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1977-11-02 第82回国会 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二日(水曜日)    午後一時六分開会     ―――――――――――――    委員異動  十月十三日     辞任         補欠選任      秦  豊君      竹田 四郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         梶木 又三君     理 事                 佐藤 信二君                 平井 卓志君                 矢田部 理君                 峯山 昭範君                 三治 重信君     委 員                 岩崎 純三君                 成相 善十君                 林田悠紀夫君                 降矢 敬義君                 山本 富雄君                 上田  哲君                 久保  亘君                 竹田 四郎君                 野田  哲君                 矢原 秀男君                 橋本  敦君    国 務 大 臣        法 務 大 臣  瀬戸山三男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  三原 朝雄君    政府委員        国防会議事務局        長        久保 卓也君        防衛庁長官官房        長        竹岡 勝美君        防衛庁経理局長  原   徹君        防衛庁装備局長  間淵 直三君        法務政務次官   青木 正久君        法務省刑事局長  伊藤 榮樹君        国税庁次長    谷口  昇君        国税庁徴収部長  西野 襄一君        国税庁調査査察        部長       藤仲 貞一君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        警察庁警備局外        事課長      城内 康光君        防衛庁長官官房        防衛審議官    上野 隆史君        防衛庁防衛局防        衛課長      西廣 整輝君        防衛庁装備局航        空機課長     筒井 良三君        法務省刑事局総        務課長      吉田 淳一君        法務省刑事局刑        事課長      佐藤 道夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○ロッキード問題に関する調査  (ロッキード問題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 梶木又三

    委員長梶木又三君) ただいまからロッキード問題に関する調査特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る九月二十四日、渋谷邦彦君、寺下岩蔵君、石破二朗君、増岡康治君、降矢敬雄君及び坂元親男君が委員を辞任され、その補欠として黒柳明君、浅野拡君遠藤政夫君、熊谷弘君、成相善十君及び亀長友義君がそれぞれ選任されました。  また十月十三日、秦豊君が委員を辞任され、その補欠として竹田四郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 次に、ロッキード問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。  最初に、委員長として法務省にお伺いいたします。  御承知のごとく、本特別委員会としては、昨年五月児玉譽士夫君、同八月小佐野賢治君に対して、それぞれロッキード問題に関して証人としての出頭要求を決定いたしましたが、両君とも健康上の理由からその実現を見るに至りませんでした。  それ以来、委員会としては両君の健康の回復を期待しつつ、絶えず関心を払ってまいったのでありますが、先般来のいわゆる児玉ルート小佐野ルート公判には両君の出廷を見ていると聞いておりますので、この際、法務省が把握されております公判を通じて見た両君健康状態について、その概要を御説明願います。法務大臣
  4. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いま委員長からお尋ねの件については、後で刑事局長から御説明を申し上げることといたします。  ちょっとごあいさついたします。  私は、去る十月五日はからずも法務大臣に就任いたしました。わが国の内外にわたりきわめてきびしい問題が山積しているこの時期に当たり、その職責重大性を痛感いたしております。  いわゆるロッキード事件につきましては、当委員会におかれましては政治的道義的責任を究明する立場から、法務検察当局刑事責任を追求する立場から、それぞれその職責の完遂に努めてまいったところであります。現在、検察当局におきましては、同事件徹底的解明という従来の方針を堅持し、すでに公訴を提起した事件公訴維持全力を傾注いたしており、さらに今後とも事件関係者の動静に重大な関心を払い、新たに犯罪の容疑が認められる場合には、その解明のため所要の措置をとるものと確信いたしております。  また、法務省といたしましても、この種事件再発防止のため、収賄罪等法定刑の引き上げを内容とする、刑法の一部を改正する法律案を国会に提出して御審議を煩わす一方、外務省と協力して日米犯罪人引渡条約の適用罪種を拡大すべく、同条約の改正作業を進めるなど、でき得る限りの努力を重ねているところであります。  委員各位におかれましても、今後とも深い御理解と格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
  5. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 委員長からお尋ね児玉譽士夫小佐野賢治被告人病状について御報告申し上げます。  まず最初に、被告人児玉関係でございますが、同被告人につきましては、本年三月十四日、当委員会に対しまして、法務大臣から病状について、脳血栓後遺症病状が依然として好転せず、主治医立ち会いのもとに、休憩をはさみ、一回一時間程度しか同人の取り調べを行うことができないことを御報告申し上げたのでございますが、同人病状はその後若干好転兆しは認められますものの、なお当時とほとんど同様の状態にございまして、依然として自宅での静養を必要とするとのことであり、公判におきましても、七月二十五日の第二回から十月二十五日の第六回まで、その都度その旨の診断書を提出して、裁判所の許可を得て、出頭していない状態でございます。  次に、被告人小佐野につきましては、同じくただいま申し上げました御報告におきまして、同人の冠不全すなわち狭心症及び高血圧症病状好転せず、主治医立ち会いのもとに、休憩をはさみ、一回一時間ないし二時間程度しか取り調べを行うことができないことを御報告申し上げたのでございましたが、児玉被告人と同様若干好転兆しを示しながらも、現在なお安静加療を要するということでございまして、月一回の公判、これは前回は十月十八日でございましたが、これには出頭しておりますものの、終始医師が付き添い、一回の公判同人病状を考慮してわずかに三十分間と定められており、その程度の短い時間でも公判終了時には、高血圧症のためか顔面が紅潮してきているように見受けられたとのことでございます。  以上でございます。
  6. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 続いて、質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 矢田部理

    矢田部理君 いまの報告に対して二、三質問しておきたいと思います。――理事か多少補充的に質問するという話だから……。
  8. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 速記をとめて。   〔速記中止
  9. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 速記を起こして。  引き続いて質疑のある方は順次発言を願います。
  10. 久保亘

    久保亘君 法務大臣お忙しいようですから、最初一つだけお尋ねしたいことがあります。  いまロッキード裁判の中でコーチャンらの嘱託尋問証拠能力の問題がいろいろと論ぜられておりますが、この嘱託尋問については、日本側として検察最高責任者免責同意を与え、最高裁がこれに追認を与えられて行われたものだと聞いております。そうなります場合に、仮にこの嘱託尋問証拠能力裁判の上で認められないと、こういうような結果になります場合には、当然免責を認めたことについて非常に大きな責任が出てくるんじゃないかと思うんでありますが、この免責を与えることについて同意をされた政府側責任者といいますか、法務大臣立場でこの問題に対する御見解をお聞きしておきたいと思うんであります。
  11. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いまお話しのように、検事総長が、日本国内法に触れるような場合があっても、日本の国の検察庁としては、免責というよりも、不起訴処分というのがあるから起訴はしないと、こういうことで、それに対して――これは検察庁でありますが――最高裁判所が、日本にはそういう制度があるという趣旨宣明書を出したと、こういういきさつでございますが、これは、この事件そのものについては検察責任でやったものでございまして、法務省に相談し、法務大臣がそれを承認して出したという関係にはございません。
  12. 久保亘

    久保亘君 ただ、この事件性格からいたしまして、コーチャンらの証言事件解明のためにどうしても必要とする立場から、嘱託尋問を行うに当たって免責が必要となって行われたものでありまして、事件の全体の責任者でありました法務大臣としても、そのことに対して一切かかわりがなかったとは考えられないのであります。しかも、最高裁がそのことについて、検察側検事総長のそのような措置に対して、ある意味で合意を与えたといいますか、同意を与えたといいますか、そういう形になっているわけでありまして、そういう意味では、免責を与えた上で証言を得たものであるからこれは証拠能力がないというような見解は、将来非常に大きな問題を残すのではないかと思うんでありますが、これに対して法務大臣としての見解をお述べになることはできませんでしょうか。
  13. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 御承知のとおりに、法務大臣は個々の事件捜査について指揮命令するというたてまえになっておりません。一般検察行政、あり方については指揮命令することはありますけれども、このロッキード事件そのものについて法務大臣検察庁を指揮命令したということはないわけでございまして、検察庁の独自の考え方で、証人として調べられる人が御承知のとおりアメリカ、外国にあるわけでございますから、仮にその証言されておる人々が日本国内法に触れるという事態があっても、なかなか国内に呼んで起訴するような状態にはならないと判断したようでありまして、そういう判断をして、最高裁証人尋問を嘱託する際にそういう制度があるという趣旨宣明書を出したと、かようなことでありまして、そこで、証拠能力云々のことはこれは裁判所判断することでありまして、検察庁としては、そういう手続があっても十分にアメリカにおける嘱託尋問証拠能力があると、こういう立場公訴維持にいま全力を挙げておると。これを裁判所がどういう判断をされるかということは法務大臣判断すべき問題じゃないと思いますので、御了承願いたいと思います。
  14. 久保亘

    久保亘君 法務大臣は時間があられるようですから、じゃまたこの問題は――ロッキード事件の全体のやっぱり捜査の指揮というのは、私は法務大臣が従来全体的な立場ではおやりになっていたと思います。だからそういう意味では、この問題が検事総長限りの判断で行われたのであろうかということについては少し問題を感ずるところがあるわけでありますが、きょうは大臣時間がないようですから、また改めてこのことについてはお尋ねしたいと思います。
  15. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 先ほどごあいさついたしましたが、私は急遽今度就任したばかりでございまして、もう少し内容をよく調査いたしまして、さらに御質疑があるときにはお答えすることにいたします。
  16. 久保亘

    久保亘君 それでは次に国税関係についてお尋ねをいたします。  児玉譽士夫脱税について、すでに公判冒頭陳述の中でも詳細述べられておりますが、これまで国税庁が把握した脱税総額幾らになっておるのか、年次別にひとつ正確なものをお示しをいただきたいと思うのであります。そしてこの脱税に対して追徴課税総額幾ら行われたのか、その点をひとつ御報告いただきたいと思います。
  17. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) お答えいたします。  児玉譽土夫関係につきましては、昨年来数次にわたりまして昭和四十七年分から昭和五十年分までの所得税法違反事件につき告発をいたしまして、それぞれ起訴されて公判が開かれておることは御承知のとおりでございますが、その告発に係る犯則所得総額は二十五億六千九百九十六万一千円でございます。これに対しまする犯則税額は十九億一千九百五十一万四千円に相なっております。
  18. 久保亘

    久保亘君 それは所得税法違反で五十一年の三月、九月、五十二年の一月、三回にわたって告発されたもの以外のものが含まれておりますね。
  19. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 査察調査によって告発しました犯則所得以外のものが含まれておるかどうかというお尋ねでございますが、含まれておりません。犯則所得以外のもので昭和四十五年分から五十年分までに別に課税処分として更正したものは別途ございます。そのほかにございます。
  20. 久保亘

    久保亘君 それ幾らですか。
  21. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) この関係につきましては、申し上げることを差し控えさしていただきたいと存じます。
  22. 久保亘

    久保亘君 所得税法違反告発をされた分が十九億、脱税額が十九億余り所得ごまかしが二十五億六千万余りということでありましたが、それならば、十九億余り脱税に対して重加算税過少申告加算税とか延滞税などを加えて追徴課税総額幾らになっておるのか。これはすでに公判脱税額も明らかになっているものでありまして、これはあなた方は守秘義務だということでここで述べられないという趣旨のものではないと思うんであります。そのことについては、前に私は森脇何がしにかかわる問題で国税庁は発表しておるじゃないかということを申し上げましたが、あれは告発して公判にかかった問題であるから発表したのである、こう言われておりますから、この点については正確な数字をお知らせいただきたいと思います。
  23. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) お答えいたします。  いま御指摘の十九億何がしは確かに公判廷において明らかになっておる数字でございますが、これは本税額だけでございます。確かにいま御指摘のように、この本税額以外に加算税延滞税等があるわけでございますが、それは先ほど御質問の犯則所得以外の他の所得と合わせて計算されております関係から、この点につきましては公判廷においても出てないものでございますので御容赦をいただきたいと思います。
  24. 久保亘

    久保亘君 大体こういう脱税額というのを、こういうものの場合それじゃそのほかのものを含まずに計算できるんじゃありませんか。そしてあなた方専門家だからおおよその検討はつくでしょう。四十七年から五十年に至る十九億の脱税が、今日各年次別追徴課税総額は決められておるはずですよ。だからそういうものが出てこないというはずないです。トータルで一緒だからって、四十七年より前のやつが入っておるからだめですとか、そういうようなことでは済まぬのじゃないですか。そんな計算されますか。年次ごとにちゃんとあなた方追徴課税額を決定されておるはずです。それならば公判にかかっている分だけ年次別に述べてみてください。四十七年で九億八千万の脱税がありましょう。四十八年で二億八千七百万、四十九年で四億五千百万、五十年で一億九千六百万の脱税があるはずです。これは告発されている分です。この告発されているものは今日それじゃ追徴税額としては幾らになっておるのか、それをひとつ示していただきたい。
  25. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) お答えいたします。  確かに御指摘のとおり、一つには告発をいたしておりません四十五年分、四十六年分がこのほかにあるということが一つございますが、そのほかに先ほど申し上げましたように、四十七、四十八、四十九、五十の各年分につきましても、犯則所得以外のいわば増差所得があるわけでございます。これは告発するには至りませんでしたが、各年それぞれあるわけでございまして、そういうものと実は一緒になっております関係から、公判廷に出ました分としまして税額は先ほど申し上げましたように犯則税額として十九億一千九百万円でございますが、全体の加算税延滞税というような関係につきましては他の所得も混在しておりますので御容赦をいただきたいと、かようにお答え申し上げた次第でございます。御了承いただきたいと存じます。
  26. 久保亘

    久保亘君 あなた方は特定の納税者に対して、犯罪を犯した納税者に対しても非常に何か秘密を守って恐ろしがっているところがあるんじゃないですか。むしろ四十七年から五十年の間に告発したもの以外にもなお脱税があるというなら、なぜそれを告発しなかったのかという問題になるんです。そういうものを、すでに時効にかかって告発できなかったのかもしれませんけれども、なぜそれじゃ告発できる期間にある同じ人間脱税行為を、その一部を告発せずに残したのかという問題になるわけです。だから、本来それは含めて告発されるべき性格のものなんです、同じ人間の同じ年次にかかわる所得ごまかし脱税なんだから。だから、そういうものを守秘義務で隠蔽する理由は全くない、私はこう思うんです。しかし、あなたがどうしても言わねと言われるんなら、ここで時間を費やすばかりですから……。  追徴課税総額は、私が聞きますところでは三十億に達すると言われておりますが、児玉はこの玉川税務署から行われた追徴課税に対して異議申し立てを行ったと聞きますが、児玉玉川税務署に行いました異議申し立ての件数とその申し立て内容を御報告ください。
  27. 谷口昇

    政府委員谷口昇君) お答え申し上げます。  児玉譽土夫昭和四十五年分から昭和五十年分までの所得税更正処分につきましては、それぞれの処分につきまして、昭和五十一年五月から昭和五十二年六月までの間に玉川税務署に対しまして異議申し立てがなされております。  なお、昭和五十一年九月から昭和五十二年七月までの間にそれぞれの処分について国税不服審判所に対し審査請求がなされております。
  28. 久保亘

  29. 谷口昇

    政府委員谷口昇君) ちょっとお待ちください。
  30. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 私からお答え申し上げます。  異議申し立てにつきましては、実は私ども承知しております限りにおきましては、更正処分というものに異議申し立てるということで、具体的な内容がございません。今後、公判審理と並行して具体的な内容を主張していくというような趣旨であるというぐあいに私どもは聞いております。
  31. 久保亘

    久保亘君 その具体的な理由のない異議申し立てが、それじゃなぜ却下されなかったのですか。
  32. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) 異議申し立ては、先生御案内のとおり、一定の期間何らのこちらの処置がございませんと審査請求に移行する場合がございます。本件の場合、いずれもそういうことで審査請求に移行いたしまして、現在国税不服審判所の方に係属しておる、こういう状況でございます。
  33. 久保亘

    久保亘君 行き来すると時間がかかるから、そこにおりなさいよ。  そんなことはわかっておるんですよ。私が聞いているのは、そんなあなた方が理由にもならぬようなことを、何かわけのわからぬただ更正処分異議がありますというだけのものを申し立ててきたものを何で却下されないのか。その異議申し立てについてはあなた方に却下する権限があるでしょう。それをなぜ却下せずに三カ月間放置しておいて、不服審判に持ち込むようにわざわざさせたのか。却下すれば行政訴訟に持ち込むかもしれませんけれども、しかし却下すれば徴収は早くなるはずですよ。どうしてですか。
  34. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) お答えいたします。  まことにごもっともな御指摘でございます。ただ、これは私からお答え申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、想像いたしまするに、児玉の方は異議申し立てにおいて更正処分は違法である、こういうことを申し立てておるわけでございまして、具体的な内容については後日というぐあいにしておることにつきましては、関係書類がすべて検察庁の方に押収されておったと、こういうこともございまして、具体的な数字というものを中心にいたしまして書面をつくるというまでに至らなかったのではなかろうかと、かように推察しておる次第でございます。
  35. 久保亘

    久保亘君 相手がそれをつくろうがつくるまいが、あなた方の方は確たる証拠に基づいて追徴課税を行われたはずなんで、それに対して、その具体的な異議申し立て内容を伴わない申し立てが行われたらこれは却下をするのが筋道ではないか、こう思うんですが、不服審査に持ち込まれておるということですね、全件。それならば不服審査請求審理はどのように進んでおりますか。
  36. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) お答えいたします。  現在まだ具体的な内容書面が出てまいっておらぬというぐあいに聞いております。
  37. 久保亘

    久保亘君 そうすると、理由も述べない異議申し立て却下もせず三カ月間放置して国税不服審判所に持ち込ませた。で、不服審査相手理由を書いて持ってこないから審査は、審理は全然行われておらない。こういうことになれば、一体推定三十億と言われるこの脱税者は何ら税法上の処分を受けないということになりはしませんか。確かに差し押さえてあるでしょう。差し押さえてあるかもしれぬけれども、現にその差し押さえられている家屋に住み、何不自由なくやっておるんですよ。こんなばかなことはないというのが国民の感情です。それで、私はそれならばあなた方に明確にしておいていただきたいのは、このままいきますと、伝えられるところでは、公判が終わってから不服審査をやり、その不服審査の結論が出たら今度は行政訴訟に持ち込んで、かなり長い期間この追徴課税徴収できないだろう、こう言われておる。その長い期間というのは十年やそこらじゃないだろうと言われているんですよ。この脱税者の年齢からいたしますと、恐らく結審になるまで本人は税を取られるのかどうか、これはもう非常に疑問が残ります。  そこで私はお尋ねしておきたいのは、審査請求中あるいは行政訴訟中は加算税とか延滞税中止になるのか、それともこの審査請求中、行政訴訟中は、この脱税追徴税額に対しては加算延滞税が加えられていくものなのかどうか、その辺は税法上の扱いはどうなりますか。
  38. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) お答え申し上げます。  審査請求中でございましても延滞税はつくわけでございます。
  39. 久保亘

    久保亘君 それでは、これは仮説の上に立って、三十億の追徴税額を一年放置すれば、その加算される延滞税額というのはどれぐらいになりますか。
  40. 藤仲貞一

    政府委員藤仲貞一君) ただいま先生が設けられました、仮に三十億の税額であればどうかという御趣旨に従いまして計算いたしますと、年間約四億二千万円程度延滞税が生ずると、こういうことでございます。
  41. 久保亘

    久保亘君 それでは、その四億二千万、これは仮に三十億の場合にです、四億二千万。仮に本税だけだとしましても、あなたが言われぬから、数字を、本税だけだとしましても十九億、二十億近い脱税があるんです。そうすると、億単位の延滞加算が行われていくわけです。大体四億ぐらいの延滞加算が行われていく。これは二年次になりますとその四億にもついてまいりますから、さらに大きなものになっていくんですが、そうすると差し押さえ物件はその追徴税額を満たすだけのものとして確保できますか。
  42. 谷口昇

    政府委員谷口昇君) お答え申し上げます。  課税額につきましては、私どもは万全の保全措置を講じておりまして、徴収に遺漏のないように処置をいたしておるつもりであります。
  43. 久保亘

    久保亘君 それじゃなくて、もうこの追徴課税を行われてからこれはかれこれもう一年以上たつんです。そうすると、当然何億かの新たな課税額を生じておりましょう。それはその追徴課税の更正額として相手方には通知されておりましょうね、その延滞税額を含めた分は通知されておるでしょうね。通知されておれば、しかもそれをまた向こうは納めないんだから、それに対する差し押さえが必要になってきましょう。これは私どもが納める税金のその利子なんかとはちょっとけたが違うんですよ。当然その保全をやっておかないと、十年もやられたら元よりもはるかに大きな何十億というその延滞税がこれ加算されてくるはずです。だからそういうものを保全できないじゃありませんか。だからそういうものはちゃんと延滞税加算額を本人に一年ごとに通知をし、そしてそれを納めない場合には、そのことに対しても徴税の側からの保全措置が行われているのかどうか、その点をひとつ説明してください。
  44. 西野襄一

    政府委員(西野襄一君) お答えいたします。  延滞税につきましては、税金が納められる場合にその延滞の期間に応じまして、その分を加えまして徴収をすると、そういうことでございます。そういうことでございますので、特に事前に通知すると、そういうことにはなっておりません。  で、財産の保全でございますけれども、その財産の保全につきましては万全の措置を講じております。そしてまた現在におきましても収入があるという状況でございますから、その点も加味いたしまして新たに発生する債権、租税債権につきましては遺漏のないように十分な措置を講じておる次第でございます。
  45. 久保亘

    久保亘君 それは具体的には差し押さえの追加をやっているということですか。
  46. 西野襄一

    政府委員(西野襄一君) 差し押さえの追加というのは必要がございますれば追加するということでございまして、現在のところは十分な保全が行われているということでございます。
  47. 久保亘

    久保亘君 要するに最初追徴税額に見合う差し押さえをやったわけでしょう。それで年間に数億円ずつ延滞税額はふえてくるんですよ。だからそれは追加差し押さえをやらないと――そんな初めからもう将来にわたって見込んで過大な差し押さえをやっておるんですか。
  48. 西野襄一

    政府委員(西野襄一君) お答えいたします。  財産の保全の手続といたしましては、不動産の差し押さえでございますとか、債権の差し押さえでございますとか、そういったふうな対象につきまして差し押さえをいたしておりまして、決してその場合に過大な差し押さえを特に意図的にやることはございませんけれども、財産の単位などがございますので、そういう意味で租税債権額よりも担保額の方が大きいと、そういうことがあるわけでございます。  なお、租税債権が納期限が来るとか、更正決定が行われるとか、そういったふうな処分が行われまして、その担保額が不足するということでございますれば、さらにそれに見合う財産の調査なりいたしまして、差し押さえなり、財産の租税債権確保のために必要な担保の徴収をいたすと、こういうことでございます。
  49. 久保亘

    久保亘君 やっぱり本人に対して、その延滞税額の更正決定は逐次行っていかないと、そのことに対して不服があるのかどうかわからぬじゃありませんか。  それから、われわれが国民の一般的な感情として見るならば、その三十億も脱税していた人が、しかも犯罪的汚職につながる金を得てそれを脱税しておった人間が、異議申し立てをして、不服審査に持ち込んで、そしてのうのうと暮らしておって、予想されるところでは十年やそこら追徴される見込みはない、こういうことになれば一般の納税者としてはとても納得できないことです。だからこういう問題については、その過程において国税庁として合法的な強制執行の手段というのは全くないのですか、あるのですか。
  50. 西野襄一

    政府委員(西野襄一君) お答えいたします。  現在、納税者の方の自主的な納付でございますとか、差し押さえている債権の回収でございますとか、そういったふうな形で納付が行われるというようなことで租税の納付が確保されておりますし、未納の分につきましては、先ほど申し上げましたように、十分な保全措置を講じているということでございますので、その点につきましては税務当局として十分な措置を講じていると、このように考えているところでございます。  それから延滞税について、相手方に知らせることによって、その権利内容についての不服の問題につきまして意見が出されるべきではないかということでございましたけれども加算税にしましても、延滞税にしましても、付加的なものでございまして、本税に見合う形で一定の割合で計算されるという内容でございますので、本税についての不服内容相手方といいますか、納税者の方から出されてくる、それにつきまして一定の手続に応じて審理が行われていくと、このように理解をいたしております。
  51. 久保亘

    久保亘君 それなら最後にお聞きしておきますが、この追徴課税については、将来結論を出して徴収されるときには、たとえその加算税幾らになろうとも、法律に基づいてきちんと徴収をされるということについてはその相手方にもそのことはちゃんと知らしてあるんでしょうね。その不服審査をしており、その審理も全然行わず、ただ追徴課税相手に行っただけで、そのまま国税庁はずうっと十年も放置されておるということになれば、大変私は問題が多いと思うのであります。やっぱりこういう特に悪質な、しかも巨額の脱税に対しては必要な手段をびしびしやるということでないと、とてもじゃないが、一般の納税者は納得できない。だから、私が聞いているのは、何にもかわるべき強制的な手段というのは国税庁は持たないんですか。不服審査に持ち込まれ、しかもその事件公判中であれば審理もできない。そして不服審査が終わったら今度は行政訴訟だと、それまで黙って待っておく以外に何にも方法はないんですか、国税庁責任者にお聞きしたいと思う。
  52. 谷口昇

    政府委員谷口昇君) 先ほど調査査察部長が答えましたように、現在、不服審判所に行っておりますが、これはあくまでも国税犯則取締法に基づいた査察調査に関連をして行っておるものでありますので、したがいまして、現在御承知のとおり、脱税犯として東京地裁に起訴されております。現在、係属中であります。その裁判の過程で、現在私ども不服審査をするに必要な書類は全部そちらの方に行っておる関係上、この刑事裁判審理の状況を踏まえながらどうしてもその審理を行うと、こういうことにならざるを得ないかなと、こういうふうに思っておりますが、あくまでも私ども公判の過程を見守りながら、先ほど来御指摘のように、十分に一方では担保保全をやるなどして徴収にも万全を期していきたいと、こういう気持ちでございます。
  53. 久保亘

    久保亘君 国税庁はいいです。また少し私の方でもあなた方の児玉脱税に対する今後の対処の仕方を見て、また改めて私どもの意見も申し上げます。  次は、防衛庁にお尋ねいたします。  防衛庁が八月に発表されました「次期対潜機の選定について」という、かなりなページのものがありますが、この第六章ですか、第六項ですか、ここに「ロッキード事件との関係」ということでまとめられております。このロッキード事件との関係についてここに述べられようとしていることは、次期対潜機の選定に当たっては、いやしくも国民に疑惑を持たれることのないよう措置すると述べてきたが、この点については十分国民の納得が得られるようになったと、こういう報告であります。  私は、長官もお見えになりましたから長官にもぜひお尋ねしたいと思いますが、十分に国民の納得が得られるようなものとなっているのかどうかということについて非常に大きな疑問があります。それは何かといいますと、一つロッキード事件に関する司法当局の捜査結果は、資料に示すとおり、いわゆるPXL問題について犯罪容疑は生じていない、こういう結論を出されております。しかし、これで国民が十分に納得できるかというとそうではないのであります。なぜならば、犯罪的なP3Cの売り込みが児玉をコンサルタントとして企図されたということは、これは事実なんでありますから。そのことについてはやはり明確にしておかなければ、PXLについては何らその犯罪容疑はなかったということだけでは片づけられない問題なのではなかろうか。で、このコンサルタント契約の修正四項ははっきりPXLについての二十五億円の成功報酬を約束しているのであります。しかも冒頭陳述を見ましても児玉ロッキード社に対してP3Cに関する日本側の情報を提供したということが述べられておるのであります。だから、そういうことからまいりますと、いわゆる起訴されるような犯罪容疑は今日ではないかもしれないけれども、全く犯罪容疑は生じていないという見方は正しくない。私は、この点についてひとつ防衛庁の見解を伺っておきたいと思うんであります。
  54. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) お答えいたします。  PXLの導入に当たりましては、非常に巨額の国費を使うものではございますし、またロッキード事件その他でいろいろの国民の関心を集めている問題でございますから、私どもはこの選定に当たりましてはいささかの不正もなかったというような点、それから今後に当たりましてはその適正な価格、あるいはほかの言葉で言いますと、いろいろのコンサルタント料とか成功報酬といったようなものが、購入する航空機の価格に上乗せさせられないような、そういう将来の仕組みといったような点をまずぴちんといたしまして、それからPXLの導入に関しましては金銭の動きはなかったというようなことは法務当局の言明でも明らかでございますし、またSECに出されました報告においても、P3Cに関しては何らの動きがなかったということが明らかでございまして、私どもはこういう法務当局の見解あるいはSECの報告、あるいは私どもロッキード社から過去の行為、将来の保証といったようなものにつきましての誓約をとったと、そういうことを総合して怪しい点はなかったというふうに総合的に判断したわけでございます。
  55. 久保亘

    久保亘君 では防衛庁としては児玉譽士夫ロッキード社の間にP3Cの導入にかかわる成功報酬二十五億円を渡すという契約が存在し、そしてその成功報酬を目当てにして児玉がコンサルタントとしての任務を遂行していたという事実は認められますか。
  56. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) ロッキード社と児玉との間にコンサルタント契約、すなわち基本契約におきまして年額五千万円のコンサルタント料を支払うという契約、それからその後に修正契約五号によってこれが五千六百万円に変更されておるわけでございますが、また、修正契約四号によりまして五十機以上のP3Cオライオンを日本政府に売り込んだ場合には、二十五億円の報酬を支払うという契約が存在しておったことは確認しております。しかし、それが動いてこのPXLの選定に当たりまして、防衛庁に対しまして金銭が動いてどうこうしたといったようなことはないということは確認しております。
  57. 久保亘

    久保亘君 長官ね、防衛庁がいまこの犯罪にかかわっておったということは、私もここでは言ってはおらぬわけです。しかし、防衛庁がいまP3Cという目標を定めるならば、このP3Cの製造をやり販売をやっておるロッキード社という会社は、賄賂を使ってこれを日本の防衛庁に売り込もうとしておったという事実はこれは認められるでしょう。
  58. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 犯罪の事実を、具体的に私がいまそういうことを認めるか認めぬかというようなことを的確に御回答申し上げるということは困難なことでございますけれども、しかし、私はロッキード社が児玉に対してとにかくP3Cの売り込み工作について二十五億というような、五十機以上の場合二十五億を成功報酬として差し上げますという、そうした契約をいたしておったということについては、すでに契約が解消いたしておりまするけれども、私自身もそうした経過のあることは承知をいたしております。しかし、それ自身がロッキード社が成功報酬というようなものを、悪らつな犯罪的な行為を含めて児玉に云々したかどうかというような事実については、先ほど申しましたようにそういう点について私がここで意見を申し上げることはできないということをいま申し上げておるわけでございます。
  59. 久保亘

    久保亘君 いや、この防衛庁が取引しようとする相手の会社が、秘密コンサルタントを置いて、これに常識では考えられないような基本契約料以外の成功報酬を契約をして売り込むというやり方は、これは悪質であるかどうかということについては何とも言えないといわれるんですが、そういうような商法というのはこれは認められるべきものだとお考えになっておるんですか。
  60. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 御指摘の破格な成功報酬につきましては、私どもは絶対に許されない、きわめて迷惑な取り決めをしたものだという判断に立っております。したがいまして、先のことになりますけれども、私はそうした過去の経過にかんがみまして、今後再発防止のためには具体的にそういうことは断じて許されないということを、はっきり文書にいたしましても誓約をさせておる、そういうことでございます。
  61. 久保亘

    久保亘君 ただ、私はこの問題に対する防衛庁の取り組み方というのは、国民が十分に納得するやり方じゃないと思っております。なぜかといいますと、ことしの八月に発表されました「次期対潜機の選定について」という防衛庁のこの資料の中で、児玉ロッキード社の間の契約は、一九七五年、二年前、十月三十一日相互の合意により解約された、こう書いてある。これはしかし、ここに書いてないことがある。それは何かというと、ロッキード社の会計監査委員会が、個人に対してコンサルタント料を支払ったことはどうもうまくない、法人を相手にして支払っていきたいということを言い出したために、クラッターと児玉が協議をして、香港の名義だけの会社を買収してトンネル会社に使ったんですよ。それがこの児玉ロッキードの間の契約の解消なんです。このことが何かロッキードがすでに児玉との間の契約を解消して身ぎれいになっておったかのような書き方になっておるのが私は納得できぬと思う。これはインチキをさらに複雑巧妙にやったことが、この一九七五年十月の児玉ロッキードとの契約解消の一件なんです。そのことについては、そういうふうに受け取っておられるんですか。
  62. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 普通に想像いたしますと、いま先生がおっしゃられるような意図というのがそんたくされるわけでございまして、私どもといたしましても非常に苦々しいという感じであとおった次第でございます。
  63. 久保亘

    久保亘君 そうすると私は非常に不審に思うのは、そんな防衛庁が苦々しく思うような契約の解消が行われた、その巧妙な犯罪的手口のこの契約解消を、これを何かロッキード児玉との間に関係がなくなっておったんだと言わんばっかりの書き方は、これは私は大変問題だと思いますよ。そうしてその後に今度は、これをブラウンリー・エンタープライズに肩がわりさせて、この児玉が買収したトンネル会社に肩がわりさせて、そうしてここからコンサルタント契約料や成功報酬などを彼は受け取っておったわけです。にもかかわらず、防衛庁がことしの四月、少なくともことしの四月まではこのようなことが行われ、そしてエンタープライズとの間の契約も解消されたんだということについて承知されておらなかったようであります。私がことしの四月、ロッキード特別委員会で質問をいたしましたときに、この児玉との契約は法律上は生きておると、これは法務省もそれから防衛庁もそういう理解を答弁されております。しかし、実際にはいま出されてきました資料を見ますと、すでに一年近く前にこの契約は解消されておったんだということを言われておるわけです。だから、防衛庁は何にも知らずにおって、ロッキード社が言うとおりにやられてきたんじゃないか、こういう感じがするんであります。  それから、ロッキード社がすべての契約が解消され、もはや児玉やエンタープライズに対して何らの支払いの義務を有しないかのように言われておりますが、しかし、ロッキード社が防衛庁に提出してきましたこの文書によりますと、「一九七六年八月三十一日が解約の効力発生日になりましたブラウンリーとの契約の解約規定は、解約は、解約の効力発生日前にロッキードによって受諾及び承認された契約に対するブラウンリーの報酬請求権は消滅しないとうたっています」と書かれている。だから、児玉のいる、児玉が持っておったブラウンリー・エンタープライズの方は、わしの方の請求権は消えておらぬという返事を出しておるんです。八月三十一日で契約が解消するということは、三十日前の通告によって成り立つけれども、その前のやつはこれは請求権がありますぞということを書いている。そうすると、その後ろにロッキード社が一方的に「証拠書類及び適用法令を再検討したところ私は児玉もブラウンリー・エンタープライズも日本へのP-3の販売に関しいかなる報酬に対しても合法的な請求権を主張できないとの意見に達しました」そして、「かかる販売に関し効力を有しません。仮りに請求権が主張されたとしても強力に防御され、すべての適用法令に従い、成功裡に反撃されるでありましょう」というのがロッキード社があなたのところに持ってきた文書なんです。だから、円満にP3Cに関する契約を解消されておらぬ。そのブラウンリー・エンタープライズの方は報酬請求権は消滅しないと言っているからこそ、ロッキード社はこの成功裏に反撃されるだろうなどということをあなたの方に書いてきておるわけです。だから、P3Cに対する契約というのは、将来防衛庁がロッキード社と購入契約を結んだ場合にはトラブルを起こす要素が今日もなお残っている、こういう理解に立つべきなのがこの文書の率直な読み方ではないでしょうか。それはどういうふうにお考えになりますか。
  64. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) まず最初に、本年四月の先生指摘になった点でございますが、当時はまだその選定の過程にございまして、P3Cにしようとか、そういうことはまだ白紙の状態であったわけでございまして、したがいまして、私どももその時点においてはそういうことに関する十分な調査といったものはなかったと思います。  それから、二番目に、いま先生の御指摘にあったブラウンリー社がロッキードに対して何らかの請求権は残るではないかという点でございますが、まずこの児玉ロッキード社との間のまあ基本契約と申しますか、これには解約の規定は一方的通告――六十日の予告期間を経た一方的の通告によって解約できると、しかし、この場合は、まあ二十五億円に相当するようなああいう特別契約の請求権は残るというように書かれておったわけでございまして、したがいまして、ロッキードが一方的に解約すればその条項に従いまして、まあ将来二十五億円か幾らか知りませんが、そういうものの請求権が生ずるというような事態になりますればそういう権利が残ったと、こう思われるわけでございまして、したがいまして、この場合には、両者の合意による解約という形をとらなければそういう後へ残るということでございますから、両者が合意いたしましてこの契約は終了し、キャンセルされたということと同時に、この契約による支払いというものは全部終わっておると、したがって債権債務関係というものは後へ残らないという、こういう形にしたわけでございます。  一方、ロッキード社とブラウンリー社との契約は、こういう解約規定が三十日の予告期間によりまして一方的に解約できると、しかしこの一方的解約によった場合には、この解約に先立ちましてロッキードによりまして受理され、かつ承認された債権というものは残るということになっておるわけでございますが、一九七六年八月三十一日に解約されたわけでございますが、解約の効力が生じたわけでございますが、それまでには何ら契約といったようなものはできておらないわけでございまして、したがいまして何ら請求権は、契約書上は何らの請求権も児玉あるいはブラウンリ一社というものには残らないということでございます。
  65. 久保亘

    久保亘君 児玉ロッキードとの契約は、確かに相互合意でこれは解消されたんです。しかし、それはさっき言いましたように、ブラウンリー・エンタープライズ社に肩がわりするために行ったんであって、相互合意の上です。これはクラッターが一緒になってこのエンタープライズを買収することに力をかしておるんですから、それだからこれは合意の上でやられたでしょう。しかし、そのまま全契約がブラウンリー・エンタープライズとの契約に変わっておるんです。そして、このエンタープライズは、児玉や大刀川や、それから何か高野美代子とかいう女性などがこれにかかわっておるんですよ。これは児玉の隠れみのなんです。だから、実質的には児玉ロッキードの契約が個人ではぐあいが悪いから肩がわりされたというだけのものなんであって、このブラウンリーは、一方的な契約解消の通告に対して報酬請求権は消滅しないということを書いてロッキード社に対して返事を出しておるんです。だからこそロッキード社は、請求権が主張されても強力に防御され、すべての適用法令に従い反撃しますと書いておるんです。相互合意の上でこれが完全に消滅したものであれば、そんなこと書いてくる必要ないでしょう。だから、そこに将来トラブルが起こってくる問題をなおこの問題は残しておるのである。  それから、先ほど長官は、P3Cをめぐるロッキード社との間には金銭などは一切動いておらないと、こう言われておられますが、私はそう思わない。なぜかといいますと、児玉譽士夫は基本契約に基づく五千万の年間の契約料を、トライスターの問題がすでに決着がついた後五千六百万円に値上げを要求して、ロッキード社はそれに応じておるんです。新しい任務に対して児玉と約束があったればこそ六百万円の年間コンサルタントの報酬を引き上げることに同意をし、そして一つの修正契約をつくって二十五億円の成功報酬を約束しているのであります。そして、この事件が発覚した後も児玉はコンサルタント契約料をロッキード社から受け取っておるのであります。五十一年彼が申告したロッキード社からの収入は八千万というのがちゃんと報告をされているんでありますから、その後も受け取っておるのであります。だから私は、ロッキード社と児玉との間にP3Cをめぐって金銭の動きは全くなかったという見解は成り立たない、こう考えております。だから、そういう点について、この防衛庁が出された「次期対潜機の選定について」という文書は非常に一方的で、ロッキード社とこの児玉との間にはもう将来にわたって何にも関係がなくなったと一方的に言い切り、それはロッキード社の手紙を根拠にしてそう言われているのであります。そして、国民は十分納得をするであろうとあなた方はここで考ておられる。しかし、そうはいかぬのだよ。だから、いま私が申し上げましたような問題について、きょうは時間がありませんからこれ以上質問できませんけれども、ぜひ防衛庁長官としては、さらに、これらのロッキード社から提出された誓約書とか、証拠書類などについて慎重な審査を行った上、国民の納得を得られるものであるかどうかについて結論を出すようにしていただきたいと思うのでありますが、その点について長官の御意見を伺っておきたいと思います。
  66. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 事実を局長から言わさせますから。
  67. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 先生は、児玉ロッキード間との契約は合意によって成立して何ら債権債務は残らないと、しかし、ブラウンリー社とロッキードとの間は一方的解約であるから、債権債務関係が残るというふうに申されておるわけでございますが、この児玉とブラウンリー社との間の契約によりますれば、一方的通告でも解約できる。と同時に、ロッキード社が解約に先立ってアクセプトし、それからアプループした、こういう契約についてだけ残ると、こういうふうに書いてあるわけでございまして、こういう契約は昨年の八月三十一日現在何もないわけでございまして、したがいまして、ロッキード社は何もアクセプトもしておらぬし、アプループもしておらぬという、ことでございますから、ここに債権債務関係というのは一つも残らないというのがこの契約書の解釈だと思います。
  68. 久保亘

    久保亘君 この手紙に何でそんなら反撃できるなんて書いてあるんだ。
  69. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) それは――それから先生指摘になりましたような、ブラウンリーからの解約通知には何かそういう債権債務関係が残るというように御指摘でございましたが、そういう文面は、すでに先生資料お持ちだろうと思いますが、そこにはそういう文面は一つもございません。
  70. 久保亘

    久保亘君 あんたのところから出した書類だよ。何言っているんだ、冗談言うな。
  71. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 全部読ませていただきます。「拝啓 我々の依頼会社、ブラウンリー・エンタープライズ・リミテイドに代り、我々は一九七六年八月一日に発効し当該契約を一九七六年八月三十一日から失効させる前述の契約の解約通知をブラウンリーに伝達する一九七六年七月二十三日付け」云々でございまして……
  72. 久保亘

    久保亘君 これだよ、ぼくが言っているのは。(資料を示す)ちゃんとこういう「ブラウンリーの報酬請求権は消滅しないとうたっています」と、向こうから来た手紙に書いてあるんだ。
  73. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 先ほど私が申し上げた点でございまして、ロッキード社が受理し、かつ承諾したその契約については請求権が消滅しないということでございまして、現実にはそういうふうに承諾し、かつ受理した契約はないわけでございまして、したがいまして、文理上はそうでございますが、請求権はございません。
  74. 久保亘

    久保亘君 きょうは時間がありませんからね、これで終わりますが、いまの点については、それならばなぜロッキード社がわざわざ請求権に対する防御措置は十分というようなことを書いて持ってきたのか、そこのところは疑問が残るところですよ。きょうは時間がありませんから、追ってまたあなた方の意見を聞くために質問をしたいと思います。  きょうはこれで終わります。
  75. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 先ほどの法務省からの児玉、小佐野両君病状報告について、各党の理事から発言を求められておりますので、これを許します。矢田部理君。
  76. 矢田部理

    矢田部理君 先ほど伊藤刑事局長からかいつまんだ報告があったわけでありますが、あの程度のことは私ども承知をしているつもりであります。  そこで、一、二問ということでありますから、かいつまんで事情をお聞きしたいわけでありますが、児玉や小佐野が裁判に出頭しない、あるいは出頭してもきわめて短時間だということで、裁判の進行そのものが非常におくれているのか、渋滞しているのかどうか、その現状と今後の裁判の見通し、時期的な見通しも含めて。  それから、一たん児玉最初公判には出廷をして、その後裁判所の許可を得て不出頭を続けているということは、最初に出頭したときよりも病状が悪くなっているのか。一進一退だという話も――やや上向きであるか一進一退だという話もありますが、児玉病状の今後の見通し、小佐野の見通し、病状について、まずその点を伺っておきたいと思います。
  77. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) まず児玉につきましては、法律上被告人裁判所の許可を得れば出頭しなくてもいい罪に当たりますので、何ら支障なく公判そのものは進んでおります。  病状についてでございますが、実は児玉につきましては、衆議院の関係におきまして不出頭罪による告発がございまして、その関係でもいろいろ病気の現状を調査を現在いたしております。そういう関係も総合いたしまして、先ほど申し上げましたような状況で、まあ薄紙をはがすようによくなりつつあるとはいうものの、やはり相当重篤な状態であると、で、裁判所もそれを認めておるという状態でございます。  それから小佐野につきましては、先ほど申しましたように、一回の出頭可能の時間が非常に短うございます。したがいまして、そうでない健康な人に比べますと、やはり審理が少し延びがちである。私どもも、早く小佐野被告がもう少し元気になって、もう少し長時間公判にたえるようになってほしいと思っておりますが、これまた先ほど申し上げましたような状況でございます。  両名につきまして健康の将来の見通しはどうかとお尋ねいただきましても、私どもも素人でございますので、何とか早く少しでも公判に出頭できるようになってほしいと思っておるだけが実情でございます。
  78. 矢田部理

    矢田部理君 裁判の時期的なめどはどのくらいかかるか。
  79. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 両方の公判の経過を見ておりますと、検察官の立証が、児玉につきましてはまだ半ばに達しておりません。小佐野につきましては緒についたところということでございまして、なお相当時日を要するのではないかというふうに思っております。
  80. 矢田部理

    矢田部理君 もう一点だけ質問しておきたいと思います。  前の法務省捜査報告、中間報告等では、児玉病状が回復するなどして新たな変化が起こればさらに捜査を継続する余地があり得る旨を示唆しているわけでありますが、犯罪捜査の面で児玉、小佐野がらみでまだ残っている部分はどの程度あるのか。一定の健康の回復を両者とも見たわけでありますから、起訴後もその他の問題については捜査を継続しているのかどうか。現に両者を取り調べたようなことがあるのかないのか。さらには、ないとすれば、今後取り調べ等についてどういう見通しを持っているのか、その点だけ伺っておきたいと思います。
  81. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 一応、従来の資料で犯罪の嫌疑の認められる部分については捜査は完了いたしております。かねがね申し上げておりますように、当委員会の御調査を初めとするいろいろな諸情勢から、犯罪の嫌疑が生ずれば、健康の回復とにらみ合わせながら鋭意捜査を再開しなければならぬと、こう思っておるのでございます。客観的事実といたしましては、児玉につきましては、衆議院の御告発もございましたので、調べをいたしております。小佐野についてはいたしておりません。そういう現状でございます。
  82. 矢田部理

    矢田部理君 児玉の調べの状況をかいつまんで……。
  83. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 児玉につきましては、議院証言法違反の被告発の事実関係につきまして、これは一番の問題点は当時児玉病状が出頭にたえるものであったかどうかという点がポイントでございます。そういう観点にしぼりまして取り調べを行っておると思います。
  84. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 峯山昭範君。
  85. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 一言お伺いしておきます。  先ほどの報告はまことに非常に簡単な報告で、われわれもあの程度しかできないのかと、非常に残念なんですけれども、今回委員長からお伺いするということは前もって連絡がいっておったと思うんですが、それについては、たとえば主治医に改めて診察をさせるとか、そういうふうな処置はとったのかどうか、それが一つです。  それから、特に児玉の場合は国会への出頭を拒否し続けてきているわけですけどね。この間、われわれ裁判所に出廷する状況を報道機関のあれで見たわけですけれども、われわれが見る限り元気な様子なんですね。そういうような意味から言うと、何とか国会へ出頭していただいて、そして何らかの証言をしてもらいたいわけですけれども、もしそれがどうしてもだめであるとすれば、たとえば在宅尋問、こういうようなのができるような状態にあるのかどうか、ないのかどうか。この両方について御答弁をいただきたい。
  86. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) まず主治医に詳細聞いたかどうかというお尋ねの点でございますが、現在被告事件になっております関係におきましては、検察官と被告人は対立当事者でございますので、検察庁で主治医に細かく聞くということは適当でないと思います。したがいまして、公判に不出頭の都度事前に弁護人を通じて裁判所がいろいろ聞いておられますので、裁判所からお聞き取りいただけるということになりますと、私どもよりもう少し的確な状況がおつかみいただけるんじゃないかと思っております。  それから、臨床尋問が可能かどうかという点でございますが、臨床尋問のやり方とかいろいろございますでしょうから一概には言えないと思いますが、小佐野につきましてはお答えする材料がございません。先ほど申し上げましたような病状である。児玉につきましては、やはり検察官が調べるにしましても、ごく短時間にとどめざるを得ない状況でございますので、そのことだけ御報告申し上げます。
  87. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、先ほどの当委員会に御報告していただいた報告は、大体、いつごろの時点の状況なんですか。その点だけちょっとお伺いして終わっておきます。
  88. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 簡単に申し上げれば、現在の状況でございます。現在の状況と申しますのは、直近の公判の状況を通じまして、検察官が把握した状況でございます。
  89. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはいつごろなんですか、直近、現在と言ったって……。現在はきようです。
  90. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 最も最近公判が開かれましたのが、児玉については十月二十五日、小佐野につきましては十月十八日でございます。
  91. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 橋本敦君。
  92. 橋本敦

    ○橋本敦君 この問題については、いま国民は小佐野だとか児玉とかいうような、こういう人たちが黒幕として動いて、病気を理由にあいまいなままで真相が解明されないで終わってしまうのではないかという大きな疑惑と不安を持っているわけですね。いま局長のお話でも、病状の回復を待って鋭意捜査は続けるというお話がありましたが、私はいまの病状に照らして鋭意捜査を続けるために逮捕をし、病監もございますから身柄をそこに収容して捜査を遂げるという方向に検察庁は踏み切るべきではないか、こう思っておりますが、その点はいかがですか。
  93. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 新たに何らかの犯罪の容疑が認められました場合には、その時点における健康状態を考えまして、強制捜査を必要とし、かつ、強制捜査ができる状態でございますれば当然そういう方向で対処することになると思います。ただ、すでに起訴しております事件につきましては、御承知のように、両当事者の関係がありますから、それについては強制捜査とかというようなことはもうあり得ないわけでございます。
  94. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は起訴後の取り調べを特に要求しているわけではなくて、たとえば、冒陳でも、二十五億円の報酬を求める修正契約を小佐野との話し合いで進めた問題とか、それからP3Cに関する情報を提供したという事実が冒陳の一部に出ておりますね。こういう事実をさらに追及をし、児玉自身のその中での動きを究明をする、いわゆるP3Cに関する捜査をもっと遂げねばならぬ。これをやるということについて、一定の資料が冒陳にあらわれているくらいですから検察庁お持ちなのであろうと私は確信をしますが、これに基づいて調査をさらに継続する必要がある、こういう判断のもとでいま私が言った強制捜査に踏み切ってでもやるべきでないか、こういう意味なんですが、いかがですか。
  95. 伊藤榮樹

    政府委員伊藤榮樹君) 冒頭陳述に出ておりますような事柄あるいはそれをめぐります周辺の出来事につきましては、公判廷でも逐次明らかにしてまいるつもりでございまして、さらにその過程におきまして何らかの情報等が得られて、さらにそれをめぐる犯罪の嫌疑があるということになりますれば捜査を開始をするでありましょうと、こういうことを申し上げているわけでございます。
  96. 橋本敦

    ○橋本敦君 じゃ、時間がありませんから終わります。
  97. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 速記をとめて。   〔速記中止
  98. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 速記を起こして。
  99. 野田哲

    ○野田哲君 まず、防衛庁長官に伺う前に、官房長に伺っておきたいと思いますが、ロッキード事件とそれから次期対潜哨戒機との関係について、私どものところに、防衛庁で作成をした資料が幾つか手元に届いているわけでありますが、まず一つは、先ほど同僚の久保君が質疑を行ったこの「次期対潜機の選定について 昭和五十二年八月」、こういう文書があります。それからもう一つは、これは九月、「防衛アンテナ」臨時増刊号、こういうのがあります。それからもう一つは「日本の防衛」というのがありますが、これ以外に何かロッキード事件とP3Cの関係を記述したような文書がありますか。
  100. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。  次期対潜機の選定、これはわが防衛庁にとっては非常に大事な問題であり、また一方、ロッキードをめぐっての疑惑も持たれた問題でございますから、これの選定については非常に慎重な配慮をわれわれとしてはしたつもりでございます。そして、来年度概算要求をしますぎりぎりの段階まで、三原防衛庁長官も慎重にわれわれを督励をされまして、疑惑解明、その他いろいろな調査をされまして、それで八月三十六日に庁議があったわけでございますが、その直後に、いま先生がお示しになりました「次期対潜機の選定について」、これは主として防衛記者会等に示した資料でございます。そうして、これを、同じ内容のものを、九月十日付で発行しましたわれわれの方の広報機関誌であるこの「防衛アンテナ」に載せまして、そして一応防衛庁としてはこうして選定してみたんだという内容をぜひ国民の皆さんにも知ってもらうべき問題だということで出したものでございます。  それからもう一つ、お話のありました「日本の防衛」、これは、昨年から、日本の重要な防衛というものを国民の皆さんに知ってもらいたいということで、この防衛白書を六年ぶりですか、昨年、復活しまして、それでことし同じように出しました。この中に次期対潜機の選定ということが出ておりますが、このときにはまだP3Cということを決めたわけではございませんので、P3Cの内容は何も入っておりません。いま現在、検討中であるという内容になっております。  この先生がお示しの三つ――われわれの方でP3Cに関しますあるいは次期対潜機の選定に対します防衛庁の態度を公に示したものは、この三つだけでございます。
  101. 野田哲

    ○野田哲君 長官は、この三つの文書、それぞれ目を通しておられますか。いかがですか。
  102. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 大体において一読はいたしておりまするし、承知をいたしております。
  103. 野田哲

    ○野田哲君 先ほど同僚の久保君の質疑がこの次期対潜哨戒機の選定についてというこれと、それから「防衛アンテナ」の内容、大体これと同じだと思うんですが、これをもとにして行われたわけでありますけれども、長官はP3Cの問題について先ほど来、久保君の質問についてもお答えになっておりますし、また「防衛アンテナ」、それから先ほどの文書にも記述がしてあるわけですけれども、これを要約をすると司法当局の捜査の結果、PXL問題についての犯罪容疑は生じていない。SECの資料でも犯罪容疑は生じていない。公訴事実から見ても、犯罪行為に係るものは存在をしていないと、こういうふうに記述をしてあるわけです。ところが、児玉冒頭陳述の中では、児玉ロッキード社との間に、日本政府に対するP3Cの売り込みに成功した場合は追加報酬として二十五億円が支払われること、こういう契約があったことも冒頭陳述指摘をされております。そのことは先ほど久保君の質問に対して、承知をしておるという意味の答えがあったわけであります。さらに、この冒頭陳述をずっと検討していきますと、児玉昭和五十年の夏ごろにクラッターに対してP3Cの売り込みの見通しについて説明をしている。そしてその中で、コンピューターとそれから機体との分離輸入の動きが出ているので、これを阻止することが必要である、こういうことで動いてきたと、こういう冒頭陳述があることを承知をされておりますか。
  104. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 承知をいたしております。
  105. 野田哲

    ○野田哲君 そういたしますと、先ほど防衛庁官房長からPXL関係についてこの三つの文書があるということの説明があったわけですが、私はどうしても理解ができないのは、この「日本の防衛」という文書に掲げてある「ロッキード問題と次期対潜機について」、この記述と、これにも問題がありますけれども、この「防衛アンテナ」に記載をしてあるロッキード事件に対するP3Cのかかわり合いの記述、これはかなり趣が違ってきているし、先ほど来の答弁でも非常に問題を感じるわけです。いま長官は手元にお持ちですか。こういうふうな点が、まず冒頭に書いてあるんです。「上記の証言は、」――いいですか、長官いいですか。この「日本の防衛」という、これは七月の二十九日に閣議決定が行われた最もこれは文書としては重みを持った文書であると思うんですが、それの記述によると、「上記の一証言は、」――つまりこれはコーチャン証言ですが、コーチャン証言は、「民間旅客機の問題についてのみ言及されていたが、同社が対潜哨戒機(P-3C)を製造していたこと等から、防衛庁の次期対潜機の選定に関しても、この間の経緯に疑惑があるかのような報道がなされた。」と、こうなっている。つまりP3Cはたまたまトライスター売り込みで賄賂工作をやったロッキード社がつくっていたから疑惑があるかのような報道がなされたと、こういう記述が第一項目としてあるわけです。この記述はこれは間違ってはいませんか。これは長官、閣議で決められたものですから、長官が責任を持って答えてください。
  106. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) この防衛白書を出しましたときには、御承知のとおりに、このロッキード事件に関しまして新聞その他に出ておりましたし、すでに冒頭陳述も六月に行われておったときでございますけれども、われわれの方の気持ちとしましては、少なくともP3Cは、公判が始まりまして、去年の九月からそしてことしの一月ですか、その公判が始まりました時点において、まだP3Cを買うということは決めていないわけなんです。そういう意味では刑事上の疑惑というものは大体あり得ないんじゃないだろうかということをわれわれも考えておりましたし、そういった意味でP3Cに関してはトライスターと同じように疑念が一般的に新聞にも持たれており、そういう書き方をされておりましたけれども、当時としましても、われわれとしてはP3Cの選択はこれから決めるわけですから、それをめぐってのまだ刑事上の疑惑というものはそう持たれることはないんじゃなかろうかという判断をしておりましたので、こういう文章になったわけでございます。その後、ロッキード社に対しましてのいろんな児玉との契約、いろんなことを内容を十分調べまして、そして新たに書き上げましたのがこの「防衛アンテナ」、あるいは選定を決めました後の結果を書きましたのが「防衛アンテナ」だ、当時はやっぱりわれわれはこういう気持ちを持っておりました。
  107. 野田哲

    ○野田哲君 これは竹岡官房長ね、あなたの答弁はそれは違いますよ。これならまだわかるんですよ。「防衛アンテナ」あるいは先ほどの対潜哨戒機の選定についてというこの部厚い書面、これならば、まあ防衛庁なら一われわれは納得できませんよ、しかし防衛庁が書くんであったらこのくらいのことかなという意味はわかりますよ。しかし、こっちの方はそうじゃないんですよ。たまたま次期対潜哨戒機、いわゆるP3Cを賄賂工作で問題になったロッキード社がつくっているからこれにも疑惑があるんじゃないかというような報道がなされたと、ロッキード社がつくっていたからイコールすぐ疑惑があるんじゃないかというような報道がなされたと、こういうところから問題を提起してあるわけです。疑惑を持たれたのはそうじゃないでしょう。疑惑を持たれたのは、先ほど久保君も指摘をしたように、児玉との間にコンサルタント契約を長い間ロッキード社が行っているし、世界じゅうに軍用機の売り込みについて同じような性格の代理人を置かなければいけないんだと、そして、軍用機は特に政府がストレートに買うものだから政府に対して工作を行わなければならないんだということが、コーチャンの名前で出ておる文書、ロッキード売り込み作戦という文書にも書いてあるわけです。そしていままでの調査や、そして検察庁冒頭陳述の中でも、P3Cの売り込みについて児玉が契約をして動いていた、そして成功報酬の規定があったと、これがまず第一の疑惑じゃないんですか。単にロッキード社が製造していたから疑惑を持たれたと、こういうものではないでしょう。こっちの記述と、この「日本の防衛」という本になっている記述とは全然観点が違うんですよ。時期は七月であろうと八月であろうとその時点での見方というのは少なくとも一致していなければならないはずなんです。なぜこういうふうに違うんですか。報道だけで疑惑を持たれたんじゃないですよ。冗談じゃないです。児玉や丸紅が介在しておったから疑惑を持たれたんです。疑惑をいまも私ども持っているんです。
  108. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。  ロッキード社のロッキード事件の疑惑というのは、いまさら私が言うまでもございませんけれどもロッキード社の航空機がわが国に売り込みされた、その間においていろんな不正な手段その他が講じられたんじゃないだろうかと、あるいは特にそれが刑事上の不正な手段、この最も最大なものは私は贈収賄だと思いますけれども、それ以外に確かに刑事上の疑惑以外に道義上あるいは商慣習上非常にややこしいいやらしさがあったことはわれわれもわかっております。秘密のコンサルタントを設けたり、あるいは成功報酬を設けたり、そういった商慣習上の疑惑といいますか、いやらしさがあるということはわかっておりまして、これは十分今後取り調べてそういうものは排除しなければならぬというようには思っておりました。しかし、刑事上その他、P3Cそのものも実際まだ買ってもいない、買う契約もしていなかったわけでございますから、そういった意味での刑事上のP3Cに関します疑惑、そういうものはわれわれはないと、こういうように思っておりましたので、その間新聞にはいろいろとそのいやらしさも含めての疑惑の報道ももちろんされておったと思いますけれども、私たちはそういった刑事上の意味におきましてのそういった疑惑はないものだろうと、そのように思っておりましたが、この後ロッキード社と十分に詰めていって、そういったいやらしさもできるだけ排除するように努めたところでございますので、この時点ではこういう文書になったと思います。
  109. 野田哲

    ○野田哲君 私はそういうことを聞いているんじゃないんです。こっちの「防衛アンテナ」の方では、児玉が介在しておった、それが児玉が介在しておった状態はなくなったということでいろいろその経緯を釈明されておるんでしょう。認めているんですよ、児玉が介在していたことは。そして、しかも公訴事実にも、そしてSECの資料にもP3Cにかかわる犯罪容疑は出ていないと、こういうふうに説明しておられるんですよ。しかし、先ほど来の質問で児玉がそれまでには介在をして、いまは切れているけれども、介在をして売り込み工作を行っていた、機体とコンピューターとを分離して買ったらどうかという動きを封じるための動きもしていたということは冒頭陳述にも出ているんですよ。出ているんです。長官もそれは認められたわけです。であるならば、なぜこういう書き方になるんですか。これは閣議で決定された文書なんですよ。この文書は「民間旅客機の問題についてのみ言及されていたが、同社が対潜哨戒機(P-3C)を製造していたこと等から、防衛庁の次期対潜機の選定に関しても、この間の経緯に疑惑があるかのような報道がなされた。」。報道によって私どもはこれは疑惑を持ったんではないんですよ。ロッキード社の飛行機を日本に売り込み工作をやっている、丸紅と児玉が賄賂工作をやっていた、しかも丸紅と児玉がトライスターとP3Cをそれぞれ契約をして売り込みをしていたことに疑惑を持ったんでしょう。単にロッキード社がつくっているP3Cだからということで疑惑を持ったんじゃないんですよ。こういう書き方は、今日まで約二年間、一年半にわたってロッキード問題の審議をしてきたこの特別委員会審議の経過を全くこれは無視をしてはいませんか。どうですか、これは。
  110. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 私は決してロッキード委員会が真剣にこの事件審議しておられるものを無視したものとは思っておりません。非常に短い簡単な文書で結論づけたというところに、文面の足りなさというようなものからいろいろな解釈がなされるというようなこともあろうと思いまするけれども、それを見てまいりましても、確かにこの問題の発端は、ロッキード社自体の商行為に基づきます不適正な行為というようなものが私はこうした結果をもたらしたものだと思うのでございます。しかし、わが国におきましては、それをその中に介在をした児玉あるいはブラウンリーあるいは小佐野、丸紅というようなものの存在が一つの大きな問題の中心に論議されるということでございまするが、問題のやはり中心を私はロッキード社の商行為それ自体に不適正なものがあった、そこから出ておるものだと受けとめておるわけでございます。それがそうした問題を提起してまいりましたので、報道されたものであるということでございまするから、決して私は、ロッキード委員会で真剣な討議がなされておることを無視するような、そうしたことでその文面が書かれたものだとは、いま十分読ましていただきまするとそういうことではない、そう信ずるのでございます。
  111. 野田哲

    ○野田哲君 それでは重ねて問題点を伺いますけれども、引き続いて第二項で「ロッキード問題について国会で取り上げられた主な論点」と、こうなっています。「防衛庁が昭和四十五年度から実施してきた調査研究は、国産を前提として進められていたものではないかということ」、以下1、2と、こう続いておりますが、少なくとも防衛庁――閣議であるいは国防会議ではまだそこまで決まっていなかったかもわからないけれども、防衛庁内ではこれは国産を前提としてということを決めているでしょう、そうじゃないですか。
  112. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 開発研究に当たっておった人の気持ちはそんたくできるわけでございますが、国産を前提とするということは、防衛庁といたしましてもまた予算におきましても前提とはなっておりませんでした。
  113. 野田哲

    ○野田哲君 そんなことはないですよ、これは。いままでこの場で一年半にわたって議論してきたが、国産を前提としていたということはこれは政府委員の答弁でも出ていますよ。さらに「開発のための予算も計上されていなかった。」と、こう書いてある。それでは伺いますけれども昭和四十五年度の二つの調査委託研究が昭和四十六年に続いております。四十六年の技術調査研究では二億八千九百二十万円、研究開発費が現に支出されているんじゃないですか。そうでしょう。昭和四十六年九月九日付の川崎重工との契約書、この中にはっきり明示されているじゃないですか。費目は研究開発費として契約書にちゃんと判を押してあるじゃないですか。これは一体何ですか。開発費として計上されていたんでしょう。
  114. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 技術調査研究委託費という形で予算がついておりまして、私どもが概算要求をするときはまあ国産を頭に置いた概算要求をしたわけでございますが、大蔵省においてはその国産を前提としたという予算は認められなかったわけでございます。
  115. 野田哲

    ○野田哲君 いや、だから防衛庁内では単なる研究ではなくて、開発を前提とした研究であったということは間違いないでしょう。そして、この川崎重工との契約書についても、支出項目については研究開発費から出ておるでしょう。開発費を計上しておったということでしょう。これはどうなんですか。ここに書類がありますよ。見てくださいよ、長官、いいですか。
  116. 筒井良三

    説明員(筒井良三君) お答えいたします。  昭和四十五年度以来実施しておりました調査研究は、国内開発を行うか否かの決定に必要とされる技術上の判断資料を得ることを目的とした基礎的な調査研究でございまして、防衛庁は二年、三年続けまして開発の予算を要求したことは事実でございますけれども、成立した予算におきましては開発費ということではございません。  なお、技術調査研究委託費というような費目は、技術研究本部の中では開発費等の中に分類されておることは事実だと思います。
  117. 野田哲

    ○野田哲君 川重との契約は研究開発費という費目から支出されておるでしょう。
  118. 筒井良三

    説明員(筒井良三君) 技術研究本部におきましては、技術研究本部の予算というものが、基礎調査等もやっておりますけれども、基礎調査の中には開発を前提とした開発の設計研究というようなものもございますし、開発を全く前提としない基礎的な調査研究もございます。それを項と目におきましては、項という範囲におきましては開発費という分類をしております。そして、そこの中の細部の目でそれは技術調査研究委託費という分類で実施しております。大きい方では開発費という分類を技術研究本部が予算上しているだけでございます。
  119. 野田哲

    ○野田哲君 だからね、ここのこの「開発のための予算も計上されていなかった。」と、こういう記述はぼくは正しい記述ではないでしょうと言うんですよ。
  120. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) お答えいたします。  防衛庁といたしましては、概算要求においては開発費として要求したわけでございます。しかし、大蔵省において、開発費というものが名目は認められなくなったわけでございまして、したがいまして、正式に開発費として予算が計上されておらなかったというのはそれなりに正しいと思います。
  121. 野田哲

    ○野田哲君 それでは、これは防衛庁が発行した文書ですけれども、いまの答弁から言えば、防衛庁としては、開発ということを予算要求の段階では庁議として決めたということは認められるわけですね。
  122. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 概算要求を大蔵省に提出する際、開発費として庁議においては決定したということでございます。
  123. 野田哲

    ○野田哲君 いずれにしても、まだこの国防会議の決定の問題についても私はこういう記述の仕方は非常に問題を感じております。特定の人によって決められたものではないという――白紙還元の問題ね。私は、こういう記述の仕方については、全くこれは当を得ていない。これはここで、証人に出てこられた当時の国防会議の海原事務局長も、あの決定は、国防会議の事務局長ですら田中総理の発言は寝耳に水であったと、これは、ここにいまさっき見えていた上田哲議員の質問に対して、国防会議の事務局長が寝耳に水であったと、こういう証言をされているんです。あの十月九日の国防会議が始まるまではだれも知らなかったんですよ。知っていたのは、田中総理とそれから後藤田官房副長官、二階堂官房長官、相澤主計局長、この範囲しか別室で話したことは知らなかったわけです。だから私たちは、こういう人たちを証人としてここの場に出てもらう、こういう主張を何回もやっておるわけです。それを否定をしておいて、こういう一方的な書き方をすることは全く納得ができない。そうして全体のこの記述の仕方というのは、これは私は適切を欠いている、こういうふうに思うわけです。あわせてこの機会に、これは後で内閣委員会等で再度詳細な質疑を行いたいと思いますけれども、外国からの航空機の問題でありますから、関連をして伺っておきたいと思うんです。  同じ「日本の防衛」のこの本になっている中に、F15の選定の経緯を記述されているところがあります。このF15の写真と性能、武装などがここに書いてあります。これはジェーン航空年鑑から転載をしたと、こういうふうに注書きがしてありますよね。ジェーン航空年鑑を見ると、航続距離は幾ら、爆弾は何キロ積める、こういうことがはっきりと書いてあるわけです。写真には爆弾を投下している写真も載っているんです。それを、この資料を見ると、この文書を見ると、ジェーン航空年鑑によってこの資料は得たということで注書きをして、性能と武装、ここに書いてあるわけです。ところが、四十八年の国会でも一番問題になり今度も問題になった、航続距離は幾らか、給油装置によってどれだけの距離を飛べるのか、爆弾が何キロ積めるとかいうのは、このジェーン航空年鑑では詳しく書いてあるけれども、そこのところはこのジェーン航空年鑑から転載をしたという防衛庁の資料には全然記載をされていない。なぜこういう問題の一番の焦点をこれは載せないんですか。こんなインチキなものを閣議決定されたらこれは困るですよ。長官、書いてありますよ、ちゃんとここに。
  124. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 承知しております。
  125. 野田哲

    ○野田哲君 爆弾を落としているのもちゃんとこれは写真が載っていますよ。(「都合のいいところだけ転載して肝心のところは外しているんだ」と呼ぶ者あり)
  126. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) そういう作為的なものじゃない。
  127. 野田哲

    ○野田哲君 作為ですよ、これは。
  128. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 全部書くわけにはいきませんから。
  129. 野田哲

    ○野田哲君 いやいや。航続距離と爆弾があるかないか、なぜ書かないんですか。
  130. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) お答えいたします。  お手元の資料は、ジェーン年鑑の中で、われわれ要撃戦闘機としてF14、15、16、これらを比較検討する際の主要な性能、要目を挙げたということで、ジェーンそのものを全部掲げたということではございません。
  131. 野田哲

    ○野田哲君 これは長官、全く国会の審議を侮辱した答弁ですよ。主要な性能を掲げたというのであればですよ、主要な性能というのは、航空機であれば航続距離が幾らかというのは、これは主要な性能の重要な一つじゃないですか。武装についても、爆弾を積んでいるかどうかというのも最も主要な性能じゃないですか。それを主要な性能を掲げたから航続距離や爆弾の有無は書かなかった、そんなことではこれは答弁にならぬですよ。
  132. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) お答えいたします。  航続距離と、それから爆弾の搭載等につきましては、たとえば航続距離でございますと、裸で飛ぶ場合と爆弾を搭載する、あるいはサイドワインダーなど空対空作戦で必要な物を搭載する場合非常に変わってくるわけでございます。したがって航続距離の、たとえば全く何も武装しないで油をいっぱい積みまして、いわゆる最大航続距離というものを一方で載せ、一方で爆弾を搭載するといったような形になりますと非常に誤解を与える。ですから、条件をはっきりいたしませんと航続距離とか搭載量というものは出ませんので、そういう点非常にややこしくなりますので省いてあるわけでございます。
  133. 野田哲

    ○野田哲君 戦闘機を買う場合に航続距離が幾らでそれが裸で飛ぶときには幾ら、ミサイルを積み爆弾を積んだときは幾ら、爆弾が搭載できるかどうかというのは戦闘機の場合の性能の最もポイントになるところじゃないですか。それをいまのような答弁でごまかすことは納得できないですよ。これは先ほど来の、PXLのロッキード社との関係のこの記述と、いまのF15の問題については、これは閣議決定された文書なんですから、これは総理のこれに対する見解あるいはここを書きかえるかどうか。これがなければこれはもう納得できません。理事会でちょっと協議をしてもらいたいと思います。委員長いかがですか。
  134. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) いま防衛課長がお答えをいたしましたように、決して故意にそうした航続距離を云々するとか、あるいは爆撃装置を云々するとかいうことじゃございません。この問題は、一般的に御承知のように、国民の方々に大方理解を受けたいというそうした防衛白書でございます。したがいまして、絶対にごまかすというようなことはございません。こうして論議がなされておって、航続距離の問題があれば、そういうときには航続距離の問題を具体的にそういう不足した面については答弁をさしていただき、御説明をさしていただく。全く国会の論議は国民の方々に御報告を申し上げ御理解を願うあれでございまするから、そのときには率直に申し上げるわけでございまして、一切ジェーンの出しております資料すべて載せるわけにはいきませんでしたから、このF15のごときは要撃戦闘機としての分野を中心に御紹介を申し上げる。爆撃能力につきましては副次的な問題としてやっておるわけでございまするから、そうした不足分につきましては論議の過程の中で明らかになることでございまして、決して作為的にそうしたものを落としたということではございません。  なお、閣議決定を得たものでございまするが、いま申し上げておりまするように、国民の方々に一般的な御理解を願う、F15という新しい要撃戦闘機は大体こういうものでございますという性格を御理解を願う、機能を御理解願うという立場でやっておるわけでございまするので、その点はひとつ御理解を賜りたいと思うのでございます。
  135. 野田哲

    ○野田哲君 長官、ジェーン航空年鑑では、航続距離はここに書いてある、データの次に書いてあるんですよ。ここに書いてあるこの乗員一名、エンジンは幾ら、最大速度二・五マッハ、戦闘上昇限度、重量、この続きに二行書けば済むことなんですよ。FASTパックなしで二千五百、FASTパックつきで三千と、キロメートルに直すと四千六百三十一キロ、五千五百六十キロと、爆弾のこともたった一行書けば済むんですよ。なぜこれが、国会の中でも四十八年、大変これは問題になっているんですよ、給油装置のこと。それだけ二、三行のことをなぜ書かないんですか。これはもう故意に、国会で一番問題になっているところを、われわれに配るために隠したとしか思えないじゃないですか。簡単なことなんですよ、いまの私が指摘したことを書くのは。ほんの二、三行つけ加えれば済むことなんです。故意に隠したとしか思えないじゃないですか、どうですか、これは。
  136. 竹岡勝美

    政府委員(竹岡勝美君) 私からお答えします。  先生承知のとおり、私の方で去年の十二月にF15を一応内定しましたときに、「防衛アンテナ」、あるいは先生方にもお配りしたと思いますけれども、「新戦闘機の選定作業の経緯と今後の方針について」、こういうものには最大航続距離等やっぱりジェーンのを引っくるめて書いております。御承知のとおりF15、われわれの戦闘機というのはあくまでも要撃戦闘機ということで買うつもりでおったわけなんですが、この中にも要撃戦闘機であるけれども対地攻撃任務をあわせ持っておるということも書いております。対地攻撃任務ということは、いわゆる爆弾も積んで上陸用舟艇であるとか、あるいは上陸された敵に対しての対地支援だとかいう能力も持っておるということは書いております。ただしそれに対して爆弾を何ぼ積むとかいうような細かいことは書いておりませんでした。  それから要撃戦闘機ということで、これが要撃戦闘機であるということは世界の常識なんです。だから、そういう意味で航続距離の長さとか、余りそういうことについてまで細かく触れなかったんですが、これには航続距離等も書いておりますので、決してごまかそうというような気持ちは毛頭なかったんです。要撃戦闘機という世界の常識で考えられておるこのF15、そういうものをこういうものでわれわれは考えておるんだというものを書き入れたものでございまして、若干、先生が言われたように、じゃ爆弾何ぼ積むべきだと、最大航続距離何ぼと書くべきだということは、いま御指摘されましたから、なるほどそこまで詳細に書くべきであったかなという反省はしておりますけれども、決してわれわれが故意に隠さなきゃならぬ、あるいはF15を給油装置を使ってどっか遠くへ飛ばすとか、そういうような気持ちは毛頭持っておりませんので、そういう気持ちからあえて細かいところまで入れなかったという善意をおくみ取りいただきたいと思います。
  137. 野田哲

    ○野田哲君 それじゃ三原長官、ことしのこれを決定するときに、あなたは閣議の中で、F15の問題についていままで国会で何回か問題になってきた給油装置の有無あるいは航続距離は幾らか、爆弾装置はどうなっているのか、こういう点をこの資料であわせて閣議の中で説明をされて決定されたんですか。それともこれはもうそういう点は全く議論なしに決定されたんですか。その点いかがですか。
  138. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 御承知のとおりでございますが、閣議の場合にはその白書の大要につきまして、基本的な問題のみを報告をして御了承を得るということでございまするので、細かく一言一句について触れて御説明をするというようなことはいたしておりません。しかし、御一読願ってまた問題等の指摘があればそういう点でお尋ねに応ずるということはありましょうけれども、大綱的な、防空戦闘機としてF15、あるいは対潜能力の補充のためにP3Cを云々しますというような大綱的な報告をして御了承を得るということで済ましておるわけでございます。
  139. 野田哲

    ○野田哲君 だから、結局四十八年まで何回も問題になっている、国会でも非常に重要な問題になった点は全く隠したまま、全く触れないまま閣議で決められたと、こういうふうに私は承っておきますが、このF15の問題は引き続いてまた内閣委員会等でやる場がありますから。  もう一つロッキード問題と次期対潜哨戒機について、これも閣議決定の文書なんですから、この点については、どうも私はやはり先ほどの防衛庁の政府委員や三原防衛庁長官説明ではこれは納得することができません。  これは委員長にお願いしたいんですが、ロッキード委員会でこのくだりについてはぜひ総理の答弁を求める機会をつくっていただきたい、このことをお願いしたいと思います。
  140. 梶木又三

    委員長梶木又三君) 理事会で後刻また協議します。
  141. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) いま決してお言葉じりで云々するわけではございませんが、基本的な姿勢の問題でございますので、一言発言を許していただきたいと思うのでございまするが、大事な閣議に大事なことを隠して報告をしたのではないかということでございましたが、そういうようなことではございません。あくまでも大綱的なものの説明を申し上げて御了承を得るということで済ましてまいりましたので、決して大事なことを隠して云々したというような姿勢は毛頭持っておりませんので、その点はひとつ御理解を願いたいと思うのでございます。
  142. 野田哲

    ○野田哲君 時間がございませんから、警察庁の方に別の問題で伺いたいと思います。  ロッキード問題に介在をしていた児玉譽士夫、それからこれと非常に近い関係にある東亜相互企業の町井久之、これと連なる人物ではないかと言われている兵庫県尼崎市で事込をやっている林秀夫、韓国名林秀根、この人の問題について伺いたいと思います。  この人については、昭和四十八年七月から五十年にかけて、不正融資事件で神戸の方ではかなり問題になっている人でありますけれども、兵庫県警本部長は、この融資事件についていろいろ関心を持って調査をしており、犯罪容疑があれば捜査に入る、こういうふうに兵庫県議会で答えておられますが、この点については調査が行われておりますか。いかがですか。
  143. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  ただいまの御質問の点に関しましては、すでに本年の三月ごろと思いますが、兵庫県の県議会におきまして取り上げられたということは、私ども承知しておるわけでございます。で、いろいろと問題になりました細かい点は省略いたしますけれども、いろいろとその情報がございまして、このことが県議会でも取り上げられ、かつまた報道されたということで、私どもが聞いておりますのは、現在、県の方におきまして調査中であるということを聞いております。警察といたしましては、基本的には、この県の調査の結果を待ちまして、通常の場合、県の方から告発がされるということでございますけれども、なおあわせましていろいろと、私どもとしていろいろと基礎的な事項についての情報収集に当たっていると、こういうことでございまして、まだ捜査上の手段を講ずるという段階ではございません。
  144. 野田哲

    ○野田哲君 去る八月七日の日にアメリカからの報道が寄せられております。この情報は、金大中拉致事件について七三年八月八日、つまり四十八年八月八日に金大中氏が連れていかれた先は、尼崎市にある韓国料理店の建物であったと、同店主はKCIAと密接につながりがあると、同店からさらに自動車で須磨の海岸に運ばれて、そこからモーターボートで海上を逆戻りするような形で大阪港に向かい、竜金号に乗せられた、こういう情報がありますが、承知をされておりますか。
  145. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  いわゆるその「アンの家」、それからまた海岸に運ばれたと、そこからモーターボートでその船に運ばれたということでございますが、それに関しまして、いろいろなこれがいわゆる「アンの家」ではないかと、あるいはこの海岸から出ていったんではないかと、いろいろなニュアンスの情報が私どものところに参っておりまして、ただいま御質問にありましたものも、そういうものの一つとして私ども理解しております。
  146. 野田哲

    ○野田哲君 警察庁は竜金号の乗組員から事情聴取を行っているということを前に別の委員会で答えておられますが、その竜金号の乗組員からの事情聴取の中で、八月八日から九日にかけて竜金号にボートが乗りつけられたと、モーターボートが乗りつけられたという事情聴取の中での話は出ておりますかどうですか。
  147. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  端的に申し上げますと、これまでの警察の捜査で金大中氏の韓国への連行に使われた船を確定していないわけでございます。で、もしも、その竜金号に、そういうボートが乗りつけられたというようなことがわかりますれば、それはまさにその船ということになるわけでございますけれども、そういう結果になっていないようでございます。
  148. 野田哲

    ○野田哲君 このアメリカからの情報では、名前を明らかにすれば本人に危害が及ぶからということで、名前を伏せておくという報道になっておりますけれども、もうすでに日本ではいろいろ巷間名前が出ているんですが、このアメリカからの情報にもあった尼崎の韓国の料理店、これに該当するのではないかと言われているのが、国際観光株式会社の会長の林秀夫、林秀根、この人は本年二月以降、警察庁の指示によって兵庫県警が再調査に当たっている、こういう答弁が兵庫県議会でされておりますが、この前の予算委員会でも三井警備局長は、そのことを認めているわけですが、そこで伺いたいんですが、昭和四十八年八月当時、この林秀夫という人は、モーターボートを持っていたわけですか。それから、韓国料理店を持っていたのかどうか、その所在地はどこであったか、これだけ、まず伺います。
  149. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  本年の二月の予算委員会で問題になりまして、そして私どもが兵庫県警に指示したというんでなくて、そういう予算委員会の状況、それからまたいろいろな報道の状況、そういうものを県に連絡いたしまして、一応兵庫県警の方では、まあこの林秀根氏のモーターボートあるいはその持っている建物というものが関係があるんじゃないかというような、そういう情報もありましたので、もうかねて調べておりまして、そういう疑いは薄いという結論を得ていたわけでございますが、また、そういうことが本年二月に問題になるということに及びまして、念のためもう一回、兵庫県警がみずから再調査をしてみたということでございます。結論を申し上げますと、その再調査の結果、これまで得られた結果というものを覆すような材料は得られなかったということでございます。  それから、その次の点でございますが、この林秀根氏はモーターボートを四十八年の七月に入手しております。そしてまた、四十七年の七月にモーターボートを運転する免許を取り立てのほやほやである、こういうことでございます。  それから、その次の点へまいりますと、尼崎市のこれは雑居ビルみたいな七階建てのビルがございまして、そこには彼は料理屋の店を持っていると、こういうふうに私ども聞いております。
  150. 野田哲

    ○野田哲君 ことしの二月の中ごろであると思うんですが、須磨のマリーナ――ボートをかなり大量に係留をしていた、ここが原因不明の火災でボートが何隻か焼けた、こういう事件があるわけですが、承知をしておられますか。
  151. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  その前に、ちょっといま私が免許取り立てというのは四十八年の七月でございますので、ちょっと訂正さしていただきます。  それからなお言い落としましたが、彼の持っております料理屋は韓国料理店ではなくて、中国料理店というふうに私どもは聞いております。  ただいまの御質問に対するお答えでございますけれども、本年の二月十六日の二十二時三十分ごろ、須磨マリーナにおいて小型のヨットが三隻焼けるという事故があったということを知っております。
  152. 野田哲

    ○野田哲君 この林秀根の持っているモーターボート、四十八年の八月八日、当日は大体どこにどう使われていたのか、これはいままでの兵庫県警の何回もの答えで明確になっていない。修理中であるということでその修理先はどこであったのか、これも明確でないわけですが、現在の状態では四十八年八月八日にそのボートがどこでどう使われていたのか、修理されていたのか、その状況は明らかになっておりますか。
  153. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  このモーターボートの関係でございますが、四十八年の八月七日に林秀根氏は従業員及び家族とともに家島の方へ海水浴に行っております。このことははっきりわかっております。  それからその帰りにモーターボートが故障いたしまして、そして大分時間かかって帰ってきたわけでございますが、八月八日は運航しなかったということでございます。そして修理を終えまして八月の九日に試運転をしたという状況がわれわれにわかっております。
  154. 野田哲

    ○野田哲君 八月八日は修理に出していたと。いま外事課長も答えられた八月七日に家島へ行って、そこで故障したと。それで八日は修理に出していたという、その修理先がいまだに明確になっていない、この点はどうなんですか。
  155. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  これは鳴尾マリーナへ寄港いたしまして、そこで修理を受けたというふうに聞いております。(「場所だよ、場所の名前」と呼ぶ者あり)鳴尾マリーナというのは、これはたしか西宮であったというふうに記憶しております。
  156. 野田哲

    ○野田哲君 四十八年八月に金大中事件が起きた直後に、兵庫県警ではこの林秀根を調べたということを兵庫県議会で答えておられますが、これはどういう疑惑があって調べたわけですか。
  157. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  捜査のわりあい初期の段階でモーターボートが使われたというような話がありましたので、近畿地方と特に大阪、それから兵庫、それから和歌山と、そういった大阪港周辺の県警におきましてはそれぞれモーターボートについて一斉に調査をいたしたわけでございます。その中の一隻がその林秀根氏のモーターボートであったということであります。
  158. 野田哲

    ○野田哲君 先ほどの、修理は鳴尾マリーナで行ったというのは、これは兵庫県議会では今日まだ出ていないんですが、いま初めて聞いたわけですが、これはもう確実な裏づけがあるわけですか。
  159. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  県警からそのように報告を受けております。
  160. 野田哲

    ○野田哲君 この林秀根と、それからこの融資事件で融資方の方の神戸商銀の理事長の平山庄太郎さん、これは韓国名黄孔煥という人なんです。この二人は済州島の出身で、私、予算委員会でもちょっと触れたんですが、元大統領警護室の企画所長の洪という人、この人と非常にじっこんというか、そういう関係にあるんだというふうに聞いておりますが、そういう関係承知されておりますか。
  161. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  ただいま名前を挙げられました洪炳喆氏でございますけれども、済州道民会の顧問をしておるということを私ども承知をしております。そしてまた林秀根氏は済州道民会の役員をしているということを私ども承知しております。
  162. 野田哲

    ○野田哲君 時間がなくなりましたから、非常に疑惑を私どもが持っておる点は、ことしの二月の七日の日に衆議院の予算委員会でわが党の小林進議員が林秀根氏にかかわる問題について質問を行った。そういたしますと、二月十二日に――その直後に開かれた日韓議員連盟の総会にリストアップされて出席をする予定であった韓国の洪議員が逮捕されている。そして、二月十六日には、このモーターボートが使われたんじゃないかと言われている須磨のマリーナ、ここが原因不明の火災になっている。これはやはり私どもは一連の疑惑を持たざるを得ないと思いますが、この二月十六日の火災について原因は明らかにされておりますか。
  163. 城内康光

    説明員(城内康光君) お答えいたします。  先ほど申しましたように、三隻の小型ヨットが燃えたということでございます。  で、原因は、一応出火のもとになっておりますのは、そのうちの一隻のヨットの中にあります炊事用の、クッキングをするためのプロパンガスが爆発したということで、ほかの二隻に延焼したということでございます。この三隻ともそれぞれ陸揚げされておるものでございまして、もちろん海の方にはいろいろな船がずっと係留してあったと、こういうことでございます。それで、なぜ爆発したかということにつきましてははっきりと原因がわからないということでございます。
  164. 野田哲

    ○野田哲君 終わります。
  165. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 初めに防衛庁の航空機の専門でもいらっしゃる筒井さんにお伺いしたい。  日本ではまず対潜哨戒機なんというこういうふうなものはいわゆる国産する能力があるのかないのか、この点ちょっとお伺いしたい。
  166. 筒井良三

    説明員(筒井良三君) ただいま先生の御質問は対潜機を国産する能力ありや否やとのことでございますけれども、いわゆる国内で試作開発を行ってみずから生産することができるというぐあいに御質問を判断いたしました場合に、航空機、機体そのものをまとめてつくるということは現在の技術で恐らく可能であろうかと思います。しかしながら、現在のPXLで見られましたような、特にソフトウエア、電子機器の運用上の応用部門、そういった部門に関しましてはやはり相当な米国との差があると認識せざるを得ないと思っております。
  167. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと筒井さんね、昭和四十五年、四十六年、四十七年ごろ、いわゆる対潜機の研究開発を、まあ研究開発費ということで結構なんですが、やろうという段階で国産化を防衛庁の中では一応考えたことですから、その前提で結構です。その場合にいまおっしゃったように、ソフトウエアの部門は、これは要するにアメリカのノーハウをもらうなり、買うなりを考えての国産だったわけでしょう。そういうことですね。
  168. 筒井良三

    説明員(筒井良三君) 在来の国内開発の場合にもいろいろな場合を検討しております。代表的な例はもちろんすべてを日本国内開発する場合、そういうことを当然検討しております。  それから、いわゆるミックス案、折衷案と称しまして、搭載電子機器、当然ソフトも含まれると思いますけれども、それを導入いたしまして、機体は日本でまとめると。いずれの場合におきましても原動機、エンジンは米国の物を導入するという前提でやっております。
  169. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 一般的に国産と言う場合はそれを言うわけですね。
  170. 筒井良三

    説明員(筒井良三君) PXLの国産開発の検討の国産というのは、そういった諸ケースを申しております。
  171. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、昭和四十七年ですか、四十七年の十月にいわゆる白紙化というのが、いわゆる対潜機の「国産化問題は白紙とし、」ということにならなければ、そのまま研究開発ずっと進んで、それで国産化を目指して順調に進んでいたとすれば、現在の時点ではもういわゆる一号機は飛ぶような情勢になるんではないでしょうか。これはどうです。
  172. 筒井良三

    説明員(筒井良三君) 当時の計画がそのまま進んだと仮定すれば、うまくゆく、ゆかないは別として、期限的には七年間で試作を完了するという予定でございますので、五十二年ごろ初飛行と、そういうことになると思います。
  173. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは長官ですね、私は先ほどからの議論をずっと聞いておりまして、これはいまP3Cに決定をして、いま一生懸命こういうふうな「次期対潜機の選定について」とかいうことで、防衛庁としてもいろいろPRしていらっしゃるわけですけれども、やはり一つの大きなポイントは、当ロッキード委員会で、私たちの委員会でも明らかになってまいりましたように、この四十七年の十月九日のいわゆるこの「国産化問題」というふうに「国産化問題」と書いてますけれども、この白紙還元したというところに大きな問題がありますし、ロッキード社の目的はいわゆる国産化を白紙にさせるということが大きな焦点だったわけですよ。それを、国産化をやめるということが決まれば、ロッキードの目的は九割方達成ですわ。その証拠に、それ以後のいわゆるPXLの選定のいろんな問題、ずいぶんいろんなことやりました。けれども、その結果やっぱりアメリカのP3Cしかないという決論になったんじゃないかと思うんです。で、そういうふうな意味で、私は、そこでまずP3Cを選定することになった経過を簡単で結構ですから御説明願いたい。
  174. 上野隆史

    説明員(上野隆史君) お答え申し上げます。  次期対潜機につきましては、最近におきます諸外国の潜水艦の性能向上等々諸要因がございます。また、わが国の置かれました四面環海、そういう諸条件もございます。何としても海上防衛についての主なるテーマでございます次期対潜機につきまして、ただいま来御議論のありますような国産化問題白紙その他の議論も踏まえまして、当庁といたしましては、諸外国の列国航空機等純粋に軍事的観点に立ちまして調査をいたしまして、P3Cにまさるものはなしという結論を得たわけでございます。  なお、所要機種その他につきましては、もし御質問ありますればそれに応じてお答え申し上げたいと思います。
  175. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一度お伺いしますが、もうどうしてもP3Cしかないわけですか、これはどうです。
  176. 上野隆史

    説明員(上野隆史君) 簡単に結論だけ申し上げますれば、現在の段階におきましてP3Cにまさるものは見出しがたい状況でございます。
  177. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 しつこいようで申しわけないが、P3Cにかわるものとして考えられるものは何かありますか。
  178. 上野隆史

    説明員(上野隆史君) 少しくどくなるかも存じませんが、P3Cに防衛庁として決意いたしましたその経過を御説明することになると思います。  まず、現在P2Jという対潜機が海上自衛隊の主力の陸上固定翼対潜機であることは御承知のとおりでございます。まずこれを改造できないだろうかということも考えられますし、また、PS1という対潜機もございます。これは飛行艇でございますが、それの性能アップができないだろうか。C1という輸送機もございます。それを何とか改造できないか。まあこういうようなものはいわゆる現在自衛隊が使っております現存機等の改造のカテゴリーに属します。  また、この際、ひとつ国内開発を純粋にやってみようかということも考えられます。  それから、外国機についてはどうだろうか。これはニムロッドMK2という航空機もございますし、アトランティックMKIIBあるいはS3A、それから最近出てまいりましたのではカナダのこれ御承知のとおりのCP140というユニークな航空機もございます。  これらにつきまして詳細に検討いたしまして、費用対効果等々いろいろとございますけれども、たとえば現在持っております現有の対潜航空機勢力の安定的な維持を図りつつ対潜機能を何とか早く近代化したいものであるという要素。あるいは開発に取りかかってもいいんだけれども、やはりリスクが伴います。何とか装備化の確実性、取りかかった以上はむだなく、リスク少なく装備化が確実にできる率の確実性の最も高いものは何だろうか。それから少数の機数でいろいろな多機種、機種はたくさんあるがしかし数は少ないというようなそういう状況で一体教育訓練とか、整備機材とか、そういうようなものがいろいろ込み入ってくるわけでございますが、多重性といったような支障がないだろうかと。あるいは航空機工業、日本の大きなプロジェクトであります、大きな航空分野を占めます航空機工業の操業度に対する影響におきましてもやはり相当な寄与がしてほしいという気持もございますし、それやこれやをひっくるめまして検討して、その結果は先ほど申し上げたとおりでございます。
  179. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一回お伺いします。  同じことを聞きますが、これは要するにベストじゃないがベターという考え方があるわけですが、そういうような意味でP3Cじゃない場合に、これはというのがあるかないか、あるんですか。
  180. 上野隆史

    説明員(上野隆史君) 御質問の要旨、よくのみ込んでいないかもしれませんが、ロッキード事件等があると、だからそういうような疑惑といったようなものがある……
  181. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いやいや、専門的で結構なんです。そんなことを言っているんじゃない。
  182. 上野隆史

    説明員(上野隆史君) そういうことではなくて、専門的に申しますれば、やはりP3Cというもの、最も見通し得るこの近い将来それに次ぐものは出てこないだろう、これはわが国にとってでございます。
  183. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはまあよくわかりました。結局、ベターということを考えてもやはりP3Cしかないということで、大臣、よくわかりました。  そこで大臣、今度は大臣とちょっとやりとりをしたいんですが、まず国産化がずっと進んでいれば、もう一番機が順調にいけば飛んでいたということになるわけですが、先ほど答弁ございました。大臣、どうですか、実際問題として、この問題は私はいろんな点から考えて、やはり四十七年のあの問題はやっぱり一つの大きな問題になると私は実際思うんです。現実にそのまま順調に進んでいたわけですからね、現実の問題として。あれさえなきゃ順調に進んで、あの年の予算だって実行されたはずでしょう。そういうような点から考えると、ここら辺で長官、その点についてどういうふうにお考えか、一遍ちょっと長官の感想を聞いておきたいと思います。
  184. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 率直なお尋ねでございますから申し上げますけれども、私も八月の二十六日の日に最終決断を下しますまで、ずいぶん実はみずからもいま申し上げられたような判断、決定について検討を進めてまいりました。歴史的には四十一年ごろから対潜機を将来どうするかということで検討が進められて、具体的にはいま御指摘の四十五年ごろから国産というような線も浮かんでまいります。それから、現在使用しております三機種あるわけでございますが、これらの耐用命数あるいは減耗率等を考えてくれば、どうしても五十二年という、そして五十七年という時期が出てまいるわけでございますが、そういう点で七年間かかれば何とか試作機ぐらいのところはいけはしないかというのが一つの定説になっておったことも承知をいたしておるわけでございまして、御指摘のように、四十一年から具体的に検討を進め、四十五年ごろからそうした取り組み方が積極的になってまいったこと等を見てまいりますれば、紆余曲折がなければ一つの国産の試作機というようなものもでき得たかなというようなことも考えられるわけでございまするけれども、しかし国内的にはやはり国内外の情勢判断ということがあるわけでございまするから、防衛庁がこれを国産でいくということをぴしっとまとまってきたということよりも、国産になし得るかどうかという研究とともに、あるいは外国機の状況等も勘案しながら来たところにやはりそうした判断もせなきゃなりませんので、一概にあのときから取り組んでおれば国産でやれたかなというような結論を出すにはすきっとしない面も出てくるかと思いまするけれども、いま峯山先生の御指摘のような一つ判断というようなものも出得るかなと思いますが、しかしその他の事情等から勘案いたしますれば、やはりもう少しそうした総合的な面からの判断もせなきゃならぬかなというような一つの考え方もあるわけでございます。
  185. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いずれにしましても、私はこれはきょうは時間がございませんから詰めることはできませんが、要するに国産化を中止したということがロッキード社にとってはその目的の九割方を達成したと言って私はいいと思うんです。現実にこれはこれから詰めなければいかぬ問題もいろいろありますけれども、これは児玉との契約だけでなくて、丸紅との契約も現実にありましたし、そういうふうないろいろなことを使って現実にP3Cの売り込みはやっておった。いわゆる犯罪の容疑はないにしても、そういうような裏はきちっとしておったということは事実ですね。そういう事実にかんがみて、このP3Cの発注というのはいろいろな問題がある。  そこで装備局長にお伺いしたいが、ロッキード社が誓約書を出したと聞いていますが、要するに簡単に言えばどういうことですか。
  186. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) P3Cの選定をするに当たりまして、非常な国費を要するものであると、またそのロッキード事件などで世間の注目を集めておるところであるということを心に置きまして、私どもといたしましてはロッキード社が過去どういうことをこのP3Cに関しましてやったか、それから今後そういうことをやらないという歯どめをぴちんとつける必要がございますし、それからまた価格が適正に形成されるということが必要でございますものでございますから、そういう点についてぴちんと詰めて誓約さしたということでございます。
  187. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、この誓約書は今回のロッキード事件にかんがみ、いわゆるロッキード社並びにコンサルタント、あるいは代理店は要するにこのP3Cの販売に対して賄賂とか、そういうことを一切やらないと、そういう誓約ですね。
  188. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 過去もやっておらないし、これからもやらないということを誓約さしたわけでございます。
  189. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでまあ過去は一つよけいなんですが、まず過去はやってなかったなんていうことを書いていること自身も非常に私は不思議に思うんですが、現実にやっている会社ですからね。P3Cに関しと書いてあるからあなた方逃げたかしれませんが、私がきょう質問したい趣旨は、あと十分ぐらいしかありませんから簡単に言いますが、それじゃ長官ね、要するにこの誓約書というのは今度のP3Cに関していわゆる賄賂商法やら、こういうようなのは一切しない、値段についても原価をどうのこうのとかいろいろ細かいことまで誓約をさしています。過去にも悪いことはしていないと、こういうように誓約しています。もう一回装備局長にお伺いしますが、もしこのロッキード社がそういうことをしたということが明らかになったらどうなるのですか。   〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
  190. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) この誓約書にあります罰則規定、すなわち解約とかあるいはそれに見合う金額の徴収ということが適用できるということになっております。
  191. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 さあ、そこで問題です。長官、もしロッキード社がこの誓約書に違反したら、要するにこの契約を解約すると、買うのをやめるというわけだ。そこで大臣ね、契約を解約して困るのはどこですか、ロッキード社は全然困りませんね。困るのは防衛庁じゃないですか。こんな誓約書なんかさしたって、紙切れ何にもなりませんね、大臣。なぜかなら、先ほど私が一番先に質問しましたように、防衛庁はもうP3Cしかないと言うんだ。ベストじゃなくてベターもないかとこう聞いているのです。ベターもないと言うんだな。ベターもなくてP3Cしかないと言う。それならもしロッキードが悪いことをして、解約せにゃいかぬということになって、困るのはどこかというとロッキードは全然困らないで、防衛庁が困るわけだ。それまでやってきた努力、契約の手続、日本の対潜能力はがたっと落ちる。困るのは防衛庁じゃないですか、長官。困るのは防衛庁であるようなこんな誓約書を書いたって何にもならないじゃないですか、これ、実際問題。現実にあなた方は、過去やってないと言うてね、自主的に書いたんと違うんやね、この誓約書は。自主的に書いたんかと思ってようく読んでみたら、違うね。「我々は貴官の要請に従い」書いたと書いてある。自分からやってないとはまるつきし書いてない。逆に言えば、こんな誓約書なんて、長官、本当に意味がない。そういう意味からいきますと、これは大変なことですよ、実際問題。これだけロッキード事件を引き起こしてきて――少なくともP3Cでは具体的にその犯罪容疑は出てこなかったかもわからない、そのとおりかもわからないが、しかし、現実の面では、あのトライスターにしたって何にしたって、現実にあれだけ出ている。児玉にもあれだけお金が渡っている。しかも、そういうふうなさなかに、P3Cの販売についてのいわゆる手数料や、あるいは丸紅の契約の中のコンペンセーションや、全部出てきている。まるっきし関係がないとは言えないわけだ、これは。  そういうふうに考えてみますと、結局は困るのは防衛庁じゃないか。いまははっきりしてませんね。後でP3Cについて何らかの問題が出てきたら、一体これはどうなるのか。困るのは防衛庁じゃないか。防衛庁だけ困るんじゃない。国民の税金を使っていろんなことをしているわけですから、困るわけですよ。しかも、この誓約書は、自主的に書いたなんて一言も言っていない。あなたの方から、装備局長から要請をされたからこれを書くと、あなたの要請に従いと書いてある。以下のことを約束する、こういうふうなことでは、私はどうしようもない。大臣ね、そういうような意味では、これは、P3Cを選定したこと、あるいはこの誓約書の中身、実際問題で困るのは一体どこなのか。いまP3Cを決定した防衛庁が、P3Cでなけりゃ絶対いかぬと言ってここでがんばるのはわかりますよ。がんばるのはわかりますが、しかし、本当にP3Cがだめということになったら――機能的にはいいかもわからない。ベストじゃなくてベター、もう一つ次の次善ということがあるわけだ、実際問題。次善はないのかと、どうなんだといろんなことをさっき聞いても、やっぱりP3Cです、P3Cです、もうそれしかと現実に言っているわけです。こういうふうな防衛庁の幹部のいわゆる硬直した姿勢ですね、これはやっぱり私は問題があると。そうじゃなくて、そういういろんな角度から検討をして、あらゆる場合を想定して、これがだめならこれでいこうかということぐらいの何らかの姿勢がないと、問題を将来に及ぼす、また、ここで答弁していることもどんどん変わらざるを得ないということになってしまう。したがって、私は、同僚議員も質問しますので、これ以上やりませんけれども、これは本当に私は、たった一つの問題を取り上げてもこれだけ問題が出てくる、重大な問題だと思うんですよ、大臣どうですか。
  192. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) いま大事な点についての御質問でございます。私どもが、第一は、問題を起こしたロッキード社生産でございまするP3Cを買わずに、他で賄える対潜機はないのかということをまず検討したことは事実でございます。したがいまして、先ほども審議官が申しましたように、各種の機種について検討も再度加えたことも事実でございますが、そういうことでまいりましたが、やはり最優秀機はP3Cであるという結論に達しました。そこで、いまの証拠書類、要するに、いままで起こしましたいろいろな事件につきましては、その事件一つ一つを詰めながら、それに対する証拠になる書類をまず出さしておるわけでございますが、そういう点をはっきりさせ、それから先は、今後の問題につきましては、絶対に再発をさせないという立場でいろいろな誓約をさしたわけでございます。こちらからいろいろ検討して、その検討さしたものを要請をいたしましたので、向こうは要請を受けてという字句になっておると思いまするけれども、それだけ責任を持たせる一つの詰めの処置をいたしたわけでございます。しかし、それでもなおかつ信頼できないかというようなことになりますれば、いま先生指摘のような、結局そこで最後の詰めとしては、解約もする、あるいは金の徴収もするぞ、おれの方では一切の金銭的な負担はしないぞというような点を、また契約書に入れさしたりいたしました。  しかし、先生指摘のように、その約束を履行しないということもあり得るではないかという御指摘でございます。そういうときには、私は、そういうことのないように、いろいろこちらからも調査させる職員の調査グループもつくって、その都度都度それの点検、調査をさせる処置も考えておるわけでございまするが、しかし、最悪の事態も考えておかねばならぬぞということでございまするが、そういう最悪の事態が出たときには、そのときの事態に応じて私どもが――責任は私どもにあるわけでございまするから、国民に申しわけない事態をつくってはならないということでまずまいりまするけれども、そういう事態に逢着した場合どうだと言われますれば、その時点に立って対処する以外にないという決意でおるわけでございますけれども、十分御注意のほどは受けとめてまいりたいと思いまするが、絶対に再発をさせないところで諸般の処置を講じてまいりたいということで現在時点ではおるわけでございます。
  193. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 あのね、最後のところ、ちょっとその解釈が違う。やっぱり困るのは、実際問題として、ロッキード社より防衛庁の方が困るんでしょうと言うておるんです。幾ら相手をとっちめたって、どうしようもない。悪いことをしたんだから、とっちめられるのがあたりまえなんだ、そういうことが出てくれば。ですから、実際に困るのは防衛庁であると。こんな誓約書は、そういうふうな意味では余り用をなさないということになってくるわけですよね。長官。これは重要な問題ですよ、やっぱり。  それから、法務省来ていますか。ちょっと一言だけお伺いしておきますけれども法務省の方は、いわゆるこのロッキード問題についてのP3Cに関する結論は、正式に――正式にですよ、出たんですか、もう。
  194. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お答えいたします。  本年三月の法務大臣報告におきまして、PXLの選定をめぐる問題につきましては一切の犯罪の容疑を認めるに至る証拠はなかったということを国会に対して御報告しておりまして、その後いかなる情勢の変化もない、変化があったという報告は受けておりませんので、なおその状態はいま現在維持されておると、かように理解しております。
  195. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはね、その報告はわかっているんですよ。その報告の中で出てくるそれは、P3Cに関してはロッキード社は要するにその時点で出てなかったということで、要するに、このP3Cに関してはすべてシロであったという証明にそれがなるんですか。
  196. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お答えいたします。長い将来のことはわかりませんが、いま現在は、先ほど私がお答えいたしましたとおり、PXLの選定問題につきましては刑事上の疑惑はなかったと、こういうふうな理解でおります。
  197. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはその時点のことで、これから先裁判の進展状態によっては、わからないわけですね。
  198. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 現在東京地裁において行われておりますロッキード裁判検察側の立証すべき事項につきましては、すでに国会等にも提出いたしました検察官の冒頭陳述要旨ということに盛られておる事実、この事実を証拠によって立証していくということでございます。したがいまして、この事実につきまして今後の公判が闘われるということなので、このPXLの問題につきまして、これ以上の事実をいま現在検察側が持っているということはございません。
  199. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、要するに、犯罪上のいわゆる容疑はなかったということですね。そういうことですね。
  200. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 疑惑という言葉がかなりあいまいでございまして、言葉自体かなり疑惑があるという気がいたしますが、そのことはさておきまして、私考えまするに、やはり先生いまおっしゃったとおりでございます。
  201. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、これは、きょうは私、あと同僚委員がやらなければいけませんので……。これは大臣、こういうように一つ一つやっていきますと、これはやはりこれからきちっと解明しなければいけない問題がずいぶんあります。いずれにしても、この時点でP3Cを決定したということについてはやはりいろんな問題がある。したがって、今後の問題については追ってまたやりたいとは思うんですけれども、この問題がまたこのままでP3Cを購入するということになると、やはりもうちょっといろんな歯どめが必要じゃないか。そのことも次の機会にやりたいと思っています。とりあえず私の質問、これで終わります。
  202. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 P3C関係について、防衛庁長官、まずあなたにお伺いをいたしますが、防衛庁長官としての国際政治の分析、アメリカやソ連、そういうことを中心として、あなたの考え方を教えていただきたいと思います。
  203. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 余りに御質問の課題が大きな問題でございますが、しかし、私は、米ソを中心にする軍事面における国際情勢という点のお尋ねであろうと思いまするので、そういう面から申し上げさしていただきたいと思うのでございます。  私は、いま防衛庁で防衛白書にも情勢分析をいたしておりまするように、世界は共存と抗争の二律背反した体制の中にあるのではないか、こう思うのでございます。この巨大な核兵器を持ちます米ソが中心になって、そうした世界において二極編成をいたしておるという見方をいたしておるのでございます。世界の各国は、そういう中で単独で国の安全保障というようなものをなし遂げることが非常に至難なものですから、この二大極を中心にして集団安全保障体制が形成されて、それによって世界の平和が保たれておるというような見方をいたしておるのでございます。  そこで、二極の考え方というのは、そうした一面においては核兵力、それに加うるに通常兵器あたりの拡充をいたしておるのでございまするけれども、しかし、核戦争を回避いたしたい、戦争を回避いたしたいという努力も一面においては払っておるわけでございます。そういう点において、私は世界の平和が持続されておるというような見方をいたしておるのでございます。特にアジア周辺におきましては、この二大勢力に加えますに一極を形成する中華人民共和国の存在がある。これらの関係、米ソの関係、中ソの関係あるいは米中の関係、それらの三極がここでお互いに、いま申し上げまするような平和への努力、また軍備への警戒、そうしたものの国際情勢というものがアジアの安定を結果的にはもたらしておるというような見方をいたしておるのでございます。  きわめて抽象的なお答えでございましたが、そういう判断に立っておるのでございます。したがいまして、いますぐアジアあるいは世界において大きな戦争というようなものが招来されるとは思いません。特にアジアにおいても同様、そうした小さな衝突というものはありましても、大きな戦争が惹起する、あるいは核戦争につながるような状態にはならないというような判断をいたしておるのでございます。
  204. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いま長官の軍事面の分析等をお伺いしたわけでございますが、私もこの二年間、アメリカの首脳、中国の首脳とは軍事面を中心とする国際政治の分析はお伺いをしましたので、いまは披瀝をいたしませんけれども、まず長官の姿勢を伺ったわけでございますが、第二点目は、防衛庁の方にお願いしますけれどもアメリカとソ連の潜水艦の実態、これについてお伺いしたいと思います。
  205. 上野隆史

    説明員(上野隆史君) お答え申し上げます。  アメリカから申し上げます。現在、原子力潜水艦、在来型潜水艦合わせまして百十六隻、ソ連につきましては、同じく両方合わせまして三百二十二、その内訳を申し上げますと、アメリカは、原子力潜水艦は百六隻、在来型が十隻、それからソ連は、原子力潜水艦が百四十二、在来型が百八十というふうに承知いたしております。
  206. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 そうすると、さっきから話題になっております防衛庁のデータとは少し違ってきているわけですね。
  207. 上野隆史

    説明員(上野隆史君) 先ほどのデータとおっしゃいますのがよくわかりませんが、「防衛アンテナ」でございますか――ただいま申し上げましたのは最新の諸資料等に基づくものでございます。多少違っております。
  208. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 次にお伺いしたいわけですけれども、限定をいたしますが、日本海における外国潜水艦、それの配置の把握をどこまでされていらっしゃるか。特にソ連と米国、これを中心に分析をしてください。   〔理事平井卓志君退席、理事佐藤信二君着席〕
  209. 上野隆史

    説明員(上野隆史君) ソ連の太平洋艦隊は百二十五隻の潜水艦を持っておると言われております。そのうち原子力潜水艦は五十隻でございます。それからアメリカは第七艦隊に五隻、そのうち原子力潜水艦は三隻以上と言われております。ただ、日本海への配備状況につきましては、ソ連、アメリカあるいは他国も含めまして必ずしも明らかではございません。これは御承知のとおり、潜水艦の水にもぐって行動するという特性に基づくものでございます。
  210. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ここで問題になりますのは、先ほども峯山議員からも質問がございましたが、P3Cをなぜ日本が必要であるか。長官、この問題については私も米国で話をしていますし、いろんな状態を見ておりまして、日本海における、いわゆる一口に申し上げますと、ソ連の潜水艦に対してどうしたらいいんだろうかというふうな形のものがどうしても、におってくるわけです。ですから、そういう意味で、いま日本海における外国潜水艦の配置というものを伺っておりましても、非常に明確におっしゃっておられないわけでございますが、まあ、こういう関係性をもっと素直に話をしていただかないと、やはり質問もこれまた硬直してくるわけなんですけれども。  もう一度お伺いいたしますけれども、これ、長官にお伺いしますが、いま峯山さんから質問がありましたように、なぜ日本が――いまあなたはいろんな世界の情勢の分析をされました。しかし、抑止力のいろんな関係の中で戦争はないというふうな形の話もいまあるわけです。そういう中で、児玉譽士夫ロッキードという、国民から見て本当にやり切れないような状態の中で、いまだに裁判で決着も出ていない。先ほどのお話のように、児玉譽士夫も体が悪いと言って、国民の前に、本当に国会の中にも出ておらないという現況の中でこういうものが進められているわけですから、やはりもっとはっきり話をしていただかないと困ると思うんですね。長官、P3C、これの警戒敵国、はっきり言っていただきたいと思うんです。
  211. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 対潜機について仮想敵国というか、警戒敵国を言えということでございますが、この点につきましては、わが国の国防の基本姿勢の第一項にございますように、わが国は自国の平和と独立を守り、国の安全を保つということが防衛のまず大前提になっております。そのためには、第一やるべきことは善隣友好の態勢をつくっていくということでございます。それをあくまでも前提にして国防力の充実もやらねばならぬわけでございまするが、しかし、このアジアにおける列国の軍備状況というようなものは絶えず私どもは注視せなきゃなりません。特に無資源国のわが国といたしましては、資源を南方の方からと太平洋を通じて入手をするというようなのが現在の状態の中にあるわけでございます。潜水艦の機能というのは、第一には、そうした一般商船等を襲撃をするという一つの機能を持っておる。その他艦船の攻撃をやるわけでございまするが、そうした点を考えてまいりますれば、日本としてやはり憲法に許された、そして専守防衛という立場から、四面海に面しまする日本としてやはり許される範囲の国力、国情に応じた対潜水艦態勢というものを持っておかなければならぬという立場でございます。現在百二十機の対潜機を持っておるわけでございまするけれども、それを大型化して八十機ぐらいはやはり保持していきたい、それによって周辺海域の防衛に当たりたいという立場から、P3Cがその対潜機としては最優秀であるということで対潜機の必要性を痛感をいたしておるのでございます。しかし、これも、いま申し上げましたように、耐用命数あるいは減粍の状態等がございまするので、やはりことしから調達に着手をいたしまして、四年なり五年後には十機ぐらいのものは確保いたさねばならぬというような計画のもとに進んでおるのが現在の対潜機に対する私どもの整備計画であるわけでございます。
  212. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 じゃ、次に移りますが、七月の二十七日に米国の国防長官ブラウン氏が来日をしたわけですが、防衛長官と他にどのような方々が御一緒に会われたのでしょうか、もしよろしかったら、会談の内容ともお伺いをしたいと思います。
  213. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。  まず第一の質問の事項でございますが、私と政務次官、事務次官、統幕議長、それに防衛局長がこの会談にメンバーとして列席をいたしたのでございます。  会談の内容といたしましては、第十回の米韓の安全保障の委員会の帰途でございます。その委員会におきまする主要協議のテーマは、御承知のように、在韓米軍の撤退に関する協議でございましたので、それは米韓において声明をいたしましたので、その内容先生すでに御承知のとおりだと思うのでございます。これらを中心にして、まず米側から、こういう会談の内容であったということが説明がなされたのでございます。それに対してわが方から、まず具体的には、これによって在日米軍の配置なりあるいはそうした兵力移動というようなものが考えられておるかどうかというような点をまず尋ねたのでございまするが、これに対しましては、在日米軍の配置、兵力等については、現状のままで、これを強化したり、撤退したりするようなことはないというようなお話がありました。なお、次には、撤退に臨んで、在韓米軍における韓国との関係等で、その指揮系統なりはとうなるのかというような質問をしたのに対しまして、これに対しましては、米軍が合同司令部をつくろうと企図しておる、その司令官は米国で米軍から出すということだけは決めたが、どういうような合同司令部というようなものが機構になり、編成になるかということについては今後にかかっておるというようなことをお話ししたのでございました。   〔理事佐藤信二君退席、理事平井卓志君着席〕  もう一点何かあったようでございますけれども――それから一九七八年の末、この六千人の撤退を敢行するが、その後の計画等はどうだということを尋ねましたところ、これから先具体的に詰めていかねばならぬというようなことでございました。そういう意見の交換をいたしたのでございます。
  214. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 八月五日の新聞報道によりますと、ブラウン長官の伝達として、米国が日本に防衛協力を求む、こういうことで対日五項目というので、一つは対潜能力の向上について、二番目には防空能力の向上、三番目は補給態勢の充実、四番は、いまお話がございましたように、対韓の経済協力、五番目は防衛費の分担、この五項目について要請をしてきたことを明らかにされたと、こういうふうになっているわけですが、この真意、これを防衛長官にお尋ねしたいと思います。
  215. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 先ほど申し上げましたのが会談の内容でございます。当時、いま御指摘の対潜能力、あるいは防空能力、あるいは後方支援態勢、あるいは防衛費の分担等々のことが話されたであろうというような記事が出たことも承知をいたしておりまするけれども、そうした具体的な問題を要請は受けておりません。わが国の防衛は、御承知のように、昨年設定いたしました防衛計画大綱に基づいて、逐年、内外の情勢なり、国力、国情に応じた情勢で質的な整備を果たしていくというようなことでございまして、具体的に米国から要請を受けるというような事態はございませんでした。意見の交換は、先ほど申しましたように、在韓米地上軍の撤退に基づきます諸般の問題を中心にして論議を進めたことでございます。
  216. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 五項目のうち、対韓経済協力、これはまあ撤退を含んでお話がありましたからわかりました。あとの四項目ですね、重ねて、しつこいようでございますが、他の、私がいま申し上げた四項目、これも新聞報道に出ているんですから、もう間違いないと思うんですが、具体的な項目ではこの五項目というのは出たわけですね。
  217. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) はっきり申し上げますが、具体的にそういうものは出ておりません。ただ、米国の議会報告等にいろいろな問題が論議されておることは私も承知をいたしておりまするけれども、具体的にそうした要請は出ておりません。
  218. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 先般私もアメリカへ参りましたときに軍事専門家とお話をいたしますと、米ソのこの軍事問題で、特に潜水艦、日本海におけるソ連海軍が充実をしている、そういうことで、日本の対潜能力というか、そういうふうな非常に要望的な話というものが、大学に行っても、国防省に行きましても、いろんなところで話題になっておりましたけれども、こういう問題はブラウン長官がお見えになったときには出なかったわけですね。その点。
  219. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) ブラウン長官の参りました主目的は、あくまでも在韓米軍の撤退に対して日本の意見を聞くという主題のもとに会談が行われたわけでございます。そういうことでございまするので、具体的に日本の防衛整備についてのいろいろなそういう御意見を、話し合うというようなことはいたしておりません。
  220. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 長官、ブラウン長官の伝達ということで新聞に相当大きく報道されているわけですね。これはきょうは時間がございませんからあれですが、まず、長官の会談ではこういうふうな話は出なかったということですが、これは総理に対する要請も含めまして、または事務レベル等の会談もあったと私は思うんですけれども、そういうような会談等を含めて、在韓米軍の撤退ということが中心で話が出たわけですね。それはわかります。そうしますと、そのときに、在韓米軍が撤退するわけですから、それに伴ういろいろな問題が出てくるわけですね。そのいろいろな問題の中に、これはやはり当然私は――前々からこれは、対潜能力の向上なんていうことは、何も在韓米軍が撤退するからどうのこうのというよりも、それ以前の問題として前々から米軍から要望がございましたね、もともと。何回かこういう問題についての発言があります、現実の問題として。それからそのほかの一つ一つの問題について、これは当然私は、こういう項目がきちっと整理されて報道されているということは、それなりに何らかの話がどこかにあったんじゃないかと、そういうふうに思うんですが、その点は、どこでも全くなかったのかどうか。ということは、逆に言えば、この新聞の報道は全く間違いであるのかどうかということになるわけですがね。その点をあわせてお伺いをしておきたい。
  221. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 繰り返して申し上げるわけでございますが、アメリカにおいて、いま申されましたような日本に期待するものとして、対潜能力あるいは対空能力あるいは後方支援態勢とか、いろいろな意見のあることは御承知のとおりでございます。そのことは常にアメリカでそういう意見があるということでございますが、しかし、アメリカの国防省なりとわれわれとの会談あるいは外務省との会談あたりにおきましては、これこれのことを日本に要請するというようなことはいたしません。これは、国防省にいたしましても、防衛庁にいたしましても、そういうような国の問題について責任ある防衛を担当する国防省あたりが具体的にこういうことを要請するというような形で進むというようなことはいまだかつてございません。したがいまして、諸般の情勢を判断されてそういうことが出たのであろうということで整理をされたものだと思うのでございます。そのときはやはり中心は、何しろ一時間四十分ぐらいの会談でございまするので、相手側から米韓の合同委員会説明を聞くだけでも、通訳入りでございますので、相当な時間がかかりまするので、そうして、私どもから三項目について質疑をいたしたりいたしておりまするので、そう具体的なそういう問題について要請を受けるというような会談の内容ではないわけでございます。御了承願いたいと思うのでございます。
  222. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、そういうふうなことは、その大臣の答弁の前段にありましたね、いわゆる常識であるというふうな話がいまあったわけですが、大臣がいま一つ一つおっしゃる後方支援補給の問題とか等々とおっしゃっておりますが、そういうような一つ一つについては、もう大臣の口からも非常によく整理されて口から順番に出てくるわけですね、やっぱり。たとえば対潜能力、防空能力ということから始まって、この一つ一つは結局そういうようなものは言わずもがなのことなのか、ぱっと顔を見たら、かねがねこれだけのことを向こうは要望しているのだな、それに対してなるほどと、これは要するに、こういう問題は、あれなんですか、そういうふうな防衛関係の専門家の仲間ではいわゆる常識的なことなんですか。かつ、防衛費のGNPに占める割合についてもかねがねから問題になっていることなんですが、防衛費の分担というところではやっぱり問題になってくると私は思うんですが、そういう問題も含めて、時間がございませんからこれで終わっておきますが、そこら辺のところについては、やはりそういうふうに向こうから正式な要請はないけれども、いろいろな話の端々にちらちら出てきて、それでこういうことになったということなのか、そこら辺のところは一遍ちょっとお伺いしておきたい。
  223. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) この点につきましては、わが方の防衛計画大綱の中にぴしっと明示しておることなんです。防衛力整備につきましては、私どもといたしましては、防空能力の要するに質の向上、対潜能力に対しまする質の向上、それから後方支援態勢あるいは補給問題というようなものは、もう防衛計画大綱の中にぴしっと当面してやらねばならぬという計画の中にあることでございます。私が防衛を申し上げる場合はこの計画の線から外れては申し上げられないほど、実は私どもの防衛力整備についての責任を感じておる立場としては、当然整理をして申し上げねばならぬ立場にあるわけでございます。  それから、アメリカであることは、もうアメリカの報道等で何回も御承知でございますが、いまのような問題が国会の報告書の中に出てまいりましたりいたしますので、先生も御了承のとおりと思います。それにGNP論が出たり、アジア離れが出たりいたしておるのは、アメリカの議会等におきましては、特にそういう論議が、私が上下院の委員長あたりに会いますると、すぐ出てくる問題でございまするので、私どもの方から一つ一つについて、それはこうでございます、というようなことを解説申し上げて理解を受けるというようなことをいたすわけでございまするので、私どもが申し上げる場合には、そういうことで、すでに防衛庁の整備計画のこれが中心でございますということで申し上げておるところでございます。
  224. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 時間が参りましたので後日へ譲りたいと思います。関係省庁の御出席いただいておりまして、時間の関係で質問できませんので、その点よろしくお願いいたします。
  225. 橋本敦

    ○橋本敦君 まず、法務省にお伺いをしたいと思うのですが、その問題は、いまロッキード公判証拠調べ上重大な問題となっております、いわゆる嘱託尋問調書の証拠能力の問題であります。これについて弁護側は証拠能力がないと争い、検察庁証拠能力があるという御主張をなさっていることは新聞でも明らかになっておりますが、いま国民が心配しておりますのは、せっかく検察庁が入手をされた嘱託尋問調書の証拠能力がないと仮に裁判所判断されれば、検察庁の立証の根幹が崩れて無罪という結果になって、ロッキード疑獄がまたまたあいまいになるのではないか、こういう心配をしておるわけであります。そこで、この問題については、かねて検察庁としては、コーチャン、クラッターその他にイミュニティー、つまり免責を与える問題を含めて、証拠能力の問題は十分検討された上であの手続をおとりになったと思うのですが、この点についての見通しを検察庁としてはどのようにお持ちになっていらっしゃるか、まずお伺いさしていただきたいと思います。
  226. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お答えいたします。  ただいま御指摘のとおり、検察官といたしましては、コーチャン証言等の証人尋問調書の証拠申請をしておる段階でございますが、これに対しまして弁護側からいろいろな法律問題が提起されております。大変むずかしい問題もございまして、これからお互いに問題点を出し合って、法廷で議論をしていくという段階でございますので、この段階におきまして、私から明確なことを申し上げることはできないわけでございますが、いずれにいたしましても、検察官としては、この証言調書が一〇〇%採用されるという確信のもとに法廷を進行させているというふうに考えております。
  227. 橋本敦

    ○橋本敦君 検察庁の確信と見通しということはそれなりにそのとおりでしょうが、この問題について嘱託尋問調書の証拠調べ請求ということとの関係ですが、思い切ってコーチャン、クラッター、エリオット、こういう人たちを証人として日本裁判所に来てもらって証言をしてもらうという方法も、これも検討の視野に入っておりますのかどうか、この点はいかがですか。
  228. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 証拠申請をするに当たりまして、その点も十分に検討をしたというふうに聞いておりますが、しかし従来のいろいろないきさつ、経過等を考えますと、やはりとうてい出頭には応じないという前提で考えているということでございます。
  229. 橋本敦

    ○橋本敦君 そうすると、その前提としての出頭には応じないだろうということですが、日米司法取り決めでは、裁判所に提出する証拠関係その他では、十分の米側との協力関係ということが基本原則として立てられていますから、必要な場合は――この証拠能力がどうなるかということとも連動するかもしれませんが、必要な場合は、日米司法取り決めに基づいて積極的に米司法省の説得もしくは協力を得るというような方法もあるかと思いますが、その点はいかがですか。
  230. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) いま現在におきましては、いずれにいたしましても、申請中の証人尋問調書、これを採用していただくべく最大の努力を尽くしておるということで、その先のことはまだ考えていないというのが本当のことだろうと思います。
  231. 橋本敦

    ○橋本敦君 それでは、突き詰めて恐縮ですが、検察庁証拠能力が認められることを確信していらっしゃるということですが、成り行きによっては、いま私が申し上げたような直接の証人尋問ということについても努力をするというお考えが検察庁としてはおありになるのか。つまり、日本に来てもらって証人尋問をやるということと、それから裁判所が出張尋問が国内ならできますが、アメリカで出張尋問ということは、これまたアメリカ日本との関係における司法権の問題その他大変な問題がございますね。そういうことがあの司法取り決めの協力関係で可能な射程距離にあるのかどうか、そこらの御見解はいかがですか。
  232. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お答えいたします。  検察内部におきましては、いろいろな問題点を踏まえて、いまの先生指摘の問題も十二分に検討中というふうには聞いておりますが、いずれにいたしましても、いま現在の問題がこの証人尋問調書の採否ということにかかわっておるわけでございますので、その先のことは、まあ極端な言い方をいたしますれば、そのときにというふうな感じで取り組んでおるように聞いております。
  233. 橋本敦

    ○橋本敦君 ところで、防衛庁は、次期対潜哨戒機選定経過についてという文書を公表されて、P3Cについての疑惑その他の関係は一応解消したという立場でP3Cの導入を内定されるところまでいったわけですが、防衛庁がこの経過を発表されるについて法務省としては何らかの相談、協議にあずかったでしょうか。
  234. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) P3Cをめぐりますいわゆるロッキード事件についての疑惑がいかに解明されておるかという点の御相談はいろいろとあずかりましたが、もちろん、そのP3Cの内定ということは法務省のかかわることではございませんので、その点についての御相談は受けておりません。
  235. 橋本敦

    ○橋本敦君 ごもっともな答弁ですが、私がお聞きしたいのはその点なんで、前段の問題で、P3C関係についての解明がいかに進んでおるかということの防衛庁からの協議を受けたということに対して、その点についてはどう返答なさったのでしょうか。
  236. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) この点につきましては、先ほどもお答えいたしたことでございますが、本年三月の国会に対する法務大臣報告におきまして、PXLの問題につきましての報告をしておる、その後の状況の変化がないということを防衛庁当局者にも伝えておるわけでございます。
  237. 橋本敦

    ○橋本敦君 装備局長に伺いますが、いま言ったような法務省側の返答をいただいて、そして、その上で疑惑がないという形でのあの選定経過を公表されたということになりますか。
  238. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 法務省と相談を――いろいろ照会した結果も判断一つでございます。
  239. 橋本敦

    ○橋本敦君 いろいろと照会した結果というのは、いま言ったように現在時点ではP3Cについては犯罪を構成する容疑は認められなかったというその結論をお聞きになった、それ以上詳しいことは聞いていらっしゃらない、こう理解してよろしいわけですか。
  240. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) おおむねそういうことでございますが、それに金品の動きがあったかどうかというようなことも照会いたしました。
  241. 橋本敦

    ○橋本敦君 ところで、その点に関して重ねて伺いたいのですが、冒頭陳述によりますと、これは二十七ページから二十八ページにかけて、御存じのとおり、児玉が福田を通じて対潜哨戒機売り込みの見通しについて説明をすると同時に、情報を提供して分離輸出を認めない旨の決定をしてもらうようにした方がよいと助言したという事実が冒頭陳述書に記載をされているわけですね。この児玉の行為は、児玉とそれからロ社との間のコンサルタント基本契約書、この契約書で言えばどの行為に該当すると法務省はお考えでしょうか。  時間がございませんから私の方から説明いたしますと、六九年一月十五日に調印された基本契約の中で、「三」のところにコンサルタントの行うべき職務がいろいろと書かれてございます。この中で販売領域内での製品の販売に関しての経済的あるいは競争的な諸条件についての情報等の提供、アドバイス、こういったことも含めて、F項ではA項からE項に関連する情報を含め、ロッキード関係報告を提出する、こういうこともあるわけですね。こういう関係で言えば、私はこの基本契約に沿った行為だと見てよいと思いますが、いかがですか。
  242. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) お答えいたします。  契約書自体につきましては、法務省もしくは検察庁の方から公表しているものではございませんので、お許しを得まして冒頭陳述に従いまして御説明、御回答を申し上げたいと思いますが、冒頭陳述書中の、児玉ロッキード社との右契約によって、コンサルタントの義務として、わが国における航空機の販売見込み、市場開拓のため最善の努力を尽くすこと等々のいろいろな表現がございますが、この辺の条項に当てはまる活躍であろうかというふうには現在考えております。
  243. 橋本敦

    ○橋本敦君 私も御答弁のとおりに思うわけです。つまり、冒頭陳述書で指摘された児玉の行為は、コンサルタント基本契約に基づいて、義務を負っている児玉がその義務を履行した行為である、こう見なくちゃならぬ。  そこで、装備局長にお伺いをいたしますが、児玉がこの行為をしたことが、コンサルタント契約のまさに義務履行として児玉がやっておるんだという認識は装備局にありますか。
  244. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 分離リリースなどについてのアドバイスというのは、その契約条項に従ってやっておるものと思っております。
  245. 橋本敦

    ○橋本敦君 だから児玉がP3Cの情報についてこのような提供をした事実ということが基本契約の義務履行だとすれば、この基本契約の当然の報酬としていわゆるコンサルタント料の支払いが行われる、この事実が昭和五十年ごろと検察庁の冒陳では出ておりますが、昭和五十年七月二十九日には二千八百万円、そして五十一年になりますといわゆるブラウンリー社を通じて九万五千ドル、約二千八百万円がコンサルタント料として児玉に入っておる。だから、したがって児玉に支払われたコンサルタント料の中に、児玉がP3Cに関して義務を履行した分についても当然その金の中には含まれていると理解するのがあたりまえだと私は思いますが、装備局長のお考えいかがですか。
  246. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 一般的顧問料に関しては理論的に申しますればそういうことでございます。
  247. 橋本敦

    ○橋本敦君 そういたしますと、いまあたなのお認めのように、これまで児玉に支払われたロ社からのコンサルタント料の中に、P3Cに関する児玉の義務履行についても当然ロ社はそれを含んで支払いをしたということになると、P3Cに関しても児玉にコンサルタント料ということでは少なくとも金が流れておった事実はあなたはいまお認めになった、これは客観的にも認めざるを得ない事実であります。そういたしますと、防衛庁がロ社からお取りになった誓約書の中で、この点については触れられているのかいないのか、どう解釈しておられますか。
  248. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 誓約書の中におきましては、その一般コンサルタント料を払うということは前提にいたしまして、それがどういうぐあいに使われたか、贈賄に使われたか、あるいはP3Cの導入に関して不当な影響力を及ぼすようなことに使われたかということに関しては、きちんと、そういうものに使われておらないということを誓約さしておるわけでございます。
  249. 橋本敦

    ○橋本敦君 つまりP3Cに関する金がコンサルタント料名義で支払われたことは認めるが、そのことについては検察庁はこの誓約書を取り、それは不問に付しておると、こういう意味ですね。問題にしていないわけですね、はっきり答えていただきたい。
  250. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) P3Cの導入に関しては金品の流れというものはなかったと、こういうふうに理解しております。
  251. 橋本敦

    ○橋本敦君 いやいやあったのだ、コンサルタント料で入っている。
  252. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 児玉ロッキード社間にはもちろんございましたわけでございますが、それがその他の部分に流れて不当な影響力を及ぼすというようなふうに金品が流れたということはなかったと、こう理解しております。
  253. 橋本敦

    ○橋本敦君 装備局長に重ねて伺いますが、コンサルタント料名義でロ社の製品売り込みということで、一つはトライスター、一つはP3C、これはもうはっきりしている。P3Cということについてはどれくらいこのコンサルタント料の中に含まれておると、あなたは調査その他をしたのか、判断しておるのか。そしてさらに重大なのは、あなたも御存じの修正契約四号で、七三年七月二十七日付の契約によれば、二十五億円の報酬支払いという問題が出てきている。さらに言われておるように、五千万円が五千六百万円にふくれ上がりますね。これはまさにトライスターの問題がほぼ片づいた後いよいよP3C問題だという時期に該当するとすれば、一体児玉にコンサルタント料名義でP3Cに関する範囲でどれぐらいの金が流れたということになるのか調べなくちゃならない。これは調べましたか。
  254. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 一般コンサルタント料五千万円、後に五千六百万円に修正されておるわけでございますが、このカバーする範囲と申しますのは、トライスターあるいは韓国に対するF104の売り込み、トライスターの売り込みといったようなもの、それとP3Cの売り込みといったようなものが全部渾然一体となって含まれておるわけでございまして、そのうち何%がどれ、何%がどれという正確なものではないと思っております。
  255. 橋本敦

    ○橋本敦君 ないと思っておりますというだけではぐあいが悪いんで、支払う方の意思はコンサルタント契約に基づき、そしてロ社の製品のために児玉が行う義務に対応して六百万円の値上げということも応じていくわけですからね。こういうことも調べないで一般コンサルタント料だからそれは支払ってもいいんだということでいいだろうか。たとえば児玉にP3C関係で十億なら十億、五億なら五億という金がコンサルタント料として流れたとして、その金が防衛庁が導入する今後のP3C価格に積み上げられないという保証はありますか。
  256. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) コンサルタント料がP3Cの価格に上乗せされないという措置はとっております。
  257. 橋本敦

    ○橋本敦君 具体的に、どこに書いてあるの。
  258. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) ロッキード社の申し立てによりますれば、それはトライスターの価格の中で処理されておるという申し立てでございますが、それを裏づけるべき証拠あるいは会計規則といったようなものをいま取り寄せておるところでございます。
  259. 橋本敦

    ○橋本敦君 トライスターに全部上乗せして価格をつり上げるということであっちにやってP3Cには全然乗せてないと、これは大変な私はごまかしの可能性がありますよ。あなたはいまそういう帳簿、書類その他を取り寄せておることになっておると、こう言っておられますが、具体的にいつ要求をして、いつそれが来ることになってるんですか。出たら当委員会に提出をしてください、私どもも検討をしますから。約束してくれますか。本当に上乗せしないということを国会で明らかにする必要がある。
  260. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 正確な日時はいまちょっと失念しておるわけでございますが、二週間ぐらい前だと思いますが、そういう申し渡しをしておりまして、それからつい数日前という記憶でございますが、はなはだ正確な日時を失念して失礼でございますが、その経理担当の専門家という者を呼びまして、再度その点の詳細について問いただしております。一般的にそれがトライスターに上乗せされておるという書類に関しましては御提出したいと思いますが、その帳簿その他につきましては、企業秘密その他もあると思うわけでございまして、そこら辺は考慮さしていただきたいと思います。
  261. 橋本敦

    ○橋本敦君 ロッキードがP3Cに上乗せはしてないという抽象的な回答書を持ってきてもそれは信用できませんよ。たとえば装備局長がロッキード社に対して五十二年八月十日に「次期対潜哨戒機の選定について」ということで文書を送られて、その結果口社からこの誓約書が出てきたわけですね。この装備局長が出された文書誓約といういろんな要求の中に、いま私が指摘をしたコンサルタント料名義で一般的な形をとりながらP3Cに関しても払われた金額が一体どれくらいなのか。いいですか、そしてその金額について上乗せしないというなら、具体的にどうするのかということを追求しているところは一カ所もないんですよ。  防衛庁長官いかがでしょう。児玉と秘密コンサルタント契約を結んだ、黒幕児玉が介在しておったというその疑惑が防衛庁のこの問題に対しても国民的疑惑で大きな問題になっている。P3Cについては金は流れたことはない、流れたことはないと、こう言っておる。賄賂ということで流れた事実は法務省は立件できなかったということではあるが、コンサルタントということで、何年度からP3Cの金が入って、どれくらい入っているのか、入っている事実は装備局長もお認めになったんですし、論理からいって法務省も基本契約に基づく行為ということで見ておられるんです。児玉に一体コンサルタント名義でP3Cに関する金がどれだけ入ったか、国民はこれはやっぱり知るべきじゃありませんか、知りたいと思います。国会もそれを明らかにしたいと思う。その問題を明らかにする必要が私はあると思いますが、長官はいかがお考えでしょうか。
  262. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 御指摘のように、コンサルタント契約に基づきます義務履行というか、業務履行という点において金銭が流れたことは私も承知をいたしておるわけでございます。それがP3Cに関してどれだけ流れたかどうかということは、非常に数字的にこれを挙げるということは困難なことだろうとは思います。思いますけれども、そうしたことを明確にする必要がやはりあるのだという御意見でございますので、いまその点については装備局長が申し上げましたように、その点についても解明できるところまでは詰めていこうということで鋭意努力をいたしておるようでございまするので、私もいま御意見等を拝聴いたしましたので、その点についてはもっと詰めて、成果を得ますれば委員会でまた御報告をさしていただこうと思うのでございます。
  263. 橋本敦

    ○橋本敦君 長官がおっしゃるのは私は正しい姿勢だと思いますね。だから、この問題で不当な賄賂、そういったことで犯罪を構成するような金の動きはなかったというのが一般的な報告ですが、実際にP3Cに関してコンサルタント料名義でかなりの金が児玉に入っているという問題もこれはやっぱり解明をして、そしてその上ですべての解明の一助とすることによって疑惑があった、なかったという判断をすべきなんですね。で、しかも児玉がそのコンサルタント料――P3Cに関するものとして受け取ったその金を児玉が一体どのように使ったかという問題については、事実上これは捜査ができていないと私は思うのです、児玉の病気のために。その点は法務省いかがでしょう。完全な捜査までいっていないんじゃないですか。
  264. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 児玉から先のルートにつきましては、これもやはり中間報告等におきまして触れておりますとおり、可能な限りの努力をいたしまして相当部分の解明を果たしたということでございまして、そのようにわれわれとしても理解しております。
  265. 橋本敦

    ○橋本敦君 相当部分ということですが、完全に解明されていないということはあの文書からもうかがえるし、ずいぶんここで議論をしたことですね、議論をしたことです。だから、私がいまお伺いしたのは、児玉に入った金、トライスターの関係もありP3Cの関係もあるが、その色分けはなかなかむずかしいと思いますが、少なくともP3Cということで入っている金があるわけで、コンサルタント料として。その金が児玉によってどのように使われたかということまでは、これはまだ全面的にこれで全部解明終わったとはっきり断言できるまで捜査はいっていないんじゃないか、まだ児玉病状回復その他によっては調査の必要がある部分があるのではないかと、こう私は思うのですが、その点いかがでしょうかと、こういう質問なんです。
  266. 佐藤道夫

    説明員佐藤道夫君) 今回の事件に関連いたしまして、児玉被告人の手元に流入いたしました金額は何しろ膨大な額でございまして、検察当局といたしましても、被告人の病気というふうな隘路にもかかわらず最大の努力をいたしまして、可能な限り解明したというふうに考えておりまして、さらに捜査を尽くすことによりまして、さらに詳細な解明はできるかどうか、この辺のところにつきましては、私、現在この立場におきまして申し上げることはちょっと困難だと思います。
  267. 橋本敦

    ○橋本敦君 結構ですが、完全に解明し尽くされていないことは客観的に明らかですね。あの報告書を読んでもほぼ解明したということになっております。だから、私は防衛庁長官に申し上げたいんですが、この金が動いた形跡は全然ない、児玉に対する捜査は完結をしたという報告じゃないです、法務省報告はね。だとすると、コンサルタント料名義で児玉のところへ金が入っているわけですから、児玉によってこれがどう使われたかということを防衛庁はこれを正確に把握することによって、犯罪を構成はしないが政治的道義的責任のある関係で使われたことがあるならば、これは国会も防衛庁も解明しなきゃならぬ問題として残っているわけです。この問題についての解明が私はまだし尽くされていないことを指摘するためにいまも問題を提起したんです。こういう状況の中で一切P3Cについて疑惑はもうないと言い切ってよろしいでしょうか。私は言い切れない状況だと見ておるんですが、長官いかがですか。あなたのおっしゃるように、これからまだコンサルタント料の解明もできるだけやるという段階ですね。
  268. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 一切の解明ができる時点というのは、私は公判が終了する時点だと思います。
  269. 橋本敦

    ○橋本敦君 トライスター関係
  270. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) トライスター関係を含めまして、私は終了する時期だと思うのでございます。しかし、この決断をするにつきましては、重ねて申すようでございまするけれども、純防衛上の見地、それから事件内容については、公判が終わるときが終了の時期だと。それから、その経過から見まして、私どもは再度これを起こさないように、そういう過ちを再度繰り返さないようにという対処をいたしておるわけでございまして、そういう三点を配慮しながら、私といたしましては防衛庁で内定をしたというような処置をとったわけでございます。そういうことでこのP3Cの決定をやったということでございまして、いま御指摘のように、すべては解明されておらぬではないかと言われますれば、すべての解明公判が続けられて、これが終わった時点であろうということは、私も受けとめておるわけでございます。
  271. 橋本敦

    ○橋本敦君 そこで、そういたしますと、すべての完全なP3Cに関する政治的道義的、あるいは犯罪にならないが不相当かつ不正な工作、そういったことも含めて、完全な解明がないということは現時点ではやむを得ないこととしてお認めになった上で、高度の防衛上の政治的な判断ということもあって内定されたということですから、私はそういう意味では、これはまさに政治的な重大な論議の問題になってくると思うんですね。完全な解明をやってからでなければしてはならぬというわれわれの考えと、ほぼいまおっしゃったように、この時点では高度の政治的な判断からやれると、防衛上の必要があるという判断、これはもうまさに政治的な問題になってくる。そういう意味で、私は完全な解明ないままにそういう政治的な判断をされたということが、今後どこでどう論議されていくだろうか。長官は、国防会議の議論は大事であるから、昔の国防会議のように、総理が国防会議議長としておっしゃって簡単に決まるんじゃなくして、このP3C問題は、何回も国防会議の議論を経て、国民的コンセンサスあるいは疑惑の解明という問題も含めて、慎重にやりたいという答弁をなさいました。私も記憶しております。で、まず国防会議報告があったわけですが、今後国防会議でどう議論されていくかということになりますと、疑惑の徹底解明よりも、あなたがいまおっしゃった防衛上の必要、政治的判断、これが先行するのではないかと私は不安を持つんです。今後の国防会議の議論にどういう態度でお臨みになろうとするのか、一言御意見を聞きたいのです。
  272. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 私は、みずからの責任の本務は、日本の防衛に対する憂いのない体制を整備していくということが私の本務でございます。しかし、この問題はいまロッキード委員会が設置をされてこれと真剣に取り組んでおられるという国会の場と申しますか、あるいは国民のそうした意思をくんでの国会の活動でございます。なお、司法当局におきましては、公判が続けられておる、そういうような状態も私は見てまいらねばならぬと思うのでございます。そういうような点から、防衛庁としてのそれらの問題に対しまする問題を十分国防会議においてこれを御説明をし、また御意見を承って最終結論を出していただきたい、そういう考え方でおるわけでございます。
  273. 橋本敦

    ○橋本敦君 私は、いま私が明らかにしたように、P3Cに関しても少なくともロ社の金が児玉に黒幕として入っているという事実が明らかになっている現状で、しかも完全な解明がなされていない段階では、この問題を抜きにして採用ということを国防会議が決めるならば、私はまさに国会軽視でもあり国民世論軽視にもなるという考えで、断固としてその点については採用内定を取り消してもらいたいというぐらいに私は思っているわけです。  ここで一つ長官に聞きたいんですが、この装備局長がロ社に対していわゆる誓約書なるものを提出させるということになさったこの文書をアメリカに送られるということについては、これは長官の御了解を得て出されている文書と了解してよろしゅうございますか。
  274. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 文書の内容一々について私は決裁はいたしておりません。しかし、先ほど装備局長からもるる御回答申し上げておったのでございまするが、要するに、事件内容についていろいろこれを検討をし、しかも将来に処して再度こういう事故を再発をいたさせないというような方針のもとにひとつロ社に対して十分な解明をし、徹底をするようにということを指示はいたしましたが、したがってその大要につきましては私も承知をした上で装備局長は出したものと思うのでございます。
  275. 橋本敦

    ○橋本敦君 それでは長官、こういう文書でロ社がこういった誓約書を出してきたということをもってP3Cに関する疑惑を十分晴らし、かつ将来の保証ができたと、これで十分だというように長官自身としていまお考えでしょうか。
  276. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 先ほどからも装備局長が、まだ詰めねばならぬというような点も申し上げておりまするから、完全な詰めであるとは思っておりません。まだ国防会議が再々開かれましょうが、年末までには十分なやはり私どもも詰めをいたさねばならぬなあという受けとめ方をいたしておるのでございます。
  277. 橋本敦

    ○橋本敦君 わかりました。だからしたがって、このロ社の誓約書が来たというだけで国防会議ですぐ通すという条件ではないというお考えであることもわかりました。  そこで、まさにそのとおりなんですが、日本にP3Cを売りたい、売りたいと、こう願っているロ社に対しまして、この文言にあるように、仮にP3Cを選定するためにはあなたの会社が下記の諸点に同意されることがきわめて重要であると考えていますということで相手に送りますと、売りたい方はそれは同意しましょう一同意しなければ買ってもらえないということになるのが常識ですから。そういう点から見ても、いま私が明らかにした事情から見ても、これだけでもって疑惑が晴れた、あるいは将来の保証は大丈夫だというようにお考えになっているとすれば大問題だと思ったので聞いたんですが、そうではないということなので一点はわかりました。  そこで、いつか私はカナダの話を長官にいたしましたが、カナダがロ社のP3Cオーロラを採用するについては、アメリカの国務省を通じてSEC、米司法省、国務省、ここら諸機関に対して、カナダに対するロ社の売り込み行為で、法律上不正というにとどまらず、不穏当かつ不道徳な行為があったと見られる資料があるのかないのか照会をして、アメリカ国務省が、アメリカのそういった諸機関にはそういう資料は一切ないというギャランティーを出していることを話しました。この問題についてそういう手続もとる必要がある、こう私は見ておりますが、その手続を長官としておとりになる御意向はあるでしょうか。
  278. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) カナダ政府がCP140に関しましてそういうノートといいますか、メモランダムをもらっておるということは存じておりますが、カナダ政府の場合には司法共助協定というものがございませんで、何もその判断すべき資料がないということからそういう行為に出たと思うわけでございますが、わが国の場合には司法共助協定がございまして、必要な判断すべき材料というものはわが国の司法当局が持っておるということがございます。したがいまして、私どもといたしましてはみずから判断すればよいわけでございまして、アメリカにそういうことを問い合わせる必要はないと、こういうふうに思っておるわけでございます。
  279. 橋本敦

    ○橋本敦君 そういう答弁をなさると思うから私は初めに法務省にもあなたにも聞いたんですよ、法務省にどのように問い合わせたか。そうすると、アメリカから司法協定で来た資料全部を見せてもらっているわけじゃないですよ。いままでの捜査の大方の経過で犯罪行為を構成するものがなかったということを受けた。大体そうかと言えばそうだとこう言っているし、装備局長自身が、防衛庁自身がSEC資料、司法省資料を見れるわけないですよ。司法協定読んでごらんなさい、あなたの方に見せてよいとなってませんよ。まさに捜査機関と裁判機関に使うだけ。答弁にならぬですよ。司法当局が持っていると、こう言っても、司法当局があなたの方にすべて詳細についてアメリカ側の資料を、P3Cに関する資料こういうものがありますよと提示したわけじゃないですよ。だから必要があると、こう言っている。そういう答弁なさると思うから初めに何を協議したか聞いてありますよ、私は。だから政治的に、いいですか、カナダ政府がやったと同じようにアメリカ側に照会をしなさい、これが照会できないということならおかしいですよ。司法当局が持っているからというなら、見れますか、言ってもらえますか。言えば司法当局は司法共助協定違反になりますよ。防衛庁みずからの責任でやらにゃならぬですよ。長官いかがですか、論点ははっきりしたでしょう。
  280. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 先生おっしゃられるとおり、私どもは一々見せてもらうというわけにはまいらぬわけでございまして、しかし一々個々の具体的な行為というものにつきましては捜査の能力と権限を持っておる司法当局の判断というものに従うのが私どもとしては適当だと、こう考えておるわけでございます。
  281. 橋本敦

    ○橋本敦君 議論がかみ合いませんね。刑事犯罪を構成するかどうかという結論だけについて知らされているだけですよ。P3Cの疑惑は刑事上の犯罪を構成しない部分についても解明する必要があるんですよ。カナダは現にやっているじゃないですか。そういう趣旨のメモランダム、ギャランティーもらっているじゃありませんか。それがとれないというのはおかしいじゃありませんか。長官いかがですか、これから詰めた議論を国防会議でやろうというときに、とれない理由はそんなことでは納得できませんよ。
  282. 間淵直三

    政府委員間淵直三君) 先ほど申し上げましたように、カナダの場合には共助協定がなく、何らの資料もカナダ政府として持ち合わせてはおらないわけでございまして、日本の場合とは事情が違っておると思います。
  283. 橋本敦

    ○橋本敦君 大して違わない。長官いかがですか。私は納得できませんね。
  284. 三原朝雄

    国務大臣(三原朝雄君) 過般の委員会で橋本先生からそうした御要請のあったことは私も承知をいたしております。早速この問題について庁内担当者と相談をいたしたのでございますが、いまのような装備局長の答弁がございました。権威ある司法共助協定がありますので、そこで明確に意思を聞けば国と国との意思は明確であるという立場から、それはそうしたお話もございましたけれども、それでその信頼性は保てられるものと思います、ということでございまするし、私もそうかということでそれに同意をいたしておるところでございます。
  285. 橋本敦

    ○橋本敦君 時間が参りましたから――とても納得できません。この問題は日本政府自身の解明の姿勢にもかかることで、長官がこれから詰めて真相解明のためにやって、しかる後国防会議で何度も議論をして決めるという言葉との関係から言っても私はやるべきだと思います。これをやらないというのは私はおかしいと思うんですが、これは私はまさに政府の政治姿勢として福田総理にもその所信を聞きたいぐらいの大問題に思っておりますが、時間が参りましたので、この点については継続的にまた議論をさしていただいて、長官にも御検討おき願いたいと思います。  なお、国防会議事務局長わざわざ来ていただきまして、時間がなくなって申しわけございませんが、お許しいただきたいと思います。
  286. 三治重信

    ○三治重信君 時間が大変遅くなりましたので、法務省関係についてちょっと二、三御質問して終了したいと思います。  昨年の三木内閣の末期にこのロッキード事件再発防止ということについて大体の対策について閣議決定が行われ、今日約一年にもなろうとしておるわけですが、法務当局としてこれら犯罪捜査あるいは犯罪の防止と、こういう問題についてこの一年の間どのような研究討議が行われ、また問題点をいまどのように整理をして具体的にこの作業が進んでいるか、それについてひとつ御答弁をお願いします。
  287. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) お尋ね再発防止関係でございますので、その所管をしております総務課長の私からお答えさせていただきます。  この御指摘のとき以来法務当局といたしましては、具体的には二つの事柄について鋭意推進してまいったつもりでございます。その一つは、本年の四月二十六日に第八十回国会へ提出いたしました、収賄罪の法定刑の引き上げを中心といたします刑法の一部を改正する法律案を国会へ御提出いたしましてその法案の御審議をお願いしているところでございます。もう一つにつきましては、逃亡犯罪人引渡条約、特に日米逃亡犯罪人引渡条約でございますが、この日米逃亡犯罪人引渡条約によりますと、贈収賄等の罪種につきましては、現在は引き渡しはできないことになっておるのでございます。罪種が狭いわけでございます。そこで、その引き渡し犯罪の罪種の拡大を中心といたします日米逃亡犯罪人引渡条約の改正ということを鋭意作業を進めておりまして、これはもちろん条約でございますから外務省が主管でございますが、外務省に協力しているという立場でございますが、ことしの七月にも第二回目の会談を開きまして、これはワシントンで行ったわけでございますが、法務省の者も外務省の方と一緒に参りまして内容について詰めを行いまして、現在大筋について合意に達しておるわけでございます。なお、このほかに閣議で了解されましたロッキード再発防止の諸般の点、たとえば公民権停止の問題とか、あるいは許認可事項の整理とか、その他諸般の事項が指摘されておりますが、そういうようなことについては、各省庁におきまして鋭意検討されておるものと私どもは考えておるわけでございます。
  288. 三治重信

    ○三治重信君 いまのお話の第二点目の犯罪人の引渡条約の改正、これは非常に時宜を得た対策で進んでおられると思うのですが、またいまこのハイジャック問題で緊急に処置をされて、こういう国際間の犯罪の取り扱いにもなるかと思いますが、またさらには最近アメリカの議員の買収問題で韓国の人をアメリカ調査しようとすると、なかなか米韓うまくいかぬというような情報が行われておるわけですが、そういうふうな問題はいまハイジャックの犯人の取り調べまたは引き渡しの問題とか、米議会をめぐる韓国の買収容疑についての調査の問題とか、こういうような問題が最近メジロ押しになっているわけですが、いま、日米間の犯罪人の引き渡しの罪種の拡大と、これは二国間なんですが、こういうのはとりあえずはアメリカだけであって、今後国際的な犯罪、こういうようなものが考えられる場合に、国際的な捜査とか、司法共助の体制、こういう問題の展望は、または全般的な基本的な問題については、国際間にもどういうふうに進んでいるのか、また法務省としてどのように考えられておられるか。
  289. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) まず、逃亡犯罪人引渡条約の関係でございますけれども、これにつきましては、さしあたり日米間の明治十九年に締結されました引渡条約がいかにも古くて、罪種につきましても時代の要請に即応しないということで、鋭意、条約の改定作業を外務省に協力してやっておるということでございまして、近く妥結されるものと私どもは強く期待しておるところでございます。  それでは、ほかの国との関係はどうするのかということでございますが、私どもとしてはこれについて前向きに、いわゆる前向きに検討したいと思っております。しかしながら、米国のように、その法制がかなり近代的で、わが国から見ても合理性があるという、やはりそういう国と引渡条約を結ぶことができるというのが一つの原則でございまして、やはりそういうその国の法制とか司法制度とか、そういうものを十分勘案して、わが国との間で相互に引き渡しすることができると、そういう国とまず締結を考えていくということが必要かと思います。この点についてはさらに将来の問題として検討してまいりたいと思います。  さらに司法共助あるいは捜査共助というものが実際にどういうふうに行われているかというお尋ねでございますけれども、これはロッキード事件以前のことでございますが、わが国といわゆる司法共助に関する口上書を交換している国としましては現在、スリランカ、クウェート、イタリア、スイス、イランの五ヵ国がございます。これは民事、刑事に関する書類の送達及び証拠調べについて相互に共助を行うという口上書の交換でございます。こういうことをさらに拡大していくと、あるいは捜査共助も拡大していく――捜査共助は先ほどお話が出ました、昨年日米との間に行われましたロッキードに関するいわゆる司法取り決めがその典型的なものでございますけれども、必要なものにつきましては個別にそういうことを検討するという態度でございます。で、司法共助、捜査共助の推進というのは、ただいま御指摘のハイジャックや何かの問題についても非常に重要だと考えておりますので、私どもといたしましては、現在国連で討議されております腐敗行為の防止に関する経済社会理事会の関係委員会で、そういうこともひとつ取り上げられておりますので、ぜひそういう多数国の間で司法共助、捜査共助について腐敗行為の防止に関して情報を交換すると同時に、そのような共助も不正の事件があった場合には捜査共助、司法共助を行うと、そういうことを推進してまいりたい、積極的にその点についてわが国としても賛成してまいりたいと、こういう考えでおるわけでございます。
  290. 三治重信

    ○三治重信君 そういう問題が非常に新しく出てきておるわけですが、さらにこの第一点に、先ほど述べられたいわゆる収賄罪の改正の問題、こういうものが緊急的に提案されている、こういうことですが、さらにこういう国際的なロッキード事件のような犯罪やいろいろの情勢を見ますというと、明治四十年の刑法というものはやはり犯罪の法律としては非常に古くなり過ぎて全面的な改正というものも必要じゃないかと、こう思うわけなんですが、こういう全般的な新しい情勢に応ずるこういう基本的な刑法の改正ということについては、法務省としてはどういうふうに考えるか。
  291. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) 法務省といたしましては、この刑法全面改正を早期に図る必要があるというふうに考えております。そして、このようにいろいろな事件――明治時代にはとても予想されなかったような各種の犯罪の態様が出てきております。それではやはり現行刑法では必ずしも適応できない面があるわけでございますので、これらの時代の推移を見まして適切な刑罰の基本法典を制定する時期にきているというふうに考えておるわけでございます。ただこの点につきましては、御承知のように昭和四十九年の五月に法制審議会から刑法全面改正を図る必要があるという答申をいただきまして、以来、いろいろな御批判、御意見がありまして、さらに五十一年の六月だったと思いますが、に中間検討結果というのを世に問いまして、法務省としては現在それらに対する世論等の意向もつぶさに検討しながら立法作業を行っておる、法務省案をつくるべく極力努力しているところでございますが、最近、衆議院法務委員会におきましても、これらのこの法務省の現在答申を法制審議会から受けました案につきまして、その取り扱いについていろいろ御意見もあったようでございます。私どもといたしましてはそれらの国会の推移も十分見きわめながら、私どもとしてはできるだけ早く刑法全面改正を実現したいというふうに考えておるわけでございます。
  292. 三治重信

    ○三治重信君 それから先ほどの日米の犯罪人引渡条約の改正が非常に有望で近く合意に達し、それが改正される、こういうふうなことのようですが、それはやはりロッキード事件再発防止とか、こういうような国際間の犯罪防止とか、証拠の固めにはどのように具体的に参考になるというのですか、役立つと考えておられますか。
  293. 吉田淳一

    説明員(吉田淳一君) お答えいたします。  実はこの日米逃亡犯罪人引渡条約の改正の要があるということは、法務省といたしましてはロッキード事件が発生する前からも検討していたことでございます。その検討の理由は、最大の理由はやはり実情に合わなくなってきている、罪種を拡大して手続をもっと合理化する必要がある、国際情勢に合うようにする必要がある、こういう考え方だったわけでございます。で、ロッキード事件が発生いたしまして、この私どもの考え方が間違いでなかったというふうに思っておるわけでございますが、この内容につきましては、外務省がその責任を持って米国の司法当局と協議をしておるその条約の内容でございますので、詳しいことをいま申し上げることができないのははなはだ遺憾でございますけれども、先ほど申しましたように、現在の現行条約では贈収賄とか、たとえば外為とかあるいは税法とか、そういうような種類の犯罪につきましては明治十九年の条約では引き渡し犯罪にはなっておらないわけでございます。それらにつきましても、それらの罪種につきましても引き渡し犯罪一つ内容とする、たとえばそういうようなことでこの種の腐敗行為が行われた場合に厳正にそれぞれの国で処置をすることができるように、犯罪人の引き渡しができるように、そういうことで条約を現在内容を詰めておるところでございます。もし実現すればそういう意味で腐敗行為の防止にそれなりの貢献をするものと考えております。
  294. 三治重信

    ○三治重信君 このロッキード事件に関連して国際間の犯罪の防止あるいはまたその捜査を進めるについて新しい取り決め、国際条約、こういうような問題がどのように行われて、またどういうふうな展望を持っておられるかと、こういうことをお尋ねしたわけなんですが、いずれにしても国会で特別委員会までつくられて、こういうふうにあらゆる部面から検討をされている事件なんで、どうか法務省にしても再発防止対策についてはひとつ具体的にまた総合的に今後とも努力をされることを特別望んで質問を終わります。ありがとうございました。
  295. 平井卓志

    ○理事(平井卓志君) 以上をもちまして本日の質疑を終了いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十一分散会