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佐野(憲)
委員 もっと具体的に
数字的には出されておったと思いますが、代用監獄の問題もあるでありましょうし、こういう警察施設なり警察行政の中で、しかも警察法第三十七条において決められておる、しかし、実際に超過負担として地方財政に大きな問題を投げかけておるということに、時間があれば詳しく中に入りたかったのですが、時間がありませんので、
総理、警察施設の中にもそういう問題が含まれておるということですね。
同時に、保健所の場合、知事会あたりからずいぶん指摘しておるのですけれども、機関委任事務でありますので、たとえば補助定員にいたしましても、国の総定員削減、こういうのがやはり出てくるわけです。実際において、地域において保健あるいは医療予防、こういういろいろな意味におきましてのなにが多くなってきておる。にもかかわらず、定員削減を一律にやってまいりますので、ここに補助職員の問題、実際の定数と実人員との間に大きな開きが出てまいっておる。しかし、これは国の職員として認めないわけですから補助が打ち切られるわけです。こういう点に対して知事会の方からも具体的な
数字を挙げてきておると思いますが、たとえば五十一年度におきましては補助定員数が一万五千四百五十八人だ。実人員は一万八千八百八十三名だ。こういう中におきまして三千四百二十五人が実は定数から省かれて地方自治体がこれを引き受けていかなくてはならない。そうしなければ保健所の機能を発揮することができない。こういう中において国の出先機関、機関委任事務で仕事は委任されておりますけれども、機関委任事務というのは国が計画を発想するわけです。そうして地方に実施に移させるという場合にこういう問題が出てくるわけです。先ほど
総理も公害行政の問題を言われましたけれども、たとえば公害行政にいたしましても、地方自治体が条例その他をもってやってまいった。それで生命なり健康に、そうしてまた生活環境ということで公害
国会が開かれて、法律ができてまいった。できてまいりますと、途端にこれが機関委任事務になってしまう。それで監督権、罷免権は持っておる。その中におけるところの地方自治体にある
程度の基準を守らせる仕事をやらせるわけですね。そうなってまいりますと、それに対する定員なり測量器具なりいろいろな問題が、実際国から出てこない、責任だけは地方に実は出てまいる、こういうことの中から、やはり公害行政の中におきましても大きな超過負担が出てくるわけです。ですから、機関委任事務なりこういう特定行政の補助、こういう中において大変なやはり超過負担ができてまいっておることをひとつ
総理も認識しておいていただきたいと思います。
あるいはまた下水道の問題も、
総理は生活環境に非常に力を注いでおるのだ、こういう点を言っておられるわけですが、これも
予算面その他から見ますといろいろな問題が実は出てきておるわけですね。私が思いますのは、たとえばビクトル・ユーゴーが「レ・ミゼラブル」を出したのは一八六二年、約百十年前だと思いますが、このときにはすでに第二の道路としての下水道、こういうものが描かれておるわけですね。それに対しまして
日本はやっと第四次計画がいま発足する。二〇%にしかすぎない、これを四〇%まで五カ年で持っていく、こういう体制を進めておられるわけなんですけれども、この場合におきましても、第四次五カ年計画は七兆五千億、四千億円が予備費ですから七兆一千億円、五十年、五十一年度の
予算の配分その他を見てまいりますと、あとの三年間で毎年一兆八千億円ずつの金を使わなければどうにもならないという、こういうことが
一つ出てきておるのと、それから
予算の中身を見てまいりますと、国費が非常に多くなってきておる、地方負担よりも国費が多い、こういう変則なものがありますので、調べてまいりますと、特別起債と申しますか、五カ年分割の起債だ、そして国がこれを
一般会計から支払っていくという形の補助金の分割という制度がとられております関係上、その分割が出てくるということで、国費が多くなって地方費の伸びが少ないという変則的な状況が
一つ出てきておるのです。
こういう問題はさておいても、あるいはまた見てまいりますと、この場合におきましても、建設省の場合としては珍しいやり方だろうとも思うのですけれども、たとえば東京都における町村下水道事業
財源の内訳を見てまいりますと、
一つ出てまいりますのは、ここにもやはり補助対象事業というのが出てくるわけです。この場合におきまして、改正になりましたけれども、七五%、二五%は単独事業だ、こう組み合わせができているわけです。その場合において単独事業がある。しかし、補助対象事業は
予算に縛られておる。たとえば先ほど申しました七兆一千億円の配分のとおりいっていないわけです。逆に国の方としては五カ年の分割支払いが多くなってくるということで、
予算総額が縛られてまいる。このためにどうしても地方自治体としては、
予算に組まれておる、採択される事業対象だけを選ぶか、事業はずっとおくれてしまうわけですね。しかしながら、こういう計画に従ってやっていこうとするのと、いや、そうでない、どうしても下水道事業は急がなければならない、
総理もそう言っているのだからということで単独でその事業を進めてまいるということになってまいりますと、これは補助対象にならなくなってくるわけですね。それらの分だけが今度は地方負担がふえてまいる。本来は補助対象になるべき条件にあるものが、実は早くやるために補助対象にならない。だから、これに対する総事業費と補助対象率を見てまいると三四・五%だ、三四・五%を地方が——東京都の町村ですがね、市町村が負担をしなくちゃならない。
数字的に見てもどのみち都が持ち出さなければならない。こういう形がとられているわけだ。それらの問題を考えても、こういう中におきましてもやはり超過負担として大きく姿をあらわしてくるわけだ。
総理が、下水道事業をやるのだ、七兆一千億円だぞと言われても、末端の町村に参りますとこういうような事態が発生してくるわけです。
同時に、この下水の場合にも、下水の汚泥の問題が非常に大きな問題になっている。西村
行政管理庁長官もこの間勧告を出しておられますけれども、この汚泥処理の場合にいたしましても、農地還元ということがしきりに言われておるわけです。しかし、農地還元の問題にも大きな問題があるのではないか。肥料取締法によりましては、普通肥料は化学肥料だ、特殊肥料というのは土壌改良その他の肥料だ。ですから、普通肥料につきましては、製品の分析なり流通に対しましては相当チェックがされておる。ところが特殊肥料になってまいりますと、届け出だけで済んでくるわけですね。しかし、汚泥の中に含まれている状態は一体どういう状態であろうか。いま海洋投棄も困難になってまいった。埋め立ても困難になってまいった。そういう中で肥料還元というものが考えられるのですけれども、この肥料還元の中に非常に大きな問題が含まれておるし、そういう問題の処理に対して非常に苦しんでおるのが現状ではないか。しかも、研究あるいはまたデータ、こういうものもほとんどないわけですね。そこで、東京都なんかにおける処理場から調べてみますと、大変な重金属が入ってきておる。この重金属の問題につきましても、イタイイタイ病による米からくるところのあの恐ろしい病気、あるいは、四十八年におけるところの
国会が挙げて魚介類の水銀
対策に追われなくてはならなかった、こういう水銀の問題にいたしましても、そういうものがやはり汚泥の中に含まれてきておるわけですね。それを肥料に使うというふうになってまいりますと一体どうなのだろうか。こういう分析なり研究、そういうデータがほとんどない中で実は進められておる。ここらにやっぱり大きな問題を
一つ含んでいるのではないかという点だけを指摘しておきたいと思う。
地方債の問題につきましても少し触れさせていただきたいと思ったのですけれども、時間もありません、あと十分だそうでありますので、地方債に対しまして簡単に、
総理、どうですか。三十年間も「当分の間」、こういうことにつきましても、シャウプ勧告は、少なくともこうした地方自治体の固有の
財源であり、しかも中央の統制は排すべきである、そして自主的に発行できる、と同時にそれは
昭和二十五年度、遅くてもその翌年からやるべきじゃないか、こういう勧告を実は出しておったわけですね。ところが、その勧告と違った方向にいってしまったまま三十年間も続いておるわけです。やっぱり起債の固有
財源としてそういう許可条件というものを変えなくてはならぬじゃないか、こういう点に対しましても先回の
国会でも述べたわけなんですけれども、それは英断をもって、地方におけるところの固有
財源だ、ですから、公債依存比率なりあるいは公債費の比率なり、そういう一定の限度を設けて、単独事業その他をなにをすべきじゃないか、包括的ないわゆる起債枠でいいのじゃないか、こういう点に対しましてどうですか、一言だけ。