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1977-11-01 第82回国会 衆議院 文教委員会入試問題に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    小委員会昭和五十二年十月十二日(水曜日) 委員会において、設置することに決した。 十月十二日  本小委員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       石川 要三君    石橋 一弥君       小島 静馬君    登坂重次郎君       中村  靖君    長谷川 峻君       藤波 孝生君    小川 仁一君       木島喜兵衞君    嶋崎  譲君       中西 績介君    池田 克也君       鍛冶  清君    曽祢  益君       山原健二郎君    西岡 武夫君 十月十二日  藤波孝生君が委員長指名で、小委員長選任  された。 ————————————————————— 昭和五十二年十一月一日(火曜日)     午前十時十分開議  出席小委員    小委員長 藤波 孝生君       石川 要三君    小島 静馬君       登坂重次郎君    長谷川 峻君       小川 仁一君    木島喜兵衞君       嶋崎  譲君    中西 績介君       池田 克也君    鍛冶  清君       中野 寛成君    山原健二郎君       西岡 武夫君  出席政府委員         文部政務次官  唐沢俊二郎君         文部大臣官房長 宮地 貫一君  小委員外出席者         参  考  人         (全国高等学校         長協会会長)  森  武夫君         参  考  人         (全国高等学校         進路指導連絡協         議会事務局長) 宗内 昭春君         参  考  人         (全国高等学校         PTA協議会会         長)      仲川 幸男君         文教委員会調査         室長      大中臣信令君     ————————————— 十一月一日  小委員曽祢益君同日小委員辞任につき、その補  欠として中野寛成君か委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員中野寛成君同日小委員辞任につき、その  補欠として曽祢益君が委員長指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  入試問題に関する件      ————◇—————
  2. 藤波孝生

    藤波委員長 これより入試問題に関する小委員会を開会いたします。  入試問題に関する件について調査を進めます。  本小委員会は、さきの国会以来、大学入試改善について慎重に調査を進めてまいりましたが、五月に入試センターが発足、また各大学の第二次選抜方法発表に伴いまして、昭和五十四年度から実施共通第一次テストがよりよい方法実施されるよう、教育関係者のいろいろな御意見を聴取してまいりました。今回は特に受験者側であります高等学校関係者に御出席お願いいたしまして、御意見をお聞きすることにいたしました。  本日は、本件について、参考人として全国高等学校長協会会長森武夫君、全国高等学校進路指導連絡協議会事務局長宗内昭春君及び全国高等学校PTA協議会会長仲川幸男君の三名の方々に御出席を願っております。  参考人各位には、御多用中のところ本小委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  本小委員会におきましては、入試問題に関する件について調査をいたしておりますが、本日は、本件につきまして参考人各位のそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査参考にいたしたいと存じます。  これより参考人各位から御意見を承りたいと存じますが、議事の順序といたしまして、初めに参考人各位から御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただきまして、そのあとは小委員質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  御意見は、森武夫君、宗内昭春君、仲川幸男君の順序お願いいたします。  まず、森参考人お願いいたします。
  3. 森武夫

    森参考人 全国高等学校長協会会長の森でございます。  この大学入試改善につきましては、私たち協会といたしまして、昭和四十五年、当時全国を吹き荒れました高校紛争の厳しい反省に立ちまして、何としてでも大学入試改善に取り組んでいただきたいということを、昭和四十五年の十月に全国高校長が集まった際に決議をいたしました。大きな柱は、当時三つ立てまして、調査書の尊重、第二が統一学力テスト実施、第三が各大学入試改善に関する常置の機関の設置、以上の三本を内容といたしまして各方面に訴えました。それが当時の世論の大きな反響をいただきまして、文部省国大協その他関係御当局でこの問題について慎重な御努力をいただきまして、御承知のように七年がかりでこの新しい大学入試改善方向にスタートを見たのでありまして、その間の関係方面の御努力に深い敬意を表しているところでございます。  先ほど委員長お話がありましたとおり、国立学校設置法の一部改正衆参両院で可決をされまして、五月二日に大学入試センターがオープンしました。この法律制定のときに参議院におきまして附帯決議をつけていただきまして、われわれの要望もその中で数多く取り入れられておるということは御承知のとおりだと思います。  それで、去る七月末に、各大学の行うところの二次試験細目等発表されまして、いよいよ五十四年春の本番に対して共通一次並びに各国公立大学の行う二次試験というものの全貌がほぼ出そろいました。それを見ましていささかショックを受けましたのは、国大協ガイドラインというものが示されておりまして、われわれは深く期待をいたしておりましたが、ふたをあけた結果、必ずしもガイドラインにほとんどが沿っていただけるということではないという点で、かなりのふぞろいがある。したがって、われわれの全国高等学校長協会といたしましては、この大学入試方向については、総論賛成でございますが、各論についてはまだまだ要望したい点がいろいろございます。  本日の時点でそれを要約して申し上げますと、今回の大学入試制度改善方策については、これが高等学校教育の正常な発展に寄与するべきものである、こういう観点に立ちまして、その問題点を指摘し、改善のため具体的に種々の提案と要望文部省国大協その他関係方面に対して行ってまいりました。ところが、今回文部省から示されました昭和五十四年度以降における大学入学者選抜実施要項についての決定内容については、われわれの要望するところと著しく懸隔があり、きわめて遺憾でございます。  そこで、私たちはここに改めて従来の要望事項を再確認するとともに、昭和五十四年度実施に際して、特に次の点についてこれが確実に実現されるように特に強く要望いたしたいと思います。  以下、三点について申し上げます。  第一点は、共通第一次学力試験実施期日、この実施期日は、正常な高校教育を確保する見地から二月初旬以降とするように改めていただきたい。そのため、合格発表期日の繰り下げ、選抜に関する技術的問題の解決、大学入学始期の繰り下げの検討などについて適切な措置を講じていただきたい。  第二点は、共通第一次学力試験の意義を重視し、各大学における第二次試験学力試験を課する場合は、その科目数を、必要とするもの一ないし二科目としていただきたい。  第三点は、二段階選抜、いわゆる足切りは、受験機会均等複数資料による適正な選抜等観点から、これを全廃の方向配慮していただきたい。  以上三点が、いままでの大学入試改善流れの中で、特に高等学校側から受験生負担が過重にならないように、もう一点は高等学校の正常な教育を阻害しないように、以上二点に基づきましていまの時点で強くお願いを申し上げたい、こういう点でございます。  以上、要点のみを申し上げました。失礼をいたしました。
  4. 藤波孝生

    藤波委員長 次に、宗内参考人お願いいたします。
  5. 宗内昭春

    宗内参考人 全国高等学校進路指導担当者によって組織されております、各県、各ブロックをまとめまして全国組織ができておりますけれども、その事務局長を担当しております宗内と申します。  ただいまお手元に、全国高等学校進路指導連絡協議会大学入試改善についての統一見解並びに要望をお届け申し上げましたけれども、この点は、ただいま森校長全国高等学校長協会の方にもすでにお願いを申し上げている点でございますし、大学入試センターの方に対しても御要望申し上げてございます。  その骨子を申し上げますと、高等学校現場進路指導担当者大学入試改善ということで共通一次テストを受けとめておりました点は、現在の大学入試問題が大変難問奇問が多くて、それを是正し適正化を図る、教科書の範囲から出題されて生徒負担を軽減し、さらには高校教育正常化しようとするものであるというふうな受けとめ方をしておりましたし、またさらに、大学の方は複数資料によって妥当な選抜を行うというふうに現場としては受けとめてきておったわけでございます。その点から申しますと、やはり現在の過熱化した受験競争というものが著しく高校教育をゆがめておるということは否めない事実でございまして、いろいろな意見があるにいたしましても、そういうことで共通一次テスト実施され、正常化が図られるということであればということで、高校現場校長会と同じように、むしろ前向きに好意的な関心を持って、四十六年の準備あるいは四十八年の本格的な調査にも積極的に御協力を申し上げてきたつもりでございます。ところが、先ほど森校長からもお話がございましたように、実施の時期が発表され、具体的なことが明らかになるに従いまして、本来の共通一次テスト目的高校側が少なくとも受けとめておりました趣旨からはかなり離れていくおそれがあるのではないかという危惧が生じてまいりました。  その一つは、大学独自で行われる二次テスト、その内容が、これは実際実施されないとわからないわけですけれども、従来と同じような難問奇問が出されるとするならば、当初われわれか解釈しておりましたこととはかなりかけ離れてくるのではないか。したがいまして、当初われわれが受けとめておりましたように、共通一次テスト実施する以上はその共通一次テストを重視していただきたい、そして二次テストはむしろ特定の学部等における実技だとかあるいは面接等で行っていただきたいということがまず根本に考えられることでございます。  それに伴いましていろいろな問題が出てくるのでございますが、たとえば、校長会の方からお話がございました足切りの問題にしても、総合判定をしようという本来の趣旨からすれば足切りという線は出てこないのではなかろうか。一次の結果と二次の結果を総合判定しようという立場から、どうして足切りという問題が当然のことのように起こってくるのであろうか。さらには時期の問題にいたしましても、いろいろコンピューター処理の問題だとかいうことをお聞きするわけでございますけれども、どうして一次テストの結果が出なければ二次テスト実施されないのだろうか。これは足切りの問題が絡むからそういうことになるのだろうと思いますけれども、一次テストが行われ、並行して、並行というより時期をずらしまして二次テスト大学独自で行われるのではないか。一次テストの結果が出るころ二次テストの結果も出ておれば、それを総合して判定することが可能であるのではなかろうか。しかし、これは足切りという大きな問題がございますので、問題を尽くさなければそういう方向にはいかないだろうとは思いますけれども、そういう疑問を持っております。  そこで、まず根本的な問題として、大学入試センター並びに国大協が真剣に高校教育正常化を図ろうという前提をお持ちなのかどうか、いささか高校現場としては疑問に感ずるわけでございます。共通一次テスト実施することによって一期校、二期校をなくしてしまったというような、高校側としては大変素直でない意見さえ出てきておりまして、高校現場はいささか混乱をしておるというのが現状でございます。しかし、たてまえとして、われわれは大学入試改善をぜひお願いをしたいという立場からいろいろな問題を御要望申し上げ、もちろん直ちにできるもの、できないものもございましょうけれども、本来の高校側が願う趣旨の線に沿って御協力を願えればというように考えます。  簡単でございますが……。
  6. 藤波孝生

    藤波委員長 次に、仲川参考人お願いいたします。
  7. 仲川幸男

    仲川参考人 仲川でございます。  高等学校生徒四百万というのでございまして、私が高等学校PTA協議会会長ということで意見を申し上げるわけですけれども、必ずしも最大公約数になっておるかどうかもわかりませんが、本年の八月十八日、十九日に広島で大会をやり、分科会で、一分科会設けてこの問題を討議し、また全体会議において特別議題として扱ってまいりましたり、また年間、各県の役員が集まりましてこの問題を討議しました、そういうものを踏まえまして意見を申し上げてみたいと思うわけであります。  先ほどからお話がございました両先生お話で、大学入試改善についての基本的な考え方につきましては同一でございますのであえて重複を避けたいと思いますが、御承知のように、二十年代の後半に進学適性検査、それから三十年代の終わりごろに能研テストというのが行われまして、そのことが最終的にはどちらも、率直に言いますと失敗に終わっております。その路線にいささか似たものも感じておりますので、以下項目を申し上げますと、足切り予備選考でございますが、予備選考についての問題、二次試験科目についての問題、一次試験、二次試験のもたらすウエートの問題であります。もう一つ、これは私たちが言い続けてまいりましたのですけれども、なかなかむずかしいようでございますが、採点出身校へ返していただきたいということであります。それから第五に試験期日の問題。その他の問題としては、二十万浪人の取り扱いの問題ないし実業学校大学進学についての問題点という順序意見を申し上げたいと思うわけであります。  足切りの問題は、いまお話もございましたが、父兄並びに生徒として結果的にこういうことになると思うわけであります。学校進学指導思惑違いがございますと、出したところの足切りに遭った生徒はもう国立大学を受ける機会を失うわけでありまして、その意味では、むずかしい一期校、二期校をやって、ああ知らなかった、結局力が足らなんだと納得で受けられないことと、何かわからないけれども高等学校進学指導の中でこの学校を受けといたらそこで足切りに遭った、こういうことになると、高等学校生徒父兄も救われない。理屈では、この流れの中の理屈では納得ができますけれども、この足切りの問題は、先ほどお話がございましたようにやはり絶対あってはならないことであるし、そのことがあるとするなれば、その足切りに遭った者の救済方法考えずして足切りというものはあるべきでないというふうに私は考えております。大変多岐にわたりますので、足切りの問題についてはさようなことでひとつ御了解をいただいたらと思うわけであります。  第二次試験のあり方でございますが、改革目的の中の「ゆとりのある高校生活」ということが大目標であると思いますが、私たちも報道で、正確なものは把握しかねておるかもしれませんけれども、いまの大学のあのばらつきのあるいろいろな二次試験の学科から言いますと、どこを受けるかまだわかっていない高校生がどこへ焦点を合わせてやるのであろうか、どうして受験準備をするのであろうか。まあたてまえと本音は少々違いますけれども、高等学校現状の中で受験準備焦点というものはやはり合っていかなければならないが、一次試験もやり、二次試験はあのばらつき、それで実際に目標として掲げておられますようなことになるのであろうかどうか、私は大変心配をいたしておる二次試験のいまの大学の御発表の状態でございます。  第三点は、一次試験と二次試験関係でございます。一次試験ウエートを明確にしておる大学もあるようでございますけれども、重視すると言っておられるだけの大学がございます。これは、受験生としてはやはりそのウエートを知りたいわけでありますから、高校入試のとき中学の内申書を重視すると言って、高校で実際問題としては内申書を重視して高校入試をやっているかどうかというのは大変問題なのと同じような問題がここに起こってくるのではないか。この点だけはやはり大学がはっきりとしていただかなければならないのではないか、私はそういうふうに思います。  第四は、先ほど申し上げましたように試験の結果を出身校まで返していただく作業。これは種々論議があって、先般、八月十八日にも広島での会合で、センターのきょうお見えの田保橋事務部長さんからも、大変それはむずかしいんだというようなお話もあったようでございますが、いずれ大学の願書を受け付けた時点で一人一人の個別を抜き出しして成績を渡さなければいかぬのですから、高等学校へこの成績を返すべきだ。せめても出身校へは生徒成績を返すべきだ。これを返さないで、高等学校先生たち進路指導をするのに、模範答案を出すから、平均点を出すからおまえの方で採点せいというのですけれども、上の方の三分の一ぐらいの成績生徒はできるでしょうが、時間ぎりぎり一ぱいの中で、自己採点をして、帰って進路指導先生と話し合えるほど正確なものを生徒自身が得られるかどうか。この問題は私は大変疑問を持っておりますし、本人に返さないまでも、せめても出身校へは返していただかないと、先ほど申し上げました足切りという恐ろしい現実を目前に控えて、極限にも近い進路指導をしておる高校の中で問題が起こると思います。作業としては大変むずかしいようでございまして、私もコンピューターのことは存じませんけれども、何とかしてそのことができますなればそうしていただきたいと思うわけでございます。  第五番目は試験期日の問題でありますが、さようなことで申し上げましたので、十二月か一月か、まあ二月というお説もいま出たようでございますけれども、十二月か一月かということになるのではなかろうかと思います。期日は、先ほど校長協会長さんからもお話がありましたように、高校教育本来の立場から言えば遅いほどいいということでございまして、遅いことを支持するわけでございますが、次の三つのことがこの問題にあると思います。  それは、いま申し上げました成績学校へ返すかどうかということでございます。もう一つは、十二月というお説がありますけれども、十二月ということにするなれば、生徒側から言うとどうしても十二月にする出題を出してもらわないと、出題に御配慮がないと、私は十二月にするということをそのままやったのではいけないと思うのであります。もう一つは、国立四十万、私学百四十万という私学との関連の問題で、文部省がこの期日等決定私学受験指導をどうなされるかということもあわせてこれに関係があると思うのです。もう一つは、一次、二次、その中間に私学があるわけでありますが、もう一つ足切りの問題とこの問題との逆算をいたしてきますとその問題が起こるのではないかと思うわけであります。  その他の問題につきましては、浪人受験生十分配慮をしていただきたいということと、職業高校生進学については、一次試験の点数の大学側受け入れ方特別配慮が必要であろうと思うわけであります。  一応以上でございますが、長い間かかってやられてきて、私たちも長年この改革要望してきたものでございますので、どうかひとつ学歴偏重が是正せられるように、大学の格差がなくなりますように、また受験生負担が軽減せられることが大目標でございますから、先ほどの一次試験、二次試験大学側姿勢を特にお願いするものであります。  以上、まとまりませんけれども、意見を申し上げました。
  8. 藤波孝生

    藤波委員長 どうもありがとうございました。これにて三参考人の御意見の開陳は一応終わりました。     —————————————
  9. 藤波孝生

    藤波委員長 引き続き質疑に入ります。  質疑のある方は自由に御発言願います。どうぞ……。
  10. 嶋崎譲

    嶋崎委員 高校協会長森先生、それからまた進路指導協議会事務局長の宗内さんに、最初に大ざっぱな感想をお聞きしたいのですが、皆さんも御承知のように、国立学校設置法法律改正に当たりまして、衆議院でも附帯決議をつけましたけれども、参議院の方ではかなり具体的な附帯決議がついております。幾つか項目がありますか、その附帯決議の二番目には「各大学が行う第二次試験については、受験生の過重な負担とならないよう調査書活用を図るとともに、学力検査科目の減少に努めること。」これが一つでございましたですね。もう一つは「受験生の第二志望をできるだけ生かす方途を考慮すること。」さらに「職業高校卒業者が不利にならないよう第二次学力試験における代替科目の設定、推薦入学制度活用等に努めること。」そしてその後に、大学入試センターの運営並びにこの第一次テストなどの実施に当たって「高校関係者等広く世論が反映できるような組織を作るとともに、試験の円滑な実施を図るため入試センター及び各国立大学入試実施に関する体制の整備に努めること。」そのほか二、三、一般的なのがございますが、このような、参議院文教委員会で私たち衆参の討論を集約しましてつけましたこの附帯決議と、実際にいま実施要領発表され、第二次試験科目について各大学発表している現状にかんがみて、この附帯決議趣旨は生きているとお考えでしょうか、生きていないとお考えでしょうか、これが全般的なまず第一点の質問です。いかがですか。
  11. 森武夫

    森参考人 お答えいたします。  いまの嶋崎先生の御質問はなかなか厳しい御質問でございまして、この附帯決議趣旨が全然生かされていませんと言えば、文教関係者文部省以下国大協その他へ影響するところが甚大でございますので慎重にお答えを申し上げたい、こう考えております。  趣旨といたしましては、国大協でも二回にわたって調査研究報告書という非常に分厚い報告書も出されております。そして、先ほどお話ししましたが、ガイドラインということをお示しいただいて、その中でも先ほどの、足切りは原則として望ましくないとか、二次試験教科科目についても一ないし二科目程度にしてほしいとかいう御努力を非常に積極的にお払いいただいたという経過もよく承っております。結果的に、各大学が今回この附帯決議趣旨に完全に足並みをそろえていない、そろわなかったということについては、私も先ほどお話ししたようにいささかショックを受けておるわけです。ただ、大勢としましては、いままで国立大学協会というようなところでお決めいただくそういう過去のお話も伺っておりますが、今回の問題については非常に積極的にとり組んでいただいた、少なくも大学自主性のもとでできるだけの御配慮をいただいたという事実は、それぞれの細かい教科科目数を見ましても、あるいは小論文、実技面接等をお加えいただいた、あるいはある大学では、医学部系においては第二次試験では学力検査は要りませんという積極的な方策を打ち出しております。そういう内容考えますと、各大学がそれぞれのできる範囲で、積極的にその国大協ガイドラインをできる限り大幅に考慮をいただいたというふうに考えております。  ただ、特にある一校が従来と全然変わりなしに、文科系科目理科系科目というままであることは大変遺憾なことだと思うのです。ただ、実情について伺いますと、そのある一校も、昭和四十五、六年に大学入試ができないことが一回あった。そして、その際に非常に研究されて、その積み重ねでいま来ているので、新しい改善方向については、その趣旨は了承するが、もうちょっと時間をかしてくれ、もう少し科目を減らせるかどうか検討しようという前向きな姿勢であることも、この前その学長さんから直接お言葉をいただいておりますので、この方向については、やはり各大学はそれぞれの主体性、自主性をお持ちでお決めいただいていると考えておりますので、高等学校協会としても、地域ごとにそのブロックの校長会か、あるいは現場先生を交えて地域の大学といまお話し合いをして、できるだけ二次試験科目を減らしていただきたい、あるいは足切りをできるだけないようにしてほしいという個々の要望を地域ごとに積極的に進めております。ということは、こういう仕組みにおいて、これを議員立法等で直接法的規制を加えるということは、これはまた一つ問題が起きると思います。そういう意味で、高等学校から大学へ、大学高等学校にという共通の話し合いの場を持って、できるだけわれわれの要望をかなえていただく。  私は、今回の大学入試のこのやり方の出発点においては、百点満点で七十五点ですと、こう申し上げている。というのは、改善方向ということを積極的に高く評価しているので及第点すれすれの七十五点、あと二十五点は各論についてまだまだ私たちの期待することがたくさんある。さっき申し上げた三つをかなえていただければ二十五点上積みをしたい、こう考えておるわけです。そういう意味で、いまの嶋崎先生の大変厳しい御質問ですが、大学関係者もそれなりに御努力をいただいている。高等学校側では必ずしも十分ではございませんが、いまの時点では七十五点という評価で、今後二十五点の上積みを期待している、こういうところでございます。
  12. 嶋崎譲

    嶋崎委員 宗内先生も七十五点でしょうか。
  13. 宗内昭春

    宗内参考人 森会長お話の筋と変わりませんし、附帯決議は、大変高校現場にとってもそれが実現されれば妥当なというか、大変好ましい線でございますが、やはりそれにまだ到達していないと言いましょうか、しかし各方面で、特に大学入試センター等大変努力をしていただいておるということは率直に認めたいと思うのでございますけれども、先ほどちょっと申し上げたように、何かこう大学側にやはりまだ前向きというか、本質的に高校正常化を図ってやろうという共通的な認識が足りないのではないだろうかという気がいたします。
  14. 嶋崎譲

    嶋崎委員 しかし、この附帯決議の第一に言っていることは、第一次テストは予備選抜であってはならない、足切りはいけませんよと言っているわけですね。現実は御報告にあったように足切りになっていますね。それで第二次試験科目については、一次とのいわば総合的な判定で、二次については科目は減らし、しかも大学の専門に適するような適性を調査していくような試験の仕方になることが望ましいと言っているわけですね。しかし実際は、御報告にあったように、足切り問題は、大体旧制の帝国大学を中心にしまして現実はほとんど足切りですね。同時に、二次の試験科目についても、先ほど要望があったように、さらに一次と同じような五教科七科目というような試験が現実に行われようとしていますね。そうすると、現実に高等学校の側から見まして、この国会での附帯決議趣旨から見て、少なくとも再来年出発しようとしているこのテスト現状から見れば、われわれ立法府の側から言いますとこの附帯決議趣旨は空洞化している。大学の側だけ考えているわけじゃありませんし、高等学校の後期中等教育を非常に重視しておりますし、同時にまた国民の、父母の立場をわれわれ代表しているわけですから、そういう意味で、大学の論理というよりも、高等学校の側並びに父母、父兄の側から見たこの入試負担というものを考えてみてこの附帯決議をやったわけですから、そうしますと、ここに現実にはこれが空洞化していると私たちは判断をしているんです。そういう意味で、足して二で割るような御意見じゃなくて、よくしていけばいいんですから、ここの場の問題じゃなくて、率直な意見として、現実にはさっき出された森さんの三点というのはこの一、二、三の趣旨が生きていないということをおっしゃっているわけだから、そういう意味で空洞化というふうにわれわれは認識していますけれども、そういう認識は妥当でしょうか。
  15. 森武夫

    森参考人 お答えをいたします。  これも大変むずかしい問題だと思うのですが、私は、今回の新しい大学入試改善方向はある意味では教育における壮大な実験だというふうに受けとめております。そして、その方向が、いままでのペーパーテスト、学力テストだけによる入学試験という方向から大きく踏み出して、全人的に、大学にどのような人間を入れて、そして四年間あるいはそれ以上勉強させてどのように有為な人材が育成できるかということに向かっての壮大なる教育実験だと私は見ております。  そして、今回の仕組みの中でいままでと大きく違ったのは、国立一期校、二期校が一元化されました。また公立大学もほとんど大部分の学校が一緒に共通一次を共同利用するという方向に大きく前進した。したがって、高等学校側から見ましても、先ほどもありましたが、一期校、二期校が一元化されれば、チャンスが二回あったのが失われるじゃないか等々と問題がありまして、一元化されたために、今度国立、公立、ずらりと百二十大学にどのような質の生徒がどれだけの量受験するか、これが全然つかめません。そこに高等学校側から見る一つの大きな不安と混乱が起きているわけです。立場を変えますと、大学側でも同じように、今度は一期、二期が一元化され、各大学がずらりと並んだ場合、自分の大学にどのくらいの質の者がどれだけの量来てくれるのか、ある意味の期待と逆にまた不安と混乱があるということは同じだと私は考えております。したがって、いま附帯決議にあるような望ましい状況に対して、各大学は自分の大学で行うときに、共通一次及び自分の大学で行う二次試験あるいは実技、面接、小論文等きめ細かい試験をしてあげて、自分の大学にかなうような生徒を受け入れたい、そういう希望は十分おありだと思うのです。  ただ技術的に、最初の先般の第一次案で言いますと、三月三日、四日あたりに二次試験をやり、三月二十日に合格発表してくれ、約二週間ぐらいでそういう作業をするときに、定員千名なら千名に対して一万人も押し寄せたときに、そういう技術的な時間制限の中でどのくらいの量の受験生の面接その他が可能であるかということを御検討になったと思います。したがってこれはジレンマがありまして、なるべくなら足切りをしたくない、しかし実際に来た応募者がはなはだしく多い場合に、全部きめ細かい作業をやっていれば三月二十日の合格発表には間に合わない、時間切れになる、こういうジレンマの中で、やはり大学は最終的には自己防衛と言いますか、ガードをかたくせざるを得ない。こういうことで、現実には五大学しか足切りをやっていないのに、細かく言えば、学部で言うと四三%近くでしょうか、足切りをやる、あるいは足切りをやることを検討しているというのは、やはり端的に言って、それぞれの大学か不安と混乱の中で最悪の場合には自己防衛せざるを得ない、ガードをかたくした、そのためにふえたのだろう、私はこう考えております。したがって、いまのように、いままでの五大学が急に四十数%にふえたということは附帯決議を無視しているではないか、一般有権者の期待を裏切るものだと言ってしまえば身もふたもないので、これはやはり年数をかけて、恐らく今度の大学入試改善も十年あるいはそれ以上の長い年月をかけて持っていかなければならない、そういう壮大な教育実験だと思います。  特に、私たち先ほど申し上げたいまの三つの中に入っている足切りという問題ですね、これはやはり心情的に受験生及び親御さんの非常な大きな不安がある。したがって、これを早急になくするためには、一回やってみる。そして第二年次以降については相当目安がついてくるのではないか、そういう点で早急に全廃の方向で御検討いただけるのではないか。何しろ一度もやらないで、完璧に理想主義で、すべてわれわれの言っていることを全部のんでくれということではないのでございまして、いまのような高等学校側立場からしても、大学側でどのように考えてどう対応しておられるか、いろいろ大学側で特色がございます。あるいは近畿の方の大学では、一次、二次、どういうふうな点数の配分をするか、事前にうちの大学は公表しますよと言っておられる大学もございます。したがって、これを一律に法的規制でこの附帯決議を守らせるような方向というのは、私は現在としては余りいい方向ではないのじゃないか。話し合いの中で、実験を積み重ねる中で、いまのこの附帯決議方向に漸進的に持っていく、しかも早急に、早い時期に持っていっていただけたらありがたい、そういう考えでおります。  以上でございます。
  16. 木島喜兵衞

    ○木島小委員 どういう聞き方をしていいのかわかりませんが、いまお話のございましたように、出発は教育正常化というところにあったけれども、結果的に見ると、シカを追う者が山を見ないというごとく、やや大学の論理が優先して、そして試験という、少し狭い意味になりがちですが、試験技術というのですか、そういうものに動いていって、正常化という視点が欠けてきておるという、そのことが高校が直接一番混乱をせしめられておるということだと思います。しかし、もちろんそれ以外にも、たとえば私大との関係とか、そういう考えなければならない問題もあります。そこで、いま森さんがおっしゃいますように壮大なる実験ではありますけれども、しかし実験というものは成功と不成功という両面を持っているわけでありまして、その不成功の中でもってそのときの子供たちが犠牲になってはならないわけでありますから、最大限犠牲を少なくすることが実験の場合には前提になりますね。  そこで、現在も混乱しておりますけれども、たとえばもう一年実施を延ばす。その中で、さっき共通の場ということがありましたね、それは高校国大協あるいは私大の問題もありましょう、ことしの十二月に八万人やるのがもっとよけいになってもかまいません、そういうことを繰り返しながら、そしてなお皆さんとの共通の意思を持って、不安のない——先ほど不安という言葉か出ましたか、不安というのは高校だけか、父兄もあれば子供もありますが、いまもし一年延ばしたら高校は混乱いたしますか。現在現場の中ではいろいろとこれに対応するための混乱があると聞いておりますが、いま一年延ばしたら、その現在ある混乱と延ばすことによる混乱とどうなんだろうかと思っているのですが、たとえばいま一年と仮にいたしましょう、どうでしょう。どなたでもけっこうです。
  17. 森武夫

    森参考人 お答えいたします。  私は、ここまで一応レールに乗って走り出したこの大学入試改善という機関車を、この進行をとめてはいけないというのが率直な感じでございます。すべての状況が五十四年をめどにとにかく動き始めているわけです。私たちも地方八ブロックを回りますと、いまのような御意見もないわけではございませんでした。ただ、私はそのときに、現在は高校二年生以下には、君らのときから新しい大学入試改善方向受験をするんだよ、当初一応予定されるのはこういうようなスケジュールで行くであろう、内容的にもこういうふうに来るであろうというような説明をいましている最中でございます。  そこで先ほど問題点は、高校の正常な教育を阻害しないために、いまの高校三年生の授業がほぼ全国的に終わる二月上旬以降に共通一次をしてください、こういう要望をしますと、あと五十三日というコンピューター処理を含む機械的な期日か全然詰まらないのです、一回やってみないと。これがあるために、こっちを押しますとあと二次試験をやる時期と合格発表の時期が自動的に後ろへずらされる、こういうにっちもさっちもいかない物理的な条件のために関係者がいま非常に苦悩を深めておるわけです。ただそれをどのようにやるか。第一回戦のときになるべく高校教育正常化するために、二月上旬以降にしてくださいと言っているのは私はそこの押さえを言っているのでして、こうやりますと、途中の二次試験、合格発表の時期が必ず後ろへ押し下げられるわけです。押し下げられるとどこへ響いてくるかというと、御承知のように、いままで大体受験戦線が定着している私立大学入試発表と絡んでくるわけです。そこでこのことが非常に絡みがあってむずかしい。ただ、それがあるからといって、もういよいよ五十四年をめどに、高校二年生よ、おまえらは新しい大学入試の線で行くんだぞと言っているものを、がらりと一年なら一年、二年なら二年延期だよと言うと、これはむしろ生徒及び父兄に対する不信感を増す。何で決めたのをまたひっくり返すんだ。いまもめているのは、いまの技術的な、高校教育正常化のために皆さんが一緒になっていろいろ苦しんでいただいている、そういうふうに私は理解しているので、この方向をやめちゃえ、決定的に理想案が出るまではストップだ、こういう言い方が極端な場合には出てくるかと思いますが、私はそれはとらない。
  18. 木島喜兵衞

    ○木島小委員 そこまで言っていない。まあいいでしょう。
  19. 山原健二郎

    ○山原小委員 関連して。これで大事なところへいま木島先生から質問になっていると思いますが、期日の問題とか、それから足切りの問題とか二次試験の問題、これはこの委員会でもずいぶん出た意見で、恐らくこの点の心配については一致すると思うのです。問題は、いま先生がおっしゃった壮大なる実験だという言葉ですね。これはまかり間違って壮大なる冒険になったら大変なことなんですね。もちろん理想的な万全のことはこういう改革の場合はできないと思います。しかしながらそれに近いような努力は絶対必要なんですね。そうしますと、いままで三回試行が行われておるわけですが、その三回の試行というものが、果たして高等学校参考になるような分析がなされたり、また数の面から言っても学校数から言っても、また三回の試行テストを受けた生徒の態様から言いましても、果たして十分に参考になるようなものであったかどうかという点は検討しておく必要があると思うのですね。  それから、今回行われる八万人規模の試行テストがありますね。これは国大協の御意見を伺いますと、いわゆるコンピューターテストにかかわる問題である、こういうお話なんです。私は、いま木島先生がおっしゃったように、この八万人というものを、もっと人数をふやすとかいろいろなやり方があると思いますが、仮にふやさないとしても、この八万人のテストというものが、少なくとも五月に入試センターが発足して最初のテストなんですから、この八万人のテストというもの、十分この結果を分析して、その結果を高等学校側にも知らせ、あるいは各大学にも知らせて、大学関係者あるいは高校関係者の意見が集約をされていく、その中からいろんな問題点が出てくると思うのですね。したがって、この八万人テストというのは、いままで国大協考えておったような機械のテストではなくて、もっと実質的なテストにしていいのじゃないか。それからもう一つは、入試センターができて最初のテストですから、もう一回、たとえば来年の八月とか、あるいは時期は別にしまして本格的なテスト試行というものをやってみる必要があるんじゃないか。そうして初めて、高校側の不安というものを解消する問題は何かという点も十分出てくるのじゃないかというふうに私は思うわけです。  私は、今度の入試改革というのは非常に積極的な面を持っていますから、これは否定するものではありません。これを前進させていかなければならぬという点では皆さんと一致するわけですけれども、しかし、それを実際に実行するという段になると、かなり万全の対策を立てていかないと、次年度からはよくするといっても、最初の年度の子供たちかそのために犠牲になるということは許されないわけですね。そこいらを考えますと、いま先生の方は七十五点とおっしゃいましたけれども、やり方によったら五十点以下になるかもしれませんし、またやり方によっては百点に近くなるかもしれませんが、しかしそれはお互いに不安を持ったまま、これをそのまま実行に移していいのかという点を考えますと、われわれは教育の行政の面から考えまして、他の問題とは違いますので、そういう点からかなり慎重な態度をとって前進をさせていく。これをやめるとかあるいはこれをストップさすとか後退させるとかいうことでなくて、前進はさすのだけれども、それだけの万全の手だてですね。また入試センターの管理運営の問題もありましょうし、また機械はいまのいままでいいのか、機械ももっとふやさなければ短期間に処理できないというなら、もっと短期間に処理できれば期日を二月末へおくらすこともできるということかあれば、機械の購入についても、これは国会ですから、たとえば補正予算を組んで機械を入れるとかいうことをする。それだけのいわゆる国民的な合意といいますか、教育関係者全体のコンセンサスを得るための時間は必要じゃないかというふうに私は思っているわけですが、この点について、校長協会立場から森先生の御意見、また進路指導協議会の事務局長をされております宗内先生の御意見、またこの点についてPTAの立場からも、それだけの準備と、できれば万全に近い体制をとってほしいという御意見があるのじゃないかと思いますが、三者の方の御意見を承りたいのです。
  20. 中野寛成

    中野(寛)小委員 いま御指摘になっておられます問題がまさに当面する最大の、かつ緊急の課題だと思うのです。私も先般来の本委員会での懇談会等で、すでにこの機関車は走り出している、現場においてはそれに対応するための準備を着々と進めておられるという現実も踏まえなければいけない、ここでスピードを緩めたり方向を変えたりというふうなことになると、今日以上の大混乱を引き起こすこともやはりわれわれは心配しなければいけないだろう、こういうことは常々申し上げておったところであります。しかし、いまも山原先生から御指摘がありましたように、大変大切な問題、重大な問題を抱えてこの試験制度を実施するわけでありますから、やはりデメリットを最小限度に食いとめて、より一層メリットを上げていくこと、この努力が何としても必要であることは言うまでもないと思います。ですから、そのスピードや方向を変えるのではなくて、やってみなければわからないことがたくさんあるけれども、少なくとも予想をされる混乱を食いとめるその努力をいま最大にやらなければいけない。そのためには、そういう経験を積み重ねながら、もしくは、初年度からは一挙にはできないけれども、こういうことについては今後研究課題として直すための努力をしていく、またはよりよきあり方を研究していく課題だという部分と、それから、まず第一回から最低限これだけは直しておかなければ大変という問題とに、ある程度区分けをして具体的に対策を考えていく必要があるんではないのかというふうに考えるわけであります。そういう意味で、先ほど来申されました各項目についてはもちろん初年度から直すにこしたことはないということかとは思いますけれども、あえてその分類を緊急の度合いからするとするならばどういうことが考えられるだろうかということを、あわせて御指摘をいただければありがたいと思います。
  21. 森武夫

    森参考人 それでは、山原先生お話にもございましたが、私たちも特に強く期待したいことは、この入試改善方策について予算的な措置を十分に御配慮いただければ解決できるという問題がかなり出てくるのではないか、このように考えます。それは一つは、先ほど共通一次の時期をなるべく後ろへおくらせたい。おくらせるためには、途中の五十二日とか五十五日と言われる物理的な時間を詰める、これが金の面、その他の施設あるいは機械等で詰められないのかどうかということですね。  それからもう一つは、その中に大きく入っているのは、共通一次を一回やるときに、北海道、東北、北信越等で豪雪その他があった場合にもう一回試験をやらなければいけない、いわゆる再試験がある。このためにかなりの日数がここに盛り込まれているというふうに私は判断をいたします。そこで、豪雪地帯で、すべてのそのブロックの受験生がその再試験を受けなければいけないというようなことが確率としてそんなに高いのかどうか、ここら辺がデータもないので読めないのですが、一つ方策としては、そういう豪雪地帯で共通一次をやるときに、試験会場をなるべく数多くしていただく。これは受験生からしても、泊まりがけで行かなければならないとか、そういうように会場数を非常にしぼられてしまうと経済的負担もさることながら、若干の雪だったら会場が近ければ歩いても行ける、こういう仕組みにすれば、いまの再試験というようなことに物理的にかなりの日数をとってあるのか詰まる。そうすれば共通一次の開始もかなり遅らせる。したがって、これは最後は金とかかわってくる。そういう地区では、会場の設定が豪雪その他とかかわりがない程度まで考えてやったらどうだろうか。こういうような問題を含めまして、山原先生がおっしゃったように、予算的措置によってわれわれのいろいろな悩みを解決していただけるということか大変ありがたいと思います。  あと、中野先生の御質問は、最終的にしぼるとどういうことになりますか。
  22. 中野寛成

    中野(寛)小委員 緊急の度合いに応じて、初年度からどうしても直さなければいけない、これを直さなければこの入試はちょっとストップだというくらいの緊急性の問題と、徐々に直していって
  23. 森武夫

    森参考人 それは先ほど申し上げましたが、あの三つの中でやはり第一次問題、共通一次の時期でしょうね。これが高校現場教育を乱さない、そのために先ほど二月上旬以降ということを申し上げました。現状でも、ずばり申し上げますと、高校教育にもう一月下旬から私立大学のある程度学校が土足で踏み込んできておるわけですね。だから、それより前に共通一次を持ってこられては、現状をよりよくするという入試改善方向にはちょっと大きな支障になる。だから、私立大学に号令をかけられれば、われわれは、私立大学も二月上旬以降に引っ込んでくれ、こう号令をかけたいのですが、今回の国立、公立の入試改善ということに限っておりますので。ただこれが、いまの共通一次の時期を二月上旬以降にしてくださいということは、すぐほかのいまの私立大学の合格発表と絡んできますので縁のないことではないわけです。だから私は、最小限いまの共通一次の時期を引っ込めてください、これを今回初めからやっていただけると、あとの問題は当然それに絡んできますね。そして、これは恐らく私立大学国立大学も三月三日、四日を下げなきゃいけません、試験期日を。当然文部省の仲立ちで、私立大学とも国立大学ともいろいろとお互いに連絡調整をしなければならない問題を含んでいる、こう考えますので、ここら辺を一発、第一次のときにここら辺まで引っ込めてもらえないかということですね。  あとの足切りの問題なんかは、先ほど申し上げたようにわれわれも地元の校長会でもやっております。これは話し合いによって、いまでも相当よく聞いてくださる大学もあるわけなんで、これは時間をかけながらでもいいと思うのですね。それからさっきの科目数も同じですね。非常にがんこな、頑迷固陋な大学もあるけれども、これも時間をかければ、天下の大勢がおさまってくれば、あるいは大学自体の御検討が進めばおさまっていく、こう見ております。  以上です。
  24. 藤波孝生

    藤波委員長 いまのお話で、共通テスト、第一次テストの時期を下げる、二月まで。ただ、私学に対しては、共通テスト、この仕組みの中に入ってもらうようにもっと働きかけをすべきだけれども、入れない場合には、私学ももっと時期をずらせという意味ですか。
  25. 森武夫

    森参考人 私学は、いまの私学自体の入試時期は恐らく今度これが変わってくると若干の対応はあると思うのですが、いまのままだとしても直接かかわりがあるのは、いま当初案は三月二十日が発表です。私立大学の相当数は、三月二十日国立大学発表ということになると、大体国立におさまる人と、すでに受かっている私立大学へ、そっちへ入るという意思決定が三月二十日の終わった時点で、非常に短い期間で決まるわけです。ところがこれを延ばされますと、たとえば四月一日発表というようなことになりますと、それまで受かっていた私立大学のそのポストを捨てまして、国立大学へおれは行くんだというのが相当出ますね。そこで私立大学は、いままで確保していたと思う生徒が、合格者が逃げるわけですね。そうするとあとどのように補充をするか。大量であればもう一回試験をやり直さなければいかぬというような混乱が出るわけです。そこで大きくかかわるということです。三月二十日をどこまでおくらせられるか。恐らく私立大学は強い抵抗があると思いますね。
  26. 宗内昭春

    宗内参考人 先ほどから先生方のお話ございますように、やはりわれわれ高校現場といたしましては、こういう大きな変革といいましょうか、改善改正を行うというとき、いわゆる完全を期してもなかなか完全が得られないものではないかと思うのですね。だから、やはりあらゆる角度から見て完全である、これで大丈夫だという線が出てこなければ、不完全のままでは全くぐあいが悪いのじゃないか。動揺が残るばかりでございます。やはり、われわれ要望させていただいておりますことは、国会の附帯決議の線と大体一致していることでございますので、これは国会で附帯決議がついていることでございますから、やはり強力に何か、高校現場とその大学というようなところでもちろん話し合いとかそういうことが必要なんでしょうけれども、もうちょっと政治的に、素人考えでわかりませんけれども、はっきりできないものだろうかという気がいたします。こういうことに時間をかけていろいろな議論を現場がしていることは、生徒を前に置きまして必ずしも好ましいことではなくて、早く決着がつくことが好ましいというふうに私個人は考えるわけでございますが、そういう意味で、むしろ諸先生方のお力をお借りしたいというか、お願いをしたいというふうに思っております。いまや、目下百家争鳴というか一億総評論家のような状況で、それも結構なことだと思いますけれども、いたずらに混乱が残るということだけではいけないのじゃないか。したがって、先ほど中野先生がおっしゃいましたように、やはりはっきり、この点はこうであってこうであってこうだということを少なくとも早急に出していただいて、ことしは無理だけれども将来は考えられるとかいうような線を少なくとも、いまの高校二年生が受験するわけでございますね、ぜひお願いしたいと思います。  私はやはり足切りの問題、いろいろな中でどれかとおっしゃいますと足切りの問題、要するに共通一次テストをどのように使って二次テストがどのように行われるのかということがはっきりすることが必要でございまして、先ほど申し忘れましたけれども、われわれ一月に全国のアンケート調査実施いたしましたその結果でも、一次テストの結果がどのように使われるのか、さらには二次テストがどのように行われるのかがはっきりしない状態では入試改善に役立つとは言えないというアンケートの結果が七三・四%でございまして、いろいろ意見はございますけれども、この問題がやはり一番関心がある問題ではないかと思います。その足切りの問題が解決すると、先ほどちょっと申しましたけれども、いま時期の問題がいろいろ言われておりますけれども、先日ちょっとお聞きすると、私立大学の方は結果か出る前にやることも考えておられるというふうなお話をお聞きするわけでございますけれども、足切りをしないのだということになれば、先ほど私ちょっと私見で申し上げましたような方向で、期間もぐっと短縮できるのじゃないかということもありますし、いろいろなことが絡んできてしまっている面はありますけれども、その点を私はやはり最優先的にやればほかの問題も、最優先とおっしゃるからそうですが、一緒に全部解決できるのじゃないか、またしていただきたいというふうに考えます。
  27. 仲川幸男

    仲川参考人 まず、重点的な問題ということでは、いまお話がありましたが、私はやはり足切りの問題だと思うので、足切りの問題がよって起こるところは、高校入試指導の問題の中から起こると思うのです。これは一段階、二段階落とせば当然起こらないかもしれないのですけれども、それは、よりよき学校に行きたい、これはもう子供たちの願いですから、そういうことになると自然と足切りの問題が起こるから、原則的に足切りはひとつ御勘弁願いたい。三倍ということを限度として、三倍以上だったら足切りするとかいう御発表もあるようですけれども、私は大学の対応の仕方で物理的に解決がしていただけるのじゃないかと思います。その足切りと、この問題が私たち父兄側から非常に出ておるのですけれどもわりあいほかのグループから出ないことに、先ほど言ったセンターから入試の指導のところへまで返るという問題がない。実際問題として、全部の生徒が一次テストをして戻ってきたものに、現実の問題としてわからないままに入学指導、入試指導か行われるということになると大変だということで、足切りがないとなるとあらゆる問題が、いまの期日の問題もこの問題に非常にかかわってきていると思うわけであります。  もう一つ、そのことは先ほどからお説かありますので私がくどく申し上げる必要もないと思いますが、校長会長さんも皆さんもおっしゃられた、先生方もおっしゃられたように、実験期間であるということを全員が認識をしておるわけなんです。そうすると、その期間に移行措置というものがいつの場合でも行われて、かなり細かい配慮をした移行措置というものがその期間中行われて、その移行措置のものを一つ一つ経ていきながら最終的に大目標に持っていく、その移行措置がいささか足らないのではないであろうか。たとえば、四千という高等学校でございますから、なかなかそのことが、十分に全部の空気を受けとめて指導ができるかどうかということでございますから、万一足切りがあるとするなれば、その救済方法というくらいはひとつ編み出してもらったらいいのではないか。先ほど申し上げました進適にしても能研にしましても、大変言い過ぎかもしれませんけれども、大学サイドで壊れてきたような私は感じがいままでいたしておりますので、ひとつ大学側の特別な御協力と御配慮をいただいて、一回も試験を受けない浪人ができることはとても父兄側としてはやり切れない問題でございますので、ひとつ特別なそのあたりの御配慮をいただきたい。新し問題を投げ出すのではないので、そういう形の中から移行措置を——実験とおっしゃり、私たちもある実験だと思っております中で、移行措置の細かい配慮をしていただきたい、こう思うわけであります。
  28. 小川仁一

    小川(仁)小委員 森さんと宗内さんにお伺いいたしますが、先ほどのお二人の御意見を聞いておりますとちょっと食い違いの点が一つあるのですよ。それは、森さんの方は、共通第一次試験を、現在研究所がやっているような方式で第一次をやって、結果を各学校大学に報告をしてから第二次をやる、こういうふうにおっしゃっている。宗内さんの方は、一次と二次の結果が同時期でもいいじゃないか、こういう意味のお話をなさいました。それからもう一つ仲川さんの方から、一次と二次のウエートの置き方を明確にしてくれ、こういうお話があったのです。  ですから、こういう点から考えて、足切りをなくすということになりますと、一次の結果をそのまま二次の結果と同時期に大学に送付する、こういうかっこうになりますと試験時期というのが思い切って一月下旬から二月初めに持っていける。そして一次のウエートを仮に五分、二次を五分というふうな一つウエートの置き方をするとすれば、その結果によって総合的な判定ができる、こんなふうにも三人のお話を聞きながら感じたわけでございますが、森さんについては、一次と二次の結果を同時期、こうやりますと足切りがなくなりますね。足切りがなくなるのです、一次の結果を二次の結果と同じ時期に大学に送付して判定するとすれば。こういうふうな考え方で一次と二次の関係をお考えになられているかどうかということが一つ。それから宗内さんには、さっきのお話の三点目ですか、足切りをなくする総合判定という立場からすれば一次と二次は一緒になってもいいというふうなお話もございましたが、こういう点についてもう少しお考えがあったらお聞きをしたいし、それから仲川さんについては、いま言った一次と二次のウエートの置き方というふうなものがございました、これを明らかにしてくれと言っているが、この点についてのお三人の考え方があったらお聞きしたい。
  29. 宗内昭春

    宗内参考人 ちょっと誤解があるといけませんのであれですが、大学側足切りを完全になくそうということの合意に達すればというか、足切りを完全になくしていただければ——足切りをやろうとするから、一次の結果が出ないと足切りはできませんから二次ができないという発想ではないだろうかというふうに私は考えておりますので、足切りをなくしてしまえば、われわれも足切りをなくしてくれと言っておるのですから、足切りをなくしてしまえば、何も一次の結果が出なくても二次はできるではないかという考え方を申し上げたわけでございまして、それはあくまでも足切りがなくなるという前提がないといけないということ。そうであれば一次の時期はずっとずらすことも可能ではないかということを申し上げたのですが、それでよろしゅうございましょうか。
  30. 小川仁一

    小川(仁)小委員 私が申し上げたように、一次と二次の結果の同時発表、あるいは一次を二次の少しくらい前に出すという結果の発表という形でいけば、これはいや応なしに足切りはなくなりますよ。そういう方法についてお考えをお聞かせ願っても結構なんです。
  31. 宗内昭春

    宗内参考人 個人的には足切りをなくするということが前提でございますし、試験の時期をずらすことが希望でございますので、これは個人的な見解になりますけれども、それがいいのではないかというふうに考えております。
  32. 森武夫

    森参考人 いま考えられておりますところの手続は、第一次案で申し上げますと、たとえば高校二年生は来年四月に高校三年になりまして、九月の時期に私は国立、公立の大学を受けたいという願書を出します。そのときに、第一希望はA大学、第二希望はB大学、二つ書きます。そうして入試センターでは国立、公立大学に何名受験生がいるかというのをつかみます。そうして問題をつくり、試験会場を受験生に通知して、それで共通一次の時期、前の取り決めは十二月下旬でしたが、そこで共通一次を全受験生四十五万なり五十万に受けさせます。それをさっきの五十数日かかって作業が終わって、その途中で受験生共通一次の点数を自己評価します。新聞か何かに答えが記号でぱっと出ますから、それで自己評価をしまして、いよいよ自分が決めたA大学のできがちょっと悪かったから第二志望のB大学にしようといって、本番の二次試験を受ける大学指名します。そうすると第二志望の学校受験生がわかりますので、何名分かの受験問題を二次試験をやる各国立大学準備しまして、その場合にいまの共通一次で受けた点数が来ますが、非常に希望者が多いので、この前あらかじめ示したように三倍で足切りをします。したがって、三倍以上はみ出たのは、あなたは当日受験に来るには及びませんという通知をもらって、そうして三倍なら三倍の二次試験を受けに行くわけですね。そういう仕組みの中で今回のやり方が決まっています。こういうことでいまその手続、手順、やり方が示されているわけです。いま宗内先生あるいは仲川先生がおっしゃっているのは、もし希望して足切りというものがなければ、こういうような手続上のいろいろな詰めができるのじゃないかというお話だと私は受けとめました。以上でございます。
  33. 小川仁一

    小川(仁)小委員 ちょっとお答えにならないのですが、私の言うのは、いずれのルールをわかって、ルールを前提にして物を言っているつもりはないのですよ、ルールを変えようという考え方から、たとえばあなた方の方で二月の上旬に試験をと、こういうお話がございましたね。二月の上旬に試験をして、やはりコンピューターが五十何日必要だという前提になると、これは四月か五月、こういうかっこうになるでしょう。そのことを主張なさると、私立大学とのかかわりでまた問題が出るだろうということを伏せておられる。わかっておりながらおっしゃってない。これを延ばすと、私立大学の方が先に発表してしまいますから、やはり問題が起こる。そこで一つ考え方として、もうざっくばらんに言って、生徒は塾のいろんなもので自分の大体の位置もある程度知っておるし、学校でもわかっているだろうと思うのです。ですから、二月ということあるいは一月下旬ということを前提にして物を申し上げるならば、コンピューターの一定の作動時間というものを計算をして、二次を三月中にという私立大学とのかかわりで押さえようとすれば、いま言ったように一次でもって足切りもなくなるし、それから志望はそれぞれ出していくと思いますけれども、この一次の結果というものを二次の結果の少し前ぐらいに出すような時間の設定をしていけば、いわゆる時間をずらすこと、それから足切りをすることも可能じゃないか。あとの具体的な技術的な問題はある程度の解決ができる。こういう前提で申し上げているのでして、そうなってくると、逆に一次と二次がある程度同じような時期に答えか出てきますから、そうなれば、ウエートを明確にさえしておけば大学だって選ぶときに非常に楽にいけるのじゃないか、こういうことで申し上げているので、いままでのルールはわかった上で一つの変更を、二月あるいは一月下旬という時期を絶対に譲れないとおっしゃるので、そういう方法考えられないのか、こういう申し上げ方をしたわけなんです。その点、まだお考えができておらなければ御返事はいいです。  さらに、さっきの、ウエートを明確にしてくれという問題についてのお考えがあったが、これはPTAの方のお考えですけれども、高校関係ではどういうふうにお考えになっているのかの点もはっきりしてもらいたい。
  34. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまのウエートの問題に関連して、いまのやり方でいきますと、第一次については科目ごとの点数、総合点、二つ出します。それについて高等学校側は、一次テストと二次テストの組み合わせという観点からしたら、一次テストというのは大体高等学校の必修科目を中心にした到達度ですね、いままで言っているのは。それだと科目ごとの点数は要らぬのじゃないですかということが考えられる。つまり、二次で専門性に適性があるかどうかについて小論文だとか特別の試験をやるわけですから、そうすると、一次の場合は到達度という一般的な評価でいいならば、科目ごとの点数を出すことは逆に、今度は二次のときに、理科を志望しているのに必修の理科系科目が非常に悪いというときには一次テストがさらに検討の材料になることが恐らくあり得るわけですね。だから、いまのこの一次、二次のウエートという問題を考える際に、現在の科目ごとの点数の発表の仕方と総合点の発表の仕方ということについて、一次、二次の総合的観点からした場合に高校側は問題にしたことがあるのかどうか、これが一つです。  そして、いま仲川さんから出されているウエートの置き方の問題に関連して、足切りがいまのようになった場合、自信過剰な生徒ほど自分の第一次テスト以上のところを希望しますよね。そのために受験資格がなくなっちゃうということがあり得る。そういう場合に、そういう生徒をどうして救済するか、救済すべく大学側センター等々に高校側が議論をして問題にしたことがあるのかどうか。この二つを含めて、どなたでも御意見をいただければと思います。
  35. 森武夫

    森参考人 第一点の、共通一次の科目ごとの点数の平均点発表していただけるというようないまの方向ですが、われわれとしては、先ほどお話があるように、各生徒受験生全員に自分の点数を知らせるということがないという前提ですと、自分自身が自己評価して、全体の中で、その科目の中でどのくらいの位置を示しているかということがわかる資料をもう少し親切に出してほしいという要望現場ではあるわけです。
  36. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いま言っているのは、そういう科目ごとの点数を発表するという仕組みにしてあるでしょう。そのことが、第一次、第二次組み合わせという今度の試験に際して、総合点だけでいいんじゃないかという判断が一方でできるわけだ。平均点だけでいいわけだ。そうすれば、二次についてはそれぞれの学部によって試験の仕方がいろいろ変わるから、だからそれを科目ごとにやるという趣旨は、いまのやり方は、一次、二次の組み合わせで総合的に判断するという試験趣旨からかんがみてその点だけでいいんじゃないですかというふうな議論が成り立つと思うが、検討されたことがあるか、こう聞いているわけです。われわれがここでお聞きしているのは、高校教育観点から見て、いま与えられている仕組みややり方が高校教育にとってためになるのかならないのか。それから受験生にとって、いま与えられているやり方が過剰になったり、受験地獄がさらに激化していくようなことにならないかと恐れるから、いまやられようとしていることについて、変更できるものは変更するべく高等学校の側からの意見を聞きたいというのが私たち趣旨ですから。与えられたものに従うなら何も聞く必要はないわけです、極端なことを言えば。
  37. 森武夫

    森参考人 二次試験と一次試験とのいわゆる比率を明示してほしい、こういう要望現場からも強いわけです。だから、ある大学は、共通一次の点数はたとえば二百点満点で七科目で千四百点ですよ、その同じ点数を二次試験で見ていますとか、あるいは場合によっては、むずかしいでしょうが、二次試験は学科試験をやらないで、ほかの面接とか小論文とかいうことになりますと、必ずしも同等ということにならないかもしれませんね。そういう点で各大学がいろいろ対応がばらばらですから、一律にはわれわれまだこういうふうにとは……。一次、二次等をどういう割合で見るかとか、どういうふうにして入れるんだという各大学の物差しの手の内をできれば見せていただきたい。これがあると、受験生が自分の個性に応じて、こういう大学の物差しの方がぼくには合っているという大学を選べます。そうでないと、新しいやり方でぱあっと、漠然と物差しもわからないで受けに行くと、自分で一番これがうまくいきそうだという大学を選ぶのに非常に不自由しますということがいまわれわれが考えている対応でございます。
  38. 仲川幸男

    仲川参考人 先ほど小川先生の、一次試験と申し上げていいと思うのですが、一次試験と二次試験とを一緒にやって、まぜてというのは、今度のこの改革の中ではやはり基本的なことがむずかしくなるのではないかと思うのは、一番初めに、いま御説明があったように二つの大学受験を出して調整するところはどこもなくなるということになるわけであります。一次と二次とを合わせて試験をするということなら二つ出す必要もなくなって、一緒にするから、調整するなら一つしか出せないことになるのではないですか。ああいう中で調整をする期間を持つかどうかということを非常に心配するのです。  それから先ほどウエートの問題の嶋崎先生お話なんですけれども、過去に苦い経験が何回かあるものですから、特に高校というのは試験を受けさせてもらう側ですから大変弱いので、高校の発言ということはなかなか大学側へ通らない。文部省はそのあたりの問題はやっていただかないと、高校側が、校長先生方がそれぞれのところから言いましてもなかなか、先ほど申し上げました能研にいたしましても進適にいたしましてもいままで苦い経験を持っているだけに、私はこの際、一次試験はこれだけにするんだ、二次試験はこれだけで採るんだというウエート大学ははっきり統一してもらいたい、こういうことでございますので、あえてひとつ申し上げた方がいいと思います。
  39. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ですから、いまの現状から言いますと、各大学発表したのを見ますと第二次は本当にばらつきですわね。現実にはばらつきがあって、そして一次テストのときには科目ごとと総合点とあるわけでしょう。そうすると、ばらつきということは科目ごとが生きるに決まっておるということですよ。そうすると、必修科目を中心にした到達度のテストだという趣旨が現実に生きなくなってくる、少なくとも今回は。将来はそれを是正していくということ、検討するということになるでしょうが。そうすると、少なくとも今回のテストをやる際にそういう問題点があるとすれば、そういう問題点を残したまま再来年から直ちにやるということは、その期間の生徒たちにとっては実験用の材料になることになるわけですよ。だから、実験用の材料になるような、ある意味の犠牲を強いるやり方をとることが壮大なる実験かどうかという問題が必ず出てくると思うんですね。再来年受ける者がたまたま受験資格を失ったなんということがあり得るわけだ。それはやはり制度の運用に伴って犠牲になる人たちなのだから、そういうものを是正していくについての方途を、私たち立法府の方でも考えなければなりませんけれども、特に高等学校先生方や現場の側からすれば、そういう生徒を救済する進学指導上の先生方の義務もあるでしょうし、後期中等教育をあずかっていらっしゃる先生方からすれば、生徒たちに単なる実験でやられたのでは困るわけですから、最大限の、少なくとも被害をチェックしていくだけの、行われようとしているものについて改革すべき点があれば改革するという対応をしておかなければいかぬという趣旨でいろいろ問題を議論しておるわけですから、そういう意味で、与えられたものだからしようがないという議論ではなくて、たとえば期日というような問題でも、二月以降にずらすとおっしゃるならば、それに関連して私大はどうあるべきであり、同時に一次と二次との組み合わせばどうあるべきであるという、高校側がいままで議論されて、変えてほしいとかそういう要望があればわれわれも非常にお聞きしたいし、当然立法府として今度は行政に対して述べられる問題点になるわけですね。だからそういう意味では、いままでのわれわれの短い去年からの経過ですけれども、大学側は三月二十日なら二十日を先に決めてかかってしまって、何もかもさかのぼっていくわけでしょう。そうすると、後期中等教育はもう三年の夏以降はだめですよ、こんなことをやられたのでは。だとすれば、後期中等教育というものは少なくとも三年間きっしりやらなければならないという高等学校の論理があるわけだから、学校教育法でも決められている原則があるわけだから、それを堅持しつつ、いまの入試テスト改善に対して、高校として、いまのやり方ならばこことこことここは改善してもらわなければならない。それが期日の問題であったり、いま言っているような足切りの問題であったり、いろいろあるとすれば、それを将来よくなるだろうというふうに高等学校が妥協してしまったのではだめなんです。それに合わせたことに伴う被害が出てくるとすれば、少なくともここ数年間の生徒は犠牲になるわけですから、そしてその間の高校教育はゆがむわけですから、だからこの際、実施する前に、まだ再来年のことですから、ことし八万人の試行テストをやるわけですから、そういう意味で要望すべき課題をわれわれにきょうお聞かせ願いたい、そういう趣旨で御発言を願いたいと思うのです。
  40. 鍛冶清

    鍛冶委員 いまの関連で、いままで皆さんがいろいろ御質問なさったりお答えいただいた中で、いまの嶋崎先生要望はぜひつけ加えていただきたいということを含めて、ちょっと違った角度からお聞きいたしたいのです。端的にお尋ねするのでちょっとお答えしにくい向きもあるかもわかりませんが、文部省とかなんとか一切かかわりなしに、さっきからお話があったように、子供さん方に日本の将来を担っていただくわけですから、ひとつ本当に正常な教育というものがきちんとやれるという形の中で入試というものが改善されればそこにも行き着くのではないかという形でこられていますので……。  いままでは多少技術的な、日時とかいろいろなことが多かったわけです。私が率直にお尋ねしたいのは、この入試問題、こうやって改善し、スタートし出したのですが、いま御要望がお三人からそれぞれ何項目かずつございました。その要望がきちっと入れられなければこの入試問題を改善した意味というものは全くないのかどうか。すなわち、現行のいわゆる入試試験地獄というものは、いま注文をおつけになった問題が解決しなければいままでの入試地獄と同じような形が続いていくというふうにお考えなのかどうか。逆に言えば、今回の入試問題は、こういう制度をつくってやるということについては合格点がつけられるかどうか。そしてそれがまた高等学校における、後期中等教育における教育そのものの内容を本当に充実した試験そのものに、これはかかわりがないと言えば語弊があるわけですが、本当にそれを改善していく、そして高等教育を、後期中等教育を受けさせていく体質改善というものがなされていくという形で、御注文あったものが全部仮にかなえられれば役立つものかどうか、それが一つですね。もしこれが入れられないとすれば、むしろ試験は前より以上に、受ける高校生にとっては勉強する内容を含めて過重な負担になるので、この入試はむしろやっても効果は期待できないというふうに考えられるのかどうか、率直なところをお聞かせ願えればというふうに思うのです。
  41. 森武夫

    森参考人 いまの御質問に簡単にお答えしますと、われわれが要望しておる、たとえば共通一次試験というようなものは、御承知のようにマークシート方式、マル・バツといいますか、客観的な答えで判定をするということが第一回戦ではやられるわけです。ただ問題は、二次試験科目数が多くなりますといままでの入試と余り変わりがない。また難問奇問で、あるいは程度を超したむずかしい問題が出ないとも限らない。したがって、私たちが言っておりますのは、客観テスト共通一次といっても、相当に考えないとうまく答えを出すことはむずかしいと思うので、私はマークシート方式だからやさしいとは思いません。相当勉強しないといい点はとれない。したがって、いままでの五教科六ないし七科目という取り決めはちょっと酷である、負担が重い。現在行われている大学入試でも大体五科目か六科目で済んでいるわけです。それが共通一次で五教科六ないし七科目、したがって第二次試験で二つやっても九科目ぐらい勉強しなければならない。だからこれは将来にわたっても五教科五科目ぐらいに減らしていただきたいというふうに前から申しておりますが、いまの共通一次と、二次ではその相関を見るためにも学部学科で必要なものだけ一、二科目にしぼってほしい、というのは、いまの客観テストのある意味では弊害を除去する意味で、記述式、論文式でその学部学科に必要な科目を一、二科目やっていただいてもやむを得ない、こういうのが私たち考えでして、これが行われると、従来行われているようないわゆる難問奇問というものは排除される、そういう方向では大きく前進するのではないか。  それからもう一点は、先ほど申し上げた高等学校三年生が一応教育課程を終了する、全国的に見ますと二月上旬以降ならば、現状折り合いまして、たてまえ論で言えば卒業式が終わらなければ困りますと言わざるを得ないのですが、そういう程度で第一回戦からおやりいただければ大変結構ではないか、このように考えております。
  42. 鍛冶清

    鍛冶委員 ということは、要するに第二次試験のものは小論文とかなんとか限られたものにならない限りは、いままでの入試地獄といいますか、いわゆる受験生に対する負担は逆に言えばむしろ過重になる、そういうふうに考えてもいいわけですか。
  43. 森武夫

    森参考人 そうですね、私のは、いわゆるペーパーテスト学力試験だけにいままで偏り過ぎている、それをもっと人間を見る物差しを、ほかの物差しを入れてくださいということで、小論文とか面接、実技というものを強くお願いしておるわけです。
  44. 池田克也

    池田(克)小委員 いま鍛冶委員からお話しした問題は非常に大事なところなんですね。御要望が出ていますか、御要望が入れられなければ過重になるんですね。これははっきりしていただきたい。
  45. 鍛冶清

    鍛冶委員 これは何も決めつけて申し上げているのじゃなくて、本当によくしていくという方向で各委員がおっしゃっておりますので、そこらあたり率直な、文部省とか別に気にする必要はありませんので、ぜひ子供さんのためにお答えを願いたい、こういうことですので率直なところをよろしく……。
  46. 森武夫

    森参考人 いまの負担過重かどうか、この計量は大変むずかしいのです。いまの共通一次テストが、いままで出ている問題は、大体二回やっておりますが、いわゆるマル・バツの方式ではあるけれども、一言で言いますと非常にいい問題が出ております。したがってかなりよく勉強しないと高点をとることはむずかしいでしょう。したがって、ことしの八万人対象の試行テストも相当大量で、それをまたもう一度確かめるわけですが、やはりかなりいい問題が出るし、かつての方式よりも相当進んだ方式で設問ができるというふうに聞いております。したがって、その上に二次試験がかぶってくるので、五教科六ないし七科目の上にその二次試験をたくさんかぶせることは負担過重であると私たち考えています。
  47. 宗内昭春

    宗内参考人 やはり負担過重であるということに間違いはございません。一次テストが行われて、さらに二次テストが、従来と同じようなテストがもし行われたとすれば、三重負担という言葉を現場では使っておりますけれども、負担でございます。  それと、先ほど嶋崎先生あるいは小川先生の話にちょっとつけ加えさせていただいてよろしゅうございましょうか。——われわれは一次テストを重視してもらいたいというたてまえをとっております。ですから、学科試験については一次テストで見てもらう。会長が言われたように、あとは、学部、学科によっては持技、技術だとかを見なければならぬものも出てくるでしょうけれども、そういうものあるいは面接等、あるいは将来は調査書等、校長会もそう言っておられますけれども、それをあわせて判定してもらいたいということでございまして、そういう意味では、要するに最初から、嶋崎先生がおっしゃったように、今度受ける生徒からそういう方向でやってもらうことに全力を挙げてお願いしたいということです。  それから、私が冒頭申し上げたことで、ちょっと小川先生の御発言にもあったかと思いますけれども、時期をずらすことが高校として好ましいことであり、足切りということは好ましくないことであるという論点からして、われわれの会でまだ十分煮詰めた問題ではございませんけれども、この論理に反対する理由は何もないので、もしそれが実現すればもう皆賛成だろうと思います。十一月七日に全国の理事会を持ちますので、この問題を早速取り上げてみたいと思います。  いま仲川先生がちょっとおっしゃった、一次テストコンピューター処理があるから相当な期間を要するということでございます。一次テストの結果は受けた後でわかるわけでございますから、それによって志望変えをするということは可能でございます。そして二次テスト大学か独自に行うわけでございますから、志望を出した後そう期間はかからないわけでございますので、一次のコンピューターの結果が出る時点では、二次テストはおくれてスタートしても結果が出ている、そこで総合判定かできるということで、現在の仕組みからそれほど外れているものではないというふうに考えております。会で十分煮詰めたわけではございませんけれども、そういうふうに考えます。
  48. 仲川幸男

    仲川参考人 直前のテストの問題は私もちょっと感覚が違うので、小川先生とのお話で幾分理解ができるのですけれども、ただ私は、進学の担当をしておる高校先生の大もとがそう言うのですからそれでいいと思うのですが、実際は、子供が帰って何点であったかということを言い合って、進学先生と話して、おまえは東大を通るのだったけれども京大に変えるかどうかというのは、ごく短期間にやれというのは、四百万の生徒に短期間にそれを訂正しろといってもなかなか大変な作業があると私は思いますので、その期間の問題がいろいろですから、そういう物の考え方で申し上げたのです。  それからもう一つ先ほどから問題になっております、おまえらが言うておる条件が全然満たされなんだら結局過重になるのかというお話は、私はやはり過重になると思いますか、ただ一口に過重になるのだということだけじゃなしに、総合テストは毎日毎日の勉強を一生懸命にしておったらできるのだということで、いままで大学でいろいろな学科でやられておったむずかしい問題が出ないということで一次テストが行われるのですから、その意味においては、過重になるかどうかというのはその生徒の学習指導の中の姿勢で、教えてもらっておることを習っておれば一次テストは十分できるのだという物の考え方に立てばあとの学科が非常に軽くなる。特別たくさん出されそうな大学の一、二は別として、そうでない大学においては私は必ずしもそのことがそのままずばり重くなりますというのには分析の必要があると思いますので、お答えにならぬかもしれぬ、あちこちですけれども、基本的には一次試験出題傾向に問題があると思います。
  49. 鍛冶清

    鍛冶委員 ちょっと関連して宗内先生一つだけ。  進路指導先生なんかに一、二お話を伺っていましたら、五科目必修でやる、試験内容はやさしくなる、だからそう心配は要らないのだ、こう言うけれども、担当する先生に言わせると、それはそうじゃないのだ、やさしいということは逆に選択かむずかしくなるのであって、だから一、二点を争うところでやられるという可能性がある。だからそれはもうやさしいどころじゃない、むしろ一生懸命やっておかなければいかぬということで、いわゆる必修の科目については大変やらなければいかぬという御意見が強いようですが、それはそういうふうにお考えなのかどうか、それが一つ。  それからもう一つ、実際今度新しくなってから受ける生徒よりも、さっき実験云々とか犠牲云々というお話が各委員からもございましたか、それをないようにする意味でもちょっとお尋ねしたいのですか、やはり来年受ける生徒か非常に大変みたいですね。それで大学へ通る生徒はいいわけですよ。ところが、落ちて浪人したらおまえたちは最後だぞという最後通牒みたいなものを生徒が皆突きつけられちゃって、とにかく一校じゃ間に合わぬから二校、三校、六校か七校受けようとか、それはいま大変なハプニングというか、パニックみたいなものが起こっている感じなのですが、そういう生徒さん方というのは、今度の試験制度に対応するカリキュラムとかなんとかは一切やってないわけで、これが果たして、落ちてまた受けるという方が、そういう今度の対応というものがにわかにできるような内容充実というものができるのかどうか、そこらあたりも大変心配しているのですが、そこらあたりをちょっとお聞かせ願いたい。
  50. 宗内昭春

    宗内参考人 共通一次テストにつきましては、いろいろな意見があるにいたしましても、ずっと準備段階で、高等学校側でも校長会を中心にしていろいろ試験問題の内容については勉強させていただいておりますし、要するに妥当な問題を出そうということで、大体そういう方向で進んでおりますので、これはやはり高校教育正常化につながっていくだろうという判断か多数を制しているのではないかというふうに思います。要するに、いままで学校の勉強をしておったのでは大学が受からないのだということが高校現場を一番混乱させておったわけでございますので、そういう意味からしますと、教科書の範囲から試験が出されるということで、もちろん勉強しなければいけないのはいつの時代も同じでございますけれども、そういう意味では共通一次テストについては、過渡期はいろいろな問題はあるかもしれませんけれども、やはり生徒高校への定着と申しましょうか、高校正常化という方向でそれが生かされればやはり大きなメリットがあるのではないかというふうに、一次テストだけについては考えております。  後の方は……。
  51. 鍛冶清

    鍛冶委員 来年受ける生徒です。
  52. 宗内昭春

    宗内参考人 これもいまの精神にのっとって、いわゆる教科書をマスターしておればいい、そういう前提で高等学校現場もやはり大方はそうとらえておりますが、また過渡期の現象としては、いままでがいろいろ受験準備体制ということで来ておりましたので、その延長的な考え方がどうしても残ってくるとは思いますけれども、だんだんにこの問題は時間を追って解決していくのじゃないかというふうに思いますけれども。
  53. 山原健二郎

    ○山原小委員 これは昨日の毎日新聞に調査が出ておりますが、この入試改善というのは受験生負担を軽くするというのがもともとの趣旨なんですね。ところが私が調べてみると、これは各県の受験校だろうと思いますが、三十数校が生徒負担は増大するというふうに見ていますね。軽減するというのはほとんどないわけでして、そういう意味で、現在発表されておる形態では生徒負担は増大するということ、これはまた大変重要な問題だと思うのです。たとえば二次試験改善されるとか科目を減らすとかいうことになればこの増大というのは多少減るかもしれませんが、いずれにしても現在発表されておる情勢のもとでは、高等学校側の圧倒的多数が生徒負担は増大するとされておることは、もともと私どもかこの入試改善問題を論議した趣旨から言うならば、結果としては相反するものが現在の時点では出ておるということです。  それからもう一つは、これは非常に重要なんですが、カリキュラムを変えるかどうかという設問に対して各学校からの意思が出ていますが、皆ほとんど、変える、あるいは検討中、こうなるのですね。そうしますと、いままでの高等学校三年というものの理念から、このカリキュラムを変えるということが、よく変わるのか、あるいはむしろ改悪になるのかという点が重要だと思うのです。といいますのは、高等学校三年というものをずっと長い期間にわたって、いわば後期中等教育としての人格の完成というようなものとか、基礎的な力を全面的につけるというような立場で見てきたこの三年間という期間、これが今度の共通一次テストによってカリキュラムを変える学校がほとんどである、あるいは検討中がほとんどであるということになってまいりますと、もうすでに高等学校教育へこの共通一次テスト問題がかなり踏み込んでいるという点、この点でどういうふうに高等学校教育が変わるか、あるいは改善になるのか、場合によっては改悪になるのかという点はかなり重要な問題として検討しておかなければならぬと思うのですが、この点について、改善、改悪というふうに二つに明確に分けるということは困難だろうと思いますけれども、しかし高校教育に相当踏み込んできたという点は私どもにとって非常に重要な問題です。というのは、高等学校協会のいままでの発表の経過を見ましても、最初は早く実施するようにという意見書が出ていましたね。     〔小委員長退席、小島委員長代理着席〕 その次に最近出ているのでは、高校教育をゆがめないように慎重にやれという意見書になっておると思うのです。その点から考えますと、すでに高校教育にかなり影響を与えておるという点で、これは相当われわれも分析しておかなければならぬと思いますが、この点について意見を伺っておきたいのです。  それからもう一つは、仲川さんの方は一期校、二期校の問題について一言触れられましたが、一期校、二期校が今度の共通テストでなくなるという問題ですけれども、御承知のように、いま私学の場合は相当学費も高くなっておりますし、経済的に困難な家庭は何とかして国立大学へ入れたい、それは経済的に見てもそうだという希望があるのですが、その場合、いままではともかく二回勝負ができたわけですね。ところが今度は一発勝負ということになりますと、これはむしろ改悪だと言わざるを得ない、こういう結果が出てくるわけです。この制度改革の中で出てくる一つの問題としてこれは大変大きい問題でございまして、これは当然高等学校側から相当の抵抗があるというふうに思っておったわけですが、この点についての御発言がなかったわけです。私は何とか一期校、二期校を残す方法がないのかということを考えているわけでございます。一期校、二期校というふうに固定することには私は必ずしも賛成じゃありません。一期校、二期校を変えることによりまして、決してそう混乱は起こるものではないと思っていますし、そういう意味で、今度の改革の中でいわゆる二回勝負ができなくなったということは受験生にとって非常に大きな問題であろう。それからまた高等学校側にとりましても非常に痛いところだろうと思うのですが、その点についての御意見を伺っておきたいのです。二つですけれどもね。     〔小島委員長代理退席、小委員長着席〕
  54. 森武夫

    森参考人 お答えをいたします。  いまの問題は、私も昨年から文部省大学入試改善会議に出ておりますし、その前の会長が二年やったわけですが、その討議の中で、高等学校側としては一期校、二期校が一元化されることについては基本的には望ましくない、やはり二回のチャンスがあるのだからそれをなるべくかなえてほしいということは言い続けてまいりました。他面、その新しい大学入試方向かいろいろ検討を経、国大協等においては先ほど申し上げました調査研究報告書を、二度にわたって、基本的な問題点をすべて調査研究し尽くして、昨年の秋の総会において、新しい方向大学入試改善に資するという判断をされまして、いよいよ五十四年に向かってスタートをすることができるというお答えを出しました。われわれもかつての、先ほど申し上げましたように高校紛争等の苦い経験を踏まえて大学入試改善されることを強く期待しておりましたので、当初は五十三年春をめどに実施してほしいということを強く要望してきました。その流れの中で、五十三年は無理であったが、五十四年ならできるという国大協総会の判定を踏まえ、その途中で国大協はまた、その新しい方策実施と同時に一期校、二期校を一元化するということを国大協自体でお決めになりました。われわれも最小限、新しい方式ができるときに一期、二期か一元化することについてはやむを得ない。ただ、一期、二期だけが早く先に行ってしまって大学入試本来の改善ができない場合には反対ですという態度でまいりました。したがって、それか同時に決着を見たということで、高等学校協会としても一期、二期校一元化については反対をするということはいたしませんでした。それが経過でございます。それから本論的にこの改善の問題ですが、全般的に見てこの方向をやはり推進していただくということが一番いいのではないかという基本的方針はいまにおいても変わりがないものでございます。先生の第一点についてはよろしゅうございましょうか。
  55. 山原健二郎

    ○山原小委員 まあそういうことです。  もう一つ、カリュキュラムの問題ですけれども、カリキュラムをずっといま検討されておる学校がほとんどですね。
  56. 森武夫

    森参考人 私もいまその新聞を一応見ましたけれども、これは都道府県ではトップクラスといいますか、進学校進路指導先生を対象にぱっと集めたデータですね、いまの毎日新聞のデータは。
  57. 山原健二郎

    ○山原小委員 これだけ言っているのではなくて、私は自分の県の高等学校教育課の方へ連絡したのですよ。やはり変えていますね。変えようとしています。検討せざるを得ない。だから受験校だけでなく、受験校だって大きな問題なんで、これは受験する子供たちの問題を論議しているわけでしてね。そういう点で、かなり高等学校教育がゆがめられていると一言では言えないと思いますけれども、ともかく変化が生じておるということは事実なんですね。
  58. 森武夫

    森参考人 今度の手続の中で一番気づきますのは、いまの流れの中ですと、いまの高校二年が来年三年になってきて、当初計画は九月に出願する、そのときに大学名を二つ書きなさいというのが入っていますので、従来、いままでの高校現場では、最終的には十一、十二月ごろから固めて一月ごろ志望する大学決定するというような流れでした、それが今度は、いまの手続が変わったことによって、九月いっぱいに志望する大学を決めて共通一次の出願をしなければならないというようなことで、いまの各担当の先生方、担任初め進路担当の先生方がその対応を相当早くしなければならないということか大きな変化でございます。
  59. 山原健二郎

    ○山原小委員 期日の問題と関係してきますけれども、たとえば運動会とか文化祭というのは二学期にほとんど集中して行われるわけですね。たとえば県下の体育大会、スポーツ大会などというのは大体二学期に集中していくわけですね。ところが今度の場合、期日の問題と関係しますけれども、相当高等学校に影響が出てきておると見なければならぬのじゃないかと思うのですね。そういう点で、高等学校三年間の教育に対するわれわれの理念、また先生方の持っておった理念に変化が生じてきておるのではないかということなんですね。先生の御意見は大体わかりましたので、宗内先生、その点どうですか。
  60. 宗内昭春

    宗内参考人 共通一次テストが本来の当初の趣旨のとおりに実施されることはいいわけですけれども、それが十分尊重されて、われわれが当初考えておった、受けとめておりましたような方向実施されるならば、やはりさっきから申し上げておりますように高校正常化にもつながっていくというふうに考えますし、いまカリキュラムを変更するというお話がございましたけれども、全般的に見ますればいままで変更しているんでございまして、かなりの数がやはり変更してきているわけでございます。実際問題としては。それはやはり共通一次といま二次との絡みがありますから非常に問題が複雑でございますけれども、いわゆるわれわれが要望し、また当初から受けとめておりますような方向で推移していくならば、それが是正されていくんじゃないかというふうに私どもは判断をしております。多少の時間はかかるかもしれませんが、いままでがすでに受験対策で学校のカリキュラムが非常に混乱しておったということの、いま毎日新聞あたりに出ておりますのはその一つ流れをくんだ線上にあるのではないか。だから、むしろその一次テストが適正な問題で、そしてそれが学力も判定する一つの大きな材料として、ウエートを重く見ていただいて合否を決めていただくという方向であれば、だんだんにそういう問題は解消していくんではないかと思われるし、であるがゆえにわれわれも一次テストについては賛成をしてきたということでございます。
  61. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それに関連して、マークシート方式というのは高等学校ではできませんね。そうしますと受験産業かそれを始めますよ。そうしますと、マークシート方式による受験のやり方のケースですね、イグザンプルを高等学校先生方が利用し始めるということがあり得るわけですね。そうしますと、マークシート方式という形のテストであるがゆえに、逆に受験産業と現場の教師が結びつくことによって、それに合わせたカリキュラムの編成ないしはテスト体制に再編されるということを懸念されたり検討されたことはありますでしょうか。現在のテストは業者と結びついて、全国現場で大変問題になっていることはもう御承知のとおりですから、そういう場合に、いまおっしゃったように必修科目の基礎テストなんだから、いままでがゆがんでいるので、正常化するというふうにのみ楽観的に見れるか。いまの教育を取り巻いている環境と受験産業のあり方、特にマークシート方式というテスト方式を考えた場合、そういう受験産業と現場の教師の結合が、山原さんが心配されているように、いまでさえカリキュラムの再編がもうすでにことしの四月から全国で始まっていますよね、そこへもってきていよいよマークシート方式が動き始めてくると、もう受験産業はみんな設備投資するのですからね、そうした場合に現場教育との関連でゆがみが生じてくる可能性というものを非常に恐れるわけだ。そういう点について現場では検討されたことはありますでしょうか、ないしはそういう問題について高校教育観点から議論されたことがあるでしょうか。
  62. 宗内昭春

    宗内参考人 会としてはその問題について議論したことはないのでございますが、高等学校の方は、従来業者テストという問題は中学に比べまして比較的影響を受けてない状況にはございましたけれども、それにしても、やはりこの業者テストというものについては、率直に申しましてデータが非常に詳しく送られてくる。したがってむしろ、これは全体的な討議ではありませんが、個々の学校学校独自でやっていこう、学校独自で、平素の成績その他をもとにして生徒の進路の判定ができるあるいは参考になるというようなテスト実施しようという動きも、高校現場では具体的には幾つか起こってきていたところなんでございます。従来のいろいろな業者テストにつきましてですね。ただ問題は、先ほど会長がちょっとおっしゃいましたけれども、予算の点が絡みまして、データ処理その他がどうしても業者テストには率直に言ってかなわないという点がある場合もございますので、そういう点をどう考えていくかということは今後われわれ現場の教師が検討していかなければならない問題だろうと思います。ちょっとお答えにならないかと思いますが……。
  63. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そういう問題点があり得るということを今後ずっと追いかけていかないと、おっしゃるように楽観的ではないと私たちは警告をしておかなければならぬと思っておるのです。だからそれだけに、後期中等教育が一次テストによって、逆にカリキュラムがテスト的に再編されるというようなことのないように、現場では相当に慎重な配慮が要るという点ですね。
  64. 木島喜兵衞

    ○木島小委員 失礼ですか、私の最初の質問です。というのは、お三人から現状におけるところの希望が幾つか出ましたね。これは第一次の期日を多少繰り下げるか、私は一月の十日ぐらいなら、高校教育に土足で踏み込むというさっきのあなたのお言葉がありましたが、その限りでは関係ないですな。十二月の二十二、三日を一月の十日ぐらいにするといっても、かえって私は気持の上では、子供には正月ぐらいちょっとゆっくりさせてやれと思うぐらいです。だからそれ以外はいまのところ可能性がありません。ないと思っているのです。これはこの問題が出てからずっとわれわれはやって、たとえば衆議院だけでも三枚に項目が並ぶくらい国大協その他とやってきました。そして最終的に彼らは七つのことを約束しました。けれども、さっきお話しのごとくこれは全部——国大協とは一体何ぞやと思うくらいですね。そこでさっき森さんが、大変期待に反した。最初の善意に期待をした、正常化に期待をした、そのことが裏切られたとおっしゃいましたね。そういうことがいまここにいろいろ出ているんだが、多くの御要望がございましたが、この御要望が入れられない場合、さっき私は、具体的には大きな方向を、入試方向を認めながらも、国民的合意というお話がさっきございましたが、そういう少しでも危険のないように、不安のないように一年延ばしてもなおやった方がいいのじゃないかという意味でお聞きをしたのですがね。否定するのではありません。だけれども、現場では不安がある。私は率直に申しまして、現場先生方が、きょうの皆様がどういうことをおっしゃるかということには大変敏感に注視しているのだろうと思うのです。私も具体的に多くの先生方に会っています。そういう声を反映しながら私は聞いているつもりなんですがね。個々のことを言っているのではないです。きっと、いままでの経過からいったら、これらはさっき言った一月に第一次の期日を少し延ばすかくらいがせいぜいですね。皆さんのこれら希望が入れられないときに、そしてこれはしかしだんだんと順々に直っていくのじゃないかということは、それは皆さんおっしゃるように、最初の期待というものが裏切られたごとく、この期待は単なる期待であるかもしれません。とすれば、そういう合意を求めるために、だからこそわれわれも、さっき宗内さんおっしゃったけれども、国会の決議があるからこれをと言うけれども、ただ、われわれは大学入試というものは各大学の自治だと思っておりますから、したがって干渉してはいかぬという前提を持っておるものですから、しかし、国民の中の不安というものがあるわけだから、それをわれわれは取り上げざるを得ないだろう、そういう意味できょうもおいでいただいているわけですよね。そういうことを統一させるために、私は、大きな方向を持ちながらも、一年延ばしてもそのことの方がいいのじゃないかという現場の声が私の接した限りにおいて多いものだから、だからお聞きしているんだが、一言ずつでいいのですが、どうですか、もう一回。
  65. 森武夫

    森参考人 私は、第一回目に決められた十二月下旬というのが一月、いま伝えられるところによりますと、いま木島先生お話だと一月十三日か十四日くらいに延びるのがせいぜいだろうというようなお見通しでございますが、私はその程度に延びるということだけでも買います。そして、やはり現場の教員及び受験生からすれば、心理的に一番大きくかかわるのはさっき言った、一月十三、四日に共通一次を繰り下げるということは、自動的に五十三日というのがしりっぽの方に出っ張ってきますね。そうすると三月三日、四日というような試験が延ばさざるを得ない、それから三月二十日という最初に言われた合格発表を延ばさざるを得ない。しかしあえてそこまで再検討をする、そういう考え方について私は賛意を表したい。
  66. 木島喜兵衞

    ○木島小委員 いいけれども、高校正常化という観点からすれば余り意味はないでしょうと言っているのです。
  67. 森武夫

    森参考人 不十分です。
  68. 木島喜兵衞

    ○木島小委員 余り意味はないだろうということを含めて、そうやって入れられなかったらどうなんだ、一年くらい延ばしても合意を求めようじゃないかということについていかがですかと聞いているのです。
  69. 森武夫

    森参考人 これはまだそこは検討しておりませんけれども、私が個人的に率直に申し上げますと、とにかく最初に期待したことを引き続きしつこく期待を続けたいと思います。
  70. 木島喜兵衞

    ○木島小委員 だから、それがだめな場合どうですかと聞いているのです。期待が裏切られたんだから、最初の第一発で。これが出発するときの期待は裏切られたとあなたはおっしゃったのだから、いまわれわれ要望することも裏切られた場合どうなのか。
  71. 森武夫

    森参考人 裏切られたというのは——私の言い方はいささかショックを受けたということで、不十分であったということです。ですから、全面的に全然われわれの言うことは受け入れられないというわけではない。
  72. 宗内昭春

    宗内参考人 やはりいま先生おっしゃったように、われわれが当初受けとめたことと現状は違っておりますので、先日も、七月に大会を開きましたときも、それ以前にも、やはり延期して、もう少し討議を深めるべきだという意見も出てまいりました。ただ、やはり非常に現場が混乱をするということですね。現在も非常に混乱をしておりますけれども、すでにもう示されて、さらに逆に混乱をするということも懸念がございますし、この要望をやはり執拗に、いろいろ先生方のお力もおかりして続けていきましてということで、全体としては延期論はまあ一部の意見ということで、会としては実施の延期については言わないということになっております。
  73. 仲川幸男

    仲川参考人 私はこの問題はひとつ明確に分析しておいたらいいと思うのです。これだけのものをしてくださいというのは先ほどから申し上げたとおり。お尋ねの、もう一年延ばしていいかというお尋ねが集約のお尋ねのように思うのですけれども、延ばして、一年時をかせば言うておりますそのことができるということなら、私は一年延ばしていただきたい。ところが、その時をかせばできることでなくて、いろいろなところの対応でできることをことししないことは来年もできないのだという物の考え方から、いまここまで来たこのテストは、父兄側も生徒も全部これでやるんだ、もう五十四年からこれでやるんだとみんな心構えしておりますから、それは、先ほどお話にもありましたように、現場それぞれの気持ちの中にも準備の中にも混乱が起こってくることでございまして、だから重ねて申し上げます。私たちの申し上げておることが、五十四年を五十五年にすればそれが入れられるという見通しのあるものがあるなればと思いますが、それは私は五十四年でも入れられると思いますので、以上のお答えにしておきたいと思います。
  74. 山原健二郎

    ○山原小委員 大事なところを質問されているので、仮に一年延ばすという、一年延ばすという言い方それ自体が問題があると思うのです。私の言うのは、一年延ばすということじゃなくて、やはり高等学校側を含めまして本当に合意に達するような、たとえばミスが生じたときどういう責任をとるのか、それに対してどう対応するのかというようなことは、もちろん一〇〇%万全を期すことはこういう改革の場合にはなかなかできない面がありますからそれはわかるのですけれども、予想される範囲のことはやっておかなければならぬ。  それからまた、いま皆さんの出されたことは国大協自体も出しているわけですね。たとえば国大協の例の七つの項目がありますけれども、あの中に、高等学校側、下級学校に対して悪い影響を及ぼさないということもあるわけですね。それから国大協自体はガイドラインを出したのです。このガイドラインも、実は各大学によって結果としてはガイドラインのようなことにはならなかったという、国大協自体は統制する機関ではないと思いますけれども、国大協自体も実は所期と違った結果が出てきておるということは感じておると思うのですね。そういう事態の中で、じゃ何年かやっても改善されないということでいくならば、欠陥を含んだまま突っ走るということになりますから、だからそこで改善すべきものは改善をしていく。それがどの程度改善できるか。しかし現在の機械の状態からいって、要するに大学高等学校も、日本の教育制度の重要な部分がコンピューター一つによって振り回されるなんということになったら大変なことです。だからその点などについてはやはり十分討議しておく必要があるということ。  それから、いまの混乱の問題ですけれども、現場におられる皆さんから混乱すると言われると私たちもどきっとするわけですが、しかし本当に混乱するのかどうか、むしろここでもっと検討して、高等学校側のあるいは現場の方々の意見なども聴取していくことが、混乱をより少なくすることになるのではないかということなんですね。だから、一遍出発したんだから、もう引き返すことは混乱だと言われると、私ども現場のことをよくわからないから何ですけれども、しかしやり方はあると思うのです。たとえば国大協を通じて、国大協でもう一回検討していただいて、こういうやり方をやっていく、決してバックするんじゃないのですよ、今度の八万人テストの上にさらに本格的なテストを一度やってみる、そしてその結果を分析して、これこれこれは改善していくとかいうようなことをやるとか、いろいろな方法があると思うのです。  また、機械のことだって、機械に振り回されることはないんで、機械が足りなければ機械を設置するというようなことをして、受験生が少しでも安心して受けられるような体制をつくってあげるということも、これは国会の任務でもあると思いますし、行政府の任務でもあると思うのです。  そういう点を考えますと、いまそういうことをやる、こういう積極的な具体策を出してやるならば、混乱という事態は、いまこのまま突っ走るよりはより少なくなるのではなかろうかという考えを持つわけですね。だから、国大協なら国大協が、五十四年度はいままでのような形態でやってもらいたい、しかしなるだけ難問奇問はなくしてもらいたいというガイドラインをずばり出して、大学側に対しても協力を要請する、その中で着々と一つ一つ準備を完了していくということならば、必ずしも混乱が起こりますという一言で済まなくていいのではないかという感じがしますので、その点、いま混乱が起こるとすれば、一遍やると決めて、受験生もそういう気持ちになっておるのだから、それに水を差すことが混乱だというふうにおっしゃっておられるようですが、そこの辺が私どもちょっとわかりにくいのですがね。
  75. 仲川幸男

    仲川参考人 いまの点、率直に言って三人同じだと思うのですけれども、私たちの気持ちの中で、もう一年延ぶというのはこの場へ来ていろいろ話があって受けとめたので、そんな準備は実は私たちの中でもしていないと思います。私はそうでございます。もう一年延ぶということについては、なかなかそこまで私たちのグループの中では考えられておらぬ、こういうことでございます。そして、あえて重ねて申し上げますけれども、私たちが申し上げていることがことしできなかったら、来年に延ばしたって、一年延ばしたってできないであろうという見通しでございます。
  76. 中西績介

    中西(績)小委員 途中失礼しましたが、私たちいままで現場の教師と話をしてみまして、私、福岡なんですけれども、準備に取りかかっておるというのは、受験を大変重要視して特殊な状況までになっておるようなところでは相当やっていますね。しかし一般的に、普通高校あるいは職業高校ではこの問題についてはまだまだそこまではいっていない、これがぼくは現状だろうと思います。ということになりますと、国大協とこの前話をしたときも、あるいは文部省なりといろいろここで討論をした際に、高等学校なりそういうところとのコンセンサスがどうなのかというのが大変重要な問題になったわけですね。ところが、この中身を見ましても、また私たちが討論を経た過程の内容からいたしましても、その点が不十分であるということはもうだれしもが認めておると私は思いますよ。そのことが、結果的に出てきたことに対してショックを受けるような状況になってきたということにならざるを得ないわけです。ですから、大学ペースで行くのか高等学校ペースで行くのか、高等学校教育をどうするかという視点から見た場合にどこが主体を持つかということが大変重要な課題になるわけですね。そのときに、大学ペースで行けばおのずからこの中身というのは大変ゆがめられるという結果にならざるを得ないわけですから、ここら辺をどうお考えになっているかが大変重要な課題になるわけです。先ほどからお聞きしておりますと、主体を持つようだけれども、決定がこうなればいたし方ないということが前提になるみたいで、私はこの場では大変その点を危惧するものなんです。ですから、これから後、むしろみずからの中身をもう少し高等学校側がどんどん出していただいて、そして大学のそういう誤った点を改める中から、高等学校教育をいままで受験地獄に追いやっていったという経過があるわけですから、これを断ち切るためにも、高等学校はどうするかという主体性を持たぬと本格的なものにならぬのではないかということを考えるわけです。この点、どうなんでしょう、私の主張していることが間違いであればまた考えなければならぬと思うのだけれども、お三方の中で特別異論でもあればまた言っていただきたいと思うのですけれども
  77. 藤波孝生

    藤波委員長 大体時間も来ておりますので、おまとめいただくなり何なり、御意見が特にありましたら……。なければ結構でございます。よろしゅうございますか。
  78. 宗内昭春

    宗内参考人 結構です。
  79. 藤波孝生

    藤波委員長 特には御意見ないようでございます。よろしゅうございますか。
  80. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ちょっとお聞きいたします。立法府で私たちが議論してこういうかっこうになっておりますね。さっきから仲川さんの御意見や森さんの御意見を聞いていても、一年延ばすか延ばさないかの話ではなくて、もう是正はできないという前提にお立ちになるようにとらえられているのですか。われわれは立法府ですから、予算をつけるわけでしょう。ですから、そのテストについて国が予算をつけるために、ここの委員会は与野党一致した委員会で、何も与党と野党が戦しておる委員会じゃないので、共通一次テストについて、国民的立場に立って、いまからでも短い時間において改革できるものがあればわれわれか一致した意見改革できるわけですから、そういう意味で、高等学校の側としてまだまだ言いたいことで、大学生徒を送ることが自分たち立場なものだから言いにくかったというようなことも含めて——われわれとして大体問題点はみんなわかっておるのです。足切り問題から例の受験資格を喪失させるような機械の問題やら、一次と二次の組み合わせが非常に初めの理念と違っているということや、問題点はみんなわかっている。われわれなりに改革しょうと努力するが、高等学校やPTAや進学指導等々を担当されている先生方の方でも、出てきたものをやむなしと言うのじゃなくて、われわれ立法府の努力と相まって、大学の論理だけで事を決めずに、何も排除するという意味じゃなくて、最も国民的な合意を得る方向に精力的に、短い期間の間に対応しなければならぬのじゃないかというふうにわれわれ委員会考えておるということです。その点を配慮していただいて、今後とも、高等学校長会だとか進学指導の連絡協議会だとかPTAなどでも、短期間に精力的に要望すべきことを要望していただくことは非常に大切なことだということを申し上げておきたいと思うのです。
  81. 藤波孝生

    藤波委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。  いま各小委員からお話がございましたように、第八十回の通常国会で大学入試センター設置するための法律案を当小委員会文教委員会で審議をいたしまして以来、学歴偏重社会あるいは受験戦争の激化という姿の中で、入試改善をしていくという総論については、全員ぜひ進めていこうということで従来もきていたのではありますけれども、入試の制度で大変革を構えていくについてはいろいろとやはり具体的に問題がある。試験の時期でありますとか足切りの問題でございますとか、あるいは二次の科目数の問題でありますとかあるいは私学への対応でありますとか、いろいろ具体的には問題点がございますので、この小委員会としては大きな関心を払って調査を進め、討議を重ねてきておるところでございます。特にその考え方の中で、高等学校教育を大事にしていきたいということを非常に小委員各位は念頭に置かれまして従来も議論を重ねてきておりますので、そういう意味で、きょう三人の参考人の方々にお越しをいただきましていろいろ御意見を承りましたことは非常に貴重なことであった、このように考えておるわけでございます。  いまもお話がありましたように、やはり大きな改正でございますので、早く全部の方針を決めて、受験生のすみずみまで、もう全部制度として早く決定をして、その方針に基づいて動いていくことも当然大切なことではありますけれども、できる限りやはり改善できるものは改善をして、一人でも多くの受験生に対しあるいは日本の教育にとってよりよい制度として五十四年度から出発をしていくということにすることが非常に大事なことだ、こんなふうに考えておりまして、そういう角度で今後とも本小委員会としてはさらに小委員の議論も重ねていきたい、こう考えておるところでございますが、どうか本日以後におきましても、いろいろ御意見がございましたらぜひ本小委員会に御意見をお寄せくださいますようにお願いを申し上げたいと思います。  この際、休憩をいたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕