○山岡
政府委員 住宅建設五カ年
計画を策定いたします際には、
住宅宅地審議会の答申を得ることになっております。今回の第三期五計をつくりますに当たりまして答申をいただいておりますけれども、その答申の中に留意点がいろいろと書いてございます。その一番最後に、「今後の
経済社会の動向等により、
住宅需要が
計画から大幅にかい離することが明らかになったときには、速やかにこの
計画の見直しを図ること。」というのが付されております。したがいまして、われわれも、
経済動向等によりまして大幅に乖離ということが明瞭になった場合には、この留意点に従いまして、
計画の見直しをやらなければならないということになると思っております。ただ現在、五カ年
計画の改定を要するかどうかという問題の中身といたしまして、四点ばかり実は私問題があろうかと思っております。
第一点は、
先生が御
指摘になりました現在宅地の供給が予定どおり供給できるかという問題でございます。全体八百六十万戸のうちでその約四割、官民合わせての数字でございますが、たまたま公的
住宅と数字が同じになっておりますが、三百五十万戸分につきましては新規の宅地の供給が必要だということで、六万六千ヘクタール供給が必要だというのが
計画の骨子でございます。それにつきましては、先ほど
計画局長からもお話がございましたとおり、必ずしも楽観を許しませんけれども、各種の施策を講じまして、この五カ年中には何とか達成をしたいというふうに
見通しを持っておるわけでございます。
要因の第二点は、
先生いまおっしゃいました
民間住宅の
建設の落ち込みでございます。これにつきましても、たとえば
民間住宅の
建設水準というのはやはり五カ年
計画等で望んでおります水準に近づいておりまして、着々と向上はいたしておりますけれども、現在のところ、
先生おっしゃいますように、いまの
年度で見まして、八月末の分では公的資金のものが五・七%昨年よりふえておりますけれども、
民間資金のものは六・三%減、トータルいたしまして約三%減というようなことになっております。暦年で見ますと、一月から八月までの分で公的資金によるものは四・八%増、それから
民間のものが三・八%減、トータルいたしまして一・五%減、こうなっております。
しかしながら、全体といたしまして、ことしの
住宅建設の
見通し等を振り返って見ますと、昨年の五十一年は百五十三万戸という着工でございました。これは
昭和四十六年の水準でございます。四十七年に非常に高くなりまして、四十八年から若干落ち始めまして、四十九年、五十年には激減したわけでございますけれども、次第に回復してまいりまして、五十一年にやっと四十六年の水準まで回復したわけでございます。ただ、中身をよく検討してみますと、一番家ができましたのが
昭和四十七年の百八十七万戸というときでございますが、そのときの総床面積と五十一年の総床面積と比べますとほとんど同じぐらいになっております。規模がだんだん向上してまいっておるということだと思います。
それから戸数の
見通しといたしまして、先ほど
先生おっしゃいましたけれども、公庫の十万戸増等もございまして、本
年度は昨
年度を上回るおおむね百六十万戸程度というふうに見込んでおります。これはもちろん公的、
民間を含めた話でございますので、問題点としては、
民間住宅の
建設の落ち込みをどうするんだという問題が残ります。ただ、
民間の内訳を見てみますと、
民間の中では、伸びておりますのは分譲
住宅でございます。分譲
住宅はもう二八・七%ぐらい伸びておるわけでございます。それに比べまして、その他の借家、給与
住宅等が減っておるということでございまして、公的資金によるものにつきましては、給与
住宅以外はいずれも伸びておるというのが現状でございます。
これらの時勢を踏んまえまして、
民間につきましてもさらに足らざる面の応援をいたすということに努めまして、十分に進めてまいりたいと思っております。特に
住宅ローンの貸し出し
状況が昨年は三兆を超えました。ことしは四半期別に見ますと若干減っております。これにつきましては先ほどもお話が出ましたけれども、土地が高値安定だとかいろいろなことがございまして、ローンに対する返還の増等から見まして持ち家取得の伸びが若干下がったというふうに言われております。しかし、これらにつきましても、最近の金利の低下等からまた盛り返しをするという傾向がございますので、
民間住宅につきましてもまあまあ何とかなるのじゃないかという感じを私は持っております。
第三番目は、公的
住宅の大
都市を中心とする落ち込みでございます。これにつきましても、特に最近の公団の
状況等のようにとにかく数だけつくるということから離れまして、内容のいいものを供給していきたい。
それからこの前
先生から御
指摘いただきましたけれども、公営につきましても実施の主体を考えながら、一万五千戸の新しい構想を伴いながら来
年度も全体の戸数を減にした、公団
住宅も既存のものの改良等に
重点を置くために戸数を減したというような
状況もございますけれども、これも五カ年間の
事業の実行につきましては大いに挽回してまいりたいと考えております。
第四番目の、
計画に対します検討を要すべき要点といたしましては、三全総の策定ということがあると思います。三全総の関係につきましては、全体としての
見通しは非常によく整合性はとられておるというふうに思っております。マクロの
計画としての整合性は十分とられておるわけでございますけれども、今後定住圏構想がだんだん定着してまいりますと、五カ年
計画の中には三つございまして、地方
住宅五カ年
計画、都道府県五カ年
計画等がございますが、そういう点につきましてはマクロの中でミクロにおろす場合の問題ということで、そういう定住圏構想とのすり合わせを十分行っていく必要がある、そういうものについては
相当思い切って大胆に
計画の変更等についても考えていくべきではないかというふうに考えております。
したがいまして、いま申し上げましたように
計画の検討の要因といたしまして、宅地の供給
見通し、
民間住宅の
建設の落ち込み、それから公的
住宅の大
都市を中心とする落ち込み、またそれらに対する対策、それから定住圏構想とのすり合わせ等々、検討すべき問題がございます。しかしながら、先ほど申し上げましたような
状況でございますので、当面五カ年
計画を直ちに改定したいというふうには思っておりません。ただ、地方
住宅建設五カ年
計画、都道府県五カ年
計画等につきましては、先ほど申し上げましたとおりに
相当弾力的に運用しなければならないだろうというふうに考えておる次第でございます。