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1977-10-25 第82回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十五日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 島本 虎三君    理事 染谷  誠君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 向山 一人君    理事 土井たか子君 理事 水田  稔君    理事 古寺  宏君 理事 中井  洽君       相沢 英之君    友納 武人君       永田 亮一君    羽生田 進君       福島 譲二君    藤本 孝雄君       上田 卓三君    馬場  昇君       草川 昭三君    坂口  力君       竹内 勝彦君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石原慎太郎君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁企画調整         局環境保健部長 山本 宜正君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君         通商産業大臣官         房審議官    松村 克之君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     児玉 良雄君         防衛庁経理局工         務課長     田丸 達雄君         防衛施設庁施設         部施設対策第二         課長      飯村善三郎君         国土庁計画・調         整局計画課長  星野 進保君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 宮沢美智雄君         公安調査庁調査         第一部長    小野島嗣男君         文部省体育局学         校保健課長   遠藤  丞君         文化庁文化財保         護部長     角井  宏君         厚生省公衆衛生         局結核成人病課         長       仲村 英一君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   山村 勝美君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   森下 忠幸君         通商産業省貿易         局輸出課長   柏木 正彦君         通商産業省基礎         産業局基礎化学         品課長     児玉 幸治君         運輸省航空局飛         行場部長    田代 雅也君         建設省都市局都         市計画課長   海谷 基治君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     高橋  進君         日本専売公社理         事       立川 武雄君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 十月八日  辞任         補欠選任   福島 譲二君     増岡 博之君 同月十三日  辞任         補欠選任   阿部喜男君     久保  等君 同月十八日  辞任         補欠選任   刀祢館正也君     中川 秀直君 同月二十一日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     東中 光雄君   中川 秀直君     刀祢館正也君 同月二十五日  辞任         補欠選任   増岡 博之君     福島 譲二君   久保  等君     阿部喜男君   山本 政弘君     馬場  昇君   坂口  力君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   馬場  昇君     山本 政弘君   草川 昭三君     坂口  力君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害対策並びに環境保全に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 島本虎三

    島本委員長 これより会議を開きます。  この際、去る十九日から二日間、瀬戸内海環境保全状況実情調査のため委員を派遣いたしましたので、派遣委員報告を聴取いたします。水田稔君。
  3. 水田稔

    水田委員 瀬戸内海環境保全状況実情調査のため、議長の承認を得て、去る十月十九日から二十日まで二日間、岡山県、香川県及び広島県に派遣されました派遣委員を代表して、その概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、委員長島本虎三君、林義郎君、土井たか子君、古寺宏君、中井恰君永田亮一君、瀬崎博義君及び私、水田稔の八名でありまして、ほかに現地参加として、委員池田行彦君、増岡博之君、上田卓三君、久保等君及び古川雅司君並びに地元選出議員多数の参加を得ております。  調査団は、十月十九日、まず岡山県に入り、岡山県庁において、県当局から岡山県における環境保全対策概要について、倉敷当局から倉敷市における公害健康被害補償制度の現況についてそれぞれ説明を聴取した後、本州四国連絡橋陸上ルートを車中から調査し、下津井港において、瀬戸大橋架橋に伴う道路建設計画について、瀬戸大橋架橋児島地区対策協議会から陳情を受けました。  引き続き、下津井港より本州四国連絡橋海上ルートを船上から調査いたしました。  次いで、海路より香川県に入り、香川県庁において、県当局から香川県における赤潮による漁業被害状況及び瀬戸内海環境保全対策概要について説明を聴取しました。  二十日は水産庁南西海水産研究所に赴き、水産研究所において、研究所当局から赤潮発生機構研究について説明を聴取しました。  次いで、広島県庁において、県当局から瀬戸内海環境保全対策及び海田湾埋立計画概要について説明を聴取し、広島漁業協同組合ほか四組合及び広島東部浄化センター対策協議会並び広島商工会議所ほか二団体から、それぞれ埋立事業の促進及び埋立事業早期認可について陳情を受けました。  次いで、矢野西小学校に赴き、海田湾埋立予定海区を視察するとともに、「海田湾矢野沖埋立反対及び住民を守る会」及び広島矢野婦人会から海田湾埋立反対に関する陳情を受けました。  引き続き通商産業省中国工業技術試験所に赴き、瀬戸内海大型水理模型実験状況を視察するとともに研究の概況について説明を聴取しました。  以上、調査概要を簡単に御報告いたしましたが、調査結果の詳細につきましては、委員長のお手元に報告書を提出しておきましたので、本日の会議録に掲載されるようお取り計らいをお願いいたします。  以上、御報告申し上げます。
  4. 島本虎三

    島本委員長 以上で派遣委員からの報告聴取は終わりました。  お諮りいたします。  ただいまの水田稔君の御提案のとおり、調査報告書を本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 島本虎三

    島本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  6. 島本虎三

    島本委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件、特に公害健康被害補償に関する問題について、明二十六日、経済団体連合会環境安全委員会委員長代理徳永久次君、尼崎市環境保全局環境部長佐竹三木夫君、横浜市公害研究所所長助川信彦君、名古屋保健衛生大学医学部教授梅田博道君、岡山大学医学部助教授青山英康君及び日本弁護士連合会公害対策委員会委員長鈴木繁次君、以上六名の方々参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 島本虎三

    島本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  8. 島本虎三

    島本委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
  9. 林義郎

    ○林(義)委員 今国会におきます当委員会での質疑を始める前に、私もきょうは具体的な問題で質疑を行いたいと思っておったのですが、昨今の新聞石原長官の御発言がいろいろとにぎにぎしく報道をされております。公害対策基本法の中での経済との調和条項をやったことは間違いであったとかいう話とか、大臣という仕事はくだらないとか、いろんなことを新聞で書かれておりますが、私は、新聞でいろいろ書かれていることは書かれていることで、その報道自体がどうだということを言うわけではありませんが、やはり環境行政を進めていくについて基本となる考え方というものはあるだろうと思うのです。それはやはり法律的には公害対策基本法だろうと思いますし、それの基本的な考え方長官、一体どういうふうにお考えになっておられて、また新聞に報ぜられるようなことがあったならば、なぜそういうふうな御発言をされたのか、私はお尋ねをしたいと思うのです。  この機会に私申し上げておきますが、四十五年、六年という時代は大変な、やはり公害問題がうるさかったというか大変に盛り上がった時期であります。当時、私もこの委員会におりまして、問題となっておりますところの公害対策基本法経済条項の修正についていろいろ質疑もいたしました。当時は、やはり高度成長の高まりの中で非常にいろいろな問題が出ておった。まさに高度成長のひずみ是正ということが緊急の課題であるという私は時代的な背景があの中にあったと思うのであります。いまや安定成長時代に移ってきましたし、また逆に言いますと、国際的に言えば資源の問題とかエネルギーの節約の問題とかというのがいろいろありますし、お互い政治家として考えていかなければならないのは、そうした時代の要請に対してどういうふうな形でおのおのの行政をアプライさせていくかということを真剣に考えるのが大切なことだろうと思うのです。そういった意味で、ひとつ長官は、ああいった発言についてどういつだ御真意でやられたか、お尋ねをしたいと思います。
  10. 石原慎太郎

    石原国務大臣 他のメディアを通しますと私の真意がなかなか伝わりにくいので、幸い御質問いただきましたのでお答えさせていただきます。  私自身環境行政の一番基本的な姿勢は、前にも申しましたけれども、人間の健康というものはいかなる要件にも優先するものだということは、いささかも変化はございません。そしてまた、その姿勢にのっとりまして公害基本法を遵守、尊重していくこともいささかも変わりございません。ただ、テレビでいたしました発言は、四十五年に経済条項を削除したことが間違いであったと申したのではございませんので、ただいささか魔女狩り的な感じがするという表現をしたわけでございますが、その本意は、四十二年、そのとき私は国会におりませんでしたけれども、これはあくまでも生活環境条項の中に経済との調和というものを入れるときに、すでにいろいろ議論があったように聞いております。そして入れたものを四十五年、先生御指摘のようにいわゆる公害国会と言われ、非常に大きなラジカルな大惨事があちこちに起こってまいりまして、言ってみれば当事者も周章ろうばいと申しましょうか、大きな衝撃を受けて、ある意味での混乱があったと思います。まあ一種のパニック状態があったと思いますが、そういうパニックといえば一つのある種のムードが醸し出されてくる中で改めてこれが論議されて、三年前に入れられたものが今度は外されたということで、私は、その結果新しい誤解を生じたのではないかという気がするわけでございます。すでに、昭和四十五年と申しますと一九七〇年でございまして、もうその数年前から、新しい意味目的の発見であるとか発想の転換ということを学者やあるいは佐藤総理自身も言っておられました。そして、やってくる一九七〇年代はだれも石油ショックは予想しませんでしたが、しかし、資源というものは有限になり、高度成長もそう続かず、非常に困難な時代だろうということがすでに昭和四十二、三年のころから言われていたわけでございます。そういう漠然たる予測があるならば一層、あの時点で、私は、論議の末に入れた条項をまた削除したことで新しい誤解、まあ言ってみればそれを取ることで生活環境における環境の問題で経済というものに対する配慮は無視されてもいいんだというような、私から考えれば非常に乱暴な論さえ導き出しかねないような、そういう一つの素地をつくったのではないかという気がするわけでああいう自分の印象を述べたわけでございますが、それが間違いだったといいますよりも、ただ私はそういう印象を受けたという形で表現したわけでございます。ただ、いささか魔女狩り的な感じがするという表現に関しましては適当でないので、昨日の予算委員会で取り消さしていただきましたが、基本的にはそういう意味経済条項の削除について発言したわけでございます。  それからもう一つ、その調和というものはいろんな意味が込められていると思いますが、私は、やはり経済を優先するというニュアンスは調和という言葉の中には毫もないと思うのです。また、昨年のOECDのレビューの中にも指摘されておりますように、私たちがいままで起こってきました問題には適切な処置をしてきたけれども、その段階を一段終わって、これからもっと幅の広い生活環境の中でいろいろな形での調和を考えていかなければいけないということをあのレビューは述べております。そういう観点に立ちましても、昭和四十五年にあの条項が削除されたことでさらに生じた誤解というようなものが、いまこういう時点に立っている日本社会経済にとってむしろマイナスの要因に働くうらみがあるのではないかということで申したわけでございます。
  11. 林義郎

    ○林(義)委員 いろいろと長官、斬新なアイデアで環境行政を進めておられると思いますし、いまのお話の中でも、やはり時代が変わってきているからその時代に合うようなことを考えていかなくちゃならないし、また先見性を持ってわれわれは取り組まなければならない、こういうふうなお話だと思うのですが、この辺はまた別の機会に譲りまして私は議論をさしていただいたら、こう思っています。基本問題でございますから短時間のうちに解決できるような話でないと思うのです。ですから、むしろそういった基本問題こそ当委員会で取り上げていくべき問題だろうということだけを申し上げておきたいと思います。  実はきょうは、先国会の最後のときに請願の採択をするかどうかということがありまして、当委員会では採決をしないまま保留にしておくという形でありました、白金迎賓館がございますが、この敷地の中にホテル建てるという問題があったのです。この問題につきまして少し関係の方々に御質疑をしておきたいと思います。  まず第一に、東京都港区白金台にある西武不動産株式会社所有白金迎賓館敷地内に高層ホテル、何か白金プリンスホテルというのだそうですか、それを建設するという計画があります。この建設場所国立科学博物館付属自然教育園の隣地でありまして、すぐれた自然の残る貴重な一角を守るために、当該建設区域をたとえば自然環境保全区域に指定するなど、環境行政に基づくところの措置によって自然環境保全することができないかどうか、これは環境庁の方からお答えいただきたいと思います。
  12. 出原孝夫

    出原政府委員 白金自然教育園は、自然環境といたしましては都市の中で珍しい非常に自然の木のたくさん育っております。また鳥、昆虫等についても多くが生息しておるところでございます。これにつきましては、いま御指摘のように、自然環境保全地域にするかどうかの問題が一つございまして、請願の趣旨はその意味での御請願であるというように受け取りますが、ただ、自然環境保全地域等と、それからその他の法律によりまして自然環境保全目的とする法律等がございます。その間の調整が必要でございまして、昭和四十八年十月の閣議決定におきまして都市計画区域市街化区域におきます場合には、自然環境保全地域市街化区域の問題につきましてはこれを都市計画区域の中で一体化して整理をするということがよろしかろうという方針を原則として政府として立てておりますので、そういう意味におきまして、私どもの方で取り扱うのは余り適当でないというように考えておるわけでございます。  なお、ここは天然記念物指定地でもございまして、かつ文部省所管地でもありますので、他の方法によって保全を図ることが適当ではなかろうかというように考えております。
  13. 林義郎

    ○林(義)委員 そこで文化庁お尋ねしますが、白金プリンスホテル建設については、自然教育園は当初これに反対の意向であった。昭和五十年三月には、自然教育園運営委員会会長から国立科学博物館長に対し、ホテル建設自然教育園に及ぼす悪影響についての報告もされているのであります。しかるに、昭和五十二年六月、自然教育園は同じ計画につき影響がない旨の表明をしておりますが、初めにはノーと言い、後にはイエスと言った、その間一体にどんな事情の変更があり、また、どうして自然教育園判断変更があったのか、お答えください。
  14. 角井宏

    角井説明員 お答え申し上げます。  五十年の白金におけるプリンスホテル計画について自然教育園運営委員会が表明した意見と、それから五十二年の際にその自然教育園所管しております国立科学博物館が表明いたしました意見の相違はなぜかというお尋ねだと存じます。これは、実は自然教育園所管国立科学博物館であり、かつ文部省社会教育局でございますので、文部省からお答えするのが筋かと存じますが、私が承知しております限りでお答えさせていただきます。  この五十年における運営委員会意見と申しますのは、当初の西武不動産が協議いたしました際の建設計画、これは地上十四階、地下二階という非常に大きなものでございます。これに対しまして、五十年の九月に計画変更をしたものが文化庁に出てまいっているわけでございますが、そのときの計画地上十階、地下一階となっておりました。  この自然教育園運営委員会がさきに反対を表明しましたのは当初の計画についてでございますが、五十二年の六月に至りまして国立科学博物館判断最終結論として文化庁に言ってよこしましたものは、ただそうした建設計画だけではなしに、地下水に関しまして、雨水の浸透を図るために白金迎賓館周辺の不透水地域、要するにあの建物は三万平米ほどの敷地があるわけでございますがその三分の一から半分くらいがアスファルトに覆われておるわけでございまして、そういう雨水が通らず、その水が下水に流れてしまうという状況場所を、ペーブメントをはがして雨水が通るようにするという、極力通水化を図るということ、それからまた、風害に関しまして、周辺部に樹木を密植する、あるいは防風ネットを張るというような条件を守ってくれるならばよいという条件つき意見を述べたわけでございまして、そういうようなことで前後の状況が変わってきたかと存じます。
  15. 林義郎

    ○林(義)委員 この自然教育園敷地は、旧白金御料地として文部大臣から天然記念物及び史跡に指定されておるところなんです。その隣接地高層ホテル建設するようなことは、文化財保護法の八十条に規定する史跡名勝天然記念物に関し、その保存影響を及ぼす行為に当たるもので、西武不動産株式会社から五十年九月、同条の規定による文化庁長官に対する許可申請が行われたと聞いておりますが、五十二年の九月、文化庁西武不動産株式会社に対して、文化庁長官許可を必要としない旨通知したというのは一体どういう理由なんでしょうか。
  16. 角井宏

    角井説明員 お答え申し上げます。  文化財保護法八十条の規定は、史跡名勝天然記念物に関して、その保存影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官許可を受けなければならない。ただし、影響が軽微である場合にはこの限りでない、こういう規定でございます。  そこで、白金のこの問題の建物建設されるところは指定地外でございますが、この指定地外における行為がどういう影響を与えるかという問題は一般論で片づけられませんので、その行為の具体的な内容によって決まってくるわけでございます。  このホテル建設につきましては、その後二年間、環境アセスメントその他調査の結果に基づきまして西武不動産、それから国立科学博物館文化庁の間で具体的に協議調停を続けまして、最終的に西武不動産文化庁意見を全面的に受け入れまして、天然記念物文化財としての保存影響を与えないように当初計画を大幅に変更をしたわけでございます。変更後の計画によるホテル建設でございますれば、文化財保護法第八十条一項に規定する文化庁長官許可を要する行為に該当しないと考えたわけでございます。  どういう点でどういうふうに当初の申請建設計画が変えられたかということを申し上げますと、まず地下水につきましては、申請時は七・七メートルという地下の建築をする予定になっておりましたが、これを三メートルに縮める。この三メートルに縮めるというのは、つまり地下五・五メートルぐらいのところに水の層がございます。それを切断しないように、こういう配慮でございます。  それから先ほど申し上げました雨水透水面積でございますが、ホテル建設いたしますと約二千九百平米減少するわけでございますので、そのかわりに、その減少した部分の雨水は全部屋上の集水装置から下水管に流さないで池に流す、そうしてアスファルト舗装約九千四百平米、これを撤去いたしまして透水地化する、こういうことで、さらにこの迎賓館の新館というのがあるわけでございますが、これを撤去していただく、こういうことでございます。  それから日照についてでございますが、申請時は十階建て三十七・七メートルという軒高でございました。先ほどこれは申し上げましたが十階建てでございましたが、これを最高三十一メートル、九階といたしまして、かつ西側は七階、東側は七階及び五階ということに低めまして、日陰を自然教育園に落とさないようにしたわけでございます。  それから風についてでございますが、これは建物の方向があの自然教育園の前の道に沿っておりまして、風向きの一定化による害を自然教育園に与えるということはほとんど考えられないのでございますが、なお安全を期するために自然教育園との東境界に沿って約百三十メートルにわたる防風ネット植樹帯を設置するということでございます。  それからホテル照明についてでございますすが、これも外部照明を行わず、また、室内灯火によるホテル北側の照度に十分注意をするというようなことで昆虫類を誘引しないようにする、こういうことでございます。  以上のような誓約を得ましたので、今後その履行につきまして十分文化庁の指導も得ますと、こういうお約束でございますので、本件につきましては保存影響はないという判断を示したわけでございます。
  17. 林義郎

    ○林(義)委員 いろいろとありましたが、ホテル建設基礎工事の中でコンクリートパイルをどの程度打ち込むのかというのが問題になっているようでありまして、それによって地下水の流れに影響を及ぼし、あるいは地下水を汚染することにならないのかどうか。近所に竹中の計算センターというのがありますが、その工事では下流の井戸に種々の悪影響を与えているというような話も聞いておりますけれども、これと同じようなことにはならないのかどうか、この辺につきましてはどういうような調査をされましたか。
  18. 角井宏

    角井説明員 このホテル建設の際の基礎工事でございますが、これはベノト工法という工法で施工いたすわけでございます。これはコンクリートの柱を地下を円柱状に掘削してその場でつくっていく工法でございますが、これで地下約二十八メートルまでもぐらせませんと、支持力のある砂れき層に届かないわけでございます。これは約十八平方メートルに一本、こういうことでございますから、建物敷全体で約百六十本でございます。これはパイルの間の距離は約三メートルということでございます。  こういうふうなことで、地下水の水平方向の移動が妨げられるというようなことは、現在、この層の第一滞水層というのが一番影響があるわけでございますが、その第一滞水層は、先ほど申しましたように地下五・五メートル、その五・五メートルの透水層の水というのは一日に一センチメートルくらいしか動かないということがわかっております。ほぼ静水に近いわけでございます。それでこのくいの間が三メートル以上あるということでございますので、地下水の移動を妨げるということはちょっと考えられないわけでございます。  パイルを打ち込むことによって粘土層が破れて漏れるのではないかというお話もございますけれども、この地域の地層はいわゆる渋谷粘土層という、きわめて粘着力の高い地層でございますので、その上に関東ローム層の荷重がかかっておりまして、ベノト工に高い圧をかけて密着する、こういうやり方でございますれば漏水の危険もないと考えられるわけでございます。  先ほど竹中工務店の例が出されたわけでございますけれども、この竹中工務店は、地下の底盤が十九・五メートルという、こういう大変に深いものでございまして、第一、第二滞水層を掘削しておるわけでございます。  それに対しまして今回のホテルの場合は、地下三メートル以上は掘らない、こういうことになっておりますので、先ほどのべノト工法をあわせて考えますと、影響は出てこないというふうに考えているわけでございます。
  19. 林義郎

    ○林(義)委員 文化庁でお調べになりましたところはいまのような御答弁ですが、もうちょっと観点を変えまして、先ほど環境庁の方からもちょっと御答弁がありました都市計画法上の商業区域、こういうことになっているのだろうと思います。これは住宅区域に適用するということは考えられるのかどうかお答えください。建設省です。
  20. 海谷基治

    ○海谷説明員 お答えいたします。  先生御承知のように、都市計画法におきます用途地域につきましては、土地の利用の現況でありますとか今後の動向、それからいろいろな都市施設の整備の状況といったようなものを考えまして、都市の機能をきちっと守っていくという観点から、総合的かつ広い観点で決めてきておるわけでございます。  このホテル建てると考えられておりますところにつきましては、かなり幅員の大きな道路に面しましたいわゆる路線商業と言いますか、そういう形での長い商業地域の中の一部に含まれております。したがいまして、ここでいま御議論になっておるような観点から、地域を局部的にと言いますか変えるというようなことは適切ではないのではないかというふうに考えているわけでございます。
  21. 林義郎

    ○林(義)委員 これで終わります。
  22. 島本虎三

    島本委員長 林君の質問は終わりました。  向山一人君。
  23. 向山一人

    ○向山委員 土壌汚染の関係、並びに厚生省、文部省に対して、たばこに関する有害性の問題等について質問を行います。  先般、環境庁は、五十一年度に調査されましたケミカルアセスメントの結果の報告を出しました。これを見ますと、全国的に化学物質によって非常に汚染されているというような細かい記事が出ております。別に先般、東京都の衛生研究所の調査で、たばこに有毒農薬が非常に残留しているというふうな発表が行われました。  この両者を見ますと、かってPCBの汚染で非常に問題が起きましたが、特に東京都の衛生研究所の調査を見ますと、国内だけのたばこでなくて全国的なたばこに、農薬の残留と思われるDDT並びにBHCが、しかも相当な程度に含まれている、これがたばこの煙からいまだに人体に入っている、こういうような非常に恐るべき報告が行われております。  そこで、環境庁にお伺いいたしますが、このケミカルアセスメントで五十一年に調査をいたしましたが、全国の土壌汚染の状態は総体的に言ってどういう状態なのか、また、このたばこの葉っぱにまでこうしてDDT、BHCが多量に入っているという状態は、この結果から理解できるのか、うなずけるのか、当然だと考えているのかどうなのか、その点について総括的にお答えを願いたいと思います。
  24. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 BHCあるいはDDT等によります農用地の土壌汚染の状況でございますが、これにつきましては、環境庁におきまして四十九年度に、愛媛県下で水田土壌中のBHC剤について調査をしたということがございますが、その結果によりますと〇・〇三四ppmでございます。またその後、五十年度に山口県と三重県で実施されましたBHC剤それからDDT剤、これは食品の方になりますけれども、この残留調査によりましても食品衛生法に基づきます食品規格基準、これは〇・二ppmというのが食品規格基準になっておりますが、それ以下になっておるということでございます。全国的に全面的な調査というのは、現段階においてはこの農薬を四十六年から製造、販売とも禁止いたしておりますので、現在はやっておりません。
  25. 向山一人

    ○向山委員 日本専売公社にお伺いしますけれども、このたばこは三月に市場から買って調査したたばこのようですが、ことしの三月ごろに使われているたばこの葉っぱはいつ、何年ごろ耕作したものかお答えを願いたいと思うのです。
  26. 立川武雄

    ○立川説明員 お答えいたします。  葉たばこは通常二十四カ月ぐらいの在庫を持っております。したがいまして、ことしの春ごろつくられたたばこは一昨年の収穫のものを使っていると思います。
  27. 向山一人

    ○向山委員 DDT、BHC等のこの種の農薬はすでに四十六年に製造、販売が禁止になっているわけでございますが、こうした農薬がたばこに吸収されて、そうして大変な、実は細かい計算をしてみませんけれども、発表されている量を見ますと「残留する農薬のうち喫煙時に煙に移行する量は、フィルター付きでパラ・パラダッシュDDTが六・二%、総DDTが九・四二%。またフィルターがない場合、パラ・パラダッシュDDTが一四・七%、総DDTが一九・五%だった。この結果を基に、アメリカの環境基準で決められている総DDTの許容量(空気一立方メートル当たり一ミリグラム)に今度の分析結果を換算してあてはめると、」外国製のたばこは基準をオーバーしている。日本のたばこでも〇・五ミリグラムで、基準の半分だ、こういうふうな何か大変ショッキングな書かれ方をしておりますので、改めて土壌汚染の化学物質が非常に気になるわけでございますが、こうした問題について環境庁はさらに詳細に調査をして、そうしてケミカルアセスメントでも調査対象を決めて、だんだん進めているようですが、土壌汚染防止法に基づく有害物質としてこうした有機性の化学物質を指定をする御意思で進んでいるのかどうか。またその辺の状況がどんなふうか、お答えを願いたいと思います。
  28. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 お答えいたします。  先般化学物質の環境調査の結果を発表したわけでございますが、これは四十九年、五十年、五十一年におきまして、一般環境中におきます化学物質の所在というものにつきまして調査を行ったものでございます。対象となる物質は非常に数多くあるわけでございますが、その中で残留性というような観点、いろいろな化学的な観点から約八十物質についていたしたわけでございます。その中で、いまお尋ねの、問題になっておりますDDT、BHC類につきましては、私どもの調査は水質あるいは川、湖の底の底質、魚介類というような一般環境面をねらったものでございまして、DDTは水質中からは検出されなかったわけでございますけれども、底質におきましては最高〇・〇一五ppm、魚で最高〇・一三ppmが検出されております。またBHCにつきましては水質中から最高〇・〇〇〇一ppm、底質では最高〇・〇五ppm、魚では最高〇・〇一五ppmが検出されております。いずれも四十六年から販売が禁止されておるにもかかわらず、環境中で難分解性であるということが示されているわけでございますけれども、その濃度はいずれも低いものでございまして、今後も漸減すると思われますし、との程度の量におきましてはそう問題はないのではないか、こういうぐあいに見ておるわけでございます。
  29. 向山一人

    ○向山委員 たばこの有害性については、世界各国の医学界でも非常に重視して、すでに研究の成果が発表されております。特に過去十年間WHO、世界保健機構の年次総会や専門委員会等で有害性を非常に重要視しまして、総会等の決議としては、喫煙を長期的基礎の上に立って抑制または防止あるいは禁煙教育の強化の計画を立てるべきだ、こういうような決議をして、年々この問題を取り上げて専門委員会等で報告をしていることは厚生省並びに環境庁も御承知だろうと思います。そこで、今回さらにこうした有害性でいろいろな病気の原因になっていることが発表になっているところへ、また土壌汚染によって新しいDDTあるいはBHC等の有機化学物質が含まれてくる、あるいはそれ以外にまた新しい有害の発表が、後ほど申しますけれども、続いていろいろ出ているわけでございますが、このWHOの総会でたばこの有害性が発表されて、人体に非常な影響を及ぼす。これは細かにいろいろ病気の問題を言えばいいけれども、一番主な病気としては虚血性心疾患、肺がん、慢性気管支炎、肺気腫などがその最たるもののようでございますが、こういうWHOの決議や委員会の勧告等については日本政府、特にこの関係は環境庁と厚生省にまたがると思いますが、両省では、どういう認識をされて、どういう考え方で臨んでいるか、お聞かせ願いたいと思います。
  30. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 私ども環境保健部におきまして環境汚染と健康の問題を取り扱っておるわけでございますけれども、食品あるいは薬品、こういった直接人間の体に入る物につきましては厚生省で所管しているわけでございます。WHOが禁煙の問題につきましていろいろと強い動きをしておりますし、またそのベースになりますのは、かつてイギリス等を初めといたしましてのいろいろな疫学調査によってたばこの有害性が言われておるわけでございまして、そういったような状況でございますので、もしできましたら、厚生省からお答えをお願いしたいと思います。
  31. 仲村英一

    ○仲村説明員 御指摘のたばこの害でございますが、WHOにおきましても総会があるごとにいろいろの決議を行っておりますし、その中では、加盟各国に勧告をされておるのは御承知のことだと思いますが、その内容は、最近のを簡単に申し上げますと、四つばかりございまして、喫煙を抑制するあるいは喫煙を防止するということで、それを進めるための効果的な機関をつくれということと、それから、喫煙についての衛生教育をやるためにそういう団体と連携をしなさい、それから、たばこを吸わない周りの人たちに迷惑がかかるので、そういうことのないようにしなさい、それから、いままでWHOの専門家委員会、エキスパートコミッティー等でいろいろ報告書が出ておりますが、そういう報告書の中に示されておる事実等について各国は大いに考慮を払う。この四点ばかりに要約できるかと思いますが、日本の立場から考えますと、もちろん、このWHOの勧告それ自体は私ども加盟国といたしまして十分尊重すべきことだと思いますが、ある機関をつくるとかいうふうな問題は、国情の差もございますので、現在私どもは、禁煙をするセクションをつくるとかそういうふうなことは考えておりませんが、残りの三つの問題につきましては、これはやはり衛生教育の一環というふうな広い立場で考えなくちゃいけないと思いますので、そういう機会をとらえて大いに進めてまいっておりますし、今後ともまた進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  32. 向山一人

    ○向山委員 つい先日開かれた第三十六回の日本癌学会で、国立がんセンターの長尾研究室長が、今度たばこの煙の問題について——たばこの煙ばかりではなくて、魚の焼けた炭とかいうものにも関連しておりますが、たばこの煙などは、他の物質に作用して突然変異原性を与えたり、強めたりする増感物質が存在すると発表されております。この増感物質は、ノルハルマンとハルマンと呼ばれる二種類の物質で、たん白質を構成するアミノ酸の一種であるトリプトファンの熱分解生成物から見つかったというふうな発表をしております。たばこ一本分のタールには二十マイクログラムも含まれている。微生物を使ったテストで、発がん物質であるベンツピレンに加えると、その突然変異性は約十倍で、同じくジメチルアミノアゾベンゼンの突然変異性を四十倍ほど増強することが証明された等、いろいろずっと書いて、たばこの煙が発がん性を新しい分野でまた持っているというふうな発表がなされております。  厚生省の方では、国立の公衆衛生院等でこうしたたばこの関係の害については研究をされているようですが、従来のたばこの有害性、有毒性の上にさらに次々とこうした非常な発がん性が学会で発表されてくるというような事態になっていることをぜひ御承知を願って、時間がありませんので、そんなことを考えながら、いま厚生省の方面ら御答弁がありましたが、私どもは、この問題は一番、若い方々にどうしてもこのたばこの害というものを認識してもらいたい、こんなふうに実は考えておりますので、文部省の方へお伺いしますが、未成年者、なかんずく学生の喫煙が健康に非常に悪影響を及ばしておるということは御承知のとおりでございます。しかも、このたばこの害を認識してもらうためには、若い人たちがたばこに手を出すのを思いとどまらせる措置を講ずる。これはいまちょっと厚生省の方でもそういうふうなことが必要だということがありましたが、このことが一番不可欠の問題だろうと思いますし、また、それには喫煙が健康にもたらす悪影響を一般大衆に十分知らせなければならぬ。どういう形式にせよ、こういう有害なたばこの消費を奨励したり、したがって広告をして買わせるというようなことは慎むべきだと思うのですが、この点について、日本専売公社はどういうお考えでいるか、お答えを願いたいと思います。
  33. 立川武雄

    ○立川説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、WHO初め世界各国でたばこの有害性と申しますか、健康との関連について発表がございます。また、国内におきましても、先ほどのお話のように、ときどき新聞に出ておるわけであります。私どもとしましては、健康と喫煙に関する問題にもちろん大変関心を持っておりまして、専門の先生方にお願いいたしまして委託研究をいたしますとか、あるいは各国で発表になります情報をできるだけ早く集めて、専門の方々に解析していただきますとかやっておる次第でございます。  そういう中におきまして、現在のところ、たばこは有害だということで、「吸いすぎに注意しましょう」というような注意表示をしておりますけれども、当時の考え方といたしましては、疫学的にはいろいろ健康に悪いというデータがございますけれども、病理学的に必ずしもはっきりしていないというような議論の中で、健康に害があるときめつけるのは、愛煙家の方々に与える心理的な圧迫も大変多いというような議論がございまして、現在のような取り扱いになっているわけでございます。  その後、現在までいろいろな発表がございますけれども、基本的には、その辺の疫学的なあるいは臨床的な立場からするいろいろな御研究と病理学的な立場からするものの相関と申しますかが、まだはっきりしていないというのが現状でございます。そういう中にございまして、私ども、たばこをつくって販売いたしまして、財政収入を上げるというような立場もございますので、新製品につきましては、お知らせ広告といったものを中心に考えておりまして、売らんかなの姿勢はとっておりません。それからまた、未成年者等につきましては大変気にしておるわけでございますけれども、たとえば自動販売機の設置の方法でございますとか、ポスターをつくる際に未成年者の喫煙は禁止されていますというようなこととかを、できるだけ機会あるごとにPRをしているような次第でございます。
  34. 向山一人

    ○向山委員 まあ、専売公社はたばこをつくって売っているところですから、いまお答えをいただいておっても、多少認識の相違があるわけですが、私は、これは嗜好品としてたばこをたしなんでいるわけですから、害は害としてやはりはっきりして吸わせるようにしていかないと、いまの御答弁のように、必ずしも学問的に害が認められていないかのごときこともおっしゃっていますが、もうたばこの有害性については大変な書類がさっきから言っているようにWHO等でございまして、それは疑う余地がないわけなんです。  その問題はまたその問題として、そこで、若い方々の健康問題についてまず第一に必要なのは、これは文部省の方へお伺いしますが、医者やその他の保健従事者のための学校のカリキュラム、教育課程の中で、喫煙と健康の問題について教育を十分する必要があるだろうと思うのです。それから第二は、子供に対する教育で、テーマをはっきりとして効果的に子供たちの目の前に示すことが必要だ、この場合も学校のカリキュラムの保健教育の一部として組み込むべきだと考えておりますが、文部省は義務教育課程の中でこうした問題を取り上げるべきだと思いますけれども、どういうふうにお考えになっておりますか。
  35. 遠藤丞

    ○遠藤説明員 お答えを申し上げます。  たばこの問題というのは戦前からいろいろ問題になっておったわけでございますが、ともすれば在来は非行化防止というような観点から、大人のまねをして大人に一歩でも近づきたいというようなことからたばこを吸うというのが戦前の中学生などに見られたわけでございますが、その後はいろいろ医学的な研究が進みまして、たばこの有害性というものが非常に具体化されてまいりましたので、最近では小学校におきましては教科の体育の中の保健領域、それから重点的には中学校の保健体育におきまして、たばこの有害性というものについてかなり突っ込んだと言いますか、こういうのは習慣化する、一回始めるとなかなかやめられない、そしてそれが長く続けばいろいろな病気の原因になるというようなことを、かなりの時間を割いて教育をいたすようにしておりますし、さらに学級指導という時間がございます。平たく言うとホームルームと通称言われているものですが、そのようなときにも、いろいろな新聞報道などがされましたような際には、そういう記事を教材に使いまして、適時教育をするという扱いにいたしてございます。
  36. 向山一人

    ○向山委員 未成年者の喫煙に対する問題、特に学校関係で見ますと、中学生の喫煙者が四十七年と五十年を比べてみますと二三四%、それから高校生が一八九%、約二倍程度、これは警察庁で補導をした数から見ても二倍にもふえているわけです。それから非公式な結果でございますが、高校生の喫煙状態を見ると、多少吸っているというふうな状況が五〇%くらいになっているわけです。そういうように非常に有害なたばこを、しかも法律で禁止されている未成年者が吸っているということは、非常に将来に大きな問題があるし、これは昔からよく言われるように、非行化、不良化の問題も隠れてたばこを吸ったりするところから大体出発しているという点から見ても、この問題はやはり大きく教育の課程で取り上げるべきだと思うわけです。  そこで文部省にお伺いしますけれども、実は社団法人日本禁煙友愛会というのがございまして、ここで今回、義務教育課程でたばこの有害を取り上げてもらいたいという十万人の請願書を衆参両院に出すわけなんです。きょう提出するわけでございますが、そんな関係もあり、実は、この団体が昨年、衆参両院議員にたばこに対するアンケートをとったわけです。その中に、たばこというのは非常に有害だから義務教育の中でこれを取り上げて、そして若いころから禁煙思想を養ってほしいという項目について、衆参両院の先生方で御返事をいただいた方が、六十七名中六十五名は賛成なんですね。二名反対。九七%がこうした問題について賛成をしているわけなんです。こういう現実から見ても、今度学習指導要領が新しくできるわけなんですが、これを見ましたけれども、もちろん学校で取り上げれば取り上げられるわけですが、もう少しこの大事なたばこの有害、有毒の問題を学習指導の中へ入れて、そしていまも言うように国会議員のアンケート調査でも九七%が賛成をしているのですから、世論としてやはり考えてこの問題を取り上げてほしい、こんなふうに考えますが、文部省のお考えをお答え願います。
  37. 遠藤丞

    ○遠藤説明員 先生御指摘のように、今度五十五年度から施行いたします新しい指導要領におきましては、教科内容を精選して学校全体がゆとりができるようにという観点から極力中身を簡単にする。保健の教科だけでございませんで、ほかの教科についても共通でございますが、そのような観点で考えましたので、記述といたしましてはかえって簡単になったという点の御指摘かと思いますけれども、その分、身近な教材としてどういうものを取り上げるかというような点につきましては、指導書という、指導要領ほどの効力は持ちませんけれども、病気の予防、どういうものが体に有害であるかというものの教材については、なるたけ身近なものを取り上げるようにという観点から、いま御指摘のございましたような、たばこの有害性というものが教育できるように十分な配慮をいたしたい、かように考えてございます。
  38. 向山一人

    ○向山委員 ただいま申し上げましたように、この問題は、約十万人の方々の署名を添えて衆参両院議長に請願をいたしますので、また文部省の方へ参りますから、十分ひとつ善処願いたい、こんなふうに思います。  次に、日本専売公社にお伺いをしたいわけですが、やはり昨年、衆参両院に対するアンケートの調査で、これは専売公社が直接やっているわけではないかもしれませんが、たばこの自動販売機でたばこを売るので、未成年者が非常に買いやすいというところに、未成年者なかんずく学生、生徒の喫煙が増加しているんじゃないかということを心配しまして、たばこに限っては自動販売機を撤去してほしいという、やはり衆参両院の国会議員の皆さんにアンケートをとったところが、賛成が六六%あったわけでございますが、これについては専売公社はどんなふうにお考えになっているか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  39. 立川武雄

    ○立川説明員 お答えいたします。  たばこの自動販売機につきましては、御承知のように、たばこ販売店の人手不足あるいは閉店時間が早くなっていること、あるいは週休制というようなこともございますし、また通勤距離が延びて郊外に住宅地が広がっているというような事情もございまして、自動販売機に頼りまして消費者の方にたばこを吸っていただく機会がふえているわけでございます。そういう中にございまして、先生ただいま御指摘のように、自動販売機は、ともしますとだれでも買えるということで未成年者が手を出しやすいような状況にあろうと思います。  公社といたしましては、原則といたしまして、自動販売機を設置する場合には、現在は小売店の店頭併設というのが多うございますけれども、これは小売店の目が届きます。たまたまビルその他に単独で自動販売機を設置するというような場合には、必ずだれかが監視できるような形で設置をする、そういう手段が講ぜられない場合は設置を遠慮していただくというような指導をいたしております。それとともに、先ほどちょっと申し上げましたように、大きなステッカーを自動販売機にも掲示いたしますし、機会あるごとに、そういうことで未成年者の喫煙は禁止されておりますということを呼びかけているところでございます。現在自動販売機はたいへんふえてまいりまして、約十九万台ちょっとございますので、これを一斉に撤去するということは、お客様の購買便利その他から考えましてなかなか困難でございますけれども、そういう指導で対処してまいりたい、かように考えております。
  40. 向山一人

    ○向山委員 続いて、もう一つ専売公社にお伺いしますけれども、いまたばこの箱に、たばこが有害だというふうな表示がございます。これはわりあいにソフトムードというか軽い意味で書いてあるので、外国のたばこももっとはっきり表示してあるので、もっとその表示をはっきりしたらどうか。たとえば喫煙は健康上有害であるというようにしてもらえないか、これも衆参両院議員の同じ方々を対象にしてアンケート調査をしたわけでございますが、喫煙は健康上有害であるというふうにはっきりすべきであるというのに賛成が九二・五%、もう大部分の人がたばこの有害表示をはっきりすべきだという認識に立っているわけなんですが、これについて専売公社は納得ができるか、また、専売公社としてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  41. 立川武雄

    ○立川説明員 お答えいたします。  現在は紙巻きたばこにつきまして「吸いすぎに注意しましょう」という表示がございますが、これは、先ほども議論が出ておりましたけれども、WHOの総会がございまして、厚生省に文書が参りまして、それが大蔵省に参りました。それが四十五年でございますけれども、それを受けまして、四十六年から四十七年にかけまして大蔵大臣の諮問機関でございます専売事業審議会並びにそのときに学識経験者もお願いして議論をいたしまして、その際、国会でも議論、審議が行われたというふうに聞いておりますけれども、現在の表示はたばこは健康に害があるという疫学的な調査結果が出ておりますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、病理学的になかなかはっきりしてないという段階できめつけるのはいかがなものかというような議論がございました。  また一方、そういう状況の中で現在、男性の喫煙者の方は十人のうち七・五人ぐらいおられます。女性が一五%おられます。三千四百万人ぐらいの方にたばこを吸っていただいておるわけでございますけれども、そういう段階の中でたばこは害があるんだよとはっきりした文言をとるのは、愛煙家の方に心理的な圧迫を与えるではないかと、いろいろな議論が先生方間に行われまして、それを受けまして現在のような文言表示をいたしているわけでございます。その後、先ほど申し上げましたように、世界各国あるいは国内におきましてもいろいろなたばこと健康に関連いたします調査結果が発表になっておりますけれども、全体といたしましては、その当時議論が行われましたように、疫学的あるいは臨床学的調査と病理学的立場との解明がまだできてない現状でございますので、私どもとしましては現段階におきましてさらに厳しい文言表示をするという考えは現在持っておりません。  しかしながら、世界各国におきましても、アメリカ、カナダ等におきましては途中で文言を厳しくしております。それから、フランスとかもう一カ国でございますか、日本のような表示をこれからしょうというようなところもございますし、あるいはそういう表示にかえてニコチン、タールの区分であらわしたらどうかというようないろいろな動きがございますし、私どもとしましては、その辺の動き並びに健康と喫煙問題に対します今後の研究成果を見ながら検討してまいりたい、かように考えております。
  42. 向山一人

    ○向山委員 時間がありませんのでもう一つお聞きしますが、私、実はこのたばこの有害の関係できょう公環特の委員会で質問をするということで、専売局に連絡をとって、この間お見えいただいた方が名刺を出したところが、喫煙と健康問題調査室というところの技術調査室の方が見えて、これは専売公社も相当前向きで取っ組んでるな、実はこういうふうに思っておったのですが、きょう理事の答弁を聞いていると、どうも私が想像するような認識じゃない。これはきょう時間があればもっと突っ込んで——このWHOの専門委員会報告、これは厚生省の公衆衛生局も国立ガンセンターの平山先生も書いたりしていますけれども、私ども先生方に聞いてみても、もう医学的にもこれはいまあなたのおっしゃるような意見を言う人は、私の聞く人にはだれもいないわけです。だから、そういう点についてもう少し、専売局はたばこをつくって売っているところだからそんなことは承知しておるし、もっとよけい売るには、認識をしてもらって理解をしてもらってよけい売るという態度でないと、それはなかなかうまくいかないだろうと思う。そういう点について格別の御配慮を願いたいし、きょうぼくがこの委員会で質問するから専売局が発表したわけじゃないだろうが、ちょうどゆうべからきょうにかけて、たばこのいまつくっているものはタールやニコチンを少し減らしているというような報告があって、私は大変結構なことだ、こう思っていますが、これから専売公社の方でも有害物質の含量をできるだけ減らすように御努力願って、本当に国民の健康というものを考えながら、そうかといって、嗜好品ですから禁止というわけにもいくまいと思いますので、その辺、やはり国民の健康という問題を重点的に考えながら、その中でお仕事の方もやられていくという考え方でぜひお願いしたいというふうに要望をして、私の質問を終わります。
  43. 島本虎三

    島本委員長 次に、友納武人君。
  44. 友納武人

    友納委員 廃棄物の処理の問題につきましてお伺いをいたしたいと思います。  廃棄物の処理の問題は、住民にとりましても特に都市部におきましては非常にめんどうな、身近な問題でございます。と同時に、この処理の責任を負っております市町村当局におきましても、これは非常に悩んでおる問題でございます。特に東京周辺といいますかあるいは大阪周辺といいますか、こういった首都圏の過密地帯におきましては、そういう問題が非常に日常茶飯事にどこでも問題になっているわけでございます。きょう私がお伺いしょうとしますのは、東京都に隣接しております千葉県の松戸市の例を引いて申し上げたいと思います。  松戸市は人口が四十万近くございますが、廃棄物が現在のところ日量三百数十トン排出されます。現在この処理に当たります処理施設は三百トン未満であります。この処理に伴う、さらにまた再処理をしなければならぬものを含めますと、百トン前後の廃棄物を穴を掘って埋めておるというような状態でございます。これは田舎ならいいのですが、都市の過密地帯でこういうことが行われているわけでございます。  そこで、松戸市当局としましては、昭和四十九年から三年間にわたって厚生省に対して廃棄物処理工場の増設に伴う補助金の交付を申請しておるわけでございますが、承るところによりますと、厚生省の当局は、反対運動がある、それの説得が不十分だ、それからまた、処理工場に用いる機種といいますか清掃施設の機種が決まっていないからだめだ、こういうような理由で三年にわたって延ばしておるというふうに聞いておりますが、それは事実でございますか。
  45. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  一般的に市町村から御要望がありましたごみ処理施設あるいは採尿処理施設のこういった整備事業を国庫補助事業として採択いたします場合には、あらかじめ市町村から提出されております事業計画を検討いたしまして、所要の要件を満たした場合にはいわゆる内示を行うこととしております。でございますが、本件につきましてはまだその段階に至っておらないわけでございます。  まずその要件といたしましては、一つは緊急性が高いこと。いま先生おっしゃいましたように、松戸は大変ごみに困っております。それから建設用地が確保されておること。これは用地は確保されております。それから三番目に、予算措置あるいは必要な都市計画法とかそういった法的な手続ができておるか、あるいはその見込みが確実であること。それから第四番目に、施設の建設について見通しが明らかであること。これは住民の反対等も含めてでございますけれども、建設についての見通しが明らかであること。こういったものが主なものであると考えております。  御指摘の松戸市の件につきましては、いま申し上げました一番から三番目の条件は満足しておりますけれども、現在までのところ、建設予定地の付近になお相当数の反対住民がおる。千葉県から聞いておりますところによりますと、半径五百メートル以内に五十九名おるというふうに聞いておりますが、これがまだ続いておるということ。それから、県が松戸市から聞いたところでは、松戸市は、これらの住民の理解を得て工事に着手するにはまだちょっとむずかしいというふうなこと。それから、県としても現在直ちに着工できるというような感触は得ておらないというふうなことで、現在のところ国庫補助事業について内示は行っておらないわけでございます。  それから、国庫補助を行うに際して、ごみ焼却炉をつくりますメーカーとか機種を決定しなければ補助できないのかというお尋ねでございますけれども、国庫補助の手順について若干御説明いたしますと……(友納委員「簡単でいいですよ」と呼ぶ)そうですか。では、これから地元の条件が整えば内示をいたすわけでございますが、内示をする段階では、必要な処理能力、一体何トンのごみを焼却するのか、それから炉の方式、二十四時間連続で燃すのか、八時間ずつ間欠に燃すのか、そういう二つのことがわかっておればよろしいわけでございまして、内示に際しましてそういった会社、機種を決める必要はございません。
  46. 友納武人

    友納委員 時間がありませんので、申し上げたい要旨をかいつまんで申し上げますが、私は長く地方自治体に関与してまいりました。そして国の行政というものをそういう自治体の窓から見てまいりました。この松戸市の焼却場の例もその一つでございます。痛切に感ずるわけでございますが、反対運動というようなものがあるから、また五百メートル以内に何人あるからだめなんだというようなことを、行ったことも見たこともないような中央庁がいろいろ言うものですから、自治体としては非常に困るわけです。自治体というものはそれぞれの議会を持ち、住民との間にいろいろ摩擦を起こさないように処理する能力を持っているのです。俗に、子供のけんかに親が口を出すということがありますけれども、それは問題によりけりですよ、反対運動の。その反対運動が全国的なスケールであるとか、あるいは非常に地方自治体では理解し得ないような問題である場合は別ですよ。こういう単純なと言ってはなんですが、どこにもある反対運動、自分のうちのそばに清掃処理工場をつくられる、いやだ、こういうことを動機にして起きたいろいろな問題については地方自治体に任せて、中央官庁というものは、その清掃工場を増設する必要があるのかどうか、またその清掃工場が公害基準といいますか、環境基準を破ることがないのかどうかということを見て決めればいいのではないかと私は思うのです。  この松戸の例は、ほかのところにもたくさんこういう例があるのではないかと思いますが、地元ではいろいろな憶測をしておる。これはある中央の新聞の記事ですけれども、こういうことが書いてある。「松戸市に補助金の内示がこない。不審に思った市の幹部が七月初め、厚生省に出向いたところ、「地元の説得が不十分だ」といわれた。何かひっかかるいい方だったので、ニュアンスを探ると、」云々、こういうようなことが書いてある。これは中央の新聞の記事です。そういうようなことで、どんな市でも、人口四十万になんなんというような市は、反対運動というようなものの処理の仕方を知っていますよ。また、その処理の経過を見て、これは処理できるという見通しを持っているから申請しておる。この松戸市では、穴を探すのも大変だし、もういっぱいになってしまったので、リサイクル運動といって、一般住民の方に呼びかけてごみを出してもらわないように、これば悪いことではありませんよ、いいことだと思うが、そういうような運動までして場つなぎをしておる状況です。  この処理工場の新設についての中央官庁の考え方というようなものに再考の余地がないかどうか、もう一度お答えを願いたいと思います。
  47. 森下忠幸

    ○森下説明員 できるだけ多くの方の御理解が得られるということが望ましいわけでございます。松戸市及び県におきまして、関係住民の大方の御了解が得られて、事業が滞りなく進めることができるというふうなことが判断された場合には、国庫補助の内示が可能であると考えております。
  48. 友納武人

    友納委員 私はその近くに二十年来住んでおるのです。そして地方行政を長くやった経験から見て、この問題は中央官庁が口を出す性質のものじゃないというふうに思っておるのですよ。さなきだに忙しい厚生省なり環境庁なりというものが、そういった子供のけんかと言うと比喩が悪いかもしれないけれども、だれでも、そう反対運動を無視してやろうというような考えはないですよ。  特別委員長には質問できないというから私も御質問申し上げないけれども、特別委員長のところに陳情反対運動が行った、そこで特別委員長から予算をつけるなということを言われたというようなうわさも地元では流れておりますが、そういう事実がありますか。
  49. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えします。  委員長のお部屋で反対の代表の方とお会いしたことはございます。
  50. 友納武人

    友納委員 もう一つでございますが、機種の選定ができないと補助金の交付ができないという問題ですけれども、このことはいろいろ好ましくない問題を引き起こすのですよ。地方の議会が何十億という清掃工場の予算を議決をして、そしてそれを実行に移すという段階でどういう会社の機械を使うか、これは反対をしておる住民の方の意見も入れなければならぬのですよ。そういったいろいろな観点から、国の方の補助金なり起債なりというようなものの了解がついてから慎重に考慮して決めるのが当然だと私は思う。それを、計算ができないから先に機種を決めてこいといいますと、いろいろいかがわしい問題が起こりがちなんですよ、大きな買い物ですから。  そこで、一体こういうことができないのか。好ましいことでないが、普通、補助金を交付する場合には、実額ではなくて標準単価というものがあって、それに対して何分の一という助成をしておるのが他の官庁の例ですよ。それがいいか悪いか別ですよ。具体的な機種をまだ決めるかどうかわからないようなものに、国が、決めてきなさい、そうしないと計算ができない、補助金の額が何分の一か出てこないから決めてきなさい、こういうことをやりますと、いろいろな問題が起こるのですよ。松戸でも起きておるのです。だから、全国の問題ではありますけれども、その補助基準というようなものは、それぞれのじんかいの種類とかその施設をする場所によって決めればいいことなんです。そういった意味で、機種というようなものはどれでなければいかぬというようなことをおっしゃっておるとは私は思わないけれども、補助金交付を決めた後で、ある標準額で示す、こういうようなことができないかどうか、お答え願いたい。
  51. 森下忠幸

    ○森下説明員 先ほど先生が簡単にとおっしゃいましたので省略いたしましたけれども、丁寧に御説明いたしますと、国庫補助の手順といいますのは、まず事業計画のヒヤリングをいたします。大体三月ごろですけれども、県を経由いたしまして事業計画をお聞きいたします。それを聞きまして、それから所要の要件を満たしておるかどうかということでいわゆる個所づけをいたしまして、これを二番目に実施計画ということで財政当局と協議いたしまして、それから三番目に国庫補助の内示をするわけでございます。この内示の段階までには、先ほど申し上げましたとおり必要な規模、何トン一日に燃さなければならぬとかということと、二十四時間連続して燃すのか八時間ずつ燃すのか、この二つの要件さえわかっておれば内示できるわけでございまして、その後、補助金の交付申請書を出す段階で契約に基づいて出してまいりますから、その段階では機械が決まってくるかと思います。それに基づきまして交付決定という手順でございまして、ただいまのところは、ヒヤリングを終了いたしまして、これから地元の条件が整えば内示をするという段階でございますから、その段階では、先ほどお答えいたしましたように、会社とか機種とかいうものを決める必要はございません。  それから、それについてきちっと金額が決まらないと内示できないかということでございますが、私どもは県の方でお立てになった計画に基づきまして、概算額で内示しておりますので、その後、契約によって値段が下がったような場合につきましては、これを実施計画変更ということで確定しております。
  52. 友納武人

    友納委員 お約束の時間が来たようでございますので、これで終わります。予定としまして九十九里地帯の天然ガス採取に伴います地盤沈下の問題につきましてお伺いをしたいと思いましたが、また、担当官の方にも来ていただきまして、お忙しいところまことに恐縮でございますが、約束の時間になったようでございますので、まことに御無礼なことをいたしましたが、この次ひとつ時間を設けていただいてこの問題を御質問申し上げたいと思います。  最後に、この清掃工場の例、松戸市の問題でございますが、これは例として挙げたわけですが、全国一人口が急増している、そういう地帯に、それはいろいろ手続が要ることはわかりますよ。三年間も——現実にごみを処理する人の立場に立って考えてごらんなさい。それはいろいろな手続は要るでしょう。要るけれども、必要かどうか、そういうことを決めるのはそんなに時間はかかりませんよ。だからいろいろ揣摩憶測がこの問題について流れているわけです。私もそう思いましたよ。しかしそういうことばないでしょう、ないと思います。私も信じたい。だから、三年もかかっているのだから、そんな、手続がいろいろあるかもしれないけれども、そういうものを越えて——これは人口がもう一番急増している市の一つですよ、首都圏の、ドーナツ圏にある。こういう市がたくさんありますよ。それと反対運動等につきましては、さっき私が申し上げましたように、早々に中央官庁というようなものが立ち入るという、親切かもしれないけれども、かえってそのことが問題を複雑にする場合があるのですよ。市とか県とかいうのはたくさんの議員がいますよ。常任委員会もありますし、たくさんの職員を抱えている。いろいろ諮問機関も持っているのですよ。だからさっき私が申し上げたような基準で物を決めれば、後で、決まったから勝手なことをするというようなやりくり、機構になってないのですよ。それが地方自治なんですよ。ぜひひとつ、地方自治と国の制度というものがかみ合ってこういう事態を早急に解決できますように、またほかにもこういう地帯があるのじゃないかと思いますが、ひとつ御尽力を願いたいということを要望いたしまして、御質問を終わります。
  53. 島本虎三

    島本委員長 友納君の質問は終わりました。  この際、午後一時から再開することといたしまして、暫時休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時七分開議
  54. 島本虎三

    島本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上田卓三君。
  55. 上田卓三

    上田委員 まず石原環境庁長官にお聞きいたします。  長官は雑誌「現代」の九月号で「こうやって環境庁にいてもね、ここの記者クラブの記者とのたたかいは壮絶なものですよ。自分とこの新聞で没になった原稿が、共産党の赤旗にのる記者なんかが何人かいる。」と発言しておられるわけでありますが、現在時点長官はこの記者クラブの再三にわたる、具体的事例を挙げてお答えしてもらいたい、すなわち何月何日の赤旗のどの記事がどの新聞社の没になった記事であるのか、そういう具体的な事実をひとつ挙げてもらいたい、記者が何人かいるということでありますが、それはどこの新聞社のだれであるのか、それをはっきりと答えてもらいたいと思います。
  56. 石原慎太郎

    石原国務大臣 再三記者の諸兄ともお話しをしてきたことでございますが、私は環境庁の記者クラブにそういう政治的なスタンスをとる人が何人かいるということを申したわけでございまして、私がそういうことを知らされました情報の提供者も情報源も、何月何日のどの記事がそうであるということではなしに、政治的なスタンスからして自分の所属している会社には載り得ないような原稿が赤旗に載るというような記者がいるということを私に教えてくれただけでございます。
  57. 上田卓三

    上田委員 長官、そうするとあなたは何月何日の赤旗のどの記事がという形で人から聞いたのじゃなしに、要するにそういう没になったやつが赤旗に載っているらしいとかあるいは載っているというような形で聞いたものを、事実を確認しないであなたは軽率にそういうことをうのみにして、あなたが言うところのいわゆる信頼できる筋からのそういう情報として、あなたは軽率に発言したということですか。
  58. 石原慎太郎

    石原国務大臣 軽率であるか慎重であるかということはいろいろ人の主観によって違いましょうが、過去にも西山事件であるとかあるいは防衛庁における事件でありますとか、それに似た事例がございました。私はまた、新聞記者の中に、何社に属そうと共産党なり自民党なり社会党なり、ある政党に特殊な共感を持つ記者がおられることは、原則として非難さるべきことではないと思います。ただ、私は共産党とは物の考え方を異にいたしますが、いずれにしても、そういう政治的なスタンスを持つ記者が過去にも、たとえばあれはどなたが長官のときでしたか、オフレコであった内容を赤旗に伝え、それがもとになって防衛庁長官が非常に厳しい追及を受けられたということもございました。最近の「言論人」という新聞にもその事例が引かれて載っておりますが、そういう点で、記者の諸兄それぞれ政治的な所信をお持ちでしょうけれども、それが強烈な場合に、自分の属する新聞に載り得ない情報が赤旗なりあるいはほかの政党の機関紙にその人の記事として載るということは私はあり得ることだと思いますし、それを私はとがめているわけではございません。ただそういう政治的なスタンスの方がいらっしゃるということを、過去のそういった事例からしましても、私の体験からして、非常に精度の高い情報をいろいろ教えてくださる方から聞きましたので、私はそういう意味で、「現代」の中で、いま引かれたような発言をしたわけでございます。
  59. 上田卓三

    上田委員 長官、やはりあなたは長官なんですから、人のうわさのたぐいを軽率に言うべきでないと私は思うのです。具体的な事実をつかんで、このように何月何日の赤旗のこの記事は、それはだれから聞いたというようなことまで新聞記者クラブの人は聞いてないと思うのです。どの記事なんだ、何人かいるというのですから、これは複数のはずですね。それじゃその記者はだれとだれなんだ——思わせぶりなことを言うたらいかぬですよ。もっと端的なことを言うなら、だれかから聞いたと言うけれども、それはうそじゃないですか、そうじやないですか、信用できないですよ。だれかから聞いたと言ったって、国民は信用しますか。ここまで国会で問題になっているのですから、やはりここまで追及されたら、だれということでなくても、そのときには何月何日、どの記事ということは教えてもらわなくても、その後において、だれでもよろしいですわ、それは男であっても女性であっても、あれは何月何日の記事なんだよ、実はこれでわしも困っているんだよ、君から聞いたのをそのままうのみにして言うたんだけれどもという形——あるいは記者についてもやはり新聞記者クラブの方、いろいろな考え方の人もあるかもわかりませんよ。しかし、こういう形でやはり没になった原稿を売っているということになったら、これは企業人としてもあるいは一記者としても名誉にかかわる問題だと私は思うのです。これはゆゆしき問題ですよ。あなたは軽率であるかどうかわからないと言うけれども、これははっきり言うならば軽率ですよ。その点についてどうかお答えください。
  60. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私は決して軽率であったと思いません。あのコメントによって私がどなたかを特定し、その方がそういうことに該当しなかった場合には、これは私に責任がございますし、また、それによって私は記者クラブ全体を中傷したことにはならないと思います。これは実はこの間、その問題の発端になりました「現代」という雑誌で、記者の代表の方々とかなり長時間この問題について対談というのでしょうか、座談会をいたしましたが、結局平行線でございました。私はその中で、該当しない方々に御迷惑をかけたとするならば申しわけないし、遺憾に感じますということで謝意を表明しているわけでございますが、過去の他の省庁からの事例から見ましても、また、私がそういうニュースソースを持つことがうそだろうと言われましたが、これは私の名誉にかかわることで、確かにそういう情報源というのはございます。そしてまた記者のクラブの方々が、言われたように何月何日の赤旗というような形でその調査を依頼することで、その方々の立場、その情報源の人の立場を損なうことになりますので、私はそういう依頼をいたさないということを答えたわけでございます。
  61. 上田卓三

    上田委員 長官は━━━━ですよ。━━━━ですよ。私が言っているのですよ。ある人から聞いたというのだから、ある人に確かめたらいいんじゃないですか。そのことをする気はないのですか。あるいは記者クラブの方々に謝るべきですよ。そしてあんな発言を撤回すべきですよ。答えてください。
  62. 石原慎太郎

    石原国務大臣 その前に。質問の最中に━━━━それからいま言われたことは私はちょっと問題があると思います。私はそのお言葉をお取り消し願いたいと思います。
  63. 上田卓三

    上田委員 いや、必要ない。ぼくは長官が何月何日の記事だ、それがだれであるかということをはっきりすれば、取り消してもいいと思うのですよ。そういううわさのたぐいを堂々と新聞記者会見とかあるいは国会の中で発言すること自身問題があるんじゃないですか。私はあえてその言葉をあなたに投げつけた。そのことを申し上げておきます。だから私は質問しているのですから、私の発言に文句があるのなら、しかるべき機関に諮りなさい。受けて立ちましょう。しかし、私はいまあなたに質問しているのです。あなたに質問を受けることはないと私は思うのです。答弁してください。
  64. 島本虎三

    島本委員長 なお、申し上げますが、十分おわかりだと思いますが、用語には十分配慮の上で質疑なさるように、委員長からも要望いたします。  石原環境庁長官
  65. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ですから、事の黒白の云々を、私がたとえばどなたかを中傷したことになるならば、私はその責任を感じますけれども、先ほど申しましたように、記者の諸君との話し合いで私は記者クラブを中傷したことにはならないと思いますし、また、該当しない方々に御迷惑をかけたならば、その方々にはつまり謝意を表明しているわけでございます。ただ私は、依然として、そういう政治的なスタンスをとる方がいらっしゃるということを信じているわけでございまして、ああいう発言をしたわけです。ですから私は、そのことについて質問を受けている最中にいきなり━━━━呼ばわりされることは非常に心外ですし、その言葉だけはお取り消しいただかないと、私は、最初から私の、何といいましょうか人格をきめつけられて結論を出したに近いそういう━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━と思います。これはあくまでもその━━━━云々という言葉をお取り消し願いたいと思います。
  66. 上田卓三

    上田委員 取り消さないですよ。
  67. 島本虎三

    島本委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  68. 島本虎三

    島本委員長 では速記を起こしてください。  この際、暫時休憩いたします。     午後一時十九分休憩      ————◇—————     午後二時三十八分開議
  69. 島本虎三

    島本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  先刻の上田君及び石原長官発言中、不穏当な言辞があったやに思われますので、後刻速記録を取り調べの上、委員長において適当に措置します。  なお、申し上げますが、用語については十分配慮の上質疑されるよう望みます。  質疑を続行いたします。上田卓三君。
  70. 上田卓三

    上田委員 先ほど、私の発言の中身について不穏当な発言があったということで、長官の方から、その訂正がない限り━━━━━━ということがあったのですけれども、石原長官は、人から言わせると、あの人━━━はであるというようなことも聞いておるわけですし、また、ここの雑誌「現代」九月号には、たとえば新聞記者の方に、「記事書いたあといいわけにくる。何百行書いたが削られて、あなたに都合の悪いところだけがのっただけだから悪しからずと。そこで、馬鹿野郎!削られるような文章ならはじめから書くな!」恐らくこれは間違いなく発言されたのではないかと思うのですけれども、それじゃ果たしてばかやろうと言われた新聞記者がおられるのかどうか、これもまあ私から言うならばでっち上げではないのかなというような気すらしておるわけであります。恐らく何ぽ何でも新聞記者の方にばかやろうと言うことは、私はどうかというように思うわけであります。━━━━と━━━━とどれだけ違うのかということで、━━━━のことを━━━━とも言うわけでありまして、果たしてうそであったのかなかったのかということが問題でありますから、その点も含めてひとつ委員長の方で、理事会の方でも十分に措置をしていただけば非常にありがたい、このように考えておるわけであります。ただ言えることは、神聖なという言い方がいいかどうか別にいたしまして、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━というようにも私は考えるわけであります。(発言する者あり)しかしながら、そればかりも言うておられませんので、次に発言を続けたい、こういうように思うわけであります。  十月四日の記者会見で、長官は、具体的根拠を挙げることのできない、そういう発言を正当化するために、「何月何日の記事という事例をあげなくても、他の事柄、事実というものをもって確認でき得ること」だと強弁しておるわけであります。そこで私はお聞きしたいわけでありますが、「他の事柄、事実」とは具体的に何を指して言うておるのかということであります。「他の事柄、事実」とは一体何を指しておるのか、いわゆる問題発言の根拠があると称する以上、やはり説明をする義務が長官にあるのではないか、私はこのように考えますので、その点についてお答えを願いたいと思います。
  71. 島本虎三

    島本委員長 いま、ちょっと答弁をする前に上田君に申し上げますが、先ほど委員長が言ったのは、先刻の上田君及び石原長官発言中とこう言ったのでありまして、あなた一人を言っていたのではないのであります。(上田委員「それは誤解しました」と呼ぶ)その点、いまの言葉はちょっと取り消しておいた方が妥当じゃないかと思います。よろしゅうございますか。
  72. 上田卓三

    上田委員 はい、そういう意味なら結構です。何か私だけが問題になったように私は受けとめたので……。(発言する者、離席する者あり)
  73. 島本虎三

    島本委員長 なお、いま委員長が言ったのは、上田君において御了解願えたことだと思います。(上田委員「その部分に関してね」と呼ぶ)委員会においても理事会等においても慎重にこの問題に対しては扱ったわけでございます。その発言を認めるがためにわれわれが努力をしていたのも事実であります。したがって、それを誤解されないようにして今後協力を願いたい、こう思います。(発言する者あり)  ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  74. 島本虎三

    島本委員長 速記を起こしてください。  この際、上田卓三君の発言を許します。
  75. 上田卓三

    上田委員 先ほど発言したのですけれども、もう一度申し上げたいと思います。  要するに、「何月何日の記事という事例」を出せということに対して、それは聞いてないということ、それから何人かいると……
  76. 島本虎三

    島本委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  77. 島本虎三

    島本委員長 速記を起こしてください。  暫時休憩いたします。     午後三時四分休憩      ————◇—————     午後三時三十七分開議
  78. 島本虎三

    島本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  先刻の上田君の発言中、不穏当な言辞があったやに思われますので、後刻速記録を取り調べの上、委員長において適当に措置します。  なお、重ねて申し上げますが、用語には十分配慮の上で質疑されるよう強く望みます。  質疑を続行いたします。上田卓三君。
  79. 上田卓三

    上田委員 十月四日の記者会見で、石原長官は具体的根拠を挙げることのできない発言を正当化するために、「何月何日の記事という事例をあげなくても、他の事柄、事実というものをもって確認でき得る」と強弁されておるわけであります。  それならばお聞き申し上げますが、「他の事柄、事実」とは具体的に何を指しておるのか、ひとつ具体的にお答え願いたいと思います。
  80. 石原慎太郎

    石原国務大臣 それは、たとえばある人の個人歴、まあ政治的なものを含めまして、それに対する共産党側の印象と申しましょうか、評価と申しましょうか、あるいはその方の赤旗に非常にかかわり深い中枢におられる方との関係であるとか、あるいはその関係からさらに派生している他の人間関係であるとか、そういうことでございます。
  81. 上田卓三

    上田委員 結局、「他の事柄、事実」からも証明できると言いながら、何も証明できていないわけですね。これも、そういうことを実際事実がないのに、あたかも信頼すべき筋からという形で、思わせぶりな言葉で、言論を抑圧するということにもとられかねない、私はこのように思うのです。だから、何月何日の赤旗、あるいは何人かがそういう云々という問題、あるいはいまの問題についてもしかりだ、私はこういうように思うわけであります。そういう意味では長官は、根も葉もない情報というのですか、そういうものを聞いたやつを確かめもしない、あるいは確かめること自身希望しないで、そして口から出任せということはないにしてもそういう発言をするということは、これは個人においても問題ですけれども、少なくとも日本政府大臣が軽率に発言することは私はもってのほかではないか、こういうように考えるわけであります。  さらに長官は、この問題の発言をいつの間にか——たとえばこういうことを言っておりますね。その種の党派性がある記者がいるかいないかという、これは環境庁記者クラブの記者の思想とか信条の調査とか政党支持関係の色分けの問題に私はすりかえておるのではないか、こういうように思うわけであります。そういう点で、そういう党派性のある記者の存在は、九月三十日でも、完璧に信用できる筋から聴取、確認したと言っている。あなたは完璧な信頼できる筋からと言いますけれども、われわれはひとつも、それが果たして完璧な筋であるのかどうかさえもわからないような状況に追い込められて、長官自身だけが一人、それはもう信用できますねということにすぎないので、決してそのことを私は認めるわけにはいかない、こういうように思っておるわけであります。  さらに、「他の事柄、事実」をもって云々ということについても全然お答えがないということでありますが、私は、長官のねらいは一体どこにあったのかというと、やはり当然ながら、職業的に新聞記者の思想調査をやっている機関からそれじゃ聞いたのかというようにわれわれ自身また疑わざるを得ない、こういうように思うわけでありますが、その筋というのは大体どういう筋なのか、ひとつお答え願いたいと思います。
  82. 石原慎太郎

    石原国務大臣 でございますから、その筋、その立場にいる人の立場をおもんばかる意味で、私はそれをここで申し上げるわけにいかない、記者の諸君にも申し上げるわけにいかないということを申しているわけでございます。  お断りしておきますけれども、私のあの発言によって、私はだれを特定しているわけでもございませんし、また、記者クラブ総体を中傷したことにもならないと思いますし、また、そのつもりもございません。
  83. 上田卓三

    上田委員 だからこそ罪が深いんですよ、そういう言い回しをするから。何の何兵衛だと言えば、またかえって議論の余地もあると思うのです。あなたは、そういう形のすりかえを多くの場合していると思うのです。  私は、ちょっときょう呼んでいますから公安調査庁に、いろいろ思想調査などもされているように聞いておるわけですが、そういうものを、たとえば記者クラブの何々記者はどういう思想的傾向である云々ということで調査して、逐一長官あるいは大臣報告しているのかどうか、その点について、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  84. 小野島嗣男

    ○小野島説明員 そういうことはいたしておりません。
  85. 上田卓三

    上田委員 絶対にいたしておりませんか。もしかそういう事実が出てきたら、責任とりますか。
  86. 小野島嗣男

    ○小野島説明員 新聞記者の思想調査というようなことは絶対いたしておりません。
  87. 上田卓三

    上田委員 いや、だから、責任とりますか、そういう事実があったら。
  88. 小野島嗣男

    ○小野島説明員 当然責任をとります。
  89. 上田卓三

    上田委員 私は、石原長官のそういう発言のねらいというものは、その筋と称するどす黒い調査機関、いま公安調査庁の方ではそういうことをしていないと言われて、果たして安心できるかどうかという問題もありますが、何か暗にその筋だという形で、そういうある機関がちゃんとネタは握っているんだと言わんばかりで、やはり新聞記者の思想調査とか政治的傾向を色分けして、党派性なるものを問題にして、そして長官の思うように言論、報道の自由に圧力をかけようとしているのじゃないか、私はそう疑わざるを得ないわけであります。  そういう点で、私は、この時点でやはり石原長官が、今回の「現代」の発言について撤回して、そして陳謝するという態度をとるべきだと思うのですが、再度そのことについて、ひとつ長官考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  90. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私は、ですから、該当しない方方に御迷惑をかけたとするならば申しわけないし、遺憾の意を表明しているわけでございます。そのように御理解いただきたいと思います。そして、環境庁の記者クラブにそういう政治的なスタンスをとる方が何人かいるということについては、私は撤回いたしませんし、また、それによって私はどなたも特定化しているつもりはございません。
  91. 上田卓三

    上田委員 記者クラブの方々は、迷惑だ、事実無根だということで陳謝を求めておるわけでありますから、少しでも——私は少しとは思っていませんが、あなたが自分で感じて少しでも非があるなと思うならば、謙虚に反省すべきではないか、こういうように思いますし、新聞記者の党派性云云の問題について、それもあるのじゃないかということであって、そんなことを言えば、新聞記者だけでなし、皆個人の思想、信条の自由はあると思うのです。そのことをあえて言うということは、新聞記者の中にそういう者があるのだということを国民に印象づけようとするものではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。私は、それが問題であったのじゃなしに、自分のところの新聞社で没になったやつを赤旗に載せたということ、それが問題の発端であるわけでありますから、そのことに対して新聞記者の人が問題提起しているわけでありますから、党派性云々ということは、その後に起こった問題だというように思うわけです。だから、「現代」の九月号に載ったその部分について、新聞記者クラブが問題にしている部分について、撤回し、陳謝する気があるかということを言っているのです。答弁してください。
  92. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私が「現代」に載りましたあのコメントによって何か特定の方なり特定の組織、法人的な人格というものを棄損し、中傷しているならば、これは私は陳謝も撤回もいたします。しかし、あれをお読みになって一般の大衆、国民が、過去にも防衛庁にもそういう事件がございましたし、もともと新聞記者の方々一つの党派に対する強い共感を持つということは自由でございますから、あれを読まれて環境庁のクラブに属する記者全体がそういう党派性があるとは思われないと思いますし、また、なるほど防衛庁にもあったことだけれども環境庁にもそういうことがあるのかなと思うだけだと私は思うのです。  そういう意味で、私は、該当しない方々に迷惑をかけたならば申しわけないし、遺憾の意を表明するということを申しましたが、しかし、クラブ全体ということになると、中に該当する方もいるわけでございますから、私はあくまでも該当しない方々にそういう遺憾と謝意を表明したわけです。
  93. 上田卓三

    上田委員 それでは、該当する人としない人というのはだれが判断するのですか。あなたはわかっておるわけですか。お答えください。
  94. 石原慎太郎

    石原国務大臣 でありますから、何人かいるということを申したわけです。私は、その方々の立場のためにも、それを特定するつもりはございません。
  95. 上田卓三

    上田委員 そういうことなら、初めから発言しない方がよかったのじゃないですか。だから、そういう意味で撤回する気はないかと言っているのです。お答えください。
  96. 石原慎太郎

    石原国務大臣 でございますから、何らか特定の人格なり法人格というものを中傷したならば私は撤回も謝意もいたしますけれども、いま申しました答弁のとおりでございます。
  97. 上田卓三

    上田委員 問題をすりかえてはいかぬと思うのです。あなたは、自分のところの新聞社で没になった記事を赤旗に載せる記者が何人かおる、こう言っているのでしょう。このことはゆゆしき問題ですね。それは記者クラブにしても、そういうことが事実あるなら大きな問題だ、だがそれは絶対ないということを確認して言うておるのですから、その名誉みたいなものは重んじてもらわなくてもいいですから言うてください、絶対いないと言うているのですから、記者クラブの人は。記者クラブの中から、いや、それは該当する人間もあるから発言穏やかにというならいざ知らず、だれですか、そういう人はというふうに言うておられるわけですから、それに対してまともに答える義務があるのじゃないですか。先ほどの党派性の問題については、これはあなたは議論をすりかえるために別な問題として出してきているのだから、余り私が聞いてないことまで言及しないでほしいと思うのです。党派性の問題というのであったらそれも言ってもらったらいいですよ、だれとだれがなんて。そういう党派性だというなら言うたらいいんじゃないですか。しかし、私がいま言っているのは、それよりも問題なのは、何人か没になったやつをよその新聞社に流しているという、あなたは何人かおると言っているんだから、何人で、それはどこの新聞のだれとだれでなくても構いません、何新聞の一人とか二人とかいうふうに挙げてもらっても構いませんよ。言うてください。
  98. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ですから、私は先ほど申しましたように、特定の何人も中傷したことにはならぬと思いますし、記者クラブ全体を中傷したことにはならぬと思いますから、私はそれをここで申し上げる必要はないと思います。
  99. 上田卓三

    上田委員 長官、あなたは非常に主観主義だと思うのです。自分は何も迷惑かけるつもりでなかったし、迷惑かけてないと思うと言うけれども、迷惑かかっているから抗議も出ているわけです。だからその点、本当に国民の皆さん方はそのことを果たして納得するかということで、あなたの猛省を促したい、こういうふうに思うわけであります。  若干いろいろな発言長官はされておりますので、その問題について次に申し上げたいと思うのです。  長官は、同じ「現代」の九月号の同じ場所で、「大臣なんてこれは下らない仕事だね。男のやる仕事じゃないね。あとは総理だけだっていうけど、まあ総理もねえ……政治家なんて下らないですよ。」と放言しているわけです。長官は、前後の文脈も含めて云々ということで、公害連との話し合いに私も立ち会いをしたときもあなたはそういうことをおっしゃっておるわけでありますが、もう一度その発言真意はどういうものであったのかということをお答えいただきたいと思います。簡潔にお願いします。
  100. 石原慎太郎

    石原国務大臣 政治家になります限り、末は大臣、総理大臣を目指すものだと思います。これは野党の方々でもそうだと思います。私は、大臣になりましていろいろ難行苦行しておりますけれども、そのときによくどういうものが名大臣と言われてきたか、名大臣とされるかということをいろいろな人から聞きます。黙ってとにかく盲判を押す、そして官僚の方で上げた功績は官僚のもあとし、失敗は自分で背負う、私はその部分は結構だと思いますけれども、さらにある人は、記者クラブでいろいろ問題を構えている——私は今日の環境問題に関しますジャーナリズムの一つの風潮は、全部とは申しませんけれども、非常に異議がございますが、そういうものにある意味で迎合して、大臣なんか一過性なんだからとにかく花火を打ち上げて、任期もそう長いことではないし、新聞の記者たちとそういざこざも起こさず、やんややんやとほめられるような言動をしてさっさとやめたらいいじゃないか、とにかく大過なく過ごせればいいじゃないかということを言われます。そう言ってしまえばなるほどなということを、やはり環境庁に入るとそれが一つの実感としてはわかってまいりますけれども、私はそういう大臣にはなるつもりもございませんし、また、そういう大臣はくだらない存在でしかないという意味でそういうことを申したわけでございます。
  101. 上田卓三

    上田委員 いま石原長官は重大な不穏当な発言をされましたね。盲判を押すような大臣なんて、これは私は視力障害者に対する不当な差別発言と思う。これは、先般の十月十四日に決算委員会でわが党の馬場猪太郎代議士の質問のときにもそういう発言をしているのです。先ほど議事録の係の人に、ここに盲判と書いてあるんですけれども、これは「もうはん」と大臣がおっしゃったのですかと言うたら、いや大臣は「めくらばん」と言ったのです。それを字引か何か持ってきて、「めくらばん」と書くのじゃなしにこういうふうに翻訳したのだ、そういうことをおっしゃっておるのです。私はどのような差別に対しても反対をして二十数年闘ってきたものです。私ははっきり言って、目の悪い方あるいは見えない方、そういう人はあなたがどのように考えているのか知らぬけれども、もともと見えない人が、内容もわからない不十分なやつには判を押すことないのです。本当に信頼される人に相談して、ここには何が書いてあるのですかと、一生一代の問題ですからね、そしてこれには判を押してもいいんじゃないですかと、そういう信頼のある人に聞いて初めて、それじゃといって押すのです。ところがちまたでは、盲判という言葉自身が、目の悪い人は何もわからぬ、やたらに判を押すという意味に解釈している場合が多いんですね。だから逆に言うならば、かえって目の不自由でない人の方が中身を見ないで押すという場合が私はあると思うんです。そういう大臣がおるならくだらない大臣だ、私はそう思うんです。ただ、いま言葉の問題として、こういう神聖な国会の場で長官が正式に盲判云々という話をされたので、これは不穏当な言葉ですので私は取り消していただきたいと思うんです。あなたのように議事ストップすると私は言いませんけれども。
  102. 石原慎太郎

    石原国務大臣 これは辞書にもちゃんと出ている言葉でございまして、私たちの日常生活の中で非常に膾炙した言葉でございます。そしてまた、それには決して目の不自由な方々に対する差別の意識は込められていないと私は思います。これが視力の不自由な方々、目のお見えにならない方々に対して不愉快な念を与えるならば、差別問題では専門家でいらっしゃるようですから、他に何という言葉を使ったらよろしいか、逆にお教え願いたいと思います。
  103. 上田卓三

    上田委員 だから私は言っているじゃないですか。視力が不自由なんですから、目の見えない方とか視力障害者ということを言えばいいじゃないですか。なぜ盲という言葉を使わなければならぬのか、また盲判という言葉を使わなければならぬのですか。辞書に載っておったとしてもそれが間違った言葉だったら改めるのがあたりまえじゃないですか。だから私は、いま改めて問題提起しているんですけれども、そういう団体の方がすでにこういう言葉に対して、これは差別的な用語であるということで撤廃運動をされていることも知っています。私たちは、たとえば盲人という言葉についてもいささか疑念があるわけですけれども、しかし、そういう団体の人が自分らのことを盲人協会とかいうように言っている場合もあるわけでございますので、私は、少なくともそういう障害者の方が盲であるとか、つんぼであるとか、おしであるとか、こういう言葉で不当な差別を受ける、何か能力が劣る、人間が普通でないんだという形で印象づけて差別されているということに対して、やはり長官は十分耳をかす必要があるんじゃないか、こういうように思うんです。だからそういう点で私は代表して申し上げているんですから、問題があればというよりも、そういうことについて、いま私が言ったので不十分だったらばもっと説明してもいいと思うんですけれども、いまの時点で取り消す気はありませんか。
  104. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ですから、盲判という言葉の中に、私はごく一般で考えれば、それほど差別の意識は加わっていないと思います。ですけれども、それが目の不自由な方々にやはり非常に胸に突き刺さる印象を与えるならば、適当な言葉があれば喜んで取り消さしていただきますが、何と言いかえをしたらよろしいのでしょうか。
  105. 上田卓三

    上田委員 それは先ほどぼくが言ったんだから——ただ、それはぼくの言ったとおりに言わなくてもいいですよ。それはあなた考えなさい、正常な頭を持っておられるんだから。  だから私は、委員長の方で、今後本委員会でそういうような言葉を使わないように——ただ使うだけの問題でないと思います。これは社会意識としての観念の問題でございますし、また、そういう人々の置かれている社会的な状況というのが差別的に放置されておるわけでありますから。そういう点で、あなたがいわゆる盲判を押すような大臣はくだらないねと言うのは、そういうくだらないことをするのが盲だ、こういうような形に常識的にとらまえられるのじゃないか。常識的な判断だったら私が言っていることはよくわかるのじゃないか、こういうように私は思うわけであります。  次にさらに私が問題にしたいのは、総理もくだらない、こう言っておるわけですね。「総理だけだっていうけど、まあ総理もねえ……」ということは、総理もくだらない人の中に認めておるわけですね。そういうようにとれるんですけれども、この総理というのは福田さんのことをおっしゃっているんですか。歴代の大臣のことをおっしゃっているのですか。
  106. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私は閣僚になりまして、一国の総理大臣というものを閣議なり予算委員会で身近にいままで以上に長く見る機会に恵まれましたが、福田総理も就任早々、アメリカのカーター大統領も就任早々。アメリカと日本の関係というものは両国にとって不可欠のものだと思います。時あたかも予算委員会でございましたが、両国のこれからの親善友好、あるいは大きな問題の解決のために、カーター大統領が日本においでになっても結構でしょうけれども、やはり国力の違いと申しましょうか、アメリカが大統領就任後約六カ月の間に非常に根幹的な政策を決める前に日米関係というものを再確認するために、予算委員会の最中ですけれども渡米されました。予算委員会も大事ですが、両首脳の会談も非常に大事だと私は思います。ところが、いろいろ準備もあるでしょうけれども、出立の寸前まで予算委員会で仕事をされる。これもしかし大事な仕事だと思います。やむを得ないと思いますが、また、帰られて宮中の記帳を終えられたらすぐ予算委員会に出られて、疲れて口もよく回らないというのに、やはりそれも義務かもしれませんけれども、非常に刻苦勉励される。見ておりまして非常にお気の毒な感じがしましたし、同時にまた、何というか、一国の総理大臣に対する国会全体のとらえ方というものはこういうものかなという感慨を持ちましたので、やはり半日くらい休ませてあげたいなと思いながらそういう印象を持ったので、そういう発言をしたわけでございます。
  107. 上田卓三

    上田委員 どういう印象で——いろいろ経過があることだと思うのですよ。人が物を言うときにはいろいろ全部言い尽くすわけにいかぬのですけれども、「大臣なんてこれは下らない仕事だね。男のやる仕事じゃないね。あとは総理だけだっていうけど、まあ総理もねえ……」と、こういうことを言うたんですな。政治家なんてくだらぬですよと言うたんでしょう。ほかのことは結構ですから、言うたんだったら言うたと言うてください。
  108. 石原慎太郎

    石原国務大臣 先ほど申しました文脈のつながりでそう申しました。しかし、私、お断りしておきますけれども、このインタビューのゲラを見る機会がございませんで、多少ニュアンスの違った形で記事になっているのではないかと思う節が幾つかございます。
  109. 上田卓三

    上田委員 私は、これは問題発言だと思います。いろいろ申し上げたいのですけれども、それはそのくらいにしておきましょう。  そこで、あなたはある種の感覚の持ち主で、本当によくわからないのですけれども、言うた言葉に責任を持たなければいかぬですね。言うてないことまで責任を持つ必要はないにしても、言うたことには責任を持ってもらわなければならぬと思うのですけれども、「男のやる仕事じゃない」ということは、人間の中には男と女しかおりませんね、男のする仕事でないというと、そういうくだらない仕事は女性がするものだというふうにも解釈できるのですが、これは重大な女性差別に通ずる。(笑声)笑い事じゃないですよ。そういう人権問題に対して余りにも感覚がなさ過ぎますよ。これは後にも続くのだから私は申し上げるのです。これはどうなんですか。
  110. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私は決して女性をべっ視しておりませんし、男女同質ではございませんけれども、本質的には平等、同権だと思っております。男の仕事ではないというのは、言いなりに中身をよく見ずにとにかく判を押すとか、自分の所信を曲げて一部に迎合して行政をするとか、男らしい男と男らしからざる男があるという意味で、つまり男という意味の中には男らしい男という意味が込められている。まあ演歌にもございますけれども、これぞ男の行く道とあるのは、女が来ちゃいかぬわけじゃございませんで、男らしい男の歩む道という意味で男という言葉が使われているので、そういう行き方を女性がしちゃいかぬという意味で歌謡曲が要するに人口に膾炙しているのではないと私は思うのですけれども……。
  111. 上田卓三

    上田委員 長官は、男らしい男でなければ男でないというような言い方になるのじゃないですか。どうなんですか。あなたは一々解釈せぬと人にわかってもらえないような発言ばかりしているのですよ。一事が万事そうじゃないですか。男尊女卑というのですか、やはりそういう女性を差別するような社会的風土というのはありますよ。しかし、一般的に男らしい男とかいう言葉があるからといって、そういう社会意識に乗っかって物を言うことはいかぬことですよ。その点についてどうなんですか。取り消してください。
  112. 石原慎太郎

    石原国務大臣 男らしい男でない男は女々しい男という、この女々しいに女という一言葉を使うことそのことが非常に問題がありまして、私は、ある私の書いたものの中にも、使うときに非常にじくじたるものがあるというふうに書いたことがございますが、私の言った意味は、男らしい男というのは、何も女臭い男という意味じゃございませんで、男にしろ女にしろ、まあ私は男でございますから、自分の男として政治家をしている立場ということで、男らしく、つまり自分の信ずるところをどんなに異論——もちろん異論には耳を傾けますけれども、自分の所信は所信としてやはり主張すべきだということで、そういうことを申したわけでございまして、それ以外の他意はないわけでございます。
  113. 上田卓三

    上田委員 やっぱり長官考え方の中には差別的な考え方があって、男らしい男がすばらしいので、男らしくないというか、女らしい男はくだらぬという考え方があるんじゃないですか。それは本人だから、お母さんとお父さんが自分の子供を育てるについて男らしい男に育てようとか、まあ女らしい男という言葉があなたにあるのか知らぬけれども、やさしいとか女性のようによう気がつくとかいうような言葉もある、そういうとき、あなたは女々しいということになるのかもわかりませんけれども、私はそういうことで差別されてはならないと思うのです。それはあなたは男らしい男が好きかどうかわからぬけれども、世の中にはいわゆる女性的なというのですか、そういう男性もおるわけですね。あるいは女性の中にも男まさりとか言われることもありますよ。(笑声)いま笑うのもちょっとおかしいのですけれども。だからそういう形でやはり人間でないんだというような考え方が非常に強いのですね。そういうことについて私は反省を求めたい。  特に後段に「都知事ねえ……これもニヤニヤして女々しくないと票がとれない」、こういうようなことを言っておる。これは美濃部さんのことを言っておるのですか、どの知事のことを言っておるのですか。
  114. 石原慎太郎

    石原国務大臣 美濃部現知事のことを申しております。
  115. 上田卓三

    上田委員 「ニヤニヤして女々しく」、これはどういうことなんですか。あの人はいつもニヤニヤして女々しくしているのですか。私はその「女々しく」という言葉の中に非常に嘲笑的なものを感じるのですけれども、これはあなた、美濃部知事に対する侮辱ですよ。美濃部知事から抗議文があったかどうか私は知りませんけれども、こういう不用意な発言はやめてもらいたいと思うのです。どうですか。
  116. 石原慎太郎

    石原国務大臣 それは私の行政における美濃部さんの印象を申したわけでございまして、私からの印象あるいは批評という形で受けとめていただければ結構だと思います。決して侮辱をしたつもりではございませんが、しかし、どうもその印象は免れないのではないかという気がいたします。
  117. 上田卓三

    上田委員 それがいかぬのですか。美濃部知事がやさしいという、ぼくもやさしいと思います。いい知事さんだと思いますけれども、それがいかぬのですか。
  118. 石原慎太郎

    石原国務大臣 そうした行政がもたらした今日の東京というものは、私は評価するわけにまいりません。ですから前回の都知事選に準備短く立候補いたしましたけれども、残念ながら敗戦をいたしました。
  119. 上田卓三

    上田委員 深く追及しませんけれども、あなたのような態度だから落ちるんですわ。美濃部知事さんは何もいつもニヤニヤして女々しいわけじゃない。多くの都民から信頼を受けているわけです。行政上の問題についてはそれはいろいろ意見はあるかもわかりませんけれども、あなたが落選したからいうて——また出るのか出ないのか、恐らく出られないんじゃないかと思いますが、そういう形で誹謗すべきじゃない、私はこういうふうに思うのです。  それから、あなたは常に前後の文脈を見てほしいということを言われておるわけですが、そういう中で、ただ、その「現代」に載っているものは、あなたが一時間十分ほど話したらしいのだけれども、そのすべてが載っているわけではないわけです。だから、その載っている部分の前後だけから言うならば、あなたが言いわけしているような点は全然一つもないわけです。恐らくテープの中には発言されているのだけれども、この「現代」の雑誌の中には載っていないという部分があるのではないかと思うんですね。もしも、そういうテープには載っていないにもかかわらず、この雑誌に載っていないことをいいことにして、あれは大臣なんてくだらない仕事だねということをこういう意味で言ったんだ、それは舌足らずなんだというように言うならば、これはデマもいいとこですね。事実言うてないのに言うたということになるならば、私はこれは重大な発言だと思うのです。これは━━━━だと言われても仕方ない、あるいは━━━━だと言われても仕方ないかもわからないので、先ほども問題になりましたけれども、あなたがここで自分の身の潔白、誤解を解くというのならば、自分で多くの言葉を費やすのではなしに、このテープを——これはわれわれは「現代」の編集部の筒井次長さんですか、この次長さんにその前後の若干のさわりを聞きました。さわりなどではこういうことをあなたは言っているんですね。私が政治家になってから十年になる、十年たってみればすべてがわかってしまったな、閣僚の仕事もすべてわかってしまった。これだけしか言うてないのです。まだ言っているところはあるかもわかりませんよ。私の筒井次長から聞く限りでは、あなたがいま国会でも記者会見でもいろいろ言うているようなことはあのテープの中に載っていないのじゃないかという疑いを持っているのです。だから、あなたはテープを公開する、まあ、どっちみち編集部にあると思うのですけれども、それを公開する気持ちはありますか。それで身の潔白を、それでも問題はあるかと思いますけれども、少なくともあなたがいま言うように、あなたがそういう意味であの場でも言うたのだなということになると思うのですが、名前も伏せていますけれども、相当えげつないことを言っているらしいですね。だから、そのテープをこの委員会に持ち込んで聞かせてください。どうですか、あなたの発言なんですから。
  120. 石原慎太郎

    石原国務大臣 その前に。先ほど申しましたけれども、これは小池さんという方が書かれた文章ということになっておりますが、私の言葉や私の友人の言葉が出ておりまして、それも前後の文脈を、決して全部とっているとは言いませんけれども、もう少し十全に引用をしていただければ誤解を招かずに済んだ点が多々ございます。先ほどの点につきましても、私自身確かめてみようと思いましたけれども、聞きましたところもう編集部の方にないようでございます。次の録音に使ったとかいうことで存在しないということでございますので、私は自分の記憶でしか申し上げられませんが、私は、大臣になってどうですかということをあちこちで聞かれましたし、先ほどのように内容をよく見ずに黙って判を押してしまうとか、一過性と心得てスタンドプレーをしろとかいうことはどうも自分としてはうなずけないということは、あちこちで大臣としての所感を聞かれたときに申しておりましたので、そのときにも申したと思います。
  121. 上田卓三

    上田委員 テープがないということは確認されたようですね。まあ、われわれとしてはあるのではないかと……。ということは、ないということになりますと、あなたが頼まれたのかどうか私は知りませんけれども、あなたの言っていることは信じられないですね、国民は。信じられないと思うのです。勝手だと言われればそれまでだと思いますけれども。ぼくはあるというように理解しているわけです。だから、あなたはそういうことをおっしゃっているのだけれども、委員長、私は、これはテープなりあるいは向こうの編集部の人をひとつ一度呼んでもらって、その点、事実そうであるのかどうか。これは、うそであれば、国会でうそを発言したということになれば重大な問題だと思うんですよ。そういううその発言をして、そして証拠になるものをたとえば悪意で隠蔽するというようなことになれば、私はもってのほかだと思うのです。その点ひとつ委員長の方でこのテープ問題——議事録というものはテープを起こして、いいところだけじゃなくて、やはり全部翻訳してあると思うのです。その中である部分だけが抜粋されているのじゃないかと思いますので、その点ひとつ委員長の方で諮っていただきたいと思うのです。
  122. 島本虎三

    島本委員長 上田卓三君の要請につきましては、理事会に諮ってこの件の取り扱いを決めたい、こういうふうに思います。
  123. 上田卓三

    上田委員 まだほかにもありますので、その程度にしたいと思うのです。  さらに、私は五月二十六日の本委員会で、長官は学がおありなので何か非常に横文字がお好きだということで、たとえばアメニティーという言葉とかアセスメントという言葉を使わないで、もっと日本語でしゃべってもらったらどうかということを申し上げたら、あなたは、私は政府として、環境庁としてはそういうことを言ったことはない、正式な名前で言っているのだということであったのです。私は、横文字は絶対に使っちゃいかぬと言うのじゃないのです。横文字であっても、日本語化されたようなオーケーとかサンキューとか、あるいはいろいろな記号とかいうものだったらわかりますよ。あなたの横文字好きをちょっと調べてみたんですね。そうしたら三月一日にはこういうことを言っている。「水俣病の問題に関して一つのエポックを区切る」ということですね。これは時期という意味だろうと思うのです。それから同じく「例の裁定、パーヘッド千六百万か」という言葉なんですね。これは一人につきということらしいのですけれども、一々これは字引きで翻訳せぬと、ぼくも夜間高校しか出ておりませんので申し上げるわけですけれども、多くの国民が委員会のそういう発言をテレビやらラジオで聞いていても、わからない人が多いのじゃないかというように思うのです。あるいはぼくらみたいにそういう英語の弱い人間は、こういう答弁があって変に聞き返したら、あいっそんなことわからぬのかと思われやしないかと思って、一歩も二歩も引き下がるということになりかねないんですね。そういう点で私は申し上げておるのです。さらに「一番ティピカルな在来の行政の」というような、典型的なという意味らしいのですけれども、こういう言葉、それから三月十日には「仕方ないトレードオフだ」というような言葉を言っていますね。三月十五日は「オーバーラップした」云云、それから四月七日には「あれをポジティブに見る新聞」云々ということですね。それから同じく七日は、「人間の健康の保全というものをやはりトッププライオリティー」という言葉で、何か最優先という意味らしいんですね。あるいは「マルチに考える」というような形の発言、あるいは「ユーザー」とか「デッドロック」だとか「アプリオリ」というような言葉を使っているのですけれども、私はある程度日本語化された英語というのですか横文字の場合はいいと思うのです。私も言うときもありますからね。しかし、できるだけ慎んだらいいと思います。しかし、委員会のそういう御答弁なんかで、余り聞きなれぬような言葉を喜んで用いるということについて非常に残念に思うのですが、その点どうですか。言論統制であると言われるかもわかりませんけれども。
  124. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私は使いなれているのでつい使う節もございますけれども、できるだけこれは日本語にすべきものだと思いますし、そう心がけます。  それから先ほどの盲判の問題でございますけれども、これは目の見えない人が中身がわからずに判を押すという意味ではございませんし、私自身もこれからその問題について表現するときに、適当な言葉を探して自分なりの表現をしたいと思いますので、これは取り消させていただきます。  それから先ほどの「現代」の問題でございますけれども、これはいろいろ雑誌の世界の中に習慣がございまして、私は自分で受けたインタビューだけが載るならば必ず全部校正をいたしますが、あの場合にはいろいろな人に聞き合わせ、しかもかなりの長時間インタビューを受けまして、締め切りも迫っていたということで校正を自分ですることもできず、いろいろ言葉が足りなかったことがございます。これはひとつ御理解いただきたいと思います。もし私に校正の機会が与えられましたならば、誤解を受けるようなことなく校正したはずでございます。これは決して責任逃れをするわけではございませんけれども、何分そういう事情であったこともひとつ御理解いただきたいと思います。
  125. 上田卓三

    上田委員 納得できないですけれども、またの機会発言したい、こういうふうに思います。  公害問題の、とりわけ環境行政全般についてはまた後で申し上げるといたしまして、具体的な問題で一、二点先に御質問させていただきたい、こういうように思うわけであります。  第八十回通常国会のときに、たしか外務委員会でわが党の井上一成代議士が、韓国への公害輸出、廃油が韓国で相当問題になっているということで、これを追及し、結果的にこの公害輸出が通産省あたりである程度の規制がきいて、いまは行ってないように聞いているのです。ところがそれはいいのだけれども、韓国にあれば問題だし、さらに日本にあるのも問題じゃないか、私はこういうように思っておるわけでありますが、いわゆる大企業から出されたところの産業廃棄物、とりわけ廃油がいまどこにどうなっているのか、その処置はどうなっているのかということについて長官は御存じかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
  126. 石原慎太郎

    石原国務大臣 昨年八月の韓国の輸入禁止措置もございまして、大阪の運搬業者が非常に多量の廃油を保管していることは聞いております。このような廃油を処分する場合には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に定める基準、これは主に焼却処分でございますけれども、しなくてはならないもので、環境庁としましても、これら廃油が適正に処分され、環境汚染を起こさないよう、関係省庁と緊密な連絡のもとに対処してまいるつもりでございます。
  127. 上田卓三

    上田委員 ちょっとこの写真を見てもらったらわかるのですが、大阪の尻無川にそういうドラムかんが積み上げられておるわけです。はっきり申し上げて、大企業からドラムかんに入れられた廃油を処理するという形で任された企業が岐阜市に本社を置く五大起業、資本金二百万円、小林正社長というのですが、同社の代表者は自民党の元副総裁の秘書であったという方であります。韓国側の産資開発の代表者は、朴政権の中枢に食い込んでいるKCIA要員であるとも報道され、しばしば来日しているということを聞いておるわけでありまして、いわゆる廃油をめぐる日韓癒着というものが指摘されておるわけでございますが、いまはちょっとあれでございますが、この夏あたり——ドラムかんの中に一体何が入っているのかわからない、そして、ドラムかんは千四百二十五本あるわけです。このドラムかんが非常に傷んでくるということでずっと川へ流れておるわけでありますが、これはゆゆしき問題だというふうに思うのです。  いわゆる終末処理の問題について、これは韓国側へ輸出するということだったのですが、それがストップされているということになるわけであります。法の改正という観点から考えるならば、やはり一たん最終処分地が韓国という形で申請された問題でありますから、それがいけないことでストップを受けておるならば、やはり廃油を出したもとの企業へ返すのが当然だというように私は思うのですが、その点、長官はどう考えられますか。あるいは通産省なり厚生省に聞きたいと思います。
  128. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 韓国への廃油の輸出という問題があったわけでございますが、韓国側の方で、昨年八月輸出の禁止措置をとったわけでございます。そこで、輸出ということを考えたものでありましょうか、大阪の方で大分多量の廃油を保管しておるということは耳にいたしておりますが、その辺の詳しい事実関係等につきましては、廃棄物の処理法の執行をやっております厚生省、あるいは産業廃棄物の関係をやっております通産省、そちらの方で周知しているのではなかろうかということで、環境庁はその程度しか把握いたしておりません。
  129. 島本虎三

    島本委員長 上田君に伺いますが、通産省柏木輸出課長が来ておりますが、答えてもらいますか。
  130. 上田卓三

    上田委員 はい。
  131. 島本虎三

    島本委員長 それじゃ、通産省柏木輸出課長
  132. 柏木正彦

    ○柏木説明員 私のところは輸出の承認ということが担当でございますので、それに関連した問題につきましてお答えいたします。  通産省といたしましては、廃油輸出問題の経緯にかんがみまして、本年四月八日付で貿易局長名でもって各通産局、税関に対しまして、廃油類の貨物につき輸出承認申請があったときは本省にその旨を報告し本省の指示に従うよう通達を出しました。  五月十二日、本通達に基づきまして、五大起業の輸出案件につきまして名古屋通産局から報告がございまして、本省においていろいろと調査もいたしまして、あわせまして、韓国政府に対しまして、当該案件の輸入について、その可能性があるかないかを照会いたしました。その結果、韓国政府から、輸入は認めないと回答が外交ルートを通じてございましたので、五大起業に対しましては輸出を中止するよう指導いたしましたところ、六月二十三日付をもちまして同社は輸出承認申請を取り下げた次第でございます。  その後の国内処理につきましては、貿易局としては詳しくは承知しておりませんので、担当原局の方でお答えすることになると思います。
  133. 上田卓三

    上田委員 それが問題だから私は質問しているのです。これが大阪の尻無川に山積みされているわけです。そこには、その写真を先ほど見てもらったのですけれども、企業名を皆ペンキで塗ってわからないようにしてあったり、あるいは、これは端的に言うて、栄運輸機工株式会社が、その五大起業から、韓国へ輸出するまで一週間だけでいいから預ってくれということで預ったんですね。ところが、その一週間が過ぎてもなかなか引き揚げてくれない、韓国行きの問題についてはストップしておるということでお手上げしているわけですね。五大起業に連絡してもなかなからちが明かないということで、これもはっきり申し上げて、私のところへこの栄運輸は、これはもう困るんだ、だから、企業がはっきりしているので、ひとつ企業のところへ持っていきたいのだ、ただ、これはドラムかん一つ当たり一万円ないし二万円ということで、その中身によって値段が違うらしいのですけれども、これをそこへ持っていくだけでも相当な運賃だし、取りに来てくれと言うたってなかなか取りに来てくれない、こう言って、困っているのだということなんですね。  そういう点で、これは尻無川からさらに門真の方へも一部移されておる現状があるので、企業名はおたくの方でわかっているのじゃないかと思いますけれども、参考までに、いまから私の方から若干顕著なものだけを取り上げて申し上げます。あと、これが要るならコピーして差し上げますから、ひとつぜひとも処分をちゃんと、やはりそういう意味では企業の責任なのですから、そういう点でひとつ対処してもらいたいと思うのです。  まず、尻無川の栄運輸の保管分でありますけれども、たとえば三菱化成が一つ、それから東芝ケミカルが十一、コーワ化学産業が十九、住友化学が一、これはドラムかんの数のことです。大日本インキが二本、三井物産が一、東洋石油化学が六十三、大日精化が五、積水化学が五、住友化学工業が五、日本油化が七、日本曹達が七、東亜合成化学工業が六、主なものはそういうことです。  それから、門真に保管されている分ですが、これは三菱化成が一、東芝ケミカルが十一、コーワ化学産業が十九、エッソが一、日本曹達が一、日本触媒化学が二、東亜合成化学工業が四、徳山曹達が一、ブリヂストンタイヤが一、三井物産が一、出光興産が一、東洋曹達が一。いま申し上げたのは、ドラムかんに表示してある企業の部分だけです。あとまだたくさんあるのですけれども、消してあるものだからそれがどこから来たものかということがいま明らかでないということになるわけですが、そのことも含めて早急に行政指導でこの問題について処理していただけるのかどうか、お答えいただきたいと思います。後から長官にもお答えいただきたいと思うのです。
  134. 松村克之

    ○松村政府委員 通産省からお答えいたします。  先生いま御指摘のように、五大起業が輸出する予定であったものがストップいたしまして尻無川等に残っているわけでございますが、この残っているドラムかんにつきましては、現在、大阪市の指導によって処分を行いつつあるというふうに聞いておるわけでございます。私どもも、本来これは五大起業が責任を持って処理すべきものと考えるわけでございますけれども、いまお話しのように、五大起業自体と連絡が非常につきにくいという状況にあるようでございますので、今後とも通産省として大阪市から実情を聴取しつつ、関係省庁とも話し合って協力してまいりたいと思っております。
  135. 石原慎太郎

    石原国務大臣 その廃油をためておりますドラムかんが近くの環境をはなはだしく汚染するおそれがある場合には、環境庁としましても関係省庁にその迅速なる処理を要請いたします。
  136. 上田卓三

    上田委員 時間が来たようですから、これで終わります。
  137. 島本虎三

    島本委員長 上田君の質問は終わりました。  次は、馬場昇君。
  138. 馬場昇

    馬場(昇)委員 私は、水俣病の若い患者さんたちに対する行政について、まずお尋ねいたしたいと思います。     〔委員長退席、土井委員長代理着席〕  水俣病の若い患者さんたちは非常に苦しんでおるわけですが、その中でも補償金で食っているとか、遊んでいるとか、サボっているとかといろいろ言われて大変苦しんでいるわけでございますが、若い患者と言っても大体戦後生まれと言っていいのじゃないかと思うのですけれども、そういう若い患者さんで仕事を求めている人は大体何人ぐらいおるのか、環境庁はどういうぐあいに把握しておられるのか、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  139. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 私の方で特に仕事を求めているという形での状況を把握しておりませんけれども、現在、若い水俣病の患者さんというのは、いわゆる戦後生まれの認定患者さんは六十人ぐらいおられるわけでございます。その個々の方々がどういうぐあいに希望しておられるかにつきましては、特につぶさにいたしておりません。
  140. 馬場昇

    馬場(昇)委員 そこで、この間、十九日、二十日、水俣病の若い患者の代表が四人来まして長官に会われたわけですけれども、二日間にわたっていろいろ話し合いが行われて、私も立ち会っておったわけでございますけれども、そのときいろいろ約束をなさいました。これについて患者さんたちがどうもはっきりしないというようなことを心配して帰ったという事実もございますので、そういう点、二、三点について質問しておきたいと思うのです。  まず、長官は、水俣病の研究センターで雇ってくれ、若い患者さんたちがこういう要望を持ってきたわけでございますけれども、それについて、水俣病センターの言うならば公務員以外の仕事は原則として患者さんたちにやっていただきたいと思います。こういうぐあいに約束をなさったわけでございますが、このとおりでよろしゅうございますか。
  141. 石原慎太郎

    石原国務大臣 そのつもりでおりますが、ただ公務員以外の仕事にどのような種類の仕事があるか、いままだわからない節もございまして、患者さんではとてもできない仕事もあるかもしれませんが、それはやはり他の方にやっていただくにしましても、できるだけ研究センターで患者さんたちに働いていただくようにする、患者さんたちでできる仕事ならばすべて患者さんたちにやっていただく、それ以外の患者さんたちにできない仕事は他の方にお願いするというつもりでございます。
  142. 馬場昇

    馬場(昇)委員 そこで、患者さんたちも言っていたわけですけれども、いま長官も答弁されたわけですけれども、もちろん患者さんたちの最大の願いというのは、自分の患者としての体に合った仕事をやらせてくれ、こういうことでございますので、いま言ったようにやれないような仕事は当然できないわけでございますから、体に合った仕事を十分やらせるというぐらいに理解していただきたいと思うのです。  その次に、具体的に予算で来年度のセンターの定数なんか一月ごろに大体固まるんじゃないか、そういうときに、大体こういうような仕事で、雇用人数は大体このくらいでということで、その仕事の内容や員数、そういうのをはっきりさせて患者さんたちに話し合いに行く、こういうことを長官約束なさったわけでございますけれども、これはこのとおりでよろしゅうございますか。
  143. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私の前に政府委員から答弁させていた、だきまして、後で補足いたします。
  144. 信澤清

    信澤政府委員 お話しのように、来年度の予算の要求はいたしております。ただ、年度当初から研究所が開設できるかどうか、この点の問題もございますし、それから定員につきましても今後の問題でございますので、そういったような事情はおっしゃるように政府予算の原案が決まります段階にはある程度目安がつくわけでございますので、その時期にはいま先生お話しのように、どんな仕事がどの程度あるかということは恐らくわかるようになると思います。  ただ、これは御理解いただきたいと思いますが、一口に水俣病の研究と申しましてもこれはいろいろな角度からいたすわけでございまして、やはり先生方の御意見を聞きながら何を優先させるか、こういう問題もあろうかと思います。したがって、非常に厳密な意味でこういう仕事があるというところまでその段階で言えるかどうか、これはやはり研究者の方々の御意見を伺いながら研究所の運営をやっていくわけでございますから、その中で研究に関連していまお話しのような患者さんにやっていただく仕事というものは具体化されるわけでございますので、その点だけはひとつ御承知おきいただきたいと存じます。
  145. 馬場昇

    馬場(昇)委員 やはりいろいろそこで先生たちも決まるわけですから、だからいろいろそういう先生方と話をして、しかし水俣病については行政の責任というのも非常に問われているわけでございますから、やはり長官、いま政府委員から聞いたわけですけれども、この前もやはり一月ごろに、いろいろ中身はあるかもしれませんけれども、大体決まるから、そういう内容とか員数を持って話し合いに行く。そして、あしたから雇うとか、あるいはあと三月後になるとか、あるいは半月後になるとか、そういうことはあると思うのですよ。だから、そういう話し合いをやはり一月にやっていただくということでよろしゅうございますか。
  146. 石原慎太郎

    石原国務大臣 予算の決まりました範囲で、あるいはその研究所の運営の範囲で、その過程に応じまして積極的に、こういう要因があるので皆さんだれとだれとだれにこういう仕事をしていただきたい、あるいはどなたかこの仕事をする方はいらっしゃいませんかという形で段階に応じてお話をしたいと思っております。
  147. 馬場昇

    馬場(昇)委員 いま水俣病センターでの雇用の話をしたんですけれども、そのほかに六十名以上もおりますと、全部ここで雇うということは不可能かもしれませんが、この水俣病センター以外の雇用について大臣は、財団法人を年内に発足させてそこでお世話をしたい、こういう約束をなさいました。ところが患者さんたちは、私もそうでしたけれども、聞いておって財団法人って何だろうということでわからなかったわけですよ。中身のことについてもいろいろ質問もあったんですけれども、はっきりしなかったわけでございますが、大臣の言われました財団法人をつくってセンター以外の雇用についてあっせんをしたいとか、あるいはそこで事業も起こされるのかなというようなことも考えた人もおるんですけれども、この財団法人の設立の目的は何か、これは就職をあっせんする機関なのか、それともそこで事業も起こすのか、そういう構成はどうなっているのか、あるいはその資金はどうなるのか、その事業内容は何なのか、こういう点について、その財団法人と言われた中身について全然わからなかったものですから、ここでひとつ詳しく説明していただきたい。
  148. 石原慎太郎

    石原国務大臣 まだドラフトがやっとできまして、これは園田官房長官に私は理事長といいましょうか、会長になっていただこうと思っておりますけれども、官房長官ともお話を詰め、また関心をお持ちの国会議員の皆さん方にも御相談したいと思っております。この間、患者さんたちと話しましても、仕事の第一義はやはり就職のあっせん、それから、しかもその財団なりを通じましてあっせんした職業で偏見なり誤解を受けないようなそういう側面からの支援をする、あるいはいまのドラフトの原案の中には何か公益事業を誘致できたらというようなことも考えておりますけれども、果たしてそれができるものかできないものか、採算の合わないものをいたずらに入れても問題がありますので、そこら辺はいろいろこれからひとつ打診をしてと思っておりますが、やはりとにかく若い患者さんたち、働きたいけれども働けないというのが一番痛切な悩みのようでございますので、それをかなえるということがこの財団の主目的になるんではないかと思います。
  149. 馬場昇

    馬場(昇)委員 いまの話を聞いていますと、園田官房長官を会長か理事長にして、関心を持つ国会議員なんかも理事か何か知りませんけれども、そういうことを考えている。就職をあっせんはしたいし、あっせんをしたところで偏見なんかのないようにしたい、事業も起こすか起こさないかということでございますが、どうもはっきりしないのですよね。たとえば財団法人何々というんですか。それから構成は、たった園田さんとあるいは関心を持つ国会議員だけなんですか。そういうところの資金なんかはどこから来てどういう性格、目的かというのが全然いまのでわからないのですけれども、もうちょっとはっきりしていただきたいのですが……。
  150. 石原慎太郎

    石原国務大臣 それは財団でございますから、何らかの基金というものを設けなければだめだと思います。そのためには当然チッソだけではなしに、この出来事に直接は責任がなくとも間接的にかかわりのある日本の産業界からも協力を積極的に得るつもりでございますし、すでに内々そういう話し合いもしている次第でございます。
  151. 馬場昇

    馬場(昇)委員 これはまだわからないのですけれどもね、まず第一点は、就職をあっせんする、そしてまた事業もするような財団法人を考えておるんだ、そう理解していいんですか。そうすると、財団の構成なんかはさっき言われた二つですか。それとも、たとえば事務局なんかはどうなるのか、あるいは構成なんかどうなるのか。それから、それは財団法人ですから、それに対する監督といいますか、あるいは助言するとか援助するのは環境庁がやるのですか、あるいは内閣官房がやるのですか。助言するとか指導するとか、そういうことはまだわからないのですか。
  152. 石原慎太郎

    石原国務大臣 実は、そこはまだはっきりしておりません。と申しますのは、就職のあっせんということを主目的にするならば、これは所管は労働省になるようでございますし、しかし患者さんたちの要求というものも就職のあっせんだけじゃなしにいろいろ多岐にわたっておりますので、それならばこれが果たして環境庁所管になり得るのかどうかということも原案というものをつくった上で相談したいと思っておりますが、また近々原案の第一案ができますので、これは馬場先生とも要するに個人的にお話をして御意見を伺わせていただきたいと思っております。そしてまた、そういう意見を勘案しまして、できるだけ水俣の当事者の方々に歓迎していただけるようなものにしたいと思っております。
  153. 馬場昇

    馬場(昇)委員 大体はっきりわかりましたのは、まだできていない、構想が十分でないということがわかったのです。  そこで、この問題で最終的に聞いておきたいのは、環境庁長官がいま計画を練っておられるのか、あるいは私が聞いたところでは官房の道正さんと連絡をとって二人で構想しておられると聞いておるのですけれども、具体的作業は環境庁の事務局がやっておるのか、官房の方でやっておるのか。そういう作業の担当はいまだれが、どこでやっておるのかということと、それからこれはことしじゅうにでき上がると言われたのですが、ことしじゅうにはでき上がるのですか、この二つについて……。
  154. 石原慎太郎

    石原国務大臣 これは私のむしろ私的なスタッフがドラフトをつくっておりまして、その上で環境庁とも相談をし、そして内閣官房とも相談をして、基金がことしにどれだけ集まるかわかりませんけれども、とにかく発足だけはことしじゅうにしたいと思っております。
  155. 馬場昇

    馬場(昇)委員 どうも長官の個人的スタッフということでは、行政あるいは政府が責任を持ってこれを推進しているということにちょっと不安を感ずるのですけれども、たとえば閣僚懇談会なんかでこれをするということを大体決めて、石原さん、あなたの方で研究してくれないか、こうなっておるのですか、その辺をちょっと聞きたい。
  156. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私的なスタッフと申しましてもそう心細いものでございませんで、森永とか、すでにありますその性格のやや似ました他の財団もいろいろ参考にしまして原案をつくった上で、当然、環境庁と相談をし、行政の上でもどういう形で組み込んでいくかということを相談し、内閣官房とも相談するつもりでおります。もうその寸前まで参りましたので、近日中に環境庁でそのドラフトを討論し、そして先生に一部お目通しを願うことになると思います。
  157. 馬場昇

    馬場(昇)委員 いままだ検討の最中だそうでございますけれども、ちょっとこの点について希望を申し上げておきたいのです。  これは長官も十分御存じと思いますけれども、明水園とかいろいろできておるのですが、どちらかというと拒否反応を示す患者さんたちも多いわけです。これは何かというと、そういうものをつくって、上からこうしてやるんだぞと押しつける、管理をする、あるいは就職をしても、そこで、おれは監督しておるんだぞ、こういうようなかっこうは患者さんたちはものすごくきらうわけですね。そういうことでございますから、やはりいまの問題も、大体の構想ができたら、患者さんたちにこういうものでどうだろうということで相談しながらりっぱなものにしていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  それから次の問題ですけれども、この間、長官が若い患者さんに会われたときに、最後に坂本しのぶちゃんが水俣へ来てくれという話をいたしました。長官も時間があれば行きたいというように答えられたわけですけれども、この意味というものを行政に生かしていただきたいという意味で質問するのですが、行政が水俣病対策をするときには、いま各派のいろいろ派閥があるから、派閥の代表、八派の代表を呼んで、そこで説明をした。患者さんには皆説明してしまった、患者に説明したんだということで、これで終わりだというような行政がたまたま行われてきておる。そういたしますと、各派閥に属していない患者さんとか、特に若い患者さんたちなんかには全然情報も知らされない、相談も実はかかってこない。患者さんの中でこういう盲点があるわけです。  それからもう一つは、明水園に長官行かれましたけれども、あそこで患者さんたちがわからない言葉で言うわけですよ。そうすると、看護婦さんとかお医者さんがそれを長官なんかに通訳してくれる、通訳という言葉はまずいですけれども伝えてくれる。それを、しのぶちゃんなんか見ておりましたら、全然あの患者さんはああいうことを言っておるんじゃないんだ、違うことを言っておるのが違った形で長官なんかに伝わってくる。だから患者さんは、私たちの言うことが一つ長官なんかにはわからない、ものすごくさびしく思っておるんですよ。この間、坂本しのぶちゃんだって、私が言おうとしたことを長官にどうしてもわかってもらえなかったんじゃないか、こういうことを言っているのです。そういう非常にさびしい思いをしております。いまの財団法人でも意見を聞けということはないですけれども、もう一つ行政の中で、胎児性の患者さんとか若い人、そういうところが往々にして行政から抜けている、盲点になっている。ここのところをきちんと気をつけて水俣病行政というのはやっていかなければいけないんじゃないか。こういうことで水俣を訪問してもらえばそういうことの機会もできてくるわけですから、そういう意味で言っているわけでございますので、十一月にはやめるとかやめないとかという話もありましたけれども、まあそれは別として、とにかく水俣に機会があれば行って、そういう人たちと話し合いをして心を通わせて行政をしてもらいたいということを、患者にかわってお願いしておきたいと思うのですが、これ、よろしゅうございますか。
  158. 石原慎太郎

    石原国務大臣 よろしゅうございます。できれば在任中に財団を発足させ、基金がそれまでに充足されるかどうかわかりませんけれども、とにかくこういうものをつくりました、あるいはつくる前に御相談に上がって説明をし、皆さんの意見を聞きたいと思いますし、また、認定の作業も滑り出しましたので、その実情をもう一回自分の目で確かめてみたいと思います。
  159. 馬場昇

    馬場(昇)委員 次に、別な問題に移ります。  これはチッソ水俣工場を取り巻く情勢といいますか、そういう問題について長官と通産省の両方に聞くわけでございますけれども、いま水俣では、もうチッソはつぶれるのじゃないか、特にチッソ水俣工場はつぶれるのじゃないか、水俣工場はスクラップされるのじゃないかとか、非常に心配しておるのです。この心配しておるのもただ抽象的に心配しておるのじゃなしに、中身を大体よく知っておるのです。  たとえばどういうことかといいますと、この五十二年の三月期でチッソは累積赤字が二百七十五億円に達しておる。このことももう市民も従業員もある程度知っておるのです。それから、五十一年度の水俣病の補償金は四十七億円でございました。さっきもちょっと言われましたけれども、本年十月より検診が従来の三倍体制、百五十人体制を確立したわけでございますから、補償金の支払いはだんだんふえていく、果たして支払いができるんだろうかというような心配もあります。水俣湾のヘドロ工事の負担金百二十六億円というのは一応県の起債で賄っておりますけれども、これも早かれ遅かれ払わなければならない。こんな百二十六億円もヘドロ処理で払い切れるんだろうか、こういうような話もありますし、さらにもう一つ、あそこは無配が五年以上超しておるわけでございますし、三年連続の債務超過が続いておるわけでございますので、来年の四月に東京の証券取引所の上場廃止が当然問題になってくるわけでございます。一応そのときに水俣の工場は身売りするんじゃないか、こういうことも新聞なんかに出ましたし、会社の人も検討しておると言っておるわけでございますので、そういう水俣工場の身売りの問題、かてて加えて最近の化学産業不況対策で設備が、塩化ビニールなんかは三割ぐらい廃棄されるんじゃないか。こういうようなことになりますと、水俣工場なんかが該当するんじゃなかろうか、こういういろいろなことがございまして、とにかく水俣チッソはつぶれるんだ、撤退するんだ、こういうような心配が非常に多いのです。現在でも水俣工場には千人ぐらいの従業員がおるわけでございますし、下請、孫請なんかでも四千五百人ぐらいおります。その家族を含めますと大変な人がおるわけですけれども、非常に心配をしておるのです。  こういうチッソをめぐる、特に水俣工場をめぐる情勢を環境庁長官は、説明は余り要りません、一口でどういうぐあいに考えておられるのか。通産省もこのチッソをめぐる情勢、水俣工場をめぐる情勢をどう考えておられるのか。長く時間がございませんので、どう考えておられるかということを、一言端的に聞いておきたい。
  160. 石原慎太郎

    石原国務大臣 これはもう、まさに一難去ってまた一難でございまして、私も、検診認定の業務が今度引き直しました路線で進めば補償の問題が当然出てくる、とてもいまの状態では長く続くものではないと思います。ですから、多角的にこれを支えながら補償していくという努力を、環境庁だけではなしに、通産省なり産業界なりあるいは大蔵省なりが共同して行いませんと、補償という作業はできないのではないかという気がいたします。
  161. 児玉幸治

    児玉(幸)説明員 チッソの経理の状況につきましては、ただいま先生おっしゃいましたように五十二年三月末の状況はそのとおりでございまして、その後の状況を申し上げますと、チッソ株式会社の主力商品は御承知のように塩ビの樹脂とポリプロピレンでございます。どちらを見ましても非常にむずかしい情勢にいまなっております。  塩化ビニールにつきましては、先生いまおっしゃいましたように不況カルテルをことしの五月から一応十一月までということでやっておりますけれども、このカルテルの中でやはり塩ビの業界の将来の行き方を考えるために構造改善をどうするかということが問題になっておりまして、いまお話のございました設備の問題もその一環で、これから議論になるというふうに承知いたしております。  それからポリプロピレンでございますが、これはことしの春、経常収支で一億円ばかりの黒字が出ました最大の功績者が実はこのポリプロピレンであったわけでございますが、夏場以降、このポリプロピレンの方も市況が非常におかしくなっておりまして、昨年よりも生産水準は、これは業界全体でございますけれども、下がっておりますし、価格も非常に軟調になっております。ナフサ問題が……(馬場(昇)委員「中身はいい」と呼ぶ)そういうことでございます。  したがって私どもの感じといたしましては、いまのこういうポリプロピレンあるいは塩化ビニールを取り巻きます業界事情の中でできる限り市況を立て直しまして、チッソ及びその同種の業界の市況を何とかして少しでも上向かせたいということで処理をいたしておりますが、ただ、こういうことでやれることにはどうしてもおのずから限度がございますものですから、私どもといたしましては、通産省でやれる限りのことはやる。それでなお足らざる部分につきましては、水俣病の関係閣僚協もございます。その中に関係の各省庁大ぜい入っておられますので、それぞれの役所役所で最大限の力を合わせて一緒にやっていただければと思っております。  以上でございます。
  162. 馬場昇

    馬場(昇)委員 それで長官に質問したいのですけれども、園田官房長官が、チッソのことは存続しなければならない、閣僚懇談会でそのことについて意思の一致を見ている、こういうことを発表しておられるのです。     〔土井委員長代理退席、委員長着席〕 石原長官も、通産省にも話をしたし、土光経団連会長にもチッソを支えるように要請をした、それで協力を取りつけた、チッソが倒産することにならないように万全の措置をとるということを言っておられます。事実、そういうことが閣僚懇談会なんかで問題になってそのような方向が政府の方向として出ておるのかどうか、この園田長官石原長官発言についてお尋ねしておきたいと思います。
  163. 石原慎太郎

    石原国務大臣 閣僚懇では実際にその話をいたしました。また、直接の所管官庁でございます環境庁が通産省なり経団連にこの問題で積極的な協力を取りつけるために門をたたいておりますけれども、なかなか門が開かないというのが現況でございます。しかしあきらめずにもっと違った角度からの努力をするつもりでございますが、しかしかなり経済状況もございまして、いろいろ私たちが考え出しました案も実現にほど遠いというのが現況でございます。しかしなお執拗に努力をするつもりでございますが、現況はそういうところです。
  164. 馬場昇

    馬場(昇)委員 あの悲惨な水俣病を引き起こしたチッソ水俣工場で憎みても余りある存在といえば存在ですけれども、一方患者の側、従業員の側、市民の側からみますと、やはり何としても残してくれという希望が強いわけでございますが、いま方向として閣僚懇談会ではやはりここを倒産しないように全力を挙げてやろうということは話を確認してあるんだということをお聞きしたわけですけれども、そこでもう少し具体的なことに入りますと、六月の二十六日に福田総理大臣が熊大に来られた。そして記者会見で、チッソが企業としての立場を堅持していくためには金融面でできる限りのあっせん、協力に努力する、こういうことを福田総理大臣が熊本で発表なさいました。また、九月二十二日に園田官房長官が参りまして、これまた熊本で、化学業界の協力を得て、来年三月までには通産省が中心となってチッソ支援対策のめどをつけるよう作業を進めている、こういうことを園田官房長官が言明なさったわけでございます。  そこでまず、来年三月までにチッソ支援対策のめどをつけるように作業を進めておると園田官房長官が言っておるわけですから、この命令を受けた通産省のチッソ支援の具体策は今日どうなっておるかということを通産省に聞いておきたいと思います。
  165. 児玉幸治

    児玉(幸)説明員 お答え申し上げます。  官房長官の熊本での御発言につきましては、私ども詳細は別に聞いておりませんし、その機会に改めて来年の三月をめどとしてチッソの対策を考えるというふうには承っていないわけでございますけれども、先ほども申し上げました関係閣僚協でこのチッソの問題点は非常に重要だということになっておりますし、先ほど長官からも通産省に話をしたという仰せがございましたが、そういうこともございまして、先ほど御答弁申し上げましたように、チッソのつくっております主力商品の市況を何とか維持したいということでいま一生懸命がんばっている次第でございます。  以上でございます。
  166. 馬場昇

    馬場(昇)委員 そういたしますと、何にもやってないということで、園田長官が来年三月までに具体的に支援対策のめどを通産でつけるようにやっているんだと言われたけれども、それはうそですね、そうなってきますと。
  167. 児玉幸治

    児玉(幸)説明員 支援対策とおっしゃっていることの中に恐らくいろいろな形のものがあるんじゃないかと思います。したがいまして、先ほども申し上げましたが、水俣病の関係閣僚協議会を構成しております役所はたくさんございますが、その中の一つとして通産省にもいろいろな指示が出ておるということであろうかと了解いたしますが、その範囲内においては私ども、いま申し上げましたように市況の問題あるいはポリプロピレンの場合には最近、実は新しく設備投資をしたいという話もございましたけれども、これはこういう事情もあるということで強く説得いたしまして御遠慮を願ったというふうないきさつでございます。
  168. 馬場昇

    馬場(昇)委員 石原長官お尋ねいたしますけれども、関係閣僚懇談会でここはつぶさないというようなことで支援をしようということが決まって、いまの話を聞きますと、通産にはもう少しは通産の立場で努力をせい、ほかにたとえば大蔵なら大蔵とかあるいはどこはどことか、そういうところで閣僚懇談会で総合的にやろうということを決めて各省庁に具体的に指示なさっているのか、ただ精神的に、ひとつつぶれないようにしようということを話しているだけなのか、その辺の閣僚懇談会での状況はどうなんですかね。私はいま通産から聞きましたけれども、やっぱりきちんとしたこういう方向だということを閣僚協議会で出して、そして各省庁でスタッフなんか集めて具体的にこういう対策を考えろということを大臣レベルで方針を出して指導すべきではなかろうか、こういうぐあいに思うのですけれども、いかがでございますか。
  169. 石原慎太郎

    石原国務大臣 いままで行われました環境閣僚懇では、とにかく第一の難関でございました検診認定作業というものを軌道に乗せるということでの協力を主にいたし、もちろんそれが軌道に乗ったときにチッソの問題が出てくるということでチッソの問題が話題になりましたが、環境庁としては一つ一つ問題をこなしていくべく、最初は検診認定業務というものをとにかくレールを敷き直すために努力をしたわけでございます。そのめどがついてきました時点で、関係閣僚懇での話もございましたので通産省にも出かけ、同友会にも出かけ、あるいは興銀にも出かけて意向を聞きまして、環境庁側が考え得るいろいろな試案というものをこちらから提案いたしました。しかし、どうもそれに返ってくる言葉は一向にはかばかしくございませんし、もちろん水俣病の問題はこれは直接の所管環境庁でございますが、しかし、産業界というものをこれに本当に巻き込むと申しましょうか、協力を取りつけていく権限というものは、要するに行政指導というものの権限というものは通産省にございますし、そういう意味では通産省そのものにもつとこの問題を直視していただかないとなかなからちがあかないと思いますし、この間、経団連にこちらから依頼しました幾つかの問題につきましても、非常に経済状況もあって悲観的な答えしか返っていないというのが実情でございます。そういう状況を踏まえまして、改めて関係閣僚懇なりを開きまして、今度は焦点はもうチッソの立て直しということだけにしぼって取り組まなくてはならぬではないかという所感でございます。
  170. 馬場昇

    馬場(昇)委員 やっぱりチッソの何といいますか、倒産しない、そのことは何もチッソに加勢するわけじゃないのですけれども、環境庁長官にしつこく聞いておるのは、結局患者の補償ということがあるわけですし、また従業員の問題もあるわけですし、地域社会のこともあるわけですから聞いておるんですけれども、まだまだやっぱり具体的なことがそう大して進んでいないようでございます。繰り返して申し上げますけれども、各省庁に話しても、やっぱり閣僚懇談会みたいなところで各大臣が、担当大臣が寄ってきちっとした方針を出してもらって、そして強力な指示というものがなければやっぱりこういう大変な問題はなかなか前に進まぬのではないかということも聞くわけですから、閣僚懇談会で十分ひとつ各大臣議論して対策を立てていただきたいと思うのです。  その中で、きょうは具体的な中身に入りませんので、ただ現地が非常に心配しておるものですから、担当の行政あるいは政府として原則的なことを大臣に聞いておきたいと思うのですけれども、これはもうさっきから何回も言っておるわけですけれども、水俣工場がつぶれるんじゃないかという心配がありますから、政府の方針としてはこれはつぶさないんだ、そして現在ある水俣工場の既存の事業というのはつぶさない。そしてできれば新規事業を起こして、これはちょっと長官から専売工場の話だとか、あるいは国鉄の被服工場の話だとか、これと似たような話を聞いたことがあるのですけれども、新規事業を起こしてあそこを拡充強化をして、そして水俣の工場で利益を上げてそうして患者の補償を完遂していく、そしてそのことが従業員の雇用と労働条件を維持向上させ、地域社会の発展に寄与するわけでございますので、こういう行政、これがあそこの住民あるいは熊本県民の願いなんです。これが間違えますとまた大社会問題になると私は思うわけでございますので、そういう原則ということをぜひ確認していただいて、その線で国や県というものは企業を指導していただきたい。これを資本の論理で考えますと、もう話にならぬわけでございます。これはさっき言った状況ですから。やはり水俣病を引き起こした企業の責任、行政の責任というものを感じながら、やはり社会的な倫理で解決していく、資本の論理じゃない社会的倫理でこの問題には対処していかなきゃいけないんだ、こういう基本原則ということでもって政府は指導するというふうなことをやっぱり明らかにしていただきますと、地元の人も大分安心するんじゃないかと思うのですけれども、この点いかがでございましょうか。
  171. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私もさよう心得まして、経団連の幹部に会い、また来ていただいて、るる説得もいたしましたし、通産省の方にもそう説いておりますが、なかなかどうも返ってくる答えは資本の論理に乗った答えしか返ってこないというもどかしい現況があるわけでございます。  しかしやはり、検診、認定の業務が一応軌道に乗りましたので、これから先はチッソというものの対策が次の難関でございますから、これに鋭意取り組んでいきたいと思いますけれども、しかしやはり水俣に行って感じますことは、水俣病が何であるかということはしょせん患者さんしか理解できない。所管を私は持ちますけれども、東京にいて、ましてチッソにもかかわりないような経済界の人たち、あるいは直接それを所管しない官庁の方々に、なかなかこの問題というのは理解してもらいにくいというもどかしさを非常に強く感じているわけでございます。  以上です。
  172. 馬場昇

    馬場(昇)委員 大体私が申し上げました原則というのは、長官も確認されて、その原則で指導なするというようなことの御答弁をいただいたわけでございますが、もう一つぜひ指導していただきたいと思うのは、あそこのチッソの経営者の経営責任、姿勢の問題、こういう問題が非常に問題があるんです。これはもう時間もございませんので多くは申し上げませんけれども、あそこのチッソというのは、戦後あの瓦れきの中から水俣工場で発展してきて、水俣工場というのを母親として野田とか五井だとか水島とかに発展していったわけでございまして、これは御承知のとおりでございますけれども、あの五井工場というのをつくってから、石油化学に入ってから、いよいよもってその水俣を置き去りにしまして、余り顧みなかったんですよね。だから、あの三千四、五百人おった従業員がいま千人足らずしかおらない。非常にあそこでもうけて、つくって、そしてここを見捨てたというような態度をあそこのチッソの経営者はとっております。  それから、いま昭和四十六年とか四十九年にいろいろ企業再建計画をして、それで事業を強化するんだと地域社会、従業員に約束しておりながらそれをやらない。あるいは労働者の労働条件の維持をやると約束しておりながらそれをやらない。そういうことをやらないのみか、組合の中を分裂支配をするわけですよ。組合の中の分裂支配ならともかくですよ、患者さんたちをきちっと分裂させて支配をしていく。あるいは市内をいがみ合わせる張本人になってみたり、物すごい悪い企業体質を持っているんです。それで最近は、もうどうにかなるだろう、倒れたって政府がどうかしてくれるだろう、患者さんたちの補償なんか、倒れれば政府が見てくれるだろう、このようなことさえ感ずるような言動が非常に多いのです。そういうこと等につきましては、あそこの経営者の経営姿勢、そして社会的責任といいますか、そしてまたその企業のそういう分裂支配なんかする体質、植民地におって植民地の労働者を使ったような気風がまだ残っておるのですよ。これじゃやはり、私は、政府があるいは地元の労働者があるいは地域の住民が一生懸命になってやっておるのにこういう体質では、途中でまた大変な問題を起こすんじゃないか、こういうことを思うので、やはりあそこの経営責任、企業体質というものについては、政府の方で十分指導していただきたい、こういうことを思うのです。このことについて、一言大臣の御見解を、指導方針を聞いておきたいと思う。
  173. 石原慎太郎

    石原国務大臣 馬場先生、いまそうおっしゃいましたけれども、前社長が会長になりましたときに私のところへ新しい社長を連れてまいりまして、もう自分としては——その前にも現会長には社長時代に二度ほど会っておりますが、ともかく、特に胎児性の患者さんを見れば私たちは何も言うすべもない、とにかく患者さんの補償というものに全力を挙げることを社是としておるので、今回も自分が会長になりこの補償問題に取り組み、やり手の営業マンであった、その前の位置が何であったか存じませんけれども、人を社長に据えて、営業成績を上げながらそれを補償に充てていくつもりでありますというあいさつに来られましたので、チッソはチッソで、やはり事の何たるかを理解してそのつもりになっていると私は感じております。  もちろん、そこで、私も改めて申しましたけれども、これは何と言ってもチッソに言いわけの余地がないので、とにかくそういう努力を続けてくれるようにということを再三申しました。
  174. 馬場昇

    馬場(昇)委員 長官が口ぐせのように言われますけれども、水俣病のことは水俣病の患者しかわからないというようなことを言われますけれども、企業の体質というのがああいう体質だからああいう水俣病を引き起こしたのですよ。いま長官のところにあいさつに来た、その言葉はきれいかもしれません。しかし実情は、そんなきれいな企業体質じゃないですよ。このことを長官知って行政していただかないと、水俣病患者のことを知らずに水俣病行政をするのと同じように、この企業体質を知らずして、そしてまたこれはつぶさない、これは外してやるのだ、そういうことだけでは、私は行政を間違うのじゃないかと思うのです。そういう点についてくれぐれも、そういう企業体質の問題点がありと指摘されれば、そういうことは謙虚に聞いていただいて、その辺のことはやはり会社側に反省を求めていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  最後に、地元の人が心配しておるからくどいようでも申し上げますけれども、あそこは既存事業はつぶさぬ、新しい事業でもっていってそして発展させる、そして従業員も安心してもらうし、地域社会にも安心してもらう、そのように行政は指導していくのだということを再び最後に確認していただきたいと思うのです。それで質問を終わりたいと思います。
  175. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私もおっしゃるとおりだと思いますし、環境庁としてはその姿勢で関係省庁に協力を要請しているわけですけれども、果たしてそれが環境庁の要望どおり動くか動かないかということはこれからの問題だと思います。  それから、先ほどの企業の体質でございますけれども、確かに会長、社長が参ってそういうことを申しておりますが、それにしても頼み事、チッソを何とか助けてくれというにしても、環境庁よりも直接の所管の官庁へもっと足しげく行くべきでないかというようなことを私も注告しております。
  176. 馬場昇

    馬場(昇)委員 百五十人検診体制の状況とかヘドロ処理の状況について質問したかったのですけれども、きょうは、あと大切な問題で同僚の土井議員が質問の予定をしておりますので、私の残りました時間を土井議員の方でやっていただきたいと思って、私の残りました質問はまた次回に譲りたいと思います。  これで終わります。
  177. 島本虎三

    島本委員長 次に、土井たか子君。
  178. 土井たか子

    ○土井委員 一問だけ私は実はお尋ねをしたいと思うのですが、きょうの午前中の質疑の中で林議員の御質問にお答えになって、石原長官が例の公害対策基本法にある、かつて昭和四十二年にあった経済との調和条項というのが四十五年の改正のときに削除されたという問題に触れて、調和条項の魔女狩りという発言自身が不適切な発言であるならばこれは撤回しよう、ただしかし、この調和条項というものが削られたことで新しい誤解が生じたということはこれは否めないという趣旨の御答弁をされております。  そこで、私お伺いしたいのですが、これはむしろ環境行政にいままで長らく携わってこられた中で、橋本局長やそれから信澤局長お尋ねをしたいのですが、この調和条項というものをはずしたために誤解が生じて、環境行政が大変やりにくくなっている、スムーズに事がいかなくなったというふうに思われる節がおありになるのかどうかですね。いままでそういうふうなことを環境行政の中で御検討されたことがおありになるかどうかですね。もし具体的なやりづらくなったというふうにお気づきの事例があったら教えていただきたいと思います。いかがですか。
  179. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生のおっしゃった問題ですが、生活環境保全に当たっては「経済の健全な発展との調和」を考慮するという条項はあたりまえなので、誤解があるから落とした、その後何か困ったことがあるかということですけれども、私はやはり、調和条項が落ちたじゃないか、だから絶対環境保全なんだということの声は非常に強くなったと思います。これは身にしみて感ずることがございます。健康問題は絶対譲らない、これはもう前から明確ですけれども、実際の具体的な例という議論が出ますと、これは騒音の場合でもそれから開発の問題の議論をする場合でも、私はずっと十七年やってまいりましたが、帰ってきてからばっとぶつかった問題の印象は、しばらくいなかったからよけい強いのだと思うのですけれども、そういうところがあることは否めないしいうことは事実でございます。
  180. 土井たか子

    ○土井委員 私は、信澤局長にもお尋ねをしたいのですが、いまの橋本局長の御答弁で、この調和条項というものが昭和四十五年の改正の時点で外されたために以前に比べて大変そのことが誤解を生じてやりづらくなった、そういうふうなことになっているかどうかということを実はお尋ねをしているわけなので、これは率直にお答えいただきたいのです。やはり環境行政に携わっていらっしゃる局長からそのことを生の声として聞かしていただくというのは、私は大変大事なことだと思いますので、率直に忌憚のない御意見をひとつ遠慮なしにここで述べてください。
  181. 信澤清

    信澤政府委員 個人的なことを申して恐縮ですが、私は橋本さんより大分短いわけでございます。しかも四十五年のあの改正の際には環境行政をやっておったわけではございません。したがいまして、大臣の御発言になりましたように、あれを削除したことがさらに誤解を招いているかどうか、その点の印象については、実は必ずしもそれだけではないのではないかと思う節がございますが、いま橋本局長が申されましたように、このことはそれがあったから起きたということではあるいはないのかもしれません。しかし、全く経済を無視してもいいのだ、こういうような議論が今日でもある、これは事実として認めざるを得ないし、また、そういうことのためにそういうことがあるということは、いま橋本さんが御答弁されたとおりだと思います。
  182. 土井たか子

    ○土井委員 それは、調和条項が外されたからそういう議論が出てくるのだとは必ずしも言えないと思うのですよ。調和条項があった当時からそういう議論はとうとうとしてあったわけですし、なぜ四十五年のあの段階でこの調和条項というものが外されたかという由来をひもといてみたら、それなりの理由があるのです。これは必ずしも、長官が言われるようにパニック状況の中で魔女狩りのようなかっこうであの調和条項というのが四十五年のいわゆる公害国会の中で外された、そういうふうな認識は私は持っておりません。長官のような認識というのは私は間違っておると思っております。本当に間違っておると思っております。  それはどういうことかというと、これは少しお調べになったらすぐにお気づきになると思いますけれども、昭和四十二年制定当初には、厚生省原案には経済との調和条項というのはございませんでした。ところがその後、政府原案として提案をされるまでの間に、当時のばい煙規制法にただいまの経済との調和条項というのがその目的として掲げられていることのために、厚生省原案を受けまして総理府が経団連などのいろいろな圧力に屈してこの条項を入れたと言われているのです。ですから、そういう点からいたしますと、審議の過程でこの規定が入ったこと自身に対して、まことに疑惑のまなざしをもって審議が展開されているということは、いま私ここに議事録を持ってまいっておりますけれども、四十二年当時の公害対策基本法を審議する段階で明らかに読むことができます。ですから、四十五年になってこの経済との調和条項というのが外されたことは、あの激発した公害被害地というものの現状から考えて、パニック状況の中でこれは外さざるを得なかったという問題ではとてもないと私は思うのです。  そういう前提でお伺いしたいのですけれども、この条項を取ってから環境保全というものが非常に重視されるようになった。先ほど橋本局長もおっしゃるわけですが、まことに結構なことだと思うんですね。これはまことに結構なことでありまして、むしろこれは、この調和条項を外したために環境行政というものは本来あるべき姿に近づいたということが言えるのじゃないか。だから、環境保全というものを重視するということからするとまことに結構な状況になってきたんだけれども、しかし現実は、この条項を取ってから患者さんに対するいろいろな環境行政のあり方というのは、果たして環境保全ということを徹底的に考えた取り組みをやってこられたかというと、まだまだとこれは言わなければならないと思うのです。  そこでお伺いをしたいのですが、四十五年当時の公害認定患者さんは一体何人くらいで、いまはその当時と比べるとふえているんですか減っているんですか、どうなんですか。減っているということはないと思うんですよ。ふえていっていると思うんですがね。
  183. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 申しわけありません、いま数字を持っておりませんが、明らかにふえております。
  184. 土井たか子

    ○土井委員 これも環境庁の方が積極的にこの問題に乗り出して、いろいろ指定地域の問題についても拡大をするとか、それから認定患者さんの具体的な事実というのも掌握していくということを、鋭意努力を払って今日までやってこられたとはとても思えないのです。やはり患者さん自身がみずから立ち上がって、あるいは被害地の被害者の方々がみずから立ち上がって、環境庁に対していろいろな実情を説明に来る、そして具体的に話し合いを求めて、事実はこうですよという陳情を重ねられるというふうな経過がその中にあったのじゃないか。こういうことを思いますと、やはり被害地の被害者に対する対応だとか患者さんに対する取り扱いの上で、きょうは私は石原環境庁長官にじかにさらにお尋ねをしたいことが具体的にあったわけですが、時間の方がもう約束の時間になっておりますから、私はこれを次回に徹底的に石原環境庁長官お尋ねをするという予告をしてきょうは終えたいと思います。  局長の方から、まだ御答弁をいただいてない分、補足的におっしゃってください。
  185. 信澤清

    信澤政府委員 四十二年の基本法制定以前、制定時、その後の状況、それは先生いまおっしゃったとおりでございますが、その各過程を通じて、国民の健康の保護について経済との調和ということは、どの案でも書いてなかったわけであります。たとえば四十二年に四党で共同修正いたしましたが、政府が提案した趣旨はそうであったが、しかし十分それが読み取れない、したがってわざわざ二項を起こして、生活環境については経済との調和のことをうたった、こういう経過でございます。先生いまおっしゃいました公害健康被害の問題は、これは国民の健康の問題でございます。健康の保護の問題については経済との調和ということが、従来から全く政府としては考えてきてないわけでございますから、もし誤りがあるとするならば、経済との調和のあるなしによって国民の健康にかかわる部分についてまで政府姿勢が左右される、こういう議論があっては困る。そういうことは私ども否定いたしておりません。こういう点だけははっきり申し上げられると思うので、これはひとつ、先生よく御存じでございますから蛇足かもしれませんが、あえて申し上げさしていただきたいと思います。
  186. 土井たか子

    ○土井委員 これに対して私はさらに反論がありますけれども、これはいわば生活環境保全ということに対して経済との調和を図る図らないということが現に問題になっているわけです。その生活環境保全という問題が具体的に対策として進められている限りにおいては起こり得べくもなかったいろいろ認定せざるを得ない公害病というものが現に起こっているということは、これは現実の問題として局長も御存じのとおりなんですよ。だから、そういう問題に対しての因果関係というのをさらに追求していく必要が片やそれはあるかもしれません。しかしながら、あくまでほかの原因ではない、環境によってもたらされた、つまり大気汚染とか水質汚濁とか、いわゆる公害対策基本法に言う典型的な公害という中身でもって環境がだんだん汚染をされて、環境が以前と変わってきたことのために健康被害が具体的にもたらされたというふうなことで私は問題にしているわけでありますから、何ら私の言っていることには矛盾はないと思うのですよ。これは次回ひとつやりましょう。
  187. 島本虎三

    島本委員長 では、土井たか子君の質問は次回に継続することにして、きょうは終わりました。  次は、竹内勝彦君。
  188. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私は、最近の瀬戸内海赤潮等の問題、それに関連し環境破壊、水質汚濁、こういった面で大きくクローズアップされておるわけでありますが、特にその中で本日、湖沼の面でこの環境破壊、水質汚濁というものがどのようになっておるか、その論議を若干してみたいと思う次第でございます。  初めに、代表的な湖沼の環境破壊状況、水質汚濁の状況説明いただきたいと思います。
  189. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 お答え申し上げます。  最初に主な湖沼の状況でございますが、指標といたしましていわゆるCOD、化学的酸素要求量でございますが、このCODと透明度、この辺の経年変化を見ますと、全体的には横ばいの状況にございますけれども、地域開発等によりまして汚濁源が増加しております湖沼におきましては汚濁の程度が高くなっておりまして、たとえば霞ヶ浦とかあるいは印旛沼とか、そういうようなところでございますと、これは水道水源にも使っておる湖沼でございますが、この辺でも同様の状況が見られるわけでございます。  それからもう一つは、全体的なというお話もございますので、全国の湖沼全部、主な湖沼だけでなしに湖沼全部でもってながめてみますと、五十年度におきまして検体数で約六九%がCODについて見ますと環境基準を超えておるということでございます。河川が三一%、これはBODでございますが、海域の方がCODで一七%というのに比べますと、六九%が環境基準を超えておるということでございますので、汚濁の状況が非常に著しいという状況にある、きわめて残念でございますがそういう状況にあるということは否めないわけでございます。  以上でございます。
  190. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私はその中で特に琵琶湖の件で、私が京都に住んでおる関係もございまして、最近、琵琶湖にいわゆる赤潮と言われるプランクトンの異常発生等、ことしは特に、いままで南湖の方では何回もこういったものが見られましたけれども、北湖の方にまでこの赤潮現象というものが出てきました。いま琵琶湖というものは、特に湖沼の中においても特異な存在として、これは京阪神の一千三百万人の人たちの飲料水として使われております。私もその恩恵にあずかっておる一人でございます。そういった中でやはりこれはどうしても注目をしていかなければならないものではないか、こう考えます。したがいまして、そのいわゆる赤潮と言われることしの現象をどうとらえておるか、その原因等についてお答えいただきたいと思います。
  191. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 琵琶湖におきます赤潮の関係でございますが、昭和四十四年五月に赤潮が出まして、水道水に対しましてカビ臭といいますか、そういうにおいの問題が出ておったわけでございます。それ以来も小規模ながら若干そういう問題があったわけですが、ただいま先生からお話ございましたように、ことしの五月の末から六月の初めにかけまして淡水赤潮によります生臭いにおい、こういう問題が出たわけでございます。しかもこれが、先生がいまお話ございましたように、南湖でなしに北湖の西部、こちらの方に大発生を見たということでございます。この赤潮の生物そのものにつきましては、一応ウルグネナ・ボルボックス、通称クスダマヒゲムシと言われておりますが、これが赤潮生物であるというふうに同定をされておるわけでございます。被害の面につきましては、魚等につきましてはないわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような生臭いにおいがするというようなことで、飲料水の水源にもなっておるところでございますので、浄水場の段階で大分活性炭を投入するとかというようなことで、飲料水として各家庭のじゃ口の段階におきましてはきれいな水道飲料基準といいますか水道基準にはまるような形で処理しておるわけでございます。そういうことでございますが、基本的にはやはり原因としては、このメカニズムそのものは十分わかりませんが、富栄養化というのがこういう赤潮発生の要因の一つであろうかと思います。したがいまして、今後はこういう栄養塩類の燐なり窒素というものの削減ということが必要であろうということで、そういう方向の面について今後施策を展開をしていく必要があろうか、かように考えておるわけでございます。
  192. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 長官にお伺いしますが、長官は九月十四日の全国知事会に出席した折に、武村滋賀県知事の質問に対して、この赤潮については何よりもその発生メカニズムが判明しない、そこで大学の専門学者に集まってもらい、研究と技術をつなぎ発生解明への体制を進めている、こう答えられました。同時にまた、家庭用洗剤については、各企業に燐の含有が少ないものや含まないものの開発を指導する、こう言われましたが、その件に関して具体的にどういうような進みぐあいか、あるいはこのように持っていくのだというものでも結構でございますが、もうちょっと具体的にお話しいただきたいと思います。
  193. 石原慎太郎

    石原国務大臣 詳しくは局長から答えさしていただきますけれども、いままでばらばらでやっておりました研究を一元化するために赤潮研究会というものにまとめまして、すでに第一回の会合をやりました。これをずっとこういう形で続けていくつもりでございます。また、燐の規制につきましては、瀬戸内海の臨時措置法の後継法の問題などもございますので、これに具体的に鋭意取り組んでいくつもりでございますが、詳しくは局長から答弁さしていただきます。
  194. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいまの長官答弁に若干補足さしていただきます。  まず最初に赤潮研究の関係でございますが、実は、ことしの八月の末に瀬戸内海で大規模赤潮の発生を見たわけでございます。これにつきましては直ちに水産庁とも話し合いをいたしまして調査班というのを編成いたしまして、関係の大学の先生なりあるいは南西海区の赤潮研究者なり県の水産試験場の赤潮研究者等でもって調査班を組織しまして、今回発生しました赤潮の原因なりあるいは要因といいますか、そういう面の調査等に取り組んだわけでございますが、ただ、いろいろ会合を重ねておりますと、単にその調査班だけで十分いろいろな問題が解明できるかということになりますと手薄でございますので、いろいろ出て来ました研究テーマをさらに広く研究をしていくというために、ただいま長官からお話ございましたように、九月二十日に、これも水産庁と共同で赤潮研究会というものを組織いたしまして、広く長崎大学の先生等も御参加いただくし、環境庁としては筑波にあります公害研究所の研究者も参加をさせるというようなことで、赤潮研究に有機的な連携をとって取り組むということにいたしておるわけでございます。主としてこれは八月に瀬戸内海に起きた赤潮、海洋の赤潮軸でございますけれども、しかし、やはり淡水赤潮といいますか、そういう面にも関連を持つ分野も非常に多かろうと思います。今後ともこの研究会というものを軸にしながらメカニズムの究明等々進めていきたいと思っております。  それから第二点は、合成洗剤の燐の削減の問題でございます。この燐の削減の問題につきましては、所管省の通産省等におきましていろいろ御努力をいただいておるわけでございますけれども、現在業界等におきましてもP2O5でビルダーに含まれております燐酸塩を一二%以下にするというところまで逐次下げてまいっておるわけでございます。ただ、そういう線は決まっておるわけでございますが、個々のメーカーをながめますと、必ずしも全品目が一二%以下になっておるというふうになってない企業も一部あるようでございます。もちろん別な企業におきましては全製品八%以下という企業もございます。そういうことで、いずれにいたしましても一二%以下ということをまず当面達成するように、各企業ともそれは順守するようにということで通産省にも強く要請をし、ともどもに業界を指導しておる、こういう状況にございます。
  195. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 日本の国土というものは狭く、それに対して平地面積当たりへの合成洗剤消費量は世界最高、こういうように言われるほどのものでございます。では、これを処理する下水道、下水処理施設の普及率は、これまた逆に先進諸国の中においても非常に低い方に属していると言われておりますし、合成洗剤というものは自然に地下深く浸み込んで、そうして土壌や下水、飲料水、こういったものを汚染していく、そうして分解されないままにそれが河川であるとか湖沼、こういったところに入り込んでいく。先ほど局長からもありましたが、カビ臭いにおいの水に変わってきておる。確かに私も日常水を飲んでおりましてそのときに感じるのですが、これはずっと年じゅうというわけではございませんが、その時期によってにおいが非常に耐えられないようなものに変わったときがございました。そういう意味からも、このカビ臭いにおいの原因というものはどこにあるのか、また、それの対策としてどう考えておるのかという点をお伺いしたいと思います。
  196. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先ほども申し上げましたように、琵琶湖で発生いたします赤潮、これも単一の赤潮生物でございませんで、年によりましてその赤潮生物が変わっております。先ほどお尋ねのことしの五月末から六月初めに発生をしました淡水赤潮、これの赤潮生物はウルグネナ・ボルボックスということを申し上げたわけでございますが、以前出ました赤潮は必ずしもこの種類というふうに限っておりません。においも生臭いにおいがことしの特徴でございますが、そうでないにおいもございます。やはり赤潮生物の種類によりましてにおいもいろいろ違うようでございます。基本的にはこの赤潮のメカニズムなり何なりというものを究明して手を打つべきわけでございますが、先ほど先生のお話もございましたように、近畿千三百万人の水がめになっておるわけでございまして、現在は応急的な措置かとも思いますが、浄水場におきましてこのにおいを抜くということで活性炭の投入というようなこと等もやりまして、においを抜いた形で飲料水として供給をする、こういうことを厚生省ともどもやっておる、こういうことでございます。
  197. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ここで厚生省の方にお伺いしたいのですが、当然その水がめである琵琶湖が汚れてきておる。同時にまた、そういったような取水口において汚れるということは、それを浄化して市民の皆さんに飲んでもらえるように持っていくには相当の処置をしていかなければなりません。したがって、その汚れぐあいと、それを浄化して飲める水にしていくまでのコストの推移というもの、その関連から最近のもので結構でございますが、その推移をお知らせいただきたいと思います。
  198. 山村勝美

    ○山村説明員 水道の原水の水質が悪化したことに伴いまして、御指摘のように、一番きれいな水でありますと塩素消毒だけで終わりますし、さらに次のレベルになりますと緩速ろ過法、さらに急速ろ過法、さらに活性炭処理法等順次高度な処理が必要になってまいります。その処理の程度によってどれくらいコストが上がるかということは、それに必要な薬品費でありますとか設備費あるいは人件費等いろいろ要素は非常に複雑でございまして、統計的に十分な資料は持っておりませんが、たとえば京都市の例で申し上げますと、四十六年から五十年の五年間で見ますと、薬品費について見ますれば、一立方メートル当たり一円十銭、一円三十一銭、一円四十四銭、一円五十四銭、一円二銭と、中間の三年が高い、薬品をたくさん使った年に当たりますが、それをよく調べてみますと、やはり生物系の異臭の発生の期間が長かったとかいうようなことに伴って活性炭を非常に使ったことに伴って高いということがわかるわけでございまして、経年的に見ますと、むしろそれほどにおいの問題がなかった五十年は安くなっておるというような実情になっております。  それで、なお全国平均と比べますと、異臭の発生した年は全国平均の二倍ぐらいの薬品費になっておるのが実情でございます。
  199. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 こういった湖沼については、飲み水として利用されていっておる。そういった面を考えて、この水質基準というものを、飲み水に利用しておる場合の水質基準はどういったところに置いていくか、どういったものが望ましいという面でお答えいただきたいと思います。
  200. 山村勝美

    ○山村説明員 水道法に基づきまして水質基準が定められておりまして、二十七の水質項目について規定がされております。  いまお尋ねの、恐らく異常なにおいという問題だろうかと思いますが、それにつきましても異常な臭味がないことということで、感覚的な基準が定められております。
  201. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、先ほどの下水処理という面に関して、特にこの滋賀県においては、滋賀県一県の問題ではございません。それに関連している京阪神の人たちが影響するわけでございますので、一体この整備率はどういうような状況になっておるのか、全国平均と滋賀県はどうなっているか、それから琵琶湖周辺はどうなっておるかということをお伺いしたいと思います。
  202. 高橋進

    ○高橋説明員 お答えいたします。  五十一年度末で全国の下水道普及率——下水道普及率と申しますのは、総人口に対します処理区域内人口の割合でございます。これは全国で二四%でございます。それに対しまして滋賀県におきます下水道普及率は、昭和五十一年度末三・九%、非常に低い状況にございます。
  203. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 こういったところに重大な問題があるわけでございます。先ほど長官が合成洗剤の問題に関しても意欲的に取り組んでいく、それから赤潮調査に関しても調べていく、こういった形で述べてはおります。  では、問題は三・九%、約四%、あとの九六%が——ほとんど琵琶湖の周辺にあの滋賀県の人口が集中しているという状況があるのは皆さん御存じのとおりであります。それが全部たれ流しておる。もちろん浄化しておるわけですが、これを実は一千三百万の人たちが飲んでおるというこの実態をどう考えますか。長官、お願いします。
  204. 石原慎太郎

    石原国務大臣 水道水源に多少の汚れがございましても、水道水にしますときの浄水作業で適切な水に変えられるわけでございます。しかし限界がございましょうし、水道水源が水源の水としてきれいにあるということにこしたことはないと思います。そういう意味で、今年度の予算の要求のときにも、他省の予算でございますけれども、閣僚レベルの折衝のときに、ぜひとも日本の各水域の水質保全のために、公共事業というのも結構だが、特に下水道に重点的に予算を充てんしてほしいということを申し入れました。日本の水質保全の問題は、もうこの下水道というものの積極的な施行なしにとうていおぼつかないと私も思う次第でございます。
  205. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは下水道の補助率を当然こういったところは特別に上げていくべきだと思います。現在、他府県とほぼ同一水準になってきておるような状況でございますし、この際、補助率を意欲的に上げていただきたい、こういう要望が滋賀県からも出ておりますけれども、それに対する見解はどうですか。
  206. 高橋進

    ○高橋説明員 ただいま下水道の補助率につきましては、流域下水道の終末処理場につきましては四分の三、それ以外は三分の二、公共下水道につきましては、終末処理場について三分の二、それ以外は十分の六、こういったような状況になっております。これは四十九年に、従来低かったものをこういうふうに上げたところでございます。大体、ほかの公共事業などの横並びからいきましても、まあまあのところへきているのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  滋賀県から、補助対象の範囲についてさらに拡大してほしいという要望が来ておることは、先生いま御指摘のとおりでございますけれども、現在のところ、下水道整備第四次五カ年計画の中で事業を進めておりますけれども、現在、そういったことで進めていっておるということでございます。
  207. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いま建設省の方に、下水道の補助率を上げていただきたいということで要望をしたわけでございますが、ぜひこういった重要な飲料水に使われておる湖沼等、これは琵琶湖だけではございませんが、それに関連させてひとつ御検討をお願いしたいと思います。  同時に、きょう余り時間がございませんので、国土庁の方にも来ていただいておりますので、それに関連させて質問をさせていただきます。  御存じのように琵琶湖総合開発という問題が、四千三百億を認めて進んでいったわけでございますけれども、いま申し上げましたように環境破壊あるいは水質汚濁、いろいろな面から考え、見直しというものになって、その追加事業の予算をどうしても認めていかないとますます環境破壊になり、この飲料水を守っていくという問題からは非常に大きな問題があるのではないか、こう言われておるときでございますので、その追加事業の予算というものはどうなっておりますか、簡単で結構でございます。
  208. 宮沢美智雄

    ○宮沢説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のとおりに、琵琶湖総合開発計画には水資源開発のほかに、下水道の整備とか屎尿の処理、水質保全のための事業も含めまして十八の事業が決められておりまして、これの推進を図っておるところでございます。ただいま御指摘のように、滋賀県では昭和五十年からこの総点検を行いまして、その結果、私どもを含めまして各省に報告されたわけでございます。  滋賀県では、この総点検を生かしながら、現行の計画に盛り込まれておりますいろいろな事業を推進するとともに、現在の計画には含まれておりませんものについては、別途これを推進していきたいということで、湖沼のしゅんせつの問題ですとか、現行の事業の運用の中で幾つかの事業を推進していきたいというふうに承っております。
  209. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 同じく国土庁にお伺いしますが、今回のこの三全総の中で定住圏構想というものが出されております。その構想に対して、琵琶湖の位置づけはどういうように考えておりますか。
  210. 星野進保

    ○星野説明員 御説明申し上げます。  三全総は現在、国土総合開発審議会でまだ御検討いただいている最中でございますが、その御検討の素材としてお示ししております案につきまして御説明申し上げますと、一応私ども定住圏というものを考えまして、その中で一つの重要な要素といたしまして、定住圏を構成するものとして流域というものを取り上げております。特にいま先生御指摘の琵琶湖につきまして、私ども国土の管理という観点から、特に水系の総合的管理というような観点で、琵琶湖は特に閉鎖水域であるということから言いまして、流域においては水質の保全に特に留意し、同時に、水資源保全、開発の観点からは、特に周辺地域の総合的な整備とあわせながら水資源開発を行うべきであるというような考え方をその案の中では示しておるところでございます。
  211. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 時間でございますので、最後に一点、ちょっと大きな問題で長官に、今後の方向としてお伺いしておきたいと思います。  いま私が質問させていただいたように、京阪神の命の水がめと言われる琵琶湖の周辺の下水の整備が三・九%というような実態、かなりおくれておることはこれはもう御承知のとおりでございますけれども、同時に、私はここで大きな提言として——下水処理というものは一次処理あるいは二次処理、こういった形で持っていったとしても、何らかの形で燐、窒素あるいはその他のものが残っていきます。いま三次処理ということさえも研究段階で考えられておるときでございます。しかし、どのように処理はしたとしても、いずれにせよ汚染されたものが残るわけでございまして、その処理後の水をいま琵琶湖に三・九%流している。ほかのものは全部たれ流しですが、今後処理されていったとしても、やはり完璧なものではございません。それが流されていく。確かにでかい琵琶湖ではございますが、年々家庭排水というような問題で汚れてきております。これがこのまま進んでいったならば果たして飲料水として使っていくのに適当なものかどうか。それは危機に陥ったときでございます。そのときに、じゃ、かわりのものを探すといっても、御存じのように、あの京阪神の一千三百万人の飲料水にかわる湖沼もございません。あるいは河川もございません。そうすると、これはどうしてもここで手を打っておかなければならない重要な問題でございます。  そこで、ちょっと引用を長くさせていただいて申しわけないのですが、リサイクルという問題あるいは中水道という問題でいろいろと水の再生利用ということを考えていく時代になってきた、このように言われております。  同時に、ここで特に訴えておきたい点は、いま工業用水あるいは家庭の中における水洗用の水であるとか、そういうようなものまで上水道のよい水を使っているということで、非常にもったいない話でございます。そういった意味で、工業用水あるいは家庭の中の雑水として、中水道という考え方になるかどうかはわかりませんが、そういうような形で処理された水をさらにリサイクルで使っていく、こういう形に将来持っていく方向が必要ではないか。同時に、ルートを完全に別にして、その処理された水は琵琶湖へは流さない、そしてそれを京阪神の中水道という形で使っていく、あるいは汚水運河という形で別のルートをつくっていくというような構想を将来のために考えていく必要があるのではないか、このように提言をしておきたいと思います。  いずれはこういった問題が論議になってくると思いますので、最後に長官考え方をお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。
  212. 石原慎太郎

    石原国務大臣 中水道につきましては、これからいろいろ技術的な問題がまだあると思いますけれども、考え方としましては、それが完備されました結果、排水量も減りますし、それから汚濁の負荷量も減るわけで、水質の保全のためには非常に結構な手段だと考えます。下水の施設の拡充、充実に並行して、中水道というものは、日本のような独特の地形の中で十分考えられるべき大きな問題と心得えます。
  213. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  214. 島本虎三

    島本委員長 竹内君の質問は終わりました。  次は、草川昭三君。
  215. 草川昭三

    草川委員 草川でございます。  私は、航空機騒音の問題について、特に公害対策基本法と基地の周辺整備法とのギャップの問題を中心に、愛知県の小牧空港の問題にしぼって質問をしたいというように思います。  まず第一に、運輸省にお伺いをいたしますけれども、運輸省は第三次空港整備五カ年計画を昨年の八月につくりました。その中で、名古屋空港の整備事業計画も当然予測値を試算をしておるわけでございますが、ことしの十月一日から名古屋−ソウル便というのが急に決まったわけでございますが、それは予測をされておったのかどうか、まずお伺いいたします。
  216. 田代雅也

    ○田代説明員 お答えいたします。  ただいま先生お示しのとおり、第三次空港整備五カ年計画の策定の際には、施設計画の基準といたしまして、各空港ごとに航空需要の予測を行っておるわけでございます。しかしながら、国内線につきましては、路線別に航空需要をはじきまして一応その数を出しておるわけでございます。国際線につきましては、わが国のいままでの全体の出入客数のトレンドを出しまして全国の国際線の予測値を出した。それから、さらに空港別につきましては、東京空港と大阪空港だけをいままでの傾向からシェアを出しまして、その他につきましてはその他空港としてくくってございます。  したがいまして、名古屋空港につきまして、特別に国際線の発着客数はこの五ヵ年計画の際には計上しておりませんカ
  217. 草川昭三

    草川委員 第三次空港整備計画基本方針の確か(ロ)だと思いますけれども、地元との調和ということが非常に明確に書かれておるわけであります。ところが、現実には地元との調和ということがほとんど無視をされておりまして、特に小牧空港の場合は地元の市町村あるいは県知事にも連絡がしてない。そのために、地元の小牧市長は、全国民間空港関係市町村協議会の副会長をやっておるわけですけれども辞職をしたという、市民無視のことが行われておるわけであります。  一方、大阪空港の場合は、関係十一市町村の間で覚書がございますから、事前協議というのがやられておる。たとえば愛知の小牧空港にはたまたまそれがないのですけれども、私は、行政としては同様な取り扱いをすることが必要だと思うのです。しかし、それがやられていない。いわゆる差別の行政ではないか。  そこで、環境庁にお伺いしますけれども、このような航空機の増便について環境庁は運輸省から事前の相談を受けておるのかどうか、お伺いをします。
  218. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問のあった増便につきましては、環境庁は事前に運輸省から相談を受けるということはございません。
  219. 草川昭三

    草川委員 増便について環境庁が相談を受けてないということ自身が、行政全体の立場から言って非常に問題があると私は思うのです。それはまた後ほど申し上げます。  では続いて。地元住民は今後の国際線の需要が非常に多いというので、台湾便の増便ということが考えられるのかどうか、運輸省にお伺いしたいと思います。
  220. 田代雅也

    ○田代説明員 台湾につきましては、いま小牧空港から台湾への路線定期は行われておりません。チャーター便だけでございます。  今後の動向でございますけれども、一般的に申しまして、地元の需要があるかどうか、その点を判断する。それから、先生お示しのように、各空港ごとに、増便を行います場合には、地元の状況がどうなっておるか、その辺を判断して行うわけでございますけれども、需要がふえる場合には今後増便することはあり得ると思います。  それから、現時点におきまして路線定期を開設する計画はございません。
  221. 草川昭三

    草川委員 いまのお話だと、将来あり得るというような方向でございますが、いろいろとチャーター便を何回か実績で積み重ねていって、一方的に定期空路というものを開設する、こういうように住民の方々は受けとめてみえるわけですが、私は非常に問題があると思うのです。そういう意味では、必ず地元の方々の同意を得る、協調する、これが基本法にもあるわけですから、運輸省に厳重に物を申し上げておきたいと思います。  次の問題は、いま大韓航空が週三便、日航も週三便行われております。727あるいは747、DC8でございますが、これらの飛行機は航空法二十条の騒音基準適合証明が出ておるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  222. 田代雅也

    ○田代説明員 航空法二十条の規定に基づきまして、一定の改良がされた飛行機あるいは航空法二十条が制定された前後にできました新しい飛行機につきましては騒音基準適合証明を出すことになったわけでございますけれども、現在日航の運航しておりますDC8につきましては、その以前の機種でございます。また、ICAOの基準に基づきまして在来機につきましてはその適用を除外してもいいということになっておりますので、航空法におきましてもDC8については適用除外しておるわけでございます。  それから大韓航空の持っております727につきましては、外国の機種でございまして、私どもの方では、その改良を行うかどうかにつきましてはつまびらかにしておりません。
  223. 草川昭三

    草川委員 外国の飛行機でも、運輸省はその点については十分把握をしていただきたいと私は思うわけです。現実に適合証明がない飛行機が飛んでおるわけです。ICAOの基準で以前につくった飛行機だから除外をされておることは事実でございますけれども、現実に基準以上の飛行機、離陸で十七ホンから十八ホン高い飛行機が飛んでおるわけですから、私は、住民無視だと思うのです。  環境庁にお伺いしますけれども、このような事実をどう御判断なされるのかお伺いします。
  224. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 環境庁としましては、騒音の低い証明の飛行機が飛ぶことが一番望ましいと思いますが、これは運輸省からも説明がありましたように、法律の二十条の三にその前までの飛行機というのが入っておりますので、法的には落とすわけにはいかない。ですから静かな飛行機にできるだけ早くかえることが望ましいというように思っております。
  225. 島本虎三

    島本委員長 草川君、発言委員長許可を得てやるようにしてください。
  226. 草川昭三

    草川委員 申しわけございません。  大阪空港の例を申し上げるわけですけれども、エアバスが入ったときに環境庁は非常に熱心な事前調査をしたわけです。大阪空港はそれなりの地元の住民運動が非常に活発であり、これはいい傾向だと私は思うのですけれども、環境庁は気にしたという感じです。ところが一方、他の空港で余り活発でない住民運動があるとするならば、非常に冷淡な態度をとる、こういう態度も私はおかしいと思うのです。こういう点で私は、同様な取り扱いをしていただきたいということを厳重に申し上げておきたいと思います。  時間がございませんので次に進んでいきます。  防衛庁にお伺いをいたしますが、防衛二法が通過したと仮定いたします。これはまだどうなるかわかりませんけれども、通過したと仮定すると、移転をする間に、たとえば小牧の場合は第三航空団でございますけれども、三沢に移転をすると聞いておりますが、どの程度の期間がかかるのか。まだこれはどこへ行くかわかりませんけれども、第三航空団が移転をする場合にどの程度の期間がかかるのかお伺いしたいと思います。
  227. 児玉良雄

    児玉(良)説明員 お答えいたします。  防衛二法案がいつ成立するかわかりませんが、今年度内に成立した場合には年度末、第四・四半期に移動することになるかと思います。
  228. 草川昭三

    草川委員 年度末に移転するということがわかりました。  それから、移転をすると、小牧空港の周辺対策というものは防衛施設庁から運輸省航空局にいつから移管されるのか、運輸省にお伺いいたします。
  229. 田代雅也

    ○田代説明員 先生お示しのように、防衛二法の成立後に移転した場合、私どもの方で周辺対策を引き継ぐということで、従来から防衛庁と協議、調整してきたところでございますが、引き継ぎの明確な時期とか、あるいは予算措置上の細目的問題点につきましては、今後さらに調整する予定になっておりますので、現時点では、いつ引き継ぐかということを明確に申し上げられない状況でございます。
  230. 草川昭三

    草川委員 いま防衛庁の方は、通過してからの期間ということを言っておるわけですから、私も、いつというよりも、通過してからどの程度の期間がかかれば運輸省に移管されるのかと聞いておるわけですから、お答えできると思うのです。
  231. 田代雅也

    ○田代説明員 御承知のように、国の予算は単年度主義になっておるわけでございます。現在、小牧空港の周辺対策事業の予算は防衛庁の方で計上しておられるわけでございますが、運輸省でこれを引き継ぐことになりますとその予算措置が必要であるわけでございます。ただ予算措置と申しましても、新たに次年度予算について要求してとるのか、あるいは何かのかっこうで予備費を回してくるのか、その辺につきましては、今後、防衛庁あるいは財政当局と相談の上詰めることになると思います。
  232. 草川昭三

    草川委員 次に移ります。  航空自衛隊の基地というものは全国的にあるわけでございますけれども、基地といえども公害対策基本法の騒音基準は守るべきである、こう思うわけです。また、事実宮城県の場合でも、仙台の防衛施設局にそのような申し入れがあるわけであります。防衛施設の周辺には周辺生活環境整備法による環境基準、それから公害対策基本法による航空機騒音の環境基準という二本立ての規制があるわけであります。ここに周辺整備とギャップがあるわけでございます。具体的には、大体ゼロから十五騒音レベルというものがあるわけでございますけれども、私は、環境基準はやはり学問的な裏づけがあってできたものでございますし、当然その一本化のために環境庁は努力すべきではないだろうかと思うのです。特に防衛庁の方では整備の区域指定なんかも行っていないわけでございますので、環境庁長官として、このギャップについてどのように解決されるのか、私は決意をお伺いしたいと思います。
  233. 石原慎太郎

    石原国務大臣 まず政府委員から答弁させていただきまして、その後で私の所見を述べさせていただきます。
  234. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘のギャップという点で、ちょっと私理解のしがたいところがございますのですが、環境基準につきましては、基地周辺におきましても空港周辺の航空機の環境基準に準じてやるということで、それについては差異はございません。  それから防音工事、移転等の措置につきましても、少なくともそのやり方にはギャップがないと私たちは了解いたしております。  ただ、先生の御質問を伺っておりますと、私どもも現在は防衛施設周辺の生活環境整備法で対処しておる、それが、いずれ基地が撤去されて、今度は航空機騒音障害防止法の方に移っていく。その中で障害防止事業と損失補償事業が行われるときに、時間的な議論として、先ほど運輸省のお話を聞いていると、これはいつどういうぐあいに具体的にリレーされるのかというところでの心配は若干感じましたが、航空機騒音の環境基準につきましては四十八年十二月に決めておりますので、五年目に中間目標を達成するということで、五十三年十二月には中間目標達成のための最大の努力が払われておるもの、そういうぐあいに理解しておるわけでございます。
  235. 草川昭三

    草川委員 ちょっと申しわけございません。いまの質問は、私、舌足らずだったと思うのですけれども、昭和四十八年十二月に環境基準で、住宅地域は七十WECPNLあるいはその他の地域は七十五WECPNLというのがあります。ところが、昭和四十九年六月に周辺整備法の施行規則では八十五レベルという問題がありまして、そこでゼロから十五までのギャップがあるはずだ、こういうことを私言っておるわけでございます。
  236. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 御質問の趣旨を十分理解しませんで申しわけございませんでした。  環境基準の方は、「維持することが望ましい」基準ということで、長期の努力目標としてやっておるわけでございます。  それからもう一つの方の航空機騒音障害防止法にしましても防衛施設周辺の生活整備法にしましても、これは非常に障害がある、それに対して移転や防音工事やそういう損失の補償あるいはそのための負担、助成をやるということでございまして、これは当然にひどさの程度が違うということでございますので、中間目標の八十五というのはこれは何としてでもクリアしなければならないという形になるわけです。そういうことで、この八十五までのところと、あとは七十、七十五になってまいりますと、屋内は当然、現在の家屋構造でも六十五になるということでございますので、補償のレベルとそれから「維持することが望ましい」として努力する水準との間にゼロないし十五WECPNL程度の相違があるというぐあいに御理解いただければいいのではないか、こういうふうに思っております。
  237. 草川昭三

    草川委員 では次に、時間がございませんので少しはしょりまして、防衛庁の方にお伺いするわけでございますが、小牧空港の第三空団が移転をした後にC1ジェット輸送空団というのが移駐をするということが言われておりますけれども、現在、輸送空団は、これは私、数字が間違っているかもわかりませんけれども、約二十六機あるのだそうでございますけれども、小牧に常駐をするジェット輸送機というものはどの程度か、あるいは保守と言うのですかメンテナンスと言うのですか、常駐する自衛隊員はどの程度の規模なのか、お伺いしたいと思います。
  238. 児玉良雄

    児玉(良)説明員 お答えいたします。  防衛二法案が成立をいたしまして小牧に輸送機部隊を配備することができるようになった場合には、C1を十機、そのほかの輸送機三機、これを配備することを計画しております。  それから人員でございますが、現在、小牧基地に配備されております部隊等の人員は約千六百二十名でございますが、二法案が成立した場合に三空団が移動いたしますので、その分の減る分とそれから輸送部隊を配備することによる増分と差し引きますと、大体同じ千六百人程度になるかと思います。
  239. 草川昭三

    草川委員 それからローンという言葉があるわけでございますが、いわゆるそこへ泊まるという意味ですか、基地へ一泊をするという意味の言葉でございますけれども、ローンの予定、あるいは定期便ということも当然予定をされるわけですけれども、月に何便程度の定期便が予定をされるのか。ローンというのは連続何泊になるのかということも含めてお答えを願いたいと思います。
  240. 児玉良雄

    児玉(良)説明員 お答えいたします。  輸送機の定期運航計画は年に数回改定をしておりますが、現在の計画によって小牧にローンする航空機は四機でございまして、五十三年三月末までは同じ数字になります。それ以降のことにつきましては、これから計画を策定いたしますので、いまのところ具体的な数字はございません。  それから、運航の便数でございますが、小牧基地を利用しておりますC1の定期運航便は、五十三年の三月末までは一週間当たり十四便ございまして、それ以後は、いま申し上げましたように今後計画を作成することになります。
  241. 草川昭三

    草川委員 C1の一機の最大荷重をした場合の重量は何トンぐらいになるかということと、それからC1の騒音コンターというものを防衛庁はつくられるのかどうか、あるいはまた運輸省はこの新しい場面を予想していかような総合的な運航計画を立てられるのか、あるいは民間航空の運営が、この定期便は約百便近いものが月に出るわけでございますけれども、それによって障害を受けるのか受けないのかということについてお伺いしたいと思います。
  242. 田丸達雄

    ○田丸説明員 C1の総重量についてお答えいたしますが、約三十九トンでございます。
  243. 田代雅也

    ○田代説明員 名古屋空港の周辺対策事業を運輸省の方で行います場合に、当然防衛施設庁あるいは防衛庁と十分協議いたしまして、その段階で予想される民間航空機並びに防衛庁の航空機の全体のその便数あるいはその発生いたします騒音を十分調査検討いたしまして必要なコンターを作成する、それによりまして周辺対策に遺憾なきを期したいと考えておるわけでございます。
  244. 草川昭三

    草川委員 防衛庁独自としてのコンターを作成するということは考えられませんか。
  245. 飯村善三郎

    ○飯村説明員 施設庁としては、民間と共用している名古屋空港、それが運輸省の所管でございますし、それから自衛隊の飛行機が運用の近い将来の見通しが予測が困難でございますので、現在コンターとしては調査しておりません。これは、先ほど運輸省から申し上げたように、引き継ぎの時点で十分調査等について相談をしたいと考えております。
  246. 草川昭三

    草川委員 私はいま重量のことをわざわざなぜ聞いたかと言いますと、小牧空港は真ん中に川がございまして、その川を覆いますケーソンが五十トンの荷重重量よりないわけです。ですから非常に長大の重量を運ぶ輸送機が果たしてその荷重に耐え得るかどうかというようなことも含め、騒音の問題等についても考えていただきたい、私はこのようなことを申し上げたかったわけであります。  最後になりますけれども、八月の十日に小牧市の大草地区というところにジェットヘリが不時着をいたしております。これはもちろん防衛庁でございますが、訓練基地になりつつあるのではないかということを地元の方も非常に心配をしてみえるわけでございます。今後もこのようなジェットヘリの訓練飛行は続けられるかどうか、お伺いをしたいと思います。
  247. 児玉良雄

    児玉(良)説明員 お答えいたします。  八月十日にS62ヘリコプターが小牧市に飛行中にふぐあいを生じたと操縦者が判断をして着陸をいたしましたが、これは小牧基地に所在しております救難航空隊の所属の航空機でございまして、この教育隊の教育は引き続き小牧基地を使用して行う予定でございます。
  248. 草川昭三

    草川委員 時間が来ましたのでこれで終わりたいと思いますが、私は、基地の騒音規制についての環境庁の今後の総合的な対策ということはきわめて重要だと思います。もちろん運輸省の所管になる場合もございますし、防衛庁の所管になる場合もあるわけでございますが、基本的には住民サイドに立って騒音なりその他の安全政策等についてもひとつ十分な指導ということを求めて今後の行政をやっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  249. 島本虎三

    島本委員長 草川昭三君の質問は終わりました。  次は、東中光雄君。
  250. 東中光雄

    東中委員 長官にお伺いしますが、例のフジテレビの発言でありますけれども、「経済との調和というのは日本ではタブーになっていて、公害の法律の中から文章だけをとっちゃったんです。しかも、これは与野党一致でね。これはやや魔女狩り的でね、非常に私にとっては不思議な現象にしか思えない。」これは公害基本法の第一条の目的について言っておられることは明白でございますが、環境庁長官といえば行政府の長であります。その行政府規定する法律の、基本法の第一条の目的について、そこに書かれていることについて、「魔女狩り的にやられたもので、非常に私にとっては不思議な現象にしか思えない。」不思議な現象にしか思えないような、そういう基本法の目的に従ってあなたは行政をやっておるのですか。私は、きわめてこれは不謹慎きわまる発言だと思うのですが、この点について取り消すなら取り消すということをはっきりとしていただきたいと思うのであります。いかがですか。
  251. 石原慎太郎

    石原国務大臣 午前中も林委員の質問にお答えした際に申し上げましたが、すでにそのころから、七〇年代というものは有資源ということも含めまして非常に困難な時代であるという予測がございました。そして、環境行政に限らずすべての行政には必ず経済的な側面というものがございますし、また、社会というものが工学的に動いていくために、経済というものを無視することはできないと思います。そういう意味で四十二年、私は国会におりませんでしたが、かなりの議論を、その議論についてはつまびらかにいたしませんけれども、しかし、議論を経た後に入れられたその調和条項というものを、私は、佐藤総理がそれをとるときの答弁も……。
  252. 東中光雄

    東中委員 質問に答えてくださいよ。そんなことを聞いていないのだから、時間つぶしになるから、的確に質問に答えてくださいよ。取り消すつもりがないのだったらないと言えばいいじゃないですか。あるのだったらどこを取り消すと言えばいいじゃないですか。
  253. 石原慎太郎

    石原国務大臣 それでしたら簡単に申し上げます。  「やや魔女狩り的でね」というのは、どうも表現として穏当でないならば取り消させていただきますということを、予算委員会でも申し上げました。
  254. 東中光雄

    東中委員 「非常に私にとっては不思議な現象にしか思えない。」というのは、いまなお維持するというわけですか。目的ですよ。それにについて、「非常に不思議な現象としか思えない。」いまなおそう思っているということですか。環境庁長官として言ってくださいよ。
  255. 石原慎太郎

    石原国務大臣 もちろん環境庁長官として、同時に国務大臣としてお答えしているわけでございますが、環境行政目的の中に経済的な側面というものを抜いて考えることができない限り、そういう問題に対する配慮というものはやはり調和という言葉の中に含まれるべきものだと思います。そういう限りで、それをあのときにとったということは、私には不思議な現象に思われました。
  256. 東中光雄

    東中委員 あなたはこのときの国会論議を全然調べていないのですか。調べておったら不思議だなんて言えるわけはないと思うのです。これは大原則の問題ですから。大原則の問題として論議されたことでしょう。私は、これが削除されたというのは、国民の健康や生活環境保全を企業活動に優先させることが公害対策基本法の、公害行政基本原則だということを確認したのがあの削除の趣旨であった、こう考えています。あなたは、何のために削除したのかわからない、不思議としか思えない、こういう発言をしているのですから、国会公害国会で集中的な論議をやり、そして、大議論を生んでこれを削除することになったというのを、不思議な現象にしか思えないという姿勢で、公害行政が一体やれるのかどうかという問題があります。  そこで、先ほどの答弁でもありましたが、あなたの方は経済調和を考えなければいかぬということを言っているわけです。目的経済調和を考えることは要らないのだ、考えないのだということを書いてあるのだったら、あなたの言われることはわかるでしょう。経済調和を考えることが目的ではないのだということが論議されて、そして、経済優先ではなくて、環境保全、健康が優先なんだということを、あのとき当時の佐藤総理大臣ははっきり答弁していますよ。調和は図るけれども、努力をするけれども、しかし、どうしても調和できないときには、健康なり環境保全、福祉、生活が優先になるのだ、そのためにこの条項を削るのだ、こういう答弁を本会議でやっていますよ。あなたのいま言っているのと全く違うじゃないですか。いかがですか。
  257. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私はそのように思いません。調和という言葉の中に優先という意味が含まれているならば、これは削らるべきものだと思いますけれども、しかし、いかなる環境行政をやっても調和という意味に込められた経済的な側面というものに対する考慮、配慮というものは不可欠でございます。私はそういう意味で、再三申してまいりましたけれども、それを削ったことで新しい誤解が生じたということで、私は非常に不思議な措置であったという印象を述べたわけでございます。
  258. 東中光雄

    東中委員 これは昭和四十五年十二月十日、時の総理大臣佐藤榮作氏が、「やはり開拓と保存を選択的に考えないこと、これは両方が可能なようなことを考えること、経済成長と福祉、そういうものを選択的にどちらか一つだ、こう考えると窮屈になってくる。基本的にはやはりそこに両方の調和がとれるような、現代の科学技術をもってすれば必ずそれは可能なんだ、その信念のもとで私は取り組むべきじゃないか。しかし、どうしてもそういうものが見つからなければ一体どうするんだ、そのときにはやはり生活を優先するという、人命尊重を優先するというその立場だけは失わないようにして、どこまでも経済成長は手段だ、こういうことでなければならぬ、かように思います。」こう言っているのです。どうしても調和できぬときにその努力をすべきだということ、だから、経済成長なんかどうでもいいと言っているのじゃないのですよ。しかし、経済成長というのはあくまでも手段なんだ、だから、最終的には目的なんだから、そういう条項は外して、人命尊重、生活優先、生活環境保全を優先させるということ、それがこの立法の趣旨なんですから、それが大原則なんだということなんですよ。あなた、一介の評論家で、口舌の徒で言っているのだったら、私は何にも言いません。行政府の長として、長官として、環境庁基本法の目的について、あなたがきわめて傍観者的に、しかも、そういう趣旨を阻害するような方向で発言していることについて、それは改めるべきだということを言っているわけであります。いかがですか。
  259. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私が基本的に公害基本法を尊重、そんたくするということは、いささかも変わりはございません。でありますけれども、いま東中委員が仰せられましたように、生活の環境保全するという基本法の目的の中にも、経済的な側面を考慮するというものはやはり工学的に不可欠な要因として含まれていると思います。そして、それを調和という言葉で言ったのだと思います。しかし、その調和という言葉の中にも、総理の佐藤さんが説明されましたように、目的の大眼目はあくまでも生活環境の中における人間の健康の保全であるということは、私は決して否むものではございません。
  260. 東中光雄

    東中委員 それなら、そういう趣旨で削除したのだということだから、何も不思議なことはないじゃないですか。どこが不思議なんですか。それを聞かしてください。
  261. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ですから、削除しなくてもその大目的というものは実現することが可能だったと私は思うわけです。
  262. 東中光雄

    東中委員 そういう趣旨で削除をしたということがこの法律の立法趣旨であり、そして公害行政の大原則なんだ。あなたはそこで経済との調整原理というものを入れてくる、要するに四十二年法に戻る、そういう反動的な意思をいま表明しているだけなんですね。それだけのことなんですよ。守ると言いながら実はそれを元へ戻すという姿勢をとっておるということが非常に重大だというふうに私は思います。  それで、あなたがきのうの参議院でも言われていることですし、きょうここでも若干言われたことでありますが、経済との調和経済の優先を意味しない、こんなことはわかり切ったことですよ、だれもそんなことは言っていないのですから。それを勝手にあなたが言っているだけなんです。理性的に読めばなんて言っていますけれども、理性的に読まなくたって、普通に読んだって、だれだってそう思いますよ。ですから、公害問題の経済的側面はますますふえている、ここのところだってそんなことを否定している者はだれもいないのです。しかし、一回入れたものを削ったことで新しい誤解が生じたことも否めない、ここが問題です。どういう誤解が生じているのですか。あるいはいたずらな誤解を避けるためとして削除された、あるいは感情的、情念的衝動が削除をもたらした——感情的や情念的な衝動で一国の公害の基本法が削除されたり、誤解を避けるために削除された、そういう認識が、これはもう歴史的な事実にも反するし、国会を侮辱するものですよ。国会が与野党一致して、そして衝動で感情的に誤解を避けるために目的を変えた、そんなものじゃないということは明白じゃないですか。あなたがそういう認識でおられるとすれば、いまの法律目的が、改正前の四十二年の法の目的と質的に変わっていないというふうに考えているとしか思えない。原則が変わったんだということの認識がないままでどうしてこの現在の現行法を尊重すると言えますか。誤解を避けるためとして削除したというのですから、どんな誤解があったのですか。そしていままた新たな誤解が出てくる、どんな誤解が出てくるというのですか。長官の答弁をお願いします。
  263. 石原慎太郎

    石原国務大臣 佐藤総理の答弁の中にも、政府経済優先ではないかという無用の誤解を避けるためでありましてとございます。私は繰り返して申しますが、冷静に、理性的に読めば、あの調和条項が決して経済優先を意味するものでないということは万人にわかると思います。そして、繰り返して申しますけれども、いかなる環境行政にも経済的な側面がございますが、しかし、これを削ってしまった結果、一切それを考えなくていいんだというようなそういった物の考え方を導き出したといううらみは私はあると思う次第でございます。
  264. 島本虎三

    島本委員長 長官、答えは、もっと質問に答えてもらった方がいいと思います。いかなる誤解があったか、また新たな誤解とは何だということなんです。すれ違いのようでありますが、そういうようなことがないように答弁されたらいかがでしょう。
  265. 東中光雄

    東中委員 あなたが、そういう誤解があったということ、あるいは新たな誤解が生じておるということをもし言われるのだったら、どういう誤解があって——その誤解を正すためにこそこの基本法に基づいてあなたは行動するのですから、正すためにこそ行動すべきなんであって、誤解があったから削除は不可思議で魔女的だ、こんなことではどうしたって論理的にならぬじゃないですか。もっと冷静に、理性的に、言われるように判断されたら——担当の大臣なんですから、誤解があったら誤解を正せばいいじゃないですか、誤解をなくするために発言をされたというならわかるけれども、誤解をなくするために、現行法の根本の目的について不可思議だ、魔女的だ、こんな発言が許されますか。法治国家ですから法に従って行政官は、そして行政府の長は行動されるはずであります。そういう点でこの発言もきわめてゆゆしい問題だと思うのです。
  266. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ですから、調和条項は抜き取られましたが、しかし、環境問題における経済的な側面というものを十分考慮しながら環境行政を行っていくように努めておりますし、またその必要を非常に感じさせる問題がたくさんあるわけでございます。私はその姿勢でいま行政をしているわけです。
  267. 東中光雄

    東中委員 あなたは理性的に、冷静に私の言うていることを全然聞いてないんですね。調和をやるなというようなことをどこにも書いてないじゃないかと言っているのです。しかし、この調和条項をはずしたというのは、調和をやっても調和できないときに何を優先さすかということを明らかにする、これが原則なんだということなんですね。ところが、あなたはその原則を認めるか認めないかということを抜きにして、調和のために努力しています。そして四十二年法と同じ考え方、反動的な考え方を持ち出してきているということを私はどうしても指摘せざるを得ないと思います。  時間がありませんので、その指摘をはっきりしておいて次の問題に入りますが、先ほど来論議されておりました「現代」での発言の問題であります。  あなたは、「ここの記者クラブの記者とのたたかいは壮絶なものですよ。自分とこの新聞で没になった原稿が、共産党の赤旗にのる記者なんかが何人かいる。」これは公然事実を摘示するという部類に入るわけですね。言っている内容は、「自分のとこの新聞で没になった原稿」というのは、明白に、これは言うまでもなしによく御承知でしょうが、記事を自分の勤めている新聞に送ったけれども、編集の方で没にされた、そういう原稿が今度は共産党の赤旗に送られて載る、そういう記者が一人じゃなくて何人かいる、環境問題研究会という社会的に独立した団体、この一つ団体の中に何人かいる——記者としては自社に原稿を送ってそれが没になったからほかへ送る、これはもう破廉恥的な行為でありますし、犯罪的な行為でもありますし、そういうことをやる人が、たまたま突発的に一人おったというのならこれまた別ですけれども、何人かいる、そういう記者クラブなんだということ、その事実を言っているわけですね。そういう表現はしてないけれども、内容的にはそういうことなんです。  それで、あなたはこの間の決算委員会でわが党の安藤議員が質問をしたときに、没になったということが重要なら、その点については私はいま記憶にないから調べますというようなことを言っておられますけれども、新聞で没になったという原稿が赤旗に載る記者、こういう発言をあなた自身がしたということで、すでにもう公刊されて公然と不特定多数の人に示されているのですから、それがいまになって国会で追及されたら、それに重要な意味があるんだったら調べてみます。これは全く遁辞だと思うのですが、こういうことを言われたか言われないか。それから、調べられたなら調べられた結果を聞きたいし、それから、このことについて環境問題研究会という記者の集まり、社会的に独立性を持っておる団体、これは名誉棄損の対象になりますから、私は、その人たちの名誉を棄損した行為だというふうに思うのですが、この点についての長官調査結果と態度をお聞きしたい。
  268. 石原慎太郎

    石原国務大臣 先ほども申しましたが、編集部に問い合わせましたところ、テープはもうほかのものを録音することで、ないということでございました。ただ私は、あそこで申しましたことは、私の言葉の表現も足らなかったと思うところがございますが、とにかく自分の属している新聞には載り得ないような政治的なスタンスのはっきりした原稿、つまりそれが共産党にとっての共感ということで赤旗に載るような記者がいるというふうに聞いたわけでございまして、正確には小さな字句まで大事なところでございますけれども、それに先ほど申しましたが校正する機会がございませんでしたので、正確には没になる原稿だったと言うべきだと思います。そういう意味で政治的なスタンスの非常にはっきりした記者がいるということを言うつもりでああいう表現をしたわけでございます。
  269. 東中光雄

    東中委員 あなた、それは詭弁というものなんですよ。政治的スタンスはどうのこうのなんということは一つも言っていないのですよ。後で自分の心情をそう言っているだけなのです。ここに書いてあるのは「新聞で没になった原稿」とはっきり書いてあるじゃないですか。あなたも文筆活動をやってこられた作家なんですから、言葉については非常に厳格だろうと思うのですよ。ちょっと誤植というようなものではないのですね。だから、記者諸君も言っているのは、没になった原稿を横へ流す、そういうふうなことはあり得ない、あると言うなら明らかにしてほしい、こう言っているわけですから、率直に——あなたが心情的にどう思っておろうとそんなことは書いてないのですから、書いてあることを問題にしているのですから、これについては違うなら違うということをはっきり出したらどうですか。違うでしょう、いまあなたは違うということを認めておられるわけだね。これは誤りであると認めておるわけだ。
  270. 石原慎太郎

    石原国務大臣 でございますから、私がそういうインフォメーションを受けました、それを一時間半ほどのインタビューの中で、いろいろ聞かれた中でそういう表現をしましたが、校正の機会もないままにそういう形で出ましたけれども、私が言わんとするところは、没になったというよりも、没になるというつまり自分の属している新聞に載り得ないような記事というものが赤旗に載るような記者という意味で言ったわけでございます。
  271. 東中光雄

    東中委員 あなたがどういうつもりで言ったかということを私は聞いているわけじゃないのですよ。あなたがこう言うたということが報道される。雑誌「現代」で出版されて出ていく。これが公然不特定多数の人に対する事実の摘示そして名誉棄損になるということなんだから、現にそれが起こっているんですから。被害者である記者団の方は告訴してない、親告罪だから罪にはならないけれども、しかしこれは犯罪行為だ。少なくとも犯罪的行為だ。現職の国務大臣がそのことを言われているときに、ここに書いてあることがあなたの真意と違ったんだったら、それは、書いてあることは取り消します。そして取り消す方法をちゃんとすべきだし、原稿を見なかったからなんということはわれわれ知ったことじゃないですよ。原稿を見てやったかもしれないし、そんなことわからぬですよ。客観的に出ている行為についてあなたは処置をはっきりすべきだ、こう言っているわけですよ。ほかの心情やら経過やらということは、そんなことあらゆる可能性はあるでしょうけれども、われわれはそれを問題にしているのではないのです。これを問題にしているのですから。だから、いま訂正されているのだから、はっきりとこれは違う、表現の錯誤だったというなら表現の錯誤でもよろしいですよ。どっちにしても、表現の錯誤をやったのが原因になって、そして現に名誉を棄損されている団体があるわけですから、個々の特定の人の名前が出てないから、個々の特定の人の名誉が棄損されているとは言いません。しかしこの団体は、こんないいかげんな記者がおる、何人もいる、そういう環境問題研究会という団体なのか、これは社会的な評価を低下させ、傷つける、明白な名誉棄損行為であります。だから、あなたが違うんだったら、これは違う、この点は取り消す、そして錯誤に基づいてそうなったのなら、その点については陳謝をする、当然のことじゃないかと思うのです。いかがですか。
  272. 石原慎太郎

    石原国務大臣 いま申されました以前の段階の問題が私は重要だと思います。私は、たびたび申しておりますけれども、ある記者が政治的なスタンスをちゃんと持たれるということは決してとがめておるわけでもございませんし、またそれにのっとって、自分の新聞社で没になりそうな原稿、なったかもしれない原稿というものをあるいは書き直すことで赤旗にあるいは他の政党の雑誌に投稿するということは、私は一向に犯罪的な行為だと思いません。私は、記者の社会にどういうモラルがあるかよく存じませんけれども、しかし、恐らく他の政党にも執筆されている新聞記者はおられると思いますし、それからまた現に、前にも防衛庁でオフレコの問題が赤旗に伝わりまして、それを手がかりに共産党の議員が政府を追及されたことがございました。私はそういう事実にのっとって、私はそういう行為をされる人が必ずしも記者として犯罪行為をしているとは思わないわけでございます。でございますから、私は、それに該当しない方々には遺憾の意を申しわけないという形で表明いたしましたが、しかし、そういう方々環境庁の記者の中にいても一向に不思議ではないし、いるという確信でそう申したわけでございます。
  273. 東中光雄

    東中委員 あなたはすりかえをやっていますね。「没になった原稿が、」と書いてあるのですよ。あなたはいま、没になったかもしれない、そんなこと書いてないじゃないですか。私の言っているのは、没になった原稿が赤旗に行く、それも何人かいる、こう言っていることが、今度は特定の人じゃなくて、この環境問題研究会という社会的に独立した団体の名誉を棄損することになるんだ。これは学説も判例も、そういうのは名誉棄損の対象になるとはっきり出ていますよ。定説と言ってもいい通説です。異説を述べているのは泉二さんというのですか、もうずっと前に亡くなられた方、それぐらいのものですよ。だから、あなたはいま、ここに書いてあることと違うことを言って弁解をする必要は一つもないわけですよ。そんなことは私は何も言っていないのです。思想的にどういう立場に立っているか、どういう姿勢に立っているか、そんなことを国務大臣が評価したりあるいは調べたりというようなことをやっておるとしたら大変なことですから、それについて犯罪的でないどころか、当然あなたと同じように相手の立場を尊重しなければいかぬですよ。私はあなたの見解について批判はしますけれども、その見解を持っていることを非難するようなことはしません。いまここで問題になっておるのはこの短い文章ですけれども、しかし事柄の筋道は、あなたが没になったかもしれないというような、そんなことを言ってないんだから、これについて責任をはっきりしなさい。取り消したらいいじゃないですか、あなたの言っていることと違うんだから。
  274. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私がそのインフォメーションなどをどういう形で聞いたかは、ここでるる申しませんが、それならばこう直させていただきます。没になった原稿あるいは没になる原稿が赤旗に載る記者が何人かいるということでございます。
  275. 東中光雄

    東中委員 これは会議録じゃないのです。会議録の訂正はあるいは取り消しは朝からいろいろ議論されましたけれども、これはあなたがすでにされた社会的な行動について、すでに出されているものについて、それは事実と違うということをあなたは認めておられるわけだから——認めておられるわけでしょう。というのは、没になった原稿が送られたんじゃないんだ……。
  276. 石原慎太郎

    石原国務大臣 ですからいま、なった原稿、なる原稿……。
  277. 東中光雄

    東中委員 ここで訂正するのではないのですよ。この記事自体を、これは趣旨が違うから取り消すなら取り消すということをはっきりされたらいいわけであって、それ以上のことをわれわれは言っているのではないのです。あと、あなたいろいろ主張したいことがあったら、それはまたしかるべきところでしかるべきマスメディアを使ってやればいいわけで、しかしこれは事実と違うじゃないか。このままでいけば、私たちの機関紙である赤旗が他社で没になった原稿を載せているんだ、それもただの一回ということじゃなくて、何人もいる、何人もいるんだから何回もあったらそれこそ何十回になるかもしれませんね。そういう趣旨の侮辱的言辞になっているわけですね。だからこれは取り消す、あなたが訂正と言うのは、ここへ訂正を出すんですか。このこと自体についての責任をわれわれは言っているわけですから、これについては取り消す、当然でしょう。訂正するけれども、すでにここで言うたやつは取り消せないというんですか。いままで言うたやつは言い得だ、名誉棄損のし得だ、こういう犯罪的行為をそのまま、いままでの分を二カ月なら二カ月、三カ月なら三カ月温存しておくというんじゃいかぬじゃないですか。
  278. 石原慎太郎

    石原国務大臣 私は、その言辞によって特定の方の名前を挙げておりませんし、また、環境庁の記者クラブ全体を中傷棄損したとは思いません。そういう意味で、私は、今日までそれを取り消してこないわけでございます。
  279. 東中光雄

    東中委員 もう時間ですからやめますけれども、あなたはいま訂正すると言ったでしょう。このままの記事では間違っているんだという、あなたの発言は間違っているんだ。それは言葉は二、三字入れるかどうかということだけれども、文章の趣旨はうんと違いますよ。出したけれども没になったから赤旗へ回す……(石原国務大臣「没になったと没になると二つあると言ったじゃないですか」と呼ぶ)
  280. 島本虎三

    島本委員長 委員長許可を得て発言してください。
  281. 東中光雄

    東中委員 だから、それを訂正するということを言われているんだから、ここに書いてあることは事実と違うということでしょう。あなたは、事実があるんだ、信頼すべきところからということを盛んに言いますけれども、そんなものはあなたの内部的なことであってわれわれの関知したことじゃないんです。ここに出ているものは、政治的スタンスがどうのこうのとか、そんなことは何も書いてないんですから。ここに書いてあることについて言えば、これは違うということはあなたは訂正するということで認めておられるんだから、それは当然取り消すべきだ。それをあえてやらぬと言うんだったら、これはそれこそ権力を持っておるから、ファッショ的な言論の暴力をふるっている、こう言わざるを得ないわけです。名誉棄損の自由はありません。独立した団体社会的評価を傷つけるような権利は環境庁長官にはありません。石原さん個人にもありません。あなたが、これじゃ自分の言ったことと違うんだ——あなたがいろいろ弁解していることと言っていることは明らかに違うんですから、それなら違うことは取り消すべきじゃないですか。そして迷惑をかけた者に対しては陳謝をすべきじゃないですか。それもあえてやらぬというなら、これは言論に対してファッショ的態度で臨んでおるということを言わざるを得ぬわけです。  質問は終わります。
  282. 島本虎三

    島本委員長 土井委員が質問で次回に回すことになっておりましたが、一点、いまただしておきたい旨の申し出がありました。委員長としてもこれを許すことにしたいと思います。土井たか子君。
  283. 土井たか子

    ○土井委員 ただいま東中委員からの御質問の中にもございましたが、環境庁長官は再度、経済との調和条項を削除したことによって誤解を生じた向きがある旨の確認を答弁の中でされました。実は、四十五年以前の公害対策基本法、つまり昭和四十二年につくられた公害対策基本法の中での経済との調和条項というものがむしろ産業優先、企業優先あるいは企業の利益優先という方向で読まれる誤解の向きが多分にあったんです。そのこと自身が大変誤解されているということで、むしろこれを削除してすっぱりして誤解を招かなくなったと私たちは思っている。だからどうも、長官のこれを削除したことによって誤解が生じたと言われることは、むしろ逆立ちの理解じゃないかと私たちは思っています。たとえば四十二年当時、産業公害対策特別委員会の議事録を見てみると、やはり私が考えているとおりでありまして、先ほど私が少し質問させていただいた中でも取り上げましたけれども、当初なかった経済との調和条項というのが、当時のばい煙規制法の中にございます「産業の健全な発展との調和を図り、」という、この一条の条文をそのまま横滑りに持ってきて、そしてこの公害対策基本法の中で「経済の健全な発展との調和」を図りつつ、というかっこうになったのですね。野党側の議員からは、このばい煙規制法はこれを目的規定として掲げているけれども、今回の公害基本法の中は目的規定ではない、したがって、このばい煙規制法と公害対策基本法とは同じ表現を使っているけれども、片や目的規定であり、片や目的規定でないという違いがあるのではないかという質問をやっているのですよ。それに対して、当時の坊厚生大臣は、それはそのとおりだという趣旨を答えられて、「今度の公害基本法では、これは目的にあらずして、目的はあくまでも人間の健康を目的としておる。そこに矛盾があるじゃないか。したがって、ばい煙規制法については将来これを改正していかなきゃならぬじゃないか、こういうお話でございますが、まさに私は、そういうことは考えてまいらなければならない問題である。将来両者の調整ですね、経済の健全な発展との調和にあらずして、両法律調和調整ということが非常に必要なことでありまして、将来の重大なる検討事項といたしてまいりたい、さように考えております。」こういう答弁なのです。これはやはり経済優先、企業活動優先、企業利益優先という誤解を招く、そういう要因を持っているがゆえに、こういう質問に対してこういう答弁があったのではなかろうかと私は議事録を見てしきりに思うのですが、むしろこれは削られたために誤解がなくなったのじゃないですか。いかがです大臣、その点どうお考えですか。
  284. 石原慎太郎

    石原国務大臣 しかし、調和条項を残しておっても、たとえばそのような誤解が生じたにしろ、それは行政の上ではっきり実を示していけばいいことだと私は思うのです。しかし、調和条項を削ったために、先ほども橋本局長信澤局長からも答弁いたしましたが、とにかく生活環境保全のために経済はもう無視していいのだ、それがもうすべてなんだという論を導き出したうらみがあるという意味で、私は新しい誤解を生じたのではないかということを言っているわけでございます。たとえばあえて名前を挙げましても、同じ環境問題の中で、埋め立てをむしろ環境のためにしてほしい、同時にそれが水産の経済性につながるという要望があり、また片方では、もうとにかくこれ以上周りの海をいじらぬでくれという陳情が同じ案件についてあるわけです。この場合に、私たちは、「調和」という言葉の中に込められた経済的な側面、それだけではなしに、開発を行うことでさらに保たれ得る、人間の健康にもつながる環境保全というものをしんしゃくして、この問題を選択解決していかなくてはならぬのじゃないかと私は思っておる次第でございます。
  285. 土井たか子

    ○土井委員 それは大分おかしいと思います。大臣、しかしそれを詰めていくのにはかなり時間を必要とするかもしれません。しかし、私はこれはぜひやらなければならぬなと再度強くいま痛感している次第です。次は恐らく明後日になると思いますけれども、これを続行させていただきます。
  286. 島本虎三

    島本委員長 次回は、明二十六日午前九時五十分理事会、十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時九分散会