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1977-11-22 第82回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二十二日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 西宮  弘君    理事 加藤 紘一君 理事 片岡 清一君    理事 砂田 重民君 理事 金子 みつ君    理事 武部  文君 理事 中川 嘉美君       愛知 和男君    鹿野 道彦君       島村 宜伸君    中西 啓介君       堀内 光雄君    中村  茂君       馬場猪太郎君    長田 武士君       宮地 正介君    藤原ひろ子君       依田  実君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      倉成  正君         経済企画庁調整         局審議官    澤野  潤君         経済企画庁国民         生活局長    井川  博君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君  委員外出席者         国税庁間税部消         費税課長    沢口 成利君         文部省大学局審         議官      大塚 喬清君         文部省管理局企         画調整課長   塩津 有彦君         文部省管理局私         学振興課長   斎藤 尚夫君         農林大臣官房審         議官      石田  徳君         農林省畜産局食         肉鶏卵課長   甕   滋君         農林省食品流通         局市場課長   渡辺  武君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       廣重 博一君         中小企業庁長官         官房総務課長  中澤 忠義君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事長)   太田 康二君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ――――――――――――- 十一月十八日  物価対策に関する陳情書外七件  (第二二二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――- 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件      ――――◇――――-
  2. 武部文

    武部委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、その指定により、私が委員長の職務を行います。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。依田実君。
  3. 依田実

    依田委員 きょうは、いわゆる無印ガソリンスタンド、この問題についていろいろお尋ねをいたしたい、こういうふうに思っております。  御承知のように、最近、町にいわゆる百円ガソリンあるいはまた会員によっては九十五円、こういうことでガソリン販売しているスタンドが林立しているようになりまして、業界にいろいろ混乱を起こしておる。特に最近杉並にできましたスタンドにつきましては、訴訟問題にまで持ち込まれておる、こういうふうになっておるわけであります。  一部安くガソリンを売ってくれる、こういうことで、一見消費者にとって得のようでありますけれども、実際問題、これを分析してみますと、どうも売っているガソリンに問題があるのじゃないか。われわれの車がそのガソリンを入れることによって途中でえんこしちゃう、こういうケースがたくさん出ておるわけであります。そこでひとつ、きょうはこの問題についてお伺いをさせていただきたい、こういうふうに思っております。  いま全国でこういういわゆる無印ガソリン、このスタンドが大体どの程度できておるのか、この点について御報告をいただきたい。もし全国での答えがございませんでしたら、東京エリアで結構でございます。
  4. 廣重博一

    廣重説明員 御説明申し上げます。  今年五月二十三日に揮発油販売業法が施行されたわけでございまして、この法律に基づきまして、現在通産省ではいわゆるガソリンスタンド登録業務を進めているところでございます。現在までのところ、既存スタンド業者の数約三万六千五百の登録申請が出ておりまして、スタンドの数で約五万七千ではないかと考えております。この中で、いわゆる無印スタンドというのが幾つになっているかということにつきましては、現在の法律上の審査に当たりましては、いわゆる無印スタンドと言われるものも継続的なガソリン供給を受けるという意味でどこかの元売り等取引関係があるかどうかをチェックしておりますので、そういった意味法律無印であるか否かという区別はないわけでございますが、従来、業界筋法律施行前言われておりましたところでは、八百であるとかそういった数字が巷間伝えられているところでございます。
  5. 依田実

    依田委員 なぜこういう無印ガソリンスタンドができるのか。特に最近はいろいろ申請の網をくぐりまして各地ガソリンスタンドができつつある。各地既存スタンドとの間でトラブルが非常に絶えない、こういうふうになっておるわけであります。しからば、無印ガソリンスタンド、百円、あるいは会員ですと九十五円、こういう看板でやっておるのでありますけれども、普通の元売りから仕入れているいわゆるマークの入っているガソリンスタンドでは、大体元売りから九十七円から九十八円で卸してもらっている。それを百円なり九十五円で売るということは事実上できないわけでありまして、安く売るということは何らかそこに裏がある。これは考えればわかるわけでございます。どうしてそういう安い売り方ができるのかどうか。通産省で考えられる理由というのはいかがなものでしょうか。
  6. 廣重博一

    廣重説明員 現在ガソリンスタンド一般に売られております価格につきましては、いろいろ立地条件でございますとか、諸般の情勢によって異なっておりますが、平均的には先生指摘のとおり百十円前後には達しているかと思うわけでございます。そういった意味で、百円を割るような小売価格ガソリンにつきましては、通常価格よりは値段が低いわけでございますが、そのためにはいろいろ取引の量でございますとか、あるいは仕入れルート、こういったところで若干その特殊なルートを通っているもの、あるいは特殊な取引条件にある、こういったものが推測されるかと思うわけでございますが、なお詳しくは私ども十分に把握していないというのが実情でございます。
  7. 依田実

    依田委員 十分把握してないという御答弁でございますけれども、これも、業界指導をもって任じておる通産省がわからない、こういうことじゃ困ったことではございますが、大体想定されるところは、一つ元売りの方から——元売りの方は、通常正規ガソリンスタンドへ売るんだ、こう言いながら、一方でもってそういう無印販売競争の影響から横流しをしている、これが一つケースだろう、こう思うのであります。もう一つは、正規ガソリンにいわゆる安いものをまぜる。つまり灯油であるとかあるいはほかの成分をまぜることによって安く売る。つまり、灯油をまぜますと、灯油というのは当然普通のガソリンより安いわけでありますから、そこで差額が出てくる、こういうやり方をやっているに決まっておるのであります。  そこで、私は、この間都内のガソリンスタンドを回りました。いわゆる無印スタンドというところの抜き打ち検査に立ち会いました。私自身いろいろガソリンを抜き取りまして検査をさしていただいたわけであります。案の定、ずいぶんガソリンスタンドを回りましたけれども灯油がいわゆる業法によって規定されておる〇・四%以上のところ、ここに数字がございますけれども、〇・六%あるいは〇・七%、いろいろまざっておるところが多々あるのであります。灯油というのは、ガソリンの中へまぜられますと、何回もそれを入れることによりましてエンジンを非常に傷める、エンストを起こす、こういうことに相なるわけであります。そういう意味で、一つは、その粗悪品を、安いものをまぜる、そこで差額を生かして安売りをする、こういうことだろうと思うのであります。中には、ひどいのは〇・八%、こういうのもありました。あるいはまた、ガソリンにはいろいろな成分がありまして、灯油のほかにいわゆるBTX、こう言われまして、ベンゼントルエンあるいはキシレン、この三つをもってBTXと言うのでありますけれども、この混合率を調整することによって、特にトルエン、これが安いのでありまして、これを混合することによって、そこで差額を取る、こういうようなやり方をやっておるのであります。  いままで通産省の方でガソリン品質検査、こういうことについて定期的に抜き打ち検査をやらしたり、そういうような指導をおやりになっておるのかどうか、その点いかがでしょうか。
  8. 廣重博一

    廣重説明員 ガソリン品質確保するためには、今年五月から施行されております揮発油販売業法におきまして、粗悪な揮発油販売販売業者に対して禁止しております。また、販売業者に対しましては、品質管理者を設けさせまして、この品質管理者をして揮発油分析を義務づけているところでございまして、第一次的には揮発油販売業者自身による揮発油分析を通じて品質確保を図ることにしているところでございます。  しかし、それ以外にさらに品質確保を図りますために、一つは、この法律を御審議いただきましたときの衆議院の商工委員会附帯決議におきまして、「第三者機関による品質検査体制の確立」ということが述べられております。これを受けまして、社団法人全国石油協会による品質検査業務拡充強化を行っているところでございます。  さらに、法律によりますれば、通産大臣立ち入り権限を規定していただいておりますので、必要に応じまして通産省職員スタンドに立ち入り、揮発油を収去してこれを検査する、粗悪なものがあれば必要に応じて適切な措置をとる、こういう体制ができているところでございます。
  9. 依田実

    依田委員 いま課長が申されましたように、確かに体制はできておるのであります。全国石油協会品質検査の手引き、こういうようなのもちゃんとできております。ところが、実際問題として、強制的に抜き打ち検査をするだけの資格がない。ですから、いわゆる無印ガソリンのところへ行って、それを抜き打ち検査をするということを事実上していないのが事実だ、私はこういうふうに聞いております。あるいはまた、この全国石油協会、二十億の金が出ておるのでありますけれども品質が悪かった、あるいは抜き取り検査を拒否した、こういうようないろいろな場合には、そのデータをエネルギー庁石油部長のところへ協会から何回か出しておるのであります。ところが、一向にその後のアフターフォローができていない。それに対してエネルギー庁が、その悪いガソリンスタンドを監督するとか、あるいは抜き打ち検査を拒否したとかそういうところについて、強制的にそれを処罰するとか、そういうことが一切行われていないわけであります。その点いかがでしょうか。
  10. 廣重博一

    廣重説明員 先生指摘のとおり、全国石油協会の行います試買検査には強制力はないわけでございます。したがいまして、協会の試買が円滑に行われるように、私どもとしては、揮発油販売業者に対して、十分努力するように指導しているところでございます。また必要がある場合には、法律上の権限に基づいて通産省職員による立入検査を実施する。その結果、判明したこと、違反の事実、これは先ほどお話がございましたが、揮発油の中に灯油分が四%以上入っていると、これは粗悪ガソリンということで定義しておりますので、その場合には改善指導でございますとか、最終的には、法律上に基づく措置をとる、こういうことになっております。  なお、現在までに石油協会では計画的に年間二万五千件以上の試買検査を行っておりますが、過去の実績によりますと、品質が粗悪であるとして、私ども報告を受けておりますのは、全体の調査件数のうちの〇・三四%でございます。その中で、いわゆる無印スタンドの占める比率も約一割前後でございますので、無印であるから、他の一般サインボールを掲げているスタンドに比べて特に品質が劣悪であるという結果は、現在までの結果では、はっきり著しいものとしては出ていないと存ずる次第でございます。
  11. 依田実

    依田委員 これから通産省職員が抜き打ち的にやる、こういう御意思をいま言われましたのですが、ぜひこれを近いうちにやっていただきたい。私も忙しい中でやったぐらいでありますから、通産省職員の方、やろうと思えば私はできると思うのであります。そのくらいの熱意を持ってぜひやっていただきたい。  それから、いま課長が、もし悪質なものが出た場合には、法律的に規制を行うということを言われましたけれども、これは免許取り消しなどを含んだ意味なんでしょうか。
  12. 廣重博一

    廣重説明員 この点は揮発油販売業法に規定しているところでございますが、粗悪な揮発油、具体的には先ほど申し上げました、灯油分が四%を超えているものでございますが、これを販売しておりますときには、通産大臣は、六カ月以内の期間を決めて、その事業の全部または一部の停止を命ずることができます。またこの停止命令に違反しましたときは、その登録取り消しをすることができることになっております。したがいまして、そういった事実が判明すれば、この法律手続に基づきまして適切な措置をとってまいりたいと考えております。
  13. 依田実

    依田委員 課長のいまのお言葉、ぜひ私は実行していただきたい、こう思っております。私もまた後日、もう一度ぐらい調査をさしていただいて、その結果を通産省に御報告をさしていただきたい、こういうふうに思っております。  ところで、この灯油につきましては、この業法に四%以下、こういうふうに書いておるんでありますけれども、最近は、非常に無印スタンドというのが資金力もありまして、有力になってきておる、組織的になっておるわけであります。ですから、一部にはこの検査器械を使って検査をしたところが、確かに灯油が入っておるんだけれども、それが数値上出てこない。一説には、灯油を消すような錠剤を入れておくと、灯油をぶち込んでおいてもそれが検査器の上に出ない、このくらい、無印ガソリンスタンドというものが組織的になりまして、自分でいろいろ研究機関を持って法を破るのを先にやるというぐらいになっておると私は聞いておるのであります。まだその真偽、どういう薬を入れておるのか、その辺はわかりませんけれども、そういううわさがすでに出ておる。  それからもう一つ、先ほど申しましたBTX、この三つ配合分量につきましてもそろそろ決めた方がいいんじゃないか、私はこういうふうに思っております。この業法ができましたときには、大体六カ月以内にそれを決めたいというふうに通産省はお考えをおっしゃったと私は聞いておるのであります。そしてそのために、いまの検査器というのは、単に灯油だけではなく、そういうBTXが大体何%ずつ入っておるかわかる器械を使え、こういうことになっておるのであります。ところが、肝心のBTXが何%入っておっても構わないのだというなら、そんな器械を備える必要はありません。灯油だけがわかるようなペーパーテストで結構なのであります。それをわざわざ三種類のいわゆるBTXが何%入っておるかわかるような器械を備えつけろといいながら、じゃ、そのBTXそれぞれが何%ならいいのか、こういうことが決まってないというのですから、これはお粗末な行政じゃないだろうか、こう思うのであります。ところで、五月からもうそろそろ六カ月になるわけであります。このBTX要素について、通産省はそろそろこの内容基準をお決めになる意思があるかどうか、この点についてお伺いしたい。
  14. 廣重博一

    廣重説明員 BTX、いわゆるベンゼントルエンキシレンにつきましては、ガソリンのいわば必要かつ不可欠な成分でございます。したがいまして、その含有率は、揮発油種類などにより、製造段階から異なっておるのが実態でございます。通産省ではこうした実情を踏まえながら、流通段階におけるBTXの混入を防止するための適切な方策について、現在検討を進めておるところでございます。  なお、御指摘のように、揮発油販売業者は、灯油分と同時にBTX分分析できる機器を備えておりますので、何らかの形でこれを活用することを検討していきたいと考えております。ただ、BTX含有率につきましては、先ほど申し上げましたように、製造段階において揮発油種類によっていろいろばらつきがございますので、現在揮発油販売業者が備えております機器による分析結果が出そろうのを待ちまして、その点の実際の測定値をも踏まえて、御指摘規制対象とするかどうかの点について検討を進めたいと考えておるところでございます。
  15. 依田実

    依田委員 このガソリン三つのものを混入する、それは必要なのであります。ガソリンが力を出すためには、この三つ要素をそれぞれ入れなくちゃならない。ところが、最初のうちはこのトルエンを二〇%ぐらい元売りで混入しておった、そういううわさもあるわけです。つまり、トルエンは一番安いわけであります。それを入れることによってガソリン製造原価が安くなる。ところが、この問題が出てきた途端に、元売り会社はこれを急遽大体六、七%まで落としてきた。つまり、余りそういうものが問題になると困る、そういうことで、石油精製会社は急遽そういう処置に出てきたわけであります。この三つ要素が決まらないということは、元売り会社からいろいろ通産の方へ逆に陳情があるのじゃないか、こういうふうに疑いたくなるぐらいであります。通産省のOBの方には、精製会社へ行かれている方がずいぶんたくさんいる。皆さん方の大先輩であります。ひとつ先輩を呼んで、そろそろこの三つについて決めてもらいたい、ひとつ皆さんも協力してほしい、このくらいのことを、皆さん方の大先輩がたくさんいるわけでありますから、皆さんの方からひとつ元売り業界へぜひこの点をおっしゃっていただきたい。当初は、大体六カ月ぐらいで決めるんだ、こういうことをおっしゃっておったわけでありますから、これから検討して決めるというお話でありますけれども、余り時機を失しないように、これはそんなにむずかしい問題ではないのであります。大体いつごろまでに決められるか、ひとつめどをおっしゃっていただきたい。
  16. 古田徳昌

    古田政府委員 BTXの問題につきましては、確かに私ども法律施行時にはできるだけ早く基準値を決めたいということで、いろいろ研究したわけでございます。しかし、いま流通課長の方から御説明いたしましたように、本来的にガソリンにまじっている、まあ成分の一部であるというふうなことで、ガソリン品質によりまして非常に数値が違っているわけでございます。そういうことで、私どもいろいろ早期の決定のために努力はしているわけでございますけれども、なかなかどの数値に決めたら最も現実的であるかということについて結論が出にくい状態でございます。そういうことで、現在各ガソリン販売業者が持っております分析機器によります分析結果を記録させまして、その結果を十分分析して数値を決めていきたいと思っておるわけでございますが、いま時期的にできるだけ早く態度を決めたいということでございまして、はっきりしためどについては現在のところ決めておりません。御了承いただきたいと思います。
  17. 依田実

    依田委員 私はどうもそのところが納得できないんです。いつごろまでに決められるかというめどが立たないというのが不思議で仕方がない。そんなにむずかしい化学製品じゃないわけでありますから、私は決めていただく意思さえあれば決められるのじゃないかと思う。  御承知のように、いまいろんな油がありますけれども灯油政府行政指導価格が大体決まっておる。重油は御承知のように余り利益がない、こういうことになりますから、石油精製会社にとりましては、ガソリンが一番の利益の出る油種であります。これを、なるべくここで利益を出したい、こういうことが、そもそもいろいろこの粗悪なガソリンあるいは既定のルート以外に押し込み販売をする、こういう基本的な原因になっておると私は考えるのであります。  石油精製会社が、御承知のようにこの委員会でもたくさん取り上げられましたように、いまや為替利益で一番もうかっておるところであります。ひとつ、こういう業界でありますから、皆様方の方でぜひこの問題については力強く精製会社に訴えていただいて、われわれ消費者が困るような、そういうような業界混乱が起こらないようにぜひひとつお願いをさしていただきたい、こういうふうに思うのであります。  ところで、こういう混合物をまぜることによって正規利益以外に不正な利益が出るわけであります。それがいわゆる無印ガソリンスタンドというものがはびこる理由でございまして、利益が出なければそういうスタンドをつくるばか者はいないのでありまして、不正な利益が出るからこそ、そういうスタンドを建設するわけであります。  ところで、きょうは国税庁の方お呼びしておりますから、こういうようないわゆる無印ガソリンスタンド、これでいわゆる脱税行為、こういうことで摘発されたところがいままで過去にあるのかどうか、具体的な名前は結構でございます。何年度何件、これで結構でございますから、ひとつお答えをいただきたい。
  18. 沢口成利

    沢口説明員 公害状況から申しますと、BTXが圧倒的に多いわけでございます。私どもとしましては過去ずっとBTX中心という形で摘発してまいったわけでございます。灯油は、四、五年前に十八件ほど挙げたということで、これは租税犯として摘発したわけではございません。あとすべてBTX類脱税検挙という形になっております。  で、数字は、最近四十九年から五十一年までは揮発油税関係脱税検挙件数は百七件、税額が九億二千万円、そのうちBTX類公害による脱税が十七件、全体の一六%程度でございますけれども、これは税額が大変大きゅうございまして、税額が八億九千万円、全体の九七%という状況でございます。
  19. 依田実

    依田委員 いまBTXを混合することによっての脱税、こう言われましたけれどもBTXの中で何を混合しておるんでありましょうか。
  20. 沢口成利

    沢口説明員 いろいろ形がございますけれども、一番多いのはやはりトルエンと、それからトルエンとノルマルヘキサンをあわせて混合しているというのがその次です。
  21. 依田実

    依田委員 御承知のように、いま国税庁からくしくも出ましたように、いわゆるBTXの中でも安いこのトルエン、これを混合することによってガソリン原価を不当に安くする、そしてこれを売る。ところが、正規元売りから買ったようなことをして脱税行為をするわけであります。  ところで、こういう脱税行為が出たいわゆるガソリンスタンド、これは当然通産省の方でもわかるはずであります。こういうガソリンスタンドについて、通産省の方は脱税行為があった、こういうことでいかなる処置をとるのでありましょうか。
  22. 廣重博一

    廣重説明員 脱税問題につきましては国税庁当局に御一任いたしておりますので、特に私どもの方といたしまして法律上の手続等をとるような仕組みにはなっていないのが実情でございます。
  23. 依田実

    依田委員 そうすれば、税金の方は国税庁だから、悪いガソリンを売っておっても自分の方は関係ない、こういうお答えに聞こえるのでありますけれども、私は非常に無責任じゃないか、こう思っておるのであります。つまり脱税をする、そうしていま国税庁がおっしゃったように悪いものを混合しておる、そういうことから言えば、当然この業法にありますように通産省としてこれを行政指導あるいはまた悪質なものについては免許取り消し、このくらいのことをしなければ意味ないと思うのであります。税金のことだからわれわれ知らぬ、こういうことじゃ通産省がせっかく石油部まで設けました、あるいは流通課長までいらして、まことに私は残念だと思うのでありますけれども、今後とも脱税脱税だ、免許取り消しの方はしない、こういうことかどうか、伺いたい。
  24. 廣重博一

    廣重説明員 ガソリン品質確保するというのが揮発油販売業法の制定の大きな理由でございまして、そういった意味から揮発油販売業法登録基準におきましても、事業の適確遂行能力を一つの基準といたしまして、その中身としましては揮発油品質分析能力、こういったことも考えておるわけでございます。したがいまして、灯油等がまざりまして粗悪ガソリンとしての要件に該当するような場合につきましては、先ほどお答えいたしましたように最終的には登録取り消しまで行くことが可能と考えております。また、将来BTXの混入率が規定されますれば、それに基づきまして揮発油販売業法上の措置も可能になろうかと考えておるところでございます。
  25. 依田実

    依田委員 ところで、いまガソリンスタンドの設置基準、これは五月からいろいろ変わりまして、いわゆる指定地域と非指定地域というのに決まったわけでございます。ところで、決める基準、そうしてその決める前にいろいろアンケート調査などをなさって決めたと伺っておりますけれども、この指定地域、非指定地域に決められるまでのいきさつ、この辺について伺いたい。
  26. 廣重博一

    廣重説明員 お答えいたします。  指定地区の指定は、揮発油販売量でございますとか経営状況等を調査いたしまして、法律の規定に基づいて石油審議会がつくりました基準に基づいて行っております。  揮発油販売量の調査に当たりましては、全国ガソリンスタンドを対象といたしまして昨年の十二月に調査を行っております。また、経営状況につきましては、本年の三月に販売量の少ない地域につきまして書面調査及び現地調査を行うことによって実施いたしております。また、この調査は、石油業法の規定に基づく報告徴収により行っておりまして、関係者には十分その趣旨を徹底できたものと考えております。
  27. 依田実

    依田委員 私の聞いているところによりますと、事前の業界への説明が不十分である。いわゆる十分なアンケートの答えが出ない。あるいはまた、中には販売量などについて適当に書いて出してしまった。ところが、まとまったところが自分のところは非指定地域になっちゃった、こういうことで困った、こういう話を後で聞いているところがあるわけであります。  そこで、一応これは指定地域が決まったわけでありますけれども、近い将来に非指定地域、指定地域の分け方について追加して指定地域をつくる、そういうようなお考えがあるでしょうか。
  28. 古田徳昌

    古田政府委員 ただいま流通課長お答えいたしましたように、石油審議会にお諮りしましてつくっていただいた基準を私ども調査結果に当てはめまして百二カ所の指定地域を決めたわけでございますが、その後揮発油販売業界の経営状況も非常に変動しておりますしするので、私どもとしましてはできるだけ早く再調査を実施しまして、この百二カ所の地域指定に追加しまして、さらに第二次の指定といいますか、地区の指定を考えていきたいと思っております。
  29. 依田実

    依田委員 そこで、この第二次の指定地域、非指定地域の決定までこの間——この法律ができたためにかえって業界が大混乱に陥っておる、こういうようなことがこの業界陳情書を読みますと書かれておるわけであります。そこで次の第二次調査ができるまで、とりあえずの補完的措置ではございますけれども、いわゆる前にありましたような距離基準であるとかそういうものを適用する、そういうお考えがあるかどうかちょっと伺わせていただきたいと思います。
  30. 廣重博一

    廣重説明員 法律上の登録の基準につきましては、揮発油販売業法の第六条に決められておりますが、その規定から考えまするに、距離基準を登録の基準として考えることは不可能ではないかと考えております。ただ通産省としましては、ガソリンスタンドが特定の地域に密集することは好ましいことではないと考えておりますので、去る十一月一日に元売り各社を初め関係方面に対して、給油所の建設地点の選定に当たっては地域的に過度の密集を来し混乱を生ぜしめることのないよう十分配慮を払うように要望したところでございますので、この趣旨にのっとって関係者においてはスタンド建設を考えていただくように指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  31. 依田実

    依田委員 ところで、いまの制度によりますと、非指定地域、これはいわゆる登録をする登録申請が整っておれば認可になる、こういうふうに聞いておるわけでございます。ところが、いわゆる無印ガソリンスタンド、これは登録申請書類だけは一応整えて出す。ところで問題は、この中に供給証明というのを出さなければならないことになっておるわけであります。無印スタンドは当然正規元売りから仕入れたのではうまみがないわけであります。ですから登録申請だけいわゆるその場限りのつくり物を出すわけであります。それはだれかと共謀して、お金を出して、ひとつ書いてくれ、証明だけつくってくれ、こういうことでやっておのか、私はよく知りませんけれども、しかし、いずれにしても出してしまえばこっちのもの。本当ならば供給証明に書かれたところから七〇%入れなければならぬのでありますけれども、そんなことをしていたのではもうからない。ですから、供給証明はりっぱなところから油を買うというような証明を出しておきながら、後は違うような、名もないところから仕入れているわけであります。私がこの間回りました中でも、いわゆるタンクローリー、普通なら日石なら日石のマークが書いてある、丸善石油なら丸善石油のマークが入ったタンクローリーが入るのであります。私が行ったら、どこのマークか真っ白のタンクローリーが入っているのであります。私は、あんたどこの車だ、どこの石油会社だ、こういうふうに尋ねました。あんちゃんみたいな運転手が降りてきて、何だおまえは、こういうことで私に食ってかかった。これを見ましても、いかに皆さん方のところへ出ておる書類と実際問題入れているところとが違うか、元売りみたいなところから入れないで不正規なところから入れておるか、この一事を見てもわかるはずであります。そこでひとつ、この登録申請書の中の供給証明書、これをぜひ厳重に審査をしていただきたい。そして、万一後でそこから入れてない、こういうことがわかったならば直ちに取り消しをしていただきたい。つまり申請書類不備であります。虚偽の申請書類をつくったことになる。そういう意味で、ひとつ通産省、その点はいかがでございましょうか。
  32. 廣重博一

    廣重説明員 先生指摘のいわゆる供給証明というのは、登録基準のうちの事業を適確に遂行する能力があるか否か、こういうことを審査するために揮発油の継続的な購入の可能性があるか否か、これを判断するために提出を求めているものでございます。また、この揮発油販売業法の施行に当たりましては、国会の御審議におきまして附帯決議をいただいております。この中で系列化が促進されないように留意せよというのが私どもにいただいている御注意でございます。そういったところも踏まえまして私ども法律の運営に当たっているわけでございますが、登録揮発油販売業者の都合などによりまして仕入れ先が変更になったとしましても、継続的な購入が可能であるということであれば法律上は問題はないというように考えております。
  33. 依田実

    依田委員 確かに継続的にそこから入れておるなら問題はございません。そうじゃない場合にはいかがなる処置をとるのでありましょうか。たとえば私が聞いておるところによりますと、供給証明書はうちで出してやった、ところがその後さっぱりうちから買ってくれない、こういうことを言っているところがあるのであります。こういう場合はどうするのでしょう。
  34. 廣重博一

    廣重説明員 揮発油販売業法では事業を適確に遂行できるかどうかということをチェックしているわけでございまして、たとえ登録を受ける段階での購入先と事業開始後の購入先とで変更があった、いわゆる仕入れ先に変更があったとしましても、継続的な購入に支障がなければ法律上問題がないというふうに考えております。
  35. 依田実

    依田委員 よくお話がわからぬのでありますけれども、じゃ登録申請書に供給証明書を出してそれと違ったところから入れても構わない、継続的に入れれば構わないのだ、どんな悪質なところから入れても構わないのだ、こういうことになるならば供給証明は何の意味もないじゃないか。今度の登録制度を見れば供給証明書だけが唯一の、ガソリンスタンドを認可するかしないかの大事なポイントになっておるのであります。それが、何でもいいのだ、こういうことになるならば、もう通産省の流通課なんというのはなくなって、どんどんガソリンスタンドを野放しにぶっ建てればいいのじゃないか、こういうように思うわけであります。
  36. 古田徳昌

    古田政府委員 現在の揮発油販売業法におきましては、供給証明といいますか、それを出させて事業の適確な遂行能力を判断するわけでございますが、実はその要件を法律的に要求しておりますのは登録の際だけでございまして、その後の変更につきましては法律的な、たとえば変更のための認可とかいうような手続は要らない形になっております。したがいまして、先生のおっしゃるのはまさに私ども自体としましても考えております問題でございまして、結局、必要な場合につきまして行政指導によってその法律の運営につきまして補完していくといいますか、適確な運用を図っていくということで考えていきたいと思っております。
  37. 依田実

    依田委員 その補完的な処置でという補完的処置というのはどういう意味でしょうか。
  38. 古田徳昌

    古田政府委員 この揮発油販売業法におきましては、私どもとしましては立入調査権限も持っておりますし、それから報告徴収権も持っておるわけでございまして、それらの機会に、当初の申請時に出しました事業形態と大幅に違っているというようなことになりましたならば、その事情について十分聴取し、必要があれば指導していくということでございます。
  39. 依田実

    依田委員 それは免許取り消しも含みますか。
  40. 古田徳昌

    古田政府委員 先ほど申し述べましたように、供給先の変更につきましては法律上の手続が要らないという形になっておりますので、免許取り消しとかあるいは事業停止とかいうふうな形にはつながっておりません。
  41. 依田実

    依田委員 どうもお答えを聞いておりますと、結局のところ野放し、こういうふうに私は考えざるを得ないのであります。  ところで一つ具体的な例として、いま最大の問題になっております杉並区の和泉町に太洋交易という会社がガソリンスタンドをつくりました。このガソリンスタンド通産省への申請はいつなされたのでしょうか。
  42. 廣重博一

    廣重説明員 東京都下でございますれば具体的な処理の窓口は東京通産局でございますが、今日まで受理したという報告はまだ受けておりません。
  43. 依田実

    依田委員 現地へ行ってごらんになるとわかると思いますけれども、もうりっぱなスタンドができております。タンクもできて上からいわゆる給油のゴムホースまでおりておる。ちゃんと太洋というマークも上がっております。それは隣のスタンドとゼロメートルであります。すぐ隣のスタンドに接してできておるのであります。そうすると、いわゆる東京通産局の方へまだ申請が出てないと言うのでありますか。それとも出ているかもしれないが、本省の方では知らない、こういうことでしょうか。
  44. 廣重博一

    廣重説明員 まだ申請が出ていないと承知しております。
  45. 依田実

    依田委員 それならば、ぜひひとつこの問題については、いままでお聞きをした通産省の御指導の方針に従ってあくまでも厳正なる審査をしていただいて、たとえもうできてしまった——あそこの土地でありますから何億という投資が行われているはずであります。できてしまって、何億という投資をしたのだから仕方がない、許可してやろう、こういうことでは法に反すると思う。幾ら投資をしてもあくまでも悪いものには許可しない、このくらいの毅然たる態度で、これからこの申請が必ず出てきますから、ひとつ通産省はこの衝に当たっていただきたい。お約束いただけますでしょうか。
  46. 廣重博一

    廣重説明員 私ども申請がございますれば、当然法律に基づいて登録要件を満たしているかどうかを判断するわけでございます。  ただいま御指摘の杉並区におきましては、六月六日の告示によりまして指定地区にはなっております。ただ、指定地区内にございます給油所につきましても、指定地区の指定の日前に建設に着手をしている給油所等につきましては、事業者に対して過度の犠牲を強いることを避ける見地から、法に基づく指示は行わないということで運用いたしております。こういった従来の運用方針に照らして厳重に審査してまいりたいと考えております。
  47. 依田実

    依田委員 六月のいわゆる指定地域になる前に建設が終わった、こういうことかどうか、私はいつ建設が終わったのかよく知りませんが、終わったのは最近であります。六月以降であります。ただ、土地を購入したとか基礎固めをしたとかいうのは六月以前かもしれない。ですから、指定地域になっていればこれはもう法に照らして当然できないところであります。あるいは指定以前の場所ならば居住基準に合わせて当然認可のできないところであります。どっちに転んでもあそこはできないところでありますから、ひとつこの点はその申請書が上がってきた場合に、通産省は東京通産局の方とよく御検討いただきたい、こう思っております。  もう一つ、同じ太洋交易でございますけれども、今度は板橋の中丸町へ最近やはりつくり始めておるわけであります。これは非指定地域でありますからそういう意味ではいいのでありますけれども、坪数が非常に狭い。どうしてもガソリンスタンドとしては不向きのところであります。商売をするには街道に面しているからいいのでありますけれども、狭いところであります。車が二、三台入ればもうあとは道へはみ出さなければならない。つまりこれが営業しますと、自分スタンド内を使用するよりも当然一般道路を使用するに決まっておるのであります。こういうようなところも、申請が出た場合に、ぜひひとつ現地をごらんになっていただいて、果たしてこれが公共の利益に合うのかどうか、との辺を厳重に審査していただきたいと思いますがいかがでしょう。あわせて、ガソリンスタンドの適正坪数をひとつお知らせいただきたい。
  48. 廣重博一

    廣重説明員 先生指摘の個別ケースについては、私どもまだ承知しておりませんので、これから勉強させていただきたいと思います。  なお、スタンドの適正坪数が何坪かということも、いろいろな見方があろうかと思いますが、二百坪程度というのも従来言われている線のように承知しております。
  49. 依田実

    依田委員 中丸町のは、私の見るところでは大体五十坪くらいであります。ということは、当然、自分の地所の中では油を入れるだけで、ほかの車は外に、道路へ待たしておく、こういうことだろうと思うのです。道路を自分の地所みたいに使う、こういう魂胆がもうありありと見えるのであります。そういうところへもし通産省なり東京通産局なりが許可をおろしたということになれば、公共の利益を乱す、それに手をかした。もしそこで交通事故でも——これは交通の非常に激しいところで、人が渡る歩道のところであります。つまり初めから通産省は事故を起こす前提を認めながらこれを認めた、われわれはそう言わざるを得ないというふうに思うので、ぜひこの点については東京通産局とよく連携の上御相談をいただきたい、こう思っております。  ところで、そもそもこの揮発油販売業法の趣旨、これは通産省がおつくりになったわけですからその精神はよくおわかりになっているはずであります。第一条にどういうことが書いてあるかおっしゃっていただきたい。
  50. 廣重博一

    廣重説明員 第一条を読み上げさせていただきます。「この法律は、揮発油販売業について登録その他の規制を行うことにより、揮発油販売業の健全な発達及び揮発油品質確保を図り、もって揮発油の安定的な供給の確保消費者利益の保護に資することを目的とする。」以上かと思います。
  51. 依田実

    依田委員 私はいまの通産省行政のあり方ですと、第一条と全部逆に出ておると思うのであります。「登録その他の規制を行う」、規制は行わない。「揮発油販売業の健全な発達及び揮発油品質確保を図り、」品質確保は図らない。最後の「消費者利益の保護に資する」、消費者のことは構わない。こういうのがいまの通産省行政だろう、私はこういうふうに思っております。  以上、いろいろ質問を申し上げましたけれども、ぜひ通産省皆さん、エリート官僚である、世界のMITIと言われる、それだけりっぱな官僚の皆さんであります。ぜひこの法律の第一条の趣旨をお考えいただいて、これから石油、ガソリンスタンドの設置、あるいはガソリンスタンド品質の管理、そして最後に消費者のわれわれに利益をもたらすような行政を行うことをお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  52. 武部文

    武部委員長代理 依田実君の質疑はこれにて終了いたしました。  次に、鹿野道彦君。
  53. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 農林省の方にお聞きしたいのですけれども、現在の青果物の市場価格というものは全国的にどういうふうな状況になっているか御説明をお願いします。
  54. 渡辺武

    ○渡辺説明員 最近におきます野菜の値段の動きでございますが、最近の、特に十月下旬から十一月上旬にかけまして温度の高かったことを反映いたしまして生育が進んでまいっております。それを反映いたしまして、卸売段階での十月の値段を見てみましても、ほとんどの野菜につきまして、昨年よりあるいは前月よりかなり低下傾向にございます。昨年と比べましても水準の低いものが多くなっております。これを反映いたしまして、消費者物価につきましても、十月の数値で申し上げますと、野菜全体で対前月九・二%の下落ということになっております。その中でも特に葉菜類と申しますか、葉物でございますが、葉菜類の野菜につきましてはかなり大幅な下落を見ておるような状況にございます。
  55. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 いまの御説明でも、生産農家にとりましては、大変な大暴落ということで、非常に影響を受けているわけであります。  そこで、一般的に農産物の価格というものは卸売市場に無条件に依託されるというふうな形で、競り行為によって決められるわけでありますが、需給のわずかな不均衡やその日の天候あるいは市場の特殊性というふうなものによって大きく左右されるわけであります。そういうふうなところから、常に不安定な状態、乱高下というふうなものを繰り返しておる、こういうふうなことになるわけでありまして、そういうところから、生産農家の方々というものは、何とか自分で生産したものを自分で値段をつけてみたい、こういうふうな気持ちが非常に強いわけであります。価格の決定権を持ちたい、こういうふうなことでありますが、それがまた結局農業の意欲にもつながる、こういうふうなことになると思うわけであります。  そこで、簡単に申し上げますと、いわゆる生産原価に諸費用を含めまして、それがまた再生産につながるというようなところの費用も含めまして、最低価格というふうなものを決めるというようなことはどうなんだろうかというふうなことを農林省の方からお聞きしたいと思います。
  56. 渡辺武

    ○渡辺説明員 先生指摘のとおり、卸売市場での価格形成は、野菜につきましては大半競りという形で行われております。これは大量の腐敗しやすい生鮮食料品を迅速に価格決定し、分荷する、しかもそれを公開の場でやることによって適正な価格の形成を図るというためにとられておるわけでございまして、要するに、市場での価格形成は需要と供給に即して適正に形成するということがたてまえとなっておるわけでございます。したがいまして、現在の野菜に見られますように、野菜の供給が潤沢でありまして需要量を超えるという段階になりますと、当然市場価格も下落するということは否めないわけでございます。ただ、この中に、先生指摘のような形での生産者に保証というようなことの観点からいたしました一定の価格を決めましてそれで取引をするということは、先ほど私申しましたような需給を適正に反映して価格を形成するということから離れました価格形成のやり方を強いるというようなことにもなるわけでございまして、市場取引のあり方から見ますればやはり問題があるというように感ずるわけでございます。  ただ、いま申し上げましたのは市場の取引関係でございまして、要するに、野菜の市場価格の安定を図るためには、私たちといたしましては、基本的には要するに生産者段階での計画的な生産あるいは出荷ということが基本ではないかというように思っておる次第でございます。
  57. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 確かに需要と供給に即してと、こういうふうなことはわかるのであります。しかし、青果物の価格というものはそういうふうなところから常に不安定だ。生産者のいまおっしゃられたとおりに無計画な出荷というふうなところにも原因しておるわけでありますけれども、卸売市場がそもそも需給調整能力というふうなものを持たないというところにも、いろいろ検討する余地があるんじゃないか。即日全量成り行き販売、こういうふうなことですから、出荷量のわずかな不均衡によって価格が大きく変動する。そういうことから、貯蔵技術も発達してきたわけでありますし、生産、出荷の情報というふうなものを的確に収集し、また分析をして、計画生産、出荷による調整というふうな形、いわゆる需給調整機能あるいは情報収集機能というふうなものを発揮させるというような方向づけはどうかというふうなことについての御見解を聞きたいと思います。
  58. 渡辺武

    ○渡辺説明員 申し上げましたようなかっこうで、野菜の計画的な生産、それから計画的な出荷というようなことによりまして市場価格の安定ということが図られるわけでございますが、このような計画的な生産あるいは出荷につきましては、法律に基づきましていろいろな措置がとられておるわけでございまして、たとえば、指定野菜につきましては、国、都道府県、生産者団体で構成する生産出荷協議会というのを開催いたしまして、生産計画なり出荷計画を協議しておる。その場合に、卸売市場関係者等の参集も求めまして、需要面につきましての情報についてもその提供を受けて議論をしておる、そして計画をつくるということをやっておるわけでございます。  いま申し上げましたのは若干長期的な観点からの情報の提供でございましたが、日々の入荷量あるいは市場での価格形成ということにつきましての情報も、これは生産者が具体的に出荷先あるいは出荷量を決定する場合に重要なメルクマールになるものでございますから、私たちといたしましては市場にそれの公表を義務づけております。  また、農林省といたしましては、統計情報部でございますけれども、そこで生鮮食料品流通情報サービス事業というのをやっておりまして、主要な市場におきます入荷量あるいは形成された価格というものを市場に駐在しておる職員が聞き取りまして、それを中央で集めまして、それをコンピューターで編集いたしました後、産地の出荷団体等に戻すというような事業も行っておるわけでございまして、そのような観点からいたします情報の生産者への提供ということにつきましては、従来ともに努力を傾けておるところでございますし、今後ともその拡充を図ってまいりたいというように思っておる次第でございます。  このような情報の十分なる提供ということを通じまして、計画的な出荷、出荷調整といいますか需給調整といいますかにも役立つのではないかというように存じておる次第でございます。
  59. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 いまの御説明でも、いろいろと御努力をされておる、こういうふうなことであります。  そこで、こういうふうな下落というようなことを何とか救っていくというふうなことから、昭和四十一年には野菜供給安定基金制度、あるいは果物に関しましては果実生産出荷安定基金制度、こういうふうなことで、指定産地、指定野菜、こういうふうな形をとられて運営をされておるわけですけれども、この運営は自主的に地方等におきましてうまくいっているのかどうかというふうなこと、あるいはまた、指定区域外あるいは指定野菜以外のものについてはどういうふうになっているかということを御説明願いたいと思います。
  60. 渡辺武

    ○渡辺説明員 野菜の生産及び出荷の安定ということを図りますために、野菜生産出荷安定法という法律がございます。そこでまずやっておりますことは、先ほども申し上げましたような需要を見通しまして、その需要にフィットしたような形で生産をし、そして出荷をする、それを計画的に行うということでございます。そのために指定産地というような産地を、まあ主産地でございますが、指定いたしまして、現在それは九百十七ほど指定されております。このような指定産地ごとにそれぞれ出荷協議会等を開催いたしまして、そこで作付するものの面積なり出荷についての調整というのをやっておるというようなことが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、そのような計画的な生産あるいは出荷に努めるわけではございますが、予期せざる気象条件の変化等がありまして、それでもなおかつ価格が低落するということもございます。そのような場合には、現実に過去形成されました市場の価格を基準にいたしまして保証基準価格というのを算定いたしまして、その保証基準価格と現実に市場で形成されました価格、市場価格との差額につきまして、その八割でございますけれども、これを生産者に補てんするという価格補てん事業等も行っておるわけでございまして、これは指定野菜につきましては、先ほど御指摘ございました野菜供給安定基金から農家に補給金が出るというようなかっこうになっておるわけでございます。また、これと並行いたしまして、特に価格低落が異常であるというようなものにつきましては、市場隔離の制度も設けられておりまして、このような場合にも、市場隔離いたしましたものにつきまして、生産者に給付金が交付されるというような制度がございます。また、逆に価格が高騰するという場合もございまして、生産量が気象条件の変化等で減りまして価格が高騰した場合には、逆に高騰時の対策といたしましていろいろな施策をやはり同じくやっておるというようなことでございまして、総合的に申し上げますと、いま申し上げました法律に基づきまして、野菜の価格安定制度というのは制度的には一応完備しており、着々その実績を上げてきておるというように認識しておる次第でございます。
  61. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 いまの御説明のとおりに大変きめ細かくやられておるわけですけれども、農家の方々の苦しみというものを考えた場合に、一層そういうふうな場合に困らないようにひとつやっていっていただきたい、こういうふうに要望する次第であります。  それから、市場のことにつきましてもう一つお尋ねいたしますけれども、いわゆる卸売市場の場合、たくさんの小さな市場から、合理化あるいは価格を下げるというような点から、大きなところに一カ所にまとめてと、こういうふうな方向づけをされておるわけでありますけれども、たとえば東京都の中央卸売市場におきまして、昭和五十年度の取り扱い量の点を見ますと、約二〇%近いものが余分に集荷されておる、それが周りの首都圏に流れる、こういうふうなことから、その周りの地方の卸売市場の経営に大変影響しておる、また運賃の問題等からいたしまして、地方都市の消費者はどちらかと言うと高い野菜がそのテーブルに乗っかる、こういうふうなことになっておるようでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  62. 渡辺武

    ○渡辺説明員 現在、わが国には人口二十万以上の都市を中心にいたしまして八十五ほどの中央卸売市場というのがございます。そのほか人口二十万以下の都市では地方市場というのがつくられるわけでございますが、これが現在大体二千弱ほどございます。中央市場を中核にして、地方市場がその周辺にあって、ネットワークを組んで生鮮食料品の流通を担当する、こういうことになっておるわけでございますが、その地方市場につきましては、いま申し上げましたように数がかなり多うございまして、したがいまして、それ一つ一つをとりますれば規模が零細であるということから、その地方地方での流通を担当するという責任が十分に果たし切れないような体制にあるというのが現状でございます。  そこで、できるだけこれは大型化するといいますか、複数の市場を統合してりっぱな市場に仕立て上げていくというのがわれわれの行政目標にいまなっておるわけでございます。東京都の周辺におきましても、いま申しましたような現状は同じでございまして、そのような計画で進めておりますけれども、なおかつ零細な市場があるというのが現状でございます。  そこで、どうなっておるかと申しますと、東京都の市場等には、そのような周辺の零細な市場自身に産地からの荷引き力が、まだ規模が零細でございますのでありませんところから、一度東京の中央市場に入りまして、その中央市場から周辺の地方市場へ荷を回すということが行われておるわけでございまして、これはひとえにその周辺の地方市場の規模が零細であって自分で荷引き力がないということから来る結果になっておるわけでございます。逆に言えば、東京等大都市の市場は集散地市場的な性格を持っておるということになるわけでございます。われわれといたしましては、そのような流通につきまして、できるだけ流通コストを下げるというような意味からいたしましても、周辺の市場は市場なりに、規模をできるだけ大きくして、みずから産地からの荷引きができるということの体制を整えまして、そして直接そこへ集荷する、それによって、一度東京の中央市場を通ってさらに行くという迂回をなくすことによって流通コストの軽減を図るというようなことで指導してまいっておるわけでございます。まだまだなかなか進まない点がございますけれども、そのような認識のもとに鋭意地方市場の統合整備を進めておるというのが現状でございます。
  63. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 ぜひ努力をしていっていただきたいと思います。  私は山形ですけれども、山形におきましても中央卸売市場、こういうふうなことで、運営も非常にうまくいっておるわけですけれども、ただ、一カ所ということになりますと、生産農家からしますとどうしても遠くなる。小さくてもいいから何とか近いところにどこか持っていくところはないかというような声もあるわけであります。そういうようなことも含めまして、そういうふうな方々のこともお考えいただきまして、ひとつ流通というふうなものを根本的に、いろいろといろいろな面で問題になっておるわけでありますけれども、ぜひ考えていただきたい、こういうふうに要望する次第であります。  次に経済企画庁の方にお聞きいたします。  いま円高、まことに不況、こういうふうなことで、経済情勢は非常に厳しいわけであります。そこで一つ御見解をお聞きしたいわけでありますが、スミソニアン調整におきまして一九七一年には三百六十円が三百八円になった。これは固定相場制でございますけれども、切り上げ率が一六・八八%。ところが、今年の一月には一ドル二百九十二円というふうなものが、いまの時点で二百四十二円ですか、二百四十五円としても切り上げ率が一九%、こういうふうなことであります。もちろんこれはフロート制でありますけれども、その違いはあるにいたしましても、スミソニアン調整時よりもはるかにいま上回っておるわけであります。そこで、ただ一気にそういうふうに切り上げが行われたというふうなことでないだけに心理的にショックは非常に少ないわけですけれども、実質的に経済に与えるデフレ効果というものは非常に大きい、こういうふうに考えるわけですけれども、その点の御見解をお聞きしたいと思います。
  64. 倉成正

    ○倉成国務大臣 ただいまお話しのとおり、一月の平均から昨日の引け値までの上昇率を計算いたしますと、大体二〇%、二割と計算していいのではないか。九月三十日から大体昨日の引け値までが九・三%の上昇率ということでございます。なお、スミソニアンレートの三百八円からの上昇率は大体二六・九%ということでございまして、これはいずれもIMF方式をとっておりますので、欧州方式をとりますとこれより若干下がるということですが、煩雑でございますから避けたいと思います。したがって、円高の問題が非常に急激に起こってきておるということに問題がございまして、これは中小企業その他に、特に輸出関連の企業に大きな打撃を与えておるということは御指摘のとおりでございます。  これがどういう形でマクロとしての経済に影響を及ぼすかということになりますが、これは長期にわたってこの状態が続いていくということになりますと、やはり輸出数量が減ってくる、また輸入数量がふえてくるというのが経済の原則になるわけでございますけれども、御案内のとおり、理論どおりなかなかいかないということが一つあることと、もう一つは、やはり多少タイムラグがあるということでございます。たとえば、年内いっぱいの船積みというのはもう成約が終わっているということもありますし、少し長期の契約もあるということもありますので、結局、輸出に対する影響が非常に大きく出てくるというのは、やはり来年度じゃなかろうかという感じがいたすわけでございます。それから、また同時に、非常に採算ベースが悪くなってきた、しかし、国内の操業度が非常に低いので出血でも出さなければならないという中小企業がかなりあるわけでございます。  そういうこともございますので、民間の機関でいろいろ円高によるGNPに及ぼす影響、その他のものに及ぼす影響ということを計算しているものも、われわれもつぶさによく承知をいたしておりますけれども、いま政府として、これがどういう程度数量的に影響を及ぼすかということは、民間のもいろいろな仮定を立てての計算でございますから、ここで申し上げるに至っていないわけでございます。しかし、確かに円高がデフレ効果を及ぼすということについては、御指摘のとおりではなかろうかと思います。
  65. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 このことは大変なことでありまして、いまの大臣の御答弁にもあったわけでありますけれども、十二分にその点を踏まえていただいて今後進んでいっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、日米間の問題でありますが、経常収支ではマイナス百八十億ドル、プラス百億ドル、また貿易収支におきましてはマイナス三百億ドル、プラス百五十億ドル、こういうふうなことで、ますます赤字の国々との格差が出てきつつある、こういうふうなことであります。これを何とかしなければならないというふうなことから、経済の力がある日本とアメリカと西ドイツが機関車の役割りを果たさなきゃならない、こういうふうなことで進んでおられるわけですけれども、大臣といたしまして、果たして日本が機関車の役割りを果たされておるかどうか、こういうふうな御見解かどうか、お聞きしたいと思います。
  66. 倉成正

    ○倉成国務大臣 いま世界経済は、御承知のように、OPECが毎年黒字を約四百億ドル前後生み出している。したがって、このOPECの黒字が何らかの形で他の国々の赤字のツケとなっていっておるわけでございます。したがって、アメリカを初め関係諸国は、このOPECの赤字をひとつ世界の国々で分担しようじゃないかということで、アメリカもかなり分担をしておるというわけで、日本に対してもそれを要望してきておるわけでございます。ところが、先ほどから御指摘のように、日本の貿易収支の大幅な黒字が出てきておる。したがって、そういうことが各国の失業その他につながってくるということで、非常にいらいらが高まっておる。日米間の問題についても、やはり日米の貿易のアンバランスがあるわけでありまして、ことしの一月から十月までの統計をとりましても、アメリカの貿易収支の赤字が百九十三億ドル、そのうちで対日の赤字が五十八億ドルという数字が出ておるわけでございます。そういうことで、何とかこのアンバランスを、日米間におきましても、あるいは世界全体においても、日本としては貿易収支の黒字が減るように努力をしてほしい、そのために市場の開放その他を積極的にやってほしいし、また具体的に経常収支の減る方法を考えてほしいというのが今回の日米間の協議のポイントであったと思うのでございます。  日本としては、御案内のとおり総合経済対策を実施したり、あるいは緊急輸入の対策を考えたり、いろいろな努力をいたしておるわけでありますけれども、残念ながら、日本の貿易構造が原材料を中心とする輸入でございまして、一億一千万の国民がおりまして、確かに資源は乏しいのですけれども、日本で何でもできるというか、非常に単一市場としての力を日本が持っておるということもありまして、なかなか急に輸入がふえる状況ではない。しかも、日本の輸出競争力が非常に強いということで、なかなかわれわれが当初意図したような形に経常収支の問題が動いていないということでございまして、やはり日本としては、世界の期待にこたえるように、経常収支の縮小の問題、また対外経済協力の問題、また緊急輸入についても、なかなかむずかしい問題はありますけれども、最大の努力をしていく。また、日本の市場開放にしましても、やはり諸外国から見ると、日本の市場が非常に閉鎖的でいろいろな障害が多いという、一部には誤解もありますけれども、そういう問題についてひとつ最善の努力を尽くして、日本は誠意をもってこれらの問題に対処し、世界の中で役割りを果たしておるということを、アメリカに対してもヨーロッパに対しても認めてもらうように最大の努力をすることが今日日本の経済政策の一番大きな課題であるというふうに思っております。  同時に、御案内のとおり、日本はOPECに対して大変な赤字でございます。日本の貿易の大体三分の一が石油でございますから、赤字である。同時に、先進国では豪州、ニュージーランド、カナダ、こういう国々に対してやはり大幅な赤字である。そうすると、その赤字をどこかで黒字にしない限りにおいてはうまくいかないわけであります。そうすると、どうしてもこれがアメリカになり、ECになってくるということでありまして、ある程度日本が黒字が出ることは、これはやむを得ないことではないかと思いますが、それが度を越しますとやはりここに問題が出てくる。したがって、相互の立場を十分理解し合いながら話し合いを続けるということで、今度リバーズさんが参りまして、これは要求でなくて保護主義を抑えるための協議であるとリバーズ一行は申しておりまして、両方で知恵をしぼってアメリカ並びにヨーロッパにおいて起ころうとしつつある保護主義を抑えるため、説得するための材料をみんなで知恵を出そうということで、多方面にわたるいろいろな項目について検討を続けてまいって、そして昨日リバーズ一行は帰国したというのが実情でございます。
  67. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 いまの大臣の御答弁によりましても、大変な御努力をされておるということでございますし、また、なかなかうまくいかない事情もある、急にはいかない、こういうふうなことでございますが、日本の国が機関車の役割りを果たすというふうなことにおきましては、経済成長の六・七%、これはやはりやっていかなければならない、こういうことになるわけであります。しかし、これに対しましても、各国からの批判というものは、輸出増によるものによってこの六・七を達成しようとしている、こういうふうな批判もあるわけであります。  そこで、六・七が果たして今後どうなるだろうかというふうな見通しにつきまして、また、そういう外国等からの批判に対しての御見解をお聞きしたいと思います。
  68. 倉成正

    ○倉成国務大臣 いま御案内のとおり、先ほどから申しましたように、輸出に対する影響というのは来年度以降が大きいであろうということですけれども、先般、総合経済対策を私どもが決めまして、二兆円に及ぶ事業費、その他民間の電力投資その他の設備投資の促進を図っていくということ、また、公定歩合の第三次の引き下げというようなことをいたしまして、この効果をマクロモデルでいろいろ計算いたしてみますと、大体全体としては四兆円強の効果が出る。一年ぐらいで見ると三兆数千億、しかし年度中に見ますと、大体来年の三月までで一兆五千億ないし一兆六千億、そういうマクロモデルの計算が出ておるわけでございます。したがって、この効果ができるだけ年度内にひとつあらわれるように公共事業の前倒しをいたしましたのが、ようやく最近効果が少しずつ出てきておるわけでございますので、さらにひとつ、今度追加いたしましたこの事業費等につきまして、関係当局にお願いをして、年度内にできるだけ多くの効果が出るように、そしてこれが企業に活力を与え、失業者が出ないように六・七%成長という当初の目的を達することができるように最善の努力をいたしたいと思っております。  ただ、御指摘のように、これが六・七%成長が達成されましても、どうもこれが輸出主導型になっては世界からも評価をされないということが一点と、それからもう一つは、やはりかつては日本の高度成長時代というのは実質成長一〇%を超しておった。一二%、二二%という時代があり、設備投資が大体二〇%ぐらいの比率を占めていた時代があるということを考えますと、やはり非常に減速しておるわけです。しかも、構造不況業種を非常に内部で抱えておる、途上国の追い上げはあるということでありますから、六・七%成長が達成されてうまく経済が運営されたにしましても、かつての時代、オイルショック前の時代とは全く日本の経済の体質が変わっておるということが、なかなかまだ十分国民的なコンセンサスとして理解されてない面がございます。したがって、やはりそういう面、六・七%成長というのは決してバラ色のものではない。また、構造不況業種に対して本当に手術をし、新しい道を見出すとすれば、ある時期においては雇用の面で悪化していく。しかし、そこを乗り越えて患部を切り取ってすっきりしたものになれば、かつての高度成長のような日本経済は望めないけれども、少し落ちついた形の安定した経済の姿が出てくるというふうに考えておるわけでありまして、それを安定成長路線という名前でわれわれは呼んでおるわけでございます。やはりこの安定成長路線に軟着陸するためには、その道は非常に険しい。途中で円高台風というようなものが参りまして、大変いまあらしの中に日本の経済は立たされておる。そういう感じがいたしておるわけでございます。
  69. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 そこで、黒字減らしをしていくというふうなことにつきましては、いろいろお考えになられておるようでございますけれども、内需を活発化いたしまして、そして輸入をふやしていく、こういうふうなこときりないわけであります。  そこで、二十一日の読売新聞の夕刊に、大臣も出席されまして、関係各省の局長会議が開かれ、「関税下げ一部のむ」、こういうような形で報道されておるわけですけれども、その点の内容につきまして、もしいまお聞かせいただくことができますならば、説明をしていただきたいと思います。
  70. 倉成正

    ○倉成国務大臣 関税につきましては、先方からはかなり膨大な何百という品目について、これはまあ別に要求ではなくて参考の資料として、いろいろ通産当局等に提示されたようでございます。しかし、これについてやはりワンパッケージで考えていかなければいけない問題があるわけでございます。もちろん向こうとしては関心品目というようなことでこの中でも幾つか限られてくると思いますけれども、これは交渉事でございますので、やはり最後にこれは詰めをして、まあ大体こういうことでなかろうか、そしてそれが評価される、しかも、日本の国内でも十分それを説得し得るという見込みがついたときでないと、関税を幾らにするとかこれをどうするというようなことを個々に申し上げるということは適当でないのじゃなかろうかと思います。しかし、非常に日本としては苦しい問題がございますけれども、ひとつ前向きに、日本がそういう関税の障壁によって世界の市場から閉鎖社会になっていないという姿勢を示すために、最大の努力をいたしてみたいと思っております。
  71. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 そこで、大変な状況下にあるわけでありますが、現在の日本の経済、果たしてこういう状態で耐えられるだろうか、こういうふうなことであります。全産業の操業率七六%、二四%がストップ、四分の一がストップ、こういうふうなことであります。そしていろいろな背景からいたしまして、減産よりも、もう合わなくとも泣き泣き輸出の方に向けた方がいい、こういうふうな状況であります。  そこで、政府といたしましても、いろいろな先ほどからの大臣の御答弁にもありましたとおり大変な御努力をされておる、こういうふうなことはよくわかるのでありますけれども、いろいろな不況対策に関しましても私は根本的な大きな壁があると思います。それは、現在の日本の状態というものは、過剰在庫であり、過剰借金であり、過剰雇用であり、過剰設備である、これが大きな壁になっておる、こういうふうに考えるわけであります。  そういうところから、政府の方もいろいろ政策を打ち出されておるわけですけれども、なかなか効果があらわれにくい、こういうことでありまして、そこで私は、現在のこういう状態からいたしまして、もう一つの過剰であるところの貯蓄というふうなものを、一般的にも言われておりますけれども、何とか活用できないか、こういうふうな気がするわけであります。  そこで、日本人はなぜ貯蓄をするかといえば、やはり老後の問題とか教育の問題とか、あるいは住宅の問題とか、いろいろありますけれども、その中で特に政府として力を入れておられるところの第三次総合開発計画におきましても、住宅に関しましては六十年まで新設住宅着工件数を年間百七十万戸、こういうふうな計画を立てられておるようであります。しかし、今年の実態を見ましても、昨年並みの百五十三万戸、見込みは百六十五万戸であったわけですけれどもそれより下回った、こういうことであります。そこで私は、住宅に関しましては、やはり宅地の供給不足というものも大きく影響しておるのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。そこで現在の土地政策の緩和、国土法の見直し、こういうふうなものを考えられて、そして宅地の供給不足を補っていく、こういうふうなことをやらなければいけないのじゃないか、タイミング的にいまやる必要があるのじゃないか、こういうふうにも考えるわけですけれども、日本経済の根幹を預かっておられるところの経済企画庁としての大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  72. 倉成正

    ○倉成国務大臣 前期五カ年計画によりますと、五年間で大体八百六十万戸の住宅をこれは民間を入れまして建設しようということになっておるわけでございます。ただいま御指摘のように、日本の社会資本の中で一番おくれているのはやはり住宅であるというふうに私も考えておりまして、鹿野委員のお考えと全く同じ問題意識を持っております。  また、私は、これはまあ建設大臣が直接の所管でありますので全く個人的な見解になろうかと思いますが、お許しいただきたいと思います。  住宅政策を取り上げるのに、どうも戦後ある一定の時期まではとにかく戸数を整備するということでございましたけれども、これからだんだん、一戸当たりの住宅というのは世帯数をはるかに上回ってきておりますから、質の問題になっていく。しかし、欧米諸国と比べると非常に住宅が貧弱である。住宅に対する考え方が、私をして言わしめますと、どうも非常に短期的じゃなかろうか、三年とか五年とかいう短期的なもので住宅というものを考えがちであるという感じがするわけであります。  先般、ロンドン大学の森嶋教授が日本に帰ってまいりまして、いろいろわれわれと話をしたのですが、やはり戦後、日本の産業を近代化するという形でわれわれが三十年間エネルギーを蓄わえて、日本の産業が非常に近代化されて、これが日本の輸出力となっていまあらわれている、戦後の三十年の蓄積が今日の日本の輸出競争力という形になっておるわけでありますけれども、やはり住宅の問題についても、少し長期的に、土地改造を含めて住宅を、二十年がいいのか三十年がいいのかという問題はありましょうけれども、ひとつ考えていくということが必要じゃないか。それに合わせてやはり土地政策ということも考えることが必要じゃないか。余り短期間に数を合わせていこう、そして短期間に数字のごろ合わせをして国会で答弁し、そして大過なくいこうということになると、余り人の入らない公団住宅をつくっていくということにもなりかねないと思いますので、やはり住宅政策については、基本的な哲学とそれから少し長期の展望を持って日本のこれからの政策の大きな柱にしていくべきじゃないかというふうに私個人は考えております。しかし、これが政府部内のコンセンサスになるまでにはまだ至っておりません。したがって、その方面で努力をいたしてみたいと思っております。
  73. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 よくわかりました。  次に、先ほど申し上げましたとおりに、このままの姿でいきますと、経済の根幹であるところの生産部門というふうなものが非常に縮小の方向にいってしまうのではないか、こういうふうな懸念がありまして、また現実的に動いておるわけであります。  そこで私は、長い目で見た場合に企業の再興というふうなものがどうしても必要じゃないかというふうに考えます。要するに、企業に活力、体力をつけていく、回復させていくというふうなことが必要じゃないか、こういうふうに思うわけであります。  そこで、景気対策といたしましては、公共投資ということだけの景気対策ではなく、現実的に省エネルギーあるいは合理化というふうなための投資意欲というふうなものは非常に高いのではないか、こういうふうに私は考えますので、大蔵省あるいは通産省の考え方が食い違っておりますけれども、思い切った投資減税というようなことなんかもここで考えてみてもいい時期に来ておるのではないか。いろいろいまのような状態で投資減税しても何ら効果がないというふうな議論もあるわけでありますけれども、増設のための設備投資は減らしていても、やはり省エネルギーとかあるいは合理化というふうなものに対しての投資意欲というものは企業者にあるわけでありますので、投資減税というふうなものもお考えになられてもいい時期に来ているのではないかというように私は考えるわけでありますが、その点についての大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  74. 倉成正

    ○倉成国務大臣 これも実は大蔵大臣の守備範囲でございますので、私が投資減税は適当であるとかないとかということを申すのは筋合いでないと思います。ただ、せっかくのお尋ねでございますから、直接のお答えにならないと思いますけれども私の考えを申しますと、先ほど貯蓄のことを鹿野委員お述べになりました。個人はせっせせっせと老後や住宅や教育のことを考えて貯蓄をする、また、民間は減量経営ということで設備投資を控えて人減らしをやる。それぞれの企業、個人としては正しいけれども、国全体として見ると縮小再生産になっていく。いわゆるサミュエルソンの「合成の誤謬」ということになるわけでございます。したがって、どうしても設備投資あるいは個人の貯蓄がもっと有効に使われていくということが必要になってくるわけでございますので、来年度以降の状況を考えますと、設備投資が出てもらわないと、財政だけで全部これを支えるということになるとこれは大変大きな負担になるわけでありますから、どうしても設備投資にある役割りを果たしてもらわなければいけない。高度成長時代のような大きな役割りはとてもできませんけれども、あるポジションを守ってもらわなければならないと思うわけであります。  そこで、最近どうしてこんなに設備投資が伸びないだろうかということをいろいろ勉強いたしてみますと、一つには、鉱工業生産が伸びないということもありまして、GNP全体物離れ現象というのがあるのです。物から離れた形でGNPが伸びていくという問題がありまして、その辺が一つ要素になっているという考え方の人がございます。  もう一つは、非常に在庫が多い、稼働率が非常に低い、したがって、在庫が本当に減ってきて、そうしていけばGNP全体伸びていくのだから、結局、生産能力が非常に伸びが少なければ、どうしても需給ギャップが埋ずまっていって設備投資が出てくるのだという考え方がございまして、今日の日本の経済をいろいろ分析すると、非常に大きな転換期に来ておるものですから、これが本当にこうだということで一本で解釈するということは非常にむずかしいかもしれません。しかし、いずれにしても、これからの日本の経済を支える大きな要素として設備投資があるわけでありますから、設備投資が起こり得るような環境をつくっていくということは非常に大事なことであろうかと思います。  そのインセンティブとして投資減税どうだという端的なお話でありますけれども、いま非常に稼働率が低い状況の中で、投資減税が行われたからそれではすぐ設備投資が出てくるかというと、簡単には出てこないと思います。しかし、設備投資がどういう形で出てくるかというと、インセンティブを与えるためにどういうことが考えられ得るかということは、いまお話しの投資減税を含めて検討の価値がある問題ではないかと思っております。
  75. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 私は、基本的に経済企画庁というところは日本の経済の根幹を預かっておられる、こういうふうに考えるわけでありまして、そういうふうな点からいまお聞きをしたわけであります。また、このような厳しい現況下においてこれを立て直ししていくというふうなことにおきましては、思い切った発想の転換も必要じゃないか、こういうふうにも考えるわけでありまして、そういう点から御見解をお聞きしたわけでございます。  そこで大臣にお聞きしたいわけでございますが、国債の発行はインフレ原因であるという思想についてどうお考えになられておるか、お伺いしたいと思います。
  76. 倉成正

    ○倉成国務大臣 これは国債の発行自体がインフレになるとは私は考えません。やはりその置かれておる経済環境あるいは金融情勢というのが前提になるわけでございまして、たとえば、現在のような情勢におきましては民間の資金需要が非常に少ないわけですから、仮に公債をかなり発行いたしましても消化が十分できる。したがって、日銀引き受けというような形をとらなくても市中で消化ができるという形ですから、インフレの原因にはなっていないわけです。しかし、だんだん公債が大きく累積していくということになってまいりますと、やはり資金需要が非常に出てくる、景気が出てまいりまして、やはり資金に対して民間の需要が非常に大きく出てくる、設備投資に対しても出てくるということになってくると、これは市中だけで引き受けるということが非常に困難になってくる。形式的には市中で引き受けましても、それが結局早期に日銀の方に還流してくるというふうなことになりますと、これはやはり通貨を増発するということになるわけでありまして、大幅な公債というのは、現在すぐ起こるか起こらないかということは別として、やはりインフレの火種であるということは間違いないと思います。すぐインフレになるかどうかということは、これは経済情勢、金融情勢によって決まってくるというのが正しい解釈の仕方ではないかと思います。
  77. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 そこで、来年度の予算編成の時期にも来ておるわけでございますが、もちろん、私は、いまの大臣の御答弁につきましてもよくわかるわけでありますけれども、永続的な方法とは私自身も考えませんが、予算につきましての国債の三〇%依存度の問題につきましていろいろ議論されているわけでありますけれども、どう見ても財源を生み出すことができない、こういうふうな状況であります。  そこで、私は、個人的な見解といたしまして、政府保証債というふうなもの、たとえば石油備蓄債とか道路債というようなものをこの際思い切って出されたらどうか、こういうふうに考えるわけでございますが、その点につきまして、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  78. 倉成正

    ○倉成国務大臣 政府保証債は、御承知のとおり、石油開発公団についても、五十二年度で六百五十億の発行を予定いたしておりまして、その資金を民間企業における備蓄用原油の購入資金に充てることにしておるわけでございまして、御指摘のように、民間資金の活用という意味において非常に有力な財源になるということは、私ども考えておるわけでございます。
  79. 鹿野道彦

    ○鹿野委員 そこで、物価動向というふうなものもある程度は落ち着きの度を高めておるんじゃないか、私はこういうふうにも考えるわけであります。円高の問題にしましても、その影響というものは、先ほどの大臣の御答弁にもありましたが、すぐにそれの効果があらわれるということじゃなしに、やはり四カ月から半年くらいかかって物価に対しての好影響があらわれる、こういうふうに考えるわけでありまして、財政あるいは金融、そのほかのいろいろな景気対策というふうなものを思い切ってやることがある程度許容されるところの環境になりつつあるんじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。そこで、思い切った発想の転換をしていただきまして、積極的にひとつ、この経済情勢というものを乗り切るためにいろいろな政策を打っていただきますことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  80. 武部文

    武部委員長代理 これにて鹿野道彦君の質疑は終了いたしました。  次に、金子みつ君。
  81. 金子みつ

    ○金子(み)委員 私は、きょうは、灯油の問題に限りまして、国民生活の安定を守るという見地から、通産省並びに経済企画庁のお考えを少し聞かせていただきたいと思う次第でございます。  私は、ことしの九月に当物価対策特別委員会委員長を中心にいたしまして北海道に物価問題の調査に出向きました、そのときのメンバーの一人として参加をいたしたわけですが、そのときに、北海道におきましては、いま私が本日取り上げようと思っております灯油の問題が、私たち本州に住んでおります者の物の考えとは比較にならないぐらい、生活必需物資として非常に重要なものであるということについてるる説明も聞きましたし、訴えも聞いたわけでございます。言うなれば、北海道における灯油の存在というのは、家庭生活の中における主食、お米にも匹敵するぐらい、ほかのものには比べられないぐらい重要な存在だということもよくわかったわけでございます。百七十万世帯あるそうでございますが、その百七十万世帯の中の百万世帯が灯油を使っているという報告もございました。  それから、その灯油を使う期間ですが、私どもは、本州におりますれば本当の冬の期間だけ三カ月ないし四カ月ぐらいがその期間というふうに考えられているわけでありますが、北海道では、御存じだと思いますが、平均して八・三カ月使うんだというふうに言っておりました。そして、場所によりましては十カ月使わなければならないという地域もある。ですから、ほとんど一年じゅう使っているようなものだと考えても間違いがないんじゃないかと思います。それほど需要の高いものだということであります。  そんなわけで、期間が長いだけに使用する分量も非常に多いわけでございますね。ですから、一軒の家庭当たり千八百五十リットルというふうに報告しておりました。ですから、この数字でいきますと、全国平均の約三・七倍ぐらいのものを北海道では使っているということがわかるわけでございます。  そこで、北海道では灯油というのが——いまもう十一月でございますが、ことしは例年よりも非常に暖かです。昨年のあの厳冬に比べればうそみたいにいまはまだ暖かでございますけれども、しかし、もう札幌にも雪が降っておりますし、冬に入っているわけです。それで、これからずっと冬ごもりの期間が続くわけだと思いますけれども、その期間の間安心して健康な生活が送られることのためには、灯油の供給が十分なければならないと思いますことと、そして同時に、一軒、一軒の家庭が安心して灯油を使用してこの寒い冬を過ごすことのためには、その灯油価格についても考えなければならないというふうに思うわけでございます。  それで、たしか昨年の冬は例年に比べて物すごく寒い冬でございました。寒さが厳しゅうございましたので、ことに九州あたりでも雪が降ったりして、大変な寒い冬でございました。このことがやはり原因でございまして、国民生活のためにということで考えられた政策だったと思いますが、灯油価格につきましては、元売りの値段は据え置くという方針を政府がお出しになったということを覚えております。そのことは大変に結構であったと思うわけでございますけれども、その元売りを据え置いてそのままになっているわけですね、今日まで。それで、今日までそのままになっているから、昨年の冬がそうであったように、ことしの冬も多分大丈夫なんじゃないかというふうにお考えになっているのかと思いますけれども、実態はそうでなくて、じりじりと末端価格が値上がりしているという実態をわかっていただきたいのです。  たとえば、北海道の場合でございましたら、全道平均が四月から七月、大体余り動きがありませんで、七百二十二円とか七百二十三円とかという数字でございますが、八月に入りますと、地域にもよりますが、根室地域などは七百七十四円というふうに上がってきておりますし、同じく九月に入りますと別海地域では七百九十円というふうに上がってきているということの資料を私はいただきました。配達つきになりますと八百円を超えるというふうなところも出てきているというわけでございます。そこで、このままでいったならば、みんな非常に不安を感じているわけです。どこまで上がっていくのだろうということを非常に心配しているわけでございますが、この小売価格、末端価格の値上がりを何とかして抑えていく必要があるだろうと思うのでございます。場所によってはリットル当たり約一〇%、いまリットル当たり三十六円ですか、それが二円ないし四円値上げを計画しているというのですね。この十一月から上げようと計画しているというふうなことも聞かされているようでございます。そういうことを考えますと、大変に不安になるわけです。その理由が大変にまことしやかで、たとえば配達料であるとか、雪が降っている中の配達であるとか、あるいは人件費、人をふやさなければできないとかいうようなことが原因だというふうにはなっておりますけれども、それが大変に原因して灯油小売価格が上がっていくという心配があるわけです。これを何とかそうさせないために方策を考えていただきたいし、行政的な措置をとっていただきたいと思うわけですけれども元売り価格を据え置きにしてあるからそれで大丈夫だというふうにお考えになりますのでしょうか。そうでありながら、いま申し上げたような状態が起こりつつあるということについてどのようにお考えになりますか、御意見を聞かせていただきたいと思います。
  82. 古田徳昌

    古田政府委員 家庭用灯油につきましては、ただいま先生指摘のとおり、供給量の安定的な確保ということと価格の安定的な推移ということが最も重要だということで、私ども従来からいろいろな形の施策を講じてまいったわけでございますが、本年に入りましてOPECの原油価格の引き上げが一月と四月に行われまして、それを受けまして石油企業は三月ないし四月ごろから二千円ないし二千四百円価格の引き上げを行いたいということを当時打ち出したわけでございますが、その後の円高傾向を反映しまして石油製品価格はおしなべて上がっておりません。最近に至りまして、一部の有力企業は今後石油製品価格については据え置くというふうな発表もしておりますので、私どもとしましては、灯油元売り仕切り価格につきましても、今後値上がりしない、需要期を通じまして安定的に推移するというふうに思っておるわけでございます。  なお、この元売り仕切り価格の動向を反映しまして、灯油小売価格について見ますと、昨年の秋以来安定的に推移しておるわけでございまして、私どもの方でやっておりますモニター調査によりますと、本年九月の水準については昨年に比べましてむしろ軟調ぎみに推移しているという実情のようでございます。十月につきましてはまだ集計できておりませんけれども、ほぼ九月並みの水準ということで動くのではないかというふうに考えておりますが、こういう傾向にありますので、私どもとしましては、元売り仕切り価格の据え置きということでこれが上がらないということでありましたならば、今需要期につきましても小売価格についてはさして大きな変動はなく推移できるのではないかというふうに期待しているわけでございます。  なお、これにつきましては、ただいま先生指摘のような小売業者の問題というふうなこともございましたので、私どもとしましては、現時点では末端小売価格が安定的に推移するように元売り企業に対しましての努力を要請したいというふうにも考えております。
  83. 金子みつ

    ○金子(み)委員 いまの御答弁で、元売り据え置きのままにしているんだけれども、いまのような末端価格が上がったりしているというようなことを考えれば、元売り企業に何か方法を考えようと思っているとおっしゃいましたけれども、具体的にどうしようというふうに考えていらっしゃるわけですか。
  84. 古田徳昌

    古田政府委員 元売り業者につきましても末端小売価格が安定的に推移するようにということでいろいろな努力を要請したいと思いますが、これにつきましては、たとえば小売業者に対しましての卸売の形態なりあるいは取引系列の問題とかというふうなことで、たとえば大量取引をできるだけ実施するようにするとかというふうなことで、できるだけ小売価格が安定するような努力をさせたいというふうに考えております。
  85. 金子みつ

    ○金子(み)委員 その際に、元売りを引き下げるということをお考えになりませんか。元売りを引き下げることにすれば末端小売価格が上がることはないですね。
  86. 古田徳昌

    古田政府委員 先ほど御説明しましたように、本年度上期につきましては、円高傾向を反映してOPECの値上がりといわば相殺したという形で価格が据え置かれておりますが、今後につきましては、現在の円高傾向、つまり本年度上期は平均しますと二百七十二円でございましたけれども、そういうレートになっておりましたが、現時点ではすでに二百四十円台ということで、今後このレートがどういうふうに続いていくか、どういうふうな動向を示すかということが一つのポイントじゃないかと思います。それからもう一つは、十二月の二十日に予定されておりますOPECの総会で、来年一月一日以降の原油価格がどういう決定になるかということが重大な問題ではないかと思っておりまして、この二つの点についての動向を踏まえまして、私どもとしましても慎重に検討したいと思っております。
  87. 金子みつ

    ○金子(み)委員 来月の二十日のOPECの総会でどういうことが決まるかというお話がいまありました。昨日の新聞にそれは出ていましたですね。これは人の想像ですからこのまま信じていいのかどうかわかりません。ベネズエラ大統領の予想なんだからこれがそのままになるとは思いません。けれども、予想として書かれていることは、二十日のカラカスで開かれるOPECの総会では五ないし八%の値上げが決定されるんではないかということが出ておりました。しかし、これはたまたまこの人の想像なんですから果たしてそうなるかどうかはわかりませんけれども、そこでお尋ねしたいのは、仮に五ないし八%原油が上がったといたしました場合に、いまの円高との関係で、私は計算しておりませんけれども、計算して教えていただきたいと思いますけれども、いまの円高と考えあわせてみますと、それでもやはり差益はあるんじゃないかというふうに思いますが、それはどうですか。
  88. 古田徳昌

    古田政府委員 OPECの総会でどういう決定が行われるかということは予測が非常に困難でございますが、他方、現在の円レートでどういうふうな為替メリットが出てくるかということにつきましては、現在の原油価格を前提といたしますと、大体一円レートが変動しますと一キロリッター当たり八十五円という計算になっております。したがいまして、たとえば十円円レートが下がるということは一キロリッター当たり八百五十円というふうな計算になるわけでございまして、その為替メリットの発生の状況と、それから先生も御指摘なさいましたOPECの総会の決定でどういう姿になるか。たとえば五%といいましても、これは一キロリッター当たりでいきますと千円を超える水準でございますが、その両方の関係をどういうふうに把握していくかということを今後の推移を見て十分検討したいと思っているわけでございます。
  89. 金子みつ

    ○金子(み)委員 それでは、これは今後の推移になると思いますけれども、果たして二十日OPECの総会の結果どのようなことになるか、それ次第で、先ほど来お話の中心になっております元売りの据え置きの問題をどのように操作するかということは同時に考えていただきたいというふうに思います。それでもなお据え置きのままにしておいて大丈夫なのか、あるいはそれは多少引き下げなければ無理であろうというふうに考えられるのか、その点をひとつ検討して、そして行政の政策の上ではっきりと示していただくように、これは要望としてお願いをしておきたいと思います。  それで、いまOPECの話も出たわけでございますけれども、最近の為替差益の問題がやはり灯油にも非常に影響してきているということは申し上げるまでもないわけでございますが、この点で少しお尋ねをしたいと思うことがございます。  まず初めに、これは十一月十九日の朝日新聞の報道でございますけれども、為替差益について石油の九社、九月中間の決算として合計して五百十六億円になっているという記事が載っておりました。これは九社の合計になっているわけですけれども、その中で特に外資系は著しくて、日本石油が百三十八億一千万円、こういうことになっているわけですが、この記事は間違っているかいないかということを教えてください。
  90. 古田徳昌

    古田政府委員 石油会社に関連しましての為替差益につきましては、五十一年度に入りましてから差益が出ているというのが実情でございまして、この傾向が五十二年度の上期も当然のことながら続いているであろうというふうに私ども予想していたわけでございますが、先般発表されました九社は石油精製会社の中の上場会社の集計ということでございまして、これは私ども会社の方からも聞いているところでございますが、その発表した数字はその限りでは正確ではないかと思っております。
  91. 金子みつ

    ○金子(み)委員 間違いじゃないわけでございますね。そういたしますと、大変に大きな差益があるということになるわけですね。間違いがないということは、言葉をかえれば、これだけあるということを政府はお認めになっているということになりますが、そう解釈してよろしゅうございますか。
  92. 古田徳昌

    古田政府委員 為替差益といいますか、為替の変動によりますメリットは二つの形であらわれるわけでございまして、一つは、ドル建てで買いました原油価格が、円ベースに直した場合に相対的に上がらなくて済むということが一つあります。それはコスト上の観点だと思います。もう一つは、原油の買い付けをした時点と、それからある一定のユーザンス期間を経まして後、支払いをする時期との為替の変動幅を反映する、これが経理上の為替差益という形で計上されるわけでございます。この十一月十九日に報道されました九社の五百十六億円というのは、私ただいま申し述べました経理上の為替差益ということでございまして、全体として為替メリットがどういう形であらわれているかということを私どもの方として試算してみますと、先ほど言いましたように、一円、一キロリットル八十五円というふうな換算数字がございまして、それで計算してみますと、大体本年度上期の実績が、年間を通じたとして考えますと約五千億円の為替差益が発生するという計算でございます。
  93. 金子みつ

    ○金子(み)委員 いまおっしゃった五千億円は、五十二年上期ですね。
  94. 古田徳昌

    古田政府委員 五十二年度上期の為替レートが平均二百七十二円でございました。これを前提としまして年度ベースで試算してみますと、ただいま申し上げましたような数字になります。
  95. 金子みつ

    ○金子(み)委員 そういたしますと、いまここで申し上げた五百十六億円の問題ですけれども、これはいまのように通産省は説明してくださいましたけれども、このことは通産省としてはいままで予想しておられた金額と申しますか、予想どおりのものであるか、あるいは予想を上回っているかということについてはいかがでしょう。
  96. 古田徳昌

    古田政府委員 九社につきましての数字は、私、持ち合わせておりませんが、石油精製企業三十六社につきまして、もちろんこの九社を含んでおりますが、全体の数字について差益の動向を見ますと、四十九年度に約八百二十億円の為替差損を出しております。それから五十年度に約二百億円の為替差損を出しております。五十一年度に入りましてから、この傾向が円高傾向を反映しまして変わりまして、上期に約四百億円の為替差益を出しておりまして、下期に約六百七十億の為替差益を出しております。五十二年度上期につきましても、私どもとしましては、当然のことながらこの五十一年度上期から下期にかけての傾向を続けていたであろうというふうに予測していたところでございます。
  97. 金子みつ

    ○金子(み)委員 そうすると、石油業界にとりましてはかなり膨大な金額の為替差益があっていることになりますね。ですから、その分を石油業界がひとり占めするのではなくて、やはりここまで来ていれば当然のことながら消費者に還元されるべきだ、これはもう灯油の問題だけでなくあらゆる部門でそのことは言われていることでございます。ところが、実際問題としてはなかなかそのようになっていないようでございます。  たとえば、いまお話がございましたのは四十九年からの話でございますが、かつてドルショックという時代がございましたね。四十六年のころですが、あのころには、石油業界はやはり差益が出たのを関係のところ、たとえば生協などに還元したという例があるわけです。ところが、今回はそういうことをちっともやっていないわけです。たとえば大企業に還元したり系列販売店にも報奨金のようなものは出しているようでございますけれども消費者には一つも還元されていないという、大変に片手落ちと申しますか不公平なやり方があるわけです。ですから、石油業界並びに業者、そしてそれに関連のある系列の業者というようなところは、何がしかの還元がなされているということがわかるわけなんですけれども、一番肝心の消費者には何もできていない。何も還元されていないばかりか、消費者のためには逆にいろんな理由をつけて値上げをしようということが考えられているという点について、非常に問題だと思うわけです。  そういうことが実態としてあるわけでございますけれども、この消費者に対する為替差益の還元のないということについては、何か指導をするということについて考えたことはおありにならないでしょうか。
  98. 古田徳昌

    古田政府委員 本年度上期の実情につきまして為替メリットの数字を先ほど御紹介いたしましたけれども、言うまでもないことですけれども、実はそれに対応いたしましてコストアップ要因も別途あるわけでございます。これが、先ほども指摘さしていただきましたOPECの原油値上げ分が中心になるわけでございますが、一月に五%及び一〇%の値上げ、七月以降一〇%一律に線がそろうというふうな値上げが行われまして、このOPECによります原油価格の値上げ分がコストアップとしてどういうふうにきいてくるかということを試算してみますと、これも年度ベースに換算しまして約五千三百億円というふうな数字になっています。したがいまして、ことしの上期の実績に関して見ます限りは、非常に大勢的な計算にとどまりますけれども、レートのアップによります為替差益、為替メリットの額と原油価格の引き上げ額とで相殺されているというふうな感じでございます。  それから、なおこのほかに、本年度から原重油関税の引き上げも行われましたし、それから備蓄法によりまして備蓄義務を守らせているというような事情もございまして、備蓄やその他防災コスト等が上昇しております。これは私どもとしまして一応の試算をしてみますと、年度ベースで約千五百億円ぐらいになるというふうな試算もございます。  そういうことを考えますと、石油製品価格が本年度初めに比べまして据え置かれているということは、それなりに本年度上期におきます円高による為替メリットが製品価格に反映されたということで、その範囲と言いますか、それなりに還元が行われているというふうに考えてもいいのではないかと思っております。
  99. 金子みつ

    ○金子(み)委員 それなりの還元を消費者に行っているというふうに理解するわけですか。
  100. 古田徳昌

    古田政府委員 ただいま申し述べましたように、OPECによる原油価格の引き上げによるコストアップを受けまして、実は三月、四月ごろに石油各社は二千円ないし二千四百円値上げする必要があるということで発表したわけでございますが、それは結局は値上げをせずに据え置いたということで、各製品価格に為替差益が反映しているということで考えていいのじゃないかと思っております。
  101. 金子みつ

    ○金子(み)委員 そういうことで、値上げをしなかったから消費者に還元したというふうに考えろとおっしゃるのですね。非常に無理ですね、それは。ですから、先ほど一番初めに申し上げたように、元売り価格は据え置いたということで消費者のためにプラスになっているんだというふうな考え方を持っているのだったら、私は大変問題だと思って、元売り価格据え置きだけでいいのですかということをお尋ねしたわけですけれども、いまの御答弁を聞いておりますと、元売り価格を値上げしないで据え置いたから、それで還元しているというふうに考えていいのじゃないかというふうにおっしゃいますが、そうなんですね。
  102. 古田徳昌

    古田政府委員 全体の数字のバランスにつきましては、私は、あくまで本年度上期につきましての事情を御説明しておるわけでございまして、そういう事情を背景にしまして、先ほども御説明いたしましたように、灯油につきましては、小売価格も、私どものモニター調査によります限りでは、大勢としてはむしろ弱含みであるということでございまして、この傾向を踏まえまして、今後の動向につきましては、これまた先ほど御説明させていただきましたけれども、現在の円レートの動向あるいはOPECの今度の総会での決定事情等を踏まえまして検討すべきではないかというふうに私たちは考えているわけでございます。
  103. 金子みつ

    ○金子(み)委員 私がお尋ねしたいし、実現してほしいと思っておりますことは、元売り価格を据え置いただけでいいということでとどめておくのではなくて、末端価格が引き下げられるように、あるいは少なくとも現在の価格よりも上がらないように維持するということを守るために、もっと積極的な指導がしてもらえないかということなんです。元売り価格を抑えてあるからそれでいいじゃないかということでは、たとえばことしの九月北海道へ行きましたときに、通産省の方もおいでになりました。それで、一般消費者たちの質問にお答えになっていらしたのですけれども、そのお答えはこういうことだったのですよ。元売りは据え置きにしであるけれども、末端価格がそのために下がるとは思えないという返事をなさいました。ということは、末端価格は上がる可能性があるというふうに考えていらしたのだというふうに私は思うのです。それはそのとおりだと思うのですね。だから、そうだとすれば、元売り価格が抑えてあるから大丈夫だという考え方は非常に消極的であって、消費者たちはもっと積極的に末端価格が上がらないように方策をとってもらいたいと考えているわけなんですけれども、それはどうなんでしょう。
  104. 古田徳昌

    古田政府委員 現在までの時点では、私どもとしましては、小売段階に問題もあったことは承知しておりますけれども元売り価格の安定的な推移を反映しまして、小売価格につきましても、昨年に比べて安定しているということで把握しているわけでございますが、現在のこの末端小売価格の安定的な状況というものは、今後につきましても推移するように、そういう形で進みますように、元売り企業に対しましての努力の要請をしていきたいと、いま考えておるところでございます。
  105. 金子みつ

    ○金子(み)委員 その元売り業者に対する指導をすると先ほどもおっしゃいましたよね。だけれども、その指導の内容が具体的でないので、私が満足しないわけなんですよ。それをはっきりおっしゃっていただきたいわけなんです。
  106. 古田徳昌

    古田政府委員 現在私ども、先ほども言いましたように非常に大きな問題を抱えておりまして、十二月のOPECの総会で、一月以降の原油価格がどの程度の幅で上昇するかということが、今後の石油製品価格の動向を考えます場合でも非常に重大な問題点ではないかと思っておりまして、私どもとしましては、そのOPEC総会の結論の方向、それからさらに、その時点で考えますといいますか、予想されます円レートの動向等を勘案しまして、具体的に検討していきたいというふうに思っております。
  107. 金子みつ

    ○金子(み)委員 それでは、具体的に検討するとおっしゃいましたので、いまここでお一人でお決めになるわけにもいかないでしょうから、その具体的な指導方針、行政指導をどのようになさったかということを、後ほどで結構ですから、ぜひ御報告いただきたいと思いますが、それはエネルギー庁、よろしゅうございますか。
  108. 古田徳昌

    古田政府委員 OPECの総会におきます結論の状況等を踏まえまして、私どもの考え方を検討したいと思っておりますし、その結果については御報告させていただきます。
  109. 金子みつ

    ○金子(み)委員 いまの還元の問題に関して経企庁にちょっとお尋ねしたいのですけれども、この前四月にこの委員会でやはりこの問題についての慎重審議がございましたときに御答弁があったことなんですけれども、円高による差益金は当然消費者に還元されるべきものなんだというふうに経企庁ではおっしゃっていらっしゃいます。そこで、業種別調査をするとおっしゃっているのですが、この調査はその後どうなっておりましょうか。
  110. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 円高の消費者価格への反映につきまして、特に輸入の消費財を中心にして調査しようということで、そのとき申し上げたわけでございますが、その結果につきましては、三十六品目について調査をいたしまして、八月の末に公表いたしたわけでございます。  その中で、円建ての輸入価格が下がりまして、そして国内の小売価格も下がったというものが六品目ございました。それから一方で、今回の調査で非常にはっきりしたことは、外国の建て値でございますね、輸出価格自身が非常に上がっているものが多くて、せっかくの円高があっても、到着した輸入価格、輸入物資の円建て価格がむしろ上がっているものが非常に多かったわけであります。それが二十品目ほどございました。そこで、その二十品目のうちで、輸入価格が上がっても国内価格は横ばいであるとか多少下がるというようなものが十一品目ございまして、全体として、下がったものが六品目、横ばい程度のものが十一品目ということで、この辺については、ある程度円高の効果が出ているのではないかというふうに判断したわけでございます。その他の品目については、輸入価格が下がっても逆に小売価格が上がったとか、また、輸入価格が上がって小売価格も上がったというものがあるわけでございます。それについては、八月末に新聞その他に結果を発表したわけでございます。
  111. 金子みつ

    ○金子(み)委員 その調査の結果をいま御説明いただいたのでわかりましたけれども、この種の調査は、何カ月か後にまた再びなさる御予定ですか。それとも、これはこれでやめておおきになりますか。
  112. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 その後、十月の半ばに、さらに円高の対策について決めたわけでございますが、六項目でございます。その中で、民間取り扱い物資全体についての今後の方向を書いております。その中では、やはりいままでの円高の効果というものがどういうふうに消費者価格に反映しているかという点についての業界に対する協力要請ということをいたしますと同時に、しかるべき機会にその状況を調べて、そして情報として提供するということも、あわせてそこに掲げてございます。  私どもとしては、前回の調査からある程度時間がたたないと、やっても意味がないと思いますので、近い機会にその調査を再びやろうかと思って、現在準備中でございます。
  113. 金子みつ

    ○金子(み)委員 再度御調査なさった場合には、また公表なさることだと思いますけれども、これは差益がある間は、定期的という必要があるかどうかわかりませんけれども、機会を見ながらぜひ調査していただいて、そしてそのことが行われているか行われていないかということは、厳しく見きわめていただきたいというふうに思いますので、これは要望としてお願いいたしておきたいと思います。  それからもう一つ灯油の問題で最初のときにも申し上げましたが、問題になる重要なことは、必要とする量が確保できているかできていないかという問題だと思うのです。これは価格の問題もさることながら、量の問題が非常に大きな問題だと思いますが、その需要供給の長期計画というようなものを通産省は立てていらっしゃるかどうか。そして、長期というのは一体どのくらいを長期と考えてなさっているか、あるいはなさっていないか、教えてください。
  114. 古田徳昌

    古田政府委員 現在、石油製品につきましては石油業法に基づきまして石油供給計画を毎年度策定しているわけでございまして、この石油供給計画は翌年度を初年度としましての五カ年間を対象としております。
  115. 金子みつ

    ○金子(み)委員 五年ごと五年ごとというふうな計画を進めていらっしゃるのですか。
  116. 古田徳昌

    古田政府委員 毎年度つくり直すという形で、期間は五年間という形で実施しているわけでございます。
  117. 金子みつ

    ○金子(み)委員 その実施していらっしゃる最近の五カ年計画では、どれくらい安定していますか。
  118. 古田徳昌

    古田政府委員 その安定という御質問につきましては、計画と実績値との関係ということで考えてよろしいかと思いますが、過去の傾向を見ますと、大体高度成長期には、いつも見通しが下回っていたという感じで、実績値の方がこれを上回りがちであったわけでございます。しかし、四十八年度のオイルショック以降、四十九、五十年度につきましては、計画値よりもむしろ実績が下回ったというような結果になっております。なお、本年度に入りましての傾向を見ますと、本年度上期につきましては、前年同期に比べまして、計画値では三・八%アップと考えておりましたが、実績値では二・三%アップということで、むしろ計画よりも下回ったというふうな数字になっております。
  119. 金子みつ

    ○金子(み)委員 供給計画と実績との表をつくっていただいたのを私いま持っているのですけれども、今年度上期といまおっしゃいましたね。五十二年度上期ですね。五十二年度上期は幾つになっておりますか。私のいただいたのには数字が入っていないのです。
  120. 古田徳昌

    古田政府委員 本年度上期につきましては、石油製品の燃料油の合計で一億六百九十一万キロリットルということでございましたが、これに対しまして実績値では、これはまだ速報で確定値が出ておりませんが、約一億五百万キロリットルというような数字になっております。
  121. 金子みつ

    ○金子(み)委員 そうしますと、これは上期だけのことですが、今年度下期も合わせて三月までの間にどういうふうな動きになるとお考えになりますか。お見込みですね。
  122. 古田徳昌

    古田政府委員 私どもとしましては、この計画を前提としまして各石油会社の生産計画等を見ているわけでございますが、本年度下期につきましても、恐らくは現在の景気動向から判断しまして、計画値より若干下回る可能性があるのではないかというふうに考えております。
  123. 金子みつ

    ○金子(み)委員 若干下回っても、それは家庭生活には影響ないですね。
  124. 古田徳昌

    古田政府委員 ただいまの家庭生活についてということで、特に灯油について申し上げますと、大体灯油につきましては、九月、十月に在庫をいっぱいにしまして、それを冬場に使っていくという形になるわけでございますが、昨年度九月の在庫量が約六百二十万キロリットルでございましたが、これに対しましての本年度九月の在庫量は、これも推定値でございますが、六百三十万キロリットルを上回っているような水準になっていると予想されております。そういうことで、私どもとしましては、今度の需要期につきましては、量的な面から言いますとまず大丈夫だというふうに考えております。
  125. 金子みつ

    ○金子(み)委員 それを伺って一応安心はいたしましたのですけれども、ここで一つ申し上げてお考えを聞かせていただきたいことがございます。それは、灯油は家庭用の暖房にだけ使われているというふうに考えていたらば大間違いであるというふうに私も認識したのですけれども、家庭用だけではなくて、最近は都会のビルが灯油を使い始めているという問題があるというふうに聞いております。これは、公害関係などからいって、灯油のような油を使う方が公害が出なくて非常に便利であるということだろうというふうに一つ考えられますし、いま一つは、灯油がほかの油類に比べて大変に価格が安いということも使われている一つ理由じゃないかというふうに考えます。使うことが悪いとは申しませんけれども、ビルは、何も灯油を使わなくても、公害防止方策は幾らでも立てることができるはずですし、当然のことながら熱量の強いほかの油を使った方が意味があるというふうに思います。弱い灯油を使うことはないし、きれいな灯油は家庭の中でたく場合にだけできるだけ使わなければいけない。ですから、家庭の中で使われる需要が侵されるようなことがあっては大変だと思います。そんなことがあっては問題だと思うのでございますが、そういうことがないという、家庭で使われる需要は絶対に確保ができる、そして余っていればビルが使ってもいいというふうなことを考えるのがいいのか、それとも、ビルは初めから灯油など使わないで重油を使うということでいくべきであるというふうに考えておられるのか、その辺を聞かせていただきたい。
  126. 古田徳昌

    古田政府委員 灯油につきましては、従来からの抑制的な指導を反映しまして、暖房用のコストの面から見ますと相対的に安くなっているということは言えるのではないか思います。たとえば都市ガスに比べますと、計算の仕方はいろいろございますけれども、暖房費としては大体二分の一以下、電力を使います場合に比べますと四分の一以下ということが実情ではないかと思いますけれども、こういうふうな傾向を反映しまして、最近、本来ならば軽油あるいは重油を使って暖房すべきビルにおいても灯油を使用される例がふえてきたというふうに私どもも聞いております。正確なことは判明いたしませんけれども、そういう傾向が出ているということは承知しているわけでございます。これにつきましては、長期的な問題としては、やはり先生指摘のとおりの問題意識ということで検討すべきではないかというふうに私ども考えておりますが、当面につきましては、全体の石油製品の供給計画あるいはその傾向とかいうふうな面から見まして、家庭用灯油につきましての量的な不安は生じないというふうに考えております。
  127. 金子みつ

    ○金子(み)委員 いまはまだそこまで考えていないというお答えなんだろうというふうに思うのですけれども、家庭で使われているストーブも、最近大変いろいろな機能を持ったストーブが開発されてきて、いままでの一般的なストーブよりももっともっと分量を必要とすると申しますか燃料を食うストーブができている。クリーンヒーターなんかもその例だと言われておりますが、一五%以上普通のストーブよりも分量が必要だ。また、これは大変きれいですし安全ですししますから、どんどん使われるという可能性もある。そうすると、家庭用の灯油の使用量ももっともっとふえていくであろう、いままでよりはふえるであろうということも想像がつくわけなんですが、そういうことが起こってくる場合に、それでもなおかつ家庭用のものは確かに確保できていますということをはっきりとお示しいただきませんと、消費者たちは不安だと思います。ですから、そのことのために、ビルが最近使ってきているなどということもわかっておりますので、ビルの暖房用には灯油を使わないようにするということについての何か指導ができるのかできないのか、まずそれを聞かせていただきたいのです。いまするしないを別といたしまして。
  128. 古田徳昌

    古田政府委員 私ども灯油につきましての需要見通しをいたします場合には、家庭用のストーブ、中でも先生ただいま御指摘くださいました大型ストーブの普及状況等も勘案して数字を策定するわけでございます。そういうことで考えますと、本年度の需要期におきます実庭用灯油についての量的な不安というものは全くないというふうに考えておるわけでございます。長期的な問題としましては、ビル用の暖房に灯油を使うというふうなことにつきましては、先生指摘の点も含めまして検討すべきではないかと思っております。
  129. 金子みつ

    ○金子(み)委員 ぜひそうしていただきたいと思うのですが、聞き及びますと、事実かどうか確かめないで申し上げるのは悪いですけれども通産省はビルに灯油を使い始めたそうですね。ですから、私としましても、そこら辺は何とも申し上げようがないのですが、そこら辺はきちっとしていただきませんと、ほかの人に使うななどという指示ができるはずがない。だから、きちっと正していただきたいと思うのです。多くを申し上げる必要はないと思いますけれども、そういうことでございますから、その点はよくお調べになって、やはり自分のところからきちんとなさらなければ人に物は言えない、そういうことは原則でございますから、どうかその点は、一般消費者が疑問を持たないようにきちっとしていただきたいということを強く要望したいと思います。  最後になりますが、経企庁の長官にお願いをいたします。  いまのような話し合いの中で、国民生活が安定して、安心して生活できることのために、今後OPECの動きがどのようになるか、あるいは日本の為替がどのようになるかというようなことも影響して関係することだと思いますけれども、いろいろなものが関係してくると思いますが、それらを勘案いたしました結果、国民生活には少なくとも心配をさせないような灯油の量の確保と、そして価格の安定というものを続けていただくことができるために、経企庁としてのお役目をぜひ果たしていただきたいと思いますが、長官どのようにお考えでしょう。
  130. 倉成正

    ○倉成国務大臣 いまの先生とエネ庁との間の質疑応答を承っておりまして、やはり基本的には十分な量を確保することと、それからやはり価格が安定するということではなかろうかと思いますので、ひとつエネ庁の方を中心に、量を十分確保し、かつ価格が安定するように、そして消費者皆様方がお困りにならないように最善の努力をすることではなかろうかと思います。  同時に、いま金子委員からいろいろ非常に重要な問題の御指摘がございました。たとえばビルで安いから灯油を使う。そうなると、一方の小さな零細な方々が灯油を使うのが不足をしはしないかという問題、この中には幾つかの問題が含まれております。自由主義経済のもとで価格という問題がやはり非常に大きな要素を占めておる。そうすると、この油からできてまいりますいろいろな品目の中で灯油が非常に安く位置づけられるということになると、どうしてもそこにみんなが集中するわけです。そうすると、これはある者は使っていけない、ある者は使えということはなかなかむずかしい問題になってくるし、また、非常に需要に供給が間に合わないということにもなるわけでございまして、この灯油価格をどこに適正な価格として位置づけるかという問題もやはり考えていかないと、市場経済の中では非常にむずかしい問題をはらんでいる。したがって、そういう問題を中期的にひとつエネ庁を中心に、また国民の皆様方から理解のできるように考えてみる必要があるのではなかろうか。そして十分な量が確保できるように考えるべきではなかろうかというふうに思うわけでございます。先ほど北海道の例がいろいろ出されました。御案内のとおり昔は石炭を利用しておったわけです。しかし、これが今日はもう灯油に全部かわってきておる。これはひとつ、本当に、石炭のあるところでは、石炭の鉱害とか煙とかいろいろな問題がございますからもう少し研究しなければいけない問題がたくさんありますけれども、もう少しそういうものを利用していくことができないだろうか。しかし、いまはそういうストーブや何かみんななくなってしまっているので、それをいま急に北海道の方にお願いするということは適当でないと思いますけれども、しかし、やはりもう少し中期、長期にわたって、日本のそういうエネルギー、燃料という問題をどういうふうに国民の納得いく形でうまく利用していくかという問題を、やはりエネ庁あたりもう少し本格的に取り組んでもらいたいというふうに思っておるわけでございまして、いま金子先生から非常に重要な問題の御指摘をビルの灯油の使用という形で御提起になりましたけれども、私は、その問題をもっともっと本気で政府として掘り下げていくべき問題であるというふうに考えております。
  131. 金子みつ

    ○金子(み)委員 終わります。ありがとうございました。
  132. 武部文

    武部委員長代理 金子みつ君の質疑はこれにて終了いたしました。  午後二時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時五分休憩      ————◇————−     午後二時三十四分開議
  133. 西宮弘

    ○西宮委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  物価問題等に関する件について質疑を続行いたします。  この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、畜産振興事業団理事長太田康二君に参考人として出席を求め、御意見を承りたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 西宮弘

    ○西宮委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、御了承を願います。     ————————————−
  135. 西宮弘

    ○西宮委員長 武部文君。
  136. 武部文

    武部委員 私は、まず最初に経済企画庁長官にお伺いをいたしたいのでありますが、その問題は、対外経済政策についてであります。  日銀の介入にもかかわらず今日円高は急ピッチで進んでおるのであります。きのうの六カ月の先物相場を見ますと、二百三十七円であります。こういうことから予想されます円高の相場は、近々二百三十円台になるのではなかろうかということがうわさされ、一部にはマルクとの関係で二百二十円ということさえうわさをされておるのであります。  十一月九日に衆議院の予算委員会におきまして円高の集中審議がございました。その際に、各党とも対外経済政策について取り上げたわけでありますが、このほどアメリカのリバーズ法律顧問が日本にやってこられまして、日米非公式事務レベル協議というのが開催されております。アメリカ側から種々この対外経済政策について意見なり要望が日本政府に対してなされたと報道されておるわけでありますが、これに対する日本政府の基本的な考え方及び今後の対策、そういうものについて企画庁長官の見解を承っておきたいと思います。
  137. 倉成正

    ○倉成国務大臣 ただいまお述べになりましたように、日本の経常収支の大幅な黒字、また同時にアメリカの貿易収支の大幅な赤字、これが今日の円とドルとの関係で非常に円高になっておる背景であろうかと思うわけでございます。  現在、実は十一月十八日から経済問題に関する日米の非公式の協議が行われたわけでございまして、アメリカ側からリバーズ氏を団長とした一行が参りまして、当初の予定を一日延長して二十一日にこれは終了いたしました。この協議においてアメリカ側は、現下の世界経済情勢に照らして日米両国が保護貿易主義の抑制に努力すべきである、また、このためには日本の経常収支黒字の縮小や市場の開放が必要であるということを強調いたしました。わかりやすく言えば、世界じゅうがOPECの黒字のために赤字のツケを回されておる、先進国は共通してこの赤字を甘受すべきであるにかかわらず、日本はOPECの黒字に加えて大幅な経常収支の黒字で他国に失業を輸出している、そういう考え方に基づいておるわけでございます。したがって、経常収支の黒字の縮小、市場の開放が望ましいということを強調したわけでございます。わが国としましては、保護貿易主義の抑制のため日米両国が当然協力すべきものであり、まずそのためには多角的な貿易交渉、東京ラウンド等を通じ相互に協力すべきことについて賛意を表することといたしました。先方も、別に交渉ということではなくして、アメリカの国内における保護貿易主義を抑えるためにやはり説得の材料が必要である、したがって日本と協力していろいろな手だてを講ずる必要があるという考え方でございまして、私どももその考え方には賛成の意を表したわけでございます。そして、対外経済対策会議というのを設けまして、私が座長になりまして、関係閣僚で種々の問題を検討してまいったところでございます。その中身につきましては、関税の前倒しの引き下げというのが一つ。それから二番目に、残存輸入制限品目についての問題点。三番目は、貿易に影響を及ぼす措置の改善、いろいろな標準決済であるとかその他貿易の障害となる問題。それから第四は貿易の信用、どちらかというと日本の貿易は輸出信用に片寄っておるので、輸入信用についても少し積極的に考えてほしいという問題。第五は輸出に関する考え方、これは集中豪雨的なものを頭に描いておると思います。それから第六は備蓄、それから前払い購入の推進。備蓄は、とりあえずは御案内のとおり穀物、それから前払い購入ではウラン鉱石等の問題があることは御承知のとおりでございます。それから第七番目に、経済協力の推進ということで、日本の経済協力の条件をもっと緩やかなものにするし、安泰化するというような問題が一つの議題になっておったわけでございまして、これらの問題について率直な意見の交換をいたしました。日本として、できることとできないことがある。ある時期までに経常収支が赤字になる時期を示せというようなことでありますれば、それは、市場経済のたてまえから非常にむずかしいことであるというような種々の問題、日本の国内事情についても説明をし、また、意見の交換をいたしまして、友好裏に会議が行われまして、相互理解の増進に役立ったと確信をいたしております。  しかし、さらにこれらの事務レベルの成果を踏まえまして、リバーズ氏一行は昨日アメリカに帰りましたので、これを上司に報告をし、そして、今後双方は外交ルートを通じ、引き続き接触を維持して、月末までに今次会合で討議された、先ほど申しましたような諸問題について共通のアプローチを見出すべく努力することになっておるわけでございます。  以上でございます。
  138. 武部文

    武部委員 そういたしますと、残存輸入制限については、特別に厳しくそういう要求があったというようなことではございませんか。
  139. 倉成正

    ○倉成国務大臣 個々の問題については、それぞれこの席で申し上げるのはいかがなものだろうと思いますが、残存輸入制限については、アメリカ側としてはやはり強くこの制限について撤廃をすることを望んでおったというのが事実でございます。
  140. 武部文

    武部委員 わかりました。  それでは、私はこれから牛肉の問題についてお伺いをいたしたいのであります。  牛肉の問題が国会でこれほど取り上げられたことを私は知りません。特に当委員会で同僚委員からも何人もこの問題について発言がございました。それから、決算委員会でも同様であります。議事録も読んでみましたが、大変詳しくやりとりがされておるようであります。また、参議院においても、本日もなおこの問題が論議をされておる。これはまさに世界一高い牛肉だ、そういうことで、テレビや新聞あるいは週刊誌がこれを取り上げておる。これは、実は近来にない出来事なのであります。農林省なり畜産振興事業団はこの牛肉の問題で一生懸命取り組んでおられるだろう、私はそのように考えるけれども、現実に新聞やテレビや週刊誌は、あなた方のやっておられることについて非常に厳しい評価をしておる。これは間違いのない事実であります。たとえば、安い輸入牛肉が畜産振興事業団を通ることによってばか高値になって、生産者、消費者不在の食肉行政となっておる、こういう発言があります。農林省が去る十月十七日に発表した、牛肉の輸入調整金の引き上げというものは国民大衆の神経を逆なでした、これは明らかに政府による為替差益の独占、卸売価格のつり上げである。こういう言葉も見えます。極端なのは、事業団がなくなったら肉の値段は下がるじゃないか、こういうことすら実は活字になってあらわれておるのであります。  畜産振興事業団は、昭和三十六年の十二月に政府出資の特殊法人として発足したわけですが、この法律の目的は、あの条文に明らかになっておりますように、主要な畜産物の価格安定、そうして資金の調達、畜産の振興助成、こういうことが目的になっておるわけです。畜産振興事業団が発足して今日まで十六年たったわけですが、果たしてこの畜産振興事業団というものがこの目的を果たしてきただろうか。現在の状態を見ると、こういう点を大変疑問に思わざるを得ないということになるのであります。このような批判に対して、農林省、事業団はどのように考えておられるか、これを最初にお伺いをいたしたいのであります。
  141. 石田徳

    ○石田説明員 確かに畜産振興事業団が発足いたしましたのは三十六年十二月でございます。しかしながら、そのころは事業団で外国の牛肉を一手に輸入するというような制度がございましたけれども、安定価格帯というものは、豚肉等にはございましたけれども、牛肉にはなかったわけでございます。牛肉について安定価格帯制度ができましたのは、御承知のように五十年の五月からでございます。こういう制度が完備いたしておりませんでしたし、また、わが国の畜産、特に肉牛を見てみますと、かっては役肉牛生産でございまして、肉牛生産というのは、本格的に始まってまだ十年ぐらいしかたっていないというふうに思います。昭和四十年の初めごろは百五十万頭ぐらいしかいなかった牛でございますが、いまでは肉牛として約二百万頭を超しておりますが、実は最近になってこういうふうに伸びてきたわけでございます。そういうことでございますので、この十六年間の施策というものは現在と同じような条件にはないように実は思います。本格的にやり始めたのは、この畜産危機等を経て、五十年の五月からだ、こう言っていいのではないかと思います。ただ、五十年の五月に始めましたが、そのころ安定帯価格を設けましたけれども、何と言っても畜産危機の直後でございましたし、後遺症もまだ残っておりましたので、なかなか安定帯価格の中に入らないというようなことで、去勢牛、乳雄につきましては約一年ちょっとぐらいはこの上位価格を突破して、さらに和牛につきましてはそれ以上ことしの三月まで安定帯価格の中に入っていなかったわけでございますが、乳雄については昨年の九月から、和牛についてはことしの三月から安定帯価格の中に入りまして、大体中心価格の中に入ってきておるわけでございます。そういう面では、五十年五月以降運用いたしておりますこの制度というのは、やっと最近になって初めてこの成果を発揮し始めた。これは安定帯価格だけでなくて、最近の卸売の実勢価格を見てみましても、昨年に比べて約一割ほど下がっているということで、徐々にこの制度の効果はいまや出始めているのではないかというふうに思います。  ただ、最近では、輸入牛肉をめぐりまして、特に円高あるいは現地価格の下落等が反映していない、こういう強い要望がございます。こういう点につきましては、これはもうわれわれも各方面から大変御批判も受けておりますし、御意見も承っておりますが、これに対して調整金等で対処しなければならないと考えておりますけれども、やはりこの制度の基本は、事業団を通じましてわが国の牛肉の全体の価格の水準を下げていって、それで消費者にこたえる、こういうものだと思いますし、また生産者に対しては生産振興を講じていく、こういうものだと思いますので、そういう点に沿いまして今後も努力していきたいと考えております。
  142. 太田康二

    ○太田参考人 畜産振興事業団が輸入牛肉の高値をつくっている元凶だということがよく言われるわけでございますけれども、いま農林当局の方からも御説明がございましたとおり、私どもは、法令の定めるところに従って業務を運営いたしておるわけでございまして、先生も御承知のとおり、私どもの第一次の任務は、中央卸売市場におきますところの枝肉の価格を、政府が毎年三月末にお決めになります安定帯価格の中におさめる、できれば中心価格に近い線を維持するということであるわけでございます。幸い牡犢につきましては昨年の九月から、和牛につきましては本年の三月から安定価格帯の中で推移をいたしておる現状でございまして、一応私どもの第一次的な役割りは果たしたというふうに思っておる次第でございます。  ただ、卸売価格が下がっても必ずしもそれに連動して小売価格が下がらないという流通構造上の問題がございます。これらにつきましては、行政と一体となりまして、流通の合理化、改善等につきましてもっと努力をしていかなければならないだろうというふうに考えております。  なお、そういった意味で、現行制度の批判ということに対しては、私は特殊法人の役員でございますから、現行制度のもとで考えざるを得ないわけでございまして、この制度に対する批判がいろいろあることも承知をいたしております。しかし、現行制度の中で業務を実施いたしておる限り、現在の輸入牛肉の売り渡しというものは国内の価格安定制度と結びつけて運用いたしておりますので、確かに現地の価格で買うわけでございますけれども、売り渡します予定価格は国内の時価見合いの価格で売るということになるわけでございますので、勢い相当高いものになるという事実があることはもうはっきりいたしておるのでございます。そういったことでございますが、いま言ったように一次的な任務は果たしてきたというふうに考えております。  なお、私どもの業務の運営につきまして、たとえばチルドビーフ等について、前回も問題がここで出されたわけでございますけれども、競争原理の導入をしたらどうかという御意見もございます。これについてはいませっかく検討いたしておるところでございます。  それからこれもまた大変むずかしいことでございますが、私どもに相当膨大な額のいわゆる売買差益あるいは調整金がたまりまして、その一定額を助成勘定に繰り入れまして、これまた法令に定めるところの指定助成対象事業に出資なり補助をいたしておるのでございますが、その事業についてもうちょっと消費者サイド向きの事業が仕組めないか、やや生産寄りに偏り過ぎているのではないかという御批判もございます。そういった御批判につきましては私どもも率直に受けとめまして、できる限り消費者対策等につきましてもいろいろ検討いたしておりますが、どうも知恵がなくてなかなか十分なことができないわけでございますけれども、そういった意味での現在の制度の中での私どもの業務運営につきましての御批判につきましては、改めるべき点はできるだけ前向きに改めていきたい、かように存じておる次第でございます。
  143. 武部文

    武部委員 先ほどいろいろな批判を申し述べたわけですが、その中に調整金の問題がございました。国民大衆を逆なでしたようなものじゃないかということを言ったわけですが、この調整金という一種の税金のようなものですが、これにいま批判が集中しておるわけですね。それは三百五十円から、二百五十円プラスして六百円になった。一体調整金が何の役に立つだろうか。これは一体何に使われているだろうか。いろいろやりとりを聞いておりますと、これは生産者保護のために使われるものだ、そのことが結局最後には消費者にはね返ってくることになる、こういうような答弁が議事録の上で見るとなされておりますね。後でこの支出の内容について、調整金の使い道について私は質問いたすわけですが、少なくともこの調整金がわが国の生産農家に対してどういう役割りを果たしておるだろうか。残念ながら、わが国の生産農家は小規模で、私の県もそうでありますが、ほとんど借金に縛られて仕方なしに和牛を続けておるというのが実情のように私は思うのです。したがって、調整金が一体何に使われておるだろうか、そしてそういう効果を上げておるだろうかということについて大変疑問に思うのですが、ここに本年三月にある記者がこういうことを書いておる。これをちょっと聞いておいていただきたい。   あるスーパーの幹部は事業団のとっている調整金や差金について「価格安定をいうなら、あの資金を消費者のために使うべきです。それに生産者保護に使っているというが、本当に有効に使われているのですかねえ。私たちの目から見ても、生産者の生活はだんだん悪くなって、安く買いたたきたくても気の毒になるくらいですよ」といっている。   鶏卵が“物価の優等生”といわれるようになったのは、商社が農村に乗り込んで体質改善と合理化を商業ベースでやったからで、農林省や畜産事業団の成果ではない。眠れる農民と行政とが二人三脚をやっている間は、農業の体質改善は望めないだろう。これでは農村のためにも、消費者のためにも、国の食糧政策のためにもならないのである。こう述べておるのであります。  今度また調整金が引き上げられたし、現在の国際収支の大幅な黒字と円高で、いずれ、国際協調の観点からするならば、本年度の牛肉の輸入も枠を広げざるを得ない、こういうことになるでしょう。そうなれば、調整金は一層ふえることはもう間違いない。昨年度の調整金が三百七億円、本年度はそれを超えておる。そうなればことしはもう三百七億円よりもはるかに大きい金額になるだろうということも当然考えられるわけであります。このような膨大な額を消費者と無関係に使うことはもはや許されません。われわれはそう思うのです。したがって、価格安定のために、事業団の設立の目的である、第一に掲げてあるところの畜産物の価格の安定のためにこれを消費者に還元するように、むしろ積極的に消費者の意見を聞く、そういうことこそいま最も大切なことではないだろうかというふうに私は思うのであります。  そういう意味で、この調整金というものが、生産者にもあるいは消費者にも不満のない使い方がないだろうか、この点についてイギリスの例を述べてみたいと思います。これは新聞にも一応報道されておりますが、イギリスでは、国内産の肉牛を、財政で毎年数量を決めて価格を生産者に保証する。安い輸入牛肉の価格とこれをミックスして、消費者には安く提供する。  これは、この間の十一月七日に畜産振興審議会委員懇談会というのが開かれた、この中にもこれと同じような意見を述べた委員がある。主な発言の項目としてございます。こういうふうに、いわゆる不足払いの制度、いま私が述べたイギリスの制度というのは、端的に言うならば不足払いの制度ということになるわけですが、そういうものを導入するということも一つの案だろう、こう思うのですが、一部には、現在のやり方が最も妥当だと、この一番裏の方に、とんでもない驚くべき意見を述べておる人がおります。これは一体だれがこういう意見を言ったのか、ちょっと聞きたいのだが、個人の名前を言うのは恐らくあなた方も言いにくいだろうけれども、「現行制度は全く欠かんがないものと私は判断し、いわれなき批判に甘んずるわけにはいかない。」という意見を堂々と述べておる委員がおりますね。これは一体どこの代表だろうかと思って私はあなた方に聞きたいのだが、いま私が述べたようなこういう見解、イギリスで行われておるような不足払いの制度、そういうものについてあなた方はどういうふうにお思いになっておるか、それをちょっとお伺いしたい。
  144. 石田徳

    ○石田説明員 先生がいまお述べになりましたイギリスの不足払いというのは、一九七三年までに行われていたものでございまして、現在は全く行われておりません。これは、イギリスで不足払いの制度が行われたという歴史はございます。イギリスの場合はかなり牛の種類等も少のうございますし、それから流通経路等もわが国のように複雑といいますか多岐にわたっておりませんし、集荷のルートも、たとえばわが国で言えば農協系統がたった二〇%ぐらいしか押さえていない、こういうことがないわけでございまして、集荷のルートにしても、品質あるいは数量を集める場合にも、わが国よりもかなり容易なわけでございます。そういうことで、一九七三年までは先生がいまおっしゃったような制度が行われておりましたけれども、現在はECに加入いたしまして、言ってみればちょうどわが国の現在の制度と同じような制度が行われております。やはりその価格帯をあらかじめ決めておきまして、たしか二週間ごとに輸入される価格——ちょうどあの糖価安定事業団の場合に半月ごとにやっておりますが、ああいう制度のもので価格を計算いたしまして、その差額について可変課徴金を徴収いたしておりますので、ちょうどわが国の事業団がやっているものと似ているわけでございます。そういうことでございまして、現在のところ牛肉について不足払い制度をやって、いるところはございませんし、過去の歴史がイギリスにあるということでございます。  そういうことでございますので、われわれもこれを参考にして、現在のような制度をつくる場合、五十年の五月から始めたわけでございますが、大変検討いたしましたけれども、残念ながら日本の場合はイギリスとも大分様相が違いまして、御承知のように日本では一戸平均わずかに四・七頭である、ばらばらと言ってもいいくらいに各農家が飼っているわけでございまして、そこには品質の均一性というものは容易に求めがたいわけでございます。と同時に、牛の種類も大変多うございます。それから集荷が一元的に行われていない、こういうようなこともございます。  そういうことを考えますと、この不足払い制度というのは一つの考え方ではございますけれども、わが国の牛肉に適用するという場合には大変技術的にむずかしゅうございます。品質ども大変ばらつきがあるわけでございますが、仮にそういう品質を、あらかじめスタンダードを決めたとしましても、それと照らし合わせるためには人が要るわけでございます。ちょうど食糧庁が米を管理いたしておりますように、かなりの人も擁しなければいかぬわけでございます。  それからさらに不足払いをするためには財源が要るわけでございます。現在二百万頭の肉用牛がいるわけでございますが、仮に百万頭、十万円としても一千億になるわけでございます。不足払いの金だけでも膨大なものになりますし、それを運用するための陣容等を考えますと大変な金にもなる、こういうことでございまして、これは現実問題として非常にむずかしいというふうにわれわれは実は考えておりまして、その制度全体について考える必要もございますけれども、現在のところいまの制度ができてまだ二年半くらいでございますので、この制度の本旨に従って適正な運用を期するように努力すべきではないかというような気持ちもいたしておるわけでございます。
  145. 武部文

    武部委員 イギリスのことはわかりました。しかし、イギリスは一たんそういうことをやって、近ごろそのことを新聞も報道し、不足払い制度ということについての委員の意見があるということから、私はあなた方がどういう見解を持っておられるだろうかということを聞きたかった。  先ほど驚くべきことを言ったという一番最後のこれですね。「最近の牛肉の卸売価格の動向は、安定帯のなかで落着いて推移し、」「現行制度は全く欠かんがないものと私は判断し、いわれなき批判に甘んずるわけにはいかない。」これは恐らく生産者団体の人じゃなかろうかと思うのですが、間違いありませんか。そっと聞いておきたいのです。名前は結構ですから。
  146. 石田徳

    ○石田説明員 大ぜいの方がおられましたので、私、どういう人だったかちょっと忘れましたが、そういう意見がありましたし、それからいろんな批判をする場合にも、いまの制度、法律がございますが、安定帯価格というのが設けられている、この前提に立てば中心価格の付近に卸売価格が安定している、こういうことを挙げたんだというふうにわれわれは聞いたわけでございます。
  147. 武部文

    武部委員 少なくとも畜産振興審議会というのは、卸売価格だけを論議する、そういうものであってはならぬ。ましてや審議会の委員懇談会というのは、農林大臣が、いまの牛肉の高いことで大変な非難があるから、そのために皆さんの意見を聞きたいということでやっておるのであって、それは当然、この消費者価格、そういうものがべらぼうに高い、世界一高いというのだから、そういうことについて皆さんの意見を聞きたいということだから、当然、卸売価格なりあるいは小売価格なり、そういうものが論議されてしかるべきだ。確かに現行制度というものがあることは私も否定いたしませんよ、それで現在運営されておるのだから。しかし、現実に世界一高い値段だということになれば、その中で一体どうすればいいかということは、少なくとも懇談会の中心的な議題でなければならぬ、私はこう思のです。それを高いとかなんとか言えば、「いわれなき批判」というようなことを言う委員がおるなんということは、全くわれわれとして驚くべきことだと思ってこの経過を読ましていただいた。それはそういう意見を言う人がおる、それはそれでいいでしょう。問題は、先ほどから言うように、わが国の牛肉が世界一高い、これはだれもが認めておるところですよ。そうなってくると、経済企画庁がこのことを裏づけるように、先月国民生活白書をわれわれいただきましたが、その中に一覧表がありまして、日本の牛肉が物すごく高いという一覧表が載っておりました。これは国民生活白書の中に報告されております。  いま言われるように、五十年の四月に牛肉の政府支持価格制度というものが発足しましたね。事業団の牛肉の売買操作によって牛肉が安定価格帯で推移するように農家の保護を考えて制度ができた、これは先ほどおっしゃったとおりです。ところが、この制度ができたとたんに牛肉価格がどんどん上がり出した。東京市場の去勢和牛の中でとりますと、五十年の八月には安定価格の上限である千五百十八円を突破して、それ以来その翌年の四月にこの上限価格が千六百四十七円に引き上げられた。それはずっと千五百十八円を突破しておった。それで今度は上限価格が引き上げられたわけですね。それでもなお変わらないで、本年四月にまた上限価格を千七百三十円に改定する。前月の三月まで突破したままだった。これは恐らく否定されません。制度が始まってことしの九月までに二年半たちました。五十年五月からことしの九月までに二年半たったわけです。その間に安定帯におさまっておったのが十二カ月間、突破したのが十八カ月間。一体理事長は、この制度が制度としての機能を果たしてきた、このようにお考えなのか、また、長い期間事業団の放出によって市場相場を冷やせなかった、これは一体どこに原因があるか、さらに牛肉の輸入を含めて手持ちの量、在庫、そういうものの絶対量が少なかった、そういうことに原因があったというふうに思われるのか、この辺はいかがでしょうか。
  148. 太田康二

    ○太田参考人 御承知のとおり五十年五月からこの制度が発足いたしたわけでございますけれども、制度が発足して、たしか八月ぐらいまでは安定帯の中で推移をいたしたわけです。その後安定帯を突破いたしまして、いま先生がおっしゃいますとおり、黒毛のいわゆる和牛の去勢「中」は今年の三月まで、それから乳用牡犢の「中」は昨年の九月までは上限価格を超えておったわけです。  それはどういうことかといいますと、これは私、当時事業団にいたわけじゃございませんから、経過的な事項として事務当局から聞いた話を申し上げるわけでございますけれども、発足当初はフローズンビーフしか実は扱う牛肉としてはなかった。御承知のとおり牡犢につきまして最も価格に影響を及ぼすのはいわゆるチルドビーフであったわけでございます。したがいまして、その後、年が明けまして五十一年の四月からチルドビーフを事業団が再び扱うようになったわけでございまして、とにかく早く上限価格の中に入れるということで、事業団としては当初はフローズンビーフを売って売って売りまくったわけでございます。チルドもその後かなり数量をふやしまして、大いに売り浴びせまして、その結果、いま先生から御指摘のとおり和牛につきましては今年の三月から、牡犢につきましては昨年の九月から安定帯の中に入りまして、先ほど審議官が申されましたように中心価格に近い線で今日まで推移をいたしておるということでございます。  結局、発足当初十分なことができなかったというのは、手持ちの数量も御指摘のとおりなかったというようなこともございますし、価格の効果が、非常に即効性のあるチルドビーフというものを全然扱っていなかったというようなことも原因であったろうと思うのでございまして、今後におきましては、とにかくことしの三月、あるいは昨年の十月以降安定価格帯の中にずっと推移をいたしておるわけでございますから、私どもは市場の需給実勢を見ながら適切な数量の市場放出を図りまして、私どもに課せられた任務を果たしてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  149. 武部文

    武部委員 この安定価格帯の上限がどんどん上に上がっていくということを私は例を挙げていま申し上げたわけです。ですから、このことについてあなたも恐らくやいろいろな点で悩んでおられるだろうと思うのは、次のあなたの発言を私は抜き書きしてきたので、これはあなたの真意をちょっとお聞きしたいのですよ。  理事長は去る十月二十一日の日経新聞で一問一答をやっておられますね。それを私ずっと読んで抜き書きしてみたのです。あなたはこういうふうに答えておられる。「いかに安く輸入しようと、買い入れ値とは無関係に、高い実勢相場で売るよう義務付けられている。」これはいまの制度がそうなっておるということをおっしゃっておるのだと思うのですよ。それから質問で、「安定価格帯が年々引き上げられれば、消費者は毎年、その高くなった値段で安い輸入牛肉を買わされるのか。」こういう質問をあなたにした。そうしたら、「その通りだ。」「このような問題が生じるのは、いまの制度が消費者への配慮が足りないからだ。」こう答えておられる。これは一問一答で新聞にはっきり載っておるのですから、私はそれを抜き書きしてきたのですよ。それからまた、ある週刊誌に記者との問答が載っておりました。それを見ると、理事長は、「自由経済のなかにウチみたいのが入って、統制経済みたいなことをやるところに無理があるのかもしれない。」この問答を見て、あなたは本心を言っているのだと思う。確かに現実の姿を見ると大変無理がある、このようにあなた自身がお考えになって、一問一答の答えを出しておられるのだろうと思って見ておるのですが、さらに、石油ショック後の「緊急避難のように設けられたもので、そろそろ見直さなければいけない時期に来ている。個人的見解だが、内外で五倍の価格差があるのに、安いものを高い方にサヤ寄せして売るのは少し無理があるかも知れない。」こういうことを述べておられるわけです。この場であなたの本当の気持ちを公式にひとつ明らかにしていただきたいのであります。
  150. 太田康二

    ○太田参考人 私が申し上げた真意が必ずしも日本経済新聞では伝えられていないと私は考えておるのですが、私が申し上げたことは、消費者に対する配慮が足りないと申しましたのは、現在の私どもの売り渡しの予定価格を決める根拠が政令で決められておるわけですが、これを読む限り、消費者のために安く売るというような制度にはなっていないわけです。そういうことを私は申し上げたのと、消費者に対する配慮が足りないと言われておりますと申し上げましたのは、私がよく言います調整金の使途の問題で、そういう配慮が足りないということで申し上げたのでございます。  それから、五倍云々の問題は、確かに私申し上げました。国内の価格が、いま先生が御指摘のとおり、わりあいに毎年、安定帯の価格と実体経済の価格とは必ずしも一致しませんが、とにかくこちらの方はどちらかというと八・五%、五%と上がってきた。ところが、現地価格は最近は非常に価格がまたもとに戻りつつあるわけです。四十九年のころが一番高かったわけですが、その当時に比べますと、〇・六八%というようなことで、売り手市場ではなしに買い手市場になっておりまして、現地価格が非常に安くなってきた。したがいまして、一方は上がる、一方は下がるというようなことで、五倍というような格差も出てきたのだろうと思います。しかし、価格安定制度でございますから、結局安く入ったものを国内の時価で売らなければいけませんから、まあよく言われるように、相当な高い値段に輸入牛肉を売らざるを得ない、こういう実態がありますから、価格安定制度と結びつけて輸入牛肉を考える場合に、五倍も開いておるというのでは、なかなかその辺に消費者の納得の得がたい点があるだろうなということを申し上げたことは事実でございます。  それから、私が緊急避難と言ったというのは、新聞記者の方がそう言ったのであって、緊急避難的におつくりになった制度ですねということを彼が言ったのを、私が言ったように書いてあるわけですが、私はその点につきましては、彼にそういうことを書かれては困るじゃないか、私もさっき申し上げたように役人のあれでございますから、現行制度を私が批判するようなことはできないわけでございます。たとえば、個人の意見として言ったというようなことになればこれはまたいいのかもわかりませんけれども、それもまたやはり問題を醸し出しますから、私としてはその辺は慎重に対処したつもりでございます。その中で私の真意を一番伝えているのは、五倍の問題は、そのときに確かに個人的見解として申し上げればということで申し上げました。
  151. 武部文

    武部委員 あなたは、現行制度の中の事業団の理事長としての立場ですから、それを逸脱してなかなか答弁もできないし、話もできないし、個人的見解もなかなか述べにくいということをおっしゃる、これはわかります。しかし、あなたの話の中に出てくることを考えてくれば、やはり調整金の問題というのは問題があるなということをあなた自身も——その使い方ですが、そのことについて新聞の一問一答なりその他から見ると、確かに高いのだから何とかしなければならぬだろう、しかし現行制度ではできぬ。できる道は、調整金とかなんとかいうものを、われわれが主張するように、消費者に還元するような方法についてあなた方も何か考えておられるに違いない、こう思うのですが、これは後で述べますから、そのときに答弁していただけば結構です。  そこで今度は、私は輸入肉の割り当てについて一つ疑問を持つわけです。この間、当委員会で同僚の馬場委員の質問に答えて、農林省は関西主婦連の割り当てについて答弁がございました。私はあそこにおったので、きちんと言われたとおりに数字を書いておりますが、五十一年に五千百二十四トン関西主婦連には割り当てをいたしております。こういう答弁がございましたが、間違いございませんか。
  152. 甕滋

    ○甕説明員 五十一年度に畜産振興事業団から関西主婦連に売り渡した数量は約二千七百トンでございまして、いま御指摘がございましたように五千云々ということがあったといたしましたならば、それは誤りでございます。
  153. 武部文

    武部委員 あなたの答弁は間違いなく五千百二十四トンでございました。これは間違いならば、ここでそういうふうに訂正になるわけです。そうおっしゃったわけです。  そこで、割り当ての対象に全農がありますね。これは小売に関する団体というよりも、むしろ生産者団体のような色彩を持っておることは当然考えられることだと思うのです。これに四千九百二十一トン割り当てがされております。これはあなた方の資料に基づくものですから、間違いないでしょう。それから関西主婦連は、おっしゃったように二千七百七十八トン、あなた方の資料によればそうなんです。さっきの約半分ですね。しかし、店は四店舗しか持っていない。これもこの間の回答にございました。このようにわずか四つしか店がない。わずかに何か系列の店を持っておるとか、あるいは移動の販売車とかいうものを持っておるという話もございましたけれども、関西主婦連なるものが、この二千数百トンのものを大量に販売する販売網を持っておるとは受け取れないのであります。そういう点から言うと、百貨店やスーパー、そういうものにも消費者としては割り当ててもらいたい、どこへ行ってもそういうものが目につく、買えるようになっておる、こういうものにしてほしいのだという不満があることは間違いないところであります。そうでなく、ある特定の団体に割り当てされるということは、そのことが何か利権化をしておるのじゃないかという疑問を持たれることになる。横流しがあるということが言われました。先回もここでいろいろ話がありました。具体的な例は若干しか出ておりませんでしたけれども、輸入肉が姿を変え横流しをされて市場に出回っておるのではなかろうかということは、もうだれもがそれを信じておる。これは間違いのない現実の姿だと思っておる。そうならば、この割り当てにまつわって何か利権が横行しておるのではないかとさえ国民の側から見れば疑いたくなる。あなた方の説明によれば、二千二百店に拡大をして、この販売店へ卸すということをおっしゃっておるけれども、東京の近郊あたりに行っても、こういうことではとてもじゃないが指定店がない都市だってたくさん出てくる。こういうことになるならば、将来割り当て団体の見直し、さらには指定店をふやす、こういう方法を考えるべきだと思うのですが、これについてどうお考えでしょう。
  154. 石田徳

    ○石田説明員 先ほどのお話はチルドビーフでございまして、事業団の理事長から価格の問題のときに出ましたように、このチルドビーフというのは四十六年ごろから始めたものでございまして、国内の牛肉に相当するというような性格もございますので、価格を冷やすというようなときにはこれが役立つわけでございます。  ところが、始めた当初におきましては、これは使いなれていないということでみんなそっぽを向いたと申しますか、必ずしもこれを扱うことを喜ばなかったということがございますが、いま指定団体になっているグループの人たちは、これを率先して開拓を図ったというような歴史もございます。それから、自分でこれを消費者に流すような店舗を持っているというような実態等にも着目いたしまして、経過とあわせて今日まで来ているわけでございます。  ところで、指定店の制度というのはごく最近にまた始めたわけでございます。これはあくまで展示的な効果をねらっているわけでございます。先ほどの理事長のお言葉にあったとかないとかというのが出ましたけれども、全部を統制経済的にやるということは現在の経済体制の中ではなかなかむずかしいと思います。そういうこともございますので、できるだけこの小売価格が適正な水準に保たれるようにということで、いろいろ手を考えているわけでございますが、その一つとして指定店制度を設けているわけでございます。ですからこれをあまねく全部というわけにはなかなかいかないとは思いますけれども、確かに先生の御指摘のようなこともございます。まだ足りないじゃないかということもございますので、その辺御意見を拝聴いたしまして、さらに検討を加えていきたいと思います。
  155. 武部文

    武部委員 私は、関西主婦連について大変疑惑があるということを言っているわけですが、これはいずれまた具体的に例を挙げて、きょうは時間がありませんから……。  そういう割り当ての団体が、本当に消費者に正当なルートを通って売られておるだろうかということに大変疑問を持つのです。これまた、具体的な例を挙げていずれかの時期にやりたいと思っていますが、ぜひこの指定団体、売り渡し団体、さらには指定店の数、そういうものについて検討していただきたい、こういうことを申し述べておきたいと思います。  さらに、馬場委員からもお話がございましたが、流通の問題です。食肉の中で最もがんは流通であるということが指摘をされました。いろいろ答弁もございまして、私は聞いておったわけですが、この食肉の流通と価格ということについてちょっと私の見解を述べて、皆さんの御意見を聞きたいのであります。  いま卸売市場を通る肉の量はどんどん減って二〇%ぐらいだというふうに聞いておるのであります。入荷が少なければ相場は乱高下する、これはもう間違いないことであります。こういうことでは建て値市場としての機能が十分に発揮されることにはならぬ。一方農林省や事業団は、地方の食肉センター、そういうものに多くの補助金やあるいは出資金をして市場外の流通を奨励をしておられる。片一方ではそういう市場外流通にどんどん金が出ていって、卸売市場を通らぬ肉が出回っておる。さらに、この間もお話が出たように、大量の生肉がハムメーカーの方に流れていっておる、こういう具体的な例もここで私ども聞いておったわけであります。少なくとも食肉というのは、青果物や魚などと違いまして、屠畜、解体、加工、こういう専門的で非常に複雑な作業が必要だ、こういうことから考えますと、施設も当然それに伴って必要になってくるわけです。その意味では、いわゆる青果物や魚と同じように、卸売市場法でこの市場運営がされていくということについては無理があるのじゃないか、魚や青果物と違った内容を持っておるわけですから。そういう面を考えますと、いわゆる部分肉の規格、そういうものをきちっとあらかじめ決めて、そして全国で信頼できるような値段をそこで決める、そういうことができるような体制を確立するためにいわゆる肉だけの新しい市場法というものをつくる考えはないだろうか。これはほかのものと一緒になってやったって、全然内容が違うということを考えると、そういうことも一つの発想として考えられはしないかということを考えるわけですが、どうでしょうか。
  156. 石田徳

    ○石田説明員 確かに卸売市場を通ずる肉の量は物によっては、豚については最近減っておりますし、牛肉については実はふえておりまして三割ぐらいになっております。そういうことでございますが、牛肉の卸売市場を現在のところまで持ってくるというのは、これまた先人たちが大変苦労したところでございます。それでいいというわけではございませんが、ほかの物資に比べまして、卵などは生まれ落ちてから人の口に入るまでほとんど形を変えないという有利さがございますが、牛肉の場合はかなり姿、形を変えていく、こういうようなむずかしさがございます。それから、先ほど申し上げましたように、品質等にも大変差がございますし、いろいろなむずかしい点がございますので、この流通はそれだけにむずかしいわけでございます。  先生もいまお挙げになりましたような部分肉という形の流通の経路等を開いてはどうかということでございますが、われわれも実は部分肉について市場的なものをひとつ試験的につくってみたい、こういうことで、来年度の予算にはそれを要求したいということで目下作業をしておるところでございます。全国に一度にそんなものをたくさんつくってもなかなか一度に改正できるものでもございませんので、まず試験的に大都市からそういうものをつくって、そういう流れを通しまして部分肉の価格がはっきりすれば、小売でもそれに連動してといいますか、価格の動きがわかるわけでございますから、消費者のためにこれは非常に役立つと思います。そういうルートを考え、頭に置きながらこれからさらに施策を進めていきたいと実は思っておるところでございます。
  157. 武部文

    武部委員 時間の関係でこれ以上のことを質問することができませんが、これからちょっと調整金の使途等について若干の質問をするわけですが、その前に、事業団が行う輸入牛肉の入札に関して、落札価格が発表されないのはおかしいということを私何かで読みました。落札価格の公表、これは常識であるべきことなんですが、なぜ事業団が行う輸入牛肉の入札に関して落札価格が公表されぬか、発表できぬか、これはどういう理由でしょうか。そういうことは事実あるのですか。それをちょっとお伺いしたい。
  158. 太田康二

    ○太田参考人 私どもは、買い入れるときには買い入れ予定価格を一応決めますし、売り渡すときには売り渡し予定価格を決めるわけでございます。これらにつきましてはいずれも機密に属するということで公表はいたしておらないわけでございます。
  159. 武部文

    武部委員 落札してしまって、はっきり決まってしまった金額について何で公表できないのでしょうか。
  160. 太田康二

    ○太田参考人 ちょっと私失礼いたしました。売りの価格は一応幅で発表いたしております。
  161. 武部文

    武部委員 それでは、別に秘密でも何でもないわけですね。
  162. 太田康二

    ○太田参考人 買い入れ価格は秘密ということで公表はいたしておりません。
  163. 武部文

    武部委員 買い入れの価格が秘密というのは何を根拠にしているのですか。
  164. 太田康二

    ○太田参考人 これは、やはり海外からいろいろ買うわけでございますから、そういうことが全部筒抜けになりますと業務にいろいろ支障があることは明らかでございますから、秘密事項ということで公表はいたしていないわけでございます。
  165. 武部文

    武部委員 売りの価格についてはそうではないということですね。はいわかりました。  それでは、私がここにいただきました昭和五十一事業年度財務諸表及び決算報告書を見ますと、財産目録、昭和五十二年三月三十一日現在、畜産振興事業団の正味財産は七百四十八億、こういう財産がございますね。これをずっとさかのぼってみますと、四十九年度、いわゆる五十年三月三十一日現在は二百三十八億円、五十年度、五十一年三月三十一日現在、一年後には四百二十二億円、そしてまた一年たって七百四十八億円、ほとんど倍々にふえておるのであります。畜産振興事業団の正味財産はこのように膨大であります。七百四十八億円。資本金は七十八億。資本金の十倍の財産をあなた方はお持ちになっておる。それを、何がこの中の主なものか調べてみますと、ここに出ているとおりでありまして、預金四百十八億、有価証券二百億、このようになっておるわけです。一体何のためにこんなにたくさんの正味財産を持っておらなければならぬか。言葉が悪いが、この金は消費者から取った金だということになるわけです。こんなに倍々々となってくると、正味財産は五十二年度一千億を超えるだろう、そのように思われますが、どういうふうにお考えでしょうか。
  166. 太田康二

    ○太田参考人 ちょっとこの中身を申し上げたいのでございますが、確かに財産目録で、昭和五十二年三月三十一日現在で資産合計から負債合計を引いた正味財産が七百四十八億ということで、御指摘のとおりでございます。この中で、資産の方に書いてございます投資、いわゆる出資金でございますが、これが百二十八億、約百二十九億あるわけでございまして、これは御承知のとおり、私どもの助成勘定から指定助成対象事業として百二十幾つかの団体に対しまして出資をした出資金の合計でございます。それから固定資産に見合いで固定負債がありますが、それを差し引きますと固定資産として約三億程度のお金がございます。それから出資金、私ども政府から仰いでいる出資あるいは民間からいただいておる出資が、先生指摘のとおり約七十八億あるわけでございますけれども、その中には、四十三年の豚肉の買い上げ、あるいは四十八年の牛乳乳製品の買い上げで損失を生じたものが繰越損失金で五十一億見合いの出資があるわけでございます。したがいまして、ネットの出資としては二十七億ということになるわけでございまして、そういったものを差し引きますと、残りといたしまして私どもが保管をいたしておりますのは、積立金として百七十一億、これは輸入牛肉勘定で、これは法律に規定がございまして、資本金の百分の二十五に達するまでは積み立てをしなさいということに相なっておりまして、年々積み立てた輸入牛肉勘定の積立金が二十億、それから補給金等勘定の積立金が百五十一億あるわけでございます。合わせて百七十一億。それ以外がいわゆる資金でございまして、四百十八億。その中がいわゆる助成勘定に使える金でございまして、前年度の繰り越しが百十二億、それから今年度——今年度というか輸入牛肉勘定の繰入額が三百七億、合わせて四百十八億ということでございまして、先生指摘の、えらい大きな額がふえてくるじゃないかというのは、それは端的に言って輸入牛肉勘定の利益が去年は百五十一億だったのが今度は三百七億になるということで、輸入牛肉勘定を、昭和五十年五月から価格安定制度を実施したということに基づく売買差益あるいは調整金という形で出てきておるものが大きく影響をいたしておるというふうに考えております。
  167. 武部文

    武部委員 ですから、輸入牛肉勘定がどんどんふえておる。今度はまた調整金を三百五十円に二百五十円プラスして上げたわけでしょう。そうなれば、これはふえることは確実ですから、またどんどんふえますよ。ですから、そういう調整金の問題について、それが一体どこに行くだろうか、こういうふうにだれも疑問に思うのですよ。きょうは時間がなくて申しわけないが、この話をしなければいかぬので、時間が最後になったのですが、一体何に使われておるだろうかということを繰ってみたわけです。そうしたらあなたの方は出資、助成、そういうもので百二十六法人に対して百二十八億出しておられますね。そのうち調整金は二十三億三千万円、こうなっていますよ。これは数字がそうなっておるんだから間違いないでしょう。ところが一体何に出してあるだろうかと思って——余りたくさんあるので、よく検討することも時間的に不可能だし、一つ一つのことは言えませんが、あなた方の方が金を使ってきた最大のものに利子補給がありますね。これは非常に大きな金額で載っておりまして、これは農林省がいままでやってきたものを今度事業団が肩がわりをして、おとといですか、皆さんの方から九・何%の中の半分くらいを利子補給するんだという話があって、その金額が非常に大きい。これは後、全部事業団が引き続いて金を出して、四年間ですか、これから先もまだ見るわけですから、そういうことになってしまって、これはすでに石油ショックのときの赤字の借金をした者に対する補給になってきておるのであって、建設的なものではない。これは前からのものが引き続いてきたのであって、建設的にこれが生産農家に対して肉牛再生産のための金に回っていくというものではなしに、前のツケが回ってきて、そのものをあなた方がしりぬぐいをしておるというふうになっておると私は理解をいたします。  ここに百二十六件の法人の名前がずらずらずらっと並んでおるわけですが、たとえば「昭和五十二年度の出資の概要」、こういうのがございます。ここに十三件ありまして、五十一億。右の方に事業の内容とか職員の数が書いてありますが、職員の数が、少ないので二名、三名、五名、こういう職員の小さな数が載っております。金額は、一億五千万だとか三千万だとか四億、十二億、大変な金額になっております。それで、ここの代表者の名前を見ると、現職の自由民主党の国会議員、あるいは元農林大臣、前農林大臣、前の農林省の事務次官、参議院議員、いっぱい名前が載っておるわけですよ。これは一体どういう内容の仕事をしておるだろうかということは、これではちょっとわかりにくい。ちょっと見ただけでは余りよくわからぬ。わからぬが、大変な出資金や助成金がされていることは間違いございませんね。  そこで、この中でぱらぱらっと見た中で一つ疑問に——たとえばこういうのはいかがなものでしょうか。畜産環境整備リース協会というのがありまして、ここにはすでに五十一年に十億の機械に対する補助が出されておりますね。そうして今度三億円の金が再びこれに対して出されました。この畜産環境整備リース協会というのは職員七名、代表者は前の畜産局長の岡田さんです。これは「家畜又は家きんのふん尿の適正な処理又は利用の促進のため、機械をリースする事業」、こう書いてあります。聞いてみると、機械は一台百万円から百五十万円だそうです。機械のための助成は十億円です。百万円とすれば、これは一千台の機械が買えます。これは一体何台の機械を持っておるでしょうか。どんな仕事をしておるでしょうか。たったこれだけ一つで結構ですから、御承知ならばお聞かせいただきたい。一体助成とか出資が本当に正しい意味で使われているだろうか。私はちょっと見て、これは何だろうかと思って、これにちょっと焦点を当てて一つだけ聞いておきたい。
  168. 太田康二

    ○太田参考人 助成の関係についてちょっと先生に御説明させていただきたいと思うのでありますが、御承知のとおり、出資なり補助は指定助成対象事業ということで法律に規定されておりまして、それを受けた省令でこういった事業に出資なり補助ができるということになっております。これは一件ごとに農林省と大蔵省の了承を得て実施をいたしておるわけでございまして、先ほどたまたま先生は自民党の先生をお挙げになりましたが、それは確かに中央畜産会とか肉用牛価格安定基金全国協会、これらはすでに昔からある団体でありまして、たとえば家畜取引基金協会、これは昔からずっと出資しておるわけでございます。その後事業規模が拡大いたしましたために、その必要に応じて出資したものがあり、新しく、たとえば無獣医村の獣医師を確保するために獣医師に奨学金制度を始めようということで、その事業はまさに全国の畜産の指導団体である中央畜産会にやらせることがふさわしいであろうということで畜産会に出資をするということの予定をいたしたのでございまして、その辺はひとつ御了承いただきたいと思います。  それからリース協会でございますが、御承知のとおり、畜産経営で大きな問題になりましたのは環境問題の早期解決ということで、豚の場合、牛の場合もそうでございますが、早くこういった環境整備のための機械による処理というものがだんだん技術的にも確立されまして、それをやることが同時に新しい畜産の規模拡大のための必須条件であるという認識に立ちまして、五十一年九月に機械をリースする協会を設立することにいたしたのでございます。その当時、一体どのくらい機械装置についての需要があるだろうかということで想定をいたしました需要規模は約五十億ということでございましたが、当面五十一年度は発足当初のことでもあり、私どもの方といたしましては、貸し付け機械等の購入のための事業費として十億円の助成を行う、こういうことにいたしましたと同時に、貸し付け業務に必要な事務経費を支出するための出資として三億円を出資した、こういうことに相なっておるわけでございます。私の前の理事長が在任当時おやりになった仕事でございまして、理事長がここのリース協会の会長も兼務されておったわけでございますが、事業団をおやめになっても引き続きこちらの仕事は兼務をされておるということでございます。こういった事業は、先生のおっしゃるとおり、ある程度前向きの投資というよりもやや後ろ向きの投資でございまして、これによる生産性の向上ということが大きく期待されるわけではございませんので、できるだけ安い金利の機械を貸し付けたいということでこういう制度をとった次第でございまして、今日まで約一年近くたちましたが、最近は需要もだんだん出てまいりまして、まだ十分ではございませんが、月に七千万から八千万に需要も上っておるというようなことで、ようやく制度も末端まで浸透をしてきたというふうに理解をいたしておるのでございます。一応十一月までの実績では三億五千万の貸し付けが行われたというふうに承知をいたしております。
  169. 武部文

    武部委員 これは何台持っておるのですか。
  170. 石田徳

    ○石田説明員 あらかじめ持っているわけではございませんので、いわば割賦販売みたいな形になっているわけでございます。ある人が百万円なり二百万円の機械が要るという場合に、ここで買って、所有権はリース協会で持っていて、渡しまして、五年間その百万円なら百万円に相当するものに金利を加えて均等で返していくということにしまして、五年間たちますと、そのものは農家のものになる。リース協会としては返済してもらいました金でまた次の仕事を始めるということでございますので、現在までのところは、先ほど理事長がお挙げになりましたような金額で約百七十三台、これは金目が均一ではございませんけれども、そのくらいの実績になっておりまして、最近軌道に乗ってきたところでございます。
  171. 武部文

    武部委員 もうやめますけれども、百二十六件ですね。採算のとれるところ、とれぬところ、あなたがおっしゃったように後ろ向きのところもあるでしょうし、いろいろなところがある。こんな団体がよくもこれだけあるものだと思って私は感心して見たんだが、一体これが本当に必要な団体だろうか。社団法人から株式会社から財団法人から、あらゆるものがありますね。一体このものが本当にそういう調整金なり、あなたの方に農林省から出資をしたそういうものの中で、使わなければならぬものだろうかということに大変疑問を持つのです。だけれども、そんなことをここで一々やっておったら一日かかっても大変なことになる。いずれまたお聞かせいただいて、われわれがもし疑問が解消できるならばそうしていただきたい。この調整金の行方というものについては、国民としては大変疑問を持っておりますから、そういう莫大な調整金が取られて、一体どこに消えておるだろうか。あなた方は、それは生産農家に出して生産が促進されるようにということを答弁しておられますが、現実には農家には直接来ないわけです。直接は来ませんよ。それは利子補給ぐらいのものでそのものは来るでしょう。しかし、現実にそのものが社団法人や財団法人や株式会社の手を通じて農家に直接金が行っているかというと、そうじゃない。そうなってくると、一体莫大な調整金というものが、果たして生産農家のいわゆる事業の促進、国内の零細農家のために役立っておるだろうか、こういう点については私もこれを見ただけでも疑問に思うのです。  だから、これは時間をかけてやらなければいけませんから、きょうはこれでやめますが、そういうことでお互いに疑惑のないように、あなた方疑惑ないと言うかもしらぬが、われわれに疑問を生じないように、しっかり説明ができるようにしておいていただきたい。大変時間が過ぎましたので……。
  172. 石田徳

    ○石田説明員 一言、先生の先ほどお挙げになりました百二十何団体でございますが、先生、実は都道府県ごとに一つずつある協会もあるわけでございます。これはたとえば肉牛の価格安定などをやっておりまして、そういう団体が二種類ありますと、すでに百になるわけでございます。それを引きますと、それほど数は多くないわけでございます。  それから農家に行き渡っていないじゃないかということでございますが、そういう団体を通じて利子補給等をいたしておりますので、農家に目に見えるような現ナマは渡していない、その金利は下がっておる、こういうことでございますので、その点を御理解いただきたいと思います。
  173. 武部文

    武部委員 終わります。
  174. 西宮弘

    ○西宮委員長 武部文君の質疑は終了いたしました。  次は、中川嘉美君。
  175. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 今日の天井知らずの円高に関連をいたしまして、そのしわ寄せを一番受けているところの中小零細輸出業者に対する救済措置等について、きょうは伺いたいと思いますが、その前に消費者物価指数について二、三お伺いをしたいと思います。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕  政府は今年度の消費者物価指数の見通しを今後どのように見ておられるのか、この点についてまずお答えをいただきたいと思います。
  176. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 最近の消費者物価につきましては、全国について九月まで、それから東京都区部につきまして十月までの数字が出ておりまして、いずれも昨年の同期に対しまして七・六%という数字になっております。  本年度の私どもの物価の目標といたしましては、年度平均で八・四%、年度中七%台、七・七%を目標として、その目標の達成に努力しているわけでございますが、現在の状況におきましては、比較的季節商品が落ちついた動きを示しているということと、それから昨年に対しまして公共料金の上昇の度合いが低いというようなこと、それから季節商品、公共料金を除きましたいわゆる一般商品サービスと言いますか、そちらの方の上昇の度合いが全般的に昨年より落ちているというようなことで、それぞれの理由がありまして現在の物価の水準ができ上がっているわけでございますが、これから年度末に向かいまして、私どもとしましては、ぜひとも当初の目標を達成するように努力をしていきたいと思っておる状況でございます。
  177. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 総理が去る十六日の産業労働懇話会の場で、消費者物価の下方修正を表明したようですけれども、すなわち、宮田鉄鋼労連委員長が物価安定に関連をして消費者物価の政府目標の引き下げ等を求めたのに対して、総理は、補正予算編成のときも考えたが、いずれ年内には来年度予算の編成をし、その中で来年度の経済見通しを考えることになるので、その際宮田委員長の意見も踏まえて見直したい、このように下方修正の要求に応ずる意向を初めて明らかにしたそうですけれども、総理はこういった意向を実現するものかどうか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  178. 倉成正

    ○倉成国務大臣 産労懇の席には私も総理と一緒に出席をいたしておりましたが、いまお述べになりましたような発言を総理がいたしました。ただ、下方修正という言葉は新聞社が使った言葉でありまして、総理は使っていないわけでございます。  国民の要望として何とか消費者物価がもう少し低い水準にならないものかという願望については、総理も十分理解しておるわけでございますけれども、御案内のとおり、さっき物価局長申しましたように、いま物価が非常に安定している状況の背景に、野菜と果物が昨年の四月から十月の上昇率に比較いたしまして非常に低いという条件がございます。したがって、この部分が天候その他の事情によって大きく変わる可能性がある。ちょうど昨年の年度末のときに異常寒波がございました、いろいろな天候条件のために野菜の値上がりというのが大きく響いたわけでございます。したがって、もう少し様子を見きわめる必要があるのではなかろうか、特に年度中の上昇率というと大変不確定な要素があるので、やはりそういうことも見きわめた上でひとつ考えたらどうかという意味のことでございまして、現在のところは、宮田発言は十分テークノートするけれども、姿勢としては白紙というのが正確な表現ではなかろうかと思います。  なお関連して、宮田さんは定期預金の金利に来年度中に何とか抑えるようにしてほしいというお話がありましたけれども、これはちょっと無理です。やはりまだそこまではちょっとできませんということを総理ははっきり申したわけであります。
  179. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そうすると、確認の意味のようになりますが、「宮田委員長の意見も踏まえて見直したい」という表現ですが、これは報道されているような、総理がそういったものに応ずる意向を初めて明らかにしたというのは、いまの御答弁からすると、それほど長官としては積極的な発言とも受けとめなかった、こういうことですか、一応確認しておきたい。
  180. 倉成正

    ○倉成国務大臣 総理の発言をどのような形で受けとめるかということは、その方の主観によって大分違うのじゃなかろうか、現に、御案内のとおり、今度の経済見通しを補正予算提出前後に改定したわけでありますが、そのときも、卸売物価の方は見通しを改定いたしましたけれども消費者物価の方は改定しなかった経過がございます。したがって、いま消費者物価をそのままにしておくとも申しておりませんが、さればといって下方修正を必ずする、そういうことはちょっと総理の発言は正確でないというふうに思います。
  181. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 消費者物価が落ちついている理由ですけれども、内需の不振による不況の浸透、そして円高による卸売物価の鎮静化が原因と思われますけれども、この点はいかがでしょうか。
  182. 倉成正

    ○倉成国務大臣 おっしゃるとおり卸売物価の影響もあると思いますけれども、卸売物価がずっと消費者物価に波及してくるにはかなりのタイムラグがございます。特に円高によって卸売物価は端的にことしに入りましても為替要因で一%程度下がっておるわけですけれども消費者物価にはなかなかストレートに響いていないというのが実情でございます。したがって、ことしの消費者物価について申しますならば、公共料金の上昇に対する寄与度が少ないということが一点。それから、ただいまお述べになりました要素のほかに、季節商品の野菜、果物が非常に落ちついておるという状況、とれがやはり大きく寄与している、その辺を私ども十分注意をして見ていく必要があるのじゃなかろうかと思っておるわけでありまして、ちなみに消費者物価の中に占めるサービス並びに季節商品のウエートは四〇%を超しているわけでございますから、これらのものがどう動くかということが消費者物価の動向には非常に大きな影響力を持っておるわけでございます。
  183. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そういうことで、物価は一応政府の見通しを達成できるとしましても、景気そのものの回復がおくれている。政府は本年度当初において、夏ごろには景気が好転をする、こういうふうに言っていたわけですが、秋になっても好転できなかった。さらに、今回の二兆円の不況対策にもかかわらず、円高の影響によってこの対策の効果が減殺されて景気回復の見込みが立たない状態であると思いますけれども、この点はどうか。  そして、第二次補正を組まざるを得ないのじゃないかとも思いますけれども、この点もあわせて御答弁をいただきたいと思います。
  184. 倉成正

    ○倉成国務大臣 現在の景気動向を考えてみますと、公共事業の前倒しをやりました効果がようやく若干出かかってきておるわけでありまして、政府投資は非常に順調に増加しておりますし、また、最近の景気指標の中で在庫が若干減り出してきたという点は、その明るい要素でございます。  しかし同時に、急激な円相場の急騰ということから、やはりその影響が非常に心理的な大きな圧迫要因になっておるというのが実情でございまして、生産の状況は一進一退と、なかなかはかばかしい景気回復という状況ではないというのが率直な現在のところでございます。特に輸出関連の中小企業等については非常に深刻な影響を及ぼしている、こういうふうに認識をいたしております。
  185. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 第二次の補正についてはいかがでしょうか。
  186. 倉成正

    ○倉成国務大臣 現在のところは、御案内のとおり国会の会期もこういう状況でございますし、私ども総合経済対策を先般決定をいたしましてこの効果が年度内に一兆五、六千億出る、一年ぐらいの間には三兆数千億、また全体を通じますと四兆円を超す波及効果が出てくるということでマクロモデルではじいておるわけでございますが、なるべくこの効果を年度内に多く出るように工夫をしてみたい。そのためには、公共事業等についても、年度内に完全に消化ができるように関係各省にひとつ格段の努力をお願いしたいということを要望いたしております。  それからまた、民間の設備投資にいたしましても、一番の大口は電力であります。したがって、この電力投資について、立地上の問題や地元のいろいろなトラブル等があるわけでございますけれども、これをできるだけ地元民の御協力を得まして、そして投資が行われるということになれば、これはやはりかなり景気浮揚に大きな効果を持つと思っておりますので、そういう問題についてもいま鋭意努力をいたしているのが実情でございます。したがって、現時点で第二次補正を考えるというつもりはございません。
  187. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 物価の安定と景気の回復、この同時達成ということが政府の公約であったわけですけれども政府の見通しの誤りと対策のおくれによって、対外的な信用を失墜し、外圧が高まって円高を招いたわけですが、ただいまの御答弁の中に出てきました中小零細輸出業者、要するにこの円高のしわ寄せを一番受けているのが言うまでもなく中小零細輸出業者であるわけであります。  これはつい最近の新聞報道によるわけですけれども、「「倒産の危機」熱く訴え 全国中小業者が決起大会」としてありまして、内容は、抜粋して読みますけれども、「「物価をつり上げ、中小業者を苦しめる一般消費税新設反対」「円高被害を救済する緊急対策を」などのスローガンを掲げた全国中小業者総決起大会が十七日午後零時半から、東京・日比谷公会堂で開かれた。」この記事によりますと、さらに、「会場内は洋食器の新潟・燕、繊維の群馬・桐生、刃物の岐阜・関など全国各産地から上京してきた輸出関連中小零細業者代表ら約三千人でぎっしり埋まり、年末にかけて倒産の危機に直面している深刻な事態を反映して熱っぽいふん囲気に包まれた。」これは、御承知のとおりの会合でございますが、さらにしわ寄せを受けているものとして、いま申し上げた中にもちろん含まれますが、玩具、双眼鏡あるいは喫煙具、ガラス、かばん等も東京を代表するところの輸出産業であるわけで、特に下町を中心とするこれらの業界の中小零細企業は、いわば不安定で、未曽有の高値を記録した円高相場でひときわ厳しい打撃を受けているのが実情となっております。どの業界関係者の口から、悲観的といいますか、もう手の打ちようがないんだ、このままではもう輸出は半分になりそうだ、あるいはまた、思い切った融資はできないものかというような、有効な方策のとれない政府にいら立ちを示している。  そこで、まず伺いたいのは、円高が中小零細企業に与える影響が非常に大きい今日、中小企業庁が最近、産地の実態調査、これを行っていると思いますけれども、その結果をここで要約して御説明をいただきたいと思います。
  188. 中澤忠義

    ○中澤説明員 先生指摘のとおり、現在中小企業庁といたしましては、全国の輸出型の産地を七十余り選びまして、都道府県あるいは通産局の協力を得まして実態調査を実施しております。すでに調査票は集まってきておりまして、現在最終的な取りまとめをしておるところでございますが、計量的な数字は近く発表できると思いますけれども、特色を二、三御報告しておきたいと思いますが、まず、十月中の産地におきます新規契約が、円相場の上昇が非常に継続しておる結果、発注の模様ながめという状況が非常に特徴でございまして、従来相対的に強いと言われておりました機械関係につきましても、産地の新規契約が大幅に減少しておるということになっております。十月末の受注残で申しましても、対前年比あるいは対前月比ともに減少しておるという産地がほとんどでございまして、受注残につきまして大幅に落ち込んでおるというのが私どもの現在の調査結果でございます。  以上でございます。
  189. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この調査に関連して、詳細はそういうことで目下作成中であるということですけれども、私が調べたところによりますと、円高相場が今後二百五十円台で推移しますと、新規成約の落ち込みによる親企業からの加工賃の引き下げとか、あるいは仕事量の確保のための価格の引き下げ等の窮状を訴えている雑貨関係企業がありますけれども通産省に伺いますが、通産省としてはどのようなこれらに対する対策を行おうとしているのか。特に、いまはもう二百四十円台で高値を更新している今日ですが、関連輸出業者はますますその影響を受けざるを得ない、こういうわけですけれども通産省の具体策をここで明らかにしていただきたいと思います。
  190. 中澤忠義

    ○中澤説明員 円高相場が最近急激に高騰しておるということで、特に輸出関連の中小企業につきまして深刻な影響が出てくるということは予想しておるわけでございます。したがいまして、通産省といたしましても円高のための対策本部を先般スタートいたしまして、十一月四日に十項目の円高の緊急対策を決めております。その主要な項目といたしましては、中小企業の為替変動対策緊急融資制度、これは十月一日から発足したものでございますが、この制度を改善いたしまして、十月からさかのぼって、六・四%という低金利を適用するということを十一月四日に決めております。そのほか政府系の金融機関三機関の融資を活用するということ、また信用補完制度につきましても、信用保険公庫あるいは信用保証協会の積極的な活用を行う。さらには、事業転換対策の制度の充実、そして税制上の優遇措置という諸般の措置につきまして、今後強力にこの制度の改善を図っていくということにしております。  また、先生ただいま御指摘の、下請関係に対する波及が懸念されるわけでございますので、下請企業に対しましても為替変動対策緊急融資の適用が行われますように、指定業種の親企業の傘下の下請業者につきましてもその対象に含めるという措置をとっているところでございます。また、円高を契機にいたしまして、親企業が下請企業に不当なしわ寄せをいたしませんように、下請代金支払遅延等防止法等によります取り締まり、あるいは下請振興基準の遵守等を通じまして、下請業界の企業の保護と申しますか立場を十分に確保してまいりたいというふうに考えております。
  191. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 ただいまの御答弁の中で、中小企業為替変動対策緊急融資制度についてのお答えがありましたけれども、手元の資料では、金利が年七・六%、通常金利である上、ただでさえ借入金が多いところに、先行きの見通しがつかないままさらに借り入れることは負担が強くなり過ぎるという、これは産地の声だと思いますが、このことについては、先ほど、六・四%ですか、この点、ちょっと確認しておきたいと思うことと、このことによって、それではどのような影響が出てくるであろうか、この点をちょっと確認しておきたいと思います。
  192. 中澤忠義

    ○中澤説明員 あるいは私、申し違えたかもしれませんが、中小企業の政府系三機関の融資は、通利は七・六%でございまして、十月一日から発足いたしました為替変動対策緊急融資につきましても、別枠の枠を設けるというのが十月一日からの発足のときの決定でございましたけれども、金利につきまして、低金利を望む声が非常に強いということもございまして、十一月四日の閣議決定をもちまして六・二%の金利を十月一日にさかのぼって適用するということ、さらに、通常の条件でございますと返済期間が五カ年間でございますけれども、三カ年の据え置き期間を置きまして、三カ年間につきましては六・二%、後半の三カ年、すなわち六年間に返済するわけでございますが、後半の三カ年につきまして六・七%という金利を設定したわけでございます。したがいまして、現在、当面の苦しい状況を勘案いたしまして、今後三カ年間は据え置き期間を置きまして、その間に六・二%を設定するという決定をしておるわけでございます。  以上でございます。
  193. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 同じく報道によりますと、「今後も二百五十円台で推移した場合の見通しについて、繊維関係では各産地とも軒並み新規成約が落ち込むと予想しており、また親企業から加工賃が引き下げられる恐れがあると心配している。さらに一部には「これ以上の出血成約はできず輸出をあきらめざるをえない」という声も出ている。雑貨関係では業種によって差があるものの、がん具、陶磁器などでは成約が前年に比べ二〇−三〇%程度減るとみており、さらに食卓用陶磁器、刃物、眼鏡ワクなどにいたっては年内はまったく成約の見通しがたたないと苦慮している。」云々と書いておりますが、このように業種によって前年より二〇から三〇%も成約の落ち込むもの、年内には全く成約の見通しが立たない業種等があるわけですけれども、財政、金融的措置のみではなく、さらに別な対策が必要じゃないだろうかと思いますが、ここで通産省は、実施可能でしかも即効的な施策をこの際講じなければならないのじゃないかと思いますが、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  194. 中澤忠義

    ○中澤説明員 先生おっしゃいましたように、先高の円相場状況ということで、現在成約がほとんど進んでおらないというところが最大の問題だと思います。したがいまして、私ども調査いたしました結果によりましても、中小企業といたしましては為替相場の安定を望む声が非常に強いわけであります。安定をすればバイヤーからあるいは海外からの発注が戻ってくるということで、レートの水準の問題もさることながら、まず安定をしてほしいという声が非常に強い状況でございます。基本的には為替相場の安定が望まれるわけでございますけれども、対策としては、その間に中小企業にとって仕事をつないでいく、あるいは金融面で倒産を回避するためのつなぎが必要でございますので、従来から政府系三機関の資金量につきましては十分これを確保するという方針をとってきたわけでございますけれども、これに加えまして、返済猶予等の措置につきましても弾力的にこれを行うように指導をしておるところでございます。また、何と申しましても、担保あるいは追加の保証というものがないために金融が受けられないということは極力避けなければいけませんので、中小企業の信用保険法に基づく倒産企業の指定を機動的に行いまして、倒産企業に関連する中小企業者が連鎖的に倒産に陥らないように資金調達の円滑化を図っているところでございます。  さらに、今回、不況対策といたしまして、中小企業倒産の緊急融資制度を実施したわけでございますが、これに加えまして不況業種指定を行いまして、信用保険法に基づきます信用補完の業種の増加をいたしました。これは六十四業種から九十二業種に拡大をいたしておりますけれども、それによりまして信用保険上の特例の対象を拡大するということを実施しておるわけでございます。そのほか十一月一日から、不況業種に属する赤字の中小企業者に対しまして、政府系中小企業金融機関の既往借入金の金利引き下げにつきましても措置を行ったところでございます。なお、今後の問題といたしまして、さらにこれらの融資制度の改善に努めてまいるつもりでございますけれども、来年度にかけまして連鎖倒産を防ぐために、連鎖倒産防止のための共済制度を今国会におきまして提案しておりまして、本日衆議院におきましてはその可決をいただいたところでございます。  以上でございます。
  195. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 お答えいただいたわけですが、やはり実施可能であるということ、中小零細輸出業者にとってみるならば、活用可能といいますか、しかも即効的な施策というものが当然望まれるわけです。さらに調査によりますと、今後輸出型産地の中小零細企業には、一層の合理化努力はもちろん、事業転換を含む厳しい対応が迫られている、このように言っておりますけれども、合理化とか事業転換とかは、私にはどうも即効性があるようには思えないわけであります。政府はこういった厳しい産地企業の実態を本当に十分に認識しているのかどうか、内外から厳しく対応を迫られるのは政府自身の対策に問題があるからではないか、このように考えます。いま一度責任ある答弁をお聞かせいただきたいと思います。
  196. 中澤忠義

    ○中澤説明員 中小企業庁といたしましても、中小企業者に対する影響を正確に把握するということがまず大前提でございますので、円高調査につきましては七月から逐月実施しておるわけでございますが、七月当初選びました二十二の対象産地を拡大いたしまして、約八十に近い、七十九産地になっておりますが、七十九産地を全国一円、都道府県あるいは通産局の応援も得まして、機敏にその影響が入るようにチャンネルをつくったところでございます。しかも、十月の影響を見ておるだけではいけませんので、最近におきましては、円レートの変更によりまして、そのレートに従って電話等によりまして直ちに聞き込み調査ができるような体制を本省、通産局をつなぎましてとっております。先生指摘のように非常に深刻な事態でございますので、私どもといたしましても従来の制度で十分だとは考えておりません。したがいまして、税制の問題あるいは金融措置等も含めまして今後年末あるいは来年にかけまして一層制度の拡大を図ってまいりたいと考えております。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  197. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 先ほどの例の中小企業為替変動対策緊急融資制度、ちょっとここにもう一回戻ってみたいと思いますが、先ほど御答弁の中には、実際どのような形で適用されているかという適用状況、これをまだお聞きしてなかったと思いますし、さらに、四十六年ドルショックの際に、赤字に転落した中小企業に三年間さかのぼって還付したところの法人税の還付方式について、この辺は現在どのようになっているのか、どこまで具体化をされているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  198. 中澤忠義

    ○中澤説明員 第一の御質問の為替変動対策緊急融資の利用状況でございますが、この制度は十月一日から発足したわけでございます。十月末現在の利用状況を三機関を合計いたしまして御報告申し上げますと、申し込みの状況では、三機関合計で約四十億円、四十億三千五百万円の申し込み、二百九十五件でございます。そのうち、貸し付けで実行になったものは十月末では三十六件、五億三千万円ということになっておりますが、これは融資の実行上十月一日から発足したものでございますから、十月末現在の貸付実績は低うございますけれども、これにつきましては特に迅速に融資審査等を行うように申しておりますので、現時点ではさらに高い実績になっておるかと思います。いずれにいたしましても相当数の申し込みがあるという状況になっております。  第二の御質問の税制措置でございますけれども先生指摘のように、ドルショックのときに法人税の還付を特例に行っております。通産省といたしましては積極的に税制の特例措置を実施したいという方針を決めておりまして、輸出関連企業を営んでおり、かつ為替相場の急激な変動の影響を受けておる中小企業につきまして、欠損金の繰り戻し制度によりましてその税金還付を既往三カ年にさかのぼって行う。現行法では一カ年がその繰り戻し期間でございますけれども、それを三カ年にさかのぼるという特例を行いまして、地方税につきましても、欠損の繰り越しにつきまして二年間延長するという方針で現在主税当局と折衝しているところでございます。これにつきましては近く税制調査会等の手続があるわけでございますけれども、ぜひ実現をしてまいりたいと考えておりますし、現行税制の枠内で、影響を受けます中小の関連企業に対しまして、中間申告制度あるいは予定納税額の減税承認制度等につきましても積極的に活用を図ってまいりたい、かように考えております。
  199. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 これは要望ですけれども、急騰したまま幾らで落ちつくかさっぱりわからないところの円高相場に、ふえる一方の倒産とかまた失業、いわば不況のどん底で苦しむ中小零細輸出業者、企業全体と申し上げてもいいかと思いますが、何らの希望を見出せないままこの年末を迎えようとしている、この際、政府のより積極的な、そしてまた具体策の実現に努力されんことを強くここで要望をしたいと思います。  次に、政府は円高による為替差益は消費者に還元をしようとはしない、また輸入品の流通機構の改善を積極的に行おうともしないのが実情ではないかと私は思います。その上、現実には中小輸出産業に対する即効的な対策の実現については努力はしておられるようですけれども、何といっても、現在の段階ですと、放棄していると言っても決して過言ではないような国民の声もある。政府は内外からのこういった無策に対する批判に対してどのように対処するつもりなのか。部分的な施策が効果がないとするならば、条件つきの、すなわち期間を定めてもと言いかえた方がいいかと思いますが、為替変動準備金制度的なものがむしろこの際必要ではないかと考えますけれども、この点についての御意見を伺いたいと思います。
  200. 中澤忠義

    ○中澤説明員 現在、金融面あるいは税制面等につきまして総合的な緊急対策を各省とも協議しながら進めておるところでございます。  為替変動準備金制度あるいは中小企業にとりまして特に重要な自己資本の充実という点につきましても、私ども通産省といたしましては、たとえば投資減税の一環として、あるいは中小企業者の自己資本充実の一環という形で、今後主税当局等と検討してまいりたい、かように考えておるわけでございますけれども、むしろ最近の円高状況による成約ストップ、あるいはつなぎ融資的な面ということに関しましては、金利面についての低減を相当程度思い切って図っておりますし、政府系三機関の融資業務の迅速な処理、あるいは信用補完措置の充実という面で即効性のある対策をとってまいりたいと思っておりますし、今後さらに腰を据えてこれに取り組むようにという先生の御指摘につきましては、私どもその御趣旨を体してがんばってまいりたいと考えております。
  201. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いまの御答弁を実際に反映していただくためにも、中小零細輸出業者が一体どのような現状に置かれているかという細かいその実態をしっかりと政府が掌握されていなければならないと私は思います。掌握途上にあるというものもあるかと思いますけれども、そういった中から実際の具体策が生まれてくると思います。こういったことに関連をして、倒産の問題について二、三伺ってみたいと思います。  今年度の上半期の倒産、それも負債が一千万円以上について見ますと、その倒産件数は九千二百五十四件、前年同期比を見てみますと二四%増となっておりまして、過去最高水準という結果になったわけですけれども、倒産の原因は、九月分について見ると果たしてどのような姿になっているか、お答えをいただきたいと思います。
  202. 中澤忠義

    ○中澤説明員 倒産の増勢は非常に強いものがございまして、昨年全体では一万五千六百件のレベルでございましたけれども、五十二年に入りましてからは月平均で千五百件、これは負債金額が一千万円以上の倒産件数でございますが、非常に高いレベルになっております。九月には千五百四十件、十月には千五百九十八件という件数になっております。原因別倒産状況、これは民間の信用調査機関でございます東京商工リサーチの調べたものでございますが、原因別で一番高いものはやはり販売不振で、六百十八件となっております。そのほか放漫経営というカテゴリーもございますが、三百八十四件、連鎖倒産百九十五件というような順序になっておるわけでございます。これは十月の数字でございます。
  203. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いまお答えいただいたのは十月だそうですけれども、私の手元の資料を見てみますと、これはさっき申し上げた上半期が対象になっている数字ですけれども、パーセンテージで言った方がよくわかると思いますが、融通手形あるいは高利金融絡みの放漫経営が三一・五%、それから販売不振、業界不振、さらには売掛代金回収難などのいわゆる不況型倒産が五四・九%、全体の半分以上を占めているということ、この事実をここで再度認識をいただかなければならないのじゃないかと思いますが、そこで、先ほど御答弁いただいた十月について、いわゆる円高の影響を受けて倒産に追い込まれたということについての何か資料があればお答えをいただきたいと思います。
  204. 中澤忠義

    ○中澤説明員 円高が原因であるというストレートのカテゴリーというものはないわけでございます。また、現在進めております産地別調査、それから産地別調査でも十月に結果が出ました二十二産地の調査はすでにあるわけでございますが、そのような従来進めておる調査によりますと、一応稼働状況と申しますか、出荷状況と申しますか、六月、七月ごろ発注を受けました、契約に基づきます生産あるいは出荷につきましては、十月段階におきましても、順調と申すのはちょっと語弊がありますけれども、一応進んでおるわけでございまして、一番問題は、今後の成約の見通しがない、あるいは発注残が少ないということでございますので、統計的に出ておりますこれらの倒産件数の中に円高によるものが十月段階で大きなウェートを占めているというふうには私ども考えていないわけでございます。
  205. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 時間のあれもありますので、最後にもう一つだけ伺いますが、この中小零細輸出業者の中でも特に雑貨関係を扱う業者ということになりますと、資本金が一千万円以下がほとんどである。規模もせいぜい十人から十五人ぐらい、あるいはもっと小さいところもあるわけですが、こういったところが大半であると言っても過言ではないと思います。こういった業界を含むこの輸出業者の倒産に関する実態調査、明らかに円高のしわ寄せを受けて倒産したものも現実に私はあると思いますが、こういった詳細を含めて現在どの程度調査を進めておられるのか。東京を中心とした先ほど述べましたいわゆる下町の、おもちゃとか、履物とか、皮製品の袋物とか、いろいろな雑貨関係を扱う業者が非常にいま窮地に追い込まれている現実は私もよく目の当たりに見るわけですけれども、そういった規模の企業の倒産状況に対する実態調査というところに焦点をしぼって、通産省が果たしてどこまで調査を進めておられるのか、その点の実情をお聞かせいただきたいと思います。
  206. 中澤忠義

    ○中澤説明員 現在進めております調査は、全国で八十近い産地を選びまして、中心はやはり大阪、東京あるいは中京地区等でございますが、輸出のウエートが非常に高い産地——繊維、雑貨、軽機械というものが中心になるわけでございますが、その産地について、私どもの方から団体を通じ各中小企業の皆さん方にアンケートを出しまして、かつその調査票を通産局及び県で集計いたしまして、その中からまた県当局が直接企業の方に聞き込み調査をしてもらうということで進めておるわけでございます。したがいまして、統計表によるものと、あるいは実際に県別での担当官が行きまして実情を聞き調査を進めておりますので、中小企業の中でも特に零細な下請あるいは孫下請と申しますか、その下請の下請に相当する企業につきましても、円高の影響がどのように出ておるか、あるいは経営の状況がどの程度まで苦しくなっておるかということを、相当きめ細かに聞くような体制で進めております。近くその結果はまとめまして、円高の全国的に中小企業、産地に及ぼしておる状況ということで御報告申し上げられるというふうに考えております。
  207. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 最後に要望しておきますが、下請の下請という表現、私どもも本当に中小小規模企業あるいはまた家内工業と言った方が妥当かと思いますが、そういったところは最もこのあおりを受けて、すでに窮地に追い込まれてしまっているという状態であるわけですけれども、ただいまの御答弁を、ぜひとも一日も早くそういった実態というものを明らかにしていただくとともに、先ほど来論議してきました政府としての具体的な施策、即効性の強い施策を一日も早く講じることによって、これらの中小零細輸出業者また関連業者を一日も早く救済することに最大の努力を払っていただきたい、このことを最後に要望いたしまして、終わりたいと思います。
  208. 西宮弘

    ○西宮委員長 中川嘉美君の質疑は終了いたしました。  次は、藤原ひろ子君。
  209. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大臣初め関係者の皆さん、大変おそくまで御苦労さまでございます。私は、きょうは私立大学の学生生活と授業料の問題についてお尋ねをしたい、こう思っております。  きょうは、大学の危機打開のための大学関係七団体によります大きな決起集会が行われております。七団体と申しますのは、日教組の大学部、日教組の私立学校部、日本科学者会議、全学連、全国大学院生協議会、全国学生寮自治会連合、全国大学生活協同組合連合会、この七者は「教職員や院生・学生の生活条件は、公共料金の大幅値上げをはじめとするあいつぐ物価上昇によっていっそう苦しくなっています。とくに私立大学の高額な学費は、現在でも国民にとって大きな負担であり社会問題となっています」、こういうふうに訴えて、政府へ統一要求を持って国会に陳情し、決起集会を開いたわけでございます。  こういう中で、本年度を見てみますと、大学数が三百三あるわけでございますが、授業料を値上げいたしました大学は百九十八に上るわけでございます。五十三年度には、調査をいたしますと、百八十の大学のうちに値上げをすると決めているのが四十八大学、据え置きが十三大学、いままだ検討中だというのが百十九大学あるわけでございます。最近では特に愛知大学、奈良県立医大の裏口入学の問題が大変な社会問題になってきておりますが、まず最初に、基本的なところで私はお尋ねをしていきたいと思っております。  憲法はその二十六条で、「すべて國民は、法律の定めるところにより、その能力に感じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」と述べておりますし、教育基本法の三条でも、「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、」そして続いて「経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。」とうたっておりますが、文部省としても当然これらを基本に行政を行っておられると思いますけれども、いかがでしょうか、お尋ねをいたします。
  210. 大塚喬清

    ○大塚説明員 文部省といたしましては、憲法の精神に基づきまして教育が行われるように配慮しておるところでございます。
  211. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 現在小中学校は義務教育で、高校進学率は五十一年度には九二・六%で、大学の場合には三三・九%となっております。基本法の経済的差別を受けないという精神からいたしますと、能力があれば貧しい人の子供でも大学に入学することはできるわけでございますね、いまの御答弁からいたしますと。いかがでしょうか。
  212. 大塚喬清

    ○大塚説明員 だれでも能力があって大学教育、高等教育にふさわしい者であれば教育を受けられるようにということで、育英、奨学の事業を行ったり、それぞれの状況に応じて対処できるようにいろいろな苦心をしておるところでございます。
  213. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 あなた方がつくられました学生生活実態調査によりますと、たとえば家庭の年間収入が三百五十万円未満で見ますと、五十一年度調査で大学生は全体の四一・一%です。私立になりますと比率が下がりまして三六・三%となっております。この比率は年々下がる傾向にございます。言いかえますならば、収入の多い家庭しか大学には行けないのではないかと心配するわけですが、文部省は、教育基本法の精神はこれでも守られているというふうに考えていらっしゃるでしょうか、いかがでしょうか。
  214. 大塚喬清

    ○大塚説明員 学生の生活の実態は非常に困難な状況にあることは承知しておりますが、そういう次第でございますので、私どもも従来から学生の生活の実態であるとか経済情勢等を総合的に勘案いたしまして、育英、奨学につきましては、貸与月額の増額であるとか貸与人員の増員を図って、そういう精神に沿っていきたいということで努力をしておるところでございます。
  215. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 奨学資金につきましてもなかなか困難な問題があるというふうに私は実態をとらえているわけでございます。私が聞いておりますのは、極端な言い方をいたしますと、お金はなくても能力さえあれば大学に行けるのか、そういうことになっているのかということが聞きたいわけです。一体そういう仕組みになっているでしょうか、いかがでしょうか。
  216. 大塚喬清

    ○大塚説明員 これは授業料の問題に関連するかと思いますが、授業料につきましては、一応一般的には、国立大学におきましては、法律的な概念といたしまして、営造物の使用料というような考えで受益者の負担としての性格を持ったものと考えております。  御存じのように、営造物とは、国や地方公共団体によりまして公の目的に供される人的、物的なものの総合体を言うわけでありまして、そういうような考えで受益者の負担というものを考えておるということ。それから、私立大学の方の見解といたしましても非常に似たような考えで、私立大学で行います教育活動の面において所有または占有しております人的、物的財産を総合的に提供するものであるから、授業料は大学が提供する教育の対価と考えられるというようなことを私立大学関係者も称しておるわけでございますので、私どもといたしましては、適正な授業料、それから、生活の実態が非常に困難な現状では授業料にプラスの学生生活の方のめんどうを見れるようなことで対処してまいりたいということで努力しているところでございます。
  217. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、ここに全学連が出しております「祖国と学問のために」という新聞を持っているわけですけれども、これをちょっと御紹介をしてみたいと思います。  「五〇〇万円の学費を納めるために「金策に走りまわる父母の姿をおもうといたたまれない」と遺書を残して、私立岐阜歯科大学に合格内定したばかりの神戸のある予備校生がガス自殺(五十二年二月)、私立大学に合格した息子の入学時の納付金の工面がつかず「ふがいない母親を許して」と遺書を残して電車に飛込み自殺(五十一年三月)など、あまりにも高い学費の暗い影は受験生や大学生、そしてその家族に容赦なくおおいかぶさり、すでに自殺者すら出る深刻な社会問題となっています。」 こうありますが、文部省はこういった実態を把握しておられるでしょうか、こういったことは起こっていないとお考えでしょうか、いかがでしょうか。
  218. 塩津有彦

    ○塩津説明員 岐阜歯科大学の関係で受験生が自殺したという事実は承知いたしております。
  219. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 よく御存じだということでございます。  それでは具体的に聞いてまいりたいと思います。  経企庁にお尋ねをいたしますが、四十九年から五十二年にかけまして消費者物価の上昇率はどういうふうになっていますでしょうか。
  220. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 全国総合で申し上げますと、四十九年度には前年度の、平均でございますが二一八%、五十年度は一〇・四%、五十一年度は九・四%ということになっております。
  221. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、同じ時期の私立大学の授業料の上昇率はどうなっているでしょうか。
  222. 斎藤尚夫

    ○斎藤説明員 授業料、入学料、それから施設設備費を含めました学生納付金全体について申し上げたいと思います。  四十九年度には、前年度に比べまして入学時の学生納付金は八・九%の上昇、五十年度は、四十九年度の石油ショック等の人件費の増加がございまして急速に上がりまして三一・五%の増、その後鎮静に向かいまして、五十一年度には一九・九%、五十二年度には一〇・五%ということになってまいりました。
  223. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 消費者物価指数は四十九年度から五十一年度に一二二・二%になっております。この間授業料の方は一四八・六%になっております。これでは大学生活は大変なものになっていることが明らかであるわけです。  大学生協の調査によりますと、一カ月の食費が一万七千二百九十円、一日にいたしますと六百円の食費という学生がいるようでございます。かなじ伸子さんという人が調べました大学の二部学生の調査によりますと、毎日三食食べている人は四人に一人という結果が出ております。文部省は、学生が正常な食生活をしていると考えておられますでしょうか、いかがでしょうか。
  224. 大塚喬清

    ○大塚説明員 個別な特別な例は私も具体的にはわかりませんが、一般的に私どもが知っている範囲では、ちゃんとした食生活をしておるというふうに理解しております。
  225. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、いま申し上げましたことは事実でないということなのか、それとも、そこまで調査をしていないということなのか、いかがでしょうか。
  226. 大塚喬清

    ○大塚説明員 いまのお話の件について知っていないということでございます。
  227. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先ほど、一般的に学生はきちんと食事をしているというふうに認識しているという御答弁があったわけですが、このかなじ伸子さんという人が調べたと同じ調査をしておられないかもわかりませんけれども一般的に、先ほどおっしゃったように学生はよく食べているというふうにお考えでしょうか。こういういま申したような例は特別であって、ほとんどない、よく食べているというふうにお考えでしょうか。
  228. 大塚喬清

    ○大塚説明員 いまのお話のことをよく知らないものですから、かなじ伸子さんのお話については知らないものですので、そういう個別のことについては知らないと申し上げたものでございまして、一般的には、私どもの知っている範囲では三食をとっておるというふうに理解しておるということでございます。
  229. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、あなた方の調査によって私は議論を進めていきたいと思います。  家庭からの仕送りが、私立大学の場合に、四十九年度と比較して五十一年度は三七・八%もふえているわけです。それに比べまして家計の収入は、いわゆる平均世帯で二五・五%しか伸びておりません。あなた方のは学生を通しての調査ですけれども、これを支出する側からの資料を見て私は資料をつくってみたわけです。つまり、ここに「公務員労働者の生活実態と賃金要求」というのがあるわけですけれども、これによりますと、「教育費では、住宅費と同じ傾向である。支出額一万円以内が三〇・四%、二万円以下が五四・九%と過半数を占め、五万円以上が二〇・九%と五分の一を示しているのは、大学生を持つ家庭の仕送りであろう。」これは公務員労働者の生活実態から出てきているものですから、まあ世の中の平均だというふうに私は思います。つまり、ここでは教育費は生活を苦しめているものとして挙げられているわけです。中でも、大学生を持っております親は五万円も仕送りをしなければならない、こういうふうに言っているわけです。  さらに、ここに国公労の「調査時報」があるわけでございますが、これの七七年二月号では、ちょうど大学生の子供を持つ四十五歳から四十九歳の年代で見ますと、切り詰めることはできない、切り詰められない費目として出ておりますのは、まず保健衛生費、それに教育費、こういうふうになっているわけです。後で見ていただいても結構でございます。経企庁の提出していただいたこの資料によりましても、消費者物価指数は、教育費の場合四十五年を一〇〇といたしますと二九一・六、こういうことになっているのに対して、それが五十二年四月と比べてみますと一六・八%の上昇ということになっているわけです。そうしますと、授業料の上昇など学生の生活費が上昇しますと、親は泣きながらでも仕送りをふやさなければならない、こういう状態になっているわけです。だから、お金がないから合格しても入学できないということで自殺者が出てくるというふうな状態ですし、また、いまあなたは一般的な学生はよく食べているというふうに認識しておられますが、このような一般的な父母の家庭の中で、こういう状態にある中で学生はいまどうなっているのかといいますと、学問をするという時間がアルバイトで割かれなければならないというふうな実態になっているではありませんか。文部省のお役人の方々、こういう実態を知らないでいま文部行政を行っておられるということに対して、私は大変不満にも思いますし、全く実態を知っておられないということに怒りを感じるわけでございます。このような大学生たちの生活の実態調査、親のこうした状態を知らないというふうなことではお話にならない。直ちにこういった状態を調査する必要があると思います。とりわけ、一般学生及び二部の夜間で勉学をしている子供たちが一体どうなっているのかというふうな状態を直ちに調査をしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  230. 大塚喬清

    ○大塚説明員 文部省では学生に対する奨学援助事業の改善充実を図るための基礎的な資料を得るという目的をもちまして、ほぼ隔年に学生生活調査を実施しております。現在では昭和五十一年度の調査結果が最新のものでございますが、五十一年十一月に全国の大学生二百十一万四千人のうちから三万二千人を抽出して調査をしておりますし、できるだけ学生生活の実態を把握するよう努力しておるところでございます。
  231. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ぜひともさらに調査をして実態を知っていただきたい、明らかにしていただきたい。その上に立って日本の教育ということを考えていただくということを強く要望したいと思います。  私立大学におきます授業料といいますのは、学生生活を送る上で非常に重大な役割りを占めております。これはあなた方の文部省の資料でも明らかなことでございます。いただきました資料で授業料値上げの状態を見ますと、たとえば慶應義塾大学、ここの文科系を見ますと、四十八年対比で五十二年度は九一・七%の上昇率となっております。これは消費者物価上昇率、家計収入の伸び率をはるかに上回っているわけです。ところが、いろいろと意見がございますが、この授業料というのはどういう性格のものなのか。国立大学の授業料は、経企庁のつくられた資料をいただいたわけですけれども、この資料によりますと、公共料金の部類に入っているようでございますが、そういうふうに考えてもよいわけでございますか。お尋ねいたします。
  232. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 授業料のうちで国立、公立関係の授業料は公共料金の中に数えております。
  233. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 国立、公立の授業料は公共料金だというふうにいまお答えがあったわけですけれども、それでは、私立大学の授業料がどういう性格のものか、文部省にお伺いをしたいと思います。公共料金なのでしょうか、いかがでしょうか。
  234. 斎藤尚夫

    ○斎藤説明員 私立大学におきます授業料は、性格的に申しますと、私立大学の提供します教育の対価というふうに考えられておりまして、この授業料の決定は私学自身が行うこととしております。国ないし地方公共団体がこれに関与することはございませんので、公共料金ということにはならないと考えております。
  235. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先ほどのお答えも、それから昨日私の部屋へお越しいただきました方も、文部省の説明によりますと、教育に対する対価なんだ、こういうことであり、大学と学生の契約であるというふうにきのうも御説明をいただいたわけです。そういうことなんですか。
  236. 斎藤尚夫

    ○斎藤説明員 お話のとおりでございます。
  237. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 国立大学の授業料は公共料金で、私立大学の授業料は公共料金ではない、こういう別の見解がいま出たわけでございます。同じ大学の授業料で——同じといいますのは、国立と私立と違うというふうにおっしゃるかもわかりませんが、学ぶ側にとりましては、たまたま国立に入れた、たまたま私学に入ったという同じ大学の学び舎でございます。そういうところの授業料で、国立の場合は公共料金だ、一方、私立の場合はそうでないということになりますと、私も実はよくわかりませんけれども、これを聞かれた一般の国民の方も全く理解できないことになるだろうというふうに思うわけです。国立大学の場合は文部大臣が決め、私立大学の場合には私学の経営者が決める、こういうことになっているわけですね。授業料を決める人が変われば公共料金になったりそうでなくなったりする、これが大学の授業料であるということですから、理解ができないというのはあたりまえだということになると思います。しかし、この点につきましては、私は別の機会にまた政府の見解を明らかにしていただくということにいたしまして、私は、この私立大学の授業料の決め方とその手順について話を進めていきたい、こう思います。  私立大学の場合には、学校教育法の第六条と施行規則の第三条、第四条、第四条の二に基づきまして、学則の変更により授業料を改定をし値上げできることになっております。そうですね。つまり、学校から文部省に対して届け出だけで値上げができるということになっていると思うわけですけれども、それに間違いございませんでしょうか。
  238. 大塚喬清

    ○大塚説明員 いまお話しのように、私立学校の授業料の改定につきましては、学則の変更、したがって届け出でよろしいということになっております。
  239. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それではこの点につきましてもう少しお聞きをしていきたいと思いますが、なぜこのような制度になっているのでしょうか、御説明をいただきたいと思います。
  240. 大塚喬清

    ○大塚説明員 授業料に関しましてどうなっているかということでございますが、御存じのように、戦前では私立学校に対しまして監督的な色彩が非常に強いという私立学校行政というものがございました。こういうものから解放されて、私立学校の自主的な運営を図ろうという理想に燃えて、戦前は授業料の変更、学則の変更についてまでも認可制をとっておったものでございますが、ただいま申し上げましたように、私立大学の自主的な運営を図るということで授業料の変更は私立大学に任せるということにいたしましたものでございます。御存じのように、私立学校は最も初めに建てられますときには、今後大学として運営されていく上で十分な資産を持っているかどうか、そういうものを十分に審査した上で大学が創設されるわけでございますけれども、一たんそれを認められて大学となって運営していくに当たっては、その自主性を尊重していくということで、ただいまのような条文になっておるわけでございます。
  241. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、文部省に対して届け出をするときに、まず学則の改定と授業料の値上げを決定する権限が各私学の理事会にあるわけですけれども、このやり方でよいのだ、このやり方に誤りはないというふうにあなた方は考えておられるわけですか。
  242. 大塚喬清

    ○大塚説明員 私どもとしましては、私立大学はそれぞれ私立大学としての建学の精神をもって出てきたものと了解しておりますし、そういう意味合いでの私立大学の特色を生かしていってもらいたいと考えておるわけでございます。したがいまして、一たん大学としてその創設を認められたものにつきましては、今後の大学の自主的な運営に任せるということで、現在のような仕組みになっておるものでございます。なお、私立大学もいろいろな大学がございますし、そのそれぞれの大学の授業料の基準を決めるというのは、個々の私立学校ごとに違った条件もございますので、それぞれの私立大学の違った状況に応じて決めていただくということにしております。
  243. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 もう一度お尋ねをいたしますが、あなた方は、この届け出制によりまして授業料の改定ができる、つまりこの制度は教育の振興にとって欠くことのできないものだ、いま私学の特色を生かし自主的な運営に任せている、そういうことが届け出制によって効果があるんだという意味お答えでございましたが、教育の振興にとって欠くことができないという立場に立っておられるわけですね。いかがでしょうか。
  244. 塩津有彦

    ○塩津説明員 お答え申し上げます。  いま審議官お答え申し上げましたとおり、私立学校法は、その第一条にありますとおり「その自主性を重んじ、」ということを二つの大きな精神の一つにしております。御承知のとおり、私立学校法ができましたときには、援助すれども監督せずということが基本精神であったように聞いておるわけでございます。したがいまして、授業料につきましてもいまのような制度ができておるわけでございますが、やはりこの私学法の精神を生かすという意味では、それはいまの制度として適切であるというふうに考えられるわけでございます。一方、だからといって授業料が野放しに高くなるということは決して好ましくないわけでございますので、それができるだけ低額になるように、私学振興助成法という法律に基づきまして、経営主体である学校法人に対する各種の援助措置を一方では講じておる、こういう次第でございます。
  245. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、教育の振興という点から見まして、届け出によって授業料を変更するというこの制度は絶対に守らなければならないのかどうか、これはいかがでしょうか。今後も絶対に届け出制を守らなければならないという制度になっているのかどうか、いかがでしょうか。
  246. 塩津有彦

    ○塩津説明員 いま申しましたとおり、私学法の二大精神の一つでございますその精神に基づきましてできている現行制度でございますので、これが適切である、こういうふうに考える次第でございます。
  247. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは逆にお尋ねをいたしますが、届け出ではなくて政府の認可制によりますとどのような障害が出てくるというふうにお考えでしょうか、具体的にお答えいただきたいと思います。
  248. 塩津有彦

    ○塩津説明員 お答え申し上げます。  私立学校は、先ほど来申し上げておりますとおり、建学の精神に基づきまして自主的に運営されるということを基本としておりまして、その自主的な運営というのは、理事会あるいは公共性担保の上から評議員会というようないろんな機関がございまして、そこで適切に決められておる、こういうふうな制度になっておるわけでございます。したがいまして、いまのような制度で参るということが適切である、こういうふうに思うわけでございます。
  249. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 届け出制は大変自主性を重んじておられるという御答弁でございますけれども、これは後ほど議論を進めていきたいと思います。  私は、大学の自治と自主性というものは、教育においては何かというと、ルイ・アラゴンが適切に言っております。「学ぶとはまことを胸に刻むこと、教えるとはともに未来を語ること」、こう言っているわけです。学ぶ者も教える者も研究する者も、真実と真理にのみ忠実で、他のいかなる強制にも服さない、こういうことが制度上からも確保される、保障されるということによって学問の自由と教育の自主性が守られるわけです。認可制にしたらこの自主性はなくなってしまうというふうにお考えになるのか、届け出制ならば、自治を守り真理と真実にのみ生きるというような主体性、自主性が学校に持てるというふうにお考えになっているのか、もう一度お答えいただきたいと思います。
  250. 塩津有彦

    ○塩津説明員 自主的な経営を行うということの要素といたしまして、人事を自主的に決められるということとそれから財政運営を自主的に決めるということがあろうかと思います。したがいまして、授業料というのは学校を経営する上にとりまして大きな収入財源でございますので、それを自由にするということは、自主的な財政面での運営を図るということに欠くことができないというような関連がやはりあろうと思います。したがいまして、私立学校の自主性ということを守るといいますか、尊重するという見地からは、そういういまの制度が適切ではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
  251. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 自主性といいますのは、みずからの自覚に基づくものですから、おのずからそこに民主的であるということがなければいけないと思います。一方的ではだめだと思います。ところが、どうなっているでしょうか。この届け出制によりまして、私、最初に述べましたように、私立大学の授業料は毎年ほど値上げされているわけです。しかも、その上げ方はどうでしょうか。授業料を取る側の経営者が一方的に決めることができて、支払う側はそれに関与できない、こういうことになっているではありませんか。その上、その値上げ率は、一般の物価上昇率を上回る比率だと、先ほど明らかにしたとおりです。こういうふうにしてどんどんと値上げをされていく。全くこんなことは普通の社会の売買取引ではないことです。それだけに、授業料値上げの届け出制については重要な問題があるというふうに考えます。このような仕組みが妥当だと思っておられるのかどうか。しかも、それが父母の負担にはね返って、大変な事態をいまインフレと不況の中で国民は抱えている。私学経営者は現在の批判の的になっている。こういう私学の経営のやり方に対して、公明正大であるということが要求されているというふうに思うわけです。また、私学の経営者もそれにこたえるということが真に教育者としての道であろうというふうに私は考えます。そういう意味で、良心的な私学の経営者までがこの制度にそれでは縛られるというようなことがないようにしなければならない、こういうふうに考えるわけです。私は、そういった意味で、届け出制にしがみつくことが決して教育の振興にはならない、むしろ害になっているとさえ思うわけです。その点から、これは政府の認可制にするという方がもっとはっきりしたものになるというふうに思うのですけれども、文部省ではどのようにお考えになっているでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  252. 塩津有彦

    ○塩津説明員 届け出制の点につきましては、先ほど来お答えしたとおりでございますが、先生がおっしゃいますように、一つには公明正大な運営がなされるという必要は確かにございます。そのために、私立学校法では自主性ということと並んで公共性ということをうたっておりまして、その公共性の担保のために、内部監査機関といたしまして評議員会、それから監事という制度があるわけでございます。評議員会のメンバー等も、いろいろな必要な各分野から適切に選任されるべきであるという規定もございます。そういうような内部監査機構の適切な運営を通じまして、適切な健全な運営がなされるようにということを今後とも指導してまいりたいと思います。  それから、もう一方で、授業料というようなことで学生の負担が大きくならないように補助金というようなことを、経営費補助というようなことをやっておるわけでございますけれども、そういう点につきましても努力してまいりたい、かように思う次第でございます。
  253. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 そういう中で、先ほど申しましたような裏口入学、こういったことが起こっている一つの原因にもなってくるというふうに思うわけです。もちろんこの自主性、公共性、これを尊重する、民主的に評議員会が開かれる、評議員会のメンバーが、学校側の代表あるいは先輩皆さん、そして学生や教職員、父母が入って構成されている、こういうものがおたくが言っておられる自主性、公共性を重んじた評議員会だというふうに思いますが、なかなかこういうふうにはなっていないところが多い。有力者の一声で裏口から入学されるというふうなところが、届け出制でもって勝手に一方的に値上げができる、その中で多くの国民が苦しんでいるという状態であるわけです。ですから、ぜひともこういった届け出制に固執されることなく、認可制にしたらどうなるんだという研究を早期にしていただきたいと強く要望をする次第でございます。  私は、いまここに京都の立命館大学の「学園通信」というのをいただいて持ってきております。これは、五十一年度の決算を、「学園の財政運営と基本的な考え方」という総長細野武男先生お話も載せており、一般公開しているわけです。こう言っておられます。「この「特集」は財政の民主化の視点からアプローチしているので、、そのために問題解明の制約をもっている。しかし、私たちは思いつきでこれを提示しているのではなく、この「特集」の所論は立命館学園の歩んできた歴史を背景にしているし、また立命館学園内の見解を基礎にしているから、そのかぎり私たちの恣意や主観をかなり排除できている、と私は考える。」と、このように細野先生はおっしゃっているわけです。そして「学校は各段階の違いはあるにしても広い意味の学問の研究と教育の場であることはいうまでもない。施設・設備をはじめとする物的条件も、また教授会、職場会議などの管理運営をめぐる組織的条件も、さらにこれらを支える財政的条件もすべては学問を進めるという基本的な仕事・目的のための手段であることは何度でも強調しておかなければならない点である。」というふうに細野先生は強調をしておられるわけであります。いま、立命館だけではなくて、多くの私学の職員及び学生は、経営の経理の公開を主張をいたしております。確かに、授業料は一方的に値上げされるのに経理の公開はされていないわけです。これでは、そこに働いている人たちや、それによって授業料を支払わなければならない学生にとってみれば、全く納得のいかないのは当然な話でございます。しかし、現状の仕組みでは、経理は必ずしも公開しなくてもよいというようなことになっているようです。あなた方は、このような職員や学生の要求、すなわち、自分たちが納得して支払えるためには経理を公開してもらいたいというような要求は、不当だというふうに考えておられますか。いかがでしょうか。
  254. 塩津有彦

    ○塩津説明員 先ほど来お答え申しておりますとおり、学校法人につきましては、私立学校法の趣旨にのっとりまして、各学校法人みずからがその公共性を自覚しまして、自主的な健全な経営を行っていくことが期待されておるわけでございます。そのために、先ほど申しましたとおり、内部機関といたしまして、学校法人の業務に関する重要事項について参画するために評議員会が、学校法人の財産の状況、業務執行の状況等を監査するために監事が置かれておるわけでございます。文部省としましては、このような内部監査の機能の充実強化をさらに指導していきまして、その健全な運営というものを期してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  255. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それはちょっと答弁が違っていると思うのですが、私がお尋ねしているのは、このように経理の公開、こういったことを事実やっているところもある、多くの教職員や学生が私学においてこれを望んでいる、この要求は不当なのかどうかということの見解をお尋ねしているわけです。いかがですか。
  256. 塩津有彦

    ○塩津説明員 お答えを申します。  経理の公開につきましては、私立学校法の精神にかんがみまして学校法人が自主的に判断すべきことである、かように考えておるところでございます。
  257. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ、自主的に判断をして経理の公開を行うということは認められるということでございますね。邪魔はしないということですね、簡単に言うたら。
  258. 塩津有彦

    ○塩津説明員 そのとおりでございます。
  259. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私はここに学校法人立命館寄附行為、同じく学校法人立命館館則を持ってきております。立命館はこういうものも公開をしているわけです。公に広く皆さん方に発表しているわけです。ここでは、学校運営の上でも教育の上でも何の支障も起こっていないわけです。むしろ、学生や職員の方々も当局の説明を納得をして、真の教育を行っていくために協力をしておられます。だからこそ、大変緊迫をしているこの私学財政、大学危機と言われるような状態に対しても、大幅な私学助成をしてほしいということで、立命館では理事会の方々、教職員、学生、それに生協の人たちまでが団結をして、一緒になって同じ要求を掲げて、たびたび国会へ向けて請願や要望もしておられるわけでございます。経理の公開というのがこのようになってきておるわけです。つまり、共通の見解、共通の理解をつくり出してきている。自分の頭で考え自分の足で動くという自主性と、仲間とともに考え仲間とともに行動するというふうな集団性がつくられてきているわけです。それは学園の民主化ということの幹になっているわけです。学園の民主的な討議に基づいて、道理と節度あるこのやり方について、文部省は間違っているというふうに思われるでしょうか、それならば促進する方がよいというふうに思われるでしょうか、いかがでしょうか。
  260. 塩津有彦

    ○塩津説明員 立命館の個々の事情を十分承知いたしておりませんので、そういうものを十分勉強してからお答え申し上げたいと思います。
  261. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 日本の教育を動かしておられる文部省が、いま京都で起こっている立命館のことをよく知らないという状態はまことに残念だと思います。  先ほど言われたように、自主性を尊重し、くちばしを入れないというふうな点では、悪い意味のくちばしを入れてはよくない、教育の内容にかかわるようなことをいろいろ左右をするというような口出しはよくない、こう思います。しかし、これは大変決断が要ると思います。そして、すべての教職員理事会の相当深い論議がなければこのようなことはできないと思います。そういった上に立って、学生たちにこの経理の内容公開をすることによって、自分たちが深く学んでいかなければならない、また施施、設備、建物、机、黒板、そういったものに至るまで大切にしなければならないというふうな考えも出てくると思うわけです。そういったことが大胆に行われている。御存じないというのは大変残念でございますけれども、ぜひとも、そういった民主的に運営されている、経理の公開がそういったもののもとになっている、こういうことですから、そうすれば、調査をしていただき、届け出制に固執をして、届け出制を一方的に決めているようなことが自主的だというようなかたくななお考えはやめていただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。
  262. 塩津有彦

    ○塩津説明員 私立学校は自主性を持っておると言いながら、やはり一方では、先ほど来申しておりますとおり公共性を持っておりますので、どこから見ても指摘を受けないような健全かつ適切な経理の運営というものがなされるべきだ、かように思います。いろいろな観点からそうなるように指導してまいりたい、かように思います。
  263. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 最初にも述べましたけれども、私大の乱脈事件がいま社会的な問題になっておりますが、これらの大学は経理の公開をしているでしょうか。していないわけですね。そういうことをしていない大学では乱脈事件が次々に表に出てくるというような可能性もあるわけです。知らない者が多いからです。知っているのはほんの一部だから勝手なことができるという仕組みになっているわけです。  文部省は、各大学が経理の公開を自主的に行うことに対して、それは都合が悪いというような態度をとられないといういま御返事をいただいたわけでございますが、この大学が自主的に判断をして、各大学の意思で決めていくというふうな点に対して、積極的にそれを紹介をしていく、ほかにも広げていくというふうなことをぜひしていただきたいと思うわけです。いかがでしょうか。
  264. 塩津有彦

    ○塩津説明員 自主的に決めるというところは先ほど来お答え申しておるとおりでございます。  いま御質問のございましたのは、私立医学部、歯学部の問題だろうと思いますが、先生承知のとおり、この問題の改善のために、九月七日付で管理局長、大学局長名の通知を私立の全医学部、歯学部を持つ大学の理事長さんに通知はしたところでございます。その中に幾つか重要な柱がございますが、そのうちの一つといたしまして、先ほど申したとおり、「各大学は、内部監査機能の強化などにより経理の適正を期するとともに、必要に応じて財務状況関係者に明示すること。」というふうなことを一項特に入れてあるわけでございます。この精神に沿って今後とも十分指導してまいりたい、こういうように思います。
  265. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、もう時間が参っておりますので、最後に経企庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  私はきょう、大学における授業料の問題についてお聞きをしてまいりました。いま大学生の生活は、このインフレの中で大変な状態になっております。また、大学生を持っております父母も大変な御苦労をしておられます。しかも、その大学生というのは高校生の三割以上が大学に入るという状況でございますから、非常に多くの父母がこれによって影響を受けているということだと思うわけです。こういった親たちの立場から考えましても、授業料が理由も明確にされないままに一方的に引き上げられていくということは納得しがたいことではないでしょうか。現に父母は毎年のわが子への仕送りというものを物価上昇の中でふやさなければならないというふうな事態に今日あるわけでございます。私は、少なくともこれは両者が、授業料を取る側も授業料を払う側も納得できるという状態のもとで行われることが必要だというふうに考えていろいろとお尋ねをしてまいったわけでございます。日本の将来を背負います子供の教育のことを考えますときに、これは単に教育問題だけにとどまらずに、真に国民全体が納得し得る状態のもとで実施されなければならない、こう思うわけでございます。  先ほどルイ・アラゴンの言葉を申しましたが、「教えるとはともに未来を語ること」、こういうような教育を推進するには、学問の自由と教育の自主性を十分に尊重して保障するということが必要だというふうに考えます。ですから、国民の合意のもとで国民生活が行われなければならない、そして教育もこの国民の合意のもとで実施されていくというふうな点で、きょうのこの届け出制に対する文部省の考え方については、私はかたくなになってもらっては困るというふうに考えているわけでございます。倉成大臣の所信のほどをお伺いしをて、質問を終わりたいと思います。
  266. 倉成正

    ○倉成国務大臣 文部大臣の所管に属することでございますので、私から所感を申し述べるということは、まことに適切でないと思います。  ただ、これからの日本にとって教育が非常に重要な問題であり、また同時に、国民の合意の中でもろもろの問題が決められていくべきものであるという先生のお考えには全く同感でございます。ただ、認可制とその問題とを結びつけて、どう考えるかという問題になりますと、私の考えを率直に申せば、文部省の考え方の方に軍配を上げたいと思います。大学だけがなぜ認可制がなければならないかということになってまいりますと、私立高校、私立幼稚園までやはり同じような議論が展開してくるのではなかろうかと思いますので、必ずしも先生の御意見には賛成いたしかねるというのが率直な意見でございます。
  267. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 見解の相違が出て、立場が全然違うということでそういうことになろうかと思いますけれども、根本的な考え方、合意のもとで納得のもとで行わなければならないという点では、どなたも一致できることではないかというふうに思います。ぜひとも文部省でも、届け出制あるいは認可制、それをしたらどうなるのかということを今後とも研究をしていただくというふうなことを強く要望して、終わりたいと思います。
  268. 西宮弘

    ○西宮委員長 藤原ひろ子君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これをもって散会いたします。     午後五時三十二分散会