運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-10-25 第82回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年九月二十九日(木曜日)委員長の指 名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  連鎖販売ネズミ講等調査小委員会       加藤 紘一君    片岡 清一君       中村  靖君    堀内 光雄君       武部  文君    中村  茂君       宮地 正介君    米沢  隆君       藤原ひろ子君    依田  実君  連鎖販売ネズミ講等調査小委員長                 片岡 清一君 ————————————————————— 昭和五十二年十月二十五日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 西宮  弘君    理事 加藤 紘一君 理事 片岡 清一君    理事 砂田 重民君 理事 武部  文君    理事 中川 嘉美君 理事 米沢  隆君       愛知 和男君    鹿野 道彦君       中西 啓介君    中村  靖君       堀内 光雄君    湯川  宏君       中村  茂君    野口 幸一君       馬場猪太郎君    長田 武士君       宮地 正介君    藤原ひろ子君       依田  実君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      倉成  正君  出席政府委員         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         農林省畜産局長 大場 敏彦君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君  委員外出席者         食糧庁総務部長 小野 重和君         資源エネルギー         庁石油部計画課         長       箕輪  哲君         運輸省航空局監         理部監督課長  松村 義弘君         日本専売公社副         総裁      齋藤 欣一君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事長)   太田 康二君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ————————————— 委員の異動 十月五日  辞任         補欠選任   青木 正久君     鹿野 道彦君 同月二十五日  理事青木正久君同月五日委員辞任につき、その  補欠として平泉渉君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 西宮弘

    西宮委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任に関する件についてお諮りいたします。  現在理事が一名欠員になっておりますので、この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西宮弘

    西宮委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、理事平泉渉君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 西宮弘

    西宮委員長 物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日及び二十七日、畜産振興事業団理事長太田康二君に参考人として出席を求め、御意見を承りたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 西宮弘

    西宮委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。  なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。     —————————————
  6. 西宮弘

    西宮委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀内光雄君。
  7. 堀内光雄

    堀内委員 私は、円高の問題について質疑を行いたいと思います。  本年の十月十八日には円相場は一ドル二百五十二円という史上最高の記録を示したわけでございます。今回の円高によりまして、ことしの初めから円レートは実に一五%強の上昇を示したわけでございます。この大幅な円高というものは非常に各方面に影響を及ぼしているわけでございますが、とりわけ物価問題に関しましても、輸入資材値下がり、あるいは輸入品値下がりというようなものによる物価への影響、こういう点について国民的関心が非常に高まっているわけでございます。そういう意味で、国民の大多数の人たちが、この円高を生かして物価を安定してほしいという非常に切なる希望を抱いているわけでございます。  特に、十月十四日に決定されました政府円高に伴うところの物価対策、六項目対策が発表されておりますが、これは非常に国民に大きな期待を与えているわけでございます。  そこで、円高というと石油の問題とか輸入小麦の問題だとかいろいろ非常に大きな問題がいっぱいあるわけでございますが、特に私は、直接消費者につながりを持つところの、十日十四日の政府物価担当官会議、これでの決定によりますところの各項目について質疑を行ってまいりたいというふうに考えるわけでございます。  最初に、第二項に挙げられております牛肉の問題から質問をいたしたいと思います。  農林省は、今回の円高対策といたしまして、全輸入牛肉の四〇%を占めるチルド牛肉、これにかけられておりますところの一キログラム三百五十円の輸入調整金、これを十一月から一キログラムさらに二百五十円乗せて、一キログラム六百円にするということが発表されておりますけれども、これは本当でございますか。
  8. 大場敏彦

    大場政府委員 御承知のとおり、畜産振興事業団による輸入牛肉売り渡しは、国内安定帯制がございまして、その安定帯の中で売る。安定帯時価で売るということが原則になっております。いま御指摘になりましたチルド冷蔵牛肉につきましては、これは事業団が一たん買って、保管しておいて、それで競りにかける、そういった形をとりませんで、あらかじめ輸入商社国内需要者とがつながっておって、その中に事業団が介在するというかっこうになるわけでございます。したがいまして、海外時価で買って国内時価で売る。その結果が調整金というかっこうで発生するという冷凍牛肉とは異なりまして、あらかじめこのぐらいが内外格差であろうということを想定いたしまして、輸入価格オンをして、それを国内需要者に売り渡す、こういったシステムをとっているわけであります。ところが想定でありますから、現実とはかなり狂いが出る。現地価格変動したり、あるいは円高為替相場変動するということで、当然変化が生ずるわけであります。その結果どうするかということにつきましては、私ども、基本的には、それは余り動かすことは適当ではない。やはり現地価格が下がれば下がったなりに事業団売却価格は下がるわけでありますから、それを末端価格に反映させるということが適当であろう、こういうぐあいに指導し、また、事業団指定店制度を持っておりますから、そういったルートを通じて徹底を図っているということでございます。しかし、余りにもその乖離がはなはだしいという場合には、自由経済自由流通のメカニズムの中ではやはり一物二価という状態が続くわけでありませんから、それはプライベートな段階で吸収されてしまう。チルド牛肉が不当に利権物資化する、こういう批判も出てきているわけでありまして、やはり取るべきものはきちんと取れ、こういう御議論も世論としてかなり強かったわけであります。  そういう意味で、九月の時点におきまして、私どもそういった批判にこたえるために、やはり一部の不当な利益を事業団が徴収して、使うべきことはまた別途皆様に御相談しながら使うという態度をとったがよかろう、こういう判断で、九月にそういう措置をとって、十一月、十二月の輸入チルドにつきましてはそういった措置を適用するということを発表した、こういった結果になっております。
  9. 堀内光雄

    堀内委員 そうすると、平たく言えば、円高牛肉が安く入ってくるようになった。そこで、畜産振興事業団卸売業者に売り渡す値段が結果的には下がってしまった。ほうっておくと、業者円高による差益を全部吸収されてしまうおそれがあるから、畜産振興事業団放出値を二百五十円上げた、こういうことになるわけですか。
  10. 大場敏彦

    大場政府委員 あらかじめ固定的な調整金でございますが、先ほど申し上げましたようにずれがある。現地価格変動とかあるいは為替レート変動畜産事業団売却価格が変わる。その場合に、変わったからといって直ちに調整金を変更する、増額するということでは必ずしもないわけで、やはり事業団売り渡し価格が下がれば、それはできるだけ、余りその課徴金というものは変えない方がいいと思いますから、一定期間は維持した方がいいと思いますから、それは現地価格末端価格に反映させるよう指導した方がいいというのが一点と、それから、同時にまた、ある程度下がってくれば、やはり場合によっては課徴金そのものといいますか、目安価格そのものを下げて末端小売価格に反映させる、こういった措置をとった方がいいということも考えられております。現に、七月の末におきましては、末端小売目安価格を七・四%引き下げたという措置をとったわけであります。しかし、そういう措置をとりながらもなおかつ現地価格下落が余りにも激しいという場合には、それは小売価格への反映という努力を続けながらも、それが一部のプライベートな段階で吸収されてしまう、こういったことが現に起こっているという批判がありますので、そういった批判にこたえたということであります。
  11. 堀内光雄

    堀内委員 ですから、結果的には輸入牛肉円高で安くなったという結果、この二百五十円というものを乗せるということは、円高による差益金、もちろん生産地による値下がりというものもあるとは思いますが、その大部分円高による差益金が二百五十円という形であらわれたというふうに考えていいのですか。
  12. 大場敏彦

    大場政府委員 これは、結局は現地価格値下がり、それから円が高くなった、こういったことが輸入価格下落というかっこうで集約されるわけでありますが、それがどの程度円高シェアを占め、現地価格下落シェアを占めているかということはちょっと分析としてむずかしいわけでありますが、しかし、一定の仮定をおきますと、大体最近におきまする下落といいますか、事業団買い入れ価格下落は、円高はごく一部でありまして、現地価格下落の方がはるかに大きいというような実態であります。
  13. 堀内光雄

    堀内委員 今度の十月以降の下半期輸入牛肉輸入枠といいますか、この枠はどのくらいになることになっておりますか。
  14. 大場敏彦

    大場政府委員 先生のおっしゃったのは一般枠——輸入牛肉には一般枠特別枠というのがございますが、世上いろいろ議論されておりますのは一般枠であります。一般枠は、昨年の下半期は三万五千トン、ことしの上半期は三万五千トンということで推移しておりますが、この下期をどうするかということにつきましては、農林大臣も表明しておりますが、外国等にも表明しておりますが、上期を下回らないラインで近々需給事情等を勘案して決めたい、そういうふうに思っております。
  15. 堀内光雄

    堀内委員 ということは、三万五千トンを下回らないということですか。
  16. 大場敏彦

    大場政府委員 三万五千トンを下回らないところで決めたいということでございます。
  17. 堀内光雄

    堀内委員 先ほどの調整金に乗せる二百五十円というもの、これは十一月、十二月を当面乗せることに決定したということですけれども、いまの市場状態海外産地市場状態並びに円高が二百五十円レートというものがずっと続くような状態では、三月の今年度末までずっと続ける、そういうお考えでしょうか。
  18. 大場敏彦

    大場政府委員 三百五十円を六百円に引き上げたわけでありますが、これはとりあえず十一月、十二月分についてということであります。それでは一月以降どうするかということにつきましては、いろいろチルド牛肉売り渡しをどうするかという問題と絡めて、それからいまのシステムでは調整金を取ることになっておりますが、現在の調整金はいわば固定的な調整金になっておるわけですが、現実ずれが起きるという煩わしさがあるわけで、それを何とか可変的な要素が入らないかどうか、これは非常に技術的にむずかしい問題があるので困っているわけでありますけれども、そういったことをも含めて、一月以降はどうするかまだ決めておりません。しかしいずれにいたしましても、現在の制度は、畜産振興事業団輸入した牛肉国内安定帯の中の時価で売り渡す、こういった制度をとっておりますから、基本的には現地価格変動だとかあるいは為替相場円高になりあるいは円安になる、そういったこととは別に、国内安定帯の中の時価で売り渡すということですから、必ずしも販売価格円安とか円高というものとは関係ありませんから、その差額調整金というかっこう事業団に保留されるという仕組みになることは変わりないと思います。
  19. 堀内光雄

    堀内委員 確かにそういうことでしょうけれども、その大きなウエートを占めているのは円高によるものじゃありませんか。当初の見込みより、大体一五%ぐらい円高になったというものに対して、それじゃ二百五十円のうちどのぐらいのものが円高になると考えられますか。
  20. 大場敏彦

    大場政府委員 これは先ほど申し上げましたように、いろいろ仮説を置かなければならない点は御容赦願いたいと思うわけでありますが、大体十数%、一四、五%ぐらいが円高効果であるというふうにわれわれは認識しております。ちょっと質問にまともにお答えできなかったのですが、私、申し上げましたのは、六、七月ごろと現在時点との輸入価格値下がり分ということになるわけでありますが、それの値下がり分は、やはり円高効果が十数%、現地価格下落が残り、大体こんなような比率ではないかと記憶いたしております。
  21. 堀内光雄

    堀内委員 値下がりの額は大体どのぐらいになっておりますか。
  22. 大場敏彦

    大場政府委員 事業団買い入れ価格というものがあるわけでありますが、それからCIF価格を推定して考えているわけであり、ますけれども、大体六月ごろの時点それから九月ごろの時点CIF価格を想定しますと、その差がキログラム当たり七十円見当ということになります。これを円高による効果あるいは現地価格値下がりによる効果というふうに分析するわけでありますが、われわれの推算では大体十円程度円高によるもの、一四%強ということであります。六十円強が現地価格値下がりによるもの、これは八六%程度というふうに認識しております。
  23. 堀内光雄

    堀内委員 その七十円というのは、単位は何に対する七十円ですか。
  24. 大場敏彦

    大場政府委員 キログラム当たり部分肉ベースCIF価格で申し上げたわけであります。
  25. 堀内光雄

    堀内委員 七十円値下がりして二百五十円乗っけるということですか。一キロ当たり七十円海外価格が下がって、二百五十円の調整金をさらに乗っけるという意味なんですか。
  26. 大場敏彦

    大場政府委員 私は、六月時点と九月時点との間のCIF価格を試算すればそういうようなことになっているということを申し上げまして、事業団調整金は、取るという時点において予定した固定した調整金の額と、それから現地価格円高効果との関係でいろいろ変わりが出てくるということでございます。
  27. 堀内光雄

    堀内委員 チルドビーフはいわゆるワンタッチという形の中で売買されるわけですね。そうしますと、輸入価格というのははっきりわかるわけでしょう。はっきりわかった価格に今度は二百五十円乗っけるということなんでして、その輸入価格のはっきりわかるものが七十円下がったら、今度は二百五十円調整金をさらに増加したということになるんですかということを私は聞いているのです。
  28. 大場敏彦

    大場政府委員 これは私の説明が悪かったのかもしれませんが、六月時点と九月時点を比較して一いま先生の御指摘は、円高が大体どのくらい効果を及ぼすのか、あるいは現地価格がどのくらい効果を及ぼすのか、こういう御指摘でありますから、それを分析するために、試みに六月と九月という時点を、一つの点をつかまえて分析したことを申し上げているわけであります。総じて円高効果の方が少ないということを申し上げたわけであります。そして現実事業団課徴金を取るという段階では、その課徴金というものは、結局、事業団輸入価格が決まってきて事業団買い入れ価格が決まるということと、その当時における国内相場、その相関関係内外格差というものが決まってくる。それと、現実の予定された課徴金といいますか調整金の額の差がいろいろ日によって、月によって、年によって出てきている、こういったことであります。
  29. 堀内光雄

    堀内委員 どうもちょっとかみ合わないのですけれども、要するに、今度二百五十円調整金を増額した、この二百五十円というのは、海外市場価格値下がり円高によって出てきたものだということですね。その二百五十円の中で、そうすると、一五%ぐらいが円高によるものだということになるのですか。
  30. 大場敏彦

    大場政府委員 必ずしもそうではございません。どうも私の説明が拙劣で恐縮ですが、現在時点で比較すれば一その時点によってウエートは違いますので、現在時点では、それは最近における円高の急速な上昇で恐らくもう少しシェアは変わってきていると思います。ただ、私は六月と九月という点だけをつかまえて申し上げただけであります。
  31. 堀内光雄

    堀内委員 それじゃ、ちょっとかみ合いませんけれども、まあその辺は何しろ二百五十円上げるということで一応了解をいたしまして、フローズンの方については、調整金というか、実質の海外市場値下がり並びに今度の円高によるところの調整金のようなものはどういう形で出てくるのでしょうか。
  32. 大場敏彦

    大場政府委員 フローズンにつきましては、これは事業団が一たん買い取りまして、そしてある程度保管して、それから放出する。売り方は、市場における競りとかあるいは実需者団体による指名競争契約、こういった方式によって売っておるわけであります。それは一言で言えば国内時価相場で売るということであります。海外では指定商社を通じて海外相場で買ってくる、それを国内時価で売るということでありますから、その結果差額が発生する、その差額が結果として事業団差益として保留される、こういうことになるわけで、チルドみたいにあらかじめこれだけ乗せるというようなこういった固定的なものではございません。これはまさに輸入価格とそれからそのときの国内相場という相関で具体的な数字は変わってくる、こういった状況であります。
  33. 堀内光雄

    堀内委員 チルドの方は随意契約だから、そこに調整金を乗せないと、その差額を埋めるわけにはいかないが、フローズンの方は入札方式だから、入札をして放出する中で自然に徴収ができるという、こういうことになるのですか。
  34. 大場敏彦

    大場政府委員 チルドの方はあらかじめ内外格差がこのぐらいであろうということを想定しておいて、輸入価格オンをする。しかしフローズンは、結果として事業団が買った価格売り渡し価格差額差益として発生する、こういったことでありますから、可変的な状況であります。片っ方は固定的なもの。
  35. 堀内光雄

    堀内委員 フローズンの方も大体結果的には二百五十円見当のものが乗っかるというふうに考えていいのですか。
  36. 大場敏彦

    大場政府委員 調整金を取っておりますのはチルドだけではございません。フローズンについても同様な措置をとっております。
  37. 堀内光雄

    堀内委員 円高というか、今度の円高を含めて二百五十円の調整金を上乗せするこの金額、並びにフローズンで大体結果的にはそれを入札の中で吸収してくるというもの、これを合わせますと大体どのぐらいの金額になりますか、特に大体三月ぐらいまでずっと続けていった場合ということを想定して。
  38. 大場敏彦

    大場政府委員 ちょっとまだ年度途中でございますので計算しておりませんが、五十年度に発生した差益が約三百七億、五十一年度が百五十一億であります。五十二年度に比べまして、五十年度は非常に多かったわけでありますが、これは非常に輸入数量が五十年度に集中したというようなことが三百七億という大きな額に達した最大の原因だろうと思うわけでありますが、五十二年度においてはどの程度発生するかということは、これはまだちょっと予測はできませんが、しかし五十年度みたいな額はなかなか発生しないんじゃないか、かように思っております。
  39. 堀内光雄

    堀内委員 三百七億を下回るだろうということですか。
  40. 大場敏彦

    大場政府委員 ちょっといま試算はしておりませんが、今回の一月以降の調整金をどうするかということとも関連いたしますので、下回るかどうかはっきり申し上げませんが、そう大きな額にはならないのじゃないかと私は推算しておるわけであります。
  41. 堀内光雄

    堀内委員 非常に入る方について小さく見積もられておるようですけれども、それはそれとしまして、畜産振興事業団に関連しまして、輸入牛肉の取り扱いというものは、事業団扱いともう一つ民貿扱いというのがありますね。この民貿扱いというのは大体全輸入量の一〇%ぐらいを占めているというふうに言われておりますけれども、五十一年度の実績はどのぐらい扱っているのですか。
  42. 大場敏彦

    大場政府委員 御指摘のありましたように、輸入牛肉の約九割を事業団が扱い、残りの一割を民間貿易という形で扱っておりますが、五十一年度の民貿輸入量は約八千百トンであります。なお、割り当て量は九千トンであったと思います。
  43. 堀内光雄

    堀内委員 五十二年度の上期でどのぐらいの実績になっておりますか。
  44. 大場敏彦

    大場政府委員 ちょっと輸入量ベースをまだ把握しておりませんが、割り当て量では、全体の割り当てが三万五千トンでありますから、その一割の三千五百、こういう状況でございます。
  45. 堀内光雄

    堀内委員 この調整金のようなものは、やはりこの民貿の方でも取っているわけですか。
  46. 大場敏彦

    大場政府委員 事業団扱いのものが調整金を取られる、それからまた民貿の方は調整金を取られないということではバランスを失するということでもありますし、また国内価格安定制度というものとの関係からやはり均衡をとるべきであるということで、民間輸入につきましても、日本食肉協議会におきまして調整金を徴収するといいますか、これは輸入した形で出していただいて、それを別途使用している状況でございます。
  47. 堀内光雄

    堀内委員 いまのその日本食肉協議会で徴収した調整金に見合う金額というもの、これはどのぐらいになるのですか。
  48. 大場敏彦

    大場政府委員 五十年は非常に少ないわけであります。五十一年度の数字を申し上げますと、五十一年度は合計いたしますと、五十年度の発生が二千七百万、それから五十一年度に発生いたしました差益が三十七億、ただしこの三十七億は実は五十年度の割り当てで五十一年度に輸入ずれ込んだというために、正確ではございませんが、いわば二年分に該当するようなものでありますので、三十七億というような金になっております。
  49. 堀内光雄

    堀内委員 そうしますと、この日本食肉協議会というのは、一割と考えても、大体三十億は五十一年度としては入ってくるということになると思いますから、七億円ぐらいが前年度の分だというふうに見ていいだろうと思いますが、この食肉協議会ではやはり十一月、十二月は同じように調整金を上げて取ることになっているのですか。
  50. 大場敏彦

    大場政府委員 そのようになっております。
  51. 堀内光雄

    堀内委員 この日本食肉協議会での三十七億、あるいはことしはそれにやはり同じぐらいのものが出てくるのじゃないかと思いますが、この積立金はどういう方向で使っているのですか。
  52. 大場敏彦

    大場政府委員 事業団差益金がやはり生産振興あるいは流通合理化それから消費の増進、そういった多方面にわたって使用しておりますけれども、それとの連携をとりながら、この民貿分差益につきましても、そういった生産対策あるいは流通対策消費者対策、そういったものに充当しております。
  53. 堀内光雄

    堀内委員 いろいろ有効に使われていると思いますが、その中で消費者還元というものはどのぐらいのものに使われているのですか。
  54. 大場敏彦

    大場政府委員 消費者還元というお言葉でありますが、生産対策あるいは消費者対策というぐあいに言葉を分けてよく御議論がありますが、私ども必ずしもこれは、この使い方は生産対策であって消費者対策ではない、逆にこれは消費者対策だ、こういうぐあいに峻別をするのは必ずしも適当ではないというケースがあるのではないかと思います。口幅ったいようでありますけれども、生産合理化ということを通じてやはりコストダウンということは消費者対策でありますし、あるいは流通合理化というものは、その流通コストの節減あるいはショートカットという意味で、これは非常にすぐれた意味消費者対策でもあり得るわけであります。そういう意味で私は考えておりますが、先生のおっしゃったのは、より直接的な形で消費者と結びついたもの、そういった性格のものはどういうものかということでございますが、私ども、五十二年度でいま使用を予定しておりますのは、国産牛肉の生協等による特別販売事業というものを、東京都の場合あしたから始め、全国的に始めるわけでありますが、それに約十億、あるいは生協等による牛肉の知識の普及啓蒙といったものを含めまして十億というものを支出する予定にしております。
  55. 堀内光雄

    堀内委員 それは日食協のものですか。
  56. 大場敏彦

    大場政府委員 日食協です。  それから、五十一年度におきましては、先ほど三十七億と申し上げましたが、それは、いま申し上げました十億のほかに、いろいろ規格の合理化とか流通の近代化だとかあるいは規格取引の推進だとかそういった事業を含めまして約二億七千万。だから、申し上げますと、約三十七億のうち十二、三億というものがそういったものに使われている、こういう状況であります。
  57. 堀内光雄

    堀内委員 今度の円高差益の還元というようなものの一環として、農林省国内産の牛肉の産地直売方式というものを打ち出されるということが出ております。この産地直売方式というものの具体的な内容と、これにどういうような費用を投入するか、これをちょっと教えていただきたいと思います。
  58. 大場敏彦

    大場政府委員 私、ただいまの御答弁の中でちょっと間違えましたので、訂正させていただきます。  生協等による国産牛肉特別販売事業について十億と申し上げましたが、これは生協等ではございませんで、一般の食肉の小売店、スーパーとかあるいは百貨店、そういったものによる、生産者と提携して行う特別販売事業であります。  それから、いま御指摘になりました特別販売事業でありますが、国産牛肉は十月の下旬から——これは区割りを切るという意味ではございません、ただ一応期間を切ってあるという意味でありますが、来年の三月までいたしまして、実施地域は、準備の関係で、今月下旬から始めるところ、十一月から始めるところといろいろございますけれども、ただいま申し上げました専門小売店、スーパー、百貨店、そういったものが生産者と提携して、国産牛肉をおおむね市価の二割引きぐらいの値段で、少なくとも一週一回、できれば回数が多い方がいいわけで、そういう指導をしてまいりたいと思いますが、そういった安売りをする。大体、分布から言いますと、専門小売店の場合には二店に一軒、それからスーパー等につきましては五軒に一軒、百貨店は七軒に一店、こういった割合であります。販売数量は全体を通じて八千トンを考えておりますが、大体、実施地域におきます需要の一七%程度を、先ほど申し上げました二割引きの値段で売るということであります。  それからなお、別途生協等の御協力を仰ぎまして、生産者と長期契約によって、いわば産直的な形で生協が新しいルートを開拓していただく、それに御援助するというような形で、生協が毎週定例日、これは二日であります、二日程度を考えて——これは生協の場合には、生協は元来いわけでありますが、安い通常の仕入れ価格よりもさらに一割五分引きの価格で売る、同時に、その牛肉がどういう流通経路で流れてきたか、店頭に並んだが、どういう価格の構成でこうなってきたか、こういうふうに変化したか、そういったことも説明したパネルを店頭に展示して消費者に理解を求める、こういった運動を展開しようとしております。
  59. 堀内光雄

    堀内委員 約十五億円投入するということが出ておりますけれども、その十五億円というものはどういうものなんですか。
  60. 大場敏彦

    大場政府委員 ただいま申し上げました、民間といいますか、スーパーだとか百貨店あるいは専門小売店というものの特別販売事業と、それから生協による特別販売事業と大別できるわけでありますが、そのうち前者の方を先生が御指摘になりました日食協、日本食肉協議会から十億、それから後者の生協等に対する助成、これは畜産振興事業団の助成勘定から合わせて十億ということを申し上げておるわけでございます。
  61. 堀内光雄

    堀内委員 そうしますと、今度の日食協と事業団の合同によって産地直売の新しい一週間一遍の安売りデーというのを行うことになったということに理解していいのですか。簡単でいいですよ。
  62. 大場敏彦

    大場政府委員 そのとおりであります。
  63. 堀内光雄

    堀内委員 そういうぐあいに一つ円高差益あるいは国内市場との調整金のようなものが具体的に消費者に還元されるスタイルというのは初めてと言ってもいいぐらいのもので、非常に画期的なものだと私は思いまして、大いにこれは評価をするわけですけれども、今後もひとつぜひこういう調整金のようなものを消費者に還元できる、目に見えて還元できるような方法というものを推進していただきたいと考えるわけです。なかなか牛肉が安くならない理由というものは、その一つには、やはり国内産の牛肉価格にあるということになると思います。そういう意味で、生産者保護という方向に事業団の金なり何なりが使われるということは消費者にもつながるという局長のお話、そのとおりだと思うのですけれども、そういう努力をされていて、農林省としては国内産の牛肉価格は大体どのくらいが適当だというふうに考えていらっしゃるか。簡単で結構ですから、ずばり言っていただきたい。
  64. 大場敏彦

    大場政府委員 どの辺が適当かという非常にむずかしい御指摘であります。いろいろな議論が実はあるわけで……(堀内委員局長の考えでいいです」と呼ぶ)たとえば豚との関係で、牛肉はある一定時は一・五倍ぐらいだったというのに対して、いま牛肉はやはり二倍近い。それは少し高いんじゃないかという、それが消費者の割り高感を惹起しているところがあるいはあるんじゃないかと思います。  それからもう一つは、これが問題なんですが、卸売価格が非常に鎮静化の傾向をたどっている、しかしそれがどうも小売価格の方に連動が十分ではない。やはり卸売価格小売価格との関係をすっきりさせる。卸が下がった分は小売も下げる、そういったところが当面私は必要なアプローチじゃないかというふうに判断しております。
  65. 堀内光雄

    堀内委員 ただいまの局長の御答弁は、ちょうど朝日新聞の十月十九日の「ひと」の欄で局長が言われている、牛肉が豚の二倍の現状は高い、一・五倍ぐらいにしたいということと、もう一つ輸入肉とうまくドッキングをさせていまより三割安の牛肉を実現したいということを言われているのですが、この三割安というのは一つのめどだろうというふうに思います。が、その輸入肉とドッキングさせる方法というのは何を考えていらっしゃるのか。いまの事業団の方法というものを考えていった場合にはドッキングというのは絶対にできないと思うのです。それをどういう方法で考えていらっしゃるのか。時間がないですから、簡単におっしゃっていただきたいと思いますが……。
  66. 大場敏彦

    大場政府委員 ドッキングという形で新聞は書いてくださったわけでありますけれども、ドッキングという意味はちょっと私自身もわからないわけでありますが、やはり基本的には、畜産振興事業団輸入牛肉を適正に入れて適正な形で放出するということによって安定帯の中に市価をおさめる。片一方、流通合理化というものを進めていって、そしてそれがすっと末端まで届くようなことをすることが私は本格的な対応じゃないかと思います。
  67. 堀内光雄

    堀内委員 特にウルトラCのようなものをお持ちになっていらっしゃるのではないというふうにわかったわけなんですけれども、私はここで消費者保護を盛んに力説しておりますけれども、同時に生産者保護というものは非常に重要なことだということはよくわかっているつもりです。  私は、山梨県の中でずっと肥育農家を調査いたしました。そういう中でながめてみますと、肥育農家の状態というのは採算ぎりぎりだということがはっきりわかってきております。問題は、生産者の手を離れた後の流通段階にいろいろ問題があるということが私は言えると思います。ある調査によりますと、生産者の手を離れたときを一〇〇といたしますと、卸売が一五三、小売が三八一という数字が出ております。こういう生産者からぎりぎりの形で出てきた牛というものが、生産者の手を離れたら流通段階で四倍になるというようなところに一番の問題点があるというふうに私は思うわけでして、そういう流通機構をもっと改革しなければいかぬという観点からまいりますと、畜産振興事業団の仕組みというものは生産者保護がたてまえなんでありますが、同時に、現在の流通機構の現状保護というものにも力をかしているような感じが非常に私はするわけでございます。私は、四月二十六日にこの委員会におきまして、輸入牛肉割り当て、そしてその枠のころがしというものが現にあるぞということを申し上げたわけでございます。そのときに私は、私の調査に基づいて、枠のころがしが大体二二%から三〇%現に行われている、そういうプレミアムつきで輸入肉の権利が動いているということを申し上げました。そして牛肉の放出の方法だとか量だとか、あるいは価格というような問題について基本的に検討をする必要があるだろうということを要望をしていたわけでございます。特にここでまたその論議を繰り返す考えはないわけなんですが、同じ問題が最近ではマスコミでもう現に問題になり出してきております。たとえば十月十八日の日経の流通新聞では、事業団自身、いまの仲間相場というものは、現に千円ぐらいのものが千五百円前後というほど業者間の転売は日常化しているということが出ております。また十月二十二日のNHKのニュース解説でも、解説者自身が調べた結果として、利ざやかせぎの転売の事実があったということを指摘をいたしているわけでございます。こういう現状の様子というものは、事業団の現状の仕組みが複雑な流通段階を助長することにもなっているのではないかというふうな気が私はいたしているわけでございまして、農林省として、このプレミアムつきの転売が行われているということは恐らく承知はされていると思うのですが、十分調査をしていただいて、輸入枠割り当てというような問題、割り当て業者の数をふやすとか、あるいは放出する量をふやすとか、そういうような基本的な問題を再検討するつもりがあるかどうか、こういう問題についてひとつ伺いたいと思います。
  68. 大場敏彦

    大場政府委員 ただいま先生指摘になりました事柄、私ども各方面から同時に御批判をいただいているわけで、非常に気を配っているところであります。  チルド牛肉を団体に売り渡しておりますが、その団体を通じて末端小売へきちんと流れるということを期待して売り渡しているわけでありますから、それが横に流れるようなこと、あるいはそれにプレミアムがつくようなことはわれわれも当然予期しているところではございませんので、そういう意味で、いろいろ厳重な注意はしております。担当者を呼んで、末端への流し方だとかあるいは流した量だとか、手数料等についても調査いたしておりますし、あるいは畜産振興事業団にお願いして、場合によってはうわさのある店の現場へ行って、二日なら二日、三日なら三日立っていて監視をしたというようなこともございます。そういうようなことで、いろいろ監視の努力はしておりますが、厳しい御指摘がございましたので、今後指導の強化をさらに努めていきたいと思います。  それから同時に、これは私ども痛しかゆしの点があるわけでありますが、チルド牛肉というものは競りで売ることがなかなかしにくいという点がありますので、随意契約という方式をとっておるわけで、そうすると団体が限られるということで、そこで利権化というような議論も片っ方に出てくるということがあります。やはり競争原理の働き方が少ないという御批判がありますので、そこにいかにして競争原理を導入していったらいいだろうかということも含めて、いま検討を進めている段階であります。
  69. 堀内光雄

    堀内委員 検討を進めるというのはよくお役所で使われる言葉なんですけれども、実際は検討をした上やるかやらないかということ、やると考えていいのですか。
  70. 大場敏彦

    大場政府委員 なかなかむずかしいという事情はある程度御理解願いたいと思うのですが、私ども懸命に努力したいと思っております。
  71. 堀内光雄

    堀内委員 実際には事業団の方でこういう問題を直接お扱いになるわけでございまして、畜産振興事業団としては、そういう考え方のもとに進められる御意思がおありになるのかどうか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  72. 太田康二

    太田参考人 ちょっとよけいなことになるかと思いますが、私は、昨年の十二月に畜産振興事業団に参りまして、今日まで牛肉の安定業務に努力してきたつもりでおりますが、その間に私どもに寄せられました批判が二つございまして、一つは、いま先生が御指摘チルド牛肉の利権化の問題です。利権化というのは二つに分かれまして、一つは配分団体が特定しているという問題、それから調整金が甘過ぎるんじゃないか、取るべきものを取っていなくて、そういった連中に不当に利益を受けさせているのじゃないかという意味でのチルド牛肉の取り扱いの問題でございます。この点につきましては、先ほど局長からもお答えになられたわけでございますけれども、何らかの競争原理が働くようなシステムが考えられないかということで検討をいたしておる次第でございます。  それからいま一つは、よけいなことでございますが、私どもにたまりました膨大ないわゆる売買差益あるいは調整金一定のルールに従って助成勘定に積まれるわけでございますが、この額が相当な額になっております。先ほど、これも局長が申されたわけでございますけれども、世間の方から見ますと、消費者対策に対する配慮が足りないではないかというような御批判をいただいております。その一つの改善といたしまして、先ほど局長が御説明申し上げましたように、新しく五億何がしかの消費者対策を打ち出したわけでございますけれども、将来そういった方向に、できる限り消費者対策に力の入った対策を講じていかなければならないだろうというふうに反省をいたしておる次第でございます。
  73. 堀内光雄

    堀内委員 ぜひとも現状を破って、そして方式を改めていただいて、それがまた生産者にもプラスになり消費者にもプラスになるということをよくお考えをいただいて、勇気を持ってこれに取り組んでいただきたいということを特にお願いを申し上げる次第でございます。  次に、調整金の問題についてちょっとあわせて伺いますが、事業団と日食協の調整金の総額が、先ほどのお話ですと、五十一年度分、これは五十二年度の方に回ってきているわけでしょうけれども、三百五十億円に近いものになっているわけでございます。五十二年度も恐らくそれを下回ることはないんじゃないかと思いますが、こういう膨大な資金というものが、いま太田理事長さんがおっしゃったように、消費者にはほとんど使われていなかった。ようやくその方向に向かって使う姿勢をつくっていただいたということは非常にありがたいわけでありますが、こういう資金をさっきの流通機構の改革というような問題に投入していただきたいということを私は希望するわけでございます。そして牛肉価格の安定をさせて、生産者にも消費者にも有利になるようなものをつくり上げていただきたいということを希望するのです。幸い農林省も今度部分肉センターというものを東京につくられる構想を発表なさって、来年度の概算要求にも約十四億円の計上がされております。これは非常に私は画期的なことだと思いますが、総事業費五十億の中で、二年計画で国の予算はことしは十四億というようなことでありまして、何か遅々として進まないような感じがするわけなんですが、この三百五十億というような大きい資金をぜひこの部分肉センターに投入をしてもらって、東京だけではなくて、大阪だとか九州だとか、ブロックの中にそれぞれ設置をしてもらう、そして全国的な構想の中でこれをつくってもらって、牛肉のプライスメーカーとしての役割りを果たしてもらう、こういうものをしてもらえば、消費者にとってもこの調整金の使途というものが有意義にわかってくるというふうに感じるのですが、そういうぐあいの積極的な意向を持っていらっしゃるのかどうか、ちょっと承りたいと思います。
  74. 大場敏彦

    大場政府委員 いま御指摘になりましたように、部分肉のセンターということの設置を考えております。これは芝浦の卸売価格が骨のついた枝肉で価格が形成される、われわれ消費者が食べるときの牛肉は骨を取ってスライスされたもので、すっかり姿が変わっている、こういうことがやはり卸売価格小売価格の連動が鈍いということの一つの大きな原因であろう、そういったことであります。欧米ではすでに部分肉取引、部分肉マーケットというのができておりますし、また小売の方も部分肉で買うという形になっておりますから連動がしやすい、こういった事情があります。そういったことに着目いたしまして部分肉センターの設置というものを試みようとしているわけであります。これはまさに流通の問題であると同時に、価格を引き下げる、連動しやすくするという意味消費者対策でもあるというふうに認識しておりますが、来年度とりあえず東京というふうに考えておりますが、これは東京だけでございません、先生がおっしゃいましたようにブロック別にできるだけつくっていきたい。それから当然国の補助金だけではなしに事業団等の別の援助というものも必要になってくるケースが考えられますので、これは大蔵省との協議を要しますけれども、積極的にそういった方面への投入は努力したいと思います。
  75. 堀内光雄

    堀内委員 この部分肉センターの設置というのは一部から相当強い反対もあるものだと思います。それだけに、これも大変なことだとは思いますけれども、ぜひひとつこれまた勇気を持って取り組んでいただきたいということを特にお願いを申し上げておきます。  肉の問題としては最後に、先ほどの十一月から出される調整金の上乗せ、この調整金の引き上げというものが引き金になってさらにまた小売値の方に値上がりをもたらすようなことになっては、これはもう消費者は踏んだりけったりということになってしまいますので、そういう末端価格が上がらないための方策を農林省としては何か考えていらっしゃると思うのですが、そういうことをされて絶対上がらないようにするということについての御答弁をいただきたいと思います。
  76. 大場敏彦

    大場政府委員 この調整金の引き上げというものは、途中で吸われてしまうというものを公的機関に徴収するということにあるわけで、決して末端価格の引き上げということを意図するわけではございません。むしろそれを防止したいと思っているわけであります。販売価格が上がりますから、そういう意味末端価格の引き上げ要因になりかねないというおそれもありますから、事業団の十一月、十二月の売り渡し数量、これはチルドはもちろんふやしますが、フローズンもかなり大幅にふやしたい。そういうことによって市場の鎮静を図って、市場価格のアップというもの、それから小売価格のはね上がりというものを防ぎたいと思っております。それから指定店制度による目安価格というものもありますから、これはもちろん上げるつもりはありません。これは据え置いて、その据え置いた形でほかのルートへの波及というものも指導していきたいと思っております。
  77. 堀内光雄

    堀内委員 ぜひ末端価格が引き上がりにならないように努力をしていただきたい。また、絶対上がらないようにしていただきたいということを申し上げて、牛肉の問題は終わりまして、次に外国たばこの値下げの問題について簡単に承りたいと思います。  円高に対処して外国たばこの値下げが発表になったのでありますが、円高に対しての公社の対処が非常に手際がいいと思って感心をして大いに評価をしていたのでありますが、よくながめて見ますと、値下げ品目の中で一番輸入量の多い、特に全輸入量の八八・七%、九〇%に近い米国たばこは値下げに入っていないわけでございます。これはちょっと何か値下げ値下げと言ってもごまかしのような感じがいたしますが、なぜ米国たばこが値下げの中に入らないのか、一般大衆は非常に素朴な疑問を持っているわけでございますが、これについて簡単に明瞭にお答えをいただきたいと思います。
  78. 齋藤欣一

    ○齋藤説明員 来月一日から輸入たばこのイギリス製品を中心といたしましたものについて値下げをいたしますということは、先生の御指摘のとおりでございます。アメリカ製品は値下げになっていないということもおっしゃいましたとおりでございます。  その理由でございますが、輸入たばこの価格を決めます基礎になりますものは買い値でございます。向こうから言いますと売り値。したがいまして、その売り値がどうなるかということと、それから円高による結果はどうなるということを総合的に計算をしてやることになります。たとえば、イギリスの製品で申し上げますと、各国とも、傾向として、国によって差はございますけれども、毎年毎年売り値を上げてきてまいっております。これは各国とも物価も上がり人件費も上がっているということだと思いますが、イギリス製品は、現在のたばこの値段が決められました五十年十二月、このころに比べまして売り値が約四〇%上がってきておりますが、逆にイギリスポンドが円高の結果非常に弱くなってきて、これが三十数%弱くなってきております。そういった関係から一〇%ばかり値下げをするというような余地が起こってまいりました。  これはアメリカについて申し上げますと、確かに円高効果はございます。当時に比べましてドルが一〇%強弱くなっています。ところが、先方の売り値というものが約二二%上がってきておる。したがいまして、せっかく円高効果はございましたのですが、売り値の方が上がってきておりますので、円で計算いたしました公社が買います買い値という点から申し上げますと、八%ばかり上がってきております。したがいまして、事務的に計算をいたしますと、アメリカ製品は若干値上げをしなくちゃいかぬという計算になるわけでございますけれども、政府物価対策というような観点も考慮して据え置きにしたいというのが経過でございます。
  79. 堀内光雄

    堀内委員 円高による差益は出たけれども、米国たばこの現地の価格が上がってしまったために相殺されたということだというふうに思いますが、実際には、公社の今年度の当初の計画の中で、すでに米国たばこの値上げというものは織り込まれているものでありましょうし、この円高というものはまさか織り込んではなかったというふうに思うわけでありまして、そういう意味では円高は非常に偶発的なもので、ここに出てきた利益が相殺されるという表現は、余り庶民にとっては理解ができない御回答だと思うのですけれども、これは国の方針、政策という形の中で理解するとしまして、国産たばこについても、端的に言えば約三分の一が輸入葉たばこになっているわけですから、そういう意味からもこの円高というのは非常に効果が出てくるはずのものだというふうに思います。  時間がないので要望だけにとどめてまいりますけれども、こういうアメリカたばこの円高差益というような問題、あるいは輸入の葉たばこの円高差益、これは大体二年先に出てくることだというふうに私も聞いておりますけれども、こういうものが非常に大きな額になっております。その大きな額というものを考えてまいりますと、一歩先を見て、この円高差益を有利に使っていただいて、国産たばこの値上げというようなものをできるだけしないように、この差益国民に還元できるような方向で大いに努力をしていただきたいということを要望として申し上げておきます。  また最後に、飛行機のように早くなりますが、航空運賃の問題についてもちょっと私の方の要望として申し上げたいと思います。  今度の国際航空運賃というものが発地国の通貨建て運賃ということになっているために、いわゆる発地ベースというものになっているために、日本では円でしか購入できない。しかし、国際航空運賃の基本はドルで決まっているということで、日本では円に換算されて円建てで運賃が決定されるわけなんですが、現在のような円高になってまいりますと、当然円への換算レートというのが非常に問題になってくると思うのでございます。いま、聞くところによりますと、一ドル三百八円というものに換算レートがなっているということでありますけれども、現在の二百五十円台の実勢レートから考えてまいりますと、なかなかかけ離れたもので、庶民的に理解ができないような面があると思うのです。十月十六日の日経新聞で、運輸省の姿勢としての発表によりますと、この三百八円レートを実勢レートに近づけるように行政指導するということが言われております。こういうことは非常に結構なことだと思います。ただ、運輸委員会の一員としても、私は、このレートの改定というのは非常にむずかしいものだと思うのですが、こうやって一つの姿勢を打ち出して、今度の担当官会議でもこれを打ち出された以上は、ぜひ早急にこの問題を解決されるようにして、そして実勢レートに近いようなものを実現できるように、ぜひお願いをいたしたい。特にいまの二百九十六円プラス四%というサーチャージ、このサーチャージの方について言うならば、一日も早く取り消さなければ問題が理解できないようなことになるんじゃないかというふうな気がいたしますので、それをひとつ特に要望をいたしておく次第でございます。  最後に、経済企画庁の長官にきょうはおいでいただきましてまことに恐縮でございますが、この八月に発表された輸入品価格動向調査というものの報告、これによりますと、非常に私は有意義な結果が出てきているというふうに思います。五十一年の十二月と五十二年の六月との比較した内容、これは市場のメカニズムだとか市況の強弱というようなものの要素によって非常に変化をされておりますけれども、輸入品小売価格への動向というようなもの、これを非常に的確につかまえていて、関係業界への注意と同時に指導にも役立っているというふうに私は思っております。ぜひ、こういうものは今後においても非常に重要な役割りを果たすものだというふうに思いますし、六月時点の二百六十円段階が現在の二百五十円にさらに円高になったというようなことを考えますと、今後とも継続して調査を進めていただきたいということをひとつお願いを申し上げたいと思います。この点について後ほどお伺いしたいということと、同時に、円高物価に与えた影響というものを考えてまいりますと、大企業性の製品、これの小売段階に対する値上がりというものは非常に低いのでございます。特に八月の全国特殊分類指数によりますと、大企業性の製品の中では工業製品も食料品も繊維製品も耐久消費財もその他の工業製品もみんな二・二%とか〇・九%とか非常に低い数字になっておりますが、これが、サービス部門いわゆる円高影響を受けない、効果の波及を受けないような部門になりますと、非常に大きく値上がりをしております。たとえば生鮮食料品は九・九%、サービス部門では一三・四%、個人サービスでは一〇・六、中小企業性の食料品では一〇%というふうに非常に上昇が目立っているわけでございます。そういう意味で、これは円高効果というものがやはり消費者物価にも、卸売物価には当然出ておりますけれども、消費者物価にも大きくあらわれてきている面があるのではないかというふうに考えておるわけでありまして、こういうサービス部門のようなものの対策をしっかり打たないと、円高効果を食いつぶしてしまうというようなおそれがあるような感じがいたします。  そういう意味で、こういう点を含めて、経済企画庁長官の今後の物価対策についてのお考えのようなものを承れればということで、私の方の時間が来ましたので、質問は打ち切りたいと思います。
  80. 倉成正

    ○倉成国務大臣 先ほどから、国民の非常に関心事であります牛肉の問題について、いろいろ堀内委員政府委員との間のやりとりを伺っております。私ども、やはり国民にわかりやすくひとつこの円高消費者に利益をもたらすということに最善を尽くしたいと考えております。  なお、先般やりました三十六品目の調査につきましても、目に見えて円高が反映しているものと、必ずしもすぐ円高が反映していないもの、それぞれ商品について事情はございますけれども、やはりそういうものを細かく分析をいたしまして、そして国民の前にどこに問題があるかということを明らかにしていくということがわれわれの務めではないかと思っております。  なお、先ほどお述べになりましたサービス料金の問題、われわれは季節商品と同時に非常に深い関心を持っているわけでございますが、御案内のとおり、CPIの中で占めておるサービス関係というのが約三割強を占めておるわけでございます。これは、低成長時代になりますと、どうしても賃金コストというのがやはりサービス料金に反映をしていくという点がございます。これらの面を見ながら、サービス料金の安定ということをサービス業の合理化ということを含めまして考えていくことが必要ではないかと思います。なお一層物価の動向については最善を尽くしていきたいと思っておる次第でございます。
  81. 堀内光雄

    堀内委員 これで終わります。
  82. 西宮弘

    西宮委員長 堀内光雄君の質疑は終了いたしました。  次は、武部文君。
  83. 武部文

    武部委員 当委員会で、円高による為替差益消費者還元を図れという問題は、何回かここで論議をしてきたところであります。福田総理がこの差益物価に生かせ、こういうふうに発言されたのは二月であります。あれから八カ月以上経過したのでありますが、円は確実に高くなっておりす。現在二百五十円台、きのうのロンドン相場で二百五十一円六十銭、東京相場で二百五十二円、このように確実に円は高くなっております。  そこで、三十六品目の問題についていまもやりとりがあったようでありますが、この差益がわが国の物価にどういうふうに影響しているかということを追跡調査をする、こういうことで、八月に皆さんの方から三十六品目にわたる追跡調査の結果の報告をいただきました。しかし、現実にこの中で小売に価格影響して下がったものはわずかに六品目程度しかないわけです。そこへもってきて、今度十四日に政府物価担当官会議で示された六つの項目、先ほどからやりとりがございますように、たばこだとか航空運賃だとか、そういう問題を当面の問題として取り上げられたようであります。私はこれを決して否定をいたしませんし、結構なことですからやってもらわなければなりませんが、問題は、何回かやりとりした中で出てきた石油製品の問題。この三十六品目の中の三十五番目に石油製品というのがあります。これも内容が確かに具体的に出ておりますが、そのほかに、いまお述べになった公共料金に該当するもの、すなわち電力、ガス、あるいは前回もここで消費者米価のときにやりとりいたしました輸入食糧の為替差益をどうするか、こういう国民が最も関心を持っておる問題がこの三十六品目の中に余り見られない。また、当面する六項目の中にもそれがない。だとすると、これだけ円が高くなって、国民はこの円高による為替差益の還元というものを非常に強く望んでおるにかかわらず、今日の政府の政策というものに何らそういう具体的なものが見られない、このように恐らく不満を持っておるだろうし、私自身もそう思っております。  例をとれば、電力は二百九十九円のレートで前に料金が決まりました。それからガスは二百九十六円、石油は標準価格の際は五十比年十二月には三百二円のレートです。こういう点と現在の実勢レートを見たときに、ここに莫大な差益が出てくるのは当然であります。このような点について、いま私が述べた点について企画庁長官はどういうふうに考えておられるか、まず最初にそれをお伺いしたい。
  84. 倉成正

    ○倉成国務大臣 昨年の十二月、一月というのが二百九十円台の円レート、それから二カ月、三カ月刻みに十円ずつ円が高くなりまして、現在は、きょうの寄りつきが二百五十二円ということで、最近円高の傾向が非常に目立っておるわけでございます。  そこで、私どもは、総理の指示もこれあり、この円高ができるだけ国民に還元されていくような方策を講ずべきであるということで、先ほどお述べになりましたように、三十六の輸入品価格動向の調査をいたしたわけでございます。これは御承知のように消費財を中心にして一応考えたわけでございます。わが国の輸入は原燃料が大半を占めておりまして、これらが輸入の中で六四%ぐらいを占めておるわけでございまして、こういうものは比較的卸売物価にすぐ反映する可能性がある。特にそういう原燃料を輸入するところ、そうしてその原燃料を使う部門については、力関係価格が形成されても決して不当な価格は出てこない、こういう考え方でございまして、一応石油全体についての調査というのは省いておるわけでございます。また輸入麦等については、御指摘ございましたけれども、これは食管物資になっておりますので、政府が直接関与する物資でございますので、一般の消費財とはちょっと性格を異にするということで省いておるわけでございます。これらの石油製品、また電力料金、ガス料金、輸入麦について決して無関心であるというわけではございませんで、重大な関心を持って見守っているというのが現状でござ、います。
  85. 武部文

    武部委員 総理が、円高相場というのが瞬間的ないわゆる瞬間相場、瞬間風速ではなくて一年程度の幅をとって定着するならば価格政策上問題がある、したがって相場の推移を見ながら料金体系を検討するというふうに言明されたのは四月であります。当時四月の相場は二百七十七円程度であります。そのときに、長官はこの席上で、乱高下がなければ円高は好ましい、あるいは二百六十円になるかもしらぬということを述べられたわけです。いまから半年前です。確かにあなたのおっしゃったとおりになりました。私はあなたに先見の明があったと思いますが、確かにそのとおりになった。そうすると、当時、いまから半年前に総理もあなたも、乱高下がなければ好ましいし、円高が定着するならばそれを料金体系に波及をさして検討しなければならぬ、こういうことをおっしゃってきたわけでありますが、今日、これから申し上げる電力あるいはガスあるいは石油製品、そういうものについて、一定に定着しておるわけですが、この問題についてあなた方は半年前の考え方と一つも変わっていないか、その点まずお伺いしておきたい。
  86. 倉成正

    ○倉成国務大臣 電力、ガスの料金については、安定的に推移するということが基本的に望ましいわけでございます。したがって、これをすぐ、石油輸入価格変動したから、非常に上がったからまた電力を上げる、ガスを上げるということもいたしませんし、また、これが下がったからすぐ電力料金、ガス料金に反映するということはいたしてないわけでございまして、あるサイクル、期間を通じて安定していくということが一つの基本的な考え方になっておるわけでございます。しかし同時に、これらの価格が、円高によって原油の輸入価格が非常に下がるということによってコスト面に影響を及ぼしてきておることは事実でございますから、これらの点は、やはり消費者にわかりやすいような形で説明する必要があると思います。  なお、同時に、原油につきましては、円高の半面、OPECによる原油価格の値上がりという問題をやはりわれわれは頭に置いておく必要があるわけでございまして、ことしの七月は、御承知のようにサウジアラビアあるいはアラブ首長国連邦における五%の値上げがございました。わが国の原油の輸入はサウジアラビア並びにこの首長国連邦を合わせますと約四割強でございますから、したがってこれは原油価格の二%に当たるわけでございます。これらの点も考える必要がございますし、また、ことしの十二月にOPECの総会が開かれるわけでございます。これはいまから予断することはできませんけれども、やはりこれらの動向も注意深く見守ってみる必要がある。そういうことでございますので、円高だけでコスト計算がすべてできるということになればいろいろな仮定をとって考えることができますけれども、その他の要素があるということもやはり頭に置く必要があるということを申し上げたいわけでございます。
  87. 武部文

    武部委員 それでは具体的な問題に入るわけですが、その前に、一つだけ長官の見解を聞いてみたいと思います。  いま世界の中で、日本の円と西独マルクが非常に注目をされておるわけです。今後の円の動向について長官はどういうふうに考えておられるかということを聞きたいのであります。たとえば、西独マルクは戦後二回にわたって切り上げが行われました。それはスミソニアンの通貨調整も含めてですが、実に通算八三%のマルク高になっています。こういうことを考えると、もし仮に同じように考えるならば、三百六十円であった日本の円は、仮に八〇%切り上げることによって二百円になる、そういうことも決して不思議ではない、このような意見が出ておるようでありますが、この見解について、西独マルクと日本の円はとかく並んでいろいろと言われておるわけですが、そういう戦後の日本円、西独マルクの切り上げ、そういう中から、日本の円高がこれからどういう傾向をたどっていくだろうか、この点についてどういうお考えでしょうか。
  88. 倉成正

    ○倉成国務大臣 具体的な円相場を経済政策を担当する私が申し上げるわけにはちょっといかないわけでございます。その点は御容赦いただきたいと思います。  ただ、いまスミソニアン以来の円レートの変化のお話がございましたけれども、これは御承知のように、スミソニアン、一九七一年の十二月二十日からの問題でございますけれども、日本円がどのくらい変化をしておるかということを十月十八日現在で考えてみますと、IMF方式では日本円は二一・八八%ということで、円が高くなっておるわけでございます。西ドイツがこれに対して四二・四九%、スイスフランが七〇・一〇%ということでありますので、確かに西ドイツのマルク、スイスフランに対しては変化率が低いわけでございます。しかし、これもIMF方式と欧州方式がございまして、欧州方式で見ますと、日本円はスミソニアンレートからの変化は一七・九五、西ドイツが二九・八二、それからスイスフランが四一・二一ということで、欧州関係は欧州方式を大体とっておるわけでございますから、一概にIMF方式だけで判断をするのはいかがなものであろうかと思うわけでございます。  それからもう一つわれわれが考えておかなければならないのは、やはり円相場というのは、短期的には国際収支、為替の需給関係で決まるわけですが、長期的に見ますとやはり卸売物価というのが一つの目安というか、そういうことになることがよく言われておるわけでございます。そういう点から見ますと、一九七一年以降の卸売物価上昇率を見ますと日本は六一・七%、西ドイツは三七・〇%、スイスは二六・九%ということで、卸売物価上昇率が日本の場合非常に高いわけでございますね。またイギリスは一四一・九%という、非常に卸売物価が高くなっておるわけでございまして、その反面、欧州方式で計算しますとイギリスのポンドは四六・八七%今度は下落している、こういうこともございますので、一概に単純にIMF方式でどうだからこうだという議論は必ずしも当たらないのじゃないかと思うわけでございます。しかし、具体的にどこが適当であるかどうであるかということはちょっと私の立場で申し上げるべき筋合いではないと思うわけでございます。
  89. 武部文

    武部委員 それならば今度は具体的な問題についてお尋ねいたします。  前回、円高の問題で石油業界の為替差益の問題をここでやりとりいたしました。この為替レート現実変動し始めて具体的に円が高くなった時期は、私どもは五十一年の三月ごろからだというふうに見ております。それは何を根拠にして言うかというと、これからいろいろ数字が出るわけですが、御承知のように、五十年の十二月の標準価格三百二円、これが設定されてからの業界の差益をずっと実勢レートと比較をして調査をしてみた結果そう言えるのでありまして、五十一年の三月ごろから確実に円は高くなってきたわけです。そうすると、三百二円の標準価格を決めた以後、石油業界は今日まで円高によってどの程度の為替差益を得たか、通産省どのようにお考えでしょう。
  90. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のように、五十一年度から円高にすでに入っております。五十一年度、年間を通じましての為替レートの平均の実績値は二百九十二円だったと私は記憶いたしておりますが、その間五十一年度の石油関係企業の決算面では約一千億の為替差益が出ておる、かように理解いたしております。  それから、五十二年度に入りましてからは、まだ上期の決算が出そろっておりません、五十二年度上期の為替レートの平均値は二百七十二円であったというふうに理解いたしておりますので、この間それなりの為替メリットが発生しておる、かように思っておるわけでございます。
  91. 武部文

    武部委員 あなたは、新聞報道によると、五十二年度に平均二十円高になるならば石油業界は約五千億の為替差益を得ることになる、このように述べておられますが、そうですか。
  92. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 私がお答えいたしましたのは、仮に二十円の円高になればということで申し上げたわけでございますが、さような二十円の例を引きました私の気持ちといたしましては、ただいまも申し上げたように、五十一年度の実績が二百九十二円、五十二年度の上期が二百七十二円、ちょうど二十円高という実績が出ておりますので、その二十円をベースにいたしますと、ことし二億八千六百万キロリットルの油が輸入されるとするならば為替メリットは約五千億程度のものが出るであろう、かようにお答えしたわけでございます。
  93. 武部文

    武部委員 ここのところがちょっと大事ですから、数字ですから間違えないようにやりとりしておきたいと思いますが、五十年十二月にさっき申し上げるように標準価格が決まったときの為替レートは三百二円でありますね。それで五十年十二月から五十二年、ことしの三月までの十五カ月間の為替レートの実勢と三百二円の標準のレートの設定の差額を計算してみると、この十五カ月間に二千五百五十億の差益が出てくることになります。これは単純に計算するとそうなるのです。それで、この二千五百五十億円というのはすでにことしの三月までの石油業界の差益であります。  そこで、それはそれとして、今度はことしの、五十二年度の四月から九月までの為替レートをいまあなたは二百七十二円とおっしゃった。これを二百七十円で計算いたしますと、三百二円の標準レートから見ると三十円高くなっておる。それから下期の計算はこれからでありますが、現在のレートは二百五十円台ですけれども、これを仮に二百六十円と見て、十月から下期の半年分を平均二百六十円で計算いたしますと、標準価格のときのレートよりも四十円高くなってくるわけです。この三十円と四十円という円高によって実に莫大な利益が石油業界に入ることになります。これはもう否定されないと思います。OPECの値上げは別ですよ。OPECの値上げは別として、あなたは二十円とおっしゃったが二十円でも五千億です。そうすると、ここで三十円と四十円というものが出てきますから、上期ではあなたの二十円で五千億。それよりも十円高い。なお下期は、二百六十円だというと四十円でありますから、平均があなたがおっしゃった二十円で五千億。これは四十円です。こうなってくると、実に九千億近い為替差益が一年間に、OPECの値上げを別にして一兆円に近い為替差益というものが石油業界に入ってくる計算が成り立つわけです。この点はいかがですか。
  94. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 私が五十二年度で二十円の場合五千億出るだろうと申し上げましたのは、上期だけではございませんで、年度問を通じて年率に換算すると五千億になるだろう、かように申し上げたわけでございます。  それから、いま御指摘の点でございますが、仮に下期二百六十円で推移した場合三百二円との関係は四十円になることは算術計算どおりでございます。ただ、年度問を通じてと申しますのは、相殺要因であるコストアップと絡み合わせて考える場合には、仮に下期がおっしゃるように四十円であった場合にも年度問を通じてはどうなるかという計算もいたさなければいけないと思います。  それからいま一つ申し上げておきたいのは、まさに先生のおっしゃったように単純に計算した場合そういうことでございまして、いわゆる為替の先物予約をしておるものにつきましては、その分については為替メリット、デメリットともにないということにもなるわけでございまして、会社の事情によりましてそれぞれ先物予約をどの程度しておるかという点もチェックする必要がございます。  それから、俗に為替差益と申しますが、いわゆる円高基調の中にありましても為替差損を発生する場合もあるということでございます。と申しますのは、船積みの時点で債務が発生するわけでございますが、二十日ないし二十五日の輸送期間を経た後、三カ月ないし四カ月の輸入ユーザンスの期間を経た後決済が立つわけでございますが、その船積み時点と決済時点における為替レートのいかんによっては、その間に円高基調であっても差損が発生するといったような事情も考えなくてはまいりませんので、マクロ的には御指摘のようなことになろうかと思いますが、企業の決算という立場から検討いたしますと、いま申し上げたような点を配慮して対比する必要があろう、かように考えるわけでございます。
  95. 武部文

    武部委員 もう一回それじゃいまの問題やりとりしなければいけませんが、確かに先のことですから断定はできないと思いますが、現実にこの一年半ばかりの為替相場の推移を見てみると、乱高下は全くない、確実に円は高くなりつつありますね。間違いないです。そういう中で、いまあなたと二十円とか三十円とか四十円とか言っていろいろやりとりしたわけですけれども、現実にいま二百五十円という相場があるわけだが、それを仮に二百六十円と安く見て、それからすでに九月まではもう実績が出ておるわけですから、そういうものを全部合計をして約一兆、九千億ないし一兆円という計算が出てくるわけです。その中から仮に、あなたが言われるように差損の発生が若干あったとしても、そう大きく揺るがすものじゃないことだけは明白であります。それは、各石油会社の決算を見れば明確に出ておるわけですから、近くまた九月期決算が出るわけですから、それを見れば明らかであります。そうなってくると、仮にもOPECの値上げが二回あった、五%、一〇%というようなことがあったとしても、OPECの値上げ分を差し引いたとしても、九千億ないし一兆の中の半分に近いものは石油業界に差益として残ってくることは明白であります。これは、何ぼあなたの方がおっしゃろうと、輸入の量並びに為替相場それから標準相場、そういうものの中から四千億以上のものが差益として出てくることは確実だ、私どもはそう見ております。恐らくそれは否定にならぬと思うのです。先のことですから断定はできないにしても、そういう程度のものは出てくるだろう、こういうふうに見られるわけです。  そこで、きょうは時間の関係で先を急がなければなりませんが、一体何をすべきか。電力とか、ガスの問題は後にいたしまして、それならばナフサの業界はどうなっておるかというと、新聞をにぎわしているように、すでに五千円近く欧州よりも高いじゃないか。それならば、コックを締めて、ナフサの購入を停止する、こういう非常に強い石油化学業界の姿勢が見えますね。これは新聞報道のとおりです。そういうふうに、非常に力の強いところは円高差益を還元させて、ナフサの料金を下げよう、そういう非常に強い姿勢が出ておるわけです。業界はそういうことができます。しかし、いつも問題になるように、灯油等については、国民の一人一人の問題ですからそういうことが不可能だ。石油差益を還元する唯一の道は何かと言えば、いまこれからの冬場を迎えて国民の生活の必需品として欠くことのできない灯油、そういうものの価格にこの利益を還元したらどうだということを何回も皆さんとやりとりしたわけです。  そこで、私は、一つの提案をいたしたいのであります。この約四千億という為替差益が出ておるわけですが、灯油の得率を見ると、灯油の得率は約一〇%であります。原油の中から灯油に精製されるものは約一〇%です。そこで五十二年度の灯油の生産量を調べてみると、予定としては二千五百十三万キロリッター、約二千五百万キロリッターです。この四千億の一割、約四百億円というものを灯油の価格に還元をしたらどうだ、こういう提案をしたいわけです。そうすると、一体どのくらいな値段になるだろうかというので計算をしてみますと、為替差益が業界で四千億、そのうちの一割、それは灯油の得率約一割と大体合うわけですが、これで還元をしていきますと、リッター当たり一円六十銭になります。一リッター一円六十銭程度値段を下げる。そうすると、十八リッター一かんで二十八円八十銭という金額になります。約三十円であります。昭和四十七年に、あの混乱のときに灯油を一かん二十円ないし三十円下げたという実績がかつてあります。こういうことを参考にしながら灯油の元売り価格をリッター当たり一円六十銭、一かん十八リッターで二十八円八十銭程度、これを下げることによって、とかく石油業界が為替差益を聖断をしておるとか、いろいろな形で非難を受けておるわけですが、国民に還元することが可能になってくる。こういうことを提案したいのでありますが、長官としてどうお考えでしょう。
  96. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいまの武部委員の御質問にお答えする前に、為替メリットについてのお話も先ほど来出ておるわけですが、一方コストアップの要因というものも、これは配慮しなければいけないのじゃないか。差益だけを計算してコスト上昇を考えないというわけには現実の問題としてまいらないわけでございますが、私たちの計算によりますと、ことしの一月と七月のOPECの原油価格引き上げで、五千億円以上の原油代の値上がりがございます。そのほかに備蓄、保安、防災コスト、あるいはことしから関税の増徴などもいたしております。そういった原油以外のコスト上昇要因が約千五百億ございます。この六千五百億という数字につきましては、今後のカラカスのOPEC総会における価格決定のいかんにかかわらず、かなり確度の高い数字であるわけでございます。それとの比較において為替メリットをどう考えるかということになってこようかと思うわけでございます。  それから、もう一つ御理解賜りたいのは、かつて四十九年、五十年にかけまして、石油業界全体といたしまして約二千億の資産処分を行った上、なお二千億の経常損を残しておったわけでございまして、昨年の為替メリットによりまして一千億円程度は消えておるわけでございますが、ことしの三月末時点で、民族系だけをとりましても、なお七百億の繰越損を計上いたしておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、ことしの上期の決算はまだ集計が終わっておりませんので、何とも申し上げかねるわけでございますが、おおよその見当といたしまして、三月時点におけるよりも欠損企業の数がふえてくるのじゃないかといったような、むしろミクロ的な現象もございます。  そういったことを前提といたしまして、ただいまの先生の御提案についてお答えさしていただきますと、ただいま申し上げたような事情を踏まえますと、私たちといたしましては、当分の間やはり今後のレートの推移あるいはOPECにおける来年一月以降の価格についてどのような決定がなされるかというものを見ざるを得ないという実感でございます。御承知のように、ことしの三月、四月に、各社によって二千円あるいは二千四百円キロリッター当たりの値上げを打ち出しておったわけでございますが、それが現実の問題としては非常に困難な状況にある。一部の会社では値上げを見送るといったような声明も出しておるわけでございます。そういったところもございまして、欠損企業がこの上期にはふえてくるのじゃなかろうかというふうに見ておるわけでございまして、総じて需給関係も軟調でございまして、具体的な灯油につきましては、昨年の九月時点で、元売り仕切り価格を三万二千八百円、十八リッター店頭渡し七百二十五円ということで据え置きを指導してまいったわけでございますが、せんだって九月のモニター調査によりますと、これが店頭渡し十八リッターについては七百十八円といったような状況でございます。さような状況も踏まえまして、今後の状況を勘案して、われわれといたしましても対処いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  97. 武部文

    武部委員 OPECの値上げとか、コスト高になるとか、いろいろなことをおっしゃっておるわけですが、先ほどちょっと数字を言ったように、ことしの三月までの業界の為替差益は単純計算で二千五百五十億円というものが出ておる。いま私があなたとやりとりしている五千億だとか一兆円というのは、ことし一年間の数字を述べておるのでありまして、それまでの間にすでに為替差益によって業界は相当潤っておるはずだ。ですから、そういうものがすでに帳消しをされておって、今後の一年間の推移を見ても相当額の差益が業界に入ってくるだろうということは計算上出てくるわけです。ですから、私はいま灯油の問題のみに限って申し上げたわけですが、確かに灯油は現在、価格はあなた方の行政指導によって元売り価格、仕切り価格というのは凍結をされています。しかし、それが末端の小売り価格まで完全に凍結したことにはなっていないわけですから、仕切り価格が凍結されれば小売り価格をある程度制約することは可能でしょう、いままでの経過から見ればそうだと思います。しかし、必ずしもそうとはとれない。だとするならば、これだけの利益を上げたわけですから、せめて灯油の中に差益の還元という形で国民に潤すことが必要ではないか、またそれは可能だということを私は具体的な数字をもって述べたわけです。半年間は、これからの予想でありますから断定はできませんけれども、これから冬場を迎えて、さっきから申し上げるように、家庭の必需品とも言うべき民生用灯油ですから、ぜひ価格の問題について差益が還元されて、総理が述べられたように具体的に実績が上がるような、そういう価格指導というものを通産省としてはやってほしいということを特に強く要望しておきたいのであります。いかがでしょうか。
  98. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま灯油に限定してのお話でございましたが、私たちといたしましても、いわゆる家庭用灯油というものが国民の必需品であるという点からいたしまして、量的に、質的に確保しなくちゃいかぬという立場に立っておるわけでございます。したがいまして、先ほども御指摘のありましたような灯油の得率という問題もございますように、安定供給が阻害されるようなことになるとやはりこれも問題であろうかと思います。いつも繰り返すようで恐縮でございますが、灯油価格につきましては、いわゆる中間三製品との価格バランスというものを考えてまいりませんと、冬場に向かって安定供給を確保するために積み増しをしてきておるこの灯油が、他のトラックだとかバスだとか、軽油にかわって使用されることになりますと、むしろ安定供給はできなくなるといったような問題もございます。先生の御指摘もわれわれとしてわからないわけではございませんが、量的に安定供給をやるということも一つの大きな配慮事項であろうか、かように思うわけでございます。
  99. 武部文

    武部委員 灯油の問題は何遍もあなた方とここで議論いたしましたのでこれ以上のことは申し上げませんが、数字の上において若干違いがあるようですから、これは改めて突き合わせをしてみて、当委員会でもう一回やってもいいと思いますが、灯油の点は、先ほど私が申し上げたようなことも計算上成り立つわけですから、ぜひ考慮をしていただきたい。  さらに電力料金の問題でありますが、通産省の資料によりますと、電力は一年間でことし五十二年度に推定として七百四十一億円の為替差益が出る、一円高によって三十三億、これもやりとりしたことですから間違いないようです。これは下期が二百六十円平均としてレートをとった場合の数字で七百四十一億円九電力が為替差益を得ることになりますね。そこで、電力料金が決定したのは去年のたしか六月か八月ごろだったと思いますが、平均二二・五六%の値上げをしております。そのときに現行の電気料金はできるだけ据え置くということが条件で——条件というよりもそういうことでこの料金は認められたというふうにわれわれは理解をするわけですが、この七百四十一億円あるいはこれ以上に上る為替差益が出る可能性が強いわけですが、電力の為替差益について通産省は一体どう考えておられるか、これをお聞きしたい。
  100. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 大体ただいま先生の御指摘のあったようなことでございまして、電力業界におきましては外貨建てで契約をいたしております原油あるいはLNGについて為替メリットが発生するわけでございますが、一方、昨年の六月から八月にかけて電力料金を認可する段階におきまして、本年の一月あるいは七月でのOPECの原油価格の引き上げというものを、ゼロ査定と申しますか、私たちとしてはコストに織り込んでないということもございまして、そういった点の差し引きの関係がただいま御指摘のあったような数字でございます。形式的に下期を二百六十円といたしますと、年度間を通じまして約千百二十一億円の為替メリットが出る。それに対しまして三百八十億円の燃料代の上昇がある。その差し引きが七百四十一億、こういうことになるわけでございます。この数字、御参考までにキロワットアワーに換算いたしますと十八銭でございます。それから一カ月百二十キロワットアワー、これは御承知のいわゆるシビルミニマムの上限数値でございますが、この一カ月百二十キロワットアワー使う家庭におきましては二十一円六十銭、大体一月二千二十八円の支払いに対して二十一円六十銭、こういう数字になるわけでございます。  この点につきましてのお尋ねでございますが、この程度の為替メリットが出ることは事実でございますが、一方電力料金というものはできるだけ長く安定させるということも非常に大切なことでございまして、昨年の六−八月に料金認可いたしました段階のいわゆる原価計算期間というのは来年の三月までになっております。私たちの気持ちといたしましては来年の三月末以降もできるだけ長く現行料金水準を維持することの方がより適切ではなかろうか、かような判断をいたしまして、すでに担当部長から来年の三月末にかかわらずできるだけ長期に現行料金を維持するように関係電気事業者に対して指示をいたしておる段階でございます。
  101. 武部文

    武部委員 いま十八銭ということをおっしゃったわけで、これは電気料金としての一キロワットの話ですね。われわれはこの電気料金の中を電灯料金と電力料金と分けていろいろ論争しておるわけです。国民消費、いわゆる家庭に行くのは電灯料金ですから、そういう関係ならば電灯料金と電力料金というのは、まずその算出根拠において間違いがあるのじゃないか。電力料金の方は安くして電灯料金は高くしておるじゃないかとかいろいろなことがあったから、少なくともこの為替差益をメリットとして国民に還元するならば、この差益をいわゆる電灯料金の方に還元をすれば、一カ月標準家庭で百何十円というものが安くなるじゃないかというような論議がありました。しかし、これはあなた方が原価方式をとってこうこうだとおっしゃるから、ここで論争しておったってらちが明きません。ですから、そのことについては十八銭とか二十一円六十銭とかいう数字も計算上出てくるでしょう。  そこで、いまあなたが最後におっしゃったように、いまのままで凍結する、五十三年三月まではこの料金でいく。しかし差益はどんどん出てきた。ですから、できるだけ長くということは、五十四年三月まで現在の料金は上げないというような考え方はあなたの方にありますか。あるでしょう。そうでなければそういうことにならぬと思うのですが、いかがでしょう。
  102. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 原価計算期間で申し上げますと三月末であります。したがって、当然来年の三月末までは現行料金体系、こういうことになるわけでございますが、来年の四月以降も、いまの段階でどの程度の期間ということは申し上げかねるわけでございますが、できるだけ長く現行料金で据え置くということでございます。
  103. 武部文

    武部委員 この為替差益は一般の商取引によって得る収益とは全然性格を異にするものです。ですから、為替差益とほかの収益とは別だ。そうなってくると、為替差益があって利益が出た。それを設備投資に回したとかいろいろな形にして、そしてうまくいかなかったらまた今度値上げでございますというようなことを言わせるようなことはいかぬと思うのです。そういう意味で、為替差益というものは当然決算上出てくるわけですから、これに対して厳重にあなたの方が行政指導をして、そのものはいわゆる料金体系に反映するように十分な監視をしてもらわなければ困ると思うのですが、それはできますか、やる意思がありますか。
  104. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘の点につきましては特に注意して、その差益はいささかたりとも他に転用されないようにわれわれとしても監視をしてまいりたいと思います。
  105. 武部文

    武部委員 経済企画庁長官にこの際にひとつ別の点でお伺いをしておきたいと思うのですが、砂糖です。  砂糖は実質的に輸入規制をやろうとしているわけですが、そうなると、砂糖の国内価格が上がることは当然だと思います。この問題について閣議決定はどうなったのか、ひとつ長官から述べていただきたいと思います。
  106. 倉成正

    ○倉成国務大臣 本日の閣議におきまして、砂糖の価格安定等に関する法律第五条第一項の規定による売渡しに係る指定糖の売戻しについての臨時特例に関する法律案、いわば砂糖に関する売渡しの臨時特例の法律案が閣議案件にかかりまして、了承したところでございます。これに関連して私から農林大臣説明を求めました。農林大臣としては、今日国内の砂糖メーカーが非常に乱立状況にあって過当競争をしておる。したがって、過当競争によって砂糖を輸入をしているという状況、一方において、御案内のとおり豪州との長期契約があるわけでございます。したがって、このままいくと砂糖の相場というものが非常に乱高下したりいろいろ思わしくない状況が出てくるので、この法律をつくることによって安定供給を図っていきたい。しかし、これは決して輸入の制限をするわけではなくして、輸入をした砂糖を一年間売り戻す、一年間の期間の範囲内で需給状況を見ながら売り戻しについての調整を図っていく、こういうものである。それでは末端価格には響かないでしょうねというお話をいたしまして、そういうふうに努力をしたいということでございます。
  107. 武部文

    武部委員 この問題はそれでは別の機会にすることにいたしまして、終わります。  次に、これは消費者米価の値上げの際に、輸入小麦の問題について農林省といろいろやりとりしたときのことに関連をしてお尋ねをするわけであります。  ことしの七月にこの委員会で消費者米価のやりとりをいたしましたときに、小麦、大麦の輸入価格、これは、国際相場下落をした、また円高になったということで、一体どのくらいな差益が食糧庁として出るかということを言いましたところ、当時のレート二百八十円の計算で三百二十億程度の黒字が出る、こういう答弁がございました。私の方では当時これはちょっと違うじゃないかということを言ったわけですけれども、大体三百二十億ということでございましたが、小麦は四百二十六万トン、大麦が三十五万トン、合計四百六十一万トンことしの輸入予定でありますね。そうすると、これからの為替相場の推移を見て、小麦、大麦で一体幾らの為替差益、これは国際相場の推移及び円の実勢レートの推移、それを見てどの程度と考えておられるか、最初にそれをお伺いしたい。
  108. 小野重和

    ○小野説明員 円高によるいわゆる為替差益でございますが、予算に計上しておりますのは為替レート一ドル三百八円でございますが、今後どういうふうに為替レートが推移するか、これは見きわめがたいわけでございますが、仮に最近のレートを、ことしの一月から九月までの平均をとりますと約二百八十円になります。そういうことで、現時点で、しかも最近の国際価格を前提として計算いたしますと、予算に比べまして約百五十億円程度の損益変動があるというふうに私ども見ております。
  109. 武部文

    武部委員 百五十億円というのは、この為替差益だけの問題ですか。
  110. 小野重和

    ○小野説明員 そのとおりでございます。
  111. 武部文

    武部委員 国際相場下落、これの推移を——現実に国際相場が非常に下がっておるわけですが、あなた方の五十二年度の予算の輸入金額もここにちゃんとありますが、それの差はどのぐらいですか。
  112. 小野重和

    ○小野説明員 国際価格は最近いわゆる底値にあるというふうに私ども見ておりますが、今後どういうふうに推移するかなかなか見きわめがたいのでありますが、端的に最近一年間の政府の買い付け価格をベースにして計算いたしますと、当初予算に対しまして約六百三十億円程度の損益変動がございます。一方、五十二年度は当初予算で七十八億の損失を計上しておりますので、利益といたしますと、その差し引きで約五百五十億円程度が国際価格の低下、それから為替レート変動全体をひっくるめまして百五十億程度の利益になるのではないかというふうに私ども見ております。
  113. 武部文

    武部委員 この辺がどうも金額が私どもと違うのでありまして、これから述べることについてあなたの見解を承りたいのであります。  具体的に、この国際相場の予算上におけるあなた方の数字、入ってくる量及びレートの実勢、そういうものを計算して、われわれは次のようなことが計算上出てきたわけです。  あなたはいま、この五十二年度一年間を通じて、国際相場下落並びに為替差益によって五百五十億ということをおっしゃった。アメリカ産のウエスタンホワイト、これはいま秋が一番高いわけですが、特にこのウエスタンホワイト、それからカナダ産のウエスタンレッド、それから大麦でオーストラリア産のツーロー、そういうものを全部計算をしてみたわけです。そうして、この量がどの程度一〇〇%の中のウエートを持っているかということも計算をしてみました。そうして出た数字は、五十二年通年でトン当たり平均四万百三十一円八十三銭という数字であります。これで輸入ができる。そうなってくると、成立予算は六万一千二百四十円であります。六万一千二百四十円で成立しておった予算の中で、四万百三十一円で入ってくることになる。トン当たり二万一千百九円も国際相場下落することによって差が出てくる。それで四百六十万トンの輸入量を掛けますと、九百七十二億四千九百万円という数字になります。これはもう、計算はすぐ出てくるわけですから。そういうことになって、実にこの小麦、大麦の円高及び国際相場下落によって食糧庁は予算上九百七十二億四千九百万円という莫大な差益を——差益というよりも、あなたの方は支払わなくてもよろしいことになる。予算上これだけ浮くことになる。こういう計算になる。あなたは五百五十億円と言っておる。われわれの計算では九百七十二億というものが出てきます。これはどうしてそういうことになるのですか。
  114. 小野重和

    ○小野説明員 二つございまして、買い付け価格をどう見るかということでございますが、今後どういうふうに推移するかというのは、たとえばアメリカの新農業法に基づくいろいろな備蓄問題あるいは生産調整、そういう問題もございまして見きわめがたいわけでございます。最近はシカゴ相場も上がっておるようでございますが、いずれにしましても、これは過去の数字を前提として見ざるを得ないということで、過去十二カ月平均をとっております。そういたしますと、買い付け価格はトン当たり四万三千六百円程度、私ども過去の平均をそういうふうに見ております。その点が一つ違うわけでございます。  もう一つ大きな点は、これは五十二年度の損益はどうなるかという端的な御質問でございますので、実は小麦で申し上げますと、ことしの五十二年度の買い付け予定量は四百三十万トン程度でございますが、このうち八十万トン程度はいわゆる備蓄用の——入れかえますけれども、備蓄用のものでございます。備蓄に回りますので、その八十万トン分は、会計処理の細かい点で恐縮でございますけれども、これは買い入れ価格で評価する。買い入れ価格か売り出し価格のどちらか低い方で評価する、こういうことなんでございますが、買い入れ価格の方が低いわけでございますから買い入れ価格で評価する。ということでございまして、それは五十二年度の損益といいますか、益には計上されないような形、そういう会計処理をやっておりますので、そういう意味で、実際に損益に影響するのが、先ほど申し上げました小麦の場合でございますが、四百三十万トンから八十万トンを差っ引きました三百五十万程度、これが数量のベースになる、こういうことでございます。  以上、二点がちょっと違うのではないかと思いますが……。
  115. 武部文

    武部委員 八十万トンのことは、いま私、初めて聞いたわけですが、仮にそれをしたにしても、余りにも差が大きい。  そこで、もう一遍、あなたちょっとそこで書いてほしいのですが、私が言った数字の根拠は何かというと、一月から九月まではもう実勢レートが出ておりますから、国際相場が決まっておるのですから、これは現実のものですよ。現実のもので調べますと、二百七十五円十一銭なんです。これが為替レートの平均ですよ。それから、十月から十二月まで三カ月間を調べてみると、二百六十円で計算をいたします。平均レートは二百七十一円八十五銭になるわけです。こういうかっこうをとると、いま私が九百七十億円程度と言いましたが、もう二十億円出てくるのです。為替レートを十、十一、十二を二百六十円にすると、それだけしてもまた二十億円出てくる。こういうふうに若干の差は仕方がない、認めなければなりませんが、余りにも差が大きいのです。ですから、あなたといまここでお互いが持っておってやりとりしておったって仕方がないのですから。仕方がないけれども、五百五十億というようなそういうわずかな金額ではないことは、私どもの計算から出てきます。九百七十億、九百九十億、そういう数字さえ出てくる。そうなってくると、一体この輸入小麦、大麦の成立予算の中からこれだけ浮いてきた金を、具体的にどうするかということになってくるだろうと思うのです。  前回ここで消費者米価の値上げのときに、たとえば三百八十億とあなたが言われたが、九・八%も消費者米価を上げようとするならば、そういう三百八十億も黒字になっておるならば、そのものを回して消費者米価の九・八を少しでも下げたらどうだということを農林省に言ったところが、米は米、麦は麦だ、あなたははっきり議事録で言っておられる。米は米、麦は麦で、麦で浮いたからそれを米に持っていくというようなことはできないとおっしゃった。それならば、麦で私は九百七十億円と言い、あなたは五百五十億円と言うが、そういうものが一年間のうちに浮いてきた。だとするならば、一体これをどうするのか。これはどこに使おうが農林省の勝手だというような、そういうことは許されない。  そこで、経済企画庁長官にもあのとき、これから秋に決める小麦の政府売り渡し価格にこれを反映をして値下げをしたらどうだという話をいたしました。長官の答弁は、できるだけそういうものが価格に反映できるように努力をするということをおっしゃったわけです。いよいよ来月ですか、米価審議会にこの小麦の売り渡し価格の諮問をされるようです。これだけ黒字が出ておる、若干数字が違うようですけれども、こういうものはこの答申にどういうふうに反映されますか。
  116. 小野重和

    ○小野説明員 今後の麦の売り渡し価格をどうするかという具体的な取り扱いについては、まだ決めているわけではございません。  ただ、申し上げたいのは、従来から麦の政府売り渡し価格につきましては、これは食管法ないしその政令に、外麦のコスト価格、それから内麦のコスト価格、それから米価との関係などを考慮して決定するように書いてあるわけでございますが、そういうことでございまして、この円高等による外麦の輸入価格をそのまま直接反映させるというたてまえにはなってないんじゃないかと思います。たとえば四十七年のときの国際価格が急騰いたしましたが、この際には逆に売り渡し価格をそう上げませんで、千四百億円にも上る財政負担を現実に出したというような経緯もございます。  それから一方では、実はこれは現在のお米の問題でございますが、過剰基調を大変強めてまいりまして、ことしは九十万トンのいわゆる生産調整ということでございますが、来年はほぼ倍近い百七十万トンという生産調整をやらざるを得ないような状況でございまして、そういう状況を踏まえまして、生産者団体等を中心に輸入麦を削減できないかとか、あるいは売り渡し価格を引き上げられないかというような要請が来ているようなそういう状況でございます。  いずれにいたしましても、私ども、国民食糧としての、主食としての米と麦との関係をどう考えるかということが基本になるわけでございますが、そういう基本問題をどう考えるかということ、それから食管法の規定にもちろん従いまして麦の売り渡し価格を今後どうするかということを決めるわけでございますが、具体的な取り扱いについてはまだ決めておりません。
  117. 武部文

    武部委員 時間が来たようですけれども、長官、ひとつ一緒に聞いておってほしいのですが、五十一年、五十二年の食管会計の損益計算書がここに表がありますが、これを見ると、五十一年度は予算で八百五十億赤字になるようになっておりました。ところが、決算は逆に九十億の黒字になっておるわけです。八百五十億という赤字が逆に九十億黒字、九百四十億円の見込み違いということになるわけです。結果はそうなりました。五十二年度の予算を見ますと六十一億円の赤字が計上されております。ところが、先ほど言うように九百ないし九百何十億という黒字が出る可能性が強いわけです。五十二年に国内麦の赤字が二百八億円計上されておりますね。そうすると、その黒字の中から仮に二百八億円というものを差し引いても、明らかに七百億円以上の黒字が出ることになるのです。これは食管会計の中でそうなるのです。こういうふうに、国際相場の問題と円高の問題で七百億以上の黒字が出ることになるのです。これをどうして来月諮問をされるところの麦の売り渡し価格の中に反映をしないのか、私は大変不思議だと思うのです。こういう問題こそ少なくとも政府が一体となって、為替差益、国際相場下落によって出てきたのだから、それを麦の価格に反映させるということを当然行うべきじゃないかということを言い、長官も前回ああいう答弁をされたわけですが、少なくともこの問題は国民が注目しておると思うのです。第一、麦と米の両方の諮問がなぜ別々になるのか、私は大変不思議に思う。一緒に諮問したらどうでしょう。米と麦をなぜばらばらに分けて諮問をするのか、大変不思議に思う。同時に諮問をしておればこういう問題も明らかになってくると思うのだが、そういう点について、食糧庁と、最後に企画庁長官の答弁をお願いしたいと思います。
  118. 小野重和

    ○小野説明員 確かにこういう損益の変動といいますか相当の益が出るという事態、これはいわばコストが下がったということでございまして、そういう点も考えなければいけないわけでございますけれども、一方では先ほど申し上げましたような米の過剰を踏まえて、減退傾向を続けております米の消費を維持、拡大しなければいかぬ。その場合の麦と米との価格関係ということも考えざるを得ないということでございまして、そういう点について具体的にどう考えるかということにつきましては、これから検討するということで、現段階では具体的な取り扱いはまだ決めていないということでございます。  なお、同時諮問のようなお話もございましたが、これはいろいろ御議論のあるところでございまして、米についても、たとえば生産者米価と消費者米価を同時諮問したらいいじゃないかというような御議論もございます。さらに麦もということでございますが、いまの形は、麦は麦、米は米で別にそれぞれ価格を決めるような、従来もそういう形できておるわけでございます。両者の関係を十分考えるということは必要なことだと思いますが、まだ同時諮問というところまではいっていないということでございます。
  119. 倉成正

    ○倉成国務大臣 武部委員と食糧庁との間で、数字については若干出入りがあったと思いますけれども、麦の国際相場下落円高によって食糧管理勘定に相当の益が出るということは事実でございます。そこで、この事実を踏まえまして、麦の売り渡し価格については食管法第四条ノ三の三項で「前項ノ標準売渡価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ家計費及米価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」、こういう法律になっておるわけでございます。率直に申しまして、一番むずかしい問題は、いま食糧庁からお話しになったような米価との関係、また米の過剰という問題との関連を麦価を決める際にどう考えたらよいかという問題が、一番むずかしい問題ではなかろうかと思います。しかし、いずれにしましても、相当の益が食管会計で出てくることでございますから、やはりどういうふうな考え方で、どういう形でこの益が使われるかということが、消費者にも十分わかる形で決められるべきだ、そう思っておりますので、これからまた農林省ともいろいろ御相談をしてみたいと思います。
  120. 武部文

    武部委員 ぜひ消費者が納得できるようなそういう為替差益の還元の方法をとっていただきたい。  先ほど米と麦の諮問を別々にするという理由を述べられたけれども、ちょっとよくわからない。根拠はまことに薄弱で、理由が私はどうしても納得できません。それから、為替差益やその他の金額の相違がありまして、大変大きいのです、この差が。ですから、やりとりする中でも、これだけ大きな差がありますと、論争の根拠にならないように思いますので、ぜひ明確なものをつくって、あなたの方と一遍突き合わせて、もう一回論争してもいいと思いますから、ぜひそういう場を持っていただきたい、こう思います。  大変時間をオーバーしたようですが、私の質問をこれで終わります。
  121. 西宮弘

    西宮委員長 武部文君の質疑は終了いたしました。     午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  122. 西宮弘

    西宮委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。馬場猪太郎君。
  123. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 不況が三年半も続いている中で、さらに円高という問題が出てきております。その中で輸出なさる業者の方々も非常に打撃を受ける反面、円高でせめて物価だけでもという国民の皆さんの願い、そういうことを受けて経済企画庁の方でも、八月に発表になったように三十六品目についていろいろ調査をなさった。特に牛肉価格については世上いろいろなうわさもあるし、十八日には長官も農林大臣に対して円高消費者の利益に還元できるような方向で検討していただきたいという申し入れをなさったわけですが、翌日の新聞を見ますと、農林大臣の方はもう一つ歯切れのいい返事をなさっていらっしゃらないということから、輸入牛肉問題についてはいろいろな問題点もあることだし、ただ単に申し入れられただけなのか、ある程度具体的な提案もなさったのか、そこらの間について長官及び事務当局からお答えをいただきたいと思います。
  124. 倉成正

    ○倉成国務大臣 日本の牛肉価格が国際的に見ても非常に高いということは定評になっております。同時に、わが国の牛肉の供給体制が国内生産が七割、輸入が三割という構造になっておりますので、基本的にはやはり国内生産が非常に順調にいって安定供給をしていくということも非常に大事なことではないかと思っておるわけでございます。同時に、今回の円高輸入牛肉差益を生んでくるということでありますから、素朴な国民感情としては、輸入牛肉が下がったらこれは末端価格が下がるのは当然じゃないかという気持ちを持つのは当然のことだと思うわけでございます。その素朴な国民の感情を私は農林大臣にお伝えをいたしたわけでございます。もちろん、牛は一年に一回子供を生むだけでございますから、やはり日本国内の畜産体制というのを整えていくということは非常に大事なことでありますけれども、同時に、素朴なそういう国民感情にこたえるために輸入差益を利用できないかということについてお話ししました。農林大臣も、その点についてはよくわかった、そこで生協については先ほどお話しのようにある程度の助成金を出して産地直売というような形をしておるけれども、財源はあるのだから何とかひとつ少しいい知恵を出していただきたいということで、そこで私の方の物価局と畜産局と相談して、これからひとつ何かいい方法はないだろうかということをいまいろいろ検討している、まだいまここで申し上げるまで至っていないわけでございますが、一生懸命勉強いたしておるというところでございます。
  125. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いままでの調整金三百五十円にプラス二百五十円する、これも物価に何らかの影響を与えるだろうというふうに国民は考えておると思いますが、これをお決めになるときにも事前にお話し合いになったのかどうか、そういう点はいかがでしょう。
  126. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 今回の事業団牛肉調整金の問題でございますけれども、調整金自身の決定については農林省が独自にやれるようなたてまえになっておると思いますが、物価の面、当然われわれとしても非常に関心を持っておりますので、それを決めるというか、その調整金の増額についての実施過程に入る前の段階においてのお話を承って、私どもなりにいろいろな考え方を述べたわけでございますけれども、そういう意味ではお話を受けておるということでございます。
  127. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 八月の末に小売に反映しないということを発表されているわけですから、事前にいろいろのことがわかっておりますね。そしてもうすでに通常国会のときにも円高問題が出ていたと思うのです。ですから、もう十カ月前からある程度何らかの抑制措置をとるための話し合いというのを十分詰めてなければならないと思うのですが、案外中身に入った議論は畜産局と国民生活局との間にはなさっていないのですか。何らかのといま言われましたけれども、どの程度のことをお話しになったのですか。まず経企庁の方から……。
  128. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 私どもも円高関係で三十六品目の調査をしていたわけでございますけれども、一方輸入牛肉については畜産振興事業団が取り扱っているものでございますので、特別に調査を委託してやるというような話でもないし、われわれとして農林省と十分お話をしていけばいいということで勉強しております。そういうことで、輸入牛肉価格構成については非常に関心を持っていたわけでございます。そういう段階で、いろいろ国会等の議論もあって、調整金の増額によって不当利得を吸収しようというような動きが出てきた。その過程におきましていろいろ農林省で検討されたと思うのですけれども、こういうような姿でやりたいということについての話を聞いたということでございます。
  129. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 生産者側は比較的農林省にその意向を伝えやすい。しかし、消費者側はだれに頼ったらいいのか、結局物価政策を扱っていらっしゃる経済企画庁しかないわけなんです。経済企画庁は実際に、この調整金だけの問題じゃなしに、価格決定をなさる際にはどの程度まで各省庁と意見の交換をなさるのか、そこらの点はいかがですか。
  130. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 牛肉関係する問題としてお答えしてよろしゅうございますか。  現在牛肉については畜安法に基づきまして安定帯価格、上位価格、それから基準価格を決める。これは毎年一遍三月に決めておりますが、その段階におきましては物価担当官会議でこの価格については農林省から経済企画庁に協議をしてほしいということで、私ども毎年協議を受けながらやっております。本年につきましても、諮問価格としては三・一%という価格になったわけでございますけれども、その諮問案を決定する段階におきまして、農林省から農林省の考え方それから原価構成等について十分内容を承って、私どもとしてはできるだけいまのような物価情勢のもと、それから現実牛肉価格安定帯の中に実勢としてもおさまっているという状況から見ますれば、できるだけ低く抑えてもらいたいというようなことで、農林省と原価、中身その他についても打ち合わせをして諮問価格を決定したということでございます。
  131. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そうすると、安定帯価格を決めるときには相談したけれども、その以後については具体的な御相談はなかったわけですね。
  132. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 いま申し上げました安定帯価格の問題のほかに、事業団自身としての、たとえば指定店に対する小売目安価格をどうするかというような話については、法律上いまの安定帯価格のような制度的な協議の規定はございませんが、私どもとしては、常々この問題についてはよく連絡をしてほしいということを農林省の方にも申し上げておりますし、そういう動きの重要なものについてはいろいろこちらからも意見を申し述べるような機会を持ってきております。
  133. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 消費者が頼りにしている経企庁ですが、実際には経企庁からいろいろ言われても、責任ある決定をなさるのはそれぞれの省庁になると思うのです。  そこで、今度二百五十円調整金をお上げになった。その二百五十円が金額が正しいのかどうか、あるいはまた二百五十円のもとになる三百五十円、この調整金をお決めになったときのそこからのいきさつがわからなければ、この二百五十円が正しいのかどうかということもわかりませんし、そしてそれがまた小売価格にどういうふうに反映するのか反映しないのかということもわかりませんので、まず三百五十円と二百五十円が決まったいきさつをひとつお教えいただきたいと思います。
  134. 大場敏彦

    大場政府委員 先生御存じのとおり、畜産振興事業団輸入した牛肉国内時価で売り渡すという方式で放出しております。ただ、チルド牛肉につきましては、これは随契方式をとらざるを得ないので、あらかじめこのくらい内外格差があるであろうという想定のもとに調整金を設定いたしまして、それを事業団買い入れ価格に加えて国内需要者団体に売り渡す、こういった方式をとっているわけでございます。いわばフローズン牛肉が売買の結果として差益が発生するそういった可変的な調整金というのであれば、固定的な調整金と言ってもいいのじゃないかと思います。  そこで、どうやってそれを決めるかということでございますが、結局基本的には内外価格差を吸収する、こういったことでありまして、ある一定期間事業団のある一定買い入れ価格水準というものを想定する。それは当然海外相場というものを、大体このぐらいになるのじゃなかろうかと、直前の相場等も勘案しながら判断して、それに輸入の運賃だとか諸掛かりというものを加えて事業団の買い入れ予定価格の推定というものをラインを決める。それから、一方これを放出するわけでありますが、その場合には、当然チルド牛肉と見合う国内牛肉の卸売価格水準というものを想定いたしまして、それと、いわばそれは売り渡し予定価格ということになるわけでありますけれども、その差がつまり内外価格差として吸収すべき額である、こういう形で、それを調整金という形で事業団売り渡し価格オンして売る、こういった形になっておるわけでございます。  そこで、いま御指摘になりました三百五十円にいたしましても、あるいはこれから十一月、十二月に適用いたします六百円にいたしましても、事業団の買い入れ推定、事業団売り渡し推定、そういったものを比較して決めた。ただし、三百五十円を決めたのは一年以上前でありますから、かなり前であります。そういう意味でその開きが出てきている、こういう状況であります。
  135. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま推定価格と言われたですね。三百五十円に調整金をお決めになったのは五十一年四月からですね。そして五十一年の実勢価格と推定価格ですね、そのときの推定価格は幾らであり、実勢価格は幾らであったのですか。
  136. 大場敏彦

    大場政府委員 その推定価格はいわば事業団の買い入れ予定価格ということになりますし、また売り渡しの推定も売り渡し予定価格でありますから、事業団の業務上の秘密——秘密と言ってはちょっと大げさかもしれませんが、民間の方々にはやはり漏らしていない事柄でありますので、絶対的な数字につきましては御容赦願いたいと思うわけであります。  ただ、その具体的な水準ということで、実際の数字といいますか、これはそのときそのときによりまして月によっても非常に数字が変わります。それは現地価格変動ということもありますし、それからただいま御議論になっていらっしゃいます円高の問題ということによっても非常にフロートいたしますから、非常に変わっております。現実にはそういった実勢価格と、それからわれわれが想定いたしました内外価格差、いわゆる調整金、そういったものというのはずれているのが普通であります。
  137. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 推定価格は秘密なんですか。しかし、その当時の大蔵省あたりの統計なんか見ても、大体みんな明らかになっているじゃないですか。四月現在の輸入価格が幾らぐらい、そしてそのときの推定価格は幾らぐらい、そこに差があったわけでしょう。そうしますと、推定価格と実際の価格との間が一致しておればいいのですけれども、そこに差があったとしたら、そのとき時点で、すでに三百五十円の調整金を決めたとき時点で問題があるのじゃないですか。
  138. 大場敏彦

    大場政府委員 推定価格というのは、いわば買い入れ予定価格と私申し上げましたが、事業団は三十六社という輸入商社から公開入札で買っているわけであります。その場合の買い入れ予定価格というものが推定価格ということですから、そういう意味でそれは御容赦願えればということを申し上げたわけであります。  それで、いま御指摘になりましたように、実際の価格というものは、それは当然違います。ですから、それは確かに問題であります。フローズンの場合には海外相場時価で買って、そしてそれを国内時価で売る、つまり市場における競りあるいは需要者団体に対する指名競争契約で売る、こういった形で売りますから、相場はおのずから結果として出てくるわけで、その海外で買った価格国内で売ったものとの価格差が結果として差益として事業団に保留される、こういったことになるわけですから、そこに食い違いというものはないわけであります。しかし、チルド牛肉につきましては、なまものである性質上、あらかじめそういった事業団が一たん買っておいて保管して、そして市場競りにかける、こういった形がとりにくいものですから、物がまだ海外にあるときにも、インポーターと日本の需要者との間に流れが決まっておって、そして価格が決まっていないと、注文生産、注文買い的なものでありますから、取引が成立しないということでありますので、したがって、その間に調整金というものも大体このくらいに内外価格差が成立するであろうという推定をしているわけであります。現実には当然それも一定期間置くわけでありますから、取引取引によって調整金というものと現実というもののずれは発生する、これは確かに問題ではあります。ありますが、われわれとしてはできるだけそれを少なくしたいという意味調整金なんかの算定をしておるわけでありますが、しかし、なかなか動くものでありますから、現実にはずれというものは残念ながら発生するということであります。
  139. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そうすると、すでに三百五十円で決めたとき自体にこの実勢価格と予定価格との違いがあった。さらに、それから一年間の経過はどうでしょう。上がったのか下がったのか。
  140. 大場敏彦

    大場政府委員 決めたとき以後現在までに実勢価格と三百五十円というもののずれはあった、これはおっしゃるとおりだと思います。それから、それが最近になって円高傾向、それから現地価格の低落傾向というものが非常に拍車がかけられまして、その差がはなはだしくなってきた、こういうようなことが実態の経過でございます。
  141. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 具体的な数字はわかりませんか。
  142. 大場敏彦

    大場政府委員 大体ラウンドで申し上げますと、キログラム当たりチルド買い入れ価格が五十一年度平均八百円前後で、現在では五百数十円ぐらいのレベルにだんだんランクが下がってきている、こういう状況であります。
  143. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大蔵省の貿易統計を見ますと、五十一年四月調整金を三百五十円にお決めになったときには、チルドは六百十八円になっていますね。きょうはチルドに限って言っていますが、六百十八円になっています。それから、五月が六百二十五円ということでよく似た値段ですが、六月以後ずっと下がっていますね。そして七月には五百六十三円、一五%ぐらい下がっています。そして五十二年四月、一年たって五百三十九円、五月には四百八十八円ということになりますと、その時点で二〇%下がっております。さらに七月、価格構成を発表なさったそのときには四百三十八円に相場は下がっていますね。三〇%下がっております。そして、その間ずっと三百五十円の調整金であったわけです。そうすると、その差額はどこへ行ったのでしょう。
  144. 大場敏彦

    大場政府委員 いま御指摘になりました数字、ちょっと当たらせていただきたいと思います。しかし、趨勢としては下がっていることは御指摘のとおりであります。それから、私ども、調整金を固定化する、しかし現実には価格というものは動いているわけでありますから、ずれというものが発生する、こういうことも御指摘のとおりであります。  それに対する対応策としては、やはり当然円高あるいは現地価格の下げによって事業団買い入れ価格が下がり、したがってチルドの場合には売り渡し価格が下がるわけでありますから、それは売り渡し価格の下げ、低下が末端小売価格に反映するように指導する、末端も下げてもらう、こういうようなことがやはり基本だろうと思うわけであります。そういう意味で、事業団指定店制度等の目安価格というものを決めて、その徹底を図っているということが一つの対応でありますけれども、また、さらに下落がはなはだしいときには、やはり目安価格そのものも下げるという対応も一つあり得るということで、ことしの七月末に七・四%という目安価格の下げという対応をしたわけであります。  それから、そうは言っても、さらに乖離が余りにもはなはだしいというようなことが最近の時点で激しい円高傾向で出てきているわけでありますから、その場合には、それをそのまま放置しておきますれば、やはり現実国内相場チルドがさや寄せされて上の方にシフトするという形になって、それが末端小売価格下落というかっこう消費者に吸収されないで、途中のプライベートな段階で吸収されてしまうという危険が出てくるわけです。そういう意味で、チルドを利権物資化している、特定の者だけが利益を受けているという批判が出てきて、それを放置するのはおかしいではないか、やはりそういったものを放置しておくことは社会的公正に反する、使い道はまた別途考えることにして、やはり取るべきものは取るべきだ、そういう御議論がこの八月、九月時点において非常に強かったわけであります。  そういう意味で、私ども調整金を引き上げましたのは、末端価格を引き上げるという意味では毛頭ございません。途中で吸われてしまっていると批判されているものを公的機関に保留しておいて、それを別途その使途については考えるという対応をした方が公正であろう、こういう判断でしたわけであります。それは九月の初めにおいてそういうふうに決めたわけでありますが、たまたまその後十月、円高ラッシュということにぶつかりまして、私ども本意ではなかったわけでありますけれども、円高にもかかわらずそれを消費者に還元しないのはおかしいじゃないかという消費者の素朴な感情とちょうどぶつかってしまったというような、タイミングの悪さと言っては恐縮でありますが、事態が来た、そういうふうに私ども考えているわけであります。
  145. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いまの答えで、途中の流通段階で消えてしまったものがある。それがいま私の言いました三百五十円に決めたときの価格から実際にはそれより下がった分がそこで消えたということなんですね。ですから、いまさっき秘密だとおっしゃったわけですが、実際のいまの価格、五十一年四月の実際の価格がありますね。それからさらに三百五十円を決めたときの予想価格がありますね。この間に何らかの差があったでしょう。そして経過を見ますと、その線よりさらに相場は下がっていますね。そうすると、実際の五十一年四月の価格をイとしますと予定価格はロ、この間に何がしかの差がある。そしてさらにその実際の価格より下がった分をハとしますと、このイロ間とイハ間の二つの差額、これがありますね。これが全部途中の流通段階で消えたということになりますか。
  146. 大場敏彦

    大場政府委員 固定的な調整金を決めるわけでありますが、それがいろいろ変わる、われわれが想定した環境よりも変わるという要素は、確かに先生のおっしゃるとおりにあります。一つは、先生おっしゃいましたように輸入価格そのものは、現地価格そのものが変わる、それから円為替レートが変わる、それからもう一つの可変的な要素といたしましては、国内の卸売価格水準が変わる、この三つの相関あるいはその集積によっていろいろ変化が出てくる。そういう意味で、先生がおっしゃいましたように、チルド牛肉については、われわれが意図したような形ですうっと末端に物が流れていたかという厳しい御批判を受ければ、やはりそれはいろいろ問題はあったのじゃないか。必ずしも末端消費者のところまで行かないで途中で吸われたり、あるいは横流しされたり、プレミアムがついたり、こういったいろいろな議論がありまして、利権物資化しているのじゃないか、それはおかしいじゃないかという厳しい御批判があったことは事実でありますし、私どももそれは認識しております。
  147. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 これが調整金を三百五十円に決めた時点から半年、一年ずれたのではなしに、翌々月からずっと下降線をたどって、結局一年半、その間その差額というものは中間段階で全部消えたということになりますね。ですから、午前中の御質問の中で、円高による差額というのは大体一四%ぐらいだというふうな御答弁がありました。畜産局長がお答えになりました。そうすると、あと八六%ぐらいはまだ別にそれだけの利益があったわけでしょう。推定どれくらいになりますか。
  148. 大場敏彦

    大場政府委員 円高による下落現地価格による下落と、これはなかなか分析しにくいわけでありますが、午前中私がお答えいたしましたのは、いろいろな仮定を置きまして、六月と九月ということを比較すれば一五%と八五%くらになるのじゃないか、こういうふうに申し上げたわけであります。しかし、これは比較する時点時点の違いで非常に違ってくるわけです。円レート相場も過去にさかのぼればさかのぼるほどそれだけ円高の差が広がってきますから、当然三カ月よりは六カ月、六カ月よりは一年前の方が円高効果の方がよけい出てくるというのはそういうことじゃないかと思います。だから一年ぐらいさかのぼれば、私精密な計算はしておりませんが、やはり四割だとかあるいは五割だとかいった形の円高、そういうようなシェアにあるいはなるのじゃないだろうかと想定はしております。幾らくらいになるのかという先生の御指摘でございますが、どの程度価格でプレミアムがついてというのはなかなか把握はしがたいわけでありまして、幾らくらいの価格末端のプライベートなセクターで吸収されたか、これはちょっと推定はむずかしいと思います。
  149. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 五十一年度で三百七億ですか、調整金のたまったのが三百七億ですね。そしてそれは三百五十円とフローズン部分、別にありますね。フローズン部分入札で売買差益が出ていますね。その三百七億のうちで、チルドの方で大体どれぐらいになるのですか。
  150. 大場敏彦

    大場政府委員 ちょっと間違えましたので、訂正いたします。  チルドフローズンの販売量が五十二年度の場合には、大体半分半分近かった、チルドの方がちょっと多かったという程度ですから、差益も恐らくそれに近い比率ではないかと想像いたします。
  151. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 フローズンの場合は入札ですから、調整金以外にも事業団の方に入っていますね。しかし、チルドの方は、調整金以外の部分は全部中間段階の十三指定業者及び加工業者及びそれにつながる末端の小売店のどこかで、当然消費者に返すべきものが全部行ったということになりますね。そういうことになりませんか。
  152. 大場敏彦

    大場政府委員 チルド牛肉は五団体、それから事業団の指定販売店制度を通じて流しておりますが、事業団の指定販売店制度につきましては、目安価格というものをつくって、率直に言ってかなり厳しい協力をお願いしているわけであります。チルドについては、指定販売店が大体四分の一くらい販売し、あとの七五%は五団体を通じて、それぞれの販売組織を通じて末端の方へ売っていただいている、こういった形であります。  それでは、末端のそれぞれの系統組織が途中でそれを全部もうけているかということになりますと、必ずしも私はそういうふうに断言はできないだろうと思います。それぞれ全国段階でマージン何%、県段階で何%、そういったマージンは取りながら、やはり事業団からの購入価格というものをベースにして、適正というか、標準的な販売の価格というものを決めながらそれぞれ系統に流しているというのが販売団体の方針であります。もちろん、中にはわれわれの期待を裏切って横に流したものとか、プレミアムをつけて転売したとか、そういったものはないというふうに私は断言できません。そういううわさがかなりあります、聞いておりますから。しかし、すべてがそうだというふうに断定するのはやはり必ずしも当を得ていないと思います。
  153. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 私がいま指摘しましたように、三百七億のうちで大体四分六ですか——ほぼ半々ですね。百五十億何がしが調整金のたまりであって、そのほかの分は、いわば今度二百五十円プラス、上積みされた分は、この一年半というものは流通段階で全部消えておったわけです。ですから、どれだけ入ってどれだけ売り渡しをしたかという数字がわかるわけですから、計算をしたらすぐ出るのじゃないか。何兆くらいが中間段階で消えたか。いまでなくていいから計算してください。
  154. 大場敏彦

    大場政府委員 いま先生の御例示になった二百五十円が全部途中で吸収されたというのはちょっとあれだと思います。二百五十円というのは、最近における現地価格のシャープな下がりと円高というものを反映して出てきた結果だろうと私は思っておるわけですから、それがすべてというぐあいには思いません。ただし、いまおっしゃったように、胸を張ってそんなものはございませんというふうに言い切れるかというと、やはりわれわれもいろいろ反省しなければならないし、業界も反省していただかなければならない点があるいはあるのじゃないかと思っております。
  155. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 フローズンの方もまた一つ問題があると思うのです。フローズンの方で大体三百七億の半分くらいの——これは売買差益になるわけですか、そういうことになりますね。こういうものが生まれています。これは予定価格をお決めになるわけですね。予定価格の決め方をひとつ教えていただきたい。
  156. 大場敏彦

    大場政府委員 予定価格の決め方を一言で言えば、輸入牛肉国内ものとは当然品質格差があります。それから、冷凍ものとなまものとの格差もあります。それから、国内のどの牛肉とこの冷凍牛肉が匹敵するのか、そういったこともありますから、そういったものを勘案しながら、究極的には国内のそれに見合う相場というものを想定いたしまして、それを予定価格として市場における競りあるいは需要者団体に対して指名競争契約で売る、そういった方式をとっております。
  157. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 具体的に、日本の国内産の、たとえば乳雄牛なら乳雄牛のどれぐらいの割合ということを決めてある程度予定価格を——基準というものはあるのでしょう。きちっとした金額がなくても、出し方の根拠というものはあるのじゃないですか。そういうことが教えていただけるなら明らかにしていただきたいのです。ですから、国内肉と輸入肉との品物の格差、これについてはどれぐらい見るのか、あるいはまた、さらにそれを冷凍すれば品物が落ちるわけですね。そうして、それに対してどれぐらい——同じように見てないはずですから、それによって大体どれくらいの予定価格−予定価格というのは公表されるわけじゃないでしょうけれども、算出の仕方の基礎式、こういったものは明らかにできるのじゃないですか。
  158. 大場敏彦

    大場政府委員 冷凍牛肉と見合う国内牛肉はどれをとるかということがまずございます。これは国内の乳用牛の中の、しかも乳用、乳をしぼって廃用して、それを肉に回す、われわれ乳廃と称しておりますが、その中のグレードの比較的低いものを対象にとりまして、そして冷凍格差何%それに掛けてというような形で一定の式をつくって、そしてそれに数字を当てはめて計算している、こういったことであります。
  159. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いま言った冷凍格差だけですか。国内の牛と輸入肉との差というのもあるわけなんでしょう。
  160. 大場敏彦

    大場政府委員 ですから、われわれがとっておりますのは、国内の乳雄等の価格というものはあるわけです、あるいは和牛というものがありますが、そういうものと乳廃との品質格差というものを出して、乳廃の価格に換算いたしまして、それにさらに冷凍格差を加えて、そうして予定価格というものを算出する、そういった形になっております。
  161. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 予定価格というものはだれも知らないわけですか。
  162. 大場敏彦

    大場政府委員 もちろんだれも知りません。事業団の担当者以外は知りません。
  163. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 ところが、毎月ずっとやってますと、輸入肉と国内産との差、そして生肉と冷凍との差というのは、計算したら自然に出てきますね、大体どれぐらいの割合かということになると、必ずしも入札という意味がないのじゃないですか。ずっと系統的にやってますと、いまの国内牛肉価格幾ら、それに対してこの二つの格差を掛け合わせた額は、率は、統計をとったら大体出てきますね。競りだと言われるけれども、入札だと言われるけれども、常時従事していらっしゃる十三団体の方々というのは、入札なんてほとんど意味がないのじゃないですか。出てくるのじゃないですか。
  164. 大場敏彦

    大場政府委員 長い期間でありますから、業界の方でも——それは何も牛肉だけのことに限りません。すべての入札に対しましていろいろな対応、推定はするだろうと思います。その結果、大体こんなところじゃないかなと業界がにらむということは間々あることであります。しかし、現在の冷凍牛肉競りは競争状態がなくなっているというふうには断定できないと私は思います。現に、最近の落札を見ますと、かなり激しい競争がある。これは私は決していいことだとは思っておりません。やや数量が少なかったかなという感じがいたしておりますけれども、激しい競争があって、ある者は玉をとれなかったということもあるわけですから、やはり競争原理というものは働いているというふうに私は思います。
  165. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 そういうふうに競争原理が働いているということになれば、一定の予定価格を決めても、いまみたいな状態だったら、お互いに競りで高くなっていくということになると、勢い高い方へ高い方へと値を上げていくような形になりませんか。
  166. 大場敏彦

    大場政府委員 これはこの前も先生から御指摘があったことなのですが、しかし、事業団という公的機関が市場に売る、競争契約する場合には、やはり安いものからどんどん売るというわけにはいかないだろうと思うのです。やはり一定の予定価格というものを決めて、それに近いものから——上の方ですけれども、高いものから売っていく、こういった形になるのじゃないかと思うわけです。しかし、それが事業団売り渡し価格をつり上げる結果にならないか、こういう一方の御批判があることも事実であります。しかし、それは競争契約のいわば宿命でありまして、ごく少ししか肉を出さないというその場合に、競争契約あるいは入札にかける場合にはぽんと価格がはね上がって、予定価格というもの、あるいは入札というものは価格をアップさせる要素には働きますけれども、放出量を潤沢にいたしますればそういった弊害は除去できるんじゃないか、またそれがだれにも輸入牛肉を確保し得るチャンスを与えるという意味では公正な販売方法ではないかと思っております。
  167. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 大体目標としては国内産八〇%と言われるけれども、実際にはまだ七〇から七五ぐらいですね。そうすると二五から三〇ぐらい輸入しているわけでしょう。そしてその輸入事業団が一手に手綱を締めながらやるのですから、不足ぎみ不足ぎみでいく、そこへ競りをやる、そして安定帯価格を基準にするということで、安定帯価格そのものも上がる一方だし、競りの方も上がる一方だし、上がる一方の仕組みになっているんじゃないですか。しかもその競りが、この前御答弁いただいたとおり東京の中央卸売市場で一二、三%ですか、大阪で八、九%ということですね。これが四〇%、五〇%の中央市場の取引があってそこで価格形成されているということなら別だが、わずか一二、三%の取引の実績の中で高目高目に決めていくような仕組みに自然になっていっているんじゃないでしょうか。
  168. 大場敏彦

    大場政府委員 確かに輸入牛肉——国内生産八割、昨年の場合には畜産飢饉の影響生産がショートいたしました関係上七割に自給率が下がって、輸入が三割になっていますが、二割にしろ三割にしろ相当な量を事業団が操作して放出している。しかし事業団の操作の仕方は、結局安定帯とリンクさせて放出しているわけでありまして、安定帯を超えているようなときにはどんどん物を出す、こういったことであります。現に乳雄の場合に、昨年の九月までずっと安定帯を突破しっ放しであった、そのときには無制限にどんどんどんどん——無制限と言っては少し言い過ぎかもしれませんが、かなり量を放出したわけであります。その結果去年の九月から安定帯の中に入って、現在は安定帯の中心のところにシフトしている、こういう状況であります。ですから、私どもは、量の問題につきましては現在の卸売価格水準が安定帯のどの辺のレベルに位しているか、上方にあるときはよけい量を出しますし、下限の方に近づいてくる場合は多少量をかげんする、こういった形で対応しているということで、絶えず量を減らして事業団が値段をつり上げているというのは必ずしも当を得てない御批判じゃないかと思っているわけであります。
  169. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 つり上げているとは言いませんけれども、結果的にはそうなっているんじゃないですか。これは牛肉とかそういうことでなしに、一般物資の場合、需要量と供給量の中で供給が一二〇%あって初めて消費者の立場に立てば充足感を持つのです。それが一〇〇%の場合は不足感を持つと言われているのですよ。牛肉の場合はいま言われた八〇%であり、あと二〇%輸入している。常に不足感を持ちつつあるとき、しかもそういういまの入札方式をやっていれば、結果的には高値安定にならざるを得ない。しかも、その予定価格の基準になる乳廃、乳雄、これらを決めるのが、毎年毎年安定帯価格は上がっておりますね。四十九年が乳雄で八百四十六円ですか、それから五十年が二八・五%上げておりますね。五十一年が八・五%、五十二年は五%上げていますね。そうすると安定帯価格というのはずっと上げざるを得ない、生産費の問題から上げざるを得ない。高値にずっと安定帯価格を上げざるを得ないような状態になっている。その上げざるを得ない基準になるものに輸入肉を合わせているのですから、これは高くならざるを得ないでしょう。しかも不足ぎみ不足ぎみで出ている、その中で競りはやるのですから安くなるはずはありませんよ。だから、こういう仕組みに問題があるんじゃないかということなんですね。そういう点どうですか。
  170. 大場敏彦

    大場政府委員 不足ぎみに輸入している、こういう御指摘でありましたが、私ども量を必要以上にしぼるというつもりは毛頭ございません。現に昨年の場合には三割を輸入してかなり量を入れたつもりであります。ですから、やはり国内生産を維持しながらもどうせ足りませんから、足りないのを安定的に輸入する。生産者だけのことを考えて少な目に輸入するという気持ちは毛頭ございません。ただ輸入量の目安とかあるいは放出の仕方というものは、われわれは制度のたてまえからして、国内安定帯という制度がありますから、それとのリンクで放出量を決めたりあるいは輸入量を決めたりしている、こういったことであります。  それから次に安定帯のレベルそのものについての御批判がありました。これはいろいろ御議論が分かれるところだと思います。安定帯は過去二回つくったわけでありますが、最初の年に八・五%、ことしに五%ということで、これ自身決して少ないとは申しませんが、一般の物価上昇率等に比べれば、上げ方としてはモデレートではないかと思います。しかし、そもそもの絶対水準が高いのではないか、こういう御批判が一方においてあり得るので、その点につきましてはもう少しいろいろ皆さんの御意見も私は聞かせていただきたいと思っております。しかし、現在の安定帯価格そのものは決して、生産費所得補償方式、そういったものではございませんので、いわば過去において出現した需給均衡価格水準を最近のパリティ的なもので修正している、こういったことでありますから、いわゆる生産費計算というものに基づくような価格支持政策ではなく、いわば暴騰暴落を防ぐというものがこの制度の仕組みでありねらいであるというふうに私どもは思っております。
  171. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 先ほど局長も、事業団から売り渡した物が正規のルートでなしに横流しというような言葉をちょっと、流れていることは否定もできないこともあるとおっしゃった。横流しということはあるのですか。横流しというのは一応の統制的な何かがあって、それ以外にはみ出た物が横流しなのですが、そういう点、これは横流しになるのですか。
  172. 大場敏彦

    大場政府委員 横流しという言葉が適当であるかわかりません。それは適当でないかもしれません。しかし、私が申し上げた意味は、チルド牛肉につきまして五団体、それから事業団の指定店というものを選定して売り渡しております。その団体を指定しましたゆえんは、小売店というものを末端に持っている、それぞれの系統組織を通じてその輸入肉が自分の団体の末端の小売店に流れる、やはりそれぞれのマージンは乗せながらも妥当な形で流れるということを期待してそういう団体を選んでそういう団体に売っているわけでありますから、そのルートではない別の横道をそれていったら、それはやはり横流れと言ってもいいんじゃないかという意味で申し上げたわけであります。
  173. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それでは、事業団から売り渡しを許されておる団体を十三団体と加工業者の五団体に決めておられますが、これはどういう基準で決めておられるのですか。ただ一般的に全国的な組織を持っているとかなんとかそういうことでなしに、どうして選ばれたのかということですね。
  174. 大場敏彦

    大場政府委員 お尋ねになりましたのはチルドの方でございますか。
  175. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 チルドの方です。
  176. 大場敏彦

    大場政府委員 チルドの方につきましては五団体ということでございます。
  177. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 チルドは五団体ですね。それでフローズンの方は十三団体ですね。
  178. 大場敏彦

    大場政府委員 フローズンは十八団体になります。チルドの方につきましては、これはるる御説明申し上げましたように、随契でやらざるを得ないので、そうすると、相手方を特定せざるを得ない。そのときに、選定の基準といたしましては、その団体が末端細胞組織として末端の小売店を持っている、そういう団体であることが一つと、それからもう一つは、いまでこそチルドというものは人口に膾炙して議論の対象になっておりますけれども、まだ非常に日が新しいわけであります。四十六年前後から初めて日本に入って、そして普及定着をするのにいままでかかったというものでありますから、そういった団体がそのころから取り扱っていたそういった実績というものを無視するわけにいかない。やはり開拓普及のパイオニアであったということも一面考えておかなければならないという形でその団体を選んでいるというのが経緯であります。しかし、これにつきましてはいろんな御批判があることもありますので、いろいろ検討はしていかなければならないことがあることも事実であろうと思います。  それから冷凍牛肉、これは主として加工用に回るわけでありますけれども、これは十八団体を選んで、そこで、市場で売るほかに指名競争契約で売っている。これは別にそう制限的に私ども考えておるわけではありません。これは組織を持って、その末端が加工肉を需要するという業者につながっている団体であれば、そうやかましい資格要件というものも設けなくて指定をしている、こういうことであります。
  179. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いまのチルドにしても横流しをしているやに言われるような状態が起こるということは、それの受け入れ団体が少な過ぎるという面もあるんじゃないでしょうか。また、あるいはそういう全国的な組織を持って、それに参加できる可能性があるものがもっと自由に参加できるような機会が与えてもらえるのかどうか。フローズンの十八団体とチルドの五団体、ここら以外にも買い受けを受ける権利を持つのは農林省が判断してお決めになるわけですか。今後も新しい団体というものは幾らも生まれる可能性はあるわけですか。
  180. 大場敏彦

    大場政府委員 団体の指名は、農林省そのものではございませんで、事業団がお決めになっているわけであります。ただ、もちろん私ども行政上の立場からいろいろ御相談にあずかっているということは事実であります。  フローズンの十八団体は、これは何もそう制限的に、私どもまた事業団の方も、しているつもりはないと思います。やはり適当な団体であれば門戸を開放するというような態度で臨んでおりますし、最近におきましてもそれぞれふやしている結果はあります。  それからチルドにつきましては、これはどう取り扱うか、本当は競りとか入札という形でなじめばそれが一番いいという御議論もあるわけですが、残念ながらなまものであるためになかなかどうも競りとか入札になじめないという、取り扱いが厄介なものでありますから、やむを得ず随意契約という特例を開いているわけでありますが、その団体をどの団体にまで広げるか、その基準をどうするか、これはそれぞれむずかしい問題で、われわれも率直に申し上げて苦慮しておるということでございます。調整金も固定というような苦肉の策をとらざるを得ないというかっこうで対応しているわけですが、これをどうするか、とりあえず十一、十二、そういう対応をとりましたけれども、来年以降どうするかを含めて、この問題については何かもう少し競争原理が働いた方がいいじゃないかという御批判もありますので、含めて考えてみたいと思います。
  181. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 事業団にお伺いしますが、いま指定なさった業者が少な過ぎるという批判もありますね。あるいはまた、多くすれば混乱を起こすという批判もありますね。しかし、いまのところでは何か利権化しているという疑いの目を持たれるからには、何か欠陥があると思うのです。そこをどういうふうにしたらそういう目を持たれないような方法が講じられるか、それについてひとつ御見解をお伺いしたいと思います。
  182. 太田康二

    太田参考人 先生の御指摘は恐らくチルドビーフの問題だろうと思います。フローズンはほとんどもうオープンで、一定の基準に該当する者はだれでも入札に参加する資格を認めておりますので、公正に行われておるというふうに私ども理解をいたしております。  フローズンビーフの場合は、るる局長がお述べになりましたように、現在相手の団体を特定しております。しかも、フローズンの性格でシェアも特定をいたしているわけでありまして、それが利権化をしているのではないかというチルドの議論につながっておるわけでございます。  そこで、私どもはけさもお答え申し上げたわけでございますけれども、まず第一の、調整金が少し取り足りないんじゃないかというような批判もございました。これにこたえる意味において、先ほど申し上げたように六百円に改定をしたというのが一つでございます。  いま一つは、これもいま局長がお答えになったわけでございますけれども、もうちょっと競争原理の働くようなシステムが考えられないかということで、まあ入札ができれば一番いいわけですけれども、このことにつきまして、団体問題も含めまして農林省と寄り寄り検討いたしておるところでございまして、現行のままではなしに、何らかの新しい改善の道を探り当てたいということで努力をしておるところでございます。
  183. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いまのところ、数量と価格については、事業団から第一次の卸的な団体、そこまでは一応、価格統制というところまではいかないでしょうけれども、ある程度価格一定水準に保つための作用を働かしておるわけですね。それから以後については、これはどこがどういうふうにして監督するのか、そういうことができるのかどうか。事業団としては大体畜産関係の部、何というのですか知りませんが、そこに何名くらいおられるのか、そういう点もひとつお聞かせいただきたい。
  184. 太田康二

    太田参考人 私どものチルドの問題につきましては、先ほど来申し上げましたように、買い入れ予定価格調整金を乗せたやつを売り渡し予定価格としてそれぞれの実需者団体、いわゆる随契の相手方に売っておるわけでございますけれども、そのうちの二五%を御承知のとおり指定店制度に乗せて流しておるわけでございます。これにつきましては、御承知のとおり目安価格というものを決めまして、各部位別に、かたとかヒレとかももとかロースとか、それぞれ幾らということで一応末端売り渡しの対象になる目安価格というものを決めまして、これで販売をお願いいたしておるわけでございます。それ以外のものにつきましてはそういったことはいたしておらないわけでございますけれども、これは当然いまの指定店制度に準じて同じような方式末端の小売段階で売ってもらいたいということで、それは畜産局の御協力も得ましてそういった指導通達を出していただくようなこともいたしまして、現実にその指導をいたしておるということでございます。  それで、私どもの食肉部の職員は、たしか二十七名だと思います。
  185. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 食肉部門で二十七名で、末端のモデルケース二千二百店まで監視するといったって、これは事実上不可能だと思うのですね。そうすると、消費者団体とかそういうところに委嘱されるのでしょうけれども、これではやはりまともな監視役というのは果たせないと思うのです。せっかく卸段階といいますか、適当でないかもわかりませんけれども、事業団から業界の全国組織を持っている団体までは価格が守られても、それ以下はそれを保証するものが何もないわけですね。しかも事業団の本部には直接二十七名しかおられない。  農林省の畜産関係は何名おられるのですか。
  186. 大場敏彦

    大場政府委員 食肉鶏卵課だけ申し上げれば、二十数名でございます。
  187. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 これではとうてい全国的な価格監視をするどころか、指定店もどうにもならぬのが現状だと思うのですね。そうすると、肝心なところだけは締めておるかもしらぬけれども、末端流通段階で消えてもやむを得ない組織になっているのじゃないですか。そこらを何らかの方法で、目安価格を守らせるような方法はとれないのですか。
  188. 大場敏彦

    大場政府委員 こう言ったらちょっと語弊があるのかもしれませんが、事業団の方針というのは自由な流通のメカニズムというものを前提にしておりますから、その中で、市場操作を行って市場価格全体の鎮静を図るということになっているわけであります。これは先生がまさに御指摘になっているように、統制公団でもありませんし、配給公団でもありませんから、そういう意味末端統制というところまで要求するのは実際問題としてとても無理だと思います。結局は、われわれが選んだ団体の協力を仰ぐということが基本的に大事でありますし、また同時に消費者団体等の協力を仰ぐということでありまして、われわれが現実にやっておりますモニタリングというのは、地婦連とかあるいは日本食肉格付協会とか、それから今後考えておりますのは、県の段階で協議会を今度は各県につくることにいたしたわけであります。これは、その協議会を通じて国産牛肉の特別販売事業を展開しようとしているわけでありますが、その協議会が使っているモニタリングシステムもあるわけでありますから、そういったものも活用していく、かように思っております。  それからまた、私どもの職員は非常に少ないわけでありますけれども、ときどき抜き打ち的に見るというような監察もそれはできるわけでありますから、これは経済企画庁の方とも御相談をしながら、それぞれできる限りの対応はいたしたいと思っておりますが、しかし、基本的にはやはり、統制経済でもありませんし、統制価格でもありません、指導行政という範疇にあるものでありますから、皆さんの御協力をどうしても仰がなければならないという面が非常に多いということは事実であります。
  189. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 消費者の立場で言って、生産というものを抜きにしたら、輸入価格プラス関税等諸経費、流通経費、そして適正マージンで直接手に渡るというような組織ができればこれは一番いいわけですね。ただ、それをやれば国内産の畜産業を圧迫するということで、一応調整金もつくられ、あるいは入札制度をつくられているわけです。ですから、生産にも、全く影響を与えてないということはないでしょうけれども、そんなに影響を与えずに、しかも、輸入肉が別ルートで売れるというような方法はないものでしょうか。そしてそれをどの点で調整するかということが課題であると思うのです。そういうことについて何かお考えになっていることはございませんか。たとえば、いまモデル店を二千二百店設けられましたけれども、大都市周辺に輸入肉のあらゆる部位をはっきり明示して、希望価格というのは八部位で決めておられるのですか、八部位を明らかに明示して、いつでも買いに行ったらそういうものが買えるんだ。これは一つ輸入牛肉にはどれぐらいの部位があってどういう売り方をしているのかという一つのPRになると思いますし、そしてまたその価格はどういうものだということも明らかになるわけですね。こういったモデル的なものをお考えになって、一つはやはり教育面といいますか、PR面といいますか、そういうことも考えていく必要があるのではないかと思いますが、そういう提案に対してどういうようにお考えになりますか。
  190. 大場敏彦

    大場政府委員 輸入牛肉だけの価格が、ちょっとお言葉を返すようで恐縮でありますけれども、別に国内の牛の価格と隔離されて価格が形成されるということはもちろんないし、先生そういうことをおっしゃっているわけじゃないと思うわけであります。ただ、輸入牛肉輸入牛肉という形で表示されないで、どうも価格形成がわけのわからない形で消費者の手元に届く、こういうことがありますので、やはりこれは輸入牛肉ですよという表示をさせて、上、中、並みというようなあいまいな形ではなくて、こういう部分の肉でキログラム幾らですよ、でき得ればこれはどういう調理用に向きますよというところまでサービスをつけた形で、部位別の販売、部位別の価格表示をするということは、これは必要なことであろうと思います。従来、これは輸入牛肉だけではなくて、国産牛肉についてもそういったところの配慮が必要であろうと思うわけでありますので、先生の貴重な御意見でありますので、一部指定店にもそういった考え方を導入しているわけでありますけれども、そういった目をもう少し広くしていきたいと思っております。
  191. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いまやっておられる指定店については量が足りないでしょう。そしてまた店によって売れる部分が皆違うでしょう。そうするとマージンも少ない。結局メリットがないから、本当に守って監視しなければやっていけないというような状態のもとでこれが長続きするということは私どもも考えられないと思うのです。監視しなくてもメリットがあればこれは続けられると思うのですね。そうすると、いまのところはかっこうはつくっておられるけれども、この指定店の制度というのはそんなに大きくPRの役にも立たないだろうし、むしろまた監視をしなければならない。監視を受ける側にしてみれば、それによって利益を上げるわけじゃないですから、むしろこういうものはやめだというふうな空気になる可能性もあるわけですから、そういうことのないような方法というのは消費者対策としてやはり考えていただく必要があると思いますし、いまの指定店制度をさらに充実させると同時に、モデル店をつくっていただきたい。それが一つ消費者対策に大きく役立つのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  192. 大場敏彦

    大場政府委員 これは農林省なり事業団から押しつけ的なかっこうではもちろんできません。業界の方々、民間の方々でそういう御協力をしてくださるというような動きがないとできないわけで、これはあたりまえの話でありますが、ことに生協等その他の団体とよくそういった点につきましては、先生の御趣旨をどうやって生かせるか、相談してみたいと思います。
  193. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それから今度二百五十円の調整金の上乗せをされて六百円にされる。そしていままでそうすると千十三円で事業団から放出されていましたね、チルドを。それに対して二百五十円プラスするということですか。千二百六十三円になるということですか。そしてそれが千二百六十三円になれば、それの精肉にする経費一五%引きますと、千四百五十二円ぐらいになる、そういう理解でいいのですか。
  194. 大場敏彦

    大場政府委員 先生のいまおっしゃったのは指定店の目安価格の表をおっしゃったんじゃないかと思いますが、これにつきまして従来の三百五十円を六百円にするということになりますと、指定店はかなり厳しい査定——査定と言ってはおかしいですが、マージン等も査定いたしまして御協力を仰いでおりますから、それから末端小売価格も普通の小売価格よりも二割くらい低い値段で目安価格を設定しておりますから、そうゆとりはない、かなり窮屈になるのではないかと思っております。これは私どもの基本的な方針としては、いまの末端の目安価格がたしか百グラム当たり百七十四円に精肉ベースでなっておりますが、これは変えるつもりはありません。
  195. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 いやいやそれは違うんですよ。事業団から放出される価格が五十二年の七月で千十三円でしょう。それに調整金がプラス二百五十円まだ上がるわけでしょう、いままで三百五十円のが。そうすると千二百六十三円ですね。こちらの方のもとの千十三円というのが変わらなければそういうことになりますね。そうすると千二百六十三円。これをさらに部分肉から精肉にするのに一五%ぐらい減ると千四百五十二円になるのですよね。そうすると、やみで流されていると言われる価格が千六百円か七百円です。そこにもまた差がある。まだやみを生むような余地がここに出てきますよ。
  196. 大場敏彦

    大場政府委員 いまそのことを申し上げているわけですが、結論から申し上げまして、末端価格は、現在は末端の目安価格キログラム当たり千七百四十円でございますね。これは変えない。要するに値上げをしないということであります。そうしますと、私が申し上げましたようにかなり窮屈になるんじゃないか、事業団販売価格が二百五十円そのまま上がりますと。歩どまりの向上とかいうようなこと、あるいは現地価格の下げというような、そういうマイナス要素、軽減要素もありますけれども、かなり窮屈になるんじゃないか、こういうふうに思われますので、いずれにいたしましても、結論といたしましては、指定店につきましては末端の目安価格は引き上げない、据え置くという形でよくお伝えをして、販売価格をどうするかということを含めて指定店側とよく相談をして協力を仰ぎたいと思っております。
  197. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 もう時間がなくなりましたので、最後に、国内的にはある程度生産者保護という意味がわかったとしても、調整金意味というのはこれは輸出国側にはなかなか理解できないと思います。そういう意味では、輸出のルートと国産肉のルートというのがもしうまく可能であればその点はもっと消費者にも喜ばれ、輸出国にも喜ばれ、しかも国内の畜産農家にも直接余り響かないようにということになれば三者ともいいんじゃないかと思うのですが、そういう方法は考えられないものでしょうか。たとえば、いまウニであるとかノリであるとか、マツタケであるとか、そういったものはほとんど韓国産の方が多くなっておりますね。市場価格の中では、これは国内産のウニだ、これは韓国産のウニだとかノリだとかいって表示して、それぞれのルートがちゃんとでき上がっておるわけです。牛肉の場合それに当てはまるかどうかわかりませんけれども、時間をかけてそういうルートというのも開けないものでしょうか。これはまた、ただ単に国内だけの問題じゃなしに、余ったドルに対する輸出国側の意向というものは、外圧といいますか、これは非常に大きなものがあると思うのです。そういうことも一気に解決づける道に一つつながるんじゃないかと思いますが、経済企画庁の方でもそういう発想について何かお考えをお持ちじゃないでしょうか。
  198. 大場敏彦

    大場政府委員 まず私の方からお答えいたしますが、国内産の牛でも、和牛があり、乳用雄牛があり、あるいは乳用雌牛があり、それぞれ三分の一で流れているわけでありまして、それぞれに一定価格関係が形成されて、相対関係が形成されて需給が形成されている、こういう状況であります。したがいまして、輸入牛肉につきましても、こういった乳用雌牛なら雌牛、乳用雄牛なら雄牛というような関係輸入牛肉との間に一定価格関係を保ちながら流通していくということでありまして、現在の制度も、安定帯というものは和牛の中とそれから乳用肥育牛の中というようなことで価格を決めておりますが、やっぱりそういうものとの一定の格差をもって輸入牛肉はどういう価格形成をされる、こういった相互連関を持ちながら需給が安定し価格形成がされるということを前提にしているわけであります。ですから、やはり輸入牛肉というものそれ自身、別の隔離された需給圏というものを、それは部分的にはときにはあるケースもありますけれども、全体としては形成するんじゃなくて、やはり国内全体の牛肉需給の中に組み込まれて、そしてその一部として需給の一部を形成していく、こういうことではないかと思われますので、やはり輸入牛肉国内牛というふうに需給を別にするということは、実際問題としてはむずかしいんじゃないかと思います。
  199. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 牛肉の供給の安定につきまして、いろいろ検討しなくちゃならないと思いますが、現実の姿として見ますと、輸入牛肉と国産牛肉との間にはかなり類似性、似たようなものがあるわけですね、和牛は特別といたしまして。そういうことからいたしますと、国産牛肉輸入牛肉とはお互いに補完の関係にあるものでございますから、全く別な姿というものがいいかどうかということについてはいろいろ考えなくちゃいけないと思いますが、いずれにいたしましても輸入牛肉、国産牛肉あわせて安定した供給が確保できるというようなことについていろいろ考えてみなければならぬと思います。
  200. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 それと、もう一つ忘れたのですが、大体去年三百七億ですが、五十二年度はどれぐらいの調整金の額が予想されますか。
  201. 大場敏彦

    大場政府委員 まだ年度途中でありますからちょっとわかりませんが、現在までのところ四月から八月で百億強というふうに聞いております。今後九月以降来年三月までどうなるかということでございますが、一月以降この差益徴収分をどう見るかということとも関連しますので、いまのところちょっと予断はできない。ただ、去年三百七億億と非常に多かったのは、やはり去年は非常に輸入が集中したということも一つの原因がありますので、果たして去年どおりにいくかどうか、もうちょっと様子を見なければ判断できないと思います。
  202. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 消費者側の声というものはなかなか反映しにくいような環境にあります。ひとつ経済企画庁長官としては、もっとストレート消費者側の声がいまの畜安法の中でも生きてくるような御努力をいただきたいと思いますし、最後にひとつ長官から決意のほどをお伺いしたいと思います。
  203. 倉成正

    ○倉成国務大臣 るるお話を承っておりまして、牛にビールを飲ましたりマッサージをしたりする特別な肉は別といたしまして、輸入肉が国内の需要の三分の一を占めているという現況でございますから、何とかして安い肉が国民大衆の手に渡るように最善の努力をいたしたいと思います。
  204. 馬場猪太郎

    ○馬場(猪)委員 終わります。
  205. 西宮弘

    西宮委員長 馬場猪太郎君の質疑は終了いたしました。  次は、長田武士君。
  206. 長田武士

    ○長田委員 私は、当面する物価対策について、為替相場円高傾向が輸入品小売価格にどのように反映されておるかという点を中心に、経企庁並びに関係省庁に対して具体的に質問をいたしたいと考えております。  その前に、物価見通しについて二、三お尋ねを一いたしたいと思っております。  今年度消費者物価の見通しは七・七%ということでありますが、卸売物価は今回の経済見通しの改定では五・四%から二・九%、大幅に改定されておるわけであります。消費者物価の改定が行われていないのはどういう理由であるか、この点お尋ねをいたしたいと思います。
  207. 倉成正

    ○倉成国務大臣 今回の円高によって卸売物価はかなり大きな影響を受けておるわけでございますけれども、御承知のように、わが国の輸入構造が、原燃料が六四、五%ということでございまして、直接消費財というものの輸入の中に占める比率が非常に少ないわけでございます。なお、消費者物価指数を形成している中に、直接の輸入品というのは本当にわずかになっているわけでございます。したがって、卸売物価下落というのがある一定のタイムラグをもって消費者物価に反映をしていくというふうに思っておるわけでございまして、早晩その卸売物価が安定してまいりますと、これは消費者物価に響いてくるわけでございますけれども、その間のタイムラグあるいは流通問題いろいろございますので、ストレートになかなか消費者物価には響いてこないという点が、円高の問題には関連してあるわけであります。  それともう一つは、やはり消費者物価を形成しているものの中で、サービス部門が約三三%占めておるわけでございまして、この部分は、これを落ちつかせるというのは御案内のとおり非常にむずかしい。この中で主として賃金コストが非常に大きな要素を占めてくるわけでございます。そういうこともございますし、また同時に季節商品があるということでありまして、私どもとしては最善を尽くして消費者物価の安定を図ってまいりたいわけでございますけれども、現時点において、来年の三月までに七%台、七・七%に消費者物価をとどめるというのを修正するまでにはまだ自信がないということでございます。何とかしてこの七%台の目標達成を確実なものにいたしたいというのが現在の考え方でございます。
  208. 長田武士

    ○長田委員 今国会において福田総理は、消費者物価の七%台達成は可能であると言っておりますが、卸売物価が大幅に見直された経緯から見まして、この七%台を下回ることも期待ができるのではないか、そう私は考えておるのですが、経企庁長官どうでしょうか。
  209. 倉成正

    ○倉成国務大臣 ことしに入りまして、四月、五月というのはいろいろ授業料の値上げとか交通関係の値上げがございまして消費者物価上昇いたしました。それから六月、七月というのは季節商品が値下がりしたためにこれは下落をいたしました。なお八月に入りますと、これは一・五%の値上がりというような経過をずっとたどっておるわけでございます。したがいまして、いまお話しのように卸売物価が非常に落ちついてきておりますから、これが一定のタイムラグをもって消費者物価に響いてくるということは当然のことでございますけれども、同時に、先ほど申しましたように消費者物価を構成している要素というのが卸売物価とは非常に内容が異なっておりますので、なかなかストレートにこれが円高その他と結びつかないという点があります。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕 しかし、五十一年度は、狂乱物価のときに抑えました公共料金というのをある一定の水準に戻すために、かなり公共料金の値上げというのが消費者物価上昇に寄与したわけでございますけれども、ことしはその部分が五十一年より比較すると少ないということもございまして、七・七%の達成は必ずできる、そう思っております。これ以下にする努力をわれわれ最善を尽くしたいと思いますけれども、いま国民の前にこれだけのものを下げるというところまではまだ自信を持っていないというところでございます。
  210. 長田武士

    ○長田委員 それでは、このまま昨年並みの物価上昇が推移するならば、年度末、来年の三月でありますけれども、何%ぐらいに抑えられるのか、見通しですね、その点を長官ひとつ……。
  211. 倉成正

    ○倉成国務大臣 ただいま申し上げましたように私どもの政府見通しは、来年三月七・七%、七%台に消費者物価を持っていくというのが現在の見通しでございます。もちろんその範囲におさまるように最善の努力をいたすわけでございますけれども、これがさらに低い水準におさまるというようなことを政府の経済見通しとして申すところまでは至っていないというのが現在の状況でございます。
  212. 長田武士

    ○長田委員 最近の異常とも思われます円高傾向に対しまして、それが輸入物資の消費者価格に連動していないという国民一般の批判があることは周知の事実であります。この問題に対して、まず初めに、政府が去る五月十三日物価担当官会議の決定に基づいて輸入品価格動向追跡調査を実施いたしました。その調査結果を八月に公表したわけでありますが、この調査結果について経企庁長官の御所見を承りたいと思います。
  213. 倉成正

    ○倉成国務大臣 三十六品目について私ども調査をいたしました。その結果につきましてはもうすでに詳しい資料を公表いたしておりますので、その詳細は省略いたしたいと思いますけれども、輸入価格下落いたしましたものが十五品目、輸入価格上昇したものが二十品目ありまして、輸入価格下落十五品目の中で小売価格がストレートに下がったものが六品目、乗用車、腕時計、カラーフィルム、書籍・雑誌、配合飼料、木材、こういうものがあるわけでございます。  ところが、輸入価格は下がったけれども小売価格上昇または横ばいというのが九品目ありまして、マグロとかプロセスチーズとか、そういうものがあるわけでございます。マグロなどは、御案内のように国内の方が魚の値段がちょっと高いものですから、これに引っ張られてなかなか下がらない。プロセスチーズの方もやはり国内の酪農製品の価格が必ずしも安くならないということで、プロセスチーズという形になると輸入価格下落にストレートに結びつかない。商品によってそれぞれ事情がありまして、われわれが単純に考えるように輸入価格下落がすぐ末端消費価格に結びつかないという点がございます。  また、逆に申しますと、輸入価格上昇したけれども、小売価格下落または横ばいという品目も十一品目ございまして、レモン、グレープフルーツ、ウイスキー、食肉加工品、電気冷蔵庫、万年筆、ライター、ネクタイ、カーペット、そういうものもいろいろあるわけでございます。国内商品と競争してそういうふうに下がってくるという、反応の仕方が種々雑多でございますので、これにつきましては、すでにお手元にお配りいたしておりますように、一応詳細な分析をいたしておるわけでございます。  しかし、なおこの間の事情を調べまして、単純に、輸入価格が下がっているのになぜ末端が下がらないだろうかという消費者の素朴な気持ちにこたえるためには、さらにひとつ関係団体にもお願いして、また並行輸入等も活用いたしまして、これらの価格が下がるように努力したいということで、すでに関係団体についても協力方の依頼を通産省の方からいたしておるような次第でございます。
  214. 長田武士

    ○長田委員 この調査結果を見ますと、一般消費者円高差益は一体どうなっておるかという疑問を持つと思いますが、どうでしょうか。
  215. 倉成正

    ○倉成国務大臣 先ほどからるる申し上げましたように、為替相場輸入品価格形成との関係は、それぞれの商品の事情、流通経路その他ございまして、いまごらんになっているお手元の資料のとおりの事情で、必ずしもすぐ末端価格に結びついていないという点があるわけでございます。したがって、この中で、さらにもっと努力をして末端価格が下がる工夫ができないものだろうかということを関係団体にもお願いし、また、われわれも監視をしておるというようなところでございます。  なお、御承知のように、最近ウィスキー等につきましては、デパート等の値段も、たとえばジョニ赤の三千五百円のものが三千二百円程度で売られているとか、そういうものもだんだん出てきておるわけでございますので、この調査の結果から、さらに努力をして末端価格が下がる工夫をいたしてまいりたいと私は思っております。
  216. 長田武士

    ○長田委員 確かにいま御答弁がありましたような事情もあると思いますが、政府が責任を持って公表する調査資料、この資料ですね、これを見て一般消費者は疑問を起こし、不満はつのるばかりだと思います。こうした公表の仕方では消費者はとうてい納得できないと私は思いますし、なぜ政府は責任を持って消費者の納得の得られるような形で公表できなかったのか。この点についてはどうでしょうか。
  217. 倉成正

    ○倉成国務大臣 今日の経済は御承知のとおり統制経済をいたしているわけではございません。したがって、価格政府が一々決めるというわけではなくて、やはり市場経済の中で価格が決まっていくという仕組みになっておるわけでございますから、私どもが、輸入価格が一体どういう経緯を示しているか、それが末端においてどういう事情でこういう結果になるかということを、そのままの姿で一般の国民の前に示すというのが正しいあり方ではないかと思うわけでございます。決してそういう曲げられた作業ではない、ありのままの状態をそのまま国民の前に明らかにして、そして国民の皆様方にもこの状況を知っていただき、政府も努力するし、消費者としてもこういう状況についていろいろ検討していただいて、そしてともに末端価格が安定するようにというのが正しいあり方ではないかと思うわけでございまして、この発表の仕方についてはいろいろ御意見がございましたけれども、私は正しいあり方ではないかと確信をしております。
  218. 長田武士

    ○長田委員 私は、最近の為替相場円高傾向が輸入品小売価格にどのように反映されておるかという点を明らかにするためにこの調査が行われたと思うのですね。その点どうですか。
  219. 倉成正

    ○倉成国務大臣 輸入品価格動向の調査ということで、そのときの期待は、お話しのように、為替が円高になったので輸入品が下がるということを期待して調査をしたことは事実でございます。ただ、その結果については、私どもが当初考えたほどすぐストレートにこれが結びついていないということは御指摘のとおりでございますから、なお一層努力をして円高輸入品に反映するようにしたいという気持ちはもう委員と同じでございます。しかし、ありのまま現状を御報告したということでございます。
  220. 長田武士

    ○長田委員 長官のただいまの御答弁のとおりの趣旨によってこの調査を行ったと思うのでありますが、私はこの調査はきわめてずさんなものであると言わざるを得ないわけであります。  それは、この調査が第一に輸入価格小売価格、すなわち入り口と出口の値段を明らかにしただけであるということ。これではどこまでが為替差益であるか全くわからない。この点が不明確であるということであります。  第二には、流通過程において価格形成はどうなっておるか、その実態が全く明らかにされていないということであります。そしてどの段階で為替差益がどのように扱われておるのかという点が不明確であるということであります。  第三には、この調査結果を踏まえて政府はどのような形で消費者に為替差益を還元しようとしておるのかという点が明示されていないということであります。  これらの点について、経企庁長官はどのように考えておるのか、具体的かつ明快なる御答弁をいただきたいと思います。
  221. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 いま御指摘の点は調査の発表の仕方かと思いますけれども、私どもとしては、今回の調査輸入価格変動小売価格にどういうふうに影響を与えているかということについて調査をしようとしたわけでございまして、したがって、輸入段階の円建て価格がどうか、それが末端小売価格としてどう動いているかという二点の調査に主眼を置いたわけでございます。  その結果といたしまして、輸入段階で上がったものもある、下がったものもある。それに対して小売の段階でも上がったものがある、下がったものがあるというようなことで、内容としてはここに調査書に掲げたとおりでございますけれども、その円高差益がどのぐらい発生したかということについては、今回の調査で十分把握できると思います。  それから、いま御指摘の卸売段階等を経てそれがどうなっていったかということについては、私どももこの調査の過程で当然卸の段階まで調べました。しかし、流通機構の問題はなかなか複雑なものもございますので、ともかく全体として円高効果がどういうふうにあらわれているのか、またあらわれていないとすればどういうものかということについての情報を早くまとめて御報告する必要があるということでございまして、こういう形で発表さしていただいたわけでございます。  輸入品価格形成がどうなっているのかということについての問題意識は私ども十分持っておりますけれども、今後こういう問題について、こういう調査をもとにしてさらに研究を深めていきたいと思っております。
  222. 長田武士

    ○長田委員 それでは重ねて経企庁長官にお尋ねいたしますが、私は、この調査結果を見る限り、政府の姿勢といたしまして、真に消費者の利益を優先するという意思があるかどうか、疑問を持たざるを得ないわけであります。具体的に石油製品を見てみますと、この調査では六月の輸入価格が昨年の十二月に比べて〇・五%上がっております。もしそのとおりだとするならば、石油各社の円の支払い額は半年前に比べまして〇・五%ふえていることになるはずであります。ところが、実際は、円高のおかげで円の支払い額が少なくて済むということから、膨大な差益を得ているわけであります。本年初めは一ドル二百九十円台の相場が現在では二百五十円台、一ドルに対して四十円もの差が出ております。したがって、本年度の原油輸入推定量は二億八千六百万キロリットルということでありますから、約一兆円の為替差益が生ずるわけであります。しかし、この調査ではこうした事実とは全く逆のことを公表しているということであり、それは円建ての輸入価格が上がっているという調査結果ですから、ただいま申し上げました石油各社の大きな差益について、経企庁長官はこれをどのように御説明なさるのか、この点いかがでしょうか。
  223. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 この六月末で〇・五%上昇したというときには、その内容は二つあるわけでございまして、ドル建て価格がどうなったか、それから同時に円のレートがどうなったかという二つの要素がございまして、実はこの一月以降OPECの値上げによって、六月の段階には値上げされた原油が着いておりますので、ドル建ても上がっております。一方、円高も進行したということで、円の上昇率と、それからドル建ての価格上昇したものとの差額が〇・五%ということになっておるわけであります。  そういうことでございますので、当然にその間に円高に伴う利益が石油会社に発生している。しかし一方で、OPECの値上げによりまして高い原油が着いているということでございまして、両建てになっておりますので、〇・五%というのはそういう差し引きされた姿であるというふうに私どもはこの計算上いたしておるわけでございます。
  224. 長田武士

    ○長田委員 通産省おいでですか。  大手石油会社が今春発表いたしました石油製品価格の値上げについて今回撤回を打ち出しました。これは円高差益が生じているゆえにこういう措置をとることが可能になったと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  225. 箕輪哲

    ○箕輪説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のとおり最近あるいは八月中に、二、三の石油企業がそれまで行っておりました石油製品の値上げ要求を撤回いたしております。これは御指摘のとおり、確かに差益と申しますか、実はOPECの値上げによります原油代金の高騰部分と、それからいまも企画庁の方から御説明がございました円高によります円建ての輸入原価がほぼ見合ってまいりましたものでございますから、値上げ要求を撤回したということでございます。
  226. 長田武士

    ○長田委員 関連してお伺いいたしたいのでありますが、十月二十日の参議院予算委員会で、田中通産大臣は、現在のような円高レートがある程度続いた場合、家庭用灯油について値下げを含め適切な処置をとるとの方針を明らかにいたしましたが、経企庁長官石油製品の値下げについてどのように努力されるのかお伺いをしたいと思います。
  227. 倉成正

    ○倉成国務大臣 私、通産大臣の発言を正確に承知いたしておりませんけれども、恐らく通産大臣は、今後円高がどの程度続くものかということが一点と、それからもう一つは、やはり石油価格に一番大きな影響を及ぼすのはOPECの値上げの問題でございます。これはことしの七月には、御承知のようにサウジとアラブ首長国連邦が五%値上げをいたしました。また、ことしの十二月にOPECの総会が行われてどうなるかということを注目しているわけでございます。こういうことを見きわめて考えたいというお話だったと思うのでございますが、灯油に関して通産大臣の値下げするというお話があったとは記憶していないわけでございます。
  228. 長田武士

    ○長田委員 値下げを含め適切な処置をとるという発言をいたしております。議事録をひとつごらんいただきたいと思います。  次に、報道によりますと、通産省は電力、ガスなどの現行料金をできるだけ長期間据え置くように指導するとありますけれども、これは事実かどうか、また事実だとすればいつまで据え置かれるのか、この点について当局の具体的な御見解を伺いたいと思います。
  229. 服部典徳

    ○服部政府委員 電力の為替差益の問題は、電力会社につきましては昨年の六月から八月にかけまして料金改定を行っております。その際の為替レートが、その時点の過去三カ月の平均ということで二百九十九円で原価計算がなされております。それをもとにいたしまして、さらにその原価計算で織り込んでおりませんOPECのことしの一月ないし七月の値上げ、これを差し引きいたしますと、五十二年度の上期におきまして、試算結果としては二百四十二億円の為替差益が出てくる。それから下期につきまして為替レートが幾らになるかということでございますが、一つの試算といたしまして、これも二百六十円平均という仮定で計算をいたしますと、五十二年度上期の数字と合わせまして七百四十一億の為替差益が出る、こういうことでございます。原価の比較では、約一・三%という数字になるわけでございます。  為替差益をそのまま値下げに結びつけたらどうかという御意見もございますが、私どもといたしましては今後の原価の上昇傾向、資本費もどうしても上昇いたしますし、OPECの価格の動向というのも見きわめなければいけませんし、そういった観点から、むしろ、できるだけ長期に現在の料金を維持する、安定させるということが好ましいのではないか、こういうことで、原価計算期間というのは実は来年の三月まででございまして、四月以降は一応原価の外ということになるわけでございますが、そういった為替差益が出るわけでございますので、できるだけ料金を長期に安定させるようにということで各社に指導しているということでございます。
  230. 長田武士

    ○長田委員 ちょっと時間がありませんのでマグロの件は飛ばしまして、長官、このような調査結果は、私先ほど申し上げましたとおり、消費者としてははなはだ納得しがたい調査結果だと思うのですが、今後さらに円高傾向が強まるという見通しもなくもないわけでありますので、消費者が納得できるような、円の差益がどうなったのか、そういう情報をぜひ消費者は知りたがっております。そのような情報を、先日も六項目を決めておりますけれども、第五項目に公表するということが載っておりますけれども、その点、次はいつごろやられる予定でございましょうか。
  231. 倉成正

    ○倉成国務大臣 この三十六品目についての調査は、とにかく円高が非常に続くということで、早急にひとつこの追跡調査をする必要があるということで、大変いま急いで、そしてまた非常に専門的な知識を要するものですから、関係の団体等にもいろいろ御協力をお願いしてまとめたものがこの結果でございます。もちろん私どもは、これが十分なものであるとは思っておりません。まださらにこれを掘り下げていかなければならないと思うわけでございます。  先ほど申しましたように、円高がすぐ輸入品価格につながらないという流通機構の問題やその他の問題がございますので、関係団体にも、通産省を通じて協力をお願いをしているという点もございますので、これから追跡調査をさらにしていく、これを深めていくということが一番大事じゃないかと思うわけでございまして、いま鋭意これに努めているところでございます。先ほどの物価担当官会議で決めました項目等についても、やはりそういう意味を持っておるわけでございますから、やれることから一つずつやっていくという態度をとりたいと思いますので、取りまとめていつまでにどういう結果をどうするということは、ただいまのところ考えておりません。
  232. 長田武士

    ○長田委員 次に、現在最も問題になっております輸入牛肉について、今回調査に含まれていないわけですね。その理由について御説明をお願いしたいと思います。
  233. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 輸入牛肉につきましては、九割までを畜産振興事業団輸入してこれを販売しているということでございまして、私どもとしては、これは、その価格の実態等はすぐにも把握できるわけでございます。そういうことで、他の物資については民間の取り扱い物資でございまして、十分な調査をしなければ実態が把握できないということでございまして、ちょっと性格が違いますので、この三十六品目の対象から落としております。しかし、そういう価格の実態についてはよく勉強いたしておりますし、それが適切に運営されるというようなことについては常々気を配っているところでございます。
  234. 長田武士

    ○長田委員 政府部内でわかるために調査の対象から外した、こういうことでありますけれども、経企庁としては、輸入牛肉の直接の担当者である農林省に対してどのような説明を求められたのか。農林省から回答があったはずであると思いますが、どのような回答がございましたか。その点よろしくお願いします。
  235. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 畜産振興事業団につきましては、その取り扱いによりまして生じました差益その他については、事業団の中にそれが留保されているわけでございまして、その留保された姿というものは、これははっきりつかめるわけでございます。その点については、日ごろ農林省の方と十分打ち合わせをしながらその運営についていろいろ御相談をしているところでございます。
  236. 長田武士

    ○長田委員 そこで、現在経企庁といたしまして、この輸入牛肉に関する為替差益、この点についてどのようにお考えでしょうか。
  237. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 先ほども申し上げましたように、そういうものはすべて畜産振興事業団差益という形で出ておるわけでございまして、私どもの立場から言いますれば、できるだけその差益がダイレクトに消費者につながるような形をとっていただければありがたいと思いますが、現在事業団の方では、かねがね生産合理化といいますか、そういうふうに十分金を使ってきているわけでございますけれども、そういう使途についていろいろ私の方からも御意見を申し述べたい、そういうことで、調整金その他についての使い方等についても現在お話をしているところでございます。
  238. 長田武士

    ○長田委員 その問題は後でちょっと触れたいと思います。  牛肉問題について、日本の牛肉が世界各国に比べると非常に高いわけですね。アメリカの三倍、オーストラリアの五倍。ところが、国内需要量の約三割は外国からの輸入に依存しておる現状です。この輸入牛肉はきわめて安く輸入されているにもかかわらず、これは高く売られておる。この輸入牛肉の取り扱い枠は利権化しているのではないかとも言われるゆえんであります。牛肉問題は、流通問題、調整金制度問題、指定店制度の問題、さまざまな問題を持っており、庶民に安い牛肉を提供するためには牛肉行政全般にわたる根本的な見直しが必要になっていると思えるわけでありますが、本日は特に円高にかかわる為替差益がどのように消費者に還元されているかという点にしぼって、以下数点をお伺いしたいと思っております。  まず輸入牛肉について、本年度上期の輸入実績及び下期の予定について、チルドフローズン別に御説明をいただきたいと思います。
  239. 大場敏彦

    大場政府委員 事業団輸入牛肉の買い入れ数量でございますが、現在までのところ、五十年度に入ってからの数字を申し上げますと、買い入れ数量が約六千七百トン、五月が五千三百トン、六月が五千五百トン、七月が二千三百六十トン、八月が六千トン、こういった経緯があります。  なお、五十一年度は合計いたしまして七万トン強を買っております。  それから売り渡し数量は、五十一年が七万七千トン強を売っております。それから五十二年に入りまして、売り渡し数量が四月は四千七百トン、四千九百トン、四千九百トン、四千三百トン、六千四百トン、大体こういった推移になっております。売り渡し数量で申し上げますと、大体四千トンから五千トンぐらいのところで毎月ペースで売り渡しを行っております。
  240. 長田武士

    ○長田委員 現行の牛肉輸入制度のもとにありまして、事業団はおおむねチルド随意契約、ワンタッチ方式ですね、これによる買い入れ、売り渡しを行い、フローズン入札による買い入れを行っていると考えてよいのかどうか、この点について御説明願います。
  241. 大場敏彦

    大場政府委員 フローズンは、買い入れの場合は三十六社という指定輸入商社事業団にありますが、それから入札で買い入れるという買い方をしております。国内に売り渡す場合には、卸売市場競りで売ったりあるいは、市場数が二十五で少ないわけでありますから、補完的に需要者団体十八団体に対しまして指名競争契約で売る、いわば競争契約で時価で売っている。安定帯がありますが、安定帯の中の時価で売っておる、こういつた売り方をしております。  それからチルド牛肉につきましては、これはなまものであります関係上、そういった、事業団が一たん買って保管しておいて、それで国内に放出するというような方式がとりにくいものですから、肉が向こうにあるときにすでにインポーターと国内需要者との間で流れを決めておいて、その間に事業団が介在して、固定的にフィックスした調整金を課してそして売り渡す、こういう方式をとっておりますから、いわば買いも随意契約それから売りも随意契約、こういった形になっております。
  242. 長田武士

    ○長田委員 フローズンチルドの割合、その点はどのようになっておりますか。
  243. 大場敏彦

    大場政府委員 五十一年度の実績を申し上げますと、五十一年度は非常に価格が高かった、こういう関係がありますので、チルドの量を多くしたということがあります。ですから、大ざっぱに申しますと、五〇%ちょっと超えたところがチルドでありますし、やや五〇%切ったところがフローズン、まあ半分半分ぐらいだ、ややチルドの方が多かったかという程度であります。  ことしに入りましてからは、チルドの方が少なくてフローズンの方が多い、まあ四分、六分というような感じであります。
  244. 長田武士

    ○長田委員 ただいま農林省の畜産局長から御説明がありましたとおり、二つの契約がございます。  私、きょうここで取り上げたい問題は、チルドの問題につきましていろいろお伺いをしたいと思っておるのです。  牛肉の中でチルド輸入は、需要者団体がその与えられた枠の範囲内で輸入商社とあらかじめ契約を結ぶ。そうですね。——そして事業団の許可を得て輸入し、これに事業団調整金を加えて需要者団体に売り渡されるということであります。しかしこれは形式上のことでありまして、実際は、事業団一定調整金需要者団体から取るだけでありまして、輸入牛肉価格の具体的決定には参画をいたしていないということですね。そして、輸入商社と外国との間ではドル建てで決済をするわけです。輸入商社需要者団体とは円建てで決済をいたします。さらに、通常、発注から決済まで、チルドの場合、約四カ月から五カ月恐らくかかっておると私は判断をいたしております。明らかに円高差益を取っておりますのは三十数社、いま三十五社になりますか、その輸入商社であると私は考えるわけであります。私の試算したところでは、円高傾向にあった二月から七月、まださらに続いておりますが、この半年間に約四億円の差益が予想され、その後今日までさらに円高傾向が続いていることを考えますと、年間約十億円ぐらいの差益が出るのではないか、このように私は考えております。輸入商社に入るそのような莫大な差益農林省並びに経企庁はこの点どうお考えになっていらっしゃるか。先ほどの御説明ですと、調整金円高差益も含まれておるんだ、こういう御説明ですが、私はちょっとそれに疑問を持っております。円高差益というのは、商社と外国との間でドル決済、円決済というふうになるのですから、その差益は当然商社と事業団の間で起きるべきである。事業団と次の買い手、十三社、五社、その間におけるところの調整金というのは、あくまでも日本の牛肉との価格のつり合いといいますか、これをとるための調整金である、私はそう考えておるのです。そういう意味で、私は、調整金が為替差益も含まれておるんだということについてははなはだ納得できない。この点、いかがでしょうか。
  245. 大場敏彦

    大場政府委員 為替差益の考え方は、先生が御指摘になったのは確かにそういう一面があると思います。為替差益の考え方でありますが、ドル建てで支払い、それで日本の国内で円でやってもらう、そういった取引が通常の場合ございますから、その間の為替変動というものは、当然通常の為替変動という形で——逆のケースもあります。円安になるというケースもあるわけでありますけれども、為替変動というリスクは絶えず商取引に伴うわけでありまして、それがインポーターに帰属する部分というものはあり得ると思います。しかし、円高傾向が一時の傾向ではなくて、ロングランにずっと傾向として円高になってくる、そういった場合には、当然事業団というものは売り渡し価格買い入れ価格というものを想定する場合にそういったものを織り込みますから、そういった場合の長期的な形での円高傾向の差益というものは事業団調整金の中に包含されている。もちろん、円高傾向だけではございませんで、現実買い入れ価格というものは現地価格とそういった為替レートというものがミックスされたものでありますから、どれがどれだという分離ははっきりはできないわけでありますけれども、長期的な形での為替の円高の傾向というものは事業団の方に帰属する。しかし、過渡的にごく短期間の——ごく短期間のといいますか、ドル建てで支払って円建てで受け取る、そういった短期間の為替変動というもの、それに伴う為替差益というものは、事業団以外のものに帰属するというケースもこれはあり得ると思うのです。金目は幾らであるかということは、私はちょっと推算いたしておりませんが、そういったケースはあり得る、このように思います。
  246. 長田武士

    ○長田委員 ちょっと説明がわかりにくいのですけれども、先ほど申し上げました調整金の中に円高差益が含まれております。したがって、三百五十円を、二百五十円プラスして六百円に十一月からやります、こういうお話でしたね。その点、間違いありませんか。
  247. 大場敏彦

    大場政府委員 間違いございません。
  248. 長田武士

    ○長田委員 そこで、差益金というのはドル決済、円決済、その中に生まれるわけでありますから、当然商社から差益金事業団が徴収すべき性格のものであるというふうに私は考えておるのです。その点どうですか。
  249. 大場敏彦

    大場政府委員 事業団は円建てで買うわけでありますから、当然その円建ての価格は……(長田委員「私の言うのはチルドですよ」と呼ぶ)私は、フローズンの場合も同じような理屈が働くという意味で申し上げているわけでありますけれども、向こうでドルで支払って、それで円でインポーターが受け取る、そういった場合の差益、それはインポーターに帰属するということはあります。しかし、事業団が長期的に安い円価格で、たとえばフローズンなんかを買うという場合には、当然そういった円高傾向というものはすでに織り込み済みの要素として入っておりますから、それは事業団の方に帰属する。そういうことで、事業団がすべて円高差益を吸収しているということではございませんが、かなりの部分事業団が吸収しているということであります。ただ、円高が急激なラッシュで起こる、そういった場合には、その比較的短い期間内における為替差益というものは、輸入取引の過程において吸収されるということはよくあり得ると思います。
  250. 長田武士

    ○長田委員 そうしますと、チルドの場合、円高差益はどのぐらい取っておるのですか。
  251. 大場敏彦

    大場政府委員 どれだけが円高差益でどれだけが現地価格の低落だということは、これは分離は非常にむずかしいわけで、結局どの時点から比較するかということにも関係するわけであります。ですから、現在どれだけ円高部分があるということは、ちょっと分離はむずかしいと思っております。
  252. 長田武士

    ○長田委員 私の質問を間違えないでいただきたいのです。円高による差益は商社から取るべきであるということを私は主張しておるのです。四カ月ないし半年ぐらいかかる決済期間というものがあるわけですね。その間に円がどんどん上がるということになりますれば、四カ月、五カ月の先を見越した契約で、たとえば二百九十円とか二百八十円とか、そういうものを見越して商社は現地で買い入れるわけですよ。ところが、実際問題円を支払う、決済する場合には半年先ぐらいになっておるのですね。そうした場合の為替差益事業団は徴収しておるのですか。
  253. 大場敏彦

    大場政府委員 現在、為替差益というかっこうで徴収はしておりません。いわば内外格差というかっこうでその足りない分を徴収しているということでございます。その徴収の仕方としては、事業団がインポーターから直接取るという形ではございませんで、インポーターからの買い入れ価格にいわば瞬間タッチ的な形で事業団が固定調整金オンして、そして需要者団体に売る、こういったやり方をやっておりますから、いわば需要者団体から内外格差分を徴収しているということで、インポーターから為替差益を、先生がおっしゃるいわゆる比較的短い期間における為替差益を徴収しているということにはなっておりません。
  254. 長田武士

    ○長田委員 どうも私、理解できないのですよ。じゃ、どういう形で具体的に徴収しているのですか。円高によるところの為替差益というものはどういう名目で徴収していますか。チルドの場合ですよ。
  255. 大場敏彦

    大場政府委員 事業団が結局チルドの場合にしろ形式的に買うわけでありますから、その場合に、当然、円高になりあるいは現地価格が下がれば事業団の購買価格も下がる、したがって、それをそのまま従来の固定的な調整金で売っておればその差益がどっかに吸収されてしまうということで、それを、現地価格の下がった分を事業団課徴金という形で、現地価格というか、事業団買い入れ価格が下がった分を事業団調整金という形で増額して、そして需要者団体から負担を求めておる、こういったことでございます。
  256. 長田武士

    ○長田委員 それじゃ、現在のチルド調整金ですか、いま局長課徴金と言いましたね、幾ら取っていらっしゃいますか。
  257. 大場敏彦

    大場政府委員 チルドにつきましては、キロ当たり三百五十円というものを取っております。
  258. 長田武士

    ○長田委員 それでは私が先ほど申し上げた円の差益、半年間なら半年間のこの差益、これは商社が受け取っておるのです。私が申し上げたいのは、商社が受け取っておるわけでありますから、商社からその差益事業団が徴収しない限り、円の差益というのは依然としてこれは生まれないということなんです。おわかりでしょうか。
  259. 大場敏彦

    大場政府委員 繰り返しになりますが、現地価格が下がり、それから円高になれば、輸入価格というものは下がってくる。その下がってくる分がそのまますっと通ればそれも一つの対応でありますけれども、それが通らない場合に、調整金の増額という形で対応して、事業団が吸収して保留しておく、こういった形をとっておるわけであります。
  260. 長田武士

    ○長田委員 私は、現行のワンタッチ方式では、この輸入制度のもとでは、事業団は為替差益輸入商社から取れないということになっておると思うのですよ。それは間違いないでしょうね。ただ、事業団が取れますのは、このワンタッチ方式について、チルドは非常に腐りやすい、零度にした肉を冷蔵で持ってきます。そのために事業団がストックできない。したがって、需要者団体とそして商社と実際話し合いをするわけでしょう。私の団体においては来年の五月に二千トン欲しいとか三千トン欲しいとかという相対で注文するのではないですか。そうすれば商社は、オーストラリアとかアメリカに参りまして発注をする、そうして五カ月、六カ月先のレートを見込んだ上で契約を結び、そうして半年後に円決済をする、ドル決済をするという仕組みじゃありませんか。よろしいですか。そうなりますれば、半年間とか五カ月間とかという、円高による差益というのは、事業団が商社から取れなかったら、この差益は私は徴収できないじゃありませんかと申し上げておるのです。
  261. 大場敏彦

    大場政府委員 いま事業団は、チルドの場合には、先ほどからるる申し上げておりますように、固定的な調整金というものを設定しているわけであります。その場合に、固定的な調整金の設定の仕方といたしまして、買い入れ予定価格というものを想定いたします。それは現在の買い入れ価格が、海外の市況がどうなっているか、現在の事業団買い入れ価格がどうなっているか、為替レートの傾向がどうなっているかということを勘案いたしまして、このぐらい安くなるであろうという一つの推定の買い入れ予定価格というものをはじく。それから、一方国内においてそれが幾らぐらいで売れるであろう、こういった推定をいたしまして、売り渡し予定価格というものを推定をする。そういったことで、その差が課徴金という形で設定されるということになるわけでありまして、円高傾向というものを見越して課徴金を設定いたしますれば、当然円高に伴う差益というものは、それはその調整金の中に吸収される、こういったことであります。しかし、ただ、おっしゃいましたように、インポーターが向こうでドルで契約し、こちらで円で支払いを受ける、そういった契約期間内の差益というものは、現実にはそれは激しい動きがありますから、それはインポーターに通常の為替取引、貿易取引の過程において発する差益と同じように起こり得るということを申し上げておるわけであります。
  262. 長田武士

    ○長田委員 経企庁長官、私は、為替差益というのは、いま農林省説明ですと、三百五十円の調整金を今度六百円にいたしました、その中に十分反映しておるのですという説明から、どうも抜け切れないように思うのですね。私は、円高によるところの為替差益というのはそんなものじゃないと思うのですが、長官、どうでしょうか。
  263. 藤井直樹

    ○藤井(直)政府委員 結局、事業団チルド牛肉を扱うときに、現地で買い付けするのは商社だと思うわけです。商社はそれを事業団に売るときに、そのときのレートでもって多分円換算いたしまして、そして所要の経費を乗せて事業団と契約するわけでございますから、そのとき時点に起きてきた円高というのは、もはやその円の価格に反映されているわけですから、事業団が安く買うことができるというふうな形で反映されてきているのではないかと思います。(長田委員事業団がですか」と呼ぶ)要するに、商社と事業団、その瞬間タッチをする団体も含めまして、円高が進んだ段階では、その上昇した円のもとで円換算した価格を支払うということになるわけでございますから、したがって、円建ての輸入価格がそこで円高影響を受けて下がってくるということになれば、その分だけ安く買っているわけですから、それまで生じた円高効果というのは事業団の購入価格の方に出てくるのではないかということを申し上げたわけでございます。
  264. 長田武士

    ○長田委員 どうも話が食い違いが多いのですよ。私が申し上げているのは、チルドの場合を取り上げているのです。商社と需要者団体が契約を結び、そして事業団に報告をし、その枠内で輸入できるようになっておるのですよ。そうしたケースの場合は、五カ月ないし六カ月を見越した為替レートというものをある程度想定して、そこで契約を結んで、オーストラリアあるいはアメリカから肉が入ってくるのです。半年後に着くのです。その場合に起きました為替差益というのは、商社にきちっと利益として上がっているんじゃありませんか、その利益は事業団としては何ら手をつけることができないじゃありませんかということを申し上げているのです。
  265. 大場敏彦

    大場政府委員 どうもわれわれの説明が悪いのかもしれませんけれども、チルドの場合の調整金の決め方は固定的に決めざるを得ない、これはおわかり願えると思うのです。それで、その固定的に決めるときに、事業団としてはこのぐらいの値段で、たとえば二カ月先、三カ月先には現地価格はこうなるであろう、あるいは円レートはこうなるであろう、そういったことを想定して、このぐらいの水準で買い入れ価格がなるであろう、こういった推定をして決めているわけです。一方、それとうらはらに、国内の卸売価格水準、つまり事業団が形式的には売るわけですから、事業団が売るような値段は幾らぐらいなるであろうというようなことを、内外格差ですね、その水準を、内外格差のもとになる国内価格でありますから、それをやはり推定して、その差を、想定される内外格差として、そして調整金としてフィックスして取っているということであります。ですから、これは想定でありますから、先生がおっしゃるように現実にはその想定と現実というものは狂うということはあるわけで、これはやはり固定調整金一つの問題点であるということはわれわれ認識しております。現地価格がわれわれが想定したものより円高でさらに激しく下がってしまうということはあり得るわけで、これは確かに固定的な調整金一つの問題点であるというふうには認識しておりますが、そういったかっこう円高差益というものは調整金の中に入っているということであります。  しかし、繰り返すようでありますが、通常の取引、短期間の取引の間に為替変動というものは起こり得るわけで、その損益は、差損あるいは差益というものはインポーターに帰属するということは通常の貿易取引にあり得るということを申し上げたわけであります。
  266. 長田武士

    ○長田委員 いま局長がおっしゃったのは、私がさっき申し上げましたことしの二月から七月までの、そろばんではじいてみますと、五十二年の二月、これは当然発注は去年の十月ごろ発注したものなんです、約五カ月前ということですから。三月になりますと十一月というふうにずっと換算をしていきますと、たとえば五十一年十月は円レートは二百九十一円、ところが決済が五十二年の二月でありますから二百八十五円、為替差益というのは六円出ているんですね。そういうことで順次追ってまいりますと、三月になりますと十四円、四月になりますと二十円、五月になると十三円、六月十二円、七月十六円という為替差益が出ておるのです。これを合計いたしますと、総輸入額にこれを掛けますと、合計三千八百九十九万一千円、このくらいの差益が商社に出ておる。五カ月間のこの期間におけるところの差益が出ておるということを先ほどちょっと申し上げたのです。この徴収については事業団としてはしてないということでありますか、しているということでありますか。
  267. 大場敏彦

    大場政府委員 それは固定的な調整金一つの宿命と言っては少し言い過ぎかもしれませんが、問題点で、いろいろその後の事情の変化によってわれわれの見込みより現地価格——それは円高だけの問題ではございません、現地価格の低下ということもあり得るわけですから。そういった場合には、やはりその分は徴収し足りないというケースは確かにあると思います。そういう意味で、いろいろ議論になっておりますけれども、この十一月、十二月から調整金の引き上げを図るという対応をしたのもその一つの対応であります。ですから、いま御指摘になりましたそういったいわゆる通常の短期間の為替変動に伴う為替の差益というものは、それは事業団は徴収し切ってはおりません。そういうケースはございます。
  268. 長田武士

    ○長田委員 そのような差益は、農林省としてはどうですか、事業団に徴収をさせるという考え方はありますか。そうしませんと、この為替の差益消費者に還元するということはなかなか私は無理があるような感じを持っております。
  269. 大場敏彦

    大場政府委員 それは固定的な調整金というシステムで対応しておりますので、現在そういった通常の貿易取引における差益を商社から事業団が徴収していく、そういう対応は事実上むずかしいと思います。
  270. 長田武士

    ○長田委員 どういう理由でしょうか。
  271. 大場敏彦

    大場政府委員 事業団は、結局国内相場で売るという形で、その場合の内外価格差というものを徴収するという形で調整金を徴収しているわけでありますから、その差益を吸収するということが究極目的では必ずしもございません。ましてやそういった通常の貿易取引における差益まで事業団が全部吸収するということを意図すれば、インポーターを指定しないで事業団みずからがやはり輸入業務をやるという対応でなければ私は徴収するということはむずかしいと思います。
  272. 長田武士

    ○長田委員 畜産局長の御答弁ですと、どうも為替差益が一般消費者に還元しにくい、そういう感じを私は強く持つものであります。  もう一点お伺いします。先ほど他の委員質問しておったのですが、この事業団の収益といいますか、この使途が、生産者、畜産農家には非常にいろいろ手当てをしているようでありますけれども、消費者に対する還元という意味では非常にそういう点が鈍いのではないか、そういう点を私は強く感ずるのですが、その点いかがでしょうか。
  273. 大場敏彦

    大場政府委員 私どもは、先ほどもお答えいたしましたが、生産者とか消費者というそういう峻別をするのは必ずしも適当ではない、かように思っております。やはり生産対策を、いわゆる生産合理化をしてコストダウンをすればそれは消費者の利益に直接つながるものでもありますし、それから流通合理化もさようであります。  たとえば一例を挙げますれば、産地で食肉流通センターというものを設置して、それに対する出資等もしておりますけれども、それはいわば流通のショートカットということにもなりますし、産地から消費地に直通で物を送る、しかも、生体ではなくて枝肉にしあるいは部分肉にするような形で物流の合理化という形で迅速に直送するというものは、これは生産対策であると同時にすぐれた意味での消費者対策であるというふうに認識しております。  それから先ほども御説明いたしました生協あるいは肉屋さん等を通じての国産牛肉の特別販売、これは確かに消費者そのものに直接サービスするという仕事でございますけれども、これも考えようによっては消費者だけの問題ではございません。やはり国内生産者にとって販路を開拓し確保するという側面も持っているわけでありますから、生産者、消費者というぐあいにきっちり峻別して物を考えるのは私は必ずしも適当ではないというケースもあると思うわけであります。しかし、まあ御趣旨は、やはり消費者に何らかの形で為替差益、あるいは事業団差益というものの還元、均てんがいくべきである、こういう御趣旨であることは十分理解いたしますので、その点につきましては、現在も特別販売事業というものを東京都の場合あしたから展開しようとしておりますが、こういったパイプをさらに太くするというようなことを含めて検討してまいりたいと思います。
  274. 長田武士

    ○長田委員 経企庁は、今後この輸入牛肉価格の動向等につきまして、単に農林省に任せっきりにするのではなくて、物価担当の庁といたしまして、これを監視するとともに円高差益等について独自の調査をする用意があるかどうか。また、経企庁が今後輸入牛肉について調査結果を当委員会に報告していただきたいと思いますが、その点いかがでしょうか。
  275. 倉成正

    ○倉成国務大臣 牛肉については非常に国民が深い関心を持っておりますので、この点についてはこれからも十分末端価格の問題についての調査をいたしてみたいと思っております。これが輸入牛肉だけで国内の需要が全部賄われておれば非常にいろんな点がやりやすいわけですけれども、七割が国産で賄われ、三割が輸入牛肉ということでございます。国内に約二百万頭足らずの肉用牛があるわけで、そのうちの四分の一が乳用の雄ということになっているわけでございますから、一年に一度しか子供を産まない牛ということでございますので、何とかここが、非常に畜産の基盤が強固になって、コストダウンができていくということをやはりわれわれとしては非常に期待しているわけでございます。しかし、まあそれがなかなか時間がかかる。したがって、流通機構の問題、輸入牛肉一つのてことしてできるだけ末端価格が安定していくように何かいい工夫はないだろうか、またこの事業団で吸収しました差益について、もう少し消費者にうまく還元する方法はないだろうかということをいろいろ考えておるわけでございます。したがいまして、これからも牛肉価格については十分調査を進めてまいりたいと思っております。
  276. 長田武士

    ○長田委員 最後に、先ほど来輸入牛肉につきましていろいろ問題を指摘してまいったわけでありますが、要は、現在の事業団ないしは現行制度が一般消費者への配慮に欠けているということであります。今月二十一日の日経新聞によりますと、畜産振興事業団理事長は、事業団の性格について、四十八年の石油ショックによる畜産農家の打撃を救済する緊急避難的処置としてこの制度ができた、このことを挙げて、そろそろ見直さなければならない時期に来ておると述べております。これに対して私も同感でありますが、経企庁長官及び農林省の見解をお尋ねいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  277. 大場敏彦

    大場政府委員 畜産振興事業団理事長が、いま先生がおっしゃったような発言をしたということが新聞紙上でも出て、私も見ましたけれども、理事長にもいろいろ聞いてみました。聞いてみましたが、必ずしも自分の真意はああいうことではなかったというようなことを言っておられるわけであります。しかし、いろいろこの事業団、この価格安定帯制度に対する御批判はいろいろ私は伺っております。国会でもこのように激しい御議論があるわけであります。ですから、いろいろ今後の運営あるいは制度そのものについての反省の材料にはさしていただきたいと思います。ただ、一面におきまして、いろいろな議論がある中で、やはり事業団とか価格安定制度そのものの理解が、これは私どもの説明が不十分であることによることが多いと思いますけれども、不十分なためにする批判あるいは御意見ということもありますので、それらの方々にはよく私どものこの制度意味というものも十分に御理解願って、建設的な御意見を拝聴して、今後の制度運営あるいは制度の検討の材料にさせていただきたいと思っているわけであります。
  278. 倉成正

    ○倉成国務大臣 畜産事業団が日本の畜産の安定のためにやはりかなりの役割りを果たしたということは事実だと思います。また、このことが消費者の利益につながっていくということでなければならないと思うわけでございます。しかし、いろいろ御批判もあることでございますし、よりよい事業団になることを期待いたしておりますし、そのような形でわれわれも気のついたところは農林大臣に申し上げていきたいと思っております。
  279. 長田武士

    ○長田委員 以上です。
  280. 武部文

    武部委員長代理 次回は、明後二十七日木曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十一分散会