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1977-11-02 第82回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十一月二日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 塩谷 一夫君 理事 野中 英二君    理事 渡辺 栄一君 理事 中村  茂君    理事 福岡 義登君 理事 北側 義一君       江藤 隆美君    大塚 雄司君       瓦   力君    坂本三十次君       住  栄作君    谷川 寛三君       中尾 栄一君    中島  衛君       松野 幸泰君    渡辺 紘三君       井上  泉君    伊賀 定盛君       下平 正一君    吉原 米治君       渡部 行雄君    谷口 是巨君       古川 雅司君    西村 章三君       瀬崎 博義君    甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 長谷川四郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 田澤 吉郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁土地局長 松本 作衛君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         資源エネルギー         庁次長     大永 勇作君         建設政務次官  小沢 一郎君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 中村  清君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         大蔵省主税局総         務課長     梅澤 節男君         日本国有鉄道新         幹線建設局長  吉村  恒君         住宅金融公庫総         裁       大津留 温君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   大平 拓也君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月一日  辞任         補欠選任   甘利  正君     刀祢館正也君 同月二日  辞任         補欠選任   刀祢館正也君     甘利  正君 同日  辞任         補欠選任   甘利  正君     刀祢館正也君     ――――――――――――― 十月二十八日  主要地方道近江八幡員弁線国道昇格に関する  請願山下元利紹介)(第五九五号)  公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願(松  本七郎君紹介)(第六四六号)  同(渡部行雄紹介)(第七三四号)  国道一六一号西大津バイパス早期完成に関す  る請願山下元利紹介)(第六四七号)  九州横断自動車道別府市内住宅地域通過反対  に関する請願(阿部未喜男君紹介)(第七三三  号)  下水道工事用管材として陶管使用に関する請願  (久野忠治紹介)(第七六一号) 同月二十九日  公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願(新  盛辰雄紹介)(第八二〇号)  同(浦井洋紹介)(第八五五号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第八五六号)  同(山原健二郎紹介)(第八五七号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第九五二号)  同(藤原ひろ子紹介)(第九五三号)  同(中西積介紹介)(第一一七八号)  尾瀬分水広域的運用に関する請願濱野清吾  君紹介)(第一〇〇三号)  下水道工事用管材として陶管使用に関する請願  (中野四郎紹介)(第一〇〇四号)  諏訪湖流域下水道の三次処理実施に関する請願  (井出一太郎紹介)(第一二九八号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一二九九号)  同(倉石忠雄紹介)(第一三〇〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第一三〇一号)  同(清水勇紹介)(第一三〇二号)  同(中島衛紹介)(第一三〇三号)  同(羽田孜紹介)(第一三〇四号)  関越自動車道直江津線建設促進に関する請願  (井出一太郎紹介)(第一三〇五号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一三〇六号)  同(倉石忠雄紹介)(第一三〇七号)  同(小坂善太郎紹介)(第一三〇八号)  同(中島衛紹介)(第一三〇九号)  同(羽田孜紹介)(第一三一〇号)  交通渋滞緩和対策促進に関する請願井出一  太郎君紹介)(第一三一七号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一三一八号)  同(倉石忠雄紹介)(第一三一九号)  同(小坂善太郎紹介)(第一三二〇号)  同(清水勇紹介)(第一三二一号)  同(中島衛紹介)(第一三二二号)  同(羽田孜紹介)(第一三二三号) 同月三十一日  上武国道バイパス計画早期着工に関する請願  (大成正雄君外一名紹介)(第一七六二号)  国道一六号大宮バイパス建設促進に関する請  願(大成正雄君外一名紹介)(第一七六三号)  宇和島市夏目ヶ市営住宅の建てかえ延期に関  する請願平石磨作太郎紹介)(第一七六四  号)  多摩川右岸流域下水道南多摩処理大栗幹線の  建設促進に関する請願工藤晃君(共)紹介)  (第一九九八号) 十一月一日  諏訪湖流域下水道の三次処理実施に関する請願  (中村茂紹介)(第二二三〇号)  同(原茂紹介)(第二二三一号)  関越自動車道直江津線建設促進に関する請願  (原茂紹介)(第二二三二号)  交通渋滞緩和対策促進に関する請願中村茂  君紹介)(第二二三五号)  同(原茂紹介)(第二二三六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月三十一日  九州高速自動車道建設促進に関する陳情書  (第一五九号)  北陸自動車道早期完成に関する陳情書  (第一六〇号)  国道大阪、河内長野間の早期建設等に関する陳  情書(第一六一  号)  道路整備促進に関する陳情書  (第一六二号)  国道二号の緊急対策確立等に関する陳情書外一  件  (第一六三号)  街路整備事業費の増額に関する陳情書外一件  (第一六四号)  道路舗装補修事業に対する国庫補助枠拡大に関  する陳情書  (第一六五  号)  有料道路事業経営健全化対策に関する陳情書  外一件  (第一六六号)  地方道路公社経営健全化に関する陳情書  (第一六七号)  地方道整備促進に関する陳情書  (第一六八号)  下水道整備事業促進に関する陳情書外二件  (第一六九号)  水資源対策充実強化に関する陳情書外三件  (第一七〇号)  四国早明浦ダム濁水対策等に関する陳情書  (第一七一号)  離島振興対策事業拡充強化に関する陳情書外  一件  (第一七二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、日本鉄道建設公団理事大平拓也君に参考人として御出席をお願いし、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  4. 伏木和雄

    伏木委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  5. 井上泉

    井上(泉)委員 まず最初に、私は委員長にお願いをしたいわけですけれども、この信濃川の廃川敷処分の問題につきましては国会の中でもずいぶん論議をされ、参議院におきましてもこれを徹底的に究明するような決議もなされた。その経緯の中からかんがみて、まだ当委員会としては一回もこの問題を審議をしたことがないわけでありますが、この審議をしてないにもかかわらず、このたび建設省決裁をされたという報道の中に、一部野党暗黙了解、こういう報道がなされておることに対して、私は奇異に感ずるわけです。それは一部野党、あるいは了解を与えた党もあるかもしれませんけれども、少なくとも私ども社会党はそういう了解を与えた覚えがないし、徹底的審議ということについてはどうしてもいつかの機会にやらなければならぬということを絶えず提起をしておったわけでありますが、委員会として改めてこの信濃川河川敷問題そのものに限って審議をする委員会の日程というものを早急に定めてもらいたいと思うが、どうですか。
  6. 伏木和雄

    伏木委員長 ただいまの井上君の御発言でございますが、後刻理事会におきまして協議をいたしましてしかるべく結論を出したいと思います。
  7. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、一部野党暗黙了解というようなことが天下の朝日新聞から報道されておることは非常に憤慨にたえないわけですが、建設大臣としては一部野党にそういう了解を得ておるのですか。
  8. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 一部にも二部にも暗黙了解を得た覚えはございません。
  9. 井上泉

    井上(泉)委員 一部にも二部にも暗黙了解を——なかなか毅然たる態度で結構でありますが、その毅然たる態度を貫くという姿勢と今度の決裁とはいささか相反しはしないか、こういうふうに思うのですが、大臣は、三木総理の当時にも三木首相はこれが徹底的に究明されない限りにおいてはこれの処分決定はしない、あるいは参議院においてもそれに対する究明の決議がなされた、そしてそれに対する国会としての審議が一回もなされてないということは、御承知ですか。
  10. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 その後小委員会でもっていろいろ審議が十分行われたということを私は伺っております。
  11. 井上泉

    井上(泉)委員 その小委員会とはどういう小委員会ですか。
  12. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 小委員会とは、予算委員会で特別の委員会を設けてこの問題に対して審議をしたそうであります。
  13. 井上泉

    井上(泉)委員 予算委員会の小委員会で特別のあれをした、こう言われるわけですが、それはいつといつとにそういうことをしたのですか。当建設委員会としては、担当の所管委員会としてはこの問題で一回も論議をしたことはないのですが、そのことは大臣承知をしておりますか。
  14. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 建設委員会で小委員会を設けてやったということは伺っておりません。
  15. 井上泉

    井上(泉)委員 ちょっと不明瞭ですよ。自信ないから答弁があやふやだ。もう一回言ってください。
  16. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 先ほど申し上げたのは、五十一年六月の三日予算委員会の小委員会において十分にこの審議が行われたと伺っております。
  17. 井上泉

    井上(泉)委員 五十一年の六月三日の予算委員会で十分な審議が行われた、こう言っておるのですけれども、この所管委員会で一回も審議をされてないのですがそれで十分な審議が行われ、小委員会結論はもう廃川敷の処分をしてもよろしいというような審議の経過であったのですか。
  18. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 よろしいという結論は出ておりません。小委員会というのはおのずからその国会限りの委員会でございまして、その国会限りの委員会でございますから審議が行われたけれども継続して行われないが、十分審議が行われたから議会の方はこれでよろしいというふうに考え、さらにまた委員長がかわりましたので委員長に向かって、この審議は小委員会の方の審議もありましたけれども、今度は地元長岡市からこの利用に対する十分納得のいけるものが書類が提出されましたから、これによって廃川敷処分をいたしたいと思いますから御了承を賜りたいと、委員長に申し伝えておきました。
  19. 井上泉

    井上(泉)委員 その委員長はだれで、そういう申し入れをしたのですか。
  20. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 坪川信三さんであります。
  21. 井上泉

    井上(泉)委員 与党の、小委員会予算委員会委員長にそういう申し入れをした、そういう話をした、こう言いますけれども、いままでの審議の過程から考えても私は当建設委員会においても十分論議をすべきことではないか。あなたも政治生活はずいぶん長い、もう三十年に近い人ですが、そういうことは常識として考えないのですか。
  22. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 その間委員会も開かれておって別にこれに対しての御質問も伺っておりませんで、お答え申し上げる機会もございませんでした。
  23. 井上泉

    井上(泉)委員 委員会を開いてこの問題について別に論議もしなかったからお答えする機会もなかった、こう言うわけですけれども、国民の非常に関心の強いこうした問題を建設大臣として決定をする場合においては、この委員会に対してもそれ相当の話し合いなりあるいは意見を求めるとかいうようなことをやってこそ議会政治というものが円満にいくのじゃないか、こういうように思うわけですが、建設委員会というものは別段大臣としては重視をしていないのですか。
  24. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 重視してないどころではありません。皆さん方の御意見は十分尊重しておるつもりでございます。
  25. 井上泉

    井上(泉)委員 十分と言うが、これが発表されたときに高橋建設事務次官は、むしろ国会で大いに論議をしてもらいたい、きのうかおとといかこういう談話を発表しておるわけですが、大いに論議をしてもらいたいということは、今後これに対する論議を期待をしておるということですか。
  26. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私は、今回廃川処理をいたしました理由というものは、国会が終わってからいつもこういうようなことをやる、それはいかぬ、国会があるうちに十分論議を尽くすべき問題である、したがって、国会開会中にこういうものは行わなければいかぬ、こういうように申し上げて、その上に立って、今回廃川処分をいたしたわけであります。
  27. 井上泉

    井上(泉)委員 今回、そういって国会開会中に大いに論議をすべきだというのに、国会の終わるいわば間際になって論議をするにもしようのない時間で決定をするということは、いささか腑に落ちないわけですが、これについて大臣は当然の行為だと、こういうようにお考えになっておるのですか。
  28. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 そういうことではなくて、この種のものは、いつも従前のように国会が終えてからこれを処分したとかやったとかということはなすべきではない、盗人ネコが動くようなことはやるべきではない。(「そうだ、そうだ」と呼ぶ者あり)国会開会中に堂々とやるべきである、その議論の余地は十分ある、私はそういうふうに確信を持って今回の処置をいたしました。
  29. 井上泉

    井上(泉)委員 皆さん方、そうだそうだという御支援があるわけですが、これはなんですか、大臣はそういう客観条件というものが整ったと判断をしておるのですけれども、国会審議も十分されてないということ、これは事実ですから、この建設委員会で一遍も審議されてないということはあなた自身もいま言われたでしょう。言われた以上は、やはり審議もしてない中で、申し出がなかったからこれはやらなかった、論議を言われなかったからやらなかったということは、これは国民に対する、大臣としてはちょっと誠意のなさ過ぎる答弁じゃないかと思うのですが。
  30. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 論議のあるようなものを国会に対してこっちの方からやってくれませんかなんて、そんなことはなかなか言えるものではないのでありまして、なるべくそういうものはない方が私たちの方は楽なんでございまして、私の方から進んで、ぜひやってくれなんていうことを申し出ることをやらなかったということは、ちょっと私には聞き入れられないと思います。
  31. 井上泉

    井上(泉)委員 それは、国会はなるべくそんな問題には触れてもらいたくないという、そういう考え方というのは、やはりこれに触れられると困る、これに触れられるとおもしろくない、だから国会でできるだけこれに触れないように置いてもらいたいという、そういう下心というものが私はなきにしもあらずだと思うのです。堂々たる論議国会でしてもらいたいということなら、(長谷川国務大臣委員長」と呼ぶ)ちょっと待って。そう急がぬでもいいです。こんなに急いで決裁をしておいて、急いで国会の会期末にこういうことをされるということ、これは私は大臣の日ごろの性格から考えて何かしらやはり黒い霧の中にあって、これを国民の前にこの疑惑を晴らさない形で、そうしていわゆる室町産業に膨大な利益を与えることに現在のところ協力をした結果になっておる。そういうふうに考えられるわけですが、何もこの室町産業利益のために協力をしてないと、こういう自信がおありですか。
  32. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 申し上げましたように、国会開会中、なお余裕もある中においてやったということは、私としては、十分論議はあるだろう、御意見もあるだろう、そして議論を通じて納得していただけるだろうということで、国会開会中、しかも余裕のあるときに私はこれを行ったのでございまして、この種のものに対して、やったことに対しては納得のいける理由があります。  その理由というものは、長岡市からこれにつきましてのいろいろの計画に対する陳情かございまして、どうしても早期にこれをやってくれないかというような話もあり、御承知のように長岡はいまニュータウンまでつくってやらなければ長岡市民というものを市内に置くことができないような土地狭で、非常に困っておるんだ。ニュータウンをつくるにはこれから十年先もかかる。何としても廃川してもらって、あの河川敷を高度に使っていかなければならないから、ぜひこれには協力をしてくれないかという陳情が再三ございます。  したがって、その内容を見ますと、老人福祉センターだとかあるいは市営プール、県立の普通学校、それから保護センター自然科学博物館、体育館、クラフト村、青少年研究センター、美術館、長岡赤十字病院公園緑地駐車場とか、こういうようなものにまことに困り抜いているから、ぜひひとつあれを早期に廃川をしてもらってやってくれないかというような話がありまして、ただ廃川するといっても内容がどうなっているか、あなたはどういうふうにしてその約束ができているのかというような話を聞きましたときに、大体私は、向こうが三分の一使わせてくれるというようなことでがまんしてくれというふうに言われたけれども、とんでもない話で、半分を私の方が使わせてもらいたいという、そういう契約ができて、こうなりました。しかし、余すその半分も後で利用することになったときには、市長がよろしいと言ったものでなければ、公共性の強いものでなければならないよというように取り交わしもできました、こういうことでございます。  私は市長にそのときに、取り交わしができたからといって、市長とその室町産業との取り交わしじゃいかぬじゃないか、建設省というものがあるよ、廃川処分にするには、後に疑惑の残るようなことはやりたくない、そういうことで廃川処分して、そのあとの半分は、室町産業というのが何か仕事というか事業を、公共性のものをやるときには必ず市長というものとの合意があって、合意の上にやる。その合意ではあるけれども、こういうことを言ってまいりましたというときには直ちに建設省通知をする、そして建設省もこれによろしいと言ったときのみに限るよというような話は、ついでにしておきました。したがって、文書というものをそのとき取り交わしてない、結構でございます、そういたしますと言ったけれども、言葉の交わしじゃいけないから、文書をもって改めてやってもらわなければいけないというので、このごろになってその文書を、新たにお約束どおり文書をもって通知をするから、そのとおりだなということをお願い申し上げまして、そのときには室町産業から申し出があった場合には市長合議をする、合議をする前に、室町産業からこういう申し出がありましたが、いかがいたしましょうか、これなら私はいいと思うけれども、建設省の御意見はいかがでございましょう、こういうことを必ず建設省にお伝え申し上げ、そしてその当否を問います、こういうふうにとにかく長岡市長からの申し出約束か成立しております。でありますから、私はその半分に対してもいろいろな話を伺いますけれども、これに対しての利益はどうなるかわかりませんけれども、そういうように処理をして、それは結構だろうから、市民のため、要するにこれならば国民にも納得してもらうことができ得るだろうという考え方を持って、処理をした次第でございます。
  33. 井上泉

    井上(泉)委員 その大臣考え方は、これは大臣考え方として受けとめるわけですけれども、それは大変に間違っていると私は思うのです。いまこの所有権の問題をめぐって、最初これをその室町産業に売った地主の人たち訴訟を起こしておるが、それはどういう訴訟を起こしておるか、あなたは御存じでしょう。
  34. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 それは民地の方で、私の方のは官有地がほとんどでございまして民有地の方じゃないのですけれども、それは別個にいたしまして、その訴訟は三十九年とか三十何年とか言いましたけれども、そのときの話と約束がだまされたというようなことで訴訟が起こされたと聞いております。訴訟を起こした人は百七十九人のうちの二人だそうでございます。
  35. 井上泉

    井上(泉)委員 その訴訟の結果もどうなるか、まず第一にわからぬでしょう。それからいま大臣は、その訴訟を起こしておるのはほとんど民有地であって、建設省が廃川敷の処分をしたのは大半国有地である、こういうことを言われるわけですが、大半国有地であればあるほど、こういう形で処分をするということは国家利益に反することじゃないですか。
  36. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私は、国家利益に反するとは思わない。たとえばこういうものは法律に、不必要になった場合にはその供出者に返すということになっているのです。不必要になったからその方にお返しを申し上げるのでございまして、国家利益にしようという考え方は持たないのでございます。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 非常に自民党席、いつになく興奮したやじを飛ばしておるのですけれども、私はこの信濃川の廃川敷の問題がなぜ国会の中で大きな論議になったかということを大臣承知をしておると思うのですが、そのことは承知をしておるのですか。
  38. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 問題になったということは、何か三十何年かに室町産業というのがその土地を安い価格で買い取った、そのときの地価とか何とか知りませんけれども、買い取ったというところに問題があったんだろうと私は推察をいたします。しかし今度は国の方は、室町産業に行く、行かないは別個として、それを出してくれた方々お返しをする。その方々がそれを売ってあるか売ってないかは別問題であって、それは私の方は返さなければならない義務があるから、廃川処分と同時にお返し申し上げる、そういう意味でございます。
  39. 井上泉

    井上(泉)委員 廃川敷処分にする前に、信濃川改修堤防の位置をなにした場合に、これは建設省では永久保存書類がなくなった、こういうことでずいぶんマスコミにも報道され、そして国会の中でも論議をされたわけですが、その書類というものは今日まだ見つからないですか。
  40. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私もその点について十分論議建設省内部でもやってみました。その一切については、経緯てんまつをこれから御説明申し上げますから、お聞き取りをいただきたいと思います。
  41. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  第一点は、いわゆる工事実施計画書の伺いのおもて紙がないということで、工事実施計画書そのものが正しいかどうかという問題がございます。  おもて紙というのは、これはおもて紙がなくなったあれでございますけれども、こういう一枚の文書でございます。(書類を示す)このおもて紙の性格を申し上げますと、北陸地方建設局におきまして、こういう工事実施計画書、こんな厚いものでございますけれども、これを本省に出して承認をとりたいけれどもどうであろうかという地方建設局内における決裁の伺いの文書でございます。それに基づきまして、本省に上がってきてそれを本省で決裁をするわけです。しかも、その上におきまして本省で決裁したという大臣の承認書がいくわけでございます。そしてこの工事実施計画書、これは信濃川だけではなくて北陸地建全部のが入っているわけでございます。  それで、おもて紙がなくなったという理由は、いろいろ聞いてみますと、頻繁な使用によりましてこれがとれたとかいうのが第一点。それが四十二年でございますけれども、四十三年、四十四年もおもて紙がないわけでございます。それは、ここにとしておりますとばらばらになってなくなっていくということで、ほかの伺いの決裁文書と一括して別にとしておったのがなくなったような次第でございます。おもて紙というのはそういうふうな性格、地建の中においてこれを本省に出していいかどうかというものでございます。  それで、そういうふうなおもて紙がなくなったこういう書類が正しいかどうかという問題でございますけれども、これにつきましてはその後現場における事業、実施した工事の実態と比較してみたり照合したわけでございます。それからこれにはっきりと大臣の承認書もついておるわけでございます。また、伺い書はなくなっておりましても地建局長の公の発簡番号がついた、公印がついた書類も載っておるわけでございます。また、この伺い書はありませんけれども、この本件につきましては、いわゆる文書取扱の責任者でございます庶務課長の手を経まして正規に保管されておるということから、以上総合しまして私たちとしましては、この工事実施計画書というものが正しいものであると確信しておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、一番上の伺いの一枚紙がなくなった、しかもそれは地建内における伺いであるという次第でございます。  以上でございます。
  42. 井上泉

    井上(泉)委員 最初導流堤でやると言ったのが本堤防になった、それで、こちらの方はいわゆる廃川敷地になった。それが最初地元との話の中では、そして地建の計画では、これは霞堤としてやる、こういうふうに言っておったし、それが本堤に変更して、そしてたくさんの廃川敷地をつくった経緯というものが不明瞭だ、こういうことが当時からも指摘されてきた問題の土地でしょう、そのことには間違いないでしょう。
  43. 栂野康行

    栂野政府委員 まず、導流堤からいわゆる本堤に締め切ったという経緯を御説明いたしたいと思います。  まずこの地区につきましては、昭和三十八年度の総体計画におきまして霞堤として掲上されておるわけでございます。その際に、それを締め切るかどうか今後の懸案事項ということで残されておったわけでございます。それから昭和四十年度以降の直轄河川改修の新五カ年計画、これは第二次五カ年計画でございますけれども、ここにおきましても霞堤として掲上されておる次第でございます。それから昭和四十年から霞堤として、本堤地区の築堤工事に着工した次第でございます。それで昭和四十三年に至りまして第三次治水事業五カ年計画を策定する時期、またたまたまこの霞堤の工事というものが最終に当たっていたということで、いろいろ検討した結果、霞堤を連続堤に変更したという次第でございます。したがいまして、昭和四十三年に作成されました第三次の治水事業五カ年計画におきましては、連続堤として計画されておる次第でございます。  なお、この締め切り堤防というものは昭和四十五年に完成してございます。
  44. 井上泉

    井上(泉)委員 これに対する質問は後にします。というのは、国土庁長官が他の委員会の関係で時間を割いてこちらへ来られたので、まず国土庁長官に伺います。  きのう第三次全国総合開発計画の答申がなされたわけです。その中身についての論議というものはきょうはする時間帯がないわけですが、これについて国土庁長官として、この計画の遂行に当たっての所信というか、そういうものを承っておきたいと思います。
  45. 田澤吉郎

    ○田澤国務大臣 第三次全国総合開発計画につきましては、すでにこの委員会でもお答え申し上げましたが、昭和四十四年につくられました新全国総合開発計画の見直しと長期見通し、すなわち第三次全国総合開発計画の概案というこの長期展望作業を基礎にいたしまして、これまで関係省庁と話し合いを進めてまいりまして、このたび政府原案ができましたので国土総合開発審議会に諮問いたしまして、きのうただいま御指摘のように答申をいただいたのでございます。これの計画の期間としてはおおむね十カ年といたしてございます。それから経済の前提は、五十年代前期経済計画に沿いまして昭和五十年代を平均の六%成長、六十年代はそれよりも低い成長を前提といたしてございます。また開発の方式はこれまでの方式と異なりまして、人口定住構想を開発の方式といたして、この定住構想を実現するために五つの課題を提示いたしまして、これが実現することによって、いわゆる三全総の目的でございます過疎過密を抑制して、そうして均衡ある国土の発展を図ろうというのがこの計画の目標でございます。
  46. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、三全総に盛られた計画の遂行に当たっての質疑は次の機会にいたしたいと思います。大臣、御苦労でした。  そこで、建設大臣にお尋ねするわけですけれども、霞堤で予定してあるのがこれが本堤になって、こっちの方に膨大な廃川敷地ができるということは常識として考えられるし、そうなった場合における廃川敷地の所有者が膨大な利益を得るということになることは、これは常識として大臣もお認めになるでしょう。
  47. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私の方は、その当時河川敷というのは無償で、取り上げると言ってはおかしいけれども国が使うものなんでして、そういうものでございますものですから、それに対して廃川するということになればお返し申し上げなければならぬ。中身はどうなっていようとも、私の方としてはそのかつての持ち主であったという方々お返しを申し上げる、これが本質でございます。その間どういうことが向こうにあったかということは別問題としてそういうことでございまして、別に利益云々を考えた上に立ってこの処置をするものではない、不必要になった場合には返さなければならないという法律がございまして、そのとおり行ったのでございます。
  48. 井上泉

    井上(泉)委員 その持ち主に返さなければならぬというお考え方ですが、持ち主はこれでいい土地をもらったな、こういうふうに思わなかったですか。
  49. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 持ち主は、いま申し上げたとおり百七十何名という二百名近い持ち主でございますから、その持ち主にお返しするのでございますから、二百人の人間の感情を一々承るわけにもまいりません。それは、私が法律のとおりに当然な処置をいたした、こういう意味でございます。
  50. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで問題になったのは、その百何十人かの地主の土地を持ち主に返すに当たって、もうそれはそういう多数の人ではなしに室町産業なるものが一括してお返しを受ける、こういう仕組みになっておるところに問題があるわけなので、その点について大臣が今日まで、衆議院の予算委員会の小委員会とかあるいは参議院の議決の中で、国会で十分な審議をするように、するまではこれの処分はしないという経緯から考えても、やはりこうした処分の仕方をすることは私は決して明朗なやり方ではないんじゃないか、こういうように思うわけですけれども、これは不明朗だと言えばあなたそれは大変だからそれはがんとして不明朗とは言わぬでしょう。がんとして不明朗とは言わぬですけれども、そういうふうな廃川敷地をそういう処分の仕方をすることによって特定の者に大きな利益を与えるということになることが予想されるこの問題について、これを何か公共性に富んだものと言うなら、いっそ長岡市なら長岡市にこの処分ができれば、これはもう長岡市に一括なにするとか、あるいは新潟県でやるとか、あるいはこれに対して国がどうするとか、こういう——これはもう法律的にも室町産業にこれを払い下げなければどうにもならぬものですか。
  51. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 どうも井上さんまだおわかりがないようですから、もう少し申し上げましょう。  去る九月三十日に長岡の市議会の各派代表会議というのを行ったそうであります。その席でどの会派も全部そろって、早急に国の廃川をやってもらうような措置をとるように市長陳情してこいというのが出たそうであります。市長はさらにこの後に全市内の三百九十人の町会長さんをお呼びして、その会議においても建設大臣にこの陳情促進せよということをやれという決議が行われたそうであります。  こういうふうに長岡市内市民こぞっての私のところへの陳情でもあり、私はいろいろな事件があったこともわかりますけれども、いま長岡がそれほど必要であり、それだけの市民こぞっての陳情だとするならば、当然それを行うべきであるというのが私の判断でありまして、そういう判断の上に立って行ったのであります。いいですか。
  52. 井上泉

    井上(泉)委員 その判断の上にやったことはわかるわけだけれども、そうするよりほかにしようがなかったか。つまりこの土地は単に長岡市の人はそうやってもらうからいい、早うにこれを処分してもらいたい、こういうように出てくるわけですけれども、この廃川敷の処分については国民納得のいかない数々のものがあるんだから、それについてはもっと時間をかけて、そしてこれに対する処分の方法は検討すべきである、こういう考えを私自身は持っておるわけでありますので、そういう形で室町産業側に払い下げが自動的にいくようなことにする以外に、やはり建設省としてこれを公共用地なりあるいは公益性の強いものに所有をさすとか、何か方法はなかったか。もうこれは全部が室町産業のものだから、廃川敷の処分をすれば、これはもう室町産業のものになってしまう。その室町産業のものになってしまったものを、地元の長岡市がいろいろこぞって言うてきておるから、その分の三分の一は長岡市にもらう、あとのものについては云々とかいうようなことしかできなかったかどうかということです。他に方法はなかったかということです。
  53. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 どうもそこのところが少し違うようですね。先ほど申し上げたように、この半分を長岡市で使わせてもらう、それも利益を与えようというのではなくて、この契約書を見たときには、三十何年に買ったときの値段に、金利は見ましょう、公租公課があるというから公租公課を見ましょう、その三点をとって、それでその原価でお渡しをいたしましょう、こういう意味でございます。(井上(泉)委員「それはわかっています」と呼ぶ)そのあとの半分ばかりのものが残るけれども、これは民有地でございますけれども、これは室町産業がどこか自分で処理をしたいということも自由にできない、公共性がある、これならばよろしいといって、市長がそれならばよろしゅうございましょうと言っても、それでもできない。市長はそれを建設省へ相談をして、どうでしょう、あらかじめこういうようなことでございますが、これをやってもいいじゃないか、これなら公共性があるからいかがでしょう、これならよろしいでしょう、こういうふうに私の方は歯どめがかかっていて、この人の自由にはならないのです、自由にしたくても。そういう契約書が取り交わされておるのでございまして、しかも、これもあとはまた市がお使いになるかどうかわかりませんけれども、いずれにしてもそういうふうに本当に公共性として価値があるかないかというその判断の上に立ってやるのであって、決して利益を与えようというような考え方は私たちは持っておったものでもなければ、当然返さなければならない、廃川措置をしなければならないところを廃川措置をしていった、こういうことでございます。よろしゅうございますか。
  54. 井上泉

    井上(泉)委員 はい、まあそれでもいい。けれども、あくまでもその二分の一も室町産業の手に一遍移るでしょう。室町産業の手に移らずに、建設省からそのまま長岡市にいくわけじゃないのでしょう。室町産業に移ったものの二分の一に対して、その買ったときの値段に金利とか税金とか、そういうものを加算をして、長岡市はその二分の一を室町産業から譲り受ける、こういうことでしょう。それは間違いないですか。
  55. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私の方は、室町産業そのものに返すという意味ではないのでしてね。無償で取り上げて河川敷に使ったのだから、それは本人に返さなければならないという法律がありますから、不必要になったときには返さなければならぬということがありますから、そのところに返すわけなんですけれども、その内容については、いま御指摘のあったように、室町産業が買ったとか約束をしたとか——登記はできないはずですから、買う約束をしたとかなんとかというものがあったという話でございますけれども、河川敷にそれを使わせていただいたという人に、一応私の方の名目はお返しを申し上げるということになるわけでございます。
  56. 井上泉

    井上(泉)委員 名目はそうですけれども、現実はその土地はたくさんの土地所有者があるのではなしに、その大半室町産業が買い取っておる。室町産業が買い取ったものであるということは、これは認めてないですか。
  57. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 それはまだ所有権が渡っておりませんから、買い取るというまではいかないけれども、そういう約束があるという話は伺っているから、間違いがないように市に払い下げて、そうして後は歯どめを加えておこう、いかに室町産業がどうやりたくてもやれないように、そういうところに歯どめを加えておいた、こういうわけでございます。
  58. 井上泉

    井上(泉)委員 その歯どめを加えるために、長岡市へのこの二分の一の払い下げというのは、それなら建設省が直接払い下げをするのですか。どういうことなのですか。何か大臣の言うことだと、建設省が直接払い下げるような言い方になるのですが……。
  59. 栂野康行

    栂野政府委員 大臣のおっしゃったことを少し詳しく御説明いたしたいと思います。  法律的に申し上げますと、いわゆる九条地、これは昔、明治の時代に、ただで河川敷地として国が取り上げた土地でございます。したがいまして、河川として必要でなくなった場合には、いわゆる廃川となった場合には、これを昔の所有者に返すという法律上の規定がございます。したがいまして、この九条地につきましては、私たちとしましては、その旧所有者にお返しをするということでございます。
  60. 井上泉

    井上(泉)委員 その旧所有者というのは、買い取ったときというか、その以前に持っておった者ですか、それとも現在持っておる所有者ですか、どっちなんです。そこが大事なんです。
  61. 栂野康行

    栂野政府委員 旧所有者といいますと、もともと昔から持っておった地主でございまして、室町産業ではございません。
  62. 井上泉

    井上(泉)委員 それなら、この膨大な土地室町産業のものでないということなら、これは問題はないんじゃないか。室町産業に二分の一渡すとか渡るとかいうようなことを別に考える必要はないんじゃないか。それから、何も地元の長岡市がどうのこうのということではなしに、その辺のことはちゃんと、この二分の一は長岡市に使わすけれども、あとの二分の一はもとの地主、つまり室町産業が所有する以前の地主に返すのだ、こういうことになれば問題はないんじゃないですか。
  63. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ただいまのは原則論でありまして、法律にある原則論なんです。だから、まだ登記はできていなくても売買契約ができているとするならば、その本人みずからが売買について、返したらばあなたに上げますとか売りますとかという契約ができているだろう、そういうことですわね。ですからそれの対象が室町産業だ。その対象が室町産業だとすると私の方はそのまま返すわけにはいかないから、これを市が利用させてくれと言うから、市の利用の価値が最も高いものと判断をして市に利用してもらう。その次の半分も、室町産業がこう使いたいと言ってきても市がこれをチェックし、さらに市に室町産業が申し込んだと同時に、市が建設省にあらかじめ報告というか、どういうふうに申し込んできましたということを伝えなければいけない、こういうことになっておって、ですから、まず建設省がそれならよろしいというので初めて市長が話し合って、それではよろしゅうございますというようにやっていこう、こういうことになっている、こういうわけでございます。
  64. 井上泉

    井上(泉)委員 長岡市にこういう条件で払い下げをするというその契約書、それから、そのあとの残った土地についてはこう、こういう条件でなければこの土地は使わさないでよという、その契約の相手方はどこになるのですか。
  65. 栂野康行

    栂野政府委員 お答えいたします。  二分の一を長岡市に実費で、いわゆる原単価で譲り渡すということ、それから残りの半分につきましては、長岡市の同意のもとでなくしてはたとえ公益性があっても使えないというこの契約につきましては、覚書というかっこうで室町産業長岡市で結ばれてございます。  それから先ほど大臣が御説明しました、しかしながら長岡市としても、二分の一につきまして室町産業が使うことに長岡市が同意する場合には事前に建設省と協議することというのは、これは建設省長岡市の間における文書でございます。
  66. 井上泉

    井上(泉)委員 その建設省長岡市との間の協議というのは、残った二分の一を室町産業が使う場合においても長岡市の同意がなければいかぬ、そしてその同意を長岡市が与えるに当たっても、それは建設省と相談をせねば勝手には室町産業に使わさない、こういうことですか、要約すれば。
  67. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 そのとおりでございまして、建設省がオーケーを出さないものは処分することができない、オーケーを得て初めて市長がよろしいと言う。室町産業市長との上に立って、その合い議をした上に立って建設省がよろしいと言ったからよろしゅうございます、こういうふうになるわけでございます。
  68. 井上泉

    井上(泉)委員 そうなると、廃川敷の処分は全部この室町産業に渡すけれども、渡ることになるけれども、大臣は旧地主と言われたけれども、旧地主は室町産業に売っておるのですから、これは室町産業になるわけでしょう。それならこの廃川敷の処分室町産業が受けることになるわけだが、しかしこれの使い道については建設省の同意がなければいかぬということは、これは別に法的な根拠も何もなしに、ただ口頭ですか、それともきちっとした契約なり何なりしてですか。
  69. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 最初はそういうような約束で始まりましたけれども、約束ではいかぬ、文書をもって通告をしておかなければいけないということで、その点は文書をもって了解をしてあります。
  70. 井上泉

    井上(泉)委員 廃川敷処分に当たってのそういう条件を取りまとめたその文書委員会に提出をしていただきたいと思うのですが、それはいいですか。
  71. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 まことに結構でございまして、ただいま取りそろえ次第提出をいたします。
  72. 井上泉

    井上(泉)委員 それは結構なことだとこう言われますが、これは、もう建設省の何行かの告示でこのことが行われておるわけですが、そういう契約書も現在もうできておるのでしょう。これからつくるのですか。この処分に当たってつくるのですか、どうなるのですか。
  73. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 全部取りそろえてありますから、配付するだけの数量がございませんから、これから用意をして配付をいたします。委員長のところへ届けますから。
  74. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、それは法的な拘束力も持つ文書になるのですか、契約書になるのですか。
  75. 栂野康行

    栂野政府委員 長岡市と室町産業との間におきます覚書、これは本当に市長の誠意といいますか、長岡市を思うために、またこの土地長岡市民全体の利益のために使うという見地に立って両者で交わされた覚書でございますから非常に効力が強いというふうに感じます。  では、これはどういうふうに担保されるかという問題につながってくるかと思います。それは先ほど申し上げましたように、長岡市長室町産業が相互の信頼の上に立って締結したものであるということが第一点でございます。それからまた、先ほど大臣からも御説明ありましたように、この利用計画と覚書を含めまして市議会、各派協議会及び四百人近い町内会長会議において了承されておる、しかも全市民がこの利用について見守っておるわけでございます。第三点としまして、長岡市が覚書に基づきまして室町産業の利用計画につきまして同意する場合には、これも先ほど大臣から御説明ありましたように、市長があらかじめ建設省に協議するというふうになってございます。私たちも大いに関心を持っておる次第でございます。
  76. 井上泉

    井上(泉)委員 関心を持っておるというけれども、これはやはり法的な拘束力なり、何かしら民法上の拘束力を持つ取り決めをしておかなければ無意味だと思うわけです。無意味とは言えなくとも、これは非常に争いのもとになると思うわけですが、この廃川敷の処分を旧所有者に返すということになっておることはわかっても、旧所有者にはやはり無償で払い下げるということになるのですか、それとも何か……。
  77. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私の方も無償で取り上げているものですから、無償でお返しすることは当然な義務でございます。
  78. 井上泉

    井上(泉)委員 無償で払い下げると室町産業に売った人と室町産業が受ける利益と非常な違いが出てくるということと、これに対してマスコミがどうのこうの言いますけれども、きょうの新聞なんか見ても、どの新聞の社説においてももう不可解千万な信濃川処分と出ておるわけです。不可解なことには間違いないのだから、もう時間になりましたので終わるわけでございますけれども、最初に申し上げましたように、当建設委員会、しかもその中において野党にとりましては大変なぬれぎぬだと私は思うわけです。だからこの点については当委員会で徹底的究明をするように、そして長岡市との契約文書も資料として配付していただいて、後日このことを取り上げて究明を重ね、この疑惑を追及していかなければならぬと私は思うので、委員長によろしくお取り計らいを再度お願いを申し上げて、私の質問を終わります。
  79. 伏木和雄

    伏木委員長 承知しました。  渡部行雄君。
  80. 渡部行雄

    渡部(行)委員 最初に大蔵省に御質問申し上げますが、前回の委員会で私が省エネルギー問題に対する減税のことで質問申し上げましたところが、住宅を新築した場合あるいは既存の住宅を断熱化された住宅に改造した場合、五十三年度税制改正の一環として今後慎重に検討したいと前段で言っておるのでございますが、後段では、反面課税の公平の確保、租税特別措置についての整理合理化、縮小、こういう方向がありまして新規の措置につきましてはなかなか厳しい事情であるという趣旨の答弁がなされたわけでございます。前段は省エネルギーという問題の重要性を肯定しておいて、そして後段、実質的にこれを減税しようとする面については否定的な態度をとっておる、これは一体どういうことか。総理は事あるごとに資源有限を申しており、しかも今日資源有限の中での省エネルギー政策というものは重要欠くべからざるものであることは申すまでもありません。これに対してこのような態度で大蔵省が臨むということは、一体どういうことか、これについてお伺いいたします。
  81. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 ただいまの御質問に対して御説明申し上げます。  御指摘になりました省エネルギー対策の一環といたしまして、住宅あるいは建築物につきましてそういう設備をやった場合に税制面で何らかの優遇措置を講じろという点につきましては、来年度の税制改正の一環として建設省の方からも御要望が出ております。したがいまして、今後の段取りといたしましては、来年度の税制改正の一環として検討する、本日の段階ではそこまでしか申し上げられないわけでございますが、もう少し補足をさせていただきますと、あるいは前回私どもの説明員が申し上げたのと若干話がダブるかもわかりませんが、第一点は、先般税制調査会から中期税制の答申が出ました。その中で、いわゆる政策税制、特定の政策を目的としたものにつきまして税制上のインセンティブを与えるという税制でありますが、具体的には租税特別措置ということになると思います。この問題につきましては、一般的に国民に税負担の増加を求めるという段階におきましては、従来ございます租税特別措置についても鋭意整理合理化に努力すべきであるという御指摘もございまして、新規のこの種の政策税制については、私ども税制当局としては、そういう答申もございますのでよほど慎重に対処しなければならない、これが税制固有の問題でございます。  それからもう一つは、政策税制ということでございますので、いまの御指摘の点になりますエネルギー対策を一体どう考えるのかということになるわけでございますが、一般論として申し上げますと、税制と申しますのはある特定の政策目的を遂行する場合の補助手段である、あくまで正面に立つ手段ではないという基本的な考え方があると思います。  そこで、いま御指摘の省エネルギー対策というものを税制でどういうふうに受けとめていくのかという問題でございますが、これもたとえば、御承知と思いますが、先般カーター大統領が提案いたしましてアメリカで国家エネルギー法というものが現在連邦議会審議されております。その中には、御指摘のような住宅あるいは建築物につきまして税制上のインセンティブを与えるということで、アメリカの場合は税額控除の方式で提案しているようでございます。しかしこの提案をつぶさに見ますと、実は先ほど申しましたように、国家エネルギー法と申しますのは開発、備蓄、節約全体につきましての総合エネルギー対策でございまして、それを省資源という立場から住宅とかある種の建築工事について税制上の優遇を与えるという措置が提案されておることは事実でございますけれども、もう一つ、その減税財源といたしまして、これも省資源、省エネルギーという立場からでございますけれども、価格平衡税とかあるいは井戸元税とかあるいは大規模な石油消費に対する新税を課する、つまり減税と新しい税金でもって資源の節約を行うという構想がワンセットになっておる非常に大がかりな構想でございまして、私どもはもちろんアメリカのまねをする必要はないわけでございますけれども、やはり今後エネルギー対策を税制でどういうふうに考えるかといった場合には、そういう総合的な施策、政策効果の問題と、財政上の配慮も入れました体系的な施策の中で検討していくべきではないか、そういうふうに考えております。
  82. 渡部行雄

    渡部(行)委員 大変慎重にという言葉でございますが、これは通産省がいま真剣になって省エネルギー政策の体系化に取り組んでおるようでございますし、そういう体系の一環としてこの減税の措置というものが通産省や建設省から要請されておる。そういうものが前向きにとらえられないで、租税特別措置の不公正是正というものと何か絡めて受け取っておるように思いますけれども、われわれの租税特別措置法の中の不公正是正というのは、大金持ちからは少なく、そして勤労者からは多く取る、こういう税体系を改めるということであって、税そのものが全部悪いと言っておるものではないのでございます。しかもこの税というものは、政策をひとつ誘導する側面とあるいは調整する側面とがあると思うのです。そういう点で、今度の省エネルギー政策というものを実際に実施をしていく場合には、どうしてもこういう金融あるいは税制の中で誘導する措置が私は絶対的に必要なものと思うわけです。そうでないと、法の強制化によって強制する以外に道はない。しかし、強制するというのは決して民主主義国家では好ましくないのでございまして、そういう意味での誘導という立場で果たす税の役割りというものを、一体どう考えておるのか。
  83. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 御説明申し上げます。  租税特別措置に対する基本的な考え方は先ほど私が申し上げたとおりでございまして、やはり税制の問題でございますので、現在わが国の税制が置かれておる一般的状況の中で税制当局としては考えざるを得ないということでございます。  それから、第二点の政策誘導効果の問題でございますが、現に各種の租税特別措置がございまして、それなりの政策効果を発揮しているわけでございます。だから、一般論としまして、政策税制を基本的に全部否定するという考え方では毛頭ございません。ただ、当面問題になっております省資源あるいは省エネルギー対策としての税制上のあり方として、いま御指摘になりましたようなインセンティブを与えるという方法だけが唯一の手段であるのか、つまり税制上の各種の効果という点から言いますれば、減税のほかにあるいは価格に税制を上乗せいたしまして、それで節約の効果を発揮する、たとえば先ほど申し上げましたアメリカのようなやり方でございますね。だから、そういう政策手段の多様な組み合わせをやはり考えていく必要がある。同時に、やはり税制の問題でございますから、財政上成り立たないという措置はこれはとり得ない。したがって、アメリカの場合、減税をいたしますと同時に、同じような新規財源でそれを確保するという手段を巧みに組み合わせておるわけでございますけれども、日本は今後どういう行き方をするかということにつきましては、今日の段階では申し上げられませんけれども、やはり税制の効果と、同時にその背景にある財政全体としてそれが成り立ち得るかどうかという視点も、これは忘れることはできない、そういうふうに考えております。
  84. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ずばり言って、やる気があるのかないのかということです。どうですか、この辺は。
  85. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 冒頭に申し上げましたように、本日のこの段階で具体的にきちんとしたことを申し上げる段階にはないということは御了承賜わりたいと思います。
  86. 渡部行雄

    渡部(行)委員 具体的に申し上げられる段階ではないというけれども、それでは全く白紙ということなんですか。しかし、こういうふうにしたいというその希望と申しますか考え方くらいは申されると思うんですが、その辺はどうですか。
  87. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 御説明申し上げます。  御指摘の問題に限らず、来年度の税制改正の問題につきましては、もちろん関係省庁と私どもの方で十分協議をする過程が必要でございますし、それから政府の税制調査会にもお諮りしてお答えをちょうだいしなければならない、こういう過程が必要でございますので、現段階で責任を持って具体的なことを申し上げる段階にはないと申し上げたわけでございます。  ただ、先ほども繰り返しておりますように、税制上の一般的な問題あるいは財政上の問題等から見まして、私どもは、率直に申し上げまして、よほどこの問題は慎重に取り組む必要があると考えております。
  88. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そうすると、この各省庁の減税その他税措置の優遇に対する要求というものは、非常に慎重さを欠くというふうに解釈していいですか。
  89. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 御説明申し上げます。  各省庁からそれぞれの政策目的を持っていろいろな構想が出てくるのは、これは当然でございます。私が申し上げましたのは、それを受けとめます私どもの税制当局の心構えとして、やはりよほど慎重にしなければならない、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  90. 渡部行雄

    渡部(行)委員 慎重に受けとめることは結構ですが、いま省エネルギーという問題が国の政策の柱になっているとき、それを支えるのは、やはり大蔵省がどういう思想に基づいて支えていくかというのが、最後には私は一番重要になってくるのじゃないかと思うのです。その大蔵省が、どう結論出していいかわからぬ、ただ慎重にということでは、何ともこれは審議の対象にならぬじゃないですか。その辺はどうですか。
  91. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 御説明申し上げます。  エネルギー問題につきましては、ただいま委員が問題にしておられます建設省関係の問題のほか、通産省とかあるいは科学技術庁等々で各種の問題を詰めておられる段階でございまして、そういうものが集まった段階で、たとえば税制面でどういう対応ができるかという検討に入るわけでございまして、大蔵省として具体的にエネルギー構想がこうあるべきだという立場で物を申し上げるのはいかがかと思います。
  92. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この問題を余りやると時間がなくなりますので、省エネルギー関係の大蔵省はこのくらいにして、ついでに、八十国会で私が、豪雪地帯に対する所得減税なり、その他特別な豪雪地帯の被害、そういうものについて、税の中でどういうふうに見るかという趣旨の質問をしたところが、これは前向きで取り組みます、こういう御答弁を得ているんですが、その後具体的にどういうふうに取り組んだか、その辺の経緯を御説明願いたいと思います。
  93. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 御説明申し上げます。  前国会で、豪雪地帯の税制上の優遇措置について各種の御指摘があったことは事実でございますが、その後どういう処置をとったかということについて御報告申し上げますと、まず御案内のとおり、現在所得税で雑損控除の制度がございます。従来は、豪雪地帯の家屋の倒壊を防止するという見地から、屋根の雪でございますね、雪おろし費用については雑損控除の対象にしておったわけでございますが、委員初め各委員会で豪雪地帯の税制上の優遇措置につきまして各種の御指摘がございましたので、五十二年分の所得から、つまりことしの一月以降そういう事態が起こった場合には、従来より雑損控除の範囲を広げまして、家屋倒壊を防止するための屋根の雪だけではなくて、家屋の外周の雪並びにその雪を除去するための費用、これを雑損控除の対象にする、五十二年分所得税からこれを適用するということにいたしております。
  94. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に、通産省にお伺いいたしますが、いま省エネルギー問題が非常に重要なことは繰り返すまでもありませんが、何かこういう大蔵省あたりの答弁を聞いていると、非常に前向きに積極的に取り組むという姿勢がまだ見られないようなわけです。そして、省エネルギーというのは、私はこの間フランスに行ってみて、使わないときには部屋の電気を必らず消す、ああいうふうに国民全体に省エネルギーに対する実に徹底した思想ができ上がっているということに驚いたわけです。やはりそういう国民全体にエネルギーの重要性というものを徹底させるための具体的な措置はどういうふうに考えておられるのか。
  95. 大永勇作

    ○大永政府委員 従来から内閣に、資源とエネルギーを大切にする運動本部というのが関係各省の組織としてございまして、そこを中心にいたしましてPR活動を行っておったわけでございまして、総理府の広報費等の使用につきましても省エネルギーには重点を置いてやっていただき、かつ毎年二月を省エネルギー月間としてPRを行うというふうなことをやっておりましたが、先生御指摘のように、必ずしも現在十分な体制とは申せませんので、来年度は省エネルギーセンター、これは前回特殊法人というふうに間違えて御説明申し上げましたが、法律に基づきます特別認可法人でございます、これを来年度予算要求をいたしておりまして、この省エネルギーセンターをつくりまして、ここを中心にして官民一体となってPR活動を行うということを進めたいというふうに考えておる次第でございます。
  96. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それから、わが国のエネルギーの消費がこのまま推移していくと、昭和六十年代には大変な事態になる。そこで、昭和六十年度に大体一〇・八%くらいの省エネルギーをやる必要があると言われて、しかもこれを石油量に換算すると約八千万キロリットル、こういうものの節約がなされなければならないと申されておりますが、これを産業部門、輸送部門、民生部門というふうに分けた場合に、大体この構成比はどのくらいになるのか、お伺いします。
  97. 大永勇作

    ○大永政府委員 この部門別の省エネルギーの率につきましては、現在検討しております省エネルギー促進法というものが成立いたしますと、その実施過程におきましてこの省エネルギー目標を決めるということになっておりますので、現在一〇・八%の内訳としてつくっておりますのはまだ事務的なものでございますが、一応のめどといたしましては、産業部門で一一・五%、量にいたしましてこれが四千四百万キロリットルでございます。したがいまして、構成比としては五六%、それから民生部門が一四%で構成比といたしましては二八%、それから輸送部門が約一〇%でございまして、構成比としては一二%程度というふうに考えておる次第でございます。
  98. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、こういうふうに大体産業部門での計算もでき上がってきているし、また石油や液化天然ガスがなくなって、次の原子力やあるいは核融合、太陽熱その他のエネルギー開発による無尽蔵エネルギー時代に入るまでには大体四十年から五十年はかかるだろう、こういうふうに言われると、その間はどういうふうにして過ごすのかということを考えると、そういう問題を想定していまから毎年どのくらいずつこのエネルギーを節約していくかというのが当然考えられなければならないし、そのほか開発のテンポもそういうものに合わせて考えられるのは当然でしょうが、ここではその省エネルギーを一体どの程度ずつやらなければならないのか、この点についてお伺いいたします。
  99. 大永勇作

    ○大永政府委員 お答え申し上げます。  現在のままでまいりますと、省エネルギー率というのはせいぜい五%程度であろうかと思いますが、これを一〇・八%に六十年度に引き上げるわけでございますので、これは毎年少しずつ現在の省エネルギーの率を高めまして、六十年には一〇・八というところまで持っていく必要があるということであろうかと存じます。
  100. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それで、その後はだんだんとこれがまた高められていくのか、それでいって四、五十年のブランクと申しますか、エネルギーの全くなくなる時代、そういう時代をその節約によって補うことができるのかどうか、その辺はどうですか。
  101. 大永勇作

    ○大永政府委員 省エネルギーの率につきましては、この暫定見通しにおきましては、昭和六十五年度、一九九〇年につきましては一応一三・五%ということで、六十年の一〇・八%からさらに高めるという目標を掲げておるわけでございます。  なお、このエネルギーの谷間といいますか、不足時代に対処いたしましてはこの省エネルギーが最も前提として大切だと思いますが、同時に原子力の開発あるいは石炭の利用といった、いわゆる代替エネルギーの活用ということをあわせて行う必要があろうかと存じております。
  102. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それで、これは建設省と両方関連する問題ですが、いま通産省が省エネルギー都市を構想されて、六十年までにそのモデル都市を一万くらいを対象につくりたいというようなことが言われておりますけれども、これは私、むしろこういう省エネルギー都市というものの基盤は、都市構造と都市機能というものがあって、そこにどういうふうに省エネルギー化の機械やその他のシステムをセットしていくか、こういうことになると、当然この省エネルギー都市というのは通産省が中心ではなしに建設省が中心に進めるべきものではなかろうか、こういうふうに考えるのです。まずセットされる基盤をつくっておいて、そこにシステムの装置化を図っていく、こういうのが筋道じゃないかと私は思うのですが、その辺についてはどうでしょうか。
  103. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 きょうは渡部さんから非常に高度の御提言をいただきまして、私たちもエネルギー消費という点についてはぜひ何とか持っていきたい。先回もお話がありましたように、住宅をつくる場合にも、よけいなエネルギーを使わなくても何とかその住宅で住めるような方法に持っていきたいということは、先日もお話があったように私どももそういたしたいと思っております。     〔委員長退席、北側委員長代理着席〕 ただそれに対しましては、いまお話がありましたように、国で法律をつくって、命令をしてそのように家をつくらせる場合があったとするならば、それは何かの方法を持った一つのメリットを与えなければならぬ、そういうふうに私も考えております。したがって、先ほども大蔵省で言われたとおり、私の方も、ぜひそういうような省エネルギーという点を考えるならば、渡部さんのおっしゃったような方途をやっていかなければならぬ、そうするならば、何かこれに特典を与えてもらわなければならぬだろうというようなことで、いろいろと折衝はしておるわけでございまして、そういうようにぜひ国を挙げての問題に持っていかなければならないことも第一であり、住宅そのもののつくり方においてもそう持っていくべきであるというふうに考えております。きょうあすというわけにはまいりませんかもしれませんけれども、われわれの方は、努めて各省との交渉を行って、御期待に沿えるような方向づけをすべきであるというように考えて進めております。
  104. 渡部行雄

    渡部(行)委員 その辺は通産省はどう考えているのですか。
  105. 大永勇作

    ○大永政府委員 現在通産省で進めておりますのは、省エネルギーシステムを都市に適用した場合にはどういうシステムが考えられるかというシステム開発の問題でございまして、現実の都市に適用するということになれば、先生御指摘のような形が現実的なものであろうというふうに考えております。     〔北側委員長代理退席、委員長着席〕
  106. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次は建設省にお願いいたしますが、去る十月六日付の日本経済新聞に「建設省建築研究所が提案している断熱基準」というのが図面入りで掲載されておりました。この基準というのはどういう目的といいますか思想によって発表されておるのか、その辺をひとつお聞かせ願いたいわけです。
  107. 山岡一男

    ○山岡政府委員 建築研究所の断熱基準が新聞に出たということでございますけれども、実はまだ正式の報告をいただいておりません。実際の場合の検討についてはずっと前から続けておるわけでございまして、最終結論をまだ私どもはいただいておりません。
  108. 渡部行雄

    渡部(行)委員 報告を受けたか受けないかは別問題として、実際建設省の名前が出て天下に公表されているのですから、出た以上はやはりそれに責任を持つという考え方がなくちゃならぬと思うのですよ。  そこで、この前私は断熱基準を法定化しなくちゃならぬのではなかろうか、こういうことを言ったら、全国皆別々でなかなか一定の基準はむずかしい、こういう趣旨の答弁でしたが、しかしこの図面を見ても、五段階に分けて、いわゆる最低基準と推奨基準というふうに分けて、全部細かに書いてあるわけですよ。こういうやり方をすれば当然これは可能なわけで、断熱基準を一律なんて私も決して言ってないし、そういう設定の仕方でなしに、それぞれの地域に当てはまったような設定の仕方をしていけば、当然これを法定化しなければ目的達成はできないと私は思うのです。というのは、たとえば金融面で特枠を設けたとしますと、その特枠を受けられる人はどの基準の断熱をやったかということが明確にならなければ、やるということだけでは何にもならないわけなんで、あるいは減税措置を受けるにしても、それはどの基準以上の場合に減税の対象になるというその基準設定がなければ、これは全く絵にかいたもちにもならないと思うのです。その辺についてはどう思うのですか。
  109. 山岡一男

    ○山岡政府委員 私ども建築物の省エネルギー対策につきましては、建築物全体の居住性などとの関連でとらえるべきであるという見地に立っております。したがいまして、対策の内容も単に断熱構造化ばかりではなくて、方位だとか平面立面の設計、それから設備計画や換気なども含めたいわゆる建築物のトータルなシステムとしてとらえたいというのがわれわれの立場でございまして、そういう見地の中の一環として断熱化基準等についての検討を進めておるということでございます。  それから、先回建築基準法で一律に断熱構造化を義務づけるのはむずかしいと申し上げましたけれども、御案内のとおり建築基準法は「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、」というのが目的でございます。したがいまして、全国一律にまず基本となるべきものを定めましてそれを最低基準として示す。それに対しまして先生おっしゃいますように地方公共団体が条例で附加または緩和をすることができるというものは、物によって中身がございます。したがいまして、建築基準法の方で採用できるような最低基準等があればこれはひとつ検討に値すると思いますけれども、現在のところ外壁の断熱構造化というのは住宅全体を暖房する場合には非常に大きな効果を発揮しておりますけれども、大体居間でございますとか寝室でございますとか、全体ではなくて一部の居室の断熱化を図っているというのが非常に多い例でございまして、したがいまして、外壁全部の断熱構造化を一遍に義務づけるのは大変にむずかしい問題ではあるまいか。それよりはむしろ前回も申し上げましたように、減税するなり融資なりそういうようなものについて誘導助成をしていくのが目下の方向ではあるまいかと考えておりまして、そういうことの具体的内容につきまして、断熱化構造の基準等も含めまして当然それは必要でございますので、それを含めまして現在審議会に諮問しておるわけでございます。  その諮問の中身といたしましては、まとまれば推進のための法案ということで法制化も図りたいということで、提出検討法案ということで現在内閣にも通達を出してございます。これは先ほど通産で御説明がございましたような法律とも当然かかわりがあることでございますので、十分打ち合わせをしながらまとめてまいりたいと考えておる次第でございます。
  110. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そうすると私の言った方向でいま検討中である、こういうふうに理解していいわけですか。
  111. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先生のお話では義務づけろというのがございましたけれども、義務づけについては実はまだ検討しておらぬわけでございます。それ以外の点につきましては、国と地方公共団体と国民の省エネルギーに対する責務と申しますか、それから建築物等の省エネルギー計画の策定、省エネルギー基準の設定、省エネルギー化のための援助、省エネルギー化のための勧告、公共住宅、公共建築物の省エネルギー化の促進、研究開発の推進というようなものを中身といたしまして、現在御検討いただいておる次第でございます。
  112. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、省エネルギーは断熱材ばかりではなくて、ソーラーハウスという太陽熱利用による省エネルギー化、これが、研究されておるようですが、これは私は二十一世紀の大きな一つの課題になるのではなかろうかと考えておりますが、これらについてはいま具体的に奨励なり優遇措置は考えられていないのかどうか。——これは通産省になるのですか。
  113. 大永勇作

    ○大永政府委員 ソーラーハウスにつきましては、現在工業技術院におきましてサンシャイン計画の一環といたしまして、実験住宅を建てまして実験を重ねているところでございますので、その成果を待ちまして、先生御指摘のような普及のための諸般の助成措置を実施してまいりたいというふうに考えております。
  114. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、いよいよこれが実施する段階になってから技能士の養成とかあるいはチェックをどうするかなどということになったんでは間に合わないと思いますので、一体この断熱構造化を進める上では一つの技能士の養成というようなことは考えていないのかどうか。あるいは実際に一つの規格以上に実施されたかどうかということをチェックするにはどういう方法、あるいはその機関なりはどういうふうに考えておるのか、その辺をお願いしたいと思います。
  115. 山岡一男

    ○山岡政府委員 先ほど申し上げました方向で基本的な検討を審議会にお願いしておるわけでございますが、その細目がいろいろございますけれども、要約いたしますと三点について諮問いたしております。その中身に先生のいまお話しのようなことはみんな入っておると思います。  まず第一点は、今後の生活水準の動向等との関連の中で住宅等の建築物の省エネルギー対策はいかにあるべきか。また、対策の具体的目標はどのように設定すべきか、これが一つでございます。  第二といたしまして、住宅等の建築物における省エネルギー対策として検討すべき事項は何か。また、その実施のため検討すべき研究開発の方向及び普及方策の概要は何か。これは非常に大まかにやっておりますけれども、省エネルギー対策としての検討の中に、断熱構造化、それから住宅設備機器の効率向上、住宅の方位、窓の位置等の設計、太陽熱の利用というようなことを小項目として挙げております。さらに、研究開発の方向といたしまして空調設備、照明器具の効率向上、エネルギー消費の評価の方法の確立というようなことを挙げております。  それから三番目の大きな柱といたしまして、住宅等の建築物における省エネルギー化のため当面講ずべき施策は何かというのを挙げておりまして、中身といたしまして、省エネルギー化のための設計基準、公庫の融資基準、それから税制上の優遇措置等助成誘導措置、これを含めた立法化のための方向づけというようなものを念頭に置きまして、現在鋭意御審議を願っておるところでございます。  先生おっしゃいますように、そういうものの基準を定め、もしくは誘導助成をしようという場合に、実際におやりになる方々の研修ももちろん大事でございます。それから、そういうことを担当なさるいろいろな協会等がございます。団体がございます。そういうところに対します研修はきわめて重要だと思っております。そういう方面のことも十分力を入れるようにしたいと考えております。
  116. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それではエネルギー問題は大体これで終わりまして、今度は道路が三全総で大分取り組まれておるわけで、第八次五カ年計画にも、道路行政を強力に進める、こういうことになっておりますが、私は、何かいまの日本の道路というのは自動車が通りさえすればいいのだ、人が歩きさえすればいいのだというような感覚が非常に重点的に支配している。もっと自然全体の中に道路を調和させ、なおかつ人間の心をいやす役割りを道路がどう果たすか、そういうような思想が少し欠けているのではなかろうか。それというのは、街路樹の問題でございますけれども、ただ木を植えさえすればいい、こういうことになっておるところもあるようだし、あるいはほとんど街路樹がない道路が多いわけでございます。ところが、外国に行ってみると街路樹のない道路はほとんどない。こういうような状態では、日本が経済大国だと言ってもその中身はまことにお粗末なものと言わざるを得ないと思うわけです。そういう点で、まずこれから道路をつくる際には街路樹を考えていく、こういうことで道路行政を進める御意思はないかどうか、まずそこをひとつ。
  117. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私は渡部さんの御指摘、ごもっともに承ります。私は就任して以来というものは、日本人がこれだけの経済大国になったにもかかわらず精神的なものが何も入っているのではない。年じゅうこせこせしたような考え方のように思われる。そういうことはどこからくるのか。あなたは外国の話をいたしましたけれども、外国へ行ってみて、日本より本当に貧しい国の国民でありながら毎日を楽しく過ごしていっている姿というものは、どこに原因があるのだろう、こういう点について私は私なりにずいぶん検討を加えてみました。それは御指摘のような点もあり、たとえば公園というような点もあり、住宅というような点もあり、そういうところの欠陥から現在の日本人の根性というものが出ているのじゃないか。もっと大きなというか雄大な気持ちになり、経済大国になったとするならば、それだけの気持ちの人間性というものをつくり上げなければならない。それにはわれわれがなすべきことは公園もあり、あるいは街路樹のような点もあり、こういうものをもっと徹底的に緑化して、そして人間の心の慈しみをそこから受けるというような点を考えたならば、より以上日本人というものがもっと雄大な気持ちを持った人間性というものを取り戻すことができるのじゃないだろうか、こういうような考え方を持って進めておりますし、よって、今後は街路樹もおっしゃるように植えていかなければならない、もう少しふやしていかなければならない。そして街路樹もただ剪定をしてしまうばかりじゃなくて、ある程度自然の姿も見せるような方向づけをすべきであるというような意見を出しまして、現在ではその方向に向かって進んでおる考え方でございます。
  118. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで私が提案したいのは、街路樹についてやはり四季とりどりの花が咲くような木を選定することに配慮すべきではなかろうか。パリのマロニエというのは非常に有名ですが、日本のトチはフランスのマロニエと同じわけで、ただその花の色は日本の場合白いですが、こういうのも外国から取り寄せて赤いのと両方植えるなり、あるいは菩提樹という、ドイツではリンデンと言っていますか、こういう木を植えて、そうして花の咲く木で人間の心を一方において安らげる、そして他方においては、これは非常にすばらしいハチみつのみつ源になるわけでございます。したがって、そういうみつ源というものを道路にずうっと植えていくことによって、養蜂家の育成なり、現在日本はハチみつの輸入国でございますから、こういうものに対してももっと国民が日常にハミみつが飲める、こういう状態にすべきではなかろうか、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
  119. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  道路の緑化問題についての御指摘でございますが、緑化に対するこれからのわれわれの姿勢といたしましては、大臣からお話ししたとおりでございますが、従来日本の道路はその沿道周辺にわりあい緑が多いために、道路の中へ緑を持ち込むということは比較的おろそかにされていたのではないかという反省を現在持っているわけでございます。それと同時に、先生おっしゃるように、道路の幅員が狭いとか沿道に余裕がないとかいうようなことでなかなか植える余地をとらなかったということも大きな原因じゃないかと思いますが、今後の道路建設に当たりましては、特に幹線道路等におきましては、良好な居住環境を保全する必要がある地域等を環境施設帯を整備することにあわせて積極的に緑化を進めてまいりたいと考えております。  それから現状、市街地部で歩道が設置されていて植栽のできる道路でまだ植栽がされてない延長が四千三百キロばかりございますので、これを昭和六十五年くらいまでにぜひ緑化を完了したいというふうに考えておりまして、今度の五カ年計画でも、そのうちの緊急を要する千二百キロについて緑化をやるということで、その緑化の仕方につきましては先生御指摘のようにいろいろなアイデアがあるわけでございまして、現に植栽の樹種の選定に当たりましては、各地のいろいろの特色のある木を使って植えるということを心がけておりますが、先生の御指摘のようなことも私どもとしては考えていかなければならぬと思いますし、十分参考にさせていただきまして、今後の緑化に努めてまいりたいと考えております。
  120. 渡部行雄

    渡部(行)委員 最後に国土庁にお伺いいたしますが、これも去る八十国会で質問したのですが、もうそろそろ冬が訪れて雪が東北の地方にはやってくるわけでございます。そこで豪雪対策ですが、各市町村の中には当然特別豪雪地域として指定を受けなければならないようなところがまだたくさんあるわけです。しかも現在までに受けたところとまだ受けないところの豪雪の程度等を見ますと、変わらない、そういうもの、あるいは寒冷地のこの級地のアンバランス、こういうものが見受けられます。具体的には本日は申しませんが、そういうものに対して一体どういうふうに考えておられるのか。認定基準の見直しをするというような御答弁もありましたが、その後どうなっているのか、あるいは豪雪そのものに対してはどう対策しようとしておるのか、東北地域の住民の心を休める上でもひとつはっきりしたお答えを願って、私の質問を終わります。
  121. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 特別豪雪地帯の指定基準の問題は先般いろいろお話を承ったわけでございますが、そのほかにもいろいろと各方面から意見がございます。そういったことがございます上に、五月十九日でございましたか、衆議院の災害対策特別委員会で見直しについての決議も行われておるわけでございます。そういったことで私どもも、五月でございましたか、豪雪地帯対策審議会を開きまして、いままでの経緯もお話しし、いろいろな意見のあることも説明をいたしまして、見直しについて今後議を進めるということになりました。小委員会を設けてすでに一回開いておりますが、近く第二回を開くことになっております。  その点問題になりますのは、一つは御承知のように積雪度の問題、もう一つは生活の不便度の問題、この二つがございますが、不便度の問題は、私どもとしてもいろいろな意見も出てまいりますれば比較的簡単に直し得ると思うのです。ただ積雪の度合いについては、いま四十四年までしか実績が挙がっておりません。新しいものを調べるということになりますと、全国二千カ所以上の地点についての調査ということになりまして時間的にも相当かかるというようなこともございまして、かたがた、いまおっしゃいましたように、自治省の方の交付税の積雪寒冷補正の基準として大きく影響するわけでございますので、関係省庁と相談をしながら、しかし方向としてはお話のございましたようなより合理的な方向で見直していきたいと考えておるわけでございます。  なお、そういったことのほかに、豪雪地帯の予算措置等についてもっと強化すべきであるという点については同感でございます。五十一年度から五十二年度にかけて関係各省庁の予算を総合いたしますと、二一%くらい伸びております。それ以外に、たとえば国土庁だけで申しますと、基礎集落圏防雪体制整備事業など、少ない数でございますが、五十一から五十二年度一挙三倍にふやしてもらったといったようなこと等もございまして、今後ともそういったきめの細かいものを含めながら、大きなものは関係各省のいろいろな事業になりますので、御協力をいただきまして、窓口としては推進していきたいと考えております。
  122. 伏木和雄

    伏木委員長 北側義一君。
  123. 北側義一

    ○北側委員 先ほど井上委員の方から信濃川河川敷の廃川処分につきましてはいろいろとお話が出まして、あと当委員会理事会におきまして協議なされる、このようなことになっておりますので、二点だけお伺いしたいと思うのです。  一つは、この廃川処分のいわゆる官報がこの間十一月一日に出ているわけです。この問題につきましては福田総理に相談なさってなされたのか、それが第一点。まずこれをお聞きしましょう。
  124. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私は、この問題につきましては私の専管でございますので、総理にはお話を申し上げておりません。
  125. 北側義一

    ○北側委員 私、なぜそれを申しますかといいますと、実は三木総理がちょうど参議院の決算委員会で昭和五十年六月六日に、国民納得のいく慎重な措置をする、また竹下前建設大臣も、わが党の沖本委員の質問に、事の性格国民の理解を得て、なお総理とも協議の上でこの問題は処理したい、こういうことをおっしゃっておられるわけです。いまの答弁ではそこらが少し欠けているのじゃないかと私は思うのです。  それといま一つは、覚書が交わされておる。一つは、室町産業土地利用については、公益性の強いものを主体に計画する、このように覚書の第六条にあるのです。長岡市民全体の利益を優先して行われるべきものである」、これは第一条でうたわれておるわけです。長岡議会では全員協議会でこれを了承しておる。よくわかるわけです。ただ、あとの二分の一の室町産業が持っておる分についてのこの覚書、先ほどお話を聞いておりますと、建設省の方に長岡市の方から話が入ってくる、それで建設省が認められるわけではない、こう思うのです。  そこでこの問題、私思うのですが、ここまでいろいろな論議がされておるわけですから、この後の覚書にあるような室町産業土地利用について公益性の強いもの、こううたわれている以上は、できたらこの建設委員会にも後の使用の仕方については報告するなりそういう措置がとれるかどうか、どんなものでしょう。
  126. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 去る九月の三十日に長岡の市議会で各派の代表が全部お集まりになりまして、これはもう各派でございますから全各派がおりまして、その代表者会議でお話を申し上げたところが、各派が、その趣旨を報告して了承を得ました。全員がよろしいということになったということと、もう一つは全市の町会長さんがおりまして、大体三百九十人のお方がお集まりいただいて、その三百九十人の出席で開かれたものでございますが、この会議においては、建設大臣に一日も早くこれを陳情をして、われわれの同意を添付して早く利用計画をするようにやってこいと市長が言われたそうであります。したがって、市長はその趣旨にのっとって私どものところへ参りまして、全市民を挙げてのお願いだからぜひ一日も早くこれをやってもらいたいというお話がございました。私は、それによって決断すべきときが来ているというように考えたわけでございます。したがって、国会における予算委員会審議、これは小委員会をお開きになりまして、そして審議はかなり進められておった。しかし、その後国会が変わりますと小委員会がなくなってしまいました。けれども、その当時のことを伺いますと、十分審議が行われて、その後何も別にこれという要求がございませんでしたという省内の話もございました。そこで私は考えたわけでありますが、さらにただいまのお話のように三木総理国民納得のいくような処置をする、私は、全市民を挙げての話でございますので、これによって納得してもらうことができる、こういうふうに考えたわけであります。  なお、さらにただいまお話がございましたように、残された部分につきましては室町産業市長と相談をする、市長にこうやりたいという報告が来る、市長は、こういうようなお話がありますがどういうふうにいたしましょうという話をあらかじめ建設省にする。それによって建設省建設省の立場の上に立って、果たしてこれが公共性のものかどうかという点について判断を加えて、ノー、イエスというものを市長に通告する、市長はそれによって初めて室町産業に返事をする、こういうような順序になっておりまして、十分この点については歯どめをかけておいたという考え方と、国民納得のいく処置が私としてはとられておったというように考えておる次第でございます。
  127. 北側義一

    ○北側委員 私が言いたいのは、その話は先ほど来やっておられてよくわかるのですが、いま残りの利用計画について建設省納得なさるまではぐあいが悪いわけですが、それについて当委員会に報告できるかどうか、これを聞いておるのです。
  128. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 いま協議をして、おくれまして申しわけありません。  市長の方からこういうふうに利用したいというお話があった場合は、委員会に御報告は申し上げられるそうでございます。その時分私がいるかいないか、わかりませんが。  そういうことでございますから、どうぞ御了承いただきたいと思います。
  129. 北側義一

    ○北側委員 何かかにかあるとか言っておられますが、ひとつ次の建設大臣にもこのことは言っておいてください。  では次に、新幹線の建設工事の事故対策についてお伺いしたいと思うのですが、私の知る範囲では、この新幹線の建設工事、これは総体的に事故発生件数が非常に多い、このように聞いておるわけです。たとえば、山陽新幹線の建設工事において、その事故件数、死亡者数、負傷者はどれくらいおられたのですか。
  130. 吉村恒

    ○吉村説明員 お答えをいたします。  山陽新幹線の一番最近の工事、岡山−博多間約四百キロの工事でございます。これで九十八人の方が残念ながら命を落とされております。
  131. 北側義一

    ○北側委員 新大阪−岡山間はどうですか。
  132. 吉村恒

    ○吉村説明員 新大阪−岡山の工事におきましては五十三人でございます。
  133. 北側義一

    ○北側委員 私も資料を持っておるわけですが、新大阪−岡山間で五十三人が死亡なさっておられる。岡山−博多間で九十八人死亡なさっておられる。非常に多いように思うのですね。特にこの不況を克服するために公共事業で景気回復を図ろう、このようにしておるわけですね。なぜこのように非常に事故が多いのか、私は非常に疑問に思っておるわけです。その点どうなんですか。また、傷害件数なんかわかりませんか。
  134. 吉村恒

    ○吉村説明員 傷害件数につきましては、山陽新幹線の岡山−博多で約千五百人が傷害に遭っております。その前の大阪−岡山間もほぼ同数でございます。ただ、いまの傷害の件につきましては、統計上労働省関係に上がりますものと私ども現場で実際に押さえておりますのと多少差があるのが現実でございます。  それにいたしましても、御指摘のとおりかなりの方々がおけがを見ておる。いまお話にありましたようにどうしてこんなに多いのかということでございますが、この点で今日の建設業界におかれましても大変御努力をなされておる点は、私どもも見ておって涙ぐましい努力がされておるというように感じております。この点、いわゆる往年のこの種の事業とは今日大いに体制が違っておると言っていいと思います。また、私どももこの種の事故の防止に関しましては鋭意努力をいたしておりまして、この点新幹線が数次にわたりまして建設される段階では逐次改善を見つつあると思っております。しかし、まだ望ましい数字にはございませんので、さらに努力をしたいと思っております。
  135. 北側義一

    ○北側委員 私が聞くところによりますと、これらの新幹線の建設工事におきまして、元請が下請さす、下請が孫請さす、期間がせっぱ詰まって突貫工事でやる、そういうことで、たとえば一例を挙げますと、安全ネットなんか受けてやる工事を省いてやるとか、いろいろなあれを私聞いておるのですが、そういうところから非常に人身事故が多いのじゃないか、こう考えるわけです。たとえばここにいただいた資料、これは私がいただいたのじゃないのですが、東北新幹線の東京−盛岡間でも五十人も亡くなっておられるのですね。大宮−新潟間で四十二名亡くなっておる、こう聞いております。少し多過ぎるじゃないかと思うのですね。鉄建公団の方お見えになっていますか。その点どうなんですか、工事のあり方。
  136. 大平拓也

    大平参考人 上越新幹線工事におきましては、現在までに四十二名の死亡事故が発生しております。御指摘のとおりでございまして、新幹線工事に伴います労働災害の事故防止につきましては、本社を初め建設局、建設省の各段階におきまして鋭意努力をしておりまして、順次減っております。
  137. 北側義一

    ○北側委員 それから、これはここでやりとりしてもいけないでしょうが、私は、特に運輸省に、また特に新幹線建設局長、これはやはりこのままずっといくようじゃ大変だと思うのですよ。これらに対してあなたの方で何か抜本策はないのですか。事故が少なくなったと言ったって、東北新幹線に至ってはまだこれからですよ。この数字を見ますと、完成する少し前に非常に多くの死傷者が出ているわけですね。やはりこのまま、やむを得ぬ、そういうあれで済まされる問題じゃないと思うのですよ。特にこういう被害を受けた方というのは、下請とか中高年齢層が多い、こう聞いております。経済的にも精神的にも家族のショックは非常に大きくて悩んでおられる。補償対策、そういうものはどうなっておるのか。また、今後そういう死傷者なら死傷者を出さないための対策はどうなっておるのか。
  138. 吉村恒

    ○吉村説明員 いま先生のお話しのとおり、この種の事故に遭われた方々、その周辺の方々の状況につきましては、確かに悲惨なものがあります。おっしゃるとおりでございまして、私ども常々それを自戒いたしまして鋭意努力をいたしておるところでございます。もっと抜本的なというお話でございますけれども、思わず起きる事故でございますので、なかなか実効は上がらないという御指摘もあるかと思いますけれども、努力は最大限重ねておるつもりでございます。  すなわち、私どもの方で、発注者が工事を計画いたします際にあらかじめなるべく事故の起こりにくいような工事計画をつくること、それからその施工方法につきましても、十分考慮をする。いま先生のお話にありましたように工期がなくてあわてるというようなこと、今日ほとんどそういうことを避けておりますけれども、業者の方から施工計画書を御提出願いまして、その点綿密なチェックも私どもの方でしておるところでございます。また工事の現場に当たりましては、安全会議を一体になって持つとか、もちろんそれにつきましては警察あるいは労働基準監督署等の御指導も得まして十分な措置を講じ、常に相互監視をしながら工程の各段階をチェックいたしてございます。また、トンネルの工事などが非常に災害率が高い。それから鉄道の、新幹線の特性上背の高い高架橋が多うございまして、先ほどお話のありました落下防止網等をつけまして転落事故の防止等は厳重にやっておるわけであります。  ただ、何分にも大きな工事の途中段階では、いわゆる過誤が起きますと事故につながるケースがなかなか避けられない点もございまして、それらを細密につぶしていくようにチェックをし、努力をし、それから関係の方々の教育訓練にも努めておるところでございます。
  139. 北側義一

    ○北側委員 この問題を余りやっておりますと時間がありませんのでこれでやめますが、ひとつ最大の努力をしてもらいたいということ、それと、そういう傷害に遭われた家族に対しての補償にやはり万全を期してもらいたいと思うのです。その点よろしくお願いします。  次に、宅地問題で少しお伺いしていきたいのですが、先般建設省からいただきました「宅地供給の現況と問題点」、これによりますと、宅地供給は昭和四十七年以降公的供給も民間の供給も非常に先細りしておるわけです。そういう状況を国土利用白書から見ますと、このようになっておるのですね。たとえば宅地用地完成面積、これは昭和四十六年が一万七千三百八十四ヘクタール、この内訳は三大都市圏が七千九百三十六ヘクタール、地方圏か九千四百四十八ヘクタール。ところが、五十一年になりますと、その宅地用地完成面積が一万二千八百八十九ヘクタール、三大都市圏が四千二ヘクタール、地方圏が八千八百八十七ヘクタール。そうしますと、四十六年と五十一年、これを比べてみますと、四十六年が三大都市圏の場合七千九百三十六ヘクタールでしょう。五十一年が四千二ヘクタール。非常に急激に半分近く落ち込んでおるわけです。その供給された宅地も、「宅地供給の現況と問題点」の指摘によりますと、その宅地開発事業が一ヘクタール未満の小規模宅地開発が非常にふえてきて一ヘクタール以上の宅地開発が減少してきておる。なお、一戸当たりの敷地面積、これも非常に減少してきておる、こういう実態が出ておるわけです。これらの実態について一体どのようにお考えになっておられるのか、まずそれをお伺いしたいものです。
  140. 大富宏

    ○大富政府委員 御指摘になりましたとおり、今度の第三期住宅五カ年計画八百六十万戸を建てるにつきましては、六万六千ヘクタール宅地供給するという見込みでおるわけでございますが、四十七年をピークにいたしまして、最近宅地供給量が非常に減少いたしておる。ことに宅地需要が非常に強いところの大都市圏におきましてその落ち方が強い。六万六千ヘクタールといえば、年間一万三千ヘクタール平均で出さなければいかぬわけでございます。  ただ、公的供給が若干落ちておりますが、一番心配しておりますのは、宅地供給で相当なシェアを持っておりますところの民間が非常に落ち込んでおる。区画整理は依然として上昇傾向にあるわけでございます。ひとつ今後とも公的宅地開発及び優良な民間宅地開発のいろいろな助成をやりまして必要量を確保したい、こう思っておるわけでございます。  その次に問題になりますのはミニ開発でございますけれども、最近、この四月でございますか、東京都か発表した土地白書によりましても、百平方メーター以下のミニ開発が二十三区内では四割を超えておる。大変なミニ開発のしょうけりでございますが、その原因は一体何だということを追及いたしますと、やはり計画的宅地開発が非常にむずかしくなってきている。その原因の一つは、やはり開発許可がうまくいかない、それから、開発許可がありましても、関連公共公益施設の負担が非常に大きい。それと、幸い地価は横ばいにはなりましたけれども、やはり非常に高値安定であるということで、なかなか庶民の手に入りにくい状況でございますので、勢い宅地事業者も宅地の細分化という傾向にいかざるを得ないということで、ミニ開発が今後ある程度しょうけつするのじゃないかと私は思うわけでございますが、いずれにいたしましてもミニ開発というのは、都市防災上も住環境面におきましてもデメリット部分が非常に大きいわけでございますので、やはり基本的には計画的宅地開発を大いに推進するとともに、こういったミニ開発対策といたしましても、既成市街地の再開発という面にも十分配慮する必要がある、このように考えております。
  141. 北側義一

    ○北側委員 いま言われたとおりだと思うのですね。そこでただいま局長が言われたとおり、第三期住宅建設五カ年計画で新規の宅地供給、これは六万六千ヘクタール、公的資金による住宅の三百五十万戸分なんですね。民間自力建設の五百十万戸分というのはこれに含まれてないわけです。そうしますと、いただいた資料によりますとこの公的資金の三百五十万戸分の新規宅地供給分の六万六千ヘクタール、このうち五一%、すなわち三大都市圏で三万四千ヘクタール、これだけ宅地供給するような計画になっておるわけですね。そうしますと、先ほどのは昭和五十年でしたかな、これは五十一年で四千二ヘクタールでしょう。ということは、五十一年というのは第三期住宅建設五カ年計画最初の年ですね。果たしてこの五カ年計画は三大都市圏にそれだけの、この計画どおりの宅地が供給されるのかどうかということです。たとえば四千二ヘクタール掛ける五という数字が出ますと、二万十ヘクタール、こうなるんですね。そうしますと、いまの第三期住宅建設五カ年計画というのはもう全然見込みない、こう見ても仕方ないのじゃないか、こう私は思うのですよ。その点どうですか。
  142. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  第三期住宅建設五カ年計画八百六十万戸に必要な新規宅地の面積六万六千ヘクタールというのは、八百六十万戸の四割、三百五十万戸に匹敵する新規宅地でございまして、この三百五十万戸以外の五百十万戸というのは既成の宅地に建て増しをするなりあるいは工場跡地なりに建てるということで、必ずしも公的住宅対象用地ということではございません。したがいまして、この三百五十万戸分の六万六千ヘクタールをそれぞれ公的機関なりあるいは区画整理なり民間優良宅地なりというところで賄うという計画でございまして、なかなか民間が最近施工能力を落としておるものですから、第三期では区画整理なりあるいは公的宅地開発なりにウエートを置いた計画を立てているわけでございます。  それにいたしましても、お述べになりましたとおり、三大都市圏三万四千ヘクタール、約五一%を見込んでおりますが、ことに三全総におきましても昭和六十年までに約六万一千ヘクタール、こう言っているわけでございます。御案内のとおり、宅地というのはそう簡単にできるものではございません。大規模なものについては少なくとも十年ぐらいかかるわけでございますので、いまからそういう対策を十分にとる必要があると考えておるわけでございます。  ただ、私どもが計算いたしました六万六千ヘクタールないし三万四千ヘクタールという積み上げの根拠といたしましては、若干第二期と第三期と積算の根拠を変えておりまして、余り詳しい話は省略いたしますけれども、一体この必要な土地を戸建てで埋めるのかあるいは中高層等の共同住宅で埋めるのかという見積もりが一つございまして、第三期の私どもの宅地の必要量では、第二期に共同住宅率を三三%とはじいておったのでございますが、第三期におきましては共同化率を四〇%くらいに上げまして、ことに三大都市圏におきましては共同化率を高くする、こういうようなことを考えておる次第でございます。
  143. 北側義一

    ○北側委員 余り長い答弁は要らぬ、もう時間がないから。  建設大臣、たとえばいまのよくわかるんですよ。しかし、これは六万六千ヘクタールが三百五十万戸分。五百十万戸分というのがまだあるわけですよ。そうでしょう。いまの宅地の供給の状況というのは、先ほど私がお話ししましたとおり、非常に先細りになってきておる。そこで、たとえばいま局長が言われたとおり、非常に地価が高値安定しておる、庶民が手を出せない、また地方公共団体がいわゆる人口をふやしたくない、こういうことで宅地の開発規制が非常に厳しくなってきておる。たとえば高度経済成長当時は、デベロッパーも地価上昇や販売収益の中で関連公共公益施設整備については消化できたんですが、最近は全然消化できない状況だ、こう聞いておるのですね。また、御存じのとおり、法人が土地買いでずいぶん土地を持っておりますが、その法人の持っておる土地というのは大半が住宅を建てられない市街化調整区域なり都市計画区域外なんですね。  私は、ここで抜本的な——たとえば先ほどお話し申しました八百六十万戸のいわゆる住宅建設計画国民に対して発表して、しかもこの住宅のスペースについても質的な向上を図るために、この計画では最低居住水準を設定しておるわけです。これは前に山岡局長と私はここで論議したわけですが、昭和五十五年を目標に標準世帯で三DK約五十平方メートル、昭和六十年を目標に三LDK約八十六平方メートル、このようにしておるわけですよ。だから、いまのままでは、とてもじゃないが相当抜本的な考え方をここでとらなければ、宅地供給なんてどうしようもないと思うのですよ。なるほどいろいろな問題があると思うのです。いろいろな手の打ち方があると思うのです。しかし、やはりそれをやる勇気を持たれる必要があるのじゃないか、こう思うのです。そうしなければ、この第三期住宅建設五カ年計画というものを見直す必要があるのじゃないかと思うのですよ。そこいら建設大臣、どうでしょうか。
  144. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私から申し上げるまでもなく、全国土が三十七万平方、それを一〇〇とすると、山だとか陵岳地帯だとか火山麓だとか、合わせて七六%。そうすると残りというものは二四%で、この二四%の中から農地が一五・七%、河川だとか沼だとか湖だとか道路が四%、工場用地というものが〇・四%、残された平地というものは四・二%でございますが、ただこの四・二%の平地の中にも洪水の際には山崩れがするとかこういうような心配がある、家が埋まるとか人が死ぬとかというようなところまで含まれておりまして、居住不適地というものが一五%ぐらいあるのじゃないだろうか。そうすると、在来の都市の面積というものを含めて、結局三・六%、一万三千平方キロメートルしかないのじゃないか。  でございますから、いま北側さんのおっしゃるような、本当に根本的な問題に触れて考え方を新たにしてやらなければならぬ。たとえばこれからの住区は、都市の地域というものを中心として根強いものがある。あるならあるような方法、全体を見て、今度の定住性というものとあわせまして、基本的な考え方は、そういう五年計画ということにとらわれないで新たなるものの方向づけをしていかなければならない。それが将来の定住性というものになり、将来安定した住宅問題の解決がつけるのじゃないだろうか、こういうふうに私は基本的なものは考えております。しかし、ただいまそれをやるかというとなかなかそうはいきませんけれども、これを基本として、これだけしかない土地をどう高度に利用するのだ、どう効率的にするのだ、北側さんのおっしゃるとおりだと思うのでございます。これは十分に検討を加えるつもりでございます。
  145. 北側義一

    ○北側委員 この問題は自民党さんの方でも相当検討なさっておられる、こう聞いておるわけですが、私見として私の意見を少し申し述べたいと思うのですが、たとえば建設省の資料によりますと、市街化区域内の農地は全国で二十五万三千百七十二ヘクタール、特に三大都市圏においては十四万二千二百八ヘクタールあるわけですが、線引きを見直すなんということは私は不可能だと思うのです。というのは、線引きを見直したって、地方公共団体がまた市街化区域に入ったところで道路をつくったり何かいろいろなことをしなければならないわけですから、恐らく財源的にも不可能でしょう。そうすると、この市街化区域内の農地についてどう考えていくのかというのが一番大事な問題になってくるのじゃないかと思うのです。そこらを農業をなさっておられる方と十分話し合ってこの問題を解決する以外に解決の道はないのじゃないか、こういう考え方を、私見ですが私は持っているわけです。そうしなければ、これは五十一年四千二ヘクタール、なるほど工場跡地なんかあるでしょう、あったってあとの五百十万戸分の手当てをしなければならぬわけですから、とてもじゃないがこれはできないでしょう。だから、これは本当に真剣に、この問題は行政府だけじゃなしに政治家も責任をとるべきだと思うのです。しかし、少なくとも五カ年計画を発表したり居住水準を発表したのは建設省なんですから、もしできない場合にはその責任はとらなければいけないのじゃないかと私は思うのです。それだったら潔く改定したらいいと思うのです。  その手始めとして、概算要求あたりで公団住宅や公営住宅の戸数が減ってきた。私はこれは一つの見直しだと思うのです。しかし、そんなものじゃどうしようもないのです。そこらをひとつ真剣に取り組んでもらいたいと思うのです。  時間がないので、日本住宅金融公庫の大津留総裁がお見えになっておりますので、こっちの方はやめますが、その点大臣、よろしくお願いします。もうやめるから後はもうということじゃなくて、ひとつよろしくお願いします。  大津留総裁も住宅政策のベテランだと思うのです。私は現状の住宅金融公庫のあり方についていろいろな疑問を持っている点が幾多もあるわけです。  たとえば一つの例を挙げますと、住宅金融公庫の個人住宅の金を借りられる人は土地を手当てしておる人なんですね。本当に困っておる人は土地の手当てができないのです。これを何とか考えなければいけないというのがまず一つ。  二つ目は、中古融資。これは非常に結構ですが、しかし成績を見たら非常に悪いのですね。恐らくこれは手直しをなさると思うのですね。この手直しも、統計的にどうやったらいいのかということをやはり相当やっていただかなければいけないと思うのです。  そのほかいろいろな問題があるのですが、総裁として、いま私がお話し申し上げたような件について大体どのようにお考えになっておられるのか、まずこれをお伺いしたいと思うのです。
  146. 大津留温

    ○大津留説明員 住宅金融公庫もいろいろな問題を抱えておりますけれども、ただいま御指摘の土地の用意ができていない者に対してどうするかという問題これは一番大きな問題だと思います。  そこで、これに対しましては土地を買う資金についても融資をしたいというので来年度はその要求をしておりますけれども、しかし、先ほどから御議論がございましたように、どこでもいいから土地を買えばいいというものではございませんで、やはり計画的に環境のいい宅地をつくる、それに合わせて融資がいくということが一番肝心かと思うのです。したがいまして、先ほど計画局長からいろいろ御答弁がございましたように、公的な開発あるいは民間の優良な開発事業あるいは区画整理事業、こういうものを助成いたしまして、そういうところの土地を買って家をお建てになる方々には一番優先的に土地代も融資したいと考えております。  それから、既存住宅に対する融資は昨年度から新たに始めたのですが、御指摘のようにまだ実績が上がっておりません。これは、こういう融資が始まったということがまだ十分PRされていない面もございますので、その点は十分PRもいたしたいと思うのですが、現在融資の対象になっておりますものの条件がちょっと厳し過ぎやせぬか、こういう点もいろいろ検討して、緩和すべきものは緩和したいと思うのです。  さらに、これは私見ですけれども、中古住宅の融資が伸びない一番の原因は、中古住宅に対するマーケットが整備されていない。つまり、売りたいという方がある、買いたいという方がある。どこに行ってこれを売りたいと言えば需要者が容易に見つかるか、買いたいという方がどこへ行けばどういう売り物があるかということが一目でわかるような市場が確立される必要があると思うのです。それが大変おくれております。そういうものができますと、適正な価格といいますか相場も出てきますから、関係各省にお願いをして、そういうものを育成しながら進めていきたい、こういうふうに考えています。
  147. 北側義一

    ○北側委員 まだいろいろ質問があるのですが、もう時間がないようですからやめます。  特に基本住宅の融資については、一般向け個人の五・五%利子——既存の中古を買われる人は土地を手当てして新築する人よりは、この前お話ししたのですがお金がない人だと私は思うのです。お金のない人の方が利子が高いというのはずいぶんおかしな話だと思うのですよ。たとえば不動産取得税にしたっていろいろな税制にしたって、新築の方と中古と全部違うのです。ここらをやはり何とかしなければいけないのじゃないかと私は思うのです。この点、山岡さんどうですか。
  148. 山岡一男

    ○山岡政府委員 既存住宅の融資につきましては五十一年に始めたわけでございますが、実は予算折衝の最終段階におきまして、局長折衝の際にとにかくつくろうということでつくったものでございます。したがいまして、中身は先生おっしゃいますとおり完全に整備されたと思っておりません。しかし、逐年中身を改善をしてまいりたいと考えておりまして、来年度も条件の改善の要求をいたしておりますけれども、まだまだ国民の皆様の御要望には不十分ではないかと実は内々思っております。しかし物事には順序がありますので、来年はここまでひとつやりたいという限度を要求しております。  それから金利でございますけれども、これもやはり従来五分五厘の個人融資を一番基本に考えてきたという点がございまして、そこに新銘柄をつくるに当たりまして利子補給の要らない新銘柄ということでつくったわけでございます。だんだん資金運用部資金も下がってまいりまして、現在六分五厘でございます。実は、来年利率の改定は要求しておりませんけれども、これも将来大いに気をつけて努力してまいりたいと思います。
  149. 北側義一

    ○北側委員 まだいろいろありますが、時間が参りましたので、次回にまた質問したいと思います。
  150. 伏木和雄

    伏木委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十九分休憩      ————◇—————     午後三時十二分開議
  151. 伏木和雄

    伏木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西村章三君。
  152. 西村章三

    ○西村(章)委員 まず、土地税制の問題についてお伺いをいたします。  建設省、国土庁は来年度の税制改正要綱の中で、それぞれ土地譲渡益重課税、土地保有税など土地税制の一部改正を求めておられるようでございますが、今日段階で両省で考えておられる改正につきまして、その内容と目的、目指すところをまず明らかにしていただきたい。
  153. 大富宏

    ○大富政府委員 土地税制につきましては目下政府部内で検討している段階でございますが、建設省が税務当局に要求した内容は、法人の土地譲渡所得税重課に関する見直しと、それから特別土地保有税に対する見直しと二点でございます。  法人の土地譲渡益重課に対する見直しといたしましては、重課の適用除外要件に三つ要素があるわけでございますが、その中の適正利益率につきましては、国土利用計画法で適正価格審査をやることになっておりますので、二重チェックになっているという点もございまして、適正利益率要件をやめまして、国土利用計画法によるところの適正価格審査に変えてはどうかというのが第一点。  第二点につきましては、でき上がったものについては公募するということになっておりますけれども、土地造成業者からホームビルダーに譲渡する際には公募要件を緩和してもいいのではないか、この二点が主な内容でございます。  それから、地方税でございますところの特別土地保有税につきましては、中高層の貸しビルに現に使っているようなものについてはもう土地を有効に利用しているわけでございますから、特別土地保有税の重課はやめてはどうかという点が一つ。  もう一つ、建築基準法等で総合設計されたものについても、特別土地保有税を非課税にしたらどうかという、この二点でございます。
  154. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 国土庁が現在検討しております土地税制の内容につきましては、ただいま建設省から話が出ましたものとほぼ同様でございますが、ただ特別土地保有税につきましては、国土の有効利用の促進というような観点から、従来も林地につきましては施業計画を立てたものについては非課税になっておるわけでございますが、これを施業計画を立てたと同様に適正な管理をしておると都道府県知事が認めたものについても非課税範囲を拡大したらどうかという検討をしておるということでございます。
  155. 西村章三

    ○西村(章)委員 その目指すところは宅地の供給であり、あるいは国土の有効利用だ、こういうことでありますが、現在地価全体の動向は、高値ではありますけれども値動きそのものに大きな変動はないようであります。しかし宅地につきましては、本年七月から九月まで三カ月間で一%の上昇、また去る四月から六月までで〇・九%、特に三大都市圏におきましては、年間このままで推移いたしますと、三%から四%に迫る強含みの傾向であります。このような上昇警戒時期に改正をすること、それも緩和の方向をとりますことは、ムード的に地価上昇に一層の拍車をかける心配があろう、かように思うのでありますが、いかがでございますか。
  156. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 地価の動向につきましては、国土庁といたしましても、国土利用計画法の適正な運営というような観点を通じまして、その安定化に努めておるところでございまして、ただいま先生から御指摘がありましたように、住宅地等につきましては若干の動きが出ておることは事実でございますが、全体の物価の動向等から考えますと、実質的にはさほど大きな値動きではないというふうに考えておりまして、今後ともこの地価の鎮静化傾向をぜひ維持していく必要があるというふうに考えております。  ただ、住宅地につきましては、住宅地の需給関係から見まして、特に優良住宅地についてその提供が減少しておるというのが実態でございますので、このような優良住宅地について需給関係から地価が強含みになっていくことを恐れておるわけでございます。その点からいたしますと、優良住宅地の供給につきましてはいろいろと隘路がございまして、宅地開発事業にとって問題が多いわけでございますので、土地税制だけで解決し得るとは考えておりませんけれども、土地税制におきましても、このような優良住宅地の供給に役立つ方法はないかどうかということで、先ほど御説明しましたような内容について検討しておるわけでございます。国土庁といたしましては、今後とも地価の安定につきましては一層の努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  157. 西村章三

    ○西村(章)委員 優良な宅地の大量供給、これは国民の多数の願望でございます。したがって、あらゆる手法を駆使してその促進をせねばなりません。しかし現行税制のもとにおきましても、優良宅地供給につながるものにつきましては、あえて税制の改正をしなくても、たとえば特別土地保有税につきましても、すでに開発用の取得土地、こういったものはすべて課税対象から適用除外になっているように思うのでありますが、いかがでございますか。
  158. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 ただいまお話しのように、現行の税制におきましても、優良住宅地の供給については特別措置を講じておるわけでございます。法人の土地重課につきましても、優良住宅地につきまして適用除外要件が課せられておるわけでございますが、私どもが検討したいと考えておりますのもその範囲内の運用の面でございまして、この範囲を変えるというふうには考えておらないわけでございます。  また特別土地保有税につきましても、先ほど御説明いたしましたように、土地の有効利用の促進という観点から、優良住宅地の供給であるとか施業計画を立てた林地であるとか、その他地域開発用の土地取得というようなものについては非課措置が講ぜられておるわけでございますので、私どもの検討する内容も、考え方としてはその範囲内で行っていきたいと思っておるわけでございまして、森林についての課税要件につきまして現在ございます施業計画というものが実態上立てにくいというような事情もございますので、施業計画を立てたと同じように適正に管理されておるものは非課税範囲に考えてもいいのではないか。このことにつきましても、現行の税制の考え方の延長上にあるものというふうに思っておるわけでございます。
  159. 西村章三

    ○西村(章)委員 いま林地の話が出ましたが、昭和四十七年から四十八年にかけまして全国的に地価が高騰しました際、山林の素地価格、これも年間三〇%を超えるというかつてない上昇率を示しました。しかも法人の持つ土地の六割が山林でありまして、これはゴルフ場その他レジャー、観光用など開発の可能性を見越した土地取得でありまして、私から言わせるならばきわめて投機性が高い、こう思われるのでありますが、この点についての御見解はどうですか。
  160. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 国土庁が調査いたしました遊休地制度のための未利用地の状態を見ましても、三十万ヘクタールのうちで市街化区域内に存するものが一万二千ヘクタール程度でございまして、調整区域等の都市計画区域に約九万ヘクタール、残りの二十万ヘクタールが都市計画区域外ということでございますから、その大部分が山林でございます。したがいまして、ただいま御指摘がございましたように、企業の所有する山林等につきましては、投機的な目的で取得され、またそのために十分に利用されておらないということが多いという御指摘の点は正しいと思います。  ただ、現状のような経済状況のもとで国土の有効利用を図っていくというふうな観点からいたしますと、それぞれの土地の立地条件に応じて土地の有効利用を促進していく、林地として地域森林計画の対象区域に設定されたような地域については、林地としての有効利用を図っていくということがむしろ国土利用上重要なことではないかというふうに考えておるわけでございます。
  161. 西村章三

    ○西村(章)委員 国土庁の試算によりますと、四十八年に土地購入のために金融機関から貸し出された金は全体で約十兆七千億、そのうち六兆円余が法人に流れたと言われておりますし、四十八年の土地取引総額十八兆八千億円のうちの約半分が法人の土地買いあさりで占められました。そのうちの六兆円余が借金による土地買いだったとみなされております。四十八年だけでもこれだけあるわけでございまして、その前後の数年間を合わせますと、企業が借金をして土地を買った総量は金額に直しますと十兆円を上回る金額になる。そして企業が借金した六兆円の土地のうち半分近くの土地が眠ったままでありまして、寝てしまった土地の金利負担は全産業で相当な額に上っておる、こう言われております。  このような状況から判断をいたしまして、いまこの二法を改正してみましても、それは優良宅地の流動化の促進につながるということよりも、むしろ法人が投機のために買い入れたいわゆる不良不動産、これの資金コストの軽減をもたらすだけではないか、こういう疑惑なり懸念が抱かれているように思うのであります。この点につきまして、国土庁、どうお考えでございますか。
  162. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 いわゆる昭和四十年代の後半の地価高騰時期におきまして企業が多額の資金を動員して土地を購入したということは御指摘のとおりでございまして、四十八年一年間で全体で十八兆八千億程度の土地資金が流れたということも白書に示しておるとおりでございます。したがいまして、これらの土地の取得目的については相当程度投機的な目的によって取得したということは御指摘のとおりであろうかと思いますが、現在の土地の利用のあり方を考えます場合には、それらの土地について住宅地として活用し得るものはできるだけ住宅地に活用し、住宅地として活用できないような地域にある土地については、それぞれの立地に応じた土地の有効利用を図っていくということが重要であろうという、現時点での判断をいたしておるわけでございます。
  163. 西村章三

    ○西村(章)委員 昭和四十五年から五十年にかけまして宅地供給の拡大という名分のもとにいわゆる土地譲渡税の軽減が行われました。その結果は余り大きな宅地供給に結びつかず、土地成金を多数誕生させた、こういう苦いかつとうとい経験があるわけでございます。現在のように高値安定の状態から、再び地価を刺激するおそれのある土地税制の改正については努めて避けるべきだ、私はこう思うのでありますが、この税制の改正以外に優良宅地供給促進の方法というものがないだろうか、かようなことをお尋ねをしたいと思います。
  164. 大富宏

    ○大富政府委員 最近計画的宅地開発が四十七年をピークといたしまして次第に減少しているわけでございますが、私どもは土地税制の見直しというのもそういった優良民間宅地開発をもう少し促進する一環として考えているわけでございまして、必ずしも土地税制だけですべてが解決するとは思っておりません。  御指摘のように、土地税制のほかにも、現在計画的宅地開発の推進に非常な難点となっておりますのは、御案内のとおり、関連公共公益施設の負担の問題であるとかあるいは補助率のアップとか、そういう問題でございますので、あわせて総合的な施策を考えたいと思っております。
  165. 西村章三

    ○西村(章)委員 いろいろとお話がございましたけれども、今回の改正の方向につきまして国民やわれわれが一番恐れておりますのは、いわゆるこの改正が今後地価の上昇を刺激したりあるいは再び投機ムードを起こしたり、いわゆる悪質土地所有者の救済にならないか、こういう懸念でございます。再度この点につきましてひとつ責任ある御答弁をお願いしたい。
  166. 大富宏

    ○大富政府委員 認識は全く同じでございまして、せっかく地価高騰がおさまりまして横ばいの状況でございますので、地価抑制を堅持しつつ、計画的宅地開発、良好な宅地を供給することに努めたいと思います。
  167. 西村章三

    ○西村(章)委員 次に、道路問題についてお伺いをいたします。  近年自動車というものは生活必需品になりつつございまして、その保有台数もまだまだ今後ふえるのではないか、こう考えられます。それに伴いまして貨物の輸送量、旅客の輸送量ともに飛躍的に拡大することが予想されますが、五十三年を起点といたします第八次の五カ年計画、これの策定に当たっても当然こういった動向を踏まえて、十年先、二十年先という長期の道路整備目標を立てて計画を作成されていると思います。自動車が今後どれくらいふえるかということも含めて、ひとつ長期的な交通需要見通し、これをまず聞かしていただきたいと思います。
  168. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  第八次の道路整備五カ年計画の策定の前提となります道路交通需要の見通しでございますが、いろいろな試算をしましたが、私どもでは一応旅客輸送では約六千五百億人キロ、貨物輸送トンキロで三千億トンキロというふうに推計しておりまして、これは五十年度の実績と比べますと、旅客の方か一・八倍、貨物の方が二・三倍ということに六十五年時点でなるのではないかというような推計をいたしております。また、自動車保有台数につきましても、六十年度で約三千九百万台、六十五年度か約四千三百万台というふうな推計をいたしておるわけでございます。
  169. 西村章三

    ○西村(章)委員 伺っておりますと、今後まだまだ交通需要というものは増大する一方のようでありますが、これに適切に対処していかなければならぬことはもちろんでございます。同時に、いま課題になっておりますいわゆる三全総、これに基づく地方分散、定住構想を今後推進していくためには、道路整備、なかんずく地方道の整備というものがきわめて重要なウエートを持ってまいります。極言いたしますと、地域発展の可能性というものは一にかかって道路整備にある、かように申し上げても過言でないくらいでありますが、定住構想実現の基磯となりますいわゆる全国的な幹線ネットワークの長期的な展望をひとつ聞かしていただきたい。
  170. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 三全総の定住圏構想は、われわれの五カ年計画策定後いろいろ発表されたものでありますが、この定住圏構想実現のための基盤としても道路整備が重要な役割りを果たすということは、先生御指摘のとおりだと私どもも認識しております。第八次の道路整備五カ年計画の整備に当たりましては、こういった地域社会の中での生活の基盤としての地方道のネットワークと、それからこういった定住圏それぞれを相互に結ぶ幹線道路網の整備、この両者をバランスよく整備していくという形で道路整備全体の量的水準を上げていくと同時に、中身といたしましても従来の車道中、心の整備ではなくて、やはり質的な面を十分考えた新しい道路整備の姿勢で取り組んでいくべきものというふうに考えておるわけでございます。
  171. 西村章三

    ○西村(章)委員 通過交通、それに地域内交通、この混在を避けまして、慢性的な交通混雑と騒音あるいは交通公害の減少を図るためのいわゆるバイパス、これの早期建設の要望は全国的にも非常に強いわけであります。しかし、現況といいますものは、全国各地におきましてバイパスの建設が非常に停滞をしておる。五十一年末の供用開始はようやく六十七カ所にとどまっておる、かように伺っておるのでありますが、今回の第八次五カ年計画の中におけるバイパスの整備計画についてはどうなっておりますか。
  172. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘のように、全国的にバイパスの建設が大幅に停滞しておるわけでございますが、現在都市内の生活環境の改善、それから交通渋滞の解消等を目的としましたバイパスの建設は、全国で五百カ所行われておりますが、すでに着手しているこの個所のうち、全区間が暫定供用できるものは九十八カ所にすぎないわけでございまして、まだまだ膨大な残事業を抱えておる現状でございます。これは、四十八年以降の石油ショック以後とられました総需要抑制策によりまして道路事業全体が抑えられたということで、また、この間に物価の非常な高騰があったというようなことで非常におくれたわけでございまして、こういった現状では、一つのバイパスを完成するのに大体平均十年程度必要とするような状況になっておるわけでございます。  しかしながら、これらのバイパスあるいは環状道路は、都市の生活環境の改善のためにも緊急に整備を必要とするものでありますので、第八次の道路整備五カ年計画におきましては、投資規模の制約等を考慮しまして、新規事業については極力抑制しながらも、現在すでに着工しておりますバイパスについては早急に完成を図るというような考え方で進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  173. 西村章三

    ○西村(章)委員 全国的に非常に要望が強いわけでございますから、せっかくの御努力をお願いしておきたいと思います。  そこで、具体的な問題についてお尋ねをいたしますが、大阪−和歌山間の第二阪和国道、これもバイパスであります。また大阪−神戸間の埋立地を結ぶ大阪湾岸道路の建設が計画されておりますが、またいますでに着工をされておるようでございますが、進捗状況についてお尋ねをしたいと思います。
  174. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 御指摘の第二阪和国道は、一般国道二十六号のバイパスとしまして計画されたものでございまして、大阪府の堺市から阪南町に至る延長三十二・八キロの四車線、また一部六車線の一般道路でございますが、この事業は、本格的に工事が始まりましたのは昭和四十四年度からでございまして、五十二年度までに四百三十億の事業費を投入いたしております。その結果、五十一年度末現在で二十・七キロ、全体のちょうど六三%に相当するわけでございますが、すでに供用いたしておるわけでございます。さらに本年度いっぱいで泉大津地区では一・三キロ、それから岸和田地区では〇・七キロ、合計二キロがさらに供用される予定でございます。  一方、大阪湾岸道路でございますが、これは大阪湾の臨海部の埋立地を相互に連絡する幹線道路として計画されたものでございまして、この全区間は大体八十キロになるわけでございますが、このうち、昭和四十九年七月に完成いたしました南港連絡橋の前後を含めまして、大阪市港区港晴から大阪府の堺市出島町西町間、延長約十二キロがすでに都市計画決定して現在工事中でございますが、これは五十六年度完成することを目途に、現在その建設を推進しておる状況でございます。  また、その他の大阪から神戸を結ぶ間につきましては、内陸部の交通混雑の著しい区間でもございますので、港湾計画との調整等、さらに関係機関との協議を重ねまして、早期に都市計画決定をするような段階に持ち込みたい、そして必要な区間からその整備を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  175. 西村章三

    ○西村(章)委員 第二阪和は国道二十六号線のバイパスとして考えておられるわけでございますが、この国道二十六号線そのものの混雑というのが非常に激しいわけでございます。大阪市と和歌山市を直線で結ぶのが国道二十六号線でございますが、最近の交通量はウナギ登りだと伺っております。まず、交通量と混雑度はどれくらいなのかお示しをいただきたい。
  176. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  国道二十六号の混雑状況でございますが、これは岸和田市付近が一番激しいようでございまして、交通量は一日当たりか三万一千二百台というふうに観測されております。混雑度にいたしますと二・六ということで、実用交通容量二・六倍の交通が流れているという状況でございます。また忠岡町、貝塚市あるいは泉佐野市等につきましても、交通量は大体一日当たりで二万三千台から二万六千台に達しておりまして、混雑度は二ということになっております。
  177. 西村章三

    ○西村(章)委員 二十六号線の混雑が非常に激しいわけでありまして、そのためにバイパスが計画をされた。この第二阪和国道といいますものは昭和三十八年度に着工しております。当初は四十五年の万博開催時までに完成予定であったわけでございますが、今日現在、ただいま局長から御答弁がありましたように、ようやく三分の二程度が供用されましたのみで、しかもそれが三カ所にわたって断ち切られたままであります。そのため二十六号線の麻痺は非常に極限にまで到達しておりますし、加えて最近、従来四車線の二十六号国道が歩道整備のために二車線に減少してきておりましてさらにそれに一層の拍車をかけておる、こういうことでございます。また第二阪和におきましても、供用が開始されております部分の出入り口、これは車が非常にはみ出しまして狭い街路まで埋め尽くしておる、こういう実態でございます。このように全面開通が非常におくれておりますために大阪南部、泉州はもちろんでありますが、大阪、和歌山、これらの多くの住民が非常に困惑状態でありまして、特に地元におきましては産業活動の停滞にまで発展をしかけておる、こういう現況であります。遅々として進まない第二阪和国道建設の問題点というのは一体何でありますか。
  178. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 お答えいたします。  第二阪和国道の建設、全通がおくれました結果、地元の皆さんに大変御迷惑をかけている次第でございますが、これはいろいろ理由がございますが、第二阪和国道の岸和田以北につきましては原則として土地区画整理事業によって用地を取得することにいたしております。しかし、その土地区画整理事業がなかなか進みませんで、その結果その区間だけがとてもつなげないというような事態になったこと、そのほか多数の埋蔵文化財がございましてその調査に相当の期間を要したというようなこと、こんなようなことから全区間の供用が当初の予定よりおくれることになったわけでございますが、非常に重要な路線というふうにわれわれも認識しておりまして、毎年予算的な面では十分これに予算を投入して整備を図っておるわけでございますが、そういった埋蔵文化財あるいは区画整理事業等の推進によりまして、今後早く全通に持ち込みたいと思っておるわけでございますが、未供用区間の中には泉大津市におきます池上遺跡の保存という問題、それからこれの道路構造との調整の問題が今後ございます。それから和泉市におきます先ほどの葛の葉土地区画整理事業との事業調整、さらに南の泉南市の一部におきます環境保全問題といったような解決すべき問題点が残っておりますが、これらにつきましては大阪府を初め関係機関と協議を進めておりまして、早期に解決を図りたいというふうに考えておるわけでございます。
  179. 西村章三

    ○西村(章)委員 全体といたしまして区画整理事業方式をとった地区の建設の立ちおくれが目立っておるわけでございます。特にいま局長が御指摘なさいました葛の葉地区、これは四十年十一月に事業計画が決められまして、その後全く事業調整が話し合いすらされないままに進展しておらない、こういう状況でございます。先般も私地元の施行者であります市長に強硬に申し入れをいたしました。最近何か変化が出てきた、かように伺っておるのでありますが、この葛の葉地区の事情につきまして対策なりあるいは今後の見通しなりおわかりでございましたら教えていただきたい。
  180. 中村清

    中村(清)政府委員 お答えいたします。  一般国道二十六号が非常に事業がおくれております一つの原因としまして、ただいま御指摘がございました区画整理が大分おくれているではないか、確かにそういう点がございまして申しわけございませんが、区画整理で本来用地をあけようという地域、これは全体が三十二・八キロでございますけれども、そのうち九・六キロを区画整理であけようということで現在いろいろ仕事を進めております。約四・八キロぐらいはすでに供用を開始しております。残り二・五キロ、これは現在仕事をやっておる最中でございます。残りの二・三キロのうち約一・七キロ、これは近々五十三年度から仕事に着手しようということで、地元の権利者の方と話を進めておりますが、それが進みますと、区画整理の方の責任であけなければいけない地域全体のうち、残りが約七%ぐらいになります。その地域が、いま御指摘ございました葛の葉の地区でございまして、ただいま御指摘がございましたように四十年十一月に事業計画決定がございまして、和泉市長施行ということになっておりますが、いろいろ事情を聞いてみますと、当初は区画整理方式でいくということでございましたのですが、地元の方々の間から非常にいろいろな意見が出てまいりまして、区画整理ではだめだ、これは用地の直接買収方式でいけというふうな話も非常に強く出ておる。地元の情勢はまさに賛否相半ばしておって、なかなかいずれとも決めがたいというふうな状況であるようでございます。したがいまして、まだ仕事が進んでおりません。いずれにしましても二十六号、これは非常に大事なバイパスでございますし、私ども泉南地方の交通渋滞を解決するという意味合いからは一刻も放置できないと考えております。したがいまして、いま区画整理ということで一応進んでおりますけれども、直接買収方式をとるかどうかということも含めまして今年度中に結論を出したい、関係の方面とも相談したいというふうに考えております。
  181. 西村章三

    ○西村(章)委員 ただいま局長から、今年中にこの葛の葉地区の見通しをつけたいということでございました。ぜひともお願いいたしたいと思います。  ところで、この第二阪和国道建設の五十二年度事業費及び五十三年度以降完成までの事業費は幾らでございますか。
  182. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 五十二年度の事業費は補正の追加も含めまして三十八億八千万円ということになっております。五十三年度以降全区間の供用に至るまでの事業費は、なお二百十億必要であるというふうに積算しております。
  183. 西村章三

    ○西村(章)委員 第八次の整備五カ年計画の中にも、この第二阪和は都市間の連絡幹線道路として入れていただいておるわけであります。この五カ年計画でどこまで進捗をなされる予定ですか、お聞かせいただきたい。
  184. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 第二阪和国道早期完成につきましては今後とも鋭意努力する所存でございますが、さしあたり先ほど来申し上げましたような幾つかの問題を早く解決いたしまして、第八次の道路整備五カ年計画の期間内には全区間について供用開始することを目標にいたしまして事業促進を図ってまいりたいと考えております。
  185. 西村章三

    ○西村(章)委員 くどいようでございますが、最後にもう一度、この五カ年計画内で全線供用開始だ、こういう局長の御答弁でございますが、未開発区間、未供用区間の供用開始年次、これがわかればぜひこの機会に明らかにしていただきたい。
  186. 浅井新一郎

    ○浅井政府委員 八次の五カ年計画では全部終わりたいという目標を立てておるわけでございますが、現在、諸問題の解決に若干不測の要素がございますが、一応予定といたしましては、岸和田地区につきましては五十三年度から一部あけまして五十四年度までに岸和田地区を全部あけたい、これは二・八キロでございます。泉大津地区につきましては五・一キロございますが、これは五十五年度までにあけたいというつもりでおります。それから泉南地区につきましては延長四・二キロメートルでございますが、これは昭和五十六年度までに供用開始をするというようなそれぞれ目標を立てております。
  187. 西村章三

    ○西村(章)委員 せっかくの御努力をお願いいたしまして、私の質問時間が参りましたので終わります。
  188. 伏木和雄

    伏木委員長 瀬崎博義君。
  189. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 田中金脈を構成する事件の中でも最大の疑惑に包まれている信濃川河川敷事件について、国会での追及と政府答弁を振り返ってみますと、四十九年十一月八日には、当時の亀岡建設大臣が、事態を究明するまでは軽々の措置はとられないというふうに理解していいかというわが党の上田参議院議員の質問に答えて、「当然でございます。」と明確に答えております。四十九年十二月二十四日には、当時の仮谷建設大臣が、「いろいろな疑惑や問題があるわけですから、」と疑惑の存在を認めた上で、「廃川処分を行なうまでにはなおまだ相当の時日を要すると思いますので、これは慎重に検討をして、少なくとも行政上誤りのないようにしなきゃならぬということはこれは当然のことだと思います」、さらに、「私は前の大臣がそういう約束をしておるとすれば、前の大臣の方針をもちろん踏襲いたしましてお約束を実行するということは当然なことだと思っております。」とも答えております。そして五十年の十月二十九日には、三木前首相が、これは予算委員会の小委員会のことでありますが、徹底的に小委員会で検討していただいて、それまでの間は処分はいたしませんと明言しております。「その内容は徹底的に小委員会で検討してもらいたい。不明確な点があることは事実ですよ、」と、不明確な点のあることも認めております。それに先立って、同じ年の十月十七日には、廃川敷処分については「建設大臣として私に報告して最終的に了承を得なければ処置はしてはいけないということになっておるわけでございますから、」と発言しております。それで五十一年十月十九日には、当時の中馬建設大臣が、「本来行政庁が専決処分すべき問題、また専決処分できる問題を衆議院の予算委員会にわざわざ小委員会を設けられた、」また参議院の決算委員会でも満場一致の決議がなされた、そういうわけであるから、「事はきわめて重大でありますから、軽々にはなかなか処理はしないという気持ちを持っております。」このようにそれぞれ答弁をしておられるわけであります。  そこで、長谷川建設大臣にお伺いするのでありますが、まず第一に、あなたはこれまでの建設大臣の方針を継承されるのかどうか。  第二には、福田総理大臣に報告し、その了解を受けて告示をされたのかどうか。  第三に、衆議院の予算委員会に設けられた小委員会の検討が済むまで処分はいたしませんと過去言われてきたんだけれども、この予算の小委員会の検討が済んだのかどうかは国会が判断することであります。一体国会のだれに判断を求められたのか。  以上三点、お答えをいただきたい。
  190. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 国会の小委員会でございますけれども、御承知のように、それだけの重要性を持っていた小委員会十分論議が交わされまして、そしてその後国会が今日までありますけれども、いまだその小委員会が設立されておりません。でありますから、私は十分論議が交わされたものと判断をいたします。  したがいまして、総理大臣に話したかということでありますが、私は総理にこれを申し上げておりません。私の専決でできる問題ですからそういたしました。  もう一点は、三木さんが慎重にというお話でございますから、かなり私は今回慎重にこれを行ったと考えております。
  191. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一つ抜けておりますが、これまでの建設大臣国会答弁してきた方針をあなたが踏襲するのかどうか、この問題は。
  192. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 各大臣がこれらに十分検討を加えて遺漏のなきようにやっていくというお答えをしてあるようでございますので、そのように今回はいたしました。
  193. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま私はその一部を引用しただけではありますけれども、各建設大臣答弁並びに三木前首相の答弁からして、もしも福田総理が長谷川建設大臣の今回の措置を見逃しておるとしたら、これは国会に対してきわめて重大な問題、長谷川建設大臣の責任もさることながら、さらに政府全体としても、きわめて、より大きな責任を持つことになると思うのです。  そこで、これは委員長にお願いがあります。  当然、福田総理が、この長谷川建設大臣の処置に対してどのような対応をされるのか、お考えはあるはずであります。このことをわれわれとしては聞いておかなければ、国会の権威にもかかわると思うのであります。できるだけ速やかに福田総理を本委員会出席を求めて審議ができるよう、取り計らっていただきたいのであります。
  194. 伏木和雄

    伏木委員長 ただいま瀬崎君から要望がございましたが、後刻理事会でよく協議をいたしまして、お返事をしたいと思います。
  195. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この事件の核心は、もともと霞堤として、締め切らないと言っておった堤防が、結局最終的には本堤となり、締め切られて、室町産業が農民からだまして安く買い付けておった土地、これがぬれ手にアワで莫大な資産として転げ込んでくる、ここにあるわけであります。  四十一年の十月二十日に、わが党の、当時の加藤進衆議院議員は、「きわめて奇怪な事実があります。」としながら、田中ファミリーの幽霊会社であります室町産業がいわゆる遊水地七十三ヘクタールを買い占めたこと、それから霞堤と称して千メートルの本格的な堤防がつくられたこと、これによって水をかぶるはずだったこの土地が堤防に守られた用地に変わろうとしていることを指摘しまして、これに対して当時の橋本建設大臣は、「これが本堤になるのかどうかという御質問に対しましては、その意思はない、」これはもう重々御承知の明確な答弁が出たわけであります。  このような国会答弁に反して、締め切って本堤防にするという以上は、当然国民納得できる手続を踏んで行われなければならない、これはあたりまえのことだと思うのです。しかるに、五十年九月に出された信濃川の河川管理に関する行政監察結果では、築堤方式については締め切らないことが確定していることを示す記録もないこと、それからまた逆に連続堤つまり本堤防への計画変更の経過も明らかになっていないこと、この両面の指摘が出ているわけであります。これはこの事件のまさに中心的な部分の一つなんですが、その後今日までの二年間にこの問題で何か明らかにされたことがあるんですか。
  196. 栂野康行

    栂野政府委員 橋本建設大臣が当時霞堤であるということでございました。と申し上げますのは、昭和三十八年度の総体計画……(瀬崎委員「この二年間のことだけ、何をしたか」と呼ぶ)この二年間におきましては、その後検討しておりません。新しい事実はございません。
  197. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この二年間国会であれだけ追及され、疑惑に答えると言いながら、追及していないということか一つ明らかになった。当時の北陸地建の担当河川部長は、これまた有名な京坂元宇という人物であります。その前には長岡の工事事務所長をしておった。そしてその後は北陸地建局長までした人物であります。したがって、この四十一年当時の橋本建設大臣答弁は重々承知している立場にあります。また、霞堤が霞堤でなくなり本堤に変わる、その全経過に携わっている人物でもあります。そして、もし霞堤が締め切られて本堤になれば、当然のことながら室町産業が莫大な利益を手にするであろうことも承知している人物であります。そして、この京坂なる人物がことしの四月二十八日に収賄容疑で逮捕された。この京坂元河川部長について、建設省は、この霞堤が本堤になったいきさつや、あるいは朝から問題になったいわゆる文書のかがみの紛失について、調べたことがあるのですか。
  198. 栂野康行

    栂野政府委員 まず第一点だけは訂正させていただきたいと思います。  京坂さんは北陸地建の河川部長じゃなくて、中部地建の河川部長でございました。  それから、いま御指摘の点につきまして——失礼しました。北陸の河川部長もやっておりましたけれども、その点につきまして京坂氏を十分調べました。
  199. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それはいつ調べたのですか。
  200. 栂野康行

    栂野政府委員 小委員会予算委員会審議が始まりまして、その節調べたというふうに聞いてございます。
  201. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 委員長にお願いします。  その調べたときの記録を提出させていただきたいのであります。
  202. 伏木和雄

    伏木委員長 どうですか、当局は提出できますか。
  203. 栂野康行

    栂野政府委員 口頭で聞いたということでございます。
  204. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 委員長に重ねてお願いいたします。  その口頭で聞いた内容文書にして本委員会に提出していただくように、お願いをしてほしいと思います。
  205. 伏木和雄

    伏木委員長 それはできますか、口頭の部分を文書にすること。
  206. 栂野康行

    栂野政府委員 口頭で聞きましたことをメモにして提出いたしたいと思います。
  207. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 結局、この二年間というものは、疑惑を晴らすような積極的な材料というものは何一つ出ていない。むしろ先ほどのように調べていないという状態である。一方、当時のいわゆる担当者が収賄容疑で逮捕されるという、疑惑を加重するような事実は出ている。この点についてはすでに大臣も重々読んでいらっしゃると思うけれども、たとえば、きょうのある新聞の社説では、「われわれの結論は「不明朗」の一語に尽きる。」「政治家と建設官僚のどす黒い癒着に対するわれわれの疑惑は、決して晴れていない。」とか、また肝心の資料を紛失した当面の責任者である官庁が一切の疑惑はなくなったと発表したのだから、幾ら納得しろと言っても無理というものである。世論というものを御存じですか。  一方、新潟ではいまどういうことが進んでいるのか。新潟地方裁判所では、民事裁判が進行中です。当初農民は、いわゆる本堤になるだろうとは全然知らされていない。また将来返してほしければ返してやるとか、そういうふうないわば詐欺的な手法によって安い値段で売買契約を締結させられた、土地を返せ、こういう裁判であります。そして田中角榮、佐藤昭、入内島金一ら十七人の証人申請も行われておりますし、現地検証も問題になってきている段階であります。この裁判の進行いかんによっては、まさにこうした疑惑が明らかにされ得る可能性というものは十分あるのであります。もし本当に国会答弁してきた、この疑惑を晴らした上でとこれを守る気なら、長谷川建設大臣、この裁判の結果を見てからするのが私は至当な行為ではないかと思うのであります。いかがですか。
  208. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 裁判の方と行政の方はちょっと違うんでありまして、そういうことがあったとするならば、それはその方の裁判で明らかになるでありましょうし、私の方は、いずれにいたしましても、河川法上、河川区域内の民有地、これは先ほども申し上げたように、実際は民有地を国がただ取り上げておるんです。ただ取り上げているから、不必要になったときには速やかにそれを元地主に返還しなければならないということがあるわけですから、速やかに私の方はその方へお返しを申し上げる。その中の取引がどうなったかということ、そこまで私の方の責任を持つわけにはまいりません。
  209. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま私が問題にしているのは、そうではありません。あなた方の歴代大臣がちゃんと国会で、疑惑が明らかにされるまではいわゆる廃川敷処分はしないと言ってこられた、そこを言っているわけです。この国会に対するあなた方の約束を一体どうするのか、この点が一番重大な点ではありませんか。大臣、どうです。
  210. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私の方は、先ほども申し上げたように、国会の小委員会で十分いろいろ御審議を願いまして、その後小委員会をつくらないでおったということが一点。それで、そのときに十分審議がされて御了解は得たものと私は信じております。
  211. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 あなたがいま言っていることは国会側が判断することであって、国会側の判断を抜きにして大臣が勝手に判断したとするならば、まさにそれこそ越権行為だと思います。  国家行政組織法の十四条に基づいて今回の告示をされたのだと思います。これについて法制局の見解は、「告示を発することができる。」ということは取り消すこともできるという意味である、大臣の判断でこれはやれる、こういう見解を述べております。そして、けさほど長谷川建設大臣は、国会論議してほしいからこそ国会中に行政処分を行ったんだ、こうお答えになったでしょう。それなら、国会論議の結果、政府の行政処分を取り消すべきであるとかあるいは不当だ、こういうふうな決議がたとえば当委員会で出た場合、あなたは告示の取り消しをするとかあるいは国会決議に対応する適切な処置をとりますか。
  212. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 もちろん国会の議決というものは尊重をいたします。しかしながら、私の今回とった河川の廃川という問題は、これは別にやましい点もなければ疑いを受けるような点はない。すなわち、先ほども申し上げたように、その土地の住民がこぞってそういうふうな希望を持ってきて、そうして各派がみんなそういうような気持ちであり、各党がそういうような考え方であり、同一の考え方であり、また四百人足らずの人間が集まって、町会長さんが集まって、早急にその措置をとるように要望しろ、急いでやれというような話もあり、またその中へつけ加え、先ほども申し上げましたけれども、いま長岡土地が狭うて、何ともこの人口をその中に入れておくことはできないほどの渋滞を重ねておるから、それでニュータウンまでつくって、ニュータウンができ上がるのは十年も先になるではないか、それでは困るから、こういうようなところがあるならば急いでこれを利用するように申請をしろ、こういうような強い要望がありまして、その要望にこたえて私の方は判断をいたしたのでございまして、だから決して私はそれに対しましてもただ野放しにそれを申し上げたのではないのであって、要は、買ったときの原価がある。たとえばだましたにしても何にしても、買ったときの原価がある。その原価と金利とそれに対する公租公課、税金の方もあるから、それを合わせただけの価格でもって長岡市が引き受けるんだ、こういうようなかたい約束文書によってつくられておる。であるから、私はその分はそれでりっぱに国民の皆さんに納得してもらうことができ得ると信じます。  したがって、あとの半分でございますけれども、先ほど申し上げたように、あとの半分については、私の方は農民に、供出者に返すんですけれども、室町産業がそれを買い受けたとするならば、その室町産業というものがこの土地を利用する場合には必ず市長と相談をする。市長建設省の方へ、こういう要求があったから、公共性が強いからどうしますかということになる。であるから、それによって私の方は判断をして、いいとか悪いとか言ってあげましょう、そういうことでございまして、そういうのが来たならばこの委員会に提出するかと言うから、私の方は、御提出申し上げます、こういうふうに申し上げておったのであります。
  213. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 長岡市の陳情にどう答えるかという問題と、国会疑惑を晴らすと答えておきながらそれに応じていない問題とは別の問題であります。また、長岡市が各派協議会で全部賛成したようなことを言われたけれども、これもでたらめであるということもすでに上田議員が参議院で明らかにしていると思います。  そこで建設委員長にも一言お尋ねしたいのですが、すでに河川局長、局次長が伏木委員長さんのところへ報告に行ったということを明らかにしているのでありますが、委員長がそれに対して理解を示されたのかどうか、これ一点お聞きしたいのであります。
  214. 伏木和雄

    伏木委員長 せっかくの御質問ですから申し上げておきますが、長岡市の協定ができた際、このような協定ができました、あわせて長岡市からの陳情が参りましたという説明を承っただけでございまして、その廃川敷の是非について何ら議論したわけではございませんから、その点御了承いただきたいと思います。
  215. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでしたら最後に委員長にお願いをしておきたいのであります。  それは、いまの論議で明らかになりましたように、これまでの政府閣僚の答弁国会答弁したことを継承すると言いながら、現にその国会に対する約束を破っているんだ。もちろん総理を呼んで一度事情を聞く必要はありますが、現在の事実は、破られております。このままで国会としては放置できないことは当然のことなんです。したがって、この際当委員会においても、今回の政府の処置に対して何らかの国会の意思表示をする必要があると思いますので、決議が取りまとめられるような取り計らいをお願いしたいと思います。
  216. 伏木和雄

    伏木委員長 午前中井上委員からもこの問題についての御提案もございました。それとあわせて理事会で協議をさしていただきます。
  217. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 終わります。
  218. 伏木和雄

    伏木委員長 甘利正君。
  219. 甘利正

    甘利委員 宅地供給のための面的整備といいますと、街路、公園、下水道、建築敷地の整備、このようになるわけでございますが、この面的整備の手法が大変多様に取り組まれておるわけでございます。文書表をお持ちでしょうか——お持ちになっていますね。それでは内容等については申し上げずに、首都圏においてこれら十五ほどあります面的整備手法の中でどの方法が一番多ととらえておるか、一つ二つばかり挙げていただきたいと思います。
  220. 中村清

    中村(清)政府委員 お答えいたします。  御質問の意味をあるいは正確にとらえていないうらみがあるかもしれませんけれども、首都圏の近郊におきましては、最近特にいわゆる市街化区域の周辺の農地、この辺をどうするかというふうな問題がございまして、最近わりあいやかましく言われておりますのは特定土地区画整理事業あたりでやる。それから市街地の中におきましては、これは先生御案内だと思いますが、たとえば江東防災、これは白鬚東でございますとか西でありますとかあるいは亀戸・大島・小松川地区といったところでやっておりますが、これは市街地再開発事業の手法を使っております。要するにどの方法が一番いいか、必ずしも一概には言えないと思います。地域地域によりましていろいろなやり方があると思いますので、私は現在行われております各種の宅地供給のための手段、いろいろございますけれども、これはそれぞれ場所に応じた適切な手段がとられておるものというふうに理解をしております。
  221. 甘利正

    甘利委員 いまの御答弁によりますと、お示しした手法は十五ほどある。そのいずれもが特色を持っている。しかしどれがすぐれているということは言えない。整備内容に応じその地域に応じて一番適切な手法で宅地供給がなされる、このように解釈するわけでございます。  そこで二つばかり私挙げましてお尋ねしたいわけでございますが、土地区画整理事業は昭和四十六、七年ころから数多くの取り組みがなされておると思うわけでございますが、昭和四十六、七年ごろとことしに至るまでの地価物価等の経済情勢等から、この保留地を処分して事業資金にするという計画がかなり困難を来している。場合によっては質の低下を図ってつじつまを合わせなければならないというような状態もかなり起こっておるようであるということについては、お聞きになったことがありますか、ありませんか。  それからもう一つ、そういう状況は現実にありますので、その点について専門官等によってその事情をお調べになって参考にしたいというお考えはあるかないか、これをひとつお尋ねしたいと思います。
  222. 中村清

    中村(清)政府委員 二つほどお尋ねがございました。  まず、保留地処分が最近非常に困難になっておるのでしたがって何とか保留地を処分しようというために中身を落としておるのじゃないか、こういうお尋ねでございますが、私が聞いておりました範囲内では、最近は地価も一般的に安定してまいりましたのでそういうこともないと思いますけれども、石油ショック後の異常な時代におきまして、一部の地域だと思いますけれども、これはむしろ供給が非常に過剰であったといいますか、区画整理事業がどんどん進んでまいりました。一方需要の方がなかなか追いついていかないというふうなことで供給が相当過剰な状態になって、したがって結果としては保留地処分が困難になったという事態もあったように聞いておりますけれども、最近の情勢は先ほど申し上げましたように一般的に地価が鎮静化してまいりましたので、そういう状況はないというふうに思っておりますが、ただ私ども具体的なデータを持っておりません。もしそういう御指摘をいただければ、具体的なケースにつきまして事情はよく調べて是正措置を講じていきたい、何か方法はないかということは考えてみたいというふうに考えております。
  223. 甘利正

    甘利委員 そこまで心配してやることが将来の宅地供給に大いに貢献をするのじゃなかろうか、こういうふうに私は考えるわけでございます。  次は、大規模開発でございますが、大規模開発は前回も申し上げましたように知事許可でございまして、その許可を得るために良質の開発ということ、良質の開発ということは宅地率を低くするということにもつながるわけでございますから、これをイエス、イエスという段階で承知して、人口計画等も当初の三分の一ぐらいに減ってしまう、そういうような状態で、いざ許可をもらって整備着手というときに、これで一体整備してこの宅地が幾らで売ることができるのだろうか、こうなりましたときに、大変お話にはならなくて頭を抱えて唖然としている、こういうような実態についてお聞きになりましたか。また、そういう実態についていまと同様にお聞きになっていないとしたならば、そういう実態をお調べになって将来の宅地供給への参考にしたい、するというお気持ちがあるかどうか。こういう点をお聞きしたいと思うわけでございます。
  224. 大富宏

    ○大富政府委員 私からお答えしたいと思います。  お示しのお話は、よく民間デベロッパー等で言うところの有効宅地率の低下のお話じゃないかと思いますが、最近大都市近郊におきましては、市町村におきましては、地方財政の困難の理由から、積極的な開発許可に非常に消極的でございます。したがって、人口をなるべく抑えようということで、造成面積のうちの有効宅地率を五〇%以下ぐらいにだんだんしぼってくる。仰せのとおり当初計画したよりも販売宅地面積が非常に少なくなってくるということで、関連公共公益施設の負担と合わせますと一画地当たりの負担が非常に高くなる。結論から言いますと販売価格が高くなっていく、したがって、需要よりも供給価格が高い。こういう現象だろうと思いますが、十分承知いたしております。
  225. 甘利正

    甘利委員 実態について、両者ともに承知しておられるということ、同時に、調査していただいて、こういう実態はどうしたらば避けることができるかということで工夫していただきたい。答弁に満足します。  終わります。
  226. 伏木和雄

    伏木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十二分散会