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1977-11-02 第82回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二日(水曜日)     午後二時三十九分開議  出席委員    委員長 鈴切 康雄君    理事 左藤  恵君 理事 丹羽 久章君    理事 野中 英二君 理事 井上  泉君    理事 太田 一夫君 理事 新井 彬之君    理事 青山  丘君       阿部 文男君    石橋 一弥君       北川 石松君    玉生 孝久君       中村 弘海君    久保 三郎君       野坂 浩賢君    吉原 米治君       草野  威君    伊藤 公介君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      室城 庸之君         警察庁交通局長 杉原  正君         運輸省自動車局         長       中村 四郎君         運輸省自動車局         整備部長    犬丸 令門君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   矢澤富太郎君         大蔵省銀行局保         険部長     貝塚敬次郎君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      平河喜美男君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     浜岡 平一君         工業技術院標準         部標準課長   分部 武男君         運輸省海運局次         長       山元伊佐久君         運輸省船舶局検         査測度課長   辻  栄一君         運輸省鉄道監督         局総務課長   植村 香苗君         海上保安庁警備         救難部長    久世 勝巳君         建設省都市局技         術参事官    中野 三男君         日本国有鉄道施         設局用地課長  佐藤 一成君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 鈴切康雄

    ○鈴切委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  3. 井上泉

    井上(泉)委員 私はまず最初に、これは非常に気になるニュースでありますが、きょうの十時ごろ、日本水産所属松島丸という七万七千トンのタンカー室戸岬沖合い火災を起こして、一時のニュース時点では乗組員のうち三十人が救助されたというような報道をされておったわけですが、その後の状況、つまり人命は完全にみな救助できたのか、そしてさらに油がその付近の海に流出をしておるのではないか、そういうことをまず承りたいと思います。
  4. 山元伊佐久

    山元説明員 お答え申し上げます。  本件の被害状況等につきましては海上保安庁が所管いたしておりますので、海上保安庁をお呼びいただきまして御答弁を求めていただきたいと存じます。
  5. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、海上保安庁に至急に出席を要求するわけですけれども、その前に、やはりこの前も、クウェートタンカーが非常にぼろ船であって、その機関室から油が流れて、高知県の沖合いにずいぶん油濁をもたらした。それで漁民たちが、そういう中でひしゃくで五千リットルの油をくみ上げておるというような状態にあるわけで、どうも最近こういうタンカー事故というものが多いわけですが、こういうタンカー事故等につき、あるいはタンカー検査とかいうようなもの、航行の安全等について海運局はどういうふうな指導をなさっておるのか、まずその点を承りたい。
  6. 辻栄一

    辻説明員 船舶安全確保につきましては、特にアル・サビア号のような外国船の問題についての御質問かと存じますが、これにつきましては、世界の九十六カ国が加盟しております国際海上人命安全条約によりまして規定がなされております。この条約におきましては、船舶の安全を確保するための船体等検査については、当該船舶登録国政府がみずから実施するか、あるいは当該国政府認定団体に委任して実施する、そうしてその完全性及び実効性当該国政府が保証するということに条約で定められております。その結果発行されまするところの検査証書につきましては、各国で互認するということになっております。  アル・サビア号につきましては、クウェート船籍船舶でございまして、クウェート政府の委任を受けました国際船級協会一つでございますロイド船級協会船体検査を行っておりますが、同協会の規則は船齢に応じまして順次精密な検査が行われるということになっております。  なお、タンカー安全規制強化の問題につきましては、実は本年三月に行われましたカーター大統領の声明を契機といたしまして、タンカー安全規制強化について、現在国連の専門機関でありまするIMCO政府間海事協議機関、これをIMCOと略称しておりますが、そのIMCOにおきまして国際的な検討が進められております。これは一九七四年の海上人命安全条約、一九七三年の海洋汚染防止条約、これらの両条約改正いたしまして、タンカーの構造、設備の改善を図るとともに、タンカー検査強化しようという趣旨のものでございまして、去る十月の半ばにこの条約改正のための準備会議がロンドンにおいて行われまして、条約改正の草案が作成されました。来年の二月にはこれを採択するための国際会議が行われるというスケジュールになっております。  私どもといたしましては、これらの国際的な動向を見ながら、外国船の安全の検査につきましても前向きに取り組んでいくという考えでおります。
  7. 井上泉

    井上(泉)委員 タンカー検査はそれぞれの国の検査に属するということになっておる関係でそれを認めるという形でありまするから、そういう結果になろうと思うわけですけれども、このクウェートの船は補修もきかないようなぼろ船である、こういうことを聞いておるわけでありますので、そういう点について万全の注意関係国に喚起するように要請をしてもらいたいと思います。  そこで、その問題とはまた別に、海上保安庁が来られたらきょうの海難事故についての報告を承ることにして、私はそれまで幾つか質問したいのですが、二十三日に静岡県のあの富士スピードウェイで行われたF1カーレースで、レースの途中九名の死傷者を出した。その死傷者を出した主催者負傷者救助対策が不十分であるということと、事前に何回も地元警察対策会議を持って注意をしたにもかかわらず、そういうことに対する注意というものを怠っておった。しかもまた、これは入場料を取ってやっておって、何万人もの観客を集めてやっておる。そういうような危険な興行に対して官公署への正式な届け出もせずに、営利行為に対する法的規制が全くないということは非常に問題じゃないかと思うわけです。  この主催者日本モータースポーツ協会のプロモーターである社団法人日本自動車連盟監督官庁運輸省及び警察庁になっておるわけですが、それぞれの監督官庁見解をまず最初に承りたいと思います。
  8. 中村四郎

    中村(四)政府委員 日本モータースポーツ協会が先般主催した日本グランプリレースにおきまして、観客等死傷事故を惹起いたしまして、まことに遺憾に存じておるわけであります。  これは国際自動車連盟とその連盟に加盟いたしております日本自動車連盟が、レース開催と記録につきまして公認を行っておるわけであります。FIAとJAFレース開催に当たりまして、事前安全性について審査を行ったわけでありますが、そういったことにもかかわりませず重大な事故が発生したというわけでございますので、私どもとしましては、この種のレース開催をいたす立場にあります、公認いたす立場にありますところのJAFにつきまして、こういった事態が再び繰り返されないような十分な安全対策を講じさせ、これを実施していくことが必要であるというふうに痛感いたしております。
  9. 杉原正

    杉原政府委員 先ほど自動車局長からお話がありましたように、私どもも十分運輸省の方と協議をいたしまして、先ほどの線で今後積極的に対策を講じていきたいというふうに思っております。
  10. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうお答えは結構でありますが、結局こうした起こった事故に対して——現在主催者団体に対して補助金も交付しておる。それから、しかも死亡事故があるにもかかわらず、それを放置してそのままレースを続行するというようなことは、余りにも非常識な行為ではないかと私は思うわけですが、そういう点についてどういうふうに自動車局長はお考えになるのですか。
  11. 中村四郎

    中村(四)政府委員 私ども主催団体でありますところの日本モータースポーツ協会に対して直接物を申す立場にないわけであります。あくまでその主催協会構成員であります自動車連盟に対しまして、安全性確保ということ、それからいま御指摘救助救援体制の問題、そういうことにつきまして万全を期するように指示するということでございます。
  12. 井上泉

    井上(泉)委員 物を申す立場でないと言うて逃げられているけれども、それではどこが物を申す立場にあるのか。これは、警察との事前安全対策打ち合わせの場合なんかでも、観客等危険区域に立ち入ることのないよう自主警備体制を充実すること、こういうふうなこともよく話し合いの中で出ておるようですが、それじゃ主催者に物を申すのはどこが物を申すことになるのですか。
  13. 中村四郎

    中村(四)政府委員 いま申し上げましたように、主催団体であります日本モータースポーツ協会構成員としてのJAF、それからこのレース開催について公認を行ったという立場におきますJAFにつきまして、レース執行についての安全対策という面で私ども必要な指示をし、今後の安全対策の万全を期させる、こういうことでございます。
  14. 井上泉

    井上(泉)委員 あなたはさっき物申す立場にないと言われたのだから、物申す立場はどこにあるのか、こうお聞きをしたわけですが、運輸省の方で物申すことはできるわけでしょう。
  15. 中村四郎

    中村(四)政府委員 私の発言が若干舌足らずだったと思いますが、主催団体日本モータースポーツ協会に対して直接私どもの方が所管として指示をするという立場にないということを申し上げたわけでありまして、どこがこれをやるのかということにつきましては、私の方から申し上げる立場にございません。
  16. 井上泉

    井上(泉)委員 非常にたくさん私は質問を構えておりますので、これだけに集中するわけにはいかぬわけですけれども、こういう死亡事故を起こして——事前に何回も会議をやって、その会議をやった結果を実行してないのですから、それから入場料も取ってやっておるわけですから、これに物申すなにがはっきりしないということは非常に問題だと思います。これは総合的なことを警察の方では何回かやっておるのですが、警察がやったこともこれを実行してない主催者団体に対して何も物申すことができないですか。
  17. 杉原正

    杉原政府委員 若干、警察の場合にJAFに対する監督官庁としての立場と、モーターレース協会に対するいわゆる現場警備とかその他の万般の問題についての指導、関与の形と別建てであると思いますけれども静岡の県警としましてはこの主催団体全部を集めまして、三者を集めて寄り寄りいろいろな意味での協議をやっていく、その指示をした事柄が十分守られていたのかどうかということにつきましては、これは現地で捜査をいろいろな形でやっております。そういう状況になっております。
  18. 井上泉

    井上(泉)委員 それではこの被害者に対する補償とかいうようなものは自賠責でやるのか、それともどこがやるのか。
  19. 中村四郎

    中村(四)政府委員 被害者に対する補償につきましては主催団体が十全の補償措置を講ずるということであろうと思います。
  20. 井上泉

    井上(泉)委員 こういう車には自賠責かかっていますか。
  21. 中村四郎

    中村(四)政府委員 自賠責はかかっておりません。
  22. 井上泉

    井上(泉)委員 これは自賠責の強制をかける必要はないでしょうか。
  23. 中村四郎

    中村(四)政府委員 一般公道あるいは一般交通の用に供する道路と違いまして、一つの構内に限られて自動車が走るということでございますので、自賠責はそこまで及んでいないというふうに考えております。
  24. 井上泉

    井上(泉)委員 自賠責が及んでいない、そうするとこの主催者被害者に対して誠意を持って補償に当たるということ以外に被害者を救済する措置はないということですね。
  25. 中村四郎

    中村(四)政府委員 仰せのとおりであろうと思います。
  26. 井上泉

    井上(泉)委員 それは非常に気の毒であるし、これは問題だと思うわけですが、その点について、主催団体等に対して誠意を持って交渉に当たるような指導というか、そういうふうなものができないかどうか。
  27. 中村四郎

    中村(四)政府委員 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように自動車連盟に対しまして十分な補償措置を講ずるように指示いたしております。
  28. 井上泉

    井上(泉)委員 その補償経過並びに、そういう警察の再三の注意にもかかわらずそれを無視してやった、これはいわば過失致死に値するのかどういうふうなものになるのか、明らかに人が何人も死んだのですから、これは警察の方としては厳重な調査をして、私は真相を明らかにしてもらいたいと思うわけです。  そこでもう一つ、同じく運輸省関係ですが、やはり当委員会でも指摘をされておるわけですけれども自動車検査官不正車検ということが依然として絶えないわけです。これは石川五右衛門じゃないけれども、浜の真砂は尽くるとも世に盗人の種は尽きず、これを役所がある限り公務員の汚職の種は尽きぬと言えばそれまでですけれども、こういう大勢というものは一体どういうところに原因するのか、この点について見解を承りたいと思います。
  29. 中村四郎

    中村(四)政府委員 検査登録関係業務につきまして厳正な執行を図るように、再三にわたって私ども職員注意を喚起してまいっております。特に昨年、指定整備事業関連いたしまして不祥事件が発生しておりますので、その際にも厳正な注意を与えたわけでありますけれども、今回茨城県陸運事務所におきまして、自動車検査証を不正に更新するという不祥事件が発生いたしまして、まことに遺憾に思っておるわけであります。  そこで、こういった不正行為防止のために、やはり基本的には公務員としての心構え、自己の職責に対します自覚の深度を図るということであろうと思いますが、今回の事件等を見ますと自己の使用する自動車関連してその発端が見出されるわけでありますので、特に今回、職員の使用する自動車に関する実態把握とこれの適正使用ということについて注意を促したわけであります。  全般的に業務処理体制につきまして、陸運事務所の公印、検査標証管理状況、それから電子情報処理システム等業務執行状況につきまして、この際総点検をいたさせまして、現在その状況に基づいて再びこういった不祥事件が繰り返されないように各陸運局改善を進めております。
  30. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうふうにされてはおると言われますけれども、依然としてそういうことが後を絶たない状態というものは、私は大変遺憾なことでありますので、厳重にそうしたことのないように留意してもらいたいと思うわけです。  いま整備不良車有効期限の切れた車検証のままで走っておるのが全国で大体二万五千台あるということがよく言われておるし、また保険にかかってない、そういうようなものの事故がかなりあるということですが、そういうふうな整備不良車両、無保険車の数とか、あるいはこうした車の最近における事故とか、あるいはそれを解消するためにはどういうふうな措置をとろうと考えておるのか、現在とっておるのか、その点を伺います。
  31. 犬丸令門

    犬丸(令)政府委員 車検切れ等によりますところの、もしくはその他整備不良車両、これの防止のために運輸省といたしましては警察当局と協力いたしまして、街頭検査等で対処してまいったわけでございます。今後とも警察当局と連絡を十分密にいたしまして街頭検査強化してさらに効果を上げていくことにいたしたいと考えております。
  32. 井上泉

    井上(泉)委員 これは警察庁にお伺いするわけですが、スピード違反とかその他駐車違反とかで警察がこれを摘発するという場合に、車検証を照合しておる場合と、一斉検問をする場合にもただ運転免許証を見せてそのまますっと通すケースが非常に多いわけです。そういうふうな場合にやはり車検証をあわせて提示をさすというようにされたらどうか、こういうふうに思うわけですが、最近における整備不良車両運転の取り締まりの実態というものが数字でわかっておればあわせてお示しを願いたいと思うのです。
  33. 杉原正

    杉原政府委員 交通現場車検に対する関心を払うという事柄につきましては、御指摘のとおりでございまして、私ども街頭においてさらにそういう措置を徹底するように指導してまいりたいと思います。  参考までに昨年の車両のいわゆる車検切れと称するものを中心にいたします道路運送車両法違反でございますが、一応千五十五件が検挙されておるというのが実情でございます。
  34. 井上泉

    井上(泉)委員 そういういわば車検切れの車が走っておるわけですから、一斉検問とかいうような場合にはそういう車検証も提示させるような、これは非常にめんどうでしょうけれども、ぜひお願いしたいと思うわけです。  それでこれも同じく自動車関連するわけですが、自動車販売会社のセールスマンによる車庫証明書偽造、これは最近福島県下で起こった問題ですが、これは福島県だけでなしに全国至るところにこうしたことに類似したものがあろうと思うのですが、こういう車庫証明偽造するとか、あるいは車庫証明をごまかすとかいうような事件の発生を防止するために警察庁運輸省はどういう対処をするお考えであるのか、承りたいと思います。
  35. 杉原正

    杉原政府委員 先ほど御指摘がありましたように車庫証明関連をいたします偽造その他の事件というのがかなり事象があるように見受けられます。実際の検挙事案等を通じましていろいろ考えられるのでありますが、実際の問題といたしましていまの車両自動車の中に軽自動車というのが入ってないというふうな問題がありましょうし、それから登録時点登録だけにリンクをいたしておりますので、それ以外の場合にはなかなかリンクさせ得るものがないというふうなこと等がございます。それから事実上これをあらゆる車について何かにリンクさす場合に、これだけの膨大な車でございますので、それを全部リンクさす場合の事務量等の問題等々がございますが、いずれにしても車を所有する人のいわゆる車置き場所を持つということはやはり大きな社会的な責任だと思います。そういう意味でいろんな運輸行政等との関連等十分打ち合わせをしながら検討を進めていきたいというふうに思っております。
  36. 中村四郎

    中村(四)政府委員 保管場所証明書にかかわります不正行為防止につきましては、私ども従前から日本自動車販売協会連合会に対しまして、また私ども陸運局陸運事務所を通じまして機会あるごとに指導いたしてきております。今般御指摘のように福島県下で事件が発生したわけでありますが、福島陸運事務所におきましては直ちに管内の販売店を集めまして不正防止を徹底さしたわけでありますが、これは一地域に限る問題でございませんので、全国にわたりまして陸運局陸運事務所、また販売店に対しまして、従業員による不正行為防止のための方策についてさらに一層の指導を徹底いたしたい、かように思っております。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 前にもこういう問題があって、前にもそれと同じような答弁をいただいておるわけですけれども、こういうふうな福島県下で多数出たというようなことは、これはたまたま福島県下でそういうふうに出た、いま警察庁も言われるように、事務量その他から考えて大変なことだ、こう言われるわけですけれども、しかし車庫法という法律をつくってあるし、それができたときには、ざる法になりはせぬか、こういうことを言われたのですけれども、決してざる法ではございません、これによって車の路上放置もなくなります、こういうことであったわけですけれども、それがそうなってないのだから、単に行政指導あるいは道徳的な指導だけではこの問題を解消することはできないと思うので、やはり市民の間からも出ておる、車庫証明のやり方についてはもっと法律できちんとせよというような要望があるわけですが、車庫法改正するとかいうような考え方にはまだ至ってないでしょうか。
  38. 室城庸之

    室城政府委員 御承知のようにこの保管場所に関する法律共管になっておるわけでございますけれども、全体として交通安全対策の面から、私の方で諸般の問題等あわせながら従来も検討をいたしてまいっております。  問題点といたしましては、先ほど交通局長からもお話がございましたように、軽自動車適用をどうするかというような問題とか、あるいは登録時だけチェックされて後は放任されておる、したがって現実には車庫を持たない車が登録時だけごまかして車庫があるかのごとく装って、後は車庫なしで走っているのじゃないかというような問題、それをチェックしますために車庫の所在地を車に表示させるべきではないかというような指摘でございますとか、あるいは同一場所夜間一定時間以上置くということが構成要件として——いわゆる青空駐車に当たるというふうな構成になっておりますけれども、この時間をもっと短時間にすべきではないか、いろいろな御指摘がございまして、全国市長会その他のところからもこれについての法改正等についても陳情、要望等が出てまいっております。そういうことを踏まえまして現実に従来適用範囲を広げてまいりまして、交通の問題として取り上げなければならない地域につきましてはほぼ全般的にこれを適用するようなところまで適用範囲を広げてまいっておりますし、いま申し上げましたような実質法律効果を担保するためにさらにどのような具体的な手段を講ずべきであるかということにつきましては、それぞれの実態を踏まえながら、実は各省かなりの回数にわたって協議を重ねておりますけれども、ただ、いまの時点で直ちに法改正に踏み切らなければならないというふうなところまではまだ十分に確信をつかむまでの詰めができておらないというふうに考えております。  しかしながらいろいろな御指摘がございますように、いまのままで放置しておいていいというふうには絶対に考えておりませんので、今後とも具体的な検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  39. 井上泉

    井上(泉)委員 こういう車庫証明偽造されるような状態であるということについて、この法律共管であるということによって、運輸省警察庁もいわばこれはよそごとのような感じでおるから、私は、ざる法がよけいざる法になる、こういうふうに思うわけであります。それを運用するに当たってその法の中に問題点があるならば、いま総理府から答弁されたように、仮に総理府が窓口でやるとするなら総理府意見具申をして法の改正をやるとか、そういうふうな欠陥をいつまでも欠陥として放置をせずにそれを補完していくような措置というものを当然考えるべきである、こう思うわけなので、私はそのことを強く要求しておきたいと思います。  ここで、まだ別にありますけれども海上保安庁救難部長がお見えになっておりますので、救難部長にお尋ねをしたいのですが、きょうの室戸岬沖合いにおける松島丸タンカー火災事故というものがどういうふうな状態になっておるのか、乗組員全員救出をされたのかあるいは油は付近の海に流出をしてないのか、一万トン以上の油を積んでおるのですから、これは大変なことになると思うので、その点について久世救難部長から報告を受けたいと思います。
  40. 久世勝巳

    久世説明員 お答えします。  タンカーの第三松島丸爆発火災事故について簡単に申し上げますが、十一月の二日午前十時五分ごろ、場所室戸岬の南東約二十マイル付近の海上でございますが、横浜から喜入に向け航行中の日本水産株式会社所有の第三松島丸、四万六千二百二十六総トンでございます。乗組員は三十一名でございまして、油は積んでない空船でございます。ただしバラストは積んでおります。これは一応海水を入れて喫水を深めるという船でございますが、これが先ほどの時間、先ほどの場所で船首部付近で爆発を生じ火災が発生した、このように付近航行中の船舶から報告がございました。  この情報を入手しました海上保安庁では、直ちに巡視船五隻、消防船三隻、航空機二機それから羽田から特殊救難隊を出動させるとともに、海上自衛隊に対しまして航空機の出動を要請して救難作業あるいは消火作業を現在しておるわけでございます。本日の午後一時までに当庁の巡視船によりまして乗組員十八名、それから海上自衛隊ヘリコプターによりまして十二名救助いたしまして、いま行方不明者は一人ということでございまして、鋭意救難作業と消火作業を実施することにいたしております。  なお、当時の海象気象状況は、天気は晴れ、南東の風十メートル、波の高さが二ないし三メートルということで、視界は非常に良好だったそうでございます。  油の状態でございますけれども、先ほど申しましたとおり、まだ何番タンクが爆発したかということについては現在調査中でございますけれども、船首部のタンクが爆発したと聞いております。油につきましてはそういうことでございますので、いまのところ薄い油が流れているという程度でございまして、処理するような油じゃないというように私どもは情報把握しておるわけでございます。  以上でございます。
  41. 井上泉

    井上(泉)委員 時間がありましたら、そのことについて後でまたお伺いしたいので、しばらくおっていただきたいと思います。  次に、私は損害保険のことで質問しますが、さきに代理店の乱設乱廃について大蔵省に質問して、そのとき保険部長は、代理店の質的問題が保険に関する誤解や苦情の原因になっておる現状ということによって、実態調査の結果を見て業界に対して行政指導する旨答弁がされたわけですが、実態調査をなされたのか。それをなさった結果、どういうふうな行政指導をされたのか。  そのこととあわせて、交通事故により死亡した場合の人命の価値というものが非常に高騰していくのは当然でありますが、妻子のある年収三百万という平均的サラリーマンが死亡したと仮定した場合の損害賠償額は、逸失利益、慰謝料等を含めると四千万を超える。そういうふうな賠償額が裁判所に認定されても、加害者が無資力であったり誠意がなかったりするとこれは強制の保険金以上は一切受け取れない、こういうふうな実情にあるわけなので、こうしたところに自賠責保険というもののいわゆる不備が今日の保険の現状では時代おくれじゃないか、こういうふうに思うわけですが、そのことについて。  二点について保険部長見解を承っておきたいと思います。
  42. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 第一点の実態調査についてお答えします。  実態調査は昨年の十月の初めから十二月の終わりにかけまして約二カ月半にわたりまして国内社二十社の損害保険の代理店について行いました。  行った結果の行政指導でございますが、行政指導の内容を説明する前にどうしてこういう実態調査を行ったかの御説明をもう一度申し上げますと、ただいま先生の御指摘がございましたように、損害保険の代理店というのは契約者と保険者の間の接点でございまして、代理店の質が悪いと、たとえ損害保険会社でいい商品をつくったりいい仕組みをつくったとしても全体の信用を損なうおそれがあるということで、質的向上ということにわれわれは非常に関心を持っています。ただいま乱設乱廃というお言葉がありましたが、数万店の代理店が新設されてはまた数万店やめていく。量的なものがすぐ質的なものに結びつくかどうかは問題がありますけれども、いずれにいたしましてもこういう実態をよくつかまなければわれわれは行政ができないということでございまして、一体保険会社が代理店に委託するときに果たして十分にやっているかどうか、それからいま廃止するのは数万店と申しましたが、廃止の理由はどういうものであるか、そういうものにつきまして調査を行ったわけでございます。その結果、三つほど現在行政指導で実現方について努力をしております。  第一点は、損害保険代理店というのは、最初初級代理店という初歩的な代理店から普通代理店というふうにだんだんと昇格していくわけでございますけれども最初の初級代理店になったときに教育、育成いたしまして、大体最長二年ぐらい育成します。(「井上(泉)委員「時間がないので要約してください」と呼ぶ)わかりました。その育成期間を二年を一年にするように、のんべんだらりと時間をかけてもしようがないから短縮してやる。  第二点は、試験を受けてから登録するようにしたらどうか。これはまだ実施しておりませんが、来年の四月から実施いたしたい。  それから普通代理店のいわば成績の基準を上げまして——件数だけでなくてある程度の挙績基準でございます、金額を掲げなければいかぬ。  こういう三つの点で行政指導をやっております。あとの問題については今後逐次行政指導をやっていくつもりでございます。  第二点の問題は、恐らく普及の問題ではないかと思います。  御指摘のように任意保険というのは、自賠責を基本といたしますとそれを補うものでございますけれども、現在任意の対人賠償は二台に一台ぐらいしか持っておりません。これは四十七年ごろからだんだんとふえておりますけれども、相変わらず五十・何%あるいは六〇%、そのくらいの。パーセントしか示しておりません。われわれはどうかしてこれを普及させようということで努力しておりますが、普及の方法には大蔵省みずからやるものとそれから大蔵省が損害保険業界を指導してやるものと二つに分かれております。損害保険会社を指導してやりますものは、キャンペーンを強力にやらせますとか、あるいは自賠責に入りますときに代理店から、あなたは任意保険に入っていますとかということをチェックさせるとか、それから運転免許の更改のときとか取得するときに十分にキャンペーンするとか、いろいろの方法で普及に努めております。  それから大蔵省みずからやるものといたしましては、文部省にお願いいたしまして中学、高等学校の指導要綱の中に保険というものを入れてもらうようにしておりますが、いずれにいたしましても、そういう普及も大切でございますけれども、商品自身が魅力のあるものでなければ幾ら普及にPRをいたしましても効果がございませんので、内容につきまして大いに魅力のあるものにしたいということで、時間がございませんけれども、五十一年一月に自家用自動車といういわば総仕上げの保険指導してつくらせた。  以上でございます。
  43. 井上泉

    井上(泉)委員 おっしゃられるとおり、二台に一台が自賠責のみで走っておる。そのかわり、実際の事故を走こした場合における死亡事故にしても、強制の金額ではとても命の賠償にはならない。そしてまたこれが補償の場合においても、賠償保険の中における医療費等ではとうてい賄い切れない例がたくさんあるわけなので、これは強制の枠の引き上げをやれば問題はないのじゃないか。大蔵省もそういうふうに指導するなら、保険会社もそういうことを指導するなら、そして一般の国民はそういう自動車補償というものに万全を期してもらいたいということなら、いっそ強制保険の枠を引き上げたらどうだ、こういうことにもなろうと思うわけです。そういう点についてはなお検討の余地もあろうかと思うのですが、とにもかくにも、いまの自賠責制度の中における任意というものをもっともっと準強制保険のような位置づけ方の指導をなすべきじゃないかということ。  それからさらに第二点としては、そういう場合においても、この前私が質問したときに大蔵省の方でも、自動車は日常生活の中の準必需品になっておる、つまり日本人の三軒に二軒は自動車を持っておる、こういうふうな状態であるので、任意における保険料というものについては、わずかな金額ではあるけれども保険料控除の制度を採用したらどうだ、こういうことを提案をしたわけです。それに対しては、主税局において検討するというようなことで、余り前を向いた発言がなかったわけですが、依然としてそういうふうな考え方を私は持っておるわけなので、その点についてさらに大蔵省の主税局の見解をあわせて承りたいと思うわけであります。  それで自賠、任意を含めて、医療費等の引き上げを含め、支払い基準というものをまた一面見直さないと、後遺障害等級の是正というものがないと、本当に後遺障害を残した人たちは気の毒な状態にあるわけで、こんなことならいっそ死んだ方がましだ、こう言って嘆いておる交通被害者というものがたくさんあるわけなので、そういう点についても考え直すべき時期ではないか、こう考えるわけですが、これについての見解を承りたいと思います。
  44. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 御提案のございました任意加入の自動車保険について税制上の優遇措置を講ずることにつきましては、六月の末の税制調査会に、国会の審議過程における主要な討議事項の一つとして御紹介させていただきました。その税制調査会では、その他幾つか新規の優遇措置についての御要望もございまして、この種の個別の新規控除創設の要望について審議を行ったわけでございます。十月四日にいわゆる中期税制答申と言われておるものでございますが、「今後の税制のあり方ついての答申」が出されまして、その中で一般的な考え方といたしましては、「新規控除を次々に創設していく場合、税制をいたずらに複雑にするし、そもそも個別的事情を税制においてしん酌するにはおのずから限界があるので適当でない。」と述べられております。  また、ただいまの御提案は、運輸省それから損害保険協会の方かち五十三年度税制改正の御要望一つとして提出されております。現在、私ども各省から要望の趣旨を聞いている段階でございますが、御要望の件につきましても五十三年度税制改正要望一つとしてさらに検討を続けてまいりたいと思っております。  ただ何分にも昨今は租税特別措置については整理合理化の方向で見直しをするというのが基本的な方針でございますので、この問題に限らず一般的に租税特別措置の新設につきましては厳しい状況にあることも御理解いただきたいと思います。
  45. 井上泉

    井上(泉)委員 もう一つ険部長の方に、自賠、任意を含めて医療費等の引き上げあるいは支払い基準の見直し、こういう点について、これは速やかに検討すべき段階ではないかと思うので、その点についての見解を承りたいと思います。
  46. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 任意保険の支払い基準は、これまでも四十八年、五十年、五十二年と、賃金、物価の動向とか医療単価の改定の都度改定しておりますので、今後も時期を見て適時適切に配慮したいと思っております。
  47. 井上泉

    井上(泉)委員 任意が非常に普及率がよくないわけですが、事故を起こされた側としては、そういう任意のかかっていないで事故を起こした人にはずいぶん迷惑を受けておるので、あわせてそういうことをもっと積極的に進めるべきではないか、私はこういうふうに思うわけです。この点については運輸省見解を承りたいと思いますが、その見解を承ってから、さらにもう一問質問いたしたいと思います。
  48. 中村四郎

    中村(四)政府委員 先生の申されましたように、現在の自動車の普及状況というものから見まして、私どもの取り扱っております自賠責保険に加えまして、任意保険を伸張させていく、これを普及させていくということにつきましては、私どもの方の仕事の遂行の過程におきまして、機会をとらえていま申し上げましたような任意保険を伸ばしていくということに積極的に協力してまいる所存でございます。
  49. 井上泉

    井上(泉)委員 それからこの間この委員会で野坂君が鳥取県のダンプカーの学童死亡事故の問題を追及した際に、事故の加害者が過去二回業務上の過失傷害で罰金を取られて、一回はスピード違反で行政処分を受ける悪質運転者だった、こういう悪質運転者というのはこの人だけでなしに相当数おるわけですが、こういう悪質常習犯に対する警察の監督、指導というものがどうも不十分ではないか。このいわゆる一匹オオカミと言われるダンプカーの事故というものが依然として後を絶たない。大型貨物自動車に関する法律もつくったわけですけれども、それがどうも功を奏していないように思うわけですが、この点についての見解を承っておきたいと思います。
  50. 杉原正

    杉原政府委員 例のダンプ規制法の中で警察関係でしておりますのが、一つ運転者の資質の向上の問題でございます。これは警察の更新時講習あるいは処分者講習というふうな場合に、こういうものに着目しての講習を行いますと同時に、安全運転管理者とかを通じまして企業側に対する講習指導ということを徹底してやるような措置をいたしております。  それから取り締まりの面につきましては、かなりの数のものをやっておりますと同時に、運転者だけでなくて、下命をし、容認をし、あるいは過積等についての荷主等との関係で、事件の捜査の徹底を期するように配慮いたしております。
  51. 井上泉

    井上(泉)委員 この問題につきましては、また次の機会にお尋ねしたいと思います。  最後に海難事故、つまりこの間高知県で起こったアル・サビア号の油濁の被害なんか、それの補償問題等についていろいろ研究してみますと、ずいぶん複雑な関係の中にあるわけで、これは果たして補償交渉がうまくいくかどうか非常に心配をされるわけですが、こういうふうな事故の被害の補償について、役所として海運局の方でお世話されるのか、船舶局の方でお世話されるのか、あるいは保安庁の方でお世話されるのか、大蔵省の方でお世話されるのか、行政の担当はどこにあるのか。これはどこにあると言われると自分は後で用事を抱え込むようだから、じっとがまんの子で何も言わないと困るわけですが、これは総理府にひとつそのことを承っておきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  52. 山元伊佐久

    山元説明員 お答え申し上げます。  タンカーの油濁事故につきましては、油濁損害賠償保障法によりまして、船舶の所有者が過失のいかんにかかわらず賠償責任を負うことになっておりますし、また、賠償責任を負う範囲内においては法律上も保険に入ることが義務づけられているわけでございます。  先日起こりました事件につきましては、ロンドンの保険会社でございますけれども、約十三億八千万付保されているという状況でございます。もし仮に付保を超えるような損害がありました場合には、現在、石油会社等によって構成されておりますCRISTALという機構がございまして、これによりまして三千万ドル、円貨にいたしまして約七十五億円でございますが、てん補されるという仕組みになっているわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、こうした民事上の賠償問題につきましては、やはり当事者間の問題でございまして、個々、具体的なケースにつきまして具体的な内容まで役所が立ち入ることは適当でないという考えを持っております。しかしながら、当事者間で円満に誠意を持って解決が行われるように側面的な指導考えていきたい、かように考えております。
  53. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、その場合には運輸省海運局の方で円満にいけるような指導をしていただけるもの、こう理解をしておいて結構でしょうか。
  54. 山元伊佐久

    山元説明員 具体的な中身につきまして役所が介入することは、民事上の問題でございますので適当ではございませんが、当事者が誠意を持って話し合うという方向に役所が指導するということに心がけていきたいと考えております。
  55. 井上泉

    井上(泉)委員 質問を終わります。
  56. 鈴切康雄

    ○鈴切委員長 次に太田一夫君。
  57. 太田一夫

    ○太田委員 私は、きょうは自動車のタイヤとパワーステアリングハンドル、その関連における安全性、それから最後に交通遺児育英資金の問題についてお尋ねをさせていただきます。  最初は通産省にお尋ねをいたしますが、日本自動車タイヤ協会が、東名高速道路の浜名湖サービスエリアにおきまして、ことしの七月二十二日にタイヤの路上点検を行いました。これには道路公団も警察庁静岡県警本部も参加しておるのでありますが、この結果がいろいろうわさを呼んでおります。安全のために、これを素材にして少しお尋ねをしたいと思いますので、その結果はどうであったのか、タイヤ協会を監督される立場の通産省の方からお答えをいただきたいと思います。
  58. 平河喜美男

    ○平河説明員 御説明いたします。  今回の点検を実施いたしました車両は、乗用車百九十二台、トラック百十四台、観光バス六十三台、合計三百六十九台でございます。この結果、全体の二七・四%に当たります百一台がタイヤ整備不良車ということになっております。このタイヤの整備不良率をトラックと乗用車に分けてみますと、トラックが四七・四%、乗用車が一六・一%でございます。
  59. 太田一夫

    ○太田委員 何やらにそういう数字がさらに細かく発表されております。それを見ますと、いまおっしゃったようなトラック、観光バス、乗用車等に対しますタイヤの点検の結果一番多いのがタイヤの摩耗でございますね。不良項目はタイヤみぞの減り過ぎ、こう書いてある。その減り過ぎというのはトラックは四割あるわけです、四十六台。観光バスが一九%、十二台。乗用車は少なくて四%の八台となっておるわけです。タイヤの異常を含めれば非常に数が多うございますが、タイヤのみぞの減り過ぎというのに限定してみましてもそういうことになっている。  そこで伺いますが、タイヤのみぞの減り過ぎというのは具体的にどうことなのか、何を指すのであるか。
  60. 平河喜美男

    ○平河説明員 御存じのように、タイヤの接地部分をトレッドと申しまして、みぞのついているゴムの部分がございます。これがタイヤの走行中に次第に摩耗してまいりまして最後はなくなるわけでございますが、ある程度までいくと滑りやすくなるわけでございます。その滑りやすくなったものがタイヤの減り過ぎだ、かように理解しております。
  61. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると、通産省で考えていらっしゃるタイヤのみぞの減り過ぎというのは、滑りやすくなったという概念でございますね。数字はございませんか。
  62. 平河喜美男

    ○平河説明員 日本自動車タイヤ協会の方で、消費者の方々が減り過ぎをチェックできるように、一つの基準を数値的に定めてPRをいたしております。これはトレッドの残りのみぞの深さをミリメートルで表示しておりまして、乗用車の場合、残りみぞが一・六ミリメートル以下になったら減り過ぎである、トラック、バスの場合にはこれが三・二ミリメートルである、こういうふうに数値を定めております。
  63. 太田一夫

    ○太田委員 警察庁にお尋ねをいたしますが、高速道路における摩耗ということに起因する事故件数というのはどの程度ございますか。
  64. 杉原正

    杉原政府委員 私どもの統計では、摩耗に起因するということで断定してとっている統計というのはございません。
  65. 太田一夫

    ○太田委員 統計がないというのは、そうすると、タイヤの摩耗による事故というものに対して、警察庁としては、取り締まりの立場から見ると大したことではない、こういうことでございますか。
  66. 杉原正

    杉原政府委員 タイヤの摩耗につきましては、実は大変な関心を持っております。これはタイヤだけが何件というのがわからないのでありまして、タイヤの摩耗を含めまして、実は道路交通法上、車両の保安基準違反を前提にいたします整備不良車両の取り締まりを年間約十五万件やっておりますが、その中でタイヤの取り締まりだけというのがいまちょっと件数がとれないということを申し上げておりまして、タイヤの摩耗を整備不良車両として取り締まっておるのはかなりの数になります。ただ、数字がちょっといまここで……。
  67. 太田一夫

    ○太田委員 かなりの数になり、大変関心を持っていらっしゃるとなれば、その対策はどうなっておりますか。不良タイヤをつけておる車がいまの高速道路においてあの程度。たとえばトラックでは四割、十台の中の四台は減り過ぎのタイヤを使っておる。言うなら三・二ミリを超えておる。それから、観光バスならば十台の中の約二台が同じように減り過ぎだ。これは人間を乗せておるのですからね、観光バスは。乗用車の方が比較的少ないのはせめてもの救いでありますけれども、そういう不良車両というのがこんなに走っておるということは大変だと思いますが、対策はどうなっていますか。
  68. 杉原正

    杉原政府委員 先ほどお話がありました高速走行時のタイヤの摩耗限度というものが一般的に示されておるようでございますが、それが法律的に保安基準の九条に定めますものとして認定をされているかどうかということが、私ども現実に摩耗そのものを整備不良車両として認定するときの一番の問題でございまして、そこについては必ずしもいま明確でないということでございます。
  69. 太田一夫

    ○太田委員 そこで、ちょっと運輸省にお尋ねいたしますが、摩耗というものの限界でございますね。基準があるのでございますか。言うならタイヤの保安基準というのは明確化されておるかどうか、車検においてはどういう扱いをしておるか、こういうことが問題化してくるわけですが、それについて運輸省にお尋ねいたします。
  70. 犬丸令門

    犬丸(令)政府委員 タイヤにつきましては、保安基準第九条でその摩耗について言っておるわけですが、摩耗以外にも「亀裂、コード層の露出等著しい破損のないものであること。」それから摩耗につきましては、「接地部は、すべり止めを施したものであること。」この「すべり止めを施したものであること。」というのが摩耗の基準でございまして、その解釈といたしましては、デザインみぞが全周にわたってあることというのが限界でございます。これを最低の基準として考えております。それで、先ほど数字の出ました乗用車において一・六ミリ、トラック、バスにおきまして三・二ミリという数字もわれわれは承知いたしております。これは高速道路におきまして、八十キロ以上の走行速度で走りました場合に、その辺が危険かどうかの限界になることは根拠のある数字だと考えております。しかしながら、タイヤは本質的に使用によって損傷もしくは摩耗していくものでありますので、これ以外にも仕業点検基準もしくは定期点検基準によりまして、毎日もしくは定期点検のときに摩耗状態を十分点検して使用するようにということをユーザーに義務づけておるわけでございます。
  71. 太田一夫

    ○太田委員 整備部長の話を聞いておりますと、一・六、三・二というのはどこやらのグループがまあ勝手につくった基準であって、高速道路では危険だからということであろう。おっしゃる保安基準は、著しい破損がない、すべりどめが施してある。著しい破損だとかすべりどめというようなことは、これは概念であって、数値じゃありませんからね。おれは大丈夫だよ、これをやっていたってすべらないよ、破損しておるなんというものじゃないよ、こう言えばそれだけのことでございますが、論争が起きる。それで、車検の際あるいは点検の際などにおいて問題ないのでしょうかね。
  72. 犬丸令門

    犬丸(令)政府委員 保安基準におきましては具体的に何ミリという表示はいたしておりませんが、それを受けまして依命通達において規定いたしておるわけでございまして、全周にわたってみぞが残っておるということを基準にいたしております。したがいまして、検査のときもしくは点検のときに、それを基準にして判断するということにいたしております。
  73. 太田一夫

    ○太田委員 そういうふうになると、ドライバーの認識というのが一番問題があると思う。そこで、ドライバーの認識を調べたある報告によりますと、摩耗し過ぎたタイヤを使ったらば、スリップするとかパンクする原因となって大変危険だということは、ほとんど知っておるというのです。ところが、どの程度まですり減ったら危険であるかということのわかっていたドライバーというのは、四分の一あるかないかだという。だから、よほどあなたの方がしっかりしないと、減り過ぎたタイヤが使われてスリップ事故、雨の日にはハイドロプレーニング、横転死傷というような事故を起こすもとになると思うのです。それで私は、この保安基準については、信用がないと言っちゃなんですが、非常に不信の感を抱いておるのですが、これはぜひ概念でなくて、ひとつ数値で一遍決めていただいて、一・六、三・二が正しいか正しくないかということも運輸省が結論を出してもらいたい。あなたの方がタイヤは通産省に任せきりとおっしゃるなら、通産省に聞きますが、どうですか。
  74. 犬丸令門

    犬丸(令)政府委員 タイヤは自動車の構造装置の重要な保安部分でございまして、その安全性については私ども十分監督責任を持っておるものと考えております。ただいまの先生の御指摘でございますが、高速道路網が次第に整備されてまいりまして、高速道路を走る機会も全車両について多くなってきておりますので、ただいま先生の御指摘の線に沿って、安全度の向上に努力をしてまいりたいと考えております。
  75. 太田一夫

    ○太田委員 同じ、摩耗の限界の基準ということについて、どのような認識を持っていらっしゃるかを通産省と警察当局にお尋ねをいたしたいと思います。それぞれお答えください。
  76. 平河喜美男

    ○平河説明員 具体的な数値につきましては、運輸省とも相談して、今後正しい数字を検討してまいりたいと思います。
  77. 杉原正

    杉原政府委員 先ほどちょっと数字がないというのは、全国の数字があれでございますが、高速について物損、これは事故を起こしたものだけでございましたが、現場で取り締まりで云々というのじゃなくて、高速自動車で物損を含む交通事故について、その原因がタイヤにあったと思われるものが五十一年、百三十八件ございます。これを追加しておきます。  なお、私ども現場を預かっている立場から申しまして、先ほど申しましたように、タイヤの摩耗につきましては、非常に事故に結びつきやすいということで、大変な関心を持っております。しかも、現場で処理をいたしますときには、この程度になるとこれが整備不良になるということでないとなかなか処理ができないということでございますので、今後そういうふうな面につきまして運輸当局等とよく相談をしていくようにしたいというふうに考えております。
  78. 太田一夫

    ○太田委員 かなり宿題がたくさん出たわけでございますが、それは運輸省が中心にならなければいけないような気もしますね。犬丸さん、しっかりしてくださいよ。いいですか。  文章だけによる、言葉によるものでなくて、数値ですね。タイヤの整備工というのは、ちゃんとセンチ差しですか持っているのですね。ぱっと当たれば、これは一・六なのか二・〇であるか、すぐわかるようになっておる。それを持っているのだから、あなたの方が基準をきちっとつくれば、それによってもう交換すべきですよとか、もうだめですよと言えますね。おつくりくださることを希望いたしますが、いかがでしょうか。
  79. 犬丸令門

    犬丸(令)政府委員 ただいまの御指摘の線に沿いまして、私どもといたしましては、保安基準におけるところの表現の明確化という点と、さらにタイヤの安全度の向上につきまして可及的速やかに対策を講じてまいりたいと思います。
  80. 太田一夫

    ○太田委員 通産省にお尋ねをいたしますが、そこで、あなたの方のタイヤというのはJIS規格に大体合格しておるタイヤが認められておりますし、売られておるし、装着されておりますね。タイヤのJIS規格というのは、あなたの方では品質に保証が持てる、保証され得ると考えていらっしゃるのか、あるいはその責任を持つよとか、責任はメーカーだけれども、まあJISという形ができておる、打たれておるが、あれは平均的なもので技術的な差によって優劣あるよということになるのか、タイヤのJIS規格の信用度というものはどんなものですか、安全性の信用度。
  81. 分部武男

    ○分部説明員 お答えいたします。  御承知のとおり日本工業規格は工業標準化法に基づきまして日本のすべての最高の学識経験者あるいは専門家で構成されております日本工業標準調査会の審議を経まして主務大臣が日本工業規格を制定しているわけでございます。と同時に、工業技術院といたしまして必要に応じまして専門的な知識、能力を有する人から幅広く意見を求めておりまして、すべての実質的な利害関係を有する人の意向を十分反映するようにこの規格を制定しております。  それで、このタイヤの規格につきましては、たとえば、いろいろな品質性能、品質基準というものを決めております。材料あるいは加工方法のほか引っ張り強さでありますとか老化試験でありますとかあるいは剥離荷重試験、リム外れ抵抗試験、そういうものをいろいろと定めてございまして、この規格の内容につきましてはアメリカの国防省規格あるいはアメリカの連邦政府の自動車安全規格あるいはヨーロッパの安全基準というものと比較いたしまして遜色のないものだと私ども考えてございます。
  82. 太田一夫

    ○太田委員 アメリカと遜色はないか知らないが、あなたの方が責任持てるという性格であるかどうか、いささか問題があると思うのです。  そこで、ちょっと聞きますが、タイヤの技術ということにもJISの基準はあるのでございますか。
  83. 分部武男

    ○分部説明員 新しいいろいろなタイヤの開発ということが問題になる場合については、この日本工業規格の定めているいろいろな品質基準というものを満足することが大事ではないか、そういうふうに私どもとしては了解してございます。そのほか私どもとしては任意制度としてJISマーク制度というものを実施しておりますが、このJISマーク制度といいますのは、ただ単に日本工業規格に合格するだけではなくて、その工場の製造設備あるいは検査設備あるいは検査方法、品質管理の方法等その品質保持に必要な技術的な要件というものを審査をしてこれの許可を与えているわけでございます。
  84. 太田一夫

    ○太田委員 あなたのお言葉をもう一つ翻訳すれば、かなり信用するに値するものというふうになりますね。しかしJISだから事故が起きないというものじゃなくて、JISマークがついていて事故を起こしたものもあるわけなんです。  そこで、ちょっと先ほどから摩耗に関連しましてスリップサインのことでお尋ねしますが、こういうタイヤの広告が出ますとタイヤにこう書いてありますね、「スリップサインはタイヤの赤信号」そこでこれは運輸省にお尋ねしますが、スリップサインというものはあなたの方で確認をされておるのでありますか。
  85. 犬丸令門

    犬丸(令)政府委員 スリップサインは、私ども承知しておりますところによりますと、乗用車において一・六ミリ、バス、トラックにおいて三・二ミリというタイヤ協会が推奨しております摩耗の限度、これに合わせてつくってありますものと理解しております。しかしながら私ども、タイヤの審査の場合におきましてスリップサインがあるかどうか、その表示が正しいものであるかどうかということの確認はいたしておりません。
  86. 太田一夫

    ○太田委員 通産省ではどうでありますか。
  87. 平河喜美男

    ○平河説明員 私どもの方でタイヤの整備そのものを扱っておりませんので、点検はいたしておりません。スリップサインをタイヤ協会でつくりましたときにどういう根拠でそういうものをつくったかという話を聞いております。
  88. 太田一夫

    ○太田委員 いささか心もとなくなりましたね。スリップサインはあることはある。スリップサインが、現在は交換するかしないかの境目になって実際上生きておる。だからそれはどうもどこもここも認知しておらない私生子である、こんな気がいたします。  それでは運輸省にお尋ねいたしますが、自動車の型式承認のときにはタイヤというのは含んでおりませんか。
  89. 犬丸令門

    犬丸(令)政府委員 タイヤももちろん含んでおるわけでございまして、タイヤには製作された時点におけるところの最大許容荷重もしくは接地圧等が決まっておるわけでございますが、当該自動車に対しまして自動車の荷重等から計算いたしましてそれが適正な仕様タイヤであるかどうかという点について審査の対象として確認をいたしております。
  90. 太田一夫

    ○太田委員 摩耗ということについてあなたの方の保安基準をおつくりになる場合のいろいろな御検討の資料に加えておいていただいて、スリップサインの科学性、合理性等については位置を与えてくださることを求めておきます。  それから先ほどのJIS規格のことでもう一度、それでは通産省にお尋ねいたしますが、いまのタイヤというのは全部JIS規格になっておりますか。国内産ですよ、外国から輸入したものを除きます。
  91. 分部武男

    ○分部説明員 私どもとしては規格を制定することと、この規格が日本の国内において十分利用されてほしいという立場でございまして、先生のおっしゃるすべてのタイヤについて合格しているかどうかという点について、私どもとしてはそう希望しておるということを申し上げたいと思います。
  92. 太田一夫

    ○太田委員 なるほどね、問題がありますね。  そこで通産省と運輸省と両省にお尋ねいたしますが、先回、高速道路用のスチールラジアルタイヤに若干のクレーム問題がありまして、両省はタイヤ協会に対しまして警告と指示を与えたということを聞きました。通産省は品質管理の向上に鋭意努力するよう周知徹底させること、こういう御指示運輸省協会制定のタイヤの品質基準を見直せ、こういうふうにおっしゃった。これはともにその指示なり申し渡しというものは生かされて現在守られておる、こういうことになっておりますかどうですか、それぞれお答えいただきたい。
  93. 平河喜美男

    ○平河説明員 日本自動車タイヤ協会におきます品質基準の見直しにつきましては、現在鋭意検討をさせておりまして、検討ができ次第逐次報告を受けることになっております。
  94. 犬丸令門

    犬丸(令)政府委員 私どもこの通達を出しましたのが十月の四日でございますが、改善実施計画及び実施状況について十一月十五日までに報告しろということを言っております。したがいまして、それまでの間に成果が得られればその結果、それから進行中であればその状況報告を受けることといたしております。
  95. 太田一夫

    ○太田委員 言うなら監督官庁といたしまして、通産省がおっしゃる警告も、品質の管理を向上させろ、これもわかるし、運輸省がおっしゃるようにタイヤの品質基準を見直せというのも、これはそれぞれ日本タイヤ協会に対しての指示としては適切だと思いますよ。というのは、そうするとJISマークなどというのは当てにならぬということだ。  そこで通産省にお尋ねしますが、タイヤのリコール制度というのは日本にはあるのかないのか。アメリカのDOT方式のように、新品のときの検査だけでなくて随時商品テストを行うというようなことによって、もし剥離したり強度に問題があるとするなら、その製品はリコールするというようなことは考えられませんか。
  96. 平河喜美男

    ○平河説明員 リコール制度やあるいはDOT方式のような新しい制度につきましては、関係省庁とも十分相談いたしまして検討してまいりたいと思っております。
  97. 太田一夫

    ○太田委員 耐久力テストなどというのは大事なことだと思いますから、品質管理をやりなさいとか何を周知徹底しなさい、言うべくして確認ができないことだ、だからこういうリコール制度があるよというように、縦横十文字に確認をするということが大事なことだと思うよね。  そこで、タイヤの問題、一応それで区切りまして、今度はパワーステアリングハンドルの問題についてお尋ねをいたします。  運輸省にお尋ねをいたしますが、高速道路においてのパワーステアリングハンドルの安全性の確認というのは行われたことがあるのでありましょうか。あるいは警察においてパワーステアリングハンドルについては何か御所見があるのでしょうか。両方からお答えいただきたいと思います。
  98. 犬丸令門

    犬丸(令)政府委員 パワーステアリングハンドルは、これは大型トラック、バスにおきまして、パワーステアリングがない状態におきましては、大型車両がふえてきました現在、低速時において非常にハンドルが重い、ひいてはこれが疲労の原因になって運転上危険であるという見地から、大型自動車についてはほとんど装着させることにいたしております。装着するに当たりましては、審査時点においてこのパワーステアリングハンドルのパワー機構、つまり油圧機構等でございますが、この部分が作動しなくなった時点においてもマニュアル、手動でハンドルが十分効くかどうかという点についての審査もいたしております。  先生御指摘の高速道路等において使用時点にパワーステアリングハンドルの事故等について調査をしておるかという点につきましては、私どもそこまでの調査もしくは検査等はいたしておりません。
  99. 杉原正

    杉原政府委員 昨年の高速道路におきます交通事故約一万一千件につきまして、そのうちの二二・七%がハンドル操作不適当ということでございますが、それがパワーステアリングハンドルに起因するものであるという報告はただいまのところ受けておりません。
  100. 太田一夫

    ○太田委員 一万一千件の中の二二・七%がハンドル操作不適当、言うならパワステは楽にハンドルが切れるわけですから、そこで角度が急に小さくなってそのために横転あるいは乗り上げ等の事故を起こすと思いますが、皆運転手の責任になっているというような気がしますがね、局長。  このごろ萱場工業が新しい型のパワステ装置を開発して、国鉄の高速バスに装置されておるとかいう話もありますし、本田の千六百の車でしたか、これは乗用車ですが、これもまた新型、新しい改良型が装置されまして、かなり人口に膾炙しておりますが、これは少なくとも車庫の出し入れとか小さな狭い道における切り返し等においては楽に操作できるが、高速で走っておるときには簡単にハンドルが動かないように、在来型と同じように重くなるというところに一つのみそがあるわけなんです。力点があるわけですが、こういう改良型について通産省は何か検討をしていらっしゃいますか。御所見がありますか。運輸省と両方からお答えいただきたい。
  101. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 通産省におきましては、申しわけございませんが、特にいまの段階では検討いたしたことはございません。
  102. 犬丸令門

    犬丸(令)政府委員 ハンドルはその特性といたしまして、スピードが遅い時点、低速時、停車時点は特にハンドルの抵抗が大きいのでありますが、スピードが遅い時点において重くて、高速になるに従って軽くなるという特性がございます。  それで先生がただいま御指摘になりました改良型というのは、低速時においてはもちろん軽く、そして高速時においてもなるべく軽くなり過ぎないように改良されたものでございます。そしてこれは主として乗用車等小型のものについて開発されております。大型については研究がなされておるわけでございますが、まだ十分その辺について、わが国及び諸外国においても実用化の段階には至っておりません。  それから先生ただいま御指摘の萱場工業が開発したものを国鉄が使っておるというお話でございますが、私ども国鉄に確認いたしましたところ、これは要するに反力を大きくしたものでございまして、速度感応型ということではなくて、いわゆるパワーステアリング装置の俗な言葉で申しますならばいわば効きを悪くしているという感じのものでございます。しかしながら、それはそれで目標があるわけでございまして、そういったものも含めて今後大型自動車に関するパワーステアリングの速度感応装置、これが開発されていくものと考えております。
  103. 太田一夫

    ○太田委員 これは通産省もそれから運輸省自動車局も、整備部におかれましても十分ひとつ検討してほしいと思う。  この間、五十二年六月でしたか、名神高速で起きました観光バスの雨中における転覆事故がありますね。死者四人、重傷五人、軽傷十四人という大事故がありました。このときはタイヤの摩耗が前輪の左二・六、右が二・六、後輪の左の内が〇・五、左の外が〇・八、右の内側〇・八、右の外側一・八というのでありまして、タイヤ協会の言う安全基準をはるかに下回ってしまって、もう坊主に近いタイヤであった。その上雨が降って、そうしてその水膜が——言うなら八十何キロで走っておって、ハイドロ現象が起きて、そこで滑べる、ハンドルを切る、転覆するというようなことになったわけですね。これは運転手さんは死んでしまったわけなんで、何ともお気の毒ですけれども、複合して事故が起きますから、ひとつくれぐれも運輸省においては、通産省のJISマークとかなんとかいろいろなことなどに余り信をおいてはいかぬと言うと、通産省はお怒りになりますから、それはそれとして尊重しながら、保安基準の向上については再検討してほしいということを要望しておきます。  時間がありませんから、その問題はそれで一応終止符を打ちまして、最後に交通遺児の奨学資金についてお尋ねいたします。  これは最初総理府にお尋ねをいたします。交通遺児育英会の財団法人でございますね、この会の財政状態は、いまどうなっておるか、これを一つお尋ねをしますが、数字がわかりましたらお答えいただきたい。
  104. 室城庸之

    室城政府委員 交通遺児育英会というのが、御承知のように昭和四十四年に設置されておりまして、ここで、かいつまんで申し上げますと、資金受け入れをやりました状態は、昭和五十一年度末までで五十八億三千万円ということになっております。これは当初、この法人ができましたときに、交通遺児の学資援助をするにつきまして、基金を一応百億円集めて、その金利で——金利も百億円になりますと、大体年間八億くらいの利息が出てまいりますので、その利息で高校生の交通遺児に対する学資貸し付けをやっていこうという構想で基金募集を方々にお願いをしてスタートしたわけでございます。現在の時点で、この交通遺児育英会が持っております基金は十八億ということになっておりまして、先ほども、従来の受け入れ資金が五十八億三千万円と申し上げましたが、そのうち十八億が基本財産という形の寄付になっております。これはしたがって、毎年約八分の利で一億二千万くらいの利息を生み出しておるわけでございます。そのほかにいろいろなところから寄付、補助をいただいておりまして、五十八億という金額になるわけでございますけれども補助金といたしましては、運輸省自動車事故対策費いわゆる自賠責からの金が基本でございまして、これが五十一年度には一億五千万円、その前に四十四年から四十八年までのトータルが一億二千万円、四十九年度が一億、五十一年度が一億五千万というふうになっておりますので、五十一年度末で三億七千万円、補助金として入っております。なお、これは毎年の貸付実績を見まして精算払いということになっておりますので、五十一年度分に貸し付けましたものの精算払いが五十二年度に受け入れられる形になりまして、五十二年度分について見ますと一億八千二百七十八万五千円、これが自賠責からの補助になっております。  それからそのほかに、日本船舶振興会からの助成金というのが、先ほど申し上げました当初の基本財産づくりに三億円、補助として出されております。それから日本自転車振興会及び日本小型自動車振興会からの補助金が、これは大体毎年の事業について補助という形で出ておりますが、五十一年度で申し上げますと二千七百四十五万円、それから日本宝くじ協会の助成金、これが一億、基本財産の形成に補助されております。  そのほか、経済界からの寄付といたしまして、日本損害保険協会、これも十億、基本財産の形成に寄付がなされたわけでございますが、これにつきましては五十二年度にも二億五千万という寄付がございまして、合わせて従来の累計で十二億六千五百万。日本自動車工業会、これも基本財産づくりに十億円を寄付いたしております。工業会としては十億でございますけれども、五十一年度分の受け入れといたしまして、トヨタ自動車が創立四十周年記念ということで三億の寄付をいたしております。それから財界の募金といたしまして、日商、経団連、日経連、同友会、こういったところから五億七千万。  そのほか、一般の国民運動募金という形で、これはほとんど毎年入ってきておる金額でございますが、募金の形で出ておりますものが、交通遺児を励ます会の街頭募金、全国学生交通遺児育英募金事務局がやります街頭募金、全国共済農業協同組合連合会の、人形型の募金箱を農協に置いておきましてここで集めていただくもの、各銀行の窓口で人形型募金をやっていただくもの、そのほかに一般の寄付、こういったものがございまして、これらを集計いたしますと、寄付金として従来十九億七千三百九十九万五千円強というものが入っております。  そういうことで、ざっと申しまして年間十八億の基金に積立金十五億というものを従来の募金の中からつくっておりまして、大体五千人から六千人ぐらいの間の高校生、大学生の学資援助をやりながら、それに要する経費が年間大体八億ないし九億ということで、そのほかに交通遺児を励ますためのいろいろな行事をやっておりまして、県ごとの交通遺児の集いをやりましたり、あるいは機関紙をつくりましたり、というようなものが、この育英会のいわゆる一般会計の中で扱われております。  大ざっぱに申しますと、そういうことでございます。
  105. 太田一夫

    ○太田委員 それはそういうことでしょうね。基金の問題から入っておりますから、えらい膨大な金が入るのですが、大ざっぱに言うと、いまあなたのおっしゃった奨学資金に八億から九億の金が要るということです。いま高校が五千人と大学七百人ぐらいが奨学資金を受けておりまして、高校の場合は一万円から一万五千円、大学生が二万、これはスズメの涙みたいなものでございますが、いままですでに七千人も卒業したという実績を持っておりますから、りっぱなものだと思うのですよ。何だかんだといっても十一億ぐらい年間予算が組めないといかぬということが、あなたのおっしゃる中に出てきておる。そうすると、ことしはトヨタの何十周年というけれども、二千万台を突破した記念でございますね。二千万台突破記念で三億円の金が臨時に入ったから何とかことしはつじつまが合ったが、来年はそういうことにならない。来年ならないから三億から四億足りぬというわけです。ところが、おっしゃるように国の自賠責補助金は二億一千万円か、まあ二億ぐらい、損保も二億ちょっと。損保の方は昨年で大体十億の予定が、積立金への分割支払いが終わっておるから、ことしはと思っていましたが、ことしは二億五千万ぐらいお出しになるというお話で大変結構だ。だがトヨタの三億があったからことしは予算が組めた、来年は組めないということが大問題。しかもこの一万円とか二万円の奨学資金は非常にわずかであって、いま学生寮等の建築も計画されておるようですが、資金に困っている。自動車事故対策センターというところには国が相当の量の金を出しておりますが、これは義務教育までの子供が対象で、それから上がこの財団法人交通遺児育英会が受け持っておるわけです。  そこで私は、このことに関しては総理府と通産省にちょっと頼んでおきたいことがある。意見を求めておきたいことがある。それは何かというと、自動車工業会が予定の金を出しちゃったからもういいよというようなことで横を向いているというような冷たい態度がどうも気に食わぬ。通産省は少なくとも業界とそういう社会奉仕団体との中間に立ち得る一番適当な官庁だと思うから、仲に立って、どうだもう少し出してやってくれたらというような口添えがあってしかるべきだと思う。そういうことを総理府の方からは室城室長さんからひとつ要請をしてもらう必要があるというような気がしますが、いかがですか。
  106. 室城庸之

    室城政府委員 この法人は、御承知のように私の方で所管いたしておりまして、その運用の実態等について詳しく説明を聞きながら、指導をいたしてまいっております。  いま御指摘がありましたように、来年の運営に支障を来すというようなことにならないようにいろいろ経営内容について指導をしておるわけでございますが、実際に学生の数とそれに要します実額どの程度の援助が必要であるかという問題と、それに見合うような資金運用というものが全体として検討されまして、その上で不足分をどこからどういうふうに求めていくかということにつきましては、大体いままで運用してまいりまして、ほぼ十年近く大体最初の構想をやってみた結果がそろそろ実績としてある程度当初の構想でよかったのかどうかというようなことのまとめをし得る時期になってきたと思いますので、この辺で全体の運営の仕方、将来に向けての方向というようなものを見定めながらもう一度検討して、かつ足りない部分につきましては、いまおっしゃいましたような自工会に対する寄付の求め方もありましょうし、また自賠責に対する補助金の増額というような問題もございましょうし、いろいろな点を含めて検討をいたし、適正な運営ができるように努力いたしたいと思っております。
  107. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 お話の育英会の趣旨につきましては十分理解のできるところでございますし、各方面挙げて御協力をいたすべきものではないかというぐあいに思っております。  先生のお話のように、自動車業界が横を向いているというようなことがあるとすれば大変遺憾なことでございまして、四十四年以来の経緯につきましてさらによく洗い直しをしてみたいと思います。育英会の財務状況等につきましては、御所管の総理府あるいは文部省の方からさらに実態をよく教えていただきまして、可能な限り自動車業界としても前向きの姿勢で取り組むように指導をいたしてまいりたいというぐあいに思っております。
  108. 太田一夫

    ○太田委員 時間がなくなりましたから最後の質問にしてとどめますが、昨年からでございますかね、高校あるいは高等専門学校の在学生徒に対しまして授業料減免の補助をしようというので、県が出したものの半分を国が交付金として交付するというのがございます。本年度一億一千五百万ほどの予算が計上されておりますが、これが一万五、六千ある対象高校生に対して、三分の一の五千人ぐらいがこの奨学資金がもらえる、いわゆる授業料減免の対象になるということになっておりまして、聞いてみるというと、生活保護を受けるような極貧層のみを対象にして、一般的な、行きたいのに行けないという人に対しては手を差し伸べてない。だから義務教育化しておる高校ということを考えたら、この授業料減免措置というのはもうちょっと力を入れるべきではないかと思うのです。これに対して運輸省、お答えをいただきたい。
  109. 中村四郎

    中村(四)政府委員 私どもの方といたしましては、高等学校等に在学する交通遺児の授業料減免についての補助につきましてそれなりに一生懸命やってきておるわけでございまして、補助対象となる枠と申しますか、対象につきましては生活保護の被保護者、所得税の非課税者、これに限りませんで、それと同程度に生活が困っておられる方ということで、これも五項目ほどの要件を定めておるわけであります。これによって現在救済措置を講じておるわけであります。  現在私どもといたしましては、都道府県の中でまだこれに応じていない県もあるわけなのでございます。したがいまして、これの趣旨を徹底すると同時に、希望があってもこれに乗ってこられない方についてはさらに徹底さしていきたい、これが一つでございまして、また枠を拡充してはどうかということにつきましては、他の災害等によって遺児となられた方とのバランスというものも十分考えながら、また都道府県の意向もしんしゃくして今後慎重に検討していきたい、かように思っておる次第でございます。
  110. 太田一夫

    ○太田委員 授業料の減免と言っても、公立学校は三千二百円限度でございますね。私立学校は六千円限度ですから、私立だと半分に満たないし、公立はおよそ全額に近いというこの程度でございますが、高校義務化という実態に即してみれば、三分の一でなくてもう少し対象を広げるということは必要のような気がする。ただ、いま県がいろんなことを言っておるということは、県の理解もさることながら、県の中にも、もっと逆に言うなら、こんなきつい基準を出されたんじゃやりたい人にやれないよと言っている県もあるくらいだから、これはいろいろ幅があります。ぜひこれは積極的に対処していい制度を生かしてくださるように求めておきたいと思いますが、御考慮いただけますか。
  111. 中村四郎

    中村(四)政府委員 この制度を充実させてまいることにつきましては私どもも積極的でございまして、いま先生も申されましたように都道府県ともよく意見交換し、その実態を把握して進めてまいりたいと思います。
  112. 太田一夫

    ○太田委員 終わります。
  113. 鈴切康雄

    ○鈴切委員長 次に、伊藤公介君。
  114. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 私は、再び大都市の中における交通の問題、特に新しい町づくりが行われていく都市における交通の問題として、エネルギーは一方で非常に少なくなっておる、非常に大変な時代を迎えておるわけでございますけれども、そんな中で、都内交通のかなめ、新しい時代のかなめ、自転車道路あるいは自転車の駐車場の問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  いま東京の都市ですと蒲田駅、あるいは小田急線や京王線沿線を、私も通勤をしておりますから、駅前などよく見さしていただきますと、各駅一千台、多いところでは三千台近い自転車が現状では違法のまま駅前に放置をされているという現状でございます。しかも、東京の武蔵野、多摩地域に関しましては、ことしは自転車の盗難の数は一万台になろうとしておるわけであります。こういう現状の中で、駅前のまず自転車の駐車場の設置という問題が非常に重要な問題だと思っておりますけれども、こうした自転車の駐車場等の問題について、基本的にどういうお考えで臨んでいるか、まず基本的な考え方をお尋ね申し上げたいと思います。
  115. 室城庸之

    室城政府委員 自転車の通行の安全並びにそれに含めまして自転車駐車場の整備ということにつきましては、昭和四十八年に各省庁の申し合わせがなされておりまして、いわゆるモデル都市というものを六十四都市選びまして、これを中心に進めてまいったわけでございます。なお、一応モデル都市六十四市ではいろいろ問題が残りましたものの、ちょうど第二次道路交通安全基本計画が昨年から制定実施されておりますので、この第二次交通安全基本計画の中では、六十四モデル都市に限らず、自転車問題を全国的に取り上げていこうということで、いわば第二次基本計画の目玉になっておるのはこの自転車問題でございます。  当初から私どもといたしましては、公害の問題その他資源問題等も含めて、自転車がもう一度今日の時点で再評価される必要がある。ついては、自転車が安全に通行できる自転車道の整備を急ごう、特に都市内につきましても、いわゆる網状の、要するに系統的に自分の家を出れば所用の目的地まで自転車の通行部分を通りながら、自動車ともまれもまれという形ではなくて、自転車の通行部分というものは確保されておって、そこを安全に走れるような形で目的地に到達できる、こういった網状の自転車道路網というものを建設していこうということが一つと、それから、駅その他いろいろ自転車の駐車需要の高い場所におきましては、駐車場の整備をやっていこう、もし仮に駐車場の整備ができない場合においても、その解決の途中の段階で解決に至るまでの間は、路上の、たとえば歩道上あるいは車道上においても所要の自転車駐車可というような形で、自転車を置く場所を一応確保していく努力をしようというようなことが当初からの申し合わせでございまして、現実にはこれをそれぞれの地方自治体が中心になりまして、いま申し上げましたような点を進めてまいったわけでございます。
  116. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 ちょっと申し上げたとおり、非常に自転車の盗難がふえている。いろいろな警察調査をした内容を私ども見せていただくと、それほど悪質という内容でないにしても、夜遅く帰って、タクシーに乗らないで、かぎをかけてない自転車に乗っかって途中まで行ってしまうというようなケースがずいぶんあるわけですけれども、都市における自転車で通勤をされるという方々は、きわめて平均的な会社に勤められている、マイカーでなしに自分の通勤の足として遠い住宅から駅まで急いでかけつけてくる。五分、十分を争って電車に飛び乗って毎日通勤されているという、非常に庶民の足になっているわけでございます。しかし、その自転車がなくなった。じゃどうするとあわてても、なかなか出てこない。一体、この自転車の駐車場に関しての主務官庁はどこになるのか明確にしておく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
  117. 室城庸之

    室城政府委員 実は自転車の問題につきまして、自転車の生産等につきましては従来通産省が所管をしてまいりました。また、現実交通の場における自転車の問題につきましては、警察交通取り締まりというような面、あるいは交通安全教育というようなことで、主として警察が担当をしておったように思います。  しかしながら、いま申し上げましたようなことで、今後自転車の通行についての安全を確保しながら、かつ一方において自転車の再評価をするというようなことになってまいりますと、何といっても道路の問題が出てまいります。したがって、この道路の管理者が自転車問題に非常に強い関係を持ってこなければならないし、また現実に持つようになってまいりました。  そうは言いましても、実は、特に駅前のようなところにつきましては、道路の管理者の努力だけでもなおかつ駐車場をつくるというような、いわゆる用地確保対策というものが十分に行き届かない面がございます。したがいまして、私どもでは各関係の政府機関あるいは民間の団体あるいは学識経験者といった方々にお集まりいただきまして、今後こういった問題をどういう角度でとらえていくべきかということでいろいろ検討してまいりまして、実はことしの五月に自転車駐車対策についてという提言をしていただいたわけでございます。  その中でもいろいろな御意見ございましたけれども、自転車駐車場の問題につきましては地方自治体が一応の責任者となることが最も現実的ではないかという角度から、地方自治体の責任をうたっております。しかしながら、特に駅前という特殊な場所の性格といたしまして、何といっても鉄道事業者の協力というものがなければ、なかなか問題解決困難でございます。したがいまして、道路の問題あるいは、いわゆる都市計画その他いろいろな問題を持っております地方自治体が一応の責任者の主体となりながら、鉄道事業者の協力を得てこれを進めていくような形に運ぶべきであろうということが、当面私どもの常識的に考え得る主一体性の問題ではないか。  しかしながら、現実にいろいろな施策を進めていきますについては、もちろん道路管理者の側からも、あるいは警察の側からも、いろいろな関係機関がそれぞれの責任を感じて、協力して問題の処理に当たりませんと、たとえば駐車場をつくりましても、仮に有料駐車場をつくったとして、無料でどこにでも置くというような状態が出てまいりますと、これは駐車場をつくっても駐車場対策にはなりません。したがってそういったものができた場合に、警察指導、取り締まりといったようなものが、当然これと歩調を合わせて進みませんと実効は上がりませんので、そういう意味では実施の責任についてはみんながそれぞれの立場で努力し合おう、駐車場の整備そのものについては、一応地方自治体が主体となって進めていこうというようなことかと考えております。
  118. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 地方自治体が中心になってやられるというお話、それも一つの方法だと思いますが、現状の中で、たとえば駅前の開発ということの中で、自転車の駐車場というものは当然考えられるわけですけれども、地方自治体が、駅前は非常に土地が高い、これを覚悟してやっていくということも一つは大変な問題がある。もう一点は、たとえば国鉄にしても、かけ合ってもなかなからちがあかないというケースがずいぶん出ているわけです。地方自治体で国鉄にひとつここのところを開放してもらって駅前の整備をしたい、あるいは自転車の駐車場を設置したいと言っても、国鉄の方ではなかなかそういうわけにはいかない。十分な答えが返ってこない。単に自転車という形だけでとらえないで、都市交通の問題、駅前の問題、新しい都市づくりの問題という観点からいけば、やはり国鉄、私鉄までも含めてきちっとした調整ができる主務官庁を決めて、そして駅前の整備に当たっていく、新しい都市交通の一端を担う自転車置き場あるいは自転車道路というものを考えていかなければならないと思うのです。  私は要望としては、地方自治体にだけそれを任しておくというのではなしに、関係省庁が話し合いをされていろいろな計画を進めるということはもちろんお話しのとおりでありますけれども、やはり中央においても主務官庁をきちっと決めてこの問題に取り組んでいただきたい、こういう要望をまずしておきたいと思います。  それから、具体的に駅前に駐車場をつくろうということになりますといいま申し上げたとおり駅前の地価が非常に高い。現実に、つくるという場合になかなか財源も十分でない、こういう駅前の自転車置き場に対する財政的な問題はどうしていくかということをまずお尋ねしたいと思います。
  119. 室城庸之

    室城政府委員 実は従来、六十四のモデル都市を中心にして、現実に解決のできるものについては努力をしていこうということで、かなりのところに駐車場ができておるわけでございます。しかし、それを上回って駐車場の需要が次々出てまいっておるというような現状でございまして、その努力をした結果、どうしても解決つかない、いまおっしゃいましたように駅前にどうやっても土地がない、現実に土地がない、したがって、買う以外に解決のしようがないんだというような個所が結局伸び悩んでおるということでございます。  そこで、今後のそういった土地取得の方法といたしまして、一つは都市計画で駅前広場というものをもう一度考え直してみるという方法があろうと思います。それからもう一つは、駅前広場そのものを改造するということには及ばないまでも、現在ある実態の中で利用できる土地をとにかく自治体で買い上げていこう、買い上げるにつきましては一応自治省の方で起債を用意いたしまして地方自治体の要望に沿うようにし、かつ現在、来年度の予算要求の中で取り上げておりますけれども、建設省サイドから利子補給制度という新しいアプローチを考えております。これは五カ年計画で約三百億円の土地の取得ということを前提にいたしまして、来年度三十億円、その三十億円の土地を買いますために必要な利子補給、要するにこれを買いますと、最初の間はほとんど利子を払っていくようなかっこうになりますので、地方自治体が買いました場合に地方自治体の支払うべき利子分だけは全部建設省の方で補助していこうというような制度を考えまして、これがもし実現するとすれば、来年度四十九カ所につきまして、いま申し上げましたようにどうしても土地がない、しかしこの制度ができれば四十九カ所の土地取得が可能であるということが一つの新しい試みとして考えられております。  もう一つは、そうはいいましてもなかなか広大な面積を取得するというわけにはまいりませんので、得がたい土地でございますが、取得いたしましたならば、立体的にこれを最有効に活用する工夫はないかというようなことで、立体駐車施設といったようなものも、構造的な問題あるいはそれを運営しますためのいろいろな技術的な問題、こういったものについても現在検討を進めております。
  120. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 五カ年計画で三百億の利子補給をするというのを来年度の予算の中に組み込まれる、そういう予算要求をされるということは一つの大きな前進だと私は思います。しかしもう一つ困難な問題は、そういう利子補給を実際にするという形になっても、いよいよ地方自治体で駅前のたとえば国鉄、私鉄の用地を確保しようといった場合に、国鉄も私鉄もそうやすやすと土地を、売るにしてもあるいは臨時にお貸しをしますということにしても、なかなか現実にはむずかしい。一体そういう問題で国鉄やあるいは鉄道事業者に対してどのような指導をされていくのかという点が第一点。  もう一点は、一体そういう状況の中で国鉄ではどういう姿勢でこういう問題に取り組んでいこうとしているか。  二点についてお答えをいただきたいと思います。
  121. 植村香苗

    ○植村説明員 駅前の自転車駐車場につきましては、現実問題として道路管理者なり地方公共団体がおつくりになる場合に、用地がない、鉄道の用地しかないというような場合も多々ございますので、われわれといたしましては、四十八年以来、道路管理者あるいは地方公共団体から自転車駐車場について土地を使いたいというような要請がありましたような場合には、可能な限り鉄道の用地をこれに充てるように、通達に書いて指導してまいっておるところでございます。  現状を申し上げますと、ちょっとデータが古いのでございますけれども、国鉄でございますと全国で六百三十五駅、六百六十二カ所、六万五千百十平米にこれを適用しておるというのが現状でございますし、それから大手民鉄でございますけれども、これは面積につきましては把握してございませんが、五十二年三月末現在で三百二十八駅。地下鉄が四十六駅。それから中小私鉄で十四カ所、これはちょっと古くて五十年十月の調査でございますが、おのおのそういったことで用地を提供させていただいておるというような現況でございます。
  122. 佐藤一成

    ○佐藤説明員 お答えいたします。  国鉄としての自転車置き場に対します基本的考え方は、先ほど総理府さんの方からお話がありましたのとほとんど同じでございます。要するに基本的には都市施設の一環として地方自治体が設置すべきものであろうというふうに心得ております。しかしそうはいいますものの、旅客の利便という観点から、現に保有しておりますところの土地なり高架下なりというものを業務上支障のない範囲において幾らか軽減するという形での御協力は従来からもやってまいりましたし、今後ともそういう方向で御協力申し上げていきたい、かように考えております。数字等につきましては、いま運輸省から数字、大体当たっております。そういうぐらいのかっこうで従来からやってまいりました。  ただ、やや遅い気味があるじゃないかというふうな御批判、十分承知しております。と申しますのは、やはり業務上の支障ありやなしやというのは、きょう自転車置き場をつくって来年壊すというふうなかっこうになりますと大変な社会的な資本のロスというふうなこともありますので、ある程度の長期間という見通しを立てませんとうまくないものですから、そういう面でややおくれぎみではないか、遅いではないかという御批判があろうと思いますけれども、そういうふうな問題が背後にあるということにつきまして御了解願いたいものと思っております。  なお今後の問題につきましても、そういう方向でございますので、具体的な場所等につきましては、前広に、御相談いただければ、そういうかっこうで御検討を申し上げてまいりたい、かように考えております。
  123. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 国鉄にもう少し詳しく、そういうことは可能かどうかお尋ねを申し上げたいのですけれども、いずれにしても駅前あるいは駅周辺の土地というものは非常に地価が高い。これを立体的に利用していくということは、当然これから大きな都市の駅に関しては考えられなければならないと思います。たとえば国鉄の車庫であるとかあるいは駅周辺をもう少し立体的に使う、あるいは国鉄の運賃改正法の中でもいろいろ議論されましたけれども、国鉄の多角経営みたいな形がいろいろな意味で制約はあるわけですが、有料の立体的な駐車場というようなことも将来考えられないのか、もう少しそういう意味で、いまあるものを利用するという方向は今後考えられないのかどうか、簡単で結構ですから展望をお聞かせください。
  124. 佐藤一成

    ○佐藤説明員 先生ただいま御指摘の点、非常に大事な点だと思っております。それで現在国会に御審議いただいております関連事業問題、土地利用問題で、当方でいろいろなかっこうでどういう業種が関連事業としてやれるかということを鋭意研究しておる最中でありまして、その中で立体自転車駐車場というものの業種があるかという御質問であるとするならば、現在のところないと申し上げたい。企業的にどうもうまくない。企業的にはうまくないという意味においてあるかないかということであるとすれば、ございませんということでございます。  それから駅前広場の近くで国鉄用地云々ということでございますが、都市施設としてつくるということになりますれば、これから応分の協力をするいうことになります。それからそうでなくて、現在不要であろうと思われるところを具体的な個所として地方自治体の方がお申し出いただく場合は、不要地につきましては、当方鋭意売却を促進しておるものでございますので、お買い上げをいただきたいという希望がございます。そういう感じでございます。
  125. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 自転車の駐車場の問題は、非常に切実な問題でありますから、いろいろな関係の省庁の皆さん、あるいは地方自治体のそういう要求のあるところに関しては、できるだけ連絡をとり合いながらスムーズに、毎日の通勤の皆さんの足でもございますので、ひとつ御検討を積極的にしていただきたいと思います。  それから、毎日通学であるとか通勤であるとかあるいは買い物に使われている生活道路としての自転車道路と、かなり大型の自転車道路、サイクリングロードというものができているわけでありますけれども、そういうものの連絡ができていない。たとえば狭山にあるサイクリングロードとその周辺の都市あるいは多摩川、東京の三多摩地域を割って流れている多摩川の両サイドには、サイクリングロードがずいぶん細切れでありますけれどもできております。やがてこのサイクリングロードは、ずっと多摩川の両サイドにできると思いますけれども、こういう多摩川と隣接をして、いま恐らく日本で最大のニュータウンがつくられている多摩ニュータウン。ニュータウンの生活道路の中にある自転車道路と、この大型になるであろういまつくられているサイクリングロードと、多摩川との連絡というものが全く考えられていない。いま尾根幹線などというのが、ちょうどニュータウンから多摩川を渡って建設中でありますけれども、この尾根幹線をわれわれが行って実際見ても、その中には自転車の専用道路というものが考えられていない。たとえばオランダであるとかドイツであるとか、ヨーロッパの国々の中でも、すばらしいアウトバーンがあって、そのアウトバーンのサイドにもきちっとした自転車専用道路というものが必ずつくられている。ところがいま新しいニュータウンがつくられているところでさえもそういう配慮がされていない。こういう自転車専用道路のネット化ということが都市においてはぜひ必要だし、また自転車の交通事故が非常にふえているという現状から見ても、やはりこれを網の目のようにつないでいかないと、それが生きてこないという気がするわけですけれども、その辺についていかがでしょう。
  126. 中野三男

    ○中野説明員 私ども、十年ほど前から、都市交通の問題を人の動きと物の動きに分けて検討してまいったわけでございますが、人の動きを中心といたしました都市交通実態調査、つまりパーソントリップというのをやってみまして私どもわかったことは、都市交通の中に占める歩行者あるいは自転車の交通の割合というのは全トリップの約五〇%に達しているということが初めてわかったわけであります。その五〇%のうち約四〇%くらいが歩行者で、一〇%くらいがおおむね自転車になると思いますが、こういう大きな割合を占める都市交通の手段に対して、道路政策上何らかの手を打つ必要があるということから、国会の方でも自転車道の整備等に関する法律をつくっていただきましたし、私どもでも道路法を一部改正いたしまして、自転車道及び歩行者専用道というようなものを道路法上位置づけしたわけでございます。なお、道路整備特別会計の中からそういったものに補助金が出せるような仕組みにしてまいって今日に及んでいるわけでございます。駐車場も含めまして、自転車道の問題は、先ほどから御指摘がございますように、都市施設として位置づけすることが必要であろうというふうに私ども考えておりますし、その地域実態に応じまして、おっしゃいますように、ネットワークとして形成することがぜひ必要だというふうに考えておりまして、鋭意そういう指導をいたしてまいっておる次第でございますが、御指摘のように、まだ十分ではないというふうに私ども認識いたしております。  なお、最近におきましては、交通の混雑あるいは公害問題あるいは省エネルギーというようなことから、自転車交通というのが非常に簡便性あるいは自在性というものを持っておりまして、短距離の交通手段としては非常に再評価されてまいっておるわけでございます。私どもはこの自転車交通を通勤通学あるいは業務交通、レクリエーションというふうに分けて考えておるわけでございますが、そういうそれぞれの目的によってネットワークを形成する必要があるというふうに考えております。  整備の仕方も、道路事業でやる場合あるいは都市計画事業でやる場合、いろいろございますし、また交通安全施設として、警察の方で、公安委員会の方で設置する自転車通行帯というようなものもあるわけでございますが、長期的に見て、これが市街地の中の安全な交通手段としての自転車道路のネットワークを形成するように、これからも十分指導してまいりたいというふうに考えております。  なお、今年度から御指摘のようなネットワークを形成するために、地方自治体がそういう調査をいたしたいという場合には、私どもの方でも計画策定のお手伝いをするための助成をすることにいたしております。できるだけそういう方向で、御指摘のような努力を続けてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  127. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 ちょっと部分的な問題で恐縮ですけれども、しかし東京全体から言うと、東京の二十三区と三多摩地域という二つの地域の大変重要な問題でありますから、お尋ねしておきたいのですが、ニュータウンがいまつくられているわけです。これは間違いなく周辺を集めて四十五万から五十万都市になっていく。それを多摩川などで結ばれていくわけです。私どもいろいろ調査しましたけれども、尾根幹線に自転車専用道路をいまのうちに計画するならできる可能性があるというお話を伺っておるわけです。その点についてはぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  128. 中野三男

    ○中野説明員 答弁漏れで大変申しわけございませんが、多摩ニュータウンと多摩川を結ぶ御指摘の自転車道の構想につきましては、多摩ニュータウンの区域の中につきましては、尾根幹線と称しております都市計画道路の側道部分の中に自転車、歩行者の通行帯を設置することになって部分的に工事をやっておるようでございます。  なお、ニュータウンの区域の外と申しますか、多摩川までの間につきましては、ニュータウン事業として用地取得するということもできないわけでございまして、ニュータウン事業とは別個に歩行者のための尾根幹線の歩道とあわせまして自転車通行帯を整備するように東京都においても検討中だと聞いておりますので、御指摘のようなことを東京都に伝えまして早急に検討させたいと思います。
  129. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 大変時間がなくなってまいりましたから急いで御質問させていただきます。  自転車の利用が非常に多くなってきたということで、歩道とその隣に自転車の通行帯を設けようという声がずいぶんふえてまいりました。恐らく自転車の専用通行帯というのをつくられていると思いますが、実はこの間、九月二十八日付の読売新聞だったと思いますけれども、これは八王子だけじゃなくてずいぶんあちこちにあるという中の一例なんですが、自転車の専用通行帯ができた。ところが、通行帯を走っていきますと、前にガードレールがあって先へ行けない。したがって、みんな自転車の通行帯を走らないで、歩道を自転車で乗っていくというケースもある。これは八王子の大横町という交差点で、私も実際見てまいりました。現実にそうであります。こういうケースがずいぶんある。自転車の通行帯等々の問題を含めて、やはり利用する方々の立場に立ってこういう問題に取り組んでほしい。それから、たとえば交差点の中における自転車の通行というものも、特に左折の場合なんか非常に危険がある。こういう問題についてひとつ慎重に取り組んでいただきたいという点がまず一点。  それから、ちょっと自転車の問題と外れるのですけれども、いまちょうどニュータウンの問題を申し上げましたからあわせて申し上げておきたいのですが、たとえば、大きな多摩ニュータウンあるいは千葉県で行っている千葉のニュータウン、大阪の千里ニュータウン、全部われわれが見て調査をしてまいりますと、これだけいま福祉だと言われている時代に、車いすで歩ける町づくりじゃないのですね。みんな段差がある。だれか健康な人の手をかりないと車いすでは町を歩けない。本当に内臓のしっかりしている、健康な方とほとんど変わらないという方々でも車いすを使っているわけですが、普通ですと自力で歩けるのに、そういう道路事情で車いすでもなかなか歩けない。こういう方々の車いすでも歩ける新しい町づくりというものを交通全体の中でもぜひひとつ早急に検討していただきたい。ニュータウンへ行ってみて私実は驚いたわけでありますけれども、いまこれだけ新しい時代、新しい町づくりが行われている。そして一方では福祉だと言っている。福祉ということはお金を少し上げるということではなしに、やはり体の不自由な人ができるだけごく通常な生活ができるという道を開いてやることではないかという気が私はします。そういう点についても、少なくとも新しい町づくりをされているところ、もちろんいままでつくられているところに関しても、車いすでもそういう通行ができる町づくりを交通全体の中で御検討をいただきたい。  この二点についてお願いを申し上げます。
  130. 杉原正

    杉原政府委員 最初の御質問の点でございますが、さっきからの御質問の中にありますように、いまの交通というのは自転車利用者がある意味で非常にしわ寄せを受けている面がございます。道路交通法等を見ましても、自転車の通行方法というのは非常に少ない部分しか割いてありませんで、とりわけ交差点の自転車の交通事故はほとんどが死亡に結びつく事故でありますが、そういう面が必ずしも明確でない。そこで、先ほど御指摘がありました八王子等のあれも、まだ法律上こうだということでなくて、こうやれば何とか自転車がうまくいってくれるんじゃないかという願いを込めた試験実施でやっているものでございますが、試験実施だけにまた逆にそれに伴う障害も出てくるということで、特に自転車の場合には交差点の通行方法を中心にどうすれば一番安全な通行ができるか、道路によっていろいろ条件が違いますので、いろいろな方式を組み合わせながら一つの教程みたいなものをつくってみたらどうだろうということで、いま作業をいたしておりますが、今後法令の整備の問題もあわせて早急に手を打ってまいりたいと考えております。
  131. 中野三男

    ○中野説明員 既成市街地の中ではおおむね歩道と車道の段差解消というのは進んでおると思うわけでございますが、新市街地でこれから造成工事を行うというようなところについては、当然御指摘のような配慮をすべきだと考えますので、十分指導をしてまいりたいと思います。  御指摘の千里ニュータウンなどは、こういった問題が世論として高まる前に工事がやられたものでございまして、しかもニュータウンの造成主体は、仕事が終わればそれから先の工事費を持っていないものでございますから、そういうものは今度は一般の道路として地方公共団体に引き継ぐわけでございますが、引き継がれた地方公共団体はまだそういうところまで手が届いてないというのがあるいは実態かもしれないと思いますが、御指摘のように、当然私どもそういうことをこれからも十分注意して実施していきたいと考えております。
  132. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 時間が参りましたから質問を終わりますけれども、実は先ほどの八王子の例でございますが、これは現実に自転車で通行ができない。警察の方が来て自転車通行帯の線を引っ張った。ところがその先にはガードレールがきちっとあって通行できないわけですから、こういうことはただテストをやってみたということだけではなしに、テストをやってみたってはっきりわかっているわけで、これは手落ちなんですから、こういうことに関してはひとつ細心の注意を払ってやっていただきたいということを御要望申し上げます。  また、ニュータウンづくりはいま現実に行われているわけですから、まあ千里ニュータウンはできてしまったからというお話もありましたけれども、やはり本当の福祉というものは、体の不自由な方々を部屋の中に閉じ込めてそしてそれに何かの手当をつけてあげるということではなしに、できるだけ一般の人たちと同じような生活ができる道を開いてやることが、こういう方々に対しての本当の福祉だと私は思うのです。そういう意味の町づくりが、やがていろいろな意味で、精神的にも本当に福祉社会というものをつくり上げていく基礎になると思いますので、公団がやっているなどということでなしに、ぜひきちっとした指導をしていただいて、新しい町づくりにも、また旧来の町に関しても、ひとつ車いすでも歩ける日本列島をつくっていただきたいと強く要望して、私の質問を終わります。      ————◇—————
  133. 鈴切康雄

    ○鈴切委員長 この際、連合審査会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  内閣提出、航空機強取等防止対策強化するための関係法律の一部を改正する法律案について、法務委員会に連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 鈴切康雄

    ○鈴切委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会の開会の日時につきましては、委員長間において協議の上、決定いたしますので、御了承ください。  次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十分散会