運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-10-05 第82回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十二年九月二十九日)(木 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 金子 岩三君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 菅波  茂君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 美濃 政市君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       阿部 文男君    愛野興一郎君       加藤 紘一君    久野 忠治君       熊谷 義雄君    佐藤  隆君       染谷  誠君    玉沢徳一郎君       中野 四郎君    羽田野忠文君       平泉  渉君    福島 譲二君       向山 一人君    森   清君       森田 欽二君    小川 国彦君       岡田 利春君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    島田 琢郎君       新盛 辰雄君    野坂 浩賢君       馬場  昇君    松沢 俊昭君       武田 一夫君    野村 光雄君       吉浦 忠治君    神田  厚君       津川 武一君    菊池福治郎君       田中 角榮————————————————————— 昭和五十二年十月五日(水曜日)委員長の指名で、 次のとおり小委員及び小委員長選任した。  農産物価格等に関する小委員       阿部 文男君    今井  勇君       加藤 紘一君    片岡 清一君       佐藤  隆君    菅波  茂君       福島 譲二君    向山 一人君       森田 欽二君    山崎平八郎君       竹内  猛君    馬場  昇君       松沢 俊昭君    美濃 政市君       瀬野栄次郎君    野村 光雄君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎農産物価格等に関する小委員長                 山崎平八郎————————————————————— 昭和五十二年十月五日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 今井  勇君 理事 片岡 清一君    理事 菅波  茂君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 美濃 政市君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       愛野興一郎君    加藤 紘一君       久野 忠治君    佐藤  隆君       染谷  誠君    玉沢徳一郎君       中野 四郎君    羽田野忠文君       福島 譲二君    向山 一人君       森   清君    森田 欽二君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       島田 琢郎君    野坂 浩賢君       馬場  昇君    松沢 俊昭君       武田 一夫君    野村 光雄君       吉浦 忠治君    神田  厚君       津川 武一君    菊池福治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 鈴木 善幸君  出席政府委員         農林政務次官  羽田  孜君         農林大臣官房長 澤邊  守君         農林省構造改善         局長      森  整治君         農林省農蚕園芸         局長      堀川 春彦君         農林省食品流通         局長      杉山 克己君         農林水産技術会         議事務局長   下浦 静平君  委員外出席者         農林大臣官房審         議官      小島 和義君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  農林水産業振興に関する件(甘味資源作物及  びいもでん粉等価格問題)  昭和五十二年産畑作農産物価格決定等に関す  る件      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業振興に関する事項  農林水産物に関する事項  農林水産業団体に関する事項  農林水産業金融に関する事項  農林漁業災害補償制度に関する事項 以上の各事項について、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、国政調査承認を要求することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 金子岩三

    金子委員長 次に、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  農産物価格等に関する調査のため、小委員十九名よりなる農産物価格等に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長選任につきましては、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、追って公報をもってお知らせすることといたします。  次に、小委員及び小委員長の辞任の許可、補欠選任並びに小委員会におきまして参考人出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人出席を求めることとし、その人選及び出席日時、その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  8. 金子岩三

    金子委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、甘味資源作物及いもでん粉価格決定について政府から説明を聴取いたします。杉山食品流通局長
  9. 杉山克己

    杉山政府委員 これから一連農産物につきまして価格決定を行ってまいるわけでございますが、初めにそのおおむねの見込みを申し上げたいと思います。  決定すべき価格の種類は、まず、てん菜最低生産者価格でございます。それから二番目に、てん菜糖事業団買い入れ価格、それから三番目に、カンショ原料基準価格、四番目に、カンショでん粉カンショ切り干し政府買い入れ基準価格、五番目に、バレイショ原料基準価格、六番目に、バレイショでん粉政府買い入れ基準価格食品流通局所管では、まず以上の六品目のほかに、あと甘蔗サトウキビ価格がございます。さらに、そのサトウキビからつくられる甘蔗糖価格がございます。  前の六つにつきましては、これはすでにいも等収穫の時期になっております。さらに、てん菜収穫も間近に予想されておりますので、できるだけ早く決めたいということで、おおむね昨年同様、今週じゅうにはその価格決定を行いたいと考えております。甘蔗甘蔗糖につきましては資料関係等もありまして、これもできるだけ早くとは考えておりますが、今月末ごろをめどに決定に取りかかりたいというふうに考えているところでございます。  それでは、てん菜及びてん菜糖並びにいもでん粉関係事情について、資料に即して御説明申し上げたいと思います。  お手元にお配りしてあると思いますが、まず、てん菜及びてん菜糖関係資料をお開きいただきたいと存じます。  一ぺ−ジ目砂糖需給総括表でございます。これをごらんいただきますと、一番左側に総需要量が示してございます。四十八年までは年々ふえてまいりまして、四十八年がピーク、この年は三百十八万六千トンの総需要量となっております。その後は毎年、若干の刻みがございますが、低下してまいりまして、現在は、五十一年で二百八十万七千トンということになっております。  それに対する国内産糖の供給はどうかということになりますと、てん菜糖甘蔗糖、それから含みつ糖とありますが、これらを合計いたしまして、産糖量計でもって、一番下のところをごらんいただきますと、五十三万四千トン、二割弱、約一九%ということになっております。  それから、全体の需要量が低下しているのに伴いまして、むしろ原因は逆に消費者一人当たりが減っているからということで全体の総需要量が減っているのかもしれませんが、一人当たり消費量をごらんいただきますと、四十八年の二十九キロをピークに、その後は二十四、五キロ台に落ち込んで、なかなか容易に回復し得ないという状況にございます。今後も砂糖消費は、大幅に増加するということはなかなか期待しがたいのではないかというふうに考えられるわけでございます。  次に、二ページへ参りまして、国際糖価推移でございます。真ん中ごろの四十八年の欄をごらんいただきますと、十月に百ポンド台の大台に上がっております。それまでは毎年、四十六年は四十ポンド台、四十七年は六、七十ポンド台、四十八年は前半は百ポンド未満でございましたが、十月に例の石油パニックのころから百ポンドに乗り、その後直線的に上がってまいりました。翌年の四十九年の十一月の欄をごらんいただきますと、これがピークでございます。五百六十六ポンド、これは月の価格でございます。ある一時点をつかまえますと六百五十ポンドにも達したという事情がございます。それが、その後は国際需給の緩和に伴いまして大幅に価格が下がってまいっております。現在では一番右の欄の下、百四ポンドということになっておるわけでございます。この数字そのもので見ましても五分の一以下、しかも、この間ポンドは弱くなり、円は強くなったという為替相場関係もありまして、最高と一番谷底とを比較いたしますと、実質的には七分の一ないし八分の一にも下がっているという状況にあるわけでございます。このような関係から、御承知のこととは存じますが、豪州糖との長期契約のものについてのトラブルも起こっているということがあるわけでございます。  それから次に、三ページへ参りまして、国内糖価推移でございます。左側卸売価格右側小売価格でございます。動向はほぼ似ておりますので、卸売価格でごらんいただきますと、国際糖価の上がった四十八年の秋ごろからこの卸売価格もずっと上がってまいっております。そして、五十年の五、六月ごろをピークにして、このころはキロ当たり単価二百八十七円、その後はずっと低落をしている。五十二年九月百八十五円、今日ではすでに百七十円そこそこという相場に、これは十月現在の価格はまだこの欄には示されておりませんが、今日現在では百七十円台の価格に落ち込んでいる状況にあるわけでございます。  次に、四ページへ参りまして、てん菜及びてん菜糖生産実績でございます。作付面積をごらんいただきますと、四十八年の六万一千ヘクタールが北海道におきますてん菜作付面積ピークでございます。四十九年にはこれが大幅に落ち込んでおります。輪作体系等観点から六万一千ヘクタールは実情に比べてやや過大であったのかとも思われますが、四十九年以降これが落ち込んでいる。特に五十一年には、前年の四万七千からさらに四万二千ヘクタールというふうに大きく落ちたのでございますが、増反奨励金を出す、さらには五十一年の生産事情が、ヘクタール当たり収量が、その右の欄にありますように五十一・三トンということで史上最高であったというようなことも加わりまして、五十二年の作付面積は増加に転じて四万九千百八十ヘクタールとなっておるわけでございます。  それから次に、五ぺ−ジへ参りまして、てん菜最低生産者価格、それから、てん菜糖事業団買い入れ価格でございます。毎年、パリティ基準として最低生産者価格が定められてまいっております。四十九年以降、本書きの上に括弧書き数字が示されております。これは奨励金を含んだ額、いわゆる農家手取り括弧書きでお示ししているものでございます。五十一年は本体価格が一万三千百円、これに三千九百円の奨励金が加わって一万七千円になっているわけでございます。  それから、右側てん菜糖事業団買い入れ価格でございます。  次に、六ページは省略いたしまして、七ぺ−ジへ参ります。七ページはてん菜生産費推移でございます。先ほど申し上げましたように、五十一年は単位当たり収量が最大でございました。これは生産費調査する対象農家数量をとっておりますので、十アール当たり収量五千二百九十キロということになっております。そういう関係から、トン当たりの第二次生産費そのものはむしろ前年の五十年よりも低くなるという状況があらわれております。  次に、八ぺ−ジは農業パリティ指数推移でございます。五十二年の八月まで、総合指数をお示ししてございます。  次に、いもでん粉関係資料について御説明いたします。  一ぺ−ジはカンショバレイショについての生産事情でございます。  まず、カンショでございますが、四十年以降ずっと年々作付面積は減少してまいっております。四十八年、四十九年と、この辺までは直線的に減ってまいっておりますが、四十九年以降はほぼ横ばい、若干減っておりますが、特に減ったというほどの数字ではない、まあ横ばいと言って差し支えないような水準であろうかと思います。五十二年で六万四千ヘクタールというふうになっておるわけでございます。  それから、収量は、五十一年は災害等関係もありまして反収が著しく落ち込んでおります。面積も減った、反収も落ちたということで、収穫量史上最低百二十七万九千トンということになっております。  それから、春植えのバレイショ、全国と北海道とございます。この表で顕著なのは、北海道が五十一年には七万二千ヘクタール、まあバレイショ全体として、でん粉もその結果でございますが、過剰であったというような状況が反映されまして、五十二年の作付は六万七千ヘクタールというふうに下がっております。  それから、二ページ以下は、いまごらんいただきました表の内訳説明でございますのでずっと省略させていただきまして、十ぺ−ジまで飛んでいただきたいと思います。でん粉でございます。でん粉生産事情でございます。これは甘でん、馬でん、小麦でん粉コーンスターチに分けてございます。  甘でんをごらんいただきますと、五十一年、先ほど申し上げましたように災害関係もありまして、いもそのものも、したがって、それからできるでん粉も落ち込んでいる、史上最低数量となっております。  馬でんはこれに反しまして五十年、五十一年と過剰の状況が続いております。生産量で二十万九千トン、三十一万四千トンというようになっておるわけでございます。  それから、コーンスターチの欄をごらんいただきますと、年々、これはこのもとになる輸入トウモロコシがきわめて安い、価格が最近もまた低落しているというような事情もございまして、使用量が大幅にふえてまいっております。全体の使用量ももちろんふえてまいっておるわけでございますが、その中でコーンスターチが特にふえているというような状況があるわけでございます。  それから、次の十一ページはでん粉総合需給の表でございます。総合需給と言いますのは、これはむしろ用途別仕向け量と言った方がよろしいかと思います。でん粉は上に出回り量、下にその出回ったものがどういう用途に向けられているかという内訳がお示ししてございます。水あめブドウ糖以下そこに掲げてあるような品目でん粉は使われてまいっているわけでございます。  一番下のところ、馬でんの欄に、政府買い上げ、五十年は五万トン、五十一年は七万五千トンとございます。これは先ほど申し上げましたように、生産された馬でんが市場でははけ切れない、過剰となって持ち越しになりましたので、その分について政府買い入れを行ったというその数量でございます。  それから次は、いも原料基準価格、それにでん粉カンショ切り干し政府買い入れ基準価格でございます。お示ししているような価格でもって推移してまいっております。  それから、十三ぺ−ジはでん粉価格推移でございます。これは安い輸入トウモロコシ原料とするコーンスターチを抱き合わせて甘でん、馬でんとも処理しているというような事情もございまして、そういう抱き合わせのもとに成立している価格ということでごらんいただきたいのですが、それでもなおかつ最近の価格は甘でん、馬でんともコーンスターチに比べてかなり高い、特に最近はコーンスターチ価格が下がっているという事情がございます。  それから、十四ぺ−ジはブドウ糖水あめ価格推移でございます。いもでん粉も、したがいまして、それらを原料としてつくられるブドウ糖なり水あめもやや供給過剰という事情が出てまいりまして、最近は価格が低落しているということが見られます。  以下、十五ぺ−ジは生産費推移として、まずカンショ生産費、それからバレイショ生産費をお示ししてございます。  十六ページはパリティ指数推移でございます。  以上でございます。
  10. 金子岩三

  11. 小島和義

    小島説明員 ただいま食品流通局長から御説明申し上げましたビート、でん粉等価格決定と同じ時期に、大豆なたね交付金暫定措置法によりますところの大豆基準価格決定を行いたいというふうに考えております。つぎましては、お手元にございます資料につきまして簡単に御説明を申し上げます。  まず、ことしの大豆の……(「資料がない」と呼ぶ者あり)  それでは後刻……。     —————————————
  12. 金子岩三

    金子委員長 質疑の申し出があります。順次これを許します。島田琢郎君。
  13. 島田琢郎

    島田委員 ただいま政府から説明のございましたてん菜を初めとする甘味資源作物にかかわる部分について、総合的に質問をいたしたいと思います。  その前に、せっかく政務次官がおいでなのに苦情で悪いのですけれども、大事な価格決定を前にしての農林水産委員会にやっぱり私は大臣出席をしてほしい、こう思っておりました。しかし、諸般の事情があって本委員会には出席ができないということでありますが、それだけにひとつ政務次官、責任を持ってお答えも願いたいし、また、われわれの意見決定に向けて十分反映するようにひとつ御努力を願いたい、こう思います。これは委員長に対して、理事会でも問題になったと思いますが、私からも大臣欠席に対して遺憾であるということを申し述べておきたいと思います。  さて最初に、政府は、一昨年の八月二十七日付で公表いたしました「総合食糧政策展開」という一つの方針を出されたわけであります。私ども国会でこうした政府考え方総合的に議論をする、そういう場所を早くつくっていかなくてはならぬというふうに考えていたのでありますが、残念ながら今日まで、せっかく価格小委員会が設置されてもまだ十分の機能を果たす段階に至っていないという点など考えますと、これからの課題になるわけでありますが、私はたまたま畑作物価格決定に当たって、昨年、非常に重要な役割りをこの「総合食糧政策展開」というものが果たしてきたと見ている一人であります。したがって、私はいままでも若干の議論をいたしたわけでありますが、まだ政府部内において考え方が必ずしも統一されているというふうには考えられない面もたくさんございました。したがって、それらについてはまた別な機会に譲るとして、次の三点について、私はぜひひとつ政府の見解を明らかにしていただきたいと思うのです。  その第一の点は、「総合食糧政策展開」の九ページに「(六)価格政策」というのがございます。これの中の「対策概要」で、特に「中核的農家所得確保を図る視点を重視し、」以下云々と、こうございます。これらについては統計調査の進め方など一連改善点を示してきましたから、その点については了解をしたし、五十二年の新しい価格算定方式にこれが導入されるなど、その点に若干の前進のあることについて私は一定の評価をするにやぶさかでございません。しかし、これがまだ十分ではないという点を踏まえて、今回の畑作物価格決定に当たって、第一の点は、家族労働報酬、つまり家族労賃の手当てにつきましてどういう考え方を持ってこの大豆を含めた各種価格決定にこれを採用しようとしているのか。私ども都市均衡労賃をもって評価すべきだ、こういう考え方を持って今日まで一貫して国会議論展開してまいりましたが、なかなかそこまで行くに至っていない、こういう状態であります。  第二の点は、「作目間の相対価格関係調整」、こういうことを実は同じ「対策概要」で言っているのであります。この点について、特に北海道のような畑作を主力にいたします地帯においては、今日、地力の維持増進等を配慮するという観点、そればかりではなくて農業の経営の基本的な姿勢という考え方からいって輪作体系をもう一度しっかりと見直して確立すべきだという意見が強くございます。政府もこれにこたえて若干の対策を出しているわけでありますが、これらについて私どもは、積極的に輪作奨励金等をある程度大幅に考えてこれを具体化すべきだという点を主張したいのですが、この点はいかがです。  第三は、奨励金の性格づけでございます。これも政府部内における価格政策検討委員会でどういう検討がなされているかについて過般私は質問をいたしましたが、その点についてはまだ結論を得るに至っていないということでございまして、まだ検討段階ではありましょうが、しかし現実にはことしの畑作の大事な一環であります麦類価格決定に当たって、奨励金基本価格に組み込むという方式を採用いたしました。これは畑作全般にわたってもそういう考え方を貫いていくという方針なのかどうか、この三点について政務次官からお答えを願いたいと思います。
  14. 羽田孜

    羽田政府委員 お答えを申し上げます。  まず、冒頭にいま先生から御指摘がございましたけれども、ちょうど大臣、どうしても外せぬことがございまして、かわりまして答弁することをお許しいただきたいと思います。  いま先生からお話がございましたように、五十年八月二十七日に発表いたしました「総合食糧政策展開」、この中で価格政策の基本的な考え方について書かれておるわけでございます。  考え方は、生産及び構造に関する各般の施策と相まって「農産物需要生産長期見通し」、これの方向に沿った生産を進めるため中核的農家所得確保作目間の相対価格関係の是正を図ることというふうに考えております。このために省内に価格政策検討委員会を設けまして今日まで検討を続けてきたことはもうすでに先生承知のとおりであります。まず第一の問題としまして、中核的農家所得確保状況、あるいは二番目には、作目間の相対価格関係調整、そして需給事情価格への反映、そしていま先生最後に御指摘ございました各種奨励金の性格づけと価格政策との関連について今日まで検討を進めてきたところでございます。  これまで一部畑作物につきまして行政価格の同時期に決定しろという問題、パリティ価格算定方式の統一などを行ってまいったところでございますけれども、さらに近年、米の過剰基調、こういったものが強まる一方で、増産の必要な麦、大豆等畑作物生産の停滞が見られております。そういったことから、作物間の相対的な価格関係のあり方及び各種奨励金の取り扱いについて、今日まで検討を進めております。  先般、麦、なたねにつきましては、価格的性格の強い奨励金につきまして、これを取り入れたところでございます。そして、取り込んだ上で、パリティ方式によって行政価格決定するという措置をとりました。こういったことで相対的な価格というものが徐々に、いま先生お話がございましたように是正されてきておるというふうに考えております。また、その他の畑作物につきましても、いま先生からいろいろお話がございましたことなども含めまして検討を続けてまいりたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、実現可能なものから逐次行政に反映させてまいりたい、このように考えております。
  15. 島田琢郎

    島田委員 この際、畑作の主産地であります北海道が知事の諮問機関として設置されております北海道寒地農業振興対策審議会、これが本委員会価格部会において、ただいまの価格政策に対する重要な提言を行っているわけであります。これによりましても、いまお尋ねをいたしました三点についての現地における明確な考え方が知事に答申されている。知事は出先の責任者として十分これを政治に反映するという責任をまた果たしていかなければなりません。したがって、すでに原局に対しても地方の考え方として知事から意見が述べられているものと思いますが、それらについて徐々に価格に反映して方針を打ち立てていきたいというふうないまの説明でありますけれども、私はそのテンポののろさに実はどうしても納得ができないのであります。  それで、ただいまからそういう政府考え方の矛盾について私は指摘をしてまいりたいと思うのですが、その指摘をする前段において、どうしてもこの考え方政府の統一見解として示されてこないことには、私はこの当面するてん菜を初めとする価格決定にも、いま政務次官がおっしゃったような精神が盛り込まれるとはどうしても信じがたいのであります。たとえば、てん菜についてばかりではありません。バレイショについてもカンショについてもあるいはでん粉につきましても言えることでありますが、政府パリティ方式をもって今日まで価格算定の基礎としてまいりました。しかし、本年春に決めました麦の価格を除きましては、大豆も若干はその点に近づいていますが、麦と大豆を除いては、ほとんどそのパリティでさえも農民期待の方向で決定がなされていないというのが実情であります。  たとえば、農安法が決定をされましたのが昭和二十八年であります。このときから本年五十二年に至りますパリティの上昇率は一体幾らになっているのか。単純計算方式にはまいらぬとしても、そこで二十八年当時の価格パリティ上昇率を掛けていくとすれば大変な価格が形成されなければならないはずなのに、実際、先ほど御報告のあったとおり、五十一年に決められた価格を見ても格差の大きいことが歴然としている。これでは法に基づいてパリティを採用して正確に決めたと報告されても、私どもは納得することができないのでありますが、このパリティのとり方についての矛盾をどう御説明なさろうとするのでしょうか。
  16. 杉山克己

    杉山政府委員 それぞれの農産物はそれぞれの性格に基づいて価格決定がなされてまいっております。単純にパリティだけではなく、それを基準として生産事情あるいはその他の経済事情を参酌して決めるということでございまして、全般的なそれらの条件のもとにその年その年の価格決定されてまいった。その結果が、いま先生指摘されるように、単純に二十八年ベースでパリティ価格を算定した場合、ギャップが生じているではないかということならば、数字の上ではまさにそういうことになりますが、いま申し上げましたように、その都度その都度の事情を反映してそれなりに適正に決められてまいったものと考えております。
  17. 島田琢郎

    島田委員 いま局長が御説明になった点で、経済事情や諸般の情勢を参酌してと、こう言いますが、そこがくせ者であります。経済事情を参酌といっても経営を続けていく農家もその経済事情下に置かれているという点については、一つも変わりない立場にあるじゃないですか。農家だけ特別安いコストでつくれ、つまり安い資材や安い肥料を使ってつくれと言ったってできっこないのであります。そういう点を経済事情参酌の名のもとに抹消してきたことは、これは不当というものであります。不法だと言わざるを得ません。てん菜だってそうです。いみじくも糖安法発足は同じ昭和二十八年でありますが、このときの価格に今日までのパリティ上昇率を掛けていけば、二万三千五百円ぐらいには私の計算でなるのであります。それを基本価格一万三千百円で抑えているじゃありませんか。奨励金を入れたって一万七千円、その差は六千円余にもわたる。これで真っ当なパリティ方式を採用して価格決定をしてきたと言い張るのでしょうか。納得できません。
  18. 杉山克己

    杉山政府委員 考慮さるべき経済事情、特に需給事情があろうかと私は思います。さらには国際価格との対比ということもあろうかと思います。いろいろ生産条件の悪いことから、日本の国産農産物が海外の価格に比べて割り高であるという事実が一つございまして、さらには需給関係からいたしますと、物によってもちろんいろいろ差がございますが、一般的に言えば、供給過剰であるというような事態のもとにおきましては、パリティ方式だけでもって価格を算定するわけにはなかなかまいらないと考えるわけでございます。
  19. 島田琢郎

    島田委員 改めて聞き直しますが、本日手元にないとすれば、委員長資料として本委員会に提出を要求したいのでありますが、私が指摘をいたしました。パリティの上昇率、昭和二十八年以降の分について一覧表にしてぜひひとつ公表願いたい、こう思います。  そこで、いま局長、私はどうもそこが詭弁だと思うのです。てん菜はいろいろな推移をたどって、法律的にも甘味資源特別措置法などもできたりして、今日まで国内生産てん菜サトウキビについて保護を加えてきた。その点について、私はそれを否定して言うのではありませんが、何といったって私どもが経営を続ける上では、第一には、つくったものが一体幾らで売れるかというこの価格政策を抜きにして今日の農業経営を続けようといったって続けけられるものじゃありません。第二の点は、基盤整備を初めとする農業構造の問題にも手をつけなくてはならないのも当然です。第三の点は、農業金融政策をどう進めるのか。この三つの柱が一本になって初めて農業経営というものが確立されていくものであります。その点はいまさら言うまでもありません。農業経営を語るならイロハのイの字なんであります。ところが、その大事な一本の柱である価格政策を法律どおりに運用してくださらぬことには農民は信頼ができぬじゃないですか。  そこで、私ども四十九年に、当時の食品流通局長に激しくこの点を詰め寄ったのであります。局長もついにその点を認めました。つまり、てん菜価格の積み残し論というのがそうであります。これはいままさに私が指摘したとおり、パリティの上昇率を素直に計算をして決定をしてこなかったという点は確かに御指摘のとおりの積み残し分であるとして、当時これを価格で何とかしょうと努力されたことも私どもは評価をいたしました。しかし、残念ながら、最終的には奨励金という形でこれを組み込んでまがりなりにもそのかっこうをつけたというまことにへんぱなものに終わってしまいました。せっかく私どもは問題を提起しながら、奨励金という形で逃げられたという点は、これは政府のごまかしであるとして今日まできわめて強い不満を残しているのであります。  この際、だからこそ奨励金基本価格に明確に織り込めという主張もそこに出てくるのであります。それを織り込んだとしても一万七千円でしかありませんから、農民団体、農業団体要求の二万一千円実現はなかなか大変だ。しかし、二万一千円は不当な要求ではなくて、むしろ私に言わせれば、先ほどのパリティを正確にはじくという論法から言えば低きに過ぎる要求なのであります。実現できないとしたら法違反ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  20. 杉山克己

    杉山政府委員 毎年毎年の価格を、先ほど申し上げましたように、法律の規定に従いまして私どもとしては適正に定めてまいったわけであります。それを先ほど島田先生のおっしゃられたように、二十八年を基準としてパリティの伸びに応じて価格を算定したならばということで算定をいたしますれば、それは確かにギャップは出てまいると思います。その差についてどう考えるかということは、これは経済的な、あるいは政策的ないろいろ論議のあるところかと承知いたします。それらの論議が、前任あるいは前々任の食品流通局長のときにあるいは交わされたものかと思います。  ただ、私どもは、従来決めてまいった価格が違法であるとか、いま精糖企業から支払われているところの奨励金が、これが価格に取り込まれないからそれがまた違法であるというような考え方はいたしておりません。奨励金は、やはりそのときの経緯なりあるいは関係者同士の種々の話し合いがあって独特な事情のもとに支給されることになった性格のものでございます。これらの点については、なお今後論議を要する点があろうかと考えております。
  21. 島田琢郎

    島田委員 局長、誤解してもらっては困ります。私は奨励金の政策のやり方を法違反と言っているのではありません。パリティ方式をもってやる——私どもは生所方式を言っているのでありますが、どうしても現行法、パリティ方式で決められているのだからそれでやらざるを得ないとおっしゃるならば、それを正しくはじき出し、運用をされてはどうなんですか、それをされてないというのは糖安法、農安法違反ではありませんか、こう言っているのであります。  たとえば、小麦につきましては、いまのような御説明で私は納得するわけにはまいらぬのでありますが、小麦については私どもの主張が相当部分入れられて法の運用を正確に行っています。つまり、パリティ価格で算出された価格を下回らない線で決められているのであります。しかも、それだけではありません。先ほど申し上げました基準年次を基本にいたしましたパリティ上昇率を掛けまして出された麦の価格に対して、さらに所要の調整を加えて価格を算出をしているのであります。五十二年の小麦、大麦、裸麦の決定に当たってそういう算式を用いているのであります。たとえば、パリティ上昇率で決められた小麦の値段は幾らかというと七千三十四円であります。奨励金を廃止いたしました。かわって調整加算方式をとりました。まことにむずかしい方式でありますけれども、つまり、わかりやすく言えば、五十一年産の政府買い入れ価格を分母として、五十一年の生産振興奨励金の額を分子にして、それを七千三十四円に掛けて出した額、つまり九千四百九十五円がことしの小麦一俵当たり価格です。こういうふうに決めたのです。これはまさに食糧管理法に基づく正確なはじき出しであります。このようにビートもバレイショカンショ大豆もなぜやろうとせぬのですかというのが、私が相当時間を費していま局長にお尋ねしている点なんです。それをおやりにならぬというのはむしろ糖安法、農安法違反ではありませんかと私は聞いているのであります。  政務次官いかがですか、私の論法は間違っているのでしょうか。
  22. 羽田孜

    羽田政府委員 いま先生、糖安法違反というお話でございますけれども、先ほど来局長の方からもお答え申し上げておりますように、やはりこれは生産されましたものを消費していかなければならぬわけでございます。そういった経済的な事情、これを配慮しなければならぬ、しかし手取りというものがやはり確保されていかなければならぬということで、これは農家の経済的な事情もしんしゃくしながらいわゆる奨励金というような形でそれを保証といいますか、手取りを保証しておるというところでございます。私は糖安法違反ということにはならぬというふうに考えます。
  23. 島田琢郎

    島田委員 価格をそのように抑えてきた結果、生産者は、たとえば北海道におけるバレイショ生産にしても、ノーマルな生産のいわゆる量から言えば、五十俵あるいは六十俵ぐらいがやはり一家の経営を支えていく上の労働配分上から言えば正しい数字に近い収穫量だと私は思うのですが、それぐらい収穫していたのではとてもバレイショの経営はできないのです。てん菜だってそうです。四トンないし四トン二、三百が大体経営をやっていくための組み込まれた、おおよそ見込まれる反当たり収量だと私どもは考えているのですが、いまの価格にそんなトン数やそんな俵数を掛けたのでは経営が成り立たないから、知恵を振りしぼり、そして労働力を必要以上に投入し、地力を酷使して、いまやバレイショは百俵に近い反収を上げなければならぬとなっているのです。ビートだってそうなんです。五トン、六トン、もう人間わざでは考えられないような収穫量を追って血みどろの努力を続けなければならぬというのは、まさに価格政策のそういうところに問題があると私はきょうはここに厳しく指摘をしておきたいのであります。どうかその点をカバーする意味で、ことしは思い切って要求価格を実現してほしいと思うのです。  さて、先ほどちょっとお尋ねをしましたが、そういう意味で奨励金基本価格に織り込んでただいま計算がなされているのでしょうか、その点はいかがです。
  24. 杉山克己

    杉山政府委員 農家の立場からすれば、所得を確保する、そのためにはできるだけ価格は有利な条件が望ましいということは、これは当然でございますが、ただ国際的なやはり価格水準でありますとか、それから、それを使う者の立場に立っての需給の関係でありますとか、そういう全般のことを考慮しての価格決定でなければならないと私どもは考えるわけでございます。  それから、具体的な本年のてん菜価格につきまして、いままで精糖企業から支払われている奨励金について、これを価格に直ちに取り込むのかというお尋ねでございますが、これは麦の場合と異なりまして、経緯が特殊な事情に基づいております。四十九年の四月にてん菜生産価格は決めたのでございますが、その後十月の時期になりまして、先ほども申し上げましたような事情があって、国際糖価も上がり、国内の製品価格も上がった、その結果、精糖企業、ビート糖企業にかなりの収益がもたらされたという事情もございます。そういうことから、企業においてそういう利益、収益を還元してしかるべきではないか、企業がそういう奨励金を支払い得るではないかというようなことと、先生がおっしゃっておられますような、一方におきます農家の価格についての強い要求といったような背景を踏まえまして、企業が支払い得るということでもって四十九年、これはてん菜の場合は全額企業負担ということで支払ったものでございます。  ところが、五十年になりますと、国際糖価事情も国内製品価格事情もきわめて急激に悪化いたしまして、企業の収益は保証されなくなった。その結果、企業は支払う能力がなくなってまいったわけでございます。そこで、一たん現実に農家に価格ではない奨励金として支払ったものでありますが、農家としては価格同様に受け取っている面があるではないかというお話もありまして、一たん支払ったものを、これを直ちに取りやめにするというようなわけにはまいらないということで、この奨励金については国、政府が責任をもって処理するということになったわけでございます。その結果、企業の収支状況からして、とても全額はおろか、ごく一部しか支払い得ないということになりまして、国がその大部分を企業に対して補てんするという形をとったわけでございます。  それが五十一年になりますと、さらに企業の収益は、これは実際の収支とは別に、価格条件その他からいたしますと前提条件が大きく変わって支払い得ないというような状況が出てまいりましたので、この際は全額を政府において処理するのがよかろうということで、つい先ごろでございますが、これを国の負担において処理することといたしたわけでございます。  その間、奨励金の支出については、とりあえず企業が出して、後から予備費でもって政府が補てんするという形をとったものですから、企業が立てかえ払いをしたような形になっております。  いま申し上げましたような経緯からすると、この奨励金を出すにしても、それから御議論のように価格として取り込むかどうかという議論をいたす場合にも、それらの経緯、負担区分をどういうふうに考えるかということをひとつ整理しなければならないと考えております。これは単純に農政の立場だけでなく財政の問題も考えて処理しなければいけない。また、これを仮に財政で処理するといたしました場合でも、輸入糖におきまして調整金という形でもって国産糖支持対策の財源を調達しているというような事情もございます。そういうようなことも考えますと、これら糖価安定法に基づく価格支持の仕組みとの関係、負担の関係、それらをきちんと検討した上処理しなければならないというはなはだむずかしい問題を控えておるわけでございます。  これから数日の間に決定しなければならない問題でございますが、関係する財政当局そのほかともまだ詰め切っておりませんので、私ども、現在のところ、奨励金を直ちに価格に取り込むというようなことにはなっておらないのでございます。
  25. 島田琢郎

    島田委員 私は、その点になってきますと、冒頭この「総合食糧政策展開」で「価格政策」のところでお尋ねした意味というものがおわかり願えると思うのです。ここがきちっとしてないから、ここがきちっとしてないとすれば、いまのように、まだ検討してどういうふうになっていくかわからぬという方向に流れてしまうのであります。そうすると、先ほどお答えになっていた点についても私は疑問を持たざるを得ないのであります。時間の関係で先に進まざるを得ませんが、ぜひ、いままで私が申し上げてまいりました点をしっかり踏まえて、奨励金基本価格織り込みの問題については、前向きにひとつこれを検討していってもらいたい、こう要望をいたしておきます。  第二点でありますが、国内糖価の安定という問題であります。  これは私は先日、閉会中でありましたが、農水でもこの点について若干の質問をいたしましたが、正確なお答えをいただかないままになっていた点であります。伝え聞くところによりますと、政府はこの臨時国会に、できれば砂糖の需給と価格に関する臨時措置法、こういうものを出したいという意向が示されて、閣議でも検討事項になっているやに聞いております。この考え方はいかがですか。あまり時間がございませんから、簡単にアウトラインと、これに対処しようとする政府のお考えを本委員会に示してもらいたい、こう思います。  さらに、同じような性格の中で、ことしに入りましてから、ビートの減反に対しまして一定の歯どめをかけて、面積確保のための奨励金の問題が出されまして、作付奨励金というのが具体化をいたしました。農業団体は、せっかく出してくれた作付奨励金、つまり輪作奨励金とも言われるものでありますが、この点について、現行の二千五百円ではその実効を上げ得ない低金額である、こういうふうに批判をいたしております。加えて、新たに一万円の要求を出しておるわけでありますから、政府はこれをしっかり理解されているものと思います。私は時間の関係で余り長々とこの趣旨や必要の理由について述べるわけにはまいりませんが、先般議論になっている点でありますから、この点についても三年連続して出すという基本方針は決まっているのでありますが、その額についても検討がなされているかどうか、これは小島さんの方からお答えを願いたいと思います。
  26. 羽田孜

    羽田政府委員 ただいまお話がございました需給調整のための法律の問題でございます。これは先生が一番あれですけれども、最近における国内糖価の現状は、需要の停滞、過剰設備を抱える業界の過当競争に加えまして、長期契約によります大変割り高な豪州糖の問題がございます。こういったことで、業界の方でコストを大幅に下回っているというのが現状であります。このことが国内産糖価格にも大変悪影響を与えておるというのが現状であり、このような現状から、国内糖価の安定を図ることがきわめて重要であるというふうに考えております。  昨年十二月から本年五月までの間に、二次にわたりまして糖価安定法に基づく指示カルテル、これを発動して糖価の安定に努めてまいったところです。これによりまして糖価は一時持ち直しを見せたものの、指示カルテル期間終了後再び大幅なコスト割れ、この水準となっております。  このような現状に対処して、当面の市況対策について業界内でいろいろと検討をされておるところでございまして、私ども農林省といたしましても、業界の協調を基盤とする需給調整の適切な実施が図れるよういろいろと指導いたしておるところでございます。しかしながら、基本的には過剰設備を抱え、過当競争に陥りやすい精糖業界の体質を改善することが最も緊要であるというふうに考えます。今後、業界の構造改善を積極的に推進するとともに、当面の不況対策にも資するという観点から砂糖の需給調整措置、こういった問題について法律をあれしなければいかぬかということをいま鋭意検討中でございます。  なお、いまの奨励金の問題につきましても、いま先生から最後に御指摘がございましたように、この奨励金決定いたしますときに三年間というものをこれによって進めていくということで、いまのところ、私どもとしてはこの方針というものを変える予定はございません。
  27. 島田琢郎

    島田委員 いや、政務次官、私が聞いたのはそれは三年間は決まっているのですよ。ですけれども価格について、いまの価格を改定していく考えはありますか、こう聞いたのであります。
  28. 小島和義

    小島説明員 御承知のように、五十二年度におきまして作付目標面積を前年より三千ヘクタール上回る四万五千ヘクタールということで設定をいたしましたが、市町村、農業団体の大変な御活躍によりまして本年度の目標面積を突破いたしまして、作付面積は四万九千ヘクタールということになっておるわけであります。  この措置が相当の効果をおさめておるというふうな判断を持っておりますので、ただいま計画しております三カ年の計画をそのまま実施することにいたしたらよいのではないか、かように考えておるわけでございます。
  29. 島田琢郎

    島田委員 小島さん、それは事実認識に大分違いがありますよ。いまの奨励金に満足して四万二千ヘクタールから四万九千ヘクタールになったのじゃないのですね。その議論は、きょう時間がなくてできません。あと五、六分しかないのでありますからできませんが、これはまた別の機会に、あるいはまた美濃理事からも質問がなされるかとも思いますから、私はこの点については反論はこの程度にして先に進みます。  さて、問題なのは、先ほど局長から御報告があった中でも明らかになっておりますように、今日のでん粉の実態であります。国内産でん粉に対しまして驚くべきコーンスターチの輸入、これは麦のときにも指摘がなされた点でありますが、目に余るものがあります。このコーンスターチをこのままに野放しにしておいて国内政策もへったくれもないと思うのですが、政府はこの点についていま以上に規制を厳しくして、水際でこれをセーブするという考え方を強めるという考え方はないのでしょうか。このままにしておいたら、これは百万トンを突破してしまいます。もう百万トンであります。それによって国内でん粉にものすごい圧迫が加わってくるのは事実です。先ほど価格の問題が持ち出されましたが、国内でせっかくできるこれだけのでん粉を最優先処理をして、なお足りないところは仕方がありません、輸入するという方式ならがまんできるけれども、いまのままならコーンスターチに全部一掃されてしまって、国内でん粉は全滅してしまうのではないかという危機感さえ私は持たざるを得ないのです。  コーンスターチに対する考え方を明確に示してください。
  30. 杉山克己

    杉山政府委員 コーンスターチ原料になります輸入トウモロコシについては、輸入それ自身は自由ということになっております。これを抑制して国内でん粉需要の拡大を図るべきではないかということでございますが、基本が自由になっております仕組みのもとで国内でん粉の消化を図るということになりますと、関税率で手当てをするということが一つ考えられるわけでございます。  そこで、従来から二次関税、タリフクォータという仕組みを設けまして国内産でん粉需要の道を確保するということを図ってまいるとともに、無税の、安い輸入トウモロコシによりますコーンスターチを国産のでん粉を引き取るものに対して抱き合わせで売却するということで、いわばその二次関税、高率関税の仕組みを活用して抱き合わせ売却によるでん粉の消化を図ってまいったわけでございます。ただ、何分にも国際的にトウモロコシ価格がきわめて安い、いまなおさらに下がり続けているというような現状のもとで、昨年、二次関税率をキログラム十五円というところまで引き上げたのでございますが、それでもなおかつ抱き合わせによる平均価格、ミックス価格よりは、二次関税の高い税負担をしても外国産のトウモロコシを輸入してコンスをつくった方が、有利とまでは言いませんが、かなり引き合うというような状況のもとでは、正直申し上げまして国産でん粉需要を拡大するのはなかなかむずかしい状況にあるわけでございます。  しかし、私ども、それをそのまま放置しておいていいとは考えておりません。関税率を上げるとかいうことはむずかしいにいたしましても、できるだけその抱き合わせの仕組みを活用するというようなことによって国産でん粉の消化をさらに一層図りたいというふうに考えております。
  31. 島田琢郎

    島田委員 時間がなくなりましたが、審議官に一括して最後にお答えを願って私の質問を終わります。  大豆であります。大豆は、まだ政府側の説明を得ておりませんが、資料手元に届きました。要は、幾ら鳴り物入りで大豆の宣伝をやって、一生懸命つくれつくれと言っても、つくれない。問題は幾つかあります。その三つ、四つの点を指摘して、この問題を適確に解決していけば相当量大豆が回復するという点について提言を行って、考え方を率直にお聞きして終わりたいと思うのです。  第一の点は、やはり価格であります。私は、大豆の価値から言えば米と同じぐらいの価値があってしかるべきだ、価値があると思います。しかし、現在決められている米の価格と比較してさえも大変な差がある。これじゃ大豆はつくれない。  第二の点は、品種の改良がほとんど行われていないために反収が見るも無残なありさまで、国際比較から言っても日本の大豆反収の低さはまさに異常なものであります。過般私は中国を訪れましたが、中国の東北地方においてさえ、もっとも満州大豆と言われる歴史はありますが、ここは現在六俵、七俵とっていると聞かされました。アメリカ大豆だって五俵以上とっているのであります。日本の大豆は、この統計数字によっても明らかなように百九十キロ、三俵そこそこじゃないですか。これではだめだ。品種改良を具体的に相当の金をつぎ込んでやるべきだ。  三番目の点は、交付金制度がせっかくありながら仏つくって魂入れずでは、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、交付金が手元に入ってくる時期が何でこんなに遅くなるのですか。農家の手元を離れたら、そんなに時間たたないで交付金がもらえるような、そういう運用をお考えになってはいかがでしょうか。  第四の点は、農協の手数料だって、とってもこれじゃ農協は喜んで扱えません。  こういう幾つかの点を改善して、大豆生産、増産に向けて政府は努力すべきだと私は思うのですが、いかがですか。
  32. 小島和義

    小島説明員 それでは、一括してお答え申し上げます。  まず、価格の問題でございますが、昨年の場合、基準価格そのものはパリティによって決定をいたしましたが、同時に生産振興奨励金を五百円引き上げまして三千五百円ということにいたしております。農家の手取り水準といたしましては、かなり引き上がってきておるというふうに理解をいたしておるわけでございますが、ことしの場合にも、従来まで決定してまいりました麦その他の価格の決め方とか、あるいは大豆生産状況ども参酌いたしまして、適正な価格決定に努めてまいりたいと存じております。  それから、品種の問題についてのお尋ねでございますが、私どもも、大豆生産を増加させていくためにはやはり反収がふえていくということが農家にとって一番大きな刺激であるというふうに考えております。ただ、わが国におきましても、そういう高反収大豆生産できないということでは決してございませんで、モデル的な事例ではございますが、五俵とか六俵というふうな生産事例もあるわけでございます。また、後ほど技術会議の方からお答えがあるかと存じますが、品種そのものの改良というものにつきましても、決してなおざりにいたしておるわけではございません。したがいまして、現在でも確立しておりますところの生産の技術あるいは品種というものを高度に利用いたしまして、いかにそれを農家段階に広めていくかということに最善の努力をしてまいりたいと思っております。  それから、お尋ねがございました交付金の交付の時期の問題でございますけれども、これは御承知のように、ことしの秋生産されましたものにつきまして、ことしの秋から来年の夏までにかけまして販売をいたしまして、その平均の販売価格基準価格の差をもって交付金の単価とする、こういう仕組みでございますので、精算額が支払われますのがおくれるということについては、ある程度仕組み上やむを得ない点があるわけでございます。ただ、従来もできるだけ精算の時期を早めるように努力をいたしてまいりましたし、特に五十一年産のことしの精算につきましては、昨年よりはかなり早められるということで現在事務的な努力をいたしておるわけでございます。また、そのほかに出荷の時期におきます概算金の支払いというふうな問題によりましても、農家の御希望をかなり充足することができるのではないかと思いますので、そういう点についてもさらに工夫をしてまいりたいと存じております。  それから、農協の集荷販売手数料につきましては、大体、物価、賃金あるいは米麦の集荷手数料の動向などを考慮いたしまして、従来からも適正に決定してまいったわけでございますが、五十二年産の大豆につきましては、一俵当たり三百十九円と一応決定を見ております。今後ともこの点につきましては、毎年毎年の積み上げで努力をしてまいる所存でございます。
  33. 島田琢郎

    島田委員 終わります。
  34. 金子岩三

  35. 美濃政市

    美濃委員 最初にお尋ねいたしたいと思いますが、いま島田委員も触れておりましたが、第一に、きょうも理事会で第八十二回国会に予定法案として検討中のものが出ておりますが、最近の豪州糖の問題あるいはいろいろの問題が出てきまして、いま精製糖業界でもうすでに一千数百億に赤字が累積しておるという。この過当競争というものは、全く正しい砂糖価格が形成されてない、そのことがやはり国内産糖やいろいろの問題に波及して影響がないとは言えないわけで、砂糖の需給と価格の安定というのはどうしても必要だと思うのです。この法律はこの国会に出せるのか出せないのか。  それから、抽象的な考えでなしに、糖価は何ぼで現況を安定しようとしておるのか。たとえばキロ二百五十円なのか、二百三十円なのか、どの点で糖価を安定しようとするのか。  それから、二百八十万トンが需要でありますから、たとえば過剰に生産して過当競争販売をしても二百八十万トンしか国民は食べないわけでありますから、それに対して常時在庫が百万トンあるいは多いときには百五十万トンも砂糖が在庫をして、それに対して大きな金利、倉敷がかかって、そしてコスト以下で砂糖の販売が行われる。それが当初申し上げたように赤字の累積として千数百億円に達しておる。それを解消しようということでこの法律をつくろうと考えられておるのですが、そういう問題に対してもうちょっと、抽象的な表現でなしに、具体的にひとつお伺いしたい。
  36. 杉山克己

    杉山政府委員 法律にするのかどうか、それをまた今度の臨時国会に出せるのかどうかということの前に、やはり基本的な認識あるいは考え方の問題を御説明しておきたいと思います。  現在の需給事情、それから糖価に関する美濃先生の御見解は、私どもと全く一致いたしております。やはり今日の需給は大幅な供給過剰である。もちろん生産が過大であるということだけでなしに、需要の方が停滞しているということも一因ではありますが、その需要量に対して過剰設備を抱えている、たくさんつくり過ぎる、過剰供給になっている。しかも、そのことに業界自身が過当競争という形でもってさらに一層輪をかけているというこの状況は全く事実でございます。それに加えまして、長期契約による割り高な豪州糖の負担という問題がある。このことが企業間に格差をもたらして一層競争を激烈なものといたしております。  それらのことから、現在の砂糖価格はコストを大幅に下回って売られております。最近ではキロ当たり百八十円も割って百七十円台で売られているというような実情にございます。このことは、企業の経営態度が悪いなら、能率が悪いなら優秀な企業にとってかわられるということで何ら差し支えないという突き放した議論もできるのでございますが、これは単に企業がつぶれるとかなんとかいう問題だけでなしに、もちろん働いている労働者の問題もございましょうし、それから国内産糖価格形成の上にもあるいは各種の国内産糖対策の上にもいろいろの形で悪影響を及ぼしてまいります。  そこで、私ども、こういうような現状に対して、国内糖価の安定を図るということがきわめて重要である、一番急を要する問題であると考えておるわけでございます。  そこで、そういう安定対策を図るという観点から、現在の糖安法で許されておりますところの指示カルテル、これを実は過去二回、昨年の暮れから発動して価格の維持を図ったのでございます。まあ発動されている期間、それも全部の期間ではなく一部の期間でございますが、ある程度市価水準の回復が見られました。しかし、指示カルテルが終わるとまたもとのもくあみというようなことで、価格の乱れは基本的にはなかなか直りません。そこで、私どもは、さらに引き続いて、当面カルテルの形によるか何の形によるかは別といたしまして、ともかく市況回復ということを念頭に置いて業界の協調を保つよういま指導しているところでございます。しかしながら、そういう短期、臨時の現象だけに追われての措置では、なかなか本質的な解決にならない。問題は、基本的には過剰設備を抱えて過当競争に陥りやすい精製糖業界の体質に問題がある。その体質を構造改善する。一般的に言って、設備過剰でございます。精糖企業は装置産業でございます関係から、その設備過剰の形をどういう形で構造改善を図っていくか、あるいは操業の短縮を図っていくかということは、いろいろ技術的にむずかしい問題はありますが、いずれにしても業界が自主的に構造改善を図るんだという機運を醸成し、それをベースにして政府もそれを実質助けられるような仕組みをつくってまいりたいというふうに考えております。  その場合、仕組みとして考えられるのは、やはり需給調整でございます。現在の糖安法に基づく短期の不況カルテルというようなことではなく、全体としてのある期間の需給を見通した計画あるいは見通しといったものをベースにいたしまして生産量をしぼるというようなことを考えていくべきだと思います。その場合に、砂糖は国産糖の供給は二割弱、大部分は輸入によって製造されております。そうしますと、輸入糖についても需給調整の対象とするということが出てまいります。輸入糖についての扱いをどうするかということになりますと、これは国際的にも種々問題を含んでおります。  そういう意味で、私ども法案にすることも含めて検討いたしておりますけれども政府部内におきましても、国際的にも種々問題のあるところでございますので、それを詰めて、どういう形で実行に移せるかということを鋭意検討しておるわけでございます。  それから、価格水準を具体的にどう考えるのかというお話でございますが、これは現に相場として動くものでありますから、具体的な数字そのものお答えすることはむずかしゅうございますが、私は、いずれにしてもコストを大幅に下回るような価格で長期売られているというのは異常であると思います。現在まさにそういう状態であるわけでありますが、正当なコストを十分償い得て健全な企業としての運営、経営ができるようにこれを立て直すということで価格水準のあり方も考えていきたい。そういう価格水準は、そのとき、そのときによって幅のある話でございますが、ただ先ほど申し上げましたような需給調整が、一面消費者に対して不利になるというような高位安定というようなことを図る仕組みであってはならない。その面も考えながら適正な水準を考えて指導していくべきであるというふうに考えております。
  37. 美濃政市

    美濃委員 いまお話を聞いておると、第一点として、砂糖価格相場で動いておる。商品がこういう経済社会で相場で動くということも、これは現実の問題でありますけれども、しかし農林省としては、たとえば砂糖の需給と価格を安定するということになれば、一体どの辺が砂糖としての適正価格である、これはやはり相場で動いておるんだからはっきり言えない、そうではなくて、やはりたとえばいま過当競争などいろいろな条件で動いておる価格が百七十円、キロ百七十円という砂糖は、六十キロにすると一万二百円ですね。生産者米価よりもものすごく安いのですね。私ども砂糖というのは食品としてエキスだと思っておる。製造工程をかけた、あそこまでいった、食品としてエキス的な商品が一万二百円ですから、生産者米価よりもものすごく安いわけです。私は砂糖価格というものはそういうふうに見ると非常に安い、高くて不正常じゃなくて安い不正常な価格だ、こう思います。  私の考えは、豪州糖の契約は適正な価格だと考えております。ああいう国際糖価が狂乱したときにあの契約が行われたわけです。砂糖は通例、世界の需給は約八千万トンと言われておりますね。ところが、五百万トンあるいは七百万トン多く生産される関係で、生産過剰で、いわゆるコストよりも安いダンピング価格が出てくる。ですから、いまの国際糖価、いま売買されておる糖価というものは、サトウキビ砂糖生産する国の農民の所得なり実情を見れば、もはや物として形成されておる価格ではない。いまの過剰、それに過当競争が加わって形成されておる百七十円、そういうものがやはり豪州糖の正常な契約を妨げたりするわけです。  もう一つついでに、いまそういうことで豪州糖が日本の沖合いに十四万トン、十六万トン船に積んで押しかけられておるというのですが、こういう問題の解消とあわせてどのようにお考えになっておるのか。沖合いの砂糖はどうなったのか。ですから、そういう観点に立って豪州糖の問題も解消を図っていかなければ、ただ相場で動いておるのだから糖価の基準についてはちょっと表現できませんと言うんじゃ、余りにも政策としてどうか。ここで勇気を持って糖価の水準はどの程度に安定さすんだという目標を持って法律をつくらなければ、ただ相場に左右されておるんだからその中を泳いで何とかしょうという考え方では、私は糖価安定ということにはならぬだろう、こう思います。
  38. 杉山克己

    杉山政府委員 私が相場商品でもあるからと申し上げましたのは、相場に任せるという意味ではなく、大変率直なことを申し上げますが、こういう席で具体的な数字を申し上げますと、すぐその翌日から相場が動くようなことになって、経済的に混乱を生ずるおそれもあるという意味を含めて申し上げたのでございます。いかなる水準が製品価格として妥当であるかということなら、私はやはりコストを償って正常な利潤を確保し得る価格ということになろうかと思います。その意味では、現在の百七十円はおろか、百八十円でも百九十円でも、それはコストを償ってない不当に安い価格であると思います。  それから、コストという場合に、豪州糖は確かに現在の国際相場に比べれば割り高なものを引き取っております。これはコストと言えるかどうかということでございますが、私はあの当時、全体としての安定な供給を図るという観点から固定価格で引き取ることを覚悟したという以上、やはり企業にとってコストであると考えます。ただ、そのコストを無条件に国民に負担させるということでなく、できるだけ企業努力もすると同時に、やはり国際事情を考えて豪州側でもそこはまけてくれていいではないか、そういうことによって全体としての負担の軽減を図るということで価格の改定交渉を始めたということがあるわけでございます。  したがいまして、日本の国内糖価の安定を図る上からも、豪州糖の解決はきわめて重要な緊急を要する問題であると考えております。豪州糖の問題、双方、大きな金額の経済問題でございますので、なかなか合意に達しませんが、ただ、今日時点では豪州側もいろいろ公式の態度は固い表明をいたしておるところもございますが、実質的に話し合いによって解決するという線まではまいっております。当事者間でそれぞれ、むしろ水面下でといいますか、非公式な、お互いの最終的な妥結点を見出すための探り合いがいま行われておる状況でございますので、そういう本体の契約自身の更改とあわせて、現在、東京湾に停泊している砂糖についてもこの解決が一緒に図られるということを期待しておるわけでございます。きょう、あすというわけにはまいりませんが、当事者間が話し合いで解決するという機運にきている以上、これは解決し得るものと私は考えております。
  39. 美濃政市

    美濃委員 時間の関係で、答弁は不十分でありますけれども、しかし今日の時点では、確かに局長が言うように、答弁にも限界があろうかと思いますので、一応この程度にしておきますが、相なるべくは、これは間に合うのであれば、ひとつこの国会に提出するように要請を申し上げておきます。答弁は要りません。もし、この国会に間に合わなければ、次の通常国会には必ず糖価安定の法律を出すようにしてください。それをお願いしておきます。  次に移りますが、先任の食品流通局長でありました森局長も、絶えずパリティの積み不足があるということを正式に表明されていた。それから、先ほど話を聞いておりますと、杉山局長もやはり二十五年、六年を一〇〇としたパリティ、きょうもパリティ表をいただいておりますが、このパリティ指数どおり上げたとしたらということで計算すればギャップがある、こう言っておりますけれども、そのギャップはどのくらいになるのか、何ぼギャップになるのか、これを聞いておきたいと思います。そして、そのギャップは何で出たのか。ただ、そのときそのとき、年々の価格はやはりあらゆる経済事情やその他を勘案して決めております、こう言うが、ギャップが出る理由は何にあるのか。ギャップが出ても、それはかくかくしかじかの理由で生産者のいわゆるコストは守られておる、いまもお話ございましたが、正しい糖価というものはコストの守られた糖価なんだ、こう言う。国内産糖は、サトウキビなりてん菜をつくっている農民のコストは守られなければならない、それが農政の根幹だと思うのです。しかし、何かの要件がなければパリティ指数あるいは小売物価、あるいはそれに伴って農業資材もどんどん上がっていく。上がった分に対してギャップがあって、上がった分だけ上げないということでは、通例の場合それは正常なコストが守られぬということになりますね。正常なコストが守られておる農政とは言えない。何かの原因によってギャップがあっても、それはかくかくしかじかの理由で国内産糖原料生産農民のコストに圧迫は加わっていない、こういうことでなければならぬと思うのです。その点を明快にしてもらいたいと思います。
  40. 杉山克己

    杉山政府委員 後ほど資料にしてお出しすることを予定しておりましたが、パリティの伸びを二十七年とか二十八年、あるいは二十九年、このころを基準にして、単純にその伸び率でもって今日の価格を算定したら一体どのような水準になるかということでございますが、二十七年基準で計算いたしますというと、五十二年価格は一万八千三百四円、二十八年を基準にいたしますと一万八千四百二円、二十九年から計算いたしますと一万七千九百十三円、これは実はいまここでもってちょっと筆算をいたしましたので、正確には後ほどまた資料でもってお答えをしたいと思いますが、おおむねこのような水準になるというふうに見られるわけでございます。  そこで、現在決めておりますところの五十一年のてん菜価格一万三千百円は大幅に低いではないか、格差があるではないかということでございますが、これがどうしてこういうことになったのかということになりますと、実は農産物価格についてはおよそ一般的な方式が初めにあって、それをあらゆるものに適用するということではなく、個々の農産物ごとにそれぞれ歴史的な経過もあって価格決定事情が決められてまいったわけでございます。  それから、価格算定の仕方につきましても、同じパリティといっても、パリティの比較期間のとり方によって差が出てくる。たとえば四十九年まではてん菜につきましては前年の四月から十月までのパリティに対しまして当年二月、価格決定の直前の時期のパリティを単月でとるというようなことでパリティ指数の伸びを出しておったわけでございます。それに対しましてサトウキビの場合は、前年の三月から十一月のベースの期間に対して当年の三月から九月までの収穫直前期までの期間のパリティ指数の伸びを算定するというやり方でやってまいりました。これは不統一じゃないかと言われれば確かに不統一でございます。しかし、それぞれの生産事情、データがいつどういう形で得られるかというような算定技術上の問題も含めまして単品ごとにそういう決め方をしてまいった。それが全体のいろいろ農産物が各種出そろった中であたりを見回してみればふぞろいであるということがひとつ出てまいったわけでございます。それからさらに、そういう個々にとり方に差を持たしておったことが、同時に全体としての二十七年、二十八年といったものを基準にしてのパリティに比べればギャップが生ずるということにもなったわけでございます。  そこで、農産物価格総合的な見直しという考え方のもとに、価格決定時期もできるだけ合わせる、そうして横並びといいますか、そういうものの間の考え方のバランスをとる、それからパリティの期間のとり方についても技術的にこれをそろえるということをいたしてまいったわけでございます。五十年からは価格決定時期も今日のようにてん菜サトウキビ、まだこれはデータの関係がありまして若干日時の差はございますが、十月、十一月のころに決める。それから、パリティのとり方につきましても、前年四月から八月までをベースにして当年の四月から八月までの期間の伸びを見るということで方式の統一を図ったわけでございます。そういうことでかなり改善されておりますが、そのことによって直ちに二十七年、古い時期を基準とするパリティの格差を解消するということにはなっておりません。今後のこの時期以降の価格算定のあり方について足並みをそろえたということになるわけでございます。  先ほど来もうすでに申し上げたことでありますので、繰り返すことはいささか煩になりますが、私どもそのときそのときのやはり前年対比での経済事情を参酌しての毎年のパリティを決めてきたということは適正であったと考えておりますし、結果としてそれが古い時期を基準に単純にとったパリティの伸びに比べて格差を生じたということは、これは結果として生じた話であって、これ自身についてはいろいろ政策的に検討する課題ではありましても、それ自身が違法であるというようには考えておらないわけでございます。
  41. 美濃政市

    美濃委員 それぞれ価格決定の算式というのは決められておりますが、こういう問題はやはり刑法の運用なんかと違って、たとえばビートで申し上げますならば、違法とか違法でないとかいうような論争をするようになると、それはたとえば昭和四十年価格てん菜で言うならば六千五百五十円である。そのまま今日も六千五百五十円で据え置かれておれば、これは違法でないかということで、違法という……。しかし、あれですね、ある程度のことをしておれば、違法か違法でないかということになると、これはだれも裁判官もいないし、単純に地方裁判所で裁かれぬ問題だ。違法である、違法でないというような物の考え方や論争は、私はどうかと思うのですね。現実にその価格生産農民のいわゆる他産業並みの所得が確保されておるかどうか、ここに問題があると思うわけです。  そこで、いまこの場合、できるとかできぬとかいうことで質問をすると、それは答弁ができないことはわかっておりますから、しかし、この作業として、良識ある生産者団体、農協系統その他計算しておるいわゆる生所方式による、農民として、やはり局長もさっき言いました正常なコストを償う価格なんだ、償う価格で計算したものは二万一千円であるという計算で要請が行われておる。この価格に対してできる、できぬということを聞くのではないのですよ。やはり主管局長として、そういう自主的に計算された価格というものはそれなりにやはりそれだけのコストはかかっておるのだなという認識を持って見ておるのか、そんなもの、勝手に農業団体がつくった価格なんかというのは勝手にしなさい、われわれは違法でないのだから、合法的にいままでパリティで決めてきた、そういうものが全く合法的な唯一のものであって、農業団体の計算しておるものはでたらめだ、こういうふうに評価しておるのか、それともそれなりの理由はある、しかし、いまここですぐするのか、しないのかという詰めをしておるわけではございませんが、その受けとめ方はどう考えておるのか、それを聞いておきたいと思います。全く二万一千円なんかというのはでた納めだ、いまあなたが言っておるように、法律に接触はしていない、全く農林省の事務当局がやっておることが唯一無二の農業政策だ、自主的な要請やその他は全くでたらめだという解釈に立っておるのか、それなりの理由があると解釈しておられるのか、それを聞いておきたい。
  42. 杉山克己

    杉山政府委員 失礼いたしました。確かにおっしゃられるように、これは法律上違法であるとかなんとかという問題ではなしに、経済的に現実妥当であるかどうか、実態を考えての議論であるべきだという御指摘はごもっともだと思います。生産者団体の要求と私どもが算定いたしております数値とは、これは確かに大きくかけ離れております。ただ、生産者側の御自分たちの立場からする考え方からすれば、そういう算定は、それは私はあり得ると思っております。もちろん個々の要素の取り方とか計算上の細部の問題はあるにいたしましても、それはそれとして、生産者のサイドからは一つの要求として当然ある姿だと思っております。そういうことも念頭に置きながら、私どもは従来の価格なりあるいは奨励金なりその他総合的な対策の中で、それはおまえたち十分考えておらぬじゃないかと言われればそれまででございますが、配慮したつもりで従来から政策といいますか、事に臨んでまいったつもりでございます。
  43. 美濃政市

    美濃委員 次に、今年の価格決定に当たって、どうでしょうか、麦も奨励金基本価格に算入した、てん菜についても、糖価が安ければ行政措置をとってやるという裏づけに基づいて糖業者に奨励金を出させる、これは一元して原料を買い取る糖業というものがあるからそういう行為が行われておるわけですけれども、これはやっぱり行政の裏づけで出さしておるわけです。これは速やかに解消して、やはり昨年の三千九百円というものは基本価格に算入すべきである。どうですか。
  44. 杉山克己

    杉山政府委員 奨励金価格に算入すべきであるという強い御主張のあるのは承知いたしております。ただ、ほかの奨励金と異なりまして、これは企業が自分で支払い得るという条件のもとに初めて支払いが行われたという経緯があって、その後企業が支払えなくなったその一部肩がわり、次いでは全部を財政でもって見るという形でここ一、二年処理してまいったわけでございます。ただ、その基本的な性格論として、私、実態からしていま直ちに企業はこれを全部支払い得るような条件になるというふうにも考えておりませんけれども、そもそもこれは一体価格性をどういうふうに帯びているのか。受け取る側からすれば、価格と一緒に支払われるという意味では価格性があるというふうにお考えでございましょうが、それからまた、コストを償ってない、それを補う分だというふうなお考えもあるでしょうが、いま申し上げましたような、企業が収益を上げたときのいわば還元だというような性格もその発足の経緯からしてある。それから、そういうこともあって額も固定されているということ、そういたしますと、負担区分ということを、どうしてもこれは大きな財政負担の問題になるものですから明らかにしなければいけないという事情がございます。それから、負担区分を明らかにして、仮にコストだということで考えるようになって価格だということになるとしても、さらに、それは財源として政府が一般会計の持ち出しでいくべきか、あるいは合理化目標価格の水準を上げて輸入糖の負担にこれをゆだねるべきかというような議論も残っております。  それから、これは予算上の問題でございますが、従来は、企業が払う、企業が払えなくなったときに、それを確認した上で政府もこの点について農民の立場を考えて後始末をする、いわば企業と一緒になって責任を持って処理するということをやってまいったわけでございますので、予算上予備費支出という形でこれが処理されてまいりました。これが仮に価格に入れるということになりますと、途端にその分を当初予算に政府としては財源を用意しなければならないというようなむずかしい事情もございます。実質経済ベースの問題とは別に、そういう形が変わることによって当初予算に大きな負担を強いるというようなむずかしい問題も出てまいりますので、私ども、財政当局ともその点を十分性格づけ、糖価安定法上の位置づけ、それから財政、財源上の問題、そういうことも十分見きわめながら今後相談をしていかなければならないと考えております。
  45. 美濃政市

    美濃委員 財政上の問題はどちらにしても私は同じだと思うのです、こういう奨励金を糖業に出さしてコストを見るということになると。いわゆる砂糖の需給安定によって糖価がある程度の水準が正常化すれば財政負担は少なくなるということははっきりわかる。その場合は、基本価格に織り込んで、いわゆる市価見合いで糖価安定事業団が財政措置によって国内産糖の決めた価格のコストを守るという場合には、奨励金であっても同じだと思うのです。ですから、ぜひその基本価格に織り込むように、決定までもう何日もございませんから、真剣に検討してもらいたい。あと答弁は要りません。真剣に検討して、これはやはりこういう出し方はどうかと思いますので……。  次に、でん粉に移りますが、きょう需給表を見ると、でん粉需要昭和四十九年が百三万トン、五十年が百十七万三千トン、五十一年度見込みが百五十万トンと、こうなっておる。これはでん粉需要の把握が足りなかったのか、私はこんなに四十万トンも五十万トンも一年間にでん粉需要が増大したとは思われぬわけですね。すると、これはどこかで需要の見込み違いを起こしておったのか、それとも確実に四十万トンも五十万トンも需要が増大したのか、増大したとすればどういう方面で増大したのか、ちょっと聞いておきたいと思う。
  46. 杉山克己

    杉山政府委員 確かに一年に四十万トンも五十万トンもの大幅な変動があるということは異常でございます。私ども、統計のとり方の誤りかどうか、そういうことも十分検討いたしたのでございますが、これはむしろ実態がそうあった。そういう異常な事態が何によって生じたかと言えば、抱き合わせを行ったことによってその価格が高い、それを回避するためにまた無理な抱き合わせをやったということに伴って輸入のでん粉数量がふえた、直接はトウモロコシでございますが、ふえたというように考えられます。その意味では真実の需要に裏づけられたものでなく、製造工場かあるいは流通過程に何らかの形で過剰に在庫になっていくのではないかということで、今後の需給上大きな問題になるというふうに考えております。
  47. 美濃政市

    美濃委員 そうすると、でん粉問題というのは、いま考えてみまするに、たとえば抱き合わせ政策を続けるとしても、現在、国内産でん粉一トンに対して五・九トンということになると、国内産でん粉二十万トンを抱き合わせで消化するためには、コーンスターチは百二十万トンつくられなければならぬ。五・九トンと言えば約六トンであります。ですから、抱き合わせにも限界がある。  そこで、二次関税等の調整機能を発揮して、でん粉についてもここで需要と供給を見合う数量に国内でん粉調整するのではなくて、コーンスターチを年々——この表を見ても、昭和四十九年にはコーンスターチの総量は六十一万トンだった。それが五十一年見込みは三年間で九十五万三千トン、そして、しかも百五十万トンというのにはどこかに潜在在庫があるのではないか。あるいは昨年あたりは、コーンスターチ砂糖と同じように過剰につくってコストを割ったものが市場に出回ってくる。これは物価対策上結構なことではないかというわけにはいかぬと思うのですね。国民経済上そんなことまで物価に反映させなければならぬというものではないと思うのですね。コストが守れるものでなければならぬ。これは砂糖のときも同じですね。  そういうことが起きておるので、もう私の持ち時間がなくなりましたが、でん粉対策は、まずここまで来ると価格対策であります。ことしのでん粉をどうするかということももちろん大切です。けれども、需給をきちっとしなければ、コーンスターチがこのままでいけば、年々年率十万トンくらいふえてきておる、この上来年十万トンふえたということになると、政府が全部買わなければならぬということになる。そうならないように措置をきちっととる、この約束をひとつお願いしたい。  ですから、さっきの奨励金基本価格に入れるということ、それと、いまのでん粉に対する需給調整機能を必ずきちっと持たしていく、この二つ、せっかく政務次官お見えになっておりますので、政策問題ですから、やるということを腹を決めてもらいたい。
  48. 羽田孜

    羽田政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話がございました奨励金を取り込むということにつきまして、いまここでお約束するというわけにいきません。先ほど局長の方からお話し申し上げましたように、その発生したときの経緯等もございますので、しかし先ほど来先生お話がございましたことを私ども検討させていただきたいと思います。  なお、いま関税等によってまず需給というものをきちんとしなければならぬというお話がございます。これは確かに販売努力、そういうものも促進をさせておるわけでございますけれども、しかし、よけいなものを食べろというわけにいかぬわけですし、よけいなものを消費しろというわけにもいきません。そういった意味で、私ども先生から御指摘ございましたことも含めましてこれから検討をさせていただきたいと思います。
  49. 美濃政市

    美濃委員 終わります。
  50. 金子岩三

  51. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昭和五十二年産いもでん粉基準価格てん菜最低生産者価格大豆基準価格等について農林省当局に質問をいたします。  まず、これから価格の告示までの日程について、当局から明らかにしていただきたい。
  52. 杉山克己

    杉山政府委員 いもでん粉てん菜大豆、それぞれ価格決定のスケジュール、似たようなものでございますが、私どもとしては七日までに決定をいたしたいというふうに考えております。  この間、手続としては、当然、政府部内でもって関係する向きと調整するということが第一でございますが、農安法の五条の規定に従いまして生産者団体の意見を聞くということになっております。これにつきまして、それぞれの関係団体をお呼びして意見を承るというような手続を経た上で、それらの調整を経て七日には決定するようにいたしたいというふうに考えております。
  53. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 第一に、いもでん粉基準価格等についてお伺いいたします。  農業団体は、昭和五十二年産原料基準価格については再生産と所得補償を旨として算定していただきたいということで、すでに当局に対してもカンショ三十七・五キログラム当たり千百六十円、トン当たり三万九百三十二円、バレイショについては六十キログラム当たり千百五十円、トン当たり一万九千百六十七円、でん粉買い入れ基準価格については、カンショでん粉トン当たり十五万五千百円、バレイショでん粉トン当たり十四万八千七百円、カンショ切り干しトン当たり十一万二千三百円として試算し、引き上げを要求しておるところでございますが、畑作農民の生産意欲を回復させてわが国畑作農産物の国内生産拡大を図ることは焦眉の急務でございます。自給力向上による総合的食糧確保を図ることは政策課題としても重要でございますし、また、そういった認識に立って強力な畑作振興政策を実施することは当然であります。今年度予算を見ましても政府は稲転百七十万トンということで畑作に相当力を入れておられるようですが、これはもう当然のことでございまして、稲転の生産調整百七十万トンをなされますと畑作に力を入れることは当然ですが、それにつけても私は、畑作農民の生産意欲を回復するために畑作に力を入れなければならぬ、かように思っております。そして、他産業従事者との格差是正というものをしなければならない。  こういった点から、政府は本年度価格決定に当たっては、先ほど申し上げましたように、農業団体はそれぞれ政府生産費を補償するところの価格で要求をしておりますが、この点十分当局は検討した上で今年度の価格決定してもらいたいと私は思う。このことを冒頭申し上げたいわけでございます。当局の見解をお聞きしたい。この農業団体の要請に対してどういうふうに検討され、また慎重に検討されていくのか、その点をお伺いしておきたい。
  54. 羽田孜

    羽田政府委員 先生指摘のとおりでございまして、やはり畑作振興していかなければならぬことは、これは事実でございます。このたびの価格につきましては、それぞれの法律に基づきましてパリティ価格、これを基準といたしまして生産費及び物価あるいは需給事情そのほかの経済事情、こういったものをしんしゃくしながら適正に決定してまいりたい、かように存じております。
  55. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農業団体の要請というものは、これは農協中央会、いわゆる全中においても十分検討して試算をした上の価格でありますし、畑作振興のためにも——きょうは農林大臣か他の用件て欠席しておられますけれども、私はこういうような重要な問題について大臣委員会出席して当然答弁すべきだと思いますが、のっぴきならぬ用事だということでございます。畑作農民のためにも私は大臣にも特に強く農業団体の要求に対しては申し入れをし、さらに強力な対策を講じられるように政務次官からもお話しを願いたいと思います。  本日一時四十分、農林大臣にわれわれも各党相そろって申し入れをして、そして農林大臣に対して強力な要請はすることにいたしておりますけれども、今回の問題については、例年のことでありますが、十分な対策を講じられるように重ねてお願いをしておきます。  次に、昭和五十二年産のカンショバレイショでん粉生産量について、カンショでん粉生産量昭和五十一年七万三千トン、昭和五十二年は八万五千トンぐらいになるんじゃないか、微増である、こういうふうにわれわれは見ておるのですが、この点の確認と、バレイショでん粉生産量昭和五十一年が三十一万四千トンでございましたが、五十二年は二十四万トンぐらいではないか。そうなりますと、例年から見れば若干多いが、五十一年の三十一万四千トンから見れば七万四千トンという大幅な減少を見ているということになりますが、この点どういうふうに分析をしておられるか。生産量の実態、そういった原因等について簡潔にお答えを願いたい。
  56. 杉山克己

    杉山政府委員 若干の幅はございますが、おおむね先生がいま挙げられましたような数字でことしのカンショでん粉バレイショでん粉は出回ってくるのではないかと私どもは見ております。もう少しデータを整理した上で最終的な数量を確認したいと思っております。  確かにカンショでん粉は前年よりは若干の増、バレイショでん粉は相当量の減ということになりますが、先ほど来申し上げておりますように、全体の需給からいたしますというと、特にバレイショでん粉の持ち越しもございまして、かなりまだ過剰という事態は残っております。  こういう事態を前提にして、本年の需給、特にバレイショでん粉の販売をどういうふうに持っていくか、消化をどのように考えるかということが非常に重要な問題になってくると考えております。
  57. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 たくさんの問題点がございますが、時間の制限があるので若干はしょってお伺いしますので、簡潔にお答えをいただけば結構です。  現在、政府買い上げによる供給過剰と普通言われておりますけれども政府手持ち分があるわけですね。五十年度で五万トン、それから五十一年度七万五千トン、計十二万五千トンぐらいあると私たち思っておりますけれども、この処理方針はどういうふうに考えておられるか、これまたお答え願いたい。
  58. 杉山克己

    杉山政府委員 五十年の買い入れが五万トン、それから五十一年の買い入れが七万五千トンということで政府の手持ちは現在十二万五千トンになっております。  これについては現在どういう消化の見込みがあるかというお尋ねでございますが、そもそも生産されるでん粉自身をどういうふうにして消化しようかという状況のもとでございますので、むしろ政府手持ちをどうさばくかということよりは、出てくるでん粉をどのようにさばくかということの方が先決の問題であろうかというふうに考えております。  正直申し上げますと、現在、政府が抱えておるものについては当面これを売りさばくというような方途は立っておらないわけでございます。ただ、今後の需要の開発、それから国際価格に比べて価格の面で競争できるような条件が、これは端的に申し上げまして国際価格が上がるか、あるいは政府売却価格をどう考えるかというようなことも含めまして、そういう価格条件がどうなるかというようなことの条件を見ながら、処理方針を若干の期間をかけて考えていかなければならないと考えております。
  59. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 と申しますのも、カンショバレイショでん粉生産量が、いまもちょっと確認しましたように、五十二年度を見ましてもカンショが八万五千トン、バレイショが二十四万トン、こういうふうになった場合には三十二万五千トンということになります。そうなりますと、五十一年度の繰り越し分が約二万三千トンぐらい繰り越されるのではなかろうかというふうにわれわれ推計しておりますけれども、そうなれば合計三十四万八千トンになります。こういった三十四万八千トンについての消化も問題でありますので、政府手持ち分と合わせて今後この消化に対して大変心配しているわけですね。その点、私たち憂慮しておりますので、あえてお聞きしたいわけですが、こういったものも含めて三十四万八千トンぐらいになると思いますけれども、具体的にはどういうふうに消化されるのか、現段階ではどういうふうに考えておられるか、ひとつ御説明をいただければと思います。
  60. 杉山克己

    杉山政府委員 あらゆる農産物について共通の問題でございますが、過剰というのは実に処理困難な厄介なむずかしい問題でございます。市中に過剰が出たからそれを本当に緊急避難的な形でもって政府が買い上げるということで、当面五十年、五十一年は処理したわけでございます。しかし、恒久的に過剰を続けていいというものではないと思います。したがいまして、私は当面五十年、五十一年を買って、三年連続政府買い入れをするということは、これはとうてい考えられないというふうに思っております。そうしますと、政府の在庫を何とか消化するということよりは、先ほども申し上げましたように、出回ってくるものを何とか優先的に消化するということが何といっても基本になると思います。  その方策いかんということになれば、もちろん品質、それから価格の面において当事者が努力してできるだけ売りさばきを図る。しかし、基本的にいろいろその条件が、特に輸入の物に比べて価格決定的な差があるというようなことから、自力ではなかなか全部がさばけるというふうにも考えられません。そこで、抱き合わせ制度というのが現在仕組まれているわけでございます。この抱き合わせ制度、無税の、安い輸入コンスを、直接にはトウモロコシを輸入してこれを加工してコーンスターチにするわけでございますが、これを抱き合わせるということによって高い国内産でん粉を引き取らせる、そして市中での消化をできるだけ図っていくということが基本になると考えております。
  61. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その抱き合わせの問題ですけれども、御承知のように、カンショの場合は、先ほど局長から若干説明がございましたように、水あめとかブドウ糖としておおむね消費されるというふうにわれわれは認識しておりますが、馬でんは固有の用途によって十四万トンぐらいは消費できる、こういうふうに言われておりますけれども、五十二年生産が二十四万トンとすれば、結局十万トンが馬でんの場合は残るということになります。この馬でんの十万トンはどういうふうに消費するかということも一つの問題点でありますが、いまお話がありましたように、やはり私は今後抱き合わせの問題を推進してもらいたい、かように思うわけです。生産者が、国内産でん粉需要を確保して馬でんの優先消費を図るため、抱き合わせを強く望んでおることはもう御承知のとおりです。われわれも再三、陳情、要請を受けてまいりました。販売制度の強化推進をぜひひとつ図ってもらいたい。  また、いまも話がございましたように、輸入トウモロコシの関税割り当て制度の問題ですが、これもまた継続してもらいたい。これはもう当然のことでありますが、二次税率、すなわち現在キログラム当たり十五円になっておりますけれども、この二次税率も大幅に引き上げて国内でん粉の需給の均衡を守れるようにぜひやってもらいたいというのが生産者及び団体の要請でございますが、これらを含めてひとつ当局の見解をあわせ伺っておきたい、かように思います。
  62. 杉山克己

    杉山政府委員 抱き合わせ売却の制度は、沿革から言いますと、カンショでん粉、これは鹿児島のように土地条件にも恵まれない、どうしても生産性が低くて、収益の面から言うと有利ではないけれどもカンショをつくらざるを得ない、そういう地域に対する対策として発足した経緯がございます。そのような観点からして、抱き合わせ売却に当たってはカンショでん粉を優先的に処理するという考え方をとっております。これは今後とも変わらない。その制度にバレイショでん粉も乗っかって抱き合わせ売却が行われるようになったわけでございますが、今日ではむしろバレイショでん粉の方が数量的に多く、それが抱き合わせによって消化されるというような事態になってまいっております。もちろん先生おっしゃられるように、輸入について抑制を図ること、これは現在、高率の二次税率というようなことによってその措置がとられておるわけでございます。これはしかも昨年大幅に引き上げをいたした経緯がございます。しかしながら、直接的に、せっかく外国から安い、いいでん粉が入るのに、これを使わせないで、高い国内産でん粉をそうまで大量にどうしてわれわれのところに押し込むのかという実需者の立場からする議論もございます。そうなりますと、現在、関税率審議会の議を経て閣議決定を得て国会まで上がって関税についての割り当て制度の特例を認めていただいている抱き合わせの仕組みにつきましてもいろいろこれを維持困難とする事情があるわけでございます。しかし、いま先生からお話のありましたように、私どもこの存続は当然必要だと考えております。この十二月には関税率審議会が開かれると思いますが、そのときには当然農林省としてその抱き合わせ制度、いまの関税の仕組みを維持するように要請をするという考え方に立っております。  さらに、その運用につきましては、先ほど来お答えしておりますとおり、カンショ優先ではございますが、馬でんについても極力その消化を図る、数量的な単に抱き合わせということだけでなしに、その関係する業界全体の協力も得ながらその円滑な消化を図るように努めてまいりたいと思っております。
  63. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 第二に、てん菜最低生産者価格等についてお伺いしたいと思います。  農業団体が、昭和五十二年産てん菜最低生産者価格は、再生産と所得補償を旨として算定し、生産奨励金を織り込み、トン当たり二万一千円以上とせよ、こういうふうに試算して引き上げを要求していることは政府も御存じのとおりだと思います。本年度価格決定に当たって政府は十分このことを検討していただきたい、かようにこれまた要求するわけです。  それと同時に、私はこの機会にあえて申し上げておきますけれども、十月末には政府決定をする予定でありますところのいわゆるサトウキビの問題がございます。主産地の沖繩並びに鹿児島の南西諸島の皆さん方はもう大変期待し、先日来再三、政府並びに国会に対しても陳情、要請がなされておりますが、御承知のように、今次てん菜価格決定しますと、例年のとおり右へならえで、即サトウキビ価格も自動的に決まるというようなことになっております。そういったことで、十月末に決める予定であるこのサトウキビ価格についても事実上今回のてん菜価格決定するというふうに私たちは見ております。  そういった意味から私はあえて申し上げるのでございますけれどもサトウキビについては、農業団体はトン当たり、生所方式で二万四千円を要求しております。これについては例年のことでありますけれども局長は今回初めてこの問題に取り組むわけでございますので特にあえて申し上げておきますが、てん菜と違ってサトウキビの場合は、作付してから収穫まで最低一年半以上かかるわけでございます。期間が長い。しかも、圃場整備も沖繩等、また鹿児島の南西諸島もずいぶんおくれております。おまけに、土質が本土と違って相当悪い。低下している。さらには機械化が進んでいない、こういったあらゆるハンディがございます。そういったことを考えますと、私は、サトウキビの農家に対しては十分配慮してやらなければいかぬ、かように思って、いつも同情し、気の毒に思っておるのが現状でございます。そういったことから、今回てん菜について決定を見るわけでございますけれども、事実上、てん菜決定は即サトウキビ決定に連動するわけでございますので、そういったものを含めて十分配慮して今回のいわゆるてん菜最低生産者価格決定していただきたい。農業団体の要求等も十分踏まえていただきたい。そういった配慮もぜひしてもらいたい、かように思うのです。  これは農業を守る農林大臣に強く要請し、お伺いしたいところでありましたけれども、先ほど申しましたように、きょうは大臣が欠席でございますので、政務次官あるいはまた局長から、この点についてサトウキビのことも念頭に置きながら決定に十分配慮していただき、慎重に決定していただきたい、このことを申し上げる次第です。当局の答弁を求めます。
  64. 羽田孜

    羽田政府委員 先ほども冒頭にお答えいたしましたように、私ども価格につきましては、それぞれの法律に基づきまして適切に決定してまいりたいと思います。  なお、ただいま先生からお話がございましたように、やはり価格だけの問題ではなかなか解決できない問題がございます。そういった意味で、今日まで沖繩その他畑作地帯に対しましていろいろな手当てをしてまいったわけでございますけれども、特にサトウキビ地帯におきます基盤整備等、非常におくれているところがございます。機械化適性等が進められるように私ども今後一層配慮してまいりたいというふうに考えております。  なお、御承知のように、サトウキビにつきましては、沖繩の方から強い要望がございました例のキビの原原種農場ですか、こういった問題についてもいま予算要求等をしておるところでございます。
  65. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 サトウキビの原原種農場は今回沖繩に設けるということで、来年度予算にも計上してありますので、これはぜひ推進してもらうわけですけれども、どうかてん菜価格決定に当たっては、サトウキビのこともひとつ十分念頭に入れて、サトウキビてん菜とまた違った困難な状態にあることを十分認識してぜひ決定を願いたい、かように思っておるわけでございます。  それから、はしょって伺っておきますが、てん菜作付面積は、昭和五十一年の四万二千三百ヘクタールに比べて昭和五十二年は四万九千ヘクタール強、七千三百ヘクタールぐらい増加しておりますけれども、この原因は、私は、いわゆる増反奨励金、十アール当たり二千三百円、これを出したのが最大の理由であった、かように思っております。すなわち、五十一年から五十四年まで増反を条件とするてん菜作付奨励補助金というのを行っているわけです。こういったことによって農家が意欲的にやる、こういうふうになった、直接の原因はこれであると思っておるわけですが、当局はどういうふうに認識しておられるか、ひとつ簡潔にお答えください。
  66. 小島和義

    小島説明員 お話にございますような二千三百円の問題も確かに直接の原因としては挙げられようかと思いますが、そのほかに、てん菜につきましては長年にわたりまして省力機械の導入あるいは基盤整備等を進めてまいりましたし、特に昨年の場合には、反収が五トンを超えるきわめて高いものであったというふうなことも幸いしておるというふうに考えております。
  67. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さて、てん菜の毎年の増反目標を三千ヘクタールとされておりますね。時間の関係があるので、要点だけ申し上げて、答弁は簡潔にお願いしたいが、ぜひ聞いておきたいのでよろしくお願いしたいと思います。  昭和五十二年度は、さきに述べましたように、七千三百ヘクタールの増で、一挙に単年目標を倍以上達成したことになりますね。言うまでもなく、北海道庁は市町村に対して目標を定めて、達成したら奨励金を出しておるというシステムになっておりますけれども、本年度の七千三百ヘクタールについて、当然てん菜作付奨励金というものを出すということに間違いないのか。面積が倍以上ふえたので、その点どうですか。イエスかノーかでいいから答えてください。
  68. 小島和義

    小島説明員 目下のところは全市町村が対象になるというふうに見ております。
  69. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、昭和五十三年度はどのような目標とするかということをお伺いするわけです。すなわち、今年二年分以上やった、目標を達成したということになっておりますから、来年はどうするかということがちょっと心配にもなりますので念のために聞いておくわけですが、ことし二年分以上やった、目標を達成したといっても、来年度も三千ヘクタールを目標にするのですか、その点。
  70. 小島和義

    小島説明員 本年の実績を下回らないように希望はいたしておるわけでございますが、目標自体を直ちに引き上げるという考えは持っておりません。
  71. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これまた念のためにお伺いするのですが、今年度が七千三百ヘクタール増で、三千ヘクタールの目標に対し倍以上やったということはいま申し上げたとおりでありますが、仮に来年度、目標の三千ヘクタール以下であった場合、目標は今年度以上やりたい、こうおっしゃるけれども、以下であった場合、念のために聞きますけれどもてん菜作付奨励金はやはり目標を達成した町村には、当然のことだと思いますけれども、十分心配ないように対処するのか、その点もあわせてお伺いしておきます。
  72. 小島和義

    小島説明員 現在の仕組みを踏襲する所存でございますので、町村によりまして目標を達成できなかったというところが出てまいりました場合には対象にできないということになろうかと思います。
  73. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 全体として三千ヘクタールは達成しないけれども、町村において目標を達成した場合は、その分は対象にするというふうに理解していいですね。
  74. 小島和義

    小島説明員 おっしゃるとおりでございます。
  75. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 てん菜作付奨励補助金は、御承知のように、地帯ごとに目標面積に達しないと交付されないわけですね。これは地帯ごとですね。だから、私は、作付を実施した農家に均一にこれを交付するようにしていただきたい。そうしなければなかなか意欲は起きない。連帯でもって地帯ごととなりますと、その中で達成した人もおればなかなか達成しない人もあるというふうになってきますので、やはり畑作振興に今後力を入れていく、しかも国内で自給率を増していくという観点からいけば、私は作付を実施した農家に均一に出す、こういうふうな方法にこの際踏み切っていくべきではないかと思うのですが、その点に対する当局のお考えをお聞きしておきたい。
  76. 小島和義

    小島説明員 先ほどお話がございましたように、増産効果を期待しておるというこの奨励金の基本的な性格があるわけでございます。農家別に目標を割りつけるということになればまた別でございますが、それもなかなか実務的にはできない相談でございますので、町村内の連帯という趣旨で対処すべきものだと考えております。
  77. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間もございませんが、この点についてはひとつ十分検討していただきたい。農林大臣に申し上げる際も十分また話をしていきたいと思います。  さて次は、五十一年度はパリティ方式によって最低生産者価格一万三千百円、生産奨励金が三千九百円、手取り価格が一万七千円となっております。生産奨励金は国と企業が共同で責任を持って出しておりますけれども、現在、業界が非常に厳しい状態でありますから、たしか昨年から国が全額を見ているようになっていると思いますが、この点はいずれにしても国が出していただくということとして、生産者は生産費及び所得補償方式で算定するよう従来から望み、われわれも、党としても従来から連年このことを主張してきたところでございますが、政府が今年度価格決定に当たってパリティ方式に固執するならば、法的には先ほど申しました一万三千百円の最低生産者価格基準にとることになりますけれども、本年度は麦においても奨励金基本価格に織り込んだいきさつもあるわけでございまして、また一方、四十九年からパリティ方式をとって奨励金をつけてきた経緯がございます。三年も奨励金をつけて価格の一部としてきたわけでございますので、もうここらで、三年以上もつけた奨励金は当然価格の一部と見るべきである、かように思うわけであります。そういった意味で、価格を一本化すべきではないか、かように考えます。  そういったことで、麦においてもそういう奨励金基本価格に織り込んだといういきさつがあるわけですから、先ほども申し上げましたように、前年度価格、すなわち手取り価格が一万七千円でございますから、少なくともパリティ方式に固執するならば一万七千円を基準にしてやっていただきたい、私はこのことを強く要請するわけですけれども、この点について当局はどういう見解をお持ちであるか、あわせてお伺いしておきたい。
  78. 杉山克己

    杉山政府委員 五十二年のてん菜価格につきましては、パリティ価格基準として算定する所存でございます。生産費所得補償方式によって算定すべきであるという生産者サイドの要求がございますが、てん菜につきましても甘蔗につきましても、天候その他によって年々の収量の変動も大きい、生産の技術水準もまちまちであるというようなことから、生産費そのものの振れがきわめて大きゅうございまして、価格算定のもととなるような生産費調査、確たるものが得がたいということもありまして、現在までパリティ方式を採用いたしておるわけでございます。パリティ方式は、農家の所得の一般的な全体の支出に対する安定した関係を維持するという意味で、安定した価格算定方式であるというふうに私ども考えております。  それから、そういうパリティ方式基準として価格算定する場合、五十二年は現在、奨励金として出されているものを価格に取り込むべきではないかという御意見に対しましては、これはほかの、特に麦などの奨励金と違いまして、その奨励金が出されるに至った特殊な経緯がございます。要するに、あの当時、四十九年は四月に最低生産者価格を決めておったわけでございますが、それを決めた後で、十月の時点になって企業に高収益がもたらされる、これは当時糖価の事情がよかったものですから、そういう事情が出てまいりました。そこで、企業の立場から農民、生産者に対しても奨励金が支払い得るというようなことで支払いが行われたという経緯がございます。五十年、五十一年は一部あるいはその全額、政府負担に乗りかえられるといいますか、補てんするという形になりましたけれども、その負担区分をどうするかという基本的な考え方についてはまだ整理がされておりません。そういういきさつ、それからいま一つは、糖価安定制度におきまして、そういう国内産糖の財源として政府が直接一般会計負担を行うべきか、あるいは輸入糖の調整金によってこの財源を捻出すべきか、むずかしい問題がございます。そういうような糖安法上の位置づけ等の問題をめぐって、十分関係当局とも意見調整をした上でこの取り扱いを決めたいと考えております。
  79. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、日豪砂糖問題、これは時間も詰まってきましたけれども、ぜひお聞きをしておきたい、かように思います。  御承知のように、日豪砂糖長期輸入協定は、豪州側CSR社と日本側精製糖メーカー三十三社の代表との間で、基本協定として一九七五年七月から一九八〇年六月までの五年間、各年度七月から六月、六十万トン、価格等についてもトン当たり価格が決められ、一九七四年十二月調印されております。一九七五年七月から豪州糖の取引が行われておりますけれども、精糖業界の経営悪化により計画どおりの取引が困難となり、日豪間の交渉の結果、初年度及び次年度内において、それぞれ船積み計画の調整が行われたと聞いております。  そこで、お伺いしたいのですけれども、この契約価格国際糖価の二倍程度のものとなっていることから、現在、契約当事者間で価格改定交渉を行っておるわけでございますけれども、御承知のように、砂糖艦隊が、いわゆる砂糖の船が東京湾に大挙押し寄せております。横浜の本牧埠頭沖に九隻、京葉港沖に一隻、積み荷の原糖は合計約十四万三千トンとも言われております。国内の消費量の約半月分に当たるやに聞いておりますが、横浜の港外は砂糖船に占領された形で、横浜海上保安部は、これ以上砂糖船を停泊させる場所はない、もうお断りだと悲鳴を上げておるように承っております。だが、この東京湾砂糖づけ艦隊といいますか、これは少なくとも十一月ごろまでは最低続くであろうということを言われておりまして、まさに甘くて苦い戦争、こういうふうになっております。長期停泊をされている船は一日に大変な損害を受けて、滞船料を払っているということでございますが、このまま放置することは大変社会問題にもなってくると思いますけれども、実際に大変困難な問題ですけれども、もともとは政府にも一つの責任がある、かように私は思うわけです。豪州側はさきに本件についてロンドンの砂糖協会に提訴をしたというふうにも言われておりますけれども、こういったものを踏まえ、本件について今後かなりいろいろ問題が残る。国内産糖との問題とも絡んで重大な関心を持たざるを得ない時期に来ておりますけれども、これについて現状と対策、それからまた今後の見通し、どうするのか、こういった点について簡潔に当局の見解を承っておきたい、かように思います。
  80. 杉山克己

    杉山政府委員 日豪の長期契約価格改定交渉の問題、これは経緯が非常に長うございまして、時間が不足いたしますので、ごく最近の状況だけを整理して申し上げます。  九月十四日に、日本側としては第二次提案と称しておりますが、大幅に譲歩した最終案を出しました。これに対して豪州側は、それは受け入れられないということで現在ロンドンの砂糖協会に仲裁を申し入れるということで提訴をいたしております。しかし、いま公式の立場はそのように強硬なものでございますが、実際上の取り扱いとしては当事者間での話し合いが行われておって、豪州側も話し合いによる解決を希望いたしておると考えられます。事実、当事者はそのようにも申しておるわけでございまして、その点、提訴しているということは硬軟両様の、あるいは交渉を有利に導くための一つの手段として行っているのかとも考えられます。しかし、話し合いによる解決を豪州側も意図しているという以上は、これはいろいろ現在、当事者間で非公式な会合等によりましてそれぞれの意向打診が行われている状況でございますので、まだ若干時間はかかりますが、私は解決は可能だと考えております。  これに関連して、現在まですでに送り込まれている東京湾に浮かんでいる船の処理をどうするか。十四隻、約二十万トンの数量のものが浮かんでいるわけでございますが、これは確かに異常な事態で、方々に御迷惑をおかけしております。私ども、この早急な処理を図りたいということで、豪州側に対してもこれを本体交渉とは切り離してでも早期解決をということを申し入れておったのでございます。なかなかこれに応じなかったのでございますが、現在、この問題も含めて当事者間で話し合いが行われているというふうに承知いたしております。できるだけ早くこの問題が円満に解決するように政府としてもさらに一層努力いたしたいと考えております。
  81. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大変困難な問題だけれども、不可能じゃないと思いますので、ひとつ解決に最大の努力をしていただきたい。  いまおっしゃったように、新聞紙上、ロンドンの砂糖協会に提訴の問題はあるけれども、豪州側としても、今年中に総選挙があるやにも聞いておりますが、選挙に対する一つのあれもあるやにもいろいろわれわれ観測しておりまするけれども、港も相当込んでおるし、また国内産糖との関係がありますから、いろいろと問題はありますけれども、ひとつせっかく努力していただきたいと思います。  最後に、もう一点伺いたいと思いますが、精製糖企業対策についてお伺いします。  国内糖価が安定下限価格見合い市価を下回る水準に低迷しているということで、精製糖企業は巨額の欠損を抱えて、事業の継続がきわめて困難な事態に陥っております。すでに九州の大分県の新光砂糖工業株式会社は、従業員が百二十五人おりますが、家族を含めて八百人、下請百三十人、これがいわゆる工場閉鎖の宣言を受けている。また、三重県の東海製糖株式会社も二百五十人の従業員、家族を含めて二千人、下請業者が約三百人、こういった会社がすでに工場閉鎖の宣言を受けて、大変危機に直面している。また、そのほかにも九州製糖初めいろいろと問題が次々に起きておりまして、大変憂慮される状態になっております。  このような糖価の安定を図るとともに、国内産糖の関連産業の健全な発展を促進するために糖価安定法があるわけですけれども、この趣旨に反するような、実現がなかなか困難な状態になっておりますが、農林大臣は精製糖企業に対し、販売数量制限に関する共同行為の実施を指示しておりますけれども、強力な抜本対策を打ち出してもらわないと、これは大変な取り返しのつかない問題になるのじゃないかと思います。  時間がございませんから簡潔で結構ですが、これらについての対処方針を承って、質問を終わりたい、かように思います。
  82. 杉山克己

    杉山政府委員 国内におきます砂糖価格状況及び企業の経営の事情については、先生指摘のとおりでございます。これは単に企業自身が困るということだけでなく、基本的に国内産糖にもいろいろな形で悪影響を及ぼしてまいっております。  そこで、私ども、企業の経営を正常な形に引き戻す、そして国内産糖への悪影響も排除するということを前提に種々努力をいたしているところでございます。市価維持のために現在の糖安法に基づく指示カルテルというようなことも現在までもやってまいりましたし、これからも考えてはおりますが、先生指摘のように、もっと基本的な対策を必要といたしている状況にございます。現在の糖安法の運用だけではなかなかうまく対応し得ないという状況にありますので、業界の構造改善を前提にした需給調整、これによって市価の維持を図るということを基本にした対策を目下鋭意検討中でございます。
  83. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で、質問を一応終わります。
  84. 金子岩三

    金子委員長 神田厚君。
  85. 神田厚

    神田委員 農産物価格安定法及び大豆なたね交付金暫定措置法並びに砂糖価格安定等に関する法律に基づく昭和五十二年産いも類、でん粉大豆てん菜農産物価格政府支持価格決定当たりまして、まず基本的に生産農家の所得を補償し、再生産を確保するとともに、これらの農産物生産振興と国内自給度の向上を図るべきであると考えて、以下、政府、農林省当局に御質問を申し上げます。  まず第一に、米作偏重の農業から脱却して、健全にして均衡のとれた農業を育成するためにも、いまや畑作の果たす役割りは非常に大なるものがあります。それに比べまして、現在の農業政策におきましてはこれらの位置づけが明確でなく、中でも、地域農業とこれら国内需給に重要な関係を持っているてん菜カンショバレイショサトウキビなどの政策価格大豆も含めまして、これらについては生産農家が、毎年、生産費及び所得補償方式基準にしてこれら価格決定することを要求しているのであります。  そこで、まず、畑作農業の基本政策の確立が急務であると考えておりますけれども、この点につきまして基本的な考え方政務次官から御回答いただきたいと思っております。
  86. 杉山克己

    杉山政府委員 畑作振興は、もとより基本的に重要な政策と考えておるわけでございます。  物別に差がございますので若干申し上げますと、砂糖につきましては、現在、数量は省略さしていただきますが、自給率は約二〇%ということになっております。今後は増産を図って、六十年にはこれを数量で約二五%引き上げ、自給率が二八%程度にいたしたいと目標を定めておるわけでございます。しかし、基本的には必要量の大部分は、七割を超える部分は、六十年目標においても輸入に依存するということになっております。  それから、いも類につきましては、カンショは年々大幅に需要が減退してまいっております。この動向に即しまして、六十年目標は百九万八千トン、四十七年の水準に比べて五三・三%と生産を縮小することを見込んでおります。  それから、バレイショにつきましては、現在、自給率が一〇〇%でございますが、六十年目標も一〇〇%に維持する、そして需要の増大に伴う分を国内生産で賄う、需要量は六十年まで、四十七年をベースにして八・一%伸びるというように考えております。  こういった基本的な方向づけのもとに、価格対策あるいは生産対策、農林省としてのそれぞれの政策を展開しているところでございます。
  87. 神田厚

    神田委員 六十年度目標という形で自給目標の数値を知らしてもらったわけでありますが、私どもは基本的にはもう少し砂糖にしましても自給率を上げていかなければならない、こういうふうに考えているわけでありますが、まずその第二番目には、これらのものを上げていくための地域的な政策というものはどういうふうになっているのか、地域農業を推進していくというふうな考え方からすれば、これらの一つの全体的な自給目標というのはわかっておりますけれども、これらを地域的にはどういうふうに考えているのか、地域農業との関係お答えをいただきたいと思うのであります。
  88. 小島和義

    小島説明員 農産物につきましては、物別の自給目標と申しますか、生産の目標というものを一応長期見通しに掲げておるわけでございますが、同時に個々の地域について見ますと、それらの作物がある場合においては競合し、ある場合においては補完し合いながら一つの畑作経営というものを成り立たせておるという関係にあるわけでございまして、その条件というのは各地域によりまして必ずしも一様ではございません。特に北海道あたりを念頭に置きました場合のかなり広大な面積を持ちました畑作地帯と、それから都府県のかなり集約的な野菜その他が入っております畑作地帯とは、おのずから畑作振興の基本的な目標というものは違ってくるというふうに考えられるわけでございます。その中でも特にただいま御審議いただいております甘味資源作物等に関係あります北海道畑作地帯ということにつきましては、農林省におきましても昨年の秋以来この夏までかかりまして、北海道畑作問題研究会というのをやりまして、北海道畑作をどういうふうに持っていくかということについての一つのイメージを描いておるつもりでございますが、そのほかの都府県につきましてもそれぞれ問題の所在は少しずつ違っておりますので、それぞれの地域に即しました畑作物の体系的な組み立てということにつきましては、それぞれの分野におきまして力を合わせて取り組んでおるところでございます。  具体的な手段といたしましては、畑地につきましての基盤整備の問題あるいは畑作物につきましての品種その他の生産技術の問題、さらにはいま食品流通局からお話しがございましたような価格政策の運用、そういったものを組み合わせましてそれぞれの地域の発展振興というものを図ってまいる、こういう考えでございます。
  89. 神田厚

    神田委員 いまちょっとお話が出ましたが、特に土地基盤の整備、この土地基盤の整備の問題というのは非常に大事であるというふうに考えるわけでありますが、この畑作振興に関しまして、特にこれから積極的に土地基盤の整備というものをどういう形で進めていこうとされているのか、ちょっとお聞きしたいのであります。
  90. 森整治

    ○森(整)政府委員 米の問題等々から考えまして、畑作物振興、その基盤となります土地条件を整備するということはきわめて重要な課題だというふうに考えております。  そこで、ただいまわれわれ考えておりますことは、従来からの畑地帯総合土地改良事業、畑総と言っておりますが、こういうこと、それから今度団体営でことしから発足いたしました土地改良総合整備事業、これは麦作なり畑作振興を目的としておるものでございますが、こういうものを積極的に伸ばしていきたい。また、特に北海道におきましては、いわゆる直轄明渠という事業がございます。いわゆる排水事業でございますが、そういうもの、あるいは国営の畑地帯の総合土地改良パイロット事業、こういうのがございます。こういうものを大いに促進してまいりたいというふうに考えております。  それからもう一つ、来年の考え方といたしましては、畑地灌漑の施設の水源の手当て、これにつきまして相当国の持つ負担を上げていくという考え方でただいま予算要求をいたしておるわけでございます。  その他といたしましては、水田の圃場整備事業、これは当然排水、暗渠、それから農道の整備等水利の関係、その整備事業が同時に裏作なり畑作振興に水田の汎用化を通じまして寄与するものと考えておりまして、その他農業の整備事業も含めまして、畑作振興につきまして、農業基盤整備事業全体としてのウェートを相当かげてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  91. 神田厚

    神田委員 次に、いもでん粉の問題につきまして御質問申し上げます。  いもでん粉の問題につきましては先ほどからずっと論議が続いておりますが、私どももやはり現在、生産者団体が強く要求している価格を支持しているものでありますけれども、現在のいもでん粉の国内の消費状況、これはやはり非常に厳しい状況にあるだろうというふうに考えているわけであります。  それで、先ほどから議論がされております国内産のカンショでん粉バレイショでん粉の完全消化を図るためには、輸入トウモロコシに対する関税割り当ての継続と、さらに、この抱き合わせの販売制度の運用を強化し、あるいはこれに工夫を加えていかなければならない、こういうふうに考えているわけであります。五十一年度の上期が一対五・四九、下期が一対五・九程度であるというふうに言われておりますけれども、これをどのような形にすれば理想に近い形でこの国内消費の処理ができるのか、この辺のところは局長はどういうふうにお考えでございますか。
  92. 杉山克己

    杉山政府委員 いもでん粉は、御承知のとおり大変供給過剰の事態にございます。ことしのいもでん粉カンショの分が約八万五千トンないし九万トン、それからバレイショの分が二十四万トンから最大二十六万トンくらいに見込まれております。この結果、従来に続きまして過剰で、これをさばくという努力が当然必要になってまいります。通常の努力をもってしては、価格条件が何分にも輸入コンスに比べて大変高くなっておりますので、なかなか消化困難ということになるわけでございます。五十年、五十一年はバレイショでん粉はどうにもはけようがなくて、最終的に政府において五万トン、七万五千トン、合わせて十二万五千トンを買い入れたわけでございます。制度そのものが過剰を恒久的に認めるというものではないので、三年続けての政府買い入れということは考えられない、そういう状況のもとにおいてできるものを全量はかさなければいけないというむずかしい宿題をしょっているわけでございます。現在、輸入トウモロコシ、これはコンスの原料になるわけでございますが、これにつきまして無税物を抱き合わせて国内でん粉の消化を図るという措置をとっております。そして、抱き合わせでないものは、これは輸入を自由に認めるけれども、高い二次税率、キログラム当たり十五円、これは価格に対して率にすると約六〇%という非常に高率の関税になっております。こういう仕組みをもって消化を図ることにしているのでございますが、何分にも国内産のでん粉価格がきわめて高いということのため、二次税率を課した輸入でん粉に比べても競争がなかなかむずかしくなっているという事情にございます。  そこで、どうやってそういう状況のもとでさらに消化を考えていくかということでございますが、率直に申し上げまして昨年二次税率を引き上げましたばかりの状況のもとにおいて、この関税をさらに引き上げるということはできない話だと私は思っております。やはり売る側の品質についての、それから販売の方法についての努力、これは価格も含めてのそういうサービス、努力ということ、それから新規需要の開拓というようなことをあわせ努力するとともに、関係者、実需者の理解を得てできるだけ輸入でん粉の抱き合わせの円滑な遂行を図る、そのために役所としてもできるだけその指導に努めていくことによって最大限消化を考えていくということしかないと私は考えております。
  93. 神田厚

    神田委員 そうすると、関税は上げられない、それからさらに買い入れについてはむずかしいということになりますと、これから先非常に厳しい状況が続くと思うのですが、やはりこの抱き合わせの比率の変更というのを具体的にある程度数字を出してやっていかなければならないというふうに考えるわけであります。  その辺のところが一つと、それからさらにカンショについては今年度行政指導価格をつけてもらいたいという希望があるわけでありますね。この辺につきましてもトン当たり九千三百三十三円というような要求が出ていますけれども、この二点について簡単で結構ですから……。
  94. 杉山克己

    杉山政府委員 抱き合わせの問題は、確かにたくさん抱き合わせればよけい引き取るだろうということは言えますが、同時に全体としての需要がだぶつくということがありますので、そこら辺を双方にらみながら適正な抱き合わせ率を決めていくことが必要だろうと考えております。  それから、カンショについて昨年まで指導価格を現実に決めてまいっております。本年もその必要はある、継続してこれを定めたいというふうに考えております。
  95. 神田厚

    神田委員 時間が余りありませんので、突っ込んだ話にならなくてあれなんですが、続いて、てん菜糖について御質問申し上げます。  五十二年の四月二十六日に甘味資源審議会が農林大臣に対しまして答申をしております。この甘味資源審議会の答申につきましてまず最初にお尋ねをしたいと思うのでありますが、「てん菜及びさとうきびは、畑作経営における基幹作物であることにかんがみ、その生産振興を図るため、土地基盤整備の推進、試験研究の充実、機械化の推進等に努められたい。なお、てん菜については、合理的な輪作体系の確立を図るよう適切な増産対策を推進するように努められたい」、こういうふうな意味のものがありまして、「甘味資源作物全体の生産価格決定にあたっては、農家が意欲を持って生産に取り組めるよう、適正な農家所得を確保するよう努められたい。」こういうふうに言われております。  そこで、先ほどから問題になっておりますのは、この生産奨励金基本価格の中に織り込むかどうかというような問題で少し突っ込んだ話が出てまいりまして、現在、予備費から措置されているこの生産奨励金というものが非常に不自然な形だと私は思うわけであります。いつこれが切られてしまうのかというような形で、企業の実態から、これがスムーズに企業の方が出せないという形になりますれば、やはりこの生産奨励金そのものを基本価格の中に織り込んでいかなければならない、こういうふうに考えているわけであります。この点につきまして、まず第一点、お伺いいたします。  さらに第二点につきましては、生産農家の努力によりまして増反をされました。そして、これは増反奨励金が五十一年から五十四年まで一年に三千ヘクタールという中で出されるというふうなことでございますが、すでにもう七千ヘクタールということになりますと、それをオーバーしているわけであります。しかし、オーバーしておっても、さらに来年度はこれに上積みをして三千ヘクタール分の増反奨励金を出してくれという要望が出ているわけでありますけれども、この点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。  それから第三点は、全体の砂糖業界をめぐる問題につきまして、また審議会の答申に戻りますが、「最近における糖業をめぐる厳しい情勢の中で、糖価の安定を図ることは当面の緊急課題である。その意味で、現在指示カルテルにより糖価の安定が維持されているが、これらの成果を踏まえて、価格安定のための施策の充実に努められたい。」そして「長期的視点に立って、精糖業界における体質改善を図り、それを基盤として需給の適正化が実現できるような環境の整備に努められたい。なお、これらの施策の推進の成果を見究めつつ、糖業制度全般の見直しについてもさらに検討を進められたい。」こういうふうな答申が出ておりまして、それに沿って、今度豪州糖との関係がありまして政府の方ではいろいろ法案を考えているようでありますけれども、ひとつそれらの面を含めまして、この甘味資源全体の問題と、それから精糖業界の再編あるいはそれに対する政府の指導、そういうものも含めまして、局長と、最後に政務次官からお答えをいただきまして、質問を終わらしていただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  96. 杉山克己

    杉山政府委員 四月二十六日に甘味資源審議会からちょうだいいたしました建議は、全省的な、各局にまたがる事項を含んでおります。先生指摘のように、たとえば基盤整備の問題でありますとか試験研究の充実、機械化の推進、これらの問題についてそれぞれ関係する部局に連絡をいたしまして、それぞれの立場でもって対策展開していただいているという状況でございます。  私どもが直接所管しております価格のことについて申し上げますと、奨励金の具体的な扱いのことについてお尋ねでございましたが、この奨励金は、四十九年に企業が収益が出て負担し得る状況になったというような前提のもとに、四十九年十月に、それまで決められておりましたところの最低生産者価格とは別に、まさに奨励金として支払われたという経緯がございます。その後企業の収益性が落ちまして支払い得なくなった、ごく一部しか負担できないというような状況になりましたので、これをそのまま打ち切るわけにはいかないということで、政府がその補てんをする、そういう形でもって全体としての奨励金は前年同様継続をしたのが五十年でございます。五十一年はさらに企業の収益状況が悪くなった、あるいは前提とする条件が変わってまいったというようなことで、全額政府負担で見ております。その意味では、奨励金ではありますが、今日までこのような形で政府と企業の共同責任でこれを見るということを続けてまいりました実績は覆すわけにまいらない。これは価格そのものではございませんが、継続するという考え方で私どもおります。その意味では安定性は、価格そのものではないにしてもそれなりに確保されているというふうに考えております。  これを価格に組み込むかどうかにつきましては、いま申し上げましたような経緯もあり、それから糖価安定法上の仕組みとの関連もありますので、これらの関連を十分詰めた上、財政当局とも協議いたしまして取り扱いを決めたいと思っております。  それから、最近の糖業界の状況はきわめて生産過剰、供給過剰で市価が低落している、これを回復するための基本的な対策いかんということでございますが、私どもといたしましては糖安法に基づく指示カルテルということだけでなしに、そういうことがある期間きちんと維持できるような仕組み、需給調整の制度をこしらえたいということで、いま鋭意検討を進めているところでございます。
  97. 小島和義

    小島説明員 私の方からは、建議にございました中の甘味資源作物に対する機械化の推進あるいは優良種苗等の供給の問題、さらにはお尋ねのございましたてん菜増反奨励金の問題についてお答えを申し上げます。  てん菜にいたしましても、サトウキビにいたしましても、大変労働多投型の作物であるということがこの作物生産を伸ばす上の一つのネックであるというふうな理解をいたしておるわけでありまして、てん菜につきましては多年にわたりましてさまざまな省力用の機械の導入に努めてまいりました。現在におきましても栽培の省力化あるいは栽培規模の拡大をねらうという視点に立ちまして、生産安定拡大対策というふうなかなりまとまった予算を投じまして、その機械化を進めておるところでございます。  それから、優良種苗の供給の問題、これは主としてサトウキビの問題でございますが、現在でも種子島に農林省の原原種農場を持っておりまして、優良種苗の供給に努めておるわけでありますが、さらに沖繩からも強い要望があるというふうなことも踏まえまして、明年度以降必要な予算措置を講ずべく現在努めておるところでございます。  それから、同じく建議にございました災害補償の問題につきましては、現在、農林経済局の方で進めております畑作共済の全面実施の中におきまして、サトウキビもその対象作物として入れてもらうように働きかけておるわけでございまして、そういう方針で進んでおるというふうに承知をいたしております。  それから、お尋ねのございましたてん菜作付奨励補助金の問題でございますが、これはことしの実績がすでに四万九千ヘクタールまでいっている。しかし、年次計画で申しますと、明年の目標は四万八千ヘクタールになるはずでございます。実績が高いからといってその上にさらに目標を上積みするという考えはございませんで、四万八千ヘクタールを目標にいたしましてさらに実績の確保を要望したい、こう思っておるわけでございます。
  98. 羽田孜

    羽田政府委員 先ほど来畑作物全般につきましてもずっといろいろと御指摘があったわけでございます。やはり畑作農業に携わる皆さん方が意欲を持ってやっていただく、これが一番大事なことでありまして、それにはいま当面いたします価格の問題、それから途中で御指摘のございました基盤整備の問題、あるいはせっかくつくったものにつきましてきちんとはけなければならぬということがございます。こういった問題を含めまして、業界の再編などまでもいろいろと考えながら、今後ともそういった問題につきまして、いわゆる全体の環境整備、これについて努めてまいりたい。その中で意欲を持って畑作農業に携われるような環境づくりをしてまいりたい、かように存じております。
  99. 神田厚

    神田委員 確認したいのですが、答弁の、四万八千ヘクタールの上にさらに上積みはしないということですか。
  100. 小島和義

    小島説明員 目標面積自体を押し上げるというつもりはございませんが、せっかくことし四万九千ヘクタールまでつくっていただいたわけでございますから、その実績程度のものは確保されるように、指導の問題としては臨みたい、こういうことでございます。
  101. 神田厚

    神田委員 わかりました。  終わります。
  102. 金子岩三

  103. 津川武一

    津川委員 きょうの理事会の申し合わせの課題からちょっと離れますが、サクランボのことなのです。  九月の三十日に主産地の山形の寒河江でサクランボの輸入解禁反対の大会を開いております。きのうは青森県の三戸郡で同じように農民が大会を開いております。サクランボは稲作転換作物として導入されております。また、非常に手数のかからない、手数がかかるというと六月の下旬から、一時期しかかからないので、畑作物や他の果物と競合しない、地域の農業を支える非常に大事な大事なものでございますが、この輸入禁止を政府は解禁する腹なのか。問題はコドリンガがどうかということだけになったようですが、アメリカではコドリンガの薫蒸をやって大丈夫だと言っております。ところが、われわれはそれを信用していいのかどうか。日本の学者で、技術で、同じことを追試してみて、その上でなければ向こうの要求に応じられないと思うのですが、サクランボの輸入解禁の状況がどうなっているか、これを私の言った日本の技術者で検討する必要があると思いますが、この二点、答えていただきます。
  104. 小島和義

    小島説明員 御指摘がございましたサクランボの問題につきましては、輸入制度といたしましてはすでに自由になっておるわけでございまして、検疫の問題が残っておるわけでございます。この問題について、長い間の懸案でございまして、アメリカ側におきましても日本の要望をこなしまして、アメリカ側としてはある程度自信を持った消毒ができる、こういうことになっておりまして、技術的な問題についての最終的な詰めというのはもう時間の問題であるというふうに私どもは考えております。  御指摘のございました日本側で同じようなことをやってみられないかどうかという問題につきましては、コドリンガのついておるようなサクランボを日本に解禁以前に持ち込むということについてさまざまな制約もございますので、向こう側の実験データというものを、私どもの役所の専門家はもちろんでございますし、それから、いよいよ本決まりということになりますれば当然公聴会というふうなかっこうで国内の学識経験者の意見も十分聞きました上で最終的な腹を決める、こういうことになろうかと思いますので、直接同じような実験をやるということについてはちょっと問題があろうというふうに考えております。
  105. 津川武一

    津川委員 アメリカがあれほど日本に要求しているのであるから、日本の技術者を派遣して、日本の技術者でアメリカの施設を使ってみたり、アメリカの薬を使って実験してみたらどうか、いかがでございます。これが一つ。  公聴会の場合、主産地の、主としてそのサクランボを一番多くつくっている単協の人たちをも公聴会に呼んで意見を聞くべきだと思うのですが、この二点、重ねて……。
  106. 小島和義

    小島説明員 お話しのように、アメリカ側の実験につきましては、日本側からも、実験途中ではございますけれども、実際の場につきまして専門家を派遣したということはすでにあるわけでございます。  それから、公聴会の開催の問題でございますが、これは一応公示をいたしまして、発言を希望したい、意見を述べたいという方につきましては、極力機会を与えるということにいたしますので、生産者の立場にあられる方にも当然発言の機会は与えるつもりでございます。
  107. 津川武一

    津川委員 アメリカの消毒の実験に途中から参加したという、やはり問題があります。初めから参加しなければならぬ、計画を組んだときから。したがって、私たちはこの段階では依然として入れてはいけない。途中から参加したという事態はかなり重く取り扱わなければならぬと思いますので、後刻またこの点は論議をしてみたいと思います。  そこで、きょうの主題に移ります。私たちは、問題になっておる農産物価格について農民の要求を支持する、その実現のためにわれわれもがんばる。それが幾らかでもそこに近づくように政府を鞭撻し、要求していきます。この立場から大豆を中心に若干質問してみます。  四十五年度から稲転の生産調整、稲作転換を始めて、大豆を転換作物の戦略の一つにした。だから、その過程の中で四十七年に農産物長期見通しを立てた。そこで決めたのは、四十七年の八万九千ヘクタールから六十年に二十万五千ヘクタールにふやすことをした。生産量では四十七年の十二万七千トンから六十年に四十三万五千トンにするという計画を立てた。戦略目標としてやった。これはそのとおり進んでいましょうか、いかがでございます。
  108. 小島和義

    小島説明員 目標のとおりにはどうも足取りは進んでおらぬように思います。
  109. 津川武一

    津川委員 こういうふうに戦略作物として決めたので、政府大豆生産振興対策指導推進費、大豆振興対策費、大豆生産振興奨励補助金などを出して大豆生産のために当たった。その費用、四十九年四億一千二百三十三万円、五十年十七億八千六百五万円、五十一年二十二億四千八十万円、五十二年二十三億三千一百二十六万円計上している。この四カ年分だけで合計六十七億七千四十六万円、かなり多額のお金を投資しています。私はこれは投資は必要だと思います。だが、その結果、いま政府が答えたとおりの状態です。  もっと詳しく言うと、作付面積で畑では四十六年七万九百ヘクタール、それが五十一年六万六千九百ヘクタール、生産量四十七年の十二万七千トンが五十一年には十一万トンです。戦略作物として立てて、一年に二十数億円のお金を投じて、結果がこのとおりでございます。政府は一体何をしているのでしょう、こういう声が農家の間から出て、農業不信の非常に大事な根拠になっております。どうしてこうなったのか、このことで政府検討したことがあるのか。来年また百七十万トン減反する、その戦略作物は依然として大豆である。こういう状態の検討なしには、反省なしには、来年また日本の農業と農民をとんでもないところに引きずり込んでいきます。  そこで、どうしてこうなったか、この点について反省や計画や検討がどうであったか、これからどうするのか、この点で答えていただきます。
  110. 小島和義

    小島説明員 昨年からことしにかけましての短期の作付の変動の要因につきましてはいろいろな事情がございますが、長期的にながめてみまして、大豆生産がなかなか思うようにふえていかないという理由は幾つかございますが、北海道と内地と大別をして考えてみた方がよかろうと思います。  北海道の場合には畑作の輪作物の一部をなしておるわけでございまして、同じ豆類でございますところの小豆はもちろん、ほかの夏作物の間に収益関係のいかんによりまして変動はございますが、基本的には輪作の一部を形成しておるわけでございますから、豆類全体として考えてみますと、全体としては豆類の比率は下がっておりますものの、ある程度の地位は占めておるものというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、その中で大豆だけの作付面積をふやしていくということは、当然ほかの夏作物を押しやるという結果になるわけでございますから、その意味におきましては北海道畑作大豆というのは、消長はございますが、畑作の全体的な面積の中において位置づけてみるならば、それが非常に減少の一途をたどっているということにはなっていないというふうに考えているわけであります。  問題は内地の問題でございます。特に増反の期待をいたしておりますのは水田の転作物という位置づけ、これは長期見通しでもそのような位置づけをいたしておるわけでありますが、内地の場合に北海道と一番違いますのは、過去におきまして四十万ヘクタールくらいの作付の経験はあるわけでございますが、その実態というのは畑におきます空閑期の利用あるいは畦畔利用というふうな形で、農家のメインの作物、主力の作物として商品生産の目的に当てられたことがないということが一番決定的な点であろうと思います。したがいまして、反収の水準というのは非常に停滞的でございまして、過去を振り返ってみましてもほとんど上昇の跡が見られない、畑作物の中で反収がどんどんふえていくというふうな技術がございませんとなかなか作柄がふえない、これは水田転作大豆についても同じようなことが言えるわけでございまして、私どもとしては、この根本の問題というのは、いかにして大豆につきましても二俵とか三俵という水準ではなくて五俵とか六俵という水準に持っていくか、こういうところが一つのポイントであろうと思います。  その意味におきまして、現在でも一部の都府県におきましては非常に大豆を重要作物として取り上げておりまして、面積自体も、その県で見るならば相当ふえているという県もございますものですから、そういう事例を踏まえながら、いかにしてそれを面的に拡大していくかという問題を重点に考えてまいりたいと思っておるわけでございます。もちろん価格の問題あるいは転作奨励金の水準の問題ということについてもその一環として考えていく所存でございます。
  111. 津川武一

    津川委員 北海道大豆だけでないほかの関連も言っているけれども、ビートも減っているんだよ、バレイショも減っているんだよ、大豆もふえないんだ。  そこで、問題はそこにはなくて、いま政府が言った価格の問題もという、そこに問題がある。それは全国農業協同組合中央会で調査した。なぜ大豆をつくらないか、つくれないか。これが大豆の販売収入が少ないからというのが二六%、転作奨励金が支出されないからというのが二五%、価格が低く稲作の方が有利だから大豆はつくれないというのが三三%、これだけで九割もある。問題は、価格の一点だけが一番重要な課題になっているということを政府は少しも反省しないところに問題があると思うのです。  この点で考えていくならば、私は政府の統計資料から一つの物をつくってみました。そうすると、五十一年で大豆北海道で稲転の場合、十アール当たり九万五千二百八十二円、米では十二万三千百三十円、青森県で大豆では反収八万八千三十七円、お米では十五万七千七百六十五円、これが政府統計から出てくる勘定だ。これで稲作をやめて大豆をつくれと言ったって、これは農民をむちで地獄に追いやることでありませんか。ちゃんと中央会の調査においても農民はそのことを言っている。  ここのところで大事な大事なことを考えなければならぬ。農民団体は一俵一万六千円を要求している。とりあえずこれを実現させてあげて、やがて農民が喜んで稲転ができるように、価格のことを中心に考えなければならぬ。政府の答弁は、あれこれ言っていたけれども価格は付随になっている。ここいらの反省がないから稲転ができないんだ。この点はいかがでございますか。絶対にここの点が一つの重要な中心課題だと思うのでございますが、この点の取り組みはぜひぜひ必要だと思います。
  112. 小島和義

    小島説明員 農家の手取り価格の問題につきましては、御指摘のような点が過去においてなかったとは私ども考えておりません。大豆なたね交付金法の運用におきましても、過去においてはいろいろ問題があったわけでありますが、四十七年以降の手取り価格奨励金込みの価格ということで見ますならば、年々、他の作物に比べまして遜色のない、むしろかなり上回ると言ってもいいぐらいの引き上げをやってきているわけであります。  その水準が絶対的に正しいかどうかというのはいろいろ議論のあるところでございます。特に転作の場合で考えてみますと、米の生産力水準との関係におきまして、農家の手取りというのも米につきまして違ってまいるわけでございます。転作奨励金におきましても、基準収量の差によりましてその奨励金自体の水準の差も設けておりますけれども、見合いの転作物が、米の生産力水準の高いところが当然転作物も高いという関係にない以上は、完全に各地域においてパラレルかどうかという点については、しさいに見ればいろいろ問題があろうと思います。そういう点も含めまして、転作奨励金の問題で見直しをいたしたいというふうに考えております。
  113. 津川武一

    津川委員 ほかの農産物を考えないで、稲転だから稲作の反収と同じに考えなければならぬ、この点を強く強く指摘して、またもや反省なしに逃げていって、やろうとしている、大変なことになります。  もう一つは、稲転の場合は特別指導金なんか入ると五万円、新しく開畑の場合、これがないんだよ。こういう情勢で畑作から大豆がつくれると思っているのかどうか。思っていると、とんでもない話です。  それでもう一つ、大豆を進めていく上で価格と並んでいくのは、湿害を除去する土地基盤整備、輪作体系、それから共済制度だとかいろいろある中で、生産量の問題、反収の問題。私たちの農事試験場が懸命に努力を進めて、反収三百キロ、五俵というのを試験場でつくっているんです。私はこれはすばらしいと思う。いまの北海道の百七十キロ、これが三百キロになったならば、農民がかなり自主的に喜んで稲転ずるんだ。内地ではまだ百五十キロ、二俵半もいっていない。これを試験場では内地でも三百キロに上げているんです。この大きな成果をなぜこのままほったらかしておくのか。これをやはり改良普及や土地基盤整備やいろいろな点で、その三百キロを上げた条件を、北海道で、内地で実現していくならば、あの試験研究所の努力というものが非常に多く実って大豆というものの転換ができていく。この三百キロをどうするか、宝の持ちぐされにしてしまうのか、このつくった条件を一般のところに当てはめていくのにはどうすればいいか、これが一つ。  第二番目に、来年から百七十万トン稲転を政策を変えてやるとすれば、農民が喜んでやれるような条件をつくることが第一なんだ。こういう点で、試験研究でまず条件をつくっておいて、さあ農民どうだといかなきゃならないんだ。ところが、試験研究の予算、五十三年度分として要求しておる予算は、またさびしいんだな。一一九%、全体として一二%、試験研究の方が一九%、稲転の予算は二千億円、この中において試験研究を先行させるということが何よりも必要で、三百キロに上がるという条件をつくることを先行させていくことが必要なんだけれども、この点でいい成果を上げた試験研究所、さらに私は稲転の基本的な条件として、ここに研究を積み重ねる人、施設、予算をふやさなければならぬ、こう思うのでございます。  この点に小島審議官から答えていただき、政府意見を次官からも聞かしていただいて、私は終わります。
  114. 小島和義

    小島説明員 転作奨励金のついております水田と新しく開畑をしましたようなところの大豆とのアンバランスという問題は、これは水田転作が一つの緊急課題として奨励金をつけております関係上、手取りの差が出てくるということはある意味でいたし方のないことと思っております。  ただ、そうは申しながら畑作大豆をつくります場合に、北海道のように一年一作のところは別でございますが、内地のようなところで大豆畑作に取り入れていくためには、大豆だけをつくっていくという形の畑作というのは余り考えられないのでありまして、ほかの、手はかかるけれども収益は高いという作物大豆のように比較的省力化できるという作物をどう組み合わせて全体の畑作経営を考えるか、こういう問題であろうと思います。特に、お話のございました反収向上の問題は私どもも重要な問題と考えておりまして、決して試験場の成績というものをそのままほってあるということではございませんで、普及のルートに乗せまして、現在でもその実証圃とかあるいはモデル集落事業というものを通じましてこれを現地に広めていくということに最善の努力を払っているところでございます。
  115. 下浦静平

    ○下浦政府委員 ただいま試験研究の問題につきまして御指摘がございましたが、私ども引き続き多収かつ良質の大豆の品種の育成ということにも今後とも力を入れてまいる所存でございます。  なお、来年度以降につきましては、なお残った問題、たとえば収穫・乾燥の問題でございますとか、あるいは病害虫問題、鳥害の問題等がございますので、その辺に焦点を当てた研究を進めてまいりたいと考えております。  できるだけの努力をいたすつもりでございます。
  116. 羽田孜

    羽田政府委員 先ほど来御指摘がございました大豆につきましては、まさにわが国の伝統的食品の一つの大きな原料でございます。しかし、もう自給率は先ほど来お話しのとおりでございまして、これはもう何としても私どもの農作物の中での大きな戦略的な作物でございます。特に稲転について麦あるいは飼料作物と一緒にこの大豆を考えておるわけでございます。こういったような点につきまして、農民の皆さんが一層意欲を持ってやっていただけるような価格、これはやはり私どももつくっていかなければならぬというふうに考えます。  それから、何といいましても価格だけでは、これは一般の方あるいはまた加工業者の方々にも吸収していただくことができないわけでございます。そういったことを考えましたときに、先ほど来御指摘がございましたように、やはりもう少し反収を上げていくということが最大の目標であるわけでございます。そういった意味で、試験研究機関にも御苦労いただきながら、いま先生が御指摘のような多収穫の品種もつくり上げてきたところでございます。しかし、これの普及、こういったもののための基盤整備、こんなものもあわせてやっていかなければならぬと思います。  ただ、試験研究というのも、一遍にお金を投下いたしましても直ちに成果が上がるものじゃないというふうに考えておりまして、五十三年度の要求というものは私ども妥当だと思っておりますけれども先生からいまいろいろと御指摘がありましたことも、私ども同様な考えを持っておりますので、この点につきましてはこれからも一層助長するように進めてまいりたい、かように存じます。
  117. 金子岩三

    金子委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時五十九分休憩      ————◇—————     午後五時五十一分開議
  118. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、美濃政市君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る昭和五十二年産畑作農産物価格決定等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。美濃政市君。
  119. 美濃政市

    美濃委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、昭和五十二年産畑作農産物価格決定等に関する件について御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     昭和五十二年産畑作農産物価格決定等に関する件(案)   食糧自給力の向上がわが国農政の最重要課題であることにかんがみ、政府は、本年産てん菜最低生産者価格、甘しよ・馬れいしよの原料基準価格大豆基準価格等の決定に当たつては左記事項の実現を期すべきである。         記  一 てん菜、甘しよ・馬れいしよ及び大豆生産価格については、前年度の農家手取価格を基礎にして、最近における労賃、生産資材等の上昇を適正に織り込み、農家の所得及び再生産の確保が十分図られるよう所要の措置を講ずること。  二 てん菜糖事業団買入れ価格及び甘しよ・馬れいしよでん粉等政府買入れ価格については、原料歩留、製造経費等の上昇を適正に織り込んだ価格水準に引き上げること。  三 国内産でん粉の優先消化を図るため、関税割当制度の継続とその運用強化に努めるとともに、国内産いもでん粉の新規用途開発促進と需要拡大対策を講ずること。  四 当面緊急に国内糖価の安定をはかる行政措置を講ずるとともに糖価安定事業団による粗糖の需給調整が行われるよう速やかに制度の改善をはかること。  五 てん菜、甘しよ・馬れいしよ及び大豆などの自給率向上を図るため、輪作体系の確立、土地基盤整備の早期実施、優良種苗の普及、機械化体系の確立等の実効ある生産対策を行うこと。   右決議する。  以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じてすでに各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  120. 金子岩三

    金子委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に御発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  ただいまの美濃政市君外五名提出の動議のごとく、昭和五十二年産畑作農産物価格決定等に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、本件は委員会の決議とすることに決しました。  この際、本決議に対し、政府より所信を求めます。鈴木農林大臣
  122. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 ただいまの御決議につきましては、十分検討し、適切に対処すべく努力いたす所存でございます。(拍手)
  123. 金子岩三

    金子委員長 ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らうことにいたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十六分散会