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1977-11-11 第82回国会 衆議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月十二日(水曜日)委員長の指名 で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  入試問題に関する小委員       石川 要三君    石橋 一弥君       小島 静馬君    登坂重次郎君       中村  靖君    長谷川 峻君       藤波 孝生君    小川 仁一君       木島喜兵衞君    嶋崎  譲君       中西 積介君    池田 克也君       鍛冶  清君    曽祢  益君       山原健二郎君    西岡 武夫君  入試問題に関する小委員長   藤波 孝生君  文教行政の諸施策に関する小委員       久保田円次君    坂田 道太君       玉生 孝久君    塚原 俊平君       登坂重次郎君    水平 豊彦君       森  喜朗君    渡部 恒三君       千葉千代世君    水田  稔君       湯山  勇君    有島 重武君       伏屋 修治君    中野 寛成君       山原健二郎君    西岡 武夫君  文教行政の諸施策に関する小委員長                 登坂重次郎君  学校災害に関する小委員       玉生 孝久君    塚原 俊平君       藤波 孝生君    水平 豊彦君       森  喜朗君    木島喜兵衞君       水田  稔君    伏屋 修治君       中野 寛成君    山原健二郎君       西岡 武夫君  学校災害に関する小委員長   木島喜兵衞君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十二年十一月十一日(金曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 藤尾 正行君    理事 登坂重次郎君 理事 藤波 孝生君    理事 森  喜朗君 理事 木島喜兵衞君    理事 嶋崎  譲君 理事 有島 重武君       坂田 道太君    玉生 孝久君       中村  靖君    長谷川 峻君       水平 豊彦君    千葉千代世君       中西 積介君    湯山  勇君       池田 克也君    鍛冶  清君       伏屋 修治君    中野 寛成君       山原健二郎君    西岡 武夫君  出席国務大臣         文 部 大 臣 海部 俊樹君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       山口 光秀君         文部大臣官房長 宮地 貫一君         文部省初等中等         教育局長    諸沢 正道君         文部省大学局長 佐野文一郎君         文部省学術国際         局長      井内慶次郎君         文部省体育局長 柳川 覺治君         文部省管理局長 三角 哲生君  委員外出席者         外務大臣官房領         事移住部領事第         一課長     高瀬 秀一君         外務省情報文化         局文化事業部文         化第一課長   杉浦 芳樹君         大蔵省主計局主         計官      的場 順三君         厚生省医務局医         事課長     内藤  洌君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 川崎 幸雄君         自治省財政局指         導課長     土田 栄作君         文教委員会調査         室長      大中臣信令君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十四日  辞任         補欠選任   伏屋 修治君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     伏屋 修治君     ――――――――――――― 十月二十六日  女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の  確保に関する法律の一部を改正する法律案(久  保亘君外六名提出、参法第一号)(予) 同月十八日  国立能楽堂早期設立に関する請願長谷川正三  君紹介)(第四七号)  教育職員免許関係法令改正に関する請願(水  平豊彦紹介)(第六三号)  公立高等学校増設及び私立学校国庫補助増額  に関する請願上原康助紹介)(第六四号)  同(小川省吾紹介)(第六五号)  同外一件(加藤万吉紹介)(第六六号)  同(島田琢郎紹介)(第六七号)  同(島本虎三紹介)(第六八号)  同(田邊誠紹介)(第六九号)  同外七件(山田芳治紹介)(第七〇号)  同外四件(山田芳治紹介)(第一〇三号)  同(山口鶴男紹介)(第一三〇号)  同外一件(湯山勇紹介)(第一三一号)  同外五件(山田芳治紹介)(第一五三号)  同外七件(湯山勇紹介)(第一五四号)  学校図書館法の一部改正に関する請願山田芳  治君紹介)(第一〇二号)  宇和島城跡武道館建設反対に関する請願(湯  山勇紹介)(第一五二号) 同月二十二日  教員定数増員等に関する請願安藤巖君紹  介)(第一六九号)  同(田中美智子紹介)(第一七〇号)  幼稚園増設等に関する請願柴田睦夫君紹  介)(第二〇三号)  国立能楽堂早期設立に関する請願奥野誠亮  君紹介)(第二八二号)  公立高等学校増設及び私立学校国庫補助増額  に関する請願外五件(山田芳治紹介)(第二  八三号) 同月二十四日  教員定数増員等に関する請願田中美智子君  紹介)(第四〇八号)  公立高等学校増設及び私立学校国庫補助増額  に関する請願外四件(山田芳治紹介)(第四  八七号) 同月二十八日  義務教育課程においてたばこ有害性教育指  導に関する請願向山一人紹介)(第六七二  号)  公立高等学校増設及び私立学校国庫補助増額  に関する請願外九件(山田芳治紹介)(第六  七三号)  病虚弱養護学校校地取得等に関する請願(伊  東正義紹介)(第七一三号)  公立学校女子事務職員産休補助職員確保に関  する請願千葉千代世紹介)(第七一四号)  学校図書館法の一部改正に関する請願千葉千  代世君紹介)(第七一五号) 同月二十九日  教職員主任制度化反対及び主任手当設定中止  等に関する請願沢田広紹介)(第八七八号)  同(沢田広紹介)(第九六五号)  同外二件(小川省吾紹介)(第一〇四〇号)  学校災害補償法制定等に関する請願中野寛  成君紹介)(第八七九号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第八八〇号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第八八一号)  同(寺前巖紹介)(第八八二号)  同(東中光雄紹介)(第八八三号)  同(不破哲三紹介)(第八八四号)  同(松本善明紹介)(第八八五号)  同(福永健司紹介)(第八八六号)  同(伏屋修治紹介)(第八八七号)  同(山原健二郎紹介)(第八八八号)  同(小川新一郎紹介)(第九六二号)  同(大成正雄紹介)(第九六三号)  同(沢田広紹介)(第九六四号)  病虚弱養護学校校地取得等に関する請願(山  口敏夫紹介)(第八八九号)  同(小川新一郎紹介)(第九六一号)  学校教育充実に関する請願小川仁一紹介)  (第八九〇号)  同外一件(栗林三郎紹介)(第八九一号)  同(佐藤敬治紹介)(第八九二号)  同外三件(池端清一紹介)(第九六六号)  同外一件(新村勝雄紹介)(第九六七号)  同外三件(湯山勇紹介)(第九六八号)  同外一件(小川省吾紹介)(第一〇六一号)  同外四件(川俣健二郎紹介)(第一〇六二号)  同(沢田広紹介)(第一〇六三号)  同外二件(新村勝雄紹介)(第一〇六四号)  養護教諭全校必置及び国立養成機関設置に関す  る請願西岡武夫紹介)(第九六九号)  教育条件整備等に関する請願近江巳記夫  君紹介)(第一〇四一号)  義務教育課程においてたばこ有害性教育指  導に関する請願向山一人紹介)(第一〇四三  号)  学校災害に対する補償制度創設に関する請願  (有島重武君紹介)(第一〇四四号)  同(飯田忠雄紹介)(第一〇四五号)  同(池田克也紹介)(第一〇四六号)  同外一件(近江巳記夫紹介)(第一〇四七号)  同(鍛冶清紹介)(第一〇四八号)  同(玉城栄一紹介)(第一〇四九号)  同(伏屋修治紹介)(第一〇五〇号)  同外一件(古川雅司紹介)(第一〇五一号)  同(吉浦忠治紹介)(第一〇五二号)  オリンピック記念青少年総合センター存続等  に関する請願外一件(有島重武君紹介)(第一〇  五三号)  同外一件(池田克也紹介)(第一〇五四号)  同外一件(鍛冶清紹介)(第一〇五五号)  同外一件(貝沼次郎紹介)(第一〇五六号)  同外一件(古寺宏紹介)(第一〇五七号)  同外一件(瀬野栄次郎紹介)(第一〇五八号)  同外一件(春田重昭紹介)(第一〇五九号)  同外五件(村山喜一紹介)(第一〇六〇号)  学校災害防止及び被害完全補償に関する請  願(鍛冶清紹介)(第一〇六五号)  同(伏屋修治紹介)(第一〇六六号)  信州大学経済学部創設に関する請願井出一  太郎紹介)(第一二一五号)  同(倉石忠雄紹介)(第一二一六号)  同(小坂善太郎紹介)(第一二一七号)  同(清水勇紹介)(第一二一八号)  同(中島衛紹介)(第一二一九号)  同(羽田孜紹介)(第一二二〇号)  信州大学繊維学部機能高分子学科設置に関す  る請願井出一太郎紹介)(第一二二一号)  同(倉石忠雄紹介)(第一二二二号)  同(小坂善太郎紹介)(第一二二三号)  同(清水勇紹介)(第一二二四号)  同(中島衛紹介)(第一二二五号)  同(羽田孜紹介)(第一二二六号)  山岳遭難対策に要する経費国庫負担に関する請  願(井出一太郎紹介)(第一二二七号)  同(倉石忠雄紹介)(第一二二八号)  同(小坂善太郎紹介)(第一二二九号)  同(清水勇紹介)(第一二三〇号)  同(中島衛紹介)(第一二三一号)  同(羽田孜紹介)(第一二三二号) 同月三十一日  教育条件整備等に関する請願浅井美幸君  紹介)(第一四二六号)  同(井上一成君紹介)(第一四二七号)  同(中野寛成紹介)(第一四二八号)  同(馬場猪太郎紹介)(第一四二九号)  同(春田重昭紹介)(第一四三〇号)  同(荒木宏紹介)(第一八二〇号)  同(中村正雄紹介)(第一八二一号)  同(東中光雄紹介)(第一八二二号)  同(正森成二君紹介)(第一八二三号)  同(三谷秀治紹介)(第一八二四号)  学校災害に対する補償制度創設に関する請願  (荒木宏紹介)(第一四三一号)  同外三件(伊藤茂紹介)(第一四三二号)  同(浦井洋紹介)(第一四三三号)  同外一件(大島弘紹介)(第一四三四号)  同外四件(加藤万吉紹介)(第一四三五号)  同(瀬崎博義紹介)(第一四三六号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一四三七号)  同(住栄作紹介)(第一四三八号)  同(田中美智子紹介)(第一四三九号)  同(津川武一紹介)(第一四四〇号)  同外四件(馬場昇紹介)(第一四四一号)  同(正森成二君紹介)(第一四四二号)  同(三谷秀治紹介)(第一四四三号)  同外三件(池端清一紹介)(第一四四四号)  同(小川仁一紹介)(第一四四五号)  同(栗林三郎紹介)(第一四四六号)  同(鈴木強紹介)(第一四四七号)  同(中西積介紹介)(第一四四八号)  同(瀬崎博義紹介)(第一八一一号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一八一二号)  同(田中美智子紹介)(第一八一三号)  同(楯兼次郎紹介)(第一八一四号)  同(千葉千代世紹介)(第一八一五号)  同(武部文紹介)(第一八一六号)  同(津川武一紹介)(第一八一七号)  同(原茂紹介)(第一八一八号)  同(山原健二郎紹介)(第一八一九号)  学校教育充実に関する請願荒木宏紹介)  (第一四四九号)  同(浦井洋紹介)(第一四五〇号)  同(小川新一郎紹介)(第一四五一号)  同(長田武士紹介)(第一四五二号)  同(川口大助紹介)(第一四五三号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第一四五四号)  同(権藤恒夫紹介)(第一四五五号)  同(沢田広紹介)(第一四五六号)  同(柴田睦夫紹介)(第一四五七号)  同(瀬崎博義紹介)(第一四五八号)  同(竹内勝彦紹介)(第一四五九号)  同(津川武一紹介)(第一四六〇号)  同外一件(中西積介紹介)(第一四六一号)  同(不破哲三紹介)(第一四六二号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一四六三号)  同(松本善明紹介)(第一四六四号)  同(安田純治紹介)(第一四六五号)  同(山原健二郎紹介)(第一四六六号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一四六七号)  同外一件(安宅常彦紹介)(第一八三五号)  同(阿部昭吾紹介)(第一八三六号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第一八三七号)  同(柴田睦夫紹介)(第一八三八号)  同外一件(清水勇紹介)(第一八三九号)  同(下平正一紹介)(第一八四〇号)  同(鈴木強紹介)(第一八四一号)  同(安島友義紹介)(第一八四二号)  同(瀬崎博義紹介)(第一八四三号)  同外一件(田邊誠紹介)(第一八四四号)  同外二件(武部文紹介)(第一八四五号)  同(楯兼次郎紹介)(第一八四六号)  同(津川武一紹介)(第一八四七号)  同(寺前巖紹介)(第一八四八号)  同(中村茂紹介)(第一八四九号)  同(原茂紹介)(第一八五〇号)  同外一件(藤原ひろ子紹介)(第一八五一号)  教職員主任制度化反対及び主任手当設定中止  等に関する請願柴田睦夫紹介)(第一四六八  号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一四六九号)  同(山原健二郎紹介)(第一四七〇号)  同(中西積介紹介)(第一八二七号)  主任手当設定反対及び教職員待遇改善等に  関する請願山原健二郎紹介)(第一四七一  号)  学校災害補償制度確立に関する請願中野寛  成君紹介)(第一四七二号)  同(西岡武夫紹介)(第一四七三号)  同(藤波孝生紹介)(第一四七四号)  同(伏屋修治紹介)(第一四七五号)  同(草野威紹介)(第一八二五号)  同(山原健二郎紹介)(第一八二六号)  オリンピック記念青少年総合センター存続等  に関する請願安藤巖紹介)(第一四七六号)  同(小川仁一紹介)(第一四七七号)  同(川崎寛治紹介)(第一四七八号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第一四七九号)  同(小林政子紹介)(第一四八〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第一四八一号)  同(瀬崎博義紹介)(第一四八二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第一四八三号)  同(田中美智子紹介)(第一四八四号)  同(津川武一君)(第一四八五号)  同(寺前巖紹介)(第一四八六号)  同(中村重光紹介)(第一四八七号)  同(東中光雄紹介)(第一四八八号)  同(不破哲三紹介)(第一四八九号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一四九〇号)  同(松本善明紹介)(第一四九一号)  同(安田純治紹介)(第一四九二号)  同(山原健二郎紹介)(第一四九三号)  学校災害防止及び被害完全補償に関する請  願(中野寛成紹介)(第一四九四号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第一四九五号)  同(小林政子紹介)(第一四九六号)  同外一件(中西積介紹介)(第一四九七号)  同(西岡武夫紹介)(第一四九八号)  同(不破哲三紹介)(第一四九九号)  同(松本善明紹介)(第一五〇〇号)  同(山原健二郎紹介)(第一五〇一号)  同(有島重武君紹介)(第一八二八号)  同外二件(池田克也紹介)(第一八二九号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第一八三〇号)  同(小林政子紹介)(第一八三一号)  同(不破哲三紹介)(第一八三二号)  同(松本善明紹介)(第一八三三号)  同(山原健二郎紹介)(第一八三四号) 十一月一日  教育条件整備等に関する請願沖本泰幸君  紹介)(第二〇二六号)  同(北側義一紹介)(第二〇二七号)  学校教育充実に関する請願岡田春夫紹介)  (第二〇二八号)  学校災害防止及び被害完全補償に関する請  願(藤波孝生紹介)(第二〇三〇号)  信州大学経済学部創設に関する請願中村茂  君紹介)(第二二〇六号)  同(原茂紹介)(第二二〇七号)  信州大学繊維学部機能高分子学科設置に関す  る請願中村茂紹介)(第二二〇八号)  同(原茂紹介)(第二二〇九号)  山岳遭難対策に要する経費国庫負担に関する請  願(中村茂紹介)(第二二一〇号)  同(原茂紹介)(第二二一一号) 同月二日  私学助成に関する請願外五件(小川仁一紹介)  (第二三二九号)  同外四件(中西積介紹介)(第二三三〇号)  同外五件(水田稔紹介)(第二三三一号)  国立能楽堂早期設立に関する請願外二件(江崎  真澄君紹介)(第二三三二号)  同(田中伊三次君紹介)(第二三三三号)  同(千葉千代世紹介)(第二三三四号)  同外一件(服部安司紹介)(第二三三五号)  同外二件(山口敏夫紹介)(第二三三六号)  公立普通高等学校建設費国庫補助増額等に関す  る請願川合武紹介)(第二三三七号)  同(市川雄一紹介)(第二三三八号)  同(高橋高望紹介)(第二三三九号)  高等学校進学希望者教育保障に関する請願  (宇都宮徳馬紹介)(第二三四〇号)  同(大柴滋夫紹介)(第二三四一号)  同(大野潔紹介)(第二三四二号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第二三四三号)  同(中野寛成紹介)(第二三四四号)  同(長谷川正三紹介)(第二三四五号)  同(山原健二郎紹介)(第二三四六号)  同(小林政子紹介)(第二八六八号)  同(和田耕作紹介)(第二八六九号)  同(竹入義勝君紹介)(第二八七〇号)  高等学校増設補助費及び私学助成費増額等に  関する請願川合武紹介)(第二三四七号)  同(小林正巳紹介)(第二三四八号)  同(佐野進紹介)(第二三四九号)  同(中川嘉美紹介)(第二三五〇号)  同(中村靖紹介)(第二三五一号)  同(長谷雄幸久紹介)(第二三五二号)  同(三谷秀治紹介)(第二三五三号)  同(山花貞夫紹介)(第二三五四号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第二八六七号)  学校教育充実に関する請願安藤巖紹介)  (第二三五五号)  学校災害補償制度確立に関する請願木島喜  兵衛君紹介)(第二三五六号)  学校災害防止及び被害完全補償に関する請  願(嶋崎譲紹介)(第二三五七号)  同外一件(千葉千代世紹介)(第二三五八号)  学校災害に対する補償制度創設に関する請願  (瀬長亀次郎紹介)(第二三五九号)  同(三谷秀治紹介)(第二三六〇号)  教育条件整備等に関する請願正木良明君  紹介)(第二三六一号)  同(中馬弘毅紹介)(第二八七一号)  同(三谷秀治紹介)(第二八七二号)  同(矢野絢也君紹介)(第二八七三号)  教職員主任制度化反対及び主任手当設定中止  等に関する請願山原健二郎紹介)(第二三六  二号)  国立大学病院精神障害児治療教育研究施  設等設置に関する請願山原健二郎紹介)(第  二三六三号)  信州大学経済学部創設に関する請願小川平  二君紹介)(第二八〇四号)  同(下平正一紹介)(第二八〇五号)  信州大学繊維学部機能高分子学科設置に関す  る請願小川平二紹介)(第二八〇六号)  同(下平正一紹介)(第二八〇七号)  山岳遭難対策に要する経費国庫負担に関する請  願(小川平二紹介)(第二八〇八号)  同(下平正一紹介)(第二八〇九号)  私立大学に対する特別助成措置等に関する請願  (寺前巖紹介)(第二八七四号)  日本大学理工学部二部の五十三年度入学生募集  停止撤回に関する請願山原健二郎紹介)(第  二八七五号)  学校災害補償特別立法等に関する請願山原  健二郎紹介)(第二八七六号)  教育条件整備のための教育費増額に関する請  願(山原健二郎紹介)(第二八七七号)  幼稚園増設等に関する請願山原健二郎君紹  介)(第二八七八号)  養護教諭全校必置及び国立養成機関設置に関す  る請願山原健二郎紹介)(第二八七九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月十三日  名古屋市に国立美術館設置に関する陳情書  (第二四号)  国立大学における国費外国人留学生対策等に関  する陳情書  (第二五号)  私学助成に関する陳情書  (第二六号)  私立大学財政援助等に関する陳情書  (第二七号)  過疎地私立高等学校振興に関する陳情書  (第二八号)  義務教育施設財政援助強化等に関する陳情書  (第二九号)  幼児教育行政改善等に関する陳情書  (第三〇  号)  学校災害補償法制定に関する陳情書外二件  (第三一号) 同月三十一日  史跡等の保存、整備に対する財政措置拡充に関  する陳情書  (第一一六号)  社会教育施設整備促進に関する陳情書  (第一一七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件  小委員長からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 藤尾正行

    藤尾委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中村靖君。
  3. 中村靖

    中村(靖)委員 私は、現在大きな社会問題にまでなっておると思われます私立医科大学歯科大学の一連の不祥事件を初め、教育の問題並びに他国との文化交流に関する二、三の点について質問をさせていただきたいと思います。  きょうは文部大臣の御出席が御都合で少しおくれるとのことでございますので、多少予定の順序を変更さしていただきまして、まず留学生の問題から少しお尋ねをさしていただきたいと思います。  御承知のように、ことしの八月にマレーシアのクアラルンプールで行われましたASEAN第二回首脳会議にわが国の福田総理も招かれ、出席をされまして、その際に再三にわたって、総理は、日本ASEANとの友好関係というのはただ単に経済協力とかあるいは経済援助ということだけではなくて、総理のいわゆるハート・ツー・ハート、心と心の触れ合いを大切にしていかなければならないということをたびたび発言されまして、ASEAN諸国共感を非常に呼んだというふうに私は理解をするものでございます。実は私も九月にASEAN諸国を訪問いたしまして、総理の心と心の触れ合いを大切にしていきたいという言葉が現地において共感を呼んでいるということを実感として感じたものでございます。ただ、心と心の触れ合いといいましても非常に幅が広いわけであります。私はその中でもとりわけ、お互いの国の青年がお互い留学し合い、お互いの歴史や伝統や文化を理解し合おうということが非常に大切だというふうに思うわけでございまして、この留学の問題につきまして御意見を伺ってみたい、こういうふうに思うのでございます。  私は、実はASEAN諸国を歴訪しておりましてこのことを強く感じたものですから、元日本に留学をされた若い方々に各地でお目にかかってまいりました。特にその中で、クアラルンプールで元日本留学生諸君十人ほどと懇談をいたしましたときに、日本に留学をされていた当時の思い出はどうですかというようなことを伺ってみましたら、非常に親切にしていただいて、苦しいこともあったけれども、しかし楽しい留学生生活だった、そういう非常によい思い出を皆さん異口同音に語っていただいたわけです。ところが、いろいろと話を聞いてみますと、このマレーシアの元日本留学生の方々が、いざ日本の大学を出ましてマレーシアに帰ってきた、そしていろいろな企業や役所に勤められた、そのときに、欧米の大学に留学した友人たちが大学卒として十分な待遇を受けているのに、日本に留学をした自分たちは非常に低い待遇しか受けることができない、そこに、差別待遇と言っていいかどうかわかりませんが、給料その他について非常に差別がある、非常に残念だということを、これもやはり異口同音に皆さんが私どもに訴えられたわけです。その中で、マレーシアの企業やあるいは欧米の企業に勤めて差別をされるならあるいは少しはわかるような気がするが、日本からマレーシアに進出している企業に勤めてもやはり大体同じように差別待遇を受けている。こんなことが長く続いたら、優秀な人はみんな欧米に留学して、日本に留学する人がだんだん少なくなるし、また優秀な者が行かなくなるのじゃないか、こういう御意見も実はそのときに伺ったわけであります。  後ほどこの問題についてまた触れるといたしますけれども、とりあえず文部省から、現在の留学生の受け入れ状況について、概況を簡単で結構でございますが、まず伺ってまいりたいと思います。
  4. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 日本の大学で勉学をしております外国人留学生の数でございますが、ここのところ年々増加しまして、昭和五十一年五月一日現在で約八十カ国、五千六百七十一人の留学生が勉学をいたしておりまして、十年前の約二倍でございます。この留学生の中には、日本政府が奨学金等を支給しております国費留学生とそうでない留学生と、二つに分かれるのでございますが、五千六百七十一人、約五千六百人のうち、国費の留学生が千三十七人でございまして、私費の留学生が四千六百三十四人という規模に相なっております。それで、その留学をしておる段階でございますが、大学院、学部、短大というふうに見てまいりますと、留学の重点が大学院レベルの方に逐次動いておって、その比率は、大学院が五八%、学部が三八%、短大が四%となっております。また、わが国の留学生の一つの大きな特徴といたしましては、アジア、アフリカ等の発展途上国からの留学生が多く、全体の約八割弱がアジア、アフリカ等の発展途上国からの留学生であるということが申せようかと思います、それからもう一つ、これはわが国の大学の存在しております地域の状況がそうせしめるわけでございますが、五千六百七十一人のうち、約三千六百人が首都圏を中心とする関東におる。それから千百二十七人が大阪、京都等を中心とします近畿におる。関東と近畿、二地区に集中をしておるということが申せるのではないか。留学生の問題、いろいろと問題が多うございますが、数とか配置とか、おおむね状況は以上でございます。
  5. 中村靖

    中村(靖)委員 いま受け入れ状況について簡単に御説明をいただいたわけでございますが、私は先ほど申し上げましたように、受け入れ側としての配慮といいますか指導といいますか、そういうものももちろん非常に大切であるわけですし、これからも大いに力を入れていっていただきたいというふうに思いますけれども、同時に、留学した方々がそれぞれ御自分の国に帰られた後のアフターケアというものが受け入れと同じくらいに、あるいはむしろそれ以上に非常に大切なことではないのかなということを、先ほどの話でも触れましたように感じておるわけでございますが、文部省として、すでに帰国された留学生に対するアフターケアの実施状況、どういうふうに御理解をなさっておられるか、あるいはどういう努力をなさっておられるか、伺わせていただきたいと思います。
  6. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 先ほど申し上げましたような規模で受け入れをいたしておるのでございますが、留学生制度の実施を上げてまいりますためには、質の改善とかいろいろなことをやらなければならないわけですが、留学生制度に対しまする各国、各地の評価というものに対しまして、私どもも謙虚に耳を傾けてまいらなければならないと思います。その評価の中には、各国の文化的基盤とか社会体制とか、日本の大学に対する評価等も一律でございませんので一概には申せないところでございますが、非常に厳しいものもあるように伺っております。わが国に留学する外国人留学生諸君は、日本語を学ぶという非常な苦労をまず乗り越えながら勉学をしてくれておるわけでございますし、この日本において留学生として勉強をいたしました効果の評価に連なるものとしまして、やはりアフターケアの問題は、従前決して十分とは申せないのでございますが、アフターケアの問題を本格的に取り上げなければならない、かように考えております。  具体的な点で申しますと、帰国留学生のアフターケアの問題といたしまして昭和四十四年ごろから文部省として実施いたしておりますのは、わが国に留学をして帰国した諸君に、希望にもある程度応じながらでございますが、工学系統なら工学系統、理学系統なら理学系統というふうに、学会誌、学術関係の雑誌等を個々の人たちに送付するという事業を一ついたしております。五十一年の実績で見ますと千三十七件の送付をいたしております。私も先般拝見したのですが、たとえばバンコク等では、ある留学生のための協会がビルを持ってそこでいろいろな仕事をしておりますが、そこに系統的に、送付されました学会誌等が展示してあるというふうなこともあるようでございます。  それからもう一点、特に帰国をした後におきまして、自分の国で学術研究あるいは高等教育に従事しようということで、学者または大学教官として成長していく諸君もおるわけでございます。こういう諸君の間から短期間の再留学制度をぜひ実施してほしいという強い要望がございまして、これは最近始めたばかりでございますが、五十二年、ことしは十五人でございますが、三カ間再留学をしてもらう、そして最初に留学しましたときに教わりました恩師の手元で三カ月間再留学で勉強してまた帰国する、こういう制度を実施しております。  それから第三点としまして、これもいろいろと指摘を受けた点でございますが、わが国の大学院における学位の授与が非常に厳しゅうございまして、特に専攻分野によりましては取得が容易でないという点がございます。まして留学生の場合はそこにもう一ついろいろな問題もあろうかと思うのでございます。そこで、先般文部省にあります学術審議会からの意見もありましたので、明年度からできれば論文博士の制度を活用いたしまして、帰国後自分の国で勉強しておる元留学生諸君に対して、日本側から、そのめんどうを見られたプロフェッサーが行って指導をされるようなこととか、あるいは論文指導を受けに元留学生で帰っておった人が日本へやってくるとか、そういう論文指導のアフターケアもしたらどうであろうか、かように考えておるところでございます。  それから一最初に中村先生から御指摘のあった点でございますが、帰国留学生の同窓会の活動がアジア各地であるようでございまして、御案内のように、六月の二日にマニラで、元日本留学生ASEANの人たちが集まられまして協議会を結成されました。フィリピン、マレーシア、タイ、インドネシア、シンガポールでございまして、アスコジャとかいうふうに略称しているようでございますが、やはりアフターケアの問題としまして、この点は外務省の御協力もいただかなければならぬのですけれども、同窓会の方の活動もぜひ活発にしていきたいものだ、かように考えておるところでございます。
  7. 中村靖

    中村(靖)委員 先ほど冒頭に私触れましたように、福田総理のおっしゃる心と心の触れ合いというようなことから、私は、日本ASEANとの緊密な友好関係、友情関係を育てていく上におきまして、日本と各国との文化協定というものがやはりどうしても必要ではないかという気がしてならないのです。外務省の方でお聞きいたしますと、ASEAN五カ国のうちでわが国と文化協定をすでに結んでおる国はタイ国だけでございます。あとの四カ国は文化協定が全くございません。もちろん、両国に文化協定があるから文化交流、国際交流はすべてそれで十分だとは私決して思わないわけですけれども、少なくも心と心の触れ合いを本当に実践していく上におきましては、多少形式的になるかもしれませんが、まず文化協定をそれぞれの国が結び合うということは私はそう軽い意味のことではない、非常に重要なことだという気がするのです。長くなって恐縮ですけれども、日本とタイとの間の文化協定の第五条にこういう条項がございます。ちょっと読ましていただきます。第五条「両締約国は、いずれか一方の締約国において修学中に又は修学終了の際に大学その他の教育機関から与えられる学位及び資格証書並びに当該締約国において与えられるその他の資格証書が、修学上の目的のため、及び今後定める若干の場合においては職業上の目的のため、」と、ここに職業上の目的のため、というのか書いてあるのです。「他方の締約国においても同等の価値を認められるための方法及び条件を研究するものとする。」こういう条文が日本とタイとの間に締結されております文化協定の中に入っておるわけでございます。そういう意味でほかの国々とも、もちろんASEANだけではございませんけれども、特にいま私が問題として提起をいたしましたASEANのほかの四カ国との文化協定を外務省としてはどのようにお考えになっておられるか。早急に締結をする方がいいとお考えなのか、あるいはその必要がいまのところないというふうにお考えなのか、率直な御意見を伺わしていただければと思っております。
  8. 杉浦芳樹

    ○杉浦説明員 お答え申し上げます。  中村先生御指摘のとおり、ただいまASEAN五カ国の中で日本との間に文化協定が締結されておりますのはタイのみでございます。しかしながら、昭和三十年にタイとの間に文化協定が結ばれてからも、タイのみならず、ASEANの重要性と、わが国にとっての歴史的あるいは地勢学的な重要性にかんがみまして、わが国といたしましてはこれらの五カ国との文化交流の実績の積み上げに努力してきておる次第でございます。ちなみに、外務省所管の特殊法人でございます文化交流実施機関の国際交流基金の実績を例にとりますと、アジア地域が北米と並びまして基金の発足以来最重点地域になっておりまして、五十一年度の実績を見ますと全体の二六%がアジア、しかもその六割に当たります一五%がASEAN五カ国に行っております。それから五十年度、五十一年度の実績、いずれをとりましてもASEAN五カ国はいずれも国別の実績の二十位以内にランクされておりまして、特にインドネシアとタイにつきましては、五十一年度におきましてはそれぞれ三位、四位と、アメリカ、フランスに次ぐ実績を上げておる次第でございまして、外務省といたしましては今後も、先生御指摘の、最近のASEAN日本との関係の高まりを踏まえましてこれらの国との文化交流の一層の積み上げを行っていきたい。先生がいみじくも指摘されましたように、文化協定がなくてもこのように実際に文化交流は行われておるわけでございますし、わが国にとって文化協定がなくても交流の促進はなされていくわけでございますが、先生の御指摘されました文化交流を促進するという意味で一つのポスチュアといいますか、姿勢として文化協定を結ぶことに意義があるのではないか。それはまさにわれわれも正論であると考えておりますが、文化協定を締結するに当たりましては、先方の都合もございますでしょうし、それからわが国の文化交流以外の面におきます全般の関係、関連も考えながらこの問題に対処したいと思っておりますけれども、御指摘の点は十分考慮させていただきまして十分な検討を今後加えさせていただきたい、そのように考えております。
  9. 中村靖

    中村(靖)委員 前向きに検討するということでよろしゅうございますか。  留学生問題はこの程度にいたしたいと思いますけれども、最後に、留学生お互いに交換する、つまり、他国から日本が受け入れていろいろお世話をする、御指導するということは大変重要ですが、同時に、たとえば東南アジアからたくさん留学生を受け入れておるわけですから、日本の青年諸君が大いにアジアに出かけていってその国の勉強をしてくるということがまた非常に大切だと思います。その辺について、日本からアジアの方へ出ていくという点の現状について、ごく簡単で結構でございますが、御説明いただければと思います。
  10. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 文部省が直接実施しております、わが国から留学生を派遣する制度で三つございます。一つは、四十七年から発足いたしましたが、大学相互間で合意ができましたときにその大学相互間で学生を交流するやり方。それから、特に教員養成の面におきまして海外で勉強してくる必要が非常にあろうというわけで、これは四十八年から教員養成大学学部学生の海外派遣制度を持っております。それから第三に、四十三年から特にアジア諸国における留学生派遣を行うという三つの制度を持っておるわけでございますが、初めの二つが学部の三回生のときに出かける、最後のアジア諸国派遣留学生の方は大学院レベルで出かけるという三つの制度であります。この三つの制度で五十二年度には二百四十九人、約二百五十人をわが国から、文部省から派遣したわけですが、アジアへの留学は四十一人で約一六%であります。その意味では先進国志向型になっておると申せようかと思います。  この点を今後どういうふうにしてまいるかということでございますが、基本におきましては、やはりアジア諸国とわが国との関係の重要性にもかんがみ、かつ、いま申されましたように、留学生の問題は交流ということであるべきじゃないかというふうに考えますと、アジア諸国への日本人学生の派遣をさらに推進する必要があると思うのですが、いろいろ関係者等との協議をしておりますと、学部段階で、わが国である学部の専門を身につけて、むしろ大学院レベルぐらいで出かけた方がいいのではないかとか、専門分野として現地の言語それから文化人類学とか、そういう持定の領域については学部段階から行っても効果が出るだろうと思いますが、その辺は専門分野等との関係も考慮しながら今後対処してまいりたい、かように考えております。
  11. 中村靖

    中村(靖)委員 次に、同じく文化交流の一環の問題としまして、海外子女教育並びに帰国子女教育の問題について少しお伺いをいたしたいと思います。  私ども海外へ出てみまして、海外で御活躍をいただいておるいろいろな民間人の方やあるいは外交官等にお目にかかりましていろいろなお話をしますと、大抵いわゆる海外での子女の教育で大変悩みを持っている、御苦労なさっておるというようなお話かそのときに出てまいるわけでございます。国際化時代を反映して、海外に長期間在留する日本人の数は大変増加をしていると言われておりますし、ひいては、学齢期にあります在留邦人の子女の数は、私か伺ったところによりますとこの四年間くらいで倍増している状況だ、こういうことで、その悩みが余りに大きいために、たとえばお父さんだけが単身で赴任をされる、あるいは海外勤務そのものをちゅうちょするというような事態が、かなりやはりこれも一つの社会問題化してきておる大変重要な問題ではないかなということをつくづく考えるものでございます。  海外子女教育の問題は当然外務省と文部省と両方にまたがる問題だというふうに思っておりますが、時間の関係もございます、余り細かいことについてお伺いはできないわけでございますが、とりあえず簡単に、まず海外子女教育につきましての現状を御説明いただけますでしょうか。
  12. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 御指摘のように、海外に勤務しておられる方の子供さんで義務教育相当年齢の方だけを見ましても、この数年間で倍増いたしまして約二万人おられます。そのうちで、国内の小学校、中学校とほぼ同様の教育日本人学校で受けておる人たちが全体の約四割、それから現地の学校で教育を受けまして、日本語による補習授業校に通学しておる者が四割弱、日本人学校にも補習授業学校にも通学しないで、もっぱら現地の学校で教育を受けておる者等が二割強、一応こういう三つの類型になっておるわけでございます。  これらの子女に対する教育につきまして、外務省の御協力も得まして、文部省といたしましても日本人学校への教員の派遣、それから教材の整備、それから通信教育によります教育の実施、小・中学校年齢の児童、生徒に対する教科書の無償支給などといった措置を増強しながら今日まで来ておるところでございますが、何しろ御指摘のようにこの数年間に子供の数が倍増するという状況でございますので、率直に申しまして、どうも具体的な事実の方が先行していくということか多うございまして、いろいろと改善をしなければならない問題に私どもいま当面をいたしております。外務省の方とも御協力をしながらいろいろな点を、これは各国の状況によりましてもまた状況が相当違います、日本人学校のポジションも違いますし、その辺、具体の問題を具体にどう改善していくかという努力をしておるところでございます。
  13. 中村靖

    中村(靖)委員 十年ぐらい前に海外に出ましたときに、やはりこの問題についていろいろと在留邦人に伺ったときには、各国ともに日本人学校をぜひつくってほしい、非常に困っているというようなお話を非常に数多く私自身も聞かされたわけですけれども、この数年来、最近におきましては、日本人学校あるいは補習学校等の整備をかなり力を入れてやっていただいておるようでございます。大変よくなったということを最近は耳にするようになりました。私は、これは結構なことで、ぜひますます力を入れていっていただきたいというふうに考えるわけでございます。  同時に、一つの実例として、私のある友人が勤めの関係で、あるヨーロッパの任地へ数年ほど家族を連れて行っておられた。子供さんは私立の小学校に行っておられる方であったわけですけれども、三年ほどヨーロッパで駐在をしておられて、現地の小学校に二人の男の子供さんを通わせておられた。当時はもちろん英語が非常にうまくなって、そして結構楽しく現地の学校に通学をされていらっしゃった。三年ぐらいたって日本へ帰ってこられてもとの小学校に復帰された。ところが言葉の問題あるいは算数とか国語とかといったような、現地の学校では十分でない面というものがやはりどうしても出てまいります。実は帰られてから非常に御苦労なさって、ここまで申し上げていいかどうかわかりませんが、その子供さんは結局ついていけなくてほかの学校に転校されたというようなことも聞いております。そういうぐあいに、実は、海外の子女教育も大切ですけれども、やはりお帰りになってからのフォローといいますか、そういったものもむしろ非常に大切じゃないかなということを私つくづく感じておりまして、これについては外務省も文部省も非常にお力を入れていただいておると思います。たとえば帰国子女教育についての学級、あるいは帰国子女教育研究協力校といったようなものをかなり設けてはいただいておりますけれども、伺うところによりますと、どうも実際に日本に帰ってこられる帰国子女の数に比較しまして受け入れ体制ははなはだ心もとないというような気がするわけでございます。帰国子女教育学級は、私が調べさしていただいたところによりますと、たしか東京学芸大学附属大泉の小・中・高校を初めとしてわずかに三校、一学級の定員十五名で二百数十名ぐらいの定員しかないのではないかと思いますし、協力校につきましても二十八校指定で、在籍は九百名弱ぐらいの在籍だというふうに聞いております。しかし、年間三千人以上に上る帰国子女があるわけですから、この受け入れにもつともっと、もちろん予算も伴うことではあると思いますけれども、力を入れていっていただきたいというふうに考えておりますが、外務省なり文部省からこの帰国子女対策についてもお答えいただきたいと思います。
  14. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 海外から帰国します子女の数は御指摘のように年々増加いたしておりまして、最近では、小・中・高等学校段階で見ますと約五千人、小学校が大体三千二百、中学校か千ですから小・中にウエートがかかっておりますが、約五千人ぐらいの子女が帰国をいたしております。その際に大体七割弱が首都圏に帰ってきている。あとが阪神地区。やはり特定地域に集中するという傾向がありまして、このような状況に対しまして、いま御指摘のように帰国子女の受け入れをどういうふうに教育的に配慮してまいるかという問題かあります。  一つは、やはり国語等の理解力のおくれであるとか、内地の教育水準との比較、あるいはいかにしてわが国の学校教育にうまく適応してもらえるか、こういった点を基本にまずは考えておるところであります。御指摘のように、帰国子女の研究協力校の指定というのを小・中・高それぞれ現在、五十二年五月現在で申しますと四十八校指定をしまして、これは公私立の小・中・高にお願いしております。そのほかに国立大学の付属学校としてこの問題にやはり本格的に取り組んで、実験学校としての付属学校の意味も発揮すべきだということで、昭和四十年度から帰国子女の学級というものを付属学校に設けておりまして、御指摘のように現在六校でこれを実施いたしておるわけでございます。私どもも、海外子女教育に対する措置と帰国子女に対する措置は相呼応する一環のものと思っております。やはり帰国子女の受け入れの体制が整いませんと、海外における日本人学校の教育内容では帰国後の入試対策に奔走するという傾向がどうしてもあるわけでして、やはり帰国子女の受け入れのやり方と海外の日本人学校の教育のやり方と、両方を総合的にとらまえて施策を進めてまいらなければならないであろう。  先ほど具体例でお話があった点でございますが、海外の日本人学校の教育なりあるいは帰国子女の教育なり、国語のおくれとか学力のおくれとか、それを絶えず補っていくという受け身の姿勢だけに終始するということはやはり本当は残念なことであろう。海外の日本人学校を見ましても、外国語の会話の授業でありますとか、あるいは現地の社会事情でありますとか、国内では得られない経験を持ち、国内では得られない授業を受けるチャンスにも恵まれておるわけでありますし、むしろそういうものが日本に帰ってきたときに単に消えてしまわないという何かの工夫がないものだろうか、こういった点も私ども考えておるところであります。なお、海外の日本人学校の方におきましても、シドニーとかメキシコとかで、現地の子供さんとの交流であるとか、こういった点で日本人学校の中に新しい国際交流の場として展開していくという非常に積極的な学校もいま出始めておりますし、その辺を私どもも十分に考えながら、海外の子女教育と帰国子女教育とか相呼応しながら、逆に国際的な経験を生かしていけるということが少しでもないかというのか私どもの願望で、いま検討しておるところであります。
  15. 中村靖

    中村(靖)委員 いま局長か最後にお触れいただいた点につきましては、私は本当に大賛成でございまして、日本という国は、申すまでもございませんが海に囲まれていて、いわゆる島国根性というのがどうしてもつきまとっておりますし、私もそうですけれども、どうしても語学力の点については日本人というのはほかの国に比較してどうも劣る点がある。委員会でこういう言葉はあるいは失礼かとも思いますけれども、私、外務省にも友人がたくさんございますが、日本の外務省の方々の語学も、必ずしもほかの国に比較して十分とは言えない点があると思いますね。私は、この海外子女教育、帰国子女教育を考える上において非常に大事なのは、いま局長ちょっと最後にお触れいただいたように、日本に帰ってきて、ただただ日本の学校の授業に何とかついていけるような形でフォローするという、非常に消極的な、いわゆる後ろ向きの子女教育でいままであったような気かしてならないのです。そうではなくて、せっかく海外に進出をして御両親が活躍をしていらっしゃる、それについて海外に在留される小さい子供さん方が、その現地の言葉なりあるいは文化なり歴史なり伝統なりというものを身につけて、そして一人でも多くのいわゆる国際的感覚を身につけた日本人というのがふえる、それのいいチャンスではないだろうか。そういう意味で、私は、いままでの外務省や文部省の海外子女教育についての考え方を抜本的に改めていただいて、せっかく、たとえば語学が堪能になって帰られた小学生、中学生が、その語学はあくまでも生かしながら、もちろん足りないところの、日本人として必要な国語その他の教育はフォローしていく。そういう二重、三重に、その子供さんか帰られてから国際人として成長していく施策というものをもっともっと充実をしていっていただきたいということを考えるのです。  それを申し上げるにつきまして、たとえば世界各地にアメリカンスクールというのがございます。日本にも、正確な数はわかりませんが、かなりあるだろうと思いますが、私が仄聞したところによりますと、このアメリカンスクールというのは、海外に勤務するアメリカ人の子女だけではなくて、国籍を問わずに入学を認めている、そういった非常に開かれた教育をしておられるというふうに聞いておるわけでございます。私は、やはり日本人学校というのも、もちろん言葉の点で、英語と日本語、米語と日本語というようなこともございましょう、ですから一概に日本人学校が全部アメリカンスクールのようになっていいかどうか、あるいはなれるものかもよくわかりませんが、しかし、精神の上においては、先ほど私が申し上げたように、そういう開かれた、現地の子供さんにもできれば入っていただいて日本語を勉強したり、あるいは日本文化を学びとっていただくような、そういう工夫といいますか、前向きの努力をこれからぜひしていただきたいと思うのですが、この点については文部省並びに外務省、いかかでございますか、賛成をいただけますか。
  16. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 先ほどもちょっと触れた点でございますが、ことしの九月にメキシコに日墨学院が設立されましたか、ここでは、日本人の子女、メキシコの子女、日系コロニア子女を同一の学校で、日本とメキシコ両国のそれぞれの教育課程に基づきまして教育するとともに、両国の文化交流の場とするということでこの九月にスタートを切っております。こういったメキシコにおける日墨学院のこれからの成長でありますとか、こういうものも私どもとしては十分に考えてまいりたい。ただ総体的に見ますと、現実は先ほど申しましたように、特に開発途上国における海外子女教育が非常に問題でございまして、日本人学校もその大部分は開発途上国にあるわけですか、ここではどうしてもわが国の小・中学校の学習指導要領に準拠した教育水準を確保するというのも非常に大きなウエートになっておりますので、そちらをやりながら、いま言われましたような点ができる状況にあるところから逐次そういった点も工夫できたらどうかと、かように考えます。
  17. 中村靖

    中村(靖)委員 先ほど申し上げましたように、この機会に国際人を育てるということと、この機会に日本文化紹介したりあるいは現地の文化を理解するということが非常に大切だと思うので、いま私が申し上げた点について外務省の何かお考えがありましたらお聞かせいただけませんか。
  18. 高瀬秀一

    ○高瀬説明員 国際性のある海外子女教育という点でございますか、ただいま先生御指摘いただきました点につきましては、文部省の方からも御見解が表明されましたけれども、われわれ外務省といたしましても全くそのとおりというふうに考えております。現に海外子女教育におきましても、たとえば日本人学校でも、基本的にはわが国の国内の義務教育の規定にのっとってその授業を行っておりますが、必ず現地語を何時間か学習させる、あるいは社会科の時間に現地の事情を視察する、あるいは現地の社会事情をその社会科の中に組み入れる、ささやかながらでございますがそういうような努力をしているのでございます。それからまた、先ほど井内局長の方から御説明がありましたように、メキシコ学院あるいはシドニーの日本人学校のように、外国人を徐々にながら取り入れているというようなこともございまして、せっかく外国に勤務しているその子弟でございますから、その環境を十分に生かした教育を行いたいということは全く私としても同感でございまして、これは国内の帰国後のいろいろな体制との絡みもございますのでいろいろとそういう面も配慮をしなければならないとは思いますが、帰国後の状況、国内の動向等をもにらみつつ、そういうような方向にぜひ前向きに取り組んでいきたい、そう考えております。
  19. 中村靖

    中村(靖)委員 次に、いま非常に大きな問題になっております私立医大・歯科大学等の問題について若干お尋ねをしてまいりたいと思います。  私は、以前ある言語学者にお会いしましたときにこういうことを伺ったことがあるのです。最近はプロフェッショナルという言葉は非常に簡単によく使われる、たとえば日本でもプロ野球などということで、プロフェッショナルという言葉は非常にわれわれ通常使っておるわけですけれども、本来言語学的には、プロフェッショナルという言葉は医者と弁護士と神職のみにしか使われなかった言葉なんだということを聞いたことがあるのです。この学者の方に言わせますと、医者と弁護士と神職というのはみずからのことを顧みずに、もっぱら他人の幸せのために働く神聖な仕事である、本来そういう特別な扱いをして使う言葉なんだということでございました。ところがどうでしょうか、現在は金沢医大や愛知医大あるいは松本歯大を初めとして、私立医大・歯大の不正・不祥事件が次々に起こってきております。そして、私立医大・歯大に対する国民の不信感というものだけにとどまらずに、ひいてはお医者さんに対する不信感というものにまで発展をしかねまじき大きな社会問題になってきておると思います。  そこで、まず最初に文部大臣にお伺いをいたしたいわけでありますが、世間には、こんなに私立医大・歯大に問題が多いのなら、いっそのこと全部国公立の大学にしてしまったらどうかというような極端な意見すら聞かれるわけでございます。もちろん私はこの意見に賛成はいたしかねるわけでございますけれども、この際、医科・歯科教育を根本から考え直さなければならないとも思われますので、まず大臣の基本的なこの点についての考え方をお示し願いたいと思います。
  20. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 御指摘になりましたように、医者の社会的に占める大きな職責と申しますか、あるいは社会に貢献度が高ければ高いほどそれには常に厳しいものが要求されるというお考え方は、私、全く同感でございます。  なお、私立医科・歯科大学の一部に大変世の批判を受ける事件が起こっておることに関しまして、医者の養成を私立から国立にというような向きの御質問でございますが、きょうまで振り返ってみまして、医学部においては全定員の約四〇%と記憶しておりますが、私立大学が養成をしてまいりました。そしてそれらの人々が社会的にきわめて重要な貢献もされておるわけでありますから、医者の養成の仕組みそのものを直ちに根本から変えるということはございませんけれども、しかし、御指摘のように国立の方において医師の養成にもっと大きなウエートを占めるべきではないか、こういう御意見等に立って、数年前から全国の無医大県には国立の医科大学をつくって、医師養成は国立において、無医大県を解消しながらそこでウエートをふやしていこうという方針をとりまして、現在その政策の実行中であることも御承知のとおりでございます。たしか総計十二校になっておると記憶しております。  なお、私立医科大学につきましては、その経営を健全なものにするためにも、設置基準についていろいろ検討を加えまして、かつては一年間で審査しておったものを二年次審査に変えたり、あるいは設置資金について設置のときに必要とする基準を高めたり、また現在もそれらのことについては、健全な経営が行われますように基準を考えておるのであります。なお、国公立と私立の間には教育上の負担という問題がございますので、これにつきましては私立学校振興助成法の精神に基づきまして、私学の経営が健全になるようにできるだけの助成措置等も講じなければならないと、政策努力等も加えながらやっておるところでございます。
  21. 中村靖

    中村(靖)委員 この問題につきましては、文部省として九月七日に管理局長、大学局長、両局長名で「私立大学医・歯学部における入学に関する寄附金の収受等の禁止及び入学者選抜の公正確保等について」と題する通達を出されたわけでありますが、入学を条件として寄付金を取らないようにといったような意味での昭和四十九年一月十七日の通達が前に出ておるわけです。この通達がありながら以下一連のこういういろいろな不祥事がたび重なってきておりますが、今回の新しい通達を踏まえられて、具体的にはどのような指導を現在あるいは将来していかれるおつもりなのか、伺いたいと思います。
  22. 三角哲生

    ○三角政府委員 九月七日付で通達を改めて出したわけでございますが、医科大学歯科大学、それぞれが協会をつくっておりまして、今年当初からこういった問題が社会的に非常に大きく取り上げられまして以来、大学自身でもその協会の場においていろいろと検討を重ねてまいっておりまして、九月七日の通達を出すに当たりましても、私ども協会といろいろと協議をいたしまして、そして協会側にも私どもの考え方を十分に示しましてこういった通達になっております。ただいま各協会側におきまして来年度の入学者の募集要項を各大学が詰めておる時期でございまして、これに関連いたしまして両協会を中心に現在検討が進められております。私どもといたしましても、やはりこういう時期に十分にこの通達の精神が生かされ、実が上がりますように、協会を通じて指導、助言を丹念に行いたいということで、目下そういった作業中でございます。両協会を中心に、私立大学としてはこの事態について十分厳しい認識を持ってくれると思っておりますので、通達の趣旨が十分に生かされますように私ども期待しておる次第でございます。
  23. 中村靖

    中村(靖)委員 いま局長の御説明でございますが、何とかひとつこの新しい通達の精神を踏まえられて、一般の国民が安心して医者に健康管理をあるいは命を任せられるような、そういう信頼関係に早く私立の医大、歯大が戻っていただけるように、これは全部の大学が問題があるわけではないと思いますが、一部の大学に不心得な問題が起こったわけでありますから、ぜひそのように強力に御指導をこの機会にしていただきたいと思います。  そこで、ひとつ具体的なことを伺いたいと思いますが、私学振興助成法の第十二条には、たとえば助成に関していろいろ問題があったら立ち入りの検査ができるとか、あるいはいわゆる水増し定員等が出てきた場合には是正命令ができるとか、あるいは予算についても問題があれば変更勧告ができるとか、あるいはもう少し厳しく役員の解職についての勧告ができるとか、いろいろ具体的な規定がございますけれども、この十二条を積極的に活用して、現在特に公に問題になっておるような大学あるいは学部につきまして積極的に指導するというようなお考えはございますでしょうか。
  24. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 法の規定する趣旨に従いまして、少なくとも国民の皆さんの税金を出しておるわけでありますから、厳正に指導をし、厳正に処置をしていかなければならぬことは当然だと心得て、現在問題の表面化しております学校は事情聴取をしたり、具体的に厳しく指導をしたりいたしておるところでございます。
  25. 中村靖

    中村(靖)委員 ぜひそのように御指導いただきたいというふうに念願をいたします。しかし、この私学振興助成法十二条、問題があれば当然活用する場合もあるのだという大臣の御答弁だったというふうに私理解をしておるわけでありますが、たとえばいま問題になっております金沢医大あるいは松本歯科大学のように、まだ過去に助成を受けていない大学がございますね、そういう大学には私学振興助成法十二条というのは及ばないわけであると思いますが、そういった場合にこの十二条を活用できないわけでありますから、そういった大学についてもし必要があった場合に、文部大臣としてあるいは文部省としてどういう具体的な指導方法があるか、お聞かせいただけませんか。
  26. 三角哲生

    ○三角政府委員 御指摘のように、金沢医科大学、松本歯科大学等は経常費補助金を受けておりませんので、ただいまお取り上げになりました私学振興助成法の当該規定は適用にならないわけでございますが、私ども、私立学校法並びに文部省設置法等の規定によりまして私立大学に対する調査ないしは指導、助言等ができることになっております。そういうことで、こういった問題になりましたような大学につきましては、私ども、当事者に対しまして十分に文部省側の考え方も明示し、強く指導、助言いたしたい。それからなお、このように問題になりましたような学校につきましては、当該問題にかかわりのある当事者はやはりみずから責任をとっていただくというのが私立学校の本来のあり方からして基本であるというふうに考えておりまして、そういった責任をとった上で新しい再建体制を立てていただくということを基本に置いて指導を進めたいというふうに考えております。
  27. 中村靖

    中村(靖)委員 たとえば、非常に大きな問題を起こしてしまった大学につきまして、一年なり二年なり、新しい学生の募集を停止させるというような権限は文部省にございますか。
  28. 三角哲生

    ○三角政府委員 法令の規定に違反いたしましたりした場合に学校の閉鎖命令という規定はございますが、学生の募集停止を指示したりするような規定は現在のところございません。
  29. 中村靖

    中村(靖)委員 最近、この医大、歯大の問題で、私立学校のあり方というものがいろいろと批判を受けておるわけでございますが、私は、いま日本の大学生のうちの約八割は私立の大学に学んでおられるというふうに聞いております。そして、各私立の大学はそれぞれの独自の歴史や伝統を持って、そしてまた国公立とは一味違った個性のある教育というものを当然行わなければならないし、また行っておられる大学が大部分だというふうに確信をいたしておるわけでございまして、今後、医大、歯大の問題も含めまして、私立の大学——大学だけではございませんが、私学の振興あるいはまた私学の振興助成につきましては大変大切な問題であるわけでありますから、悪い点は悪い点として大いに強力な御指導を文部省として今後も続けてお願いをしたいと思いますけれども、同時にまた私学のよさというものを私どもも理解をし、また行政当局としてももちろん御理解をいただいておると思いますので、ぜひひとつそういった積極的な方向で、悪い芽は摘み取るが、どんどん肥料をやって、そして私大を初めとする私学そのものがやはり日本教育界の大きな柱に今後もなっていってもらいたいという、私大の悪い面だけではない、むしろいい面を逆にこれを機会にわれわれは取り上げ、また目を向けていきたいものだなということをつくづく私感じておるわけでございます。  時間が参りましたので、きょうの私の質疑はこれをもちまして終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。
  30. 藤尾正行

    藤尾委員長 ただいまの中村君の御質問と関連をして委員長から一言、大臣あるいは管理局長に申し上げたいことがございます。  ただいまの中村君の御質問の中に、学校の設置に関する文部省当局と大学側との約束事に非常に違反をいたしまして、きわめて不明朗な医科・歯科大学の最近のいろいろな事件に対し、国民は決していい感情を持ってこれを見ておるわけではありません。この際、中村君の御質疑中にございましたように、学校の閉鎖もできるという権限を文部省はお持ちであるわけでございますけれども、そういった重大な権限を行使をされてでも私立医科大学に対する信頼を回復をするというぐらいのことはお考えになられてはどうか、かように私は考えるわけでございますけれども、文部当局の御覚悟のほどはいかがでございましょうか、この委員会で国民に対し御表明をいただきたいと思います。
  31. 三角哲生

    ○三角政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、故意に法令に違反したといったような事例がございました場合に文部大臣が学校の閉鎖を命ずることができるという規定があるわけでございます。しかし、これはまあ、およそよくよくの場合の、非常に最後の手段という規定でございまして、本来、私学制度のあり方から申しまして、非常に不始末のあった私学でございましても、その私学がみずから体制を改めて、そうして経営姿勢をきちんとして再建をしていただくというのが一番のいわば上策と申しますか、一番いい解決ではないかと私どもは思っております。ただ、こういう規定があるわけでございますから、私どもは何もこの規定をただ空文化をしようということではないのでございます。それから現実問題といたしまして、たとえば医科大学におきまして経営者の姿勢その他でいろいろな問題がありました大学でございましても、そこには善良なる第三者と申しますか、教育、研究に励む教員もおり、また勉学に励む学生もおり、あるいは当該大学の付属病院で医療に従事しておられる医師、看護婦その他の方々も一生懸命働いておるわけでございますから、直ちにすぐ閉鎖とかそういったふうなことで問題解決に当たるということでなく、しんぼう強く、その学校自体の自主的な改善を助けて助言し指導してまいるということでまず事に処したいというふうに考えておる次第でございます。
  32. 藤尾正行

    藤尾委員長 改めてお伺いをいたしますが、あなたは、よくよくの場合にはわれわれが持っておる権限を考えないわけではないという御表明をなさいましたけれども、ただいままでに生起をいたしましたこの種不祥事件の中によくよくの場合に該当するものもないではない、私はかように考えるわけでございます。そういったことをお認めになるかどうか、改めてお伺いをいたします。
  33. 三角哲生

    ○三角政府委員 このところ発生いたしました問題の事例は、いま私ども当該事項を所管しておる立場にある者といたしまして、こういった教育、研究を運営しておる方々としてあるまじき非常に困った事件であったというふうに考えておりますが、先ほど、よくよくという言葉を使いましたが、私どもは、やはり私立学校はもちろん公共性を持って適正な運営をしていただかなければなりませんと同時に、自主性を持って特色あるいい教育を展開するという機関でございますので、やはり自主的な改善というものにまず取り組んでいただくということで処してまいりまして、またさらにその上で、事態の展開によってはどういうふうに対応したらいいかということを考えるという段取りで取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。      ————◇—————
  34. 藤尾正行

    藤尾委員長 この際、学校災害に関する小委員長より発言を求められておりますので、これを許します。学校災害に関する小委員長木島喜兵衞君。
  35. 木島喜兵衞

    ○木島委員 今国会における学校災害に関する小委員会調査経過を申し上げます。  さきの第八十回国会におきまして、学校災害に関する小委員会の一応の結論を当文教委員会に報告いたしましたが、その趣旨に沿って文部省は昭和五十三年度予算に概算要求を行っておる現状にかんがみ、今国会も学校災害に関する小委員会においてたびたび種々協議してまいりました。その結果、今回の文部省の学校災害関係予算要求が完全に実現するよう、各党一致して強く期待するとの結論に達しました。  以上、御報告申し上げます。
  36. 藤尾正行

    藤尾委員長 これにて木島小委員長の報告は終わりました。     —————————————
  37. 藤尾正行

    藤尾委員長 この際、ただいまの小委員長報告に関し、委員長から文部省当局に一言お尋ねいたします。  さきの国会におきまして小委員長報告の際に、私からその実現方を文部省及び大蔵省当局に対し強く要望いたしましたが、学校災害関係の予算要求について文部大臣の所信のほどをお伺いいたします。
  38. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 学校におきましては、安全教育、安全管理を徹底し、事故の発生を未然に防ぐよう万全を期するのは当然でありますが、一方、不幸にして事故が起きた場合の救済措置を充実しておくことは、学校教育の円滑かつ積極的な実施にとってゆるがせにできない重要な課題であると考えます。  このため、日本学校安全会の給付については、かねてから改善を行ってきたのでありますが、さきの第八十回国会におきましては本委員会学校災害に関する小委員会を設けてこの問題について熱心に御検討をいただき、小委員長の積極的な御報告が行われたところでありますので、その御趣旨も踏まえ、昭和五十三年度から日本学校安全会の給付内容を抜本的かつ大幅に改善する方向で省議を経て、五十三年度予算の概算要求を行っているところであります。  文教行政には解決しなければならない課題が多くありますが、この学校事故の救済制度の充実は重要かつ緊急の課題と考えておりますので、最重点施策の一つとしてその実現に最善の努力をいたす所存でございます。
  39. 藤尾正行

    藤尾委員長 さらに重ねてお伺いをいたしますけれども、今日、来年度予算の編成につきまして大蔵省の御出席もちょうだいをいたしておりますが、しかと大蔵省当局からかくいたしますと言うわけにはいかない面が私はあろうと思います。恐らく大蔵御当局は、文部省を通じて、ただいま小委員長御報告のありましたとおり、文部省の概算要求についての完全実現を強く期待する、このような改めての御決定が御報告をされたわけであります。したがいまして、これに対して最善の努力をするということはもちろんしていただかなければなりませんけれども、これが抽象的な御表明に終わりましたのでは、ただいまの小委員長の御報告が無になるおそれもなきにしもあらず、私はかように心痛をいたすのであります。委員長といたしましては、そのようなことがないように、文部御当局に対しまして、一歩も譲りません、これは絶対に実現をさせますということを改めてこの委員会の場を通じて文部大臣から御報告をいただきたい、お覚悟のほどをお示しいただきたい、かように存じますか、いかかでございましょう。
  40. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 先ほど申し上べましたような心構えで全力を挙げて努力いたします。
  41. 藤尾正行

    藤尾委員長 大蔵省御当局はただいまの文部大臣の御表明をお聞きになったはずであります。あなたから特別の御意見を聞こうとは思いませんけれども、しかとその点を御了承願って善処されるよう強く要望をいたしておきます。  午後二時本委員会を再開することとし、この際休憩いたします。     午前十一時二十六分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  42. 藤尾正行

    藤尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について質疑を続行いたします。嶋崎譲君。
  43. 嶋崎譲

    嶋崎委員 けさから、最近の私立の医科・歯科大学をめぐる不正入学、不祥事件とでも言いましょうか、こういう問題について議論がございましたが、この問題にしぼって少し建設的な議論をさしていただきたいと思います。もうすでに参議院の方ではわが党の委員がかなり突っ込んだ議論をいろいろしておりますから、そういうものを踏まえますけれども、衆議院の方はいわば今国会では初めての質問になりますので、体系的に問題を整理しながら議論をさしていただきたいと思います。  最初に、医師の養成計画と私立医科大学の役割りとでも言いましょうか、そういう問題に関連してちょっと御質問さしていただきます。もうすでに御承知のように、昭和四十六年十二月のいわゆる黒川委員会なるものの答申に基づきまして、その後の医師の養成計画というものが今日まで進められてきていると思います。四十六年の黒川委員会のこの計画に基づいて今日までどのような計画を進められたか、簡潔にお答え願いたいと思います。
  44. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 御指摘の、四十六年十二月の医科大学(医学部)設置調査会の報告におきましては、人口十万人当たり百五十人の医師の養成、確保ということを前提といたしまして、今後数年間に約千四百人の医学部の入学定員の増が必要であるというようなことを御指摘になっているわけであります。当時、この委員会は、昭和六十年に百五十人の医師数というものを達成するために、四十七年から五十一年にかけて千二百ないし千三百人の定員増ということが少なくとも必要であるということを御指摘になりました。その増加数の少なくとも半数程度は、地域的な配置なりあるいは進学の機会の均等などの観点から、国公立の医科大学によることか適当であるということを御指摘になったのでございます。  四十五年当時の医学部の入学定員は、国公私を合わせまして四千三百八十名であり、そのうち国立が二千三百六十名、私立が一千四百名で、国立のシェアが五三・九%、私立のシェアが三二%であったわけでございます。国立の方は、御案内のように四十八年から無医大県解消計画ということで計画的な増設に乗り出したわけでございますが、四十八年の無医大県解消計画がスタートする前の時点をとらえますと、この間に私学の新設がかなりございましたので、国立のシェアが四六・八%、私立のシェアが四十七年度で四二・九%というように、一時かなり多くなったわけでございます。しかしその後、国立の無医大県解消計画が進行いたしました結果、現時点では、全体の入学定員七千六百八十名、そのうちの四千八十人、五三・一%が国立の入学定員数、これには大分、佐賀、高知などの数を入れてございますが、そういう状況になり、私立は二千九百四十名で三八・三%ということになっております。この間、四十五年から五十二年までの間の定員の増は三千三百名であり、そのうちの千七百二十名、五二%を国立で、千五百四十名、約四七%を私学が分担をして増加をしたという状況でございます。
  45. 嶋崎譲

    嶋崎委員 厚生省、来ていますね。——十万人について百五十人という黒川委員会の計画以来進められていると思いますが、現在は十万人についてどのくらいですか。
  46. 内藤洌

    ○内藤説明員 昭和五十年末の数字で申し上げますと、人口十万対百三十人程度でございます。
  47. 嶋崎譲

    嶋崎委員 五十一年末のデータはまだないのですね。
  48. 内藤洌

    ○内藤説明員 失礼いたしました。五十一年末でございます。
  49. 嶋崎譲

    嶋崎委員 あとどのくらい必要ですか。
  50. 内藤洌

    ○内藤説明員 厚生省が当面目標といたしておりますのは、人口十万対にいたしまして百五十でございますので、その目標の達成が必要である、現在はそういうふうに考えておるわけでございます。
  51. 嶋崎譲

    嶋崎委員 昭和六十年まで、当時から見てその間に死亡やら廃業者なんかを入れますと大体五万・五千ぐらいの医師を必要とするというふうに見込まれていたと思いますね。そうですか。
  52. 内藤洌

    ○内藤説明員 大体四万人弱の医師の増が必要でございます。
  53. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いま局長から計画の今日までの進行の概要をお聞きした中で、私立医科大学が医師養成に占めている割合が大ざっぱに言って四割ぐらいになろうかと思います。そういう意味で、医師養成にとって私立大学の果たす大変重要な役割りというものか浮き彫りになっていると思いますが、最近の不正入学の問題や不祥事件の続発などで、医師養成が計画的にスムーズにいくというふうに判断されておられますか。
  54. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 御指摘のように、現在新設をされた医科大学につきましていろいろと懸念すべき問題が生じているわけでございます。これらの新設の医大の場合には、一つ留意すべき点は留年の状況がかなり多いということでございます。入学定員どおりのものか当面は卒業をするわけではない。したがって、医師国家試験の合格率の推移にもよりますけれども、入学定員に見合ったものがそれぞれの年次に従って当然医師数として、ある合格率を掛けたものとして期待できるかどうかという点には問題がございますけれども、しかし、全体として医学部における医師の養成ということを考えれば、昭和五十年代の末には人口十万人当たり百五十人という目標を達成することはできようかと考えております。
  55. 嶋崎譲

    嶋崎委員 黒川委員会では、御承知のように、医科大学の新設について、「私立医科大学については、充実した医学教育を行なうことができ、かつ、健全な経営ができるはっきりした見通しが得られる場合に限って、その設置を認めるべきである。」という答申が出ていますね。そういう意味では国立よりも、国立というよりも、国立も無医大県解消のために増設をして努力をされてこられましたけれども、この間、黒川委員会で言っている「健全な経営ができるはっきりした見通しか得られる場合に限って、その設置を認めるべきである。」というこの答申の趣旨から見て、最近発生している不正事件は、この認可の仕方、そういうものにも問題はなかっただろうかというような点を危惧するわけであります。この点については、わが党の木島委員がすでに昭和四十七年の国会で不祥事件が起きる可能性を予言いたしまして、文部省の対処の仕方についてかなり手厳しい総論的な質問がございました。木島委員の予測どおりの事態が今日起きているという意味で、先輩が予言をした大学のあり方というものについて改めて文部省の皆さんも反省をいただきたいし、大臣もまた、重要なこういう時期であるだけに、いまから御質問します問題について今後とも積極的な対応を願いたいと思います。  そこで、最近の私立医科大学の問題に関連して、今度は数日前に奈良県の公立医大について、ちょっと古い話、十三年ぐらい前の話でありますけれども、昭和四十五年以降の特に新設医科大学で問題になっているのと同じような問題が不正事件として報道されるに至っております。こうなりますと、今日の医科大学のあり方、医師養成をめぐる大学のあり方というのは、単にここ四、五年ないし昭和四十五年の新設医科大学に限らず、医科大学全体についてかなり長い期間大きな問題があったということが想像されるわけでありますが、最近の私立医科大学の入試をめぐる不正や不祥事件の特徴というものを挙げてください。
  56. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 大学局の関係で申し上げますと、やはりこれらの大学においては教学組織の責任体制が確立されていないということになろうかと思います。入試をめぐるさまざまの問題につきましても、やはり突き詰めてまいりますれば教学側の教育、研究に対する責任体制というものが確立されていない、あるいは理事組織との間の円滑な協力の関係を欠いているというところに問題の基本はあろうかと心得ております。
  57. 三角哲生

    ○三角政府委員 ただいまの御質問に関しまして管理局の関係から申し上げますと、学生の入学時に、入学の許可の条件となるような、しかも高額の寄付金を徴収していたという事例が明らかになった学校が出てきたわけでございます。これはやはり入試の公正を害しているというふうに見ておるわけでございます。そこが一番重要だと思います。
  58. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そのほかありませんか。そのほか、特徴をどう見ていますか。いまのは教学問題と寄付金問題。そのほかに……。
  59. 三角哲生

    ○三角政府委員 問題になりましたような学校についてある程度共通して見られる事項といたしまして、そのほかに入学者の数、寄付金の納入者の数あるいは寄付金総額について、私ども指導上調査をしていたわけでございますが、この調査におきまして、虚偽または過少の報告を行っていたという事例が二つございます。それから、学校によりましては、理事会報告用と文部省あるいは評議員会への報告用の二種類の収支決算書等を作成して、いわば二重経理を行っていたというような学校も一件ございます。それからほかに、性格が明らかでないお金を適切に処理することなく放置しておったとか、いわば管理運営に非常に不十分な、健全でない点が見受けられるということがございます。
  60. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私が思うに、最近の不祥事件の一つの特徴は、物事はすべて始まりでありまして、大学の設立の時期、設置認可の時期にこういう問題か内包していく特徴があると思いますが、いかがですか。
  61. 三角哲生

    ○三角政府委員 設立の認可に当たりましては、法人の経営面と申しますか、財政面につきましては私立大学審議会において審議をいただきますし、大学の教員組織あるいは施設整備計画等につきましては大学設置審議会においてそれぞれ慎重に審議をいただいておるわけでございます。設立の計画段階に当たりまして、資金計画面につきましては、そのときの建築費ないしは設備費等の単価等に照らしまして大学設置基準に定められております医科大学の設置のために最低必要な所要額が設置経費となるわけでございますが、その設置経費につきまして、私立大学審議会のサイドといたしましては、四十五、六年当時はその三分の二を確実な自己資金として保有しておるかどうかという点に焦点をしぼって、当時としては可能なあらゆる方法を使って確認を図ったわけでございます。ただ、その後いろいろな物価の高騰等によりまして大学の設置経費というのがだんだん高額になってまいりますし、そういたしますと相当部分を自己資金で持っていていただかなくては不安心であるというので、三分の二というのを四十九年度開設予定分からは四分の三に引き上げるとか、あるいは同じく四十九年度開設分からは、従来単一年度内に審査を取り運んでおりましたものを、開設予定年度の前々年度に申請を受け何けて、いわゆる二段階審査をやるというようなことに改善をしてきたわけでございます。なお、現在は特別の必要がある場合以外には認可しないという法律の規定をかぶっておる時期でございますけれども、それにしても、医学、歯学の設置の経費の基準につきましては、最近の物価の変動あるいは医学教育の内容の高度化等に照らしましてさらに設置経費の基準を引き上げるべきではないかということで、目下私立大学審議会で鋭意検討中でございます。
  62. 嶋崎譲

    嶋崎委員 それではそっちだけ先に片づけます。  こういう資料がつくれますか。昭和四十五年から五十年までの設置審議会のメンバー、それぞれの私学審のですね、それのメンバーのリスト、これの資料提出。それから、そのときに調べておいてほしいのは、設置審のメンバーで各大学の設立者並びに理事を兼任した人がいるかどうか、そのデータをつくって提出してください。いいですね。
  63. 三角哲生

    ○三角政府委員 作成して委員会の方へ提出いたします。
  64. 嶋崎譲

    嶋崎委員 問題点だけ言っておきます。設立審議会の某先生方と私が話した限りでは、非常にはっきりしていることは、設置審のメンバーが大学の理事などを兼ねている場合、自分の大学の設立ではなくても、その関連において設立に際して非常に有利に取り扱われているというケースがあるということが言われております。簡単に言えば、設置審の先生が、よしおまえのところでやるのについては、設置基準等々についてはできるだけ取り計らいをしてやろうというふうな形で動いているという節があると、私はある教授から聞いています。ですから、その資料を見た上で再度また次の国会かで質問させていただきますが、要するに設置審議会の——あれは設置審議会ですか、設立か、正確には何と言うのですか。
  65. 三角哲生

    ○三角政府委員 私が先ほど御説明申し上げましたのは私立大学審議会でございます。
  66. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そうです、その私学審のメンバーと各大学の理事と兼ね合っているかどうか、それの資料を出してください。
  67. 三角哲生

    ○三角政府委員 いまの先生のお言葉に関連してちょっと一言申し上げますが、私大審の委員で、直接の場合はもちろんでございますけれども、状況によりましてある特定の学校法人とかなり関係がございます場合には、その関連事項の審議からは外れていただくという慣行で従来やっております。
  68. 嶋崎譲

    嶋崎委員 三人ですよね、あれは。三人で組んで大体担当以外のところの問題を審議するというふうに運営されていることは知っています。ですからさっきの資料を出してください。それで、もとに返ります。  さて、教学の方からいきますか。大学局長、私は金沢医科大学に先般調査に入りましたときに、教授会に次のような質問状を出して、その回答をもらっております。これは金沢医科大学だけではなくて、愛知その他共通している特徴がありますので、こういう点の御確認ができるかどうか、文部省の方はどういうふうに情勢を見ておられるか。  私の第一の質問は、「入試における合否判定について教授会の関与はどうであったか。」この回答、「入試の合否判定には教授会は関与していなかった。」これが一の回答です。二番目、「寄附金と合否判定の関連について実態認識はあったか。」回答、「実態は知らなかった。」第三、合格の最低基準は得点の三〇%と理事会が私たちに答えたのです。実際はもっとはるかに低いです。「合格の最低基準は得点の三〇%というが、教授会は知っていたか。」「合否の最低基準は知らなかった。」これが第三番目。第四番目、「入試答案用紙、成績表の廃棄処分行為について。学校教育法に違反しているが、この行為について教授会の見解はどうか。」「きわめて遺憾である。」五番目、「いわゆる水増し入学について」教授会は知っていたか。これは非常にあいまいな回答で——これは入ってくるから恐らくわかるわけですね。「好ましくない」とは思うが、つまびらかには知らない、こういう回答です。六番目、「私学助成法にもとづく助成金申請について、教授会は対応したか。」意見を述べたことがあるか。「教授会として検討したことはない。」これだけ挙げておきます。あとまた関連してあれしますが。  いま申し上げたように、私立医科大学、愛知に限らず、松本歯科大、城西歯科大その他どこの大学にも共通しておる特徴は、ここに挙げたような一連の、教学権が確立してないというところにあると思うが、局長、いかがですか。
  69. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 大学によって対応に相違が若干ずつはございますけれども、基本的には、御指摘のように教授会が教授会として機能していないという点が共通して認められるわけでございます。
  70. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私立医科大学教職員組合並びに学生自治会のある大学は幾つあると思いますか。限定して、昭和四十五年以降の新設大学について調べたことがありますか。
  71. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 つまびらかにいたしておりません。
  72. 嶋崎譲

    嶋崎委員 大体ないと判断をしていいと思います。それで、学生の自治会活動その他について、先般のサンデー毎日で学生が覆面座談会をしておるのを、局長、御存じですか。
  73. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 承知をいたしております。
  74. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そういうふうに、大学の自治とはいいながら、教職員組合や学生自治会というのは、何もイデオロギー的な意味ではなくて、大学の民主的な活動という場合に、学生の社会的な活動の訓練の場として当然あるべき姿だと思うけれども、こういうものがどこの大学でも弾圧されておると言うと乱暴ですが、そういう活動の自由が残念ながら保障されていないというところに特徴がある。この点はひとつ押さえておいていただきたい。したがいまして、大学の運営に際して、理事会と、大学側代表というかっこうで学長が参加して、そういうところで大学が運営されておるというきらいがあると思うが、どうですか。
  75. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 金沢医科大学の場合も、たとえば入学者選抜について言えば一学生部長を委員長とし、部局長等計八名で構成する入試委員会が設けられて、そこで出題、採点及び第二次試験の学生面接は行っているということがございますけれども、実質的な合否の決定は学長と四人の理事で行われております。そういった形で、確かに教学側も入学者の選抜にかかわる部分はあるわけでございますけれども、そのかかわり方においてきわめて不十分であるということが認められると思います。
  76. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そういう教学権の未確立な状態と大学の設置の過程とのつながりの中で一つ問題があると思いますけれども、大体、大学の設立に当たって、発起人並びに初代理事の中に必ず政治家が介入しておるというふうに事実を読むことができるが、大臣、御存じですか。
  77. 三角哲生

    ○三角政府委員 ただいまおっしゃったような例は見られますが、必ず入っていたかどうか、必ずしもそうではないケースもあったかのように記憶しております。
  78. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私は文部省から全部資料をもらっております。ここで一々発表しません。しかし、どこの新設の場合にも必ず、地元の政治家と、それからそれぞれの保守党の内部における、かなり重要な国会機関のポストの人との結びつきの中で事が処理されておるというふうに判断をされる。これは愛知大学の場合でも、その他金沢大学でも、一連、全体そういう特徴があるというふうに判断をいたしますが、その点についての反省はありますか。これは特に大臣に聞きます。
  79. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 これは、他元に大学ができますという計画が起こったときに、私も地元の議員として協力を求められておる。そのときはそれなりに、地元にいい大学ができればということで賛成したことも事実でございます。しかし、経緯は詳しいことを省きますけれども、資金計画の面において一時保留がなされまして、私としては、その資金面における協力とか援助ということは自分の能力を超えることである。ただ私はそう考えてそのときはやめました。結局、今日の場合に立って省みますと、そういった社会的な批判をいろいろ受けておるということはまことに遺憾なことであります。私は、地元の議員として節度を守って行動をしたつもりでありますし、政治家としてやましいことは一切いたしておりませんけれども、しかし、自分自身も設立まで協力を続けることができなかったということ等を省みますと、みずから慎重を欠いたのではなかったかと、その点は反省をしております。
  80. 嶋崎譲

    嶋崎委員 大臣の個別的問題ではなくて、一般的に、最近の特に新設医・歯系の大学の設立に際して政治家が必ず介入している。それから同時にまたそれが理事を兼ねる場合もあれば監事の場合もあれば、そういう兼ね方をしている。これは後の今度の寄付金問題に絡んで、たとえば一つ例を挙げます。大学の中に、政治家の後援会組織というものを私立医科大学に設けていることがあったとすれば、そういうことを管理局長や大学局長や大臣は知っていますか。
  81. 三角哲生

    ○三角政府委員 存じておりません。
  82. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 承知いたしておりません。
  83. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 全く知りません。
  84. 嶋崎譲

    嶋崎委員 大体、新設の医科大学の中に政治家が後援会組織の事務所を持っているんですよ。そういうことがあったんです。だから、そういうことに集中的に示されているように、政治家とそれから大学当局の理事とPTAのボスが結合をして、いまから質問する寄付金問題等々にいろんな絡んだ事件が起きている可能性というものを読み取ることが状況としてあると思います。  そこで、入学金の問題に移ります。参議院でいっぱい質問が出ていますから、議事録に残すために総括的に数字だけを挙げてください。入学時の寄付金の問題に関連して、まず入学者に対する寄付者の数の割合を、私立医科大学、歯学、それぞれについて数字を大ざっぱに挙げてください。
  85. 三角哲生

    ○三角政府委員 五十二年度の私立大学の医学部について申し上げますと、入学者に対する寄付者数の割合は八二%となっております。これを歯学部について申し上げますと九三%になっております。
  86. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そのように、医学部の場合には八二%、歯学部の場合に九三%、まず寄付金を取っているという客観的事実がある。これは一つ押さえておく事実。  二番目、入学時の寄付金の額、これを平均して、医学部の場合と歯学部の場合、それぞれ言ってください。
  87. 三角哲生

    ○三角政府委員 寄付金の平均額でございますが、入学者一人当たり平均で申しますと、医学部が千六百六十二万円、それから寄付者一人当たりが二千二十九万円になっております。それから歯学部につきましては、入学者一人当たり平均が千三百五十五万円、寄付者一人当たり平均額が千四百五十六万円になってございます。
  88. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いまのは、文部省の調査とNHKの調査とは少しの差がありますけれども、しかし、大体平均して医学部の場合、二十二大学の平均は約一千八百万から一千七百万くらいになってしまう。それから新設医大の場合は、四十五年以降の場合は大体平均して二千万から二千二十万くらいが平均になると思います。それから歯学の場合は大体一千三百万くらいというのがいままで出た平均的な数字だと思う。こんな大きなお金を納めてお医者になるということは、教育の機会均等という観点から見てどう思いますか、大臣。
  89. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 それが医学に対する全く自主的な寄付であれば、私はそういったものについては教育の機会均等との問題は起こらないと思いますが、入学の条件ということになってまいりますと、そのお金がないがために行きたくても行けないという問題等も出てきて、教育の機会均等という面から見て好ましいこととは考えません。ですからそれは是正しなければならぬ。少なくとも多額の入学金が入学の条件になるようなことは絶対にやめてもらいたいということを厳しく指導しておるわけであります。そういうふうに対処していきます。
  90. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ではお尋ねします。入学以前に寄付金を徴収している大学は、私立医科大学の中に幾つありますか。
  91. 三角哲生

    ○三角政府委員 寄付金の収納の細かい態様については、必ずしも私ども全体状況を詳細には掌握をしておりません。ただ、御質問にありました、以前に収納していたというのは、先ごろから問題になりました愛知医科大学、金沢医科大学、松本歯科大学につきましては、いずれも入学、いわゆる合格発表前に収納をしていたということがわかっております。
  92. 嶋崎譲

    嶋崎委員 NHKのデータ、見たことありますか。
  93. 三角哲生

    ○三角政府委員 まだ拝見しておりません。
  94. 嶋崎譲

    嶋崎委員 こんな調子だから実態がわかってやせぬのだ。やはりこれだけ社会問題になっていて、どのくらいの大学でどんなことが行われているかという民間でやった調査でもって、NHKの調査くらいはやはり局長はつかんでおかなければいけませんね。大臣、知っていますか。入学前に寄付金というものを取っている大学が私立大学の中にどれだけあるんですか。
  95. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 承知いたしておりません。
  96. 嶋崎譲

    嶋崎委員 こんなこと知らないのかね。一々こんなこと、いまごろ議事録に残したくないね。めんどうくさいけど、合格決定後に取っている大学が十五、入学決定前に取っている大学が八つ。そして、受験成績の合否の決定に当たって、この寄付金を納めているかどうかということこれを基準にしているというものは幾つあると思いますか、大臣、局長。時間がないから、わからぬならわからぬでいいよ。
  97. 藤尾正行

    藤尾委員長 明らかでないようでございますから、御発言を続けていただきます。
  98. 嶋崎譲

    嶋崎委員 入学前に、受験成績に、入学の合否に関係して、寄付金を取っているのを要素として採用している大学は十三大学、こんな状態です。メモしておいてください。  寄付金の総額はわかっているでしょうな。医学部、歯学部、五十二年度の総額は幾らですか。
  99. 三角哲生

    ○三角政府委員 私どもの調べでは、五十二年度、医学部につきましては二十八学部、うち徴収していないものか二学部ございますから、実際には二十六学部におきまして総額五百四十四億円でございます。歯学部につきましては十五学部で三百六十三億円でございます。
  100. 嶋崎譲

    嶋崎委員 さて、いまの私の質問を大ざっぱに総括いたしますと、第二番目の問題点は、私立医大の最近の不正入学、不祥事件の特徴は何かと聞いたのですね。それに関連して、管理局長は寄付金問題、それに伴う不正入学の問題、大学局長は教学体制の問題、こういうふうに言われたが、過去において新設の医学部をつくる際に、非常にずさんな認可が行われているという点を特徴として挙げるべきだ。その後もちろん石油ショックや経済的情勢の変化も出てきますけれども、最初から虚偽の財産目録をつくったり、もうすでに木島委員昭和四十七年に、全国の主要な新設大学についていま行われている認可のやり方は客観的じゃないのではないか、こんなことをしていたら将来必ず大学経営に問題を起こすということを質問されている。実際そのとおりになっている。だからそういう意味で、設立時の認可について皆さん方の対応に問題があったと私は判断します。  そこで一つ聞きますが、いまからの質問に関連してですけれども、この資料を請求したけれども文部省にないのですか。「私立大学校の支出および収入に関する調査報告書」、この報告書は何年まで出たのですか。
  101. 三角哲生

    ○三角政府委員 昭和四十五年度までたしか出しております。
  102. 嶋崎譲

    嶋崎委員 問題ですね。四十五年から国が援助したのですよ。私立学校法に基づいて補助金を出したのは四十五年からですよ。四十五年から国が補助し始めて、それ以降何で書類がないのですか。どういうことですか。
  103. 三角哲生

    ○三角政府委員 四十五年までは管理局におきましていわば事務処理上の事務調査として行っておりまして、いま先生お持ちのような形で、でき上がりますと印刷して必要部面にお配りしておったのでございますが、その後、当該調査とほぼ同様の調査が大臣官房の統計部局に移りまして、そちらで処理しておりますので、一応調べはいたしておりますが、そういった冊子の形で刊行しないようなことになったというふうに私聞いております。
  104. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私は、いまから質問しますけれども、たとえば学生一人当たりの経費だとか、そういうものはこれにみんなちゃんと出ているわけです。五十一年度はどうか。もうことしならば五十二年度、そろそろやらなければならない。ところが資料がないと言うのだな、四十四年のやつをもらったのだけれども、その一番大事なときに……。この最後の調査表を見ればわかりますように、この調査表はマル秘で、学校経費の調査表だ。その学校経費の調査表にA、Bがありまして、それぞれの大学の学生経費や通常経費というものがどんなふうに動いているかということについて、ちゃんと調査すればわかるような調査表を発行していた。それも昭和四十五年までで、それ以降今日までこういう資料をつくっていない。大体国の補助をやるようになってから、国民の税金を使うようになってから、文部省の中では皆さん方どんな資料をどういうふうに読んでいるか知りませんけれども、国会にもわからなければ同時に国民にもわからないというのはおかしいじゃないですか。中の部局の統合があったとかなんとか、そんなことは理由にならぬ。どういうわけですか。
  105. 三角哲生

    ○三角政府委員 先ほど御説明申し上げたとおりでございますが、なお、調査の主な部分につきましては文部省年報の方に記載しておると聞いております。現在では四十九年までが出ておる状況でございます。
  106. 嶋崎譲

    嶋崎委員 毎年出ておるのですか。
  107. 三角哲生

    ○三角政府委員 文部省年報に毎年、調査の……
  108. 藤尾正行

    藤尾委員長 三角局長委員長の指示に基づいて発言を願います。
  109. 三角哲生

    ○三角政府委員 委員長。——毎年出ております文部省年報に、調査のエッセンスと申しますか、そういうものは出ておるというふうに聞いております。それで、現在年報は四十九年度まで出されております。
  110. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私が一回文部省に聞いたら、四十五年から四十九年までをいままとめてつくると言いましたがね。それは答弁、違いますね。
  111. 三角哲生

    ○三角政府委員 本件につきましては、先ほど申し上げましたように大臣官房で所掌しておる関係で、私仄聞するところでございますが、ただいま五年分につきましてそういうような用意を進めておるそうでございます。
  112. 嶋崎譲

    嶋崎委員 怠慢だね、いずれにしろ。大臣、どう思いますか。法律に基づいた助成は五十一年度です。しかし、私立学校法に基づいてできた振興財団法で国の補助を四十五年からやったのですよ。それまで出ている資料、われわれの手元に来るようなこういう形の資料をとめた。それは、部局の統合だとか合理化だとか、いろいろなことがあるかもしれない。あっても、少なくとも国会で審議するに必要なそういう基礎データが持てないということであったとすれば、いまの大臣自身はその当時大臣じゃないのだからしょうがないけれども、そういう対応が、今日までの医学部のあり方や、後でもだんだん聞きますが、今後の私学助成のやり方についての方針が立たないということと関係があると思う。これよりも精密ならばなおよろしい。私立医科大学協会の方から毎年、大体予測はこうだこうだというのが私のところに来ています。しかし、文部省は正規にきちっと調査して、そういうデータをつくるということを、大臣、約束できますか。
  113. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 お手元に示されたような書類の冊子にはなっていないようでありますけれども、調査は毎年しておるということでございます。もちろんそういうような調査をしてなければ、いろいろな施策を立てる上においての判断あるいは参考資料にもならぬわけでありますから、毎年調査はしております。もちろんそれは今後もしていかなければならぬし、していきます。
  114. 嶋崎譲

    嶋崎委員 参議院の議事録を読んで、大臣の答弁している、たとえば自治医大なら自治医大に学生経費というのは大体どのぐらいだとか、その中で補助はどのぐらいの割合だとか、大体パーセンテージが出ているとか、そんな議論はすでにみんな知っているわけだ。だけれども、そういうものを一々委員会で質問しなければわからぬという仕組みはおかしいじゃないですか。そういう意味で、いつでもそういうものを手元にくれるような体制を整えていただきたい。これは要望です。  さて、いままで大ざっぱに、今日の不正、不祥事件の特徴をとらえてみました。そこで、このような背景のよって来る原因をどう考えておるか、局長並びに大臣。
  115. 三角哲生

    ○三角政府委員 いま御指摘のありましたような状況をもたらした要因につきまして、若干集約しまして主な要因として申し上げますと、一つには運営面でございますが、やはり学校法人の責任者の側において、大学というものが教育、研究の場であるという認識が乏しくて、節度のある運営が見られないということが根本にあったというふうに認めざるを得ないわけでございます。具体的に申しますと、先ほども御説明の中にございましたが、理事会、教授会、それぞれの責任体制が確立されていなかったということ。それから理事会と教授会がばらばらと申しますか、相互の十分な意思疎通と申しますか、連携体制というものが一つの運営体としての学校として確立されていなかった。それから運営の第三としまして、内部監査的な機能が十分でないなど、全体として事務処理体制が弱体であるということが言えると思います。  それから第二の財政面といたしまして、やはり医学教育、歯学教育につきましては、これはほかの分野に比べまして非常に多額の経費を要するというのは事実でございます。そういう実情のもとで、設置計画の進行中にオイルショック等に伴う物価の高騰でございますとか、あるいは、学校をつくりましていろいろと理想的なものに持っていきたいというような考えもあったかと存じますが、設置基準を上回るいろいろな施設設備をその後においてお考えになったというようなこともございまして、いわば設置計画当初と比べて過大と考えられるような施設の整備を実施し、それからさらには当初の見込みよりも付属病院の経営がうまくまいりませんで、やはり年次計画の途上では病院の収支のバランスが悪いといったような諸事情で非常に経営状況が苦しくなって、そこで一番いわば安易な道についたということが言えるのではないかというふうに見ております。
  116. 嶋崎譲

    嶋崎委員 余り時間がないからはしょりますが、やはり私学の経営問題、つまり財政のあり方、運営のあり方、これが根本ですよね。そこへもってきて教学体制が確立していない。  もう一つは、これは文部省でないけれども、佐野局長もわれわれと同じ年輩ですけれども、昔、われわれ旧制の高等学校にいたころは文科で、さてどこも行くところないな、医者にでもなろうかと言って私立医専に行ったものですね。昔は医者にでもなろうかと言っていたのに、このごろの医学部は、成績がトップクラスでないと医学部志望でない。この情勢の変化はどういうところにあるでしょうね。どう思いますか、大臣は。総合的に文部大臣から……。
  117. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 どうしてそういうことになっておるのか、明快にちょっとお答えできないのは残念でありますけれども、優秀な人が医者を志すようになったとすればそれは好ましいことだろうという気もいたしますが、これは正確な資料の裏打ちだとかそういうものがあるわけじゃなくて、私の感じでございます。
  118. 嶋崎譲

    嶋崎委員 やはり医療制度ですよ。もうかるんだ、大体。それで、これは付属病院のあり方みたいなものとまた関係するけれども、きょうはここではしぼれません。  さて、時間も余りありませんから少し急いで答えてください。いままであるような私立医科大学不祥事件とでも言いましょうか、こういうものに対して文部省はいままでどう対処しましたか。まず教学権と、管理局長、それぞれ簡潔に。
  119. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 教学の組織あるいは教学の責任体制を確立するという点からすれば、はなはだ逆説的な言い方にはなりますが、今回問題の起きた大学というのはまさにそれを契機として、新しく問題を学内で検討し、そして改善の方向へ向かおうという機運なりあるいは意欲というものが教学組織の中に明らかに見られます。また、それについて理事組織も十分な理解を示すという体制にございますので、これを機会に各大学に対して個別に教学側のさまざまな問題について改革の方向を示す具体の組織をつくり、そしてその実を上げるように指導をいたしております。
  120. 嶋崎譲

    嶋崎委員 通達は九・七通達ですね。「私立大学医・歯学部における入学に関する寄附金の収受等の禁止及び入学者選抜の公正確保等について」という通知ですね。これの二項目に「入学者選抜の公正確保」ということをうたっておられる。それをやや具体的におっしゃろうとしたのではないかと思うが、確かに大学自治という問題が一方にあります。しかし、先ほど私は一つの、愛知やその他の大学にも特徴的に出ていますが、金沢医科大学の例を申し上げましたように、教授会の機能がまず確立してない。また、学校教育法施行規則に言うように、学生の入学や退学その他は教授会の議を経て学長が決めるということになっているのに、そのとおりに行われていない。こういう実情に対して、その指導をすると局長はおっしゃったけれども、具体的にはどういう指導ですか。
  121. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 各大学が、それぞれ明年度の学生の募集要項を検討をし決定をすべき時期に来ているわけでございます。その場合には、その募集要項の中で学生納付金についてどのような記載をするかという点が一つ重要な問題としてあるわけでございますが、そのこととあわせて、大学局としては、入学者の選抜において教授会がどのように機能をするのか、そのことについて教授会規程等はどのように整備をされているのかというふうな点にまで入って各大学から事情をお聞かせをいただき、必要な指導を個別に行うということを考えております。
  122. 嶋崎譲

    嶋崎委員 きちっとした教授会規程や何かをつくってないところはつくらせる、それからそういう指導をきちっとしていただきたいと思います。  管理局長の方は……。
  123. 三角哲生

    ○三角政府委員 先ごろから問題となりましたような不始末を起こした大学につきましては、当該問題についての関係者にはしかるべく責任をとっていただいて、新しい姿勢、体制で再建計画を立ててもらいたいということでございますが、医科・歯科大学一般につきましては、ただいまお話に出ました九月七日付通達、これを各学校法人理事長、大学学長おのおのに通知をいたしまして、あわせて医科大学協会、歯科大学協会のそれぞれの会長にも通知をいたしまして、この通知にのっとって自主的に徹底的な改善方策を立ててほしいということで、そしていま両協会を中心に各学校がそれぞれ鋭意検討中でございまして、私どもは両協会を通じて指導、助言を尽くしてまいりたい、そういうふうに明示いたしております。
  124. 嶋崎譲

    嶋崎委員 先ほど管理局長から説明ありましたように、私立医科大学協会等々と連絡の上でこの通達を出されたわけですから、通達の趣旨は、びくびくされぬでも、第一点は寄付金の禁止と納入金の問題、第二点は入学者選抜の公正確保、教学権の確立の問題、第三は経理の公開、この三つが骨子ですね。なるべく、時間がないから急いで……。
  125. 三角哲生

    ○三角政府委員 入学の条件となる寄付金の禁止、それから入学者選抜の公正確保がいわば大柱であろうと思います。関連いたしまして各学校の経営の健全化、それから経理の適正処理と、必要に応じて財務状況を関係者に明示する。それからあわせて学生納付金につきまして、やはりこれを抑制をしていただいたり、必要なものはすべて募集要項に明示するといったような納付金関係の必要な事項、それから学生の負担軽減に関連しまして減免措置あるいは奨学事業の実施、そういったことも主な点でございますし、最後に、任意の寄付金については、これはあくまでも寄付として、寄付らしい形で、必要な金額、必要な事項等を明示して、これは篤志家からいただくという形でやるべきであるというようにうたいまして、主な柱のほかにそういう関連事項につきましても若干具体的に述べておるわけでございます。
  126. 嶋崎譲

    嶋崎委員 入学の募集要領は各大学、十一月もう半ばになりましたが、できましたか。
  127. 三角哲生

    ○三角政府委員 先ほど申し上げましたように、ただいまいろいろと両協会で各大学を指導すると申しますか、両協会を中心に協議を尽くしまして、目下作業中と聞いております。でございますから、もうしばらくしてまとまるものというふうに私どもは期待しております。
  128. 嶋崎譲

    嶋崎委員 いつもだと九月にできちゃっているのですよ。いつも九月までに入学の募集要領は天下に明らかになっておるのですよ。もう十一月の中旬になるけれども募集要領をつくれないのですよ。みんな見ているわけだ。さて納付金どのくらいにするのか、寄付金の処理をどうするのか、わからぬですよ、いま。だからいつもと違いまして、来年医学部を受けようとする学生たちは、さて今度は親にすると寄付金を何ぼ取られるのか、納付金が幾らになるのか、いまのところ方針が立たないという現状になっていると思うがどうですか、簡潔に。
  129. 三角哲生

    ○三角政府委員 今年度の場合は、先ほどからお話に出ておりますようないろいろな事柄がございましたので、どうしても明年度以降徹底的に改善するために慎重に検討して、それぞれの学校がそれぞれの姿勢をつくるということが課題でございます。そういうことで、両協会があっせん役になりまして研究を重ねておるようでございますので、もうしばらく時間がかかるようでございますが、そういった状況で各学校とも若干例年よりおくれておるようでございます。
  130. 嶋崎譲

    嶋崎委員 質問していると時間がなくなるから……。こういうことなんですよ。この通達が出たでしょう。通達の一では「入学に関し、直接又は間接を問わず、寄附金を収受し、又は寄附の募集若しくは約束を行わないこと。」と大前提を出したわけですね。そしてしりは抜けているわけです。一番最後に「任意の寄附金の取扱い」と書いてあるわけですね。この任意というのはどうなるかというと、「入学許可後に学生又はその関係者から任意の寄附金を募集する場合は、その寄附が任意であること、使途、募集目標額その他必要事項をあらかじめ明示するとともに、その額の抑制に努め、また大学の教育研究に直接必要な経費に充てるものについては、後援会等によらず、すべて学校法人の経理で処理すること。」こう書いてあるわけだ。そうすると、通達でいきますと、原則としては寄付金を取ってはなりません、こう言っておいて、最後に、入学後は任意だ、こう言ったわけだ。ところが、この任意というのは何だろうか、これは大変むずかしいわけだ。いままでみたいに入学の募集要領の中に、さて寄付金というものを書いていいのか、額はどうするのか、書いちゃならぬわけですからね。いまのいわば文部省通達というのはそういう意味で、正すという側面は一方にあるけれども、同時に、現在の私立大学の経営のあり方について一つも見通しを出していない。通達を見ればわかる。四十九年の通達には具体的な二項目をつけた。これは予算の時期が問題ですね。一月と書いてあるのは、恐らく予算が決まっているから一月にこういう具体的な、つまりことしはできると言ったから一に書いたのです。今度はこの通達は具体的なことは何も書いてない。具体的なことが何も書いてないということは、各大学は寄付金を取っちゃならない、任意の寄付金にしなければならない、法人会計で処理しなければならぬ、こういう枠をはめられた。ところが、いま重要なまだ予算の段階ですから、いまの段階で下手に具体的なことを書いて、文部省は削られちゃ困るでしょう。後で大臣の決意を聞くけれどもね。そうすると、今度は文部省は各大学について、公正を期せといういわば一種の弾圧だな、それだけをやっておいて、それに対する対応策を具体的に出していない。ましてや、いまから問題にする助成金の場合だって計画は立ちやせぬのですから。ことしは概算要求、また削られるかもしれない。来年度はどうなるかわからない。再来年はどうなるかわかりやせぬ。そうすれば大学の経営、借金する場合でも、金繰りにしたって方針が立ちやしませんわ。こんな実情の中でこの通達が持っている意味は、文部省としては顔を立てたかもしれないけれども、こういう顔を立てるような対処の仕方で、裏打ちした方針を明確にしないでいるから大学はみんな困っているのですよ。そういうふうに情勢を見るべきだと思う。  それじゃ具体的に聞きます。医学、歯学協会、私立大学協会だな、私立大学協会がことしの赤字の予想、旧制の場合と新設の場合とを区別して、大体幾らになって、ことしの入学生一人についてどれだけ寄付金を取ったら賄えるということになっているか、その数字をちょっと挙げてごらん。いまの私立医科大学協会が出しているデータは、中間報告は四十九年のデータなんです。それも文部省とのつながりがないものだから五十年、五十一年がわかっていない、法律ができて以降、助成されてからデータをそろえていないですから。過去についても四十九年のデータでしか去年は発表できないのです。それでいま出ているこの資料によれば、もうすでに、簡単に言えば新設の医科大学は大体一人当たり二千万円寄付金を取らなければだめなんですよ。経営経費だけで一人二千万円。それから新設じゃなくて旧制の医学部ですね、そこの場合には大体一千六百万、百人定員の場合に一千六百万。百二十人の場合に一千三百万寄付金を取らなければだめなんです。それから新設の場合、昭和四十五年以降の医学部の場合は一人当たり、百人定員の場合二千万。大体合うじゃないですか、去年まで平均二千万寄付金を取ってきたのですから。百二十人の定員の学生の場合には約一千六百六十万、それだけ寄付金を取らなければ経常経費だけでも問題にならぬくらい赤字なんですよ。それは御存じですね。  さて、そこで聞きます。ことしの概算要求、学生一人当たり経費、大臣、参議院で答弁していますから、幾らふえましたか。
  131. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 これは、概算要求の中で医学、歯学に関する学生一人当たりの要求額は、文部省としては百八十万ということで要求しております。
  132. 嶋崎譲

    嶋崎委員 五十万というと、それはいまだかつてない増額ですね。それで、しかも今度は四年間全部学生一人当たりにやるのですからね。そうでしょう。この場合に大臣が頭に置いておかなければいかぬのは、医学部の上には大学院があるのですよ。大学院には完成年次でなければ予算をつけてないのです。そんなことをしていたら基礎研究はできやせぬ。新しい大学をこしらえて、まだ大学院に学生が行ってなくとも、すでに大学院の教官をそろえ基礎研究をやれるような体制をつくっておかぬとだめなんですよ。そういう予算上の問題もあります。しかし、仮に五十万ふえたとしましょう。五十万ふやして、新設の医科大学だったら何ぼ赤字が消えますか。旧制の医科大学だったら何ぼ赤字が消えますか。せいぜい二億か三億でしょう。どれだけ赤字になっていますか。新設の医科大学は経常経費で二十億の赤字ですよ。片一方で旧制の私立大学の赤字というのは、予測しているのは大体十五億ですよ。確かに私学助成というのは一定の役割りを果たしていくと思う。しかし、その程度の私学助成ではいまの医科大学の経常経費でさえも、今度は全体の資金計画繰りから見たって間に合うはずがない。そういう実態のときに、寄付金は取ってはいけません。任意の寄付金というのはあるが、任意になると今度は入学後払わぬやつだって出てきますよ。そしてそれは首にするわけにいきませんから、計画が立たないのですよ。もう私立大学はお先真っ暗ですわ。日本経済のスタグフレーションと同じだ。こんな状態で何ら具体的な方針というものを示さず、この程度の方針でもってこれだけ社会問題になっている医学部問題に文部省や大学側が対処しているなんと思ったら大間違い。私学助成を根本的に考え直さなければならない時期に来ているのじゃないでしょうか。大臣、どうでしょうか。
  133. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 御指摘の点にお言葉を返すようで大変申しわけありませんが、いまこれだけ大きな社会的な問題を提起して、批判を受けて、いま改革をする一つの大きな時期である、しかも協会側自身もこのことを厳しく受けとめて改革のための自主努力をすると言っているときであります。私どもとしては、いま具体的に出ましたのは私学助成金の概算要求の金額だけでございますけれども、こういったものを黙ってほうっておきますとまた寄付金が入学の条件になるということか一番悪い面だと私は思っておりますから、そこから打破していくためには、できるだけきちんと経営努力はするけれども、しかし経常費は、私学助成とともに学納金あるいは自主的な努力、その自主的な努力の中にもまたいろいろあるわけでありまして、必ずしも在学生のみならず、いろいろな社会的な寄付の要請もできるだろう、いろいろなことがございます。政策的にも、たとえば入学金の分割払いとか奨学金の制度とか、いろいろな政策努力を考えて、寄せ集めて、現在よりも少なくとも明朗で、しかも低いところに向かって歩を進めるようにいま努力を始めておるところでございます。そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  134. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私立学校振興助成法の第四条と第七条の関係について、四条は御承知のように「大学又は高等専門学校を設置する学校法人に対し、当該学校における教育又は研究に係る経常的経費について、その二分の一以内を補助することができる。」これは二分の一以内の規定ですね。そして第七条では「私立大学における学術の振興及び私立大学又は私立高等専門学校における特定の分野、課程等に係る教育の振興のため特に必要があると認めるときは、第四条第一項の規定により当該学校法人に交付する補助金を増額して交付することができる。」この解釈をちょっと聞きたいのです。時間がないから簡潔にやってほしいのだけれども、つまり四条の趣旨は二分の一以下と決めてある。そして私たちに文部省がくれるこれは一般的な基準ですね。教授一人当たり二分の一だとかあれが十分の五だとかいうのをくれるわけです。さて、今日のように医科・歯科系の大学で経営が大変問題になってきている、しかもここは日本の医師養成にとって大変重要な役割りを占めているという場合に、そろそろこの七条の意味を抜本的に考えなければならぬのじゃなかろうかという気がするのです。この四条で言っている二分の一以下というのと、七条、これはぼくはよくわからないのだけれども、二分の一以下の枠の中で配分として有利に配分できる、つまり補助金を増額して配分して運用するというのですか。この法律の趣旨はどういう意味ですか。
  135. 三角哲生

    ○三角政府委員 運用としてただいま先生がおっしゃいましたやり方もあろうかと思いますが、そのときの状況によりまして、特定の分野、課程等について二分の一を超える助成もあり得るという解釈でございます。
  136. 嶋崎譲

    嶋崎委員 実はそうだと思ったけれども、そうでないと立論ができないと思ったからね。それなら七条を発動して、いまの医・歯学のこういうもろもろの事件に対して積極的な対応をする計画はありますか、大臣、どうですか。
  137. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 今年度の概算要求をします金額を決めるときにもいろいろな角度から検討をいたしまして、他の政策との整合性ということももちろんございましたけれども、現在、これは緊急にいろいろな政策努力をして解決をしていかなければならぬ問題であると判断をして、文部省の内部においては積極的に思い切って増額の概算要求を決めたわけでありまして、その決定したときの心構えといいますか、考え方の背景というのは、まさにおっしゃるような精神でやったわけであります。
  138. 嶋崎譲

    嶋崎委員 国は財政事情が悪いのです。だから心構えじゃだめで、手続を踏まなければならない。かつて高校生がふえたとき、文部省は五カ年計画をやりましたね。あのときの手続はどういうふうにしてあの予算を組んだか、大臣、知っていますか。
  139. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 記憶をたどっての御返事でありますからあるいは違っておるかもしれませんけれども、人口構造の変化に伴ってふえていく大体の数の予想を考え、そしてそれに伴ってこれくらいの施設、校舎を決めなければならぬということを計画を立てまして、その計画は高校全入目標と言いましたか、そういうようなことを立てて取り組んでいったと覚えております。
  140. 嶋崎譲

    嶋崎委員 そんなことを聞いているのじゃないのです。あのときは閣議決定したのです。文部大臣が大蔵省に向かって要求しても、いや国の財政は悪い悪いと言ってだめなんです。しかし現実に高校生がふえてきて学校が足りない、敷地が足りない、どうしても対処しなければならないというときには、文部大臣は閣議決定に持ち込んだのです。そして法律をいじらないで、その閣議決定に基づいて計画を立てたのです。今日の医科、歯科の現状、これだけ社会問題になっているときに、大臣は、財政が苦しいということを仮にわかっていても、こういう問題に対して閣議決定をやってでも少なくとも年次計画を立ててやらなければだめです。いまのように、来年度も概算要求したら削られるかもしれぬではなくて、いまの要求は満額絶対とってもらわなければいかぬですけどね、これは委員長から大臣に特別に言ってもらわなければならぬ。それだけじゃなくて、そういうものを計画的にやるような国の施策というものを考えなければいけないのじゃないですか。私はそう思うのですけれども、大臣どうですか、そういう決意はないですか。努力してみる決意はないですか。
  141. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 私学に関しましては、重要な問題であることは御指摘のとおりでありますし、そのために私学振興助成法という法律も国会で制定をしてもらって、その趣旨、精神にのっとって全力を挙げてやっているところであり、また、現在起こっておりますいろいろな問題を片づけるためにも、国公私立の格差是正のためにも、私学の助成というものに対しましては格段の努力をしなければならぬということは当然でありますし、文部省としましてもそういう立場で取り組み、すでに概算要求にはそういった、いろいろなほかとのバランスを越えてまできちんとした数字を上げて、全力を挙げてがんばっておりますので、そのことについてはすでに十分自覚もしておりますし、機会あるごとにそういったことはいろいろなところで要請もし、訴えてもおります。
  142. 嶋崎譲

    嶋崎委員 私大協は補助率をどのくらい要求しているか、大臣は知っていますか。
  143. 三角哲生

    ○三角政府委員 経常費の三分の二の特別助成が希望であります。
  144. 嶋崎譲

    嶋崎委員 この間の私学助成法のときにわが党が出した骨子はそれです。三分の二です。そして、その施設や何かについては、特に医学とか何かについては四分の三と言っております。そのくらいのことを考えなければ、今日の医科・歯科系の大学の経営というものはもう行き詰まっているというふうに判断をしておかなければいけないと思う。そういう意味で、私が言ったような決意、精神で、大臣ががんばっておられるのはよく知っているけれども、やはり本気で国全体の問題として、これは社会的問題ですからね、そういう姿勢を今後ともとるということを強く要請しておきたいと思います。  それで、最後に聞きますけれども、大臣のところにある父兄から書留で手紙が行っていませんか。資料を入れて、返信を待っている手紙が行っていませんか。
  145. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 いろいろな方からたくさん書留で返事を要求している手紙が毎日来ておりますが、大体、おっしゃるのはサンデー毎日が入っておったあの書留かと思います。
  146. 嶋崎譲

    嶋崎委員 返事を出しましたか。——まあ忙しいからなかなかでしょうな。
  147. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 私の手元でわかるのは、はがきの返事を私自身が出すようにしておりますが、今度来ておりますその資料は、金沢医科大学に一番で入るべきであったといわれる人の親という人からの資料のことだと思いますけれども、私は一度きちんとそのことを正確に金沢医科大学にも確かめてそれから返事もしなければならぬので、具体的に調査をして私に調査の結果を教えてほしいということで、私のところへ来ました資料も手紙も全部担当に渡して調査をしてもらっております。まだ返事を書いてはおりません。
  148. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その人は一番で入ったとおぼしきとか、大臣はまだその程度の認識ですか。金沢医科大学に電話で聞けばすぐわかることだ。
  149. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 お手紙をいただきましたときに、そういうふうなことが書いてございましたので、これは確かめるようにと言って、金沢医科大学の方へ確かめさせております。
  150. 嶋崎譲

    嶋崎委員 まだ医科大学から返事が来ていませんね。
  151. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 そのことについての返事が金沢医科大学から来ていないということであります。
  152. 嶋崎譲

    嶋崎委員 その人は、ことしの試験にトップで入ったのですが、その親です。大臣のところに十一月一日付で手紙を出しました、返事が来ない、いつ下さるのかわからぬ、だけれどもこういう趣旨の手紙なので、先生は文教委員会理事だそうだから一度確かめてもらいたいと言って私のところに写しが来ました。写しです。「拝啓 海部文部大臣殿」です。金沢医科大学は私の地元ですからね。ことしの受験者の成績がどれどれ何点でだれが合格してだれが落ちたかというデータを私は持っています。しかしこれは生徒のためになりませんから言いません。もしそういうことのために生徒の名前が出たり、そういうことをして今後受験をするのに傷ついてはいかぬと思います。しかし、あなたに投書されたこのお父さんは、ことし一番で入った人のお父さんです。サンデー毎日のトップに載っている人です。落第しているのですよ。そのほかにも、十六人上から採ったらまだありますよ。あの資料は大体正確ですからね。私を信用してください、私はうそを言いませんから。さて、その一番で入った生徒には、寄付金を払うのか払わないのかについても大学側は何の連絡もなく、本人は落第した。いま浪人しています。たまたまその資料が天下に明らかになった。名前は公になってない、明らかになってない。たくさんの投書の中で、大臣はその問題の意味を真剣に考えたことがありますか。
  153. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 意味を真剣に考えましたから、私は自分でありきたりの返事をはがきで書くのはいかぬと思いましたからその資料を全部課長に渡して、この事実を一回きちっと金沢医科大学当局へ確認をしてほしい、そういうように扱っておるわけでございます。意味は重大だと考えます。
  154. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ちょっと読みます。「拝啓 海部文部大臣殿」——前半は省きます。   金沢医大の不正金権入試の実態を明らかにされ、公平な入試と金権体質の改革を世論に沿って厳しく追究され、これが是正せざるを得ない状況になりました。しかし、私のように、この人は、トップだということはさすがに自分では書いてないが、トップなんです。  高得点を取りながら、何の通知もなく一方的に合格の権利を剥奪された者への復活の措置、大学当局より一遍のわびなく過去の問題として葬られようとしている。社会秩序を乱した者へはその代償として応分の債務を科し今後のいさめとする、これが法治国家のよさであり、安住の道理であると思います。文部認可の責任と名において毅然たる方策をお示しになるべきだと思います。そのことが健全なる大学再建を促進し、八百名在校生の名誉回復にもつながる結果をもたらすことに違いないと信じて疑いません。   いわんや国民の生命と健康を守る公的立場と、医学と、人間信頼の最も必要とする医師養成の学問の府に利権をほしいままにして、不正事実が発覚し、世論の非難を浴びるや、情勢不利と見て総辞職し、世間の目をごまかし、今日なお裏で内部干渉を続けている罪状は絶対に許せません。そして、社会を疑うことを知らない幾多の高校生、来年こそはと医学を目指し、ただひたすらにおのれにむちをうち勉学に励んでいる多数の浪人生たちをも過去数年にわたってごまかし、そのために精神的路頭に迷わせ、人生の軌道をも狂わせた責任は重い。一人の子には親子兄弟、親戚、中小高出身学校等の先生、地域社会の中で多くの人が生活をしています。世界は無限に広がっていく中で、家族ともども不合格というハンディを身に受け、日々の暮らしに張りのないうつろな生活をいたしております。まして田舎のことですから、下宿させ予備校に通わせる経費も大変です。二度とこのような事態を惹起させないことと、文部省認可の看板を悪用し、多額の不正な金を詐取させないよう厳密なる処置を切に願い上げます。教育基本法の前文にのっとり、その完成への努力と国民への信頼回復にこたえていただきたく、格別の指導監督について大臣の御英断を心から訴えます。   大臣がもし私と同じ立場に立たれるならば、今回の事件に父親としてわが子にどのように教育をし、納得させるような対応ができますでしょうか。学校への責任追及についてはどう対処されるでしょうか。 あとは医学課長に傷つくといけませんから省きます。   国務の大変お忙しい中、恐縮に存じますが、閣下の御教示を伏してお願い申し上げます。 こういうあなたあてに出した手紙を、なかなか返事が来なくて、一昨日私のところに送ってきました。ちょうど質問するのにぴったり合いました。それで御披露させていただきました。  さて、お聞きします。大臣、金沢医科大学に限らず、いま全国に行われているこの社会問題、不祥事というのは、寄付金を入学試験の前に納めて、寄付金を納めた者だけが一つの要件になって入学できる、そういうのがもういっぱい出てきた。みんなが何となしにわからなかったときはいい。しかし、これだけ天下に明らかになった事実が出てきたときは、文部大臣としてこれにどう対処するか、意見を聞きたい、これが一つ。どうですか。
  155. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 社会的ないろいろな批判を受けておりますことの一つが、私立医科大学の一部で入学時に、多額の寄付金が入学の条件になっておったということが一部で明らかになりました以上、これは先ほども申し上げましたように、このことの撲滅といいますか、入学の条件とする寄付金の制度というものをまず絶対にやめてもらわなければならぬということで、通達の第一項にもそれを示したわけであります。そして同時に、そういったことについては、適正公正な入学試験の制度を行っていくように改革をしていくというのは、これはもう大学側にも厳しく言っておりますし、大学側も厳しく受けとめておりますが、二度と再びそのような、寄付金が条件で合格、不合格が決まることのないようにしなければならぬのはおっしゃるとおりでありますから、全体としては各大学を文部省が指導することによって、また大学自身の厳しい自覚と判断に立って、来年度の入学試験からはそういうお金で左右される入学が行われないようにしなければならぬ、これが第一の責務であると考えております。
  156. 嶋崎譲

    嶋崎委員 ことし、こういういまの腐敗した仕組みの中で犠牲になった人間の立場に立ったときはどうなるのですか。大臣、第三者じゃないのですよ、日本文教行政の総責任者が、これだけ天下に明らかになった事実を前にして、被害を受けた人の人権をどう保障するのですか。本来、裁判でやれば原状回復をやらなければならぬでしょう。そしてこれは損害賠償の問題です。しかしこんなことをやってはいけません、教育の問題ですから教育的に対処するというときに、こういう問題に対して大臣は毅然たる態度をとるとすれば、一般的なそんな話で済みますかね。二度と再びやりません、そんなきれいごとの話じゃないのです。現実に困った、この人権、教育の現場で起きた事件なんですから、したがって、どう対処すべきかというもっと真剣な対応を具体的にしなければだめです。
  157. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 一般論としてお答えいたしましたけれども、その投書のことに関しましては、たしか一週間ほど前に私は入手しましたので、それを自分で読んで、これはきちんと一回大学当局へ調査して確認をして、そしてその返事をもらって、大学当局はこれをどう判断し、どうしようとしておるのかということも一遍よく確かめた上で、私自身が判断をしてお返事はしなければならぬと思っておりました途中でございますけれども、何しろもらいましたのが一週間前のことでありますから、もう少し時間をかしていただきたいと思います。
  158. 嶋崎譲

    嶋崎委員 では、仮にこの人がトップであった人であるという証明ができる、しかし生徒の名前を言うわけにまいりません、来年また試験を受けなければならぬですから、どういうことでまたいびられることがあるかわからぬ、だから名前は言わないけれども、それが客観的な事実であるというふうな事態を大学側から報告を受けたら大臣はどう対処しますか。前提として、その対処の仕方について具体的な考え方を聞かしてください。
  159. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 入学者の選定は教授会の議を経て学長が決めるということでありまして、文部大臣が決めるわけにはまいりませんけれども、学長からどういう返事が参りますか、返事が来ましたら、私はいろいろな立場に立って考えてみたいと思います。
  160. 嶋崎譲

    嶋崎委員 先ほど私は教援会の回答を読み上げましたね。大学の入学だとか退学だとかというのは教授会の議を経て学長が決定するのです。それが行われていなかったのです。大学自治というものは大変大事なものであるけれども、残念ながら大学自治能力のないところで受験者の人権侵害が行われた、そういう場合の大学問題への対処の仕方について聞いておるのです。大学問題への対処の仕方です。これは局長も一緒になって考えてください。相談してください。さっき局長が言ったように、そういうときに一片の通達で処理できるものなのか。そういう具体的な事実について、その人権を保障するために教育的な対処の仕方はないかどうか、真剣に考えてもらわなければいけませんね。ぼくはずっと親の名前を上げていいですよ。だがそんなことになったらえらいことになるからそんなことはしません。しかし一人だけ具体的例を言った。トップの人ですから、一番はっきりしている例を挙げた。それが客観的にそのとおりだとしたらどうするか。そういう大学は、入学募集の要領の中には寄付金を二千万取りますなんて書いてない。前に納めた人間を採用しますなんて書いていない。そして受験をした、そして本人はトップで上がっている。そのときに親は、私に寄付金という話があれば、どれだけか知らぬが納めることができたかもしらぬと言っています。何も通達がない、何の連絡もない。そしてトップで入った優秀な生徒がことしは試験を受からなかった、落第しちゃったんだもの。その後に何と、すごい額を納めた人間が入っていますよ、ずっと下の成績で。これがいまの大学で起きている医学・歯学問題なんです。こういう問題のときに、二度と起きないようにというきれいごとで処理するのじゃなくて、少なくともこれだけの事実が天下に明らかになった以上は、そういう人権というものに対して、大学のあり方として、同時に文部省の私立大学への監督、指導のあり方として、どういうふうに対処すべきかということを聞いているのです。ちょっとぼくだってどうしていいかわからぬよ。だから具体的に考えてもわからなければ困る。いますぐ回答しなくたっていいですよ。
  161. 藤尾正行

    藤尾委員長 嶋崎君に申し上げますが、文部大臣はみずから大学当局に調査を進めておられるようであります。その調査が出てまいりまして、文部大臣がどう対処されるか、それはおのずから明らかになってくるであろうと思いますから、暫時時間を文部大臣にかしてやっていただきたい。委員長からもお願いをいたします。
  162. 嶋崎譲

    嶋崎委員 時間も来ましたからこの辺でやめておきます。しかし、この問題は単なる一片の通達や何かで対処できる性質のものではない。私はそのぐらい大きな問題だと思う。したがって、もし大学がそうでないと言ってきたら、これは大臣、私に連絡してください。委員会でやるかやらぬかは別として、連絡してください。その上でこういう問題に対する対処の仕方を本当に真剣に考えてやらなかったら、日本教育の退廃は大変なことになる。少なくとも公平に、こういう人権侵害が起きた今日の仕組みというものについて、どこか是正しなければならぬ。たとえば私学助成法という法律の十二条、かつて凍結したものを復活した中には、確かにここは助成を受けていません。助成の申請をしていません。しかし昭和四十九年に私立学校法に基づいて補助金は出たでしょう。法律ができて以降、入ってないんじゃないですか。管理局長、調べたことありますか。
  163. 三角哲生

    ○三角政府委員 金沢医科大学に対しては経常費の補助は行っておりません。
  164. 嶋崎譲

    嶋崎委員 全然一遍も、四十九年段階でも……。
  165. 三角哲生

    ○三角政府委員 はい。
  166. 嶋崎譲

    嶋崎委員 つまり、補助金のやつはやってないのですね。やってないということがまた問題なんですよ。
  167. 三角哲生

    ○三角政府委員 融資の方はちょっといま……。
  168. 嶋崎譲

    嶋崎委員 やっているの。ああそう、それならわかります。いずれにしても、私学助成法や財団法を基礎にして今日の私立大学に国費を使って、将来の医師養成というのに重要な役割りを果たしているわけですから、そういう大学のあり方にかんがみ、いま言ったようなことが本当に二度と起きないようにするためには、起きた事件についてどのように対処していくかということが、これからそういう不祥事を絶対に起こさせない一つのケースであります。それだけに、本人、父兄はいらいらして手紙が来ているのですから、早く調査をされて、そうしてその上で再度私も大臣とそういう問題の対処の仕方を考えなければならぬと思います。意見を述べさしていただきたいと思います。委員会がなければ、早く対処しなければならぬ問題ですから、私も一個の政治家として、国民の人権を守る観点からしてやはり文教行政のあり方についての意見を述べたいと思います。速やかなる対処を心から要請をいたします。  関連質問として木島委員が質問しますので、私の質問はこれで終わります。
  169. 藤尾正行

    藤尾委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。木島喜兵衙君。
  170. 木島喜兵衞

    ○木島委員 前段の嶋崎さんの話の、いろいろと御質問があったけれども、御答弁がなかなか明確でないのです。ただ、この新興医科大学等が出たところの四十六、七年ごろに、新興の医科大学にいろいろな問題があった。そしてまた最近ずっと出てきた。なぜ周期的に起こってくるか。一つ一つがぽつんぽつんと出てくるのではなくて、四十六、七年にいろんな大学か同時に出ました。いままた同時に出ました。これは一体何だろうと実は思っておるのです。しかもそれが、文部省の調査によって出たのではないのが多いのですね。文部省が指導、監視をしながら出たのではない、そして周期的に出た、そこにやはり問題があると思っておるのです。大変言葉は悪いのでございますけれども、新興の医科大学すべてとは言いませんけれども、私は性悪説をとります。この出発は一体何だったのだろうか。新興医科大学というのはいかにしてつくられたのか、いかなる目的でつくられたのか。あの当時問題にいたしましたけれども、お医者さんの三歳の子供から、将来入れることを保証しながら学校をつくるところの金まで取ったのです。だからそういう意味では、すべてだというのじゃありませんけれども、お医者さんの職業安定所的大学、少し言葉は悪いのですけれども、すべては言いませんけれども、そういう意味では私は性悪説をとるのです。したがって、そのことに対してきちっとしたところの指導監督がない限りはこのことは今後も常に起こるだろう。なぜなら、さっき嶋崎さん言ったとおり、しょせん赤字なんですから、いかに通達を出されたところで、赤字で経営しなければならぬとすればどこかの裏が出るでしょう。四十六、七年ごろに問題か起こったときにいろいろなことをやった。けれどもそれは表面事で、やはり実はいろいろなことがあったから、それが今度出た問題ですよ。周期的に出てくる。そういうときに文部省がどう対応したかというと、さっきの嶋崎さんの御質問のごとく、四十五年まではやっておりましたけれども今度は変えました。そうではない。同じことを調査しておったか知れないし、文部年報に出たか知りませんけれども、そうではなしに、四十六、七年からもっと別の角度でもって、問題の起こった点はあるのかないのか、あるいは予想されるところの問題は一体何だろう、そういう問題について常に今日まで、さっきも嶋崎さんから最後に話がございましたけれども、財団の金を使っているなら財団法の監督の条項もある、私学助成の監督の方法もある、それをもって常にやっておったら、その中においてはこのように多く出なかったろうと私は思うのです。これはもちろんわれわれの責任でもございます。われわれの責任も感じます。そういう観点に立って今後常に、常時問題点を監視しなければならない。起こるであろうと、予想される問題点、そういうものに対して常に常時調査をし、そしてそのことを、私は性悪説に立つわけでありますから、その立場では少なくとも文教委員会に年一回ぐらいはそういう総合的なことを報告する。そういうようなことをきちっとやらないと、私は少なくともまた周期的に起こってくるだろうと思うのです。そう思いませんか。私はそう思うのです。再びなからしめるために、そのために具体的にどうするかということを、文部省として、監督官庁として具体的にきわめて細かくどうするか、そのことを明確にひとつお答えいただきたい。それだけであります。
  171. 三角哲生

    ○三角政府委員 確かに、私どもの調査でいろいろな事実が初めてわかるというのが現実問題として非常にむずかしいことは事実でございます。問題が出ました場合には私ども、それは確かにそういった学校については、性悪説と申しますか、非常に遺憾なことでございますから、事情も徹底的に聴取し、かつ指導も強化してまいるということが基本だと思っておりますが、全体として、やはり私学というものにつきましては私立学校法の精神にのっとった対応をするということが基本ではないかというふうに思っておりますので、最初から問題を探し回ると申しますか、常時監視的な体制はなかなかとりにくいのではないか。ただ、おっしゃいますように、私どもも、いろいろ経常費助成というようなことをしております以上は、公のお金で賄いますそういう制度に乗ってくる学校につきましてはいろいろ財務関係の書類等もちょうだいしておりますので、そういったものを丹念にチェックをし、そして何らかの経営上その他の問題がないかにつきましては注意をしてまいりたい。そのために、明年度以降、できますればそういった学校法人調査室といったような構え方をお願いしたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  172. 木島喜兵衞

    ○木島委員 そういう式の物の考え方が問題だと思うのですよ。いま、たとえば、佐野大学局長、教授会の議を経て学長が決めるということは学校教育法でしょう。しかしそのことが全部なされておらないというようなことを今日問題にしなければならぬなんということ、そのものが問題なんですよ。もちろん、自治を尊重するために、監視をしなければならぬということはある一時凍結もありました。その思想は今日生きています。しかし、今日これほど社会問題になっている医者という公的な意味から考えたら、それをただいまの管理局長の御答弁のようなことでは……。性悪説に立つなら。立たないなら別です。言葉は大変悪いけれども、性悪説に私は立つのです。その性悪説という言葉は悪いかもしれませんよ。だから周期的に起こるのですよ。もしも四十六年、七年からできたこの大学全部を洗ったら、皆やったら、こんな問題はいま起こっていないですよ。すでに解決されていなければならぬですよ。いまさら通達をするだの、何とか室をつくるだの、そんなことはなかったはずですよ。基本的な考え方を聞いているのです。それだけです。同じことを繰り返すのでしょう、そうあってはならないということを言っているのです。
  173. 藤尾正行

    藤尾委員長 この点につきましては、文部大臣が政治的見地からこの論議を踏まえて善処されると私は信じます。文部大臣にお預けをいただくことが適切かと思いますので、さようさせていただきます。
  174. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 御質疑の趣旨を十分に体していろいろと行動をいたします。
  175. 藤尾正行

  176. 池田克也

    池田(克)委員 質問のテーマに入る前に、きのうの新聞で報ぜられました中央大学の入試問題漏洩事件についてお伺いをしたいと思います。  新聞に伝えられるようなこういう事件は事実あったのでしょうか。大学局長からお伺いしたいと思います。
  177. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 私どももまだ現在の段階では新聞で報道されたことによって事実を承知しているだけでございまして、大学側を招致して事情を聞いておりません。しかし、恐らくは新聞に報道されているようなことが起こっていると思われますので、至急大学側から事情を聞きたいと思っております。
  178. 池田克也

    池田(克)委員 以前にも慶応大学でこうした不正事件があって、社会を騒がせました。     〔委員長退席、藤波委員長代理着席〕 先ほど来新しい医科系大学の問題が出ておりますが、こういう名門校と言われる有力大学において相次いで入試問題の漏洩というのは、非常に大きなショックを若い学生さんたちに与えると思うのです。しかも、国立大学の共通一次試験の成り行きを見ておりますと、足切り問題が出ております。そういう点ではやはりどうしても私学に向かおうとする受験生も多いと思いますし、絶対に不正入試というものがあってはならない。これに対して文部省としては、こうした私立大学に何らかの指示通達、そうしたものを慶大事件以来していらっしゃるでしょうか、お伺いしたいと思います。
  179. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 慶応大学の場合も、また今回の中央大学の場合も——中央大学の場合にはこれから事情を聞くわけでございますが、伝えられているところによれば、いわば不正な手段による入学は水際で食いとめられているわけでございます。それからもう一つは、それぞれの事例とも大学側が直ちにこれに対して対応する態勢をとって、大学の問題として積極的に事態の改善を図るという姿勢を見せております。そういう点において、両大学の場合とも大学側の姿勢、体質というものについては問題がないというふうに私たちは考えておりますが、なお一般に大学の入試というものが適正かつ公正に行われるように、いろいろな機会を通じまして関係者の注意を喚起してまいりたいと考えております。
  180. 池田克也

    池田(克)委員 いま御答弁がありましたけれども、結局、私大側が一生懸命やる、特に水際で食いとめられた、こういうお話でございますが、食いとめられて不正が未遂に終わった、こういうことでありますけれども、問題は、その学生が入らなかったからいいということではないと思うのですね。こういう事件がある、このこと自体が教育的観点から立てばやはり大問題だと思うのです。こういうことがたび重なってきますと、やはり私大の方も共通一次、まあ一次になるか二次になるか、共通試験というもので、各大学間におけるコネによる問題の漏洩、こういうものを防ぐようなことをしていかなければならないのではないか。もちろんこれが国立共通一次と一緒になればなおいいと思うのですけれども、私大の統一試験に関する呼びかけ、こうしたものについての姿勢や御決意について局長と大臣からお伺いしたいと思います。
  181. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 入試の改善は、もとより国公私を通じて実現されなければならない問題であることは十分承知をしております。共通入試の問題につきましては、かねて各私立大学関係の団体に対して積極的な考慮を呼びかけているところでございます。私立大学の関係団体全部の歩調がそろっているわけではございませんが、積極的に加盟校に対してアンケート調査を行ったり、あるいは協会として前向きに検討しているところもあるわけでございますので、さらに各関係の団体と協議をしながら、私立学校ができるだけ早く共通入試に参加をしていただけますように努力をしてまいりたいと思います。
  182. 池田克也

    池田(克)委員 大臣、いかがですか。
  183. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 これはもう議論の余地のないことでございまして、入学の公正が厳しく守られるということは、やはり青年が入学試験というものに青春をかけて一生懸命勉強するのですから、その競争の場というものは公平で公正なものでなければならない、こう考えます。同時に、いませっかく長い間の研究、御議論を願っての共通一次試験の制度が国立大学と公立大学の御理解を得て進むわけでありますけれども、私の考えとしては、私立大学もこれに参加をしてくれることが望ましい、こう考えて、事あるごとに私立大学側にこういった考え方を述べ、伝えておりますし、私立大学側もいまいろいろな意味で検討中だと聞いておりますが、この一次試験に参加するしないは別にしても、とにかく入学が適正、厳正に行われることについては、厳重に各大学において当面は対処し、責任を持っていただかなければならぬのは当然の大学の責任ではなかろうか、そう考えます。
  184. 池田克也

    池田(克)委員 いまの問題はそのような方向で進めていただきたいということをお願いして、次の問題に移ります。  国立大学の付属学校の入試について、ことしの二月に私も本委員会で発言をいたしました。去る十月二十七日の参議院の文教委員会で大学局長からその経過についてお話があったようであります。私、この問題に大変大きな関心を持っております。小、中、高、特に高校ですね。教育大学の駒場とかあるいは学芸附属とか、本来教育目的で設置されている付属高校において激しい受験競争が行われている、それが東大を初めとする一流校のベストテンの上位を占めて、そこへ行くことが教育ママさんを初めとする数多くの受験生の一つの頂上になっている、こういう事態を改善すべきだと主張してきたわけです。参議院の答弁と同じじゃなくて、もう一歩突っ込んだ御答弁をいただきたいと思います。
  185. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 参議院の文教委員会でもお答えを申し上げましたけれども、中学校以下の場合は抽せん制を完全に導入し、さらにその抽せん制の内容についても、それが実質的にいわゆるエリートを選抜するというふうなかっこうで動くのではなくて、付属の趣旨に沿うものとして運用されるように改善を求めております。このことについては、付属学校側も非常に積極的に対応してくれているというふうに承知をしております。したがって、希望者が非常に少ないというようなところは別にいたしまして、中学校以下は来年度はおおむね抽せん制の導入という形での改善は図られるのではないかと期待をしております。  高等学校の場合は中学校以下と違いまして、やはり事の性質上、抽せん制を導入することが直ちに改善になるとは言いかねる部分がございます。公立の高等学校の入試の改善の問題と同じように考えなければならない点があるわけでございますが、それにしても、先生御指摘のように、非常にエリートが集中をするという実際の結果になっている高等学校については、そのことを避けるというために思い切って抽せん制を導入してみるということは意義のないことではなかろうと思います。そのことについて、付属学校の高等学校側も検討の課題として掲げておりまして、また現在検討をいたしております。来年度、果たして付属高校がどういう入試の改善を行うかというのは、現在具体の検討が行われておりますので、もう少し見届けないとわかりませんけれども、高等学校における抽せん制についても付属学校の一部は積極的な検討をいたしているようでございますし、何らかの形で改善がなされることをこれまた期待をしておるわけでございます。
  186. 池田克也

    池田(克)委員 いまの趣旨をさらに徹底をしていただくようにお願いをしたいと思います。  別の問題に移ります。大蔵省、お見えになっていらっしゃいますね。  教科書の無償制度の手直し、この問題がここわずかの期間ですが大きな問題として取り上げられました。大蔵省で検討されている、こういうような報道にたびたび接しているわけでありますが、大蔵省での検討内容について聞かせていただきたいと思います。
  187. 的場順三

    ○的場説明員 来年度の予算編成の問題でございますが、御承知のような財政状況でございますので、既定の施策につきましても見直しを図るというような方向で検討させていただいております。御指摘の教科書の無償給与制度の問題につきましては、制度の趣旨、今日までの経過等を十分に踏まえまして、文部省とこれから十分に相談して決めたいというふうに考えております。
  188. 池田克也

    池田(克)委員 これから十分に相談される腹案を聞かせていただきたいのです。
  189. 的場順三

    ○的場説明員 これから御相談するということでございますから、どういう方向で大蔵省としてやるかということをいま決めているわけではございません。文部省の御意見も聞きながらこれから対処していくということでございます。
  190. 池田克也

    池田(克)委員 そうしますと、文部省が承認しなければ実行しないということですね。
  191. 的場順三

    ○的場説明員 文部省と十分に相談して結論を得るということでございます。
  192. 池田克也

    池田(克)委員 十分に相談をしてということを、言葉じりをとらえるわけではありませんけれども、相談というのは、双方の意見の合意を見て実施する、こう解釈したいと思いますが、いかがでしょうか。
  193. 的場順三

    ○的場説明員 合意を見るということが必要だと思います。こちら側としてもいろいろ意見を申し上げて、いろいろな点で御相談をさせていただきたいということでございます。
  194. 池田克也

    池田(克)委員 合意を見るということが必要だという御答弁でございます。必要というのは必ず要するということだと理解をしたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。  うなずかれましたので、文部省の方の決意をお伺いしたいと思うのであります。この問題については、義務教育は無償とするという憲法の精神を具現したものとして私たちは非常に評価しているわけであります。特にこの制度ができて以来、当時はまだ乱塾などという言葉もなかった状態でありますが、以後年々塾が発達をする、また学校における出費副教材であるとか体育着であるとか、さまざまな出費が父兄の肩にかかっている、これは大臣も御承知だろうと思います。こういう状況の中で、義務教育においてたとえば給食費であるとか副読本であるとか、さまざまな教材書以外のものも無償にしてほしいという父兄の声もあるわけでありますか、まず当面この教科書の無償制度だけはどうしても譲れない、断固これは無償を継続していきたいと私たち強く念願をしているわけです。この点について大臣の御決意、そして大蔵省とこれから相談をされるそうでありますが、それに当たられる気持ちを聞かせていただきたいと思います。
  195. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 教科書無償の制度には、先生十分御承知のようにいろいろな経緯がございまして、昭和三十八年度からこれに着手をして、完全になりましてすでに十教年の定着がございます。そしてこれは、おっしゃるように憲法二十六条の義務教育は無償とするいう考え方の精神を受け継いでなされておる制度でありますから、文部省といたしましてはこの制度を大事にしていきたい、こう考えております。
  196. 藤波孝生

    藤波委員長代理 長谷川君から関連質問の申し出がありますので、これを許します。長谷川君。
  197. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 いま教科書無償の話が出ましたが、先ほども主計官から大蔵省が文部省に合意を求めるというような話がありました。私は当時関係した一人としてこの際関連質問をします。  ほかのものとわけが違いまして、百億の予算を五十億に削るとかなんとかということと違って、教科書無償というのは制度の問題です。教科書無償の法律が一本出ているわけです。それを廃止までしてやる意思は私は文部省もないだろうと思います。そういう法律事項であることをはっきりわかってもらうことが一つ。もう一つは、たしか今日は三百億ぐらい、千七百万人ぐらいの生徒にいっておると思うのであります。私は、義務教育の場において無償というものが家庭の貧富の差なく行われるということは、ほかの制度の中においても日本が誇るべき教育制度だと思いますし、もう一つは、海外に行っておる学生生徒諸君にまで教科書は無償でいっているのです。海外に行って税金を納めている、そういう親に対していま何も国はできない。そういうことからしますと、午前中も海外の子女の教育の問題が出ておりましたが、これは私は文部大臣を信用いたしますし、さらにまた文部省の義務教育も信用しますから、大蔵省に義務教育無償の法律事項というもの、意義というものをしっかりと理解させてもらうことが大事だと思います。またこれは私は恐らく委員会全体の意見だと思う。制度まで改廃して教科書無償をなくすことについて、いまの日本は心の触れ合いだとか教育は重大だとか論議されているときにそういうものに軽々に妥協しないことを特にお願いして、大臣の決意を私もお伺いします。
  198. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 先ほど申し上げましたように、この制度が日本教育の中で定着をしておることと、そしてこれは憲法二十六条の精神を受け継いで行われておる制度であるという立場から、私はこの制度は大切にしていきたい、こう考えておりますし、文部省はすでに五十三年度の概算をしますときにこの制度維持の当然の前提に立って予算要求を決めておるところでございます。御理解をいただきます。
  199. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 結構です。
  200. 池田克也

    池田(克)委員 それでは、幼児教育の問題に入りたいと思います。ちょうどいまの時期は公立幼稚園の抽せんなどが行われている時期でございまして、それに外れた父兄が私立幼稚園に入るためにいろいろと奔走している。国民の間には幼児教育はもうすでに九割近い普及だと言われておりまして、隣の子が行くからどうしてもうちの子も行かなければならない、こういう単なるみえだけではなくて、一つの社会状況として幼稚園を切望しているわけです。大臣は本年初頭の本委員会でも方針を発表されまして、「幼稚園教育の普及充実については、希望するすべての四、五歳児を就園させることを目標とする幼稚園教育振興計画を引き続き推進してまいります。」このように言明しておられます。この方針には変わりはないでしょうか。
  201. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 その方針に変わりなくやっておるところであります。
  202. 池田克也

    池田(克)委員 この計画は昭和四十七年に開始されて、十カ年計画の振興計画だと思います。これに従って毎年計画どおり幼稚園はできているのでしょうか。
  203. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 四十七年からの十カ年計画では、新しく幼稚園を約六千つくるということと、既存の幼稚園の学級増をして収容定員を増すという二つの方法をとってもらうこととしておるわけであります。そこで今日までの計画の達成状況を見ますと、率直に申しまして、公立幼稚園の新設数は、特に五十、五十一年度という地方財政のかなり悪い時期には計画を下回っていることは事実でございます。しかしながら、それならその該当年齢幼児の幼稚園の就園率の向上状況はどうかという点を見ますと、五歳児を例にとりますと、五十七年度の目標達成時の就園目標を七〇%と見ておるわけでございます。そして四十七年度の計画スタート時の就園率は六〇%でございます。つまり一〇%上げようというわけなんですが、五十一年度の調査を見ますと六四・六%ということになって、ほぼ中間まで来ておるということでございますので、就園率から申しますと大体その計画に即応して拡充されておると見てよろしかろうと思うわけでございます。ただその場合に、先ほど申しましたように、新しい幼稚園の新設もかなりありますけれども、既存の幼稚園の学級増というようなこともありますし、それから先般文部省で調査しました幼稚園の実態調査を見ましても、人口の比較的集中しているところの幼稚園の拡充は進んでおるわけですが、人口のいわば過疎的なところは必ずしも十分でないという点も率直に認めなければいけないと思いますので、そういうことを踏まえて、残りの期間、さらに関係者に強く要望をして、計画どおり達成できるように持ってまいりたい、かように考えておるわけであります。
  204. 池田克也

    池田(克)委員 四十九、五十、五十一年と目標を達成してないというお話でございましたが、ちょっと数字を確認したいのです。四十九、五十、五十一年の三年度で結構ですか、公立幼稚園の計画数と現実にできた数、また私立幼稚園の予定——予定というよりは、十カ年計画ですから、予定数とできた数、この三年度における比較をちょっと見せていただきたいのです。
  205. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 四十九年度、公立の計画が三百二十六園に対しまして二百三十九園であります。五十年度が三百五十二園に対して百七十三園であります。それから五十一年度が三百八十二園に対して百四十園であります。一方、私立幼稚園の方は、四十九年度百九十二園に対して百八十四園、五十年度百九十二園に対して二百八園、それから五十一年度百九十二園に対して二百二十五園、こういう数になっております。
  206. 池田克也

    池田(克)委員 いま北較を拝見しますと、公立の方は半分もできてない。しかし、私立の方は予定をオーバーしているわけですね。たとえば五十一年度で百九十二園の予定が二百二十五園できているという状態です。そしてまた、初中局長がお述べになりましたように、公立は建たなかったけれども子供の就園状況はまあまあというような感じで私受けとめました。ということは私立に依存している。まあこれはいろいろ議論があるところですけれども、何とかこの状況を私立がカバーしてくれている、こう私は感ずるのですが、いかがでしょうか。
  207. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 この計数を見ますれば、おっしゃるように私立に依存度が若干高くなったということは率直に認められると思います。
  208. 池田克也

    池田(克)委員 先ほどの話にちょっと戻りますけれども、予定の半分しかできない、地方財政が大変だ、こういう御答弁でございましたが、いま大臣の御答弁では振興計画を推進するとおっしゃる方針に変わりはない。しかし予定どおりできてない。しかも三年越し、ずっと落ち込んできているのですね。しかし子供は待ってないのです。子供には、石油ショックだとか、いま不況だとか、財政状態がどうだとかいうことは説明がつかないことです。こういう状態で父兄は仕方なしに非常に月謝の高い私立へやらなければならない。幼児教育について文部省自身が策定した振興計画というものを、みずからの手で、言うならば私立依存型にしたまま手をつけない。あえて言うならば行政の怠慢だと私は言いたいのですが、この辺、大臣、いかがでしょうか。
  209. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 確かに五十一年度までは落ち込んできたのでございますが、五十二年度の現時点における公立幼稚園の補助を希望する対象面積が十一万一千六百平米ということで、これは五十一年度の九万三千九百平米、五十年度の十万五百平米を上回っておるわけでございます。そこで、この傾向は率直に地方財政の実態を反映しておるわけでございまして、国が補助金を予算に増額計上してもそれに対応する姿勢をもってやっていただかなければなかなかふえないということは事実でございますが、いま申しましたような数字は、ある程度地方の状況も少し変わってきておりますので、私どもはこの状況をてことして今後さらに公立幼稚園の増園を図るべく、一層の御協力をお願いするということでやってまいりたいと思っております。
  210. 池田克也

    池田(克)委員 予定どおりできてなかったこの三つの年度についてですが、予定どおりできなかったということは予算が余っているということでしょうか。
  211. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 この二年度につきますと、その分、予算の積算よりは実数が少なくなっておりますから、予算が残ったわけでございます。
  212. 池田克也

    池田(克)委員 概算でいいですが、どのぐらい残っているのでしょう。
  213. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 五十年度十一億、五十一年度十七億という予算でございます。
  214. 池田克也

    池田(克)委員 この十一億と十七億というのは、これから推進されると言うのですが、この分をどうするのですか。このまま、仕方ない、返すわけですか。
  215. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 予算でございますから、その年の予算に計上されて使わなければ戻ってしまうわけでございまして、後年度新たに需要がふえました場合に、それも含めて増額を要求するというようなことでカバーしたいというふうに考えるわけでございます。
  216. 池田克也

    池田(克)委員 予算が余っている。国民が聞いたら、しかも幼稚園へ行きたくてしょうがない子供を抱えたお母さんが聞いたら頭に来るんじゃないかと思うのです。参考までに、公立幼稚園私立幼稚園の費用、概算で結構ですから出していただきたいと思います。
  217. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 五十二年度の調査で申し上げますと、公立幼稚園の入園料が四百五十円、それから保育料が年額二万三千八百五十五円で、合計いたしまして二万四千三百五円でございます。それに対しまして私立幼稚園の入園料が三万九百七十四円、保育料が十万五千四百三十五円で、合計十三万六千四百九円、こういうことになっております。
  218. 池田克也

    池田(克)委員 非常に大きな差です。公立が約二万四千円ぐらいですか、私立が十三万幾ら。教育内容については、私立、公立でどんな違いかあるんでしょうか。
  219. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 幼稚園教育内容は、文部省が定めますいわば学習要領に準ずるものとして幼稚園教育要領というのがございまして、それに従って幼稚園教育をしていただくことになっておりますから、公立、私立を通じて差異はございません。
  220. 池田克也

    池田(克)委員 同じことを子供たちが教わって、片っ方では二万幾ら、片っ方では十三万幾ら、余りにもこれはひど過ぎやしませんか。しかも、四十七年から大車輪でつくります、そういうような方向を打ち出して、毎年三百園、四百園というふうに公立幼稚園をつくるという方針を打ち立てながらそれができなかった。このできなかったことに対して、特に大きな格差です、これに対して、文部省としては仕方がないのだとおっしゃるのか、あるいは反省をし、新しい決意に立ってがんばるというのか。その辺、いまのやりとりを聞いて大臣もおわかりと思いますが、大臣の御意見を伺いたいと思います。
  221. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 幼稚園の現状の中で、私立にかかっております比重というものが非常に多いことは御指摘のとおりであります。ですから私どもも、できれば公立幼稚園をこういう計画で建てたいということで、予算措置をしたり前向きに努力をしておるところでございますが、いま御議論になりましたように、問題の一つは、私立幼稚園はやはり建学の理想とかいろいろなものがあって、これも大変効果を上げていただけると思っておりますし、また事実そうなんですけれども、父母の負担という面からいくと差があり過ぎると申しますか、もうちょっと何とか公平な扱いにならぬものだろうかというので、幼稚園等に対する経常費補助の助成であるとかあるいは就園奨励費の制度であるとか、そういう政策的な努力も積み重ねまして、何とか国公私立間の格差是正になるように、親の幼稚園教育負担が軽減されるように努力をしておるところでありまして、いろんな政策を合わせながら四、五歳児のすべてが入園できるような目標に到達しよう、こう思ってやっておるところでありますから、仕方がないとか、やむを得ぬとか、そういう感じ取り方を私はしておりません。何とかして少しでも格差是正、そしてみんなが入れるようにという目標に近づこう、こう思っておるところでありますので、こちらの心構えのほどは御理解をいただきたいと思います。
  222. 池田克也

    池田(克)委員 就園奨励費が年々ふえているということは私も結構なことだと思っております。しかし、現実に就園奨励費を受け取る家庭というのは収入がわずかである、あるいはまたその就園奨励費の額も最高限度で五万円ですか、こういう状態で、十三万何がしというのに対しては半分にも満たないような状態ですね。ですから、就園奨励費の最高限度額をもらうような、家計が大変だというお宅でも差し引き八万何がしを払っている。片っ方は公立では二万で行ける。こういう状態からいきますと、文部省の幼稚園に対する関心——いま大臣は、何もほったらかしているんじゃないのだとおっしゃる、そうだと思います。それぞれ所管していらっしゃるんだから、一生懸命やっていらっしゃることはよくわかりますけれども、実情が余りにもひど過ぎると私は思うのです。  そこでお伺いしたいのですが、私立高校生に対して、公立、私立の格差是正のために生徒一人当たり幾らという額でいろいろとお金が出ておりますね。これは地方自治体とも絡んでいるのだと思うのですけれども、高校生に対する公私の格差是正のぐあいと幼稚園に対する格差是正のぐあいと、比較できるでしょうか。
  223. 三角哲生

    ○三角政府委員 各都道府県が私立の高校以下の学校に対してそれぞれ助成を行っておりますが、高校と幼稚園とをどういうぐあいに比較すると申しますか、的確にそれを並べてどうであるというようなことはちょっといま直ちに申し上げかねる状況でございます。高校以下の助成につきましては従来各都道府県が行っておりまして、それに対しまして国としては交付税で措置をしておったわけでございますが、私立学校振興助成法もできまして、特に幼稚園につきましては昭和五十年度から各県の間の手当てのでこぼこ、手当ての状況がまだ不十分なところを引き上げるというような意図をもちまして、経常費補助金を高校と同様に始めたわけでございますが、やはり、当初就園奨励費という形でスタートをいたしておりまして、それに重ねてこういう措置をいたした関係上、高校よりは発足がおくれている関係で、実際のたとえば総経費に対する都道府県の補助の割合というようなことになりますと、幼稚園の方が出だしの関係から若干おくれておるというふうに私どもは見ております。
  224. 池田克也

    池田(克)委員 そのおくれているという、そこのところなんです。要するに高校に対して幼稚園は何%ですか。
  225. 三角哲生

    ○三角政府委員 五十一年度の状況で申し上げますと、国としての財源措置でございますが、国庫補助金と交付税措置を合わせました財源措置として、高校以下に対しまして五十一年度は二六・九%の措置をいたしておりますが、幼稚園分につきましては五十一年度二〇・八%ということでございますから、全体の比率より低い分が、これは必ずしも高校だけというふうに私どもいまちょっと資料がございませんか、幼稚園以外の高校、あるいは小・中、これは数は少のうございますが、そういう方に回っているのではないかというように見られます。
  226. 池田克也

    池田(克)委員 そういうように高校の方がまだましだ。私立幼稚園はこういう状態で、どっちかと言えば幼稚園児を持つ父兄の方が若いし、会社においても収入がまだまだ低いのじゃないか、その中から非常に大きな負担を払っている。しかも、高校生の場合は、場合によってはアルバイトということもあるわけですね。夏休みに新聞配達か何かやるということもあります。幼稚園の子供の場合はそういうわけにもいかないですね。これは私は非常に大きな問題だと思うのです。しかも、幼稚園の場合は通園費というものがかなりあるのですね。送り迎えにお母さんがついていかなければなりません。     〔藤波委員長代理退席、委員長着席〕 私はそういうことを考えたときに、せめて高校並みあるいはそれ以上にそうした措置というものを講ずべきじゃないか。事実、お母さん方の声を聞いても、高校はだんだんよくなっているようですね、それなのに私たちの方は、という声もあるのです。この幼稚にもっともっと目を向けてお金を出すような方向というものは必要じゃないかと私は思っておるのですが、いかがでしょうか。
  227. 三角哲生

    ○三角政府委員 幼稚園に対する経常費の助成が各都道府県において年々伸びてまいりますように、私どもも高校以下の経常費助成補助金におきまして増額を図ってまいりまして、五十一年度は幼稚園分として約五十億措置をいたしましたが、五十二年度、本年度は約七十七億円を措置いたしております。私ども、これに基づきまして、各都道府県におきまして現実の経常費補助の充実が図られますように、先ごろも各都道府県の学事担当の課長会議をいたしましたか、その会議でも、各都道府県におかれて幼稚園に対する経常費についての助成措置の充実が図られるように、そして国が交付税並びに補助金をもってそれの支えをしているということが生かされるように、大いに努力をしてほしいというように慫慂いたした次第でございます。
  228. 池田克也

    池田(克)委員 大臣、いかがですか、いま私が考えていることはむちゃな考えていることはむちゃな考えでしょうか。幼稚園の園児を持っている方が、家計としては大変だ、こういう認識を持つ。単純に比較するわけにはいかないと思います。しかし、就園奨励費というものももっともっと上げなければならないと思いますし、それ以上に新設が望まれる状態ですね。特に計画が十分に達成されていないということは非常にうまくないことだ。私は、もう一遍この辺、是正をするという方向を大臣から確認をしていただきたいと思うのです。
  229. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 いろいろ障害があったり壁があったりいたしまして、計画にいささかのそごが出ておることは、これは率直に認めて反省もしておりますが、計画そのものを変えたわけでもございませんし、また、幼児教育の重要性というものについては、その必要性がなお深まってまいっておりますから、ただいま申し上げておりますように、この計画を変えるつもりは毛頭なく、その計画をさらに充実させるために逐次努力を重ねてまいります。
  230. 池田克也

    池田(克)委員 先ほどの話へまた戻りますけれども、どうして幼稚園ができないかという問題なんですが、一説によれば、地方自治体は保育所の方を一生懸命つくりたがる、こういう状況なんですね。厚生省、見えておりますでしょうか。——厚生省にお尋ねをしますが、保育所は毎年何カ所ずつできているでしょうか。
  231. 川崎幸雄

    川崎説明員 保育所の整備につきましては、毎年約八百ないし九百カ所増設整備が進められております。
  232. 池田克也

    池田(克)委員 八百カ所から九百カ所という御答弁でございますが、厚生省で保育所に充てているお金はどのくらいですか。
  233. 川崎幸雄

    川崎説明員 保育所に関します費用といたしまして、お尋ねの件は建物の整備費であろうと思いますが、これの国庫補助につきましては、五十一年度で申し上げますと、増改築も含めまして約二百億円強でございます。
  234. 池田克也

    池田(克)委員 幼稚園の方はいかかでしょうか、設備費として。
  235. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 五十一年度の公立幼稚園の施設整備費補助が四十七億八千万、五十二年度が五十四億一千万でございます。
  236. 池田克也

    池田(克)委員 厚生省所管の保育所の方は二百億、文部省所管の幼稚園の方は四十七億、五十四億。四分の一ですね。これは私、大臣がちょっと席を立たれましたのであれですけれども、文部省の幼児教育にかける熱意というものが象徴的にあらわれているのではないかという気がするのです。確かに設立の経過からいけば私立幼稚園に比重が重かった。このことは私も経過は認めますし、私立幼稚園の功績というものも認めます。しかし、こういう差というものは私は是正していくべきじゃないかと思うのですね。  補助率の問題ですか、厚生省にお伺いしますが、保育所をつくるに当たっての補助率、設置者を除く県段階の費用も含めて、私は四分の三と聞いておりますが、ちょっとお伺いしたいと思います。
  237. 川崎幸雄

    川崎説明員 ただいま申されましたとおり、国が四分の二、県が四分の一、合わせて四分の三でございます。
  238. 池田克也

    池田(克)委員 幼稚園の方は補助率はどうなっておりますでしょうか。
  239. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 一般の地域三分の一、人口急増地域二分の一でございます。
  240. 池田克也

    池田(克)委員 いまお伺いをしましたように、保育所の方は四分の三、それから幼稚園の方は三分の一、つまり四分の三と三分の一ですよね。急増地域で二分の一ですが、この補助率というのは地方自治体にとっては非常に大きな意味を持つ。この補助率の差がむしろ設置意欲に関係があるんじゃないかと私は思うのですが、自治省、お見えでしょうか。
  241. 土田栄作

    ○土田説明員 地方団体か、幼稚園を設置いたしますか、それからいまお話にございました保育所を設置するか、どちらにするかというような問題につきましては、それぞれの地域の実情に応じましていろいろ歴史的な沿革もございますし、地方公共団体自身が判断すべき問題であるというふうに考えております。
  242. 池田克也

    池田(克)委員 地方公共団体が判断をしているのです。しているのですが、財源が乏しいですよね。財源が乏しい中で、保育所の方は四分の三出る、幼稚園の方は三分の一だ、こうなったときに、たとえばあなたが首長さんだというふうに仮定した場合にどっちをとりますか、これは。
  243. 土田栄作

    ○土田説明員 ただいま御指摘のございました補助率の問題もございますけれども、同時に保育なり教育の内容の問題とも関連してくるんじゃなかろうかというふうに思います。御指摘のとおり、いまのように補助率の差はございますけれども、その裏になります地方負担につきましては、私どもの方で一応地方債を検討するということで財政措置をいたしておりますので、つくる気になれば地方団体がつくるということでございます。
  244. 池田克也

    池田(克)委員 時間がありませんので……。まあ、私がいろいろ調査しました状況から、数多くの地方自治体の中で、あるところでは保育所、あるところでは幼稚園、これは偏在しております。つい先ごろ発表になりました幼児教育設備施設の調査というものもその偏在状況を明らかに示しているわけでございます。  そこで、厚生省にお伺いをしたいと思いますが、現在保育所に入所する子供、児童福祉法に規定されている、保育に欠ける子供と言われておりますけれども、その措置基準について、だれか措置基準を判断して入れる入れないを認定することになっているのでしょうか。
  245. 川崎幸雄

    川崎説明員 市町村長でございます。
  246. 池田克也

    池田(克)委員 市町村長がそれを認定する。私は、地方によってはさまざまな状況によってこの措置がなされていると思うのですね。たとえば行管が出したのにもうたわれておりますけれども、母親が働いていることがその措置基準には明記されておりますが、日中働いている、これが八時間働いているというのが絶対条件であるかと思えば、四時間のところも採用されている。また農村の場合、いつでも忙しいとは限らない、農閑期もある、それでも保育所に入れる。またそうした市町村長の権限が与えられていますので、補助率の多い保育所をつくる、そして措置基準をわりと緩めて保育所に子供を入れている、こういう実態を私はあっちこっちで見ました。厚生省はこういう実情を御承知でしょうか。いい思いは言いませんけれども。
  247. 川崎幸雄

    川崎説明員 御指摘のように、保育所の整備につきましてもある程度地域的な問題も見られますし、措置の権限を持っております市町村長、この市町村長が行います入所措置につきましても地域的な特性が見られるということは承知いたしております。
  248. 池田克也

    池田(克)委員 地域的な特性ということで抽象論になるかもしれませんけれども、私の調べでは、これは一九七二年、五年前の調査でちょっと古いかもしれませんが、長野市で、保育所に通っている子供の父兄の職業を調べたデータがある。四六%が無職となっているのですね。無職、家居となっているのです。これは私、実情を聞きました。本当に東京のようなところ、あるいは東京だけじゃないと思いますけれども、措置基準に縛られて、保育所に入れたくても入れられないというお母さん方が見れば、一体どうなっているんだろうかと思うのですね。また、八月五日、金曜日ですけれども、私、長野のある保育所へ行きました。ここは幼児が百九十一名、乳児が四十九名、二百四十名という定員なんですね。行ったら、子供は五十四人しかいないのですね。どうなっているんですかと聞いたら、いま夏休みで子供は来ませんと言うのですよ。それで園長さんは言葉を濁しておられましたが、保母さんに聞きましたら、本当に保育に欠けている子供というのはきょう来ているこの五十四人だ、こういうわけですね。ですから、あとはどうなっているかといえば、夏休みで親がどこかへ遊びに行こうとか、海へ、長野県は川でしょうけれども、そういう状態で親子連れで行ける状態になっているのですね。しかも、この五十四人来ている子供のほか、もうちょっと多いかもしれませんが、ともかくこの二百四十人全部が全部、いわゆる保育に欠けるという、私たちの認識で本当にかわいそうだという児童福祉法の精神による保育所、措置基準だからかなり措置費が出されていると思うのですね。こういう状態を見ていますと、地方自治体は、保育所で長い時間預かります、しかも首長さんの方が、補助率も高いのでそちらをおつくりになる。だんだんやはり傾向としては、先ほど御答弁があった、年に九百所の保育所ができて、幼稚園の方は百五十とか百四十とか、この差というものはどんどん開くのじゃないかというような気が私はするのですか、こういう実情は厚生省の方もお認めになりますか。
  249. 川崎幸雄

    川崎説明員 ただいまの御意見にございました長野県の実情につきまして、果たしてこういった状態なのかどうか、私どもも承知はしておりませんが、確かに、先ほども申し上げましたように地域によって措置のやり方に特性が見られるということは承知しておるわけでございます。これがどういうようなところから来ているのか。確かにいまおっしゃいましたような財政的な見地からということもあろうと思いますが、保育所は社会福祉施設としての本来的機能というものもあります。それから幼稚園幼稚園としてのまたそれなりの本来的機能もあるということでございますので、私どもとしては、本来の機能を十分発揮できるような形でそういった保育所に対する保育の需要というものにこたえてまいりたいというふうに考えております。
  250. 池田克也

    池田(克)委員 いろいろ御答弁がありますけれども、これは行管が出した有名な勧告なんですが、「幼稚園及び保育所両施設が設置されている千一市町村のうち、実地調査した百二十六市町村についてみても、当該市町村内の幼稚園未設置地域では上記と同様に保育所を幼稚園の代替施設的に運用しているものがあり、その中には人口約八万五千人の市において幼稚園一園(私立、定員二百四十人、入園児二百四十人)に対し、保育所十九所」一に対して十九「となっているなど、保育所に偏って施設が設置されているとところがある。このように、相当数の市町村が保育所に偏って整備計画を策定し、施設を設置し、また、高年齢児の多数を入所させているなど、保育所を幼稚園の代替施設的に運営している」こういうのが、行管が調査をして、しかも五十年の十一月ですから、もうかれこれまるまる二年前に出たレポートですね。しかもそれはなぜかというと、そうした補助率の差というものも大きく影響している。私は厚生省を別に責めるわけじゃありませんが、事実ある面ではこの措置基準というものを見直さなければならないのじゃないかという気がするのです。いかに文部省が逆立ちして幼稚園をつくるんだと大臣が決心を叫ばれましても、片一方は二百億の金がついている、片一方は四十七億、五十億という、これだけの大きな予算の差がある。しかも措置基準が年々こういう形で現場では緩められている。八時間子供を預かってくれる。しかも、普通だったらば入れないような子供たちも入ってくる。これでは幼児教育はもうずっと保育所の方へ偏っていっちゃう。文部省は幼稚園というものを放棄しなくちゃならない。そのことがいい悪いと私は言っているのじゃありません。こういう状態を文部省はお認めになりますか。
  251. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 御指摘のように、施設の増加数を見ましても保育所の多いことは事実でございます。現在、全国の市町村三千三百弱のうち、幼稚園の未設置の市町村というのが千百ぐらいあるかと思うのです。そこで、いまそういう地域につきましては御指摘のような問題が現実に起こってきておるわけでございまして、私どもは、保育所は本来の施設としてはやはり保育に欠ける幼児を預かる施設でございますから、どうしてもそういう幼稚園未設置の市町村に重点を置いて整備を図っていくということで、確かに負担の問題はございますけれども、関係の方々に施設本来の趣旨、目的というものを理解していただいて、幼稚園を増設するように今後とも努力をしてまいりたい、かように思っております。
  252. 池田克也

    池田(克)委員 幼稚園を増設するということでございますけれども、いかに文部省が叫んでも、私が申し上げているように、厚生省と文部省の間の話し合いでこの事態を変えていかなければ変わらないのじゃないか。特に、幼稚園と保育所で何をやっているかといいますと、幼稚園教育要領ですね。それから保育所の方は保育所保育指針。これを比べてみましたけれども、非常に似通ょております。むしろ逆に、幼稚園の方を参考にして保育所の方がつくられているかもしれません。私はこの問題に取り組む前に、幼稚園では何だか教育的なことをやるんだ、保育所の方は家庭の延長として子供を預かるだけなんだ、こう認識をしておったのです。ところが調べていきますと、保育所保育指針によって幼稚園並みのことができる、保母さんと幼稚園の教諭との交流や研修なんかもされているように私は聞いております。内容的にかなり似通ってきているという実情について、厚生省、いかがでしょうか。
  253. 川崎幸雄

    川崎説明員 いまお話がございましたように、保育所におきます保育のやり方としての保育指針は幼稚園教育要領に準じて作成されております。もちろん、先ほど申し上げましたように、保育所は保育に欠ける児童を家庭にかわって保育いたします児童福祉施設でございます。しかし、その養護といった側面に加えまして、さらにもう一面、そこに幼児に対する教育という役割りもあわせ持っているわけでございまして、その意味におきましては、幼稚園で行われます幼児教育等に準じた教育を実施している。したがいまして、保育指針も幼稚園の指針に準じて作成しているわけでございます。その意味におきましては、教育という側面におきましてはおおむね準じた役割りを果たしております。
  254. 池田克也

    池田(克)委員 いまの御答弁にわかるように、内容は似ております。そうしますと、何度も申し上げておりますけれども、長い時間預かってくれて内容も同じであるとなれば、父兄の気持ちというのは保育所の方に傾く。中には、インテリのママさんなんかは保育所というのはどうもという方もいるかもしれませんが、実質的には非常にそういう意識がある。そして首長さんはやはり、選挙されてまいりますから、どうしても住民の声というのは当然のこととして反映されていかなければならない。  ここで問題になるのは、文部省と厚生省とで今後の幼児教育をどうするのか。今回調査もいたしました。そして幼保懇談会もできました。見直す時期じゃないか、そしてそれによって新しい方向を模索するべきじゃないか、そう思うのですが、大臣に、幼保懇談会をお設けになった意図、これについてお伺いしたいと思います。
  255. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 行管からの指摘を受けるまでもなく、幼稚園と保育所の間にいろいろな問題があることは御承知のとおりでございまして、この際、どこに問題点があって、それをどうしたらいいのかということをお互いに、文部省は文部省なりに考えております計画もデザインもございますし、また厚生省には厚生省のお考えもあろうかと思いまして、私はかねがねそういったことについては腹蔵なく意見を交換して交流したらいいではないかということを就任以来考えておったのでありますが、率直に申し上げて、お役所の事務と事務だけでお話を進めていくということは平行線をたどるおそれなしとしないとも判断をいたしましたので、両省が推薦をし、また両省のいろいろな幼児教育に対する問題点を十分理解しておられる学識経験者の皆さんにひとつ懇談会をつくってもらって、そこでいろいろな議論をいろいろな角度からしていただく、そしてその出た御意見というものをやはり文部省としても十分尊重しながら幼児教育の重要性に対処していかなければならぬ、こう考えましたので、調査も終わったことでありますから、先月の末日だったと思いますが、懇談会を正式に発足をさせてこれらの問題を討議していくわけでありまして、文部省の考え方も十分その場に反映をさせていただきたい、こう思っておるわけでございます。
  256. 池田克也

    池田(克)委員 幼保懇談会は行管の勧告が出てからまるまる二年たっているわけですね。この二年間、ずいぶん悠長だったんじゃないか。だれが見ても幼稚園というのはいま緊急な課題で、町へ行きますと、いまそういう時期だからかもしれませんけれども、大問題です。こういうような事態で二年間幼保懇談会を温めて、まあその間いろいろあゎたんだと思うのですけれども、大変遅かったと思います。しかし、できた。そこで幼保懇談会の性格についてお伺いしたいと思うのです。これは審議会なんでしょう。どういうような性格なんですか。
  257. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 審議会というものは法律に基づく所管大臣の諮問機関というような性格でいうとすれば、そういう性格は持っていないわけでございまして、これは行管の勧告におきまして、勧告の文字どおりを申し上げますならば、文部省における中教審の委員、厚生省における中央児童審議会ですか、その委員といったような、両省関係審議会のメンバーで幼児教育に見識もあり関心もあるような方にそれぞれ出ていただいて一つの協議の場を設けて、この幼稚園教育、保育の問題について相談をする場を持つ、こういうものでございます。
  258. 池田克也

    池田(克)委員 ですから、一部報道によれば、大臣のそうした諮問機関としたかったけれども、行管等が逆に今度はそういう行政を簡素化していくというたてまえからそれは認められなくて、いわば私的諮問機関だ、こんなふうに報道されているのですけれども、そうでしょうか。
  259. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 私的と申しますか、法律によらない協議会というふうに考えております。
  260. 池田克也

    池田(克)委員 そうなると、ここで一つの結論としてこうあるべきだと出てきたものがどれだけの意味を持つか。この権限、たとえばどこそこへ出かけていってこの幼保懇談会が何らかの調査をする、あるいはまた一つの提言をする、それがいわゆる懇談会的なもので、結局のところは、両方から、厚生省、文部省から委員が出てきているわけで、本質論というのはなかなかここでできない。両方ともやはり利益代表のようなことで、この効果というのは、せっかくつくったのですが、当初から余り期待できないんじゃないか、失礼ながら私はそういうふうに思うのですが実情、どうでしょうか。
  261. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 御指摘のような点につきまして、私どもは従来、少なくとも文部省と厚生省の事務当局の話し合いということはやってまいりましたけれども、両省が推薦します一般の学識経験の方が一つの場に集まっていただいてこの問題を論議していただく、そういうことはいままでなかったわけでございます。したがって、そういう意味ではこれは一つの前進でございますから、せっかくお話がございましたようにこの機会にぜひいろいろと討議をしていただきまして、関係者の間の一層の協力、理解を深めるということに努力をしたい、こう思うわけでございます。
  262. 池田克也

    池田(克)委員 これは何か二カ月に一回会合を持つということでございます。私はそんななまぬるいことでいいのかなと思います。大臣にお伺いしたいのですが、これができて何かの一つの結論を期待していらっしゃるのでしょうか。それはいつ出てくるとわれわれは考えていいんでしょうか。
  263. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 この懇談会は、いままで文部省なり厚生省なりがいろいろ調査をしたり考えたりしましたものがずっとここへ集まってくるという背景もございますので、いつどんな結論がということはちょっと申し上げかねるのでございますが、少なくとも来年度じゅうは続けるということでありまして、結論がもし早く出るなれば来年度じゅう待たなくても、結論、差し示された方向が出てくればそれに従えばいいと思っておりますし、先生先ほどおっしゃったように、両省のなわ張りだけで平行線をたどるということの絶対にないようにこういう学識経験者も選んでおりますので、何らかの方向が差し示されることを私どもは期待して待っておるわけであります。
  264. 池田克也

    池田(克)委員 これはどっちが主役なんですか、幼稚園と保育所のこの問題は。庶務は初中局と厚生省と両方で半々で持つ、こう言っているんですけれども、この性格は私は両方またがったまま、どっかでイニシアチブをとってリードしていくという性格のものじゃないような気がするのですけれども、どうですか。
  265. 諸沢正道

    ○諸沢政府委員 勧告を読みましても、確かにどちらが主導してやるというようなことではないわけでありまして、やはり両省に深い関連を持つ幼稚園と保育所の関係を、両省の関係者で相談をして何か考えろという、こういう勧告になっておりますので、私どもはどちらがイニシアチブをとるんだというようなことではなしに、両方積極的な姿勢で話し合いをするということが非常に大事なことだと思っております。
  266. 池田克也

    池田(克)委員 両方積極的な姿勢と言うんですけれども、現状はさっき申し上げたように保育所に引っ張られていると思います。いろいろな学者の論文なんかを見ましても、保育所の幼稚園化という傾向が強い、私はそういうように見ておりますが、先ほど来御答弁にもありました、やはりそれは予算も違いますし、私は熱意も違うと思います。児童福祉法というたてまえから子供を何とかしなければならない、こういう状況を踏まえて、私は、いままでいろいろと調査をさしていただいた限りにおいては、はっきり言って厚生省の方が熱心だと思います。文部省におかれても、確かに初中局はずっと幼稚園から高校まで持っていらっしゃる。大変だと思います。しかし、幼稚園というものを二本建てでいくというのであれば、もっともっと文部省はがんばらなくちゃならないし、また逆にこれを何らかの形で新しい方向を考えていこうというのであれば、それなりに意図をしていかなければならない。それはいまのこの幼保懇談会にゆだねられているんだろうと私は思うのですけれども、拝見するところ、幼保一元化という討議されるテーマも上がってきておりません。私はこの機会に申し上げたいのは、文部省が幼稚園行政を担当しているんだという自覚と、そしていまの状況を変えるためにはよほどの決意と推進力を持たなければ変わらない、私はこういうふうに思うのです。余り時間がありませんので、この問題の終わりに当たって、幼稚園行政を推進されるという大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  267. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 御承知のように、幼稚園には幼稚園としての設置の目標があり、幼児教育はきわめて大切だという観点に立ってきょうまでも進めてきたわけでありますけれども、この幼保懇談会の審議は審議としてそこでいろいろ議論されることは当然尊重いたしますが、最初申し上げましたように、五十七年までに入園を希望する四、五歳児が就園できるように幼稚園整備を進めるという基本方針に従って全力を挙げてまいりたいと考えます。
  268. 池田克也

    池田(克)委員 いま五十七年が出ましたので、五十七年までにはちゃんと入れますね。
  269. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 その決意で計画を立て、計画に向かって努力をいたします。
  270. 池田克也

    池田(克)委員 時間が余りありませんが、最後にスポーツの問題に移って若干お伺いをしたいと思います。  まず、夏の甲子園野球についてなんですが、これは大臣が始球式をなさって盛り上げていらっしゃる。これはこれでいいとしましょう。同時に別のところで定時制高校の野球大会というのがあったのですが、大臣御存じでしょうか。
  271. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 聞いております。知っております。
  272. 池田克也

    池田(克)委員 どこで開会式があったか御存じですか。
  273. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 私の記憶では国立競技場ではなかったかと思いますが……。
  274. 柳川覺治

    ○柳川政府委員 神宮球場でございます。
  275. 池田克也

    池田(克)委員 神宮球場ですね。これは大臣、そういうことでは困るのですよ。単なる野球のことだとお考えにならないでいただきたいのです。ことしの定時制高校の野球大会は非常にかわいそうなことだったのです。働く青少年がお金をためて、夜の暗い夜間照明のもとで練習をして、会社の休みをためて、そして全国から勝ち抜いて出てきたのです。こういうふうにして本当に働くまじめな青少年が神宮球場で野球をやった。これが雨にたたられたのです。そして、ことしは長雨だったですから、二試合ぐらいしか、二日間ぐらいしかできなくて、とうとう中止になったわけですね。そして、お金もなく、雨にぬれてバスに乗って各地方へ帰っていった。これはテレビで報道されました。私は見ていて非常に気の毒だと思ったのです。政治というのはこういうところに目を向けるべきだ。率直に言って、私、甲子園で始球式をされる大臣のすばらしいのを拝見しておりましたが、大臣、来年はぜひこの定時制高校野球も始球式をやってもらいたいのです。どうですか。
  276. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 先ほどは失礼しました。私は全国青年大会のこととちょっと錯覚しておりまして、それは国立競技場の開会式に行ってまいりましたけれども、都合のつく限りはいろいろな大会に出ております。来年のことはちょっと申し上げられませんけれども。
  277. 池田克也

    池田(克)委員 来年のことはとおっしゃるが、来年度予算をこれから審議するわけですし、都合のつく限りは出ていただけますね。
  278. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 きょうまでも都合のつく限り出てまいりましたし、今後も都合のつく限り出るつもりでおります。
  279. 池田克也

    池田(克)委員 さて、スポーツの問題といっても、きょうここで取り上げたいのは子供の野球のことでございます。現在、子供の野球熱は大きな盛り上がりを見せておって、全国に八百万人というちびっ子野球の選手がいるのだそうです。文部省の方では、全国で大体どのぐらいのチームが少年野球としてあるか、御存じでしょうか。
  280. 柳川覺治

    ○柳川政府委員 各野球団体に登録されておりますチームを申し上げますと、全日本軟式野球連盟に加盟しております団体が二万五千七百八十八チーム、選手の数にいたしまして五十一万四千人ということでございます。それから体育協会のスポーツ少年団、この中で軟式の野球につきましては千六百五十六チーム、六万五千七十三人。それから中学校の体育連盟の軟式野球でございますが、六千二百二チーム、約十八万人。それから高等学校の野球連盟でございますが、約三千七百五十チーム、七万人。それから日本リトルリーグ野球協会、これは硬式野球でございますが、このチームが七百三十、約二万人。合計で三万八千チーム、八十四万九千人というのが一応登録されたチームの数でございます。
  281. 池田克也

    池田(克)委員 私の方の手元の資料とも大体符合いたします。五十一万人のちびっ子がこういう少年野球といわれてがんばっているわけです。  最初にお尋ねしたいのですが、この少年野球に対して国は何らかの施策をお持ちですか。
  282. 柳川覺治

    ○柳川政府委員 従来、高体連、高野連等の野球大会につきましては、それなりの補助政策も行いまして円滑な実施がなされてきておりますが、特に社会体育の方の少年野球そのものにつきましては、一般にスポーツクラブの育成等の施策は進めておりますが、少年野球そのものに対して特段の取り上げた形の施策は行ってきておりません。
  283. 池田克也

    池田(克)委員 野放しであったということですね。それで、特にお伺いしたいのは指導者の育成の問題なんです。体協の方にも聞いてみましたけれども、各種スポーツにはみんな体協が公認の指導者を置いているわけですね。特段の施策をされていないということはデータもないかもしれませんが、もしあれば、この少年野球、軟式野球の指導者というのはどんなふうに認定されて、どのくらい全国にいるか。もしおわかりでしたら……。
  284. 柳川覺治

    ○柳川政府委員 スポーツの振興につきましては、それぞれの国民が自発的に自主的にスポーツに親しむという点に基調を置きましてそれぞれ振興の施策を講じてまいりました。したがいまして、指導者の資格付与等の問題につきましてはそれぞれのスポーツ団体における推進を奨励してまいったわけでございまして、現在日本体育協会が行っておりますスポーツ指導員の養成が二万人に及んでおります。それからトレーナーの資格を付与いたしました者が七千人に及びます。ことしから新たにさらに、社会的信頼を受け、かつ専門的な技能を高めるということもございまして、コーチの方の養成及び資格認定を行うということに取り組んでおりまして、この面は日本体育協会に対する助成策を講じて進めておるわけでございます。  その他、それぞれの競技団体でそれなりに自主的な資格基準をおつくりになられまして、その上で養成ないしは認定を行っている団体が数多くございますが、野球の関係につきましては、軟式野球連盟等でもまだそこまで取り組んでおらないということで、いま野球連盟とも、この辺の施策をどのように展開をされていくか、協議を重ねておるところでございます。なお、日本体育協会のスポーツ指導員と申しますのは、スポーツを行う者の性別あるいは年齢別、あるいは運動経験、運動能力、それらにつきまして基礎的な知識及び一般的な指導能力を持つという者を育成しておりますので、その中に野球につきましても指導に当たるという者が含まれておるというように聞いておりますか、野球の指導をできる人が何人かということはいま端的に体協の方でも押さえていないということでございます。
  285. 池田克也

    池田(克)委員 スポーツ振興法、これは文部省が所管しておると思いますけれども、十六条には「国及び地方公共団体は、登山事故、水泳事故その他スポーツ事故を防止するため、施設の整備、指導者の養成、事故防止に関する知識の普及その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」これは御承知のとおりであります。  そこで、時間がありませんので、この野球、特に子供の野球で事故が報ぜられている。しかもこれは、私非常に必配するのですが、ピッチャーのひじの関節が痛んでくるという事故なんです。ことしの甲子園の高校野球、いま大臣にお話をしましたが、東邦高校というチームに坂本君というピッチャーがおりまして、テレビで大変人気であった。バンビ君なんて言われまして大変もてたのだそうです。ところが、この夏の甲子園で決勝戦までいった、しかも連投した人、毎日毎日投げてがんばった人ですが、秋の国体に出ていないのですね。どうしてかというと、ひじが痛いのです。これから先はどうなのかわかりませんが、少なくともことしの秋はピッチャーとして使えなかった。ベンチでずっといたわけですね。これも一つの姿だと思うのですが、栃木県の小山で、あるお医者さんが子供の野球について非常に心配をいたしまして調査をしているわけです。こういう調査があったことは、体育局長、御存じでしょうか。
  286. 柳川覺治

    ○柳川政府委員 新聞の報道によって承知しております。
  287. 池田克也

    池田(克)委員 新聞には若干出ておるのですが、小山市立病院の整形外科医で高槻先生という方であります。御自分のところにひじの痛みを訴える野球少年の患者さんが大勢来まして、これを契機に本格的に調査をしたのだそうです。その結果これは大変だということで、ことしの六月、大阪で開かれた整形外科学会整形外科スポーツ医学研究会というところで発表がありました。時間の関係で詳細なデータは省きますが、この小山市内の小学生のピッチャー、小山は委員長の地元だと思いますけれども、野球の盛んなところですね、そこの小学生のピッチャー六十七人を対象にして調査をしましたところ、二六・九%かひじの痛みを訴えた。それから四三・三%がひじに異常があったというのですね。四三・三、かなりの量です。レントゲンの写真なんかありますので、また後ほどお目にかけたいと思いますけれども、こういうふうにして、まだ体がちゃんとできない子供たちが野球で、たとえばボールが頭に当たったとかけがしたとかいうのではなしに、後になって気がついてみたら重大な障害だ、こういうふうなこと、これは私はやはり注目しなければならないと思うのですね。子供たちは結局学校外でも、町内会のクラブとかそういうのに入っていまして、もう小学校一年生ぐらいから野球をやっているし、人によっては土曜日、日曜日、祭日、春休みや夏休みも連日二、三時間の練習をしているわけですね。高槻先生のレポートによればそういうような事態なわけです。いま体育局長は御存じだったのですが、大臣は、いま初めてお話が出たことですから……。
  288. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 私も新聞で読んだ気がしますが、ただ、小山の高槻先生の調査でというような詳しいことまでは知りませんでした。そして少年野球は今後は、球を投げるときは、試合中は真っすぐな球だけ投げろというようなことを決められたというようなことも新聞でちらっと読んだ程度でございますが、大事なことだと思います。
  289. 池田克也

    池田(克)委員 延々と御説明すればあれですけれども、大臣も新聞をお読みになったということですから省きますが、この高槻先生という人がこういう提言をしているのですね。野球の投手における肩やひじの使い方は、他のスポーツに比べて部分をひどく酷使する。関節軟骨の損傷と永続的な変形の発生で一生を左右することもある。私は健全な野球の発達を望むわけですね。特に高槻先生の提言は、「小学生に野球をやらせる場合、精神的体力的要素を考慮した上で、きき腕の筋肥大を来さないように指導すべきである。」こういうわけなんです。「国または地方自治体は少年野球の練習及び試合のルールを決め、低学年や体力の劣っている者は、野球クラブに入れない。」ちょっとこれはかわいそうなんです。しかしそのくらいしないと後に憂えを残すという心配なんですね。また、「きき腕に損傷のある人は事前に十分医学的チェック」をさせて、場合によっては他の種目にかわることを勧めるぐらいやるべきではないか。また、「変化球を」いまお話しのように、カーブを「禁止」した方がいいのではないか。「小学生の場合は一試合二ないし三インニング」くらいにして変えていくべきだ。大変こういうような心配の提言をしているわけです。全日本軟式野球連盟なんというところもこの問題を取り上げておりますし、関東軟式野球連盟の笹治さんという会長さんなんかも重大な問題だということを発言されておって、私、この問題に関心を持って調べておるわけですけれども、大臣、どうですか、ことに小学生は私たちとして、国の文教施策の一環として大事に育てていかなければならないが、何らかの対策を、お調べになってお始めになるお考えはないでしょうか。
  290. 海部俊樹

    ○海部国務大臣 お話しのように、小学校の段階で熱心にスポーツをやったがために大事なところを壊してしまって、一生使い物にならぬというようなことが事実とすれば、これは大変本人にとっても気の毒なことでありますし、大変な問題でありますから、これは是正しなければならぬと思うのです。ただ、そういうことがどうであるかということをいま体育局長に聞きましたら、八月から、少年野球に限らず、スポーツの振興の立場からいろいろ調査をやっておりますということでございますので、詳細御必要ならば政府委員から答えさせます。
  291. 柳川覺治

    ○柳川政府委員 スポーツが心身の発達段階に即して適正に行われて、その上で体を鍛えていくということが大事でございます。このたびの小学校の学習指導要領の改定に当たりましても、たとえば小学校の四年生までは基本的動作、走る、跳ぶ、投げるあるいは力比べというような人間の体として基本的動作、そこに重点を置いた指導をいたしまして、個々のゲームにつきましてはその上に、小学校高学年あるいは中学校、高等学校を通じて身につけていく、さらには生涯にわたってスポーツに親しむ習慣を構成していくということに力点を置いた教育課程の改定を行ったところでございますし、少年野球等につきましてこの面の適切な指導が望まれているところでございますので、この八月に社会体育指導者の資格付与制度に関する調査研究会を発足いたしまして、各方面から学識経験の方十五人の先生方を委嘱いたしまして、広く社会体育、スポーツにつきましての指導者の養成、あるいは多彩なスポーツに対応できる資格制度につきましてどのような取り組みをしていくかということを、実態調査を含めまして調査研究に入っておる次第でございます。できれば、大事な問題でございますから二年ほどの期間をかけて調査研究をいたしまして、その上で適切な施策を講じてまいりたいというように考えております。なお当面、いま先生御指摘のとおり、日本軟式野球連盟等におきましてもできれば来年から指導者の講習会を通じた養成、資質の向上及び、できますれば軟式野球連盟としての資格付与制度も確立したいというような検討に入っておるように聞いておりますので、十分野球連盟と連携もとってまいりたいと思っておる次第でございます。
  292. 池田克也

    池田(克)委員 いま御答弁がありましたように、八月から調査をされて、そして軟式野球連盟の方でも指導者の養成の検討に入っている、こういうことですね。ぜひお願いしたいと思うのです。これは、事スポーツでありますけれども、体を壊すようなスポーツじゃ本来の意味がないことでありますし、文部省としても明年度予算でスポーツはかなり大きく振興されると伺っております。大事なことだと思います。その裏側でこういうような事故があってはならないと思いますので、そのことを強く要望をして終わりたいと思います。ありがとうございました。
  293. 藤尾正行

    藤尾委員長 次回は、来る十六日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十二分散会