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1977-11-02 第82回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二日(水曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 林  義郎君    理事 武藤 嘉文君 理事 山崎  拓君    理事 上坂  昇君 理事 佐野  進君    理事 松本 忠助君 理事 玉置 一徳君       石川 要三君    鹿野 道彦君       粕谷  茂君    北川 石松君       藏内 修治君    田中 六助君       津島 雄二君    塚原 俊平君       辻  英雄君    中西 啓介君       中村  直君    楢橋  進君       西銘 順治君    萩原 幸雄君       橋口  隆君    堀之内久男君       前田治一郎君    渡部 恒三君       渡辺 秀央君    岡田 哲児君       後藤  茂君    清水  勇君       土井たか子君    中村 重光君       渡辺 三郎君    長田 武士君       権藤 恒夫君    玉城 栄一君       西中  清君    宮田 早苗君       工藤  晃君    安田 純治君       大成 正雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 鳩山威一郎君         通商産業大臣  田中 龍夫君  出席政府委員         外務政務次官  奥田 敬和君         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省アジア局         次長      枝村 純郎君         外務省条約局外         務参事官    村田 良平君         水産庁次長   恩田 幸雄君         通商産業政務次         官       松永  光君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業省立地         公害局長    左近友三郎君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁次長     大永 勇作君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君  委員外出席者         外務大臣官房外         務参事官    井口 武夫君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二日  辞任         補欠選任   稲垣 実男君     中村  直君   島村 宜伸君     塚原 俊平君   田中 六助君     石川 要三君   西銘 順治君     津島 雄二君   渡辺 秀央君     堀之内久男君   板川 正吾君     土井たか子君   西中  清君     権藤 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   石川 要三君     田中 六助君   津島 雄二君     西銘 順治君   塚原 俊平君     北川 石松君   中村  直君     稲垣 実男君   堀之内久男君     渡辺 秀央君   土井たか子君     板川 正吾君   権藤 恒夫君     西中  清君 同日  辞任         補欠選任   北川 石松君     島村 宜伸君     ――――――――――――― 十一月一日  金属鉱業危機打開緊急施策に関する請願(笹  山茂太郎紹介)(第二〇六三号)  同(橋口隆紹介)(第二〇六四号)  同(橋本龍太郎紹介)(第二〇六五号)  同(村山達雄紹介)(第二〇六六号)  電気工事士法の改正に関する請願石田幸四郎  君紹介)(第二〇六七号)  同(久野忠治紹介)(第二〇六八号)  同(坂井弘一紹介)(第二〇六九号)  同(西村章三紹介)(第二〇七〇号)  同(水平豊彦紹介)(第二〇七一号)  特許管理士法の制定に関する請願小宮山重四  郎君紹介)(第二〇七二号)  量販店のしょうゆの不当廉売規制に関する請願  (安倍晋太郎紹介)(第二〇七三号)  同(足立篤郎紹介)(第二〇七四号)  同(愛知和男紹介)(第二〇七五号)  同(伊東正義紹介)(第二〇七六号)  同(石橋一弥紹介)(第二〇七七号)  同(宇野宗佑紹介)(第二〇七八号)  同(上村千一郎紹介)(第二〇七九号)  同(内田常雄紹介)(第二〇八〇号)  同(江藤隆美紹介)(第二〇八一号)  同(小沢辰男紹介)(第二〇八二号)  同(小渕恵三紹介)(第二〇八三号)  同(大石千八紹介)(第二〇八四号)  同(大西正男紹介)(第二〇八五号)  同(大平正芳紹介)(第二〇八六号)  同(大村襄治紹介)(第二〇八七号)  同(奥田敬和紹介)(第二〇八八号)  同(奥野誠亮紹介)(第二〇八九号)  同(加藤紘一紹介)(第二〇九〇号)  同(金子岩三紹介)(第二〇九一号)  同(鴨田宗一紹介)(第二〇九二号)  同(木野晴夫紹介)(第二〇九三号)  同(木村武千代紹介)(第二〇九四号)  同(倉石忠雄紹介)(第二〇九五号)  同(後藤田正晴紹介)(第二〇九六号)  同(佐々木義武紹介)(第二〇九七号)  同(佐藤隆紹介)(第二〇九八号)  同(櫻内義雄紹介)(第二〇九九号)  同(椎名悦三郎紹介)(第二一〇〇号)  同(塩崎潤紹介)(第二一〇一号)  同(瀬戸山三男紹介)(第二一〇二号)  同(染谷誠紹介)(第二一〇三号)  同(高鳥修紹介)(第二一〇四号)  同(竹中修一紹介)(第二一〇五号)  同(玉生孝久紹介)(第二一〇六号)  同(地崎宇三郎紹介)(第二一〇七号)  同(坪川信三紹介)(第二一〇八号)  同(登坂重次郎紹介)(第二一〇九号)  同(永田亮一紹介)(第二一一〇号)  同(灘尾弘吉紹介)(第二一一一号)  同(萩原幸雄紹介)(第二一一二号)  同(浜田幸一紹介)(第二一一三号)  同(林義郎紹介)(第二一一四号)  同(原田昇左右紹介)(第二一一五号)  同(福島譲二紹介)(第二一一六号)  同(藤井勝志紹介)(第二一一七号)  同(藤尾正行紹介)(第二一一八号)  同(藤波孝生紹介)(第二一一九号)  同(藤本孝雄紹介)(第二一二〇号)  同(船田中紹介)(第二一二一号)  同(前尾繁三郎紹介)(第二一二二号)  同(三池信紹介)(第二一二三号)  同(三木武夫紹介)(第二一二四号)  同(宮崎茂一紹介)(第二一二五号)  同(村上勇紹介)(第二一二六号)  同(村山達雄紹介)(第二一二七号)  同(森下元晴君紹介)(第二一二八号)  同(山崎拓紹介)(第二一二九号)  同(渡辺秀央紹介)(第二一三〇号)  中小企業協同組合共同行為に関する請願(安  倍晋太郎紹介)(第二一三一号)  同(足立篤郎紹介)(第二一三二号)  同(愛知和男紹介)(第二一三三号)  同(伊東正義紹介)(第二一三四号)  同(石橋一弥紹介)(第二一三五号)  同(宇野宗佑紹介)(第二一三六号)  同(上村千一郎紹介)(第二一三七号)  同(内田常雄紹介)(第二一三八号)  同(江藤隆美紹介)(第二一三九号)  同(小沢辰男紹介)(第二一四〇号)  同(小渕恵三紹介)(第二一四一号)  同(大石千八紹介)(第二一四二号)  同(大西正男紹介)(第二一四三号)  同(大平正芳紹介)(第二一四四号)  同(大村襄治紹介)(第二一四五号)  同(奥田敬和紹介)(第二一四六号)  同(奥野誠亮紹介)(第二一四七号)  同(加藤紘一紹介)(第二一四八号)  同(金子岩三紹介)(第二一四九号)  同(鴨田宗一紹介)(第二一五〇号)  同(木野晴夫紹介)(第二一五一号)  同(木村武千代紹介)(第二一五二号)  同(倉石忠雄紹介)(第二一五三号)  同(後藤田正晴紹介)(第二一五四号)  同(佐々木義武紹介)(第二一五五号)  同(佐藤隆紹介)(第二一五六号)  同(櫻内義雄紹介)(第二一五七号)  同(椎名悦三郎紹介)(第二一五八号)  同(塩崎潤紹介)(第二一五九号)  同(瀬戸山三男紹介)(第二一六〇号)  同(染谷誠紹介)(第二一六一号)  同(高鳥修紹介)(第二一六二号)  同(竹中修一紹介)(第二一六三号)  同(玉生孝久紹介)(第二一六四号)  同(地崎宇三郎紹介)(第二一六五号)  同(坪川信三紹介)(第二一六六号)  同(登坂重次郎紹介)(第二一六七号)  同(永田亮一紹介)(第二一六八号)  同(灘尾弘吉紹介)(第二一六九号)  同(萩原幸雄紹介)(第二一七〇号)  同(浜田幸一紹介)(第二一七一号)  同(林義郎紹介)(第二一七二号)  同(原田昇左右紹介)(第二一七三号)  同(福島譲二紹介)(第二一七四号)  同(藤井勝志紹介)(第二一七五号)  同(藤尾正行紹介)(第二一七六号)  同(藤波孝生紹介)(第二一七七号)  同(藤本孝雄紹介)(第二一七八号)  同(船田中紹介)(第二一七九号)  同(前尾繁三郎紹介)(第二一八〇号)  同(三池信紹介)(第二一八一号)  同(三木武夫紹介)(第二一八二号)  同(宮崎茂一紹介)(第二一八三号)  同(村上勇紹介)(第二一八四号)  同(村山達雄紹介)(第二一八五号)  同(森下元晴君紹介)(第二一八六号)  同(山崎拓紹介)(第二一八七号)  同(渡辺秀央紹介)(第二一八八号)  繊維産業の安定及び流通産業近代化促進に関す  る請願受田新吉紹介)(第二一八九号)  信用保証協会強化育成に関する請願中村茂  君紹介)(第二二二三号)  同(原茂紹介)(第二二二四号)  松本市に商工組合中央金庫の店舗設置に関する  請願中村茂紹介)(第二二二五号)  同(原茂紹介)(第二二二六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸  棚(だな)の南部共同開発に関する協定実施に伴う  石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特  別措置法案内閣提出、第八十回国会閣法第三  〇号)      ――――◇―――――
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  第八十回国会内閣提出日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一徳君。
  3. 玉置一徳

    玉置委員 本当は外務大臣おいでになって順番にやっていくとやりやすいのですが、そうも言っておれませんので、通産大臣に主としてお伺いしたいと思います。そういう意味で政務次官にそこへ座ってもらったんだから、お忙しいから適当におりていただいて結構です。  共同開発方式について、なお、昨日問題になっております石油開発公団紛争地域における開発行為に対する資金融資関係、こういうことを主に聞いてまいりたいと思います。  そこで、共同開発とその他の方式ですね。あるいはペルシャ湾、あるいはベトナムの沿岸、その他各国に出まして、開発をどのようにしてやっておるか、長官からお答えをいただきたいと思います。
  4. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 一般的にまず申し上げまして、産油国外国石油開発企業石油開発を行う場合、当該産油国政府あるいは当該産油国国営石油会社といったものと直接または間接に石油探鉱開発についての契約を締結するのが通常でございます。この契約の形態といたしましてはいろいろございますが、大きく分けますと、一つ鉱業権を付与する、二つ目国営石油会社との共同事業三つ目生産物分与契約四つ目作業請負契約、その他融資買油といったような五つの種類に大別されると思うわけでございます。  これに関連いたしまして、日本石油企業がどういう形で外国石油開発に参加いたしておるかということでございますが、ことしの六月現在で日本石油開発企業海外石油探鉱開発契約を結んでおるものが三十九件ございます。この三十九件の内訳は、ただいま申し上げた五つの分類で申し上げますと、鉱業権の付与が十八、それから相手方の国営石油会社との共同事業が五、それから生産物分与契約が十四、作業請負契約が一、その他一、かようになっておるわけでございます。
  5. 玉置一徳

    玉置委員 それでは、わが国周辺における鉱業権に基づく出願者あるいは試掘権、その他権者はどのくらいであって、そのうちどれだけが稼働しておるか、そして、探査、試掘等をやっておる以外に本当に商業ベースで操業に入っておるのはどのくらいであるか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  6. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 本年の三月末現在で申し上げますと、出願件数は三十五万八千四十五件でございます。それから、このうち許可された件数が三千七百十三件でございますが、この内訳試掘権関係が三千六百四十八件、それから採掘権関連が六十五件でございます。  かような許可件数の中で、現在生産中のものは新潟県の阿賀沖の四件でございます。これは鉱区件数でございます。許可件数出願に対しまして大体一%程度、こういうことになっております。
  7. 玉置一徳

    玉置委員 わが国周辺の場合に、大陸棚、つまりある程度の浅海の場合は鉱業権でやっておるのか、わが国国民でないとその権者にはなれないのか、つまり大陸棚方式考えておるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  8. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘の点でございますが、鉱業法の第十七条によりまして、「日本国民又は日本国法人でなければ、鉱業権者となることができない。但し、条約に別段の定があるときは、この限りでない。」という規定に従いまして、原則として日本国国民または日本国法人ということになるわけでございます。
  9. 玉置一徳

    玉置委員 それはわが国領海だけじゃなしに、領海外といえども、大陸棚等関係で浅い海が続いておるところはそういうことにしておるかどうか。
  10. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま申し上げましたような原則に従いまして、現在、鉱業法に基づく海洋での鉱業権につきましては、開発可能な地域までを対象として実施いたしております。  と申しますことは、領海の外でも鉱業権許可を与えておりまして、これまで与えた鉱区のうち最も離岸距離の遠いものでは、試掘権のケースでございますが、約百四十キロ、七十五海里程度のものがございます。
  11. 玉置一徳

    玉置委員 わが国領海外でも、採掘可能だと思われる浅い海の部分については、排他的にわが国国民のみに鉱業権を与えておるということは、大陸棚の思想をわが国も採用しておると見てよろしいかどうか。
  12. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 鉱物資源に関するいわゆる主権的権利というものにつきましては、領海を越えた大陸棚にも及ぶという国際慣習が成立しておりますので、こういった国際慣習にのっとりまして鉱業法の運用をやっておる、こういうことでございます。
  13. 玉置一徳

    玉置委員 私は、日韓大陸棚問題に入っていこうと思うのですが、その前に、この際お伺いしておきたいと思います。  三十五万に上る多数の試掘権のうちで、実際に稼働しておるのは阿賀沖一つであるというようにいま答弁があったわけですが、こういった試掘権がいたずらにいわば山師的なものを横行させて、実際に試掘をし、そしてわが国周辺の大事な資源を活用するのにいまのままでいいかどうか、どのようにお考えになっていますか。
  14. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 本来的に石油探鉱開発というのは非常にリスクの大きいものでございまして、たとえばボーリングの成功率というのは百本掘って十八本。それがさらに油田として、いわゆるプロジェクトベースでの成功率は二・七%というのが世界共通の実績でございます。  さようなところから、それなりの対応と申しますか、資金量も多額に必要といたしますし、あるいはリスク性が大きいといったようなこともございますので、一般的にはいわゆる複数の企業リスクを分散し、あるいはお互いに持っておる技術最高度に活用していくといったような形でやっておるのが現実でございます。  たとえば日本周辺大陸棚におきましても、日本企業外国企業資本関係に入るとか、あるいは協力関係に入るといったような形で、できるだけ高度の技術で、先ほど申し上げましたようなきわめてリスクの大きいプロジェクトを成功裏に持っていこうと、こういう動きが一般にあるわけでございますが、ただ、御指摘のように、さようにもかかわらず必ずしも成功率が高くないということに対して、どう対処していくかという問題も出てこようかと思うわけでございます。  それと関連いたしまして、現在の鉱業法と申しますのは、主として陸上での鉱山活動というものを、当然のことではございますが、前提としてつくられた法律でございますが、そういった鉱業法の体系というものが今後ともいつまで維持できるかという問題も出てこようかと思います。  私たちといたしましては、御承知海洋会議なるものが持たれておりますので、この会議進展状況に応じまして、新しい国際ルールができた段階におきましては、いまの鉱業法では十分に対応できないのではなかろうかというふうにも考えております。  私たちといたしましても、そういったことを念頭に置きまして、すでに検討を重ねておるわけでございます。現在まで御審議いただいております協定実施のための特別措置法等におきましても、従来の鉱業法にないところの、たとえば坑井掘削義務だとか鉱区放棄義務といった、いわゆる探鉱義務を付与いたしまして、開発を効率的に促進し得るようにといったような点も入っておるわけでございますが、将来の問題といたしましては、ただいま申し上げたような背景、あるいは今回の特別措置法案の中に盛り込まれておるような新しいルールというものを基礎に置きまして、今後のあるべき鉱業法といったものも鋭意検討を進めていくべきである、かように考えておるわけでございます。
  15. 玉置一徳

    玉置委員 私は、いつか商工委員会におきまして、海洋を除きました日本の陸の上の鉱業権の数と、それが一体日本の面積の何分の一を占めておるのか――これは明治の初め、こういった非鉄金属採掘するということは国の富を増すゆえんであるというので、外国の例を見習いましてつくったものだと思いますが、最近鉱害問題その他非常にやかましい折から、いたずらにタヌキ掘りをするような手合いの形で物をやっていくということは再検討を要するべき時期に来ておるのではないかということで、再検討する気持ちはないかということを提案したことがあります。  一体、日本の陸の上の鉱業権というのは何ぼあって、そのうち実際に稼働しておるのはどれだけで、事実上稼働というより、商業活動をずっと営んでおるのはそのうち幾らか。こういうようなことを考えてみますと、いたずらに所有権を制約するような形で、昔のままの鉱業法をそのまま置いておくことがふさわしいのかどうか。それとあわせて、いまおっしゃった海洋の中における鉱業権というものについて、この際根本的に見直しをぼつぼつやろうという心構えがあるのかないのか、お答えをいただきたいと思います。
  16. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のとおりだと思います。地下資源と申しますのは、それの採掘に当たる人はもちろんのことでございますが、その国の国民全体の利益という立場で考えなくちゃいけないと思うわけでございます。その場合に、いわゆる権利の上に眠ると申しますか、排他的に権利だけを設定しておいていつまでたっても開発をしないといったようなことでありましては、これは国民に対する利益の還元にならない、いわゆる国益に合致しないといったような点にまず気づくわけでございます。  現行の鉱業法についてもいろいろ検討すべき点もあろうと思いますが、ただいまの先生の御指摘の点、いわゆる地下資源を効率的に開発して、それを国民利益につなげていくという点が最も大切な点ではなかろうかと思います。  今回の特別措置法につきましてもそういった趣旨を入れておるわけでございますので、今後鉱業法のあり方について検討する場合、当然一つの大きなテーマになってくるだろう、かように考えるわけでございます。
  17. 玉置一徳

    玉置委員 そこで、この件に関しまして大臣にお伺いしておきたいのですが、とりあえず審議会をつくるというところまでいかぬと思いますが、もしもやるとすればどういう点をやらなければいかぬのかというような点につきまして、適当な権威者を嘱託されまして、大臣諮問機関としてでも一応考えるべき時期に来ておるような感じがするのですが、どのようにお思いになりますか、お答えをいただきたいと思います。
  18. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま長官からもお答えを申し上げましたごとくに、従来陸上を中心に考えておりました鉱業権採掘権というふうなものが、このように大陸棚といったような客観情勢の変化がある。同時にまた、権利の上に眠って貴重な国家財産というものを休眠のまま置いておくということは、これは国益の上から申しましても、御指摘のとおり、やはり重大な問題であるとも思うのでございます。  今回の大陸棚特別法というものも、そういう点におきましては、その権利を休眠しないように法規の上からも考えてはおりますけれども、その点では一歩前進かとも思いますが、先生指摘のような、そのような審議会なり何なりをつくりまして、そして今後のあるべき姿等々につきましては十分研究するということは、まことに結構なことであろうと考えます。
  19. 玉置一徳

    玉置委員 そこで、本問題の共同開発、これについてお伺いしていきたいと思います。  日韓大陸棚南部共同開発地域開発方式が、若干そういう点をお考えになりまして仕組みを変えておいでになるわけでありますが、法文のとおりのこと、大陸棚協定の成り立ちといきさつ、このような共同開発方式になりましたゆえん長官から簡単にかいつまんでお答えをいただきたい。つまり、この開発方式はどのようないきさつでこういう方式になりましたかということであります。
  20. 枝村純郎

    枝村政府委員 簡単に御説明申し上げます。  先生承知のとおり、昭和四十三年のエカフェの調査の結果、東シナ海における石油資源というものについて各国の注目が集まったわけでございます。日本側では帝石日石開発西日本石油が、先ほど長官からお話がありましたように、日本主権の及ぶ大陸棚天然資源開発のために、昭和四十二年ごろよりあの地域について鉱区設定出願をしてきたわけでございます。他方韓国側でも昭和四十四年ごろから米系企業開発権を付与いたしました。このような韓国側動きをとらえまして、私どもとしましては、この地域日本主権的権利の及ぶ大陸棚であるということで韓国側の注意を喚起いたしまして、早急に話し合いに入りたいということを申し出たわけでございます。  その結果といたしまして、昭和四十五年十一月ごろより四十七年の二月にかけて、三回にわたって法律家専門委員会というものが開かれたわけでございますけれども、御承知のような経緯で、韓国側は、この大陸棚は例の九州沖沖繩海溝のあたりまで韓国の自然の延長として韓国管轄権の及ぶべき区域であるという主張をいたしまして、他方日本側としては中間線理論をとったということでございます。  この間に、国際司法裁判所に対する提訴でありますとか、そういう種々のいきさつがあったわけでございますけれども、結局、昭和四十七年九月の日韓閣僚委員会の機会に当時の大平外務大臣韓国を訪問されまして、その際、韓国側から、ひとつ共同開発ということで進めてみたらどうだろうかという話がございまして、その結果といたしまして、両国主権的権利が及ぶという主張の重なっております部分を囲いまして、これを共同開発区域とするということについて原則的な了解が成立しまして、その結果、これをどういうふうに協定にまとめ上げるかということで、十回にわたる実務者会議というものを経まして、四十九年の一月の三十一日に至りまして協定署名に至った、こういうことでございます。
  21. 玉置一徳

    玉置委員 ここに南部共同開発南部地域ということを特にうたっておるのは、当然北部地域並びに西部地域というのを想定しての話ですか。
  22. 枝村純郎

    枝村政府委員 北部につきましては、これは先ほどの御説明の中で申し上げましたような沖繩沖の海溝という問題がございませんので、これについては両者の間で、お互いに向かい合っておる国として一つ大陸棚を共有しておるということで意見の一致がございましたので、それを前提にいたしまして、ほぼ双方の領域の島のすべてを考慮に入れた中間線をとって協定を結んだというわけでございます。  これがいわゆる北部協定でございまして、これにつきましては画然たる境界が引かれておりまして、両者の間で共同開発ということは予想されておらない、こういうことでございます。
  23. 玉置一徳

    玉置委員 そこで、この方式を進めていけば、もう少し南の方に下りまして、台湾、中国、そして膨湖島との問題、そういうところに行ったときの中間線もしくは大陸棚等々の問題は、ただいま想定する必要はありませんかどうか。
  24. 枝村純郎

    枝村政府委員 この共同開発区域に関します限りは、日中の中間線と申しますよりも、中国と韓国の間、中韓の中間線ということがより大きな問題になってくるわけでございます。と申しますのは、中国と韓国とが同一の東シナ海の大陸棚を共有しておるということについては問題がございませんので、その点で中間線を引いております。  しかしながら、ただいま先生がおっしゃいましたように、さらに南の方ということになりますと、これは日本と中国との間で向かい合ってその間に大陸棚が存在するということでございますので、日本と中国との間の話し合いになると思います。そのときに、中国側は、すでに過去の外交部スポークスマン声明、あるいは六月の外交部声明ではっきり見られますように、自然の延長論というものをとっております。したがいまして、わが方の主張する中間線論というものとの間で相当話し合いをしなければならぬ、こういうふうに思っております。  現在のところは、私どもといたしましては、この日韓大陸棚協定について説明をいたします機会その他のあらゆる機会を通じまして、中国との間に大陸棚の境界画定についてなるべく早く話をしたい、あすからでも話をしたい、こういう申し入れをしておりますが、それについていまのところは積極的な反応がない、こういう状態でございます。
  25. 玉置一徳

    玉置委員 ということは、現在問題になっております南部共同開発対象区域のことについては、外務省事務当局の考え方としては、結局これは韓国との対象であって、中国には説明をしておる、こういうことになっておるのですか。
  26. 枝村純郎

    枝村政府委員 中国との関係につきましては、中国の国際法上の権利を一切害しないように慎重に配慮して協定をつくっておりますので、ただいまの先生の御指摘のとおり、中国に対してはその点を十分に説明する、そういう努力をしているということであります。
  27. 玉置一徳

    玉置委員 あとは大臣が来られてから、大臣と一緒に質疑応答を繰り返していきたいと思いますが、事務当局の考え方は、今度の場合は、中国との関係は、一応参考的に説明を必要とするかもわからぬけれども、当事者としての交渉はない、こういうようにお考えになっておるわけですね。
  28. 枝村純郎

    枝村政府委員 日韓大陸棚協定に関する限りはそのとおりでございます。日中間の大陸棚の境界画定の問題につきましては、もとよりこれは当事者として十分な論議を尽くすべきだ、こういうことでございます。
  29. 玉置一徳

    玉置委員 いま図面を見ましたが、この日中中間線、韓中中間線、そこでほんのわずかでありますけれども避けております。避けておりますというのはおかしいのですが、日中中間線と韓中中間線のぶつかったところから日中中間線の分だけを除いておるのはそのことでございますか。
  30. 枝村純郎

    枝村政府委員 先生指摘のとおりでございます。本来でありますれば、先ほど申し上げましたように、韓国と中国との間の、つまり一つ大陸棚を共有しておりますこの両国の間の中間線というものが基本になるわけでございまして、これの東側であれば、韓国がどうか共同開発を一緒にしようじゃないかと、このように日本側に誘いをかけてきますれば、これを受けてもいいわけでありますが、日本側としては中間線理論をとっておりますたてまえ上、中国との関係で、日本としてこれ以上の権利を主張するということは適当でなかろうということで、あの線で遠慮しておると申しますか、とどまっておる、こういうことでございます。
  31. 玉置一徳

    玉置委員 そうすれば、もう一つついでに聞いておきますが、いまの南部共同開発区域、これの主権と申しますか、日本のいままでの考え方を捨てたものではない、共同開発行為についてのみ協定を結ぶのだ、一時そういう問題をたな上げして、こういう解釈ですか、どうなんですか。
  32. 枝村純郎

    枝村政府委員 これは協定の第二十八条にも、「この協定のいかなる規定も、共同開発区域の全部若しくは一部に対する主権的権利の問題を決定し又は大陸棚の境界画定に関する各締約国の立場を害するものとみなしてはならない。」ということがございます。したがいまして、ただいま先生指摘のとおりでございます。
  33. 玉置一徳

    玉置委員 それでは本来の通産の方へ移りたいと思いますが、日韓大陸棚における開発権者に対しては、こういういきさつと、それから共同開発という特殊な方式を採用した関係で、その他の鉱業法の場合以外にどのような制約を加えておいでになりますか。
  34. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘の点は、現在の鉱業法特別措置法の内容の相違点というふうに理解してお答え申し上げたいと思いますが、先ほどもちょっと触れましたように、いわゆる坑井掘削義務あるいは鉱区放棄義務といったような開発を促進するための義務を課しております。  また、韓国側開発権者と共同して事業を実施するわけでございますので、互いに共同開発事業契約を締結いたさせまして、これを両国政府の承認にかからせている、いわゆる日本の場合は通産大臣の承認にかけておる、こういうことになってくるわけでございます。  それから、特定鉱業権という概念は探査権と採掘権を内容といたしております。そういった意味から、試掘権より探査権の方が広い概念というふうに考えておりますが、さような特定鉱業権を設定するといったところが現在の鉱業法と違うところでございます。  それから、いま一つ、従来の鉱業法では考えておらなかった点といたしまして、いわゆる特定鉱業権者を認可する場合の許可基準に、経理的基礎を有するかあるいは技術的能力を持っておるかといった能力主義といったものも導入いたしておりますが、かような点が主たる相違点ということになろうかと思います。
  35. 玉置一徳

    玉置委員 そうすれば、現在までというのはおかしいのですが、この協定が結ばれるまでというか、このことが発議されて交渉が行われるまでに試掘権その他願い出たものはどの会社で、どのような数があるのですか。それをどのようにお扱いになるか、ついでにお答えをいただきたいと思います。
  36. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 このいわゆる日韓の共同開発地域に対しまして、日本側といたしましては、帝国石油西日本石油開発日本石油開発といった三社が四十二、三年ごろから出願をいたしております。  今回日韓両国の間に協定が結ばれ、あるいはこれを実施するための特別措置法案を御審議賜っておるわけでございますが、これについてのいわゆる先願三社の扱いでございます。これにつきましては、特別措置法案の附則におきまして、他の申請者は告示後一カ月以降でないと受理いたさないわけでございますが、ただいまの先願三社につきましては一カ月以内といえども特定鉱業権設定についての認可申請を受け付ける、こういうことにいたしております。  これにつきましては、御承知のとおり、いわゆる鉱業法による先願権というものは財産的価値を持っておるわけでございます。そういった財産的価値をどのように認めるかということと、いわゆるこの協定における共同開発というものをいかように効率的に進めていくか、その両方の接点をどこに求めるかというところからいたしまして、他の者よりも実質一月早く申請してよろしいということにいたしました。  ただ、今回の特別措置法の中に規定してございます能力主義、いわゆる経理的基礎があるか、技術的能力があるかということにつきましては、何ら他の者と差等することなく厳正に適用していく、一言で申し上げると一月だけ早く申請に及ぶことができるということでございまして、その他の点については、いわゆるこの先願三社以外の者と何ら異なる取り扱いをいたさない、こういう取り扱いになっておるわけでございます。
  37. 玉置一徳

    玉置委員 そこで、お伺いしておきたいのですが、探査その他は三年の間にやりなさい、またその継続は三年だ、こういうふうになっておりますが、一体そういうものの費用に一つの小地域で――これは小地域に分類していますね。小地域で一体幾らほどの金が必要とされる見通しなのか。あるいは全地域につきまして、一体それが――数年かかってやるのでしょうけれども、一体どの程度の金を何年度ぐらいまでに、つまり、三年間でこのくらい要ります、その次の三年間でこのくらい要ります、合計でどのくらい八年間に要りますというような見込みで結構ですから、どなたでも結構ですからお答えいただきたいと思います。
  38. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御承知のように、この共同開発地域につきましては、本格的な探査活動というものが行われておりませんので、的確に先生の御質問にお答えしがたい段階でございます。  一般的に申し上げますと、いわゆる物理探鉱に要する費用でございますが、これが測線長一キロメートル当たり大体十万から十二万円と言われておりますので、この地域で計算いたしますと、これはトータルしてせいぜい九億から十一億ぐらいじゃなかろうかと思います。  それからいわゆるボーリングでございますが、これは場所によってコストも違ってまいりますが、大体一本当たり十五億から二十五億円というのが現在の平均コストでございます。これに対しまして、この協定では義務掘削坑井数が十一本ということになっておりますので、その十一本を八年間に掘るわけでございますが、これをトータルいたしますと百六十五億円から二百七十五億円、こういう数字になろうかと思います。  いずれにいたしましても、物探あるいは試掘という段階ではこの程度のトータルコストになるのじゃなかろうか。この物探なり試掘をやりまして、その後いわゆる探掘などを通じましてフィージビリティースタディーをやる。その上で初めて生産可能性を判断する。その段階から、いわゆる開発投資と申しますか、いわゆるプラットホームの設置だとか、あるいはパイプラインの設置といったようなことが始まるわけでございます。その点につきましては、何分ただいま申し上げましたような本格的な探査活動が行われておりませんので、いまの段階では申し上げづらい、こういうことになるわけでございます。  ただ、かの北海油田におきましてニニアンという油田がございまして、この例で申し上げますと、可採埋蔵量が一億六千万キロリットルと言われておるわけでございますが、ニニアン油田に投下された開発資金は二十三億ドルというふうに言われておるわけでございまして、したがいまして、今回の共同開発地域におきましても、この程度の油田を見つけた場合にはやはりこの程度の投資が必要であろう。これは全くの類推でございますが、さようなことになろうか、かように思うわけでございます。
  39. 玉置一徳

    玉置委員 わが国石油開発公団がかなり投資をいたしまして、そしていろいろな会社が、先ほどおっしゃいました数だけのものが海外その他でやっておるわけであります。終戦後一時非常にブームがありまして、かなりの会社ができたわけでありますが、その会社の数は一体どのくらいで、二、三百億円の資本金で資本金を食いつぶしてやめていった会社が大体どのくらいあるのか、後刻詳しい資料を一遍委員会に提出していただきたいと思いますが、おわかりのところだけでもお答えいただきたい。
  40. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石油開発公団の投融資及び債務保証をいたしております企業の状況につきまして、本年九月末現在で概況を御説明いたしたいと思いますが、全体が四十三社でございまして、そのうち探鉱開発に成功し、生産中のものが現在十社ございます。それから、石油やガスを発見しまして、現在その生産の可能性について検討中のものが五社でございます。それから、現在なお探鉱活動を続けておりまして、その結論が出ていないというものが二十一社でございます。それから、不幸にしまして探鉱に失敗し、鉱区も返還してしまったというものが現在七社ございます。全体を合わせまして四十三社ということが現況でございます。
  41. 玉置一徳

    玉置委員 そこで、北海油田を考えても二十三億ドル、これからますます金の要る時代になってきておるんじゃないかと思いますから、あの時分に比べて一・五倍なら一・五倍ぐらいのことを予想しなければいかぬ、こういうふうに考えてみますと、一社でそれだけのものをやるということはとても不可能に近いんじゃないだろうか。  そういう場合に、きょうまで日本周辺海洋の中でやっております各社に、あるいは資本を持ち、あるいは石油開発公団から融資をしておる状況を御説明いただきたいと思います。
  42. 古田徳昌

    ○古田政府委員 本年三月末で、石油開発公団の投融資額が、全体につきまして約二千九百億円ということでございますが、そのうち本邦周辺大陸棚分が約百九十億円で、対象会社は七社ということになっております。
  43. 玉置一徳

    玉置委員 それは資本参加並びに融資に分ければどのようになりますか。
  44. 古田徳昌

    ○古田政府委員 融資をしております会社が一社で、その他はすべて出資によって資金を供給しております。  金額的な区分は、現在手持ち資料がございませんので失礼いたします。
  45. 玉置一徳

    玉置委員 こういうものを見ましても、全般で二千九百億で、だから、大陸棚共同開発につきましても多額の資金が供給されねばとてもやっていけないんじゃないかということと、それから、もしも事故が起こって漁業に大きな弊害を起こすような場合にも、国民としては何らかの関与がされておることの方が安心感を抱くということになると思うのです。  それから利益としては、採掘がもしも可能ということになれば、備蓄その他いろいろな各方面で受ける利益が非常に大きいわけでありますが、この利益をいま出願されておるような各社だけに与えるというのには、余りにもこれはいろいろな――世界各国、国際連合その他の機関が十分にいろいろなことをある程度やってくれておることも事実であります。それで、こういうような二国間の協定をわざわざ結んでやっていくものでありますから、利益が公に還元されるような形でないと国民は納得しにくいのじゃないかという感じがいたします。  これについて、いまの各社各社に任すのか、あるいは開発公団がその中へ資本参加をするのか、あるいはかねてから民族系の石油会社を育成しようというような試みが数多くなされましたけれども、それぞれむずかしい問題に突き当たってその夢を果たしておらないことも事実でありますから、だから、こういう民族系会社でもって一つの持ち株会社をこしらえさすとか、あるいは公社をこしらえるとか、何らかの形でこれを管理、制御するような機構が、ぜひとも望まれると思いますが、これについての当局並びに大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  46. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず、先ほども申し上げましたように、現在名のり出ておると申しますか、いわゆる先願の三社はあくまで附則での取り扱いを前提としておるだけでございまして、これが必ずあるいは当然に特定鉱業権者になるということではございません。その点は御理解いただきたいと思います。  それから、先生の御提案でございますが、やはり国民に広く利益を還元すべきじゃないかということで、そのためにいろいろな方策について御指摘があったわけでございますが、その方法のいずれがいいか、あるいはいずれが可能かということは別といたしまして、御指摘の方向というものは、かように大陸棚石油資源というものは国民全体でその利益を享受すべきであるという立場においては私たちも全く同感でございます。そういった意味合いも含めまして、われわれといたしましてはその方向へ即して検討してまいりたいと思います。  英国の北海の例をとりましても、初め探査活動をやって、その進捗状況を見ながら英国政府として積極的に乗り出したといったケースもございます。六〇年代の半ばごろから探鉱を始めまして、いわゆる石油収入税法というものが七五年にできております。あるいは英国石油公社といったようなものが七六年になって設立されておる。  こういったこともございますので、このケースにかかわらず、先進各国においてかような場合においてどういう対策をとっておるかといったようなことも含めまして、御趣旨を体して検討いたしたい、かように考えるわけでございます。
  47. 田中龍夫

    田中国務大臣 当省といたしまする考え方は、ただいま長官からお答え申し上げたとおりでございます。
  48. 玉置一徳

    玉置委員 外務大臣おいでになりましたので、外務大臣にお伺いしたいと思います。  大臣にこのグラフを参考に渡しておいてください。  交渉過程の中の共同開発構想に出てきましたいきさつにつきまして事務当局からお伺いをしておりましたが、アジア局長さんでしたか、次長さんでしたか、お答えを聞いておりますと、この間一番問題になっておるのは、これが紛争地域なのかどうか、中国に対して何かこちらとして手抜かりがあるのかどうかと、こういう説明をいま一番やかましく言われておるところであります。それからきのうもこの委員会におきまして、日韓大陸棚協定特別措置法をめぐり、中国側の理解を求める必要があるとして、可及的速やかに北京へ行って日韓大陸棚協定の日韓共同開発計画案について説明したいと述べ、きわめて近い将来にみずから訪中する考えのあることを明らかにした、こうなっております。  事務当局の考え方からしますと、私がずっと前から説明を受けておりますのは、いまこの図面を渡しましたとおり、今回の問題は日韓問題であって、中国の問題は、中華民国、すなわち台湾、膨湖島あるいは中国の対岸に行ったときに交渉相手は中国であって、韓国には説明だけでいいのだ。だから、いまのは日中中間線と韓中中間線の間をわざわざ避けて通っておる。この図面にも、グラフにも出ておりますように、中国とは十分に説明をしておりますと、こういう説明をずっと聞かせてもらってまいりました。しかし、いかがでございますかなんて言って世界じゅう回っていったら、北鮮から、ソビエトから、陸続きの奥の奥の方まで物を言うていかなければならぬ。  それで、日本国益というものも考えて、理の当然のことはなすべきである。誤解のないように十分に話すべきであるけれども、日本としてやっていくのは、大臣は別にしまして、外務省当局の考え方としては――大臣も当局でしょうけれども、事務当局の考え方としては、いままで、この図面であらわしておりますように、日中中間線の線でもってきちんと折り目をつけておるという意味で、中国は交渉相手ではございません、しかしながら十分にすべての説明をしてまいっておりますと、こういう話をずっと聞いてまいったのですが、あなたはきのうの答弁等々から見て、きょうまで堅持してこられた事務当局の考え方を一体どのようにお考えになりますか。
  49. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 今回御審議いただいております対象の共同開発区域は韓国日本との間にある大陸棚である、こういう考え方に基づいて韓国との話を進めてまいったところでございます。  中国との関係は、中国が大陸棚をはさんでおるもう一つの国といたしまして中国側に理解をしてもらいたい、こういう態度でございます。この態度は今日も変えておりません。  しかるところ、先方の外交部の声明が出されたわけでございます。その声明に述べられているところは、私どもは、先方が従来から大陸棚の自然延長――自然延長は中国が大陸棚管轄権を持っているのだという論拠に立っているわけでございまして、その点につきまして、日本政府はそれを認めるわけにはいかないわけでございます。したがいまして、その点につきまして中国側に対して折衝するつもりはございません。  しかしながら、今後共同開発を進めてまいりますために、これからの施行者が安心して企業ができますように、そのためには中国側に事実上の理解を示してもらうことが必要であろう、このように考えまして、そのためには日本政府のしかるべき者が中国側のしかるべき方と会い、直接日本側の真意をよく理解を求めたい、こういう趣旨で昨日は申し上げたのでございます。  従来からの考え方を変えたということは絶対にないのでございます。
  50. 玉置一徳

    玉置委員 そうすると、いままでの事務当局並びに大臣がお考えになっておることに変わりはない。したがって、今回のこの区域に関しては、交渉相手は韓国である。したがって、これは韓国とは交渉する。  それから、理解を求めるための説明は中国にも何回もしてまいりました、もっと南方の話だと思いますが、お話があればいつでも交渉には応じますということも申し出ておりますが、その答えは返ってきておりませんというようにずっと承ってきた。そのとおりでありますね。
  51. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
  52. 玉置一徳

    玉置委員 そうすると、これが南方の方へまいりますと当然相手は中国である、韓国からどういうことがあっても、韓国には説明をして理解を求めるだけであって、交渉相手は中国である、こういうことですね。
  53. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 本共同開発区域より南方に至りましては、そのように韓国関係ないと考えます。
  54. 玉置一徳

    玉置委員 重ねてお伺いしますが、したがって、北鮮から何らかの話がありましても、これまた、理解を求めることは必要と思うけれども、交渉の相手とは関係ない、こう理解してよろしいですね。
  55. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 そのように考えております。
  56. 玉置一徳

    玉置委員 それにしても、筋は筋として、毅然たる態度というのはある意味ではそうあるべきだと思います。しかし、いままでも少しかたくなに過ぎたんじゃないだろうか。その意味で、理解なら理解でも、もう少し感じのいい理解を求めたいというのがあなたが訪中をという答えになったのかと思いますが、そういう意味と解釈してよろしいか。
  57. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 藤山愛一郎先生が行かれましたときに、李先念副総理が、日本政府にこのような相談を受けておらないという発言がございました。私どもは御相談を申し上げたことはなく、御理解を求めただけでございますが、そのことにこだわるわけではございませんが、先方の外交関係の責任者がそのような理解であられては大変困ると思ったのでございまして、私は理解を直接求めたいと考える次第でございます。
  58. 玉置一徳

    玉置委員 日中平和条約の交渉がなければこれが理解を求められないという意味ではなしに、日中平和条約は一日も速やかに断行してもらわなければ困るわけでありますが、この時期も非常に早いような感じがいたします。喜ばしいことだと思います。しかし、それがなければこの理解が得られないという問題とは別ですね。
  59. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 本件は、全く別個の問題であると考えております。
  60. 玉置一徳

    玉置委員 さらに質問をしておきたいと思うのです。  それは別個であるけれども、この問題と切り離して、いまもお話しになりましたように、李先念副総理まで誤解を抱いておるというのでは後々実行がやりにくい、そういう意味では、あなたは、もしも機会があれば、余裕があればみずから訪中してでもこの誤解を解きたい、こういう意味ですね。
  61. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 全くおっしゃるような気持ちでおるわけでございます。
  62. 玉置一徳

    玉置委員 もう一つの問題として、国連海洋会議の結果を待った方が得ではないか、余まり日本に近寄り過ぎているのではないか、こういうような国民の議論もありまして、そうお思いになっている方々が少なくないのではないかと思いますが、外務省当局のどなたでも結構ですから、海洋会議の大体の傾向と、それを待ってどのような効果を見るのか、これは踏み切った方がいいのかどうか、こういう判断をお答えいただきたいと思います。
  63. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 後ほど専門家から御答弁申し上げますが、昨日もお答え申し上げたのでございますけれども、国連海洋会議の現在までの草案によりまして、大陸棚の問題と二百海里の経済水域の問題との調整はまだついておらないというのが現実でございます。  いずれにいたしましても、相対する韓国との間には何らかの話し合いが必要であるという事態はなかなか変わりそうもないというのが私の率直な観測でございますが、なお補足をさせていただきます。
  64. 村田良平

    ○村田(良)政府委員 先般、五月二十三日から七月十五日まで再び海洋会議が行われたわけでございます。この日韓大陸棚協定との関連におきましての重要な問題は、大陸棚とそれから経済水域でございますけれども、この双方の制度は、先ほど大臣からの発言にもございましたように、従来から別個のレジームということで扱われておったわけでございます。今度の会議におきましても、その点は何ら変わらなかったわけでございます。  大陸棚の方の議論におきましては、レベニューシェアリングの問題と大陸棚の外縁の決定の問題が主として議論されたわけでございますけれども、そこにおきます議論からうかがわれますところでは、いわゆる自然の延長論という考え方があくまで強いということがはっきりしたということでございまして、レベニューシェアリングの方の問題についてはかなりの進展がございましたけれども、大陸棚の外縁という点に関しましては自然延長論の主張が非常に強かった。したがいまして、最終的に議長が委員長と相談して取りまとめましたいわゆる統合草案なるものがございますけれども、この統合草案にも従来の自然の延長というものを頭に置いた規定ぶりがそのまま続行されておるということでございます。  それから、経済水域の方に関しましては、これは大陸棚とも関係がございますけれども、その境界の画定につきまして、中間線を第一義的に採用すべきであるという主張と、それから衡平の原則を重んずるべきであるという主張が対立いたしまして、種々議論が行われましたが、結論的には、中間線を第一義的に採用すべきであるという主張が通りませんで、先ほど申し上げました統合草案では依然として衡平の原則を第一というふうな結論になっておるわけでございます。  従来何度も繰り返してまいりました議論にかんがみますと、大陸棚という制度と経済水域という制度は両方とも平行したままで、この海洋会議で今後も審議され、また、最終的な決着の形をいまから予断するのはやや早過ぎるかと思いますけれども、いずれにしましても、この両者の関係を完全に調整し切る、あるいはわが国韓国であるとかその他二つの国の特殊な地理的あるいは海底の状況等をすべて勘案して適用されるようなルールというのを、ああいう世界じゅうの国が集まって行う会議で採択することは非常に困難でございまして、いずれにしましても、特定の問題については利害関係国の間で協議するということに落ちつかざるを得ないのではないかというふうに判断されるわけでございます。
  65. 玉置一徳

    玉置委員 関連しまして外務大臣にお伺いしておきたいのですが、日本の円高の問題は輸出超過であって、輸入が、一生懸命に考えても、いろいろな支障があってなかなか入りにくい。ことに資源をほとんど輸入する国でありまして、機械その他のもので、輸入をして入れなければならないようなものが実情としてなかなか見当たらないのが現状じゃないかと思います。  そこで、この円高で非常な迷惑をみんながこうむっておるし、外国からぼろのちょんにやられておる現状でありまして、私も今度春日さんその他の議員さんなんかにお供して回ってまいりまして、結局、思い切って四倍にされた石油が、あそこは人口がわずか三百五、六十万しかありませんから、プラント輸入こそしてくれますけれども、この大きなわれわれの負債をアメリカやヨーロッパ各国に持ち回って、ツケを逆に渡して回っておるようなことで、その国々から袋だたきに遭っていおるというような感じがいたします。そうなれば、いまは開発その他について思い切った援助なり合弁なり、そういうことを要求する国々に日本は出ていくしかドル減らし等の方策もないんじゃないだろうか。しかも、それが長い目で見て、日本の民族の国益に合致する形じゃないかと思うのです。  ことに石油の問題に関しては、かつて田中総理がイギリスを訪問したときに北海油田のお話があったように、どこから出てもいいんだ、世界じゅうの石油が豊富になることが、日本に直接来なくても、それは日本の輸入を確保できるゆえんである。私は、その点に関しては全くそのとおりだと思うのです。だから、サハリンの話も出ておりますが、私は、思い切って投資をし、あるいは合弁に入り、そういう開発を世界人類のためにやることが、ソビエトにもいいだろうし、ひいては日本にも大きくいいんじゃないだろうか、こういう感じがいたしますが、大臣のお考えをこの際関連して承っておきたいと思います。
  66. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 通産大臣がいらっしゃいますし、石油関係通産大臣の方が御専門でございますので、通産大臣の前で御答弁申し上げるのはどうかと思いますが、現在のエネルギーの情勢から見まして、資源そのものがたとえ日本に直接来ない資源でありましても、あるいはノーススロープの油にいたしましても、日本に運んでくることも期待されたのでありますが、これも実現はいま急にはできないようでございます。北海油田にいたしましても、そのためにイギリスの経済が立ち直ろうとしております。イギリスの経済が立ち直ることによりまして、日本といたしましても大変利益するところが多いと思うわけでございます。  そういう意味で、サハリンの油が成功しましたことは大変日本としては結構だと思いますし、また、この韓国との間の共同開発でございますが、共同開発であるから、仮に当たった場合に半分は韓国に持っていかれるではないかというお話があるわけでございますが、日本韓国石油資源のない国でございますから、韓国に行った石油資源は、世界全体の石油資源がそれだけ浮く勘定になるわけでございまして、そういう意味で、広い意味で言えば、やはり全体的な経済としてプラスではないか、かように考えております。
  67. 玉置一徳

    玉置委員 通産大臣、どうも申しわけありませんでした。私は、この間もアフリカ各地の状況を聞きまして、アフリカはどこでもいま資源開発のために日本の援助を非常に期待しておるという御説明を受け、本当に痛切に感銘したのであります。  サハリンの問題も通産大臣の所管で申しわけなかったのですが、あわせまして、いまきょう何を輸入せいといったって、飛行機を輸入するぐらいしかまとまったものはなかなかないんじゃないだろうか。それはそれなりに気張らなければなりませんけれども、長い目で見て、やはりそういう形のものを持っていかなければならないと思いますが、大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  68. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま御質問の経済協力の問題は外務大臣の御所管でございますが、私もさように考えておるのでございます。  御案内のとおりに、オハ油田の脇のサハリンの今後の出油は、パー・デー三百キロリットルぐらいの浅部の第一回の出油でございますが、われわれにとりましては、これは何とも言えない非常に明るい気持ちを持つような次第でございます。のみならず、いわゆる自主開発という意味でただいま開発事業団がやっておりまする全世界にわたっての油の掘削、並びにさらに広い意味の経済協力というものは、この機会にぜひ積極的にいたしたいものだ、かように外務大臣とも始終お話し合いをしながら進めてまいっておるような次第でございます。
  69. 玉置一徳

    玉置委員 最後に、だんだん詰めに入ってまいりますが、先ほどからいろいろな説明を求めましたのも、今度の場合に、いわゆる石油開発公団の大きな出資もしくは融資がない限り絵にかいたモチに終わるおそれがあるんじゃないだろうか、こういうことであります。商工委員会の附帯決議の中ですか、あるいは決議ですか、それに、紛争の地帯ですか、紛争のおそれある地帯ですか、そういうところには石油開発公団の出資は避けるべきであるというような趣旨のことがあるわけですが、事実上ここまで踏み切ってきて、国益という点を考えて、日韓大陸棚協定に基づく共同行為と申しますかを実施していこうというわけでありますが、紛争という言葉をどのようにお考えになるか。  外務大臣の方では、紛争ではない、これは筋としては日韓の問題であって、御理解を深めるために出向いてもいい、こういうことでありますが、果たして石油開発公団の出資等がなくてりっぱに仕事をなし遂げさすだけの自信があるのかどうか、この計画遂行と決議との扱いをどのようにするのか、通産大臣、通産当局、外務大臣の御見解を承りたいと思います。
  70. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 石油開発には多額のしかもリスクの大きい資金が必要であるということは、先ほど来お話が出ておったところでございます。一方、一昨年の三月に、当衆議院の商工委員会におきまして、附帯決議の中の一つの項目といたしまして、石油開発公団の投融資については、紛争のおそれのある地域にはこれを行わないことといったような決議もいただいておるわけでございます。  ただ、紛争のおそれのある地域であるかどうかということの判断はこれまた非常に問題だと思います。現在時点で紛争のある地域であるかどうかという判断もできかねるわけでございますので、私たちといたしましては、この法案が成立いたしまして、いわゆる特定鉱業権者なるものが認可され、具体的な投融資申請に及んできた段階におきまして、外務当局ともお諮りをいたしまして、いわゆる国際的に見て紛争のある地域とはどういう地域であるか、それがこの日韓共同開発地域が該当するのであるかどうかといったようなことを検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  71. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま長官からお答えいたしましたように、その時点におきまして国際情勢、客観情勢がどういうことであるか、これが非常に重大な問題でございますが、その紛争なるもの、国際法上の紛争の定義というものもなかなかむずかしい問題であろうと存じまするが、われわれといたしましては、それを踏まえまして、その時点において慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  72. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 この問題は通産省の所管の法案に関します附帯決議でございますので、田中通産大臣の御意見と全く同じ見解を持っております。  ただ、この問題が日中間ということになれば、とても紛争というような状態ではなくて、日中間は円満な進展を見ておるというふうに私どもは理解をいたしております。また、わが国は、この共同開発区域はわが国が当然管轄権を及ぼすべき、あるいは主権的権利を行使すべき地域であるということで主張をしておりますし、その見解は変えておらないわけでございます。したがいまして、この地域自身はわが国主権の及ぼすべき地域であるという見解は変えるわけにいかないというふうに考えております。
  73. 玉置一徳

    玉置委員 通産当局、通産大臣にお伺いしたいのですが、外務大臣お答えのように、これは日中の関係の場所ではなしに、紛争の起こる場所ではなしに、日本主権に基づいてやっておることである、理解を深めていただくように説明をしなければいかぬ、こういうことであります。だから、お答えの意味もわからぬわけではありませんが、しかしながら、これはかなり重大なんです。  お互いに商工委員会の中の話でありますからあれでございますけれども、石油開発公団の金を融資なり出資なりしなければ円満な遂行がまず不可能であるという見通しがつくこの中で、これをいまの時点では紛争と見られぬのかどうか。そのときになってから考えますというのも、それは意味はわからぬことはないです。けれども、いまの時点のこの問題を中国から物を言われてきたら紛争と見るのか、それとも中国の理解は求められても、北鮮からわあわあ言うてきたらそれを紛争と見るのか、どこからか何かの抗議なりあれがありましたら紛争と見るのか、大臣並びに当局の御説明をいただきます。
  74. 田中龍夫

    田中国務大臣 私は、中華人民共和国の方の御意見なりあるいは朝鮮人民共和国の方の御意向なり、これはわが国の外交の面におきまして申し出がありましたことは事実であると存じますが、それをして紛争という言葉の概念の内包とするということは、これはまだその段階ではないんじゃないか。いかなる国からも外交の交渉というものはいろいろあり得ることだし、意見の提案もあり狩ることであって、紛争という域にまだ達しているものではない、かように考えております。
  75. 玉置一徳

    玉置委員 私は、主権はどこだという根本的な考え方からこういう問題を見ていかないと、何かいちゃもんをつけられたらすべてそれは紛争だというような形では、そもそもこんな大きな問題をいらうべきではないと思うのです。したがって、譲るべきは全部ちぎって、これは私の方の主権だと、わが国益のものを考えて、韓国との若干の紛争があったから――向こうがこちらへ入って鉱業法に基づいて鉱区権を渡したら、これは本当の話、紛争ですよ。しかし、そこに紛争の解決のために共同開発という方式をとったわけでありますから、その他の紛争というものはあり得ない。しかし、それは説明の不足その他がありますから、万々外交的手段をもって理解を深めるようにはしなければいかぬ。  それは外務大臣の方ではなさるようにおっしゃってしおるわけでありますから、通産当局としてももう少ししっかりした物の考え方でやっていただかぬと、その時期になってから判断いたしますなんということを言われて、こっちはまじめに審議しろなんて言われたって審議はしにくい。というのは、ぼくは、そういう話があるのも、ずばっと自分らの信念を吐露したらいいのじゃないだろうかという感じがしてならないのですが、もう一遍ひとつお答えをいただきます。
  76. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまお答えを申し上げましたように、紛争の起こるようなことがないように、外務当局といたしましても、あるいは対中国との問題につきましては線引きの問題も十分に配慮し、あるいはまた、当該ケースは日韓間だけの区域としてこの交渉を進め、同時にまた、わが日本の国策といたしましても、サハリンの例を申し上げましたが、実に、九州の隣接地点に、国際的にもエカフェの信憑性のある調査と申しますか、判断によりまして大きな油田というものが開発できるならば、日本の国家、国民といたしましても、これこそぜひこの問題は解決して、そしてエネルギー問題の大きな一つの曙光にしなければならぬと、かように私は考えておる次第でございます。
  77. 玉置一徳

    玉置委員 そうすれば、外務大臣のお話のように、筋としては紛争ではないのだ、交渉の当事国ではないのだ、しかし理解を深めるのだ、こういう意味でお話しになっております。したがって、現在は紛争と思わぬけれども、相手のあることですからどういうこじれ方をするかもわからぬが、そのときに至って判断をさせてもらいますというようにきょうのやりとりをし続けていけば理解できぬこともありませんので、私はそのように理解をしておきたいと思います。  そこで、外務大臣に最後に伺いますが、私は、きのうの新聞その他が間違っておるという意味ではないとは思いますが、お話の筋はきょう改めてただしたわけであります。しかしながら、日中問題の解決も、これはもう速やかにやらなければいかぬことですし、福田総理周辺も、周辺の中にはあなたも入っておるわけでありますが、恐らくもう近いという一つの環境もありまして、なるべく近い将来に訪中いたしたいと思いますと言う。その際にどちらを主にして物を言いに行くような形をとられるのかはわからぬけれども、このことは私が説明してちゃんと了解を得る自信がありますということにもとれるし、日中問題の形で、こんなことでこういうことということにしてでもいいから、一日も早くお行きなすって、大体の地ならしをしていただくということも非常にありがたいこと、だ。  平和条約の方もこう思いますので、これはまずそういう何らかの関連の時期になるべく早く訪中いたします、理解をいただくように説明を十分いたしますと――十分いたしますということは、大体やってみせますというのと似ていると思うのです。それと日中問題は、この場で変ではありますが、若干こちらにも関連しますので、いい影響が、好ましい影響がくると思います。一日も早くあなたが訪中されて、そして最後の地ならしのまとめをされることが非常にありがたいと思いますが、御所見を承って終わりたいと思います。
  78. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 日中間の関係は大変円満な進展を見ておりますけれども、やはり大きな懸案として平和友好条約の締結の問題が残っておるということで、この問題につきましては、福田総理がたびたび申されましたように、真剣に取り組んでおられますし、何とか双方が満足し得る形で締結をいたしたい。なるべく早く速やかに締結をいたしたいという気持ちは、私どもも福田総理も全く同じ考え方であると申し上げてよろしいと思います。  ただし、その時期につきましては、まだ若干の問題と申しますか、それが残っておりますので、この問題につきましてなお努力を要するわけでございます。この最大の懸案が残っておりますので、この大陸棚の問題につきましても、中国側のはっきりした理解を何とか取りつけるように最大限の努力をいたしたいと思っておるわけでございまして、その時期等につきまして、これは十分総理と御相談の上行いたいと、かように考えております。その点につきましては、御趣旨を体しまして円満な開発ができますように最大限の努力をいたしたいと考えております。
  79. 野呂恭一

    野呂委員長 工藤晃君。
  80. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 私は、日本共産党・革新共同を代表しまして、ただいまから法案並びに関連する協定について具体的に質問をしたいと思います。  さて、最初の問題は、一九七二年九月ごろ共同開発両国政府の間で取り決められてから、七三年六月ごろに協定の細部を含めてまとまるまで、日韓の間で実務者会議、ワーキングレベルミーティングと言われるものが何度も持たれました。韓国の議事録によりますと九回持たれたといいますが、そのワーキングレベルミーティングでどういう点が問題となり、どういう経過でそれがまとまっていったのか、それをなるべく簡略に、同時に具体的にわかるように話していただきたいわけであります。
  81. 中江要介

    ○中江政府委員 いま先生のおっしゃいましたワーキングレベル会議というのは、例の法律的な争いをいたしましたときの実務者会談のことだといたしますと、その何回という回数の数え方は、私どもがソウルに出向きましたのは三回ありました。  三回行って、そのおのおののときに何日やったかということは省略いたしますけれども、四十五年の十一月四日と五日に第一回、四十六年の九月二十八日から三十日まで三日間、これが第二……
  82. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 七二年以降のことです。九月以後のことです。
  83. 中江要介

    ○中江政府委員 七二年九月でございますか。
  84. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 九月ごろ共同開発が決まったわけでしょう。それ以後この中身をつくっていくためにですが……。
  85. 中江要介

    ○中江政府委員 わかりました。それ以降は、私どもの記録によりますと十回やっております。  これはどういうふうになっていったかといいますのは、この共同開発という発想が史上例のない発想なものですから、お互いの主権はどこまで行使できるか、つまり、共通の目標は決まっている、この資源開発する、開発するに当たって、主権が重複しておるので、それをどういうふうに両方が衝突することなく開発を進めるように主権が行使できるかというのがポイントであると、これは容易に想像されるわけですが、そのときに、ここでは操業管理者、つまり両方から開発権者を出しまして、一つの井戸なら井戸を掘る、一つの小鉱区開発するなら開発するというときに、どちらかの操業管理者を指定いたしまして、指定された者はその国の法令に従ってやっていく、しかし、共同開発のための事業契約は、これは両方の政府が認可の段階から実施の段階に至るまで十分に監視していく、そういうことによって、ある面ではどちらかの主権が行使されながら、しかし、全体として双方の共同の管理のもとに置いていく、こういうことで積み上げていったわけでございまして、具体的にと言われますと、結局まとまったものはこの協定案文でございますけれども、実は、会談の多くのところは、そういう大筋のもとで、それぞれの税金の関係、輸出入の関係、環境保全の問題といったような問題について日韓間でどういうふうに運営していくかということに多くの時間が注がれた、こういうふうに聞いております。
  86. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) そんなあいまいな回答ではだめですよ。  では、私がこれから具体的なポイントを聞きますから、それがあったかどうかはっきり確認してください。  一つは、単一の共同開発地域で単一の合弁会社をつくるという方式が、これは韓国政府の側から主張され、日本の方では、日本側鉱区出願を受理されたものとそれから韓国側の租鉱権者、その重複区ごとに現行の当事者のすべてが共同開発契約の当事者となる、どっちにするかということが問題点になって、結論として後者の方になった、こういうふうに私の調査ではなっておりますが、どうですか。――早く答弁してください。時間が限られているのですから。あったことなんだから、そんなことは答えられるはずですよ。
  87. 中江要介

    ○中江政府委員 私は、その十回の会議の議事録をちょっといま手元に持ってきておりません。それで、いまの御質問に的確に間違いなく答えるために、いま議事録を取り寄せますので、御猶予をいただきたいと思います。
  88. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) では、その質問はちょっと保留して、ついでに聞きますが、もう一つのポイントとして、それぞれの出願人ないしは鉱業権を持っている日本韓国両方で、法人税や鉱産税、ロイアルティーが非常に大きな違いがあって、日本の方から言えば鉱産税というのは一・二%、韓国から言えばロイアルティーが一二・五%、それは今度の国内法ではさらに日本の場合は六分の一まで引き下げて大変なことなのですが、こういう利権契約を均等化しようという韓国側の意見と、それはだめだ、やはりこれまでどおり、これ以上、たとえば日本でもうすでに出願しているものが韓国側と均等化されたら高くなるからごめんだという、こういうことが対立して、そして重い方に近づける案は拒否された、こういう経過がありますが、その点についてもお答えください。
  89. 中江要介

    ○中江政府委員 いま先生のおっしゃいましたような議論があったことは事実でございます。
  90. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) もう一つのポイントとして、掘削義務について、最初韓国側の方から三年、三年、二年で各ブロックごとに二本、二本、三本でやろうということが出され、それがその後の経過として大変軽くなった。この点はどうですか。
  91. 中江要介

    ○中江政府委員 その部分も、議事録に当たりまして御返事いたします。
  92. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 二つの点は議事録に当たって答弁されるということになりましたが、しかし、いまの二つ目の点でも、韓国の北東アジア課から出しているこの中でもどういう点が問題になったかというのは韓国の議会に報告していることを、こちらの議会には議事録を見なければ報告できないというのはまことに情けないことだと思うのですね。ですから、その点について改めて確実な返答を求めたいと思いますが、これはこういう問願があります。  単一の開発区域にする。そして単一の合弁企業にする。なぜこれは韓国政府が主張したか。これは非常にはっきりしているのです。韓国側のコアムがあの共同開発区域で一番広大な面積を持っている。それで、もしこれが合弁になると、やはり面積ごとに一番大きな取り分とか、そういうことになってしまう。ところが、テキサコ、シェブロンとかシェル、西日本石油開発などは、面積の上からはそう広くないけれども有望なところを押さえているつもりだから、こんなもので込みにされては困るということは容易に想像がつく。  こういう背景があってこういう問題が出てきたわけでありますが、そのことと関連して、このワーキングレベルミーティングの行われたのは十回ということですが、ちょうどそれに前後して、日本側関係企業、西日本帝石日石開発が通産省や外務省に対してどういう要望書を出したのか。あるいはまた韓国政府に出したものがあったら、その写し、あるいはまたこれと関連する外資――外資と言えばシェルとかテキサコとかシェブロンとか、そういうところでありますが、そういうものがどういう要望書を両国政府に出したのか。これはここの法案の審議にもかかわる重要な資料となりますので、ここの委員会に提出していただきたい。このことを要求するものであります。
  93. 中江要介

    ○中江政府委員 私の記憶では、そういう要望書が外務省にあるいは外務大臣あてに出されたかどうかということは定かでございませんので、調べてみますが、いずれにいたしましても、この十回に及びますワーキングレベルの会合そのものは、これはもう先生も容易に御想像いただけますように、協定のドラプディングの会議であったわけでございますので、その中で企業からの意見なり要望なりが背景として考慮に入れられるということは全くなかったということでございます。
  94. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 通産省の方、どうですか。
  95. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 当時、大陸棚石油開発に関する業界団体といたしましては、大陸棚石油天然ガス資源開発懇談会というものがあったわけでございますが、団体と申しますから、この懇談会から何らかの形で要望書が提出されたということは承知いたしておらないわけでございますが、ただいま御指摘になりましたように、関係三社からそういった要望が出ておるかどうか、さらに調査いたしてみたいと思います。
  96. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) それはもう必ず出されておりますから、通産省、外務省はよく調査して、返事並びにここの委員会への提出を求めます。  さてそこで、限られた時間を有効に使ってこの法案を明らかにするために、日石開発とテキサコ、シェブロンとの間の共同事業契約そのものをここに提出していただきたいわけであります。それを要求します。
  97. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 日本石油開発がテキサコあるいはシェブロンとの間に、土佐沖あるいは西九州地域について共同事業契約を結んでおるということは承知いたしておりますが、これは私契約でございますので、われわれとしてこれを提出するということは、申しわけないわけでございますが、立場上できないということでございます。
  98. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) ここは国会で、この法案を審議しているときに、この法案の評価にかかわるような資料は一切出すべきだと思います。もし出さないと言うならば、これは私の方の手元に入っておりますので、私の方からこの問題について質問したいと思いますが、その前に、これは写しでありますから、これがそのものであるかどうかの御確認はいまこの場ではむずかしいかもしれませんが、ぜひそちらの方で調べて、この私の質問中に御回答願いたいわけであります。これはこの法案の評価にかかわる重要な資料なんですよ。日本石油開発というのが一体どういう会社なのかという、それによってこの法案に対する評価を全く変えなければいけないような、そういうものなんです。ここにありますから委員部の方、どうぞ届けていただきたいのです。お断りしておきますが、これは全文の完全なコピーではありません。私の本日の質問にかかわるところでありますが、かなり大きな部分がこれは出されているわけであります。  それで、日本石油開発というのが一体どういう会社か、これは今度予定では開発権者になっていくようなんでありますが、この契約書によりますと、日本石油開発とテキサコ、シェブロンとの両方の役割りの違いということになりますが、日本石油開発というのは対政府係ということになるわけですね。このコンセッションに対する定義もあるのですが、これは鉱業権や利権や許可とか賃借権、特許、特権、契約その他の権利、そういうコンセッションを取得したり、効力を維持したり、更新したり延長したり、処分のときあらゆる適切な処置をとるというのは日石開発の方の独自な役割りなんです。それは先ほど当委員会においても言われたが、鉱業法のたてまえから言うと外国人は直接とれないということからこうなっている。  では、テキサコ、シェブロンの方はどうか。これは独自の仕事と独自の費用でやるというところで言えば、言ってみればその技術力を生かして探査を行う、物探と掘削を行う、そして商業的発見が行われるまで事業を行う、そして今度は共同開発事業と、こう移っていくわけであります。こういう二つの役割りの分業の問題。  それから、二つ目の点の特徴として、テキサコ、シェブロンに対してきわめて有利な条件がある。私もいろいろ調べました。メジャーが共同開発事業契約を結ぶとき、メジャー側が大抵最初の物探、物理探鉱をするのですね。それから三本ぐらい井戸を掘る。これはカバーして、それから後はフィフティー・フィフティーでいくという例が多いわけであります。この日石開発とテキサコ、シェプロンの場合には、たとえば参加割合は、日石開発五〇%、テキサコ二五%、シェブロン二五%ということでありますが、テキサコ、シェブロンは一千万ドルの支出を限界にする、最初の物探とか掘削が一千万ドルを限界とする、あるいはまた二千三百マイルの物探を行った以後はいつでも脱退できる、そして、成功した暁には初期の支出も取り戻せる、そういう内容になっているわけであります。  三つ目の大きな特徴としましては、日石開発に対して、テキサコ、シェブロンというのは完全な支配がここには及ぶわけであります。表向きは日本の法人である。そしてまたフィフティー・フィフティーということになってあるけれども、これが実質的支配を及ぼすようになっている。オペレーターは日石開発がやるということになっておりますが、あらゆる共同事業作業は運営委員会が承認する方針、計画、予算に基づかなければならない。これは第三条のところで決まっているわけであります。  そのほか大変詳しい義務を負うことになっております。この義務は、作業上のことから予算の使用上のことからいろいろに及ぶものでありますが、それは一応省くことにしておきます。  しかも、もう一つ重要なことは、この運営委員会というのは、日石開発が二人、テキサコ、シェブロンそれぞれが一で、それでこれは完全な全員の同意によってのみ行われるということになっているわけであります。全員一致制をとっているわけであります。そういうことから言えば、当然技術力や資本力を持っているメジャーの方が強いということは明らかでありますが、ただ、そういうことでなしに、もっと具体的に、最後の付属書4という中に技術調整グループというものをつくる。これは全くテキサコ、シェブロンの方からエキスパートが集まって、同数ずつ集まってつくるものでありますが、これが「日石開発との間の作業調整機関としての任に当るものとする。」ということになっております。しかも、どういう調整かというと、たとえば予算、作業計画はオペレーターにかわって作成するということになっているんです。それからオペレーターにかわり技術作業実施要領及び手続を決定する、そうして作業地域における技術作業を監督する、オペレーターにかわり生産及び引き取りに関する予測を行い、技術的研究を立案する、こういうことになっているんです。オペレーターは日石開発であっても、その上に運営委員会があって、それだけでなしに、技術調整グループが一番主要な作業はみんなかわってやるということがこの中で取り決められているわけであります。  しかも、さっき最初に言いましたように、日石開発がもっぱら対政府係で、それこそ書類をとったり許可をとったりという係でしかないことは、日石開発が、オペレーターでなくなった場合でも、当事者の指示に従って、そしてコンセッションの維持だとか更新だとか処分だとか、そのためあらゆる処置をとらなければならない、こういうことも書いているわけであります。そして、そのことに対して日石開発は、これに同意するということがあります。  このほか、情報公開は一〇〇%の株を持っている範囲内でやらなければいかぬというふうに限っているという問題だとか、あるいはまた、さっき言いましたように、テキサコ、シェブロンの方は二千三百マイルの物探をやった後は本契約から脱退できるということになっておりますが、日石開発の方は、「権利の保全」というところで、日石開発の方がこの鉱区をもう放棄したい、売却したいとかいうことになっても、それがテキサコ、シェブロンの利益に合わないときはそれをやってはならないということまで書いてあるのであります。  こういうふうに見てみると、日石開発という会社はなるほど日本の資本かもしれないし、それで共同開発事業契約を結んでいるのかもしれないが、しかし、もう実質的には全くテキサコ、シェブロンの子会社といいますか、その監督下にがんじがらめになっている会社なのであります。  そして、こういうことになってくると、鉱業権の問題もずいぶん問題になってくるんですね。日本の会社あるいは日本の個人でしか鉱業権は得られないというけれども、実質的に、ただこういう生産物の五〇%が向こうの手に渡るというのではなしに、もう事実上日石開発はもっぱらその書面づくりだけであって、それはメジャーの方がやれないからであって、しかもその処分や何かをいつやるかということまであちらが支配しているということになれば、これは鉱業権の問題にさえなるのであります。そういう重大な内容を含んでいるものでありますので、私は、まずもう一度、これはいまこの場で本物に等しいということを確認してほしいし、もしできないというなら、どこかへ行ってその資料と直接比較して後の質問で確認していただきたい。このことをまず要求するものであります。
  99. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいまの資料につきまして現在確認中でございます。できるだけ早く確認の結果を御報告申し上げたいと思います。
  100. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) その確認を急いでいただくと同時に、このようにこの法案そのものの評価にかかわる重要な資料でありますから、私は再度この委員会に提出することを求めるものであります。
  101. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 会社側が出すということであれば別でございますが、われわれがそれを入手いたしまして出すということは、やはり個々の企業の秘密の問題にかかわりますので、そういうことは御希望に沿い得ないわけでございます。  それから、ただいまの点につきましていろいろと御指摘がございましたが、これは文書の確認の後申し上げるべきことだと思いますが、いまの問題はやはり日本周辺大陸棚における共同事業契約ではなかろうかと思うわけでございまして、御承知のように、資金技術の面で共同事業契約を結ぶというのは、先ほど来の御審議の過程でも出てきておる問題でございまして、世界的に一般的に行われている問題でございます。  それから、鉱業法と申しますか、鉱業権との関係については、その文書についてさらにチェックしてみたいと思いますが、問題は私企業の私契約でございますので、お互いのバランスと申しますか、そういった中でそういう契約というものが結ばれておるわけで、私たちとしては、最も関心を持ちますのは、幸い周辺大陸棚で探鉱が成功いたしまして開発をされた暁に、その油なり天然ガスなりが安定的に日本に供給されるかどうかというところに一番の強い関心を持っておるわけでございまして、この点についてさらにチェックをいたしてみたい、かように考えるわけでございます。
  102. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) この日石開発とテキサコ、シェブロンの共同事業契約の内容がこのようなものであるということになって、そして今度は日韓の共同開発方式をとる。そして、たとえば第五小区域あるいは第七小区域で日石開発日本側の当事者となって、そして韓国側共同開発事業をやる。従来、この場合は韓国側はアメリカ資本であります。それで、日本側西日本石油開発あるいはシェルが半分持っている。日石の方はそうでない。それにしても、五〇%、五〇%の事業契約を結んでいるから、その点で蓄えは、日本側の発言権というのは全体の事業の中では全く四分の一に低下されてしまう。こういうことが言われたのでありますが、しかし、この内容によっては、四分の一どころか十分の一にもならないのじゃないか、こういうことなんですよ。しかも、九つばかり小さな小区域がありますが、実際に動き出すのはもう決まっているでしょう。第五小鉱区ぐらいだとか、あるいはシェルの関係か、七つ目が動くか、本当に限られたところが動くわけでありますが、実際に動くところではまさに十分の一になるかならぬかというような、そんな発言権にしかならないということをこの事業契約は示すわけなんです。それほど重大なものでありますので、先ほどの、ただ石油が入ってくるかこないか、それだけ心配だなんというのはとんでもないことだと思うのですね。  そういうことで、私は、委員長に、理事会で取り計らっていただいて、ぜひこの資料を当委員会に出すことをよろしくやっていただきたいということをお願いしたいわけであります。
  103. 野呂恭一

    野呂委員長 工藤委員の資料提出要求につきましては、後刻理事会で協議の上、善処いたしたいと思います。
  104. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) それで、私は具体的な法案の内容に入っていくこととしまして、特に、第三十四条の「掘さく義務」について伺いたいわけであります。  「坑井掘さく義務」については、先ほども資源エネルギー庁長官の方から、これは鉱業法にない新しいものであると言われたが、これは韓国側の海底資源何とか法というのにあるということから入ったのだろうと思うのですが、この点について、三十四条を読んでまいりますと、「坑井掘さく義務」、「探査権者は、その共同開発鉱区において、次に掲げる期間ごとに、通商産業大臣が指定する数の坑井を掘さくしなければならない。」となっていて、三年、三年、二年となる。そして、これは通産大臣がこう指定するというのですから、これは政令で指定するということになるわけですか。
  105. 古田徳昌

    ○古田政府委員 通産大臣の告示の形で指定することになります。
  106. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) では、その通産大臣が告示の形で指定するときに、その後に、共同開発鉱区の面積や上部水域の水深その他を考えて、「その数は、二を超えてはならない。」ということが書いてありますし、その後に、「当該共同開発鉱区に係る大韓民国開発権者が当該共同開発鉱区において掘さくした坑井は、第一項の規定の適用については、当該探査権者が掘さくしたものとみなす。」とあるが、この第三項について質問したいわけであります。  これは実体があるからこういうものが入ったのだと思いますが、いつだれがどこで掘削したのですか。何本掘ったのか。こう国内法にある以上、あるはずです。それを答えてください。
  107. 古田徳昌

    ○古田政府委員 これはいままで掘ったものについてということじゃございませんでして、この第三項は、韓国側企業がオペレーターとして共同開発鉱区において坑井を掘削した場合や、韓国側企業が単独危険負担操業を行い坑井を掘削した場合について、韓国側企業が掘削した坑井については日本側開発権者が掘削したものとみなすということを定めているものでございます。
  108. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) そうすると、では、これまで韓国側鉱業権に基づいて掘削が行われ、そしてその企業がオペレーターになったとき、それは新たには含めない、そういう意味ですか。
  109. 古田徳昌

    ○古田政府委員 当該地域におきましては、従来掘削した事例はございません。
  110. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) それは日本側出願者ということで言っているのじゃなしに、韓国側鉱業権を得て、そして試掘は全然やられていないということですか。  というのは、八十国会でありますが、四月二十三日に外務委員会で、参考人としておいでになられました橋本亘東京教育大学名誉教授がここの地質の概略を述べられまして、そして大変厚い堆積物があって、南側は閉じずに続いているけれども、北の方へ閉じていく、北の延長先のところで井戸を掘った、ドラムかんで二百本ぐらいりっぱな油徴があったというようなことを言っているのですが、これは井戸を掘らなくてこんなものがあるのですか。これは外務委員会の参考人として、また、海底油田の方では専門の方が答えられているのですよ。
  111. 中江要介

    ○中江政府委員 いま先生が言われますように、この協定共同開発区域におきまして韓国がもし試掘などをやっていたということがありますれば、これは日本主権に対する侵害ということでありまして、そういうことの前段階回である探査行為を韓国がすること自身も相ならない、そういうことを一切手をつけるな、いま協定を締結して、この主権の争いをどう解決するかということをやるんだということで、この協定の交渉を始めて協定がまとまったわけでございますので、その協定の交渉の始まる前に、あるいは交渉中に、いわんやその後で、韓国がその共同開発区域に井戸を掘っているというようなことは絶対にあり得ないし、許せないことだ、こういう姿勢で臨んでおるわけでございます。
  112. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) これは事実関係であります。私はあったと調査の結果は出しておりますが、これは橋本亘参考人もこのようなことを言われているし、私も地質を専門にやっておりましたから、根拠なしにこういう話が国会の場で出てくるわけがないわけでありますし、日本側でそれを許可してないとすれば、韓国側のいわゆる鉱業権でやっていたとしか考えられないわけでありますが……。
  113. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ただいま先生指摘の、先般参考人の方が御説明された掘削井につきましては、これは西日本石油開発が、日韓共同開発区域の近く、福江沖でございますが、ここにおきましては二本の試掘を四十七年、四十八年に行っております。この結果ある程度期待の持てる徴候が見られたということでございまして、その事例を指摘したものではないかと私どもは考えております。
  114. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) この問題はもう少しはっきりさせなければいけない点が大いにあるわけでありますが、もう一つだけ細かいことをお聞きします。  二本を超えてはならないとか、いろいろ本数があるのですが、これは完全な完成という意味ですか。それとも、完成前でもいい、ともかく試掘を始めたらいいということですか。これは問題になっている点なんです。
  115. 古田徳昌

    ○古田政府委員 これは、掘削の完成ということで考えております。
  116. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) いままでの私の質問で、それぞれの小さいブロックごとに通産大臣の方が告示すると言われたんですか、それで、何本ずつ掘れという義務を課すということでありますが、しかし、非常に理解しがたいことは、大陸棚協定に付随する文書として掘さく義務に関する交換公文というものがありますが、その掘さく義務に関する交換公文によりますと、どの小鉱区ではどれだけの義務が課せられるかということがもうすでにここで取り決められて、しかも、この交換公文の終わりには、「この取極は、協定の効力発生の日から適用される。」ということになっております。  それによりますと、「第一小区域及び第九小区域は、単一の小区域を構成するものとみなす。」となっており、それからあと、それのほかに、三年、三年、二年に義務を負うというのは、第五と第七にすぎない。そして第八について言うならば、初めの三年間は免除される。そうして二、三、四、六について言えば、この義務は完全に免除される。しかも、さっきは、二つを超えないということになっておりますが、この交換公文では「一の坑井を掘さくする。」ということになっているわけであります。おかしいじゃないですか。  これからここで審議して国内法をつくり、もし成立したら、その法律に基づいて通産大臣が、さっき言った条項に基づいて、おまえさんのところは二本だとかあるいは二本以下だとかいろいろ決めることが、どうしてこの交換公文の中で取り決められているのですか。この不思議なことについて、これは外務大臣、ちょっと答えてください。
  117. 中江要介

    ○中江政府委員 いま御指摘の掘さく義務に関する交換公文といいますのは、協定がまとまりまして、その協定の中で定められていること及び協定によって授権されていることに基づいて、両国政府がどういうふうに行動するかということで議論がありました中の、この協定が発効いたしました時点からこういうふうにしてやっていこうじゃないかとあらかじめ話のついたものを念のために交換公文にしてある、こういうことでございます。
  118. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) ここでいま国内法を審議して、仮にこれが成立したときに、通産大臣が、こういう法律の条項に基づいて、行政権として告示して初めて決まることが、どうして外務省の駐韓後宮大使がこれを決める権限があるのですか。政令みたいなものが交換公文で先に決まっているじゃないですか。しかも、全然違うじゃないですか。片一方は二つを超えない、片っ方は一つとする、しかも、九つのうちの四つも五つも義務は最初から免れている。いつから後宮駐韓大使は通産大臣より偉くなったのですか。そう言いたくなりますね。これはおかしいじゃないですか。  こういうことだから、この交換公文を取り消す必要があると私は思うのですよ。そうでないと、この法律の精神と合わないですよ。おかしいじゃないですか。法律というのはやはり国の主権が貫かれなければいけないと私は思うのですよ。最初から後宮大使がどこかへ行って、交換公文をやって本数まで決めている。どういうわけですか。  私は、外務大臣に、こんな交換公文を取り消すことを要求します。外務大臣、答えてくださいよ。この問題は大事なことですからね。
  119. 中江要介

    ○中江政府委員 後宮大使と先方の外務部長官といいますのは、これは大使と外務大臣というのは、政府政府の間で取り決めをいたしますときの当然のといいますか、一つのスタイルとして登場しておるわけでございまして、大使が通産大臣の権限をどうしているかという問題ではなくて、大使は国の名において、日本国政府の名においてやっている。その内容はしたがって日本政府の意思でございますので、外務省とか通産省とかいうのではなくて、日本国政府の意思といたしまして、協定が発効したときに、その協定で授権されており、あるいはその協定に基づく国内法によって授権されるであろうことについて、あらかじめ両政府の間で意思がはっきりしておるものを文書にしたためておこうということで、つまり実施に関する交換公文の一つ、ということでございますので、こういうことは何ら新しいことではない。また、協定に違反しているものでもないし、協定の範囲内でできることについて、行政府の間であらかじめ――国内法は協定実施のための国内法でございますので、国内法も協定の範囲を逸脱することはできない。したがいまして、協定、国内法のもとで行政府としてなすべきことについて、あらかじめ合意ができているものならばそれを文書にしたためる、こういう趣旨でございます。
  120. 野呂恭一

    野呂委員長 午後三時三十分から委員会を再開することとし、工藤君の質疑は再開後続けることにいたします。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後三時四十四分開議
  121. 野呂恭一

    野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。工藤晃君
  122. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 私は、先ほどの質問でも申しましたが、掘削義務について、第三十四条においては、通産大臣が、最初の三年、次の三年、その次の二年とそれぞれの年において、また、各ブロックごとに幾つかの点を考慮しながら、二つを超えないという掘削の義務を課するというふうになっていながら、日韓の交換公文においてはそれとは内容が異なるし、また、すでにもう具体的に、どこの小ブロックにおいては義務が免除されているとか、どこは最初の三年は免除されているとか、そういう国内法がこれから決まって、それに基づいて通産大臣がその行政権として指定するものまでこの交換公文で取り決めてしまっているが、このことについて一体どう考えるのか、国内法というのは、これに基づいて主権が行使され、行政権が行使される、そういうものが交換公文によって、後宮駐韓大使のサインによって決められてしまっている、いつから後宮大使は通産大臣よりも偉くなったんだということまで感じると申しましたが、この点について外務大臣のしっかりとした答弁を聞きたいと思います。  なお、私が午前中申しましたように、したがって、このような交換公文は取り消すべきであるということまで申しました。  以上を含めて答弁を願うものであります。
  123. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 この大陸棚開発につきましては、日本韓国との間の国際協定に基づいて開発をするというたてまえで進めてまいったものでございまして、交換公文はこの協定の中の参考資料といたしまして御提出をしたものでありますが、これは両国間におきます約束事項であるというふうに御理解を賜るべきものであろうと思います。したがいまして、協定ができまして、しかる後にこの協定を国内的に円滑に実施するために国内法をおつくりいただくというふうに御理解を賜りたいのでございまして、これは当然のことながら、外務省だけで決めたものでは毛頭ございません。政府全体として、関係各省協議の上実施をしたものでございます。
  124. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) いまの答弁ですと、この交換公文は政府の約束である。この実施については両国政府が約束した。その意味では、国会でこの部分での承認は得なかったかもしれないけれども、条約と同じ意味を持っているということになりますね。しかも、この交換公文には、「この取極は、協定の効力発生の日から適用される。」というふうになっているわけであります。  しかし、いま問題としているこの国内法においては、これから仮にこれが制定された場合、この国内法に基づいて通産大臣が告示という形式をとりながらも決める。これから決めるということでは白紙になっている。しかも、井戸の数は二を超えないということになっていて、二つの井戸の掘削もある三年には義務づける。  そういう含みになっているにもかかわらず、交換公文では一である。しかも、もう一度言いますと、この交換公文で掘削義務を一番まともに負うとすれば五と七ですね。一と九とは、北と南に離れているにもかかわらず、これを単一の区域とみなして、そこで一本の義務で、そしてまた第八について言いますと、初めの三年間は負わない。こういうことまでが交換公文にあって、しかも、これは政府の約束として決めてしまっているということですね。  そうしたら、ここでこういう法律を審議していて、そしてこれからこういう基準で二つまでは義務ができるという内容に法案の上ではなっているにもかかわらず、これではもう通産大臣の告示が先取りされたも同様じゃないですか。これはやはり越権行為といいますか、ここはおかしな話ですよ。国内法が決め、通産大臣の行政権として決めることが、政府はもう約束してしまっている。これは一体どういうことですか。これはもう明らかにおかしいじゃないですか。外務大臣お答え願います。――いや、外務大臣にお願いします。
  125. 中江要介

    ○中江政府委員 協定と交換公文と国内法と、それからそれに基づく告示という四つの種類の違う文書なり措置についての御質問でございますので、その関係を整理して一度申し上げておくことが必要かと思って申し上げるわけです。  まず、協定は、第十一条でございまして、第十一条に、「両締約国の開発権者は、両締約国の間で行われる別個の取極に従い、探査権の存続期間中に一定の数の坑井を掘さくすることを要する。」ということで、まず、一定の数は別個の取り決めに従うということになっております。  それで、この掘さく義務に関する交換公文というのは、冒頭のところをお読みいただくとおわかりになりますように、「本長官は、本日署名された大韓民国日本国との間の両国に隣接する大陸棚南部共同開発に関する協定(以下「協定」という。)第十一条に言及するとともに、」――この「第十一条」というのは私がいまお読みいたしました条項ですが、「第十一条に言及するとともに、大韓民国政府に代わって、開発権者が探査権の存続期間中に履行すべき掘さく義務に関する次の取極を確認する光栄を有します。」ということですので、この掘さく義務に関する交換公文は、第十一条に言う取り決めである……(工藤(晃)委員「それは読まなくていいです。わかっていますから」と呼ぶ)これをまずひとつ御認識いただきたいと思うわけです。  したがって、この第十一条の「別個の取極」といいますのは、当初幾つにするか、あるいはその後開発が進むにつれてその井戸の数を幾つにふやすか、あるいはその状況に応じて減らすかというようなことはあり得るわけでございまして、この交換公文がこの協定の効力発生の日から適用されるけれども、協定の不可分の一部であって、永久にこの数で固定するというものではなくて、第十一条で委任されたそのとき、そのときの取り決めの中の最初の取り決めというものについては、これはこの協定を交渉いたしましたときに、すでに日本韓国も単独開発のつもりで準備をしておったわけですから、それを突き合わせて一つの取り決めをつくってやる。これが交換公文の趣旨でありますし、協定との関係はそういうふうに関係づけられます。  他方、国内法は、ここに書いてございますように、協定実施のための国内法でございますから、協定の第十一条を受けまして、第十一条を実施するに当たっては国内法では第三十四条による。そして、この第三十四条では、協定で与えられている幅をはっきりと国内法の上にも移しかえまして、通産大臣の告示によって数を決めるという幅があるわけです。したがいまして、このことは将来両国間の取り決めの変化に応じて通産大臣が告示をされるわけですが、その取り決めの変化に応じてと言いました取り決めがすなわち十一条の取り決めですし、その取り決めの第一号が交換公文である。こういうふうに御認識いただきますと、どこにも問題がないというふうに御理解いただけるかと思います。     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
  126. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) どこにも問題がないどころか、大ありなんですね。  では、これは通産大臣に伺いますが、今度仮にこれが通ってしまって、それから開発権者が決まって、そういう暁に通産大臣がこういうことを認可する、あるいは告示するというときには、やはりこの外交の方での交換公文にとらわれる、これが基準になってしまうということになりますね。そうすると、まさにそういうことまで、この国内法に基づいて行政権を行使するということまでがもうそこで拘束されているということになりますが、そういうものかどうか、簡単に答えていただきたいのです。
  127. 古田徳昌

    ○古田政府委員 特別措置法案の第三十四条で、通産大臣坑井掘削義務につきまして告示をするわけでございますが、それは二の範囲内で行政裁量を行うということでございます。  なお、その場合に、この法律はあくまで協定実施に伴う特別措置法案ということでございますから、その告示によります坑井掘削義務の数につきましては、別途協定の十一条に基づきまして取り決められます交換公文の内容を守っていくという形になると思います。
  128. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 全く形式的にはこの第三十四条の2に基づいて告示すると言うけれども、しかし、実際はもうこの交換公文によって決められてしまっている。国内法に移したと言うけれども、国内法はもう全く形骸である、通産大臣の告示というのは全く儀式みたいなものであるということが明らかになったと私は思うのです。  それで、これに引き続いてもう一つの点へ移っていきたいと思うわけでありますが、それは、交換公文の中で、「第一小区域及び第九小区域は単一の小区域を構成するものとみなす。」ということが出されてあります。これはこれから国内法に基づいてだれが開発権者になるかということにもかかわってくるわけでありますが、この一と九を単一とみなすということが交換公文によって決められて、しかも、これはそれこそ協定の効力発生の日から適用されるということになっている。一と九が一緒になっているというのは、これは明らかに、私が詳しく述べるまでもなく、韓国側でこれまで租鉱権を得ている者が一も九もコアムである。それから、日本側出願人は西日本である。幾つかの順列組み合わせがあるのですが、一と九だけが全く同じですね。あとは西日本とシェルとか、西日本とテキサコ、日石開発とシェル、日石開発とテキサコ、日石開発とガルフとか、いろいろな順列組み合わせがあるけれども、一と九だけは同じであるということがもとになっている。  というのは、一と九という地理的には一番離れたところを全く単一とみなすということで、もうすでに韓国側でいわゆる租鉱権者となった者、それから日本出願人となっている者が、この国内法でこれから決めますなんという体裁をとっていながらも、事実上もうすでにこれは必ず開発権者となる。十中八、九というよりも、十中十なるものだということが前提になってこの交換公文ができているわけですね。その辺ちょっと確認したいのです。
  129. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 坑井を幾つ掘るかということにつきましては、その鉱区の広さだとかあるいは水深などを考慮して決めるわけでございますが、ただいまの第一と第九小区域につきましては、まさに先生指摘のとおり、西日本とコアムの両方がそれぞれ競合権者になっておるわけでございますが、これはもともと競合することから共同開発方式をとることになったという経緯からいたしまして、まず、当初においてその競合権者が一と九の方で重複しているということで単一の鉱区とみなした、こういうことでございます。  したがいまして、この法律に基づきまして、いわゆる能力主義等を導入いたしまして審査をいたしまして、仮に西日本石油開発が本法に基づく特定鉱業権者となり得ない場合におきましては、改めて韓国と協議いたしまして、協議の結果に基づいて、通産大臣が三十四条の規定に基づいて告示するということでございます。あくまで、経緯からいたしまして当初の坑井の掘削数であり、かつは一と九の小鉱区を単一の鉱区とみなした、こういうことでございます。
  130. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) いまの説明でも、これからの国内法が仮に制定された場合開発権者はだれになるかというと、西日本が一と九になり得ない場合もある。これは当然だと思うのですよ。もし本当にそういう国内法としての精神というものを考えるならば、ですね。ところが、なり得ない場合があるのになぜもう決めてしまったのかという問題はどうしても残りますね。なり得ない場合、これはこれから国会で審議して、これは立法府ですから国会で、審議して、仮に制定されたり何かして、それで初めて決まる。それはならないかもしらぬ、そういうことが十分考えられる、というよりも当然それを考えなければいけないにもかかわらず、もうそれが交換公文の中では、必ず一と九は西日本だ、どこはどうだというふうに決まってしまっている。これは一体どういうことだという点でありますが、この点についてはどうですか。
  131. 中江要介

    ○中江政府委員 この点は、私は、この協定が生まれてきた経緯といいますか、経過というものがやはり重要な要素だと思いますのは、日本韓国がどちらも全くまだ開発をしようとも思っていないところについて、白紙のところに新しい協定を結ぶということではなくて、韓国韓国で単独開発のための国内法も制定し、租鉱権者も決めている、そしてその開発の準備をしている。日本日本ですでに出願を受け付けている、そしてその会社はそこでの開発を心待ちにしている。そういうようにある程度開発に対する姿勢が進んだ段階で、その主権が、主権的行使の対象区域がぶつかっているという、そこで紛争に入ったわけでございますので、この紛争を話し合いで解決する過程で、それぞれの国が自国の単独開発を前提として会社なり個人なり企業に与えている一種の期待権というのでしょうか、そういった財産権的なものについての配慮というものは当然考慮されなければならなかった。そういう事情があるわけでございますので、この協定の小鉱区を決める場合、掘削義務を決める場合、そういった場合には、いま資源エネルギー庁長官も言われましたように、その区域、区域について、すでにある程度日本韓国両方で進んでいる手続にできるだけ合致した形においてこの大陸棚開発を円滑に実施させようという配慮が、いま先生が御指摘になるような区域の分け方、掘削義務の配分という形で出たわけです。  ところが、それにもかかわらず、協定が出てから、国内法で見ても裁量の幅があるものをどうしていまから決めてしまっているのかという点は、先ほど私が申し上げましたように、協定十一条の取り決めというものが、すでに協定交渉の段階で、これはもうある程度の事実を踏まえての交渉であったわけでございますので、両政府間で合意ができたものは取り決めにしておく。しかし、そのことは、十一条の取り決めは何も恒久的に協定と不可分の一体をなす取り決めではなくて、協定十一条に基づいて、そのとき、そのときに応じて取り決め得るものでございますので、この交換公文が永久不変のものであるというふうには思っておりません。開発の進むにつれて、あるいは開発の進まない度合いにつれて、つまり、実態に応じて変え得るわけでございますので、万が一何かの都合で、いまエネルギー庁長官が言われましたように、第一小鉱区と第九小鉱区でしたか、そこの開発権者の構成に変化があります場合には、それに即応してこの交換公文を改めるということは当然予想されるわけでございます。
  132. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) いまの説明は大体こういうふうに聞こえます。これは前の八十国会で、外務委員会でもそのような答弁があったのですが、要するに、日本側はある企業に対して出願を受理してしまった、韓国側韓国側で、それこそ鉱業権を与えてしまった、それぞれもうこれでいけるものだという期待がそこで生じた、ところが思いがけなくも紛争が起きた、そしてまた、思いがけなくも共同開発という形態をこれらのすでに権利を得た企業に対して強いることになる、まことに申しわけない、だからあなた方の権利はこれからもまず確保しましょう、大体そういう趣旨ですね。  ところが、これはおかしいのですよ。この大陸棚の紛争の仕掛け人は一体だれですか。メジャーであり、国際石油資本じゃないですか。あのエカフェの報告が出る前から、もうすでにシェルが日本でその子会社によって出願を行った。それからテキサコ、シェブロンの方は日石開発、これをつくらせて仕事を進めていく。そして、大体出てくるのは、この二つに対してあとはガルフとかそういうものが出てきて、しかも、テキサコ、シェブロンの方は、日石開発との関係がどんなに密接かというよりも、完全にもうとりこにしてしまった会社であるということはさっきおわかりいただいたと思うのですが、日本ではここのある地域日石開発に取らせてしまって、韓国側で同じところを第五ブロックでかぶせてしまっているじゃないですか。西日本もそうですよ。西日本日本側でとって、韓国側からも第六ブロックでかぶせてしまっているじゃないですか。  重複というのは、まさに同一のメジャーが、一方では日本政府に働きかけて、さあここは日本の側の大陸棚でしょう、私に下さいとかぶせ、同じところを韓国側に、やはりこれは韓国のあれでしょう、下さいとかぶせてしまったわけでしょう。まさに、こういう紛争そのものを起こしたのはこれ心らのメジャーであるわけで、まさにそれによって日本政府の方が期待を覆されてしまったわけであって、それで、メジャーがなぜこういうことをやったかと言えば、どっちに転んだっていいわけですよ。中間線でいくならば日本側でやれる。自然延長線でいくならば韓国側でいける。共同開発でいくならばこれでもいける。ただ一つ、フィリップというのは、これはあらゆる石油の利権に出てくる利権屋ですよ。これが韓国側にくっついたというので、第七ブロックという厄介な問題が出てきた。これがあります。しかし、フィリップは、あれは本当にまじめに掘る会社じゃないですよ。いまコアムというかっこうの会社に移ってしまって、フィリップは事業から、完全とは言わないけれども事実上後退している。こういうことでしょう。  だから、六〇年代の後半から、日本、朝鮮、中国それからベトナムの近くの大陸棚で、メジャーとか国際石油資本がまさにすさまじい争奪戦を演じて、そういう中で、CCOPの調査でこれがエカフェの報告として出されたわけですが、あのとき、エメリーという地質学者は、余りにも発表し過ぎたというので国際石油資本に怒られてしまって、CCOPのアメリカの代表から追放された。こういうすさまじい事件まで起きている。これはアメリカの「フォーリンポリシー」に載っておりますが、こういう中で、まさに同一のメジャーが日本側からも取る、韓国側からも取る、さあ紛争が起きた、どっちに転んでもいいという状態をつくられたんじゃないですか。  以上の経過はまず認めなければならないと思うのですが、その点どうですか。
  133. 中江要介

    ○中江政府委員 その議論は私どもも方々で耳にしたこともございますけれども、私どもがこの協定で何をしようかという原点をお考えいただきますと、その背後にある会社がどうであれ、日本主権のもとでこの大陸棚開発しようという、そのことを確保するのがそもそもの目的であったわけで、その日本主権を一〇〇%確保するということが国際法上認められない、それで韓国側の一〇〇%の主権行使もまた認められない、つまり、国際法上決着をつけ得ないということで共同開発ということにしたわけでございまして、日本韓国との共同の主権行使のもとでこの大陸棚開発する場合に、その背後にどういう会社がどういう思惑で動いたかということは、それはいろいろ企業の問題でございますからあると思いますけれども、政府といたしまして間違いなく確保しなければならないことは、日本主権下で行うこと、そして、韓国との共同開発ということになりましたならば、日本韓国との主権の共同の行使によって、紛争地域としてでなくて、円滑な大陸棚開発を確保すること、そういうことであったわけで、その意味では十分日本利益は確保されているというふうに私どもは思っておるわけでございます。
  134. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 私が聞きましたのは、先ほど言ったように、日本側はもう出願を受理してしまって、ある企業に期待を持たしてしまった、韓国も別の形で与えて期待を持たしてしまった、それで紛争が起きて共同開発になって相済まないから、まず、この私企業のこれまでの権利は一〇〇%認めてやろう、こういう精神だから一と九を一緒にするとか、もう大体決まっているとか、それからこれは後で伺いますけれども、開発権者にするに当たっての附則の問題、三十日早くちゃんと届け出をさせる、必ず開発権者になれるようなそういう仕掛けを国内法に持ち込んでいるわけでしょう。だけれども、そういう説明が違うじゃないかと言ったのですよ。  というのは、日本の側に出願した資本のグループと、韓国側から同じところをカバーした、かぶせたのは同じじゃないですか、テキサコ、シェブロンとかシェルとか。そういうことからまさに紛争というものが激しく起きたわけでしょう。だから、これらが日本出願しておれば何のこともなく必ずやれるというのじゃなしに、まさに両方からやって確実に押さえようということで今度の大陸棚紛争の仕掛け人になった。そういう企業に対して、その企業のこれまでの権益は期待を抱かしてしまって申しわけないから、必ずこういうかっこうで確保しようということ、これは一体どういうことなんですか。  しかも、今度の大陸棚協定で、これはもっともっと中身を見ていかなければいけないけれども、事実上この五十年間主権ペンディングというよりも、オペレーターがどっちになるかによって、たとえば九のうち九までオペレーターが韓国側になれば、これはもうみんなそこは韓国の国内法でいくわけでしょう。こういう意味で、日本主権を五十年間事実上ペンディングにして、あるいは事実上放棄するというようなことをしてまで、これまでそれこそ石油の争奪戦で先につばをつけて、しかもそのやり方は汚い、日本側でも取る、韓国側からも同じことを押さえる、こういうことまでするメジャーのわずか二社か三社の利益をなぜ守らなければいけないのだ。  私たち共産党は、本当に大陸棚を含めて資源を自主的な形で開発しなければいけないということで、それだからこそ総合エネルギー公社とかそういうことを言っていますが、これはしなければいけないのだけれども、まさにいま政府がやっていることは、資源開発という美名に隠れて、事実上こういうメジャーの争奪戦、それに既得権を与えて、そのためには共同開発ということで、事実上国の主権も放棄する、ペンディングにしてしまうということまでやる。ここに私は本質があると思うのですよ。  だから、今度の法案の至るところに事実上、ハイジャックじゃないですけれども、超法規というのがあるのですね。これから開発権者を決めます、それはもう決まっておりますということは、これは事実上超法規じゃないですか。これから掘削の義務を決めます、しかしそれはもう決まっております、これなら大体メジャーが注文した線である、こういうことになっておりますね。  だから、いまの答弁に対して、私は、これらの私企業に対しての利益をそのまま与える何の根拠もない、根拠がないどころか、そういうことをやればまさに仕掛け人の思惑どおりに従属したことになると、そう言わざるを得ないと思いますが、これはひとつ鳩山外務大臣通産大臣から同時にお答えいただきたいと思います。――だめですよ。大臣ですよ。
  135. 中江要介

    ○中江政府委員 私が先ほど申し上げました中で、先生の御質問の中に、すでに先願をしている企業に対して相済まぬという気持ちでそれを尊重したのではないかという個所がございましたけれども、私どもは何も相済まぬと思ってやっておるわけでは全くないのでございまして、先願しておりました、その先願というのも、日本法律に従って行われている行為で、決して超法規でも何でもなくて、日本の国内法に従ってある程度進んでいた、その段階で紛争としてこの地域の問題が韓国との間で持ち上がったということで、その背後においてだれが仕掛け人であるかどうかということを超えて、これは国際法的に見てそういう紛争なんでございますので、その点は私どもと認識が違うという感じがいたします。  それから、もう一つは、この背後にありますといいますか、実際に行います会社なり企業なり国際資本なりというものも、これは日本におきましては、いま申し上げましたように日本の法制に従って手続をしておりますし、韓国においては韓国の法制に従って手続をしている。いずれも日本及び韓国主権のもとで企業活動をしておるわけでございますので、そのこと自身について、それがいいとか悪いとかということは、これは別な角度からの御議論かと思いますが、共同開発としてこの大陸棚開発するという点におきましては、日本韓国がともに国内法を尊重し、いままで国内法上持っている利益と私企業利益というものはそれ相応に尊重した上で、しかも、円滑に開発を進めるといって両方で合意したのがいま御議論いただいております協定及び国内法に基づく一つのメカニズムである、こういうふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
  136. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 大臣の答弁を求めます。
  137. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま工藤先生からいろいろと貴重な御意見を承りました。しかし、いろいろと考え方の相違があるかもしれませんけれども、われわれは、日本国家のために正しい意味におきまして法の解釈をし、また、今後も御懸念があるようなことが万々ないように、十分な注意を持って今後の施策をいたしてまいりたい、かように考えます。
  138. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 委員長、やはり質問者が要求する答弁者に答えてもらうというルールはぜひ守っていただきたい。よろしいですか。  さて、いまの一つだけその認識が違うという発言については再度質問しますが、テキサコ・シェブロングループとさっき言ったような共同開発契約を結んでいる日石開発、それが名義人になるにしろ、実際上一緒の事業契約を結んでいるこのテキサコ、シェブロンと一体の資本がある地域をかぶせ、同時に韓国側からもかぶせたこと、西日本とシェルが両方からかぶせたこと――西日本だってシェルの資本が五〇%入っているわけでしょう。その事実だけは認めてください。あったかどうか。そういうことになっているのか。そうでなければこういう組み合わせは出てこないでしょう。事実だけ出してください。あとよけいなことを言わなくていいですよ。
  139. 古田徳昌

    ○古田政府委員 第一から第九小鉱区のそれぞれにつきまして、韓国側の租鉱権者とそれから日本側の現在の鉱業法に基づきます出願者との組み合わせにつきましては、先生指摘のとおりでございます。
  140. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) このように、同じ資本のグループが両方からかぶせたのですよ。さっき言ったように、日石開発というのは、この共同事業契約から見ても、事実上全くシェブロン、テキサコのかいらいみたいな会社で、鉱区権を手放すことまで制約を受けている。やることなすことみんな技術調整グループによって縛られている。こういうところが同じところを日本側からかぶせ、そして同じところを今度は韓国側からかぶせる。これは西日本とシェルだって同じじゃないですか。こういうふうにして同一の者が両方からやって、どちらへ転んでも自分の利益は確保されるという、そういうことから起きたのが今度の問題であって、そしてその結果として、そうやって確保した彼らの利益というのがそのまま一層有利な形で確保されるという協定になったし、また、国内法になってきている。これが今度の本質なんですよ。  それで、ついでに附則の二項ということで聞きますが、この附則の二項によると、小区域内に面積で三分の二を超える鉱業出願地を持っている者、これはもう私が説明する必要ないと思うのですが、これは三十日までに最初に届け出をやることができるということになっている。こういう附則の二項があるならば、まさに先願主義をとっていくならば、時間が問題なんですから、もういままでの出願人がそのまますべり込むことができる、そういう仕掛けをこの国内法にまで持ってきている。交換公文でもこう決めてしまっている。国内法でも確実になれるようになっている。しかも先ほども、資源エネルギ上庁長官の説明から、経理とか技術とか、そういうのを基準にすると言えば、これはもうますますメジャー系は有利になってくるわけなので、ますます確定されてしまう。こうすれば、さっき言った十中八、九でなしに、十中十まで、これまでのテキサコとか日石開発だとか帝石だとか西日本がそのまま入ってくる、こういう仕掛けがもうできてしまっている、こういうふうに考えるわけでありますが、この附則の二項について、これでは完全に、十中八、九でなしに十中十までなるのではないか、こういうものじゃないか、こう考えますが、どうですか。
  141. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先生承知のとおり、現在のわが国鉱業法は先願主義をとっておるわけでございます。先願主義をとっているたてまえから、すでに出願している人にとりましては、その出願権自体、いわゆる先願権なるものが財産的性格を持つわけでございます。一方、日韓大陸棚につきましては、共同開発をするといった要件が出てまいったわけでございまして、私有財産権の保護ということと共同開発とをどのように調和して接点を求めていくかということが、ただいま先生指摘になりました附則の規定になるわけでございます。  さような形におきまして、告示後一月以内に申請ができることになっておるわけでございますが、その際、経理的基礎あるいは技術的能力といったいわゆる能力主義を導入いたしましてチェックするということになっております。この点につきましては先願三社以外と全く同等でございまして、ただ一月早く出願できるという点に先願権の財産権的性格を認めて、さような附則を規定いたしたということでございまして、初めから決まっておるといったような、せっかく御審議いただいている法律を軽視するような扱いをするつもりは毛頭ございません。
  142. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 最初から決まってはいないと言いながら、さっき言ったように、交換公文においては決めてしまっているし、附則の二項があればもう完全に決まってしまう。わかり切っていることなんですよ。それを、形式上決まることになっていないという答弁は、全くこの解釈としても事実に反すると思いますが、この問題はおきまして、私、午前中の質問で、幾つかの問題で後で答弁いただくということについてもお答えしていただかなければならないので、いま言いますから、これがこの時間にすぐできるかどうか、一応確かめていきます。  一つは、両国共同開発の取り決めの大筋が決まったという段階以後の実務者会議、十回開かれたと言われるが、その中で取り上げられた問題で、私が三点ばかり挙げました。  一つは、単一の区域として単一合弁会社でいくやり方と、それに反対するメジャー側の、もっとブロックごとにそのかかわりのあるところだけでやろう、こういうことが問題になったのかどうか。  それから、二は一応認めていただきましたが、第三ですね。掘削義務を最初は二本、二本、二本ということだったのがだんだん薄められていたという経過があったのかどうか。この点について、いま答えられるかどうか。
  143. 中江要介

    ○中江政府委員 午前中は、御連結いただいておりました質疑の項目が、いま先生もおっしゃいましたように実務者会議というふうに聞いておりましたものですから、私どもは実務者会議というのは法律専門家会議のことを言っておりまして、十回にわたって行われました方は正式の協定締結交渉、こう思っておりましたので、準備が不足してすぐにお答えできなくて大変申しわけなかったと思っております。  その中の第一点の共同開発の具体的方法についてどういう議論があったかという点でございますけれども、五年前の協定交渉のメモでございますので、全部が全部そろっておるわけでもないわけですが、いままでに私どもで調べました限りでは、日本側では、まず出願地域ごとに参加企業を分けまして、そして共同事業方式、いま協定で具体化されておりますが、こういう方式でやろうというのを示したのに対しまして、韓国側は、最初は、共同事業方式には反対である、むしろ対象地域全体を日本側企業韓国側企業の合弁による単一事業体で行おうという立場をとったというのが記録に残っておりますが、その後、大きな議論がなくて、そのすぐ次ぐらいの会合のときに、韓国側は基本的に日本側の案に同意するということで、共同事業方式といういまの協定で定められておりますような方式検討に入った、こういうふうになっております。  それから、掘削義務が最初は二本ですか何かで、だんだん減っていったのではないかという点ですが、この点は、私どものメモによりますと、まず開発権者に掘削義務を課するのだということ自身は、これは最初から日韓間で合意がございまして、その上限をどうするか、あるいはそれを減らすかというような話については、記録に残っておりませんので、余り大きな議論はなかったのではないか、こういうふうに見ております。
  144. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) この会議の内容というのは法案の審議ともかかわって非常に大聖でありますので、その議事録をこの委員会に提出することを要求します。
  145. 中江要介

    ○中江政府委員 まず第一に、韓国側との間で認め合った議事録というものはございません。わが方で独自につくったメモですが、交渉の内容は一切出すことはできない、こう思います。
  146. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) これは先ほど私が要求しました、各企業がこの交渉をめぐってどういうような要望を具体的に出したかとか、そういうことともかかわる問題でありますから、再度要求しますが、同時に、時間もいろいろありますので、先ほどの、通産省の方でもう見られたと思いますが、日石開発とテキサコ、シェブロンの契約ですね、あれが同一であるということを認めたかどうか、その点について同時に伺います。
  147. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 工藤委員がお示しになりました書類が私の方で持っております日石開発とシェブロン、テキサコ両社との共同事業契約と一致するかどうか、照合してみよという御指摘でございました。  私どもの方でも照合いたしたわけでございますが、当省が入手いたしております共同事業契約の写しなるものは、行政の必要上公開を前提とせずに入手しておるということと、かたがた本件は企業の秘密にかかわる問題でございます。さようなところから、工藤委員がお示しになった書類と同一の内容のものであるかどうかということを明らかにする立場にないということを御理解いただきたいと思うわけでございますが、ただ、日本石油開発がみずから公開している点と、お示しになった書類の記載内容と照合いたしました結果、次のような点については違いがないようでございます。  一つは、契約年月日が昭和四十五年の十二月の十日、契約当事者が日本石油開発とシェブロン・オイル・カンパニー・オブ・ジャパン、テキサコ・ジャパン・インコーポレーテッドということでございます。対象区域は西九州沖、参加比率は日石開発が五〇%、シェブロン、テキサコ、それぞれ二五%、この点は食い違いございません。  それから、そのほかに当方で承知いたしておりますところは、三社はただいま申し上げた参加比率に応じて所要の経費を負担する、また、生産した石油類を取得するということになっております。  それから米国側の二社は、一定額を限度といたしまして、当初の探鉱に要する費用を折半して負担する。これに基づきまして、昭和四十六年及び四十九年度におきまして、それぞれ西九州において測線総延長三千五十キロメートル、四国の土佐沖におきまして三百八十六キロメートルに及ぶ第一次の音波探査を実施したということでございます。
  148. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 午前中も委員長にお願いしましたが、このようにこの法案の評価にかかわる資料は、ここは国権の最高の場でありますから、全部ここで出すということでないと、この審議が本当の意味で内容を尽くして行われることはもうむずかしいと思うのです。そういうことですから、ぜひ理事会において、これらの資料を提出する問題、私、要求しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  これをもって、まだ多くの問題を残しておりますが、これは改めて別の機会で……。いいですか、その点よろしく。
  149. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 後刻、理事会に諮ります。
  150. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) それでは、きょうはこれで終わりますが、後でまた続けます。
  151. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 大成正雄君。
  152. 大成正雄

    ○大成委員 新自由クラブを代表いたしまして、質問をさしていただきたいと存じます。  まず第一に、この協定批准書の交換のいわばタイムリミットと申しますか、そういった関係のことからひとつお聞きしてまいりたいと思うのですが、この大陸棚協定の第三十一条「批准書は、できる限り速やかに東京で交換されるものとする。」こうあるわけでありますが、「できる限り速やかに」というこの解釈というか、了解事項というか、それらの点について承りたいわけであります。  これは外務大臣に承りたいと思うのですが、この日韓両国間に決定的な不信感やあるいは協定破棄といったような事態を除いて、そういった前提をなくして、外交の実務の最南の責任者として、批准書の交換のぎりぎりのタイムリミットというものはどのように判断しておられるか、これが第一点。  それから第二点は、この日韓間の政府なりあるいは特定の政治家間なりで「できる限り速やかに」という、その希望的な約束事が何かなされている事実があるのかどうか、これが第二点。  それから第三点は、世界の外交の先例として、協定なり条約なりが批准されたが、関係国の国内法が成立しないために、この締約国のいずれかの一方がこの条約協定というようなものを破棄した事例というか先例というか、そういうものはあるのかどうか。世界の外交的な事例の中でそういうことがあるのかどうか、これが三番目。  四番目に、協定の第三十条で、協定と国内法は一体のものである、こういうふうに私たちは理解をするわけでありますが、この国内法的な措置がもしとられないとした場合に、この協定は無効であるという判断をしてよいかどうか。  この四点を承りたいと思います。
  153. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 お答え申し上げます。  なるべく速やかに、こういう表現につきまして、これは国会の御承認をいただきましたので、韓国政府からは速やかに批准書の交換を行おう、こういう申し出を受けているわけでございます。しかしながら、政府といたしましては、開発を円滑に進めるためには国内法が必要である、こういう判断に基づいて国内法の御審議をお願いをしているわけでございます。その点を先方によく説明をいたしまして、批准書の交換を待ってもらっているというのが実際のところでございます。なるべく速やかにというのは、これは常識で考えるほかはないと思います。したがいまして、今国会でこの御審議をいただく、そういう期間は先方も待ってくれるであろう、このように常識的に解しておるところでございます。先方との間に、いつまでにというような具体的な約束は何もいたしてありません。国会の御審議の御都合もありますので、私どもはそこまでは何ら約束いたしておりません。  それから、先例につきましては、これは条約局の方から御答弁をさせていただきます。  それから、国内法と条約との関係につきまして、私どもは条約を円滑に実施するために、日本の国内法制に適合した国内法が必要であるというふうに理解をいたしております。国内法の成立がおくれた場合にどうなるであろうかという点につきましては、軽々しく予測はいたすべきでない。政府といたしましては、国内法の成立を極力お願いをし、期待をいたしておるということでございます。
  154. 村田良平

    ○村田(良)政府委員 先生の御質問は、従来世界各国でどのような例があったかという御趣旨だと思いますけれども、二国間条約というのは、恐らく何万と従来締結された例があると思いますし、またその中で、私どもは、国内法が成立しないという理由をもって条約自体が成立しなかったという例は聞き及んでおらないわけでございます。しかしながら、非常に数が多いものでございますから、そういう先例がゼロかというふうにおっしゃいますと、あるいはきわめてまれにあったかもしれないということでございますが、通常、もちろんほとんどの条約は、国内法が必要な場合にも、国内法の制定を待って成立しておるわけでございまして、むしろ事情変更の原則と申しますか、その条約に署名して以後、世界情勢が非常に変わったというふうなことから批准に至らなかったというふうな例は若干ございます。  しかしながら、わが国と同じような議会民主主義制度をとっております西ヨーロッパ諸国あるいは米国等におきましては、通常、条約承認案件とそれとの関連のある国内法の制定あるいは改正というのは、単独の案件にするとか、あるいは同一委員会において同時に並行審議するというふうな慣例が多うございまして、そういう制度をとっておりますから、通常は、条約の議会による承認と関連国内法の制定は同時というのが一般的な慣行であるということは申し上げることはできます。
  155. 大成正雄

    ○大成委員 このことは非常に政治的な含みもあると思うのですが、昨日来の質疑の中でも、そんなにあわてなくてもいいじゃないか、もうちょっと条件を煮詰めてからこの効力を発効させてもいいじゃないか、こういうような意見もあるわけでありまして、そういった一つの政治的な配慮から、このタイムリミットというものは、単にしゃくし定規の解釈でなく、非常に大事なことだということで私はお聞きしておるわけでございます。  そこで、そういった約束はない、常識的に判断していく、こういうことでありますが、その常識的な判断の限界というか、そのリミツトというようなものは、率直にお聞きするわけですが、たとえば、仮に今国会でもこの国内法が通らなかった、もう少し待ってくれ、条件がもう少し煮詰まってから必ず通る見通しがあるからというようなこと、これは仮定の話を申し上げているわけですが、そういったことでその常識的なタイムリミットというものは得られるのかどうか、その辺のところをもう一回お聞きします。
  156. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 この国会でぜひとも御承認を賜りたいというのが政府の立場でございます。また、韓国側といたしましても強く期待をいたしているところでございます。したがいまして、この国会でもし御承認をいただけない場合のことにつきまして、いまここで申し上げるのは差し控えさせていただきたいのでございます。
  157. 大成正雄

    ○大成委員 過般の日韓の定期閣僚会議の席上で、このことについて何らかの話し合いはなされたのでしょうか。
  158. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 当然、先方から条約の批准を早く行おうというお話がございまして、わが方から、国内法の制定をお願いしてある、その成立まで待ってほしい、こういうことを申しておるわけでございます。しかし、先方は早くしようと言う、私どもはしばらく待ってほしいということで、何ら結論が出たということではないのでございます。
  159. 大成正雄

    ○大成委員 たびたび恐縮ですが、日韓閣僚会議の席上で、次の国会では何とか通すからとかどうとか、そういう言い方はできないでしょうけれども、暗にそういう心証を与えるような話のやりとりというものはあったのでしょうか。
  160. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 約束ということは、先ほど申し上げましたように一切いたしておりません。しかし、政府といたしまして、次の国会に最大限の努力をする、こういうことでございます。
  161. 大成正雄

    ○大成委員 四番目に聞きました三十条でございますが、「両締約国は、この協定実施するため、すべての必要な国内的措置をとる。」こういうように明確に規定しているわけです。その国内的な措置がとれなかった場合には、これは法的な解釈としてお聞きするわけですが、この条約全体が無効だというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
  162. 中江要介

    ○中江政府委員 御指摘の第三十条は、いま御審議願っております国内法が成立するかしないかということとは別に、日本韓国とが国と国の約束としてこの協定実施するためには当然いろいろの法的措置もございましょうし、そのほか国内的措置をとることについて両国間で約束していることでございますので、その必要な国内的措置をとらないときには条約の第三十条を忠実に守っていないということで、その守っている国から守っていない国に対して条約違反という形で問題が提起されて、それを是正するかどうかということが議論されるわけで、直ちにこの協定が無効になるとか、そういうことではないわけでございます。  それから、いま大臣が答えられました、韓国側日本の国内批准を早くするために国内法についてどういうことを期待しているかということの参考になるかと思いますことで、申し上げておいた方がいいと思いますのは、日本は、およそ戦後、協定を結びまして、その協定に関連する国内法がおくれたために批准がおくれたというのは、過去に一件だけあるわけでございます。  これは御承知のいわゆるガリオア協定と言われておりましたが、日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日米間の協定、この協定昭和三十七年五月四日、第四十回国会で承認されておりながら、これの実施のための産業投資特別会計法の一部を改正する法律案、これが第四十回国会で成立いたしませんで、すぐその次の四十一回の臨時国会におきまして、九月四日に成立いたしました。その間四カ月でございます。四カ月国内法のためにおくれたというのが唯一の例でございまして、そういう意味では、日本という国は協定が締結されれば速やかに必要な国内法措置をとる国だという名声といいますか、評価があると思います。韓国としましてもそれを知っておるわけでございますので、唯一の例外でも、すぐ次の国会で国内法を通して、四カ月のおくれでやってくれているということで、期待しているであろうことは推測できるかと思います。
  163. 大成正雄

    ○大成委員 次に、本協定に対する中国側の円満な了解を取りつけることについてお伺いをしたいわけであります。  昨日来の本委員会における外務大臣の御答弁の中で、大臣の表現をおかりすれば、礼を尽くして中国側の理解を得たいと考えている、中国側が聞いてくれるというならいつでも出かけて話し合いたい、日中友好増進の過程で円満に解決を得たい、あるいは可及的速やかに北京を訪ねるチャンスを得たい、こういったようなことで大臣の意思が表明されてきたわけであります。  この大臣の昨日来の熱心な御意思というものは政府の意図として解釈してよろしいのか、あるいは政府・与党を含めて共通の認識の上に立っての本委員会における大臣の意思表明であると解釈してよろしいのか、承りたいと思います。
  164. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 本件の共同開発につきまして、これは日本韓国との間にまたがる大陸棚開発である、このような考えは変えてないわけでございます。しかし、この点につきましては、従来からたびたび先方に説明をしてきたわけでありますけれども、外交の最高の責任者である李先念副総理の理解が、藤山愛一郎先生が国貿促の団長として行かれましたときのお話を伺いますと、大変不十分であるように思います。これから開発が進められる場合にこのことが何らかの支障になるということは好ましくないことでございます。そういう意味で、外交の責任者として私自身の責任と思いまして、そのようなことを申し上げたわけでございます。
  165. 大成正雄

    ○大成委員 私は、この大臣の善意というか努力というか熱意というか、これは正しく評価をしていかなければならぬと思います。しかしながら、仮にこの国会の了解が得られるならば、大臣があしたにでも北京へ飛んでこのことに関して話をつけて帰ってくるというくらいの条件が整っておるかどうかが非常に問題だと思うのでございます。  そこで、大臣個人の願望というか御熱意ということでなく、大臣自身が与党の内部あるいは政府全体の意思を大臣の御発言の熱意と同じように固めるということに対して、大臣自身はどのように決意をしておられるのでしょうか。
  166. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 私自身の行動でございますけれども、日中間にはいろいろな問題がございます。また、海洋関係につきましても、今後の二百海里時代を迎えまして、中国側の見解等につきましてもいろいろお話し合いをすべきときが来ると思っております。そういう意味におきまして、いつの時点においてそのような行動ができるかという点につきましては、なお政府・与党の御意見も伺いました上で、これは当然のことでありますが、政府といたしまして態度を決めていただきたい、このように考えております。
  167. 大成正雄

    ○大成委員 新聞の伝えるところによりますと、近く内閣改造もあるとかないとか言っております。私は、有能な外務大臣でありますから、次期内閣においても外務大臣として留任されるのではないかと推察いたしますが、大臣の御父君がかつてあの不自由な体を押してモスクワに飛んで決断をされた、このことを考えたときに、日中平和条約絡みのこの日韓大陸棚協定に関する中国側の理解を得るというこの国の重要な決断に対して、大臣自身が個人的な願望とかそういうことでなく、御父君のあのモスクワに飛んだ情熱に負けないような決断をすべきだ、そのように考えるわけですが、もう一回御決意を承りたいと思います。
  168. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 私自身は、昨日も申し上げましたとおり、なるべく早い機会に訪中をいたしたいと考えておることは、率直なところそのとおりでありますが、この点につきましては、やはり日中間に最大の懸案事項がございます。これらの点につきましても、党、政府一体としてこれははっきりした方針を決めていただいた上で行動すべきものと、このように考えております。
  169. 大成正雄

    ○大成委員 さらに、執拗に申し上げて恐縮ですが、私たちは九月に、各党代表、日中議連で訪中をいたしました。鄧小平さんにも会いましたし、いま日本に来ております張香山さんにも会いました。特に、張香山さんとの政治会談の中で、この張香山さんが、いわゆる中国外務部側の見解として日韓大陸棚協定は不法であり無効である、こういった立場を、私は中日友好協会の立場であるがそれを支持する、こういうことでそのことを強く言われたわけであります。  同時に、公明党の渡部副団長は、この日、韓、中のゼロ地点に境界を引いたこの協定に対して、その後の世界の海洋法の趨勢や、あるいはこの大陸棚理論、二百海里経済水域、こういったことに関して正々堂々と日本の立場を主張されて、そして説明をされたわけです。これに対して中国側から、張香山さんからはこれといった反論も異論もなかったように私は記憶いたしておるわけであります。これは日本の国会議員の代表として当然のことだと思いますし、渡部副団長の勇気を私は評価をしたいと思うのでございます。  一方、新自由クラブの訪中団河野代表が同じように鄧小平さんに会ったときに、漁業協定の問題に触れました。それで、この漁業協定の更新に対して条理にかなった解決の仕方をするということをこの鄧小平さんは言っておられたわけでございます。すなわち、原則は立てるけれどもこの誠意と熱意のある話し合いには必ずこたえてくれる、そういう印象というか心証を持って私たちは帰ってきたわけであります。  そういう私たちが北京に乗り込んでいって得た印象からしまして、私は先ほど来、この大臣の決断あるいは福田総理大臣の決断というものをこの際必要とするということを申し上げておるわけであります。  そこで、昨日来何回かの議論がなされておりますけれども、四十九年の一月三十日にこの協定が結ばれました。その当時の外務大臣はどなたでしたでしょうか。
  170. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 大平外務大臣でございました。
  171. 大成正雄

    ○大成委員 当時、大平さんが外務大臣であったとするならば、昨日の議論もありましたが、この協定を結んだ段階で中国側に円満な理解を得べきであった、このように私は考えます。しかしながら、この鄧小平さんも、大平さんによろしくという言葉を言っておられるわけでありますから、私は、大平さんに対する中国の信頼は厚いと考えております。これは私個人の見解ですが、考えております。これは、大平さんがそれほど中国の信頼を得ておられるというならば、大平さん自身も当時の責任者として、この大陸棚協定に対して中国側の円満な理解を得るための努力をいますべきだ、私はそのように考えるわけであります。  外野席から見物しているという立場じゃない、私はそのように考えますが、その当時の外務大臣としての責任者である自民党の幹事長である大平さんと、このことに対して外務大臣は何かお話し合いをされておりますか。
  172. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 大平さんはいま党の幹事長でございますから、私ども担当者が緊密な連絡をとりながら仕事を進めておるというのが実際のところでございます。私自身直接にお話し合いをしたということではございません。
  173. 大成正雄

    ○大成委員 私は、当時の外務大臣としてのこの責任者である大平現幹事長と、直ちにこの協議をなされるのが至当ではないかと思います。それによって大平幹事長としての高次元の政治的な判断も出てくるのではないだろうかこのように考えます。協定を結んだ責任のある外務大臣として、その結果が、隣国に対するこの不手際が、いま鳩山外務大臣がこうやって苦労されておるという立場でありますから、当然そのことは現鳩山大臣としても大平さんと率直な話し合いをすべきだ、このことを要請をいたしたいと思います。  さてそこで、昨日来いろいろ質疑が重ねられておりましたが、日本外務省がいままでこのことのために外交チャンネルを通じてどのような努力をしてきたかということに対してでありますが、結論から申し上げて、きわめて不十分だったと思います。このことは、私たちが北京に参りまして、日本大使館での佐藤大使や公使ともいろいろお話をした心証からしても、私たちは、十分誠意と熱意を持って努力をしたという評価にはならないような気がいたすわけであります。ということは、会うべく会見を申し込んだけれども会えなかったとか、そんな程度でこの問題が処理されてきたというところに問題があります。御承知のとおり、自民党の先輩の皆さんの中にも、中国とは非常に親密な太いパイプを持っておられる方々もおられるわけでありまして、そういう方々を通じてなぜもっと外交的な努力をされなかったかということが非常に惜しまれるわけでございます。  そこでニューヨークでの黄華外務部長との会談の中で、この大陸棚の問題に関して話し合いの糸口は何か求められたのでしょうか。
  174. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 ニューヨークにおきます黄華外務部長との会談でございますけれども、これは当初から、九月二十九日、共同声明が発せられて五周年ということで、五周年のお祝いということでお会いしたわけでございます。そして当然そのために交渉というようなことは一切しない、こういう前提のもとにお会いをいたしました。いろいろなことについてお話をいたしましたが、その内容は多岐にわたったわけでございます。しかし、交渉というようなことはいたさなかった、このように御理解をいただきたいと思います。
  175. 大成正雄

    ○大成委員 いま外務省がわが国にお招きしております張香山さんを初め中国のお客さんがおられるわけであります。もちろん張香山さんは外務部の責任者ではありません。ありませんが、この張香山さんと総理大臣もお会いになりますし、もちろん大臣もお会いになられると思います。保利議長もお目にかかられるでしょうが、いま日本おいでになる張香山さんを通じてのこのことに対する何らかのアプローチというものは何もないのでしょうか。
  176. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 この問題につきましては、私どもは外交ルートを通じまして、そしてやはり先方に赴いて礼を尽くしてもう一度詳細なる説明をいたしたい、時間をかけて御説明をいたしたい、このように考えております。内容が、なかなかこれは経過もあり、大変簡単な説明ではできないことでございますので、これはある程度の時間をたっぷり用意した上でお話をすべきものというふうに考えておるのでございます。
  177. 大成正雄

    ○大成委員 いま北京におられる佐藤大使は、鄧小平副主席にはまだ一回もお目にかかっておらないはずでございます。私は、少なくもこれだけ日本の国内問題として大きな問題になっておるとするならば、佐藤大使が何らかのチャンネルを通じて鄧小平さんに会ってこの問題を話すというぐらいのこと、あるいは大臣が北京に行ってその責任者と直接すぐ話ができるというチャンネルは、いますぐつくらなければならないと思いますが、この点についての考え方を承りたいと思います。
  178. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 この問題につきましてこれからの日本政府としていかなる段取りでもう一度先方の理解を求めるかということにつきまして、いまいろいろ御意見を伺いましたが、その御意見も参考とさしていただいて、そして私どもといたしまして最善の道を選びたいと思っております。
  179. 大成正雄

    ○大成委員 私は、なぜこのことを申し上げるかといいますと、明春、もう一月に改正されなければならない日中間の漁業協定の更新、それから、福田総理大臣がアヒルの水かきという言葉を表現しておられますが、幾らか水かきを動かし出したというこの日中平和条約の締結に対する態度、こういったことを考えたときに、このことは非常に重大な問題だと思うのです。  ということは、中国側は、この漁業協定の更新あるいは平和条約の締結の実務交渉の中で、この日韓大陸棚の問題は必ず出してくると私は思うのです。必ず出してくる。覇権問題と同様、この日韓大陸棚共同開発の問題は避けて通れない問題だと思うのです。国内法を通すためにどうとかということよりは、そういう日中間の基本的な問題、この土台石を築く上において避けて通れない問題だという認識の上に立って、私はもっと高次元の対処が速やかになされるべきだという考え方を持っておるわけであります。そのことによって、この国内法の問題はある程度――ある程度と申しますか、その大部分が理解と納得が得られるに至るのではないだろうか、このように考えるわけでありますが、それらの考え方に対する外務大臣としての御所見を承りたいと思います。
  180. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 本件の扱いは、やはりこれは中国がいわゆる自然延長、中国の大きな大陸に沿って広大に発達しております大陸棚、これにつきまして中国の主権というものの行使を考えておるというところにあろうと思います。そのこと自体につきまして、私どもは、当然同じ大陸棚に乗っておる日本と中国あるいは朝鮮半島、これらは同じ大陸棚に乗っているのだ、このような見解を持っておるわけで、当然中間線で区分されるべきものであるという解釈をとっておるわけでございまして、したがいまして、その点につきましては日本といたしまして変えることのできない主張をいたしておるわけでございます。そういう見解で、それが国際法に基づくものであるということで、そういう理論構成の上に立って日本韓国と話し合いをし、共同開発ということに踏み切ったわけでございます。したがいまして、このことと日中間の最大の懸案であります平和友好条約の問題とは、私は全く別個の問題であるというふうに考えております。  ただ、時期的にこの両者が同時にいま問題として提起され、この二つの問題につきまして、外交当局者といたしましてはこの二つの問題を解決をいたしたい、このように考えておるところでございまして、その点につきまして努力をいたしたいということでございます。関係がありませんが、時期的に同じ時期に大きな問題が二つある、こういうことで御理解を賜りたいのであります。
  181. 大成正雄

    ○大成委員 意見を大臣と異にするので恐縮とは思いますが、私どもはやはり中国の原則は曲げておらないと思います。曲げない国だと思います。ということは、この平和条約の基本的な問題については、やはり中国の主権にかかわる問題が幾つか絡んでおると思うのです。また、中国側がこの問題に対して不法であり、無効だという言い方は、すなわち中国の主権にかかわる問題だからそういう言い方をしておると私は思うのです。ですから、外務省的な発想や理解で、平和条約大陸棚の問題とは別だ、この協定の問題とは別だというそういう考え方では、私はこの問題はうまくいかない、このように思うのであります。これは個人的な見解でございますが、その点は十分ひとつ中国の立場というものをもっとやはり研究をされる必要があるのではないか、このように思います。  その一つのあらわれというか、その主張として、以下御質問申し上げますが、未解決の問題になっております尖閣列島周辺海域に対する日中間の海洋主権の調整の問題であります。この問題について日本外務省としてどのようにお考えになっておられるか、承りたいわけであります。  この尖閣列島に関しましては、日中間ではこれはたな上げになっておるような状態であります。魚釣島の帰趨についてもまだその領有権については決着を見ておらない。これから平和条約の中でこういった問題も処理していかなければならないといったことでございましょう。また同時に、エカフェの調査等からしましても、昨日来の議論もありますが、この尖閣列島周辺の海域のいわゆるエネルギー資源というものはむしろ大陸棚共同開発区域よりはまだ濃厚である、こういう情報等もあるわけであります。これには若干台湾の問題も絡んでおりますけれども、ともかくこの尖閣列島周辺海域の中国との調整に関する日本側の基本的な立場はどのようにお考えでしょうか。このことはまた平和条約との絡みとも無関係でしょうか。
  182. 中江要介

    ○中江政府委員 尖閣諸島がどの面から見ましても日本の固有の領土であるという主張の根拠については、先生も先刻御承知のとおりだと思いますので、あえて繰り返しませんが、一番最初に私どもがこの尖閣諸島について政府としての行動をとりましたのは明治十八年でございます。それに対しまして、この尖閣諸島について最初に、これは自分のものだということを唱えた日本以外の意思表明というものは、最初が一九七一年の六月十一日に台湾の外交部がそういう声明を出した。その次が一九七一年の十二月三十日に中華人民共和国の外交部声明。明治十八年から一九七一年までの岡、いずれの国も、いずれの日本以外の者もこれに対する領有を主張したことがなかった。この長い期間の間でなぜ七一年になってそういうことが起きたかというのは、いま先生もおっしゃいましたエカフェの調査というものがどうも影響を及ぼしたのではないか、そういうのが客観的な事実でございます。  そういう日本以外の国があの尖閣諸島は日本のものではないという意図表明をいたしました一九七一年ごろに、日本の中でどういうことが行われたかということを御参考までにこの機会に申し上げておきたいのは、一九七二年の三月三日に琉球政府の立法院が、尖閣列島が日本の領土であることは明白な事実であって領土権を争う余地はない、こういうことを決定しておりますし、外務省の基本見解は七二年の三月八日に、これは当然のことですが、日本の領土である。また自由民主党は、昭和四十七年、つまり七二年の三月二十八日に尖閣諸島は領有権がわが国にあることはきわめて明瞭であることを確認する。また日本共産党は、一九七二年の三月三十一日の赤旗の中で、共産党の見解といたしまして、尖閣列島が日本の領土であることは明らかであるということを公にしておられますし、また日本社会党は、一九七二年四月十九日の社会新報の中で社会党見解を公表しておられますが、わが党は尖閣列島は国際法上日本の領土の一部であると考える。与野党を挙げましてこの時期に尖閣諸島は日本のものである、そういう公式見解を出しておるわけです。  したがいまして、日本原則的な考え方は、この尖閣諸島は日本の領土であることに疑いがない、その姿勢に変わりはございません。そしてまた、現実の問題といたしまして、竹島とか北方領土と違いまして、尖閣諸島につきましては日本の行政権が実効的に行われているというのが現状でございますので、いまの日本政府の立場からいたしますと、日本原則的立場とそれを実効支配している現状とは完全に一致している。そういう意味では、ここに頒布化された紛争なり領土権の争いというものはないという立場でございます。それに対して中国がどういうふうに臨んでいるかということは、現実をごらんになって御承知のとおりでございます。
  183. 大成正雄

    ○大成委員 私は、中江局長のいまの立場というか物の考え方というものは正しいし、また、われわれ日本国益としても当然そうあるべきだと思います。  ただ、これは条約関係でしょうか、法律的な見解を承りますが、魚釣島は無人島です。無人島については二百海里の権限を主張することができないというような国際海洋法の一つ原則というか申し合わせみたいなものがあるようですが、この点はどうでしょうか。
  184. 井口武夫

    ○井口説明員 お答え申し上げます。  実は、海洋法で確かに島の問題が現在討議されておりまして、これは最終的には確定いたしておりません。それで主張としては、人の居住し得ないあるいは経済生活を維持し得ない岩というものが経済水域、大陸棚を持ち得ないというような規定もございますが、そもそも人がどういう基準で居住し得ないかどうかという点について客観的な決定をするということが実はむずかしゅうございまして、従来の国際法では、岩というのもすべて居住の有無にかかわらず大陸棚を持つというたてまえでございまして、この点についてはまだ議論が進行しているわけでございますけれども、やはり岩というものを区別して、経済水域、大陸棚を持てないとか、あるいは領海をしきながら大陸棚、経済水域を持てないというようなことはいろいろ無理があるということでございまして、現に多くの国の国内法では、現在この無人島の岩というものも経済水域、大陸棚を持つという形で規定されているわけでございます。
  185. 大成正雄

    ○大成委員 岩であっても無人島であっても大陸棚や水域を主張できるという解釈になりますと、竹島の問題もいろいろ引っかかってくると思うのです。また、中国側とこの尖閣列島周辺の水域の主権をお互いに話し合うというその対等の立場というものが、そういういまのような御説明で中国側を納得させることができるかどうか、その辺のところの根拠はもう少し持っていかないといけないような気がいたします。  ということは、大陸棚協定の問題がもしこじれた場合、あるいはさらにこれ以上日本の誠意と努力が足らなかった場合に、ベトナム水域の問題のように、中国が先に二百海里の水域宣言をしたという場合に、日本の立場が非常に苦しくなるような気がいたすわけでありますが、このことについて外務大臣、どのようにお考えでしょうか。
  186. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 先ほど中江アジア局長がお答え申し上げましたとおり、尖閣列島につきましては歴史的にも日本の領土である、また、現実に実効支配をしている領土である、このように考えておるところでございます。したがいまして、この問題につきまして中国側の主張がありますけれども、私どもといたしまして、この問題は日本の領土と、こう考えて対処をいたす、こういうことで一貫をいたしておるわけであります。
  187. 大成正雄

    ○大成委員 論議のあるところでありますが、時間がありませんから、先に進めさせていただきます。  次に、本法の国内法の三十六条に、通産、農林両大臣が協議して指定するという「漁業生産上重要な魚礁」に該当する地域、個所の問題があります。この協定に対する反対の一つの理由として、漁業被害あるいは水域汚染といった問題があるわけでございます。  そこで、この三十六条の「重要な魚礁」、昨日の水産庁の御答弁では、根の魚としてはレンコダイぐらいなものだというふうな話でございましたけれども、水産庁としては、この協定が四十九年からでございますから、この間、この水域内の海底の構造あるいは魚礁といわれるようなその実態、そういったものは具体的に把握をしておられるはずだ、このように思うわけでありますが、その「重要な魚礁」、いわゆる通産大臣が農林大臣と協議をして指定から除外するという区域はもうわかっておると思うのです。この内容をひとつお聞きしたいと思います。具体的な個所の指定でございますから、概念としての話はいまここで承りまして、この個所の明示については図面でお示しをいただけるならば図面でお示しをいただきたい、このように思います。
  188. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 魚礁の分布の問題でございますが、この開発区域内の海底の地形を大体申し上げますと、南部に大体水深千メートルの線を中心といたしました海溝がございまして、ここを対馬暖流が流れておるわけでございます。この流れに沿いまして上昇流が起こっておる。それからさらに、この区域の中央南北に水深二百メートルの線が通っておりまして、この周辺両側を魚礁の群が帯状に分布しております。さらにこの西側は一応平たんにはなっておりますが、ところどころに魚礁が存在しておる、大体の状況はそのような状況になっておるわけでございます。  私どもとしては、大体の状況を現在そのように把握しておるわけでございまして、今後通産省とも十分協議をしながら個所の指定をしてまいりたい、その際、いろいろ漁民あるいは学識経験者等の意見も十分聞いてまいりたいと考えておる次第でございます。
  189. 大成正雄

    ○大成委員 委員長にお願いいたしますが、ただいまの魚礁の分布状況というものは非常に重大な問題でございますので、本委員会に資料として、概略図というか概要図で結構ですが、ひとつお示しいただくようにお願いを申し上げておきます。  次に、この三十一条四項の問題について通産大臣に承りたいと思うのでございますが、この三十一条四項には、「経済上の見地からもはや不可能であると認める場合には、両締約国は、この協定を改正するか又は終了させるかどうかについて協議する。」こういう規定があるわけであります。このことは私たち協定に反対をしたその大きな理由の一つにもなっておるわけでありまして、山師という吉葉がありますけれども、あるかないか掘ってみなければわからぬといった状態のところに一本二十億もするようなボーリングをしていくというような、それが俗に言うどぶ田に金を捨てるというか、そういうわれわれ国民の税金がむだに使われるというような結果であってはならないと思うわけであります。  そういう意味で、そういう心配がないのだという理解のために私はお聞きをするわけでございますけれども、この経済上の見地から不可能であるといずれか一方が認める場合というのは、具体的にお聞きしますけれども、探査の段階でその判断をされるのですか、それとも探査が終わってさらに採掘を進めるといった段階までもこの経済上の見地というものは及ぶのでしょうか。探査の段階で、これはもう掘ってもむだだ、これはこれ以上金かけてもだめだ、せっかく苦労して協定も国内法も通過させたけれども、やってみたら全く何の足しにもならなかったというような判断があるかもしれません。そういう判断の時期とか経済上の見地から不可能であるというその具体的な評価というかそういったことは、どういうふうに通産大臣は表現をされてわれわれを納得させるのでしょうか。
  190. 田中龍夫

    田中国務大臣 大変むずかしい技術上の問題でございますので、政府委員からお答えいたします。
  191. 村田良平

    ○村田(良)政府委員 この三十一条四項の規定の解釈の問題といたしましては、「天然資源採掘することが経済上の見地からもはや不可能であると認める場合」ということの意味ということになってくるわけでございますが、具体的には、まず探査をいたしまして、石油が全然賦存されておらないという場合がこれに当たると思います。それから、賦存しておるけれども経済的に採算がとれるようなものではないという場合が二番目かと思います。それから三番目には、賦存されております天然資源をこの協定の有効期間五十年以内に非常に速やかに掘り出してしまって、もはや残った部分については採算のとれるものではないという判断になったという場合がこの規定に当たるわけでございます。  そのような場合に、この三十一条の四項が置かれております理由は、通常はそういう採算がとれないという場合には日韓両国が合意いたしましてこの協定をやめるわけでございますけれども、場合によって、たとえば韓国の方はまだ採算がとれるという判断があり、日本側の方は採算がとれないという判断の場合には、そこで意見が一致しないわけでございます。  そこで、たとえばの話でございますけれども、日韓両国が話し合いまして、単独危険負担操業というふうな形もございます。したがって、韓国側が責任を持ってそれでは残りを掘り続けるというようなことを合意する、その場合には当然漁業に関する手当てとかあるいは汚染の防止とか、そういったことに関しましては、この協定で詳細に取り決めておりますようないろいろな保障措置がちゃんと適用されないと困りますので、協定は依然として有効にする、こういうのがこの規定の趣旨でございます。
  192. 大成正雄

    ○大成委員 重ねて御質問申し上げますが、いまの解釈の中の一番目と二番目が問題だと思うのです。探査の段階でいろいろ調査をした結果、これはもうやってもしようがない、資源の賦存性からいっても採算性からいっても意味はない、こういう判断を探査の段階でしたときに、すなわち八年以内においてこの協定は無効になる、やめようじゃないか、そういうことはあり得るということでしょうか。
  193. 村田良平

    ○村田(良)政府委員 純粋に理論的な問題といたしましては、そのような事態もあり得るということでございますが、現実にそういう事態は非常に想定されないのではないかというふうに考えます。
  194. 大成正雄

    ○大成委員 現実的に想定されないというお言葉の根拠はどういうことでしょうか。
  195. 村田良平

    ○村田(良)政府委員 私は、その方の専門家ではございませんけれども、エカフェの調査等によりましてこの区域には相当の石油の賦存量があるということでございますし、また、そういった判断から両国がこの協定を結んだものでございますので、全然採算がとれないということになるケースは少ないのではないかというふうに考えて、そのように申し上げた次第でございます。
  196. 大成正雄

    ○大成委員 これはひとつエネルギー庁長官にお願いをしたいと思いますが、昨日長官からいろいろなリスクの問題等がありました、また、その確率の問題等のお話もありました。このエカフェの調査やいま鉱区を設定している関係会社の物理探査その他によって、技術屋さんの見解としてあり得るという一つの根拠は、私は決してそれを無視することを言っておりません。しかしながら、現実の問題として、あるかないか、あるいは採算がとれるかとれないかといったことは、常磐沖と同じように穴をあけてみなければわからないと思うのです。そういうことだと理解するわけですが、私、素人でわかりませんけれども、その探査段階、すなわち八年間の探査段階で、あるいは八年までいかないで二年か三年やってみたところが、これはどうも考えた以上に資源がなかった、こういうこともあり得ると思うのですが、エネルギー庁長官のその技術的な見解をひとつ承りたいと思うのです。
  197. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 いままでの調査で、この地域には石油の賦存の可能性は高いというところまでの調査結果は出ております。  ただ、現実の問題といたしましては、まだ本格的な探査探鉱活動がなされておりませんので、特定鉱業権者が決まった上でそれぞれの人たちが、たとえば地震探鉱、重力探鉱、磁力探鉱といったような物探をやり、さらに試掘をやりあるいは探掘をやりといったようなことを重ねまして、どの程度の賦存量があるか、あるいはどの程度可採できるかといったようなことを経済面と照らし合わせて勘案していくという手順になろうかと思います。  そういった意味合いも含めまして、いわゆる鉱区の消滅義務と申しますか、二五%ずつ探鉱の結果として賦存性の低いところあるいは商業生産になじまないような鉱区について放棄していくといったような義務をつけておるのもさような観点からでございまして、これを要しますに、さらに本格的な探査探鉱活動の結果あるいは試掘の結果、判断すべき問題ではなかろうかと思います。
  198. 大成正雄

    ○大成委員 八年後にエネルギー庁長官がまだ御健在で長官をやっておられるかどうか、私はわかりませんよ。わかりませんけれども、責任あるお言葉として承りたいのですが、この三十一条四項を発動して、そうしてこの協定は全くむだなことであった、むだなことになったというか、要するに両国においても破棄するといった事態が絶対にないことはないというふうに思われますか、そんなことは絶対ないということでございましょうか。
  199. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 非常にお答えづらい御指摘でございますが、御承知のように、世界的に見ましてボーリングの成功率というのは一八%でございます。それから油田としての成功率は二・七%と言われております。さようにリスクの大きい問題であるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、その地域鉱区につきまして探査活動、試掘活動をやった上でないと何とも言えないというのが、むしろ現実ではなかろうかと思うわけでございます。
  200. 大成正雄

    ○大成委員 現実の話はよくわかるのですけれども、三十一条四項の発動によって日韓間の共同開発事業というものはやめになるということもあり得るというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  201. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 理論的に申し上げるとそういうことになろうかと思いますが、ただ、いままでいろいろなエカフェだとかあるいは東海大学がこういった地域調査もやっております。その調査で見る限り、石油の賦存の高い新第三紀層の厚い堆積盆があるというふうに言われております。これは石油の常識からいたしますと、一応石油の賦存の可能注が高い地域であるというふうに申し上げていいかと思います。また、私といたしましては、わが国に対する石油の安定供給の確保という立場からいきまして、こういった御指摘の第四項が発動されないで必ず有望な鉱区に当たるように期待すると同時に、その方向で努力すべきだ、かように考えております。
  202. 大成正雄

    ○大成委員 以上で私の質問は終わりますが、質問を終わるに当たりまして、これは要望として申し上げておきたいと思うのですが、この協定の問題は、私は、やはり目先の日中漁業協定あるいは平和条約との絡みの中で当然解決されなければならない問題だと理解をいたします。特に北京で責任ある立場の方々と話し合いをしたその心証からしても、そういったふうに考えられてならないのでございます。  そこで私は、この国内法の問題にはいろいろな問題点はありますけれども、それらをいろいろ整理をしてまいりまして、大臣なりあるいは内閣総理大臣なりの高次元の外交努力によって、政府みずからの努力によって、いますぐにでもこの国民の疑惑なり多くの反対している人たちを説得させるに足る踏み台はつくることができるというふうに考えるのです。ですから、そういう外交努力というものをぜひひとつ次元の高い問題としてお取り扱いをいただきたい。本当ならば内閣総理大臣をここに呼んで、責任ある答弁をお聞きしたいところでございますけれども、それがかないませんので、このことを大臣を通じて御要望を申し上げておきたいと思います。  それから、最後にもう一つ。やはりこの協定に反対する大きな問題点としての日韓の疑惑の問題があります。この日韓の黒い霧の疑惑の問題、金炯旭証人の問題、こういったこともやはりこの協定に深いかかわり合いを持っております。したがいまして、この日韓間の疑惑の究明のために政府みずからが積極的な努力をされることを要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  203. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 林義郎君。
  204. 林義郎

    ○林(義)委員 日韓大陸棚法律案に関しまして質問するに当たりまして、まず通産大臣に最初にお尋ねいたしたいのですが、きょうの東京為替市場、相場が幾らになりましたか、御存じでございましょうか。
  205. 田中龍夫

    田中国務大臣 この委員会の審議の最中も先ほど情報がございまして、二百四十五円ということで、また本日は、本省におきましてはこの円為替の対策の協議をただいまも推進本部でいたしております。
  206. 林義郎

    ○林(義)委員 私の知っておるところでは、寄りつきが二百四十六円五十銭で、昨日のニューヨークの市場の相場と同じでありますが、始まりまして、終わり値は二百四十七円五十銭と少し持ち直しておるということであります。ただ、大変に為替相場が変動しておる。早急に円対策でいろいろおやりにならなければなりませんが、基本的には、国際的に為替市場が動いているというのは国際経済が非常に動乱をしておることだろうと私は思うのです。そこを直していかなければ、為替だけ直せと言ったところでなかなか直らない問題があると思うのです。  こうした動乱の一つの問題というのは、アメリカ経済の力が相対的に弱まってきたことも一つの原因である。と同時に、日本の相場が非常に上がっているというのは、日本の貿易関係が非常によろしいということですが、もう一つ忘れてならないのは、いわゆるオイルダラーというものが大変なフロートをしておる、いろいろな形で動いているところにこの問題があるんではないか、こう私は思うのです。私は、オイルダラーがあれだけたまっちゃった、この問題に対して政府の方もはっきりした対策を打ち出されることが必要だろうと思いますけれども、外務大臣は大変な御経験者でもございますし、通産大臣は担当の方でもございますが、両大臣、オイルダラー対策、あるいはオイルダラーというものをわれわれとしてどういうふうに考えたらいいのか、この辺について御見解があれば賜りたい。
  207. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 御指摘のように、オイルダラーと申しますか、産油国、ことしは四百億ドルくらいじゃないかというふうに言われておるわけでございます。黒字の額として四百億というような数字が言われておりますが、この問題に対処することが国際金融上の最大の問題点である、そのために、IMFにおきましても、このオイルダラーを何とか公的な資金に使うことが市場を安定さすことではなかろうか、従来のオイルダラーが民間の私企業ベースの、まあ銀行ベースの金融で動くということが世界の経済に大きな不安定要因になるということでありますので、これを何とかIMFという機構を通じて、そして資金の不足国にこのオイルダラーが公的な機関を通じて流れるようにという方向で世界の国々とともに努力をしてきたと思っております。  しかし、結果におきまして、非常に莫大な金額が公的な資金に、石油生産国がきわめて大きな金額を協力できるということもなかなかむずかしい、やはり主要先進国と同じような立場で協力をするというようなことになってきつつあるように見ておるところでございまして、その点につきまして、なお一層、国際金融の面でIMF等を通じたオイルダラーの活用ということに、今後とも世界全体として努力をしていただきたいというふうに私自身は考えております。
  208. 林義郎

    ○林(義)委員 日本もスリー・エンジン・カントリーズと言われるぐらいの国でありますし、この変動のときにおきまして相場が非常に上がっているというような事態から考えますと、単によその国がどうやるということではなくて、日本としても応分の協力をしていかなければならない立場にあると私は思います。  その問題はありますが、やはり何といったところで油の問題というのが世界的な問題だろう、また日本としても、ことしは少し少ないですけれども、三億キロリットルに近い油を買っているわけでございますから、この油の値段、または油によって得られたところのプロフィット、あるいは油によって得られたところのたまった資金、それの問題についてわれわれとしても十分な関心を持っていかなければならないと思います。  残念ながら、わが国には、国内にあるところの油田というのは非常に少ないわけでございますから、やはり何とかして安定を図っていくためには、日本独自としても海外にいろいろの資源開発油田を持たなければならない、それでなければ、中近東その他の諸国の油にのみ依存しておったのではどうにもならないだろう、日本経済の安定というものを考えたときには、そういった形で日本が相当な形で油田を海外に持っていくということがどうしても必要なことではないか、私はそういったふうに考えますけれども、この辺は通産大臣も当然同じふうに考えていただけるだろうと思いますが、いかがでございましょう。
  209. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま冒頭に仰せられましたオイルダラーの問題はまことに重大な問題でもございまして、われわれは、オイルダラーのリサイクルという問題もやはり考えなければならないし、同時に、今日の円の黒字とアメリカの赤字という問題、これが非常な問題でございます。  そこで、いまの油の問題でございますが、われわれといたしましては、九九・七%を海外に依存しておるという関係からいたしましても、何としてでも安定した供給がなければならない。少なくとも今日の日本は五百万バレル・パー・デー、約八十万キロリットルぐらいを毎日消費いたすのであります。これの供給を安定させますためには、自主開発という問題も一生懸命にやっておりますことは御案内のとおりでありますが、まずもって国内の油田の開発、さらにまた近隣の油田の開発、こういう点から今回のオハの油田のわきのサハリン油田なんというのは非常にわれわれは喜んでおる次第であります。同時にまた、この九州に近接いたしました大陸棚の油田、これに対しましても、もしこれが成功裏に相当なものが出ますれば、ちょうどイギリスが北海の油田によりまして今日は三分の一を自給する、三年後にはイギリスはもう油を海外から買わなくてもいいのだというほどのあの姿を見まして、われわれは今日の大陸棚問題につきましては、共同開発につきまして真剣な御審議を願っておるような次第でございます。
  210. 林義郎

    ○林(義)委員 私は一般論として、やはり日本がいろいろなところで資源を多角化していくということが必要だと思うのです。日本の近海でございますから、近海というか、これは共同開発海域でございますから、日本の二百海里の中だろう、こう思いますけれども、ここでいろいろとやっていくということもその中の一つとして取り上げるという考え方でやっていくのか。たまたま地域が狭いからやっていく、この地域でやった方がいい――地域が遠いところでも私はやはり日本としては開発をすべきだろう、こう思うのです。そこに、たまたま日本の非常に近いところにあるから開発をするということのメリットが一体あるのかないのか。特にその辺の近いところでやるから遠いところでやるよりはいいんだ――それは運搬費は違いますよ。違いますが、そういったことでなく、近いところにあるところの政治的な意義というのは一体どういうところにあるのでしょうか。これはエネルギー庁長官の方がおよろしいだろうと思いますから、お願いいたします。
  211. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 直接お答えいたします前に、一言申し上げたいのでございますが、やはり日本の経済がGNP六%程度の年率で成長していくということがどうしても必要だと思うわけでございます。そのために必要とするエネルギーは、あらゆる努力を払って確保しなければならない。ということは、一つのエネルギーあるいは一つ地域にへんぱして依存するということだけでは足りないわけでございまして、石油以外の代替エネルギーあるいは国産エネルギーも積極的に開発し、活用していくということも必要だと思います。ただ、そのような場合におきましても、石油に対する依存度というものはなかなか低減することはむずかしい。現在時点で約七三%を一次エネルギーの中で石油に依存いたしております。将来、昭和六十年度の時点におきまして、かなりの省エネルギー努力、あるいは代替エネルギーの開発をいたしましても、なお四億三千二百万キロリットル、全体に対して六五%のウエートから脱却し得ないというのがわが国における石油のエネルギー構造における位置づけになろうかと思います。  かような石油につきまして、いま近間の方がいいのかあるいは遠くてもいいのかという御指摘であったわけでございますが、私はいずれも必要だと思います。と申しますのは、世界的にエネルギーの供給が不安定化してきている、あるいは高価格化してきておるというのが一般的な現象でございます。そういった意味におきましては、今後ともOPECにその増産を期待するところが大きいわけでございますが、あらゆる努力を払って世界各地において石油開発を進めていくということは、世界経済全体の立場においても非常に必要なことだと思います。  その限りにおきまして日本の近くで開発するということは、これまた供給総量としてふやしていくという意味で、遠隔の地における供給能力の増加ということと結びつくわけでございますが、さらにわが国の立場に立って考えますと、近くにあるということはやはり緊急事態に対して対処しやすい、開発しながらもそれは備蓄的な機能も持っておるということでございまして、一方、五十四年度末を目標に九十日備蓄を進めてはおりますが、近くにある、特に周辺大陸棚において開発された油というものは、そのままが備蓄効果も持っておる、こういう意味合いもございまして、さらに近くで掘った方がメリットも大きいということになろうかと思うわけでございます。  そういったところから、御承知のように、石油開発公団における助成にいたしましても、海外におきましては現在原則として投融資率は五〇%になっておりますが、周辺大陸棚においては七〇%までを上限として投融資し得ることにいたしております。  こういった面も含めまして、全体としての石油開発の推進、特に近隣における石油開発ということは、また一段と重要ではなかろうか、かように考えるわけでございます。
  212. 林義郎

    ○林(義)委員 政策の方向といたしまして、海外石油を買ってくるよりは海外で自分で開発をした石油を持った方がよりベターであろう、さらには近隣のところにおいて石油開発した方が備蓄効果等も考えられるからいいだろう、こういうような御判断だろうと私は思うのです。  そこで、問題になっていますところの日韓大陸棚協定でございますが、実はこれはエカフェの方で調べて、この辺に有望な油田がありそうだ、いろいろお話があったのですが、尖閣列島周辺にも有望な油田がありそうだ。それからエカフェの調査ではないのですが、中国大陸もだんだんと青島の方から先の方にどうもありそうだ。一体、全体の図形としてどの辺に油の賦存状況があるのかというのは御説明できますか。  一説によりますと、これは俗説かもしれませんが、エビがとれるところには必ず石油が掘れるのだ、こういうふうな話があるのです。たとえばメキシコとかベネズエラの沖ですね。その辺というのはたくさんエビがとれるのです。日本でもこの辺から買っている。そういうふうにその辺というのはあるのだ、こういうふうな話ですが、一体、どの辺にあるのか、この辺、通産省は何か調べられたことがありますか。
  213. 古田徳昌

    ○古田政府委員 エビとの関係は明確でございませんが、世界的に見まして、現在原油の生産をしております地層は、その大部分が第三紀層あるいは白亜紀層というふうに言われております。この日韓共同開発区域を含みます沖繩から九州西側海域につきましては、先生指摘のとおり、一九六八年にエカフェがスパーカー方式による調査をしたわけでございまして、その結果、ただいま言いました有力な地層のうち、新第三紀層が非常に厚く堆積しているということが言われております。したがいまして、地質的な一般的言い方にとどまりますけれども、この海域におきましては非常に石油の賦存の可能性が高いのではないかということが言われております。現にエカフェの報告の中でも、台湾と日本との間に横たわる浅海底は、将来一つの世界的な産油地域となるであろうと期待されるというふうな表現となっております。  したがいまして、私どもとしましても、南の方が有望か、あるいは北の方が有望かということは厳密には言えませんけれども、いずれにしましても、この共同開発区域を含みます一帯が、非常に有力な産油地帯になる可能性が高いというふうに考えているわけでざいます。
  214. 林義郎

    ○林(義)委員 尖閣列島周辺とこの日韓大陸棚のところでは、どちらが確立が高いのですか。
  215. 古田徳昌

    ○古田政府委員 エカフェの調査によりますと、尖閣列島の周辺の方が北の方よりも堆積層の厚さが厚いということが言われております。ただし、エカフェの調査は先ほど言いましたようにスパーカーによります調査で、しかも出力が三万ジュールという比較的弱い出力のものでございましたので、海底下二千メートル程度までの様子しかわからなかったということが言われております。  その後、一部企業で北の方につきましての音波探査も行われておりますが、それらの結果も踏まえて考えますと、北の方が南の方より可能性が薄いとか、あるいは堆積層の厚さがエカフェの言うような形に南が厚くて北に薄くなっているというふうなことは、結論的には言えないのではないかと思っておりまして、現在のところ、私どもとしましては、あの海域一帯が全体として可能性が高いというふうに考えているわけでございます。
  216. 林義郎

    ○林(義)委員 物理的あるいは地理学的にどうだという問題がありまして、現実に話を進めていくのは、それぞれの関係の国といろいろ相談をしていかなければならない。これは人間が仕事をするわけですから当然のことでありますが、尖閣列島ということになれば、当然中国との関係も出てまいりますし、台湾との関係も無視できない問題があると私は思います。やはりそういった話し合いのついたところから現実的に解決を図っていかなければならない問題だろうと思いますし、今回のこの日韓大陸棚の問題でございますが、当委員会での御質問を聞いておりましても、やはり中国との関係あるいは朝鮮民主主義人民共和国との関係をどうするか、その辺がどうだというような御質問がたくさん出ております。  中国との関係で、日中平和条約を結ばなければならないということが毎日のごとく新聞に出ている。私は、中国との関係で早く平和条約を締結しなければならないという考え方を持っているものでございますが、やはりこれは友好親善を旨とした問題である。と同時に、伝えられるところによりますと、覇権主義条項というのがいろいろと議論になっておるようでございます。それで、中国との間の平和条約を結ぶ、これからの長いつき合いをしていかなければならない、友好親善を旨とする、こういうことでありますが、事資源の問題に関して、あるいは事経済の問題に関して日本と中国との関係を言うならば、日本資源がない国でございますから、中国のいろいろな資源を仰がなければならない国である。あれだけの広い面積でありますし、たくさんの資源を持っている。現に、石油も相当に買っていこう、こういうふうな話にしております。  では、一体中国というのはこれからどういうふうに発展していくかということも考えてみなければならないだろうと思うわけです。それは、いわゆる四人組追放の問題からいたしまして、最近のいろいろな話では、はっきりしませんけれども、中国というのはやはり一つの近代化方向というものをはっきりと方向として打ち出している。近代化方向ということになれば、日本に対して必要とするものは機械であり、技術であろう、私はこう思うのです。そういったものの交流というものをやっていくということが基本でなければならないのではないかと思うのです。そうした意味で、日本はそのほかの長い間の文化的な交流というものがありますから、文化的な交流を続けていくということは当然のことといたしまして、経済的な問題あるいは資源問題に関連して言うならば、そういったようなパターンというのが相当長く続いていくのではないだろうか、こう思うのです。  中国がほかの国に対して戦争をしかけるなどというようなことは、ちょっと考えられないだろうというふうに私は考えておりますし、そうした意味で、中国側が覇権主義というものに対して反対だということは非常に理解していい立場だと私は思うのです。日本側は、覇権主義の問題、これは宮澤三原則というのがかつて言われておりまして、まあ宮澤さん、その後何かもうそんな宮澤三原則なんて固執しなくてもよろしい、こういうふうなお考えでありましたが、その辺の考え方、日本が広い意味での経済の問題として、中国に対してあるいは日中条約に対してどういうステータスでこれから話をしていくのかということをひとつ大臣お聞かせをいただけたらと、こう思うのです。  というのは、お互いの国の話し合いというのは、中国側の言い分を一方的にのむだけでは、私はしようがないと思うのです。やはり日本としてこれから中国とどうつき合っていくんだという基本方針がはっきりしていかなければいかぬと思いますし、中国とつき合うのであるならば、その近隣諸国とのつき合いをどうしていくんだという基本的な方針というものが私はあるだろうと思うのです。私が考えていますのは、日本というのはどこの国ともとにかく平和的にやっていかなければならないということがあるだろう。それから、日本はどこの国にも攻めていくということはやらないのです。これはもう当然のことであります。そうしたような原則と、それから、日本はやはり資源がないから、資源をどこかの国に頼らなければならないというのが一つ日本の持っている宿命ではないかと私は思う。そして、平和条約というのは非常に広い意味でありますけれども、外務省当局は一体その辺を、経済外交というか、そういったものを特にこの中国との条約の問題についてどういうふうに考えておられるのか、その点の基本的なお考えを承りたいと思います。
  217. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 ただいま中国との間に、特に経済的な面の関係をどう認識して、今後日中友好親善を進めてまいる基本的な考えはどうか、こういうお話でございます。また、平和友好条約につきましてのお話もあったわけであります。  私ども、中国との正常化と申しますか、共同声明以来五カ年を経過いたしまして、きわめて順調に発展をしてきておると考えておりますし、また、経済的な面におきましては、これは日本の経済界も中国との交流の度をますます深めていきつつある。そして、日本と中国とは大きな意味で補完関係にあるということもおっしゃるとおりであるということで、経済的な面におきまして今日何らの不安もないし、きわめて円滑な方向に向かって行きつつある。ただ、貿易額等が昨年度は一時減少いたしました。相当な、二割程度の減少をいたしたわけでありますが、ことしは恐らくそのうち一割くらいは回復するであろう、こう見ておるわけでございまして、経済界の交流、また経済面におきます今後の日中間の発展は、私は大いに期待をしてよろしい関係であると思っております。  条約の問題につきましては、かねがね申し上げておりますように、なるべく速やかに両方の満足し得る形で締結をいたしたい、こういうことで申し上げているわけでございます。そういう意味で、いま林委員のおっしゃいました特に油の問題につきましては、日本と中国はこれまた大変大事な関係にあり、また、日本からの技術なり設備なりの供給ということも両国のためになることであるというふうに理解をいたしております。
  218. 林義郎

    ○林(義)委員 日韓大陸棚の問題で中国からいろいろ抗議が出ておる。実は私も、四月八日の日に外務委員会で質問をさせていただきました。そのときにも外務省当局からお話がありましたが、この前国会で条約が承認をされました後におきましてどういうふうに反応があり――私はどうも野党の先生方のお話を聞いておりますと、率直に申し上げて、もう少し外務省も積極的にPRをし、積極的に説明をし、誤解を解くような努力が欠けておったのではないかという印象を受けたわけであります。それで、やはりお互いの関係をうまくしていくためには、単に事務当局とかなんとかというものだけでなくて、外交は内政と申しますから、国内向けの話も私は一つ必要だろうと思うのです。ですから、こういった機会を、国会の場をかりてでもいいから、、日韓大陸棚条約に関するところの日本のステータスはこうだということを、一体なぜそれができないのかというのが、この前もお話が、当時は大森政府委員だったと思いますが、御説明がありましたが、その後におけるいろいろな問題を踏まえて、どういうふうなことをとってこられ、また、外務省としては将来に対してどういうふうな見通しを持っておられるのか、その辺についてお答えをいただきたい。
  219. 中江要介

    ○中江政府委員 日韓大陸棚協定につきまして、国会の御承認を得ましたのが六月八日だったと思います。それで、私どもといたしましては、この協定の承認を得るまでの間にも、ずいぶん何回も中国側に、この協定がなぜ日本にとって必要であるか、そのときには、いま林委員も御指摘の、日本は中国と違って資源が非常に乏しい国であるし、また乏しいにもかかわらず、これを大いに必要とする国なのである、そういうことであるので、この東シナ海の大陸棚石油資源をそのまま置いておけばいいじゃないかというわけにいかぬのだ、できるだけ早く開発しなければならないという事情があるということも御説明し、また、この地域については、何度も申し上げておりますように、中国の主権を害さないように、侵さないように細心の注意を払って測量し、境界を一応決めて、そして共同開発区域ということで、韓国との間でのみ処理し得る部分を処理したものだということを何回も説明してきましたけれども、十分な御理解を得ないままに協定の承認ということになりますと、これはやはり中国に対してはいままでの経緯もありますので、さらに重ねて説明をしなければならないということで、協定の通りましたすぐ翌日、つまり、夜遅く御承認を得ましたその翌日の朝に、在京中国大使館の担当の参事官に、本件について国会の承認を得たその経緯、その必要性その他について御説明したいということで会談を申し入れたわけですが、その日の午後まで返事を待ってくれ、午後になりますと、今度はいますぐいつということは言えないので、しばらくこちらから御返事するまでお伺いできないということで待たされておったわけです。  待たされておりますうちに、六月十三日に中国外交部声明といいまして、御承知のとおりの非常に強い調子の外交部声明が出された。その辺がどういうわけでそういう経過になったのか、われわれの言い分も十分聞いてもらえてもよかったのではないかという気持ちはもちろんあるわけです。非常に残念なことだと思うのです。しかし、そういう外交部声明が出ました以上は、やはりその外交部声明というものがどういう背景と意味があるかについては、私どもも外交の一般の国際慣行から見まして、それがどういう位置づけであるかということも冷静にこれを分析いたしまして、これに対する対応の仕方というものは、当然真剣に考えておったわけです。  北京におきましても、そういうことで、日本側の立場を中国に説明する機会というものをずっと求めておりましたけれども、これは通常の国の場合と違いまして、やはりお国柄の違いもあると思うのですけれども、そう簡単に出入りして話をするということの許されない、制度的に違った国柄であるものですから、なかなか外交ルートで思ったような迅速な行動がとれなかったことは、これまた遺憾なことだと思いますけれども、そのうちに、六月二十八日、とある機会にわが外務省幹部と在京大使館幹部とが話し合う機会がございまして、そのときに、いままで申し上げましたことと、さらに、協定が国会の承認を得た、これは日本の憲法に従いまして締結した条約は事前または事後に国会の承認を得なければならない、これは憲法上の行政府の義務である、その義務を果たしたところ、国会で御承認を得た、そうなりますとまた、憲法上の義務といたしまして国際約束は遵守しなければならないという日本の立場というものもあるわけでございまして、そういったところを中国側には十分説明しておるわけでございますけれども、実際問題として、それ以上に突っ込んで、それじゃこれはどうだというふうに中国側から話をさらに続けるような姿勢をとっていただけないままに今日に至っているというのが、協定承認後の外交経路における本件についての進展ぶりである、こういうことでございます。
  220. 林義郎

    ○林(義)委員 日韓大陸棚は、日本韓国との間にある海ですが、同時に、中国との間にあるところの海でもあるわけです。私も、この八月に朝鮮民主主義人民共和国を訪問いたしましたが、そこでもやはり漁業の問題がある。黄海と申しますか、東シナ海というか、この東シナ海をどう使用するか、また、東シナ海の利益をだれがどういうふうな形で享受するかということは、私は、基本的にはやはり関係国が集まって相談をして決めるというのが一番いいことだろうと思うのです。長い伝統もありますし、長い歴史もあります。漁業にいたしましてもそうでありますし、そのほかのものについても、単に理屈で、おまえのところの国境はここまでだとか、中間で引くのがよろしいなどとかいうことでなくて、基本としてはこの四つのところで話し合いをやっていくというのが一番の姿勢だろうと思うのです。ところが、なかなかそれができない。韓国との間においてまず話し合いができてやっていこう。  私が懸念されますのは、もしも韓国との間で条約を結んだことによって中国の権益を侵害している、という事実を日本側は認めておられないだろうと思いますが、これは議論の問題だろうと思うのです。議論をしていって、話し合いをしていってやったときには、改めて韓国と三者集まって話し合いをするか、日本韓国に対して話し合いをするか、そういったようなことというのは、いずれの国とも仲よくしようという日本の基本的な姿勢からすれば、私は、今回一遍決めたから子々孫々永久に日韓大陸棚条約は変わらないなどと言ってがんばることは必要ないと思うのですけれども、姿勢としては、この条約をやったことによって中国のステータスを害するようなものではない、あるいは中国が韓国よりは何かマイナーなもの、インフェリアーなものであるというふうなことではないというふうに私は考えるのですけれども、全く同じような立場においてこれからやっていく、話し合いができれば、またそれで内容を変更することもあり得るというふうに考えていいんだろうと思いますが、その辺はいかがでしょう。
  221. 中江要介

    ○中江政府委員 これもこの協定の御審議をいただきましたときに申し上げておりますとおり、この協定は、きわめて注意深く、かつ慎重に境界の画定の作業をいたしまして、いささかも中国の主権を侵害していないということを確信いたしましたればこそ、御承認を求めたということでございます。しかしながら、残念なことに、韓国と中国との間では境界画定の話し合いが行われていない、また、現実に行われ得る事態でないために、将来韓国と中国との間で境界画定の話がありまして、あるいはまた、そこに日本も加わって三国で話が行われるというようなことになりますれば、これは日本としてもそれが一番いいと思っておりますし、中国もそれが一番いいと言っておるわけですので、これは韓国と中国とさえその気になればいつでもできることなんですが、いろいろの事情でまだできないというだけのことですから、それが実現いたしますれば一番いいわけですし、それに積極的に参加して貢献する用意があるということは言うまでもございません。  そしてまた、その結果、この境界線について日、韓、中の間でめでたく三者の合意する境界ができて、それがたまたま今回の協定共同開発区域の線引きと微調整を要する、あるいはどこかを修正する必要があるというときにはどうするかというと、これは言うまでもなく新しく合意されたものによるべきでありますし、その余地を残すために、わざわざ協定の第二十八条に一条を設けまして、この協定共同開発区域の規定はいかなる意味でも境界画定を決定するものでもないし、また、大陸棚主権的権利の主張についての立場を害するものでもないということで、国際法上の立場及びそれに基づく将来の最終的な境界画定の余地というものを注意深く残してある、そういうところからも私どもの姿勢を御推察いただけるかと思います。
  222. 林義郎

    ○林(義)委員 そこで、通産省にお尋ねしますけれども、そういうふうな境界画定をすると、五十年の権利を与えてあるわけですね、どこかの会社にやらせるということでしょうけれども、今度そういった政府間の話し合いが変わってきたときに、民間の会社の持っているところの利権というものがありますが、この利権の方は一体どういうふうな形で修正をするという形になるのでしょうか。
  223. 中江要介

    ○中江政府委員 協定の適用上の問題といたしましては、それぞれの会社、企業開発権を認めるに当たりましては、協定にございます小鉱区、小さい鉱区に分けておりますが、その小鉱区に即してそういうことを認可しておるわけですから、もし共同開発区域の大きな境界について変動がありましたときには、それに伴って小鉱区の修正というものが行われることによって実際的な解決ができるんじゃないか、こういうふうに思います。  ただ、先生のおっしゃいますのは、もっと根幹的に、共同開発という発想ではなくて、そのもとにある大陸棚に対する権利主張の範囲が変わった場合ということならば、これは私どもの考えます限り、いまの国際法あるいは海洋法秩序が新しく確立されましても、この地域についていまの共同開発区域が基本から覆るような、そういう新しい大陸棚制度が生まれるということは全く予想しておりません。したがいまして、中国との関係で日、韓、中の間で新しい境界を画定するという事態が参りましても、それはいまの共同開発区域で前提としております中間線あるいは自然延長の範囲というものを大きく修正しなければならない事態というのは予想されない、こういう考えでございます。
  224. 林義郎

    ○林(義)委員 そうではなくて、共同開発区域というものを設けたわけなんですね。二国間の共同開発区域でありまして、その共同開発区域を分区いたしまして、それぞれの区域で開発権者というものを認めたわけです。開発権者はそれぞれにまた下がって採算にのっとって企業活動を営む。今度新しい情勢が出てきまして、条約ですから政府政府で話をするわけですけれども、その政府政府で話をしたときに、政府の方でどうしてもこうしなければならないという形になったときには、いままで掘っておったところの石油掘削会社が掘れなくなるような場合とか、あるいは鉱業権を放棄しなければならないような場合というものは、先ほどの御説明であれば想定されるわけですね。そういった場合には、それは新しい協定としてまたそのときに、たとえばその石油会社に対する補償の問題であるとかどうだということを日本政府がやっていく、こういうことになるというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  225. 中江要介

    ○中江政府委員 私が申し上げております新たに中国とあるいは韓国と話し合って最終的な境界を画定するというその意味は、境界を画定するだけでございます。したがいまして、その境界が画定されたその中でどういう開発の仕方をするかというのは、これはまた別の問題でございますから、いまの日韓大陸棚協定の対象になっている地域は、恐らく日中間で話し合いをいたしましても、結局日韓間で話し合う部分に残される部分である、そういうことでございますので、結果としては同じことになる。  ただ、その境界を大陸棚の境界としてどこに画定するか。もっと具体的に言いますと、日中の中間線、韓中の中間線というものが国際的に画定するでありましょう。そして今度は、日韓間の中間線は画定するかといいますと、これはもうこの協定を交渉しましたときと同じ議論になりまして、自然延長論と中間線論ということに戻るわけです。ですから、この地域をどうするかということはもっぱら日韓間にゆだねられてしまうので、結果としては変わりはないんじゃないか、こういうことを申し上げているわけでございます。
  226. 林義郎

    ○林(義)委員 線引きの話でしたら私はそういうことだろうと思うのですけれども、お互い共同でやろう、こういうふうな話になりますと、私はいろいろなバラエティーがあるんだろうと思います。私は、バラエティーが出たときには、やはり日本政府としては現実に線を引いて、ここはおまえのところで、ここはこういうふうな鉱区で、ここの共同権者がこういうふうにしてやりますというふうに決めるのですから、それと違ったような話し合いがあるということは――線引きの話はまさにおっしゃるとおりかもしれませんけれども、線引きをしないで、一緒になってやりましょうとか、共同の鉱区でやりましょうとか、共同の会社をつくってやりましょうというような話になるときには、やはり新しい問題が出てくるし、場合によりましたならば、いままでの既存の会社をやめてもらって新しい会社でやりましょうというような話も、これは想像の問題ですけれども、論理としては出てくるのではないかということだけを申し上げているのです。  先ほどお話しの、要するにいつでも話し合いはするんだということであるならば、条約の方の問題ではなくて、今度はこちらの法律の方の問題として鉱業権を一遍付与しました、付与した鉱業権は五十年間ほど続きます、こういうふうにいっているのですから、それを途中で変更することになったら、鉱業権に対する収用の問題とか変更の問題というのは出てくるんだろう、それはそのときに法律でもって補償か何か書くんだろう、こういうことですねということを申し上げているのですが、いかがなんでしょう。
  227. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 今後の交渉のあるいは話し合いの発展経過と申しますか、それによる組み合わせの問題としていろんなケースが出てくるのではなかろうかと思います。ただ、林委員の御指摘の点は、いまの区域に余りにも固執した場合に話し合いが進まないのじゃないかという御懸念からの御指摘でもあろうかと思うわけでございますが、今後の話し合いあるいは交渉の結果としてどういうことになるかというのを踏まえて、われわれとしてもその対応を考えるべきではなかろうか。いまの時点において、御指摘は御指摘として承っておきますが、この段階でどうするこうするということは申し上げづらい点があるということをお含みいただきたいと思います。
  228. 林義郎

    ○林(義)委員 私も、いまこの時点で架空の話を申し上げてどうだと言ったところでしようがないですから、そういうことではないのですけれども、論理としてはどうもそういった問題が出てくる可能性はあるということではないかと思うのですということと、次の問題として、先ほど申しました朝鮮民主主義人民共和国との話であります。  これは中国との関係とは大分関係は異なっている。一方は国交がありますし、一方は国交がないということでもあります。ところが、朝鮮民主主義人民共和国の方からは、「この協定が「チョソン人民の利益に全面的にそぐわず、我が国の自主権と利権を侵害するものである。」」こういうふうな非難をしておられるのですが、この非難に対しては、外務省はどういうふうに考えておられるのですか。
  229. 中江要介

    ○中江政府委員 大陸棚に対する主権的権利の主張という観点からいたしますと、中国の場合とは基本的に違っておりまして、日本考えている国際法上の立場からいたしますと、北朝鮮の言っておりますことには全く根拠がない、こういうふうに思います。  それはどういうことかと言いますと、日本韓国との間で国交正常化いたしまして、いろいろの協定を結びました。その中に、御承知のように、日韓漁業協定もございます。     〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕 つまり日本は、韓国との間に漁業協定を結びまして、韓国の支配している地域の沿岸及び沖合いの漁業についての取り決めをして、そして円滑な漁業活動をしておるわけです。そのこと自身は何ら北朝鮮とは関係のないことでございまして、御承知のように、今度北朝鮮が設定したと伝えられております二百海里の経済水域も、大体北の部分に限って設定しておる。  そういうところから見ましても、また、一九七二年の七月四日の南北共同声明から見ましても、いまや朝鮮半島が北と南とで実効の支配が分かれている。それぞれ北と南に分かれて実効支配されているという現実についてはおよそ疑いがない。また、当事者である南も北も、一応それを前提とした上で平和的統一を希求している。こういう現状から見ますと、現実に大陸棚開発をいたしますときに、その大陸棚の延びているもとになっております領海、その領海を実効支配しておりますこの場合は韓国との間で日本が話し合うことには国際法上何らの疑念も問題もない、こういうことでございますから、その部分を北朝鮮の方でいろいろおっしゃいましても、それは別な観点からの御議論であって、いまの国際法のもとで日本及び韓国が主張している、そして取り決めたことの国際法上の効力には何の影響もないことである、こういう認識でございます。
  230. 林義郎

    ○林(義)委員 朝鮮民主主義人民共和国との間の話というのは、国交がないのですから、外務省当局がやれる話でもありませんし、向こうは一方的にこう言うし、日本も一方的に日本側の国際法上の立場あるいは国際法上の日本考え方を主張するにとどまるのだろうと私は思うのです。  そこで、そういった関係がいろいろあるし、当面相手になるところの日韓大陸棚の相手国である大韓民国、この国は、日本はさておきまして、アメリカでは大変に問題になっておりまして、金炯旭氏の問題その他の問題がたくさん新聞をにぎわしておるようなことでもあります。     〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕 やはりお互い民主主義国家としてきれいな政治をやっていかなければならないということは確かなことでもありますし、私は、韓国日本の一番隣にありますから、普通でありますならば一番仲よくしていかなければならない国だと思うのです。そうした国がそういった疑惑の対象になり、あるいは日本の友好国であるアメリカの国内においてまたそういうふうなことが出てきておるというのは大変に遺憾なことだと私は思いますし、日本としても、大韓民国の友好国としてやはりその辺は正すべきものは正すように言ってあげることが正しいあり方だろう、こう思うのです。  そこで、これは日本の国内でもいろいろと野党の諸君その他の方から言われている問題なんですね。そうしたときに、やはりいまから考えていかなければなりませんのは、私は、日本韓国とは確かに仲よくしていかなければなりませんが、やはり疑惑の種をますます深めるような行動を日本はとってはならないことだろう、こう思うのです。疑惑というのはいままでいろいろなことがあったということに対する疑惑でありますが、そういった疑惑が生じたならば、その疑惑云々というものを明らかにする。同時に、やはりこれからないようにやっていかなければならない。それはいろいろな形ですぐに経済協力をやめるとかなんとかということではなくて、経済協力のあり方なりその他いろいろな協力関係におきまして、いやしくも疑惑の生ずるようなことがないようなシステムというものを考えていくことが必要ではないだろうかと私は思うのです。  その辺は、いや、われわれとしては、いままでも少しくもおかしくないんだから、いままでどおりやっていくんだというふうに考えてやっていくおつもりなのか、やはり何か考えなければならないというふうにお考えになるのか、外務大臣、この辺の問題について一体どういうふうにお考えになっていられるのでしょうか。
  231. 鳩山威一郎

    ○鳩山国務大臣 国会の御議論におきまして、日韓関係につきましていろいろ疑惑があるのではないかというような御指摘があったわけでありまして、これにつきまして、私ども、その事実がどうであるかということにつきまして、真相の把握というものが十分できないでいるわけでございます。  しかしながら、今後の日韓関係、これはもう一衣帯水の間にあるわけでありまして、日本の最も近い国である、そして日本と歴史的な関係が最も深い地域であるわけでありますし、日本韓国との間の友好関係、これが壊れるようなことがあってはまたお互いの国民が非常な苦労をするということで、今後とも正しい日韓関係を打ち立ててまいらなければならない。そういう意味におきまして、先般、日韓定期閣僚会議の折におきましても、私の方から、過去にどのような事実があったかということは明らかでありませんけれども、しかし、今後はいやしくも国民にいろいろな疑惑のような疑いをかけられないように姿勢を正してまいるべきであるということを申し上げたわけでございます。  そのために、あるいは従来からの経済協力関係のやり方につきましても、何かそういうシステムがないかという話でございますが、私どもは、現在行われておりますプロジェクト援助と申しますか、こういったことが大変時間がかかるということもありますし、また、一般の企業といいますか、民間企業を通じますので、その間に日本の国内でもいろいろな商慣習というようなものもあり、そういったことでなかなか真相の把握がむずかしい。しかしながら、私どもといたしまして、今後これは本当にガラス張りの中で行われるような、そういった心がけでまいりたい、このように考えておるのでございます。
  232. 林義郎

    ○林(義)委員 いわば疑いをかけられた人と一緒に仕事をするというのが今回のむずかしいところだろうと私は思うのです、正直申しまして。そこで、大臣からも御答弁がありましたように、疑惑をかけられないようなシステムというものをいろいろと考えていくということが大切なことだろう、私はこう思います。  そこで、これはこの前外務委員会のときにお尋ねしたのですが、掘った石油の分配は半分ずつ取る、こういうことですが、その半分ずつというのは一体どういうふうな基準で半分ずつにするかということです。油というのは液体ですから、升ではかって半分ずつ、水をはかって半分ずつにするようにしてもいいのです。しかし、そう簡単なものではないと思うのです。年間ではかって半分ずつという形にするのか、月間ではかって半分ずつにするのか、あるいは五十年というタームで半分ずつというふうに考えておやりになるのか。半分半分というふうな形で分けるという話だが、どういう基準で半分半分にされるのですか。というのは、あれは出る量が、十年でやるとなれば、大体一千万キロリットルか二千万キロリットルぐらいでしょう。二千万キロリットルの半分をどういうふうな形で――毎年毎年やる、こういうことですか。
  233. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まだそこまでのなには固まってないと思いますが、一つ考え方は、共同事業契約を結ぶわけでございますから、その中で実情に即した分配の方法をとるのじゃなかろうかと思います。  ただ、申し上げておきたいのは、金額ベースじゃございませんで、石油あるいは天然ガスの数量ベースで折半ということになりますから、ある場合一日交代で持っていくとかあるいは一週間単位だとかといった、それは両当事者の話し合いでフィージブルなものとして、しかも折半の原則に反しないような範囲内で両当事者がまず話し合いをつけるのではなかろうか、かように思います。
  234. 林義郎

    ○林(義)委員 その議論をする前に、三億キロリットルぐらいの埋蔵量があるというお話と、七億キロリットルぐらいあるという話と二つあるのですが、いずれが正しいのでしょうか。
  235. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石油及び可燃性天然ガス審議会での試算によりますと、沖繩から九州にかけましての西側海域での究極可採埋蔵量が六億八千二百万キロリットルという一つの試算がございます。ただし、これにつきましては共同開発区域につきましての計算を行っておりませんので、私どもの方でこの審議会の試算をもとにしまして一応幾つかの前提を置いて試算をしてみたわけでございますが、その結果によりますと、当該共同開発区域には、六億八千二百万キロリットルの究極可採埋蔵量のうちその半分強の三億七千六百万キロリットルの可能性があるという一つの試算がございます。     〔山崎(拓)委員長代理退席、委員長着席〕  それからなお、究極可採埋蔵量でなくて、貯留岩中の炭化水素量、いわば原始埋蔵量としてのとらえ方をいたしますと、同様に私どもの試算としまして、この共同開発区域に限定した場合でも七億二千二百万トンの埋蔵量の可能性があるという試算がございます。
  236. 林義郎

    ○林(義)委員 究極可採埋蔵量というのは、全部掘り尽くしたならばというものでしょう。普通にはやはり三億七千万を使った方が、その半分ぐらい見た方が私は大体当たっているのじゃないかと思います、現実に油がとれるということでしたら。どうなんでしょう。
  237. 古田徳昌

    ○古田政府委員 生産量との関係考えました場合には、御指摘のとおり、究極可採埋蔵量というとらえ方の方が妥当ではないかと思います。
  238. 林義郎

    ○林(義)委員 そうしますと、三億七千万キロリットルぐらい。これを五十年で掘るということになると、五十年じゃ非常に少なくなってしまうのですけれども、ざっと十年で掘るというのが私は常識的な考え方だろうと思うのです。そうすると、三億七千万を十年で割りまして三千七百万キロリットル、それを半分に分けまして、千八百万キロリットルぐらいのものが来る、ということだろうと思うのです。  私がなぜそんなことを言いますかというと、これは日本側としては内国貨物、輸入ではない取り扱いになるのだろうと思うのです。韓国側の取り分を日本が買うということも考えられるわけです。韓国側の取り分であるから必ず韓国で消費しなければならないなどというのは条約のどこにもないはずです。当然、日本側の取り分というのは日本側開発権者の取り分であって、日本に必ず持ってこなければならないということも書いてないと思うのですが、日本に持ってくる場合には、日本側の取り分については内国貨物ですから関税がなしということになるし、韓国側の取り分については関税を払って日本に持ってこなければならない、こういうことになるのだと思いますが、そのとおりでしょうか。
  239. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まさに林委員指摘のとおりでございます。
  240. 林義郎

    ○林(義)委員 そうしますと、そこで手続的にも非常にむずかしい問題が出てくるし、ではこれは税金が要らないのだとか要るのだとかということは、先ほどの話だと全く会社のお互い同士の話し合いによって税金を払ったり税金を払わなかったりするという事態が出てくると思いますが、そういうことになるわけでしょうか。
  241. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のようなことにならないように両者で折半の話し合いをつける、当然こちらとしても共同事業契約許可にひっかけておるわけでございますから、その段階で御指摘のことがないようにチェックは十分できると思っております。
  242. 林義郎

    ○林(義)委員 そこで、もう一つ申し上げますと、いま簡単なことで質問しましたが、先ほど、要するに備蓄効果があるというお話がございました。備蓄効果の一番あるのは、私は石油を掘らないで井戸をとめておくことだろうと思うのです。それは一番備蓄効果があるのです。ふたをしておけば一番いいわけでありまして、いざ一たん緩急のときにそのふたをあけて持ち出すというのが一番よろしい。そうしたときには、六カ月くらいとめておくぞということになりますと、日本側はふたをとめておく、あるいは韓国側はふたをとめておくというふうな話になりましたときには、一体どういうふうな計算をするのかという問題がありますが、これはやはり政府許可の段階で話をつけるし、それから韓国側とも恐らくその辺は事務的には交渉されて決められるのだろうと思いますが、そういうことでしょうか。
  243. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 備蓄効果と申し上げたのは備蓄的効果でございまして、ずばり備蓄という意味ではございません。たとえば、二十日も二十五日もかかって遠くから運んでくるという場合には、将来どのような問題が発生するか、国際情勢が非常に流動的でもございます。そういった意味で備蓄的効果というふうに申し上げたわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、御承知のように、エネルギーというのはリードタイムが非常に長いわけでございます。直ちにこれを着工いたしましても、商業生産に入るまで八年ないし十年かかる。現に昨年の九月から商業生産に入っております阿賀沖の例をとりましても八年半かかっておる、そういったことでもございますので、あわせて申し上げておきたいと思います。
  244. 林義郎

    ○林(義)委員 今度この法律を私ずっと見ておりまして、どうしてもこの法律が必要かどうかという問題は、実は私の党の中でもいろいろと議論のあったところなんです。そして、正直に申し上げて、果たして法律が要るのかどうか、いまの話だって許可の条件でやる、あるいはいろいろな運用でやります、こういうふうな話です。そういったときに、この法律をどうしても出さなければ困るという問題は、運用ではできないという問題は――日本鉱業法では、鉱業権外国法人に対して与えてはならない、日本国民日本国法人でなければ与えてはならない、ただし、条約の定める場合はこの限りではない、こう書いてありますが、外国法人に与えることは、条約で定めをすればできるのですから、今度の条約で書いておけば私は一つできたのだろうと思うという議論があるんです。その議論と、たとえばもう一つの議論は、外国法人と共同の人に与えたところで、それは鉱業法上瑕疵のある行政行為をしたということになる。日本人に与えなければならないと書いてあるのに外国人に与えた、外国人と共同の人に与えた、それは本来的に行政行為として無効な行為ではなくて取り消すことのできる行為である、こう思うのですけれども、そんなことを与えておいてもあとは通産省の有名な行政指導でやればやってやれないことはないじゃないか、こういう議論が実はあるんです。  法律論としてどうしてもこの法律を書かなければならなかったというところは、どうもいま申し上げたような二点、あるいはもう一つ採掘義務と申しますか、必ず掘らなければならないということを書いたところにあるんじゃないだろうか、こう思うのです。採掘義務なんというのは、どうせ掘る会社が決まれば掘らしておけば掘るんじゃないかというふうに考えられるんですけれども、その辺は一体どうしても法律が必要だったというところはどこなんでしょう。
  245. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 現在審議いただいておるいわゆる特別措置法案がなぜ要るかという点でございますが、大体いま林委員から御指摘のあったような点でございます。  第一点は、現行のわが国鉱業法におきましては、日本人あるいは日本法人しか鉱業権が与えられない。それから第二点につきましては、共同開発を担保するためのいわゆる共同事業行為あるいはそれを実施するための契約といったようなものに対して法的担保を与えたい。それから三つ目は、いわゆる公正な掘削義務だとか鉱区放棄義務だとか、あるいは着工義務といったような義務を法的に担保したい、かようなことになろうかと思います。  特に、鉱業法につきましては、いま申し上げたようなところから、韓国側は海底鉱物資源開発法に基づいて租鉱権の設定をいたしておるわけでございますが、共同開発地域鉱業法に基づく鉱業権なくして韓国側の租鉱権者試掘なり採掘をやるということになりますと、やはり鉱業法の違反状態が発生するということもあるわけでございます。そういったところから、われわれといたしましては、鉱業法の運用ではまいらない、やはり協定実施するためには特別措置法が要る、かような観点に立って御審議をお願いいたしておるわけでございます。
  246. 林義郎

    ○林(義)委員 私がなぜこんな学生の言うような法律論を出したかといいますと、一つには、やはり掘ってもらわなければならないという要請がある。これは最初に申しましたところの日本石油がないという問題、エネルギーがないという問題、そのためにはどうしてもやってもらわなくてはならないということですから――私はこの前から議論があった中でどうもちょっといただけない議論というのか、よくわからない議論がありましたのは、これに対しては石油開発公団融資をすべきでないという御議論がありました。私は逆に、まさにこの問題こそは日本が一番近いところにあって一番やれるんだから、日本のコントロールの及ぶようなところを日本法人で全部やって、全部日本がいつでも負担ができるとかいろんな形でコントロールのできるような油にこの大陸棚はしておくべきだろう、こう思うのです。そのためには許可の方も非常にがっちりやるし、それから何だったら融資もして、融資の条件をびっしりつけて、がんじがらめに会社を縛ってやった方が私は所期の目的が上がるだろうと思うのです。当委員会では、大分前に、石油開発公団法の改正のときに、何か紛争処理局というふうなことでやっておられたという話がありました。普通確かに紛争処理局で、紛争なんということがあって戦争をやっているときにやるというのは、私はそれはちょっと問題だろうと思います。しかし、日本のナショナルインタレストとしては、やはりこの石油はぜひ持って帰らなければならない。持って帰るためには、いろんな形でもって日本政府なり日本の国のコントロールがきくようなものにやらせるのが筋ではないか、私はこう思うのです。通産大臣の御見解を伺います。ひとつ大臣からその辺につきまして、この前の御答弁はどうも余りはっきりしてなかった答弁ですから、ひとつはっきりした御答弁をいただきたいと思います。
  247. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま先生のおっしゃったとおりでありまして、われわれといたしましては、何しろ自主開発というもの、あるいはDD、GGといったようないろんなことを進めておりますが、やはり仰せのとおりに、そういうふうな手近なところに持っておるということは一番将来の問題についての安定感がある、こういうふうな気持ちは当然でございます。
  248. 林義郎

    ○林(義)委員 まだ質問をしたい点が少しあるのです。先ほどお話がありましたフィリップ、テキサコ、シェル、それぞれの問題と一体どういうふうな形でコントロールしていくかというのが、私は一番大きな問題だろうと思います。  しかし、大分時間もたっておるようでございますし、質問を留保させていただきまして、私のきょうの質問はこれで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  249. 野呂恭一

    野呂委員長 次回は、来たる四日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十六分散会