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1977-11-25 第82回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二十五日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 林  義郎君    理事 武藤 嘉文君 理事 山崎  拓君    理事 佐野  進君 理事 松本 忠助君       鹿野 道彦君    粕谷  茂君       島村 宜伸君    中島  衛君       中西 啓介君    楢橋  進君       西銘 順治君    萩原 幸雄君       橋口  隆君    藤本 孝雄君       前田治一郎君    渡部 恒三君       渡辺 秀央君    板川 正吾君       後藤  茂君    清水  勇君       武部  文君    中村 重光君       渡辺 三郎君    岡本 富夫君       長田 武士君    西中  清君       宮田 早苗君    柴田 睦夫君       安田 純治君    大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 龍夫君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      倉成  正君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局経済部長 妹尾  明君         公正取引委員会         事務局取引部長 長谷川 古君         経済企画庁国民         生活局長    井川  博君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業省通商         政策局長    矢野俊比古君         通商産業省貿易         局長      西山敬次郎君         通商産業省産業         政策局長    濃野  滋君         通商産業省基礎         産業局長    天谷 直弘君         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         中小企業庁長官 岸田 文武君  委員外出席者         経済企画庁調整         局審議官    阿多 忠明君         環境庁大気保全         局企画課長   吉原 健二君         大蔵省主計局主         計官      宍倉 宗夫君         大蔵省銀行局総         務課長     石川  周君         大蔵省国際金融         局短期資金課長 岸田 俊輔君         国税庁直税部法         人税課長    北村 恭二君         運輸大臣官房海         洋課長     岩田 光正君         運輸省船舶局造         船課長     間野  忠君         運輸省自動車局         整備部整備課長 北川  清君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――- 委員の異動 十一月二十五日  辞任         補欠選任   佐々木義武君     渡部 恒三君   西銘 順治君     藤本 孝雄君   玉城 栄一君     岡本 富夫君   工藤  晃君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   藤本 孝雄君     西銘 順治君   渡部 恒三君     佐々木義武君   岡本 富夫君     玉城 栄一君   柴田 睦夫君     工藤  晃君     ――――――――――――- 十一月二十四日  小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律  案(中村重光君外九名提出、衆法第六号) 同月二十五日  小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律  案(橋口隆君外五名提出、衆法第七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――- 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  通商産業基本施策に関する件  経済の計画及び総合調整に関する件  私的独占の禁止及び公正取引に関する件  請 願     一 鉄線二次産業危機打開に関する請       願(大成正雄紹介)(第四七一       号)     二 電気工事士法改正に関する請願(       石田博英紹介)(第六九七号)     三 同(近藤鉄雄紹介)(第七三一       号)     四 同(住栄作紹介)(第七三二号)     五 同(稻村佐近四郎君紹介)(第七四       二号)     六 同(小渕恵三紹介)(第七四三       号)     七 同(川崎秀二紹介)(第七四四       号)     八 同(瓦力君紹介)(第七四五号)     九 同(藏内修治紹介)(第七四六       号)    一〇 同(小坂善太郎紹介)(第七四七       号)    一一 同(坂本三十次君紹介)(第七四八       号)    一二 同(鈴木善幸紹介)(第七四九       号)    一三 同(砂田重民紹介)(第七五〇       号)    一四 同(田中伊三次君紹介)(第七五一       号)    一五 同(田中六助紹介)(第七五二       号)    一六 同(田村元紹介)(第七五三号)    一七 同(中西啓介紹介)(第七五四       号)    一八 同(野呂恭一紹介)(第七五五       号)    一九 同(松野頼三君紹介)(第七五六       号)    二〇 同(三塚博紹介)(第七五七号)    二一 同(箕輪登紹介)(第七五八号)    二二 同(森喜朗紹介)(第七五九号)    二三 同(森下元晴君紹介)(第七六〇       号)    二四 鉄線二次産業危機打開に関する請       願(荒木宏紹介)(第六九八号)    二五 同(工藤晃君(共)紹介)(第六九       九号)    二六 同(東中光雄紹介)(第七〇〇       号)    二七 同(正森成二君紹介)(第七〇一       号)    二八 同(三谷秀治紹介)(第七〇二       号)    二九 同(安田純治紹介)(第七〇三       号)    三〇 鉄骨加工業者経営安定化に関する       請願河本敏夫紹介)(第七四一       号)    三一 繊維産業の安定及び流通産業近代化       促進に関する請願外二件(西田八郎       君紹介)(第八二八号)    三二 同外一件(河村勝紹介)(第八五       二号)    三三 同(小宮武喜紹介)(第八五三       号)    三四 同(宮田早苗紹介)(第八五四       号)    三五 同外一件(受田新吉紹介)(第九       四五号)    三六 同外一件(春日一幸紹介)(第九       四六号)    三七 同外一件(塚本三郎紹介)(第九       四七号)    三八 同外一件(山本悌二郎紹介)(第       九四八号)    三九 同外七件(稲富稜人君紹介)(第九       九九号)    四〇 同外一件(佐々木良作紹介)(第       一〇〇〇号)    四一 同外一件(渡辺朗紹介)(第一〇       〇一号)    四二 同(曽祢益紹介)(第一一七四       号)    四三 同外七件(吉田之久君紹介)(第一       一七五号)    四四 電気工事士法改正に関する請願(       古井喜實紹介)(第八一七号)    四五 同(渡部恒三紹介)(第八一八       号)    四六 同(石井一紹介)(第一一五一       号)    四七 同(小沢辰男紹介)(第一一五二       号)    四八 同(近江巳記夫紹介)(第一一五       三号)    四九 同(片岡清一紹介)(第一一五四       号)    五〇 同(金子一平紹介)(第一一五五       号)    五一 同(木野晴夫紹介)(第一一五六       号)    五二 同(北川石松紹介)(第一一五七       号)    五三 同(櫻内義雄紹介)(第一一五八       号)    五四 同(塩川正十郎紹介)(第一一五       九号)    五五 同(園田直紹介)(第一一六〇       号)    五六 同(玉生孝久紹介)(第一一六一       号)    五七 同(戸沢政方紹介)(第一一六二       号)    五八 同(中山正暉紹介)(第一一六三       号)    五九 同(永田亮一紹介)(第一一六四       号)    六〇 同外一件(灘尾弘吉紹介)(第一       一六五号)    六一 同(野田毅紹介)(第一一六六       号)    六二 同(林義郎紹介)(第一一六七       号)    六三 同(原田憲紹介)(第一一六八       号)    六四 同(前尾繁三郎紹介)(第一一六       九号)    六五 同(森喜朗紹介)(第一一七〇       号)    六六 同(矢野絢也君紹介)(第一一七一       号)    六七 同(湯川宏紹介)(第一一七二       号)    六八 同(渡辺栄一紹介)(第一一七三       号)    六九 鉄骨加工業者経営安定化に関する       請願外一件(河本敏夫紹介)(第       九四四号)    七〇 鉱業基本法制定等に関する請願(       椎名悦三郎紹介)(第一一四八       号)    七一 大規模小売店舗における小売業の事       業活動の調整に関する法律の改正に       関する請願椎名悦三郎紹介)(       第一一四九号)    七二 中小企業倒産防止特別対策早期確       立に関する請願椎名悦三郎君紹       介)(第一一五〇号)    七三 信用保証協会強化育成に関する請       願(井出一太郎紹介)(第一二七       一号)    七四 同(唐沢俊二郎紹介)(第一二七       二号)    七五 同(倉石忠雄紹介)(第一二七三       号)    七六 同(小坂善太郎紹介)(第一二七       四号)    七七 同(清水勇紹介)(第一二七五       号)    七八 同(中島衛紹介)(第一二七六       号)    七九 同(羽田孜紹介)(第一二七七       号)    八〇 松本市に商工組合中央金庫の店舗設       置に関する請願井出一太郎君紹       介)(第一二七八号)    八一 同(唐沢俊二郎紹介)(第一二七       九号)    八二 同(倉石忠雄紹介)(第一二八〇       号)    八三 同(小坂善太郎紹介)(第一二八       一号)    八四 同(清水勇紹介)(第一二八二       号)    八五 同(中島衛紹介)(第一二八三       号)    八六 同(羽田孜紹介)(第一二八四       号)    八七 金属鉱業危機打開緊急施策に関す       る請願外七件(伊賀定盛紹介)(       第一七一七号)    八八 同(長田武士紹介)(第一七一八       号)    八九 同外六件(角屋堅次郎紹介)(第       一七一九号)    九〇 同外一件(川俣健二郎紹介)(第       一七二〇号)    九一 同外九件(後藤茂紹介)(第一七       二一号)    九二 同外三件(上坂昇紹介)(第一七       二二号)    九三 同(佐々木義武紹介)(第一七二       三号)    九四 同(塩崎潤紹介)(第一七二四       号)    九五 同外二件(楯兼次郎君紹介)(第一       七二五号)    九六 同(玉城栄一紹介)(第一七二六       号)    九七 同外二件(玉置一徳紹介)(第一       七二七号)    九八 同(西中清紹介)(第一七二八       号)    九九 同外一件(藤田高敏紹介)(第一       七二九号)   一〇〇 同外五件(島本虎三紹介)(第一       七三〇号)   一〇一 同外一件(松本忠助紹介)(第一       七三一号)   一〇二 同外二件(宮田早苗紹介)(第一       七三二号)   一〇三 同外八件(柴田健治紹介)(第一       七三三号)   一〇四 同(山下元利紹介)(第一七三四       号)   一〇五 同(渡部恒三紹介)(第一七三五       号)   一〇六 同外三件(板川正吾紹介)(第一       九六九号)   一〇七 同外十件(岡田利春紹介)(第一       九七〇号)   一〇八 同(加藤万吉紹介)(第一九七一       号)   一〇九 同(金子一平紹介)(第一九七二       号)   一一〇 同外十一件(川崎寛治紹介)(第       一九七三号)   一一一 同外十一件(川俣健二郎紹介)(       第一九七四号)   一一二 同(小坂善太郎紹介)(第一九七       五号)   一一三 同外六件(上坂昇紹介)(第一九       七六号)   一一四 同(近藤鉄雄紹介)(第一九七七       号)   一一五 同外五件(佐藤敬治紹介)(第一       九七八号)   一一六 同外二件(佐野憲治紹介)(第一       九七九号)   一一七 同外二件(斉藤正男紹介)(第一       九八〇号)   一一八 同(始関伊平紹介)(第一九八一       号)   一一九 同(柴田健治紹介)(第一九八二       号)   一二〇 同(島本虎三紹介)(第一九八三       号)   一二一 同外三件(多賀谷真稔紹介)(第       一九八四号)   一二二 同外二件(楯兼次郎君紹介)(第一       九八五号)   一二三 同外二件(土井たか子紹介)(第       一九八六号)   一二四 同(野田毅紹介)(第一九八七       号)   一二五 同外三件(馬場猪太郎紹介)(第       一九八八号)   一二六 同(林義郎紹介)(第一九八九       号)   一二七 同外九件(藤田高敏紹介)(第一       九九〇号)   一二八 同(藤本孝雄紹介)(第一九九一       号)   一二九 同外三件(武藤山治紹介)(第一       九九二号)   一三〇 同外十四件(矢山有作紹介)(第       一九九三号)   一三一 アルミニウム産業再建等に関する       請願池田克也紹介)(第一七三       六号)   一三二 同(武田一夫紹介)(第一七三七       号)   一三三 同(西中清紹介)(第一七三八       号)   一三四 同(松本忠助紹介)(第一七三九       号)   一三五 同(水田稔紹介)(第一七四〇       号)   一三六 同(薮仲義彦紹介)(第一七四一       号)   一三七 同(和田一郎紹介)(第一七四二       号)   一三八 同(稲富稜人君紹介)(第一九六〇       号)   一三九 同(河村勝紹介)(第一九六一       号)   一四〇 同外一件(玉城栄一紹介)(第一       九六二号)   一四一 同外三件(玉置一徳紹介)(第一       九六三号)   一四二 同外一件(長田武士紹介)(第一       九六四号)   一四三 同(西田八郎紹介)(第一九六五       号)   一四四 同外一件(西中清紹介)(第一九       六六号)   一四五 同外一件(松本忠助紹介)(第一       九六七号)   一四六 同(宮田早苗紹介)(第一九六八       号)   一四七 電気工事士法改正に関する請願(       谷川寛三君紹介)(第一七四三号)   一四八 同(中野寛成紹介)(第一七四四       号)   一四九 同(中村重光紹介)(第一七四五       号)   一五〇 同(丹羽久章紹介)(第一七四六       号)   一五一 同(野坂浩賢紹介)(第一七四七       号)   一五二 同(足立篤郎紹介)(第一九三八       号)   一五三 同(青山丘紹介)(第一九三九       号)   一五四 同(上村千一郎紹介)(第一九四       〇号)   一五五 同(江藤隆美紹介)(第一九四一       号)   一五六 同(金丸信紹介)(第一九四二       号)   一五七 同(草川昭三紹介)(第一九四三       号)   一五八 同(小坂善太郎紹介)(第一九四       四号)   一五九 同(左藤恵紹介)(第一九四五       号)   一六〇 同(佐野嘉吉紹介)(第一九四六       号)   一六一 同(塩谷一夫紹介)(第一九四七       号)   一六二 同(塚本三郎紹介)(第一九四八       号)   一六三 同(中尾栄一紹介)(第一九四九       号)   一六四 同(中野四郎紹介)(第一九五〇       号)   一六五 同(西田八郎紹介)(第一九五一       号)   一六六 同(堀内光雄紹介)(第一九五二       号)   一六七 同(前田治一郎紹介)(第一九五       三号)   一六八 同(武藤嘉文紹介)(第一九五四       号)   一六九 同(村山達雄紹介)(第一九五五       号)   一七〇 同(渡辺紘三君紹介)(第一九五六       号)   一七一 同(渡辺武三紹介)(第一九五七       号)   一七二 繊維産業の安定及び流通産業近代化       促進に関する請願外十件(西田八郎       君紹介)(第一七四八号)   一七三 同外三件(玉置一徳紹介)(第一       七四九号)   一七四 同外四件(受田新吉紹介)(第一       九五八号)   一七五 同外三件(吉田之久君紹介)(第一       九五九号)   一七六 家庭用灯油値上げ反対に関する請       願(伊藤茂紹介)(第一七五〇       号)   一七七 同(草野威紹介)(第一七五一       号)   一七八 特許管理士法の制定に関する請願外       一件(高沢寅男紹介)(第一七五       二号)   一七九 流通関係法規の整理・整合に関する       請願萩原幸雄紹介)(第一九三       六号)   一八〇 同(林義郎紹介)(第一九三七       号)   一八一 金属鉱業危機打開緊急施策に関す       る請願笹山茂太郎紹介)(第二       〇六三号)   一八二 同(橋口隆紹介)(第二〇六四       号)   一八三 同(橋本龍太郎紹介)(第二〇六       五号)   一八四 同(村山達雄紹介)(第二〇六六       号)   一八五 電気工事士法改正に関する請願(       石田幸四郎紹介)(第二〇六七       号)   一八六 同(久野忠治紹介)(第二〇六八       号)   一八七 同(坂井弘一紹介)(第二〇六九       号)   一八八 同(西村章三紹介)(第二〇七〇       号)   一八九 同(水平豊彦紹介)(第二〇七一       号)   一九〇 特許管理士法の制定に関する請願(       小宮山重四郎紹介)(第二〇七二       号)   一九一 量販店のしょうゆの不当廉売規制に       関する請願安倍晋太郎紹介)(       第二〇七三号)   一九二 同(足立篤郎紹介)(第二〇七四       号)   一九三 同(愛知和男紹介)(第二〇七五       号)   一九四 同(伊東正義紹介)(第二〇七六       号)   一九五 同(石橋一弥紹介)(第二〇七七       号)   一九六 同(宇野宗佑紹介)(第二〇七八       号)   一九七 同(上村千一郎紹介)(第二〇七       九号)   一九八 同(内田常雄紹介)(第二〇八〇       号)   一九九 同(江藤隆美紹介)(第二〇八一       号)   二〇〇 同(小沢辰男紹介)(第二〇八二       号)   二〇一 同(小渕恵三紹介)(第二〇八三       号)   二〇二 同(大石千八紹介)(第二〇八四       号)   二〇三 同(大西正男紹介)(第二〇八五       号)   二〇四 同(大平正芳紹介)(第二〇八六       号)   二〇五 同(大村襄治紹介)(第二〇八七       号)   二〇六 同(奥田敬和紹介)(第二〇八八       号)   二〇七 同(奥野誠亮紹介)(第二〇八九       号)   二〇八 同(加藤紘一紹介)(第二〇九〇       号)   二〇九 同(金子岩三紹介)(第二〇九一       号)   二一〇 同(鴨田宗一紹介)(第二〇九二       号)   二一一 同(木野晴夫紹介)(第二〇九三       号)   二一二 同(木村武千代紹介)(第二〇九       四号)   二一三 同(倉石忠雄紹介)(第二〇九五       号)   二一四 同(後藤田正晴紹介)(第二〇九       六号)   二一五 同(佐々木義武紹介)(第二〇九       七号)   二一六 同(佐藤隆紹介)(第二〇九八       号)   二一七 同(櫻内義雄紹介)(第二〇九九       号)   二一八 同(椎名悦三郎紹介)(第二一〇       〇号)   二一九 同(塩崎潤紹介)(第二一〇一       号)   二二〇 同(瀬戸山三男紹介)(第二一〇       二号)   二二一 同(染谷誠紹介)(第二一〇三       号)   二二二 同(高鳥修紹介)(第二一〇四       号)   二二三 同(竹中修一紹介)(第二一〇五       号)   二二四 同(玉生孝久紹介)(第二一〇六       号)   二二五 同(地崎宇三郎紹介)(第二一〇       七号)   二二六 同(河本敏夫君外一名紹介)(第二       一〇八号)   二二七 同(登坂重次郎紹介)(第二一〇       九号)   二二八 同(永田亮一紹介)(第二一一〇       号)   二二九 同(灘尾弘吉紹介)(第二一一一       号)   二三〇 同(萩原幸雄紹介)(第二一一二       号)   二三一 同(浜田幸一紹介)(第二一一三       号)   二三二 同(林義郎紹介)(第二一一四       号)   二三三 同(原田昇左右紹介)(第二一一       五号)   二三四 同(福島譲二紹介)(第二一一六       号)   二三五 同(藤井勝志君紹介)(第二一一七       号)   二三六 同(藤尾正行君紹介)(第二一一八       号)   二三七 同(藤波孝生君紹介)(第二一一九       号)   二三八 同(藤本孝雄紹介)(第二一二〇       号)   二三九 同(船田中君紹介)(第二一二一       号)   二四〇 同(前尾繁三郎紹介)(第二一二       二号)   二四一 同(三池信君紹介)(第二一二三       号)   二四二 同(三木武夫君紹介)(第二一二四       号)   二四三 同(宮崎茂一君紹介)(第二一二五       号)   二四四 同(村上勇君紹介)(第二一二六       号)   二四五 同(村山達雄紹介)(第二一二七       号)   二四六 同(森下元晴君紹介)(第二一二八       号)   二四七 同(山崎拓君紹介)(第二一二九       号)   二四八 同(渡辺秀央君紹介)(第二一三〇       号)   二四九 中小企業協同組合の共同行為に関す       る請願安倍晋太郎紹介)(第二       一三一号)   二五〇 同(足立篤郎紹介)(第二一三二       号)   二五一 同(愛知和男紹介)(第二一三三       号)   二五二 同(伊東正義紹介)(第二一三四       号)   二五三 同(石橋一弥紹介)(第二一三五       号)   二五四 同(宇野宗佑紹介)(第二一三六       号)   二五五 同(上村千一郎紹介)(第二一三       七号)   二五六 同(内田常雄紹介)(第二一三八       号)   二五七 同(江藤隆美紹介)(第二一三九       号)   二五八 同(小沢辰男紹介)(第二一四〇       号)   二五九 同(小渕恵三紹介)(第二一四一       号)   二六〇 同(大石千八紹介)(第二一四二       号)   二六一 同(大西正男紹介)(第二一四三       号)   二六二 同(大平正芳紹介)(第二一四四       号)   二六三 同(大村襄治紹介)(第二一四五       号)   二六四 同(奥田敬和紹介)(第二一四六       号)   二六五 同(奥野誠亮紹介)(第二一四七       号)   二六六 同(加藤紘一紹介)(第二一四八       号)   二六七 同(金子岩三紹介)(第二一四九       号)   二六八 同(鴨田宗一紹介)(第二一五〇       号)   二六九 同(木野晴夫紹介)(第二一五一       号)   二七〇 同(木村武千代紹介)(第二一五       二号)   二七一 同(倉石忠雄紹介)(第二一五三       号)   二七二 同(後藤田正晴紹介)(第二一五       四号)   二七三 同(佐々木義武紹介)(第二一五       五号)   二七四 同(佐藤隆紹介)(第二一五六       号)   二七五 同(櫻内義雄紹介)(第二一五七       号)   二七六 同(椎名悦三郎紹介)(第二一五       八号)   二七七 同(塩崎潤紹介)(第二一五九       号)   二七八 同(瀬戸山三男紹介)(第二一六       〇号)   二七九 同(染谷誠紹介)(第二一六一       号)   二八〇 同(高鳥修紹介)(第二一六二       号)   二八一 同(竹中修一紹介)(第二一六三       号)   二八二 同(玉生孝久紹介)(第二一六四       号)   二八三 同(地崎宇三郎紹介)(第二一六       五号)   二八四 同(河本敏夫君外一名紹介)(第二       一六六号)   二八五 同(登坂重次郎紹介)(第二一六       七号)   二八六 同(永田亮一紹介)(第二一六八       号)   二八七 同(灘尾弘吉紹介)(第二一六九       号)   二八八 同(萩原幸雄紹介)(第二一七〇       号)   二八九 同(浜田幸一紹介)(第二一七一       号)   二九〇 同(林義郎紹介)(第二一七二       号)   二九一 同(原田昇左右紹介)(第二一七       三号)   二九二 同(福島譲二紹介)(第二一七四       号)   二九三 同(藤井勝志君紹介)(第二一七五       号)   二九四 同(藤尾正行君紹介)(第二一七六       号)   二九五 同(藤波孝生君紹介)(第二一七七       号)   二九六 同(藤本孝雄紹介)(第二一七八       号)   二九七 同(船田中君紹介)(第二一七九       号)   二九八 同(前尾繁三郎紹介)(第二一八       〇号)   二九九 同(三池信君紹介)(第二一八一       号)   三〇〇 同(三木武夫君紹介)(第二一八二       号)   三〇一 同(宮崎茂一君紹介)(第二一八三       号)   三〇二 同(村上勇君紹介)(第二一八四       号)   三〇三 同(村山達雄紹介)(第二一八五       号)   三〇四 同(森下元晴君紹介)(第二一八六       号)   三〇五 同(山崎拓君紹介)(第二一八七       号)   三〇六 同(渡辺秀央君紹介)(第二一八八       号)   三〇七 繊維産業の安定及び流通産業近代化       促進に関する請願受田新吉君紹       介)(第二一八九号)   三〇八 信用保証協会強化育成に関する請       願(中村茂君紹介)(第二二二三       号)   三〇九 同(原茂君紹介)(第二二二四号)   三一〇 松本市に商工組合中央金庫の店舗設       置に関する請願(中村茂君紹介)(       第二二二五号)   三一一 同(原茂君紹介)(第二二二六号)   三一二 電気工事士法改正に関する請願(       東中光雄紹介)(第二七二五号)   三一三 同(荒木宏紹介)(第二七二六       号)   三一四 同(稲垣実男君紹介)(第二七二七       号)   三一五 同(内田常雄紹介)(第二七二八       号)   三一六 同(江崎真澄君紹介)(第二七二九       号)   三一七 同(鹿野道彦君紹介)(第二七三〇       号)   三一八 同(海部俊樹君紹介)(第二七三一       号)   三一九 同(玉城栄一紹介)(第二七三二       号)   三二〇 同(鈴木強君紹介)(第二七三三       号)   三二一 同(田中美智子君紹介)(第二七三       四号)   三二二 同(中馬弘毅君紹介)(第二七三五       号)   三二三 同(辻英雄君紹介)(第二七三六       号)   三二四 同(原田昇左右紹介)(第二七三       七号)   三二五 同(安藤巖君紹介)(第二七三八       号)   三二六 同(正木良明君紹介)(第二七三九       号)   三二七 同(正森成二君紹介)(第二七四〇       号)   三二八 同(三谷秀治紹介)(第二七四一       号)   三二九 同(西銘順治君紹介)(第二七四二       号)   三三〇 消費者のための流通政策実現に関す       る請願(稲垣実男君紹介)(第二七       四三号)   三三一 同外一件(奥野誠亮紹介)(第二       七四四号)   三三二 同(木村俊夫君紹介)(第二七四五       号)   三三三 同外一件(鯨岡兵輔君紹介)(第二       七四六号)   三三四 同(坂本三十次君紹介)(第二七四       七号)   三三五 同(塚田徹君紹介)(第二七四八       号)   三三六 同(塚原俊平君紹介)(第二七四九       号)   三三七 同(中野四郎紹介)(第二七五〇       号)   三三八 同(永田亮一紹介)(第二七五一       号)   三三九 同(丹羽久章紹介)(第二七五二       号)   三四〇 同(藤波孝生君紹介)(第二七五三       号)   三四一 同外一件(藤本孝雄紹介)(第二       七五四号)   三四二 同(古屋亨君紹介)(第二七五五       号)   三四三 同(増田甲子七君紹介)(第二七五       六号)   三四四 同(水平豊彦紹介)(第二七五七       号)   三四五 同(山田久就君紹介)(第二七五八       号)   三四六 アルミニウム産業再建等に関する       請願大成正雄紹介)(第二七五       九号)   三四七 同(工藤晃君(共)紹介)(第二七       六〇号)   三四八 同(橋口隆紹介)(第二七六一       号)   三四九 同(藤井勝志君紹介)(第二七六二       号)   三五〇 同(松本善明君紹介)(第二七六三       号)   三五一 同(武藤嘉文紹介)(第二七六四       号)   三五二 家庭用灯油値上げ反対に関する       請願(高橋高望君紹介)(第二七六       七号)   三五三 大規模小売店舗における小売業の事       業活動の調整に関する法律の早期改       正に関する請願(中村喜四郎君紹       介)(第二七六八号)   三五四 鉄線二次産業危機打開に関する請       願(矢野絢也君紹介)(第二七六九       号)   三五五 金属鉱業危機打開緊急施策に関す       る請願内田常雄紹介)(第二七       七〇号)   三五六 同(櫻内義雄紹介)(第二七七一       号)   三五七 同外一件(塩川正十郎紹介)(第       二七七二号)   三五八 同(住栄作紹介)(第二七七三       号)   三五九 同(塚原俊平君紹介)(第二七七四       号)   三六〇 同(藤井勝志君紹介)(第二七七五       号)   三六一 同外一件(柴田健治紹介)(第二       八八三号)   三六二 信用保証協会強化育成に関する請       願(小川平二君紹介)(第二八二二       号)   三六三 同(下平正一君紹介)(第二八二三       号)   三六四 松本市に商工組合中央金庫の店舗設       置に関する請願(小川平二君紹介)       (第二八二四号)   三六五 同(下平正一君紹介)(第二八二五       号)   三六六 信用保証協会強化育成に関する請       願(増田甲子七君紹介)(第二九七       二号)   三六七 同(向山一人君紹介)(第二九七三       号)   三六八 松本市に商工組合中央金庫の店舗設       置に関する請願(増田甲子七君紹       介)(第二九七四号)   三六九 同(向山一人君紹介)(第二九七五       号)   三七〇 電気工事士法改正に関する請願(       天野光晴君紹介)(第三〇一八号)   三七一 同(伊東正義紹介)(第三〇一九       号)   三七二 同(上原康助君紹介)(第三〇二〇       号)   三七三 同(越智伊平君紹介)(第三〇二一       号)   三七四 同外一件(小宮山重四郎紹介)(       第三〇二二号)   三七五 同(澁谷直藏君紹介)(第三〇二三       号)   三七六 同(菅波茂君紹介)(第三〇二四       号)   三七七 同(船田中君紹介)(第三〇二五       号)   三七八 消費者のための流通政策実現に関す       る請願堀内光雄紹介)(第三〇       二六号)   三七九 量販店におけるしょうゆの廉売規制       に関する請願(村上勇君紹介)(第       三〇八五号)   三八〇 電気工事士法改正に関する請願(       逢沢英雄君紹介)(第三〇八六号)   三八一 同(愛野興一郎君紹介)(第三〇八       七号)   三八二 同(二階堂進君外一名紹介)(第三       〇八八号)   三八三 同(橋本龍太郎紹介)(第三〇八       九号)   三八四 同(藤井勝志君紹介)(第三〇九〇       号)   三八五 同(山下徳夫君紹介)(第三〇九一       号)   三八六 同(渡辺秀央君紹介)(第三〇九二       号)   三八七 同(西村英一君紹介)(第三一二五       号)   三八八 同(相沢英之君紹介)(第三一六〇       号)   三八九 特許管理士法の制定反対に関する請       願(岸信介君紹介)(第三〇九三       号)   三九〇 同(倉石忠雄紹介)(第三〇九四       号)   三九一 同(小泉純一郎君紹介)(第三〇九       五号)   三九二 同(始関伊平紹介)(第三〇九六       号)   三九三 同(中川一郎君紹介)(第三〇九七       号)   三九四 同(羽生田進君紹介)(第三〇九八       号)   三九五 同(松澤雄藏君紹介)(第三〇九九       号)   三九六 アルミニウム産業再建等に関する       請願玉置一徳紹介)(第三一〇       〇号)   三九七 消費者のための流通政策実現に関す       る請願外二件(辻英雄君紹介)(第       三一二六号)   三九八 量販店のしょうゆの不当廉売規制に       関する請願(相沢英之君紹介)(第       三一六一号)   三九九 中小企業協同組合の共同行為に関す       る請願(相沢英之君紹介)(第三一       六二号)   四〇〇 電気工事士法改正に関する請願(       天野光晴君紹介)(第三二二五号)   四〇一 同(加藤清二君紹介)(第三二二六       号)   四〇二 同(稲富稜人君紹介)(第三三七四       号)   四〇三 同(奥野誠亮紹介)(第三三七五       号)   四〇四 大規模小売店舗における小売業の事       業活動の調整に関する法律の改正等       に関する請願(有島重武君紹介)(       第三三七三号)   四〇五 アルミニウム産業再建等に関する       請願(佐野進君紹介)(第三三七六       号)   四〇六 同(武藤嘉文紹介)(第三五五二       号)   四〇七 消費者のための流通政策実現に関す       る請願田村元紹介)(第三五五       三号)   四〇八 同(和田耕作君紹介)(第三五五四       号)   四〇九 同(板川正吾紹介)(第三六一一       号)   四一〇 量販店におけるしょうゆの廉売規制       に関する請願(小泉純一郎君紹介)       (第三五五五号)   四一一 電気工事士法の一部改正に関する請       願(鯨岡兵輔君紹介)(第三五五六       号)   四一二 同(粕谷茂君紹介)(第三五五七       号)   四一三 同(染谷誠紹介)(第三五五八       号)   四一四 電気工事士法改正に関する請願(中       村重光君紹介)(第三五五九号)   四一五 同(武藤嘉文紹介)(第三六一二       号)   四一六 同(山崎拓君紹介)(第三六一三       号)   四一七 大規模小売店舗における小売業の事       業活動の調整に関する法律改正に関       する請願(安藤巖君紹介)(第三七       一四号)   四一八 同(荒木宏紹介)(第三七一五       号)   四一九 同(浦井洋君紹介)(第三七一六       号)   四二〇 同外一件(工藤晃君(共)紹介)(       第三七一七号)   四二一 同外一件(小林政子君紹介)(第三       七一八号)   四二二 同(柴田睦夫君紹介)(第三七一九       号)   四二三 同外一件(瀬崎博義君紹介)(第三       七二〇号)   四二四 同(瀬長亀次郎君紹介)(第三七二       一号)   四二五 同外一件(田中美智子君紹介)(第       三七二二号)   四二六 同(津川武一君紹介)(第三七二三       号)   四二七 同外一件(寺前巖君紹介)(第三七       二四号)   四二八 同(東中光雄紹介)(第三七二五       号)   四二九 同外二件(不破哲三君紹介)(第三       七二六号)   四三〇 同(藤原ひろ子君紹介)(第三七二       七号)   四三一 同(正森成二君紹介)(第三七二八       号)   四三二 同外一件(松本善明君紹介)(第三       七二九号)   四三三 同外一件(三谷秀治紹介)(第三       七三〇号)   四三四 同(安田純治紹介)(第三七三一       号)   四三五 同(山原健二郎君紹介)(第三七三       二号)   四三六 中小繊維企業の事業継続等に関する       請願荒木宏紹介)(第三七三三       号)   四三七 下請中小業者の経営安定に関する請       願(工藤晃君(共)紹介)(第三七       三四号)   四三八 大規模小売店舗における小売業の事       業活動の調整に関する法律の一部改       正に関する請願工藤晃君(共)紹       介)(第三七三五号)   四三九 同(小林政子君紹介)(第三七三六       号)   四四〇 同(不破哲三君紹介)(第三七三七       号)   四四一 同(松本善明君紹介)(第三七三八       号)   四四二 中小企業協同組合の共同行為に関す       る請願中西啓介紹介)(第三七       三九号)   四四三 中部電力小坂川電源開発に関する請       願(伏屋修治君紹介)(第三七四〇       号)   四四四 京都の繊維産業危機打開に関する       請願(藤原ひろ子君紹介)(第三七       四一号)   四四五 大型店の無制限進出規制に関する       請願(藤原ひろ子君紹介)(第三七       四二号)   四四六 量販店におけるしょうゆの廉売規制       に関する請願外一件(河野洋平君紹       介)(第三七四三号)   四四七 同(高鳥修紹介)(第三七四四       号)   四四八 同(戸井田三郎君紹介)(第三七四       五号)   四四九 同(橋本龍太郎紹介)(第三七四       六号)   四五〇 同(村山達雄紹介)(第三七四七       号)   四五一 同(渡辺秀央君紹介)(第三七四八       号)   四五二 家庭用灯油値上げ反対に関する請       願(荒木宏紹介)(第三七四九       号)   四五三 消費者のための流通政策実現に関す       る請願(大内啓伍君紹介)(第三七       五〇号)   四五四 量販店のしょうゆの不当廉売規制に       関する請願(早川崇君紹介)(第三       七五一号)      ――――◇――――-
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 経企庁長官にお尋ねをしますが、円高の問題は日銀が積極的な介入という形で二百四十円というのを一応維持した。しかし、この円高の問題というのがきわめて深刻な状態であることは、これは私からいまさら申し上げるまでもありませんが、先般日米通商会議が行われて、日本側としては七項目の対応策をお出しになり、具体的な詰めをこれから進められるんだろうと思うのでありますが、その日程的なものは合意をしているわけなんですか。
  4. 倉成正

    ○倉成国務大臣 日米の協議におきまして、十一月十八日から経済問題に関する非公式の協議を行いまして、当初の予定を一日延長いたしまして二十一日に終了いたしました。この協議の中身についてはまた後ほど御質問に応じてお答え申し上げたいと思います。  この最後の私どもと先方との話し合いでは、この会議においていろいろ協議をいたしましたことについて、双方は外交ルートを通じて引き続き接触を維持して、月末までに今次会合で討議された諸問題について共通のアプローチを見出すべく努めることにしよう、そういうことで別れたわけでございまして、いま先方の感触を探りつつ、当方でもできることはさらに検討を深めて、月末を目途として一つの合意点があれば見出していきたいと思っておる次第でございます。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 合意点があれば何とかまとめるようにしたいということなんですが、最大限の努力をして合意をしなければならぬと思いますけれども、いかがですか、その可能性については。
  6. 倉成正

    ○倉成国務大臣 アメリカ側が一番大きな関心を持っておりますのは、経常収支の黒字幅をいつまでにどのくらい減らせるかという問題が第一の関心事でございます。     〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕 第二は、日本の市場を開放してほしい、端的に言えば自由化をしてほしい、そして日本の市場の中にありますいろいろな障害を除いてほしいというのが基本的な、一番大きな関心事でございます。そのことに関連して関税の問題とかその他の問題が出てくる、そういう感じでございます。  現在、わが方として先方に答えておりますのは、自由主義経済体制のもとでいつまでに幾らになるということを明示することは非常に困難である、それからまた、農産物の自由化等について、完全にそれを自由化せよといっても、国内の事情としてそれはむずかしい、しかしながら、今日の保護貿易主義の台頭を抑えるために、日米が共同してこの保護貿易主義の台頭を抑える最大の努力を誠意をもってやる必要がある、したがって、東京ラウンドを積極的に推進するし、また、東京ラウンドを待たずしても関税で引き下げることができるものについては最大限の引き下げの努力をしたい、また、貿易の障害となるもろもろの問題については、ひとつできるだけの努力をしてこの障害を除去いたしましょうということを先方に伝えておりまして、その部分については、アメリカ側も日本側のそういう態度については評価をしておる。したがって、事務レベルでいろいろ協議をした段階においては、十分わが方の意図も伝わり、また、先方もわが方の立場を理解していると思うわけでございます。  しかし、問題は、その問題を通り越して、いわばOPECの経常収支の大幅な黒字が毎年四百億ドル以上出ておる、したがって、この黒字が世界各国に対して赤字となってツケが回るわけでございますが、その上に日本が経常収支に大幅な黒字を出すということになると、ますます各国の赤字がふえて、しかも失業者がふえてくる、しかも、御存じのとおり、世界の各国とも必ずしも政局が安定していない、そういう中に非常ないらいらが出てきておる、そういう環境のもとでの米側の考え方でございますので、やはり保護主義の台頭というのが、単に論理的な形で、冷静なベースだけでは出てこない、それぞれの地域の実情を背景としておりますので、そういうものを踏まえながら、わが方としては主張すべきことは主張するけれども、しかし、相手方の立場も考えながら、いかにしてこの保護主義を抑えるのに説得できる材料があるかどうかということを、日本の国益を踏まえながら考えていくというところに問題のむずかしさがあると思っておるわけでございまして、これは単に事務レベルだけの問題で解決されるべきものではないというのが現在の認識でございます。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、委員長着席〕
  7. 中村重光

    中村(重)委員 黒字減らしの対策として、三十億ドルの輸入の可能性について予算委員会で長官がお答えになったこと、それから総理と河本政調会長との間に話し合いをしたことで、ずいぶんごたごたしたようなんですが、しかし、統一見解というような形で、三十億ドルの輸入を確保するということで努力をするというようにお答えがなされたようですが、実際問題としてはなかなかむずかしいというようにも思われるのですが、率直に言って、長官のお答えの方が現状においては当を得た――輸入をふやすことの必要性は認めますけれども、現実問題を無視して、ただ願望だけを言っておったのではしようがないわけなんでして、そういう点からいったら、統一見解ということでお答えはありましたが、実際問題としては、総理の当初言われた、委員会において答弁されたような願望という形で終わって、三十億ドルというのはなかなかできないのではないかというように思うのですけれども、そこらあたりいかがなんですか。
  8. 倉成正

    ○倉成国務大臣 御案内のとおり、経常収支の黒字を減らすための手段としては、基本的には、内需が拡大することによって輸入がふえていくということが本筋でございます。この政策を進めていくということが大事なことでございまして、現在日本の経常収支がどうしてこういうふうに黒字が出ておるかということを分析いたしてみますと、確かに輸出の面でも高水準ではございますけれども、輸出は、数量においてはそうふえてないわけです。問題は、金額が若干ふえているという問題でありまして、一番大きな経常収支の黒字の原因は輸入がふえない、その輸入のふえない原因は内需が思うように出てこないというところにあるわけでございますから、やはり内需を積極的にふやしていくということが問題の基本にあると私は認識しておるわけでございます。  ただ、そうは申しましても、内需によって輸入がふえてくるというにはなかなか時間がかかるわけでございまして、その時間がかかるつなぎとして緊急輸入ということが考えられてくるわけでございます。その緊急輸入として、原油の積み増しをしたり、非鉄金属の備蓄をしたり、またウラン鉱石の輸入の促進を図ったり、ナフサの輸入を図ったり、飼料穀物の年内繰り上げを図ったり、そのほかに造幣局がニッケルとか銅とかを輸入するとか、もろもろのことをいろいろやりましても、せいぜい数字として国会の場で御報告申し上げることができる数字としては十億ドル前後ということでございまして、それ以上にということになりますと、いま御承知のとおり、また、予算委員会等でも政府側からお答えいたしましたように、石油の問題であるとかあるいはその他の問題であるとか、いろいろなことを申しておりますけれども、まだ数字として確定するには至っていない。のみならず、やはり相手方があることでありますから、ここで日本が何を幾ら買うというようなことを申しますと、直ちにこれは国際相場にも影響し、また、取引として非常に不利な立場に日本が立たされるということで、なかなか歯切れのよい答弁をすることができなかったというのが実情でございます。  したがって、政府としては、何とか緊急輸入におきましても最大の努力をして、金額としては期待できなくても、一つでも二つでも積み上げてまいりまして、そういう輸入を最大の努力をしていくということを考えておるわけでございますけれども、しかし、単に数カ月先に買うものをただ数カ月前に買うということでありましたら、これは一時的には金額は減りますけれども、必ずしもこれは十分な評価を得ることができないであろうという感じを持っておるわけでございます。アメリカにいたしましても諸外国にしましても、経済というものがどういう仕組みで動いていくかということは、これは決して素人ではないわけでございますから、十分理解してもらえる。問題は、日本の経常収支が今後減っていく、そして日本の市場が決して閉鎖的な市場ではない、輸出だけにおんぶされて、日本の市場は全く閉鎖的であってどうも開放されてないという誤解に対して、単に口先だけではなくして、目に見える形で示すということが大切なことであると思っておるわけでございます。  しかし、それには御案内のとおり、日本の国内事情にもいろいろむずかしい問題がございます。総論においてはみんな賛成でありますけれども、各論ということになるとなかなかむずかしい障害があるわけでございますから、その障害をいかにして乗り越えていくか、世界の中で日本が孤立しない道を見出していくためにはどうしたらよいかという国民的なコンセンサスを求めていくということに問題のむずかしさがあるのではないかと思っておるわけでございます。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 おっしゃるように、総論賛成、各論ということになってくるとなかなかむずかしいということになる。ところが、現在の日本の経済というのは、まさに非常時であるというふうに私は思うのです。したがって、従来の惰性というものにとらわれておったのでは、経済危機、また構造的な問題を解決するということにはならないと思うのです。そこで、やはり現実問題として緊急輸入ということになってまいりますと、これは反対をするという面は非常に少ないと思うのです。私も、その緊急輸入ということについては、可能性があるだけはおやりになる必要があるだろうと思うのですが、一般の輸入の問題になってまいりますと、私は、どうすべきかということについて私なりの考え方を申し上げてみますと、この非常に長い間の不況、いつ出るかわからない暗いトンネルをいま通っているという状態、これに円高というダブルパンチを受けて深刻な状態に置かれている、このことを考えてみますと、ここで緊急輸入ではなくて一般輸入に重点を置いた形というものをやってまいりますと、弱い企業、なかんずく中小企業というものが倒産をしていくということになる。そして失業というものが出ていくことになるわけです。  ここで現在の黒字の原因の最たるものは何かということになってまいりますと、鉄鋼であるとか、自動車であるとか、テレビのような弱電であるとかという非常に競争力の強い産業の輸出が洪水のように出ていったというところに原因があるわけです。こうした主たる輸出産業というものを若干規制をするということの方がむしろ黒字を減らすということ、また、全体の日本の産業を守っていくということについて適切な措置ではなかろうかというように私は思うのです。ところが、輸出を規制するということになってまいりますと、また反論が出てくる。そうなってくると操短をする、失業者が出てくる、こういう形になるのではないかというような意見が出てくることはあたりまえですが、しかし、ショックという面においては、非常に強い輸出産業でございますから、むしろショックは少ないであろうというように私は考える。  それから、輸出規制という問題は、もう避けて通れないものになっているのではないか。アメリカにおきましても、輸出規制に乗り出して、基準表示価格といった制度ももうすでに動いてきているということ、それから国内においても、この際輸出税をかけるべきであるということは相当有力意見になっているということ等を考えてみると、この際、やはり強い産業の輸出を規制していくということが当を得た政策ではないか、また、それが国際協調という面においても適当ではないかと思うのですが、見解はいかがですか。
  10. 倉成正

    ○倉成国務大臣 諸外国から見ますと、いま中村委員のお話のように、日本の輸出がその国の失業者をつくっているというような批判がいろいろ出てきておるわけでございます。したがいまして、集中豪雨的な輸出ということについては、これは厳に慎むべきでありますし、この点については、もう日本が自主的にこれを避けていかなければならないと思うわけでございます。  ただ、一つ御理解をいただきたいのは、やはり日本の輸出の御三家は、御案内のように、鉄鋼、自動車、造船でございます。その後に続いておりますのがテレビとかそういう弱電関係のものでございまして、すでに造船につきましては、輸出についてこれから先の大変な低下が予想されるわけでございますし、鉄鋼についてもやはりそういう状況にある。それから自動車ということになろうかと思います。そういうことになりますと、やはりこれらの産業がかなりの輸出をして日本の景気を支えておるという現実を忘れてはならないと思うのでございまして、輸出を規制するということになりますと、いわば日本の経済の活力に対しまして大変なダメージを与えるということになりかねない。  経済は生き物でございますから、いま確かに経常収支は大幅な黒字を出しておりますけれども、四十八年、四十九年というのは赤字でございまして、五十年にようやくとんとんになりまして、五十一年から黒字が出てきておる。したがって、原油の値上げであるとか、いろいろな要件によってまた経常収支が場合によっては赤字になるということも決して予想されないわけではないわけでございますから、やはり集中豪雨的な、外国からとりたてて非難を受けるような輸出については十分節度を守っていかなければなりませんけれども、日本のよい商品、そして相手方の消費者から喜ばれる商品について輸出を規制するということについては、これは大変危険なことではなかろうか、むしろ相手方によく理解を求めていくことが大切なことではないかというふうに考えております。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 従来の考え方というものがいま長官がお答えになったようなことなので、どうして日本経済がこうなったかということを反省して、構造的にこれを解決していく、これはもう一大転換をしていくということでないといけないと思うのです。高度経済成長という条件はなくなってきた、だから、高成長より低成長がいいということを私は言うわけじゃないのです。これは安定成長という形のものが一番いいのだけれども、昔の日本の高度経済成長の要因は何であったかというと、安いエネルギーであるとか、戦争特需であるとか、低賃金であるとか、公害のたれ流しであった。そういうものが高成長の要因であったことは事実なのだが、そういう条件はもうすっかりなくなってしまった。夢よもう一度というようなことでなく、構造的に一大転換をやるという構えをもっておやりにならないと、日本経済を安定成長の方向に持っていくことは不可能であると私は思うのです。  きょうは、残念ながら、最終日であるために時間が制約されておりまして、また、最終日であるために各省に対していろいろお尋ねをしなければならぬ点がありますが、閉会中においてお尋ねをするということにしなければならない点がいろいろとあると思います。  次のことをお尋ねいたしますが、長官は首相と会談をなさって、関税の前倒し引き下げ、残存輸入制限品目の輸入拡大、非関税障壁の撤廃、縮小、原油等の備蓄、ウランなどの前払い購入、経済協力、こういった七項目について検討状況を報告されて、なお具体的に輸入促進などを行う方針であるということもあわせて報告されているわけです。その際に、石油タンカーの備蓄についても、大村湾など港探しを行っている旨説明をしておられるわけですが、大村というふうに固有名詞を挙げて報告をされたという新聞報道が事実であるとすると、これは地元との接触をどうされたのだろうか。それから、大村湾にそんな二十万トンとか二十五万トンタンカーなんというのは、西海橋のところを通って入るわけですから入りようがない。どうしてそういうような検討をしておるということを御報告になったのか。新聞の誤報なのか。これは地元も非常にショックを受けて混乱をしておるのじゃないかと思うのですが、この際、長官からはっきり真相と考え方についてお聞かせをいただきたい。
  12. 倉成正

    ○倉成国務大臣 石油のタンカー備蓄につきましては、運輸省と通産省とでいろいろ御検討いただいているところでございます。いまお述べになりました大村湾云々というのは、私もいまこの席で初めて伺ったことでございまして、私からそういうことを申し上げたことは一言もございません。全くの誤報でございます。また、考えましても、いま中村先生がお話しのように、大村湾は西海橋の下の瀬を通ってこなければいけないわけでございまして、あそこには何百トンまではまあまあ通るかもしれませんが、私も船の免許を持っておりますけれども、何千トンという船は通れません。したがって、全く大村湾というのは荒唐無稽のことでございまして、そういうことを考えること自体がおかしなことであるというふうにお答えいたしたいと思います。  それから貿易の問題については、時間がございませんので、中村委員のお気持ちは私もよく理解できるわけでございますけれども、やはり日本の経済が縮小再生産になると、非常に低い、輸出もできない、輸入も減ってくるというような形になってくれば、これは高度成長を日本の経済というのはいままでやってきておりましたから、この体質の中で物を考えがちでございますけれども、縮小再生産の非常に低い経済成長が続くということになりますと、これは大変なショックが日本の経済に起こってくるということを考えておりますので、大変むずかしい問題の御提起だというふうに考えておるわけでございますが、また機会を改めて、もう少し計数的にいろいろお答えをする機会があろうかと思いますので、その際に譲りたいと思います。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 次に、お尋ねをすることについては、田中通産大臣からもお答えをいただきたいのですが、申し上げたように、日本経済はまさに非常事態である。そういう際には、それなりの姿勢というものが政府になければならぬ。この円高の中で輸入物資というものが安い価格で入っていることは間違いないですね。  そこで、石油九社でもっても円高によって安く物資が、原油等が入ってきた。その差益が五百十六億ということに九月決算でなされているわけですね。してみると、アメリカや韓国より高いナフサ、それから灯油の価格にいたしましても、消費者団体等はぜひこれを値下げをしてくれということを言っている。あるいは電気であるとかガス料金もこの際値下げをすべきじゃないかということ、これは消費者の要求としては正しいと私は考えるわけなんです。ところが、通産大臣は、消費者団体ともお会いになって、なかなかむずかしい、OPECも原油の値上げを十二月にはやろうとしているようだからといったような、きわめて消極的な対応をしていらっしゃる。私は、どうしてもこれらの点について納得できないわけなんですが、灯油の値下げ、それからいま私がお尋ねをいたしました製品の値下げについてはどのようにお考えになっていらっしゃるのですか。
  14. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま中村委員からのお話しのとおり、私も全く同じ気持ちを持っておりまして、この膨大な為替の今度は差益という問題につきましては、これはぜひとも国民全体に均てんしなければならない、こういうふうに考えております。その最たるものは何かというならば、これは物価ということになりましょうけれども、そういうふうなものは、これは国民の方々からすればぴんとこないのであります。しかしながら、その最たるものの中で、全般じゃございませんが、部分的に申すならば石油の問題、これが大宗でございます。  それで、いまお話しの石油、電力あるいはガス、こういうふうな問題につきまして、私も再三御答弁を申し上げましたけれども、特にその問題につきましては何とか思い切った処置をとりたいものだということで、せっかくただいまあちらこちらと折衝いたしておりますが、ナフサの問題等につきましても、特に構造不況の業種でもございまするし、その原料の確保の問題につきましては、本当に速やかに解決しなければならない、かような気持ちでございます。また、いまの石油の全般の問題につきましても、特にエネルギー庁ともいろいろと寄り寄り相談をいたしておるところでございまして、先生の御指摘のような気持ちをもって対しております。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 経企庁長官、いかがですか。私がいま申し上げたような原油の値下がりによる差益ですね、これを石油業界のみにひとり占めさせておいて、OPECでまた原油が上がるかもしれないから、そういうようなことにいま通産大臣がそんな理解を示すというような状態じゃないのだ。ともかく今日置かれている中小企業であるとか、国民の生活ということを考えてみると、これはものすごい不信感というものが政治に対して起こってくるのです。これはいまの通産大臣のような単なる願望ではなくて、値下げをさせる、そういう姿勢、その実践というものが私は必要ではないかと思いますが、いかがですか。
  16. 倉成正

    ○倉成国務大臣 石油会社が円高によりまして膨大な利益を得るということは御指摘のとおりでございます。したがって、この利益をどうやって国民に還元していくかということではないかと思います。したがって、石油の大口の需要者であります産業界と石油業界との間で価格の交渉が行われるわけであります。大手の方の交渉は、石油会社とそれから大口の需要者との力関係に任せても差し支えないのではないか、各需要者も目をさらのようにして為替相場を見ておりますし、自分たちも苦しいものですから、価格交渉においてかなりしのぎを削ってやっておるわけでございますから、それで価格に十分反映できるというふうに私ども思っております。  ただ、いま御指摘の灯油のような小口の需要者ということになりますと、これは価格決定力を持っておりませんから、どうしても政府がバックアップしていかなければならないということでございますので、灯油につきましては、まず第一に必要なことは、供給を十分確保する、すなわち需給が逼迫しますとどうしても価格に影響を及ぼしてまいりますから、やはり供給を十分確保するということが第一点。それから第二点は、通産大臣もお話しのように、この冬の間はとにかく灯油の価格は据え置くというような感じで石油会社も考えておるわけでございますので、OPECの値上げという問題がやはり通産当局としては非常に気がかりになっておるわけでございましょう。したがって、OPECのカラカスにおける十二月の会議の結果がどうなるかということを見きわめた上では、さらに強力な指導ができるものだと私は思っておるわけでございます。  そういう問題を抜いてこれからひとつどうしようということを中村委員はお話しでございましょうけれども、やはり不確定要素を全然抜いて強力な行政指導をいたしました場合に、残念ながら、非常に不幸なことに仮に値上げ等が出てきた場合に一体どうなるかという問題が出てくるわけでございますので、電力の料金あるいはガスの料金を含めまして、そういうことを見きわめる必要があるという通産省の立場も十分理解できると思うのでございます。しかし、何としても今日のこれだけの円高でありますから、何とかこれを消費者に目に見える形で還元するように、ひとつ最大の努力をしていかなければならないと私自身も思って、いろいろ工夫をいたしておるところでございます。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 田中通産大臣の灯油の値下げに対するいままでの消極発言、それからいま経企庁長官が灯油の価格は据え置きということを言われたが、これがすなわち福田内閣の姿勢であるというように見なければならないと思うのですね。なぜそのように企業寄りの姿勢を改めようとなさらぬのか。私は、ゆうべテレビを見ておりましたところが、一リットル当たり灯油が七円下がったということを聞いたというのか見たというのかあれですが、一地域的なことを、言ったのか、平均という形でああいう放映になったのか知りませんが、恐らく小売店に対して、円高為替差益というものが石油業界はぐっとあるじゃないか、どうして灯油の値段を下げないのかという消費者攻勢によって、小売店が値下げをしたのだと思われるのです。  通産大臣、石油業界が困ったというときに値上げをさせる強力な行政指導を通産省はやってきたのです。そのように企業のことは考えるのに、円高に伴うところの原油の輸入差益、これを少しでも吐き出させて消費者の生活を守ろうという姿勢をなぜにお持ちにならないのですか。なぜに消費者の利益を守るためのそういう消極的な考え方を改めようとしないのですか。こういうときこそ行政指導をやって、消費者の生活を守るという姿勢があって当然じゃありませんか。私は、物価大臣である経済企画庁長官も、通産省の言うことだけに耳を傾けないで、消費者の利益を守るというような観点に立って対処してもらわなければならぬと思う。いかがですか。
  18. 倉成正

    ○倉成国務大臣 私は、円高によって石油会社がかなりの利益を得るということを決して否定いたしません。したがって、今日大切なことは、国民の皆様方に石油会社が得ました利益がどういう形で還元されるのか、どういう形でこれが配分されるのかという的確な情報を提供するということが、政府の役割であるというふうに思っております。したがって、確かに膨大な利益を得るけれども、また同時に、値上げの要素もある、いろいろな問題がございますから、そういうのを計算してどうなるかということを正確に国民に伝えるということが大事ではなかろうかと思うわけであります。  この冬に据え置いていくということが現在の時点で考えられ得ることであって、これをさらに値下げをし、どうするというところに至るには、もう少し材料がないと無理ではなかろうかということを申し上げておるわけでございまして、気持ちの上においては中村委員と全く同じ気持ちを持っておるわけでございます。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 私は、気持ちの問題なんてそんなのんびりしたことを言っているときじゃないと思う。通産大臣、あなたが直接の担当大臣だから、灯油の価格引き下げ等について今後どう対処しますか。
  20. 田中龍夫

    田中国務大臣 私も政治家でございますから、いまのような客観情勢のもとにおきまして、少しでも差益の国民に対する還元ということは当然考えてもおりますし、同時に、石油の問題につきまして、ことにメジャーの関係あるいはまた民族系の問題、そういうふうな問題も中村先生よく御承知のとおりでございまして、その中にメスを入れてはっきりとした姿において解決したいものだ、かように思いながら日々過ごしておるような状態でございます。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係がありますから次に進めますが、ともかく灯油の価格の値下げの問題については精力的に取り組んで、消費者の生活を守るという方向で対処してもらうことを強く要求をいたしておきます。  経企庁長官にお尋ねいたします。  開発途上国に対するひもつき援助というものは今後はしないという方針をお決めになったようでございますが、そのとおりでございますね。
  22. 倉成正

    ○倉成国務大臣 従来日本の対外援助がどうもひもつきであるということと、それから条件が非常に厳しいということが、いろいろな国際会議の席等で批判されてまいったところでございます。したがって、今後の対外援助につきましては、アンタイすなわちひもつきにしないことを基本とするという考え方を明らかにいたしておるわけでございます。  ただし、全然アンタイでいけるかということになりますと、御案内のとおり、日本に非常に構造不況業種を抱えておる、そういうことになりますと、結局国内には多くの物が余っている、不況にあえいでいる、失業者も出る、そういうときにその物資を全然ほったらかして、そして日本の援助に対してほかの国から調達されるということはどうも実情に合わないということでございますので、そういう部分については、これはタイドということもあり得る、そういうことで、できるところからアンタイのことをできるだけ広げていくという考え方、しかし、アンタイを基本とする、そういう姿勢であるわけでございます。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 おっしゃることも理解できるのですけれども、国際的に態度として明らかにしたということについては、ああは言ったけれども日本の政府はまた条件つきなんだということで、国際信用を失墜させることがないように対処していかなければならないと私は思うのです。基本的にはそういう態度を決定なさったわけですから。  インドネシアに対する商品援助というので、基金法の改正ということで、当時の佐藤総理とスハルトさんとの間の約束事ということで、商工委員会でずいぶん重要な問題として取り扱って、商品援助という道が開かれたわけですが、この商品援助は当然打ち切りということになるのでしょうね。いかがですか。これは経企庁が所管であったわけなんです。
  24. 倉成正

    ○倉成国務大臣 いまのアンタイドの問題について少し敷衍して申し上げますと、資金協力については今後一般アンタイ化することを基本方針といたします。しかし、この方針を直ちに実施することは若干の問題、ただいま申しましたような構造不況業種等の問題がございますので、当面、政府借款については、世銀とアジア開銀等との協調融資のプロジェクト、食糧援助等の案件を重点的に、相当部分を一般アンタイ化するように努める、こういうのが政府のとっている姿勢でございます。したがって、約束したけれども国際的にどうもうそを言ったということにならないように、やはり日本の国内にはこういう事情がございますということをはっきり言っておかないと、今日これだけの構造不況業種があって国内で因っているときに、アンタイだということで、こういうものまでもアンタイ化するということをいま日本の国が言うことは国益に合わない、そう私は思っておるわけでございます。そこで、できることはできる、できないことはできないということを率直に申しまして、そして理解を深めていくということが大事であるということでございますので、この点は御理解いただきたいと思うのでございます。  それから、いまの商品援助の件については、具体的にどういう案件か私もいまちょっとつまびらかにいたしておりませんので、もう少し詳しく御質問いただいて、場合によっては政府委員からお答えいたしたいと思います。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 大分前のことですから、これはたしか基金法の改正ということであったと思うのですよ。商品援助の道がインドネシアに初めて開かれたのですね。それで、いまのアンタイドの問題等から関連してくると、商品援助というのはこれを是正するということにならないと筋としてつながってこないですね。ですから、この商品援助に対するタイドというものはどうするのか、時間の関係がありますから、端的にお答えをいただければそれでいいのです。
  26. 倉成正

    ○倉成国務大臣 いまお話し申し上げましたように、アンタイ化するということについては、当面は、さっき申しましたように、政府借款について世銀、アジア開銀等の協調融資プロジェクト、協調融資をするプロジェクトですね、日本が借款を与えますけれども、やはり世銀、アジア開銀も一緒になって融資をする、そういうプロジェクト、あるいは食糧援助、食糧を援助する、こういうものについて相当部分をアンタイ化する、こういうことから出発していこうということでございますので、一般的に商品援助を全部アンタイ化するということをこの席で申し上げるわけにはまいらないと思います。さっきも申しましたように、構造不況業種その他の問題というのは非常に深刻な問題でありますから、このことを実は頭に置いてこういうことを申しておるのでございますので、この点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 国際協調とは言いながら、それは国内の不況業種を守っていく、これは当然な話なんです。ただし、政府が国際的に明らかにしたことについての真意はどうかということをただしていくということは当然である。ですから、国際信用を失墜しないように、初めから余りできないことを宣伝したり発表したりしないで、できることとできないこととの整理をして明らかにしていくという姿勢をおとりにならないとだめなんですよ。国際的に、福田内閣はできないことを口にだけする――実際は、福田内閣ということより、むしろ自民党政府という形で国際批判があるわけなんだけれども、できないことを言う、言うたことは実行しなさい、こういうような批判があることは事実ですから、そういう意味で申し上げているわけですから、そういう線でお答えをいただければ結構なんです。  では、次に進みますが、造船設備の五〇%の廃棄の方針ということを造船工業会は打ち出しているわけですが、これに対しては政府との話し合いがなされるのかどうか。そうすると、造船不況ということは深刻な問題、長崎県なんかは特に造船不況という問題は一番大きな問題であるわけですから、不況即首切りという形に発展してまいりましょうし、地域経済というものが大変な事態になるということでございますから、この点に対しては政府の方針としてはどうなのか、また、政府が助成をするという形で進められるのかどうか、これも端的にひとつお答えをいただきましょう。
  28. 間野忠

    ○間野説明員 造船政策につきましては、昨年、運輸省の海運造船合理化審議会の方から見通しとともに答申をいただきました。その答申によりますと、昭和五十五年ぐらいの時点におきましては世界の需要は千二百万総トンとか千三百万総トン程度に減りまして、したがいまして、わが国造船業が建造できる量というものも六百五十万総トン程度になるであろうという見通しをいただきまして、こうした需給関係に合わせまして造船能力の調整を行うべきであるということになっております。これを受けまして、私どもといたしましては、一応千二百万トンあるいは六百万トンという数字は非常に大幅な減少ではございますけれども、従来のようにタンカー中心のものに比べますと、仕事量としてはそのトン数があらわすほどには減らないということでございますので、操業時間をピーク時の六五%程度に落としていきますれば、大体において需給のバランスはできるのではなかろうかというふうに考えまして、昨年の十一月に、第一回の勧告を主要四十社につきましていたしまして、昭和五十五年を目標として徐々に操業時間数を落としていく、そして六百五十万総トンの能力に合わせるという方向で進めたいというふうにしてきております。  確かに先生御指摘のように、最近、新聞紙上にも、業界の首脳あたりから設備の削減というようなことが言われております。確かに大筋においては海運造船合理化審議会の答申は正しいと思いますけれども、その後いろいろな変化もございます。そういった点を考慮しますと、あるいは設備についても何らかの配慮をしなければならないという事態も来るかと思いますが、目下のところは、昭和五十五年六百五十万トンの需要に合わせた能力に操業度を調整することによって合わせていきたいというふうに考えております。もし必要があれば、再びあるいは海運造船合理化審議会の御意見なども伺わなければならないというふうに考えております。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 次に、通産、運輸両省でもって話し合いをし、米側に対してもその考え方を明らかにされたと思うのでありますけれども、原油のタンカー備蓄についてのことなんですが、田村運輸相はずいぶん積極的な協力姿勢というのか方針を明らかにしているわけなんです。どこかに備蓄をしなければならぬということは言うまでもないのですが、ものすごい量をどういうタンカーで備蓄をするかということになってくると、錨泊にするのか漂泊にするのかという問題ですね。それから、これは安全の面から、海上汚染の問題も出てくるし、漁業対策というものも出てくるだろう。してみると、公海ということになってくると海洋法の問題、いろいろな問題が出てくるだろう。可能性についてはどうなのか、それから財源をどうお考えになっているのかという点、その備蓄の母体というのはどうか、国家備蓄ということになってくると、これは当然石油開発公団ということになってくるのでしょうが、これには公団法の改正をやらなければならぬという問題も出てくる、そういったことについて可能性の問題を含めて具体的な点もお尋ねをいたしましたが、それぞれお答えいただきたいという点が一点であります。  もう一つは、長崎県の五島に三菱重工が新しく開発をいたしました備蓄システムで洋上石油備蓄ということが計画として進められている。政府といたしましても運輸技術審議会か何かに諮問をしておるという段階であろうと思うのでありますけれども、このことについても、新しいシステムでありますが、この洋上備蓄の場合における安全上の問題、それから漁業対策をどうお考えになっているのか、既存の法律でもってしてはそういう面が確保できないと思うのですが、そういう点はどうお考えになっているのか、それぞれ御出席になっておられましょうから、お答えをいただきたいと思います。  なお、洋上備蓄になりますと、地元町には立地交付金というのが支給される。ところが、周辺には支給されない。発電用施設周辺地域整備法によると、交付金というものは周辺地域にも支給されるということになるわけですけれども、これらの点についてはどうお考えになっていらっしゃるのか。私は、この備蓄というものは理解ができる、その必要性も認めますけれども、よほどその立地の場所ということをお考えにならないと、経済水域二百海里という問題から、沿岸漁業の振興というものはきわめて重大でありますから、この点を軽視してはいけないというように思うのです。ですから、それらの点をどう対処していこうとお考えになっているのか。当該地域の上五島、これは漁業団体の反対、地域住民の反対というものもあるわけですから、これらの点を十分配慮しながら対処していくということでないといけないと思います。  それぞれ、大変盛りだくさんの質問でございましたが、時間の関係もございますから、これをお答えをいただきます。
  30. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えいたします。  一口にタンカー備蓄と申しますけれども、実際具体的な問題を詰めてまいりますると、非常にむずかしい問題がたくさんございますことは御指摘のとおりでございます。特に立地の問題でありますとか、安全、防災の問題でありますとか、あるいはまた経済性の問題等、いろいろ検討課題が多いのでございます。さような関係から、当省といたしましても、専門的な検討をすでに昨年からいたしておったのでございまするが、これはむしろ非常に技術的な問題でございます。先般運輸大臣とも談合いたしまして、今後これを強力に推進していきたいけれども、それにはいろいろな問題があるが、一つ一つ解決していかなければならぬ、運輸省との間に合同委員会をつくりまして、そうして両省だけではなく、ただいまお話しのような水産問題等々につきましては、あるいは農林省、水産庁も加わってもらうとか、この合同委員会をもちまして、積極的に検討することにいたしました。  以上、基本の問題でございまするが、あと詳細な問題につきましては、政府委員からお答えさせていただきます。
  31. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 大臣の御答弁を補足してお答えいたしたいと思います。  まず、タンカー備蓄の主体はだれにするのだという御指摘でございますが、将来の問題といたしましては、御指摘のように、石油開発公団と申しますか、政府備蓄の態様をとるべきだと思います。しかし、これにつきましては、当然法律改正あるいはそれに必要とする予算措置が前提になってまいりますので、さような時点に至るまでの間は、やはり民間でつなぎの形でタンカー備蓄を実施させたらどうだろうか、かように考えておるわけでございますが、それにいたしましても、大臣からも申し上げましたように、なお詰めるべき幾つかの問題が残っておりますので、運輸省との間に現在協議を続けておる、こういう段階でございます。  それから、財源ということでございますが、現在運輸省から言ってきておりますのは、VLCC二十隻ぐらいであればいつでも十分提供できるということでありまして、これが全部活用できるといたしますと、かれこれ五百万キロリッターになろうかと思います。これに要する資金といたしましては、原油代が約千二百億円程度、それからいわゆる船のチャーター料あるいはその他漁業補償等を含めましてトータルで約三百億ぐらい、かれこれ千五百億程度の資金が必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございますが、御承知のように、現在石油開発公団で備蓄原油代金等の融資もいたしておりますので、そういったものも実現可能性が出てまいりました場合に、当面さような石油開発公団の融資といったもの、あるいは利子補給といったような制度を活用できるものではなかろうか、かように考えておるわけでございます。  それから、二つ目の洋上備蓄の問題でございます。御承知のように、現在石油備蓄は陸上タンク方式を原則といたしておりますが、ただいまお答えいたしましたタンカー備蓄あるいは地下備蓄、こういったものと並びまして、陸上備蓄方式以外に、さらに安全で経済的な方式はないだろうかということの一環といたしまして、洋上備蓄につきましても昭和四十七年から私の方でも検討いたしております。いわゆるフローティング方式でいくかあるいは着底方式でいくかといったようなことも検討してまいったわけでございますが、ただいま御指摘の三菱重工のケースは、いわゆるフローティング方式というふうに承知いたしております。  これにつきまして、まず安全規制の面でございますが、この備蓄施設なるものを船舶と見る場合には、いわゆる船舶安全法の対象になって運輸省の所管になるわけでございますが、陸上の施設と同じものとみなす場合には、消防法の関係になる、ということは消防庁と申しますか自治省の所管になるということで、洋上備蓄施設に対する安全、防災の法規をどのように適用するかということにつきましては、現在運輸省と自治省の間で話し合いを続けておるというのが現状でございます。  それから、地元の漁協等との関係についてどうなっておるかという御指摘でございますが、当然かような問題につきましては地元の理解と協力を前提として実施に移すべきだ、かように考えております。私たちの承知いたしておるところでは、すでに上五島洋上石油備蓄株式会社なるものが発足いたしまして、漁協を初め地元と精力的に話し合いに入っておる、こういうふうに承知いたしておりますので、地元との話がついた上で実施に移すだろう、かように考えておるわけでございます。  それから、地元に対する立地促進交付金の問題でございます。これは御承知のように、電源三法と申しますか、電源立地につきましてはすでに実施に移されております。石油備蓄につきましても、当初五十二年度から私たちも同様な制度を発足させたいということで折衝いたしておったわけでございますが、とりあえず本年度につきましては工配補助金を活用していくということになっておりますが、来年度以降につきましては、私たちはさらに想を改めまして、石油備蓄につきましても立地促進のための交付金制度というものを創設いたしたいということで、関係省庁と話し合いを進めております。現在まだそういった段階で、予算要求といったような形でございますが、われわれの原案では、キロリッター当たり五百円、原則として三年間、これは当該市町村並びに周辺市町村にそれぞれ同額のものを交付いたしたいということで鋭意折衝を続けてける、こういう段階でございます。
  32. 岩田光正

    ○岩田説明員 一言補足させていただきます。大部分エネルギー庁長官の方からお答えいただいたわけでございますが、上五島の洋上備蓄につきましては、これはタンク船と、それを係留いたします係船柱、それと陸上施設によって成り立っております。このタンク船につきましては、これは私どもは船舶であるというふうに考えておりまして、船舶安全法によりまして構造、設備等を規制することになると考えております。また、ここには多数のタンカーが出入することになりますので、港湾とも考えられるわけでございまして、これら港湾及び関連施設の配置計画、安全性等につきましては、港湾法が適用されることになっております。  また、貯蔵船にかかわります油の排出問題につきましては、一たん事故がありました場合の通報あるいは排除義務、オイルフェンス等の防除資機材の備えつけ等につきましては、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律というものが適用されることになりまして、これによって対処していかなければならないと考えております。  なお、先生御指摘のとおり、これは新しいシステムでございますので、先ほど先生からもお話がございましたように、このシステムの安全、汚染防止対策につきまして、去る十月、運輸技術審議会に対しまして、専門家の立場からのいろいろな御指針をいただきまして、これを受けまして関係の法律につきまして――規則でございます。省令段階でございますが、所要の改正が必要になりますれば、それによって万全を期してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 これで終わりますが、橋本長官、地元の漁協なり地元住民の合意がなければこれを認めないという態度でお臨みになるべきだと思うのですが、この点はひとつはっきりお答えをいただきます。  また、地域の町村に対する助成の点は、電源三法に準じておやりになるということですから、合意をすると地域町村の期待にこたえるということになるわけですが、反対をしている側――側ということよりも、沿岸漁業を守るという点からも重要な点ですから、その点はひとつ後でお答えをいただきます。  それから、濃野局長、大規模小売店舗法の改正の作業をいろいろお進めになっていらっしゃると思うのですが、どの程度作業を進めているのかという点をお聞かせをいただく。  それから、中小企業庁長官は、為替変動によるところの中小企業の緊急融資に対して対象業種を拡大をするということなんですが、どの程度拡大していこうとしているのか。それから、拡大をいたしましても、対象業種になりましても、個別企業でもって二〇%の輸出依存率がないと対象から外すことになるわけですから、こういう状態の中ではこれを弾力的に行う必要があるというように私は思います。  それから、税対策としても、損失が生じたときには、いまは一年ということなんですが、これを三年なり五年にさかのぼる必要があるのではないか、こういった弱い中小企業を守るための強力な取り組みが必要であろうと思いますから、それぞれ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  34. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 石油備蓄の増強という観点からいたしましても、洋上備蓄の成否ということにわれわれは非常に強い関心を持っておるわけでございます。そのためにも地元における理解に立った協力というものが必要だと思いますので、関係会社を督励いたしまして、できるだけ早く合意に達するようにわれわれも側面から指導いたしたいと思いますし、一方、立地促進交付金制度につきましても、地元に対する経済的還元という意味からいたしましても、私たちとしても早急に実施に移したい、かように考えて、今後一段の努力をいたしたい、かように考えております。
  35. 濃野滋

    ○濃野政府委員 お答え申し上げます。  大規模店舗法あるいは商調法等を含みます小売商業問題につきましては、先生御案内のように、八月から小売商業問題の懇談会を発足させまして、まず現状の検討、それから関係者からの意見聴取をこの懇談会の方でずっと続けてまいりました。これを全部終わりまして、現在、問題点の整理にかかっておりまして、近く懇談会としての取りまとめが終わる、こういう段階になっております。
  36. 岸田文武

    岸田政府委員 円高の問題は、中小企業、特に輸出産地に対して非常に大きな影響を与えつつあるように私ども判断をいたしております。調査をするたびに事態が深刻になっている、私どもはそう受けとめておるところでございます。したがいまして、対応策につきましても、いままでやりました対応策をフルに活用すると同時に、その内容の改善についてもいろいろ検討を進めておるところでございます。  お話の中で、為替変動対策緊急融資制度につきまして、対象業種の拡大は考えられないかという点でございますが、目下、各原局を通じまして要望の取りまとめあるいは裏づけの資料等の整理をいたしておる段階でございます。ただ、二〇%の比率を動かすという点は、実務的にはなかなかむずかしい問題があるのではないかという感じがいたすところでございます。  それから、第二にお尋ねのございました税制上の措置につきましては、円高によりまして差損が出たという場合に、通常であれば一年間にさかのぼって還付ができるわけでございますのを、さらに三年程度に延ばせないかという御提案、これは私どもも、従来のドルショックの際にもとった措置でございますので、今回、円高の問題がこれほど深刻になっておる際、ぜひ実現をしていきたいと考えておりまして、目下、税務当局と折衝中でございます。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 約束の時間が若干超過しました。これで終わります。
  38. 野呂恭一

    野呂委員長 山崎拓君。
  39. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 公正取引委員長にお伺いをいたしますが、改正独禁法の施行を控えまして、政令、運用基準等の作成の作業が進められておると聞きますが、どういう日程になっておりますか、まずお伺いいたします。
  40. 橋口收

    橋口政府委員 改正独禁法の施行の最終期限は、法律の規定によりまして十二月二日になっておるわけでございまして、当委員会でもしばしばお答えをいたしたところでございますが、改正独禁法の重要性にかんがみまして、政令、運用基準、ガイドライン等につきましては、できるだけ早く一般に公表したいということで作業を進めてまいったのでございます。当初の目標は大体二十日前後に置いておったのでございますが、何分にも大変むずかしい法律でございまして、法制当局における政令の審議あるいは関係省庁の折衝等に多少手間取りまして、現在の予定といたしましては、最終の閣議決定を来週の火曜日、十一月二十九日といたしておるわけでございまして、それよりおくれるということになりますと十二月二日の当日になりますので、ぜひ来週の二十九日の火曜日には最終的な政令につきましての閣議決定をお願いしたい、こういうふうに考えているところでございます。
  41. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 来週の火曜日の閣議にかけるという段階でございますので、非常に押し詰まった段階ですから、この時点でこの内容について御質問申し上げるのはやや時期を失している感じもするのでありますけれども、この改正独禁法の運用の問題は非常に重要な問題であると私は考えますので、あえて御質問申し上げる次第であります。  現下の厳しい経済環境でございますので、ぜひ企業の活力をそぐことがないように、ひとつ十分慎重な御配慮をお願いしたいと思うのでありますが、先般の国会におきまして改正独禁法が成立をいたしました際に、衆参両院で附帯決議がなされたのでありますが、その附帯決議の中で、衆議院におきましても、「経済政策の中における独禁政策と産業政策の位置づけを明確にし、これらの関連に十分配慮しつつ、独占禁止法の運用を図ること。」といたしております。また、参議院におきましても、「経済政策の中における、独禁政策と産業政策の位置づけを明確にするとともに、わが国経済や国際競争の実態を十分にふまえ、経済政策及び産業政策との整合を図るよう配慮すること。」といたしております。  このような附帯決議の持たれました精神というものを公正取引委賛長はどのようにお考えになっておるか、伺っておきたいと思います。
  42. 橋口收

    橋口政府委員 独占禁止政策と産業政策との調整、調和の問題は大変大事な問題でございまして、先生がいまお読みになりましたように、衆参両院の附帯決議にも第一番目にそのことがうたわれておるわけでございまして、また、改正独禁法審議の際にも、山崎先生から前委員長の澤田に対しても御質問があったところでございまして、その経過等につきましては十分承知をいたしておるところでございます。  独占禁止政策は、本来競争秩序の維持という一つの理念的な課題を持っておるわけでございますから、他の一般の経済政策とやや次元を異にする面がございます。人によりましては、独禁政策は質的な政策である、他の経済政策、産業政策、財政金融政策等は量的な政策である、こういう整理をしておられる方もおるわけでございますが、しかしながら、経済政策の一環としての独占禁止政策の立場を考えてみますと、現代の経済政策が奉仕すべき目標は私は三点あると思うのでございまして、一つは経済の安定成長でございますし、第二には資源の最適配分、第三には国民福祉の向上、この三点に奉仕するのが独占禁止政策を含めた現代の経済政策の課題であると考えておるわけでございます。したがいまして、独禁政策といえども、他の経済政策と孤立した政策であってはならないというふうに考えておるわけでございまして、独禁政策の持つ競争体質の基本は保持しながら、他の経済政策、産業政策等との調和を十分図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  43. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 企業の活力をそぐことなく、経済の健全な発展を図る方向で独禁法の運用を十分お考えいただきたいと思います。  そこで、政令の内容についてお伺いをするのでありますが、まず、独占的状態関係の考え方でございますが、政令で定める業種は製造業等、日本標準産業分類の大分類を参考として定めるというお考えのようでございます。私の考え方といたしましては、製造業というような大分類にいたしますと、事業の内容や業界の構造等が全く異なる雑多な業種が当然含まれてくるわけでございまして、そのような製造業の標準利益率と申しますか、平均利益率をもって果たして妥当性のある判断ができるかどうかという点について非常に疑問とするわけでございますが、委員長いかがですか。
  44. 橋口收

    橋口政府委員 政令の内容につきましては、最終的に決定をいたしますまで正確に申し上げることは困難でございますが、ただいま御指摘がございましたように、われわれの素案といたしましては、日本標準産業分類におきます大分類によって整理をいたしたいというふうに考えておるのでございます。この点につきましては、一つの問題でございまして、いま先生がおっしゃいましたような中分類を採択するということも十分検討いたしたわけでございます。  ただ、中分類を採択いたします場合に難点が幾つかございまして、一つは、中分類をとりました場合に、比較すべき利益率の計算のベースになる統計が整備されております業種が少ないという問題でございます。多少正確に申し上げますと、中分類は八十八分類でございますが、そのうち統計の整備されておりますのは二十一業種のみでございまして、六十七業種につきましては資料、統計が整備されていないという難点がございます。したがいまして、政令の中に中分類としての業種を掲げるということになりますと、政令としての欠缺の問題が出てまいります。政令の内容として適当な内容を含んでいないという欠缺の問題が生じてまいります。  それから実態的な問題といたしましては、中分類をとってみますと、独占的状態における事業分野の利益率の影響というものが他に出てくるわけでございまして、つまり当該寡占企業の利益率が当該中分類の利益率を支配するという問題が出てくるわけでございまして、つまり比較されるものと比較するものとの近接の問題が生じてまいります。  それからもう一つの難点といたしましては、その他業種というのがございまして、そういうものにつきましてはその他製造業というものに含まれるわけでございまして、せっかく中分類を採択いたしましても、その点やはり不十分な点が残るわけでございます。  したがいまして、基本的に考えまして、競争市場における資本の移動ということを考えますと、これはかなり広範囲にわたって移動が起こるわけでございまして、たとえば適例かどうかわかりませんが、石炭産業からレジャー産業へと資本が移動するということも間々あるわけでございます。したがいまして、そうは申しましても、石炭産業とレジャー産業を一緒にするのはこれまた適当でないと思いますので、一つの妥協の産物といたしまして、大分類で採択をいたしますとその辺の不合理性というものは比較的少なくなるというふうに考えまして、現段階におきましては大分類で整理するという考え方をとっているわけでございます。
  45. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 ただいま中分類を採用いたしました場合の問題点について御指摘があったのですけれども、統計資料が不足なんだ、だから採用できないという議論でありますけれども、しかし、独占的状態の判断をいたしますための業種の設定ということになりますと、これはあくまでもできるだけの正鵠を期していかなければならないわけでございますから、そういう点からいたしますと、統計資料をやはり整備するということが当然伴ってくべき筋合いのものであって、だからといって、大分類でとりあえずはいこうではないかという考え方はとれないんではないかと私は思うのです。     〔委員長退席、林(義)委員長代理着席〕  この大分類を見ておりますと、製造業の中で、たとえば私の持っておりますのは「総資本純利益率の業種別推移」という資料でございますが、消費財が非常に利益率が高い、それから生産財は非常に利益率が低いという一般的な傾向がございまして、事務用機械なんかは、昭和三十九年から四十八年の十年間の平均利益率が一一・六%に達しておる。それに対しまして化学肥料は一・三%しかない。製造業の全体の利益率というのは四・一%であるというような数字になっておるわけであります。  こういう利益率に関しましても非常に大きな幅があるということからいたしますと、大分類を採用することはどうしても問題を残すことになるんではないかと私は考えるわけです。  三点目か四点目に御指摘をされました、その企業自体の取り扱い製品というものが変わってくるというようなお話もあったわけでありますけれども、しかし、今回の利益率の計算の場合には、企業単位に計算するのではないのであって、事業分野ごとに計算をする、こういうことになっておる、そういう点もありますので、私はやはり中分類を採用することが妥当であると考えますが、いかがですか。
  46. 橋口收

    橋口政府委員 御指摘のような問題がございますので、いろいろな角度から検討いたしたのでございますが、先ほどもお答えいたしましたように、政令の要件といたしますにはやや欠ける点がございます。  ただ、この問題は、構造要件に該当いたしました具体的な企業について弊害があるかどうかを判定する大変重要な指標でございます。したがいまして、政令におきましては、総資本利益率等を製造業につきまして見まして比較をいたすわけでございますが、実質的な審査を行います場合には、可能な限り資料を集めまして、中分類における利益率等も可能な限り計算をいたしまして、比較するという用意はございます。  ただ、政令の業種として中分類を指定することにつきましては、先ほど来申し上げておりますような難点がございますので、この際としては大分類でいきたい、こういう考え方でございます。
  47. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 次に、政令で定める種類の利益率に関してお伺いしますが、原案によりますと、自己資本経常利益率及び総資本営業利益率ということになっております。しかしながら、衆参の附帯決議を当然尊重いただくものと存じますが、参議院の附帯決議の正項によりますと、「法第二条七項三号の「利益率」については、自己資本経常利益率のほか、総資本経常利益率、売上高経常利益率等をもって総合的に判断することとし、」云々、こうなっておることは御案内のとおりであります。附帯決議にもこのような指摘がなされておりますし、できるだけ多角的に正確な実態を把握するためには、売上高利益率を当然含めるべきだと存じますが、いかがですか。
  48. 橋口收

    橋口政府委員 参議院における附帯決議におきまして、三つの利益率を比較するようにという御指摘をいただいておるわけでございまして、したがいまして、私どもといたしましても、可能かどうかについて十分検討いたしたのでございます。  それで、売上高利益率を採用いたします場合に幾つか問題があるわけでございまして、その点を多少申し上げてみますと、売上高利益率は本来利幅という性格のものでございますから、商品によって資本の回転率も異なっております。したがいまして、利幅による比較というものは本来問題が多いという点が第一でございます。  それから、売上高利益率で比較をいたします場合には、先ほど中分類について申し上げたのと関連いたすわけでございますが、業種の細分化をしなければならないわけでございます。それで、細分化をいたしますと、細分化をすればするほど、独占的状態にある企業の高収益というものが比較すべき基準に反映をいたしてまいるわけでございます。つまり、比較すべき基準となる利益率を押し上げるという事態が生じてまいりまして、そこに比較の意味が失われるという問題がございます。  先ほど中分類についてもお答えを申し上げましたように、政令の内容として決定をいたしますものに採択するのには、いま申し上げたような難点がございますが、これは企業の弊害要件を認定する大変重要な要素でございますから、実質的な審査におきましては、十分売上高利益率につきましても配慮をいたしてみたいというふうに考えております。
  49. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 私見でありますけれども、業種の分類を中分類として、利益率の中に売上高利益率を入れるということが、私は妥当であると思うのでありますが、議論をいたしましても平行線になると思いますから、私見として申し上げ、十分御配慮いただきたいと思います。  それから、利益率についてもう一点だけ伺っておきますが、先ほどちょっと申し述べましたように、一事業分野の利益率をとることになっておりますが、全社ベースと申しますか、企業単位の利益率を採用すべきではないかという議論があるわけであります。これは論拠があるところでありまして、要するに、一事業分野の利益率をとるということは合理的な算定が不可能ではないかという考え方であります。特に一般管販費等を見ておりましても、本社費用をどういうふうに配分するのかという問題点が当然出てまいりますし、営業外収支のごときは、当然会社全体の営業利益であり、営業費用でありますから、そういう意味合いにおきまして、一事業分野単位の利益率をとるということは、やはり正確を期することができないのではないかという議論ですが、どうですか。     〔林(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  50. 妹尾明

    ○妹尾政府委員 お答えいたします。  独占的状態を判断するに当たりまして採用いたします利益率のどこで見るかという問題でございますが、これはいろいろ御議論のあるところではあろうかと思いますけれども、法律を素直に読みますと、一応当該問題の事業分野につきまして、一定の市場構造なり市場の弊害があるという場合に問題にするのだということになっておりまして、法律の条文からいたしましても、利益率の判定はその独占状態があるかどうかということを利益の水準で見るわけでございますので、当該事業分野について見るのがどうも妥当な解釈ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。  それから、先生御指摘のように、確かに現実に公表されております資料は、企業全体のものでございまして、事業分野自体については、この算定についていろいろ問題があることは事実でございますけれども、私どもといたしましても、企業会計等の専門家につきましていろいろ意見も伺っておりまして、その結果によりますと、適当な基準を設ければ算定は可能であるということでございまして、できるだけ早い機会にそれをはっきり決めまして明らかにしたいというふうに考えておるところでございます。
  51. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 次に、事業分野のガイドラインについて伺っておきたいのですが、附帯決議によりますと、衆議院におきまして、「独占的状態の定義における事業分野等については関係者の意見を十分聴取し、」となっておりますし、参議院におきましても、「ガイドライン、運用基準等の作成に当たっては、学識経験者、主務官庁、産業界等の意見を十分に聴取し、」という決議になっております。このように関係者の意見を十分に聴取してこられたのかどうか、この点について伺っておきます。
  52. 橋口收

    橋口政府委員 独占的状態におけるガイドラインの作成につきましては、経済界、産業界各業界、関係省庁の意見を伺っておるわけでございます。また、ことしの二月に国会に提出をいたしました事務局の試案の中には九業種という分類もございます。九業種だけで構成する懇談会もございます。そういう各方面の意見を伺ったわけでございます。その他、消費者団体等からも意見を伺っておりますし、それから公正取引委員会の懇談会でございます独占禁止懇話会の御意見も伺ったわけでございまして、各方面の御意見を伺った上で最終的に案をまとめるという手順にいたしておるわけでございます。
  53. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 特に参議院の附帯決議によりますと、「ことに「事業分野」のガイドラインについては、最近における著しい技術的進歩、流動的な需要の動向等の事情を考慮し、経済の実態に即したものを作成し、」となっております。経済の実態に即するということが非常に重要であると考えるのでありますが、その観点からいたしますと、一定の商品の範疇あるいは類似商品の範疇というのが非常に重要になってまいるのでございます。  そこで、具体的に例を挙げてお伺いするわけでございますが、板ガラス製造業の事業分野におきまして、メタクリル樹脂が類似商品として加えられるかどうかということが議論になっておるということを伺っておるのであります。ほかにも、カラー写真フィルム製造業の分野においてインスタントカラーフィルムがどうかというような問題でありますとか、あるいは食かん製造業の事業分野でのガラスびんでありますとか、あるいはウイスキーの事業分野におきます蒸留酒の考え方等が問題になっていると思うのでありますが、こういう問題点につきましては、私は、できるだけ産業界の意向を重視してもらいたいというふうに存じますが、この点いかがですか。
  54. 橋口收

    橋口政府委員 本年四月、国会に参考資料として提出をいたしました事務局試案は、九業種とその他業種と二つに分かれておったわけでございます。この点につきましては当委員会でもすでにお答えをいたしたところでございますが、別表1と別表2を合体する方角でいま検討を進めておるわけでございまして、恐らくはそういう形で公表になるというふうに考えられるのでございます。個々の業種の問題につきましては経済部長からお答えを申し上げたいと思いますが、別表1と2を合体いたしました理由といたしましては、御指摘もございましたような最近における経済情勢の変化等を勘案いたしまして、業種の入り繰りもございますし、また、九業種を取り出すということの当否についての問題もございますので、そういう形で公表をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  個々の業種につきましては経済部長からお答えを申し上げたいと思います。
  55. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 いま公取委員長から私の御質問を申し上げない点についてお答えがあったわけでございますが、公表問題につきましては、前回の審議の際に、別表1で九業種というようなことが俎上に上りまして、ために、社会的にいろいろ不利な打撃を企業側としてはこうむったということを言っておるのでありまして、今回におきましても、公表のあり方次第によってはまた同様のことが発生すると考えられます。別に構造基準を満たしたことが弊害要件を満たすということではないということは、専門家の間ではわかっておりますけれども、一般国民大衆にはわからない点なんです。その点を十分御配慮いただいて、そういう不当な社会的影響を企業側がこうむらないような配慮がぜひとも必要である。九業種のみでなく、これからそういう構造基準を満たす可能性のある業種というのが相当数挙げられているということを聞いておるわけでございますが、その点について、委員長は先にお答えになったわけでございますが、十分御配慮いただきたいと思うのです。  私が御質問申し上げましたのは、類似の商品等の決め方について御質問を申し上げたわけでありますが、メタクリル樹脂に限って再度申し上げますと、流通経路は板ガラスの場合とほとんど同じである。ガラス特約店の七割が扱っておる。あるいは用途につきましても、議員会館のドア、私はこれはガラスだと思っておったのでありますが、最近になって初めて知りましたけれども、これがメタクリル樹脂であるということです。恐らく全国会議員があれをガラスだと思い込んでいるのではないかと思うのでありますけれども、そういうことも実情としてあります。価格の点につきましても同様のものであるというふうに聞いておりますが、こういう経済の実態に即した定め方をぜひやってもらいたいということを要望し、お答えもいただきたいと思います。
  56. 妹尾明

    ○妹尾政府委員 板ガラスの類似品としてメタクリル樹脂を評価できないかどうかという問題でございます。  御指摘のように、メタクリル樹脂の板の中には、板ガラスと非常によく似たものが一部存在することは事実でございます。ただ、メタクリル樹脂の板が板ガラスの分野に出てまいりましたのは比較的最近のことでございまして、実は競合の実態も、具体的に統計資料等もございませんし、明らかになっていないというふうな実情でございます。それから、メタクリル樹脂の中には、板ガラスの機能、効用面におきまして全く関係のないものも相当ございますので、これはむしろ今後の問題として検討の余地が残っている、そういう問題ではなかろうか、現段階におきましては、ちょっとこれを類似品として扱うことについては難が多いんではなかろうか、こういうふうに考えております。
  57. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員 時間が参りましたので、ただいまの御答弁、納得できないのでございますが、最後まで関係者の意見を十分に徴して検討をお願いしておきたいと思います。  最後に、これは答弁は要りませんが、特に御要望申し上げておきたい点は、価格の同調的引き上げに関する報告の徴収について、附帯決議において、正当な企業活動を阻害することのないように十分配慮することを決議いたしておるわけでございますので、この点について特に御要望申し上げまして、質問を終わります。      ――――◇――――-
  58. 野呂恭一

    野呂委員長 この際、請願審査を行います。  本日の請願日程を一括して議題といたします。  本会期中付託になりました請願は四百五十四件であります。  その取り扱いにつきましては、先刻理事会において協議をいたしましたので、この際、紹介議員の説明を省略し、直ちにその採否を決定いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日の請願日程中、第三〇、第六九、第七三ないし第八六、第一七六、第一七七、第三〇八ないし第三一一、第三五二、第三五三、第三六二ないし第三六九、第四一一ないし第四一六、第四三六及び第四五二の各請願は、趣旨妥当と認められますので、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ――――――――――――-     〔報告書は附録に記載〕     ――――――――――――-
  62. 野呂恭一

    野呂委員長 なお、本委員会に参考送付されております陳情書は十四件であります。お手元に配付しておきましたので、御了承願います。      ――――◇――――-
  63. 野呂恭一

    野呂委員長 閉会中審査の申し出に関する件についてお諮りいたします。  中村重光君外九名提出小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律案 及び本日付託になりました  橋口隆君外五名提出小売商業調整特別措置法の一部を改正する法律案 並びに  通商産業基本施策に関する件  中小企業に関する件  資源エネルギーに関する件  特許及び工業技術に関する件  経済の計画及び総合調整に関する件  私的独占の禁止及び公正取引に関する件  鉱業と一般公益との調整等に関する件 以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になりました場合、今国会に設置いたしましたエネルギー・鉱物資源問題小委員会及び流通問題小委員会は、閉会中もこれを存置し、調査を続けることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、両小委員及び両小委員長は従前どおりとし、その辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中審査におきまして、委員会及び小委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人の出頭を求めることとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査に当たり、委員派遣を行う必要が生じました場合には、その調査事項、派遣委員、派遣地並びにその承認手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇――――-
  69. 野呂恭一

    野呂委員長 引き続き、通商産業基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐野進君。
  70. 佐野進

    佐野(進)委員 経済企画庁長官は。――きょうは最後の委員会でありますし、発言をするについてもいろいろ考慮したわけですが、ただ、最後の委員会のこの席でやはりどうしても質問しておかなければならない、そういう点について発言することが必要であろう、こう判断いたしましたので、大臣もそれぞれ忙しい中ではあると思いましたが、その御出席を願っておるわけであります。  私は、いまの円高不況、この問題は日本経済にとってきわめて重大な問題であろうと思うのであります。このことは、もう何もここで強調する必要がないほど、両大臣も政府委員の人たちもよく理解されておると思うのであります。しかし、物事を判断する場合、重大な問題だ、重大な問題だといってその問題の渦中に巻き込まれているわれわれは、ともすると大局的な視野に立って物事を判断する前にその事態の動きに惑わされてしまう、こういうような気もするわけであります。政府当局がそういうような形になったとすると、これはもうそのことによって国民にはかり知れない被害を与える、そういうことにつながっていくわけでありまするから、私は、そういう点については、政府の各位がこの事態に対処しているいまこそ毅然とした態度と確固たる信念を持って対処してもらいたい、こういうことを強く求めたいと思うのであります。  以上の見地から質問をしてみたいと思うのでありまするが、まず第一に、通産大臣並びに経済企画庁長官、むしろこれは経済企画庁長官に質問の重点があると思うのでありまするけれども、今日の円高を取り巻く情勢が一体どういうような環境の中でつくり上げられていったか、このことについても先ほど来いろいろ議論がなされ、また、連日その点について当委員会においても議論がなされておるわけでありまするが、私は、その点について、視点を変える、いわゆる見方を変える、そういう面で起きた現象をどうするのかという対策のみでなく、この原因が一体どこにあるのかということについて少し質問をしてみたいと思うのであります。  経済企画庁長官は、この問題については政府の中でその責任者として対応しておられるわけでありまするから、最もその実情を熟知しておられると思うのでありまするけれども、私は、日本国民の一人として、日本の国の経済が健全に運営されることを願う立場に立つとき、どう考えても、今日の円高の動きというものは、アメリカ、ヨーロッパを中心とするいわゆる欧米諸国の、なかんずくその中における有力な国であるアメリカとイギリス、あるいはその他ヨーロッパにおける諸国の日本に対するところの経済攻撃ではないか、経済攻撃ということを言葉をかえて言えば、いわゆる巷間伝えられるように経済戦争という表現をもっても当てはまるような事態ではないのか、これに対して、戦争をしかけた方は意気軒高として戦争をしかけてき、攻撃を加え続けてきているけれども、しかられた方は、気息えんえんたる状況の中で何をなすべきかということをも判断できず、ただいたずらに日を送り、事態がその日を送る中で好転することを願うように、無策の中に日を送っているようにわれわれとしては受けとめざるを得ないような今日の政府の対応ではないかというように感ずるわけであります。  そこで、私は、原則的な質問になりまするけれども、企画庁長官に質問したいと思うのですが、あなたは、私がいま言ったように、今日のこの事態はアメリカを中心とする欧米諸国の日本国に対する経済的な攻撃である、こういうように受けとめておられるのかどうか、この点について若干の事例を含めてひとつ御答弁をいただきたい。
  71. 倉成正

    ○倉成国務大臣 まず、今日の円高がかなり投機的な要素があるということは事実でございます。しかし同時に、この円高の背景が日本の経常収支の大幅な黒字またアメリカの貿易収支の大幅な赤字、これが背景になっておることも疑うことのできない事実でございます。同時に、いま世界の経済が、御案内のとおり、OPECの経常収支の大幅黒字、この数年間は毎年四百億ドル前後の黒字が出ておるものですから、このOPECの黒字をどこかの国の赤字で補っていかなければならない。したがって、この赤字をひとつ先進国諸国で分担していこうではないかというのがOECDの先進諸国の考え方でございます。  その中で、日本が経常収支をさらに大幅に黒字を出しておる。そういたしますと、先進諸国の国内事情を見てまいりますと、いずれの国も政治的にも非常に困難な事情にある。いわば連立政権であるとか、あるいはいろいろな意味で必ずしも安定してないという状況の中で、非常に失業者が多いわけであります。日本の失業率よりもかなり高い失業率を西ドイツ、イギリスあるいはアメリカその他の諸国が持っておるというので、どうもいらいらが高じておるということで、すでに一九七六年の時代から、日本が円安で輸出をしているんじゃなかろうかというような提起が国際会議の席でいろいろ言われてきておりました。バーグステン等がそういう発言をしたわけでございますが、私がことしの六月二十四日に出ましたOECDの閣僚会議におきましても、イギリスのヒーリー蔵相初め関係者が日本の経常収支の黒字に対する非難をいたしまして、一連の国際会議においてやはり日本がもう少し経常収支の黒字を少なくして、そして世界の経済の安定に貢献してほしいということがずっと言われてまいりました。  日本としても、世界の中で生きていかなければ日本の国はやっていけないわけでありますから、やはりこれらの要求に謙虚に耳を傾けてやらなければならないということで、国内政策としては最善の努力をしたつもりでございますけれども、残念ながら、日本の国内の景気が思うように回復いたしません。そして輸入がふえてこない、輸入が非常に低い水準にあるということから、経常収支の黒字が予想よりもはるかに大きな形で出てきておるというのが現状の姿でございます。  したがって、基本的にはやはり内需を拡大することによってこの経常収支の黒字幅が減っていくように努力をしていくということではないかと思うわけでありますけれども、なかなかそこに時間がかかるというところに今日の悩みがあるわけでございまして、緊急輸入等の対策についていろいろ工夫いたしておりますのも、やはりそういうことであろうかと思うわけであります。アメリカやその他の国々が日本に対して強い批判を持っておるということは事実でありますし、この非難の部分について、ある面においては当たらない面もあるかもしれませんけれども、大筋においては謙虚にその声に耳を傾けるのがやはり日本の姿勢でなければならないと思っております。
  72. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣、私が冒頭質問をする意味について申し述べて質問に入ったわけですね。いまあなたの言われるようなことは何回も何回も聞いているわけですよ。しかし、そういう話を聞けば聞くほど、国民のいらいらというか、欲求不満というか、そういうものがなかなか解消され得ない。経済はますます混迷に陥ってしまう、こういう気がしてならないのですよ。  だから、たとえばいまアメリカの問題――ヨーロッパの問題はしばらくおくとして、だがしかし、この貿易収支の赤字の大部分は、日本との輸出入の不均衡も一つの原因として存在しているけれども、いわゆるアメリカが石油を大量に買い込んでいる、備蓄している、そのことによって生じた赤字が今日のアメリカの貿易収支の赤字を出している相当大きな原因になっているということは、だれもが認めているわけですね。いわゆる日本との貿易の不均衡も一つの条件であることは間違いない、これは否定することができないと思うのだけれども、アメリカの国内経済政策の運営上における問題としてその条件ができているということも間違いないと思うのです。  そうすると、われわれは、そのできている一つの条件に対しては、何ら一言半句も、どこにおいても言うことができ得ないで、ただひたすらに、日本の貿易収支の黒字をどう減らすのかという形の中のみにおいて対応に苦しんでおる。しかもその対応に苦しんでおる対策というものが、きわめて不十分だということは私も認めます。これは後で言うわけですが、私がいまお聞きしたいことは、大原則として、このように特に九月以降におけるところの急激な円高という傾向が政策的に仕組まれている状況の中で、その攻撃を受けているわが国としては、ただ消極的に、それができません、これができませんという形だけでなくして、積極的にそれらに対して対応する姿勢を政府が持つべきではないのか。  私は、あなたが内需を拡大しなければならぬというようなことは、この委員会においては、速記録を見ていただければわかるけれども、二年も前から、当時の福田副総理に対して、総需要抑制策の問題を契約にして以来、一貫して、国内景気の振興のために内需を拡大しなさいということは、もうこの委員会の総意として主張し続けてきておるわけですよ。だから、そういう面から見て、内需の拡大が政策上におけるところの失敗とも加わってでき得ない状況の中において、政府がいまとらんとする対策というものは、もっと原則的な立場に立って対外外交を積極的に推し進める、対外的な折衝を、わが国国民の利益を守るという意味において、むしろ反撃するという形の中における態度を示さなければ、じりじりじりじりとこれが二百四十円から、幾ら防衛買いをしたところで、二百三十円台になり、二百三十円台にすらなるのではないかと言われるほどのきわめてむずかしい情勢を迎えるんじゃないかと私は心配しているわけですよ。したがって、その心配というものは、単なるわれわれが内部的な努力をすることだけで足らずして、これをアメリカないしヨーロッパの、特にアメリカの日本に対するところの経済戦争であるという形の中で位置づけるならば、それに対応する対策というものはもっと抜本的に積極的に行わなければならぬのじゃないか、このことをあなたに聞いておるわけです。どうですか。
  73. 倉成正

    ○倉成国務大臣 いまアメリカの国内において一番警戒さるべきことは、保護主義の台頭ということでございます。OECDの閣僚理事会その他一連の国際会議におきましても、しばしば自由貿易体制の維持ということについての決議がなされておりますけれども、その決議がなされる過程におきまして、いろいろな議論があったことも事実でございます。したがって、保護主義の傾向がいろんな意味で、いろんな方面に起きつつある。したがって、この保護主義の台頭を抑えるために、日米両国が協力してやっていく、保護主義の台頭を抑えるためにはどういう手だてがあるかということを考えるのが本筋じゃなかろうかと思います。  アメリカが日本に対して基本的に強い要望として出しておりますのは、経常収支の黒字幅を縮小する、そして均衡させる、そしてその時期を示してほしい、日本の市場を開放してほしい、もっと端的に言いますと、全面的な自由化を期待するというのが先方の主張でございます。しかし、この二つについて、われわれは、そういう基本的な方向については賛成であるけれども、なかなかむずかしい問題があるということを先方に伝えておるわけでございまして、その市場開放については、関税の引き下げであるとか貿易上の障害の除去であるとか、あるいはいままで輸出に偏っておった金融を輸入についても重点を置く、あるいは経済協力のアンタイ化を推進するとか、そういう具体的な問題について、そういうことで最善の努力をしていくということを先方にも伝えておるわけでございます。したがって、日本としてやるべきことをやはりしっかりやるという基本的な態度のもとで、さらに先方に対して申すことは、やはりドル価格の安定であり、ただいまお述べになりましたように、アメリカの大幅な貿易収支の赤字という問題が円高に結びついておるわけでございますから、先方の貿易収支の赤字というようなものについても、十分お互いに話し合っていくという姿勢をとっておるわけでございます。  ただ、アメリカの貿易収支の赤字の原因は、いまお述べになりましたように、石油の輸入が非常にふえた、恐らく一九七七年中の石油の輸入は、アメリカの会計年度で四百五十億ドルに及ぶと思いますけれども、単に石油の備蓄だけでこれがふえたと見るのは当たらないんじゃなかろうかと思います。アメリカの輸出が非常に伸び悩んだということでございます。これは一つは世界の経済が停滞してきたということもありますし、農産物の価格が下落したというようなこともありまして、アメリカの輸出が伸び悩んだということが一つ。それからもう一つは、アメリカの国内景気が上昇してまいりますと、御案内のとおり、自動車が伸びてまいりますればやはり石油の輸入がふえるという形で、アメリカの景気が上昇してくるということになれば、あれだけ大きな経済力を持っておりますから、やはり石油の輸入がかなりふえてくるわけでありまして、統計上出ておりますアメリカの備蓄量というものはそれほどふえてないわけでございます。したがって、輸出の減少それからアメリカの景気の上昇、それにエネルギー政策としての輸入の増加という問題が、アメリカの貿易収支の赤字を大幅にしておるというふうに考えておる次第でございます。
  74. 佐野進

    佐野(進)委員 先ほど来質問している趣旨を大臣も余り理解されてないようですけれども、要するに、このままじりじり行ったんでは、どこへ行って歯どめがかかるかわからないほどの深刻な状態を迎えるということをだれしもが恐れているんですね。実際のところ、いま二百四十円で買いに入っているけれども、きのう一日で六億ドルも買いをしなければならぬ。きょうはどうなったか、まだ情報が入ってないからわからぬけれども、そんなことが毎日毎日続くわけがないです。わけがなくて、どこかで底が抜ければ一体どこへ行くのかわからない。しかもその条件がまさに日本経済に対する攻撃だということは、これはどこのどういう角度から――あなたは大臣としてそういうことは言えないなら言えないでいいけれども、しかし、いずれにせよ、そう受けとめた対策を立てざる限りこの問題の解決はあり得ない。中途半端な形の中で対処しておったのではどうにもならぬところにいくだろうということを私は前提で言っておるわけです。だから、その点について、この問題についてあなたが本部長なんですか、だからそういう意味においての決意を聞きたかったということなんです。
  75. 倉成正

    ○倉成国務大臣 当面の問題は、まずアメリカ側と基本的な了解に達する。これは、今度参りましたリバーズ特使は、決して交渉ではない、協議である、とにかくアメリカの国内における保護主義の台頭を抑えるために、日米両国が知恵をしぼり合ってひとつお互いに検討していこうということで、いろいろな問題について立ち入ってお互いの意見の交換をしたわけでございます。そして、一応日米両国で協議をいたしました点を、いま本国に持ち帰っておる次第でございます。したがって、これらの項目については、今月中にひとつお互いに外交ルートを通じて詰めましょうということをいたしておるわけでございますから、今月中にはこれらの問題についてのおおむねの両方の詰めをいたしたいと思うわけでございます。  ただ同時に、私が率直に申しますと、事務ベース、事務方でいろいろ考えますと、リバーズさんを初め関係の人たち専門家は、いろいろ日本の国内の事情あるいは経常収支の時期を明示することは非常に困難である、市場経済のもとでむずかしいということを説明すれば、これは専門家であり、事務方であるから、十分理解できる。しかし、アメリカの国内のもっとハイレベルの方たち、あるいは保護主義を背景としたいろいろな人たちということになると、なかなかそういうことだけでは納得しないという心配があるわけでございます。そういうことを含めて、とにかくいま日米間で協議をしている項目については月内に詰めまして、そしてそれとあわせて先方のいろいろな反応を見きわめながら、両国において合意点と申しますか、まあ日本としても本当にしっかりやってもらっている、保護主義はやるべきでないというアメリカの世論をつくっていく必要があるし、また、アメリカに対しましても、このような急激な形で日本の経済が円高によって非常に苦しい思いをするということは、世界の経済にとってもアメリカの経済にとっても決して望ましいことではないということを強く伝えていくというのがいまの姿勢でございまして、まずアメリカ側とのそういう意見の一致点を見出して、さらにこれをヨーロッパその他の諸国へと広げていくということで、基軸は日米関係であると思います。日米関係が非常に悪い結果になりますと、ヨーロッパにまたはね返ってくるということで、アメリカは単に日米間の問題を言っているのではなくして、やはり世界全体におけるバランスということを言っておるわけでございまして、問題の重要さ、所在ということは私どもも十分認識をしているつもりでございますけれども、なかなかむずかしい問題をはらんでおるものですから、いま佐野委員の仰せのように、どうもぐずぐずしていていかないのじゃないかというお気持ちを持たれるかもしれませんけれども、いましばしお待ちをいただけば、私はその方向は出てくるというふうに確信をいたしております。
  76. 佐野進

    佐野(進)委員 この問題について、若干さらに突っ込んで、それぞれについて質問してみたいと思うのですが、いまいわゆる日米交渉という形で倉成大臣がいろいろ苦衷を述べられております。私の言わんとするところは、それらの交渉の中でやはり日本政府が毅然とした態度で、これだけのドルを減らしますなら減らす、減らすためにこうしますとかあるいはどうだとかこうだとかという確約を与える。しかし、そのかわり、アメリカの謀略とも言ってもいいのではないかと思われるようなこの円高攻勢に対して、歯どめをかける措置を具体的に確約をとる。いわゆる円を高くして一種の揺さぶりをかけて、わが国の経済に対するところのアメリカとの貿易の不均衡を是正させる、その一つの手段としてこれを使っているということ、それが一種の攻撃であり戦争であるという言葉の中であらわれているということは、これはもう常識だと思うのですね。それをあなたが、そういうことを認識しておられると思うのだけれども、対策の責任者として何らそこに意図せずして一日一日と日をお送りになっておったのでは、一番迷惑をするのは国民だ。したがって、そういうことをしてもらいたくないというそういう態度というか、もっと毅然たる態度で対処していただきたいという希望をいままで申し上げておったわけです。  そこで、具体的な問題としてお尋ねをしたいのですが、この前、いわゆる日米間の通商協議が、通商局長と貿易局長が出席されておやりになられました。結局、この中でアメリカ側は、日本の態度は了解できないという形で帰った。したがって、それがさらに円高につながっていったんだ、こういうようなことが巷間言われておるわけでありまするが、そのような状況下で話が終わった。私は、逆に言うならば、通産当局は少し強気で対応し過ぎたのかなという――私は、強気でやると倉成大臣が言っていながら、通商局長や貿易局長にはこの点についての政治的な配慮が若干不足したんではないかというような気がその後における経過の中でするわけですが、その点についての具体的な内容はどのような状況であったのか、通商局長からひとつ答えていただきたい。
  77. 矢野俊比古

    ○矢野政府委員 私どもとリバーズとの話は、輸入を中心に話が進んだわけでございます。私どもは現在の事情を説明し、相手の方もこれはサゼスチョンであるという立場でございましたので、私なりに私たちの立場をよく説明して、日本の産業事情あるいは最近の円高事情ということもよく話したわけでございます。  その別れといたしましては、決して不愉快な形の別れでなかったというのが私に残したリバーズの言葉でございまして、いろいろ新聞紙上、あるいはアメリカの新聞でもややいろいろと批判的なことになっておるようでございますが、私どもとリバーズさんたちの間はいま申し上げた友好裏に別れておる、こういうのが実情でございます。
  78. 佐野進

    佐野(進)委員 友好裏に別れたとは、それぞれの国のそれぞれの代表としてお話しをなさっておられるわけだから、最初からけんかをして別れる必要はないと思うのでありまするけれども、結果的にこちら側の態度が向こう側の了解を得られなかったということだけは間違いないと思うのであります。したがって、具体的に向こう側の了解を得られなかったポイントは何なのか、それは幾つぐらいあるのか、この点をこの際明らかにしていただきたい。
  79. 矢野俊比古

    ○矢野政府委員 まず、基本的な内容として、私どもには製品輸入について、現在の輸入が全体の輸入量におきます二割でございますが、こういった点は非常に低過ぎる、これは実は欧州、EC側からも言われたこともございますが、こういうものをできるだけある時期を明示していま少し拡大することはできないかという御質問がございました。これは私どもは、現在自由貿易、自由経済をとっておるたてまえで、非常に受け入れられません。ただ、それじゃどういうふうに輸入の拡大策をとるかということは、今後もう少しお互いに進めてみましょう、こういうことでこの点は別れております。  それから、いわゆる東京ラウンドの促進という点につきましては、これは総理が再々、先進国首脳会議におきましても国会におきましても、積極的に取り組むという御姿勢をいただいておりますので、この点は、私どもは明らかにその姿勢は明示したわけでございます。  それから、関税の前倒し輸入というのがございますが、これも総理の国会答弁がございまして、現在いろいろと努力しておる旨を明らかにいたしました。ただ、この辺は、向こう側とある程度の理解と申しますか、あったと思いますが、残存輸入制限品目のいわゆる撤廃といったもの、あるいは枠の大幅な拡大という点は、それは非常にむずかしいんだという意思を表示してございます。  それからNTBと申しまして、いわゆる残存制限と関税以外の非関税障壁でございますが、これは相手方からいろいろと項目の説明がございまして、私どもは、これはこれから専門家レベルで十分討議していこうということを言ったわけでございます。  そのほか、いわゆる輸入金融の問題であるとか、あるいはいわゆる備蓄緊急輸入といったような点についてのお話を伺いましたけれども、私どもの方として積極的にこうできるという体制はございませんので、なお研究ということでございました。  それから、さっき長官がおっしゃいました経済協力は、これは私どもとしては相当前向きな判断を持っておったんですけれども、アメリカの方がそれに対して評価と申しますか、取り上げ方ということについてはやや食い違いがあったと思います。  そういうようなことで、関税の引き下げ問題については前向きな態勢が示されたと思いますが、それ以外については結局意見交換に終わった、こういう事情でございます。
  80. 佐野進

    佐野(進)委員 緊急輸入対策はいろいろあるわけですけれども、輸出についての問題は余り論議をされておりません。集中豪雨的な輸出が結果的にドルの蓄積を招いているんだという批判はとかく聞くわけであります。私は、この内容については、あながちそうでもないという分析もあり得ると思うのでありまするし、事実上アメリカが貿易収支の赤字を出している、その条件の中でわれわれとしては理解でき得ない、そのことのために日本に対して攻撃を加えているということが了解でき得ない幾多の面を持つことはわかるわけでありまするけれども、特に輸出面におけるところの要望が、アメリカの輸入、わが国からは輸出する品目に対しての要望があったのかなかったのか、それらについてはどのように対処されたのか、この点についてこの際明らかにしていただきたい。
  81. 矢野俊比古

    ○矢野政府委員 現在、カラーテレビの自主規制が行われておりますること、それから鉄鋼についていわゆる参考価格というような制度でアメリカが勉強しているということはございますが、今回、そういった個別の商品に関する自主規制論というのは一切出ておりません。輸出面につきましては、むしろOECDで現在議論がございますいわゆる公的信用、ガイドラインでございますが、こういうものについてはひとつ積極的にアメリカの立場を理解してくれということが一つございました。しかし、いわゆる単体輸出と申しますか、よく集中豪雨的輸出と言われますが、そういったことについては一切なかったということを明らかにしておきます。
  82. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、通商局長と貿易局長が出席されておったわけですから、この点についていま一つ明確にしてもらいたいことは、先ほど来答弁があったように、この実務家会議というか、両政府間におけるところの実務を担当する立場に立って政府を代表して参加された両局長は、結果的にこの日米協議の内容については具体的な申し合わせ等々は何らなかった、こういうように理解する。たとえば自動車がどうだとか、あるいは輸出の場合にはカラーテレビがどうだとか、輸入の場合には何がどうだとかいうことはなく終わった、こういうことであるとすると、不満足であると言って帰り、その後における経過がこのような激しいものになっているということについては、私は納得できないような点がある。むしろ日本政府としては、これら日米間におけるところの協議の中においてある程度はっきりした立場をとったのではないか、それをとることが必要な場合もたくさんあるわけでありまするから、それらについてはむしろ積極的な立場に立って交渉したのではないかと予想しておったわけでありまするが、そのようなことではなかったのかどうか、この際、もう一回聞いておきたいと思います。
  83. 矢野俊比古

    ○矢野政府委員 基本的には、先ほど企画庁長官の御答弁がございましたように、相互理解のもとにできるものは、それぞれ日本の立場でできることも大いにやろうという気構えは持ったわけでございます。しかし、今回の話し合いというのは、向こうが言うておりますように、あくまでもサゼスチョンだということでございましたので、具体的な合意というのは全然しておりません。むしろ今後、先ほど月末という企画庁長官のお話がございましたが、この間にいろいろと、今回の意見交換をベースに、向こう側からこういう問題はこうである、具体的にどうしたらいいかというようなことが、これから出てくるというふうに私は考えております。
  84. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、通産大臣にお伺いしたい。あるいは産政局長になるかもわかりませんが、いま経済企画庁長官及び日米協議に参加した通商局長からそれぞれお答えをいただいておるわけでありますが、私は、今日のこの緊迫した情勢は、まだまだ安定という形の中で収束されるには時間があると思うわけであります。そしてこの状況は、昨日の株価の下落にも見られるとおり、産業界に非常に大きな恐怖心を与えているような状況にまで至りつつあると思うのであります。これに対して、私の知る限りにおいては、産業界の動き――経済界という表現が適切であるかどうかわかりませんが、産業界の対応する姿勢というものはきわめて消極的だというふうに思います。みずからが塗炭の苦しみに陥らんとするのにもかかわらず、たとえば経団連であるとか、その他経済諸団体の動きにしても、余りにも消極的に対応している。やむを得ないのだという判断が持たれると言ってもいいほどの態度であるように私は感ずるわけです。この産業界の対応はどのようになっておられるのか、大臣でも産政局長でもどちらでも結構ですから、お答えをいただきたい。
  85. 濃野滋

    ○濃野政府委員 お答え申し上げます。  九月の末から始まりましたこの円高の傾向、日を追うに従いまして非常に急激に円高の方向が進んでおりまして、私どもも、前に大臣の御答弁ございましたように、十月末の情勢で主要産業がどういうふうにこの問題を受けとめておるのか、これに対して各企業、各産業としてどういう対応をしていくかということについて、非常に詳細な調査を取り進めまして、近くそのまとめができると思います。ただ、問題は、私ども調査をいたしました十月末当時は、まだ二百五十円ないし二百五十五円というラインでございました。その後、現状ではさらにこれが突っ込んでおるということで、産業界の受けとめ方あるいは対応ぶりにも、当然のことながら、単に量的のみならず、質的な変化が来ておると思います。  ただいま先生、産業界の対応が大変緩いのではないか、こういう御指摘でございますが、私ども身をもって感じていますところによりますと、これは業種によりあるいは企業によってそれぞれ濃淡はあるかもしれませんが、大変な努力をしておる、こう考えております。こういう円高問題というのは、業種業種によって事情が違いますほかに、企業によって対応の方向なり抵抗力なり大変違うものでございまして、口に出したり出さなかったりする違いはあるかもしれませんが、それぞれの企業、産業は大変な緊迫感を持って受けとめておるというのが現状ではないか、私、こういうふうに判断をいたしております。
  86. 佐野進

    佐野(進)委員 大蔵省から出席をいただいております。私は、いま大蔵委員会じゃないからやむを得ないと思うのですが、短期資金課長さんがおいでになっておられるようですから、この際、聞いておきたいと思うのです。  円高ドル安、これに伴う国際的な投機筋の動き等々、連日のように報道をされておるわけです。結果的にその動きの中で、大蔵省、日銀当局は、二百四十円がまさに生命線であると言わんばかりの姿勢をもって、強力な円高を防ぐ行動に入っておるわけであります。そういうふうな情勢がきのうきょうも恐らく続いておると思うのでありますが、どのような判断によってきのうきょうという形の中でそれが行われたのか、そして、この動きはどのような条件の中で発展していくのか、きわめて関心が深い問題だと思うのです。この二百四十円を日銀あるいは大蔵省が断固として堅持するのだという姿勢をとり続けるならば、恐らく守り得るでありましょうけれども、それがいささかなりとも緩みが出てくるとすれば、これはもう二百二十円台までいくのではないかという一般の予測に合致するようになる可能性を持っておると思うのです。大蔵当局のこの点に対する見解をひとつ明らかにしていただきたい。
  87. 岸田俊輔

    岸田説明員 お答えいたします。  私どもといたしましては、相場の形成につきましては、基本的には市場の実勢にゆだねるということにいたしておりますが、ただ、それが急激な変化のある場合には、それをなだらかにして、まず市場の安定ということに努力をしてまいりたいと考えております。  それから、本日でございますが、東京相場、午前中二百四十円二十五銭で終わっておりまして、まあ比較的平穏に推移をいたしております。  それから、今後の問題でございますが、私どもといたしまして相場の見通しにつきましてどうこうと申し上げますことは、市場にも影響がありますので、許していただきたいと考えております。
  88. 佐野進

    佐野(進)委員 まあ影響がありますから許していただきたいと言うのを、許さぬというわけにもいかないだろうと思う。しかし、これは大臣の答弁を求めた方がいいと思うのです。大臣もいつも言うんだね、影響がありますから許していただきたいと。影響がいい方へあるならいいのだけれども、許していただきたいといううちにだんだんだんだん悪くなってしまう。これは大変困ると思うのです。  そこで、もう一つ聞きまするが、九月下旬来、この円高に対して日銀当局がドルをどの程度円高を抑えるために買っているか、その金額を、概要でいいからひとつお示しをいただきたい。
  89. 岸田俊輔

    岸田説明員 お答えいたします。  介入の数字につきましては、これは各国とも公表いたさないことにいたしておりますので、これもまた許していただきたいということでございます。
  90. 佐野進

    佐野(進)委員 各国とも発表しておりませんから許していただきたい、そこが実は聞きたいところなので、巷間伝うるところによれば、もはやそのための予算の限度額はオーバーしている、このようにも聞いておるわけでありまするけれども、その限度額というものは存在するのかしないのか、それはどうです。
  91. 岸田俊輔

    岸田説明員 お答えいたします。  限度額は、予算上四兆五千億という数字になっておりまして、どのくらい余裕があるかということにつきましても、これはちょっと御容赦をいただきたいのでございますが、特にその限度額をオーバーしているとかいうようなことはございません。
  92. 佐野進

    佐野(進)委員 ございませんと言うのに、そんなことないだろうと言ってみたって、これは水かけ論ですから、時間が事実を明らかにすると思うのでありますが、いずれにせよ、私がここでこの問題について大蔵省の見解を求めている理由は、先ほど来質問の経過の中でも明らかなように、積極的に介入するということの持つ意味がいまやいかに重要なものであるかということ、そしてその重要なものであるかということが、たてまえと本音の違いはあっても、政府、日銀当局はそれをせざるを得ないという認識の中で、いままでわれわれがそれらについて積極的にやりなさいというサゼスチョンを何回与えても、それに対して明確な答弁がなかったにもかかわらず、いまそこに追い込められている。しかし、それが追い込められているといっても、これはまた国際的な圧力の前にいつ崩壊していくかわからない可能性を持つものだと思うのであります。あなたにそれらの点について政治的な責任ある御返答をしてくれということは、これは無理だということはよくわかります。しかし、いずれにせよ、大蔵当局がこの円高を防ぐために、もう内閣もかわろうとしているときに、そんなことを私がいま言ってもむだなことだと思うのでありまするが、あなたが担当せられている国際金融局として積極的にどうすればよろしいと御判断になっているか、この点だけひとつ聞いておきたいと思います。
  93. 岸田俊輔

    岸田説明員 先ほどの御質問でございますが、私どもといたしましては、基本的には、今回の円高相場がわが国の国際収支が引き続き順調であること、それからアメリカの国際収支が、これはまた逆に赤字が予想されているというような基本問題がございます。そこら辺の解決を一日も早くやるということを期待をいたしておりますが、当面、私どもといたしましては、相場の安定のためにできるだけの努力をしたいというふうに考えております。
  94. 佐野進

    佐野(進)委員 これ以上聞いても無理でしょうから終わりますが、そこで、当面この円高問題で政府として処置をしていただかなければならぬ問題について質問をしてみたいと思います。  この問題で一番責任ある立場に立っておられるのは経済企画庁だと思うのでありますが、倉成さん、どうですか、こういうことが言われておるのですね。今度の不況は昭和初期の不況と全く同じような状態の中で進んでいる、したがって、この円高は、その不況に加えての外圧として大不況に発展していくのではないかと予測されると言われておるわけですね。まあ大不況と不況との差がどの程度なのかということになりますると、これまた学問的にも実際的にもなかなかむずかしいと思うのでありまするが、あなたは、二百四十円ラインでもしある程度安定したと仮定せられた場合、日本経済の耐久力、いわゆる不況に対する見通しはどの程度と御判断になりますか。たとえば六・五%という経済見通し、経済成長率というものは、二百四十円において安定した場合においてはどの程度のお見通しをお持ちになられるか、この点についてひとつ御判断をお示しいただきたい。
  95. 倉成正

    ○倉成国務大臣 円高が経済成長にどういう影響を及ぼすかということについては、これは確かに急激な円高がデフレ効果をもたらすことは間違いない事実でございますけれども、二百四十円の相場がいつまで続くものかどうかということも未確定でございますので、これによってどれだけ経済成長に影響が出てくるかという問題については、私ども計算をいたしておりません。問題は、むしろミクロの問題が今日非常に重要であって、やはり個々の産業についてそれぞれ円高の影響が非常に違うわけでございまして、これについて通産当局と十分緊密な連絡をとりながら、きめ細かい対応を示していくということが大事なことではないかと思っておるわけでございます。  個々の産業の影響度については、おおむねいろいろ考えておりますけれども、非常に膨大なことになりますので、また御質問に応じて私なりあるいは通産当局からお答えをいたしたいと思います。
  96. 佐野進

    佐野(進)委員 だから、そういうことはそれでいいのですよ。私は、いま二つの点についてあなたの御見解を聞いているわけです。一つは、二百四十円が二百二十円になれば大変なことになるというのは、これはもう理の当然だと思うのですが、二百四十円で、安定したということを想定して、政府はこれだけは絶対守るんだ、しかし、情勢の変化がありますから、幾ら守るといったって守れない場合もありますが、その場合において、いま経済の成長率を予測した場合どの程度になるのか、それがいわゆる不況とか大不況とか、昭和初年と同じような深刻な経済情勢を迎えようとしておると言われておる日本経済と相対比した場合、どういうような情勢を迎えると御判断なされておるのか、この点をちょっとお答えしていただきたい。むずかしければむずかしいでいいのですよ。
  97. 倉成正

    ○倉成国務大臣 大変むずかしい問題で、お答えいたしかねます。
  98. 佐野進

    佐野(進)委員 経済企画庁の阿多審議官がお見えになっていますね。経済企画庁としては、いま私の申し上げたことは大臣大変むずかしいと、私もそうだろうと思うのです。思うけれども、これは明らかにしておいてもらわなければならぬ問題ですから聞きました。  そうすると、いま国民が最も求めていることは、今日のこの円高不況がいつまで続くのか、これはまあ予測ができない、いま大臣が言われたとおりです。しかし、当面この情勢の中で、経済企画庁としてはどうしてもこれだけのことはして国民に安心を与えなければならないという責任はあると思うのです。私は、一つ一つの情勢の変化に対応して的確なる方針を示すのが経済企画庁の果たさなければならない役割りだと思うのでありますが、あなたはこの当面する緊急な対策をどのように行うことがよろしいと御判断なされておるか、専門的な立場に立つ方として質問してみたいと思います。     〔委員長退席、武藤(嘉)委員長代理着席〕
  99. 倉成正

    ○倉成国務大臣 政策判断の問題で事務当局にお聞きになるのは、いささか無理ではなかろうかと思います。  昭和の初めとの比較でいろいろお話がございましたけれども、日本として今日一番大事なことは、世界的にいま保護主義が――あらゆる国際会議におきまして自由貿易体制を堅持するという宣言が採択されたり、そういう意味のことが国際会議で最終的な申し合わせになっておるわけです。私が出ましたOECDにおきましても、あるいはその他の会議でもそういうことでございますけれども、しかし、各国は、やはり失業の増大、経済社会情勢の不安ということから、どうしても保護主義に偏りがちである。そうなってくると、資源の乏しい日本が世界の国々から資源エネルギーの供給を受けて、そして輸出をしていかなければならないという宿命を持っております日本の経済としては壊滅的な打撃を受けるわけでありますから、どうしても世界の保護主義の台頭を抑えていく、そのために日本としてはなすべきことをなしていく、同時に、諸外国に対しても、保護主義というものが第二次世界大戦前の状況と非常に似てくるので、これは絶対避けなければならないということを訴えていくことがやはり基本の姿勢ではなかろうかと思うのでございます。  したがって、計量的にいろいろな勉強というのは、私どもの方でももちろんこういうことを扱う役所でございますから、いろいろな場合、いろいろいたしております。しかし、いまこの際、これがどういうことになるというようなことを事務当局にお聞きになりましても、それはちょっとお答えいたしかねる問題であるというので、あえて私が答弁に立ったわけでございます。
  100. 佐野進

    佐野(進)委員 まあ大臣の立場もあることですから、そういうことを了承しておきましょう。しかし、私は、今日の経済情勢の中で特に円高不況の問題をどう乗り切って日本経済を運営していくかということについては、与党であれ政府であれ、あるいは野党であれ、その所と立場を超えてやはりお互いに協力しながら努力していかなければならぬ大事な課題であろうと思うのです。したがって、私がいま質問していることは、単にあなた方に対して攻撃的な意味で質問しているのではなくして、むしろともに苦しみ、ともにこの問題の処理を図っていこう、そういう意味において何をなすべきかということを的確に出していこうではないか、そういうことで質問しているわけですから、その点をひとつ間違いないようにしてお答えをしていただきたいと思うのであります。  そこで、私は、その他いろいろな問題があるわけでございまするが、時間の関係もございますので省略をいたしたいと思いまするが、ただ一つ、いま言われた問題、長官がいま指摘になられた問題が、今日の円高不況問題に対応する上に最も重要な課題であろうと思うのであります。私は、保護主義という言葉の持つ意味が、単にそれを恐れるという形でなくして、自由主義経済圏の本家であると自認するアメリカないしヨーロッパの先進諸国が、この政策をいたずらにいつまでも取り続け得るものではないと思うのであります。したがって、あえてその問題についてそれほど恐れることはないし、むしろわが国の構造不況産業と言われているわが国産業内部におけるところの問題として、保護主義を採用してもらいたいという声すら今日強い声になりつつある状況だと思います。したがって、私は、保護主義そのものをすべて悪であると決め込んで経済政策の運営をすることはもはや不可能だ、そういう状況になりつつある、それには選択をする必要があり、それにはそれぞれの国と対応していく外交的努力がそこに必要になってくる、こう判断する時期に来つつあると思うのです。わが国は、日韓両国におけるところの貿易問題も、あるいは他の国々との貿易問題も、必然的にそこへ来るべき運命にあるような予感がしてなりません。私は、そういう意味で、倉成長官が経済政策の運営をなされる場合においては、やはり一歩前進した形の中で対応していただきたいと思うのであります。  そこで、私は、この問題について通産大臣ないし貿易局長にお伺いいたしたいと思うのでありますが、関税引き下げの問題と貿易自由化の問題、いわゆるアメリカから要求されている二つの問題であります。日米協議の場合においても要求されている二つの大きな柱であります。これが具体的な問題になってくれば、ほとんど不可能であるという条件に逢着する可能性を持っている課題であります。国内産業を育成し、発展させる上においても、むずかしい問題であります。だから、アメリカに保護主義をとらないでくれというかわりにこちらも開放しますということであっては、なかなかむずかしい問題が出てくると思うのでありますが、この二つの問題について通産当局としては、いまの倉成長官の御発言と関連してどう対応していかれようとするのか、その基本的な考え方をここでお示しいただきたい。
  101. 田中龍夫

    田中国務大臣 根本の考え方だけを一言申し上げまして、あとは政府委員からお答えいたします。  今回の日米の交渉に当たりましても、ただいままでるるお話が出ましたので、あえて申し上げる必要はございませんけれども、わが方といたしましては、誠心誠意これにこたえて当たらなくてはならない。なかんずく、日本それ自体が資源のない国であり、自由貿易に徹して、平和に徹した外交をし、また、保護主義に対してはあくまでも闘っていかなければならないという国柄からいたしまして、この保護主義的な世界の動向に対しましては、アメリカとともに私どもはあくまでも自由貿易を貫く、そのためには、またみずからもその体制に即応して、率先していくべきだ、かような基本的な考え方で臨みます。
  102. 西山敬次郎

    ○西山政府委員 関税引き下げにつきましては、御高承のとおり、東京ラウンドの一環といたしましてただいま交渉を進めておるところでございます。  具体的に申し上げますと、関税引き下げの方式につきまして、持に主立った米、EC、日本の間で、かなりな煮詰まりをしております。おのおのの品目につきましては、一月十五日以降交渉することになっておるわけでございますが、この事態の緊急性にかんがみまして、関税引き下げにつきましては前倒し的に検討いたしたいということで、鋭意努力しておるわけでございます。  また、自由化の問題につきましても、残存輸入制限品目、御承知のように、ただいま二十七品目でございます。この残存のものにつきましては、かなりその主産地形成をしておる品目が主でございます。あるいは農業政策あるいは工業政策の基幹にかかわるような物資が主でございますので、はなはだ困難でございますが、われわれとしては前向きに検討してまいりたいと思っておる次第でございます。
  103. 佐野進

    佐野(進)委員 倉成長官は、先ほど来質問しておりますが、私の質問する真意は御理解になったと思うのであります。ひとつせっかく経済企画庁は今日置かれておるこの厳しい情勢を乗り越えるために努力をしていただきたいと思います。あなたに対する質問はこれで終わります。  さて、通産大臣と産政局長にお尋ねをいたしたいと思うわけであります。  このような情勢の中で来年の経済を予測すると、大変厳しいものがあると考えるわけであります。そこで、その厳しい情勢下においてわれわれは一体何をなすべきかという点については、われわれはわれわれなりに判断しておるわけでありますけれども、特に経済問題の中における産業政策を担当する通産当局としては、きわめて厳しい情勢下において新しい政策の展開をしていかなければならないと思うわけでありますが、今日のこの厳しい情勢下において、五十三年度予算の重点をどのように御判断になり、要求をしていかれようとしておるのか、この点、予算編成という形にまではなりませんけれども、予算の五十三年度における基本的な通産省の運営の原則を明らかにしていただきたいと思います。
  104. 田中龍夫

    田中国務大臣 非常に厳しい現下の情勢に対しまして、あくまでも根本的には景気の回復であり、内需の振興でなければならぬことは、これはもう当然でございます。ただし、その間におきまする構造不況の問題でありますとか、あるいはまた特に深刻な輸出産業に対しまする中小企業を中心といたしました打撃、こういう問題に対しましては、一方においては構造対策というものを推進してまいると同時に、来るべきビジョンというものも与えていかなければなりません。他方におきましては、非常に苦境に沈淪いたします中小企業、なかんずく輸出産業に対する諸般の政策を整合性をもって遂行すると同時に、これに必要な資金的な裏づけは最も重要な問題であると存じます。これとは全然別に、私どもは、まずもってエネルギー問題に対する資金的な確保ということが明年度の予算の最も大事な国家的な責務である、かように考えます。
  105. 佐野進

    佐野(進)委員 エネルギー問題が重点的に対処しなければならない内容だという説明がありましたが、私は、ここで産政局長と若干話し合ってみたいという気がするんですね。個人的にはお話をすることはあるけれども、この委員会の席でちょっと話し合ってみたいと思うのです。  あなたは、産業政策の基本的な問題を常日ごろ検討されておるわけです。先ほど私は、この困難な状況の中で産業界の対応は鈍いではないかと言いました。鈍いということは、まだまだ大丈夫だという気持ちもあるし、さあ大変だぞ、しかし何とか乗り切れるのじゃないかという気持ちもあるし、いやこれはもうどうにもならないという気持ち、いろいろな気持ちがあると思うのです。いずれにせよ、産業界は混迷しておると思うのです。その混迷しておる産業界に指針を与えるのが通産当局、特に産政局長、あなたの役割りではないかと思うのです。その指針は一体何によって示されるかと言えば、政策であり、その裏づけは予算であると思うのです。そして、それらを実行する上に必要であるとすればどのような法案が必要であるかということになってこようかと思うのです。そこであなたは日夜そのことについて苦労されておるわけであります。  このいまの時点の中で、五十三年の経済、さっき倉成さんにいろいろ聞いたのですが、答えられなかったわけです。答えた上で聞きたかったのですが、答えがない上であなたに聞くわけですけれども、あなたとしては、来年度の経済成長の見通しを含めて、二百四十円台という経済の状況――二百四十円というのは安定しませんよ。しかし、安定したと予測した場合においての経済の将来の見通しの中で、通産当局としては何をなすべきかというビジョン、突然質問して悪いけれども、何かひとつ軽い気持ちでお答えいただけるものがあるかどうか、こっちもざっくばらんに聞きましたので、お答えをいただきたい。
  106. 濃野滋

    ○濃野政府委員 お答え申し上げます。  来年度の通商産業政策の基本的な考え方、ただいま大臣から御答弁ございました。私、そのとおりでございますが、若干補足をして私どもの問題意識を御説明してみたいと思います。  まず当面は、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、四年に及ぶ経済の沈滞からどうやってこれを回復させるか、しかもその場合に、先ほどから先生御指摘の、つまりいまの円高をもたらしておる日本の対外収支を均衡、これに一歩でも近づけるという方向で何を考えるかということが第一だと思いますが、それはまさに内需の振興ではないか。したがって、内需の振興を何で果たしていくかということを中心に、まず来年度の経済運営を考えていかなければならないだろうと思っております。  それに絡みまして、現在、たとえば産業構造審議会のそれぞれの部会で進めておりますようないわゆる構造不況問題も、業界と一緒に解決の方向を具体的に考えて、そのための政策措置を、予算なり財投なり、あるいは業界の協力によって具体的に対処をしていくというのが第一の問題ではないかと思います。  第二の問題は、若干中長期の問題と絡みますけれども、これまた大臣の御指摘にもございましたような、まずエネルギー問題の解決、これの一つの正念場ではないかと思っておりますし、エネルギー問題は、いわば供給力の確保の問題のほかに、私ども、ことしの産業構造ビジョンと申しますか考え方の中で指摘をいたしましたこれからの産業の方向の中での省エネルギー問題、これを日本の産業の実際の活動の中にどうビルトインをさせていくかということが、非常に大きな政策のポイントになるのではないかと私は考えております。  第三の問題は、これは私どもの感じでございますが、来年度の経済の運営に関連いたしまして、ただいま申し上げました省エネルギーの問題とかあるいは省力化の問題等々、これから産業構造を進めていきます上にも産業がとっていかなければならない方向が幾つかございます。これはやはり現在の情勢から申しますと、各企業のいわば活力、これを基礎といたしまして各企業がそれに必要なお金を出す、つまり設備投資をやってそういう実際の構造変革、転換等あるいは体質改善が進んだわけでございますから、それを政府として、通産省としてどういうふうにバックアップをしていくかということも私どもの一つの課題ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  さらには、私ども、ただいま先生の御指摘にもございましたように、現在、産業界も挙げまして将来の先行きが不透明である、不確実であるというところから、なかなか指針が得られないという点は確かに大きな問題でございまして、私どもも、ことし、将来の方向として、エネルギー問題でございますとか、設備投資の問題でございますとか、産業調整の問題でございますとか、いわば大きな問題意識の提示はいたしましたが、来年度は、先ほどの大臣の御答弁にもございましたように、大変むずかしい問題でございますけれども、こういう混迷の中でそれぞれの業種が本当にどういう方向で進んでいかなければならないかというような産業構造のこれからの進み方、方向というようなものを、それぞれの関係業界あるいは有識者の方たちと一緒に大いに詰めてみたい。そして、こういう不透明な時代の中で、少しでも先の見通しができるような指針を考えていきたい、そういう感じがいたしておるわけでございます。
  107. 佐野進

    佐野(進)委員 もう一度産政局長にお尋ねをしてみたいと思います。  まあそれ以上答弁は幾らざっくばらんでやるといってもできないだろうとは私も思うわけですが、どうなんですか、このような時代になってきたときに、予算的に勇敢に、しかしこれは大蔵省がうんと言わなければ、政府の編成方針がありますからなかなかそうはいかないですけれども、ことしの恐らく八月に要求を出したと思うのですが、それらを上積みする積極的な、これは政府・与党がやらなければならぬわけでしょうけれども、要求をして、やはりこの困難時代に対応をする対策をもう一度ひとつ洗い直しておやりになるお考えが必要じゃないかと思うのですが、その点はどうか。  それから、このような時代においては、どうしてもこの種情勢に対応するために新規立法を必要とする、いわゆる緊急立法を必要とする条件が、いろいろな場合に当てはまって出てくると思うのでありますが、そういう点を考えているかいないかと言えば、考えていないとも言わないだろうし、いるとも言えないでしょうけれども、私は必要だと思うのですが、その点についてあなたはどうお考えになるか、予算の増額と新規立法の必要性についてお答えいただきたい。
  108. 濃野滋

    ○濃野政府委員 ただいまの第一の予算の問題でございますが、私ども内閣を構成しております一つの省といたしまして、内閣の予算編成の基本的な方針のもとですでにこの夏に予算を提出しておるわけでございまして、これを基礎に財政当局が予算の査定をなさるわけでございますが、確かに先生の御指摘のように、予算提出時期と予算ができます時期、あるいはまたさらに国会で予算の御審議を願う時期の間には相当のタイミングがございまして、その間にいろいろ実際の経済面に大きな変動があることは当然のことでございますが、私どもは、この秋口に要求いたしました私どもの要求を基礎に、できるだけ経済のその後の実態あるいは将来の先行きに合わせた予算の財政当局の査定、編成の段階で、この実態に合わせた方向で現在の私どもの要求の中で予算を固めることを財政当局と交渉していくということしか、私どものいまの立場といたしましてはあり得ないのではないかと考えております。  それから、立法の問題は、全般的に申しまして、通産省といたしましては、先ほど私が非常に一般的に申し上げましたそれぞれの方向の中で、それぞれの担当局がいろいろな法律案をつくる準備をやっておりますが、恐らく先生の御指摘は、こういう経済情勢に合わせて、それに即応する何か緊急経済対策の立法のようなことを考える必要があるのではないか、こういう御質問ではないかと思います。  確かに、国内の景気動向が現在のまま推移をする、あるいは円高問題で新しい事態が出てきたときに、いままであります法律なり、あるいはいろいろな制度で片づけられない問題というのが出てくる可能性も私どもは十分に考えておりまして、そういうあらゆる事態に対処いたしましていろいろな問題をすべての角度から検討するのが仕事でございますから、ここでただいま法律をつくる準備をしておるとかそういうことを申し上げる段階でもございませんし、そういうことはやっておりませんが、ただ、あらゆる事態に対処いたしまして、必要ならばそういうものの検討も進め、御審議をお願いするという事態が皆無ではない、私はこういうように考えております。
  109. 佐野進

    佐野(進)委員 エネルギー庁長官中小企業庁長官に長時間にわたってお待ちをいただいておるわけで、質問の時間も大変短くなって、たっぷり聞きたいと思ったのですが、時間が少なくなって残念ですけれども、お二方に若干質問してみたいと思います。  先ほど来答弁をお聞きになっておられて、エネルギー庁長官は、エネルギー問題こそこれからの経済運営の中において最も重要な課題であるということは、みずからその運営の責任を持っておられる長官としては、わが意を得たりという感じでお聞きになっておられたと思うのであります。しかし、私は、この問題をいまこの短い時間で論議することはでき得ないわけでありますけれども、この前お話を申し上げたような為替差益の問題であるとか、あるいはその他取り上げれば数限りなくあるわけでありますが、原則的な面として、あなたが今日のこの経済情勢、円満の情勢の中でエネルギー対策を運営していかれる立場に立って、当面何をなすことが最も必要であると御判断なされておられるか、この点だけひとつ御見解をお示ししていただきたい。私はいっぱい意見があるのだけれども、きょうここで申し上げることができないのが残念で、あなたの見解だけ聞いておきたいと思います。
  110. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 わが国における総合エネルギー政策につきましては、せんだって総合エネルギー調査会から中間報告が提出されたことは御承知のとおりだと思います。私の気持ちといたしましては、わが国の経済成長を一定の比率で維持する、具体的には六%程度の経済成長を維持するということが、雇用の確保あるいは福祉水準の向上といった面からいたしましても不可欠の前提要件である、かように考えておるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、今後十年先あるいは十五年先を見通しながら総合エネルギー政策を一歩一歩堅実に進めてまいりたい、それによって経済成長を確保いたしたい、かように考えるわけでございますが、一面、現下の経済情勢にかかわりを持たせて、一言御意見を申し上げたいと思うのでございます。  いわゆる総合エネルギー政策を実施するための所要資金は、五十一年度価格で約六十八兆円ということに試算されておるわけでございます。したがいまして、エネルギー政策を実行するためにもこの資金の確保ということが必要であるわけでございますが、一方、これがわが国の経済成長に及ぼす影響と申しますか、試みに昭和四十六年から五十年までの五年間、それから五十一年から六十年までの十年間につきまして、国民経済の中でエネルギー関係の投資がどのようなウエートを占めるかということを試算いたしたわけでございます。それで、過去五年の実績はGNPの中で約二・三%のウエートを占めております。今後の十年間につきましては、これはいろいろな前提を置いての計算になるわけでございますが、GNPに占める比率は三%。それから、民間設備投資の中に占めるウエートは、過去五年間の実績では一二・四%でございます。今後十年間につきましては約二〇%という計算がなされております。これはいわゆる政府の前期経済計画等を前提として試算したものでございますが、御承知のように、不況が長期化し、深刻化しているということになりますと、この二〇%のウエートはさらに高くなるのではなかろうか。  したがいまして、総合エネルギー政策を推進するための必要な投資資金というものは、エネルギー政策自体としても必要であるわけでございますが、この長期にわたる深刻な不況から立ち直っていくためにも、今後の民間設備投資の推進役としてエネルギー関係投資というものが非常に重要な意義を持ってくるというふうに私自身判断いたしておりまして、そういった方向からいたしましても、総合エネルギー政策を推進するための必要資金というものは十分に確保し、かつこれを実施に移してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  それから、為替差益について一言申し上げたいのでございますが、私といたしましても、極力為替差益の還元ということを考えておるわけでございますが、すでに申し上げたと思いますが、一方で本年度間で六千数百億から七千億円に上るコスト上昇要因というものがあるわけでございまして、これと為替差益との関係をどのように見ていくかということでございます。  この九月末におきます五十二年度上期の石油企業三十六社についての決算の概要を見ますと、この三月末、五十一年度末における赤字企業は四社であったわけでございますが、今回の九月末決算ではこれが六社にふえておる。それから民族系の次期への繰越損が、この三月末の七百億より若干は減少いたしますが、依然として六百四十五億の赤字を抱えておる。三十六社のうち十四社が赤字企業、繰越損を抱えておる企業、かつ、その中で七社がコンビナートリファイナリーということでございまして、俗にコンビナートリファイナリーと称されるものが九社ございますが、そのうち七社までが繰越損を抱えておる、こういうことでございまして、一言で申しますと、企業間格差というものが、この円高基調の中にありながら一段とまた拡大してきておるというのが現状でございます。  さような点から、為替差益の還元という問題とエネルギーの安定供給の確保という二つの面からどのように対処すべきか。いわゆる不況業種、これは私の方では、非鉄金属については他の業種と同じでございますが、エネルギーに関しましては、また違った意味で私自身毎日の為替レートの推移というものを心配しながら見ておる、こういう状況でございます。
  111. 佐野進

    佐野(進)委員 時間が迫ってまいりましたので、中小企業庁長官に最後に質問してみたいと思います。  中小企業問題は、景気の好不況にかかわらず常に深刻な問題としてわれわれは取り扱ってきておるわけです。ただしかし、好景気のときより不況のときの方がつらいということは、もう間違いない事実でありまして、今日中小企業の置かれておる立場は、その将来への見通しを含めてきわめて深刻であります。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、山崎(拓)委員長代理着席〕 したがって、中小企業庁はまさにあらゆる努力をしても足りないと思われるような状況下にあるということを御認識なさって、さらに一層努力をしていただきたいと思うのでありまするが、その方法について若干の御説明をいただきたい。  それからもう一つ、私は分野法の問題でどうしても長官にこの際明らかにしておいていただかなければならぬことは、過日中村委員もこの席から質問をしておられましたけれども、分野法の制定された精神が運用によって狭められるということであってはならないと思うのであります。したがって、それを拡大解釈し過ぎることもどうかと思いまするけれども、柔軟性のある形の中で、少なくとも制定された時点よりその解釈が逆行することのないような指導をしていかなければならぬと思うのです。  そこで、あなたにお聞きしたいことは、分野法を執行するに当たり、どこがその最も中心的な役割りを担うのか。たとえば農林省もある、建設省もある、あるいは通産省の中でも原局がある、そうした場合、その原局の中でどこの局が当たるのかと言えば、原局がそれぞれある中でその統一解釈をどこで行うのかということになれば、私は、中小企業庁がその解釈を行い、その解釈に基づいてそれぞれの省庁が運営をしていく、そうでなければこの法律をつくった意味はないと思うのであります。ところが、その原則がいま揺らごうとしておる。これは中小企業庁の怠慢とまでは言わないけれども、不勉強と言っても差し支えるのかわからぬけれども、消極的な態度であると私は断ぜざるを得ない。この点についてはひとつ決意を持って御答弁をいただきたい。時間がありませんから、簡単で結構です。
  112. 岸田文武

    岸田政府委員 長い不況に加えて円高の問題が起こりまして、中小企業政策としてもいまが正念場であると心得ておるところでございます。何としても倒産を回避していかなければならない、それと同時に、これから安定成長に移っていく中でしっかり生き伸びられる中小企業をつくっていかなければならない、こういった意味で、全力投球をいたしたいと思っておるところでございます。来年度予算におきましても、いま申し上げましたような意味を込めて、いろいろの新しい施策を要求いたしておりますが、これを何とか実現をし、そして中小企業のお役に立つような形で運営をしていきたいと思っておるところでございます。  それから、第二点にお尋ねのございました分野法の問題につきましては、私どもは、せっかく中小企業の方々の熱意とまた国会の御支援によってできました法律でございますから、立法の趣旨に即してうまく運営をしていきたいと考えておるところでございます。  現実に運営をいたしますのは、御承知のとおり主務官庁ということでございますが、私どもとしても当然その連絡調整の責めを負っておるわけでございまして、特に法律制定当初であって、ふなれな点もいろいろあったかとも思いますが、私どもは、問題があったらすぐ中小企業庁へ連絡してほしいということを言っております。各官庁あるいは各局によって取り扱いがアンバランスにならないように、私どもも十分気をつけてまいりたいと思います。
  113. 佐野進

    佐野(進)委員 終わりました。
  114. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員長代理 午後三時委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時四十九分休憩      ――――◇――――-     午後三時三分開議
  115. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松本忠助君。
  116. 松本忠助

    松本(忠)委員 第八十二国会も本日をもって終了されることになっております。当委員会もきょうは最後の委員会となり、あとは閉会中の審査ということになろうかと思います。そこで、私は、当面する中小企業の諸問題につきましてわが党の考え方を申し述べまして、通産大臣並びに大蔵省、通産省、関係の政府委員よりお答えをいただきたいと思うわけでございます。  御承知のように、わが国の経済が戦後最大の不況、いわゆるオイルショック以降引き続いてこの不況が続いておりまして、いまだ脱出ができません。そこへもってきて円相場が急騰いたしまして、きわめて困難な状況に直面していることは御当局も十分御存じのことと思うわけでございます。先般政府の補正予算が組まれたわけでございますけれども、この補正予算、またその基本になりますところの総合経済対策というようなものも、その効果が大いにあらわれるであろうことをわれわれ期待していたわけでございますけれども、今回の円高によりましてこれが帳消しになるというような可能性が生じているのではないかというふうにわれわれは考えているわけでございます。  こうした状況の中において、特に中小企業がこの不況の波というものをまともに受けてどうにもならない状態であり、特にその中でも輸出関連産業、そうした方々は円高によりまして輸出の成約もとれない、こういうふうに二重の打撃を受けていることは大臣も御承知のとおりと思います。  ことしのいわゆる企業の倒産、これも非常に深刻な数字を毎月毎月現出しておりまして、特にこのような状態が続きますと、ことし一年間の倒産件数というものもいままでの中で最大の記録をつくるのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。そこで、この長期の不況と円高というものから中小企業を守ることは急務の問題であろうと思うわけでございます。こうした中小企業の倒産の危機を守るために、先般中小企業の倒産防止共済法も成立を見たわけでございます。参議院においても恐らくきょう成立することになると思いますけれども、この実効を期待するということはなかなかこれもすぐというわけにはまいりませんので、時間の経過を見なければならぬと思うわけでございます。  そうした中において、円高の問題でございますけれども、これが中小企業の方々にも、特に輸出関連産業については非常に影響があることはもう御承知のとおりでございます。きのうも、東京市場の方は、日銀の六億ドルに上るところの介入によりまして、一応二百四十円台を維持したということでございますけれども、ロンドン市場においては、二百三十九円、一日じゅうその辺を行ったり来たりして、一応どうやら二百四十円台になったようでございますが、この問題につきましても、午前中の審議を通じまして円高問題について質問があり、それに対して政府側が一生懸命にやっていることはわかるわけでございますけれども、どうもまだまだ後手後手になっているのではなかろうか、こういうことでございまして、中小企業の方々を守るためには、いまの円高の問題、為替レートの安定、こうしたことがぜひなければならないと思うわけでございます。  先ほども申し述べましたけれども、補正予算を組んでいただきまして、わが党もこれに対して賛成をいたしました。そしてこの速やかなる実効を期待しているわけでございますが、今回のこの円高問題によってこれが帳消しになるのではなかろうかというおそれが出ているわけでございます。この辺で再度補正予算を組まなければならないのではないかというのがわれわれの考え方でございます。そうしなければ景気対策というものができないのではないか、こういうふうに考えております。すでに政府側としても、五十三年度の予算を組むために概算要求をとり、いろいろと準備中ではあろうと思いますけれども、再度五十二年度の補正予算を組む考えがあるかないか、この問題についてまず大蔵当局からお伺いをいたしたいと思うわけでございます。
  117. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 先生御指摘のように、ついせんだって総合経済対策に基づきます補正予算を通過させていただきまして、ただいまその補正予算を年度内に完全消化すべく一生懸命努力をしているところであります。したがいまして、私どもといたしましては、補正予算をさらにまた再補正するということは考えてございません。
  118. 松本忠助

    松本(忠)委員 大蔵当局とすれば、この間組んだところの補正予算の実効を期待しているわけでしょうし、答弁がいまのように返ってくることは私も思っておりましたけれども、しかし、現実の問題として、五十三年度予算が成立するのは五月の声を聞かなければ成立しないと思います。その辺のところ、私どもの考えから言うて、どうしてもこれは中間的にもう一遍補正予算を組む必要があるのではないかと思いますが、その辺、宍倉さんどう思いますか。
  119. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 五十三年度予算につきましても、先生五月とおっしゃいましたが、三月年度内に成立させていただきまして、四月から大いに馬力をかけていきたいというふうに考えております。よろしくどうぞお願いいたします。
  120. 松本忠助

    松本(忠)委員 大蔵当局とすれば当然年度内成立を期待するでしょうけれども、来年は非常にむずかしいと私ども思っておりますので、三月に成立するなどということは、余り大きく期待をしていると、その期待が外れるのではないかと思っております。しかし、いずれにしましても、ことしの景気対策という問題を考えてみたときに、五十三年度予算においても、国内需要を喚起するためにも、景気対策として一番大事なことではないかと思うわけでございます。  そこで、五十三年度予算の中でいわゆる中小企業向けの公共事業を発注するように、いままでもしばしばわが党は繰り返し繰り返し要請をしてまいりました。御努力によりまして最近非常に率も上がってはまいりましたけれども、この中小企業の、特に大型プロジェクトでなくて、いわゆる地方の細かい仕事を本当に地元の方々にさせるということが景気対策上必要だと思っておるわけでございますので、こうした中小企業向けの発注の比率を上げるということについて、大蔵当局ではどう考え、そしてまた、五十三年度予算の中ではどのように具体化していくか、そういう点についてお答えをいただきたいと思います。
  121. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 五十三年度予算をどういうふうにするかということにつきましては、ただいまいろいろ検討している最中でございます。歳入の規模、来年度の経済見通し等、まだ不確定要素がたくさんございますので、ただいまの段階で具体的なお答えができないことをお許しいただきたいと思います。  ただ、先生おっしゃいますように、中小企業向けの比率を高めろということでございますが、これにつきましては、従来ともいろいろ努力してまいりまして、これは統計的な基礎はございませんけれども、一部に言われておりますことでは、むしろいまは中小建設会社よりも大規模な建設会社の方が苦しいといった声が多いのだということが言われるほどでございますが、五十三年度につきましても、その辺のところも考慮しながら、なお中小企業向けの工事の確保につきましては十分考慮してまいりたいと思っております。
  122. 松本忠助

    松本(忠)委員 それはぜひひとつ大いに比率を高めてもらいたいと思うわけでございます。  次に、為替レート安定のために、いわゆる内需の拡大策、あるいは緊急輸入の速やかなる実現ということが言われているわけでございますが、総理の三十億ドルの輸入待望論、これに対しては現実問題としてなかなかむずかしいということで、いろいろ大蔵当局としても関係の通産当局等々と協議の上で考えられていることと思いますけれども、この為替レート安定のために大蔵当局としていま具体的に取り組んでいる問題についてお述べいただきたいと思います。
  123. 岸田俊輔

    岸田説明員 お答えいたします。  私ども為替当局といたしましては、為替市場の安定のために介入等、必要に応じて措置をとっておりますし、最近の短期資金の流入等につきましては、短期資金の取り入れを禁止いたしましたために、短期証券の公募の停止とか準備率の引き上げというようなものを行っております。
  124. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは、時間の関係もございますので、次に移ります。  あと四十日ほどで年末になるわけでございます。実際問題として、あと二十日もすれば、年末の資金繰りのために中小企業の方々が右往左往して飛び回るわけでございます。こうした中にあって、年末の中小企業の方々の資金の円滑を図るために、どうかひとつ国においても年末融資を例年よりも大幅に増額をしてもらいたい、そしてまた、年末融資の貸出金利につきましても特段の配慮を願いたいということを先般も通産当局に私は申し入れをしたわけでございますが、この点について大蔵省としてはどのようにお考えでございましょうか、承りたいと思います。
  125. 石川周

    ○石川説明員 中小企業の年末金融につきましては、民間金融機関におきましては去る十一月十一日に各金融団体からそれぞれ中小企業金融対策が発表されまして、全体で三兆八千七百億円という中小企業金融枠を設定いたしまして、またその融資実行につきましても、融資条件その他できるだけの配慮をするようにという指示を各金融機関に流しておりまして、万全の対策を講じておるところでございます。  政府関係金融機関につきましては、ただいま通産御当局といろいろ御相談をさせていただいておるところでございまして、結論が出ますのはもうちょっと先かと思いますが、できるだけの努力をさせていただきたいと考えております。
  126. 松本忠助

    松本(忠)委員 重ねてお願いでございますけれども、銀行の窓口がどうもなかなか思うようにやってくれない、こういう問題でしばしばいろいろな問題がわれわれのところにも持ち込まれるわけでございます。短期間に越えなければならない一線を越えるわけで、必死になって中小企業の方々は銀行の窓口、貸し付けの係のところに日参をするわけです。しかしながら、なかなか思うように貸してくれないというのが現状でございます。三兆八千億という膨大な金額を組んでいただいたことは大変結構ではございますけれども、これが実質的に、中小企業の方々のところばかりではないとしても、ルートがついて速やかに流れていくようにひとつぜひともお願いをいたしたいということでございます。  それから、最後の問題でございますけれども、大蔵省にお伺いしたいことは、いわゆる赤字になった法人の法人税の問題でございます。今期において赤字になった場合に、いままで納めている法人税の還付を要求することができるようになっておりますが、大体いままでの例でございますと一年さかのぼってでございますけれども、こういう不況期になりますと非常に困難でございますので、少なくとも三年ぐらい前にさかのぼって還付ができるような方法が講じられないものか。こういう点について、私どももしばしば通産当局にもお願いはしておりますけれども、大蔵省ではどのようにお考えでございますか、法人税課長さんに伺いたいと思います。
  127. 北村恭二

    ○北村説明員 お答え申し上げます。  現行の法令によりますと、欠損金の繰り戻しによる法人税の還付は、前期に法人税を納付いたしました法人が当期に欠損の確定申告書を提出しますと同時に還付請求書を提出してきました場合に、前期の法人税額のうち当期の欠損金に見合う税額を還付するということになっておるわけでございます。国税庁といたしましては、従来から、このような法人に対しましてはできるだけ速やかに法人税を還付するということで努力をしてまいっているわけでございまして、還付請求書が提出されました法人については、できるだけ早期に処理するよう国税局あるいは税務署を指導してまいっておるわけでございます。ただ、先生いまお尋ねのように三年さかのぼってという問題につきましては、これは税制改正との絡みで検討される問題かと存じます。今後税制当局で検討されることかと承知しております。
  128. 松本忠助

    松本(忠)委員 いろいろと御努力をいただいていることはわかるわけでございますけれども、先ほどから再々申し上げますような不況、加えて円高、そしてまた、特に輸出関連業者等は非常に困難な立場にございますので、こういう点に対し大蔵省の理解ある施策をひとつお願いいたしたいと思うわけでございます。  次に、円高の問題に関連いたしまして、先般、二十六日に、私は当委員会におきまして、輸出依存型の産業についてその被害が非常に顕著にあらわれている、この例といたしまして輸出双眼鏡の業界の問題を取り上げまして、今後の施策並びに円高のみならずその業界が抱えている問題へもう一歩突っ込んで、この時点において解決しておかなければならないという問題、こうしなければこの基盤の弱い業界はどうなることか、景気回復がおくれている現状からして、どうしてもこうした円高問題、さらには関税問題、こういうものの対策をひとつぜひともお願いいたしたいと思いまして、再度きょうは輸出双眼鏡の業界の例を取り上げまして通産当局に質問をするわけでございます。  御承知のように、この輸出依存型現業、これはもうドルをかせげかせげで一生懸命にかせげた時代がございましたけれども、最近のような状態になってまいりますと、この育成という問題についてどうも通産当局が二の足を踏んでいるのではないかというような気配がございまして、この点については、そうでないというお答えが返ってくることを期待するわけでございますけれども、とにかく円高になった。そこで、為替変動融資制度というものを活用すればそれでいいんだというようなところではおさまりがつかない。本当にこの業界のために親身になってひとつ問題解決してもらいたい。そのためには、私はここで、通産大臣が先般の私の質問に対しても大変理解ある態度を示していただき、また、政府当局も非常に認識が高まっていることは十分わかるわけでございますけれども、もう一歩立ち入って、本質的な問題についてぜひひとつお願いをいたしたいと思うわけでございます。  特に輸出双眼鏡は、現存アメリカにその大部分を輸出しております。御承知のように、この輸出双眼鏡の現状というものは、全くの中小企業でございますが、最近非常にのしてきたところの台湾、韓国あるいは香港、そちらの業者の方々というのは、日本と違って、中小企業でなくて大企業でございます。そこに大きな問題がございます。  しかもまた、いま日本におきまして、この関税問題について通産当局でもいろいろと御努力していただいていることはわかるわけでございますけれども、現在、いわゆる東京ラウンドの多角的な貿易関税の交渉が本格化しているから、その一環として米国との交渉において最大限の努力をするというのが先般の御答弁でございます。しかし、それだけでは業界の死活問題の救済にはなり得ない、こう思うわけでございます。そして、現在のような日本の製造業者と韓国、台湾、香港の業者というものの置かれている立場、大企業と中小企業、こうした問題もございます。しかも日本の関税率というものは二〇%、そして向こうは特恵関税でゼロ、こういうわけでございますので、この問題を解決するためにぜひともお願いいたしたい点は、この関税の問題に対してもう少し積極的な政府側の活動を期待いたしたいわけでございます。  御承知のように、円高によりまして成約が全然とれません。いま受注の残が約三十日前後だ、こう言われております。その先はもう真っ暗な状態でございます。この状態を抱えて、いま業界の方々は死ぬか生きるかというような状態でございます。そこで、このままいくならば、先ほども倒産が非常に多いことを申し上げましたけれども、この円高、関税高、不況、このトリプルパンチを受けまして、もう全く壊滅状態なのではないかと思うわけでございます。  したがいまして、これに対して、特に関税問題を含めて当局がどのようにお考えになって対応していらっしゃるかをお伺いしたいのが一点。  それから、関税引き下げ問題につきまして、東京ラウンドによりますところの多角的な貿易関税交渉の一環として米国政府と交渉する、こう言われましたけれども、それだけなのか、その他の対応の仕方というものはないのか、これが第二点目。  それから三点目が、遅々として進まないところの関税引き下げに対して、通産当局に陳情しているだけではどうも間に合わない。そこで、業界としては、業界の責任においてアメリカに直接出かけて、アメリカ政府並びにアメリカの議会に働きかけて、そうして運動を始めていることは御承知と思うわけでございます。ある有力なロビイストの協力を得まして、アメリカの議会に双眼鏡の関税徴収留保法案、いわゆるマツナガ法案というものを提案することにしておりますけれども、これに対して通産当局でも十分御認識をしていると思うわけでございますが、この点についてどのように情報を得ておられるか。  以上、三点についてお答えを願いたいと思います。
  129. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま松本先生から御質問のございました点に関しまして、特に関税問題を中心にいたしまして私からお答えを申し上げさしていただきたいと存じます。  御指摘のとおり、アメリカにおきます双眼鏡に関します輸入関税は、二〇%ということで大変高い水準にございます。しかもアメリカの中には、先生御承知のとおり、双眼鏡のメーカーが現在存在しないわけでございますので、この二〇%という水準はきわめて高いということでございまして、私どもといたしましても、従来よりこの点に関しましては強い関心をアメリカ側にぶつけておるところでございます。  なお、先生御指摘のとおり、日本の双眼鏡業界におかれましても、アメリカに対しまして独自の御判断で運動をしておられます。これもよく承知いたしているところでございます。私ども従来から、在外公館あるいはジェトロ等を通しまして側面的な協力をしているところでございます。  なお、いま御指摘のございましたスパーク・マツナガ氏提案の関税引き下げの臨時措置法、これが提案されたわけでございますけれども、九月二十一日に上院を通過いたしました。下院におきましては、アメリカ政府筋の意向もございまして、十月二十六日に審議保留となったわけでございます。そこで、私どもといたしましては、これは外交ルートを通じまして強硬にアメリカ政府に申し入れる必要があろう、こういう判断をいたしまして、外交当局とも御相談いたしまして、在米の日本大使あてに、申し入れをするように訓令を発したところでございます。  なお、先般来日いたしましたSTRの代表の方々にも、この問題に関しまして同様の趣旨の申し入れをいたしたところでございます。
  130. 松本忠助

    松本(忠)委員 森山さんからお答えがございましたけれども、廃案というような状態にアメリカ下院の方においてはなっているということで、これを何とかするためにいろいろとジェトロを通じやっていらっしゃることもわかるわけでございますが、アメリカ議会の方が十一月二十九日で終わるというような状態から、もう差し迫っている段階で、これを除きますと来年の春回しということになります。それまで待てないというのが業界の状態、希望であるわけです。十一月二十九日という本当にタイムリミットがそこに迫っているわけでございますが、これに対して何か特別に手を打たれる考えがあるかないか、この点についてひとつお答えを願いたい。
  131. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、在米の日本大使を通じまして強硬に申し入れをするということは、すでに手を打ったところでございます。  なおまた、先ほどお答えいたしましたとおり、先般来日いたしましたSTRの方々に対しましてもこの問題の重要性を強くアピールしたところでございまして、その代表の一員から私どもが聞いたところによりますと、アメリカに帰国の上早急にアメリカ政府部内で働きかけをやる、こういうふうに返事が返ってきておりますので、私どもとしては、しかるべき対策が打たれるものというふうに強く期待をしているところでございます。
  132. 松本忠助

    松本(忠)委員 その問題についてもう一つだけ聞いておきます。  新聞の報道でございますけれども、この間来られました事務レベルの協議の中で、日本はもう押されっぱなしでなすところがなかった、こういうふうに言われておりますけれども、特にアメリカに対しまして私どもは言うべきことははっきり言ってもらいたい。そのことを業界でも期待しているわけですし、何か新聞の報道では、全くの押されっぱなしだった、そういうことであっては残念に思うわけでございますが、この状態については新聞の報道が正しいのか、それとも押されっぱなしでなく、本当に押し返したのか、その辺のところ、直接折衝に当たられた森山さんからお伺いしておきたいと思います。
  133. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 先般来日いたしましたSTRの代表の方々との折衝は、通産省におきましては通商政策局及び貿易局が担当いたしまして、私自身は出席をしなかったわけでございます。ただし、先ほど来お答え申し上げておりますとおりに、私どもの原局といたしまして、関税問題に関しましては、何も日本における輸入関税の引き下げという問題だけではなくて、アメリカにおける輸入関税の引き下げについても強い関心を持っておるという観点から、特別に双眼鏡の輸入関税問題につきましては申し入れを行ったところでございます。     〔武藤(嘉)委員長代理退席、林(義)委員長代理着席〕
  134. 松本忠助

    松本(忠)委員 最後に、大臣にお願いをいたしたいと思います。  先ほど来から私、中小企業の一般の問題、また特に輸出産業であるところの双眼鏡の業界等申し上げまして、通産省並びに大蔵省等から御答弁いただきました。大臣もそこにいて聞いていらっしゃったと思いますけれども、中小企業の方々がいま抱えている問題というのは、本当に想像を絶するぐらいでございます。この点はもう下情に明るい大臣として十分御認識があろうと思うわけでございますけれども、特に年末を越せるか越せないかという状態を抱えている方がたくさんあるわけでございますので、特に年末融資等の問題については大蔵当局でも十分配慮しているようでございますが、特に通産省としても中小企業庁と十分御連携をとっていただいて、何とか年末の対策というものを、充実した対策を考えていただきたいということをお願いいたしまして、大臣から御答弁をいただいて後に、岡本君に私の持ち時間の中で関連質問をさせていただきたいと思います。
  135. 田中龍夫

    田中国務大臣 中小企業の年末の金融でございますが、私の方は先生の御要望どおり考えておる次第でございます。御案内のとおり、政府系三機関の年間の枠が三兆六千億ほどでございますが、その中で十-十二月分は特に一番多く、一兆三千三百億というのが大体の枠でございます。それに、別途年末金融という問題につきまして、冒頭に御質問になりましたように、大蔵当局の方においても考えておりますし、私どもの方におきましても資金面の点におきましては十分これを用意いたす決意でございますので、どうぞ御安心いただきとうございます。
  136. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは、岡本君に関連質問をお願いいたします。
  137. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 この際、岡本富夫君の関連質問を許します。岡本富夫君。
  138. 岡本富夫

    岡本委員 久しぶりに商工委員会へ参りまして質問をいたしますが、田中通産大臣とは昨年の予算委員会以来でございますけれども、御承知のように、エネルギー問題、特に石油がこれから三十年ぐらいたてばなくなるのではないかというようなこともございます。したがいまして、このエネルギー源の多様化ということが非常に大切になってきたのではないか。そのときに当たって、この石油を使わない、すなわち電気自動車の普及についてお伺いをいたしたいと思うのです。  そこで、これは公害面でありますけれども、たしか私たち、四十七年に、光化学スモッグ対策として無公害自動車の開発を促進するという委員会決議をやったことがあるのです。したがって、その後この電気自動車の開発についてどういうようになっておるのか、ひとつお聞きしたいと思うのです。
  139. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 電気自動車の開発状況につきましてお答えを申し上げます。  わが国の電気自動車の開発研究は、大別いたしまして二つの方法がございます。  一つは民間における開発でございまして、これは昭和四十年代の前半から、電力会社あるいは自動車メーカー等が協力し合いまして、従来のガソリン自動車を改造したものを中心にいたしまして、数十種類の電気自動車を試作したわけでございます。これらにつきましては、一定の用途に使用するための一応の性能を得ているということでございまして、わずかではございますけれども、現在電力会社あるいはガス会社等のサービスカーといたしまして、実際に走っておるという状況でございます。  二番目の開発の方法といたしましては、国の大型プロジェクト制度によります研究開発でございます。通商産業省の工業技術院におきまして、昭和四十六年から五十一年までの六年間に約五十七億円の研究開発費を使いまして、電池、電動機、制御装置及び車体等につきまして研究開発を進めたわけでございます。これによりまして電気自動車五つの車種――乗用車が二車種でございます。それからトラックタイプが二車種ございます。それからバスでございます。この五つの車種の試作を行いまして、おおむね走行距離が二百キロ以上あるいは四百キロ以上、これは一充電による走行距離でございますが、そういう状態に立ち至っておりまして、世界でも最高レベルの技術開発が行われておるものというふうに認識をしている次第でございます。
  140. 岡本富夫

    岡本委員 いまお話があったように、四十六年から五十一年まで約五十七億円という国の金を使っているわけです。ところが、現在電気自動車の普及がほとんどできていない。ここには何の原因があるかということを考えますと、やはり価格が二倍半から三倍するというところに問題があろうと思うのですが、聞くところによりますと、一カ月約千台ぐらい、一年に約一万二千台ぐらいの需要があれば、現在のガソリン車と変わらないような値段になるというようなことも聞いておるわけであります。したがって、やはり数多く使われるということが大切であると思うのですが、先ほど森山さんから答弁ありましたように、相当優秀な電気自動車ができた、ところが現在使われてない、非常に少ない。この普及について通産省は今後どういうようにするのか、ひとつこの点をお聞きしたいと思うのです。
  141. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 電気自動車の普及促進にかかわります総合的な施策を検討いたしますために、通産省機械情報産業局の中に電気自動車協議会というものを設置いたしました。現在、この協議会を通じまして普及の方法を検討しておるところでございます。  この協議会におきまして、ことしの四月に、電気自動車普及基本計画というものをつくったわけでございます。本計画におきましては、昭和六十一年度の電気自動車普及目標を、一般車二十万台、構内車五万台、合計二十五万台という目標をつくったわけでございます。  なおこのほか、先ほど先生から御指摘のございましたコストの低減の問題に関しましては、昭和五十八年度におきます電気自動車の価格が、五十年度価格に比べまして五〇%以上安くなるということを目標といたしておりまして、この目標に関連いたします諸施策を提言しているところでございます。  今後の電気自動車の普及策は、ただいま申し上げました基本計画をベースにいたしまして、各年度ごとに策定されます実施計画によって実施していく、こういうことになろうかと思っております。  当面の施策といたしましては、第一に、大型プロジェクトの成果の実用化があろうかと思います。このためには、来年度から重要技術研究開発費補助金制度というものを利用いたしまして、標準タイプの電気自動車の開発の促進を進めてまいりたい、かように存じております。  第二に、電気自動車の普及促進のために、環境条件整備に関する調査の実施がございます。これにつきましては、電気自動車の特定地区導入計画あるいは調査等を実施いたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。  第三には、これらの電気自動車の普及促進のために、民間機関でございます財団法人日本電動車両協会の行います各種事業につきまして必要な助成を行ってまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  142. 岡本富夫

    岡本委員 私は、この間、村山ですか、あそこにありますところの電気自動車の工業技術院のいままでのプロジェクトでやったいろいろな姿を見てまいりましたけれども、いままで五十億をかけながら、あとこの普及に対する熱意がどうも非常に欠けておるのではないかということをつくづく感じたわけであります。そこで、一番大切なのは、やはりコストを安くする、あるいはまた、税制面でユーザーすなわち買って使用する人が安く使えるようにする、そういうような誘導をしなければ普及はしないのではないかということを感じたわけであります。  そこで、特に必要なのは環境対策、それについて移動発生源と固定発生源との比率といいますか、きょう環境庁来ておると思うのですが、いまここに委員長代理でいる林委員も一緒ですが、公害でいままで移動発生源対策ということを相当やかましくやったわけですけれども、結局、無公害車、公害の少ない車といえば電気自動車が一番大事だということでありますので、環境問題から推してもひとつその点も考えたいと思うのですが、ちょっと環境庁からその点について実情を説明していただきたい。
  143. 吉原健二

    ○吉原説明員 自動車の排気ガスのうち窒素酸化物について申し上げますと、現在全国で約二百万トン以上の窒素酸化物が排出されていると推計されているわけでございますけれども、そのうち固定発生源、いわば工場と、自動車といった移動発生源との排出割合につきましては、大ざっぱに申しまして前者が約六〇%、後者が約四〇%というふうに考えております。
  144. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、いま公害患者の救済に約五百億ぐらいの金を集めて、公害患者の救済をやっておるわけですが、片一方でどんどん自動車をふやして排気ガスを起こし、そしてどんどん患者をつくっていく、これではいつまでたってもお話にならない。したがって、電気自動車の推進をもっともっと強く通産省でやっていただきたい、私はこういうように考えるわけですけれども、外国ではいまどういうような電気自動車の開発が行われておるのか。特に英国、米国について、わかっておればひとつ御説明願いたい。
  145. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 まず、アメリカでございますが、アメリカにおきましては、電気郵便車、つまり郵便配達に使う電気自動車を中心に普及が行われておるわけでございまして、現在約三百五十台程度が走っておるというふうに了解いたしております。なお、アメリカにおきましては、省エネルギーあるいは公害対策という観点から、一九七六年に電気自動車開発普及法という法律が施行されまして、これによりまして普及を図っておる、こういうことを了解いたしておるところでございます。  次に、イギリスでございますが、イギリスにつきましては、最も電気自動車の利用が進んでおる国という評価が世界的に得られておりまして、特にロンドンにおきましては、牛乳配達のほとんどすべてが電気自動車である、こういう状況でございます。また、地方都市におきましても大型の電気バスの開発、使用が行われておるという状況でございます。  さらに、フランスにおきましては、主としてごみの運搬車という面におきまして、電気自動車の普及を図っておるという状況でございます。  このほか、西ドイツあるいはオーストラリアにおきましても、電気自動車を試みに使う、こういう段階のように了解をいたしております。
  146. 岡本富夫

    岡本委員 松本委員の時間内でございますので、余り長くとれませんが、そこで大臣、いまお話がありましたように、アメリカにおいては電気自動車促進法というものを設立して、私の調査によりますと一億六千万ドル、まあ二百四十円で計算しましても三百八十億円というような大きな予算を組んで、そしてこの電気自動車の普及に力を入れておる。それから見ますと、予算措置を見ましても、わが国の電気自動車の普及に対する熱意というものが非常に少ないように思うのですよ。したがって、この点について大臣は、まあ内閣改造が行われたらどうなるかわかりませんけれども、それまでもひとつ閣議でもこういうことを話をして、たとえば先ほど話がありましたように、郵政省の手紙やあるいはまた電報配達、こういうところに使えるようにする。また、税制の優遇措置をする。すなわち公害対策車に対しては若干優遇措置をしておるように、電気自動車になったら今度は無公害ですから、もっともっとその税制の優遇措置をして、そしてどんどん普及できるようにする、あるいはまたリース制度、私の調査によりますと、電気自動車は価格が大体二倍から三倍かかるそうでありますけれども、これは非常に長持ちするということでありますから、リース制度を行って、それに利子補給をして、そしてユーザーがどんどん使えるようにする。こういうようなきめの細かい電気自動車の普及対策をお考えになれませんか。いかがですか、大臣。
  147. 田中龍夫

    田中国務大臣 私も、実は電気自動車を何とかもっと開発できないものだろうかと思って、晴海のところにも参りまして拝見もいたしておりまするし、それからまた、先般オーストラリアから大臣が参りました際にも、日産の方に視察に行ったり何かいたしまして、日本の電気自動車が世界的にも大変研究が進んでおるということを聞きましたが、晴海に参りましても、どうも、もっともっと電気自動車が発達しないかと実は念願いたしておる一人でございます。いまお話しのように、世界的に見れば日本の電気自動車は非常に高水準であるようでありますが、しかし、フランスやアメリカや、よその国が実際にそれを実用化し、大量に使うことによってさらにまた開発も実用化する、こういうふうに考えております。私も先生と同様に、これが促進をぜひやりたい、かように思っておる一人でございます。
  148. 岡本富夫

    岡本委員 そこで、もう時間ですが、たとえば電気自動車の重量税ですか、こういうものも安くしていくとか、あるいはまた償却期間、これも普通の車よりも償却期間を長くする、あるいはまたこの電気代、調査によると夜間電気で充電できるということですから、夜間の電気を捨てるのを使って電気代を安くするように各電力会社にも指導する、そういったきめの細かいところの対策と同時に、今度はバッテリーが鉛で非常に重い。これをもっと軽くできるような、何といいますか、技術革新、こういうものもやはり通産省がもっと主導権をとって、先ほど言った車両協会ですか、ただこういうところだけに任すのではなくして、各省庁にも働きかけて、そして一括してまず注文する、そして安くする、そして先ほど言ったところのそうした優遇措置をして、電気自動車をどんどん普及する、こういうことにしますと、非常に東京とか大阪とかあるいはこういった町の環境というものが非常にきれいになってくる、住民の健康を守ることができる、一挙両得ではないか。また省エネルギーにもなる、こういうことですから、大臣、もっときめの細かいことをひとつ事務当局に指示をしまして、そして必ずや実現できるようにしていただきたいと思うのです。大臣の最後の決意を聞きたいと思います。
  149. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまおっしゃいました電気自動車の問題については、何といいましても、バッテリーがもっと高能率で、もっとコンパクトで、もっと軽量なものにならなくてはいけない、私は拝見いたしまして、それをつくづく感じておったのでありますが、御指示のごとく、日本といたしましても、電気自動車をぜひもっと開発いたしたい、かように念願をいたしておりますから、その御方針に従いまして、全力を尽くしたいと考えます。
  150. 岡本富夫

    岡本委員 大臣、もう一つ。  いまのバッテリーで、先ほど森山さんからも報告がありましたように、走行距離あるいはまた速度、こういうものが十分使える。軽自動車に値するように使えるわけですから、即座にひとつ推進できるようにも、バッテリーはこれから少し改良しなければいけませんが、現任でも使えるのですから、この点を特に力を入れていただきたい。その決意を伺いたい。
  151. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のとおりに、私もいすゞの社長をやっておりましたので、電気自動車の問題につきましても、軽自動車の問題につきましても、当時からも非常に考えておったことでございます。御指示に従いまして、ぜひやりたいと思っております。
  152. 岡本富夫

    岡本委員 終わります。
  153. 林義郎

    ○林(義)委員長代理 次に、長田武士君。
  154. 長田武士

    長田委員 最近、国民の間で冠婚葬祭互助会への加入が急増いたしておるわけであります。これに伴って、業者と契約者の間のトラブルが頻繁に起きております。そこで、私は、消費者保護の立場から、以下数点にわたり、通産省並びに公取委にお伺いをいたしたいと思っております。  そこで、まず冠婚葬祭互助会の業者数、前受け金残高の総額等についてその概略をお述べいただきたいと思います。
  155. 濃野滋

    ○濃野政府委員 お答え申し上げます。  現在の業者数は、三百五十三社でございます。それから、前受け金の残高につきましては、ことしの三月末の時点の数字しかございませんが、残高が合計いたしまして千二十一億円、以上でございます。
  156. 長田武士

    長田委員 その中で、許可された分あるいは許可がされていない分、ひとつ分けていただけませんか。
  157. 濃野滋

    ○濃野政府委員 ただいま申し上げました業者数三百五十三社のうちで、四十七年の割賦販売法の改正に伴いまして許可を受けております業者が二百六十一社、残りみなし業者のままのものが九十二社でございます。
  158. 長田武士

    長田委員 ただいま御説明のように、冠婚葬祭互助会は全国で三百五十三社、前受け金が一千億円を超えておるわけであります。ところが、ここ数年、互助会の業者と契約者の間で頻繁にトラブルが起きておるわけであります。  具体的な事例を申し上げますと、冠婚葬祭互助会に加入いたしまして、月掛け千円、一万七千円を積み立てた。加入のときに見せられたパンフレットのマークは横浜市のマークと似ておったし、名称から市役所が関係しているのだと思って、後で調べたところが、全く関係はなかった。そんなことから、よく考えてみると、互助会に加入したことがうかつであった。そこで解約を申し出たところ、保留扱いにすると言われました。規約にもない保留扱いとして、掛金も全然返されないのは納得できないと横浜市の主婦が訴えをしておるわけであります。これは国民生活センターで受け付けたものであります。  また、月に千円ずつ二十四回払い込みをいたしましたが、東京の娘が結婚することになりまして、挙式も東京に決まったため、相手の意向もあり、解約を申し出た。ところが、互助会では、全国組織だといって東京の組織の利用を勧め、そうして解約に応じなかった。契約のときは契約書をもらっていないと熊本県の消費生活センターへ訴えてきておるわけであります。  また、途中で解約を認めてくれず、満期になるまで掛けさせた上に、解約手数料が、掛金総額の三万六千円に対して五千二百八十円を取られた。これは余りにも手数料が高過ぎないか、これは鹿児島の例であります。  契約が満期になったが、冠婚葬祭に利用しないで、金額に見合う商品、これを希望したところが、手数料という名目で一割引きの商品しかもらえなかった。これは沖繩県の消費生活センターへ訴えた例であります。  さらに、五十二年七月に死亡したひとり幕らしの身内の老人のことでありますが、生前、近所の人には互助会に加入したことを話しておったそうでありますが、死亡したときに加入者証が見当たらない。心当たりを尋ねてみましてやっと互助会の所在を突きとめた。そうして互助会の人にも来てもらったそうであります。加入者は、契約額二万七千円、祭壇は三段だそうでありますけれども、加入しておった。葬儀をするためにほかの身内の部屋を借りましたところが、部屋につり合わないということで五段飾りに変えたそうであります。それは何と五十万円だ。後から請求された金額は諸雑費も含めて百万円にもなってしまった。契約金は互助会の葬祭費の頭金ぐらいとしか考えられない。これは東京国分寺に在住でありますところの三十代の方から寄せられた苦情であります。あるいは最高級の葬儀にすると言いまして、実際はベニヤ板のひつぎだったということもあるわけであります。  以上、具体的な事例でありますが、まだたくさんございます。  私は、ここで申し上げたいのは、冠婚葬祭互助会がすべてこうだと決めつけるわけじゃありません。ほとんどの団体は良心的にやっているのじゃないかと考えるわけでありますが、しかし、このようなトラブルが頻繁に起きるということは、良心的な団体まで被害を受ける、そういう感を抱くわけであります。通産省といたしまして、こうしたトラブル、苦情が全国でどのくらい発生しておるのか、その実態を把握されておるのか、その点についてお示しいただきたいと思います。
  159. 濃野滋

    ○濃野政府委員 ただいま先生御指摘のような、冠婚葬祭互助会をめぐりますいろいろな苦情、トラブルはたくさんございまして、ただいま先生御指摘以外にも、私どものところに直接いろいろな苦情、御相談等がございます。全体で幾らかというのは大変むずかしい問題でございますが、たとえば私ども通産省で受け付けました苦情相談件数、これはその互助会のみでございませんけれども、いろいろ消費者の方から昨年は全部で四千件以上ございますが、その中で互助会関係のものが百三十六件ございました。もっともこれは苦情ばかりでございませんで、いろいろ照会事項等も含めてでございます。体系的に私ども数字としてつかまえておるのはこの数字でございますが、これに含まれませんただいま御指摘のような個々のケースとして、その他たくさんございます。
  160. 長田武士

    長田委員 このような問題がどういう原因で起きるかということでありますが、まず第一番目には、互助会の名称であります。一般的には、冠婚葬祭互助会は何々県互助会あるいは何々市互助会とか、その名称に県や市の名前を使っているところが多いわけであります。消費者にとっては、あたかも都道府県あるいは市が行っておるかの誤認識を招いておるわけであります。  そこで、通産省にお聞きしたいのでありますが、このような自治体の名称を使っておる業者は三百五十三社中何社あるのか、この点をお示しいただきたいと思います。     〔林(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  161. 濃野滋

    ○濃野政府委員 ただいま御指摘のような、何か自治体が自分でやっておるのとまぎらわしい名前を使っている互助会の数でございますが、私どもがつかまえておるところによりますと、申し上げました三百五十三社の中で、何々県という名前を使っておるものが四十六ございます。それから市の名前、何々市という名前を使っておりますのが四十社ございます。それ以外にもその地区の名前を使用しているもの、これは九十一社ございます。
  162. 長田武士

    長田委員 消費者が業者と契約する際に、県や市の名称が入っていると、それだけでも信用させられるケースが多々あるわけですね。この例をとりますと、いわゆる信用の誤認に当たると私は思っております。このような県や市の名称を用いることは、不当景品類及び不当表示防止法第四条第三号の規定に抵触すると私は考えるのですが、どうでしょうか。
  163. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  それと似たようなケースはほかの備品や役務についてもございまして、排除命令を出しました例で言いますと、たとえば東京都開発社とかあるいは株式会社日本住宅協会とか、そういういろいろなまぎらわしい名前のもので排除命令を出した例がございます。しかしながら、これら排除命令を出しましたものは、ほかにも不当表示があったので排除命令を出したのでありまして、実は、ただ会社、団体等の名前につきまして、果たして現在の不当景品類及び不当表示防止法で取り締まれるかどうか、いろいろ意見がございますところでございます。  いま申し上げましたように、これまでもそれに類似した事件がございましたので、何回か議論してきておるのですけれども、先生も御案内のように、三号は、「商品又は役務の取引に関する事項」ということになっておりますので、名前が「取引に関する事項」で読めるかどうか、なお今後、いま少し検討してみたいと思っております。
  164. 長田武士

    長田委員 どうも答弁がはっきりしないので……。どうなんですか、私は完璧に抵触するという判断をしておるのです。していませんか、しているか、はっきりしてください。
  165. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  四条には一号から三号までございます。一号は、品質及び規格に関する不当表示でございます。それから二号は、価格その他の取引条件に関する不当表示でございます。三号と申しますのは、前各号に掲げるもののほか、取引に関する事項で公取の指定するものとなっております。したがって、指定をしない限り現行法では取り締まれません。
  166. 長田武士

    長田委員 取引部長、実際問題、市がやっている、あるいは地方自治体がやっているというふうに思い込んで加入している実例があるじゃありませんか。実害があるのですよ。どうなんですか。
  167. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 実害のあることは認めます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、不動産会社等の例につきましてもいろいろ検討いたしました。しかしながら、現在の四条の一号、二号では取り締まりが不可能だということでございます。ただ、今後の問題としまして、三号の指定を考えるかどうかでございますけれども、その場合にも、「取引に関する事項」という条件が入っておりますので、それをどう解釈するかという問題だと思います。
  168. 長田武士

    長田委員 当然取引上の事項に入るのじゃありませんか。これが入らなかったら入るものないですよ。どうですか。
  169. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 会社、団体の名称だけがすぐ「取引に関する事項」と言えるかどうか、直ちにいまお答えいたしかねます。これは一般的に先ほど申し上げましたようないろんな例がございまして、たとえば貿易も何もしてない会社が英語の名前をつけているとか、そういういろんな例がございますので、それらに全部に通用する問題でございますので、会社あるいは団体等の名前を直ちに「取引に関する事項」と言えるかどうか、これは一般的に検討するのはいま少し時間をいただきたいと思います。
  170. 長田武士

    長田委員 検討されますね。結論出しますね。
  171. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 検討はいたします。それから、これまでも何回か検討してまいりました。
  172. 長田武士

    長田委員 何年かかるのですか。いつごろまで検討されるか、言ってください。
  173. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 検討と申しますと、三号に基づく指定をするかどうかの検討になると思います。何月までと、ここで直ちにお約束することはできませんけれども、なるべく速やかにいたします。
  174. 長田武士

    長田委員 昭和三十五年十月二十一日、東京地裁での売り掛け代金請求事件の判例で、東京地方裁判所共済組合に名板貸し責任があるとの事例もあることをあわせて考えますと、当然、一般消費者に対して信用の誤認を招く名称は、何らかの法的規制がなされなければならないと考えるわけでありますが、再度公取委並びに通産省の所見を伺いたいと思います。
  175. 濃野滋

    ○濃野政府委員 ただいまの先生御指摘のいかにも自治体が互助会事業をやっているような誤認をさせるようなそういう名称は、私どもも好ましくないと思っております。ただ、いま公取側の御答弁にもございましたように、現行法で、つまり名称についての制限がございませんので、法的にこれに対処することがなかなかむずかしい問題でございますが、私どもはそういう意味で、先ほど申し上げましたような数だけございますが、たとえば有限会社何々とかあるいは株式会社何々、これも正式の称号に入れるように従来実際の指導としてやってまいってきておりますけれども、今後ともこれを徹底いたしまして、パンフレット等にも、現行法を前提といたしますれば、つまりこれが都なりあるいは市なりそういう自治体がやっているものではなくて、やはり株式会社であり有限会社であるということをはっきりさせる、そしてそれを皆様方に周知徹底するように私どもの行政として努めていきたい、かように考えております。
  176. 長谷川古

    ○長谷川政府委員 ただいまお答えしましたように、四条三号として指定ができるかどうか、早急に検討いたします。
  177. 長田武士

    長田委員 第二番目に、業者の許可の問題であります。先ほど御答弁では三百五十三社ということでありますが、そのうち通産省が許可したものは二百六十一社ということであります。残り九十二社はみなし業者と称する業者であります。これは全体の約三割を占めるものであります。いままでのトラブルの中には、集金人が掛金を着服したとか契約のサービスが全く不当に粗雑であるなどの例もありますし、中でも正式許可を受けていない業者が問題を起こしている場合もあるわけであります。  では、どうしてこれらの許可のない業者が営業できるのかといいますと、割賦販売法の附則第七条で、法律施行の以前にすでに営業している者は、施行後一年以内に許可を申請をし、その可否の決定のおりるまで営業ができることになっているからであります。しかしながら、昭和四十八年三月から一年後といいますと、昭和四十九年三月でありますから、その後約四年間を経過しておるにもかかわらず、いまだに許可申請に対する決定がなされていないという実情であります。これは行政の怠慢というよりは、業者の一方的利益を優先させておる、消費者保護の立場を忘れたものであると考えざるを得ません。通産省はこれらの業者を野放しにしておると言っても過言ではないと思いますが、大臣の明確なる答弁をお願いしたいと思います。
  178. 濃野滋

    ○濃野政府委員 大臣の御答弁の前に、ちょっと事実関係だけを御説明させていただきます。  ただいま御指摘のように、なお九十二社いわゆるみなし業者が残っておりますが、実はこの互助会の許可につきましては、先生御案内のように、法律により一定の基準が設けられておりまして、たとえば法人であることとか、あるいは財務内容が一定の水準以上であること、それから契約の約款、この内容が一定の基準に適合すること等々の基準に合わせまして、それに合致するものを私どもは許可をしてまいりました。  附則の事項でございますから、なるべく早くその許可の態度をはっきりさせるべきであることは、先生御指摘のとおりでございますが、ただ一方、この互助会は非常に長い歴史を持っておりまして、すでに幾つかのこの法律の対象になりました段階でたくさんの実体がございました。この法律成立のときの附帯決議でも、むしろその互助会が許可され得る体制になるまで通産省として指導しろ、こういう決議もいただいておるわけでございまして、私ども従来ずっと決議を進めてまいりました。なおまた、特に財務内容の点でございますとか、あるいは九十二社の中にはいわゆる法人でないものというようなものもございまして、私どもの指導の足りない面もあるかもしれませんが、まだ残っておる事情というのがございまして、私ども引き続いてなるべく早くこの許可をできるような指導を進めていきたい、かように考えております。
  179. 田中龍夫

    田中国務大臣 これらのみなし許可業者がまだ許可を得られないのは、業務運営の不適正によるものではなくて、主として財務内容が許可基準に達していないためでありまして、同時にまた、割賦販売法の諸規制も許可業者と同様にかかっておるので、単にみなし許可業者であるがゆえにその業務運営が劣り、トラブルが多いとはいえない、こういうふうなことを事務当局の方からは通産省として従来の方針として相なっておるようでございます。しかしながら、いまの先生の御指摘の冠婚雛祭互助会の問題は、なかなかむずかしい従来からの経緯もございますことを承知もいたしておりますので、できるだけ速やかに善処いたしてまいりたい、かように考えております。
  180. 長田武士

    長田委員 第三番目には、通産省が規定をしておりますところの標準約款に問題があると私は考えております。これまで起きておるトラブルの原因の半分は解約に関するものなのですね。すなわち冠婚葬祭互助会の場合、一たん入会すれば解約は非常に限られた場合で、ほとんど認められないという約款になっておるわけであります。したがって掛金は戻らないシステムになっておるわけでありまして、通産省標準約款では、第六条第二項で、転居あるいは生活保護世帯以外は原則として認められない、そういう規定になっております。これは割賦販売法施行規則第十二条の七の第三号のニにおいて「購入者等からの契約の解除ができない旨の特約」を記載してはならないとの条項に違反するものではないか、そういうふうに私は考えるのですが、どうでしょうか。
  181. 濃野滋

    ○濃野政府委員 ただいまの点でございますが、消費者からの契約の解除ができない旨の特約を約款に定めてはならないということが省令で決まっておりますが、この趣旨は、いかなる場合においても消費者が契約の解除を行うことができない旨を定めてはならないという意味でございまして、結局これは、正当に契約が成立をした場合に両当事者とも誠実にその契約を遵守すべきであるという契約の本旨からして、当然のことを書いたつもりでございます。  ところで、互助会の契約の約款に、たとえば当会が認めるときとかいうような言葉が入っておりますが、これはいま申し上げましたように、契約上何ら問題がないのに契約の解除が行われるというのは、それは両当事者が要するに合意をしたときに限られる、こういう意味で書いたものと私どもは考えております。ただ、問題は、この運用の問題でございまして、消費者にとって必要以上に不利になるということも考えられますので、典型的な約款の例として業界が定めている標準契約約款からただいま申し上げましたような規定はこれを削除いたしまして、客観的に見て正当な理由がある場合は解約ができるように現在指導中でございまして、近々個々の契約についてもそういうかっこうで実現されると私は思っておりますし、そういうかっこうで指導をしていきたい、こういうふうに考えております。
  182. 長田武士

    長田委員 どうもはっきりしないのですけれども、標準約款を改正するのですか、しないのですか。
  183. 濃野滋

    ○濃野政府委員 標準約款は改正いたします。
  184. 長田武士

    長田委員 標準約款を改正するということでありますが、改正点を具体的に示していただきたいと思います。さらに、今後の改正に伴う実施時期、この点もあわせて明らかにしていただきたいと思います。
  185. 濃野滋

    ○濃野政府委員 標準約款の改定につきましては、現在、私ども現行の標準約款の問題点の検討をいろいろやっておりますが、当面、改定の主な内容として考えておりますのは、たとえばクーリング・オフ制度、これがいま入っておりませんが、それを導入いたしますとか、あるいはいま申し上げました解約条項、これを改善する、あるいは先ほど先生の若干お触れになりましたことと関係いたしますが、追加金の徴収の明確化等々、現在、いままでの運用の中でいろいろ問題になった点をぜひ改定をしたいということで私ども考えております。  ただ、互助会は、先ほども申し上げましたように、割賦販売法の改正以前から事業を営んでおりました者、これが大部分でございますために、直ちに理想的なものにはなかなかならない面が現実問題としてはございますが、しかし、私ども、すべてのこの互助会の約款がそういう理想的な約款になるように、消費者の御要望等あるいは苦情等も聞きながら、今後とも改善の方向を進めていきたい、かように考えております。
  186. 長田武士

    長田委員 時期はいつごろですか。
  187. 濃野滋

    ○濃野政府委員 大体私どもが考えておりますのは、標準契約約款、これを年内にとりまとめまして、互助会業界の業界団体から加盟各社にこれを通知をさせまして、それと同時に、私ども地方の通産局がございますから、この通産局に対しまして、この標準約款に従って現在使っておる各互助会の約款を変更するようにそれぞれ管内の互助会を指導させたい、こう考えております。したがって、ただいま申し上げましたように、年内にこの標準約款の改定をする、こういうことでございます。  あとの手続でございますが、互助会の約款を一斉に変更するということはなかなかむずかしい面もございますから、猶予期間を若干設けまして、変更し得る互助会から、逐次手続のできた者から取り進めていきたい、なるべく早く実施をいたしたい、かように考えております。
  188. 長田武士

    長田委員 ただいま三点にわたって改正を明らかにされたわけでありますが、この点はただ単に約款の改正だけでは済まされるものではないと私は考えております。すなわちこれらの問題は、根本的には現行の法的不備から起因するものであると私は考えるのです。この互助会については、前払式特定取引と呼ばれるものでありますが、割賦販売法では、前払式割賦販売に関しては、消費者保護の観点から種々の規制等が設けられておるわけですね。この前払式特定取引については適用除外にしてあるのが多々あるわけであります。たとえば第四条並びに第四条の二で、業者は契約に際し、購入者に対して契約内容を明らかにする書類を交付しなければならない等の規定がありますが、この規定は、第二十九条の六で、互助会については準用しないことになっており、トラブルの原因となっておるわけであります。また、第四条の三では、契約後四日以内であれば解約できる、いわゆるクーリング・オフの規定も準用されていないのですね。これらの規定がなぜ前払い式割賦販売と差別して業者に有利な内容になっておるのか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  189. 濃野滋

    ○濃野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の前払い式割賦販売方式、特に互助会の問題でございますが、割賦販売の規定の適用除外がございます。これが法律改正の段階でどういう理由で一体除外になっているか、当時の事情等も私どもいろいろ調べてみました。若干はっきりしないところもございますが、一言で申し上げますと、たとえば書面の交付義務の不適用について考えてみますと、割賦販売法におきましては、割賦販売、ローン提携販売の場合に書面交付が義務づけられておる。これは契約の内容を明確にして購入者の保護を図るということが目的でございますが、この法律では販売価格のほかに賦払い金の支払い時期、方法、あるいは商品の名前――商品という物をとらえましたために非常に規定がしやすいという点があるのだろうと思います。ところが、互助会はサービス、役務の提供でございまして、役務の提供を行う場合には、契約した役務と実際に提供された役務ができるだけ離れない、違わないようにすることが特に重要でありますが、しかし反面、サービスの内容を契約の段階で書面にはっきりと書くことが非常にむずかしいという技術的な問題があったのではないかと私ども考えております。  それから、クーリング・オフにつきましても、備品の、販売の場合に比べまして、サービスの提供ということで非常にいろいろ複雑な問題があるために、一律にこの規定の適用ができないということで、割賦販売法改正の際にこういう規定の適用を除外したという経緯があるのではないかと私ども考えております。
  190. 長田武士

    長田委員 では、ただいまの問題に関しまして、これらの規定を互助会の場合でも準用すべく法改正を検討すべきであると私は考えるのですが、その点どうでしょうか。
  191. 濃野滋

    ○濃野政府委員 この法律制定のときの経緯は、私がただいま御説明申し上げましたような経緯があったのではないかと思いますが、その後運用の面でも、先ほど御指摘のように、大分時間がたってまいりましたし、いろいろな問題が出てまいりました。規定はございませんが、法律がなくてもできるだけ実態の運用、指導で問題のないように片づけていきたいと私ども思います。やはり最後に至りますと、消費者の利益の保護ということを十分図ることが必要でございますので、当面はできるだけ実態的に片づくように、可能な限りの指導に努めてまいりますが、今後必要があれば法的措置についても検討しなければならないと私ども考えております。
  192. 長田武士

    長田委員 最後に、法律施行後もうすでに四年も経過しておるわけです。五年目に入っている現在、立法時に比べますと加入者の対象や件数についても、あるいは内容などについても非常に多様化している現状ではないかと思います。こうした観点から、消費者保護と互助会の健全な発展からも割賦販売法を見直して改めていく必要があるのではないか、私はその点を強く主張するものであります。重ねて通産大臣の御所見を伺いたいと思います。
  193. 田中龍夫

    田中国務大臣 前払式特定取引につきましては、サービスを対象とすることから、通常の割賦販売のように書面の交付義務等の適用はありませんが、通達等の措置によって、実態的には互助会事業者等に対しましては書面の交付等を指導いたしておる次第であります。今後ともこの指導を徹底させてまいることによりまして消費者の利益の保護を十分に図ることが可能であると思っておりますが、なお必要がございますれば、法的措置についても検討をすることといたしたいと存じております。
  194. 長田武士

    長田委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
  195. 野呂恭一

  196. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 私の質問は、今後の自動車はどうあるべきかという問題に関連することですが、まず、通産省としていまどんな研究をし、どんなビジョンを持って業界を指導しようとしているのか、簡潔に答えていただきたいと思います。
  197. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 自動車に関しましては、国内問題と輸出問題と両方あろうかと思います。  まず、国内問題につきましては、何といいましても安全の確保あるいは公害対策ということでございまして、当面、五十三年度規制車に対する対応を急げということが最も大きな基本問題であろうかと思います。  次に、輸出問題でございますが、御承知のとおり、自動車に関しましては輸出が相当比率を占めるに至っております。したがいまして、輸出が特定市場にフラッドいたしまして貿易摩擦を起こさないように、十分な喚起をいたしておるところでございます。
  198. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 余り先のことを聞いても実益がないわけで、ひとつ現実的なことを具体的に聞きますが、たとえば自動車行政をやる上においては当然読むべきものだと考えておりますオートモーティブ・ニュース、オートモーティブ・インダストリーズ、オートカー、ロード・アンド・トラック、メタル・プログレス、エンジニアリング、こうした文献があるわけですけれども、これらを通産省は、三、四年の分でいいのですが、研究したことがあるかどうか、そこにはこれからの車という意味においてどういうことが書いてあるか、お伺いしたいと思います。
  199. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま先生の御指摘になりました資料につきましては、見ておりません。
  200. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 見ていないということでは本当に自動車行政がやれるかどうか、ここに問題があると思うのです。それでは私の方で教えることにいたしますが、いま資料を配付いたします。  その資料の一ページから三ページを見ていただきたいのです。これらの文献には、これからの車として、欧米諸国では、安全で欠陥のない低整備費、良燃費の車、つまり長寿命車を目指して、国を挙げ、メーカーを挙げて研究開発に力を入れていることが詳しく報告されております。通産省はこうした長期ビジョンを持って業界を指導しているのかどうか、お伺いします。
  201. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、国内問題、輸出問題ともにビジョンを持ちましてやっておるわけでございます。国内問題につきましては、ただいま先生御指摘のように、安全対策という問題を中心にいたしまして業界を指導することは、従来からも続けておるところでございますし、今後ともこういう姿勢で続けてまいりたいと考えておるところでございます。
  202. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 言葉だけに終わってはならないと思うのです。いま配りました資料の一ページを見ていただきたいのですが、通産省は、昨年の六月に、日本経済調査会から耐久消費財の耐用年限を長くすべきであるという報告を受けながら、何の政策も打ち出さず、それに逆行するモデルチェンジを黙認しているわけであります。運輸省も自工会に点検整備項目削減案を出させておきながら、運輸省も反対の態度であったと聞いているのですけれども、整備業界の反対に遭って、いまなお世界の自動車先進国では日本だけという短期ごとの多項目の点検整備を強制し、ユーザーに過重な負担をかけております。  モデルチェンジについても、配付資料の六ページの通産省資料でも明らかなように、各メーカーとも四年ないし五年の周期でモデルチェンジを繰り返しております。長寿命車を目指す欧米諸国の趨勢から見て異常であるわけです。周期を延ばすような指導をしているのかどうかお伺いします。
  203. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま御指摘になりましたモデルチェンジにつきましては、通産省といたしまして、これを多く行わないように、モデルチェンジはできるだけ自粛するような指導をやっておるところでございます。
  204. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いいかげんなことを言っちゃいけないと思うのです。配付資料の七ページの運輸省資料では、トヨタ、日産とも毎年のようにモデルチェンジを繰り返しているわけであります。通産省が自粛の通達を出しておりますけれども、これは実際上全く空文化している。そういう点から見てみますと、本当の指導はしていないのではないか、これでもまだ指導していると言えるのか、そういう点についてお伺いします。
  205. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 通産省で問題にいたしておりますモデルチェンジと申しますものは、プレス型でございますとかあるいは治具等の変更を伴ういわゆる外観の変更が行われるものをモデルチェンジと言っておるわけでございます。ただいま先生から御指摘のございました運輸省の統計は、たとえばエンジンの変更その他に伴うものにつきましてモデルチェンジという言葉を使っておるものと了解いたしますので、運輸省でお考えになっておられるモデルチェンジと通産省で考えておりますモデルチェンジには若干の差がございます。私が先ほど御答弁申し上げましたモデルチェンジの自粛につきましては、先ほど申し上げましたプレス型あるいは治具等の変更を伴う外観の変更につきましては、省資源という立場から自粛をするように、こういう通達を出しておるところでございます。
  206. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 どうも期待するような答弁が出てこないわけです。  トヨタ自工の会長であって日本自工会会長の豊田英二という人は、ことし一月一日の日刊自動車新聞、その中で、「排ガス対策をしろというのは、モデルチェンジしろということでもある」、そういうことを述べております。また、トヨタ自販の加藤社長も、「何を言われても気にするな、どんどんモデルチェンジをやる」などと、言いたいほうだいのことをしゃべっているわけです。政府の指導なんというのは何とも思っていないわけであります。  角度を変えて聞きますが、新車効果による需要促進と販売シェアの拡大を主目的にしたいわば着せかえ人形のような頻繁なモデルチェンジが、どれほどユーザー、国民に迷惑を及ぼしているか、こういう点について検討されたことがありますか。
  207. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げましたモデルチェンジの自粛の通達以降のいわゆるフルモデルチェンジでございますが、四十九年に六件、五十年に四件、五十一年に六件ということでございまして、比較的件数も少なくなっておるという了解でございました。ただいま先生から御指摘になりました相関関係につきましては、数字はつかんでおりません。
  208. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 このフルモデルチェンジや新型車の開発費用は、一車種二百億円以上かかる、開発から生産、販売まで三年有余を要する、こういうふうに言われております。各メーカーとも頻繁なモデルチェンジをやるために、そちらに金を使って、安全、公害対策や長寿命車の研究開発をなおざりにしているわけであります。そのため、最近明らかになったものだけでも、いすゞBU型バスの欠陥事故、トヨタ、日産、東洋工業の排ガス対策車の欠陥など、欠陥車がごろごろしておって、欠陥事故が多発しております。  ここに、経企庁所管の国民生活センターや通産省所管の日本消費者協会及び日本自動車ユーザーユニオンに寄せられた最近の苦情、訴えを取りまとめた「設計及び製造上の品質欠陥による被害状況」という資料を用意しております。  これを見ていただけば明らかになるわけでありますけれども、欠陥車問題は今日なお解決の方向に向かっているということが言えないわけであります。  いま、車体のさびつき、穴あき、水漏れ問題が随所で問題化しております。特にトヨタの四十六年以降生産のクラウン、コロナ、セリカ系の全車種、日産のセドリック、ブルーバード、ローレル、スカイライン系で多発しております。保証期間一年経過後にさびつき、穴あき問題を起こしているものが多く、多くのユーザーがその修理代を約五万円も負担させられているわけであります。四十六年以降生産のトヨタ、日産のユーザーだけでも、その被害総額は五百億円以上に達するものと思われます。原因が塗装品質不足と車体の防錆対策、さびどめ対策の不十分さにあることは明らかであります。経企庁と通産省は、国民生活センターや日本消費者協会などを通じてこうした事態を知り得る立場にありながら、消費者保護については何の対策をも講じようとはしていないのであります。それでも消費者保護行政と言えるのか、問題であると思います。  車体の穴あきだけではありません。ラジエーターなどの冷却系にさびができ、穴あきによるエンジンの水漏れ事故も、ブルーバード、チェリーなどで多発しております。これはメーカーがコストを下げるために肉の厚さを薄くしたことによるものであって、責任はメーカーと、これを放置している政府にあることは明らかであります。  これだけじゃありません。排ガス規制対策車の欠陥問題もあります。去る十一月八日にユーザーユニオンが告発した以外にも、トヨタ、日産だけをとってみても、トヨタのスプリンター、カローラ、日産のローレル、ブルーバード、スカイライン、シルビア、プレジデント、サニー、セドリックについては欠陥の疑いがあります。四ページから六ページを見ていただきたいのですが、これらについては、ユーザーの告発やメーカーの通告を受けて初めて腰を上げるというのではなくて、進んで欠陥の有無を調査すべきであるというように考えます。  このほかにも、さまざまで重大な欠陥がまさにごろごろしているわけで、六ページ以下に記載してあるとおりであります。消費者保護のための行政を行うというのであれば、こうした欠陥車絶滅に向けて本格的な取り組みを開始すべきではないのか。いま言いましたような問題についての損害補償はどうするのか、これは通産、経企、運輸、それぞれ関連したことについての考えをお聞きいたします。
  209. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたような問題が発生いたしまして、それが材料上または製造上の瑕疵によるものである場合には、当然メーカーの保証制度に基づきまして、保証期間内でございますれば無料で処理されるものというふうに了解いたしております。通常ユーザーは、車を購入いたしましたディーラーにクレームを出すことによりまして処理をいたしておるわけでございますが、直接メーカーに持ち込むケースもございます。また、通産局におきまして消費者相談窓口をつくっておりますので、ここを御利用いただいている方もございます。  具体的なケースで紛争が生ずるということになりますと、ユーザーの使用ミスであるか、あるいは材料上または製造上の瑕疵による欠陥であるか、そういうものが争いの対象になるわけでございますけれども、現実には、当事者の話し合いによりまして解決が図られるという仕組みをとっております。  なお、このアフターサービス体制といいますものは、各自動車会社の競争の一番大きな問題点ということもございますので、決してなおざりにしているというふうには了解いたしておりませんが、今後ともこういう問題につきまして、消費者との間に問題を起こさないように自動車業界を指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  210. 井川博

    ○井川政府委員 経済企画庁は、消費者保護に関する総合調整をいたしているわけでございます。個々の品目につきましては、それぞれの省庁が所定の的確迅速な処理をとっていただくことを期待をいたすわけでございますが、ただいま先生のお話にございましたわれわれが監督しております国民生活センターの苦情処理の中に、自動車関係もございます。多少数字の違いがございますけれども、年間苦情処理全体七千件のうち、自動車関係が約百件程度あるというふうにわれわれの方に報告が寄せられているわけでございます。それで、国民生活センターにおきましては、そうした話の内容によりまして、専門家ではございませんのでなかなかむずかしい点がございますけれども、その苦情に理由がありというときには、直接自動車メーカーの相談窓口の方に担当者から話をして、中に入っていろいろ解決をやっていくというやり方をいたしておるわけでございまして、大体そういう意味で解決をしていくというかっこうをとっているわけでございます。ただ、五十一年の苦情につきましては、まだ四件ばかり未解決というふうな報告が寄せられているわけでございます。
  211. 北川清

    北川説明員 お答えいたします。  運輸省といたしましては、欠陥車対策といたしまして、欠陥車の回収制度というものを四十四年からやっておりまして、これにつきましては、自動車の構造、装置などが、設計とか生産上の欠陥によりまして道路運送車両の保安基準にあります安全とか公害の基準に適合しない、そういう状態が明らかになりました場合には、自動車メーカーは、その欠陥の状況がどうであるか、それからそれに対して改善をどういうふうにするのかということにつきまして運輸大臣に届け出ることを義務づけておりまして、その旨を早速公表いたしまして、そして、自動車メーカーは欠陥部品を早急に回収し、無料で修理するという制度を進めておりまして、これの定着を図っておるわけでございます。それで、この制度につきましては、特に自動車メーカーにおきますリコールの欠陥車処理体制が十分つくられることが必要でございまして、その点についての監視の強化を図っております。  あわせまして、私どもに直接、市場の品質の情報がまいります。これは自動車使用者からのクレーム情報と、車両の検査をやっておりますが、その検査による結果の報告がございます。こういう報告のある中から欠陥車であるという疑いのあるものについての情報を収集、分析いたしまして、それによりまして自動車メーカーの方の処置いたしております欠陥車処理体制とのチェックをいたして、そういう点においての欠陥車対策に遺憾のないように進めてきておりますが、今後ともそういう点について万全を期したいと思っております。
  212. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 答弁に対しては言いたいことがあるのですけれども、次に進みます。  結局、政府の指導をいいことにして各メーカーとも、ことしから来年にかけてまたまた一斉にモデルチェンジを計画しております。トヨタ、日産関係について、通産、運輸省が事前連絡や型式の指定申請、立入調査などを通じてつかんでいるモデルチェンジの予定を明らかにしてもらいたいと思います。
  213. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 四十九年度以降のモデルチェンジの数につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、五十二年に入りましてのモデルチェンジは十五件でございます。なお、来年以降の分につきましては、まだ全体を把握いたしておりませんので、数字のお答えは控えさせていただきたいと思います。
  214. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 全体を把握していないということですが、クラウンやパブリカはすでに認定申請中ではありませんか。
  215. 北川清

    北川説明員 お答えいたします。  運輸省におきます車の審査におきましては、御案内のとおり、最近五十三年度規制適合車の審査が始まっております。現在までに指定をしておりますものが三十八型式ございます。それで、過去におきまして五十年規制適合車は百五型式、それから五十一年度規制適合車が百四十八型式ということでございますので、これから五十三年度規制が本格的に適用されるのに向けまして、それに適合した車の審査を進めるということになっております。  具体的な御指摘のものにつきましては、いま手元に資料を持っておりませんし、長期のものにつきましてはまだ手元に入っておりません。
  216. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ドイツのフォルクスワーゲンなどは、マルクの急騰で対米輸出第一位の座をトヨタに譲ったわけですが、三十年間モデルチェンジなしに二千万台生産するという実績を誇っております。政府はなぜこうした立場から指導しないのか。  政府が来年のことについておっしゃらないのですから、私は消費者保護の立場から申し上げたいと思います。トヨタ、日産関係の各車種のモデルチェンジ予定一覧表を配付いたしますので、見ていただきたいと思います。  この一覧表は、メーカー関係者や部品メーカー関係者などから、ユーザーユニオンなどの協力を得て数カ月にわたって調査をしたものであって、間違いないというよりは確実なものであります。  車名クラウン、マイナーチェンジ、生産開始予定五十二年十二月。カローラ、五十三年四月。スプリンター、五十三年四月。セリカ、新型車、五十三年四月。三〇B大衆車、新型車、五十三年六月。マークII、マイナーチェンジ、五十三年七月。コロナ、フルモデルチェンジ、五十三年八月。センチュリー、マイナーチェンジ、五十三年十二月。パブリカ、フルモデルチェンジ、五十三年二月。チェリーセダン、フルモデルチェンジ、五十三年三月。フェアレディ、五十三年四月。チェリークーペバン、五十三年六月。ローレル、これはマイナーチェンジ、五十三年九月。シルビア、フルモデルチェンジ、五十三年十一月。セドリック、五十四年一月。グロリア、五十四年一月。ブルーバード、マイナーチェンジ、五十三年七月。ブルーバード、フルモデルチェンジ、五十四年十一月。チェリーハッチバック、新型車、五十三年九月、こういうふうになっているわけです。  これらのモデルチェンジ計画については、消費者保護の立場から直ちに中止させるとともに、これらの各車種について完全なさび対策や安全、公害対策が講ぜられているかどうか調査して公表すべきであると思います。そういう考えがあるかどうか、お伺いします。
  217. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 ただいまお配りいただきました資料を拝見いたしまして、私どもはこのすべてにつきまして把握しておるわけではございませんので、コメントを差し控えたいと思いますが、一般的に、モデルチェンジにつきましては、短いスパンでモデルチェンジをすることは、省資源の立場からは好ましくないということでございまして、そういう自粛の指導は引き続きやっておるところでございます。  なお、先ほど先生から御指摘のございました四年ないし五年のスパンというものが、短過ぎるではないかという問題もございますけれども、一方、新しい技術開発、特に公害防止対策の観点からのモデルチェンジであれば、一概に短いスパンでモデルチェンジをすることはけしからぬということも問題があろうかと思いますので、実態に応じました調査なり対応策を考えていきたい、かように存じておる次第でございます。
  218. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 公表するということを言わなければ困るんです。配付しました資料の別紙二の三ページを見ていただきたいんです。世界最大の米国消費者団体コンシューマーユニオンの最近のレポートによりますと、対米輸出国産車の四万八千キロまたは二年ごとのサービスコストは欧米車の二倍以上にも達しておって、国産車の欠陥は国際的にも歴然としております。政府としては現在のような頻繁なモデルチェンジを厳重に規制するとともに、長寿命車、長期ビジョンづくりに向けて本格的な取り組みを開始すべきであると考えます。さしあたりモデルチェンジ規制のための新たな通達を出すべきであると思いますが、通産大臣の決意をお伺いしまして、あと安田議員に関連質問をやらせていただきたいと思います。
  219. 田中龍夫

    田中国務大臣 先ほど来いろいろと貴重な御意見を承りまして、ありがとうございました。いま私に御質問は、第三番目と申しますか、モデルチェンジの問題だけでよろしゅうございますね。  御説のとおりに、モデルチェンジというのは、どちらかというならば、アメリカ車を中心としたシステムでありまして、ヨーロッパの方におきましては余りいたしておりませんが、これはむしろ非常に堅牢であると同時に、クラシックな一つの国民性にもよりましょうが、反面、アメリカにおきましては、販売政策の面からいいまして非常に頻繁にモデルチェンジをいたすわけであります。そういう点は、むしろ省資源と申しますか、資源のない日本等におきましては、アメリカナイズされたといたしましても、モデルチェンジの問題につきましては十分反省を要するのじゃないか、ことに今後のあり方につきましては、品質も材質も大分よくなってまいっておりますので、耐久力もふえておりまするし、またアフターサービスの面等も完備いたしまして、同時にモデルチェンジの問題につきましてはいろいろと考えさせられる点がございますので、御意見は貴重な御意見として承っておきます。
  220. 野呂恭一

    野呂委員長 この際、安田純治君の関連質問を許します。安田純治君。
  221. 安田純治

    安田委員 関連質問でございまして、柴田委員の持ち時間の関係で、前提の質問はたくさんございますけれども、端的に一問だけ質問したいと思うのですが、十一月十一日の当委員会におきまして、大店法と商調法の運用あるいは中小企業の業者の意見の取り上げ方について、群馬県の渋川の例と横浜の例を出して御質問申し上げまして、それについて田中通産大臣から、「なお本件につききましても今後いろいろと配慮してまいりたい、かように考えます。」という御答弁をいただいたわけであります。  次の国会までの間、もうこれで国会が終わりなものですから、ぜひこの機会に一問だけ御質問したいわけですけれども、この「今後いろいろと配慮してまいりたい、」という通産大臣のお答えでしたが、まず、横浜のニチイの問題については、中小企業者の陳情という形で出した意見が意見として取り扱われなかったという遺憾な状態があると思うのです。それについてどういう配慮をなされるのか。それから、群馬県の渋川について、商調協の委員の選び方が公正を疑われるような事情があるということを私指摘しましたけれども、これについてはどんどん商調協が進んでおるような状態ですので、これを一体どうするのか、この点だけお伺いして、私の関連質問を終わりたいと思います。
  222. 濃野滋

    ○濃野政府委員 私から御答弁申し上げます。  先生から十一日の日に御質疑のありました二件でございますが、まず、横浜のケースでございます。  本件につきましては、私ども関係者、本省それから東京通産局、横浜の商工会議所の担当者が十一日の日に集まりまして、本件の今後の取り扱いについて協議をいたしております。確かに前回先生の御指摘、大臣の御答弁にございましたように、今回の経緯につきまして通産省側あるいは商工会議所の一部に配慮の行き届かなかった面もございまして、この点は大臣のこの間の御答弁にありますように、やはり信頼を失っては行政はできない、そのとおりでございますけれども、これも法律的に問題を詰めてまいりますと、開店期日等の調整の結果を現時点で法律的に動かす、つまりニチイの方に開店日の延期を要請することが法律上は不可能ではないかという結論に達しました。  ただ、私どもこの大店法あるいは商調法の運用につきましては、成立当時からの国会の御決議にもありますように、地元の中小商業者の利害との調整、つまり地元との話し合いがついて、そことの共存共栄ができる体制でスーパー等大規模店舗の進出が進められる、それによって地元も共存共栄、消費者もいい、こういう態度で進むのが私どもが基本的に考えているところでございますので、今後この地元で依然として反対の空気が強いということは私ども関係者は皆承知しておりますから、私どもといたしましても、担当でございます東京通産局あるいは商工会議所というものと十分連絡を通じながら、ニチイの今後の営業方法等につきまして、出店者側それから地元商店街との間で十分な話し合いが行われる、そういうふうなかっこうで指導してまいりたい、かように考えております。  それから、渋川のケースでございますが、これは出店を希望する側から、率直に申し上げまして始末書をとりまして、従来の態度に対する反省を求めますと同時に、商調協の運用につきましては、私がただいま申し上げましたような方針で地元の円満な話し合いがつくように私どもも指導してまいりますし、関係者がそういうかっこうで努力できるような環境づくりをやっていきたい、かように考えております。
  223. 安田純治

    安田委員 両方ともたまたまニチイが関係しておるものですから、そういう点で、この間も御指摘申し上げましたように、ニチイに対する通産当局の指導が甘いんじゃないかという疑いを受けては困ると思うのです。確かに横浜の場合には三カ月という調整の期間が終わっておりますけれども、地元業者との話し合いを事実上やるとか、そういう点について、いわゆる通産大臣の権限に基づく法的な調整期間は終わったにしても、ぜひそういう点で指導強化を強めていただきたい。渋川の場合も同じでございますけれども、その点、よろしくいまの答弁のとおり、地元とがっちり話し合いをするようにニチイに特に強い御指導をお願いしたい。そのことによって行政の公正さといいますか、一たん疑われるような状態があったわけですけれども、ぜひそれを回復していただきたいということを強く要望いたしまして、私の関連質問を終わります。
  224. 野呂恭一

  225. 大成正雄

    大成委員 私は、今国会最後の機会に、三つの点について御質問を申し上げたいと思います。それぞれの項目、一括して御質問申し上げます。特に経企庁長官、お忙しいところをとどまっていただいておりますので、私も重点的にお聞きしますので、簡潔に御答弁をいただいて結構でございます。  御承知のとおり、先日リバーズSTR法律顧問が参りまして、日本側と予備的な折衝が行われたわけであります。この内容は、新聞報道等で知る程度でございまして、本委員会にまだつまびらかにされておらないわけでありますが、要点とするところは、市場開放策として製品輸入の拡大であるとかあるいは関税の前倒し引き下げであるとかあるいは製品輸入シェアの拡大、日本の製品輸入比率一九・八%、対米輸入三五・一%といったこの状態を改善してもらいたいという要望、あるいは日本の内需の刺激策、八%程度の経済成長に持っていく、いつまでに持っていけるかといったような問題、あるいは経常収支の黒字をいつまでに赤字にできるかといった問題、そういったようなことに要約できると思うのであります。これらについて日本側の考え方とまたアメリカ側の厳しい要求との間に相当のずれがある、すなわち調整を要する点が見受けられるわけであります。  細かい点は省略いたしますが、これらのこの修正をストラウスSTR代表の来日前に調整していかなければならないと思うわけでありますけれども、いま、政府の担当責任者として長官はどのようにお考えになっておられるのか、承りたいと思うのであります。  さらに、リバーズさんが離日に当たって残しておる言葉からしても、ストラウスが来日するには不適切である、こういった心証を持って帰国されておられるようでありますが、果たして年内にストラウスSTR代表が来日する情勢にあるのかどうか、その辺のところも含めてお考えをお聞きしたいし、あるいは日本側から積極的にこのずれを修正するための特使を派遣するといった用意があるのかどうか、この点もあわせて承りたいわけであります。  また、三十億ドルを目標として努力をするというドル減らし策でありますが、この一連のドル減らし策一つ一つをチェックしてまいりましても、それぞれいろいろ問題があるようでございます。十億ドルが精いっぱいじゃないかといった見通しもあるわけでありますが、これを細かく一つ一つお聞きしますと時間もかかりますので、概括的にお考えをお聞かせいただければと思います。  次に、年内に政府予算を固めていかなければならないわけでありますが、来年度の予算の編成に当たって、あるいは来年度の経済計画の策定に当たって、今日の二百四十円といった厳しい円ドル上平価をそのまま想定した編成なり経済計画が考えられておるのかどうか、あるいはどの程度の円ドル平価を想定した予算編成なり経済計画を考えておられるのかを承りたいわけであります。  また、逆に産業サイドから見て、日本の産業の活力あるいは競争力を維持するためには、もちろん業種間に格差のあることは当然でございますけれども、日本が生き残って世界の中で今日の繁栄を維持していくためには、円ドル平価はどのぐらいに安定させていかなければならないのかというその目標でありますが、これをひとつ承りたいと思うのであります。  以上。
  226. 倉成正

    ○倉成国務大臣 多方面にわたる御質問でございますが、各項目について簡潔にお答え申し上げたいと思います。  まず、アメリカの日本に対する非公式の協議、今回のリバーズ代表の来日は、交渉ではなくて協議ということでございます。それはどういう意味かと申しますと、今日の国際情勢のもとで世界の主要先進国が低成長に悩んでおる、また失業問題を非常に多く抱えておる、工場閉鎖とか多くの失業、日本の失業率よりもはるかに高い失業率、アメリカも七%以上の失業率、ドイツにいたしましても四・六%程度、その他の先進国もそれぞれかなり高い失業を抱えておる、こういう状況のもとで、日米両国はそれぞれこの国際情勢にかんがみてそれぞれの責任を果たすべきである、アメリカは貿易収支の赤字という形でそれらの国々の輸出を助けておる、日本は経常収支の大幅な黒字によって十分な責任を果たしていないと思うので、こういう状況のもとではアメリカ国内における保護主義の台頭、あるいは世界の国々の非難を免れることはできないと思うので、友好国として、ひとつ保護主義の台頭を抑えるために日本の経常収支の均衡を図ってもらいたい、また、市場を開放してもらいたいという二つの柱を日本に友人としてサジェストしてきたというのが今回の来日の趣旨でございます。  したがって、これに対して私どもといたしましては、友人としてのこのような日本に対するサジェストに対して、これを素直に受け取って、ひとつわれわれも日米共同して保護主義の台頭を抑えていくということが、世界の経済にとっても好ましいことでありますし、また、日米の友好関係を維持していく上においても大切なことであります。したがって、誠心誠意、日本としてできる最大限の努力をいたしましょうというのが日本政府のとりました態度でございます。  そこで、具体的な問題に入ってまいりますと、やはり経常収支をいつ均衡するかということになってまいりますと、これは自由主義経済体制をとっております日本としまして、いつ、どれだけ均衡ができるかということをここで明らかにするということはむずかしい、しかし、経常収支の黒字幅の縮小には最大限の努力をいたします。また、市場開放の点については、農産物等の自由化という問題については非常にむずかしい問題を抱えております。同時に、工業製品をいつまでに幾らふやすかということになってくると、これもまたわれわれとしては最大の努力をするけれども、これの時期を明示することも市場経済のたてまえ上むずかしい、こういうことを私どもの立場からアメリカ側には申し上げたわけでございます。  同時に、先方が非常に深い関心を持っております項目を挙げてまいりますと、まず第一は東京ラウンドの推進でございます。多角的な多国間における関税の問題として東京ラウンドの推進。  それから、東京ラウンドを待たずして関税を前倒し引き下げをするという項目。  それから残存輸入制限品目の二十七、これは通産が五、農林が二十二あるわけでございますが、いずれも国内にいろいろな問題を控えている項目でございますが、こういう残存輸入制限品目についてどういう考え方をわれわれが持っているかという問題。  それから三番目には、貿易に影響を及ぼす措置の改善。日本の貿易に関しまして、外国から見るとどうもいろいろな障壁を設けているのではなかろうか――ある場合には誤解もあり、ある場合には当たっている問題があるわけでございますが、そういう問題についての改善。  四番目には、貿易信用。日本はどうも輸出を中心に貿易信用を考えているのではないか、もっと輸入のことを考えたらどうかという問題もございまして、この点については、外貨準備を輸銀に預託をしまして、輸入信用の道を開いていく、そういう問題をいま日本は検討しておるという問題。  それから、輸出に関する問題は、もう別に通産当局からもほとんど出ておりません。ただ、日本側としては集中豪雨的な輸出を避けるという姿勢を貫いていくということでございます。  それから、日本がいま考えております備蓄の問題、食糧の備蓄であるとかいろいろなものについて前払い購入をしたいというものがございますので、これは緊急輸入でございますが、こういうことについてアメリカ側に協力を要請する。  また、経済協力についても、日本の経済協力の条件が世界的に見ますと必ずしも十分でない。かたいと申しますか、もう少し経済協力について条件を緩和をしていく問題。  こういうような問題について率直な意見の交換を図ったわけでございまして、この点については、リバーズ代表を初め開係の方々がそれぞれ経済に詳しい専門家ですから、リバーズさんは法律顧問でございますけれども、それにしてもそれぞれ事務レベルにおいて非常に詳しい方たちでありますので、日本の立場については十分理解をしてもらったと思っておるわけであります。会議は終始友好裏に行われまして、相互理解の増進には役立ったと思っておる次第でございます。  したがって、この事務レベルでいろいろ意見を交換したものをアメリカ側が本国に持ち帰りまして、もう少しハイレベルの人たちにこれを報告する、そしてこれの評価をすることになろうかと思うわけでございます。その評価の結果等につきましては、お互いに外交ルートを通じて話し合っていくことではなかろうかと思うわけであります。先般、二十一日にリバーズさんが帰りますときには、双方は外交ルートを通じて引き続き接触を維持して、今次会合で双方で協議した諸問題については月末までに共通のアプローチをしたいということになっておるわけでございます。  さらに、この問題は大きく前進しつつあると思うのでございますけれども、日米間で意見が分かれた点と申しますか、いつ経常収支を均衡し得るか――経常収支の黒字幅を減らす手だてとして、日本は総合経済対策等でいろいろ努力をしておるけれども、向こうから見ると、もう少し何かその具体的な担保が欲しいということではなかろうかと思うわけでありますので、そういう問題についてもう少しわが方もいろいろ詰めてまいりまして、自由主義経済体制のもとでやれる限界はありますけれども、しかし、なるほど日本は経常収支の黒字幅を縮小するのに努力しているということを目に見える形で示すことが大切であると思うわけであります。  そういうことを日本側として態度を十分確立しまして、今回協議しました関税問題やいろいろな残存輸入制限品目であるとか貿易の障害の問題であるとか、そういうものを一括して、ワンパッケージで、日米間の呼吸が合ったところでストラウスさんが日本に来られるのが適当じゃないかということでございます。いつになるかということは、まだ私ども、先方の意向も、また外務省を通じても聞いておりませんけれども、呼吸が合えばなるべく早く来日されることが望ましいのではないか。そして、日米間のわだかまりがなくて、日米両国が共同して保護主義を抑えていく、そして世界の経済の発展に貢献していくことが日本の国益にも合することである、そう考えておるわけでございます。精力的にこの問題を詰めていくことを期しておる次第でございます。  なお、これに関連して、特使を派遣したらどうかという問題が巷間伝えられておるわけでございます。これも一つの方法であろうかと思いますけれども、本来は、アメリカにあります日本大使館が日本国を代表して日本の意思を十分先方に伝え、また先方の意思を日本に伝えてくるというのがたてまえであろうかと思います。これを補強する意味においていろいろな手だてを考えるのも一つの方法だと思います。ただ、仮にそういう方法をとるにしましても、日本の立場というか、日本側が向こうを説得し得るだけのしっかりした材料を十分整えることが先決であって、ただ漠然と人が向こうに参りましても、それは余り意味のないことであると私は考えております。  それから、三十億ドル云々の問題は、すでに衆参両院の予算委員会で論議が闘わされたところでございますから、これをここで繰り返すことはいたさないつもりでございますけれども、総理がお約束をしたという性格のものではございません。これは政調会長が総理に三十億ドル程度の輸入をしたらどうかという話をされたというのが実情でございまして、政府として緊急輸入についていろいろな手立てを講じまして、いろいろなものを積み上げてみましても、現在国会で皆様方の前で言い得る数字というのは十億ドル前後ということでございます。しかし、そのほかに石油の備蓄であるとかいろいろなものについて、私ども最善を尽くして努力をしておるわけでございますけれども、これは相手国があることでもございますし、余り不利な条件で日本がそういうものを買うということもいかがなものであろうかということもございますし、また、これについて先方がどの程度の評価をするかという問題もございますので、余りこの三十億ドルという数字にこだわるのは適切ではないんではなかろうかと私は考えております。率直に申しますと、そういうことじゃなかろうか。しかし、十億ドルでは足らないから、ぜひひとつふやすように努力するようにという総理の指示でございまして、この線に沿って最大の努力をいたしておるというのが実情でございます。  それから、来年度予算の問題については、これはいまから経済見通しをつくり、そしてその経済見通しの中で、来年度の輸出がどうなるか、あるいは民間の設備投資あるいは個人消費がどうなるかというような諸項目がいろいろあるものですから、その中で予算すなわち財政がどういう役割りを果たすかということになろうかと思うわけでありますので、いませっかく経済企画庁におきましては経済見通しについて、また大蔵省におきましては財源について、いろいろ検討されているところであろうかと思います。したがって、この来年度予算がどうなるかということは、ここで私が申し上げるわけにはまいりません。ただ、財政にかなり大きく期待されてくるであろうということだけは率直に申すことができると思います。  それから、一体こういう場合にどういう為替レートを考えているかということになりますけれども、この為替レートについては、これからどうなるかということはだれもまだ予測できないわけでございますから、やはり経済見通し等をつくります際には何かの基準を置かないと計算ができないわけでございますけれども、現在のところ、為替レートをどこに置いたらよいかあるいは日本の産業の競争力がどうかということについては、内部においてはいろいろ検討いたしておりますけれども、いまここで申し上げるような段階ではないということをつけ加えさせていただきたいと思います。  以上でございます。
  227. 大成正雄

    大成委員 さらに細かく具体的に御質問したいのですが、時間がありませんので、長官、結構でございます。どうぞひとつ……。  それでは二番目に、構造不況の問題について一括御質問申し上げます。  さきの私の質問の中でも、ナフサ価格あるいはアルミ問題については御質問を申し上げたわけでございます。  率直に申し上げて、精製側との話し合いによってという、そういう姿勢を貫いておられるわけでございますけれども、今日のこのナフサ価格の状況というものは、さらに一段と円高によって拍車がかかってきておるわけであります。二百四十円といったレートで計算しましても、国内の標準価格との差が八千円にもなっておる、こういう状態であります。これに対して精製側は、値下げは認めないあるいは仮払いは認めないとか、そういったかたくなな態度を貫いておりますが、一方、石油化学側は、この十二月末の現金払い分としては二万三千円ないし二万四千円の内金払い、こういった強い姿勢を打ち出しておるわけであります。  なお、この石油化学の現状は、参考人の意見もありましたけれども、さらに今日深刻の度を加えておりまして、この二百四十円といったベースが今後も続くとするならば、この石油化学の九五%は壊滅的な打撃を受ける、こういう見通しも立てております。また、住友化学のボーナス要求なんかも白紙の要求、あるいは信越化学においても事実上の指名解雇、要するに片道切符で子会社に出向を命ずるといったことも、情報として聞かされておるわけであります。  これに対して、精製側の為替利益というものは、今日の円ベースでいくならば七千億から八千億ぐらいの為替差益が生ずるのではないか、このように言われておるわけであります。  こういった状態において、政府としては、この石油製品の価格体系というものをもう見直すべき段階に来ているのじゃないだろうか。特にこの円高の基調というものは、来年度においてもそう大きくは変わらないだろうという展望のもとにおいて、この石油製品価格の見直しというものを、政府ももっと一段、一歩踏み込んだ形で見直すべきではないか、このように考えるわけですが、この点に対する考え方を承りたい。  それから、アルミに関しましては、先日、産構審のアルミ部会の答申で、二四%を五年間凍結する、こういうような方針が出されてきた、あるいは輸入地金の適正化のための関税割り当て制度を導入するとか、あるいは精錬五社の共販会社をつくるとか、こういった一連の産構審の答申がなされているようでありまして、かねて精錬側が要求しておった電力料金の値下げであるとか、あるいは輸入地金の規制であるとか、あるいは政府の備蓄の買い入れであるとか資金援助であるとか、こういったことは取り入れない形でこの産構審の答申がされようとしているわけでありますが、一応十分検討の上でそういう結論が出されたと思うのですが、将来に及んで、そういった措置をいま講ずることが、この日本のアルミ産業政策として悔いを残すことはないのかどうか。また同時に、もしそれが実行されたとした場合に、この凍結資金のめんどうを見るとかいろいろな問題があると思うのでございますけれども、莫大な借金を抱えておるアルミ業界が、果たしてこういう凍結に耐えられるのかどうか、この点も含めて簡潔にひとつお答えをいただきたいと思います。
  228. 田中龍夫

    田中国務大臣 御質問の中の構造不況の問題につきましては、御案内のとおりに、産業構造審議会の方におきまして、各銘柄別検討をいたしております。  御指摘のアルミの問題等のごときは、一方においては電力の問題が、これが中核でありますると同時に、他面また、その電力コストというもののさらにもとをただせば、また石油の問題にも相関関係を持ちます。また、その他海外の輸入の問題もありまするし、これらの諸般の問題は、担当の産政局長もおりますので、お答えを申し上げます。  また、石油全体の問題、特にレートがこういうふうになってまいりますと莫大な差益が必然的に出ておる、この問題は、この日本という国が、無資源、資源のない工業大国でありまして、すべての原材料、食糧まで輸入しておりますから、必然的に大きな差益という問題が出てまいりますが、その大きなウエートが石油という問題にかかっておる。その石油の問題の今後の体系をどうするかという問題、あるいはまたその一部分でありまする原料としてのナフサのコストの問題、これもロッテルダム価格と国内価格との間にいまなお二万九千円と二万一千円といったような非常に開きが出ておるというような問題、一方、合繊を控えた化学工業の方では非常に苦境に立っておりまするけれども、同時に、われわれの方では百五十万キロリットルという追加輸入をいたしましたが、これらの輸入コストというものは、私どもの調べにおきましては相当安く、二万四千円ぐらいで入っているのじゃないかとも思っております。しかし、総量から言えば三〇%ぐらいでございますから、業界それ自体としては、まだまだコンビナートの方の関係を解決しなければならぬし、同時にまた、ナフサの問題は、灯油の問題あるいは価格体系全体の問題とも関連をいたしますし、大変広範多岐にわたっておりますが、担当の局長も参っておりますから、政府委員から逐次お答えいたしましょう。
  229. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 私からは石油製品価格についてお答えいたします。  御承知のように、現在、どちらかといいますと、ガソリン高の重油安といったような現象を示しておりますが、連産品としての特性からいたしまして、石油製品全体としての採算性がどうかということと、その中における各種の製品が需給の実勢をどのように反映しているかということの絡まりの問題だと思うわけでございます。今後とも、エネルギー政策あるいは産業構造のあり方といったような観点から石油製品についても検討してまいりたい。ただ、体系ということが適当であろうかどうかという問題はあろうかと思います。  それから、ナフサにつきましては、われわれといたしましては、当分の間、当事者交渉にまちたい。なぜならば、コンビナートリファイナリーというのは全国で九社ございますが、この九月末の決算を見ますと、九社のうち七社まで繰越損を抱えておるという状況でございます。その額は約九十二億円になっております。経営のいい一社を除きますと、約百四十八億の繰越損を持っておるといったような状況でもございます。したがいまして、一律に幾ら下げろという指導は、現実問題として非常に困難でございます。  それからいま一つは、同じ価格交渉と申しましても、輸入品の取り扱いをどうするか、あるいはシーバースなりタンクの活用といったようなことも含めての交渉になるわけでございます。そういった意味合いからいたしまして、われわれといたしましては、両当事者間で進められておる値決め交渉が健全な形で妥結するように、特に先ほど大臣が申し上げました百五十万キロリットルのナフサの緊急輸入につきましても支払いが終わっております。こういったものが両当事者の交渉を円滑に進める要素となってくることを期待いたしておる、こういう事情でございます。
  230. 天谷直弘

    ○天谷政府委員 アルミニウム産業の構造不況についてお答え申し上げます。  アルミニウム産業の現在の不況の原因は単純明快でございまして、日本のアルミニウム産業が火力発電による電力に依存しておる、したがって、日本のアルミ産業の依存するエネルギーコストが世界で比較を絶して高くなってしまったということでございます。したがいまして、アルミ産業の苦境を一刀両断に断ち切ろうと思えば、申すまでもなく、エネルギーコストを下げるということしかないわけでございます。しかしながら、これは名案ではございますけれども、だれがネコの首に鈴をつけるかというたぐいの名案でございまして、アルミのエネルギーコストを下げた場合に、それをだれかに転嫁するということが可能でない限りにおいて、この案は実行不可能でございます。  第二の案といたしましては、輸入制限をするという案がございます。しかしながら、現下の国際情勢におきましてガットの十九条を発動するということは、これまた至難のわざである、現実性を欠いていると考えざるを得ない、そういう状況にあるわけでございます。  したがいまして、この一刀両断的な名案を採用できないという状況でありますならば、やむを得ず中間答申にありますような種々の施策、凍結であるとかタリフクォータであるとか販売の合理化であるとか、そういうようなあれこれの施策を集めまして、そしてここ数年の間の苦境をしのいでいくということが、われわれとしましては唯一の現実性を持った策であるというふうに考えております。  ここ数年と申しますのは、あと数年がまんいたしますならば、世界のアルミ地金需給が好転をする。好転をしますと、アルミの工場を新設する必要が出てまいります。新設をするといたしますと、海外で新設するアルミ工場のコストは、日本の国内にある既設のアルミ工場のコストよりも多分高くなるであろうという想定をいたしておりますので、海外で新たにアルミ工場が新設される段階、一九八〇年以降そういう段階があらわれますならば、日本のアルミ産業もコスト的に競争力を回復するであろう。したがいまして、ここ数年の間全力を尽くして、いろいろな案で急場をしのいでいくということのほかにやりようがないとわれわれは思っておりますし、アルミ業界におきましても、当初のうちは、電力価格の引き下げであるとか輸入制限等々につきまして相当強い要望がございましたけれども、現段階におきましては、あの中間答申の線に従って必死の努力を傾けるということで急場をしのいでいこうというふうにコンセンサスができているものと考えております。
  231. 大成正雄

    大成委員 大変時間を超過しておりますが、簡潔に残りをやりますので、お許しいただきたいと思います。  一つは、構造不況に関連してでありますが、中小企業庁、大蔵省関係として、為替変動対策あるいは倒産関連、雇用安定資金といった一連の政策融資の金利が高い、制度はありがたいがとても使えない、こういうニーズが多く聞かれるわけであります。したがいまして、この金利を思い切って五%あるいはそれ以下に下げる、こういったことのためには政府が決断をしなければなりませんし、財政でこれを補てんするといった新しい措置がとられなければならないと思いますが、この点についての考え方を承りたいと思います。  それから、最後の三番目の項目として小売商業調整活動についてでございますけれども、先ほど横浜の保土ケ谷の天王町ショッピングデパートに関しまして御質問があったので、私はそれらを勘案しながら焦点をしぼって御質問申し上げたいと思うのですが、横浜の例からいたしますと、商工会議所に設置されておる商調協の運営のあり方が非常に非民主的であるというか、末端小売業の声を十分吸収しておらないといういい事例ではなかったか、このように判断されるわけであります。特に大店法五条の届け出がなされ、そして官報に意見書提出の公示がなされるわけでありますけれども、一般の小売商が官報の公示を見ているわけじゃございませんし、商調協なり通産局なりが適切な指導をして意見書提出の時期というものを懇切に指導する、その内容を指導する、こういったことが望ましいと思うのであります。横浜の場合にもこの意見書提出期限が切れてしまってから大変な騒ぎになっておるわけでありますが、さらにさかのぼって官報に公示された翌日の八月十日に地元商店街二十九団体が通産大臣、通産局に陳情しておる、そういう事実があったにもかかわらず、この意見書提出の懇切なる指導がなされなかったということは非常に残念なことだと思うのでございます。  この横浜の場合には、それぞれ大店法の手続を踏んで、十一月三十日開店といったチラシももうすでに配られているわけでありますが、その手続あるいは取り扱い指導の中において重大な瑕疵があったと私は判断をするわけであります。今後は、通産省側が自主的にニチイなりあるいは地元商店街を指導することによって、できるならば開店期日を延ばしてでも円満な共存共栄の実を上げるべきだ、また、円満な調整に至るように指導すべきだ、このように考えますので、御意見を承りたいと存じます。  なお、この商調法の不偏な点については、本委員会として継続審議案件として取り上げておりますが、いま現在、中小企業庁長官としてその不備な点の主なるものは何なのかということを承ると同時に、千五百平方メートル以下のいわゆる中型スーパーの進出に対して、地域唯一の経済団体である会議所、商工会が商調協という調整機能を持っているから、さらにこれにこの調査なりあっせん、調停依頼といった機能を持たせることは適当でないといったような意見があるやに承っておるわけでありますが、それは非常に重大な問題だと私は考えるわけでありまして、いわゆる商調法の不備是正に関して、地元会議所、商工会の立場というものをどうするのか、商工会議所、商工会を乗り越えて地元地域の商店街が知事に対して意見の聴取なりあっせん、調停依頼ができるのかどうか、この点もひとつ承りたいと存じます。  以上。
  232. 野呂恭一

    野呂委員長 簡潔に願います。
  233. 岸田文武

    岸田政府委員 中小企業の経営にとりまして、金利負担というものが非常に大きな要素でございます。私どももできるだけこれを下げるように努力をしております。  為替変動対策緊急融資につきましては、御承知のとおり、六・二%という特利を設定をいたしました。これは運用部の資金コストを下回る金利でございまして、災害等を除きましては例のない低い金利でございます。従来のドルショック対策と比べましても、一番低い水準であるということで御理解を賜りたいと思います。  それから、倒産対策緊急融資につきましては、特定の場合について特利を適用する道を開きましたが、これは実績を見ますとかなり利用されております。その辺も御理解をいただきたいと思う次第でございます。  それから、第二点にお尋ねございました商調法の問題につきましては、これは法律制定されましてから非常に長い年月がたっております。その間客観情勢が変わってまいったことに対して、いまの商調法で十分対応できるかどうか、いろいろの問題が出てきておると思っております。したがいまして、私どももいま懇談会を設けまして、それらの問題点を全部洗いまして、これをどうするかということについて真剣に考えたいと思っておるところでございます。  ただ、最後に御指摘になりました商調法において商工会議所を申し出団体とすることはできないかという点につきましては、私は、いままでの運用におきましては、商工会議所というのは地域の経済問題の取りまとめ役という形で、たとえば商調協における活動のごとく一方に偏しない立場で活動していただくのが一番理想的なやり方ではないかと思っておりますので、商調法におきます申し出団体とすることによって一方の当事者という旗色が余り鮮明になるというやり方が適当であるかどうか、なお私どもは考えてみなければならないのではないかと思っておるところでございます。
  234. 濃野滋

    ○濃野政府委員 お答え申し上げます。  まず、商調協の問題につきまして、構成あるいは運用に御批判の言葉がございました。何分にもたくさんの案件を扱っておりますので、時折配慮の足りなかったような問題等が起こることはまことに残念でございますが、しかし、現在の大店法の実際の運用、つまり地元での話し合い、調整をするには、やはりこの組織を中心に動かしていかなければならぬと考えておりまして、私どももたくさんの経験を積みましたので、そういう構成の問題、運用の面につきまして今後ともなお一層の配慮、研究をし、指導もしていきたいと思います。  それから、横浜のニチイの問題でございますが、先ほど安田委員に御答弁申し上げましたように、経緯におきましていろいろな問題がございましたが、法律的には、ここに至りまして出店側に対して開店日の延期を要請することは不可能でございますが、なお地元との間に依然いろいろな問題が残っておるようでございまして、私ども、今後の営業活動等につきまして、出店側とそれから地元側との間で円満な共存共栄の方向がとれるように関係者がいろいろ努力をしていく、そのための必要な指導に努めていきたい、かように考えております。
  235. 野呂恭一

    野呂委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十五分散会