世界の造船業の建造量、手持ち工事量ともにすでに減少をし始めております。例示的にロイド統計で御説明をいたしますと、五十一年の建造量、これは進水ベースで統計が出ておりますが、前年に比べまして一三・五%、それからもう一つの指標でございます手持ち工事量、これはことしの六月末の手持ち工事量で前年同期の二三・四%減でございまして、ピーク時、四十九年の六月に比べますと三九・四%にすぎない状況に来ております。  この点につきましては、五十一年の海運造船合理化審議会で今後の建造量の見通し、主として外航船舶の建造量の見通しを出しておりますが、これによりますと、昭和五十五年に至ります間に、世界の建造需要量はピーク時の三分の一程度、すなわち千二百万総トンから千三百万総トン程度ということが見込まれておりまして、これに対応して種々の対策を講ずべきであるという答申が出されております。国際的に見ましても、この数字につきましては、OECDの造船部会においても、各国が統一的に作業をいたしました見通しによりましても大体こういった程度の建造需要の見通しであるということになっております。
  95. 田代富士男

    田代富士男君 特にいま御説明がありましたとおりに減少を見ている。その中にありましても、運輸省からいただきました資料を見ましても、タンカーの建造につきましてはこれは非常に激変をしている、こういう資料をいただいておりますけれども、このタンカーの建造を中心にした激変に対してどのように認識をし、どのように今後対処されようとされるのか、そこらあたりをちょっと説明していただけませんでしょうか。
  96. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 現在の船腹過剰は主としてタンカーの船腹過剰でございます。したがいまして、私どもが答申をいただいた見通しによりましても、タンカーは若干の例外を除きましてほとんどゼロであると、したがってバルクキャリアなり、あるいはその他の乾貨物船、あるいはLPG・LNG船等で、先ほど申しましたような千二百万総トン程度の建造需要が見込めるということで、日本の造船業といたしましてもタンカーからこれらの船種に切りかえておりますし、かつ、こういった特に高度の技術を要します液体貨物のLPG船、LNG船、あるいはまた自動車運送船等の、より付加価値の高い船ということで努力をしておりますし、技術的には日本の造船業はほとんどあらゆる船舶の種類を建造できる能力がございますので、こういった船の種類に転換して受注の確保を図っていきたい、こう考えております。
  97. 田代富士男

    田代富士男君 世界的にいま造船業界は不況である、これはわが国においても同じでございますが、この造船業界の不況というものは、他の産業と異なった不況の状況ではないかと思うんですね。これはもう私が申すまでもなく御承知されていると思いますが、直接の引き金になったのは四十八年に起こりましたオイルショックからではないかと思うのでございます。このオイルショックによりまして、造船業界以外のそれぞれの産業部門というものは生産、販売に直接影響を受けました。  ところが、この直接影響を受けて四年になりますけれども、造船業界というのは、まずオイルショックによりまして石油消費の節減というものが行われた、それによりましてタンカー船腹量の過剰状況が生み出されてきた、これが海運界の不況というものを発生さしたのではないかと思うんです。そして海運不況が造船業界に大きく波及いたしまして、今度は製造部門であります造船不況とつながってきた。いわばこの間タイムラグが生じたのではないか。これは御承知のとおりだと思いますが、このようなことは、他の産業が直接オイルショックを受けた。いずれこの造船業界というものは、このような他との違いがあるのだからということを最初からわかっていたはずでございますが、不況の影響のこのプロセスについて、オイルショック以来政府はどのようにこれを認識しておいでになられたのか、運輸大臣にちょっとお尋ねしたいと思います。
  98. 田村元

    国務大臣田村元君) 当然深刻な事態が生ずるということは予測しておったと思います。特にわが国造船業は、世界でずば抜けて第一位でございます。全世界の実に最盛期は六割からを担当しておったということでございまして、海運不況がもろに造船不況に影響するということは予想するところでございました。ただ問題は、国際競争が激甚でございますから、OECDその他との、まあ悪い表現かもしれませんが駆け引き、その他いろいろございました。わが国の造船業界を保護する、そのためにも、いかにして世界の競争に打ちかっていくか、その実績を確保していくかということで苦しい討議を展開してまいったと、こういうことでございます。いま実は運輸省の仕事はたくさんございますが、運輸省の仕事というと、すぐに国鉄だ、あるいは成田だと言われますけれども、海運、造船の不況に対するわれわれの努力というものは、この両者にまさるとも劣っておりません。そういう認識でございます。
  99. 田代富士男

    田代富士男君 大臣もいまこの不況というものを認識していらっしゃいますが、具体的にお尋ねをいたしますと、昭和五十一年度の運輸経済年次報告によりますと、造船の受注状況の主な特色といたしまして、一つには、タンカーにかわって貨物船が大半を占めている。総トン数ベースで見ますと、四十八年度一八%、四十九年度四三%、五十年度九三%。二つ目は、船型が小型化してきている。平均総トン数は四十八年度が四万七千トン、四十九年度が二万二千トン、五十年度が一万五千トン。三番目には、輸出船に占める延べ払い船の比率が非常に高くなっている。総トン数ベースで四十八年度一六%、四十九年度三〇%、五十年度七二%、こういうような報告がされておりますが、五十一年度、五十二年度における受注状況というものはどうなっているのか、またわが国の造船の建造量並びに起工量について、局長の方から御答弁を願いたいと思います。
  100. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 五十一年度、五十二年度とも、傾向といたしましては、白書に書いてございます五十年度までの傾向がそのまま延長されております。先ほどお話のありました受注量について、四十九年、五十年と減ってまいってきておりますが、五十一年度の実績で申しますと、これは二千五百総トン以上の船舶でございますが、五十年度八百五十万トンに対応いたしまして、五十一年度八百四十万トン、それから五十二年度の上期、四月から九月までは三百十万トンと、こういう状態になっおります。まあここで受注量の五十一年度、五十二年度の特徴といたしましては、キャンセルが五十年度七百万トンありましたが、五十一年度やはり同じ程度の七百六十万トンということで、主として大型タンカーを中心とします既契約のキャンセルはほぼ下げどまりまして、五十二年度の上期には百七十万トンという程度に減っております。したがいまして、受注につきましては、これからの動向いかんでございますが、かなり厳しいものと考えております。  それから、起工量につきましては、これは五十一年の六月の海運造船合理化審議会の答申をいただきましてから、運輸大臣が主要四十社について操業短縮の勧告をして、なだらかに事態の推移に対応するということで操業を落としてまいっております。その結果が出ておりまして、ちょっと数字が違いますが、十五社三十五工場、平均カバー率、全体の八〇%内外でございますが、この数字で申し上げますと、起工量は五十年度一千六十万トン、それが五十一年度は六百九十万トン、それから五十二年度の上期が二百八十万トンと、こういう状況になっております。
  101. 田代富士男

    田代富士男君 いろいろ聞けば聞くほど本当にこれは大変だという状況を認識せざるを得ませんが、この中でありまして一番問題は、大手の造船会社はまだしも、中堅造船会社におきましては非常な困り方をしている。その中堅造船会社における倒産などのケース、それに対する対策をどのように考えていらっしゃるのか、御説明を願いたいと思います。
  102. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 基本的には、中堅造船業に対する対策といたしまして、操業時間を平均で短縮をしていきますが、たとえば五十二年度で申し上げますと基準年度、これは四十九年度を中心にした両三年でございますが、それに対応して平均で七五%、五十三年度平均で七〇%という操業の短縮を考えておりますが、その中で大手造船所以外の——大手造船所はこの平均よりも低く操業し、中手以下はこれの平均よりも高く操業短縮の勧告をするということで、基本的に差をつけて対応しております。しかし、先生御指摘のとおり、最近中小造船所、特に操業短縮の勧告を受けていないところを中心にいたしまして、五十二年度で十件の倒産を見ております。  私どもはこういった造船業の経営の悪化につきまして、特に従来から、地方の海運局がございますが、その海運局を中心にいたしまして地方の通産局、あるいは財務局と連絡をとりながら、経営の改善について助言、指導を行ってきておりまして、何とかこれで倒産の回避をしたいということでやってきているところであります。ただその助言、指導によりましても、不幸にして倒産という事態に立ち至ったケースが先ほどの件数でございますが、これに対応しましては雇用対策、あるいは関連倒産防止のための対策のほかに仕事のあっせん、金融対策等、地方の通産局、財務局と連絡をとりながら措置を講じております。確かに今後とも本格的な影響が出てまいるおそれがありますので、業界の動向を常時把握しながら、地方単位できめの細かい指導体制を強化して、関連倒産の防止に努力をしてまいりたいと、こう考えております。
  103. 田代富士男

    田代富士男君 それで、いま努力をしていくということを局長がお述べになりましたが、この造船不況を克服するということは並み大抵のことではないと思うんです。そこで、私はこの造船需要の拡大を図るために、こういうことをやったらどうかということを申し述べてみたいと思います。  まず第一番目には、二百海里時代に対応した海上保安体制の確立を図っていかねばならないのが現在の日本立場でございます。そういう立場から申し上げますと、巡視船艇の拡充強化が必要ではないかと思うのでございます。したがいまして、この二百海里という新しい時代を迎えた、これに対応するだめに巡視船艇の追加発注や、あるいは建造計画の繰り上げを行うべきではないか、まずこれが第一点でございます。  第二点は、官公需船のスクラップ・アンド・ビルドの拡大を促進する、これが第二点でございます。  第三点は、省資源の立場から、既存の大型タンカーのエンジンのディーゼル化を促進するとともに、海洋汚染防止対策強化を目的としたタンカーの分離ハラストタンク化などタンカーの構造改善を推進すべきである。  第四番目には、液化天然ガス、LNG船及び新しい船舶の開発と建造を促進して造船需要の拡大を図るべきではないか。  これはとりあえず四つの提案でございますけれども、これに対する大臣並びに運輸当局の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  104. 田村元

    国務大臣田村元君) 大変適確な御指摘を受けました。いま御意見が開陳されましたのは巡視船艇、官公需船等でございますが、私どもの考え方を一つずつ申し述べてみたいと思います。  巡視船艇は、これは造船不況に対応するというより、むしろ二百海里時代を迎えて大いに増強しなければならない問題でございます。今度の補正予算でも千トン型巡視船五隻、これは純増でございますから、それ以外にYSとかいろいろございますけれども、また巡視艇もございますが、そういうふうに増強いたしまして、これからも二百海里といえば大変なことでございますから、巡視船艇の増強ということは何よりも重点的に考えていきたい。それはとりもなおさず造船にもいささかでも貢献ができるということであろうと存じます。  それから官公需船のスクラップ・アンド・ビルドに関しましては、これはすでに船舶局長からもお願いをしてございます。特に下請関連等の業者の場合、御承知と思いますが、解撤作業ということで新しい道を求めようとしております。すでにそれが動きつつございます。そういう解撤業にいささかでも官公需船等をお役に立てたいというふうにも考えております。  それから主機換装の問題でございますが、ほとんどディーゼル化いたしておりますけれども、大型船、特にタンカー等につきましてはなおタービン船を使っております。これは省エネルギーの観点から言ってももったいないことでございます。でありますから、これをとにかく主機換装してディーゼルに切りかえていただく、これはひいては造船にも大きなプラスになる。ただ問題は、この場合なかなか海運業者がやりたがらないというむずかしい問題がございます。しかし、私どもはあきらめることなくそれを指導したいと思っておりますし、また、いろいろと対策も講じていきたいと考えております。  それからSBTの問題でございますが、分離バラストタンクにつきましては、御承知のように、七三年条約をいまひとつ大きく前進せしめるためにカーター大統領が提案をいたしたということもございまして、わが国としてはもちろん世界各国、特に海運国の動向をにらんでいかなきゃなりません。各国の動向を見きわめつつ、積極的にこの会議に参加していくという姿勢で臨んでまいりましたが、今後もこの問題につきましては積極的に会議に参加をして世界の海運先進国として恥ずかしくない態度をとっていきたい。もちろんこれもまた造船に大きなプラスになるものと考えております。  それからLNG船等でございますが、日本への大きなプロジェクト、これは日本のLNG船でもって対処したい。御承知のようにLNG船は、まだ目下のところ日本は率直に言って先進国とは言えません。しかしながら、その技術改善等いろいろな面で研究もしておりますし、一部建造に着手しております。この船はこれからの日本の造船界が、ある意味においては息を吹き返す問題にもなるかと思います。先般もカナダの運輸大臣がやって参りまして、私は親しく会見をいたしましたが、そのときに実はカナダはいま北極海で取っておるLNGを輸出するのに、世界の造船技術のすぐれた国々に引き合いを出して、もちろん競争入札になるのでしょうがいまやっておる。その席で私からも、ぜひ日本のLNG技術もすでに向上しておるのだから、世界の各国に負けないだけの技術を持ってきたのだから、日本の船についてもよろしく御高配を賜りたいということを実はついこの間お願いしたところでございましたが、こういう問題等についても積極的に取り組んでまいるつもりでございます。  いずれにいたしましても、造船不況はこれはなかなかむずかしい問題ではあるのです。海運不況と造船不況は連動する面と、全然相反する面と両方ございます。海運不況はイコール造船不況になる。ところが今度は、逆に海運の方の合理化をやれば造船の方はもう火が消えてしまう。造船の方が船をつくれば海運の方に悪影響を及ぼす。そういうような相反する面もございます。そういうところの調和はとっていかなければなりませんけれども、私どもとしては可能な限りの、あらゆるいまおっしゃったようなことを、たとえばもう一つつけ加えて申し上げますならば、先ほど申し上げた解撤事業なんかでも、もう世界で成功しておる例もあるのでございますから、そういうものも含めてあらゆる方策を集めて、いままでのように大きい船をぽんと注文を受けたらこれをつくるのだというようなことでなしに、とりわけ大きな造船所は、何十万トンをつくるという造船所、そういう大企業は言うなら兼業造船所でございます。ほかのいろいろな部門を持っておる。ところが、中小造船業は専業造船業でございます。それだけにあふりは大きいということで、いろいろなものをかき集めてあらゆる対策、われわれの知恵が出尽くすまで対策を講じようと、こういうふうな姿勢で取り組んでおるということでございます。
  105. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、私は次のことをお尋ねしたいと思いますが、最近の計画造船の建造量と、建造資金の融資状況につきまして御説明を願いたいと思います。これは細かい数字になるかと思いますが、私、過去十年ぐらいの経過をお尋ねしたいと思いますが、特に最近の状況について詳しく御説明をお願いいたします。
  106. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 御説明申し上げます。  計画造船につきましては、各年の建造量がきわめて波動をしております。大ざっぱに申しまして、昭和四十六年、七年、この時期に年間三百万総トン以上の日本商船隊を計画造船方式によってつくってまいりました。また、その時期になりますまでに、いわゆる大量建造という目標を掲げまして、計画造船の年間の建造量はこのピークに向かって少しずつふえてきておったというのがそれまでの状態でございました。この四十七年をピークにいたしまして、計画造船の各年の建造量は次第に減少いたしまして、五十一年、昨年度の計画造船のトン数はわずか十六万トンということになっております。  ちょっと年を追って数字を御説明さしていただきます。  昭和四十四年の計画造船の建造量は二百四十七万トン、四十五年度は二百六十二万トン、四十六年度三百二十二万トン、四十七年度、これがピークでございますが、三百三十万トン、四十八年度に入りまして百九十九万、四十九年度百九十四万、五十年度でけたが一つ下がりまして九十四万、で、ただいま申し上げましたように昨年度、五十一年度は十六万トン、こういった計画造船のトン数になっております。  これに関連いたします財政資金の金額も、ほぼ全体の規模としてはトン数の上下と大差ございません。ここにございます融資の金額を年を追って御説明さしていただきます。  四十四年度九百十二億、四十五年度千五十六億、四十六年度千百三十四億、四十七年度、ピークのときに千三百四十一億、四十八年度九百三十一億、四十九年度七百六十五億、五十年度七百九十二億、昨五十一年度四百九十億、以上でございます。
  107. 田代富士男

    田代富士男君 いま御説明をいただきました中で、私がいただきました数字とちょっと数字の違いがございますが、これ数字の違いがありますけれども、ほぼの傾向を、私が運輸省からいただいた資料をもとに申し上げたいことは、四十七年度をピークに計画造船の建造量も下がってきている、同じくそれにつきまして、建造資金の融資状況も下がってきているということが一つの大きな特徴になっておりますが、私が申し上げたいことは、計画造船の建造されるときに、予定建造総トン何ぼと決められております。  それに対しまして、いま局長が申されたのは実績の総トンであったかと思いますが、これが四十九年まではほとんど予定建造総トンと実績総トンとは大体合っておりますけれども、五十年度におきましてはこれが非常に違いがございます。五十年度の予定建造は百七十万総トン、これに対して、いま実績総トンは九十四万四千八百総トン、五十一年は予定建造総トンは九十万総トン、それに実績総トンは十六万四千九百九十総トン、五十二年はまだこれは明確にされておりませんけれども、このように予定と実績というものが余りにもかけ離れておる。こういう状況ですから、融資状況におきましても同じようなことが言われます。  これは私は不況に対する、いま田村運輸大臣が、こういう造船業界の不況ということは前々からわかっていたから一応対処してきたと言われますけれども、この予定と五十年以降の実績というものがかけ離れているということは、不況に対して対処されてきたけれども甘さがあったのではないかと、私はこのように思いますが、運輸大臣、どうでしょうか。
  108. 田村元

    国務大臣田村元君) 私は、甘さがあったと言われればそれまでなんですが、甘さがあったというよりは、むしろ不況の速度が非常に速かったと、それから深度が深かったと、しかもOECDとの関連等がなかなか微妙で複雑な面があったということであったというふうに実は理解いたしております。まあしかし、それをしも甘かったということになれば甘かったんでございましょうけれども、何さまいままで遭遇したことのない経済激動でございましたから、激変でございましたから、特に誤っておったとは思いませんけれども、しかし、結果としてはそのような食い違いが出たんでございますから、やはり反省しなければならない点もあろうかと存じます。
  109. 田代富士男

    田代富士男君 そこで私は、現在の造船業界の状況から見まして、この数字の違いが大き過ぎるからこれを減らしなさいと、このように言っているものではございません。私は、ただ、いま申すとおりに、予算の問題になりますとむだ遣いということに対しましては非常に関心のあることでございますし、こういうむだな予算のつけ方ではないかという非難もこれは否めないと思うんです。また、造船業界という特殊な業界でございますからいつでも建設にかかれる、そういう備えをしておく意味からもこういう一面もあるかと思いますけれども、その非難は非難としてこれを謙虚に受けとめて、まだこれだけの予算があるのですから、造船業界の不況に対しまして、これは打つ手は残されていると思うんです。そういう面を言っているんですが、大臣、どうでしょうか。
  110. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) 御指摘のとおり、すでに大臣説明申し上げましたとおり、最近におきまして、予算の上に出ました財政資金の枠と、現実にその枠を使って計画造船をつくった、そして使った金額とに大きな乖離が生じたのは、御指摘のように見通しを、あるいはいまから考えれば誤ったというふうに申せるかもしれません。御承知のようにこの財政資金の枠は、前年の八月にいろんな状況を勘案いたしまして要求の数字が固まり、その前年の年末に政府全体として資金計画の一環として組み込まれ、その翌年の四月からその次の年の三月にわたって個々の船主が造船所との間に造船契約を決める、つまり、いかなる船をどのようなかっこうで幾らで投資をするかということを決める。その十何カ月間かのこの時期の間に、先ほど来話題になっております急激なる世界の海運市況の変動というものがございまして、その一年前の八月に予想をし、資料を収集して取り決めた要求というものが、二十何カ月たった後で振り返ってみると非常に過大であったという結果がこの二年間の枠の中に出てきているわけでございます。  私どもは、こういったことは、予算の作成という意味では役人として恥ずかしいことだと思っております。こういうことがないように気をつけなければならぬかと思いますけれども、ただ、正直に申しまして、こういった予算の作成の過程におきまして、先ほどから大臣の御説明にございましたように、海運の不況と造船の不況とは相通ずるものがあり、あるいは相反するものがある。この日本の造船業というものの現状を横に見まして、もしだれかが合理的な根拠のもとに、いかにこのような海運不況であろうとも必要な船をつくりたいという人が出てきたら、それに対する資金の手当てというものはいつでも十分にしてあげておきたい。資金がないから造船業が船の発注ができなかったというふうな目には遭わせてやりたくないなあという物の考え方が政府の各部局を通じてあったということもまた、言いわけではございませんが事実であると存じます。  御指摘のように、昨年の予算の枠は七百五十億に対して四百九十億しか使わないで、その資金は開発銀行の他の部門に回されたと承知しております。  で、私どももこれから先、現在成立しております額というものについて、これが合理的な基礎のもとに、このような海運市況のもとでなおかつ船をつくりたいという人が、私どもはいま六十五万トンと見ておりますけれども、これに出てくるならば、できるだけ計画造船の枠の中に入れて、この予算を有効に使うべくいろいろと努力をしておりますし、また今後とも続けたいと存じております。
  111. 田代富士男

    田代富士男君 いま大臣局長も申されたとおりに、造船業界と海運業界とは立場が通ずるものと通じない場合とがある。それで、私が指摘しましたことに対しましては、造船したいというそういう人に対する対応策から備えとして臨みたい、まあそのように希望があるならばいつでも対応したいという御答弁でございましたが、これは海運業界からはこういう要望があると思います、これはすでに御承知かと思いますが。早く計画造船制度を見直して、液化天然ガス、いまもお話出ておりますLNG船など、高付加価値船への融資対象拡大、融資条件の緩和などで、低成長経済に見合った形に改めて、日本船の失地回復に役立たしてほしいというような要望が出されております。これに対しまして、いま大臣局長からはその姿勢をお聞きいたしましたが、こういう、改めて私お尋ねしますが、海運業界からの要望に対してどのように受けとめられますか。
  112. 田村元

    国務大臣田村元君) 基本的に申せば、海運業界からの要望に対しては、可能な限りわれわれは対応していきたいと考えております。ただ、先ほど来私も申し、また御指摘もあったように、海運と造船との相反する利害関係もございますから、そこいらの調和はとっていかなければなりません。とっていかなければなりませんが、いま私どもは海運界、造船界問わず、世界的な構造不況でございますから、業者の言い分に対して耳を傾け、しかも、それは対応ぶりを速やかにしていくという姿勢をとっておるところでございます。
  113. 田代富士男

    田代富士男君 ひとつこういうような要望に対しましても、私は数字を挙げてお尋ねをいたしましたが、要望にこたえまして、不況対策の一環にしていただきたいことを要望としてお願い申し上げます。  それから、いま予算と実績との違いがOECD等の関係でこのようになってきたというお話もいま出ておりますが、わが国の造船業に対する外圧といいますか、非常に強いものを感じます。特に具体的な問題になったのは、いま話が出ましたOECD等におけるわが国造船業に対する圧力に対しまして、特に謝敷船舶局長はこの会議等にも出られたかということをお聞きしておりますけれども、そこで、そのとき、どういう問題を強調されたのか、どういう対処をされたのか、まず私は三点の立場からお尋ねをしたい。  一つは、わが国の国際的適正シェアについてどう主張し、対処してこられたのか。二つ目には、船価についてどうであったのか。三つ目には、輸出条件についていかなる対処をされておいでになられたのか、ここらあたりの経過を報告を受けながら、どのように対処されたか、お聞かせ願いたいと思います。
  114. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 造船不況の克服に関しまして、OECDの造船部会で、かなり長期にわたって議論が行われてまいりました。昨年の秋に日本とECとの間で、貿易のアンバランスから端を発しまして、造船業もその一つの対象業種として論議の的になったわけでございます。造船の場合にはほかの業種と違いまして、日本からECなり日本からヨーロッパ諸国に向けて輸出が急増したとか、そういう問題ではなかったわけでございまして、その意味では他の業種の問題とちょっと趣を異にしておりました。で、欧州側が問題にいたしておりましたのは、要するに貿易収支のアンバランスによりまして、向こう側の輸出が少なく輸入が多いという論点よりも、むしろ世界的な造船不況の中におきまして、特に競争力の弱い欧州の造船国がこのままでいくと非常にゆゆしい事態になると、こういうような論調でございました。で、その中で特に新規の受注のとり方が日本に偏ってるんではないかと、そういう論旨でございます。  それに対応いたしまして私どもからは、まず第一点に、ほかの業種と違うので、まあ言うなれば貿易アンバランスの問題でなくて、要するに世界の造船業をどう考えるかという問題であるということで、ほかの業種から切り離して対応したわけでございます。で、まあ向こうの言う一点目の、新規受注の量がほかの各国に比べてきわめて際立って多かったということに関しましては、日本のキャンセル量なり、あるいはそういうものが非常にヨーロッパの国よりも比率が多くて、極端に手持ち工事量が減ってきます、したがってそれの穴埋めにとったわけでして、新規受注量だけで見ないで、むしろ今後の工事量そのもので見てほしいと、こういう議論で、なかなか食い違いがあったんですが、基本的にはそういう議論で対応してまいりまして、まあその結果としまして世界におきます造船のシェアというものにまで言及されたわけでございます。  私どもはその国際的にシェアを決めるということに関しては基本的に反対でございまして、そういった動きに関しましては、秩序ある輸出なり秩序ある建造はいたしますが、そういう固定的な概念を持ち込むべきでないということで、基本的に食い違っておりますが、一応そのシェアの点については、日本は工事量におけるシェアを従来の実績以上には増加しないということで、そこで堅持をしております。したがいまして、五〇%以上を工事量が超えるような場合には何らかの対応をするというような主張で通しております。この点に関してはまだ同床異夢でございますが、一応向こう側も、完全に納得はしておりませんが、日本側の主張についても耳を傾けております。  それから、第二点の船価問題でございますが、これは基本的に私どもは、昨年の六月の海運造船合理化審議会で、国内的な問題といたしまして、世界全体で需要が落ちていくときには、日本の造船業としては国内的にこれに対応するために船価を——建造量が減ってくるわけですから、下請あるいは関連工業を考えますと、船価を上げて、より付加価値の高い、あるいは船価の高い船で対応すべきであるという基本的な考え方を持っております。そこで、まあ向こう側の言う、言うなれば日本と欧州との間で、二割とか三割とかっていう議論はありますが、船価差があるということで、これを何とか縮めてほしい、あるいは日本の船価を上げてほしいという要望が強かったことも事実でございます。それに対応いたしまして日本側としましては、先ほどの国内的な対策も考えまして、あるいは第三国との競争力を考えて、日本の建造シェアが今後ふえないように船価の引き上げを図ります、こういうことで対応して、数字については具体的に一いろいろ仮定の議論ではありましたが、私どもの約束としては数字についてはそういう言い方で答えてきております。  それから、輸出の条件につきましては、これはいままでの二つの議論と違う協定がOECDにございまして、これは輸出信用条件を国際的に過当競争しないで一定の水準でとめようという協定でございます。この協定によりますと、延べ払い比率七〇%、金利八%、頭金七〇%、それから延べ払い期間七年ということで国際的に統一しております。したがいまして、今後ともこの協定については、他国も含めて守られるように対応してまいりたいと、こう考えております。  以上でございます。
  115. 田代富士男

    田代富士男君 OECD等の外圧が強いためにやりにくい面もあるということでございますから、これはまた一つの提言でございますが、この造船業界の不況克服には、国際的な協調と世界各国との相互理解が必要であるのではないかと思うわけなんです。これが根本じゃないかと思うんです。そういう意味で、現在EC諸国を初め各国の間に、日本の造船業界はカンパニーユニオンであるという認識が非常に強い。日本の造船業界の合理化努力に対しまして強い不信感を持っている。  したがいまして、諸外国のこうした認識と不信感を取り除くためにも、業界はもとより、あるいはその業に携わっております労働組合の間の国際交流を活発にしたり、あるいはわが国の雇用構造のあり方等に対する理解を得るように努力する必要があるのではないかと、いま申すとおりに国際的な協調と世界各国との相互理解、こういう国際的な環境づくりというものが不況克服にも一役買うのではないかと思うんですが、大臣の御見解を承りたいと思います。
  116. 田村元

    国務大臣田村元君) いま、御承知のようにOECDの造船部会でいろいろと討議をしております。次回は十一月上旬ということでございます。仰せのとおりなんです。もう国際協調、同時にわが国として主張すべきは強く主張すると、こういうことであろうと存じます。まあ外航海運でも同じことが言えるんでございますけれども、世界的な問題でございますから、日本の置かれておる立場日本の造船業の規模、また日本の造船業の産業形態、それから雇用の形態、その実態等を十分説明しながら、国際協調を基調として進めていくということであろうと存じます。私はおっしゃるとおりだと思います。
  117. 田代富士男

    田代富士男君 時間が余りありませんから、お聞きしたいこといろいろございましたが、あと一点だけまとめてお尋ねしたいと思いますが、まあ操業度の問題がありました。これは省きまして、操業度が著しく低下されておりますけれども、これをめぐりまして、造船業界は社会に与える影響というものは非常に大きいのではないかと思うんです。特に地域社会への影響、これは見逃せないのではないかと思いますと同時に、関連工業への打撃も非常に大きい。またこの造船業界というものは、御承知のとおりに労働集約的な産業であるために、特に重要なのは雇用問題ではないかと思うわけなんです。  そういう意味から、一時帰休を含めて対応はどのようにされるのか。休業、転職などに関する労働対策の充実はどうなのか。特に雇用問題では、雇用調整給付金の適用期間の延長などの措置を早急に実施する必要があるのではないかと思うわけでございますし、またこういう関連業界に対しましては、たとえて言うならばバルブ業界、こういうような中小造船関連業界の協業化、こういうものを早期に実現する必要があるのではないか。またそのための融資条件の緩和、設備資金の返済繰り延べ等の金融措置であるとか、税制上の優遇措置の実現にもこれは努力を払うべきではないでしょうか。  また大臣がいまさき申しておられました解撤業に対するいろいろな話もございましたが、このようなスクラップ業界に対する官公庁船の払い下げ、その他解体用船の購入等に対する長期低利融資の実施など、国の特別措置の実現を図るべきではなかろうか。また鉄鋼類の安定供給と業界の体質強化を目的とした、これは仮称買船公団というようなものを設置いたしまして、こういう造船不況克服のための施策を講ずべきではないかと思いますが、まとめた質問でございますが、まとめて御答弁をお願いしたいと思います。
  118. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 造船不況に伴いまして、特に中小企業の多い造船の関連業界について対策を立てていく必要がありますし、これまでも講じてきたわけでございます。  まず、金融対策といたしましては、下請を含めまして造船業、それから造船関連工業を中小企業信用保険法によります不況業種にいち早く指定をいたしております。それと同時に、政府系の中小企業向け三金融機関の融資のあっぜんもしてまいっております。さらに最近におきまして、円高という問題に対応いたしますために、造船業と造船関連工業を中小企業為替変動対策のための緊急融資の対象業種として指定をしてまいりました。こういったことで、金融については、先生御指摘の運転資金、設備資金等につきまして、こういった従来の措置を継続、強化してまいりたいと、こう考えております。  それから、これを支えます雇用対策がございますが、これにつきましては、御指摘のように雇用保険法によりまして、雇用調整給付金の対象業種として、舶用機関の製造業でありますとか、あるいは舶用塗装業等下請の五業種、さらに鋼船製造業を指定してまいりました。ことしの七月からは下請を含めまして造船業につきまして雇用対策法を適用していただくことになり、これによりまして職業転換給付金の適用業種ということで対応をしております。さらに本年の十月、本年度の予算によりまして新しく認められました雇用保険法によります雇用安定事業というものが創設をされまして、これは従来の雇用調整給付金あるいは一部の事業転換に伴います雇用調整事業、こういったものを含んでおりまして、この中に造船業とそれから造船関連工業を指定するということで、雇用対策についてはこれらの対策でめどをつけてまいりたいと、こう考えております。  それから事業転換につきましては、これは現在の状況でございますので、造船なりあるいは下請、あるいは関連工業の事業転換、なかなか具体的にはむずかしゅうございます。特に昨年度から本年度にかけまして私ども地方の海運局を通じまして、通産局あるいは各都道府県と連絡をとりながら事業転換の会議を持っております。それと同時に、中小企業の事業転換対策臨時措置法の対象業種としてことしの三月からしておりまして、この面で法律的にも、あるいは実際の面でも何とか事業転換の促進を図っていきたいと、こう考えております。  それから御指摘の船舶の解体業でございますが、これは造船の仕事をふやすと同時に、それが減ってまいりますから、ふやす努力はいたすわけですが、何とか解体業につきましても事業として軌道に乗るようにということで、五十二年度から造船下請事業者につきまして協同組合をつくっていただき、これに親企業を協力させまして、解体業を実施すべく準備中でございます。これに対しまして技術改善の補助金といたしまして、五十二年度に所要経費約一億四千万強計上いたしまして、何とか事業として軌道に乗るようにということを考えております。ただ、解体業につきましては、御案内のような需要先であります平電炉業界等の現状から見ますと、なかなか厳しい面があるということも事実でございまして、事業転換につきましては、今後とも他の部門も含めまして努力をして指導をしてまいりたいと、こう考えております。
  119. 田代富士男

    田代富士男君 時間が参ったようでございますが、ハイジャック関係でお尋ねしたいと思います。  外務省警察庁、内閣、運輸省、法務省の関係、おいでいただいておるかと思いますが、今回の日航ハイジャック事件に対しまして、いろいろ対策を講じられましたその処理に要した費用を、ただいま申し上げた各省から報告を願います。
  120. 田村元

    国務大臣田村元君) 運輸省が使いました費用でございますが……
  121. 田代富士男

    田代富士男君 簡単に、時間がありませんので。
  122. 田村元

    国務大臣田村元君) 現金で支払いましたのは、政務次官を団長とした派遣団の派遣外国旅費二十一万二千円でございます。ただ、徹夜に次ぐ徹夜ということで、電気代あるいは電話代は、ちょっとこれは私にはわかりません。
  123. 高瀬秀一

    説明員(高瀬秀一君) 外務省につきましても同様なあれでございますが、いま判明しております数字を中間報告という形で御報告申し上げますと、外国旅費につきまして五十一万五千円、それから通信専用料、これは東京で使いました通信料で、在外の、外で使いました通信料は入っておらないわけでございますが、それが百四十四万円と、こういう数字でございます。
  124. 大高時男

    説明員(大高時男君) 警察庁でございますけれども、発生と同時に警察庁では対策本部を設置しまして、また、各関係の都道府県で空港の警備、あるいは護送される釈放犯の警戒警備等に当たったわけでございますが、これらに要しました経費——超勤とか、あるいはまた警戒出動のための旅費等がございますけれども、現在までに六百十万ぐらいということになってございます。
  125. 枇杷田泰助

    説明員枇杷田泰助君) まず内国関係での護送に使いました経費が三十二万九千円、それからダッカに参りますために費消しました経費が七十一万四千円、合計百四万三千円であります。そのほかに電話料、その他の経費がかかっておりますが、これは金額はつまびらかになっておりません。
  126. 豊藏一

    説明員豊藏一君) 内閣といたしましては、官房副長官外一名が現地に派遣されておりますので、その関係の費用といたしまして十六万九千円を要しております。
  127. 田代富士男

    田代富士男君 いま私は、今回のハイジャック事故処理に対する費用を各省からお尋ねいたしました。これ以外に身のしろ金が抜けておるわけなんです、外務省。一番大きな金が。これは外務省が予備費から出されたんでしょう。どうですか。
  128. 高瀬秀一

    説明員(高瀬秀一君) 身のしろ金につきましては、経常経費ということで実はお答えいたしましたので、身のしろ金十六億三千五十万円でございますか、六百万ドルでございますが、それから日航特別機のチャーター料、これは目下計算中でございますが、はっきりした数字はまだつかんでおりません。
  129. 田代富士男

    田代富士男君 それで、概算計算いたしますと、日航のチャーター料が不明である、これ日航へ聞きましたら、対外的関係もあり、運輸省と協議してこれを決める、こういうややこしいものでしょうか。クアラルンプールのチャーター機は約四千万ぐらいかかったということでございますが、今回これが出ない。ここあたりも私は不思議でなりませんが、これ合計しますと、約十六億五千万円ほどの費用が出ておりますがこれは事故が起きなかったらこういう費用は必要ない費用でございます。十六億五千万。外務省警察庁、内閣、運輸省、法務省の各経費を聞きました。ここら、一言で言うならば人命尊重ということもありますが、一面から考えれば、未然に防いでおるならば税金のむだ遣いということではないでしょうか。そういう意味から、これは先日この運輸委員会で参考人の方を呼んでお聞きしたときにも、各人が政府においてこれはやってもらわなければハイジャックは解決できないという意向でございました。クアラルンプール事件が起きた直後に、アメリカのアンダーソン報道官が、三木内閣の折にも、この国際防止協定をつくろうという呼びかけがあったにもかかわらず何らこれに対処してきてなかった、こういう怠慢があったがために、私はこういうむだなお金も使ったのではないかと思うわけですが、そういう意味において、これは政府の怠慢であるし、今後どのように対処されるのか、幸い官房長官がお見えになりましたから、最後に御答弁を願いたいと思います。
  130. 園田直

    国務大臣(園田直君) 前内閣のときのことはよく存じませんが、よく調査をして、手落ちがあったらこれを十分検討いたすことにいたします。今後はそういうことのないように、外務省を通じて各省に協力方またはその他を依頼しているところでございます。
  131. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ハイジャク関係についてお聞きいたしますが、犯人がどこからどういう方法で武器を持ち込んで乗り込んだのかということがはっきりわかりましたかどうか、もしわかったとすれば犯人を乗り込ませた国に対しては何らかの責任を追及をするということはしないのかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  132. 園田直

    国務大臣(園田直君) 犯人らはいずれもボンベイから搭乗しているようであって、凶器類もここから持ち込んだと推定をいたしておりますが、所持品として持ち込んだのか、別な方法で持ち込んんだのか、いまだ確定するまでは至っておりません。なお、ボンベイ空港から搭乗している模様でありますので、インド政府に対しては事実の確認を含めた捜査方を協力依頼中でございます。この結果、その後の処置はしたいと考えております。
  133. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 インド政府でもまだわからないということなんですか。
  134. 園田直

    国務大臣(園田直君) それ以上はまだ確定いたしておりませんが、まだそれ以上はわかっていないそうでございます。
  135. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いまだにわからないということになると、これはうやむやになってしまうというおそれもあるわけなんですが、しかし、先ほど運輸大臣に対する質問で、この空港検査実施状況についてお伺いしましたところが、手荷物検査乗客検査でもって、パリとかアテネとか、こういうところでは、エックス線装置もあるし、金属探知器もあるけれども、カラチとかボンベイとか、こういうところはないということをお聞きしました。こういう検査の道具がなくて、ボデーチェックだけであるということになりますと、そうでなくとも、賄賂をくれたり何かすればどうにでもなるということをわれわれ聞いておるんでありますが、いかにもその点はずさんであるという感じがいたしますが、そういうずさんなやり方がいまもって継続をしているのかどうか、その点もあわせてお伺いしたいと思います。
  136. 園田直

    国務大臣(園田直君) 御指摘のようなこともございますので、それぞれ日本航空の寄航地、あるいは関係各国に対しては、外務省を通じてそれぞれ協力方を依頼中でございます。
  137. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 協力方を依頼してどういう返事が来ておるのか。いま、今日現在、ハイジャック防止のための万全の策が講じられているのかどうか、その現状はどうなんでしょう。
  138. 賀陽治憲

    説明員(賀陽治憲君) ただいまの御質問の点でございますが、第一次的には日航当局がそれぞれの寄航地の政府といろんな話をしておられるようでございます。私どもといたしましても、この点につきましては、外国政府との必要な交渉を行う立場にございますが、これはあるいは運輸省から御答弁をいただいた方がいいかと思いますけれども、そのためのミッションが近く派遣されるというようなことを伺っておるわけでございまして、今後ともその点はひとつ強力に推進してまいりたいと、かように考えております。
  139. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いまだに犯人がどこからどういう方法で武器を持ち込んで乗り込んだのかがわからないなんてばかなことはないと思うんですよ。いまだにわからぬということは、これはわからないままになぞになってしまう可能性があるのでありますが、その点はどうでしょう。
  140. 賀陽治憲

    説明員(賀陽治憲君) ただいまの先生の御質問でございますが、犯人たちがいずれもボンベイから搭乗していることは可能性がきわめて高いということでございまして、武器も恐らくここから持ち込んだと推定されますので、現在インド政府当局に対しまして、事実の確認を含めた捜査協力につきましてすでに申し入れをしておりまして、その回答を督促し、早急にこの点については確立してまいりたいと、かように考えております。
  141. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 先ほど私が質問したのは、そういうずさんな方法で犯人を乗り込ませ、武器を持ち込ませたということについては、その国についてもこのハイジャックの責任があるというふうに私らは思うんです。その責任について、日本政府としては何らこれを問うことがないのかどうかということをお聞きしたわけです。
  142. 賀陽治憲

    説明員(賀陽治憲君) 先生の御指摘の点でございますけれども、インド政府に対します捜査協力、捜査その他の手続きが完了いたしませんと、厳密な意味ではインド政府の責任があるのかないのか、そのいった点については、十分なやはり一国と一国との関係でございますので、慎重に配慮しなきゃならない点もございますので、この捜査協力の完了いたしました段階で一体どういう事実が出てくるのか、これをまず知ることが先決であろうかと存じております。
  143. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それはいつ完了するんですか。
  144. 賀陽治憲

    説明員(賀陽治憲君) これにつきましては、いまここで何月何日に完了するということは申し上げられませんけれども、鋭意それを督促しておる状況でございます。
  145. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると、うやむやになる可能性があるというふうに理解されます。  そこで、官房長官にもう一つお聞きしたいのは、こういうハイジャック犯人を簡単に乗せるような、こういうずさんなことをやっている国々に対して、日本政府としては、単なる協力を要請するというだけで毅然とした態度がないと、再度続発をするというおそれがあるんじゃないでしょうか。そういう心配はありませんか。
  146. 園田直

    国務大臣(園田直君) そのとおりでございまするので、事実が判明した上からには、それぞれの国に対しては、相手の国ばかりでなく、他の国々にも話しかけて、こういうことがないように厳重に対策を講じたいと思います。なお犯人の追跡調査、あるいはその他も含めて、これは主権の問題もあることでありますから、外交ルートを通じて、こちらから特別の調査班等も考えておるところでございます。
  147. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 政府政府の間で調査を要求をするということで、うやむやのままの状態で今日までかなりの日数がたっているわけですよ。今日に至るもはっきりしないということは、どう考えても相手国政府に誠意がないような感じがするわけですね。  そこで、こういうハイジャック防止に対してきわめて寛容な国に対して、一体これからどういう態度で臨んだらいいのかということを政府としては考えなきゃいかぬだろうと思うんです。  それから、アルジェリア犯人を受け入れましたが、身のしろ金の十六億というのは一体どうなったのか。これはそのまま犯人にくれてやって釈放してしまったということになっておるのかどうか。その辺、折衝もしていると思うんですが、どうなんでしょう。
  148. 園田直

    国務大臣(園田直君) 身のしろ金については、アルジェリア政府に対してこちらからは何とかこれを返してもらいたいが、もしそれができない場合には、かかる事件の再発防止という意味から、犯人の再計画の資金にならないように、貴国において没収されるようにお願いをしたいと、こういう申し入れを一応したところでありますけれども、これに対しては、アルジェリア政府からは返答はないわけでありますが、これも粘り強く、あの手この手を通じて、アルジェリア政府に表裏両面から折衝をするつもりでおります。
  149. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 たとえば相手の政府に対して、犯人を渡してくれるならば身のしろ金はくれるとか、あるいは二分の一か三分の一、迷惑料としておたくの方にやるから犯人を渡してくれといったような交渉はできなかったものかどうか。その点、アルジェリア政府自体が犯人に対して好意的なのかどうかということもわれわれとしては一つの疑問を持つわけなんですが、その点はどうなんでしょう。
  150. 園田直

    国務大臣(園田直君) いまの問題では、いろいろ考え方があるわけでありますが、アルジェリア政府は、犯人に対して、自分たちはかばうような立場をとっているものではないというようなことを声明はしておりますけれども、その真相はわからぬわけであります。  そこで、政府としては外交ルートを通じ、あるいは日本アラブ協会を通じ、あるいはその他の方法を通じて、これにいろいろ折衝をする計画を進めております。
  151. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 要するに、身のしろ金と犯人は一体どうなっちゃったか、わかっているんですか。わかってないんですか。
  152. 園田直

    国務大臣(園田直君) 身のしろ金は、これは未確認情報でありますけれども、三分の二は没収したという情報があるわけであります。犯人は、アルジェリア国から出国したという情報がありましたが、それは事実ではなくて、アルジェリアに好意を有せざる側からの偽情報であるということもあったわけでありますが、また最近になってから、アルジェリアから出国をした模様であるという情報が入っておるわけでございます。
  153. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今回感じられることは、ハイジャックに対して非常に寛容な国々があるような印象を受けるんですよ。ともかく犯人を乗せる、あるいは凶器を持ち込ませるといった国があったことは間違いない。ところが、そのルート、方法等についても、こちらから調査を依頼してもナシのつぶてで返事がないということは、これもやはり犯人に対してある程度寛容である、好意を持っているかどうかは別として寛容であるというふうに断定せざるを得ないわけでしょう。  さらに、この飛行機が到着をしたアルジェリア政府も、犯人を拘束をしたのか、身のしろ金を没収したのか、あるいは犯人をそのまま逃がしてしまったのか、それすらはっきりしないということなんですね。これは日本に対してきわめて非友誼的な態度であるというふうに考えざるを得ないのでありますが、この点はどうでしょう。
  154. 園田直

    国務大臣(園田直君) ただいまいろいろ折衝、協力を求めておるところでありますから、政府としてその見解を申し上げるわけにまいりませんけれども、現地を督励をし、あるいはあらゆる手段を通じ、これがうやむやになりませんように、場合によっては国連の舞台で決議を出すのと別個に、各国にこれに対する協力、世論の喚起等を求めて、これがうやむやにならぬように貫徹をする覚悟でございます。
  155. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国連決議ですら骨抜きになるかもしれないということが伝えられておりますけれども、国連の舞台において、ハイジャック防止のための具体的な方策というものは、各国によって同意を得られる状況にあるのか、あるいはまた、必ずしもこのハイジャック防止のための対策について同意を得られない向きもかなりあるのかどうか、その点はどうなんでしょう。
  156. 賀陽治憲

    説明員(賀陽治憲君) ただいまの段階では、特別政治委員会において、本件の決議案を審議するというところまでまいっておるわけでございます。一部のアラブ諸国等が、必ずしもこの決議案の中に盛られておりまする三条約に対しまして前向きでないことは先生も御高承のとおりでございますので、そういう意味で、この決議案がすでに満場全く反対がなく支持されておる雰囲気であるということは申し上げられないわけでございますけれども、同時に国連は多数の世界でございますので、この点は今後とも、外務省といたしましては決議の成立には十分の期待を持ちまして努力を推進したいと考えております。
  157. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今回のようなハイジャックというのは、目的なりあるいは動機がどうあれ、やっていることは殺人、強盗と同じようなものであって、これに対して寛容な態度をとっていいということはないと思うんです。ところが現実の問題として、ハイジャック防止のための各条約加盟していない国がある、あるいは加盟しようとしない国がある、こういう加盟しようともしない国があるということは一体どういうことなのか。これらの国々に対して、日本政府として一体どういう対応をするのか。その点をまずお伺いしたいと思います。
  158. 賀陽治憲

    説明員(賀陽治憲君) ただいまの点でございますけれども、何ゆえにこれらの条約に対して積極的でない国があるかということは、これはテロリズムの抑圧というものに対しまして批判的な国があるということは、これは否定できないところでございます。これらの国に対しまして、しかりとして何らの努力を行わないということではございませんわけでございまして、今回のわが方の決議案も、まさに三条約に対するこれらの消極的な国を促してその批准を促進せしめるということがございますし、それから、恐らく外交的努力をあらゆる方面で展開をいたしまして、これらの国に直接、間接にその働きかげを行うという総合的な努力をわれわれとしては推進していかなけりゃならぬと、かように考えておる次第でございます。
  159. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この間、官房長官から経過については長々と御報告がございました。しかし、その後の措置についてはまことにどうも要領を得ないんですよ、率直に言って。ハイジャック防止のための万全な策が講じられているというふうには理解できない。そこで、このハイジャックの受け入れに、要するに寛容な国々に対して、これはもう少し手厳しい態度をとるということはできないのかどうか。たとえば、そういう国に対して国交関係について再検討するとか、そこまで踏み切れないならば航空機の寄港を取りやめる、そのくらいの措置を講ずる用意がなければ、のれんに腕押しのような交渉ばかりやっていたって、結局はらちが明かないでうやむやに過ぎてしまうのではないかという気がいたします。その点はどうなんですか。官房長官にお聞きしております。
  160. 園田直

    国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりでありまして、時間をかけておしかりを受けておりますが、詳細調査が終わりました段階においては、そういう点が判明をすれば、あるいは日本航空の寄港を取りやめるとか、あるいは乗客の搭乗を禁止するとか、いろんな方法も考えざるを得ない状態にあると考えております。
  161. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 調査の結果がわかればと言いますけれども、これはやはりある程度時間を区切っていいと思うのですよ。こんなことはわからないわけはないでしょう。たとえばアルジェリア犯人をどうしたのか、身のしろ金をどうしたのか、こんなことはわかっているはずなんですね。それが答えられないということは一体どういうことなのか、これはまことに不可解です。それから、犯人を乗せたのではないかと思われるインド政府にしても、今日に至るまでも、どうもどういう経路で、どういう方法で乗せてしまったのか、調査もつかないなんというばかなことはないと思うのですよ。したがって、こういう国々に対して、やはりある程度時間を切って、そうしてもしこの回答がない場合には、ハイジャックに対しては、ともかく全然これは無防備である、こういうふうに認定せざるを得ないと思うのですね。認定した以上は、いま官房長官が言明したように、日本航空の寄港を取りやめるといったような措置を、これは日本だけではなくて、外国も含めてやらなければ事態の改善はできないのじゃないかという気がいたしますが、その点はどうでしょう。
  162. 園田直

    国務大臣(園田直君) 回答等につきましても御指摘のとおりでありまして、漫然とこれを待って延引するわけにはまいりません。したがいまして、相手国の行為がちゃんと国際的に、こちらが証明できる程度の時間その他をかけて、それ以上の場合には、それ相当の対策を講じなければならぬと考えております。
  163. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 もう一つ、今度はハイジャック防止のための具体策なんですが、われわれもいろいろ関係者の意見も聞いてみましたけれども、要するに武器を持って乗っ取られてしまった以上は決め手がないというわけです。そうなりますと、犯人を乗せない工夫をする以外にないわけです。そのためには徹底した対策を講ずる必要があると思うのです。先ほど運輸大臣にお聞きしましたところ、それは荷物等については厳重にする。しかし、御婦人のハンドバッグまで取り上げるということはいかがなものかと、こういうふうに言われましたけれども、これは必要とあればハンドバッグであろうと何であろうと、荷物は一切禁止をするというぐらいのことはやったっていいんじゃないかと思う。ハンドバッグがなくたって旅行はできるわけだ。化粧しなくたって死にやしないわけです。したがって、余分な物は一切取り上げて、お客さんはごく身軽に乗っかる。そのかわり機内における設備は完備をするといったような方法を考えるという以外に防止のための決め手はないような気がいたしますが、その点はどうでしょう。
  164. 園田直

    国務大臣(園田直君) 武器等を機内に持ち込むことを禁止をすることが第一の条件であることは御指摘のとおりであります。したがって、まず旅券法の改正をして、旅券の点検を厳重にすると同時に、持ち込み物品を最少限度にする。これはこの前もやっているところでありますけれども、だんだん長い間には、機内持ち込み品を制限をして極端に小さくすると、今度は航空会社からすると、営利上の関係もあって、これを厳重に言うところと言わないところとでは非常に旅客に対する印象等もあるということで、だんだん緩和してきたわけであります。  したがいまして、今後はこういうことを決めました以上は、これを逐次点検をして、こちらの決定どおりにやっているかどうか、こういうことを運輸省、航空会社とも相談をしながら、機内の持ち込みに対するチェック、あるいはそれも一回ではなくて、機内に入る直前に改めてチェックするなどということを厳重にやることが先決問題であると考えております。  なおまた、機内持ち込みばかりではなくて、委託品の方も、今日になればあれに爆薬を仕掛けて、そうしてハンドバッグの中に小型の無線送信機を置いてこれで爆発することはきわめて簡単でありますから、この受託品の方に対しても、探知器その他をもっと厳重にせなければならぬと考えております。
  165. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ハイジャックの問題は、国際線だけではなくて国内航空についてもそれ相応の注意を払わなきゃならないわけでありますが、国際線、国内線ともに規制をする以上は、かなり思い切った規制をしなければならないし、その場合には航空会社の営業政策とぶつかるということもあえて覚悟しなきゃならぬ。しかし、ハイジャック防止するためには多少のお客の方の犠牲はこれは仕方がないと思う。したがって、営業政策についてはある程度これはがまんをしてもらうということも行政指導上必要じゃないかというふうに考えますが、勇断を持って行い得るかどうか、その点をお伺いしたいと思うんです。
  166. 園田直

    国務大臣(園田直君) しなければならぬと考えておりまするので、今度は対策本部の幹事会には、特にいままでと変わって航空会社からの代表者も御加盟を願っておるわけであります。
  167. 青木薪次

    青木薪次君 関連。  外国の国々に対して日本の商品を、これはもうそれこそ商社マンが売りつけているわけですね。これはもうがめついくらいにやっているわけです、商魂といいますかね。したがって、いま瀬谷委員質問に対して官房長官は、将来ひとつ日本航空の寄港を取りやめると、また搭乗を拒否するというようなことも含めて、しかも日本だけじゃなくて、アメリカ、西ドイツやそれらの国々とも連携をとりつつやらなければ問題解決しないと思いますけれども、前段に申し上げた商社その他の反対陳情が政府に対して強力にこれは注がれると思うんでありますが、その点についてはいかがですか。
  168. 園田直

    国務大臣(園田直君) いまのところはその陳情ございませんが、将来はそういうこともあるかもわかりませんが、これらに対しては十分初心を貫く方針でございます。なおまた、瀬谷さん、それからいま先生から言われたことは、単に日本だけがやってはいかぬので、世界各国とも相談をして、協力をして効果の上がるような方法を考えなきゃならぬと考えております。
  169. 青木薪次

    青木薪次君 いまのところ商社の陳情がないと言うけれども、対策を示さないから商社の陳情がないんですよ。だから、ゆるふんでこの問題を解決するということは、国民感情としても許しがたい、こういう現状にあることを十分ひとつ考えていただいて、すべての公序良俗に反するような行為、あるいはまたこの強盗、殺人に至るこのような行為について絶滅を期すという点について、政府の外交的な決断というものをわれわれは求めてまいりたい、こう思っております。
  170. 園田直

    国務大臣(園田直君) 御意見は十分わかりましたので、その御意見どおりに堅実に、確実にやる覚悟でございます。
  171. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 官房長官の先般の報告の中に、バングラデシュの内乱はハイジャックが原因であるという、そういうふうな話を経過報告としてされておりましたけれども、これはどういうふうに確認をし、どういう判断のもとにそういう発表をされたのか、その点についてまずお伺いします。
  172. 園田直

    国務大臣(園田直君) この申し上げたことでやや誤解もありまして、十六億という金が目当てにクーデターが起こったんだと、私がここで申し上げたということでありますが、そこまでは申し上げてないわけであります。事実をそのまま申し上げますると、総理が大統領に直接電話でこの事件解決の要請をしたわけであります。その主なる要旨は、行き先も決まっておりません、これが離陸したら人道上の危険がございます、そこで、御迷惑でございましょうけれども、ひとつ行く先が決まらぬうちはバングラデシュから絶対に離陸をさせないでほしい、実力を使ってでもバングラデシュから出さないでほしい、そして、御貴国の中で、ここで最終解決を図ってもらいたい、こういう旨の要請でありましたが、その要請される電話の横に私立って聞いておったわけでありますが、最初の電話はなかなか聞き取りがたい電話であり、そのときは回線が一チャンネルでございます。  その後二日間のうちに七チャンネルにふやしまして、二回目の電話は明瞭に聞こえたわけでありますが、その電話の大統領の応答の中で、一番最後の段階で総理が、すでにバングラデシュではこの飛行機に離陸せよという命令を現地の管制塔から出されたそうでありますが、それでは非常に困ります、人道上の問題であります、行く先も決まっておりません、何とかもう一遍大統領ひとつこれを出さないようにしていただけませんかと、こういう要請に対して、すでに命令は出しましたと、しかし、総理からの申し出でありますからもう一遍現地に電話はいたします。ただ、今度わが国にこのような騒動が起きましたのもこの事件が誘発したことでありまして、このような大金を積んだ飛行機飛行場におることはわが国の安全のためにもきわめて危ないものでありますと、こういう事実を御報告申し上げただけでございまして、特別の意味は御想像を願う以外にないわけでございます。
  173. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ちょっと聞き取り方によりますと、バングラデシュがこの身のしろ金欲しさに何かやったような感じを、そのためのクーデターと、こういうふうにまあ解釈されやすいような官房長官の発言だと私は思うんですね。その点についてもう少し明確にしておかなければ国際信用の問題にもかかわってくるのじゃないかと私は思うのです。この点についてもう一度。
  174. 園田直

    国務大臣(園田直君) 私も、そういうおそれがあるからいま申し上げたわけでありますが、大統領の言った言葉をそのまま申し上げたわけで、大統領の言った言葉は、わが国にこのような騒動が起きましたのもこの事件が誘発をしたわけでありますと、こういう言葉と、それから最後の方では、このような大金を積んだ飛行機空港内にあることはわが国の安全にとって危ないと、こういうことを言ったそのままの言葉どおりで、判断はそれぞれしていただく以外にないと存じます。
  175. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは別な問題で、今回のハイジャック対策本部長の園田本部長という立場で、この後始末の問題についてどういう感じを持っておりますか。  それともう一つは、この間のルフトハンザ機の問題に対して国論がやはりいろいろ分かれていると思うんです。過激的な、あれは非常によかったんだという意見が占めるものもあれば、やはりあれはドイツだからできたんだという意見もある。あれは国民のコンセンサスというものは私はまだ得られてないと、こう思うんです。その点について、やっぱりこういうハイジャックが起こった問題に対して、日本の国としてどうあるべきが対策本部長としての立場であるか、あるいは日本の国のこのハイジャックに対する基本的な考え方ですね、ここはやはり明確にしておく必要があるんじゃないかと思うんですが、この点についてのお考えを……。
  176. 園田直

    国務大臣(園田直君) この点を突き詰められますると、正直非常にむずかしいわけであります。と申しますことは、今後ともドイツのようなことはなるべくやりたくないと、こう言えば、犯人にとってはきわめてやりやすい場所だという感じを与えるわけであります。なおまた、ドイツみたいにきちっとやりますと言うことも、犯人に対してはいいかもわかりませんし、また一部のきちっとやれとおっしゃる方々からはおしかりを受けないかもわかりませんが、これはまたこれで非常にいろんな問題を含んでおりまして非常にむずかしい問題でありまして、国内の法維持、国家の権威が大事か、人命が大事かという問題になってきますと、結局は日本の政治の今後の路線ということまで議論がいかなければならぬわけであります。  そこで政府としては、今度はいろいろおしかりを受けるようなことをいたしましたけれども、万やむを得なくこのようなことをいたしましたと、今後かかることがないように全力を尽くします、万々一不幸にして二度とこのようなことがあったらやはり国内法の治安維持、法律の厳守と、こういうことを厳重にやる所存ではございます。こういうのがまあわれわれのお答えする道であるとは存じますけれども、しかし、基本線としては、やはり国家の権威が大事か人命が大事かと、こういうことになると、憲法なりその他のことをもう一遍読んでみてその基本線を定める必要があると、わかりにくい答弁かもわかりませんが、なかなかむずかしい答弁であると考えております。
  177. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあその問題はきょうは時間がないからそんなに詰める考え方持っておりませんけれども、やはりハイジャック対策本部が前回もできましたね。それから今回もできた。その間にいろいろ決めたことが具体的に実践をされていないわけですね。そういう点が、前回も官房長官がはっきりと認められた。こういう点が、やはり事件が起こった当座は真剣に考えるんですけれども、対策本部長が本気になって、あるいは総理が本気になってこの問題を解決していかなければ、各省にまたがる問題というものはなかなか解決しないというのがいままでの実情なんです。この問題について、まあ特に法改正の問題について、官房長官、今国会でやる問題と、それから昨晩の総理のテレビの録画撮りですか、テレビの実況の中では、刑事訴訟法等は次の通常国会でやると、こういうふうな問題が言われておりますけれども、それにつけ加えて航空法の改正の問題も、私は特に航空法の八十六条ですか、爆薬物の持ち込みの問題も、これは私は抜き差しならない問題だと、こう思うんですが、これ等も含めた官房長官、特に対策本部長としての見解を伺っておきたいと思います。
  178. 園田直

    国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりでありまして、この前決められた対策本部でいろいろ検討されたわけでありますが、その決められたことはわりにきめ細かく決めてあると思います。今日になっても手抜かり等ございますけれども、一番大きな手抜かりは、その決めたことを逐次毎月でも、あるいは二カ月に一回でも実行点検をして、決められたことの実績を逐次推進しなかったところに大きな問題があると考えておりますから、今度の対策本部では、会合を開くごとに、まず新しい議題を提案する前に、決めたことをいかように実行してあるか、その推進状況はどうであるか、こういうことを議題にしてそれから次の議題に移ると、そして、この対策本部は今後完全に再発はできないと内外が感ずるまでは解散しないと、こういうことに考えておって、御注意は十分守っていきたいと考えております。  なお、法律改正については、先般御報告申し上げました、とりあえず急ぐものは臨時国会でお願いをしたい、どうしても間に合わぬものは通常国会でと考えておるわけでありますが、総理が言われた刑事訴訟法の改正、裁判その他の問題、それから航空法の改正、いろんな問題等は逐次いま議題にいたしておりますから、間に合わぬものは通常国会、間に合うものは臨時国会でお願いしたいと考えております。
  179. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 特に私たちの運輸委員会としましても、航空法の改正で先般も参考人からの意見で爆発物の積み込みの問題が非常に重要視された関川さんの意見もございました。こういう点で航空法の改正は必要ないのかどうかという問題について、これは航空局長でもいいと思うんですけれども、爆薬物等持ち込んだら五万円以下の罰金という、こういう問題に対してもう少し、こういうハイジャック対策、あるいは爆発物の持ち込み等に対しては厳格な処置をとるように航空法を改正すべきではないかと、こう考えるんですけれども、この点はどうですか。
  180. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 御指摘のとおりの問題がございますので、ただいま政府の方で臨時国会に提案いたすべく用意しております法律案の中には、いま、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律というのがございますが、これを改正いたしまして、業務中の航空機内に爆発物、銃砲、刀剣類、火炎びん、その他航空の危険を生じさせるおそれのあるものを持ち込んだ者はということで罰則を強化するという法改正をすべく臨時国会にお願いすることにいたしております。
  181. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、この八十六条はなくするわけですか。どういうぐあいになる、この航空法の八十六条との関係は。
  182. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 八十六条に書いてございます品目とダブるものがございますが、それにつきましては、この今度つくります法律の方が優先いたしますので、事実上、航空法は品目の列挙は省令でございますので、こちらの方は法律で書きますというと、この法律の方が優先をするということになるわけでございます。
  183. 園田直

    国務大臣(園田直君) いま報告しました中で「業務中」のという言葉は、これは削除しろと本部長として私から要求をしてございます。と申しますのは、搭乗員が乗って業務についた後ばかりでなく、その前、空港に待機中の飛行機の中に危険物を持ち込まれるおそれがありますから、業務中のものだけではなくて、業務につく前からやれという意味で「業務中」という言葉は削除してもらいたいと、こういう要請をしております。
  184. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それから、たびたび言葉上は国際協力国際協力という問題でこの対策要項の中にいろいろ出てくるわけです。具体的にこの国際協力の問題に対してどういうふうに対策本部長として推進していくのか。たとえば、今回の事件の起こったところの後始末の問題等に対して、バングラデシュには早川特使やなにかきょう出発したという話を聞いておりますけれども、あるいはアルジェリア、あるいはその他の国に対してどういうふうな後始末をしていくのか。それから、先ほどから問題になっておる、寛容な国と俗に言われる南イエメンだとか、アルジェリアとか、クウェートとか、こういう想定されるいろんな国に対して、対策本部としてどう分析しているのか、この点についてお伺いします。
  185. 園田直

    国務大臣(園田直君) 今度やった後いろいろおしかりを受けまして、ドイツがああいうことになったわけでありますが、ドイツのことが参考になるかと、こういうことを私聞かれたり考えたりいたしまして、一番参考にしなきゃならぬのは、ドイツがああいう方針をとった場合に各国に対する協力要請方が実に綿密にいっておる。各国に対して自分はこうやるつもりだ、したがって、あなたの国はこの国に対してこうやってもらいたい、あなたの国はこうやってもらいたいという、各国に対する協力要請を綿密にやっておる。やったこと事態は私は参考にはならぬと思います。ただ、技術的に参考になればなる点があると思うのでありますが、私の方では、今度の事件を解決するに当たって各国に、こういう事情になっておるからこういうふうに御協力願いたい、あるいは終わった後でも、アルジェリアの国に対して、あなたの国にこういうふうにやってもらいたいという具体的な協力要請が足りなかった、むしろほとんどなかったということは非常に反省をいたしております。  そこで、後始末の問題については、逐次判明した状況がわかったらその状況を世界各国に通報するとともに、犯人の逮捕についてはこうこう御協力願いたい、あるいは、どこどこの国に犯人がおるのはこういうふうにやってくれと要請をしているから、あなたの国はこの国に対してこういうふうにひとつ要請をするなり、あるいは経済協力その他の点で御援助願いたいというように、具体的に各国に相談する必要があると考えておるわけでございます。
  186. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 はしなくも経済援助の問題が官房長官から出ましたけれども、調べてみると、アルジェリアとかバングラデシュとかクウェート、具体的に経済援助が大分行われているわけですね。あるいは南イエメン等を含めた経済援助の状況というものについて外務省、具体的にどういうふうにつかんでいますか。
  187. 賀陽治憲

    説明員(賀陽治憲君) 先生の御質問でございますが、本日の出席しております政府委員政府説明員は、領事移住部と国際連合局から出席しておりますので、いまの御質問は早急に調査いたしましてお答え申し上げます。
  188. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私、一、二ちょっと調べただけでも、アルジェリアなんかは百二十億の借款供与、あるいは通信施設の拡充等を行って、非常にこういう経済援助等、経済協力等行っているわけですね、官房長官。こういうところに対してやはりもう少し、たとえば、国連でいまいろいろ話題になっておりますけれども、三条約に恐らく加盟しろと言ってもなかなか加盟しないと思うんですよね。だから、二国間条約なら二国間条約を結ぶような考え方で、特にこのハイジャックの問題は日本とか西ドイツとかアメリカというところが一番多い。したがって、他の国に入れとか何言ってもいろんな抵抗が私はあると思うんですね。その点について、二国間条約でも進めて、犯人をおろさせない、あるいは日本の国に引き返させるとか、いろんな二国間条約で結んでいく方法は経済協力との絡みで推進できないものか、こう考えるんですけれども、この点について伺っておきます。
  189. 園田直

    国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりに、具体的に実効ある外交対策を講じなきゃならぬと考えております。
  190. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 実効あると言うんだけど、具体的にどういうふうな手だてで対策本部としてこういう、たとえば今回起こったアルジェリアの問題、あるいはクウェートなり、あるいはバングラデシュなり、具体的にそういう二国間条約を結んでいく方策は持っているのかどうかですよ。
  191. 園田直

    国務大臣(園田直君) 二国間交渉及び二国間の条約、あるいは経済援助等いろいろ問題があるわけでありますが、具体的に申し上げると、たとえば今度バングラデシュに特使を派遣する際にも、食糧援助などというものをこの際持ち出すと、どうも他国から、日本は金と品物で国を扱おうとするなど非難も受けるということ等もありまして、ここで具体的に申し上げるわけにまいりませんけれども、時期が参りましたら個人的にでも御報告を申し上げたいと存じます。
  192. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私は、あめを与えてこうしろというわけじゃないんですよ、考え方は。こういういままでも協力関係を結んでいるわけですよ。したがって、このハイジャッカーに対するやはり——日本の恥辱ですよね。この問題をやはり協力をさせると、協力をしてもらうという、こういう考え方が日本の姿勢として必要じゃないかと思うんです。三条約加盟しないという国連の舞台のいろんな意向というものは、民族解放戦線の闘いを抑圧するんだという考え方に立っているとも言われているわけですね。こういうふうな分析から考えますと、やはり全般に入れと言っても、これは私は非常に三条約加盟するのがなかなかむずかしい問題ではないか、そのためには、日本の国が従来から国交を結んでおる、あるいは日本がそういうハイジャッカーの残念ながら製造国なんですから、こういうふうなところを、わが国が本当にその国と体当たりで、二国間条約等でこの犯人の逮捕、あるいは犯人をおろさせないと、こういう形をつくるような条約を締結していく立場が必要ではないかと、これを考えたいのですね。
  193. 園田直

    国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりでありまして、防止対策に対してはすべての手段を考えてやっていかなければならぬと考えております。もちろんいま御意見のこともその一つであると考えております。
  194. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それから、一昨日ですか、朝田参考人からもちょっと一部意見が述べられましたけれども、国際的に共通したような検査体制、各空港で。こういうものが何とか国連の場なり、あるいはICAOの場なり、いろんなところでそういうものが討議されて、やはりどの空港も最低限こういう国際的な共通した検査システムがあるという、そういう方向に日本が積極的に動いていくような考え方はないか、官房長官。   〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
  195. 小林俊二

    説明員(小林俊二君) ただいま国連総会に提出しております決議案の原案にも、一項目ICAOに関する条項がございますが、ICAOの場を通じてそういった保安施設、あるいは保安体制というものを強化する策を考えてもらいたいということでございます。この決議案が採択されましたらば、当然ICAOにおきましてそのアクションが期待されるわけでございますが、私どもといたしましては、この決議案、もちろん採択されればそれをもとにしてでございますけれども、決議案の今後の動向とは一応別に、またICAOそのものにおきまして、そのICAO自身の立場からも、そういった措置を講じ得るように働きかけをしてまいるつもりでございます。  具体的に申しますと、ICAOの基礎になっておりますシカゴ条約の附属書十七というものがございますが、この附属書十七というものは、まさに先生いま御指摘のような点を網羅してございます。ただ、その内容が「標準」と「勧告」に分かれておりまして、またその「勧告」なり「標準」なりの内容もまだまだ強化する余地があるように思われます。たとえば、その「標準」というものは「勧告」に比べては義務的でございますけれども、「勧告」は単に勧告にすぎないという問題もございます。そうした点を含めて、これを強化する方向で提案ができないか、いま運輸省側と御相談申し上げているという現段階でございます。
  196. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 運輸省側で先般いろいろ検討されたと思うんですけれども、とりあえず条約、国際共通のこういう検査機関が成立する前にでも、たとえば今回のボンベイみたいな空港金属探知器等はないと、こういう問題に対してはやはり日本から供与するとか、何かいろんな考え方は持っているんですか、この点について。
  197. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) この点につきましては、いわゆるダブルチェックという言葉で言われておりますけれども、もちろん相手国政府に対しまして完全なチェック体制をしいていただくことを要請はいたしておりますけれども、日本航空としてはこれを待っていられない切迫した事情があります。相手国政府としては、またそこの空港に就航している各国航空会社全部にしなければならない事情もございますので、とりあえず日本航空だけでもセルフガードをする必要があるというところから、いわゆる向こうの政府のやりまする一般的なチェックを経まして、飛行機に乗るお客さんが飛行機の方に近づいてくる、そのときに、飛行機のすぐ横で搭乗直前にもう一遍日本航空の責任で検査をするということしか当面考えられないということから、それをいたすべくいま体制を整備しつつございます。これにつきましても、相手国のやったチェックを信用しないのかということもありますので、その点については十分相手国政府の了解をとりましてやるようにいま外交ルートを通じましてお願いをしているところでございます。これは一日も早くそういう体制にいたしたいと思っております。   〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕
  198. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは外交ルートで官房長官もうすでにあれですか、そういう空港に対しては外交交渉は進めているわけですか。
  199. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) これは、まず日本航空の立場で現地政府に要請をするということにいたしておりまして、それが非常に通りにくい場合に外交ルートを通じていただくということで、外務省の方にもそういうことになったときはお願いしますというふうにしてございますが、現在まだ外交ルートを通じましての正式交渉はないと思います。日本航空が現地の政府交渉していると、こういう段階であると承知いたしてしております。
  200. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 官房長官ね、やはりこういう問題が日本はどうしても手ぬるいんですよ。日航に責任持たしているだけですよ。やっぱりこういう問題は積極的に外交ルートで交渉するという意欲はないですか。
  201. 園田直

    国務大臣(園田直君) なるべく早く日本航空とも連絡して外交ルートを通じて直ちにやるようにいたします。
  202. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そういう例が一つ具体的に挙げますと、前回の四十八年八月二十九日に防止対策要綱できております。先般も朝田社長から、私、参考人として意見を聞いたときにも、空港売店における購入物品の機内持ち込み制限の検討というような問題が四十八年に上がっているわけです。これはやっぱり大蔵省との関係でなかなかむずかしいいろんな問題が私はあると思うんですよ。あるいは外国の空港の免税売店で買った物をそのまま飛行機に持ち込むという問題点で、やはり外国の物品売り上げとの問題がいろいろ絡んでくると私は思うんですね。しかしこういう問題、対策にはいい考え方は述べられているんだけれども、実際上はこういう問題が実施をされてない。あるいは検討されたのかどうなったのかわからないような状況が実はあるわけです。  私は今回、私の個人の推測から申し上げて申しわけない話ですけど、やはりこの間の乗客、ずうっと私いろいろテレビ等を通して聞いておりました。やはり乗客の中に二人どうも不審だと思った人が乗ったというんですね。そのとき探知器でいろいろ調べたんだろうと私は思うんですけれども、恐らく税関の中から、あるいは働いている職員の中から、どういうぐあいになったのかわかりませんけれども、現に武器が出てきたという問題を考えますと、やはりそういうチェックポイントというものを、早く明確にこの問題を決めていかなければならないんじゃないか。特に南回り等については、そういう味をしめさしているというようなところは早く手厳しい、そして早い処置をとっていかなければならないのではないかと、こう考えるんですけれども、この点について、四十八年の対策でまだ実施されてないという、こういう問題があるわけですね。これがいいのか悪いのかという判断もあるわけですね。その点についての官房長官、あるいは航空局長でもいいです。
  203. 園田直

    国務大臣(園田直君) 私の責任に関する分から申し上げますと、対策本部がどうしても新しい要綱なり方針を決定することに頭が行って、現実に航空局でこういうことをやっている、それじゃそれを受けて外務省がこうやろうというような、現実の問題点をとらえて逐次横に連携をしながら直ちに効果を上げるという点に非常に欠けていると思いますから、この点は十分注意をして、どこからか一つ問題が起こる、どこからか折衝を始めたら直ちに各省がこれに一緒になって速やかに成果を上げる、こういうふうに努力したいと考えております。
  204. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 外国の空港でチェックポイントを通った後、免税売店がございまして、そこで買った品物を、主としてお酒が多いわけでありますが、持ち込んでくる。これが日本航空の方の側としては大変、厄介な荷物でございまして、これがございますと、機内持ち込み品目をどんなに制限しても免税品をこんなに抱えてくるということがございますので、非常にそこが整理しにくくなるというところから、日本航空側の理想的な希望としては、外国の免税売店で買ったときに受け取りだけをもらって、実際品物は、たとえばウイスキーなんというものは、もうどんな銘柄でもどこにでもあるわけなんだから、日本空港に来てから別送したり、別に前もって日本の羽田なら羽田の空港に置いてある品物の中からその引きかえ証と引きかえに品物をもらえるというふうにすればいいじゃありませんかということなんですが、このことはやはり関税当局としては、それは外国の空港で買う免税品というものの認めている趣旨と全く背馳するんで、これは認めにくいというので、関税法の考え方からむずかしいんでございます。  そこで、さしあたり日本航空としては、いま飛行機の構造、設備の問題を検討いたしておりまして、これはできるだけ乗った直後に預ってしまう。お客さんの座席の側に置かせないで、搭乗した直後に飛行機側で預かりまして、それはもう別の戸だなに全部格納してしまうというふうにしまして、いわゆる純粋の制限された持ち込み品と免税物品との区別をつけたいということで検討いたしております。これは飛行機の中の設備の問題もございますので、一遍に全部の航空機に実施することは困難かと思いますけれども、可能なものからそういうふうにするということをさしあたりやっていきたい。  しかし、また蛇足でございますが、このことはやはり国民教育の問題と関連いたしますけれども、外国に行ってうんとこさ提げて帰ってくるということを、この際何らかの形で自粛するというムードになりませんと、なかなか航空会社に号令かけましても、事実上実行が非常にむずかしい問題であるような気がいたします。
  205. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まだ数多く伺いたいんですけれども、時間が限られておりますので、もう一点だけ伺って終わりにしたいと思うのですけれども、対策本部長としまして、国際刑事警察機構等に対してはいろいろ日本の国は手を打ったんですか。西ドイツはもうすでにゲリラ等についてはいろいろ要旨を世界各国に配布したという、こういうようなニュースも伝えられておりますけれども、日本の国としてそういう国際警察機構等を通していろいろな手を打ったのかどうか、それを伺って終わりたいと思います。
  206. 近藤恭二

    説明員(近藤恭二君) 国際刑事警察機構のパリ総局に対してそれぞれ手配を行っております。関係五カ国に対し、アルジェリアに対しては、この事件が政治犯罪でないというふうなことを確信するのでこの意向に同意するかどうかというふうなことを含めまして、本件に関して講ずる措置や事情聴取の結果、犯人の写真その他、入手可能な関連情報の一切の送付について依頼を行っております。また、バングラデシュに対しては、本件に関し入手可能な関連情報の一切、また引き続き講ずる措置についての通報とか、証拠写真、映画フィルムその他、犯人らの写真や指紋、遺留品等も含めまして、証拠品の送付ということをお願いいたしております。インドに対しては、証拠写真、映画フィルムその他、本件に関し入手可能なそれぞれの資料並びに情報の入手について、あるいは今後どんなふうな措置を講ずるかということについての通報、その他シリア、クウェートにつきましてもインドと同様に、それぞれ考えられる必要な情報なり、あるいは捜査資料の提供を依頼をいたしております。
  207. 内藤功

    ○内藤功君 一昨日の参考人の質疑のときも問題が非常に出されておったんですが、ハイジャッカーを飛行機に乗せないこと、それから武器を飛行機に乗せないこと、まずこの対策が一番大事だと思うのですね。それで、今回の事件の場合でも、武器の搬入に、空港内に自由に出入りできて、そして飛行機に近づくことのできる、飛行機に乗ることのできる地上作業員、そういう関係者と犯人側との連携ということが一つ疑問点として投げかけられているわけですよ。  それで、いままでのいろんな御答弁を聞くと、まずダブルチェック飛行機の機側でのチェックをやるということは非常に強調されているのですが、この地上作業員の関係ですね、その身分関係というか、身元といいますか、それをはっきりさせるということ、さらに一歩突っ込んで言うと、雇用関係、労働関係をはっきりさせるということが非常に大事な問題だろうと私は思うのです。この間も参考人にそういう点をいろいろお尋ねしたわけです。  そこで、官房長官として、いまあらゆる可能な方法を御検討中だろうと思うのですが、この地上作業員の関係、それをどういうふうにこれから身分関係、雇用関係なりをすっきりさせていくか、これはそういうルートを通っての事件の原因を防ぐ非常に大事なポイントだろうと思う。従来これは非常に手抜きがあった問題だろうと思う。私もそれなりの考えを持っていますけれども、官房長官、それから航空局長、両方からお答えを伺いたいと思います。
  208. 園田直

    国務大臣(園田直君) 航空機可動区域内における作業員の管理というのは、再発防止のために重要なことであります。なお、荷物その他のチェックを厳重にすればするほど——食事を持ち込む、あるいは掃除をやる、こういう時期に、搭乗員が乗り込む前に危険物を持ち込む可能性は非常に大きいわけであります。そこで、この区域内において作業をする際は、所属会社の申請に基づいて立ち入り承認書を発給して身元確認に努めておりますが、ハイジャック防止するために、より一層厳格に発給を行うとともに、航空会社における地上作業の監視体制強化を指導しなければならぬと考えております。  なお、日航の外国寄港地においては、日航の職員を増員をしていただいて地上監視体制を緊急に強化することとし、特に当該航空機の専任客室乗務員における作業終了後の点検を励行させることも必要であると考えておりますが、さらにこの点の管理については一層検討する必要があると考えております。
  209. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 大要、ただいま官房長官が御答弁したとおりでございますが、私どもその線に沿いまして、一つ国内空港の問題これは私どもが空港の管理をいたしておりますので、空港管理当局の責任におきまして、空港構内で作業する人間の監督をやる。このことは、ランプパスと申しております出入承認証の発行の場合に、企業が責任を持ってその身元を確認した上で私どもに発行の申請をしてくるというふうなことをもっと厳重にやるとか、あるいはその身元についての責任をちゃんと企業が持ってもらうというふうな問題、それからこの発給後の抜き打ち検査等をやりまして、正確にそのことが示されているかどうかの検査をするというふうな問題、さらには空港の中の構内パトロールを強化いたしまして、変な人間が入ってくることを事実上チェックするようにいたしたい。  これは予算によりまして増員をいたすほか、臨時的にガードマン等も増強いたしまして、空港当局の責任におきましてこの点を厳重にやりたい。それから、あわせまして、先生御指摘のように、地上作業を請け負った会社と従業員の間の労務関係をきちんとするということが基本でございますので、その点もしっかり監督するつもりでございます。これはすべて空港管理権の発動といたしましてやるつもりでございます。  それから外国の空港の場合には、空港管理権がございませんので、ただいま官房長官がお答え申しましたように、日航の職員によってこれをチェックさせるということで、日本航空の責任におきまして、日本航空の航空機にいろいろ給油、あるいは食糧等を積み込む作業員の監督をきちんとやる。そして専任客室乗務員、専任チーフパーサーと言っておりますが、この人が必ず最終点検いたしまして、大丈夫というところの報告を受けなければ乗客の搭乗をさせないということをきちんと指導させることにいたしております。
  210. 内藤功

    ○内藤功君 航空局長に伺いますが、国内と国際と分けましたですね。国内の面、たとえば羽田の空港に出入りをしておりますそういう荷物の運びおろしだとか、中の洗たく、クリーニングだとか、こういうような仕事をやっておる会社は幾つぐらいあって、飛行機に近づいたり、出入りしたりしている方は何人ぐらいいますか。
  211. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 会社の数は約十二社ほどございます。そして、その中で構内作業をいたしております人間が約二千三百名ほどおります。そのほかに臨時の職員が百五十名ほどいると思います。先ほどのランプパスは全部こういった人たちに発給いたしているわけでございますけれども、ランプパスの発行の枚数はこれよりはるかに上回っておりまして、それらは交代勤務制その他の問題もありましてかなりの数になっておりますけれども、それらのことも今後厳重に制限いたしまして、身分の確認等をきちんとするほかに、こういった十二社に上る会社と従業員との関係、労務関係をきちんとすることと、それから、それを含めた作業の監督をきちんとするということを、これらの会社に対しまして、空港当局から厳格に指導することにいたしたいと思います。
  212. 内藤功

    ○内藤功君 そういう会社の中で代表的なものですが、おととい朝田社長に聞いたときに、日本航空ではAGSという会社にこれを頼んでいるということなんですね。下請さしているということなんですね。このAGSという会社は資本金がどのくらいで、そして正社員はどのくらいで、臨時雇用員はどのくらいで、それからその下請の、AGSからまた孫請というんですか、またその下請を受けている会社は幾つあるか、その職員はどのくらいいるのか、わかったら数字を言ってもらいたい。
  213. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) いま手元にある数字でお答え申し上げます。資本金、資本構成等は、ちょっと手元にございませんので御勘弁いただきたいと思うんですが、AGSの会社の正社員は、この資料では千八百八十七名、臨時の職員が百二十六名でございます。それから、それらAGSの下請をしている会社が十社でございまして、それらの正社員は四百三名、臨時の職員が七名、こういう資料になっています。
  214. 内藤功

    ○内藤功君 あとは運輸大臣が来てからやりますから……。
  215. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 官房長官にお聞きしたいんですが、政治というのは、国民がお茶の間から見ていてわかるような、そういうあり方でなくてはいけないと思うのです。今回のこのハイジャック事件で、私は非常に理解ができないのは、政府が超実定法というものを持ち出してきて犯人を釈放したわけなんです。そういうことをやる権限が政府にあるのかというよりかも、これは私はしてはならないことだと思うんです。ああいう事態になってきたときに、じゃ、どうしなきゃならぬかという、そういう必要性もあると思うんで、そういう場合には司法当局がそれについての判断を下すということをすべきだと思うんですが、その辺のお考えをお聞きしたいんです。
  216. 園田直

    国務大臣(園田直君) 今般は、御承知のとおりのような異常なかつ緊急な事態でございまして、現行実定法規が予想される場面ではなくて、これに対処するための手続が規定されていない以上、立法府による措置、あるいは司法機関の判断を求める余地のないものでございました。したがって、議院内閣制のもとにおいて、その国家の行政権行使につき、責任を内閣の判断において、多数人の生命、身体の安全確保のためにまことにやむを得ない措置としてあのような措置をとったものであります。  しかしながら、当時は時間的切迫、あるいは緊急の事態でございましたけれども、御指摘のこともあり、ドイツの例も考えますると、やはりあのような万やむを得ずの措置をとるときには、その事態を明確にし、あるいは国会か、あるいは各政党の代表、あるいは社会、報道機関の代表、そしてまた司法機関の代表というものについても、それぞれ事態のやむなきを申し述べて、了解を受けてやるべきであったとは反省をいたしております。したがいまして、閣内で法務大臣警察担当、その他の大臣等の了承を得たわけでありますが、この点はもっと、今後あってはならぬことでありますけれども、御指摘のとおりに、そのような誤解のないように、万やむを得ないものであったということを御承知願うような処置をとるべきであったと考えております。
  217. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 官房長官の答弁で了承します。  もう一つは、これは外務省だと思うのだけれども、官房長官せっかくおいでになりますのでお聞きをしておきたいのですが、先ほど三木先生からも出たんですが、私もそれで聞きたいのですが、ハーグ条約を批准している国が、ICAO加盟百四十二カ国のうちの七十八カ国だと聞いたわけです。相当数の国が未加盟であり、そういう国があるがゆえに、いろいろああいう問題のときにむずかしくなるのです。このハーグ条約を批准をしていない国に対して具体的に何らかの手を打っているのかどうなのか。それから、そうでなければ、先ほどもお話が出たように、二カ国間条約で、急速にそういう批准をしてない国をなくしていくという方法で、具体的に何か行動をとっているのかどうか、そこをお聞きしたいのです。
  218. 小林俊二

    説明員(小林俊二君) ただいまのところは、国連総会及びICAOという多数国間の場を通じて、加盟してない国が加盟するような、その政治的圧力と申しますか、そういう雰囲気をつくり出していくということに全力を注いでおる次第でございます。これ以上さらに日本が、個別に二国間の関係におきまして折衝を広げるという問題につきましては、今後の問題として、十分諸般の事情を考慮しながら考慮する必要があることだと思いますけれども、現在は、たまたま国連事務総長がこの問題を協議してはどうかという提案をしたという機をとらえて、そういう行動に出たという現況でございます。
  219. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 言うまいと思ったのだけれども、そういう答弁を聞くと、やはり官房長官おいでになるから申し上げておきたいと思うのです。  前からも出ているように、あのクアラルンプールの事件が起きて、あのときにもいろいろな対策を決めた。決めたけれども、しばらく時間がたったら、それはそのままでもって冷えて何もしなかった。だから今度こういう事件が起きても、また政府の中が、言うならあわてふためいたわけでしょう。そのことは官房長官も、この前報告の中にありまして、もう二度とこういうことはしないようにしたいという御決意のほども聞かされたわけなんです。  で、私がいま言っていることも、いろいろハイジャック防止をするについてあれこれあるけれども、やっぱり手っ取り早くやれることは、ダブルチェックをやること、それから、またもう一つは、外国に対して、そういう批准をしてない国に対して、国連のハーグ条約を批准してくれと言ったって、なかなかいままでしないというのはそれだけの理由があるわけだから、具体的な、その犯人が逃げ込むような国に対して、お願いするから、私たちもあなたたちに御迷惑をかけるんだし、世界の国にも迷惑をかけるんだから、今後そういうことにして、犯人が逃げ込むことのできないようにしたいのでよろしく頼むと言って、二国間でそういう条約を結ぶということを急速になさるということが、私は、このハイジャクのこういう問題を本気になって防ぐ道になるんだと思う。ですから、そういう点でもって二国間条約締結に具体的に取り組むお考えがあるかということについて、これは官房長官にお答えいただきたい。
  220. 園田直

    国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりでありまして、今度もこの問題でいろいろ混乱が起きたわけでありますが、事件が起こる前に、ああいう事件が起こっても受け入れる国がないということになれば、これが防止になるわけであります。ところが、事件が起こった後では、これが飛び立ちますと、飛び立った途端に国籍は、日本の国籍より日本航空の乗務員、乗客、こういうことになってまいりますると、受け入れてくれるなと言いながら、今度は現実には、この日本航空の飛行機と乗務員、乗客の生命を保護する政府の責任がありますので、今度は反対に回って、あたかも世間から見たら犯人を擁護するかのごとく、どっかの国に無理に入れてくれと、どうしても頼もうとすると、身のしろ金、犯人は引き渡せと言わぬかなどという次から次へと恥をかくことになるわけでありますので、これはおっしゃるとおりにいろんな方法、あるいは国際外交慣例上あるかもわかりませんけれども、新たなる事態でありますから、そういうことを抜きにして、いかなる方法を講じてでも国連に、あるいは相手国に、単独で二国間でそういうことを受け入れることのないように、それも裏も表も、ありとあらゆる方法を通じて、これを実現しなければならぬと考えておりますので、御趣旨の点は十分拝聴いたしまして、外務大臣にも直接私から伝達をいたします。
  221. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 官房長官、終わります。
  222. 内藤功

    ○内藤功君 それじゃ、運輸大臣見えましたので、引き続きさっきの質問の後をやりたいと思います。  それは羽田の地上での仕事、いろんな運搬だとか、積み込みだとか、清掃だとか仕事をやっているAGSという会社があって、ここではさっきのお話だと、臨時雇用の人と、それからいわゆる孫請と言われておる関連会社の従業員を合わせるというと五百三十六名に上るんですね。いま私ちょっと計算してみると、全労働者のうちの二二・一%がこういう臨時だとか関連の人になっているわけです。大体飛行機に近づいて作業をする人は臨時雇用関連の人が多いという状況だと思うんですね。  航空局長、伺いますが、私が一番心配しておるのは、大半の人はもうまじめな労働者ですよ。疑いをかけられるような人は一人もいないと私は思うんですが、たまたま四月に覚せい剤密輸事件というものがこの種の職場から、まことに残念なことでありますが発生をしたと。それからもう一つは、仕事の中身がよくわからないで、ごくごく短い時間の注意事項だけでこのような仕事に携わっている人があると聞くんですね。こういった点はどんなふうに航空局長把握しておられますか。
  223. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 実は私ども、東京空港長に監督を任せておりますので、いま御指摘の点の詳細については把握いたしておりませんけれども、これはやはり空港の構内で作業をする会社の中の大宗を占めるものでございますし、特に飛行機に近づいて仕事をする、清掃というふうな仕事をする作業員の大宗を占めている会社でございますので、いろいろな問題が起こりやすい可能性もございますので、先ほど申し上げましたような労務管理をきちんとするということ、正常な労働関係をきちっとする。それらを含めまして空港内で作業をする会社にふさわしい姿に持っていきたい。  それからまた、AGS自体が日本航空が八五%出資している会社でございますけれども、AGSのさらに下請になりますような十社のこういった会社に対しまして、いわゆる下請いじめみたいなことにならないように、正常な会社間の関係によりまして企業が運営されるように監督をいたしていきたいと思っております。
  224. 内藤功

    ○内藤功君 私どもが調べたところでは、全然飛行機についての教育も受けないで、いきなり来て仕事をする人がかなり——臨時職員ですね、それから孫請の会社の人の中には多いそうですよ。そして、末端の職制の人が三十分ぐらい、たばこは吸わないでくださいとか、それから許可証は必ず持って行ってくださいとか、それから機内からの指ち出しは、不用と思われるものでも勝手に持ち出さないでくださいとかいう注意をその場で口頭でやって、すぐ働き出すというような人が多いんだそうであります。よくこれは調べていただいて、こういう実態ですから、私どもはこのハイジャックの事件を契機に、労務管理をすっきりさせるというあなたの方向を進めてもらいたいと思うんですね。  そこで、労務管理をすっきりさせる、労働関係をすっきりさせるというのは一体何かという問題について私は少し問題を進めてみたいと思うんだけれども、第一は、契約関係ですが、どこの会社との契約か。私は、やはりこのAGSのまた下請というようなところでは、非常に身分関係というのはすっきりしないと思うんです。すっきりさせるということは、何といってもこのAGSと直接雇用契約を結ぶ、AGSが直用にする、AGSの正職員にするということを、順番としてまず第一番目に努力するように、この機会ですから、普段はあんまりそういう雇用関係について運輸省が発言することはないんだろうけれども、このハイジャック事件の契機ですから、そういう可能性がないかと、そういうふうに努力をしてみろということを、まず会社側にひとつの指導をしてみる必要がないかどうか。これはそこで働く労働者たちの要求でもあるんですね。で、防止の上から、まずこういう点をお考えにならないかどうか、ひとつ伺いたいと思います。
  225. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) 仕事の適確な遂行を期するために、やはり下請会社に任せっきりの仕事の中からもう一遍再点検をいたしまして、AGSで直営をした方がいいというふうな仕事につきましては直営体制にすることがベターであると思います。したがいまして、どういった仕事がそういった仕事であるのかという点の点検をいたしまして、方向としてはそのような指導をしてまいりたいと思います。
  226. 内藤功

    ○内藤功君 ぜひ早急に調査をして、その方向でやってほしいと私は希望します。  なお、その場合に、やはりこれは労働省の管轄かもしれぬが、いま基準法六条、それから職業安定法四十四条ですか、いわゆる直用化しなければ法違反の問題も起きるという問題がBOACですとか、あるいは民間放送の組合ですとかというところで起きていますから、そういう法律上の疑義をなくすためにもこれは必要だろうと思うんです。  それからもう一つは、いま日本航空なら日本航空という航空会社と、AGSならAGSというそういう作業をやる会社との間の下請関係、これは一体どういうふうな下請関係になっているのかと、こういう契約の実態を明らかにして、その他の点でも誤りのないように指導してやる必要があると思うんですが、こういった点は調査をしておられるかどうかという点をお伺いしたいんですが。
  227. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) いま手元に資料がございませんが、いずれにいたしましても、日本航空の仕事を下請をしているわけでございますから、日本航空とAGSの間にはきちんとした契約関係、仕事の分担関係があるべきでございますので、その点につきましても先ほど申し上げましたような趣旨にのっとりまして、JALとAGSの関係をまずすっきりさせるという点から再点検をしてまいりたいと思います。
  228. 内藤功

    ○内藤功君 その調べたところを資料としていただけないでしょうか。
  229. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お出しいたします。
  230. 内藤功

    ○内藤功君 大臣、答弁聞いておられたと思うんですが、このハイジャック防止策としてぼくが三つ出したのは、ダブルチェックをやること。それから地上作業員の労働関係をすっきりさせて、そういうところから間違いがないようにすること。この二点を言ったんですが、この点についてのお考えを伺いたい。
  231. 田村元

    国務大臣田村元君) まさに御指摘のとおりだと思います。エアポート・グラウンド・サービスと言うんですか、AGSの場合も、一応形は、所属会社の申請に基づいてその都度臨時のランプパスを出しておる云々ということなんですけれども、身元確認もやっておるというようなことであるようでありますが、これは非常に厳正にしなきゃいけない。  それともう一つは、内藤さん御承知のように、ああいうことをやる連中は、職場においては模範社員たるべしという訓練まで受けておるので、見ただけではわからぬわけですね。でありますから、そういう点で地上勤務員等も含めまして、本来政府が個々の企業の労務関係に関して必要以上にくちばしを入れることははばからなきゃならぬのかもしれませんが、こういう特殊の事情でございますから、厳しくやるように指導いたしたいと思います。  それからもう一つは、ボデーチェックでございますが、これはもう徹底してやらなきゃならぬし、ダブルチェックも可能な限りやらなきゃなりません。同時に、実は私は、最近航空局に指示をいたしましたのは、スチュワーデスと乗務員の方方に乗機してもらうのを少し時間的に早く乗機してもらって、中を徹底的に点検して、チーフパーサーから管制塔なりへ点検終わりという報告まできちっとする義務づけをした方がいいんじゃないか。少し労働条件としては酷になるかもしれないけれども、事人命に関する問題だから、同時に、もしハイジャックがあれば一番気の毒なのは第一スチュワーデスでもあるし、乗員でもあるということにもなりますから、そういう点もはっきりさした方がいいんじゃないかということも指示しておりますが、いずれにしても万遺憾なきを期してがんばりたいと思っております。
  232. 内藤功

    ○内藤功君 では、次のテーマに入りますが、これは国鉄の中央線沿線の商店会の方々の国鉄高架に伴う公害問題なんですよ。これはちょっと緊急を要しますので、私特にきょうお伺いしておきたいと思うんです。  まず、郵政省の電波監理局の方来ておられますか。——伺いますが、昭和五十一年の三月に電波監理局長の通達で「高層建築物による受信障害解消についての指導要領」というのが出ておって、その中にこう書いてあるんですね。「共同受信施設の設置については、建築物の建設が受信障害発生の原因であること、受信障害解消についての当事者間解決の事例においては、建築主の責任と負担で解決している場合が大部分であることからみて、受信障害発生の原因である建築物の建築主の責任と負担においてこれを行うことが適当である」、こう書いてありますが、この通達は現在もこのとおり変更なく生きていると、こういうことで伺ってよろしいかどうか。
  233. 志村伸彦

    説明員(志村伸彦君) 郵政省といたしましては、いまお話のように、五十一年の三月にそういう指導要領を策定いたしまして、これを地方電波監理局長に通達いたしているわけでございます。それで、この指導要領は、高層建築物によります受信障害を解消するその際に、当事者間で協議が行われるわけでございますが、その協議の際の考え方を示しておるということでございまして、この考え方は現在でも変わっておりません。
  234. 内藤功

    ○内藤功君 国鉄に伺いますが、この国電の中央線高円寺−阿佐ケ谷−荻窪、おおむねこの間の問題ですが、ここにNHKからいただいたいままでの経過資料があるんですが、この沿線に住んでいる人が、昭和四十五年から国鉄に対して、テレビの画像が列車が通るときによく見えない、私も近所のうち数軒ずっと回ってみましたがひどいものですね。こういうことを、苦情の申し立てをやり、それからNHKを通してしばしば、私の知る範囲で三回にわたって国鉄当局に対してこの改善方を要望し、そういう経過がずっとあるんですが、今日まで国鉄としてはどういうふうな対策をとっておいでになったのか。ずいぶん長いものですからね。それから、いまどういうふうな調査をし、どういう対策をとっているか。この間、私がある現場の責任者を呼んで聞きましたら、いや、それは新宿の方に建っている大きな高層ビルの影響かもしれないというような、はっきり言って、ふざけたことを言っている人もおるんですよ。私はこの点についての、いままでの国鉄のとられた対策というのを全部説明してもらいたいと思うんです。
  235. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) ただいま御指摘の中央線の区間は、昭和三十九年に一部高架化が完成いたしました。その後二年おくれて昭和四十一年にただいまの複々線の高架が完成して使用をいたしておるところであります。当時工事をするときに、やはりいろいろな問題がございました。そのときにも、テレビの電波障害というようなものもその当時から若干お話があったようでございますけれども、当時はいろいろ工事に絡みまして関係するものについては、関係の方々の御理解を得て一応始末をいたしたところであります。ところが、いま先生のお話のように、昭和四十五年ごろからと言われておりますが、その辺の時点はちょっと定かではございませんが、また最近になりまして、これは昨年から、関係の地域の方々から電波障害その他の問題も含めましていろいろ苦情が出て、私の方にもそういう申し出がございます。  私どもも現地に関係の職員を出しまして、そういう苦情のある方々からいろいろ御意見を伺っておりますけれども、やはり電波障害という件数が苦情の中では一番多いようでございますけれども、すでに十数年実は電波に関しては経過いたしておりまして、当時から苦情がなかったものがその後いろいろ苦情が多くなってきたという実態はございますけれども、テレビ障害の問題については、現地の報告によりますと、ちらつくということは確かにございますけれども、これは全国的な問題でもございますし、またその程度がいまちらつくという程度でございまして、必ずしも鉄道だけの影響ではないのではないかというふうに考えておるところでございます。
  236. 内藤功

    ○内藤功君 テレビの画像がちらつく程度で大したことはないという報告はだれの報告ですか。
  237. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 現地にはそういう公害の担当者がおりまして、何軒か見せていただいたようでございます。
  238. 内藤功

    ○内藤功君 そういうような報告だからいけないんですよ。ここに私、NHKからの——ちょっと失礼します。これはNHKからの文書です。いまあなたにお見せしているのは、NHKから私がいただいてきた文書ですけれども、国鉄に対して、そこに書いてあるように三たびにわたって、四十五年の四月に一回と、それから四十七年十一月に一回、五十一年九月に一回、それぞれNHKとしての調査結果をあなたの方に知らして、そうして国鉄に対して改善対策の要請を行っていますね。そういう経過の上にいまだ改善されていないという現状なんです。ことしの三月にこの西局の環境室長ですか、という人が回ったらしいんだけれども、これはひどいということをちゃんと確認しているわけです。私は、こういうことがきちんと報告されてないというのはいまあなたの答弁で驚いたんですがね。こういう経過なんです。いままでのテレビ障害についてのこういう経過について、いまあなたは初めて見ましたか。
  239. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 細かい点については、いまこの資料は初めてでございますけれども、テレビの問題については、ここに限らず全国的にだんだん普及度が多くなったということもあろうかと思いますけれども、鉄道の高架の近くでテレビ障害がいろいろ出てくるということについては承知をいたしております。ただ、テレビの電波というのは一つの原因でなくて、いろんな高層建築が出てまいりますと、電波自体が非常に弱まってくるという事実もございます。なおかつ、この中央線の高架橋は、ただいま申し上げましたように十数年前に完成をしたものでございまして、その後の実態についてはいろいろ苦情は承っておりますけれども、私の方でただいま処置をするほど明確な実態になっていないというふうに考えております。
  240. 内藤功

    ○内藤功君 あなた自身が見てきたわけじゃないんでしょう。これはやはり地元の代表の人が昨年の八月も陳情書を出しておりますよ。国鉄総裁あてに地元の人たちが陳情書を出している。具体的に、そのテレビの障害について、共用アンテナを設置して被害者宅にケーブルの配線をすることというような具体的な要求を出していますよ。現在どういうふうな話し合いをやっていますか。
  241. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 昨年の八月にそういう申し出がごさいました。一応その中から——およそ四十人の方々からテレビだけでなくて、その他の問題も含めましてお申し出がありました。そのうち約二十軒の方々に、居住者の代表の方と御一緒にいろいろ実態を調べさしてほしいというふうに申し上げて、現地の責任者が参りました。そのうちの数軒について実際にそのうちへ上がらしていただいて調べてまいったようでございます。確かにテレビが、電車が通過するときにちらつくという事実はございましたというふうに報告を受けております。
  242. 内藤功

    ○内藤功君 速やかにその現地の代表者の人と話しをして、そうしてNHKの指導、郵政省電波監理局の指導要領にあるように、住民の納得するような処置をまず講ずることが必要です。ほかにもいろんな要求がありますけれども、まず人間の文化生活にいま一番入っているテレビの問題ですね。こういうものからやっぱり解決をして、そして、地元のいろんな国鉄に対する不信の問題というのを片づけないと、いま国鉄はいろんな面で国民の協力を得なければならぬ段階なんですから、そういうちらつく程度で大したことはありませんというもし気持ちでいたら、これはいかぬと思うんです。それから、どこにでもあるからという問題じゃないのですね。やはりこれは、苦情の出るところというのは、それだけの大きな被害があるから出てくるものなんです。  したがって、あなたは国鉄の最高幹部の一人として、速やかにこの西局の環境の責任者に命じて、この地元の代表の方々との話し合い、それから共用アンテナその他、テレビがきちっと見られるような処置は、いま科学的にいろいろあるわけですから、それを講ずるようにひとつ指導してもらいたいと思うんですがね、いかがですか。
  243. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) この昔からある線路の近傍にこのテレビの障害の問題は、ここだけでなくて全国たくさんございます。国鉄には高架橋の区間が在来線について全国で約二百キロほど延長にしてございます。そういう問題が出てまいりますが、基本的にはこの電波の問題は、電波の強弱の問題が一番原因でございまして、高架橋だから電波が弱まるという原因もあるいはあると思いますけれども、それ以外の原因によって電波が弱められるという方が大きな原因があろうかと思いますので、そういう実態が明らかになった中で、いろいろ確実に原因がはっきりしたものについて処置をしなくちゃならないというふうに考えております。
  244. 内藤功

    ○内藤功君 あのね、明らかになったって、これは専門家であるNHKに聞くのが一番早いのですよ。私の方はもう、NHKからこれは明白にこの高架鉄道、これが原因だということを調査した人からちゃんと明言を受けているわけですよ。ですから、あなたがそれを疑うならばNHKの技術専門者を立ち会わせて、そこで話し合えば一発で片づくのですね。そういうことをただ机の上でもってはっきりしないと言っているだけじゃ、いつまでたったって片づかない。大臣、どうですか。こういう非常に明白な問題自体が、国鉄の西鉄道管理局、それからさらに国鉄本社によれば、かような始末で片づいていないという現状ですよ。少しぼくは言葉は厳しいかしらぬけれども、国鉄はいまいろんな意味で国民との関係というのが非常に重大な時期ですよ。  私どもの方の党からも質問主意書を出して、この問題を早く片づけろということを言っております。それに対して、当時の三木首相からも返事はちゃんと来ているんですよ、答弁書でね。これはNHKの技術的な観点で調べてこれはもう高架鉄道が原因だとなれば、地元の代表と、西鉄道管理局が会って、それで一発で話を決めれば片がつく問題だ、これがこんなにおくらされている、昭和四十五年からですよ。これは運輸省の方の責任でやっぱり国鉄にきちんとやらせるということが必要だと思んですね。現場の人が動きやすいように大号令をかけてもらわなければならぬと思うんです。どうですか。
  245. 田村元

    国務大臣田村元君) 実は、私はテレビの技術のことについてはずぶの素人でしっかりわかりません。わかりませんが、いまのちょっと答弁を聞いておりますと、私、個人的な感覚で言えば、いささかちょっと及び腰のような感じがいたしますね、率直に言って。もしこの高架鉄道なかりせばということを考えた場合には、少し積極的に取り組んでいいんじゃないかという感じでございます。  これは私からも改めて国鉄に申しますが、まあちょっと表現が悪いかもしれませんが、この悪い表現は御勘弁願いたいんですが、担当の者に調べさせるのもそれは必要なことでありますが、偉い人が一遍そういうような現象の出ておるような家にちょっとお伺いして、その程度というものも見てみる必要があるんじゃないでしょうか。そうして、やはりきちっと対処すべきは対処する。これはいま内藤さんおっしゃったように、一番のこれの玄人はNHKですよ。NHKからそういうような話があるとすれば、私は国鉄もやはり対処しなきゃいかぬと思うんです。何だかんだと言って値上げするばかりが能ではないので、それこそ国民に対して努めるべきは努めるという義務もあるわけでございますから、その点で私からも国鉄に対して——まあ、ここでこういう答弁を申し上げれば、それが事実上国鉄に対する指示になるわけでありますけれども、やはり親切に対処する、きめ細かく対処するということは必要であろうと存じます。
  246. 内藤功

    ○内藤功君 この問題だけじゃないんですね。テレビの問題は一番簡単に片づくと思ったからこれを先に出したんですけど、このほかに高架による付近住民の被害、実に深刻ですよ。日照の問題で言いますと年間日照ゼロというところがずうっと並んでいる。昼間も電気なしでは新聞も読めない。洗濯物は陰干しで、布団の日干しはだめだと、冬の暖房費は非常に大幅にふえている。二センチメートル降った雪が一週間解けないところがあるんですね、東京の真ん中で。それから振動騒音について言うと、ここにも写真がありますけれども、壁やタイル、こういったもののひび割れだとか、それから鏡の割れ、ガラスの共鳴、こういったものは全部請求書を西鉄道管理局に出してあるんです、被害の請求書。それからこの落下物ですね。弁当のからだとか、それから空きかん、空きびん、それから、まあこういうところで申し上げて失礼ですが、汚い汚物の紙ですね、こういった物が飛んでくる。中には投げる人もいるかもしれない。それはモラルの問題もあるけども、同時にやはりこういう落下物を防ぐフェンスなんかが必要だろうということも地元で要求出されています。  まあ詳しいことは、すでに陳情書に書かれてありますから私は一々言いませんけれども、こういういろんな要求が出ています。私が言っていることがいいかげんだと思われるといかぬから、ここに落下してきた物もここに持っています。後でごらんいただきたいです。こういう物が、弁当箱のからだとか、それから汚物のついた紙だとかいう物が現実に落っこってくるんです。それはめったにないでしょうね。毎日落ちるわけじゃない。毎日落ちるわけじゃないが、人間の家にこういう物が一回落っこってきたら、これは大臣どうですか、恨みますよ、国鉄を。そして、私がここに持っている写真、これ何だかわかりますかね、これは洗濯物に汚物が飛んできた、こういう写真もある。  私は、一たんつくってしまえば後は野となれ山となれ、それから新幹線の場合はよくめんどうを見るけれども在来線はめんどう見ないと、こういう声が非常に国民の中に強いんですね。私はそういう意味で、この国鉄の国民に対する姿勢という意味で、大臣がさっき言われた立場というものは、ぼくは当然の常識的なものだと思いますけれども、このさっき言った問題以外の沿線住民の問題について、テレビ障害問題はもちろんのこと、その他の問題についても、私がここへ持ってこざるを得なかったような態度なんですからね、国鉄側は。私はあえて言いますよ。きちんと指導をしてもらいたいと思うんです。最後に、大臣とそれから常務理事の最終的なお考えをお伺いしたいと思います。
  247. 田村元

    国務大臣田村元君) 私がお答えしましたのもテレビだけに限定したお話ではないので、たまたまテレビの難視聴というのが話題に供されましたから、それに対してお答えをしたわけでありますが、いずれにしても、実は内藤さん、私も昔、コカコーラのかんが頭に当たったことがあるんです。非常に腹立ちました、率直に言って。参宮線の鉄橋の下で私が釣りをしていまして当たったことがあるんです、昔の話でありますが。そういうことでありまして、まあいろんな問題一遍検討しなきゃならぬのじゃないかと思います。  ただ、こういうような国鉄の財政状況でございますから、一気に何もかも全部やれと言われても、これはなかなか予算上大変なことだろうと思います、率直に言って。しかも、国鉄の全国ということになれば、これはもう天文学的数字になるかもしれません。特に防護さくでも延長キロにしたら大変なことになるだろうと思うんです。でありますから、とりあえずもうちょっと具体的に調査をし、調査をしないでもわかっておるものはとにかくひどいところから手をつけていくということは、私は当然の義務だと思います。これからも国鉄に対して私からも改めて厳しく申し渡しておきたいと思います。
  248. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) いま大臣が申されたように、いろんな点で私の方も改善を図ってまいりたいと思っております。  いま例として汚物の問題、あるいは飛散物の問題等がございました。これも私どもも前々から十分いろんな点で検討を進めておりまして、汚物が飛散しない、あるいは汚物をもう出さないという原則に至るために車両の改造、あるいはその汚物を処理する基地の増強等を逐次進めさせていただいております。また、飛散物の問題につきましても、できれば窓から投げられないという構造にする。それがためには、車両の暖房はついておりますけれども、空調その他を進めて、窓を原則的に開けなくても快適な旅行ができるというような車両の改造等も並行しながら、そういう処置をしていろんな点で対策を講じていきたいというふうに考えております。
  249. 内藤功

    ○内藤功君 テレビの件はどうです、テレビ障害の件は。
  250. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) NHKから、これもやはり十年前から全国でいろいろ言われております。先ほど私が申し上げましたように、これはやはり電波の強さの問題で、通常高架橋が——私どもいま中央線の高架橋の高さは平均五メーターないし六メーターだと思います。これは通常の家の二階建てに大体相当する高さで、普通通常の建築物と同程度の高さのものでございます。そういう関係がございまして、なかなか全国この高架橋の延長、先ほど申し上げたようにたくさんございますので、一挙に解決するという問題はむずかしいという点と、電波の強さの問題というのは、これは最近高層ビルが建ったり、鉄塔が建ったり、いろんなことによって電波が次々に弱まってまいります。したがって、電波をもっと強くするという、そういう施策も一方にはあってよろしいんじゃないかというようなことも含めまして、いま大臣からの御指示のような努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  251. 内藤功

    ○内藤功君 国鉄は、とにかく自分の線路というものが、日本の国の中でどこでも通じておる、沿線の住民というものはある程度がまんすべきだという思想が明治この方まだまだ失われてないんじゃないかという気が私はするんですね。いまの常務理事の答弁の中でもちらちらとそういうものを感じるのははなはだ遺憾なんです。私は、これはまた機会あるたんびにやりたいと思っておりますけれども、今回のこの問題についても、国鉄当局のとってきている態度というものは、私深く事情を調べれば調べるほど非常に遺憾な点が多いので、ここであえて大臣に申し上げた次第です。さっきの大臣の答弁の趣旨に従って、こういうような国民に対する態度では、きちんとしたものをやってもらいたいと強く要求したいと思います。  これで終わります。
  252. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 造船不況対策についてこれから質問してまいります。  大臣は、もう造船産業には御造詣が深い方だから余り細かいことはもう申し上げません。ただ、造船産業が歴史的に日本の基幹産業であり、輸出産業であり、どれだけのことをやってきたかということは、もうおわかりのとおりだと思うのです。それがいま、戦後かつてないような苦しい状態に追い込まれているわけなんです。何でそういう状態に陥ったかということをいろいろ言われているのですけれども、私は単なる日本国内の好不況の影響だけではないんだという点をひとつつけ加えておきたいと思うのです。  それは、四十八年石油ショックがありまして、あの石油ショックに応じて、もう従来の高度経済成長はできなくなった。産業構造を変えなくちゃならない。そういう点で、日本の中でも産業構造審議会がもたれて、全部産業のあり方が検討されたんです。それで四十九年の九月の十三日に、産業構造審議会が答申を出されたのです。その答申を出されたときに、造船産業については生産能力を——昭和四十五年は一千六十万総トンだった。これを年率七%の成長をさせていって、昭和五十五年には二千九十万総トンにするのだと言いました。石油ショックを受けて日本の産業構造を大きく変えなくてはならないといって産業構造審議会が検討しても、昭和五十五年には二千九十万総トンの生産能力を持つのだという結論を出して答申をされたわけなんです。  ところが現実は、きょうも言われていますように、いま世界全体でほぼ一千二百万総トンぐらいしか仕事がないんです。言うならば、私は、国際情勢の大きな変化があったのだ。単なる国内の問題ではなくて、そういう国際情勢の大きな変化の、言うなら、荒波をかぶったような状態にあるのであって、その辺が、いま不況業種がたくさんあるけれども、ほかの不況業種と大きく違う点だと思うのです。ですから、そういう点でもって、大臣のところへももういっていると思いますけれども、造船不況対策に関する要望書——主要な造船所があるところの都道府県、長崎県の久保知事が会長になって造船関係都道府県連絡協議会というものをつくりまして、そしてお互いに何とかしてこれを脱却しなければといって政府なんかに言っておるわけなんですから、そういう点で、一種の地場産業という、そして日本の基幹産業であり、かつて輸出でもって外貨、ドルをかせいで日本経済を支えてきたというこの造船が、いまこういう状態に陥っているのです。  それで、結論的に、まず第一に聞きたいことは、運輸省の方が、こういう形だから操業度を落とせといって、それで五十三年度は六五%ぐらいにせなければだめだぞという勧告が前に出たはずなんです。ところが、いまの状態だと、来年五十三年度はほぼ一九%ぐらいしか仕事量がないじゃないかと言われているわけなんです。だから、その辺の見通しをどういうふうにお持ちになって、それに対してどういう対策をとろうとしているか、それからお聞きをしたいと思います。
  253. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 先生が御指摘の産構審の答申を私、実はつまびらかにしておりませんが、当時の産構審の考え方というのは、省エネルギーという観点で、加工産業を伸ばすということで、その中で造船業も加工産業の一つの大きな柱としてそういう答申が出たかに聞いております。  私ども自身の海運造船合理化審議会でも、記憶をたどりますと、四十四年から四十五年ごろにかけまして長期的な議論をしておりました。そのころは、千四百万トンから逐次ふやしながら、少なくとも従来の国際競争力その他を勘案して五〇%の線を守りながら伸ばしていこう、こういうことで、その当時から一部のスクラップ・アンド・ビルドを実施しまして、抑制的にしながら、かつ世界の需要に応じていこうということでやってまいったわけでございます。それが四十八年秋の石油ショックを契機にしまして、お話しのような石油消費の低滞、あるいは世界の景気の成長度が鈍化したというようなことで、タンカーが約三分の一過剰であるというような状態が言われておりまして、そういう状態に対応して操業度を短縮しながら、世界各国で操業度を落としていこう、こういう線で対応しようとしておるわけでございます。その線に従いまして、各国ともそれぞれ減らし、わが国も操業度短縮で五十三年度で大体六五%ぐらいの線に持っていくということを頭に置きまして、五十二年度は七〇%というような線で勧告をしたわけでございます。  で、五十二年度、五十三年度の見通しの議論でございますが、これに関しましては、確かに現在の確定トン数から言いますと——確定トン数といいますのは、もう受注いたしまして建造許可をした分で申し上げますと、五十三年度につきましては十数%あるいは二十数%という議論がありますが、トン数で申し上げますと百五十万トン程度、約百五十万トン九月三十日現在で確定をしております。  したがいまして、答申のもう一つの線でございます六百五十万トンというようなことを頭に置きますと、残り五百万トンのことしの、本年度の下期、来年度の上期でどうとっていくかということで、事態が非常に厳しいという状況は十分承知をしておりますが、何とかしてこの五百万トンを埋めまして、それで操業度の低下がほぼ——ほぼといいますのは約一〇%ぐらい前後の差があるかと思いますが、そういった数字におさまるように考えたい。そのために輸銀の問題でありますとか、先ほど出ました計画造船の弾力的な運用とか、いろんなことをやると同時に、その他の新規の仕事についても考えていきたい、こういう見通しで今後に対応したい、こう考えておる次第でございます。
  254. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 その五百万総トンからの穴を埋めていかなきゃならないということになるので、いろいろあると思うんですけれども、まず第一にLNG船、先ほども大臣御答弁あったように、日本でも一部手をつけ始めたわけですけれどもおくれているわけです。で、いま日本がLNGを消費をしている量というのは大変な量だと思うんです。ところが、それを運んでいる船というのは全部外国でつくられた船で運んでいる。これだけの造船国であって、そういう姿で置いておくというのは非常におかしいと思う。そういう点からいくならば、少なくとも日本が使うLNGは、日本のつくった船で運ぶようにしてほしいと思いますし、争ういう点について政府の方が、運輸省の方で積極的に支援体制をとって促進させる方法をおとりいただけるかどうか。
  255. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) LNG船の建造につきましては、これは日本で消費いたしますLNGに対応すると同時に、国際的にもエネルギーの多様化ということでLNGの需要が年々増大をする傾向にございます。従来は、私どもとしましては非常に特殊な船舶でございますので、マイナス百六十二度というような非常に極低温の液体を扱います関係から、技術上の問題について焦点を当ててやってまいった次第でございます。現在、わが国の少なくとも大手造船所と言われるところでは、LNG船の建造について技術的にも、また安全上の検討からも終わっておりまして、一部御指摘のように建造にも着手しております。  こういう状態から、それでは技術的な問題を終わって、あとどういうふうに建造を促進するかということでございますが、五十一年度と五十二年度で、国内におきまして付加価値の高いLNG船の建造をどういうふうに推進していくかという問題に絡みまして、五十一年度でまず私どもの局の中におきまして、国内のLNG船の建造、運航等について調査分析し、その促進方について検討を終わったわけでございます。五十二年度は同様に国内のいわゆる二次輸送について検討を始める準備をしております。  これらの結果から、私どもの調査した結果によりますと、五十五年度で三千万トン程度国内LNG船を対象といたしまして、そのうちで未手当てのもののLNG船の建造を図るということで、資源エネルギー庁あるいは建造造船所、あるいは使用者等を含めまして、各方面にこれの具体化について検討をお願いし、促進を図っているところでございます。  具体的に申し上げますと、日本がいま当面しております国内の主要業界等が主導権を持って当たりますイランのガスにつきまして、これの輸送についてはぜひ国内で建造されたLNG船により、国内船主によって運航をするということで、関係者と種々協議をしながら促進を図っていきたい、こう考えておる次第でございます。
  256. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣、御承知のように、イギリスはもう国有化したわけでしょう、造船産業。それからイタリアはもう大分前に、あれは半国有化みたいな形になったのだけれども。それで、アメリカが大変造船事業が苦しかったときに、政府が造船所に客船の発注をして、そしてでき上がったらそれを価格の、一番極端なときというのは五五%でもって船会社に払い下げてしまう。あとは船会社が動かす。実質的に言えば、国が半分出して船をつくらしたという、そういう形をして造船所の救済をやり、そういうことが今日アメリカの造船産業もほとんどだめになりかけたのがやや持ち直してきてかなりの船舶建造ができるようになった。そういう点で、日本の場合もいままで余りタンカーばかりつくっておったから、こういうものに手をかけなくて、リスクが大き過ぎるということでおったと思うのです。いまのように工事量が足らないときにこそ、政府の方が進んでその辺の指導をして、このLNGタンカーの建造ということを促進するようにしていただきたいし、それについての大臣の御見解をお聞きしたい。
  257. 田村元

    国務大臣田村元君) 日本の造船が今後活路を見出だそうとすればやはりLNG船だと思います、その他たくさんありますけれども。まあこれなんかは大手中の大手ということが言えると思います。でございますから、いろいろな意味で奨励をしていかなきゃならぬ。いま関係八社に技術開発その他いろいろなことでがんばってもらっておりますし、皮肉な話でございますが、川崎重工なんかでもうすでに建造を始めておるものもありますし、三隻いま御承知と思いますけれどもLNG船の引き当てがある。ところがそれが皆輸出船なんですね。まあとにかく日本が輸入するLNGは、とにかく日本の船で運ぶという大前提がまず必要だと思うのですよ。同時に輸出もする、先ほど私ちょっと御答弁申し上げたように、先般もカナダの運輸大臣とそういうことで話し合ったのですが、とにかくこの問題につきましては思いを新たにして、大げさに言えば、これによって日本の造船界の造船不況を救うのだというぐらいの気持ちでやらなければならないと思うのです。  ただアメリカやイギリス、フランス等と若干ちょっと日本が根本的に事情を異にしておりますのは、日本の造船はでか過ぎるということなんです、業界として。世界の半分を担当してまいったのでありますから。でありますから、この前もフランスの運輸大臣のカバイエさんという人が来まして、いろいろ造船不況で話し合いもいたしましたけれども、かみ合わない点もあるのです。いかにも日本が大き過ぎるということもあります。それだけに深刻。日本の造船不況というものが他産業のいろいろな分野に大きな影響を与える可能性が非常に強いし、また現実に可能性も与えておるということもございまして、先ほど私、冒頭申し上げましたように、運輸省というと、何かというと国鉄あるいは成田だと言われるけれども、それにまさるとも劣らざる、あるいはもっと大きな問題は海運・造船不況対策であるということを私はよく言うのでありますが、さような決意でがんばっていきたいと思っております。
  258. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 そういう決意で取り組んでいただきたいと思いますし、また、大臣がそれだけの決意を持っておられることに敬意を表し、次に巡視船の問題で、これは保安庁の方いらっしゃいますが、関係すると思うんだけれども、二百海里時代に入り、この面積が何倍になったか、大変なものだと思うんですね。海の上の面積は、世界で六番目のバウンドに日本の国がなっちゃったというんだ。それで大臣ね、先月もこの運輸委員会で、北方領土のあの水域のところを視察に行ったんです。それで、あすこの巡視船に乗って、ソ連との水域のぎりぎりのところを走ったんです、北方領土のところを。ところが、そのときに乗った船は四百九十八トン。まだそれでも去年つくった船ですからね。われわれが行くというので、一番新しい船をあそこで何して乗してくれたのだと思いますけれども、今日のこの二百海里時代で、もう五百トンそこそこの船では、とてもじゃないけれども回れるものではないと思うんです。  そういう点からいきましても、少なくとも千トン以上、それで量もよほどの量がなければ——これは保安庁の方にお聞きしたいんだけれども、警備ができるかどうかということになってくる。その辺のところも、これは予算の関係がありますけれども、今日の造船産業が大変な不況にあるということとの関連の中から、それでいまの二百海里時代に対応するという、その両面から思い切った施策をとっていただきたいし、それについて大臣の御見解を聞きたいと思うんです。
  259. 田村元

    国務大臣田村元君) 船というものは、トン数が幾らか違うことによって人員はそう変わらない。ところが、その能力は非常に違うということが言えるわけでしょう。  実は私は、妙な経歴を持っておりまして、いまの長崎造船大学という学校がございまして、あれの二期生でございます。私は造船大学を出てきたわけです。でございますので、船だけは幾らかまあ素人なりに知っておるつもりでございます。おっしゃるとおりだと思うんです。実は、海上保安庁が当初組んでまいりました計画を私は却下いたしました。だめだと、こう言って却下いたしまして、組み直しをさせました。たとえば、三百五十トン、四百五十トンあたりの船で外洋へ出ろと言いましても、これは能力的にも劣りますけれども、海上保安官は、もうへたばってしまうんですよ。大変なんです、これは。でありますから、二百海里時代を迎えましたら、海上保安官のためにも千トン以上でなきゃいけません、これは。同時に、能力的にも千トン以上でなければなりません。でありますから、私は三百五十トン、四百五十トン、あるいは七百トンというような船の代替は、すべて千トン以上にしろということで、保安庁の方針を私自身が決めました。そして、今度の補正予算でも、先ほど申し上げたんですが、千トンの巡視船五隻純増で予算化することになりました。  航空機でもそうなんです。航空機でも、これは実は私は二十年来保安庁を担当してきたものですから、いつも持論で言っているんですが、小さな飛行機ではだめなんですね。小さな飛行機ももちろん要ります。要りますが、極端なことを言えば、YSクラス、要するにヘリコプターにあらずんばYSクラスと極言してもいいような状態なんですね。さようなことでありまして、巡視船の大型化、しかも大量化、これは私の年来の持論でもございますし、そのように保安庁を指導してまいりましたので、今後もそのような姿勢で進みたいと思っております。
  260. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 じゃ、巡視船の関係はいまの大臣の答弁で了解をしてまいりたいと思います。  次には、冒頭にも申し上げました造船産業のあり方というか、大変すそ野が広くて、これももう大臣御存じのとおりで、言うならば総合組立工業と言われているくらい関連下請の多い産業なわけです。だから、その一番の中心の大どころがみんな、いまさっき言いましたように、五十三年度は、さあ二〇%の操業度あるかないかなんて言っているような状態ですから、いまその末端のすそ野のところが、もう現実に雇用の維持ができなくなってきて、大変な状態になってきている。まあ中堅クラス、中小手では、造船所そのものがいまつぶれているところがもう二十を超えたと思うのですけれども、そういう中で、やっぱり関連下請のそういう企業がやっていけるようなことをお考えいただきたい。  いろいろなことがあると思うのですね。いま言うとおり、巡視船や何かの仕事が出てくることによって、そこにやっぱり吸い取られていくというか、職場が与えられるという点が一つあると同時に、これはさっきも出ました、もう要らなくなった廃船の解体、解撤作業、このことなんかについて、もう少しやはり政府でもって力を入れてやっていただきたいと思うのです。これはことしのつい最近ですけれども、国際タンカー船主協会、インター・タンコ、そこでもって一つの論文が出されている。それで、これは補助金つき解撤が、需要のない船の補助金つき建造のりっぱな代替になる。船をつくろうとしてもいまつくる仕事がない。だから、要らなくなった古いそういう船をもうスクラップにして、解撤作業をしていく、そのためにある程度の補助金を出していっても、そこに雇用が必要になってくる。そうして、言うならば、新造船をつくると同じ作用を起こすではないかという論文が出されているのです。  ですから、その辺のところもですね、それで特に日本が、まだくず鉄をいま輸入をしているわけです。いまの段階で輸入しているのが四百万トンくらいあるはずだと思うのです。そうすると、四百万トンのくず鉄、それを産み出すために一千万トンからのスクラップ、それを解撤していくだけのことをしてその四百万トンのくず鉄が産み出されるということになるならば、これは大変なそういう量があると思うのです。問題は採算に乗らないから、なかなかいまやれないでいるわけなんです。先ほども大臣言われましたけれども、むしろ昔の方が、昭和四十二年ごろには、年間に日本でも百二十万トンぐらいの解撤が行われておった。このごろはだんだんだんだん減ってしまいまして、大体十四、五万トンぐらいしかない。ですから、その辺でもってスクラップの解撤ということなんかについても、いまのこういう造船産業、仕事がないというそういう段階において、新しい仕事をつくり出すという意味でもって御検討いただきたいし、その辺のお考えもお聞きしたいのです。
  261. 田村元

    国務大臣田村元君) 造船関連の生きる道の一つの大きな道はやはり解撤作業だと思います。でありますから、これは大いに奨励もいたしたい、いまおっしゃったとおりなんです。数字的にもそれは言えると思います。ただ、この問題も一つだけ頭の痛いことがございまして、平電炉がいま非常な不況で、そこで解撤したくず鉄が大量に出回りますと、市価の大暴落が起こるというような心配もございます。そこいらをどのようにさばきながらやっていくか、せっかく解撤をやらして、これで助かると思ったら、大損したということになったらとんでもないことになりますから、そこいらに非常にむずかしい、微妙な問題がございますので、いま船舶局長の手でいろいろな角度からこれを検討をしておる。しかし基本的に申せば、解撤作業は大いに奨励をしていきたいというふうに考えております。
  262. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣、そういう意味で、これ確かにくず鉄の値段も下がっていることも事実なんですが、やっぱり公団のようなものをつくって、そこでもってスクラップでも廃船のようなのを買って、その公団が今度はそういう解撤作業をやる業者に幾らでもって売るかという、その差が国とし補助しなければならない金額になるんですから、何かそういうものを設けておやりにならないと私うまくいかないと思います。ですから、これはいま急速にすぐどうこうといってもむずかしい問題もあると思うんですけれども、大臣がそこまでお考えいただいているんですから、それらの辺も含めて今後の課題にしていただきたいと思うんです。
  263. 謝敷宗登

    政府委員(謝敷宗登君) 造船業の下請事業者に対しまして、その事業転換の先を五十一年度でいろいろ検討いたしまして、沖修理業でございますとか、あるいは船舶解体業でございますとか、いろいろ検討さしていただきまして、解体業につきましては、ある程度の規模でスタートをうまくすれば事業として定着し得る可能性があるという見通しで五十二年度補助金の予算を計上したわけでございます。このときの計画は全体で二十二万五千トンで、全国に五つの事業協同組合をつくってもらって、そこに親と下請業者が共同事業として解撤をするということで、競争相手としましては、台湾とか韓国とかございますので、そこの事業者と対応できるために、国内におきましては技術の改善を図っていく必要があるということで、技術改善補助ということで一億四千万強計上したわけでございます。現実、いま四つと、それからさらに二つぐらいの組合の樹立の計画がございます。  現実にやり出しましてから問題が出てまいりましたのは、先ほど大臣からお話の出ました平電炉の業界のスクラップ事情が一つございまして、計画時に考えておりましたものの約三分の二ぐらいに落ちたということがございます。これは、平電炉業界が構造不況を脱却して立ち直っていきますれば、先生御指摘のような輸入くずが三、四百万トンあるわけですから、そういう事態に対応してある程度の規模でやれるかと思います。現状を私どもいま調べておりますと、、全体で日本のスクラップ量が四千万トンほどになるそうです。そのうちの二千万トンは製鉄所の中で出てきました自家くずでございます。残りの二千万トンがいわゆる船舶、自動車、その他から出てきます普通くずでございまして、いまの高炉メーカーあるいは平電炉メーカーの操業短縮によりまして、むしろ製鉄所の自家用スクラップをそのままどんどんどんどん野積みにしましてどうも持っておるような状態になっております。  したがいまして、輸入規模も通常でございますと三、四百万トンというのがどんどんどんどん急激に減っておる、こういう状態なものですから、こういった状態の中では、私どもいま考えておりますような規模で何とかやりながら、いずれ事態が改善をされた段階でどううまく下請業のやります解撤業が定着できるかということで、今後もそういう線で検討をし、具体的にその協同組合等を指導してまいりたいと思っております。
  264. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 その点、数字挙げるとまたなにになりますので、改めて少し立ち入って皆さん方にもお願いに上がりたいと思います。  次に大臣、これも時間がないから、海洋開発の問題。私は、アメリカとソ連が宇宙開発をやったんだから、少なくとも四つの島でこれだけ海に囲まれている日本は、海洋開発ぐらいもう少し本気になって取り組んでもいいんじゃないかという考え方を持っているんです。で、海洋開発をやるということになればこれはもう大変なことで、相当な大プロジェクトチームをつくらなきゃこれはやれるものでもないことだし、その海洋開発のいろいろ、じゃどういうことで取り組むかということなんかについては、またきょうはもう時間がございませんので、次の機会にさしていただくことにして、その中の一部として浮体構造物、それでいま関西新空港、これはもう話題にもなっているように、ああいうふうな飛行場なんかを海の上につくるという、そういうことをもう大臣の方もお考えもかなり進んでいるように思うんですけれども、その辺はぜひどういうお考えでどういうふうに進めようとしておるのか。  それから発電所、これもいまなかなか発電所をつくると言ってもどこへ持っていっても反対されるんですから、海の上に発電所をつくる、そういうことについてもこれからも開発をしていってしかるべきだし、それだけの技術があると思うんです。ですからその辺のことについて少し聞きたいんですが。
  265. 田村元

    国務大臣田村元君) 確かにいまおっしゃったようなことを私検討さしております。たとえて言いますならば飛行場でございます。まあフローティングエアポートとでもいいますか。ただ、まあ世界にまだ先例がないんですね。先例がございませんから、まあ率直に言ってある程度慎重にならざるを得ないんですけれども、小さい飛行場で海へ突き出すような計画のもので一度試してみたいなという感じがしておるんです。  で、この大型浮遊式海洋構造物とも言うべきプロジェクトですが、これをやりますと、まず第一、漁業補償という問題で従来と形態が変わります。浮くだけでございますから、潮の流れに影響を与えないという利点もございます。それから造船、あるいは鉄鋼等の大きな福音にもなりましょう。でございますから、いま通産大臣とも相談をしておるのでございますけれども、何とかこれを緒につけたい。まあちょっと夢物語のようなことになりますけれども、これが実験的にやって仮に成功しますれば、たとえばいま計画しております関西新空港、これ四億立米の埋め立てを必要とするということが言われております。四億立米の土といえば大変なことでありまして、筑波山より大きいというようなことであります。これが仮にフローティングエアポートの方式がとれれば、もちろん全部をフロートさせるというわけにはいきますまいけれども、相当部分をフロートさせることができれば、これはもうまさに革命と、産業革命ということが言えるかもしれません。  そういうような考え方をもちましていまとりあえず技術的に検討さしております。一番大きな問題はやはり耐久度の問題だと思うんです。何年もつだろうか、たとえばくいを打って飛行場をつくるということになりますればおおむね百年ぐらいもつとまあ学問的には言われておる。フロートさせる場合には一体どういうことになるだろうか、まだ先ほど申し上げたように世界的なデータがないものですから、日本は恐らくそれの先進国になることになると思います。  まあちょっと夢のようなお話を申し上げましたけれども、そこまで考えておるという現在でございますので、いろいろとまた御指導、御鞭撻、御協力を賜りたいと思います。
  266. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 終わります。
  267. 内田善利

    委員長内田善利君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十八分散