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1977-10-28 第82回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十二年十月二十八日(金曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 伏木 和雄君    理事 内海 英男君 理事 塩谷 一夫君    理事 野中 英二君 理事 渡辺 栄一君    理事 中村  茂君 理事 福岡 義登君       有馬 元治君    江藤 隆美君       大塚 雄司君    瓦   力君       坂本三十次君    谷川 寛三君       中尾 栄一君    中島  衛君       松野 幸泰君    渡辺 紘三君       井上  泉君    伊賀 定盛君       吉原 米治君    渡部 行雄君       谷口 是巨君    古川 雅司君       西村 章三君    瀬崎 博義君       甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 長谷川四郎君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 田澤 吉郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 松本 作衛君         国土庁水資源局         長       飯塚 敏夫君         国土庁地方振興         局長      土屋 佳照君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省計画局長 大富  宏君         建設省都市局長 中村  清君         建設省河川局長 栂野 康行君         建設省道路局長 浅井新一郎君         建設省住宅局長 山岡 一男君  委員外出席者         経済企画庁調整         局財政金融課長 山田  實君         大蔵省主計局主         計官      宍倉 宗夫君         水産庁研究開発        部漁場保全課長 伊賀原弥一郎君         通商産業省基礎         産業局基礎化学         品課長     児玉 幸治君         運輸省海運局総         務課長     山下 文利君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 十月二十七日  辞任         補欠選任   甘利  正君     刀祢館正也君 同日  辞任         補欠選任   刀祢館正也君     甘利  正君 同月二十八日  辞任         補欠選任   甘利  正君     刀祢館正也君 同日  辞任         補欠選任   刀祢館正也君     甘利  正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 伏木和雄

    伏木委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、日本住宅公団総裁澤田悌君及び理事有賀虎之進君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伏木和雄

    伏木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の御意見質疑応答の形でお聞きすることにいたしたいと存じますので、御了承願います。     —————————————
  4. 伏木和雄

    伏木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  5. 井上泉

    井上(泉)委員 国土庁長官にまずお尋ねしたいのですか、領海というのはやはり国土の中に包含をしてお考えになっておるのでしょうか。
  6. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 今回の三全総で、二百海里時代を迎えましての海洋開発の問題を二十一世紀の宿題としていま取り上げておるわけでございまして、そういう意味では今後領海は領土の対象として私たちは進めていく必要があると思っております。
  7. 井上泉

    井上(泉)委員 そのことは三全総の中にも載っておるわけですが、領海国土としてとらえてやるということは当然のことだと思いますが、大臣ゆうべニュースセンター9時」のニュースはごらんになったのでしょうか。
  8. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 見ませんでした。
  9. 井上泉

    井上(泉)委員 まあ夜の行事か大変だろうと思いますので、なかなか見る時間もないかもしれません。ゆうべの「ニュースセンター9時」にも土佐湾沿岸一帯が油で非常に汚染をされて、そして漁民か油の汚濁を取り去るために網を引っ張ったりしていろいろと苦労されておる。そしてその状態か、けさの現地からの報告によっても、百余隻の漁船が出てそうして疲労こんぱいの限りを尽している。漁場汚染をされて大変な状態か出ておるわけですか、こういうふうな国土汚染されるような状態というものに対して、長官はどういうふうな御心境なのでしょう。
  10. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 そういう点を心配いたしまして、私たちは三全総を策定する段階では、東京湾、瀬戸内海周防灘等工業開発地帯、いわゆるエネルギー供給地帯海洋汚染というものを考えながら、将来やはりこういうエネルギー供給地帯というものをある程度縮小して海洋汚染というものをなくしていかなければならないという点から、新たに東北、北海道あるいは九州等に新しい開発地点を設けてそれらの問題を解決すべきであるという方向を与えておるわけでございます。
  11. 井上泉

    井上(泉)委員 確かに北海道とか九州あるいは日本海沿岸地域、そういうふうな地域設定をしておるわけですか、その中で四国西南地域か置き忘れられておるというようなことから、三全総の計画の中から外されておるということで、寄り寄りそうしたことについての申し入れをする中で、今日そういう地域と同じような形に位置づけたということを私は承知をするわけですが、間違いないでしょうか。
  12. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先生案内のように、最初の国土庁試案としては、日本海沿岸地域あるいは南九州沖繩についての総合的居住環境整備するということを三全総でうたっておるわけでございますが、その後、ただいま御指摘四国西南地域については、審議会の方々の意見だとかあるいは地元陳情等の強い要請もございましたので、最終案としては南九州と並んで取り上げることにいたしてございます。
  13. 井上泉

    井上(泉)委員 その取り上げておる内容は私は非常に適切だと思うわけですが、その中に主として四国西南地域水資源とか森林資源水産資源、温暖多湿な気候、こういうふうな自然環境に恵まれたところで施設園芸、畜産あるいは農業、水産業地場産業観光レクリエーションを振興する、こういうところまではいいですけれども、そのあとに、やはりこれはどこの地域にもあるわけですけれども、「新たに工業等導入に努め、」と、こういうことが規定をされておるのです。これは三全総の中で新たな工業導入に努めるという、この地域にどういう工業導入することが適切だとお考えになっておられるのか、長官の方でその点を理解されておれば答えていただきたいと思います。
  14. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 新たに工業導入ということは、先生案内のように人口定住させるためには、やはり新しい幹線交通体系あるいは工業開発というものがどうしても必要だという意味での取り上げ方でございます。ですから、そういう意味で御理解をいただきたいと思うのでございます。  なお、工業の具体的な種目等については局長から答弁をさせます。
  15. 下河辺淳

    下河辺政府委員 ただいま大臣からお話し申し上げましたように、現在四国全体におきまして約四百万の人口昭和六十五年では約一割ぐらい増加するということに対応いたしまして、四国地方工業の規模をやはり二割程度増加させておく必要があるということが四国全体として言えるわけでございますが、その中で四国西南地域についても工業化を少し進めなければならないということで、第一次に考えられることは、地元産業あるいは地元で得られる第一次産業の製品を加工する産業というようなものが基軸になってまいりますが、それだけでも少し足らないという感じを持っておりますので、内陸工業等についてそれぞれの適地に合った業種を誘致したいと考えておりますが、ごくきめの細かい業種を検討するというところまでは検討しておりません。
  16. 井上泉

    井上(泉)委員 昨日だったと思うのですけれども大臣が、青森でホタテガイの養殖をやっておる地域人口が逆にふえておる、減ってない、いみじくもそういう見解を述べられたわけですが、この四国西南地域というのはそういう点においては非常に理想的な水産業宝庫だ、漁業宝庫だと私は思うわけです。その漁業宝庫に新たな工業を、いま局長の言われるような第一次産業を主体にしたものを中心にして工業をお考えになるなら私はしごく賛成です。ところが、今日通産省あたりでよく言われておるのは、宿毛湾原油基地を持ってこよう、そしてその原油基地導入するに当たっての調査費が計上されておるから、これを受け入れて原油備蓄基地として適当かどうかというようなことで、盛んに県と取引といったら語弊がありますけれども交渉を重ねておる、こういうことでありますが、漁業宝庫と言うべきこの地域原油基地を持ってくるということは、国土保全上、いま油で汚染されておる状態から見ても好ましいことじゃないと思うのですが、大臣どうですか。
  17. 下河辺淳

    下河辺政府委員 第三次全国総合開発計画の中におきまして、最小限ある一定の石油の必要がある、エネルギーの源泉として石油というものに頼らざるを得ないということでございますけれども、その際に、西日本という全体として見た場合に、石油処理というものが瀬戸内海に依存しているという現実があります。しかし、環境条件からしてこれ以上瀬戸内海石油処理を依存することは困難であるという観点に立って、第三次全国総合開発計画を立てているわけでございます。したがって、西日本全体にわたって新たな石油基地をつくるべく調査をするということは、われわれに与えられた責任の範囲ではないかというふうに考えておるわけでございますが、東日本に比べまして西日本の場合には、ここでということで明確に方向づけられた基地は現在実はまだありませんで、候補地が幾つか挙がっておりまして、候補地調査を内々進めようとしているところでございます。  いまお話のございました四国西南について言えば、宿毛湾という湾は自然条件としてはきわめて優良な港湾であるということは明らかだろうと思いますけれども、いま御指摘いただいていますように、優良な湾ではあっても、自然が美しいということやあるいは第一次産業が非常に重要であるということがございますし、国土保全上のこともあるわけでございますから、慎重に調査をし検討を進めたいと考えております。
  18. 井上泉

    井上(泉)委員 いまタンカー船の油によってずいぶん痛めつけられておるわけですが、水産庁あるいは運輸省においては、これの対策そして補償措置、そういうようなものについてどういうふうに考えておられるのか、見解を承っておきたいと思います。水産庁運輸省それぞれ。
  19. 伊賀原弥一郎

    伊賀説明員 御説明を申し上げます。  現在土佐湾に流れ出しました油につきましては、海上保安庁及び地元の県におきましていろいろの調査及び監視をやっている段階でございます。水産庁といたしましては、原因者がはっきりしているという関係もございますので直接みずから乗り出すというわけにもまいりませんが、現在のところ現地担当官を派遣いたしまして、県及び漁業協同組合に対しまして、今後漂流する油が沿岸に押し寄せる可能性がございますので被害を最小限に食いとめるような措置をとるよう指導いたしておる段階でございます。その後被害の額が大きくなる場合もあり得ると思うのでございますが、そういう被害状況に応じましてまた対策を検討いたしたいというぐあいに考えておる次第でございます。
  20. 山下文利

    山下説明員 タンカーによります油濁事故につきましては、これを事前に防止する措置が必要であるということは当然でございますが、不幸にしまして事故が起こりました場合には、その賠償を十分行うような措置が必要だと思っております。これにつきましては国際条約が取り決められておりまして、わが国ではこの条約を国内法化いたしました油濁損害賠償保障法という法律がございまして、この法律によりますと船主に無過失損害賠償責任を負わせておる。この損害賠償を担保する方法として強制保険制度法律で義務づけております。保険金額につきましては一トン当たり四万六千円、したがいまして、仮に三万トンのタンカーでございますと約十四億前後になろうかと思います。ただ、これでは十分ではございませんので、世界的に石油会社が集まりましてCRISTALという補償制度をつくってございます。その補償制度では総額最高三千万ドルまでの補償ができるということになってございます。仮に一ドル二百五十円といたしましても七十五億円の補償が可能でございますので、その財源をもちまして、損害額が確定いたしましたら保険あるいはCRISTALの方から支弁するようなことになろうかと思っております。
  21. 井上泉

    井上(泉)委員 それでこの船はクウェートの船ですけれども、それは外国船籍の船であっても問題がないかということと、さらにこれは漁場の実質的な被害というのは、たとえばきょうあたりも百数十隻の船が出て油のすくい取りをやっておるのですが、そういうようなものに対する費用弁償もこの保険には含まれるのですか。
  22. 山下文利

    山下説明員 ただいま申し上げましたのはPI保険という保険に掛けておりまして、本件の場合もその保険にかかっております。それからCRISTALにつきましてもその制度に入っておりますので、そこからの支弁は可能であろう、このように思っております。  それから休業補償その他直接の損害以外の損害につきましても、従来PI保険その他から支弁されておりますので、その内容その他が確定いたしましたら支弁可能であろう、このように考えております。
  23. 井上泉

    井上(泉)委員 この被害実情について水産庁の方は現地に係官を派遣されるとかいうことですが、運輸省の方もこうしたタンカー事故等については原因究明というものを十分なさるべきであろうと思うわけですが、これは現地調査等はされる予定はあるのですか。
  24. 山下文利

    山下説明員 タンカー事故その他の海難事故につきましては海上保安庁が一次的に調査をやっておりまして、私どもはその調査に基づいて必要な対策を講ずるというたてまえになってございますので、海上保安庁で所要の調査その他の措置は講じられておる、このように伺っております。
  25. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで大臣いまお聞きになっておるとおりの状態の中で、土佐湾の優良な漁場というものが油に非常に汚染をされてどうにもならない状態が出ておるわけですか、そういう点から考えても、三全総の中で四国西南地域を取り上げておるのは、工業というのはほんの附則的なつけたりのような文章で入れておるわけですけれども、いまの局長の話を聞くと、やはりその辺の、ことに石油備蓄基地候補地としてこれを挙げて考えておるような、またそれに当てはまるようなニュアンスのある発言のようですけれども、そうしたことについては現地ではもう大変な神経をとからせておるわけなので、少なくとも現地にそういうふうな原油基地を受け入れるような状況のない中で、政府がいろんな働きかけをするということは無用の混乱を巻き起こすことになると思うので、そうしたことについてはこれは私は厳重に留意をしてもらいたいと思うのですが、大臣どうですか。
  26. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 原油の貯蔵庫としての存在価値その他については、いろいろこれから進めてまいらなければならないと思いますが、地元民との十分な話し合いをして問題を処理していかなければならない、かように考えております。
  27. 井上泉

    井上(泉)委員 国土保全というか国土環境を守る意味においても、こうした地域については、私は漁業状態から考えて不適当と思うのですが、国土庁として、国土保全考えられる庁として、一遍現地調査されたらどうですか。
  28. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 機会がありますならば、視察をさしていただきたいと思います。
  29. 井上泉

    井上(泉)委員 機会はつくらないと生まれるものではないので、ひとつつくって行っていただきたいと思うのです。  そこで、私はまだ国土庁関係で、水問題について若干質問をしたいと思うのですけれども、これは時間がないので、水需給の想定が資料としていただいておるわけですが、水の不足に対してどういう対策を立てられるのか。そしてまた現在水の需給関係では、ダム問題というものはかけ離すことのできない問題なので、今日日本全国各地ダムによる問題というものがあると思うのですが、いわゆる流域住民との問題のあるダムについてはダム一覧表をつくっていただいて、ダムの名称あるいはダムの構造による、あるいはダムに対する住民の反応、そういうようなもので問題のあるのを資料として届けていただいて、そして次の機会ダム問題、水問題についての質問をいたしたいと思います。  そこで今度は建設大臣にお伺いするわけですが、もうあと十分しかないので長々とやられると困るのですが、これは景気回復不況対策として公共事業に大幅に予算を計上するということか今日の補正予算の眼目ですが、この経済成長率を六・七%に達成をするために二兆円の追加補正をやったと言うが、この補正かなかった場合には経済成長率は何%ぐらいになるという見通しだったのですか。
  30. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 今回の総合経済対策二兆円の投資によりまして、年度内に需要創出効果が一兆五千億ないし一兆六千億発生をするということで経済企画庁で計算をいたしておりまして、この公共投資追加かございませんでした場合においては、六・七から〇・八ないし〇・九落ち込むというようなことになっておるわけでございます
  31. 井上泉

    井上(泉)委員 その中身について、たとえば公共投資にこれだけやるという場合に、そういう形で出された場合における予算の使い方は、これは建設省の判断でやるのですか、それとも総合的な各省との調整の中で建設省ではこれだけ持つとかいうようなことになるのですか。
  32. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 今回の補正予算によります公共事業建設省所管追加事業費は四千四百七十七億でございまして、すでに補正予算におきまして河川道路、下水道、公園等配分をされておるわけでございます。補正予算でそういうふうに事業別配分は決まっておりまして、その執行につきましては、建設省が各地域実情等を見ながら、かつまた景気対策上の効果か上がるような配分をいたしまして実施をいたすわけでございます。
  33. 井上泉

    井上(泉)委員 これは経済企画庁がおいでになっておるわけですけれども、これに答弁を求めておったら時間がたちますので、この補正予算する以前の経済成長率はどれくらいになる、これはなぜ、どうなるのか、それからこれだけの補正予算をしたことによって六・七%の達成ができる、こういうことについてはどういう波及効果があって六・七%になるのか、これをひとつ資料として提出していただくようにお願いをして、経済企画庁に対する質問はいたしません。  そこで、建設省にさらにお尋ねするわけですけれども、大体建設省の仕事というものは非常に今日こうした景気浮揚の面から重視をされておるわけですし、それから三全総の関係にいたしましても、定住構想を打ち立てるために、やはり都市公共事業を集中するというよりか、過疎地域公共事業にウエートを多く置くべきである、こういうように思うわけですか、それについての大臣見解を承りたいと思います。
  34. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 都市というものを中心というような考え方ではなくて、先ほども申し上げたように、定住という問題もかなり大きく取り上げておりますので、これはやはり平等というか全国平均に行っておりますし、都市よりも重点的に各府県の方を行っているということでございます。
  35. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣のその考え方は私はもっともだと思うわけですが、その考え方が実際に建設省行政の中で実行されておるかどうかということになると、非常に疑問を持つものです。というのは、たとえば第八次道路整備五カ年計画の案で、いま国土庁長官も言いました四国西南地域定住構想あるいはその地域産業開発、こうした面の中で私はやはり基本になるのは道路だと思うわけです。その道路が、今度の第八次道路整備五カ年計画の中におきましても、たとえば須崎からずっと宿毛、中村、宇和島のいわゆる四国西南地域人たちが多年要望しておる8字形高速自動車道計画というものが全く予定路線としても考えられてない、こういうことですが、それは一体どういうことでしょうか。
  36. 浅井新一郎

    浅井政府委員 お答えいたします。  先生指摘高速道路は、七千六百キロがいま法定路線ということで建設目標が決められておるわけでございますが、この中には御指摘のように四国のいわゆる8の字という形では路線が決められておりませんで、四国横断道縦貫道ということで、御承知のように縦貫道は徳島から大洲の間……(井上(泉)委員「それはもうわかっておるが、なぜ決めないのですか」と呼ぶ)これは現時点までには、七千六百キロということで決められておりません。しかし、三全総の案を一応われわれ拝見いたしますと、四国については循環道路というようなことで、将来的には一万キロ余というような高規格の幹線道路網が必要であろうというような形で表現されておるようでございます。私どもも、西南地域幹線道路網整備は非常に重要だと思っておりますし、この地域につきましては御承知のように国道五十六号線を中心にいたしまして、さらにこれを補完する路線として三百二十一号あるいは三百八十一号というような国道があるわけでございます。こういう国道網整備を含めまして、幹線道路網のあの地域整備を今後図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 その今後図っていくということでも、今後が二年先になるか十年先か二十年になるかわからないでしょう。いま四国西南地域関係住民としては、これはやはり第八次道路整備五カ年計画の中に、そういうようなものを高速自動車道網として西南地域に8の字形のものを入れるべきではないか。これだけの路線延長が決まっておるから、だから延長の中へはこれは入らないというようなことでは、これは大臣の言う、都市とかあるいは過疎地域を問わず国土の均衡ある発展を図るための整備事業公共事業のあり方とは言えないでしょう。やはりこれはないところに持ってくるのがあたりまえであって、これだけの路線が、延長キロが決まっているから、だからこれは入れてなかった、そのかわり五十六号線であり三百二十何号線である、こういうように言っても地域住民としてはちっとも釈然とせぬわけですが、そこら辺ひとつ明確に、まだ第八次の道路整備五カ年計画は案のようですから、これはその中へ入れるようなことは考えられないですか。
  38. 浅井新一郎

    浅井政府委員 先生指摘の点は八次五カ年計画の案の後ろに付図としてつけております高速道路建設予定ということでございますが、実は八次の五カ年計画高速道路建設する予定は大体期間中に千三百キロぐらいのものしかあかないというような見込みでやっておりまして、その時点で三千五百キロに全体でなるわけですが、それの一応の予定区間がかいてあるわけでございまして、高速道路はいま公団施行命令が出ましてから現実供用開始になるまでには十年くらいの日にちがかかるわけでございまして、調査路線発表、中心ぐい、それから設計協議、幅ぐい、用地買収、そういう順序でいくわけで、現在着工しているものがいまのベースでいきますと大体そういう形であいてくるという形でございまして、それすらやはり現実のいろいろな地元との関係等によって若干の出入りがあるわけでございます。一つの予定という形で掲げたものでございまして、そこにかいてない高速道路はもちろん七千六百キロにもまだ西南地域のところは高速道路網として入っていないわけですから、これは今後七千六百キロの中に加えるか、あるいは国道五十六号線をもう少し強化してもっと通りやすい形での幹線道路をつくるか、そういうことを今後十分決めて、そういう線で国道網整備とあわせてその辺の幹線道路網整備を図ってまいりたいという考え方でございます。
  39. 井上泉

    井上(泉)委員 それは七千六百キロの中へなぜ入れなかったか、こういうことになるわけですから、こういうことを押し問答すると大変ですからもう押し問答しませんが、いま局長かああいうふうに言われたんですけれども局長もかわっていくとちっともわからぬのですが、やはり大臣としてこうした地域にこの計画というものは当然入れるべきである。それを入れてなかったのが大臣の初め言った言葉と相反する結果になっておるのですが、これを入れるような方向に、そしてまたそれを補完するためのいろいろな事業等について四国西南地域については格段の留意を図ってもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
  40. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 本四架橋が開通ということになりますと、四国がどのくらいの重要な地点になって、どのくらいの人間が入っていくかということも考えなければならない、そういうようなものを総合して考えておりますから、いまここで載ったか、載ってなかったかという議論でなくて、ちゃんと間に合わせるようにいたしますから、どうか御安心ください。
  41. 井上泉

    井上(泉)委員 次にまた譲って、きょうは終わります。
  42. 伏木和雄

    伏木委員長 それでは続いて甘利正君。
  43. 甘利正

    甘利委員 私の質問に対して友情と御配慮をいただいて、まことにありがとうございます。  水資源対策ダムについてお尋ねするわけでございますが、私宮ケ瀬ダムにきわめて近いわけでございますので、初めにお断りいたしますが、宮ケ瀬ダムにつきましては柔軟適切な対応がなされておりますから、地元と国との人間関係について全然心配する点はありません。この点を心配してお尋ねするのでないので、これは御了承願いたいと思うわけでございます。  実は神奈川県では、ダムを抱えることによって地域の発展が思うように任せない。たとえば水質保全の問題、水源林の問題、地下資源の規制の問題等があるわけでございます。このために、受益者が基金を負担して環境整備や地方振興のための仕事に対する助成をしょう、こういうような考え方が実現しておるわけでございまして、これは水源地域対策特別措置法の適用を受けるものについてもこのようにやろう。水特法ができまして四年ばかりたっておるわけでございますが、そのときの情勢とこんなふうに変わっている、これが現実でございます。  そこで、水源対策ダム問題といいますと、まず住民感情の問題が出てまいります。それから対象地域の範囲の問題が出てくるわけでございます。これにつきましては、一の問題は、生活の場に希望が持てない、生活の場がなくなっていく、こういう問題でございます。また二の問題について、対象地域はなるほどきわめて狭義に解釈いたしますと水没地域である、このような考え方も成り立たないことはないわけでございますが、これは間違いであって、上流並びに影響地域を対象としなければならないということであろうと私は思うわけでございます。そうして水没補償が単に水没財産を回復するということではなく、水没関係者並びに水没がなくても影響を受ける者の生活再建という考えに立つべきであると私は思うわけでございます。そうして社会生活基盤の破壊によって直接的あるいは間接的に大きな影響を受けるダム周辺の住民に対して、生活再建のための地域振興、環境整備、これは経済的、社会的基盤の整備ということでございますが、これを図っていくということが必要であると思うわけでございます。そうして少なくとも国、県、ダム建設者が市町村に大きな力をかさなければならない。もう水特法は少し色あせておると私は考える。  それからさらに水源地における利水について、この利水を認めるという考え方に立たないのはおかしい、こういうことでございます。  さらにダムのつけかえ道路について、こちらがふくらめばあちらがへこんでしまうというようなことではお話にならないので、これは別の枠としてつけかえ道路等の整備をしなければならないということを私は考えるわけでございますが、これに対して御見解をひとつ求めたいと思います。
  44. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 ダムの問題は国民全体の問題でありまして、ダムをつくられる場所、その現地の方々、またその周辺の方々の利水という関係は当然考えなければならない問題であって、かつてのダム建設をやろうというようなときと現今においてのダム建設というものは本当に著しく大きく変わってきておるであろうと思うわけであります。いま水の危機が来るであろう、その水の危機が来るのに、その犠牲になってくれる地区におきましては、これに対する国民的な負担というものは当然行わなければならない問題だろうと思うのです。したがって、つけかえの道路の問題等も十分考慮に入れて今後は行うつもりでございますが、細かい点につきましては局長からお話申し上げます。
  45. 飯塚敏夫

    ○飯塚政府委員 ただいまの水源地対策の問題でございますが、先ほど先生から広範な問題についてお触れになりましたが、私もまことにそのとおりだと思っております。その方向に向かうべく問題点を個々に御説明申し上げたいと思いますが、まず最初に、対象範囲の拡大ということでございますが、水源地域の指定の地域を拡大してほしい、あるいは対象事業の範囲をもっと拡大してほしい、あるいはまたそれぞれの事業に対しましてかさ上げ等の措置を含めて手厚く見てほしいというような問題がございます。それから個人補償の問題につきましても、個人の通常の公共補償のみならず生活再建対策等も含めてきめ細かく見てほしいという問題もございます。あるいはまた地元に対して、特別な手厚い市町村に対する財政措置等の問題も含めてほしいというような問題がございます。これらにつきましては現在制度的にいずれも十分統一された形では行われておりませんが、個々のダムごとに、そのダムの特殊性によりまして、おおむね県を中心といたしまして、受益者あるいは地元市町村ということの関係の中にいろいろなあっせんの事業が行われております。各ダムごとにいろいろなケースがございまして包括的には申し上げられませんが、私どもはこういうことを踏まえまして、水源地市町村の財政対策の問題を含めまして、来年度以降から本格的に水源地対策の実態調査をいたしまして、その実態調査の中で新しい制度、方法というものを生み出してまいりたいと思っております。  なお、先ほどの問題につきましては、現在各都道府県の知事会の中におきます研究会、あるいはまた市長会あるいは町村長会の中からも同様の趣旨の申し出がございまして、私どもともどもに現在検討を進めておるところでございますので、御了解を賜りたいと思います。
  46. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  ダム建設に当たりましては、先生おっしゃいますように、いわゆる水没者あるいは水源地域の人々の立場に立って生活再建あるいは地域の振興を図るというのが基本だろうと思います。建設省としましても、昭和四十八年に水特法が制定されたわけでございますけれども、この水特法に基づきまして、現在積極的に水源地対策に取り組んでおるという次第でございます。今後もいま申し上げた水特法、それから従来から行われております一般の補償あるいは公共補償を適切に運用しまして、さらに水源地整備に取り組んでいく、そしてダムがつくられてもよかったという方向へ持っていきたいというふうに考えます。  それから、水源地域における水の問題でございます。これにつきましては水源地域におきます将来計画など総合的に考えまして、新しく水源を必要とする場合がありますと、関係市町村と協議しまして、水特法におきます整備計画に取り入れてやっていきたいと思います。整備計画に組み入れますと、たとえて申し上げますと、簡易水道の場合ですと、これはダムの規模が二百戸あるいは二百ヘクタール以上の大規模のダムでございますけれども、国庫補助率が従来四分の一というものが十分の四にまでかさ上げされるという次第でございます。  それから、従来すでにダムが設立されておる水源地域におきまして、新しく水が欲しくなった、こういう場合もあろうかと思います。そういう場合には従来の水源ダムの利水者と十分協議しまして、広域的な観点から合理的に総合的に水利用がなされるように、水源地域が不自由しないように指導していきたいというふうに考えております。
  47. 甘利正

    甘利委員 せっかくの努力をさらにお願いするものでございます。  次に、人と土地とのかかわり合いについてお尋ねをします。  六・七%の経済成長には、産業構造を変えない限り八%の石油エネルギーの増か必要である、このように言われております。ところが、将来の石油エネルギーや資源の見通しは余り芳しくない。さらに週休二日制になりますと余暇が多くなる。この余暇を十分満たすだけの文化施設はまだ日本にはない。そこで、海、山、ランド等の利用が非常に多くなると思います。  次に農業は、資本集約型から土地利用型に変わってくる。さらに農家の農業継続の相続が多くなってくるが、わが国においては、米が本当にやったならば千四百五十万トンとれるのじゃないか、これは大変な日本の強みでございます。しかしながら、現状において百万トン処理するには大変な金がかかる、こういうことでございますから、必要とあれば千四百五十万トンないし千五百万トンの米はいつでもとれる、それだけの能力を持っている。しかし平素の生産は需要に見合う千二百万トンに抑えなければならぬ。これは水田の構造を全部変えることですね。水田とか畑とかいう差をなくす、変える、こういうようなことをしなければならぬ。  その他多くの要因がありますが、これらの結果として、向こう五年ないし十年先を見通しますと、人と土地とのかかわり合いはきわめて密接になってくる、そしてきわめて複雑になってくる、こう思いますけれども、この点について見解を承りたいと思います。
  48. 下河辺淳

    下河辺政府委員 お答えいたします。  国土に関して基本的、総括的な非常にむずかしい御質問でありますので、私から十分お答えする能力はありませんけれども、しかし第三次全国総合開発計画を策定している過程におきまして、三十七万平方キロの国土の中へ一億数千万人が住みついていくということは、経済成長がどうなろうとも現実のものでありまして、国土と人間との関係をどのように安定したものにするかということは、かなり私たちにとって基本的な課題であることは御指摘のとおりであります。  その際に、食糧というものは自給していきたいということは全国民の願うところであります。しかし一方で、人口増加に伴う都市化の勢いというものは、ここ十年衰えることはないだろうということを考えることがありますし、それから森林というものを考えましても、木材の生産機能としても重要でありますけれども、自然であるとか国土保全というような、あるいはいま御指摘いただきましたように週休二日に伴うレジャーが非常に激増するということを通じて、森林の公益機能というものがきわめて重要な段階に入って来ているというようなことを考えますと、三十七万平方キロの国土の中で、農地あるいは都市あるいは森林というものの相互のバランスをどう持っていったらいいかということも、なかなかむずかしい問題を持っているというふうに考えております。特にこれまでのところは農地をつぶして都市化するということや、海を埋め立てて土地を増大させるということによって人口増加にたえる土地の供給をしてきた側面がございますけれども、海の保全をすることが大切でありますし、農地も優良農地はできるだけ転用したくないというようなことが一方では出てまいりますと、どのように調整していくかはいろいろな角度から御検討いただかなければならない課題であります。  そのときに私どもとしては、エネルギー革命によりまして里山と申しますか、薪炭林地が遊休化して、一部はブローカーの買い占めでその後遊休地が放棄されるというような事件もあり、やはりエネルギー基地として活躍していた薪炭林地というものをどのように振興するのかというところには一つのフロンティアがあると思いますし、また二百海里時代を迎えた海洋国家としての広がりを持ってどのように考えるかという幾つかの点があると思いますが、いずれにいたしましても、これから十年、二十年、あるいは二十一世紀に向かって人と国土ということについてかなり突っ込んだ検討を継続していく必要があるというふうに感じております。
  49. 甘利正

    甘利委員 国土庁の出番だ、こういうふうに考えていますから、この点で……。  次に、いま問題になっております土地税制についてでございますが、土地税制といいますと企業関係の二税ばかりですが、そうじゃなくて、少なくとも土地に関するすべての税金が土地税制だ、こういうふうに私は考えるわけでございまして、それでなければいけないと思うわけでございます。  それで、問題になっておる土地税制については、土地税制は土地政策を補完するものなんだという見解があります。それから、土地政策全体が改まらないのに税制緩和は土地投機と土地の値を上げる、こういうふうな意見もあるわけでございます。そこで、私はこの税金の幾つかを挙げてみたいと思います。細かい特例とかいろいろの問題については触れる必要はありません。根幹だけにいたします。  まず、個人譲渡については四分の三課税ですね。これはもう納得がいかない。それからみなし課税についてはお隣の土地が町である場合には、こちらが市で向こうが町である場合にはかからない。おかしな話だ。それからさらに農家の相続税についても結論として払えない。俸給生活者の固定資産税も払えない場所もある。いままで静かな田舎町の駅前が発展と同時に地価が高騰して、とても払えたものではございません。固定資産税を払うために月給を取ってきているのです、女房に渡すためではございませんというような状態があるわけでございます。さらに重課税や特別保有税はもう機能を失ってしまっている。そこで私は土地税制はすべて見直すべきものという見解を持つものでございます。  なぜ私が申し上げたようなことが起こるかと申しますと、ここのところをひとつよくお聞き取り願いたいのですが、相続税制からとらえる土地利用の概念、この概念と農業的利用との概念の差がうんとある、こういうことです。少なくとも国土責任省としては、その概念の差の中に入っていって、そこに新しい概念を生み出そうとする努力は考えておられないのか、どうなのか、こういうことをここでちょっと聞きたいわけです。  それから、土地政策の補完として土地税制があると言われる。土地政策を総合的に見直さずして税制だけの見直しはまずいということであり、特別措置もある、控除もある、いろいろのことが言われるわけでございますが、もう前と今日とでは経済条件が変わってきた、社会条件が変わってきた、したがって税制の見直しをしなければ補完の役をすらしないのじゃないか、こういうふうに私は考えます。  それから、土地が高くなった、土地がまた上がるんだ、こういうことが言われて、企業だけが悪いように言われますが、私はこれについても見解を異にするものでございます。  なぜ土地は高くなったんでしょうか。線引きがされて、調整区域に開発の可能性をもたらした。したがってここに、前にも指摘しましたように、多くの農業外資本が投入された、こういうことでございます。しかもこれにはおまけまでつくのです。大体農業外資本がたくさんの土地を買った。これは土地転がしのために買ったんじゃありません。開発のために買った。しかし法律は開発の可能性は許したが、その開発の許可権を知事に与えた。知事はその行政方針に従ってなかなか開発は許さない。そこで、ある県のある開発は、土地を買って自治体並びに県と開発の協議に入って、開発審査会の議を経て十三年目に許可になった。そして着手して八年後でなければ完成しない。土地を買って二十一年後に宅地を完成して売るということでございますから、経済の変化の時代にこれはどういうことになるか。またそんなことはこっけいにも何もお話にならぬのじゃないかということでございます。それでも許可をもらったらいい方かもしれませんが、中にはいろいろとやったけれども、一つの示された基準に合わないということで凍結、もうそのままです。これだけ可能性を許したんだから、もしこれだけの開発が一挙にできて大量の宅地が供給されたならば、問題はなかったんじゃないかと思いますから、これはこういう点、中途半端では話にならないということがここで言えるわけです。土地が高くなった原因は、これが一つ。  それからもう一つは、国の開発、整備が、三十七年は新産都市等の拠点、これはいいでしょう。四十四年は大プロジェクトですか、高速自動車道路、新幹線を中心にして日本じゅう至るところ開発の可能性を示した。ここにまた農外資本が入ってくるということは理の当然じゃないか。そしてさらにその間経済の高度成長政策がとられた。これはもう高度成長経済政策に企業がどのように対処すればよろしいかということは出てくる話でございますから、こういうことがとられたので、かなり地価高騰の要因をつくった。決して企業だけの責任ではございません。企業ばかりが悪いように言われるが、企業だけの責任じゃないというふうに私は思うわけなんです。  そこで私がここで国土庁の出番ですよということを申し上げたいのです。前には国土庁さんの出番は少し遅かった。火事が消えてしまってから消防ポンプを持ってお出になった。これはちょっと遅かったんですね。すばらしい機能なんだけれどもね。そこで今度は、いまがいまここを外したら国土庁の出番はございませんぞ、こういうことを私は申し上げたいのですが、どのように受けとめておられるか。
  50. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 土地税制に関します非常に幅の広い御意見でございますが、一つは土地税制の改善というのは全体の総合的な土地政策の中で行うべきであって、その補完的なものとして考えるべきではないかというお話でございますが、お考えのとおり、私ども土地税制だけが固有で地価の安定なり宅地供給なりの促進が可能であると考えておりません。全体の宅地供給政策、土地政策の中でこの土地税制のあり方についても検討すべきものというふうに考えておるわけでございます。  そこで、土地税制自体について従来議論になっております一部の問題だけではなくて、全体の土地税制をすべて見直す段階に来ておるのではないか。経済情勢も非常に変わってきておるので、そういう段階で土地税制全体を見直したらいいのではないかということで、具体的に相続税の問題なり、固定資産税の問題なり、個人の譲渡所得の問題等提起がありました。細かい点につきましていろいろと問題が残っておることは私ども承知しておりますけれども、現在の段階では、やっと地価が鎮静した段階でございますので、現在ございます個人の譲渡所得の重課でございますとか、ないしは固定資産税の特例としての特別土地保有税でありますとか、こういうふうな地価の安定を図るような税制の基本的な枠組みというものはやはり残しておくべき段階ではないだろうか、いまここで全体の土地税制をすべて見直すというまでの段階にはなっておらないのではないかというふうに基本的には思いますけれども、具体的な内容についての検討はさらに続けてまいりたいというふうに思うわけでございます。  さらに、現在の地価高騰過去にありました地価高騰というようなものは決して企業の問題だけではなくて、もっと幅広い条件、線引きどおりに土地供給が行われない、ないしは高度経済成長下における諸条件というようなものが重なって起こってきたのではないか、しかも、そういうふうな地価高騰に対する国土利用計画法等の手の打ち方が遅かったのではないか、したがって現時点において、このような経済の変化が見える時点において、土地政策自体も方向転換をすべきではないかという御提言かと思いますが、現在の土地制度国土利用計画法なり土地税制の大筋というようなものは、やはりわが国の国土と人との関係、先ほど先生からお話がございましたように、狭い国土に多くの人間が住み、非常に過密な経済活動を行っているというふうな状況下においては、国土利用計画法なり土地税制の基本なりというものは維持すべきものではないだろうかというふうに考えておるわけでございますが、その内容につきまして経済の情勢等に応じて弾力的に対応するというようなことについては、そのときどきにわれわれも努力をしていかなければならない課題であるというふうに思っておるわけでございます。税制改正の問題につきましても、そういうふうな観点から、将来の宅地供給の促進というようなことも踏まえまして検討をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  51. 甘利正

    甘利委員 いま見解を伺ったのですが、何かこれを受けとめますと、建物を上塗りで仕上げてしまう、こういうことのように私には思えるのです。国土庁の出番だと申し上げたのは、相続税制等から見ると、多分大蔵省の考え方と農林省の考え方とは違うだろう、その中に国土庁が入っていって、国土計画による土地利用基本計画のこれは農地なんだ、こういうことで新たなる見解を示す、このくらいおやりにならないと、どうも私には余りぴんと感じないわけなんです。何となく右に左に御遠慮申し上げながらの御見解のように受けとめられるという感じがするわけですが、しかし、先に出ようとされることは大変よろしいわけです。  そこで、国土法の三本の柱、この中の遊休地制度については私は前回もやりとりいたしたわけでございますが、これが非常に手ぬるい。附則の条文は時効ですから、あれは歴史的な形骸だ。新しい事態に対しても気に入らない。そこで、これはどうですか。思い切ってすべての遊んでいる土地、三十万ヘクタールですか、調べればもっとでしょう。これに対して、国土に対する責任を持つ国土庁が十分目を光らせる。目を届けていて何かのチャンスを得たならば、新しい立法措置をとっても、法律改正をやっても国民のために国土の利用を図ろう、こういうようなことで、この制度そのものが眠ってしまっていますから、この制度が眠りから覚めてすばらしい力を持たせるようにしたらよろしいのではなかろうかというのが私の見解なんです。  それから二番目に、土地利用基本計画は立てるが、後をおやりになるのは農林省とかいろいろの所管であるという考え方そのものがすでに——それではみんな農林省に任せればいいじゃないかということも出てくるのではないかと思いますが、この二本目の柱はむずかしいかもしれませんね。しかし、この利用計画は弾力を持たせながら、すべての土地が国民のために十分利用されるよう、あらゆる角度から施策の充実を図っていくべきだ。これはもううんとあるんですよ。いろいろ出ていますから、ここだけで半日ぐらいやりたいほどあるんですよ。これをひとつ考えられたらどうか。  もう一本の柱は、これで税制を少し動かすと土地がすぐ高くなってしまうとか、こんな政策では話にならぬですよ。やはりここで国土庁としてこの辺責任を持っていただいて、ここまでやれるのかやれないのかということは私にはわかりませんが、思い切って土地の取引の制限を外すということは、いままで土地制度の誤りが地価のバランスを崩してしまって、道路を一本隔てて市街化区域と調整区域とでは値段が半分だとか、えらい問題が各所に起こってしまっているのです。こういうのはバランスをもとへ戻す、できるかできないかは別にして元へ戻すというぐらいの一つの考え方を持つ。そうしてそこで、その後の地価の値上がりが恐ろしいならば、土地の値上がりをとめる地価凍結の措置考えながら抜本的な土地制度の改革を行ってしまう、そこで総合的土地制度の改革、土地制度の確立を図ってしまう、こうして土地制度をしっかり支える。もう補完の必要はない、特別措置を設ける必要もない、そこに新しい土地に関する税制というものを立てていく、こういうことをおやりになったらどうかと思うわけでございます。  だから、この際、国土庁が国の土地政策に全責任を持つ。そんな少しのことでどうだとかでは困りますから、今後いかなる経済変動がありましょうとも、土地に対してはもう問題は起こさないということを国土庁が国民に声明する。このくらいのつもりでお取り組みになるという決意がありますか、ありませんか。それともやはり上塗りだけで、そういうゆがんでいるのはこっちにということですか。どうでしょう。
  52. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 ただいまのお話の中の一つは遊休地の問題でございますが、遊休地の活用については、現行の国土利用計画法によりまして、四十四年以降取得した土地に限られておるというようなこともあって、これだけでは不十分ではないかというお話でございます。確かに国土法によります制度だけでは十分でないわけでございますが、国土法によります遊休地の制度自体も、三十万ヘクタールの未利用地がある中で、実際活用が可能になりました面積は約八百三十ヘクタール程度にとどまっております。これは、全体としての遊休地が動き出すような経済的な条件がまだないというようなこともあるかと思いますが、お話のように国土の有効な活用ということはどうしても必要でございますから、この仕事につきましては、今後とも全体的な土地利用計画の方向づけの中で、国土庁としても積極的に取り組んでまいりたい。現在も予算措置で未利用地の活用に関する計画等を広く取り上げておるところでございますが、しかし、この具体的な利用の内容につきましては、宅地につきましては建設省であるとか、農地については農林省、林地についても林野庁というような、それぞれの土地利用を主管しておる省庁がございますから、それらの省庁と手を組んで進めていきたい。現に農地、林地等につきましては、農林省においてもその積極的な活用についていろいろと指導をしておるというふうな実績も出ておるところでございます。  それから土地利用基本計画につきましては、確かに全体の各利用目的ごとの計画の上位計画というようなことになっておりまして、その取りまとめをやり、調整を行っておるわけでございますが、現に、土地利用基本計画で五地域区分がされておりますけれども、この五地域区分の総面積を累計いたしますと国土の五割増しになるというほどいわば重複関係が多いわけでございまして、こういうふうな重複関係調整を具体的に図っていかなければならぬ、これは国土庁の仕事であると思っておるわけでございますが、具体的にはやはり県の国土利用計画であるとか市町村の国土利用計画というふうな現地に即した土地利用のあり方が現在明確になりつつございますので、こういうものが出てくることとあわせてこの土地利用基本計画の見直しを進めておるところでございます。土地利用基本計画の見直しについては現在各都道府県の中でその推進を図っておるということでございますので、もう少し時間をかしていただきたいと考えております。  最後の、抜本的な土地対策につきましては、私どもといたしましては、現在われわれが担当しております国土利用計画法というものはわが国土の実態に即した総合的な土地政策の一つの体系であると考えておりますので、この運用につきましては現実に応じた運用の仕方を考えていくということを申し上げられるわけでございまして、さらに大きな課題があるかと思いますけれども、それらにつきましては種々勉強してまいりたいと思っております。
  53. 甘利正

    甘利委員 勇気を持って前進されることを望みます。  質問を終わります。
  54. 伏木和雄

  55. 谷口是巨

    ○谷口委員 私、建設行政並びに国土行政基本施策に関して質問をいたしたいと思います。  最初に、建設省に対して質問をいたします。  補正予算も通過いたしまして、五十二年度の後半に向けての経済運営のおぜん立ての一つができました。そして前倒し効果の失速を防ぐ要因としての働きと景気の下支えの働きをすることと考えるわけでございますが、さきに経済企画庁で十月の月例経済報告を発表したわけでございますけれども、その中に公共事業の政策効果面で出てきた指摘の中に、その効果は民間設備投資を誘発するまでに至っておらない、前倒し効果もたとえば土木の面では非常に好調であるけれども建設の面では非常に低調であると、このように偏在化を数字の上で発表しているわけでございますが、その点の認識と今後の見通しを伺っておきたいと思います。
  56. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 お答え申し上げます。  いま先生お話ございましたように、景気の動向を見てまいりますと、最近の経済報告によりましても、公共投資の前倒しの効果といたしまして建築、土木関係、特に官公需を中心としてその効果があらわれているということは言い得ると思うわけでございますが、問題は、民間の設備投資がなかなかついてこないということもまた実態でございます。四−六月の実質国民総生産が一・九%、対前期に伸びたわけでございますが、その寄与率を見ましても政府固定資本形成がほとんど半分の寄与率を占めておりまして、企業設備投資はごく微々たるものでございます。そういう点で民間設備投資がついてこないという問題がございます。これはやはり高度成長時代に急成長いたしました業種におきまして、設備過剰とかそういう構造不況の問題を抱えておるところにあると考えております。ただ、今回総合経済対策によりまして二兆円の公共投資追加投資が行われたことによりまして、官公需を中心として資材需要、労務需要は発生してまいりますし、またその効果も他の産業、最終需要の増加効果をもたらすと考えております。先ほども申し上げましたように、本年度内に総合経済対策の実施によりまして一兆五千億ないし一兆六千億の需要創出効果がございますので、六・七%の経済成長の達成は本年度内に確実であるというふうな計算もなされておるわけでございまして、いずれにいたしましても民間の設備投資の面においては若干問題あるにいたしましても、今回の総合経済対策によりまして年度内六・七%の成長は可能であるというふうに考えております。
  57. 谷口是巨

    ○谷口委員 計算の上では目的の経済成長が得られるように言われておるわけでございますけれども現実はなかなか厳しいわけであります。  景気の回復のために民間設備の投資、そういうことを考えますと、いわゆる企業の投資意欲といいますか、こういうものを高めることが非常に大きな重要な点であると思うわけであります。したがいまして、政府の取り組みの積極的な姿勢が具体的な形となってあらわれてこなければならないわけでございますが、そういう点から私は数点を指摘していきたいと思うのでございます。  今回の補正予算もその投資マインドを上げていくという一つの要素になっているわけでございますけれども、小出しに少しずつ金を出して、そして失速しないようにというような消極的なやり方では、この投資マインドというのですか、これを高めることは困難であろうと私は思うわけであります。したがいまして、大臣景気回復という目的のためにここ当分は公共事業の積極的実施は必要であるとお考えになるのか、あるいはそんなでもないとお考えになるか、認識を、簡単でよろしゅうございますからお伺いしておきたいと思います。
  58. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 当初目的の七三%が七四・一%まで上昇している。その結果、今回の補正において、たとえば現在建設に対する消費財というようなもの、あるいはその中のセメントであるとか鋼材であるとかいうものの荷動きが非常に大きく動いてきておるという現実の上に立って、たとえば今回の補正にいたしましてもセメントが約百六十四万トン、鋼材で四十七万トン、木材で十八万トンというような見方をいまやっておりますが、これに対する労働の需要というものも大体千三百四十万日を見込まれておるというようなことでございますので、小出しとは言いましてもこれだけの二兆円というものの効果は私は非常に大きく見込まれてもいいんじゃないだろうか、こういうふうに考えております。
  59. 谷口是巨

    ○谷口委員 従来公共事業というものは、民間の旺盛な設備投資の陰にあって景気調整という手段に使われてきたわけであります。そして拡大のみを図ることは非常に困難であったわけでありますけれども、そういうことは白書で指摘されているわけであります。しかし、五十年の秋から社会資本の整備充実を図って、景気を浮揚させる効果と合わせて積極的に推進されてきているわけでありますけれども、そこで私はさらに一つ積極的な姿勢を明確に打ち出したらどうかなと実は考えるわけであります。  それはどういうことかと言いますと、建設省の中にいろいろな事業五カ年計画が組まれて今日まで推進されてきておるわけでございますけれども、これらの五カ年計画はほとんど事業計画の満額を施行したという実績を実は示していないわけであります。これらの事業計画を完全に実施するということが私は非常に大事だし、これを明確にしなければならぬと思うのですが、建設省の御意見を伺っておきたいと思います。
  60. 粟屋敏信

    粟屋政府委員 いま先生お話しのように、建設省は非常に国民生活とかかわりの深い行政を担当しておりまして、その各事業につきまして五カ年計画を策定をいたしまして、その確実な達成を図って国民生活の向上のために努力をいたしているところでございます。いま五カ年計画は完全に達成されていないのではないかという御指摘でございましたが、いわゆる各種道路にいたしましても、治水、海岸、都市公園、下水道にいたしましても、完全達成ができませんでしたのは、主として四十九年、五十年の総需要抑制の時期に達成できなかったということでございまして、もしくはそのしわ寄せを受けて達成ができなかったというようなことが原因でございまして、その他の面につきましては、各五カ年計画とも一応その達成を図っておるところでございます。道路、治水あるいは下水道等は、あるいは途中におきまして、年度途中で拡大改定を図り、あるいはその年度の終了において目的の事業枠をオーバーしたという事例もあるわけでございます。
  61. 谷口是巨

    ○谷口委員 四十九年、五十年の総需要抑制の影響で満額実施できなかったということでございますけれども、要するにそれは、予算予算で組まれておったけれども、金が出してもらえなかったから結局使えなかった、金を出してくれるならば満額使えたんだ、このようにおっしゃりたいと私は推察をするわけでございますが、そこで例を一つにしぼりまして、治水事業五カ年計画というものを例にとって話を進めていきますけれども、この事業計画の完全実施とは、予備費というものを含めてのことなのか、あるいは予備費を含めない上でのことなのか、明確にしておいてもらいたいと思います。
  62. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 予備費を含めてでございます。
  63. 谷口是巨

    ○谷口委員 予備費を含めてだということでございますけれども、たとえば第五次治水五カ年計画がことしから出発するわけでありますけれども、これをずっと見てみますと、第二次から予備費がついているわけであります。第二次には一千億、それから第三次には二千五百億、第四次には四千五百億、第五次には五千八百億ですか、このような予備費が実は組まれているわけですけれども、これは従来どのように使用されてきたか、その内容、あるいは予備費については実際にはもう取り崩しできないような性質のものなのか、あるいは取り崩すことができるものなのか、じゃその上の実績はどうなのかということを簡単明瞭にお願いしたいと思います。
  64. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 過去にわたっての件につきましては、局長から答弁させます。  私は、本年度の予算に当たりましたから、本年度で申し上げます。本年度の予備費は、この間に緊急を要するものに対してはこれを全部使いますよということを条件で今年の予備費の解決をつけべくお話を進めてありまして、政府部内において大蔵省の了解を求めておるところでございます。
  65. 栂野康行

    ○栂野政府委員 お答えいたします。  治水事業五カ年計画におきまして、第二次から予備費が組まれておる次第でございます。第二次、第三次につきましては、五カ年に満たないうちに計画を変更したという問題点と、それで第四次につきましては、先ほど官房長からも説明がありましたけれども、いわゆる景気停滞という問題でございまして、それでいままでは治水事業五カ年につきましては予備費は使われた例はございません。しかしながら、海岸事業五カ年につきましては、沖繩が日本に返ってまいりまして、そのための整備としまして予備費が使われた例がございます。
  66. 谷口是巨

    ○谷口委員 じゃ大蔵省に伺いますが、この予備費というものは、予算との関係、いわゆる連動しているのか、連動していないのか、これを伺いたいと思います。
  67. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 お答えいたします。  予算は、毎年度、そのときの財政事情及び経済事情から毎年決まってまいります。予備費は五カ年の全体の計画でございますので、一対一の対応というような意味において連動しているというお話でしたら、これは連動してないと思いますが、全体的な計画とそれからそれぞれの年度という意味では、密接な関連を持っておると思います。
  68. 谷口是巨

    ○谷口委員 そういう答弁では少しおかしいのではないかと私は思うわけですね。実際に全体的な計画として関連がされておるなら、これは取り崩して使った実績が本当は相当出てこなくてはならぬ、私はそういう考え方でいま質問を続けておるわけですが、そういたしますと、予算に連動していない予備費を取り崩して使おうとしているわけだけれども、実際には一対一の予算に連動していないから大体使えないあるいは使うのが非常に困難な予算、そういうふうに私は解釈をせざるを得ないわけですね。したがいまして、私は、この予備費を含めての五カ年計画の総額というものは、国民に対して少し明確さを欠くものではないか。たとえば建設省関係予算要求が出てきた。それに対して大蔵省としては、その金額をなかなか認めることはできない。差が余りに大きいがために、ある程度の政治的な意味を含めてのいわゆる予備費であるのではないか、現実には、このように実は解釈せざるを得ないわけですね。  私は、この事業計画の予備費というものは一体どういうときに取り崩すことができるのか、もう一度簡単に説明願います。
  69. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 先生承知のように、五カ年計画は、昭和五十年代前期五カ年計画という、もうその上のといいますか、上位のといいますか、計画をもとにしておりまして、そこで治水に割り当てられた投資額、それが五カ年計画になっておるわけでございます。予備費につきましては、その前期五カ年計画の総体の調整費との整合性をとってつくられておるわけでございまして、先生がいま御指摘のようなことで予備費ができているわけのものではないと思います。  予備費は、では取り崩せないのかということでございますが、これはそうではないわけでございまして、閣議決定にも、必要がある場合には適切な運用を図るというふうになっておるわけでございます。  それではどんなときに予備費が出てくるのだということでございますけれども、これは計画をつくりました時点におきまして予測のつかなかったような事態、たとえば大きな災害が出てきたというような場合には、予備費の使用ということになろうかと思います。それもまた、特別に大きくなって、予備費の中ではとても支え切れぬというような場合には、計画そのものの改定ということにつながってくるのではなかろうかと思います。
  70. 谷口是巨

    ○谷口委員 いろいろ答弁は出るわけでございますが、現実にはその金が使われていない、使わしていない、こういうふうな結論を私たちは感ずるわけであります。  いま答弁の中にありましたように、ことしの春の治山治水緊急措置法の一部改正の審議の折に、当委員会で附帯決議がつけられておりますね。その内容は、読むまでもございませんけれども、「社会経済の発展に即応し、災害の発生に対処して国土保全を図るため、今次の治山事業五箇年計画及び治水事業五箇年計画の実施に当たっては、これを緊急かつ先行的に行い、計画の完全達成を期するとともに、両計画の各予備費についても積極的な運用を図ること。」こういうように実はなっているわけです。また、閣議の決定の際にも、最後のところに「必要があると認められる場合においては、予備費の適切な運用を図るものとする。」このように実はなっているわけです。  ただ、それが大蔵省の考え方の必要があるときということと、私ども考える必要があるということの解釈の相違、認識の相違というものがそこにあるのではないか。  時間がありませんから、私はずっとこちらで意見を申し上げますけれども、私は、この附帯決議と閣議決定を具体化するためには、予備費についての一つのルール、きちっとした明確なものを決めなければ、結局大蔵省の非常な圧力のもとに、使いたくとも使えないという現状が今後とも続いていくのではないかという心配が現実にあるわけですね。そういう問題についてルールをつくるべきだと思いますけれども、それに対する大蔵省の見解はいかがですか。簡単明瞭にひとつ言ってください。
  71. 宍倉宗夫

    ○宍倉説明員 予備費はもとよりでございますが、計画額そのものにつきましても、閣議決定に書いてございますように、機動的、弾力的に、つまり総合的な施策との調整を図るとか、経済財政事情等と調整を図るとか、それから流域の開発の状況ですとか災害ですとかその他の事業との調整を図るとか、そういったことが書いてございます。そういう面を考慮しながら弾力的に行うということでございますので、一定のあるルールということじゃなくて、それぞれやはりその年度その年度で、またそのときそのときの情勢に応じまして執行していくべきものではなかろうかと考えます。
  72. 谷口是巨

    ○谷口委員 では、ほとんど使われてなかったということは、日本の国土においてそういう必要性がなかったと大蔵省は判断されるのか、それほど日本の国土が非常に堅牢にできているのか、私は疑問に思うわけです。何に実際に使っているのか、あるいはどこに目的があるのかということは余り明確でない、この種の予備費というものについては。考えてみれば、予備費としての内容的なものは余り期待できないということを私は心配するわけです。  たとえば、現在激特事業による一般事業への圧迫という問題を考えますと、災害による復旧事業というのは三年で行わなければならないということになりますから、結局何か起きますと、災害復旧に重点的に予算がつくわけでありまして、これがすなわち一般の予算を食っているわけですね。現実に一般の事業費を食っているわけです。そうなってくると、この予備費というものがここにこういうときに使われてこなければ、実際はつけた価値、値打ちがないと私は判断をするわけです。したがって、あなたの答弁を聞いておりますと、実はどんどん使うのだけれども、日本は国土安穏でありまして、非常に恵まれておりまして、何も使うことがなかった、こういうふうに裏を返せばとれるわけであります。  私は、一つの提案でございますけれども、先般、土石流などの危険個所の見直しが行われたわけですね。それによりますと、土石流の危険なところが六万二千二百七十二カ所あるわけです。それから地すべりの危険個所は五千六百十六、急傾斜地の危険個所が六万四千二百八十四ですか。その中でいままで実際に手をつけられておるのが、いわゆる土石流ではわずかに五・六%、それから地すべりは一一・六%、これは最高ですけれども、急傾斜地では三・七%しか実際に行われてないわけです。これだけの危険区域の中に多く人が住んでいるわけでございますが、これもこの五カ年間にどれくらいできるのですか。時間かないから自分で言いますけれども、調べてみますと、予定どおり実施できたとしても、でき上がった五カ年の後には、いわゆる土石流のところがわずかに八・六%しか事業ができない。そして地すべりの危険個所は一三・七二、そして最後の急傾斜地は一一・五%になるそうでございますが、こういう現状から考えますと、まさに附帯決議あるいは閣議決定のときになされた意見の人間の生命というものから考えると、緊急なものになると私は判断するわけです。  したがいまして、いまの予備費というものについて使い方が非常におかしい。単なる政治的な色彩を帯びた予備費であるならない方がましである。それをごまかして、たとえば要求額がこれだけ達成できましたよというふうなことでもしあるとすればよろしくないという考え方を、実は私は持っているわけです。  したがいまして、私、いままでのことを通じて大臣に、先ほど今後のそういう問題についての強力なる発言がございましたので、さらに重ねて今後の予備費の使用その他について実行できるような、そして実際実行するんだという大臣の決意をもう一回お聞きをしておきたいと思うわけです。
  73. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 予備費というものはあくまでも予備費でございます。でありますから、緊急の事態が発生をして現予算で間に合わなかった、本予算では措置ができないというような場合、こういう場合には当然予備費というものは使わせてもらわなければならぬ。しかしながら、災害が少なかった、何とか現在の予算内で間に合うという場合には、次期にどんな大きなものが来るかわかりませんから、それは当然繰り延べておかなければならぬ、なるべく持っておらなければならぬだろうと思う。しかし、どうしてもそういう事態が来ないという限りはない。五カ年間の計画でございますので、その中でそれを使うときというものは、必然的にそういうような問題が起きて、想像しなかったようなものが起きた場合にはこれを使うということは当然だろうというふうに私は考えております。
  74. 谷口是巨

    ○谷口委員 決意を聞いてきょうはこれでとどめますが、想像もできなかったということについては、私はちょっと将来問題があると思うわけです。いろいろ考えてみると、要するに人災という言葉が使われておりますが、現在はすべて人災でありますから。いまの大臣の決意をひとつ実行していただきたいものだと要望をしておきたいと思います。  次に、国土庁に伺いますが、先般も論議がされたわけでございますけれども、今度の三全総の試案、これについて実は各種の論議を字で読んでおるわけです。今回の目玉は定住圏構想である、こういうわけですね。毎回毎回、旧全総、新全総、三全総、何か目玉を非常に御苦労なさってつくられて、御苦労さまと実は申し上げたいわけでございます。この定住圏構想というものを、この前もお話がありました、同じ答弁が出るだろうと思いますが、簡単明瞭にひとつ述べていただきたいことと、過去のいわゆる地方生活圏それから自治省のやっている広域市町村圏と今度の定住圏構想、これは一体どこがどう違うのか、多弁は要りませんから短く答えてください。
  75. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 定住圏構想については、この委員会で何回かお答えをいたしているわけでございますが、その地域の特性を生かす、それから文化的で健康な人間居住の総合的な環境をつくるということなのでございまして、総合的環境というのは、これまでは単に生活の面だとかあるいは生産の面だとかあるいは自然環境というような個々のものでございましたけれども、生活、自然、生産というものの環境を総合的に扱うということがいわゆる総合的な環境ということでございまして、それを図ろうとするのが定住圏構想なのでございます。  そこで、自治省のこれまで進めてまいりました広域市町村圏というのは、全国でいま三百二十九あるわけでございまして……(谷口委員「簡単に願います」と呼ぶ)それは、ごみあるいは屎尿処理あるいは消防施設を中心にして行っているわけでございます。また、建設省のおやりになっている地方生活圏というのは道路中心にしてその地域の振興を図ろうということでございますが、人口定住構想については生活の基本圏であるということでございますので、あくまでも生活というものを基本にした圏域を全国に二百ないし三百をつくろうということでございまして、これまで自治省あるいは建設省が進めてまいりました圏域を基礎にして、より新しい生活環境だとか地域振興を図ってまいろうということが、定住圏構想と他の圏域との違いでございます。
  76. 谷口是巨

    ○谷口委員 長官は非常に苦労して何か一生懸命話していらっしゃるわけですけれども、これ以上追及してもあなたを苦しめるだけでしょうからもうやめますが、しかし従来も同じようなことを言ってきたわけですね。言葉が変わっただけで、豊かな地域社会の建設のためにと言ってきたわけです。あなたは否定されているけれども、そういう声が非常に強いのです。あなた方が一生懸命苦労をしてつくられたことですから、これを実現することが先ですから、進めていきますけれども、実際に過去のことが悪かったと言うのかあるいは端的に言えばよかったと言うのか、その辺のところを明確にしてみてください、前のが悪かったから変えたんだとか。
  77. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 定住圏構想は、資源有限時代、いわゆる減速経済時代に即応した圏域をつくろうとすることでございますので、資源の面あるいは災害の面というものを十分考えていかなければならないということから、いわゆる流域圏というものを中心にして地方都市をつくろう、大都市においても同じでございますが、都市形成をしようということなのでございますから、決して単なる思いつきで考えたということじゃないのですから、その点はひとつ御理解と御協力をいただきたいと思うのです。
  78. 谷口是巨

    ○谷口委員 御理解することにいたしましょう、いろいろ御苦労なさったのですから。  一つお伺いしたいのは、過去のものには法律事項なりあるいは予算措置というのがとられてきたわけですが、今度のあなたがいま非常に力説なさっている定住圏構想というものは法律事項なりあるいは予算措置を伴うのか。というのは、従来のものにはそういう措置がとられてきている。しかしそういうものがもし伴わないとすれば絵にかいたもちに、あなたはそうならぬとおっしゃるけれども、なりかねない。したがいまして、それを念を押しておきたいと思います。
  79. 下河辺淳

    下河辺政府委員 おっしゃるとおりでありまして、第一次全国総合開発計画が拠点開発方式を固めました後、数年して新産・工特法をつくって進めているということと同じことでありまして、第三次全国総合開発計画が決まりました後、各省庁あるいは地方公共団体とよく整えまして、いま御心配のありました定住圏というものをもう少し固めたものにした上で適切な措置を講ずるということを考えております。
  80. 谷口是巨

    ○谷口委員 時間が迫ってきましたのでこれはここでとどめます。あと私八分くらいしかありませんから、もう一問一答はやめまして私の申し上げたいことを述べますので、ひとつ答弁をお願いしたいと思います。  実は国土庁にかかわることでございますけれども、いま離島振興法というのがあるわけでありますが、この離島法の適用は現在離島にとって非常に大きなメリットがあるわけです。長崎県に例をとりましてもその四〇%は離島でありまして非常に大きな恩恵を受けておるわけでございますけれども、当時まだ橋梁技術というものが余り発達しておりませんし、島に大きな橋がかかって云々ということは余り考慮されてなかったんだろうと実は思うわけでございます。ごく最近、技術の進歩によりまして予想もできなかったようなみごとな橋梁がどんどんかかっていく傾向にあるわけです。したがいまして、この中に本土との隔絶した地域という言葉があるわけですが、これが非常に問題になるんじゃないか。隔絶ですから橋がかかったら隔絶じゃないのだそうでございます。一本橋がかかっても島は島、この目的は後進性というものを補うために特別の措置をして救済するということなんです。ところが、現今の動きを見ますと、橋がかかったがために外すの外さぬのということになるわけだと思いますが、そうなってきますと私心配しますのは、地方公共団体が一生懸命努力をして少しでもよくしようと思って橋をかける。そうしたら外されてしまう。援助がだんだんなくなってくるのじゃやめた方がましというような声にもなりかねないわけでございますけれども、私が答弁をいただきたいのは、離振法の項目によって外されてきた場合に受ける痛手というものは大きなものが現実にあるわけです。そういうものをどのように救済していこうとなさるのか。考えていらっしゃるのか。これは長官答弁をいただきたい。  もう一つは、これは通産省になりますが、たとえば地元の長崎県の佐世保でございますけれども針尾工業団地というのがあるわけです、ほとんど企業が来ていないのですけれども。ごく最近外資企業であるダウケミカルというものの進出が問題になってきておるわけでございまして、地元の経済界としては非常に歓迎をしておるわけでございますが、過剰施設、過当競争、こういう面で今度同業の方のいろいろな面からの反対の意思表示も非常になされておるわけであります。これについては恐らく通産省が最後の決断というものを何かの形でなさるのじゃないかと思いますが、通産省としてどういう立場で行動されるのか。以上二点について質問をいたしたい。
  81. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 ただいま御指摘のように架橋が行われた場合には離島振興法から適用を除外されるということに相なるわけでございまして、昭和四十三年から五十一年度の間に十六の島が一応解除になっているのは御案内のとおりでございます。  そこで問題は、橋がかけられることによって経済的な交流が行われてその島全体の経済的社会的な水準が高まったという場合に行われているわけでございまして、離島振興法の精神はあくまでも私たちは守っていかなければならない、かように考えているのでございますから、各方面からこの問題は指摘されておりますし要望もございますので、私たち審議会意見をよく聞きながらこの点は今後検討してまいらなければならない大きな問題だと考えております。
  82. 児玉幸治

    ○児玉説明員 通産省の基礎化学品課長の児玉でございます。  先ほど先生のおっしゃいましたダウケミカルの針尾団地への進出の件につきましてはことしの八月の初めごろでございますかダウケミカルがその針尾団地の件でいろいろ研究をしているというお話を聞いております。一方先生指摘のように苛性ソーダ工業はいま非常に大変な時期に差しかかっておりまして、現在の時点ですぐにダウが具体的に事業を始めるということになるようでございますといろいろ問題がございます。しかし、ダウケミカルは日本の苛性ソーダ工業につきましていろいろ研究、勉強しているようでございます。私どもの聞いておりますところでは、現在の状態でございますとわが国においてダウケミカルがソーダ工業を開始いたしますのは早くても昭和六十年、逆に言いますと昭和六十年以前にはそういう事業を日本で始める気持ちはないというふうに聞いておるわけでございます。そういう意味で私どもは具体的に事業が始まるようでございましたらその時点におきましていろいろ検討しなければならないと思っておりますが、将来の事業に備えまして用地を取得するという段階でございますれば、とかくのことを申すべき立場にはないと考えております。
  83. 谷口是巨

    ○谷口委員 長官に要望いたしますが、いまのようなお気持ちでひとつ強力な政治性も発揮されながらいろいろな問題を善処していただきたい。  じゃ、私、質問これで終わります。
  84. 伏木和雄

    伏木委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十一分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  85. 伏木和雄

    伏木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。瀬崎博義君。
  86. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 今回、建設省並びに国土庁から土地に対する重課税緩和の要望が出されているわけでありますが、こういう要望を出すに当たって、現在の土地を取り巻く環境をどういうふうに認識した上でのことなのか、また緩和によってどういう効果をねらっているのか、それぞれ要望を出した建設省計画局と国土庁の土地局にまずお尋ねをしたいと思います。
  87. 大富宏

    ○大富政府委員 お答えいたします。  いま審議されております三全総におきましても、三大都市圏における宅地需要というのは六十年までに六万一千ヘクタール、六十五年までに九万ヘクタールという数字が出ておるわけでございますが、第三期住宅五カ年計画に見合う宅地といたしましても、全国では六万六千ヘクタール、三大都市圏ではその五〇%に及ぶ三万四千ヘクタールという見込みを私どもは持っておるわけでございます。このようにまだまだ大都市地域中心としまして宅地需要というものは非常に根強いものがあるわけでございますが、四十七年をピークにいたしまして非常に宅地供給量がダウンいたしておるわけでございます。ことに民間の宅地開発がほぼ六割、七割くらいのシェアを占めているわけでございますが、これのダウン傾向が非常に強い。そういう中でこういった根強い宅地需要にこたえるためには、良好な市街地の形成を図りながら良質な宅地を供給する必要があるだろう、こう思うわけでございます。幸いいろいろな諸施策が成功いたしまして地価は横ばいになりましたけれども、地価水準そのものがまだ高い。そこで今後ともせっかくのこういう地価横ばいの状況というのは、安定を図りつつ、良好な宅地を供給していきたい。そのためには公的宅地開発の機関なりあるいは区画整理事業なり民間なりというものを大いに助成いたしまして、諸施策を充実しながら必要な宅地量の確保を図っていきたい、このように考えるわけでございます。
  88. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 国土庁といたしましても、国土の有効利用を促進いたしますためには適正な土地利用の転換が必要になるわけでございまして、特に国民の要望の強い住宅地につきましては、国土利用計画におきましても、昭和四十七年から六十年までの間に二十六万ヘクタール程度の住宅地への土地転用が計画されておるわけでございます。  しかし、最近の事情は、ただいま建設省の方からお答えいたしましたように、宅地の供給につきましてはいろいろと支障が出て、その数量も減少しておるのが実態でございます。量的な面だけではございませんで、特に質的な面で優良な住宅地の供給というものが、公共公益負担の増加なり素地取得の困難さというようなことから問題になっておりますので、いわゆる加工度の高い優良住宅地をどのようにして供給するのかということが、国土政策上も大きな課題であると考えております。  土地税制につきましても、このような観点から地価の安定を図りながら優良住宅地の供給を促進するための改善の余地はないかどうかということについて、現在検討しているところでございます。
  89. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう建設国土両省の土地税制検討に対して、これは先般の参議院の予算委員会において坊大蔵大臣は、これは大蔵省ですから土地譲渡益重課税の方だと思いますが、むしろそういうことをすれば「かえって逆作用でいま御心配になったようなことが起こってくる」、つまり再びまた土地の値上げが起こるとか、かえって供給が阻害されるとかいうふうなことが起こってくることも考えなければならない、逆のことを答えていらっしゃるし、また小川自治大臣は、だからこれは保有税の方だと思いますが、「この税が土地の供給を阻害しているという批判は全く当たらないと考えております。」こう断言した上で、「これをへたに緩めますると、またまた投機を誘発する、あるいは地価の上昇を誘発するという結果になりかねませんから、当面さような改正をするつもりは持っておりません。」明確ですね。こういう大蔵大臣や自治大臣考え方が間違っているのかどうか、これは長谷川建設大臣国土庁長官にお伺いをしたいと思います。
  90. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 間違っているとかいないとかという問題ではなくて、いま検討をしているところでありますから、十分協議を調えた上に立ってこの問題が成立をするわけでございますから、まだそこまで進んでおらないという個人の見解を発表したんだと思うのであります。
  91. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 土地税制については、最終的には大蔵大臣と自治大臣の所管になるわけでございまして、私ちは土地政策を進める立場から、いま土地問題について、あるいはまた土地税制について考えているわけでございまして、先ほど土地局長から説明させたように、やはり住宅建設を促進するためには、単に土地を素地のままで提供しても意味がございませんので、優良宅地を提供するということが必要なんで、その優良宅地が不足しているわけでございますから、優良宅地を提供するためにはいろいろな方法もございますけれども、土地税制の面からもこれを促進することができないだろうかということでいま進めているわけでございます。  また、土地保有税については、宅地の提供ということよりも有効なる土地の利用という面から、やはり政策的に提供されたものはいわゆる非課税になっておりますが、こういう適正な管理を行われたものに対してもある程度非課税にして土地を有効に利用することができないだろうかという観点からでございまして、土地保有税については、直接にはいわゆる宅地造成につながらないということでございます。
  92. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私の聞いていることにお答えをいただきたいのであります。先ほど長谷川建設大臣は、大蔵大臣や自治大臣答弁を個人の見解を述べたのだ、こうおっしゃいました。したがって、私が聞いているのは、こういう両大臣見解、先ほどから建設省国土庁がねらっていると言ったことについて、むしろ逆作用が起こる、こういうふうな見解に対して、では、長谷川建設大臣はどういう見解を持っていらっしゃるのか、また、田澤大臣はどういう見解を持っていらっしゃるか、坊さんや小川さんの言ったことに対する御両人の見解を聞いているわけであります。
  93. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 私は、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。
  94. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 最終的には大蔵大臣、自治大臣と協議の上決定するのでございますが、私たちとしては、土地提供のために、住宅建築促進のためにやはり土地税制というものを進めることが必要であり、また、それが地価の投機的取引にあるいは地価高騰にならないように進めたいというのが私たちのねらいです。
  95. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 田澤大臣見解はわかりました。くどいようですが、では長谷川建設大臣御自身としては、土地税制重課税緩和が地価や宅地供給に逆作用があるとお考えなのか、役に立つとお考えなのか、そこをお聞きしたいのです。
  96. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 重課の方は、国土利用計画法というものがありまして、これと重複する面もあるから、これにあるのだからこれで調整がとれるから、重課の利益率二七%というのは緩和してもいいのではないか。  もう一つ、特別保有税の方は貸しビルについてのみでありまして、貸しビルについて、現在使っているものに保有税をかけるということはおかしいじゃないか、それは緩和すべきではないか、こういうような意見がいま出されておるところであります。
  97. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 あくまで長谷川建設大臣は要領よく逃げられて、何か第三者が意見を出しておるようなお考えなんですが、それでは改めてはっきり建設省に聞きますけれども、今回考えている建設省国土庁の案では、たとえば五十一年度でしたかの税収の実績が大体六百億と一千億というふうに出ていると思いますが、この総額の水準は維持されるのですか、減少するのですか、どっちなんですか。
  98. 大富宏

    ○大富政府委員 法人の土地譲渡益重課による税収というのは、四十九年度で七百六十二億、五十年度で五百九十八億ということで、まだ五十一年度の税収のデータを持っておりませんけれども、私どもが要望しておりますところの重課制度の見直しということであれば、相当税収減になるという見込みでございます。
  99. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その相当というのはどの程度の規模ですか。
  100. 大富宏

    ○大富政府委員 この五十年度の税収五百九十八億のうちに不動産業関係の税収が約三割近く入っておるのじゃないか、大体百七十億程度でございます。ただ、税制見直しでこの百七十億全部が減収になるというぐあいには見込んでおりません。
  101. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 決して税制の持っている不合理な部分を正すのではなくて、これは明らかに減税措置である、つまり緩和措置であることは、いまの話で明確になったと思うのです。  そこで、四十四年にも土地税制が大きく改正をされまして、いわゆる長期間の土地保有者が土地を売却した場合には、分離課税を採用し、軽減税率の適用を行ったわけでありますね。このときもいわゆる土地の供給を促進するということであったと思うのであります。そこで、この税制が実施されました四十四年からこの税制の終わりました四十八年までに、では一体どれだけの土地が売却されたのか、これをお聞きしたいのであります。
  102. 大富宏

    ○大富政府委員 私どもが把握しておりますのは、土地の取引件数ということではなくて宅地供給量で申し上げたいと思いますが、四十四年におきまして一万二千ヘクタール、四十五年に一万三千四百ヘクタール、四十六年に一万四千二百ヘクタール、四十七年で一万四千五百ヘクタール、四十八年で一万三千九百ヘクタールという数字でございます。
  103. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 では国土庁の方に聞きますけれども、同じ年度で、個人も法人も含めまして、いわゆる土地の売却譲渡をされた総量は幾らになっていますか。
  104. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 法務省の「売買による所有権の移転登記件数」によりますと、四十四年では二百七十八万七千件、四十五年では二百八十七万八千件、四十六年では二百九十万四千件、四十七年では三百二十八万六千件、四十八年では三百五十一万二千件ということになっております。
  105. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 面積の方ではどうなっていますか。
  106. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 ただいま申し上げました法務省の統計の方では面積が出ておりませんで件数だけでございますが、面積は、別に不動産取得税の課税対象面積がございますのでこれを申し上げますと、四十四年では五十五万二千ヘクタール、四十五年では四十六万八千ヘクタール、四十六年では四十三万六千ヘクタール、四十七年では五十七万六千ヘクタール、四十八年では六十四万四千ヘクタールというのが課税対象面積でございます。
  107. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまの数字を対比してみますと、確かに四十四年の土地税制の緩和によりまして土地が動いたことは事実であります。大体五十万から六十万を超すような面積の土地が動いたのだけれども、そのうち実際に宅地に回ったものはそれぞれの何十分の一になりますか、三十分の一か四十分の一程度、四十四年で一万二千とか四十五年一万三千、大体そのオーダーの宅地にしかなっていないのであります。だとすれば、この差額の土地はその当時一体どういうふうな形になっておったのでしょうか。
  108. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 ただいま申し上げました取引件数の中には、もちろん宅地用の取引もございますし、宅地以外の、たとえば林地ないしは農地というようなものもございます。工場用地等もございますから、必ずしも宅地だけではないという点があろうかと思います。それからもう一つは、宅地用のいわゆる直接的な土地と、それから関連した付帯の土地というようなこともございますので、そういうふうな点で、数字のとり方が違っておるというようなことから違いが出ておるのであろう。もちろんその中には直接目的が明確でない、いわゆる投機的な土地取引というものが含まれておったということも言えるかと思います。
  109. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 さらに国土庁に聞きますけれども、不動産取得税から見た土地の売却面積、四十九年、五十年はどうなっていますか。
  110. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 四十九年が四十一万八千ヘクタール、五十年が二十八万一千ヘクタールというふうなことになっております。
  111. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それでは、同年度、つまり四十九年度以降の宅地供給の方はどうなっていますか。
  112. 大富宏

    ○大富政府委員 四十九年は一万二千五百ヘクタール、五十年が一万八百ヘクタール、五十一年度のデータはまだできておりません。
  113. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 先ほど国土庁は不明朗な回答しかされなかったけれども、傾向としてはもっと分析できるはずだと思うのです。いま言われましたように、いわゆる四十四年の土地税制が終了いたしました翌年はもう途端に四十万ヘクタールに土地の売却が減り、五十年度は、たとえば最高の六十四万ヘクタールの年から見れば、半分以下の二十八万ヘクタールに土地の動きは減ってしまっているわけでしょう。ところが、一方宅地供給の方を見ますと、確かに多少の減りはありますけれども、やはり一万ヘクタール以上を維持しているわけであります。せいぜい二割ほどの供給減であります。こういうところから見て、まず四十四年度のあの土地税制の緩和が最も大きく効果を発揮したのは一体どういうことに対してであったか、おのずからここに明瞭ではないかと思うのであります。この点、国土庁はどう考えますか。
  114. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 税金の結果につきまして具体的に分析しておりませんので、明瞭にはお答えできませんけれども、一方におきまして、いま申しました統計は、税制の影響による部分だけではなくて、経済状況が高度経済成長下で取引量も活発であった、ないしは土地に対する需要が活発であったというようなこともあろうかと思いますので、必ずしも税制上の影響だけがその違いとなって出てきておるというふうには考えませんけれども、税制上における土地の流動化に対する効果というようなものは見られるのではないかと考えております。
  115. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この点は、先ほど土地税制を緩和した方が優良宅地の供給には役立つとおっしゃいました田澤長官に、四十四年の税制緩和が果たして宅地供給というその目的を達成できたとお考えなのか、それとももっとほかの方にその効力を発揮したとお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  116. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 先ほど土地局長からお答えがあったように、やはり当時の経済情勢というものは非常に大きな影響をしておると思うのでございまして、そういう点から言いますと、確かに宅地の造成には大きな役割りを果たしたと私は思いますが、同時に、やはり土地の投機的取引の対象にもなったということを率直に認めざるを得ないと思うのでございます。
  117. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 同時に、先ほどの土地局長答弁で、今回また新たな土地税制緩和を打ち出しながら、四十四年のときの税制緩和について、宅地供給との関係についてはまだ十分に評価していないというお話ですね。そういうふうなことでこれからの施策を講ずるということが、果たして政府の正しい態度と言えますか。この点いかがですか。
  118. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 実は土地税制の緩和の基本は、あくまでも地価の安定が基本なんです。そこで、先ほども説明があったように、昭和四十七、八年は地価は三〇%以上上がったわけでございますが、その後四十九年には九・二%下がったわけですね。そして五十年で〇・五%、五十一年で一・五%のアップにとどまっているということでございますので、地価は安定的推移をたどっているという見方を私たちはいたしておりますから、それを基本にして税制というものもある程度緩和してみて、そのことによって宅地の提供ができないものだろうかということをいま検討しておるということなのでございます。
  119. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いや、検討しておるのではなくて、はっきり要望書を出しているわけなんでしょう。ところが、出すに当たって、その四十四年のときの税制についての評価というものをまだしていないと言うのでしょう。こんないいかげんな土地政策で地価が安定したりしたら大変だ、むしろその方が不思議だと私は思うのです。  当時の新聞をちょっと拾ってみますと、世論的にはすでに評価は出ていますね。四十四年の税制について「裏目に出た新土地税制」というふうな見出しのもとに「たとえば四十四年。新日本観光の佐々木真太郎社長が二十一億円の所得で長者番付のトップになったが、同社長の売った土地は実は伊豆半島のゴルフ場。造成後も庶民には無縁の別荘地として売られた。このほか昨年は大幅な金融緩和を反映して、一般に土地の譲渡先は、鉄鋼会社からホテル、ボウリング、商事会社までが名前を連ねている。不動産会社ならともかく、これら買主がごっそり買占めた土地を宅地に造成するとは期待できない。しばらく寝かしておいたのちに転売、値上り差益をもうける投資ではないか、」「新土地税制は、こと志とちがい完全な裏目に出ているといえる。」これがすでに四十九年の論調なんです。  ところが、今日新たな税制を考えるに当たって、このときの税制の評価をしていないと言うのでしょう。これは怠慢と言われても仕方のない問題ではないかと私は思うのですよ。
  120. 松本作衛

    ○松本(作)政府委員 ただいまお答えいたしましたのは、四十四年の土地税制によってどれだけ宅地の量がふえたのかということについては、税務関係の統計でございますので、内容について十分つまびらかにしておらないということを申し上げたわけでございますが、ただいま先生のお話がございました四十四年の税制と、今回私ども考えております税制の内容の違いについて申し上げたいと思います。  四十四年の税制は、個人の譲渡所得につきまして、土地の譲渡をした場合には一般の総合課税と分離をして税金をかける。しかもその税率を、土地の流動化を促進しますために段階的に漸次高めていく、一〇%から二〇%まで高めていくというような、いわゆる個人の土地放出についての重課の緩和であったわけでございます。そして、この点につきましては、いま先生からお話がございましたように、土地成金が非常に出たというような問題もございましたので、五十年の税制改正におきまして、長期の譲渡につきましても、一定額以上の、二千万円以上の譲渡につきましては四分の三の総合課税をするということで、累進的な課税ができるような仕組みに直したという経過があるわけでございます。  それで、私どもが現在検討しております内容は、このような個人の譲渡についての問題ではございませんで、優良宅地の供給ということについて、その供給の条件内容について見直しを行っておる。具体的には、先ほどちょっとお話が出ましたように、いわゆる適正利益率要件というものから適正価格要件というものに置きかえることが可能かどうかというような検討をしておるわけでございまして、先ほど先生が比較されました個人譲渡についての税制緩和と、私どもが今回考えております内容とは違っておるということを御説明したいと思います。
  121. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 しかし、いまも認められたように、結局当時の税制緩和で大土地所有者が自分の土地を投機の対象にしたことだけは事実なんですね。したがって、今度は内容が違うんだ、企業に対するものだ、こうおっしゃっておるわけなんですが、では、果たして今度、いま考えているような国土庁建設省の税制改正が当時の緩和とは違って本当に宅地供給に役立つかどうか、これを検討したいと思います。国土白書で見ますと、現在未利用地は言われるとおり三十万ヘクタール。そのほとんどが市街化区域外にありますね、十九万ヘクタール。さらに国土白書によりますと、これらの未利用地の将来利用予定計画で資本金一億円以上の企業が持っている土地の場合、事業用土地の未利用地は四万ヘクタール、それから販売用土地の約半分に当たる五万ヘクタールが具体的計画なし、こう報告されているわけでしょう。こういうふうな、主として大きい企業でありますが、開発できない土地や利用目的のない土地を取得したそもそもの動機を大臣はどういうふうにお考えになっているんですか。
  122. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 この点について、やはり投機的取引というものを対象にした土地であろうと私は考えます、率直に。
  123. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そうしますと、国土庁がまず第一番に挙げている林地に対する保有税緩和などがこういう部分と重なると思うのですが、いま大臣がおっしゃったように、明らかに投機を目的に、目的のない土地を買った、こういうところへ税制緩和を行って、一体この土地が供給に回るとお考えですか。
  124. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 市街化区域の中にもやはり相当程度保有してございますので、それをできるだけ優良宅地化しょうということがねらいでもあります。
  125. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 話をはぐらかしてはいけないのでありまして、国土庁の税制緩和の中に林地に対する保有税の緩和ということがうたわれているでしょう。こういうことをしてみても、大体その対象になる土地がいまおっしゃった投機を対象に買い占めた土地なんですから、こんなものが果たして供給に回るかどうかをお聞きしているわけであります。
  126. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 これは直接宅地には回りません。ですから、先ほど申し上げましたように、土地の有効な利用というような面からこの土地保有税の問題は考えているのであるということを申し上げたのでございます。
  127. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 こういうふうな利用目的のはっきりしない、また当分開発できないような土地に対してまで銀行が相当額を融資した、また融資したから買えたということになるのですが、このような銀行の圧力も今回の税制緩和の中に入っているのではないかと言われているでしょう。大臣はそのことについてどうお考えなのか。本来ならば貸すべきでないようなところへ融資して、いまその利息がうまく取りにくいから、税制緩和で何とか助けてやってくれ、こういうことについてどうお考えですか。
  128. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 私は、土地政策、また土地問題を扱う場合においては将来とも土地を投機的な取引の対象にしてはならないというこの土地の哲学は守らなければならないということで土地政策を進めていく考えでおるのでございますから、もろもろのことについては具体的にそれにお答えすることはできませんけれども基本的にそういう考えを持っているということだけは御理解をいただきたいと思うのでございます。
  129. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 同時に市街地における宅地もあるんだとおっしゃいましたが、確かにありますね。建設省調査によっても、四万一千五百五十五ヘクタールが市街化区域に未利用のまま残っておる土地と出されております。なぜこういう利用しやすいところにある土地までが未利用のままに残っていると建設省はお考えなのか、お尋ねしましょう。
  130. 大富宏

    ○大富政府委員 土地譲渡益重課の見直しの問題について若干誤解かおありのようでございますので、私から若干釈明さしていただきます。  現在の土地譲渡益重課の適用除外要件がございますか、その中で二七%の適正利益率  利益率審査ということできているわけでございますが、国土利用計画法ができてまいりまして、国土利用計画法の運用が定着した段階で、国土利用計画法で適正価格のチェックをしているわけですから、この適正利益率を廃止して、野放しにするということじゃなくて、国土利用計画法の適正価格でやっていただきたいというのが内容でございます。  そこで、こういう税制を緩和したことによって宅地供給につながるかという御指摘でございますけれども、いま私が冒頭に申し上げましたように、宅地供給に大変ウエートを占めているところの民間宅地開発というのが最近非常にダウン傾向を示している。それにはいろいろあるわけでございますけれども、単に税制だけ言ったのではだめでございまして、やはり地方公共団体の開発抑制の問題なりあるいは関連公共公益施設の負担の問題なり、あるいは土地税制もその一環でございますけれども、そういったもろもろの総合施策というものがないとだめだろうという気が私はするわけでございます。  そこで、御指摘のように確かに現在民間不動産業者が保有しておる土地が十三万二千ヘクタールもございます。その中で三大都市圏の市街化区域の中にも一万四千ヘクタールがあるという数字を私ども持っておるわけでございますが、これも市街化区域の中の土地、直ちに宅地適地になる有効な土地でございますので、これを計画的に宅地、市街地に整備するというところに持っていくためのいろいろな施策を今後続けていかなければならないと思っているわけです。
  131. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私が聞いているのは、すぐにも宅地になり得る土地が宅地にならずに残っている理由は何か、こういうことを聞いているのであって、答えていませんね。こういうものまでが税制の影響かどうか、ここが問題だと思うのですよ。こういうところの土地はもともと地価が高いわけでありますから、これに適正利益率を掛ければ、まさに十分な利潤も保証されるはずなので、こういうものまでが宅地に出てこない理由を税制に求めるのは全く筋違いだと思うのですね。  そこで、時間がありませんので次に進みますが、問題は、政府が一体だれのために宅地供給をふやそうとしているのか、あるいはどういう人々を対象にして宅地の供給を考えているのか、この点をお聞きしたいと思います。
  132. 大富宏

    ○大富政府委員 先ほど申し上げましたとおり、大都市地域中心として大変根強い宅地需要がある。これに基づきまして住宅政策というのは非常に急がれているわけでございますが、適正な、しかも良質の住宅を建設する前提といたしましての宅地需要、それに対する施策というのが宅地供給施策だと思いますけれども、単にそこに宅地をつくるということじゃなくて、良好な環境を持った市街地をつくりつつ良質の宅地を供給していきたい、このように考えております。
  133. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 たとえば東京都内で、もちろん場所によりけりではありましょうけれども、今日平均的に見て土地と建物を取得しようと思ったら幾らぐらいのお金が要りますか。
  134. 大富宏

    ○大富政府委員 これは日本分譲住宅協会の東京都内の建て売り住宅の実際の事例でございますが、世田谷区の北鳥山、これは土地が九十七平方メートル、建物が九十六平方メートルということで販売価格が二千八百万円。立川市の例といたしまして土地が百十六平方米、建物が七十五平方メートルで千七百八十万円。青梅市の例でございますが、百十一平方メートルの土地に上物、建物六十七平方メートルで千二百八十万円。これは一つの例でございます。
  135. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大体千五百万から二千万ぐらいかかるというふうな数字になるわけでしょう。現在、勤労者の家計調査等を見ましても、たとえば第一分位で二百万、第二分位で二百から二百五十万円、こういう状態ですから、今日の地価をどう見るかという一つの点は、当然国民の住宅取得能力という物差しでもはかってもらわなければならないと思うのです。そういう点で見て、このような状況で、勤労者だれでもが土地取得ができるかどうか、この答えはおのずから明らかだと思うのです。さらに厚生省などの資料を見ましても、昭和三十五年では上物を含めて一戸当たりの建設費が百二十六万円、このときの年収が四十九万ですから年収の二・五七倍。四十年の場合は建設費が三百四万、年収が八十八万ですから三・四五倍。四十九年には建設費が一千百五十一万、年収二百五十五万ですから四・五二倍。年収よりも土地と建物の上昇の方がだんだん激しくなっているわけですね。そういう点では国民の住宅取得能力は落ちてきている、こういう数字がはっきり出ていると思うのであります。  さらにまた、では他の物価との比較という物差しで見たら一体どうなるか、これはもうちゃんと建設省資料を出しておりますように、消費者物価が昭和三十年から今日まで三・六倍なのに対して六大都市の土地の価格は三十二倍、こういう上がり方でありますから、まさにこれは異常だと思うのです。  さらに、国際的な比較で見ても日本の地価というものが五、六倍から約十倍くらい欧米先進国に比べて高い、こういうことが言われているわけであります。したがって、このような地価を本当に安定と見るのが正しいのかどうか。また先ほど適正価格に直すんだと言われましたが、じゃあ適正価格要件を適用した場合には、まさにこういう安定価格が適正価格要件になるのですから、これでは国民は土地の取得ができなくなるんではないか、こういう心配が持たれます。そしてこの間の国土庁調査でも、この一年間の住宅地域の値上がりが二・三%、激しいところは六%、五%というところが出てきて、これはまた新たな土地高騰の前ぶれではないか、こういうふうにも言われております。さらには、国土庁建設省が土地税制の緩和に動き出した、こういうことだけでもまた土地の投機が起こるんではないかという心配すら出ている今日でありますが、こういうときに、本来もっと慎重でなければならない土地政策の所管省庁であります国土庁そして建設省、これが軽々しく土地税制の緩和を打ち出すというふうなことは間違いではないか、こういうふうに私は考えるのでありますが、両大臣答弁をお聞きして終わりたいと思います。
  136. 田澤吉郎

    田澤国務大臣 お答えいたします。  土地政策を担当している立場といたしましては、土地税制と国土利用計画法とを活用いたしまして、土地の投機的取引の抑制によって地価の安定を図るという一つの考え方、もう一つは土地の有効な活用を進めるというような両面が土地政策の一つの基本でございますから、そういう面から土地の問題を扱っているわけでございます。ですが、やはり税制を考える場合においてはあくまでも地価の安定というものが基本になるということは、先ほど来申し上げたとおりでございますので、今後も私たちは、日本の土地というのは歴史的に見てもどうしても投機的取引の対象になってまいりましたものですから、これはあくまでも土地は投機的な取引の対象にしないという原則を守りながら今後進めてまいりたい、かように考えております。
  137. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 いま土地の税制問題でいろいろ苦慮しているわけでございますが、土地の税制を追うだけで土地の供給を行ったというわけにはいかない。したがって、それにはやはり地方公共団体のいまの開発の抑制あるいはまた関連公共施設の整備の負担だとか、土地の取得難というものをどうやるかとか、土地税制というのはその中の一つの部分であって、これだけによって土地の供給が緩和されるというわけにはいかないだろう、こう考えます。
  138. 伏木和雄

    伏木委員長 中村茂君。
  139. 中村茂

    中村(茂)委員 私からは日本住宅公団の家賃改定について質問いたしたいと思います。三十分という限られた時間でございますから、全体的に答弁はひとつ簡潔にお願いしたいと思います。  まず公団に御質問いたしますが、家賃の決定方式、私はいままで個別原価方式に基づいて家賃が決定されてきたというふうに思うのですが、今回の改定でそれがどういう方式に改定されるのか、どういう理由があってそれだけの改定を行うのか、お答え願いたいと思います。
  140. 澤田悌

    澤田参考人 賃貸住宅の家賃は原則的に日本住宅公団法施行規則第九条に基づきまして決定されることになっておるのでありますが、第十条で「物価その他経済事情の変動に伴い必要がある」場合、あるいは「賃貸住宅相互の間における家賃の均衡上必要がある」場合には、第九条の規定にかかわらず家賃の改定ができる、こういうことになっておるのでありまして、これは御承知のように公営住宅法もほぼ同様でございます。今回の改定の考え方は、この規定に基づきまして実行しようという計画でございまして、したがって方式そのものを変更するというものではないのでございます。  それでは家賃を改定する必要性ということでございますが、これは私就任前からいろいろ検討されておったものでございますが、私就任いたしまして早速勉強いたしました。やはりこの際ぜひ改定が必要であるという感を私も深くいたして、ぜひこれを実行いたしたいと思うのでありますが、第一は、公団の家賃は、御承知のように空き家家賃として途中で入れかわった場合にはかなり家賃を引き上げて入居していただいておりますけれども、そうでないものは入居以来、古いものは二十年以来、一切改定することなく今日に及んでおるのでありまして、公団も何回か改定の計画をいたしたように聞いておりますが、機が熟さず今日に及んでいるのであります。  その結果、新旧住宅相互間の家賃につきまして非常な不均衡を生じております。たとえば国から毎月一戸当たり二万四千円という援助を受けているのでありますけれども、それにもかかわらず、昭和三十一年度供給住宅の平均家賃と五十一年度のそれとを比べますと八・八倍になっておる。それから、平均原価家賃は十四倍を超えておるという状況になっておりまして、建設年度の古い住宅につきましては必要な維持管理経費の確保もむずかしくなりつつあるという状況でございます。  また、建設年度の古い住宅の入居者の方々の収入、所得との関係における家賃負担率を見ますと、公団といたしましてはこれは大体平均一六%前後くらいを標準と考えておるのでありますが、そういう古い方々の負担率はもう二%にも満たないものも出始めておる、こういう状況であります。  一方、近年公営住宅の方は逐次家賃の改定を行いつつあります。したがいまして、それとの比較におきまして、本来は所得階層からいいますと公団の対象の勤労者層よりも所得の少ない方々を対象とする公営住宅の家賃がむしろ高くなっておるという例も出始めておるのでございます。  こういうような実態に対しまして、建設省においても問題を重要視されまして、建設大臣の諮問機関であります住宅宅地審議会等からも、新旧住宅相互間の家賃の不均衡是正を図れ、そして社会的不公正の是正に努めるべきであるというふうに指摘を受けておるのでございます。  以上のようなことから、公団といたしましては、新旧住宅相互間の家賃の不均衡をこの際ぜひとも改めたい。もちろん一挙に全部できるというものではございません。わずかでも改めたいということで、現在その具体案を練っておる段階でございまして、何とぞ御理解を願いたいと存ずるわけでございます。
  141. 中村茂

    中村(茂)委員 冒頭申し上げましたように、もう少し簡潔に、そのものずばりでお答え願いたいと思うのです。  いまお答えになったのは、規則の九条に基づく値上げ分を言っていると思うのですね。しかし、今度値下げする問題もあるでしょう。それから、五十三年度以降新しい供給について改定していくという問題もあるでしょう。そういうふうに考えていくと、今度の改定は、冒頭申し上げましたように、いままでは個別原価主義でやってきたけれども、総括原価主義、言いかえればプール原価方式に皆さん改定しようと思っているのではないか、私はこういうふうに思うのですが、そういう考え方でいいのですか。
  142. 澤田悌

    澤田参考人 プール方式という言葉にはいろいろな考え方があるようでありまして誤解を生んでおるように思いますが、私は余り使わないのです。  今度の考え方は、そういったプール的な考え方を少し取り入れようか、要するに公団というものの一つの経理を考えますと、過去の安い家賃を、不合理を訂正する程度に、あるいはそれ以下にするということもありますが、引き上げて、それを保守、修理等の費用に充て、あるいは新しい供給住宅の家賃の高騰を抑制するのにも充当する、そういう意味で一つのプールというような言葉が使われたと思うのでありまして、イギリス流のいわゆる総合的なプール制とは私は理解していないのでございます。  それで、先ほど申し上げましたように、九条と十条の関係で、十条の規定によりまして家賃の改定をする、その増収分は緊急なものに使う、こういう趣旨に私は理解をいたしておる次第でございます。
  143. 中村茂

    中村(茂)委員 建設省にお聞きしますけれども、いまの総裁答弁では、十条関係に基づく改定を行うだけで、これから開設していくものについてはいままでの原価方式でいく、こういうふうに受け取れるのです。したがって、十条の方の値上げ分はそちらの方の枠内でやっていって、そちらの方で上がってきた収入についてはこれから開設していく方には回していかないのだ、したがって、これから開設していこうというのは、総括原価主義じゃないか、プール原価主義じゃないか、こういうふうに私は言うのですけれども、それを否定しておられると思うのですけれども、その点、建設省はどういうふうにお考えになるのですか。
  144. 山岡一男

    ○山岡政府委員 私ども総裁と同じように考えております。完全な総括原価主義は今回とらないということでございます。  完全な総括原価主義でございますと、イギリスの公営住宅でやっておるように、全部の単価を一緒にしまして戸数で割る、割ったものをそれぞれの広さ狭さ、遠さ近さ、新しさ古さ等によって配分して家賃を決めるという方式でございます。  公団も、恐らくこれはまだ頭の中で考えた数字でございますけれども、全部足しましてそういうことになりますと、平均は二万二、三千円になるだろうと思います。そうしますと、公団の平均的な住宅にまず二万二千円の家賃を決めて、新しいものはもっと高く、古いものはもっと安く、こういうのが総括原価でございます。  ところが、今回公団考えております家賃改定と申しますのは、あくまで十条の趣旨に従いまして、古い住宅の均衡を失しておるのを直そうということでございます。ただそれも激変緩和を考えるという趣旨でございます。公営住宅でやっております値上げ方式がございますが、これは毎年度の公営住宅の供給に当たりまして、それと古いものの推定再建築費の差を出しまして、その三分の一をもとの値段に足したものをもとの値段で割って出す率、ややこしいわけでございますが、そういう率の範囲内では大臣の認可も要らない、公聴会も要らない、公営住宅は値上げしてよろしいというのを大臣が毎年示しております。今回はまたその率の半分だけ上げようということでございます。したがいまして、これはあくまで不均衡の是正がまずあるということでございます。  ただ、そういうふうに不均衡の是正を行いますと、そこにやはり増収が出てまいります。その増収の使途につきましてはやはり維持修繕、管理費、そのほか一部につきましては新しい家賃の引き下げの方にも使いたい。新しい家賃の方につきましては、将来はやはり適正な負担率の範囲内で初年度家賃が決まるようにしたいということをいま検討しております。  それから、五十年、五十一年、五十二年にすでに供給いたしました住宅につきましては十年間の傾斜がついております。そういうものも、今後の検討に待ちますけれども、五年もしくは七年で傾斜を打ち切る。それから将来につきましても傾斜家賃制度はまだ残るわけでございますけれども、それを五年、五%程度の傾斜に見直す。それから現に供給中の新しい住宅等につきましても、非常に高額なものについては値下げをするというようなことを検討しておるわけでございます。
  145. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると五十三年にこれが改定されるとすると、それ以降の供給住宅についての家賃算定は規則の九条に基づいてそのものずばりでやっていく、したがって、いままでと変わりない、こういうふうに理解していいのですか。
  146. 山岡一男

    ○山岡政府委員 九条に書いてございますのも、そういうものを基準としてと書いてございます。したがいまして、その基準とした範囲内で、それから十条の値上げ分、値下げ分もございますので、新しいものについて実行いたしますものは具体的にどうなるかと申しますと、実際の原価も少し、先ほど申し上げましたように五年五%の傾斜にいたしました。そしてもとの原価そのものも見直しをいたしまして、初年度の家賃が大体対象といたします階層の適正な負担率の範囲におさまるように政策的に決めていこうということになるわけでございます。
  147. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると、十条の方で値上げして増収になった分は、これから開設の九条の方で決めた分に原資も回さないということですか。
  148. 山岡一男

    ○山岡政府委員 十条で不均衡是正を行いました原資は、新しい家賃の値下げの方に使うわけでございます。
  149. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると、プールじゃないですか。
  150. 山岡一男

    ○山岡政府委員 その点のところを、総括原価というのではなくて、いわゆるプール方式の考え方を取り入れるというようにわれわれ考えております。
  151. 中村茂

    中村(茂)委員 そこでもう小し細かくお聞きしますけれども、今度改定のものについては、第三分位下位ということでおやりになるのですか。いままでは大体基準が中位ということですね。それが適正負担率というのをちょうど第三分位下位というふうに定めるというか、そういうのを基準にして、値下げ分の方のものについて、それから五十三年度以降家賃の設定について取り入れていく、こういうふうに考えていいのですか。
  152. 有賀虎之進

    ○有賀参考人 公団は始まって以来入居者の対象階層について大体一六%前後ということで設定してまいったわけでございます。ただいま先生指摘のように、いま下位というようなお話がございましたけれども、最近入居者をよく調べてみますと、従来より多少、何といいますか、平均的な水準が下がってきているというふうな事情がございまして、できますれば五十三年度以降そういった下位の程度に対して一六%前後ということになるような方向に定めていきたいと考えているわけでございます。  それからもう一つ、いま家賃の変更によりまして得られました増収分、これをやはりそういった下げる場合の原資として使っていきたい、こういうふうに考えております。
  153. 中村茂

    中村(茂)委員 いま住宅を建てた場合に、公団の非常に高いという中で第三分位下位ということで適正負担率というふうに当てはめていくと、今年度開設しているのでどのくらい低くなるのですか。
  154. 山岡一男

    ○山岡政府委員 まだ五十二年度の管理開始の分がはっきりしておりませんが、大体四万四百円くらいだと思っております。これは平均の話でございます。それが来年度におきまして幾分低くなるということだと思います。
  155. 中村茂

    中村(茂)委員 それから、値上げ分がどのくらいになるのですか。値上げ分については、特に五十三年の改定のときに考えている値上げ分の該当戸数、それからそこで上がってくる総額、それと平均、この点について明らかにしてください。
  156. 山岡一男

    ○山岡政府委員 実は先ほど申し上げましたように、公営住宅方式を採用して、その二分の一を上げると申しております。その分の率を建設省が示しましたのが九月末の告示でございます。したがいまして、まだ公団としては完全に積み上げておりませんが、概括のお話をさせていただきますと、対象といたしますのは昭和四十七年以前の住宅と考えております。これは入居後五年以上たったものということの考えでございます。  それにつきますと、対象は約四十三万戸ございます。その中で、すでに空き家の値上げ等で上がっておるものもございます。そういうものの中には、今回の対象にならないものが相当入ります。概算いたしまして約四十万戸が対象になる。  それから、公営方式につきましても、先ほど申し上げたとおりまだ率を示したばかりでございますので、全部終わっておりませんけれども、概算してみますと大体平均で五千円ぐらい上がる。そういたしますと、掛け算をいたしますと四十万戸の五千円、約二百億円の増収があるということになろうかと思います。
  157. 中村茂

    中村(茂)委員 それを、維持管理の方、それと家賃を適正負担率にして下がった分、その増収分をどういう比率で使っていくという計画なんですか。
  158. 山岡一男

    ○山岡政府委員 それも先ほど申し上げましたような理由で、正確なことはまだ申し上げられないわけでございますが、われわれといたしましては、そういうふうな値下げをやろうということを考えますと、若干財源が不足いたします。そのために、国の方からもひとつ応援をしてもらいたいということで、国の方にも予算要求をいたしております。そういうふうな家賃の今回の改定に伴う特別交付金というものを約百億円要求いたしております。これは別途、家貸の単価そのものを下げるための、公共公益施設のための交付金というのも要求いたしておりますけれども、家賃改定に伴う特別交付金としては百億円要求いたしております。そういたしますと、三百億の財源があるということになります。もちろん三百億の財源のほかに、公団の根っこからのいろいろなものももちろん全体の中で使うわけでございますが、その三百億円についてどの程度かと言われますと、実はまだ正確に申し上げられないわけでございまして、参議院でも実は質問がございましたけれども、私は、約七割程度が維持管理費に回るのではあるまいか、残り三割くらいがそういうふうな家賃引き下げの初年度分に相当するのではあるまいかというような感じをお話ししております。これはまだ精査してみないとよくわかりません。
  159. 中村茂

    中村(茂)委員 これは五十三年度のことを聞いたわけですけれども、五十四年度、五十五年度というふうにこれが改定されて、改定して値上がりした方の維持管理、修理、その分が七〇%程度、それから、これから値下げになった埋め合わせとして、国からも百億という話がいまあったわけですけれども、まあ二〇%か三〇%程度埋め合わせに使っていく、こういうことが一つの方針としてこの比率が将来維持されていくとすれば、私も相当理解はできるのです。しかし、ここのところに歯どめがないのですから、恐らく当初は維持管理の方を相当取ったとしても、その比率というのがじきに逆になっていくのじゃないか、こういうふうに思うのです。ですから、その辺のところをどういうふうにお考えになっているのですか。
  160. 山岡一男

    ○山岡政府委員 五十四年、五十五年、その次六年、七年と、ずっと続くわけでございます。その際、今回のたとえば家賃改定によります増収額、これはずうっとエンドレスで続いてまいります。そういうものにつきまして、やはり家賃の引き下げの財源に一番使えるというものでございます。一時的にたとえば国から交付金をもらったというようなものにつきましては、これは家賃改定はずうっと累積をするわけでございますから、なかなか使えないという問題がございます。  それから、維持修繕費にどれだけ使うかという問題でございますけれども、これは団地別に、いままではいろいろなところの分を全部引当金にとどめまして、それぞれの必要に応じて使ってきたわけでございます。これにつきましては、各団地ごとに三年に一遍の下水道の大修繕もございます。それから、やはりどうしても老朽の度がひどくて危険だというようなものもございます。そういうようなもののために、非常に全部が均一に使っているというわけではございません。したがいまして、公団の方でも、現在、五十四年、五十五年等についての計画を今後つくると思いますけれども、いま直ちにどういうふうであるというようなこともなかなか申し上げられませんし、それから、いまの、今後の国からの交付金の問題、それから本当の値上げ高の問題等精査した上でないとむずかしい問題だと思いますが、いまみたいに割合を決めるということについては、私は大変むずかしいことだと思っております。
  161. 中村茂

    中村(茂)委員 そのところをもう少しはっきりさせてください。私の考えでは、七〇%、三〇%というのは将来逆になるのじゃないかと思うのです。そうなると、先ほどプールの考え方にはきわめて消極的であるし、否定していますけれども、まさにプールということが現実になってきて、いま公団の住宅については高い、遠い、狭い、こういうことで悪評があるわけですけれども、いままでの値上げによってそういうものを全部カバーしていってしまうという仕組みになっていってしまうのじゃないか。しかも定期的に見直しするというのですから、原資的にそれが行き詰まってくるとまた一定の期間を置いて見直してこちらの方を上げてくる、そして住宅がますます高くなってくる、家賃も高くなってくる、それをこっちからカバーしていく。これは歯どめがないし、野方図にそれがされていくというシステムで、そういう中身を検討すればするほど、このやり方についてはどうも納得できない。しかも、皆さんの方から一番うまみになっているプールという考え方は、まだそこまでいってないのだということで否定している。これはどうなんですか。
  162. 山岡一男

    ○山岡政府委員 完全なプール制を実施いたしますと、先ほど申し上げましたように、これは総括原価を出します。それに必要な維持修繕費を、たとえば三年なり五年なりのタームで見込んで、それを足してみんなに配分をするというのが家賃の決め方になります。したがいまして、総括原価制の一番有利な点と申しますのは、そういうふうな点が計画的にできるということも一つあるわけでございます。しかし今回は、申し上げましたとおり、公営住宅の値上がり率の半分くらいしか上げない、いわばあくまで激変緩和を考えた範囲内の不均衡是正でございます。したがいまして、財源にはおのずから限りがございます。その限られた財源で五十三年度以降にどの程度の値下げができるか、それから維持修繕にどれだけ回せるかという問題でございまして、今後の検討にまつところが非常に多いわけでございます。  先生のおっしゃいますように、そういうふうなことが一たんできたから、たとえば新しいもので足らぬものがあれば値上げさえすればいいのだというふうな考えを持つのじゃないかということでございますけれども、実はわれわれは新しい住宅の家賃が高いということを聞くたびに身を切られるような思いがしておるわけでございます。万難を排して安くしたいという気持ちでわれわれも公団も一生懸命やっております。そういう意味から申しまして、そういうことをもしやったにしても企業的努力を怠るということは一切ありませんし、またあってはならないというふうにかたく信じております。したがいまして、今回はあくまで不均衡是正に伴う財源を今後いかに活用していくかということでございまして、先生のおっしゃるような御心配の点はないというふうにわれわれは存じております。
  163. 中村茂

    中村(茂)委員 先ほど局長が、五十三年は百億出すけれども、それが固定的にというわけにはいかないという意味のことを言われているわけです。そうなってくると、先ほどから言っておりますように、改定だから五十三年は出すけれども、将来はそういうものがきちっと出てくるということは保証がない。しかも上がった分について、当初は七〇%が維持費とか値が上がった方へ使われていく。しかし、今度は下げた方の埋め合わせに三〇%が順にふえていくという点についてもはっきりした言明がない。ですから、いまもちょっと答弁があったのですけれども公団の企業努力を刺激するということが生まれてこないと私は思うのです、こんな安易なものを公団に預けてしまうということは。ですから、これは慎重に扱わなければならない。  それから、特に七〇%、三〇%という率に私はこだわるわけですけれども、それは値上げしても自分たちのところにまた使われるのだと言えば、払う人の了解を得ることもできると思うのですよ。しかし、将来それが逆になってきて、上がるけれどもそれはほとんど新しく入る人のためだと言えば、上げられる人については感情的になかなか理解が困難だと私は思うのです。だから、そういうことを考えると、定期的に見直すと言っているけれども、定期的に見直すというのはどんなことを考えているのですか。
  164. 山岡一男

    ○山岡政府委員 いまいろいろの問題がございましたが、まず定期的な見直しということにつきましては、実は今回の家賃の改定につきましては、住宅宅地審議会昭和五十年八月の答申の中でいろいろなことを挙げておりまして、特に公的住宅等の家賃制度の改善という項がございます。その中に「公団住宅については、建設後一定期間経過ごとの家賃の見直しの実施等によりその適正化を図り、家賃改訂による増収分を新規供給住宅の家賃引下げに活用すること等を考慮のうえ、社会的不公正の是正に努めるべきである。なお、既存家賃の変更にあたっては、適切な激変緩和措置を講ずる必要があることはいうまでもない。」こういう御答申をいただいておりまして、まさにその趣旨を体していこうというものでございます。  ただ、定期的見直しと申しますけれども、家賃の変更というのは非常に重大なことでございます。したがいまして、一般の他のプール的なものでおやりになっているものは三年というのが多うございますけれども、三年にするのか五年にするのか、この点についても現在慎重に検討中でございます。いずれにしても毎年見直すということはやらないということでございます。  それから、今度百億円を予算で要求いたしておりまして今後の折衝にまつわけでございますけれども、この百億円につきましては、何十年ぶりかでやります今回の家賃改定に伴いまして相当額の値上げができれば本当はいいわけでございますけれども、公営住宅の半分しかやらないということでございますと、先ほど申し上げましたような維持修繕もしっかりやりたい、値下げもやりたいということになりますと、財源の不足を来します。したがいまして、そのための応援をしていただくという趣旨でございます。しかし、これはあくまで補助金の適正化法等の対象経費でもございますので、金に色目はないわけでございますけれども、一応はまるまる修繕費管理費に充てるつもりでおります。したがいまして、これは単年度と考えております。  しかし、同時に要求いたしております五十億円につきましては、やはり家賃の原価そのものを下げたい。これはいつかの小委員会でも特に中村先生からきつく言われましたけれども、関連公共公益施設の補助に使うということで交付をいたしまして、その分で原価そのものを下げるということに使いたいわけでございます。したがいまして、これは初年度でございますので五十億円という要求をいたしておりますが、これは情勢によりまして毎年次第にふやして要求したいとわれわれは考えておるわけでございます。
  165. 中村茂

    中村(茂)委員 時間が参りましたけれども、済みませんがもう一件だけお願いいたしたいと思うのです。  いま最後の方で言われた公共公益関連施設に五十億、それをふやしていきたい、これは結構なことだと思うのですが、実は住宅宅地問題に関する小委員会が設置されてまいりまして、私もその小委員の一人でありますが、その報告をいたしました。三点あるわけでございますけれども、その三点の報告をまとめる際に、第一点、「賃貸住宅の家賃の適正化を図る」というふうに報告しているわけですけれども、この中でプール家賃の問題が皆さんの方から説明されて、その表現で入れるかどうかという問題の論議のときに、私はそういう表現でここのところに入れるのについては反対だと言って「適正」という字句になったわけです荷でそのときに私は反対したかというと、いまお話があった公共公益関連施設が家賃に転嫁されてきている、その面が解消されなければそういう制度は取り入れていくべきではないのじゃないか、こういう私の考え方がありましたので、その点を強く主張したわけです。いまも私はその考え方には変わりないのです。特に家賃全体が高くなってきているというのは、公共公益関連施設が家賃に上乗せされてきているという中身があるために家賃が相当高くなってきている、これは民間も含めてです。ですから、国の政策としてこれを家賃に転嫁するということのないようにしなさい、そうなった上に立ってなお家賃問題の適正化を考えていくなら、家賃を値上げされる人も納得できるだろう、こういうふうに思うのです。  そこで、この一項目で言っているのは、公的援助の拡充について検討しろ、これは今度百億出すというのだから少し見たということです。しかし、将来の保証はないというのですけれども、これは将来の保証があるように私はしていただきたいというふうに思う。  二点目に申し上げているのは、特に昭和四十七年七月十二日のこの建設委員会で補助率について決議されているわけですね。ところが、四十七年でありますからもう相当たっているわけでありますけれども、それはなかなか完全に実施されていない。そのときにお聞きしますと、これ以上なかなかむずかしいというお話でありますけれども、しかしこの委員会で補助率を上げなさいということを決議して、もう七、八年たってもまだその状態だということはいけないのじゃないかということで、二点目に指摘した。それは解決されるという方向にきていないわけですよ。  それから三点目には、特定財源の問題。これだけ民間を含めて公益関連施設が非常に金がかかるために住宅問題が一つの隘路に当面しているとすれば、思い切って特定財源などについても検討して、家賃に転嫁されないようにしていかなければ、特に賃貸住宅というようなものについては行き詰まりますよ。  ですから、全体的に申し上げまして、こういうものがこんな手薄なことでは、もっともっと力を入れなければ、プールというようなこういう大改正については手をつけるべきではないというふうにいま私は思っている。この点の考え方と姿勢について、いま五十億という問題があったのですけれども、これは大臣からひとつ。
  166. 長谷川四郎

    長谷川国務大臣 きょう今日に至って、公団ができて二十有余年もたっている。そして公団法というものがある。その公団法には、二年ごとに家賃というものは見直せということも書いてある。しかるにこれを行ってきた公団というものは今日まで何をしてきたかと言われるのも当然だと思う。したがって、きょう今日に至って、ただいま中村さんのお話のように御心労を煩わせるということは、実に残念でならないと私は思います。当然上げられるものはある。その時代の経済の実態に即してという言葉がある。経済の実態は今日まで同じであったとするなら、家賃を上げる必要はなかっただろうと思う。経済の実態が変わってきた以上は、二年ごとに見直すということが当然なる公団の義務であったと私は思います。それを怠ってきて今日上げるということになってくるから、こういう大きな問題になるのでありまして、そういう怠ってきた点については、十分これは公団というものに責任もある。公団というものを管理しているというか、われわれの方にも当然責任があるというふうに私はみずから考えておる次第でございます。  先ほどプールのお話がございましたけれども、プールでないという理由というものは、国からも金を出すじゃないかというところに一点がしぼられておるだろうと思うのでございます。したがって、五十一年度の報告を見ると、五十一年度だけ見ても、一戸当たりに二万四千百円というものを国が血税を払って負担をしている現実はどう見るのだ、こういう上に立ってさらに今回百五十億円を出せというような要求はしておりますけれども、まだこれは予算の途中でありますから、どういうふうになるかはこれは決定をしておりません。したがって、今回になってプールじゃない、不均衡是正だというわけでございますけれども、その不均衡というものに、今日になっていまそれだけの金を出している、国からも今度は金を出してあげようじゃありませんか。いま要求額で言えば百五十億ですから、膨大な金を出してあげようじゃないか。さらに、あなた方の方にも見てくれ、そのかわり、高い家賃、傾斜家賃というものがある、傾斜家賃を途中で打ち切ろうじゃないか。それから高い家賃は幾らか低くしようじゃないか。であるから、あなた方の方のも二十年もたてばおのずから修復しなければならない個所かたくさんあるだろう、それを今度は思うように修復しようじゃありませんか。そして修復できるだけのものをあなた方か住みやすいように直してあげようじゃないか。であるから幾分か協力をしてくださいということでありまして、私は、きょう今日に至っていまごろこの問題を出すということは、まさに政府というものかいかに  われわれの責任ではありますけれども、というふうに考えるのでございまして、実は皆さんにもそういう点を御理解いただかなければならないはずでございますけれども、何といっても国はこれの上塗りをして、さらに今度も国民の血税を百五十億われわれは要求しておるのでございまして、そういう点も十分に御理解を賜らなければならぬだろうというふうに考えております。また、ここに住んでおられる方々のよく御納得のいくように十分に、国でもこれだけの援助をしてやっておるのだ、これだけの負担を国民全体にかけておるのだという、これはひとつ見逃さないでいただきたい、こういうふうに考えるのでございまして、ただいまの最後の御質問につきましては局長からお話し申し上げます。
  167. 山岡一男

    ○山岡政府委員 まず第一点の「日本住宅公団の賃貸住宅の家賃の適正化を図るため家賃算定の方式の改善及び公的援助の拡充について検討すること。」ということにつきましては、住宅公団につきまして先ほど来申し上げておりましたような新旧住宅相互間の家賃の不均衡是正をするという方針で、四十七年以前の住宅の家賃を引き上げまして、新規に供給する住宅、現に供給中の住宅の一部につきましても家賃を軽減するという措置をとりたいということで、五十三年四月を目標にその準備を始めました。  それからなお、その増収額は、先ほど申し上げましたように、必要な維持管理経費の確保と家賃の抑制に充てるという考えでございます。  それから「公的援助の拡充」といたしましては、五十三年度概算要求におきまして、住環境整備交付金五十億円、これは団地建設の際に公団整備します団地内主要道路公園等にかかわるものの中でいわゆる補助対象外のもの、周辺地域住民の方も一緒に使うようなもの、そういうものがやはり公団では一戸当たり百三十七万円ぐらい現在負担させられております。そういうようなものを今後こういう交付金によって解消していこうということでございます。二番目に特別交付金といたしまして百億円、これは先ほど申し上げました家賃の不均衡是正に伴いまして行おうとする施策に対する応援ということでございます。  それから二番目の、昭和四十七年七月十二日の建設委員会における決議の早急な実施という点につきましては、建設省におきましては立てかえ施行制度、地方債のかさ上げ、利子補給制度の改善拡充というようなことに予算要求いたしましたが、同時に建設事務次官名で関係省庁に対しまして、前回の四十七年の決議文を添付をいたしまして、建設委員会からこういう強い御要求をいただいておる、国庫補助率の引き上げ等について協力方をお願いしたいという要請文書を各事務次官あてに送っております。  それから、第三点の「関連公共公益施設の整備に要する費用のための特定財源の確保並びに財政投融資資金の活用を図ること。」につきましては、一つは、関連公共公益施設の整備に伴う周辺市町村の財政負担の軽減を図りますために、従来までいろいろな措置を講じておりましたが、それに加えまして、新しく住宅団地建設促進助成事業というのを起こすことにいたしております。これは、ここに書いてございました「特定財源」のうらはらということで要求いたしておりますが、住宅団地建設促進臨時特別税という名称で新税の増設をお願いいたしております。これは、周辺市町村の方に広域化しております大都市の住宅事情から言いまして、周辺市町村にもある程度そういうふうな新規財源がなければ、従来のように負担を容易にするだけじゃなくて軽減しなければならないという発想に基づくものでございます。平年度税収三百四十億見込んでおりますけれども、来年度は初年度でございますので八十二億円の増収が見込まれます。われわれの要望どおりの税制が認められましたら八十二億円でございますが、それをまるまる来年度の概算要求では歳出の方にも組みまして、住宅団地建設促進助成事業という名目で要求させていただいております。  「財政投融資資金の活用」といたしましては、関連公共公益施設等の整備費の増額、それから立てかえ制度の拡充等について相当思い切った要求をいたしております。  以上でございます。
  168. 中村茂

    中村(茂)委員 不満でありますが、終わります。
  169. 伏木和雄

    伏木委員長 次回は、来る十一月二日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十分散会