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1977-11-01 第82回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月一日(火曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 橋口  隆君    理事 林  義郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 上坂  昇君    理事 佐野  進君 理事 松本 忠助君    理事 玉置 一徳君       稲垣 実男君    鹿野 道彦君       粕谷  茂君    藏内 修治君       佐野 嘉吉君    島村 宜伸君       田中 六助君    辻  英雄君       中西 啓介君    楢橋  進君       西銘 順治君    萩原 幸雄君       前田治一郎君    渡部 恒三君       渡辺 秀央君    岡田 哲児君       小林  進君    後藤  茂君       清水  勇君    武部  文君       中村 重光君    野坂 浩賢君       渡辺 三郎君    長田 武士君       玉城 栄一君    西中  清君       宮田 早苗君    工藤  晃君       安田 純治君    大成 正雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 鳩山威一郎君         通商産業大臣  田中 龍夫君  出席政府委員         外務省アジア局         長       中江 要介君         外務省アジア局         次長      枝村 純郎君         外務省条約局外         務参事官    村田 良平君         大蔵政務次官  高鳥  修君         水産庁次長   恩田 幸雄君         通商産業政務次         官       松永  光君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業省立地         公害局長    左近友三郎君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         資源エネルギー         庁次長     大永 勇作君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君         自治大臣官房審         議官      福島  深君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十九日  辞任         補欠選任   佐々木義武君     稲垣 実男君 十一月一日  辞任         補欠選任   田中 六助君     佐野 嘉吉君   板川 正吾君     野坂 浩賢君   武部  文君     小林  進君 同日  辞任         補欠選任   佐野 嘉吉君     田中 六助君   小林  進君     武部  文君   野坂 浩賢君     板川 正吾君 同日  理事橋口隆君同日理事辞任につき、その補欠と  して林義郎君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十月二十八日  電気工事士法改正に関する請願石田博英君  紹介)(第六九七号)  同(近藤鉄雄紹介)(第七三一号)  同(住栄作紹介)(第七三二号)  同(稻村左近四郎紹介)(第七四二号)  同(小渕恵三紹介)(第七四三号)  同(川崎秀二紹介)(第七四四号)  同(瓦力紹介)(第七四五号)  同(藏内修治紹介)(第七四六号)  同(小坂善太郎紹介)(第七四七号)  同(坂本三十次君紹介)(第七四八号)  同(鈴木善幸紹介)(第七四九号)  同(砂田重民紹介)(第七五〇号)  同(田中伊三次君紹介)(第七五一号)  同(田中六助紹介)(第七五二号)  同(田村元紹介)(第七五三号)  同(中西啓介紹介)(第七五四号)  同(野呂恭一紹介)(第七五五号)  同(松野頼三君紹介)(第七五六号)  同(三塚博紹介)(第七五七号)  同(箕輪登紹介)(第七五八号)  同(森喜朗紹介)(第七五九号)  同(森下元晴君紹介)(第七六〇号)  鉄線二次産業危機打開に関する請願荒木宏  君紹介)(第六九八号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第六九九号)  同(東中光雄紹介)(第七〇〇号)  同(正森成二君紹介)(第七〇一号)  同(三谷秀治紹介)(第七〇二号)  同(安田純治紹介)(第七〇三号)  鉄骨加工業者経営安定化に関する請願河本  敏夫紹介)(第七四一号) 同月二十九日  繊維産業の安定及び流通産業近代化促進に関す  る請願外二件(西田八郎紹介)(第八一六  号)  同外一件(河村勝紹介)(第八五二号)  同(小宮武喜紹介)(第八五三号)  同(宮田早苗紹介)(第八五四号)  同外一件(受田新吉紹介)(第九四五号)  同外一件(春日一幸紹介)(第九四六号)  同外一件(塚本三郎紹介)(第九四七号)  同外一件(山本悌二郎紹介)(第九四八号)  同外七件(稲富稜人君紹介)(第九九九号)  同外一件(佐々木良作紹介)(第一〇〇〇  号)  同外一件(渡辺朗紹介)(第一〇〇一号)  同(曽祢益紹介)(第一一七四号)  同外七件(吉田之久君紹介)(第一一七五号)  電気工事士法改正に関する請願古井喜實君  紹介)(第八一七号)  同(渡部恒三紹介)(第八一八号)  同(石井一紹介)(第一一五一号)  同(小沢辰男紹介)(第一一五二号)  同(近江巳記夫紹介)(第一一五三号)  同(片岡清一紹介)(第一一五四号)  同(金子一平紹介)(第一一五五号)  同(木野晴夫紹介)(第一一五六号)  同(北川石松紹介)(第一一五七号)  同(櫻内義雄紹介)(第一一五八号)  同(塩川正十郎紹介)(第一一五九号)  同(園田直紹介)(第一一六〇号)  同(玉生孝久紹介)(第一一六一号)  同(戸沢政方紹介)(第一一六二号)  同(中山正暉紹介)(第一一六三号)  同(永田亮一紹介)(第一一六四号)  同外一件(灘尾弘吉紹介)(第一一六五号)  同(野田毅紹介)(第一一六六号)  同(林義郎紹介)(第一一六七号)  同(原田憲紹介)(第一一六八号)  同(前尾繁三郎紹介)(第一一六九号)  同(森喜朗紹介)(第一一七〇号)  同(矢野絢也君紹介)(第一一七一号)  同(湯川宏紹介)(第一一七二号)  同(渡辺栄一紹介)(第一一七三号)  鉄骨加工業者経営安定化に関する請願外一件  (河本敏夫紹介)(第九四四号)  鉱業基本法制定等に関する請願椎名悦三郎  君紹介)(第一一四八号)  大規模小売店舗における小売業事業活動の調  整に関する法律の改正に関する請願椎名悦三  郎君紹介)(第一一四九号)  中小企業倒産防止特別対策早期確立に関する  請願椎名悦三郎紹介)(第一一五〇号)  信用保証協会強化育成に関する請願井出一  太郎紹介)(第一二七一号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一二七二号)  同(倉石忠雄紹介)(第一二七三号)  同(小坂善太郎紹介)(第一二七四号)  同(清水勇紹介)(第一二七五号)  同(中島衛紹介)(第一二七六号)  同(羽田孜紹介)(第一二七七号)  松本市に商工組合中央金庫の店舗設置に関する  請願井出一太郎紹介)(第一二七八号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一二七九号)  同(倉石忠雄紹介)(第一二八〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第一二八一号)  同(清水勇紹介)(第一二八二号)  同(中島衛紹介)(第一二八三号)  同(羽田孜紹介)(第一二八四号) 同月三十一日  金属鉱業危機打開緊急施策に関する請願外七  件(伊賀定盛紹介)(第一七一七号)  同(長田武士紹介)(第一七一八号)  同外六件(角屋堅次郎紹介)(第一七一九号)  同外一件(川俣健二郎紹介)(第一七二〇号)  同外九件(後藤茂紹介)(第一七二一号)  同外三件(上坂昇紹介)(第一七二二号)  同(佐々木義武紹介)(第一七二三号)  同(塩崎潤紹介)(第一七二四号)  同外二件(楯兼次郎紹介)(第一七二五号)  同(玉城栄一紹介)(第一七二六号)  同外二件(玉置一徳紹介)(第一七二七号)  同(西中清紹介)(第一七二八号)  同外一件(藤田高敏紹介)(第一七二九号)  同外五件(島本虎三紹介)(第一七三〇号)  同外一件(松本忠助紹介)(第一七三一号)  同外二件(宮田早苗紹介)(第一七三二号)  同外八件(柴田健治紹介)(第一七三三号)  同(山下元利紹介)(第一七三四号)  同(渡部恒三紹介)(第一七三五号)  同外三件(板川正吾紹介)(第一九六九号)  同外十件(岡田利春紹介)(第一九七〇号)  同(加藤万吉紹介)(第一九七一号)  同(金子一平紹介)(第一九七二号)  同外十一件(川崎寛治紹介)(第一九七三号)  同外十一件(川俣健二郎紹介)(第一九七四  号)  同(小坂善太郎紹介)(第一九七五号)  同外六件(上坂昇紹介)(第一九七六号)  同(近藤鉄雄紹介)(第一九七七号)  同外五件(佐藤敬治紹介)(第一九七八号)  同外二件(佐野憲治紹介)(第一九七九号)  同外二件(斉藤正男紹介)(第一九八〇号)  同(始関伊平紹介)(第一九八一号)  同(柴田健治紹介)(第一九八二号)  同(島本虎三紹介)(第一九八三号)  同外三件(多賀谷真稔紹介)(第一九八四号)  同外二件(楯兼次郎紹介)(第一九八五号)  同外二件(土井たか子紹介)(第一九八六号)  同(野田毅紹介)(第一九八七号)  同外三件(馬場猪太郎紹介)(第一九八八号)  同(林義郎紹介)(第一九八九号)  同外九件(藤田高敏紹介)(第一九九〇号)  同(藤本孝雄紹介)(第一九九一号)  同外三件(武藤山治紹介)(第一九九二号)  同外十四件(矢山有作紹介)(第一九九三号)  アルミニウム産業再建等に関する請願(池田  克也君紹介)(第一七三六号)  同(武田一夫紹介)(第一七三七号)  同(西中清紹介)(第一七三八号)  同(松本忠助紹介)(第一七三九号)  同(水田稔紹介)(第一七四〇号)  同(薮仲義彦紹介)(第一七四一号)  同(和田一郎紹介)(第一七四二号)  同(稲富稜人君紹介)(第一九六〇号)  同(河村勝紹介)(第一九六一号)  同外一件(玉城栄一紹介)(第一九六二号)  同外三件(玉置一徳紹介)(第一九六三号)  同外一件(長田武士紹介)(第一九六四号)  同(西田八郎紹介)  (第一九六五号)  同外一件(西中清紹介)(第一九六六号)  同外一件(松本忠助紹介)(第一九六七号)  同(宮田早苗紹介)(第一九六八号)  電気工事士法改正に関する請願谷川寛三君  紹介)(第一七四三号)  同(中野寛成紹介)(第一七四四号)  同(中村重光紹介)(第一七四五号)  同(丹羽久章紹介)(第一七四六号)  同(野坂浩賢紹介)(第一七四七号)  同(足立篤郎紹介)(第一九三八号)  同(青山丘紹介)(第一九三九号)  同(上村千一郎紹介)(第一九四〇号)  同(江藤隆美紹介)(第一九四一号)  同(金丸信紹介)(第一九四二号)  同(草川昭三紹介)(第一九四三号)  同(小坂善太郎紹介)(第一九四四号)  同(左藤恵紹介)(第一九四五号)  同(佐野嘉吉紹介)(第一九四六号)  同(塩谷一夫紹介)(第一九四七号)  同(塚本三郎紹介)(第一九四八号)  同(中尾栄一紹介)(第一九四九号)  同(中野四郎紹介)(第一九五〇号)  同(西田八郎紹介)(第一九五一号)  同(堀内光雄紹介)(第一九五二号)  同(前田治一郎紹介)(第一九五三号)  同(武藤嘉文紹介)(第一九五四号)  同(村山達雄紹介)(第一九五五号)  同(渡辺紘三君紹介)(第一九五六号)  同(渡辺武三紹介)(第一九五七号)  繊維産業の安定及び流通産業近代化促進に関す  る請願外十件(西田八郎紹介)(第一七四八  号)  同外三件(玉置一徳紹介)(第一七四九号)  同外四件(受田新吉紹介)(第一九五八号)  同外三件(吉田之久君紹介)(第一九五九号)  家庭用灯油値上げ反対に関する請願伊藤茂  君紹介)(第一七五〇号)  同(草野威紹介)(第一七五一号)  特許管理士法制定に関する請願外一件(高沢  寅男君紹介)(第一七五二号)  流通関係法規の整理・整合に関する請願萩原  幸雄紹介)(第一九三六号)  同(林義郎紹介)(第一九三七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月三十一日  中小企業不況対策強化に関する陳情書外四  件  (第一五〇号)  秩父織物不況対策に関する陳情書  (第一五一号)  小規模企業者等に対する経営改善普及事業の拡  充に関する陳情書  (第一五  二号)  小企業等経営改善資金融資制度改善等に関す  る陳情書  (第一五三  号)  工業の地方分散政策促進に関する陳情書外一件  (第一五四号)  鉱業政策確立に関する陳情書  (第一五五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸  棚(だな)の南部共同開発に関する協定実施に伴う  石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特  別措置法案内閣提出、第八十回国会閣法第三〇号)      ――――◇―――――
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事橋口隆君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴うそ補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事林義郎君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 野呂恭一

    野呂委員長 第八十回国会内閣提出日本国大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案につきましては、第八十回国会においてすでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ————————————— 日本国大韓民国との合いだの両国に隣接する大陸棚(だな)の南部共同開発に関する協定実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源開発に関する特別措置法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  7. 野呂恭一

    野呂委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。小林進君。
  8. 小林進

    小林(進)委員 外務大臣にお尋ねをいたしますが、ただいま審議に入りましたこの特別措置法の母体でありまする日韓大陸棚協定の問題につきまして、中国政府の方から大変強い抗議が寄せられておりますが、この問題について、一体外務大臣政府はどうお考えになっているのか。最近、中国を訪れた藤山前日中議連の会長に対し、李先念副首相は、日本政府はこの大陸棚協定についてうそを言っている、こういう明確な指摘がありまするし、中日友好協会会長である廖承志氏は、もっとこれを具体化して、外務大臣はこの問題に対して中国了解を得ていると言うがこれは全くうそである、鳩山外務大臣うそを言っている、こういうふうに具体的に名前をも指して非難をされておるのでありまして、この問題は日中両国の将来のために大変大きな暗雲といまなりつつあるし、今日この段階で事態を収拾をしないとさらに不測の問題を惹起する方向まで進展していくおそれがある、私はこうなることを恐れておりまするから、まず、この問題について外務大臣の所見を承っておきたいのであります。
  9. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 最近の中国側発言といたしまして、ただいまおっしゃいましたようなこと、私も新聞で知ったわけでございます。  藤山愛一郎先生北京に参られましたときのお話でございますが、私ども中国側了解を得てあるというような発言は、国会の場におきましても一度も申し上げたことはないということは、もう先生方もよく御理解いただけることかと思います。李先念副総理がどうゆうことでそのような発言をなさったかは、私自身了解しがたいところでございます。したがいまして、その点につきましては早速北京のわが方大使館に先方の真意を確かめることと、わが方としてそのような中国側理解あるいは承認とかあるいは了承を得ておるというようなことは一切言ったことがないのにどういう趣旨でそのようなことが言われたか、ただいま先方に確かめるための措置をとっておるところでございます。  申し上げるまでもないことでございますが、この大陸棚開発自体、この地域中国側の主権を侵すようなことがあってはならない。この点につきましてはもう最大の注意を払ってまいったところでありますし、その点につきましては、大平元外務大臣姫鵬飛外務部長に、この協定の締結前にその点の説明は行われているところでございます。先方からは、条約の署名後に外交部スポークスマン声明が発せられました。したがいまして、わが方の説明に対しまして先方声明をされたわけでございます。したがいまして、先方了解は得られておらない。今後といたしましても、わが方といたしましては、この共同開発区域というものは、中国側が仮に——中国といたしましては自然延長論をとっております。自然延長ではありますが、これは相対する韓国とのまず二カ国あるいは三カ国の協定で決めらるべきものでありますけれども、この協定がない場合は当然中間線がとられるべきものである。そういう意味で、中国側大陸棚であるとともに韓国から見ても大陸棚であるというので、これは中間線をもって引かれるべきであるという、これが私ども国際的に認められた原則であるという考え方に立ちまして、今回のこの共同開発区域である大陸棚は、これは仮に自然延長論をとりましても、韓国中国との中間線よりも韓国寄りあるいは日本寄り地域であるという点をるる御説明をしてあるわけでございます。したがいまして、今後とも中国側理解を得られるように最善の努力をいたしたい、こう考えておるところでございます。
  10. 小林進

    小林(進)委員 いまの大臣のお言葉の中には聞き捨てにならぬ重大な発言一つございました。協定がないときは中間線をとってしかるべきだという、これは大変ドグマチックな思い上がった言葉だと私は思う。そういうような協定や論拠が一体どこにありますか。協定がないときには中間線をとれなどという、そういう決めがどこにありますか。国際的慣行がどこにありますか。法会議が数回開かれておりますが、海洋法会議議題の中にもそんなことが一言でも出たことがありますか。そういう思い上がったことを言っちゃいけません。これが一つの間違いですぞ。いいですか、あなたはそんな言葉を取り消すか取り消さないか、話の途中でいま一回考えてみなさい。そういうことは言っちゃいけません。  それからいま一つ言うが、単独じゃない複数の国々が大陸棚に関係する場合には、これはすなわち関係国話し合いをして決めるというのが原則なんでしょう。中間線論をとるか自然延長論をとるか、そんなことは決まっていません。ただ、それよりも先に最優先的にとらなければならない態度は、そういう相対する複数国話し合いで決める、これが最重要な原則ではないのか。どうですか。話し合いがつかなければ中間線でいくのが本当なのか、自然延長論でいくのが本当なのか、それにいく前にまず話し合い段階に入っていくのが本当なのか、あなたの良心的な回答をひとつしてもらいたい。
  11. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 中間線をとるべきだということがただいまの海洋法会議草案等にどういうふうに書いてあるかということは、目下単一草案におきまして、それは協議によりまして決めるということが原則であろうと思います。しかし、世界じゅうの海域が協議によって決められるということは非常にまれなことでありまして、国際的には慣習的にこの中間線というものがとられる、協議が調わなければ中間線だというはっきりした明文はございませんけれども、世界的に、領海の場合もあるいは今回漁業専管水域等が設けられておりますけれども、これは中間線をとらざるを得ないということが国際的に行われておるということで、私ども、たとえば日ソの間にとりましても、一方的行為であってもみんな中間線がとられておるわけでございます。  そういう意味で、国際的な慣行といたしまして協議が行えないような場合には中間線をとるしかない、こういう意味で申し上げておるのでございます。
  12. 小林進

    小林(進)委員 国際的な一つの例として中間線をとっている例がたまたま平均的に多いと言うのならいいけれども、それが国際的な慣行とは何ですか。慣行になんかなっていません。それは思い上がった説明です。もしそれが国際的な慣行ならば一体なぜ日韓の間でその中間線をとらないんだ。日韓大陸棚協定でなぜ中間線をとらないのか。韓国の言われる自然延長線をとっているじゃないか。そういうその時その場の調子のいいことで国民をだましちゃいけません。  それからいま一つお尋ねしますが、それならば、できない事情のときにはやむを得ず中間線をとると言ったが、日本中国の場合には、そんなに一方的に中間線をとらなければならない理由が一体どこにありましたか。中国に行って話し合いができない、そういう困難な時代が一体日中の間にありましたか。昭和四十七年、いまから五年前に日本中国の間には国交が回復しておる。自由に人事往来、国の往来もできておる。いつでも話し合いができる状態にある。それを話し合い一つしないで、やむを得ず中間線をとるのだとは一体何事です。一方的に中間線をとらなければならぬ理由日本中国の間のどこにあるのか、それを説明してもらいたい。
  13. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 日本中国との間で日中間境界線をどのように引くかということは、これは当然お話し合いもできますし、わが方といたしましても、日中間大陸棚につきまして境界線を設けることができれば非常に結構なことであり、中国側に対しまして日中間の話といたしまして境界線をつくるということについては、わが方からも中国側にそういう意思をたびたび申し上げておるわけであります。しかし、今回の地域は、これは日本中国韓国が関与している地域である。そして、いま中間線と申し上げましたのは、中国韓国に関する問題でございます。その中間線韓国寄りであるということを申し上げておるわけでありまして、その点は、韓国中国との間は国交がございません。したがいまして話し合いができないのでございます。中国側関係国で話し合って決めるべきだ、しかし韓国とはいま話し合うことができない、したがって中国側としては現在話し合いができる段階ではないのでございます。  一方、この大陸棚開発は急がれておる。韓国は、この共同開発区域に対しまして、すでにみずから開発に着手しようとするところまで来たわけでありまして、この開発を行っていくためには、どうしても日中間である程度の話し合いをして、そこで共同開発をする以外に方法がないということで踏み切ったわけでございまして、その際に中国側の権原を最大限に尊重をしてそういう計画を立てた、こういうふうに御理解をいただきたいのでございます。
  14. 小林進

    小林(進)委員 理解するわけにいきません。中国話し合いできる条件があるにもかかわらず、話し合いもしないで勝手に決めておいて、そして、中国の権益を侵していないから大丈夫だなんて、そんな理屈がどこにある。それこそ暴力的行為ですよ。  しかも、あなた、いま何と言った。この協定を決めなければ、韓国はもう開発に従事しているから、これは大変だからこの条約を決めたいと。それは韓国の暴力行為じゃないか。この協定が決まらなければ韓国は作業に入るなんということは、強盗、野盗の行為じゃないか。そういう野盗の行為があるからこそ中国を抜きにしてやむを得ず韓国協定を結ぶのだというあなたの言葉は、語らずしてそれを語っている。そんな国際的な協定条約を相手国の暴力に屈してやむを得ずやらなければならぬということを、国民の前で、国会で堂々とあいさつされて、われわれ黙って聞くわけにいきますか。それが君、もはやこの条約の出発点が間違っているんだ。  あなた、どうです、韓国との協定を結ばないというと韓国はもう勝手に採掘するというのでしょう。それがおっかないから協定を結ぶといまあなた言ったでしょう。そんなんでしょう。そんなことが公然と言われて、われわれ黙って聞いているわけにいきますか。日本韓国の属国ですか。あるいは賄賂でももらったから正当なことでも言えないというのか。(「それは言い過ぎだよ」と呼び、その他発言する者あり)そんでなかったらないと言ってくれとおれは聞いているんだ。さもなければ、対等でなければそんな理屈が通るわけないじゃないか。条約が成立しなければ勝手に韓国がそれを掘ってしまうからやむを得ずこの協定を結ぶのだなんということをこの公の席上で言われて、君たちは黙って聞いているのか。何かほかの理由があると見なければいかぬじゃないか。不正の癒着があるか、目に見えない取引があるか、あるいは属国の関係があるか、対等平等の国と国との協定の中にそんな理屈が外務大臣から出てくるわけないじゃないか。いま少し明確に言ってください。  いまの話を取り消すか。取り消すならば許していいけれども、協定を結ばなければ韓国はもう徹底的にこの開発をやるから、やむを得ずこれを結ぶのだという言葉を私は了承するわけにいかない。取り消しますか。取り消すか、取り消さないか。
  15. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 私は経過を申し上げたつもりでございますが、韓国側は、韓国側の解釈に基づく大陸棚自然延長論に基づいて、北の方から順次探鉱を進めてまいったのでございます。わが方の当然主張する中間線の中に入ってまで開発を進められるということになりますと、これは日韓間の大変大きな問題になる。もちろん、わが国といたしまして、韓国のそのような主張に対しましては徹底的に抗議をしてきたわけであります。韓国の主張をそのまま認めてやったということでは決してない。したがって、そのような韓国側の行為に対しまして、わが方といたしましては、これはわが方の権原を侵すものだという主張をしてまいったわけであります。  しかし、この大陸棚の解釈につきまして、自然延長論と申しますよりは、海溝がわが九州の沿岸に沿ってあるというところで、そこで大陸棚が切れておるという解釈と、いやそのような小さな海溝というものは無視して大陸棚と観念すべきだという二つの見解があるわけであって、この見解が対立している間は大陸棚開発はできない、こういう事情でありますので、日本韓国石油を産出しない国でありますから、これが共同して開発できれば両国のために、双方の国益に合することだということで、この開発に踏み切ったというのが経過でございます。  したがいまして、無用な紛争を避ける、むしろ、現在非常に油の不足に悩んでおる両国でありますから、したがいまして共同開発しよう、こういう趣旨でございます。
  16. 小林進

    小林(進)委員 全くこれは理屈になっておりません。この協定は、大陸棚は、これは後で言いますが、向こうは自然延長論、こっちは中間論だ。韓国日本とこれをやり合っていて、三回も四回も会議を開いてやらないうちに、いつの間にやら密室で会議をして、このいわゆる大陸棚境界線の論議はいつの間にやらいわゆる石油開発にすりかえられた。すりかえられたのだ、第四回目の会議のときに。それは後で言おう。言うけれども、そんな君が言うような石油の緊急性だの必要性なんという子供だましの理屈はやめたまえ。緊急性というのは、刑法の三十七条でも見てみろ。緊急避難なんというのは、いま振りかかった危険を避けるためにやるのが緊急であり、緊急避難である。石油の探査権だって八年も先の話だろう、君。緊急という日本語でもひとつ解釈を初めからやり直そうじゃないか、君。  そんなことよりは、私がいま質問している第一問は、いわゆる関係国の間で話し合いをするというのがこれは海洋法、国際関係の原則なんだ。いまこの大陸棚に関係する国々はどこかといえば、あなたが言ったように、日本であり、韓国であり、中国なんだ。その韓国——朝鮮半島というのは北も入るのだ、朝鮮半島、南北朝鮮と日本と、そして中国なんだ。この関係国の間で話し合うというのが原則なんだ。原則だが、いま君が言うように、北朝鮮と日本との間には国交がない。韓国中国の間には国交がない。しかし、日本中国の間には国交があるのだ。なぜ一体日本がその関係国中国と話ができないのか。いいですか、なぜできないか、私はそれを聞いているのだ。なぜ日本中国の間で——呼べば答える仲じゃないか、北京まで四時間で行けるじゃないか。中国自然延長論から言えば、全部あれは中国大陸棚だと彼らは言っている。その重要な関係国と何で話ができぬか。これに対していまあなたは言ったね。私は時間がないから先へ急ぐ。これだけでも詰めてみたいのだけれども、君はいま時間に助けられているのだ。  次に進むけれども、四十九年、当時の大平外務大臣が一月四日北京に飛んでいって、そして北京中国外務大臣に話をしたと言ったね、君。その話は一体話し合いかね。それは一体話し合いをしたことになるのか。一方的通告じゃないか。話し合いなんというものじゃないじゃないか。昭和四十九年一月四日、北京で、その当時の外務大臣大平君が中国の姫鵬飛当時の外交部長に言った。何と言ったか。近く日本韓国との間でこういう大陸棚協定を結ぶけれども、これは中国の権利を害さぬように細心の注意を払っていることだ、御了承いただきたいと通報をしたのだ。これは話し合いじゃないよ。一方的な通報だよ、君。これを君たち外務省は話し合いをしたと言うのか。これが話し合いか、一方的な通報か、いま一回言い直してくれたまえ。日本語を正しく言ってくれたまえ。
  17. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 昭和四十九年の一月四日に大平外務大臣姫鵬飛外務部長に面会を求めて、この問題につきまして御説明をした、そして中国側の御理解を得たい、こういうことでございます。本件は日本韓国とに関する部面について日本韓国のみで処理をするものでありまして、したがいまして、中国と三者協議をするという性質のものではないわけであります。この三者協議ができればそれはいいわけでありますけれども、これは現実に韓国中国との間に国交関係がございませんから、これは不可能でございます。したがいまして、その点は細心の注意を払って、中国の権原を侵すようなことのないように、細心の注意を払ったということ、そして、その実態につきまして姫鵬飛外務部長理解を得られるように御説明をいたしたいということであります。  それから、もう一つ申し上げますが、日本中国との間におきまして、この大陸棚の問題あるいはいずれ漁業水域の問題が、中国はいつ二百海里の漁業水域を施行するかはまだ態度を示してくれませんけれども、いずれの日にかはこれらにつきましてやはり話し合いをすべきものであると考えておりますし、わが方といたしまして、中国側に対しまして、この境界につきましていつでも御相談に応じますということは何回も申し上げているところでございます。しかしこの相談は、今回のこの共同開発のことに影響するべきものではない。しかし、日中間におきましてそのような話し合いをすることは、今後のことを考えますとぜひ必要なことであるというので、いつでも話し合いに応ずるということを申し入れてあるのでございます。
  18. 小林進

    小林(進)委員 私はいま、一月四日に大平君が行ったことが一体話し合いなのか、一方的通報なのかと聞いている。こんなものは話し合いじゃないというのだ。私がいまも言うように、国際法や海洋法の規定から言えば関係国の間では話し合いをしなさい、こう言っている、あなたも言っているように。あなた方も、関係国の間でお互いに話し合うのが理想の姿だと、しばしば君たちも答弁をしている。それを話し合いをしないで、一方的にそれは説明したにすぎないじゃないか。一方的通報にすぎないじゃないか。それを話し合いをしたかのごとくこういうところで答弁をしてわれわれをごまかそうとする、その根性をやめなさいと私は言っているのです。それは話し合いじゃないですよと言っている。  時間がないからまだ言う。いいですか、これは私が「日韓大陸だな協定と日中関係」といって、五月二十五日に朝日新聞に投書したのだが、この中でも、七回にわたって中国の方から反対だという回答がちゃんと寄せられている。その回答が寄せられているにもかかわらず、君たちの方はしゃあしゃあとして、私どもはそのたびに話し合いをしてきましたと答弁をしている。その都度話し合いをしたと言う。しからば一体どんな話し合いをしたかというと、大平君が一月四日に一方的に説明をしただけの話が第一回目だ。  第二回目に何をやったか。一月二十九日だ。これも諸君らが話し合いだと言っているけれども、話し合いじゃないのです。一月二十九日に何をやったか。これは、昭和四十九年一月三十日、いよいよ韓国との間に調印、署名をするからというその前日に、当時の法眼外務次官が在京駐日大使の陳楚大使を外務省に呼んだ。同じく北京では在北京日本大使館の橋本参事官、この辺にさっきふらふらしておったが、その参事官が王暁雲中国外交部アジア局副司長に対し、それぞれ、明日日韓大陸棚協定に調印いたします、その内容は中国の権利を侵さないという確信を持っています、こういう説明をしているのです。これも諸君らは話し合いと言うのだろう。これが話し合いか。国際法やわれわれの常識から言って、これが話し合いと言えるか。一方的通報だ。  第三回目は何だ。第三回目にいきますと、いよいよ一九七四年一月三十日に日韓の間で正式に協定に署名した。その直後東京において、当時のアジア局次長、いまそこにいる中江君が、在京中国大使館の米国鈞参事官を呼んで、協定に署名した、しかし、これは中国の権利を侵さないために大変努力をしましたと言って、共同声明の内容から共同開発地域説明などをしたという話だ。どんなに説明をしようと、これが話し合いと言えるか。一方的な通告じゃないか。説明じゃないか。  これを諸君らはいかにも話し合いをしたかのごとく言っているが、こういう説明をしたことに対して中国はついに勘忍袋の緒を切ったのでございましょう。その五日後の二月四日に中国外交部のスポークスマンの声明が出た。「中国政府は、大陸棚は大陸の自然の広がりであるという原則に基づき、」——これは自然延長論だ。「東海における大陸棚をどう区分するかは、当然中国と関係諸国の間で協議決定されるべきであると考える。現在日本政府韓国当局は、中国を差しおいて東海の大陸棚にいわゆる日韓共同開発区域を画定したが、これは中国の主権を侵犯する行為である。中国政府は決してこれに同意することはできない。」という強硬な外交文書を出しておる。これはあたりまえですよ。これに対し、あなた方は手落ちがないと言うのか。こういう外交文書に対して何と答えたか。これを無視している。  そして今度は、その年の四月十五日、いよいよでき上がった協定の批准を求めるための国会提出に先立って、またアジア局長が米国鈞参事官を呼んで、いよいよ国会の批准を求めるためにこれを提出することになった、中国の権利を侵すことのないよう注意深く協定をつくったと説明している。一方的な説明じゃないか。自分たちがやった既成事実を、これをやったよというふうに言っているだけの話じゃないか。それを話し合いなどという言葉でごまかすのは、いかに日本政府が権力志向型とはいいながら、こんなことが話し合いであると言って国際的に通用しますか。  私だけが言っていたら切りがないから続けて言いまするけれども、なお中国側に通告をしたことは、続いて一九七五年三月十四日、一九七六年五月六日、一九七六年十一月一日、一九七七年二月十六日、それぞれ東京においてアジア局の次長から在京中国大使館参事官に同じような通報が繰り返されているという事実があるのです。これは事実です。これは一方的通報じゃないですか。  鳩山さん、これが話し合いと言えるかい。しかもあなたは、韓国日本中国の間にはまだ同じテーブルにつくだけの考え方がないと言う。それはそのとおりだ。そのとおりだから、ブリッジ方式でやればいいじゃないか。あなたは、韓国と一生懸命に懇切丁寧に話をしたように、中国にも韓国とやったと同じくらいの努力とエネルギーを注ぐべきじゃないか。韓国中国の間にそういう外交のルートがないからといって、日本韓国とだけ話をして、中国と話ができないと言う。それは言いわけにはならぬじゃないか。そういう言いわけが通りますか。三国あるいは北朝鮮も入れて四つの国が同じテーブルにつく、これが理想的でありましょう。海洋法もそれを望んでいる。けれども、四つの国が同じテーブルにつけないならば、テーブルにつける国々と個々に、対等に、平等に折衝するのがあたりまえじゃないですか。なぜやらなかったのですか。それが言いわけになるかならないか。外務省の行為が正しいと言えるか言えないか。間違っても正しいと思うならば言ってごらんなさい。
  19. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 大平元外務大臣姫鵬飛外務部長に御説明になったのは、これは協議をするという性格のものではございません。日韓間の共同開発につきまして先方理解を求めるという趣旨でございます。その後、協定の調印前、また国会提出前、それぞれに説明をいたしておりますのは、先方理解を求めたいということで御連絡をとっておるわけでございます。そのことと、それから日本中国との間に、現在におきましては日中間大陸棚、あるいは二百海里時代になりますと将来漁業専管水域の問題も起こると思いますので、そういう意味で、日中間の境界につきましていつでも御相談申し上げたいということは別個に申し入れているということでございまして、本件につきまして先方協議をするという性格のものではないことは御指摘のとおりでございます。日韓間の問題につきまして中国理解を求めるというのがわが方のとってきた態度でありまして、決して協議をしたというものではございません。その点ははっきり申し上げておきます。
  20. 小林進

    小林(進)委員 それならば、日本政府の手落ちじゃないですか。関係国間で話をしなさいということが、いま海洋法会議の国際的な原則に近づいている。第三次国連海洋法会議改訂非公式単一交渉草案の第七十一条、これが今度統一せられて、今年の七月から統一法になって出された。これは出たばかりで、まだ日本語に翻訳してないから英語だ。英語だから、こっちは余りすらすらとはいかぬけれども、今度は七十一条が八十三条に組みかえられて出ておる。その中には、「隣接国または向かい合った国の間の大陸棚の境界を画定するについては、適当な場合には中間線または等距離線を使用し、かつ、すべての関連事情を考慮して、衡平の原則に従って合意により行うものとする。」とあります。合意によって行うというのが最大原則だ。  あなたもいま言われたように、中国とはこうやっていつでも話し合う機会があるにもかかわらず、ついに話し合い一つもしなかったということがいま明らかになった。あなたは、協議はしてないと言った。ただ一方的に日本側の立場を説明しただけだ。これは既成事実を日本がつくりながら、こんなことをやりました、よろしく、話があったら聞きましょう。それじゃないですか、あなた。一方的に既成事実をつくりながら、それを中国に通報して、これで御意見があるなら聞きましょう、そういう立場でしょう。だから、これに対して中国は、日本政府から一回も話し合いを受けたことはありませんと言っている。この中国の言い分は、いまあなたの答弁によって正しいと見なくちゃいかぬ。間違いありませんね。話し合いは一回もしておりませんね。日本の立場を一方的に通告をし、説明だけはした。そして、それは最後の言葉で、何か御意見があれば承りましょう、これだけは言っておいたが、それは話し合いでない。中国が言うとおり、それは話し合いではないということを裏づけた話になると思いますが、明確に答えていただきたい。
  21. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 私どもも、国会におきます御説明でも、中国協議をしたということは一度も申しておりません。したがいまして、私どもその点につきましてうそを言ったと言われるのはまことに心外でございます。  それからもう一つお断りしておきたいのですが、今回の日韓間の共同開発につきましての協定は、決してこれは境界線を決めておるのではございません。境界線は全然決めてない。これを決めるには、やはり関係国協議というものが必要であろう。しかし、自国の地先の沖合いとかにつきまして、そこを開発することが隣接国との大陸棚境界線が決められてないから開発ができないということはないだろう、先方の権原を侵さない範囲内におきまして自国の地先沖合いにつきまして開発を進めるということはいかなる国でもやっておることでありますから、境界線が決まらないからできないということはないと思うわけであります。
  22. 小林進

    小林(進)委員 ようやくこの長い論議の中で、あなたが中国と今日大陸棚協定について一言も話をしていないことは明確になりました。しかし、先ほども言うように、中国が当事国であり関係国であるということも、このたびの論議の中で明らかになりました。その重要な関係国である中国話し合いをしないで、この日韓大陸棚協定を結んだということが明らかになった。それに対して中国側は、われわれの方に一回も話をしていないのは不当じゃないか、話し合いで決めるのが国際的な常識であり原則ではないか、こう非難をしてきている。しからば私は、いまあなたの答弁に基づいて、中国側の非難は正当な理由がある、皆さん方の方に手落ちがあると判断しなくちゃならぬが、これでもなおかつ手落ちがないとあなたはおっしゃいますか。一言だけ聞いておきたい。
  23. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 大陸棚境界線を決めるということでありますと、わが方といたしまして、中国との間にこれが決められればまことに結構なことでございます。そういう意味で、今後中国との間には話し合いができることを望んでおります。しかし、この日韓間の共同開発区域は、これは中国にはかかわり合いのない地域を慎重に選んで共同開発をする、こういう趣旨で日本政府といたしまして共同開発区域を決めたということであります。
  24. 小林進

    小林(進)委員 私は、今後のことを聞いているのじゃない。いままで当然中国話し合いをすべきものを話し合いをしなかった、その手落ちを認めるかということを聞いているのだ。しかも、あなたは、日韓大陸棚協定のこの共同開発地域は、中国に関係がないとおっしゃるけれども、一体だれがそんなことを決めた。中国自然延長論韓国自然延長論をとっている。中国自然延長論をとっておれば、これがずっといまの共同開発日本寄りまで中国自然延長論が来ている。いまの開発水域は全部中国自然延長論の中に入っておる。それを中国に関係がないとあなたが一方的に決めるのはおかしいじゃないか。あなただけが勝手に中間線論をとって、それで中国に関係がないと言うけれども、その中間線論をとるか自然延長論をとるかは話し合いで決めなさいというのが、これは国際法の原則じゃないですか。それを話し合いもしておかないで、間違いがない、間違いがないと言うのは、一方的なあなたの主張じゃありませんか。今日、この段階まで中国話し合いをしなかった、まあ自然延長論をとるか中間線論をとるかは別としても、話し合いをしなかったというその手落ちをあなたは認めるかどうかということを聞いているのだ。将来のことを聞いているのじゃない。いままでやらなかった手落ちを認めますかと、こう聞いているのです。一言でいい。
  25. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 たびたび申し上げますけれども、この大陸棚自然延長論に立った場合には、これは韓国中国との争点になる地域であろうと思います。その中間点をとっておる、その中間線より韓国寄りであるということでありまして、わが国と中国との間でこれは決めるべき筋合いのものでないということで、わが方としてはこれ以上処理のしようがないということでございます。
  26. 小林進

    小林(進)委員 それでは、あなたの説明は、この大陸棚協定に対し中国は当事国でないとおっしゃるのですか。関係国でないとおっしゃるのですか。余りすると時間がたちますから、私はもう先を急ぎますけれども、そういうことじゃいけませんよ。世界的な海洋法の共通した意見は、関係国が全部話し合いで決めるのが大原則だと言っているんだ。なぜ話し合いをしないかと言っている。その話し合いをしなかったことが手落ちでないかと私は聞いているのでありまするから、その関係国でなければ話し合いをする必要がない。関係国ならば話し合いをするというのは、これは明確な原則なんだ。それだけ答えていただけばよろしい。韓国中国の間は中間線がどうのこうのという余分なことを何もあなたは言う必要はない。
  27. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 またこれも繰り返しになりますけれども、境界線を決めておるのではないのでございます。この大陸棚自体は、これは中国あるいは韓国日本それぞれ関心を持っているところには違いありません。しかし、今回はその境界線を決めるということでなしに、その特定の地域につきまして日韓間で共同開発をしよう、こういう協定をしたと、こういう意味でありまして、その点につきましては日本韓国で、しかもこれは当然関心がある中国に対しましてはその理解を求めるということで対処するはかなかったということを申し上げているのでございます。
  28. 小林進

    小林(進)委員 あなたはごまかしているのですよ、私の言うことを。ごまかしちゃいけませんよ。本来この日韓大陸棚協定というものは、いわゆる大陸棚に対する境界問題から入っていった。いいですか、境界線から入った。その会談は、大陸棚に対する日韓の交渉が始められたのは、これは大陸棚から入った。その問題点は、南の第七鉱区だ。九州西方の、日本唯一の資源だ。この資源に韓国が勝手に大陸棚をつくって、これを韓国が売っ払っちゃったんだ。そこで、ぼやぼやしている日本があわ食って、この境界線を決める会談に入った。昭和四十五年の十一月、第一回の日韓会談をやった。決裂に終わった。四十六年の九月にまた境界線の会談をやった、決裂になった。四十七年の三月に三回重ねて会議をしたけれども、韓国は暴力的にともかく自然延長論をもって、九州の西までおれのいわゆる大陸棚と言って聞かない。だんだん日本政府はしっぽを巻いて負けそうになって、どうにもならなくなった、こっちは中間線論をもって進めていったんだけれども。そこで、初めから境界線の画定に入ったのを韓国に押しまくられて、どうにもならなくなって、第四回目の会談の昭和四十七年の九月、ソウルにおいて第六回日韓閣僚会議の中で、密室の中で、いつの間にやらこの大陸棚協定というものを、これを棚上げをしてしまって、そして韓国の主張する鉱区、韓国が決めたその鉱区をそのままのんで、それを日韓両国で共同の開発地域にしましょうやということで手を打ったんだよ、君。そうして、ごまかしちゃったんだよ、君。  日本が敗北したやつを国民の前にごまかすために、初めから入った境界線を敷く相談を、いわゆる韓国の言うままに第七鉱区をのんで、ただ、日本もそれを掘るために仲間に入れてくれや、金は半分も出すし技術も出すし、でき上がった石油は半分おまえの方にくれてやるからおれも仲間にしてくれよと言って妥協したのがいわゆる大陸棚協定じゃないか。そういうふうに国民をごまかしてもだめなんだ。  そこで、こんなことばかり言っていたのでは話にならぬから、間違ったら間違ったで、君、謝りたまえよ。当然当事国が話し合いをできるという、こういう海洋法の原則があるのに、その原則どおりやらなかった。本来、中国話し合いをするというならば、四十五年の十一月から、日韓大陸棚境界線協定に入ったとき、その時点において同じく中国にも話し合いを持っていかなければならなかった。しかし、そのときにはまだ日中のいわゆる国交正常化はできていなかったのだが、四十七年の九月に日中の国交正常化ができ上がったのだから、この四十七年の九月、ソウルにおいてこの大陸棚協定話し合いができたそのときに、すでにこの話はちゃんと中国へ通じておかなければならぬ。二年間も君は隠しておいたじゃないか。調印をするときになって初めて大平君が四十九年に北京へ飛んでいって、これは近く調印をいたしますからよろしく、あなたの権利は侵しておりません、慎重に構えておりますと、一方的に通告しただけじゃないか。その二年間なぜやらなかった。本当に君たちは関係国話し合いをするというならば、大平君が話をする二年前に中国話し合いをしていなくてはいけない。その間違いをなぜ認めないのかと私は言うのだ。そんな外交がどこにありますか。当事国でございますの、先進国でございますのと言いながら、イロハのイの字の正当な仕事もしておかないで、そして韓国の力の前に屈服させられて、韓国がつくった既成の事実の上の分け前をもらうだけのこの協定を結んで、そして国民の方に向かって、これは正当なことでございますの、石油は欲しゅうございますのと、何を一体ほざくんだ。国民をだますのもほどほどにしてもらいたいと私は言いたい。まだこの問題、私は言いますけれども、この問題に対して君たちの方に反省がないというならば、まだ言おう。  その年、四十九年の日韓大陸棚の問題に対して中国が七回も日本政府に対していわゆる異議の申し立てをすることに対して中江君は何と言った。あなた方は、こういう中国の抗議に対して、それは外交チャンネルを通したのではないから、私ども外務省としては何ら措置する必要はないという答弁をしていますね。中国が、こういう協定を結んだ五日後に外務省のスポークスマンの抗議声明を出すとともに、繰り返し繰り返し日本政府に反対の意思を表明することに対して、そんなことは正式に外交チャンネルを通じて受けた抗議ではない。中国が反対である事実は事実として知っているけれども、そんなものは抗議として受けとめる価値のないものだ、そういう意味の答弁をしていますね。そんなものですか。中国のこれまでに至る抗議は正式な抗議ではない、外交のチャンネルを通じたものではない、風の便りに聞いただけで取るに足らぬ風聞だ、外務省はこういうふうに解釈している、それに間違いないかね。
  29. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 昭和四十九年の二月に出されました外交部スポークスマンの声明の性格等につきましては、中江アジア局長の方からお答えをさせていただきますが、外交部からの正式の声明も出ておりますし、最近のいろいろな発言も聞いておりまして、中国側といたしましては、大陸棚につきまして広範な権原を主張いたしております。そういう事実はよく存じておるところでございまして、中国側のこの見解は私はなかなか根強いものがあると考えております。したがいまして、先方理解が得られることを心から願っておりますけれども、中国側の見解というものはしっかりと理解をいたしておく必要があると思っております。
  30. 中江要介

    ○中江政府委員 中国外交部スポークスマン声明に対する私の答弁をお引きになりましたので、私から申し上げておきたいと思いますことは、この中国外交部スポークスマン声明というものがどういうものかということにつきましては、私が申し上げましたように、外交チャンネルを通じてこういう声明を出しましたということを正式に通報はしてきていないという事実を申し上げたわけでございまして、これは取るに足らぬものであるとか、無視してもいいのだとか、そういう気持ちは全くなかったことは御理解いただきたいと思うわけです。  国際社会において国と国とが抗議をするというときには、いろいろな方法がございますが、この日韓大陸棚協定に関する中国の別な見解はどういう形で表明されたかというと、外交部スポークスマン声明という形で表明されたのであって、他の方法、たとえば正式の文書をもって政府から政府に厳重抗議をするという形とは違った形であったということを申し上げたわけでございます。この抗議声明が出ますまでに、先ほど来おっしゃっております経緯の中でひとつ御注意いただきたいと思いますのは、中国が国際法上の大陸棚制度について自然延長論をとるのだということを最初に公にしたのは、このスポークスマン声明であったわけでございまして、最初に大平外務大臣が姫鵬飛外交部長に話されたときも、それから法眼次官が陳楚大使に話されたときも、また、私が米国鈞参事官に話しましたときも、中国はこの大陸棚に対してどういうふうな態度で臨むか、その立場は検討中であるということであったわけでございますので、この政府声明を受けとめたときの受けとめ方を当時申し上げた、こういうことでございます。
  31. 小林進

    小林(進)委員 君の言うことは三百代言的だから困る。君は四月八日の外務委員会において、政府は、中国政府から日本政府に対して外交路線を通じて抗議を申し入れたという事実は認めていない、私どもの受けとめているのは、中国の考え方と日本の考え方とが違っているということは認識しているが、これに対して厳重な抗議をするということを外交チャンネルを通じて申し入れられたという事実はない、君はこういうことを言っているのだ。こういうことを言って、抗議を申し入れた事実は認めないと言っている。中国がこれほど真剣に、外交ルートやあるいは米国鈞あるいはその他の外交官を通じて異議を申し立てていることを、君たちは毛ほどにも感じていない。  それからいま一つ。この問題また後で言いますよ。言いますが、君は言わずもがなのことを言うんだが、大平君が一月四日に申し入れたときに、中国はまだ自然延長論をとるか中間線論をとるか、そんな返事はなかった。なかったからどうしたというんだ。なかったから君たちは勝手なことをやってもよろしいというのか。中国はそのときに、大平の一方的な申し入れに対して中国としては大陸棚について国際法上どういう立場をとるか、どういうふうに考えるべきかということはいまだ決めていない、いま勉強中であるという返事をしたというのです。勉強中だということは、イエスもノーもないことなんだ。いま研究中だからしばらく待ってくれというだけの話だ。これをもって、中国がもはや日本が勝手気ままに何でもやってよろしいという回答を寄せたかのごとくごまかしの答弁をするから、君たち外交官は国家を誤るって言うんだ。これは何も君たちが大平君に、もうあなた勝手に言ってもよろしいとオールマイティーの権利を与えたことじゃないんだ。  残念ながら中国はまた研究中だから——研究中だからということはイエスもノーもない、待ってくれということなんだ。本当の外交ルートならば、いま研究中ですと言ったら、韓国との交渉はしばらく待って、中国の研究が終わって中国の態度が明らかになって同じテーブルにつくまで待つのが外交ルートじゃないですか。返事が来なければ、どうなりましたと問い返すのがあたりまえじゃないですか。それをいまのごとく、返事がないのを、いま研究中だというのを逆手にとって、日本が勝手なことをやってもよろしいというがごとき答弁にすりかえてくるという、これをすり的行為というんだ。そういうすり的な行為を外務省がやるから国の大本を誤るんだ。取り消したまえ、それは。何もそれは決して日本に勝手なことをやってもいいという言葉でないということを、言い直したまえ。冗談じゃない。そういうことでわれわれをごまがされたんじゃたまったものじゃない、そんなことは。
  32. 中江要介

    ○中江政府委員 私は、中国が検討中であるから勝手なことをしていいと言ったわけではございませんで、中国が検討中であるならば、中国日本が話し合うべきところは横に置いて、日本韓国とのみで話し合える部分の話を進めるということで国際法的に問題がないではないか、そういう判断をしたために、日韓大陸棚協定では日本韓国との間で話し合って片づく部分だけを片づけた、ずっと東シナ海から南シナ海にかけまして日中間話し合いすべき部分は白紙のまま残してある、こういうのが実情でございます。
  33. 小林進

    小林(進)委員 何もそんなのは答弁になっておりません。中国の方が返事を待ってくれと言ったからといって、それを理由韓国の言いなりに話をまとめていって、そして手落ちがないという形をつくる、そういう不誠実なやり方で日本の外交を進められたんじゃ、日本国民はたまりませんよ。どれくらい韓国と因縁、因果があるか知りませんけれども、せめて韓国に対すると平等くらいの誠実を傾けて中国とこういう話し合いをするのがあたりまえじゃないですか。なぜやらないか。  なおかつ、私は次にお伺いしますが、いまの、外交チャンネルではないからどうでもいいと言った言葉じりをとらえるわけじゃないけれども、二月の何日にはちゃんと中国の外務参事官日本政府に対して、この大陸棚に対しては反対であるということを申し上げているが、そんなものは外交チャンネルじゃないとおっしゃるのですな、風の便りだとおっしゃるのですね、あなたの答弁は四月八日の国会における答弁だから。それ以前に中国側も正式に外務省へ来て話をしていますよ。しかし、そんなのは外交のチャンネルじゃないとおっしゃるのですね。これも確かめておきましょう。
  34. 中江要介

    ○中江政府委員 この中国外交部スポークスマン声明を引用いたしまして、外交チャンネルで北京及び東京で話をしましたときに、それを正式に先方が持ち出しているという意味では外交チャンネルに乗ってきた、こういうことには間違いはございません。
  35. 小林進

    小林(進)委員 そうでしょう。乗ってきたのなら乗ってきたと言えばいい。あなたは、四月八日には、乗ってきたと言わないんだ。外交チャンネルじゃないと言う。これはごまかしだ。重大なる食言だ。国会委員会において重大な食言をしたことだ。外務大臣、責任とりますか。いま、二月下旬における中国の外務省に出頭した申し入れは外交チャンネルとみなすと言っているんだ。それならば、それが過ぎた二カ月後の四月八日の日に外務委員会において、外交チャンネルはいままで何もないと言ったことは、明らかなる食言じゃないか。取り消しますか。取り消さないかな。どういう責任をとるか、外務大臣
  36. 中江要介

    ○中江政府委員 私は、その署名をされました直後の二月四日の外交部スポークスマン声明というものがどうであったかということを申し上げたわけでございまして、それ以上のものでもそれ以下のものでもなかったわけでございます。それが、その後、外交チャンネルで本件について話し合うときに、中国政府の立場はあの外交部声明で明らかにしているような立場ですということを正式に伝達されたことによって外交チャンネルに乗ってきた、こういうことでございます。したがいまして、二月四日の外交部スポークスマン声明はどういうものかと聞かれましたら、当時答えましたことに間違いはない、こう思っております。
  37. 小林進

    小林(進)委員 私は二月四日のことを言ってるんじゃない。今年です。あなたの答弁は、今年の四月八日ですよ。今年の二月下旬だ、在日中国大使館の葉参事官が大森アジア局次長に会って、この日韓大陸棚協定は、中国は反対だ、これは中国の主権に対する不法行為であり、無効であるということを申し入れている。この申し入れが、いわゆる外交チャンネルでないというのかと私は聞いておる。葉参事官が行っているじゃないですか。いま言ったように、あなたのところのアジア局の次長に会って、ちゃんと抗議の申し入れをしているじゃないか。これをあなたは四月八日に外交チャンネルじゃないと言っているから、私は食言だと言っている。外務大臣、あなたの答弁だ。
  38. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 中江アジア局長の申しましたことは、二月四日の外交部スポークスマン声明ということについて申しておるのでありまして、その後、先方からも口頭によりまして申し入れを受けておる、外交ルートによりまして申し入れを受けておる、このように御理解を賜りたいと思います。
  39. 小林進

    小林(進)委員 それならば、二月下旬に外交的にチャンネルを通じて申し入れがあったとしたら、二月下旬のこの申し入れを、二カ月も過ぎた四月八日に、何も外交チャンネルがないと外務委員会でぬけぬけと答弁していることは、これは間違いじゃないかと言っているのですよ。重大なる食言じゃないか。これは国会議員に対するだまし討ちじゃないかと私は言っているんだ。だまし討ちじゃないですか、それは。
  40. 中江要介

    ○中江政府委員 先ほど冒頭に申し上げましたように、抗議を申し入れるという方法にいろいろある中で、中国の場合には外交部スポークスマン声明というものを出しまして、その後、中国の立場をわが方に説明しますときに、先方が、中国の立場はあの外交部スポークスマン声明に示されているところである、こういうことを言っておるわけでございまして、本件について正式に抗議を申し入れるという、公式文書でよく行われますような意味での抗議というものを日本政府が受け取ったことはないということは、いまにおいても変わりがないわけでございます。
  41. 小林進

    小林(進)委員 二月下旬のその申し入れはどうなんだ。葉参事官の申し入れはどうなんですか。それは外交チャンネルじゃないの。それだけ聞いているのです。
  42. 中江要介

    ○中江政府委員 その申し入れは、もちろん外交チャンネルでございます。
  43. 小林進

    小林(進)委員 それなら、四月八日の外務委員会におけるあなたの答弁はでたらめ、うそじゃないですか。四月八日に、いままで外交チャンネルがないというあなたの答弁は、うそを言ったことになるじゃないですか。  これは委員長、お聞きのとおりだ。これは理事諸君、ひとつ聞いていただいて、理事会で処置していただきますよ。私はこの前も予算委員会で言った。外務官僚はしばしばこういう答弁で国民をだましている。私は、予算委員会では高島審議官の問題を取り上げた。今度は中江アジア局長の言葉、これは重大な国会の答弁における食言ですから、これは理事会で取り上げていただいて、この問題が解決するまでは、私はこの問題に対して了承するわけにはまいりません。こんなことを言ったら時間をとりますから、次に進みます。  ところで、外務大臣にお伺いしますが、いまの四月八日の外務委員会の答弁で、外交チャンネルがないと言ったが、それはないということを認めても、しかし、その後、この大陸棚協定が自然成立するという形で、日本政府がこれを行ったときに、これは五月二十七日だ、五月二十七日に北京政府において、今度は何外務次官が当時の小川在中国日本大使を呼んで正式に、日韓大陸棚協定に対しては反対である、これは日中関係にはなはだ有害であるという申し入れをした。これはあなたの常識をもってしても正式な外交チャンネルでございましょう。これも外交チャンネルでないとあなたはおっしゃるのですか、お聞かせを願いたい。
  44. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 この共同開発協定につきまして、国会の自然承認の前に、当方から小川大使をして先方理解を求めておったわけでございます。その段階で、先方の反対であるという意思を受け取っておるわけでございますが、わが方といたしまして、先方理解を得るために最大限の努力をいたすべきものと考えて、小川大使をして先方説明させた、それが五月二十七日であろうと思います。
  45. 小林進

    小林(進)委員 小川大使に外交説明をさせた。これに対して向こうの何次官は、「日本と南朝鮮がここに共同開発区を作ろうとしているのは、中国の主権を侵すもので、決して容認できない。日本は同協定国会通過により、既成事実を作ろうとしているが、これでどうして中国と誠意をもって協議しようとしているといえようか。」という厳重な言葉がはね返ってきておる。こうした中国の外務次官の発言に対して、その後日本政府は一体どのような態度をとられたのか、ひとつお聞かせを願いたいのであります。外務大臣はどういう行動をとられたか、お聞かせ願いたい。
  46. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 これに先立ちまして、衆議院におきまして御承認をいただくその段階におきまして、中国側に対しまして、小川大使からよく事情を御説明して理解を求めるように、小川大使をして行動をとるように申し入れておったのでございます。それがなかなか先方と会談ができませんで、そして衆議院の承認が得られました後で、五月二十七日になってやっと面会ができたというのがこの実際でございまして、その後、六月八日に自然承認ということになったわけでございます。  それで、自然承認をいただきました後におきましても、当方といたしましては、この問題につきまして御理解をいただくように、機会があるごとに先方に対して説明をし、また、その他の地域大陸棚の境界につきましても、日本としては御相談を申し上げる気持ちでおるのだということをしばしば先方には御説明をしてあるというのが実情でございます。
  47. 小林進

    小林(進)委員 あなたはしばしば説明したとおっしゃるけれども、中国側は何も日本側の説明を聞いたとは言わない。いいも悪いも、いま言うように小川大使が五月二十七日に、国会の延長と交換して自然成立を図りましたという、その話をしに行ったという以外に、日本政府が何をしたという具体的な情報を国民は何にも知らぬじゃないですか。あなたの言葉だけはやった、やったと言うけれども、一体何をやったのですか。  しかも、それに引き続いて、いよいよ六月八日に自然成立をしたその一週間後か、いや、自然成立をした五日後の六月十三日に中国は、まさに外交文書としてはまれに見る厳重な抗議の声明を発している。「中国外務省は次のように声明する。」その中で、「東海大陸だなは中国大陸の領土の自然延長であり、中国は東海大陸だなについて侵すべからざる主権を有する。東海大陸だなと、これにかかわるその他の国家との区域は、中国関係国家がどのように区分を確定するか、協議すべきものである。」自然延長論はとっているけれども、しかし、自然延長論を固守するとは言っていない。これはあくまでも日本に押しつけるとは言っていない。協議すべきだ、話し合いをすべきだというのが中国の一貫した言い分だ。そして、「日本政府と南朝鮮当局が中国に隠れて承認した“日韓大陸だな共同開発協定”は全く不法なもので、無効である。いかなる国家や個人も、中国政府の同意なくして東海大陸だなで開発活動を進めるならば、」もし石油やガスを掘るならば、「これによってひき起こされるすべての結果について、完全な責任を負わねばならない。」とこう言っている。  私は、これほど厳重な声明文はないと思うけれども、政府は、この声明文に接して一体どうお考えになっているのか。単なる言葉のあやであると考えていられるのか、あるいは外交チャンネルでもないから聞きっ放しでいいと考えていられるのか、この政府の態度を私は承っておきたいのであります。
  48. 中江要介

    ○中江政府委員 きわめて重大なものと承っております。
  49. 小林進

    小林(進)委員 外務大臣、きわめて重大だからあなたの答弁を求めているんだ。
  50. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 中国側外交部声明は、前回のものより調子が高くなって、強硬な姿勢になっておるということを私どもも率直に感じておるところでございまして、この問題につきまして、日本政府といたしましては、あくまで先方理解を求めたい。しかし、先方自然延長論中国大陸の大陸棚の自然の延長まで中国側が管轄権を持つのだという主張は、これは大変強いものがあります。しかし、日本政府といたしましては、それを認めるわけにはいかないのが日本としての国益上の立場であるということでありまして、この点につきましては見解が一致しないのでありますが、しかし、日本政府といたしまして、どのような大陸棚境界線を考えるかという点につきまして、中国側話し合いに応ずるということであれば、いつでも応ずるという態度を持ち続けておるのでございます。
  51. 小林進

    小林(進)委員 いままで一方的に事実を進めてきて、事実を積み重ねておきながら、あなたの方で話に応ずるというんなら話に応じましょうという、そういう言い方は、これは一体常識ある物の言い方ですか。別な言葉で言えば、人の頭を殴っておいて、け飛ばしておいて、あなたの方で話があるなら話に応じましょうという、そんな得手勝手な言い方がありますか。  しかも、あなたはおっしゃる。中間線論だと先ほどからおっしゃる。中国の大陸権は侵していない。侵していないけれども、侵していなければ勝手に中間線を引いてよろしいという国際的な常識が一体どこにありますか。侵していなければ侵していないほど、関係両国話し合いをしてその線を引くというのがあたりまえだ。国際常識だ。しかも、中国と話し合うべき一切の条件がそろっているにもかかわらず、その話し合いをしないで勝手に中間線を引いて、その中間線の以内だから、以東だから中国の権利を侵してないと言う。そんな言い分が相手国に通ずるとあなたは一体お考えになりますか。気違いでなければそんなことは言えませんよ。そんなことは非常識もはなはだしい。侵していなければいないほど、相手側の国と話をして、その妥当性を話し合いで決めて線を引くというのが、いまの大陸棚に対する常識ある態度じゃないですか。相手の国を侵してなければ何をやってもいいというのか。あなたの言い分を聞いていればそういうことになるじゃないか。そんなことではいけません。  一体こういう厳重な声明の成果がどういう結果を及ぼすとあなたは考えておられるのか。抽象論を聞いているんじゃない。きわめて重大だということを聞いているんじゃない。具体的にこの共同声明がどういう形であらわれてくるかというその場合を想定してあなたに聞いているのです。どうなりますか。
  52. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 これはもう小林先生もよく御理解はいただいておると思いますが、日本中国とで大陸棚話し合いのできるのは、この共同開発区域から下の部分であると私どもは解しております。この上の部分は、なぜかと申しますと、中国韓国との接続している地域だからでございます。したがいまして、日本としては、その間におきましても韓国側の自然延長論を認めておりません。おりませんから、日本としてはその上の地域につきましても境界の画定は、すると言えば用意はあります。しかし、それは今回の共同開発区域には関係ないのであります。韓国中国日本がありまして、この共同開発区域は日中の中間線よりも韓国との中間線が引かれる地域である、そういう地域に属しておるわけでありますので、日本中国との境界線は、引けばもう少し中国寄りの線が引けるわけでありますけれども、その地域はやはり韓国が関係者として入ってくる地域だ、自然延長の観点からいきますと入ってくる地域であります。したがいまして、日本として、いまの開発区域につきまして中国日本との間で取り決める、それだけではいけない、どうしても韓国が入ってくるということになりまして、この点につきまして日本中国だけで話ができない。そういう意味で、日本韓国との間で、中国の権原を慎重に考えて、侵害しない範囲におきましてこの共同開発区域を決めた、こういうことでありまして、この点につきましてはあくまでも中国側理解を求めたい、そういう態度で終始いたしておるということでございます。
  53. 小林進

    小林(進)委員 繰り返して言うように、それはあなた方のドグマなんですよ。一方的な解釈なんだ。だから、中国中国の言い分の自然延長論を持ってくれば、日本海まで入ってしまうのです。海溝がある、その日本の沿岸のそばまで大陸棚が来る。韓国だって、朝鮮半島だって日本のそばまで、自然延長論をもって、来ちゃう。あなた方はその韓国自然延長論を認めたけれども、中国自然延長論は認めない。そうして一方的に韓国自然延長論を認めるが、その朝鮮半島の自然延長論を含めてこれが全部中国大陸棚自然延長だというそ中国の言い分に対しては、一方的にそれを否定している。そんな勝手な主張はわれわれの仲間でも通らない。外相とアジア局長の二人の間では通っても、そういう国民の常識に通らない言い分をもって、国際的な相手を説得せしめるそういう言いわけの種にするということは了承できないということだ、これは間違いですから。だめですよ。そんな話を、あなた、同じことばかり繰り返して言うから、時間を食ってしょうがない。それは了承できないのだ。  それから、いま一つ言うけれども、あなたは誠意をもって話し合いをすると言うけれども、誠意とは何だ。さっきも言うように、七回も八回もやってきたけれども、みんな日本政府は、一九七四年一月四日の大平の話から今日まで、既成事実をつくりながら、一方的に、日本はこうしましたからよろしく、あなたの権利は侵しておりません。みんな一方的な押しつけじゃないか。今度もまた、いままで韓国の言い分に押しまくられて、韓国がつくり上げた第一鉱区から第七鉱区までも全部認めて、その第七鉱区を共同開発いたしますと言って国会を延長までして無理にこれを決めておいて、そうして中国に誠意をもって話をしましたなんて、それが誠意と言われますか。あなたの誠意というのは何だ。本当に中国と言し合いをして誠意を示すというならば、何かおみやげがなくてはいかぬだろう。大陸棚協定は凍結しますとか、これをまたもとに戻しますとか、どうせそのうちに朴政権と——話は別になるけれども、朴政権だって、朝鮮だってそのとおりでしょう。一九七四年、この大陸棚協定韓国において一体どんな形で韓国国会を通りましたか。日本よりももっと悲惨なる状態で、韓国国民の怒りの中でこの協定が通っている。そして、韓国政府は、こんなむちゃな形で日韓大陸棚協定を通したのだから、日本政府、これを早く批准してくれと言って圧力をかけられている。そして、日本韓国ロビーが大騒ぎをして日本国会を延長、成立せしめたということで、この協定は、日本国民ばかりじゃない、韓国の国民も怒りを持ってこれを見ている。だれも祝福していないのだ。そういうものを無理して通して、一体なぜ中国政府をこれほどまでも怒りを持ってふるい立たさなければならぬかということを私は言っている。  そこで、あなたが誠意をもって中国と話をするというならば、その誠意のあかしをどういう具体的な形で示すのか、それを言ってください。言葉だけで誠意を示すというのか、形の上で何か示すというのか、それを言ってください。
  54. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 この問題は、中国としては自然延長論をとっております。しかし、この自然延長論中国側をして引き下げさすということは、私は大変むずかしいことであると思います。しかし、日本は、中国の主張しておるような自然延長論、どこまでもみんな中国大陸の自然延長であるという論拠は、日本としては承服できない主張でございます。したがいまして、日本といたしまして、中国側日本のやっている行為につきまして理解を求めるということ以外にいたし方がないところでございます。そういう意味で、誠心誠意、日本の今回の共同開発というものが国際的に見まして許されるべきものであるということにつきまして理解を求める、このほかにはないのでございます。
  55. 小林進

    小林(進)委員 ないという話はないじゃないですか。それは何も誠意のある行為にはならぬじゃないか。それでは、いままで日本のやったことはオールマイティーだ、中国日本の主張は正しいのだからおまえ日本の言うとおりに屈服せい、それしかないという話になるじゃないですか、あなた。そうでしょう。これはあなたの言うことも私の言うことも同じでしょう。日本がいままでやったことは正しいんだから、だから日本の言い分を、中国、のみなさい、それしか手はないというのでしょう。そんな誠意の披瀝で、あなた、中国との交渉ができますか。それこそ思い上がりじゃないですか。  私が聞きたいのは、いま日本で一番必要なのは、この大陸棚協定だけではありません。善隣友好すべての関係からながめて、いま中国と話をするということがすべての外交の最優先だと思います。私が言いたいのは、こんな協定の国内法を通すことよりは、通す前にまずこれを凍結をしておいて、中国話し合いをするというのが外務大臣としてのあなたの一番やるべき仕事だ。本当に中国とこの問題をはさんで友好親善の実をとっていく、この暗雲の空気を払いのけるというならば、協定は通ってしまったんだからこれはやむを得ない、せめてこれを発動する国内法だけでも、この特別措置法だけでも凍結をいたしまして、中国、あなたの御理解を得たいと思いますが、いかがでございましょう、これがあたりまえでしょう。中国との話し合いを誠意をもって臨むとすれば、せめて最小限度これくらいのことは私はやらなければいけないと思う。いいですか、私の言っていることはあたりまえでしょう。何を笑っているの、笑いごとじゃないよ、あなた。  まだいま一つ私は教えてやろう。いいですか。あといま一つは、先ほども言っておるように、これは第一鉱区から第七鉱区全部つくり上げた。韓国というのはひどい国だ、ともかく自分たちの言い分で勝手に海の中にこうやってみんな鉱区をつくってしまうんだから。しかし、この鉱区の中でも、いいですか、第一鉱区−第七鉱区、時間もありませんから言うけれども、第一鉱区はテキサコ、これはそっちへ権利を売り払ってしまった。第二鉱区はガルフに売り払ってしまった。第三鉱区はシェルに売り払ってしまった。第四鉱区もガルフに売り払ってしまった。     〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕 そして、これはみんな莫大な権利金を取っている。いいですか。それから第五鉱区はこれもテキサコに売った。それで第六鉱区がシェル。そして問題の第七鉱区をいま日本韓国との共同開発でやろうということで、日本では西日本石油開発——これもまたこの第七鉱区を一から九までに区分をして、そうして西日本石油開発やら日本石油開発やらにやったんだが、韓国はシェルだのガルフだのいろいろな会社にみんな権利を売り払ってしまって、そして多大なもうけをしているわけだが、しかし、この問題に対して中国が、これは不当な中国の主権の侵害だということを言ったときに、どうだ、これは第一鉱区から第六鉱区までこの権利を買った企業、メジャーは、これをみんな放棄してしまった。  これは、日本韓国とのこんな乱暴な協定の中に入ってこんな権利を持って石油なんか掘りかけても、中国が認めないんだから、実力で中国がやってきて、おれも掘るぞと言われたらどうなるのか、こんな危ないことはやめようといって、第一鉱区のテキサコも放棄してしまった、第二のガルフも放棄、第三のシェルも放棄、第四のガルフも放棄だ、第六のシェルも放棄して、いままさに韓国が設定し韓国が売り払った七つの鉱区の中で、まだ企業が残っているのは第五鉱区といま問題のわれわれが論じている第七鉱区だけです。二つになった。あとの人たちはみんな逃げてしまった。こんな韓国の乱暴なやり方で、金出して権利を買っても、末はどうなるかわからぬとみんなが逃げてしまった。企業というものは利口なんだ。それで、いま残っているのは第五鉱区とわれわれの関係している第七鉱区だ。企業はいま逃げたがっているのですよ、危なくてしようがないから。それを逃さないように押さえているのが、韓国の圧力に屈している日本政府、外務省と言っているのだ。逃げるな、逃げるな、日本が保証してやるから、ここだけは大丈夫だ、掘らしてやると言ってあなたたちは、逃げないように企業を押さえている。いいですか、外務大臣、将来とも自信がありますか。もし、この会議に権利者として臨まない中国が、おれはそんな協定を認めるわけにはいかぬから、わが道を行くで行って、韓国が実力で探査し発掘をしているこの企業の中に割り込んできたときに、あなたたちはこれをどう処置しますか。  この中国声明の中で、「いかなる国家や個人も、中国政府の同意なくして東海大陸だなで開発活動を進めるならば」云々ということを言っているのだから。これは個人というのは企業でもいいという。中国の同意なくして石油なんか掘ってみろ、そのときは云々とあるのだから。この場合は、中国が実力をもって、こういう開発企業に走っている企業を阻止に来るか——あなた来ないといって保証がありますか。あるいは、おれも自然延長論だからおれも掘るよといって、中国が自由にこの発掘活動をやらないという保証がありますか。ありますか、外務大臣。  現に、話がちょっと違いますけれども、例の西沙群島ですね。これはベトナムと中国との間で帰属を争った島だ。この島で、ベトナムが中国の警告を無視して進駐して、実力でそれを占拠したときに、中国は実力をもってこれを追っ払ったじゃないですか。そして現在中国はそこで石油の試掘を進めている。そのときのいわゆる声明文と、今度の中国日本に対する声明文と、ほとんど似ているじゃないですか。一国が最終的な合意をもって声明を出す場合には、これは文章じゃないのですよ。実力をもってもそれを阻止するという、これは非常にかたい決意が述べられておる。あなたは、そういうことを考えられないですか。  そこで、物は相談なんだ。  一つは、先ほども言うように、こんなむちゃな国内法は、いますぐ急がなければならぬという理由はないのだから、これを凍結しておいて、まず中国とひとつ話し合いに入るという、そういう態度をここで打ち出されないかどうか。  いま一つは、この中国の強硬なる姿勢に、第一鉱区から第六鉱区まで全部、買った業者が権利を放棄したように、いま第七鉱区を買っているこういう業者にも、おまえはもうここは危険地帯だからこれを放棄したらどうだといって、この権利の放棄を勧告されたらどうか。韓国政府に向かって協定はまた白紙に戻そうなんと言ったって、あの朴政権がやめるわけないから、あれはあれにしておいて、実際に採掘に従う業者に、いま日本中国の間には重大な問題があるのだから、これが解決するまではその発掘の作業に入る鉱区権をしばらく放棄する気はないかという、そういう勧告をされる気はないか。くどいようでありますが、第一鉱区から第六鉱区に至るその前例です。その例にならって、第七鉱区もそういう行動に移される考えはないかどうか。  いま、二つを聞いておきます。
  56. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 開発になりますと、所管は通産大臣の方に移ると思うのでございますが、この問題につきましては、やはり協定といたしましては御承認をいただいた。それから国内法をどうするか、こういう問題でありますので、私どもといたしましては、協定を御承認をいただいたからには、この協定を発効せしめたいと考えますが、国内の開発問題につきましては、むしろ通産当局の方の御意見の方が主と申しますか、そうなるべきものと思うのでございます。われわれといたしましては、中国との間に良好な親善関係を保持して、そして、この開発が無事に行われますように最大限の努力をいたしたい、このように考えておるところでございます。
  57. 小林進

    小林(進)委員 それでは、私が二つも出した、日本が誠意をもって中国と具体的な話をするためにはこれとこれをおやりになったらどうですかということもあなたはやらないと言うならば、一体誠意をもって中国とどんな話をするのか、具体的方法を教えてください。こういう強硬な共同声明が出てもあなた方は何もやってないじゃないですか。言葉だけではなしに、具体的に何をやるのか、言ってください。
  58. 中江要介

    ○中江政府委員 先ほど来の先生の御議論の前提にございます日韓大陸棚協定中国の権利を侵害しているかどうかというところにおいて、すでに日本中国と現段階において、見解が違うわけでございまして、日本政府といたしましては、今度の協定は国際法にのっとりまして間違いがないという確信があればこそ、予定の手続を進めつつ、日本がなぜ間違いがないと信じているかということについて中国理解を得る努力を続けていく、それ以外に道がない、こういうふうに思っておるわけでございます。
  59. 小林進

    小林(進)委員 それでは、日本政府がやっている国際法とは何だ。中間線論にするか延長論をとるかという国際法はない。であるから、海洋法会議というものは第一次、第二次、第三次と開かれて、そしてそこに妥当な結論を出している。その結論は、先ほどからも繰り返して言うように、関係国が、すなわち妥当にして衡平な原則に立って合意に立ち至らなければだめだということを言っている。君、国際法などというそんなものはないよ。それでおれをおどかそうと思ってもだめだ。そんなことよりも、いまも言うように、なぜ一体中国話し合いを先にやらないか、なぜできないかと私は言っているのですよ。外務大臣、なぜできないのですか。  いま一度繰り返して言いましょう。それでは、あなた方が中国話し合いができないと、いまは言わぬけれども、いままで繰り返してきたことは、必要かつ緊急性があるから、中国との話し合いは持てなくて、一生懸命やったのだと言っている。一体この大陸棚でその石油を掘ることがそんなに必要であるのか、そんなに緊急性があるのか、改めてそれをひとつお聞きしたい。どこから押してみても中国話し合いができないなどという理由一つもない。どんな緊急性があるのか。どんな必要性があるのか。一体ここから出る石油はいまの日本石油不足にそれほど必要なものなのかどうか、ちょっと説明してもらいたい。
  60. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 中国側にも、この大陸棚で何もそんなに急いで掘ることはないではないか、地下に置いておけば資源は保存されるではないかというような御意見もあるやに伝え聞いております。しかし、中国はいま石油は輸出国になったわけでありますが、御承知のように、日本は資源を全く持たない国でありますから、日本の近海におきまして石油の資源が必要であるということは、これはもう皆様よくおわかりいただけると思います。今日、これは備蓄を何日分持つかということが言われておるところでございまして、この石油開発をまさに日本といたしましては本当に急いで着手をいたしたい。これは資源エネルギー庁長官が見えておりますから、長官からお聞きいただきたいと思いますが、その点につきまして、中国側日本側は見解を異にしております。中国は、油につきましては自国産でやっていけるようになった、そういう意味で、日本といたしましても近海に開発をいたしたい、こういうことでございます。
  61. 小林進

    小林(進)委員 それではお伺いしますが、一体大陸棚で予定せられている石油の発掘量は幾らですか。外務省は最近どうもおかしな宣伝文を出している。七億キロリットルとかということを言ったけれども、資源庁はそれを否定しているじゃないか。ほかの方も否定しているじゃないか。実際にその中で埋蔵量は七億キロリットルあるかもしれないけれども、採掘して実際の用に供し得るものは二億三千万キロリットルくらいだと言っている。二億三千万キロリットルというが、日本の使用量は幾らですか。現在不景気に悩んでいる日本だって、一年間いま三億キロリットルなければ日本の経済は動かない。三億キロリットルを要する日本の経済の中で、これぐらい大騒ぎして五十年も協約を結んで出る量が日本の一年分にも満たないじゃないか。半年分とちょびっとだ、二億三千万キロリトル。そんなものをそれほど命がけでやらなくちゃならぬのか。それほど備蓄をしなければならぬのか。これが一つだ。埋蔵量の正確なところを教えてもらいたい。必要だ必要だという石油が、せめて日本の十年分や百年分の使用量ぐらい出るのか出ないのか、それを教えてもらいたい。それが一つ。  それからいま一点。この石油は、探査して、採掘して、いわゆる使用に供せられるまで何年かかるのか。あしたにでも掘り上げられるのか。この法律をつくったら一年以内にでも石油が噴き出すのか。冗談じゃないだろう。探査権だけの期間が八年間だろう。冗談じゃないよ。五年かかるか、六年かかるか、七年かかるか、八年かかるか、そういう気の長い話を緊急必要性とは一体何事だ。それでもあなたは、緊急性があり、必要性があると言うのか。量においてしかり。ごまかしている、みんなあなた方は。その発掘の期間において、これもごまかしているじゃありませんか。明確に言って下さい、なおかつ、これが緊急性があるのかどうか。言いなさいよ。
  62. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 専門的なことは通産省の方からお答えをさせていただきます。  私ども、これは一日も早く御承認を賜りたいわけでありますけれども、もう御承知のように、最初の署名をされましてから三年十カ月になるわけでございます。その間に御審議をお願いをいたしたわけでございまして、そういう意味でこの法案を一日も早く御承認を賜りたいわけでございますけれども、その開発努力というものは相当長期を要する、それはそのとおりでありますが、この資源に乏しい日本といたしましてはこのような努力を続けていかなければならない、そういう環境にあるということでございます。
  63. 小林進

    小林(進)委員 何も数字が明確にならないのだが、それでも、君なんかの話は余り聞きたくないけれども、ひとつ簡単に要領よくやってくれ。正確な数字で、どれだけ一体出るか、何年に始めてそれを掘り上げられるのか。
  64. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御承知のように、日韓で係争になっておった地域でございますから、まだ本格的な探査活動が行われておりません。そういった意味合いから、必ずしも断定的なことを申し上げられないわけでございますが、先生御承知のように、一九六八年のエカフェ調査によってかなり有望な地域だと言われております。その後の民間の調査等も踏まえまして、未探査地域を別といたしまして、九州から沖繩の西側水域にかけまして、約七億キロリットルぐらい埋蔵されておるのじゃなかろうかと言われておりますが、これは先ほど申し上げましたように、さらに精細なる探査活動が必要かと思います。  それから、緊要性という問題でございますが、まさに御指摘のとおりに、石油開発に当たりましては八年ないし十年かかるわけでございます。しかし、ここ数年の間は比較的石油の需給は緩慢でございますが、十年あるいは十五年以降に非常にタイトになってくるということが世界共通の認識でございまして、日本の場合、一次エネルギーの九〇%まで海外から輸入している、石油につきましては七三%依存しておる、こういうことでございまして、やはりいまから手をつけませんと昭和六十年以降に日本に対する安定供給はできなくなる、そういった意味において一日も早く開発に着手すべきであろう、かように考えておるわけでございます。
  65. 小林進

    小林(進)委員 そういう、人が物を知らぬと思って小ばかにした答弁ばかりしておるけれども、そんなことはだめだよ。原子力の問題を聞けば、核でもって早く原子力をやらなければ日本の燃料はなくなるような話をする。そんな埋蔵量が七億キロリットルで、生産をして一般の用に供せられるものが二億や二億三千万程度のもの、これで一体どれだけエネルギー危機に緊急の用をなすんだ。それを十年もたって掘ったって、ぼくらの専門家の話によれば、大体一年間で五百万キロリットルと言われているんだ。これが五十年間続くんだ。三億キロリットルから四億キロリットル必要な日本石油使用量の中で、大陸棚から掘られる五百万キロリットルなんていうものが一体一年間でどれほど日本の生死を決するのか。いま中国はどうだ、一生懸命うんと石油を掘っている。もし必要ならば日本に三千万キロリットルから五千万キロリットル売ろうかといったときに、いま中国と十年間の長期石油契約を結んでいるが、あの稲山経団連の副会長か、あの人が中国に出向して、いま日本は経済の伸長度から見てそんなにたくさん要りません、長期の契約では一千五百万トンか二千万トン程度でよろしゅうございますと、長期の契約を減らしているじゃないですか。君。減らしたろう。     〔山崎(拓)委員長代理退席、委員長着席〕 中国は、日本が要求すれば、十年から二十年先、三千万から五千万キロリットル売ってやってもいいと言っているんだ。いやいや、そんなに要りません、日本の経済はそれほど伸びませんと。これだけ海の中を掘って、魚族を逃がし、公害を流しながら、しかも採掘、探査のために要する費用が五千億円だというのだろう。世界一、こんなに高い石油はどこ歩いたってないよ。そんな高い石油よりは、その五分の一か六分の一で中国が売ってくれるというんだから、それを買ってきたらいいじゃないか。それも要らないという言葉のしりで、十年先、二十年先掘らなければならぬなどという、人をだましたようなことをあんまり言うなよ、君は。失敬千万だ、そんなのは。エネルギー庁長官やめちまえ、そんなのは。  私は、その十年先、二十年先になって掘り上げるだけでも十年までかかるものが一体どうして緊急性があるかと言うんだ。そういう十年先の石油を掘る話のために、もっと落ちついて問題のある国々となぜ話し合いができないか。八年で石油が出るのを一年延ばして九年にしたところで、一体わが日本の国策にどれだけの影響があるというのだ。私の言いたいのは、君たちの言っている緊急性だとか必要性なんていうのは国民をごまかす言葉じゃないかと言っているんだ。私の言っていることは、あなた、わかるでしょう。何も緊急性がないじゃないか。中国との話し合いをしないで決めなければならない理由一つもないじゃないか。そういう意味での緊急性は一つもないじゃないですか。それでもまだ緊急性があるというのか。まだ必要性があるというのか。語れば、一つ一つあなた方は全く愚民政治なんだよ。われわれをごまかして、こういうインチキな協定を結んでいる。私は了承できません。  そこで、いま一度言うが、中国のこのいら立つ怒りに対して、あなた方はどうこれを受けとめて対処するのか。あなたたち、誠意を示して申し入れているけれども、日本の方の立場は一寸一分も変更することができない、日本のやったことを一方的に中国了解してもらう以外にはないという言い分だが、それは日本国民として私も了承できない。第三者の立場に立って公平に見て、あなたたちが間違っておると思う。精神を入れかえて、いま少し原点に返って中国と真心のこもった話し合いをするということが、日中間の関係でいま一番重要だと思うが、どうかね。鳩山君、いま一度答弁をしてくれたまえ。
  66. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 この共同開発協定自身につきましては、この内容を変えるということは私どもは不適当であろうと思っております。したがいまして、この問題につきましてはあくまでも中国側理解を求めたい、そういう気持ちでいっぱいでございます。しかし、この理解を求めることは、先生おっしゃいますように、なかなか容易なことではないだろうとおっしゃるわけでありますが、私どもといたしまして、この開発、これは国内法を通していただいてからやはり相当時間がかかるものでございますから、この国内法はぜひとも御承認をいただいて、そしてその上で中国側には十分理解を求めながらこの開発を進めてまいる、このように考えておるのでございます。
  67. 小林進

    小林(進)委員 何だ、私がこれほど微に入り細に入り、子供にもわかるようなわかりやすい説明をしているにもかかわらず、こうやって二時間近く論議したけれども、君は何にも私のことを理解していないじゃないか。私の言うこと一つも用いようとしないじゃないか。それは失敬じゃないかね。わしも国民代表だ。国民代表で、しかし、私の言うことに理屈が間違っていると言うなら、君、言いたまえ。どこが間違っているか、その間違っているところを指摘してくれたまえ。指摘もしないで、君たちの間違った姿勢を一つも直すことはできないというのは、君、いかにも顔は笑っておるけれども、腹の中はファッショじゃないか。官僚独裁じゃないの。そんなことで国の政治が動くと思っているの。精神を改める気はないかね。ここらに君のおじいちゃんの写真もないけれども、先祖の前で恥だと思わぬかね。それでは、私は、実はまだたくさんあるのだが、次には韓国ロビーの巨頭である田中通産大臣のところへいま質問しようと思ってたくさん問題を持っているのだけれども、君が余り頑迷だからそっちまで質問がいかないのだ。それで、ぼくは君に話を聞くけれども、それならば、いわゆる中国自然延長論を認められないと言うならば、同じ自然延長論をとってきている韓国自然延長論をなぜ認めているの。韓国に対しては自然延長論を認めた、中国に対しては一方的に中間領域線を押しつけるというのは、実に二律背反じゃないですか。矛盾してませんか。
  68. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 これは経過をよく御存じの上のお尋ねでございますから、もう御説明の必要はないと思いますが、日本といたしましてこの韓国側の自然延長論というものを認めたわけでは決してないわけでございます。そういう両方の立場が違っていることにこだわっておると、エカフェで報告のありましたこの地域開発ができない。共同してやるということにつきまして、これは両国のために、両国とも石油資源のない国でありますから、両国で共同して開発しましょうというのがこの共同開発でございますから、したがいまして、韓国自然延長論をとって主張をしておるという事実はもちろん知っており、そういうことの上でいろいろな議論があったわけでありますけれども、この協定におきまして大陸棚の境界はこのように決める、あるいは韓国側の自然延長論を五〇%認めたのだ、こういうことでは絶対にないということは、協定もそのように書いてあるところでございまして、わが国といたしましては、自然延長論、これを認める意味では決してないということは、もうたびたび申し上げておるところでございます。
  69. 小林進

    小林(進)委員 あなた、先ほどからぼくが言っているように、いま少し詳しく言いますけれども、一九六八年、エカフェが来ていわゆる海底の探査をして、それで当該の海域に石油資源があるということを、さっき中江君が言ったように発表した。そうしたら、韓国政府がいち早く、一九七〇年、海底鉱物資源開発法、こういう法律を制定をしてしまって、そうして韓国自然延長論に基づいて一方的にさっと七つの鉱区をつくり上げた。そして日本のいわゆる九州の果ての日本の領海までもこうやって七鉱区をつくり上げてしまった。そうしてその権利をみな売っ払っちゃった。その売っ払った金も、やれ五十万ドルだの、ここに資料もある。時間がないから言いまするけれども、高々ともう金を取ってしまった。取ってしまって、韓国自然延長論。いやならば日本は勝手に開発しなさい、私の方はここでさっさともう権利金は取った、ふところはふえた、勝手にやりますからと言われた。だから日本は、言葉の上では韓国自然延長論を認めたのじゃない、なにしたのじゃないと言うが、言葉のあやじゃないですか、そんなことは。そういう言葉のあやや、いわゆる詭弁学派的なロジックで、この小林進をごまかそうたって、君、そうはいかぬよ。この地図が認めているじゃないか、事実の上に。ただ、そういう韓国自然延長論説を認めることができないと、さっきから言っているように一回、二回、三回と君たちは会議を開いたけれども、韓国の言い分にみんな押しまくられて、そしていわゆる密室の中で、それじゃまあこの問題は一応表向きは伏せることにしておいて、この石油資源を共同開発ということにいたしましょうと、韓国自然延長論を認めて、この第七鉱区だけは共同で開発しましょうと言ったんじゃないですか。これが一体なぜ認めたことにならないか。言葉のあやじゃないですか。本当に認めないならば、なぜ一体ここで日本中間線を引かないんだ。引いたら当然こっちは日本のものだよ。わが日本民族の残された唯一の資源だ。それをみんな売っ払っておいて、そして韓国の言い分次第、金も出します、技術も出します、掘った品物の半分は韓国にくれてやりますなどという、この屈辱の外交を国民が納得しますか、一体。これほどの屈辱の外交がどこにあるんだ。これは日本の唯一の資源の売却じゃないか。一体だれが許すか。それを、緊急性があるの、必要性があるの、石油がないからやらにゃならぬのと。その石油はといえば、日本の一年分にも足らぬようなものを掘り上げて、五十年間日本の海を荒らしまくろうというのじゃないですか。  しかも、われわれが終生一番仲よくしていかなければならぬ中国、一体中国という国を何と考えているのか、外務大臣は。あなたは韓国ばかり大事にしておるけれども、中国はどうでもいいと言うの。どうでもいいと言うの。そういうやり方じゃないですか。韓国には有償二億、無償三億、民間貸借何ぼ、いまでも経済援助しています。やりたいことを韓国にやった。三十六年間韓国を植民地支配したという罪があればこそわびたけれども、お隣の中国はどうだ。第二次世界大戦で、あなたも兵隊に行ったんだろう、あの中国の大陸に侵略戦争をやって、一千百万の中国人民を殺した、一億の中国人が住む家を焼き払った。何にも侵略していく理由はない、帝国主義的な日本の侵略だ。これほどの侵略をして迷惑をかけたその中国が、日本の関係した国々の中で日本に賠償金を取らない国が中国以外にありますか。それは、フィリピンはもちろん、香港でもシンガポールでも、戦争の被害を受けたから、血の決済はしなさいといって賠償金を取っている中にもかかわらず、この一番の被害を受けた中国が一銭の賠償金も取らないと言っているじゃないですか。一寸の領土も取らないと言っているじゃないですか。昔の事は忘れましょう、これから仲よくいきましょうというそ中国に対して、われわれは敗戦国なんですよ。平和条約ができない限り、われわれは敗戦国なんだ。その戦勝国の中国が、それほど寛大な処置で日本に相対しているのに対して、こういう傲慢無礼なやり方をして、それであなたはいいと思っているのか。あなたは一体そのやり方がこれで正しいと思っているのか。ひとつも傲慢無礼じゃないと思っていますか。鳩山さん、あなた一体聞いているの、答えてよ。
  70. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 この大陸棚開発協定につきましては、日本といたしまして、中国に対しましてあくまでも御理解を賜りたいということで、礼を尽くしてきたと思います。今後とも礼を尽くしてまいりたい、そういう気持ちにはいささかも変わりがございません。また、いまおっしゃいましたように、日本中国、これはアジアにおきまして最も大事な関係でありますから、今後におきまして日中間の友好親善関係の増進を図ることは、これはもうアジアの安全と申しますか平和のため何より必要なことでございますし、日本といたしましても今後この日中関係の友好増進につきまして最大限の努力をいたす、そういう点では小林進先生と私ども気持ちは全く変わっておりません。  ただ、この大陸棚の考え方は、これは大変対立をしておるわけであります。したがいまして、この問題を話し合いで解決するというのは大変むずかしいことであろうと思いますが、日本といたしまして、日本韓国とで行います共同開発につきまして、これは国際的な慣行からいたしましても決して無法なことをやっているということではない、そういう点を中国に対しましてあくまでも理解を求め、また礼節も尽くしたい、このように考えております。
  71. 小林進

    小林(進)委員 あなたは言葉としては礼節を尽くして話し合いをすると言うけれども、いままで何もやってないじゃないですか。何もやってないから、どういうことをやるんですかということを聞いているけれども、それを一つも示さないじゃないですか。では、これとこれとこれをおやりになったらどうですかという私のその具体的な提案に対しても、あなたはこれを否定しっ放しだ。それで誠意を披瀝したことになるんですか。それとも、国会にはあなたの誠意の披瀝の仕方は具体的に言えないということなんですか。どういうことなんですか、これは。  それで、いま一つ私は、時間もないが、言いますけれども、あなたが先ほどから言っている中間線論をとれば、中間線の内側だから中国の主権は侵していないと言うが、たとい内側であっても、もしも——あなたの言うとおりこれを内側としましょうや。内側であっても、中国の合意がなければ、これは国際法上、私はこの協定は有効にならないと思うが、どうですか。たとえて言えば、中国の主権を侵してない、まああなたの説を認めるとしても、しかし、中国の合意を得ていなければ、これは国際法上の有効とはならないと思うが、合意を欠いた協定、いわゆる関係諸国の合意を欠いた協定実施は、やはり中国の主権を侵している、話し合いをするというその合意を侵しているものはやはり中国の主権を侵しているものであると私は考える。いかがですか。
  72. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 大陸棚の境界、あるいはいま草案におきましては二百海里の経済水域が問題になってそのような規定がされておりますが、その境界の画定をするという場合には、これはまだ確立されたものはありませんけれども、今度海洋法会議で明年でもはっきりしたことができれば一つの解決になろうと思います。しかし、それは境界画定の問題でありまして、いまお願いしております、この御審議をいただいております国内法、また、先般の協定いたしました協定は、境界自体を決めておる協定ではないわけでございますから、その点は、国際法の境界画定はどういう手続が要るか、こういうこととはいささか次元の違った問題であるということは御理解をいただきたいのでございます。もちろん、無関係であるとは申しておりません。関係がございますけれども、境界画定の手続というものといささか違うということは御理解をいただきたいのでございます。
  73. 小林進

    小林(進)委員 あなたがどう言われようと、先ほどからくどく言っているように、中国のいわゆる自然延長論日本中間線論協定という、その上にこの共同開発地域ができ上がったのだからそれは事実であるが、それは表面上の言いわけで、事実は私が言うとおりなんです。そういうごまかしの詭弁であなたは人をだましてはだめだと言うのだが、それはあなたと私の間はあなたの方のごまかしが通ってもいい。第三国に対してそれが一体通るか通らないか。もう時間がないからいま一回言う。  いまあなた方は、決めたそのことはいわゆる中国との中間線の内側で決めたんだ、だから影響はないんだと言うが、しかし中国の合意はない。この合意がない協定が国際法上有効であるとあなたは考えているかどうか、これだけ聞いておけばよろしい。関係国の合意を欠いた協定なんだ。これが一体国際的に有効であると考えられるかどうか。イエスかノーでよろしい。
  74. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 当然国際的に有効でありますから国会に御審議をいただいたわけでございますし、国内法の開発国会の御審議をいただいておる、このように考えております。
  75. 小林進

    小林(進)委員 これは大変なものだと思います。中国の合意を欠いた協定実施、これはやはり国際法上合意国際法上有効だというのですね。中国の合意は必要でない、国際法上の合意の上には中国の合意は必要でないというのですな。これは大変な問題です。私はいま一度聞いておきますよ。  しからば、国際法上これが合意と称するが、しかし中国は合意を与えてない。中国はやはりこれは自分の大陸棚であると解釈している。これはいつかはぶつかりますね。その結果に対して、あなたは、国際法上有効であるという理論によってこれを承知することができますか。自信がありますか。
  76. 中江要介

    ○中江政府委員 いま大臣が言われましたように、国際法上合法である、適法であると信じておりますから、国会の御承認を得てこれから実行しようとしておるわけです。  それでは、なぜそう思っているのかという点につきまして一言だけ申し上げておきますと、再三先生もおっしゃっておりますように、海洋法秩序はまだ流動しておりますけれども、この協定が締結されました時点及び現時点におきましても、大陸棚について全く規定がないわけではないわけでございまして、大陸棚条約の第六条には、相向かい合っている海岸を有する二以上の国の領域に同一の大陸棚が隣接している場合は、つまり一つ大陸棚を相対してはさんでいるときには、合意によってその境界は決定するとあり、日韓大陸棚協定は、日本韓国とが相向かい合って隣接しているその部分を日韓の間で合意によって決定したわけでございまして、日本中国との間で相隣接している部分は、先ほど申し上げましたように白紙に残してあるわけでございます。日本韓国と相対しているところについてのみ、日本韓国で合意によってこの共同開発をやっておるわけでございますので、国際法的に見まして一点の間違いもないと信じておりますが、中国は別の意見を持っておりますので、その点はいま日本の考えをよく中国に話をし、理解を得よう。それでも理解が得られないということになりますれば、これは法律上の紛争でございますので、法律的な争いを解決する方法といたしましていろいろございましょう。国際司法裁判所に持っていくこともありましょうし、調停をすることもありましょうし、これは国家間のことでございますので、国際法に照らしてわが国の国家及び国民の利益を守るという点についてはいささかも譲ってはならぬ、こういうふうに思うわけでございます。
  77. 小林進

    小林(進)委員 残念ながら、一時から本会議だそうでございますので、私は、これからまさに微に入っていまのロジックを論断しようと思ったのでありますが、時間がありませんからやめます。  ただ、いままでの長い論争を通じて、日本政府がいかに韓国に対して弱いかということが明らかになった。これじゃ、この鳩山外務大臣に任していると、大陸棚だけではなくて竹島も取られてしまうという感を私は切々と感じた。これでは大変であります。そうして中国に対しては、いかになすべきことをなさないで、傲慢無礼な態度を続けているか、これも明らかになりました。これはとても国民として了承できる問題ではありません。しかも、いま韓国はこうやってアメリカにおいても非常に問題が出ている。朴政権のやり方がいまアメリカの国民の世論にはたかれて、大きく対韓国の政治が変わろうとしているときだ。韓国国会でさえも問題になって、血を噴くような形の中で韓国国民の怒りを持って通ったこの協定を、日本の国内においても五年も六年もたなざらしになっているほど日本国民が怒っているこの協定をこんな形で通しておいて、なおかつ一つも反省がないということは、私は国民の立場から残念に耐えません。耐えませんが、本会議の時間が来ましたから質問の一部は残しましてこれで終わりますけれども、政府の回答に対してはいささかも了承することができませんので、また次の時間をおかりいたしまして、ゆっくり質問をさしていただきたいと思います。これはこれで終わります。
  78. 野呂恭一

    野呂委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ————◇—————     午後三時二十九分開議
  79. 野呂恭一

    野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田哲児君。
  80. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私は、本法につきまして本会議でも御質問をいたしました。各大臣のそれぞれの答弁をいただいたところでございますが、中身から見ますと非常に不十分であり、しかも私ども納得するに足らない、こういうふうに感じているわけであります。そこで、筋からいきますとそういうところに触れていくつもりでございますが、ぜひきょうは十分にわかるように答弁をしていただきたい、こういうことをまずお願いをしておきたいのであります。  もともと、政府の皆さんあるいは委員長以下各委員の皆さん、常にわが国の国益あるいは現在の日本の置かれているエネルギー、特に石油の問題については、皆さんにも劣らないほどの心配なり考え方を私は持っている、人後に落ちないという立場で実はおるわけであります。しかし、いままでのこの審議過程をずっと見まして、やはり国益の問題あるいは現在の石油の事情から見て、急いでやらなければならない、こういう点について多くの疑点を実はどうしても抱かざるを得ない。  そこで、まず第一番にお伺いをしたいと思うのでありますが、この法案がそもそも出ましたのが四十九年の五月十八日、七十二回国会で、その後見てまいりますと、七十五、七十六、七十七、七十八、八十、そして今回、こういう回数を重ねているわけであります。しかも、年数から見ますと四十九年から五十二年まで四年越し、これだけの審議の中で、実は見てみますと、提出−廃案、再提出−継続審議、継続審議、継続審議、廃案、再々提出、それから法案の審議にいま入っている。これまでの間ずいぶんな年月をかけ、議論も重ね、こういう過程の中で本日に来ているわけでございますが、一体この商工では——本会議で私質問させていただきました。こういう法案についてなぜ、これほど国益であり重要なものだと言いながら、一致点を見出すことができないのか。そういう点を大臣どういうふうに考えられておるのか、まず最初に私は伺っておきたいわけであります。
  81. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 この協定がなかなか御承認をいただけなかった原因は何かと仰せられましたが、私ども、この協定は世界にも類例のない協定であると思っております。大変珍しい、一つ大陸棚を両方の国が権原を持ちながら開発するというのは非常に例が少ない。石油開発はもう最近はオフショアで行われるようになったわけで、そのオフショアはいずれかの国の主権のもとに開発をされておる。そしてしかも、それは合弁事業で行われる場合も非常に多いわけでありますし、また、わが国のように外国の地先沖合いにおきまして、先方に法人を設けまして開発をするという形が多いわけでございます。しかし、この共同開発は、これは日韓双方がお互いの管轄権を主張し合った中で生まれた特殊な開発形態をとっておるということもあろうかと思います。それに至りました過程は、やはり私は、日韓関係につきましていろいろな問題の提起がございます。非常に政治的なバックを持ってこの問題が見られたという点にあろうと思うのでございます。  私ども、日韓関係担当者といたしまして、これからの日韓関係というものがもう何ら後ろ指をさされないようなことで行われるべきであるというふうに考えておりますし、この癒着という言葉がいろいろな意味はあろうと思いますけれども、仮にそこに不明朗なものがあってはならないと思います。今後そのようなことのないように、私どもも真剣に取り組んでまいる決意をいたしておりますが、このようないろいろな背景があって、この問題が政治的に非常に問題にされたという点に非常に不幸があったのではないか、このように率直なところ考えておる次第でございます。  したがいまして、これから取りかかります共同開発にいたしましても、これは本当にガラス張りの中で行われることが好ましい、このように考えておるところでございます。
  82. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 通産大臣、この委員会では、いわゆる一回のお経読みもなかったわけであります。いま外務大臣はそういうふうにお答えになりましたが、あなたはどういうふうにお考えですか。
  83. 田中龍夫

    ○田中国大臣 お答えいたします。  ただいま御指摘のように、日本のエネルギー事情というものを振り返ってみますと、その中には、いろいろな苦心をして、何とか遠方の中東方面やその他遠隔の地でなく、日本の周囲からとりたいものだという願望というものは非常に根強いものがございましたが、まことに不幸にして、九九・七%までは海外に依存しておるという状態で、国民の生活の将来というものを考えますると、まことに寒心にたえなかった。たまたまこの九州の西側において、エカフェのとき以来この問題が出ましたが、しかしながら、なかなかアジアの国際関係あるいはまた近隣の関係というものは外交的にも非常にむずかしい状態でございますので、日韓両国だけの合意だけで容易にできなかったということが、まことにじんぜんとして……(岡田(哲)委員「原因を聞いている」と呼ぶ)それですから、いまのアジアの状態というものは、なかなか複雑なものでありまして、われわれがエネルギーの上からいってこうありたいと思うことだけ、あるいはまた日韓両国が考えただけでは容易に解決できない、いろんなふくそうした問題が外交的にもあるわけでありまして、そういうことからじんぜんとして日を延ばさざるを得なかったというふうに解釈いたしております。
  84. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 何を言っておられるのか実はよくわからぬのですけれど、私の聞いているのは、どうしてこれほど長い期間かけ、何回となくやりながら、実は合意をしないのか。国益であり、エネルギー事情というのは恐らくもう各委員皆同じような考え方の上に立ちながら、なぜこれがまとまらないのかという原因を聞いておるのです。いま外務大臣が、言葉の中で、政治的な背景もあるだろう、日韓癒着という言葉も出されたが、やはりイデオロギーとかそういうものでなく、そういう何かどす黒いもの、不明朗なものがどうもこれにまつわりついている、こういう気持ちが実は合意に至らない点ではないか。  いま私もずうっと整理をしてみますと、両国に隣接するというふうになっている、この当然中間線でいくべきにもかかわらず、どうもわが国が余りにも韓国側に権利譲歩をし過ぎているのではないか。あるいは中国、朝鮮民主主義人民共和国などはずうっと反対をし抗議を続けている。こういう、言うなら隣接する第三国との未調整がまだ本当に合意に達せずに残されている、そういう不安がある。あるいは探鉱開発計画、現在の技術水準あるいは資金など、そういうような点について一体どうなるかという見通しの問題、さらには海洋の環境汚染の問題、漁業保護の問題、こういうものについてまだ万全なる対策がいま確立していないではないか。それに先ほど言った政治的なあるいは日韓癒着的などす黒いものが全体を包んでいる。私はそういうふうに考えているのです。やはりそこを政府が十分理解をしないとこれはいけないのじゃないか。今後も審議する前提がそこに一つあるのじゃないかと私は思うから聞いているわけですが、どうでしょう。私のこの考え方どういうふうにお考えですか。
  85. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 先ほど申し上げましたのは、日韓間でいろいろなことが御批判を受けておるわけでございます。しかし、これらのことは、私が今後日韓間を本当にガラス張りにしたいと申し上げましたのは、過去においていろいろな事実があったということを根拠としておるのではございません。これらは立証さるべきことが立証されなければ、とやかく私は言うべきことではないと思っておるわけでございます。しかし、このような余りにも政治的な取り上げ方がされたために、非常にこの問題が難航をしたのだというふうなことを申し上げたかったわけでございます。  そういう意味で、純粋に資源的な観点に立ち、またあるいは、公害等につきましては極力これを防止する見地に立って行われるべきことは当然でございますが、石油開発というものはもう最近はオフショアで行われることが非常に多くなってきたわけでございまして、これらは技術をもって解決しなければならない問題と考えております。そして石油が、これは出るか出ないかわからないわけでありますけれども、日本韓国も油を必要としている国でございますので、両国が協力して共同開発を行う、それ自体といたしましては私は結構なことである、推進されることが好ましいと思うわけでございますが、このこと以外のいろいろ日韓間で御批判があるような関係が存在すること、実際そういう政治的な意味でいろいろ見解を異にすることがあるものですから、この大陸棚開発自体も大変そういう意味で難航したというふうに考えておるところでございます。
  86. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 とにかく合意を見ない。なぜ合意を見ないのか、そういう点を腹の中に入れながら今後審議に応じていただきたいというふうに私は思います。  余り時間がありませんので省略をいたしますが、昭和四十三年以来この問題がずっと起こりました。これを一々言うことを省略いたしますが、そこで、四十四年の四月に韓国に対して、もろもろの動きについてわが国は強い関心を持っているという趣旨の申し入れをしておりますね。この申し入れは、わが国をさておいて韓国が一方的な動きをするな、こういう気持ちの申し入れだと思うわけでありますが、それに間違いありませんか。
  87. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 おっしゃるとおりと考えております。
  88. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 その申し入れを行った後、四十五年一月に一方的に立法手続を進めて海底鉱物資源開発法を交付した。  五月には、この法に基づいて大統領令によって七つの鉱区を設定してしまった。  四十五年六月、この鉱区設定の後に、わが国の主権が及んでいると考える部分、すなわち第五鉱区の一部、第七鉱区については韓国側の権利を認めることはできない、この点について話し合いたいと申し入れをしております。これは、この境界線を明確にするためにことしの秋に外交交渉を開始する方針を政府が固めて、四十五年七月、韓国の一方的な進め方は問題があるから専門的見地から話し合いたいと再度申し入れをしているわけです。  四十五年の八月に、近く第五鉱区の探査が開始されるとの情報で、日韓の係争となる区域については探査開始を差し控えるようにまた申し入れを行った。  四十五年の九月に、ようやく半年ぶりに韓国側からその回答があった。その内容は、韓国が設定の鉱区は朝鮮半島の沿岸を自然延長したもので、韓国独自に主権的な権利を行使し得る区域であるから、日本側の要請に応ずることはできないと拒否してまいりました。  十月に、日本側から韓国の態度に対して、大陸棚の境界画定は二国間の合意により定められるものであるから、係争中の区域の行動については控えるように再度要請した。  十一月以降数次にわたって交渉して、ようやく、六、七、八、九、十、毎月のように申し入れ、要請をしてこういうことになっているわけです。  この経緯を見ますと、韓国は初めから、もう平和的な話し合いでわが国との間に合意を求めながらやっていこうという意思はなかった。韓国独自の主権的な権利を行使し得る区域であるからと、一方的に既成の事実を積み重ねて、これはもう完全な戦略、戦術として臨んできたというふうに私は判断するわけであります。  私は、こういう態度は隣国として友好的でなく、誠意も全く見られない実に国交上から見て無礼ではないか、こういう気持ちすらするわけでありますが、こういう経緯はそのとおりに考えてよろしゅうございますか。
  89. 中江要介

    ○中江政府委員 韓国側が例の海底鉱物資源開発法を制定する動きを示しましてから、その法律が制定、公布されて、それに対して日本側が一々文句をつけてきたという経緯は、いま先生がおっしゃいましたような経過でございましたが、その経過からすぐに、韓国がやったことは日本の関心を無視した一方的なけしからぬ行為であるというふうに決めつけ得るかというと、そこのところは大変な論争の的であったわけでございまして、これは当時の国際法の一般の原則及び慣例、先例から見まして、韓国が、あの地域は自分の大陸棚であって日本からは大陸棚の権利の主張はできないのだ、こういう国際法上の立場をとった、その立場そのものは決して全面的に間違いと否定してしまうことのできるものでなかったわけでございます。したがいまして、日本は、あの部分に大陸棚の権利の主張ができる、韓国は、あそこに深いみぞがあるので日本はそれを飛び越えて主張はできない、この点がいま先生のおっしゃいました専門家会議を三回にわたってやりましたその主たる争点であったわけです。  その争点は、したがって政治的なものでもなければ戦略的なものでもなくて、純粋に国際法上、大陸棚の権利主張が一体どこまで日韓両国はそれぞれできるかということの争いでございまして、その点に関する限りは、これは正直に言って、どちらが圧倒的に有利というような国際法の熟した問題でなかったところに本件の複雑なところがあったわけでございまして、日本側は、私はこの三回のうちの後の二回は自分自身で先方と交渉したわけですが、当時の国際法の慣例、学者の学説、それからこの地域の地形、そういったものを全部駆使しまして、これは日本大陸棚の権利が主張できるのだということで先方と渡り合ったわけです。ところが、先方先方で、国際司法裁判所の判例その他の中の、この大陸棚というものの性格としてまず大陸からの自然の延長という、この論拠を盾にとって主張するわけです。そういうことで最後のところ、日本側から国際司法裁判所に持っていこうということを言い出したくらいに本件は国際法上の問題であったわけで、韓国の主張が一方的にむちゃであって、わが方が絶えず受け身であったということではない、その点だけははっきり申し上げておきたい。こう思うわけでございます。
  90. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私がいま申し上げたのは、ずっと経緯を一つずつ見ていくと、もう先取り先取りで既成事実をどんどんつくって、そいつを押しつけてきている。そいつをわが方がたじたじしながら後手後手でこれを受けてしまっている。もう初めから韓国は、既成事実の積み上げの上に、話し合いなどするのじゃなしに、一方的にどんどん進めていこう、こういう気持ちがありありとわかっておる、私はそういうふうに判断している。それを一体政府はどういうふうに受けとめて対処したのか。私はそれをいま聞いておるわけであります。  そこで、海底鉱物資源開発法が公布されたのが四十五年一月一日、この法の内容はまことに重大でございまして、中でも、その第四条で、「海底鉱業権は、政府のみが保有することができる。」そして、その開発区域、鉱区、形態、鉱業権の設定、出願、登録は、大統領令で定めることができる。これはわれわれが見ると、国内法とは相当変わっておるものですから、驚いた目でながめるのですが、この立法は四十五年一月一日。いつごろからこの法律が韓国側でできるという動きを察知して、それでそれに対してどういうふうにしたのですか。
  91. 中江要介

    ○中江政府委員 これは、昭和四十三年にエカフェの調査が出まして、沿岸諸国がそれぞれ関心を示し始めました。その一つのあらわれとして、韓国の方でどうも韓国大陸棚開発の準備が進んでいるのじゃないかという情報がありまして、その情報をキャッチいたしましたのが昭和四十三年、つまり一九六八年の秋ごろでございます。その秋ごろにその制定の動きを察知しましたが、これは全く主権的権利を行使する部分についての法律ですから、そのもの自身は何ら問題はないわけで、ただ、その対象水域が、つまり対象水域というよりも対象区域が一体どこまで及んでいるかということが実は問題なのです。  したがって、この法律そのものではなくて、法律の対象になる大陸棚区域がどこまで及んでいるか、それが果たして日本として納得いくところでとまっているのか、それともこちらの方に及んでいるのかということが問題で、それを見守っておりましたところが、翌年の一九六九年の四月に閣議決定を見ました法案によりますと、どうもこれは日本から見れば日本大陸棚と思っているところに及んでいる、これはけしからぬというので、先ほど先生がおっしゃいましたように、その部分について日本異議があるということを申し入れて、そして交渉に持ち込んだ、こういうことでございます。
  92. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 いまこれ一つを見ましても、私、感ずるのですけれども、韓国がどんどん既成事実をつくっている、政府の一方的なもので進めちゃっている、こういうことを感ずるのですね。  そこで、いまあなたは、それは大変だというので話し合いへ持ち込んだ、こう言われる。そういうやり方が後手後手に回っているのじゃないか。察知をしたならば、もっと早くそういうものに対してどうするのかという態度をなぜとらなかったのか。そういうことを私は言っているのです。これに対して、四十五年になって大統領令によって七鉱区の設定、それから驚いて六月に話し合いの申し入れ、これは余りにも安易で、政府は無責任だと私は強く感ずるわけです。こういうあり方は怠慢じゃないですか。
  93. 中江要介

    ○中江政府委員 私どもから見ますと、先ほど申し上げましたように、韓国が自分の主権的権利を行使し得る部分についてどういう国内法を制定しようと、それは韓国の全く純粋な国内問題でございますから、それをどうするということはないわけです。  ただ、この大陸棚に関しましては、日本韓国の間に共通している大陸棚がありますので、どこまでを具体的に鉱区として対象にしているかということがわからないときに、韓国側に対抗してわが方も国内法を制定するとか、そういうことはちょっと考えられないことであるわけですから、韓国が何を考えているかということが具体的にはっきりした段階で、その部分に納得のできないところがあれば韓国に申し入れる、これは当然のことで、特に後手であるとか怠慢であるとかということは考えておらないわけでございます。
  94. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私は、先ほどずっと経緯を言ったのですが、そういう動きの中から、現在のこういう問題になるような事態にまで進んでくるということを、政府特に外務省は情報としてキャッチをし、それを措置するということは当然の任務だ、こういうふうに実は考えるわけです。こういうふうな韓国の一方的な独善的な態度と、日本政府の無責任、怠慢、こういう点を今度は朝鮮民主主義人民共和国及び中国に置き直してみますと、韓国はさておき、日本政府両国への対処は、平和的友好、国際信義の上から見て問題が余りにも大きいと思うのですが、その点どうでしょう。
  95. 中江要介

    ○中江政府委員 この地域大陸棚は、一つの大きな東シナ海の大陸棚に四つの国が接しているということでございますので、この四つの国が全部集まって、東シナ海大陸棚全域について境界を画定するということが理想である、その点は中国日本も同じ考えでありますし、韓国も同じ考えなんです。  ところが、それができない。できないから、できるまで待つのか、できないならできるところから始めるかというところが一つの判断の分かれ道で、日韓大陸棚協定というのはできるところから始める。できるところはどこかといいますと、日本韓国との間に隣接して相対している、両国の間に接している大陸棚の部分に限って日本韓国との間で合意をする、これは国際法的に見て何ら問題がない。したがって、日韓両国の間で北部と南部について境界画定の交渉を始めた。  その段階について言いますと、朝鮮半島の北の部分については、これは日本韓国とが相対して隣接しているという関係にはないわけで、日本大陸棚をはさんで相対しているのは韓国でございまして、北の部分はさらにその奥にあるわけです。これは南と北との間で境界を画定すればいいわけで、これには日本が口を差しはさむ余地がない、こういうことになります。  それから今度は、中国の方は、日本中国とで相対している部分、この部分は日本中国とが話し合うわけですから、韓国が口を出す必要がない。したがって、その部分は日中間で話し合う時期まで触れないということで白紙に残した。  そうしますと、残っておりますところは韓国中国との間の中間線、これは渤海湾から南に下がってくる線ですが、これは韓国中国がお話しになればいいのですが、話ができない。それをどういうふうにされるかは、これは両国の問題だ。  そういうふうに問題のあるところを全部除いていきますと、最後に残るところは日本韓国との二国のみで相対している部分、この部分についての境界を日本韓国との間で合意する、これは国際法的に見て何ら問題がない。こういう立場から交渉をしてまとめたわけでございます。
  96. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 朝鮮民主主義人民共和国が、四十九年二月二日に、この協定を認めないと、その無効宣言をしておりますね。日本政府は、朝鮮南北の統一の正当性を認め、その実現を期待することを国際的に表明してきております。いまのお話を聞いておりますと、確かに法的の問題はさておいて、いまそういう点から考えてみますと、さらにこの朝鮮民主主義人民共和国ともに南北の自主的、平和的統一を国是としていることも承知をしているところだと思うのです。この声明の中でも、「大陸棚はわが民族の興隆と繁栄の貴重な宝で、だれも侵すことができず、朝鮮人民の利益と意思に背いて処理できないものである」こういうこと。そしてさらに、「朴、その一味は採掘権を米英帝国主義者に譲渡し、開発権を日本帝国主義者に売り払った」と、非常に激しい言葉声明を出していることは御存じのとおりです。  私は、ここで聞きたいのは、この南北主権をめぐる紛争に、この問題が、わが国が火をつけた。自主的、平和的統一を願うわが国の方針、これに反するのではないか、こういうふうにすら思うのであります。一体、大臣、その点はどういうふうにお考えですか。
  97. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 今回の共同開発の対象となっている水域は、これは韓国日本との相対している水面である。それで、朝鮮民主主義人民共和国、これは当初は朝鮮半島一帯が朝鮮民主主義人民共和国の主権の及ぶ範囲であるという主張でありましたけれども、どうも最近は、やはりその実効支配をしている区域、先般の防衛水域の設定に見ますように、これは韓国の地先までは指定をいたしておらない。そういうところから考えまして、現在におきましては、私は、韓国の地先沖合いにつきまして、朝鮮民主主義人民共和国はその管轄権を主張はしない立場になっておるのではないか。これは私ども想像でございます。  しかし、仮に南北朝鮮が本当に平和的な統一が達成される、こういう暁におきましては、当然この統一された国家が韓国の地位を引き継ぐわけでありますから、したがいまして、この共同開発をしておりましても、私は、韓国の地位というものが新しい統一国家ができればそこに引き継がれるものと考えておりまして、そういう意味からいきまして、この共同開発が南北の平和統一の阻害要因であるということは毛頭ないものと考えておるのでございます。
  98. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私は、本当にこれは大変だと思うのです。この声明文ですが、非常に激しい先ほど読み上げました声明が出ている。そしてこの条約がこの間の委員会を通過をしたとき、また抗議声明が出ていますね。そういうふうに、いまだに朝鮮民主主義人民共和国の立場に立ちますと大変なんだということがもうよくおわかりだと思うのです。そういう上から見ますと、わが国の外交方針、自主的、平和的な統一、そういうことから見て法的にいいのだとさっきアジア局長は言われるのですけれども、法的ではない、外交上、政治的に見て一体これをどういうふうに考えるか。私は、主権をめぐる問題でございますから、この紛争に火をつけた、こういうふうに言ったのです。いま大臣の答弁では、それと一切離れちゃってお答えになっていないのですけれども、私はそういうふうに考えるが、あなたはどうだ、こういうことを聞いておるのです。外交方針に反するのではないですか。
  99. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 今回の共同開発、この区域は、日本国韓国との間に存在する大陸棚でありますから、したがいまして、北朝鮮とはかかわり合いがない区域であるし、その水域自体はないというふうに解釈されるところであります。それで、これが南北統一後どうなるか、こういうことになれば、当然この韓国の地位は統一後の国家に引き継がれるであろう、そういうことでありますので、この共同開発が南北の平和的統一の阻害要因になるということは全くないということを申し上げているのでございます。  しかし、現実問題としていろいろな意見のあることは承知をいたしております。しかし、それは私は、大陸棚の帰属というようなことではなくして、やはり日本韓国との協力事業という点につきましてそれを問題にされておるのではないか、そういうふうに解せざるを得ないのでございます。
  100. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私は、きょう大臣と議論をしようとは思いません。一体あなたがどういうふうに考えられているのか。私は、この南北朝鮮自主的、平和的統一というわが国の外交方針から見て、これは間違っている、こういうふうに思うのです。しかし、時間がありませんから、後ほどまた改めてやるといたしまして、次に、今度は中国の関係についてちょっとお伺いをしておきたいわけであります。  この政府の出された資料をよく読んでみました。「本来この大陸棚の境界画定の問題はこれらの全関係国の合意によって処理されることが最も望ましい。しかしながら、」ここで「しかしながら」がついている。「現在、全関係国との間に国交が存在しているわけではない。そこで、まず東シナ海大陸棚のうち日韓両国にまたがる部分に限定して、その部分についてのみ日韓共同開発を行うこととしたのが日韓大陸棚協定である。従って、本協定は、中国の国際法上の権利をいささかも損うものではない。なお、我が国は、再三にわたり中国側に対し本協定に関する我が方の考え方を説明し、日中間大陸棚境界問題については、中国側が希望するならばいつでも話合いに応ずる用意がある旨伝えてある。」こういうふうになっている。そのとおりだと思うのであります。これを私、非常に素直に読んだのです。  そうしましたら、これは二十三日ですか、国貿促の貿易訪中団、藤山団長ですが、これが会談をした際、季先念副首相は日韓大陸棚協定に反対する態度を重ねて表明するとともに、「中国の主権にかかわる問題であり、日本政府は当然中国と相談してしかるべきなのに、一度も相談しなかった。しかも日本政府は“相談した”とうそを言っているのは誠に遺憾だ」、こういうふうに言われております。これは先ほど小林先生も触れた点であります。中国の受けとめ方は、一度も相談を受けていない、そして相談したとうそを言っている、こういう受け取り方をしておることだけは事実でしょう。わが方は、話し合いではない、説明した。しかし、向こうは、相談を受けていない、相談したというのはうそだ、ここまで言っておるわけであります。一体これをどういうふうにお考えですか。     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
  101. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 先ほどもお答え申し上げたところでございます。私ども、昭和四十九年の一月の四日でございますか、当時の大平外務大臣が姫鵬飛外交部長にこの件につきまして御説明をしたわけでございます。そのときには大平外務大臣は、先方理解を求めるということでございます。この海域の開発につきまして、これは日本韓国との間で取り決めてしかるべき海域と日本は考えておる。しかし、それにつきまして中国理解を求めたわけでございます。私どもは中国と相談をする、あるいは協議と申しますか、そういう言葉の正しい解釈がどうなっているか中国語をよく存じませんが、日本といたしましては先方理解を求めたことは確かでございます。しかし、それにつきましてそのときには御返事がなかった、これも事実であるわけでございますが、その後中国側の反対声明が出た。これは経緯でございまして、その反対の態度はその後変わっておらない。  わが方としてはあくまでも中国側に対しまして理解を求める、どうか理解をしていただきたいということで礼を尽くしておるわけでありますが、それに対して先方の反対の態度は全く変わっておらないということでありまして、私ども中国側協議が済んでおるというようなことを申したことは一度もない。そういう意味で、うそをついたということはまことに心外に思っているところでございます。
  102. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 とにかく大臣、向こう側のしかも副総理が、うそを言ったとこう言っているのですね。これは事実だと思うのです。あなたがどういうふうに思おうと、相手側、中国側はそういうふうに受けとめている、これは重大だと思います。  そこで、実にこれは官僚的作文でうまくできていると実は思うのであります。この部分に限ってのみ共同開発を行う、「従って、本協定は、中国の国際法上の権利をいささかも損うものではない。」そういう上に立って再三にわたって「本協定に関する我が方の考え方を説明」、ここでは「説明」とこうなっている。「説明し、」今度は「中国側が希望するならばいつでも話合いに応ずる用意がある」、この「説明」と「話合いに応ずる」の「話合い」というのは一体どういうことなんですか、どういうふうに違うのですか、大臣
  103. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 この協議ということはやはり話し合いということだろうと思うのです。この境界をどういうふうに設定するかということにつきましては、これは日中間協議をする必要がある事項でございます。しかし、この大陸棚協議説明——これは、大平外務大臣韓国との協定の署名をする前に、関心をお持ちでありましょうからそれにつきまして御説明をして理解を求めたということでございまして、その態度は今日も変わっておらないのでございます。
  104. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 そんなことを言っているのじゃない。協定ができる、それまでは「協定に関する我が方の考え方を説明し、」とこうある。そこまでは「説明」なんですね。しかし、今度は、「中国側が希望するならばいつでも話合いに応ずる用意がある」、前は「説明」ですね、今度は「話合い」と、こういうふうに変わるのですが、どうしてこうなるのですか。
  105. 中江要介

    ○中江政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、わが方が説明いたしておりますのは、日韓大陸棚協定日韓間にまたがる部分にのみ限っているので、中国の権利を害しているものでないということを説明しておるわけです。日中間話し合いをするならば話し合いに応ずる用意があると言いました部分は、いま日本からは話し合おうというにはまだ機が熟しておらないけれども、日中間にまたがる部分がずっと南にあるわけでございます。この日韓大陸棚以外といいますか、さらに南に、東シナ海で日韓間で相対している部分よりも南の方は日中間で相対しているわけです。その日中間大陸棚の境界画定については、これは日本からはいままだすぐに境界画定の話をしようと言うつもりはないけれども、中国がもし日本との間で境界を画定しようという御意思があるのならば、いつでもそのお話はする用意がありますよということを言っておるわけで、これは対象が違うわけでございますので、同じものについて、他方で説明し、他方で話し合いに応ずる用意がある、そういう矛盾したことを言っているわけでないので、いまお読みになりました文章のところにも、日中間大陸棚の境界画定の問題については、中国側でこれを希望するならば日本は応ずる用意がある、こう書いてあるわけでございます。
  106. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私の申し上げたいのは、あくまでも、協定ができる、そういうものについては中国側に通告というか説明というのは一方的ですね。何も話をするのじゃなしに、一方的にこうしますと説明だけする。なぜこのときに話し合いをしなかったのかという気持ちもありますが、今後はこれとは別なので話し合いましょうと出ておりますね。そういうことですね。
  107. 中江要介

    ○中江政府委員 再三申しておりますように、東シナ海大陸棚の部分部分につきまして交渉相手が違うわけでございますので、日本韓国とではさんでいる部分は日本韓国で話をするし、日本中国ではさんで存在している部分については日本中国で話をする、こういうことになります。
  108. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私は、実は余り学問がないものですから、字引を引いてみたのです。「説明」というのは、単なる事実の確認ではなく、あることがどんな法則的な関連によって生じたかを明らかにすることというふうに載っております。「話」の中には、物語や落語やそういうような言いっ放し、それから話し合う、あるいはお互いに話す、相談をする、こういうふうになっておるのです。  私が官僚はやはりうまく作文をつくるのだなと思ったのは、先ほど言ったように、初めの方は説明であり後の方は話し合いが出てくる。話し合いというのは相談ですね。先の方は相談しなくてもいい。これは一方的にわが方の立場を通告すればいい。既成事実をどんどんつくっておいて、こういうことでございますから、ということになりますね。非常に隣接する国であって、しかも反対声明や何やらが出ておらなければそれはいいでしょう。了承しましたと言うならばいいのだろうけれども、問題が起こっている、いろいろ反対を言っている、そういう情勢の中で、これほどの問題を説明だけで、再三にわたって説明して済んだ、今後は別の問題だから話し合いに応じましょう。わが方が話しに行くのじゃなしに向こうが言ってきたら受けましょう、こういう態度ですね。私は、これは外交上大変な問題だと思うのですが、こういうやり方はどうですか。
  109. 中江要介

    ○中江政府委員 一般論といたしましては、二国間で締結されました条約協定その他を隣国に説明する義務というのはないわけでございます。したがって、大陸棚協定に関して言いますれば、日本韓国の間でのみ問題になる大陸棚について、日本韓国の間で話し合いをしたということになりますれば、そのことは一方の隣国であるソ連とか一方の隣国である中国とか、あるいは北の方の隣国である朝鮮民主主義人民共和国であるとか、そういうところに一々通報しなくても、国際法上認められているものであればそれで堂々と通っているし、それが普通なんです。  ところが、この日韓大陸棚協定につきましては、その前提になるところは韓中中間線というものが必要になるわけなんです。そこで、朝鮮半島と中国大陸との間の韓中中間線というものを南にずっと延長します。そうしますと、韓国中国との間の境界ができまして、その韓国側のところで、今度は南北で日韓で話をしている、こういうことですので、中国と無関係ではない。また、その点について一九七三年に、韓国の先ほどの国内法ができましたことに中国が文句を言ったわけです。この渤海湾から南のところについて韓国が一方的にそういう法律をしいて大陸棚開発するのは認めるわけにいかない。そのときに韓国は直ちに、その翌日に韓国の外務部声明を出しまして、中華人民共和国という正式の国名を使って、韓国政府としてはいつでも中国と境界画定の話し合いをする用意があるということを言ったにもかかわらず、その後ナシのつぶてで話し合いが行われなかった。そういたしますと、当時そしていまも有効な大陸棚条約の第六条によりますと、合意がない場合には中間線によるということが規定されております。そしてまた、この韓中間にまたがっている部分について言いますれば、大陸棚条約の第六条の後段がそのまま適用し得る大陸棚の形になっておるわけでございますので、この韓中中間線を前提としてそれを南におろしてきて韓国側の部分について日本韓国が話をした、こういうことですので、中国と全く関係ないわけではない。こういう理由で、こういう事情だからこうなったんだということを御説明したということでございまして、これは国際法的に見まして最後まで御説明で通すべきものである。  そして今度は、それからさらに南西の方にずっと中国大陸に沿って南シナ海の方に向かって下がっていきます大陸棚部分につきましては、これは琉球列島と中国大陸とで相対しておるわけですので、ここのところは日本中国との間で話をしなければいけない。この部分は説明では済みません。これはもうおっしゃるように話し合って、相談して決めなければならない、そういうことを言っておるわけでございます。
  110. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 とにかく、この条約が通ってから李先念副首相が、日本政府が相談したとうそを言っていると言っている。とにかくこの問題について承知をしていないのですね。日本のやり方はよくない。こういうことは重大だと私は思います。法的にじゃなしに、これは外交上、隣国としての今後の平和友好の上から見ても、政治的に見ても、まことにこれは重大だということだけ申し上げて、次に移ります。  次は、共同開発区域の問題についてであります。この図を見ますと、わが方は西日本石油開発日本石油開発、帝国石油、この三社、それから韓国側が与えているメジャー、シェル、カルテックス、ガルフ、コアム、これがそれぞれ九つに分割をされているわけであります。この面積などから見ましてもまことに均等でないわけですし、また、共同開発区域をなぜ細かく九つに分割をしなければならなかったのか、その理由を伺いたいわけです。
  111. 中江要介

    ○中江政府委員 これは、先ほど冒頭に申し上げましたように、韓国韓国のよって立つ法的根拠に基づいてこの地域開発を進めようとしていたということでございまして、それに対して日本は、その部分については日本も権利があるのだと言って交渉が始まったということを申し上げました。そういうことですので、韓国側ですでにこの地域については幾つかの鉱区に分けて開発の準備を進めていた。交渉した結果、この部分についてどちらが主権を持つかということには決着がつかなくて、日本の主張と韓国の主張とが重複する部分、両方の権利の重複する部分については共同開発にする。どちらの主権も最後までは主張しない、半分まで主張するということで共同開発ということになったわけでございますので、そういう経緯から見まして、韓国側は韓国側として準備をしていたものを下敷きにいたしまして、それを今度は共同開発という協定に基づく開発の仕組みに取り入れていこうということで、いま御指摘のような区分けになっておるわけでございますけれども、これはこれから共同開発権者が決まり、小鉱区に分けられる。もうすでに分けられておるものの変更も修正もあるわけでございますが、合理的な開発に向かって協定実施段階で具体化していく。出発点といたしましては、韓国側が韓国の国内法に基づいて開発しようとしていたその準備の段階というものを下敷きにしておる、こういうことでございます。
  112. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 石油も折半、費用も折半、こういうことになっているわけですが、これほど細かく入り組まして小鉱区で作業するよりも、共同区域全体を共同でやる。この全域を、どうせ折半するのですから、全部半分にして、どうせ費用も石油も半々ですから、こんな細かくごちゃごちゃわからぬようにつくるよりも、認可されている企業、これが全体に協力し合って折半すればいいと思うけれども、何でこれほどごちゃごちゃに細かく区切るのですか。
  113. 中江要介

    ○中江政府委員 これは、私も最初この区切り方を見たときは先生と同じような印象を持ったわけですが、どうもこれは専門的な知識がないと実際には説明はできないのかもしれませんけれども、この海底の様子、つまりどれくらいのところに石油がありそうか、     〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕 つまり、大きく区切っておりますけれども、全部平等に石油があるわけではないわけでございますので、それぞれがここが一番ありそうだと思うところを区切って、そこに開発権を申請していく、こういうことになるわけで、この協定の交渉をしておりますときに、すでに韓国側では韓国の立場に基づいて、一方的に韓国の国内法に基づいてこういうような区分けで準備をしているということでありますので、今度は日本との間で、それを一方的開発でなく共同開発するに当たって、韓国側ですでに準備をしていくそういう区分けに従ってこれがもし共同開発に移行することができるならば、それはそれで実行可能でもあるし、また、能率的な面もあるということで、韓国側ですでに準備しております小区域に分けたその区分というものを尊重して、そしてその上に共同開発を乗っけていった。日本側でそれに応ずる開発権者がなければこれはできない話ですけれども、日本側でもそういう区域の上で共同開発をしようという開発権者が申請してまいりますれば、ここで共同開発事業契約が締結される、こういうことになるわけであります。  特に大きい、小さいということ自身が問題になるということはないと思いますし、この広大な区域を会社同士で共同開発するということは実際的にはきわめて非現実的なことであるというふうに私は聞いております。
  114. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私も素人でよくわからぬのですけれども、どう考えてみても、どうせ全部折半ですから、費用も取り量も半分半分ですね。それが確定しているならば、共同開発区域をいまそれぞれとういう認め方——また認めてないのですけれども、認可するそれぞれが一番合理的な掘り方というのは当然できるんじゃないか。そういう立場から見ますと、細かく区切るよりも、全体的でしかもこれが総力を挙げて共同でやる方が合理的だと私は思うのです。そういうやり方がなぜできないのか、どうもここに一つ疑問があるわけです。
  115. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 九つの鉱区の設定につきましては、先ほどアジア局長からお話があったわけでございますが、それならば、それを一つとして、全体として開発してはいかぬかという御指摘でございます。  日本側といたしましては、すでに御承知のとおり、現行の鉱業法に基づきまして三社がいわゆる優先出願をいたしておるわけでございます。この優先出願というのは、ある意味では財産的価値を持っておるということからいたしまして、三社のものを一本にまとめるというわけにはまいらないといった現行鉱業法のたてまえとの関連もございまして、先ほどアジア局長からお話があったような形で処理せざるを得ない、こういうことでございます。
  116. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 それから、日石開発の事業契約は見たのですけれども、帝石と西日本については、事業契約はそれぞれ結んでいるのですか。
  117. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ただいま先生御指摘のありました事業契約は、恐らくは外国企業との共同事業契約のことではないかと思いますが、そういたしますと、帝国石油と西日本石油開発につきましては、当該日韓共同開発区域につきましては、結んでおりません。
  118. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私は、「日石開発の事業現況」、その中に載っております契約、「日石開発と米国法人であるテキサコおよびシェブロン三社の共同事業としておこない、所用費用は五〇%、二五%、二五%の割合で日石開発、テキサコおよびシェブロンが負担し、生産石油もこの比率により三社がそれぞれ取得することとなっている。」これを見まして感ずるのですが、いままでの国会議論、ずっと議事録を読んでみました。しかし、どうもはっきりしないわけでございますが、ここでお尋ねしたいのは、全体の半分はとにかくメジャー、韓国側に行く、あとの残りが、言うならば五〇、二五、二五、こういう半々でこれも分けられる。いままで四分の一だとかいう議論がずっとされてきたのはこれだろうと思うのです。そういうことを見ますと、次のようなことが考えられるのですね。  結局、いま韓国側のもとにあるのは、全部メジャーですね。それから、わが国で民族系と言われるのは帝石だけです。あとはメジャーです。そういうふうに物を考えますと、全地域のこの地図を見て私そう思うのですけれども、帝石の出願区域、これを共同開発区域全体の中で見ますと、大体五分の一ぐらいの面積ではないかと思うのです。これは違うかもしれませんが、五分の一近くあるのではないか。そこで、この五分の一の民族系のことを私言っているのです。この帝石が、もし半分半分ということになりますと、帝石の結ばれているその半分だけで、あとはすべて、それぞれ会社の名前は違うのでありましょうけれども、メジャー系で占められてしまう、こういうふうに思うのですが、それは間違いですか。
  119. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御承知のように、石油開発に当たりましては、多額の資金が要ります。また、そのプロジェクト自体がリスキーなものであり、あるいは高度の技術を必要とする、こういったところからいたしまして、特に大陸棚における石油開発につきましては、共同事業契約を結んでやるというのが世界の通例になっております。  ただいま御指摘になったケースもそれに該当するものではなかろうかと思いますが、問題は、その石油の取り分の問題ではなかろうかと思います。日本側といたしましても、対日供給の安定というところにポイントを置きまして、そういう共同事業契約を結ぶに当たりましても指導いたしておりますし、現に巨大な消費市場としての日本に供給するということの方が、メジャーといたしましても有利なわけでございます。  ただ、その場合、御理解いただきたいのは、メジャーの取得分ということではございませんで、メジャーがその比率に応じて販売する、こういう意味でございます。したがいまして、五〇%の日本の取り分がある場合には、いずれにいたしましても、その全量を対日供給させ得る、また現にいままでもさような方向で指導してきておる、こういうことになろうかと思います。
  120. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 長官、私の申し上げているのは、石油の取り分じゃないのです。取り分は、先ほども言ったように、半分が韓国側で、残りの半分は、どういうことであろうとも全部わが国へ、半分半分で分けて、これは量は来る。しかし、その主権といいますか主導権といいますか、それを見ますと、わが国の民族系というと帝国石油だけで、この帝国石油の出願区域は、さっきの日石と同じように物を考えると、これが半分、あとは全部メジャーですね。取り分じゃないのです。大体この共同開発区域はだれが開発するのかというと、民族系である帝石の持つ割合というのは一割ぐらいで、あとの九割はすべてメジャーだ、こういうふうに思うのです。  私の言いたいのは、この共同開発区域は、日韓共同開発するというよりもメジャーが開発する、こういうことになるのではないか、こういうことを言っているのです。
  121. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 結局は、日韓共同開発地域をだれが開発するかという主体性の問題かと思います。先ほどもお答えいたしましたように、多額の資金あるいは高度の技術といったようなことを考えますと、世界的にもいわゆる共同開発事業契約といったようなものでやっておるのが通例でございます。  日韓の場合にも、当然のことながら、特例法によりまして認可される特定鉱業権者は、日本人あるいは日本法人ということになってくるわけでございまして、そういったものに対してメジャーの技術を借りるかどうかといったことは別問題で、いずれにいたしましても、特定権者としては日本法人になる、こういうことであろうかと思います。
  122. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私が本会議でも言い、またいまも申し上げているように、これはどう考えても、メジャーが九割の力を持って主導権を握るというふうに考えているわけです。  さらに重要なことは、そのメジャーの指定は、先ほどもちょっと触れました韓国の海底鉱物資源開発法の第四条、「海底鉱業権は、政府のみが保有することができる。」これは朴大統領の権限である。メジャーと朴政権、こういうものがこの共同開発区域の九割の力を占めてしまうのじゃないかと実は言いたくていま申し上げておるわけであります。そういうことじゃないのですか。
  123. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 韓国側は、海底鉱物資源開発法に基づいて、いわゆる外資系の企業に対して租鉱権を設定しているわけでございますが、これは韓国の問題でございますので、われわれとしてはとやかく言う立場にない。  ただ、日本のサイドに限って申し上げますと、いわゆる特例法によりまして特定鉱業権者が決まる。その特定権者がこの共同開発地域をいかなる形で開発していくかということは、その主体性を維持して、それに対して他の資金なり他の技術なりを活用していくということは、これはあり得るだろうと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、特定権者が主体である限りにおいて、私たちといたしましては、その限りにおいて共同開発地域日韓で共同で開発していくということになろうかと思うわけでございます。
  124. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 いま私の言ったこと、言うならば、大体一割くらいしか帝石の権限がないという点についてはどうですか。そういう見方は間違いなのですか。
  125. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 帝石のウエートが一割というのはどういう御指摘か、私もわかりにくいわけでございますが、いずれにいたしましても、費用なりあるいは取得分は日韓で半々になるわけでございますから、五〇%分は日本側に来るということでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、その開発のための技術を他のメジャーに依存するということもあり得るだろうと思います。その程度が行き過ぎると先生の御指摘の一割という意味かとも思うわけでございますが、われわれといたしましては、あくまで日本の特定鉱業権者が主体性を持って共同開発に当たるということで、本件は理解いたしておるわけでございます。
  126. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 次に、もう余り時間がないようですが、公団融資についてお伺いをしたいと思うわけであります。  いままでの答弁をずっと聞いておりますと、大臣はこの前の本会議の御答弁でこういうふうに答えられておるわけであります。「日韓共同開発を行いまする日本側の企業につきましては探鉱投融資を行うことは可能でありまするが、現在のところ共同開発計画自体が存在していない。将来、御指摘のような投融資計画が出されました場合には、第七十五回国会の衆議院商工委員会の附帯決議の趣旨にかんがみまして、これを尊重し、その段階におきましては慎重に考えたい」、こういうふうに答弁されているのです。  私は、こういうふうに答弁をされたその腹を聞きたいわけでありますが、一つは、共同開発計画自体が存在していない、まだ権者を認可していない、この法律ができていないと言っておられる。そうすると、正式に法が発動して企業が決まる、そのときを指して言っておられるのか。  二つ目、将来、決議にかんがみ、その段階において尊重して慎重に考えたい、こういうふうに言われている点は、現在、日中間に紛争がある、あるいは北朝鮮との間に紛争がある、これは中村重光先生の質問に対してこの附帯決議が出てきているのですが、平和的に話し合いが進んでこの紛争がなくなる時期を指しておられるのか、そこら辺を明確にしていただきたいわけであります。
  127. 田中龍夫

    ○田中国大臣 ただいまの御質問でございますが、本法案が成立いたしまして協定が発効をして開発権者が認可され、その者から具体的な投融資の申請が出される段階で、七十五国会の衆議院商工委員会の附帯決議の趣旨に照らして石油開発公団が日韓大陸棚共同開発を行う日本側の開発権者に投融資を行うことが妥当かどうか、これを検討する所存でございますというわけであります。そのいま指摘の附帯決議というものは、現に紛争を生じておる、または生じるおそれのある地域であって、石油開発公団の投融資は見合わせるかどうかというふうな一般論を述べたものと承知いたしておりますが、紛争地域かどうかということそれ自体が根本的に検討を要するものじゃないか、私はこういうふうにも考えられます。
  128. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私はどうもよくわからないのですけれども、中村重光先生が、この附帯決議をつくるときに、   日韓大陸だな共同開発協定に対しては、中華人民共和国及び朝鮮民主主義人民共和国から異議が出ていることは御承知のとおりであります。先ほどの答弁に関連をしてまいるわけでありますけれども、このように国際紛争が起きているとき、あるいは起こるおそれがあるという地域の探鉱開発事業に対する公団の投融資というものは当然行うべきではない、このように考えますが、大臣、この点をどうお考えになりますか。 これは河本通産大臣ですが、   これは私も当然そうしなければならぬと思います。   繰り返して申し上げますと、紛争のある地域及び紛争のおそれのある地域、そこでは開発業務、投融資というものは見合わせるということにしなければいかぬ、こういうことでございます。 こういうふうになっているのです。  ですから、私が先ほど言ったように、この投融資というのは、いま中国それから朝鮮民主主義人民共和国、こういう間に現在紛争がある、こういう認識でこの附帯決議ができている。ただ、中国、北朝鮮という字句は抜けましたが、そのときの議論から言いますと、そういうことからこの附帯決議が出てきている。そうしますと、先ほど言っているように、この紛争がなくなる、平和的な話し合いでおさまってきたという段階には投融資をしたい、この通産大臣の本会議の答弁というのは、これはやりたい、しかし、いま共同開発計画自体が存在しないと言って一つ逃げた。その後は、尊重してその段階において考える、こう言っている。後段は、あくまで投融資をやりたいんだ、しかし、いま言っているような事情でこれはいまやろうと言っているのではない、こう言っているわけですね。その点について私はいま聞いているのです。
  129. 田中龍夫

    ○田中国大臣 その点でございますが、あくまでも具体的な計画が出されました段階におきまして、国際法上の紛争地域の一般の定義も参考としながら、外務省とも相談いたしました上で、当地域がそれに該当するかどうかを慎重に検討してまいりたい、こういうことでございます。  いま先生は、これは紛争の地域であるということを前提にお話しになりましたが、紛争とは何なんだろうか、そういう点から考えますると、その点はさらに外務省とも篤と相談をして今後の措置をとりたい、かように考えます。
  130. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 大臣、私がわざわざ、この会議録で中村重光先生がこういうことを言ってこの附帯決議ができたと言っているのです。だから、いまのあなたのように、紛争については外務省と相談するというようなものじゃないです。明らかにこの附帯決議というのはそれに基づいてできた、こういうふうに私は見るべきだと思うのですが、どうですか。
  131. 田中龍夫

    ○田中国大臣 私は、先ほども申し上げたように、国際法上の紛争というものは一体どういうことだろうか、——中村先生が附帯決議をおつくりになりましたときの経緯、これはいま先生からお話を承りました。しかしながら、そのいまの経緯に直ちにこれが紛争地域であるということを規定できるのかどうかということをもう一度改めて考えたい、こういうふうな気がいたします。
  132. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 大臣、私の言っているのは間違いでしょうか。中村重光先生の質問があって、大臣が堂々と二回も繰り返している。この委員会のときにはほかの委員の質問に対してもそういうふうに言われている。そのもとというのは、中国と北朝鮮、この間には紛争があるという議論があって、こういう言葉が出てきたわけですよ。そうじゃないんですか。もう一回聞きます。
  133. 田中龍夫

    ○田中国大臣 ただいまの私の申し上げたことをもう一度繰り返して申し上げるわけでありまするが、果たしてあそこの区域の地点が紛争地点であるかどうかということについては、私は、国際法上の紛争とみなすかどうか、また、中村重光先生のお話の当時の前提、これ自体も私どもは検討いたしたい、かように考えております。
  134. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 エネルギー庁長官、いまの答弁でいいですか。
  135. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 先ほど先生から御指摘のありましたような経緯をたどりまして、一昨年の三月の当委員会における附帯決議の中で、「石油開発公団の投融資については、」紛争のおそれのある地域については「これを行わないこと。」というふうに決議されたことは承知いたしておりますが、具体的に「国際紛争のおそれがある地域」ということにつきましては、特定権者が定まりまして、それが具体的な投融資申請を出してきた段階におきまして、その時点におきまして、国際通念として「国際紛争のおそれがある地域」とはどういうことであるかということをさらに検討した上で対処いたしたいというところが、大臣から慎重に検討したいという発言のあった趣旨と私は理解いたしております。
  136. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 いま私が言いました、あなたも言っているように、計画自体が存在しない、それは私もわかります。だから、その申請が出てくる、そのときが一つの時期として投融資するかしないかという議論になるのか、あるいはもう一つは、附帯決議の趣旨にかんがみてこれを尊重して、しかもこの段階においてまた慎重に考える、非常にこれは慎重な答弁なんでございます。  一生懸命で読みました。そうすると、二つあるわけですね。一つは、申請が出てきてそれを認可するとき、このときに出すか出さないか。それで、しかもあとのもう一つは、この附帯決議に基づいて今度出すか出さないか。私が言っているのは、いまは紛争はあるが、できるだけ早い機会に紛争がなくなったときに投融資対象に考えるということを答えているのかと聞いているのです。
  137. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 問題点は二つあるかと思います。  一つは、附帯決議におきまして、紛争のおそれのある地域には投融資を行わないことという事項であり、いま一つは、特定鉱業権者が具体的に申請してくるかどうかという問題があろうかと思います。したがいまして、先ほど来お答えいたしておりますように、現実の段階におきまして、紛争のある地域に該当するのかどうかということと、それから具体的な計画自体を審査する、その二つの面から慎重に検討するという大臣答弁があった、かように私は理解いたしておるわけでございます。
  138. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私も、大臣答弁をいま読み上げたわけですが、あなたと同じようなことなんです。  ここで私の言っているのは、長官、もう一回聞いてくださいよ。中村重光先生のこの質問に対して、当時の通産大臣が答弁している。これは指定をしているのです。中国と北朝鮮、いまここに紛争状態あり、おそれがある、こういうことを指摘した上でこの附帯決議が出てきたという経緯については、これは間違いありませんね。
  139. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 私も速記録でさように読んでおります。
  140. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 速記録でそういうふうに確認すれば、当然今後の行政上、この公団融資というものは国会の権威から見て尊重しなければならぬ、こういうことですね。こういうことを認めた上で考えるということですね。
  141. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 経緯的には御指摘のような過程をたどって附帯決議ができたと思うわけでございますが、附帯決議の中には、いみじくも先ほど先生御指摘になりましたように、どこそこの地域といった具体的な地域の指定がなくなっておりまして、いわゆる「国際紛争のおそれがある地域」と一般的表現になっております。そういったものも踏まえまして検討するということになろうかと思います。
  142. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 それでは、くどいようですが、中国と北朝鮮から異議が出ていることは御承知のとおりであります。これに基づいてできた。だから、こういう附帯決議の条文の中にはこの文言は入っていないが、実際できた経緯はこういうことだったということをここで確認して、当然そういう上に考えるということでいいわけですね。
  143. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 経緯的には御指摘になったとおりだと思いますが、具体的な案件が出てくるその時点で、紛争のおそれのある地域であるかどうかということは、やはりその段階での判断に待たざるを得ない、かように思うわけでございます。
  144. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私は、今度の共同開発は、国がいままでより以上に非常に前面に出てきている問題だと思うのです。それだけに心配をするわけでありますが、この膨大な計画、まあときには五千億とも言われておりますが、こういうような五十年間にわたる大きな開発に際しまして相当な費用がかかることだけはわかるのです。それを民間三社のそれだけで資金が賄えるというふうには考えられない。当然公団融資というものを何とか引っ張り出そう、公団融資がなければこれは開発できない、こういうことを私は考えているのですが、どうですか。
  145. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 大陸棚における石油開発には非常に多額の資金がかかります。また、その資金自体が非常にリスキーなプロジェクトに投ぜられるということもございまして一世界の通例といたしまして、リスクの分散と申しますか、幾つかの企業が金を出し合って海洋開発に取り組むといったような事例もございます。  ただ、本件につきましては、現在御承知のような状態にあるわけでございますので、どの程度の探査費あるいは試掘費が要るか、あるいは開発費が要るかということについては、全くいまのところ計算もなされておらない段階でございます。しかし、いずれにいたしましても、広い海域にわたっての探査、開発でございますので、かなりの資金量が要るだろうと思います。  ただ、それが、直ちに特定開発権者になる企業がすべて石油開発公団の投融資を申請してくるかどうかということは、それは具体的な段階になってからでないと、私たちとしてはいまの段階で予見的なことを申し上げられないと思うわけでございます。
  146. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私は、この政府答弁から見て、あるいはいま言われたような点から見て、当然公団融資というものが出てくると思うのであります。そういういまのような答弁で、あいまいもことしてこの審議を続けるというのは、私は非常にいかぬことだと思うのです。もっと腹を出し合って、こういうことだということにならないと、審議を進めるわけにいかぬ、こういうように思うのです。やはり相当莫大な費用がかかる。相当公団が融資をしなければこれは成功せぬだろう、私はこういうふうに思っているのですが、一言言ってください。いまのようなわからぬような答えでなしに、できるかできないか。私はできないと思っているのですが、どうですか。
  147. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、現在の三社というのは、単純に先願出願をしているものでございまして、この三社が直ちに当然に特別措置法に基づく特定鉱業権者になるわけでもございません。その限りにおいて、いかなる企業が特定開発権者になるかということは、率直に申し上げていまの段階では決まっておらないわけでございます。  そういった意味合いからいたしまして、リスキーな資金が多額に要るということは申し上げられます。その資金を調達するために、広い意味での自己調達が可能なのか、あるいは石油開発公団に資金の融通、投融資を申請してくるものもあろうかとも思います。しかし、いまの時点において、すべてが必ず融資申請をしてくるということを断定的に申し上げるわけにはまいらない、こういうことを申し上げているわけでございます。
  148. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 まだそれは発足していないのですから、そのとおりでしょう。しかし、これだけ膨大な資金、しかも今度のような場合、国が前面に出てやっているという事情から見ると、ほかのものよりも投融資という点は当然出てくる、私はそういうふうに思うのです。出てこないのですか。
  149. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘のように、やはり一部に石油開発公団で積極的に投融資をすべきじゃないかという御意見もあることは、私たち耳にいたしております。ただ、先ほどお話にございました五十年三月の附帯決議の趣旨があるわけでございますから、私たちといたしましては、附帯決議の趣旨に即してその時点で判断せざるを得ない、こういうことになるわけでございます。
  150. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 そこで、私が先ほど言ったでしょう。その附帯決議をあなたはどういうふうに見るか。くどくも辛くも言ったわけです。私の見方を申し上げたわけですね。承知していますね。紛争とはこれこれ、こういうふうに挙げて、その文言だけは除かれたけれども、この附帯決議ができるまでの過程をやはり確認をしておいてもらわぬと、これはもう議会軽視じゃないですか、大臣
  151. 田中龍夫

    ○田中国大臣 たとえば第三国からの異議の申し立てがあったということ、それ自体が国際法上の紛争とみなされるかどうか等々の問題につきましては、その時点におきまして、さらに外務当局とも申し合わせをいたしまして明確にいたしたいと思いますが、いまの段階では、第三国の異議の申し立てがあるということであって、即紛争であるとは考えられないと存じます。
  152. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 そうすると、中村先生と大臣との間のこの会議録に載っている委員会審議というものを、あなた方はどういうふうに考えられているのですか。長官は、会議録そのものについてはよく承知しています。しかし、答えとなってくると、紛争は外務省と相談をしてみますということになるのですね。私は、現に紛争のおそれがあるという審議の上にこれができてきた、これをくどくも言っているのです。そこをはっきりしてください。
  153. 田中龍夫

    ○田中国大臣 ただいま経過の点は先生からお話も承り、また、議事録も持っておりまするけれども、いわゆる国際紛争と言われる中の問題といたしましては、外務省の国際法上の国際紛争という定義もございますので、その時点におきましてよく相談をいたしまして決定をいたしたい、かように考えます。
  154. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 ついでに、外務大臣はどういうふうにお考えですか、いまの点、紛争というのは。中国や北朝鮮との間にいろいろ反対や抗議が起こって、現に紛争があるということが認められて、そういう通産大臣の答弁になっておるのですよ。外務大臣、この事態をどう思いますか。
  155. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 石油開発公団の融資の方針につきまして……(岡田(哲)委員「融資の方針を聞いているのじゃない、紛争の」と呼ぶ)融資の方針でございますから、この点につきまして通産当局から御相談があれば、それは私ども御相談には当然応じなければならぬと思いますけれども、これは石油開発公団の融資の方針でございますから、これはもっぱら国内的な問題であろうと私は考えております。
  156. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 外務大臣、いま方針の話ではなしに、紛争という点についてそのとき議論をして、中国あるいは北朝鮮との間にはいろいろ紛争があるということで、紛争という字句が附帯決議の中に出たわけです。いま外務省は、こういう状態は、円満な話し合いでいこうとしておりますが、そういうものができるまではやはりまだ紛争状態、今後紛争が起こる可能性がある、こういうふうにごらんにならぬですか。
  157. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 いまお尋ねの点は、これは附帯決議の文言の解釈の問題であろうと思います。したがいまして、私ども、これは国際的な観点から論ずべきことではないのではないかと思うのでございます。
  158. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 一応私の持ち時間が来ましたので、まだたくさん質問を申し上げたいわけでございますが、また日にちを改めまして十分にお伺いをいたしたいということを言いまして、終わりたいと思います。
  159. 野呂恭一

  160. 野坂浩賢

    野坂委員 この国内法の問題についてこれから質疑に入るわけですが、田中通産大臣にまずお尋ねをしたいのであります。  通産大臣におなりになるまでは、たしか日韓協力委員会の事務総長だったと思うのです。その事務総長当時に韓国側との協力要請があったと思うのであります。私は知らないからその内容を聞くわけですけれども、お話があったということを聞いております。それについてはどのようにお答えになり、お話しになったでしょうか。
  161. 田中龍夫

    ○田中国大臣 その点でございまするけれども、日韓協力委員会なるものは、民間の親睦団体でありますと同時に、日韓両国の経済的、文化的な問題について特に推進をいたしてまいったのであります。この大陸棚の問題がそもそも発足いたしました当時におきましては、まだ私は存じておりませんでした。しかし、両国の間に違った意見が並列し、対立いたしておりますことは困ったものだなということは考えておりましたが、日韓協力委員会それ自体といたしまして、まだ政府の外交上の問題が進展いたす前は私は存じておらないのでありまして、そういう点はたびたび当時のことを申し上げておる次第でございます。
  162. 野坂浩賢

    野坂委員 今日、アメリカにおきましては、米韓の癒着問題についてフレーザー委員会等は深刻に議論をしております。わが国においても、日韓癒着問題は、国会以上に国会の外では非常に深刻にながめておる。しかもこの日韓大陸棚協定そのものについて、日韓の癒着と黒い霧に覆われておるではないかという世論もあります。そういう状況を受けて、この日韓大陸棚協定は非常に慎重に、国内法も慎重に検討しなければならぬ。ところが、この前の国会において、論議を尽くさないままにこの大陸棚協定は強行採決に至っておる。いよいよ国民は、この日韓大陸棚協定の底に流れるものについて疑惑を持っておる、これが日本世論の現状だと思うのです。  そういう状態を踏まえて、いま私たちは国民注視の中でこの協定をあるいは国内法を議論するわけでありますから、慎重に検討して、特に田中通産大臣日韓ロビーの有力メンバーと言われておるわけですから、あなたのそういう疑惑を払拭をするためにも、議論が尽きたというところまで議論に議論を尽くすことが必要であろう、時間に制限をかけないで十分議論してほしい、こういう態度であろうかと思いますが、田中通産大臣はそう私が考えておるとおりお考えですか。
  163. 田中龍夫

    ○田中国大臣 この日韓大陸棚の問題の進捗いたします経過、また、日韓協力委員会のあり方等におきまして、私は断言してはばかりませんが、黒い霧とかあるいはまた癒着とか、そういう問題は断じてございません。のみならず、日韓協力委員会が、いまの大陸棚の問題につきまして心配はいたしておりましたけれども、これに対しては何ら介入いたしていない、かように存じます。
  164. 野坂浩賢

    野坂委員 私は、日本の国の世論について、また、国民が大陸棚協定及び国内法を見ている目、こういう点を素朴に率直にいま申し上げておるわけです。あなたに疑惑があるかないかはこれからの問題でありましょうけれども、私も、あなたがそう言われますから、少なくとも通産大臣という地位にいらっしゃるわけですから、そういうことがないことを希望しております。だから、そういう疑惑、疑念——特に、この協定は五十年間有効です。私はいま五十三歳でありますが、その五十年後にはもうこの世には縁がないと思っております。あなたもそうだと思うのです。あなたもいない。だから、子々孫々の諸君たちから、あのときの国会議員がもっと慎重に検討していたら、もっと国益というものを考えていたらこのようなことはなかったであろうというようなことを言われないようにわれわれは審議を尽くさなければならぬ、そう思っておるわけです。そういう点については、あなたは私の意見に賛成ですかということを聞いておるわけです。
  165. 田中龍夫

    ○田中国大臣 通商産業大臣といたしまして、今日、日本民族の、日本国家の最大の問題はエネルギーの問題であると存じます。それで、この問題がわが国にとりましてはいかに重大な問題であるかということはいまさら申し上げるまでもございません。先般もイギリスからサッチャー夫人が見えられましたときに、実はイギリスは油の問題で非常に苦しんだ、しかし、ことしはもう三分の一が北海油田の問題で自給できるようになりました、三年後にはもう全然外からもらわなくてもいい段階になります。こういうふうに言っておられましたし、この間のヒース大蔵大臣の写真を見ましても御案内のとおりに、わが国といたしまして最大の難関は、油を全部外国からもらっておる。そういう点では、大陸棚の関発の問題は、日本民族にとりましても、大所高所に立ちまして、長い将来にわたりまして、子々孫々にわたるまで国家のためにぜひ行うべきものである、私は、かような信念のもとに今回の御審議をお願いいたしておる次第でございます。
  166. 野坂浩賢

    野坂委員 私が聞いておることと違うのです。エネルギーが大切であることは、私も百も承知です。でも、エネルギーというのは、石油資源というのはいまの状態でどこかに行ってしまうということはない、ちゃんとそこにおるわけです。だから私は、いま国民が協力をして、理解をしてこの問題に取り組むということであるならば、そういう拙速主義ではなしに、十分に議論を尽くせ、何十年もやれというわけではないのですから、十分に議論を尽くして、審議は尽くした、これで勝負だというところまでやる必要があるのではないか、時間切れだからこれでやってしまえということは政府の考え方にはないだろう、また、与党自民党の皆さんもそういう考え方は毛頭ないだろう、こういうふうに確信をして審議に入るべきだと私は言っておるわけです。  エネルギーの大切なことはよくわかっておりますし、英国は、日本のこの協定や国内法と違って、いわゆる粗利益の八〇%も税金に取っておる、こういう現状ですよ。われわれとはこの税金の取り方もずいぶんと違うのです。そういうことを踏まえて、なぜイギリスがあれほどに上昇したかということも考えてみる、比較検討してみる場合に、大きな相違があることもあなたは知っていらっしゃるでしょう。私は、国内世論の状況から見てあなたの考え方を聞いておるのです。どうでしょう。
  167. 田中龍夫

    ○田中国大臣 かような次第で、ただいま御提案申し上げました案は十分にそういうことを尽くして、そうして慎重な御審議をお願いを申し上げておる次第でございます。
  168. 野坂浩賢

    野坂委員 野呂委員長にお願いをしておきますが、田中通産大臣は、拙速主義に走らないで慎重に討議をして審議を尽くすべきだ、こういう主張でありますから、委員長において今後の委員会の運営をそのようにお計らいいただきますように要望しておきます。よろしく。いいでしょうか。
  169. 野呂恭一

    野呂委員長 はい、承知いたしました。
  170. 野坂浩賢

    野坂委員 ありがとうございました。  それでは、いまの同僚議員から質問をいたしました石油開発公団法の附帯決議、「国際紛争のおそれがある地域の探鉱事業に対する石油開発公団の投融資については、これを行わないこと。」という附帯決議がつけられました。御案内のとおりであります。  そこで、いま岡田議員から再三にわたって通産大臣及びエネルギー庁長官質疑をしたわけですけれども、まことに役人的な答弁です。このエネルギーは重要であることは与野党お互いによく知っておるわけです。だから、審議を尽くして、追いかけて問題点を引っ張り出してということよりも、あなた方と私たちは十分に話し合っていかなければならぬ、相談し合っていかなければならぬ、こう思っておるわけです。だから、逃げるということではなしに、どうしたものだろうかという考え方でいろいろと御答弁をいただきたい、こう思っておるわけです。  そこで、この石油公団の法律改正の問題についてはいろいろ意見がありましたけれども、この公団法というのは、外国の政府機関に対しても融資することができる、こういうことに改正されておるわけですね。  この協定の中で、四月二十三日の外務委員会で参考人を招致をしております。私もおりました。倉八さんというのは石油開発公団の総裁であります。この方がおいでになっておりますが、民社党の渡辺さんからの質問に対して、いろいろございましたが時間がありませんから前の方を省きますが、融資の問題について、「しかしまた、いろいろ中国の問題あるいは朝鮮民主主義人民共和国の問題もありますから、その点は政府とも十分に相談いたしまして政府の指示を受けたいと思います。」こう言っております。  国際紛争のおそれがある、この日韓大陸棚協定には問題があるじゃないかと、ずっとわが党初めたくさんの方々が議論をされた。紛争がないということだけれども、問題がある。だからその際に、委員は、   一問だけ倉八参考人にお尋ねをさせていただきます。   先般通産大臣にお尋ねをしましたときに、公団法によれば外国政府機関に対しても融資はできることになっているけれども、韓国政府に対しては考えておらないし、その意思はないというふうにおっしゃいましたが、公団の側はそのような理解で臨んでおられますのでしょうか、お確かめをいたします。   ○倉八参考人 そのとおりでございます。   ○渡辺(朗)委員 大変参考になりました。どうもありがとうございました。 こう言っておるのです。石油開発公団の倉八総裁は、融資はしません、こう言っておるのですよ。政府の見解はそう私たちは受けとめております、おっしゃるとおりにそういうことはいたしません、こう言っておるのですよ。  だから、通産大臣がお答えになったことに付言をしてこれは言っておるわけですから、われわれも外務委員会で、参考人にしかもその公団の最高責任者に確かめておるわけですから、その点については間違いないだろう、こういうふうに理解しておりましたところが、先ほどの議論を聞いておりますと、実にあいまいもことしておる。その点については通産大臣、この議事録はうそではないだろうと思います。これは絶対のものだと考えております。それについてはどうお考えですか、私は田中通産大臣に聞いておきます。——大臣に聞いておるのだ、大臣に。
  171. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいまの倉八総裁の発言の件でございますが、いわゆる外国政府機関に貸すか貸さないかという問題だと思います。それは明らかに私たちも貸しません。  なぜならば、石油開発公団が外国の政府機関等に貸し付け得ることにはなっておりますが、しかし、それは、当該国と申しますか産油国が、国有鉱区、いわゆるナショナルリザーブとして持っておる鉱区を政府直営あるいは国営の石油会社が開発する場合に、日本に対してその見返りとして石油を供給するということを条件として貸し得る、こういうことでございます。  これを韓国の例にあてはめますと、韓国自体がさような国営石油会社を持っておるとは承知いたしておりませんし、御承知のように、韓国は現在一千八百万キロリッター程度の油を使っておりますが、これは全量輸入いたしております。さようなところから、日本に供給するということもあり得ない、さような観点から、韓国政府関係機関あるいは韓国自体に対して公団の資金を供給するということはあり得ません。
  172. 野坂浩賢

    野坂委員 この附帯決議は、前文——いま結論だけお話しになりましたし、政府機関はそうですが、言うなれば、この日韓大陸棚協定そのものは、御承知のとおりに、中国も抗議をしておる、朝鮮民主主義人民共和国も抗議をしておるのです。御案内のように、中国は二月の下旬に葉参事官が大森アジア局次長に会って、もし日本政府韓国当局がこの区域で勝手に開発活動を進めるならば、これによって引き起こされるすべての結果に対して全責任を負わなければならぬと、単にいままでの外交スポークスマンと違って、直接足を運んで葉参事官が述べておりますね。そういうことを受けて、倉八参考人といいますか、公団総裁は、いや、確かに問題がある、だから中国の問題あるいは朝鮮民主主義人民共和国の問題があるんでこの点についてはなかなか貸しにくいと。  政府機関ではなしにメジャーが、いまお話があったように、韓国開発権者として、あるいは日本側のオペレーターとして、特に韓国開発権者なり操業管理者、こういうことになってまいりますと、より問題が大きくなる可能性が強い。だから、その点については紛争の問題も、特に外務大臣等はそういうことの脅威はないということかどうかということは、最近鳩山外務大臣の姿勢も変わっておる。そういう意味では非常に問題が多いではないか、こういうふうに思います。したがって、エネルギー庁長官がきわめて事務的に、官僚的にお答えですけれども、政治家としての、韓国ロビーの領袖とも言われる田中通産大臣はどうお考えであろうか、あなたの真意を聞きたい。
  173. 田中龍夫

    ○田中国大臣 ただいま、この石油公団が韓国の方に対しまして資金を貸し付けるということは考えられない、こういうことは明確にお答えいたしたと存じます。  なお、その前の御質問でありますが、先ほど来再三お答えいたしましたように、この紛争の問題につきましては、具体的な計画が出されたその段階において、国際法上の紛争地域の一般的な定義というものがどうあるかということは、外務当局とも相談をいたしまして慎重に対処しなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  174. 野坂浩賢

    野坂委員 外務大臣にお尋ねをいたしますが、いまの見解では私のように頭の悪い者はなかなか理解がしにくいのですが、紛争のおそれが将来にわたってあるかないか、だからそれについて金を貸すかどうか問題になりますね。そこで、朝鮮は一つだ、朝鮮半島の中で二つの国があることは不幸だ、こういうことは外務大臣も言っていらっしゃる。だから、外務大臣としては、将来この紛争のおそれはない、だから韓国側が言っておる北からの脅威はないと、こういうふうにお考えでしょうか、どうです。
  175. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 脅威という言葉が、あるいは韓国が見て北の脅威と、こういうことであろうかと思うのでございますが、脅威ということは、これは主観的と申しますか、そういった感じがいたすわけでございまして、私ども、脅威を感ずるか感じないかということは、これは韓国が判断すべきことであろうと思うのでございますが、朝鮮半島南北におきまして緊張が緩和をしていくことを私どもは望んでおります。南北の対話が再開されることを心から望んでおりますが、そういう観点から、私ども、全体が非常に危険な方向に進んでおるということは考えておりません。しかし、緩和が私どもが期待しているとおり進んでおらない、南北間にはやはりある程度の緊張状態があるというふうに私どもは考えております。率直に申し上げたところでございます。
  176. 野坂浩賢

    野坂委員 緩和の状態が続いておる、韓国側から見て北朝鮮側については何か緊張の状態が続いておる。しかし、緊張の状態が続いておるということは紛争のおそれがあるということなのか、その辺がよくわからぬわけですね。だから、北からの脅威はありません、こう言って終われば、紛争はない、こういうふうに判断ができるわけです。緊張の状態が続いておる、裏を返せば紛争のおそれがある、こういうことになるじゃないですか。私が言ったように、北からの脅威はございません、私はそう見ておりますと言われるのか、将来に紛争のおそれがあると思いますと言われるのか、どっちか二つのうちの一つを、外務大臣、明確に答えていただきたい。
  177. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 二つのうちどちらかという御指定でございますけれども、現在におきまして、私は南北朝鮮間におきましてある種の緊張状態が続いておるということは、南北間にまだ対話が行われておらない、こういう意味で申し上げておるのでございます。  しかし、それならば非常に動乱が起こるような切迫感があるか、こういうことは決して申しておらないのでございまして、この二つのどちらかと言いましても、現実におきまして私どもの理解しておる、あるいは認識をいたしておるところは、やはりその中間にあるように思うのでございます。
  178. 野坂浩賢

    野坂委員 物事を採決するときは可否いずれかということで採決を迫られるわけですから、真ん中であっちぶらぶらこっちぶらぶらというようなことだから鳩山外交みたいなことになるわけです。言うならば、物事やはりけじめをつけてきちんとしてもらわなければならぬと思うのですね。いまの外務大臣のお話を私は善意にとると、善意といいますかそのままとると、緊張状態は続いております、紛争のおそれがあります、こういうことに解釈できると思うのですね。そうすれば、これの公団融資はどうなるのですか、通産大臣
  179. 田中龍夫

    ○田中国大臣 ただいまお話が出ましたように、北の人民共和国と南の大韓民国との間の緊張状態が半島にありますということは、私は、それ自体がいわゆる国際紛争、国際法上の紛争となるかどうか、この点につきましては大いに疑問があると思います。
  180. 野坂浩賢

    野坂委員 あのね大臣、現にザイール等の紛争の状態でもちゃんと貸しておるじゃないですか。たくさん問題があるのです。いろいろ言われても確かに問題はあるのです。だから、この問題については非常にはっきりしませんね、あなた方。私はもうわからぬです。右か左か言ってもらわぬとわからぬ、ちょうど採決のように。  だから、緊張状態が続いておる間は国際紛争のおそれあるものとして融資はしません、こう言うと非常に明快だ。政府としては十分検討した結果、北からの脅威はなく、自主的平和統一が可能であろう、したがって、今後国際紛争のおそれありというようなことは杞憂である、こういうふうに私なら明快に答えます。私が外務大臣ならそう言う。  その辺については、こうでもあるようだし、ああでもあるようだしと、突っ込まれれば両方でどっちからでも逃げる、こういうことでは国民は納得しません。私でもわからぬようなことですから、国民はこの論議を聞いておってますますわからぬ、こう思うのですが、その点については一体どうなのか。  だから、そういう緊張状態が続いておる間はそういうふうに考えて、やはり公団融資というものは留保すべきだと私は提言をいたします。通産大臣はこの提言を受け入れますか。
  181. 田中龍夫

    ○田中国大臣 私は、国際法上の紛争の定義というものが明確になっておらない、そういう点に問題があると思うのであります。たとえば異議の申し立てがございましたり、あるいはまた半島自体の中にも内部的な緊張がある、それ自体が国際紛争である、かようには直ちにはならないのではないか、こういう点はまた外交関係の当局とも十分にお話し合いを進めてまいりたいと思います。
  182. 野坂浩賢

    野坂委員 だれとお話し合いをされますか。
  183. 田中龍夫

    ○田中国大臣 国際法上の紛争の定義でございますから、外務当局とお話をいたします。
  184. 野坂浩賢

    野坂委員 この定義が明確になるまで、また、それはわれわれ当該委員会にお諮りになるのは当然だと思います。お話し合いのときにわれわれに向かって御報告、また、決定までに当該委員会に御相談あってしかるべきだ、こう思いますね。特に附帯決議という、そういう重要な問題を提起しておるわけですから、その点については御了承いただきたいと思いますが、通産大臣、いかがでございましょう。
  185. 田中龍夫

    ○田中国大臣 いまの問題も、先ほど来エネルギー庁長官から再三申し上げたように、まだ会社もでき上がっておりませんし、その段階におきましての時点におきまして明確にいたしたいと思います。
  186. 野坂浩賢

    野坂委員 当該委員会話し合いをしていただけるわけですね。確認をします。
  187. 田中龍夫

    ○田中国大臣 その時点、その段階におきまして申し上げます。
  188. 野坂浩賢

    野坂委員 それまでは留保するということでございますね。
  189. 田中龍夫

    ○田中国大臣 先ほど来お話が出ておりますように、具体的な計画が出されました段階におきましてこれは明確にいたします。
  190. 野坂浩賢

    野坂委員 それまでは留保するということでございますね。留保にイエスかノーか。
  191. 田中龍夫

    ○田中国大臣 それは具体的な計画が出てきた段階でございます。
  192. 野坂浩賢

    野坂委員 時間ばかりとりますけれども、今日の段階で定義が明確でない、したがって、外務大臣と私は相談をいたします、そしてこの定義の尺度、範囲を明確にしたいと思いますとおっしゃった。そこで、私が、それならば、お話し合いがあった際に、この商工委員会で公団法の一部改正について附帯決議がなされておる、そういう事情も踏まえて御相談、御報告をいただき、われわれの意見を徴していただきたい、きわめて民主的なことを言っておるわけです。あなたの参考にしてもらいたい、こう言っておるわけです。それについては結構だ、こうお考えでございましょうか、こう言って聞いておるわけです。
  193. 田中龍夫

    ○田中国大臣 その時点におきまして、さよういたします。
  194. 野坂浩賢

    野坂委員 一番大事な語尾の辺がぐわっとようわからぬのですよ。だから、私は、相談をいたします、こうおっしゃったと確認をしておきます。もし私の聞き違いであれば、異議の申し立てをしてください。次に進みます。  この日韓大陸棚協定そのものに、朝来議論がありましたように、中国異議の申し立てを行っておる。朝鮮民主主義人民共和国も語気荒く抗議声明を出しておる。この状況は外務大臣も心痛をされておると思います。できるだけ話し合いたい。しかし、抗議が来ておる。なぜその抗議に対して説明をしても納得してもらえないのか、外務大臣にお尋ねをいたします。
  195. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 私どもは、あくまでも中国政府理解を得るように今後とも努力をいたしたい、その気持ちに変わりないわけでありますけれども、中国側の見解は、これは大変広大な中国大陸の大陸棚、これが東シナ海にわたって非常に広大に発達をしているわけでありまして、これらの大陸棚についての中国の主張、その主張を変わらないで持っておるというところから来ておるものと考えております。  他方、韓国中国との関係につきましては、韓国側は北の方から試掘をずっと続けてきたわけでございますが、韓国は自国の大陸棚と目されるところで開発を続けてきたわけでありまして、その延長が今回御審議をいただいているところにつながってきているわけでございます。したがいまして、従来から韓国がそのようなことをとり、中国は先ほど御説明いたしましたように、それについて自己の大陸棚の主張を韓国政府に続けてきたわけであります。  したがいまして、今回の開発につきまして、中国政府の主張というものは当然それなりに私どもも理解をしなければならないと思いますが、しかし、わが方の立場につきましても中国政府理解を極力要請をして、そしてこの石油開発につきまして、これが円満に実行できるように最大限の努力を今後も払ってまいりたいと考えておるところでございます。
  196. 野坂浩賢

    野坂委員 円満に実行する具体的な措置を聞きたい。
  197. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 これにつきましては、私ども、十分礼を尽くして先方理解を得たいということしかないのでありまして、この大陸棚につきまして、私どもも日本日本としての主張を貫かなければならない、また、中国中国としての主張はやはりなかなか曲げ得ないところであろうと思います。したがいまして、この点につきましてはなかなか解決は容易でないとは思いますけれども、今回の開発につきまして、従来の経緯等に照らして中国側の特別の理解を得たいというふうに考えているところでございます。
  198. 野坂浩賢

    野坂委員 言葉じりをとらえるわけではありませんが、中国日本それぞれに主張は曲げ得ないということであろう。そうすると、円満に解決する、円満に実行ができる解決の措置、そういうことにはならない。理解を得たいというのは一方的ですね。文句があったら説明するぞ、こういうことを申し入れております。だから、七年たっても八年たっても一向に円満に解決をする措置の風潮が見えないというのは、誠意を示していない、誠意が通じないということになるじゃないですか。それならば、円満に解決する措置と、理解を得るというこのあなたの貴重な答弁の具体的な実行措置を、どういうぐあいにしてこれから何をやってどうするということを、理解を得たいとかいう政治家的な答弁といいますか役人的な答弁というか、漠としたものでは私はよくわかりませんから質問しているわけで、きわめて明快に割り切って説明してください。今後中国に対してはこういう措置をとります、私が行きます、何日に行きます、こういうようなことをたとえて言ってもらいたい。教えてもらいたい。
  199. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 中国側がこの点につきまして私どもの主張を聞いてくださるということであれば、私どもはいつでも行って御説明を申し上げるべきであると考えております。  また、今後中国日本との間に横たわる大陸棚につきましていつでも御相談する用意があるということは、これは本共同開発区域よりも南の方につきまして、これもやはりエカフェで油の有望地帯とされているところでございます。これらの点につきましていかなる開発方針を持つかということにつきましては、私どもといたしまして中国側とよく相談をして、本当に中国とよく協議をした上でしか解決できない地域ではないかというふうに考えているのでございます。これらの点につきまして、今後中国側とどういう開発方式をとったらいいかということはよく話し合いをしなければならないと考えているところでございまして、そういう意味で、中国との友好関係を増進してまいるという過程におきまして理解を得たい、こういうふうに考えているのでございます。
  200. 野坂浩賢

    野坂委員 いつごろそういうような話し合いの具体的な措置をされますか。何カ月先なのか。そして友好的に話し合って解決をしたいということですから、鳩山大臣直接お行きになるわけですか。そして具体的に大体何月ごろそういうことをおやりになりますか。
  201. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 明確にいつごろ伺うかということにつきまして、まだ具体的な計画は持っておりません。しかし、私どもといたしまして、この問題につきましては、いずれお話し合いをいたしたいと考えておるのでございます。また、日中間には多年の懸案もございます。これらにつきましても誠心誠意努力をいたしてまいりたいと考えておるのでございます。
  202. 野坂浩賢

    野坂委員 年内でございますか。
  203. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 その点につきましては、まだしかたる日程を定めていないのでございます。鋭意努力をいたしたいと思います。
  204. 野坂浩賢

    野坂委員 早急に解決をしたい、友好を厚くしてその問題については解決をしたい。  鳩山外務大臣みずから説明をされると思うのですが、そのあなた個人の考え方ですね、この協定外務大臣の責任ですから、あなた自身の考え方としては、これからはあなたの行動を、計画を事務当局に指示されるわけですね。それならば、大体いつごろを考えておる、円満に具体的に実行ができるように措置をする、そのためにはおれはどうしなければならぬか、このぐらいなことはわかるでしょう。だからそれは、日時を切るならば、年内ですか、その見通しがありますか、こういうことを聞いておるわけです。
  205. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 可及的速やかにというつもりでおるわけでございます。
  206. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたがお行きになりますか。
  207. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 私自身、可及的速やかに北京に参れることを願っておる次第であります。
  208. 野坂浩賢

    野坂委員 日中平和友好条約の締結問題等を含めて、年内に行かれるであろうということを私は予測をしておりますが、予測は間違いでしょうか。
  209. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 しかとした日限というものを申し上げることは差し控えさしていただきたい、また、しかとした日限が決められているということもないわけでございます。
  210. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたは可及的速やかに赴くとおっしゃった。可及的速やかというのは、私は、できるだけ早い機会だと思うのですね。臨時国会が七日に終わるわけですから、そうしたら可及的速やかに行けるのではないか、こういうふうに思うわけですね。可及的速やかというのを辞書で引いてみると、なるべく早く、一日も早くということでしょう。その計画はまだ何にも考えていない。だから、私は十日後かということを聞いていない。年内ですか、来年ですかと、こう聞いておるわけですから、大体その辺の大まかなことは言えるのじゃないですか。年内でございますか、どうです。
  211. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 私どもは、本当に可及的速やかにと考えておるところでございます。したがいまして、これは年内であるか年を越すかという点につきましては、私ども、いまここで申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思います。
  212. 野坂浩賢

    野坂委員 これ以上聞きますまい。  あなたは非常に誠意のある人です。まじめな人だ、きれいな人だと思っております。だから、誠意は通ずるであろうと私は思っております。そうしますと、あなたは行かれて円満に解決できる確信がありますか。
  213. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、中国は広大な大陸棚中国大陸に非常に広大に発展した大陸棚があるわけでございまして、これにつきまして中国の見解を変えるということは、私は期待できないとは思っております。しかし、この共同開発区域につきまして、中国側のこの点についての理解を深めてもらうということにつきまして、私どもは強く期待をしておるのでございます。
  214. 野坂浩賢

    野坂委員 大体、期待しており、具体的に円満に実行できるというふうに考えていいわけですね。
  215. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 私どもといたしまして最大限の努力をして、誠意を尽くして御理解をいただきたいと考えております。
  216. 野坂浩賢

    野坂委員 そうしますと、いま早急にこの問題を採決するというように追い込まないで、批准をしないで、中国との交渉というものはまだこういう状態ですから、あなたのお考えを聞きたい、そして理解してもらいたいと思う、そういう意味で参りましたということの方が、この問題については、交渉の技術として、交渉の順序として、私は日本の国益にプラスであると思う。年内、来年、可及的速やかに行かれるわけですから、そういう措置をとった方が日本国のためになる。あるいは中江アジア局長が四月一日に答弁をしておられますように、いま頭に浮かぶのは関係国である中国、朝鮮民主主義人民共和国、そして韓国日本と四者集まって境界画定問題等を十分にやって、円満にこれらの問題の作業に入ることが一番望ましいのだ、こうお話しになっております。だれもがそう考えておるし、外務大臣もそう考えていらっしゃる。だから、それまではこの問題はやはり留保していった方が交渉としては大きくプラスではないか。あと三カ月間、なぜそういうふうに拙速方式をとるのか、この点については私はそう思いますが、鳩山外務大臣及び田中通産大臣の御見解を承りたいと思うのであります。
  217. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ただいまの御意見は、そういう御意見といたしましては私どももよく理解できるところでございます。協定はすでに外交として韓国との間に御承認をいただいて、しかし、国内法ができるまでは批准をいままで延ばしておるところでございまして、この国内法は協定とうらはらである、国際的に韓国とは協定が成立したという段階でありますので、この実行をいつまでも待つわけにいかない、したがいまして、国内法はこのうらはらのものとしてぜひ御承認をいただいて、そしてその実行につきましては、私どもは円満なる開発を望むものでございます。そういう意味で、なお国内法を御承認いただきました先におきましても、私どもは中国に誠意を尽くして理解を求めることは可能であると思いますので、どうか、国内法は御承認のほどを心からお願い申し上げるところでございます。
  218. 田中龍夫

    ○田中国大臣 ただいま外務大臣からお答えを申し上げたように、この協定と国内法は表裏一体をなすものでございまして、協定が成立いたしております以上、一日も速やかに国内法を整備しなければならぬ、かような責任がございます。
  219. 野坂浩賢

    野坂委員 よく私の質問を聞いておってもらいたいと思います。ほかのことを考えられておりますと答弁があっちこっち飛びますから……。  田中通産大臣、私が言っておりますのは、鳩山外務大臣が可及的速やかに中国にお行きになるわけです。そして誠意を尽くしてきわめて円満裏に実行する措置協定しておいでになる、これが一番望ましいのですからね。与党の皆さんといえども反対はないはずです。それまでは、もちろん協定の批准もですが、国内法を延ばしておいた方が、むしろ交渉のテクニックといいますか、そういうことを言うと失礼かもしれませんが、誠意を示し、円満に解決をするためにはその方がいいではないか、私も国会議員としてそう思うわけであります。あなたがおっしゃったように、協定と国内法はうらはらだ、表裏一体のものだ、おっしゃるとおりです。だから、われわれは中国の意向というものを十分参酌しなければならぬ、こういう意味で、国内法というものは留保する必要があろう、そう思っておるわけです。そういう意味で、私はこのことが必要ではないか、こう思っておるわけです。外務大臣もいろいろ御苦労なさっておるわけですから、あなたが外務大臣の立場を考えて、そういうぐあいにした方がいいではないかと私は思っておるわけですが、どうです。
  220. 田中龍夫

    ○田中国大臣 御質問が二つになっておりまして、前段は、外務大臣の訪中、速やかにおいでになることを希望されております。後段は、いま外務大臣が答えましたように、この協定と国内法の通過、これは一体でございますから、協定が成立いたしております以上、国内法は速やかに通過させたい、かように考えております。
  221. 野坂浩賢

    野坂委員 私の方が根負けしますから……。  外務大臣これから行かれるわけですが、いまは経済水域二百海里時代に入った。日本はカラカスの会議でひとり反対をした。外務大臣の命令を受けて行った人は大変だったろうと思いますね。そしていまは経済水域に賛成をしておる、こういう状態です。当時、公海が二百海里の経済水域になるというようなことは夢にも考えなかった。一気に国際慣習法としての二百海里という時代は迫ってきた、そういう時代だと思うんですね。そういう時代の中で中国が経済水域二百海里、いわゆる海上も海底もそういう水域を引いた場合は、一体どういうことになりましょうな。このわれわれの日韓大陸棚協定にどういう影響を及ぼすでしょうか、鳩山外務大臣
  222. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 中国側のこの二百海里に対します対応ということは、いろいろな方が北京にいらっしゃいましてお話し合いになっておるもの、そういったところから推測をいたしておりますけれども、まだはっきりした態度は示していないというのが現実のところであろうと思います。ただ、中国日本との漁業関係は非常に円滑に円満にいっておりますから、日本にむちゃな要求はしないというようなことさえ言っておられますので、漁業問題といたしましては、私は日中間では円満な話し合いが可能であろうというふうに考えております。  漁業水域が経済水域というような考え方になった場合にどのような影響が出るだろうか、大陸棚という観念に対しまして、経済水域二百海里というものになった場合にどういうような影響が出てまいるか、これらにつきましても、私どもは非常な関心を持っておるわけでございまして、これが全体の空気といたしまして、漁業水域も経済水域も、やはり日本中国の間では中間線的なところで線が引かれることを私どもは心から望んでおるところでございます。しかし、これらにつきましてまだ先方の態度がわかりませんし、漁業問題につきましては、非常に円滑な状態でありますので、これは先方の態度がはっきりいたしてからお話し合いをするはかなかろうというふうに考えております。
  223. 野坂浩賢

    野坂委員 具体的にお尋ねしますが、中国が二百海里経済水域設定の場合に、共同開発区域には全然影響がありませんか、外務大臣
  224. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 二百海里時代になりましてどのような対応をされるかということは、まず想像の域を出ませんけれども、やはり相向かい合っている国の間では、特別な取り決めができなければ中間線という思想が強まっておりますので、私どもといたしまして、中間線ということになれば、この共同開発区域日本側に属するところになるのでありますから、中国との間にはその点は心配ないと考えておるわけであります。
  225. 野坂浩賢

    野坂委員 この共同開発区域というのは、韓国日本との主張が対立して、韓国自然延長論、わが国の中間線、そういう意味で、それをたな上げして共同区域というものが決まっておるわけですね。それで、中国の場合とは中間線でうまく話がつく、そういうのは非常に甘いのじゃないかと思います。それならば、ちゃんと韓国ともこの共同開発区域を境界画定というようなかっこうで具体的にやられたらどうですか。  たとえば、あなたの外務委員会で、たしか四月二十三日でしたか、参考人を呼んだことがございますね。韓国の「自然の延長論に対して、わが国が中間線論の立場から事実上妥協した、形の上ではその主張を留保することになっておりますが、事実上妥協したとしか考えられませんこの協定共同開発区域の制度は、経済水域が確立すれば当然日本に属する主権的権利をあらかじめ放棄するものだという批判は免れないと言わなければならないと思われます。もちろん、御存じのようにここで共同で開発する共同開発と申しますのは、単に共同で開発するというのではございませんで」云々とありますね。これは名古屋大学の法学部教授であります松井芳郎さんという方が述べられております。  そういう実情から考えれば、日本の経済水域の中に入るのだ、日本の国益は一体どういうことか、そういうことであれば、先ほど申し上げましたように、考えられなかった二百海里経済水域時代が来たのですから、そう意味では将来子々孫々にわたっての日本の国益を考える場合に、この点は十分留意をすべきではなかろうかと思うのでありますが、鳩山外務大臣はいかがお考えでございましょうか。
  226. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 共同開発をするということが、日本にとりましても韓国にとりましても、双方とも油の資源を持たない国といたしまして大変なプラスである、しかし、これは試掘した結果当たった場合の話でございますが、そういう意味で、純粋に共同開発ということ自体は油の採掘だけのためである。また、両国の主権につきましての主張にはいささかも影響させないという二十八条の規定もたしか入っておるわけでありまして、五十年と長いではないかという御指摘もあるわけでありますけれども、日本といたしましては、しかし、試掘をした以上は、やはり共同開発が成功して油が現に取得できることの方が、私は現実において日本の国益になるところであろうと思っておるわけでございます。  日本の近海、サハリン沖に相当有望な油田が当たったという報告を受けておりますが、大変結構なことと思います。しかし、大陸棚共同開発地域におきまして、日韓ともにプラスになる、油の資源を取得できるということは、双方にとりまして大変結構なことである、これが双方の見解の相違によりまして長きにわたって手がつかないということとを比べまして、果たして国益上どっちがいいかということは、私は、今回の共同開発が国益に大変な損失を与えているではないかというのは、そればかりではないというふうに考えておるところでございます。     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
  227. 野坂浩賢

    野坂委員 だから私は読んだんですよ。いいですか。「事実上妥協したとしか考えられませんこの協定共同開発区域の制度は、経済水域が確立すれば当然日本に属する主権的権利をあらかじめ放棄するものだ」、日本の主権的な権利だ、経済水域を日本が引けば日本の中に入るじゃないか、だから、あらかじめ放棄して韓国とそういう——こういうところに癒着という問題が出てくるわけですよ。  だから、そういう点については、将来経済水域が設定される、それまでもう二百海里時代は来ておるのですから、大陸棚協定というものはずっと前だ、これは後だ、だから、強いということになるかどうかもいまはわからぬのですから、しばらく待った方が日本の——私はエネルギーが必要だということについては人後に落ちません。あなたと同じくらい考えております。しかし、日本の国益という立場に立つとそういうふうに見解が違う。だから、そのようにしなければならぬじゃないですか。中国だって自然延長論で迫っておるわけですから、経済水域二百海里、そういう点で話し合う、その主張がなかなか曲げられない、こういう段階にあるわけでありますから、この問題については経済水域二百海里のわが国の線を引いたらどうか。なぜ引けませんか。
  228. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 経過的に申し上げれば、二百海里の経済水域という問題が出る前からこの大陸棚の問題があったわけでございまして、今日本当に白地に絵をかくという場合と、これはいままでの昭和四十三、四年、そのころからの問題でございますので、今日急にもう一度絵をかき直せばどういうことになるかとおっしゃいました場合には、それはいろいろな御批判があるということも私ども十分承知をいたしております。しかし、海洋法会議の議論におきましても、この大陸棚の議論というものと経済水域二百海里というものの議論がございまして、そしてこの二つの考え方をどう調和するのか、どうさばくのかという点は、これは海洋法会議の場でもその調整はついにつかないといいますか、それは調整不可能な問題であると言わざるを得ないわけでございまして、相対する韓国日本との間には、やはり何らかの話し合いがつきませんと、あの地域開発になかなか手がつきがたいということは変わりがないという意味で、したがいまして、経済水域二百海里時代だ、来年になりまして海洋法会議の結論が出るという段階になりましても、しかし、やはり韓国との間の話し合いというものが必要だということは依然として残るわけでございます。
  229. 野坂浩賢

    野坂委員 お話がございましたように、第三次国連海洋法会議第六会期ですね、これについても、おっしゃるように主張が対立して妥協が得られなかったと書いてあります。しかし、それほど大陸棚に経済水域二百海里が追いついてきた、そしてこの問題についてどういうふうにやるかというところが非常に問題になりつつある。だから、いまあなたの答弁を静かに聞いておりますと、もう韓国とやり始めたのだ、いま後に引き返せないのだ、日本に利益があるのかどうか、そういう点についても、理屈はあるだろうけれども、もう船が出てしまった、だから、この船が出たのが、何としても向こう岸に着かなければならぬ、この方が荒海で危険なんですよ。引っ返してまたじっとなぎの来るまで待った方がいいのじゃないか、私はこういう提言を申し上げておるわけです。お考えをいただきたいと思いますが、一考する余地はございませんか、鳩山外務大臣は。どうでしょう。
  230. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 何回も同じことを申し上げて恐縮でございますが、この大陸棚協定の御承認をいただいて、いま韓国側の強い要望にもかかわらず、批准を延ばしておるというのが現状のところでございまして、この国内法の御審議をいただいて、そして先ほど来申し上げましたように、しかし、開発をする上でいろいろな不安感が伴うことは好ましいことではない、そういう意味で、その不安のないように、円満な開発ができますように私どもも最大限の努力をいたしたい、暴風雨で難破するようなことのないように最善の努力をいたす覚悟でございます。
  231. 野坂浩賢

    野坂委員 私は、国益問題で外務大臣と意見を異にします。批准の問題についても、ずいぶん待たせたとおっしゃる。韓国側から見ればそうかもしれません。しかし、従来ないかといえば、ありますね。たとえばベルサイユの平和条約において、アメリカもこれに署名したけれども批准を拒否した、また、ヨーロッパの防犯共同体条約においても、フランスは批准を拒否しております。しかし、それは現在において道義的に決して非難されるものではなかった。これが世界各国に見られる一つの例ですよ。  だから、批准を拙速でこの協定なり国内法を急ぐということは日本の国益に重大な関係がある、私はそう思う。日本の経済水域二百海里、そしてどのように国際情勢が変化するか、その見通しは私よりもあなたの方がずっと玄人であろうと思います。しかし、私たちは日本の国民として、日本の国益、そして資源のないわが国においてそのような方策がとられるものならとっていきたいというふうなことは、国民は念願しておると思う。私は、そういう意味で、ぜひそういう見解を、これは外務大臣だけの問題ではなしに、一国の総理としての福田赳夫総理大臣がこれらの日本の国益の上に関して見解を述べるべきであろう、こういうふうに思うわけであります。ぜひ総理大臣の御出席をいただきたいと私は委員長に要請をしておきます。この問題については、もっと大きな立場で考えていかなければならぬと思います。委員長の善処方をお願いをしておきます。よろしゅうございますか。
  232. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 後刻、理事会で諮ります。
  233. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、次に入らせていただきます。  資源エネルギー庁、あなたのところのパンフレットをいただきました。「石油の安定確保のために 石油開発の推進」こういうパンフであります。これの十一ページに、「日本周辺大陸棚石油開発こそ石油の安定確保への近道です。」こういうタイトルがついておりますね。お持ちですか。それについて「我が国周辺大陸棚には可採埋蔵量十三億キロリットルの石油が眠っているともいわれており、」と書いてあります。どこでしょう、エネルギー庁長官、この十三億キロリットル眠っておるところはどこどこですか。
  234. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 日本周辺全体につきまして石油可燃ガス開発審議会で試算した数字が、ただいま御指摘の十三億キロリットルと、かようになっております。
  235. 野坂浩賢

    野坂委員 どこなんですか、その地域は。そしていまどのように作業が進められておりますか、聞いておきます。
  236. 古田徳昌

    ○古田政府委員 そこに御紹介しました数字は、通産省の石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会で試算をしていただいたものでございます。これは、日本の周辺海域を六地域に分けまして、北海道から沖繩・東シナ海地域まで含むわけでございますが、その六地域全体につきまして推計をいたしまして、約十三億キロリットルというふうな試算をしたわけでございます。
  237. 野坂浩賢

    野坂委員 ちょっと六地域の地名を言ってください。
  238. 古田徳昌

    ○古田政府委員 北から申し上げますと、北海道、東北表日本、東北裏日本、西南裏日本、西南表日本、沖繩・東シナ海地域の六つでございます。
  239. 野坂浩賢

    野坂委員 それは日本のいわゆる領海の範囲内ですね。
  240. 古田徳昌

    ○古田政府委員 日本の領海には限定しておりません。水深でいきますと、五百メートル以浅という形で全体の推計をしたものでございます。
  241. 野坂浩賢

    野坂委員 日本の領海の範囲内のところは何億キロリットルありますか。
  242. 古田徳昌

    ○古田政府委員 当審議会での試算では、領海に限定した計算は行っておりません。
  243. 野坂浩賢

    野坂委員 こんなに紛争をするよりも、日本の領海内で日本の独自の力で開発ができて、そして日本の技術で可採ができるということであれば、それを進めることが何よりも大切なんじゃないですか、もっと急いで。これは八年間もかかるわけですから、すぐできるところからやったらどうですか、資源エネルギー庁長官。先ほどあなたは何回も、これはやらなければならぬ、いま緊急必要な事態だと言われたが、こんな紛争をするよりも、日本のところでとれた方がいいじゃないですか。なぜやらぬのです。しかも、そういうことを審議会しか知らぬ、担当の長官が知らぬということは不見識ですよ。
  244. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 御指摘をまつまでもなく、周辺大陸棚においてはきわめて積極的にやっております。特に、石油開発公団の投融資におきましては、海外においての投融資比率は五〇%になっておりますが、周辺大陸棚につきましては七〇%、これは原則のベースでございますが、海外よりも、高い投融資比率をもって助成をいたしております。  それから、地域的につきましては、先ほど石油部長がお答えいたしましたように、必ずしも明確に六地域に分かれてはおりませんが、東シナ海地域に五、六割のウエートを持った集計結果でございます。
  245. 野坂浩賢

    野坂委員 そうすると、十三億のうち、いわゆる日本の東シナ海の大陸棚はそのうちの六割といいますから、あとは四割しかないですから、日本の周辺は大体五億キロリットルしかないということですか。     〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
  246. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 十三億キロリットルの六割でございますから、東シナ海でかれこれ七億キロリットルくらいになるのではなかろうかと思います。
  247. 野坂浩賢

    野坂委員 いや、私が聞いておるのは、東シナ海で、日本の領土外だと考えたから、水深五百メートル以下のところを含むということですから、四割しか残らないから五億二千万キロリットルか、こう聞いたんですが、日本の領海としてわれわれが大手を振って石油を探鉱、採掘できるのは何億キロリットルか、こう言って聞いておるわけです。
  248. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 先ほど石油部長がお答えいたしましたように、領海だけでという試算はいたしておりませんが、御指摘のように、東シナ海地域を外しますと、あとは五、六億キロリットルということになろうかと思います。
  249. 野坂浩賢

    野坂委員 その沖繩の七億というのは、この共同開発区域とは全然無関係ですね。
  250. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 一部含んでおるわけでございます。
  251. 野坂浩賢

    野坂委員 そうでしょう。そうすると、この共同開発区域というのは何億キロリットルあるわけですか。
  252. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 共同開発地域自体についての試算というものはございません。これは御承知のとおり、エカフェの調査によって有望な地域とされておりますが、本格的な探査活動をやっておらないわけでございます。したがいまして、東シナ海地域、九州から沖繩の西水域にかけまして七億キロリットルという試算をいたしておりますが、これはエカフェの調査を参考にいたしまして、先ほど申し上げた石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会が試算したものでございます。
  253. 野坂浩賢

    野坂委員 そういたしますと、尖閣列島の北東から含めて、この共同開発区域全体でそれは考えられるのですということですね。
  254. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ただいまの沖繩・東シナ海、つまり沖繩西域の海でございますが、この地域につきましては、先生御指摘のとおり、尖閣列島周辺からこの共同開発区域の辺まで含めました地域でございます。
  255. 野坂浩賢

    野坂委員 そうなんですよ。石油部長が言われたとおりです。私は、いま初めてこの委員会で、そうだろうと思いますということを言うのです。あとはみんないいかげんなものですね。だから、この共同開発区域にある石油埋蔵量というのは、いろいろとデータがございますが、よく言われておる二億三千五百万程度だ、こういうことになるのですね。エネルギー庁長官、どうですか。そうでしょう。
  256. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 同地域の埋蔵量を約七億トンと試算いたしまして、究極的に可採可能な埋蔵量は約三億七千万キロリットル、これは原油換算でございます。
  257. 野坂浩賢

    野坂委員 それは尖閣列島北東も含んででございますか。——だから、必然的に共同開発区域の埋蔵量ですね、原油にして。
  258. 古田徳昌

    ○古田政府委員 先ほど御説明いたしましたように、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会の試算では、共同開発区域につきましての計算は行っておりません。ただ、私どもの方でこの審議会の試算データを基礎にしまして共同開発区域にのみ限定して行った試算によりますと、同地域の貯留岩中に七億二千二百万トンの炭化水素量が存在しているというふうな計算がございます。
  259. 野坂浩賢

    野坂委員 炭化水素量は、その中からガスとか原油を分けるわけですから、それは含有量全体を言っておるわけじゃないですよ。それで化かして、その中にガスも何も入っておるのに、そういうもので幾らだ、こういうことは筋が通らぬじゃないかと思うのですね。だから、あなたがおっしゃったように、尖閣列島北東から含めて全体で七億だけれども、共同開発区域じゃないですからね。あなた方の資料に出ておるじゃないですか。どうですか。
  260. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ただいまの御説明、途中で切りまして大変恐縮しました。  この貯留岩中の全体の炭化水素を前提としまして、それから究極可採埋蔵量を試算しますと、前提の置き方によりますけれども、三億七千六百万キロリットルの原油換算の埋蔵量が試算されるわけでございます。
  261. 野坂浩賢

    野坂委員 それは共同開発区域だけですか。
  262. 古田徳昌

    ○古田政府委員 共同開発区域についての数字でございます。
  263. 野坂浩賢

    野坂委員 問題があります。〇・五でとるか〇・六でとるか、その試算のやり方、たくさん問題があると思う。しかし、私の時間はもう来ておると言われておりますけれども、ちょっとお尋ねします。  この間の協定の議論の際に、領海が十二海里になりました。鮫瀬のところから入っておりますね。で、座標十五、十六、十七、こういうところに入っておる。あなたは口上書で事成れりとしていらっしゃる。しかし、批准をするときは、この座標を残さなければ外交文書として口上書は成立しない、私はそう思っておるわけです。あなたの答弁は、いやどう入っておっても、あれは口上書でいいんだ、領海になったらそういうものは必然的に消えるんだ、こういう答弁には納得できませんから、それはきちんとしておかなければ将来必ず問題を残す、それについてはきちんといたしますか。
  264. 中江要介

    ○中江政府委員 例の鮫瀬の問題が出ましたときに、衆参両院で私どもが御説明いたしましたように、領海になりますと大陸棚ではなくなる、これが国際法の当然の結果でございますので、この協定大陸棚を対象としております以上、改めて協定にかわる合意をするまでもなく、大陸棚でなくなる部分は協定の対象から外れる、こうはっきりしておりますものを、特に念のために韓国との間で文書によってその位置を確認してございますので、この協定の批准書を交換して発効するに当たって、改めて何らかの措置が要るかという御質問に対しては、要らないというのが私どもの立場でございます。
  265. 野坂浩賢

    野坂委員 私は問題があると思うですね。いま中江さんがお話しになりましたように、男女群島の女島の南方にある鮫瀬の領海を侵すことになる。わが国も加入しておる領海及び接続水域に関する条約は、第一条で、「国の主権は、その領土及び内水をこえ、その海岸に接続する水域で領海といわれるものに及ぶ。」第二条で、「沿岸国の主権は、領海の上空並びに領海の海底及びその下に及ぶ。」したがって、この共同開発協定はわが国の主権を侵害する、私はこういう見解です。  そこで、外務大臣は、その部分がわが国の領海になれば、国際法上大陸棚の範囲には領海が含まれていないのだから云々、これはいま中江さんがおっしゃったとおりなんです。そう言われると思っておったのです。私はその見解は正しいというふうには考えられない。参考人もこう言っておりますね。「大陸だなの範囲は現在国際法上明確ではなく、大陸棚に関する条約第一条では領海外の海底区域を大陸だなとしておりますが、共同開発協定署名当時も現在もわが国の領海は三海里なのですから、」当時は三海里、それが十二海里になったのだから、五十年間も協定をするこの協定は、そういう点についてやはり明確にすべきではないか、こういうことが大学の先生の一致した見解ですね。  その点については、いや、それは問題ではないと外務大臣も中江アジア局長もずっと一貫しておっしゃっておりますけれども、その点については、ちゃんと初めから領海以外のところに座標を打って、ここまでだよということを、五十年後の子孫のためにもやはりきちんとしておく必要があるのではなかろうか、こういうふうに思うのですが、外務大臣はどうでしょうね。
  266. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 大陸棚の解釈ということで、鮫瀬の問題につきましては、韓国側と明確に了解を取りつけてあるわけでございます。口上書で処理をいたしたわけで、これは御承知のとおりでございます。  しかし、いま仰せになりますのは、非常に先の長いことでありますから、将来この点につきまして何か明確な措置を、もっとしっかりした措置をとれというお話だと思うのでございますが、この点につきましては、韓国側がよく了解をいたしておりますので、私ども心配はないと思っておりますけれども、しかし、もっと明確にできる措置があれば、今後とも検討をしたいと思っております。
  267. 野坂浩賢

    野坂委員 外務大臣、緯度、経度で座標が打ってあるわけですから、その点を動かしてきちんとすれば修正することはできると協定の三条にも書いてあるでしょう。だから、その点については明確にしたらいいじゃないですか。明確にできるじゃないですか。私の提言はどうです。
  268. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 これはたびたび御説明申し上げたのでございますが、その点につきましての日本韓国との解釈につきましては、これはもう何ら意見の相違がないわけでございます。したがいまして、この協定といたしましては、これを修正いたさなくても、実効上双方の理解は変わらないということでございます。しかし、いま先生おっしゃいましたように、これは将来五十年に及ぶ、こういうことでございますので、その点につきましてもっと明確な方法があれば研究をいたしたい、このように申し上げたわけであります。
  269. 野坂浩賢

    野坂委員 第三条第二項に、「各小区域に番号を付し、この協定の付表において地理上の座標によってその範囲を定める。付表は、両締約国の間の合意により、この協定改正することなく、修正することができる。」と書いてあるじゃないですか。修正したらどうです。大臣、明確にしたらどうですか。
  270. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 いま仰せの点は、全体を小分けした場合の小区域のことのようでございまして、アジア局長から御答弁申し上げます。
  271. 中江要介

    ○中江政府委員 いま外務大臣説明いたしましたように、先生御指摘の第三条第二項は、小区域の修正のところでありまして、先生の御議論によりますと、小区域を定めるときに、日本の領海になったために共同開発区域でなくなったところ、つまり大陸棚でなくなった結果として共同開発区域でなくなったところは除いていくべきではないか、それはそのとおりでございます。
  272. 野坂浩賢

    野坂委員 わかりました。第三条の二項に書いてありますからね。そう言うだろうと思っておりました。  それから、先ほど問題がありましたが、韓国側は第一鉱区、第二鉱区、第三鉱区とか第四鉱区で、ガルフとかシェルとかあるいはテキサコとか、そういうものとやっていましたね。これがおりたのはどういう理由ですか、外務大臣韓国と契約を結んでおったのをおりたでしょう。中国に遠慮してなのか、なぜですかということです。
  273. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 私どもの理解しておるところでは、韓国は北の方から試掘をしてきたように聞いておるわけでありますが、それらはいずれも余り有望でないという結果が出たというふうに聞いておるわけであります。
  274. 野坂浩賢

    野坂委員 通産大臣にお尋ねしますが、常磐沖でも掘っていますね。ただ、これは経済的には引き合わぬというかっこうでいま検討中であると書いてありますが、これはやめたんじゃないですか。どうですか。
  275. 田中龍夫

    ○田中国大臣 橋本長官からお答えいたします。
  276. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 一般に探鉱をする段階におきましては、ボーリングとして当たった場合でも、それが商業用生産に結びつくかといったような検討も必要であります。常磐沖については、現在、生産可能性と申しますか、商業生産に移り得るかどうかを検討中と聞いております。
  277. 野坂浩賢

    野坂委員 日本の領海の中でもそうなんですね。韓国と契約をしたメジャーは経済的解決不可能と見ておる、こういう状況なんですよ、みんな。もう第五と第七だけですから、第七がわが国でありますから。  ところが、今度の協定の三十一条の四項には、経済的見地の上から不可能と認めるときは、両締約国はこの改正をする合議をするわけですね。そして意見が合わなければ日本は五十年間は有効で逃げられぬということになっています。どんどん石油開発公団から流れて七〇%借りてやる。出ても出なくても借りるんですからね。出なければそれでいいわけです。だから、業者は経済的に合わなくてもやっていきますよ。  ところが、わが国は血税を出すわけですからね。経済的に採算不可能と見ても、相手がやると言ったら、この点は首根っこをぐっと押さえられておる。その点については、その見通しは一体どうなんですか。どっちの大臣でも結構ですから、大臣から御答弁をいただきたい。知っている自信のある方から御答弁をいただきたい。
  278. 田中龍夫

    ○田中国大臣 政府委員からお答えいたさせます。
  279. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 本来、石油開発というのは、非常にリスキーなものでございまして、いわゆるボーリングの成功率というのは一八%、百本のボーリングを掘って十八本しか当たらない。その中で、さらに油田としていわゆるプロジェクトの成功率というのは、二・八%というのが世界的な数値でございます。そういった状況を踏まえまして各石油開発会社は努力をいたしておるわけでございますが、御指摘のように、ただ金を借りるために開発投資を続けていくということは、経済的には全く考えられないことでございまして、できるだけ早く生産と申しますか、商業生産に持っていこうという努力をいたしておるわけでございまして、現実の問題として、私は、便々として成功するかどうかわからないということで探鉱活動を続けていくということは考えられない事態だと思うわけでございます。
  280. 野坂浩賢

    野坂委員 それはあなたの希望的観測ですよ。メジャーが、韓国側がやれと言ったらどうなるんですか。ちゃんと書いてあるじゃないですか、第三十一条四項、「2の規定にかかわらず、いずれか一方の締約国が、共同開発区域において天然資源を採掘することが経済上の見地からもはや不可能であると認める場合には、両締約国は、この協定改正するか又は終了させるかどうかについて協議する。この協定改正又は終了について合意に達しないときは、この協定は、2に定める期間中効力を存続する。」二項というのは、「この協定は、五十年間効力を有するもの」と書いてあるじゃないですか。そういう場合に、お互いにやっても、片一方がいかぬと言ったらどうしようもないということじゃないですか。合意をしなければだめじゃないですか。その場合は、常磐沖でもこういう点でも一〇%や二・六%であるということになれば、それは一体どうなるんですか。どうですか、エネルギー庁長官
  281. 中江要介

    ○中江政府委員 条文の解釈の問題に関連いたしますので、私から申し上げますと、ここに予定しております事態といいますのは、この広大な共同開発区域のいずれの部分ももはや開発に値しない、つまりこの協定そのものの存在理由がなくなるというようなときのことが予想されて書いてあるわけでございまして、これは非常に極限の場合だろうと思います。しかし、エカフェの調査報告その他の情報から見まして、先ほど来お話がありますように、この共同開発区域の中には当たるところもあるし、当たらないところもあるだろうけれども、ここには石油の埋蔵の可能性が相当濃いということで共同開発に着手するわけでございますので、恐らくこの第四項のような場合はないと思いますけれども、仮にこの共同開発区域のどこを掘ってもついにこれはもう見込みがないというような状態というのは、日韓双方ともそういう認識に立つ、そういう事態が予想されておりますので、エネルギー庁長官が言われましたように、片っ方はまだ掘りたい、片っ方はもうだめだというような事態は実は考えにくい、こういう考え方からこの第四項が挿入された、こういうことでございます。
  282. 野坂浩賢

    野坂委員 せっかくの中江さんの明快な答弁ですけれども、理解できませんね。後段の方に「この協定改正又は終了について合意に達しない」場合があるというおそれが書いてあるわけですからね。合意に達しない場合があります、そのときは勝手にはおりられません、言うなれば、こういう締めですからね、くくりですからね。だから、そういう場合がある。極限にきた場合は、両方が合意したときは前段に書いてあるんですが、合意しない場合だってありましょう、その場合はこうですということのただし書き条項みたいなことがちゃんと本文になって書いてあるわけです。そうなった場合はおりられないということになるじゃないですか。うちはやめた、その場合は、甲と乙の協定の場合は、日本側がだめだと言った場合、日本はやめるということができないことになっているんじゃないですか。どうですか。
  283. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 これは日本がもうだめだという場合もありましょうし、韓国がもうだめだという場合もあります。どちらかだけがわがままを言って、そのためにこの協定の実行が途中で中断されるということは協定の本意でないわけでございますので、有望だと思う国があればよく話し合ってやっていく、調わない限りは続けていく、前向きの姿勢だ、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  284. 野坂浩賢

    野坂委員 この協定なり国内法等をよく読んでみましても、たとえば開発権者、この開発権者が操業管理者を抽せんでやる、あるいは話し合いでやる、こういう幾多の問題もあります。  そして共同開発をして、シェルとかガルフとかあるいはテキサコとか、日本においては西日本石油開発とか帝石とか日石開発とかありますが、いわゆる資本金の問題一つをとってみても、出願しておる諸君たちは非常に零細なものが多い。そしてわが国の技術水準は、それぞれ皆さんが認めていらっしゃるように、アメリカ等に比べて非常に低い。現在の採掘の状態というのは百六十メートル、あるいは二百メートル掘れるであろうというように帝石の吉岡参考人も参考意見として述べている。そうすれば、大勢としていわゆるメジャーの開発ということになり得るであろうと思います。  これを二つに割って、そのうちまたメジャーが取れば、二五%しか日本の国内に入らない。しかし、日本のいわゆる操業管理者の場合は、この二五%も入るということですが、これについてはだれが値段を決めますか。そして韓国側はロイアルティーによって一二・五%というものを引く。だから、一〇〇に対して八七・五を二で割るのか、あるいは一〇〇を割って、その五〇のうち一二・五というものを韓国側は引くのか、その点について明確にしていただきたいし、そういう韓国の法律なり契約があれば本委員会に提出をしていただきたい。そうしなければ、韓国の状況を見なければわれわれは信用ができない。その点は出していただけるかということを御答弁いただきたい。
  285. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 油なりガスの価格と申しますのは、一応需給関係を反映して決まるわけでございますが、国産の原油あるいは輸入の原油にかかわらず、大体同一のレベルで販売されておるのが実情でございます。したがいまして、共同開発区域で成功した場合の油の価格は、国際価格に準じて取引が行われるというふうにわれわれは理解いたしております。  それから、いわゆる取り分の問題でございますが、採掘した石油あるいはガスの量で折半するわけでございますから、ロイアルティー云々の問題は韓国側の方の問題、日本側には影響のない問題、かように理解いたしております。  租鉱契約云々につきましては、外務省の方からお答えいたします。
  286. 中江要介

    ○中江政府委員 現在韓国でこの地域に対する開発を希望して申請しております企業との間に結ばれております契約というのは、これは当然のことでございますけれども、単独開発を前提としてのものでございますので、今度新たに共同開発ということになりますと、韓国としてはそういうものは出しても意味がないので出せない。今度協定がいよいよ発効いたしまして、この協定に基づいて新しい開発権者との間に契約が結ばれましたときに、その内容についてどの程度インフォームしてくれるかという点については話し合っておるところである、こういうことでございます。
  287. 野坂浩賢

    野坂委員 石油を採掘する場合にどの程度の量があるかということはだれがチェックするわけですか。業者が出して、きょうは何万だ、あすは何万だということを一方的に通報を受けるだけで、共同委員会は視察をするということはできておりますが、けじめをつけて一つ一つ監視、監督をするということが書いてない。それについてはどういうふうな集約の仕方をしますか。
  288. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 オペレーターと申しますか、操業管理者というような、日韓両方の開発権者で話し合いをしてどちらかがオペレーターになるわけでございます。したがって、オペレーターがそういったことの直接の衝に当たることになろうかと思います。しかし、その間に問題あり、疑念ありといったような場合には、立入検査等の措置をもってチェックできる措置が残されておると思っております。と申しますのは、天然資源の探査開発に当たりまして、協定の中に別段の定めがない場合には、十九条に基づきましてオペレーターサイドの国内法が適用されることになるわけでございますから、それぞれの国内法規に従って官庁としても十分立入検査し得る機会があるというふうに理解いたしております。
  289. 野坂浩賢

    野坂委員 たくさんの問題はございますが、この開発権者とオペレーターとの関係、そして石油の価格は当時の国際価格であるというような協定なり、これは事業契約で結ぶということになりますか。
  290. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 現実の問題としてまだ共同事業契約が結ばれておらないのでございますが、一応考えられることは、価格についてはやはりその時点での国際価格に従って売買されると思いますので、あえて共同事業契約の中に幾らで売るというような条項は一般に入らないのじゃなかろうかと思います。
  291. 野坂浩賢

    野坂委員 最後に、水産庁からもおいでいただいておることを失念しておりましたが、この共同開発区域の水域においては、アジとかサバとかブリとかあるいはグチとかが産卵する地域であります。これが黄海あるいは日本海、そして黒潮に乗って太平洋に行く、こういうものが非常に回遊をする地域であります。魚群の産卵場としては非常に大切な場所でありますが、ここに施設、そういうふうなものをされるということは非常に問題があろう。大体この共同開発区域でどの程度魚がとれるか。そしてこの魚が三つ、四つの区域に分かれて流れるわけですから、この回遊魚全体の総量はどの程度と把握されておりますか。
  292. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 現在定められております共同開発区域の中での漁獲量は三万九千トンでございます。  なお、ここで産卵いたしますのは、底物では主としてレンコダイ、これが多うございます。レンコダイの現在の生産量は、最近資源的に若干減少しておりまして、いまちょっと資源量の数字は持ってきておりませんが、余り大きなものではないと思います。そのほかに浮き魚といたしましてイカ、アジ、サバ、こういうものの一部が産卵場として産卵をいたしております。
  293. 野坂浩賢

    野坂委員 私は、だから前提として聞いておるんですよ。このあたりはそういう魚種の回遊魚の産卵場です。この区域だけでとれるのは三万九千トンです。だから、流れていくものが全体の産卵場から考える場合は一体どのぐらいだ。あなた、外務委員会の議事録を読まれたでしょうが。百七十万トンとか百八十三万トンとか言われておるじゃないですか。回遊魚というのはそこだけにとまっているわけじゃないですよ。そういう点についてはどういう御判断ですか。
  294. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 あそこを産卵場といたします数量についての把握でございますけれども、浮き魚の産卵は非常に広範囲に行われますので、特にあそこからということで限定するのは計算上非常にむずかしい問題があると考えております。ただ、最近の状況といたしまして、アジ、サバの資源状態は減少傾向にございます。また、イカにつきましても減少傾向にございますことは事実でございます。
  295. 野坂浩賢

    野坂委員 この大陸棚協定の産卵場、ふ化場、そういうものから考えて、長崎県とかあるいは日本遠洋旋網漁協とか、そういう関係団体の御意見をあなたは聞きましたか。
  296. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 四十九年に入りましてこの問題が出ました際に、以西の組合でございます日本遠洋底曳網漁業協会、それからまき網の組合でございます日本遠洋旋網漁業協同組合、これらと、主としてあの辺で操業いたしております九州周辺あるいは山口等の漁業者の方々も集まっていただきまして、大日本水産会を通じていろいろ御意見を伺っております。その結果につきましては、その後文書でいただいておりますので、お読みいたします。  大日本水産会からいただきました文書は「水産業界の総意として」というものでございますが、   一、鉱業権の設定、海底鉱物資源開発の計画実施に当っては、あらかじめ関係大臣協議するよう措置すること   二、開発事業の実施に伴って生ずるおそれのある鉱害が発生しないよう措置することはもちろん、万一発生した場合の損害賠償措置を確立すること   三、漁場のそう失、漁業活動の制約による損害について十分な補償措置を講ずること というような要望でございます。
  297. 野坂浩賢

    野坂委員 最後でありますが、水産庁の次長に申し上げておきます、最近おかわりになったばかりでありますから。  全漁連の専務の池尻さんは、たとえば漁場というものは、ソ連の二百海里あるいは朝鮮民主主義人民共和国の二百海里、そういう時代を踏まえて「私は漁業の立場というものは金で評価できないと思っております。したがいまして、許されることならば、将来私どもの漁場にいろんな危険を及ぼすようなものは、できるならばそういうものは避けていただきたい」、こう述べております。いまのたん白質の資源確保のために非常に重要な問題であることを十分御認識をいただいておきたいと思うのであります。  私は、この協定あるいは国内法の中に存する賠償義務の問題あるいはまた税金の問題、あるいは輸入税の問題、そして関税なしにこの共同開発区域に出入りができる、そういう幾多の欠陥を持つこの国内法及び協定については、多くの疑念と疑問を持っております。  時間が参りましたので、これ以上質疑を続けることはできませんが、委員長に本案件に対してさらに深く審議ができるような機会を与えていただきますようにお願いを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  298. 野呂恭一

    野呂委員長 この際、五分間休憩いたします。     午後七時休憩      ————◇—————     午後七時十一分開議
  299. 野呂恭一

    野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西中清君。
  300. 西中清

    西中委員 午前中からの質疑を聞いてまいったわけでございますけれども、この協定については、ますます疑問点を浮き彫りにしたのではないかという印象を持っておるわけでございます。  少なくとも中国がわが国のこの日韓協定について強硬な抗議を繰り返しておる、それについて、日本政府としては、また外務省としては、繰り返し先ほどから論議が行われておりますけれども、十分な誠意と、また、新しい事態について対処していこうというような姿勢もほとんど見られない、まことに残念な思いをいたしておるわけでございます。中国と北朝鮮のこうした抗議の姿勢に対して、日本の今日までとり続けてきた、また、政府が繰り返し述べてきたことについて、私は、日本の外交方針というものはどうなっているのだろう、とりわけアジア外交、さらには近隣外交というものがどういう方針でもって運営されておるのか、この点についてはかなりの疑問を感じておるわけであります。  それで、この大陸棚協定は、先国会でいわゆる自然承認という形をとりました。国内法の審議にこうして入っているわけでございますけれども、この協定審議をされてまいりました今日、よく考えると、たとえばアメリカのカーター政権、この政権が在韓米地上軍の撤退を公約し、さらに米朝関係の改善の動きもあるやに聞いております。要するに朝鮮半島政策に微妙な変化がいま起こっていると言わなければなりません。ところが、先ほどからの論議でわかりますように、余りにも韓国側に傾斜し、一方にくみするというような色彩の濃いこういった問題について、やはり考え直した方がいいのじゃないかということは、私は多くの意見ではなかろうかと思うわけであります。  改めて確認の意味をもちまして、私は、日本の外交理念、姿勢、そしてアジア外交の基本方針について、大臣からお伺いをいたしたいと思います。
  301. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 もう御承知のように、わが国といたしまして、これはアジアの平和と安定を、また、その発展を心から望むものでございます。そういう意味におきまして、日本といたしまして何よりもこのアジア外交の重要性を認識しておるところでございます。  そういう意味合いにおきまして、体制を異にする諸国とも、日本といたしましては、正常な国交関係を樹立いたしたいと考えているところであります。  中国とは最大の懸案の平和友好条約が残された課題である、これにつきましては、鋭意取り組んでおるということはたびたび申し上げておるところでございまして、また、北朝鮮との国交問題につきまして、私どもは、朝鮮半島の本当の平和、本当に永続する平和を心から望んでおるわけであります。  そのために、まず段階的には、南北間の話し合いを進めて、そして平和的な統一、これができればまことに好ましい、こういう態度でございます。ただ、直ちに北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国との国交が開かれませんのは、現在におきまして、南北間におきましてまだ話し合いすらできないという事態の反映でございまして、この事態が一日も早く解決することを心から望んでおるということでございます。  本大陸棚の問題につきまして、これは朝鮮民主主義人民共和国並びに中国から抗議といいますか反対の表明があるわけでございますが、北朝鮮との関係は、朝鮮半島が平和的な統一ができました暁におきまして、韓国の立場というものは、統一国家ができればそれに当然のことで引き継がれる。そして共同開発されたところが、これがその時点におきましてどの程度発展をしているか存じませんが、やはり朝鮮半島におきましても油に不足している地域である、日本も油の資源を持たない地域である、そういう意味から、この共同開発が成功すれば、これは朝鮮半島全体にとりましてもプラスであるというふうに考えるところでございまして、この私どものアジア政策に対しまして、この共同開発が阻害要因になるということは毛頭ないというふうに考えるところでございます。
  302. 西中清

    西中委員 日本の外交の基本姿勢は平和外交だと——先ほどから繰り返し中国の抗議、また北朝鮮の抗議、こういう質疑が行われておるわけでございますけれども、この日韓大陸棚協定は、平和外交に沿ったものであるというふうに思われますか。
  303. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 そのとおりに思います。
  304. 西中清

    西中委員 新たな紛争を起こす可能性のある協定でございますけれども、それも平和という概念の中に入るわけでございますか。
  305. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 わが国と中国との間に大陸棚の考え方について意見は異にしております。しかし、これは中国大陸の考え方、それからわが国の考え方、それぞれやはり正当な理由を持っているところでございますから、そういう考え方は違いましても、これは意見の相違でありまして、それがゆえに、これがまた日中国交につきまして大きな障害にならないように、私ども最善の努力をいたしたいと考えております。
  306. 西中清

    西中委員 次に、朝鮮半島をめぐる情勢について特にお伺いをいたしたいと思うのです。  朝鮮半島をめぐる情勢というものは、現在三十八度線を境としてかつての東西冷戦構造というものが一応形の上に残っておる。他の分裂国家におきましては、ドイツにしてもベトナムにしても、それぞれ一応の解決を見ておる。残されておるのは、この朝鮮半島であろうかと思います。これはまことに憂慮すべき問題と言われなければならないと思います。この朝鮮半島、時代も変わってまいりまして、わが国政府としても、過去の経緯からいっても、また、将来のためにも当然何らかの確固たる方針なり模索をしなければならない、こういう時期に来ているように私は思うわけでございます。その点についての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  307. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 韓国からの米軍地上軍の撤退表明がございまして、韓国を含みます朝鮮半島の情勢というものがこれからどの方向に動くか、これはわが国といたしましても、大変重大な関心を持たざるを得ない問題でございます。この南北間の情勢がいい方向に動いてもらうように、私どもも心から願っているところでございまして、今後の情勢を慎重に見守ってまいりたいと考えております。
  308. 西中清

    西中委員 この情勢について慎重に見守っていきたいということは、日本政府として何ら手を出さないという意味でございますか。
  309. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 朝鮮半島の情勢が悪化をしてはならない、これがいい方向に向かうように、日本政府といたしましても努力をいたすべきだということでございます。
  310. 西中清

    西中委員 去る九月に朝鮮半島に二つの共同声明、いわゆる日朝、日韓の共同声明が発せられました。一方では、カーター政権の在韓米地上軍の撤退、また、アメリカ軍のヘリコプターの墜落事故に対するアメリカ及び北朝鮮の冷静な反応といいますか対処、こういういろいろな変化があるわけでございます。さらにまた、新聞報道によりますと、北朝鮮からアメリカの大統領へ直接会談の呼びかけのメッセージも送られたというように伝えられております。  こういう新しい変化の時期に当たりまして、日朝、日韓の共同声明が発せられた。これについては外務省、また、日本政府としてはどういう認識を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  311. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 日韓閣僚会議の後の共同コミュニケ、これは私どもが関与してつくったものでございます。  しかし、日韓の共同コミュニケは、これは超党派と申し上げていいのですか、日朝議員連盟の先生方がいらっしゃいまして、久野団長がおつくりになったものというふうに理解をいたしております。  この日朝のコミュニケの中で、特に九州地域、西日本の零細漁民の方々が、来年の六月まででありますが、とにかく入漁が可能になるという点につきましては、私どもは御努力を高く評価いたしておりまして、大変よかったと思っておるのでございます。  ただ、その声明の中で外国軍隊の撤退等のいろいろな表現がございまして、これらの点につきましては、私どもといたしまして、そのまま了承しがたいような字句が二カ所ばかりあるということでございまして、この点につきましては、私どもの見解は必ずしも一つでないというところでございます。
  312. 西中清

    西中委員 そうしますと、日朝共同声明につきましては、一部はよかった、他の部分でわれわれとしては了承しがたい点があった、いまのお話はこういう評価ですね。  かつての政府の方針というか評価は、関知せず、かかわらないというようなお話だったように思いますけれども、変化を見せたわけでございますか。その点はどうですか。
  313. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 外務委員会がその直後に開かれまして、漁業関係につきまして一応の話し合いができたということにつきまして私ども評価しておるということは、私も直ちに申し上げております。そういう意味で、ただいま申し上げましたのが真意でございます。
  314. 西中清

    西中委員 この日朝共同声明を発表する中には、与党の先生方もお入りになっているわけですね。したがって、この二つの共同声明が同じ時期に出たという事実を踏まえまして、これは政府がどう評価するかということと同時に、二つの共同声明が出たということについては、朝鮮半島そのものについて新しい変化としてこういう形が出ているのではないか、言いかえるならば、こうしたアメリカの動きとあわせて、はっきりしたものでなくても、緊張緩和という方向へ向かっているという一つのあらわれではないかと思うのです。そういった面の評価はどうでございましょう。
  315. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 日本と北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国との関係でございますけれども、外交関係はない。ないけれども、民間レベルと申しますか、漁業あるいは通商等におきまして次第に関係が深まるということは、時の勢いであろうと考えておるところでございます。しかし、外交関係がないということはやはり事実でありまして、この点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、南北間の対話をぜひとも早く再開してもらいたい。日本は隣接国として韓国との友好関係の上に立つものでございますから、南北間の話し合いがありませんと、どうしても双方ともに友好関係を増進するということができない、そういう意味合いにおきまして、南北間の対話が進められることをわれわれは願っておるわけであります。
  316. 西中清

    西中委員 共同声明なりアメリカの対応措置なり北朝鮮のいろいろな措置、こういう点を総括して、朝鮮半島の緊張は依然として同じ状態というような評価をされるのか、むしろ緊張は強まったというふうに見られるのか、緊張緩和の方向に向かっていると考えられるのか、その点はどうでしょうか。
  317. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 緊張緩和の方向に向かってもらいたいというふうに考えておるところでございます。現状におきまして、南北間の緊張状態が依然としてあるという認識をアメリカも持っておるわけでございます。この点が、緊張が緩和の方向に向かう、そして南北間の話し合いができる、アメリカといたしましても、現在のような南北間の話し合いがないという事態では、韓国を差しおいてアメリカと朝鮮民主主義人民共和国と直接の話し合いができない、こういう関係にアメリカも日本と同様になっているわけでありまして、それを可能にするためにはどうしても南北間の話し合いを再開してもらいたい、そしてそれから南北間の平和的な統一の方向に進む、そのようなことが物の順序として期待をされておるということでございます。
  318. 西中清

    西中委員 ただいまの御説明では、依然として変わっておらないということになるのですか。その点はどうでしょうか。
  319. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 現在、南北間におきまして話し合いが再開できるという方向にまだ向かっておりません。したがいまして緊張が続いておる。また、朝鮮民主主義人民共和国は相当な部分の資源を、国防と申しますか軍事費に使っておる状況でございます。こういう事態が改善をされて、南北両国の国民のもっと全体的な融和の方向に行くことを心から願っておるわけでございます。
  320. 西中清

    西中委員 南北の当事者同士の話し合いは、確かにおっしゃるとおりでしょう。私が言っておるのは、たとえば北朝鮮からアメリカの大統領に対してメッセージが送られた、要するに、一つの接近への模索が行われているのではないか、こういった事態、それから、アメリカ軍の飛行機が墜落した、以前のプエブロの事件等とは違って、これは非常に冷静な対処をしておる、こういうものを含めてどうなのかということを聞いている。それとも全然これは評価をなさらないのですか。
  321. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ただいまおっしゃいましたようなヘリコプターの事件につきましても、冷静な対処がなされたということは、私どもといたしまして大変よかったと思っております。したがいまして、事態が決して悪い方向に向かっておるということを私は申し上げておりません。全体といたしましていい方向に向かうことを心から望んでおります。しかし、現状におきまして、急速に南北の融和が図れるかということになりますと、これはまだ若干の時間を要するのではないかというふうに考えておるのでございます。
  322. 西中清

    西中委員 私も急速にどうこうということを言っているわけではありません。一つの方向性として先ほどからの質問を続けておるわけであります。  さて、この二つの共同声明でございますけれども、内容的に言いますと、かなりの差があることは私も認めるところでございます。ただ一点、南北の統一という点では、方法論とかその他は別として、南北の統一を願うという点では共通点があると言っても差し支えないのじゃないかと思うのです。かねてから福田総理も、終局的には平和的統一が望ましい、このように述べておりますし、また、さきの第九回日韓定期閣僚会議の共同声明でも「南北対話が速やかに再開され、朝鮮半島の統一が平和的な方法で達成されることを強く希望した。」とも記されているわけであります。問題は、この南北の統一に至るまでかなりの困難があるだろうということは、先ほどおっしゃったとおりだろうと私も思います。  そこで、お伺いをしたいのでございますけれども、わが日本政府としては、この南北対話そして統一、どのようなプロセスをたどっていけば統一は可能であるというようにお考えなのか。一つ近隣外交また日本の安全、朝鮮半島というものをめぐって、当然外務省として、今後こういうようにしていかなければならない、こういうようにお考えであろうと思いますが、その内容について御説明をいただきたいと思います。
  323. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 南北の対立状態が戦後大変長く続いておるわけでございます。したがいまして、この問題の特効薬があって、それで解決が容易にできるというふうにはなかなかまいらないであろうというふうに思っております。  そこで、やはり段階的には、南北の二つの政治社会が、ある意味で等質化をしていかなければならない、全く異質のものが一緒になるといっても、これはなかなか一つの統一した国家というものは望めないわけでありますから、やはり根本的には南北二つの国家社会が、ある意味で均質化の方に向かってもらいたい、そういう意味で、これがやはりクロス承認でありますとか、国連におきます同時加盟でありますとかというようなことは、私は、その一つの方法といたしまして、同じ国際社会におきまして南北二つの国として世界の平和のために努力をする、そういうことがやはり経過的にいいことであろうというふうに考えますし、南北がいろんな意味話し合いをする、交流を深めるということがやはり何よりその均質化の方向にいくことであろうというふうに考えるわけで、大変常識的なことを申し上げまして恐縮でございますけれども、そういうような方向に日本といたしましてもお手伝いができることがあればお手伝いをいたすべきだというふうに考えております。
  324. 西中清

    西中委員 私も同感であります。やはり対話の再開ということがまずは大きな問題だろうと思うのです。そして双方の信頼が生まれてくる、こういう経過をたどっていって、国連にしても、これはいろいろ問題はあるようでございますけれども、たとえば現状固定化でないという上で国連加盟というようなことも一つのプロセスとして統一への可能性を生み出すものだ、そういうように私も考えるわけであります。そうして日本政府としてもお手伝いができることならば努力をしたい、こういうことですね。その点は間違いありませんか。
  325. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ただいま仰せられました、そのように私ども考えております。
  326. 西中清

    西中委員 さて、この対話の再開ということでございますが、先ほどから大臣もなかなかむずかしいとおっしゃっております。恐らくこれは口で言うほど簡単なものでないことは私もそう思っております。  そこで、日本がアジア外交なり、また近隣外交を進める上で一つの役割りを持たなければならないことは当然であるし、または、先ほども大臣もやりたい、努力をしたい、こういうお話でございました。  そこで、お伺いをしたいのですけれども、九月の日韓定期閣僚会議の合同記者会見で、鳩山外務大臣は、日本は朝鮮半島の平和的統一を望んでおり、そのための南北間の対話再開に協力したいと述べたように伝えられました。そこで、お伺いしたいのでございますけれども、その対話の再開のために韓国及び北朝鮮にどのような働きかけを今日までなされたか、それとも全く何もしておらないか、また、どういう方針で働きかけをしようというようにお考えなのか、要するにどういう方法で対話を再開させよう、その努力をしようとされておるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  327. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 日本韓国との間は、私ども機会あるごとに朝鮮半島全体の問題につきまして話し合いをいたしておりますが、北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国と直接お話し合いをする機会がなかなかないわけでございます。海洋法会議の際に連絡をとったりしたことはございましたけれども、まだまだ直接の話は、私ども外交関係がないから、いたしておりません。しかし、この問題につきましては、やはり朝鮮半島を取り巻く各国、日本を含めまして中国、ソ連あるいはアメリカ、こういった国が朝鮮半島の永久の平和というものを何とか打ち立てよう、こういうふうな考え方が強まってくることが望ましいわけでありまして、そういう意味におきまして、直接の話はできませんけれども、常に朝鮮半島の問題を議論する過程におきまして、あるべき姿、どうしたらいいかという点につきまして、特にアメリカ等とは朝鮮問題につきましては密接に話し合いをいたしておるところでございます。     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
  328. 西中清

    西中委員 先ほども申しましたが、直接北には国交がないからできない、これはよくわかります。その周辺の国々、特に中ソなどの国々に対して努力するのがやはり筋ではないかと思うし、いままで大臣も繰り返しそのようにおっしゃっておったように思うわけでございますけれども、中ソに働きかけるという点は一つのプロセスとして、また、日本のできる努力として、これはいまも変わらずお考えであるかどうか。
  329. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ソ連との間にはまだ定期協議が持てないでおりますが、そう遠くない機会に持てることと思います。  中国との間におきまして、わが国といたしまして、これはやはり懸案事項をまず片づけなければなりません。そういう過程におきまして、私ども朝鮮半島の平和のために協力することを、日本といたしまして希望を伝えたい、その方向に向かいまして努力をいたします。
  330. 西中清

    西中委員 中ソに対する働きかけを今後やっていきたい、こういうお話でございますね。  そこで、せんだって国連へ大臣が行かれたときは、私は一つのチャンスであったと思います。このときに外務大臣は、中国またはソ連に対して南北対話の再開への働きをなさったのかなさっておらないのか、お伺いをいたしたいと思います。
  331. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 先般ニューヨークにおきまして、グロムイコ大臣また黄華外交部長とお目にかかりましたが、なかなか時間的な制約がございまして、世界情勢とかあるいは朝鮮半島の問題等につきまして広範な討議ができませんでした。したがいまして、定期協議等その他正式の会談が持てます機会におきまして、今後いたしたいと思っております。
  332. 西中清

    西中委員 国連にお出かけになる前の報道では、外務大臣は、北朝鮮と友好関係の中ソなど大国に対して働きかける、このように述べておられたようでございます。また、外務省筋として、いまおっしゃったソ連、中国外務大臣との会談が実現したときには、席上この南北対話の再開の環境づくりを働きかけていきたい、その公算が大きい、これは各紙の報道で出ておるわけでございますけれども、これほど確信を持っておっしゃったにもかかわらず、働きかけができなかったといういまのお話でございますけれども、その理由はなぜでございますでしょうか。
  333. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 それは本当に時間的な制約でございまして、話をしているうちに時間がなくなってしまったというのが率直なところでございまして、次の機会にこれらの問題につきまして討議をいたしたいと思っております。
  334. 西中清

    西中委員 時間があるかないかわからないような状況の中でこういう発言をされたということでございますか、出発前に。
  335. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 出発前にはいろいろ新聞等で観測記事は出ましたけれども、先方話し合いをいたしているうちに、私ども実のところ次のソ連とのモスクワにおきます定期協議をなるべく早い機会に持ちたいということで、そんなことでも時間をとったりしてしまったような事態でありまして、実質的な長い会談というものが持てなかったということで、大変残念に思っております。
  336. 西中清

    西中委員 私は、いまの大臣のお話を聞いておっても、いささか準備不足でなかったのではないか、こんな印象を持つわけでございます。  そうすると、大臣が国連でお会いになったときに、ソ連や中国外務大臣との議題はそれぞれ何であったのか、ここで明らかにしていただきたいと思います。
  337. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 議題等は定めて会うというようなことは先方ともいたしておりません。しかし、グロムイコ大臣とお話し合いしたことは、別に秘密なことを話したわけでも全くないわけでございますけれども、わが国といたしまして、やはり領土問題を解決をして、そしてソ連との間に平和条約を結ぶべきだということにつきまして相当な時間を費やしたのも事実でありますし、その他若干の事務的なお話も申したこともございます。しかし、主要なことは、特に国連の舞台におきまして主要国がいろいろな演説をしておるわけでございます。そういった中におきまして、日本といたしまして、日ソの間の条約締結問題をめぐっていろいろお話し合いをしたという、これが主体的な問題でございます。  また、黄華外交部長とは、これはちょうど九月二十九日の五周年の日で、心から日中の国交回復を祝おう、こういう趣旨で食事をともにしながら雑談を交わしたということで、特定のテーマで討議をするというような雰囲気ではなかったわけでございます。
  338. 西中清

    西中委員 そうすると、日本を出られる前に南北統一の、南北対話再開の働きかけをするというのは、予定もとれない、時間もとれない中で、余り希望はなかったけれどもリップサービスされたという意味ですか。
  339. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 朝鮮半島の問題につきまして、これは大変大事な問題でございます。したがいまして、今後とも時間をかけて討議をすべきものと思います。また、バンス国務長官との会談におきまして、これは何よりも朝鮮半島の問題はアメリカといたしましても最大の関心事でございますので、バンス長官との間には朝鮮問題につきましていろいろお話し合いはいたしてまいりました。
  340. 西中清

    西中委員 これはやかましく言ってもしようがないですから、これ以上申しませんけれども、どうも出発前の話と国連での実際の動きとはかなりの隔たりがあったということは、私は言えるのではないかと思うのです。要するにこの問題は、近隣外交上どうしても日本政府としてはあらゆる努力を払わなければならない。ですから、こうした機会をとらえて、外務省また政府として強力な推進をされることがやはり望ましいのではないかと私は思います。  今後ともこの方針で中ソへの働きかけを本当にやる気持ちでおられるのかどうか、その点の確認をいたしたいと思います。
  341. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 朝鮮半島の安定は、わが国といたしまして本当に重大な関心を持っておるところでございますし、今後とも特に南北対話の再開を目指して努力をいたします。
  342. 西中清

    西中委員 ところで、先ほどの話でございますけれども、外務省は中ソに働きかけをする、こういう記者会見でのお話もあったわけでございますけれども、また、いまもその意向を示されたわけでございますけれども、あのときに、いわゆる日韓定期閣僚会議の後の記者会見で申されたこと、それは日本政府自身が、近隣外交のよりよい方向を発展させる意味において自主的に中ソに働きかけて対話の再開をしなければならぬ、それを推進しなければならない、こういう判断でああいうような一連の発言があったのか、もしくは定期閣僚会議、またはそれ以外のところでも結構でございますけれども、いずれにしても、韓国の方から、どうしても今日の情勢を好転さしていき、南北統一に向かってわれわれもぜひとも中ソとの橋渡しを日本側にお願いをしたいと、韓国の要請を受けてあのような一連の発言になったのか、その辺はどちらなんでしょうか、お伺いいたしたいと思います。
  343. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 これは日本側、韓国側、それぞれ国際情勢等につきまして見解を申し述べたわけでございます。これは双方交互に申しておるわけでございます。そして論点は、米地上軍の撤退に伴いましての軍事的な問題があるわけでございます。この軍事的な問題は私どもは関係すべきことでございません。米韓間の問題でございます。したがいまして、これから私どもとして協力できる部面、朝鮮半島の平和を確保するために南北間が対話の再開をできますように、外交的な部面におきましてやはり努力が一緒に行われる必要があるということにつきまして、双方とも認識をともにしておるわけでありまして、そのために、一つの例といたしまして、中ソに働きかけるというのは一つの例でございます。いろいろな努力、いろいろな可能性を探りながら今後とも努力をしてまいる、こういうことで意見が一致しているわけであります。
  344. 西中清

    西中委員 確認をしておきますが、いま双方とおっしゃいましたが、これは韓国も了承して日本がこの働きかけをするという意味なんですか。
  345. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 韓国も、これはやはり朝鮮半島が本当に平和であること、これを願っているわけでございまして、そういう意味で、南北両政府といたしまして、いろいろな可能性の中で、二つの朝鮮を認めるようなことはいけないとかいろいろな意見があるわけでございますけれども、韓国と私どもとでは、私ども日本といたしましてそのような方向で努力をすることにつきましては、韓国側としても異存のないことであろうと考えております。
  346. 西中清

    西中委員 異存がないということだろうということですか、それともはっきり、日本がそういう働きかけをすることは結構でございます、こういう了解があったということですか。その辺もう一遍明快にお答えをいただきたいと思います。
  347. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 韓国側とはっきり私どもが考えておることにつきまして一々念を押して了解をとったというようなことはいたしておりませんけれども、しかし、韓国といたしましても、朝鮮半島の平和というもの、これがもう絶対必要なことでございますので、了承をとったかどうかという点については、ちょっと記憶もないわけでありますけれども、見解はそれほど違ったことを考えておることではないというように考えております。
  348. 西中清

    西中委員 韓国の了承をとったことではないけれども、そうすると、心証として韓国も同意するであろうという立場で、自主的判断をされたということになるわけですね。
  349. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 私ども日本といたしまして、朝鮮半島の対話の再開ということ、それから韓国もこの点は間違いなく対話の再開にいつでも応ずるように申しておりますから、韓国が違ったことを考えていることは全くない。ところが、なかなか実際問題として対話が再開できない、というのが現実の姿でございます。しかし、それ以上にわたりまして、クロス承認でありますとか同時国連加盟でありますとかいう話は一これは韓国と話し合って了解をとって申しておることではございません。わが国としていろいろな方法があるであろうということの一つの例として申し上げているのでございまして、明確な韓国側の了解を取りつけた上で申していることではないのでございます。
  350. 西中清

    西中委員 そうすると、韓国の意向いかんにかかわらず、日本政府の判断としてそういう働きかけをするということにはなりませんか。どうでしょうか。
  351. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ただいまおっしゃいましたように、日本政府として考えておるということで、その方がより現実的、実際に合った表現であろうと思います。
  352. 西中清

    西中委員 それは韓国側から内政干渉と言われる可能性はないでしょうか。要するに、よけいなことをするなと……。
  353. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 私どもは、内政干渉と言われないように最善の注意を払っております。このような朝鮮半島の平和、アジアの平和というために努力をすることは、これは私どもの当然の責務であろう。内政に干渉する気は毛頭ございません。
  354. 西中清

    西中委員 そうすると、日本政府の自主的な意思で今後もこの働きかけを続けていく、こういうかたい決意はおありでございますか。
  355. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 朝鮮半島の平和と安定のために努力をいたしたい。そのために対話の再開のためにお役に立つことがあれば努力をいたしたいということでございます。しかし、これはどういう具体的な行為をとればどういう効果があるというようなものではございませんので、日本といたしまして、アジアの平和のために、たとえば日本中国国交を進めるということ自体が、私は、間接的に朝鮮半島の平和と安定に寄与するものである、広く言えばそのようにも考えておるのでございます。
  356. 西中清

    西中委員 もう少し細かくお伺いをしたいのですけれども、この定期閣僚会議では、韓国としては中国またはソ連と外交関係を持ちたいという、そういう希望を持っているような感触はありましたでしょうか、なかったでしょうか。
  357. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 閣僚会議の場におきまして、そのようなストレートな発言は記憶に残っておりません。
  358. 西中清

    西中委員 正式の議題なり大きな議題としてあったという意味ではなくて、感触はあったのかなかったのかということでございます。もう一度お願いします。
  359. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 日本とアメリカが朝鮮民主主義人民共和国と国交を回復するという、これとのうらはらの話として韓国中国あるいはソ連と国交を持つ、こういったことができれば安定に役立つのではないかというようなことも議論としてあるわけでございますけれども、現実の問題としてそれがなかなか容易でないという情勢にあるわけでございまして、そういうストレートな、いまお尋ねのような、このこと自体についてどういう議論をしたかと仰せられますと、その問題につきまして議論にそれほどの時間を費やしたということはございませんでした。
  360. 西中清

    西中委員 ですから、私は議論とは言っていないのです。感触としてどうだったのか。少なくとも共同声明では南北対話をうたっているわけですから、これについての何の手段方法、方針というものがなくて、ただ言葉だけが浮かび上がってきたものなのかどうなのか、いまの御答弁ではこういう疑問を持たざるを得ないわけですね。改めてもう一度お答えを願いたいと思います。
  361. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 韓国といたしましては、やはり朝鮮半島の平和のために南北間で話し合いをする、こういったことにつきましてその実現をすることを願っておるという態度でございます。外交面におきましてそれを可能にするようないかなる具体的な手段があるかというような点につきまして、アメリカあるいはバンス国務長官のアジアに対する考え方等におきましてもそのような点に触れられておりますけれども、それらにつきまして韓国といたしましてどういうことを希望しているかというような点については、見解の表明はなかったと記憶しております。
  362. 西中清

    西中委員 共同声明の文章に明記されておる問題について、日本側からも、一つの方法として、中国、ソ連と国交、外交関係を持ったらどうか、こういうふうな意見も述べなかったのでしょうか。少なくとも先ほどからの話のように、中ソに対して働きかけるということは記者会見でも言われ、また、その意思もお持ちだ、しかし、この問題について韓国と話し合ったときには何も言わなかった、そんなことは常識上考えられないことです。日本側からもあってしかるべきであろうし、場合によっては韓国から出たかもしれない、私はそういう意味で聞いておるわけです。
  363. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 外交的な努力が軍事的な問題のほかに引き続いてとられることが望ましいということについて、いろいろお話し合いがあったわけでありますが、それにつきましてどういうことがいいのだとか、そういう突っ込んだ議論というものは日韓閣僚会議の際にはそれほど行われなかったということでございます。しかし、ふだんから、米軍の撤退という事態に対しまして、日本といたしましてはさらに外交的ないろいろな各国のそういう空気を醸成する努力が必要であるということを考えておるところでございまして、それらにつきまして韓国側といたしまして異存があるというようなことは毛頭感ぜられませんでした。
  364. 西中清

    西中委員 それでは、日本政府としては、中国またはソ連と韓国が正常な外交関係を持つことはどのようにお考えになりますか。
  365. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 先ほど来クロス承認というようなことができれば安定するのではないかという議論があるわけでございますが、しかし、どうしたらそういうような雰囲気が出てくるかということであろうと思うのでございます。そういうような全体的な雰囲気になることが必要である。これは南北当事者間の努力ということと、やはりそれを取り巻く私どものような隣接国、これらの努力が両々相まって進まなければならないことであって、南北間の努力、これが進められることが南北両国のことでございますから何より本体でありますが、そういうこととともども、朝鮮半島の平和、緊張の緩和、これに向かうように周りの国もしむける、当事者同士も努力をする、こういうことでなければならない、そのように率直なところ考えておるところでございます。
  366. 西中清

    西中委員 朝鮮半島の話を聞いているのではないのです。韓国中国またはソ連と正常な外交関係を持つことは、日本政府にとっては望ましいことなのかどうなのかということを聞いておるのです。
  367. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 それは、そういうことができる情勢になることが大変結構なことである、どうしたらそういう情勢になるかということが問題であるというわけであります。
  368. 西中清

    西中委員 それは韓国も同じ考えだということは、確認されておりますか。
  369. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 韓国も、これは朝鮮半島の平和と安定を望むわけでありますから、別に私どもと違った考え方はしていないであろうと私どもは考えております。
  370. 西中清

    西中委員 そうすると、それは単なる予測でございますね。
  371. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 予測と言われれば予側でも結構でございます。しかし、問題は、じゃ、あしたから中国、ソ連と国交がぱっとできるということはなかなかむずかしいわけで、大陸棚問題でも韓国中国とは同席しないのでありますから、それは一朝にそういう事態があらわれるわけはないわけで、どうしたらそういったことができるような環境になってまいるかというところが問題だと考えます。
  372. 西中清

    西中委員 その問題はその辺でおいておきます。  次に、今度は、先ほどからもいろいろお話をしておりましたが、北朝鮮は現行の休戦協定にかわる新和平協定の締結、また、北朝鮮の外務大臣が対米正常化に意欲的な姿勢を示すなどの報道がございました。対米姿勢にかなりの変化がうかがえるわけでございますが、もし米朝関係が具体化する、こういう事態は日本政府にとって困ることなのでしょうか、それとも心から歓迎すべきことなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  373. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 そういうことが可能になるような情勢になることが好ましいことであります。しかし、現状におきまして、アメリカ政府といたしまして韓国抜きでは朝鮮民主主義人民共和国と直接の話し合いはしないという態度をとっております。これは、やはり現実におきまして南北間にある種の緊張状態があり、南北間の直接の対話が進まない、したがいまして、北朝鮮とアメリカが直接の話し合いをすることが、これが朝鮮半島の平和に本当にプラスになればいいことでありますし、それが反対な方向に向かうということになれば、これは大変困ったことでありますから、そういう意味におきまして、アメリカといたしましては慎重な態度をとっておるということであろうと、私は、これも想像でございますが、そのように考えております。
  374. 西中清

    西中委員 私が聞いておるのは、アメリカの考えておることではなくて、米朝関係が具体化すれば日本政府としてはどうなのか。先ほど若干歓迎の意を漏らされたようでありますけれども、もう少し明確にお答えをいただきたいと思います。
  375. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 北朝鮮とアメリカとの間が何らかの直接的な接触を持つということ、これはやはり南北朝鮮間におきまして相当緊張状態が緩和をしていく、こういう過程において初めて可能になってくることであろうと私どもは考えております。つまり韓国側に非常な不安を与えないような状態でなければそれができないということになろうかと思います。そういう意味で、そういうことが行われる事態が来るということ、これはそれ自体が南北間の大変な緊張緩和を意味することであるというふうに考えるわけでございます。     〔中島(源)委員長代理退席、山崎(拓)委員長代理着席〕  しかし、現実の事態は大変軍事的な対立というものが現に続いておるわけでありまして、そういう事態のもとでは、そういうアメリカと北朝鮮との間の直接的な関係が進行することは期待できないわけであります。したがいまして、逆に申せば、そういうことが可能になるような情勢になることを、日本といたしましては心から期待をしておるということは言えると思います。
  376. 西中清

    西中委員 先ほどの答弁から若干また下がったような感じもしますけれども、もう一度確認をいたします。  途中の経過はさまざまな困難と問題があると思いますが、私が言っておるのは、米中が具体的に接近をした、この事態はどうなのか、困るのか歓迎するのか、これを聞いておるわけであります。(鳩山国務大臣「米中ですか」と呼ぶ)米国と北朝鮮、この問題でございます。  それで、もう一歩言えば、かつて米中の接近という問題について国会でも論議が行われた。その結果が頭越しの外交ということで、米国が中国に急激な接近をして日本があわてふためいたという経過もありました。ですから、北朝鮮に対して米国が、この両国が外交の正常化、こういう具体的な動きになってきたときに、日本政府としては歓迎すべきことだとお考えなのか困ることとお考えなのか。私、ちょっと説明が間違っておったかしりませんけれども、そういう意味でございますので、お答えをいただきたいと思います。
  377. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 これはなかなか簡単な御答弁ができないのでございます。いま仮に、こんな南北間にある種の緊張状態がある、こういった事態のもとに、いきなりアメリカと北朝鮮が何らかの関係を取り結んでいくということは、これはおよそ考えられないことでありますから、したがいまして、そのようないまのお尋ねでございますけれども、そういうことができるような事態になることが好ましいのであって、したがいまして、日本日本の立場から申しまして、北朝鮮とアメリカがどのような行動をとられるか、これは二国間の問題でありまして、日本がとやかくこれに口出しすべきことではなかろうと思います。そのこと自体が好ましいとか好ましくないとかいうことも、私は、日本の立場として軽々しく言うべきことではないだろうと思います。  しかし、全体といたしまして朝鮮半島の緊張緩和を望んでいるのだ、そういう意味から、そういう緊張緩和が促進されて、そしてアメリカと北朝鮮がそういう事態になれば、日本と北朝鮮との関係も、当然これはアメリカ以上に、地理的にも近い関係があるわけでありますから、わが国といたしましてもそういう事態が来ることを望み、そういう事態におきましては、わが国といたしましても、北朝鮮との関係が当然持たれるべき事態が来る、こういうことでありますから、したがいまして、好ましい、好ましくないと簡単には申し上げられません。その点は御理解いただきたいと思います。
  378. 西中清

    西中委員 確認をしますが、そうすると、緊張緩和の状況を満たしておれば、米朝の正常化を日本政府は歓迎する、こういうことでございますね。
  379. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 緊張緩和が進んで、そして南北間の対話も再開をされ、そういう過程におきまして、日本も北朝鮮との関係をどうするか、アメリカも北朝鮮との関係をどうするか、こういう事態が来ることを歓迎する、期待をするということでございます。
  380. 西中清

    西中委員 私が言っているのは、南北統一の話し合いができる、そういう条件を満たしたという意味じゃなくて、少なくともアメリカと北朝鮮といま若干の、かすかな接触があることは事実だと思うのです。     〔山崎(拓)委員長代理退席、委員長着席〕 その上で具体化してくる、こういう事態について日本政府はどうなんだ。これはとやかくこの両国に言うことではなくて、日本政府としてはどういう判断なんだ。これはアジア外交の上からも、朝鮮政策の上からも、当然持っておってしかるべき方針ではありませんか。お答え願いたい。
  381. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 あるいは少し私も誤解をしていたかもしれませんが、アメリカと北朝鮮との間にも、あるいは日本と北朝鮮との間にも、民間ベースで何らかの接触はあるだろう、その点につきましては、私は日本の方がよほど北朝鮮には接触が多いと思っております。したがいまして、そういう意味合いでアメリカもいろいろなレベルで北朝鮮と接触がふえていくことをどう思うか、こういうお話であれば、これは大変結構なことであると申し上げて一向差し支えないことであります。ただ、国交であるとか国同士でどうということになりますと、これはまたいささか次元が違ってまいりますが、ただ、そういうようなアメリカと北朝鮮との間のいろいろな面の接触が次第に濃くなっていくことについてどう思うか、こういうお話であれば、私は、それは歓迎すべきことであると申して差し支えないと思います。
  382. 西中清

    西中委員 まだもう少しはっきりいたしませんけれども、お答えにくい、こういうことだろうかと思います。  いずれにしても、緊張緩和が条件で、たとえば民間ベースというような条件をつけられましたけれども、そうではなくて、具体的に政府間の交渉なり接触なりが行われることはどうなんでしょうか。まずいことなんでしょうか、それとも歓迎すべきことなんでしょうか、もう一度。
  383. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 これもなかなかむずかしい問題でございますが、アメリカといたしまして、韓国抜きでは北との交渉はいたさないということを言っております。しかし、それは交渉というような場面で韓国抜きでは考えられない、こういうことを言っておるわけであります。したがいまして、それ以外の場での若干の接触まで韓国抜きでは一切行わないということなのかどうか、これもいささか判断できないところでありますけれども、しかし、そういうことができるようになることが好ましいのだということを申しておるわけでございます。  したがいまして、またはっきりした答弁じゃないじゃないかとおしかりを受けますが、どうも現状におきまして、韓国との友好関係、これは日本もアメリカもある、また、防衛条約を結んでおるわけでありますから、米韓条約があるわけでありますから、そういう事態におきまして韓国を無視してアメリカが北との間に話し合いをするということは、いまできにくい事態になっておる。しかし、これから朝鮮半島の本当のデタントを進めていく上にどうしたらいいかということになりますと、これはまた、いろいろな面で緊張の緩和することが望ましいわけで、緊張緩和の過程におきましてそういった事態が生ずることも、それは好ましい事態であろうと思います。御理解いただきたいと思います。
  384. 西中清

    西中委員 緊張緩和、こういうものを条件として好ましい、こういうお答えであろうかと思います。しかしまた、考えようによりましたならば、米国が中国に接近したのも、やはり取り巻く事情も情勢も違うし、いろいろ条件も違います。それはよくわかっておりますけれども、あの場合でも台湾という問題が実はあったわけでございますが、日本もその情勢で安心しておって、まさかと思うことが起こった、そして米中の接近が行われた。米朝の接近は、やはりああして突如として行われないという確証は、外務省としてお持ちでございますか。
  385. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 これは、現状におきましてアメリカが韓国を差しおいて北朝鮮と交渉を持つということは、私は行われないだろうと思っております。しかし、長い先になりますれば、これは時代がどんどん変わっていくことと思います。したがいまして、当面のところは行われないというふうに私は理解をいたしております。
  386. 西中清

    西中委員 将来のことですから、それが間違いであるかどうかということは、私も言えませんけれども、要するにそういう情勢を踏まえて、わが日本の朝鮮半島政策というものについてもう少し確固たる政策というものを持っていただきたい。要するにこの大陸棚共同開発にしても、先ほどから同僚委員が指摘しているように、余りにも韓国に気がねをして中国はほったらかしじゃないか。日本の朝鮮半島に対する政策というものは片っ方側に余りにも傾斜し過ぎておる。ですから、北朝鮮の問題になると政府はいつも消極的であり、一貫した確固たるものがない。それはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、少なくとも韓国にばかり片寄っているという事実は、私は否定はできないと思う。それが果たして日本の将来にとって、このアジアの中にある日本のとるべき外交の姿として正常であるのかどうなのか。これがいまの日韓大陸棚に対する国民のいろいろな批判の背景として大きくあるということを私は申し上げたいのです。近いこの朝鮮半島について、韓国だけではなくて、北朝鮮に対してももう少し積極的な姿勢をとるのが日本外交のあり方ではないか、私はそう思うのですけれども、もう一遍御答弁をいただきたいと思います。
  387. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 わが国の朝鮮半島に対します姿勢は、きわめてはっきりしていると思っております。日本韓国と友好関係にある、そして朝鮮半島は大変凄惨な戦争が行われた地域であります。したがいまして、日本といたしまして、韓国の安全というものはやはり大事なことである、また、朝鮮半島の平和ということが大事なことだということで一貫をしているわけでありまして、朝鮮半島に何かの間違いでまた再び戦争が起こるというようなことはとにかく避けたい、こういうことがまず第一でございます。  そして韓国との友好関係、これを壊すようなことがありますと、隣接の日本といたしまして本当に心配なことになるわけであります。日本韓国が戦後長い間正常な状態でなかった時期があったわけでございます。そのころのことを考えますと、日本韓国、本当に一衣帯水の間と言われていますこの日本韓国の間というものは、やはり友好関係を維持する必要があるということが一つの前提になっているわけでありまして、その友好関係を持ちながら北との間に日本がどれだけの関係を結んでいけるか、そういうことを日本といたしましては努力をしている。いろいろな面の積み重ねによりまして、日本と北朝鮮との間もいろんな意味で関係を深めていくということが好ましい、こういった考え方をとっておるのでありまして、その点は私どもは現状におきましてはやむを得ないことではないかというふうに考えております。
  388. 西中清

    西中委員 一衣帯水であるのは北朝鮮も同じであります。ですから、余りにも差のあるやり方、こういうものはできる限り避ける方がいいのじゃないかと私は先ほどから言っておるわけであります。  きょうは論議はいたしませんけれども、韓国援助の問題にしても大変な金額に上るわけであります。そういったことが朝鮮半島の南北の統一ということにつながらない、むしろ問題を大きくしておる、これはもう北朝鮮の行為から見ても明らかであります。  さらに、私はもう一つお伺いいたしますけれども、私は、いままでの論議の中で、日本の朝鮮政策というのは単なる韓国政策でしかない、こういう印象をなお一層強めるわけでございますけれども、せんだって外務大臣は、本会議の演説の中で、北朝鮮との関係は、「貿易、人物、文化等の分野における交流を漸次積み重ね、相互理解の増進に資する」というふうに述べられました。一方では、いまもおっしゃっておりましたけれども、韓国との友好関係を損なう交流はいけない、だめだ、これは随所でおっしゃっておるわけでありますが、こういう姿勢というもの、これがやはり大きな問題だろうと思うのです。結局は、これは韓国の意向に引きずられた日本の外交政策でしかない、こう言わざるを得ないと思います。  それはともかくとして、この演説の中で、要するに韓国との友好関係を損なわない交流ということをよく言われるのですけれども、それが一体どういう交流を指しておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  389. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 韓国といたしまして、過去におきまして北からの攻撃に一度遭ったわけでございます。そういう中におきまして、韓国の平和友好と申しますか、これはやはり朝鮮半島にもう一度戦争が起こっては大変だということは、先ほども申し上げたとおりでございまして、そのために韓国といたしましてはいろいろな努力をしておるところであるわけであります。  日本といたしまして韓国との友好関係と申しますと、やはり日本は、通商の面におきましても、韓国に対しまして相当多額の貿易の黒字を持っておる国である、そういう日本韓国との交流というものは、やはり相互の利益に合致するところであるというふうに考えておりますし、そういう日韓間の友好というものを——しかし、それなるがゆえに日本韓国の言いなりになってばかりおるのだということでは決してないわけで、日本韓国とが正しい友好親善関係を築いていく、この日本韓国との友好関係が壊れてしまうようなことは、日本としてはマイナスであるというふうに考えております。  したがいまして、その範囲というものは、日本として北朝鮮との交流を現に政府ベースでないベースでやっておるわけで、それにつきましては、確かに韓国からいろいろな意見も聞きます。しかし、日本として北朝鮮との間に当然持つべき民間ベースの関係につきましては、韓国がどのような意向を持っておりましょうとも日本としては続けてきたわけでありまして、決して韓国の言いなりに日本がなっておるということではない。しかし、やはり基本線というものは尊重いたしませんと、日本韓国との基本関係が壊れてしまう、こういうことになりますので、基本線を維持しながら日本も北朝鮮との間に関係を深めていくということでありまして、現在のところ、このようなことがとり得べき策であるというふうに考えておるわけであります。
  390. 西中清

    西中委員 大変回りくどいのでよくわかりませんが、本会議の演説の、北朝鮮との関係は、「貿易、人物、文化等の分野における交流を漸次積み重ね、相互理解の増進に資する」ということが、損なわない交流という意味でございますか、もう一度。
  391. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 やはり北朝鮮の方々にも日本の国というものをよくわかってもらう必要がありますし、また、日本もできる限り北朝鮮につきまして理解を持ちたい、こういうことが必要であろうと思います。そして、お互いに相互の利益になること、相互のプラスになることは進めていくことがいいことであろう。しかし、そのことが韓国の基本線に触れるというようなことがありますと、これは韓国との関係が逆に今度は壊れる危険がある、こういうことでありまして、その点はぜひ御理解をいただきたいのであります。
  392. 西中清

    西中委員 韓国の基本線に触れない範囲が、あなたのおっしゃる韓国との友好関係を損なう交流はだめだということに通ずるのか。要するに韓国との基本線に触れない問題だけを、貿易であるとか人物の交流であるとか、そういうものを指しておっしゃっておるのか、もう一遍確認したいのですけれども、その辺がもう少し明確になっておらぬようですので、御答弁いただきたいと思います。何が一体損なわない交流なのか、もう少し具体的にこれこれとおっしゃっていただきたいと思います。
  393. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 これは時の流れによりましてだんだん動いていくものであろうと思いまして、日本とても、現に次第にこの幅を広げてきているわけで、何と何とがよくて、何と何とが悪いということはなかなかむずかしいのでありますけれども、やはり国と国との交流がないという前提から申しまして、余り政治的な面におきます交流というものは、これはなかなかむずかしい問題を含んでおる。そういう政治的なものに関係のない部面での交流が望ましいということは、一般的にごく常識的な話でありますが、言えると思います。
  394. 西中清

    西中委員 そうすると、韓国の基本方針を規範として損なわない交流というものは決められていくわけですか。
  395. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 それは韓国の言いなりになるということでは決してないということを先ほど来も申しておるわけでありまして、やはり国交が持てない範囲でいま交流を進める。国交がないということは、政府ベースでの交流というものはなかなかむずかしい。また、政治的な部面におきます交流というものも、したがって、ある程度制限を受けざるを得ないというようなことは申せるかと思いますが、何と何はよくて何と何は悪いというような、機械的な判断を持っているわけではないのでございます。
  396. 西中清

    西中委員 それじゃ、一つの例を挙げますが、民間漁業の政府保証は韓国との友好関係を損なうものでございますか、どうでしょうか。
  397. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 政府保証ということがいろいろ聞こえてくるわけでございますが、これはどの程度のことが要求されておるのか、はっきりしない面がございます。しかし、これは過去におきまして、国交前の中国との漁業の関係等もあったわけでありますから、その点は、どういうことならよくてどういうことが悪いかということは、これはいまここでちょっと私どもも機械的には申せないことであろうというふうに考えております。
  398. 西中清

    西中委員 日中の例があって、その方式ならばいいけれども、それよりもきついもの、いわゆる確固たる政府保証という点ではまずい、こういう判断ですか。
  399. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 いえ、いまの段階におきまして、これからやはり話し合いをしてみませんとわかりませんので、いま政府保証という、必ずしもそれは幅の狭いものでもないというような感触もあるものでございますから、かように申し述べさしていただいておるわけでございます。
  400. 西中清

    西中委員 五月の東京会談では、これがまとまらないで持ち越しということになったわけですね。私が先ほどから聞いているのは、北朝鮮が要求するような政府保証は、韓国との友好関係を損なう交流になるのかならないのかを聞いておるわけであります。その点はどうでしょうか。
  401. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 現在のところ、いまどの程度ならばできるかという点は、いまここで申し上げるその自信もないわけでございまして、その点はなお今後のいろいろな折衝に待ちたい、このように思います。
  402. 西中清

    西中委員 その前に、確固たる政府保証は韓国との友好関係を損なう交流と言えますか、どうですか。
  403. 中江要介

    ○中江政府委員 再三御質問の政府保証と言うもの、あるいは確固たる政府保証、すべて表現が抽象的なために判断ができないというところが難点でございまして、北朝鮮が二百海里の経済水域を設定したというときから、私どもの関心事は、一体それがどういう制度であるのか、また、その中で日本の漁業実績なり漁業操業が認められるためにはどういう手続が具体的に必要なのかという点について知りたかったわけで、ニューヨークでもある程度の接触をして、その具体的な内容を把握しようとしたのですけれども、何もはっきりしたことがわからなかった。また、日朝友好促進議員連盟の先生方が行かれまして、そのときにもう少しはっきりしたことがわかるかと思ったら、それもわからなかった。そういうところから考えますと、日本として政府保証なり何なりが将来必要になったときに、何よりも考えなければならないことは、私どもの考えておるところでは、韓国との関係ではなくて、日本の漁民の利益を守るために何が必要なのかというところが原点であろうか、こう思っておるわけであります。  そういうところがはっきりいたしません間に、そのわからない措置を前提として韓国との関係はどうであろうかということを議論いたしましても、なかなか的確なことが申し上げられない。その根本にあるのは、日本と北朝鮮との間にまだ相互理解が十分でない、信頼が確立されていない。そういう相互理解なり信頼を確立するためには、先ほど来先生も御指摘のような貿易とか文化とか人物交流とか、そういうものを積み重ねながらの信頼関係がなければ、これは話が進まないのではないか、こういうことになろうかと思います。
  404. 西中清

    西中委員 そうしますと、いまのところは内容がはっきりしない、こういうことですけれども、政府としてはもうやらないのだと決めたということではないということでございますか。
  405. 中江要介

    ○中江政府委員 それは再三申しておりますように、あの地域にはある程度の日本の漁業利益というものがございますから、政府としてそれをどうして守るかというのは私どもの責務だ、こう思わなければならぬと思っております。
  406. 西中清

    西中委員 そうすると、裏表になりますけれども、韓国との友好関係を損なわない交流、こういう立場で内容によっては政府保証も考えられるということですか。大臣、どうでしょうか。
  407. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 漁業の場合には、これはわりかたわかりいいのでございます。といいますのは、同じ船が韓国の地先の沖合いでもとり、また、さらにもっと北朝鮮の沖合いまで行ってとっておるという事実があるわけでございます。したがいまして、もしこれがとことん韓国との関係が壊れるということは、北の魚はとれたけれども、韓国の地先の沖合いではとれないということになってしまう、漁業面だけで考えれば、そういう関係になっていく。したがって、西日本の漁民としては、韓国の地先沖合いでもとりたいし、北朝鮮の沖合いでもとりたいわけでございますから、両方とれるように、私どもは責務としてそういった努力をいたしたい、こういうことでございまして、したがって、それが何とか可能になるように私どもといたしまして努力をいたしたいということでございます。
  408. 西中清

    西中委員 そうすると、内容によっては政府保証の余地は残されている、こう考えていいわけですね。
  409. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 そのように畳みかけられますと、私ども大変申しにくいわけでございますが、何とか北朝鮮の水域におきましても零細漁民の操業が六月以降におきましても可能になりますように、私どもといたしまして努力をいたしたい、かように申し述べさせていただきたいのでございます。
  410. 西中清

    西中委員 どうもお答えになりませんが、じゃ、政府としては政府保証はやらないということを決めたことがいままでにあるのですか。
  411. 中江要介

    ○中江政府委員 また同じことを申し上げて恐縮なのでございますけれども、政府保証という言葉の実質的な内容がはっきりいたしませんので、やるのかやらぬのかと聞かれても答えようがない。政府としてやる用意があることは、もし民間の間で漁業に関して円満な取り決めができた場合に、そしてそれがいま大臣が申されましたように、日本の漁業全体から見てこれが有利なものであるということならば、それが実行できるように政府としても考えなければならぬだろうというところが限度であろうか、こう思います。
  412. 西中清

    西中委員 少しはっきりしませんが、一応この問題はしばらくおいておきます。また改めてこの問題を論議いたしたいと思います。  ここで日韓大陸棚共同開発、先ほどから朝鮮半島の問題についてさまざまな角度から論議をしてまいりましたけれども、どう考えても、この開発は再検討を要する、将来のとんでもない禍根になるのではないかというような感を深くするわけであります。それで、ここでわれわれとしては、貴重なエネルギーということでございますから、その観点から、公害なり環境破壊なり、こういう点について大丈夫だという保証があるならば、わが国が大陸棚開発をすることについては必ずしも反対であるわけではありません。しかし、東シナ海の大陸棚開発するということは、外交上見逃しておくわけにはいかないわけであります。  そこで、お伺いをいたしますけれども、この大陸棚協定共同開発をする、この決意に立たれたのは、エネルギーがどうしても必要で、ここから出さなければならないのだ、こういう観点からこれに取り組みをされたのかどうか、その辺のところ、ほかに理由があるならほかの理由を挙げていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  413. 中江要介

    ○中江政府委員 これは先生も御承知のように、エカフェの報告が出ましたのが一九六八年、昭和四十三年でございますけれども、昭和四十二年ごろから日本側でもこの地域での鉱区設定の出願があったわけでございますので、この大陸棚区域での石油開発の関心というのはすでにあったわけでございます。それで、日本といたしましても早晩それを具体化するための措置というものは考えられておったと思うのですが、そのときに、同時に韓国でも同じことを考え始めていた。そして韓国の方が大統領令というもので具体的に鉱区を設定しましたのを見ますと、日本で準備をしようかと思っている区域と重なっているというところから問題が起きた。  その時点で見ますと、その緊急性というのは、石油開発のほかに、ほっておきますと韓国が一方的に単独開発をするという可能性が高まってきているという事情があります。このことは、先ほど来申し上げておりますように、国際法上見ますと韓国の単独開発も根拠がないわけではない、相当の根拠がある。日本がこの地域に対して持っているという根拠にも相当の国際法上の根拠がある、そういうことでありましたので、これは早く解決するといいますか、調整をいたしませんと、どちらも開発ができない。そういうただ論争を重ねて開発をしないよりは、やはりここで、双方ともにエネルギーの不足をかこつ国でございますので、何とか実際的解決ができないかということでなされたのが、この共同開発という構想であったわけでございます。
  414. 西中清

    西中委員 こういう開発を強行したならば、近隣外交、中国なり北朝鮮、こういった国々と非常にめんどうな問題が引き起こされるということは当時全く考えなかったのか、それとも考えておったのか、その点はどうでしょうか。
  415. 中江要介

    ○中江政府委員 このことも何度か申し上げていることでございますけれども、日本が平和外交といいますか、近隣諸国と友好的な関係を保持しながら自分の独自の外交を展開するときに一番大事なことは、やはり国際社会のルールを守るということであるわけでございますので、この大陸棚開発について韓国と話をいたしますときも、これが国際法に合っているかどうか、国際法上厄介なことにならないかどうかということはもう最初から最後まで留意していたことでございます。  したがって、韓国との間で論争をいたしますときにも、日本は国際法上の権利として主張すべきものは主張する、また、韓国側の意見の中でも国際法上根拠のあるものは耳を傾けなければならないという態度で交渉したわけでございまして、この日韓間で話し合いました大陸棚の対象区域というものが、現在の国際法から見ましていかなる第三国の権利も侵害していないという点につきましては、念には念を入れてつくった協定でありますので、再三申しておりますように、私どもは、これがいかなる第三国の権利も害するものでないという確信のもとに締結して、確信のもとに国会の御承認を求め、それを得た、こう思っておるわけでございます。  にもかかわらず、これに対して立場が違うと言う国が近隣であらわれたわけでございます。それはしたがって、私どもの確信しているところと相手の立場とどこが一体違うのか、また、どこがいまの国際法に照らして間違っているのかということはよく話し合わなければいけない。日本としては、この協定をつくる過程においては、十二分以上に国際法なり国際の慣行というものに配慮して締結したものでございますので、じっくりと話し合えば日本の立場は理解してもらえるという自信がありますので、再三大臣も申しておられますように、しんぼう強く中国との間ではその理解を求める努力を続けたい、こう申しているわけでございます。
  416. 西中清

    西中委員 そうすると、中国大陸棚自然延長というような議論が当然出てくるとは予測をしておられなかったのか、それとも予測はしたけれども、向こうは文句を言う筋合いではなかった、こういうような判断をされたわけですか。
  417. 中江要介

    ○中江政府委員 これは韓国自然延長論を主張したわけでございますから、中国自然延長論を主張するであろうことを予測しないのはおかしいぐらいの話です。中国韓国自然延長論を主張いたしましても、日本中間線理論ということで韓国と話をしておったわけですが、中国自然延長論を主張するということが、当然に韓国自然延長論を押しのけて韓国に隣接する大陸棚まで中国が主張し得るということは国際法上考えられない。したがって、私どもは中国自然延長論はありましても、それは韓国との間で中間線で隔てられる中国側に限られる、これは国際の常識である、こういう前提で進めたわけでございます。
  418. 西中清

    西中委員 そうすると、こうした北朝鮮なり中国の抗議、批判、そういうものは理が通らないから、道理が通らないから問題ではないのだ、こういう判断だったわけですね。
  419. 中江要介

    ○中江政府委員 これは私は、理が通らないから問題にならないというのではなくて、中国の言っております立場の中には、私どもが全く同意見である部分があるわけです。それは、東シナ海の大陸棚の境界を画定するためには、最も望ましいのは関係国が一堂に会して境界を平和裏に画定する、こういうことであるわけです。それが実現するまで何年かかるかわかりませんが、待つというのもあるいは一つの方法であったかもしれません。  しかし他方、それを待つまでもなく、いま話し合える部分、話し合える国の間で境界を画定する、このこともまた国際的に方々で行われていることでありますし、国際法に照らして間違ってはいないわけです。したがって、中国の方でも、関係諸国全部が一堂に会する、そういう機は熟していないということは認めておるわけですので、われわれが選んだ道は、機が熟するのを待つのではなくて、いまできるところから片づけていく、そのできるところが日韓大陸棚協定である、こういう立場でありますので、これは中国とじっくり話し合えば理解していただけることだと思います。
  420. 西中清

    西中委員 いまの問題は、午前中から繰り返し論議がされたところでございますし、もう時間もなんでございますから、そう私も繰り返してやるつもりはありませんが、納得しがたい点であることはまた事実であります。時間をまた委員長にお考えいただいて、一層の論議をいたしたいと思いますが、次に移ります。  中国がこの開発について繰り返し批判をしておりますけれども、要点はどういう問題であるか、お答えいただきたいと思います。
  421. 中江要介

    ○中江政府委員 要点は、いま申し上げましたように、一つは、この大陸棚大陸棚を囲む関係国が合意の上で境界を画定すべきものであるにもかかわらず、日本韓国とだけでこの地域の境界を画定して大陸棚開発を行うということは、これは中国の主権を侵すものである、こういう言い方でございまして、そこから先、この協定自身についてどの部分がどうということは言っておらないわけであります。  私どもは、東シナ海の大陸棚は全部中国が相談に乗らなければだめだという考え方は、どうもいまの国際法に照らしましても、必ずしも当を得ていないという感じがいたします。したがいまして、その部分はなお話し合っていかなければならぬ、こう思っております。
  422. 西中清

    西中委員 中国が反対しているのに日韓開発をしていく、これは対中国政策、また、それを取り巻くアジアの外交上大きなマイナスになるというように私は判断をするわけです。ですから、本来ですと、この問題が片づいてから協定というのが本筋であろうと思います。まことに残念な経過でございますけれども、朝から大臣は、中国側理解させるということを繰り返しおっしゃっている。どうして理解をさせようとなさっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  423. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 先ほど午前中もるる申し上げたのでございますが、中国大陸棚につきまして、中国大陸に広大な大陸棚が発達しておる、これが全部中国の主権の及ぶところだというような、そういういわゆる自然延長論をとっておるわけでございます。これもこの大陸棚開発問題の始まった四十三、四年から話があったわけでありますけれども、当時からそのようなことであれば、また、いろいろな事の運び方もあったろうかと思います。しかし、日韓大陸棚につきまして大平外務大臣が姫鵬飛外交部長に説明をされ、その後に中国のはっきりした態度が打ち出された、こういう経過でございます。  この大陸棚自然延長ということにつきましては、わが国といたしましては、これは承服し得ない考え方の相違であります。しかし、中国側がこのような理論構成をしておるということでありますと、これはその理論を取り上げるということはなかなかむずかしいことであろうと思うのでございますが、しかし、この大陸棚共同開発をする地域につきまして中国側理解を求める、それにつきまして、先ほども申し述べましたけれども、日中間の友好関係にこのことがマイナスになりませんように、私どもは最大限の努力をいたさなければならないと思っておりますし、また、日中間の友好関係を増進する過程におきまして、この問題につきましての十分な理解を、この地域につきましてぜひ理解を求めたい。それは、中国韓国との境界線は一体どうあるべきであるかということと、日本中国との境界線はどうあるべきか、こういったものと路む問題でありますので、この地域につきましての共同開発、ほっておけばこれは韓国が単独開発の危険が非常にあったわけでありますから、そういった事態につきまして、中国側理解を得るように私どもは最大の努力をいたすつもりでございます。
  424. 西中清

    西中委員 具体的にどう理解させるかということについては、朝からの論議を聞いておっても、もう一つよくわからぬわけです。ですから、ここでは繰り返しをいたしませんけれども、皆さん方がどんどんこの質疑の中でわれわれに話していただいて、私は客観的に見てもよく理解しがたいのですが、日本政府の主張に対して中国理解するというようにいまお考えですか。その点どうでしょうか、大臣
  425. 中江要介

    ○中江政府委員 現在のところは、日本は同じ日本の立場を繰り返し、中国外交部スポークスマン声明及びその後の外交部声明の立場を繰り返しているということでございまして、さらに一歩突っ込んで話をしようというところにまではいっておりませんけれども、これは何も大陸棚の問題に限りませんで、海洋法秩序そのものがいま世界的にいろいろ変化をしておるときでございますし、特に漁業水域の問題その他がこれからあるわけでございますので、日本中国の間で——韓国ももちろんでございますが、中国との間でも、海洋法に関する話をする機会というのは何もあきらめる必要はないではないか、こういうふうに思っております。
  426. 西中清

    西中委員 私は、国際法上から言っても、こうした境界線を決めるについては、やっぱり関係諸国の合意というものが必要だと思う。これは朝からの論議でも出ておりました。それを外した上でいまいろいろと説明をされておるわけですけれども、そういうことで理解ができると考えておられるのかどうか、もう一度大臣、お答えをいただきたいと思います。
  427. 中江要介

    ○中江政府委員 日本中国で合意をしなければならないところは日本中国で合意しなければならない。日本中国で合意するに及ばないところは合意する必要がない。日韓大陸棚協定の対象になるところは、日中間で合意するに及ばない、日韓間で合意すればいいところであるから日韓間で合意した、こういう簡単なことでございまして、日本中国がこれから話し合って合意するかと言えば、それはこの大陸棚協定からさらに南に下がったところは、これは当然日本中国が相談して合意で定めることがこれから期待されておりますし、それはそうしなければならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。
  428. 西中清

    西中委員 大臣、こういう問題は単に技術的な事務的な問題ではなくて、外交上重要な意味を持つわけですから、できる限り大臣がお答えいただきたいと思います。お願いします。  それから、日韓大陸棚協定が六月八日に国会で成立した、自然承認ですけれども。中国政府に対してどういうようなお話をされたのか、また、日本にあります中国大使館にはどう連絡されたのか、この辺の事情をお聞かせいただきたいと思います。
  429. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 この大陸棚共同開発協定が衆議院で議決をされます前の時点におきまして、わが方の中国大使、小川大使に、もう一度中国に対してこの問題につきましてよく御説明をして御理解を得るようにということを申しておったわけでございます。ところが、不幸なことに、なかなか先方が会見をしてくれないで、その間に衆議院の議決が済んだという経過でございまして、これは先ほども申し上げました。  そして衆議院の議決が済みますと、次は自然承認ということになったわけでありますが、その前に、中国側から外交部声明というものが出されたというのが経過でございまして、わが方といたしまして、衆議院の議決の前にもう一度礼を尽くして理解を得たい、このように考えていたことが、先方の都合によりまして実現をしなかったことは、私どもといたしましては大変残念に思っておるわけでございます。あのような激しい声明が出ましたので、その後、機会あるごとに、わが方といたしましてこの問題の理解を得るように最善の努力をいたしておるというのが経緯でございます。  なお、詳細でありますならば、アジア局長からお答えを申し上げます。
  430. 西中清

    西中委員 自然成立してから後にどのような礼儀を尽くしてお話をなさったかということを聞いておるのです。御説明いただきたいと思います。少なくとも相手方に理解を求めておるという立場でございますから、それなりの姿勢があってしかるべきではないでしょうか。
  431. 中江要介

    ○中江政府委員 協定がわが国の国会において承認されまして、そのことを中国側に通報し、かつ日本の考えを再び説明しようということで中国側に会談を申し入れたところが、それに対する返事が来なかった。その来ないかわりに来たものが中国外交部声明であった。これは遺憾なことであったというのは、いま大臣が申されたとおりです。  しかし、それでほってあるわけではございませんで、六月の末に外務省の松永官房長と田島中国課長が在京大使館の参事官、一等書記官などと会う機会がございまして、そのときに双方でそれぞれの立場を十分話し合って、いつも申しておることでございますけれども、日本としては中国原則的な立場は十分わかっているけれども、韓国中国の間で実際に境界画定の話ができないという現実に即してみれば、他方、石油資源の開発ということにいま非常な必要性を感じている日本としては、こういうやり方によってこの大陸棚開発することにしたのであって、中国の主権を何ら害しないように細心の注意を払っているのだということをるる説明した、そういうのが現状でございます。
  432. 西中清

    西中委員 六月八日に成立して、六月末までほったらかしておいたのですか、どうなんですか。
  433. 中江要介

    ○中江政府委員 それが私、申し上げましたように、これは自分一人でどうする——相手が聞いてくれるということにならないと話ができないわけでございますので、つまり中国側と話し合う機会を早く求めたわけですけれども、中国側で応じなくて、やっと応じてお互いに話ができたのが六月の末であった、こういうのが実情でございます。
  434. 西中清

    西中委員 六月の何日ですか。
  435. 中江要介

    ○中江政府委員 ちょっと日付をいまここで持っておりません。
  436. 西中清

    西中委員 それじゃ、すぐ調べていただけますか。  それから、六月のいつに申し入れをしたのですか。要するにこの自然承認を中国側に伝えるという会談をしたいというのは、いつ申し込まれたのですか。
  437. 中江要介

    ○中江政府委員 これは八日に自然承認がされまして、その直後であったと記憶しますが、それが九日であったか十日であったかは、中国外交部声明が十三日でございまして、この十三日までずいぶん待たされたなという感じを私ども当時持っておりましたから、その八日の自然承認の直後であった、こういう記憶でございます。
  438. 西中清

    西中委員 それは中国大使館に対しての問題ですね。中国ではどういう処置をとられたのですか。
  439. 中江要介

    ○中江政府委員 北京では特にこのために会うということはやっておりませんが、大使交代の折、その他接触のありますときにはこの話はいつも出ております。
  440. 西中清

    西中委員 大臣、いまの答弁を聞いておるとわかると思うのですけれども、大使館に対しては末というのですから二十日過ぎでしょう。また、中国本国においては何にもしてないということですが、こういういいかげんな外交の仕方で、本気で中国側理解させようというようなことを思っていらっしゃるのかどうか、私は非常に疑わしいのですけれども、どうお考えになりますか。
  441. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 この問題につきましては、これは本当に機会あるごとに日本側の考え方を説明しておるわけでございます。しかし、この点につきまして従来から私どもが説明を申したいということを小川大使に指示をいたしましても、先方はなかなかいろいろな予定と言って応じてくれないのでございます。したがいまして、この点につきましては、私は、本当に私自身よく先方理解を求めたいと思っておるわけでございますけれども、今日までその機会を得ておらないということでございまして、機会があれば、私も、これは私自身いつでもよく先方にお話を申し上げたいと考えております。しかし、その機会が今日までなかったということでございまして、今後とも、これはもう本当にこの開発に着手する前にはぜひともこの点につきまして私は理解を求める、そういう必要を痛感しているわけでございます。
  442. 西中清

    西中委員 大臣、いいかげんなことを言っちゃいけないよ。いま局長は中国本土では何もしていないと言ったじゃないですか。何ですか、それは一体。話が違うよ。
  443. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 この問題につきまして、先ほど申し上げましたそれは、自然承認の後のことを中国大使の段階ではしておらないということを申し述べたのであります。しかし、その過程におきまして、従来から小川大使に即刻この問題につきましてよく御説明するように申しても、なかなか先方が応じてくれなかった、そういう経緯があるわけでございます。したがいまして、今後中国側に、北京におきましてこの問題をよく御説明するには、やはり私ども東京からしかるべき者が赴いてこの問題はよく説明する必要があるのだということを申し述べておるのでございます。
  444. 西中清

    西中委員 自然承認されてから後の話として何もしてない、こういうお話なんです。私が言っているのは前の話じゃないのです。それ以前の話を言っているのではないのです。本来この性格から言っても、皆さん方が朝から、誠意を持って理解をしてもらうのだと繰り返していらっしゃるんでしょう。それなら当然事の一つの区切りとして、国会で自然承認したなら、なぜちゃんと中国側に対して礼を尽くして理解を求めるという努力をしないのですか。何日たっているのですか、六、七、八、九、十。これはこの話すら十分できないのでしょう。大臣、もう一度お答えください。——大臣の問題ですよ。
  445. 中江要介

    ○中江政府委員 先ほど私の答弁について御疑問をお持ちであったものですから申し上げますが、北京で何もしなかったというのではなくて、この問題のために北京でお話をすることができなかったということでございまして、結果的にこの件について北京では話がなかった。しかし、そのときに、私も申し添えましたように、いろいろの機会にこの問題について意見の交換があったということは事実でございますし、いわんや中国外交部声明というあれだけ重いものが出されたわけでございます。その前に、私どもがアポイントメントを求めても会ってくれないで、いきなりこの外交部声明が出たということは、これは重みをもって受けとめなければいけないし、その中に述べられていることについて十分分折もしなければならない、こういう状況であったわけでございまして、何もしてないというわけではございませんし、外交チャンネルがありますときに、本国政府の、つまりこの場合では東京で中国大使館に申し入れるということは十分である、こういうふうに思っております。
  446. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 従来の経験に徴しまして、この問題につきまして、先方北京におきまして、この問題を北京におきます上層部とお話をいたしますには、やはり私はそれ相応な、こちらも準備をして臨むべきものと考えております。そういう意味におきまして、先ほども申し述べましたけれども、私自身がなかなか今日まで行く機会がなかったということを申し述べたのでございまして、そういう機会があれば、私自身も、この問題につきまして先方の上層部に対しまして十分な理解が得られるような御説明を申し上げたいということを申したのでございまして、その点は御理解を賜りたいと思います。
  447. 西中清

    西中委員 先ほどの答弁はいまの話と違っておりますから、後でどういうようにするか、理事会で諮っていただきたいと思います。  それから、本国政府に対して、日本側から自然承認ということについて、さっきはやっていないということ、後はやったのかやってないのかわからぬような大臣の答弁であります。  もう一度お聞きしますけれども、向こうが会ってくれなかった、会ってくれない、これはまず第一の問題としていつ申し入れをして断られておるのか、また返事がないのか、まずそれをはっきりしてください。
  448. 中江要介

    ○中江政府委員 それは先ほど申し上げましたように、八日に自然承認があった直後である、それが九日であったか十日であったかはいま調べております。それで、返事がないままに十三日に中国外交部声明が出たわけでございますので、その間、八日から五日間というのは先方と話し合おうとしても話し合えなかった、こういうのが実情でございます。
  449. 西中清

    西中委員 そうすると、大臣のおっしゃることは、向こうでは、中国本土では、これは何もしていなかったということになるのではないですか。やったのですか、やらなかったのですか。もう一遍はっきりしてください。
  450. 中江要介

    ○中江政府委員 私どもは、まず東京で申し入れることを考えておったわけでございますので、十三日の外交部声明が出るまでは、北京でやろうということはまだ訓令しておりませんでした。
  451. 西中清

    西中委員 いままで繰り返し繰り返し、私たちは誠意を持って理解を求めてきたのですと大きなことをおっしゃるけれども、肝心の協定国会で自然承認されたその時点で何もしない、物の道理、礼儀からいってそんなばかな話があるのでしょうか。大臣、しかるべき人が行ってやらなければいけないとおっしゃった、もうすぐ半年たつんですよ。いつ行かれるのですか、だれが行くのですか、はっきりしてください。
  452. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 北京に私が行かれれば、これは私も早く行かれることを希望をいたしておりますけれども、いまの段階でいつ北京に伺うかということは申しかねるのでございます。
  453. 西中清

    西中委員 それでは、行かなければならないことはお認めになりますか、あなたはそうおっしゃったのですから。どうしても行かなければならない、こういうことですね。
  454. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 北京の上層部につきまして理解を求めるためには、私は、日本からしかるべき者が行くことが好ましいと考えております。私自身が最適であるかどうかということを別にいたしまして、そういうことが必要であろうというふうに私は判断をいたしております。
  455. 西中清

    西中委員 これはあなた一人で決めるわけにはいかぬかもしれぬ。総理とすぐに相談されますか、どうですか。
  456. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 北京に行く機会は私は必ずあると思っておるわけでございまして、その時期がいつであるかということは、総理と御相談の上決めます。
  457. 西中清

    西中委員 私が言っているのは、行かなければならないとあなたはおっしゃったのですから、それ相応の方が。必要性を認めた上は、あなたが総理と相談をすぐされますかということを聞いておるのです。
  458. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 しかし、いまのお話でございますけれども、中国との間には大きな宿題があるわけでございますから、その点につきまして、これはやはり最高の判断を必要とするところでございます。そういう意味におきまして、いまいつとおっしゃいますので、それはいま申し上げられないと申し上げておるのであります。
  459. 西中清

    西中委員 そうじゃないのです。その前なんです。あなたがいまこの委員会でそうおっしゃったのだから、しかるべき者が行くべきだと。いま時期まで言ってないです。聞いておるのは、これは重要な問題ですから、やるやらないは別として、行く行かないは別として、あなたは総理と相談をされるかということをいま聞いておるのです。自分で決められないでしょう。
  460. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 それは当然でございます。私、参りますときには総理と相談の上参ります。
  461. 西中清

    西中委員 あなたが行く行かぬの問題じゃないのですよ。あなたは行かなければならないとおっしゃったのだから、いま問題提起をしておるわけです。しかも、もう何カ月もたっておるのですから、礼儀の上からいったって当然のことだろうと私は思います。いままで抜けておるのだから、だれかいつか、これは総理の判断、あなたは、こうしたことについて、総理にあしたでもあさってでも御相談なさるかどうかということを私は聞いておるのです。やるやらぬじゃないのです。その結論は後だ。
  462. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 それでありますから、大陸棚問題もございます。また、もう一つ大きな懸案もございますということを申し上げているのでございまして、これらはあわせて総理の御判断を仰がなければならない、こういうことを御理解いただきたいのでございます。
  463. 西中清

    西中委員 ですから、あなたは御相談なさるわけですね、すぐに。
  464. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 それは、総理には私どもいつも御指示を仰いで行動しておるわけでございますから、必要な機会に御相談いたします。
  465. 西中清

    西中委員 少なくともこの問題は、重要な問題でありますし、国際信義の上からいっても当然のことですし、当委員会で一日も早く、というよりも今国会中に、こういう相談をしたともう一度御返事をいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  466. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 御審議中にぜひ必要であれば、それは御報告いたします。
  467. 西中清

    西中委員 それから、その時期でありますけれども、すでに数カ月が経過しておるのです。少なくともこの問題でしかるべき人が行かなければならないということになれば、二年も三年も先じゃしようがないのです。世間だって、どんなことがあったって、遅くてもまあまあ一カ月以内にあいさつに行くのが礼儀ですよ。すでに時期を逸しておる。一日も早く行かなければならぬ、そうお思いになりませんか。
  468. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 一日も早くとおっしゃいますが、それは早いほどいいと私も思います。しかし、この法案の通過にぜひお力添えのほどを心からお願い申し上げます。この法案が直ちに通るのであれば、私も即刻行けといえば行ってまいりますので、その点はぜひともお力添えのほどをお願いいたします。
  469. 西中清

    西中委員 これは法案と関係ないのです。国会が開かれる前に行けばよかったんですよ。もっと早く行くべきなんですよ。本当に冗談じゃありませんよ。  それでは、どういう御返事があるか楽しみにして待っておりますが、この共同開発、いつ国会を通過するかわかりませんけれども、また、私たちとしては、たな上げでもしてもらいたい、こういう立場でございますけれども、いずれにしても、政府としては、中国理解を示さない、こういう場合であっても断固として共同開発実施をする、こういう考えでしょうか、どうでしょうか。これは通産大臣外務大臣、両方でお答えください。——重大問題だから大臣から。
  470. 中江要介

    ○中江政府委員 先ほどお約束しました日付を調べましたので申し上げますが、六月八日に自然承認を得たわけでございます。これはわりあいに夜遅くであったわけです。それで九日の朝、早速在京大使館に、九日の午後会いたいということを申し入れたわけでありまして、そして向こうの返事は、いますぐには返事ができないからちょっと待ってくれということで待たされているうちに六月十三日がやってきた、こういうことでございます。  それからもう一つ、官房長が東京の大使館の参事官以下と会いましたのは六月の二十八日のことでございます。  それから、この協定が、この国内法も制定されまして実施ができるようになったときに断固やるかという御質問でございますけれども、私どもは、いずれの国とも信義を重んじながら、友好裏に物事を進めたいということでございまして、中国との間の問題もございますけれども、韓国との間の信義の問題もございます。また、国際社会においてこういう協定を締結して、その後の始末を日本がどうしているかということもやはり一つの問題点であるわけでございますので、彼此いろいろ勘案いたしまして、最も間違いのない道を選ぶ、それはその時点で考えていく、こういうことになろうかと思います。
  471. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 私どもといたしまして、開発、これは相当巨額の投資が要る仕事でございます。この開発につきまして不安のないような開発をいたすべきである。そのための環境づくりはぜひ必要だというふうに考えて、その面に遺憾のないように最善の努力をいたしたい、かように考えております。
  472. 田中龍夫

    ○田中国大臣 ただいまのお話のごとく、わが国の石油の供給の安定確保の見地からも、この開発を早急に行う必要があると考える次第でありまして、さきの国会で承認されました協定の批准が一日も早く行えまするように、協定実施に必要なこの特別措置法案を早期に通過させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  473. 西中清

    西中委員 答えになっていないですね。やられるのか、やられないのか。これは第四条の問題からいっても、三カ月以内には事実上開発権者を認可するというような作業をしなければならないことになっているんでしょう。周りの状況がどうであるとかこうであるとかいま御説明があったけれども、これは関係なしに動き出すんじゃないんですか。大臣、どうでしょう。
  474. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 ただいまのお尋ねは、協定につきましていろいろ日付の期限が切ってございます。したがいまして、この協定が有効になり、国内法が成立いたしまして協定を批准をするということになりますと、おっしゃるように計画に従って進行をいたす、こういうことになるわけでございます。しかし批准をするということからスタートいたしますので、その点につきましては、現在までも批准は延ばしておるわけでございますから、そういったことで、すべて機械的というほどのことでもない、このようにいま私どもは考えております。なるべく円満なる開発ができるように最善の努力をいたすべきであるというふうに考えます。
  475. 西中清

    西中委員 円満な解決をしながらやっていくのなら、これはゆっくり上がった方がいい、または凍結しておく方が時間かせぎができていいのじゃないでしょうか。中国側を十分理解させるその時間がとれるということにもなるわけですね。そういう点では、しばらく留保するというのも一つの手だろうと私は思いますが、それはともかくとして、結局は、三カ月たてば開発権者を決めなければならない、三カ月以内に。通産大臣、それは作業にかかられますか。
  476. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 ただいま先生が三カ月以内とおっしゃっておりますが、先ほど外務大臣からもお話がございましたように、批准書の交換を終わりまして協定が発効いたしましてから三カ月以内ということでございますので、私たちはまだ準備にはもちろん入っておりません。
  477. 西中清

    西中委員 そういう意味合いで、批准を終わったならば三カ月以内に作業に入る、周りの情勢がどうであろうと、中国理解させることができなくてもやるということですね。もう一度お願いします。
  478. 橋本利一

    ○橋本(利)政府委員 協定の規定からいたしますと、物理的にはさようなことになろうかと思いますが、その期間中といえども、先ほど来外務当局からお答えになっておりますように、関係の国にできるだけ早く理解を得るように努めるべきだと考えております。
  479. 西中清

    西中委員 大臣、どうももう一つ明快でないので、もう一度お答えをいただきたいと思います。結局やらないのか、やるのか、ようわからぬ。
  480. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 先ほど来、協定はとにかく国会の御承認をいただいたわけでございますから、国内の開発体制も整備をしていただいて、そしてこの実行の場合には、この開発に当たる者が不安を抱かないような環境のもとに開発ができますように、私どもとして最善の努力を払ってそういう環境づくりをいたしたい、そのために中国側の事実上の了解が必要だと考えますので、その点につきましては最大の努力をいたしたい、このように申しておるのでございます。
  481. 西中清

    西中委員 そうすると、中国理解が得られなかったらどうするのですか、やらないのですか。
  482. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 先ほどもアジア局長が申し上げましたように、日本韓国との間には国際的な約束をいたしたわけでございます。そしてその施行の地域は、これは日本韓国との間にまたがる大陸棚開発であります。したがいまして、その点の合理性というものを十分に説明して、そして中国側開発に対します理解を求める責務があると私どもは思っておりますし、必ずその理解を得るように努力をいたします。
  483. 西中清

    西中委員 必ずなどとおっしゃるけれども、先ほどからやはりむずかしい、むずかしいとおっしゃっている。これは午前中からそうおっしゃっている。そういう口先だけのいいかげんな発言じゃまずいですよ。できなかったらどうなんだ、理解させられなかったらどうなんだ、環境がつくれなかったらどうするのか、やるのか、やらないのか、この二つ、どちらかお答えいただきたいと思うのです。もう一度お願いします。
  484. 鳩山威一郎

    鳩山国務大臣 それは相手のあることでございますから、ここで相手方の理解が必ず得られますということは私は申し上げません。しかし、私どもといたしまして最大限の努力をいたす、そういうことを申し述べておるのでございます。  そして、片方の韓国との間のこれは外交上すでに約束はできておるわけでありますから、したがいまして、その点につきましてはそのときの判断で、いまここでそのときのことを予断することは差し控えたいと思います。私どもとしては最善の努力をいたします。
  485. 西中清

    西中委員 いまの大臣の御答弁ではちょっと納得できません。いずれにしても、先ほどからのお話では理解しがたい点が多々残されておるわけであります。すでに時間も九時四十分で、この辺で終了というようなことでもございますが、委員長、こういう問題たくさん残しておりますので、しかも私としてはまだまだ何点かお伺いしたい点もございますので、きょうの質問は一応これで終わりますけれども、次に質問の時間をお考えをいただきたい。よろしくひとつお諮り願います。  以上です。
  486. 野呂恭一

    野呂委員長 次回は、明二日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時四十一分散会      ————◇—————