運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1977-11-22 第82回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二十二日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 島本 虎三君    理事 染谷  誠君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 向山 一人君    理事 土井たか子君 理事 古寺  宏君    理事 中井  洽君       相沢 英之君    池田 行彦君       永田 亮一君    羽生田 進君       福島 譲二君    阿部未喜男君       矢山 有作君    山本 政弘君       竹内 勝彦君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石原慎太郎君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君         運輸省航空局長 高橋 寿夫君         消防庁次長   田中 和夫君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質管理課長 林   亨君         国土庁計画・調         整局計画課長  星野 進保君         国土庁水資源局         水資源政策課長 市川 博昭君         法務省刑事局総         務課長     吉田 淳一君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   森下 忠幸君         水産庁研究開発        部漁業保全課長 伊賀原弥一郎君         運輸省航空局飛         行場部長    田代 雅也君         建設省河川局治         水課長     川本 正知君         建設省河川局関         発課長     堀  和夫君         建設省道路局日         本道路公団・本         州四国連絡橋公         団監理官    加藤  優君         建設省住宅局建         築指導課長   大田 敏彦君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  蓑輪健二郎君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十二日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     矢山 有作君 同日  辞任         補欠選任   矢山 有作君     山本 政弘君     ――――――――――――― 十一月二十一日  琵琶湖の水質保全等に関する請願(寺前巖君紹  介)(第三七六三号)  同(藤原ひろ子君紹介)(第三七六四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月十八日  瀬戸内海の水質保全等に関する陳情書  (第二二一号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害対策並びに環境保全に関する件      ――――◇―――――
  2. 島本虎三

    島本委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。矢山有作君。
  3. 矢山有作

    矢山委員 十七日の当委員会におきまして、三菱石油重油流出事故に対する検察審査会公害罪法等を適用して起訴すべきが相当であるという議決を出されたことをめぐりまして質疑をしたのでありますが、時間的な制約の関係から、法律論争というのはなかなかむずかしいものでして、きわめて不満な質疑に終わっておりますけれども、きょうそれを繰り返そうとは思いません。その際、問題の解明ができずに残っておりました部分についてだけきょうはお伺いをしたいと思うわけであります。  それは、例の「三菱石油水島製油所タンク事故原因調査報告書」の中での重要な個所の改定をめぐる部分でありますが、その個所指摘しますので、まず原文がどうなっておったかということを政府の方から御答弁を願いたいと思います。それは、事故原因調査報告書の七ページの十二行目から十七行目までの間の原文は、どうなっておったか。
  4. 田中和夫

    田中(和)政府委員 いま先生指摘部分は、「油温が約八十度Cの熱油であったため、バルブ操作等をしていた操油課員等は、直ちに、防油堤外に避難したが、その際、T−二七〇タンクからT−二七一タンクヘ送油するバルブが開かれたままとなっていたため、そのバルブ閉鎖される二十三時十五分頃までにT−二七一タンクに収容されていた油のうち約六千五百KL(十五度C換算)がT−二七〇タンクを通じて流出した。」というふうになっております。
  5. 矢山有作

    矢山委員 それでは、その部分はどういうふうに訂正なさったかお伺いしたい。
  6. 田中和夫

    田中(和)政府委員 いま御指摘の点は、「このためバルブ閉鎖ができなくなり、そのバルブ閉鎖される二十三時十五分頃までにT−二七一タンクに収容されていた油のうち約六千五百KLがT−二七〇タンクを通じて流出した。」というふうになっております。
  7. 矢山有作

    矢山委員 そうすると、いま原文訂正文とをそちらでお読みになったように、三菱石油過失責任を追及するためにきわめて重要な部分事故当時の「油温が約八十度Cの熱油であったため、バルブ操作等をしていた操油課員等は、直ちに、防油堤外に避難した」、この肝心な部分が抜けてしまっておるわけです。  そこで私はお伺いしたいのでありますが、これは報告書事故発生前後の状況説明の終わりの部分、しかも先ほど言いましたように、事故タンクであるT−二七〇号タンク使用上における過失の有無を論ずる場合の判断の重要な部分をなすというふうに私は考えておりますが、この点についての法務省の御見解はいかがですか。
  8. 吉田淳一

    吉田説明員 ただいまの二七〇号タンク油温につきましては、当時、検察庁といたしましては、十分調査捜査を遂げたつもりでおります。それば爆発当時の油温につきましても、検察当局としては、三菱石油関係者あるいは帳簿その他からその油温について事実を確認いたしまして、さらにその油温につきまして、一体その危険度というのはどういうことになるのかということについて種々の捜査をしております。これにつきましては、その内容を一々申し上げるのはいかがかと思いますけれども、この油温が果たして本件流出事故についてどのような因果関係をなしているかどうかということについては、詳細な捜査をした結果、この前、委員会で申し上げたような結論に到達したというふうに聞いておるところでございます。
  9. 矢山有作

    矢山委員 検察庁の方は不起訴処分をされたのですからね。いまのような御説明があるということは、私もそれはちゃんと頭に入れて物を言っているわけです。それよりも、いま私がお聞きしょうとしたのは、事故発生前後の状況という中で、事故タンクであるT−二七〇号タンク状況というものが詳細に述べられておるわけです。その一番最後の非常に重要な指摘文章なんです。それが抜けて訂正をされたということは、私はやはり一般的に言って、事態を判断するために重要な要素をなしておるのではないかというふうに思ったわけですから、したがって、「油温が約八十度Cの熱油であったため、バルブ操作等をしていた操油課員等は、直ちに、防油堤外に避難した」というこの部分、これを全く落としたということは、事故状況判断する上で重要な部分であるとお考えになりませんかと、こう言っておるわけであります。起訴、不起訴に直接関係して聞いておりません。これはあなたの方、不起訴処分にしておるのですから、こういう点も考えながらやっておるという釈明になるのは当然のことだと私は思っておりますから……。
  10. 吉田淳一

    吉田説明員 油温の点が本件事故にどういう関係を持つかという点は、検察庁としては重大な関心を持って捜査したわけでございます。そのほかにもいろいろ捜査した結果、この前申し上げたような結論に到達したわけでございますが、ただいまの油温事故調査報告書委員指摘の点につきましては、この前も申しましたように、検察庁といたしましては、その報告書前提となっております議事録等をも別途、これは非公開が原則だそうでございますが、それを押収いたしまして捜査し、さらに各委員からもそれぞれ東京で調べたりあるいはその他の地で検事が行ってそれぞれ意見を聞き、その過程を調べたのでございまして、その過程でただいまのような報告書経過については、検察当局としては十分これを確認した上で、さらに油温本件事故とどういう関係に立つかということについては、一つ問題点でございますので、重要な関心を持って捜査したが、この油温によって本件事故につながるというものではないという結果を得て前回申し上げたような処分になったわけでございます。
  11. 矢山有作

    矢山委員 はい、わかりました。  そこで、参考のために申し上げておきます。本件事故を起こしたT−二七〇号タンクは、重油維持温度摂氏五十度として設計、建設されたものである、こういうことははっきりと言われておることでありますから、この点を一つ指摘を申し上げておきます。  それから、この事故原因調査報告書によりますと、その重油維持温度摂氏五十度で設計、建設されたものであるのにかかわらず、このタンクに入れる重油温度は、四十九年五月十四日の本格的使用を開始してから事故が発生するまでの間、油温はおおむね摂氏六十五度から摂氏九十五度、日によっては百八度に達したことがある。この範囲で変化していたことが記録されておるということが指摘されておりますし、なお、事故当時の油温摂氏八十度であったということであります。そして、そういう熱油が噴出するために、バルブ操作ができなくなって、操油課員防油堤外に逃げてしまった、こういうことであります。それをまず御認識をしておいていただきたいと思います。  そこで、この原文訂正された理由、その手続、それはどういう理由なり手続によってやられたのか、これを御説明願いたい。
  12. 田中和夫

    田中(和)政府委員 水島の油の流出事故は、四十九年十二月十八日に起きたわけでございますが、直ちに十二月二十八日に、三菱石油水島製油所タンク事故原因調査委員会というものを木原委員長以下十五名の委員で設置いたしたわけでございます。たびたび会議を重ねまして、五十年の十二月十八日に最終委員会報告がなされたわけでございますが、その最終委員会報告書案を審議されました際に、いま御指摘部分について、報告書のとおり修正することに委員会で決められたものでございます。
  13. 矢山有作

    矢山委員 最終報告書はいつできたのですか。ちょっと聞き漏らしましたが、五十年十二月十八日に最終報告書としてまとまったわけですね。そうすると、その最終報告書としてまとまる前段でこの原文訂正するということが調査委員会の方から出されてきたわけですね。
  14. 田中和夫

    田中(和)政府委員 五十年の十二月十八日の最終委員会報告書案という形で出されて、そこで審議されました結果、その部分がその委員会訂正になったということでございます。
  15. 矢山有作

    矢山委員 そうすると、これは案で出てきたのですね。(田中(和)政府委員「そうです」と呼ぶ)案で出てきたものを、審議の結果、この部分を先ほど読まれた訂正文のように訂正すべきだということになって、訂正をして、そこに訂正の張り紙をした、こういう経過ですか。
  16. 田中和夫

    田中(和)政府委員 提出されました報告書案は、「報告書」で、「案」という字ば抜けておりますけれども、その最終委員会で審議されることになっておりまして、その審議されました際に、いま御指摘のように委員会訂正されたということでございます。
  17. 矢山有作

    矢山委員 そうすると、その調査委員会がこの三菱石油タンク使用上の過失を推定する上に非常に微妙かつ重大な影響を持ってくる部分を、どういう理由でそういうふうな形に訂正をしたのか、その理由というものは明示されましたか。
  18. 田中和夫

    田中(和)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、委員会訂正されたものでありますので、当時の委員長木原博、これは東大の名誉教授をやっておられた方でありますが、にお尋ねいたしましたところ、当該部分、すなわちそのバルブ操作ができなかったことの理由として挙げられております「油温が約八十度Cの熱油であったため、バルブ操作等をしていた操油課員等は、直ちに、防油堤外に避難した」という部分については、その因果関係判然としないのではないか、「油温が約八十度Cの熱油であった」ということと、「バルブ操作等をしていた操油課員等は、直ちに、防油堤外に避難した」というその因果関係判然としないのではないかとの判断に基づいて、もと文章のような表現よりも訂正後の表現の方がいいのではないかという判断であったという木原委員長の話を聞いております。
  19. 矢山有作

    矢山委員 その話はいつお聞きになったのかということが一つと、それからもう一つは、この事故が現に起こったときに、操油課員防油堤外に避難しておったということは間違いないでしょう。そこをどう認識しておられますか。
  20. 田中和夫

    田中(和)政府委員 木原先生にお聞きしたのはきのうだと思います。  それから、防油堤外に避難しておったという事実はそのとおりだと承知いたしております。
  21. 矢山有作

    矢山委員 木原委員長は、この訂正理由として、油温摂氏八十度の熱油であったということを、事故当時そのバルブ操作をやっておった操油課員防油堤外に逃げてしまってそこにおらなかったということの因果関係がはっきりしないからという理由でこの部分を一切削ってしまわれた、こうおっしゃるわけです。  私は、そういうことをおっしゃることに調査委員会自体を信頼できなくなる。摂氏八十度の油が吹き出せばおれるわけがない、これはあたりまえの話なんですよ。その場合、油の温度が低ければ低いほど危険性は少なく感ずる。すなわち危険性が少ない、だから危険性は少なく感ずる。だから、このタンク設計どおり摂氏五十度で油が保管されておった場合と、摂氏八十度の油であった場合とは、操油課員の受け取り方というのが大変な相違がある。摂氏五十度なら、まる裸で操油課員はそこへ行っておるのではないのだから、恐らくある程度の防護をして行っておると私は思うんだ、油が吹き出ているのだから。そうすれば摂氏五十度ならバルブ操作が可能かもしれない。八十度の熱油になって吹き出してくると、これは命の危険が伴う、だから飛んで逃げてしまうんですよ。そういうところの因果関係が不明だからといったような理由で、肝心な部分を削除する調査委員会自体を私は信頼ができない、まさに企業寄りであるということを調査委員会がみずから証明したようなものだ、私はそう判断するのです。  これは、なぜ私はそれほどこの問題を重視するかというと、これが三菱石油タンク使用上の過失に絡んで重要な論点になっておるからです。  そこで私はお伺いするのですが、検察審査会もと原文によってこのタンク使用上の過失論断をしておるのです。そうするとこれは一体どうなるのですか。検察審査会は明らかに政府のこの事故原因調査報告書をも——これだけじゃない、をも参考にしながら結論を出したということになっているのですよ。この議決理由の中にちゃんと政府調査報告書原文を重視して引用してある。そうするとこれは一体どういう関係になるのですか。検察審査会にはこれを訂正しない部分が行ったのですか。首をひねることはないでしょう。検察審査会三菱石油過失責任を追及するときに、くどいようですが、この政府調査報告書原文を、この部分——原文というのは問題になっておる個所ですよ、この点を引用して過失論断しておるのですよ。そうすると、一体政府のこの報告書検察審査会との関連でどういう役割りを果たしたのですか、そこが私はわからぬ。検察庁の方はそのところが不明確なんです。検察庁三菱石油を不起訴処分にした理由を明らかにしてくれと言っても言わぬわけですから、したがって検察庁三菱石油過失を認めずに、過失はないということで不起訴処分にした、それとこれとのかかわり、調査報告書のいま問題の部分とのかかわりというものは私には明確でないのです。これは法務省はそれを言ってくれないから、明確でないのだが、検察審査会の方はこの関連が明確なんです。そうすると、そこのところをどう考えたらいいのかということです。政府の重要な資料の扱いがきわめてずさんじゃありませんか。検察審査会の方へはこれが原文のまま行っているんじゃないですか。これはそういうことになりますよ。
  22. 田中和夫

    田中(和)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、十二月十八日に消防庁に御報告いただきました報告書案文は、「このためバルブ閉鎖ができなくなり、」という、案と比べれば変えられた内容でございまして、それが正式にいただいた報告でございます。それ以外は委員会からは報告をいただいておりません。
  23. 矢山有作

    矢山委員 そうすると、あなた、とぼけちゃいけませんよ。この事故原因調査報告書は五十年の十二月十八日に出たんですよ。その時点で調査委員会は問題の部分訂正を決めて、あなた方は訂正をしたんですよ。訂正をしたんでしょう。だから、訂正をしたから、私のところへ提出された文書には、訂正をした、印刷した紙が張ってあったのですから、訂正したんでしょう。ところが、岡山県警なり六管本部捜査をして送検したのは、五十一年の三月です。岡山地検処分を決定したのは五十一年十二月三日です。  そこで、ここで私が先ほど言ったように、私がいま問題にしておる部分が、検察庁処分決定に対してどういうふうな役割りを担っておったのか。原文どおり検察庁にはこの調査報告書が行っておったのか、それとも訂正をされた形で行っておったのかということは私にはわからぬ。法務省が教えてくれぬのですから、わからない。ところが、五十一年十二月二十二日に検察審査会への申し立てがあったんですよ。いいですか、五十一年の十二月二十二日に検察審査会申し立てがあったんですよ。そして、検察審査会審査を始めたのは五十二年の五月十二日ですよ。そして、五十二年の十月二十七日に結論を出して、検察庁議決書を送付したのです。そうなってくると、この事故原因調査報告書というのは、検察審査会が独自の調査をして検察審査会議決を出していく根拠にどの段階でなっておったのか。五十年の十二月十八日に訂正されたものが公の文書として流れておるのであるなら、検察審査会はこの問題の部分原文に従って論断をするわけはないんです。そうでしょうが。そうじゃありませんか。だから、したがって、検察審査会議決結論を出す。この議決書をつくるまでのその審査過程においては、政府のこの調査報告書原文のままのものが検察審査会に行っておったという判断しかできぬじゃないですか、どうなんです。その点は。
  24. 田中和夫

    田中(和)政府委員 先ほど来、たびたび申し上げておりますように……
  25. 矢山有作

    矢山委員 たびたび申し上げたって、的外れなことを言ったってだめだよ。
  26. 田中和夫

    田中(和)政府委員 委員会といたしまして木原委員長が代表して報告をされました内容は、先ほど申し上げておるとおりでございますが、それを木原委員長から、報告書内容はこのとおりですと言って、記者会見で発表もされ、また関係方面にも、最終委員会委員会として訂正されたその報告書案文が、各方面には張ったままで全部配られておる、その訂正の紙を張った状態で配られておるということでございます。
  27. 矢山有作

    矢山委員 張ったままで配られておるのなら、検察審査会がなぜいまの問題の個所事故当時、「油温が八十度Cの熱油であったため、バルブ操作等をしていた操油課員等は、直ちに、防油堤外に避難した」ということを引用しながら過失責任論断することになるのですか。そこから考えれば、検察審査会の手にはこれが原文のままで行っておったんだということを推論する以外にないじゃないですか、そうでしょうが。あなた方の方で正式に五十年の十二月十八日に調査委員会申し出によって原文訂正した、そして、訂正の紙を張っておった、これが公式文書だと言って発表しておるものが検察審査会の手に入るなら、そのとおりの、この報告書に基づいた論断をすることになるんですよ。ところが、検察審査会原文によって論断しているんですよ。だから、一体そのからくりはどうなんだということを聞いているのです。からくりというのは言葉が悪いかもしれませんが、そこの仕組み、仕掛けがぼくにはわからない。
  28. 吉田淳一

    吉田説明員 法務省からお答えするのもいかがと思いますが、これは、私、事実をはっきり確認しているわけではありませんので、多少の推測が交わるかもしれませんが、以上のようなことの経緯ではなかろうかと思います。  それは、検察審査会法三十五条によりますと、「検察官は、検察審査会要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席して意見を述べなければならない。」とございます。この規定に基づきまして、検察審査会審査なさるのにつきまして捜査資料を提供しておるわけでございます。その捜査資料の中には、この前の委員会でも申し上げましたし、本日も申し上げたとおりでございますが、委員会委員の、報告書はもちろんでございますけれども、そのほかに各委員のそれぞれについて取り調べを行っておるわけでございます。また、その前提となる議事録等も領置いたしまして、これを調査しておるわけでございます。そういうような捜査資料が、検察審査会に必要な資料は提供されて、検察審査会ではそれらの資料もとにして御判断になったのではなかろうかと思うのでございます。報告書は、訂正された報告書検察庁にも提出されたというふうに聞いております。それで、検察庁といたしましては、その報告書だけでは満足できないので——満足できないのでというのは誤解がございますが、あらゆる角度からさらに捜査を遂げる必要がありますので、ただいまのような手段を尽くしまして捜査したわけでございまして、その資料検察審査会へ提供されておるのでございます。その資料の中には、御指摘の、摂氏八十度の油温であった云々ということについても、恐らくその捜査資料の中にどういう形であるか、そこまで私は聞いておりませんし、また、そこまで捜査資料内容を申し上げるのはいかがと思いますけれども、そういうことが検察官としては認定ができ、それとの因果関係いかんということについてさらに捜査をした結果、先ほどのような結論に到達した、その過程でいまのようなことを検察庁も知り得、さらに検察審査会にも提供して、検察審査会でもその事実関係を知っておられたのではなかろうか。これは、私のやや推測を交えたことでございますが、恐らくそうではないかと思います。
  29. 矢山有作

    矢山委員 そうすると、一口に言うと、法務省の御意見はこういうことですね。検察審査会法の第三十五条によって、検察官協力義務がある、したがってその協力義務に従って、検察官が持っておるいろいろな資料というものを検察審査会に提供し、また意見も述べたであろう、こういうことですね。そのときに検察審査会への政府事故原因調査報告書は、その問題個所訂正をされたものが行っておったということをあなたは断言をなさって、その上に立って、なおいろいろな資料検察庁は調べておる、それらが全部検察審査会に行った、その場合に検察審査会は、もろもろのそれ以外の資料は重視しないで、事故原因調査報告書のいまの問題部分を重視して、過失責任論断をしただろう、こういうふうにおっしゃるわけてすね。そうじゃないですか。——それじゃもう一遍言います。つまり、この検察審査会には、この政府調査報告書訂正分のが行っておるとあなたは断言されたわけでしょう。
  30. 吉田淳一

    吉田説明員 私が申し上げましたのは、検察庁が、岡山地検に提供された事故報告書最終報告書訂正されたものが来たというふうに聞いております。そのことだけを申し上げました。
  31. 矢山有作

    矢山委員 私、検察審査会へ行ったという発言をしておったら間違いです。検察庁へは、この問題の部分訂正をされたものが行っておった、こうおっしゃるのですね。それでなおかつ検察審査会がこの原文表現を重視しながら、タンク使用上の過失論断をしておる。これは政府のこの調査報告書だけでなしに、ほかにも、検察庁が独自で調査したいろいろな資料があるしするから、そういうものが全部一緒に行っておるのだけれども、そういうものはかかわりなしに検察審査会としては事故報告書原文個所を重視したといいますか、したのだろう、その原文がそういうふうになっておるということは、検察庁調査をしたもろもろの状況の中で、検察審査会はそういう判断をしたのだろう、こういうふうになるわけですね。
  32. 吉田淳一

    吉田説明員 先ほど来、検察審査会摂氏八十度の油温であったという事実関係について認定された一つの経緯については、そうではなかろうかという私の若干の推測を交えながら御説明申し上げておるのでございますが、必要な資料は、検察審査会法に基づいて検察庁検察審査会審査に協力しなければなりませんから、それを提供したことは間違いないわけでございます。そして検察庁判断は、その検察庁捜査した事実関係に基づいて、前回来申し上げました、直立階段工事の基礎工事の施行と設計に問題があったのだということの結論を出したのでございますが、検察審査会検察審査会でもちろん独自の御調査もなさったでしょうし、そのほかに提供を受けた検察庁資料も点検されたと思います。それらを総合して検察審査会としては、この証拠関係もとでは検察審査会が今度出した結論の方が相当である、こういうふうに御判断なさって、その摂氏八十度の因果関係——摂氏八十度であるという客観的事実については動かしがたいことだと思いますが、それと事故との因果関係についての御判断検察審査会の立場で御判断をなされたものと思います。  そこで検察庁といたしましては、その検察審査会の御指摘の趣旨を、その他の御指摘も幾つもありますが、その点を尊重いたしまして、現在、再捜査を行っておるというのが実情でございます。
  33. 矢山有作

    矢山委員 私がなぜこの部分をこんなしつこく聞くかといったら、これはやはり検察審査会議決を見ると、タンク使用上の過失責任を問う場合の最大の論拠になっているわけです。最大唯一と言ってもいい論拠になっているわけです。それだけの重要な部分訂正ですから、したがって、この訂正がもし作意的なものであったと仮定するなら、これは刑事上の問題の処分にかかわってくるわけですから、人権上大問題なんですよ。それだけに私は、この訂正理由なり、経緯なり、そういったものが一体どういうことで行われたのかということを重視しているわけです。もしこれが作意で行われたとするなら、これは刑法上の責任まで問われてきますよ。御存じでしょう。刑法の百五十六条なり百五十八条、これとの関連も出てくるわけです。したがって、私は、その点をしつこいほどあなた並びに消防庁に聞いておるわけなんです。しかし、あなたのいまおっしゃったのは推察ですから、したがって、あなたの場合は、はっきり訂正をしたものが正式に検察庁に行っておるのか、あるいは訂正をしない前の原文が行っておるのか、これは改めてもう一遍ぜひ確認してみてください。確認してあるのですか。それが確認してあるならそれはよろしい。単なる推断であるなら問題であります。  それじゃ、その次にもう一つ伺いたいのですが、その改定部分検察審査会が、三菱石油の公害罪法による起訴相当の議決をするに当たっては、事故タンクT−二七〇号タンク使用上における過失が重要な論拠になっており、この過失を問う根拠には、政府事故原因調査報告書の、事故発見前後の状況の、問題にしておる改定前の報告が重視されておるということは、議決理由の中で明らかに示されておるところです。しかるに検察庁三菱石油起訴処分決定に当たって、調査報告書のこの部分はどう判断されたのか、不起訴理由が明らかにされておらぬので私にはわかりません。このタンク使用上の過失につながる重要な部分、これと検察庁の不起訴処分結論との関係が不明確のまま残されるということは、私は、検察の企業癒着ではないかとの疑惑を国民に与えることになると思うのです。そうならさないためにも、この際、刑事訴訟法四十七条の訴訟書類非公開の規定のただし書きによって、三菱石油起訴処分理由を明らかにする資料というものをこの委員会に提出をしていただきたいと思います。私は、刑訴法四十七条のただし書きの規定によるなら、それはできないはずはないと思うのです。
  34. 吉田淳一

    吉田説明員 検察庁といたしましては、この三菱石油事故に限らず、いかなる刑事事件といえども、いかなる立場にも立たず、厳正、公平に、あくまでも公正に処理をするというのを職責としておるわけでございまして、本件事故についても綿密な捜査をあらゆる角度から検察庁としては行ったつもりでございます。その結果が再三申し上げておるとおりでございまして、この油温につきましても、先ほどちょっと申し上げましたが、いろいろ御指摘の事実関係がございますが、その油温の事実関係もとより、油温と貯蔵タンクとの関係につきましても、ひとり三菱石油に限らず、他の同種企業の貯槽関係についても同様調べ、あるいは外国における規格の問題についての関係についても詳細調査し、さらには一番大事なことでございますが、この事故調査委員の諸先生方についても詳細意見を聴取して、その実験結果等をも捜査した結果、本件事故について油温の点が因果関係をなしておるということではないという判断をしたのでございます。  そこで、その判断がおかしい、その捜査資料を国会に提出せよという御要求でございますけれども、これはまことに遺憾でございますけれども、結論といたしまして、法務省としてはこれを御承諾することはできません。なぜならば、この前も申しましたように、捜査記録というものを、その内容についてこれを公にするということは検察運営上——捜査内容を一々公にするということに万一にでもなりますれば、今後の検察運営上の御協力を得られなくなるという非常に重大な問題に逢着するのでございまして、それでは司法権のいわば一翼を担っております検察として、司法権の公正と独立を担わなければならない検察といたしましては、これは非常に重大な問題になるのでございます。この前も申しましたように、ロッキード事件についてもそうでございますし、再三その御要求があったのでございますけれども、私どもといたしましては、検察官としてこれを提出できるかどうかというのは、その書類の保管者である検察官判断でございますので、その点は検察官として現在の段階でそのような提出に応ずるということは、ただいま申しましたような理由からいたしかねる、どうか御理解願いたいと思うのでございます。
  35. 矢山有作

    矢山委員 私は、いまの法務省の考え方にやはり納得できないのです。いまの考え方はまさに官僚独善的な考え方がそのまま出ておる。何のために検察審査会制度を新しい憲法のもとでこしらえたのですか。その理由は御存じでしょう。検察制度に民意を反映させて、検察官起訴、不起訴等の処分が官僚的な独善に陥らないで、国民の批判の対象となり得るようにするために検察審査会制度が創設されたわけでしょう。しかもその検察審査会が半年にわたり検察庁から提出されたあらゆる資料を慎重に調査検討した結果、三菱石油に対し公害罪法等による起訴をするのが相当であるという結論を出したのですよ。この事実を私は厳正な事実として一つは踏まえなければならぬ。  もう一つは、三菱石油重油流出事故は、御案内のように瀬戸内海広域にわたりまして油濁を生ぜしめました。そして漁業や漁民や沿岸住民の生活、健康に多大の悪影響を生ぜしめた。しかるに、その元凶である三菱石油の責任を一切不問に付した。この検察官処分というのは私はとうてい住民の納得を得るものではないと思うのです。したがって、私は、捜査のすべての資料を出せと言っておるのじゃない。三菱石油公害罪法等による責任を不問に付したその理由を明らかにする、その限度において資料を提出すべきだ、私はこう言っておるのです。そのことこそが検察の民主的なあり方に沿うし、また検察の信頼を維持するもとじゃないですか。私は、どうしても三菱石油に対して公害罪法等を適用して起訴しなかった、不起訴処分にしたその理由を明確にする資料に限定をして要求をいたしますから、ぜひともこれを御提出を願いたい。これは公益上も私は重大な問題であると思いますし、そのことは御案内のように刑事訴訟法四十七条のただし書きで、この委員会で決議をすればやれることであります。したがって、この取り扱いについては、ぜひとも委員長においても格段の御配慮を願いたいと思いますし、私は法務省にもこのことを再度強く要求いたします。
  36. 吉田淳一

    吉田説明員 再三の御要請でございますけれども、法務、検察当局といたしましては、捜査記録を御提出するということは差し控えさせていただきたいという立場でございます。検察審査会法検察庁の民主化、検察処理の民主化のために設けられておるということは御指摘のとおりでございまして、私どもとしましては、検察審査会の御審査についてはできる限りの御協力をしているつもりでございます。そしてまた、その結論については十分尊重をして現在捜査中でございます。いずれ近くこの問題についての結論を出すわけでございます。そういうわけでございまして、現在まさしく捜査中の案件でもございますし、また捜査資料そのものは本来的に非常に司法の関係の書類になるわけでございまして、やはりそこには、私どもとしましてできるだけの御協力はいたすつもりでございますけれども、資料そのものを御提出するということについては、どうか御容赦を願いたいと申し上げざるを得ません。
  37. 矢山有作

    矢山委員 いまの法務省の発言は思い上がりもはなはだしい。委員長、刑事訴訟法四十七条ただし書きによって、「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」ということで、訴訟に関する書類は公判の開廷前でも公にすることができます。それは国会法の百四条にも、官公署に対する「報告・記録の提出要求」という条項で「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」と規定されております。私は、国権の最高機関としての国会の立場からするなら、いまのような法務省のまさに独善的な発言は許されぬと思うのです。私は何も全体の捜査資料を出せと言っておるのじゃない。これほど問題になっておる、検察審査会自体も、これはタンク使用上の過失責任を問うておる。そしてまた、政府の原因調査報告書をめぐっても改定をしたいろいろな複雑ないきさつがある。そういうようなことを考慮したときに、三菱石油を不起訴処分にしたこの理由だけは明らかにさせることが、検察の将来のためにも必要なことだろう、こういうふうに私は思いますので、委員長においてお取り計らいを願いたいと思います。
  38. 島本虎三

    島本委員長 理事会でこの問題は諮って、いま矢山君も要求されたその趣旨については十分検討してみたい、そして結論を出したい、こう思います。
  39. 矢山有作

    矢山委員 それから消防庁要求しておきますが、訂正をしたその理由をきのう木原さんから聞いたとおっしゃったわけです。私はそれを信用しないわけではありませんが、少なくとも刑事上の責任を問えるか問えぬかという微妙なきわめて重要な問題に直接かかわってくる問題ですから、調査委員会は解散しておっても、委員長という立場から、かつて委員長であったという立場から、木原さんに、この訂正をしたいきさつというものを公式にあなた方のところへ文書で提出してもらってください。私はそのことをぜひやってもらいたい。  それから環境庁長官、私は、十七日からきょううにかけて、この三菱石油重油流出事故の問題で聞いておるのですが、あなたはこの問答、法律的な問答だからややこしい問答ではありましたが、どういうふうにお考えになりますか。
  40. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 事が非常に法律的、専門的なことでございまして、私、聞いても非常に興味がございましたが、いずれにしても水島の流出事故というのは非常に大きな事故、事件でございまして、私たちも、これからこういう過失というものを企業にも絶対に繰り返してもらいたくないと思っております。その限りでこれに関連した企業の責任というものは徹底して追及されるべきだと思いますが、しかし何分、行政とは分立した司法の問題でございますので、それ以上の所感というものは控えさせていただきたいと思います。しかし、いずれにしてもこういう事故を二度と繰り返さないために、かかわりある企業の責任というものは手だてを尽くして徹底的に究明されるべきだと思います。
  41. 矢山有作

    矢山委員 私がなぜ環境庁長官にこういうような所見を求めたかといったら、これはもうすでに国会でもいろいろ論議になっておりますが、例の公害対策基本法、これは四十二年八月に制定されましたね。そしてこれが高度経済成長の過程で公害をどんどん拡散していって、これは大変だ、人の生命、身体の安全を守るためにも、あるいはまた生活環境を守るためにも何としても公害の多発を抑えなければならぬ、こういうようなところから、例の四十五年の公害国会と称せられるところで、この公害対策基本法の第一条が改正されましたね。そして例の経済発展との調和条項というものが削られてきた。そして「国民の健康で文化的な生活を確保するうえにおいて公害の防止がきわめて重要であることにかんがみ、」こういう文言が付加されたわけですね。こういう経過をたどってきておるわけです。ところが、あなたはこの経済発展との調和条項を削除したのが間違いであるという意味の発言をされておるようですが、そういうようなことは、何といったっていままでの環境行政の基本路線を変えてしまうものなんですよ。そういうようなあなた方の発言等が環境行政に非常に悪影響を及ぼしていくと私は思うのです。だから、そういうあなたの発言、新聞に出ておるのは要約して言っているのでしょうが、こういうことを言っていますね。経済発展との調和条項の削除、この問題について、やや魔女狩り的で、私にとって非常に不思議な現象にしか思えない、冷静に取捨選択する時期に来ておる、こういうように言われておるというのだが、これは言い方としてはいろいろあったのだろうと思う。しかしいずれにしても、経済との調和条項を削除したことに疑問を差しはさまれたということについては間違いない。その疑問を差しはさむということは、公害国会以来の環境行政の基本を貫いてきた路線の変更につながってくるものだから、そういう意味で環境行政を大幅に後退をさせる、そういう傾向に拍車をかける、いまそういう傾向が出ておりますからね、そういうことにもなるので、環境行政の最高の責任者としては慎重に対処してもらいたいということを、私はこの三菱石油重油流出事故の取り扱い、検察庁の取り扱いを見ておって痛感させられたので申し上げたのです。この点はしかと腹に入れて、やはり環境行政については、せっかく四十五年の公害国会以来確立された行政の基本路線を守るのだという決意を示していただきたいと思いますが、いかがですか。
  42. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 私の調和条項に関する発言問題については、いままで委員会でもいろいろ御討論いただきましたが、ここであえて繰り返しませんが、私が申しましたことは、調和という条項を削っても、なお、あそこにOECDの言っているような経済との相互主義というものがあるということでございます。  そういう意味で私は申したわけでございますが、要するに、この水島の流出事件というものは、相互主義などを持ち出す云々以前の問題でありまして、明らかに企業側の責任で事件が起こっている。その企業側の責任の中に三菱石油が入るか入らないかということの論点での御議論だと思いますけれども、いずれにしても、私は、調和条項云々にかかわる発言の基盤にあります経済との相互主義というものを、ことさらこの問題に持ち込んで云々するつもりはございませんし、それ以前の問題で、先ほど申しましたように、やはり歴然とした事故が起こった、この事故の責任というものは徹底的に究明されるべきだと思っております。
  43. 矢山有作

    矢山委員 もうこれでやめますが、高度経済成長がもたらした非常に大きな公害なんですから、この公害はいまでもやんでいないので、人の健康を守る、生活環境を守るという意味から、今後も、公害国会のときに経済との調和条項を削除した精神を堅持しながら環境行政に取り組んでいただきたい、このことを申し上げておきます。  それから、自治省の方、私が申し上げましたことに対して、いかがですか、できますか。
  44. 田中和夫

    田中(和)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、木原委員長にお聞きしましたところ、当時の判断としては、因果関係のことについてのそういう判断であったのではないかと思うというお答えをいただいたわけでございますが、何しろもう一年前に委員会が解散いたしておりますし、当時、そういう理由等について審議、議論がなされたということであるのかどうか、委員長か、当時そういうことではなかったかと思うという御判断でございますから。それを、いま委員長から文書でいただくということは、できれば御勘弁をいただきたいと思うのでございます。
  45. 矢山有作

    矢山委員 そうすると、こういうような重大な部分訂正を審議、議論するとき、まあ大体調査委員会等でこういう審議、議論をするときは会議録か何かメモとかあるでしょう。それはないのですか。それを出せるでしょう、そうだったら。
  46. 田中和夫

    田中(和)政府委員 会議は非公開になっておりましたし、非公開にする理由は、これは公正な審議ということをねらって非公開にしてあったわけでございますが、そういうことで、議事録といったようなものが、その委員会の分についてはございません。
  47. 矢山有作

    矢山委員 しかし、何ですか、こんな重要な部分訂正するのに、秘密会にしておいて、議事録もなしで、なあなあの話し合いでやるのですか。そんなばかな話はないでしょう。
  48. 田中和夫

    田中(和)政府委員 現地調査委員会、二十数回やっておりますが、それはすべて非公開でずっとやっております。最初から最後まで非公開で、学者先生だけの委員会でございますから、構成メンバーもそういう権威者を集めた委員会で、それぞれのまた専門の部門がございまして、そういう先生方で構成した委員会ということで、非公開を原則にいたしてずっとやっておったわけでございます。
  49. 矢山有作

    矢山委員 これでやめますが、一言だけ言っておきます。  そういう重大な油濁事故を起こした事故原因調査報告書をまとめるのに、しかもその元凶である三菱石油過失論断する重要な部分をどうするかということについて、その論議をしてそれを訂正した、それがいいかげんなことで処理されておるというのは、まさに調査委員会そのものに対する国民の信頼を失いますよ。これに限らず、いろんな調査委員会が国民の信頼を得る調査委員会であろうとするなら、あなたの方から木原さんに言って、あくまでも矢山委員要求しているのだ、はっきりできませんかということを連絡しなさい。その上でなおかつ木原さんがその当時のことを忘れた、できぬとおっしゃるなら、それはそれで私は受けとめます。連絡だけはしてください。どうです。こんなこと、いいかげんで済まされぬ。
  50. 田中和夫

    田中(和)政府委員 きょうの委員会での審議のことはお伝えしたいと思います。
  51. 矢山有作

    矢山委員 では、これで終わります。
  52. 島本虎三

    島本委員長 消防庁田中次長、いま矢山委員から再三要求がありました、木原委員長訂正したそのいきさつの個所だけ文書でと、こういうような要請なんですが、いまの発言で十分伝えるということでありますけれども、この部分だけに限っても矢山委員の要請に応ずることはできないものですか。委員長からもそれをお伺いしておき  たいと思います。
  53. 田中和夫

    田中(和)政府委員 木原先生の方とよく連絡をとってみます。
  54. 島本虎三

    島本委員長 では、矢山委員よろしゅうございますか。——矢山有作君の質問は終わりました。  次に中井洽君。
  55. 中井洽

    ○中井委員 石原長官に率直な感想をお尋ねするわけでありますが、今臨時国会での委員会審査がきょうでおしまいということであります。この次の国会、また大臣としてお目にかかれることを望んでおるわけでありますけれども、一年たちまして、この一年という区切りで考えてみますと、大臣自体ネクタイ発言事件からいろんな発言で新聞をにぎわせましたり、それから最後には、何かけんか状態になったというようなこともあり、ずいぶんにぎやかな長官であったという感もあるわけでありますけれども、長官自身、約一年間大臣を務められて、率直な感想、感慨というものはどういうものであるか、お聞かせいただければありがたいと思います。
  56. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 一年間の印象というものはまだ整理し切っておりませんけれども、やはり環境行政というものは非常に質的に変化をしてきているという感じがいたします。調和条項の問題でも物議を醸しましたが、しかしこの委員会でいろいろ討論いたしまして、野党の委員の方々でも、なお自分たちも経済との調和を決して否定するものではないというようなことも発言されて、それはそれなりに一つの議論が生んだ進歩ではないかと思います。それは環境問題というのは私たちの生活にとって欠かすことのできない問題でございますが、同時に、社会工学的にも経済というものもゆるがせにできない要件でございまして、こういうものとどちらを優先させるということを固定観念で決めてしまうことなく、いままで申してきましたような相互主義にのっとった取捨選択というものがますます強いられている時期に来ているという感じは否めないと思います。そういう意味で、社会全体の動向を踏まえて環境問題につきましても改めて討論されるべき問題がいろいろ出てきているのではないか。討論というものは確かに激しい摩擦を生みますけれども、しかし、やはり民主主義の中ではそれが物事を前進させる一つの手だてになると思いますので、私の発言の仕方も足りないところもございましたが、私なりにいろいろ勉強させていただきました。
  57. 中井洽

    ○中井委員 ありがとうございました。私自身も国会一年生でございます。いろいろな委員会で質問等をいたしまして、質疑の中で、私も至らないのでありますけれども、世代の相違みたいなものがありまして、私なんかの世代はわりかし言いたいことを率直に言い合って議論をまとめていくというような感じであります。古い世代の方、と言っては失礼でありますけれども、腹と腹でわかり合うというような感じがあって戸惑うわけであります。そういった点で当委員会で何回か石原さんの御議論を聞かしていただいて、私自身は、先ほど長官が述べられたように、非常に率直な意見の中で議論がぶつかり合って前進もあったのじゃないかと思います。いまのお話の中で、社会的な変化あるいは質的な変化で公害環境行政が非常に変わり目にある、こういうお話でございましたが、そういった変わり目に対して長官として、この一年間環境行政をどのような点で前進をさせたとお考えになっておられますか。
  58. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 前進をさせたと申しますと非常に口幅ったいと思いますが、ただ昨年のOECDのレビューなどで指摘されました生活の快適性といった問題に対する配慮の欠如というようなものは、指摘されるまでもなく多くの大衆が感じていることでございますし、そういったものもやはり時代の趨勢として環境行政の中に取り入れざるを得ないということで、一つの項目としてはっきり登場してきたという気がいたします。先ほどの中公審の企画部会でも、こういった問題をやはり積極的に取り入れていただくようにお願いいたしましたし、OECDの指摘にもございますが、つまり病気の原因は治したのに病気そのものは治っていないというような状況が、日本の環境問題に関してはまだまだあると思います。つまり不快さというものが積もるということで公害になる。その公害というものを身近でチェックし監視していく、そういう一つの発想というものも、やはり生活におけるささいな不快さというものをはっきり指摘して、それを是正していくという、広い社会全般の、非常に広範囲にわたる国民大衆の努力によってなされる、公害の未然の防止もできるということだと思いますので、そういった意味で新しい問題が環境行政の中に登場してきたなという感じがいたすわけでございます。
  59. 中井洽

    ○中井委員 いま述べられたようなことが、今度決定されました第三次全国総合開発計画、いわゆる三全総の中に、これは十年間の日本の将来というものを大まかに決めていく大事な計画でありますが、そういったものが盛られているとお考えになりますか。
  60. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 これはなかなかむずかしい問題でございまして、旧全総、新全総、三全総と変わってきたわけですが、やはり部分部分の修正があっての今度の三全総の誕生を見たと思いますけれども、私は個人的には列島改造論というものに非常に批判的でございました。その残滓が一切なくなっているかというと、必ずしもそうは言えないと思います。しかし、いずれにしても六、七%の中成長ということを向こう何年間、つまり政府じゃなしに国民も考えているのかということになりますと、これは十年間続くことで、複利計算でいけば七%の成長で九年間、六%でいくと十一年間で日本の経済が倍になる。いまのようにそれほど質的な変革というものもないままの日本の産業構造が、そういう形で九年から十一年先に倍になるということ、そのために必要な設備投資なり開発というものを考えますと、これはやはり国民全体が三全総という一つのきっかけをとらえてもう一回考え直すべき時期に来ているのではないか。その必要があれば四全総というものも出てくるかもしれませんし、そういう部分で旧全総から新全総に比べて、定住圏構想等あるいは水系というものの見直し等非常に進歩はあると思いますけれども、しかし先ほど申しましたように、一番肝心な国家、社会全体の指針というものがむしろ三全総の前に討論されるべき、そういう時期に来ているのではないかというような気がいたす次第でございます。  そういう意味で定住圏構想というようなものは、故郷を離れずに自分の生まれたところで積極的な人生を終えるというための一つの構想、言ってみれば、今日の非常に偏重した都市化の現象、その都市の中で決して住みやすさがないままに、生活の需要のために多くの人たちが不快さというものに甘んじながら生きている、そういう状況というものを解消する意味では、一つの進歩のめどがあるのではないかという気がいたします。
  61. 中井洽

    ○中井委員 私も三全総に盛られている定住圏構想、特に水系を中心とした定住圏構想、いろいろと煮詰めていかなければならない問題もありますけれども、人間がじっくりと生活をしていこう、こういう形で国全体が方向づけをしていく、一つの非常に評価すべき点もあるというふうに考えているわけでございます。そういった定住圏構想というもの、あるいはその定住圏に住民が豊かに安心して定着をしていく、こういったことのためにますます環境保全、公害防止が必要になってくると思うわけであります。そういった観点からこの三全総を見さしていただきましても、公害についてあるいは環境保全についてかなり訴えているところがございます。しかし、その内容を見ますと、どうもやらなければならないと、あいまいな形に文章的になっている点がございます。  そういった点について環境庁や国土庁の方に幾つかお尋ねをしたいと思います。特に「計画の実施」という項目の中で三番目に環境影響評価のことについて述べられております。「具体化に当たって、住民の意向を反映するとともに、適切な環境影響評価等を実施することとし、」こうあるわけでありますが、国土庁にお尋ねをいたしますが、これはいわゆるアセスメント法の成立というものを前提としてお考えになっていることでありますか。
  62. 星野進保

    ○星野説明員 お答え申し上げます。  いま先生お読みになられたところで、ずっと読んでまいりますと、「適切な環境影響評価等を実施することとし、環境影響評価の技術手法の開発を促進するとともに、効果的な環境影響評価を実施するための制度等の体制の整備を図る必要がある。」という表現でございます。したがいまして、今後技術手法を含めた意味での検討を含めましていろいろ検討していきたいということを述べておるわけでございます。
  63. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、当分の間は、法律が制定される、されないはともかくとして、本州四国架橋のような形でいろいろと技術手法の開発をしながら環境影響評価をやっていく、こういうことでございますね。
  64. 星野進保

    ○星野説明員 別途幹線交通体系のところにもいろいろ書いてございますが、先生いま御指摘のように、環境影響評価等について十分検討する必要があるということを再々書いております。
  65. 中井洽

    ○中井委員 この定住圏構想そのものは、私、昼からの地方行政委員会でもまた質問をさせていただくわけでありますが、住民の参加あるいは地方公共団体の意欲的な姿勢、こういうことを非常にうたっているわけではございますが、そういった観点からいきますと、いまいろいろと行われております環境影響評価制度につきましてずいぶん住民側の反発あるいは不満というものが強いわけであります。ここに盛られております技術手法の開発、こういった点で特に重要なのは私は住民参加あるいはアセスメントの説明会、こういったものではないかと思うのであります。そういった点について環境庁では——私は、これは大至急やらないと、たった十年間のことでありますから、間に合わないと思うのであります。そういった点あるいはアセスメント法の成立について、率直な見通し等をお聞かせいただければありがたいと思います。
  66. 信澤清

    信澤政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、三全総を実施していく上に環境影響評価というものが非常に大きな役割りを果たす、このように私ども考えておるわけでございます。この中に随所に住民の意向を反映しつつということがございます。私どもが考えております環境影響評価法案の中身がすべてそれに見合うものとは考えておりません。しかし、私どもが考えておりますのは、単に技術的な評価だけにとどまるわけではございませんで、それを公表し、それに対する地域の住民の方の御意見等を伺う、このプロセスを非常に重要視しているわけでございます。したがって、三全総で言っております住民の意向を反映する、いわば中心的な役割りを担うもの、このように考えておるわけでございます。したがいまして、本案の成立につきましては、この委員会でも再々申し上げておりますが、次期通常国会には何とか間に合わせたい、このように考えております。
  67. 中井洽

    ○中井委員 重ねて申し上げますけれども、このアセスメントの実施に関して住民の方々の意見を聞く、この点についての不満が、回数が少ないとか、あるいは意見がちっとも取り入れられないとか、住民側にもあの膨大な資料を読めないとか、初めてだから、意見というよりも感情論が出てきたり、いろいろあるかもしれませんが、とにかく早急に、試行錯誤もあるでしょうけれども、ひとつ技法というものを確立していただきますようにお願いを申し上げます。  続きまして、特にこの定住圏に関して河川の水系を中心に考えていく、こういうことでございます。この文章を読ましていただきますと、かなり河川について具体的に名前が挙がり、たとえばこの河川については利用の限界が来ているとかいろいろ出ているわけであります。こういったことば国土庁でおやりになったアンケートの中から、地方公共団体から上がってきたのか、あるいは環境庁の方で、この河川についてはこういったことであるということで、この三全総でお決めになったのか、その点はどうですか。
  68. 星野進保

    ○星野説明員 作業過程について御説明申し上げますと、私どもの方でいま先生指摘の河川別のいろいろな状況その他を調査いたしまして、それぞれにおいてグルーピングをあそこでしておりますように、平地性河川であるとかそれから小河川、大都市河川、そういうような形で検討いたしまして、当然、私ども、市町村長を初め各県知事の御意見も徴しまして、こういうことでどうだろうかというようなことを御協議は申し上げてあります。微細にわたりますが、中で若干河川の評価が違うのではないかという御意見もありまして直した点もございます。それから、当然、行政府内でございますから、こういう案文をつくりまして環境庁の方で十分御検討いただいたと私どもは考えております。
  69. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、この委員会ではどうかと思うのでありますが、そこまで河川の名前を挙げて各地方公共団体にお示しになったということであるならば、いわゆる定住圏そのもの、大体こういう定住圏であるという説明も地方公共団体になさったわけでございますか。
  70. 星野進保

    ○星野説明員 私どもの三全総の計画の中では定住圏を想定するという言い方をしておりまして、基本的な考え方といたしまして、先ほどから先生が御指摘になられておりますように、定住圏の考え方をむしろ提示しておるわけであります。  若干詳しくなって恐縮でございますが、先ほど来御議論がございますように、要するに人間が住んでいく上で、いわゆる自然環境、生活環境それから生産環境、要するに就業の場であるとか、いろいろな福祉的な施設の配置であるとか、それから緑を含めた自然だとか、そういうものが調和していくということが一番重要ではないかということでございます。そのときの一つのメルクマールといたしまして自然の一種の容量が地域的にあるはずであろう。それでその自然的な容量と人間の諸活動と申しますか、いま申し上げましたような活動がうまくバランスするような仕組みが何か考えられないだろうか。そこで考えましたのが、一つのメルクマールとしましては河川といったようなものをとりまして、河川というのは水資源という資源的な意味もありますし、本日御議論になっております環境汚染の一つの大きな問題を提起するものでありますから、そういったようなことで、資源的、環境容量的、そういったようなものの観点から河川というものを取り出してみて、それを自然環境容量の一つのメルクマールにし、それが維持される範囲内で、当然、人口の集積なり産業の集積なりそういうものが一つのバランスがとれた、一種の理想論かもしれませんが、そういう圏域を考えていくべきであろうというのが定住圏の考え方でございます。  それで、先生の御質問の核心は、定住圏について各県とちゃんとやったのかということでございますが、私どもまだ線引き等はしておりません。要するに考え方を示しまして、むしろこういう考え方に基づいて、地方公共団体が主体となって、現在、広域生活圏がありますから、そういうものを基礎としながら発展させていただきたいということを申し述べておるわけであります。
  71. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと地方公共団体が主体となって定住圏構想をつくっていく、どういうかっこうになるのかわかりませんけれども、河川の水系を中心にやっていく。そうすると河川の上流、下流でいろいろ出てくるんじゃないか。  環境庁にお尋ねをいたしますが、その一つ一つの河川、全国の主な河川の水系によって、上流ではどういう汚れぐあいであるあるいは下流ではどうだ、ここにはずいぶん、下流ではもう限界に来ているとかこういうのが出ているわけであります。そういうデータは全部そろっているわけでございますか。
  72. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 全国の河川で特に重要な河川等につきましては、当然、環境基準の設定というのはもう済んでおります。同じ河川につきましても、上流の方はたとえば環境基準はAとか、中流がBとか、下流になりますとCというように、いろいろ河川の実態に応じまして環境基準の当てはめをそれぞれの県がやっておるわけでございます。したがいまして、そこでの環境基準の達成状況といいますか、どの程度水質がどうなっておるかということは、毎年公共用水域につきましては県の方で測定計画を立てて測定をするということに相なっておりますので、その辺のデータは把握をいたしております。
  73. 中井洽

    ○中井委員 私の申し上げているのはそういうことじゃなしに、たとえば下流なら下流でもうこれ以上汚してもらったら困るんだという形の規制がされていく、定住圏ができて、上流の方はまだまだこれから開発したい、こういうことをしたい、特にこの三全総の中でどういう定住圏にしていくかというのは地方公共団体、住民参加のもとに決めていくということで、上流でそういう開発をうんとしたいんだというような問題が出たときに、どこでどう調整をしていくのかということを考えていかなければならない。特に、過日も視察に行っていただきました伊勢湾、木曾三川で、御承知のように、岐阜県と三重県と愛知県とそれぞれ違うわけであります。特に岐阜県の方が強烈に総量規制は困るんだということをはっきりおっしゃる。下流がもっときれいにしてから文句を言えというような御発言があったわけであります。そういったトラブルが出てこないか。そのときの調整をどうお考えになるか。  たとえて申し上げるならば、これは環境問題には関係ございませんが、私の郷里の伊賀上野市というところは、三重県でありますけれども、全部淀川へ川が流れるわけであります。そして、数百年、とにかく洪水地帯がある。この洪水地帯で洪水を起こさないようにするためには、奈良県との県境でありますが、ひとつ狭くなっているところを開削する以外にないということで大運動いたしたわけであります。ところが、これを開削いたしますと下流であります淀川の堤防を一メートルずつかさ上げしなければならない。したがって、大阪府民のためにがまんをしてくれということで、三全総にものっておりますけれども、遊水地ということで、これは十年間まだ決まらないのですよ。いまようやくあれしている。この十年間、たんぼを売るわけにはいかぬ、農家の方がそこへ小屋一つ建てるわけにはいかぬという形でやっている。そういったところの調整をどうするのか。特に河川の汚濁あるいは許容量の調整というものをどういうふうにしていくお考えなのか。
  74. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先ほど説明申し上げましたように、たとえば上流のところはAならAという環境基準の当てはめをやっておる。ところが、そのAのところが従来は人口が非常に希薄であった。そこに定住圏構想で新しくある程度の工場も建つし、人口もそこに集積するということになりまして、その工場の方の排水等もその河川に放流をするということであれば、やはり環境基準を達成できるような排水のレベルというところまで下げてもらわなくてはなりませんでしょうし、またいろいろな人口が集積してくれば、下水道の整備等々によってやはり生活圏の排水対策というものも同時に講じていただきたい、こういうことだと思います。
  75. 中井洽

    ○中井委員 国土庁にお尋ねをいたします。  そうしますと、いま二瓶さんのお話にございました、そういった河川を体系的に考えていくということ、そして、この地域ではこういうふうにしたい、しかし、それでは基準を超えてしまうからやめてくれ、それでは下水道完備を先にするんだ、こういういろいろな順番というものが非常にむずかしくなってくると思うのであります。そういった点の調整はどちらでおやりになるわけでありますか。
  76. 星野進保

    ○星野説明員 いま先生が御指摘になられた事例のように、恐らくそれぞれ具体的な問題で対応せざるを得ないだろうと思います。そのときに非常に重要になってまいりますのは、その調整主体としましては、定住圏ベースで言いますと、定住圏がもし設定されるような形になってまいりますと、それは当然いまの広域市町村圏より少し大き目になるかというような規模でございますから、これもどうなるか、それは主体的に決まるものですからわかりませんが、そうなりますと、そのときの都道府県の役割りとか、そういうものが恐らく非常に重要になってくるのではないかと思います。  そのときに、さらに先生が続けて言われるとすれば、県境を越えた川というのがたくさんあるじゃないか、では県境を越えた場合にどう調整していくかということになりますと、これは考え方だけでございますが、それぞれの定住圏がうまく設定されてまいりますと、定住圏同士のいろいろな調整ということが現実の問題に上がってくるであろう、そのときに、そういう県境を越えた話も定住圏同士の話し合いとしていくのか、あるいは知事さんが直接介入したような話でいくのか、これも具体的なケース・バイ・ケースによって決まっていくのではないかと思いますので、現在の段階で私どもの方から、こういう調整システムがいいとか、こういうふうにすべきであろうと言うことは差し控えさせていただきたいと思います。
  77. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、二瓶さんにもう一度お尋ねいたしますけれども、一応全国的に主な河川とかそういったものの水質基準は決まっておる。しかし、圏が設定されて、そこでいろいろな計画のもとに、少しこれを緩めてくれ、あるいはいまの国土庁のお話のように、圏の方で自主的にいろいろなことを決めるのだということであるならば、そういった水質保全の基準も居住圏で決めていってもいいわけです。そういった点についてどうお考えですか。
  78. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 環境基準の当てはめを重要な水域等につきましてはもう完了いたしておるわけでございます。そこで問題は、その当てはめた環境基準、AならAというものにつきまして、その後、人口なり工場が集積をするということになるので、AをBにしてくれとかCにしてくれとか、そういう下のレベルに下げるということにつきましては、環境庁としては現在までのところ認めたことはございません。現段階では認めないつもりでおります。  ただ問題は、その環境基準を設定したのがAのイということで「直ちに達成」、こうなっておるのに達成しておらないとか、あるいはAの口ということで五年以内に達成というところを四十五年に当てはめたところが、もう現在は五年以上たっておりますから達成したかどうかというのはわかるわけでございますが、達成していないところも現にございます。私たちの方は、当てはめたものは、その基準を下げるのじゃなくて、その基準を達成するためになお今後努力をしてもらうということで、関係の県ともどもそれに取り組んでおるということでございます。したがいまして、いまのお尋ねで、上流県でAならAというところに新しく人口なり工場等が集積をするという場面においては、やはりそこの環境基準を守ってもらう、排水面なり下水道の整備なり、そういうことを同時並行的にあるいはむしろやや前からでもやっていただくということを環境庁としては申し上げざるを得ない、こう思っております。
  79. 中井洽

    ○中井委員 ほかの点をお尋ねいたします。  三全総の中の「主要計画課題」「国土の管理に関する計画課題」の中で、「自然環境の保全」という項がございます。その中に「過疎化のため、管理主体を失うことにより生ずる自然環境への影響が深刻なものとなってきており、」という形で、いわゆる人口の過密から来る環境破壊ということでなしに、過疎のために自然環境が失われている、こういう問題が提起をされているわけであります。私は、こういったものが新しい問題提起じゃないかなと思うのであります。これに対して環境庁はどういうふうに理念としてとらまえていくのか、あるいはどう対処していくおつもりなのか、お尋ねをいたします。
  80. 信澤清

    信澤政府委員 御指摘のように、自然と申しますのは、ただほっておけばいいわけではございませんで、三全総にも書いてございますし、いま先生お読み上げのように、管理主体たる住民が過疎のためにいなくなる、こういう問題があるわけでございます。したがって、私どもは、この問題に対応するために、実はもう三年ぐらいかかっておるわけでございますが、自然環境保全審議会にいわば自然保護と適切な費用負担のあり方というものについて御研究いただき、すでに中間報告もいただいております。この中では、いやしくも自然を守るという以上、それによって生ずるいろいろなひずみ、その中には地域の方々が経済的に損失を受ける、こういう問題もあるわけでございますが、そういうものをあわせ考えないで、ただ自然保護、自然保護と言っても物事は進まない、こういう観点から、やや羅列的ではございますがいろいろの対策を数項目立てております。いま個々の項目につきまして、所管の自然保護局で、これをどう具体化するかということについて作業中でございますので、そういうものを適切に行うことによってこの問題に対応していきたいというのが私どもの考えでございます。
  81. 中井洽

    ○中井委員 せっかくの御答弁なんですが、さっぱりわけがわからないのであります。要するに過疎からくる、あるいは離島といったところからくる自然環境への影響が深刻になってきておる、そういったものを環境庁としてどうとらまえて、どう具体的に直していくのか。まさか、人がいなくなって荒れてきた、またもとへ人が住んでそれを守れというわけにいかぬでしょう。どういうふうに対処していくかということです。
  82. 信澤清

    信澤政府委員 すでにそのような状態になってしまったところにつきましては、これはたとえば国立公園の地域内でございますれば、それなりに管理人その他を配置いたしまして、そして林野庁その他関係省庁の御協力を得ながら現状の自然の維持あるいは回復に努力をいたすわけでございますが、私どもむしろ基本的に、過疎化の現象が自然保護のために進んでいくという事態に対応する、より積極的な考え方というものをとるべきではないか。先ほどやや抽象的に申し上げましたけれども、片方で過疎利用という問題がございますから、したがって、過剰利用に対する歯どめとして、たとえば入山科のようなものを取って、それを使って、地元が特に希望する事業で自然保護とマッチするような事業を興していく。一例を挙げればそういうようなこと、さらには税制上の配慮というような問題があると思います。
  83. 中井洽

    ○中井委員 こういったことも重要な問題でありますから、積極的に環境庁でお進めをいただければありがたいと私は思います。  変なことを申すようで悪いのでありますが、私の選挙区に花垣というところがございます。ここは奈良の東大寺から大昔に有名な八重桜が植えられ、芭蕉の俳句に「一里はみな花守の子孫かや」という句がございます。ずっと村で八重桜を守ってきたわけですが、結局、若者がだんだんいなくなって、そういったものを守れなくなっているというような状態であります。これは自然環境かどうかわかりませんけれども、農山村へいきますとこの点が非常に喜ばれることではないかと私は思います。大いにがんばっていただきたいと思います。  次に、この三全総に盛られております地盤沈下についてお尋ねをいたします。  先ほどの環境影響評価制度と同じく地盤沈下についても述べられてはいるのでありますが、法制化ということについて何ら触れられていないわけであります。国土庁はここに書いてあるように、現在のままで規制を強化するという形で地盤沈下に対処していける、こう考えておられるのか、あるいは環境庁が前から言っております。私どもも主張いたしております地盤沈下防止法というものをつくって総合的にこれに対処しようとしているのか、どちらでございますか。
  84. 市川博昭

    ○市川説明員 地盤沈下の問題につきましては、地下水の採取に原因がある、地下水の採取そのものが公害を起こしておる、その地下水を転換しなければなかなか地盤沈下の防止ができないという地域がかなりございます。もちろん工水法とかビル用水法で規制をやっておりますが、やはりそれも、たとえば工水法におきましては代替水の供給ということを頭に置きながら地下水の規制をやっておる。私ども三全総におきましても、国土管理の基本的な課題であるということで地盤沈下問題にアプローチをしているわけでございます。  したがいまして、地盤沈下地帯におきます地下水の問題につきましては、規制と同時に対策の強化と、そして工水なりビル用水はございますが農業用水とか水産養殖用水その他水道用水についてはまだ国の規制がございません、そういうものもあわせました総合的な対策が必要だということで、次の通常国会に向けまして各省と連絡をとりながら地下水の保全と地盤沈下防止の法律をつくってまいりたい、こう思っております。
  85. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、もう一度お尋ねいたしますが、総合的な地盤沈下防止法は国土庁で調整をされて次の国会にお出しになる、こういうことでございますか。
  86. 市川博昭

    ○市川説明員 この問題につきましては、四十九年、五十年と、いろいろ各省におきまして地下水の規制の御提案がございました。そうした御提案の中で国土庁に調整をお願いしようということから、また国土庁におきましても国土の保全なり水資源の開発並びに保全の一環といたしまして地下水問題に重大な関心を持っておりますので、環境庁と相協力いたしまして、内閣としてこの法案を提出したいと思っております。
  87. 中井洽

    ○中井委員 環境庁はそれでよろしいわけですか。
  88. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 環境庁といたしましては、前々から工業用水法及びビル用水法を現に所管をいたしております。そういうことで、地盤沈下そのものが公害対策基本法の典型七公害の一つにもなっておりますので、地盤沈下の所管官庁といたしまして、工水法、ビル用水法のみならず、農業用水なり上水道とも取り組み、さらにまた、現在指定する際は現に地盤沈下が進行しておるところだけになっておりますから、未然防止ということで、おそれのある地域というようなところまでを内容にした総合規制立法というものをかねてから考えておりまして、現在も次の通常国会に提案すべく考えております。先ほど国土庁からもお話がございましたように、国土庁は国土庁として水資源の一つでもあるという角度もございまして国土庁なりに立法化を考えておるわけでございます。両方とも政府提案を考えておりますので、当然お互いにそこは調整をして次の国会に出そうかということで、寄り寄り調整をいたしておる段階にございます。
  89. 中井洽

    ○中井委員 ありがとうございました。時間のようでございますので、アセスメントのときのように各省庁間で何だかんだということで国会に提出されないということがないように、私どもにとりましては、環境庁からお出しいただくなり、あるいは国土庁でまとめて内閣としてお出しをいただくなり、どちらでも結構でございます。できるだけ総合的なものをお出しいただきますように重ねてお願いをしておきまして、質問を終わります。
  90. 島本虎三

    島本委員長 中井委員の初めの質問でございましたが、長官一年間の感想というところで長官の御答弁があったわけです。その中で長官から、質的にもいま変化してきていることがわかったし、野党議員も経済との調和を否定するものではないということもわかったという答弁もあったようでございましたが、これは野党委員も産業との調和を必要とする、肯定している、こういうような意味なんですか。ちょっと委員長としては紛らわしいと思いましたので、一応この点をはっきり聞いておきたいと思います。
  91. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 経済との調和を決して否定するものではないということを何人かの方が言われたと私思います。そういう形で私、記憶しております。産業ということではなしに、経済との調和ということです。
  92. 島本虎三

    島本委員長 同じです。
  93. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 とにかく産業とはおっしゃらずに、経済との調和というものを決して否定するものではないということをおっしゃったように私はお聞きしました。
  94. 島本虎三

    島本委員長 中井洽君の質問は終わりました。  この際、午後零時五十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後零時五十二分開議
  95. 島本虎三

    島本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。古寺宏君。
  96. 古寺宏

    ○古寺委員 最初に環境庁にお尋ねしますが、現在開発が進行しつつございますところの青森県むつ小川原の工業開発に付随いたしまして、田面木沼という沼がございます。ここにはフジマリモというマリモが生息をしているわけでございますが、この田面木沼の汚濁によってフジマリモが非常に死滅しているという問題が起こっております。この点について環境庁はどのように報告を受け、指導しているでしょうか。
  97. 出原孝夫

    ○出原政府委員 お答えいたします。  田面木沼につきましては、開発の地域からは外れておりますので、直接には承知をいたしておりませんが、御指摘のような貴重な植物があっていろいろ問題があるということは聞いております。ただ、それ以上に具体的なことにつきましては、まだ私ども承知いたしておりません。
  98. 古寺宏

    ○古寺委員 この環境アセスメントを、県の報告書を検討した際に、環境庁からこの田面木沼と関連いたしまして、現在、千歳平にできましたA住区、新しい住区でございますが、そこから排出される排水につきましては田面木沼には流さないようにという指導があったようでございますが、その点についてはどうでございますか。
  99. 信澤清

    信澤政府委員 先ほども自然保護局長が答弁いたしましたように、開発の区域からは田面木沼は外れているわけでございます。しかし、私どもといたしましては、周辺の問題として田面木沼並びに市柳沼につきましては、ただいまお話しのような問題がございまするし、あるいはカンムリカイツブリという大変珍しい鳥の生息地でもあるということで、県に対しては鳥獣保護区としての指定をすべきである、こういう意見を申し上げておるところでございます。  なお、生活排水あるいは農業上の排水等が入ってくることに伴います。いまお話しの田面木沼の汚濁をできるだけ防止するということについても、これは計画とは直接関係ない問題かもしれませんが、意見としては県に申し上げておるところでございます。
  100. 古寺宏

    ○古寺委員 この田面木沼は、フジマリモ以外にもワカサギとかコイそれからフナ、ウナギ、こういう貴重なたん白の補給源となる魚類のほかに、オオハクチョウとかコハクチョウそれからマガソ、カリガモ、カンムリカイツブリ、アオサギ、シロサギ、こういうような非常にわれわれとしては貴重ないろいろな動植物がいるわけでございまして、これは当然保全しなければならない、こう思うわけでございますが、開発の、まだ工場ができない前に、新住区ができた途端にすでにフジマリモが絶滅しようとしている。非常に汚濁が進行している。こういうことは、これはもうアセスメント以前の問題ではないかと思うのです。こういう貴重な生態系を破壊しないために、やはり環境庁としては適切な指導を行わなければならないわけでございますが、それが全くなされていない、こう言っても過言でないと思うのですが、いかがでございますか。
  101. 信澤清

    信澤政府委員 私どもといたしましては先ほどから申し上げましたように、そういう貴重な植物なりあるいは鳥類の生息地でございますので、既存の法律によってしかるべき保護を図るべきだ。そこで県と御相談しました結果、あれは開発の区域から外す、同時に鳥獣保護区の指定の手続をとる、このようなお話でございましたので、第一義的にはそれによって保存の担保ができるというふうに考えたわけでございます。ただ、実際問題として、いま先生指摘のような、将来あそこに居住区ができますと、それによる排水の問題というのが当然出てまいりますので、おっしゃるようにアセスメント以前の問題として対応すべき問題だというふうに考えております。
  102. 古寺宏

    ○古寺委員 これは早速調査をして、一日も早くこの排水が田面木沼に流入しないような措置を県と相談をして早速実施していただきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  103. 出原孝夫

    ○出原政府委員 実情を早速調査いたしました上で、対応を考えてまいりたいと思います。
  104. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま自然保護局長からも答弁があったわけでございますが、ただ、この件につきましては、一応アセスの審査のときにもこういう形に措置をいたしております。それはいま先生お話のございますように、A住区とB住区と二つあるわけでございますが、A住区の方はもう人も移転をして、一部居住もしておるという姿に現在も相なっております。それで、このA住区の方につきましては、先ほどもお話ありましたような重要なところでございますので、田面木沼の水質保全を図るということで、活性汚泥法による二次処理をやった後に、さらに三次処理を施して放流するということになっておりますので、一応下流地域に対する影響は少ないのではないかというふうにまず考えられるわけです。それからB住区の方は、これはまだ計画でございまして、具体化の段階に入っておりません。いずれにいたしましてもこのB住区の方は、直接海域の方に排水をするというような計画になっておりますので、計画が具体化した段階におきましても、田面木沼なりに直接的に影響はない、こういうことでございます。  ただ、環境庁としては、この辺のことは、県の方からいろいろ説明を受けた際に、そのA住区の方、これは当面、原計画によらざるを得ないけれども、将来はB住区の処理水とあわせて海域に直接排水をするということを検討してもらいたいということを、県の方にもそういうことで検討方を話もし、また指導もしておるところです。したがいまして、そういうことになれば、A住区の方から二次処理、さらに三次処理をやって田面木沼の方に流れておりますけれども、それはいずれ将来は、むしろ青森県の計画ではそうでなかったわけでございますが、A住区もB住区とあわせて直接海域にということを検討してほしいということを申し上げてあります。
  105. 古寺宏

    ○古寺委員 私が申し上げたいのは、この開発が始まる以前においてもうすでにA住区ができたわけでございますので、その二次処理の排水の時代から、これは当然海域に放流するような措置をとらなければ、B住区ができて三次処理ができ上がってから海域に放流するというのでは、その前に田面木沼が汚濁をしてしまって、死の沼に化してしまうわけです。そういうことを申し上げているのですが、どうでございますか。
  106. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 私の説明がちょっと不十分だったかと思いますが、いまのA住区の方も二次処理をやった後で三次処理もさらにやっていま流しておる、ですから、県は大丈夫である、こういうわけですけれども、やはり田面木沼は生態系上その他大事なので、将来B住区の方は、これは直接海に流すという計画になっておりますから、まだ具体化しておりませんが、将来そういうことになった際にA住区の方もそちらにつないでしまって、いま三次処理をやって流してはおりますけれども、海に直接流すということも検討してもらいたいということを申し上げてある、こういうことでございます。三次処理は現にやっております。
  107. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、関連する小川原湖でありますが、淡水化のために潮どめぜきをつくるわけでございますが、この小川原湖の水位につきましては、プラス・マイナス・一メートルというふうに想定をして環境影響評価を行ったようでございます。そこで、この中の一つの大きな問題として、今後、淡水化に伴いまして、現在、小川原湖の仲には内水面の漁業共同組合があるわけでございますが、この中のいろいろな漁獲が減少するということは当然でございますが、その際に、この内水面漁業に対して水産庁としてどういうような住民対策をお考えになっておったのか、承りたいと思います。
  108. 伊賀原弥一郎

    ○伊賀原説明員 むつ小川原の開発計画に伴いまして、小川原湖の淡水化というのが出てくるわけでございますけれども、先生お話がありましたように、堰堤をいたしますので淡水化という現象が出てまいります。したがいまして、影響といたしましては、現在海水が一部入っているような生物相から、淡水化の状態の生物相に変わってくるということに当然なってくるわけでございます。したがいまして、海水系の魚類というのは減少いたしまして、淡水系の魚類が残ってくるという現象が出てまいります。さらに現在、河川域におきましては遡上してくる魚類があるわけでございますけれども、遡上してくる魚類については当然影響が出てくるであろうということが考えられるわけでございます。  それに対します考え方でございますけれども、水産庁の基本的な考え方と申しますのは、やはり全国にあります内水面にそれぞれ湖の特色がございますが、そういう特性に応じまして、内水面の振興をしていくという考え方をとっているわけでございます。  このむつ小川原につきましては、遡上する魚の問題もございますので、魚道等が必要ではないかという考えも地元から出ております。こういう点につきましては、設置する方向で関係方面にお願いをしてまいりたいというぐあいに考えております。  それからむつ小川原湖につきましては、ある程度時間がたちませんと湖全体としての環境なりそういうものが安定してまいりませんが、今後、県を指導いたしまして、この地域についての振興の計画というものが、それぞれ自主的に出てくるようになっておりますので、そういう点を踏まえまして対応してまいりたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  109. 古寺宏

    ○古寺委員 次に建設省にお尋ねしますが、潮どめぜきをつくるための調査あるいは漁業補償、こういうものがこれから始まると思うのですが、その時期がいつになっているのか、それからいまお話が出ました、魚道をつくる考えを持っているのかどうか承りたいと思います。
  110. 堀和夫

    ○堀説明員 お答えいたします。  現在、小川原湖につきましては本年度から実施計画調査に着手して、これを進めるべく鋭意努めているところでございます。それで先生指摘の点につきましては、私ども、河口ぜきの設置あるいは湖岸堤の建設、それからこれの水位低下に伴います補償の問題等を含めまして、現在、実施計画調査を行っておるところでございます。それから魚道の設置につきましては、遡河性の魚種につきましては魚道が有効であるということを十分認識しておりますので、これに必要な調査を現在、鋭意やっているところでございます。
  111. 古寺宏

    ○古寺委員 そうすると魚道はつくるというお考えですか。
  112. 堀和夫

    ○堀説明員 現在必要な調査をやっておりまして、必要であれば魚道の設置については積極的に考えていきたい、そういうふうに思います。
  113. 古寺宏

    ○古寺委員 それから、水位の変化によっていろんな影響が出るわけでございますが、現在建設省の方ではプラス・マイナス・一メートルという考え方でございますが、現地で調査をいたしますと、八十センチメートル水位が下がったときには約三百メートルの干がたができるわけです。そうしますというと、モ場と称しますいろいろな魚類の産卵の場所が失われてしまうわけでございまして、これはもう漁業は全くできないような状態になる、こういうふうに言われているわけでございますが、そういう八十センチじゃなくて一メートルという水位のとり方、それを基礎にして調査をなさるのか、その辺について、調査の方法について、水位の問題についてお答えを願いたいと思います。
  114. 堀和夫

    ○堀説明員 小川原湖の平均水位は、私ども五十八センチというふうに見ております。それで冬場が八十センチに上がりまして、冬を基準にいたしまして——計画最低水位かマイナス八十センチまで下がるということでございまして、この範囲内で、ですから冬から算定いたしますと一メートル、それから平均水位からいいますと七十センチぐらいの水位低下ぐらいになりますが、そういう計画で水位低下に伴う影響の問題を調査するという方針でございます。
  115. 古寺宏

    ○古寺委員 この平均水位から七十センチ水位が下がった場合の環境影響評価について、環境庁はどういうふうにお考えですか。
  116. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 豊水のときなりあるいは平水位のときなり、年によってもいろいろあるわけでございますが、ただいまの低水位のときにさらに最大八十センチ下がるという一応の計画になっておるわけでございます。この八十センチの水位低下ということになりました際には、先ほども先生からもお話ございましたように、相当の干がたが出るという場面は予想されるわけでございます。ただその際に、モ場の関係等との絡みも出てまいるわけでございますけれども、下がりました際に産卵の時期というのとどう絡んでくるかということがあるわけでございます。これは、そこに生息いたしております魚類によりましてさまざまでございます。産卵時期がちょうど下がります時期とダブってない時期がある、こういう魚類は問題がないわけでございますが、そのほか一部ダブるところもございます。ただ問題は、その際も、その時期というものは幅がございますので、多少影響は避けられないとは思いますけれども、一部、そういう面では完全に死滅するということはないのではないかという面もございます。そんなことで、影響はある程度これはどうしても避けられない、かように考えております。
  117. 古寺宏

    ○古寺委員 小川原湖の場合は、水揚げの金額にしまして大体十四、五億円あるようでございますが、そのうちの約六割、これはシラウオでございます。したがって潮どめぜきをつくりますとシラウオはほとんど望みがないじゃないか。あと残ったワカサギとかあるいはウグイとかコイとかいろいろな淡水魚でこれから果たしていままでの内水面漁業に見合うだけの水産業をやっていけるかどうかということを、住民の方は非常に心配をしているわけなんですが、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。やっていかれるとお考えですか。
  118. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、小川原湖の淡水化を図る、そのために河口ぜきをつくる、その際に八十センチほど水位が下がるという場面が年によってはあるということは計画上もはっきりしているわけでありますし、これによる影響というものもそこに住んでおります魚類によりまして影響の程度は違うわけですが、影響があることは否めないと思います。それで、この面につきましては、別途、これは環境庁というよりはむしろ関係の各省の方で打ち合わした線におきましては、個々の内水面の漁業振興の面、こういう面について十分配慮をするという趣旨の申し合わせもしておるということを聞いておりますので、そういう実態を踏まえ、さらに県の方の振興策というものもにらんで、地元の漁民の方々が漁業を営むという面についてもいろいろな助成等を行っていくことになろうかと考えております。
  119. 古寺宏

    ○古寺委員 環境庁では小川原湖でどういう漁獲があるかということ、水揚げ量その他を御存じでございますか。
  120. 林亨

    ○林説明員 お答え申し上げます。  水揚げの魚種別あるいはその種類別につきましての金額等については、詳細に承知しておりません。
  121. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、当然、今後、内水面漁業を経営している方々が開発によって犠牲にならないような住民対策というものを考えなければいけないわけですね。そういうような具体的な住民対策というものが盛られていないわけです。住民の方々がその点を非常に心配しているわけです。また、一つの例を申し上げますと、潮どめぜきをつくりますが、この高瀬川は一級河川でございます。小川原湖も含めて一級河川になっているわけです。その小川原湖に流入してくる関係水系もすべて一級河川の中に含まれているわけですが、そういう河川に対する汚濁防止対策、こういうものばお考えになっておられますか。
  122. 川本正知

    ○川本説明員 お答えいたします。  むつ小川原の開発に関連する河川だけではございませんが、全国的にも河川の水質汚濁対策につきましては、たとえば流域の下水の流入とかいろいろな面で総合的に対策を立てて進めておるところでございます。
  123. 古寺宏

    ○古寺委員 よく理解していないようですが、たとえば先ほど申し上げました田面木沼がございますね。これに流入している川は平沼川でございます。それからいま私が申し上げました高瀬川の水系といたしましては、赤川ですとかあるいは坪川ですとか七戸川ですとかいろいろございます。一つの例を挙げますと、赤川というのは、下流部はほとんど原始河川に等しい状態で、いつ水害があるかわからぬというような未改修の河川でございます。さらに坪川は御承知のように上北鉱山がございまして、これは鉱害の出ている川でございます。そういうような流入してくる河川に対する対策を全然やらないでこの小川原湖を閉鎖した場合に、当然汚濁の負荷というものはふえるわけですね。その場合に、内水面漁業が一体どうなるか、水質の汚濁がどうなるかということをきちんと事前評価をやらないで工事のみを急いで潮どめぜきをつくった場合には、取り返しのつかないような状態になるのです。したがって、そういう観点から、いわゆる関係水系の河川に対する対策というものを建設省としてはどういうふうに具体的に計画をお持ちになっているのか、またどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、その点を承っているわけです。
  124. 川本正知

    ○川本説明員 お答えいたします。  先生おっしゃいましたように、小川原湖に流入する河川は四つございますけれども、その中でいま環境問題が先生から御提唱になったわけでございますが、それとあわせまして治水対策といったようなことも御提唱なさいまして、その点についてちょっとお答えいたしたいと思います。  この四つの河川の中で一番治水対策の急がれますのは本川でございます。戸川でございます。これにつきましては、七戸川の支川でございます中野川あるいはいまおっしゃいました赤川、この中流部につきましては小規模河川改修事業というのをやっておりまして、七戸川の本川あるいは支川の坪川あるいは赤川の上流部分、それにつきましては局部改良事業というのをやっておりまして、そのうちの赤川の中流部の小規模河川改修事業につきましては本年度で完了する予定になっておりまして、そういった、いわゆる治水対策といった面では私どもの方の担当でございますが、今後ともこの総合開発事業と並行いたしましてさらに促進してまいりたい、そういうふうに思っております。
  125. 古寺宏

    ○古寺委員 いや、赤川の改修は、これは災害復旧で局部的におやりになっているのはわかりますよ。ですけれども、小川原湖という一つの水がめができるのです。それに流入してくる河川がいまの状態では汚濁を防止することはとても不可能なんです。それが進行した場合には内水面漁業というのは全滅するということは目に見えているわけです。そういうことを十二分に納得のいくように、なぜ事前評価の報告書を検討するなりあるいは関係庁でもって煮詰めて住民対策というものを考えなかったのか。その点が私はどうも理解できないのです。ですから、水産庁は、それではそういうふうに潮どめぜきをつくった場合に、水産動植物に対して影響がないというふうにお考えですか。
  126. 伊賀原弥一郎

    ○伊賀原説明員 先ほどお話し申し上げましたように、ブラキッシュな、海水が一部入ります状態の湖からすべてが淡水という状態に変わりますので、したがいまして生物相といたしましては、淡水で占められるような、それに相応いたしますような生物相に変わるということでございます。この場所におきましては、先生から先ほど御指摘がありましたように、遡上するシラウオのような魚もございますし、そういうものにつきましては当然湖の中では減ってくるということが出てくるわけでございます。それにつきましては、一応、シラウオ、ちょっと細かくなりますけれども、すぐに減るということにはならないのじゃないかという感じが出ていることは事実でございます。と申しますのは、遡上いたします時期に淡水が出ないような状態でございますと河川に上がってこないということでございますが、やはり遡上する時期に水の放流が当然あると思いますので、上がってくることは上がってくるであろう。しかしながら、長期的に見ますと、産卵をします場所なりそういうものがどう変化するかという問題がございますので、当然影響が出てくるということを言わざるを得ないのじゃないかというぐあいに考えているわけでございます。  それから振興関係につきましては、お話し申し上げましたようにやはりせきができましても水塊が安定いたしますのに若干の年数がかかってまいります。そういう状態を踏まえまして、青森県におきましては地元から自主的な振興計画を上げさせまして、それを踏まえまして協議をして対策を立てるという方向をとっておりますので、水産庁といたしましては、県のそういう計画を受けて検討してまいりたいというぐあいに考えている次第でございます。
  127. 古寺宏

    ○古寺委員 まあ、琵琶湖とかそれから霞ケ浦とかいろいろなところには、内水面の水産の試験場もあっていろいろ研究をしているようでございますし、また、三重県には国立の水産試験場もできるようでございますが、こういうような開発を進めるに当たっての水産行政から見た対策というものをきちっとやってもらいませんと、結局は大規模工業開発のために、いままでそこで漁業を営んでおった方々が何か転業しなければならぬということになる。生活の場を失われるわけです。そういうものをきちっと考えてあげるのが行政庁の役割りじゃないかと私は思うのです。そういうような住民対策というものがきちっとまだできていない。にもかかわらず、閣議了解でもって、もうゴーサインが出ているわけです。そういうことが後々、開発の問題といわゆる住民側のトラブルになっていろいろ問題が出てくるわけなんです。ですから、そういう問題をきちっとやっておくということが今後の開発を進める上においてはこれは絶対欠かせないことだと思うのです。せっかく最初のアセスメントに近いものをやっていながら、そういう大事な問題が抜けているということは非常に残念なことなんですが、今後ひとつ、そういうことのないようにきちんとした住民対策というものを水産庁も県とも連携をとって検討しておいてください。この次にまたお聞きします。  時間がなくなりますので次に移りますが、アメリカでは水質汚濁防止法というものを一九七二年に改正をいたしております。それで一九八五年までにアメリの水域からすべての汚濁を除去する、こういうような一つの目標を立てて汚濁排水の絶滅を期しているわけでございますが、これは、いままでのいわゆる下水道による処理のみではとうてい汚濁を防止することができない、こういう観点に立ってアメリカでは改正をしたいというふうにお聞きをしております。そして、この改正当時の環境庁長官の議会の証言では、実際に現在の政策、技術で湖沼や河川の汚濁を防止できないと知りながらこれをごまかして、いままでの技術で汚濁が防止できると、これ以上国民をだますことはできない、こういう環境庁長官の証言もあるわけです。したがってわが国におきましても、現在の下水道のみに依存するような水質汚濁防止法では今後日本の河川、湖沼あるいは水域の環境保全ということは非常にむずかしい、こう考えるわけでございます。そういう観点から日本の環境庁においても当然、現在のこの日本の水質汚濁防止法というものを検討してやはり改正する必要がある、私はこういうふうに考えるわけでございますが、いかがですか。
  128. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生からお話のございましたように、アメリカの水質汚濁防止法、これはたびたび改正がございまして、一九七二年の改正が大改正でございます。そういう改正がされておるわけでございますが、その際に、ただいまお話がございましたように一九八五年までに汚濁物の排出をやめる、要するにゼロディスチャージということを目標として掲げておるということでございます。  ただ問題は、こういう目標が掲げてあるわけでございますけれども、これについて排水基準の設定の主体なり手続なりは、どうもその法律自体に明確になっておりません。それからまた、これを達成するための具体的な達成方策についても明確になっておりません。そういうことで、いわば一つの宣言的な規定ではなかろうか、かように考えられるわけです。  それにいたしましても問題は、アメリカとしてこういう法律の中にそういう目標まで掲げておるということでございまして、それはそれなりの大きな評価をすべきだと思います。ただ、これをわが国に適用するあるいはわが国で採用するという問題につきましては、アメリカとわが国とでは国土の広さ等いろいろ国情にも大きな差がございます。したがいまして、アメリカのその考え方を直ちにわが国で取り入れるということは困難ではなかろうか、かように考えているわけでございます。  ただ、やはり水質保全ということは非常に重要なことでございますので、今後とも排水規制の適確な実施なりあるいは下水道の整備なり、そういう面で総合的に対策を講じて、環境基準の維持、達成ということに努力をしていきたい、かように考えておるわけでございます。
  129. 古寺宏

    ○古寺委員 厚生省にお尋ねしますが、現在の浄化槽の構造基準をつくった楠本さんの五十二年度の旅館業などの生活排水調査報告書によりますと、現在の単独処理浄化槽放流水質で基準に合格するものは半分もなく、極端な機種では二〇%以下である。その対策としては汚水の土壌還元しかなく、土壌を通過させた処理水は、下水道終末処理場排水を高級処理したものよりもなおAGP値が低い、こういう報告がなされておりますが、現在の単独浄化槽のいわゆる検査成績はどういうふうになっておりますか。
  130. 森下忠幸

    ○森下説明員 ただいま手元に持っておりますのは単独と合併と合わせた数値でございますけれども、厚生省や五十年度に一道六県に委託して行いました結果でございます。これは五百六十個所の浄化槽について調べまして、そのうちBODの適合率は七〇%でございまして、これは単独方式と合併方式のものと両方ございます。詳細に記憶しておりませんが、合併方式の方がよろしくて単独方式の方が悪いということで、この適合率は単独方式のものは七〇%を下回っておるというふうに私ども考えております。
  131. 古寺宏

    ○古寺委員 これは昭和五十一年度の全国環境衛生大会で発表された調査結果でございますが、埼玉県の川口保健所でやった調査でございます。これで見ますと、「全浄化槽二百十三基中、実地調査できたものは二百六基で、採水不能及びスカム充満、機能欠陥等の九十七基をのぞいて残りの百九基のBOD検査を実施した。その適合したものは二十五基(二三%)で、内訳はバッキ式七十五基の内十六基(二一%)、腐敗式三十四基の内九基(二六%)が適合した。」こういう成績が出ているのです。これで見ますと、総数から申しますともうほとんどの浄化槽というものが適合していないことになります。欠陥があってもうすでに調査できないものが九十七基もあるのですから。そういうような放流水の実態でございます。そういうものが河川や湖沼に現在流れているわけでございます。したがって、現在の水質汚濁防止法のみではとても環境基準の達成は無理だ、私はこう考えるわけでございます。  次に、これは小規模下水道施設基準をつくられた左合さんのお話でございます。この方は「日本の下水道」という座談会でこういうふうにお話しになった。「下水道のないところでも屎尿浄化槽をつくれば水洗便所が使えます。ところが浄化槽には二百何十種類もあるのにどれも放流水が余りきれいにならないので、これが河川汚濁の大きな原因になっています。そこでこれをできるだけ地下浸透させる必要があるのではないかと思います。」こういうふうにおっしゃっております。この方は日本の浄化槽の基準をつくられた際の副委員長でございます。  したがいまして、この楠本氏あるいは左合氏の発言を総合いたしましても、日本の浄化槽の技術では今後の河川の汚濁の防止はできない。したがって、この河川の汚濁を防止していくためにはどうしても土壌浄化法というものを用いなければならない。アメリカの水質汚濁防止法のねらいはこの土壌浄化法でございます。したがって、わが国においても、当然こういう点についてはこれから考え方の転換をしていかなければならない、こう思うわけでございますが、長官いかがでございましょうか。
  132. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 長官がお答えする前にちょっと、やや事務的な面で申し上げておきたいと思います。  先生おっしゃいますように、浄化槽のやり方と方式につきましても、いろいろ方式がございます。ただいまお話がちょっと出ましたような腐敗型あるいは曝気型、それから土壌浄化法ということに大別されると思うわけでございます。現在は腐敗型が非常に多いわけでございます。これが不十分だという御指摘もただいまあったわけでございますが、これがいま多いわけでございます。  問題は、先生からいまお話がございました、アメリカで、土壌浄化法というものを前提にして、将来ゼロディスチャージに持っていくというような目標等も立てているゆえんのものはそういう面があるというお話でございますが、土壌浄化法ということにいたしましても、これもまたいろいろやり方がございます。トレンチ方式なり、地下砂ろ過法なり、蒸発散浄化法なり、あるいは毛管細管浄化法なり、スプリンクラー灌漑なり、いろいろあるわけでございます。アメリカなどの広い国土であれば、スプリンクラー灌漑なりあるいは蒸発散浄化法なり、いろいろな措置がとれると思うわけでございます。先ほども、多少その辺、国土の広さの関係等々国情の違いもありますということを申し上げたわけでございますが、そういう面もあるわけでございます。  他方、わが国におきましても、この土壌浄化法につきましては、楠本先生なりあるいは左合先生の方からの御指摘もあり、またそれらの先生方が熱心に、日本の場合にどういうやり方があり得るかというようなことも、いろいろ御検討も積極的にされておられるわけでございます。  ただ問題は、この土壌浄化法をやりますときには、やはり地下水の汚染の問題とかあるいはウイルスの問題なり寄生虫の問題等々ございまして、やはり衛生上の観点といいますか、そういうようなこともございます。したがいまして、この土壌浄化法というのも一つのやり方でもございますし、またその際のやり方も、先ほど御紹介いたしましたが、いろいろございますが、土地の広さなりあるいは立地条件なり、砂質かどうかというような土壌条件なり、地下水脈があるのかどうかということもございますし、一概にどの方法が最適かということは断定ができないわけでございますが、ただやはり、こういう土壌浄化法というやり方は、いろいろな面でさらに研究、検討を重ねて、こういうものも一つのやり方として取り入れていく、現実的に取り入れられるということが望ましいのではないかというふうには考えております。
  133. 古寺宏

    ○古寺委員 いまお答えになりましたけれども、たとえば地下水の汚染の問題ですとか、ウイルスの問題ですとか、細菌の問題ですとか、それは古いもう明治か江戸時代のお話であって、私が申し上げている土壌浄化法というのは、もちろんそういう心配のない方式なんです。しかもこれは日本で開発されまして、アメリカの法律、水質汚濁防止法の目標を達成するためには、むしろ日本からそういう工法を輸出しなければならないような工法なんです。ですから、局長さんは勉強しないからそういうお話をなさるのであって、どうかひとつこの工法についても、専門書も出ておりますので、勉強していただきたいと思うのです。  そういう同じようなお考えに立っているのが、今度は建設省の住宅局なんです。建設省の住宅局は、地下浸透式のこういう土壌浄化方式の浄化槽を申請しても許可せぬのです。ところが、農林省はもうすでに始めている。環境庁でも一部推奨しているのです。もうすでに国立公園等では。これはすばらしいことだと思うのです。ところが、一番大事な日本の建設省の住宅局がこれを許可しないのですよ。これは一体どういうわけですか、建設省。
  134. 大田敏彦

    ○大田説明員 お答えいたします。  屎尿浄化槽につきましては、建築基準法におきまして一定の水質が維持できるように具体的構造を決めております。この構造を決める際には、いま先生お話しの楠本先生あるいは左合先生等々といろいろ御相談申し上げまして、適正な設計施工あるいは正常な使用、それから適正な維持管理が行われればまずまず水質が確保できるということを決めたわけでございます。  それは、先ほど来お話しのようなエアレーションとかいろいろシステムがございますけれども、最近、御指摘の土壌浄化による方法を、各種の考案を持って私どもの方に参られました。何分われわれも初めての考案でございましたので、いま環境庁の方からも申されましたような素人なりの判断もございまして、これもいろいろ各機関にお諮りしまして間違いないという結論を得ましたので、一つはすでに認可しております。一応そういう周辺に対する諸条件が満たされれば、今後ともどんどんこの方策で進めていくつもりでございます。
  135. 古寺宏

    ○古寺委員 大体建設省は、二〇%ぐらいしか適合しないようなそういう欠陥浄化槽はどんどん許可しておいて、心配のないものは許可しないというその姿勢がまずおかしいのです。しかも、戸田においてはすでにこの土壌浄化方式による処理場の実験がいま行われているでしょう、大規模なものが。そういう非常に矛盾した行政、これでは私はいかぬと思うのです。欠陥のある構造のものは許可しておいて、欠陥のないものは許可しない、こういう姿勢では日本の河川や湖沼や水域はきれいになりません。  そういうことで、局長さんにお尋ねしますが、環境基準をつくりましてからすでにもう五年になるわけでございますが、その中には可及的速やかに解決しなければならぬものもございますし、あるいは五年以内に解決するものもありますし、いろいろあります。イ、ロ、ハがございます。そういうものについて、やはり日本の置かれている現状です。確かに水質汚濁防止法では事業所から排出されるものは基準をつくってやっておりますが、この前の瀬戸内海の赤潮の問題にもありますように、燐や窒素の問題もございます。ところがこの燐、窒素については、土壌浄化法でやりますと非常に除去率がいいわけでございます。こういう問題から考えてみまして一番大きなのは、やはり生活排水、この問題をどう解決するか、これが水質汚濁の一番大きな問題ではないかと思います。下水道の現在の状態を見ましても、環境庁長官がおっしゃるように、まさに後進国並みで、もう問題にならないような日本の下水道行政です。そういうものをカバーして、そして日本の川や湖沼や海をされいにするためには、やはり水質汚濁防止法というものを日本においても検討しなければなりませんし、そういういろいろな水質汚濁のいわゆる原因を検討して、それに対する対策というものをきちっと考えていかなければならない時期だと思うのです。したがいまして、まず環境基準の見直しをおやりになるお気持ちがおありかどうか、承りたいと思います。
  136. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 環境基準の見直しをやるかどうかというお尋ねでございますが、健康項目、生活環境項目がございますけれども、特にお尋ねの趣旨は、生活環境項目の環境基準について見直しをするかというお話だと思いますが、環境基準の見直しは、科学的知見等がさらに進んであれした場合においての見直しということは当然あり得ると思います。  ただ、環境基準は設定したものの、まだ達成されておらぬ、四十五年に当てはめたものは、すでにもう五年たったと見ても、まだ一〇〇%達成しているわけではない。したがって、見直すということが、そういう達成状況から見て非常に緩い線にするのだというような感じの見直しであれば、いまのところ見直しをやる考えはございません。
  137. 古寺宏

    ○古寺委員 私は、現在の基準を緩めるなんという、後退するなんという考えは毛頭ございません。むしろ厳しく、たとえばいままでBだったところをAにするとか、CのところをAに類型の当てはめをするとか、それから五年間に達成しなければならぬものがいまだに達成できていないところにはいまの土壌方式を用いるとか、下水道をもっと予算をふやして進めるとか、そういういろいろなことをやって、むしろ厳しく見直していく必要があるのじゃないかということを私は申し上げているのです。そういう見直しでございます。  それともう一つは、先ほどからお話を申し上げましたむつ小川原の湖沼群につきましては、まだ環境基準が決まっておりません。この問題についてもあわせて御答弁をお願いしたいと思います。
  138. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 環境基準は、先ほどもお答えいたしましたように、そのものを見直すという考えはいまのところ持っておりません。具体的には、各水域ごとに当てはめてございます。問題は、その当てはめたものが全部達成しているかということについては、しておらないところがあるわけです。問題は、その環境基準の達成を維持するために排水の面なり、あるいはその家庭排水の浄化といいますか、そういう角度の施策が達成もしていないのであれば、達成するというのが行政の目標でございますから、それをさらに徹底をさせていく必要があると思うのです。ですから、下水道の方も、これは建設省の所管でございますけれども、建設省の御協力をいただきまして普及率を高めていく。  それから浄化槽も、ただいまいろいろ御指摘がございましたけれども、浄化槽は構造基準は建設省、維持管理基準は厚生省、五百一人槽以上のあれについては排水について水質汚濁防止法、三つどもえになっておるわけでございます。こういう面につきましても、先ほども検査に合格していないのが相当あるという御指摘もございますので、その点はさらに、環境基準を達成されてない水域がまだたくさんあるということを踏まえて、そういう面の方も関係各省ともいろいろ話し合いながら、環境基準が守れるようにいろいろなそういう面も協力をしていただき、拡充強化していくということで考えてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  139. 古寺宏

    ○古寺委員 そういういまの考え方では、たとえばこの前の瀬戸内にしましても、赤潮の問題は解決しないわけですよ。燐や窒素のカットの問題もあります。ところが、まだ燐や窒素の基準も決まっていないわけでございましょう。そういうものに対する完全な三次処理なり高次処理なりというものがまだ技術的にはっきり開発されておりません。したがって、そういう点から考えますと、やはり現在の日本の水質汚濁防止に対する考え方をもう一遍根本から見直して、河川や湖沼や水域というものをされいにするということを検討する必要がある、私はそう考えるのです。したがって、この点については、今度は長官もおかわりになるかもわかりませんが、いろいろいままでのやりとりをお聞きになって、この日本の水質汚濁防止法、これはアメリカから来た下水道を基礎にしてつくった日本の水質汚濁防止法です。そのアメリカがもう改正しているのですから、日本も当然検討せぬといかぬのです。そういう観点から、ひとつ最後に長官の御答弁をお願いします。
  140. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 アメリカのゼロディスチャージが具体的にどういう方式で志されておるのかよく存じませんが、いまのお話ですと、日本で開発された土壌浄化法というものを採用するということでございますが、そこのところまでつまびらかにいたしませんけれども、私たちは一種の宣言的な規定だと思っておりましたけれども、いま御指摘のように日本製の技術というものが利用されるというなら、これはやはり私たちは積極的に考えなくちゃいかぬと思うのです。これは要するに技術の問題だと思いまして、先ほど田面木沼ですか、そこに新しくできた住宅地で、二次、三次処理していながらその沼がそれだけで汚染されるということですと、いま必ずしもすべて疑念が晴れたとば思えないABSあるいはLASというものも三次処理でも残るということでございますし、そういうものを含めまして新しい技術というものを費用対効果というものがバランスとれるなら、私たちはそれをどんどん採用すべきですし、その結果、また、いままですべての水域がAということは至難のわざであったものが、案外、新しい技術で、これは楽観を許さないかもしれませんが、環境基準そのものがかさ上げされるという可能性も出てくるのじゃないか、そうするためにも、いま開発されている新しい技術というものを環境庁としても積極的に検討してみたいと思います。
  141. 島本虎三

    島本委員長 この際、午後二時五十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時五十八分休憩      ————◇—————     午後二時五十三分開議
  142. 島本虎三

    島本委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件調査のため、本日、参考人として、本州四国連絡橋公理事蓑輪健二郎君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 島本虎三

    島本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  144. 島本虎三

    島本委員長 質疑を続行いたします。土井たか子君。
  145. 土井たか子

    ○土井委員 運輸省の航空局長の方で、お時間の御都合がおありになるようですから、先にその問題から質問に入らせていただきたいと思います。  今回、大阪国際空港のエアバスについて、この騒音基準を九十九ホンというふうにお考えになっているやに私たちは存じておりますが、これを御決定になるまでのいきさつについて御説明をまずいただきたいと思います。
  146. 田代雅也

    ○田代説明員 ことしの春、エアバスを大阪空港に導入いたします際に、大阪空港の北部に久代小学校というところがございまして、そこに騒音を測定する施設がございます。それまでそこの上空を通りますジェット機の騒音を百七ホン以下という規制を設けてございました。それが現在に至っておるわけでございますけれども、エアバス導入時に、エアバスというものが在来の飛行機に比べまして騒音がかなり低いということから、エアバス導入後六カ月の間に久代小学校の騒音規制値を、エアバスに限りまして百ホン以下にしたいということを環境庁あるいは地元の方に運輸省としてお約束したわけでございます。その後六カ月間のエアバスの実績を踏まえまして、その六カ月の期限が到来いたします先週の十一月十九日までに下げようということで、九十九ホンのエアバスに関します規制値を設けまして、地元に伝えたところでございます。
  147. 土井たか子

    ○土井委員 その離陸地点についてはいまおっしゃった久代小学校を測定点としてお考えになっておることは従来より同様でありますが、九十九ホンという騒音値に対しての算出の根拠と申しますか考え方と申しますか、それをひとつお示しをいただければと思います。
  148. 田代雅也

    ○田代説明員 現在大阪空港に発着しておりますエアバスは、目下のところ全部国内線でございます。エアバスの騒音につきましては、一般の飛行機も同様でございますが、そのときの気象状況温度あるいは飛行機の積み荷、旅客等の重量によりましてかなりのばらつきがございます。しかしながら、ことしの春にエアバスを導入しました後の実績を見ますと、エアバスにつきましてはおおむね、従来の在来機に比べまして七、八ホンから十数ホン低くなっているわけでございます。国内線につきましては一応九十ホンとかその前後の値が、かなりばらつきがございますけれどもあるわけでございます。しかしながら、その九十九ホンというものを設けましたことにつきましては、現在、大阪に発着している国際線が在来機で飛んでいるわけでございます。これはかなり高騒音機もあるわけでございますけれども、規制値と申しますのは最大のリミットでございまして、それを超します場合には、運輸省の方でその航空会社に警告をする、あるいは始末書を取る等の規制をしているわけでございますので、その最高値につきましては、将来、国際線の機材も大型化され、エアバスになることも予想しまして、一応九十九ホン程度が現状において適当であると判断いたしまして設定したわけでございます。
  149. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御説明をお伺いしておりますと、どうもしかとした根拠が、もう一つ本当にこの騒音というものが人体に与える影響等々を勘案をして決定されたといういきさつではないようにお伺いいたします。それはもうはっきりいまの御答弁でも私は言い得るかと思うのですが、かつてこのエアバス導入について、いわゆる環境庁との間での十三項目の問題がございます。環境庁から運輸省に対してエアバス導入に関する申し入れ事項十三項目でありますが、これに対しまして運輸省から回答が出された、その回答の内容で、これは当時私たちも指摘をしたところでございますけれども、いわばこれから飛ぶエアバスの問題でございますから、実測値はその当時には当然のことながらわかりません。したがって、いろいろここに出されておりますデータというのは、あくまで騒音予測値でございます。しかもその騒音予測値も、この求められた根拠というのが、言うまでもなく、米国連邦航空局が開発いたしました騒音予測値に従って、種々これに対しての予測が立てられているわけでありますが、この米国連邦航空局が開発して、そして日本の運輸省航空局が修正をされた航空機騒音予測手法から求められた、ただいまのお話の久代小学校で、離陸地点の測定地点で求められた予測値の表が載っておりますが、これを見ますと、当時、私たちが問題にしたのは、現用機をDC8に求めていらっしゃる。DC8というのは御承知のとおりに最も騒音が高い機種でございます。この最も騒音の高い機種と、いまから問題にされようとするボーイング747であるとかあるいはL一〇一一等々を比較してここに表として表示されているわけでございますが、これから見ますと、DC8とボーイング747を比較いたしますと、これで十一ホンも747の方が下回るという予測値になっております。またロッキード一〇一一になりますと、さらにそれが下回りまして八十二ホンになるという予測値がここに書かれておりますから、現用DC8機と比較いたしますと、これは十三ホンも下回るというかっこうになるわけであります。こういうことからしますと、地元住民の方々が、こういういろいろなデータから、エアバスが導入されれば十ホン以上騒音も減るに違いないというふうな考えを持っていられたことは事実でありまして、今回これが九十九ホンということになりますと、これはどうも現用機と余り違いはないのではないか、現用機と余り違いがないにもかかわらず、エアバス導入についてさらに機数をふやそうとしておられることに対しては理解できない、これに対して了解できないという声が現にあるわけでありますが、従来エアバス導入に向けて出されましたこの予測値からいたしますと、現在飛んでおりますエアバスの実態というものは少し事情が違ってきたというふうにお考えになっていらっしゃるのですか。その辺はどうなんですか。
  150. 田代雅也

    ○田代説明員 航空機の騒音と申しますのは、ただいま申し上げましたようにそのときの気象状況温度、それから特に航空機の積み荷の重量によりましてかなりのばらつきがございます。エアバスにつきまして同じような条件のもとで在来の機種と比べますと、これらもばらつきがございますけれども、先生指摘のように約十ホン前後の騒音値の低下を示しているわけでございます。  それで、現在、久代小学校に設けてございます在来機種の騒音の最高規制値が百七ホンになっているわけでございますが、エアバスにつきましてなぜそれから十ホン下げた九十七ホンにしなかったのかという趣旨の御質問だと思いますけれども、現在、大阪空港から発着しております国際線の在来機種で最も遠いところに飛んでおりますのがクアラルンプールでございます。遠くに飛びます場合には油をたくさん積みますので、自然、騒音値も高くなるわけでございますけれども、そういったものを予想した場合に九十九ホン程度が適当である。逆に申しますと、九十九ホンの規制値をエアバスについて設けましても、実際にクアラルンプールあるいは香港、マニラ等の国際線を飛びます場合には若干の積み荷制限をする必要があるわけでございますけれども、一応その辺を彼此勘案をいたしまして九十九ホンという値が妥当であると判断して設けたわけでございます。
  151. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、エアバス導入について機種別の騒音予測値をお出しになったこういういろいろのデータの中には、燃料をたくさん積む国際線を念頭に入れての予測値がなかったということが言えるのですか。いかがですか。
  152. 田代雅也

    ○田代説明員 先生のお手元にございます予測値の表がどのようなものかちょっと存じませんけれども、いま言いましたように飛行機は距離によりまして目方が違うわけでございますので、それぞれについてある程度の予測をしているわけでございます。それが近いところで在来機に比べてエアバスはどれくらい減るか、遠いところでどれくらい減るか、ばらつきがございますが、大ざっぱに申し上げて全体がおおむね十ホン低下するというふうに判断したわけでございます。
  153. 土井たか子

    ○土井委員 おっしゃっていることの根拠からいたしますと、本来何のために騒音規制というものが考えられてきたかという趣旨を十分生かして今回の騒音規制ということをお考えになった向きが、もう一つどうも定かでないわけであります。  それで、ただいまの現用機についても百七ホンという数値ですが、これはすでにほとんどの機種について、それぞれの飛行機が違反しないような上限の数値をとったのがいわば百七ホンという基準値ではないかというふうに考えられているわけでありまして、どの飛行機でもが守れるような上限を基準値として置くというのは、本来、基準値を設定するのに際してはどうも取り扱い方が間違っていやしないかというふうにわれわれはこの問題をいままで考えてまいりました。それで、今回のこの九十九ホンという運輸省の設定に対しまして環境庁としてはどういうお考えを持っていらっしゃるかをお伺いしたいのです。
  154. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 環境庁としての考えでございますが、環境庁として、普通飛んでいるときには大体八十二から九十二ホンの間だろう、ですから実際の音は低いというぐあいに思っております。ただ、七月の末までずっと飛んだデータを見せていただきますと、一番高いのが九十五というのがありまして、そのときにはまだ遠距離の国際線が入ってない。そうしますと普通は誤差が二デシベルぐらいはどうしたって起こるということを考えますと、運輸省の言った九十九ホンというのは、批判はあるかもしれないが、限度として組むときにはそういうことになるのではなかろうか。やはりある程度の制約は加わるだろう。飛行機のことになると運輸省ですが、ずっと前から議論した中でも、飛行機はやはり離陸か着陸のときに事故を起こすわけです。事故という、無理を起こさすようなやり方というのは、言われるとどう見てもわれわれは弱いわけでして、実際上は八十二から九十二ぐらいで飛んでいる、ただし分布化と、もう一つは誤差と長距離飛行機ということを考えると九十九というのは仕方がないのじゃないだろうかという考えを持って、運輸省から聞いてそれに承知をした状態でございます。
  155. 土井たか子

    ○土井委員 それは仕方がないのじゃないだろうかとおっしゃるのには、それぞれいま御説明を賜った理由に基づく御意見であろうかと思いますが、しかし、どうなんでしょう。環境庁が出されている環境基準でございますが、中間目標値というのを五十三年には具体的にしなければいけませんし、五十八年に向けてこれで環境基準が達成できるかどうかという課題を背負ってのこれは騒音規制値だと私たちは見るわけでありますが、このままいきますと九十九ホンということで取り扱いを進めます。そうすると、これはエアバスの機数をかなりふやしていかないと、実は中間目標値にもそれから最終の五十八年以降に到達しなければならない中身にもかなわないだろうというふうに思うわけでありますが、これはいかがですか。
  156. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 例のWECPNLの単位を下げてくる一つの手段としてエアバスを使われるということは事実でございます。ただWECPNLとこの九十九ホンの意味の違いは、九十九ホンは一機ずつ飛ぶ飛行機がそれよりも下ということでございますが、WECPNLの方は全体の便数や何かの操作が入って出された数字であるというところに相違が出てくるのではないか、そういうぐあいに考えておりますので、一機ずつの場合にはやはり保安上の問題の考慮も全然抜きにすることはできないのじゃないだろうかということを考えたわけです。そういうWECPNLを下げるという意味でエアバスが入ってくるということは確かに理屈の立つことではございますが、慎重に進めていくべき話だ、そういうように思っております。
  157. 土井たか子

    ○土井委員 それはこういうことじゃないですか。九十九ホンということでいまエアバスについての騒音規制値というのが出されますね。そうしますと、WECPNLではかっていく内容ではありますけれども、環境基準に合致する方向でこれも考えていかなければならない騒音規制値でありますから、騒音規制値というのはあくまでこの環境基準と無縁ではありませんね。したがって環境基準という中間目標値を達成するために、やがて五十八年に向けて環境基準を具体的に実行することのために、この九十九ホンというのが、これでよろしいということであったら、それ自身を生かすためには、現在のエアバスの機数、現在のエアバスの回数であっては、いつまでも環境基準達成はむずかしかろうと思うのです。だから、環境基準達成に向けていまの九十九ホンということでエアバス導入を以後ずっと機数や回数をふやしていかないと、実は五十三年度中間目標値にも到達しないであろうというふうに私たちは考えるのですが、この点は間違っていますか。
  158. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 例のWECPNLであらわされている環境基準と九十九ホンは全く無縁のものであるか。全く無縁のものではございませんが、九十九ホンというのがWECPNLの中に当然の権利として組み込まれるものでは毛頭ないわけでございまして、これは、それを超えないような飛び方をしろよということになっているわけであります。実際飛んでいるのは、分布表から見ますと、九割以上は九十ホン以下となっておりまして、別に九十九になったから大きな音を出して飛んでやろうというのはまずあらわれないわけでございまして、遠距離のウエートのかかる飛行機ということの一機だけがそっと飛ぶときに、そういう問題が誤差も入れると絶無とは言いがたいということで、ダイレクトにリンクされて御論議になりますお気持ちはわかりますが、サイエンティフィックには、科学的にはそこまでのところを言うのは少し無理なのではないかというふうに思います。
  159. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、結論としては現在と余り変わりがないというふうな実感をみんなが持っているわけですが、私も今回の九十九ホンというのをお伺いして、やはり激甚地域の住民の方々の持っていらっしゃる実感というものが非常によくわかるわけです。エアバスが導入されたからといってさほど騒音は変わらない。これが変わるというただ一点に尽きる問題でエアバスの導入というのはあれほどいろいろと執拗に御説明をされ、そしてそれに対してわれわれも涙をのんで、それこそ百歩も千歩も譲ってその辺は協調するという気持ちになったのに、今回の九十九ホンを見ると、われわれが譲ってきた、われわれがそういう問題に対して忍びがたきを忍んで協力をしたという意味がむしろはぐらかされた。中にはだまされたという気持ちだということまではっきりおっしゃる方々があるわけでありまして、この方々のそういう気持ちに対して、いやそうではないという説得性がきちっとあるような物の言い方というのは果たしてできるかというと、私には自信がありません。もしこれは橋本局長だったらどうおっしゃるか、住民の方に対しての説明はそういう場合にはどう言えば納得していただけると思っていらっしゃるか、聞かせていただきたい。
  160. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 納得していただけるというような確信を持てる場合はわれわれの場合はほとんどないと思いますが、いままでの飛んだデータの分布表を示しまして、九割以上は九十デシベル以下になってきておるということと比較をして、そしてこのWECPNLの計算にどう響くかという問題と、それからあくまでも九十九ホンを決めて、これを超すものは断固抑えなければいけないのじゃないか、まさかこれを超えるものはあるまいというように私は思っております。ですから、厳しい姿勢を一方に示すということと、実績のデータのチャートを示して、そして計算を示して説明をいたすということ以外にはやりようがないのではないか。ただ音だけの問題ではございません。ほかの対策とリンクした問題でございますから、私は、そのようなやり方をする以外にないと思います。  また、十一市協等にはこれを決める前によく相談をしなさいということは、私の方から運輸省の方にも申しておりました。
  161. 土井たか子

    ○土井委員 運輸省にお伺いをしますが、いまこれを決める前に十一市協によく相談をしなさいというふうに申しましたという橋本局長からの御答弁でございますが、これは十一市協の方とは連絡を密にして、十一市協の方も、九十九ホンでなるほど結構だというふうなかっこうでの決め方であったのかどうか、その辺はいかがなんでございましょう。
  162. 田代雅也

    ○田代説明員 ただいま橋本局長の言われましたとおり、私どもの方は地元と十分調整をいたしたわけでございます。その過程を申しますと、私どもの方は、当初の地元並びに環境庁に出しましたお約束が百七ホンを百ホン以下に下げるように努力をするということでございまして、私たちとしましては、ただいま私、説明いたしましたように、遠距離路線にエアバスが導入されるときの場合も考える、それからもちろん安全の問題もございますけれども、エアバスの経済性を生かすために、たとえば積み荷制限をできるだけ少なくして済むような規制値というものを考えまして、一応百ホンということでどうだろうかということで地元に提示したわけでございます。地元の方は、やはり百ホンでは少し高いし、できれば九十九という数字でどうだろうかということで、もちろん十一市協の中にいろいろの御意見もございましたが、私どもとしては、最終的にその十一市協の事務局におきましても九十九ホンという数字で御納得いただけるのではないかと理解しているわけでございます。
  163. 土井たか子

    ○土井委員 さらに、現在の騒音規制値というのが、午前七時から午後八時までが百七ホンで、午後八時以後は百ホンとなっておりますね。今回エアバスについては、時間的に午後八時以降については別枠でこれをさらに厳しく規制するというお考えは全くないわけでありますか。
  164. 田代雅也

    ○田代説明員 ただいまの規制値が在来機とエアバスと二段構えになっておるわけでございます。それで八時以降については、在来機につきましても百ホンという数字になっているわけでございますが、やはり八時から九時の間に飛びます飛行機で、うんと音の高いものをできるだけ避けるという趣旨で時間を切っているわけでございますので、エアバスがその間に入りましても在来機よりは音が低いわけでございますので、私どもといたしましては、八時以降につきましては二段構えの数字をつくらなかったわけでございます。
  165. 土井たか子

    ○土井委員 従来から午後八時以後は百ホンというふうに昼間のホン数よりもはるかに抑えた規制値で臨んでこられたわけですが、今回そうすると午後八時以後は百ホンで抑えるというふうなことを如実に運輸省としては提示なすっている内容だということになってまいります。現用機で午後八時以後は百ホンということでありますから。したがいまして、これを機会にエアバスについて九十九ホンとおっしゃるのだけれども、現用機についても改めてこの騒音値に対しての再吟味をするというふうなお考えがないかどうか、どうですか。
  166. 田代雅也

    ○田代説明員 環境庁あるいは地元に対しまして私どもから従来申し上げておりますことは、現用機で非常に音の高いものについてもできるだけその音を低くすることが、より地元の方々の御要請にこたえる道であるというわけでございますので、私どもとしましては、たとえば飛行方式を再検討するとか、もろもろの方法で今後も現用機材について音を引き下げるよう調査、検討を続けていきたいと思うわけでございます。しかしながら、現在飛んでおります現用機材の中に、その音を下げることは非常にむずかしいものもございますので、当面、努力はいたしますけれども、いつまでにこれを下げるということにつきましてはなかなか言えない状況にあるわけでございます。
  167. 土井たか子

    ○土井委員 このエアバス導入については、導入以前は大変熱心でございましたが、導入後に対しての対策というのが導入以前に比べて熱心であるかどうかということは、私ども多大の疑問を持たざるを得ないわけであります。  それで、きょうは航空局長に御出席をいただいているわけでありますが、航空局長、このエアバスの導入について、あの前夜わざわざ大阪まで足を運ばれて、現地の特に激甚地域の方々とお話をされたときにも、エアバスは現用機に比べると約十ホンは騒音が低いというふうな御説明をされた。それは私も現場におりましたから、御説明を承ってよく覚えている一人でございます。そういう点からいたしますと、今回の九十九ホンということに対して、先ほど私の意見は科学的な根拠に乏しいという御発言を橋本局長もされましたけれども、これは一々あそこの激甚地域の住民の方々が科学的根拠を持っていい、悪いとおっしゃるわけではありませんで、これは一番切実な自分のはだ身にこたえる日常の受けとめ方を持っておっしゃるわけであります。したがっていま飛んでいる現用機と比べるとエアバスの方がはるかに低いとはだれも思っていらっしゃらないようでありまして、そうそう違いはないじゃないかと思っていらっしゃるところに、現在それでもなおかつ九十五ホン以下の騒音で飛んでいる飛行機に対して九十九ホンまでは結構だということになると、エアバスに対してもいまよりも大幅に騒音は出してよろしいというふうな取り扱いになるのじゃないか、そういう率直な、単純素朴なと申し上げてもいいと思いますが、感想をお持ちになるのは、私は至って当然だと思うのです。九十九ホンというのは、いま御説明を賜った限りでは、十一市協からもこれに対して内諾があって、いろいろ意見はあったけれども、結論としてこれでよかろうということで決まったというふうないきさつの御説明でございますが、もう一度この内容に対して再吟味なさるというふうな余裕はお持ちになりませんか。いかがですか。
  168. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。  九十九ホンの問題につきましては、先ほどから環境庁の局長あるいは私どもの部長がるる御説明申し上げておりますように、これはあそこから飛ぶエアバスの中でもきわめて原則ではないものの一つをとった場合の上限値ということでございます。したがいまして、ほとんどのエアバスはその用途等から考えまして、橋本局長のお話では分布状況から見まして、ほとんどが九十デシベル以下におさまっているということでございますので、結局、地元の方々の受ける騒音被害というものをはかる基準がWECPNLであると思っております。そういたしますと、九十九という例外的な上限値というものぎりぎりの飛行機がもちろんあるといたしましても、問題はやはり分布状況によって比較的音の低いエアバスの数が多ければ、現実に地元の方が受ける騒音被害は少なくなるわけでございますから、そういった意味で、現在の分布状況を守っていけば、現実問題として地元に対する騒音被害をこれ以上大きくすることは防げるのではないかと思います。もちろん、九十九までいいのだということでみんなが九十九近くまでやりましたら、WECPNL数値でうんと上がってしまいますから、これはできません。したがって、私どもの仕事の目標は五十三年、五十八年のWECPNLの数値でございますから、それをやるためには、現在の音の低いエアバスの分布状況を変えないという点を中心に指導することが大事であると思います。そういたしますと、九十九ホンという上限値は変えなくても、現実に地域を騒音から守るという行政は可能であるというふうに考えております。
  169. 土井たか子

    ○土井委員 こういう問題も含めまして、今回は特にエアバスに限って就航後六カ月以内にこの基準を定めたいということがエアバス導入のときの運輸省の当初からの御計画でございましたから、したがって、六ヵ月以内ということでこのたび九十九ホンという数値をお出しになったやに私たちは理解しているわけでありますが、もう一つは、現在飛んでいるエアバスが九十五ホン以下ということであるにもかかわらず九十九ホンと言わざるを得ないのは、国際線就航を目前に控えて、国際線ということも加味して考えるならば九十九ホンが適当であろうというふうなお考えだというのは先ほどの御答弁でもいただいているところであります。ところが、九十九ホンという問題も含めまして、航空局長がだれよりもよく御存じなのは、あの激甚地域の方々と取り交わされた十項目にわたる覚書であります。これに対しては、以後いろいろな問題に対処するに際して、激甚地域の住民の方々を交渉相手としてきちっとこの方々との話し合いをやっていくということもこの覚書の中の約束ごとの一つになっております。今回のこの九十九ホンという問題は、まさに久代小学校を測定地点として考えているという関係から申しましても、川西や豊中の激甚地域の方々との間での、発生源である飛行機の騒音規制値に対してのお話し合いがなければならないはずだと思うのですが、この点はいかがなっておりますか。
  170. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私どもは、エアバス導入のときに、久代小学校でのエアバスの規制値を百ホン以下に下げるという約束を地元の訴訟団の方とした覚えはないわけでございます。訴訟団の方といたしましたのは、激甚地対策ということで緑地等を進める、あるいは各種の対策を講じまして、地元の、特に激甚地の方々を騒音から守るということを中心にお約束したわけでございますが、百ホン以下にするという点はいわば行政的に、たしか伊丹市あるいは川西市、それらを含む十一市協のベースでお約束したことでございますので、先ほど飛行場部長がお話し申し上げましたように、そういったべースでは事前にお話をいたしまして御了解もとって九十九ホンに決めました。したがって、訴訟団との間でちょっと約束に反するじゃないかという点はないと思います。
  171. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、こういう騒音規制値ということをお考えの限りは国際線にエアバスを導入するということに対して私たちは賛成できないというふうな意見が地元にあった限りにおいては、どういう措置を運輸省としては講じられますか。
  172. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 実は、エアバスの乗り入れを五月から始めてまいりまして、四十六便まで入れ、それに伴いまして全体のジェット機の便数を下げまして、エアバス乗り入れ前に二百三十便ございましたのを総数で二百便に下げたという点ではかなり騒音を低くする効果があったと思いますが、今日、私どもが抱えておりますこの後の問題としましては、国際線の問題がございます。私ども、やはり大阪空港というところから外国の空港に行く路線というものを無視することはできませんし、また、そういった路線につきましても国内と同じようにエアバス化をしていくということが騒音対策あるいは需要対策から見て適当であると考えておりますので、四十六便以後の話につきましては、やはり国際線につきましても必要最小限度のエアバス化はさせていただきたいということで地元とお話ししているわけでございます。  今回、百を九十九に下げる、一ホンぐらいだと言われるかもしれませんけれども、百を九十九に下げるだけでも、それによってあるいは就航不可能になる路線が出てくるかもしれないということもございまして、この問題は国内的な問題だけで片づきませんで、国際的な問題等もございますので、余りあこぎなこともできない。そこで、もちろん全体としては環境基準WECPNL数値で守るわけでございますから、国際線のエアバス化につきましてもおのずから限界がございますけれども、やはり必要最小限度のものはエアバス化をしていかざるを得ない、こう考えまして、地元の方に対しましては、私どもはあくまでも大阪空港周辺の地域住民を騒音から守るという点を主眼にエアバス導入を考えているのですということをるる御説明申し上げまして、また、四月三日にお約束いたしました十項目につきましても、遅々として進まないという御批判もございますが、一生懸命やっております。その点についても、従来の努力の経過をお話しし、また、最近、三つ、四つにつきまして具体的にお約束を実現しつつある状況もお話いたしまして、何とか私どもの考え方を御理解いただいた上で国際線のエアバス化につきましても取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
  173. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、国際線のエアバス化というのは、航空局とされては、一体何月ごろからそれの導入を考えていらっしゃるわけですか。
  174. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 本当は国際線のダイヤは一年二回改定がございまして、十一月と四月でございます。したがって、本当は十一月のいわゆる冬ダイヤのときにこれを認めようとしていろいろ努力いたしましたけれども、なかなか地元とお話し合いがっきませんで、十一月から乗り入れるということはいま断念しておりますが、やはりなるべく早く地元の御了解を得て乗り入れを認めるようにしたいと思っております。年内は無理かと存じますが、年明け早々にでもこれは何とか実現したいものだと考えております。
  175. 土井たか子

    ○土井委員 エアバスの問題に対して国際線にもこれを導入するということを現実に実行なさる以前にやはりやっていただかなければならないことがあるようであります。実は、約束が具体的に果たされない限りは、住民の方々が約束が先だとおっしゃるのは当然なことだと私は思いますので、ひとつそういう意味も含めまして、いま局長に二、三お尋ねをして確認をしておきたいことが出てまいっております。  一つは、最近、成田空港開港のときには全室防音というものが具体的な問題になりますために、成田以前に、もうすでに羽田であるとか大阪であるとか福岡であるとかいうふうなそれぞれの空港周辺の特に激甚地域の方々は、成田にできることかどうしてこちらにいまできないのだろうというふうな意見をお持ちになるという、率直なこれに対しての読みがあります。最近、新聞では、成田空港開港のときに、全室防音ということが問題になるのであるから、ひとつ大阪国際空港についてもこれを考えてみてはどうであろうかというふうな考えが運輸省側におありになるというふうな記事が新聞にも出たりいたしておりますが、こういうお考えを運輸省としては現にお持ちになっていらっしゃるのですか。
  176. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 実は成田の問題でございますが、御承知のように、成田の空港の周辺は農家が多うございまして、いわゆる農家の家屋構造が先生も御承知のとおりでございまして、大阪式の防音構造に非常にしにくい家屋構造になっているわけであります。大阪のようなコンパクトな家でコンパクトな間取りでございますと、私ども従来やっておりますようなああいう防音工事でかなり効果が上がりますけれども、何せ農家で、かなりだだっ広い農家でありますので、一体どうやって防音工事をするのだという点を考えてみますと、なかなか効果が上がる方法がない。そこで、窮余の一策として、いままでやってきましたのは、農家の庭先に防音室というのをつくりまして、プレハブかなにかで防音構造にしたものをつくるということでやってきたわけでありますが、これにつきましても、部屋数が一室では一体どうするのだ、空襲警報のときの防空ごうみたいにそこへ駆け込むのかというふうな話があったりいたしまして、現実的ではないという声が非常に強くなりました。防音室の部屋数をふやしたり何かするということもいいかもしれないけれども、それであればむしろ農家の特殊性というところにかんがみてその農家の外側——外側というか外気に面した部分を全部音から守ってしまうという方法はどうなんだろう。したがって、部屋というよりも全戸防音工事というふうな感じのアイデアが成田周辺では生まれてきたわけであります。しかしながら、いかに農家と一般住宅の違いがあると申しましても、成田でやったことは必ずや大阪、羽田等々に波及いたしますので私どもは非常に渋っておったわけでありますが、運輸大臣は成田のその防音室につきまして非常に批判的でいらっしゃいまして、あんなもので住民が騒音から守られるとは思えない、飛行機が飛んできたら駆け込むのかというふうなお話までありました。そこで、地元の意見等も聞いてみますと、やはり何とか全戸防音に向かって検討を進めてくれというお話もあったものでございますから、県知事さんもそういう意向が非常に強うございましたので、五十三年度から成田につきましては全戸防音というのをどういった工法でやるのかというテスト、試行をしたい。試行をして錯誤が起こっては困りますけれども、試行いたしまして、もしうまくいくようなら引き続きこれを現実の計画にのせていきたい、こういうふうに考えて、いま仕事を進めております。  したがいまして、大阪その他の他の空港につきましても、成田と住宅構造の違いがあるかもしれないけれども、そこに住んでいらっしゃる住民の方の受ける被害を減らすといった面で取り扱いが違ってはいけないわけでございますから、他の空港につきましても、その空港周辺の住宅構造等に十分合うようなものを今後検討していきたい。五十三年度に調査を含む仕事をいたしまして、それによるデータを得られれば五十四年度から計画的にやっていくことをいま検討したいと思っておりますが、何せ大変なお金がかかります。成田空港の周辺は幸いにして人家が少ないものですから、トータルにしましても大したお金がかからないのですけれども、これを大阪空港その他に広げますと数千億円の金がかかるということで、金を惜しむつもりはございませんけれども、この点について、はやはり慎重な検討を要するし、またそれだけのお金を仮に使うとすれば、それは民家防音工事をすることに使うのがいいのか、それともほかの周辺対策に使う方がいいのかという選択もあると思いますし、この点につきましては、十分地元の御意見も聞きまして、要は全国の空港周辺に住んでいらっしゃる方々に対する国側の騒音対策の中身というものが実質的に不平等にならないように、形式的には別といたしましても、実質的に不平等にならないようにということで検討していきたいと思っています。  一言で申しますれば、大阪空港その他の空港の全室防音工事につきましても、具体的な地域の事情を十分勘案しながら前向きに進めていきたい、こういうことでございます。
  177. 土井たか子

    ○土井委員 前向きに考えていただく場合の一番の出発点というのは線引きでございまして、どこの区域に対していまおっしゃったような御苦労をさらに展開されるかという問題ですが、これはあくまでただいまの航空機騒音防止法に言うWECPNL八十五以上のいわゆる第一種区域に当たる地域の民家に対してということでございますね。言うまでもないことだと思いますが、これを確認させていただきたいと思います。
  178. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 当面はそういうことでございます。
  179. 土井たか子

    ○土井委員 当面はということになりますと、やがて第二種にもこれを及ぼしていきたいというお考えをお持ちでいらっしゃるわけですか。
  180. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 当面はと申し上げましたのは、五十三年度の中間目標を達成するという仕事がいまあります。それから、それが過ぎますと五十八年の目標を達成するという仕事がございます。この全戸防音工事というふうなものが始まりますのは恐らく五十八年度の中間目標に向かって私どもがスタートしたときから以後であると思いますので、そうすれば当然、五十八年目標に照らしまして必要な一種、二種、三種の区域の引き方も再検討されてくるだろう、こう思いますので、当面と申し上げたわけでございます。
  181. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、五十三年に向けては二つ、三つの問題がさらにございますのでお尋ねを進めますが、これは現在、木造住宅を優先にやはり防音を考えていらっしゃるようでありますが、鉄筋住宅入居者にも防音を望む声というのは従来より高うございます。この取り扱いはどのようになりますか。
  182. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 木造から始めておりますのはやはり木造住宅が一番騒音被害を受けやすいということから始めているわけでありますけれども、もちろん鉄筋住宅でも、環境基準に照らしまして防音工事が必要だという場合には対象外にするつもりはございません。
  183. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、もう鉄筋住宅に対しても対象にするということははっきりこれは確認をされているわけですね。  さらに、一世帯当たりただいまは一室が原則になっておりますが、今回この制限を緩和するというふうなことで、二室にこれをふやしていくということをお考えになっていらっしゃるようですが、この制限を緩和するという中身に対して少し詳しく御説明をしていただけませんか。
  184. 田代雅也

    ○田代説明員 従来は五人以上の家族で老人あるいは年少者または長期療養者、そういった方がおられる世帯につきまして二室でございましたが、この十一月一日からその基準を緩和いたしまして、五人以上の人数のおられる世帯につきましては原則として二室にする、そのように基準を緩和したわけでございます。
  185. 土井たか子

    ○土井委員 五人以上の御家族がいらっしゃるということより以上に、その中でさらにいろいろ制限があるのではないですか。
  186. 田代雅也

    ○田代説明員 五人以上の人数のおられる家族で二室工事を必要とする場合というようなかなり抽象的な表現になっているわけでございますので、現在、大阪空港周辺に居住をされておられる方々で五人以上の家族を持っていらっしゃる世帯につきましては、おおむねほとんどすべて適用になるような考え方でございます。
  187. 土井たか子

    ○土井委員 五人以上の御家族のところでなくても、三歳未満の小さなお子たちがあるとか、また六十五歳以上の老人がおられるとかというふうな方々に対しては別枠で五十年度から取り扱いがあったと思うのですが、こういう点についての緩和というのがさらに今回は出されたやに私たちは理解しております。いかがなんですか。
  188. 田代雅也

    ○田代説明員 そのようには理解しておりませんで、五人以上の家族のおられるところにつきまして二室ということにしたわけでございます。
  189. 土井たか子

    ○土井委員 これに対してはいろいろお考えもあろうかと思いますけれども、五人以上の御家族の家庭でなくても、いま申し上げたように長期療養が必要な御病人がいらっしゃるとか、それからお年寄りがいらっしゃるとか、乳幼児を抱えていらっしゃるとか、そういうふうな家庭に対しては、やはりそれぞれの特殊事情というものを勘案なさる必要があるだろうと思います。さらに受験期の生徒、学生がいるとか、そういうふうな場合もこれは考慮の対象にされていいんじゃなかろうかと思いますが、こういうことに対するお考えは全くございませんか。いかがなんですか。局長、いかがです。
  190. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 制度でございますから、やはり一つのけじめをつけて運用いたしませんといけませんのでやはりけじめをつけて運用いたしておりますけれども、けじめを機械的、形式的に押しつけるとまた逆の混乱がいろいろ起きることもございますので、その点につきましては悪平等にならないようなことを十分配慮しながら、本当にやむを得ないという事態につきましては十分弾力的な運用ができるように配慮はいたしたいと思います。
  191. 土井たか子

    ○土井委員 それは運用の点で十分に配慮をするとおっしゃってくだすっているのですが、一応の目安というものがはっきりしませんと、やはり住民の方々からするとその点に対していろんな不安があってみたり不満があってみたりするわけであります。  そこで、二室に今回なる場合のいろんな例を私は現地に当たって聞いてみたら、こういうことがあるのですね。二室に防音工事をしていただく間、もうそこに置かれている道具を片づけたら家族の寝る場所がなくなるというような家がある。それからまた、共同住宅のようなものを建てて、そこに一時臨時にこの工事中は住まいすることを考えていただかないと、借家であってしかもそのほかに家を求めて自分たちが移るということができないところに住んでいるから、二室防音が必要だということが考えられる世帯でいまのような事情にある人たちには、特にいま申し上げた共同住宅のようなものを建てて、二十日間ぐらいはそこに寝泊まりできるような措置というものをひとつ講じていただくわけにはいかないかというような声もあったりするんですが、こういうことに対する御配慮というのは御用意していただけるかどうか、局長どうぞお願いします。
  192. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 確かに事情はわからないことはございませんけれども、なかなかそこまで手は届きかねると思いますので、二室をやる場合でも一室ずつやりまして、多少時間がかかるかもしれませんが、でき上がった方の部屋に移っていただいて次の部屋をやるというふうな工夫をいたしたいと思います。その間どこかへ移るというふうなことにつきましては、なかなかその手当てはようできないと思います。
  193. 土井たか子

    ○土井委員 別にそういう共同住宅のようなものを建ててというとなかなかむずかしいかもしれませんが、それなりの御配慮というのが何らかの形でぜひ必要になってくると思います。一室ずつやっていってできることだったらこれはそういう声も出ないわけでありますが、二室を同時でなくて一室ずつという工事のやり方をやりましても、なかなかそうはいかない事情が現地においてあるわけであります。アパートに住んでいらっしゃる方とか借家住まいの方々の実態というものをひとつ御調査になると、この点、私が申し上げている意味、内容というよのがよくおわかりいただけるだろうと思うのですが、これはそうは簡単にはいかないですよ。局長、もう一度再考を促したいと思うのですが、いかがでしょうか。
  194. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 再考しましてもなかなか全面的にそういうふうなわけにはとてもいかないと思うのでありますけれども、聞きますと、大阪空港周辺整備機構にトレーラーハウスの備えがあるようでございますが、現在そう多くの台数ではございませんので必要に応じましてこういつたトレーラーハウスの台数をふやしまして、そういった方に使っていただくというようなことはあるいは考えていいのかもしれないと思います。
  195. 土井たか子

    ○土井委員 さらに、これはもう毎たび申し上げている中身でございますけれども、例の十項目覚書の中でおくれております問題の一つに借家、借地人に対しての対策がございます。この借地人や借家人に対しての対策というのは、検討いたしましょうというお約束をずっと引き続き私たちはお伺いをして今日にまで至っているのですが、借地、借家の問題に対しての対策というのはいつごろまでに見通しが立てられるというふうに考えたらよろしゅうございますでしょうか。
  196. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 実は十項目それぞれにいろいろむずかしい項目でございますが、なかんずく借地、借家人対策というのは当時から非常にむずかしいと思っていた条項でございまして、いま検討しておりますが、なかなかまだ、こうすれば解決するだろうというめどはつかめておりませんので、もちろん時間をいつまでも使っていいとは言いませんけれども、いまここで、あと何カ月たったら必ずめどがつくというお約束をすることはちょっとできないのでありますが、引き続き一生懸命検討させていただきたいと思います。
  197. 土井たか子

    ○土井委員 こういう十項目の内容に対して、住民の目から見るとまことにこの覚書の一つ一つに運輸省は誠意をもって臨んでおられる、そして約束を果たすべくそれなりの努力を払っておられるということが具体的にわからないと、激甚地域の方々には連日、騒音がはだ身に被害を及ぼす問題でございますから、理屈じゃなくて、具体的にそれが実感でもってわかるような御努力でないと実は意味がないわけであります。だから、そういう点からすると、私どもこれをいろいろと拝見をいたしまして、十項目の内容がまだ誠実に履行されている段階とはとても思えませんし、またそう言ってはこれは少し失礼にわたるかもしれませんけれども、十項目に対してあらゆる努力を集中的に今日まで続けてこられたというふうな、それに対する評価も申し上げることができません。したがって、こういうことを現状のままに置いておいて国際線に対してもエアバスを、さらにエアバスの増便をと言われることは、地域の特に激甚地域の住民の方々からするといろんな点でかなり抵抗があるということ、これは率直に申し上げたいと思うのです。したがいまして、どっちが先かと言うと、やはり十項目の覚書に対して具体的に一項目ずつ、できるところから最大限の努力を払って、住民の方々からすればこれはがんばっていただいたためにこうなったという実感がはっきりできるようなぐあいにならないと、実は先ほど来の九十九ホンの問題もそうでありますけれども、やはり国際線導入というのは、その限りにおいて、具体的実現は私たちとしてはやっていただきたくないのです。このことをひとつ申し上げさせていただいて、きょうはお時間の都合もあるので三時半ぐらいまでというのを、ちょっと時間が過ぎました。局長に大変迷惑をかけるような結果になりましたけれども、ひとつ十一月導入の予定であった国際線が延びて今日までになっております。年内は無理だろうとおっしゃっていますけれども、来春四月が次の国際線に対して考えるべき年に二度のうちの一回の機会でありますから、せめてクッションをそごらぐらいまで考えて御努力をいただかないと、年内と言ってもあと一カ月そこそこでしょう。覚書の十項目に対してそれなりの努力というものが本当に払っていただけるかというと、これまたおぼつかないと私たちはにらんでいます。だからそういうことからしたら、一つぐらいは具体的にかちっと実行なすってからいまの国際線の問題に対して取り扱うという姿勢をひとつ厳しく、はっきりと持っていただきたいと思うのです。どうでしょう、これは約束できますか。
  198. 高橋寿夫

    ○高橋(寿)政府委員 私どもは国際線のほかにもっと大事なのは、国内線につきましてエアバス化を進めまして騒音を減らすということが国際線導入よりも実はもっと大事な問題でありまして、この方は四月ダイヤまで待っていられないわけでございますので、これはもうきょうからでも何とかしたい気持ちでございます。ただし、いま先生指摘のように、十項目がなかなか目に見えた形で実感として伝わってこないということは、確かに御指摘ごもっともな点もございます。いろいろ手違いがありまして、私ども夏には実現の緒につかせようと思ったものが若干おくれたというふうなことで、地元でも訴訟団の取りまとめ役なんかになった方が大変苦しい立場に立っていらっしゃるということはお気の毒だと思います。鋭意進めております。いまここでるる御説明する時間はございませんけれども、それらを一つ一つよく地元に御説明をし、PRもいたしまして、運輸省は誠意をもってやっているということを十分わかっていただきまして、また今後の十項目全体の実現へのめどにつきましても、ある程度地元に対して実感を持って御判断できるようなデータなり私たちの行動でお示しをいたしまして、御理解を得つつ国際線を含む全体のエアバス乗り入れ計画を進めて、大阪空港周辺を騒音から守りたいという気持ちでがんばりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  199. 土井たか子

    ○土井委員 私は、よろしくお願いしますと頼まれたって、それについてはまた満身創痍になって両方から突き上げをいただくような立場になりかねないので、頼まれません。私は、そういうことについてはお伺いをしないことにします。ひとつ約束は約束としてまず守ってもらうことの方が先だということを再確認していただいて、別の機会にまたこの問題をひとつお伺いすることにしたいと思います。きょうはこれで次の問題に私は移りますから。ありがとうございました。  それで、さらに次の問題と申しますと、これは本四連絡橋、児島・坂出ルートの例の環境影響評価書の案が出されたわけでありますが、これについて二、三お確かめをしておきたいことがございます。  それは、私ここへ持ってまいりましたのは要約なんですが、これは本文の大部のものがあるやに私たち聞いておりますけれども、そうでございますか。
  200. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 いま先生のお持ちの物は、これは私たち要約と呼んでおりますが、そのもとになりますのがアセスメントの案という形で本文が四百五十ページばかり、参考資料が三百数十ページのものがございます。
  201. 土井たか子

    ○土井委員 それは要求すればいただけるわけでありますか。先日、と言っても昨日でありますか、これを要求いたしましたところが、もうお手持ちには全くないので、国会議員の方には差し出すわけにいかないというふうな御返答だったわけですが、これはいただけるわけでありますか。
  202. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 実はその本文が、いま言いましたページが非常に多くなりまして、非常に見にくいということもございまして、それを百十ページぐらいの要約にまとめまして非常に見やすくしたというのがわれわれの本意でございますが、いま先生のおっしゃいました本文につきまして、これはいろいろ関係県の方々からも本文を欲しいということがございますので、現在、増し刷りをいたしまして必要なところにお配りしたいというように考えております。
  203. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、これは要求すれば近々のうちにいただけるわけですね。どれぐらいの期間の間にそれが増し刷りができるのでしょう。それをちょっと聞かせていただきたい。
  204. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 いま私たち急がせておりますが、これはなかなか時間がかかりまして、十二月二日ぐらいに全部増し刷りができる予定になっております。
  205. 土井たか子

    ○土井委員 えらいまた先の話になりますから、それまでに縦覧期間などは済んでしまいそうに思います。  さらに、手元にいただきました縦覧等に関しての今回の取り扱いの要約なんですが、これは縦覧期間というのがどうなんですか、三週間しかございませんね三週間であって、意見の提出というのは、この三週間を含めて、それとダブリで四週間ですから、縦覧期間を除けば、意見提出の期間というのはあとの一週間しかないというかっこうでございますが、これはそのとおりでございますか、確認をさせていただきます。
  206. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 現在、告示その他で発表しているのはそのとおりでございます。
  207. 土井たか子

    ○土井委員 これはどうなんですか。要約だけを出していらっしゃるのではなくて、これの本文である大部の資料も縦覧の場所には出ているわけでありますね、そしてこれを三週間縦覧する。しかもこれは場所を見ますと、何だか偏った場所であります。ちょっと離れたところからこの場所まで行こうとすると、これはなかなか大変だろうと私は思うのですよ。この説明会の場所にしましても、岡山県は三カ所、香川県は六カ所。六回ずつでございますが、場所が偏っているというふうな批判がもうすでに出ております。したがいまして、こういうところで大部のものを約三週間の縦覧期間しか設けられない、しかもその意見提出がもしありとすればその後のわずか一週間の間しかないというのは、これはちょっと問題じゃないかと思うのですが、どうでしょう、環境庁としてはこれぐらいでいいというふうに考えられるかどうか。
  208. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 縦覧その他意見聴取の期間に関しましては、環境庁の指針にのっとりまして、公団と事情に非常に詳しい岡山県、香川県の知事が相談して決められた由に聞いております。ですから、その範囲内で周知徹底するものと考えておりますけれども、なお、その進展状況など、縦覧なり意見の聴取が始まりましたならば、環境庁としても見守りたいと思っております。
  209. 土井たか子

    ○土井委員 これはやってごらんになると、実際問題としてかなり無理が起こってくるかもしれないと私たち見ております。  それで、さらにこの意見書が提出されてから、その意見書の取り扱いということがどういうことになるかによって、これはずいぶん事情が違ってまいりますので、意見を出して、あと取り入れられなかったというふうな例がもうすでに、先日この衆議院の公害対策並びに環境保全特別委員会で視察をいたしましたむつ小川原などの例としてございます。もう御承知おきいただいているかと思いますが、ああいうことであってはならないので、やはり意見を取り入れていただかなければならない。その取り入れ方なんですが、何らかもうすでにそのことに対する御予定をちゃんと持っていらっしゃるかどうかをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  210. 島本虎三

    島本委員長 建設省になりましょうか、それとも公団になりますか。
  211. 土井たか子

    ○土井委員 公団ですね。やはり公団が環境影響評価……。
  212. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 提出されました住民の御意見というものは十分尊重しなければならぬということが基本的な考えでございます。  ただ、どういう意見が出てくるか、これによって対応の仕方が異なってくるかと思います。たとえば、やはり基本計画の変更に関するような意見については、これは監督官庁の方に出さなければいかぬと思います。それから、私たちいままでこの説明会以外に住民と相当接触をしておりますが、その中で一番問題になりますのはルートの変更でございます。ルートの変更につきましての意見といいますと、そのルートを別なところに変えた場合にまた別な意見が出てくるということもございまして、そういう御意見はやはり住民と、これからこの説明会を終わった後、本当に用地を買収し工事を始めるまでに十分話をして解決をつけるというように考えております。
  213. 土井たか子

    ○土井委員 そういうことも含めて、この意見書が出れば、意見書に基づいて公聴会などを催されるというお気持ちがおありになるかどうかということは、これは大事な一つのあり方だと思うのですが、いかがですか。
  214. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 説明会のときも私たち予定といいますか、考えておりますのは、いろいろ質問に対して計画をした公団側から答弁をするようになると思います。そういうような形で意見が出てこちらも答弁するということが十分できれば、あるいはそういう公聴会ということが必要ではないかと思います。これは説明会におきましてどういうような意見が住民との間に交わされるか、そういうことを考えまして、その後、両県知事とも相談したいというふうに考えております。
  215. 土井たか子

    ○土井委員 それに先立って環境庁から出される意見書とか指示項目などは住民の前に明らかにされる御予定であるかどうか、これをお伺いをさせていただきたいと思います。
  216. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 いままでこの児島・坂出ルートのほかに、鳴門、大三島、因島の三橋を実施したわけでございますが、それにつきましてもいろいろ環境庁から御意見をいただきまして、それに基づいて工事をしておるわけでございます。その中で、当然住民に関係のあるようなものについては住民に話をして、公表して十分意見を聞くということにする考えでございます。
  217. 土井たか子

    ○土井委員 住民に関係のある部分というのは、それでは関係のある部分関係のない部分というものは取捨選択を公団としてなさるのですか。
  218. 信澤清

    信澤政府委員 実は今回の児島・坂出ルートにつきましては、あらかじめ環境庁の方から公団に対しまして、いわゆるアセスメントの実施についての指針をお示ししてあるわけでございます。その中では最終的にはいまお話しの住民の御意見、それから関係の市町村長、それから両県知事、さらには環境庁長官意見を申すわけでございますが、それによって最終的な——いま案の段階でございますが、最終的な環境影響評価書というものができるわけでございまして、これについては、でき上がった段階で一定期間公衆の縦覧に供するような手続をとってほしいということをお願いしてあるわけでございます。
  219. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、それはまたこれとは別枠で、後、手続上縦覧期間等々が再度設けられるわけですね。
  220. 信澤清

    信澤政府委員 期間その他については決めておりませんが、ともかくでき上がった最終報告書と申しますか環境影響評価書は、公衆の縦覧に供するようにしてほしいというふうに申し上げているわけでございます。
  221. 土井たか子

    ○土井委員 したがって、この問題は、またこれから環境庁としても検討なすった結果そういう意見書というのは要約されていく段階ですから、これは後でまた委員長にもこの要望として申し上げなければならぬことになると思います。  さて、建設省がお見えですから一問だけ聞いて、私は最後に委員長に対する要望できょうは終わりにしたいと思います。  つい最近出ました例の三全総では、同じ本四連絡橋の一つである明石ルートが見送りになっております。それで、そこにある新幹線ルートというのもこの中から落ちてしまっている段階だと私たちはいま理解しておりますが、そうしますと、もう現に着工済みの大鳴門橋に従ってつくられる淡路島内の縦貫道については、計画がどうなるのかというのがこれから先の問題として一つは大事なことになってまいります。と申しますのは、これはあくまで公害対策委員会でございますから、そういう点から言うと、この縦貫道に従っての環境影響評価というのが当然なければならないわけでありまして、この点がこれからどうなるかということも私たちとしてはやはり関心事でございますのでお伺いをする次第です。どうでございましょう。
  222. 加藤優

    ○加藤説明員 最初に三全総の件ですが、これはいわゆるAルートは見送りになっているという、あるいは新幹線が触れられてないということですが、基本計画で示されておりますので、これはたまたま三全総が触れてないというだけでありまして、見送りになったとか、なくなったとかいうことではございませんので、その点お含みください。  二番目の道路の方の高速道路といいますか、いわば縦貫道の計画でございますが、これは現に大鳴門橋が工事中でございますので、計画といたしましては三原と大毛の間、これを大鳴門橋、一応道路部分は五十七年度完成を予定しておりますが、それまでに完成させたいということで工事を進めております。  なお、鳴門インターから津名、これは洲本、津名と続いていきますが、津名ぐらいまでは現在、公団が設計協議を進めております。もちろん用地も交渉に入っておるわけですが、なかなかむずかしくて、用地の方は進捗してない、ただし、基本的な設計協議を進めておる段階です。
  223. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、そういう問題は五十三年度に出るはずの第八次道路計画の中にちゃんと組み込まれて、いまおっしゃった三原のインターまででなしに津名までの道路計画というのは出る予定になるのですか、いかがですか。
  224. 加藤優

    ○加藤説明員 いまお話しの新しい五十三年度からの五カ年計画の中に入っておるかという御趣旨かと思います。これは一応私どもの方としましては、津名ぐらいまでは概成させたいということで計画に組み込んで、財政当局に要望しておる段階です。五計はまだ要望の段階ですから、五カ年計画、新しいのは。
  225. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、そういうふうな段階でだんだん事が進んでまいります。そして大鳴門橋が完成をしていわば淡路を中継にした徳島を通じての本州−四国の交通ルートというのはその大鳴門橋を通じてどういうかっこうになるのかというのは、いまのお話からすると何だか行き詰まりみたいに淡路がなってしまって、淡路島で袋小路になるような感じも私たちとしては持つのですが、この点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  226. 加藤優

    ○加藤説明員 おっしゃるとおり、明石の方の縦貫道ができ、明石大橋ができれば、これはそれなりの交通量をさばけるわけですが、現段階では大鳴門ができただけでは、淡路に四国からの車が流れてきてふん詰まりになるじゃないかという御指摘かと思います。私どもの計画としては、五十七年度は大体日量三千八百台ぐらい、現況が二千五百ぐらいなんですが、それぐらいを見込んでおります。それから西淡—大毛の間ではそれに四千台ぐらいプラスされまして、日量八千台ぐらいになろうかと思います。おっしゃる趣旨は、これらのプラスされた交通量、新規の四国からの交通量をどうさばくのかという話でしょうが、これには関連道路を整備するとか、場合によっては津名からの志筑港、これの港湾整備等を進めなければいかぬのじゃないかと思います。したがいまして、これらの点につきまして、現在、現地の方に近畿地区の幹線協議会というのが関係機関で持たれております。ここでいろいろな検討を行っております。したがって、大鳴門完成時点までにそういった、どういう流入の交通をさばくかということを幹線協議会でおいおい決めていって、それをタイミングを合わしていくというふうに考えております。
  227. 土井たか子

    ○土井委員 質問は以上で終えたいと思いますけれども、そうするといまの御答弁からすれば、第八次道路計画、すなわち五十三年度に出る道路計画の中ではこの津名まで三原のインターから淡路の縦貫道が延長されていくという見通しはまだ定かでないということがはっきり言えますね。ただ、いまはっきり決まっているのは三原インターまでのルートであって、それ以後のことはまだ全く霧の中という段階だというふうに理解をさせておいていただいていいわけですね。このことを確認して質問を終えて、委員長への要望を申し上げてきょうは終わりにしたいと思います。
  228. 加藤優

    ○加藤説明員 おっしゃるとおりでございます。要約すれば、津名までは概成したいと思っておりますが、これができるかどうか、ほかの交通事情等を勘案しますので、したがって三原—大毛間は五十七年度までに大鳴門完成時点において完成する、そういうことでございます。
  229. 島本虎三

    島本委員長 なお、土井委員に申し上げますが、信澤企画調整局長から、先ほどの答弁、不足の点があり補足したい、また修正もしたい、こういうような申し出があります。内容はわかりませんが、発言を許可したいと思います。信澤企画調整局長
  230. 信澤清

    信澤政府委員 先ほど環境影響評価書が完成したらば公衆の縦覧に供すると申し上げましたが、私どもが公団にお示ししました指針では、公団は上記手続による意見、これは住民の意見、市町村長それから両県知事それから環境庁長官を含むわけでございますが、について十分な考慮を払って環境影響評価書を作成し、これを公表してほしい、こういうことを申したわけでございます。
  231. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、またこの問題はいまの御答弁の補足でさらに新たに私は質問をしなければならないように思いますが、これはその意味も含めて委員長に要望申し上げます。  一つは、今回出ましたこの環境影響評価の内容というのは、問題が問題で大きゅうございますから、ぜひひとつこれを取り上げて閉会中の審査の対象にされるように、これ、一つの要望です。  あと一つは、けさほど本日の初めの質問者として質問された矢山委員の方から資料要求として出されました内容ですが、例の岡山の水島の三菱石油の油の流出事故に従って今回とられました刑法上の措置に対して、検察審査会でこれをもう一度起訴の対象にすべく取り上げるようにという要望が出されております。これに関しまして、検察側がこの資料要求に応じられないといういきさつをきょう質疑応答の中で申し述べられたわけでありますが、ぜひこのことに対しては、具体的事実はもう私は繰り返しを申し上げません。ただ、摂氏五十度で設計されたタンクに対して事故当時は八十度の油が入っていたという事実一つを取り上げても、これはやはりもう一度再検討、再吟味、再調査を必要とする内容であるというふうに思われます。御承知のとおりに刑事訴訴法の四十七条に言うこの非公開ということを盾にとって、検察側の方はこれに対しての資料の公開を拒否なすって今日にまで至っているわけでありますけれども、国会法の百四条からいたしましても、これは当委員会における理事会決定に基づいて資料要求ができるということになっておりますし、本来、ロッキード事件のときとわけが違いまして、検察審査会で現に取り上げられている事件でもあります。検察審査会法は御承知のとおり、起訴独占主義に対して民意を反映するというところに主眼がございまして、民意の反映ということを検察審査会というものが十分その趣旨として生かしていかなければならない。こういう点から申しますと、今回私は、矢山委員がここで要求をされている資料提出に対しての理由は十分にあるというふうに考えているわけであります。ひとつ、この資料要求に基づいて理事会で討議をされて、矢山委員要求にこたえるべく委員長も努力をされますことを切に要望いたしまして、本日の質問を終わります。
  232. 島本虎三

    島本委員長 土井君に申し上げます。先ほどの閉会中の審査の要請でありますが、もっともの次第でありますのでそのように計らっていきたいし、同時に先ほどの資料要求問題点については理事会に諮って十分意のあるところを検討していただいて、その決定に従いたい、こう思う次第であります。委員会に後刻諮りたい、こう思いますから、その点御了解願いたいと思います。
  233. 土井たか子

    ○土井委員 ありがとうございました。
  234. 島本虎三

    島本委員長 土井君の質問は終わりました。  次に、東中光雄君。
  235. 東中光雄

    ○東中委員 私は、きょうは瀬戸内海対策についてお聞きしたいと思います。  まず、先日発表されました本四連絡橋のアセスメント案について聞きたいと思うのでありますが、この本四架橋は新全総では三本かけられることになっていたのが、日本経済の構造的危機、そして環境問題などから、いわゆる一ルート三橋というぐあいに変更をされてきたわけであります。このことからしましても、これは住民福祉の向上、環境の保全などの見地から十分に検討される必要があると思います。  それで、このアセスメントでありますが、いま土井委員の方からも質疑がございましたが、まず手続問題としての縦覧期間ですが、今度は縦覧期間が三週間、意見提出期間が四週間というふうになっております。いまも言われましたが、私は幸いにしてなくなる最後の分を、この環境影響評価案資料編とそれから本文と両方もらったわけでありますけれども、非常に膨大であります。これは、縦覧されておって、特に一般の人が研究心旺盛で見に行かれても、なかなか大変なものだと思います。要約されておるものでもなかなか大変であります。さらに、パンフレットがきれいなやつが出されておるわけですが、これが必ずしも公正でないように私には感じられますので、そういう状態を考慮して、また、むつ小川原の場合も初めは二週間であったのが延長されておるわけですが、今度はそのむつ小川原のときよりも一週間短くなっておるというようなことも考えまして、これはやはりもっと長くされるべきじゃないか、こう思うのであります。なぜむつ小川原で縦覧期間四週間であったのを今度はあえて三週間にされたのか、延ばす意思はないか、この点をお伺いしたいと思います。
  236. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 この手続につきまして、縦覧の期間、意見の提出の期間というものにつきましては、これは指針その他に基づきまして、私の方が岡山、香川県と地元の関係市町村とよく相談をして決めたわけでございます。実はこの問題は、いままでいろいろ地元と、路線の立ち入り調査とか、そういうような説明会を相当持っております。そういう意味で、そういういままでのいろいろ地元で話したものを集大成したということで、十分住民の方にも御承知願っている問題が非常に多いということも考えましてそういう期間を決めた次第でございます。この期間でもう一つ概要書その他で要点を説明することで十分わかっていただけるというふうに考えております。
  237. 東中光雄

    ○東中委員 むつ小川原のときは短くて結局四週間に延びたわけですね。今度は、またそれよりも短くした。環境庁はどうでしょう。どういうように思っていらっしゃいますか。
  238. 信澤清

    信澤政府委員 むつ小川原のときの実情は、いま先生指摘のとおりでございます。一カ月間の縦覧期間に後から直したわけでございます。今回は、先ほども大臣が御答弁申し上げましたように、指針で私どもが示しておりますのは、公団が両県の知事と相談して公示、縦覧等の措置をとってほしいということで、期間について明示しておりません。それからまた、どのくらいの期間が適当であるかということについて、実は公団から相談を受けたことがございませんので、そこで、大臣がさっき御答弁申し上げましたように、いま先生おっしゃるように、期間が短いか長いかという問題を含めて、すでに走り出している問題でございますから、その実情をよく見きわめたい、こういうことを先ほど申し上げたわけでございます。
  239. 東中光雄

    ○東中委員 実情を見るのはいいのですけれども、手直しするのだったら早くしないと、もうすでに走り出しているわけですから、終着駅がいつかということを早くしないと、関係の一般国民からいえば非常に困るわけです。これはむつ小川原の前例から見ても何もそんなに詰め込まなくてもいいじゃないか。十分検討できるように、いま土井委員からの御意見もありましたけれども、全く私たちも同感でありますので、それはひとつ早急に検討して、国民の側の意見を十分聞くという姿勢に立って修正されるように要望したいと思うのですが、いかがでしょう。
  240. 信澤清

    信澤政府委員 いずれにいたしましても、公団が両県知事と相談して決めた事項でございます。したがって、私ども以上に地域の実情を御存じの知事が相談に乗った結果このような縦覧期間を決めたという経緯がございます。しかし、先ほど申し上げたように、事態の推移を見て、縦覧期間が短いかどうかということについてはその段階で判断し、必要な措置をとることにはやぶさかではございません。いずれにいたしましても、先生おっしゃったように、住民の意見を十分聞くというのが本来の目的でございますから、長い短いの問題というのはもっぱらそれにつながる問題だというふうに考えております。
  241. 東中光雄

    ○東中委員 私たちがこれをいま検討——実はきのうもらって検討に入っているわけですけれども、そういう点からいってももうすでに走り出しているわけですね。途中乗車して到達までにできるかどうかということについては、それは本当に大変なものだな、こう思っています。だから、意見を十分聞くという姿勢に立てば、これは当然延ばすべきだと思うのです。そういう点について、県の方はそれでいいかもしれない。しかし県だけが見に行くのじゃないわけですから。むしろ県は見に行かなくてもいいのでしょう。そういう関係ですから、公団の方でひとつ十分国民の意見を聞く、関係者の意見を聞くという点でこの期間について検討するというふうにされませんか。どうでしょう。
  242. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 根本の考え方はやはり住民の意見を十分聞くということでございます。いま言いましたのは、そういう一つの縦覧期間ということが三週間になっておりますが、その後、ではもっと見たいという方には、こういう評価書案というのは別に秘密にするものではございませんので、十分そういう方の便宜は図りたいというように考えております。また、意見につきましても、その期間に出てこなければ、そのときは意見はなかったというような、そういうような狭い考えは持ちません。やはり完成まで十年かかるものですから、その都度その都度いろいろな機会をつくって意見を聞いていく、それを尊重するというのは私たちの基本の考えでございます。
  243. 東中光雄

    ○東中委員 あなたは頑強に言われるのですね。意見提出期間を決めたのは何のために決めたのですか。あなたが言われるような、その都度その都度聞いていく、そういう意見でいいのだったら、何もこんな提出期間を決める必要はないでしょう。その期限を決めて、それまでに出てくる意見をそれとして検討していく。その後、意見を全く聞かないということではないことはわかり切っております。しかし、これだけ膨大なものを三週間でやって、それからまとめて、一週間以内に出さなければいかぬ。もっと早くまとめれば、それはもちろんいいですけれども、何といったってこれだけ膨大なのではないですか。いま土井委員もあと増し刷りされたものをまたもらって、そして検討せなければいかぬ、こういうことになっているわけですから、それは延ばしなさいよ。そういう点で検討しなさいよ。どうですか。
  244. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 先ほど申しましたように、両県の知事さんの御意見もあろうと思いますので、一応三週間と意見が四週間ということで決めましたが、両県の知事さんとよく相談したいというふうに考えております。
  245. 東中光雄

    ○東中委員 後でまた申し上げますけれども、これは先ほども言われました公聴会の問題ですが、これはこの告示では、いまのところは公聴会は全然考えておられないようなのですが、必要に応じて公聴会を開くという姿勢でおられるわけですね。この点はどうですか。
  246. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 先ほどお答えいたしましたように、公聴会につきましては説明会の状況を見まして、そして両県の知事さんとよく相談して意見を聞いて決めたいというふうに考えております。
  247. 東中光雄

    ○東中委員 必要に応じてやるのですか、やらないのですか。
  248. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 やはり公聴会が必要だということになれば当然やられるということでございます。ただ、先ほど言いましたように、そういう説明会で住民の皆さんの意見が十分出尽くしたということになれば、あるいは必要ないという結果になるかというように考えております。
  249. 東中光雄

    ○東中委員 説明会は説明する会でしょう。公聴会は意見を聞く会でしょう。性質が違うじゃないですか。説明されたときにわからぬことについて、それは質問があるかもしれません。それは説明会というのはそういう性質のものでしょう。説明会をやって、そのときの空気を見て公聴会をやるかやらぬか決めますということは、これはちょっと、まるっきり両者の会合の性質が違うじゃないですか。国民の意見をもっと聞くのだという姿勢に立てば、公聴会をやるというふうに当然なられるべきだと思うのですが、どうも公団はとにかく縦覧期間にしても、何か聞くまい、聞くまいとしているような姿勢に見えるのですが、そうでなくて、必要があれば公聴会は開く。環境庁の指針でもそう言っているのだから、そういう姿勢になぜ立たれないのですか。
  250. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 いまの指針にあるように、必要があれば開くという姿勢でございます。ただ、いままで先生のお話になった、意見を聞くということ、これを広くやりたいとは思います。やはり説明会というのは単にうちの方の説明だけで終わるのではなくて、われわれいままで相当地域の住民との対話をやってまいりましたが、工事の説明に合わせまして、当然、説明会というのは質問だけでなくて、地元の意見も相当出ておるのが実情でございます。そういうことも踏まえて、必要があれば公聴会を開くということでございます。
  251. 東中光雄

    ○東中委員 説明会というのは文字どおり説明する会でしょう。そこでそれは意見が出てくるかもしれませんよ。しかし、説明会というのはあなたの方が主体になって説明する方でしょう。それが中心のものだからこそ説明会と言うのでしょう。公聴会というのは公に意見を聞く会だから、これはまるっきり性格が違いますね。それをあなたの方はもうごっちゃにしてしまっているというところが問題だと言っているのです。姿勢として。何か説明会でも公聴会でも同じなんだというふうな考えでおられるのはどうも解せない。こんなことで私、ごたごたあなたの方へ言おうと思って来たのではないのですが、文句を言われることがちぐはぐ、ちぐはぐになるからあえて言っているわけですが、公聴会は必要に応じてやるということでよろしいですね。
  252. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 御説のとおり、公聴会は必要に応じてやるということでございます。
  253. 東中光雄

    ○東中委員 では、内容について若干お伺いしたいと思うのですが、非常にきれいなパンフレットが出されております。これによりますと、たとえば大気汚染対象での窒素酸化物問題について、このパンフレットの六ぺ−ジ「生活環境」の中の「大気を守る」、その中で「現況」それから「計画路線からの大気汚染」という項目で書かれておりますが、これによりますと、「こうした調査、観測と研究の結果、路線周辺の民家のあるところで予測される自動車排出ガスによるNO2の濃度は、年平均値〇・〇〇三〜〇・〇一ppm程度ですから、生活環境への窒素酸化物の影響は小さいといえます。」こう書いてあります。  そこでまずお聞きしたいのですが、年平均値〇・〇一ppmといえば、これは二酸化窒素の環境基準である一時間値の一日平均値〇・〇二ppmに相当するものだ、これはもう一般に言われているとおりなんです。他の汚染なんかを一切のけてしまって、自動車の排出ガスだけでこの環境基準に匹敵する汚染だということをここに書いてあるわけですね。ところが、それは影響は小さい、こう書いてあるのですが、これはどういう見解に立っておられるのか、その点どうでしょう。
  254. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 大気汚染、特にN02の問題につきましては、私たちの道路をつくる、橋をつくるという構造上からN02を軽減する方法は、これは騒音その他と違いましてほとんどございません。多少走行をよくするということで排気ガスを改善するという方法は絶無とは言えませんが、道路の構造側では非常に低減させる方法はないわけでございます。私たちがいまここに言いましたのは、いま四車線の道路をつくりますと大体設計の交通量として四万八千台を想定いたしまして、四万八千台につきましていろいろ自動車の排気ガスの規制の状況を考えまして予測をしたのがその数字でございまして、それにはやはり地形その他によりまして非常に影響の少ない〇・〇〇三というのと〇・〇一というような差が出てまいります。そういうことを予測いたしまして、これと現在のバックグラウンドのNO2を考えまして、それでその後、集計をいたしまして、そのバックグラウンドにつきましては、さらに香川県、岡山県の両県の大気汚染防止計画、そういう計画を入れまして考えてみますと、現況の大気汚染とそう大きくならないということが、その表現で影響が小さいというふうに表現した次第でございます。
  255. 東中光雄

    ○東中委員 これは環境庁にお伺いしますが、年平均値〇・〇一ppmということになれば、環境基準である一時間値の一日平均値〇・〇二ppmに相当するものだ、この記載によれば、それは自動車排ガスだけでそうなるのだということを、そういうふうに読み取っていいと思うのですが、環境庁から見られてどうですか。
  256. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問の点は、ちょうど私きのう初めて見たところですし、これは一回詳細にどういう計算をしてどんな条件を全部フィードしてやったものかを見てやらないと審査にならないということで、私ども、まだ、現在の段階では、公団からも説明も聞いておりませんし、細かな質問したいことがたくさんございますので、それから意見をいろいろ申し上げたい、こういうふうに思っております。
  257. 東中光雄

    ○東中委員 もう一つ、このやはり同じ文章で、「大気汚染で問題になるのは窒素酸化物ですが、二酸化窒素について、岡山・香川両県内の観測データについて見ると維持することが望ましい基準(日平均〇・〇二ppm)を達成しているところはありません。」——環境基準をオーバーしておる。結局水島と番ノ州のコンビナートではNO2については環境基準をオーバーしておる。これがバックグラウンドなんです。そこへ今度は「予測される自動車排ガスによるNO2の濃度は、年平均値〇・〇〇三〜〇・〇一PPm」、結局これだけでも環境基準相当。この二つを足すのだということになってくるわけですね。環境基準をオーバーしているところへさらに環境基準相当ぐらいのものがプラスされて、しかもそれが「影響は小さいといえます。」という結論になっておるのですね。こんな環境基準をばかにした文章はないと思うのですよ。表現はなるほどうまいこと書いてありますけれども、まさにこそくなごまかしですよ。局長どうでしょう。専門家から見られて、これはおかしいと思われるでしょう。
  258. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 判断の問題は別にしまして、計算のときにはどれだけオンされる、もとがどれだけある、それからもとのどれだけあるものが計画でどこまで下がる、全体を重合すればどうなるかということで、小さいとかなんとかというのは評価の話ですから、そういう事実をちゃんと書くということがまず環境影響評価書の基本だろうと思います。私どもは、判断条件でまた後で審査でやる、そういう立場に立っております。ただ、これを見るところ、どこにも達成したところがないというのは、白書をよくごらんになっておられないのではないかというぐあいに存じております。
  259. 東中光雄

    ○東中委員 それは、いよいよこれは環境影響評価案として国民に示すにはふさわしくない文章だということを、局長いま別の表現で言われたと私は理解したのですが、というのは、一方でははっきり望ましい基準、環境基準を達成していないバックグラウンドがある。そして今度は、この部分だけで、要するに自動車排ガスによるNO2だけでも環境基準相当のところまでいくということが書いてあって、そしてその二つがトータルになったらどうなるのだということを明らかにすべきであるというのが、いま局長言われたのですけれども、それは明らかにしないで、そして結論は、「生活環境への窒素酸化物の影響は小さいといえます。」こういう評価を書いて国民に示す。これは全くこそくな手段によるごまかしだと言われても仕方がないと思うのです。どうですか、公団。
  260. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 おっしゃるように、やはり大気の予測といたしましては、現況が幾らになる、それに道路をつけたことによって、自動車四万八千台の交通が乗れば幾らになるというような予測になるわけでございまして、現況につきましては、現在あの周辺の年平均値が〇・〇一八、たくさんの観測所の平均でございますが、そのぐらいに記憶しております。これについては、先ほど言いましたように、岡山、香川の両県が工場の固定発生源の大気汚染防止の計画を持っております。それによって約半分程度下げられるということでございまして、それに自動車の交通量によります大気のNO2を加算するというのがわれわれの考えでございます。  ただ、先ほど言いましたように、これをもっと、環境基準を努力目標としてそれに向かうためには、さらにそのほかのいろいろな施策があって、たとえば車の規制、排気ガスの規制がもっときつくなるということを期待して、環境をできるだけよくしていこうというのがわれわれの考えでございます。
  261. 東中光雄

    ○東中委員 あなたの言っておられるのは、どうしたいと言っているのではなくて、環境影響評価というのは、計算し、科学的に出てきたデータをはっきりと国民の前に示して、それで環境基準をオーバーするならオーバーするということをはっきり書いて、しかもなお、これはこういうふうにすべきだと思うとかいうのだったらわかりますけれども、ここに書いてあること自身は、非常に矛盾をして、違った、科学的な結果を書かないで、当然書くべきものを書かないで、両方足したものがどうなるかということを書かないで、そして評価を書いてばらまくというのは、これは科学的かつ公平であるべきアセスメントの扱い方としてはなってないということを私は言っているんですよ。その点について公団はどう思うか。環境庁にもその点についてどうお考えになるか。まだ調査をしていないというだけではなくて、現にここに出ている、簡単な文章ですからね、これだけでもそういうことが言えるのじゃないかということを申し上げているわけです。御見解をお伺いしたい。
  262. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 私、申し上げておるのは、ふさわしいとかふさわしくないというような価値判断を下しておるわけではございません。やはりどういうぐあいにわかりやすく書くかとかいうことは非常にむずかしいことだろうと思いますし、また書く人のいろいろな思いが入るでしょうし、そう一々表現の自由を侵すわけにもいきませんし、批判の自由もいろいろございますし、そういうことで、われわれは公正に環境庁としては後で落ちついて審査をして判断をしたい、こういうことを申し上げているわけでございます。
  263. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 先ほど申しましたように、私たちがこれを隠しているのじゃなくて、やはりいまの予測から言いますと、そこにありますように〇・〇〇三から〇・〇一というのは年平均で予測されるということを率直に書いたつもりでございます。  それで、先ほど先生が言いました生活環境に対する影響が小さいという御指摘だと思いますが、その表現につきまして、これは私たちの独断だと言えば独断かもしれませんが、この程度の増加で見ますと、全国の状況から見まして、そう生活環境に重大な支障を与えるものではないという意味で、そういう表現を使った次第でございます。
  264. 東中光雄

    ○東中委員 環境基準を達成していない、いるところはありませんと一方で書いておいて、そこヘプラスこれだけになる、しかもそれは環境基準相当ぐらいの量になるということだけを書けば、その評価は、影響は少ないなんというようなことにはなりませんね。環境基準を全く無視しておったら別ですけれども、それを尊重するのだったら、その二つ足されたようなものになってくるのだったら、こういう評価は出てこない。素人の人が見れば、関係の国民が見れば誤解をするようにわざわざ書いてあるということが公正ではないということを私たちは言っているのであります。その点をひとつはっきりさせておいて……。  これはほかの部分についても言えますけれども、もう一つ部分で言いますと、たとえば「環境保全目標」ということを、項目があって書いています。これを見ますと、大気と水質については環境基準値を環境保全目標としているのですが、これは「努力目標」というふうにわざわざ表現してあるんですね。ほかの騒音や振動の場合は、「努力目標」などとは言っていないのです。これはきわめて意図的に、環境基準をオーバーしておる、問題になりそうだというところは、わざわざ「努力目標」にしてしまっているのです。同じ環境基準だけれども。騒音なんかは「努力目標」とはしていないのです。こういう「努力目標」とすることによって、もう守られぬでもいいのだというふうな印象を与えるように、あるいは守らなくてもいいんだというふうなことを前提にして書かれているとしか思えぬわけですね。なぜこういう区別をされるのですか。
  265. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 私たちのいまのアセスメントの中で、率直に言いまして、いまの環境の目標を守れるものと、それから現在では守れないものということを——NO2については後者でございますか、それについて私たちが「努力目標」というように使ったわけでございまして、やはりはっきり守れるものと、いまの時点では守れない、これから努力しないといかぬというような二つの書き分けにしたわけでございます。
  266. 東中光雄

    ○東中委員 環境庁、どうですか。
  267. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いまの御質問で、環境基準は公害対策基本法の九条の条文を正確に理解してやっていただく、これはやはり「努力目標」でございます。九条四項に、「総合的かつ有効適切に講ずることにより、第一項の基準が確保されるように努めなければならない。」ということで、「努力目標」ということは、私は、決して間違った表現ではないというように考えております。環境庁としては、「努力目標」と書くことを悪いとは思っておりません。ただ、物によって「努力目標」とそうやって書き分けているということは、後でまたよくお話を聞いてみなければわからない、こういうふうに思っております。
  268. 東中光雄

    ○東中委員 環境基準は環境基準なんですよ。環境基準と書けばいいのです。その環境基準というのはそもそも何かといえば、橋本さんがいつも言われる九条四項で、努力目標だという言葉を盛んに使われている。みずから書いた環境基準を守られないのを是認するような態度をとられておるわけでありますが、環境基準値あるいは環境基準にはこうなんだと、環境基準値という言葉があるのだから……。それで、現に騒音とか振動ではそう書いておって、問題がありそうなところだけは努力目標として煙幕を張っているのですね。まさにこれは非常にこそくな態度じゃないかというふうに私は言わざるを得ぬわけであります。  それからもう一つ、同じようなことがあるわけであります。これによりますと、大気部分のNO2についてですけれども、こう書いていますね。「なお道路に面する地域の二酸化窒素についてはWHOの専門委員会が公衆の健康を守るためのガイドラインとして示した値「二酸化窒素の一時間値が月に一度を超えて出現してはならない値〇・一〇〜〇・一七ppm」をも予測結果の評価にあわせて用いるものとする。」、こういうふうにして、WHOの基準に合致するから大丈夫ということにして、このWHOの基準を事実上、今度は環境保全目標としてしまっている。ここでもまた、すりかえをやっているのですね。WHOの基準、これは確かにありますけれども、それはいま、こういうことが出たからということで中公審にかけているという段階のものであって、環境保全目標とは直接的にはならぬわけですね。何かWHOの基準には該当しているんだ、これもまたそういうこそくなやり方じゃないか。もっと客観的に科学的に基準に対してどうだということをやっていくべきじゃないかというふうに思うのですが、この点は環境庁どうですか、こういう基準で書くのは。
  269. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘になりましたWHOのは、これは基準ではございません。あくまでもクライテリアに基づいて出した国際的な合意のあるガイドラインでございます。それに、基準を決めるのは各国が主権に基づいて各国の政策で決めるということでございます。そういう意味で、日本では基準としてあるのは対策基本法九条の環境基準である、それを努力目標にするということでございます。  環境庁が審査しますときには、現在中公審の専門委員会でいろいろ御審議をお願いしておりまして、これはもう年内にも出ますでしょうから、それを判断条件、尺度にして判断をしたい。もちろん、その中にはWHOのこのようなガイドラインも一つの要素として入ってくると思うのですが、それ以外のいろいろなものもできるだけ広く集めてやっておりますので、そういうことでその判断をいたしたい、そういう立場でございます。
  270. 東中光雄

    ○東中委員 これも、だからいま申し上げましたように、公団の態度としてはきわめて妥当な態度とは言えないということを私は申し上げておきたい。  さらに、鉄道騒音の環境保全目標でありますが、環境基準がないということで、通常のところで八十ホン、困難なところで八十五ホンと決めているようであります。しかし、現在の新幹線の環境基準に比べますと、御承知のように新幹線の環境基準は、住居地域は七十ホン、それ以外が七十五ホン、こうなっておるわけですが、これと比べると十ホンも高いわけであります。幾ら構造等が特殊だといっても、これは全くむちゃなことではないか、こう思うのですが、環境庁どうでしょうか。
  271. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 事実関係としては、先生の御指摘のとおり、新幹線で決めている環境基準と違いがあります。われわれ、この点につきましては、どういうぐあいに計算をして、どういう技術的な可能性を見込んでなっておるのかということに最も深い関心を持って審査をしたいと思っております。
  272. 東中光雄

    ○東中委員 要するに、私まだちょっと見ただけですから……。この膨大なものをとても数日の間に検討できるわけもありません。しかし、それを見ただけでもいろいろ問題が、少なくとも科学的かつ公平にという点から言うと、ずいぶん問題のあるアセスメントだと思っています。それだけに、これはぜひ公聴会をやるべきだ、せめて公聴会ぐらいはやって十分聞くべきだ、こう思うのですが、もう一回公団の方で、こういう問題がいろいろあるわけですから、それは説明会だけじゃなくて、公聴会を開くという方向でやるということを、どうでしょう。
  273. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 非常に責任逃れになりますが、先生の御趣旨を体しまして、いろいろ関係方面とも、両県知事とも相談いたしまして、必要あれば公聴会を開くということで……。
  274. 東中光雄

    ○東中委員 それでは、閉会中審査でまたやられることになると思いますので、その点についての質問はこれで終わりまして、あと瀬戸内海全体について、若干環境庁に聞いておきたいのであります。  瀬戸内海環境保全臨時措置法が来年期限が切れます。長官は、次期通常国会にこれにかわるものを提案するということを何度か答弁しておられますが、これはもう間違いございませんね。
  275. 石原慎太郎

    ○石原国務大臣 そのつもりで、ただいま鋭意準備中でございます。
  276. 東中光雄

    ○東中委員 前回の臨時措置法は全党一致の議員立法で産業排水中のCODを二分の一とするということで、それなりの積極的な意味があったと思います。しかし、残された問題も非常に多いわけでありますので、特に年々ふえ続けている赤潮問題、法の趣旨を無視して進められている埋め立て、あるいは汚染が全体として改善されつつあるかと言うたら、まだそこまでいっているとは言えないというふうな状態のように思います。いま長官も言われました、政府が次国会で出したいと思っておられる法案の骨子といいますか、これは私たちは非常に重大な関心を持っているわけでありますが、私たちは柱として、総量規制の導入をやらなければいかぬのじゃないか、二番目に赤潮対策としての窒素と燐の厳しい排出規制が要るのではないか、それから三番目は埋め立て規制の抜本的な強化が要りやせぬか、四番目に下水道の急速な整備、そして五番目に海上交通の規制などがあり得ると思うのでありますけれども、大体の柱、いま検討されている方向というものについてお伺いをしたい、こう思うわけであります。
  277. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先ほど長官からお答え申し上げましたように、次の通常国会に後継法を提案をしたいということで、現在、鋭意検討をいたしております。  その際、どういう視点に立って検討しておるかということでございますが、一つは、いま臨時措置法に盛り込まれております措置、これがただいま先生からお話がございましたように、産業系排水に係るCOD二分の一カットというような措置等が現在あるわけでございます。その他埋め立てにつきましても十三条の規定があるというようなことでございまして、こういうような臨時措置法で規定されているものを、後継法というものを考えます際にどう発展的に引き継いでいくかという視点が一つでございます。  それから第二番目の視点は、埋め立てにつきましては、その運用の基本方針というのは、これは四十九年の五月に審議会の方から答申をいただいておりますし、さらに昨年の十二月には環境保全長期計画の基本的考え方という答申もちょうだいをいたしております。これにはいろんな運用面等にわたる内容がいろいろ盛られておりますけれども、こういう中から法律事項として恒久法の中に取り込めるものがないかどうかという観点、これが第二点でございます。  それから第三点は、後継法を通常国会に提案ということを目標に環境庁の方でもいろいろ検討しておるということは周知の事実でございますので、各界、各方面から、その際はこういうものを内容に織り込むべきである、織り込んでほしいというようなことで、意見なり要望等をちょうだいをいたしております。そういうようなものの中で、一体何を柱に法律事項として盛り込み得るか、また盛り込むのが適当かということを、現在、鋭意作業をしておるということでございます。  そこで、まだ検討途中でございますので、歯切れのいい答弁ができかねる分野が多いわけでございますが、一つはいま先生挙げられました総量規制、これにつきましては、現在も産業系排水に係るCODの二分の一カットの措置がありますほかに、瀬戸内海の臨時措置法では、十八条の規定で量規制の導入という関係の規定がございます。そういうことも踏まえまして、後継法では少なくともこの総量規制というものは瀬戸内海については当然考えるべきものである、こういうふうに観念をいたしておるわけですが、ただ問題は、その際に伊勢湾なり東京湾、こちらの方につきましても汚濁の程度は、数字的な面から見ればむしろ瀬戸内海よりももっとひどいようだという話もあるわけでございます。ですから、むしろ総量規制についてはそういう東京湾なり伊勢湾、場合によりましては琵琶湖も対象にし得るような法制を考えてはどうか、そうなれば後継法というよりはむしろ水質汚濁防止法そのものの改正ということになるのではないかというようなことで、これは中公審の方にも十月二十九日に総量規制のあり方について諮問をして現在御審議をいただいており、その答申を得て具体化の作業を進めていきたいと思っておりますのが総量規制でございます。  それから、赤潮関係等につきましてどうかというお話でございますが、直に赤潮という角度で物を考えるということは、これはいろいろ漁業被害その他で水産庁等の考え方もあろうと思いますが、むしろ赤潮発生の要因物質になります燐、窒素、こういうものについて何か後継法の中で盛り込む手だてはなかろうか。現在、先生御存じのとおり、燐も窒素もまだその環境基準も排水基準も決めておらない現状でございますし、また環境庁としては来年度五十三年度予算要求の段階におきまして、特に燐の方を中心にしながら環境ガイドラインあるいは排水ガイドラインの設定のための調査費なども要求しておる、こういうような現段階において、富栄養化対策ということで燐、窒素、そのうち実用化の技術的なめどのある燐について、どこまで法制化という角度で考え得るか、いまこの辺はできたら盛り込みたいという考えを強く持ちながら、仕組めるものかどうか、実は悪戦苦闘しておる、そういう段階でございます。  その他埋め立ての関係は、現在も十三条の規定があるわけでございますので、また例の審議会からの答申でも、前に出した埋め立ての運用の方針というものを引き継いで今後やるべきだというような趣旨が、長期計画の基本的な考え方の答申にも盛られておりますので、この辺についても具体的に今度はどういう条項にしたらいいかというようなことをいろいろ検討中でございます。  その他、先生からお話ございます海上交通の規制とかというお話、これもいろんな要望もございますが、この面などもどう措置するか、また盛り込み得るものかどうか、現在いろいろ検討をしておる、そういう段階でございます。
  278. 東中光雄

    ○東中委員 大体ずらっとお伺いしたのですが、そうすると赤潮対策としては、窒素はなかなかむずかしい、燐はいろいろ検討しておるというと、結局ほかに何があるのですか。何もされないということになるのですか。赤潮対策として具体的にどういうことがあるのか、燐と窒素だけはお伺いしましたけれども、どうなんでしょう。
  279. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 赤潮の問題が、特にことしの八月末に大規模赤潮の発生というようなこともございますし、それから、漁業調整事務局の統計等を見ましても逐年ふえておるということが現にあるわけでございます。  そこで問題は、この赤潮の発生のメカニズムというものが、残念ながらまだ十分解明されておらないわけでございますけれども、ただ、この赤潮が発生します際には、いろいろな天然現象といいますか、海況なりいろいろな面はございますが、一つ要因としては、やはり富栄養化というものがあるであろう、その際の富栄養化の要因物質としての燐、窒素というものについて、むしろ環境庁としては何かその辺の削減の方途なり何なりをこの瀬戸内海につきまして先駆的に後継法に盛り込むというようなことができるかどうか、これを具体的にいま検討をしておるわけでございます。したがいまして、その後の赤潮のいろいろな諸対策というものは、今後、水産庁ともタイアップしながらやっていかなくちゃならぬかと思いますが、法律事項という角度で物を考えます際には、むしろただいま申しました燐の削減対策といいますか、そういう形のもので後継法の中に盛り込めるかどうかということを、具体的にいま詰めておるところであるということを率直に申し上げたわけでございます。
  280. 東中光雄

    ○東中委員 もう一点、下水道問題について聞いておきたいのですが、臨時措置法で工場排水で二分の一カットになった。しかし、汚濁はさっぱりよくならない。私は大阪ですが、大阪の寝屋川を見てみますと、工場排水のCODが二分の一カットとなって、工場排水に占めるBODの割合も昭和四十五年の四九%から五十一年の一六%まで、減っていることは減っているのですけれども、汚染はほとんど改善されていない。もっともそれは、底に汚泥などが堆積していて、なかなか二分の一カットの効果があらわれないということもあるでしょう。しかし、生活排水がふえているという点はやはり相当大きいのじゃないか、こう思うわけであります。ですから、瀬戸内海環境保全対策知事市長会議の要望にも出ておりますけれども、今度の後継法で下水道の整備ということがぜひ盛り込まれないと、この汚染値、汚濁値が改善されないという面があるのですが、そういう点で、下水道整備を今度の後継法の中へ入れていくというお考えかどうか、これをお伺いして、時間ですから、質問を終わります。
  281. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生からお話もございますように、瀬戸内海の水質汚濁という面を見ました際に、産業系排水と生活系排水をCODべースでながめますと、これは五十年の調査でございますが、大体産業系が六、生活系が四というような、六、四ぐらいの比率になっておりまして、生活系の排水というのがやはり非常に大きなウェートは持っておるという認識を持っております。したがいまして、閉鎖的な内海でございます瀬戸内海の浄化対策ということを念頭に置けば、やはり下水道の整備といいますものが生活系排水対策にとっては欠くべからざるものである、これを十分普及率も高め、さらに必要に応じては三次処理ということも必要であろうか、こう思うわけです。  ただ問題は、これを法律として後継法の中に織り込むかどうかという面につきましては、下水道整備緊急措置法という法律が別途ございます。これは当然、建設省の方が所管をしておりまして、現在は第四次下水道整備五カ年計画をその法律に基づきながらつくって、それで整備を進めておるということでございます。したがいまして、後継法の中にそういう下水道整備の規定を入れるかどうかという問題については、いま下水道整備緊急措置法というのがあるわけでございますので、その面との関係もございますし、まあ訓示的な規定みたいなことは、それは一つの考えようがあろうかと思いますが、実体的なあれについてはなかなか困難ではないかという感じでおります。下水道そのものの整備というのはまさに必要だと思いますが、法律事項として後継法でどう扱うかという問題についてはなかなか困難な問題があろうか、こう思っております。
  282. 東中光雄

    ○東中委員 じゃ、時間ですから、質問を終わります。
  283. 島本虎三

    島本委員長 次回は、来る二十四日木曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時六分散会